衆議院

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第3号 平成31年3月13日(水曜日)

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平成三十一年三月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 石原 宏高君 理事 田所 嘉徳君

   理事 平沢 勝栄君 理事 藤原  崇君

   理事 宮崎 政久君 理事 山尾志桜里君

   理事 階   猛君 理事 浜地 雅一君

      赤澤 亮正君    井野 俊郎君

      石崎  徹君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    門  博文君

      門山 宏哲君    上川 陽子君

      神田  裕君    黄川田仁志君

      国光あやの君    小林 茂樹君

      佐藤 明男君    中曽根康隆君

      福山  守君    古川  康君

      和田 義明君    渡辺 孝一君

      神谷  裕君    黒岩 宇洋君

      松田  功君    松平 浩一君

      山本和嘉子君    大西 健介君

      奥野総一郎君    源馬謙太郎君

      遠山 清彦君    藤野 保史君

      串田 誠一君    井出 庸生君

    …………………………………

   法務大臣         山下 貴司君

   法務副大臣        平口  洋君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   経済産業副大臣      関  芳弘君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   農林水産大臣政務官    高野光二郎君

   経済産業大臣政務官    滝波 宏文君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  佐々木聖子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 志野 光子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高橋 克彦君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  塩見みづ枝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           田畑 一雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           度山  徹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       渡邊 厚夫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           山北 幸泰君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     北村 知久君

   法務委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     石崎  徹君

  鬼木  誠君     渡辺 孝一君

  神田  裕君     佐藤 明男君

  古川 禎久君     福山  守君

  逢坂 誠二君     神谷  裕君

  源馬謙太郎君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     赤澤 亮正君

  佐藤 明男君     神田  裕君

  福山  守君     古川 禎久君

  渡辺 孝一君     鬼木  誠君

  神谷  裕君     逢坂 誠二君

  奥野総一郎君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     源馬謙太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件(特定技能の在留資格に関して政省令事項を含む法制度の全体像)


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     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件、特に特定技能の在留資格に関して政省令事項を含む法制度の全体像について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長佐々木聖子君、外務省大臣官房審議官志野光子君、外務省大臣官房審議官高橋克彦君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官塩見みづ枝君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宮嵜雅則君、厚生労働省大臣官房審議官田中誠二君、厚生労働省大臣官房審議官田畑一雄君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、厚生労働省大臣官房審議官渡辺由美子君、厚生労働省大臣官房審議官度山徹君、農林水産省大臣官房輸出促進審議官渡邊厚夫君、農林水産省大臣官房審議官山北幸泰君、水産庁漁政部長森健君及び国土交通省大臣官房建設流通政策審議官北村知久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山尾志桜里君。

山尾委員 立憲民主党の山尾志桜里です。

 きょうは、外国人の政省令の関係、前回の質問で、四政務官が新たに精査をしたけれども全部同じ数字になった件から始めたいというふうに思います。

 皆さんのお手元に資料をお配りしました。少し復習をさせていただくと、資料一、これが、二〇一八年十一月十六日、つまり法案成立前のこの法務委員会において示された受入れ見込み数、黄色で塗っておりますけれども、数であります。一枚めくっていただいて、資料二の一、これは、もう国会が終了して、法案が法律となり、二〇一八年十二月二十四日に閣議決定された分野別運用方針についてに示された五年間の受入れ見込み数であります。

 前回の質問で、結局数値に変化はなかったという前提が確認をされ、その上で、そうしたら十一月十六日から十二月二十四日までの間に精査はされたんですか、されたなら、なぜ全ての数字が結局同じになったんでしょうという問いかけをしました。それに対して、厚労、農水、経産、国交各政務官が、新たに精査をしたという答弁で、そろって答えられたということであります。

 ここからお伺いをします。厚労副大臣、農水政務官、経産政務官、国交政務官に同じ質問をいたします。

 それでは、この新たに精査とは何なのか。この間に何か別の計算方法を使ったとか、あるいは別の要素を加えたとか、あるいはもともとに示された業種をブレークダウンをして改めて人数を数え直したとか、何か新しいことはされたのか。されたのであれば、こういう新しい計算をしましたというふうにお伝えください。なければ、それはないということで結構です。

高階副大臣 お答えいたします。

 改めて精査をさせていただいておりまして、昨年十一月十六日にお示しいたしました介護分野の受入れ見込み数について、向こう五年間で三十万の不足が見込まれるという中で、生産性の向上そして人材確保の努力、これを通じてもなお不足する分というものを精査をし直しさせていただいております。その結果、改めて六万という数字を出させていただいているという状況でございます。

山尾委員 私の質問は、今特定した期間に新たな計算方法や新たな要素を加えたならそれを教えてください、それがないならそれはないというお答えをくださいという質問ですので、ちょっとそこがわかりにくかったので、もう一度お願いし、あとのお三方もそれを明確にお答えください。

高階副大臣 特段、改めてやりましたものですから、新たに何か加えたという要素はないというふうに承知しております。

高野大臣政務官 お答え申し上げます。

 この試算は、農林水産省として最大限精査をいたしましてお示ししたものでございます。

 年末の分野別運用方針の決定に向けては、受入れ見込み数の考え方を、改めて、委員の御指摘も踏まえて精査をしまして、特に新しい要素が見出せなかったことから、十一月にお示しした数値の上限である三万六千五百人を分野別運用方針に記載したものでございます。

滝波大臣政務官 お答えいたします。

 経産省として十一月の時点で精査をしてお示しをしたものでありますけれども、年末の分野別運用方針のもとにおいても改めて精査をいたしました。

 要素につきましては、厚労副大臣からもお話ありましたように、同じ要素でありますが、そのことを再度確認をいたしまして、そのうちのその数値の上限であるものをそれぞれ分野別運用方針に記載したものであります。

工藤大臣政務官 お答えいたします。

 さらには、国内の人材確保の取組内容と効果についてお尋ねがありましたが、適当か否か改めて確認をした上で受入れニーズを定めたものですが、その後においてはございません。

山尾委員 明確にいただいて、ありがとうございます、そのこと自体は。

 結局、改めて精査、最大限精査という中身は、特に新しい要素は四省庁ともないということでした。そういうことなんだろうというふうに思いますね。結局、十四業種を各分野にブレークダウンして精査をするということは実行されなかったということであります。

 皆さんのお手元の資料三を見ていただいてよろしいでしょうか。資料三の一、三の二と右下にあるんですけれども、三の二の方、黄色いペンが記されているところを見ていただきたいと思います。

 この右端のが私の質問でありまして、ここに、私たち立法府は、国民は、どちらを受入れ数として信用したらいいんでしょうか、現在提示されている業種別おおよその見込み数なのか、それとも、法案が成立した後、法務省がつくりますと言っている分野別積み上げ見込み数なのか、どちらでしょうかと総理に、予算委員会で、私、尋ねました。そうしましたら、それに対して安倍内閣総理大臣が、精査した後の数字である分野別運用方針でありますというお答えだったんですね。

 しかし、結局、今の答弁を聞くと、分野別精査はされなかった、素材の数字は、何ら精度を高めることなく、本数字になってしまったということだと思います。

 ただ、何一つ変わらない結果が発表はされたんですけれども、変わった点がたった一つありました。

 もう一回、資料一に戻っていただきたいと思います。

 資料一の左上を見てください。「担当」というところの右側に「業種」とあります。この「業種」として、介護とかビルクリーニングとか素形材産業とか、縦に並んでいるわけです。

 一方、資料二、一ページめくっていただいた分野別運用方針、これを見ていただいて、この資料二の左上を見てください。「業種」であったものが「分野」というふうに入れかわっております。でも、中身を見ると、下は、介護とかビルクリーニングとか素形材産業とか、最後の外食業に至るまで同じ十四つの分野、業種が書かれているわけです。

 つまり、十一月には、介護やビルクリーニングから始まり外食業に至るまで、法務省は業種と呼んでいました。でも、十二月のペーパーでは、全く同じ区分業を分野と言いかえています。つまり、十四業種を十四分野と言いかえるだけで、新たな精査なく、分野別運用方針をつくり上げたというふうに私には見えるわけです。

 なぜ、同じものが突然言いかえられたんですか。これは法務省にお伺いをいたします。大臣。

山下国務大臣 業種と分野の用語の違いについてお尋ねがありました。

 これは、端的に言えば、業種とは事実上の概念、そして、分野という用語は入管法上の法律上の概念であります。

 この業種というのは、これは単一の省庁が所管する業の種類を特定する呼称として、例えば、昨年二月に立ち上げられた専門的・技術的分野における外国人材の受入れに関するタスクフォース以降、受入れの対象となる範囲をあらわす一般用語として用いられていた概念でございます。

 そして、分野というのは、入管法上、例えば、在留資格の定めにおいて、技能においては「産業上の特殊な分野」という、分野という法律用語を用いております。これが、受入れの対象となる範囲を画する法律上の概念として用いているわけでございます。

 そして、今般の特定技能におきましても、技能で分野というふうに使用していることに倣い、人手不足の状況、生産性の向上等を客観的な指標で判断した上で、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野ということで、法律上の概念として特定産業分野と定義したことから、この分野という概念を用いておるところでございます。

 そして、この分野という概念は、改正入管法等の案が閣議決定された段階から、法律上は分野ということで明示してあったところでございます。

山尾委員 国会で議論していたときも、私たち立法府で法案をもとに議論していたわけですから、しっかり、法律上の概念であるなら法律上の概念で議論すればよかっただけの話であって、今の説明はよくわからないわけです。

 この分野が変わるというときは、分野というのはつまり法律上の用語であるとおっしゃいましたけれども、分野が変わるときは在留資格の変更が必要になるという、当事者双方にとって極めて重要な法律上の概念だと思いますよ、私も。だからこそ、そこをきちっと用語として正確に、国会審議のときこそ議論をするべきではないんですかという、そういうことなんですね。

 皆さんの手元に、資料四の一と四の二というのがあります。

 四の二というところを見ていただくと、これは改正案として示されたものの二十条ですけれども、四の二の黄色い文字のところを見てください。

 ここにあるように、「法務大臣が指定する本邦の公私の機関又は特定産業分野」とありますので、受入れ機関と分野というのは法務大臣の指定事項なんですね。だから、分野が変わるときは在留資格の変更が要るという法案を私たちは議論していたわけです。

 十一月十六日時点で、分野というのは当然、業種とは別で、業種を細かく区分されたものが示されるという理解で、私たちは議論していました。

 つまり、私たちが法案を審議していたときの前提というのは、もう一度、皆さん、お手元の資料を見ていただきたいんですけれども、一番上、例えば国交省でいうと、建設業というのは業種でありました。法務省がみずから配ったペーパーです。私たちの審議の大事な前提になったペーパーです。建設というのは業種でありました。更に細かく、その後、類型化された、型枠とか左官とか屋根ふきとか、こういう分類がなされて、分野として指定されるんだという議論をしていました。

 したがって、私たちが議論していたときの前提というのは、この二十条の理解は、型枠から左官に変更するときは資格変更が必要だ、こういう前提で議論していたわけですね。

 でも、法案成立してみたら、法文はもちろん変わらないんですけれども、概念が変わって、皆さん、二ページ目を見ていただくとおり、分野というのは、型枠とか左官とかを指すのではなくて、それを包含する建設という上位概念に突然ランクアップをされたわけです。

 細かいことなので局長でも結構ですけれども、この今の話でいくと、型枠から左官に変更するときは、分野は変わらないということになります。在留資格の変更は必要ですか、必要ありませんか。

葉梨委員長 局長は参考人として呼んでいないんです。(山尾委員「呼んでいない。失礼しました。じゃ、政務官なり、副大臣なり、大臣なり」と呼ぶ)

 山下法務大臣。

山下国務大臣 もう一度整理しますと、分野というものを変わるときに在留資格の変更が必要だということにしております。

 その分野の概念というのは、人手不足が深刻で産業上の特別の分野というふうに御説明いたしましたが、さらに、基本方針において業務区分という概念を設けております。

 この業務区分というのは、これは、分野の中において、例えば、我々は一定の専門性、技能を有する者を入れるというわけでございます。ですから、人手不足が深刻な分野の中にも、それぞれその業務において求められる一定の技能、専門性が異なる場合があり得る。共通性があるものについて業務区分ということで、その業務区分の中では、これは在留資格の変更というのは必要ありませんが、その業務区分から別の業務区分に変わる場合には、同一の分野に属する場合でも必要とされる技能とかそういうものが異なるということで、これは在留資格の変更が必要だということになります。

 そこで、大工と左官の場合には、これは業務区分上は同じということにしておりますので、ちょっと今確認させますが、在留資格の変更は必要ないということになります。

山尾委員 私が以前にレクを受けたときとちょっと答えが変わっていますけれども、大臣がそう言うなら、そういうことなんでしょう。

 じゃ、ちょっと少し詰めていきますと、皆さん、資料二の一をもう一回見ていただいたらいいと思うんですけれども、基本的に、同じ分野の中で従事する業務というのが、それぞれの分野ごとに、一つであるものもありますけれども、十以上あるものもある。その中で、この業務から、同じ分野の中で業務が変わるときには、資格の変更が要る場合と要らない場合がそれぞれあるという理解でよろしいんですか。それはどこに書いてあるんですか。

葉梨委員長 ちょっと速記とめてください。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こしてください。

 じゃ、もう一度、山下法務大臣。

山下国務大臣 済みません。ちょっと説明があれで、ちょっとはしょって言ってしまって申しわけございません。

 ちょっと訂正をさせていただきたいんですが、分野を変わるときには在留資格の変更は必要であります。それで、業務区分とは何ぞやということになると、ちょっとはしょって言ってしまったのが、異なる業務区分に移行する場合には、必要な技能あるいは特殊性がないので、転職を認めないという取扱いをしております。

 なので、転職をするのであれば、改めてそういった認定をしてもらって、取得して変更する、取得する必要があるということを申し上げたかったんですが、済みません、それを在留資格の変更というふうに申し上げてしまったんですが、その点は、ちょっとおわび申し上げます。

山尾委員 私が事前に伺ったのは、大体、今の大臣の改めての答弁に近いんですけれども、要するに、この新たな分野別運用方針を前提にいくと、本当に、このペーパーで言う分野が変わるときは在留資格の変更が必要だけれども、同じ分野内で業務を変えるときには、場合によっては、資格変更は要らなくても、それに必要な試験を受け直すことによって、それこそ型枠の方が左官になるということは、受かれば、それで一定の条件を満たせば可能であるが、いずれにしても資格の変更は必要がないと。大臣、うなずいていただいていますけれども、要はそういうことになったということを、まず、私たちも全くこれは議論できていませんので、これが今明らかになったということであります。

 この質問、私、ちょっとこれだけをできないので最後にしますけれども、この経過を見ていくと、これは私の推測ですけれども、つまり、法案審議中は、例えば建設業の中でも、型枠では何人とか左官では何人とか、そういうふうに分野別として見込み数が可能であれば精査をしようかということを法務省は考えていて、例えば、そういうふうに型枠から左官に変わる場合には、分野をまたがる変更になるので、二十条の法案を前提とすると在留資格の変更が必要になる、こういう前提で多分いっとき法務省も進んでいたんだと私は思うんですね。

 でも、一方で、試験内容が別となるものを細分化してみたら予定以上に細分化されて、とてもその区分ごとの見込み数というのを計算する実際のスキルもなくて、しかも、その細分化された仕事内容の異動にまで全部法務大臣の指定事項として資格変更を必要とすると現実的ではないんじゃないかという、多分こういう話が審議中あるいは審議が終わってしまった後とかにあって、でも、分野はもう法文で指定事項として法定してしまっている。で、苦肉の策として、結局、業種と呼んでいた十四業種を分野と言いかえることにして、分野と言われていた細分化された仕事内容は業務というふうに言いかえて、その業務の変更は一々資格変更の必要はなくて、試験が受かれば仕事内容の異動を可能にした。結局、これが現実的だったよね、結局、精査というのは難しかったよねと。

 そういうふうに、審議中の法務省の答弁や審議の後のこういうペーパーの変化を見ると、私は思っているんですけれども、何かこの点について、それは全く違うとか、何かコメントがあれば、大臣、どうぞ。

葉梨委員長 じゃ、大臣と、あと、各分野の業種は、もともとの省庁が決めているんですが……(山尾委員「ちょっと時間が、でも、それをやるとなくなるので」と呼ぶ)

 じゃ、山下法務大臣。

山下国務大臣 この分野概念については、既に法案審議のときに案としてお示ししているように、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野ということを想定しておりました。

 今申し上げたように、左官とかそういったことについては、これはやはり、業務区分として一定の技能、専門性をはかる、そういうことで分けているものでございまして、法案の当初からそういった、分野というのはより幅広い概念であり、そして、業務区分というか、試験により求められる、はかられる特定の技能というのは、この人材の確保を図るべき産業上の分野とは別概念というふうな前提で私は答弁しておりました。

 さまざまな過程の中でいろいろなやりとりがあるんだろうというふうには思いますけれども、基本的には今申し上げた、先ほど私、ちょっと訂正はさせていただきましたけれども、そうした概念で私は答弁しておりました。

山尾委員 ちょっと、認めたのか認めていないのかはよくわからない答弁ではありましたけれども、やはり、突貫工事で、審議も不十分に、お互いの概念を共有できないまま議論をしてということがやはりこういう問題にもつながっているんだというふうに私は思いますよ。とても、やはり、改めて精査をしたという事実関係ではないんだなというふうに私は思いますよ。

 その上で、ちょっと次の話をしたいんですけれども、これは法務大臣、前向きな話をしたいんですけれども、上限運用問題についてちょっとお話をしたいんですね。

 資料の五を見ていただきたいと思います。黄色い三行書き。「分野別運用方針に記載する向こう五年間の受入れ見込数については、大きな経済情勢の変化が生じない限り、「特定技能一号」の在留資格をもって在留する外国人受入れの上限として運用する。」ということであります。

 質問です。大きな経済情勢の変化が生じたか否かは誰が最終的に判断権を持つのか。そして、そのときに新たな数字は示すのか否か。お答えください。

山下国務大臣 大きな経済情勢の変化が生じ、そして、分野ごとの受入れ見込み数の最大値を変更する必要があった場合には、分野別運用方針自体を変更いたします。

 したがって、大きな変化が生じたか否かというのは、分野別運用方針の変更の手続によるということでございまして、大きな変化が生じたかどうかについて、例えば、これは分野別運用方針の変更手続と同じでございまして、法務大臣等の制度関係機関の長及び特定産業分野の分野所管行政庁の長が協議し、必要に応じて、関係閣僚会議において、分野別運用方針の見直しについて検討するということでございますので、ここの中で決定するということになります。

山尾委員 そのときに、新たな数字も入れた、新たな決定をするのですか。

山下国務大臣 これは、大きな経済情勢の変化が生じた結果、受入れ見込み数の変更をすべきだということになりますと、これは新たな分野別運用方針に変更して、そこにおいて向こう五年間の受入れ見込み数の新たな数字を記載することになります。

山尾委員 私はずっとそうするべきだというふうに法務省の関係者とも話をしてきましたし、それを今、大臣がここで明言したこと自体は、前向きに、非常にいいことだと思います。

 やはりきちっと、法的にやはり上限として運用するというからには、変わるときには方針そのものを変更して、新しい数字をそれに入れて、場合によってはこういう委員会でその理由とかいうものをしっかりと審議して、引き上げるなら引き上げていくということだと思いますので、なし崩しにはならないようにしっかり、立法府も含めてやっていきたいというふうに思います。

 次に、単純労働問題について伺います。

 これは四省庁に伺います。厚労、農林、経産、国交ですね。

 これまでの各省庁の作業において、これは単純業務なのでそもそも外してあります、あるいは人手不足ではあるんだけれども外しましたというような業務があれば、一つでもお答えをいただきたいんです。つまり、能力のスキルといった属人的な要素ではなくて、仕事、作業内容に着目して、これは単純業務なのでこういうものは外してありますというのがあったら、各省庁にお伺いしたいと思います。あるやなしや。

高階副大臣 例えば介護についてお答えさせていただきますが、身辺の自立に関するお世話をするに際しまして、付随する業務というのが必ず出てまいります。例えばレクリエーションであるとか、そういったようなことをまるっきり分離するということが難しい中で日常業務が進んでまいりますので、あくまでも一定の専門性、技能を有する即戦力たるかどうかという基準を用いまして仕事に当たっていただくということになりますので、この部分が単純ということを一概に外すということが容易ではない部分があるかと存じます。

高野大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 今回の新たな外国人材の受入れ制度において、農業分野でお答えをしますと、一連の農作業の中で、各種農作業についてみずから考え、正しい手順で確実にできる、即戦力となる技能を有する外国人であります。

 このため、栽培管理、飼養管理、安全衛生等に関する基本的な知識と技能を有すると認めるための試験に合格した者か、二号技能実習を修了し農作業の根幹の知識と技能を有する者を受入れの対象とすることといたしております。

滝波大臣政務官 お答えします。

 経済産業省所管分野では三つの分野、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業をそれぞれ選んでございますけれども、こういったそれぞれの分野におきまして、専門的な技能、例えば曲面形状などの複雑な形状でも一体で成形できるような鋳造技術、こういったそれぞれの技能、技術に基づく分野を選定しておりまして、それは、内容的におきまして、単純作業は含まれていないものが選ばれていると理解してございます。

工藤大臣政務官 お答えいたします。

 単純労働という言葉はさまざまな文脈で、この間、用いられると答えましたけれども、国土交通省におきましては、多岐にわたりまして、全て、これを除外するというものは私はないと考えておりますし、先ほど委員から御指摘ありました中で、やはり住宅を建てるにしても、いろいろな場面で、型枠があったり左官があったり、いろいろあります。

 その仕分のことについて、例えば外国の方々が見えていて、日本に来ていただいて、技能を学んで就労している場合に、自分で見ていて、Aという職種に来たんだけれども、やはりBをやってみたいなという考えがあれば、そちらにチャレンジしていただいていく。

 そういうことで、総合的に見ると、国土交通というのは裾野が広いと考えておりますので、業種で間引くというか、単純とかそういう差別化するというものはないと私は考えております。

山尾委員 ちょっと言い方にはそれぞれで違いがありましたけれども、四省庁とも、要するに、これは単純労働なので計算から外しました、そういうものはないということにおいては共通していたというふうに思います。

 それで、皆さんのお手元で、資料六という、これは、法案審議のときの串田委員と和田政府参考人のやりとりなんですけれども、串田委員が、この時点での数字というのは単純労働者の不足は入っていないということでよろしいですかと。和田参考人が、入っておらないという計算でございますというふうに言っているんですけれども、どういう計算をして入っておらないということになったのかということが、私、いまだに理解ができないんですね。

 でも、ちょっとこれからの話でいくと、これは法務大臣にお伺いしたいんですけれども、結局、これが単純労働だといって具体的に外したものはないという中で、私は、単純労働は除外したので移民ではありませんみたいな文脈で使われるというのは、もう政府はやめた方がいいというふうに思うんですね。

 その上で、ただ、さまざまな仕事をやっていただく中で、包括的な仕事をやってもらうはずなのに、ごく一部の、場合によったら、単純労働の繰り返しとしか思えないような仕事内容をやらされてしまっているということは、場面としてあり得るんだと思うんですね。そういうときに、そういうものをきちっとチェックをして、本来やってもらうべき専門性、包括性を持った仕事にきちっと直してもらうというようなことは、どこで、どういうインセンティブが働いて、その改善というのをできる制度になっているんでしょうか。

山下国務大臣 まず一点、前提として、この資料六の引用部分について、実は、その後、和田政府参考人は訂正をしております。これは、串田委員が、人材不足の見込み数に単純労働は入っていないのかということで、入っていないということだったんですが、その後、串田委員の質疑の中で、訂正をさせていただければということで、人材不足の中にはいわゆる単純労働は入っている、ただし、受入れ見込み数の中には入っていないという形で訂正をしております。

 その上で、先ほど申し上げたように、各省庁とも、単純労働ではない、要は、分野別運用方針に記載された業務を行うというところでございます。そして、当該業務と異なる業務を行っている場合は、これは在留資格の該当性に疑義が生じるということと考えております。

 監督機能につきましてお尋ねがありましたが、改正入管法においては、受入れ機関に対して、特定技能外国人の活動場所や従事した業務の内容について、届出を義務づけるなどしております。

 出入国在留管理庁においては、これを通じて、特定技能外国人の活動状況等の実態を把握し、受入れが適正に行われているかどうかを確認することとしておりまして、こうした届出を通じて、特定技能外国人が従事すべき業務と異なる業務に従事している疑いが生じれば、事実の調査を行い、事実関係を確認する。その上で、必要があれば、指導助言や立入検査を行って、必要に応じて改善命令を行うこととしておりますので、そうした監督手段を通じて、しっかりと適正化を図ってまいりたいと思っております。

山尾委員 さっき、局長は訂正をしているということなんですけれども、仮に、人手不足の中には入っているものをきちっと、じゃ、外国人で受入れ見込みを計算するときには除外しているということであれば、その過程が、それぞれの省庁の計算の中で、こういうことで除外しましたというのが出てきてしかるべきだと思うんですけれども、先ほどの御答弁だと、基本的には単純労働というのはないとか、あるいは切り分けられない、包括的だというお話でありましたので、ちょっとそこはまだ理解が私はできない、納得できないというところではありますが、少し先に行きたいというふうに思います、時間もあと数分ですので。

 新たな政省令のうち、これだけはどうしても言いたいんですけれども、政省令の中で、受入れ機関の要件についてなんですけれども、こういうものはだめだよという列挙の中に、暴力団員等がその事業活動を支配する者というふうに書いてあるんですね。なぜこれは支配する者であって関与する者ではないのかという私の問題意識なんです。要するに、暴力団員が表立って支配している業者というのは少ないわけで、支配しているかどうか、そういうふうには見えないけれども関与しているからだめなんでしょうということだと思うので、ちょっとこの要件、どうして支配する者なのか、あるいは検討の余地があるのか、お伺いしたいと思います。

山下国務大臣 御指摘の、暴力団員等がその事業活動を支配する者という欠格事由は、ほかの法令、例えば住宅宿泊事業法であるとか、産業物の処理及び清掃に関する法律、あるいは宅地建物取引業法、あるいは建設業法など、ほかの法令においても一般的に使用されている文言に倣ったものであって、これは受入れ機関から暴力団を排除するための規定ぶりの一つでございます。

 そして、さらに、受入れ機関から暴力団を排除するための規定はこの事業活動支配条項に限られるものではなくて、もう既にパブリックコメントに付しております省令案では、受入れ機関が個人事業主の場合には当該事業主が暴力団員でないこと、受入れ機関が法人の場合には、役員が暴力団員でないこと、受入れ機関において支援の中核を担う支援責任者や支援担当者も暴力員でないことを求めており、暴力団排除のために万全を期しておるということでございます。

山尾委員 今の省令は私も精査をしますけれども、ほかの法令でも支配となっているよというのは別に理由にはならず、私がちょっと聞いたときは技能実習の法令でも支配という形でやってきたというふうに説明も受けたんですけれども、やはり今社会的問題となっているのは、ちょっとそれでは足りないんじゃないですか、もっとやはり徹底的に排除するような制度化が必要なんじゃないですかということなので、別の法令では支配になったままでも、ここできちっと、例えば少し強い構成要件をつくることによってほかの法令もよくなっていったらいいよねということがあると思いますので、これはまだ変更の余地があると聞いていますから、ぜひこのことも一緒に検討していきたいというふうに思っております。

 きょうはここまでにします。

葉梨委員長 以上で山尾志桜里君の質疑は終了いたしました。

 次に、松田功君。

松田委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの松田功でございます。

 質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の改正入管法について、多数の問題点が今も指摘をされております。その中でも、政府の裁量に入るところが大き過ぎることと、政省令について具体性がないということをちょっと感想として持っておりますので、質問をさせていただきたいと思います。

 受け入れる職業分野、業種、在留要件となる技能や日本語能力の水準、試験方法、受入れ人数等々、今後も、重要事項の変更が国会の審議を経ることなく行われていくことになっております。これは少し問題があるのではないかと思いますが、法務大臣、いかがでしょうか。

山下国務大臣 まずお尋ねは、重要事項の変更、国会審議が必要であるのではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、出入国管理及び難民認定法の構成上、入管法は、入国、在留する外国人の動向や経済社会情勢の変化に即応するために、法律では、出入国及び在留管理の仕組み、あるいは在留資格の種別、あるいは本邦において行うことができる活動の骨子、これを法律事項として定め、そして、在留資格に関する具体的、細目的な事項については、我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して、臨機に対応が可能な法務省令等の下位法令に委ねているところでございます。

 これについては、例えば入管法上の七条一項二号であるとか、あるいはその趣旨については、最高裁のマクリーン判決においても、そういった裁量の幅は認めるのだということは是認されているところでございます。

 今回の特定技能においてもそれに倣っており、国会の審議事項ではないのかというふうな御指摘とすれば、それは当たらないものというふうに考えております。

松田委員 やはり、この人手不足の部分から解釈をするには、中小零細の、市民のいろいろな直結していく部分、国民の皆さんに直結している部分がすごくあるという観点から、例えば液体ミルクの解禁などは十年を要した。これは、熊本地震の際にフィンランドから送られてきた液体ミルクが被災した母子を救ったということで、ここから批判が出て、政府が慌てて昨年の八月に基準をつくり、解禁となったという部分があります。

 国民の審判を受けない省庁が重要事項を策定し、変更を行うことは、本当に国民の目線の法となっているのか、少し疑問となってくるところもあります、こういった例も含めて。

 そういった意味では、やはり国民の方がそういったことを理解ができるような状況であっていければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に入りたいと思います。

 大都市圏その他の特定地域に過度に集中して就労することとならないようにするため、必要な措置を講じる。これは、具体的にどこが何を行うことになるのか。また、受入れ三カ月ごとに状況を公表することになっておられるということでありますが、公表後に具体的に何をするのか。お答えをいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 新たな外国人材の受入れが大都市圏等に過度に集中しないようにすることにつきましては、さきの国会において法案修正がなされた経緯もございまして、法務省としても極めて重要なことと受けとめています。

 まず、大都市圏等への集中を防止するためには、地方における外国人の受入れ体制の整備が重要と考えております。大都市圏は暮らしやすいので外国人が集まる、地方は暮らしにくいので外国人の方がとどまらないということがあってはいけないと思います。

 そのため、昨年末、関係閣僚会議で了承されました総合的対応策におきましても、暮らしやすい地域社会づくりのための施策が掲げられており、具体的には、外国人が理解できる言語で必要な情報をワンストップで受け取れる、地方公共団体における一元的相談窓口の整備の支援、あるいは、新たな制度に基づく外国人の受入れ支援や共生支援を行う受皿機関の立ち上げなど、地方公共団体が行う先導的な取組に対する地方創生推進交付金による支援などを行っていくこととしております。

 また、外国人の皆様に地方で就労することの魅力を感じていただくことも必要であると考えておりまして、そのため、地方の企業等に対し、既に外国人を受け入れている企業における生活、就労環境の整備に係る優良事例を紹介をすること、あるいは、大都市に比べ家賃や生活費がかからないことなど、地方で就労するメリットなどを周知をするということなど、外国人が地方での就労を希望し、また定着が進むような取組を法務省としても推進をしていく予定です。

 さらに、今御指摘のありました、分野別、地域別の受入れ数を三カ月ごとに把握をして、公表するということを法務省として予定をしております。この数値も活用していただき、各分野の所管省庁が設置し、受入れ機関等が参加する分野別の協議会において、地域別の人手不足の状況等、あるいは人の移動の状況等、これを踏まえ、地域ごとに偏りのない受入れに向けた取組が行われることが期待できると考えております。

 こうした各種取組を通じて、大都市圏等への過度の集中を防止してまいりたいと考えております。

松田委員 やっているかやっていないかといえば、やっている、やるということだと思うんです。

 でも、実際、技能実習生ではなくて特定技能に変わりますので、腕に職を持った人が行くということになると、選べるわけですよね、いろいろな意味で、場所も。

 そのときに、人手不足、僕は人手不足の根幹をちゃんと見直さないといけないという思いがあって、これは外国人だけでなく日本人もなんですけれども、つまり、田舎の方がだめとかいいとかじゃなくて、人気のない場所というのはやはり人気がない。これは日本人でも一緒なんですよね。そこに外国人だから行ってくれるという観点は、実はこれは大きな間違いなんです。

 その観点は、この入管法改正だけじゃなくて、本当はもっと大きな部分で、日本人の人材確保も含めた中でやっていかなきゃいけないという部分では、今の答弁ではちょっと足りない。外国人の人でも行ってくれるかどうかもわからない。もっと魅力があるのか、もっと賃金が高いのか、じゃ、賃金が高ければ日本人の人も行ってくれるかもしれないということも生まれるわけなんです。

 そういったこととしての根本的なそこの人材不足の見直しというものをこれはしない限りは、逆に外国人の方にも失礼な形で、選べる権限を、いろいろ魅力があれば日本人の方も行く可能性があるということも含めて、これは根本的なものをもう一度考えていただければというふうに思っているところでございますので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 次に移ります。

 受入れ企業の特定技能所属機関が違反によって受入れ停止になった場合、責任を持って次の職場を探すというふうにありますが、これは、見つからなかった場合、在留資格はどうなっていくのか、また、延長ができるのでしょうか。

佐々木政府参考人 お尋ねのケースのように、特定技能外国人がその責めに帰すべき事由によらないで雇用契約を解除されるような場合、受入れ機関又は登録支援機関は、特定技能外国人が本邦での就労継続を希望されるのであれば、ハローワークの紹介など、当該外国人が特定技能の在留資格で在留できるようにするための支援を行う必要があります。

 この場合、特定技能の在留資格に係る在留期間が残っているのであれば、その在留を継続することができます。

 もっとも、三カ月以上例えば転職先を全く探すことなくそのまま在留をしているなど、正当な理由なく三カ月以上特定技能の在留資格に係る活動を行っていなければ、在留資格が取り消されることもあります。

 他方、転職先を探している間に特定技能の在留資格に係る在留期間が満了してしまうような場合、これは、特定活動の在留資格への変更を許可することによりまして、引き続き、本邦で在留しながら転職先を探していただくことができるように配慮をする予定でございます。

 いずれにしましても、本邦での就労を希望される特定技能外国人の方が継続的かつ安定的に在留できるよう、適切に対応してまいります。

松田委員 それでは、次に移りたいと思います。

 女性の方が就労中に限って、妊娠、出産、またそういった形による休業の在留資格については、期間の延長は更新されていくのでしょうか。

佐々木政府参考人 特定技能外国人が本邦で在留中に妊娠や出産をした場合、男女雇用機会均等法第九条の定めによりまして妊娠又は出産を理由とした解雇は禁止をされておりますところ、雇用契約が継続している限り、特定技能の在留資格で在留することができますので、在留期間の更新も認められます。

松田委員 結構そういったことをきちっとされているというのは聞いている部分があるんですけれども、不当解雇やマタハラに遭っているということもよく聞く形もありますので、日本人でもよく問題にもなるということもありますから、外国人の方にはより丁寧な支援や法令の説明を企業側の方にもしなければいけないというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、けがなどによる休業時の在留資格についてお伺いしたいと思います。

 介護職なんか、よく、こうやって抱えたりとかして、結構腰を痛めたりしてということでやめられる方が多いんです。これは日本人でもそういうふうで、よく多い。体力が続かないということがあります。そういった場合、業務を続けられなくなった場合の在留資格に対する休業時の対応をお聞かせください。

佐々木政府参考人 特定技能外国人の方がけがなどのやむを得ない理由によって休業した場合におきましても、受入れ機関との間の雇用契約が継続している限り、特定技能の在留資格で在留することができますので、先ほどの事案と同様に、在留期間の更新も認められます。

 他方、雇用契約が終了してしまった場合には、今回の特定技能はあくまでも雇用契約を前提とした在留資格でございますので、特定技能の在留資格で行うべき活動が行えないこととなりますために、特定技能の在留資格で在留することはできず、在留期間の更新は認められないということになります。

松田委員 技能が特定されている部分があるので、例えば福祉施設で、介護の持ち上げる仕事じゃなくて、別の仕事に移るということができないという解釈になるんですよね、そういう場合というのは。

佐々木政府参考人 あくまでも介護の特定技能に該当する活動を行うということが前提ではございますけれども、今お話しのような特殊事情もありますので、事案に応じてということになると思います。

松田委員 非常に微妙なところでもありますから、きちっと業務をしている中の公務災害みたいな部分に対しても、日本で就労して、利益を上げるというか稼ぎをしている人たち、そういったことの配慮というのはちょっと忘れないように今後も進めていただければというふうに思っております。

 時間がありますので、次へ移りたいと思います。

 ワンストップセンターを置かない自治体への財政的支援以外の支援というものは何か考えられているのでしょうか。大臣の方にお聞かせいただきたいと思います。

山下国務大臣 ワンストップを置かない自治体について、法務省としては、地域における一元的な相談窓口の役割が重要であると考えておりまして、まず、ワンストップを置いた自治体が、置かなかった近隣の自治体に対しても、ワンストップセンターの近隣の外国人に対してもそういったサービスを提供してもらいたいということがまず一点ございます。

 そして、交付金の対象とならなかった自治体に対しても、例えば地方出入国在留管理局の職員を相談員として派遣したり、あるいは、相談窓口業務に従事する地方公共団体等の職員に対する情報提供や研修を実施するなどの支援は引き続き行ってまいりたいと考えております。

 さらに、安全、安心な生活、就労のために必要な基礎的情報についての生活、就労ガイドブック、これは政府横断的に作成するということにしておりますが、これをポータルサイトから発信するなど、ワンストップセンターのない地域の外国人や外国人を支援する地方公共団体職員等も必要な情報に容易にアクセスできるよう、周知を図っていくこととしております。

 ワンストップセンターを置いた自治体で積み上げられたさまざまな手法についても、できるだけ横展開をしていけるような施策を考えてまいりたいと考えております。

松田委員 今大臣のお話を聞いて、さらにまた思うのは、やはり地方自治体の努力がちょっと多くなっていく部分があると思います。

 先ほどありました、人手が足りない地域こそ、意外と必要な部分というのが出てくるんではないかというふうに思います。ワンストップセンターが置けるところというのは、大体もう準備ができたりとか、もともと多いところもあるんですけれども、これからは人手不足の部分があるので、やはり自治体に対する、町や村も含めてですが、そういった部分に対しての、ノウハウがわからない部分もたくさんあると思うんですよね。

 今、大臣のお話の一つは、ワンストップセンターがあるところと協力してやったらどうだということもあるんですが、そういったことも、魅力ある町にしていくことだけでも結構大変な状況で、またさらにそこをやっていくと、結構、その負担が物すごく大きくなっていく。やはりその部分は非常に理解をしていただいて、国の方としても、やはり財政だけでなく、人的な配慮、考慮もぜひ考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 外国人と日本人との交流の促進にかかわる支援という形にありますが、これは具体的にどのように進めていくか、お聞かせください。

佐々木政府参考人 これも外国人に対する支援のメニューの中に入っているものでございます。

 例えば、日本語の学習をする中で日本の文化あるいは社会について学んでいただく環境を整えたり、あるいは、地元の自治体などで企画をいたしますイベントなどにこの外国人材の方が参加をさせていただけるような支援をするというようなものを想定しているところでございます。

松田委員 実は、これは人材不足な地域こそ非常に重要な部分になっていく。外国人の方が日本に観光で来たりするときに、実は、そういういろいろな、物じゃなくて、地域のお祭りだったりとか地域のコミュニティーは物すごい人気が高いということのデータも出ているということもあります。

 ですから、もし、いろいろな地域のところで人材が不足しているところなんかは、自治体がもっとこういった形で、来ていただける魅力の一つになっていく、そういったことを積極的にわかっていただいて、協力し合うことによって人材がそっちに行ってもらえるということで、実は非常に重要な部分だというふうに思っておりますので、そういった観点で、ぜひ具体的な部分で支援をしていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、不法滞在者等への対策強化として、技能実習にかかわる失踪者情報などの収集、分析とあります。具体的にどこが収集、分析して、また、どのように活用し得るのか、これをお答えいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お尋ねの、失踪した技能実習生に係る情報の収集、分析でございますけれども、現地方入国管理局が行う失踪した技能実習生からの聴取の内容のほか、外国人技能実習機構に対して実習実施者や監理団体が行う届出、地方入国管理局や外国人技能実習機構が行う調査等で得られた情報をもとに、法務省が関係機関とも連携して行っているものでございます。

 それの活用ということでございますが、実習実施者について賃金不払い等の労働関係法令違反が認められた場合には、法務省、厚生労働省及び外国人技能実習機構が連携の上、更に調査を進め、実習実施者、監理団体等に対する改善命令等の措置を講ずるほか、特に悪質な場合は、実習実施者及び監理団体に対して許可等の取消しの処分を行ってまいります。

 また、労働関係法令違反の疑いにつきましては、法務省から厚生労働省へ通報を行うことのほか、法務省、厚生労働省及び外国人技能実習機構は、必要に応じて関係行政機関に対して情報提供や告発等を行ってまいります。

松田委員 非常にこの失踪情報はいろいろな意味で重要であります。賃金の不払いなのか、それによって失踪してしまって、結局、その人が逆に入管法違反になってしまってという形なんですね。本来であれば、きちっとあればそうならなかった例ということもあるということもありますので、これは非常に重要なことになってありますので、またしっかりと活用していただいて、そういった外国人の方が悲劇な目に遭わないように、また、そういうふうな雇い方をしないようにすることの徹底をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、入管申請の簡略化についてお伺いをしたいと思います。

 オンライン申請以外に、以前技能実習生として入国していた者が再びまた特定技能として入国する場合など、申請書類を減らして業務を簡略化していくということは重要であると思うんですが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 まず、今御紹介をいただきました手続のオンライン化につきまして御紹介をさせていただきたいと思います。

 未来投資戦略二〇一八におきまして、「外国人を適正に雇用し、また外国人雇用状況届出等を履行している所属機関を対象に、外国人本人にかわって手続を行うことを可能とする在留資格手続上のオンライン申請を本年度から開始する。」とされたことも踏まえまして、ただいま、在留資格手続のオンライン化の検討を進めております。

 具体的には、外国人を適正に雇用している等、一定の要件を満たした外国人の所属機関の職員の方や、当該機関から依頼を受けた弁護士、行政書士の方が、申請人である外国人からの依頼に基づいて、まずは、オンラインで在留期間更新許可申請等の手続を行うことができるように準備を進めているところです。いよいよ今月の下旬には、オンラインでの手続を希望する方の事前申込み手続の受け付けを開始をし、実際には本年の七月中にはオンラインで申請の受け付けを開始をするべく、最終的な調整を行っております。

 また、今御指摘のありました、一定の基準を満たす、特に中小企業などに就職をする外国人留学生の在留資格手続など、あるいは一度お帰りになられてまた戻っていらっしゃる技能実習生OB、OGの方々の手続などをできるだけ簡素化するべく、これまでも各方面の情報を収集して合理的な基準の設定等について検討してまいりましたけれども、その検討を加速をしてまいります。

松田委員 法務省の職員の人も、すごい書類の束で、すごい大変な現場であると思います。できるだけそれを簡略化することで業務効率を上げ、また、人材不足のところほどやはり来てほしいので、それで時間がかかるということではレスポンスがやはりよくないので、できるだけそういうことはしっかりと、今後、書類の山にならないようなそういったものを、入管だけには限りませんけれども、そういったことを徹底的に進めていただきたいと思います。

 次に移りたいと思います。

 受入れ機関に対して、行政機関若しくは受入れ業種ごとに構成する協議会などによって定期的に実地検査を行うことは検討をされているのでしょうか。法務大臣にお伺いをしたいと思います。

山下国務大臣 委員御指摘のとおり、受入れ機関の適格性を担保することは非常に重要であるというふうに考えております。

 まず、出入国在留管理庁による監督については、特定技能制度においては、受入れ機関に対して、特定技能外国人への報酬の支払い状況や支援の実施状況等についての出入国在留管理庁に対する定期的な届出を義務づけるなどしております。

 そして、出入国在留管理庁において、これらを通じて受入れが適正に行われているか否かを確認し、不適正な受入れが行われているという疑いが生じた場合には、これは実地調査を含めて、事実の調査により事実関係を確認するということにしております。また、必要に応じて、受入れ機関に対し、指導助言あるいは改善命令の措置を講ずることにしているということでございます。

 また、御指摘のとおり、特定技能制度においては、特定産業分野ごとに分野所管省庁が協議会を設置するということにしておりまして、受入れ機関は、この協議会に加入し、協議会に対し必要な協力を行うことが特定技能外国人を受け入れるための要件とされております。

 ということで、こういった協議会の場を通じて、しっかりと適格性についての報告、検討などをしていただくことを期待しておりますし、また、加えて、分野所管省庁が行う調査又は指導に対して必要な協力を行うことが受入れのための要件とされておりますので、こうしたところを活用しながら、必要な実地調査については行っていきたいと考えております。

松田委員 技能実習生を受け入れる企業に対して、監理団体が定期的に監査を行った上で、技能実習機構が三年に一回実地検査に入っていることになっていますね。それでも、やはり技能実習の場合には賃金の未払いや人権侵害という問題が起きているということがあります。

 その意味において、実地検査を関係各機関の方にぜひ、考えてもいいのではないかというふうに思っております。

 時間もないので、ぜひそういった形で、まだ問題点がある。あと、要は人がいないので、そういう意味では、法務省の方も財政をたくさんとっていただいて、そういった部分で進めないと、やはり問題がなかなか解決しないということですね。現場も僕は聞いてきましたけれども、やはりそういった、一生懸命やっていただいていることはわかりますが、追いついていないということは指摘はさせていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 次の質問に移りたいと思います。

 特定技能外国人の在留審査や受入れ機関への立入検査などに当たる出入国在留管理庁の職員が、入管法令だけでなく労働関係法令に習熟する必要があると思われますが、これに対してどのような対策をとられておりますか。

佐々木政府参考人 入管の職員につきましては、これまでも、初任者、中堅職員、管理者等を対象として体系的な研修を実施しておりまして、その中で、入管法等を中心として、業務に必要となる関係法令の知識を習得させておりますところ、今後は、特定技能の在留資格の審査等に適切に対応するため、労働関係法令を始めとする各種関係法令を勉強する機会をふやすなど、研修の充実に努めてまいります。

松田委員 ぜひ労働関係法令の方もよろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 分野別運用方針には、受入れ業種における生産性向上や国内人材確保のための取組が記載をされております。特定技能外国人受入れ開始後も、生産性向上や国内人材確保を更に推進していく必要があります。これらの取組が継続して行われていることをどのようにチェックをされていくのでしょうか。大臣、お願いします。

山下国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、生産性向上や国内人材確保のための取組については、これは特定技能制度による外国人の受入れの大前提でございまして、受入れを開始した後も継続して行うべきものでございます。そのことは、基本方針にもその旨記載させていただいているところであります。

 まず、チェックにつきましては、第一次的には分野所管省庁における対応といたしまして、分野別運用方針においても記載されておりますが、各分野における生産性向上や国内人材の取組、これが記載されているところでございまして、各分野所管省庁においてその取組状況を把握して、法務省を含む制度所管省庁とも連携しつつ、適切に行われると考えております。

 また、そういった生産性向上や人材確保の取組等については、例えば、分野所管省庁が設ける協議会等で共有され、また確認等されることを期待しております。

 また、法務省を含む制度関係省庁においても、こういった分野所管省庁においてこれらの取組が適切に行われていることを確認する機会を持つことが重要であるということでございまして、先ほど申し上げた協議会、これには法務省を含めた制度関係省庁が構成員となっておりますので、制度運用開始後、そうした協議会の場でも関係省庁に確認し、あるいは連携しながら、必要な対応をとっていきたいと考えております。

松田委員 ぜひ、しっかりと対応していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に移ります。

 職業紹介事業者が登録支援機関となることはできるのでしょうか。

佐々木政府参考人 改正入管法におきましては、登録支援機関となるため、一定の要件を満たす必要があるということを定めております。

 具体的には、支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない場合や、出入国又は労働に関する法令の違反により刑事罰を科されたことがある場合など、登録支援機関になることができないということを定めております。

 登録支援機関となり得る主体につきましては、幅広い主体を想定をしておりまして、今お尋ねの職業紹介事業者につきましても、この法規で定められております要件を満たす場合には登録支援機関になることは可能です。

 ただし、職業紹介事業をすることがその目的であって、支援活動が十分になされないようなことがあってはこれは法規違反でございますので、登録の取消しに至ることもあります。

松田委員 次に移ります。

 登録支援機関となっている職業紹介事業者が、一号特定技能外国人支援計画の実施の委託を受けることを条件に特定技能外国人を紹介するというセット販売あるいは抱き合わせ販売は、法律上許容されるのでしょうか。

佐々木政府参考人 職業安定法の関連規定、他省庁が所管する法律についてお答えすることは困難ではありますけれども、入管法におきまして、一般論として申し上げますとすれば、登録支援機関の登録拒否事由として、登録支援の日の前五年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者と定められておりまして、例えば、当該事由に該当するに至った場合には登録の取消しの対象となります。

 御指摘のようなケースがこうした事由に該当するかどうかにつきましては、個別の事情によるものと考えます。

松田委員 登録支援機関となっている職業紹介事業者が、支援の実施の委託を解約されたことを理由に、解雇されている特定技能外国人に、よりよい雇用先を紹介するからとして離職を促し、新たな雇用先を紹介することは、法律上許されるのでしょうか。

田畑政府参考人 職業紹介事業者が、みずからの紹介により就職した者に対して早期の離転職を勧奨することなどの不適正な行為を行うことは問題であると考えており、これを防止するため、職業安定法に基づく指針におきまして、理由のいかんにかかわらず、職業紹介事業者は、みずからの紹介により就職した無期雇用労働者に対し、二年間は転職の勧奨を行ってはならないことなどを定めているところです。

 新たな在留資格による外国人の受入れに当たり、厚生労働省では、改めて職業安定法上遵守すべき事項を周知するとともに、登録支援機関である職業紹介事業者が職業安定法等に違反する場合には厳正に指導等を行い、職業紹介事業の適正な運営を図ってまいります。

葉梨委員長 松田君、質疑時間が終了しております。

松田委員 はい。

 最後に、中小企業、零細企業の皆さん、また外国人の方が違法な行為に巻き込まれないようにだけ、しっかりと法整備を進めていただきたいと思いますので、最後に要望して、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

葉梨委員長 以上で松田功君の質疑は終了いたしました。

 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 立憲民主党・無所属フォーラムの黒岩宇洋でございます。

 きょうは、昨年、法案審議で、入管法の改正そして外国人受入れについて、大変議論の時間も短く、あっという間に通過してしまいましたので、その後の分野別運用方針等、さまざまな論点がある中で、私の方からも何点か確認をさせていただきたいと思います。

 通告しているんですけれども、ちょっと順番を変えますけれども、大都市に外国人労働者が集中するのではないか、これは与野党ともに大変大きな問題点として、懸念材料として議論をされてきましたので、これ自体が、防止する、必要な措置をとるということが附則にも盛り込まれ、そして基本方針や分野別方針にもこのことが記載されているということになっています。

 山下大臣、分野別運用方針は、これはごらんになられていますよね。

山下国務大臣 もちろんでございます。

黒岩委員 私も概括的には見ておりますが、そこでお聞きしたいんですけれども、大都市集中の防止策、基本方針では、これは通底するという中で、例えば、人手不足の状況や情報を把握します、また全国の優良事例を周知させます、また協議会などと連携します、こういったことが書かれているわけです。

 ただ、これだけ聞いても、大臣、大臣もお感じになると思いますが、非常に抽象的ですよ。これだけで具体的に、本当に大都市への集中が防げるとはなかなか実感が得にくい中で、法務省に聞くと、これは分野別運用方針に一つ一つ具体的に落とされている、こういうことなんです。

 じゃ、大臣、十四分野のうちに、今の基本方針の通底した内容以外に、また、以上のものが書かれている分野はどの分野か、おわかりになりますか。

山下国務大臣 ちょっと突然の御質問ですので。

 例えば、介護につきましては、特定技能の外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないようにするための必要な措置ということで、これは、分野別運用方針の五の(五)に記載されているところでございます。

 また、ビルクリーニングにおいても同様に、五の(五)に記載されているところでございます。

 素形材産業においても、五の(五)というところで記載されております。

 あと、産業機械製造業においても、やはり同様に、五の(五)というところに記載されており、電気・電子情報関連も同様であります。

 また、建設におきましては、五の(五)に記載されております。

 また、造船においても……(黒岩委員「わかりました。みんなそうです」と呼ぶ)よろしいですか。

黒岩委員 大臣、余りよく読んでいないようですね。これは見ると、さっき言ったビルクリーニングだって素形材産業だって、基本方針を全く超えていないんですよ。

 私が見る限り三つですね。介護、これは確保基金を活用する。あと、外食と飲食料品製造業。この外食と飲食料品については、試験会場を地方に分散させて、なおかつ、大都市に集中するようだったら地方での試験回数をふやす。私は、これは具体的だと思うんですよ。

 ただ、それ以外は、大臣、今言ったように、十一分野は全くもって基本方針と一緒ですよ。こんなことで本当に大都市への集中が防止できるのか、こういう疑問点を、これは特に自民党からだって寄せられているわけですから、大臣として、もう少し踏み込んで認識してもらいたい。今のように、五の(五)を読み上げるだけじゃだめなんですよ。

 ちょっと厚労省に来てもらっているので、副大臣、確保基金に対して国が支援するとあるんですけれども、確保基金って、基本的に地方自治体が運営権を持っているわけですよ。国の支援というのは具体的には何を指すのか、教えてもらえますか。

高階副大臣 お尋ねは、恐らく、地域医療介護総合確保基金を活用してどんな事業を展開していくかということだと思いますけれども、具体的には、国内の介護事業者が都道府県の支援を受けながら、海外において円滑にマッチングを行えるような環境整備を進める、こういったメニューを新たに確保基金の中に設置をさせていただきまして、このマッチング支援事業というのを各都道府県の基金の事業の中で展開していただくということなどの指導をしてまいりたいと考えております。

 また、介護に関する知識、技能、こういったところについて、日本語に関する研修についてなど、都道府県による基金の活用事例を周知するといった形で、押しなべて都道府県、それぞれ事業の展開に濃淡があるものですから、好事例の普及などに努めてまいりたいと考えております。

黒岩委員 今おっしゃったとおり、メニューを提示するなんていうものは、鉛筆で書けばすぐ済みますよ。周知徹底というのは、今言った基本方針から上積みされているわけじゃありませんからね。

 私が申し上げたいのは、十四分野のうち、せっかく三分野は、文言が、基本方針以外のものも入った。その中でも、この確保基金なんていうものは完全に地方丸投げですよ、地方丸投げ。国の支援だって、今副大臣がおっしゃった程度のもので、じゃ、現実に国としてどこまで、それで本当に大都市に、いや、介護だって大都市に集中しちゃいますよ、それが今の確保基金のメニューの提示だけで防止される、本当にそうお考えですか。

高階副大臣 委員の御懸念は、おっしゃるとおりだと思います。人を集めやすいところにぐっと集まってしまったのでは、本当に高齢化が進んで労働者の確保が大変だというところに効果が上がるのかという心配なんだと思います。

 そういう点では、つぶさにやりとりをさせていただくというのは大変大事なことだと考えておりまして、私ども、職員の方にも、各都道府県の今申し上げたような濃淡があることについて、実情に沿った活用ということをしっかりしていただくためにどうしたらいいのか、情報を聞いたりやりとりするということをつぶさにしていくようにといったようなことで、職員ともやりとりをさせていただく中で、都道府県との連携、これをしっかり密にして、現状に合った対応がとられるように、運用に努めてまいりたいと思います。

黒岩委員 その御努力は、答弁の御努力はわかるんですけれども、やはり抽象的な話しかこちらには伝わってこない。そんな中で、これから二年、三年、まあ二年後に見直しがありますので、今おっしゃったことがどこまで効果があらわれるかについては、その時点でまたしっかりと確認をしたいと思います。

 それで、実は厚労省の方で、この大都市集中に対して、一つの示唆的な提案がありました。これは自民党の部会で、最低賃金を全国一律化すると。この政策の方向性についてはいろいろ議論はあると思いますけれども、これは非常に具体的ですよね。

 お聞きしたいんですけれども、三月七日の自民党の部会で、担当の賃金課長が、最低賃金の全国一律化についての話をした。それが、いきなりその日の夕方、根本大臣がそんなことはないと否定をして、翌日、担当課長は、自分はその発言は撤回しないと。結果的に、労基局の総務課長名で謝罪文を配付することになりましたよね。副大臣、それは御存じですよね。

 私は、このてんまつが非常にひっかかっているんですけれども、まず、これは担当課長ですよ、いわば権限のある課長だ。権限のある課長が発言をした。このことについて、官邸にいつどのようなタイミングで、そしてどのような内容で報告しましたか、この発言について。

高階副大臣 事実情報で把握している点について申し上げますと、三月七日の議連でのやりとりの中で課長が個人的な見解を述べたといったようなことでありまして、官邸へ報告するといったような筋のものとは若干違う性質かと存じます。

 ただ、夕刻の報道によって、ある程度その情報のやりとりがあったという認識はしておりまして、その点での官邸の方からの見解というのもなされたというふうに承知しております。

黒岩委員 そこをもうちょっと事実関係をはっきりさせてもらいたいんです。報告をしたんですか、それとも官邸からの何か指示があったんですか。どっちが先なんですか。

高階副大臣 補足させていただきますと、菅官房長官の会見で否定の発言があったということだったんですけれども、事前の通告がございまして、事実関係について厚生労働省から、このときは秘書官を通じて御報告をさせていただいたというやりとりはあったということでございます。また、その際、特段の指示等についてはなかったと聞いております。

黒岩委員 ですので、確認したいのは、菅官房長官が夕方の会見でこの事実は否定しているわけですよ。ですから、その否定会見があってから報告したんですか。どっちが先なんですか。厚労省の方が先に報告したんですか。

高階副大臣 今お答えしましたとおり、会見において、事前の通告があったということですので、こちら側から事実関係について官房長官の秘書官を通じて御報告をさせていただいている、こういう流れでございます。

黒岩委員 だから、会見前に官邸の方から厚労省の方に、どうなっているんだと問合せがあって、それについて報告したということでよろしいんですね。

高階副大臣 そのような流れと承知しております。

黒岩委員 もとに戻りますけれども、結局、個人的な発言と言うんですけれども、私は賃金課に聞きましたけれども、課の中でもこの全国一律化については当然ブレーンストーミングとして議論されていると。当然だと思いますよ、政策の方向性として。

 ですから、その議論があって、その担当課長として、少なくとも、これは省としてや局じゃなくて課として、課長がですよ、こういうような議論があると。このことは課長の権限内の言動であって、これは特段問題視することなんでしょうか。

高階副大臣 個人的な見解でございますので、省としての判断ということではないという点でありますので、個人的な見解ということで御了承いただきたいと思います。

黒岩委員 私の言いたいのは、課長としての見解ではまずいんですか。

高階副大臣 そのときの状況、場の状況が、私も参加しておりませんで、やりとりの詳細までつぶさに承知してはおりませんけれども、課長としての判断あるいは立場で発言したということではなく、個人的にこんなことを考えているんですよという思いを述べたんだろうというふうに思うものですから、ちょっとその辺のところは明確に御答弁させていただくことが難しい状況だと思います。

黒岩委員 多分、きょう、この法務委員会の中でも自民党の議連の方はいらっしゃるんじゃないかと思うんですが、議連に呼ばれているのは、別にこの方が個人として呼ばれているわけじゃないでしょう。賃金課長として呼ばれているわけですよ。その中で発言しているわけだ。だって、自民党という与党の議連の中に、個人が紛れ込んで個人の見解なんてあり得ないわけですから。そこを、私、変に使い分けしてもらったら困るんですよ。

 このことで何が問題かというと、その後に総務課長名で謝罪文まで出しているわけですよ。こんな例はありますか、一々、総務課長名で謝罪文を出すなんというのは。

高階副大臣 ちょっと突然のお尋ねで、承知しておりません。

黒岩委員 これも総務課に聞くと、承知していないぐらいまれな例ですよ、承知していないぐらいね。あるかないかもわからぬ。あったという事実は言うまでもない。

 だから、こんなに過敏に反応して、しかも、この担当課長は、翌日の八日の審議会の部会の後でもまだ、自分はこの個人的な見解は取り下げない、こう発言しているわけですよ。そして、今後も組織として検討していくと。だから、これは課長として強い思い入れがあった一つの政策、方向性だと思うんですよね。

 このことは、今言ったように、少なくとも課の中で議論していく、このことはまさか封殺はしませんよね。

高階副大臣 議論はいろいろな方向ですべきだと思います。封殺するというよりは、いい政策をつくっていく、そのためにそれぞれしっかり調査をし検討していく、こういうことだと思います。

黒岩委員 いい議論として尊重していってください。

 一々課長が、議連での発言について官邸から指示を受けて、そして翌日には総務課長名で謝罪文を出さなきゃいけない。こんなんじゃ仕事できないですよ、霞が関の官僚。だって、自分で任された、賃金課というところで最低賃金を任されている課長ですもの。自分の権限においてこんな発言もできない。一々官邸に報告して、謝罪文まで出したわけですよ。

 これは、今、いろいろな省庁の方向性で官邸の顔色をうかがうと言われている中で、今言った、担当課長が自分の権限において一つの方向性を出すぐらいのことで、謝罪文までですよ。うがったマスコミは、これで更迭されるのではと。これは、あえて議事録に残してもらいますからね。こんなので本当に短期間でやめるなんてことはあり得ないと思うし。

 僕は、今言った一つの方向性というのは、外国人の集中に対しては大きな効果はあると思いますよ。くどいですけれども、全国一律化の是非はいろいろと議論されるにしたって。だから、こういう、山下大臣、聞いていてほしいんですけれども、具体の策に踏み込まなかったら、間違いなく大都市集中、起こりますよ。

 それで、今言った、担当課の課長がこういう提案もあるんじゃないかと言ったものまで謝罪文を出すような、こんなことをやっていたら、官僚も、この外国人技能の受入れで懸念されることについて、こういう前向きな提案で、こういう政策があるんじゃないかという、こんな議論にならない。だから、この分野別だって、今言ったように、十四分野のうち十一なんかは全て基本方針だけですよ。何にも知恵が入っていない。

 ここは大いに問題意識というものを私も摘示させていただいて、厚労省の中でも、こういった、課長が自分なりの自由闊達なアイデアをしっかりと組織内でも議論していく、そういう風土は私はなくしていただきたくない、このことを申し上げています。

 それで、大都市集中の防止策、これはまだもっともっといろいろな策を、少なくとも十四分野の四省からは出してもらわなきゃいけないし、法務省としても、その取りまとめなんですから、いろいろと議論の調整というか、引き出す役もしていただきたいということは、重ねてお願い申し上げておきます。

 私もずっと法案審議のときから、受入れの上限数、これってやはり大きな、この法案の中での肝だったわけですよ。今回、分野別運用方針で数字が出されました。先ほどの山尾委員の議論でも、私も、各分野の数字なんかも聞くと、確かに十一月の中間報告から十二月について、結果的には検算しただけなんですよね。そんな姿勢もいかがなものかと。

 だって、あのとき、我々ここにいる委員は、とにかく受入れの人数を出せ、それがなければ議論できないと。大臣はずっと、これについては、まだ精査できていない、ずっと精査できていないという前提で、我々はわからぬ中で議論したけれども、結果的にはこれはそのままの数字になったわけですから、非常に私は不誠実だと思いますよ。ただ、これについては、もうこれ以上議論してもなかなか深まらないので。

 かねてからの疑問なんですが、受入れ上限数については、考え方として、まずは需要数を出す、ですよね。日本人、外国人問わず、全体的にその分野で五年後にどれだけの人手が不足するかという総数が出て、そして生産性向上と国内人材確保でどれだけ手当てできるか、この数を引いて、各分野、外国人材の需要数を出す。ただ、これは、各分野について計算式はおのおの違うわけですよ。それで、片方で、今度は供給、これだけの人間が供給できる、その数字が出てくる。

 これはずっと私、疑問で、ぶつけてきたんですけれども、大臣、一般論でいいですよ、各分野の計算式は大臣が把握しているかどうかはともかくとして。これ、全ての分野で需要数と供給数が一緒になっているじゃないですか。計算式が違って、そしてなぜ数字として需要と供給が一致するのか。これは余りにも不自然だと思いませんか。

佐々木政府参考人 御指摘をいただきました。

 既に御案内のとおり、今、計算式といいますか、計算のプロセスというのは、お話しのとおりです。

 それぞれの各分野、そしてその業所管庁において、それぞれの計算式で供給側もそれから需要側も計算をしたというものでございまして、初めに共通の計算式を例えば法務省でつくって、それに当てはめてくださいとお願いしたものではありません。

黒岩委員 局長、それはわかっているんです。

 大臣、これは別に専門的な話をしているんじゃないんですよ。需要と供給、別の計算式で計算しているんですよ、十四分野とも。それで、なぜ、計算式も違うのに、答えが全て十四分野が一致しちゃうんですか。これはおかしいと思いませんか。お答えください。

山下国務大臣 まず、この分野別運用方針、これは十二月二十五日に閣議決定されたものでございますが、分野別の受入れ見込み数ということでお示ししている。これは、十一月の段階では、一定の規模感を示すため、一定の幅を持って推計した、業種の中で最大値を記載してということが、最終的に、各分野別所管庁からのお話もありましたので、それを法務省でも精査した上、それを分野別運用方針に記載することとしたわけでございます。

 計算式が別なのに同じというふうにおっしゃったわけでございますが、生産性向上であるとかあるいは国内人材の活用については、これはもう最大限努力していただくということで各省庁に精査をお願いした部分がございまして、各省庁としても、生産性向上とかあるいは国内人材の活用を最大限考慮した上で、その結果、それでもなお不足する、で、受入れ見込み数として積算したということでございます。

黒岩委員 申しわけないけれども、その部分を聞いているんじゃなくて、精査すればするほど、数字なんというのは、同じ数字なんか出ないわけですよ、本来なら。

 もちろん問題意識はわかっていると思いますよ。相当ペン先で数字を合わせているんじゃないかと。だって、そうじゃありませんか。一般的にですけれども、需要と供給は全く別の計算式ですよ、介護だろうが農業だろうが、全く。この後一個一個精査しますけれども、時間があれば。それで何で一致するか。これ、疑問に思いませんか。

 所管する法務大臣として、分野別、全てのこの分野別運用方針は、法務大臣、合わせて四省庁名で出すわけですよ。だから、僕は、分野別方針をちゃんと読んだんですかと。今言ったように、十四が全部、需要と供給が一緒ですよ。それでおかしいと思いませんか。そういった疑問提起、しなかったんですか。

山下国務大臣 需要と供給というふうにおっしゃいますが、結局これは、供給したとしても最大限ここにとどまるという意味で、分野別運用方針においては、受入れの向こう五年間の最大値を記載させていただいた。それが三十四万五千百五十人ということでございます。そして、供給においては、その範囲内で、例えば、試験に合格するであるとか、あるいは希望者が来るであるとか、もちろんその最大値に満たない場合もあり得るわけですね。

 そういったことで、需要と供給の数値は、結果において必ずしも合致するとは限らない。逆に、供給が需要を上回ったとしても、それは、この分野別運用方針に記載してある向こう五年間の受入れ見込み数を上回ることはできないという意味で、ある意味キャップが運用上はめられているという意味で、そこまでになれば一致はするということでございますが、供給が少なければ、あるいはそのスキルに満つ人材がいなければ、当然、供給は需要よりも少なくなるということでございます。

黒岩委員 どうも議論がかみ合わないんですけれども、今、見込みだなというのが出ていますけれども、見込みでも何でもいいんですよ。

 では、厚労省に聞きましょうか。

 介護の需要数と、供給数というか、介護の場合は現実には受入れ数ですけれどもね。

 大臣、これも非常にわかりづらいんだ。正確には受入れという言葉を使っていますよ、十四分野とも。ただ、介護だけは、供給じゃなくて、まさに受入れなんですよ。あとの十三分野は、厳密に言うと、外国人がどれだけ供給できるか。わかりますか。(山下国務大臣「一応わかります」と呼ぶ)じゃ、まあ、いいんです。いいんですじゃないんですけれども。

 じゃ、介護の、今言った需要数と、正確には供給数じゃない、受入れ数ですけれども、この数字、この計算式、教えてください。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 介護分野の受入れ見込み数につきましては、まず、向こう五年間で三十万人程度の人手不足が見込まれるということでございます。

 その中で、介護ロボット、ICTの活用等による生産性向上を五年間で一%程度、これが二万人程度になります。処遇改善や高齢者、女性の就業促進などにより、追加的に二十二、二十三万人程度の国内人材の確保をしたいということでございます。それでなお不足すると見込まれるのが、五、六万人。それを五年間で受け入れるという形で、まず試算をしたものでございます。

 今御指摘のあった受入れサイドということでございますが、十一月に数値をお示しをしたときに、受入れサイドの試算ということで出してございます。

 介護分野の受入れの見込み数でございますが、平成二十九年度の介護労働実態調査というもので、約一六%の施設で外国人材の活用を予定をしているということをもとにいたしまして、外国人材の受入れ対象となる施設等の数が約十一・三万カ所ということであることを踏まえて試算をしたものでございます。

 試算に当たりましては、準備等ございますので、段階的にふえていくものというふうに試算をしたものでございます。こちらも大体、約六万人という数字で試算をしてございます。

黒岩委員 今、ぱあっと早口でしゃべられても、いま一歩わかりづらいと思いますが、ただ、中間報告では、今言ったことが文章として記載されているわけですね。

 私が申し上げたいのは、中の詳細なことはともかく、明らかに需要の計算式と供給の計算式、違うわけでしょう。今の説明を聞いたとおり、全く違う観点ですよ。全く違うでしょう。

 供給でいったら、今言ったように介護事業所が十一・三万カ所あって、外国人の受入れ希望が一六%ある。こういったものの数字を掛け算していくと供給数が出る。これが、供給数と需要数がぴったり合うんですよ、介護においても。

 大臣、例えば需要数を出して、需要数が五万なら五万で、その分もう外国人みんな来ますよ、こういう考え方だったら、需要と供給が一致するというのはわかるんですよ。わかりますか。でも、需要においても供給にしても、別々の計算式、十四分野全て。別々の計算式で計算していながら、なぜか不思議なことに需要と供給の数が一致するんですよ。それはあり得ないじゃないですか。

山下国務大臣 ちょっと、先ほど来、議論をかみ合わせるために私の理解を申し上げるので、もし違っていたら御指摘いただきたいんですが。

 先ほど需要とおっしゃっているものであるんですが、それぞれ分野別運用方針に受入れ見込み数というのが向こう五年間で記載してあります。

 それは、人手不足が向こう五年間で見込まれる中に、生産性向上及び国内的な人材の確保というところを示していただいて、それでもなお足りない人材を受入れ見込み数として記載して、これを上限としてやります、これが受入れ見込み数。

 委員がおっしゃっている需要と供給が、それがどちらかということが、ひとつあれなんですが、供給というのは、実際にそういった受入れ見込み数に対してどれだけの員数が満たされるかというふうなことを考えた場合に、それを満たされるかどうかは、この技能水準あるいは日本語能力水準に即して試験を行った結果、あるいは、今回その試験免除の対象として、技能実習を一定程度終わった者というものを入れておりますので、そこから何人来るのかという結果においてどれだけ満たされるのかということで供給が決まってくるということであって、必ずしも需要と供給が合致するということではないのではないかというふうに私は考えておるのですが、もしその説明で足りなければ、ぜひ御指摘をいただきたいと思います。

黒岩委員 大臣、そこが違うんですって。

 今おっしゃった、全体の、日本人も含めた不足数、そこに対して生産性向上と国内人材確保という、これは十四分野、全部同じですよ。ただ、今言ったように、トータルの不足数とかの計算式が全部違いますよ。国内人材確保の数字も計算式が全部違います。そこで出た数字が受入れ数じゃないんですよ。これは分野別運用方針を見るとわからないですよ。中間報告の、見ていますか。

葉梨委員長 中間報告というのは何ですか。(山下国務大臣「十一月十六日のですね」と呼ぶ)

黒岩委員 十六日の。だって、我々は、法案の審議はこれでしかやっていないんだから。

 十一月十六日の、私、今あえて中間報告と呼んでいますけれども、これのフォーマットだと、1、2で需要数を説明しているんですよ。3で、ここは受入れという言葉ですけれども、供給ですよ。この需要と供給は全く計算式が違うわけだ。

 大臣の説明は、それは分野別運用方針に、今言った二つに分かれていないから、分野別運用方針。それも問題だと思いますよ。より一層わかりづらくなっちゃっている、分野別運用方針で。中間報告の方がもうちょっとわかりやすいんだけれども、需要と供給はどちらも全く別の考え方で、全く別の計算式で出しているんですよ。

 だから、大臣、この中間報告と十二月の分野別運用方針は、先ほど言ったとおり、計算式も全く変わらず検算しただけなんだから、このときの考え方と同じなんですよ、各省庁に確認しましたけれども。だから、この中間報告で見てください。需要がイコール受入れ数じゃありませんよ。基本的に、この受入れ数というのは供給数ですよ。

 大臣、これは基本的なことですから、これを理解されていなかったら、この上限数のあり方に対して、今後、二年後の見直しなんかでも、できませんよ。

 時間が来ちゃったんで、これはあともう少し細かなことをやりますけれども、とにかく、需要数と供給数が一致しているなんというもので、そのままこの運用方針に、そして上限数になっちゃっているわけですよ。もっと言うと、今言ったように、供給数が上限数になっているんですね。だから、各省庁のこの数字自体が相当いいかげんなものの可能性があるわけですよ。

 そこら辺に大臣のもうちょっと問題意識を持ってもらって、各省庁から上がってきたからそれでいいんじゃなくて、やりとりを本来するべきだったと。今後、二年後、見直しがありますからね。そのときには、こんないいかげんな数字で上限数なんか出したら、もう本当に、この見込みといえど、大幅に狂いますよ。

 じゃ、これで、もう時間が来たんで、後でもう少し細かなことをやりますけれども、非常に問題のある今の上限数だということを指摘して、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

葉梨委員長 以上で黒岩宇洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 国民民主党の源馬謙太郎でございます。

 きょうも質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、質問に入る前に、ちょっと、先ほど知ったものですから通告していないんですが、大臣に伺いたいことがございます。

 今、ネット上で、きのうの夜、東京入国管理局でクルド人の方が体調が悪くなって、家族と面会中に非常に体調が悪くなって、家族が救急車を呼んでくれということを要請し、救急車が来たんですが、それに乗せることなく、更に体調が悪化して、また別の救急車を、二回目、呼んだんですが、これにも乗せてくれなかった。人権がひどく侵害されているのではないかということが、今ネットで大変話題になっております。

 このことについて、大臣、報告は受けられていますでしょうか。

佐々木政府参考人 御紹介の事案でございますけれども、個人のプライバシーに関することであり、お答えは差し控えます。

 ただ、入管の収容施設に収容している被収容者が体調の不調を訴えましたときには、医師の診察を受けさせるなど、適切に対応しておりまして、お尋ねのような場合も同様に対応しています。

山下国務大臣 この事案についての答弁ということになると、先ほど局長が答弁させていただいたとおりでございますが、なお、こういった扱いの適正については、私としてもしっかりと見てまいりたいと考えております。

源馬委員 先ほど、今回の事案についてということで、今回の事案についても医師がちゃんと対応したんでしょうか。ネットの情報によると、当時医師は不在であったという情報もありますし、医師の診察も受けられなかったという情報もありますが、ちゃんと診察は受けられたんでしょうか。

佐々木政府参考人 先ほど申し上げましたように、個別の案件につきまして、ここで御披露しかねますけれども、医師が臨場している場合もございますし、もしそうでない場合でありまして、本人が病気の傾向がありましたら、外部病院に連れていくなど、適切に対応するものでございます。

源馬委員 それがされていないんじゃないかということで、非常に大きな話題になっていると思います。

 プライバシーということはありますが、今回の、今聞いていることは、何かプライバシーを侵害するようなことでもありませんし、ちゃんとその人権が守られて診察されたのか、救急車が二度も呼ばれているのに乗せなかったのはなぜなのか、なぜそういうことが起きているのかということを、プライバシーに触れない範囲でお答えいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 救急車が臨場をして、やってきて、そのまま帰ったということがありますとしますと、当然ながら、救急車の救急隊と相談をした上で、病院に搬送する必要がなかったということはあり得ます。

源馬委員 それは確認されたんですか。救急車を呼んだけれども搬送されなかったということがあるとするととおっしゃっていましたが、それを確認されていないんですか、きのう、そういうことがあったかどうかということを。

佐々木政府参考人 必要な確認はしております。

源馬委員 しているということは、ちゃんと把握をしていると思うんですが。

 個別のことを細部まで答えられないということはあったとしても、やはり今、ちょうど外国人労働者の問題をやっていて、人権はちゃんと大丈夫なのか、そういうことを議論しているさなかにこういうことが起こったということは、重大に受けとめていただきたいですし、それはきちんと、なぜそういうことが起こったのかということを今後もしっかり明らかにしていただきたい。そして、再発防止をどういうふうに取り組んでいくのかということを、これでうやむやにしてしまうのではなくて、きちんとこの委員会にも報告をしてもらいたいというふうに思います。

 では、質問に入りたいと思います。

 今回、私は、ブローカー対策について主に伺っていきたいと思います。

 技能実習制度において、保証金などの名目でブローカーが多額のお金を実習生から取っていたということが明らかになりました。我々も手書きで聴取票を写して、その中にも、百万円以上払っていた人が約半数いた。二千八百七十人のうち、約半数の人がそういうことがあったということも明らかになっております。

 こうしたやはりブローカー対策が重要で、これが特定技能になったときに、再発というか排除しなくてはいけないということは当然政府も共通の認識だと思いますけれども、そもそも、技能実習制度における悪質ブローカーの存在が大きな問題であって、それを特定技能において再び起こらないようにするために、その方策をぜひ副大臣から伺いたいと思います。

 技能実習制度におけるブローカーが蔓延してしまった根本的な原因は何だったのか。そして、今度、特定技能では、具体的にその原因を排除して、ブローカーが再び横行しないようにするために、今までとどこがどう違って具体的な対応をとっていただけるのかを伺いたいと思います。

    〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕

平口副大臣 お答えをいたします。

 特定技能制度では、外国人から保証金等を徴収する悪質なブローカーの介在を防止するために、法務省令におきまして、外国人又はその親族が保証金等を徴収されている場合は受入れができないということを定めることとしております。

 その上で、運用においては、在留資格認定証明書交付申請時に一定の書類の提出を求めることを予定しております。すなわち、申請に係る外国人の雇用に至るまでの方法、特定技能外国人や受入れ機関が各あっせん機関等に支払う費用、あっせんに支払う費用の額及び内訳を外国人が十分に理解して合意していることの文書でございます。

 これらにより、保証金等を徴収されていないことの確認を行い、審査において、悪質なブローカーの介在の防止を図る予定でございます。

 また、特定外国人に対しましては、事前ガイダンスにおいて、保証金等の徴収は法令違反である旨の教示を行うほか、受入れ機関及び登録支援機関に対しては、保証金等が徴収されている場合は受入れは認められないことについての周知、指導を徹底するといった取組を行う予定でございます。

 このような各種の取組の中で悪質なブローカーの介在が疑われるような事案に接した場合を含め、出入国在留管理庁において、必要に応じて報告徴収、立入検査等を行うということになります。

 また、国内のブローカー対策として、入国管理局では、警察庁、厚生労働省と連携して、不法就労等事案の取締り等の強化、不法就労等に及んでいる外国人や悪質なブローカー、雇用主等に関する緊密な情報交換、不法就労等の防止に向けた広報啓発及び指導の積極的な実施等を進めているわけでございます。

 これらの方策を通じて、国内の悪質なブローカーの介在の防止を徹底してまいりたいと考えております。

源馬委員 いろいろと御紹介いただきましたけれども、それだけではなかなかブローカーの、本当にもとを絶つことができないんじゃないかなと思います。なぜブローカーが介在したかという、その原因の分析ができていないんじゃないかなと思います。広報や啓発、それはもちろん技能実習生のときもやっていたと思いますし、それだけでは本当にこれがなくなるとは全く思えません。

 しかも、技能実習制度のときは、送り出し機関において、外国政府の推薦又は認定を受けた機関という縛りがありました。これはある意味、外国政府もちゃんとしているだろうというふうに認定を与えて、これも、ある種のブローカーなんか、そういう悪質なことはやらないだろうということだったと思いますが、今回、これがないわけですね、こういう外国政府の推薦又は認定を受けた機関が取り扱うということが。

 これで本当にブローカー対策になるんでしょうか。

平口副大臣 お答えいたします。

 技能実習制度では、実習実施者と技能実習生との間における雇用関係の成立のあっせんについては、職業安定法の特例として、監理団体の許可を受けた者のみが行うことができるということとしております。そのため、技能実習法では、国外に在住する技能実習生になろうとする者からの求職の申込みを本邦の監理団体に取り次ぐ者を送り出し機関と規定した上で、省令において、監理団体への取次ぎが適正に行われるように、送り出し機関に係る要件を設けております。

 これに対して、特定技能制度における求人、求職のあっせんについては、職業安定法の規定が適用され、職業安定法の職業紹介事業者が介在することとなるわけでございます。このため、改正入管法においては、国外に在住する特定技能外国人になろうとする者からの求職の申込みを本邦の職業紹介事業者に取り次ぐ者について、特段の規制を行うこととしていないところでございます。

源馬委員 職業安定法に基づく職業紹介事業者だけを今は想定していると思うんですけれども、受入れ企業は海外の業者の仲介で直接海外の人材を雇うというケースには対応し切れていないと思うんですが、こういったところでもブローカー対策はしっかりできているんでしょうか。

平口副大臣 お答えをいたします。

 先ほどお答えをしたとおり、入国、在留審査におきまして悪質なブローカーが関与していないことを示す書類の提出を受けることのほか、外国人に対する事前ガイダンス、受入れ機関等に対する周知徹底、出入国管理庁による報告徴収、立入検査等によりまして、保証金等を徴収する悪質なブローカーの介在の防止を徹底することとしております。

 加えまして、国外の悪質なブローカーに関する情報共有を図るために、技能実習制度における二国間取決めなどの既存のチャンネルを利用するとともに、特定技能制度についても、外国人の送り出しが想定される九カ国との間で、別途、二国間取決めの作成を進めているところでございます。

 これらの方策を通じまして、国外の悪質なブローカーの介在の防止を徹底していきたい、このように考えております。

源馬委員 済みません、時間がちょっとなくなってきましたので、続いて質問したいんですが。

 一月二十三日の本委員会で、国民民主党の津村委員が質疑に立ちまして、そのときに特定活動ビザの告示改正に関する御質問をさせていただきました。留学生の就職条件の緩和について質問を、津村議員がいたしました。

 報酬要件が三百万円以上ということが報道されているけれども、これはそのとおりなのかという質問に対して、大臣から、いや、それはまだ、報道はあったけれども検討中で、かえって報酬を決めてしまうことは、逆に、地域差や職種等の実情を勘案して慎重に検討すべき問題であるという御答弁がございました。

 三月を目途に告示改正を行いたいというふうに御答弁がありましたが、今、現状はどうなっているんでしょうか。特に、この三百万円という報酬額の設定というのはどういうふうになったのか、お聞かせいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 近時、高い語学力を有する留学生は、インバウンド需要の高まりや、日本語能力が不足する外国人従業員や技能実習生への橋渡し役としての期待もあって、幅広い業務において採用ニーズが高いものと承知をしております。

 そのような認識のもと、日本再興戦略二〇一六におきましては、留学生の日本国内での就職率を現状の三割から五割に向上させることを目指すことが閣議決定をされております。また、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策におきましても、平成三十年度中に大学を卒業する留学生が就職できる業種の幅を広げるため、平成三十一年三月を目途として特定活動の在留資格に係る告示改正を行うこととされております。

 これらを踏まえまして、昨日、特定活動の在留資格に係る告示についてのパブリックコメント手続を開始いたしました。

 告示案におきましては、本邦の大学や大学院を卒業した留学生について、日本語能力試験N1レベル等の高い日本語能力を有すること、日本人と同等額以上の報酬を受けることなど一定の条件のもとで、その就労できる業務内容を幅広く認めることとしております。

 なお、告示案におきまして、今委員御指摘の、一定水準の報酬を得ることを要件として定める予定はございません。

 法務省といたしまして、本制度を来年度早々に実施できるよう、鋭意準備を進めてまいります。

源馬委員 ありがとうございました。

 また引き続き、質問させていただきたいと思います。

石原(宏)委員長代理 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 国民民主党・無所属クラブの奥野総一郎でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣とは、去年の秋にこの問題を予算委員会で議論させていただきまして、それ以来ということになります。きょう、改めて、この法務委員会の方で質問の枠をいただきましたので、気になっている点をたださせていただきたいと思います。

 もう既にこの場でも少し出ていますが、賃金の問題がやはり気になります。技能実習生もそうなんですが、人として見ないで、安価な労働力として外国人を見てしまう、これは大きな問題があると思うんですね。また、そうなることによって、彼らの人権もあるし、日本人の賃金も引きずられてしまう、下がってしまう、こういう懸念もあるわけですから、やはり日本人と同等の賃金の水準は確保すべきだということで、まあ、そういう措置はなされているというふうにおっしゃっておられますが、果たしてそれが実効性があるのかということを問うていきたいんです。

 省令案について、パブコメにかかっていますが、そこを見ると、「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること。」、こういう規定がありますが、さらっと読むと、なるほどそうだなと思うんですが、では、これは、どう、誰と比べるんでしょう。例えば、外国の方が入ってこられて、日本語も余りうまくしゃべれない、これから仕事を覚えていくという中で、では、誰と比較するんですか、どの日本人と比べていくのか。同じ職場なのか、あるいは業界全体を見ていくのか。誰と比較をして同等と評価するんですかということをまず伺いたい。

佐々木政府参考人 御指摘の日本人との同等報酬基準につきましては、受入れ機関に賃金規定がある場合には、その賃金規定に基づいて判断をすることになります。

 賃金規定がない場合、特定技能外国人と今御指摘のように同等の業務に従事する日本人労働者がいれば、当該日本人労働者の報酬額を証明する資料に基づいて報酬の同等性を判断をいたします。

 同等の業務に従事する日本人労働者はいないものの、特定技能外国人が従事する業務と近い業務等を担う業務に従事する日本人労働者がいる場合には、当該日本人労働者の役職や責任の程度につきまして特定技能外国人との差が合理的に説明され、年齢ですとか経験年数を比較しても報酬額が妥当かどうか、検討して判断をすることになります。

 さらに、賃金規定もなくて、比較対象の日本人労働者もいない場合には、受入れ機関に対して、雇用契約書のほか、報酬額が日本人と同等以上であることを説明する書面の提出を求めることとしております。その審査におきましては、御提出いただいた説明内容の確認のほか、雇用契約書上の報酬額と、当局が保有をいたします、近隣同業他社において同等の業務に従事する同等程度の経験を有する特定技能外国人の報酬額を比較するということにしております。

奥野(総)委員 よくわからなかった、精緻に説明はされていたようですが。結局、なかなか比べようがない。全く同じ能力で全く同じ仕事をしている人は、なかなかいないと思うんですね。まして中小企業、小さな企業だったら、いないと思うんですよね。それをどうやって導き出していくのか。

 ほかの同業他社を見ていくというような話もあったし、同じ職場の中でも近い人を見ていくというような多分話をされていたんだと思うんですけれども、これはなかなか大変なことだと思うんですね。同業他社だといったって、じゃ、今度、同業他社の契約書を持ってきなさいとかという話になるんでしょうし、じゃ、同じ社内の中でどういう働き方をしているか、そこを子細に見ることは本当にできるんでしょうか。結構、さらっと聞くと美しいんですが、本当にこんなことができるのかと思うわけですね。

 じゃ、一体誰がこの審査をするんですかね。事細かにこれは見なきゃいけないんですが、誰が、どのぐらいかけて審査をすることになるんでしょうか。

佐々木政府参考人 入管ではさまざまな審査を行っておりますけれども、今委員御指摘の日本人と同等報酬という要件は、ほとんど全ての就労をする在留資格に係っているものでございます。技術・人文知識・国際業務等、いわゆる専門的、技術的分野の在留資格、それから技能実習もそうでございますけれども。という意味で、その同等報酬の見方というのは入管の中に蓄積をされていると思います。

奥野(総)委員 でも、問題になったのは、技能実習だって、実は最賃を下回っていたんじゃないかとか、ちゃんと見れていなかったんじゃないかと言われているわけですよね。

 しかし、今度また人数をふやすわけでしょう。大量に受け入れるんですよ。ほかの業種というけれども、ほかの業種は、年収三百万以上とかプロフェッショナルとか、そんなに細かく見なくても問題はないと思うんですが、本当に日本人の賃金と横並びかどうかなんというのをきちんと精緻に、これは見なきゃいけないという話になっているわけですから、今の入管の体制で本当にこれはできるんですかね。

 むしろ、政府全体を挙げて、労基署とかそういうところに協力を仰いで、きちんとやるべきじゃないんでしょうか。これは大事な話なので、もう一度聞きます、本当にできるんですか。

佐々木政府参考人 もちろん、関係各省庁、関係各機関の知見といいますか、力をかりる、あるいは、こちらから照会をして回答を得るということは今でもやっているところでございますが、これらの外国人の受入れの審査を担当する入管としては、そうした関係機関との協力、あるいは入管として持っている情報なども駆使をしながら、適正な審査を行ってまいります。

奥野(総)委員 大臣、本当にこれは大丈夫ですか。

山下国務大臣 特定技能に関しましては、入管庁において、支払っている給料の額であるとか、そういったものも定期的に報告を受けるようになっている。そうしたものを把握している。全体を見れば、極端に低いところであるとか、あるいはそうでないところということは把握が可能なんだろうと思います。そうしたところも例えば集中的に調べていくなどの方法も駆使しながら、日本人と同等以上の賃金というところを確保してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 まあ、なかなか悉皆で全て完璧に見るという答弁は確かにしにくいと思うんですけれども、でも、そのぐらいの話だと思うんですよ。だって、この前、技能実習、あれだけ問題になっているわけですから、それよりもっと人数がふえるわけだから、更に問題が拡大する可能性はあるわけですね。

 改めて問いますが、そうして見ていく中で、特定技能の外国人に対する報酬が結果として最賃になってしまうというような場合はあり得るということですよね。

佐々木政府参考人 そもそも、今回の特定技能の在留資格ですけれども、特定技能一号であっても、相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動ということで、その技能、そしてその業務にふさわしい賃金が支払われるべきでございます。

 例えば、技能実習三年間を修了して特定技能一号に移行する外国人を想定をしますと、技能実習が仮に技能レベルゼロで始まったとして、そのときはもしかしたら最低賃金に近い額だったかもしれませんが、三年の技能習得の後、特定技能一号に値する技能を生かして稼働する際に、依然として最低賃金ということはないのではないかと考えます。

 いずれにしましても、特定技能制度におきまして、特定技能雇用契約の基準として、特定技能外国人に対する報酬の額が日本人が従事をする場合の報酬額と同等以上であることを求めることとしておりまして、地方出入国在留管理局においてしっかり審査をしてまいります。

奥野(総)委員 日本人と同等といった場合に、例えばそこで働いている職場の人が全員最賃で働いている場合は、同等だからいいと、結果として最賃になってしまうということはあり得るんですよね。もう一回、ちょっと聞き方を変えますけれども。

佐々木政府参考人 そうなりましたときに、本当に今回の一定の技能を必要とするという在留資格に、今委員御指摘の職場での仕事がこの在留資格の定義に当てはまるかというところが疑問になってくると思います。

奥野(総)委員 後で聞きますけれども、最賃を全国そろえるという話が出たときに、なぜあれだけ慌てて官邸が打ち消したか、政治的に打ち消したかということは、やはり最賃を引き上げられると思っている企業の方がたくさんいらっしゃるんですよね、地方には。

 最賃で働いておられる方は多分いっぱいいらっしゃると思うんですよ。そういうことを考えると、そういうところに、人手が足りないからといって外国の方が雇用されて最賃で働くということは十分あり得ると思うし、あり得るからこそ、ああいう議論が、頭の体操とはいえ、出てきているんじゃないかと思うんですね。

 だから、最賃になることもあり得る、あり得ないとは言っていないわけですから、あり得るということだし、最賃の問題と密接にこの話は絡んでくるんじゃないかというのが私の見解であります。

 今度、地方の偏在。首都圏、最賃が高いというか、最賃と言っちゃいかぬのですが、賃金水準が高いであろう首都圏に外国人労働者が集中するんじゃないか、地方に行かないんじゃないか、こういう議論が臨時国会でもありました。

 そのときに、集中しないようにという、条文上もそう入って、偏在を防ぐということで話が進んでいるんですが、どのように偏在を防ぐかといったときに、答弁をちょっと調べてみたんですが、これは政府の答弁ですが、どのような地方にどのような分野の外国人が偏在をしているかを把握し、それが賃金差によるものなのか、あるいは特定の言語圏の外国人材の受入れ環境が充実しているからなのかなどの原因を探り、状況に応じた対応、調整を早急に講ずることを考えている、こう答弁されているんです。

 特定の言語の外国人の受入れ環境が充実している、これは恐らく対応のしようがあると思うんですね。その自治体なり地方なりが協力をして、そこの言語を使えるような人をふやすとか、その言語での案内を、町の案内をふやすとか、これは行政レベルで対応できる話だと思うんです。

 一方で、この賃金差については、これはまさに民間に任されている話でありまして、この偏在の原因が賃金差によるものというふうに判断した場合に、これは対応しようがないんじゃないですか。これだけ聞くと、ああ、対応するんだなと読めるんですが、偏在が賃金差によるものだと、当然首都圏に、まさにこの話をしているわけですね、首都圏に集まるんじゃないかということを心配しているわけです。

 賃金差による場合にどう対応するかということについて答えていないと思うんですが、当然、賃金差はあるわけですね。それによって、外国人労働者が首都圏に吸い寄せられてしまう。その偏在について、では、ちゃんと聞きますが、どう対応するんですか、偏在が起きないように。(発言する者あり)

石原(宏)委員長代理 ちょっと時計をとめてください。

    〔速記中止〕

石原(宏)委員長代理 では、速記を起こしてください。

 審議を続けます。

 佐々木局長。

佐々木政府参考人 先ほど御指摘ございましたように、大都市への偏在あるいは流動というのは、賃金格差のみによるものではないと考えております。あるいは、大都市の方が生活がしやすいので大都市に移動するという方もいらっしゃいましょうし、地方の方が若干生活しづらいので大都市に移動するという方もいらっしゃるかもしれません。

 その意味では、大都市圏等への集中を防止するために、地方における外国人の受入れ体制の整備が重要と考えております。

 そのため、昨年末に関係閣僚会議で了承された総合的対応策におきましても、まさに暮らしやすい地域社会づくりのための施策が掲げられておりまして、具体的には、外国人が理解できる言語で必要な情報をワンストップで受け取れる、地方公共団体における一元的相談窓口の整備の支援、あるいは、新たな制度に基づく外国人の受入れ支援や共生支援を行う受皿機関の立ち上げなど、地方公共団体が行う先導的な取組に対する地方創生推進交付金による支援などを行っていくこととしております。

 また、外国人の皆様に地方で就労することの魅力を感じていただくことも必要であると考えておりまして、地方の企業等に対し、既に外国人を受け入れている企業における生活、就労環境の整備に係る優良事例を紹介すること、あるいは、大都市に比べて家賃や生活費がかからないということなど、地方で就労するメリットを周知することなど、外国人が地方での就労を希望し、また定着が進むような取組を推進していくということを考えています。

奥野(総)委員 これは実際始まってみないとわからないんですが、ただ、外国人の話だけ聞くとそうかなと思うんですが、実は日本人とも同じ話なんですよね。

 首都圏一極集中をやめる、二〇二〇年までに東京へ入超をストップするという施策を政府は地方創生の目的として挙げていますが、うまくいっていません。相変わらず十二、三万人の入超が続いているわけですよ。まさに同じ話なんですよね。暮らしやすさをPRしてやっている、だけれども、なかなか若者が地方に帰ってこない。同じ話だと思うんですよ。結局、やはり賃金、働きやすさ、利便性だったりするわけですよね。

 だから、外国人だけこういう対策をしたから偏在がとまるとは、私は到底思えません。日本人ですら地方に帰らないんだから、外国の方が本当にこれで帰るんですか。賃金差だけじゃない、そうかもしれないけれども、そこが物すごく大きな要因だと思うんですよ。だから、日本人だって首都圏に、大都市に集まってくるんですよね。

 先ほど黒岩委員からも話があった、最賃について、一部の業種、この十四業種については全国一律とする、これは厚労省の課長のプライベートな見解だ、こういう話のようなんですが、これは実はなかなかいいアイデアじゃないか。

 今、先ほどありましたけれども、外国人だって最賃で働く方は、ないではないというか、十分あると思うんですよね。あるんですよ。だから、最賃に下がったら当然、高い方に行きますよ。ということで、これを一律、どの水準にそろえるかというのはあるにしても、一律そろえるということは、実は、東京一極集中をとめる、外国人も日本人も、一つの考えじゃないか。ただ、もちろん、経営者の方の立場がありますから難しいところはあるんだけれども、頭の体操としては私はあり得ると思うんですよね。

 だからこそ、議連の場でおっしゃったんだと思うんですが、これは事実関係、さっきも認めておられるけれども、おっしゃったんですかという話と、その上で、撤回、謝罪したんですかね。ちょっとそれは通告していないんだけれども、何を、なぜ謝罪したんですかね。

    〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 三月七日に開催されました自民党の議連のやりとりの中で、担当課長、賃金課長でございますけれども、課長として出席させていただいておりまして、全国一律の産業別の最低賃金を設定することに関して、個人的な見解として断った上で言及していたことは事実でございます。厚生労働省としては、具体的な検討や調整を行っている事実はございません。

 ただ、その際、議連の後で、課長が報道機関に対して、厚生労働省が組織的に検討をしていると誤解をされるような発言もあったようでありまして、その結果として、一部の報道機関では、厚生労働省がという主語を用いて、この具体的な検討を進めるというような報道がなされたということも踏まえまして、課長に対しては言動に気をつけるように上司から指示をしておりますし、また、こうした誤解が報道機関に起こらないように私どもから報道機関に説明をし、また、混乱をしたことについては文書で謝罪をさせていただいたということでございます。

 これが事実の経過でございます。

奥野(総)委員 これは世の中に対する影響というのはかなりあると思うんですね。これがいきなり何の前提もなく出ていくと、それはみんなびっくりするとはもちろん思うんですが、じゃ、だからといって、これを未来永劫検討しないのかということなんですが、ある種地方創生というか、一極集中の打開策の一つに私はなり得ると思うんですね、こういう施策は。だから、もう未来永劫これは検討しないんですかという問い、通告していませんが。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点において、厚労省として具体的な検討や調整を行っている事実はないというふうには申し上げます。

 未来の話に関しては、この場でお答えすることはできない、差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)委員 いや、もう少し、政策論だから、揚げ足をとっていこうというんじゃなくて、萎縮しちゃうから、こういう話は僕はどんどん議論した方がいいと思うんですよね。もちろん、いろいろな影響もあるので、最終的に決定に至るにはいろいろな考察が必要でしょうけれども。

 大臣、この話は、外国人の偏在の話じゃなく、もちろんそうなんだけれども、それだけじゃなくて、やはり日本全体の話、東京一極集中の話と重なると思うんですよ。だから、きちんと、どうやったら地域の経済が活性化されるか。地域の経済が活性化されれば賃金も上がっていくわけですから、そこに外国人も来るわけですよね。そこに外国人が来れば、またそこの経済も発展していく。こういう流れであって、まず最初に外国人がありきという話ではなかなかうまくいかないと思うんですね。

 こういう最賃の話が出てくるのも、どうしよう、うまくいかないからこういう議論になってくるのであって、政府全体として、地方創生の一環として外国人の偏在問題を捉えるべきだと思いますが、いかがですか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 私も岡山でございまして、ある意味、首都圏ではない、地方ということではあります。そういった意味において、偏在対策というのはもちろん大事であるということはさまざま伺っているところでございます。

 ただ、偏在対策について、先ほど委員から、日本人と外国人、同じではないかという御指摘もあったんですが、やはりそれぞれの理由は見ておく必要があるのではないか。

 日本人の若者が首都圏に集中する理由としてよく挙げられるのが、大学、これが東京に集中している、あるいは、その後、就職が東京あるいは大都市に集中していくという部分がございます。

 他方で、外国人の場合には、地方においてもさまざまな職種があり、業種があるということでございまして、そういった中で、賃金だけ多少違ったから、それをもとに流動が起きるのかということは、若干我々は慎重に考えなければならないと考えております。

 経済的な部分においても、例えば家賃をとってみても、これは法務省で全国の統計を調べた結果ですが、平均で見ると、例えば東京と青森は四万円ぐらい家賃の差があるわけです。生活費、これは家賃を除いている部分ですが、これにおいても三万円ぐらい差があったりするといったところで、経済的にもそういった生活のコストですね。

 あるいは、通勤。東京だと、満員電車の中で外国人が揺られて行くというのはなかなか難しいですけれども、地方であれば自転車で通勤できるとかいうことがあるかもしれません。

 あるいは、その地方地方で、外国人の話す言語、ポルトガル語であるとかあるいはミャンマー語であるとか、そういったところが充実している地方もあるのではないか。

 そういったことをしっかりと周知させていくということで、さまざまな地方に、仕事があるところに外国人も住みやすくするというところでございます。

 そのために、政府を挙げてというような御指摘がありましたけれども、関係閣僚会議で了承された総合的対応策をしっかりやっていく。例えば、その中で、外国人が理解できる言語で必要な情報をワンストップで受け取れる一元的相談窓口の整備、これは約百カ所であるとか、そういったことをしっかりと政府を挙げてやっていきたいと考えております。

奥野(総)委員 私の懸念は、結局、最初の議論に戻りますが、審査し切れないんじゃないか、日本人と同等以上というのは審査し切れないんじゃないか、結果、最賃に張りついてしまうんじゃないかという懸念を持っています。そのときに、最賃に引っ張られて外国人の偏在も生じるんじゃないかという懸念でありますが、そこはしっかり、逆に、日本人と同等ということをありとあらゆる手段を使って、人道上も、あるいは日本人の賃金を引き下げないという意味のチェックをいただきたいと思います。

 最後、時間を使ってしまったんですが、厚労省、たしか来ていただいていますが、介護の問題なんですね。

 これは介護も同じ話で、日本人と同等だという縛りはきくと思うんですが、そうしたときに、今介護で何が問題か。私が聞いている話では、若い人たちが続かない、やめてしまうということなんですね。それは賃金が安いからなんです。

 彼らと同等の賃金になったとしたとき、日本人がどんどん抜けていく中に外国人がどんどんはまってしまう。要するに、介護人材、若手がほとんど外国人に置きかわってしまうんじゃないか。

 これは、私は、まず日本人を雇用するというこの制度の趣旨、大臣も盛んにおっしゃっていますが、から逸脱しているんじゃないか。まずは、若い日本人の介護人材の賃金を、きちんと介護報酬を引き上げることが大事じゃないかと思うんですね。放っておくと、全部介護人材は外国人に置きかわってしまうんじゃないか、こう思います。

 ですから……

葉梨委員長 簡潔に質問をまとめてください。

奥野(総)委員 はい。

 いかがでしょうか、今の見解。

葉梨委員長 厚労省八神官房審議官、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の新しい外国人材の受入れは、まず国内人材の確保をしっかりやった上でということで、先生がおっしゃるように、若者を含めた人材確保をしっかりやっていく必要があると思っています。

 介護分野は、これまで月額合計五万七千円の処遇改善を行ってございますが、加えて、リーダー級の介護職員につきまして他産業と遜色のない賃金水準を目指すということで、経験、技能のある介護職員に重点化を図りながら、さらなる処遇改善を行うということにしております。この運用に当たりまして、若年者を始め他の介護職員などにこの処遇改善の収入をまた処遇改善に充てるというようなこともできるように、柔軟な扱いを認めることとしてございます。

 その他、ICT、介護ロボットなど、さまざま、職場環境の改善を含めて、総合的な介護人材確保に努めてまいりたい、このように考えてございます。

奥野(総)委員 時間が参りました。

 くれぐれも若い人たちにちゃんとお金が回るようにお願いしたいと思います。

 以上です。

葉梨委員長 以上で奥野総一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党、大西健介でございます。

 きょうは法務委員会で質疑の機会をいただきまして、階理事を始め同僚委員の皆さんに心より感謝申し上げたいと思います。

 ふだん私のホームグラウンドは厚労委員会ということで、山下大臣に質問できる貴重な機会ですので、ちょっと初めに、特定技能の話を聞く前に、一問だけ、児童虐待の話をお聞きしたいと思うんです。

 今国会、児童虐待防止法の改正が予定をされております。そういう中で、体罰禁止を明示をするということが検討されているわけですけれども、これにあわせて、民法上の懲戒権の見直しを附則で盛り込もうということが今検討されております。これについては、当初は法施行後五年をめどにということになっていたようですけれども、今、五年じゃちょっと長過ぎるんじゃないかということで、二年ということで検討が進んでいるということですけれども、そういうことでよろしいのか。

 また、連日虐待のニュースが続いている中で、もちろん法制審等にかければそれなりの時間を要することは理解をいたしますけれども、大多数の国民の声はこの懲戒権の見直しをできるだけ速やかにやるべしということだと思いますけれども、大臣の強い御決意を御確認させていただきたいと思います。

山下国務大臣 お答えいたします。

 この法律案につきまして、これについては、委員御指摘のとおり、施行後二年を目途として、民法八百二十二条の規定のあり方についての検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の検討規定が盛り込まれる方向で今調整がなされていると承知しておりまして、法務省としても、このような、盛り込まれるということになりますれば、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

 そして、委員御指摘のとおり、これは国民の間でも、速やかな検討をというふうな声がございます。法務省としても、国民の間でもさまざまな議論がございます、これは家族のあり方に関する問題ですから、それを踏まえつつ、速やかに必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

大西(健)委員 大臣からも速やかにということで御決意いただきましたので、ぜひしっかり進めていただきたいと思います。

 それでは、特定技能の問題に移っていきたいんですけれども、昨年の入管難民法の審議の際にも、私は厚労委員会の理事でしたので、連合審査をということでお願いしてきましたけれども、残念ながらかなわなかったということで、そのときから疑問に思っていることをまずちょっとお聞きしたいと思うんです。

 家族の帯同が認められない特定一号の外国人同士が結婚、妊娠をした場合どうなるのかということでありますけれども、この場合に、特定活動がもう妊娠してできないということになって、例えば在留資格が失われて帰国されてしまうのか。あるいは、赤ちゃんが生まれた場合に、その赤ちゃんの在留資格はどうなるのか。この点について、簡潔に大臣から御説明をいただければと思います。

佐々木政府参考人 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針におきまして、「「特定技能一号」で在留する外国人の配偶者及び子については、在留資格は基本的に付与しない。」とされております。

 その例外として、中長期在留者としてもともと本邦に在留していた方が特定技能一号の在留資格に変更する以前から既に身分関係が成立している、中長期在留者として在留していたその方の配偶者や子、それから、今御指摘の特定技能一号の活動を行う外国人同士の間に生まれた子などが想定をされて、在留資格、特定活動により在留資格が認められる場合がございます。

 お母さん、妊婦さんでございますが、特定技能一号外国人が我が国で子を出産したとしましても、男女雇用機会均等法第九条の定めにより妊娠又は出産を理由とした解雇は禁止をされておりますので、雇用契約が継続している限り、引き続き特定技能一号で在留することが可能です。

大西(健)委員 それでは、確認したいんですけれども、例えば妊娠、出産を繰り返していけば、ほとんど特定技能活動をしなくても、ずっとその妊娠をされた女性の外国人というのは在留期間中はいられるということになるんですかね。

佐々木政府参考人 受入れ機関との雇用契約が継続している限りにおきましては、おっしゃるとおりです。

 ただし、全体としての在留期間が五年という上限がございますので、その間、仮に稼働を実際にしていなかったとしても、その五年にはカウントされます。

大西(健)委員 もう一つ、念のため確認ですけれども、先ほどの御答弁だと、その場合も、生まれてきた赤ちゃんは在留資格がないということですから、帰国させられてしまうということですか。

佐々木政府参考人 その赤ちゃんも特定活動の在留資格が認められる可能性があります。

大西(健)委員 働かないけれども、でも家族としての身分ではなくて、特定活動でその在留期間いられるというのは、私は、ちょっとまた、それはそれで何かわけがわからないなという気もいたしますけれども……

葉梨委員長 ちょっと、正確を期すために佐々木局長にもう一度説明させますから。特定活動と技能の違い。

佐々木政府参考人 特定技能の在留資格でお母さんはそのままいられます。

 お子さんは、特定活動という法務大臣が特別に指定する活動の在留資格ですので、この特定活動と特定技能は別なものです。

大西(健)委員 そうじゃなくて、妊婦さんの方は別に特定技能活動をしなくてもいられるということですから、そこはそうなんだなということで理解をいたしました。

 次にちょっと聞きたいのは、今、全国でいろいろな説明会が行われていて、その中で、多くの参加者の受けとめというのは、情報が少ない、聞いてもよくわからないということだと思うんですけれども、説明会で登録支援機関についていろいろな質問が出ていると聞いているんですけれども、現行の技能実習制度でも、さまざまな問題というのが監理団体に起因して起きている。監理団体の中から特定支援機関を申請するところも出てくるということが想定される中で、この登録支援機関が今登録制になっていると思うんですけれども、それでいいのか。

 あるいは、財政的な基盤、これについて資産要件みたいなものはないということですけれども、私は、登録支援機関がちゃんとした活動をするためには、資産要件も必要だし、許可制にするべきだというふうに思います。

 ちょっと時間がないので、あわせてお聞きしますけれども、もう一つは、例えば、いろいろな相談事業とかをやるということですけれども、受入れ機関からセクハラとかパワハラがあった場合に、この登録支援機関というのが本当に有効に機能するのか。受入れ機関は、言ってみれば、登録支援機関からすれば委託を受けているお客さんに当たるわけですから、そういう強いことはなかなか言えないんじゃないか。

 今の資産要件、それから許可制じゃなくていいのか、それから、そういうセクハラ、パワハラみたいな人権侵害のときに本当に有効に機能するのかということについて、いかがお考えか、御答弁いただきたいと思います。

山下国務大臣 三ついただきました。

 まず、登録制とすることは、これは入管法が定めている法律事項であります。なぜ登録制としたかというと、支援を実施すること、それ自体は、一般的に禁止されるものではない、許可がないとできないというものではない。さまざまな担い手に支援を担っていただく必要があるということで、一律に許可制とはしなかった。

 他方で、一定の信頼に足る支援機関、これについては、支援を的確に行うことができるのだということを確保する観点から、これを登録することとして、一定の要件を満たす支援機関について登録支援機関として認め、それに対する支援について一定の法的効果を与えているということでございます。

 あと、登録について資産要件は要らないのかという御指摘でございますが、支援については、もちろん、支援に要する費用等を受け取って、それで必要な支援をしていただくということですが、監理団体は、そういった支援以外にも、例えば独立して検査をするであるとか、それなりの業務が想定されておりますので資産要件を設けましたが、支援機関についてはそこまでは必要ないであろうというふうなことで考えておりました。

 ただ、一方で、支援機関については、しっかりとした支援をやっていただく必要があるということで、それについては法務省がしっかりと見ていくということでございます。

 また、受入れ機関から委託を受ける立場ではありますが、登録支援機関については、これは相談や苦情に適切に応じるとともに、当該外国人への助言指導その他の必要な措置を講ずる。不十分なところについては、我々としてもしっかりと監視していくというふうなことを考えております。

 登録支援機関につきましても、例えば配偶者など、当該受入れ機関の役員などと社会生活において密接な関係を有していないとか、あるいは、過去五年に受入れ機関の役員、職員でないということで、分離独立した存在とすることを確保することとしておりますので、そうしたところでしっかりと役割を果たしていただきたいと考えております。

大西(健)委員 資産要件、今の御答弁ありましたけれども、でも、例えば潰れてしまったらまさに支援ができなくなってしまうわけですから、やはり一定の資産要件みたいなものが私は必要じゃないかなというふうに思います。

 次に、資料をお配りしていますけれども、分野別の協議会というのについて聞きたいと思うんです。

 これが法務省がイメージしている分野別協議会の構成なんですけれども、これを見ると、受入れ機関以外には業界団体であったりとか関係省庁というのが入っているんですけれども、ただ、ここには労働組合というのは入っていないんですけれども、今後、外国人の労働者の組織化というのも進んでいくかもしれません。それから、日本人の労働者への影響とか職場への影響というのを考えると、産業別労働組合みたいなのを入れていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 分野協議会について、法務省がイメージ図を作成しておりますが、それに限られるわけではないということでございます。

 各分野の協議会は、それぞれの設置規約等に基づき運用を行うというところでございまして、そこに並んでいるような、分野所管省庁や受入れ機関、業界団体、その他ということでございます。我々関係省庁も入るわけでございますが、そうした中で、どういう構成員を入れるのかということについては協議会でお決めいただくというふうに考えております。

大西(健)委員 そうはいっても、これは例といっても、ほかのやつは書いてあるわけですから、業界団体は書いてある、関係省庁は書いてあるわけですから、ぜひ産業別労働組合というのは検討していただきたいというふうに思います。

 それから、先ほどちょっと奥野さんがやっていたようですけれども、「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること。」というこの要件なんですけれども、具体的にどうやって確認していくのかということなんです。

 例えばの例ですけれども、小さいところで、事業主を除いてほかに日本人の労働者がいないみたいな場合には、これはどうやって確認するのか。このことを含めて、日本人と同等以上の報酬額というのを具体的にどうやって確認をするのか、御答弁をお願いしたいと思います。

佐々木政府参考人 御説明いたします。

 まず、受入れ機関に賃金規定がある場合には、その賃金規定に基づいて判断をすることになります。

 次に、その賃金規定がない場合、特定技能外国人と同等の業務に従事する日本人労働者がいれば、当該日本人労働者の報酬額を証明する資料に基づいて同等性を判断します。

 同等の業務に従事する日本人労働者はいないものの、特定技能外国人が従事する業務と近い業務を担う日本人がいる場合には、当該日本人労働者の役職や責任の程度について特定技能外国人との差が合理的に説明され、年齢あるいは経験年数を比較してもその報酬額が妥当かどうかを検討して判断することになります。

 さらに、賃金規定もなく、比較対象の日本人労働者もいない場合は、受入れ機関に対して、雇用契約書のほか、報酬額が日本人と同等以上であることを説明する書面の提出を求めることとしております。その場合、審査においては、この説明内容の確認のほか、雇用契約書上の報酬額と、当局が保有する、近隣同業他社において同等の業務に従事する同等程度の経験を有する特定技能外国人の報酬額を比較することとしています。

大西(健)委員 事業主以外にいない場合というのは、なかなかこれは、本当に個別具体的にやってみないとわからないということが今の答弁じゃないかなという感じがしました。

 この点について、パブコメを見ると、外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の同等以上であることを基準とすると、むしろ同じ業務に従事する日本人に対する差別になるのではないかといった意見や、外国人は日本人と同一レベルの日本語を話すことができない以上、その報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額以上であることを基準にすべきではないといった意見が見られます。これはパブコメにそういう意見があるということです。

 また、農業の現場からは、農家の多くは実習生を最低賃金で雇っている、単純な農作業は経験の差が出にくい、日本人と同じ給与で外国人を雇う農家がどれだけいるのかわからないし、これからも技能実習を使っていく、こういう声が出ています。

 私も、地元でこの間聞いてみました。物づくりの製造業の自動車産業の関係の企業、中小企業ですけれども、行って、この特定技能はどうですかねという話を聞いてみました。そこの会社はかなり多くの技能実習生を使っておられるので、三年技能実習をやって仕事がなれた人を特定一号に移行できるんだったら、多分すごく大歓迎されているんだろうなというふうに思ったんですけれども、予想外の答えが返ってきました。

 そこは現在も多くの技能実習を使っているんですけれども、今のところ、特定一号の受入れは考えていないと。何でかというと、日本人と同等以上の報酬では、その上に登録支援機関に支払う委託費だったりその他のコストを考えると、労務費の抑制にはつながらない、だから、見合わないんだ、だから、もう特定一号は考えていないと言っています。

 これだと、もう愛知県、すごい今人手不足なんです。でも、この新たな外国人労働者の受入れ制度の一番の目的であるはずの人手不足の解消につながらない、こういう意見もあるんですけれども、この点いかがでしょうか。

山下国務大臣 御指摘ですが、技能実習制度においても、特定技能と同様に、技能実習計画の認定要件として、技能実習生に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬額と同等以上であることを求める、こういうふうにしております。

 これは現在は外国人技能実習機構において厳格に審査を実施しているところでありますが、なお、これが把握をしっかりできる方策がないかというのは、我々も検討してまいりたいということで考えております。

 もちろん、どちらをやられるかということでありますが、技能実習生はやはり海外への技術移転ということで目的があり、特定技能につきましては、一定の専門性そしてスキルを持つ者を、上限五年間ということではございますが、一定の期間働いてもらえるということで、継続性、安定性がある制度である。一定の技能も、技能水準も期待できるというところで、そういったところに着目をしていただいて、御活用いただけるのではないか、こういうことで考えております。

大西(健)委員 私が言いたいのは、技能実習も本音と建前が残念ながら乖離をしている。今回の制度も、人手不足に対応するためにつくっているんだよと言っているけれども、実際には、現場では解消にならないんじゃないかということを言われているんです。

 もう一つ、現場のニーズと今回の制度のミスマッチがあると思っていることを御指摘したいと思うんですけれども、例えば外食業。これまで技能実習がなかったということですけれども、今回、外食業では、アルバイトの教育やシフトの管理、あるいは食材の知識等を持った店長レベルの能力を持つ人材を求めるとしています。ただ、人手不足が深刻なのは店長レベルの人材じゃなくて、いわゆるホールスタッフが欲しいんです。人手不足対策の効果は、外食業界からも限定的ではないかという声が上がっている。

 同様に、旅館業界。ここも同じですけれども、本当に欲しいのはベッドメークとか掃除なのに、特定技能の宿泊では、窓口、接客などを含めた幅広い業務を任せないと違反になるので、これも人手不足の解決には残念ながらつながらないんじゃないかと。

 求める技術水準を上げていくと、現場のニーズと残念ながらミスマッチが起きる、こういう悩ましい問題があるんじゃないかと思いますけれども、この点は大臣、どうお考えになりますか。

山下国務大臣 その現場のニーズという部分において、もちろん、ベッドメーキングというふうな声があることも承知はしておるんですが、今、昨年で例えば訪日外国人が、旅行客数が三千万人を超えるという中で、一定程度の接客というのが外食や宿泊業でも求められるんであろうと。また、日本のような例えば外食あるいは宿泊のおもてなしのようなところをしっかりとやっていきたいというニーズもあるというふうに承知しております。

 そういった中で、相当程度の知識又は経験を有する技能を発揮していただくということで、必ずしもニーズとミスマッチではないかということにはならないのではないかと我々は考えているところでございます。

大西(健)委員 これは実際運用してみて、本当に人手不足の解消になるのかというのは、今私が指摘した問題等もぜひ現場の声をしっかり聞いていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので先に進みますけれども、介護について。

 介護は、身体生命にかかわる職業ですし、高齢者の尊厳を確保しながらやらなきゃいけない。十分な意思疎通を行って、正確な業務引継ぎ、また、緊急時の対応を確実に行えるだけの日本語能力が必要になると思います。

 先ほどの資料の裏のページを見ていただきたいんですけれども、見ますと、例えば、施設の九割は、介護現場で必要とされる日本語能力のレベルをN3以上と考えている。更に言えば、N2以上と答えている施設が五割を超えているということであります。

 また、UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの調査によれば、回答者全体の七割がパワハラを、約三割がセクハラを受けているという実態が明らかになっている。

 介護現場で外国人が自分の身を守るためにも、やはり高い日本語能力というのが求められると思うんですけれども、現時点で聞いているのは、特定一号の外国人の入国時の日本語能力基準を、技能実習二号移行時に求められるN3よりも低いN4でよいとしているということでありますけれども、やはり介護については、私、高い日本語能力が自分の身を守るということにおいても必要だと思います。この点、いかがでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、介護は対人サービスでございますので、日本語によるコミュニケーション能力の向上を図るということが、サービスの質を確保し、また現場に不安を招かないようにする上で重要だ、このように考えてございます。

 そのため、介護分野は、特定技能の対象十四職種の中で唯一ですが、国際交流基金が実施する日本語能力判定テストに加えまして、介護日本語評価試験、これを上乗せで実施をすることとしてございます。

 こうした試験は、今回の就労目的で外国人材を受け入れる特定技能が創設されることを踏まえまして、現行の日本語能力試験と別に、国際交流基金が日本での生活、就労に必要な日本語能力を確認するための新たな試験を実施する、こうされたことから、介護分野でも国際交流基金の新たな試験を活用するとともに、これに加えて、介護現場で用いられる介護の日本語に関する試験というものを整備を行い、就労に必要なコミュニケーション能力を担保するというものでございます。

 介護分野では、こうした試験を通じまして、介護現場で介護業務に従事する上で支障のない程度の水準の日本語能力が確認ができるよう、制度所管省庁である法務省等としっかり調整をして、試験の準備を進めてまいりたいと考えてございます。

大西(健)委員 済みません、介護についてもう一つお聞きしたいんですけれども、介護は今回、特定技能が加わったことによって、技能実習と、介護福祉士養成施設などで働く留学生、EPAと、四つ制度が併存するということになるんです。

 このEPAなんですけれども、三年間の実務経験後に最大二回、介護福祉士の国家試験に挑戦できるけれども、これに落ちたら帰らなきゃいけない。国家試験の合格率五割程度ということで、なかなか難関になっているということなんですけれども、EPAで来た外国人というのは大卒で日本語能力も高いし、そして、税金を使ってせっかく育成したのに、試験に落ちたら帰さなきゃいけないということなんです。

 EPAの候補者というのは、三年間の現場実習をやっているので三年間の技能実習を終えたのと同等の技能もありますし、さらに日本語能力もある。特定一号に必要な日本語と技能試験に受かる能力があるはずなんですけれども、現状のところ、EPAで落ちた人は、では特定一号に移行できるのかについてははっきりしていないと聞いているんですけれども、このEPAの人材を活用するという道をちゃんと開かなきゃいけないと思うんです。この点はいかがでしょうか。

葉梨委員長 厚労省八神審議官、質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。

八神政府参考人 はい。

 今御指摘ございました介護福祉士国家試験に合格できなかったEPA介護福祉士候補者の方につきましては、御指摘ございましたように、技能実習二号修了者の在留期間の三年を超えて、基本的には四年間にわたり就労を継続されているということがございます。

 他方で、EPA候補者は、基本的には、四年間で介護福祉士国家試験の合格に向けて、政府としても公的な支援を行っている、こういうこともございます。

 今いただいた御指摘も踏まえつつ、今関係省庁と検討をしっかりしてまいりたい、このように考えております。

大西(健)委員 時間なので終わりますけれども、せっかく税金を使ってそこまでやったのに、それが特定一号に移行できないというのはもったいないというふうに思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 一問残してしまいましたけれども、いわゆる留学生の問題です。

 日本語学校が乱立していて、その教育の内容が十分に担保されていないという、これは大変大きな問題だと思っていまして、例えば、先生一人に百人を超える生徒を抱えている、このST比というのがちゃんと法務省の方で調査できているのかとか、あるいは、そもそも、確かに留学という在留資格を与えるから法務省が許認可をしているんですけれども、ただ、その後の授業内容とかは野放しになっているというのはやはりいかがなものかと思いますので、この点については、きょうはできませんでしたので答弁を求めませんけれども、ぜひとも、法務省の方でもしっかり御検討いただきたいと思います。

 質問を終わります。

葉梨委員長 以上で大西健介君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 冒頭、先ほど源馬委員も質問しましたが、昨日、東京品川入管で起きた事案についてお聞きします。

 ちょっとまだ事実も、全体もまだわかっていないんですが、収容中の方が体調を崩されて、家族あるいは友人の方が救急車を二度呼んだにもかかわらず、本人とその救急隊を面会させなかったというふうにお聞きをしております。

 まず、法務省に二点確認したいんですが、昨日は火曜日、医師と看護師の方は十七時以降は東京入管にはいなかった、これは間違いないか。

 もう一点は、被収容処遇規則の第三十条では、所長等は、被収容者が罹病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、症状により適当な措置を講じなければならないとなっております。今回は、医療行為に関する最終的な判断責任者は所長等、つまり東京入管局長になるのか。

 この二点、端的にお願いします。

佐々木政府参考人 まず、東京入管の医療体制でございますけれども、医師は日中しかおりません。ただ、看護師につきましては、昨晩泊まっておりました。

 それから、医療体制につきまして、必要な指示を所長がいたします。

藤野委員 看護師はいたけれども医師はいなかったということであります。最終的な判断は東京入管局長が行ったということであります。

 法務省にお聞きしますが、家族に話をしたということですが、誰がどのような説明をされたんですか。

佐々木政府参考人 午前中も申し上げましたけれども、収内の個別の事情につきまして、つまびらかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

藤野委員 今後もこの問題は引き続き取り上げたいと思いますけれども、この事案そのものも後で大臣にもお聞きしたいんですが、やはり、収容という施設の中における、あるいは収容するかどうか、収容する期間、あるいは仮放免するかどうか、私も先日の大臣所信でお聞きしましたけれども、これは法律上の明文規定がないわけですね。そのもとで入管の裁量に任されている、その裁量が広過ぎるという話をいたしました。

 実は、それ以外にも、収容の要否とか期間だけじゃなく、極めて広いんですね。この被収容者処遇規則を見ますと、所長は、あるいは所長等はで始まるものがずらっと並んでおりまして、極めてその裁量が広い。

 そのもとで、例えば、きのうでいえば五時以降医師がいないというもとで、しかし体調を崩したというもとでの専門的な医学的判断というのをどう担保していくのか。そのもとで必要な医療が受けられないで症状が悪化したり、最悪の場合は死に至ったケースも実際起きているわけですね。実際に亡くなっている方がいる。

 だから、そういう点で、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、昨年五月九日の当委員会で上川当時の法務大臣は、この収容施設も矯正施設、刑事施設等と同じく法令に基づく強制的な措置として身柄を拘束するのだから、国の責任のもとでしっかりとした健康管理と衛生管理を尽くしていく、そうした体制整備に万全を期すという答弁をいただいておりますが、これは大臣も上川大臣と同じかどうか。

 そして二点目は、今回の場合、やはり被収容者の方がいまだ、まさに適切な医療が受けられていないという状況にあります。ぜひ緊急に病院に連れていって、診察を受けさせていただきたい。

 最後に、この大もとにある、収容施設の環境改善、とりわけ医療体制の改善、これは万全を期すという答弁があるわけですが、今回のような事案が二度と起きないように、緊急にこうした医療体制の整備、改善を図っていく必要があると思うんですが、山下大臣、いかがでしょうか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 今回のような事案ということですが、ちょっと個別の事案の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

 また、一般に、入管の収容施設に収容している被収容者が体調の不良等を訴えた場合には、例えば、被収容者処遇規則三十条等に基づいて、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じているところだと考えております。

 もとより、委員御指摘のように、昨年五月九日、上川前大臣が答弁した内容については、私としても考え方は全く同様でございまして、被収容者の健康管理は重要と認識しております。ですので、先ほど申し上げた被収容者処遇規則等に基づいて、医師の診察を受けさせるなど適切に対応しているものと承知しております。

 今後も、処遇環境の悪化につながらないよう、所要の体制整備に努めてまいりたいと考えております。

藤野委員 大臣、ちょっと認識がやはり、私もまだ全体像をつかんでいるわけではありませんけれども、今、被収容者処遇規則三十条で医師の適正な処遇というようなことをおっしゃいましたが、今回、二度も救急車が行って、救急救命士が行っているわけです。十七時以降は医師はいないんです、東京入管には。ですから、最も医療のプロと言われる方でいうと、今回は救急救命士ですよね。この人たちがもうその場に行っているにもかかわらず、入管局長の判断でこれは会わせないという判断を行ったわけですね。この判断の是非については、今後も厳しく問いたいと思いますけれども。

 しかし、大臣が今おっしゃった、この三十条に基づいた措置がやられたかどうか、これも大きな論点であって、今答弁されたように受けさせたとは言えないんです、医師がいなかったんだから。この規則には、医師の診察を受けさせとあるんですけれども、医師の診察は受けておりません、間違いなく。いないんだから。

 ですから、そういう意味で、なぜいないのかという点で、最後お聞きした、やはりこの間、努力はされていると思うんですけれども、夜はいないとか、いたとしても毎日いるわけではないとか。もちろん、医師の充足の問題については、また私も取り上げましたので、今後も聞きたいと思うんですが、少なくとも、今回のケースでいえば、この被収容者処遇規則三十条、これから見ても非常に私は問題があるというふうに思っております。

 ですから、ぜひ、もう一点だけ、やはり今回の収容者の方に、緊急に、即刻診療を受けさせていただきたい、これをもう一点、ちょっとお願いしたいと思います。

佐々木政府参考人 繰り返しになりますけれども、個別の事案についてつまびらかにいたしませんけれども、一般論で申し上げまして、当局が要請したものではない救急隊が臨場し、その被収容者が同日、収内において専門の医師の診断を受けていたというような場合には、救急隊に事情をお話しをして帰署していただくということはあり得ると思います。

藤野委員 個々の対応について話さないといって、またああいうことを言われるんでね。しかし、それは、今後我々もしっかり調べて、一般論といえ、そうおっしゃったわけですから、しっかりとチェックしていきたいと思います。

 重ねてですけれども、今回の方にしっかり医療が提供されるように、大臣からも厳しく指導をお願いしたいと思っております。

 その上で、政省令の質疑に入りたいと思いますが、今回、ある意味、初めて、法律そして政省令の全体像が審議されるわけであります。私も初めて準備していく中で、改めて感じましたのは、やはり法律でも、あるいは政省令でも、入管法という枠組みでやっているもとで、実際に今、外国人労働者の方、百二十八万を超えて百三十万にも達しようという方、あるいは、とりわけ新制度が土台としている技能実習制度の構造問題には何らメスが入っていないなということを感じております。このまま四月からスタートしたら、これは大変なことになるなと思っております。

 既に現在起きている問題、この間私が取り上げてきた問題を踏まえて、ちょっと質問させていただきたいと思うんですね。

 技能実習制度は、皆さん御存じのように、実習生が保証金とか手数料などの名目で借金を負わされる。悪質なケースでは、民間団体である送り出し機関、監理団体、そして受入れ機関の三者から、それぞれ、ある意味、搾取をされる。借金を背負っているものですから、ひどい労働条件でも物が言えないし、人権侵害があっても泣き寝入りせざるを得ない、そういう、ある意味、構造問題があるわけですね。

 今回の新制度でも、この各プロセスで民間団体が関与するという構造は変わりがない、全く変わらないという状況です。それどころか、今は許可制である技能実習制度の監理団体が、今回の登録支援機関では登録制になるという形で、むしろ緩和されている面もあります。

 法務省にお聞きしたいんですが、政省令では、各所に、いろいろなところに、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、そういう借金を背負わせるようなことはだめですよということがあちこちで書いてあります。

 これが悪質なブローカーなどに対する規制だと伺っておりますが、例えばですけれども、契約、受入れ機関、支援計画等の基準に関する政令の七ページに、キというのがありまして、こうあります。

 他者との間で、特定技能雇用契約に基づく云々かんぬんについて、そういうことをやっちゃだめですよというのがあるんですが、この他者というのは、いわゆる母国、外国における送り出し機関など外国のブローカー等も含むのか、含むとすれば、海外にいる他者が保証金などを徴収するなどの不正行為をどうやって規制するんでしょうか。

佐々木政府参考人 ただいまのお問いですけれども、この他者には外国のブローカーも入ります。

 その上で、まさに運用においてどのようにそれを見出していくかということですけれども、在留資格認定証明書の交付申請時に、例えば、申請に係る外国人の雇用に至るまでの方法、それから、特定技能外国人や受入れ機関があっせん機関等に支払う費用、それから、あっせん機関に支払う費用の額及び内訳を外国人の方が十分に理解をして合意をしているという一筆などを明らかにする書類の提出を求めることを今検討しておりまして、これらによりまして、保証金あるいは違約金などが徴収されていないことの確認を行って、悪質なブローカーの介在の防止を図る予定でございます。

藤野委員 そうしたことで実際に実効性があるかという点で、一点、お聞きしたいのは、私、二月十五日の衆議院予算委員会で、フレンドニッポンという日本国内の監理団体と、ホワイト・ダブという、これはフィリピンなんですが、フィリピンの送り出し機関の問題を取り上げさせていただきました。

 ホワイト・ダブというのは、フィリピン政府の推奨を受けている、いわば優良な送り出し機関でございます。

 配付資料の一を見ていただきたいんですが、これが、そのホワイト・ダブという機関がいわゆる実習生と結んだ契約の抜粋でございます。時間の関係で、第三条、これは実習期間中の実習生の義務と責任というところなんですが、意訳させていただきますと、三条の一というところでは、本契約の条項を忠実に遵守することに同意する、この同意事項に違反したら、みずからの費用でフィリピンに送り返され、損害賠償などの責任を負う、アット・ヒズ・エクスペンスというところですね。

 一体その同意事項って何なんだと。その例として、たくさんあるんですけれども、ここでは三の三というのを挙げております。実習生は、給料や手当について、同じ会社の他の実習生、他の会社の実習生と比べて文句を言ってはならないという内容であります。つまり、文句を言うな、何かあったら自腹で帰国だぞという契約条項になっているわけですね。

 法務省に確認したいんですが、先日の予算委員会で、局長は、こういう自己負担とする内容の契約は取消し対象になるんだという答弁をされていますが、間違いありませんか。

佐々木政府参考人 御指摘のとおり、二月十五日の衆議院予算委員会におきまして、私から、技能実習生の帰国に際しては、帰国の事由を問わず、帰国旅費の全額を監理団体が負担することとなっている旨、答弁を申し上げました。

 これについていま一度改めて御説明をいたしますと、技能等を移転するという技能実習生の趣旨に鑑み、技能実習生の帰国に支障を来さないようにするため、技能実習法施行規則第十二条第一項第六号におきまして、帰国事由を問わず、企業単独型技能実習の場合は実習実施者、団体監理型技能実習の場合は監理団体が帰国旅費の全額を負担することとされております。(藤野委員「そして、基準に合わない場合は」と呼ぶ)ですので、ここが基準に合わないということで調査をした上で、先ほどおっしゃられましたような処分も可能性はあると思います。

藤野委員 ですから、これは取消しの対象になるような契約なんですね。しかし、実際には通っちゃって、これで来てしまっているわけであります。

 大臣、お聞きしたいんですが、フィリピンと日本は二国間協定を結んでおります。二国間協定を結んでいる。しかも、このホワイト・ダブはフィリピン政府から優良と認定されているところであります。そういうところでもこういう契約が結ばれて、入管の皆さんのチェックをくぐり抜けて、そして入ってきているわけですね。

 大臣、二国間協定をよく強調されるんですが、実効性は本当にあるんですか。

山下国務大臣 済みません、今ちょっと資料の英語の文言を見ただけでは、ちょっとにわかに全体像として、というのは……(藤野委員「いや、これ、予算委員会でも見ているのに」と呼ぶ)いや、シュッド・ディジスト・フロムですから、メイ・ノットとか、禁止ではないという部分もあり、この違反をもって必ずしもどうなるのかというところはちょっとにわかに判別しがたいので、その点についてしっかりと当局で調査させていただいた上で、必要があれば、二国間取決めあるいは二国間協議の枠なども活用しながら、しっかりと必要のある是正措置があれば申し入れたいと思います。

藤野委員 それはぜひやっていただきたいと思います。

 その上で、配付資料の二を見ていただきたいんですが、このホワイト・ダブと日本の監理団体であるフレンドニッポンの関係なんですけれども、上のところはホワイト・ダブの連絡先なんですね。右の方のアドレスというところを見ていただきますと、書いていますように、これは日本なんです。千代田区外神田というところに書いてあります。下の方はフレンドニッポンの連絡先というか所在地、これも千代田区外神田二の四の四と、同じであります。ホワイト・ダブの担当者のメールアドレスも一応つけておきましたが、何たら何たら、アットマーク、ホワイト・ダブならわかるんですが、@friendnipponになっている。結局これは一体なんです、事実上。

 法務省にお聞きしたいんですが、今回の制度です。

 今回の制度ですと、登録支援機関の要件を満たせば、フレンドニッポンとホワイト・ダブのように事実上同一の会社が、日本とそして母国、両方に団体を設立して送り出しと受入れを行う、これは今回の法律でも可能ですね。

佐々木政府参考人 今回の制度におきましては、送り出し機関というものが前置をされているものではございませんので、お使いになる方もいらっしゃるでしょうし、そうでない方もいらっしゃると思いますけれども、それを前提とした制度とはなっておりません。

藤野委員 じゃ、名称は別として、要するに、そういう形で、両方に同一の機関が、同一の会社が団体を設立してやる、そういうことは法律上排除されませんね。

佐々木政府参考人 一般論として、リクルートのためのルートといいますか、道筋ということでは、いろいろな選択肢があると思います。

 ただ、今回のことということではなくて一般論で申し上げますと、今回の新制度の中でいろいろな形での関与者、すなわち受入れ機関であったり、それから登録支援機関であったり、その方たちの要件として、これまでに労働関係法令、出入国関係法令に違反したことがないこと、あるいは技能実習にかかわった方であれば取消しをされたことがないこと等々の要件を組み込んであるところでございます。

藤野委員 結局できるということなんですね。今回のフレンドニッポンとホワイト・ダブのようなことが新しい制度でも可能になる。

 結局、送り込まれる実習生から見ると、母国ではそういう送り出し機関からさまざまな、渡航前費用も徴収され、日本に来たら管理費という形で、これは受入れ機関が払いますけれども、最終的には給料から取られていくということで、寄ってたかって食い物にされているという状況であります。これが今回の制度でも排除されない。

 もう一点、私、シャープの事案も取り上げたんですけれども、亀山工場、これは日本人を含む四千人の方が雇いどめになったという事案でありますが、ここの事案では、そもそも非自発的離職なのかどうかということが問題になったんですね。

 会社都合というのが圧倒的多数を占めるんですけれども、それは本当にそうなのかということで、私、この一月二十三日の閉会中審査で大臣にお聞きしましたら、大臣は、非自発的離職かどうかをどうやって見分けるのかということについて、受入れ機関から非自発的離職者の発生状況を申告させる、もう一つは、労基法で作成が義務づけられている労働者名簿の写しの提出を求めて離職理由を確認すると答弁されました。

 配付資料の三を見ていただきたいんですが、これは労基法の百七条と同施行規則の五十三条と労働者名簿のひな形なんですね。

 受入れ機関から非自発的離職者の発生状況の申告、これは受入れ機関と大臣自身がおっしゃいました。もう一つの労働者名簿の写しなんですけれども、これも結局、百七条を見ていただいたらわかるように、使用者がやるんです。

 大臣、お聞きしたいんですが、結局、申告も労働者名簿の作成も使用者がやるんです。これは実効性があるんでしょうか。

山下国務大臣 労働基準法に基づく記入義務ということでございますので、それに関しては、これは労働法規という重いものでありますので、使用者は遵守しているのだろうというふうに考えております。

 ちょっと所管外で、具体的な通告がなかったので……(藤野委員「いやいや、している、しています」と呼ぶ)済みません。じゃ、通告しているならまたちょっと調べますが、これに関する罰則、これの虚偽記入であるとか、そういうものについて罰則その他の何かがあるのかという、担保措置等もあると承知しておりますので、そういったところも踏まえて、正確な記載を期待しているところでございます。

藤野委員 シャープの事案では、会社があの手この手を使って自己都合に誘導していくんですよ。

 日本語がもともとわかりにくい人もいるわけで、いや、これは失業保険が早くもらえる書類だよなんて言ってサインさせるわけです、自己都合と書いてあるところに。とか、本当に非自発的離職なのかどうかというのは極めてクリティカルな問題で、というか大事な問題で、それを実際の事案で、日本を代表するシャープという会社の関係で、誘導して非自発的ではないように、自発的だというように誘導していったということがあるということも踏まえれば、大臣の答弁は非常に実効性がないんじゃないかというふうに言わざるを得ないと思います。

 もう一点、別の例でお聞きしたいんですが、次の配付資料を見ていただきますと、これは家賃の関係で、済みません、配付資料の五に飛びますけれども、配付資料の五、これは家賃なんですね。母国では二万一千円の住居費だと説明をされていたのが、日本に来た直後、三万一千円に書きかえられてサインさせられたと。二万一千円の方は活字なんですよね。三万一千円だと手書きなんです。こういうふうに勝手に変えられて、しかしやはり圧倒的な力関係がありますから、これはやはり拒否できないということなんです。

 大臣、先ほども、入国時にチェックするんだとおっしゃいましたけれども、これは入国後の話なんです。入国後にこういうことが実際に起きているということなんですが、今回の法律又は政省令で、こういった事案を防ぐ規定というのは何かあるんでしょうか。

佐々木政府参考人 特定技能制度におきましては、特定技能外国人が在留中に定期的に負担する費用、今のお話であれば住居費などでございますけれども、その意に反して徴収されることを防止するため、法務省令において、当該外国人が、当該費用の対価として供与される食事、住居等の利益の内容を十分に理解しており、かつ、当該費用の額が適正な額であり、当該費用の明細書等が提示されることを定めるということを組み込んでございます。

 これも、まず入国段階では、認定証明書の交付申請時に、住居費あるいは食費などの賃金からの控除額が明示された雇用条件書の写し、受入れ機関が作成した徴収費用の説明書の提出を求め、これらにより、特定技能外国人が定期的に負担する費用の額が実費相当であることなどの確認を行います。

 今お問いの入国の後でございますけれども、今回の制度の中では、受入れ機関あるいは支援機関等々から定期的な届出を受ける。しかも、その項目をふやしてございます。その中で、きっちりともともとの条件が履行されているかどうか、あるいは何らかの問題がないかというようなことの端緒を得られる仕組みにはなっていると思います。

藤野委員 これは、端緒を得られるという仕組み、ちょっと政省令のどこか、にわかにわからないんですけれども、今わかるなら、どこか言ってもらえますか。

佐々木政府参考人 施行規則の中で、届出の項目、それが定期のものとそれから随時のものを、何々を届けるべきということを列挙をしてございます。

 それから、登録支援機関が本来の役割を果たすということでいいますと、受入れ機関の関係者、それから本人と面談をして、いわば何か問題がないかということを聞けるような仕組みになっています。

藤野委員 ちょっと事前のレクになかったので、また改めてこの問題は聞いていきたいと思います。

 もう一点お聞きしたいのは、外国人労働者の死亡事案への対応の問題でございます。

 これはあってはならないことなんですけれども、残念ながら、外国人技能実習生でも、ここ八年間で百七十四人の方が実習中に命を落とされている。これは二十代、三十代の若者ばかりであります。これはやはり非常に不自然でありますし、なぜ実習生が死に至ったのか、これについては、今、法務省内の門山政務官のチームで検証中だと聞いております。

 大臣にお聞きしたいんですが、この検証結果というのは今回の全体像に反映されるんでしょうか。

山下国務大臣 まず、全体像というのは特定技能も含めということですか。(藤野委員「もちろん、特定技能、今回の法令と政省令ですね」と呼ぶ)

 今回の法令、政省令は、これは特定技能に関することでございますので、これはまず、適正な手続を通じて政省令等を確定させていきたいと考えておるところでございます。

 技能実習生において今調査を進めておりますが、これは、技能実習法の施行をより適正なものとするために、今、弁護士でもある門山政務官を議長としてプロジェクトチームで検討してもらっているものでございます。

 今の政省令……(藤野委員「反映させないということですか」と呼ぶ)いや、それについて、運用の面で参考になるところがあれば、例えば情報把握のあり方であるとか、そういったところは運用の面で反映させていくということになろうかと考えております。

藤野委員 そこがよくわからないんです。せっかく検証されているわけですし、技能実習からの移行を大きく見込んでいる制度が今回始まる。状況は同じだと思うんです。

 やはり外国人で、しかも、死亡された場合、もう時間があれですけれども、要するに、日本人だったら家族は日本にいますから、亡くなった場合も家族が申請することができます。ただ、外国人労働者の場合は、家族が多くは外国にいて、日本語もわからないという方がほとんどですよね。だから、申請権者がそもそも外国にいるという全く違う状況があるもとで、今回、同じような形で、もしそういう事案が起きた場合どうするのかということが今回の検証結果で生かされなければ、本当に私はだめだというふうに思うんです。

 そういう意味で、今は、全く別の制度だからみたいなことを前提としておっしゃいましたが、別の制度じゃないですよ。だって、土台になっているんだから。それをせっかく検証しているんですから、その検証を通じて、やはりそれを生かしていただきたい。

 最後になりますけれども、やはり、入管法というスキームでは、大臣、今起きている現実の問題、これとの関係で対応できないというふうに思います。特別の制度、あるいは体制、予算、これがないまま四月からのスタートをすべきではないということを指摘して、質問を終わります。

葉梨委員長 以上で藤野保史君の質疑は終了いたしました。

 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 きょうは、この法律が移民ではないというようなこともありまして、我が党も修正協議で賛成させていただいたということでございます。今回、政省令が出てまいりまして、いろいろ説明もいただきましたので、そこのところをもう少しちょっと確認をさせていただきたいというふうに思います。

 法律によりますと、これの在留資格としては、「法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動」をしていることが在留資格ということだと思うんですね。そういったような資格があればいいんじゃなくて、従事するということはその資格というか能力がなければ従事できないわけで、能力があっても、この業務に従事していないと在留資格はないということだと思うんですが、そういったようなことが各分野にどれだけ要るんだということがこうやって出されて、今回それで細かく出されているんですけれども、数字を出すときに、その時点ではまだ法務省令で定めてはいなかったと思うんですよ、そのときは。

 どうやって各業務、分野から、うちの分野はこれは何人ですよとか出ているわけですよね。法務省令がまだない時点で、どうしてそれを算定できたのか、どういうような説明をしてその数字を出させたのか、まずその経緯をお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 経緯ということで申しますと、昨年の二月からこの検討が政府内で形を整えて始まりました。関係省庁とタスクフォースをつくって、もともとの総理の御指示にありました、専門的、技術的分野の即戦力となる方の受入れをどうするのかという課題に取り組んできたわけでございますけれども、その中で、各省庁と、人手不足の状況、そしてその中で専門的、技術的分野と認められる実態、その人手不足などについて検討を重ねてまいったわけでございます。

 その時点で、検討の初めから具体的にこのレベルの方たちというものがあったわけではございませんけれども、各業種において、分野別の業所管庁において、業界のヒアリングなどを踏まえて、最終的に、在留資格で定義をされますところの相当程度の技能、経験、それから熟達したという一号と二号を定義づけたものでございます。

    〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕

串田委員 今の回答に関してはちょっと後で質問したいと思うんですが、今回の中にある、資料の一のところに、一番最初のページなんですが、「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく」となっているんですね。「一定の専門性・技能を有し」となっているんですよ。法律の中には、「相当程度の知識又は経験を必要とする」というふうになっているのが、ここには、一定のというふうに言葉が置きかえられているというのは何か理由があるんでしょうか。

佐々木政府参考人 法律の用語の使い方で、それまで、一定のという言い方をしておりましたけれども、法律上の文言にしたときにそのようにしたものでございます。

串田委員 今ちょっと質問が、よくわからないんですけれども、そうすると、法律の文言は、一定のというふうに変わったということなんですか。

 私たちが案でいただいているものには相当程度の知識又は経験と書いてあったのが、今回いただいたものには、一定のとなっているわけですよね。日本語としては、やはり、相当程度と、一定の専門性、技能を有しというのはちょっと違うんじゃないかなとは思うんですけれども、これは同じことなんでしょうか。

佐々木政府参考人 一定のという言葉は、骨太のときにも使っておりましたし、今回の閣議決定をされた基本方針の中にも使っている言葉でございますけれども、法律に使ったときに、相当程度という法律用語にしたものでございます。

串田委員 一定のというのと、相当程度というのはやはり違うと思うんですね。

 先ほど、今ちょっと、人数を割り出すときに基準はないんだというお話があった。そうすると、この相当程度というのも、基準がないという場合に、初日からはすぐできない、しかし一週間みっちり練習すればできる、あるいは一カ月みっちりやればできるようになる、三カ月みっちりやればできるようになる、それは程度によって違うわけです。一週間で身につくようなものも相当程度になってしまうのであれば、これはもう移民政策そのものではないかと私は危惧しているんです。

 そこに何か、各分野に対して、こういう入管法の改正があって、人手不足はどのぐらいあるんだというときに、どの程度の、そちらでどのぐらいの期間を持たなければそれを身につけられないんだというようなことを考えた上で、その程度の部分に関して人手不足は何人なのかというふうに出さないと、受け取った側は、三日かからなければできないようなものも、初日ではできないという意味ではこれは一定程度だから人手不足に挙げちゃおうということにもなると思うんですよ。

 ここのメルクマールがないとこれはもう自由奔放になってしまうと思うんですが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 先ほど申しましたように、ずっと検討を各業所管庁と重ねてまいりまして、最終的に、基本方針の中で、「一号特定技能外国人に対しては、相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められる。」これは何かというと、「相当期間の実務経験等を要する技能であって、特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準のものをいう。」というのが最終的に基本方針の中に入りました。

 それが具体的にどういうことをいうのかということにつきましては、各分野ごとの事情で判断をされるものであります。

 ただ、一つ、メルクマールということになりますかどうかわかりませんけれども、一応、三年間技能実習を終えた人たちがその基準を満たしているとみなすということがございますので、先ほど委員御指摘の、一日でも一定、三日でも一定ということではないという認識は共有をしてございます。

串田委員 そうしますと、今、整理しますと、三年間ぐらいはかからないと習得できない業務についていないと在留資格としては失格だ、こういうことでよろしいでしょうか。

佐々木政府参考人 それも各分野において判断をして、分野別の運用方針の中に、どういう試験を今回の対象とするということが明示されているものでございます。

串田委員 おおむね三年間というふうな受けとめ方をしました。

 といいますのは、分野に丸投げしちゃまずいと思うんですよ、これは入管なんですから。在留資格として一定の要件がなければ在留させないですよ、だからこれは移民ではないんですよという総理の説明も受け、なるほどそうかと思って我が党も賛成したわけですから、ある分野では一週間で身につけられるものであってもこれには該当するんだと言われれば、それは余りにもいいかげんだろうと私は思うんですね。

 そういう意味では、おおむね三年間ぐらい習得をしないと身につけられない業務についていない限り在留資格としてはこれは認められないというように整理をさせていただきますが、よろしいでしょうか。

    〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木政府参考人 基本的に、法律をつくり、その中に在留資格の定義をし、そして、業横断的な基本方針の中に先ほど御紹介を申し上げましたような定義をいたしました。

 ただ、一つのメルクマールとして、技能実習生、三年終わった人がこのレベルとみなすという仕組みにしてございますので、今お話しいただいたとおりです。

串田委員 これは受入れ企業にとっても非常に大事なことだと思うんですね。受入れ企業も、やあやあ来てくれた、法律もできた、働いてもらおうといって働いてもらっているうちに、実は在留資格に該当しない業務をやらせていて、その人間が実は法律に違反していたということになったら、これは受入れ企業の方も責任を持たなきゃいけない。

 という意味では、受入れ企業も、それを従事させるに当たっては、今従事させている業務がおおむね三年間ぐらいは熟知しないとつけられない業務であるということを頭の中に想定しながらその外国人にその仕事をさせていくということが、初めてこの在留資格の法律にのっとった遵守ということに私はなるんだと思います。

 その点で、今回の資料をいただきまして、幾つかちょっと曖昧だなというのがあるので、そこをちょっと確認させていただきたいんですが、一つはビルのクリーニング業でございます。

 これは、全ての業種にわたって、大体フォーマットは一緒なんですね。どういうようなことをやってもらうということが書かれているのが、二の(三)の「受入れの必要性」というところでございます。ここに大体、各業種のこういう業務を請け負わせるというようなことが書かれているんですが、その中で、このビルクリーニング業というのが、私から見ると、非常に実は正直といいますか、ありのまま書かれているんですね。ほかのを見るといろいろと何か書いてあるんですが、このビルのクリーニング業だけは非常に正直に、女性や高齢者を積極的に雇用しているが、近年の人手不足に鑑み、それで採用するんだということでありまして、ここからは、どこにも、おおむね三年間必要な技能を有する業務がこれだけ足りないということが一切書かれていないんですよ。この点はどうなんでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の、今先生から御指摘がありましたビルクリーニング分野の受入れを想定している外国人材は、分野別の運用の要領の方におきまして、場所、部位、建材、汚れ等の違いに対し、方法、洗剤及び機械、器具を適切に選択して清掃作業を行うといった専門性を持つ外国人である旨を定めているところでございます。

 受入れに当たりましては、このビルクリーニング分野において、一定の専門性、技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認められるための試験に合格した者を対象とすることとしておりまして、いわゆる単純労働のみを行う者は受入れ対象から除外されるということでございます。

串田委員 何度も質問させていただいているときに、私自身は明確に分けているつもりなんですね。

 要するに、その知識を持っている人が入ってくるだけじゃなくて、その人間が従事している業務が、その人の能力を遺憾なく発揮する、今の説明ですと、おおむね三年間はいろいろな経験等を積まないと従事できないような業務に従事するということが必要であるというのが法律上には明記されているわけで、ビルクリーニング業も、そうやって常時、日々そのクリーニングを行うに当たって、おおむね三年間ぐらいの知識を活用しながらやらなければできないような業務に従事する、それ以外の単純なものに従事している場合はその者は在留資格としては法律に反している、そういう理解でよろしいでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がありました点でございますが、受け入れる外国人材は、先ほど申し上げた試験に合格した者又はビルクリーニング分野の二号技能実習を修了した者というふうに分野別の指針で書かれておりますので、模擬実習の話も先ほど来から出ておりますけれども、そういうような状況でございます。

 ただ、その担当する業務というのはきれいに切り分けられるわけではないので、当然、その必要な技能を用いた業務に付随して単純に近い業務というのもついてくることはありますので、そういう意味で、全く単純ということであれば余り想定できないですけれども、基本的には、専門的な技能を有した業務あるいはそれに付随する業務というふうに考えていいと思っております。

串田委員 きょうは法務大臣に質問するつもりではなくて、そういう通告も、質問はしませんという話をしたんですが、今聞いていると、勘違いしていると思うんですよ。

 資格があれば、そういう試験を受けたからいいんだということなんですけれども、法案は、「業務に従事する活動」と書いてあって、その業務に従事していなきゃだめなんですよ、法律では。資格があっても、従事していなかったらこの法律には反しているんです。これを理解されていない気がするんですが、大臣、どうですか、今聞いていて、合っていますか。

山下国務大臣 まず、法律上のたてつけは、在留資格と本邦において行うべき活動ということでございます。

 その活動ということで、そういった業務に従事する活動というものを特定しております。その活動を行わなくなれば、結局、在留資格のたてつけ上は、そういった在留の目的の活動を行っていないわけですから、これは在留資格を場合によっては失うこともあり得るというところでございます。

 そして、その活動のレベルについてどの程度かというと、法務省令に定める相当程度のというところではあるんですが、そのレベルに関しては、先ほど厚労省が御説明させていただいたように、例えば、ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に係る方針に係る運用要領等において、一.(一)、技能水準というところで明記されておって、これは相当程度、みずからの判断により清掃作業を遂行できるレベルであることを認定するものというふうに書いてありますので、このレベルに達することが必要である。

 この試験に受かって、それで資格を認められるわけですが、でも、資格を認められた上でも、なお資格活動を行わなければ、当該資格活動を行っていないものとして在留資格が取り消され得るというところの構造になっております。

串田委員 今の説明は私も全く同じなんですよ。ですから、それは各分野の方も気をつけていただきたいんですよ。法案は、相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事していなきゃいけないんですよ。資格がある人間が入ったからいいってものじゃないんです。その業務に従事していなきゃいけないということを認識しないと、受入れ企業だって間違えちゃうかもしれないわけです。

 そして、ちょっとこれは難しいですから今聞きませんけれども、単純作業とそうでないものと、ローテーションとかいろいろあるというのはわかります。ただ、問題は、では割合はどうするのかというのも考えないと、今は単純作業だけれども来月はこれに該当するんですよとかという言いわけになってしまう可能性もあるので、どの程度の割合を満たしていればこの法案としてはおおむね有効であるというようなことも、ガイドラインとしては私は設けていかなければならないと思います。

 時間になりました。終わります。ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で串田誠一君の質疑は終了いたしました。

 次に、井出庸生君。

井出委員 信州長野の井出庸生、社保でございます。

 早速ですが、まず、一月二十三日に取り上げた、外国籍の日本にいる子で、義務教育、小中学校に行っていない子供の問題をさっとやってしまいたいと思います。

 三月五日の毎日新聞で、文部科学省が外国籍の就学不明児の調査をする、六歳から十四歳対象、四月以降全国でと。自治体の協力を得て実施をし、就学不明児を集計すると同時に、自治体が就学状況を把握するための戸別訪問などに取り組んでいるか、自治体がしっかりとフォローしているかというところも調査をすると。

 これまで文科省の方は、推計の数字は持っていたけれども、実態把握というものはしてこなかった。そういう意味では大変よい取組だなと、これは率直に歓迎、評価を申し上げたいと思います。

 その上で、全国の自治体に協力を仰ぐのであれば、一つ、二十三日の質問で取り上げたんですが、外国籍の子供がいる世帯に送られる就学案内、少し文部科学省のホームページを見ましたところ、文部科学省はホームページで、英語、韓国語、ベトナム語、フィリピン語などなど、七カ国の言葉で外国人児童生徒のための就学ガイドブックというようなものをつくっているということも理解をしました。

 全国の自治体の協力を仰いで調査をするというのであれば、この際、子供のいる外国人の家庭に送る就学案内についても、私が先般取り上げたときは日本語だけで送っているようなところもあると、そういう私は文献をもとに質問させていただいたんですけれども、ぜひ就学案内の多言語化についてもこの際実現をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人の子供たちが日本における生活の基礎を身につけ、その能力を伸ばすことができるようにするとともに、共生社会を実現していくためには、適切な教育の機会が確保されることが不可欠と考えております。

 このため、文部科学省としましては、省内に設置しました外国人材の受入れ・共生のための教育推進検討チームでの議論も踏まえまして、今回、初めて、義務教育段階の外国人児童生徒の就学状況につきまして、自治体の協力のもと、全国的な調査を行う予定としております。

 御指摘の就学案内の多言語化につきましては、外国人の子供の就学を促進する上で重要な課題であると認識しておりまして、これまでも、文部科学省が教育委員会や学校向けに作成しました「外国人児童生徒受入れの手引き」等々におきまして多言語による就学案内の作成を求めているところでございますが、この手引につきまして、今年度中に改訂を行いまして、一層の内容の充実を図ることとしております。

 また、先ほど申し上げました検討チームにおきまして、就学状況の調査とあわせまして、就学促進のための方策につきましても広く議論を行い、外国人の子供の就学機会がより適切に確保されるようしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

井出委員 手引の方を今年度中に改訂をしてくださるということで、とにかく、このホームページもそうなんですが、就学のガイドブックが文部科学省のホームページに出ていて、七カ国語で用意してもらっているんですけれども、いかんせん、このホームページがやはり日本語ですと、どこをクリックしたらいいんじゃいみたいな話にも、ここにどうやって行き着くという問題もありますし、それは文部科学省に限らず、各省庁も、これからホームページ等の多言語化も必要となってくるのかも、外国人が見そうなページは、そういうこともやっていただきたいと思います。

 この問題は終わりですので、文部科学省、ありがとうございました。どうぞ御退席していただいて大丈夫です。

葉梨委員長 どうぞ御退席ください。

井出委員 それから、午前中の質疑でちょっと気になった点を局長に伺いたいんですが、源馬委員と平口副大臣の答弁で、特定技能の送り出しが想定される九カ国、そういう答弁があったんですが、それは、何かその九カ国というものに根拠とか、どこかに明示されたものがあるのかないのか、ちょっとそこを教えてください。

佐々木政府参考人 総合的対応策をつくるときに、今の九カ国が特出しをされています。ただ、もともと、今回、新しく日本語の試験をつくって特定技能の皆様に受けていただくということに、特定技能の方だけではありませんけれども、その日本語の試験を当初行う国がその九カ国。

 いずれにしましても、恐らく今のお問いの御趣旨かと思いますけれども、技能実習生が今多く来ているところ、そして特定技能が多く来るであろうという国という理解でございます。

井出委員 外務省にも来ていただいているので、伺いたいんですが、特定技能に特化した日本語の能力試験を国際交流基金の方で検討されている、それもその九カ国、今局長からお話があった九カ国でこれは同じだと思うんですけれども、どうして試験の方でその九カ国を選んだのか、そこをちょっと教えてください。

志野政府参考人 お答えいたします。

 九カ国でございますが、昨年十二月二十五日の外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の決定に基づいて、国際交流基金の方で選択して行っております。この九カ国の選定に当たりましては、各分野のニーズ等を踏まえて、平成三十一年度、人材の送り出しが想定される国としてこの関係閣僚会議で決定されたものというふうに承知しております。

井出委員 二月の十九日の朝日新聞なんですが、特定技能の除外をする国について、イランとトルコに資格を与えない、そういう方針であるというような記事が出ております。その理由は、イランとトルコが強制退去となった自国民の引取りに対して非協力的であるからだ、最終判断は今月中だというふうに記事には出ております。

 原則は、そうしますと、トルコとイラン以外の国はチャレンジの権利はある。しかし、実質その九カ国、日本語の試験はそうですね、日本語の試験を通らなければ、まあ、N4とか、従前の試験をくぐるという作戦もございますが、私の理解だと、原則は、現状では、これからふえるかもしれませんが、イラン、トルコ以外はチャレンジの機会がある。しかし、実質は九カ国に限られてしまうのではないか。

 ここのところはどのように整理したらいいのか、ちょっと局長に見解を。

佐々木政府参考人 チャレンジというお話ですけれども、基本的に、我が国にいらっしゃる外国人の方、国籍で拒否をするものではありません。今回、初めてこの特定技能の在留資格をつくるに当たって、パブリックコメントにかけた原案はイラン、トルコですけれども、その国については、被退去強制者の引取りをなかなかしていただけないので出入国管理上問題があるということで、特別な告示をつくるというものでございます。そのほかにおいては、どの国からこの特定技能を目指して来ていただいても構わないというものでございます。

山下国務大臣 先ほど局長は特定の二カ国に触れましたけれども、まだ最終的には確定しておりません。そういった前提でということと、あと、特定技能については、国籍という要件は実はない。ただ、二国間取決めにおいて、どこを先に優先して取決めをやるかということにおいて、九カ国ということを優先させるというところで今進めておるところでございます。

井出委員 少し補足で伺っておきますが、イランとトルコも最終決定ではありませんし、何かそれも、例えばパスポートの手続とかで、ふえることもあると思うんですね。逆に、その九カ国以外にもこれからニーズの出てくる国もあろうかと思うんですが、そのあたりは、現状は、スタートのラインは一定のラインは決めるけれども、その辺は柔軟に対応、変更や見直しをする可能性はあるということですよね。

佐々木政府参考人 もちろん、今九カ国と協議をしております二カ国間の覚書、文書でございますけれども、内容的には、ブローカー情報を交換をしたり、それぞれの国で起こっていることの情報を交換したりというものでございまして、これはお互いの国にとって、いわばいいことといいますか、交流上、そしてこの外国人の受入れ上もいいことでございますので、この国がふえていくのはいいことだと思います。

 ただ、一遍に全世界というわけにもいきませんので、冒頭申しましたように、多分いらっしゃる方が多いであろう近隣の国々からまず始めるというものでございます。

井出委員 では、ちょっと先を急ぎます。

 次は外食分野について伺いたいのですが、外食分野で外国人を入れるに当たって、この所管は農林水産省になっている。主に、日本フードサービス協会という不特定多数に外食サービスを提供する協会があって、ここは農水省が所管をしていると聞いておりますが、当面、この受入れというものはこの日本フードサービス協会が中心といいますか、担っていくのか、そのあたり、農水省に伺います。

渡邊(厚)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の受入れについてでございますけれども、私どもとしては、もちろん、日本フードサービス協会も、その傘下のメンバー企業、受入れの対象企業の一つだと思っておりますけれども、それに限らず、まさにこの分野別方針に書いてございますように、日本標準産業分類の中で飲食店それから持ち帰り・配達飲食サービス業に該当する事業者が行う業務というふうに考えてございますので、こちらに該当することで対象になり得ると考えております。

井出委員 今お話があったその対象は、数字でいえば、お店の数でいえば六十七万事業者ぐらいいると聞いているんですが、大体その四分の三は、従業員が十名を切っているような、五人以下、九人以下という状況かなと思います。そして、フードサービス産業の方は、これは売上げが一億円なければ会員になれない、八百社だと言われています。

 サービス協会に入っていれば、恐らく、その協会は登録支援機関になることはできると思うんですね。しかし、五人以下、十人以下のようなところは、恐らく、単独雇用も難しいでしょう、登録支援機関が必要でしょう。しかし、農協や漁協のような想定される登録支援機関が、果たして、そうした五人以下、十人以下の飲食店、食堂等に想定されるものがあるのか。

 そこが進まなければ、大手のレストランは人不足を補うことはできる、しかし、小さいところは人不足を補いたくても実際の手だてがないじゃないか、そういうことを懸念するんですが、その点についていかがでしょうか。

渡邊(厚)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、外国人を受け入れるに当たっては、まさに自社で全て受入れ機関としての義務を果たす企業もあれば、登録支援機関に委託をすることでその義務を果たしていく、この両方のタイプがあると思います。

 一概になかなか言えないとは思いますけれども、ただ、一般的に言えば、やはり規模の小さいところというのは、従業員の数も限られておりますし、自社だけでまさに外国人の支援をすることというのはなかなか難しいので、登録支援機関に委託をするケースというのが出てくるというふうに思っております。

井出委員 外食の人不足のデータは、これは事業規模別はございませんので、その限りにおいては、小さいところも、小さいから家族だけでやっていけるというような、本当は人が欲しいんだけれどもそうせざるを得ないという状況もあると思いますので、そこは注視をしていただきたい。

 最後に大臣にちょっと伺いたいんですが、今回の特定技能は、原則国外で試験を実施する。

 私が各省庁に聞いたところ、原則国外で、この三十一年度、この四月から来年の四月までに二回程度、二回以上か、やるのが望ましいというのがいただいた資料に書いてあるんですが、実際、国外で年度内に、四月にやると言っているのは介護業のみなんですね。ほかの業種は全て、国外は三十一年の後半、秋というところが大変多かったんですが、を予定していますという回答でした。さらに、宿泊と外食は、国外は年度の後半になるが、四月に国内を先行させて、東京、大阪等、数カ所で試験をすると。

 私は、四月に国外で試験が実施できるのが介護だけという状況で、本当にそれは四月から制度がスタートした、原則どおりの制度がスタートしていると言えるのか。さらに、宿泊と外食については国内が先行的に試験を東京、大阪等で実施するということは、もうずっと懸念されていた東京と地方の外国人の偏在、これを助長してしまう形でのスタートになるのではないかということを強く懸念をしておりまして、そこを駆け込み、急ぎ足でやってきたのはわかるんですが、三月の十三日のこの段に至ってこの状況というのは、昨年の法案審議を見詰めて、私はただ見詰めていただけだったんですが、そのときの思いも含めて、やはり準備が整っていないと言わざるを得ないのですが、最後、大臣に伺いたいと思います。

葉梨委員長 山下法務大臣、質疑時間が過ぎていますので、簡潔に。

山下国務大臣 まず、四月において介護、宿泊、外食業が実施する方向でということでございますが、国内外について、ここについて、まだ確定はしていないということで、調整中ということでございます。

 ただ、いずれにせよ、四月からスタートする制度でございまして、可能な限り早い段階で試験、要するに、特定技能外国人の受け入れるための試験の準備を整えていただきたいというふうに考えております。

井出委員 見切り発車を心配しているのは日本国の多くの事業者それから外国人ですから、そのあたり、しっかりやっていただくようお願いをして、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

葉梨委員長 以上で井出庸生君の質疑は終了いたしました。

 次に、田所嘉徳君。

田所委員 自民党の田所嘉徳でございます。

 貴重な質問の時間をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。

 技能実習生や留学生アルバイトが大変急増をしております。そして、事実上の労働力供給ではないのかというような批判もされているわけであります。

 そういう中にあって、外国人雇用に新しい制度が導入されたことは大きな意義があるというふうに思っております。現下の人手不足の中で、大きな効果も期待されるわけであります。その改正入管法等が四月一日から施行されるわけでありますが、それを見据えて政省令が準備されているということであります。

 そこで、法改正から施行までの期間が非常に短くて、また、多くの要件が政省令に委任されていることに不安視される向きもありました。そういう中にあって、ここに来て準備万端整っているのか、いよいよ環境が整ってスタートするに当たっての大臣の思い、そして、改めて、いつ公布されるのか、山下法務大臣にお伺いしたいと思います。

山下国務大臣 お答えいたします。

 まさに、新たな外国人材の受入れ、これは喫緊の課題でございまして、それゆえに、四月一日の法施行ということでお願いして、成立に至ったところでございます。

 そして、政省令につきましても、今、最終的な準備作業、これを精力的に行っているところでございますが、三月十五日の公布を目指して、最終的な準備を進めているところでございます。

田所委員 わかりました。もうすぐそこに来ているわけでありますので、しっかりまとめてもらいたいなと思っております。

 まず、外国人が円滑に来日をして、その後に問題が生じないようにしなければなりません。そういう中で、送り出し国との二国間協定を締結することとしておりますが、その基本的な考え方、そして内容はどのようになっているのか、お伺いをしておきたいと思います。

佐々木政府参考人 昨年末の関係閣僚会議において了承されました外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策におきまして、平成三十一年から外国人材の送り出しが想定される九カ国との間で、悪質な仲介事業者の排除を目的とし、情報共有の枠組みの構築を内容とする二国間取決めの作成を目指すとされています。

 現在、この方針に基づきまして、情報共有の枠組みの構築を内容とする二国間取決めの締結を目指して、関係省庁とともに九カ国と鋭意協議を進めているところでございます。

田所委員 確かに、送り出し国において実習生が、日本に行けばたくさんお金が稼げるからと言われて多額の借金をし、それを悪質なブローカーに搾取されたという問題が技能実習でもありました。改正技能実習法の中でも二国間協定について定めたというふうに思っております。

 しかし、私は、悪質ブローカーの排除だけでいいのかということを考えます。日本に来るに当たっての基本的な理解不足、これが私は問題だろうと思っております。誤った情報によりスタートするところに大きな問題があって、これがしっかりと正されなければならないと思っております。

 今、外国のおびただしい数の移民が行列をつくって隣国に入ろうとする映像などが見られますけれども、こういうのを見ると、外国に入ってしまえば何とかなるとばかりに、正規の手続など関係なく他国を目指す人々が大勢現実にいるんだということだろうと思います。また、そこまでいかなくても、新天地である日本に行けば何とかなるという乗りで来日されたのでは、これはたまりません。その後に大きな問題が生じることは明らかであります。

 本質は、期間が来たらお帰りいただくということが理解され、それを承知した上で、日本で許された活動を行うという契約責任を自覚させることであるというふうに思っております。そういうことがわからないから、帰国直前になって失踪するようなことが私は多発しているというふうに思っております。我が国は法遵守が厳格に求められる国であるということも理解してもらわなくてはなりません。

 こういう中で、在留制度の説明とかそういうことは、登録支援機関において事前ガイダンスを行って説明をするというようなことはあるんだというようなことも聞きましたが、私は、これはまさに基本的なことでありますから、国レベル、二国間協定、まさに重要な役割を果たすところだと思っておりますので、しっかりとそれをこれからやってもらいたいなと考えているわけであります。

 外国人材に現実的にやっていただく仕事について聞きたいと思います。

 特定技能と明定された在留資格でありますので、これを狭く解釈すれば、技能を伴わない作業は行わせられないということになります。しかし、現実的には、仕事をするについて、関連する単純な作業を行うことが通常で、日本の高度な研究者でも、清掃やあるいは倉庫の片づけぐらいはやるのは当然だろうというふうに思っております。付随する作業が容認されるか否かが明確でなければ、当該外国人から技能以外の仕事をさせられたと主張され、争いのもとにもなります。また、できる仕事の範囲が極端に限定されると、実に非現実的なものになってしまうというふうに思っております。

 こういう中で、私は、特定技能といっても、日本において許容される程度の仕事の幅は認められなければなりませんが、この点についてどのように考えて、今回の政省令の中で、全体の中でうたわれているのか説明してもらいたいと思います。

佐々木政府参考人 今お問いの基本的な考え方について申し述べます。

 特定技能外国人の方が従事する業務につきましては、基本的に、その業務に同じように従事する日本人の方が通常、普通に従事することになる関連業務に付随的に従事することは差し支えないと考えております。

 その上で、より具体的に明示されているものとしまして、例えば農業分野の分野別運用要領においては、必要な技能を要する業務として、栽培管理、飼養管理、農畜産物の集出荷、選別等の農作業と明記をされておりまして、あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務として、農畜産物の製造、加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業等に付随的に従事することは差し支えないと明記されているところでございます。

田所委員 外国人には単純労働はさせないといって、単純労働だけは日本人が専門に担うというのも、これもおかしな話だろうというふうに思います。

 この点、宿泊については要望があったようでありまして、それがあったからかどうかわかりませんが、いろいろな分野で、今、言われたような、日本人が通常従事する関連業務というようなものは、これは行われるべきだというようなことがうたわれております。

 これは、受入れ機関の規範であるとともに、外国人材もこれを理解するということが重要なんだろうというふうに思っております。

 そういう中で、各分野において関連業務について書いてありまして、例示が幾つもいろいろなところで出されておりますが、これは限定列挙ではなくて例示列挙であるということでいいのかどうか、そのことだけお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 そのとおりでございます。

田所委員 であるならば、やはり非常に日本と同じような、妥当な線というものを相互に理解しながら、幅の広い柔軟な労働力としての活用というものができるんだろうというふうに思っております。

 次に、外国人であっても、日本で働くことについて、行政サービスを受け、インフラを使用し、そして医療や社会保険などの恩恵を受けることになるわけでありますが、そういう中で、納税の義務や社会保障費の負担等をしてもらわなければ、これはなりません。一方で、健康保険や年金における反対給付を受ける、そういった権利も有するようになるわけであります。このバランスが私は重要だと思っております。母国にいる家族にまで給付義務が生じるというのでは、我が国の国民皆保険、社会保険制度等に悪影響を及ぼすことになるというふうに思っております。

 ある意味、時限的な外国人の雇用において、その範囲、内容は重要な問題でありますが、この点についてどのように対応しようとしているのか、法務省、厚労省にお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 お話しのとおり、外国人材を適正に受け入れ、共生社会の実現を図るためには、外国人の皆様にも納税義務や社会保険制度上の義務を適正に履行していただくことが重要であり、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策においては、それらの義務の履行を促進するための施策が多々盛り込まれています。

 具体的に申しますと、社会保険への加入手続に関する計画的な事業所指導の実施等により、外国人に対する社会保険への加入促進の取組を重点的に推進すること、医療保険の適正な利用の確保のため、健康保険の被扶養者や国民年金第三号被保険者の認定において、原則として国内居住要件を導入すること、個人住民税に関する特別徴収制度の周知や地方税に関する納税管理人の制度等の周知を図ること、国外居住親族に係る扶養控除等の適用について、さらなる適正化について検討を行うことなどの施策が盛り込まれております。

 次に、特定技能外国人につきまして、私ども、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請に際して、地方出入国在留管理局において、外国人本人の所得税や住民税の納税義務の履行状況のほか、国民健康保険や国民年金の保険料の納付状況を確認することとしております。

 それによりまして、一定程度の滞納等があって、納税義務や保険料の納付義務を履行していないことを把握した場合には、まずは義務を履行するように指導し、それでも履行されない場合には、在留資格の変更や在留期間の更新を認めない措置をとるということとしております。

 また、受入れ機関につきましても、一定程度の滞納等がある場合には、特定技能外国人の受入れを認めない措置をとることとしております。

 さらに、法務省から厚生労働省への情報提供等により、社会保険への加入促進を図ることとしております。

渡辺(由)政府参考人 医療保険における被扶養者の要件の見直しについてお答えしたいと思っております。

 そもそも、我が国の健康保険におきましては、国内に居住する方が国内の医療機関を受けた場合に保険給付をするということで、これについては国籍を問わず給付をするということで、海外の医療機関を受診した場合には例外的に給付をするということでございました。

 しかし、グローバル化の進展の中で、特に日本に生活の基礎がない方、被扶養者の方が海外で受けた場合に健康保険で対象になるといったことについて、これについての課題ということがいろいろ議論されてきた中で、年末に取りまとめました総合的対策の中では、健康保険の被扶養者認定におきまして、国内居住要件を導入するということが規定されております。

 これにつきましては、今国会に別途提出させていただいております医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案の中で、健康保険法の改正ということで提案をさせていただいているところでございます。

 具体的には、留学生とか海外赴任に同行する家族など、一定の例外を設けながらではございますけれども、健康保険における被扶養者については、国内居住を要件とするということを追加することにしてございます。

 この施行日でございますけれども、保険者による準備等々もございますので、平成三十二年四月一日を予定しているところでございまして、現在、国会において御審議いただくべく提案させていただいているところでございます。

田所委員 負担をしてもらうと。しかし、その給付もありますので、このバランスがしっかりしなくてはならないと私は思っております。この点、期限が来れば帰国する人に対応する制度というものが私は必要だろうというふうに思っております。

 例えば、年金とか保険とかについても、帰国時の精算というものが前提とされております。こういうことができるんだということです。また、精算しないで、以降の訪日したときから累積をして、将来の、十年以降のですか、給付権限を得ようとする人がいるのかもしれません。これは、どのくらいの割合でいくかは通告しておりませんので聞きませんが、私は、こういう精算前提のことも、非常に不合理なやり方だと思っております。

 こう言うと、外国人に対する社会保障は国際法上の要請である、こんなことも言われるわけでありますが、私は、先ほど言ったように、いわゆる移民のようなものではなくて、期限を付して、そのことを相互に理解する契約責任にとどまる場合において、やはり本当にそんな手厚いものが必要になるのかどうかということは、私は、もっと工夫、考察が必要なのではないかなと。別途、民間の保険であるとか、何らかのそういったものを考慮しながら人権も保護するというようなことがあるのではないかというふうなことを思っております。

 現に、今、一年後ぐらいになるんでしょうか、健康保険法等の改正が視野に入っているということですが、その間どうするのかということもありますが、いずれにしても、そういうことができるわけですので、できる範囲で新たなありようというものを考えるべきだということを申し上げておきたいと思っております。

 話はかわりますが、この前、ふるさと対話集会に、同僚の案内で行ってまいりました。そういう中で、介護関係の人が来られまして、厚労省では、二〇二五年、若干減って三十四万人の介護人材の不足というようなことが言われております。この点、特定技能の中では五年間で六万人の上限ということが示されております。不足は歴然でありまして、何でこんな抑制的な法律をつくったんだというようなことを、その業界の皆さんはしきりに言っておりました。

 しかしながら、それでも、人材不足の状況で、新年度から始まる新在留資格による外国人の雇用の可能性について、大きな期待を持っております。うちの会社でも外国人材が採用できるのか、どうすれば採用への取組ができるのか、それを知りたいというような声がたくさんあるというのは皆さんも多分感じておられると思います。

 そこで、現在、地方における説明会を行っていると聞いておりますけれども、この実施状況とその内容についてお伺いしておきたいと思います。

佐々木政府参考人 新たな制度につきましては、特に周知、広報が重要と考えております。

 入国管理局におきまして、二月六日の鳥取県を皮切りに、全国四十七都道府県において順次地方説明会を実施しておりまして、昨日現在で三十七カ所で実施をし終わりました。外国人材の方、それから受入れ機関として御関心の方、それから登録支援機関に御関心の方等々、いずれの会場でも多数の御参加そして多数の御質問をいただいているところでございます。

田所委員 積極的に今進められているというところであると思います。

 これの案内は、地元の自治体、県とか、そういったところも協力してやっているんだろうと思いますが、これは漏れる人も当然ありますよね。そういう中で、やはり地方で継続的に紹介をかけたり、そういったものにも応えてもらいたいというふうに思いますが、出前だから出前をやる人がいなくなっちゃったらできないんだと言われても困りますが、これはどんなふうに対応できるのか、ありましたら答えてもらいたいと思います。

佐々木政府参考人 私どもは、地方入国管理局におきましてはこの三月一日から申請書のサンプルをお配りして、具体的な御質問、御相談に応じているところでございます。

 もとより本省でも地方説明会でお配りをしました資料をホームページに載せたり、もちろんお問合せにお答えをするというようなこともやっております。もちろん三月中だけということではなくて、今後ずっと制度が続いてまいりますので、一層この広報活動を充実してまいりたいと思います。

田所委員 採用したいという期待に応えられるように、いろいろな、しっかりと対応をしてもらいたいというふうに思っております。

 そこで、どんな端緒から、外国人材を欲しい事業者と、特定技能者たる資格を有して日本で働きたい外国人とのマッチングを行うんだろうか、このことを聞きたいと思います。また、有料あるいは民間のというんでしょうか、職業紹介業者にも依頼できるということですが、これについての許認可の要件基準についても示してもらいたいと思います。

佐々木政府参考人 入管法令上、現在もあります各種就労の在留資格につきまして、外国人の求職とそれから受入れ機関の求人とをマッチングさせるような仕組みは設けておりません。これと同時に、今回の特定技能の在留資格につきましても、求職と求人のマッチングのいわば制度的仕組みというものは設けておりません。

 もっとも、一般的にマッチングの方法として想定されるものとしては、例えば海外に法人を設立していらっしゃる企業において、現地で育成された人材に対して採用活動を実施をするですとか、海外との人材ネットワークを有しておられる業界団体を通じて海外において採用活動を実施するというようなことが考えられると思います。もちろん、民間の職業紹介をお使いになるということもあろうかと思います。

田畑政府参考人 御質問のございました職業紹介についての許可について、私の方から御説明申し上げます。

 特定技能外国人材に対して行う場合も含めまして、職業紹介を事業として行う場合には、原則として、職業安定法に基づく厚生労働大臣の許可を受けることが必要となります。

 職業紹介事業の許可に当たりましては、労働関係法令違反等の欠格事由に該当していないか、職業紹介責任者の配置など適正な事業を行う能力があるか、国外にわたる職業紹介を行う場合には、国外で職業紹介業務の一部を担う提携先機関が相手先国において認められているものかなどについて審査を実施しているところでございます。

 また、職業紹介事業を行うに当たりましては、求職者に対して事前に労働条件等を明示すること、個人情報の適正な管理を行うこと、求職者からは原則として手数料を徴収してはならないことなど、職業安定法上の義務を遵守することとされております。

田所委員 その中で、マッチングの制度的仕組みはないというような説明がありました。

 しかし、非常に外国人材が多くなっております。さらには、特に、この特定技能もそうですが、転職の自由も保障されているわけであります。

 そういう中にあって、どのような制度か、しっかりしたものが必要だろう、流れが必要だろうと思っておりますが、そこで、民間もさることながら、公的職業紹介機関、ハローワーク等、そういったものでもやはり積極的に取り組むというようなことが私は必要だろうと思っております。これも、外国人に対応したそういうあり方というものを考えて、外国人がどんどん多くなっている、毎年十八万人もふえているんですから、そういうことですから、そういった備えというものもしてもらいたいというふうに思っております。

 また、民間の、有料ならず、職業紹介事業者についても、既存の日本人に対する厚労省のこれまでのものと違った、トラブルの発生しやすい外国人に対応するために、国柄に精通し、あるいは言語能力等もしっかり対応した、そういうものが必要になってくるはずでありますので、その点も、これまでと違ったしっかりとした充実というものを、要件というものも考えながら進めてもらいたいというふうに思っております。

 次の質問に行きます。

 昨年からの直近の一年間で、我が国における外国人労働者が百二十八万人から百四十六万人に急増をしております。その前年も同じくらいふえているんだろうと思っております。これは市場原理でどんどん流入しているという状況だろうと思っておりますが、この要因をどのように分析をしているのか、お聞きをしたいと思います。

 この評価について求めても、これは酷だと思いますけれども、総量の管理というものも私は必要なんだろうと思っておりますが、この分析をお聞きし、そして、特定技能について、いろいろな批判は、移民政策が始まるというふうなことで何か随分大きな批判もされましたが、私は、上限が定められているということで大変大きな違いがあり、意味があることだろうというふうに思っております。

 そこで、受入れ数がどんなふうな推移になっているのかというような把握と、そして、上限に対するコントロールというものをどのように行うのか、お聞きをしておきたいと思います。

田畑政府参考人 今委員から御指摘いただきましたとおり、我が国で就労する外国人労働者数、外国人雇用状況の届出状況によりますと、平成二十九年十月末から平成三十年十月末にかけて、約百二十八万人から百四十六万人へと、約十八万人増加をしております。

 その要因といたしましては、政府が推進している高度外国人材や留学生の受入れが進んでいること、雇用情勢の改善が着実に進み、永住者や日本人の配偶者などの身分に基づく在留資格の方々の就労が進んでいること、技能実習制度の活用により技能実習生の受入れが進んでいることなどが背景にあると考えております。

佐々木政府参考人 特定技能の上限のコントロール、受入れ数の把握、コントロールについて御報告をします。

 閣議決定をされました基本方針で定められておりますとおり、分野別運用方針に記載をしている各分野の向こう五年間の受入れ見込み数につきましては、大きな経済情勢の変化が生じない限り、特定技能一号の在留資格を持って在留する外国人受入れの上限として運用することとしております。

 コントロールの方法ということでございますけれども、法務省は、在留資格認定証明書の交付数や在留資格変更の許可数によりまして、各特定産業分野における外国人材の受入れ数を適切に把握し、定期的に公表をいたしますとともに、特定産業分野を所管する分野所管行政機関に対して、この受入れ数に係る情報の提供をいたします。

 各分野所管行政機関の長は、人手不足の状況を判断するための客観的な指標及び動向並びに私どもから提供いたします外国人材の受入れ数等に照らして、それぞれの特定産業分野における人手不足について継続的に把握することとなります。

 そして、法務省は、特定産業分野における外国人の受入れ数が受入れ見込み数を超える見通しになった段階で、直ちに当該分野所管行政機関に注意喚起をして、受入れの停止措置の要否を判断するように促します。

 その行政機関の長から法務大臣に対して受入れの停止措置の求めがあった場合は、法務大臣がその措置をとることになります。

 その上で、受入れ見込み数に達した場合には、出入国在留管理庁におきまして、在留資格認定証明書の交付申請を不交付とし、在留資格変更許可申請も不許可とすることになります。

    〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕

田所委員 協議会ができるんだろうと思います。これは、全ての受入れ機関が入るというんですから、相当正確な数値が把握できるんだろうと思っておりますので、そういうものも活用して、いわゆる上限が定められている特色のある特定技能について、しっかりと運営をしてもらいたいと思っております。

 次に、新設されます登録支援機関の役割についてお聞きをしたいというふうに思っております。

 よく聞いてみますと、入ってからいろいろな面倒を見るだけかと思いましたら、入るときから既に事前ガイダンス等で基本的なことまで教え、指導するというようなことですから、大変その役割は大きい。しかしながら、これは受入れ機関からお金をもらってやるものだから、そこで節約されたのでは思う存分動くことはできないので、その点、なかなか難しい点もあるかと思いますけれども、しっかりとした役割を果たしてもらいたいと思います。

 それで、どのような資格が必要なのか。さらには、支援計画をつくるわけでありますが、この進捗管理等をどのように行うのか、聞いておきたいと思います。

佐々木政府参考人 改正入管法におきまして、登録支援機関となるためには一定の要件を満たす必要があることを定めております。

 具体的には、支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない場合や、出入国又は労働に関する法令の違反により刑事罰を科されたことがあるような場合は、登録支援機関となることができないと定めています。

 また、登録支援機関が受入れ機関との間で支援の委託に係る契約を締結するに当たりましては、支援に要する費用について、受入れ機関にあらかじめ用途及び金額を明示することを必要とするとともに、これを特定技能外国人に対して直接又は間接に支援に要する費用を負担させてはならないこととしております。

 さらに、支援体制として、外国人材に対する情報提供体制を確保していることなどを法務省令で定めることとしております。

 支援計画の進捗あるいは管理の方法でございますけれども、受入れ機関は、登録支援機関に支援の全部の実施を委託する場合であっても、一号特定技能外国人の受入れに当たって支援計画を作成して、出入国在留管理庁に提出し、内容の確認を受ける必要があります。

 また、受け入れた後においては、受入れ機関又は登録支援機関は、外国人材に対する支援の実施状況を出入国在留管理庁に届け出ることが義務づけられており、適正な支援が行われていない場合には、出入国在留管理庁が受入れ機関又は登録支援機関に対して指導助言を行うこととなります。

 さて、それで、どういう方々が登録支援機関になっていただけるかということでございますけれども、例えば業界団体の組織に限るというような制限をつけることなく、いろいろな方がこの外国人の支援ということに御関心を持っていただければと思っておりまして、もちろん、業界団体でつくられる組織、あるいは行政書士さんなどの士業の皆様方、外国人に寄り添うことに御経験をお持ちの例えばNPO法人の皆様などなど、御関心を示していただいているところでありまして、このような内容でこの仕組みの中にビルトインされるものでございます。

田所委員 手厚く支援をしてもらいたいと思います。

 ただし、行政の手続等について教えたりして本人申請するならば問題ありませんが、代理で申請したりすると、これは業法もありますので、そういった業のことも理解をしながら、この支援というものを行ってもらいたいと思います。

 次に、午前中にも出ましたが、偏在の話であります。

 外国人材が都市に集中して、経済基盤の弱い地方に労働力が得られないんじゃないかということが心配されておりました。地方への配慮が必要との意見から条文も修正されたという経緯がありますので、どのような偏在対策を行おうとしているのか、ポイントだけ示してもらいたいと思います。

佐々木政府参考人 いかにして地方において暮らしやすい地域社会づくりができるかということが鍵を握ってまいると思います。

 具体的には、外国人の方が理解をできる言語で必要な情報をワンストップで受け取れる、地方公共団体における一元的相談窓口の整備の支援や、新たな制度に基づく外国人の受入れ支援や共生支援を行う受皿機関の立ち上げなど、地方公共団体が行う先導的な取組に対する地方創生推進交付金による支援などを行っていくこととしております。

 また、地方の企業等に対し、既に外国人を受け入れている企業において、生活、就労環境の整備に係る優良事例を横展開をして御紹介をすることや、大都市に比べ、地方で家賃や生活費がかからないことなど、地方で就労するメリットを広くお伝えをしていくことなど、外国人が地方での就労を希望し、また定着が進むような取組を推進をしていく予定でございます。

田所委員 私は、日本をよく知らない外国人が必ずしも都市にだけ向かっていくとばかりは考えられないというふうに思っております。大らかで牧歌的な田舎を好むかもしれません。

 ただ、実態として、都市へ向かう傾向が強い。まあ、逆の場合もあるかもしれません。そういう場合において、需要に応じたこの配分というもの、積極的な配分、どんなふうに動かしていくのかということが必要だろうと思っております。

 そういう中にあって、分野別の協議会での一元管理とともに、しっかりとこれを、ちゃんとシフトするような、そういうことを常に考慮しながら、数値の把握というものをしていってもらいたいというふうに思っております。

 受入れ数等について公表もしていくということですから、非常にわかりやすいので、その点についてしっかりと進めてもらいたいというふうに思います。

 続きまして、外国人が急増して、同じ地域でともに日本人と生活していくという場合に、良好なコミュニティーをつくる必要があります。そのためには、地域の仕組み、行政手続、災害のときの対応、あるいはその慣習等についてよく理解をしてもらう必要があります。

 そういう中で、一元的相談窓口、ワンストップサービス、これを全国に百カ所設けるということが打ち出されておりますけれども、これはどのようなもので、国として、これはやはり支援していかないとしっかりと相談できないと思いますので、その内容を示してもらいたいと思います。

山下国務大臣 委員御指摘のとおり、外国人が理解できる言語で、行政手続や生活に必要な情報を、ワンストップで、そこに行けばわかるというところで受け取ることができる相談窓口を整備することは、地域における外国人材の安定的な生活に資するものとして重要であると認識しております。

 そこで、法務省では、昨年末に、外国人材の受入れ・共生のための関係閣僚会議で了承された、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づき、外国人向けの情報提供及び相談を多言語で行う一元的相談窓口を設置、運営する地方公共団体に対し、交付金による財政支援を行うことといたしました。

 まず、対象となる窓口の要件でございますが、この一元的相談窓口については、通年にわたり無料で相談を行っていただきたい。そして、在留外国人の使用言語に応じ、多言語で情報提供、相談が行われる。あと、国及び関係機関の連携に努めることなどの要件を満たしていただく必要があります。

 交付金の額につきましては、これは二通りございまして、一つは、一元的相談窓口を設置、拡充するための整備費、これについては、一カ所当たり一千万円を上限に、必要経費の全額を交付します。また、二つ目は運営費でございまして、これについては、やはり上限は一カ所当たり一千万円なのでございますが、必要経費の二分の一を交付することとしていただいております。ですから、地方公共団体も手出しが必要だということでございます。

 こういった財政支援、これを行うわけでございますが、交付金の対象とならなかった地方公共団体も含めて、一元的相談窓口に地方出入国在留管理局の職員を相談員として適宜派遣するなどの支援も行うこととしており、こうした支援を通じて、地方公共団体の相談体制の充実に努めるとともに、地方公共団体と緊密に連携してまいりたいと考えております。

    〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕

田所委員 通年にわたって無料で相談を受けるということでありますから、交付税措置をもってしっかりと育成していくということで、進めてもらいたいというふうに思っております。

 期限付で外国人の労働者を受け入れるといっても、そういう中には、婚姻などによって日本国籍を取得したり、あるいは、数のうちには、外国人同士、あるいは日本人との間に子供ができるなど、日本とのかかわりが深くなることは、これは避けられないことでありますので、そういったことを想定しながら進めていく必要があると思っております。

 それらの延長から、今般の法改正では、出入国在留管理庁にということで、在留が入ってきたわけであります。まさに、在留管理の重要性というものを踏まえたものであるというふうに思っております。

 日本で約二百六十万人の外国人が暮らし、約百五十万人もの人が働き、年間二十万人近くも増加するという中で、しっかりとした在留の把握をしなければなりません。

 そこで、在留基盤の強化や情報の一元管理が重要でありますが、これをどのように考えているのか。法務省は、厚生労働省の取り扱っている外国人雇用状況届出書に在留カード番号を記載させ連携を図ろうともしておりますが、これらが有効な在留管理に結びつけることがどうできるのか、これを説明してもらいたいと思います。

葉梨委員長 山下大臣、質疑時間が終了していますので、簡潔に。

山下国務大臣 わかりました。

 ちょっと補足ですが、先ほど、手出しも必要だということなんですが、この点について、交付税措置で支援が可能かどうかということも、今総務省と検討中であります。

 そして、届出事項について、在留カード番号を追加し、法務省と厚労省との間で情報を共有することによって、法務省が保有する外国人情報との突合を確実に行うことができ、一層適切な在留管理、雇用管理を行うことができるようになると考えております。

 そうしたことから、外国人雇用状況届出に在留カード番号を記載させて連携を図るということは非常に効果的だということで考えておりますので、その実現に向けて、厚生労働省など関係省庁と協議しながら実現してまいりたいと考えております。

田所委員 ありがとうございました。

 外国人材がしっかり日本経済の発展に寄与し、そして多くの外国人がまた日本を選ぶような、そういうあり方というものを模索して進めてもらいたいと思います。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で田所嘉徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一です。

 私、最後の質疑者でございますので。皆様、お疲れさまでございます。

 二十分でございますので、早速質問に入りたいと思います。簡潔な答弁をお願いできればと思います。

 まず、保証金の徴収の禁止について御質問をしたいと思っています。

 今回、送り出される外国人の方々が保証金を取られている場合は上陸できない、また、それが後にわかった場合にはさまざまなペナルティーが科されるわけでございますが、この法務委員会で、昨年、参考人の方をお呼びしました。ベトナムの送り出し機関の代表者の方が語っておられましたが、ベトナムでは通常、保証金を徴収して送り出すのがスタンダードである、日本はそうではなくて、保証金を徴収してはいけないという取決めがあるので、これを国内で周知徹底するのに苦慮しております、大分浸透してきましたということでございます。

 ですので、まず、この送り出し国側がそもそも保証金を取るような仕組みがスタンダードであれば、日本が幾ら禁止をしても、日本はスタンダードではないということになりまして、逆にその辺の混乱が生じるのかなというふうに思っています。

 そこで、今、二国間取決めを九カ国間で結ぼうとされておりますけれども、ベトナムやフィリピン中心に、その送り出し国側はそもそもどういう制度で、特に保証金やあっせん料についてどういう取組をしているのか、そこのまず把握が必要だと思いますが、その辺、把握をされておりますか、法務省にお聞きをします。

佐々木政府参考人 各国の制度をつぶさに把握しているわけではございませんが、今お話しのベトナムにつきましては、同国の労働者派遣法上、派遣機関、送り出し機関は労働者から一定の保証金を徴収することが認められていると承知をしております。

 この点、ベトナムとの二国間取決め締結のための協議におきまして、私ども日本側の特定技能制度では保証金の徴収が法令違反となることを踏まえた内容がその取決めに盛り込まれるよう、今鋭意交渉中でございます。

 なお、フィリピンと、それから中国においては、法令において保証金の徴収を禁じていると承知をしています。

浜地委員 ありがとうございます。

 九カ国と結ぶときに、当然、その送り出し国側の制度を調べられて、日本は保証金を徴収してはいけないということを徹底して二国間取決めを結ぶわけでございますが、そもそも、この保証金を徴収して自国民を外国に送り出すシステム自体が、やはり私は根絶していくべき事柄であろうと思っております。

 ですので、外務省にぜひお願いをしたいんですが、これは国際機関の場で、自国民を外国に労働者として送り出す場合に保証金を取るという制度自体が、やはりこれがアンスタンダードである、イレギュラーである、そのような取組を国際社会に発信していくことが、そもそものこの保証金の徴収ということに苦しむ技能実習生や、今後日本に入国される特定技能の方々がなくなる根本であろうと思っています。

 どういう場所でこれを日本国が宣伝していくのか、難しいところでございます。人権委員会でやるのか、ジュネーブで。それとも、ILOの国際機関でやるのか。又はニューヨークの国連のそういった分科会でやるのか。それはまた外務省にお任せしますが、ぜひ、私としては、保証金を取って労働者を送り出すことは国際スタンダードじゃないということを日本政府はしっかり発信をしていくことが保証金徴収の根絶につながると思いますが、それについての御見解を外務省にお伺いします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 外国人が保証金等を徴収されることにより多額の借金を抱え、これが失踪につながっているという指摘を踏まえ、技能実習制度においては保証金徴収禁止ということで、二国間取決めにおいて順次その旨規定しているところでございます。

 また、特定技能に関しましても、今法務省から、ベトナム、フィリピンの例、発言ございましたけれども、送り出し国との間で不適正事案に関する情報連携を含む二国間取決めを作成すべく、協議を順次行っているところでございます。

 外務省といたしましては、まずは、この二国間取決めの作成過程において、我が国の保証金等に対する考え方及びそれに基づく制度を丁寧に説明して、送り出し国の理解を得ることをまず第一にしたいと考えております。

 また、あわせまして、在外公館等を通じて我が国の制度を積極的に広報するということも大事だろうというふうに思っております。

 委員御指摘の国際場裏においてということでございますけれども、確かに、どの場が適切かどうかというのはよく考えていく必要がございますけれども、やはり我々の考えを広く訴えて理解が得られる場というのをしっかりと探して、機会を捉えて丁寧に説明していこう、そのように考えております。

浜地委員 ぜひ、日本の制度の広報だけでなく、もともとやはり保証金を取る仕組みということをいわゆる国際世論として形成をしていくべく、頑張っていただきたいと思っています。アメリカの方からも、日本の特に技能実習制度、保証金の問題が指摘をされておりますので、アメリカもこれには協力していただけるんじゃないかと私は思っておりますので、ぜひ鋭意頑張っていただければと思っています。

 次に、登録支援機関及び受入れ機関の基準についてお伺いをしたいと思いますが、法務省が示されましたこの基準では、支援責任者と支援実施者、この二つを選任するように求められておりますが、まず、この二つの責任者と実施者、支援計画の責任者と実施者を二つ求められた趣旨について、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

佐々木政府参考人 まず、支援責任者につきましては、支援の進捗状況の管理や支援担当者の監督、その他支援に係るいろいろな事項の統括管理などを行うことを目的として機関ごとに設け、それから支援担当者につきましては、支援責任者の監督のもとで実際に一号特定技能外国人支援計画に沿った支援を行うことを目的として、受入れ機関については特定技能外国人に活動をさせる事業所ごとに設け、登録支援機関については支援を行う事務所ごとに設けることによりまして、一号特定技能外国人支援計画に基づいた適正な支援を行うことができる体制を確保してもらうことが趣旨でございます。

浜地委員 そうですね。今、支援責任者は統括的な人、そして支援担当者は実際に事業所ごとに支援を実施する人ということで、重層的な体制になっているわけでございますが、公明党の部会では、今回このパブコメの結果を受けて、この責任者と実施者は兼任が可能になったという報告を受けました。

 そこで、我が党の中で意見が出たのは、せっかくこの責任者と担当者を分けて、重層的な、いわゆるちょっとした機関じゃなくて、やはり支援計画をしっかりと実行できる体制を組んでいるのに、兼任することになると、趣旨が没却をされて、非常に脆弱な支援体制しかできないような登録機関若しくは受入れ機関が発生するんじゃないかという指摘がございましたが、今回兼任を認めた趣旨、そして、それによって、先ほど申し上げました統括と実際の現場での実施ということの重層的な支援計画の実施ということは大丈夫なのか、その辺について御答弁いただきます。

佐々木政府参考人 支援責任者と支援担当者の兼任は、例えば士業の方などが支援責任者でありながらみずから実際の支援も行うという、比較的小規模な支援体制をとる場合などに想定をされます。

 しかし、支援体制の規模はいずれにいたしましても、要は、支援の責任者と担当者を設けた趣旨、すなわち適正な支援体制が確保されるということが大事でございまして、法務省令におきまして、支援計画に盛り込むべき支援の内容や支援計画の適正な実施の確保のための基準として、支援責任者それから支援担当者が欠格事由に該当しないことや、外国人を監督する立場になく、中立的な立場で支援を実施できる者であることを規定をする予定でございます。

 特定技能外国人の在留申請に係る審査の際に、入管におきましてこうした基準適合性を厳格に審査をすることによりまして、支援の責任者と担当者が兼任していたとしても、これらの基準を満たしているということを確認し、適正な支援の確保を図ろうと考えております。

 もちろん、特定技能所属機関あるいは登録支援機関は、この外国人材に対する支援の実施状況を入管庁に届けなければならず、この届出の内容もつぶさに確認をすることによりまして、適正な支援が行われていなければ、入管庁において指導助言を行うことになります。

 これらの仕組みによりまして、責任者と担当者が兼任をする場合であっても適切な支援が確保されるようにしてまいります。

浜地委員 さっきお答えになったことが実際に実行できればいいと思いますが。

 部会の方では、登録支援機関の登録拒否事由に、過去二年間に中長期の在留者の受入れを行った実績がある者であるとか、又は、過去二年間にそういった相談業務、在留外国人の相談の業務に従事した経験を有する者であるとかということを要件につけ加えられております。

 私、実はそこまで答えていただきたかったんですが、こういったことも一つ、登録支援機関が、いわゆる支援責任者と支援担当者がもし兼任したとしても、こういった登録拒否事由によって脆弱なところは排除できるというふうな仕組みであるのかという点についてもお答えいただきたいんですが、その点について確認をしたいと思います。

佐々木政府参考人 そこまで申し上げるべきでした。

 おっしゃるとおりです。

浜地委員 ありがとうございます。

 そう言うと、今度はまた、私は、そんなことを言っているくせに、そうだと実績のあるところじゃないと今度は登録支援機関になれないということで、新聞でも実績があるところしか登録していないんじゃないかという報道が載っていましたが、この要件の中に、それと同程度に実施することができる者と書いてありますので、経験があるところでなく、そういったことを実質で見ていただいて、そういった能力があるのかどうかはかっていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと、私、トートロジー的なお話をしたと思っていますが、そういった懸念も党内にありましたので、ぜひお伝えしたいと思っています。

 次に、国交省の建設キャリアアップシステムについて質問をしたいと思っています。

 この建設キャリアアップシステムは、日本人又は外国人に限らず、実習者の、技能者の資格、社会保険の加入状況、そして現場での就業履歴、経験等を登録して蓄積するという仕組みであると聞いています。

 これを四段階に分けまして、レベル一からレベル四まで。レベル一ですと、全くの見習の人。レベル二だと、中堅技能者、一人前の技能者というふうに想定をされているそうでございます。レベル三になりますと、これは班長や職長として現場に従事できる技能者。レベルフォーになりますと、高度なマネジメント能力を有する技術者ということになっておりますが、今回、特定技能者にもこれが適用されるというふうに国交省から聞いております。

 まず、前提として、特定技能一号そして二号は、このレベルのどの段階に該当するように設計するつもりなのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 建設キャリアアップシステムにつきましては、先生今御指摘のとおりでございますが、こちらに蓄積される就業日数また保有資格といった情報を活用しまして、国土交通省の方で、建設技能者を四段階のレベル分けをする建設技能者の能力評価制度というものについて検討を進めているところでございます。

 今回の特定技能で受け入れる外国人材につきましては、この建設キャリアアップシステムへの登録を求めるということとしておりますが、おおむね、特定技能一号については、このシステムのレベルツー、四段階のうちの下から二番目、特定技能二号につきましては、同じくこの下から三番目のレベルに該当するものというふうに想定してございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 そうなると、このレベル三とかは、現場で班長として従事するという、どちらかというと試験とは別の実務経験を要求されているように見えます。特定技能二号については、当然日本語能力がありますが、一定の試験を受けてその技能をはかるわけでございますが、しかし、国交省が考えている技能者の能力評価というのは、どちらかというと、そういった試験の技能というよりも現場の経験、これを評価の基準にされていると思っておりますが、このレベルスリーとかに求められる班長の経験と、特定二号における要件、求められる技能の要件とはどのような関係になるのか、御答弁いただきたいと思います。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 建設キャリアアップシステムの能力評価制度におきましては、レベルスリーを職長として現場に従事できる者というふうに位置づけておりまして、したがいまして、レベルスリーの基準としては、職長や班長として従事した一定の就業日数を設定するということとしてございます。

 一方、今回の二号の特定技能外国人に求める基準といたしましては、技能検定一級相当の技能試験への合格に加えて、建設現場における班長等としての実務経験を要件とする、このように分野別運用方針で定めさせていただいております。

 当該基準につきましては、キャリアアップシステムの能力評価のレベルスリーの基準、これと同一とするような、具体的にはそういうふうな方針で定めたいと考えてございます。

浜地委員 済みません、ちょっと時間がなくなりましたので、次の質問に行きたいと思っています。

 先ほど田所委員からも、さまざま社会保険の適用について御指摘がございましたけれども、私は、年金の短期在留外国人の脱退一時金については詳細な設計をすべきというふうに考えております。

 先ほど、年金は受給資格が日本は十年になりました。特定技能一号の方は五年しかいれないわけでございますが、やはり私は、しっかりこれは返すことによって、在留外国人の方が日本においてしっかりと年金の保険料を払うインセンティブになるんだろうと思っています。逆に、企業が納める半分の分はお返しをしませんので、日本の年金の財源の安定にもなると思っております。

 そこで、年金の短期在留外国人の脱退一時金、現在は三十六カ月が上限とされておりますが、この検討状況について厚労省にお伺いします。

度山政府参考人 お答え申し上げます。

 脱退一時金の仕組みは一九九四年の年金改正で設けられたものでありますけれども、当時は、まだ受給資格期間も二十五年でございましたし、社会保障協定もどこの国ともございませんでしたし、大半の外国人の方が大体三年で帰られるという状況を踏まえて制度設計したものでございます。

 今般は、今は、実は受給資格期間も十年に短縮いたしましたし、社会保障協定もかなり多くの国と締結をいたしましたし、それから、新しい外国人の受入れの枠組みができますと、今までよりもかなり長い期間日本にお暮らしになって働かれるという事情も出てくるというふうに思っております。

 一方では、そういう、年金に加入いただいて、なかなか受給に結びつかないという話もある一方で、かなり、そういう意味でいうと、年金受給権には近くなってきている、あるいは、長く働かれるとすると、その分の年金権の保障をどう考えるかという新しい観点も出てきたのかなというふうに思っております。

 本年は五年に一度の年金の財政検証の年に当たっておりますので、その結果も踏まえて、この問題についても検討していきたい、このように考えているところでございます。

浜地委員 しっかりその趣旨も踏まえて、先ほど、三年が大体平均だったと。今回は五年ですので、そうはいっても、日本の年金制度もありますので、しっかり検討していただきたいと思っています。ぜひ早目に結論を出していただければと思っています。

 最後に、外国人材の受入れ・共生社会のための総合対策案の中で、日本にいる留学生の就職支援について今検討されておりますけれども、私が聞いたところによりますと、大学の卒業者に限定して、特定活動として認めると聞いています。

 しかし、大学の卒業資格の人は、約九割が、技術・人文・国際業務の、既にある在留資格で、その後、許可申請がなされておりますので、私はもう少し、まあ技能が低いといったらおかしいんですが、専門学校とか専修学校の生徒こそ、この特定活動で日本にいれるようにしてはいかがかと思っておりますが、これをまず大学に限定した理由と今後の検討状況について、最後、これは法務省ですね、お伺いして質問を終わります。

葉梨委員長 佐々木入国管理局長、質疑時間が終了していますので、簡潔にお願いします。

佐々木政府参考人 本邦の大学等を卒業した優秀な外国人材の定着を図るための施策として、まずは大学、大学院の卒業生を対象にしたものでございます。

 今後の拡大の是非につきましては、本件の運用状況や各教育機関の性格を踏まえて検討してまいります。

浜地委員 終わります。ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会


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