衆議院

メインへスキップ



第16号 令和8年5月29日(金曜日)

会議録本文へ
令和八年五月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山下 貴司君

   理事 安藤たかお君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中根 一幸君 理事 長谷川淳二君

   理事 鳩山 二郎君 理事 後藤 祐一君

   理事 浦野 靖人君 理事 森ようすけ君

      井出 庸生君    大空 幸星君

      長田紘一郎君    金子 容三君

      川崎ひでと君    河野 正美君

      佐藤 主迪君    平  将明君

      中田  宏君    平井 卓也君

      平沢 勝栄君    文月  涼君

      古川 直季君    村木  汀君

      吉田 有理君    若山 慎司君

      渡辺 博道君    大島  敦君

      長妻  昭君    黒田 征樹君

      西田  薫君    野村 美穂君

      川 裕一郎君    高山 聡史君

      塩川 鉄也君    中村はやと君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) あかま二郎君

   内閣府大臣政務官     金子 容三君

   内閣府大臣政務官     若山 慎司君

   内閣府大臣政務官     古川 直季君

   内閣府大臣政務官     川崎ひでと君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   森元 良幸君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山田 好孝君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         大濱 健志君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          佐脇紀代志君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            若原 幸雄君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            大城 健司君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 梶川 光俊君

   政府参考人

   (国税庁徴収部長)    山崎 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           林  俊宏君

   内閣委員会専門員     田中  仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)(参議院送付)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁長官官房長森元良幸君外八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。

長谷川委員 おはようございます。自由民主党の長谷川淳二でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速、犯罪収益移転防止法改正案について、通告に従いまして質問をいたします。

 本改正案は、匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺などにおいて、預貯金口座を始めとする金融サービスがマネーロンダリングに悪用されている実態を踏まえ、より実効性あるマネロン対策を講じるものと理解をしております。

 しかし一方、そもそも、最近、警察官を装った特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は、令和七年、昨年で約三千二百五十七億円と、過去最悪のペースで増加をしております。一日当たり実に約九億円の被害が日々生じている計算になります。極めて憂慮すべき事態となっております。

 とりわけ、被害が高額化しておりまして、私の地元愛媛県では、昨年、警察官を名のる者などからの電話を受け、八十代の女性が合計十二億円を指定された口座に送金し、だまし取られたという偽警察詐欺が発生をし、特殊詐欺の被害額としては全国で過去最悪の額と報道されております。

 国民の財産を守るためには、何より最優先の課題は、トクリュウグループによる特殊詐欺等の防止ではないかと考えます。

 そこで、あかま大臣に、愛媛県における偽警察詐欺事件を始め、最悪のペースで増加している匿名・流動型犯罪グループの特殊詐欺等への対処が最優先に求められる中で、今回の改正案について、トクリュウグループの犯罪防止の観点から具体的にどのような効果を意図しているのか伺いますとともに、本改正案が成立した後も、トクリュウグループは特殊詐欺等の手口を年々巧妙化させていくことが想定されますが、こうした巧妙化する特殊詐欺等に全国警察を挙げてどのように対処していくのか、方針を伺います。

あかま国務大臣 お答えいたします。

 まず、委員の方から御紹介いただいたというのかな、昨年の愛媛県の事案、警察官等をかたる被疑者から約十二億円をだまし取られた事案という形で、まさに警察官を装ってという形で、いわゆる偽警察詐欺、これはまさに、警察に対する信頼を悪用して被害者の全財産をだまし取ろうとする極めて悪質で卑劣な犯罪であり、断じて許すことはできないというふうに思っております。

 今申し上げたとおり、現在、匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺の被害は極めて深刻な状況であり、これらの犯罪においては、預貯金口座等の金融サービスがその犯行や被害金のマネーロンダリングに悪用されている、こうした実態が見られるところであります。

 これを踏まえて、本法案において、預貯金通帳の不正譲渡等に対する罰則の引上げ、いわゆる送金バイトに対する罰則の創設、これを行うこととしておるところであります。これらの改正を行った上で、これを周知することによって、預貯金口座等の利用の適正が図られて、特殊詐欺の防止にも資するものというふうに考えております。

 また、いわゆる架空名義口座、これを利用した新たな措置も創設するところ、この口座に入金された財産については、警察が金融機関と連携の上、送金防止措置等を講じることによって、特殊詐欺の被害の回復であるとか不正な財産移転の阻止が可能となります。ほか、犯行グループが、譲り受ける口座に警察が管理する口座が混じっている可能性があるというふうな、いわゆる疑心暗鬼の状態となって口座の買取りをちゅうちょすることが想定される点でも、特殊詐欺抑止に資するものだというふうに考えております。

 加えて、近年、匿名・流動型犯罪グループは、先生おっしゃるとおり、その手口を日々巧妙化、多様化させております。本法案が成立した後にあっても、こうした手口であるとか情勢の変化に応じた新たな対策を講じていくこと、これは重要であるというふうに認識しております。

 今、政府が一丸となって、昨年四月に決定されました国民を詐欺から守るための総合対策二・〇、これに盛り込まれた対策を強力に推進しておるところであります。引き続き、様々な措置を講じて特殊詐欺の抑止を図っていくよう、警察を指導してまいります。

長谷川委員 あかま大臣、ありがとうございます。

 偽警察詐欺が急増していることは、警察の威信が問われる事態でもあると思います。警察への信頼を悪用した卑劣な犯罪を防ぐためにも、犯罪の抑止や徹底した捜査で摘発に全力を挙げていただきたいと思います。

 次に、預貯金通帳の不正譲渡等の罰則の強化についてお伺いをいたします。

 本改正案では、預貯金通帳の不正な譲渡等に対する罰則を、三年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に引き上げようとしております。しかし、近年、特殊詐欺等の被害は急速に増加をしております。かつ、一件当たりの被害額も令和七年で約五百二十四万円と、年々高額化をしております。

 そこで、政府参考人に、やはり、被害額が年々高額化している状況を踏まえると、目先の利益を得るために安易に預貯金口座を売る行為を抑止するためには、預貯金通帳の不正譲渡等の罰則強化、これは不可欠であると考えますが、本改正案による罰則の引上げ内容が犯罪抑止の観点から適切であるかどうかについて、見解を伺いたいと思います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 一般に、罰則の法定刑につきましては、他法令における同種の行為等に係る法定刑との均衡を考慮しながら定めるべきものと認識しております。

 その上で、本法案は、麻薬及び向精神薬取締法における向精神薬の不正譲渡に関する罰則が三年以下の拘禁刑とされていることなどを踏まえた上で、預貯金通帳の不正譲渡等の法定刑を、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金から、三年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に引き上げることとしたところでございます。

 こうした罰則の引上げやその周知によりまして預貯金口座等の利用の適正が図られ、特殊詐欺の抑止にも資するものと考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 他の犯罪との均衡という点では理解をいたしますが、特殊詐欺等の被害が増加の一途をたどっており、また、その多くで預貯金口座等が悪用されている実態を踏まえますと、やはり、犯罪抑止という観点から不断の検証が必要ではないかと考えます。

 次に、いわゆる送金バイトに対する罰則の創設について伺います。

 送金バイトは、預貯金通帳の不正譲渡等の罰則から逃れるための脱法的行為として悪用されていることに鑑みまして罰則を創設するものと理解をしておりますが、一方で、いわゆる闇バイトと言われる行為の中で、特殊詐欺の被害者から直接金品を受け取る受け子やATMから被害金を引き出す出し子と比べると、送金バイトは、SNSのやり取りだけで完結し得ることから、やはり、マネロンに加担するという犯罪意識が希薄なまま学生などが募集に応じてしまうことが懸念をされます。

 そこで、政府参考人に、この送金バイトに安易に応じる危険性がある若者に対して直接、送金バイトがマネロンに加担する犯罪行為であることを十分に周知する必要があると考えますが、若者層に対して訴求力ある広報啓発にどのように取り組むのか、方針を伺います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 本法案が成立した暁には、いわゆる送金バイトの罰則が創設されたことにつきまして、国民にしっかりと周知していくことが重要であると認識しております。

 委員御指摘のとおり、その周知に当たりましては、若年層に対して届くような工夫が必要であるとも認識しております。これを踏まえまして、現在、警察庁においては、関係機関、団体等と連携しながら、様々な機会を捉えた広報用のチラシの配布、掲示のほか、SNS上での動画による広報も検討しているところでございます。

 これらに加えまして、法案の成立、施行後の状況を踏まえまして、関係行政機関等とも連携しつつ、効果的な広報啓発活動を積極的に推進してまいりたいと考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 SNS上で闇バイト情報に安易に応募した若者が取り返しのつかない罪を犯してしまう事案が後を絶たない状況でございます。若者が踏みとどまることができるような、効果的な広報啓発を行っていただきたいと思います。

 次に、預貯金口座等の犯罪利用を防止するための手法として、架空名義口座を利用した新たな措置について伺います。

 この新たな措置は、預貯金口座等の犯罪利用の防止、あるいは、架空口座に入金した被害者に被害金を返還して被害回復を図ることが期待できると思います。

 一方で、やはり特殊詐欺等の手口は年々巧妙化しております。トクリュウグループに架空名義口座であることを見抜かれたり、あるいは、トクリュウグループが被害者に成り済まして被害金の返還を受けようとしたりすることも十分想定されると思います。

 そこで、政府参考人に、この架空名義口座を利用した新たな措置が実効ある仕組みとなるように、架空名義口座であることを看破されることを防ぐために、また、トクリュウグループなどが被害者に成り済まして被害金の返還を受けるといった新たな犯罪を防止するために、それぞれ具体的にどのような対策を講じるのか、方針を伺います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、本措置の実施に当たりましては、その実効性を確保する必要がございます。犯行グループに警察による関与を看破されない、見破られないような対策を講ずることは極めて重要であると認識しております。

 この点、本措置の実施に当たりましては、犯行グループが、譲り受ける口座がいわゆる架空名義口座でないことを確認する目的で、口座を譲り渡す警察官に対しまして口座名義に対応した身分証等の提示を求めることが容易に想定されるところでございます。

 そこで、本法案においては、改正後の第十九条の三後段におきまして、本措置を的確に実施するために必要と認められる範囲内において、警察官がその氏名、身分等や本措置に係る事実を偽ることが可能であることを明示した規定を設けてございます。この規定を根拠として、架空の口座名義に対応する身分証等の書類を作成することを可能としたところでございます。

 また、架空名義口座に移転された財産の返還に当たりまして、御指摘の成り済ましを防ぐ観点から、返還を受けようとする者が架空名義口座に財産の移転を行った者であることを警察官が適切に確認することとしており、警察本部長がその者に対して報告や資料の提出を求めたり質問したりすることを可能とする規定を設けたところでございます。

 その上で、本法案では、これらの求めや質問に対しまして虚偽の報告等を行った者に対する罰則も設けており、必要に応じてこうした罰則に基づく取締りも行いながら、委員御指摘の成り済ましに対して厳正に対処してまいる所存でございます。

長谷川委員 ありがとうございます。

 架空名義口座を利用した新たな措置が、金融機関側の御協力も得て、有効に機能する仕組みとしていただきたいと思います。

 最後に、特殊詐欺等の被害を受けた場合の税務上の対応について、国税庁に伺います。

 特殊詐欺等による被害が高額化する中で、被害に遭われた方の中には、多額の財産をだまし取られた結果、納税に困難を来しておられる場合も生じていると伺っております。

 一方、所得税法に規定する雑損控除は、資産について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合に適用すると規定されており、詐欺による被害は雑損控除の対象とはなっておりません。この点、国税審判所の裁決では、振り込め詐欺による被害金について、振り込み自体は本人の意思に基づいてなされたことから、災害等による損失には当たらないというふうに判示をされています。

 しかし、先ほど来御紹介しているように、例えば偽警察詐欺は、あなたは犯罪に加担しているという偽警察官の脅迫的な誘導によって、被害者に半ば強制的に振り込みをさせる極めて悪質な犯罪でございます。そうしたことを考えれば、特殊詐欺による被害によって納税に困難を来している方に対しては、所得税法上は雑損控除の対象とならないまでも、災害や盗難に遭った場合に類するものとして、やはり納税上配慮すべきではないかと考えます。

 そこで、国税庁の参考人に、本改正案により特定被害回復金の仕組みが創設されることも踏まえまして、特殊詐欺等による被害によって納税に困難を来している方に対して、被害回復に向けた取組が続けられている間、納税の猶予等を受けることができるよう配慮すべきと考えますが、国税庁の見解を伺います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 納税の猶予についてのお尋ねですけれども、詐欺により財産を損失した場合には、納税者が国税を一時に納付できないときは、納税者の申請に基づきまして、原則一年以内の範囲内で納税を猶予することができるとされております。詐欺の場合も対象になっております。

 特殊詐欺等による被害で納税に困難を来している方に対しても、法令等に基づいた納税の猶予の適正な運用を行うなど、納税者の置かれた状況に十分配意しまして、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 雑損控除の対象は所得税法の制定当初から変わっていないのではないかと思います。デジタル化が進んで、特殊詐欺等の被害も増加している中で、そうした制度の在り方も検討していく必要があるのではないかと思います。

 いずれにいたしましても、本改正案によって特殊詐欺等による被害の防止や被害の回復が図られ、国民の財産が守られるよう期待申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山下委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 長妻昭です。よろしくお願いをいたします。

 トクリュウ、匿名・流動型犯罪グループによる特殊詐欺、これが被害がどんどん拡大して止まらないということで、警察には適切な対応、強化していただきたいというふうに考えております。

 まずお尋ねするのは、個人情報を悪用したトクリュウ絡みの事件、事例、御紹介いただければ。

あかま国務大臣 お答えいたします。

 匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウは、特殊詐欺を始めとする様々な犯罪を敢行している実態があるところ、個人情報が悪用された特殊詐欺事件として、例えば、名簿業者から約一万五千人分の個人情報が登載された名簿を買い取り、同名簿の登載者から還付金名目で約二百五十万円をだまし取った事例など、こういったものを警察において把握をしております。

長妻委員 個人情報保護委員会も来ていただいていますけれども、個人情報保護委員会が把握している、トクリュウに渡った個人情報としてはどんなのがありますか。

佐脇政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが権限を行使した事例、二件ございます。一つは、有限会社ビジネスプランニングに対しまして、令和七年五月に緊急命令などを行った事案。二つ目は、株式会社中央ビジネスサービスに対して、令和七年九月に勧告等を行った事案でございます。

 まず、ビジネスプランニングに対する緊急命令でございますけれども、同社は、提供先が違法な行為に及ぶものである可能性を認識しながら個人情報の提供を行っておりまして、特殊詐欺グループからの連絡の可能性にさらされること、御本人がですね、それにより現に平穏な生活を送る個人の権利利益の侵害があるという事実を踏まえまして、令和七年五月に、個人情報保護法の不適正な利用の禁止規定の違反などにより緊急命令を行ってございます。

 二つ目もおおむね同種の事案でございまして、令和七年九月に、個人情報保護法に基づきまして、個人情報の提供の確実な中止などの勧告を行ってございます。

 いずれの名簿業者につきましても、様々なルートからそのような名簿を入手し、結果として特殊詐欺グループに渡ったものと思われます。

長妻委員 名簿の中身と入手方法を聞きたいんですが、例えば、地域別高齢者名簿とか、リフォーム業者の顧客名簿とか、認知症の方の名簿とか、これはどういう中身と入手ルートですか。

佐脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今おっしゃられたそれぞれのカテゴリー、それぞれについての子細の把握をしているわけではございませんが、一般に、いずれの名簿業者につきましても、市販の電話帳でございますとか、例えば個人情報保護法制定前でありますと名簿の入手が比較的容易でございましたので、その名簿を長期にわたりメンテナンスすることによりまして、こういった用途にも使い得るものとして整備していたものと承知しております。

長妻委員 トクリュウの特殊詐欺の特色は、非接触型ということで、最後、受け子とか下の方は接触すると思うんですけれども、基本的には電話、ネットなどの非接触型詐欺であるというふうに私は考えております。そのときにやはり重要なのが、個人情報なんですね。個人情報でターゲットを決めて、そしてアプローチしていくということで。

 今回、おとついも質問しましたけれども、個人情報保護法に大きな穴が空いてしまった。住所、名前つきで病歴などが、統計作成等という統計特例であれば個人事業主あるいは企業にも渡すことができる、こういうようなものが衆議院を通過してしまったということで、大変私は危惧を持っているんですけれども。

 そうすると、診断された認知症情報、名前、住所つきの認知症情報も企業に統計特例で渡ってしまう、こういうことですか。

佐脇政府参考人 お答え申し上げます。

 データの類型について法律上限定をかけておりませんので、御指摘の類型も可能性としてはあり得ると思いますが、本特例によって提供されるものは、提供元と提供先との間で確認の上提供されることになりますので、必ずしも、おっしゃった類型が確実に提供されるものではないということは御留意いただければと思います。

長妻委員 いや、それは確実というか、法律で、だから、できる規定になっているわけですよね、提供義務じゃないですけれども。この法律というのは大変危険だと私は思うんですね。

 認知症情報のみならず、住所、名前つきで、例えば、精神疾患の情報、あるいは遺伝病、性病、不治の病、難病、あるいは医療的処置である妊娠中絶の情報などが、名前、住所つきで、統計特例であれば企業とか個人事業主にも渡すことができる。これは大丈夫なんですか。

佐脇政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員が御提示されている問題の構造に照らしましてお話を少しさせていただきたいと思いますけれども、今、本特例によりまして、様々な非公開の病歴情報が病院などから企業等に提供され、企業等が、統計情報等の作成ではなく、個人情報のまま何らかの形に使うことによるリスクということを御指摘されていると思いますけれども、現行法の他の仕組みと比較いたしましても、相対的にはその懸念は当たらないということを御説明したいと思います。

 まず、個人情報保護法はあくまでも一般ルールでありますから、様々な個人情報のやり取りがこの一般ルールのみに規律して行われているわけではございません。例えば、御指摘されている第三者提供の際に本人の同意を得るというルールがございますけれども、個人情報保護法上は、提供先事業者やその事業者による利用目的などで制約されることなく、同意を取れば、第三者に提供するか否かをその同意で確認すれば提供できるということになってございまして、極論いたしますと対外公表も含めた同意ということになるわけでございますが、現実には、事業法でございますとか、その場面その場面に適用される法令や慣例、社会的監視が機能することによりまして、今日、特に、第三者提供の本人同意が得られたからといって、対外公表が立て続けに行われているというわけではないわけでございます。

 この点、今回の特例措置につきまして、本人関与という点では確かに取扱いを異にするわけでございますが、むしろ提供元の事業者には、提供先の事業者における取扱いの目的の確認義務、それから、当該事業者が適法に公表などを行っていることも確認するなど、同意に基づく第三者提供に比較しましても、より徹底した提供元事業者としての法的責任が明記されておりまして、その結果、社会的監視、法執行機関である我々の監督に服するということになるわけでございまして、提供元にとりますと、むしろ、しっかりと確認するということで、相対的には、何と申しますか、個人の権利利益の侵害が深刻になるような事態はむしろ減少される可能性すらあるというふうに思ってございます。

長妻委員 とんでもない答弁だと思いますね。詭弁だと思いますよ。

 じゃ、もう一回聞きますけれども、住所、名前つきの病歴、これが統計特例で企業やあるいは個人事業主に渡る。確かに、アウトプットする、世間に公表するときはそれは出さないよということなんですね。ただ、これまでは、こういう機微に触れる情報は、そういう形であっても本人の同意を取っていたんですね。もちろん、AIの開発などで、AIの開発はデータを読み込む量が多ければ多いほどいいというのは私も理解します。しかし、欧米でも類を見ない法律ですよ、欧米でもないですよ、これ。実名ですよ、名前も住所も。私は、データの信頼を損なうことはむしろAIの開発にマイナスになると思います。日本は遅れているじゃないですか。

 これはおかしな話で、じゃ、提供元が名前と住所を出す、確認できれば出していいというのは変わらないわけですよね。

佐脇政府参考人 お答え申し上げます。

 この特例の適用に当たりましては、提供先の利用目的、つまり、統計作成等の具体的な用途に照らしまして必要な情報を提供元が本人の同意なく提供できるとしてございますので、その必要かどうかということにつきましては、提供元と提供先が、書面を交わすということも含めまして、確認することになってございます。その結果、仮に提供元との関係で名前、住所などが必要ないということになりましたら、もちろん、提供元は、それを提供した場合には法律違反になりますので、特例の適用対象になりますので、そこで担保されることになります。(長妻委員「いや、だから、必要な場合はどうですか。必要な場合を答えて」と呼ぶ)

山下委員長 必要な場合について答えてください。

佐脇政府参考人 論理的に、必要だということが分かった場合には、当然対象になります。それは法律上排除されておりません。

長妻委員 だから、いいかげんなんですよ、これ。提供先の個人事業主とか企業が名前、住所もちょうだいねと言ったら提供するんですよ。おかしいじゃないですか。あるいは、名前、住所は必要ないと言っても、提供元が名前、住所を削除するのが面倒くさい、手間がかかるという場合は一旦渡すというふうに聞いていますよ。そういうことでいいんですね。

佐脇政府参考人 お答え申します。

 先ほども申しましたけれども、個人情報保護法は一般法でございまして、事業者が置かれました状況状況に応じ適切な、法令その他、慣行その他に基づきまして具体的には提供が判断されるものと承知しております。

 先生が御指摘されております医療に関連するものにつきましては、例えば病院などは通常、機微情報を扱っておりますので、安全管理措置の徹底の観点や患者等との信頼関係を維持する観点から、医療情報の提供に際しましては、提供先の適切性や提供先における利用目的の適切性をしっかり管理するものと思います。

 今回の制度におきましては、むしろ、その管理をするための情報を提供先にも提供させ、提供元はしっかりそれを確認しながら判断できる機会が多うございますので、そういった病院であればそういったことは生じないものというふうに思います。(長妻委員「質問に答えていないよ」と呼ぶ)

山下委員長 ちょっと、質問に答えてください。もう一度、端的に答えてください。面倒くさいときにはそのまま出してしまうんじゃないかという問いに対して、そういうことについて個情委としてどういうふうに考えているのかということについて。

佐脇政府参考人 必要な者にしか提供できませんので、面倒というのはどういうことかよく分かりませんけれども、消せるときには消すということが大原則でございますし、当然ながら、機微情報であれば、日頃からそういった丁寧な取扱いをするのが、例えば医療機関でありますと、私どもの細則でございます医療機関ガイドライン等がありますので、それに基づきまして、しっかり消して出すものというふうに思います。(長妻委員「一回止めてください」と呼ぶ)(発言する者あり)

山下委員長 ちょっと、手間がかかるというのは具体的にどういうときかというのを特定して、それで、事務局長、答えてください。

佐脇政府参考人 法律の、今回提案しているものの設計に照らしまして、手間がかかるということを私なりに解釈いたしますと、例えば、データによりましたら、電子カルテのように構造化されているデータがございます。それは、常識的に考えますと、名前、住所などを削除しようと思えば当然に削除できるものでございます。それが提供先にとって不要だということが、一般的には不要の場合が多うございますけれども、明らかになれば、削除しない提供というのは要件を満たさない提供ということで、法律違反を構成するかと思います。

長妻委員 ちょっと悪質ですよ、これ。

 じゃ、カルテの備考欄はどうですか。名前、住所は消すんですか。

佐脇政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的には、法律案が可決した暁には、その適切な執行のために具体的細則を決めていくことになろうかと思いますが、カルテの備考欄につきましては、私自身は、これから子細を検討する立場にありますので、所管もしておりませんし、想像でのお答えになると思いますけれども、いわゆる構造化されていないデータがAI開発あるいは統計分析に何らかの形で必要になる場合には、それにつきましても提供する可能性はあろうかと思います。

長妻委員 今、はっきりおっしゃいました。

 構造化されたデータ、例えばエクセルなんかで名前がばあっと並んでいるとき、これは消すのは簡単だから消すかもしれない。でも、構造化されていない医療データの中に住所、氏名が入って、消すのが面倒、簡単に言うとですね、その場合は提供するとはっきりおっしゃったわけであります。これは非常に危ういことだと思います。

 先月、御存じのように、イギリスで五十万人分の医療データが流出したのは御存じですか。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 報道ベースでのみ知っておりますので、子細は存じ上げません。

長妻委員 五十万人流出して、子細を研究してほしいんですが、イギリスは、もちろん名前と住所は提供しないので、流出したけれども名前、住所は事なきを得たということなんですが、ただ、五十万人分が流出をして、日経新聞の記事では、英国、五十万人分医療データ流出、中国アリババのサイトに出品と。氏名や住所といった個人の特定に直接つながる情報は削除されていたということなんですけれども。

 今度、削除されないんですよ、今回の個人情報保護法。しかも、構造化された、名前と住所が削除できる、簡単にできると皆さんおっしゃいますけれども、これは、提供元がそれも面倒くさいと言えば、削除する義務はないんですよ。こういういいかげんな法律を出してきたということで、私は非常に心配をしております。

 そして、トクリュウが本当に欲しい情報というのは、やはり認知症の情報というのもあると思うんですね。さっきの病歴の情報もそうかもしれない、悪用されるとですね。

 じゃ、要配慮個人情報、今度、個人の、これまでは本人の同意が必要だった、そして、統計特例で企業、個人事業主に渡すことが本人の同意がなかったらできなかったものが、今度は、統計特例であれば要配慮個人情報全部を渡すことができるということなんですが、要配慮個人情報、何があるのか教えていただければ。

佐脇政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護法における要配慮個人情報は、不当な差別や偏見につながるおそれが類型的に高い情報を政令等により定めておりまして、例えば病歴、犯罪歴等が該当いたします。(長妻委員「全部言ってください、人種とか」と呼ぶ)遺伝に関連するもの、あとは人種なども相当する場合がございます。(長妻委員「全部言ってください、六項目」と呼ぶ)法律上、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、犯罪によって害を被った事実などでございます。

長妻委員 六項目あるわけでありまして、非常に、名前、住所つきでこれも出せるということで、私は本当に驚きを通り越してしまうわけでありますけれども。

 認知症情報でいいますと、警察にお伺いしますけれども、認知症の高齢者が被害者という特殊詐欺、トクリュウ絡みというのはどんなのがありますか。

あかま国務大臣 匿名・流動型犯罪グループ、これは、様々な形で、例えば、国外の犯罪組織と連携する形だとか、東南アジアに拠点を設けて我が国に向けて特殊詐欺を敢行している実態があるところで、例えばの具体例として、令和七年八月、マレーシア当局が拠点を摘発をして、我が国の七十歳代の被害者の方に対して偽警察詐欺を敢行した事実でかけ子被疑者四名を検挙した事例、また、令和七年十一月、カンボジア当局が拠点を摘発をして、我が国の六十歳代の被害者の方に対してこれもまた偽警察詐欺を敢行していた事実でかけ子被疑者十三人を検挙した事例などを警察において把握をしておるところであります。

長妻委員 高齢者の特殊詐欺、高齢者に限ってですね、高齢者の特殊詐欺被害額というのは、昨年、幾らですか。

山下委員長 あかま国家公安委員長、高齢者の特殊詐欺被害額総計について。

 では、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

山下委員長 速記を起こしてください。

 あかま国家公安委員長。

あかま国務大臣 特殊詐欺の高齢者被害状況、これは、令和七年でございますけれども、一千四百三十五億円でございます。

長妻委員 ありがとうございます。

 これは恐らく初めて出た数字じゃないかと思うんですね。去年、高齢者に限って、特殊詐欺の被害額、特殊詐欺だけですよ、一千四百三十五億円ですよね。三百六十五日で割り算すると一日平均四億円、毎日毎日四億円が盗まれているということで、これは、前の年に比べて一・五倍増えて、その前の年でいうと倍に増えて、倍々ゲームで増えているということで。

 しかも、これは、七ページ、配付していますけれども、認知症の方あるいは認知機能が低下した方は、被害に遭っても、八割が遭ったというのを分からない、自分でも。八ページ目は、いろいろ新聞に出ていますけれども、「認知症 悪質販売・詐欺相次ぐ」、九ページ目、「口座から消えた二千万円 認知症の高齢者、詐欺の標的に」というようなことが書いてございます、新聞記事でございます。

 厚労省にお伺いするんですけれども、認知症、軽度の認知症の方も含めて、今そういう方々は金融資産を幾ら持っておられますか。認知症あるいは軽度の認知症の方が持っている金融資産の総額は幾らですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問いただきました、MCI、軽度認知症あるいは認知症の方が保有している金融資産について、厚生労働省において正確に把握している数字ではございませんけれども、慶応義塾大学の駒村康平教授が推計した数字として、MCI、認知症等の方が保有している金融資産について、約二百六十兆円という試算を出していると承知しております。

長妻委員 これは、警察、聞きましたか。警察に聞いたら、全然そういうのを御存じなかったんですね、レクで。二百六十兆円ですよ、認知症の方が持っている財産。

 しかも、これは、二ページ目を見ていただきますと、三井住友信託銀行が調査しましたところ、二〇三〇年の予測、認知症高齢者が保有すると推定される資産、三百十四兆円ですよ。その多くが預金ですよ、金融資産ですよ。二〇四〇年、三百四十五兆円。認知症、軽度も含めた方が、高齢者が保有するという金融資産なんですね。

 これは、今後、本当にターゲットになりますよ、高齢者、軽い認知症の方を含めてですね。警察はどういう対策、予防策というのを考えておられますか。

あかま国務大臣 高齢者を狙った様々な犯罪、これらに対して、高齢者向けの様々なチラシであるとか様々な媒体を使っての広報啓発、さらには、地域、警察署等々にあって、高齢者を対象にした、詐欺に遭わないであるとか、そういったことを直接高齢者の皆様方にお伝えする機会を設ける等々の取組をしておるところであります。

長妻委員 失礼ながら、ちょっとそういうことではもう追っつかないと思うんですね。

 厚労省が非常にいい取組をしていただいているんですね。これは私も評価いたしますけれども、これは新しい分野ですね、金融ジェロントロジーというプロジェクトチームを、BRIDGEの枠組みの中で、省庁間の連携研究の中で立ち上げていただいて、今月初会合をしたということなんですが、どんなプロジェクトですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事業でございますけれども、認知機能が低下しても生涯にわたって自立的な経済活動ができる包摂的な地域社会及び社会経済システム構築という研究事業でございまして、御指摘のように、BRIDGEという研究事業の下、実施してございます。

 具体的な中身といたしましては、認知症をお持ちの高齢者を中心として、認知機能が低下した方が、現状、自立的な経済活動ができない、金融取引等ができないという状況の解決を目指しておりまして、金融機関と地方自治体や福祉関係機関が連携をして、いわゆる金融と福祉の連携というものの社会実装が進みますよう、具体的には、こういった金融と福祉の連携によって、こういった認知機能が低下した方の早期発見、早期対応、そして見守りといったモデル事業を実施するでございますとか、金融機関がこういった方の対応を適切に行えるようなガイドライン作り、あるいはAIツールの開発、活用などを進めるものでございます。

長妻委員 これからの、金融ジェロントロジーというのは、老年学ですね、金融老年学という新しい分野をいち早くやっていただいているんですけれども、これは今どの役所が入っていますか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたような事業の内容ということでございまして、こういった分野に関わりの深いということで、厚生労働省、金融庁、そして消費者庁、こういった三省庁で事業を実施することとしてございます。

長妻委員 これは、まずは三省庁でやっていただくのがいいと思うんですね。警察もこれをウォッチしていただいて、この会議の中身を、是非大臣にお願いしますよ。

 これから大変なことが私は起こると思うんです。認知症の方々が持っている財産がどんどんどんどん狙われるというような、トクリュウに。大変な、国際的に、世界からこの財産を狙って日本に押し寄せてくるというリスクが非常に大きいと思っているんです。きちっとした予防策を取るということが欠かせないと思います。

 どういうことかというと、お金があってもお金を使えない人が増えているということなんですね。だから、人の介護も重要ですけれども、人のみとりも重要ですけれども、お金の介護が必要だ、そして、お金のみとり。亡くなったときに、そのお金をどうするか。このお金の介護とお金のみとりが必要だということで、これは厚労省だけじゃできないわけですね。犯罪については警察も必要ですし、消費者庁、あるいは金融庁とか。これは相当、政府も意識をがっと変えて、省庁横断的に金融ジェロントロジーの観点から取り組んでいただかなきゃいけない。

 そして、高齢者をだます企業というのはもう市場から退出していただくような、やはり厳しい措置をこれから講ずる必要があるというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

あかま国務大臣 今委員おっしゃるとおり、いわゆる認知症の高齢者が持つ資産、これは莫大である、また、今後にあっても増えるということ、また、そこをつけ狙う、また、それが様々な犯罪集団、今にあってはトクリュウというものが明らかにそこを狙うだろうと。それに対して、まさにお金をどう介護する、みとるという部分にあって、警察がここもしっかりウォッチすること、これは大事な視点だというふうに思っております。

長妻委員 かつ、やり過ぎても問題が発生するというのも御留意いただきたいと思うんですね。私はきちっと対応を取るべきという議論をしていますけれども、ただ、のりを越えてやり過ぎると、つまり、高齢者が自分のお金を下ろせなくなる、使えなくなる、全く使えなくなる、不自由になってしまう、やり過ぎは。ですから、このあんばいが非常に難しいというのは私も感じるところなので、そこのあんばいをよくよく金融ジェロントロジーの立場から研究していただいて、そして適切な取締り、予防策をお考えをいただきたいというふうに思います。

 そして今回、法案ではいろいろな工夫がなされているというふうに承知しておりますけれども、架空名義口座を警察官が偽名で作る、銀行に。そして、その架空名義口座をトクリュウに販売する、売る、それで報酬をもらう、偽装警察官が。こういうことというのは、海外ではこういう例ってあるんですか。

あかま国務大臣 いわゆる架空名義口座、これを利用した新たな措置に対して、主要国にあって導入があるか調査いたしましたところ、類似の取組については把握をしておりません。

 ただ、いわゆる架空名義口座を使用しているんじゃないかという話であれば、潜入捜査なんかで、外国の潜入捜査官が偽名を用いて銀行口座を開設した旨の報道があるというふうには承知をしております。ただ、今回の法案で新たに創設する措置のように、口座の売買を誘引する者等に口座を譲り渡す措置については、類似の取組は把握していないということであります。

長妻委員 そうなんですね。これは、海外ではリスクがあるということで、そこまではやっていない。

 つまり、今回は、架空名義口座を警察官が偽名で作って、その口座ごとトクリュウに売り払う、それで報酬ももらう。そうすると、トクリュウがその口座を使ってマネーロンダリングをするので、その口座は、所有者はトクリュウだけれども、銀行に示し合わせて、その情報を、警察がもらって、トクリュウが自分の口座だと思って安心していろいろ出し入れしている情報を逐一リアルタイムで警察が把握して、そして追跡、検挙に結びつけるということなんですが、私も、なかなか判断は、海外ではリスクが高いということでやっていないようでありますので、判断できませんが、ただ、やるにしても、非常に注意深く、いろいろなリスクに留意をしていただきたいということは申し上げておきます。

 そしてもう一つは、送金バイトに対する新しい罰則が今回盛り込まれたということでありますけれども、有償で、他人口座を利用させて、振り込まれたお金を別口座に移転するように依頼をする。つまり、マネーロンダリングする目的で、トクリュウが、ある方に、一般の方に、あなたの口座に一千万円を振り込むから、それをこっちの口座に移してね、それだけよと。単純な、それだけで報酬を上げるから、別にあなたは何にもリスクないですよと言いながらそういうことをやらすというようなことなんですが。

 これは、依頼しただけで、依頼して相手が断ったとしても、依頼しただけで拘禁刑になるというものなんですが、そのバランスのことなんですけれども、例えば、一緒に銀行強盗をやろうねと、あなたと一緒に銀行強盗をやろう、こういう依頼をしただけで、別に罪にならないんですね。予備罪、具体的に準備をしたり、そこまで踏み込むと罪になるんですが。依頼しただけで、一緒に銀行強盗、一緒に例えば大きな犯罪、ただ、こっちは依頼なんですが。これは、依頼で拘禁刑という事例というのはどのぐらいあるんですか。

あかま国務大臣 今お話、御質疑いただいている、新たに罰則を設けることとする、いわゆる送金バイトでございますが、他人の名義の預貯金口座を譲り受けてマネーロンダリングを行うのではなく、SNS等を通じてバイトを募集した上で、これに応募した者に、別の口座に送金する、これを依頼してマネーロンダリングをさせるという新たな手口であります。

 このように、何らかの行為をするよう依頼であるとか勧誘をした者を処罰対象としている例として、犯罪収益移転防止法のように、預貯金通帳の不正譲渡等を行うように勧誘や誘引を行う罪のほか、国家公務員法、ここにおいて、再就職者が、一定の要件の下で、離職前五年間に在籍していた局等組織に属する役職員に対して、職務上不正な行為をするように要求や依頼を行う罪などを把握しております。

長妻委員 ほかにもあるということでございます。

 いずれにいたしましても、私が本当に懸念しますのは、巨額の金融資産を持っている高齢者、特に、軽度を含めた認知症の方々の財産が、これから間違いなく世界の勢力から狙われるということになると思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山下委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 中道改革連合の後藤祐一でございます。

 早速、警察庁、政府参考人に伺いたいと思いますが、銀行口座、預貯金通帳等の譲渡であって、不正なものは今回罰則が強化されますが、不正でない譲渡、正当な理由がないのに有償で行う譲渡というのはどういったケースでしょうか。網羅的に示していただけますでしょうか。例えば相続だとか会社の合併で名義人が変わるとか、こういった場合が当たると思いますが、網羅的に説明してください。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 犯収法上で預貯金通帳等の譲渡しが違法となるケースにつきましては、譲渡し人が、口座の譲受人に他人に成り済まして預貯金契約に係る役務の提供を受ける目的があること等を知って譲渡を行う場合、また、通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他正当な理由がないのに有償で譲渡しを行う場合が挙げられているところでございまして、これらの譲渡しを不正譲渡と称しているところでございます。

 このため、一般に、譲受人に他人に成り済まして取引を行う目的があることを譲渡し人が知らない場合や、譲渡しが正当な社会経済活動の一環として行われ、正当な理由が認められるような場合には、預貯金通帳等の譲渡しは犯収法上違法とならないものと解されております。

 その上で、御指摘の不正譲渡でない譲渡に当たるケースにつきましては、社会経済活動には様々なものがあるため、これを網羅的に述べることは大変困難でございますが、例えば具体例として申し上げますと、営業の譲渡に伴い、屋号の名義で作成された通帳等の譲渡が適法に行われる場合、元々譲渡することが前提であるような譲渡性預金等の金融サービスを適法に用いる場合、金融機関のキャッシュカードのICチップをリサイクルするため、そのカードを適法に売り渡す場合、金融機関の合併等により今は存在しない金融機関名の通帳等を、その希少価値からコレクターが有償にて取得する場合などがこれらに当たり得るものと考えております。

後藤(祐)委員 ありがとうございました。

 同じく三十二条の送金バイト、ここも法改正になっていますが、ここの三十二条二項で「情を知って、」とありますけれども、正当な理由がないのに他人の依頼を受けて有償で送金バイト、つまり特定役務利用財産移転行為をした者が、情を知っていないために第二項の構成要件を満たさないケースというのはどういった場合なんでしょうか。例えば、家族で、親から言われて子供が代わりに送金したときにお駄賃を上げますねとか、いろいろな場合があり得ると思うんですけれども、そこもできるだけ網羅的に示していただけますでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 今回創設するいわゆる送金バイトの実行役に対する罰則におきましては、当該実行役において、依頼者に自己又は第三者が管理し、又は管理しようとする財産を移転する目的があるとの情を知っていることを求める要件を設けているところでございます。

 この要件は、本罰則の目的が、他人から依頼を受ける形で預貯金口座等を悪用したマネーロンダリングが行われることを防止するものであることを踏まえ、依頼者が実行役のために財産の移転を依頼しているものではなく、あくまで依頼者や別の第三者に資するようにする目的で財産の移転を依頼していることを実行役が知っていることを求める趣旨のものであると解しております。

 その上で、例えばでございますが、依頼者が実行役に対しまして、実行役の口座に入った財産をまた別の口座に移転することを依頼するに当たりまして、移転する別の口座のIDとパスワードを後から教えます、教えるので、それで、別の口座に財産が移転した後はそのお金を自由に使って構わないなどとうそを述べたケースでは、実行役におきましては、実行役自身のために財産の移転を行う認識でございますので、情を知っていないこととなり、この要件を満たさないものとなると解しております。

後藤(祐)委員 「情を知って、」のところはそうですけれども、ここの三十二条で問題にならないケースもちょっと具体的に言っていただけますか、家族の送金ですとか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 例えばでございますが、家族に振り込みを依頼して、その振り込みをやっていただく、あるいは飲み会等々、参加の者から会費として集めまして、その代金として飲食店等々に振り込み送金をする、そのようなものが該当するかと存じます。

後藤(祐)委員 それ以外は駄目ということで、厳しくするところは厳しくやり、通常の経済活動は妨げないようお願いします。

 続きまして、今回の法律で、銀行口座の譲渡などが法律で厳しくなることは、それはそれで役に立つと思いますが、一方で、現実の特殊詐欺というのは、配付資料で、これは実際に起きた事例をその被害者の方の方で作っていただいたものなんですけれども、被害者の口座のある銀行から五百万円ずつ、二つの金融機関に振り込みます、これはだまされて、これはさっきの認知症みたいなケースではなくて、巧妙なだましのテクニックで振り込まれちゃったようなんです。

 弁護士さんが、弁護士会による照会という法的な手続を取って、この振り込み先のAあるいはA'の金融機関から、その先、どこの銀行にお金が移っていますかというのを聞いたら、教えていただいたそうなんですね。B銀行は同じ銀行です。また、BからCへ、Dへと転々とするわけです、これはよくあるケースなわけですが。ところが、このB銀行に、その先、どこにお金を移したか、入出金記録を、履歴を出していただけますかと、これは弁護士会照会をした上で弁護士が求めたにもかかわらず、出していただけないそうなんです。

 そこで言われたのが、金融庁の指導があれば速やかに対応すると。いわゆる箸の上げ下げまで金融庁がというやつの典型なんですけれども、幾ら今回の法律で厳しく法律を作っても、現実にはA、B、C、Dと転々とお金が流通していく中で、被害者は追いかけられないというのが実態なんですね。ここは、犯罪の未然防止とともに、被害者の救済、特に弁護士が、弁護士会のきちっとした手続を取ってやっているようなケースについては、きちんと追いかけられるようにすべきじゃないかという問題意識からお伺いしたいと思います。

 この個別事例についてというよりは、これは単なる照会ですから、一般論としてお答えいただければいいと思いますが、まず、各金融機関が被害者側から、この弁護士会照会によるものも含めて、入出金履歴の開示を求められた場合に、どの程度、各金融機関は応じておられるのでしょうか。

 また、金融庁の金子政務官に伺いたいと思いますけれども、これは金融機関に調査した上で答弁してくださいと通告しています。少なくとも、今週火曜日、二十六日に、この紙の金融機関名は実際に名前が入ってあるもので金融庁とレクをしていただきましたけれども、そのときには、このA、A'、Bの具体的な金融機関名は書いてあります。少なくともそこは、固有名詞を言わなくてももちろん結構ですから、調べた上で答弁してくださいとお願いしておりますので、その現状を説明していただけますか。

金子大臣政務官 口座の入出金履歴の情報提供に関しまして、金融機関は、弁護士照会を含む被害者側からの求めに対しましては、当該口座の名義人の同意がある場合には応じるケースが多いというふうに認識をしております。被害金の移転の蓋然性が極めて高いと判断できるなど、個々の具体的事案によっては、弁護士照会のみの求めに応じ情報提供を行うケースもあると承知をしております。

 なお、御指摘の三金融機関の現状につきましては、個別金融機関に関する事柄でもございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 なぜ金融機関はこの入出金履歴の開示に応じないのでしょうか。

 配付資料の二ページ目に、これは個人情報なんですね、個人情報保護法二十七条で、第三者への提供というのは原則は本人の同意が必要だとなっているんですが、例外として、法令に基づく場合とか財産の保護のために必要がある場合とか、まさにこういう特殊詐欺で被害に遭ったようなケースは二号に当たるかもしれませんし、弁護士会照会というのは、弁護士法二十三条の二に基づいて、一弁護士ではなくて、弁護士会が了解を取ってやっているわけですから、まさに法令に基づく場合に当たると思うんです。

 ちょっと先取りして言っちゃいましたが、まず、これは政府参考人で結構です。金融機関が入出金履歴の開示に応じない理由は、なぜなんでしょうか。

若原政府参考人 お答えいたします。

 個々の金融機関の対応につきまして、どういったようになっているかということを一概に今申し上げることは困難でございますけれども、一般論として申し上げますと、例えば、振り込み先が分散されているといったような状況で、被害金との因果関係というものが必ずしも明らかでないようなそういったようなケースにおきましては、金融機関には守秘義務がございますので、そことの関係もございまして、慎重な対応を行っているというようなことがあるものと承知をいたしております。

後藤(祐)委員 法的に言うと、この個人情報保護法との関係、守秘義務との関係ということでよろしいですか。それ以外にはないということでいいですか。

若原政府参考人 お答えいたします。

 必ずしも個人情報保護法との関係のみというわけではなくて、総体として、もちろん、金融機関がそういった情報の扱いに応じて、訴訟等々の話、そういったものも、リスクも総合的に勘案した上でそれぞれの判断を行っているというふうに承知をしております。具体的にどういった事情をどの程度個々のケースにおいて判断したかにつきましては、私どもとしては、個々のケースにつきましてはコメントは控えております。

後藤(祐)委員 こんな説明をしているからどんどんやり放題なんですよ。

 実際には、個人情報保護法違反として訴訟をされるのが怖いからなんです。さっきちょっと言ってしまいましたけれども、個人情報保護法二十七条違反だと言われるのが怖いからなんですよ。

 ところが、さっき申し上げたように、法令に基づく場合とか財産の保護のために必要がある場合は、本人の同意を得ないで第三者提供ができるんです。ただ、どういった場合だったら提供しても訴えられないかということを金融機関は見ていると思うんですね。

 先ほど申し上げたように、まず、警察だとか裁判所が捜査あるいは事件の真実を解明するために金融機関に求めた場合は、この二十七条一号の法令に基づく場合に該当するから情報提供をしているということでよろしいでしょうか。弁護士法二十三条の二に基づいて弁護士会照会として入出金履歴の開示を求めた場合も、この法令に基づく場合あるいは財産の保護のために必要である場合として、金融機関が提供をしているんでしょうか。もしそれに差があるとすれば、一体どんな理由でしょうか。

若原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘いただいたとおりでございますけれども、個人情報保護法上の例外としての法令に基づく場合、こちらのこの法令といいますのは、弁護士法第二十三条の二に基づく照会、これも含まれ得るものというふうに認識をいたしております。

 その上で、金融機関は、例えば、被害金の移転の蓋然性が極めて高いといったようなそういったような確証を金融機関として得た場合には、この照会に応じまして開示に応じるケースがあるというふうに承知をいたしております。

 他方で、そういったような確証が得難いような、先ほども申し上げた、例えば振り込み先が分散されておるといったような状況でなかなかそこのところの確証が得られないようなケースにおきましては、一般論として申し上げますと、警察や裁判所といった公的機関からの照会に比べますと、金融機関として慎重な対応を取っておるというようなことがあるものと承知をいたしております。

後藤(祐)委員 一ページ目の例は、AとかA'銀行はまさに応じているんですよ。ですから、そこからB銀行には来ているわけですから、A、A'銀行が、これは特殊詐欺の被害によるものだと認めて情報を提供しているという事実をB銀行は知っているんですよ。こういったケースの場合には、入出金記録、履歴、開示すべきじゃないですか。金融庁からそういうガイドラインを出すべきじゃないですか。

金子大臣政務官 いただきました、特定の個別具体のケースにおける金融機関の業務執行に対しまして金融庁が指導、介入することは困難であるというふうに考えます。口座情報を第三者に提供するか否かにつきましては、各金融機関におきまして、守秘義務を勘案した上で個々に判断、対応されることが適切であるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 一般論で結構です。このようなケースの場合には出すべきじゃないですか。今みたいなことをやっていたら、逃げ放題じゃないですか、逃げ得じゃないですか。

 実際にこれを追っかけている弁護士さんなんかの話によると、裁判所の判決で、口座名義人がもうこの口座を手放している、つまり、誰かほかの人に、まさに今回の法律で禁止するような形で手放しているというようなことが認定されている場合、これはかなり怪しいですよね、蓋然性が高いですよね。あるいは、振り込み詐欺救済法に基づいてもう既に凍結されている口座、あるいは、実際のお金の流れが起きてしまった後に凍結された場合も含めて、これもかなり確実ですよね。その凍結されている口座から専ら資金移動されている口座である場合、こういったものは振り込み詐欺救済法の対象になっているんですよ。

 せめてこれについては、開示すべきであると金融庁から示すべきじゃないんですか。

金子大臣政務官 御指摘の二つのような場合を含めまして、被害者側の開示の求めに応じるケースはあるものと認識をしております。

 一方で、繰り返しになりますけれども、特定の個別具体のケースにおける金融機関の業務執行に対しまして金融庁が指導、介入するということは困難でございまして、口座情報を第三者に提供するか否かにつきましては、各金融機関におかれまして、守秘義務も勘案した上で個々に判断、対応されることが適切であるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 逃げ得じゃないですか。この法律で譲渡規制を強化して罰則を強化したって、どんどんお金は流れていっちゃうんですよ。

 その理由になっているのが、配付資料の三ページ目、金融庁の主要行等向けの総合的な監督指針。まさに箸の上げ下げを規定しているやつですよ。

 この中にもいいことも書いてあって、「被害にあった顧客からの届出等、口座の不正利用に関する情報を速やかに受け付ける体制を整備する」とか、あるいは、「不正払戻しに関する記録を適切に保存するとともに、顧客や捜査当局から」、これは被害者とは書いていないんですけれども、「当該資料の提供などの協力を求められたときは、これに誠実に協力する」と書いてあるんですよ。例えば、ここの「顧客や捜査当局」のところに被害者あるいは被害者の依頼を受けた弁護士とかいうのを書くだけで全然違うんですよ。

 今、先ほどの金子政務官の答弁の根拠になっているのは(7)で、「預金口座の不正利用に関する裁判所からの調査嘱託や弁護士法に基づく照会等に対して、個々の具体的事案毎に、銀行に課せられた守秘義務も勘案しながら、これらの制度の趣旨に沿って、適切な判断を行う態勢が整備されているか。」、この書き方をしちゃっているから、「個々の具体的事案毎に、」と書いた瞬間、さっきの答弁になっちゃうわけですよ。金融庁からはああだこうだ言いません、各金融機関ごとに判断してください。

 だから、一ページ目にあるように、金融庁の指導があれば対応しますよ、C銀行がどこであるか示しますよと。だけれども、指導がないから、つまり、この(7)のような、各個別の金融機関の判断だと金融庁が言っている限り、のさばらしなんですよ。いいんですか、こんなことで、金融庁。幾らこの法律で強化したって、お金が転々と流れていくことは全く変わらないじゃないですか。

 是非、この監督指針、(7)とか(8)とか、書き方はあると思いますよ。さっき、ある程度条件を満たしているようなケースも具体的に示したわけですから、この監督指針の修正を検討していただけないですか、政務官。

金子大臣政務官 金融庁といたしましては、御指摘の監督指針の規定、(7)につきましては、口座情報の提供を含めた適切な判断を行うための態勢整備を求める趣旨のものでございまして、決して情報提供を拒む根拠として設けているものではございません。

 金融機関もこうした認識の下、御指摘の裁判所の判決による認定に係るようなケース、それから、振り込め詐欺救済法に基づき凍結されている口座に係るようなケースを含めまして、被害者側の開示の求めに応じるケースはあるものと認識をしております。

 一方、こうしたケースにおきましても、金融機関ごとにより個々に置かれた状況や保有する情報はまちまちであることから、全ての金融機関に対して特定のケースに応じた画一的な対応を求めることは困難であるものというふうに考えております。

 金融庁といたしましては、引き続き、各金融機関に対しまして適切な判断を行うための態勢整備を求めるとともに、金融機関におきましては、守秘義務とともに、被害者救済の観点にも十分に考慮しながら適切に対応していくことが重要であるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 後ほど附帯決議がかかりますけれども、これは既に与野党でほぼ合意しているものでございますので、言うと、一というところで、全部は読みませんが、被害者の救済を可能とするためという言葉が入って、金融機関や暗号資産交換業者を始めとした特定事業者との連携を強化し、口座等の不正利用に係る情報の共有に一層努めるとともに、必要な場合には監督指針の見直し等を検討すること。

 これを附帯決議で決めた場合にはちゃんと検討していただけるということでいいですね。

山下委員長 済みません、申合せの時間が経過をしておりますので、端的に。

金子大臣政務官 配慮させていただければというふうに思っております。

後藤(祐)委員 終わります。

 政治家が政務官をやっている意味、考えてください。

山下委員長 次に、黒田征樹君。

黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。

 本日は、犯罪収益移転防止法に関してということで質疑をさせていただきます。

 先ほど来話が出てきておりますいわゆるトクリュウでありますけれども、まさに何の脈絡を持たない人たちが徒党を組んで、何の関係もない人たちを襲うということで、先日の栃木の案件もそうでした。中身を見てみれば、朝の九時に十六歳の少年が犯罪を犯すというようなことで、これまでの、警察がいわゆる足で稼ぐ捜査というところが非常に限界に来ているというのが実態であると思いますし、それに対して国民の皆様は様々な不安を抱える日々を過ごしておられると思います。

 そういう中で、一歩でもそういう犯罪に対して対応を強化していくという取組だというふうに思いますので、その点を踏まえながら質疑をさせていただきます。

 今回、ヒアリングをさせていただいて改めて感じたのは、いわゆるトクリュウが、組織も縄張も持たずに、サイバー空間で指揮、資金獲得を行い、また、闇バイトで実行犯を切捨てにするということで、これは特殊詐欺、強盗にとどまらず、悪質なスカウト、違法リフォームまで広がって、実行犯には、先ほども申し上げましたけれども、少年も多く含まれている。また、カンボジアを始めとする海外拠点から架電をさせる国際的な組織も確認をされているということで、スマートフォン、また匿名アプリの普及が、昔のような地域の抑止力、要は人のつながりというところを弱めて、大人の目が届かない犯罪コミュニティーを生んでいる、そういう実態をお聞きしております。

 それを踏まえた上で、本改正が末端の実行犯の検挙にとどまらず、指示役、中枢まで含めた一体的な解体、そういうものを視野に入れているものなのかどうか、まずは政府の認識をお聞かせいただきたいと思います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 現在、匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺は極めて深刻な状況にございます。これらの犯罪におきましては、預貯金口座等の金融サービスがその犯行やマネーロンダリングに悪用されている実態が見られるところでございます。

 この実態を踏まえまして、今回の法案では、預貯金通帳の不正譲渡等の罰則の引上げや、いわゆる送金バイトに対する罰則の創設のほか、いわゆる架空名義口座を利用した措置の創設を行うことにより預貯金口座等の利用の適正を図ることとしており、これらは匿名・流動型犯罪グループによる犯罪の抑止につながるものと考えております。

 また、いわゆる架空名義口座を利用した措置につきましては、その実施に当たって得られた情報を基に警察が捜査を行うこともあり得るところでございまして、本措置の実施を通じて、受け子、出し子等の末端被疑者の検挙はもとより、匿名・流動型犯罪グループの中核的人物の検挙に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。

黒田委員 当然ながら中枢まで含めて狙いを定めているということでありましたけれども、まさに多くのそういうトクリュウの犯罪の目的というのはいわゆるお金ですから、そこにターゲットを絞ってアプローチしていくというのは方向性として非常に評価をしております。

 また一方で、法律の整備というのはあくまでも課題を解決する一端ということでありますので、まさにAIの活用、捜査体制の強化、そしてまた、先ほどもありましたけれども、国際的な犯罪にもうなっていますので、そういう国際連携というものが一体的に動いてこそ効果を発揮するものだというふうに思いますので、以下、質問を続けさせていただきたいというふうに思います。

 今回新設される送金バイトへの罰則については、制度の方向性として、先ほども申し上げましたけれども、評価をしておりますが、本規定では、犯罪収益の末端の担い手を罰則することによって抑止するということで、非常に意味のある制度だというふうに思います。しかし一方で、善意で行動する事業者や一般の方々が萎縮することなく、かつ悪用される抜け穴も生まれないようにするためには、除外要件の解釈を具体的に示すことが必要だというふうに考えます。法文には、「通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由」という除外要件がありますが、この正当な理由というのがどのような場合に認められるのか、現場の事業者にとって予測可能な形で示す必要があるんじゃないかなというふうに考えております。

 その上でお聞きしますけれども、その正当な理由の判断基準として、例えば、金額、頻度、当事者間の関係性についての考え方、又は具体的な事例で、国民、事業者への周知方法、これについて併せてお聞かせいただきたいというふうに思います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 今回の送金バイトの罰則の新設を検討するに当たりましては、その罰則の対象を刑罰を科するに値する行為に限定する観点から、正当な社会経済活動等の一環で行われる送金代行行為を規制の対象から除くため、正当な理由がないとの要件を設けたところでございます。

 この点、正当な理由に当たる典型的な場合といたしまして、「通常の商取引又は金融取引として行われるものであること」を法律上明確に規定したところでございます。このような正当な社会経済活動の一環として行われるものについては正当な理由に当たるものと解しているところでございます。

 その上で、正当な理由に当たる事例といたしまして、例えばでございますが、食事の会費を代表者が決済アプリや口座振り込みで集金し店舗に一括して支払いを行う場合、自身の消費に係る支払いに必要な口座振り込みを家族に任せる場合などがこれらに当たるものと考えております。

 委員御指摘のとおり、こうした正当な理由に関する解釈を広く伝えるということは非常に重要でございますので、これらに当たる場合の例示も含めまして、警察庁のホームページなどで、国民の皆様に分かりやすく丁寧に周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

黒田委員 ありがとうございます。

 具体的なところの線引きをしっかりと示していただくというのは非常に大事だと思いますし、それを周知をしていただくということでありますけれども、なかなか中小企業とかフリーランスの方々というのはそういう情報に触れにくいというような現状もあると思いますので、そこら辺はまた工夫も凝らしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、今回の改正で、先ほども話になっておりました架空名義口座の開設でありますけれども、これも、参議院の審議におきましては、外形的にはおとり捜査的な部分があるというような御指摘もありましたけれども、そういった犯意を持つ者への機会の提供、また犯意のない者を誘い込む行為というのは法的に異なるものでありまして、国会の役割として手続の担保と運用の透明性を確認したいというふうに思いますが、まずは、警察官が架空名義口座を口座売買勧誘者に渡す際の手続、記録、管理の体制について御説明をいただきたいと思います。

 次に、犯意誘発型であってはならないというふうに考えますが、政府の見解と、そうではないというその根拠について、お聞かせいただきたいと思います。

 三つ目が、架空名義口座による被害返還額等の概要、これも抑止的な意味もあるかもしれませんけれども、これは定期的に公表するべきだというふうに思いますが、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 本措置は、近年、匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺等の犯罪におきまして、預貯金口座等の金融サービスがその犯行やマネーロンダリングに悪用されている実態があることを踏まえまして、預貯金口座等の利用の適正の確保や犯罪による収益の移転防止を目的として導入する行政措置でございます。

 その上で、本措置につきましては、その実施に当たって得られた情報を基に捜査を行うこともあり得るところでございまして、行政上の措置と捜査のいずれであってもその相当性が確保されるよう、これまでの関連最高裁判例も踏まえまして、いわゆる架空名義口座を譲り渡す相手方を、法律上、口座の売買を誘引する者等に限定することにより、本措置が御指摘の犯意誘発型とならないような制度としたところでございます。

 また、本措置につきましては、警察本部長の指揮の下で実施すべきことを法律上明記したところでございまして、その警察本部長の指揮の下で本措置の運用上の記録や進捗管理等についても組織的に実施されるものであると考えております。

 さらに、御指摘の被害返還額等を始めとする本措置に係る運用状況につきましては、一方で、犯行グループに警察の手のうちを明かすこととならないように配慮しつつも、可能な範囲で国民の皆様にお示しすることができるよう、公表の在り方につきましては適切に検討を進めてまいりたいと考えております。

黒田委員 今おっしゃられたのはまさにそのとおりだと思いますが、国民からの信頼を得るというのもこういうことを進めるに当たっては非常に大事だと思いますので、情報の公開の在り方というのは検討いただきたいというふうに思います。

 この被害回復の給付金について、評価はしておるんですけれども、一点懸念しているところがありまして、僕自身、市議時代からずっと防犯活動に取り込んでまいりまして、そのときに、街頭犯罪は減っていく一方、特殊詐欺が増え続けているという、警察からのそういう講演等もありまして、そこで一貫して言っているのは、警察、行政から電話があっても、お金の話は全てうそですよということで啓発をしていただいております。

 そのときに、この給付金、今度警察がお返ししますよという制度ができたときに、そういうことを利用して、また新たな特殊詐欺というか、こういう制度ができたのを知っていますかと。こういうトクリュウのグループというのは情報も共有していますので、被害を受けた方の情報というのも共有をしているかもしれません。そのときに、そこの被害者に電話して、今度給付金の制度ができまして、返還制度ができまして、これを受け取るためには、つきましてはATMに行ってみたいなこともあり得ると思うんですね。そういうことについてどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の特定被害回復給付金につきましては、警察庁が一元的にその手続に関する情報を公告いたしまして、都道府県公安委員会が、対象となる被害者の方から申請を受け付けた上で、所要の裁定を経て支給するものでございます。

 その具体的な支給方法については、被害者の方の利便性にも十分配慮したものとなるよう、本法案が成立した暁には、施行に向けた準備期間においてしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

 その上で、まさに委員おっしゃったとおりでございまして、非常に重要な論点だと我々も認識しております。警察といたしましては、国民の皆様が、今回の特定被害回復給付金を、新たにできたこの制度をかたる新たな手口の詐欺被害に遭うことがないように、本措置の周知と併せまして、関係省庁や事業者等と連携をし、情報発信をタイムリーに行うなど様々な工夫を凝らして、そういった被害が起きないように全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。

黒田委員 ありがとうございます。

 その辺、今までの啓発が無駄にならないように、しっかりと制度を構築していただきたいと思います。

 最後にお聞きしますが、これまで、警察官の方々、様々な御尽力をいただいていると思いますが、人材等も非常に厳しい、AIの解析も進めないといけない、そういうところも強化しないといけない中で、そういうところの方向性について、最後、お聞かせいただきたいと思います。

森元政府参考人 お答えします。

 警察庁では、従来から、組織犯罪対策を効果的に推進するため、各都道府県警察からの情報を集約し分析を行ってきたところでございますが、匿名・流動型犯罪グループの匿名性を打破し、中核的人物の特定など実態解明を強化するため、業務の更なる高度化、効率化を図る必要があると考えております。

 警察庁におきましては、生成AIを活用することにより、大量の情報の中からつながりのある人物の情報を抽出し、その関係をまとめた分析レポートを自動的に作成する機能を有する情報分析システムの構築を進めているところでございまして、本年度中に運用を開始する予定です。

 御指摘のとおり、人口減少が進行し、警察官の採用情勢も大変厳しさを増しておりますので、AIや情報システムを積極的に活用して、警察活動の高度化、効率化を図ることにより、国民の生命、身体、財産の保護に直結する捜査や犯罪抑止活動に人的リソースを集中させてまいりたいと考えております。

黒田委員 全力で応援します。

 ありがとうございました。

山下委員長 次に、野村美穂君。

野村委員 国民民主党の野村美穂です。

 本日は、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。

 特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺による被害は極めて深刻で、令和七年中の被害額は約三千二百四十一億円にも上ります。多くの国民が大切な財産を失っており、対策は急務です。

 私は、法改正の背景、罰則の引上げ、送金バイト、架空名義口座の四つのテーマについて、合計十三問質問いたします。

 まず初めに、今回の法改正の前提として、現在の制度が実際に機能しているのかを確認をしたいと思います。

 犯収法では、金融機関などに疑わしい取引の届出義務が課されていますが、直近の届出件数はどの程度あるのでしょうか。また、届け出られた情報は、実際にどのように捜査や犯罪防止に活用されているのか、お尋ねします。届出件数は百万件を超えると承知していますが、件数が増えるほど、本当に危険な情報を見極めることが重要になります。情報の重要度を分類し、優先的に分析、捜査につなげる仕組みについて、現在どのような取組を行っているのでしょうか。大臣にお尋ねします。

あかま国務大臣 お答えいたします。

 国家公安委員会においては、犯罪収益移転防止法に基づいて金融機関等から届出があった疑わしい取引の情報を集約、分析した上で、その分析結果を捜査機関等に提供し、各種犯罪の取締りに役立てているところでまずあります。

 こうした金融機関等からの疑わしい取引の届出の件数でございますが、令和二年以降、五年連続で増加しており、先ほど委員の方も御指摘ございましたけれども、令和七年中の件数は百万件を超えたところであります。

 警察庁においては、限られた人員の中で、疑わしい取引に関わる膨大な情報の整理、分析を効率的に行うため、令和四年から、疑わしい取引の情報であるとかその整理、分析結果をAIに学習させた上で、警察庁の分析担当者が注意を払うべき情報について優先順位をつける仕組みを構築しておるところであります。

 今申し上げた、こうしたAIによる効率化の仕組みを経て、実際に捜査等に活用された疑わしい取引に関する情報の件数でございますけれども、これは令和七年中で約六十一万件にも及ぶところであります。詐欺事件、組織的犯罪処罰法違反事件等の検挙につながったものと思っております。

 今後とも、疑わしい取引の届出制度について効果的な運用を図ること、取組を進めてまいりたい、そう思っています。

野村委員 ありがとうございました。

 疑わしい取引、「うたとり」というイメージキャラクターがあるそうですけれども、これを誰もが、これはひょっとしたらというふうに思えるような環境整備も、是非つくっていただきたいなというふうに思います。

 続きまして、二点目、被害額の実態把握についてお尋ねします。

 マネーロンダリングや特殊詐欺等による被害額について、どのように実態を把握をされているのでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 被害者等からの届出を受けまして、それを警察において受理した段階で集計をしておる、そういうところでございます。

野村委員 ありがとうございました。

 受理をした段階でということで、受理をしていただけるような環境整備も是非お願いをしたいと思います。前回の質問のときに、警察の方に、こういう被害に遭ったということを訴えて行かれたんですけれども、それを被害届として受理をされなかったという事例もありますので、是非そういったところも進めていただきたいと思います。

 続きまして、金融庁と警察庁の連携についてお尋ねをします。

 マネーロンダリング対策では、金融機関を監督する金融庁と捜査を担当する警察庁の連携が不可欠です。現在、両省庁の間で情報共有や連携はできているのでしょうか。その中で、どのような課題があるのでしょうか。金融庁にお尋ねします。

大城政府参考人 お答え申し上げます。

 特殊詐欺への対策に当たりまして、金融庁と警察庁の連携、大変重要であると認識をしておりまして、日頃から警察庁と私どもの間で緊密に情報共有も含めた連携を図っておるところでございます。また、現場で対策を実行する金融機関も含めた連携も重要と認識しておるところでございまして、こうした連携を積極的に進めておるところでございます。

野村委員 済みません、その中でどのような課題があるのでしょうかというふうにお尋ねをしたんですけれども、課題はないんでしょうか。

大城政府参考人 お答え申し上げます。大変失礼いたしました。

 連携の課題につきましては、現場で対策を実行する金融機関を含めた連携というものが非常に重要だと認識をしております。また、この連携の下で、スピード感を持って犯罪対策、特殊詐欺への対応を行っていくということが重要だと考えております。

 こうした観点から、金融庁は、預金取扱金融機関の業界団体等に対しまして、警察との連携強化を複数回にわたり要請をしておりまして、今、二〇二五年末現在で四十七全ての都道府県警本部と八百四十七の金融機関、また今年の四月末現在で警察庁と三十の金融機関がそれぞれ情報連携協定書を締結し、詐欺の被害が疑われる取引の情報提供等に取り組んでおるところでございます。

野村委員 ありがとうございました。

 続きまして、本人確認の厳格化についてお尋ねをします。

 偽造された運転免許証などを使って銀行口座が開設され、被疑者が検挙されたという事件があります。現在のように、運転免許証などの提示だけに頼った本人確認では限界があるのではないでしょうか。マネーロンダリング対策の観点からも、本人確認を厳格化する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 近年、匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺等の被害は極めて深刻な状況にございまして、これらの犯罪においては、委員御指摘のとおり、偽造や変造された本人確認書類により開設された預貯金口座等が悪用されている実態が見られるところでございます。

 こうした実態を踏まえまして、先般、口座開設時の本人確認方法を定めた犯収法施行規則を改正いたしまして、対面での確認につきましては、写真及びICチップつきの確認書類の提示を受けた上で、ICチップ情報を読み取る方法を原則とするなどの見直しを行ったところでございます。

 この改正につきましては令和九年四月一日から施行されるところでございますが、警察庁といたしましては、今後とも関係機関、団体等と連携をしながら、特殊詐欺等の被害防止に資する各種対策を積極的に進めてまいりたいと考えています。

野村委員 ありがとうございました。

 令和九年の四月一日からということですけれども、早い方がいいような気がしますので、少しそれだけお伝えさせていただきます。

 続きまして、海外機関との連携についてお尋ねをします。

 マネーロンダリングは、国境を越えて行われる犯罪です。そのため、捜査を進めるには、海外機関との連携が極めて重要だと考えます。現在、海外の捜査機関や金融情報機関とどのような連携を行っているのでしょうか。また、どのような課題があると認識されているのでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 近年、匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺等の被害金が、御指摘のとおり、国境を越えてマネーロンダリングされている実態があるところでございます。

 御指摘のとおり、被疑者の検挙に向けた捜査を的確に進めるためには、外国の関係機関との連携が極めて重要であると認識しております。この中での課題でございますが、やはり国境の壁というものは非常に高うございますので、言語ですとか法制度の違い、そういったものの中でいかに連携を強化するかというところが課題であると認識しております。

 また、国家公安委員会におきましては、犯罪収益移転防止法に基づきまして、各国においてマネーロンダリングに関する情報を一元的に集約する機関との間で、情報交換の枠組みを設定した上で、捜査等に資する情報を交換しているところでございます。令和七年末までに、百二十の国と地域の機関との間で情報交換の枠組みを設定するに至っております。

 引き続き、各国のこうした関係機関と緊密に連携協力をして捜査等々を進めてまいりたいと考えております。

野村委員 ありがとうございました。

 百二十の国ということなんですけれども、またそれ以上にも増やす必要があるというふうにも思いますけれども、その部分についてはいかがでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、まさにその点も重要な論点でございます。一方で、相手国、相手の意向というのもございますので、そういったものも配慮しながら、我々としては積極的に進めてまいりたいと考えてございます。

野村委員 ありがとうございました。

 続きまして、二つ目のテーマ、罰則の引上げについてお尋ねをします。

 今回、預貯金通帳やキャッシュカードの不正譲渡等に対する罰則を引き上げるとのことですが、なぜ今引上げが必要だと判断をされたのでしょうか。背景と狙いを大臣にお尋ねします。

あかま国務大臣 近年、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウが関与する特殊詐欺等の被害、これは、先ほど来の議論のとおり、極めて深刻な状況にあるところであります。これらの犯行であるとか詐取金等のマネーロンダリングにおいて、預貯金通帳の不正譲渡等により得られた他人名義の預貯金口座等が悪用されている、こういう実態が見られるところであります。

 こうしたことから、本法案においては、預貯金通帳の不正譲渡等が特殊詐欺の前提となり得る犯罪であって、特殊詐欺の被害の急速な増加に伴うて、当該不正譲渡等の当罰性が一層高まっている状況にあるということを踏まえて、これに対する罰則を引き上げることとしたものであります。

野村委員 ありがとうございました。

 罰則を強化するだけではなく、口座の売買は犯罪であるという認識を社会全体に広げることが重要であるというふうに考えます。特に若年層では、軽い気持ちで口座を譲渡してしまうケースも指摘をされています。今後どのように周知、広報を進めていくのか、大臣にお尋ねします。

あかま国務大臣 今お話がございましたとおり、預貯金通帳の不正譲渡等については、これが違法な行為であること、これを若い世代を含めて国民にしっかりと十二分に周知していくこと、これが重要であるというふうに認識しております。

 現在、警察庁においてでございますけれども、預貯金通帳の不正譲渡等について、関係機関であるとか団体などと連携しながら、さらに、SNS上での動画による広報など、様々な機会、媒体を活用して広報啓発活動を進めておるところでございます。

 今回の法案が成立した暁には、罰則の引上げも含めて、更なる周知に努めるよう警察を指導をしてまいりたいというふうに思っております。

野村委員 ありがとうございました。

 しっかりと強く進めていただくことを切にお願いをいたします。

 次に、三つ目のテーマです。送金バイトについてです。新たに罰則対象となる送金バイトについてお尋ねをします。

 まだ送金バイトという言葉の意味が浸透していないと思いますので、送金バイトとはどのような行為を指し、なぜ犯罪になるのか、また、どのように注意喚起をされるのでしょうか、お尋ねします。

 現在はテレビや新聞を見ない若者も多い中、従来型の広報だけでは十分届かない可能性があります。どのような方法で注意喚起をされるのでしょうか。ターゲットとなる世代ごとに、大臣から御説明をお願いいたします。

あかま国務大臣 新たに罰則が創設される、いわゆる送金バイトについてでございますけれども、まず、今回の法案が成立した暁には、この送金バイトの罰則が創設されるということについて、とりわけ若い世代を中心にというのかな、また含めて、これは国民広くにしっかりと周知していくことが重要であるというふうに思っております。

 その周知に当たっては、テレビ、新聞等、これを見ていないと言ったらいいのかな、そういった方々にも届くように丁寧に、また工夫が必要だというふうにも思っております。現在、警察庁において、関係機関、団体などと連携しながら、ありとあらゆる機会を捉えた広報用のチラシの活用であるとか配布、掲示など、とりわけ若い世代を意識した、そういったいわゆるメッセージの発信、こういったものに力を入れつつ、更なる広報、こういったものも検討していかなきゃならないというふうに思っております。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

野村委員 ありがとうございました。

 栃木の殺人事件の話も十六歳の人が関与をしていたということになっていますので、若年層、本当に、中学生、高校生ぐらいにも、こういったものが犯罪になるんだということを教育委員会も通じて是非広めていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、海外犯罪グループへの適用についてお尋ねをします。

 送金バイトは、SNSを通じて募集されるケースが多いと聞いています。例えば、海外に拠点を置く犯罪グループがSNSを通じて日本国内の人間に送金バイトを依頼した場合でも、今回の罰則は適用されるのでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 刑法第一条第一項の規定によれば、「日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。」とされており、この「日本国内において罪を犯した」とは、犯罪を構成する事実の全部又は一部が日本国内において生じたことをいうと解されておりまして、この規定は、刑法第八条により、今回の犯収法を含みます他の法令の罪についても同様に適用されるところでございます。

 その上で、あくまで一般論として申し上げますと、国外から投稿されましたいわゆる送金バイトの募集の情報を国内で閲覧することが可能な場合など、その誘引行為や依頼行為の一部が日本国内において行われたと認められるのであれば、たとえ犯行グループが国外に所在していたとしても、いわゆる送金バイトの誘引や依頼に関する罪が成立し得るものと考えております。

野村委員 ありがとうございました。

 それでは、最後のテーマになりますが、架空名義口座について、四点質問します。

 おとり捜査との関係、犯行グループに見抜かれないための対策として、今回導入される架空名義口座を利用した措置についてお尋ねします。

 これは実質的におとり捜査に近い性質を持つのではないかとの指摘もありますが、警察庁はこの措置をどのように整理をしているのでしょうか。また、この制度を有効に機能させるためには、犯罪グループ側に架空名義口座であることを見抜かれないことが重要です。現在どのような対策を検討されているのか、お尋ねします。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 本措置は、近年、匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺等の犯罪において、預貯金口座等の金融サービスがその犯行やマネーロンダリングに悪用されている実態があることを踏まえまして、預貯金口座等の利用の適正の確保や犯罪による収益の移転防止を目的として導入する行政上の措置でございます。

 その上で、本措置につきましては、その実施に当たって得られた情報を基に捜査を行うこともあり得るところでございまして、行政上の措置と捜査のいずれであってもその相当性が確保されるよう、これまでの関連最高裁判例も踏まえまして、いわゆる架空名義口座を譲り渡す相手方を、法律上、口座の売買を誘引する者等に限定いたしまして、元々犯罪を行う意思のない者に対してその意思を誘発することとならないような制度としたところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、本措置の実施に当たりましては、その実効性を確保する必要がございます。犯行グループに警察による関与を看破されないような対策を講ずることは、委員御指摘のとおり、極めて重要でございます。

 本措置の実施に当たりましては、犯行グループが、譲り受ける口座がいわゆる架空名義口座でないことを確認する目的で、口座を譲り渡す警察官に対しまして口座名義に対応した身分証等の提示を求めることが容易に想定されるところでございます。

 そこで、本法案におきましては、改正後の第十九条の三後段におきまして、本措置を的確に実施するために必要と認められる範囲内において、警察官がその氏名、身分等や本措置に係る事実を偽ることが可能であることを明示して規定を設けております。この規定を根拠といたしまして、架空名義に対応する身分証等の書類を作成することを可能としたところでございます。

 警察庁といたしましては、本措置につきまして、こうした規定に基づく実効的な運用が行われるよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

野村委員 ありがとうございました。

 続きまして、制度運用の適正性の確保についてお尋ねをします。

 架空名義口座の運用については、警察官個人の判断に委ねるのではなく、組織的な管理とチェック体制が必要だと考えます。制度の適正性を確保するために、どのような運用ルールや監督体制を設ける御予定なのでしょうか。大臣にお尋ねをします。

あかま国務大臣 今委員の方からもお話がありました、いわゆる架空名義口座を利用した措置の実施に当たっては、その適正性を確保するため、本措置を実施する都道府県警察において組織的な対応がなされること、このことが極めて重要であるというふうにまず認識しております。このため、本法案においては、本措置の実施に当たっては警察本部長の指揮を受けるべきことを法律上明記するなど、組織的な運用が確保される制度というふうになっておるところであります。

 あわせて、もとより都道府県警察は都道府県公安委員会の管理に服することから、この管理の下で本措置の運用の適正が確保されるよう警察をしっかりと指導してまいりたい、そう思っています。

野村委員 ありがとうございました。

 続きまして、被害者に成り済ました返還請求への対策や偽警察詐欺への悪用防止についてお尋ねをします。

 犯罪グループは、特殊詐欺被害者の情報を持っている可能性があります。そのため、犯罪グループのメンバーが被害者に成り済まして、警察に対して財産の返還を求めるおそれも考えられます。こうした成り済まし請求を防ぐため、どのような確認措置を講じるのか、お尋ねします。

 また、近年、警察を名のる偽警察詐欺も増加をしています。今回の制度を悪用し、あなたに財産が返還されるなどと偽って手数料名目で金銭をだまし取る等、新たな詐欺が発生する懸念もあります。このような二次被害を防ぐため、明確に、警察が事前に手数料をもらうようなことはないなどと広報すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、いわゆる架空名義口座に入金した被害者等に対しまして、警察本部長がその財産の返還を行うべきことを明記しているところでございますが、委員御指摘のとおり、こうした制度を悪用して、特殊詐欺等の犯行グループが返還を求めるケースも想定されるところでございます。

 このため、今回の法案におきましては、警察本部長が、返還のため必要があると認めるときは、当該返還を受けようとする者に対しまして報告若しくは資料の提出を求めることができる旨の規定を設けたところでございます。

 また、こうした警察本部長による報告の求めや質問等に対して虚偽の報告等を行った者についての罰則も設けることとしたところでございまして、都道府県警察における実際の運用では、こうした調査規定を活用しながら、委員御指摘のような成り済ましのケースにつきましては、都道府県警察が厳正に対処してまいるものと考えております。

 また、委員御指摘のとおり、最近、警察官をかたって、捜査名目で現金等をだまし取る偽警察詐欺の手口の被害が顕著でございます。

 警察では、偽警察詐欺で特に悪用されている通信事業者等と連携をいたしまして、例えばでございますが、Xの警察庁公式アカウントにおいて偽警察詐欺の注意喚起を行うなど、工夫を凝らして広報をしております。

 警察といたしましては、国民がいわゆる架空名義口座の制度をかたった新たな手口の詐欺被害に遭わないように、財産の返還や特定被害回復給付金の支給手続に際しまして、委員御指摘のとおり、警察があらかじめ手数料を徴収することはないことをしっかりと周知するとともに、関係省庁や事業者等と連携をいたしまして、情報発信をタイムリーに行うなど様々な工夫を凝らして、こうした被害の防止に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

野村委員 ありがとうございました。

 もうとにかく、新しくできれば、またその上を行く犯罪が横行していきますので、是非工夫を凝らして私たちを守っていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

 それでは、本日の最後の質問になりますが、架空名義口座に入金された財産のうち、最終的な残余財産についてお尋ねします。

 法案では、都道府県に対し、犯罪被害者等支援施策への活用について努力義務を課すとされています。その際、単に既存施策の範囲内で対応するということではなく、残余財産に見合う形で新たな支援策の実施や既存施策の拡充に努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる架空名義口座に対しては、特殊詐欺等にだまされた被害者が入金させられたり、あるいは犯行グループが過去に得た犯罪収益を隠匿する目的で入金したりする可能性が高いものであり、御指摘の残余財産につきましては、何らかの犯罪の被害に関係するものであることが強く推認されるところでございます。

 こうした残余財産の性質を踏まえまして、今回の法案におきましては、地方自治の本旨にも配意した上で、これを一般会計に繰り入れることとしつつ、犯罪被害者等のための施策を行うために必要な経費の財源に充てるよう努めるものとするとの努力義務規定を設けたところでございます。

 その上で、この残余財産の実際の使途につきましては、最終的には各都道府県の判断によるものと認識しておりますが、各都道府県におきましては、この努力義務規定が設けられた趣旨にのっとって、既存の施策を拡充したり、あるいは新たな支援施策を講じたりするなど、当該残余財産が犯罪被害者等の支援施策に活用されることを期待しているところでございます。

 警察庁といたしましては、本法案が成立した暁には、本努力義務規定が設けられた趣旨やその規定の内容について、各都道府県にしっかりと周知してまいりたいと考えております。

野村委員 ありがとうございました。

 犯罪被害者の支援に使われるというところでは反対すべきことではないと思いますけれども、これはどのような形で各都道府県に割り振られるんでしょうか。どこがベースになって、どこの都道府県に割り振られるのでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 本措置、架空名義口座を実施いたしました都道府県警察を管理する都道府県公安委員会の下で制度が設計されておりますので、それぞれが実施した架空名義口座に入ったお金は、その当該都道府県の予算に繰り入れられるということでございます。

野村委員 ありがとうございます。

 ということは、具体例を示していただきたいと思うんですけれども、被害者の居住地ではなく、金融機関ということになるということになるんでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 被害者の居住地ではなく、金融機関の所在地でもなく、架空名義口座を実施した都道府県警察の上にある都道府県に繰り入れられるということでございます。架空名義口座を実施した都道府県警察単位で実施いたしますので、その当該都道府県の予算に繰り入れられるということでございます。

野村委員 分かりました。ありがとうございました。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

中根委員長代理 次に、川裕一郎君。

川委員 参政党の川裕一郎です。

 本日は、犯罪収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 私の地元石川県においても、特殊詐欺やSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の被害は深刻化をしております。報道によれば、石川県内では、二〇二五年の特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数が四百二十件、被害総額は約三十一億四千万円に上り、過去最悪を更新されたと記されています。さらに、今年三月には、金沢市の七十代の女性がSNS型投資詐欺によって約二億四百万円をだまし取られるという、県内でも過去最大の被害事案が発生をしました。

 全国的に見ても被害は極めて深刻であります。警察庁公表の暫定値によれば、令和七年における特殊詐欺の被害額は約一千四百十四億円、SNS型投資詐欺は約一千二百七十四億円、SNS型ロマンス詐欺は約五百五十二億円と、合計で約三千二百四十一億円に達しています。これは単なる財産犯ではなく、国民の生命、安心を脅かす重大な治安上の危機であり、犯罪インフラを断つための法整備が必要であること自体に異議はありません。

 今回の改正案は、預貯金通帳などの不正譲渡に対する罰則の強化、送金バイトへの新たな罰則の創設、さらに、架空名義口座を活用した送金防止措置などを柱としています。犯罪収益の移転を絶ち、被害拡大を防止するという目的には大賛成であります。しかし同時に、国家が国民を守るための制度であっても、その運用に十分な歯止めがなく、透明性や救済手続が不十分であるならば、善良な一般国民の自由や財産権、プライバシーを脅かす危険をはらみます。

 したがって、本法案については、実効性と同時に、権限の濫用の防止、誤認の防止、透明性確保という観点から、厳格な説明責任が必要であると考えております。

 まず第一に、架空名義口座を利用した新たな措置についてお伺いをします。

 政府の報道によれば、警察は、金融機関などの協力を得て架空名義口座を開設をし、これを口座譲渡を勧誘する者に譲渡するなどした上で、当該口座への入金に対して送金防止措置などを講ずることができるとされています。しかし、これは実質的に、警察が自ら架空口座を用意をし、犯罪側に接触をし、資金移動の機会を生じさせる手法であり、いわゆるおとり捜査、しかも機会の提供型の性格を持つのではないかという重大な懸念があります。本来、国家権力による捜査手法は厳格な法的統制の下に置かなければなりません。とりわけ、犯罪を摘発する側が自ら犯罪機会をつくり出すような構造になれば、捜査の適法性や比例原則との関係が強く問われることになります。

 そこで、お伺いをします。

 こうした手法について、捜査権限の濫用を防ぐためにどのような法的歯止めを設けているのか、裁判所による令状審査を要するのか、それとも警察内部の承認のみで実施可能なのか、対象犯罪はどこまで限定をされるのか。また、第三者機関による事後検証や国会への定期報告など、民主的統制をどのように担保をするのか。あかま国家公安委員長にお聞きをします。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

あかま国務大臣 お答えいたします。

 本措置でございますが、近年、匿名・流動型犯罪グループ、トクリュウが関与する特殊詐欺等の犯罪において、預貯金口座等の金融サービスがその犯行であるとかマネーロンダリングに悪用されている実態、こういったものがあることから、これを踏まえて、預貯金口座等の利用の適正の確保、また、犯罪による収益の移転防止、こうしたことを目的として導入する行政上の措置であります。

 その上で、本措置については、その実施に当たって得られた情報を基に捜査を行うこともあり得るというところで、行政上の措置と捜査のいずれであっても相当性が確保されるよう、これまでの関連最高裁判例も踏まえ、いわゆる架空名義口座を譲り渡す相手方を、法律上、口座の売買を誘引する者等に限定することによって、本措置が元々犯罪を行う意思のない者に対してその意思を誘発することとならないような制度としたところであります。

 また、この点、本措置の実施に当たっても、裁判所が発付する令状を要するものとはしておらず、あわせて、対象となる犯罪に限定は加えていないものの、本措置については、警察本部長の指揮の下で組織的に実施され、あわせて、都道府県公安委員会の管理に服することによってその適正性を確保する、図るというふうにしておるところであります。

 加えて、本措置について、現時点で国会に定期報告をすることまでは考えていないものの、その運用状況については、犯行グループに警察の手のうちを明かすこととならないように配慮すること、これが必要だというふうに考えつつも、可能な範囲で国民の皆様にお示しすることができるよう、公表の在り方について適切に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

川委員 国会への報告はなかなか、手のうちを明かすということの中で難しいということでありましたけれども、可能な限りの中で透明性の確保をしっかりと対応いただきたいというふうに思います。

 次に、一般国民の誤認凍結、巻き込みに対する救済措置に関して伺います。

 犯罪収益の流れを止める必要性は理解をします。しかし、現実の運用では、疑わしい取引の検知や捜査要請の過程で、身に覚えのない一般国民の口座が巻き込まれる危険性を完全に排除することができるのでしょうか。特に銀行口座は、生活費、給与の受け取り、家賃の支払い、事業資金の決済など、国民生活そのものを支える基盤であります。

 仮に誤認によって口座が凍結された場合、その影響は極めて重大であり、生活費が引き出せない、給与が受け取れない、事業者であれば仕入れや支払いが止まり、経営そのものが立ち行かなくなる可能性があります。

 そこで、お聞きをします。

 凍結に至る判断基準はどこまで具体化をされているのか、本人が異議申立てをする手続はどのように整備をされているのか、誤認であった場合には、どのような速やかに解除を行う手続ができるのか、また、誤認凍結によって重大な損害が発生した場合、国家賠償も含めた実効的な救済措置をどのように担保するのか、お聞きをします。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、特殊詐欺等の被害の申告等を受けた場合には、特殊詐欺等に利用され又はその疑いがある預金口座につきまして、金融機関に対しまして口座の凍結検討依頼を行っているところでございます。

 この点、委員御指摘の、本人の異議申立てや誤認があった場合につきましては、例えばでございますが、警察によるその後の捜査等の結果も併せまして、当該口座の凍結の必要性が認められなくなった場合には、速やかに凍結口座を管理する金融機関に対しまして凍結解除の検討依頼を行うこととなっております。

 その上で、当該金融機関においてその名義人について当該口座凍結を解除するかどうかについては、当該金融機関において適切に判断されるものと考えております。

 いずれにいたしましても、警察におきましては、委員御指摘のとおり、誤認によって凍結検討依頼があって凍結されてしまい、非常に重大な損害、あるいは社会的な生活に支障が出るようなことがないよう適切に対処してまいりたいと考えております。

川委員 凍結依頼、解除の依頼ということでありましたけれども、私の質問をした中に、実際に損害が発生をした場合、国家賠償も含めた実効的な救済措置というものはどのように考えているのか、もう一度お聞きをします。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 まさに委員御指摘のとおり、誤認凍結によって重大な損害が発生した場合における実効的な救済措置につきましては、例えば、金融機関に対する凍結検討依頼時に警察による誤認がございまして、それによって被害者から提訴がなされた場合には、国家賠償法の規定に基づきまして警察側として対応するなど、事案に応じて警察として適切に対処してまいりたいと考えております。

川委員 提訴がなければ対応できないのかなというふうにも思うんですけれども、間違った凍結がないように是非とも対応いただきたいということと、もしもそういうことが起こってしまった場合には、提訴というか、しっかりと国として前向きに、速やかに対応できるように、対応をお願いしたいと思います。

 次に、送金バイトの規制についてお伺いをします。

 政府案では、通常の商品取引などの正当な理由がないのに、有償で、他人に対し、その名義口座に振り込まれた財産を別の口座に移転するよう依頼する行為などに罰則を設けるとされています。新たな犯罪手口への対応として一定の必要性は理解ができますが、正当な理由という概念が曖昧なままであれば、通常の民間取引、業務委託、家族間や知人間の送金まで萎縮させる危惧があると思います。

 そこで、お伺いをします。

 何が処罰対象となり、何が違法行為として除外されるのか、具体例を示したガイドラインを策定、公表する考えはあるのでしょうか。また、知らずに巻き込まれた一般人と明確な犯罪意識を持った犯罪協力者をどのような基準で区別するのか、国民に分かりやすい説明を求めたいと思います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 今回の送金バイトの罰則の新設を検討するに当たりましては、その罰則の対象を刑罰を科するに値する行為に限定する観点から、正当な社会経済活動等の一環で行われる送金代行行為を規制の対象から除くため、正当な理由がないとの要件を設けたところでございます。

 この点、今回の法案では、正当な理由に当たる典型的な場合といたしまして、「通常の商取引又は金融取引として行われるものであること」を法律上明確に規定したところでございまして、このような正当な社会経済活動の一環として行われる場合については正当な理由に当たるものと解しているところでございます。

 その上で、正当な理由に当たる事例といたしましては、例えばでございますが、食事の会費を代表者が決済アプリや口座振り込みで集金をし店舗に一括して支払う場合や、自身の消費に係る支払いに必要な口座振り込みを家族に任せる場合などがこれに当たるものと考えております。

 また、委員御指摘の、知らずに一般人が送金バイトに巻き込まれる場合に関しまして、どういった場合に罰則の対象となるかにつきましては、個別具体の状況によりますことから一概にお答えすることは困難でございますが、その上で、一般論として申し上げれば、例えば、SNSを通じて見ず知らずの者から有償で送金の依頼を受けて実際に送金代行した行為については、正当な理由があるとは認められないと考えられるところでございます。

 いずれにいたしましても、正当な理由に関する解釈や、先ほど申し上げたような具体的な例示、あるいは送金バイトの手口でマネロン、マネーロンダリングが行われている実態、また、送金バイトとして送金代行行為にこうした正当な理由がないことなどを、警察庁のホームページ等でしっかりと国民の皆様に対しまして分かりやすく丁寧に周知してまいりたいと考えております。

川委員 答弁ありがとうございました。理解できました。

 次に、黒幕や犯罪組織本体への捜査についてお伺いをします。

 今回の法改正では、送金バイトや口座譲渡、架空名義口座対策など、犯罪インフラに重点が置かれています。もちろん、末端の実行役や資金移動を摘発し、被害拡大を防ぐことは重要であります。しかし、現実には、SNS型投資詐欺やロマンス詐欺、特殊詐欺の多くは、海外拠点や匿名の通信、暗号資産を活用した極めて組織的な犯罪であり、実際に莫大な利益を得ている黒幕や指示役にまで捜査が及んでいないのではないかという国民の不信感があります。

 末端だけを次々と摘発しても、最後の組織が温存され続ければ、新たな実行役が補充をされ、被害は繰り返されます。いわばトカゲの尻尾切りに終わってはならないのであります。

 そこで、お聞きをします。

 今回の法改正によって、実際に犯罪収益を支配している首謀者、指示役、海外拠点を含む犯罪組織本体に対しどのように捜査を拡大をしていくのか、また、海外当局との連携や暗号資産を含む資金追跡能力をどのように強化をしていくのか、政府の具体的な方針を国家公安委員長にお聞きをします。

あかま国務大臣 今回の法案では、預貯金通帳の不正譲渡等の罰則の引上げや、いわゆる送金バイトに対する罰則の創設のほか、いわゆる架空名義口座を利用した措置の創設を行うことによって預貯金口座等の利用の適正を図ることとしており、これらは匿名・流動型犯罪グループによる犯罪の抑止につながるものというふうにまず考えております。

 あわせて、いわゆる架空名義口座を利用した措置については、その実施に当たって得られた情報を基に警察が捜査を行うこともあり得るところであります。本措置の実施を通じて、受け子、出し子等の末端被疑者の検挙はもとより、匿名・流動型犯罪グループの中核的人物の検挙に向けて警察が全力を尽くすよう指導してまいりたいというふうに思っております。

 加えて、委員御指摘の海外当局との連携等についてでございますが、例えば海外の暗号資産交換業者を経由した犯罪収益の移転に関して、外国の関係機関に対して、外交ルート、また条約、協定を活用した国際捜査共助、さらには国際刑事警察機構を通じた協力などを推進して実態解明に努めておるところであります。

 いずれにせよ、外国捜査機関との連携を通じた追跡能力の強化、また、犯罪に悪用される暗号資産の移転状況の追跡であるとか、事案横断的、俯瞰的な分析などなどに引き続き取り組むよう警察を指導してまいりたいというふうに考えております。

川委員 是非、黒幕、そこをしっかりと押さえていけるような対応をお願いしたいと思いますし、やはり末端ばかり逮捕していてもなかなか解決ができない、難しい問題だとは思うんですけれども、是非とも対応いただきたいというふうに思います。

 時間がなくなりました。最後にもう一問あったんですけれども、これで質問を終わらせていただきますが、政府には、単なるこの法案の必要性を強調するだけではなく、どのような法的統制の下で、どのように国民の権利を守りながら運用していくのか、その具体像を国会に対して明確にこれからも示していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山下委員長 次に、高山聡史君。

高山委員 チームみらいの高山聡史です。

 特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の被害は、令和七年中に合計三千二百億円を超え、認知件数も四万三千件と過去最悪の水準を更新しています。被害者の方々の悲痛な実情を考えれば、対策の強化は待ったなしの課題であるというふうに認識をしております。そういった観点で、順に伺ってまいります。

 まず、今回、罰則の強化を行うわけですが、その効果をどう検証すればよいかということについて伺いたいと思います。

 過去、遡ると、平成二十三年の改正でも罰則の引上げが行われましたが、マネーロンダリング事犯の検挙件数は過去十年で急増しております。今回の改正による抑止効果について、政府は何をもって測定、検証していくお考えでしょうか。検挙件数、口座停止件数、被害額の推移、SNS上の口座売買や送金バイト募集投稿数の推移など、注視すべきKPIは複数考えられると思います。何をどのように測定、検証すべきか、政府の認識をお示しいただけますでしょうか。

 あわせて、この効果検証の観点で、抑止効果に関連するKPIの推移であったり、その状況への評価を、毎年、国民に分かりやすい形で公表、報告する仕組みを設けるお考えはあるか、政府の見解を伺います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案は、近年、匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺等の犯罪におきまして、預貯金口座等の金融サービスがその犯行や被害金等のマネーロンダリングに悪用されている実態があることを踏まえまして、必要な罰則の見直しや、いわゆる架空名義口座を利用した新たな措置を講ずるものであるところでございます。これらの改正によって預貯金口座等の利用の適正が図られ、特殊詐欺の抑止につながるものと考えております。

 この点、本法案による具体的な抑止効果につきましては、例えばでございますが、特殊詐欺の被害状況はもとより、預貯金通帳の不正譲渡等の検挙状況など、様々な統計数値やその推移、また日々発生する個別の事案を基に総合的に検証を進めてまいりたいと考えております。

 特殊詐欺の認知、検挙状況につきましては随時国民の皆様に公表しておりますし、預貯金通帳の不正譲渡等の検挙状況につきましては、毎年、年次報告という形で国民の皆様に公表しているところでございます。その上で、今申し上げた本法案の効果に関する総合的な検証結果も踏まえまして、必要に応じて更なる被害防止策を検討してまいりたいと考えております。

高山委員 ありがとうございます。

 是非、既にやっておられる年次の公表の枠組みの中で、こういった犯罪が抑止をされているということをしっかりアピールするためにも、そして国民に知らせるためにも、こういった効果が出ているということを発表いただけるように検討をお願いいたします。

 次に、今回問題としている送金バイト行為などの検知にテクノロジーをどう活用していくかについて金融庁に伺います。

 送金バイト行為は、外形上、正常な取引に紛れ込むため、検知が容易でないという特性を持つと思います。こうした手口に関して、AI等の技術を活用した対策を更に進めていくことが重要だと考えます。

 金融庁は、既にマネロン対策についてガイドラインも公表されていると承知をしております。その上で、金融機関におけるAIを活用した取引モニタリングの状況について、政府の見解を伺います。

大城政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁といたしましては、金融機関において不審な取引を検知することが重要でありますことから、当庁所管のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドラインにおきまして、業務内容に応じて、ITシステム等も活用しながら、疑わしい顧客や取引等を的確に検知、監視、分析する態勢を構築することを求めているところでございます。

 委員お尋ねの、取引モニタリングに関するAIの活用についてでございますけれども、大手金融機関など一部の先において不審な取引の検知に活用しておりますほか、資金決済法に基づきまして、複数の金融機関からの委託を受け、AI等を活用して疑わしい取引の届出等に係る判断に必要な分析を行う為替取引分析業者のサービスを利用する金融機関も一定数あるものと承知をしておるところでございます。

 金融庁といたしましては、金融機関が必要に応じAI等も活用しつつ、疑わしい顧客や取引等を的確に検知、監視、分析する態勢を整え、更に高度化が図られるよう、引き続き適切に監督してまいりたいと考えております。

高山委員 ありがとうございます。

 大手の金融機関に最新のAIを使ってもらう、これは是非やっていただきたいんですが、それだけではなくて、被害から守るという観点を考えれば、地元の、ある意味中小の金融機関も、しっかり技術が使われているということは大事だと思いますので、是非、今いただいた、中小金融機関でも為替取引分析業者、ここの取組も後押しいただけるようにお願いいたします。

 続いて、AI活用と官民連携について伺います。

 今の御質問でも、テクノロジーの活用が重要と申し上げたわけですが、警察と金融機関の連携について伺います。

 金融機関の疑わしい取引の届出制度、いわゆるSTR制度との連携、そして官民の情報共有プラットフォーム整備などについて、何をどのような時間軸で進めるべきだと考えているか、政府の見解を伺います。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、金融機関からの疑わしい取引の情報の整理、分析を効率的に行うため、令和四年から、疑わしい取引の情報やその整理、分析結果をAIに学習させた上で、警察庁の分析担当者が注意を払うべき情報について優先順位をつける仕組みを構築しているところでございます。こうした仕組みを経て、疑わしい取引の情報を実際の捜査等に活用しているところでございます。

 また、警察におきましては、金融機関のモニタリングにより詐欺被害のおそれがある取引を検知した場合に、都道府県警察が迅速にこの情報提供を受けまして、都道府県警察がその状況を確認し、詐欺被害の拡大防止を図る取組を既に進めているところでございます。さらに、金融機関との間では、警察が把握した特殊詐欺の不正利用口座情報を迅速に金融機関にこちらから提供いたしまして、金融機関による、先ほど来御議論いただいていますモニタリングの高度化に資するような形で利用していただいて、一層の被害取引の発見につながるような取組も行っているところでございます。

 これらに加えまして、今回の法案が成立した暁には、委員御指摘のとおり、いわゆる送金バイトを含む様々な犯罪につきまして、金融機関と連携の上、委員御提案いただいたような新しい技術の活用も積極的に取り組んでいって、そうした対策をしっかり進めてまいりたいと考えております。

高山委員 ありがとうございます。

 是非、金融機関との連携もしっかり進めていただきたいと思います。

 そして、金融機関だけでなく、暗号資産交換業者あるいはSNS事業者など、横断的な連携も今後視野に是非入れていただいて、総合的な対策をお願いできればというふうに思います。

 ここからは、架空名義口座を利用した措置について、国家公安委員長に伺います。

 架空名義口座の利用は、国際的に見ても先進的な取組だと思います。被害の連鎖を断ち切るというために、積極的な前進として評価できるものと受け止めております。一方で、今回の措置は、警察官の身分の秘匿などが認められる強力な権限であり、運用の透明性を担保することも重要だと思います。捜査の手のうちを明かさない範囲という前提の下で、本措置の運用状況について国民に分かりやすい形で公表する仕組みを整備するお考えはあるか、伺います。

 あわせて、警察と連携する金融機関には、実務の負担、そして訴訟リスクも生じます。本法案では協力する金融機関への義務づけは設けられていないと承知していますが、実際に協力いただく金融機関を支援する観点が重要と思います。協力要請の効率化、訴訟リスクへの支援など、政府としてどのような支援策を講じるか、講じるべきか、国家公安委員長の見解を伺いたいと思います。

あかま国務大臣 本措置については、都道府県警察がこれを実施するに当たって、その適正性が確保されることが極めて重要であるというふうにまず認識しております。このため、本法案においては、本措置の実施に当たって警察本部長の指揮を受けるべきことを法律上明記するなど、組織的な運用が確保される制度とまずしております。

 その上で、かかる運用状況については、犯行グループに、委員の御指摘もあるとおり、手のうちを明かすこととならないよう配慮しつつ、可能な範囲で国民の皆様にお示しすることができるよう、公表の在り方について適切に検討を進めるよう警察を指導してまいりたいというふうに考えております。

 あわせて、本措置の実施に当たっての金融機関の負担であるとか訴訟リスクに十分配慮する必要があるというふうにも認識しております。

 このため、本法案においては、警察官が金融機関に対して必要な協力を求めることができる旨の規定を設けることによって、金融機関による協力は警察の求めに応じて行われるものであることを法律上明確にしたほか、犯収法上の義務や罰則について、適用を除外することとしたところであります。

 本法案が成立した暁には、金融機関に対して本措置の必要性であるとか有効性を丁寧に説明するなどして、協力体制の構築を着実に進めていけるよう警察を指導してまいりたいというふうに考えております。

高山委員 ありがとうございます。

 是非、公表できる内容を検討をしっかりいただきたいということと、そして、金融機関との協力体制、これに関しても施行に向けて具体化をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、国際的なマネーロンダリング対策の観点から財務省に伺います。

 今回の改正で、受益証券発行信託によらない特定信託受益権が移転時の通知義務等の対象に追加をされました。これはFATF勧告への対応としても重要な前進であると認識をしております。

 今後、FATFの第五次対日相互審査が予定されていると承知しております。これに向けて、現時点で政府として課題として認識している領域、追加的に講じる予定の措置について、現状の取組、そして今後の方針について政府の見解をお示しください。

梶川政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二一年八月にFATFが公表した第四次対日審査報告書におきまして、金融機関などに対する監督やマネロン、テロ資金供与に係る捜査、訴追など、一層の強化に向けて取り組むべき複数の事項が課題として指摘されております。

 また、昨年秋から始まりました第五次相互審査では、必要な法令などを整備するだけにとどまらず、それらが有効に機能しているか、これに審査の重点が置かれていると承知しております。

 二〇二八年に予定されておりますFATF第五次対日審査を見据えまして、現在まさに御審議いただいております今般の犯収法の改正、これを通じた実績などの向上など、この有効性を確保する措置を講じつつ、我が国のマネロンなどの対策強化のための取組を引き続き政府全体で進めてまいります。

高山委員 ありがとうございます。

 今後、デジタル資産の多様化を踏まえて、更なる検討もあるかというふうに思いますので、是非、日本の金融機関、しっかり対策ができているという形になるように検討をお願いいたします。

 時間になりましたので、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

山下委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 犯罪収益移転防止法改正案について質問をいたします。

 資料をお配りしておりますが、二〇二五年の特殊詐欺の認知件数は四万三千件、被害額は三千二百五十七億円に上ります。二〇一六年は、一万四千百五十四件、四百七億円。ここから大幅に増加をしております。

 極めて重大な事態で、様々な対策を取っているにもかかわらず被害件数、被害額が増えている理由の一つに、特殊詐欺の新たな手口、形態が次から次へと生み出されているということがあります。

 特殊詐欺の手口、形態について、警察庁として幾つに区分しているのか、そのうち、この十年間で新たに区分した手口、形態はどんなものがあるのかについてお答えください。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、特殊詐欺の被害の全体像や犯行手口の特徴をより分かりやすくお示しし、広報啓発を始めとする諸対策に役立てるため、現在、特殊詐欺を十三種類の手口に区分しております。

 そのうち、平成三十年、二〇一八年にキャッシュカード詐欺盗、令和二年、二〇二〇年に預貯金詐欺、令和八年、二〇二六年に偽警察詐欺が、この十年間で新たに特殊詐欺の手口として追加されたものでございます。

 また、SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺につきましては、令和五年、二〇二三年に、特殊詐欺とは別に位置づけ、統計を取り始めたところ、最近の手口の実態等を踏まえまして、これらを令和八年、二〇二六年から特殊詐欺の手口として新たに位置づけたものでございます。

塩川委員 二〇〇四年、オレオレ詐欺の被害拡大を機に、警察庁は特殊詐欺の手口ごとの区分を始めました。当時は、オレオレ詐欺と架空料金請求詐欺、融資保証金詐欺の三区分でしたが、それが今では十三区分にもなっております。

 その十三の区分のうち、今紹介してもらいましたように、この十年に新たに五つの手口が追加をされております。被害を防ぐ方策の一つとして、被害が拡大している特殊詐欺の新たな手口などについての広報啓発が重要であると考えます。

 二〇一九年度から、警察庁の特殊詐欺撲滅に向けた広報啓発事業が行われています。二〇一九年度から今年度までの当初予算額の推移を示していただけますか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 特殊詐欺の広報啓発に係る警察庁の予算についてですが、二〇一九年度、令和元年度につきましては約四千九百万円、令和二年度については約一億一千百万円、令和三年度につきましては約一億六千二百万円、令和四年度から今年度までは一億六千万円を当初予算として計上しているところでございます。

塩川委員 今御紹介いただきましたように、二〇一九年度で四千九百万、二〇二〇年度で一億一千百万円ですが、二〇二一年度に一億六千二百万円になってから予算額が変わっておりません。

 二〇二一年と直近の二〇二五年の特殊詐欺の認知件数と被害額はそれぞれ幾らでしょうか。この間に何倍に増えているのかについて御説明ください。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの特殊詐欺の認知件数と被害額につきましては、令和三年、二〇二一年においては、認知件数が一万四千四百九十八件、被害額が約二百八十二億円、令和七年、二〇二五年におきましては、SNS型投資詐欺及びSNS型ロマンス詐欺を含みますが、認知件数が四万三千件、被害額が約三千二百五十七億円でございます。

 お尋ねの、令和七年、二〇二五年の被害状況を令和三年、二〇二一年と比較いたしますと、認知件数につきましては約三倍、被害額につきましては約十二倍に増加しております。

塩川委員 このように、二〇二一年から二〇二五年を比較をすると、特殊詐欺の認知件数は三倍、それから被害額は十二倍。その一方で、広報啓発の予算は変わらないまま。

 あかま委員長にお尋ねします。

 特殊詐欺の被害が近年急速に拡大しているにもかかわらず、警察庁の特殊詐欺の広報啓発事業の予算を増やしていないというのはなぜなんでしょうか。

あかま国務大臣 まず、大前提として、特殊詐欺の被害、これは依然として高い水準で推移していること、また、今お話のあったこの五年の比較の中で、被害額また件数、それぞれ相当伸びていること、これは憂慮する状況であると認識しています。

 また、特殊詐欺の被害拡大を防止するための広報啓発活動、これは、予算を活用して、動画、ポスター、リーフレットなどなど広報ツールの製作、ウェブサイト又は各種SNSを活用した情報発信を実施しております。

 あわせて、予算を伴う広報啓発活動に加えて、予算を必要としない官民連携であるとか、関係機関、関係団体との協働した施策を進めるなど、様々な工夫を凝らして、被害を未然に防止するための広報啓発活動を推し進めております。

 引き続き、必要な予算の確保に努めつつ、警察以外の事業者であるとか、関係機関等の協力を得ながら、より効果的な広報啓発によって特殊詐欺対策を推し進めていくよう警察を指導してまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 この五年で特殊詐欺の被害額が十二倍にもなっているのに、そのことについて広く、被害を受けないようにというしっかりとしたアナウンスを行う、もちろん、いろいろなところで官民でやっているわけですけれども、でも、やはり警察庁として行う広報啓発の予算が変わらないままというのは、これは率直に言っておかしいんじゃないかと思うんですが、そういうふうにお思いになりませんか。

あかま国務大臣 被害額が十二倍、件数が三倍という話、この五年間でと。

 もちろん、それに準じて予算を、では三倍、十二倍がいいのかといったら、それもまた別の議論があるのかもしれませんが、十分な予算というものが獲得され、より効果的な広報啓発に努めてまいるよう警察を指導してまいりたい、そう思っています。

塩川委員 いや、被害が十二倍になっているのに広報啓発の予算を増やさない、そういう判断というのは、これはおかしくないですか。

あかま国務大臣 必要な予算を確保しながら、どのような形の広報啓発がより効果的で、また詐欺被害の抑止に効果があるのか、寄り寄りまた吟味しながら、また、必要であれば予算を確保するよう指導してまいりたいと思います。

塩川委員 必要であれば予算を確保したいということで、増やさないということもあり得るということなんですか。

あかま国務大臣 どのような形の広報啓発が有効なのか、それを踏まえて、また、それによってどのような額の予算が必要になるのか、これを検討するように指導してまいりたいということでございます。

塩川委員 様々な対策をしっかり取ると同時に、少なくともやはり警察庁としての広報啓発を行っていくという点で、この額というのは被害状況を考えたときに余りにも不十分だということは申し上げ、抜本的な予算を確保するという点であかま委員長にも御奮闘いただきたいということであります。

 それで、被害防止対策とともに、やはりトクリュウなどに対する対策をしっかりと行っていくと同時に、受け子、出し子、かけ子などの闇バイトで若者が加害者となることがないような対策も必要だと考えます。

 あかま委員長にお尋ねしますが、若者が闇バイトという行動に走る、その社会的な背景にはどんなものがあるとお考えでしょうか。

あかま国務大臣 闇バイトに若者が加担する背景、これは様々な要因が考えられるのかもしれません。

 ただ、警察における検挙の事例等々から確認できることとして、まず、若者がいわゆる闇バイトの募集情報に触れる、こういったこと、又は、先輩、知人から誘われるなどというきっかけもあるのかもしれません。また、事の重大性を認識することがない、場合によってはSNSで流れてくるバイト情報、それに対するリテラシーという話なのかもしれません。また、遊興費を得たいというそういった欲望という部分もまた若者の間にあるのかもしれません。様々な動機からアルバイト感覚で犯罪に加担してしまう、そうした実態。

 それらが、どのような社会的な構造だとか、地域なのか、また教育なのか、どういったところから起因するのか、これもまた様々な各種団体、関係省庁と様々連携をしながら総体的な取組を推進するようにしていく必要があると思っています。

塩川委員 様々な要因があるというのは本当にそのとおりだと思いますが、そこはやはり分け入って何が問題なのかを明らかにしていくということが必要だと考えます。

 NHKがNHKスペシャルで紹介した番組がありましたけれども、少年院の在院者を対象とした闇バイトの実態調査を行ったということです。回答した少年五百八十七人中百十八人が闇バイトをしたことがあると回答したということであります。

 何があれば闇バイトに手を出さずに済んだのかと聞くと、給料が高く物価が安い世の中とか、こんなちゃんとしない政治や悪い方向に行ってしまう日本じゃなければ闇バイトなんかしないとか、高校生でもちゃんとしたバイトがあれば闇バイトに手を出さなかったなど、約五割がお金や真っ当な仕事と回答し、次いで、約三割が健全な家族や友人関係だと回答しております。

 こういった貧困問題での支援の取組を行っておりますPOSSEという団体がありますが、その元代表でもある今野晴貴氏によりますと、闇バイトの背景には貧困問題がある。しかし、それだけじゃなくて、そもそも勤労によって十分な報酬を得ることが難しくて、それが将来にわたる諦めとなっているということ。また、もう一方では、働かずに所得を大きく増大をさせる、労働の努力とは無関係に資産を通じて富を獲得させていく者たちへの羨望と憎悪があるのではないのかと。

 真面目に働くのがばかばかしいという感覚、これを犯罪組織が利用しているといったときに、この間、アベノミクスの下で大企業や大株主が富を大幅に蓄積する一方で、働く労働者、勤労者は賃金は実質賃金がマイナスになり、負担増だけが強いられる。こういった政治の転換こそ、こういった闇バイトなどの犯罪をなくしていく大きな力にもなっていくということを申し上げて、質問を終わります。

山下委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山下委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山下委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、長谷川淳二君外六名から、自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党、チームみらい及び中村はやと君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。

 一 預貯金や暗号資産の口座等を不正に利用した金融犯罪への対策が急務であることから、犯罪の防止や捜査、被害者の救済を可能とするため、金融機関や暗号資産交換業者を始めとした特定事業者との連携を強化し、口座等の不正利用に係る情報の共有に一層努めるとともに、必要な場合には監督指針の見直し等を検討すること。

 二 預貯金通帳の不正な譲渡等や「送金バイト」を始めとしたいわゆる「闇バイト」に係る行為が違法であることを、関係省庁間で緊密に連携して、特に若年層への教育も含め、国民に効果的かつ十分に周知すること。

 三 「送金バイト」について新たに創設された罰則規定の適用に当たっては、正当な社会経済活動や商取引等で行われる送金代行行為を抑制することがないよう、許容される事例を可能な限り明示すること。

 四 いわゆる「架空名義口座」を利用した新たな措置を実施するに当たっては、従事する警察官の安全を確保するとともに、必要な実施要領を整備することにより組織的な対応を担保し、恣意的な運用にならないようにすること。また、同措置に協力する金融機関等の業務への負担に十分配意すること。

 五 「架空名義口座」に移転された財産の返還が適切に行われるよう、同口座へ財産を移転した者に関する調査を適切に実施した上で行うこと。また、特定被害回復給付金の支給については、給付金が本法に規定する対象被害者に適切に支給されるよう、支給に係る明確な情報を提供した上で実施すること。

 六 金融犯罪や匿名・流動型犯罪グループによる犯罪について、技術の進展等による犯罪手口の巧妙化によって対処が困難な事案の発生が見込まれることから、更なる犯罪防止手法に関し法制度面も含めた検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

山下委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山下委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。あかま国家公安委員会委員長。

あかま国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

山下委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山下委員長 次回は、来る六月三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.