第3号 平成29年12月5日(火曜日)
平成二十九年十二月五日(火曜日)午前九時五分開議
出席委員
委員長 平口 洋君
理事 大塚 拓君 理事 門 博文君
理事 田所 嘉徳君 理事 藤原 崇君
理事 古川 禎久君 理事 山尾志桜里君
理事 井出 庸生君 理事 國重 徹君
安藤 裕君 井野 俊郎君
上野 宏史君 尾身 朝子君
鬼木 誠君 勝俣 孝明君
門山 宏哲君 神山 佐市君
神田 裕君 菅家 一郎君
木村 弥生君 黄川田仁志君
小林 茂樹君 杉田 水脈君
高木 啓君 谷川 とむ君
中曽根康隆君 本田 太郎君
山下 貴司君 和田 義明君
逢坂 誠二君 松田 功君
松平 浩一君 源馬謙太郎君
階 猛君 柚木 道義君
大口 善徳君 黒岩 宇洋君
藤野 保史君 串田 誠一君
重徳 和彦君
…………………………………
法務大臣 上川 陽子君
総務副大臣 奥野 信亮君
法務副大臣 葉梨 康弘君
法務大臣政務官 山下 貴司君
最高裁判所事務総局総務局長 中村 愼君
最高裁判所事務総局人事局長 堀田 眞哉君
最高裁判所事務総局経理局長 笠井 之彦君
最高裁判所事務総局民事局長 平田 豊君
最高裁判所事務総局刑事局長 平木 正洋君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局内閣審議官) 清水 正博君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大賀 眞一君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 露木 康浩君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 大泉 淳一君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 金子 修君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 小出 邦夫君
政府参考人
(法務省刑事局長) 林 眞琴君
政府参考人
(厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) 山本 麻里君
法務委員会専門員 齋藤 育子君
―――――――――――――
委員の異動
十二月五日
辞任 補欠選任
門山 宏哲君 神山 佐市君
城内 実君 勝俣 孝明君
古川 康君 高木 啓君
和田 義明君 木村 弥生君
同日
辞任 補欠選任
勝俣 孝明君 城内 実君
神山 佐市君 門山 宏哲君
木村 弥生君 和田 義明君
高木 啓君 本田 太郎君
同日
辞任 補欠選任
本田 太郎君 尾身 朝子君
同日
辞任 補欠選任
尾身 朝子君 杉田 水脈君
同日
辞任 補欠選任
杉田 水脈君 古川 康君
―――――――――――――
十二月四日
国籍選択制度の廃止に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三〇七号)
同(遠山清彦君紹介)(第三七六号)
もともと日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第三〇八号)
同(遠山清彦君紹介)(第三七七号)
治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(黒岩宇洋君紹介)(第三〇九号)
同(玉城デニー君紹介)(第三一〇号)
同(辻元清美君紹介)(第三一一号)
同(海江田万里君紹介)(第三四二号)
同(佐々木隆博君紹介)(第三四三号)
同(西村智奈美君紹介)(第三四四号)
同(川内博史君紹介)(第三七九号)
同(道下大樹君紹介)(第三八〇号)
同(柚木道義君紹介)(第三八一号)
共謀罪法の廃止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三三五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三三六号)
同(畑野君枝君紹介)(第三三七号)
同(藤野保史君紹介)(第三三八号)
同(宮本岳志君紹介)(第三三九号)
同(宮本徹君紹介)(第三四〇号)
同(本村伸子君紹介)(第三四一号)
民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正を求めることに関する請願(山尾志桜里君紹介)(第三七八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
――――◇―――――
○平口委員長 これより会議を開きます。
この際、一言申し上げます。
前回の委員会における私の発言の趣旨を明確にするため、補足をさせていただきます。
委員会は、国民から国政に関する権能を託された国会議員による議論の場であり、多くの国民が注視するところであります。
委員各位における自由な質疑を保障すべきことはもちろんでありますが、その一方、例えば、不起訴処分とされ、検察審査会においても不起訴相当とされた一般の方の事案について、その個人名を明らかにするなどして議論することは、個人の名誉やプライバシーの観点から相当ではない場合もあり得ると考えるところであります。
委員各位におかれては、今後とも、自由かつ一定の節度を持った議論を行っていただきたいと思いますし、私も委員長として適切な議事進行に努めてまいります。
――――◇―――――
○平口委員長 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官清水正博君、警察庁長官官房審議官大賀眞一君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長露木康浩君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、法務省大臣官房審議官金子修君、法務省大臣官房司法法制部長小出邦夫君、法務省刑事局長林眞琴君及び厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長山本麻里君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○平口委員長 次に、本日、最高裁判所事務総局総務局長中村愼君、人事局長堀田眞哉君、経理局長笠井之彦君、民事局長平田豊君及び刑事局長平木正洋君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○平口委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田所嘉徳君。
○田所委員 おはようございます。自由民主党の田所嘉徳でございます。
質問時間をいただきまして、本当にありがとうございました。三十九日間の特別国会にもかかわらず、二十五分といっても、何か詰めろと言われていますのでスピーディーにやりますが、いただきまして、感謝をいたしております。
私の友人は、自民党の衆議院議員でありますが、百五十日間の通常国会において一度も発言の機会が得られなかったという人がおりました。そういう中で、それが新聞にも出ましたけれども、私は、国会議員にとりまして、まさに発言の機会というものは大変重要なものだというふうに思っております。しっかりとそれが確保できるような仕組みでなければならないということをまず申し上げたいと思っております。
まず、そういう中で、裁判官、検察官の給与改定について、その特殊性と関連する課題について質問をいたします。
まず、今般の給与改定は、人事院勧告に基づいて行う一般の政府職員の給与改定に準じた裁判官の報酬月額、検察官の俸給月額を改定するものですが、いずれも国家公務員には変わりがないにもかかわらず、別の給与体系をとっております。それらを連動して報酬を改定することの根拠はどのようなものか、その合理性について、上川法務大臣にお伺いをいたします。
○上川国務大臣 おはようございます。
このたびの裁判官の報酬及び検察官の俸給の改定は、委員御指摘のとおり、人事院勧告を受けて行われる一般の政府職員の俸給表の改定に準じて行っているところでございます。
一般の政府職員の俸給表の改定に準じて裁判官の報酬及び検察官の俸給を改定する方法は、一方で、裁判官及び検察官の職務と責任の特殊性を反映させつつ、他方で、人事院勧告の重要性を尊重し、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスの維持にも配慮するという理由に基づくものであって、給与水準の改定の方法としましては合理的であるというふうに考えております。
○田所委員 特殊な地位、そして身分保障、あるいは司法権の独立ということで、大変な意味があるわけであります。バランスの配慮というだけではなくて、変化する職務の状況とかその背景を考慮しながら、定員等も考えて給与改定というものに臨んでもらいたいと思います。
まず、裁判官の仕事についてでありますけれども、私は、大変ハードである、こう思っておりますし、そう言われています。開廷日はもちろん、開廷しない日にも、準備、弁論準備手続とか和解などがあるでしょう。また、判決の起案のために膨大な記録の精査をすることもあると思います。時間外、あるいは休日、帰宅した後まで仕事をしなければ事件の処理ができない、そういう状況も聞いているわけでございます。
そこで、裁判官の職務、勤務の実態がどのようなものであるのか、説明してもらいたいと思います。手持ちの事件数ともあわせて説明をお願いいたします。
○堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判官は、一般職員でいいますところの勤務時間に相当します時間内には、法廷での審理等のほか、各種の手続を行っておりまして、記録の検討や判決の起案等を行うのは、一般職員でいいます勤務時間外ということも少なくございません。
また、手持ち事件の状況に照らしまして、事件の処理に必要な場合には、自宅に記録を持ち帰って仕事をいたしましたり、休日等に仕事をするということもございます。
また、夜間における令状請求事件の処理など、通常の勤務時間という概念を超えて緊急に対応しなければならない職務もございます。
手持ち事件で申し上げますと、東京地裁の例でございますが、東京地裁における裁判官一人当たりの手持ち件数は、昨年の数字でございますが、民事訴訟事件で約百八十件程度、刑事訴訟事件で約六十件程度となってございます。
○田所委員 大変多くの事件を抱えて、本当に大変だろうなというふうに思います。時間外あるいは自宅に帰ってまで仕事をしていても、裁判官とか検察官は、超過勤務手当は出ないようです。積極性のある人はそれでもばりばり仕事をするでしょうけれども、時間外の仕事を嫌がるような人、いとう人は仕事の能率が上がらない、そういうこともあるんだろうと思います。
どのような根拠に基づいて、どんな理由から超過勤務を支給しない、そういう形態になっているのか、そのことについてちょっと触れていただきたいと思います。
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
裁判官につきましては、先ほど最高裁からの説明もございましたけれども、事件の適正迅速な処理のために、夜間など一般職の職員にとっての勤務時間外におきましてもこれに対処することが要求される場合も少なくなく、一般職の職員と同様の勤務時間を観念することが困難でございます。
そこで、裁判官につきましては、時間外手当的な要素も考慮した上で、その職務と責任の特殊性を踏まえた報酬が設定されていることから、超過勤務手当を支給しないこととされております。
また、検察官につきましても、事件の適正迅速な処理等のために、夜間などの勤務時間外においても対処することが要求されておりまして、勤務時間外に勤務した時間をはかって給与上の措置を講ずるといったことにはなじみがたい面がございます。
そこで、検察官の俸給は裁判官の報酬に準じて俸給が定められていることから、超過勤務手当につきましても、裁判官と同様にこれを支給しないこととされているところでございます。
○田所委員 一般企業でいえば、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションに類似しているんじゃないかなというふうに思います。
職務の性質上、外部から指示、命令を受けて行うものではない部分があるわけでありまして、大きな自由度が必要であることは理解ができるわけであります。効用としても、みずからの自由な裁量によって仕事をすることから、効率性あるいは生産性の向上、こういったことが私は期待できるというふうに思うわけであります。
一方で、消極的な人にとっては、仕事の成果が上がらない、あるいは、残業代ゼロなんだ、こうも捉えられるのではないかなというふうに思います。結局は、私は、働く者の自律性が大変問題となる。ただ任せていればいいというだけではないというふうに思うわけであります。
そこで、モラールアップ、士気の高揚、意欲を出させるようにする、このことが重要だろうと思いますけれども、そのために、仕事に対する意識の調査、どういう姿勢で臨んでいるかということを把握するためにどのようなことが行われているのかをお尋ねしたいと思います。
○堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判官につきましては、職権行使の独立に配慮しつつ、公正な人事の基礎とするとともに、裁判官の能力の主体的な向上に資するための人事評価制度が設けられております。この制度におきましては、各裁判官は、担当した職務の状況に関する書面を提出するとともに、所長等と面談するものとされております。
このような機会を通じまして、各裁判官は、みずからの職務の状況について振り返りますとともに、みずからの課題について考え、自己研さんの契機としておりまして、所長等においてこのような状況を把握しているものと認識しております。
○田所委員 超多忙な裁判官の実態がありまして、これは裁判の遅延にもつながってしまうわけでありまして、その審理期間についてお聞きをしたいと思います。
日程調整を法廷でしても、なかなか裁判官の予定が詰まっていたら決まらないで、そして何カ月も先になってしまう、結局、長期にわたる裁判ということになってしまうわけであります。
そんな中で、民事裁判における審理期間を短縮することが特に課題になっていたと思います。そういう中で、今どのような状況になっているのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
○平田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
地方裁判所の民事第一審訴訟事件の新受件数は、過払い金返還請求訴訟の増減の影響などもありまして、平成二十一年をピークに減少しておりますが、過払い金等以外の事件はおおむね横ばいという状況でございます。
そのような中、過払い金等以外の既済事件の平均審理期間は、平成二十八年には若干短縮したものの、全体としては長期化する傾向にございます。
この審理期間の長期化の要因の一つとしましては、民事事件が質的に複雑困難化しているということが指摘されておりまして、裁判官の負担は増加している状況にございます。
○田所委員 審理期間が長くなる傾向、あるいは複雑な事件ということでございます。
このような状況において、裁判官の増員も必要なのかなということも感じられますけれども、その定員というもの、定数はどのように設定をされていて、その充足というものはされているのか。また、すぐれた人材を採用するについて、法曹養成制度に大分揺らぎがある。法曹志願者が少なくなっている中で、どういったような影響があるのか。そういうことについてお伺いをしたいと思います。
○中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判官の定員は裁判所職員定員法で定められているところでございますが、民事訴訟が複雑困難化し、家庭事件が増加している中で、適正迅速な裁判を実現するために、裁判所は、事件動向等を踏まえ、毎年定員法の改正をお願いして裁判官の増員を行ってきているところでございます。
平成三十年度予算の概算要求でも判事五十人の増員をお願いしているところでございますが、今後とも、事件動向や事件の質の変化、法曹人口等の動向、適正迅速な裁判のために望ましい審理形態のあり方等を総合的に考慮しつつ、裁判所に与えられた機能を十分に果たし、国民の期待に応えることができるよう、引き続き、事件処理にたけた判事を増員するなどして人的体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
また、定員の充足の関係の御質問もございました。あわせてお答えいたしますが、判事については、判事補から判事に任官する者、弁護士任官等により適切に充員ができるものというふうに見込んでおりまして、判事補についても、司法修習生からの採用などによって充員に努めているところでございます。
司法修習生の人数が減少しているものの、裁判所としては、できる限り判事補の充員に努めているところでございます。しかし、裁判官にふさわしい資質、能力を備えていることが必須であるだけではなく、司法修習生の側におきましても、弁護士として活躍する分野の広がりといった事情もあり、裁判官としてふさわしい人材であっても、なかなか裁判官の任官を希望しているという状況であるわけではないということから、結果として、現在の採用数で推移しているところでございます。
今後とも、司法における需要を勘案しつつ、裁判官にふさわしい人を採用して、裁判の運営に必要な体制を確保するよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
○田所委員 裁判官、大変忙しい、厳しい仕事だというふうに思っております。そういう中で、裁判官の仕事について私も思うところがありまして、そのことについて述べさせていただきたいと思います。
私は、一人一人の裁判官の職人的技量に頼り過ぎているところがあるというふうに感じているわけであります。一般の仕事では、事業によって違いますけれども、事業によっては、課長などはほとんど直接の仕事はしなくても、いろいろな多くの補助者を使って役割分担をして仕事を進める、そして最終的に決裁をして、まとめて成果物とする、そういう組織的な仕事の仕方ということが行われているんだというふうに思っております。
しかし、裁判官は、書記官等補助者がいるとはいえ、まだ組織的あるいは機関的に仕事を進めているというふうには思えないわけであります。これは憲法の規定における、七十六条三項にありますが、全て裁判官はその良心に従い独立してその職務を行いという文言があるわけでありますけれども、私はこれにとらわれ過ぎているのではないかというふうに思うのであります。
私は、判例の調査とか事案に応じた背景事情の調査、あるいは学説の動向とか、さまざま要因がありますけれども、もっと多くの補助者に役割分担をして、組織的な判断を導くような、そういう裁判というものを進めるべきだというふうに思っております。そのことによって審理期間が短縮されることにもなるでしょうし、より精緻な判断を導くことができるというふうに考えているわけであります。もちろん、先ほど言ったような、憲法の規定を逸脱しないものであることは言うまでもありません。
この点についてどのように考えるのか、最高裁としての考えをお聞きしておきたいと思います。
○中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
個々の裁判における判断を行うのは裁判官の固有の権限ということでございますが、適正迅速な裁判の実現のためには、裁判所書記官などさまざまな裁判を支える官職との連携、協働が不可欠であるということは、委員御指摘のとおりだと思います。
裁判所書記官は、裁判所法六十条におきまして、事件の記録その他の書類の作成及び保管、裁判官の行う法令及び判例の調査等の基本的な権限が定められているとともに、訴訟法等の法規に権限が定められているところでございますが、これによって、裁判所書記官は、裁判の適正を確保し、または円滑な訴訟手続の進行を確保するための事務を裁判官と連携して行うということにされているところです。
具体的に民事訴訟で申し上げますと、事件に適した解決方法を選択するため必要な情報の収集、裁判所から訴訟関係人に対する求釈明事項の伝達、準備書面や基本的書証の提出に関する期限管理等を行うなどの役割を果たしているところでございます。
このように、裁判所書記官は、裁判官とは権限の異なる高度な法律専門職として適正迅速な裁判の実現に寄与しているものでありまして、裁判官の補助者にとどまるものではありませんが、裁判の全過程において円滑な運営を行うためには、このように、それぞれの専門職として異なった権限を有する裁判官と書記官が協働することこそが不可欠であるというふうに認識しているところでございます。
○田所委員 いかにすぐれた裁判官でも、百八十件も事件を抱えていて、そういう中で、全ての裁判の構成とか背景事実を全部すぐにぱっとひらめくなんということはなかなか難しいことだろうというふうに思っております。精緻な、迅速な、そういう裁判のためにもいろいろな工夫がされるんだろうというふうに考えておりますので、どうぞ、さらに考えてもらいたいと思います。
そこで、裁判官の報酬についてでございます。
憲法七十九条、八十条において、「裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」となっております。これは、戦後のハイパーインフレ時代に大変悩まされたわけでありますが、デフレの状況なんて想像できなかったのかもしれません。しかし、実際には、デフレの時代が長く続いて、この憲法の規定に反して、人勧に伴って五回、人勧によらないで、東日本大震災に合わせたものもありますが、これが一回、減額改定がされております。
今、憲法改正論議が行われておりますが、まさに憲法の規定が時代の変化に対応できないものがあるということを示しているというふうに思います。整合性を図る必要性というものを強く感じるわけでございます。
そこで、報酬をこれまで減額するについて、憲法の規定に反することに対してどのような考えを持って判断されてきたのか、山下法務大臣政務官にお伺いをいたします。
○山下(貴)大臣政務官 御質問ありがとうございます。
私は、法務大臣政務官として、憲法の解釈を述べる立場にはないわけでございますけれども、一般に理解されているところを御紹介させていただきますれば、裁判官の報酬を減額することができない旨を定めている田所先生御指摘の憲法の規定、これは、裁判官の報酬の減額が個々の裁判官または司法全体に何らかの圧力をかける意図でなされるおそれがあることから、このようなおそれのある報酬の減額を禁止することを趣旨としているというふうに承知しております。
そして、これまでに行われた裁判官の報酬の減額措置は、人事院勧告あるいは東日本大震災対応ということで、国家公務員全体の給与引き下げに伴い、裁判官の報酬月額についても法律によってこれに準じた引き下げを行ったものでございまして、裁判官の権限行使の独立に影響を及ぼすもの、または司法全体に何らかの圧力をかけることを企図したものとは言えないものであったということで、憲法の規定には違反しないという理解であると承知しております。
○田所委員 その解釈も十分理解をされるところでございます。裁判官全員の報酬を同時に引き下げることは、司法権の独立や裁判官の身分保障の侵害にはならないということでございます。
そういう中にあっても、当該条文の文字の普通の意味に従って解釈するという文理解釈からすれば、減額することができないとなっていることは、やはり考えなければならないというふうに思っております。
次に、裁判官や検察官の身分保障につきまして、これを報酬の優遇だけで十分だと考えてはならないというふうに思っています。
昨今の仕事に対する考え方、家庭を大切にしたり、個人というものが生活を重要視する中で、ワーク・ライフ・バランスというものが非常に重要だというふうに言われております。
この点、裁判所におけるワーク・ライフ・バランスについて、どのような取り組みをしているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判所におきましても、ワーク・ライフ・バランスは重要であると考えておりまして、裁判官につきましては、各庁の事件動向等に応じた配置に努めますとともに、各庁の実情に応じて、担当事務の分担の仕方も工夫するなどの配慮を行っておりますほか、その他の職員も含めまして、裁判所特定事業主行動計画を定めまして、仕事と家庭の両立支援制度の周知に努めるなどして積極的に取り組んでいるところでございます。
今後とも、ワーク・ライフ・バランスを実現できる執務環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○田所委員 同じような趣旨で、検察庁におけるワーク・ライフ・バランスにつきまして、どんな取り組みがされているのか、山下法務大臣政務官にお伺いをいたします。
○山下(貴)大臣政務官 法務省におきましては、前回、上川大臣が法務大臣を務められた際の御尽力もあり、そしてまさに、田所委員が法務大臣政務官をお務めになられた際である平成二十八年三月三十一日に、法務省、そして関係機関が、行動計画、通称アット・ホウムプランというものを策定しておるんですが、このアット・ホウムプランに基づいて、検察庁においても、超過勤務の縮減や各種休暇制度の周知、取得促進など、積極的に取り組んでおるところでございます。田所委員の御尽力に感謝する次第でございます。
○田所委員 すぐれた人材が積極的に仕事ができるような、そういうあり方をさらに進めて、頑張っていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。
本日は、裁判官の報酬等に関する改正案等についての質疑でございますけれども、裁判官に関連して、私は、最高裁判所裁判官の国民審査についてお伺いしたいと思います。
まず、憲法七十九条で定められた国民審査の意義について、総務省に伺います。
○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
最高裁判所裁判官の国民審査につきましては、憲法七十九条に規定されております。「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。」と規定されておりまして、最高裁判所の裁判官の国民審査は、最高裁判所の裁判官がその職責にふさわしい者であるか否かを国民が審査する解職の制度とされておりまして、国民主権の観点から重要な意義を持つものと考えております。
○國重委員 今、国民主権というキーワードも出していただきましたけれども、国民審査は、最高裁判所に対する民主的コントロールの唯一の手段で、国民主権の観点から極めて重要な権利であるというような御答弁をいただきました。
ただ、こういった憲法上の極めて重要な権利であるにもかかわらず、これを行使できない人たちがいます。
さきの衆院選、十月二十二日にございました。私の友人がアメリカから私に一票を投じてくれました。ただ、その友人は、国民審査に関しては権利を行使することができませんでした。これはなぜかといいますと、国政選挙については在外選挙制度があるけれども、国民審査では在外審査制度がないという理由によるものです。
そこで、伺います。なぜ国民審査については在外審査制度が認められないのか、お伺いします。
○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
現行の国民審査制度におきましては、裁判官の氏名があらかじめ印刷された投票用紙にバツの記号を記載する記号式投票という制度を採用しております。
これを前提にしますと、従来、国民審査の投票用紙の調製、その記号式の印刷をする調製は公示日以後に行われる仕組みとなっておりましたが、平成二十八年の法改正によりまして、あらかじめ審査に付される見込みの裁判官を中央選挙管理会が通知し、それに基づき都道府県の選挙管理委員会が印刷するという仕組みになりました。それでも、投票用紙の調製は、国民審査の実施が確定します衆議院解散の日から始めるほかはございません。在外公館への投票用紙の送付に要する時間、あるいは郵便等投票における投票用紙の発送、送付に要する期間などを考えますと技術的に困難な面がありまして、制度化することは難しいというふうに考えておるところでございます。
○國重委員 今、調製という言葉、要は印刷ということだと思いますけれども、それに時間がかかるからとございました。
ただ、これは、今言われた平成二十八年の改正によって解散のときからできる。となると、大体、告示までにはほぼその印刷は完成しているということになりますので、以前よりは大分スピードアップされてできるようになっていますので、私は、これも一つ検討できるのではないかなというふうに思いますけれども、それはおいておいて、では別の方法ができないのかということでお伺いします。
先ほどの答弁では、今、国民審査では記号式投票になっていて、裁判官の氏名を投票用紙に事前に明記するために調製、印刷に時間がかかること、これと、在外公館との郵便のやりとりを考えると、在外邦人に国民審査の権利の行使の機会を確保することが難しいんじゃないか、時間がほとんどないんじゃないか、このような旨の答弁だったと思います。
それでは、日本国内で国民審査の投票用紙の調製、印刷の作業をするのではなくて、在外公館とかその近くの業者が海外で国民審査の投票用紙を調製すればいいんじゃないかと思いますけれども、これはどうでしょうか。
○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
投票用紙につきましては、一人一票の原則に反した不正な投票を防止し、選挙の公正を確保するというような趣旨から、その管理につきましては、不正使用、紛失等の事故が生じることのないよう厳格な管理が必要とされております。
在外投票に用いる投票用紙について申しますと、総務省において調製しておりますが、この投票用紙につきまして、外務省及び在外公館への交付に当たりまして請求書あるいは受領書というものをきちっと提出していただいておりますとともに、選挙の執行後には、その残余の数量を記載した調書などを受領しているというようなことでございまして、厳格な取り扱いがされているところでございます。
また、最高裁判所裁判官国民審査法の別記様式という投票用紙の様式がありますが、この備考には、投票用紙について、投票の秘密保持の観点から、外部からは文字を透視することができない程度のかなり良質の用紙を用いなければならないというようなことが決められております。
これらを見ますと、仮に在外邦人に対する国民審査を創設するという場合にありましても、その投票用紙の調製あるいは管理主体につきましては、国民審査の公正の確保の観点を十分に踏まえて検討していかなきゃいけないんじゃないかと考えております。
○國重委員 はい、わかりました。
ただ、国民審査創設時とは比べ物にならないぐらい技術が進歩していますので、さらなる検討をよろしくお願いします。
時間が限られた中で、結構、十問用意していますので、ちょっと私も巻いていきます。答弁も巻いていただきますよう、よろしくお願いします。
では次に、在外邦人の国民審査について例外的に、罷免したい裁判官の氏名を記載する記名式投票を在外邦人の国民審査については認めてもいいのではないかという観点でお伺いします。
国内の国民審査について、罷免したい裁判官をバツとする記号式投票を採用しておりますけれども、これには例外もございます。点字投票は記名式投票になっています。点字投票について、記名式投票にした理由を伺います。
○大泉政府参考人 御指摘のとおり、最高裁判所国民審査の点字による審査の投票につきまして、自書式というか、点字で打つような方式をとっております。
これは、選挙という短期間の中に、点字により記号式投票の投票用紙を調製することが難しいのではないかと考えられること、それから、記号式投票の、罷免をする裁判官の欄に点字で氏名が打たれた場合に、その意思を表示すべき箇所に選挙人が点字により正確に記入することができるか。点字には基本的にはマルやバツという記号というものがないというふうに伺っておりますが、そういう中ではなかなか難しいのではないかというような理由によるものでございます。
○國重委員 今の点字投票で記名式投票が認められている理由の一つとして、投票用紙の調製に時間がかかるというものもございました。これは、先ほどの在外邦人の国民審査制度が認められていない理由と共通しております。
とすれば、冒頭に答弁いただいた国民審査の重要性、国民主権のあらわれの権利であるということからすれば、その権利行使の機会を確保するために、在外邦人にも例外的に記名式投票を認めてもいいのではないか。これはシンプルで導入可能な方法のように思えますけれども、いかがでしょうか。
○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
国民審査におきましては、有権者に審査対象の裁判官全員の氏名を知らせる必要がある、この辺、氏名を宣伝して投票を得る選挙とは異なるというような考え方があると思います。また、なるべく簡易な方法で投票できるようにすべきことから、審査に付される裁判官の氏名を記号式としているところでございます。
在外邦人の国民審査として自書式投票による投票制度を創設することにつきましては、そのような、現在の国民審査において記号式投票が採用されているというような趣旨、理由、あるいは管理、執行の面から見ましても、国民審査の開票に当たって、自書式になりますと、さらなる疑問票の増加などが懸念されるなどのことも考えながら進めていかなきゃいけないということで、慎重な検討が必要ではないかと考えております。
○國重委員 慎重な検討はわかるんですけれども、やはりこれは、単に法律で決めた権利ではなくて憲法上の権利なんですね。国民主権のあらわれ、憲法十五条の公務員の選定、罷免権の延長にある権利、国民がみずから裁判所にかかわれる、民主的コントロールができる唯一の手段ですので、これはしっかり検討していただきたいと思います。
続きまして、在外公館等での印刷や記名式投票以外に考えられるものとして、郵便等投票という方法がございます。そこで、在外邦人の国民審査について、郵便等投票を認めてもよいのではないかという観点でお伺いします。
郵便等投票については、国内の国政選挙や国民審査で限定的、例外的に認められております。これを認めた理由は何ですか。
○大泉政府参考人 国内における郵便投票でございます。
郵便投票による不在者投票、国内につきましては、身体に重度の障害があり投票所に行くことができない一定の選挙人の投票につきまして、選挙権の行使を確保するために設けられていると承知しております。
○國重委員 この郵便投票は、誰かが常時立ち会いするわけではなくて、投票人以外の第三者が投票に干渉する余地を完全に排除することはできない制度でございます。選挙の公正という点では全く問題なしとは言えないものだと私は思っておりますけれども、ただ、しかし、公正性を完全には担保できなかったとしても、それには多少目をつむったとしても、国民主権のあらわれである国民審査の投票の機会の確保をより重視して認めたものが郵便等投票制度と言えると思います。
では、次に、海外にいる在外邦人の国政選挙における在外選挙制度について見てみたいと思います。
この場合、在外公館で投票するほか、郵便等投票も整備されており、どちらかを選択できるようになっております。在外邦人の在外選挙制度においても郵便等投票が認められた理由は何なのか。公正性の点で国内の限定的な郵便等投票制度よりも問題があるように思いますけれども、なぜこれを認めたのか、理由を伺います。
○大泉政府参考人 済みません。先ほどの国内の郵便投票でございますが、公正性を確保する観点から、例えば、事前登録が必要であるとか、郵便で投票用紙を送る際に本人の勢力下にきちっと送らなきゃいけない、あるいは、署名をきちっとしなければいけないなどの公正さの確保の観点があるということを申し添えたいと思います。
それから、在外選挙につきまして郵便投票が認められている理由でございますが、国外においては在外公館投票と郵便等投票の制度が設けられております。在外公館から遠い地域に居住する選挙人は、投票の際、金銭的、時間的な負担がかかること等から、平成十五年の公選法の一部改正によりまして、全ての在外選挙人につきまして、在外公館投票だけでなく郵便投票を選択することができると規定されたことになっております。
○國重委員 まず、国内の郵便等投票、公正性の確保の手段をいろいろと講じている、これはわかります。ただ、私の言っているのは、公正性を完全にすることはできないんじゃないかと。やはりこれは、第三者の干渉する余地というのは排除できないでしょう。一般の投票所であれば投票干渉罪とかということでやられますけれども、それとはまた別だと思うんです。
その上で、今、在外選挙制度で郵便等投票が認められている理由として、在外公館から離れている人たちとか、在外公館がないとかで投票できないとか、そういう人たちのことも鑑みて、金銭的、時間的負担を軽減する等の観点から、要は投票機会を確保するという観点で認めているものだと私は理解しました。
ただ、在外邦人の在外選挙制度における郵便等投票制度については、国によって郵便事情が異なることから、日本から海外の在外邦人のもとへ、また在外邦人から日本への郵便に、かなりの時間がかかる国もあると思います。私も弁護士時代、ナイジェリアに郵便を送りましたけれども、全然届きませんでした。
このようなことからすれば、国政選挙の在外選挙制度について郵便等投票制度を用意しても、事実上、選挙権の行使ができない在外邦人もいると思われますが、この点、どうですか。
○大泉政府参考人 在外選挙の在外投票における郵便投票についてのお尋ねがございました。
郵便等投票の請求につきましてでございますけれども、法令上に始期の定めはございません。したがいまして、衆議院選挙について言えば、請求は解散よりも前から可能なこととなっております。
市町村の選挙管理委員会は、投票用紙の請求があった場合には、衆議院の解散の場合には解散の日から、その日から投票用紙を発送するということによりまして、郵送等に係る手続に必要な期間は配慮しているということとなっております。
ただし、投票日の投票閉鎖時刻までに指定された国内の投票所に返ってこない、届かないというような在外の投票もございます。在外等の郵便等の事情によるものでございますけれども、これにつきましては若干あるということと承知しております。
○國重委員 今、答弁いただきましたけれども、そうなんですね、完全ではないんですね。
これは総務省の方の、「世界の国から」と書いてある、「通信文化」という、何か冊子ですかね。ここでも、総務省の職員の方が、ボツワナに行かれている方ですけれども、時期によっては普通郵便が全くとまってしまい、五週間分まとめて届いたときもあった、郵便は信用に値するサービスではない、EMSのような付加価値のついたサービスでさえ遅配することが大いにあるということで書かれていますので、やはり郵便等投票というのは全員が権利を行使できるものではないと思うんですね。
これは、公平性を完全に担保できなかったとしても、国政選挙の重要性から、権利の行使の機会の確保、これもより重視したものだと私は捉えております。とすれば、同様に、在外邦人の国民審査においても郵便等投票の創設を検討してもいいんじゃないでしょうか。
○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
在外選挙の郵便等投票については先ほどのとおりでございますが、一方で、国民審査について郵便投票を認めるということになりますと、先ほど申しましたとおり、昨年の法改正によりまして、若干印刷が公示日より早まるというようなことになってございますが、それでも、投票用紙の調製というものは、やはり国民審査の実施が確定します衆議院の解散の日から始めるほかはないということでございまして、投票用紙の発送、送付等に要する期間等を考えますと、解散の日から選挙期日までの期間によってはなかなか難しい場合があるというようなことでございまして、投票期間がほとんど確保できない場合があるなど、技術的に困難な課題があるのではないかと考えております。
○國重委員 できない理由は言い始めたらたくさんあるんですけれども、在外審査制度の郵便等投票を認めた場合に、告示の翌日には投票用紙を送ることができるわけですね。
そして、郵便等投票というのはどうなっているかというと、在外選挙人から市区町村の選挙管理委員会にまず投票用紙の請求をして、選管の方から在外選挙人に投票用紙の交付をして、また在外選挙人から選管の方に記入済み投票用紙の郵送をしますけれども、在外邦人からの投票用紙の請求に市区町村の選管が応じるのは、同選管にそれが投票日の四日前までに着いたときには応じるということになっているわけですね。これは、投票日の四日前までに請求を受ければ、投票用紙を在外邦人に、選挙人に郵送で交付して、在外邦人が投票用紙を投票日までに選管に送り届けることが可能な国があるからだということだと思います。
このような事情からしても、在外邦人の国民審査における郵便等投票制度というのは、私は一考に値すると思います。また、繰り返しになりますけれども、現実的なものとして、記名式投票も検討に値すると思います。
平成二十三年の東京地裁判決では、平成二十一年に実施された国民審査の時点で、通信手段が地球規模で目覚ましい発達を遂げていることをここで指摘して、立法不作為の重大な疑義があったと述べております。しかも、その国民審査から既に八年も経過をしております。
国民審査については、冒頭の答弁にあったとおり、国民主権のあらわれ、極めて重要な意義がありますから、投票の権利行使の機会を確保できるよう最大限努力していかなければならないと思っております。国民審査は形骸化しているといった指摘もありますけれども、これは、より合理的な方法に改め制度を生かすとか、国民の判断資料をより提供して関心を高める、こういった方法をとらないといけない。それとこれとは別問題で、そもそも権利を行使するための手段がないというのは問題だと思っております。
在外邦人が国民審査に参加するための制度を検討していただきたいと思いますけれども、奥野副大臣、どうでしょうか。
○奥野副大臣 今、國重さんからおっしゃっていただいたとおり、国民審査というのは、最高裁判所の裁判官がふさわしい人かどうかということを判断するという制度でありまして、国民主権の観点からも重要な意義を持つということは十二分に理解しているつもりであります。
一方で、今、技術論をやっていただいたわけでありますが、技術的にはかなり難しいというのが今の状況であります。
しかしながら、やはり、国民審査の重要性に鑑みて、我々としても、去年の法改正でいろいろな合理化をしているわけでありますけれども、もう一つ、私が実際に見たときに、韓国に行って、ICTが使われているのを見てきたわけでありますけれども、そういったことも含めて、投票しにくい状況下にある有権者の投票環境の向上方策として、ICTの活用を初めとしてどのような対応が可能であるかということを、省内に研究会を設けて今検討を始めたところであります。
どうぞ、そういったことも含めて、お待ちいただきたいな、こんなところであります。どうぞよろしく。
○國重委員 どうかよろしくお願いいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田でございます。
我が党は、裁判官の報酬及び検察官の俸給の引き上げに関しては反対をしております。理由としては、人事院勧告の計算の仕方、あるいは、その前にやるべきことがあるのではないか、行財政改革、こういったようなものを先にやるべきではないか、こういうふうに考えております。
かといいまして、先ほど田所先生の質疑にもありましたが、裁判官が一人当たり、手持ちの事件、民事では百八十件、刑事では六十件、大変な激務であります。残業代もつかない、そういったところは非常に私もよくわかっているつもりであります。
そこで、裁判官のこの激務を緩和する手段としまして、現在、裁判外紛争解決手続、いわゆるADRという制度がございます。訴訟におきましては、手続が厳格だとか、時間もかかる、コストもかかる、そういう中で、非常にソフトな調停やあっせんというこのADR、大変魅力のある制度だと思いますので、御説明をいただきたいと思います。
○小出政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の調停やあっせんといった裁判外紛争解決手続、いわゆるADRにつきましては、厳格な裁判手続と異なりまして、利用者の自主性を生かした解決、プライバシーや営業秘密を保持した非公開での解決、簡易迅速で廉価な解決、多様な分野の専門家の知見を生かしたきめ細やかな解決、紛争の実情に沿った柔軟な解決等の特徴が指摘されているところでございます。
法務省の所管いたします裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律におきましては、民間事業者が行うADR業務につきまして、一定の要件を満たす者に対して法務大臣による認証を付与する制度を設けておりまして、ADRの業務の質を確保するとともに、あわせて、時効の中断等に係る特例を定めてその利便性の向上を図ることといたしております。
このように、ADRには厳格な裁判手続とは異なる多くの魅力があり、また、認証を受けた手続は利便性が高いというメリットもございますため、法務省では、この法律により認証を受けた紛争解決手続の利用促進に向けて、周知、広報などの取り組みを進めているところでございます。
○串田委員 ただいまの説明で、大変魅力のある制度であるということがわかりました。
さらに、国民に対して、費用だとかその解決の期間、あるいは和解の成立率などを御説明いただきたいと思います。
○小出政府参考人 お答えいたします。
認証ADR事業者における手続費用につきましては、個々の事業者において、事業の内容等に応じてその額や算定方法はさまざまとなっており、一律に申し上げることはできませんが、取扱件数が多い認証ADR事業者について一例を申し上げますと、大阪の弁護士会や司法書士会等の専門家団体や経済団体あるいは自治体等が参画しております公益社団法人民間総合調停センターでは、原則として、申請手数料は一万円、期日手数料は無料、成立手数料は紛争の解決額の区分に応じて標準額を定めることとされておりまして、例えば百万円以上二百万円未満の紛争解決額である場合には、成立手数料は二万円とされております。
また、違う例といたしまして、夫婦関係、内縁関係等に関する紛争を専門的に扱う公益社団法人家庭問題情報センターにおきましては、申請手数料は申立人、相手方が各三千円、期日手数料は申立人、相手方各一万円、成立手数料は無料とされているものと承知しております。
また、所要期間でございますが、認証ADR事業者の手続開始から終了までの所要期間につきまして、統計上の数値が確定しております直近の平成二十七年度では、手続が不応諾で終了したものを除きまして、三カ月未満の期間で終了したものが五四・二%、六カ月未満の期間で終了したものが八二・七%となっております。
また、和解成立率でございますが、認証ADR事業者の和解成立率につきまして、平成二十七年度では、終了件数全体のうち三六・九%で和解が成立しておりまして、さらに、相手方の不応諾により終了したものを除きますと、五一・八%で和解が成立しているという状況でございます。
○串田委員 ただいまの説明で、費用が一万円とか二万円とか非常に手ごろな値段で利用できるということで、非常に便利な制度だと思います。また、解決期間も三カ月ということでありますので、ぜひ国民に使っていただきたいというふうに思っておりますが、現在までの利用率などを教えていただきたいと思います。
○小出政府参考人 お答えいたします。
これまでに認証を受けた認証ADR事業者は全国に百五十四あるところでございますが、その受理件数は、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律が施行された平成十九年以降順調に増加し続け、平成二十三年度には受理件数が千三百四十七件に達したところでございます。もっとも、その後は、毎年一千件は上回ってはいるものの若干の減少傾向にございまして、平成二十七年度は千四十五件となっているところでございます。
○串田委員 事業者が全国で百五十四、その中で受理件数が千幾つということでありますと、一事業者が十件にも満たない、一年ですね。こんなに魅力のある制度がこれだけ利用されていないというのは本当にもったいないと思うんですけれども、その一つの理由としては、ADRという名前が私は非常に取っつきにくいというふうに思っています。現在、民放で、国民の三割しか知らないことという番組があります。私も大好きで見ているんですが、恐らく、ADRというと、ほとんど三割にいかないんじゃないか、そんなふうに思います。
こういう名前をつけたのも、霞が関の頭のよ過ぎる方が、すぐにこういう名前になってしまうんじゃないかと思うので、もう少し国民に取っつきやすい名前に変えるというようなお考えがないか、お聞きしたいと思います。
○小出政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のADRという言葉は、裁判外紛争解決手続の英語名の略称として我が国でも使用されているものと承知しております。しかしながら、委員御指摘のとおり、一般の国民の皆様にとっては必ずしもわかりやすい用語とは言えないのではないかというふうに感じております。
法務省におきましては、認証を受けた民間の紛争解決サービスについて、あらゆる世代に覚えやすく親しみやすいものとなるよう、かいけつサポートという愛称を定めまして、そのロゴマークの使用を認めて広報活動に用いるなどしているところでございます。
法務省といたしましては、このような取り組みを通じまして、認証紛争解決手続が国民にとって身近な紛争解決手段として普及、活性化することを期待しているところでございます。
○串田委員 たしか、かいけつサポートと検索をすると、いろいろと手続が出てくるとお伺いしております。ADRと比べますと、かいけつサポートというのは大変わかりやすい名称であると思います。
こういったような名称をこれからもどんどんと進めて、そして裁判外紛争解決手続ということを広めていただくということが、今いろいろな、民間の中でも争いが多いわけでございまして、それではすぐに訴訟ということになるのかといえば、なかなかそのハードルが越えられない中で、民間の間で個人的に争いが起きてしまう、そういうようなことも行われているわけでございますので、このような手ごろな制度というのを利用して、民間でのトラブルというのも解消へ向けて努力をしていただきたいと思います。
最後に、前回も法曹養成に関して御質問させていただきましたが、このようなADR、ますます法曹界で、優秀な人材が担っていただきたいというように思っております。これに対する法務大臣の御所見をお伺いして、終わりにしたいと思います。
○上川国務大臣 ただいま委員から御質問がございました、高い紛争解決能力を備えた法曹の活躍ということについては、大変大事なテーマだというふうに考えております。
司法制度を支える人的基盤といたしましては、高度の専門性を有するということでありまして、専門知識が高いということが最も要求されるわけでございますが、同時に、幅広い教養と豊かな人間性を有する法曹が、社会のさまざまな分野において厚い層をなしていくということが何よりも必要というふうに考えております。
ADRという裁判外の紛争解決分野においても、高い紛争解決力を備えた法曹が幅広く活躍するということについては、社会の法的需要に十分に応えるという意味におきましても大変重要であるとともに、御指摘のとおり、ADRの利用促進にもつながるものと考えております。
法務省といたしましては、今後とも、高い紛争解決能力を備えた質の高い法曹が輩出されるよう、関係機関の協力を得ながら、必要な検討、取り組みを進めてまいりますとともに、ADRの利用促進に向けて、その促進につながるさまざまな取り組みにも一層力を入れてまいりたいと思っております。
○串田委員 かいけつサポートというこのキーワードをぜひ国民の方にもよりよく知っていただきまして、身近な解決手法があるということをこれからも推し進めていただきたいと願いまして、終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
○平口委員長 次に、山尾志桜里君。
○山尾委員 立憲民主党・市民クラブの山尾志桜里です。
まずは給与法のことからお伺いをしたいと思いますが、今回の給与法の改正、今回は引き上げの提案ですけれども、引き下げの場合も、それは場合によってはあり得るという成り立ちになっていますので、お伺いをしたいと思います。
法務大臣、日本国憲法のもとで、全体の公務員の俸給引き下げを行う場合に、法改正で裁判官全体について報酬を引き下げること、これは、裁判官の報酬について、在任中、これを減額することはできないと明言をした憲法七十九条に抵触するのではないかという論点がございます。この論点についていかがお考えですか。
○上川国務大臣 憲法の解釈について述べる立場ではございませんけれども、裁判官の報酬を減額することができない旨を憲法は定めているわけでございまして、この憲法の規定は、裁判官の報酬の減額が個々の裁判官または司法全体に何らかの圧力をかける意図でなされるおそれがあることから、このようなおそれのある報酬の減額を禁止することをその趣旨としているものというふうに承知をするところでございます。
そういたしますと、裁判官の報酬を減額する場合であっても、人事院勧告等を踏まえた国家公務員全体の給与引き下げに伴い、裁判官の報酬月額についても法律によってこれに準じた引き下げを行うのであれば、裁判官の職権行使の独立に影響を及ぼすものとは言えないと同時に、個々の裁判官及び司法全体に何らかの圧力をかけようと企図したものとも言えないわけでございます。
したがいまして、そのような裁判官の報酬を引き下げる措置につきましては、憲法の減額禁止規定に反するものではないというふうに考えるところでございます。
○山尾委員 ちょっと冒頭、憲法の解釈をする立場ではないとおっしゃったんですが、今言っていただいたのは、憲法七十九条の政府としての憲法解釈であると思いますし、そういった立場であることは、ここは共有できているというふうでよろしいんですよね、うなずいていただいておりますが。
その上で、今の解釈で合憲であるというふうなお立場に立たれるとして、しかし、明文をそのまま読むと、抵触をするというふうにも見える中で、より合憲であることを明らかにするための七十九条の改正の是非、このことについてはいかがお考えですか。
○上川国務大臣 ただいまの規定につきましての解釈について述べる立場にはないということで申し上げたところでございますけれども、今の憲法の趣旨に照らしてしっかりと適正に運用していくというところで、今回の法律についての改正ということについてもお願いを申し上げているところでございます。
○山尾委員 ごめんなさい。質問の趣旨が伝わっていなかったので、もう一回、ちょっと私の質問の聞き方を丁寧にします。
七十九条は明文で、在任中、これを減額することはできないと。そのまま素直に読むと、こういった今回の法改正は抵触するようにも見えるわけですね。そこを趣旨にさかのぼって解釈をして、これは憲法に反しないんだということ、私は、これは多数説でもありますし、当然一理あることだと思います。
その上でお伺いをしているのは、仮に解釈で憲法違反ではないという立場に立つとしても、より憲法違反していないんですよということを明らかにするために、憲法七十九条を改正するという論もあるわけですね。そういうことについては、大臣はいかがお考えですか。
○上川国務大臣 今回の憲法第七十九条第六項及び第八十条の二項ということでございますが、裁判官の報酬は、在任中、これを減額することができない旨の規定をしているところでございます。
その意味で、今回の法律につきましては、この規定の解釈ということで展開をしているということでありますので、その趣旨にのっとって適正にしていくということでございます。
憲法改正についての御議論でございますが、ここにつきましては、この衆参におきましての憲法審査会におきましてその旨の御議論をいただくものというふうに思っております。
○山尾委員 憲法改正については衆参の憲法審査会でということですけれども、それはもちろんそこで議論するわけですね。それはそれとして、そこが主戦場であることはそのとおり。
一方で、閣僚として、憲法尊重擁護義務を負う閣僚として、この憲法改正については、今例えば七十九条についてお伺いをしたわけですけれども、一般論として、解釈で乗り越えることは十分に可能なんだけれども、一見して、そのまま読むと明文には反しているよね、こういうものが憲法の中には幾つかあるわけですね。そういうものについて憲法を変えるべきかどうかということの哲学の一端みたいなものをお伺いできれば、こういう趣旨でございます。
○上川国務大臣 法務大臣として、憲法及びあらゆる法律にのっとって、法治国家としてこれが適正に運用されるということが大変大事である、そういう趣旨で今回も所信表明を述べさせていただいております。あくまで、今の憲法及び憲法に係る解釈、さらには全ての法体系、このもとで、今回につきましても、その旨の中の解釈にのっとって適正にすべきというふうに考えております。
○山尾委員 大臣は、少しさかのぼって八月三日の会見で、憲法改正について記者さんに問われて、こういうふうにおっしゃっておられます。憲法改正の議論は全て国会での対応が重要です、これが肝であり、衆参の憲法審査会がその大きな役割を果たすものです、閣僚の一人になった以上、私から改正について個人的な考え方を申し上げることはできませんということをおっしゃっています。
そこで、私、本当に閣僚になってしまうと改正について自分の憲法論なり改正論の一端みたいなものを話すことすらできないというお考えなのか、その点をお伺いしたいんです。
○上川国務大臣 ただいまの御質問でございますが、法務大臣という大変重責を担わせていただいておりまして、これはあくまで今の法体系のもとで、しっかりとそのもとで行政府として職務を遂行するということでございますので、私としては、今、百代目の節目の法務大臣を担う、大変また国会でも御議論が行われているところではございますので、先ほど申し上げたとおり、あくまで立法府の憲法審査会においてしっかりと御議論いただくということが極めて大切なことだというふうに思っております。
その意味で、大変重要な御指摘ではございますが、今、私の立場を一〇〇%実現するということを考えてみれば、今のように一〇〇%、今の憲法及び解釈、さらにはその法体系のもとで、その運用を適正にしていくということが何よりも大切な職責ではないかというふうに考えます。
○山尾委員 その何よりも大切な職責を全うするために憲法改正については発言をするべきではない、こういうお考えですか。
○上川国務大臣 あくまで行政府の立場でございますし、また、その意味で、法務省の長として、憲法及び関係する法律をしっかりと執行していくという立場でございますので、その責任を一〇〇%果たしていくということの思いで、立場で、これからの職責も果たしてまいりたいと思っております。
○山尾委員 そういった姿勢で職責を全うすることと憲法改正について何らかの発言をするということは、これはなかなか両立しがたい、こういうお考えですか。
○上川国務大臣 ただいまの御質問でございますが、繰り返しになるわけでありますが、あくまで行政府の長としての立場ということでございますので、そののりを越えないということも、改めて、自分自身、肝に銘じて対応していかなければいけないものというふうに覚悟しているものでございます。
○山尾委員 そうしますと、八月三日の会見でおっしゃった、閣僚の一人になった以上、私から改正について個人的な考え方を申し上げることはできませんと。つまり、法務大臣という立場がある以上は、個人的あるいは一議員としても考え方を申し上げることはできないんだ、この発言、これに変わりはないということですか。
○上川国務大臣 この国会、法務委員会においての質疑の中で、ただいまのような御質問がございました。
私自身、八月三日の記者会見でございましょうか……(山尾委員「記者会見ですね」と呼ぶ)記者会見ですか、そのような発言を申し上げましたけれども、その心は、あくまで行政府の立場で、それこそ国民の皆さんに、法律にのっとって適正にしっかりと職務を遂行するという基本的な姿勢について思いを伝えさせていただいたところでございます。今もその気持ちに変わりはございません。
○山尾委員 私は、上川大臣の姿勢に共感するところはあるんですね。やはり、憲法改正議論あるいは憲法議論の肝は立法府であり、閣僚がそのことについて適切な範囲で言及をとどめなければ、立法府の肝としての役割を傷つけるおそれがある、こういうことだというふうに思っております、大臣もうなずいていただいておりますが。
では、そうすると、私がお伺いしたいのは、五月三日の総理の発言なんですよね。
五月三日、皆さん御存じのとおり、総理は、一般論どころか、二〇二〇年施行と時期を区切って、そして自衛隊明記という、かなり特定条文の特定の改正のあり方に言及をされて、要するに社会に課題を投じたわけですね、御自身の考えとして。
このことについて率直に、いろいろお立場もあろうかと思いますが、やはり、上川大臣が適切であったというふうに考えるのかどうか、私は、正直、とても疑問に思っているんです。
もちろん、もしかしたら、大臣は、これはいわゆる立法府の立場で、国会の外の読売新聞という媒体でおっしゃったことである、こういうふうにおっしゃるのかもわかりませんが、そのことであったとしても、やはり、立法府におけるこれまでの憲法改正の議論、これを実際に大きく変局させて、その積み上げをある意味毀損したのではないかな、そういうふうに私は感じているわけですけれども、この適否について、何かおっしゃれることはございますか。
○上川国務大臣 ただいまの御質問のところ、五月の三日の時点での総裁の発言ということでの御指摘でございますが、総裁としての御発言をなさったということでございます。私、それ以上のコメントをする立場にはございませんので、答弁は差し控えさせていただきます。
○山尾委員 それは、法務大臣であるから、その立場においてコメントはしないということですか。
○上川国務大臣 その御趣旨については、今申し上げたとおり、八月三日に私任命をされまして、九十九代目の法務大臣に就任をした。その上で、今回百代目ということでございますが、あくまで行政機関の長ということの中で、法務大臣、法務省をつかさどっているところでございます。
その限りにおきまして、先ほど来の議論のとおり、総裁としての発言ということについてのコメントをする立場にはございませんので、差し控えさせていただきたいと思います。
○山尾委員 当時上川大臣は、五月三日は自民党の憲法改正の議論の事務局長をされておられましたよね、今とは立場が違いました。まさに自民党の憲法議論の事務局長として、こういった発言は国会における憲法改正議論の積み上げを毀損するものであるので控えていただきたい、こういうことは、まさに当時は言える立場にあったと思うんですけれども、おっしゃいましたか。
○上川国務大臣 ただいま御指摘になった、ちょっとパラフレーズして御発言をなさっておりますが、そういうものを毀損するというような表現も含めて、そうした表現を含めてのその当時の私の発言ということでありますが、そうした表現をしたことはありません。
○山尾委員 済みません。今私は、上川大臣の何か発言として何一つ申し上げておりません。
当時は自民党の憲法議論の事務局長をされていた上川大臣、当時は自民党の上川事務局長でありますが、上川事務局長として、自民党総裁の安倍総理のこういった憲法改正の議論の投じ方、発言の仕方に何か物を言ったことはありますかということです。
○上川国務大臣 事務局長の立場で言った発言ということにつきましては、ちょっと今定かではございません。
それで、基本的には、私は事務局長でございますが、政党の中で議論したことにつきましては、会長がいらっしゃるわけでございますので、党としては会長がそのような発言をしたかどうかということになろうかと思います。私の発言という形では、恐らくないと思います。
○山尾委員 もう少しカジュアルに聞きますけれども、安倍総裁に上川事務局長の方から、こういうことはちょっと控えていただきたい、私どもが今自民党の中、あるいはしっかりと国会の憲法審査会の中で他党とともにきちっと議論を積み上げているんだ、こういう言い方はいかがなものかというようなことを直接お話をしたことはあるんですか、ないんですかということです。
なぜこういうことを申し上げるかというと、私は、上川大臣が、この憲法の議論というのは国会が肝なんだ、そこを極めて重要で大切にしなきゃいけないから、やはり行政府というのは控えなければいけない、こういうことを先ほど来おっしゃっていて、その考え方自体は、私は適当だと思うんですね、正しいと思うんです。
もし、その考え方、信念が、恐縮ですけれども本物であれば、私は、会長でなくたって、事務局長という立場でしっかりと自民党の総裁について、いや、ちょっとお控えください、こういうことは言ってしかるべきではないかなというふうに思ったものですから、御質問をさせていただいたんです。
○上川国務大臣 今私は法務大臣の立場で発言をしているところでございまして、今、過去の私の立場において、こうした問題についてどのようなことで対応したのかということについては、それも含めて答弁は差し控えさせていただきます。
あくまで、この問題は、立法府の中の憲法審査会、衆参の立法府の憲法審査会でしっかりと議論すべき事柄であるということについては、真っすぐに申し上げたいと思います。
○山尾委員 そうであれば、私は非常に疑問なわけです。
こういったまさに行政府の長が、しかもここのインタビューには、安倍首相インタビューと首相の肩書でインタビューに応じているわけですね。そういった物言いがあるときに、突然、私の仄聞するところでは、それまで自民党の中で、憲法九条の議論あれど、一項、二項をそのままに自衛隊だけ明記するんだ、こういう議論はほとんどなされていなかったように仄聞しております。
にもかかわらず、総理が一総裁としてですか、この発言をした瞬間に、瞬間というのは語弊があれば、それほど間を置かず、突然自民党として憲法審査会での御提案内容が変わり、総理のこの発言どおりに自民党の提案に溶け込まれていった、溶け込んでいったということは、私はすごく疑問に思っていましたし、今も非常に疑問なんですね。
当時、上川大臣は事務局長としてかなり、自民党の中の議論、総理のこの物言いについて自民党としてどう受けとめるのか、今までの議論をどのように変えていくのか、変えるべきでないのかということは、相当影響力があった立場にあろうかと思いますので、法務大臣であれど、事務局長のときにどういったことをなされたのかということを別に答弁する分には全く問題ないのではないかというふうに思って御質問した次第ですが、今の答弁だと、事務局長のときに安倍総理をたしなめたことはあるのかどうかということについても、この場では答弁をされない、控えたいということでありました。
しっかりしていただいた方がいいというふうに思いますし、今も閣僚の一員として、この憲法についての総理の言動については、責任を持って言うべきことを言っていただきたいというふうに思っているんです。
そうでないと、私は、閣僚も憲法論の一端を非常に慎重に適切に言葉を選びながら語ることはあるべきだと思っているんです。なぜなら、大臣は憲法尊重擁護義務を負っていますし、憲法を尊重して擁護するためには、やはりその解釈を御自身の考えでするわけですよね。その解釈のぎりぎりの限界というところと改正のスタートラインというのは一致するわけではないけれども、そこは一つの共通項があるわけですから、憲法を語る以上、憲法を守る者が憲法を語る以上、改正についていかに考えているのかということは、これは避けては通れない話だというふうに私は思っていますので、ぜひ、そこのところをもう少し、大臣も閣僚として、どこまでこの憲法の議論に発言をできるのか、すべきなのか、そういうことももう少し前向きに考えていただければなというふうに思います。
次に、共謀罪について伺います。
私の手元の資料によると、共謀罪というのは、検察庁が受理した時点で法務大臣に報告が上がることになっておりますね。直近の刑事関係報告規程というものにそのように記載がされております。
共謀罪施行から現時点まで、共謀罪で受理しましたということで報告を受けた案件は、大臣、ございますか。
○上川国務大臣 御質問の受理報告でございますが、受けておりません。
○山尾委員 ということは、現時点で少なくとも共謀罪で送検された案件はゼロということでよろしいですか。
○上川国務大臣 そのとおりでございます。
○山尾委員 では、警察庁に伺います。
この送検の前段階、捜査ということがあるわけですけれども、私の手元の資料で、六月二十三日、ことし出された、警察庁から都道府県警察本部長に通達が出されております。これには、いわゆる共謀罪について、捜査を行おうとするときは警察庁事件主管課に十分な時間的余裕を持って報告することとされたい、こういうふうにございます。
共謀罪施行から現時点まで、この通達にのっとった報告はございましたか。
○露木政府参考人 今御指摘の通達に基づく報告は、現在までのところ、ございません。
○山尾委員 引き続き同じ方に確認をしますけれども、この通達にある捜査というのは強制捜査のみならず任意捜査も含まれて、すなわち、今の御答弁は、現時点で共謀罪では任意捜査も含め捜査に着手した案件はゼロと伺ってよろしいんですか。
○露木政府参考人 そのとおりでございます。
○山尾委員 法務大臣にお伺いしますが、仮に、万が一ですよ、私の立場からいえば、共謀罪で、任意捜査であれ強制捜査であれ、送検されたときは報告が上がる、捜査に着手された際には、警察庁から法務省に情報共有というのはされるのですか。何らかの制度的担保はあるのですか。
○上川国務大臣 このテロ等準備罪の捜査につきましては、委員がただいま任意、強制に問わずというお話がございましたけれども、関係機関が連携をしっかりとしていく、そして、その捜査情報についての共有もしっかりとしていく、その上で関係法令にのっとって適正に行うということであるというふうに思っておりまして、このテロ等準備罪の捜査におきましても、職責上当然に承知しておくべき事柄につきましては、検察当局から法務当局を通じまして、必要に応じて適宜適切に報告を受けることになるというふうに承知をしております。
○山尾委員 ちょっと今の答弁はわかりにくかったんですけれども、つまり、万が一ですよ、共謀罪の初捜査案件で着手が行われたときに、法務大臣にきちっとそれが報告されるという制度的担保はあるんですか、ないんですかということです。
○上川国務大臣 個別具体の事案に即してしっかりと判断をし、そしてそれぞれ報告を受けるということになりますので、一概にお答えするということはなかなか困難であるというふうに考えます。
○山尾委員 一概に聞いているわけではなくて、この共謀罪が万が一、初めて捜査に着手されるときに、これはきちっと法務大臣に報告が行くという制度的担保はあるんですか、ないんですかということを聞いています。
○上川国務大臣 制度的担保ということについてはないというふうに思います。通常の捜査に係るものと同じように適正に運用するということでありますが、運用を通して、先ほど来の通知を通して皆様に報告をするようにということを指示しているところでございますので、それぞれの個別の事案に適して判断していくものというふうに思います。
○山尾委員 とすると、その判断をする側というのは要するに報告を上げる側の警察なわけですから、その判断に委ねるというふうに受け取ればいいんでしょうか。ちょっと、大変心もとなく思うんですけれども、大臣は、やはり八月三日の会見で、制定したものが初めの時期にどのように運用されるのかについては、国民の皆さんの理解を得ることが重要である、こうおっしゃっているんですね。
初めの時期にどのように運用されるのかということに国民の理解を得るためには、初めの時期に、まさに初めの時期というのは捜査の着手が一つの初めの時期ですけれども、そこがどういうふうに始まり、どういうふうに継続をされて、それが起訴につながるのか、つながらないのか、その前に送検につながるのか、つながらないのか、そういったことをしっかりと把握もしていただく必要があるので、ちょっと今の答弁では、万が一、初めて共謀罪について捜査がスタートするときに、自分に報告が上がるのかどうかも現時点で定かではないという状況は余りよろしくないというふうに思います。
ここは、一度法務省の中で警察としっかりと話し合って、しっかり報告が上がるように指示なりすべきだと思いますけれども、いかがですか。
○上川国務大臣 一般論ということで申し上げるわけでございますが、個別事件の捜査、公判にかかわる事項を公表するか否かにつきましては、捜査、公判に支障が生じるおそれの有無、程度、公表の必要性等種々の事情を考慮して、個別具体の案件、事案に即して判断をするということになります。
私も、今回のテロ等準備罪につきましての国会の中での御議論、さらにはさまざまな附帯決議もつけていただきました。いろいろな形で国民の皆様の関心、あるいは御懸念も大変高いということでございまして、その意味で、その点も踏まえてしっかりと対応することができるようにしてまいりたいというふうに思っております。
○山尾委員 恐らく、今は、答弁は私の次の質問に対する答弁を読んでいただいたような気がしますけれども、私が伺いたいのは、別に大臣が公表するかどうかというところにまだ行っていませんで、共謀罪が初めて捜査の着手が行われたときに、それは法務大臣がしっかりと把握できるようにするべきではないですかと。
要は、法務大臣が今この場で、いや、共謀罪が最初に捜査に着手になったときは、私はきちっと報告を受けて、それを把握することになっていますよ、こういう答弁はできないんですかということを言っているんです。そこは、今の時点では明らかではないということですね。(発言する者あり)いえ、大臣に聞いています。大臣の側からすると、それは明らかではないんですねということです。別に独立調査権のことを否定はしておりません。
○山下(貴)大臣政務官 私は、十九年にわたる検事、出向の間も含めてございます。また、警察が捜査に着手する、そして、その段階で、どのような段階で検察庁と情報共有するかということは、個別の事案によって区々でございます。そうした中で、もちろん、国民の耳目を引くような事案、あるいは関心の高い犯罪につきましては、そういったことも踏まえて、必要に応じて適時適切に報告を受けることになりますが、やはり事案に応じて状況は区々でございますので、一概に申し上げられないというのは、大臣もおっしゃるとおり法務省のスタンスであろうかと思います。
○山尾委員 では、政務官が発言してくださったので、大臣に確認いたします。
つまり、捜査段階等々で報告を受けるか否かというのは個別の事案によるので、一概には言えず、したがって、共謀罪の初めての案件であっても、それはその事案に応じて判断されるのであって、一概には言えないのだ、そういうことでよろしいんですか。それは大臣ですね、もう。(発言する者あり)いやいやいや、ここは、質問にも時間の制限がありますので、大臣にしっかりと。
○上川国務大臣 今回のテロ等準備罪のそれぞれ一連の過程の中でさまざまな御指摘がございました。それを受けて、国民の皆様に理解をしていただき、また、捜査が、公判も適切に行うことができるようにしていくということは、私の冒頭申し上げたところでございます。
関係機関が連携して、情報を共有しながら、関係法令にのっとって適正に行うということでございまして、事案に応じてまた変わりますので、一概にお答えすることはなかなか難しいということでございますが、例えば、受理、処理の内容、裁判の結果等の必要な情報につきまして、必要に応じて報告を受けるというふうになると思います。
○山尾委員 つまり、初めての共謀罪案件の捜査に着手がなされたときに、その時点で法務大臣は警察から報告を受けるのかどうかは、現時点では定かではないということですよね。
○上川国務大臣 あくまで、個々の事案に即して関係機関が連携をする、そして状況を共有する、そして関係法令にのっとって適正に行う、このしっかりとした手続にのっとって報告を受けるということでございます。
○山尾委員 質問にお答えください。
初めての共謀罪の案件が捜査に着手がなされた時点で法務大臣に報告が警察から上がるのかどうかは、現時点では定かなのか定かではないのか、お答えください。
これは大臣、引き続き大臣に……(葉梨副大臣「では、私、警察におりましたから」と呼ぶ)いや、警察にいましたとか関係ないでしょう。大臣に、今これ、大臣の答弁についての確認ですから。
○平口委員長 葉梨法務副大臣。
○葉梨副大臣 委員長に御指名をいただきました。(山尾委員「大臣の答弁の趣旨を明らかにするための質問ですから」と呼ぶ)はい、委員長に御指名をいただきました。(山尾委員「大臣の答弁の趣旨を明らかにするための発言ですから。警察にいたとか関係ないでしょう」と呼ぶ)
では、私がちょっと御説明をしてから大臣に。
これは、個々の事案について確定的なことを申し上げられないのはなぜかというと、刑事訴訟法に基づきまして、第一次捜査権というのは警察が持っているわけです。ですから、警察庁が警察法の調整権に基づいて通達を出して、各都道府県警察が独自捜査、任意捜査であっても、始めるときには警察庁に報告をくれるようにというような通達を出すこと、これは可能です。
ただ、あくまで、先ほど大臣も申し上げているとおり、検察庁と警察は連携をしなければいけません。そして、その連携というのはあくまで対等の立場で行われるわけですから、検察庁から警察に対して、必ずこういう場合には必ずこういう報告をしなさいというようなことを言うということは、強制はできないんですね。
実際上の連携の中で、いろいろな形での情報は上がってくるし、必要なものは大臣に上がるわけですけれども、大臣から、例えば警察庁に対して、都道府県警察に対して、強制をするということはできないんです。ですから、大臣のあのような答弁になっているということを御理解いただきたい。
○山尾委員 質問に答える答弁ならまだしも、私の質問は、報告が上がるということが定かになっているんですか、なっていないんですかということをお聞きしているんです。今の副大臣の答弁は、定かになっていない理由をるる述べられましたけれども、その前提として、私は、定かになっているんですか、なっていないんですかということを聞いているだけです。
だから、大臣、答えてください。
○上川国務大臣 このテロ等準備罪の問題につきましては、国民の皆さんの理解とそして協力を求めるという大変大事な法律でございました。さまざまな御議論もなされました。その意味では、捜査の情報の共有ということについては、最大限こうした共有をしていく、多分そういう事態になろうかと思います。
いずれにしても、関係法令にのっとって適正に行うということでございますので、必要に応じて適宜適切に報告を受けるということになろうかと思います。
○山尾委員 結局、また直接答弁を避けられたわけですけれども、結局は、初めて共謀罪案件で捜査がスタートした際に法務大臣がそれを把握できるのかどうかは、現時点で定かではないということですね。別に、その評価は言っていませんよ。定かではないということですね。その点についてお答えいただけるならどうぞ。
○上川国務大臣 個々の事案の中でいろいろな視点から判断をすべきことであるということで、全て一律にというような御趣旨の御質問であるとするならば、あくまでそれぞれの事案に応じてということになろうかと思います。
○山尾委員 時間になりましたけれども、私は、全て一律に報告を受けるんですかということを聞いているのではなくて、共謀罪の初めての案件について、捜査の着手のときには報告を受けるのですかとお伺いをしているだけであって、それが現時点では、法務大臣としては、それはその案件がどういう案件かによる、そういう意味では定かではないということでありました。
いずれにしても、今の答弁、共謀罪について、運用のときからしっかりと国民の理解を得るという大臣の発言とはちょっと沿わない対応だったかなというふうに、きょうの質問では思いました。
私ども立憲民主党の会派は、共謀罪廃止法案を出させていただきます。この法務委員会でしっかりと、その問題を浮かび上がらせた責任を、できるところまでとことん果たしていきたいと思っておりますので、どうぞその点もこの委員会でしっかりと御議論に応じていただけますように、よろしくお願いします。
以上です。
○平口委員長 次に、黒岩宇洋君。
○黒岩委員 おはようございます。無所属の会の黒岩宇洋でございます。
きょうは、裁判官の報酬法、そして検察官の俸給法の改正ということで、かなり時間が限られていますので、この点について、実務的な部分が中心になりますし、関連したことについて限定してお聞きをしたいと思っております。
それではお聞きしますけれども、判事補及び検事の任官時の格付、これが判事補で第何号、検事で第何号になっているのか。
これは数年前ですと、判事補で十二号で検察官で二十号だったんですけれども、現在は、判事補が十号で検事が十八号と格上げされました、この数年間で。これについて、その理由を丁寧に説明していただけますでしょうか。
○金子政府参考人 お答えいたします。
旧司法試験に合格し、司法修習を終えて検事に任命された新任検事の号俸は、検事二十号ということでありました。現行は、御指摘のとおり、検事十八号に決定しているということでございます。
この点ですが、一般の政府職員においては、専門職大学院の専門職学位課程等を修了し、職務に直接有用な知識、技術を修得した者については、給与上評価して、初任給を上位の号俸に決定できるということとされています。
そこで、平成十八年に開始された新たな、現行の司法試験に合格した者は、原則として二年または三年の法科大学院の課程を修了していますので、職務に直接有用な知識、技術を修得した者として、一般の政府職員との均衡を考慮し、二号俸上位の検事十八号に決定するということとしたものでございます。
○黒岩委員 わかりました。
ちょっと細かいところですけれども、ロースクールを出た方がという理由を今概括的におっしゃられましたけれども、予備試験組はどうなっているんですか。
○金子政府参考人 結論から言いますと、予備試験合格者も検事十八号俸に決定するということになっています。
その趣旨ですが、予備試験は、法科大学院修了者と同程度の学識、能力等を有するかどうかを判定するということを目的として行われていますので、このことを踏まえますと、予備試験の合格者についても法科大学院修了者と同等と扱うのが相当という判断のもとに、このようにされております。
○黒岩委員 そうしますと、最初、ロースクールの方だからという説明の中に、二年ないし三年の、ある意味時間的概念がかかわって、その修了者だから格付を上げるということをおっしゃいましたけれども、予備試験の場合は若くしてもなれるわけですから、年齢的な、またはそういったロースクールというプロセス自体は直接関係はないということでよろしいんですね。
○金子政府参考人 法科大学院の修了という、いわば二年ないし三年の課程の修了ということに一方で着目しているのが法科大学院の卒業生ということになりますけれども、予備試験につきましては、それと同等の学識、能力を有しているというその能力に着目しまして、法科大学院を修了した者と別に取り扱う理由はないという判断がされているということです。こちらは能力に着目したということになります。
○黒岩委員 そこで、ちょっと素朴な質問なんですけれども、今申し上げた、判事補は十二号から十号に格上げされました、検察官は二十号から十八号に格上げされました。そうしますと、現在、判事補の十二号、十一号、そして検事の二十号、十九号は該当者が誰もいないんですよ。誰もいないこの号俸が残っているんですけれども、この理由を率直にお聞かせいただけますでしょうか。
○小出政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、現時点で、判事補十一号、十二号及び検事十九号、二十号の各号俸に該当する判事補や検事は存在しておりません。
もっとも、今後も、旧司法試験に合格した資格に基づきまして司法修習生に採用され、その後に判事補や検事に任官する者が生じ得ることなどが想定され得るわけでございまして、このような場合に柔軟な対応を可能にするために、裁判官の報酬法、検察官の俸給法におけるこれらの号俸に関する規定を現在も残しているというところでございます。
○黒岩委員 どこから聞きますかね。
旧司法試験を受けて修習を受けて弁護士になる方というのは聞きますけれども、裁判官または検察官に任官される方というのは、過去においてどのくらいいたのか。そういう可能性が今後どのくらいあるのかという意味合いも含めて、実際に今までにどのくらいいたんですか。
○金子政府参考人 旧司法試験合格者がこの後任官するということについては、これまでのところについての資料がございませんで、今ちょっと手元に資料がなく承知していないので、今後もどうなるかといったことはちょっとわかりかねるところがございます。
○黒岩委員 結構、一般公務員を退職する寸前に、司法試験を通っていたから弁護士になろう、本当にこういうケースは少し聞きますけれども、そういった方がもう定年も間近な裁判官や検察官になるということは現実的にはほぼあり得ないという状況の中で、こういう号俸が残っているということに疑問を感じます。
そして、もう一つ疑問は、今、能力に着目したとおっしゃいました。確認しますけれども、では、旧司法試験に受かって任官された人は、格下の、要するに旧来の判事補十二号や検事二十号になり得るということで理解してよろしいんですね。
○金子政府参考人 従前の制度のもとでは先生御指摘のとおり二十号でしたので、今後も、従前の資格で検事、判事に任官しようという方であれば、十八号ではなく二十号というふうに遇される可能性は否定できないと思います。
○黒岩委員 否定できないということはわかりました。
これはもとに戻るようですけれども、くどいようですけれども、年齢とか期間に着目するなら、ロースクールを出た方、法学修了生で二年、未修了生で三年、こういう時間的概念が入るからというのも私は理解できるんですけれども、実際には時間的な概念じゃなくて能力だということになるということも今お答えいただきました。
そうしますと、旧司法試験の方が今の新司法試験よりもこれは簡単だ、能力が低いというように聞こえるわけですよ。これは非常に私は違和感があるんですけれども、この点についてちょっとお答えいただけますか。
○金子政府参考人 全てを学識、能力で説明できるというふうには思っておりませんで、法科大学院の課程を経た者につきましては、その課程において職務に有用な知識、技術を修得しているだろうということで十八号としているということであります。
予備試験合格者も同等の者ということを試験によって確認できているということですので、それで、その期間を経ずともその能力がある、学識、能力があるというふうに判断しているということで御理解いただければと思います。
○黒岩委員 やはり理解しかねますね。予備試験組はロースクール卒業生と同程度の能力、識見だということまではわかるんですよ。
比較なんですけれども、では、旧司法試験組は、ロースクール卒業程度の、新司法試験制度で合格したレベルと比べると、そこに達していないということなんですか。
○金子政府参考人 どのように説明したらいいか難しいのですが、旧司法試験のときには、ロースクール、法科大学院というのを経ずに、二年ないし三年の履修をなしにそのまま任官するということも当然想定されていたわけですね。
法科大学院制度を導入したときに、学部での学習のほかに、二年ないし三年の専門的な知識、技術を修得する課程というのを導入しましたので、一般的に言えば、その期間の分だけ経験がある、勉強もしているということで、スタートを少し高いところから始めたということであって、旧司法試験の方が劣っていたとか、そういうわけではないというふうに理解しております。
○黒岩委員 繰り返しますけれども、号俸の格付を上げた理由ということで何度かやりとりすると、やはり能力に着目してと。予備試験組がいるわけですから。
そこで、旧試験と新司法試験で、では、この能力の程度の違いというものをどうお考えなのか。これは合理的な説明を得ないと、やはり合格者数の数もかなり変わったということもあって、それこそ、皆様がさっき、旧司法試験組が、もしかしたら任官するかもしれないという人は今からかなり前の司法試験を受けていると。その時代は大変厳しい狭き門であって、これはロースクールで得られるいろいろな経験とはちょっと別かもしれませんけれども、しかし、やはり旧司法試験というのは大変狭き門だったわけで、能力的にこれが劣るというようなことは、私はどう考えても考えづらいと思っているわけですよ。
その人たちのためにこの号俸をあけておくというのは、これはちょっと、非常に国民にとってもわかりづらい、私たちにとっても非常にわかりづらい状況になっている。
この点について、もうちょっと明確にお答えいただけませんでしょうか。
○金子政府参考人 今御説明させていただいた以上の説明はなかなか難しいと思っております。それでなかなか御理解いただけないということであれば、何か考えなきゃいけないということになってくるのかもしれません。
○黒岩委員 では、もう時間がないので、最後にちょっと大臣に御所見をお聞きしますけれども、今のやりとりで、金子さんもなかなか苦しい答弁だったんですけれども、やはりロースクール、新司法試験ありきというか、これは法曹養成全体を見直さなきゃいけないんですけれども、新司法試験で受かった方は格付が高い、こういうような立ち位置自体がもう既に揺らいでいるんじゃないかという指摘を我々はしているわけですよ。
それも踏まえて、法曹養成について、これから非常に大きな、また自由闊達な議論が必要になってくるわけですから。この号俸を見ても、何か固定的概念が残っている。しかも、これは法律ですからね。法律の中にいまだにこの内容が明記されているということが、私は非常に問題意識として提起をさせてもらいますし、今後の法曹養成制度全体の議論について、やはり今言ったように新司法試験ありきではないという私の考えについて、上川大臣としての今後の方向性も含めた御所見をお聞かせください。
○上川国務大臣 豊かな能力を持つ法曹が輩出されて社会の中で活躍をするということは、時代の要請に極めて合うものというふうに思います。
現在、法曹養成制度改革連絡協議会等を通じまして検討を鋭意進めているところでございまして、ただいま委員からの大きな問題提起があったというふうに受けとめさせていただきますけれども、そうしたことも含めまして、引き続きの検討を全力で取りまとめてまいりたいと思います。
○黒岩委員 最後に念のために申し上げますけれども、平成十八年に新司法試験制度が始まって、そのときの想定に立脚して物事が進んでいるということ自体が、今後考え直さなきゃいけないというための一つの指摘として今回の号俸問題を取り上げさせていただきましたので、どうかこの点を御留意して深い議論をしていただくことをお願いして、私の十五分の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○平口委員長 次に、藤野保史君。
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
まず、給与法につきましては、これは人事院勧告に沿った改定であり、かつ、若年層に厚く引き上げる内容になっております。私たちとしては賛成をしたいと思っております。
その上で、きょうは、いわゆる未来の司法を担う若手法曹の問題、修習生の問題についてお聞きをしたいと思います。
ことし四月、裁判所法の一部改正が行われまして、司法修習生に対する修習給付金制度が創設をされました。これはビギナーズ・ネットを初め関係者の皆さんの粘り強い運動が政治を動かしたというものでありまして、一歩前進だというふうに思っております。
同時に、きょうお聞きしたいのは、若手法曹がより一層活躍できるようにするために解決すべき課題であります。いわゆる谷間世代に対する救済の問題であります。
谷間世代というのは新六十五期から七十期の法曹のことでありまして、この方々は新たに創設された修習給付金制度が適用されないということで、いわゆる谷間世代と言われております。私も、この方々からお話を直接聞きまして、ことし三月の当委員会でも質問をさせていただきました。
新六十五期の皆さんは来年の七月二十五日から返済がスタートしていくわけですね、貸与されたお金の。ですから、これは非常に差し迫った問題になっております。十一月二十七日には日弁連の主催で院内で集会も開かれました。そういう意味では、これは本当に早急の検討を要する課題だということでお聞きをしたいと思います。
まず、前提として最高裁にお聞きします。
この新六十五期から七十期の方々で、国からの貸与を受けている人数、修習生に占める割合、そして平均の貸与額、これはどうなっていますでしょうか。
○笠井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
新六十五期につきましては、採用者数二千一人に対して貸与人数は千六百八十八人、この数字を前提といたしますと、貸与割合は約八四%、平均貸与額は約三百十五万円でございます。
以下同様に、六十六期は、採用者数二千三十五人に対して貸与人数は千六百四十五人、貸与割合は八一%、平均貸与額は三百十三万円でございます。
六十七期は、採用者数千九百六十九人に対して貸与人数は千四百四十九人、貸与割合は七四%、平均貸与額は三百十五万円でございます。
六十八期は、採用者数千七百六十一人に対して貸与人数は千百八十一人、貸与割合は六七%、平均貸与額は三百十九万円でございます。
六十九期は、採用者数千七百八十七人に対して貸与人数は千二百五人、貸与割合は六七%、平均貸与額は三百二十三万円でございます。
七十期は、採用者数千五百三十人に対して貸与人数は九百九十三人、貸与割合は六五%でございます。なお、七十期につきましては、修習期間中でございまして、貸与が終了しておりませんので、平均貸与額は算出しておりません。
以上でございます。
○藤野委員 配付資料の一を見ていただきますと、今おっしゃっていただいた数字が並んでおります。平均で七四%の方が貸与を受けている。谷間世代と言われる方の中の七割、多いときは八割がそういう方々だということで、これは極めて大きな影響を与えるわけですね。
ここで一言言っておきますと、では残りの二六%の修習生は全然余裕があったのかというと、そういうわけでもないんですね。国からの貸与は受けていないけれども親族やあるいは民間業者から受けた方もいらっしゃいますし、借りなかった方もいらっしゃるんですけれども、実態が今不明であります。ですから、これはぜひこの実態把握も含めてやるべきだということは指摘しておきたいと思います。
そして、配付資料の二は、日弁連の集会で紹介されました、谷間世代の弁護士、修習生の皆さんの声であります。
紹介しますと、同じ内容の研修を受け、同じ研修専念義務があるのに、期によって、貸与制で重い借金を負わされたり、給付制で経済的負担が軽減されるのは不公平だと思う、国が無理な制度設計をするはずないだろうと信頼してロースクール進学、修習参加しましたが、自分が抱えた借金の額を目の前にしてみると、返済が困難な額に達してしまっていることに気づきました。こういう声であります。こうした切実な声に応えるべきだと思うんですね。
実際、これは個々のケースではなくて、配付資料の三を見ていただきますと、これもそのときの資料なんですが、割合なんですね。新六十五期の方で、貸与金返済のめどが立っていますかという質問に対して、「全額返済できる目処が立っている。」一八%、「一年分の返済の目処は立っている。」三四%、そして「返済の目処は立っていない。」、これは四六%。実に、返済のめどが立っていない方が半数近いわけですね。立っている人でも、一年分のみという人が三割を超えている。これは深刻な状況であります。
そして、大臣にぜひ御認識いただきたいと思うのは、単にこうした個々の法曹の問題というだけではなくて、私は、これは弁護士あるいは弁護士会が果たしていくべき社会的責任との関係で問題が生じかねない側面もあるというふうに思っております。
配付資料の四を見ていただきますと、貸与金返済等の経済的理由によって、現在業務や活動に影響が生じていますか、こういう質問に対して、「はい」と答えたのが五〇%。その「はい」と答えた方に、どのような影響が生じていますかと聞いたところ、「弁護士会の会務活動を控える」が六五%、そして「弁護団活動を控える」は五一、「興味のある分野に取り組むことを控える」は五五、「結婚や出産などライフプランの変更を余儀なくされている」は五三。
ここでお聞きしたいのは、会務活動との関係なんですね。聞きなれない言葉でありますが、これはもともと公益活動と呼ばれていた活動の一環でありまして、この間、法改正や弁護士会規則の改正等によって会務という名前になっておりますが、基本的には同じようなことでございます。
配付資料の五を見ていただきますと、日弁連の二〇一七年度の会務執行方針目次であります。これは目次でありまして、実際は七ページほどあって、ずっといろいろな方針が提起をされているわけですね。
青いところを見ていただきますと、第一、平和と人権を守る、第二、利用しやすく、頼りがいのある民事司法の実現、第三、法曹養成制度の改革。あるいは、第六では冤罪を生まない刑事裁判の実現、第七では災害等により被害を受けた人々の生活の回復など、非常に国民の権利や利益の実現に直結する大切な問題を、会務として弁護士が、弁護士会が取り組んでいるということであります。
ここで法務省にお聞きしたいんですが、司法制度改革審議会でもこの弁護士会のあるべき責任あるいは公益活動について触れているところがあると思うんですが、どのように指摘されているでしょうか。
○小出政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の司法制度改革審議会意見書の該当部分の内容について、読み上げさせていただきます。
弁護士は、誠実に職務を遂行し、国民の権利利益の実現に奉仕することを通じて社会的責任(公益性)を果たすとともに、その使命にふさわしい職業倫理を保持し、不断に職務活動の質の向上に努めるべきである。
弁護士の公益活動については、その内容を明確にした上で、弁護士の義務として位置付けるべきである。また、公益活動の内容について、透明性を確保し、国民に対する説明責任を果たすべきである。
このような記載がございます。
○藤野委員 今言っていただいたように、二〇〇一年の六月十二日に出されました司法制度改革審議会の意見書でも、社会的責任という文脈で、この公益活動ということが位置づけられているわけであります。
ところが、先ほどのアンケートにありましたように、この谷間世代の人たちにとっては、会務活動を控えるというのが六五%で一番多くなってしまっているということでありまして、法務省にお聞きしたいんですが、これでは、弁護士が社会的責任を果たすという一番大事な使命との関係でもマイナスの影響が及んでいくのではないか、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
○小出政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、弁護士につきましては、先ほどの司法制度改革審議会意見書が指摘していますように、国民の権利利益の実現に奉仕することを通じて社会的責任、公益性ですね、これを果たすことが期待されているというふうに理解しております。
もっとも、そのような弁護士の社会的責任が重要であるといたしましても、個々の弁護士がその責任をどのように果たしていくかにつきましては、各弁護士の活動のありようにかかわる問題でございます。また、実際に弁護士となった者の活動内容もさまざまでございまして、弁護士の公益性への期待を理由といたしまして、直ちに、従前の貸与制下において貸与を受けた司法修習生に対し事後的な救済措置を講ずる必要性が根拠づけられるものではないのではないかというふうに考えているところでございます。
この谷間世代に対する救済措置につきましては、制度設計の際も検討したところでございますが、このような救済措置を設けることについて、国の財政負担について国民的理解を得られるのか、あるいは制度設計として現実的なのかといった点の考慮は不可欠であるというふうに考えております。
○藤野委員 いろいろおっしゃいましたけれども、例えば国の財政負担、国民の理解を得られるのかとありましたが、私は得られると思いますよ。
先ほど日弁連の集会のことを紹介しましたが、この集会には、与野党を超えて、百五名の方が賛同のメッセージを寄せている。与党からもたくさん寄せられているわけです。ですから、そういう意味では国民の理解は十分得られると思います。
配付資料の七を見ていただきますと、これはことし三月二十四日の裁判所法等の参考人質疑の議事録なんですが、法律の専門家である角田日本大学教授やあるいは郷原弁護士も、この給付制の問題とあわせて、谷間世代の救済ということもやるべきだということをおっしゃっているわけですね。
角田先生はこうおっしゃっております。同じ法曹で貸与制と給付制で、本当に数年前後だけで大きな差ができるというのは、これは非常に不公平で、しかも、法律家のその後の物の考え方だとか活動にも影響を与えかねない面もある、こういう指摘をして、救済すべきだとおっしゃっているわけで、私は、これはやはりしっかり受けとめるべきだと思うんですね。
最高裁にお聞きしたいんですが、郷原参考人は当委員会で、救済の一つのやり方として、基本給付金の部分、給付制の基本給付金十三万五千円の部分、これについては例えば免除という制度もあり得るんじゃないかという趣旨で御発言されているんですが、仮にこの郷原参考人がおっしゃるような免除をした場合、必要な予算というのは幾らになるんでしょうか。
○笠井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
新六十五期から七十期までの司法修習生のうち、貸与金を借り受けた修習生は約八千人でございまして、借り受けた修習生に対して月額十三万五千円を免除する場合の総額は約百四十三億円余りとなります。
○藤野委員 ですから、百四十三億円、これは本当に政治決断で解決できる水準だというふうに思うんです。
他方で、今のは免除に関する金額でありまして、先ほど、二六%、実態がわからないと申し上げましたけれども、貸与が受けられなくて親族や民間業者から借りた人や、あるいは、もう要らないよという方もいらっしゃるので、ここはやはり、個別の事情を踏まえてきめ細かな対応をすべきだというふうに思います。
もう時間が来たので終わりますが、谷間世代がなぜ生まれたかというと、これは政治の責任であります。修習生が選んだわけじゃなくて、政治がつくり出して、給費制を廃止して貸与制に移行し、そして今回は給付金制度を創設した。まさに政治が翻弄しているという側面があるわけですから、これはやはり政治決断で谷間世代を救済すべきだ、これを強く求めて、質問を終わります。
○平口委員長 次に、柚木道義君。
○柚木委員 希望の党の柚木道義でございます。よろしくお願いいたします。
今、この質疑の答弁者を見て私は愕然としているんですけれども、委員長、前回の大臣所信への一般質疑で、過去にも当然前例がある国家公安委員長、そして、準強姦罪の警察捜査の適正性について、まさに逮捕の執行停止命令を出された当事者である中村格現官房総括審議官、まさに総括審議官ですから、大賀さんの上司じゃないですか。来てくれるのかと思ったら、何で長官も中村審議官も来ていないんですか。前回あれだけお求めをして、そして、委員長が理事会でしっかりと協議をしていただくと言うから、私はやむなく質疑を続行したんですよ。
きょうは、給与法の質疑、事前通告七項目、もちろんしていますよ。しかし、この時間の中で前回の積み残しをさせていただけるということで、準備もしてきているんじゃないですか。
前回の質疑後、本当に多くの国民の皆さん、全国から、モリカケ問題はもとより、この問題についても、この疑惑を隠蔽させないでくれ、そういう声がたくさん来ていますよ。私が質疑の動画をアップしているだけでも、もう八千回再生されていますよ。ユーチューブを入れたら、もう何万回も再生されているんですよ、委員長。本当に、見た方の意見の大半は、中村さん、国家公安委員長、何で出てこないんですか、何かやましいことがあるからじゃないですかという反応になっちゃっているんですよ。
そういう、まさに、モリカケ問題、そしてこの準強姦罪疑惑、隠蔽三点セットなんて言われないためにも、ぜひちゃんと国家公安委員長並びに中村格元刑事局長にこの委員会に来ていただくように、あれだけお願いしたじゃないですか。
私、通告の質疑に入れませんよ、このままじゃ。ちょっと理事の皆さん、お願いしますよ、ちゃんと。ちょっと理事の皆さん、ちゃんとやってください、委員長。
○平口委員長 理事会で御協議いただきましたが、協議が調わなかったということでございます。
○柚木委員 前回の質疑後に、もちろん記者の方もみんな見ていますよ、こう言われましたよ。いや、これはまさに、モリカケ問題ももちろん、国民の皆さん、まだ全く納得していない方が大半で、それに加えてこの問題まで出てきて、万々が一にも、この「総理」という本を書いた方が当時被疑者だった、総理に近い記者だからこれはもみ消されたんじゃないかというようなことであっては、本当に万が一にもですよ、そんなことであれば、これは安倍内閣即刻総辞職になりかねないから、政権与党を挙げて質疑妨害しているんじゃないですかという記者の意見、私に直接来ていますよ。そういう見られ方をされているんですよ。
そうですよ、与党の皆さん、本当に。いいんですか、そんな見られ方をされていて。そういう疑惑を払拭するためにも、当事者の方に、これは大賀さんじゃわからないじゃないですか。
ここに、きょう、その積み残しをやらせていただけるというから、当然、給与法の通告もしてきているんですよ、私は。
できないですよ。前回、そうやってちゃんときょうの委員会に向けて協議をいただけると言っていただいたから、私は質疑を続けましたよ。でも、それをごらんになった皆さんが、全く納得できないと、たくさんの意見が全国から来ていますよ、メールも電話もお手紙も。そういうまさに国民に開かれた司法に応えるのが、政府・与党を含めて、この委員会の責務じゃないんですか。
委員長、では、せめてあしたは、もともと定例日ですよ、来てくださいよ、一般質疑で。そして、そのことをせめて約束してくださいよ、この場で。
そうじゃなかったら、私、前回、きょうやらせてもらえると信じて準備もして臨んでいるんです。理事会で協議して、引き続き協議するというようなお話も筆頭間で、私は、古川与党筆頭理事、尊敬しているんですよね、筋を通される方で。これまでの過去のさまざまな法案の経緯、筋が通らなかったら、まさに与党の中でもその筋を通されている、すばらしいなと私は思って拝見しているんですよ。
これはぜひ、せめて、ではあしたの定例日、中村格元刑事部長あるいは国家公安委員長、一般質疑で来ていただけると、これは理事でちょっと協議してください。約束してください、委員長。
○平口委員長 理事会で協議いたします。(柚木委員「いや、理事会じゃだめです。ここで協議してください。そうやってまた逃げられるじゃないですか。それできょうになっているじゃないですか」と呼ぶ)ルールは理事会になっておりますので、理事会で協議します。(柚木委員「いや、今、委員長、協議してくださいと言っているんです、この場内で。お願いしますよ。そうじゃないとまた逃げられちゃう」と呼ぶ)質問を続けてください。(柚木委員「できないですよ、そんなんじゃ。できないです」と呼ぶ)質問を続けてください。(柚木委員「約束してください。当然の出席の義務でしょう、憲法上要請されている。違うんですか。協議してくださいよ。お願いしますよ。何で、そんなにやましいんですか。やましくないんだったら、ちゃんと協議してください」と呼ぶ)理事会で協議することになっておりますので、理事会で協議していただきたいと思います。
柚木君。
○柚木委員 これは、前回、まさに理事会に御報告をいただくことになっている、大賀審議官、ちゃんと報告していただいているんですよね。中村元警視庁刑事部長が、伊藤詩織さんを被害者とする準強姦疑惑、当時、被疑者への逮捕執行停止について当時の中村刑事部長が、これは資料五ページ目、これも今回パネル提示がだめなんですよ、資料だけで。何でだめなんですか。ちゃんと個人名を全部Y氏に変えているじゃないですか。何でだめなんですか。
ここにも書かせていただいているように、中村刑事部長は当時認めているんですね。私が決裁した、逮捕の執行中止命令を出している、指揮として当然、自分として判断した覚えがあると。
その判断をする際に、執行停止命令の前後に安倍総理あるいは菅官房長官に報告、連絡、相談など何らかのやりとりをしたかどうか。これはちゃんと確認をしていただけたんですかね、委員長。委員会に報告はあったんですか。理事会に報告はあったんですか。委員長、求めましたよ、前回、報告をしていただくように。
ちょっと速記をとめてくださいよ。委員長に聞いているんです。求めましたよ、前回。ちゃんと議事録にも残っていますよ。理事会に報告はあったんですか。重要な点ですよ。報告はあったんですか。理事会に報告をいただくように。
○平口委員長 理事会で協議中でございます。
○柚木委員 いや、協議中じゃなくて、私が前回質問をして、当然、次回までに報告をしてくださいと。それは、聞いていただいていればわかるじゃないですか。何を協議されているんですか。確認すれば済むことですよ。
大賀さん、確認してきたんですか。答弁ください。
○大賀政府参考人 御指摘の事案につきましては、警察及び検察における所要の捜査を経まして、不起訴処分とされております。さらに、その後、検察審査会においても不起訴相当の議決がなされたものと承知をしております。
警察庁としましては、こうした経緯も踏まえて、お尋ねの事案の捜査過程等の詳細についてはお答えを差し控えているところでございますが、それを前提としてでございますけれども、あえて申し上げますけれども、中村総括審議官に確認をいたしましたところ、警視庁刑事部長在任当時、お尋ねの事案を含め個別の事案に関しまして総理や官房長官等に報告をしたことはない、このように聞いております。
○柚木委員 それは本当ですか。本当ですか。いや、目をそらさずに。
○大賀政府参考人 先ほども御答弁いたしましたように、そのとおり聞いております。
○柚木委員 執行停止命令、中村元刑事部長がみずから決裁したことは本人も認めている。では、いつ決裁したんですか。
○大賀政府参考人 お尋ねの事案に関しましては、先ほども御答弁しましたような経緯もありますことから、個別の具体的な捜査の過程等については答弁を差し控えさせていただいているところでございます。
○柚木委員 そういう答弁をするから疑惑が深まるんですよ、審議官。組織決定をして、決裁文書も残っていると、超党派議連の場で答えているじゃないですか。いつ決裁したんですか。
○大賀政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、具体的な捜査の経過等については答弁を差し控えさせていただいているところでございます。
○柚木委員 中村元刑事部長はみずから決裁したということを認められていますが、その点については中村さんに確認されましたか。
○大賀政府参考人 国会で答弁をするに当たり、警視庁及び当時の刑事部長である中村総括審議官から報告を受けた上で答弁に臨んでおります。
○柚木委員 国会で事実上、初めて今認めましたね、中村元刑事部長がみずから執行停止命令を決裁したと。
そしたら、これは決裁書は残っているということも議連で聞いていますから、いつ付の決裁書なんですか。
○大賀政府参考人 お尋ねの事案につきましては、冒頭御説明した経緯もある事件でございますので、捜査の経緯等について詳細をお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。
○柚木委員 一般例で結構ですから、組織決定、決裁して文書に残すというのは通常どういう手続なんですか、お答えください。
○大賀政府参考人 個別の事案に応じて必要な幹部まで報告が上がり、組織として判断をしているものと承知をしております。
○柚木委員 通常、そのためにはどれぐらいの時間、日数を要するんですか。通常。
○大賀政府参考人 事件によりまして証拠関係等も区々でございますので、一概に申し上げることは困難でございます。(柚木委員「通常は、大体」と呼ぶ)一概に申し上げることは困難でございます。
○柚木委員 今の答弁をされると、ますますこれは疑惑が深まるんですよ、審議官。一概に言えないですよね、それは。
成田空港に所轄の捜査員が逮捕にまで、もう現場まで行っていて、その四日前には、詩織さんはドイツに仕事で行っている、逮捕するから帰ってきてくれと。しかも、目の前を当時の被疑者が通過をして、その直後に詩織さんに電話がかかってきている。行っているんですよ、現場まで所轄の捜査員が。組織決定を通常のプロセスでやっていれば、所轄の捜査員が現場まで逮捕に行くような段階の寸前でストップなんかかかりませんよ。
寸前で、現場まで行っていて、有名人、著名人が被疑者で、刑事部長が、所轄じゃなくて、みずから執行停止命令を出した事案、過去に何件あるんですか。
○大賀政府参考人 都道府県警察における個々の事件の詳細について、網羅的に警察庁として把握しているものではございません。
○柚木委員 調べてもらえませんか、こういう疑惑を持たれないためにも。
現場の捜査員が逮捕にまで行っているんですよ。組織決定していたら、そんなことにならないじゃないですか。どれだけばたばたで決めたんですか。だから、そんな異例中の異例のこと、皆さんのOBの方もそう述べられていますよ、そんな異例中の異例のことが起こるためには、申しわけありませんが中村さん一人でそんなことはできないと。皆さんのOBの方が言っているんですよ。だから私は尋ねているんですよ、本当ですかと。
安倍総理や菅長官に報告されていないんですか。ましてや、中村さんは菅官房長官の元秘書官じゃないですか。やめた後も一日一回連絡をとり合う仲なので、そういうふうなことを報告することの方が普通でしょう。
現場の警視庁刑事部長がそんな逮捕直前に執行停止命令を決裁するのは、これは一般的なんですか、一般的じゃないんですか。それぐらい答えてください。
○大賀政府参考人 一般論としてお答えいたしますけれども、警察署が行っている捜査に関して、警察本部が適正捜査の観点から指導等を行うのは通常のことでございます。逮捕状が発付されている場合においても、その後、逮捕の必要性、相当性がなく、逮捕をするべきではないと組織的に判断をされる場合には、当然のことながら、本部から警察署へ、執行しないようにという旨の指導が入るということでございます。
○柚木委員 その指導、通常、そういう報告が入るのはどれぐらい前なんですか。
○大賀政府参考人 事案によって区々でございますので、一概にお答えすることは困難でございます。
○柚木委員 もう最初からずっとそういう逃げの答弁、いいかげんにそろそろやめていただけませんか。
法務大臣、この執行停止命令が出たときの法務大臣は誰かと調べたら、何と上川大臣なんですね、当時。この案件、聞いていましたか、執行停止命令。
○上川国務大臣 個別の案件については答弁は差し控えさせていただきます。
○柚木委員 これは本当に、皆さんも当然御承知のように、検察、警察というのは、立件するまで、当然、公判がもつかどうか、情報共有しながら進める。この間、それは当然のことですよね。ですから、当時、私も調べてみてびっくりしたんですよね。上川大臣が第三次安倍内閣で、ちょうど執行停止命令が出たときの法務大臣なんですよね。
個別の案件と言われますが、これは本当に御存じじゃなかったんですか、大臣。報告は行っていないんですか。いや、これは報告を受けていないんだったら報告を受けていないと言われた方がいいですよ。そうでしょう。
これは陸山会の事件も、前回も今回も資料をつけていますけれども、まさに調書を偽造までして強制起訴まで持っていって、検察の信用が地に落ちて、本当にこれは、法務大臣、当時の法務大臣が指揮権を発動して、ちゃんと捜査させることまで考えられていた。
これは、今回、知っていたら、逆の指揮権発動になりかねませんよ、法務大臣。知らなかった、報告を受けていないんだったら、逆にちゃんと言われた方がいいんじゃないですか。
○上川国務大臣 お尋ねの個別事件に係る捜査の具体的内容にかかわる事柄でございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
○柚木委員 これは、そうすると、本当に疑惑が晴れません。どころか、ますますこれは、警察の適正な捜査、プロセスについて疑念を持たれないようにということで質疑しているのに、法務省ぐるみとなりかねませんよ。大臣、その疑念を払拭するためにも、そこはちゃんと明言された方がいいと思いますよ、私は。
そういうことが、まさに検察審査会の中でも、前回もまともに答えていないじゃないですか、皆さん。(発言する者あり)いや、見ている人はそう思っていないんですよ。あなただけですよ、そう思っているのは。ぜひ……(発言する者あり)今やじを飛ばしている大塚さん、あなたのことですよ。やじをやめさせてもらえませんか、委員長。ずっと、前回も。ちょっと、理事がやじ飛ばすのやめてもらえませんか。委員長、注意してもらえませんか。
ずっとしゃべっているじゃないですか。ひとり言をずっとしゃべっていいんですか、この委員会は。注意してくださいよ。安倍総理も、いつも委員長から注意してもらっているじゃないですか。何で私だったら注意してくれないんですか。(発言する者あり)注意してください、そういうことを言うのは。
○平口委員長 ルールに従ってやってください。
○柚木委員 こういうことが起こるから、私、通告も、最後の項目に追加で入れておいたんですけれども、きょう、資料の最後にもつけております。ごらんください。
これはまさに、陸山会の強制起訴が虚偽の捜査報告書を用いてなされたことで、その後、その虚偽の捜査報告書を書いた方に対して、逆に検察審査会は、不起訴はおかしい、こういう中で、検察に対する批判が高まっているんです。その中で、検察審査会自体のあり方も問われているんです。
これはまさに、冤罪を起こしちゃいけないのもそうだし、逆に、真に有罪の方がそうじゃないというケースになってもいけない、両面あるわけですね。つまりは、でっち上げもだめだけれども、もみ消しもだめですよと。そういう課題の中で、これはジャーナリストの江川紹子さんもコメントしていますね、検察に不祥事が起きたときにチェックする機関がないという問題が改めて明らかになった、外部の検証委員会などが必要だと。
私は、まさに検察審査会、検察審査法の中でも、いろいろな意味で外部に対して情報公開がなかなかしづらい仕組みになっている。しかし、何か問題が提起されたときぐらいは、では、外部の第三者機関、検証機関で、でっち上げやもみ消しがないということを証明いただく、疑義を持たれないためにも、そういう第三者機関をぜひ設けていただくことを検討いただきたいというのを最後の項目に加えているんですよ。
上川大臣、ぜひこういう、まさに今御答弁もできないんですから、だったらせめて、この検察審査会、ブラックボックスというようなことを、疑念をどっちの意味でも持たれないためにも、でっち上げ、もみ消し、どっちでもない、そのためにも第三者機関の設置を御検討いただけませんか。
○上川国務大臣 ただいま委員からさまざまな提案をなさっていただきました。
検察審査会法に対しましては、さまざまな御意見があるということにつきましては承知をしているところでございます。
現段階におきまして具体的に見直しが必要であるとまでは考えているところではございませんが、その運用実績をしっかりと注視し、また、資料の収集等をする中で、見直しの要否を含めて検討してまいりたいというふうに思います。
○柚木委員 現段階ではということを付言されているんですね。
ぜひ、今こういう状況もあり、そして、かつてのこういう陸山会のときのような問題も指摘をされていて、検察捜査のあり方あるいは検察審査会のあり方そのものが問われてきているんですから、現段階、まさにこの質疑も含めて、私は第三者機関の設置を御検討いただきたいと思うんですよ。
前回もお尋ねしましたが、きょう、検察、行政文書の開示、前回も本当に不誠実な答弁で、きょう段階でもまだ届いていないんですよ。届かない理由を聞いたら、時間がかかると。何で時間がかかるんですか。何できょうの段階で出していないんですか。せめて、一体いつになったら出せるのかぐらい御答弁ください、めど、目安を。
○平木最高裁判所長官代理者 東京第六検察審査会に確認いたしましたところ、御質問の文書開示につきましては、昨日、開示する文書の名称や範囲等について記載した文書を請求者に宛てて発送したと聞いておるところでございます。(柚木委員「昨日発送した」と呼ぶ)はい。
○柚木委員 昨日発送しているんですから、都内ですから、では、もうきょうには着いている可能性があるということですね。それを確認させていただいて、ぜひ、あした質疑の機会をいただけたらそれを踏まえてまたやりたいと思うので、お願いいたします。
検察審査会の中で最大の証拠としてポイントだった防犯カメラの動画、これについても全く誠実な答弁をされないんですよ。
これは、実際にちゃんと見ていただいたかどうかについて、内容じゃないんですよ、見ていただいたかどうかでいいんですよ。これについて答えていただかないと、今回の不起訴相当が公正なものかどうか、これは判断が全く変わってきますよ、審査員の方が見るか見ないかで。だから、見たか見ないかについてぐらい答えてください。お願いします。
○平木最高裁判所長官代理者 検察審査会法三十五条により、検察審査会は検察官に対して審査に必要な資料の提出を求めることができるとされており、基本的には全ての事件におきまして捜査記録が提出されているものと思われますが、個別の事件でどのような証拠が提出されたのかということにつきましては、検察審査会法二十六条により検察審査会議は非公開とされておりますので、承知しておりません。
○柚木委員 いや、だから、繰り返しますよ、局長。それだったら、本当に検察審査会の判断が公正だったかどうか全く判断できないし、むしろ疑念を持たれますよ。その映像を見るかどうかで審査員の方の判断が全く変わり得るんですよ。証拠一式は、動画も、今こういう時代ですからね、当然、防犯カメラの動画、証拠提出されますよ。それを事務局の判断で見せる見せないなんて、そんなところに恣意的な要素が入り込んだら、幾らでも結果を左右できるじゃないですか。
内容について聞いているんじゃないんですよ。見たかどうかぐらい答えてくださいよ。じゃないと、これは本当にでっち上げと言われかねませんよ。見たかどうかぐらい答えてくださいよ。
○平木最高裁判所長官代理者 重ねてのお答えとなり恐縮でございますが、個別の事件でどのような証拠が提出されたのかということにつきましては承知してございません。
○柚木委員 これで本当に、ますますこの不起訴相当の公正性に疑念は深まりましたよ。
きょう、まさに最初の民事訴訟が行われますね、東京地裁で十三時十五分から。本当に、私は、これはどっちの視点でもと言っているんですよ、でっち上げもだめだし、もみ消しもだめ。つまり、冤罪もだめだけれども、御承知のように、司法制度改革の中で一つ欠落しているのは、犯罪被害者に対する視点がやはり非常に弱い。そんな中で、今回はそっちの事例なんですよね。でっち上げもだめだけれども、もみ消しもだめなんですよ。だから、ブラックボックス化を少しでも透明にする努力をしてくださいよ。
法務大臣、今申し上げましたように、この事案については、きょうの一時十五分から東京地裁で民事訴訟が始まるんですね。これは一般論、どの裁判でも当然そうですけれども、裁判においては、本当に公正な裁判がなされるということが、これは当然、警察、検察、司法、どの立場からおいても、大臣がいつもおっしゃる、国民に信頼を持たれる開かれた司法の大前提だと思いますよね。
こういう裁判が当然公正に行われるものと私は理解していいんでしょうか。
○上川国務大臣 検察当局におきましては、所要の捜査を遂げた上で、法と証拠に基づきまして適正に事件の処理を行うということが基本である、この基本にのっとって忠実に職務を遂行していくのが大切というふうに考えております。
○柚木委員 この事案は、準強姦罪という事案で捜査がなされ、そして現在に至っていますけれども、本当に、罪状によっては、私もいろいろな専門家の方からこの件については御意見を伺いますけれども、診断書もあって、これは傷害罪だったら当然立件されるとかいろいろな見方がある中で、準強姦罪で争われていますね。
つまり、当時被疑者だった方が民事も含めてどういう結果になるのか、私ももちろん、あるいは国会としても当然注視をしていくことが、これは三権分立であると同時に、行政の適正性をちゃんとチェックするのは立法府の機能として国民から求められていることでもありますから、ここはしっかりと私はチェックをしていきたいと思っております。
私は、ぜひ、検察審査会法、これの改正を省全体で御検討いただきたいんです。なぜならば、前回議論したこと、今申し上げましたが、例えば第三者機関の設置、情報開示のあり方、あるいは当事者の意見陳述権、これはどちらの方もちゃんと出たらいいじゃないですか、被疑者の方も、被害者、申立人の方も。そして、検察官が陳述される場合には、法律の専門家である審査補助員を必ず選任する。
こういったことで、ブラックボックスと言われないための、まさに大臣が常々おっしゃる、開かれた司法、司法制度の透明化、その中での国民参画でなければ。
これはくじ引きのこともきょう通告していますけれども、くじ引きソフト、まさに森ゆうこさん、参議院でも、この国会でもされるのかもしれませんけれども、この事案。幾らでも恣意的要素が入り込めるようになっているんです。
ですから、そういう点も含めて、検察審査会法改正、これをぜひ省内で検討いただきたい、大臣。検討いただけるぐらいのことは、ぜひ前向きな御答弁いただけませんか。
○上川国務大臣 委員からもさまざまな御指摘をいただきました。また、現段階では具体的に見直しが必要であるとまでは考えていないということについても申し上げたところでございますが、さらに、運用実績を注視しながら、資料の収集等をする中で、見直しの要否も含めまして検討してまいりたいと思います。
○柚木委員 ぜひ……(発言する者あり)いや、通告をしているんですよ。ちゃんと答弁してくれないからできないんじゃないですか。
ぜひ、このくじ引きについても、くじ引きの問題は、事前に通告もしているように、まさにこの本の中にも出てきます、実際に最高裁から人が来てデモまでやっているんですね。その際に、検察審査員を選任するくじ引きソフトが、母集団となる各選挙管理委員会作成の名簿から特定の個人を選択しようと思えば選択もできるし、しかも、その恣意的な選任の痕跡が全く残らないようになっているんですね。これはソフトを、ぜひ私は、そういうソフトじゃないように変更していただきたいのが一点。
それから、各選挙管理委員会が候補予定者名簿をつくる際に、自動的に名簿調製プログラムで作成する場合と、私もこれは驚きましたけれども、直接候補者のデータを手入力する場合があるんですよ。そんなことをやっていたら、幾らでも恣意的に審査員の方を選任できちゃうんですよ。これも、全て名簿調製プログラムによる自動作成名簿に改めるべきだと考えます。
この二点についてお答えいただけませんか。
○平木最高裁判所長官代理者 まず、委員御指摘の第一点目でございますが、検察審査会法十二条の七第二号により、辞退を認めるかどうかや欠格事由に当たるかどうかなどは、検察審査会が法律で定められている辞退事由等に照らして判断することとなっておりますので、特定の候補者が恣意的に除外されることはない制度となっております。
その後、辞退が認められた候補者や欠格事由に該当する候補者等につきましては、検察審査会法十二条の七により、検察審査会事務局長が検察審査員候補者名簿から消除しなければならないとされており、具体的には、辞退が認められた候補者等について、その旨を検察審査員候補者名簿管理システムに入力することとなりますが、その際にも、検察審査会事務局長は、検察審査会法十二条の七の趣旨に沿って作業をすることとなります。
そして、検察審査会法十三条により、検察審査会事務局長が残った候補者の中からくじで検察審査員や補充員を選定することとなりますが、その際には、地方裁判所の判事及び地方検察庁の検事各一名が立ち会うこととされていますし、くじに使用するパソコンのソフトも無作為抽出する仕様となっておりますので、検察審査会事務局長が特定の候補者を恣意的に選定することはできないこととなっております。したがいまして、くじに使用するソフト等を改修することは予定しておりません。
委員御指摘の第二点についてでございますが、検察審査会法十条により、検察審査員候補者予定者名簿の作成は各市町村の選挙管理委員会で行っていただく必要がありますが、全国の市町村の選挙管理委員会におけるパソコン等の整備環境は区々であるため、一律に名簿調製プログラムによって行うように求めることは困難であることから、手入力による名簿作成も可能としているものでございます。
○柚木委員 全く納得できませんが、もう時間が来たので終わりますけれども、この伊藤詩織さんは、「ブラックボックス」を書かれるに際して、中村元刑事部長に直接、なぜ執行停止を出したんですかと問いかけようとしたら、二度にわたって全力疾走で逃げているんですよね、全力疾走で。何で捜査する側が被害者の方から逃げる必要があるんでしょうか。
ぜひ、モリカケ問題だけではなく、この準強姦罪疑惑、隠蔽三セットとならないために、次回の委員会で当事者である中村元刑事部長に御出席をお願いして、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○平口委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○平口委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田でございます。
我が党を代表いたしまして、今般議題となりました裁判官の報酬及び検察官の俸給に関する、反対の立場から討論をさせていただきます。
我が党が反対をしているのは、まず一点としては、人事院勧告の計算の仕方が、これは民間の通常の企業と合わない、そしてもう一つ目は、行財政改革をまずは行ってから給料の値上げをすべきではないか、これが我が党の一貫した主張でございます。
大阪府では、府の人事委勧告に従わず、給料を値上げしておりませんでした。
かつて、山口良忠という裁判官がおりました。佐賀県出身でございます。戦後、闇市や闇米を食べるのを拒否し、食糧管理法に従いまして、栄養失調でお亡くなりになられた方でございます。法曹出身の方であれば皆、尊敬をし、裁判官というものはこうあるべきである、そういうふうに模範としている方でございます。
各委員の方々も、地元に戻れば、中小企業の経営者あるいは従業員が、国家公務員の給料等、受け取っていないことはよくよく承知しているところであると思います。
このような、命を賭して、国民と同じようにあるべきである、こういうような先人がいるということをお考えいただき、人事院勧告何するものぞということで、我が党と同じく反対していただくことを希望いたしまして、終わりにいたします。
ありがとうございました。
○平口委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○平口委員長 これより採決に入ります。
まず、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○平口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○平口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○平口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十三分散会