第4号 平成30年11月16日(金曜日)
平成三十年十一月十六日(金曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 葉梨 康弘君
理事 井野 俊郎君 理事 石原 宏高君
理事 田所 嘉徳君 理事 平沢 勝栄君
理事 藤原 崇君 理事 山尾志桜里君
理事 階 猛君 理事 浜地 雅一君
赤澤 亮正君 奥野 信亮君
鬼木 誠君 門 博文君
門山 宏哲君 上川 陽子君
神田 裕君 木村 哲也君
黄川田仁志君 国光あやの君
小林 茂樹君 谷川 とむ君
中曽根康隆君 古川 康君
古川 禎久君 和田 義明君
逢坂 誠二君 松田 功君
松平 浩一君 源馬謙太郎君
太田 昌孝君 黒岩 宇洋君
藤野 保史君 串田 誠一君
井出 庸生君 重徳 和彦君
柚木 道義君
…………………………………
法務大臣 山下 貴司君
内閣官房副長官 西村 康稔君
法務副大臣 平口 洋君
法務大臣政務官 門山 宏哲君
最高裁判所事務総局総務局長 村田 斉志君
最高裁判所事務総局人事局長 堀田 眞哉君
政府参考人
(法務省大臣官房政策立案総括審議官) 金子 修君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 小出 邦夫君
政府参考人
(法務省民事局長) 小野瀬 厚君
政府参考人
(法務省矯正局長) 名執 雅子君
政府参考人
(法務省入国管理局長) 和田 雅樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 田中 誠二君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 八神 敦雄君
法務委員会専門員 齋藤 育子君
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委員の異動
十一月十六日
辞任 補欠選任
和田 義明君 木村 哲也君
遠山 清彦君 太田 昌孝君
同日
辞任 補欠選任
木村 哲也君 和田 義明君
太田 昌孝君 遠山 清彦君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
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○葉梨委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房政策立案総括審議官金子修君、法務省大臣官房司法法制部長小出邦夫君、法務省民事局長小野瀬厚君、法務省矯正局長名執雅子君及び法務省入国管理局長和田雅樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○葉梨委員長 次に、お諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局総務局長村田斉志君及び人事局長堀田眞哉君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○葉梨委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松田功君。
○松田委員 おはようございます。立憲民主党の松田功でございます。
まず、山下大臣、御就任おめでとうございます。
山下大臣は、好きなアーティストがサザンオールスターズだということで、非常に国民の人にも大変人気のあるアーティストがお好きだということで、多分カラオケとかでも歌われていると思います。そういった意味において、国民の皆さんの期待も非常に大きいと思いますし、ぜひ誠実にこの法務行政について取り組んでいただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、質問の方に入らさせていただきます。
今回、裁判官の報酬及び検察官の俸給の改定は、一般の政府職員において若年層に重点を置きながら引き上げることに準ずるとのことですので、法曹の若年層の現状をちょっと確認させていただきたいと思います。
若手の判事補、検事に対しては初任給調整手当が支給をされておりますが、その趣旨を確認させていただきたいと思います。
○金子政府参考人 お答えいたします。
初任給調整手当は、専門的知識を必要とし、かつ採用による欠員補充が困難であると認められる官職に採用された職員等に一定期間支給される手当でございます。
検事の初任給調整手当の制度は、司法修習を終えた者の中から検事を採用することが困難な状況となったため、検事の給与面での待遇を改善し、任官希望者を確保する目的で設けられたものでございます。
○松田委員 引き続いて、その初任給の調整手当の金額、また根拠もあわせて御確認をさせていただきたいと思います。
○金子政府参考人 検事の初任給調整手当の金額は、弁護士の収入の状況に係る調査結果等を踏まえた上で、その職責にふさわしい資質と能力を備えた任官希望者を確保するとの趣旨に見合うように定めたものでございます。
金額については、例えばでございますが、検事十八号で七万五千百円、それから、検事十三号になりますと一万九千円となっております。
○松田委員 ありがとうございます。
今、手当の方、金額等々をまた教えていただきましたが、実は私たち、谷間世代の救済を今までも述べてきましたが、残念ながら、救済措置に至っておりません。非常に残念な状況であります。
そんな状況の中、最高裁又は法務省に当たって、弁護士の収入について調査はされているのでしょうか。
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
法務省では、平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定を受けまして、主に司法修習生に対する経済的支援のあり方を検討するために、法曹の収入等を把握することを目的といたしまして、平成二十八年に、日本弁護士連合会の協力を得まして、登録一年目から十五年目までの全弁護士約二万一千人を対象といたしまして書面によるアンケート調査を実施して、全体として約三七%の回答を得たところでございます。
その調査結果によりますと、登録一年目の弁護士の収入の平均値が五百六十八万円、登録五年目の弁護士のうち新司法試験合格後に司法修習を終えたいわゆる新六十三期の収入の平均値が一千三百六十万円、登録十五年目の弁護士の収入の平均値が三千八十五万円でございまして、登録一年目から十五年目までの弁護士の収入の平均値は一千四百九十一万円という数字でございました。
○松田委員 済みません、ちょっともう一回確認させてください。調査自体はどこが行ったか、もう一回教えてください。
○小出政府参考人 法務省が日本弁護士連合会の協力を得て行ったものでございます。
○松田委員 協力を得てということでありますが、その収入等々を調べた中で、司法制度改革に基づく法曹養成制度が開始されて以来、その苦境が非常に大きな問題となっているところであります。そのことは御理解はしているところでありますか。
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
法曹志望者の減少傾向が非常に喫緊の問題であって、解決を要する問題だという認識はもちろん有してございます。
○松田委員 その理解をしているとは思ってはいるところでありますが、日弁連の調査によると、経験年数が五年未満の弁護士の平均所得が、平成二十六年で四百四十八万円であります。この平均所得が急激に減少しているということであります。
若手弁護士の平均所得が四百四十八万円ということになると、初任給の調整手当がなくても、判事、検事の給与は、昇給ペースも含め、単純に比較しても遜色ないレベルと言われてしまうと思いますが、いかがでしょうか。
○金子政府参考人 先ほど司法法制部長から御答弁させていただいた調査の結果を踏まえましても、なお初任者調整手当は適切に機能しているものというふうに考えております。
○松田委員 ちょっと感覚が違うかもしれませんけれども。
要は、弁護士の平均に比べたら、その手当自体の必要性はどうかということも考えられるぐらい、今、弁護士というのは非常に年収も下がってきているということがまた、制度を受けられなかった谷間世代の人たちを苦しめているという状況であるということなんですね。
そういったことはしっかり御理解をいただきたいというふうに思っておりますし、そのことについて深く考えていただきたいというふうに思っております。
それでは、大臣の方にお伺いしたいと思います。
司法修習中の生活費について、昨年、平成二十九年から、それまでの修習資金の貸与制から修習給付金の支給に変わりました。我々は、貸与制のもとで修習を受けた、いわゆる谷間世代に対する救済措置を求めてまいりましたが、最高裁判所の理解も得ることができませんでした。
最高裁判所は、この谷間世代に対しても、救済措置が必要ないということだとみずから検証するためにも、法曹の若年層の経済状態を調査し、把握すべきであると思います。もっとしっかり把握していただきたい、調査してということであります。そして、我々が納得できるように、その結果をぜひ公表していただきたいというふうに思います。
この谷間世代や法曹の若年層に対する調査について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○山下国務大臣 お答え申し上げます。
弁護士のいわゆる谷間世代問題ということでございますけれども、いわゆる谷間世代の司法修習生に対して救済措置が必要だということでございますが、これはそもそも、要するに、経済的支援制度を導入する際に、相当、超党派で委員の皆様がお集まりになってやられたということはあります。
ただ、それより先に進んで、既に修習を終えている者に対して国の財政負担を伴う事後的な救済措置を実施することについて国民的理解が得られるのかということになると、若干困難ではないかというふうな指摘もございます。そしてまた、既に貸与制のもとにおいて貸与を受けていない者の取扱いをどうするか。要するに、貸与を受けていない、じゃ、その人には払うのか払わないのかとか、そういった制度設計上の困難な問題もあるということでございます。
そうしたことは先ほど司法法制部長も答弁したと思いますが、ただ、若い世代の法律家が存分に活躍できる、そういう若い法曹にとって魅力ある社会を我々はつくりたいというふうに考えております。
そういった中で、今、さまざまな制度変更、例えば相続法制の変更であるとかあるいは民法の債権法の変更であるとか、こういったことも含めて、新しい分野に若い法曹にチャレンジしていただいて、しっかりと頑張っていただきたいというふうに思っております。
といったことで、谷間世代の問題につきましては、なかなか難しいということを御理解賜ればというふうに思っております。
○松田委員 大臣は若い世代に近いというふうには思っておるんですが、ぜひそういったことを、景気もなかなか、顧問先や、もうかるところばかり弁護士さんが行くのではなく、法曹界の人は国民全体を見るということも含めてありますので、非常に今厳しい状況下に置かれている中で返済をしていかなければいけない人の気持ちを、ぜひお酌み取りをいただきたいというふうに思っているところであります。
それでは、次の質問にかわらさせていただきたいと思います。
法務省所管の矯正施設の環境整備について、ちょっとお伺いをしたいと思います。
臨時国会が開かれることも少し遅かったので、その際には災害がたくさん出てきております。大規模災害について、建物の崩壊とかが多く発生をしやすいということでありますし、また、本年六月において発生した、大阪府の北部を震源とした、高槻市も被害に遭った中で、小学校のプールのブロックの塀が倒れてしまって、九歳の児童が亡くなるという非常に悲しい事故が、事故というか、そういったことが起きてしまったということであります。
やはり、法務省の方でも、刑務所などの収容施設等々を多く所管をしているところで、また、そういったものが近隣住民の避難拠点となったりしている場合もあります。やはり安全確保のためにも、こういった災害に対して万全の備えを整えていかなければならないということは十分感じ取っていただいているところであると思います。
そんな中、法務省の平成三十一年の概算要求、資料によれば、収容施設の二百九十四のうち、現行の耐震基準が制定された昭和五十七年の施設が百五十九、残りの百三十五は旧耐震基準によって建築されたものであるとのことですが、こうした老朽化した刑務所などの改築や耐震補強などについて、どのような状況になっておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○名執政府参考人 委員御指摘のとおり、刑務所を始めといたします全国二百九十二の矯正施設のうち、その約半数の百三十五の施設が現行耐震基準が定められた昭和五十六年以前に整備されたものでございます。
これらの施設の整備は、災害時における収容者の逃走防止、平穏な収容の維持など、国民の安全確保のため、また再犯防止施策の実施のための土台の整備のため、非常に重要なものであると認識しておりまして、その対策は急務となっております。
私どもとしましても、緊急性の高いものから、順次、耐震化等の所要の整備に努めているところでございます。
○松田委員 緊急性の高いものからとおっしゃっているんですけれども、結構数がありますから、災害は忘れたころにやってきますが、忘れないぐらいにどんどんどんどん起きていますので、進めていただきたいという思いであります。
その耐震状況について、旧耐震基準により建設された百三十五の施設において、補強等の目標に対しては、どのように今年度、来年度について、数字的にお答えができればお答えいただきたいと思います。
○名執政府参考人 本年度、平成三十年度の一般会計予算においては、法務省施設費総額約二百五十億四千六百万円のうち、矯正施設関係予算といたしまして約百五十七億八千三百万円が予算措置されております。
この予算におきまして、老朽や耐久性能不足等の状況にあり早急に改善する必要がある施設の整備、また、老朽度等を総合的に判断いたしまして、整備の必要性が高いと考えられる矯正施設の職員宿舎の整備等に邁進してまいりたいと思っております。
○松田委員 大規模災害において、高槻市の小学校の塀のように、刑務所などの刑事施設の壁が、塀が倒壊するようなことが間違っても起きてはいけないということだと思います。
刑務所等の塀について、耐震基準を満たしていないものがないのか、刑務所の塀が倒壊するようなことは絶対あってはなりませんし、皆無でなければならないと思いますが、現状、どうでありますか。
○名執政府参考人 刑務所等矯正施設の塀につきましても、一般の塀と同様に、建築基準法に基づき建設しております。そのため、矯正施設の塀につきましても、耐震性能を満たす必要があるところ、先ほど申しましたように、現行の耐震基準が定められた昭和五十六年以前に整備されたものもございますので、塀につきましても、所要の整備に取り組んでまいりたいと思います。
また、平成二十八年四月に発生いたしました熊本地震に際しましては、建物に多少の被害が生じましたものの倒壊はしておらず、また、二十三年三月に発生いたしました東日本大震災でも、矯正施設の建物が倒壊した事例はございません。
○松田委員 今の話ですと、塀に対しては、以前の耐震基準のものがまだ残っているというふうに聞こえるんですけれども、そうですよね。
そういったことを含めると、一番、地域住民の人が歩いてその施設の横を通ったりするわけなんですよ。ですから、本当にそこの部分はいち早くやらなければいけないというふうには思っております。そうでないと、また地域の方にそういった施設に対して御理解をいただく意味においては非常に重要であると思いますので、その辺については、すぐにでもという形でお考えをぜひいただきたいというふうに思っております。
あわせて、矯正施設の職員の宿舎についても、刑務官は本当に、基本的に二十四時間フル稼働している中で働いている中であります。そういった方たちにおいても、この公務員の宿舎、官舎においても老朽化が進んでいるということであります。
適切な行動をとっていただく、そういったことも含めて、この方たちが、いざ、耐震基準に満たないところにいて、そこで倒壊の目に遭った場合、刑務所を預かる意味においては、非常にまたこれも危険な部分も含めているということは十分御理解をしているとは思いますが、その辺について、この三十一年度概算要求を見ると、法務省の施設の官舎、五百五十九の施設のうち二百六十七が旧耐震基準でなっているということでありますので、職員の宿舎もこの中にも含まれていると思いますが、それがまた何戸あって、どの戸数が耐震基準を満たしていないようになっているのか、また、早急に建てかえを進めることは必要だと思っていますが、平成三十年予算でどこまでそれが措置をされていくのか、また、あわせて、三十一年度の概算要求でどこまで要求が満たしているのか、お答えをいただきたいと思います。
○名執政府参考人 委員御指摘のとおり、矯正施設に勤務する職員は、非常事態に休日、夜間も参集し、事態収拾に当たりますことから、一定の人数を施設に隣接した宿舎に居住させる必要がございます。また、職員の勤務条件といたしましても、宿舎の状態は職員の士気にも影響するほか、すぐれた人材の採用、刑務官の定着策としても重要であると思っております。
現状を申しますと、矯正施設職員の宿舎は全国に約一万二千戸ございまして、そのうち老朽化した宿舎が約二千二百戸、一八%と、私ども、平成二十九年九月現在の数値で認識しております。
これらの宿舎を存置しておきますことは、職員、その家族の生活に支障を来すだけではなく、災害時に、また非常事態発生時の即時対応を困難にするなど、施設運営へのさまざまな悪影響があると思っております。緊急性の高い宿舎から順次整備することを計画しておりまして、予算的には、平成三十年度の一般予算において百五十七億八千三百万円を措置しておりまして、この中で職員宿舎の整備を進めてまいりたいと考えております。また、三十一年の施設関係予算としましては、矯正関係予算として約二百八十七億九千二百万円を要求しております。
○松田委員 戸数の方はちょっと把握が今できていないとは思うので、またちょっと時間もないので、緊急性を要している、職員の方がいざというときに被災に遭って、というか、職員が遭っているとその後は刑務所を守ることもできなくなってしまいますので、またそれに対して、すぐに措置をぜひしていただきたいというふうに思っております。
次の問題に行きたいと思います。障害者雇用の水増し問題についてお伺いしたいと思います。
問題の原因分析もされているかと思いますし、また、あわせて、現場でどのような確認方法をしていたのか、お答えをいただきたいと思います。
○金子政府参考人 原因の方ですが、厚生労働省のガイドラインによれば、この制度の対象とならない職員を障害者として計上していたものですが、その理由として、当省の人事担当者において、ただいま申し上げた厚生労働省のガイドラインについての認識が十分でなく、制度の対象となる障害者の範囲に関し、障害者手帳の交付を受けていなくても他の資料から障害を確認することができるのであれば障害者に当たるなどの誤解があったため不適切な計上になったものというふうに承知しております。
それで、法務省においては、対象障害者たる身体障害者であるか否かを身体障害者手帳をもって確認していた例もある一方で、厚生労働省のガイドラインの認識が欠けていたために、各担当者がガイドラインでは許容されていない都道府県指定医等以外の医師が作成した診断書、健康診断結果などの医療記録、本人の自己申告などに基づき、各職員の疾病が身体障害者障害程度等級表の記載に該当するかをみずから判断していた例が多く認められたところでございます。
○松田委員 しっかり確認作業をしていれば問題は起きなかったというふうには思っておりますが、そういった状況で問題は起きてしまっているということは事実でありますので。まあ、いろいろ分析もされているところであると思いますが。
実は過去に、障害者雇用を水増しした独立行政法人の労働者健康福祉機構が障害者雇用を水増ししたとして、厚生労働省が障害者雇用促進法違反の罪で刑事告発をしております。その問題と今回の問題では処分の仕方が違うように思いますが、その理由についてお答えいただきたいと思います。
○金子政府参考人 法の支配の実現を使命とし、障害を理由とする偏見、差別の解消に向けた人権啓発にも取り組んでいる法務省において、制度の対象とならない多くの職員を障害者として計上していたことはまさにあってはならないことであり、深くおわび申し上げる次第でございます。
このような事態に対しまして、法務大臣の方から、事務次官等の幹部に対しまして、今般の事態について厳重注意をするとともに、再発防止等に全力で取り組むよう指示を行ったところでございまして、今後は政府の基本方針に基づく取組を法務省一体となって取り組んでまいりたいと思います。
○葉梨委員長 松田君、質問時間が終了しておりますので。
○松田委員 はい。
では、最後に大臣の方に、今後こういった問題は絶対起きてはいけませんが、関係閣僚会議でいろいろまとめているところであります。しかしながら具体策が全然見えていないということがありますし、また身内に甘い感も出ているところもありますので、ぜひその辺について今後の具体的なことをお伺いしたいと思います。
○葉梨委員長 質問時間が過ぎております。簡潔に。
○山下国務大臣 まず、関係閣僚会議で定められた基本方針にのっとってしっかりやっていきたいと思いますし、また、法務省においても、法務省障害者雇用推進プロジェクトチームを設置し、検証結果や政府の基本方針、これを省内に周知して、こういったことの再発を徹底的に排除し、障害者の皆様が生き生きと働いていただける職場をつくるべく、全省挙げて、一丸となって頑張ってまいります。
○松田委員 ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で松田功君の質疑は終了いたしました。
次に、山尾志桜里君。
○山尾委員 立憲民主党の山尾志桜里です。
まず冒頭、この委員会の持ち方、委員長含めまして、抗議をさせていただきたいと思います。
私どもは、この外国人受入れが給与法の後に閣法として控えているということは当初から認識をしておりましたので、しっかり、最低限の議論の土台を整えて、正常な形で円満にスタートしたいということで心を砕いてまいりました。二点ですね、前提となる。
一点目が個票です。これは、出すことが決まったんだから始めていいではないか、こういうことではないんですね。本会議の質疑入りのときに出してあるべきものだったんです。だけれども、百歩譲って、この委員会のスタートラインではこれは出ていてほしい、出ていて、私たちに吟味をさせて、スタートしてほしい、こういうふうに申し上げていたわけで、出すことが決まったからよいではないか、私たちはまだ見ておりません。
そして、もう一点、受入れ人材見込み数であります。これについては、積算根拠、どうやらこの昼にようやく何かが出てくるということでありますけれども、十四業種の積算根拠、これをきちっと理解して、分析して、検討することができない状態であります。まだ見ておりません。
だから、私たちの提案としては、きょうはせめて一般質疑まで、そして、きょうの昼の大事な資料をきちっと吟味をして、どうやら月曜日には個票そのものが一定の加工をされて出てくると聞いておりますが、しっかり個票も見せていただいて、そして、例えば火曜日、定例日から、きちっと趣旨説明を受けて、スタートラインに立とうと。私たちも、私たちなりに、これだったらきちっと円満にスタートできるのではないですか、充実した議論ができるのではないですか、この金曜日の時間も無駄にせずに、ちゃんと国民の皆さんに責任を果たせるような質疑もできるのではないですか、こうやって、理事会で繰り返し繰り返しさまざまな提案をしてまいりました。
にもかかわらず、きょうこの後、一般質疑、そしてさらには入管法の趣旨説明、そしてさらには与党の質疑六時まで、こういう本当に乱暴な、野党の方から、では与党の皆さん、こういうふうにやりましょうよと、こんなに努力しているにもかかわらず、そういったスタートを切っていることに大変抗議をいたしますし、今からでも遅くはない、やめていただきたいというふうに思っております。
その上で、私たちは、お昼、個票の法務省がやった集計データ、そしてまた受入れの積算根拠、これを説明いただくということですので、もちろん、これにはしっかり出させていただいて、私たちはやるべき責任を果たすということですので、きちっとしたものが出てくるんだというふうに思えないところもあるんですけれども、しっかり出していただきたいというふうに思います。
それでは、法務大臣にお伺いをいたします。
この受入れ見込み数なんですけれども、私たちに提示をされたのが十一月十四日でありました。しかし、前日、十一月十三日に、折しもこの法務委員会の議場で所信の質疑をやっている最中に、この数字がどんどんどんどんメディアで報道をされました。
この問題について、官房長からは、法務省として調査、対応させていただくということを理事会で聞いておりますけれども、法務大臣、今、この調査状況、対応状況、そして、私たちにいつ、どういった形で御報告いただくのか、御答弁ください。
○山下国務大臣 お答えいたします。
この対応につきましては、理事会の御決定に従って真摯に対応してまいりたいと考えております。
○山尾委員 何も答弁していません。真摯に対応させていただきたいというのは真摯な答弁ではありません。
多少なりとも、誰を長にして、こういう調査をかけて、いつまでをめどに報告を受けるようにしているとか、そういうものは何かないんですか。
○山下国務大臣 まず、基本姿勢として、やはり、これは委員会の御決定に我々行政府としては従うということでございます。その基本姿勢を述べさせていただいたということでございます。
受入れ見込み数につきましては、従来、各省庁で精査をしていたところでございますが、その規模感を示す数字が今回まとまったというところで提出させていただくというふうに聞いております。
○山尾委員 全く質問と違う答弁なので。
このメディアに数字が漏れた問題について、法務大臣としてどのような調査の指示を出しているんですかという質問です。
○山下国務大臣 まず、メディアに対する調査、これは非常に問題がございます。
そういった中で、今回こういった外国人材受入れ見込み数に関する報道がなされたことについてでございますが、対応について御説明いたします。
報道機関に対して特定技能外国人の受入れ見込み数の情報を提供した事実がないということにつきましては、先般、お尋ねがあったこの法務委員会終了後に、法案を所管する入国管理局等に確認することにより、そのような事実がないことは改めて確認されておりますというところでございます。
この情報について、個人による報道機関への情報提供の有無に関する調査については、官房長を調査責任者とし、法案を所管する入国管理局及び決裁等の過程において当該情報を知り得る立場にある大臣官房秘書課を対象に、当該情報に接する可能性が否定し得ない立場の者から聞き取りを行い、調査を実施することとしております。
○山尾委員 いつまでに報告いただけるめどですか。
○山下国務大臣 報道の経過等を確認しつつ聞き取り調査を行っているところでございます。これは調査結果が得られ次第、当委員会の理事会等の御決定を踏まえて報告をさせていただく予定としております。
○山尾委員 先ほどメディアに対する調査はという話がありましたけれども、私もメディアに対する調査をせよという趣旨で言っているのでは全くありませんので、その点、誤解なきように。
そしてまた、法務大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり、メディアに最初に漏れて、ずっと求めていた立法府に後出しされるということは、この立法府での充実した議論にとって、立法府の責任を果たす上で本当に深刻なことだから、きょう冒頭、言わせていただいているんですね。
法務大臣がどこまでこういう問題を深刻だと考えているのか、私は非常に疑問なんです。
そう申しますのも、メディアから個票の、受入れの情報がどんどん報道されているときに、この法務委員会で藤野委員が法務大臣に質問、そして答弁をされました。そのとき法務大臣は、そういう報道があることは承知しているけれども報道の内容は知らない、こういう趣旨の御答弁をされたと思うんですけれども、そうですか。(山下国務大臣「個票ですか、それとも」と呼ぶ)受入れです、受入れ枠。
○山下国務大臣 当時は、たしか私はもう朝から法務委員会におりましたので、報道があったとの一報はありましたけれども、その内容につきましてはつまびらかに、ここにおりましたので承知していない、そういう趣旨で申し上げたものでございます。
○山尾委員 やはり法務大臣であれば、立法府がずっと求め続けていて、入管法のこの法案についての最も重要な数字の一つが立法府に出していないのにメディアに出ているということを知ったら、どういう内容の報道になっているんだということを、後ろに控えている秘書官の方に、早く把握したいので教えろ、こういう指示はされなかったんですか。
○山下国務大臣 私は、委員会に臨むに当たり、委員の質問に真摯に答えようということで、委員の質問に集中しておるわけでございます。
もちろん、そういった御指摘もあろうかと思いますけれども、その報道された中身のものと最終的に開示されたものの同一性の問題であるとか、さまざま調べることがございます。そうしたことであるとすれば、この委員会の最中に、委員の目の前に、真摯に質問をされておられる委員と離れてそういった指示をするということは、そのときは考えなかったところでございます。
○山尾委員 大変問題意識が希薄だと思います。私たちがこのことをどれだけ深刻に受けとめているのか、きちっと理解をいただいて、この調査、しっかりと報告をしていただきたいと思います。
そして、この受入れ枠数の中身の話を少しお伺いいたしますけれども、十四業種で受入れ見込み数というのが出てまいりました。これは、各業種にぶら下がっている該当分野、この新制度の対象となる該当分野は、現時点で決まっているのですか、いないのですか。
○山下国務大臣 これは、今後、業所管省庁と協議しながら決めていくということになります。正式に分野が決まるのは、この法律が成立して、基本方針、さらには分野別運用方針が決まった段階になるからでございます。
○山尾委員 そうすると、業種にぶら下がっている該当分野について、どういった外国人の方が確保できるのか、こういうようなことは今提示されているこの数字表には反映されていないということですか。
○山下国務大臣 まず、今回業種をお示ししました、大きな枠組みとして。
そして、分野というのは、この業種に属する中で、さまざまな、人手不足の状況であるとか、あるいは生産性向上の要素、あるいは国内人材活用の要素、そういったことを考慮して、この業種の中で真に必要な産業上の分野を絞り込んでいくというふうなことでございます。
そして、その作業をこれから精査していくというところではございますが、まず、この制度の導入を御審議いただくに当たり、どのような規模感であるのかということをお示しするために、業種という大枠でお示ししたということでございます。
○山尾委員 そうすると、真に必要な業種の絞り込みは今できておらず、これからという理解でよろしいんですね。
○山下国務大臣 本法の規定上は、分野につきましては、法律が成立した後、基本方針が閣議決定で定められ、そして関係閣僚会議等で分野別運用方針が定められる、そこで分野が決まるということになろうかと思います。
○山尾委員 そうすると、なぜ、十一月十三日の本会議で、総理大臣は私の質問に対して、この示す数字は、当該分野において一定の専門性、技能を有する外国人材を確保する実現可能性も勘案しながら推計すると言っているんでしょうか。当該分野が決まっていないのに、当該分野に係る実現可能性をどのように勘案するんですか。
○山下国務大臣 済みません。具体的な通告がなかったので、今読み上げさせていただきますが、総理が述べたところを正確に引用させていただきますと、政府としては、法律に基づいて政府が策定することとされている分野別運用方針において、更に精査の上、五年ごとに向こう五年間の受入れ見込み数をお示ししていく予定ですというふうに述べておられると思います。
○山尾委員 その前のパラグラフで、総理はこう言っています。お示しする数字は、制度の趣旨に沿って、業界ごとに異なる雇用情勢、政策的な要素等、業界の特性、事情を踏まえ、ここから先です、さらに、当該分野において一定の専門性、技能を有する外国人材を確保する実現可能性も勘案しながら受入れ見込み数を推計したものとなりますと。
当該分野が決まっていないのに、どうして当該分野の実現可能性を勘案できるんですか。
○山下国務大臣 政府の立場ということであれば、法律に基づいてどういうふうに考えるのかということであれば、先ほど私が御説明したとおり、法律に基づいて政府が策定することとされている分野別運用方針において、更に精査の上、五年ごとに向こう五年間の受入れ見込み数をお示ししていくということでございます。
というのは、やはり分野が決まるのは、法律が成立して、そして基本方針が決まってからということが法律のたてつけであるからでございます。
○山尾委員 ということは、総理の答弁は自分の考えと違う、政府の考えと違うと。今、こういう趣旨でお聞きしましたよ。そういうことですか。
○山下国務大臣 総理答弁を正確に引用いたしますと、お示しする数字は、制度の趣旨に沿って、業界ごとに異なる雇用情勢、政策的な……(山尾委員「それはもう読みました、私が」と呼ぶ)そうですね。受入れ見込み数を推計したものとなりますということでございます。
ですので、今なぜこういうふうに申し上げているかというと、分野という法律上のタームと、それと日常用語としての分野というタームということであれば、私は、法律上、本法において分野というのはどういうものであるのかという趣旨でお答えをさせていただいている次第でございます。
○山尾委員 ごまかすのはやめてください。法律上のタームと、何ですか、日常のタームですか。
総理が言っているのは、当該分野においてと言っているんです。当該分野において。それは、この新制度に、当該、該当する分野という意味ですよね。これはまさに新制度における該当分野のことを言っているとしか読めないんです。余りそこはごまかさない方がよろしいかと思いますよ。
では、質問をこういうふうにしましょう。総理の答弁と一旦離れて。
私たちの手元にあるこの数字には、この新制度に今後該当する分野の外国人材を確保する実現可能性は勘案されているんですか。分野が決まっていないのに、当該分野の人材確保可能性は勘案されているはずがないということを私は言っているだけなんです。勘案されているんですか。
○山下国務大臣 まず、分野が、要するに、法律上のたてつけは先ほど御説明したとおりです。
実質的に分野が決まるのかということに関しては、当該業種の中で分野をどういうふうに切り分けるのかということは、やはりこれは精査しているところでございます。
ですから、分野というのは、結局、在留資格、転職を画する基準にもなりますから、そういったところは、転職の容易性であるとかさまざまなこともやはり業所管省庁において検討していただいている。
もとより、そういった分野としてどういうふうにということも精査を続けながら、それは各省庁において分野についても検討しているというところであります。業種があって、その中に分野があるというところでございます。
○山尾委員 答えが全く、該当分野の実現可能性は勘案できませんよねということを言っているんです。これから分野を決めるので、該当分野についての確保の可能性というのは勘案できませんよねと。勘案するんだとしたら、どういうふうに勘案するんですか。
○葉梨委員長 山下法務大臣、ちゃんと簡潔に。時間が過ぎておりますから。
○山下国務大臣 簡潔に答えます。
要するに、法律上のたてつけはそういったことでございますね。
それで、見込み数を算定するに当たり、各省庁が分野別の見込み数も勘案しているわけであります。しかしながら、それがこの法律に基づく産業上の分野になるかどうかというのは、この法律が成立して、そして基本方針、そして分野別運用方針が成って決まるということでございます。この見込み数の中にはその分野別の見込み数も勘案しているということでございます。
○葉梨委員長 山尾君、質疑時間が終了しておりますので。
○山尾委員 分野に区分がまだできていないのに、どうして分野別の見込み数が出てくる。
だったら、きょうの昼に分野別の見込み数を出してくださいよ。
○葉梨委員長 山下法務大臣、もう時間が終了しておりますので。
○山下国務大臣 はい。
整理します。
分野が正式に決まるのは法律成立後でございます。そして今、分野については、どういう切り分けをするかについて、各省庁とも、見込み数とともに精査中の段階であります。
しかしながら、今般お示ししましたのは、その大きなくくりである業種、これについては、この制度の規模感を示すためにお示ししたということでございます。
○山尾委員 よくわかりました。
要するに、該当分野は決まっていない、分野別の見込みは今精査中である、そして、今回の、今出されているものにはそれはまだ反映されていないと。精査中なんですから、決まっていないんですから。これ、大変問題だと思いますよ、総理答弁ですから。
引き続き、準備した、まだまだですけれども、これは指摘させていただいて、また引き続きとさせていただきます。
○葉梨委員長 以上で山尾志桜里君の質疑は終了いたしました。
次に、階猛君。
○階委員 国民民主党の階猛です。
今回の法案が仮に成立したとしますと、裁判官の総人件費の増加額は幾らになるか、そして、その増加額の計算の前提となった裁判官の定員は何人か、まずこの点について最高裁からお答え願います。
○堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
今回の裁判官報酬法改正後の裁判官の人件費は、報酬及び諸手当の計算で約二億円の増額を見込んでおります。
その計算の前提となりました裁判官の人数でございますが、ことしの七月時点の裁判官の人数でございまして、三千四百六十七人でございます。
○階委員 続いて、法務大臣に事実関係。
同じように、今回の検察官俸給法改正後、検察官の総人件費の増加額と、その計算の前提となった検察官の定員、これについてお伺いします。
○山下国務大臣 お答え申し上げます。
検察官の人件費の所要額については、今回の法改正等による検察官の給与改定により、約一億三千万円の増額を見込んでいるところでございます。
この金額は、平成三十年四月一日時点での検察官の実人数が二千六百五十七人であったことから、これを基礎として算出したものでございます。
○階委員 さて、翻って、最近問題になっている新たな外国人材の受入れ制度、これなどもありまして、資料の二ページ目に、平成三十一年度の各行政機関ごとの定員要求、これをまとめた内閣人事局作成資料を用意しておりますが、法務省は突出して純増の数が多くなっております。ほかの役所に比べて多い、七百二十七人という純増数になっています。
お聞きしますと、このうち新たに設けられる出入国在留管理庁に係る部分が三百十九人ぐらい増員要求があるというふうに聞いております。そしてさらに、きのう事務方にも伺いましたけれども、この三百十九人というものが、大臣も答弁の中でいつかお答えになったと思うんですが、四万人という受入れ数を前提にして計算をされているということでした。
そこで、大臣に伺いたいのですが、なぜ四万人という受入れ数をもとに計算したのか、そして、四万人という数字が三百十九人という増員数とどのような結びつきになるのか、四万人からどうやって三百十九人を導き出したのか、この点についてお答えください。
○山下国務大臣 この四万という数字は、概算要求時点で各省庁から聞き取った外国人材の受入れ見込み数というところでやっているわけでございます。
そして、そこからどれだけの人数がどのような数式で要るのかということにつきましては、これは例えば、受入れ見込み数であるとか受入れ機関の見込み数、あるいは在留資格審査の所要時間、あるいは外国人の受入れ環境整備、これもやらなければならない、そういったことの業務量を考慮して算出したものと報告を受けております。
○階委員 そこで、きのう秘書課長を含め幹部の方が私のところに来ていただいたので、あしたこのことを聞きますと言いました。なぜ四万人から三百十九人という数字が出てきたのか、これをきっちり説明するように準備してくださいということを私は通告しております。
今のようなアバウトな説明ではなくて、四万人から三百十九人増員となった計算式、これをちゃんと示してください。
○山下国務大臣 この計算式においては、まさに技術的、細目的な事項に係ることではございます。私、法務大臣としてお答えできるのは、これは、どういうことでその三百十九人という人数を算定した、その判断の大枠でございますね、それをやはりお答えしたいと思っております。
今回はちょっと政府参考人が登録されていないということではあるのですが……(階委員「通告していますから」と呼ぶ)いや、通告といっても、技術的、細目的に係る事項については、やはり、それを算出したものということについてであるのであれば、ぜひこれは局長を呼んでいただきたいと思います。その上で申し上げますと……(階委員「通告していますよ」と呼ぶ)いや、だから、技術的、細目的事項であることは間違いないですね。(階委員「だから、それを事務方に報告を受けて、それを答弁すればいいじゃないですか」と呼ぶ)いやいや、計算式は何かということを、それは、一般的に……(発言する者あり)
○葉梨委員長 静粛に願います。ちょっと聞こえないので、答弁。
○山下国務大臣 申しわけございません。
そういった中で、算定に際して主に考慮している事項としては、先ほど申し上げたものであったり、登録支援機関の見込み数であったり、あるいは受入れ機関の実地調査の所要期間であったり、登録支援機関の登録審査に係る所要時間であったり、オンライン申請の審査に関する所要時間であったり、そういったものを総合的に考慮しているわけでございまして、その細目について、計算式を私に答えろというのは、ちょっと若干、なかなか答えにくい部分はございます。
○階委員 では、計算式とは言わないまでも、その四万人と三百十九人の論理的な関係ですよね。普通に考えれば、この四万人という数字がふえればふえるほど、三百十九人という数字もふえていく。つまり、相関関係というか比例関係に立つというふうに理解できると思うんですね。その比例関係がどの程度のものなのかということを私は知りたいわけですよ。
まず、比例関係があるということでいいのかどうか、そして、比例関係の場合、その比率的なもの、そういったことをお答えいただけませんですか。数式とは言いません。論理的な関係を御説明ください。
○山下国務大臣 まことに申しわけありません。私が報告を受けているのは算定根拠について問うということでありまして、比例関係であるとか、そういったところの通告について、残念ながら、私の内容としては準備ができておらないところでございます。
いずれにしましても、その承った趣旨につきましては、今後、例えば法案審議の段階で、この入管法の体制については御説明することになりますので、そこでしっかりと御説明をさせていただくということで御理解賜れればと思います。
○階委員 きのう、事務方にははっきり言いました。松本秘書課長にはっきり言いました。この点を答えられなければ、あした質問を続けられないということも言っていますよ。ちょっとまずいですよ、これは。
○山下国務大臣 その点について、まず、技術的、細目的事項であるということで、これについて政府参考人が答弁するという衆議院規則のように理解したのかもしれません。
また、いずれにせよ、この算定根拠について、私、これは、人事の細かい数字についての想定式、なぜかといえば、考慮している事項が、先ほど申し上げたように、外国人材の受入れ見込み数、受入れ機関の見込み数、登録支援機関の見込み数、在留資格審査の所要期間、受入れ機関の実地調査の所要期間、登録支援機関の登録審査に係る所要時間、オンライン申請の審査に関する所要時間、外国人の受入れ環境整備に対するための業務量を主に考慮しているということなんです。
ですから、そのほかのものについてどうなのだというふうに問われても、これは本当に技術的、細目的事項ということでございますので、ぜひその点は、今後の法案の審査の段階で、誠意を持ってお答えをさせていただきたいと思います。
そして、今回、俸給法、報酬法でございますので、この点について準備が至らなかったということについては、おわびを申し上げますが、御理解をぜひ賜りたいと思います。(階委員「委員長、ちょっとこれでは質問できません、きのうそういうふうに言っていますから、秘書課長に」と呼ぶ)
○葉梨委員長 給与法の審議ですので、給与法の審議をしていただきたいと思います。(階委員「では、質問の趣旨をはっきり、明らかにしますね。いいですか」と呼ぶ)質問の趣旨を明らかにしてください。(階委員「はい、わかりました」と呼ぶ)
○階委員 なぜ、私がこのことにこだわるかということなんです。
先ほど冒頭に聞いたとおり、報酬額を、総人件費として、二億上げる裁判官、一億三千万上げる検察官、この二億とか一億三千万について、我々はこうして委員会を開いて、それでいいのかどうか議論しているわけです。
他方で、三百十九人ふやすとなれば、次の質問に関係しますけれども、人件費は幾らふえますか。まずそこをお答えください。
○山下国務大臣 前提として、この……(階委員「前提じゃなくて、数字だけでいい、時間」と呼ぶ)では、申し上げます。
○葉梨委員長 答弁を続けてください。
○山下国務大臣 はい。
三十一年度概算要求に計上している出入国在留管理庁に係る人件費は、三百三十二億七千九百万円となっております。
一方、平成三十年度当初予算において措置されている地方入国管理官署の人件費は三百一億七千三百万円となっております。
この人件費の計上に当たっては、勤務官署や業務ごとに算出を行っておりませんし、この三百十九人のみならず、この出入国審査業務の充実強化に伴う増員二百六十六人分、そして、現在の定員四千八百七十人に係る人事院勧告に伴うベースアップ分なども含まれており、増員分に相当する人件費を厳密に申し上げるということは困難であるということを御理解賜れればと思います。
○階委員 大まかに言うと、三十一億ふえるけれども、三百十九人に対応する数字は明らかでない、こういうお話で理解しました。きのうも実はそういうやりとりをしています。
ただ、法務省の入管関係、CIQも含めて、増員というのが要求されているわけです。その中での三百十九人の比率を三十一億と掛け合わせると、きのうの段階で事務方とこんな感じかなと言っていたのは、大体十五、六億、こういう話なんです。
私が何を言いたいかというと、十数億の話ですよ、三百十九人ふやすというのは。さっき言っていた二億とか一億三千万より桁違いですよ。だから私は、三百十九人、本当にふやす合理的な理由があるのかどうか、これを検証したくて、きのう事前に通告しているんです。それが答えられなければ、私は、国会の行政監視機能を果たせないと思いますよ。これは重要な数字なので、きのうからお尋ねしています。
それと更に申し上げますけれども、きのう政府から出された数字で、五年後の外国人の受入れ見込み数というのも出ていました。初年度は、大体四万人と近い数字だけれども、これから年々ふえていって、五年トータルすると三十万人ぐらいというのが大体中間的な見通しだと思います。これは、四万人が三十万人にふえたら、当然三百十九人も大幅にふえなくちゃいけないだろう。
そうすると、さっき言ったような十数億の話じゃないと思いますよ。何十億もふえる。この国の財政が厳しい中で、本当にそれだけふやす、ふやして、それで外国人の方を受け入れることが妥当なのかどうか、こういうことを国会で真剣に議論しなくちゃいけないと思っているんですよ。
だから、私はきのうから通告しています。技術的、細目的事項ではありません。本質的な事項でありますし、ちゃんと通告もしています。答えられなければ、これ以上質疑は続けられません。
○葉梨委員長 階委員に申し上げますけれども、三百十九人というのは概算要求ですね。内閣が決めたわけじゃなくて、本来だったら来年の予算で審議すべき話のような気もいたしますが、答えられますか、法務大臣、真摯に。
○山下国務大臣 私、真摯に答えているつもりなんです。
というのは、結局、その算出の根拠につきましては、先ほど言った、主なものだけでも八つの要素を掛け合わせて業務量を算出するということでございます。そしてまた、今後増員する、五年後にどうなるかということにつきましても、これは例えば、新たな外国人材の受入れに伴う業務だけではなくて、入国審査官というのはさまざまな業務、要するに、その在留資格だけ私は調べますという入国審査官はいないものですから、さまざまな、出入国在留管理庁移行後の出入国審査業務や今般の新たな受入れ以外の在留審査業務、退去強制業務や難民認定業務など、全体の業務量を踏まえて推計する必要があるわけでございます。
したがって、現時点において五年後の予算規模についてなかなかお答えするのは困難でありますけれども、今後、今般の通告の中身というものについて、事務方にもしっかりと、先生から細かく聞き取るように指示して、この入管法改正においてしっかりとお答えできるようにやらせていただきたいと考えております。
○階委員 ちょっと山尾理事がいないので理事間協議は今できない状況なんですが、委員長にお願いしたいんです。
私はちゃんと通告していましたので、さっき言った数字ですね、四万人から三百十九人を導き出した合理的な根拠、今定性的なことをいろいろ述べましたけれども、私、定員管理をする総務庁、当時、総務省の行政管理局の担当政務官をしていました。そんな定性的な話で三百十九人なんという具体的な数字を挙げられても、当然そんな定員要求は認められません。もうちょっと合理的な、論理的な説明がなされているはずです。それをちゃんと出してほしい。
そして、その合理的、論理的な説明に基づけば、五年後、仮に三十万人に受入れ数がふえた場合、どの程度人件費がふえるんだろうか。これもある程度、見込みの金額が出るはずです。だから、私は、この数字を出すことによって、国民の関心が高い外国人受入れ問題の議論にも資すると考えています。この数字を出していただきたいと思います。
法務省、後でいいです。法務大臣、後でもいいですけれども、今申し上げた数字は、しっかり委員会にお示ししていただくということでお約束いただけませんか。
○葉梨委員長 理事会で協議をいたします。
もし何かコメントがあれば。
○山下国務大臣 理事会で協議していただいた結果に従って対応させていただきたいと思います。
○階委員 繰り返しますけれども、事前に通告しておりますので、協議してどうこうという話ではないというふうに思っています。私の質問権を侵害しないでいただきたいと思います。
それで、きょうは、西村副官房長官にもいらしていただいております。
今申し上げましたとおり、私は人件費をしっかり抑制して、削減していかなくちゃいけないと思っていますけれども、資料の三ページ目を見ていただきますと、人件費は、二十五年度をボトムとしまして、近年上昇傾向にあるわけです。四ページに、平成二十六年、第二次安倍政権下で定められた国家公務員の総人件費に関する基本方針の文書をつけております。総人件費の抑制を図るというくだりがこのページの真ん中あたりにありますけれども、削減を図るということはどこにも書いていません。
私は、これはゆゆしき問題だと思っていまして、民主党政権時代には、二割削減はできませんでしたけれども、一割程度は削減しました、いろいろな努力を積み重ねて。今の政権は、この総人件費の削減というのを考えているのかどうか。この点についてお尋ねします。
○西村内閣官房副長官 お答えを申し上げます。
お尋ねの国家公務員の総人件費についてでありますけれども、御指摘のとおり、平成二十六年度以降増加をしております。
これは、まず平成二十六年度は、東日本大震災の復興財源を確保するために平成二十四年四月から二年間実施をいたしました給与改定臨時特例法に基づく特例減額措置の期限が切れたことによるものであり、また二十六年度以降は各前年度の人事院勧告において俸給水準のプラス改定が勧告をされ、二十六年度から人事院勧告でプラス改定をされておる、したがって、二十七年度以降は勧告どおり措置を講じたことによる影響が大きかったものというふうに考えております。
政府としては、労働基本権制約の代償措置であります、その根幹となす人事院勧告制度を尊重するという基本方針のもと、職員構成の高齢化等に伴う構造的な人件費の増加の抑制や、質素で効率的な行政組織の体制の確立に取り組むことが重要と考えており、引き続き、御指摘のありましたこの基本方針に基づいて総人件費の抑制に努めてまいりたいというふうに考えております。
○階委員 抑制ではなくて、削減する考えはあるかどうかということについて、端的にお答えください。
○西村内閣官房副長官 今申し上げたとおり、人事院勧告を我々は労働基本権制約の代償措置の根幹となすものというふうに考えておりますので、それを尊重するという基本方針のもと、一方で構造的な人件費の増加の抑制、こういったものにも取り組んでいく所存であります。その結果として、全体としての総人件費の抑制に努めていきたいというのが基本方針であります。(階委員「答えていません。削減するかどうかというのを尋ねています。委員長、もう一回答弁させてください。答えていませんよ」と呼ぶ)
○葉梨委員長 発言は、座ってしないでください、一応手を挙げて。もう一回答弁させますから。
○階委員 私の質問に答えていないと思います。
削減するつもりはないんですか。
○西村内閣官房副長官 繰り返しの部分もありますが、国家公務員の総人件費につきましては、給与水準掛ける定員でありますので、給与水準については、今申し上げたとおり、人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢のもと、民間の水準を踏まえて決定をされる。一方、定員は、その時々の行政需要に的確に対応する観点から決定されるべきものであるというふうに考えておりますので、したがって、全体としてあらかじめ削減する、そういう計画、縮減、削減するという計画をつくることはなじまないというふうに考えております。
ただ、引き続き、簡素で効率的な行政組織、体制の確立に取り組むことが重要でありますので、取り組んだ上で総人件費の抑制に努めてまいりたいと考えております。
○階委員 要するに、あらかじめの計画はつくらないということでよろしいわけですね。
ところで、私、先ほど総人件費のこと、政務官として取り組んでいたと申し上げました。実は私、政務官当時、当時野党の議員でありました西村先生から、総人件費の削減計画、ちゃんとやるべきではないか、こういう質問を受けていますね。当時の発言、そのまま読み上げます。
我々の案は、内閣人事局に、総務省、人事院の機能、財務省の機能も移して、全体での削減計画をつくり、どうやって削減していくかというのをつくって、そして、幹部は幹部で人件費をどう下げるかよく考えていこう、そのための案を我々は提案しているわけです。
こんなことをおっしゃっていますよ。当時言っていることと全く違うんじゃないですか。どうなんですか。
○西村内閣官房副長官 お答え申し上げたいと思います。
定員掛ける給与水準ですので、まず定員について申し上げますが、定員管理については二〇一二年以降も定員の純減を続けてきた結果、諸外国と比較してもかなりスリムな体制となっていること、それから一方で、今も御議論ありましたけれども、CIQとかあるいは海上保安、こういった新しい行政需要に基づき必要な定員を措置すべき分野が出てきていることなど、当時とは状況が変化をしているというふうに考えております。
加えて、給与水準は、まさに人事院勧告制度を尊重するとの基本方針でありますけれども、これはアベノミクスの成果もあって民間の給与も上昇し続けており、これを受けて人事院勧告も五年連続でプラスになっているということであります。
こうしたことから、現在は、あらかじめ数値目標を設けて総人件費の縮減、削減することは適切でないというふうに考えておりますけれども、しかし、繰り返しになりますけれども、引き続き、簡素で効率的な行政組織、これを確立して総人件費の抑制に努めてまいりたいというふうに考えております。
○階委員 同じスポーツマンとして、西村先生は尊敬しておったんですが、スポーツマンシップのない、過去に言った答弁を覆すような今の発言でした。
定員の削減の努力はしているかのようなお話もありましたけれども、それもどうなのかということで、六ページ目です。
平成二十五年度、二十九万八千三百四十一人、このあたりまで私たちが予算にかかわって、二十四年度ですね、二十四年度まで私たちが予算をつくり、そして二十五年度の予算をつくりかけたところで政権交代ということになったわけですよね。その後、この定員の数というのは大体二十九万七千ぐらいでほぼ横ばいになっています。削減と言っていますけれども、実際にはほとんど変わっていない、そんな状況です。
この定員については、平成十八年から二十二年、自民党政権のときから私どもの民主党政権のときにかけて、五年で五%削減しようという計画がかつてありました。それに基づいて実行してきました。定員削減ということをおっしゃるのであれば、改めて、こうした五年で五%なり、しっかりした計画を立てて進めるべきではないかと思いますが、この点についてはどうですか。
○西村内閣官房副長官 お答えを申し上げます。
国家公務員の定員管理についてでありますけれども、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針に基づきまして、毎年二%、五年で一〇%以上の合理化を行う一方で、内閣の重要政策に対応した戦略的な定員配置を実現することとしております。
第二次安倍内閣発足以降、こうした方針のもと、平成二十九年度までは純減を続けてきたところで、先ほどの表のとおりであります。また、平成三十年度においても、緊急重点分野であるCIQあるいは海保の増員を行っても、通常ベースの定員については純減を維持したところであります。
他方、三十年度については、震災復興の加速化、あるいは東京オリンピック・パラリンピックの準備対応のように、一定期間に限って臨時的、一時的に措置される時限定員、あるいは、育児や介護等の制約を抱える職員が安心して産前産後休暇あるいは介護休暇を取得できるよう、ワーク・ライフ・バランスの確保を政策的に推進するために例外的に措置する定員、こういった特別要因を勘案した結果、全体として純増となったものであります。
今後も引き続き、厳正な定員管理を行っていきたいというふうに思いますし、重要政策には迅速かつ柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。
○階委員 かつての西村議員からは大分トーンダウンした発言だと思っていますけれども。
まず、八ページ目に、今、答弁の中でもありました、毎年二%、五年で一〇%の定員合理化というくだりが上の方にありますね。皆さん、これを聞くと、努力しているというふうに思うんですけれども、これが大間違いです。これはいわば片道の数字でございまして、一方で、二%を五年、一〇%は減らすけれども、一方では新規でふやす部分もあるんですね。大事なのはその差引き、ネットの数ですよ。私が言っているのは、ネットの数を減らす計画、過去、五年で五%というのがあったわけです。ネットで減らす計画がないと何の意味もない。
今回の法務省の数字だって、見ていただきたいんですね。この二ページ目、いいですか。法務省も確かに減員は九百六十一人だ。減員は確かにやっていますよ。ただ、それ以上にふえるものが圧倒的に多いから、ネットでは七百二十七人のプラスなんですよ。
こういったことを防いでいくためにも純減計画が必要なんです。だから私は言っているんです。それはやらないんですか、最後にお答えください。
○西村内閣官房副長官 国家公務員の定員管理についてでありますけれども、業務の見直し等による定員の合理化を計画的に進める、これは、まさに先ほど申し上げた五年で一〇%以上ということでありますけれども、こうした計画的に進めることと同時に、新たな政策課題に対して必要な増員を行うということは、これは当然あるわけでありまして、行政需要に応じて部門間で定員の再配分を行って、その時々の重要政策に的確に対応できる体制の構築を図っているところであります。
その上で、社会経済情勢の変化が激しい中、新たな行政課題に機動的、戦略的に対応して、必要な定員を的確に配置していくためには、各年度ごとに増員の必要性を精査をして、その増員の規模を判断していくことが望ましいというふうに考えております。
したがって、あらかじめ純減目標を定めて、それを計画的に実施していくことは、結果として機動的、戦略的な対応を制限することになって、適当ではないというふうに考えております。
その上で、繰り返しになりますけれども、これまでの定員管理の結果、諸外国と比較してもかなりスリムな体制になっているという現状を踏まえて、機動的に対応してまいりたいと考えますが、ただし、繰り返しになりますが、毎年二%、五年で一〇%以上、この合理化を、これは厳しく査定しながら行って、厳正な定員管理を行っていきたいというふうに考えております。
○葉梨委員長 階君、質問の時間が終了しております。
○階委員 はい。
結局、総人件費の削減計画も定員の純減計画もないということが明らかになりました。
民主党政権時代は、総人件費二割削減を目指して、私たち政府にいた者も死に物狂いで努力をし、公務員の皆さんにも協力していただきました。そういう姿勢が安倍政権にも必要だ、来年消費増税をするのであれば特に必要だと考えております。
ぜひ再考をお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で階猛君の質問は終了いたしました。
次に、黒岩宇洋君。
○黒岩委員 無所属の会の黒岩宇洋でございます。
きょうは給与法の改正案ということで、昨年も一つ一つ細かな点も確認させてもらっておりますが、その点について、二点ほど確認させていただきたいと思います。
これは実務的なことですので、金子審議官、昨年も聞いたんですけれども、判事補の十二号、検事の二十号、これは新司法試験になってから該当者がいないという号俸になっているということですが、これは現在もそういう状況であることに変わりはありませんでしょうか。
○金子政府参考人 旧司法試験合格者で検事任官した者についてですが、一番直近で、平成二十四年度に二名、平成二十三年度一名、平成二十二年度四名、この程度ということになっています。
この後、旧司法試験合格者で将来的に検事に任官する可能性がある者があるかどうか。およそないとは言い切れないという状況でございます。
○黒岩委員 これは昨年も議論したんですけれども、別にぎりぎり詰める話ではないんです。私からすれば、旧司法試験の合格者が、ある程度の年齢になってから、弁護士資格を取ってその業につくことは私は往々にしてあると思うんですけれども、検事や判事補に任官するということは、そんな蓋然性は低いだろうと思っているんですけれども。
現状として、平成二十四年が最後という話でありましたが、今後、可能性としてはありますけれども、実際にはそれほど、年齢を経てから検事とか判事補に任官するということはまれなケースと考えてよろしいんですね。
○金子政府参考人 そのような方が検事に任検する可能性、まれかどうかという評価になりますので、私からは何とも申し上げられません。
○黒岩委員 確かに。ただ、弁護士と違って定年もありますので、それが、ある程度の年齢になってからも任官してきて、その方が有効な人材として活用されるならばそれはそれでいいんですけれども、そういった問題意識も持ちながら、この号俸、いつまで残るかわかりませんけれども、運用に資していただきたいと思っております。
私は、きょうは給与法ですけれども、全体として、法務省の人事についてもお伺いしたいと思っておりまして、これは山下大臣にお伺いしたいんですけれども、今現在も法務省というのは局別採用を行っているんですか。この点についてお答えください。
○山下国務大臣 法務省では、矯正局、保護局及び入管局がそれぞれの局で採用を行っております。そして、民事局、人権擁護局及び訟務局の三局は、三局一括で採用を行っていると承知しております。
○黒岩委員 済みません、ちょっと聞き取りづらかったですけれども、七局ありますよね。
○山下国務大臣 刑事局におきましては、独自には行っていないということです。検察庁から来たり、あるいは他の部局から来たりというところでございます。
○黒岩委員 済みません、確認です。では、刑事局は採用を行っていない。
○山下国務大臣 刑事局については、検事が相応に勤務しているという状態がございまして、総合職のニーズがそれほど高くないということから、刑事局においては、かねてから局別の採用が行われていないということでございます。
○黒岩委員 済みません、ちょっと、今メモればよかったんですけれども、矯正と入管と……(山下国務大臣「保護」と呼ぶ)保護、この三局が局別と。矯正、入管、保護。わかりました。
この局別採用というのは具体的に、総合職を受かった方が、これは総合職に限って言っていますけれども、各局にエントリーシートを出すという形ですけれども、こういった採用の仕方をしている他の府省ってありますか。
○葉梨委員長 答えられますか。税関とかあるけれども。(黒岩委員「委員長、助け船を出さなくてもいいですよ」と呼ぶ)
○金子政府参考人 他の省庁が局別に採用しているかどうかということは承知しておりません。
○黒岩委員 山下大臣も法務省におられておわかりだと思いますけれども、この局別採用ってかなり特殊なことですよ。ましてや、今、幹部人事においては府省の壁も取っ払ってという状況になっているわけですね、国家公務員において。
他府省において、私が知る限りでは、ないですよ。だから、そんなことも認識せずに、このような法務省独特の採用状況をそのまま看過していること自体が、私はいささか、感度としては、正直言って余り鋭敏ではないかなと思うんですけれども、大臣、いかがですか、内部にいた人間として。
○山下国務大臣 お答えいたします。
まず、局別に採用を行っている理由というのは、それなりの理由があるんだろうと思います。つまり、法務省の特徴として、各局における所管業務の専門性、独立性が非常に高いということでございます。
例えば民事三局、先ほど言った民事局、人権擁護局、訟務局では、登記を含む民事法、商事法等の関係の専門的知見や、あるいは身分法関係でございます。矯正局や保護局では、再犯防止のための施設内又は社会内処遇に係る専門的知見、例えば心理学とか、そういうこともございます。入国管理局では、外国人の出入国審査、在留管理等に係る専門的知見というのがそれぞれ求められることになるということで、また、採用を希望する受験者の立場からすると、やはり、みずから従事することを希望する専門的分野、これが顕著に認められるということで、そういったところで採用しているところでございます。
ただ、問題意識ということに関しましては、採用した後に局横断の人事を積極的にやりたい。前任でおられます上川陽子法務大臣も、省、局内の縦割りを排して横断型のということをおっしゃっておられましたが、それをしっかり引き継いで、採用はそういった専門性に応じて分かれているわけでございますけれども、一旦この法務省の中に入れば、そういった本人の希望とか適性に応じて局横断の人事なども図っていきたいというふうに考えております。
○黒岩委員 山下大臣、おわかりのように、専門性という話になれば、これは各省も当然ですよ。厚生労働省みたいに大きなところになれば、それはもう年金だろうが医療だろうが、ましてや労働行政だろうが、どこも専門性が高いけれども、しかし、それは抜きにして、局の壁をつくって採用しているところなんかないですよ。
まず、刑事局で一切採用していない。これ自体も、多分、多くの一般の方からすれば、一つの柱の局で採用していないわけですよ、独自の。これも驚くべきことですし、先ほど民事三局とおっしゃいましたけれども、昨年は、人権擁護局、採用はありませんけれども、実際には。人権擁護局に入局した、採用された総合職はゼロですよ。これはしばらくゼロだと思いますね。ともすれば、ずっとゼロじゃないですか。
七局しかないわけですけれども、その一局については採用すらないわけですよ。これはどうですか、金子さん。人権擁護局、採用はありますか。
○金子政府参考人 お答えします。
ここ数年、人権擁護局としての採用はないという状況です。(黒岩委員「定足数は足りていますか。ちょっととめてください」と呼ぶ)
○葉梨委員長 足りています。
○黒岩委員 限られているのでね。
大臣、今言ったように、刑事局は誰も採用していない、そして人権擁護局も採用していない。
お聞きしますけれども、私が政務官をしている時代は、総合職から各局、当時は訟務局はありませんでしたけれども、各局の局長になった例は私の記憶ではゼロでしたよ、総合職。こんなことが続いているわけですね。最近、ようやく少しずつふえてきた。でも、結果としてですよ。
私は、横断的に、どの組織にしたって、最初に一括採用されて、いろいろな畑を歩む中でその人の人材が開花する場合というのは往々にして当然ある。そして、そのキャリアパスを多く持つことによって、いろいろな分野でそれなりの高い役職で権限を与えられるという、これによってその組織が活性化するわけですよ。
法務省において、やはり、総合職でせっかく入ってきながら局長にもなれない。なおかつ、今言った局採用で、実際には入省してから五年間のうち一年間は他の局に出る、こういう人事交流はありますけれども、現実には、内部では出向という言葉さえ使われているわけですから、それほど硬直した人事なんですよ。
私は、相当大胆に、これは山下大臣のリーダーシップでできることですから、今どき局別ごとの採用なんですか、こういったことに対して的確な答えを出していただきたい。そのことについて、大臣、今明確に指針を示していただきたいんですよ。
○山下国務大臣 現段階において、総合職で採用されて局長を務めた者というものはおるわけでございまして、例えば今の矯正局長は、その前に人権擁護局長もやっているわけですね。そういった横断的な人事もやっていきたいと思っております。
そうした中で、まずは、採用後の人事交流、これを積極的にやっていくということをやっていきたいと思っております。そういった中で、今まで、専門性であるとかあるいは独立性という、垣根が高いように思われていた、それを採用後に異動する中で適正化、適正化といいますか、そういったところもやはりやっていきたいというふうに思っております。
○黒岩委員 山下大臣、私、法務委員の皆さんとも話をしても、局別採用という存在すら知らない方は多いですよ。そのぐらい、やはり独特なものなんですよね。
やはり、法務省のもともとの成り立ちはありますよ。それはもちろん、かなり高度な法律の専門性が必要だ、そういうところからスタートしていますけれども、でも、現実に、大学で法学部で、法律職で採用された人たちが、今法務省を受けているわけだけれども、結局、刑事局には行けないわけだし、しかも、訟務局みたいな非常に法律を使うところにだって採用なんかされていませんよ、全く、一人も。
だから、こういう、いわば特段というよりは、もっと言えば異常な状況であるということは認識していただきたいですし、やはり採用段階からこれは壁を取っ払わなければいけない。今おっしゃった局ごとの人事交流、これは、どのくらいやったかの量的な多寡については評価は分かれますけれども、まずは採用ベースから、ここは大臣、きちんとした省ごとの採用ということに踏み出すべきだと思いますよ。そのことによって、法務省の、やはりかなり赤れんがの中の理屈だけでなく、開かれた人事採用、ましてや総合職の士気を上げるには、こういった踏み込んだ姿を見せていただきたい。
このことをお願い申し上げまして、済みません、もう時間がなくて、いろいろともう少しあるので、これはまた回しますけれども、大臣、冒頭申し上げたとおり、大臣には期待がかかっているんですから、具体的な行動として示していただきたい。よろしくお願いいたします。
○葉梨委員長 以上で黒岩宇洋君の質疑は終了いたしました。
次に、藤野保史君。
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
まず給与法につきましては、これは人事院勧告に沿った改定でありまして、かつ若年層に厚く引き上げる内容となっております。その点で我が党としても賛成をしたいと思っております。
その上でですが、きょうの委員会そのものの持ち方につきましては、委員長が、与野党合意した給与法以降の日程、極めて異常な日程を職権で強行された。
今、NHKの世論調査でも、今国会で急ぐ必要はないという方が六割を超えている、これはどんどんふえているわけでありまして、これはやはり大事な問題だ、外国人をどう受け入れていくのかというのは、外国人労働者だけでなく、日本人労働者あるいは日本の今後の社会にとっても大事だということで、だからこそ国会ではしっかりと議論してほしい、これが国民の思いだと思います。これにも反する、まさにスケジュールありきの職権立てということに対しては厳しく抗議をしたいと思っております。
その上で、きょうは、入管法にかかわりまして、若干幾つか確認をさせていただきたいと思っております。
この間、四万人あるいは四・七万人の受入れの中身の問題、そして技能実習生の個票の問題ということを野党が一致して求めてまいりました。これは、四万人につきましても、先日、技能実習生からの移行部分というのがかなりの割合を占める、素形材産業とか、分野によってはほとんどが技能実習生であるということも説明を受けましたし、漁業では八割等々、かなり多くの部分が見込まれているということが既に明らかになっております。
そういうもとでありまして、だからこそ、まさに新しい制度も、この技能実習生の実態をどう見るのかということと不可分一体なわけで、そういう意味でも今度の個票というのは大変重要だと。ようやく月曜日に提出をされるということになりまして、この後の昼の理事懇で、どの項目をどういう方法で提出するのかということを、概要の説明を受けることになっておりますので、私たちも注視したいと思っております。
前提として、この聞き取りがなぜ行われたのかという経緯を、ちょっと大まかに振り返りたいと思っておるんです。
大きな流れとしましては、まず研修生制度が始まって、技能実習制度に移行していく。初めは労働法制の適用もなくて、本当に劣悪な条件で働かされる、法的地位も不安定だということで、制度の適正化、制度の見直しというのがずっと進められてきた、こういう大きな流れがあったと思っております。国連やアメリカの国務省からも、人身売買であるとか奴隷労働であると厳しい指摘があり、国会でも熱心な議論があり、やはり制度の適正化が必要だねということで議論が行われた。
そうした中で、一つのエポックとしまして二〇〇九年の入管法改正があったわけですが、ただ、このときも、実はまだ、研修生から技能実習生へ移行したまさに過渡期といいますか、転換期でもあり、入管法改正自身も早急の対処を必要とする事項にとどまって、抜本的な改正はこれからやりましょうということが当時のコンセンサスだったというふうに思います。
そうしたことが、早急な対応をやるんだけれども、それもしっかりやりつつ抜本的な改正をやろうねということが附帯決議にも記されて、まさに衆議院当委員会の附帯決議にも落とし込まれ、それを受けて、法務省の皆さんが出入国政策懇談会、これは実はずっと何回もやられていまして、この二〇〇九年のを受けてのは第六次になるんですが、この懇談会で分科会もつくって、そういう早急のやつと総合的なやつと、検討を具体化されていったわけであります。そういう大きな流れの中で、制度の適正化をやっていく中で、今回の聞き取りも、その年、例えば失踪者が多かったとかいうことで、じゃ、失踪者がなぜ起きたのかを調べようということで聞き取りがやられた。
大体こういう流れで間違いないですか。
〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕
○和田政府参考人 お答えいたします。
ただいまおっしゃられましたとおり、平成二十一年の入管法の改正の際に、衆参両法務委員会でそれぞれ附帯決議が付されまして、技能実習生のあり方の抜本的な見直しについて総合的に検討することとされました。
そうしたことも踏まえまして、早急に制度の見直しの方向性を検討する必要がありましたことから、第六次出入国管理政策懇談会に分科会を設けまして、見直しの方向性の検討を行いました。このものにつきましては、その中で技能実習の関係の分科会も開きまして、平成二十五年の十一月八日から二十六年の五月までこの検討をさせていただいているところでございます。
もともと、本件の聴取票は、この検討の参考にするためということもあって調査を行うこととしたものでもございますが、また、御指摘のございましたとおり、平成二十五年中に失踪した技能実習生が相当ふえたということがございまして、失踪の大幅な増加に対して、失踪に至る経緯等を分析する必要があるだろうということで、平成二十六年三月から、違反調査において、実習実施機関、現在は実習実施者でございますが、ここから失踪した技能実習生に係る聴取票を作成し、調査を行うこととしたという経緯でございます。
○藤野委員 今御答弁いただいたとおりでありまして、国会の大きな流れの中で、やはり適正化が必要だ、海外からも批判を受けた、それを受けて国会で議論し、まさにこの当法務委員会、そして参議院の法務委員会もそうですが、法律ができ、附帯決議もできということを受けて、法務省が出入国管理懇談会でやられたというのは、まさに今御答弁があったとおりであります。
配付資料もその点を示しておりますので、ぜひごらんをいただきたいというふうに思っております。
もう一点確認したいんですが、私どもに出していただいた、配付資料でいいますと、済みません、恐縮ですが、二ページほどめくっていただきますと、聴取票が二つございます、こういう形で。
左の方は意外と簡便なんですが、右の方は意外とチェックボックスも多いということで、これは何でこうバージョンアップしていったのかということなんですが、これは別に悪いことではなくて、右の方で失踪動機については書き込むようになっていまして、これですと、やはり聞き取った警備官の皆さん方の主観も反映されてしまう可能性があるということで、そうした恣意的なものをできる限り排除するためには、まずはチェックリスト、チェックボックス方式というようなことも工夫をされていったと私は説明を受けました。それはそのとおりなんだろうというふうに思います。
加えて、ここでもやはり国会の関与もありまして、二〇一六年には、配付資料の一番最後ですけれども、済みません、これは参議院を紹介していますが、附帯決議が上がっております。こちらは更に詳細な、例えば報酬についても、報酬を聞くだけじゃなくて、報酬からの控除の実態把握にも努めるということが決められていたり、労働時間の把握ということも決められていたり、いろいろ具体的にあるんですね。附帯決議の六番目では、技能実習生及び日本人従業員からの意見の聴取など、実態を的確に把握できる方法により確認することということがあります。
私、説明を受けたら、要するに、この二つは象徴的ですけれども、この中にもいろいろ、やはりバージョンアップしていったんだ、そのバージョンアップの過程でいろいろなところから意見もあった、その中で国会のこういう附帯決議も一つの大きな契機になったと伺いました。
法務省に確認したいんだけれども、そういう理解でよろしいですね。
○和田政府参考人 お答えいたします。
聴取票につきましては、累次といいますか、何回か改定をいたしておりますのは、ただいま御指摘いただいたとおりでございます。
この聴取票を用いた調査を開始いたしました平成二十六年の三月以降、平成二十七年十月、平成二十九年二月、平成二十九年十一月の合計三回、聴取票の改定を行っております。
二十七年十月の改定は、それまで自由記載であったものをチェックボックス方式にしたという、ただいま御指摘のあったとおりの改定でございます。
平成二十九年二月の改定は、技能実習法が成立した後、失踪技能実習生の増加に伴い、失踪する背景を分析するため、技能実習生の職種を聴取項目に追加するなどしたものでございます。
また、平成二十九年十一月の改定は、平成二十九年十一月に技能実習法が施行されましたことを受けて、新たに創設された技能実習三号の在留資格を追加するなど改定を行ったものでございます。
もとより、国会におきます附帯決議は、我々、重く受けとめておりますが、附帯決議からそのままということではない部分があるということは御理解いただければと思います。
〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕
○藤野委員 最後の部分、当たり前のことでありまして、具体的にどういうやり方をとるか、どういうチェックボックスを設けるか、こういうものは皆さんが経験を生かして具体化していただければいいわけで、私が言いたいのは、要するに、今回問題になっている聴取票というのは国会が起源であり、そのバージョンアップについても国会も関与しながら、政府と国会、力を合わせてよりいい制度にしていこう、より実態を把握しようということでやってきたということなんですね。
ですから、別に容疑を固めるためでも何でもないし、犯罪捜査のためでも何でもない、そういう資料であるからこそ出して当たり前だと。もちろん、プライバシー等々に対する配慮は必要ですけれども、国会が技能実習生の皆さんの実態を改善するためにということで、与党も含めて附帯決議を提案し、それに基づいて行われてきた、改善されてきた制度である。だから、そうした個票は、できる限り公開していく、新しい制度の議論の土台として、与野党ともに参考にしていくことが必要だというふうに思っております。
そうしたことを改めて指摘をさせていただいた上で、ちょっとこれは通告していないので恐縮ですが、大臣にきのうの参議院の答弁についてちょっと確認させていただきたいんですけれども、昨日、大臣は、四月の施行について、なぜそこまで急いで四月に施行するのですかという質問に対して、こうお答えになっていらっしゃいます。法改正が半年おくれれば、万単位の方々が帰ってしまうと。大臣、これはちょっとどういう意味なんでしょうか。
○山下国務大臣 施行日の関係でございます。ですから、例えば半年、四月一日施行だったものが十月一日にずれ込んだとしますよね。そうだとすると、例えば、この半年の間に、およそ一年間で受入れされるのが概算要求見込みを参考として例えば四万人だとすると、半年分受入れができないということになります。(藤野委員「帰るというのはどういう意味ですか」と呼ぶ)いや、ですから、在留資格がなくなるわけです。
○葉梨委員長 ちゃんと手を挙げて発言してください。(藤野委員「はい、済みません」と呼ぶ)
○山下国務大臣 在留資格がなくなる、要するに、特定技能一号によることができなくなれば、在留資格を失う者も出てくるであろうと。技能実習を終えて帰っていくということもあるでしょうし、そういったチャンスがなくなるということです。
○藤野委員 要するに、帰るということは、技能実習生が帰るということでよろしいですか。
○山下国務大臣 いや、もちろん、技能実習生からなる方もおられれば、試験を受けてなられる方もおられるんだろうと思います。そういったことで、施行がおくれれば、特定技能一号の資格を持って我が国で活躍できる方々というのが万単位で失われるということで申し上げた次第でございます。
○藤野委員 いや、これはどう考えてもといいますか、来年、何で四月に急ぐんですかと言ったらば、万単位で帰る人が出るからだと。帰るとなれば、やはり、今働いていらっしゃる、日本で活動されている技能実習生の方ということにならざるを得ないんですね。だから、これは技能実習生をある意味引きとめるために来年四月に急いでいるんだ、こういうことなんですか。
○山下国務大臣 済みません、留学生もあるわけでございまして、さまざまな特定技能一号に沿う資格の方が、その資格を得ないまま在留資格を失うということでございます。
○藤野委員 大臣の率直な思いが出た答弁だなと思って私はお聞きしたんです。
それを踏まえてですけれども、やはりそういう意味でも、これは技能実習生の実態、もちろん留学生もそうです、留学生も非常に重要な、闇に包まれておりますので、実態把握は大変重要だと思いますが、やはりそういった意味でも、このお昼に個票の提出というか説明をいただきますので、私どもとしてもこれをしっかり注視していくということを申し上げて、質問を終わります。
○葉梨委員長 以上で藤野保史君の質疑は終了いたしました。
次に、串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。
我が党は、一般公務員、全ての公務員に対する給与あるいは報酬、俸給の根拠は人事院勧告ということでありまして、その査定に関して一貫して改善すべきではないかという主張をさせていただいている党でございますので、今回も反対の立場にならざるを得ないんですが、心情的には、裁判官は大変激務である、民事等は二百件ぐらいですか、抱えているということもありますし、検察官も大変な事件が多発しているということでありますので、心情的には大変だなというふうに思っているところでございます。
ただ、今回、その前に、裁判官の給与に裁判官ごとに開きがあるというふうにお聞きしているんですが、そのような事実があるかどうか、お聞きをしたいと思います。
○堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判官の昇給の運用に当たりましては、裁判官に任官いたしました後、一定期間は、約二十年の間でございますが、同期がおおむね同時期に昇給する運用を行っているところでございます。
その後は、それぞれの裁判官の経験年数のほか、ポストや勤務状況等を考慮いたしまして報酬を決定しているところでございます。
○串田委員 その勤務状況というものの中に処理件数というものも含まれているような話も聞いたりしております。もちろん、たくさんの事件が来るわけですから、丁寧にするにこしたことはありませんけれども、やはり、それを一人一人が非常に長い時間かけていってしまえば、現在発生するべき事件の解決につながらないわけですから、当然、処理件数が多くなっていかなければいけないというようなことは承知しております。
今、非常に手持ちの事件が多過ぎるということで、ADRの活用なども含めまして、そういう勤務条件の改善なども考えていかなければいけないと思うんですが、現状、たくさんの事件を抱えているという部分の中で、その処理の仕方について不満を持っている方々もいらっしゃいます。
我が党は、共同親権に関しては中津川前衆議院議員あるいは松浪前衆議院議員がずっと携わっているということもありまして、今、私のところにもたくさんの相談が来ております。
その中で、子供の監護の件に関し、連れ去りというようなこと、これはちょっと言葉を、実は、今後も取り組んでいきたいと思いますので、非常に丁寧に扱わなきゃいけないと思っています。DVなどの被害者の方は避難するわけですから、連れ去りという言葉は私は適切ではないと思うんですが、全くそうでもない、例えば性格不一致の中で別居をするときに子供をそのまま一緒に連れ出すというようなことに関すると、やはり、同じ両親でも、子供がいなくなってしまう側も発生するわけですね。
そのときに、監護をどちらが行うのかということが家庭裁判所でも争いになるわけですけれども、その際、連れ去られた後の現状があれば、それだけでもって監護が有利になるというような扱い方がなされているのではないかというような御批判があるんですけれども、この点についてどのような対応をされているのか、お聞きをしたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。
家庭裁判所が親権者や監護者の指定をする場合には、どちらの親を指定するのが子の利益に資するかという観点から判断がされているものと承知しております。
具体的には、その子供が生まれて以来、主としてその子を監護してきた者は誰なのかということのほか、父母側の事情として、それぞれの養育能力、子に対する愛情、監護に対する熱意、居住環境、面会交流に対する姿勢等々、あるいは子の側の事情として、その年齢、発達、心情や意向等々、こういった諸事情を総合的に考慮して判断されているものと承知しております。
したがいまして、子を監護している現状を維持することのみを理由として、子を連れ去った側を親権者又は監護者に指定するということはないものと認識しております。
例えば、子の主たる養育を他方の親に任せっきりにしていた親が子を連れ去って監護を継続したといたしましても、このことが監護の実績という面において重視されるとは考えにくいわけですし、裁判例の中には、一方の親が子を連れ去った際の態様等が悪質であることをその親に不利益な事情として考慮したものもあると認識しております。
○串田委員 この問題は、連れ去り、そしてまた連れ戻しというのが実力行使として行われている部分もあることは事実でございます。その一つの理由として、連れ去った後、子供をずっと面倒を見ているという現状を、監護権を決定するに当たって有利に扱われてしまっては、やはりこれは実力行使が行われていくことになるわけです。
ですから、連れ去られた後の現状が今あるということをもって、監護権を決定することに有利に扱ってはいけない。継続性の原則というような言い方をする表現もありますけれども、そのようなことはないということを確認させていただいていいでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、さまざまな要素、諸要素を考慮して判断されているものと承知しておりまして、現状を維持することのみを理由として親権者あるいは監護者を指定するということはないものと認識しております。
○串田委員 総合的な部分の中で、連れ去られた後の状況というものを有利に考慮してしまうと、それは非常に一方的に不利益になるので、実力行使が行われていってしまいますから、それだけはしないような形にしていただきたいと思っています。
大臣、今うなずいていただいていますけれども、御同意いただいたという理解でよろしいでしょうか。
○山下国務大臣 まさに寄り添った弁護活動をされておられる串田委員のお話を聞き入っておったわけでございますけれども、先ほどの当局答弁のとおり、どちらの親を監護者とするのが子の利益に資するかという観点から判断がなされているということと認識しております。
御指摘のような、従前からの子の養育状況や現在の監護状態がどのような態様で開始されたかといった事情についても適切に考慮した上で、子の監護者の指定をしているものというふうに私は考えております。
○串田委員 残念ながら離婚になったり別居になったりというようなこともあるわけですけれども、子供に罪はないわけでございます。そうやって別々に暮らすようになってしまったときに、会っていない親との間での面会交流、これに関しては大臣はどのような考えをお持ちでしょうか。
○山下国務大臣 委員御指摘のとおり、離婚という親側の事情によって子供が犠牲にならないよう配慮をする必要がございます。
そのためには、離れて暮らすこととなった親子が面会交流を通じて定期的に交流を深めることで、子供の精神的な負担や不安感を払拭して、その心身の健全な成長に不可欠な安心感や自信を与えることができるものと考えております。
こうした面会交流が適切な形で行われることは、子供の利益を図る観点から極めて重要であるというふうに考えております。
○串田委員 そこでなんですが、大臣としては、その面会交流の頻度、どのぐらいが適切であるとお考えなのか、お聞きしたいんですが、一つ、離婚届の中に面会交流の頻度を書く項目を設けたらいいんじゃないかという御提案もありまして、そこら辺を将来いろいろと議論をすると、またいろいろなトラブルといいますか、そんなようなことが出てきますので、そういうように、もうその時点で、民法でもそういう協議をするようにという規定もあるぐらいですから、そういうような行政的な書類の中にもう既にそうやって解決をしていくということも一つの手だと思うんですけれども、頻度等を含めまして、そんなような検討もいただけるものなのかどうか、最後に質問させていただきたいと思います。
○山下国務大臣 面会交流について、どの程度行えば子の利益に係るのかというのは、これはもう本当に、親子関係であるとか子供の年齢あるいはさまざまな状況、個別具体的な事案ごとに判断すべきものであるため、一概にお答えすることは困難であろう。やはり、家庭裁判所において個別具体的な事案に即して適切に取決めがなされているというふうに承知しておりますので、それを見守りたいというふうに考えております。
○串田委員 諸外国と比べると、現実には、一月に何時間、一回で何時間だけというようなことが結構多いようなんですね。諸外国は、非常に長い時間、交互に面倒を見て、お互いが育てていくというような制度もありますので、ぜひ諸外国の例も参照していただきながら検討していただきたいと思います。
この件に関しては、DV被害者の方も、守られなくなるんじゃないかという不安もあるので、そういったところも、私たちも一生懸命、緻密に検討しながら進めたいと思いますので、また取り上げていきたいと思います。
ありがとうございました。
○葉梨委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○葉梨委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。
裁判官等の報酬、俸給引上げ法案に、日本維新の会は反対の立場から討論します。
今回も、人事院勧告をそのまま認めて給与引上げを行う法案です。
しかしながら、人事院の査定は大企業をベースにするものですが、大企業の実態をそのまま反映しているものではありません。
大企業にも非正規雇用の者もいたり、バイトであったり、平均賃金はかなり低くなります。ところが、人事院の査定は正規雇用しか計算に入れていません。したがって、公務員の給料は日本で極めて高いものになります。
来年は、消費税の引上げなど、国民の負担ばかりです。それを事実上決定している公務員が大企業以上の高い給料であるなら、国民、特に中小企業で働く国民の理解は得られません。企業の大小を問わず、消費税は上がっていくのです。
国民が納得できない人事院勧告には、時には応じないこともあることを示すべきです。
日本維新の会は、国民の代弁者として、反対を表明いたします。
以上です。
○葉梨委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○葉梨委員長 これより採決に入ります。
まず、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○葉梨委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○葉梨委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○葉梨委員長 次に、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。(発言する者あり)
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長和田雅樹君、厚生労働省大臣官房審議官田中誠二君及び厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君の……(発言する者あり)いや、そんたくはしていない。出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼び、その他発言する者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。(発言する者あり)はい。
それでは、政府等参考人の出席要求に関しまして、賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○葉梨委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)
―――――――――――――
○葉梨委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中曽根康隆君。
○中曽根委員 自由民主党の中曽根康隆でございます。
本日は、貴重な質疑の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、先ほど来からお話がされておりますいわゆる入管法の改正について、ポイントの整理も含めて質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、本法案に関しては、新規在留の資格というものを新たに設けるということになっておりますけれども、これ自体は、ただ単に労働力を確保するために外から人を入れるということにとどまらず、やはり、国民に直接的に、またさまざまな意味で影響を及ぼすような、ある意味、歴史的な法案であるというふうに私は考えております。
この非常に大きな意義のある本法案に対する大臣の意気込み、そして所感を教えていただきたいと思います。
○山下国務大臣 中曽根委員にお答えいたします。
まさに、今回の新たな在留資格の創設は、深刻な人手不足の状況に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人を日本で受け入れ、活躍していただこう、そういう制度でございます。
我が国では、アベノミクスの推進により、成長から分配への経済の好循環が着実に回りつつあります。そうした中で、有効求人倍率が四十四年ぶりの高さとなる一方で、少子高齢化により、労働力となり得る生産年齢人口は毎年減少し、現下の人手不足の状況は極めて深刻な問題となっております。中曽根委員の御地元でもそのような状況があろうかと考えております。
法務省としては、この待ったなしの喫緊の課題に対応するため、来年四月から本制度をスタートさせることを目指しており、先日、改正法案を国会に提出させていただいたところであります。
新たな外国人材の受入れを、我が国の経済社会基盤の持続可能性の維持に資するものとするよう、不退転の決意で取り組んでいるところでございます。
法案審議においては、本制度の趣旨や内容について広く御理解をいただけるよう、引き続き、丁寧かつ真摯な説明に努めてまいりたいと考えております。
○中曽根委員 大変心強い御答弁、ありがとうございました。
今日まで、就労目的の在留資格といいますと、医師であるとか弁護士であるとか、そういった高度な専門人材に限られてまいりました。とはいえ、実情を見てみますと、技能実習生や留学生といった、本来就労目的でない、そういった人たちが曖昧な状況で就労に当たっていた。これは事実として認めなくてはいけないですし、ある意味、我々としても反省をしなきゃいけないポイントだと思っております。
この反省を踏まえた上で、今回、新たにしっかりと就労目的の在留資格を設ける、そして、労働力不足のところにしっかりと外国人の方に入っていただく、これは非常に意味があることですし、大事なことであると思っております。
それを前提とした上でお伺いしますけれども、この期間に関して、二〇一九年の四月から施行ということを言われております。労働力不足の解消というのは待ったなしということは間違いありませんし、速やかな対応が求められているのはもちろんでありますけれども、なぜ、具体的な施行日が既に決められているのか、また言われているのか、その根拠について教えていただきたく思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
有効求人倍率が四十四年ぶりの高さとなる一方で、少子高齢化により、労働力となり得る生産年齢人口は毎年減少しております。そういうことで、現下、人手不足の状況が大変深刻な状況にございまして、政府といたしましては、この課題に迅速に対応する必要がある、そういうようなことから、来年四月に制度をスタートさせることを目指しているということで御理解いただければと思います。
○中曽根委員 ありがとうございます。
人手不足が大変深刻であるということは重々承知をしております。この法案は、単に労働力を確保するということだけでなく、長期的に、また包括的に見れば、日本という形を今後どうしていくか、それぐらい、一つ大きな、重要な事案となっております。スピード感も大事でありますけれども、やはり慎重に、しっかりと議論しながら結論を出していきたいというふうに思います。
先日、政府が、受入れ十四業種について、外国人労働者の見込み数を初めて公表いたしました。これはどのような基準で試算されたものか、その根拠を教えていただきたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
今回お示しいたしました受入れの見込み数は、各業所管省庁におきまして、現在、特定技能一号による外国人材の受入れを希望する十四の業種ごとに、向こう五年間の数を推計したものでございます。
今後、本法案が成立した際には、関係省庁と協議の上、受け入れる分野を決定し、分野別の運用方針においてその受入れ見込み数を明記することといたしておりますが、今回出させていただきました受入れ見込み数は、各業所管省庁が、制度の趣旨に沿って、業界ごとの異なった雇用情勢でございますとか、政策的な要素でございますとか、業界の特性、事情などを踏まえるなどして推計したものと承知しているところでございます。
○中曽根委員 その試算においては、五年後の二〇二三年までに百四十五万五千人の労働力が足りなくなるというふうにされています。一方で、政府の五年間の外国人の受入れの上限というのは大体三十四万人とされています。これは全体の労働力不足の二割程度という認識でおりますけれども、残りの八割について、ここは国内人材をしっかりと活用していく、すなわち、高齢者であったり女性、そういったところをしっかり活用していくことによって補っていく、そういう認識でよろしいでしょうか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおりでございまして、今回導入いたします在留資格の特定技能は、設備投資でありますとか技術革新等による生産性向上、女性、高齢者の就業促進や処遇改善等による国内人材の確保の取組、こういったことを行ってもなお、当該業種の存続、発展のために人材が不足する場合に、その限りにおいて外国人材を受け入れようとするものでございますので、ただいま御指摘がありましたとおり、その三十四万の上限数と人手不足数の乖離の部分につきましては、このような取組によって補っていくという考え方でございます。
○中曽根委員 まさに今御答弁いただいたとおりで、今回の骨太の方針においては、新たな在留資格による外国人の受入れというのは、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお外国人材の受入れが必要と認められる業種について行うということになっております。
政府として、人手不足と言われる業種における女性また高齢者の就業促進や、又は処遇改善などが、取組が行われているかどうか、これはどのように確認をしているんでしょうか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
特定技能による外国人材の受入れを行うに当たりましては、各業種ごとに、生産性の向上に加えまして、ただいま御指摘のございました女性、高齢者の就業促進でございますとか処遇改善などによって国内人材の確保の取組を行っていただく、これが前提でございます。
具体的な取組の状況につきましては、まずは各業所管省庁におきまして、業種ごとの特性でございますとか事情などを踏まえて、検討、精査していただくことになります。
その上で、法務省といたしましては、具体的な受入れ分野を決定するプロセスの中で、各業所管省庁から具体的な取組の状況をお示しいただいた上で、その取組の状況につきまして、厚生労働省等の関係省庁とともに、これが適切なものかどうかということを、合理的かどうかというような観点などから確認をするということで考えているところでございます。
○中曽根委員 一つ念を押しておきたいことになりますけれども、これは順番を間違えてはいけないということだと思います。あくまでも国内人材をフル活用する、その努力をする。その上で、不足している分に関しては外国人材を受け入れる。最悪、同時進行であるべきだと思います。これが、外国人材を受け入れるということに甘んじて、国内の労働力を活用することを、この努力を怠るようなことがあってはいけないと思いますので、そこら辺はしっかりとよろしくお願い申し上げます。
続きまして、本法案に関する国民の認知度に関してちょっとお伺いしたいんですけれども、平成二十七年に閣議決定をされました日本再興戦略改訂二〇一五において、長期的な外国人材の受入れについて書かれております。その中で、移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成のあり方などを含めた必要な事項の調査、検討を進めていくということが示されました。その後も、日本再興戦略二〇一六だったり、又は未来投資戦略二〇一七においても同様のことが記述をされてまいりました。
今回のこの改正案というのは、こういったもろもろの今までの議論を踏まえてできたものと認識しておりますけれども、これがいまいち国民の中で余り共有されていない、周知されていないのかなというふうに感じます。だからこそ、今回の骨太の方針二〇一八によって何か急に打ち出されたような、そんな唐突感を感じている国民は少なくないと思います。
そこで、お伺いしますけれども、まずはやはり、これまで政府がしっかりと議論してきたんだぞ、ちゃんとステップ・バイ・ステップでやってきたんだ、そういうことを丁寧にしっかりと国民に説明する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおりのステップ・バイ・ステップによって、さまざまなことを検討してまいったところでございます。
これまで、昨年六月に閣議決定されました未来投資戦略に基づきまして、真に必要な分野に着目しつつ、外国人材受入れのあり方につきまして検討を行いました。また、本年二月の経済財政諮問会議におきまして、専門的、技術的な外国人受入れの制度のあり方について御議論いただきました。これを受けまして、総理大臣から制度改正の検討を早急に行うようにという御指示がございまして、内閣官房及び法務省を中心といたしまして、本年二月から五月までの間にタスクフォースを開催いたしまして、関係省庁とともに検討を行った上で、本年六月の骨太の方針二〇一八に制度の基本的な方向性が盛り込まれました。
その上で、本年七月の外国人材の受入れ・共生に係る関係閣僚会議におきまして、新たな外国人材の受入れ制度の実施に向けた取組に関する検討の方向性が示されまして、改正法案の骨子が十月の閣僚会議において了承された、このような経緯でございまして、こうしたことについて十分な説明を行っていく必要があると考えているところでございます。
○中曽根委員 今おっしゃっていただいたように、しっかりとした議論を内側でやっているわけですから、それが自己満足に終わらないように、しっかりと国民の皆さんにも伝わるように徹底をしていただきたいというふうに思います。
次に、在留資格について基本的なことをお伺いします。
今回、特定技能一号そして二号という二つの新規の在留資格が創設される予定となっておりますけれども、この二つの根本的な差というのは、技能の水準にあるのでしょうか。また、この一号そして二号の違いを、在留期間又は家族の帯同、その他あらゆる事項において、法務省令で定める予定のものも含め、網羅的に教えていただきたく思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
特定技能一号は、人手不足の分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能、これを要する業務に従事する活動を行う外国人向けの在留資格でございます。特定技能二号は、同じ分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動を行う外国人向けの在留資格でございまして、先生御指摘のとおり、技能水準が異なるものでございます。
そのほかの違いでございますが、例えば、特定技能一号の活動を行う外国人につきましては、在留することができる通算の期間を一律に五年とすることとしているのに対して、特定技能二号の活動を行う外国人につきましては、在留することができる通算の期間について一律に上限を設けることとはしておりません。
特定技能一号の活動を行う外国人の扶養を受ける配偶者又は子については、家族滞在の在留資格を認めないということにしているのに対しまして、特定技能二号の活動を行う外国人の扶養を受ける配偶者又は子については、家族滞在の在留資格を認めることとしております。
また、特定技能一号の活動を行う外国人に対しては、受入れ機関等による職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援が義務づけられているのに対し、特定技能二号の活動を行う外国人に対しては支援が義務づけられていない、こういった点が違っているところでございます。
○中曽根委員 今、丁寧な説明をしていただきました。ありがとうございます。
ちょっとこれに関してまた二点御質問させていただきますけれども、特定技能一号に関しては、通算、最長五年間の在留が認められ、家族の同伴というものは認められていない。一方で、二号に関しては、契約の更新を前提として在留期間に上限はなく、そして家族の帯同も要件を満たせば認められるということだと思います。
ここで、いわゆる、世論の話になりますが、今回、移民、移民と言われている原因というのは、在留期限の上限を設けない、そして家族を帯同させてもいいこの二号の方、これが一つ国民的な不安となって、そういうような移民という言葉が出てきているんだと思うんですけれども、これに対してはどのように説明をされますでしょうか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の移民ということでございますが、これは永住が与えられるかどうかということと関連してくると思われますので、そのことについて申し上げますが、特定技能二号の在留資格を得れば直ちに永住が可能になる、こういう仕組みになっているわけではございません。
また、特定技能二号は、活動内容が、真に人手不足と認められる分野において熟練した技能を要する業務に従事することに制限されております。この資格を得るためには、試験の難度は高く、そのハードルは相当高いものと考えていただければと思います。
また、現行の専門的、技術的分野の在留資格でございます技能でございますとか技術・人文知識・国際業務と同様に、一定の期間を設けて在留が許可されるものでございまして、在留許可の更新に当たりましては、当該期間内における外国人の活動状況などを厳格に審査いたしまして、これが適当であると認められる相当な理由がなければ資格の更新等が許可されない、こういうことになっております。
また、永住の関係を申し上げますと、我が国の永住が認められるためには、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、その者の永住が日本国の利益に合致すると認められることなどの厳しい条件が課せられているところでございまして、これは特定技能二号においても同様でございます。
したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、特定技能二号の在留資格を得さえすれば我が国で永住が認められるというものではございませんので、そういった点などが御説明になろうかと思っております。
○中曽根委員 今のようなしっかりとした丁寧な御答弁をいただければ、二号イコール移民ではないということが明確にわかるわけであります。
もう一点、これに関して質問なんですけれども、十四業種の人手不足を補っていくために一号として外国人材を受け入れる、これは重要なことでありますし、誰もが納得することだと思うんですけれども、このタイミングで、今お話しされた二号もあわせて必要である、この改正案に盛り込んでいく、その必要性というのはどこにあるのか。無駄にとは言いませんけれども、国民の皆さんにとってちょっとでも疑念を抱くような二号に関しても今回入れ込む、この必要性がどこにあるか、ちょっと教えてください。
○和田政府参考人 お答えいたします。
特定技能二号につきましては、骨太の方針二〇一八の中で、新たな在留資格による滞在中に一定の試験に合格するなど、より高い専門性を有すると認められた者については在留資格上の措置を検討する、こうされていたわけでございまして、これを受けまして、現行の専門的、技術的分野の在留資格で求められる技能と同様又はそれ以上のより高い技能を備えた外国人を人手不足分野において受け入れるために設けるものでございます。
特定技能二号につきましては、特定技能一号と同様、人手不足の分野において認められるものでございまして、現在、各業所管省庁におきまして、特定技能二号の活用を検討しているというところでございます。
現時点におきましては、法務省に対しては、建設業と造船・舶用工業の二業種、ここが特定技能の二号の活用を希望するということを示されているところでございまして、このように、各業種ごとの各業所管庁の御要望に基づいて検討しているというところで御理解いただければと思います。
○中曽根委員 紙面等を通じて移民というキーワードが先走っている感はありますので、やはりしっかりとこの特定技能二号というものの趣旨を国民に説明していただいて、移民とは違うんだということを理解をしていただく必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、本法案は、外国人材を受け入れる機関に対して支援計画を作成し、また、それに基づいて、この技能一号の外国人に対する職業生活上、日常生活上そして社会生活上の支援を実施することを求めております。
しかし、人手も不足している、もろもろの余力もない中小零細企業、これらに対して、こういったものを計画しまた実施することというのはなかなか難しいと思います。
そこで、この登録支援機関というものが出てまいりますけれども、この支援機関は一体どのような基準を満たせば登録が可能なのか、サポート意識がしっかりと醸成された団体のみがなれるようになっているのか、そこら辺をちょっとお伺いしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
今回の法案におきましては、登録支援機関になるために一定の要件を満たす必要があるとしております。
具体的に申し上げますと、支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない場合でありますとか、出入国又は労働に関する法令違反により刑事罰を科せられたことがある者などは登録支援機関となることができないということを定めております。
また、支援体制として情報提供体制を確保していることなどを省令で定めることを予定しておりまして、しっかりとしたサポート体制が整備された機関のみが登録支援機関となることができる、先生の御指摘のとおりのことを考えているわけでございます。
○中曽根委員 実際、受け入れる側の中小零細企業においてはなかなか現実的に難しいところもあると思います。
この登録支援機関がしっかりとしているかどうかで、外国人の皆さんの生活であったり、又は、ひいて言えば、外国の皆さんの日本に対するイメージというものも変わってくると思いますので、この登録支援機関の質の担保、そういったところも注力をしていっていただきたいと思います。
ちょっと技能実習生についてお伺いしますけれども、法務省がことし発表した技能実習制度の現状によると、二〇一七年、失踪した実習生は延べ七千人、二〇一三年から五年間では二万六千人が失踪しているというふうに公表されております。
外国人実習生で大きな問題となっているこの失踪について、現時点で具体的な改善策はありますでしょうか。また、この新しい制度によって失踪者が更にふえるのではないかなんという話も一部では聞かれますけれども、それに対する対策、懸念というのはどういうふうに説明されるのでしょうか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、技能実習生の失踪等、さまざまな問題が起こっているところでございます。
そこで、今回の受入れの制度におきましては、これまでの技能実習制度で問題になりました課題でありますとか御指摘なども参考にしつつ、特定技能外国人が低賃金労働者とならないよう、日本人と同等額以上の報酬を支払うことを求める趣旨を法律に盛り込むということとしております。また、特定技能外国人がより高い賃金を得たいと考えた場合に、就業先を変更することも認めることとしております。
さらに、特定技能一号外国人につきましては、受入れ機関又は登録支援機関が、職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を行うこととしているほか、支援の実施状況に関します届出でございますとか、受入れ機関に対する指導助言、立入検査、改善命令、こういったような措置に基づきまして、外国人材の円滑かつ安定的な在留を確保し、そのことによって失踪の防止を図りたいと考えているところでございます。
○中曽根委員 受け入れたからには、日本側にも責任が当然あるわけであります。労働力は物ではなく人でありますので、しっかりと敬意を表した態度でこちらも受け入れていかなきゃいけないというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
今回の改正案では、人手不足が解消された場合に、その分野、業界において受入れを停止するというふうに明記がされております。昔の話ですけれども、リーマン・ショックのとき、自動車工場などで外国の方が多く大量に解雇されたような事例もありました。景気の影響を受けやすい一部の業界において受け入れられた外国人労働者が、もし就労期間中に職を失った場合、不法滞在などの懸念も新たに生まれてくると思います。
政府として、失職した外国人労働者、ここに対してどのような支援策をお考えでしょうか。また、業種を固定する形での受入れになりますと、なかなか転職を支援するというのも難しくなってくると思いますし、そこには限界があると思いますので、そこら辺についてお伺いしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
今回の受入れ制度におきましては、特定技能外国人がみずからの意思により、入国、在留が認められた分野の範囲内で、ここで転職を行うことを可能といたしているものでございます。
こうした前提のもとで、特定技能一号外国人が、例えば受入れ企業が倒産するといったようなことにより雇用契約を解除された場合には、当該受入れ企業におきまして他の受入れ企業を確保するなど、転職支援の実施を法律上義務づけております。また、特定技能一号外国人がみずから転職を希望する場合には、受入れ企業又は登録支援機関において、その相談に応じるということでございます。
今回の受入れといいますのは、そもそも、深刻な人手不足に対応するために、外国人材の受入れが必要な業種に限り、当該業種における一定の専門性、技能を有し、即戦力となる方、こういった方を受け入れるものでございますので、その転職、業が固定されているとなかなか難しいところがございますけれども、受け入れられた業種と異なる業種に移るということは、当該外国人が有する専門性、技能を生かした就労活動というのが期待できないことになりますので、このような転職は認められませんが、そこの分野の考え方等によりまして対応できる分は対応してまいりたい、こう考えているところでございます。
○中曽根委員 今回の法案というのは、結構、入り口の部分に焦点が当たりやすいのかなというふうに思っておりますけれども、こういった出口といいますか、さまざまな状況が想定されますので、そういった、入ってきた後、入ってきている間、そしてそこから出ていくとき、そこに関してもしっかりと想定した上で議論していかなきゃいけないなというふうに思っております。
これに関連して、最後に質問させていただきますけれども、必要な時期に受け入れて、必要がなくなれば契約を更新せずに帰国してもらうという考えがもしあるようであれば、日本が外国人労働者を、言葉は悪いですけれども、使い捨てにしているというようなことを言われかねないと思います。この受入れ方だったり、また処遇を間違えると、相手国からの日本の評価というものも下がりますし、また、国際的な日本の地位というものに対しても悪影響が及ぶというふうに認識しております。
日本に来てよかった、また来たいな、そういうふうに外国の方々に思っていただけるような、単に労働力としてではなく、共生する社会の一員として迎え入れる意識が我々にも必要だと思いますけれども、その辺に関してはどのようにお考えでしょうか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
先生の御指摘のとおりでございます。
今回の受入れ制度は、中小・小規模事業者を始めとして、人手不足が深刻化しておる、我が国の経済社会基盤の持続可能性を阻害する、こういった可能性が出てきていることから、生産性の向上でございますとか国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野におきまして、一定の専門性、技能を有する外国人の方を受け入れようとするものでございます。
したがいまして、これは、生産性向上でございますとか国内人材確保のための取組を行う、これが大前提でございまして、こうした取組を行わないまま、単に労働需要を満たすために外国人材を受け入れる、こういったような制度ではございません。
また、このように、今回の制度におきましては、有意義な人材に来ていただく、こういうことが重要でございまして、今回、制度で受け入れる外国人の方につきましては、日本人と同等の報酬を確保するとともに、円滑、安定した在留のための各種の支援の対象とさせていただいているわけでございます。
その上で、新たな在留資格で受け入れられる外国人の方に限らず、我が国で働き、学び、生活する外国人の方を適正に受け入れることは、もとより重要なことであると考えているところでございまして、当然のことながら、外国人のお一人お一人を、単なる労働力ではなく、外国人の方、人間として、日本に来てよかったと思っていただけるような政策をしていきたいと考えているところでございまして、その点で、現在検討を進めております外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策、ここにおきましても、外国人の方を社会の一員として受け入れていく、このような視点に立ちまして、外国人との共生社会の実現に向けて取り組んでいるところでございます。
○中曽根委員 日本の五十年、百年先を見据えた上で外国人材をどのように位置づけていくのか。来る方も受け入れる方もウイン・ウインとなるような、そういった体制を、長期的な視点でしっかりと構築していかないといけないと思います。
大変重要な、そして私は思うに、歴史的な法案の改正でありますので、しっかりとした審議の上で、すばらしい結果を出していただきたいと思います。
以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で中曽根康隆君の質疑は終了いたしました。
次に、串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。
日本維新の会も人手不足でございます。
大臣、入管法改正なんですが、ずばり、これは移民政策なんでしょうか。
○山下国務大臣 これにつきまして結論から申し上げると、国際的に移民を定義づけているものではございません。
まず申し上げたいのは、移民という言葉は現行法令上の法令用語としては用いられておらず、さまざまなところで、さまざまな文脈で用いられている多義的な用語ということでございます。
国連においても、あるいは、例えばOECDにおいてもさまざまな定義がございまして、OECDは国連の定義に関して、長期移住者については、広く受け入れられているものではなく適用が困難などと言っているところでございます。
そうした中で、今、私どもがいわゆる移民政策をとるものではないと申しますのは、やはり国民が懸念するようなもの、そういったものをとらないということでございまして、例えば、国民の人口に比して一定程度のスケールの外国人及びその家族を期限なく受け入れることによって国家を維持していこうという政策はとることは考えておりませんし、また、従前、谷垣法務大臣当時でございますが、我が国の入国管理制度は、我が国で永住を希望される外国人がおられるけれども、最初から入国と同時に永住を許可するというような制度にはなっていないというふうに説明しているところでございます。
そして、私なりにリフレインさせていただければ、例えば、外国人を、期限を設けることなく、何らかの資格活動を行うことを前提とせずに、家族の帯同を認めた上で、一定程度の規模を受け入れることによって国家を維持していこうというのが、国民が懸念する移民政策と言えるのではないかというふうに考えているものでございます。
先ほど来議論がありますように、今回の制度改正は、深刻な人手不足に対応するために、現行の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充して、真に必要な分野に限り、期限を付して、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材が、その能力をもって日本で資格活動していただくことを前提に受け入れるというものでございまして、先ほど申し上げた政策とは明確に異なるというものでございます。
○串田委員 大臣の御説明もいただきました。確かに、国際的なはっきりした定義はないと言われております。
一方で、一九九七年でしょうか、国連の統計委員会で報告されたのは、少なくとも十二カ月、他国で居住している人、そういった者を受け入れるものを移民ということであるならば、国連に加盟している国の方々あるいは世界的に見た段階で、この定義をここの入管法の改正に当てはめると、あっ、日本も移民を取り入れ始めたんだなというふうに理解されるのではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
要するに、我が国では定義を勝手につくって、いや、その定義には入らないから移民じゃないんだと言っても説得力がないと思うんです。国際的に利用されている定義がある以上、流用されている言葉がある以上は、国際的に見たらどうだというのは違うと思うんです。この点、どうでしょうか。
○山下国務大臣 まず、事実確認、事実、ファクトを申し上げますと、国連のホームページのサイトにも記載されておりますが、国際移民の正式な法的定義はありませんと国連自身が申しておるところでございます。
そして、国連が定義しているのは、移民ではなくて移住でございます。例えば、国連の、英語で申しますとマイグラントという言葉を使っています。
アメリカなどで移民を意味する言葉はイミグラントということで、イミグラントについては、例えば、アメリカのIRSは、永住権を有するレジデントというふうに定義しておりますが、マイグラントという言葉、これはまた別でございます。
国連においては、ショート・ターム・マイグラントとロング・ターム・マイグラント、要するに、短いマイグラントと、これは短期移住ですね、長期的移住、ロング・ターム・マイグラントというふうにしておりますが、ショートタームにつきましては三カ月以上、ロングタームについては十二カ月以上としておりますが、これらは、例えば、我が国の入管法においては三カ月以上の在留者のことを中長期在留者というふうに概念しておりますが、それと近いものではないかというふうに考えております。
実際、先ほど御紹介したように、OECDにおきましては、国連におけるロング・ターム・マイグラントというのは、広く受け入れられているものではなく適用が困難であるというふうにOECDも言っているところでございます。
そうした中で、国連の定義が一義的ではないというところから、私が御説明したような中身を申し上げているところでございます。
○串田委員 大臣も永住権というのを一つの基準とされていると思うんですが、イミグラントになるかどうかということなんですけれども、一号を五年間、その後、熟練したら二号になるということなんですが、熟練というのは、恐らく実技になるんだと思うんですよ、これは各業界で決めるテストのようなんですけれども。相当程度のレベルで一号になられた人が、五年間その仕事についたらば、熟練というふうに言われてしまうんじゃないですか。熟練ということになれば二号になって、そして、今の永住権のガイドラインからすれば、仕事を五年やっていて、十年間日本に居住することによって永住権を取得できる。
そうだとすると、一号で五年間、そして熟練となって二号、そして、もうその二号が五年間あれば十年間ですから、その時点で永住権を取得できるわけです。ですから、マイグラント、イミグラントは違うんだといっても、結局は、永住権を取得できるという点では移民ではないでしょうか、大臣。
○和田政府参考人 ただいま永住の関係について御質問がございました。
まず、その前提といたしまして、特定技能二号につきまして、特定技能一号で暮らしているうちに、熟練したらそのまま特定技能二号になるのではないかというような御趣旨の御発言がございましたが、特定技能二号になるためには、熟練した技能になるかどうか、こういう試験等によって熟練した技能が確かめられた者、これが特定技能二号となるわけでございまして、そのハードルといいますのは、単に特定技能一号で五年を経過したら直ちに特定技能二号になるというものではなく、かなりハードルの高いもの、こう考えているところでございます。これがまず第一点でございます。
次に、永住の関係でございますが、永住につきましては、出入国管理法におきまして、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、法務大臣がその者の永住が日本国の利益に合致すると認めること、こういう三つの要件を課しておりまして、この要件に合致するかどうか、こういう判断をするわけでございます。
そして、その国益要件の中につきまして、ただいま御指摘のございましたような就労期間、居住期間についてがガイドラインで定められているところでございますけれども、これは永住を認めるための一つのガイドラインでございまして、五年、十年住めば直ちに永住が認められる、こういうようなものではないというたてつけになっているということをまず申し上げたいと思います。
○山下国務大臣 ただいま局長が答弁したとおりでございます。
○串田委員 今、局長の回答でも、永住権、三つの要件をおっしゃられましたが、今の要件というのは、一号を経過していれば大体該当するんだと思いますよ。そして、熟練というのは、高度といいながら、相当程度で入られて五年その職業につかれていて、そして、高度だといっても、熟練というものの内容が非常に曖昧な中で、五年たてば熟練とも言えるよねと国民が思うのも、これもやはり不自然な理解ではないと思うんです。
ですから、そういう意味では、一号が経過すれば二号になる人は相当ふえるんだなというふうな、この危惧というのも絶対出てくると思うし、現在、五業種ですか、十四の中で五業種と言いましたけれども、それが幾つになるかというのもはっきりしていないわけですから、結果的にはふえていくのではないかという不安というのは国民があって、これはやはり移民政策に、まあ、移民政策というか移民政策に近いというか、どちらか、これは定義が決まっていないから詮なきことなんですけれども、議論をしていればですよ。ただし、他国の人が非常に日本に入りやすく、そして永住しやすい国になっていくという懸念というのは、これはやはり持つことはあるんだろうな。
先ほど、前の議員の方がおっしゃっていましたけれども、人手不足なら一号だけを検討すればいいじゃないかと。何でこの時点で、わざわざ永住権も取得できそうな二号を取り入れなければいけないのか、三年後でも何年後でも十分検討する時間はあるのにかかわらず、何でこの臨時国会でここまで盛り込んだ法案を提案してこなければいけないのかというのは、私としても非常に疑問なわけでございます。
今回、見込み数がありました。五年後の人材不足の見込み数と受入れの見込み数に差があるのはどういうことかとお聞きしましたらば、要するに、生産性の向上と国内の人材の育成ということでありましたけれども、その足りない部分を外国人で埋めるんだという話であるんですね。
これはちょっとおかしいなと思うのは、足りない部分というのは、必ずしも相当程度のレベルの人ばかりではないはずなんです。単純な作業に従事している人もいるはずなんですよ。それも含めてそこに外国人を入れるということは、相当程度といいながら、単純な部分も含めて入れることになると私は思うんですが、いかがでしょうか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
今回の受入れ制度は、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充いたしまして、一定の専門性、技能を有する外国人に限って我が国に受け入れることによって深刻な人手不足に対応しようとするものでございます。
御指摘の外国人材の受入れ見込みにつきましては、各業所管省庁において精査、検討して推計したものでございますが、これは、現時点におきます人手不足数を基本といたしまして、これに、生産性向上でございますとか国内人材確保のための取組が最大限尽くされることを踏まえた受入れ見込み数でございます。
その上で、専門的、技術的分野とは評価されない分野、すなわち、御指摘の単純労働者を含むかどうかということでございますけれども、そういったいわゆる専門性、技術性が全く必要ない方々につきましては、これは、そういう方々を受け入れるかどうかということについては、幅広い観点から、国民的コンセンサスを踏まえつつ政府全体で検討していく必要があり、今回の新たな外国人材の受入れにおいては、その分野を対象としているものではないものでございます。
そのため、そのような単純労働者と、いわゆるそういうような分野に関しましては、ここの点の人手不足対応につきましては、例えば設備投資でございますとか技術革新といったような生産性向上等によって対処すべきものである、そのように考えているところでございます。
○串田委員 今の説明でありますと、今回出されました十四業種の中で、人材不足の見込み数、現時点と書かれているんですが、そうすると、この現時点での数字というのは単純労働者の不足は入っていないということでよろしいですか。
○和田政府参考人 入っておらないという計算でございます。
○串田委員 ということは、これは、相当程度の技能や知識が必要で、足りない数がこの人材不足の見込み数、現時点というふうに私は理解いたしました。したがって、単純労働の人手不足はここに入っていない、こういうことで、先に進めさせていただきます。
ところで、労働契約法が二〇一三年に施行されまして、ことしが有期雇用から無期雇用に変わることのできる五年後になるわけなんですけれども、日本人が非正規から正規に変われる、非常に大事なこの時期なんです。企業も人手不足ですから、有期から無期に変えないと人手不足を補えない。
ですから、今まで非常に都合がよかったんです。有期をずっと繰り返していって、仕事が必要もなければ雇いどめをする、必要があれば更新をする、そういう意味では、働いている側としては大変不安定な状況だった。それでは日本は非正規雇用は変わらないなということで、二〇一三年にでき上がったのが労働契約法なわけですね。
これを、法改正をして外国人が入ることになるとすると、せっかくの日本人の非正規雇用が、あっ、今度は正規に変われるな、有期から無期に変われるなという期待を、いや、もうあなたはやめてくださいよ、ちゃんと外国人がやると言っているんだからということになってしまうんじゃないかという懸念は非常にあると思うんです。
これはどういうことになってくるかというと、労働力不足を生産性向上やあるいは国内人材で補っていくといいながら、足りない部分、将来的に足りない部分が蓄積されていくかのように見えながら、実は、日本人の雇用が外国人に入れかわっていってしまう可能性もあるわけです。
この懸念というのは、どうやって、そうじゃないと言い切れるんでしょうか。
○葉梨委員長 和田入国管理局長、先に。
○和田政府参考人 申しわけございません。
先ほどの答弁、少し訂正させていただければと思います。
私が申し上げましたのは、見込み数の中には、受入れ見込み数の中には単純労働者は入っておりませんが、人手不足の中にはいわゆる単純労働者は入っておりまして、その人手不足の部分の単純労働者に関しましては生産性向上等によって賄っていくという、そのようなことでお答えしたつもりだったので、ここを訂正させていただければと思います。申しわけございませんでした。
○田中政府参考人 労働契約法の無期転換ルールのお尋ねについてお答えをいたします。
各企業におきましてどのような労働者を雇用するかにつきましては、企業や業種ごとに事情はさまざまであると考えております。したがって、御指摘の労働契約法の無期転換ルールに関しまして、日本人を雇いどめをして、かわりに外国人を採用することとなるかどうかにつきましては、一概には申し上げることは困難だと考えております。
なお、厚生労働省としては、無期転換ルールを意図的に避ける目的で雇いどめをすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではないと考えておりまして、この趣旨を的確に啓発指導してまいりたいと考えております。
○串田委員 啓発指導したとしても、法律的に違反じゃないんですから、それをどうやって阻止するのかということをやはり一緒にあわせて提案していかなければ。一概に言えないというのは、そういうふうになることもあるということですので、これは非常に問題ではないかと思います。
そして、今訂正がありました、人材不足の見込み数の中には単純労働と相当程度が両方入っているという話ですよね。
今までは、生産性向上と国内人材を差し引いた分を補うと言っているわけですから、この数字の中で、単純労働と相当程度というものの数字を分けてもらわないと、外国人を受け入れるというのを私たちも検討できないと思うんです。ぜひその資料を提出していただきたいと思います。
○葉梨委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○串田委員 終わります。ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で串田誠一君の質疑は終了いたしました。
この際、暫時休憩いたします。
午後零時二十四分休憩
――――◇―――――
午後四時三十九分開議
○葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
再開に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。
再度理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○葉梨委員長 速記を起こしてください。
ただいま私に対する解任決議案が提出されました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二分散会