衆議院

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第13号 令和元年11月29日(金曜日)

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令和元年十一月二十九日(金曜日)

    午前九時九分開議

 出席委員

   委員長 松島みどり君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 越智 隆雄君

   理事 鬼木  誠君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 稲富 修二君

   理事 山尾志桜里君 理事 浜地 雅一君

      井野 俊郎君    奥野 信亮君

      門山 宏哲君    神田  裕君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      小林 茂樹君    出畑  実君

      中曽根康隆君    藤井比早之君

      古川  康君    宮崎 政久君

      宮路 拓馬君    山下 貴司君

      吉川  赳君    和田 義明君

      浅野  哲君    逢坂 誠二君

      落合 貴之君    櫻井  周君

      高木錬太郎君    日吉 雄太君

      松田  功君    松平 浩一君

      山川百合子君    伊藤  渉君

      太田 昌孝君    藤野 保史君

      串田 誠一君    井出 庸生君

    …………………………………

   法務大臣         森 まさこ君

   法務副大臣        義家 弘介君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   法務大臣政務官      宮崎 政久君

   最高裁判所事務総局家庭局長            手嶋あさみ君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          金子  修君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小出 邦夫君

   法務委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     宮路 拓馬君

  日吉 雄太君     浅野  哲君

  松田  功君     櫻井  周君

  竹内  譲君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     古川  康君

  浅野  哲君     日吉 雄太君

  櫻井  周君     松田  功君

  太田 昌孝君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤  渉君     竹内  譲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――

松島委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、日本共産党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松島委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたしましたが、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム並びに日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房司法法制部長金子修さん及び法務省民事局長小出邦夫さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局家庭局長手嶋あさみさんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。和田義明さん。

和田委員 おはようございます。自由民主党の和田義明でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。委員長、理事、委員の皆様、そして森大臣を始め政府参考人の皆様に心から感謝を申し上げます。

 本日は外弁法につきまして質疑をさせていただきますが、質疑に入ります前に、お手元にあります主な国際仲裁機関における仲裁件数のチャートをごらんいただけたらと思います。

 まず、日本での仲裁件数が他国で行われている仲裁件数に比べて大変少ないという事実をごらんになっていただきたいと思います。

 ドイツ、香港、ロンドン、大韓民国におきましては、大体、毎年数百件の仲裁件数が安定的にございます。また、シンガポールにおきましては、平成二十一年から平成三十年にかけて約二・五倍に仲裁件数がふえております。しかし、その一方で、日本で行われております仲裁の件数は、十件から二十件と大変低調に進んでおりまして、日本での仲裁件数が少ないという事実が見てとれる次第でございます。

 また、調停の件数に関しましても、日本での件数というのは、これは三枚目の紙でございますけれども、他国におきましては、年間十件から二十件、三十件と行われておりますけれども、日本におきましては、平成二十九年で二件、また三十年では一件のみと低調にとどまっていることを踏まえまして、これから質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず最初の質問でございますけれども、今回の改正の対象となる外国法事務弁護士制度について、なかなかこれはなじみのない制度ではありますけれども、この制度につきまして概要を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

金子政府参考人 お答えいたします。

 外国法事務弁護士制度は、外国において弁護士となる資格を有する者が、法務大臣による承認を受け、かつ日本弁護士連合会の名簿に登録された場合に、外国法事務弁護士として日本国内において原資格法等の外国法に関する法律事務等を取り扱うことを可能とする制度でございます。

 外国法事務弁護士の職務は、現行法上、原資格法等の外国法に関する法律事務、国際仲裁についての手続の代理とされているところでございます。

和田委員 ありがとうございました。

 今回の改正につきまして、まず、国際仲裁の観点でお聞きしたいと思います。

 企業間の国際紛争解決の手段におきまして、現在では、裁判ではなく国際仲裁がスタンダードになっております。今回の制度設計の前提として、このような国際仲裁の利点、そして活性化の必要性についてお伺いをしたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案は、我が国における国際仲裁の活性に向けた基盤整備の一環として、外国法事務弁護士等による手続の代理が可能な国際仲裁事件の範囲を拡大すること等の措置を講ずるものでございます。

 仲裁による紛争解決の利点といたしましては、専門的な知見を有する中立な仲裁人により専門性を生かした紛争解決が可能であること、手続が原則として非公開であり企業秘密が守られること、一審限りで手続が終了するのが通常であることから、手続に柔軟性があること等と相まって迅速な紛争解決が可能である上、多国間条約の整備により外国における執行が容易であることなどが挙げられます。

 経済社会の国際化が進展し、企業の海外取引や海外投資案件が増加するに伴い、国際的な紛争解決の手段として国際仲裁手続が広く利用され、重要な役割を果たしていると認識しております。

 他方、我が国においては、アジア地域において国際仲裁の振興に積極的に取り組んでいるシンガポール等の国と比較してその利用が低調であるとの指摘がされているところであり、こうした状況を改善するため、我が国における国際仲裁の利用の活性化が必要であるとされているところでございます。

和田委員 御説明ありがとうございました。

 裁判の場合ですと何回も審理が繰り返される中、国際仲裁におきましては一審のみということでスピード感がある、そしてまた、当然、それに従いましてコストが安いというふうなメリットがあるということでございました。そしてまた、不服申立てができないということで、本当に早く決まるといったことが利点だと思います。また、この仲裁の枠組みにはニューヨーク条約というものがありまして、百六十カ国が入っておりまして、OECD主要国はもちろんでございますけれども、これには中国も含まれているということで、非常に大きな枠組みの中で行えるというふうなことであると理解をしております。

 では、続きまして、三番目の質疑に入りたいと思います。

 国際仲裁事件につきましては現行法でも規定がありますけれども、外国法事務弁護士の代理可能な範囲が狭いという指摘がされてきました。それがゆえに、先ほど冒頭に御説明しましたように、日本での仲裁件数が少ないというふうなことも言われてきたわけでございます。今回、国際仲裁事件の範囲をどのように拡大するのか、御説明をいただきたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 現行法上は、外国法事務弁護士等が手続を代理することができる国際仲裁事件は、当事者の全部又は一部が外国に本店等を有する場合に限られております。このため、当事者全部が国内に本店等を有する場合は、たとえ、その当事者の中に外国企業の子会社が含まれている場合など当事者等について外国との一定の関連性が認められる場合であったとしても、国際仲裁事件と扱われないため、外国法事務弁護士等が代理することができず、不都合が生じているとの指摘がされてきたところでございます。

 今回の改正は、国際仲裁活性化の一環としまして、国内外の企業が我が国の国際仲裁を利用しやすいものとするため、国際仲裁事件の範囲を拡大し、全部又は一部の当事者の親会社が外国に本店を有する等の場合、また、当事者が合意で定めた準拠法が日本法以外の法である場合、さらに、外国を仲裁地とする事件で、日本でその証人尋問等の審理手続が行われる場合について、これらを国際仲裁事件と扱うこととし、外国法事務弁護士等による代理を可能とするものでございます。

和田委員 御説明ありがとうございました。

 ちなみに、この今回の改正案で拡大される内容でございますけれども、国際的なスタンダードにしっかりと沿っているものでしょうか。劣後したりはしていないでしょうか。その点について御確認をお願いいたしたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 仲裁事件の国際性の基準につきましては、国際連合国際商取引法委員会、UNCITRALの国際商事仲裁モデル法におきまして一定の指針が定められているところでございます。

 この規定において、国際性を有する仲裁事件とは、仲裁合意の当事者が、その合意時に異なる国に営業所を有する場合、それから、義務履行地又は紛争の対象事項と最も密接に関連する地が、当事者が営業所を有する国とは異なる国にある場合、仲裁地が、当事者が営業所を有する国とは異なる国にある場合のいずれかに当たる場合などと定められています。

 このように、モデル法は、当事者の所在地のほか、仲裁地等を基準に国際性を判断することとしております。

 今回の法案における国際仲裁事件の規定との間では幾つか細部の規定ぶりは異なるものの、基準としての基本的な考え方は共通しているものであり、その意味で、今回の法案は国際的な基準にも十分沿うものと考えております。

和田委員 御説明ありがとうございました。

 しっかりと国際基準に沿ったものに改正されるというふうなことで、大きな前進になるであろうというふうに拝察いたします。

 そして、冒頭お話をしましたとおり、日本での仲裁件数が少ないということは、これすなわち、日本弁護士並びに日本におります外国弁護士にとってもビジネスチャンスを逸失していた、そしてこれを何とかこれから挽回できるという大きなチャンスにもつながってくるのかと思いますので、ぜひともこの改正を前向きに進める必要があるというふうに痛感をする次第でございます。

 五つ目の質問でございます。

 国際仲裁事件の範囲に関する改正の中で、「その他これと同等のものとして法務省令で定める者」というふうな定めがありますけれども、この法務省令ではどのような規定を設けるのでしょうか。

金子政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案におきましては、全部又は一部の当事者の株式の過半数を有する者が外国に本店等を有する場合に加えまして、これと同等のものとして法務省令で定める者が外国に本店等を有する場合についても国際仲裁事件と扱うこととしております。

 法務省令で定める内容としては、全部又は一部の当事者の株式の過半数を有する者が外国に本店等を有しているのと実質的に同視し得るような場合を規定することを想定しておりまして、具体的には、全部又は一部の当事者の株式の過半数を有する国内の会社の完全親会社が外国に本店等を有している場合などを規定することを予定しているところでございます。

和田委員 御説明ありがとうございました。

 そして、この国際仲裁をする際に、いろいろな書類、これらを英訳する際に大きな手間がかかるというふうに考えております。一方で、日本で国際ビジネスをする際に、日本語から英語への翻訳等々が大変大きなハンディになり、またそれが一部、日本における国際ビジネスを阻害しているといった傾向もあるというふうに了解をしておりますけれども、法令の迅速な英訳の公開についてこれからどのように取り組んでいくおつもりか、今後の試みについて御説明をいただきたいと思います。

宮崎大臣政務官 御指摘のとおり、経済社会はグローバル化が加速しておりますので、日本の法令を翻訳して国際発信するということは、国際化に対応したインフラの整備として大変重要な取組であると認識をしております。

 現状でございますが、現在、法務省の法令外国語訳専用の公開ホームページがございまして、約七百五十の日本法令の英語訳を公開しております。近年は利用件数が拡大しておりまして、一日当たり約十万件のアクセスをいただいているという状況であります。

 今後の課題でありますけれども、委員御指摘いただきましたとおり、法改正に対応したタイムリーな翻訳の提供を実現していくことが重要でありまして、その優先度が非常に高いと考えております。そのためには、各府省庁と連携をして翻訳工程を見直していくとともに、AIの活用なども検討していく必要があると考えております。

 先週の木曜日、実は官邸で大臣政務官会議というものがございまして、その中で、私の方からも、全ての府省庁の大臣政務官の皆様に対して、速やかな翻訳原案の提出を改めてお願いいたしました。作業工程としては、まず各担当のところから原案が出てこないと法務省は作業ができないので、そのお願いを改めてしたという状況でございます。

 これからの取組でございますが、法務省において本年十二月の第一回の開催に向けて準備をしております官民共同の会議体というものがございます。政府の取組の司令塔として、翻訳の迅速化に向けた方策について御議論いただく予定でございます。

 また、ただいま、本日御審議をいただいている法案につきましても、法案の概要情報を英訳して既に公開をさせていただいております。法案が成立した場合には、可及的速やかな英語訳の公表に向けて作業を急ぎたいと考えております。

 法務省としましては、今後も、関係府省庁とも協力をしていきまして、日本法令の国際発信に向けて、ユーザーの意見を踏まえたしっかりとした取組をしてまいりたいと思っております。

 以上です。

和田委員 政務官、どうもありがとうございました。大変前向きな対応を既に行っていただいているというふうなことで、心から敬意を表したいと思います。

 仲裁に費やされる時間、労力というのは、やはり、本来のビジネスにしてみたら大きなコスト、ハンディというふうになってしまいます。そういった意味でも、スピード感を持って仲裁を済ませる、解決するといったことは日本のビジネス競争力にも直結していくというふうに考えますので、ぜひとも御尽力のほど、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、七番目の質問に入りたいと思いますけれども、ここからは国際調停事件について質疑をしたいと思います。

 今回、国際調停事件について新設するというようなことでございます。今回の制度設計の前提として、企業間の国際紛争手段である調停について、仲裁とは異なる利点、どのようなものがあるか、この点についてお聞かせください。とりわけ、調停と仲裁の違い、お互いのメリット、デメリット等々も細かく御説明をいただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

金子政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案は、外国法事務弁護士等による手続の代理が可能な国際調停事件の規定を新設し、その代理を可能なものとしております。

 このような調停手続は、仲裁判断による紛争解決を行う仲裁手続とは異なり、当事者間の合意による解決を図る紛争解決手続であります。

 一般的には、調停による合意に至るまでの時間や費用を低く抑えることができ、低コストで紛争解決を行うことができる等の利点があるものとされており、例えば、仲裁手続の前に調停による解決を試みるなどの利用があり得るものと考えられております。そして、調停手続は当事者間の合意を目指す手続であることから、当事者間の友好的な関係を維持しやすいとされており、継続的な契約関係を前提としている紛争などにおいて調停による解決が好まれるといった傾向があるものと承知しております。

 今回の法案も、こうした調停手続の利点等を踏まえ、外国法事務弁護士等による国際調停事件に関する代理の規定を整備することとしたものでございます。

和田委員 御説明ありがとうございました。

 仲裁は、裁判に比べますと、一審制でスピード感があってコストも安いという利点がありましたけれども、調停につきましては、そこから更に、両者の合意というふうなものがあって、今後の事業をしていく上でのお互いの良好な関係がより保ちやすいというようなことが明確にわかりました。ありがとうございます。

 八番目の質疑に移りたいと思います。

 今回の法案では、共同法人制度の創設というものも含まれておりますが、制度の狙いは何でしょうか。そしてまた、これは国際仲裁の活性化との関係でどのような意義があるのでしょうか。御説明をお願いしたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 共同法人制度創設の趣旨でございますが、社会経済の変化に伴い、法律事務の国際化、専門化により的確に対応して質の高い法律事務を提供していくとの要請に応えるため、法人組織によって弁護士及び外国法事務弁護士の業務の共同化、専門化を図り、地方都市においても従たる事務所を設けることを可能としつつ、日本法及び外国法のワンストップ法律サービスの提供を容易にする点にございます。

 このように、共同法人制度は国際仲裁の活性化そのものを目的とするものではございませんが、共同法人制度は、弁護士と外国法事務弁護士による業務のさらなる共同化、専門化を図るものであり、これによって国際取引の代理にもより的確に対応することが可能になり、国際取引をめぐって紛争が生じた場合でも、その紛争解決手続である国際仲裁の担い手の拡充という点で国際仲裁の活性化にも一定の積極的な効果を期待することができると考えているところでございます。

和田委員 御説明ありがとうございました。

 クライアントにとって大変利便性が高い、ワンストップで必要なことが全て完結するというようなことで、メリットが大きいというようなことが理解できました。

 またちょっと違う分野にはなりますけれども、先般可決されましたデジタル手続法案におきましては、これはワンストップ、ワンスオンリーというユーザーフレンドリーな行政手続を目的としたものでございます。そういった意味では、こういったことが、クライアントのメリット、これを最大限に重視をする、優先順位を高めるといったことで非常に意義のあるものだというふうに承知をいたします。

 それでは、最後の質問に移らせていただきますけれども、国際仲裁の活性化に当たりまして、この改正も重要でありますが、国際仲裁に精通した日本の弁護士の育成も大変重要だと考えております。国際仲裁のような国際的な事件に対応することができる我が国の法曹人材を育成するために、関係省庁等も交えてしっかりと議論をしていく必要があると思います。

 それで、お答えをいただく前に、お手元の資料の、法科大学院志願者数の、資料四の一というふうに右上に書いてある資料をごらんいただきたいと思います。

 これはあくまでも法科大学院の志願者数ではありますけれども、弁護士を希望する人数とほぼほぼ同じトレンドを示しているというふうに言えると思います。平成十六年の志願者数は七万二千八百人というふうなことで最上段に書かれてございますけれども、一方、平成三十一年の数字を見ますと、格段に減りまして九千百十七名と、約九割減ってしまっているというふうなことでございます。

 これは、我が国の法曹人材確保、そして育成という意味におきましても大変深刻な状況でありまして、その意味からも政府の取組というのは重要になってまいりますけれども、その点につきまして御説明をいただきたいと思います。

宮崎大臣政務官 非常に貴重な、大切な御指摘をいただいたと思っております。

 法曹人材、望む者がいなければそこに人が育つこともないわけでありますので、数字を踏まえて和田委員から大変重要な御指摘をいただいたものと思っております。これはしっかりと受けとめて取り組んでまいらないといけないと思っております。

 その一方、社会経済高度化、グローバル化進展を受けておりますので、企業の海外進出や国際的な紛争処理などの国際分野における法曹の一層の活躍が期待をされております。

 御指摘をいただきましたとおり、国際的な分野に幅広く対応できる多様かつ専門的な法曹人材を育成、確保していくこと、またこれは非常に重要な課題と認識をしております。

 法務省では、文部科学省とともに、法曹養成にかかわる機関の参集を得まして、法曹養成制度改革連絡協議会を定期的に開催をしております。この協議会においては、企業の海外展開支援や国際紛争解決の分野で活躍している弁護士の方を招いて、法曹養成のあり方について意見交換をするなど、必要な情報の共有を進めているところでございます。

 法務省としましても、今後とも、国際分野で十分に活躍することができる法曹人材の育成に向けて、関係機関と連携して必要な取組をしっかりと進めてまいります。

和田委員 御説明、まことにありがとうございました。

 今回の外弁法の改正が、日本の法曹人材の育成についても、また日本のさらなるグローバル化につきましても大変重要な法案であるというふうなことが理解できました。この法案の可決に向けて、私もしっかりと頑張ってまいりたいと思います。

 貴重な機会、ありがとうございました。

松島委員長 次に、浜地雅一さん。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 私も二十分の時間をいただきましたので、この外弁法の改正案、しっかりと質疑をしていきたいと思っております。

 いよいよ国際仲裁、また国際調停ということが、我が国においても国としてしっかり注目をされて、ここ二、三年であろうというふうに思っております。骨太の方針にしっかり明記をされて、法務省が調査費としてバックアップを本格的に始めたのがやはり約二年ぐらい前だっただろうと思っております。

 来年の三月には、虎ノ門でいよいよ仲裁センターができるわけでございまして、平米数も千二百十平米と聞いております。かなり広いかなと思っておりますが、しかし、シンガポール等に比べますとまだまだ大きさが足りません。やはりシンガポールがあれだけ国際仲裁の中心地として発展したのは、国として、政策として大きくこれを掲げたところだろうと思っておりますので、ぜひ引き続き、この法案が成立した後も、法務省にはさまざまな面で、この国際仲裁の活性化について財政的な支援もお願いしたいなというふうに思っております。そのお願いをしてから質問に入りたいと思っています。

 基本的なところから質問をしたいと思っております。

 まず、国際仲裁、国際調停という言葉でございますけれども、これは、なかなか何が国際で、何が仲裁かということが実は正確に把握されていないところもあろうかと思っています。今回、私も改めてこの法案の質疑に入る前に確認をさせていただいてさまざまなメリット等を確認したところでございます。

 そこで、先ほど和田委員の質問にもございましたけれども、この国際仲裁と国際調停の利点について、私も詳しく問いたいと思っております。

 特に、普通の民事裁判ですと、日本の裁判所で判決がおりたものが、日本の国内の財産については強制執行等ができるわけでございますが、しかし、国際仲裁については、これは外国の財産等についても執行力がある、国外に対して執行力があるということが非常に興味深いところだと思っております。

 そこで、この国際仲裁は、なぜ日本で行われた仲裁判断であるのに国外においても執行力があるのか、また、国際調停はその点についてあるのか、ないのかを含めて、この国際仲裁及び国際調停の利点について、改めて御説明をいただければと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 紛争解決手続としての国際仲裁の利点としましては、仲裁人の専門性や、手続が非公開であるなどという点に加えまして、裁判が、一般的に当該国の手続及び言語を使用しなければならないのに対しまして、仲裁手続におきましては、手続や使用言語を合意により柔軟に選択することが可能であるといった利点があるものと考えております。これらの利点については、基本的に国際調停につきましても同様に当てはまるものと考えております。

 お尋ねの執行力についてですが、仲裁判断につきましては、日本も加盟しています外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約、いわゆるニューヨーク条約によりまして、その加盟国内であれば、ある国でされた仲裁判断について、他国においてもその定められた手続に従って執行することができるものとされておりまして、我が国においても、執行手続について仲裁法に所定の規定が設けられているところでございます。

 これに対して、国際調停につきましては、我が国においては、成立した調停の内容を当事者が任意に履行しない場合に強制執行をすることができない、仲裁判断のような枠組みがないということになっております。

浜地委員 ありがとうございます。

 このニューヨーク条約によって、国際仲裁判断は執行力を有しておるという答弁がございました。

 しかし、他方、国際調停については強制執行をする執行力がないということでございますが、では、執行力のない国際調停についても今回は外国事務弁護士に代理権を認める、付与する改正がなされようとしておりますが、これはなぜ執行力のない国際調停についてまで外国弁護士に認めるとするのか、その必要性についてもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 国際調停は、一般的に、先ほども述べましたが、国際仲裁に比べますと、紛争解決手続としては手続にかかる時間及びコストが縮減できる利点があるとされております。

 こうしたことから、仲裁手続開始前にまずは調停手続を行い、調停による解決が図られなかった場合に限り仲裁手続を行うなど、調停と仲裁を複合的に利用することなども行われているところでございます。

 また、調停による合意が得られた場合、それだけでは執行力が得られませんが、形式的に仲裁手続に移行した上で仲裁判断を行うことで執行力を得るといった運用上の工夫もされているものと承知しています。

 このように、国際紛争解決の方法としての国際調停の有用性と、それから仲裁手続と調停手続の関連性の高さを踏まえますと、国際調停についても外国法事務弁護士等による代理を認める必要があるというふうに考えまして、今回、国際調停に関する代理の規定を整備することとしたところでございます。

浜地委員 国際調停についても代理権を認める意義がよくわかったところでございます。京都においても国際調停センターは既に稼働しておりますので、しっかりとこの代理権を付与することによって機能するように努力をしていただければと思っております。

 国際調停についても執行力を認めようという動きが世界でもあるようでございますので、ただ、国内のほかのADR手続での調停の執行力との兼ね合いもございますので、そこをよく見ながら、シンガポール条約、いわゆる国際調停に執行力を認める条約に加盟するかどうか、慎重に判断をいただきたいというふうに思っております。

 続きまして、次は許容性のところなんですが、これをちょっと質問したいと思うんですが、もともと、日本の弁護士と外国法事務弁護士を、両者を社員とする共同法人の設立は認めておられなかったわけでございますけれども、今回、それを認めようとしております。

 その前提としまして、前から日本の弁護士と外国法事務弁護士の共同法人は認めた方がいいんじゃないかというような議論があったわけでございますが、これまで、では、なぜこの共同法人の設立が認められてこなかったのか、御答弁をいただきたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 共同法人制度につきましては、平成二十一年当時、外国弁護士制度研究会においてその創設が提言されたところでございますが、共同法人制度は、一つの法人において、業務執行の範囲が異なる弁護士と外国法事務弁護士がともに社員となる制度であることから、外国法事務弁護士が権限外の業務を行うことを容易にするのではないかという、いわゆる不当関与の懸念があるとの指摘があったところでございます。

 共同法人に対してこのような懸念が出されたことを踏まえ、平成二十六年の外弁法の改正におきましては、特段の異論がなかった外国法事務弁護士法人制度についてまずは法制化を進めることとし、共同法人制度については、引き続き法制化に向けた検討を進めることとされてきたものでございます。

浜地委員 今、なぜこれまで共同法人が認められてこなかったのかについて、やはり日本の弁護士の権限と外国法事務の弁護士の権限が異なる中で、不当な関与をし合う可能性があるということでございました。

 今回の改正案においても、不当な関与をしてはならないというような条文がございますけれども、しかし、当時は、平成二十一年のときは、不当関与の懸念があるので認められなかった、しかし、今回はそれを認めようとすることでございますので、これは、共同法人の設立を認めるべき強い必要性がまずないと、一歩踏み込むわけにはいかないと思っております。

 そこで、実際、実務の面においても、この共同法人の設立を認めるべき強い必要性が、特に、この平成二十一年のときにはまだまだ難しいとされたものが、ここ最近において出てきているかどうか、ここを法務大臣にお聞きをしたいと思います。

森国務大臣 共同法人制度創設の趣旨でございますが、法人組織によって弁護士及び外国法事務弁護士の業務の共同化、専門化を図るとともに、従たる事務所を設けることを可能とし、それにより、日本法及び外国法のワンストップ法律サービスの提供を容易にする点にございます。

 外国法事務弁護士制度に係る検討会における経済界からのヒアリングでは、地方を含む全国で日本法及び外国法の総合的なリーガルサービスの提供が容易となる仕組みが必要である、特に、海外企業との取引などの経済活動が多く行われている地方都市における地方企業が国際展開する場面などにおいてその需要が高いなどの意見が出されたところでございます。

 このような意見も踏まえて、本法律案において共同法人制度を創設することといたしました。

浜地委員 今大臣御答弁いただきました、地方での海外取引での相談等がやはりできなければならないということだろうと思っております。

 確かに、東京ばかりに外国法事務弁護士の方はいらっしゃるような私のイメージがございますし、私は今、東京弁護士会に所属していますけれども、それまでは福岡でしたけれども、やはりほとんどこういった海外との事務を行うような弁護士さんはいらっしゃいませんでしたので、確かに地方でのニーズというのは強いと思っています。実際に、先ほど大臣の御答弁でも、経済界からそういった強いニーズがあったということでございますので、ひとつこれはつくるべきだということになったんだろうと思います。

 しかし、つくるべき論があった上で、つくってもいいんだという許容論ですね。先ほど言ったとおり、これまで不当関与の懸念があったわけでございますが、これを、より平成二十一年の当時以上に、不当関与の懸念を払拭できるような手当てをしていなければ、これは次に、この許容性はそろわないわけでございます。

 そこで、今回の法律案においては、この不当関与への懸念の払拭という点ではどのような制度設計をされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案におきましては、外国法事務弁護士である社員は、外国法に関する法律事務等に限りその業務を執行することとし、日本法に関する法律事務等を取り扱うことができないことを明文で規定しているところでございます。

 その上で、不当関与の懸念を払拭するための措置として、次のとおり、不当関与の禁止に関する規定を設けています。

 まず、外国法事務弁護士である社員は、自己の権限外法律事務の取扱いについて、使用人である弁護士等について業務上の命令をしてはならないこととしております。

 この規定に違反してされた業務上の命令を受けて、外国法事務弁護士である社員が、権限外法律事務に関与した弁護士又は外国法事務弁護士は、業務上の命令に従ったものであることを理由に免責されることはないというふうに規定しています。

 また、弁護士である社員等がみずから行う法律事務であって当該外国法事務弁護士である社員の権限外法律事務に当たるものの取扱いについての不当な関与につきましても、これを禁止する旨の明文の規定を設けております。

 これらの諸規定によりまして、外国法事務弁護士の社員による不当関与の懸念に対し、十分な措置を講じているものと考えているところでございます。

浜地委員 そうですね。一つ明文で、使用人に業務命令はしてはいけないということが入ったということです。ただ、さっきの最後の答えは、不当な関与はしてはならないというふうにしていますということなので、これも当たり前の話だったかなと思います。

 そこで、実は、弁護士さんにとって一番ダメージが大きいというか、例えば、業務違反をしたときに大きいのは懲戒処分でございまして、懲戒を食らうとやはり厳しくなります。特に、業務停止なんてなりますと、その間、事務所を閉めておけばいいだけじゃなくて、全部、これまで契約した顧問先から、通帳も一回解約して、全部着手金も返してでございますので、業務停止なんて食らってしまうと本当に廃業に追い込まれるぐらいのリスクがあるわけでございます。

 一番の抑止力になるのは懲戒処分でございますが、この不当関与と懲戒処分との関係はどのようになっておるんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げれば、外国法事務弁護士である社員が不当関与の禁止の規定に違反した場合、当該外国法事務弁護士は、法律の規定に違反したものとして日本弁護士連合会による懲戒処分に問われることになります。

 この場合、当該外国法事務弁護士である社員が所属していた共同法人につきましても、その関与の状況によりますが、それによりましては、所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則違反又は品位を失うべき非行があったものとされ、懲戒処分に問われる場合があるものと考えられます。

 今回の法案では、懲戒の種類として、戒告、二年以内の業務停止、退会命令又は除名を設けているところでございまして、日本弁護士連合会等において事案に応じて具体的な処分がされるものと承知しております。

浜地委員 わかりました。

 この共同法人の設立については、強い必要性と、そういったさまざま、法令での不当関与への禁止規定、そして懲戒等を通じて懸念は払拭されているというふうに私自身も確認をしたところでございます。

 国際調停、また仲裁について、日本の弁護士をしっかり育てて、日本のプレーヤーができるようになるのが一番確かにすばらしい姿だと思いますが、実際はそういったプレーヤーの皆さんは数少なくございまして、外国事務弁護士の皆様方に国際仲裁についてやはり権限を広げていただいて、日本でまず活性化されることが大事だろうというふうに思っております。

 人、物、金という部分がございますが、物は三月に立派なものができますし、お金も法務省もしっかりと協力をしていただいておるところでございます。人の分野で、日本の弁護士さんが国際仲裁に関与できるのには時間がやはりどうしてもかかるだろうと思っておりますので、この外国法弁護士に大きく頼るところでございます。

 そこで、最後の質問になりますが、今回、しっかりと日本で外国法事務弁護士として登録をしていただくために、職務経験要件の緩和をされました。これまでは、職務経験、日本での労務提供期間の算入上限は一年だったわけでございますが、これを二年に拡大したわけでございますが、その趣旨について、最後、御質問して、質問を終わりたいと思います。

金子政府参考人 職務経験要件につきましては、外国法事務弁護士の承認申請者の能力や資質、倫理性を担保するためのものであるところ、これまでに複数回にわたり改正がされ、緩和されてきましたが、外国法事務弁護士が外国法に関する法律事務を取り扱うに足りる十分な能力、資質等を欠く状況に至っているとの指摘がないところでございます。

 他方、職務経験要件については、日本でキャリアを始めた外国弁護士が、現行の要件のもとでは、外国法事務弁護士の承認を得るために長期間日本を離れなければならず、意欲に富んだ若い外国法事務弁護士が早くから日本でキャリアを積むことをちゅうちょさせる要因になっているとの指摘がされているところでございます。

 このようなことを踏まえまして、今回の法案においては、社会経済の国際化に伴う外国法サービスへのニーズに適切に対応する観点から、職務経験要件の見直しを行うこととしています。

 具体的には、外国で三年以上の実務経験期間を必要とする現行の職務経験要件は維持しつつ、日本において弁護士等に雇用され、資格取得国の法に関する知識に基づいて労務を提供した期間、いわゆる労務提供期間の算入の上限につきまして、現行の一年を二年に拡大することとしており、これにより、外国において実務経験を積むべき期間は最低一年で足りるということになります。

浜地委員 時間になりましたので、終わります。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、串田誠一さん。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 昨日は、会社法改正、修正も調いまして、法務大臣とともに参議院の法務委員会で答弁に立たせていただきました。しかし、きょうはしっかりと、国民の声を私も聞いておりますので、質疑をしていきたいと思っております。

 外弁法に関しましては、国際司法の安定化というようなこともございますので、私も趣旨として理解はしているところでございますが、子供の人権に関して国際社会からここまで非難されているという状況の中で、仲裁や調停というものが手続上行われていたとしても、私は、中身がしっかりと国際的な理解が伴うようなものでなければなかなか難しいんだろうというような意味で、今回の、世界から非難されている共同親権、共同養育について、先日の質疑に続きまして、また質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、最高裁判所にお聞きをいたしますが、前回、面会交流の回数が月一回が一番多いということでございましたが、平均的にはどのような状況であるのか、まずお答えをいただきたいと思います。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 家庭裁判所の面会交流事件における面会交流の方法の定め方につきましては、回数を具体的に定めるもののほかに、具体的な回数を定めずに合意するものですとか、長期休暇中の面会交流について合意するものなど、さまざまな定め方がございます。

 また、面会交流の回数を具体的に定めたものにつきましても、統計は、月一回以上、月二回以上、週一回以上など、統計上の区分を設けて、その区分ごとに集計をしているものでございます。

 したがいまして、お尋ねの面会交流の回数の平均値等を出すことは難しい状況でございまして、正確な数値は把握していないところでございます。

串田委員 それでしたら、とにかく月一回が圧倒的に多いということを前提にしてお聞きをいたしますが、まず大臣、この月一回というのが個別具体的なことで決定されたということでございますけれども、本来、大臣もお答えいただいたように、子どもの権利条約は共同養育をするのが我が国の義務であるというのは正面からお答えをいただいたという意味では、共同養育になるということを最大限生かしつつ、いろいろな個別具体的な判断で結果が出されているものだと思います。

 日本の家庭裁判所がこの一月に一度というようなことを個別具体的な状況で結論を出しているという意味でのこの個別具体的な部分が、何が一番中心となる理由として月一回というふうに定められているのか、大臣にお答えをいただきたいと思います。

森国務大臣 児童の権利条約について冒頭お述べになりましたが、私の答弁では、この児童の権利条約によって、締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払うというふうにされておりますというふうに答弁をしております。

 その上で、月一回という頻度についての御質問がございました。

 まず、一般論として申し上げますと、面会交流が適切な形で行われることは、子供の利益を図る観点から極めて重要であると考えております。

 その上で、面会交流の頻度や態様を定めるに当たっては、父母の協議で定める場合と家庭裁判所が定める場合とがあると思いますけれども、いずれの場合も、各家庭の事情や子の心情、意向等を踏まえて個別的に判断されているものと承知しております。

串田委員 今お答えをいただきましたが、私は、今の回答は、法務大臣の本当の気持ちから答えられているのではないんじゃないかなと。

 この法務委員会では、弁護士の方もたくさんいらっしゃる。皆さん、経験されていると思うんです。家庭裁判所で、面会交流の、そういう調停や審判の場面になれば、月一回が普通だからと調停委員や裁判官からまず最初に冒頭言われる。月一回が圧倒的に家庭裁判所で統計が多い。これは全部、当事者も担当しているでしょうけれども、弁護士もついている事件も多く行われているわけです。その中で月一回、月二回でも三回でも四回でもないんです。月一回が圧倒的に、前回の答えですと六〇%以上、月一回が圧倒的に多い。これはもう行った途端に、何の事案の審理も何もない中で、面会は月一回だから、こういうふうに言われて始まる。ここにいらっしゃる弁護士の方は、皆さん、そういう経験を私はされているんじゃないかなと思いますよ。

 それで、前回お話を聞きました。子供を連れ去ったときには、子供を返してもらうということが極めて難しい。これは日弁連の六十年誌にも、子の連れ去り天国として世界じゅうから非難されていると書いてあるし、連れ去ったことをとがめるのではなくて、有利に扱っているのが一般であると。ここに書かれている人たちというのは、みんな、その分野における権威の人が依頼を受けて、自信を持って出している本に、一般に有利であると書かれているんです。要するに、連れ去られれば、もう子供を返してもらえない。恐らく、ここにいる法務委員のメンバーが連れ去られたら、ほとんどの委員は、子供を返してもらえない、月一回しか面会できない親になりますよ。

 宮崎政務官、御自身の経験の中で、子を連れ去られた側を担当して、連れ戻すことができる割合あるいは経験、もしあれでしたらお答えいただけないでしょうか。

宮崎大臣政務官 串田委員御指摘のとおり、家裁で、要するに、審理をする際には、審判官と調停委員を交えていろいろな議論をするわけであります。

 統計の数字もお示しをいただいております。確かに、私も、実務、二十年やっていましたので、経験の中で、家裁でいろいろな事件をやりました。月一回という経験をしたこともございます。

 ただ、やはり、そこで代理人、当事者、そして裁判所、審判廷を含めて考えているのは、子の健全な発育のためにどういったことをこの後するべきかという当事者の努力であって、やはり目指すべきは、子の健全な発育のために何が資するかという視点であるというふうには理解しております。

串田委員 御経験でどういうふうな割合かお答えをいただけなかったというのは、立場上、理解はしていますけれども、大変厳しいというのは、これはもうこういう本、日弁連の本に、有利に扱われて、子供の連れ去り天国と書いてあるわけですから。連れ去った側は天国なんです。天国の対義語、地獄ですよ。要するに、連れ去った側は天国なんです、連れ去られた側は地獄なんです。

 ここにいる委員の、弁護士も含めて、連れ去られたら、子供を返してもらうことができると断言できる人は、恐らく、ほとんどいないと思いますよ。経験していて、自分もそれを長年経験をしている方々はみんな、連れ去られたら返してもらえない。月に一回しか面会をすることができない親に変わっていくんです。

 大臣も、恐らく、連れ去られたら同じだと思います。月に一回、面会をすることしかできない。どうしてか。相手が先に連れ去ったからですよ。もしも大臣が先に連れ去ったら、大臣が子供をずっと養育をし、相手方は月一回しか面会ができない親に変わり、そして養育費だけを払わされる地獄の日々が待っているんです。自殺している人もいっぱいいるんですよ。国際からこんなに非難されているんです。こういったようなことを変えないで、仲裁手続だとか外弁法だけ手続を変えていったってだめなんですよ。

 そういう意味で、本当に真摯に考えていただきたいのは、個別具体的というのを余り強調しない方がいいと思うんです。なぜなら、個別具体的に判断をして、片方の親は月に一回しか、それも二時間ですよ、二時間しか会わない方が子供にいい、宮崎政務官、そういう意味ですよね。そういうことで月一回になったわけでしょう。そういう親なんですよ。片方は、それからマイナスした全ての時間を得られる親が一番子供に最善だということで裁判所が判断しているということになっちゃうわけです。

 そうだとすると、これから法改正なんかしたって、どうするんですか。法改正して、この比重が変わっていく。今、子供の連れ去り天国と言われ、国連からも共同養育になっていないというのを二月に勧告を受けて、法改正の研究をしたとしても、その法改正をしてこの比重が変わるということは、今の時点を否定することになるじゃないですか。個別具体的に判断をしたから、片方の親は二時間、あるいは月一回、それ以上は子供によくないというので月一回になったわけでしょう。それを法律を改正して比重を変えるということは、今の現状の適正な判断を崩すことになるわけです。

 むしろ、私は、今までの家庭裁判所は、もう月一回というのが慣行になっていて、それを少し安易に適用しているという傾向がありやしないかというものを素直に認めた上で、二十四カ国の調査結果や、あるいはいろいろな意見をしんしゃくしながら、共同養育というものを、世界的な状況を鑑みて法改正をしていくんだという謙虚な姿勢を、本当の真実のことをおっしゃられた方が私は正しいと思いますよ。今の時点を肯定していたら、改正したら悪いものになってしまうわけですから。

 大臣、いかがでしょう。

森国務大臣 父母が離婚をした後の子供との面会交流のあり方については、これまでも申し上げてきましたとおり、家族法研究会において、今後の重要な検討課題の一つであることが確認されましたので、そちらで議論をされていくものと承知をしております。

 法務省としては、子供の権利が最善に守られるように、そして子供の権利が不当に侵害されることがないように、さまざまな御意見にしっかりと耳を傾けながら、家族法研究会での議論を見守ってまいりたいと思います。

串田委員 そういう意味で、個別具体的な判断をして今の結果が出ているというようなことを余り強調されない方がいいと思いますよ。月一回しか会えない状況というのは、これは家庭裁判所の統計でもそうですし、こういうような日弁連の記載にもあるように、子供の連れ去り天国になってしまっているんです。そういうような状況を、個別具体的に判断してそうなっているんだというようなことを世界に発信しない方が私はいいと思います。

 子供を連れ去られた側は月一回しか会えなくなってしまっている、そういう親で、片方は圧倒的に子供を養育をすることが与えられる。それが子供の最善な状況なんだ、個別具体的にそれが適正なんだと余り強調すると、この国というのはそういう極端な親に、片方は子供の養育を非常によくできる親がいて、片方は月一回しか会わない方が子供にとって最善の親なんだ、そこまでひどい親なんだ、そんなに二分されるようなことはないですし、子の連れ去りがどちらが先かによって、これが百八十度一転するわけですよ。連れ去った側は圧倒的に養育をし、連れ去られた側は月一回しか会えない、そういうようなレッテルが張られる。しかし、逆に、先に連れ去った方は、これが全く逆になるわけです。

 そういうことで子の連れ去り天国と言われているわけですから、そんなに親の資質とかがここでは問題なのではなくて、子の連れ去りを放置しているからこういうような状況になるわけです。

 私は、先日、裁判所、地裁レベルですけれども、具体的なことを言うと、また具体的だということだったので、抽象的にお話をしますが、こういったような憲法上の立法措置をとらなかった、条約の立法措置をとらなかったということで争ったときに、裁判所は、条約に関しては具体性がないという判断をしました。これは、法律の方は御存じのように、条約の自律執行力があるとかないとかという話だと思うんですけれども。

 しかし、条約は、共同で養育をする方が子供にいいんだということで、一九九四年に日本は批准したんじゃないですか。その批准した趣旨というのを、これは今の現行民法を解釈する上で生かすことなんて幾らでもできるわけですよ。

 子を連れ去ってフィフティー・フィフティーな状況にならなくなってしまったことに対して、裁判所が当初から、これはいけないんだよ、連れ去っちゃいけないんだよと言われて、いや、DVだというんだったらしっかりと審理をすればいいけれども、そこを放置したまま、連れ去りを放置したまま、連れ去り天国にしちゃったまま、そういう状況の中でずっと来てしまった。ここは解釈をすればよかったんです。原則、子を連れ去ってはいけないんだよ、そういうことをしたら不利に扱うんだよという裁判所の判断がなされていれば、今のような日本の子の連れ去り天国というのは私は起きていなかったんだと思うんです。

 ただ、そういうようなことを繰り返し判決を出す以上は、もうこれは国会が、国際から非難をされていることに対してしっかりと法改正するしか私はないんだと思います。

 そういう意味で、今、本当にたくさんの地獄を経験している、連れ去り天国の片方は地獄ですから、地獄を経験されている方からの声が私のところにもたくさん届いているので、ぜひこういう声を、一刻も早く解決をしていただきたいと思います。

 もう一点、児童相談所についてきょうはお聞きをしたいと思うんですけれども、児童相談所で親と児童相談所とが話合いがつかない、平行線になってしまうということがなぜ起きるのかというと、児童相談所は、虐待をしている親であるということを決めつけるわけですね。そして、子供を家に帰すときには、児童相談所は、虐待を認めなければ帰さないという話になるわけです。

 虐待をした親もいれば、あざがあったので通報された、だけれども、子供は実は転んであざができているかもしれないわけで、そういうようなことから、虐待はしていないんだと言う親がいるわけです。片方は虐待をしていないんだと言う親がいて、児童相談所は、虐待を認めなければ子供を帰さないというようなことになって、これが今の現状なんですよ。今の現状なんです。

 ですから、私は、第三者による検証機関が必要だと思っているんです。これはずっと続けても平行線なんですよ。だから、親は、子供を帰してもらいたいがために、虐待をしていないのに、虐待をしましたと言うしかないんですよ、帰してもらうためには。

 これは、大臣、何がしかの検証制度は私は必要だと思うんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

森国務大臣 児童福祉法上の一時保護の制度は、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図ることを目的として、児童相談所長等が必要があると認めるときに一時的に児童を一時保護所等に保護する制度でありまして、御指摘のとおり、親権者の意に反する場合であっても、児童相談所長等の判断で行うことができるものであると承知しております。

 このような一時保護の制度の措置について、児童虐待の事実がないにもかかわらず一時保護が行われたなどの不服がある場合には、親権者等は、都道府県等に対して審査請求の申立てをし、また、裁判所に対して取消しの訴えを提起することができ、それらの手続の中での一時保護の適法性が判断されるものになっておると思います。

 また、その制度の見直しについての御質問がございましたが、法務省は、児童福祉法上の一時保護の制度を所管していないため、その制度を見直すべきか否かについて答弁することは差し控えさせていただきます。

串田委員 時間の関係上ちょっと飛ばしましたが、国連からも、児童相談所の一時保護に関しては司法機関の手続を経なければだめなんだという勧告がなされているということなのでございます。ですから、そういった意味で、しっかりとした検証制度が必要だと思っています。

 子供の、子の共同養育に関しましても厳しく御指摘をさせていただきましたが、安倍総理が答弁をされて、そして山下法務大臣が調査を外務省に依頼し、河井法務大臣が研究会を立ち上げ、そして森法務大臣が、子どもの権利条約の、共同で養育をするというのが親の責務であるというようなことをしっかりと答弁をしていただきました。私、大変それはすばらしいことだと思っています。

 民主党政権時代は何もできなかったんです。きょうは、皆さん、桜を見に行かれているようで、お休みになっておられますけれども、神宮外苑はもうイチョウが黄金色に色づいております。

 そういう意味で、子供の成長は待ってくれていないんですよ。子供に会えない親がこの日本じゅうにたくさんいるというようなこと、今度、クリスマスがあるときに、そのクリスマスにプレゼントを渡して喜ぶ姿を待ち望んでいる、そういう親御さんがたくさんいるというようなことをぜひとも理解いただきまして、今後もこの問題については取り上げさせていただきますことをお約束をいたしまして、きょうの質疑を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

松島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十三分開議

松島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。櫻井周さん。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日は、法務委員会におきまして初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それで、本日の国会、随分荒れてしまいましたけれども、この原因の一つは桜を見る会の問題でございます。この点、ちょっと通告はしておりませんでしたけれども、大臣にちょっとお尋ねをいたします。

 今回、この件におきまして、数々の点で問題点が指摘されておりますが、そのうち特に、まさに昨今、きのうきょう紛糾しておりますのは、いわゆる反社会的勢力の人々が、この桜を見る会、まさにこの桜を見る会というのは、政府主催の行事の中でも園遊会に並ぶといいますか、次ぐ重要なイベントでございまして、日本国内のみならず各国の外交官等も参加をしていただいている、そういった重要なところに反社会的勢力が紛れ込んでいるというのは、これは大変大きな問題だというふうに思っております。日本政府としては大失態だというふうに思っております。

 これに対して、やはり、この反社会的勢力に対する取締り、こうしたものは警察それから検察挙げてやっているものというふうに理解をしておりますが、この点、こうした大失態があったことについて法務大臣としてどのように捉え、そしてどのように取り組んでいく所存なのか、お尋ねさせていただきます。

森国務大臣 御指摘の桜を見る会については、その招待者は内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめているものでありますので、法務大臣としてはコメントする立場にないのでございますが、反社会的勢力について一般的にお答えをいたしますと、あくまで一般論として、暴力団を始めとする反社会的勢力については社会から排除する必要があるものと認識しています。

櫻井委員 いや、内閣府が主催しているから知らないで済まされないと思いますよ。この問題は知らないでは済まされないというのがもうずっと、ほかの、芸能人とかでも芸人さんたちでも、知らない、知らないけれども一緒に写真を撮られちゃった、それでもう謹慎処分ということになっているわけですよ。

 これは、内閣府主催だけれども、内閣府がそういう失態をやっているんだったらけしからぬと法務省からしっかりと、検察から言う、こういう姿勢で臨まないといけないんじゃないですか。

 大臣、もう一度答弁をお願いします。

森国務大臣 お尋ねの桜を見る会の招待者については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめているものでございますので、法務大臣としてはコメントする立場にはございません。

櫻井委員 いやいや、別に、法務省に失態があったというふうに言っているわけではないんですよ。ただ、そういった事案が今回明らかになった、しかも、その招待者についても、本来だったら警察なりにチェックをしてもらう、また検察でも場合によっては調べるというようなことがあってしかるべきだと思うんですが、そういったこともなくスルーされちゃっていたんじゃないのか、こういうことになっているわけですから、いやいやそれはだめですよ、反社会的勢力に対して法務省もしっかり取り組んでいるんだから内閣府もしっかりやってくださいよ、内閣官房もしっかりやってくださいよということを法務大臣としてしっかり申し入れていく、そういう姿勢が少なくとも必要なんじゃないですかというふうにお尋ねしているんだけれども。

 しかし、いや、それはコメントする立場にありませんみたいな知らぬ顔をしているようだったら、今後も反社会的勢力に対する取締りが全然期待できないというふうに思って大変失望してしまうんですが。

 もう一度、大臣、ちょっとその意気込みを示してくださいよ。反社会的勢力、しっかり取り締まっていくんだ、少なくとも政府が主催するようなイベントにそんな者が入ってこないように今後はするんだ、そう力強く言ってくださいよ。

森国務大臣 お尋ねの桜を見る会の招待者については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめておりますので、法務大臣としてコメントする立場にございませんので、御理解いただけますようにお願いをいたします。

松島委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松島委員長 それでは、速記を起こしてください。(発言する者あり)

 じゃ、再度、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松島委員長 それでは、速記を起こしてください。

 今のやりとりは全く前進性のないものでございましたので、櫻井周委員、できれば質問をもう一度考えて、もう一度質問してください。大臣も、よく考えて答弁してください。

 櫻井さん。

櫻井委員 これまでいろいろな問題があったことを踏まえて、今後、政府として、特に反社会的勢力に対してしっかりと対峙をしていかなければいけない、それを取り締まるべき立場にある法務省として、今後こうした、少なくとも政府が関係するようなイベントにおいて入ってこないように取り組むべきだというふうに考えますけれども、法務大臣の御決意をお聞かせください。

森国務大臣 お尋ねの桜を見る会については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめておりますが、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、一般的に、政府行事において反社会的勢力が参加することについて、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思います。

櫻井委員 ちょっと中途半端な答弁でしたけれども、本日は法案審議ということでございますので、次に進めさせていただきます。

 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の改正案というのが本日の議題でございます。今回のこの法改正の趣旨は、企業の国際取引の増加に伴う外国法サービスのニーズの拡大への対応ということ、それから、国際仲裁の活性化に向けた基盤整備、こういうふうに聞いております。

 ただ、大臣、これはこれで大変重要なポイントではあるんですけれども、我が国が置かれている状況において、話がちょっと小さいんじゃないのか。もっと大きなビジョンをまず示した上で、その大きなビジョンの中で今回はこの部分を取り組みますというような話だと、ああ、なるほどな、一歩一歩前進しているんだなということがわかるわけですが、もっと大きなビジョンを示していただけないかなというふうに思いまして、ちょっと質問をさせていただきます。

 法務大臣の改正案の趣旨説明、おととい行われましたけれども、ここでは、法律事務の国際化、専門化及び複雑多様化により的確に対応し、渉外的法務関係の一層の安定を図る、こういうお話もいただいております。

 ただ、これですと、何となく、受け身でやっているのかな、こんな印象も受けるところです。国際ビジネスに関するリーガルサービス、我が国がもっとイニシアチブをとれるようにしていく。そうであってこそ、国際ビジネスにおいて、他人の土俵で勝負するんじゃなくて、自分のところの土俵に連れてきて、それで勝負できる。であればこそ、我が国企業も、ある種有利な条件でビジネスを進められる。それがひいては国益につながっていくのではないか。このようにも考えるわけです。

 一方で、今回の法改正のいろいろな資料の中で、シンガポールや香港と比べて日本は非常に劣っている、こういうことも出てきております。

 ただ、シンガポールや香港というのは、ある種大英帝国以来のレガシーを引き継いでいるという国ですので、そこに追いつくというのは、これはなかなか難しい、一朝一夕にはいかないというところではございますが、ただ、そういうところと比較するのであればこそ、なおさら、大きなビジョンを示していただきたいと思いますが、まず大臣のビジョンを示していただけますでしょうか。

森国務大臣 話が小さいのではないか、もっと大きな話をするべきではないかとの御質問でございますが、私としては、国際仲裁の活性化を含めて、我が国の司法インフラの国際競争力を高めるためには、今回の外弁法改正のほかにもさまざまな取組を行う必要があると考えております。

 そのため、法務省では、国際仲裁の活性化に向けた取組の一環として、本年度から五年間、一般社団法人日本国際紛争解決センターへの委託により調査業務を実施しているところでございます。

 本業務においては、東京都心における仲裁専用施設の確保を含め、国内外の企業等に対する広報、意識啓発や、仲裁人、仲裁代理人等の人材育成といった基盤整備に関する施策を総合的に実施し、日本において国際仲裁が確実に根づくための有効な施策のあり方を調査検討することとしております。

 また、重要な日本法令を外国語訳として国際発信することも、国際化に対応したインフラ整備を行うとの観点から大変重要な取組であると考えております。法務省では、これまで十年にわたって、専用ホームページを開設し、関係省庁と連携して、公開する英訳法令の増加等に努めてまいりました。

 法務省としては、今後ともこれらの取組を積極的に推進してまいります。

櫻井委員 ちょっと、さっきから大臣は原稿を読まれて、なかなか話がかみ合っていないようでございますが、私が申し上げたのは、大きなビジョンを示してください、こういうお話をしたんです。だから、何か役所の方のつくった資料を読むのではなく、大臣の思いのたけを語っていただきたかったんですが、いただけなかったので、私の方から個別具体的に、一つ一つ確認をさせていただきたいと思います。

 まず、今回、虎ノ門に国際仲裁の場所をつくる、こういう話が今、大臣の答弁の中でもありましたし、法案の説明の中でもございました。また、人材については、今回、外国法の事務弁護士を、より、ちょっと要件を緩和したりして、日本で働いてもらいやすくする、こういうことでございます。場所と人材を用意した、そうすると勝手に、仕事といいますか、こうした国際仲裁がわあっと日本に、虎ノ門に集まってくるのかというと、世の中そんなに甘くはないというふうに思います。

 例えば、先ほどシンガポールや香港という話を申し上げましたけれども、ここと比べるのはちょっといろいろな意味でなかなかしんどいところはあろうかと思いますが、例えばお隣の韓国、韓国も、この国際仲裁、それなりに頑張っていて、実績も上げております。少なくとも日本の五倍ぐらい、日本が十とかそれぐらい、前後でうろうろしているのに対して、韓国は、百弱ぐらいの実績を毎年、最近は上げているということでございます。韓国は、そういう意味ではどうやってうまくやっているのか。そうしたことについて、何か研究されたりしていますでしょうか。

金子政府参考人 お答えいたします。

 外国機関の取組であるため必ずしも詳細には承知していないんですが、韓国におきましても、国際仲裁の活性化に官と民が連携して取り組んでおり、仲裁施設の整備、それから国内外に対する広報等に積極的に取り組んでいるものというふうに理解しております。

 日本における国際仲裁の活性化を考える際にも、外国のこのような取組を参考にしつつ、引き続き検討してまいりたいと考えております。

櫻井委員 お隣にそうした例があるわけですから、ぜひ参考にはしていただきたいというふうに思います。

 それで、虎ノ門にこうした国際仲裁の場を設ける、そして外国法の事務弁護士もよりたくさん来てもらいやすくするということですが、ただ、民間企業の方で特に、国際ですけれども、少なくとも一方は日本企業ということが想定される。外国企業同士でいきなり、虎ノ門でやりますということにはなかなかならないと思いますから、少なくとも一方は日本の企業ということになろうかとは思いますが、こうした日本の会社で、もしかしたらこれまでシンガポールや香港でやっていたかもしれない国際仲裁を虎ノ門でやりたい、こういうニーズについてどのように把握をされているのか。また、どういう条件が整えば、これまでシンガポールでやっていたものを、香港でやっていたものを虎ノ門でやろうということになるのか。その辺、どのように分析をされていますか。

金子政府参考人 日本で国際仲裁の手続をするためには、事前に、仲裁合意の中でその旨の合意をしておくということが必要になります。したがって、企業が日本で仲裁をするということを選んでいただくという必要が生じます。

 日本で仲裁手続を行うメリットとして、アンケート等からうかがえるところは、審問への出席が容易になり、費用や時間の節約が可能になる、それから、仲裁といいましても、仲裁人以外に事務局としての仲裁機関があるわけですが、その仲裁機関等と日本語での連絡が可能になるなどのメリットがあるというふうに指摘されております。

 したがって、このようなことを同時に行うことによって、日本での仲裁手続の活性化につながっていくものであろうと考えております。

櫻井委員 特に中小の会社ですと、なかなかこうした国際ビジネスの分野でも経験がなかったり海外に拠点がなかったり、そうしたことから、虎ノ門でできるならやりたい、こういうニーズはあろうかと思いますが、他方で、やはり大きな企業に、虎ノ門でやりたいというふうに思ってもらわないと、なかなかいけない。

 大きな企業は、もう既にシンガポールなり香港で、ないしはニューヨークとかそれ以外の地域でやっているから別に虎ノ門にこだわらないよというような話があるとも聞いておりますけれども、まず、大企業でも、やはり虎ノ門がいいんだ、こういうお話は来ているんでしょうか。また、そういうところがまず最初に虎ノ門でやってもらわないとなかなか虎ノ門も定着しないと思うんですが、この点についての見通しなり分析をお聞かせください。

金子政府参考人 先ほど御説明した、仲裁を日本ですることのメリット、これは、海外に拠点を既に有している大企業の場合にも当てはまるものと考えております。もちろん、海外に拠点を既に有している大企業の場合、そのメリットの程度というものには違いがあるかもしれませんが。

 それから、日本が今まで選ばれなかったという理由について、適切な仲裁の場所がないとかいうことも挙げられていますので、そういう点も含めて多面的なアプローチをすることで、既に海外に拠点がある大企業にとっても、日本を選ぶような選択肢をふやしていくということが肝心であろうと思っております。

櫻井委員 なぜ、こういうように大企業、中小企業と分けて論じさせていただいているかといいますと、やはり、国際紛争の調停地をどこにするかというときに、二つ取引先があって、それで、両者の力関係でどっちにするかと。日本の会社が大きくて交渉力があるといった場合であれば、虎ノ門がいいと言えば虎ノ門になる可能性は十分高まってくる。ところが、日本の方が小さくて、相手方、外国の会社の方が大きな会社で、取引をしているというときに、その小さい方が虎ノ門がいいと言っても、虎ノ門って何だそれは、実績はどれだけあるんだ、こういう話になってくると、なかなか、虎ノ門でやりたいと言っても、できないんじゃないのか。やはり、実績をつくっていく上でも、交渉力のある大きな企業に虎ノ門を選んでいただく、虎ノ門がいい、虎ノ門を育てていこうというふうに思っていただくことが大事かと思います。

 大臣、やはり、そういった観点からすると、大臣のリーダーシップというのが重要になってくると思うんですが、大企業に対して、大企業に限らないですね、交渉力のある会社が虎ノ門を積極的に活用していくということについて、大臣のリーダーシップが非常に重要だと思いますが、その御決意をお聞かせいただけますか。

森国務大臣 大企業を始めとした交渉力のある企業に、虎ノ門に設置される予定の仲裁場所を積極的に活用してもらうべきではないかという御質問をいただきましたが、今般の改正は、日本での仲裁をより実効的に活用していただけるためにするものでございますので、委員の御指摘と意識を共有するものでございます。

 これから、さまざまな人材、そして組織体制も整備していく中で、企業の皆様にも呼びかけてまいりたいと思います。

櫻井委員 あと、国際仲裁に直接関係するわけではございませんが、やはり、日本においてリーガルサービスというのは非常にレベルが高いんだというふうに思ってもらう、そして、いろいろな会社に使ってもらうということが重要だというふうに思います。

 そういった観点で、日本は、法体系は一体どうなっているのか、法律はどうなっているのか。先ほど大臣からも、外国語への翻訳、日本法、多分英語だと思いますけれども、そういうのも進めていくというお話がございました。ございましたが、現状を聞きますと、日本では、法改正をやって、それがちゃんとした確定訳になるまで三年ぐらいかかると。三年たったら、もう次の法改正になっちゃっているんじゃないかというふうにも思うわけですけれども、お隣の韓国では、数カ月、すぐ、二、三カ月でやっているという話もお聞きをします。その二、三カ月というのが暫定訳なのか確定訳なのか、これは私も承知はしておりませんけれども、そのスピード感というのは非常に全然違う。

 こうした努力、日本の法律というのはきちっとしているんだ、そして、海外に向けてもオープンなんだ、万人に使いやすいんだ、こういうアピールをしていくことは大変重要だと思います。そういった意味で、今のこの体制、三年かかるというのはいかにも遅過ぎるというふうに考えますが、これは、大臣、どのように取り組んでいかれますか。

金子政府参考人 委員御指摘の法令の外国語訳、日本の法令を外国語にタイムリーに訳して海外発信するというのは、非常に重要なことであるというふうに理解しております。

 この日本法令を外国語に訳して国際発信する取組は司法制度改革の一環として始まって、平成二十一年度から、法務省が政府全体の法令外国語訳の品質管理や一元的な公開業務等を行っております。

 不十分という御指摘でしょうが、現在、法務省の専用の公開ホームページでは、約七百五十の日本法令の英語訳を公開しております。近年は利用件数が拡大しておりまして、一日当たり約十万件のアクセスがあるということからも、ニーズはあるので、この取組を加速させていく必要があるというところは認識しているところでございます。

 他方、品質をきちんとしなきゃいけないという面もございまして、まず所管の省庁から原案というのを出してもらい、それを法務省で受け取った後、法律に関する専門知識を持つネーティブアドバイザー等による翻訳の検査を行った上で、弁護士や研究者から成る日本法令外国語訳推進会議において専門的な検討を行った上で、専用ホームページにおいて高品質な法令の公開に努めているということでございます。

 できるだけ迅速にしなければいけないというニーズあるいはその要請は非常によくわかるところでございますので、引き続き、この点については力を入れて取り組んでいきたいと考えております。

櫻井委員 まさに三年かかるものを、今、取組をやってもう少し短くしますよということでありますけれども、先ほど申し上げたように、何年もかけていたら次の法改正まで行っちゃうわけなので、そうならないように、少なくとも施行までにはちゃんとある程度のものがオープンになる、公表できるというふうになっていないと、到底、何か日本でいろいろな法律関係のサービスを受けよう、そういう気にならないのではないのかというふうにも思いますし、また、こういった分野をしっかり育てていくことが、ひいては国際的なリーガルサービスを提供していく人材育成にもつながっていくのではないのかと考えますので、ぜひ大臣、よろしくお願いいたします。

 続きまして、次のポイントに移らせていただきます。

 通告では、対内投資をめぐる国際的な懸念の高まり、こういうふうに通告をさせていただいております。

 これは何のことかと申し上げますと、ことし、この臨時国会で外為法が実は改正をされております。全会一致でしたので、ここにいらっしゃる皆さん、衆参を含めまして、皆さん、御賛成されているかと思います。この外為法の改正の趣旨というのは、まさに、外国為替や外国貿易などの対外取引が自由に行われているということは基本なんですけれども、最小限の管理で我が国の健全な発展に資する。特に、最近はいろいろな緊張関係とかあって国際的な懸念が高まっているということでございます。

 特に、もう少し具体的に申し上げますと、例えば、二年前に中国では国家情報法というのが制定をされ、その七条には、いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない、こういう規定もございます。ある種、この文章を素直に読めば、もしかして中国の人たちはみんな中国政府に協力して情報収集活動を行うのか、こんなふうにも読み取れてしまうわけです。

 また、今月の初め、十一月四日、ニューヨーク・タイムズには、NIH、ナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルス、国立衛生研究所とでも訳すんでしょうか、ここの中国系アメリカ人の学者がアメリカ政府の研究成果を中国に漏えいしていたというような事件も発覚した、こういった報道がなされております。それ以外にも、アメリカにおいては、司法省やFBIが捜査をしているというような事件もいろいろ出てきております。

 こういったこともあって外為法の改正ということになりましたし、それ以外の法律も変えているわけでございますが、外為法で一生懸命穴を塞いでも外弁法の方で、こちらの方で穴があいてしまうというようなことがあってはならないというふうに考えますが、外弁法では海外からのリスクに十分対応できているんでしょうか。

金子政府参考人 ただいま御指摘のありました、日本の技術等の秘密情報の漏えいへの御心配かと思います。

 ただ、この点は、外国法事務弁護士による法令違反行為を前提とするということになります。しかしながら、外国法事務弁護士は、他の士業と同様、法律によって認められた専門職であり、現行外弁法の第六十七条一項におきましても秘密保持義務が課されているほか、日本弁護士連合会の会則、会規による規定等を遵守する義務を負っており、これらに違反した場合は、秘密保持違反について刑事罰、日本弁護士連合会会則、会規違反については懲戒の対象とされているところでございます。

 また、現行法も、弁護士と外国法事務弁護士が業務を共同して行う外国法共同事業ということは認められておりますけれども、技術情報の漏えいのおそれを示すような具体的事案については承知しておりませんし、共同法人制度が創設されることでその危険が高まるものとは考えられないところでございます。

 法務省としましては、これらの現行法上の規律、それから今回の法案にも含まれております不当関与を禁止する規定を設けるなどによりまして、このような懸念に対する対策としては十分なされているものと承知しております。

櫻井委員 今、御答弁の中で、共同事務所の設立についても言及がございました。こうしたことがあっても懸念はないというお話でしたが、私はそうは思わないんですね。

 これまでも、日本の弁護士法人、それから外国法の弁護士法人、別々に設立できておりまして、日本で活動する中でそうした漏えいのリスクがなかったわけではないと思いますが、共同法人になることによってより高まる可能性が出てきたのではないのか。つまり、上司は外国法の事務弁護士、もしかしたら、その法人の中での体制として、部下に日本法の弁護士が入ったりというようなこともあり得なくはない。その事務所の意思関係とか体制は、それは法人の中の自治でございますから、そういうことはあるかもしれない。そうなったときに、何らかの形でそういったところにアクセスしていくことがあるんじゃないのか。

 しかも、こういう技術漏えいとかそういったことというのは、表に出ないからわからない。表に普通は出ないんですよ。皆さん、表に出ないようにこそこそとやるんですから。

 過去にもこうした技術漏えいの事件がありましたけれども、例えば、これは大分前の話ですが、四年ぐらい前、新日鉄の技術が韓国の鉄鋼大手ポスコに流れていたという事件があって、四年前に三百億円で和解しておるというふうに報道されておりますけれども、この事件なんか、結局のところ、たまたま、中国の鉄鋼メーカーと韓国の鉄鋼メーカーの間で裁判をやっていて、その中でぽろっと出てきて、実はこの技術は新日鉄の技術だったんだよというのが後になってわかって、それで、ええっということでこういう裁判になったわけで、普通はこういうのはわからないんですよね。

 わからないから、そういった事案は聞いていないから大丈夫ですという理由には、過去になかったからあしたも大丈夫ということにはならないということはまず申し上げておきます。

 その上で、いろいろ、こうした業務範囲外、所掌外の事務については厳しく管理監督をしていく、また、そういった体制はつくっていくというような趣旨のお話もいただいておりますので、その点についてはしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 あと、特に大企業ですと、こうした法的なサービスをいろいろ使っている、特に国際的な商取引の中で、ビジネスの中でこうした経験を蓄積されているかと思いますが、中小、中堅の会社の中では、必ずしも、そういった分野に不案内である場合もございます。

 私自身、かつて弁理士として仕事をしていたときには、中小の会社で、国内で元気にやっていたけれども、いざアジアに展開しようとすると先に商標を押さえられていたとか、いろいろなところでいろいろな問題が起きているということで、先回りしてやっておかないといけなかったんだといって、ほぞをかむというようなこともございました。

 そういった意味で、これからまさに虎ノ門を使っていただく、そしてそれによって非常に効果が大きいのは中小・中堅企業だと思うんですが、こうしたところにも、この共同事務所、外国法の事務弁護士というのはこういうことですよということを理解してもらう、理解してもらった上で活用していただくということが必要だと思うんですが、こうした啓発活動について、どのように取り組んでいくおつもりでしょうか。

    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

金子政府参考人 今回の改正の一つの柱としております共同法人の設立のメリットとしては、法人化することによりまして地方都市にも従たる事務所を置くことができる。地方都市に従たる事務所を置くことによりまして、その共同事務所は外国法の知識と日本法の知識と両方を共有しているわけですから、いわば両方の知識が必要となるような国際案件について、地方の中小企業についても、そこをワンストップで相談に乗ることによっていろいろな知見が得られるというメリットがあろうかと思います。

 したがいまして、中小企業に対しても、このような新たな制度ができた、そのメリットはこういうところにあるということをきちんと周知していくことは重要だと思っていまして、それに努めてまいりたいと思います。

櫻井委員 それから、技術情報の話も先ほど来させていただいておりますけれども、こうした技術漏えいは日本でも時々明るみになる。これは本当に氷山の一角の更に一角ではなかろうかというふうにも思うんですが、こうしたことが起きてしまう背景には、やはり、一つには、日本の法律、法体系の不備といいますか、諸外国に比べておくれているところがあるのではないのかというふうにも思うわけです。

 特に知的財産権に関する技術漏えいについては、損害を立証するというのはなかなか、全部立証する、一〇〇%損害を立証するというのはできないですから、立証できる部分というのが、ようやく何とか資料を集めて、証拠を集めて、半分集めました、それで、それについてようやく賠償を受けられるわけで、損害を受けたであろう金額全て賠償を受けるというのはなかなか難しいということから、欧米先進国では、そしてアジアの諸国においても、中国や韓国、台湾においても三倍賠償制度というのが導入されているわけです。

 こうした取組、ちゃんと日本の技術を守っていくんだという法体系を考えていくこと、これは経済産業省とか特許庁でもやっているんですけれども、この三倍賠償とかになってくると、これは法の根幹のことにかかわってくるので、やはり法務省が動かないとどうにもならない。経済産業省とかでわあわあ言っていてもどうにもならないという問題もあるものですから、あえてここでお尋ねをするんですけれども、やはり、我が国の最先端技術を守っていくために、こうした抜本的な損害賠償制度のあり方を変えていかなければいけないと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

金子政府参考人 お答えします。

 特に特許分野等におきましての損害賠償制度のあり方として、委員御指摘のような三倍賠償あるいは定額の賠償というような考えがあって、諸外国ではそういう制度をとっている国があるということは承知しておりますし、日本においても一つの検討課題になっているということは承知しております。

 ただ、それが、導入した場合のいろいろなインパクト、社会に与える影響、あるいは法体系上の問題、そういうこともあわせて考えなければいけないので、その点も踏まえた検討を今後していくことになろうというふうに思います。

櫻井委員 法務省としても三倍賠償など損害賠償制度のあり方について問題を認識していただいて、検討していただいているということで、承知をいたしました。

 これは、別な法の、特許法等の改正のときにも附帯決議でそういった部分も入っていたかと思いますので、十分、法務省でも、これはよその省庁の所管業務だから知らぬということではなくて、十分重く受けとめて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 また次のポイントに移らせていただきます。

 司法制度にかかわる人材育成ということでございます。

 今回、こうした虎ノ門に国際仲裁の場所を設けて国際ビジネスのリーガルサービスを積極的に提供していける体制を整える、その一つにしているわけでございますが、ただ、法律の分野で、しかも英語でやりとりをする、ちょっと言い方はよろしくないかと思いますが、ある種、英語でけんかをするということになってくると、これはなかなか、語学力といいますか、英語力が堪能でないとできない。

 私もアメリカに留学をさせていただいた経験はございますが、なかなかその域には達しない。お互い和やかに話をしている分だったら別に会話は成立するわけですが、いざ、けんかをしようと思ったらとても対抗できないというようなことで、これはなかなか大変だと思います。しかも、専門用語を駆使しなきゃいけないということで、なかなか大変だと思います。

 こうした人材をしっかりと育成していくためには、やはり多様な人材を集めていかないといけない。そのために法科大学院制度というのをつくったんですが、午前中にも質疑ございました、二〇〇四年には七万二千人の法科大学院の志願者がいたけれども、二〇一八年度は、九割も減って、八千人というふうに大幅に減っている。多様な人材を集めるためにこうした法科大学院を始めとする司法制度を改革したはずなのに、結果は逆の方向になっているんじゃないのか、むしろ多様な人材が集まらなくなってしまっているのではないのか、こういうふうにも懸念するところです。

 こうしたことを考えれば、法科大学院の存在そのものを私は否定はしませんけれども、法科大学院を修了しないと司法試験を受験できない、受験要件とするというのはもうやめたらどうでしょうか。そして、誰でも受けられますよ、ただしちゃんと試験に合格してください、そして合格した人は司法修習でしっかりと研修を受けますよ、こういうスタイルでいいかと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

金子政府参考人 法科大学院を中核とする現行のプロセスとしての法曹養成制度において、法科大学院既修者コースに入学した者につきましては、原則として、学部入学から数えて法曹資格取得までに約八年を要しております。

 このような中、去る百九十八回通常国会におきまして、法科大学院改革と司法試験制度の見直しを内容とする、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律が成立しました。これにより、法科大学院教育の充実や、資格取得までの予測可能性の高い法曹養成制度が実現されるとともに、最短約六年で、学部入学から法科大学院を経て法曹資格を取得することができるようになり、法曹資格を取得するまでの時間的、経済的負担の大幅な軽減が図られることになります。今回の法改正を通じて、より多くの有為な人材が法曹を魅力あるものとして志望することにつながっていくものと期待しているところでございます。

 法務省としては、プロセスとしての法曹養成を前提とした上で、まずは今般の法改正の着実な実施及び円滑な導入に向けた取組をしっかりと進めていくことが最優先というふうに考えております。

櫻井委員 この法科大学院制度でございますが、森大臣御自身は、旧試験といいますか、法科大学院には行かないで、旧試験で試験を受けられて合格されたというふうに聞いておりますけれども、どうでしょう、森大臣。

 今のこんな、法科大学院に行って、高い授業料を払って行かなきゃいけない、そういう体制よりも、ちゃんと試験を受けて、それで要領がよければさっさと合格する、その後、大手の事務所なんかでは、二、三年働いた後、アメリカに留学して、LLMのコースで一年、それでアメリカの司法試験にも合格してというような方も結構いらっしゃるというふうに聞いておりますけれども、こうした方、国際ビジネスについてのリーガルサービスを提供する人というのは、それは弁護士の中でほんの一部、一握りですけれども、一握りの人を、一握りだけれどもすごくそういった分野に詳しい人、英語力がある人、こういう人たちを育てていくというのが重要なことで、広く薄く育てるんじゃなくて、狭いけれどもすごくできる、狭く深くということだと思うんですね。

 そういったことを考えると、やはり旧試験制度の方が、そして森大臣が合格されたときの制度の方が、よっぽど多様な人材が集まっていたんじゃないかというふうに思うんですが、御自身の経験を踏まえて、森大臣、いかがでしょうか。

森国務大臣 より多くの有為な人材が法曹を志望し、質の高い法曹が活躍するための取組を進めることは非常に重要であると思います。

 法科大学院改革や司法試験制度の見直しを内容とする改正法が成立し、これにより、法科大学院教育の充実や、法曹資格を取得するまでの時間的、経済的負担の軽減が図られるとともに、資格取得までの予測可能性の高い法曹養成制度が実現され、より多くの有為な人材が法曹を魅力あるものとして志望することにつながることを期待しております。

 現在、法科大学院においては、例えば、少人数によるディスカッションや、また国際関係法などの科目もございますし、自分たちが受けている今の法教育に関して勉強するゼミもございます。私のちょうど子供たち世代が今、法科大学院に行っているわけでございますが、私も多くの学生たちと接しているわけでございますが、その中で、今度の改正法の趣旨にものっとって、法科大学院がより魅力あるものに発展していって、より多くの有為な人材、委員御指摘のような国際的な素養を持った人材も育成されることを期待しております。

櫻井委員 時間になりましたので質問を終わらせていただきますが、ちょっと最後まで話がかみ合わなかったのが残念なのが、いや、私は法科大学院の存在自体は否定はしておりませんけれども、司法試験の受験要件には、外してもいいんじゃないのか、その上で、法科大学院に行って勉強したいという方はぜひ勉強していただければと思いますし、それは日本なりアメリカなり好きなところに行っていただければいいというふうに思いますので、そうしたことも含めて考えていただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございます。

松島委員長 次に、松平浩一さん。

松平委員 立国社、松平浩一です。

 本日、外弁法の改正ということで、今回の改正、国際仲裁の活性化に向けた改正だというふうに理解しています。

 今まで、外国法の事務弁護士が代理できる国際仲裁の範囲というのが、簡単に言うと、国内を仲裁地として、本店などが外国にあるということだったので、非常に狭い範囲でした。そういう意味で、ほとんどの仲裁事件で、建前上、外国法事務弁護士は仲裁事件を扱うことができなかったということになっていたというので、今回、二条十一号を改正して、国際仲裁の範囲を広げたということになると思います。

 そこで、まずお聞きしたいんですけれども、この目的ですね、広げて国際仲裁を活性化させるということなんですけれども、国際仲裁を活性化したらどういうメリットがあるんでしょうか。

森国務大臣 国際仲裁には、裁判と比べて外国での執行が容易であること、原則として非公開であり企業秘密が守られること、専門的、中立的な仲裁人を当事者が選ぶことができることなどさまざまなメリットがあり、国際取引における紛争解決のグローバルスタンダードとなっていると承知しております。

 国際仲裁を我が国で活性化させることにより、日本企業が国内で安心して紛争解決を行うことが可能となり、日本企業の海外進出を促進することに加えて、海外からの幅広い投資を呼び込み、我が国の経済成長にも貢献するものと認識しております。

松平委員 我が国の経済に貢献すると。非常にそのメリットは進めるべきだと思います。ただ、やはり私、今回の改正を見ていて、当然、進めたのは評価できるんですが、まだまだ甘いというふうに思っています。

 事前レクでいただいた資料で、仲裁の年間の回数、シンガポールが約四百件、それで日本が十件ということなんですけれども、件数だけじゃないんですね、実は。仲裁で圧倒的にプレゼンスが大きいもの、大きな事件というのはどの分野か御存じでしょうか、大臣。これは、自分で言いますけれども、インフラ投資のコンストラクションアービトレーション、それからエネルギー、エナジーアービトレーション、それからあと海事仲裁、これらがもう圧倒的なんです、仲裁事件というのは。

 ただ、この大きな、本当に圧倒的に大きな分野というのは、残念ながらイギリス法がもうスタンダードになっちゃっています。もう入っていく余地はないんじゃないかなと思います。いろいろ頑張っていますけれども、もう相当難しい。幾ら当事者に日本の大企業、商社とかが入っていても、これはもう間違いなくイギリス法になっちゃっています。

 それで、イギリス法がスタンダードになっているということは、これに関する権益というものがあるわけですね。かかわる法律事務所、それからそれを解釈する人間ですとか、それの参考資料とか、何かいろいろなものがあるんですけれども、この辺が権益ということになっていて、まず、そもそもイギリス法となっているので、法律事務所自体が、イギリスのマジックサークルと呼ばれる法律事務所がもう独占しているという状況になっているんです。

 それで、先ほど、シンガポールの件数が多いということで言いましたけれども、他の分野でシンガポールの仲裁が多いということなんですけれども、実務でどうなっているかといいますと、やはり、仲裁地がシンガポールとなると準拠法もシンガポールにしようということに大体なってきます。仲裁地はシンガポールだけれども準拠法はUSのカリフォルニア州法にしようとか、そういうのもたまにあるんですけれども、普通、こういうことはしません、ややこしいので。大抵、仲裁地をシンガポールにしたら準拠法もシンガポールにしましょうと。

 そうしたら、ちょっとさっきの話にも関連する、同じような話になるんですけれども、やはりシンガポール法を学ぶ人がふえてきます。そうすると、やはり大学もふえます。大学の学生もふえる。留学生もふえます。それで、当然、シンガポール法を扱う法律事務所もふえ、そうしたら、やはり先ほど言った、事業に利益が落ちていく。これはどういうことかというと、法律を輸出しているというふうにも見えると思いますね。法律をシンガポールは輸出産業と考えているんですよね。

 ことしの初めぐらいに、日本経済新聞で記事がありました。世界の法律サービスの収入、売上げですね、売上げの占める割合、英米が六割で、何と日本は〇・五%しかないという衝撃的なデータもあります。これは、つまり、日本の法律的分野に関する資金を日本企業は吸い上げられてしまっているという状況になっている。GDPが本当にこの分失われてしまっているという状況になっています。

 というわけで、私は先ほどメリットを大臣に言っていただきましたけれども、この程度の改革じゃ、僕はやはり甘いというふうに思います。

 では、これはどう甘いか、具体的に見ていきたいと思います。

 UNCITRAL、国際商事仲裁のモデル法というのを出しています。UNCITRALとは国連の国際取引の委員会ですね、そこがモデルを出しているんですね。このモデルでは国際仲裁の範囲はどうなっているかというと、もちろん原文は英文なんですけれども、日本語で簡単に言うと、例えば、仲裁合意の当事者が、その合意時に異なる国に営業所を有する場合、又は、例えば紛争の対象事項と最も密接に関連を有する地が国外の場合、こういった場合には、国際仲裁になるんですね、できるということになっているんです。

 日本では、先ほど冒頭で定義を申し上げました、非常に狭い定義になっています。今回広げましたと。今回広げて、五〇%を超える親会社ですとか、準拠法ですとか、何かいろいろ条件を加えていますけれども、もうそんなの関係ないんです。非常に広い、国連が定めたモデル法はもっともっと広い。

 そして、では、シンガポールはどうしているかというと、更にこの要件を緩めているんです。当事者に、シンガポール以外に事業所があったらもう国際仲裁としているんです。例えば、当事者の持っている事業所の一部が日本にあります、若しくは全部が日本にあります、そういうのでももう国際仲裁になっている。外国との何らかの関連性という非常に緩い条件で国際仲裁ということにしているんです。

 私、ちょっと、本当に恐縮なんですけれども、このぐらいやらなきゃもう巻き返しというのは難しいんじゃないかなと思っているんです。少なくとも国際仲裁の定義を、UNCITRALのモデル法、国連が決めたモデル法の程度、それが国際的スタンダードと言っていいんだと思います、その程度に合わせてほしいと僕は思います。

 先ほど、仲裁を活性化させて日本の経済のためにしようとおっしゃいましたので、このぐらいやってほしいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

金子政府参考人 UNCITRALのモデル法において、国際性を有する仲裁事件の定義、これについては御指摘のとおりというふうに承知しております。

 このモデル法は、当事者の所在地や仲裁地等を基準としている点におきまして、今回の法案と基本的な考え方は共通しているものと理解しております。もちろん、今委員御指摘のとおり、その広さに違いがあろうかとは思います。

 特に、今回の法案においてモデル法と違うところは、義務履行地や密接関連地といった基準を採用していないということです。そのかわり、当事者が合意により定めた準拠法が日本法以外の法である場合というふうなことを国際仲裁事件の定義として含めることにしています。

 この点、どうして違っているかということですが、外国法事務弁護士等の代理が可能か否かにつきましては、弁護士法七十二条等の適用範囲を画するものとして、予測可能性の高い規律とすることが適当であるとの理由によるものというものでございます。

松平委員 でしたら、弁護士法も含めて変えなきゃいけないのかもしれません。かもしれないというのは、ちょっとごめんなさい、弁護士法もやはり、本気でやるんだったら、そこも含めて変えていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。

 大臣、ちょっと僕、大臣のお答えを、意気込みを聞きたかったんですけれども、どうですか。

森国務大臣 松平委員の熱い思いは理解するところでございますが、それだからこそ今回の法改正があるわけでございまして、立法事実、必要性というものが非常に高いと思っております。

 ただ、一方で、さまざまな、一気に広げることによる懸念等も示されていることも、また他方、事実でございまして、その中で、また予測可能性の高い規律とすること等を勘案して今回の範囲を定めたわけであり、ここに合理性があると考えております。

松平委員 わかりました。ただ、積極的に検討していっていただきたいと思います。

 あと、日本の国際仲裁のプレゼンスを巻き返す具体的な方策なんですけれども、例えば、海外の著名な国際仲裁機関がありますね、それを誘致するということも考えていいんじゃないかなと思います。誘致することで、やはり、日本の仲裁機関はなかなか海外でのプレゼンスがないので、海外で著名なところでしたら当事者も安心するというところもあると思うので、日本を仲裁地として選んでくれやすくなるんじゃないかと思います。

 実際に、国際商業会議所、ICCですとか、米国仲裁協会のICDRですとか、シンガポール国際仲裁センターですね、そういったところの仲裁が日本で若干行われている実情があるみたいなんです。ただ、やはり、これらの機関、日本国内に拠点というものがないので、これをしっかりさせていく、そういうことでこれらの機関を、日本での拠点というものをしっかりとさせる、誘致する。少なくとも、こういった機関の日本でのPR活動、それから仲裁実施するための関連実務、これをサポートするですとか、そういう意味で、拡大させていく、こういう取組もありなんじゃないかなと思うんですが、その辺、いかがでしょうか。

森国務大臣 我が国における国内の仲裁機関の充実強化を図るだけでなく、海外の国際仲裁機関との連携を強化していくことも重要であると認識しておりますので、法務省は、本年度から実施している調査委託業務において、受託者である日本国際紛争解決センターにおいて、海外の著名な国際仲裁機関と協力覚書を締結するなどの連携強化に努めており、まずは情報共有や人材交流などの連携強化を図っているところでございますが、松平委員のせっかくの御意見でございますので、海外の国際仲裁機関の誘致という点についても、どういった方策が考えられるか、今後検討してまいりたいと思います。

松平委員 ありがとうございます。

 それからもう一つ、日本の国際仲裁のプレゼンスを上げる方策なんですけれども、海外の著名な仲裁人を日本に招いて仕事をしてもらうということも考えられると思うんです。例えばICCのプレジデントとか、スタープレーヤーがいるんですよ。そういう方に日本で仲裁してもらえるということで、それ目的で日本での国際仲裁もふえるんじゃないかというふうに思うんです。そういう方策を実施するために、ではどうするか。外国人仲裁人の報酬を非課税にするですとか、ビザ要件を緩和するですとか、こういうことをしてはどうかなと思います。

 この点で、今の観点から、制度の整備、拡充についてどう思われますでしょうか。御意見をお聞かせください。

金子政府参考人 国際仲裁の活性化のためには、国際仲裁に精通した人材の育成、確保は極めて重要と認識しております。そのため、まずは、国内の仲裁人材の育成を図っていくことこそが重要ですが、国際仲裁の第一線で活躍している外国人仲裁人に日本に来ていただくための環境整備についても検討すべき課題であるというふうに認識しております。

 法務省は、今年度から開始した調査委託業務において、海外の国際仲裁機関との連携を強化し、外国の著名な仲裁人等を招聘したシンポジウム等を実施しているところでございますが、更に効果的な外国人仲裁人の活用のあり方につきましても、引き続き検討してまいりたいと考えております。

松平委員 お願いします。

 それでは、今回の改正のもう一つのトピックに移りたいと思います。外弁の職務経験の要件、これの緩和について質問いたします。

 日本は、我が国は、三年の実務経験をしてから初めて登録できるという三年縛りの要件があります。今回の改正は、今まで、三年のうち二年が外国実務経験が必要だというのを、一年の経験に、一年に減らすという改正だと思います。

 先ほどから例に出しているシンガポール、御存じのとおり、外国企業の誘致は相当進んでいます。外国企業を誘致するには、その誘致のインフラである法的なところ、外国企業の誘致を支援する法律事務所ですね、外国法律事務所、やはり外弁が必要となってきます。ということで、外国法律事務所と外弁の誘致も、シンガポールは非常に積極的なんです。

 シンガポールでは、どこかの国において資格を有する弁護士であれば、職務経験期間に関係なく法律実務を行えるんです。だから、原資格国の法律実務ですけれども、それを行えるということになっています。シンガポールでは、どこかの外国の国で弁護士資格を持っていれば、シンガポール国内で所定の何か試験とか特に要らないんですね。単に官庁に登録するのみでいい。全て、それもオンライン登録できる。必要事項を記入して、必要書類をオンラインで提出して、それで手続を行うだけでいい。非常に簡単です。だから、すぐに外国人弁護士として業務を開始することができるんです。

 だから、日本で、例えば、日本人で弁護士資格を取りましたというもうほやほやの弁護士がいます。そのほやほやの弁護士でも、すぐにシンガポールで登録できて、シンガポールで、職務経験期間の要件に関係なく、シンガポールで仕事ができるんですね。

 私、考えてみたら、そのとおりだと思うんです。だって、日本でも、弁護士資格を取ったら、その後すぐ弁護士として仕事ができます。弁護士資格を取ったら、すぐに弁護士として仕事ができますよ。弁護士資格を取ったということは、日本で弁護士として活動していいということなので。だから、シンガポールでも日本法を扱う弁護士として活動をしていいというのは、これは当然といったら当然なのかなと思います。

 そう考えると、どこの国であろうが外国で弁護士資格を取って、その外国で活動可能だよと言われている人は、その外国の法律についてプロだと認められているわけです、その外国で。だから、そのまま活動できていいんじゃないかなと思います。

 だから、なぜ、日本で外国の弁護士が外国の法律サービスを提供する場合に、その外国でいいよと言われているにもかかわらず、三年の職務経験を要求するのか、ちょっと理解ができないんですね。日本の弁護士は、資格を取った後に職務経験を必要とされていないですね。すぐに弁護士として活動できますね。なのに、外国法弁護士は職務経験を必要とするのかということです。

 なぜ職務経験を必要と、そもそもしているのか。非常に不思議なので、その趣旨を教えていただいてもいいでしょうか。

金子政府参考人 委員御指摘のとおり、日本では、外国法事務弁護士の承認をするための要件の一つとして、いわゆる職務経験要件が設けられています。

 その趣旨ですが、外国法事務弁護士の承認申請者が原資格国法等に関する法律事務を取り扱うに足りる十分な能力、資質を有し、かつ、適切な監督のもとで、倫理的にも外国弁護士として欠けるところがなかったということを制度的に担保するものであるということでございます。

松平委員 十分な能力を有するかどうかは、その原資格国の資格を取った時点でわかると思いますし。どうなんですかね。恐らく、懲戒制度であるとかそういったところで依頼者の不利益を回避する必要みたいなところもあるのかなというふうに思うんですが、それだったら、日本の弁護士も、職務経験を必要として、ちゃんとしている人かどうかというのを見るようにしてもいいんじゃないかと思うんですね。だから、何かちょっと今のお話でも、やはりなかなか理解しがたいところがあるんです。したがって、私としては、この職務経験要件については、やはり疑問を持っておりますので、なくすよう意見したいなというふうに思っています。

 それからあと、現実問題もあります。

 この職務経験要件で、特に外国で職務経験がないといけない、外国での職務経験が必要であるというものについて、今回、それが一年に短縮されたとしても、結構、要件を満たすのは難しいんです。

 例えば、カリフォルニア州で資格を取った人が外弁として日本に来たいと思っても、卒業したての人が来るのに一年現地で仕事しなきゃいけないので、我慢しなきゃならない。一年仕事している間に、せっかく日本に来て仕事をしたいと思っても、考えが変わっちゃうかもしれないんですよ。頑張って来たとしても、すぐに外弁登録できないんです。その後二年も活動できないんですよ、外弁として。パラリーガルとかアシスタントとして働かなきゃいけないんですよ、現地だとすぐに弁護士なのに。そういうことでしたら、ちょっと、やはり来るのをちゅうちょしちゃうんじゃないかなと思います。

 あと、この制度、やはり外国法事務弁護士が外国人であることを何か前提としている制度にも思えるんです。

 今、日本人でも、米国でLLMを取って、外国の資格保有者、多いです、非常に。そういう方は、やはり外弁の資格を取るのに米国で一年働く必要があるんですけれども、一年で帰国する前提で、どこが雇ってくれるのかと思います。これは結構難しいと思うんです。結果的に、米国の弁護士資格を持っていても外弁の登録ができない人はいっぱいいます。私の先輩もいっぱいいます。そういう方は、やはりパラリーガルとして仕事をしたりしています。

 ですので、この職務経験の要件というのは、外国人の弁護士が日本に来ないというだけじゃなくて、外国で資格を取った日本人もその資格を生かせないということで、マイナスな状況になってしまっています。日本の司法の国際化というところで見てもマイナスな状況です。国際的人材の育成という観点からマイナスです。

 こういった状況を生み出しているこの職務経験要件について、現在どのようにお考えなのか、大臣の御意見をお聞かせいただければと思います。

宮崎大臣政務官 先にちょっと、整理してお答えをさせていただきます。

 弁護士の資格取得の過程は、それぞれの国でまちまちとなっているのが現状なんですね。ですから、外国法事務弁護士の能力などを確保するためには、ある一定の基準を設定する必要があると私たち政府では考えております。

 加えて、外国弁護士受入れ制度を有する多くの国でも、その国で取ったということではなくて、外国弁護士の受入れ制度という意味でいいますと、多くの国で職務経験要件が採用されております。

 例で申し上げれば、例えば、ちょっと先ほど出た韓国、大韓民国も三年以上という要件を立てておりますし、例えばカリフォルニア州も、外国弁護士の受入れという意味でいえば、直近六年中四年以上の職務経験を要するというふうなのが定まっていると承知をしております。

 こういった実情も鑑みまして、現時点においては、職務経験要件を撤廃するというところまでは考えていないところであります。

松平委員 今回、仲裁法のところで、仲裁をもっと活性化しなきゃいけないというところだったので、それに絡めて言うと、外国事務弁護士の資格要件が非常に厳しくてなり手がいないというのは、仲裁にも、仲裁の代理人へのなり手がいなくなっているというところにも非常に影響が出ているんです。

 ちょっと先ほどの、仲裁の本当に先進国なのでシンガポールの例を言いますと、先ほど言ったように、オンラインで簡単に取れちゃう、外弁登録ができちゃう。しかも、シンガポールは、誰でも国際仲裁の代理人になれちゃうんです。それでも依頼者は全く困らないんです。

 なぜかというと、国際仲裁の実務を説明させていただくと、法的な意見の主張というのは、その準拠法の国の弁護士に意見書を書いてもらって出しているだけなんですね。それで、出された双方の意見書をもとにこれをどう料理するかというのが仲裁人という形なんです。ですので、意見書とか証拠を提出して当事者の主張を伝える代理人というのは、変な話、当事者のことをよくわかっている人であれば誰でもいいというスタンスをとっているんです。だから、あくまで仲裁、合意なので、裁判と違うので、そこは当事者が納得すれば誰でもいい、能力不足のリスクは、変な話、当事者が負うということでいいというスタンスをとっているんですね、これは合意に基づく仲裁のシステムなので。

 ですので、そういうところ、あくまで仲裁を広げていきたいということで経済の活性化を目指すのであれば、私は、ここにも影響が出てしまっているので、もっと緩和すべきではないかというふうに思っています。

 やはり国際仲裁は、正直、英語がネーティブじゃないと私は厳しいと思っています。そう考えると、日本の弁護士というのは、もちろんふえていますけれども、英語ができる人材はそう多くないです。それなのに、外国法事務弁護士は規制が厳し過ぎて国際仲裁は扱えないということで、国際仲裁を扱える人材が少なくて、日本が選ばれない一因になってしまっている。

 シンガポールは逆なんですね。代理できる国際仲裁の範囲、先ほど定義の話をさんざんさせていただきましたけれども、それが広い上に、誰でも代理ができるので、人材がいるので仲裁を呼び込めるということになっているんです。

 そういう意味でいうと、大臣に本当はお聞きしたい、もうさっきから聞いているのでいいです、意見として言いますと、やはり国際仲裁の範囲を広くして、そして外弁登録ももっとしやすくして、国際仲裁を活用しやすくすべきだと思います。

 次に、国際調停についてお聞きしたいと思います。

 国際調停は、今回の改正法で定義を設けていただいていますけれども、余り耳なれないです。そこで、まず確認したいんですけれども、国際調停の件数、世界全体若しくは主要国でどのくらいあって、日本でどのくらい行われているのか、教えていただいてもいいでしょうか。

金子政府参考人 主な国際調停を取り扱う機関の事業報告書やウエブサイトに掲載された統計等により把握している件数を御紹介します。

 まず、日本の一般社団法人日本商事仲裁協会、JCAAですが、における国際調停事件の取扱件数については、平成二十九年度、平成三十年度、それぞれ一件となっております。

 主要国の代表的な国際調停機関における取扱件数については、国際調停と国内調停の合計数のみを把握しているところでありますが、次のとおりでございます。シンガポールのシンガポール国際調停センターでは、二〇一七年が二十二件、二〇一八年が二十七件となっています。フランスの国際商業会議所国際ADRセンター、ICCですが、においては、二〇一七年が三十件、二〇一八年が三十七件でございます。

松平委員 日本では相当少なく、一件だと。それで、シンガポールでも少ないんですね、二十七件だと。やはり、世界で見てもまだ国際調停というのは少ない、これからの分野だと言えると思います。

 この国際調停に関して、ことしの八月七日に、米国であるとか中国であるとかシンガポールであるとか、そういった主要国四十六カ国で条約を締結したと聞いています。この条約、どういったものか教えていただいてもいいでしょうか。

小出政府参考人 お答えいたします。

 委員が今御指摘になられた条約でございますが、国際調停による和解合意に関する国際連合条約という条約でございまして、UNCITRALが策定した条約でございます。昨年、平成三十年の十二月に国際連合の総会において採択がされまして、ことしの八月にシンガポールにおいて署名式典が開催されたものと承知しております。

 先ほど、四十六カ国という御指摘ございましたが、四十六カ国が署名した条約でございます。

松平委員 内容の方も教えていただいてもいいですか。

小出政府参考人 お答えいたします。

 この条約は、国際的な商事調停により成立した当事者間の和解合意につきまして、一定の要件を満たす場合に、締約国において執行力を付与するなどの規律を設けるものであると承知しております。

松平委員 ありがとうございます。

 執行力を持たせる、これは非常に重要だと思いますね。強制的に執行できるようになるということであれば、貿易や投資、これは安心して実行できるようになると思います。

 せっかく調停で合意しても、強制力がないのであれば、これは変な話、破り放題といいますか、当然信頼の問題もありますけれども、破り放題なので、合意した意味がなくなっちゃうと思うんです。

 今、現状、私が聞くに、執行力はないわけなので、調停で和解した後に、執行力を持たせるために再度仲裁手続をしたりして、二重にコストと手間をかけているみたいなんです。そういう意味でいうと、日本もこの条約、署名した方がいいんじゃないかなと思います。いかがでしょうか、その点。

宮崎大臣政務官 裁判外において当事者間が和解合意をして執行力を付与するということが今の御説明の条約の本旨になりますので、そうしますと、国内法制との整合性の観点から、やはりきちっと検討を要するというふうに考えているところでございます。

 条約に署名するか否かについての一義的な判断は外務省において行われるものでありますけれども、国内法制との整合性が問題となり得るということも検討の対象であるというふうに御理解いただければと思います。

松平委員 政務官、ありがとうございます。国内法制との整合性というところですね。

 私はやはり、この条約は非常に重要なものだと思うので、国際調停を実効力あるものにするために重要なものだと思いますので、今度は、国内法制との整合性、これをちょっと詳しく聞かせていただいてもいいでしょうか。

小出政府参考人 お答えいたします。

 我が国の国内法制の場合には、裁判外における当事者の和解合意につきましては、国の司法機関である裁判所等が関与する民事調停や裁判上の和解などには執行力が付与されておりますが、裁判外における当事者間の和解合意には執行力がないものとされておりますので、こういった国内法制との整合性を検討する必要があるというふうに考えております。

松平委員 具体的に言及いただきました。

 ちょっと、私は、この点、ぜひ積極的に今後、検討課題として挙げていただければと思います。

 今回、改正法で、国際調停の定義を設けていただきました。私、今回定義を設けたんですけれども、これだけじゃやはり国際調停の活性化には足りないというふうに思います。

 去年十一月に、同志社大学の中に京都国際調停センターというものが設置されたみたいです。ただ、これもまだやはり利用実績はないということで聞いています。済みません。間違っていたらごめんなさい。ちょっと前の情報なので、半年ぐらい前の情報なので、ちょっと、大変恐縮です。

 ただ、世界的に非常に有名な京都でせっかく華々しくオープンしても、国内法整備がおくれていて条約に参加できないですとか、既に述べてきたように、代理人となる資格も限られていて人材も乏しいという状況では、私はやはりもったいないと思います。

 調停に関しては、先ほど政務官も言っていただきましたように、成立するのは和解です。和解というのは勝ち負けを明確にしないので、なので、紛争の解決後も取引相手との関係性が維持しやすいと思うんです。これはアジアの文化に合った解決手段だと思います。特に、和を重んじる日本に非常に向いている紛争解決方法と思います。

 先ほどちょっと言及しました京都国際調停センターのセンター長、岡田弁護士という方がいらっしゃるんですけれども、何と話されているかというと、国際仲裁で、仲裁の方ですね、世界に追いつくのは困難かもしれない、ただ調停に関しては世界をリードできる可能性があるというふうに話されています。

 先ほど、シンガポールでも二十七件とおっしゃられました。国際ADRセンターでも三十件ですか、とおっしゃられました。これはまだまだ発展途上で、国際仲裁のシンガポールのように確立された地位を持つ国というのがない状況にあると思います。そこで、ここを、せっかくですので日本がとりに行く、日本の性質、和を重んじる日本に合ったところ、その解決方法を日本が主導して進めていくというのは、やはり日本の経済面からも私は必要なことなんじゃないかなと思います。

 そこで、先ほどの条約の部分についても含めて、国際調停を日本がとりに行くというところ、私は思っているんですけれども、この部分について、大臣、いかがでございましょうか。大臣の御所見をお願いできれば幸いです。

森国務大臣 和をもってたっとしとなす我が国の文化にも近い、得意分野でもあると思いますので、国際調停について、シンガポール条約の諸外国の締結状況も注視してまいらなければならないと思いますが、その状況や国内法との関係、先ほど事務方が言ったことなどもしっかり検討して、研究を進めてまいりたいと思います。

松平委員 どうもありがとうございます。

 ぜひ積極的に、私としては進めていただきたいと思います。

 もう時間も参りましたので、これにて私の質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

松島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時四十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十六分開議

松島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤野保史さん。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 早速質疑に入らせていただきます。

 今回、外国弁護士制度をまた改正するということですが、我が党は必ずしもこの制度自体を否定しているわけではありません、当然ながら。ただ、これは、歴史的にも、そして今現在の問題から見ても、やはりしっかり考える必要があるというふうに思っております。

 歴史的に見ますと、日本における外国人弁護士制度というのは非常に複雑な歩みをしてきたと思うんですね。

 第二次世界大戦に敗戦した後、一九四九年に弁護士法が制定されるわけですが、そこには、七条で外国人弁護士受入れ制度というのが設置をされておりました。この七条というのは、もう極めて緩く外国人の弁護士の方を受け入れるということを認めておりまして、他国に例を見ないと。当時の議事録を読みますと、極めて一方的に受け入れる寛大な制度であるというふうに言われておりまして、これは独立国にふさわしくないということで、一九五五年に弁護士法七条は削除されております。この七条というのは、いわゆる日本に法曹資格を持たない者が、日本人に関することで、事案で、日本法に関することも全部できるようになっていたんですね。それは独立国にふさわしくないということで廃止をされたわけであります。もともと、こういう歴史から日本の弁護士制度というのは始まっているということなんです。

 その上で、戦後、そういうものを廃止した上で、やはり日本の弁護士制度というのは何なんだろうということが議論され、制度的にも内容的にも特徴と伝統を持つ制度がつくられてきたと思っております。法曹一元という考え方から出発して、弁護士自治という制度もこれは持っておりますし、在野法曹として、弁護士法には第一条で、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」こういうことがしっかり在野法曹についても位置づけられている。これはやはり日本の弁護士制度の私はすぐれた点だというふうに思っております。

 大臣にちょっと確認したいんですけれども、一九九六年五月三十一日の当委員会で、正森成二委員の質問に対してこういう答弁があるんです。外国弁護士問題等につきましては、弁護士法七十二条の趣旨、あるいは、弁護士法第一条に定められております弁護士の使命等と密接な関連を持つものであることを踏まえまして、内外の諸情勢に応じた適正、妥当な解決を図っていくべきものである、このように考えております、こういう法制調査部長の答弁があるんですが、大臣、基本的な考えは今も同じである、こういう理解でよろしいでしょうか。

森国務大臣 外国弁護士制度については、弁護士法第七十二条の趣旨や、弁護士法第一条に定められた弁護士の使命等と密接な関連を持つものであり、内外の諸情勢を踏まえて適切に対応していくべき事柄であると考えておりますので、御紹介いただいた答弁と基本的な考え方は同じであります。

藤野委員 やはり弁護士法一条、社会正義の実現にとって、今回この法改正がどういう意味を持つのかというのをちょっと見ていきたいと思うんです。

 その前提としまして、この七十二条の趣旨というのは、いわゆる無資格者、資格を持たない者が法律事務を提供することを禁止しておりますが、それは、国民の法律生活の公正かつ円滑な営みと法律秩序を維持しようという点にあるというふうに思います。その点から今回の改正を見ていきますと、やはり問題があるというふうに思うんですね。

 前提として、法務省にお聞きしますが、この間、いわゆる外国人弁護士に関する法律、累次改正されてきていると思うんですけれども、この改正によって、現時点で、現時点といいますか、この間、外国法弁護士数、そして外国法事務弁護士数、そして外国弁護士法人数はそれぞれどのようになってきたでしょうか。

金子政府参考人 お答えいたします。

 外国弁護士数につきましては、そのものの数字が必ずしも把握できておりませんので、弁護士及び弁護士法人により雇用されている外国弁護士数については把握できていますので、それについて御紹介します。平成十七年が三十五人、平成二十年百人、平成二十三年五十三人、平成二十六年五十一人、平成二十九年五十六人でございます。

 それから、外国法事務弁護士の登録者数の推移ですが、日本弁護士連合会の外国法事務弁護士名簿登録者数で見ますと、平成十年が八十七人、平成十五年百八十九人、平成二十年二百六十七人、平成二十五年三百六十人、平成三十年四百十二人となっており、本年四月一日現在では四百二十一人となっております。

 それから、外国法事務弁護士法人の数ですが、これは平成二十八年三月に施行されたもので、推移というほどのデータがないんですが、平成三十一年四月一日現在で八となっております。

藤野委員 この間、この外弁法というのは何度も改正されまして、それこそ要件も緩和されてきて、法人についても、A法人と言われるものについてはもうできるようになっているということなんですが、今答弁があったように、率直に言って、期待されているほどふえていないと言わざるを得ないというふうに思うんですね。

 これは大臣にお聞きしたいんですが、この間の規制緩和が私は行われてきたと思っているんです。にもかかわらず、なぜこうした現状にとどまっているのか。その原因についてはどのように認識されているんでしょうか。

森国務大臣 外国法事務弁護士の登録者数でございますが、委員の御指摘では思うようにふえていないということでございましたが、制度発足以降、基本的には増加傾向であるというふうに承知をしております。

 この外国法事務弁護士の人数規模については、その時々での経済状況や社会情勢、さらには法律サービスをめぐるニーズの動向など、さまざまな要因によって左右されるものでございますので、現状の人数規模についての原因というお尋ねでございましたが、一概にお答えすることは困難であると考えます。

藤野委員 やはり、この間の規制緩和というのが一体何だったのかというのを分析した上で、今回の法案がしっかりと立法事実に基づいて出されているというふうにちょっと思えないところがあるわけであります。

 具体的にちょっと幾つか見たいと思うんですが、今回、共同法人について新たな規制緩和が行われるということであります。これは、いわゆるB法人と言われる、ちょっと時間の関係であれしますが、法務省に確認しますけれども、二〇一四年の改正では、いわゆるB法人を設立可能とする規定は盛り込まれなかったということなんですが、なぜ盛り込まれなかったんでしょうか。

金子政府参考人 いわゆるB法人、ここで共同法人と呼んでいますが、この共同法人制度については、平成二十一年当時、外国弁護士制度研究会においてその創設が提言されたところですが、共同法人制度は、一つの法人において、業務執行の範囲が異なる弁護士と外国法事務弁護士がともに社員となる制度であることから、外国法事務弁護士が権限外の業務を行うことを容易にするのではないかという、いわゆる不当関与の懸念があるとの指摘があったところでございます。

 共同法人に対してこのような懸念が出されたことを踏まえまして、平成二十六年外弁法改正においては、特段異論がなかった外国法事務弁護士法人制度についてまずは法制化を進めることとし、共同法人制度については、引き続き法制化に向けた検討を進めることとされたものでございます。

藤野委員 不当関与というお話がありました。

 二〇一四年の当委員会での質疑等を見ておりますと、谷垣当時の法務大臣はこうおっしゃっているんですね、答弁で。

 要するに、B法人もやれ、いいじゃないかというのに対して、当時の谷垣大臣はこうおっしゃっております。「このいわゆる共同法人については、御指摘のような弊害防止措置を講じても、外国法事務弁護士が法人制度を利用してというか、悪用してというか、権限外の業務を行うことを容易にしてしまうのではないかという懸念がまだまだ強かったと、完全にそれを払拭させるには至らなかったというのが今までの議論の実情でございます。」こう答弁されまして、その当時も、二〇一四年も、不当関与の弊害、これをこうやって防止しますとか、ああやって防止しますとか、いろいろ言うんですけれども、しかし、そうした措置を講じても懸念が払拭できないということで、これは見送られたわけであります。

 今回、その懸念が払拭されたというような何か変化が、大臣、あるんでしょうか。

金子政府参考人 平成二十六年改正当時、見送られて以降、例えば、日本人と外国法事務弁護士が共同で事業をやるという形態は許容されているにもかかわらず、この間、特段の問題が生じてこなかったというような事実関係のもとで、不当関与に関するきちんとした手当てをするということで対応できるのではないかと考えて、今回はこの創設を法案に盛り込んでいるというところでございます。

藤野委員 いや、A法人をやってみて弊害が見当たらなかったからB法人をやるなんというのは、それは全く理由にならないというふうに思います。

 日本弁理士会が要望書を発表されているんですけれども、そこで、こうおっしゃっているんですね。いわゆる不当関与に関する懸念、そして意図せぬ情報流出に関する懸念を払拭することはできないと日本弁理士会は言っております。

 それはなぜかというと、B法人になると、より外部から見えにくくなるという点と、もう一つは、B法人の導入と、もう一つ職務経験、これも緩和されます、職務経験要件の緩和によって、海外の職務経験の浅い外国法事務弁護士の日本への大量参入が可能になると。だから、まず、共同法人ですから、よりその意思決定が見えにくいという問題と、あと、職務要件を緩めることによって経験の浅い弁護士が大量に入ってくる、だから、不当関与の懸念とか情報流出の懸念がこれまでとは桁違いに増加すると言っているんですね。これまでとは桁違いに懸念がふえるというふうに指摘をされております、日本弁理士会。

 ですから、今回、そういう点では、非常にその懸念はむしろ強まっているというふうに思うんですね。

 職務要件緩和につきましても、これは今申し上げたように、更に緩和していくということになっておりまして、やはり法曹資格というのは、私は本質的なものだと思うんです。先ほど言ったように、在野法曹に対しても社会正義の実現ということを法律で求めている国なんというのはなかなかないわけで、これはやはり戦前の歴史や、その後の占領時の、実際に占領時に外国人をほぼノーチェックで受け入れていた時代を経験した後に、今の弁護士法がそうしたルールをつくってきたわけでありまして、こうした重みを考えますと、この職務要件の安易な緩和というのは私は合理性がない、立法事実がないと思うんですね。ですから、そういう点でこの法案は大きな問題がある。

 なぜそういう合理性のない規制緩和が行われるのかという点についてもちょっとお伺いしたいんですね。

 私は、ちょっといろいろ調べてみましたら、アメリカの産業というのはなかなか興味深くて、二〇一七年のアメリカのエコノミックセンサス、経済統計ですね、これを見てみますと、各業界の企業数、売上数が出ております。

 こちらをちょっと紹介させていただきますと、アメリカでは、鉄鋼産業に従事する企業は三千三百九十二社ありまして、売上げが二千二百九億五千七百八十六万ドルなんですね。石油業界、これは企業が四千七百八社ありまして、売上げが千六百五十三億五千八百六十四万ドル。そして自動車、これが一番大きいんですけれども、自動車が五千九百二十一社ありまして、売上高が六千四百六十億三百十九万ドルなんですね。

 これに対して、法律事務所、これは弁護士だけじゃなくて検察とかも入ると思うんですけれども、検察というか、いろいろなものが入るんですが、アメリカの場合。法律事務所というのが十六万三千五百二十九社あるんですね。鉄鋼が三千三百九十二で、石油が四千七百八、自動車が五千九百二十一に対して、法律事務所は十六万三千五百二十九もある。そして売上げが、これがすごいんです、二千八百三十一億四千六百六十五万ドル。つまり、鉄鋼の二千二百九億ドルとか石油の千六百五十三億ドルよりも、法律事務所の売上げ、二千八百三十一億ドルの方が大きいんです。

 つまり、アメリカにおける法律ビジネスというのは、まさに鉄鋼や石油を上回る最重要産業の一つなんですね、アメリカにとって。物すごいビジネスなわけです。物すごい利益を生んでいるわけですね。

 ですから、率直に言って、社会正義の実現を使命としている日本の弁護士業界、弁護士の皆さんのビジネスとは、なりわいとは、全く位置づけも違うし、全く目指すところが違います。

 そういう意味では、この法案で、そうしたことを検証するといいますか、そうした全く違う方向性を向いているものを共同法人として認めて、そして弊害防止の措置も不十分なままこれを認めていくというのは、私はこれは本当に問題が大きいというふうに思います。

 法務省に聞きたいんですが、米国通商代表、USTRは日本政府に対してどのような要求をしているでしょうか。

金子政府参考人 必ずしも詳細は調べ切れていないのですが、直近のものとしては、二〇一九年の米国通商代表外国貿易障壁報告書というものに接しております。

 これについてちょっと御説明しますと、外国法事務弁護士の職務経験要件について、原資格法の資格取得後二年間の日本国外における職務経験要件を撤廃することとの要望が掲げられているものと承知しております。

藤野委員 これは調査室がつくってくれた資料もなかなかおもしろくて、アメリカは、今回の法案がもっと早く出るはずだったと思っていたんですね。こう書いているんです。二〇一八年十月、法務省は、特定の懸念に対処する外国弁護士法の改正案を起草した、ただ、この改正案は国会に提出されていないと。そして、こう書いているんですね。米国は改正に関する進展を注視すると。

 つまり、去年の段階でこの法案は提出されなかった、起草されていたけれども提出されていなかった。それをしっかりマーキングして、米国は改正に関する進展を注視する、こう言っているわけで、そういうもとで今こういう議論がされているんだというふうに思うんですね。

 そして、ヨーロッパの方もちょっと見ておきたいんですけれども、欧州ビジネス協会、この報告書では、今回の法案についてどのような指摘、記載をしているでしょうか。

金子政府参考人 御指摘のEBC報告書におきましては、我が国の外国法事務弁護士に関し、外国弁護士資格取得後の一定の経験年数を義務づけている規定を廃止すべきである、外国法事務弁護士登録の申請手続をできる限り迅速化することに引き続き重点を置くべきである、外国法事務弁護士と弁護士が共同で法人を設立することを認めるよう法改正をする、有限責任制度を導入する等の記載が盛り込まれているものと承知しております。

藤野委員 このECB報告書というのもなかなか興味深くて、読んでみますと、年次現状報告というのを毎回やるわけですね。

 この現状報告の中で、例えば、こういう法人化については、若干の進展はあったが、適用は限られている、外弁事務所の法人化を認めることによって複数の支店を開設できるようにする法律がようやく可決されたと。これはA法人のことですね。しかしながら、新しい法律は、外弁と日本の弁護士が共同で法人を設立することを認めない、その結果、新しい法律の有用性は深刻に制限される、こうやってECBが分析をしているわけです。

 そして、ちゃんとその後に、外弁と日本の弁護士が共同で法人を設立することを認めるよう法律を改正する、それよりも更によいのは、時代おくれで、国内外いずれの法律事務所のニーズにも適合しない支店の設置に関する制限をただ単に廃止することである、ここまで言っている。これはもう更に先の話ですけれども。

 いずれにしろ、要するに、そういう非常に外圧といいますか、そうしたもとで、日本の今までの規制緩和が一体どうだったのかとか、今、実際どういうA法人が業務をして、それが国民の法律生活などにどういう影響を与えているのかというような分析とかがないもとで、むしろ外国から、こうやって、こうやってと言われて、注視をされて、今のこの法律が出されているということだと思うんです。

 法務省にもう一点確認したいんですけれども、いわゆる外国共同事業、これの提携関係というのも既に行われていると思うんですが、現時点でのトップスリーの提携関係というのはどのようになっているでしょうか。

金子政府参考人 外国法共同事業における提携関係について御質問でございますが、弁護士数のトップスリーでいいますと、名称を申し上げさせていただきますと、ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業、それから、シモンズ・アンド・シモンズ外国法事務弁護士事務所、次が、北浜法律事務所・外国法共同事業となっているものと承知しています。(藤野委員「利益金額」と呼ぶ)ちょっと今、手元に表がございません、済みません。

藤野委員 手元にない。時間の関係で、事実ですから、こちらで紹介しますと、ベーカー・マッケンジーは一年で二十九億ドルの利益を上げております。DLAパイパーは二十六億ドル、そして、キング・アンド・ウッド・マレソン、チャイナは十億ドルというような感じで、いずれにしろ、物すごく利益を上げている。

 先ほど、全体として、アメリカでも上げているんですが、共同事業というのは、やはりこれだけ、一社で二十九億ドルとか、そういう世界なわけですね。そこに今回道を開いていくということになっているわけであります。

 ですから、これが日本の弁護士法あるいは日本の国民の法律生活にどのような影響を与えていくのかというのは、本当に慎重に検討しないと、これはやはり全く私は違う世界だというふうに思うんです。

 大臣にお聞きしますけれども、やはり今回の共同法人化あるいは職務要件の緩和、これは立法事実がないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

森国務大臣 外国法事務弁護士制度に関しては、昭和六十一年の外弁法の制定以降、その職務範囲等について、社会状況や国際動向、関係各方面の御意見も踏まえた上で、相当と認められる範囲において段階的に見直してきたものと認識をしております。これは、ユーザーを始めとしたさまざまな関係者からの御意見を踏まえて検討した結果であり、必ずしも規制緩和を進めるという観点のみから制度見直しを図ってきたものではないと理解しております。

 今般の改正についても、関係各方面のさまざまな多角的な意見を十分考慮した上で、外弁制度のあり方を改正するものであるというふうに理解をしております。

藤野委員 終わりますけれども、私たちも、国際仲裁制度の拡大については、これはやはり必要だというふうに思いますし、そういう国際仲裁などについては、今回入っている部分についてはいいと思うんですが、やはり法人化とか職務要件の緩和というのは問題だということを指摘して、質問を終わります。

松島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松島委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。藤野保史さん。

藤野委員 私は、日本共産党を代表して、外弁法改正案に反対の討論を行います。

 反対する理由の第一は、本法案の共同法人制度の導入により、弁護士と外国法事務弁護士の共同事業関係、雇用関係に本質的な変化が生まれ、外国法事務弁護士である社員が、社員又は使用人である弁護士を指揮監督して、日本法に関する法律事務を扱うおそれを払拭できない点にあります。

 さらに、外国法共同事業と比較して、個々の法律事務の処理に関する意思決定を誰が行っているか外部から見えにくいため、外国法事務弁護士による権限外の法律事務の取扱いを外部から確認することが困難となる点です。

 本法案は、不当関与禁止規定があったとしても、日本弁護士のみに権限がある法律事務に関して、事実上、外国弁護士に日本法を扱う道を開くことになりかねません。

 第二に、本法案が、外国法事務弁護士の職務経験要件の緩和を更に広げることに合理性がない点です。

 外国法事務弁護士の職務要件を緩和することは、司法制度のあり方、主権と司法権、法曹のあり方、弁護士の職責と倫理に深くかかわる問題であって、規制緩和の面から安易に扱われてはなりません。

 原資格国における法曹資格に基づく職務と、日本における資格に基づかない労務提供の違いは本質的なものです。職務経験要件の枠組みの中で、例外的に労務提供期間の算入を認めている制度趣旨に照らせば、職務経験期間の半分を超えて労務提供期間の算入を認めることはやるべきではありません。

 最後に、外弁法は、日本に対し、最終目的達成まで改正を繰り返していく規制緩和の手法をとっております。本法案も、数次にわたる外弁法改正の延長線上にあります。米国通商代表など、外国弁護士の自由化を要求する欧米の外圧による規制緩和の一環として提出された本法案は、日本弁護士の自立を脅かし、弁護士法の理念に影響を及ぼすものであります。

 なお、国際仲裁制度の拡大については、国際紛争の解決手段の主流になりつつある今日、日本の国際仲裁制度を充実する必要性はある、このことを指摘して、反対討論を終わります。

松島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松島委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、越智隆雄さん外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。稲富修二さん。

稲富委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 企業の国際取引の増加等に伴い需要が拡大している外国法サービスや、本法の施行により我が国でも活性化が期待される国際仲裁及び国際調停の担い手となれる日本の弁護士その他の法務人材が養成されるよう、人材育成その他の必要な取組を行うこと。

 二 日本法令の外国語訳を迅速に提供するなど、我が国における国際仲裁及び国際調停、ひいては国際ビジネスの活性化に向けた環境整備に取り組むこと。

 三 弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度について、本制度を利用した外国法事務弁護士による権限外の業務に対する不当関与等の懸念が示されていることを踏まえ、本制度の運用状況を注視し、必要に応じて更なる措置を講ずること。

 四 弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度における外国法事務弁護士が執行できる業務の範囲及び権限外の業務に対する不当関与の禁止の規定等について、企業を含む関係者に対し、十分な周知・説明を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

松島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松島委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森まさこ法務大臣。

森国務大臣 ただいま可決されました外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

松島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十八分散会


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