衆議院

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第12号 令和元年11月27日(水曜日)

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令和元年十一月二十七日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 松島みどり君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 越智 隆雄君

   理事 鬼木  誠君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 稲富 修二君

   理事 山尾志桜里君 理事 浜地 雅一君

      井野 俊郎君    大岡 敏孝君

      奥野 信亮君    門山 宏哲君

      神谷  昇君    神田  裕君

      木村 次郎君    黄川田仁志君

      国光あやの君    小林 茂樹君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      出畑  実君    冨樫 博之君

      中曽根康隆君    百武 公親君

      福山  守君    藤井比早之君

      古川  康君    宮崎 政久君

      宮路 拓馬君    山下 貴司君

      吉川  赳君    逢坂 誠二君

      落合 貴之君    神谷  裕君

      高木錬太郎君    初鹿 明博君

      日吉 雄太君    松田  功君

      松平 浩一君    山川百合子君

      藤野 保史君    串田 誠一君

    …………………………………

   法務大臣         森 まさこ君

   法務副大臣        義家 弘介君

   法務大臣政務官      宮崎 政久君

   最高裁判所事務総局人事局長            堀田 眞哉君

   最高裁判所事務総局家庭局長            手嶋あさみ君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            池永 肇恵君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 太刀川浩一君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            油布 志行君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       西山 卓爾君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小出 邦夫君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小山 太士君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    今福 章二君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  菊池  浩君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 高嶋 智光君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山中  修君

   法務委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     百武 公親君

  門山 宏哲君     冨樫 博之君

  古川  康君     神谷  昇君

  山下 貴司君     福山  守君

  和田 義明君     杉田 水脈君

  松田  功君     初鹿 明博君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     宮路 拓馬君

  杉田 水脈君     木村 次郎君

  冨樫 博之君     門山 宏哲君

  百武 公親君     井野 俊郎君

  福山  守君     大岡 敏孝君

  初鹿 明博君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     山下 貴司君

  木村 次郎君     和田 義明君

  宮路 拓馬君     高木  啓君

  神谷  裕君     松田  功君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     古川  康君

    ―――――――――――――

十一月二十六日

 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

松島委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府男女共同参画局長池永肇恵さん、金融庁総合政策局審議官油布志行さん、法務省大臣官房政策立案総括審議官西山卓爾さん、法務省民事局長小出邦夫さん、法務省刑事局長小山太士さん、法務省保護局長今福章二さん、法務省人権擁護局長菊池浩さん、出入国在留管理庁次長高嶋智光さん及び外務省大臣官房参事官山中修さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局人事局長堀田眞哉さん及び家庭局長手嶋あさみさんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中曽根康隆さん。

中曽根委員 自由民主党の中曽根康隆でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 森まさこ大臣におかれましては、法治国家日本の法務行政のトップとしてリーダーシップを発揮されていること、心から敬意を表します。また、先日までは女性活躍推進本部長というお立場でありまして、私も事務局としてやらせていただいておりますけれども、今回、御自身が女性の大臣ということで内外に存在感を発揮されていること、心からうれしく思うところでございます。

 前回のこの法務委員会の質疑において、私は、再犯防止、特に保護司について質問させていただきました。本日は、その続きとそして進捗、後半の部分は外国人の受入れについて御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 再犯防止に非常に大きな役割を果たしているのが保護司でございます。保護観察期間において保護司の皆さんのサポートがあったからこそ、更生して、そして社会復帰ができているという対象者は数え切れないほどいらっしゃいます。

 先日、天皇皇后両陛下が更生保護制度の施行七十周年記念大会に御出席された際に、陛下が、人知れぬ苦労を重ねながら、地道にそれぞれの地域の力となり、献身的に更生保護を支えてきた多くの関係者の努力に深く敬意を表しますというお言葉を述べられました。

 こういった非常に大切な役割を担われている保護司、この制度が今非常に大きな問題に直面をしていると認識をしております。言わずと、まずは、なり手不足、そして、それに伴う高齢化でございます。この十年間で保護司の数は千六百人余り減少し、また、近い将来に、定年による退任、これが大量に見込まれております。

 こういった状況下、さまざまな手段をとって何とか保護司を確保しようという動きはありますけれども、政府として、インターンシップ制度、また更生保護サポートセンターというものを設置しております。これらの役割というのは非常に大きいというふうに私は考えております。これらを有効活用して、将来の担い手をしっかりと発掘して、そして育成をして、この保護司制度というものを持続可能なものにしていく必要があると思いますけれども、こちらに関する大臣のお考えを教えていただきたいと思います。

森国務大臣 中曽根委員にお答えします。

 中曽根委員におかれましては、私が自民党女性活躍推進本部長のときに、男性育休の強化に取り組んでおりましたので、若い男性議員の中曽根議員に役員になってもらって進めようと抜てきしたところ、大臣になってしまって、私が女性活躍推進本部長ではなくなったんですが、ぜひ、今、党においても継続して女性活躍推進本部の役員をなさっておられると思いますので、しっかりと女性活躍についても担っていただければと期待をしているところでございます。

 お尋ねの保護司の方々についてでございますが、犯罪をした方などの社会復帰を担う重要な存在であることは委員御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、保護司のなり手確保は困難となってきておりまして、保護司の負担感や不安の軽減を図るために、保護司活動を経験してもらうインターンシップ制度や、保護司の活動拠点となる更生保護サポートセンターを御指摘のとおり設けたわけでございまして、それらを効果的に活用することが保護司を安定的に確保していく上で重要であると認識をしております。

 そこで、更生保護サポートセンターについては、本年度から全ての保護司会に設置することといたしました。また、保護司活動インターンシップを含めて、有効な活用例などの好事例を保護司組織と共有するなどして施策を着実に実施することにより、保護司の安定的確保に向けた取組を推進してまいりたいと思います。

中曽根委員 大臣、ありがとうございました。

 こういった制度をつくるとかサポートセンターを設置する、これはまず第一段階でありまして、やはりここでしっかりと結果が出なくては全く意味がありませんので、そこら辺のところもしっかりと最後まで見届けるようなサポートをお願いしたいと思います。

 内閣府が実施した調査によりますと、犯罪者の立ち直りに協力したいかという質問に対して、五三%がイエス、協力したいという回答がありました。こういった、協力したいんだというニーズがしっかりあるということがもう現実にわかっていますので、そういったところをしっかりと拾えるような、有効的なセンターの活用であったりインターンシップ制度の活用をしていただきたいというふうに思います。

 これだけ、五三%の方が協力したいとは言っているものの、やはり保護司の方々の肉体的又は精神的な負担というのは相当なものがあります。幾らやる気があっても、ボランティアでやりますというふうに手を挙げるというのはなかなか、普通に考えると難しい状態でありまして、結果、一人一人の善意とか良心、こういったものの上に成り立っている制度でございます。

 また、保護司の決められた業務以外にも、対象者によってさまざまな対応が必要になってくる。例えば、対象者と一緒にハローワークに行くとか、又は、新しい就職先が決まったら、そこの雇用主に一緒に御挨拶に行くとか、又は、対象者から何かあればすぐに駆けつけなきゃいけない。こういったことで非常に負担も大きいですし、また、時間的な拘束というのも長いというものでございます。こうなると、どうしても、やはり時間に限りがある現役世代という方々は、幾らやる気があってもなかなか保護司にはなりづらい。そういった一方で、定年後などで比較的に時間のある、そういったシニア層の方々に依存してしまうという状況になっております。

 法務省として、ことし五月に、これは総務省と連名で、全国自治体に、保護司就任への協力依頼の通知というものを出していると認識をしております。これは何かといいますと、要は地方の自治体の職員が保護司を兼務するというものでありまして、全国に先駆けて東京都の荒川区が、平成二十四年に区の職員を保護司として採用するようになって、この方が職員保護司として大活躍しているという事例が今あります。

 この職員保護司の取組というのをぜひとも全国に横展開をしていただきたいというふうに思います。一方で、公務員をやりながらまた保護司もやるというのは、なかなか負担にもなるという声も聞かれております。

 あくまでもこれは地方自治体が行うことというのは存じ上げている上でお伺いしますけれども、この職員保護司の普及、またその課題について国としてどのようにお考えか、お答えいただければと思います。

森国務大臣 地方公共団体の職員は、地域の関係団体等と密接な関係を有している場合が多うございますので、地域のネットワークを活用して対象者を更生させるという役目を負う保護司として適任であると考えております。

 他方で、現役の職員に保護司に就任していただくに当たっては、地方公共団体の御理解と御協力を得ることが課題でございますので、令和元年に、御指摘のとおり、法務省及び総務省による協力依頼文書、これを、毎年出しておりますけれども、地方公共団体の長宛てに発出し、特に今回は地方公共団体の職員の保護司への就任についても協力を求めたということでございますので、この当該依頼文書を踏まえて、保護司組織と連携して、地方公共団体からの一層の御理解と御協力が得られるように取り組んでまいります。

中曽根委員 ありがとうございます。

 あくまでも地方が主体、主導するということでありますけれども、通知を出しているわけですから、出しっ放しではなくて、そういった協力、理解を得られるように、しっかりと国としてもサポートをしていただきたいと思います。

 当然、自治体も人手不足でありまして、この職員保護司というのも大変だとは思います。ただ、職員の皆さんが今まで職員として培ってきた経験とか知識とかそういったものを保護司として生かせる、これは非常にすばらしいことだと思いますので、ぜひとも、そういった職員保護司の皆さんが活躍できるような環境整備にも、国としても力を入れていただければ幸いに存じます。

 次の質問に移りますけれども、前回私がここで質問に立たせていただいた際に、こういった御答弁をいただきました。若年層を含む幅広い年齢層からなり手を確保していくことが重要であり、具体的方策を検討してまいりたいという御答弁をいただきました。あれから一年半たちましたけれども、現状、高齢化及び若年層確保の具体的な方策というのはいかがなものか、お答えいただければと思います。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、若年層から保護司の担い手を確保することは大変重要でございまして、そのための一層効果的な広報が求められていると考えております。

 そこで、法務省におきましては、社会を明るくする運動において、例えば、更生保護マスコットキャラクターを活用した街頭広報やイベントを開催いたしましたり、法務省ユーチューブチャンネルや保護局公式ツイッターといったSNS等の活用に努めているところでございます。

 今後とも、将来保護司の担い手として期待される若年層の方々への御理解、御協力をより一層いただきますよう、その広報のあり方について工夫してまいりたいと思っております。

中曽根委員 これは本当に喫緊の課題だと思うんですね。今の方々が、二十年後、三十年後、もうなかなか体力的にもきつくなってくるとなったときに、果たしてそのときにしっかりと保護司の数が確保できているか。本当に今のうちから種をまいておかないと、保護司というものが、皆さんが地方からいなくなってしまう。これは本当に再犯防止においてもクリティカルな問題になってくると思いますので、ぜひとも今のうちからしっかりと真剣に考えて、ここに種をまいていただきたいと思います。

 今おっしゃったようなマスコットとかユーチューブ、LINE、SNSを使うというのは、確かに若い人たちへのリーチというのは当然ふえますし、認知度も上がると思います。ただ、これも、対策を講じるだけでは本当に意味がなくて、実際それをやることによって比較的年齢の低い人たちが保護司に興味を持ち、最終的には保護司になっているという一件一件の積み重ねの数字を見たいというのが、やはりそれが目的でありますので、そういったところをしっかりと詰めてやっていただきたいと思います。

 今、平均年齢が六十五歳を超えている、こういった中で、やはり若い人たちに保護司をまずは知ってもらう。知ってもらうときに、いかにこの保護司というのが社会的に大きな役割を担っているのか、いかに社会に貢献をしているのか、そういったこともあわせてしっかりと発信をしていく。SNS上に限らず、いろいろな地域でのイベントをやっていく、そういったところに若い人たちを巻き込んでいく。そういったことをやっていって初めて、若い人たちも興味を持ち、じゃやってみようかということになると思うので、そこら辺は、対策を講じているからこれでもう終わりですではなくて、しっかりとトレースをしていただきたいというふうに思います。

 保護司について、最後に一言だけ申し上げますけれども、今、世界でSDGsということが言われております。その中で、誰一人取り残さない社会の実現というのがうたわれております。これは我が国の再犯防止推進計画にも盛り込まれていることでございます。やはり、支え、支えられる関係を地域につくるというのは非常に必要なことでありますし、まさにそれを担っているのが保護司の皆さんであります。ぜひとも、良心、善意、ボランティアベースで地域のために頑張ってやられている保護司の皆様を法務省としてもこれからも全面的にサポート、御支援いただけるように、私からも心からお願い申し上げる次第でございます。

 次に、外国人材の受入れについてお伺いをしたいと思います。

 ことしの四月に、新しい外国人材の受入れの制度、いわゆる特定技能がスタートをいたしました。半年がたちますけれども、先日、出入国管理庁が発表した数値によりますと、十一月の八日時点で、この特定技能を得た外国人が八百九十五人。そして、これは九月末の段階でありますけれども、この特定技能の資格で実際に日本に在留している外国人が二百十九人。これは、当初、今年度の受入れ見込み数を四・七万人と見込んでおりましたけれども、わずか二%の状況にあります。

 当初の受入れ見込み数から考えても、やはり、この受入れが思うように進んでいない、そのように考えられますけれども、この現状をどのように捉えられているか、またこの原因は何なのか、大臣から御答弁いただきたいと思います。

森国務大臣 冒頭、訂正をさせていただきたいと思いますが、先ほど、保護司についての連名通知について、毎年発出していると御答弁申し上げましたが、正確には、平成二十六年六月、平成二十七年十一月、そして令和元年の五月でございます。

 お尋ねの外国人労働者の問題でございますが、現状についての認識ということでございますが、本年十一月二十二日時点の速報値で申し上げますと、特定技能の許可に係る手続をとられた方が三千七百七十一人、そのうち特定技能の許可を受けた方が千百七十七人となっております。技能試験については、七分野の試験を国内及び海外六カ国で実施し、現時点では三千三百二十二人が合格されております。

 技能試験の実施については、年度内に全十四分野での実施を予定しておりまして、また、試験実施国の拡大も見込まれていることを踏まえますと、今後も特定技能の許可を受けられる方は着実に増加していくものと考えております。

 他方で、特定技能制度については、いまだ試験が実施されていない分野や国があること、送り出し国の中に、なお送り出し手続を整備中の国があること、制度が複雑で申請手続がわかりづらいなどの声があることも承知しております。

 そこで、法務省としては、分野を所管する関係省庁とともに試験実施分野や試験実施国の拡大を推進したり、送り出し国に対する送り出し手続の整備に向けた働きかけの実施、さらなる説明会の実施、法務省ホームページの中の申請手続案内を始めとする掲載情報の改善充実等を行い、制度のきめ細やかな周知をしっかり行ってまいりたいと思います。

 法務省としては、このように、試験実施の拡大や送り出し手続の整備、制度のきめ細やかな周知等を行うことにより、特定技能制度が深刻な人手不足の解消策として活用していただける制度となるよう、関係省庁と連携し、力を尽くしてまいる所存でございます。

中曽根委員 大臣、ありがとうございました。

 先ほどの通知の件は、二十六年、二十七年、そして令和元年ということですけれども、通知を送っている中で、実際、その通知がどのように受けとめられていて、どういう地方自治体で具体的なアクションが起こされているかとか、そういったところも、もし確認ができるのであればした方がいいですし、せっかく通知を出しているわけですから、そこら辺の結果というのも法務省として把握をしていただきたいというふうに思います。

 外国人の件でお答えをいただきました。

 今お話ありましたとおり、試験が実施されたのが十四業種中七つということでございます。年内に全十四業種というお答えを今いただきましたけれども、そうなると、あと一カ月ちょっとで七業種ということになるんでしょうか。これはなかなかハードルが高いんじゃないかなというふうに個人的には思いますけれども、そういう目標があるのであればぜひとも実現をしていただきたいと思いますし、まだ試験が行われていない業種の中には試験内容すら決まっていないものもあるというふうにも伺っております。

 私の地元の群馬の中小企業の社長から、こういうことも言われました。この特定技能を頼りにして外国人材を受け入れる準備をしている、ただ、まだ全く試験もないし、受け入れることができていない、これは何とか早くしてくれという声もあります。

 ですので、今まさに大臣がおっしゃっていただいたような、申請の書類が多いとか複雑だとか、又は審査に時間がかかっているとか、そういったこともしっかりと改善をしていただきたいですし、送り出し国、まあ日本としてはどうにもできないようなところもあるのかもしれないですけれども、そういった国に対しても、しっかりと送り出す、そこのプロセスを円滑にやってくれということも伝えてもいいのかなとも思います。

 いずれにしても、日本としてはもう四月から制度をスタートさせたわけですから、現段階になって、済みません、ちょっと準備不足でまだというのは、これは通用しないわけであります。ぜひとも早急に、かつ適正な試験の実施をしていただいて、受入れ体制の整備を進めていただきたいというふうに思います。

 今お話しした特定技能、これは五年間で最大三十四・五万人の外国人労働者が新たに日本に入ってくるというふうに伺っておりますし、技能実習生、これも年々増加して、もう四十万人を超えている。さらには留学生、留学生も年々増加して、もう三十万人を超えている。こうなると、移民の議論とは一線を画した別の話となりますけれども、いずれにしても、日本に住むことになる外国人がふえるというのはもう間違いないですし、これは増加傾向にあるというのが予想されます。

 こういった中で、地域生活への適応の問題とか、又は日常生活の小さなトラブルとか、又は近年多発する災害時のサポートとか、外国の皆さんにも過ごしやすい環境づくりというのを、日本としても、各地域としてもやはりしていかなきゃいけないと思います。

 先日の台風十九号のときも、台風に備えてください、避難してくださいというのは、日本人にはそれはすぐに伝わりますけれども、外国の方にはなかなかそれが伝わりづらかった、そういう話も聞いておりますし、もっと、停電が起こるとか、又は食料とかガソリンが不足しますとか、家が浸水するおそれがありますとか、交通が麻痺するかもしれませんとか、そういった詳細に関しても、日本人のみならず、やはり外人の方にもしっかりと届くような制度、まあ、これは行政コストは当然かかります。ただ、そういったところをやっていかないと、共生というものにはならないのかなというふうに感じております。

 そういった中で、これから多くの外国の方が日本に入ってきたときに、各地域において、この共生というのが一つ大事なキーワードになってくると私は考えております。この共生に対する政府の対策とか意気込みとか、そういったものがあれば教えていただきたいと思います。

森国務大臣 委員御指摘のとおり、今後、より多くの外国人が日本で働き、学び、生活することとなる上で、各地域における外国人との共生が極めて重要であると考えております。

 委員も留学経験がおありになるので、またそういった立場からの御提案かなとも伺っておりましたが、こうした観点から、昨年末の関係閣僚会議において、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策を取りまとめ、労働環境、医療、教育、住宅など生活のさまざまな場面に関する百二十六の施策を推進することとしております。この総合的対応策については、本年六月に、現段階で喫緊の課題となっている事項を中心に内容を充実させており、本年末には改定を予定しているところでございます。

 各地域において直接外国人住民と向き合う地方公共団体に対する支援策として、外国人が行政や生活の情報について多言語で相談できる一元的相談窓口の設置、運営のため、外国人受入環境整備交付金を交付しており、本年七月末時点で九十五団体に交付決定済みでございます。

 また、出入国在留管理庁においては、地方公共団体との連携を強化するため、本年四月から、地方出入国在留管理局に受入環境調整担当官十三名を配置し、地方公共団体の職員に対する情報提供や研修を実施するなどの支援を行っております。

 また、法テラスにおいて、多言語で相談できるところを今、強化をしているところでございます。

 引き続き、外国人との共生社会の実現に向け、総合的対応策に盛り込まれた施策について、関係省庁と緊密に連携の上、着実に実施してまいりたいと思います。

中曽根委員 ありがとうございます。

 今大臣のお口からもありました地方公共団体の一元的相談窓口、これの果たす役割というのは非常に大きいと思います。既に三次募集にも入っていると伺っておりますので、そのニーズにしっかりとお応えいただきたいと思います。

 私の地元群馬県においてももう交付がされておりますし、また、群馬の中にも大泉町という、二割が外国人というところがありますけれども、そこでも交付がされ、また、今、後ろにいますけれども井野先生の御地元の伊勢崎も、六・五%の外国人ということで、申請そして交付がされている。こういう真に交付が必要なところにされていればいいんですけれども、これは申請ベースで、設置義務ではないので、もしかしたら必要なところに窓口が設置されていない、又は申請、交付がされていない可能性もあると思いますので、ここら辺も国としてしっかりとサポートを、目配りをしていただきたいと思います。

 ちょっともう時間になりましたので、最後に一言だけ申し上げますけれども、やはり外国人の皆さんは自分たちで声を上げることはなかなか難しいと思います。ですので、なるべく、きょうはちょっとお話が出ていないですけれども、受入環境調整担当官というのもいますし、そういった方々と地方がしっかりと連携して、外国人が行きやすいような環境をつくっていただきたいと思います。

 最後に申し上げますけれども、今は外国人の方々がどんどん日本に来ていただいている状態です。ただ、これから先も日本という国が外国の皆さんに選んでいただけるかどうか、これというのは本当にわかりません。世界的に労働力不足が起きて人材獲得戦争が起きる中で、日本に行きたいと選び続けていただけるように、思ってもらうには、やはり今のうちから、外国の皆様に敬意を表して、またしっかりとした配慮をした上で、気持ちよく過ごしていただける環境というのをつくっていかなきゃいけないと思いますので、法務省としても、こちらに関しても、しっかりとしたこれからのバックアップ、サポートをよろしくお願い申し上げます。

 以上で私の質問は終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次に、浜地雅一さん。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 二十分時間をいただきましたので、私も再犯防止推進計画等々について質問をさせていただきたいと思っております。

 もう何度もこの委員会で出ておりますが、四月の二十一日から二十七日まで京都コングレスが開催をされるわけでございますけれども、世界一安全、安心な日本をアピールするというのが一つの主眼でございまして、まさに再犯防止に取り組む姿勢というものが一つの、日本のアピールの一番大きな点であろうというふうに思っております。

 御案内のとおり、この再犯防止推進計画、これは毎年白書を出しておりまして、まだ閣議決定はされておりませんけれども、我が党の部会においても、この再犯防止推進白書、令和元年版について審査をさせていただきました。その中身として一つの大きな指標が示されておりまして、いわゆる二年以内の受刑者の皆様方の再入率、再び刑務所に戻ってきたり少年院に入る率を令和三年度を目標に一六%以下にするという数値設定があることは皆様御承知のとおりだと思っております。

 十年前は約二〇%を超えておりましたこの再入率でございますが、データがとれる一番新しい平成二十九年のデータでは一六・九%まで下がってまいりまして、まさに、政府が目標としております一六%以下までもう一歩のところまで来ているわけでございます。

 そこで、私、これを細分化して少し聞きたいんですが、いわゆる刑期を満期までお勤めになった満期釈放者の方と、途中で仮釈放となって社会の中で矯正をされる仮釈放者の方々の再入率という点について、違いがあるのか、どのようになっているのか、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

今福政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問の平成二十九年出所者の二年以内再入率につきましては、満期釈放者は二五・四%であるのに対し、仮釈放者は一〇・七%となってございます。

 以上です。

浜地委員 今、全体の数字が一六・九%の中で、満期釈放者は二五・四、仮釈放になった方々は一〇・七ということで、いわゆる政府目標の一六%を大きく仮釈放の方が下回っているという実態が浮かび上がりました。

 では、なぜ、満期釈放者と仮釈放者でこのような大きな再入率の差が生じると考えているのか、しっかりここは分析されているかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

今福政府参考人 お答えいたします。

 受刑者を仮釈放するに当たりましては、前もって受刑者本人や関係者等との調整を通して適切な帰住地を確保することとしております。また、仮釈放者は、仮釈放期間中は保護観察に付され、保護観察官や保護司による指導監督や補導援護を受けることとなっております。

 他方で、満期釈放者になりますと、適切な帰住地が確保できていない者が少なくありません。また、保護観察による指導や支援を受けることもできないため、出所後間もなく再犯リスクの高い不安定な生活に陥るおそれがございます。

 このような違いから、仮釈放者の方が満期釈放者と比べて再入率が低いものと考えられます。

 以上です。

浜地委員 普通に考えると、刑期が長くてしっかりその中で、当然、日本の刑法は矯正、教化という部分もありますが、一つやはり、犯した罪に対してそれなりの償いをするという応報的な観念がありますので、普通に考えれば、長く入って長く厳しい環境の中に置かれて、その方が非常に、本人はもう再犯を犯したくないという意思になろうかというふうに思うわけでございますが、しかし、現実問題は、先ほどの御答弁でありましたとおり、やはり帰住地、帰る場所がしっかりあること、そしてその間、当然、仮釈放ですから保護観察官、保護司によるさまざまな保護観察の施策があるという点がございましたので、ここは一つ、やはり大事な視点だろうと思っています。

 そうなりますと、私個人の意見としましては、満期釈放者の対策としまして、やはり、仮釈放の手続が、できれば、条件が整えば推進されるようにさまざま施策を行っていくべきであろうというふうに思っております。

 しかし、現在の実務では、やはり、詳細を聞いてみますと、矯正施設の長が仮釈放の申出をする、そうなると、保護観察官の方が生活環境調査を含めてさまざま、この方を仮釈放にしていいかどうかという環境の調査を行うわけでございますが、実際にさまざまな問題で、実務上では、最初から帰住地が確保されていないと、この生活環境調査の中でいろいろな人に当たって帰住地の確保を調整するというよりも、最初から帰住地、帰る場所が確保されていないと、なかなか仮釈放の決定が下されないという現状があるようでございます。

 この今の運用について、今後どのように改善をすべきか、どう考えているのかを御答弁いただきたいと思います。

今福政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、帰住地が確保できておりませんと仮釈放はできません。したがいまして、刑務所出所者の再犯防止のためには、可能な限り適切な帰住地を確保して、この受刑者を仮釈放につなげるということがまず第一点。そして、何らかの、それ以外の理由で満期釈放になりました者に対しましても、在所中から出所後の支援等につなげるということが重要であると考えております。

 現在、受刑者の出所後の安定的な帰住先や必要な支援等の確保につきましては、現状でも、ただいま御指摘のとおり、生活環境の調査、調整というものに努めておりますけれども、幾つか問題点がございます。

 第一に、犯罪傾向が進んだ者あるいは累入者の調整には困難を伴いまして、相当の期間を要するということ、第二に、保護観察所の管轄をまたぐなど帰住予定地が複数の場合の調整が長期化するということなどといった点が課題となってございます。

 そこで、改善策といたしまして、地方更生保護委員会の保護観察官が刑務所に駐在することによりまして、生活環境の調整を刑務所入所後のより早い段階から開始をし、また、これを継続的に行うということ、それとともに、複数の保護観察所が行う生活環境の調整のコントロールタワーとなりまして、受刑者の帰住地の確保を速やかに進めるといった方策について検討を行っているところでございます。

浜地委員 今御答弁いただきまして、少しイメージが私は湧いたところでございます。

 これまでは、確かに帰住地の確保の調整機能という役目はあるんだけれども、現実的には、やはり、帰住地がしっかり決まっていなければなかなか難しかった。しかし、今後は、帰住地が決まっていない人も含めまして、帰住地確保のためにさまざまな関係機関と早期にそういった調査に着手をしていって、探してあげると言ったらおかしいんですけれども、帰住地を促進してあげるというような取組であろうと思っています。

 そのためには、いきなり矯正施設の長から申出があって調査をするという手続は当然なんですが、その前から、その受刑者に合った生活改善の調査等々を行う必要があるんだろうというふうに思っています。

 しかし、そうなりますと、やはり体制の整備がしっかりできるのかというところが問題になってこようかと思っています。実際は、保護観察官がこういった生活調整をするわけでございますが、そもそもマンパワーは足りているのか、その方々の予算も含めてしっかり足りているのかということが当然、ワークさせるためには大事になってこようと思いますが、そういった改善を行う上での体制整備面での課題というのはしっかり把握をされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

今福政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、満期釈放者対策を進めるに当たりましては、受刑者の帰住地の確保を速やかに、かつ確実に進める必要がございまして、そのための必要な体制の整備というものも重要な課題だと認識しております。

 そこで、令和二年度の定員要求におきましては、地方更生保護委員会の保護観察官を刑務所に駐在させ生活環境調整のコントロールタワーの役割を果たすために必要な増員を盛り込んでいるところでございます。また、保護観察所におきましても、保護観察における他の行政課題、多々ございまして、それに適切に対応しつつ、このような生活環境調整を現場で確実に実施できますように、所要の体制整備に努めてまいりたいと思っております。

浜地委員 その前の質問は、そういった改善策をやりたいという理念でございましたが、現実問題は、この地方更生保護委員会の下にございます、そこにぶら下がっていると言ったら失礼なんですけれども、この調査部門の保護観察官の方が実際には刑務所に駐在をして早期にそういった相談を受けなきゃいけないということでございますので、今実際は、令和二年度の予算要求でも人員要求をされているということでございます。ここは、理念を実現するためには体制が必要でございますので、与党公明党としても、しっかり予算確保に向かって応援をさせていただきたいというふうに思うところでございます。

 この仮釈放を含めた満期釈放者対策について最後に大臣の御所見をお伺いしたいところでございますが、やはり、先ほどデータでありましたとおり、もう大臣は御存じと思いますけれども、満期釈放の方が二五・四%、二年以内に再び矯正施設に戻ってこられている、仮釈放になるとそれが半分以下になって一〇・七%ということでございますので、この満期釈放者対策については、仮釈放の積極的な活用も含めた検討が必要だと思っております。法務省のトップとしての法務大臣の御意見をいただきたいと思います。

森国務大臣 刑務所出所者等の再犯防止を図るためには、出所後の安定した帰住地や生活に必要な支援等を確保することが重要であります。特に満期釈放者については、出所後間もなく再犯リスクの高い不安定な生活に陥る者が多く、それらの者に対する息の長い支援が喫緊の課題となっております。

 法務省としては、今後とも、仮釈放の積極的かつ適切な運用を図るとともに、受刑者の出所後の安定した帰住地や必要な支援等を確保するため、更生保護官署の体制を整備するなどして、安全、安心な社会を実現するための再犯防止に向けた取組を積極的に推進してまいりたいと思います。

浜地委員 大臣より御答弁いただきまして、ぜひ積極的に推進をいただきたいと思いますし、特に京都コングレスの場において、ちょっとしつこいようなんですが、そういった取組を日本がしていて再入率が非常に低い、またそれが世界一安全、安心な取組ということをぜひアピールいただきたいというふうに思っています。

 もう一つ、再犯防止に必要な視点は、当然、住まいの確保とともに、もう皆様おわかりのとおり、就業場所の確保が非常に重要なわけでございます。

 そこで、協力雇用主という制度があることは周知の事実でございますが、この法務省と厚生労働省がつくっております協力雇用主の募集のパンフレットに、協力雇用主としてのやりがいということで、野口石油の野口義弘さんという方がパンフレットに載っていらっしゃるんですけれども、これは福岡の方で、私も実際に会社にお邪魔をしたことがございます。

 現在、福岡県の雇用主の会長をされておりまして、非常に御本人の、ちょっと言い方は失礼ですが、本人の体験にも基づいて、若い人の雇用を積極的に行っていらっしゃる。ガソリンスタンドをやっていらっしゃるんですが、やはり、今、ガソリンスタンドは非常に人手不足なんですけれども、こういった協力雇用主として、就業したことによって、若い人がたくさん入っていただいて、人手不足を本人さんは経験したことがないということでございますので、一つ大きくワークしている部分だろうと思っています。

 しかし、ことしの三月に、そうはいいましても、協力雇用主さん、数はかなりふえているというふうに報告を受けております。まだ正確な数が把握できていないということでございますけれども、かなりの数の、実際に雇入れをする協力雇用主さんがふえているという、法務省の努力がうかがえるところでございますが、平成三十一年度の三月に行われました協力雇用主に対するアンケート調査が発表をされております。そこで浮かび上がった具体的な課題というものはどういったものであったのか、ぜひ特徴的なものを御答弁いただければと思います。

今福政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のアンケートにつきましては、実際に刑務所出所者等を雇用していただいていた協力雇用主のうち、雇い入れた者の平均的な勤務継続期間が六カ月以内と回答した方が約五割に達しており、刑務所出所者等の職場定着が大きな課題であるということが最大の課題であると認識しております。

浜地委員 済みません、ちょっと答弁が。なるほど、六カ月以内にやめる人が五割以上、定着が問題だと。

 では、そのアンケートをもとに、定着率を高めるためにはどういった施策が必要なのかということがわかっていないと、アンケートをやった意味がないわけでございます。その改善についてどのような施策を講じるつもりか、御答弁をいただきたいと思います。

今福政府参考人 ただいまの御指摘の刑務所出所者等の職場定着を促すためでございますけれども、刑務所出所者等の特性に応じたきめ細やかな就職支援の実施や、保護観察官や保護司による就職後のフォローアップの充実に努めてまいるほか、今後、更生保護就労支援事業所と連携した職場定着支援のあり方を更に検討してまいりたいと思っております。

浜地委員 そうですね、言葉で言うと結構さらっと答えられましたが、これは、かなり定着率が悪いとなると、せっかく雇い入れても、結局すぐやめてしまうということがございます。当然、身元保証制度として、最大二百万までの協力雇用主に対するそういった補助等はありますけれども、やはり、先ほどの私が例に出したガソリンスタンドの社長さんのように人手不足で助かっているという状況にならないと、ウイン・ウインにならないというふうに思っております。

 そこで、キーワードで一つ出てきましたが、保護司との連携を図ったフォローアップというものが出てまいりました。

 確かに、協力雇用主の方々だけに任せるのではなく、保護司の皆さんと連携をとって、生活指導等についても行っていく必要があろうかと思っています。

 そこで、先ほど中曽根委員も御質問されましたけれども、また公明党の質疑としても、この保護司の確保、この十年間で一千七百人減っているというふうに聞いております。また、先ほどの質問にあったとおり、六十五歳以上の方がほとんどを占めておる。私もほとんど若い方に会ったことはないわけでございます。

 我が党の地方議員では、保護司を兼任している議員も実は多くございまして、本人に聞きますと、週に二回程度、これは少年の方なんですけれども、少年を呼んで自宅で行っているということもございました。しかし、前回の質疑では、やはりどうしても、自宅で面談等をすると家族の理解も得られない等々の課題があるわけでございますが、これは抜本的に解決をすべき問題だと思っています。

 保護司の今後の確保、また活動のしやすさに対してどのような具体的な施策をお考えか、最後に御答弁をいただきたいと思います。

今福政府参考人 保護司のなり手が困難化している要因の一つには、ただいま委員御指摘のとおり、自宅で対象者と面接することについて同居家族の理解が得られないなどといったことが挙げられております。

 そこで、そういった保護司活動に対する負担感あるいは不安を軽減する観点から、保護司活動の拠点でございます更生保護サポートセンターの設置に取り組んでおりまして、今年度、全保護区に設置する運びとなっております。この活用を今後とも図ってまいりまして、保護司の安定的確保に取り組んでまいりたいと思っております。

 以上です。

浜地委員 間もなく時間になりますのでもう質問を終わりますけれども、この再犯防止の数値目標、一六%以下、もう一息でございますので、かなり、これまでの法務省を中心とした取組が効果があるんだろうと思っております。ですので、先ほど浮かび上がりました仮釈放の帰住地の確保の問題や、また保護司の確保の問題というところを、最後、残された課題をクリアすることによって、私はこれは早期に実現できるだろうというふうに確信をしておりますので、ぜひ、皆様方にも頑張っていただき、与党の一員としての公明党としても応援をしていきたいというふうに思っております。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。

松島委員長 次に、串田誠一さん。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 一般質疑も、法務大臣の交代ということもあって削られてきております。そういう意味で、きょうは、細かな数字をお聞きするということはございませんので、なるべく大臣から今のお気持ちをお聞きしたいというふうに思っています。

 まず最初に、その意味で大臣にお聞きをしたいと思うんですけれども、会社法における話も、立法事実というのが出てまいりました。これは、国民がどういういろいろな不便を持っているか、社会がどういう不便を持っているのかという事実に基づいて法改正というのは考えていかなきゃいけないという意味で、きょうは、大臣が国民の一人という、当事者になった気持ちでお答えをいただきたいと思うんですが、夫婦で子供を育てているときに、夫婦の関係が悪くなって、一方の配偶者が子を連れ出していってしまったというときに、大臣が子を連れ去られた側、いわゆる別居親という言い方もするんですけれども、そうなってしまったときに、大臣としてはどういうことを、国民の一人としてどういうことができるか、お答えをいただきたいと思います。

森国務大臣 一般的なことしかお答えできないんですけれども、一般に、一方の親が他方の親に子を連れ去られた場合についてお尋ねがございました。

 子を連れ去られた親は、親権や監護権に基づき、子を連れ去った親に対して子の引渡しを求めることが考えられます。子を連れ去った親がこれを争う場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることができます。そして、子の引渡しを命ずる旨の審判等が確定したにもかかわらず相手方が引渡しに応じない場合には、強制執行を申し立てることができます。

 また、刑事法関係について申し上げますと、犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄ではございますが、一般論として、未成年者略取誘拐の罪は、未成年者を略取し、又は誘拐した場合に成立するものとされておりまして、これに該当する場合には同罪が成立することとなります。

串田委員 刑法の成立の余地をしっかりとお答えをいただきました。

 ところで、今、家庭裁判所に申立てができるということなんですが、この家庭裁判所への申立てをした場合の審理期間の平均値と、そして面会交流が決定されたときの一番多い事例、これを裁判所にはお答えをいただきたいと思います。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 子の監護に関する処分事件のうち面会交流の審判及び調停に関しまして、平成三十年における平均審理期間でございますが、これは九・〇カ月というふうになってございます。

 また、これらの審判及び調停で面会交流の回数を具体的に定めたものの内訳につきまして、平成三十年で申しますと、一回以上の定めのものが約六一・五%、そのほかに、月二回以上の定めのものが約一二・九%、週一回以上の定めのものが約二・三%となっております。

串田委員 今大臣もお聞きいただいたと思うんですが、大臣がお答えをしたのは、まあ、法律上の手続はそうだとは思うんですよ。だけれども、連れ去られた側が、連れ去ったというのは実力行使なんです、何の法律上の手続もしていないんです、なのに、裁判所に申立てをすると、平均で約九カ月かかるんです。その間、子供に会えるかといったら、大概会えない。子供に会うことの、先ほど強制執行ができるというようなことをおっしゃられましたが、できることを決められる回数というのは月一回なんですよ。二時間ということもあるんです。

 大臣、連れ去った側は圧倒的に、裁判をやっても九カ月は、相手方が申立てをしなきゃいけない。それも、大臣は法律家ですから、すぐに、申立てをするなんてわかりますけれども、連れ去られた側は、一体どうしたらいいのか。ほかの国を見たら、みんな犯罪だ、警察がみんな取り戻してくれる。日本は何もやってくれない。右往左往ですよ。右往左往しながら裁判所に申立てをして、九カ月かかる。そして、決められるのは、月一回、二時間というのが多いんです。連れ去った側は、二時間を引いた全部が子供を確保できる。連れ去られた側は月一回ですよ。それを、強制執行できるということで納得できますか。連れ去った側だけがそういうような圧倒的な有利になっているというのが今の日本の現状なんです。

 そこで、日弁連の六十年、きょう参考資料に出しました、こんな立派な本になっているんですけれども、そこには、「手続を経ないで子を一方的に連れ去るのは違法」と書いてあるんです。これはここに書かれていますけれども、この認識は大臣も同じなんでしょうか。

森国務大臣 委員御指摘の日弁連六十周年記念誌において、協議や家庭裁判所の手続を経ないで子供を一方的に連れ去ることは違法であるとの言及がされていることは承知をしております。

 同居をしていた父母の一方が相手方の承諾を得ずに子供を連れて別居を開始した場合に、民事上違法となるか否かについては、その具体的な経緯及び態様、子供の年齢や意思等の事情によるものと考えられ、一概にお答えすることは困難であります。

 また、刑事責任の観点から申し上げますと、同居していた父母の一方が相手方の承諾を得ずに子を連れて別居を開始したことが犯罪になるかどうかは、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄であり、お答えは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、父母が離婚した後であっても、子供にとって、父母のいずれもが親であることには変わりはございません。したがって、一般論としては、父母の離婚後も父母の双方が適切な形で子供の養育にかかわることが、子供の利益の観点から非常に重要であると考えております。

串田委員 手続を経ないで一方的に連れ去るのは違法であるというふうに断言をされている。これは日弁連の六十年誌なんですが、ここにたくさんの方々がいろいろな部分を振り分けして書かれていますけれども、皆さん、この業界の権威の人たちですよ。そして、こんな本にまでなるんですから。それに対してずっと携わってきた方々が担当して書いてあるんです。

 手続を経ないで一方的に連れ去るのは違法であるという前提がなければ、ハーグ条約というものを批准できないんじゃないですか。どうしてハーグ条約、大臣、批准しているんでしょう、政府は。これは、違法であるということを前提にしているから、戻すということの条約を批准しているんじゃないですか。大臣にお聞きしたいと思います。

森国務大臣 児童の権利条約第七条1では、児童は、できる限りその父母によって養育される権利を有することとされ、また、同条約第十八条1では、締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払うこととされております。

 我が国は、平成六年にこの条約を批准しており、同条約を遵守する義務を負っているものと考えます。

串田委員 今も明確に、共同養育をする義務を我が国は負っているということなんですが、大臣、この共同養育の義務を負っている我が国の法整備としては十分だとお思いでしょうか。お聞きをします。

森国務大臣 委員御指摘のような御意見があることは承知しておりますが、現在、家族法研究会において、離婚後の子の養育のあり方について、多角的な見地からさまざまな意見が交わされるものと承知しております。

串田委員 研究会で研究していただくのはいいんですけれども、現状が違法、今の現状が義務を果たしているかどうかというのは判断できると思うんですよ。そこまで研究会が行うわけじゃないですから。

 今大臣は、この条約は、共同養育を我が国はしなければいけないという義務を課せられ、そして、この権利条約には、しっかりと措置を講じなければならないという規定もあります。だから、その規定が今この国には備わっているのかどうかというのは、大臣、判断できると思うんですが、いかがでしょう。

森国務大臣 まず、一般論として申し上げますと、面会交流が適切な形で行われることは、子供の利益を図る観点から極めて重要であると思っております。

 もっとも、共同養育の内容は多義的でありまして、どの程度の頻度で面会交流を行うのが子供の利益にかなうのかは、個別具体的な事案ごとに異なるものと考えられることでございますので、一概にお答えすることは困難であります。

串田委員 毎回、個別という言い方をして答弁を避けるのはもうやめていただきたいんです。なぜなら、裁判所が先ほど、月一回というのが一番多いと答えたんです。ですから、大臣、月一回というのは共同養育として十分だというのが大臣の考えであるかどうかを確認したいと思います。これは個別具体的じゃないんです。裁判所のたくさんの数の中の最大値なんです、月一回。

森国務大臣 今申し上げましたとおり、共同養育の内容が多義的でございますので、一カ月に一回の頻度で面会交流を行うことが共同養育と言えるかどうかについては、個別具体的な事案ごとに異なるものと考えられますので、一概にお答えすることは困難であります。

串田委員 そうしますと、ことしの二月に国連の勧告が、この条約をしっかりと遵守するように、共同で養育をするようにというふうに我が国に対して勧告をしているという認識は、大臣、おありなんでしょうか。

森国務大臣 委員御指摘のように、児童の権利委員会から本年二月に、父母による児童の共同養育を実現するため、離婚後の親子関係について定めた法令を改正するとともに、子供と離れて暮らしている親と子供との定期的な人的関係及び直接の接触を維持することを確保すべきであるとの勧告があったことは御指摘のとおりでございます。

 我が国の親子法制については、法律面及び運用面のいずれについても、子供の利益の観点から必ずしも十分なものとなっていないとの指摘もされているところであり、この勧告もこのような指摘を踏まえて行われたものと理解しておりまして、この点について真摯に受けとめております。

串田委員 個別具体的と申しますと、今大臣が当事者になったらどうなるかというお話をしたんですが、もし大臣が当事者になって配偶者に連れ去られた場合は、大臣が会えるのは月一回ですよ、大概みんなそうなんですから。それを大臣が納得するかという話です、個別具体的なんという国会の議論で。月一回が家裁の数値なんですよ。

 そして、この六十年誌にはこういう表現もあります。最高裁にお聞きをしたいんですが、「違法な連れ去りがあったとしても、現状を重視する実務のもとで、違法行為がまったく問題とされないどころか、違法に連れ去った者が親権者の決定において有利な立場に立つのが一般である。」このようなことが日弁連の記念誌に書かれているんですけれども、裁判所としてはこのようなことを主張される意識はあるんでしょうか。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 家庭裁判所におきまして親権者の指定をするに際しましては、子の利益を最も優先して考慮しているものと承知しております。

 家庭裁判所において子の利益を考慮するに当たりましては、父母の側の事情や子の側の事情を総合的に考慮しておりまして、従前からの子の養育状況に加え、現在の監護状態がどのような態様で開始されたかといった事情についても適切に考慮しているものと承知しております。

 いわゆる子の連れ去りや連れ戻しがされる事情はさまざまでございまして、例えば、配偶者から家庭内暴力を受けていた親がやむにやまれず子を連れて別居するといった事案もあるものと認識しておりますが、他方で、一方の親が子を連れ去った際の態様等が悪質である場合に、そのことをその親に不利益な事情として考慮することもあるものと承知しております。

串田委員 原則は、連れ去ったら違法だという前提から始まらないと、世界は通用しないですよ。

 この六十年記念誌には、「子の連れ去り天国であるとの国際的非難を受けている」となっています。大臣、こういう非難を受けているという認識はあるんでしょうか。

森国務大臣 父母の一方が他方の配偶者に無断で子供を連れて家を出ていったために、子供と離れて暮らすことになっている親がいること、そして、我が国におけるそのような現状についてさまざまな意見が国内外にあることを承知しております。

 そして、委員が今、子の連れ去り天国であると非難されていることについてお尋ねがございましたが、そのような声があることを承知しております。

串田委員 今は北朝鮮まで、日本を拉致大国と言って非難しているんです。これはアメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国もそうですけれども、北朝鮮まで今、日本こそが拉致大国だ、拉致天国だ、こう言っているんですね。ニュースにもなっているわけです。

 そういう中で、ハーグ条約に違反して子供を連れてきた場合には、国際指名手配になり、あるいは重罪になるわけですけれども、このような状況に国民を危険にさらしているというのが、法務省がしっかりと、子の連れ去りというのは原則は違法なんだよ、いけないんだ、裁判所も、子を連れ去るということ自体はいけないんだというようなことをしてこなかったがために、私は、国民をここまで危険にさらしているというふうに思っているんですが、大臣はそういう認識はないでしょうか。

森国務大臣 我が国においては、児童の権利委員会から勧告を受け、真摯に受けとめていることを先ほど述べたところでございますが、民事執行法等を一部改正し、国内の子の引渡し及び国際的な子の返還の強制執行をより実効的なものとするために見直しがされたほか、先ほども申し上げました、家族法研究会で現在も親子に関する諸課題について検討をしているところでございますので、法務省としては、引き続き研究会における議論に積極的に参加してまいりたいと思います。

串田委員 ことしのG20の前にはワシントン・ポスト紙が大きく取り上げておりまして、トランプさんに安倍さんが、北朝鮮の拉致問題を何とかしてくれというようなことを紹介しながら、そこの最後の記事は、日本が先だろう、日本が子供を返すのが先だろう、こう書いてあるんですね。

 私はずっとブルーリボンをつけているし、拉致問題は日本の主権を脅かされているというふうに思っているので、私は日本の最大の課題だと思っているんですが、こういうようなことで、法務省が、国連からも勧告を受け、去年も二十六カ国から抗議を受け、フランスやイタリアは国営放送でずっとドキュメントが流されていく、こういう現状は、私は、この拉致問題に関しても、かなり法務省自身がネガティブな印象を与えてしまっているのではないかなというふうに思っています。

 研究会が進むということを私も期待していますけれども、これが立法事実なんだということを、大臣自身が当事者になれば、連れ去るという事実行為だけで、月一回しか会えない。そして、大臣、月一回会えなかったら強制執行できると言うけれども、間接強制しかできないんじゃないんですか、今のところ。そして、裁判所に言って履行勧告といったって、手紙や電話をするだけなんですよ。あとは何にもしてくれないんです。要するに、ずっと会えないで、何カ月も何年も会えない親がいっぱいいるわけですよ。そういう親がいる中で、私は、養育費を払う、金額を上げるということに反対じゃないです、子供の貧困のために。しかし、今のような、面会までできないような親だけが、養育費だけを国が一生懸命やるというのは、やはりこれは車の両輪からすると私はおかしいんじゃないかなというふうに思っています。

 きょうは一般質疑が本当に限られているので次に移りますが、また別の機会にお話をしたいと思うんです。

 児童相談所の質問をさせていただきたいと思うんですが、まず最初に、児童相談所の一時保護というのは憲法三十四条等の手続を経ていないと思うんですが、憲法上の問題は発生しないんでしょうか。

森国務大臣 児童福祉法上の一時保護の制度は、児童の安全を迅速に確保し、適切な保護を図ることを目的として、児童相談所長等が必要があると認めるときに一時的に児童を一時保護所等に保護する制度であります。

 もっとも、法務省は児童福祉法上の一時保護の制度を所管しておりませんので、憲法上の問題について答弁することは差し控えたいと思います。

串田委員 憲法の規定を見ていただければ、その憲法に書いてある手続を経ないで抑留しているんです。子供を保護するといいながら、子供はそこの施設から出られないんですよ。窓も十センチしかあかないんです。友達にも連絡がとれないんです。もう抑留されているんですよ。抑留される場合は、憲法上、手続があるわけでしょう。そして、国連も、司法上の手続を経なさいと書いてある。日本の憲法に書いてあることを日本がやっていないから、国連が、ちゃんとやりなさいよと言っているわけですよ。

 児童福祉法は、昭和二十二年、要するに戦災孤児のためにつくられた法律なものですから、とにかく、寝るところも食べるところもないから集めて助けようという法律なんですね。それをそのままに運用しているから、中に入った子供たちに義務教育なんて、当時はそんな余裕はなかったんですよ。

 義家副大臣にお聞きをするんですが、ずっと教育関係に携わっているので、あえて、所管は厚労ということを承知の上でお聞きをしたいと思うんですけれども、このように子供が義務教育も受けられないときに、これは保護と言えるのかどうか。私は第二の虐待だと思っているんです。手続もちゃんと経ていないんです。義家副大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

義家副大臣 お答えいたします。

 児童相談所による一時保護は、子供の安全、安心を確保するため一時的にその養育環境から離すものであるが、こうした場合でも学習機会を適切に確保することが重要であるとまずは認識しております。

 委員が御指摘のとおり、もともと、児童相談所の歴史というのは、戦後、孤児、遺児、浮浪児と呼ばれた子たちを保護して、そして、当時は教護院等々と呼んでいましたが、自立支援施設で育てるか、あるいは社会福祉施設で育てるか等々のさまざまな判断をするところが始まりでした。

 現在、一時保護の状況はどうなっているかといえば、児童虐待が約半分、四分の一がそのほか虐待外保護、これは家の家庭環境とかさまざまな問題、それからおよそ一五%が非行という形で、一時保護されている子供たちが混合処遇されているというのが今の状態でありまして、この中の問題について、恐らく厚労省もしっかりと問題を認識して対応していく必要があるんだろうと思いますが、個別の案件については、法務副大臣としてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 これまでも、児童相談所を所管する厚生労働省が中心となって、一時保護された子供が可能な限り通学できるよう、一時保護所等から子供が通学する場合の付添人の配置や、それから、これは私がお世話になったわけですけれども、里親を含めた委託一時保護の積極的な活用などの取組が行われるものと承知しておりますが、日本の義務教育制度は、委員御承知のとおり、市町村が小学校、中学校を設置しておりまして、必ずしも一時保護している児童相談所、一時保護所がその学区、その市区町村にないという場合、学籍は、もともと住民票のあるところに学籍がございますので、どのような、転校手続をとるか等々も含めてかなり混乱している。

 それから、非行等で一時保護されている子と、虐待と、それからそのほかの理由、家庭内の理由で学校にどうしても行きたいけれども行けないという理由等々が分かれていることだと思いますので、前にも答弁しましたが、やはり児童相談所、それから市区町村、それから教育委員会、これがしっかりと連携して子供の利益のためにいい方法を生み出していくことが最善であろうと思っています。

串田委員 再三厳しい言い方をしているんですけれども、実は、子どもの権利条約も一九九四年に日本が批准して、これまでの政権、連立内閣から始まってずっと、自民党も民主党もできなかったことなんですよ。ですから、それを、研究会も発足をしてくださって前向きになっているということ、そして今、児童福祉法、これは昭和二十二年から変えていないんですね。そういうものをぜひとも今の政権で変えていただきたい。

 そして、連れ去りというのが違法だということをスタートしたときに、先ほどの裁判所の話もありましたが、DV被害のこともあるんです。いや、DV被害があるじゃないかというようなことで、違法性阻却事由もしっかりとそこで明確にしていける。要するにDV対策にもなるんです。それをうやむやにしたまま連れ去り天国だなんという状況で放置しているということが、私は一番の問題であるということを指摘し、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、初鹿明博さん。

初鹿委員 立国社の初鹿明博です。きょうも質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず最初に、最近、芸能人の薬物事件についての報道が非常に多くなっております。特に、今、沢尻エリカさんが逮捕をされまして、きょうも、交際相手が逮捕されたという報道がされています。

 この報道に接していますと、非常に人格を否定するようなものであったりとか、裏切られたとか、また、出演していたテレビとの関係で損害賠償がどうだとか、かなり厳しい報道がされております。薬物は違法なものですから、これを使用したということは罰せられて当然でありますし、私も、薬物を使用するということはあってはならないと思っております。

 しかし、さはさりながら、使った本人が、今後、刑に服して、そして社会に復帰をしてくるときに、このような報道が連日されるということが、社会復帰や、本人の、薬物犯罪というのはもう依存症なわけですから、依存症というのは病気なわけですよね、その病気からの回復ということにつながるのかというと、非常に疑問を持っているわけであります。

 そこで、何点か質問をさせていただきます。

 このような、今の非常に厳しい、犯罪を犯した人に対する厳しい報道について、私だけではなくて、依存症にかかわっている方々も疑問を持っているわけです。

 御存じだと思いますが、国立精神・神経医療研究センターの、依存症の大家と言ってもいいと思います、専門家の松本俊彦先生は、ある雑誌のインタビューでこういうふうにコメントをしているんですね。

 まさにそういう取り上げ方って、薬物依存で治療中の人たちにとって悪い影響があるんです。話題になっている当人はもちろんそうですし、今、立ち直ろうとしているほかの人たちが報道に接して再使用してしまいかねない。依存症にかかっている人って、みじめさや情けなさ、恥ずかしさや自己嫌悪を自覚した瞬間に、しらふではいられない渇望のスイッチが入ってしまいます。こんなやつは消えてしまった方がいいと思って、自暴自棄になって、これまでの何倍もの覚醒剤を使ってしまったりすることもあります。

 こういうコメントを出しているわけです。

 しかしながら、この沢尻さんの報道を見ていたら、有名な、皆さんも知っているようなお笑いタレントの方がこんなコメントをしているんですよ。

 法をもう少し厳しくしてほしい。仮にこれで黒になったとしても、初犯で執行猶予じゃないですか。そこをもっと厳しくして、初犯だろうが二、三年、そう決めないと、本当に減っていかないですよ。

 つまり、刑を厳しくすれば、こういう犯罪は減るんだ、そういう主張をされている。

 こういう報道があったり事件があったりすると、厳罰化すれば減るんだ、厳罰化していないからいけないんだというような、そういうことが言われるんですけれども、まず、その点について、大臣、いかが考えていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。使用者に対して厳罰化することが薬物の犯罪を減らすことにつながるのかどうかということです。

森国務大臣 委員御指摘のとおり、薬物使用事犯に対して単に厳罰に処するだけではなく、薬物事犯の撲滅のためには総合的な対策が必要であると認識しております。

 そこで、政府としては、平成十年五月に策定した薬物乱用防止五カ年戦略を皮切りに、昨年八月には第五次薬物乱用防止五カ年戦略を策定し、関係各省庁が緊密に連携して、薬物乱用者に対する適切な治療と効果的な社会復帰支援による再乱用防止、薬物密売組織の壊滅、末端乱用者に対する取締り役の徹底等による薬物の流通阻止などの対策を推進してきたところでございます。

初鹿委員 単に厳罰化するだけじゃなくて、ほかの対策が必要だ、そういう説明でしたけれども、それだけでいいのかということをちょっと指摘をさせていただきたいんですね。

 結局は、そうはいっても、薬物を使用すると犯罪として罰しますよというのが前提の上でのいろいろな対策ということなんだと思うんですよ。

 あくまでも、私も、薬物を使用するということはいけないことだと思うし、なくしていかなければいけないというふうに考えております。薬物を売買をするような、売っているような人については、今以上に厳しく、厳罰化をするべきであるということも思っています。

 ただ、じゃ、使っている人たちで、自分が使っている以外にほかの犯罪をしていないような方々を厳しい刑に、今の現状でもですね、刑に処すということで、果たして薬物犯罪を減らすことになっているのかというと、私は必ずしもそうなっていないんじゃないか、むしろ、薬物を使用する依存症の人たちを温存することにつながっているんじゃないかというふうに考えるわけです。

 これは必ずしも私だけが言っているわけではなくて、先ほど紹介しました松本先生も、インタビューの中で、世界の潮流は薬物の非犯罪化であるということを述べております。

 海外に行くと、もう完全に、薬物の使用者を厳罰に処す、罰するということよりも、犯罪としては取り扱わないという方向にどんどんシフトしているんですね。特に、オーストラリアとかカナダとかスイスとかポルトガルとか、そういう国々で非常にうまくいっているんですが、この国々では、ハームリダクションという考え方、プログラムに基づいて薬物対策をしております。

 ハームリダクションというのは、言うとおりなんですが、被害を最小限にしていくということで、実は、薬物を使うということを認める前提でのプログラムなんですね。びっくりするんですけれども、注射室とかを設けるんですよ。薬物使用者がそこに行って、要は、新しい注射針をそこで提供してもらうんです。薬もあるんですよ。

 何でそうなっているかというと、薬物の注射の使い回しとかでエイズを始めいろいろな感染症になることを防いで、最低限の健康被害は防止しましょうとか、薬をちゃんと使えるという状況にあるということで、薬欲しさに売買をするとか、また密売組織とかかわるとか、そういうことがないようにさせていくということで、徐々に徐々に薬物使用から抜け出るようにしていく、そういうプログラムで、世界じゅうで、大体八十カ国ぐらいで今使われているということなんですね。

 さすがに、今、日本の状況でここまで許容するということは、私はなかなか国民の理解は得られないというふうに思います。しかし、こういう考え方も世界では進めていっているということもぜひ知っていただきたいと思います。

 その上で、そうはいっても、日本の国で、今、薬物を使用すると罰に処されるという状況でありますと、どうなるかというと、例えば、本当にやめたくてしようがない人たちが医療機関に行ってやめようかなと思っても、病院に行って、知られたら、警察に通報されて逮捕されてしまうんじゃないか、また、それによって社会的な信頼を全て失って、これからの人生がもう終わってしまうんじゃないか、そういうことでなかなか治療につながらないでいるということがあるんだというふうに思います。

 実際には、病院に行ったときに、医者には守秘義務があるので、必ず通報するということにはなっていないのが現状ですけれども、今、現状では通報されるケースがあるということですから、やはり抜け出たくてもなかなか治療につながらないというのが現状なんだと思うんですね。

 そこで、提案ですけれども、こういう自分から積極的に治療につながりたい、病院や回復機関に行って依存症から抜け出たい、そういう場合については犯罪として扱わない、非犯罪化というんでしょうか、刑を免除するといったらいいんでしょうか、そういう制度を設けることを検討し始めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

森国務大臣 先ほども述べました平成十年五月に策定した薬物乱用防止五カ年戦略を皮切りに、総合的な対策を実施してまいりましたところ、例えば、覚醒剤事犯での検挙人員は、ピーク時であった平成九年に比べますと約半数まで減少するなどの一定の成果が出てきております。

 ただ、委員御指摘のとおり、まだまだ対策の必要性があるわけでございます。平成二十九年十二月に閣議決定された再犯防止推進計画においては、委員御指摘の薬物事犯に関連するものについて、海外において薬物依存症からの効果的な回復措置として実施されている各種拘禁刑にかわる措置も参考にしつつ、薬物事犯者の再犯防止等において効果的な方策について検討等を行うこととしております。

 薬物の単純使用者について、薬物依存の治療を受けることと引きかえに刑を免除する等の制度については、理論的な問題のほか、治療的措置の体制、再犯防止効果など、さまざまな観点から検討を行っていくことが必要であると考えております。

初鹿委員 依存症という病気は、治療をして完全に治るというよりも、使わない状態が持続をしている、回復という状態がずっと続いていく、そういうものだと思うんですね。ですので、再発を防止するというためには、常に治療機関とか回復機関とかにつながり続けていくということが必要だというふうに思いますので、ぜひその点も踏まえて検討を進めていただきたいというふうにお願いをさせていただきます。

 それでは、次にまた、前回も質問させていただきましたが、外国人の長期収容にかかわる問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 この質問をするに当たって、ちょっと入管庁のホームページなどを見ておりまして、今、出入国管理政策懇談会の下に収容・送還に関する専門部会が設置をされて、二回ほど行われたんですね、二回ですよね。その二回の議事録を、どんなことが議論されているのかなと思って、見ようと思ったら、議事要旨しか公開されていなかったんですね。議事要旨しかクリックするところがなかったんです。

 そこで、お伺いしますけれども、これは、当然、議事録も公開するんですよね。現状は、準備ができていないから議事要旨だけだということなんですよね。議事録は当然公開するということでよろしいんでしょうか。

高嶋政府参考人 収容・送還に関する専門部会についてのお尋ねでありますが、今委員御質問の中で、二回行われたというふうに確認がございましたが、実は、二十五日に第三回も行っておりまして、三回実施しております。

 それで、御質問の議事録でありますが、概要は、もう既に一回、二回分はホームページ上に公開しております。それから、議事録ですが、これは逐語で作成しているために若干時間がかかっておりますが、これは、いずれにしましても、個人情報等、公にすることが相当でない部分を除きまして、ホームページで公開する予定であります。まさに今準備して、進めているところでございます。

初鹿委員 ぜひ、この収容、送還について、非常に関心もありますし、世界的にも課題だと言われている部分もたくさんあるわけですから、しっかり議事録全文をちゃんと、個人にかかわるような、プライバシーにかかわるところは当然削除するとしても、全文を速やかに公開するようにお願いをさせていただきます。

 それでは、本題に入りますけれども、きょう、ちょっと雑誌の記事なんですけれども、皆さんにお配りさせていただきました。

 これは非常に複雑な問題なので、この記事だけだとなかなかわかりにくいので少し説明をさせていただきますが、平たく言うと、スリランカ国籍の男性なんですが、現在、牛久の東日本入管センターに収容されております。ただ、自分の名前ではない別人の名前で収容をされ、そして退去強制令書も出されている。当の、自分の国であるスリランカの大使館は、ダヌカさんというんですけれども、ダヌカだと言っている、このダヌカだと大使館が認めている、そういう方なんです。

 そもそも、どういう経緯でこうなっているのかということですが、このダヌカさん、実は、結構スリランカでは裕福な家庭に生まれたという方なんですよ。それで、その家庭、家に対する反発とかがあったそうで、十六歳のときに、未成年だったということもあり、偽造パスポートで日本に入国してきます。それで十年間、いろいろな、土木作業とかをして働いておりました。チャミンダという名前で働いていたんですね。

 ところが、ある事件に巻き込まれて逮捕され、そして、日本できちんと罰を受けます。そして、チャミンダという名前のまま帰国をします。その後、実家に戻って、親が裕福なので、お父さんと和解をしたみたいで、貿易会社というのを立ち上げ、また、その親がかなり有力者なもので、政府からの仕事を請け負うような会社になるんですね。

 そうする中で、日本にいたときの、日本の知人を通して、日本の会社と取引しないか、貿易しないか、そういう相談を受けるということになりました。そこでいろいろやりとりをしていって、政府からもお金を調達をして、貿易のためのお金を国から、スリランカ政府から調達をして、それで準備を進めていったところ、何かおかしいな、いろいろそごがあるんじゃないかということで、とりあえず日本に行って直接会って話をしようということで、本名のダヌカという名前のパスポートをきちんと取得をして、ダヌカで入国するわけですね、日本に。

 そうしたら、その日本側でいたYという会社経営者が、実は完全に詐欺をするつもりで話を持ってきていたようで、このダヌカさんを監禁をして、五百万円出資をしろ、払えないんだったら帰さないというようなことで、二十日間ずっと監禁され続けていて、そして、ついに相手側も、これは多分うまくいかないんだろうなということで、ダヌカさんが以前、別の名前で入国をしていた、そういう事実も知っていたので、入管と警察に通報をして、ダヌカさんは逮捕をされるということになるわけです。

 そのときに、以前入国していたチャミンダという名前で指紋がとられていて、日本の当局からすると、あなたはチャミンダですねということになって、チャミンダとして出入国管理法違反で刑を受けるんですね。そこまでの間も、チャミンダとしてだったらスリランカに帰れるよとか、入管や警察からいろいろ諭されたり、だまされたり、おどされたりということがあって、やむなく、ダヌカという名前ではなくチャミンダという名前で納得をして、刑を結局受けることになってしまうわけです。

 その収容中に、違うよ、私はダヌカですということを改めて訴え出して、そしてスリランカ政府も、実はダヌカというパスポートが正しいんだということになっていくということになるんですが、その後、服役が終わって、日本側の入管側は、チャミンダだということで、ダヌカというのを認めていないので、これは直ちに退去する必要があるということで東京入管に一回収容し、今では東日本入管センターの方にいるという状況なんですね。

 あくまでもスリランカ側は、スリランカの大使館は、この人はダヌカです、ちゃんとダヌカの有効なパスポートがあるんです、だから、チャミンダで出国させようとしても、スリランカはダヌカじゃないと受けられませんということを主張している。一方で、日本側は、いやいや、チャミンダなんだということをいまだに言っていて、在留資格も認めないということをやっている。

 この状況だと、このダヌカさんは今後どうなるんでしょうか。在留も認められないでずっと入管施設に収容されていて、帰るといっても、もし本人がもう帰りたいと言っても、ダヌカのパスポートじゃないとスリランカは受けませんと言っているという状況だと、帰れないですよね。そうなると、理論上、ダヌカさんは死ぬまで入管施設に収容され続けるということになるんですが、大臣、そうなるということでよろしいですよね。

森国務大臣 お尋ねは、現在、訴訟係属中の個別の事案にかかわるものでありますので、お答えを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、退去強制手続に関する取扱いを定めた違反審判要領では、退去強制令書が発付された後、その記載事項に変更がある場合には、必要な調査を行った上で記載事項を変更することとしております。

 ただし、仮に身分事項の認定に争いがある場合には、退去強制手続における本人の供述や行政訴訟における裁判所の判断等を踏まえ、退去強制の対象者の同一性に誤りのないように慎重に判断していくこととなります。

初鹿委員 それは次のところで質問しようと思っていたところなんですけれども、もう一回、大臣、質問しますよ。

 今の現状は、日本の国は、この人はチャミンダであると言っております。スリランカの政府は、スリランカ大使館は、この人はダヌカと言っています。ダヌカのパスポートを、有効なパスポートを持っているんだから、ダヌカで出国をしてこない限り入国は認めませんと言っております。

 この状況が続く限り、ダヌカさんは入管施設で収容され続けることになりますよね。それで本当にいいんですか。収容し続けるんですか。

森国務大臣 お尋ねの内容につきましても、個別の事案にかかわるものでありますので、その前提事実の内容についてもお答えを差し控えざるを得ませんが、一般論として申し上げれば、先ほど申し上げたとおりでございます。

 そして、入管法に定める手続を経て適法に退去強制令書が発付された場合には、速やかにその外国人を送還をするということになるわけでございます。

初鹿委員 じゃ、とりあえず、現状のところを少し、命にかかわるような状態に今なっているので、そこについて伺いますけれども、現在、ダヌカさんは、私はダヌカであるのに、違う人にされているわけですよ。

 大臣、大臣が、あなたは森さんではなくて松島だといって、ここで松島大臣といって、みんなが松島大臣、松島大臣、みんな周りも松島大臣だということで扱われていたらどう思いますか。やはり、ちょっと精神的につらくなりませんか。

 ダヌカさんはそういう状況で、うつなどの非常に心身の病気も発症してしまって、七十キロあった体重が、十月の末ぐらいで五十一キロとか、それぐらいまで減少してしまっているんですよ。大体二五、六%の体重減少があるということであります。

 前回の質問のときにも指摘をしたと思いますが、平成十三年通知では、体重減が一〇%を超えると強制治療を行う、そういう通知が出ているわけですよね。今回、二十何%も減少しているわけですから、本来、強制的な治療を行ってもいいような状態にあるわけです。

 ところが、この支援者からの情報によりますと、何度か外部の病院に連れていかれているようではありますけれども、中での診察においては、ちょっと診察されることはあるらしいんですが、点滴治療などを全くしてもらえていないらしいんですよ。そして、日々食事もとれないので、どんどんどんどん体重が減少していて、衰弱しているのにそのままにされているということであります。

 せめて点滴の治療ぐらいはした方がいいんじゃないかというか、するべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

森国務大臣 個別の事案についてはお答えを差し控えますけれども、一般論として申し上げれば、入管収容施設において被収容者が病気等になった場合、医師の診療を受けさせ、病状に応じて適当な措置を講じることとしており、必要な場合、外部医療機関においても受診をさせることとなっております。

初鹿委員 じゃ、仮に適当な診療が行われていないとしたら、それは規則違反になる、そういう認識でよろしいでしょうか。

森国務大臣 規則違反等の前提事実については、事務方から答えさせたいと思います。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 医療的な治療が必要な収容者がいる場合に、それに適切な医療措置を講じていないとすれば、それは規則違反になり得ると考えております。

初鹿委員 じゃ、改めて確認しますけれども、拒食中の被収容者に対する平成十三年の通知、先ほども紹介しましたが、これによると、体重減が一〇%を超えたら強制治療を行うということになっておりますよね。

 仮に、二六%体重減になっている、そういう収容者がいた場合は、強制的な治療、つまり、本人が拒否しようが何しようが、点滴を打つなどの治療をする必要があるということでよろしいでしょうか。

高嶋政府参考人 個別案件は避けて一般論でございますけれども、あくまでも一般論として申し上げますと、平成十三年の通達は、これは治療も拒否しているような場合の強制治療に関する内容のものでございますので、治療を拒否している場合にはそのとおりでございます。

 ただ、治療を受け入れている場合にはその適用の余地はない、こういうことになります。

初鹿委員 ちょっと何かすごい変なことを言っているんですが、治療を拒否していたら点滴をするけれども、治療は別に拒否していない場合は必要があっても点滴をしない、そういうことですか。そうじゃないですよね。

高嶋政府参考人 今申し上げたとおりで、治療を拒否しないのであれば、当然、そこで点滴等が行われますので、その通達の適用の余地がないということでございます。

初鹿委員 では、本人が求めればきちんと治療をしてくれるということでよろしいわけですね。よろしいんですね。

高嶋政府参考人 そのとおりでございます。

初鹿委員 では、そこは適切に対応するようにお願いをいたします。

 それでは、ちょっとまた本論の方に戻りますけれども、森大臣、先ほど、この退去強制令書が発付された後に氏名等の変更があった場合には、きちんと事実を確認した上で、変更をするなら変更する、そして退去強制令書がきちんと発付されているようにしていく、そういうようなお答えがありました。

 そこで、確認をさせていただきますが、今回の例は、本人、ダヌカさんという人がダヌカなのか何なのかということで、ダヌカさんの国籍国であるスリランカの大使館は、この人はダヌカさんであるということを認めているわけですね。ちゃんと名前とパスポート、証明した文書なども私は持っていますけれども、大臣、見ますか、ここにありますけれども。裁判で提出された資料で、スリランカ大使館が、ダヌカですということを認めているんですよ。にもかかわらず、日本の入管は、この人はダヌカじゃないよと言っている。これっておかしくないですか。外交上、非常に問題があると思いませんか。

 どこの、どの法律の、どの権限に基づいて、その国籍国が、この人はダヌカである、ダヌカさんというのはおいておいても、一般論としてでもいいですけれども、この人はAという人物であるということを大使館が認めていることについて、我が国が、それは違う、別の何々さんですよ、Bさんですよというふうに、身元を認めず、別人として扱う権限というのはどこにあるんですか。法的根拠があるんでしょうか。こういう扱いができるというその根拠を示してください。

森国務大臣 お尋ねの個別の事案にかかわるものはお答えを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、出入国在留管理局においては、退去強制手続を受けている者の国籍国政府が発行した旅券等により身分事項を確認し、認定をしております。

 なお、身分事項の認定に争いがある場合には、退去強制手続における本人の供述や行政訴訟に係る裁判所の判断等を踏まえ、退去強制の対象者の同一性に誤りのないよう、慎重に判断をしております。

初鹿委員 ちょっともう一回確認ですけれども、じゃ、国籍国が、この人はダヌカである、この人はAさんであるというふうに認めて、その国からの正式なパスポートも出ていたとしても、国として違うという判断をしたら争いができる、そういうことですか。私は違うと思いますけれどもね。そういうことですか。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 退去強制手続に関する部分でございますので、当局の方から御答弁させていただきたいと思います。

 入管局におきます退去強制手続というのは、あくまでもその者に退去強制事由があるということを前提にした上で、その退去強制令書を発付して、同一性に誤りのないよう確認した上で手続をとっていく、こういう流れにございます。

 その際、委員が御指摘のように、その者がどういう名前なのかということは、同一性を間違えないための非常に大事な要素ではありますけれども、場合によっては、名前、氏名が不詳になる、あるいは争いがあるというような場合が一般論としてはございます。

 それで、その場合におきましては、あくまでも、先ほど大臣の方から答弁させていただきましたとおり、さまざまな資料に基づいて認定し、その同一に誤りがないことを確認して退去手続をとるということであります。

 その際、送り出すその相手国がそれを受け入れてくれるかどうかということはまた別の問題としてございますけれども、それはもちろん、受け入れるという前提で送還できる、こういうことになります。

 以上でございます。

初鹿委員 何かごまかしのようなことを言っていますけれども、そもそも何でこうなっているかというと、二回目に入国したときに、違う名前で処分をしてしまっている、これを訂正したくないからでしょう。これは、ダヌカという正しい、正式なパスポートで二回目は入国しているんですよ。前あったことは別ですよ。でも、二回目のときは正式なパスポートで入国しているわけだから、入管法違反でここで処罰される筋合いもないし、退去強制令書が発付される必要もないんですよ、ダヌカであれば。ダヌカなんですよ。だから、ここの処分自体、さかのぼって訂正しなければならなくなるから、それが嫌だから、あくまでもダヌカじゃないと言い続けているんじゃないんですか。これは余りにも私はひどいと思いますよ。

 そして、本人もダヌカだと言っていて、そしてスリランカ大使館もダヌカだと言っているにもかかわらず、ずっと違う名前で扱って、それだけじゃなくて、大使館から入管施設に対してダヌカ宛てで郵便物が来ると受取拒否しているんですよ、ここにはダヌカという人はいませんと言って。これは余りにもひどくないですか。

 領事関係に関するウィーン条約第三十六条には、「領事官は、派遣国の国民と自由に通信し及び面接することができる。派遣国の国民も、同様に、派遣国の領事官と通信し及び面接することができる。」とあるわけです。明らかにこの規定に違反していると思いますが、大臣、いかがですか。

森国務大臣 個別の事案にかかわるものはお答えを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、領事関係に関するウィーン条約は、領事官が自国民と自由に通信する権利や、拘禁されている自国民と面談、文通等をする権利を定めており、入管収容施設においても、被収容者と領事官との通信や面接について条約の規定を遵守して対応していかなければなりませんし、対応しているものと承知をしております。

 その上で、仮に入管収容施設宛てにいずれの被収容者の氏名とも異なる宛名の郵便物が郵送された場合、宛先の特定に問題が生じることから、返送したり、送付元に問合せを行うような場合もあるものと聞いております。

 いずれにせよ、外部との通信を含む被収容者の取扱いについては、関係法令に従うことはもとより、我が国が締結した条約及び確立された国際法規を誠実に遵守する必要があると認識をしております。

初鹿委員 時間が来たので、最後に一言だけ言わせていただきますが、面会をする人たちも、ダヌカという名前だと面会させてもらえないんですよ。別人の名前の、チャミンダことダヌカと書けば面会できるということですけれども、この扱いもひどいと思うんですよ。もう本人はダヌカだと言っていて、大使館もダヌカだと認めているんだから、まず、郵便物はきちんと本人の手元に届くようにするということと、面会も本人の名前できちんと受け入れるようにする必要があると思います。

 大臣、最後に、これについていかがですか。

松島委員長 時間が来ておりますから、一言だけ。

森国務大臣 今申し上げましたとおり、我が国が締結した条約及び確立した国際法規を誠実に遵守する必要があると認識しておりますので、私からも、改めて、その点に留意するように指示をいたします。

初鹿委員 ありがとうございます。

 終わります。

松島委員長 次に、山川百合子さん。

山川委員 立国社の山川百合子でございます。

 森大臣には二回目の質問となります。前回は、森大臣の大臣としての司法行政にかける思いと、それから特に障害児者への性暴力の問題を取り上げさせていただいて、大臣からは、率直な御答弁をいただいて、本当に弱い人、困っている人を助けたいという思いが伝わってくるような御答弁をいただいたことを本当にうれしく思います。それを受けて、もう一度、きょう、その障害児者への性暴力の関係で、少し前回の確認も含めて、もう少し具体的に伺っておきたいというふうに思うんです。

 まず、森大臣からは、私が幾つか事例を出させていただいて、その話を聞いて、更に障害をお持ちの方の実態を重く受けとめたので、しっかりと実態を把握し、着実な検討を進めていきたいという御答弁をいただけたことは本当に心強い限りであります。また、宮崎大臣政務官からも、私、御答弁をいただいて、やはり、終わった後も、この問題を一生懸命やっていきたいというお声をかけていただいて、本当に力強いと思っていますし、また、串田委員からも、この問題は非常に大事だということも、終わった後、お声かけいただいたので、やはり、ワーキングチーム、今やっているわけでありますけれども、そのワーキングチームでやっていることはもちろんですけれども、更に進めた調査なり対応なりをしていっていただきたいなというふうに思っているわけであります。

 少し細かくなりますが、いろいろと伺っていきたいんですけれども、そのワーキンググループ、定期会合を開いていますけれども、九月末に行われた第九回の会合の際に提出された第五回犯罪被害実態調査、暗数調査についてまず伺っておきたいというふうに思います。

 まず、この概要及びこの調査の結果についてお伺いしたいと思います。

西山政府参考人 御指摘の調査でございますが、この調査は、無作為抽出により選定した全国の十六歳以上の男女六千人を対象に、犯罪被害の実情等について、平成三十一年一月から二月にかけて調査を実施したものでございます。

 現在、調査結果の取りまとめ中ではございますが、性的な被害についての調査結果は、概要は次に述べるとおりでございます。

 調査回答者三千五百人のうち、過去五年間に性的な被害に遭ったことがあると回答した者は三十五人で、うち女性が三十人でございました。

 捜査機関に被害を届けなかったと回答した者は、その三十五人のうち二十八人でございました。その捜査機関に届けなかった理由について尋ねていますけれども、それほど重大ではないと答えたのが十人、どうしてよいのかわからなかった、括弧、被害を届け出る方法がわからなかったとの回答が八人などでございました。

 被害に遭ったことがあると回答した三十五人の被害内容、これは、一番最近の被害を尋ねてございますけれども、それについては、痴漢が十一人、セクハラが七人、強制性交等が一人、強制わいせつが一人、暴行や脅迫を受けていないが意に反するわいせつ被害が二人などとなってございました。

山川委員 今、概要及び結果の性犯罪のところをお答えいただいたんですけれども、これまでの暗数調査の結果と今回の暗数調査の結果を比較すると傾向に何か違い等が見られるか。つまり、性犯罪に関する法改正、刑法の改正が二十九年に行われた影響が調査結果から何か読み取れることがあるかという点についてお伺いしたいと思います。

西山政府参考人 平成二十九年の刑法改正は、平成二十九年七月から施行されております。

 今回の調査は、本年一月から二月にかけて、先ほど答弁したとおりですが、調査対象者に対しては、平成二十六年から平成三十年までの過去五年間に一回以上被害に遭ったことがあるかなどと調査したものでございます。

 すなわち、今回の調査対象者に聞いている対象期間、この五年間は、平成二十九年の刑法改正の施行日をまたいでおります。その上、施行後の期間が比較的短いということもありまして、今回の調査結果に対する刑法改正の影響について読み取ることはなかなか困難かなというふうに考えてございます。

 今後、同種の調査を継続していく中で、刑法改正の影響についても注視していきたいというふうに考えております。

山川委員 法改正をまたいでいる五年間ということですが、では、その性被害に関する調査について、前回調査から加えられた変更点とその趣旨ということについてお伺いをしたいと思います。

西山政府参考人 今回の調査の、前回の調査からの質問項目の主な変更点でございますが、性犯罪被害に遭ったと回答した方に対し、暴行又は脅迫があったかどうかを尋ねていること、それから、加害者との関係性について、教師、コーチ、職場の上司、先輩等の項目を新たに選択肢として設けたということがございます。

 このような変更をいたしましたのは、平成二十九年の刑法一部改正法附則九条を踏まえまして、性犯罪被害の実態についてより詳細に把握するため、このような変更を行ったものでございます。

山川委員 ありがとうございます。

 これまでの御答弁の中で、この法改正の影響については同種の調査をこれからも行っていきたいということがあったかと思うんですけれども、ただ、この犯罪被害実態調査は、性犯罪に特化した暗数調査ではなくて、いろいろな犯罪全体の中で性犯罪についても聞いているということの調査であるというふうに思います。それで、きのう問取りしたときにもう少し丁寧に私もお話ししておけばよかったなと思うんですが、今の御答弁を聞いていても、同種の調査をやっていくということは、それはそれとしていいと思うんですけれども、やはり、性被害に特化した調査というものを実態把握のためにやっていくべきじゃないかなというふうに思っています。

 御答弁にもありましたけれども、過去五年に性的な被害に遭ったことがあると回答した人は三十五人で、この調査全部を回答した方が三千五百人と理解していますので、一%ということでありますけれども、性犯罪の実態を、全体の中のどれくらいかということではなくて、その実態を見ていくには、ちょっと三十五人というのは母数としては少な過ぎるんじゃないかなというふうに思うんですね。

 確かに、加害者との関係性に関する項目とか、暴行、脅迫要件に関する項目を追加したとか、性犯罪、ストーカー、DV、児童虐待の各被害に関する質問では被害者の心情に配慮したということについては評価できるというふうに思いますが、やはり、性犯罪の被害者の母数が三十五と少なく、被害の実態を明らかにする十分な調査とはなり得ていないというふうに思います。

 ですので、同種の調査をまた継続してやっていくことに加えて、やはり性犯罪に特化した暗数調査が必要だと思うんですが、これについてはいかがでしょうか。

西山政府参考人 暗数調査と申しますのは、要は認知されていない犯罪実態を調べるということでございまして、どうしても、無作為抽出で、その母数を何人にするかというのはございますけれども、その中で調査をするということで、今回の調査も、六千人を対象にしてやったところ三十五人ということであったということで、性被害に特化するという暗数調査というのは、やはり、そうでない人も含めて無作為の中で何人いるかということでございまして、今回、三十五人というふうに少ない数でもあったということは御指摘のとおりではございますけれども、こういう調査とあわせまして、やはり、被害に遭われた方からのヒアリングを含めたいろいろな調査方法を検討していく必要があるかと思っています。

 今、法務省の方でも性犯罪の実態調査のワーキンググループがございまして、ヒアリングを行っておりますけれども、委員の御指摘も踏まえまして、今後も引き続き、実態把握のためにどのような調査方法があり得るか、検討してまいりたいというふうに考えております。

山川委員 いろいろな調査の方法を今検討しているということで、確かに、暗数というのは全体の中のどのぐらいかというのはありますけれども、被害の実態をどうやって明らかにしていくかということが今、この問題については非常に大事だというふうに思うわけであります。

 そこで、ここでは、特に障害のある方々の実態がどうであるかという調査をしっかりと進めていっていただきたいということでこの問題を取り上げているわけでありまして、大臣からは、先ほども、最初に、しっかりと実態を把握するために着実な検討をしていきたいというふうに言っていただいているんですね。

 前回も答弁とそして私の方から申し上げましたけれども、内閣府の調査では、性暴力被害を受けた方のうち何らかの障害ありという方が五五%であり、また、前回出しましたけれども、イギリスの大学とWHOの共同調査では、障害のある児童とそうでない児童の性的虐待を受ける割合が、障害のある場合だと二・九倍、精神障害や知的障害がある児童の場合は四・六倍という数字を御紹介いたしました。

 毎日新聞の調査もあわせて。これは、発達障害の方を対象にした、依存症や生きづらさに関して行った調査からは、発達障害の診断を受けたとする成人女性の四百三十五人のうち九十七人、率にすると二二・二%がこれまでに性暴力の被害に遭ったというふうに回答していると。

 いろいろな数字を拾ってきても、本当に被害の実態は深刻だというふうに思うわけであります。

 また、厚労省が、障害者虐待防止法に基づいて、その対応状況等に関する調査をしていますが、それによって養護者や障害者福祉施設従業者等による性的虐待の実態が一定程度明らかになっていますが、それ以外からの性被害については調査の対象外となっているということもありまして、大臣がおっしゃった実態把握、これが本当に大事だというふうに思うわけであります。

 そこで、一つ確認として伺っておきたいのは、前回の答弁で、法務省においては、性犯罪の裁判例に基づいて、被害者が障害を有するかどうかという観点にも着目した分析を行っているということで御答弁いただいているんですが、もう少し具体的に、この分析、どういう分析を行っているのか、これを伺っておきたいというふうに思います。

小山政府参考人 性犯罪の裁判例の調査でございますが、これは、平成三十年度に第一審判決が言い渡された事件につきまして、全国の検察庁から判決書の送付を受ける方法で調査を行っております。

 調査対象といたしましては、準強制性交等の事件、これは全件、それから、強制性交等罪の事件のうち、無罪が言い渡された、あるいは委員が御関心の、被害者が身体障害、知的障害、また精神障害、これは発達障害を含む、を有する事件、それから被告人が被害者との間に身分上又は業務上の……

松島委員長 もう少しはっきりとした声で。

小山政府参考人 失礼いたしました。

 被告人が被害者との間に身分上又は業務上の関係を有する事件、あるいは、児童福祉法六十条一項の事件のうち被告人が被害者との間に身分上又は業務上の関係を有する事件等の判決書の送付を受けております。

山川委員 どういう分析を行っているのかというふうにお聞きして、済みません、ちょっと私、理解がよくできなかったです。

松島委員長 わかりやすい答弁をお願いします、小山局長。私もわかりませんでした。

小山政府参考人 失礼いたしました。

 その裁判例の調査等につきましては、現在、分析中でございます。現時点でその結果をお示しするのは困難であることを御理解いただきたいと思います。

 この結果につきましては、実態調査ワーキンググループの取りまとめを行うことを予定しております来年春ごろまでには結果をお示しすることができるよう進めてまいりたいと考えております。

松島委員長 先ほどおっしゃったことについて質問があったわけですから。答えられないということですか。それとも、さっき何かごちょごちょごちょごちょいろいろおっしゃったことは、数なんかを言われたような気がしますが。どっちでしょう。

小山政府参考人 済みません、答弁がちょっと明確でなかったのかもしれません。

 判決書の送付を受けている事件の類型については、先ほど申し上げたのでございますが、準強制性交等事件全件、あるいは、強制性交等罪の事件のうち、先ほど申しましたように、被害者が身体障害、知的障害又は精神障害等を有する事件、あるいは被告人が被害者との間に身分上又は業務上の関係を有する事件、あるいは無罪が言い渡された事件等でございます。また、その他もございますけれども。

 まだ、この判決書を収集いたしまして、もちろん、ここの中でどういうような要素があるかどうか、そういう分析を今行っているところでございます。その結果をお示しするのは、実態調査ワーキンググループの取りまとめを行うことを予定しております来年春ごろまでに結果をお示しすることができるよう進めてまいりたいということでございます。

山川委員 判決書からどういう分析を行っているかは、まだ分析中ということで、ちょっと、どういう分析結果が出てくるのかは見ていきたいというふうに思うんですが、その実態調査を、判決文からももちろんなんですけれども、先ほど、暗数調査、数にあらわれてこないものを探すのが暗数調査であるということはあったんですが、この問題は本当に、顕在化させるにはどうしたらいいのかということが、やはりこの問題の、課題の大もとであるというふうに思うんですね。ですので、ぜひ実施していただきたいなと。

 その具体的な方法なり内容についてはまた検討していきたいというふうに思うんですが、ぜひやっていただきたいなというふうに思っているのは、全国の障害者団体や福祉施設、また障害者の支援施設、相談センター、又は性被害の相談センターなど、そして関係省庁が、もちろん法務省だけではなくて内閣府とか厚生労働省などが協力して、その実態が一体どうなっているのかということ。相談を受けているそのフロントの方々は、本当に、障害を持った方が性被害に遭うというのは非常に多いという実感ですね、日々の相談の中で見えているわけなんですけれども、ぜひ、協力し合って、積極的に実態把握をしていくために突っ込んだ調査をしていただきたい。

 ちょっと、具体的にどうするかというのはまた次の話なんですが、まずはやるということについて、ぜひ前向きな御答弁をいただければというふうに思います。

西山政府参考人 先ほど来申し上げています、法務省で行っております性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ、ここにおきまして、私どもとしても、障害のある方の性被害を含めた性犯罪の実態把握というところの問題意識から、性被害に遭われた障害のある方の御家族や、障害のある方への性暴力に関する啓発活動を行う団体等からのヒアリングも行っているところではございます。

 ただ、委員の御指摘も踏まえまして、関係団体、各所、そことの更に連携を深めて、さらなる調査のあり方についてはしっかりと検討してまいりたいと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 そして、ここで大臣に伺っておきたいと思います。

 もう前回の答弁で、本当に大臣はこの問題を深刻に受けとめていただいて、しっかり取り組んでいただけるというその姿勢はよく伝わってきているんですが、やはり、大臣がその決意、その気持ちをあらわす、大臣が一生懸命やってくださるんだという姿勢を見せてくださることは非常に、被害に遭われた方、あるいは声を上げられない方、支援者の方々にとってすごく勇気づけられるということでありまして、ぜひ、大臣が、被害者団体、被害者を支援する団体の方とか御家族の方とか、ワーキングチームでいろいろヒアリングもしていると思いますけれども、大臣御自身がそういう方々、相談センターの方も含めて、あるいは、この性被害ということに限らず、障害をお持ちの方を支援している方々等に会ってお話を伺っていただく、このことはすごく勇気づけられることだと思うんですね。ぜひ、大臣にその御決意を伺えればなというふうに思います。

森国務大臣 法務省には、犯罪の被害に遭うなどして傷ついている皆様を本来あるべき状態、正義が守られている状態に戻すという役割が期待されております。障害のある方も含め、犯罪の被害に遭われた方やその御家族の声にしっかりと耳を傾け、真摯に受けとめることが重要であると考えております。

 法務省においては、先ほど事務方から答弁したとおり、性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループを設置し、ヒアリングや各種調査研究を通じて、障害のある方の性犯罪も含めた性犯罪の実態把握を進めているところでございますが、引き続きこのような実態把握を着実に進めるため、事務方にはしっかりと進めるように指示をしているところでございますし、その中で、私自身が、被害に遭われた方やその周囲の方から直接お話を聞く機会を持つことも考えてまいりたいと思います。

 失礼いたしました。訂正をさせてください。

 障害のある方の性被害と言うべきところを性犯罪と言ってしまいましたので、おわびをして訂正をいたします。

山川委員 ありがとうございます。

 大臣御自身が直接お話を聞くことも含めて取り組んでいきたいという御答弁をいただけたことは、すごく、本当にありがたく、また勇気づけられることでございます。

 時間もないんですけれども、支援体制の強化、これは内閣府に来てもらえればもっと幅広くと思ったんですが、きょうは時間もないので、支援体制の強化、これは前回もお話ししましたけれども、被害に遭ったということを被害者が自分の言葉で語っていくことは非常に難しいという現実があって、子供には今、障害がなくても子供が被害者の場合は協同面接、司法面接、あるいは被害事実確認面接というような言い方もするようですけれども、これを行う取組が近年なされるようになってきています。

 子供と同様に、やはり、障害のある方がその被害を言葉にする、また状況をつまびらかにすることが難しいという現状を考えると、障害のある方が被害に遭った場合の協同面接、司法面接の体制整備というのも大変求められているし、急務、急いでそれに取り組んでいきたいというふうに思うんですけれども、法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 検察当局においては、児童が被害者等である事件について、児童の負担軽減及び児童の供述の信用性確保の観点から、関係機関の担当者と協議を行った上でその代表者が児童から聴取する代表者聴取の取組を行っておりまして、御指摘の司法面接はこのような取組を指しているものと思われますけれども、障害の内容や程度はさまざまであり、また、障害者に適した聴取方法もまたさまざまでありますので、障害者であるということから一律に代表者聴取を行うことについては慎重に考える必要があるとは思いますけれども、あくまで一般論として申し上げますれば、検察当局においては、障害者が被害者である場合には、負担軽減及び供述の信用性確保の観点から、その障害の内容や程度等を踏まえ、その供述特性に応じた適切な聴取方法を用いて事情聴取を行うように努めております。

山川委員 今、現状としても適切な事情聴取が行われるように努めていただいているということはわかりましたが、前回の質問のときに、百七十八条適用で、判例をお願いしますと言って、後から持って来ていただいた判例とか、私の方でもちょっと調べたりしたんですけれども、なかなか判例そのものが余りないということもわかりました、ほとんど出てこなかったということもありまして。

 ですが、その中でいろいろ見ていくと、供述、被害に遭った方々のどういう状況だったかという証言が、何度も話を聞かれるとそのたびにどんどん変わっていってしまう。それは、子供もそういう傾向があるようですけれども、いろいろとそういう専門家の方々のお話を聞くと、相手が求めている答えに、子供の場合は意識をせずに誘導されていく。つまり、実際に起こっていないことも起こったというふうに言ったりとか、記憶が曖昧になっていったりとか。判例を見ると、被害に遭ったという、被害を訴えた障害のある方が、週三回ぐらい被害に遭っていたという供述が、だんだん、週一回というか金曜日になったとか、証言が変わっていっちゃうということが判決文の中にも出ていたんですね。

 ですから、事情聴取のときにいろいろと対応はしていますということであるようでありますが、やはり、本当に負担のかからないような形で、どういうやり方が本当に、その障害の特性に合った、事情聴取を含めて、なるのかということをぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それでは、ちょっと時間が中途半端なんですが、来ていただいている方もいるので、最後ですが、あと数分ですけれども、ちょっとテーマがかわって、国連人権理事会のUPRについて。

 UPRというのは、普遍的・定期的審査、ユニバーサル・ピリオディカル・レビューについて、大臣からまず御答弁をいただければと思うんですが、四年に一度、国連の全加盟国を対象に、その国の人権状況が審査される。現在のところ、第三のサイクルで審査が行われているということで、日本はもう既に第三サイクルで審査済みで、二百十七の勧告を受けているということでありますけれども、細かくはできませんが、こういったたくさんの勧告を受けていることについて、大臣の御見解を伺います。

森国務大臣 御指摘の国連人権理事会の普遍的・定期的レビュー、UPRは、国連加盟国同士の対話や協力を通じて各国の人権状況の改善を促していくものでございます。

 我が国を含む各国が、勧告に対するフォローアップの実施等を通じて人権状況の改善に取り組んでいくことが重要であると考えております。

 法務省としては、勧告について、我が国の実情等を踏まえつつ、必要に応じて適切に対処してまいりたいと思います。

山川委員 細かく聞いていこうと思ったんですが、我が国としてはその勧告に対して四つの答え、四つの、そこまでできないですね。

松島委員長 持ち時間が終了しておりますので、短く。

山川委員 では、その勧告に対して適切に対応していきたいということでありますので、これはまた次の機会に、具体的なところについて伺っていきたいと思います。

 では、引き続きよろしくお願いをいたします。

    ―――――――――――――

松島委員長 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房長大塚幸寛さん及び警察庁長官官房審議官太刀川浩一さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 次に、日吉雄太さん。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速始めさせていただきます。

 きょうは、まず、桜を見る会についてお話をお伺いしたいと思います。

 最初に、昨日の記者会見で菅官房長官が、桜を見る会に反社勢力が参加していたことを認めました。反社勢力に対しては社会的に厳しい対応がとられている現状があります。芸能界では、吉本さんの芸人が闇営業を行っていたということで厳しく非難され、社会的な制裁を受けている、こういう状況がございます。

 なぜ反社勢力に対してこのような厳しい対応をとるのかという状況を踏まえた上で、暴力団対策法の趣旨についてまずお教えください。

太刀川政府参考人 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律は、暴力団員の行う暴力的要求行為等について必要な規制を行うなどにより、市民生活の安全と平穏の確保を図り、もって国民の自由と権利を保護することを目的としたものでございます。

日吉委員 そういった意味で暴力団を社会から締め出す、こういったことが行われているわけですけれども、そういったことを行う趣旨、具体的にどういった場面で締め出されているのかを含めて教えてください。

太刀川政府参考人 暴力団を締め出すというお尋ねでございます。

 暴力団排除ということでございますが、これは、直接、暴対法上の規制というのがございませんけれども、民間企業において、暴力団の排除につきましては、反社会的勢力との関係遮断に向けた取組がなされているものと承知しておりまして、警察としても、これらの取組について必要な協力を行っているところでございます。

日吉委員 社会の中で、警察庁としてはどういったところで排除をされているか、この具体例、把握しているものを、ありましたら教えてください。

太刀川政府参考人 警察としてはということではございませんけれども、あくまで事業者の取組としてということでございますが、例えば、証券業界におきましては、証券取引における暴力団排除として取引約款への暴力団排除条項の導入を、それから銀行業界におきましては、普通預金等の規定に暴力団排除条項を導入するなどしているものと承知しております。

日吉委員 今御説明いただいたように、銀行では、暴力団が口座を開くにも制限がございます。取引している相手方が反社勢力ということがわかればその契約を解除するというような契約も結ばれているわけでございます。

 そういった中で、今回、政府主催の桜を見る会において、反社勢力がこの会に参加していたという状況がわかったわけでございますけれども、こういった現状につきまして警察庁としてはどのようにこの事実を把握しているのか、教えてください。

太刀川政府参考人 警察庁では、主催者の方から名簿などは受け取っておらず、出席者の詳細については把握してございません。

日吉委員 名簿を受け取っていない、出席者の詳細を把握していないということではございますけれども、桜を見る会にはいろいろな方が出席されていて、警察としても警護等をされていたのではないかな、警備等をされていたのではないかなというふうに思っております。

 そんな中で反社勢力が参加していたということがわかったわけですので、その状況、どうして参加するに至ったのかといったことを調査していくことが必要だと思うんですけれども、今後の方針について教えてください。

太刀川政府参考人 この桜を見る会につきまして出席者について把握していないというのは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 ただ、この桜を見る会ということから離れて一般的に申し上げますと、行事の開催に際しまして、暴力団排除等の観点からいかなる措置を講じるかというのは、行事の性格、規模等に応じ、主催者において判断されるものというふうに認識をしております。

 桜を見る会に関しましては、今後、一定の見直しを行うというふうにされているものと承知しておりまして、警察としても、必要に応じて連携を図ってまいりたいと存じます。

日吉委員 今後連携を図っていくというお話がございましたけれども、連携を図るにおいても、現状、今回どうだったかということがわからなければ今後見直しをしていく方向性もわからないわけですので、今回、反社勢力が参加するに至ったということを、その状況を把握していかなければなりません。

 そういう上で、今回、反社勢力がなぜ参加するに至ったのか、これについて警察としては何らかの調査をしていかなければいけないのかなというふうに考えています。

 その中で、一般論でいいんですけれども、反社勢力が何か行動なり動きがあったときに、警察庁としてはどのような対応をされるんですか。

太刀川政府参考人 反社勢力が行動を起こしたというふうにお尋ねいただきましたけれども、合法、違法、さまざまな行為があろうかと思いますが、警察としてもし対処すべきことがございましたら、その具体的事実関係に即して、法と証拠に基づき対処していくということでございます。

日吉委員 その対処すべきかどうかということを見きわめるためには、どのような対応をされるのでしょうか。

太刀川政府参考人 お尋ねが、ある行事に関連してということでございましたら、先ほど申し上げましたとおり、その行事の主催者において一定の判断がなされるだろうというふうに考えております。

 ただ、それとは別に、一般的に、反社会的勢力とされる人の行動に対してどう対応するのかということでございましたら、その所管の部局等においてさまざまな情報の収集等は行っているところでございます。

日吉委員 今おっしゃられたように、さまざまな情報の収集を行っているところでございますということでございますので、今回、反社勢力がこの桜を見る会に出席していたということがわかったわけですので、それについての情報の収集等を行っているのであろうと推測をいたします。

 その中で今後対応をとっていくということだと思うんですけれども、現状の状況がどうであったのかというのは詳しく調査をしていかなければならないはずです。

 そんな中で、これも一般論で構わないんですけれども、こういった会にあって、どういった人が出席していたのかということを把握しなければいけないと思うんですけれども、そういった場合に、この名簿の提出を主催者側に求めるということはあるんでしょうか。

太刀川政府参考人 これは、具体的なそれぞれの行事等に応じて判断されることであろうかと存じます。

 先ほど申し上げましたとおり、この桜を見る会につきましては一定の見直しがあるというふうにされておりますので、主催者の方から要望等がございましたら、適切に対応してまいりたいと考えております。

日吉委員 ありがとうございます。

 では、次に、内閣府さんの方にお伺いいたしますけれども、今回、菅官房長官の記者会見で、反社勢力が参加していたと認められました。それを受けて、内閣府としては、この現状、どういう状況であったのか、どのように今現在把握していますか。教えてください。

大塚政府参考人 お答えをいたします。

 まず、この桜を見る会の招待者でございますが、これは、そもそも各省庁等から提出された推薦をもとに内閣官房、内閣府において取りまとめを行ったものでございまして、取りまとめの詳細につきましてはお答えを差し控えますが、その招待者の推薦に当たっては、氏名あるいは役職等の情報をいただいておりまして、こうした情報をもとに取りまとめを行っているところでございます。

 それからまた、この参加者に対しましては、会の当日、例えば入場時の招待状等の確認ですとか手荷物検査、金属探知機によるチェックなどの対応を行ってきているところでございます。

 その上で、個々の招待者につきましては、招待されたかどうかということも含めまして、これは個人に関する情報でございますので、従来からお答えを差し控えさせていただいておるところでございますが、いずれにいたしましても、さまざまな御指摘をいただいているところでございます。

 今後、その招待基準の明確化、あるいはプロセスの透明化等を検討いたしまして、予算、招待人数、あるいは本人確認の方法、セキュリティーの刷新、向上策等も含めまして全般的な見直しを、幅広く御意見を聞きながら行ってまいりたいと考えております。

日吉委員 今後見直しをしていくというのはわかったんですけれども、今回どこに問題があって反社勢力が参加するに至ったのか、この原因究明はできているのでしょうか。

大塚政府参考人 いろいろな御指摘をいただいているところでございまして、今後、そうしたことも含めて、全体の検討の中で、幅広く御意見をいただきながら検討を行ってまいりたいと考えております。

日吉委員 検討を行ってまいりたいということは、原因究明をするかどうか現在まだわかりませんということなのか、原因究明は当然しますということなのか、明確にお答えください。

大塚政府参考人 そういったことも含めまして、これからどうやって検討していくのか、それぞれ項目によっても検討の仕方も異なってくると思います。いずれにいたしましても、幅広く御意見をお聞きしながら検討を行ってまいりたいということでございます。

日吉委員 余り明確に御答弁いただけなかったように認識しております。

 もう一度だけお伺いします。

 原因究明はするのでしょうか。

大塚政府参考人 全体的な見直しの中で、一つ一つ、どういう形での検討を行っていくのか、それも含めて、これから幅広く御意見をお聞きしながら検討を行ってまいりたいと考えております。

日吉委員 ちょっと明確にならなかったと思います。

 ちょっと聞き方を変えさせていただきます。

 今回の招待状をお送りされておりますが、それは反社勢力だとは知らないで送っているわけですよね。それでよろしいでしょうか。

大塚政府参考人 先ほども申し上げました、個々の招待者にかかわるお話につきましては、これは、そもそも招待されたかどうかも含めまして個人に関する情報でございますので、従来からお答えを差し控えさせていただいておるところでございます。

日吉委員 個人についてといいましても、そもそも、その招待状が反社勢力だとわかって送っていたのか、わからずに送っていたのか、それとも招待状がどこか流出なりされたのか、それとも勝手に入ってきてしまったのか、こういったことについては現状どのように把握されていますか。

大塚政府参考人 私どもの推薦ないし取りまとめのプロセスでございますが、こちらにつきましても詳細は差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、提出された推薦等をもとにいたしまして、内閣官房、内閣府での取りまとめになるということでございます。

日吉委員 もう一度確認します。

 今後見直しはする、これは断言できるということでよろしいですか。

大塚政府参考人 ただいまの先生の御指摘に限らず、さまざまな御指摘をいただいているところというふうに認識をしております。

 先ほど申しました、例えば招待基準の明確化、プロセスの透明化を検討いたしまして、予算や招待人数、それから本人確認、セキュリティーの向上策等々も含めまして全般的に見直しを、幅広く御意見を聞きながら行ってまいりたいということでございます。

日吉委員 幅広く検討をして見直しをしていくというふうに理解しました。

 その中で、見直しをしていくのに当たっては、現状がどうだったかということを分析しなければなりません。現状分析をしないで、今回何が問題だったのか、そういう理由を明確にしないで見直しをすることはできないと思っています。

 だから、もう一度聞きます。

 今回の原因を究明するということでよろしいですか。

大塚政府参考人 具体的な、どういった形で検討を行っていくかということも含めまして、まさしくこれからの検討だと思っております。とにかく、検討をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

日吉委員 検討を行うまでもなく、原因究明はまず真っ先に行わなければいけないことだと思います。

 その中で、もう一つ、警察庁の方から、主催者側から要請があれば協力をするというお話がございました。

 警察庁の方に名簿を提出して協力を仰ぐ、こういうことは考えていらっしゃいますでしょうか。

大塚政府参考人 御指摘等から今いろいろ浮かんできておりますいろいろな問題点、それにつきまして個別具体的にどういうふうに考えていくのかという具体的なイメージを現時点で申し上げる段階にはございません。

 ただ、いずれにいたしましても、先ほど申し上げました招待基準の明確化等々、それからセキュリティー対策も含めて、幅広く御意見をお聞きしながら行っていくことにしたいということでございます。

日吉委員 そうやって見直しをしていくに当たっては、現状の原因をしっかり把握する、これを真っ先にやっていただきたいと思います。そうしないと、やはり国民の皆様の御理解というのは得られないと思います。

 社会において、反社勢力に対する厳しい取扱い、対応が行われております。そんな中で、芸能人はすごい社会的制裁を受けているのに政治家はのらりくらり逃げている、こういった批判も聞こえてきております。それでは非常に政治に対する不信というのは大きくなりますので、断固たる対応をしていただきたいというふうに思います。

 それと、もう一つ質問をさせていただきます。

 この招待状には番号が振られておりました。通し番号、連番になっています。その中で、区分番号というのが頭についていて、六十番から六十三番は総理、長官等の推薦者というようなことが仕様書に書かれているようなんですけれども、六十番台は、これは総理が推薦した人たちに招待状が送られた、こういうことでよろしいですか。

大塚政府参考人 御指摘の受付票に付された番号でございますが、これはそもそもなぜこの番号が振られているかということになるわけですが、これは実際、招待状等を発送するに当たりまして、できるだけ効率的に行いたいということで、便宜的にこの番号を付与しているものでございます。

 したがいまして、会の終了をもってこの使用目的等を終えるということもございまして、現時点でこれらの情報を私どもとして保有しておらないという状況でございます。

 したがいまして、今のお尋ねに対しましても、お答えすることはできないということでございます。

    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

日吉委員 その資料はないのかもしれないですけれども、記憶として、六十番台は総理の推薦者に対して発送したんだ、こういう記憶を持っている方はいらっしゃらないんですか。

大塚政府参考人 あくまでも、こういう場でのお尋ねでございますので、きちんとして組織としてお答えすべきだとも思っておりますし、先ほどの番号の性格、あくまでも発送を効率的に行うための便宜的な付与ということでございまして、会の終了をもって使用目的を終えることから、現時点ではこの情報は保有しておらず、お答えすることはできないということでございます。繰り返しで恐縮でございます。

日吉委員 もう一つお尋ねします。

 六十番、六十一番、この六十番は一つの属性の方に対する発送先ということで、それが混在していることはない、こういう理解でよろしいですか。

大塚政府参考人 この招待状の分類番号自体が先ほどのような性格を持つものでございますので、全て今では使用目的を終え、保有してございませんので、今のお尋ねにつきましても、お答えできるだけの材料を持ち合わせていないということでございます。お答えができないということでございます。

日吉委員 今後の見直しの中で、今回の原因究明をいろいろ行っていくと思います。その中で、やはり究明に当たっては、誰が招待されていたのかというその名簿、これは必ず必要になってきます。だからこそ、データ上残っているのかどうか明確にわかりませんけれども、ないのであれば、そのデータの復旧も含めて、警察庁の方々と協力の上で対応をしていただきたい、このことを申し上げさせていただきます。

 大臣にお伺いいたします。

 このように、今回、反社勢力が桜を見る会に参加していたということなんですけれども、本来、功績があった、功労のあった方々を招待するという、こういう桜を見る会の趣旨からいたしまして、こういった現状について、会のあり方、これについて法務大臣としてどのようにお考えになっているのか、御答弁をお願いします。

森国務大臣 桜を見る会の招待者については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめているものでございまして、法務大臣としてはコメントする立場にございません。

日吉委員 法務大臣としてコメントする立場にあると思います。所管は違うのかもしれないんですけれども、法務大臣としては、やはり法の正義、こういったものを守っていく先頭に立っていかなければならないと思います。その中で、不法行為を働いているという反社勢力が政府の主催する公的な会に参加している、こういった中で、大臣がそれについてコメントをしないというのは国民の理解が得られないと思いますので、大臣のお考え、お気持ちを明確に御答弁をお願いします。

森国務大臣 お尋ねの桜を見る会については、その招待者については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめておりますので、法務大臣としてコメントする立場にはございません。

 ただ、一般論として申し上げますと、法務省が法に基づいて、正義を実現するためにその適用をしていくということはまず委員のおっしゃるとおりでございますが、桜を見る会の招待者については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめておりますので、法務大臣として、立場上、コメントする立場にございませんことを繰り返させていただきます。

日吉委員 法務大臣として、警察庁につきましても所管されているわけでございますから、今回の反社勢力に対する対応につきましては、内閣府そして警察庁と協力しながら原因究明をしていただくよう、法務大臣からもお願いをしていただきたいということを申し添えさせていただきます。

 大分時間がなくなってきてしまいまして、いろいろ予定していた質問ができなくなってまいりました。金融庁の方にもきょうはちょっとお越しいただいているんですけれども、一問だけお伺いをさせていただきます。

 有価証券報告書と計算書類、これが書類の内容がかなり重複しているという現状があります。上場企業においては、決算短信の作成、株主招集通知につける計算書類の作成、そして金商法に基づく有価証券報告書の提出という、かなり負担感が多いという中で、これらの計算書類と有価証券の財務諸表、これを一元化して開示していくということが進められているところです。

 そんな中で、監査も、金融商品取引法に基づく監査と会社法に基づく監査、これが二つ今行われている現状があります。これについて、将来的にこれを一元化していくことが効率性という意味でも非常に重要になってくるのかなと思っております。

 この点につきまして、金融庁にお尋ねいたします。今後の方向性について教えてください。

    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

油布政府参考人 金融庁からお答えいたします。

 企業の開示につきましては、制度上は、金融商品取引法と会社法の双方の要請を満たす一つの書類を作成して開示するということは可能になってございます。その一つの書類で開示されるということであれば、その監査報告書を一体的に作成するということについても検討が必要になるわけでございます。

 この点、日本公認会計士協会におきまして、現在、金商法と会社法に基づく両方の監査に係る一体的な監査報告書のひな形の検討を行っているというふうに認識しております。

 今後、一体的開示を行おうとする企業の取組、連携などにつきましては、関係省庁として支援していくということが定められております。その中で、この監査報告書につきましても適切なサポートを行ってまいりたいと思っております。

日吉委員 ありがとうございました。

 もう一つ、先日、会社法の改正案におきましては社外取締役が議論になりましたけれども、現在、監査役については、社外監査役、これが導入されております。そんな中で、社外監査役が導入されているんですけれども、なかなか、企業の粉飾決算、こういったことを未然に防止できていないという現状もございます。

 会社内部におきまして監査役に会計的知見のある者がつくことによって、会社内で粉飾決算を防止する機能を強化していくべきではないか、こういうふうにも考えますけれども、今後、監査役の資格として、社外監査役に会計の知見を持った方を必須で置くというような方向性、こういったものは考えられているのかどうか、教えてください。

小出政府参考人 お答えいたします。

 社外監査役制度の趣旨は、客観的、第三者的立場から監査を行うことができる者を監査役にすることによって、監査役の取締役会からの独立性を高め、取締役の職務執行に対する監査機能を高めることにございます。

 コーポレートガバナンスの向上のためには、監査役会が取締役の職務執行に対する監査を適正に行うことができるよう、その構成員には相応の知識、経験、能力がバランスよく備わっていることが重要でございますが、実際に誰を社外監査役に選任するかにつきましては、基本的に各会社において、その経営課題等を踏まえ検討されるべき事項であると考えられます。

 したがいまして、会社法において、社外監査役のうち一人以上については、例えば会計の専門家等、一定の資格を有する者の選任等を義務づけるということにつきましては、現時点では特に検討しておりませんが、一般論として申し上げれば、委員御指摘の公認会計士は、会計、会計監査、税務等の専門家でございまして、その専門的な知見に基づいて、他の監査役とは異なる視点で意見を述べ、監査を行うことが可能でございまして、社外監査役の有力な候補であると考えております。

日吉委員 時間が参りましたので、終わります。

 どうもありがとうございました。

松島委員長 次に、藤野保史さん。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、性暴力をなくすための刑法改正について質問いたします。

 ことし四月から、毎月十一日にフラワーデモというものが行われております。十一月は、東京駅前の広場で三百人が参加をいたしまして、私も参加をしてまいりました。これは、デモという名前がついていますけれども、実際には、何か行進したりするわけでもなく、性暴力の被害者の方あるいは支援者の方が静かにお話をされる、そういう場でございます。

 今月の十一日、ある女性は、兄弟がたくさん寝ているその場所で、子供のころ、父親に性暴力を受けたと。私が家族を守らないといけないという思いで、母親にも相談できなかった。家族を守るために黙っていたはずなのに、あるときからその家族に殺意を抱いてしまって、自分も自殺しようというふうにずっと思っていた。しかし、この場で、そのフラワーデモの場で話すことで、初めて死にたいという気持ちが消えていきました、こういうお話でした。

 男性もいらっしゃっているんですね。ある男性は、男が来ると嫌がられるかもしれないと思ったけれども、結構来ていて安心した、自分のほかにも。初めは自分も関心がなかったけれども、いろいろ知るにつれて、これは女性や被害者だけの問題ではない、社会全体の問題だし、自分自身の問題だと思うようになった。だから、きょう初めて参加しました、こういう若い男性でありました。

 大臣、今このフラワーデモというのは、全国二十七都市、海外にも広がっているんですね。

 ちょっとお聞きしたいんですが、なぜこのフラワーデモがこの短期間にこれだけ広がっているのか、大臣はどのようにお感じでしょうか。

森国務大臣 藤野委員にお答えいたします。

 フラワーデモについては、性被害を経験した方やそれを支援する方がみずからの経験を語るなどし、その思いを共有するとともに、性犯罪、性暴力を許さないという声を上げる場として、毎月十一日に全国各地で開催されるようになったものと認識しております。

 それぞれの皆様の体験や人生の中でさまざまな思いがあると思いますが、私なりの理解を申し上げますと、性犯罪や性暴力は、被害に遭った方の心身に大きな苦痛を与え、その方の人格や尊厳に取り返しがつかない傷を負わせるものであり、そうであるがゆえ、みずからの性被害経験を語るということは、多くの場合、大きな心理的抵抗を伴うものであるところ、性犯罪や性暴力を絶対に許さないという強い思いに基づいてみずから声を上げた皆様が集まることによって、多くの人がその思いに共感して行動をともにし、また、それに後押しされる形で、これまで声を上げることができなかった人も声を上げるようになっているなどの意義があるものと考えております。

藤野委員 ありがとうございます。

 このフラワーデモを主催している団体のフェイスブックを拝見しますと、やはり一つの大きなきっかけとして、ことしの三月に四つの地裁判決が連続したということが紹介されているんですね。

 三月十二日の福岡地裁、これは、女性が抵抗できなかったという状況を認定しながらも、男性が、加害者が、女性が合意していたと勘違いしていたという理由で無罪になっている。

 三月十九日の静岡地裁は、女性が暴力を振るわれて反抗が困難だったということを認めた上で、被告から見て明らかにそれとわかる形での抵抗はなかったという理由で、これは無罪になっている。

 三月二十六日の名古屋地裁は、娘が中学二年生のときから性虐待をしていた父親が、その性虐待を認めながらも、抵抗しようと思えばできたという理由で無罪になっている。

 三月二十八日の静岡地裁は、当時十二歳の長女を二年にわたって性暴力をしていた父親に対して、少女の、被害者の証言が信用できないというのを主な理由として、無罪になっているわけですね。

 そのフェイスブックを拝見しますと、こういう言葉があるんです。もう黙るのは嫌だ、黙ることでなかったことにされるのはもう嫌だ、合意のない性交が罪にならない社会は嫌だ、そのために何ができるか、まずは話し合おう、考えよう、痛みを分かち合いながら、こういう言葉でございます。こういう思いで始まったものが今全国に広がっている。

 そして、やはりこの刑法改正を求める声が一体となって広がっていると思うんです。あったことをなかったことにされる、そういう社会を変えていくんだけれども、その変えていく上で、やはりこの刑法改正というのが不可欠だということだと思うんです。

 大臣、今、ワーキンググループ、取り組まれていると思うんですが、これは来年春ということですけれども、しかし、実際、間に合うのか。もう施行から三年たつわけですね、来年。それとの関係で、私は、この声の広がりに応えるためにもしっかりと間に合わせていくべきだと思うんですが、この点についてどのようにお考えでしょうか。

森国務大臣 平成二十九年七月に施行された刑法の一部を改正する法律の附則第九条は、政府に対し、施行後三年を目途として、性犯罪における被害の実情、同法による改正後の規定の施行状況等を勘案して、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策のあり方について検討を加えることを求めるものでありまして、法務省では、その検討に資するため、御指摘の性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループを平成三十年四月に設置して、性犯罪被害者を含めたさまざまな立場の方からヒアリングを実施しているほか、改正後の規定の施行状況の調査、無罪判決等の収集、分析、諸外国の法制及びその運用の調査研究等を進めているところでございます。

 御指摘のとおり、その結果については来年春ごろを目途に取りまとめ、三年目途というところに間に合うように鋭意行っているところでございますが、性犯罪の実態に即した対処を行うための法整備については、それらの各種調査研究の結果やさまざまな御指摘を踏まえ、十分に慎重な検討を行う必要もありますので、引き続き、着実に、かつ適切に対応してまいりたいと思います。

藤野委員 これは、大臣の先ほど答弁があったように、性暴力というのは人格に取り返しのつかない傷を与えると大臣はおっしゃいました。そのとおりだと思うんです。こうしたことをやはり先延ばしにすれば、またさらなる被害者が生まれるわけですから、これは三月に向けてその取組を加速していただきたいというふうに思います。

 そして、法務省にお聞きしたいんですが、刑法の百七十六条、百七十七条は、改正された後でも十三歳というものが残っております。

 この十三歳という年齢で暴行、脅迫要件を必要とするかどうかが分かれるわけですが、なぜ十三歳未満の者はこれが不要になるのか、これはどういう理由からでしょうか。

小山政府参考人 お答えを申し上げます。

 現行刑法は、十三歳未満の者につきましては、一律に、性的行為に関して同意、不同意を決する十分な判断能力がないものといたしまして、暴行、脅迫がなくても強制性交等罪が成立することとしているところでございます。

 この年齢についてのお尋ねですが、これは、経緯を申しますと、明治十三年太政官布告であります旧刑法におきましては、十二歳未満と規定されておりました。これが、現行刑法が制定された明治四十年に十三歳未満に引き上げられたものと承知をしております。

 また、この年齢が十三歳未満とされた理由でございますが、これは、過去の文書を見ますと、現行刑法の制定当時であります明治四十年の刑法改正案理由書におきましては、女子発育の程度を探求したる結果改正を加えたるものなりなどとされているところでございます。

藤野委員 私が聞いたのは、例えば、コメンタールに載っている解説によりますと、十三歳未満の者は、わいせつの意味を十分に理解できず、同意能力にも欠けるため、暴行又は脅迫によらない場合であっても本罪を構成する、こういうふうに説明されておりますが、こういう理解でよろしいですか。簡潔に。

小山政府参考人 御指摘のとおりと思いますが、性的自己決定をする能力が欠けていると申しますか、不十分ということが前提になっているかと考えております。

藤野委員 その前にもおっしゃったんですけれども、現行刑法の十三歳という要件は、これは明治四十年ですから一九〇七年なんですね。実に百十二年前の法律でありますし、この刑法がモデルにしたのはフランスの刑法典ですけれども、これは一八一〇年なんです。ということはもう二百九年前でして、いわゆる性交同意年齢というのを、二世紀以上前、二百年以上前の発想に合わせていまだに十三歳にしているというのは、これもやはりちょっと時代に合わないし。

 この考え方の発想というのは、私は今の刑法典の構成にも残っていると思っていまして、刑法は、御存じのように、保護法益ごとに条文がまとめられているんですが、性犯罪というのは第二十二章なんですね。その前後に何があるかというと、二十一章は虚偽告訴罪、二十章は偽証罪であります。二十二章の後ろに何があるかというと、賭博罪があったり、二十四章は礼拝所及び墳墓に関する罪があったり、二十五章は汚職なんですね。つまり、社会的法益なんです。社会的道徳を守ろうという、いわゆる姦淫とかですね、そういうものを守ろうという発想の中で刑法が組み立てられて、二十二章に性犯罪が入っていて、これを乗り越えようと二〇一七年に議論があったというのは私も承知しておりますけれども、いまだにここの章にあるというのは、やはりそうした残滓が残っているんだというふうに思います。

 二〇一四年七月には国連人権規約委員会、そして二〇一六年三月には女性差別撤廃委員会から、それぞれこの年齢についても懸念が示されております。

 今検討されているのは承知しているんですけれども、その上で、一般論なんですけれども、法務省にお聞きしますが、一般論として、性的自己決定権とおっしゃいましたが、能力とおっしゃいましたが、そうした能力にいろいろな理由で欠けてしまう、理解能力とか同意能力とか、そういうものが欠けてしまう者はやはり法的には保護しないといけないというのが一般的な理解である、そういうことでよろしいですか。

小山政府参考人 お答えを申し上げます。

 刑法は、強制わいせつ罪、強制性交等罪等の規定によりまして、性的自由又は性的自己決定権を侵害する行為を処罰しておりますが、委員御指摘のように、性的自己決定をする能力が欠けている者に対する性的行為につきましては、御指摘のような、十三歳未満の者について、暴行又は脅迫がなくても強制性交等罪が成立するものとし、あるいは、その者が障害等のため、障害も含めまして、心神喪失、抗拒不能の状態にあるようなときは準強制性交等罪が成立するものとし、保護の対象としているところでございます。

藤野委員 ちょっと答えがずれているんですね。

 私は、年齢というのは、あくまで一つの線は引かれるとは思いますが、趣旨というのがそこにはあって、やはりその趣旨からすれば、例えば二十歳になっていてもそういう能力が欠ける場合、今からやりますけれども、障害児者のような場合は、本来であれば保護の対象にしないといけない。しかし、実際の裁判例を見ますと、二十歳だからという理由で形式的に判断したりする、そういう実務があるわけですね。ですから、それはやはりおかしいというふうに思うんです。

 今からちょっと障害児者への性暴力に対する話も伺っていきたいと思うんですが、まず、先ほどちょっと小山刑事局長の答弁であったので確認したいんですけれども、今いろいろ検討されているのは私も知っているんですが、裁判例というところで、先ほど、平成三十年度までの一審事件について、いろいろ判決書の送付を受けているというような答弁があったと思うんですが、三十年度までということでよろしいですか。

小山政府参考人 裁判例の調査でございますが、これは平成三十年度に、平成三十年度の一年度に第一審判決が言い渡された事件を対象としております。

藤野委員 三十一年度は含まないんですね。

小山政府参考人 はい、現時点では含んでおりません。

藤野委員 先ほど言いましたように、フラワーデモが始まったきっかけというのは、三十一年度です、二〇一九年度に起きた地裁判決なんです。これを、なぜ無罪になったのかという分析なくして、今度の刑法改正をやろうというんでしょうか。私は、それはちょっと違うんじゃないかと思うんですね。

 平成三十一年度もぜひ加えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

小山政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申しましたのは裁判例の調査でございますが、この調査のほかに、改正後の規定の施行状況の調査がございます。

 これは、全国の検察庁から、平成二十九年七月十三日以降に起訴した事件のうち、強制性交等罪及び準強制性交等罪を適用した事件で肛門性交等の実行行為があるもの、強制性交等罪等で被害者が男性である事件、監護者わいせつ、監護者性交等を適用した事件、これは、要は新法によって新たな規定ができた事件につきまして、その裁判結果等について報告を受けているほか、監護者わいせつ、監護者性交等を適用した事件については、不起訴とした事件についても、その事案の概要等について報告を受けているところでございます。

藤野委員 いや、答えていないんですね。三十一年、実際にもう地裁判決がおりているんです、起訴云々じゃなくて。

 この三十一年の三月以降の四つの判決は分析対象なんですか、結局。

小山政府参考人 そのほか、いろいろ……(藤野委員「四つがどうかだけ答えてください」と呼ぶ)はい。それは、社会の耳目を集めた性犯罪事件につきましても、判決書の収集、分析は行われることとされております。

藤野委員 耳目を集めていますので、これは含まれるというふうに明言してください。

松島委員長 小山局長、はっきり答えてください。

小山政府参考人 現時点で、少なくともその事案自体の判決書は収集はしてございます。

松島委員長 四つが含まれるということですか。

小山政府参考人 事案自体の判決書は収集しております。それをどのように分析することになるかにつきましては、現時点では確たることは申し上げられません。

藤野委員 この四つを分析せずに今度の刑法改正というのは、私はあり得ないと思うんです。

 一つだけ紹介しますけれども、例えば、静岡の事案でいえば、被害者の少女が児童相談所の職員に、前日には、また家に帰らないといけないというので、もう告白したというんですね、こういうことを受けていると。そのときに、毛布にくるまって顔面蒼白であるなどということが認定されているんです、判決の中で。にもかかわらず、判決で何と言っているか。

 しかし、実際には姦淫被害がなかったにもかかわらず、本件被害者が姦淫被害があるかのように振る舞った可能性を否定することができないと。十二歳の少女がね。

 あるいは、PTSDテスト、このテストが数値が高いと、要するに信憑性が高いということなんですけれども、被害を誇張して申告することで容易に高い得点を得られるものであることは明らかであってと、こういう認定もある。

 さらには、この被害者は知的障害があるんですけれども、知的障害だから性的知識がどうかという点についても、知的障害はあるけれども、架空の性被害を訴える程度の性的知識を獲得していた可能性は否定できない、ここまで言うんです。

 こういう認定がなぜ行われたのかということも含めて、ちょっとやはり、分析をしているとおっしゃるわけですから、分析していただきたいと思うんですね。

 その上で、お聞きしたいと思うんです。

 NPOしあわせなみだの中野宏美さんからもお話をお聞きしました。そういう意味で、こうした現状、裁判実務が生まれてくる大きな理由として、被害者が障害児者であることをやはりしっかり法律で構成要件化すべきだという指摘があるんですね。これは山川委員からも御指摘がありました。

 これは、二〇一四年の十月、当時の松島法務大臣、委員長の御指示で法務省に性犯罪の罰則に関する検討会が設置され、二〇一五年八月に取りまとめ報告書が提出されております。

 これは、私は、松島委員長、当時大臣の指示は大きいと思いますし、やはり与野党を超えてこの問題は取り組んでこられたということに敬意を表したいと思うんです。同時に、やはり与野党を超えて国会を動かしてきた被害者の方、そして関係団体の方に、本当に心から敬意を表したいと思います。

 そういう取りまとめられた報告書の中に、そういう一文もあるんです。ちょっと十八ページ、もうこちらで紹介させていただきたいと思うんですが、この取りまとめの報告書の十八ページにこうあるんです。

 「基本的には、強姦罪における暴行・脅迫要件を撤廃することが望ましい。もっとも、撤廃までは難しいということであれば、強姦罪の本質は不同意性交の罪であることを前提に、現行法で強姦罪及び準強姦罪の要件とされている暴行、脅迫、心神喪失、抗拒不能に加え、」この後です、「不同意の性交を類型化する要件として、例えば、不意打ち、偽計、威力、薬物の使用、被害者の知的障害などを要件化することを検討するべきである。」こうあるんですね。知的障害などを含めて要件化することを検討すべきだとあるんです。

 大臣、この指摘は私は重いと思います。今後の検討に当たっても、この知的障害を含む要件化を検討すべきではありませんか。

森国務大臣 御指摘の、松島みどり元大臣時代に御指示があって行われた性犯罪の罰則に関する検討会では、不同意の性交を類型化する要件として、委員御指摘のような、不意打ち、偽計、威力、薬物の使用、被害者の知的障害などを要件化することを検討すべきであるという意見が述べられております。

 また、先ほど申し上げた実態調査ワーキンググループにおいては、障害者への性暴力に関する啓発活動を行う団体からのヒアリングで、障害に乗じた性犯罪を規定すべき、被害者が障害者であった場合、抗拒不能状態として認定すべきといった意見が述べられております。

 平成二十九年の刑法一部改正法の附則第九条に基づく検討の具体的な対象事項については、各種調査研究やヒアリングの結果等を踏まえて決めていくこととなりますので、現時点でお示しする段階にはございませんが、委員の御指摘もございますので、充実した検討を行うことができるよう、私も適切に対応してまいりたいと思います。

藤野委員 その際、外国の法令も分析していると大臣もおっしゃいました。

 法務省に簡潔にお聞きしますが、検討会の段階で、どの国及び州で障害者の構成要件化、障害者の規定というのが具体化されているでしょうか。

小山政府参考人 まず、障害のある者に対する性犯罪処罰規定でございますが、概要でございます。

 まず、アメリカですと州法になりますが、ミシガン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州がございます。それから、イギリス、イングランド及びウェールズにございます。それから、フランス、ドイツ、韓国、我々の承知しているところはそういうところでございます。

藤野委員 ですから、そうした実践も行われて、運用も行われております。そういう点で、定義等の検討というのは確かにあると思うんです、難しさもあると思いますが、しかし、やはりそこに向けて、いずれ避けられない課題ですから、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 もう一点、法律をつくるだけではなくて、いわゆる司法面接の問題があります。先ほど山川委員からも指摘がありましたが、子供の場合は既にもう取組も進んでいて、警察庁も通達を出して、厚労省及び児相と警察が三者で面接を、やはり知的障害があるとか発達障害があるということを前提にして、じゃ、どう聞き取りをするのかという、その聞き取りのスキルを、スキルと言うとあれですが、非常に、率直に言って、やられているんですね。

 障害者の場合はどうかというと、これが、意識はされているんだけれども、まだ進んでいない。

 警察庁の附属機関である科学警察研究所犯罪行動科学部捜査支援研究室というところが、知的障害者のコミュニケーション特性と面接スキル、そういうものをまとめていらっしゃいます。これは、まさに今言いました、子供ではなくて、障害者における聞き取りの方法など、こういうことを気をつけようということでまとめられているんですね。私、これは大変大事だなというふうに中身を読ませていただきました。

 ちょっと時間がないのであれですけれども、例えば、面接における知的障害者の特徴というのは六つ挙げていまして、まず、認知能力だけで六つ。長期記憶が弱い、細部の記憶が曖昧な可能性もある、基本的な知識を獲得していない、面接官の言葉がわからないこともある、衝動性をコントロールできない、注意力維持が難しい、ストレス対処能力が低いとかですね。

 あるいは、コミュニケーションについても、失敗体験を繰り返してきたため他人に頼る傾向が強いとか、あるいは偏った答え方、例えば、はいと答える傾向が強いとか、あるいは権威者を喜ばせたいという願望があるとか、あるいはいわゆる被誘導性、誘導されてしまう、こういう性質が高いとか、いろいろあるんです。

 こういうことを踏まえて、知的障害者に対する質問の十のガイドラインとかがつくられている。

 そういう意味では、警察庁もこういう認識はお持ちだというふうには思います。ただ、これが実際に取組まで広がっているかというと、なかなかなっていないというふうに思うんです。

 ですから、これはちょっと聞きたいんですけれども、今後、こうした取組、これは確かに省庁を超えておりますが、やはり法務省がしっかりとイニシアチブを発揮していく、この決意をちょっと簡潔にお願いいたします。

小山政府参考人 お答えいたします。

 被害に遭われた障害者の方が意思疎通等を円滑に行うことができるような配慮というのは極めて重要だと思います。

 司法面接に限らず、検察におきましても、心理、福祉関係者から知的障害者等の供述特性、発問方法に対する助言を受けるなどの取組をしているところではございますけれども、今後も、関係、警察等々も含めまして、連携を強化してまいりたいと考えております。

藤野委員 先ほど言った静岡の三月二十八日のものは、少女の証言が信用できないということなんです。こういう聞き取りをやっていたら、そういう認定になったのかというふうに本当に私は思います。

 ですから、これは確かに省庁を超えますけれども、しっかり法務省がイニシアチブを発揮していただきたいと思います。

 最後になりますけれども、大臣にお聞きしたいんですが、伊藤和子弁護士が本を出されていまして、「なぜ、それが無罪なのか!?」という本なんですね。国際人権NGOのヒューマンライツ・ナウの理事でもいらっしゃる、事務局長でもいらっしゃるんですが、この方、伊藤先生は、ミー・トゥー運動がアメリカで広がったときにちょうどアメリカにいらっしゃって、リアルタイムでその広がっていく様子も体験されたというんです。

 しかし、日本に帰ってくると違っていたと。日本では、ミー・トゥー運動を積極的に取り上げるメディアはほとんどなくて、むしろ、取り上げた場合は、日本は何で盛り上がらないんですかとか、日本は何でこういう状況なんですかという、そういう言質をとろうとするような、水を差すような役割を、そういう取材を伊藤さん自身が受けられたということが紹介されております。

 やはりそれを通じて感じられたのは、日本は性暴力被害者に対して厳しくて声を上げられない、そういう状況であるわけですね。

 しかし、そんな中で諦めずに、女性たち中心に声を上げ続けているということで、フラワーデモも始まって、広がってきているわけで、スプリングとかヒューマンライツなどは、集められた署名は四万五千筆を超えて、前大臣の山下大臣にも提出をされているということであります。

 やはり法務省の役割は私は大きいと思うんですね。法務省が行っているワーキンググループの第七回には、専門家から、実態を踏まえた研修の充実、研修、これは個人差を解消するために重要だという提案、あるいは、潜在化している被害をなくすために、広報の重要性、法務省が発信していくということが重要だという提案もされております。

 大臣は、先ほども正義を実現していくということをおっしゃいました。刑法改正がこれは非常に重要なんですけれども、それと同時に、あわせて、やはりそうした研修や広報、あるいは法務省としてできることは全てやる、こういう認識でよろしいか、そういう決意でよろしいかということを、最後、お聞かせください。

森国務大臣 藤野委員御指摘のとおりでございまして、性犯罪被害の防止に当たっては、被害実態の広報啓発や、関係職員等に対する研修の充実が重要であると思っております。

 法務省においては、これまでにも、検察官に対し、経験年数等に応じた研修等の機会において、性犯罪被害者の実態に関する講義等を実施してまいりました。

 今後も、性犯罪ワーキンググループでの御意見も踏まえまして、関係府省や関係機関と必要な連携を深めるとともに、関係職員に対し、被害実態の内容を踏まえた研修等を充実してまいりたいと思います。

藤野委員 研修と、あと、やはり裁判官へのさまざまな取組や広報ですね、こういうものにも取り組んでいただきたいと思います。

 この問題はことしから来年にかけて最大の問題になりますので、引き続き取り組むことを述べて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

松島委員長 次に、内閣提出、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。森まさこ法務大臣。

    ―――――――――――――

 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

森国務大臣 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、法律事務の国際化、専門化及び複雑多様化により的確に対応し、渉外的法律関係の一層の安定を図る等のため、外国法事務弁護士等による国際仲裁事件及び国際調停事件の手続について代理の規定を整備するとともに、外国法事務弁護士となるための職務経験要件を緩和し、あわせて弁護士及び外国法事務弁護士が社員となり法律事務を行うことを目的とする法人の設立を可能とする等の措置を講じるものであります。

 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、第一に、外国法事務弁護士等が手続を代理できる国際仲裁事件の定義規定を見直し、その範囲を拡大するとともに、国際調停事件の定義規定を新設し、その手続の代理をすることができることとしております。

 第二に、外国法事務弁護士となるための承認要件の一つである職務経験要件について、資格取得国等における職務経験として必要とされる三年以上の期間に算入できる我が国における労務提供期間の上限を一年から二年に拡大することとしております。

 第三に、弁護士及び外国法事務弁護士が社員となり法律事務を行うことを目的とする弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度を創設し、所要の規定の整備を行うこととしております。

 施行日は、第一の国際仲裁事件及び国際調停事件の手続の代理の規定の整備並びに第二の職務経験要件の緩和が公布の日から起算して三月経過後、第三の弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度の創設が公布の日から二年六月の範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようにお願い申し上げます。

松島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十三分散会


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