衆議院

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第2号 令和2年3月10日(火曜日)

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令和二年三月十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松島みどり君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 越智 隆雄君

   理事 鬼木  誠君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 稲富 修二君

   理事 山尾志桜里君 理事 浜地 雅一君

      井出 庸生君    井野 俊郎君

      奥野 信亮君    門山 宏哲君

      神田  裕君    黄川田仁志君

      国光あやの君    小林 茂樹君

      出畑  実君    中曽根康隆君

      藤井比早之君    古川  康君

      宮崎 政久君    山下 貴司君

      吉川  赳君    和田 義明君

      今井 雅人君    逢坂 誠二君

      落合 貴之君    高木錬太郎君

      日吉 雄太君    松田  功君

      松平 浩一君    山川百合子君

      竹内  譲君    藤野 保史君

      串田 誠一君

    …………………………………

   法務大臣         森 まさこ君

   法務副大臣        義家 弘介君

   法務大臣政務官      宮崎 政久君

   最高裁判所事務総局刑事局長            安東  章君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         稲山 文男君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  北川 哲也君

   政府参考人

   (内閣法制局第二部長)  木村 陽一君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局次長)           佐々木雅之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 伊藤  信君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       西山 卓爾君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 山内 由光君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小出 邦夫君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    今福 章二君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  菊池  浩君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 高嶋 智光君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 加野 幸司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           玉上  晃君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           依田  泰君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 寺田 吉道君

   法務委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  松田  功君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     松田  功君

    ―――――――――――――

三月十日

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

松島委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官稲山文男さん、内閣法制局第一部長北川哲也さん、内閣法制局第二部長木村陽一さん、人事院事務総局給与局次長佐々木雅之さん、内閣府大臣官房長大塚幸寛さん、内閣府大臣官房審議官伊藤信さん、法務省大臣官房政策立案総括審議官西山卓爾さん、法務省大臣官房審議官山内由光さん、法務省民事局長小出邦夫さん、法務省刑事局長川原隆司さん、法務省保護局長今福章二さん、法務省人権擁護局長菊池浩さん、出入国在留管理庁次長高嶋智光さん、外務省大臣官房審議官加野幸司さん、文部科学省大臣官房審議官玉上晃さん、文化庁審議官杉浦久弘さん、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成さん、厚生労働省大臣官房審議官岸本武史さん、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長依田泰さん、中小企業庁事業環境部長奈須野太さん及び国土交通省鉄道局次長寺田吉道さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局刑事局長安東章さんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘さん。

葉梨委員 おはようございます。自民党・無所属の会の葉梨康弘です。

 私は、予算委員会の理事をやっておりまして、検察官の勤務延長問題、予算委員会でもいろいろ議論になりました。それもずっと聞いておりましたので、その関係もありまして、きょうはちょっと質問させていただきます。

 高検検事長の勤務延長、話題となっています。その妥当性についてはさまざまな御意見があるところです。ただ、私自身は、立法府が、行政府が行った個別の人事の適否を判断するというのは、これは避けるべきことなのかなというふうに思うんです。

 大臣所信でもこの問題には触れませんでした。ただ、個別の人事について言及した大臣所信というのは、私は今まで余り聞いたことはないんです。適法に行われた人事であれば、それは触れる必要はないのかなというふうに思います。

 ただ、行政府が行った行為の適法性に疑念が生じてはなりません。

 そこで、本日は、検察官の勤務延長の適法性、さらに、主に衆議院予算委員会における大臣答弁の整合性等について、的を絞って質疑を行わせていただきたいと思います。

 まず、大臣に質問です。

 森大臣が、国家公務員法による勤務延長が検察官には適用されないという政府見解、これは国家公務員の勤務延長の運用を所管する人事院の従前の考え方ということになるんでしょうが、これを知った時期についてお伺いいたします。

森国務大臣 本年一月十七日から同月二十四日にかけて関係省庁と協議を行うに当たり、勤務延長制度の導入当時の解釈を含め、必要な説明を事務方から受けました。そのときに、検察官には勤務延長制度は適用されないとの従前の解釈を認識したところでございます。

葉梨委員 そうですね。

 大臣は、二月十九日の予算委員会質疑で、この点については、人事院からお考えが示されたときでございますので、一月の下旬でございます、済みません、一月の下旬ですと、ちょっと違うような答弁をされているんですが、更にその後なんですね。同じ日の答弁の中で、森大臣、知っていたんですか、過去の政府見解と問われて、これはやはり若干修正をいたしまして、当時の解釈については必要な説明を受けて認識しておりましたと答弁し直しています。これは、事務方から説明を受けて認識した旨説明したものと考えます。

 そして、この点について、二月二十六日には、私が、当初の政府の解釈、これについて事務方から説明を受けたのは一月十六日又は十七日ぐらいですと答弁して、時系列的にもこれらの答弁を整理されたんじゃないかなと私自身は認識しています。

 さらに、二月十日の質疑で、昭和五十六年当時の斧政府委員答弁の議事録について、詳細を存じ上げていないと答弁しました。森大臣は、その後のいろいろな説明をされたんですが、たとえそのような答弁があったにしても、今般の検察庁法の解釈と必ずしも矛盾するものではない旨、これはこの答弁の中で説明されているんです。

 ただ、従前の国家公務員法の解釈を法務省が、これは法務省が行ったわけじゃないですからね、従前の国家公務員法の解釈というのは。ですから、それについては一言も触れていなかったということは事実であろうと思います。ただ、この大臣の説明をもって、大臣が国家公務員法の従前の解釈を知らないで答弁したというふうに決めつけてしまうのは、私はいかがなものかなというふうに思います。

 そこで、質問です。

 森大臣は、予算委員会の当初、これは二月三日の基本的質疑が始まったころからですけれども、検察庁法は、国家公務員法の特例として定年年齢と退職時期の二点を定めており、勤務延長について一般法たる国家公務員法の規定が適用されると説明されてきました。一月二十四日の人事院からの回答によって国家公務員法の従前の解釈が変更されたことについての説明は省略されて説明をされてきたわけなんですが、それはなぜでしょう。

森国務大臣 検察官の勤務延長については、まずは、現在の政府の解釈を御説明申し上げてきたところでございます。

 もとより、解釈変更の経緯等については、これまでも、お尋ねがあれば誠実に御答弁申し上げているところでございます。

葉梨委員 先ほど言いましたように、従前の国家公務員法の解釈を法務省がしたわけではないということもあるんですが、最初からそれもあわせて説明していれば、こんなごたごたには多分ならなかったんだろうということで、ちょっと丁寧な説明があったらよかったかなぐらいには思っています。

 そこで、二月の八日に退官が予定されていた東京高検検事長の勤務延長の閣議決定が一月の三十一日です。その上で、従前の政府解釈の変更に関する協議は、一月の十七日から二十四日の間に行われているという答弁がありました。これは余りに近接していますよね。野党の皆さんが、何かどこかからの指示があって、法務省はこの東京高検検事長という個人の勤務延長を行うために解釈変更にかじを切ったんじゃないか、そういう疑念を持つのも全くうなずけないことではないんです。

 そこで、法務省の当局に質問します。

 今般の検察庁法の解釈の整理は、東京高検検事長という個人の定年を延長するために行ったものですか。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省内におきまして、国家公務員一般の定年の引上げに関する検討の一環として検察官についても検討を進める過程で、検察官の勤務延長については一般法である国家公務員法の規定が適用されると解釈したものでございまして、御指摘は当たらないものでございます。

葉梨委員 そうなんだろうと思うんです。

 これは資料一でお配りしています、内閣法制局の審査録、これが先にあって、その次に人事院に相談をしたということなんですが、内閣法制局というのはどういう機関かといいますと、個別の解釈の問合せに答えるという機関ではございませんで、主に内閣提出法案の審査を行う機関なんです。

 一月の後半といいますと、私も大分通ったことがありますけれども、時期的にはまさにこの法案審査の佳境なんですね。そして、今回の相談の順番が、今申し上げたように、まず内閣法制局で、次が人事院だということから、これはもう法案審査の過程における相談であるということはまず明らかなんだろうと思います。

 そして、この応接録というのも、最終的には法案審査録につづられます。これはもう応接録を見ていただいたらわかるんですが、法務省の照会のペーパーが二枚ありまして、この後ろに、国家公務員法の解説、それから検察庁法の解説が長く載っているんです。この国家公務員法の解説は、森園さん、吉田さん、尾西さん、いずれも人事院の事務総長経験者、吉田さんは現職の人事官ということでございます。

 ですから、特に法案審査の過程では、これは国家公務員法と検察庁法の法案審査が行われるので、これを所管します内閣人事局のお役所の方とか、あるいは人事院のお役所の方、とにかく法制局には本当に日常的に出入りをして、当然法務省の役人も出入りしますけれども、日常的な連携をされている。そして、この応接録のもとになったものが、人事院の事務総長経験者、一人は現職の人事官、そういったような解釈に基づいて、これを変更することを了としますという内閣法制局の見解があったということなんです。

 ですから、この同時期に人事院に全く相談しないで、これだけで解釈変更するなんてことはあり得ないんです。ですから、当然のことながら、内閣法制局に御相談をした、それと並行してなのか、あるいはその回答を得てから後なのか、人事院には当然相談がなされているということは、この資料からも私はほぼ明らかなことなのではないかなというふうに思います。

 それで、法案審査ということでもう一問申し上げたいと思います。

 各省庁が新たな法律や政省令をつくったり改正を行うときですが、○○法の解釈運用基準といった名称の解釈通達、これを発出するのが大体通例なんですよね。法務省行政文書取扱規則、これは資料二でお示しをしています。これによって部局長の決裁を得ることとされている「法令の解釈及び運用に関すること。」とは、典型的にはこのような、例えば解釈運用基準といった通知に係る決裁、これを指すんじゃないかなというふうに私の経験から思うんですが、法務省においてはどうなのか、当局からお答えください。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの点は、委員御指摘のとおりでございます。

葉梨委員 これは予算委員会でも実は出された資料なんですが、この前のバージョンの、法務省文書決裁規程というのがあるんです。これが資料として出されました。

 それで、今新しくなっているのがこれなんですが、そのうちの、これはちょっとはしょって資料化していますが、四枚目を見ていただいたらと思うんですが、「法令の解釈及び運用に関すること。」ということで、これは部局長、官房長又は部局長の決裁を経るというふうにこの規則の十三条ではなっている。

 今回の、特にこの内閣法制局の応接録の後ろについている、ちょっとクレジットはないんですが、法務省の解釈に関する見解、これについて文書の決裁がないということが、これは規程あるいは規則に違反しているんじゃないかというような質疑も予算委員会の中でなされたんですけれども、基本的に申し上げますと、これは三枚目を見ていただいたらわかるんですが、文書決裁をするというのは、そういったような解釈通知を出す過程におけるいろいろな検討を、それを決裁をするということじゃないんです。

 ここには決裁者という欄がありますが、その横に文書施行名義者というのがある。この文書施行というのはどういうことかというと、局長名とか官房長名で通知を出す、そういったような中身なんですよね。

 実際のところ、私の役人時代、法令協議の過程で他省庁といろいろな文書をやりとりをいたしました。ただ、そのやりとりの過程では、当然、相当上の上司に口頭了解ということで済ませることがほとんどでした。一々決裁をとることはありません。もちろん、法令が制定されたり改正された後に解釈運用通知を出す、これについてはしっかり決裁をとりました。

 そして、議員になりまして、私も、法務の政務、副大臣を二回経験をいたしました。例えば、翌日、関係省庁との会議、こういったものに提出する資料があります。それは副大臣室で聞くこともあれば、大臣室で副大臣、政務官と一緒に聞くこともあります。翌日提出します、じゃ、それで、いろいろと意見を言って直すこともあります。ただ、それについても、一々文書決裁という頭紙をつけて決裁をするなんということは、私は余り記憶をしていません。

 もちろん、最終的に協議が調って、それで成果物ができる、その成果物ができた段階で決裁は行うということになるんでしょうけれども、今回の場合は、検察庁法、これについて閣議で決定をしますと。今回は法律の改正の過程の検討ですから、検察官の定年延長あるいは国家公務員の定年延長、こういった法令について、こういう解釈に基づいて閣議請議をして決定をしますというときには当然決裁をとらなきゃいけない、そうだろうと思います。ただ、それまでのいろいろな解釈の検討の過程、これについて一々決裁をとるということは通例はないということです。

 五分ぐらいになりましたので、次に、私の経験をちょっと申し上げましょう。解釈の変更と制度の始期という論点なんです。

 私は、昭和五十九年に、風俗営業の規制及び業務の適正化に関する法律、この大改正に携わっています。昭和六十年から施行になりました。パチンコの遊技機の担当だった。

 当時、パチンコのくぎを店が曲げるということは、解釈上、できたんです。何でかというと、昭和六十年施行の法律で、構造、設備の変更承認、これは公安委員会の承認を受けなきゃいけないことになりました。ただ、当時のくぎの曲げ方というのは、玉がたくさん当たるとくぎは曲がるものですから、それをメンテナンスで直すということは構造、設備の変更には当たらないという解釈です。

 ところが、それをいいことに、くぎを大きく曲げて出荷するとかいう不祥事が相当出たものですから、平成二十七年に警察庁が解釈を変えて、くぎをちょっとでもいじることは構造、設備の変更承認に当たるというような解釈に変えたわけなんです。

 さて、くぎを曲げることが禁止されたのは、事実上は平成二十七年です。ところが、そのくぎを曲げちゃいけないという根拠法である、構造、設備の変更承認を受けなければならないという法律が施行されたのは昭和六十年なんです。ですから、制度的にいいますと、昭和六十年において既にくぎ曲げを禁止する法的根拠が整えられていたと解釈せざるを得ないんですね。

 森大臣は、二月十日、昭和六十年に勤務延長の制度が検察官にも適用されるようになったと答弁し、二十日には、論理的には、勤務延長制度が導入されたときから検察官に勤務延長制度が適用される関係になると理解をこのたびいたしましたと答弁しました。

 私は、実際に聞いていて、自分の経験からして、これは検察官の勤務延長の根拠となる法制度が昭和六十年に施行されたという事実を述べられたものと理解をしました。

 そこで、改めて問います。検察官に国家公務員法の勤務延長規定が適用できるようになったのはいつからですか。大臣、お願いします。

森国務大臣 私の答弁は、委員が御指摘のとおり、形として、形式としてという意味で述べたものでございますけれども、実際に今般の解釈を得て、最終的な結論を得たのは、本年一月十七日から同月二十四日にかけて関係省庁と協議を行い、最終的な結論を得たものでございますので、本年一月二十四日と考えております。

葉梨委員 さて、次は人事院です。

 人事院は、二月十二日、検察官も一般職の国家公務員でございますので、検察庁法に定められている特例以外については一般法たる国家公務員法が適用されるという関係にございます、したがいまして、国家公務員法と検察庁法の適用関係は、検察庁法に定められている特例の解釈にかかわることでございまして、法務省において適切に整理されるべきものと答弁しています。

 この考え方に基づいて、検察庁法に定める国家公務員法の特例は定年年齢と退職時期の二点であり、検察官にも勤務延長は適用されるという法務省の解釈を了としたのはいつで、どのような形で法務省に伝えましたか。人事院、お願いします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 一月二十二日に法務事務次官からいただきました書面につきまして、人事院総裁を含みます三人の人事官、事務総局が一堂に会して検討を行った結果を一月二十四日に文書化いたしまして、同日午後、人事院事務総長から法務事務次官に直接お渡ししたところでございます。

葉梨委員 以上、ざっと二十分、短い間質疑をさせていただきました。

 予算委員会における質疑を見ても、検察官の勤務延長自体には違法性はない、そのように認識されます。また、これに関する政府答弁も、ちょっとわかりづらいところはあるという御指摘は先ほども申し上げたんですが、最終的には、若干修正したりという形で、矛盾は見られないというふうに思います。

 もちろん、個別の人事の評価、これについてはいろいろな考え方もあろうと思います。

 ただ、私思うのは、違法性がない以上、もしも検事総長とか検事長の人事を国会同意人事にしたいというような御意見があるんだったらまた別なんですけれども、それだったらまたそれは別で、逆の政治介入という問題も出てきちゃうんですね。ですから、国会同意が必要な人事ならばいざ知らず、立法府が行政府部内の人事について余り過度に注文をつけるのは、私はいかがなものかなというふうに思います。

 森大臣には、これからいろいろな質疑もございますので、これからも明確な御説明をお願いいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、伊藤忠彦さん。

伊藤(忠)委員 おはようございます。自由民主党の伊藤忠彦でございます。

 引き続き、森法務大臣を始め皆様方に、所信についての質疑を続けさせていただきます。

 森法務大臣の所信におきまして、法務行政の課題への取組として真っ先に、性犯罪に対する厳正な対処に言及されておられます。性犯罪は、被害者の尊厳を踏みにじる、卑劣で悪質な犯罪であります。このような性犯罪に対して厳正な対処が必要であるという法務大臣の強い意気込みを感じましたので、まず、このことについて質問をさせていただきます。

 性犯罪については、平成二十九年に、明治四十年の刑法制定以来、何と百十年ぶりの改正が行われたわけでございます。この改正は、松島みどり現委員長が平成二十六年に法務大臣になられたときに、性犯罪の罰則について見直しが必要だということで、就任直後に検討会を立ち上げるように指示をされたのが始まりと伺っております。平成二十九年に、金田法務大臣のときに、ついに百十年ぶりの改正が行われました。

 しかし、これで全て終わったわけではありません。平成二十九年の改正のときに議論に上ったものの、改正に至らなかった事項は幾つもあったと伺っております。

 例えば、強制性交等の罪の要件である暴行、脅迫要件を撤廃又は緩和するべきではないか、いわゆる性交同意年齢を十三歳未満から引き上げるべきではないか、あるいは、教師やコーチのような指導的な立場の者がその地位を利用して性的な行為をするようなものについても特別の処罰を設けるべきではないかといった指摘もされてまいりましたが、これらについては改正に至っていないわけでございます。

 そして、改正法の審議の際には、衆議院で修正提案をし、附則九条として三年後の検討事項が設けられたわけでございます。これは、改正法の施行後、改正規定の施行状況や性犯罪の実情等をしっかり把握をして、被害の実態に即した施策のあり方を検討し、必要があれば見直しを行うというものであります。

 そうした中、昨年三月には、性犯罪に関する無罪判決が何と立て続けに四件出たわけでございます。国民の目から見て、なぜこれが無罪になるのか、理解できない、納得ができないという声も上がっております。この四つの無罪判決がきっかけとなりまして、性犯罪を受けた当事者の方々が立ち上がって、昨年の四月から、全国各地で毎月十一日にフラワーデモが行われています。

 三月の九日の新聞記事を見ておりましたらば、名古屋市内、私の地元でございますが、フラワーデモが行われました。三月十二日には、この四つの無罪判決となったうちの、名古屋での親子の事件の二審判決がいよいよ出されようとしているわけでございます。

 これまで被害について誰にも話すことができなくて、一人で苦しんできた人たちが、ついに立ち上がって、自分の被害を自分の口で語り始めたということでございます。このような被害者の方々の思いを法務大臣としてしっかり受けとめていただいて、性犯罪に対する取組を進めていくべきであると私たちも思っています。

 そこで、まず大臣に、このような被害者の方々の声を上げている現状について、どのように受けとめておられるか、お尋ねをしたいと存じます。よろしくお願いします。

森国務大臣 私の所信表明の一、初めにに続いての二、法務行政の課題への取組についての一等最初に、この性犯罪の問題についても挙げさせていただいたところでございます。

 昨日は、十二回目となるフラワーデモが国際女性デーに合わせて行われました。性犯罪は、被害当事者の人格や尊厳を著しく侵害し、その心身に長年にわたり多大な苦痛を与え続ける悪質重大な犯罪であります。そのため、みずからの性被害経験を語ることは、多くの場合、大きな心理的抵抗を伴うものであり、そのゆえに、被害当事者が声を上げることができない場合が多くございます。声を上げられている被害当事者の方々は、それぞれ、その体験や人生観等に基づくさまざまな思いがあり、勇気を持って声を上げられているわけです。

 フラワーデモのように、性犯罪を絶対に許さないという強い思いに基づいてみずから声を上げている人たちが集まることによって、多くの方々がその思いに共感して行動をともにし、また、それに後押しされる形で、これまで声を上げることができなかった人も声を上げるようになってきたと考えております。

 被害当事者の方々が勇気を持って声を上げているのであるから、その声にきちんと耳を傾けて、それを受けとめなければならないものと考えております。

 また、それと同時に、声を上げることができずに苦しんでいる被害当事者の方々がまだまだ多くいらっしゃることまで思いをいたし、そのような被害当事者が存在することも踏まえた取組が必要であると考えております。

 これについては、いずれも、先ほど御指摘の平成二十九年の刑法改正の際に改正に至らなかったさまざまな論点、これについて、法務省では、平成二十九年の刑法改正の附則第九条に基づく検討に資するように、性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループを設置して、性犯罪の被害当事者を含めたさまざまな立場の方々からのヒアリングや、無罪判決等の収集、分析、外国法制の調査等を行ってきているところでございます。

 御指摘の暴行、脅迫要件や、いわゆる性交同意年齢の引上げ、地位を利用した性犯罪に関する事柄等を含めて実態把握を進めてきたところでありまして、現在、その結果の取りまとめに向けた作業を行っているところでございます。この取りまとめについては、事務方について、予定よりも早目に迅速に取りまとめるように私から強く指示をしているところでございます。

 同時に、私自身も、昨年十二月に被害者当事者団体スプリングの方々と面会をした際にさまざまな御要望をいただいて、本年から、性犯罪の実態について、被害者団体の皆様を交えて私的な勉強会を開催し、私自身の理解を深めるために勉強を進めているところでございますので、しっかりと御要望、御意見を受けとめて、これらを含めて前進させていきたいというふうに思います。

伊藤(忠)委員 着々と、次の舞台に向かって、大勢の皆さんの声を聞き、そしていろいろな研究をしていただいているということがわかったんですけれども、一つ、ぜひ私から聞いてみたいことがあります。

 先ほど申し上げた無罪判決に関して、最高裁判所にぜひお尋ねを申し上げます。

 四つの無罪判決のうちの一つは、昨年三月二十六日、名古屋地方裁判所岡崎支部で無罪判決が言い渡された、実の父親が実の娘に性的虐待を続けたあげく、性交した事件であります。現在、控訴審が行われておりますが、このような事件が無罪となるのはおかしいという声は、一般の国民の多くの受けとめではないかと思います。

 個別の事件についてお答えがしにくいと思いますので、ちょっと違う観点から質問をさせていただきたいと思います。

 平成二十九年の改正のときには、衆議院法務委員会の附帯決議もついております。その中に、暴行、脅迫や抗拒不能の認定について、被害者と相手方の関係や被害者の心理をより一層適切に踏まえてなされる必要があるという指摘がなされていることに鑑みて、これらに関連する心理学的、精神医学的知見等について調査研究を推進するとともに、司法警察職員、検察官、裁判官に対して、性犯罪に直面した被害者の心理等についてこれらの知見を踏まえた研修を行うこととされております。

 実際に性犯罪事件に取り組み、警察官や検察官、裁判官のレベルを高めるために研修を行うことは重要であると私も思いますけれども、しかし、性的虐待を続けた父親が抵抗できないはずの娘と性交したような、国民の目から見ても無罪となることを納得できない判決が出てまいりました。裁判官の被害者心理に対する理解は研修によって深まっているんでしょうか。

 最高裁判所にお尋ねしたいことは、附帯決議に基づく裁判官に対する研修は、どのような立場、範囲の裁判官に対し、どのような内容の研修を行っておられ、そして、最高裁として、どのような成果が、効果があらわれているのかということをどう認識、評価されているのか、これを伺いたいと存じます。

安東最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所としましては、従前も性犯罪に関する研修を実施してきたところでございますが、御指摘の附帯決議を踏まえまして、高等裁判所、地方裁判所で刑事事件を担当する裁判官らに対し、被害時の被害者の心理状態、その後の精神状態等について理解を深める研修を実施しております。

 若干具体的に申し上げますと、平成二十九年秋に、性犯罪被害者の支援に携わる臨床心理士を講師とした講演及び意見交換、平成三十年秋には、性犯罪被害者の支援に携わる弁護士を講師とした講演及び意見交換、それから平成三十一年春には、いわゆる司法面接に造詣の深い大学教授を講師とする講演及び意見交換、それから昨年秋には、先ほどの臨床心理士、弁護士の方に加えまして、性犯罪被害者御本人にも講師として来ていただきまして講演及び意見交換を行いました。

 また、各高裁におきましても、有識者、専門家等を講師として招いて、高等裁判所、地方裁判所の裁判官の参加のもと、被害者の心情等についての研究会を毎年開催しておりますが、最近の研究会では、性犯罪被害者御本人やその支援者の方からも講演をいただいております。

 また、こうした研修の結果につきましては、詳細は省きますが、取りまとめた冊子を作成しましたり、講演録を全国の裁判官が参照できるようにしまして、また、研修に参加した裁判官が各庁で持ち帰って報告して議論するということを強くお願いしているところでございます。

 こうした研修の効果ということでございますが、近時の裁判官の議論の状況ということで私が聞いているところをお答え申し上げますと、例えば、性犯罪被害者御本人からの御講演を聞いた裁判官からは、事件当時やその後の心理状態について、生の言葉で具体的なお話を伺うことができ、実感を持って理解することができたという感想を多く聞いてございます。また、研修参加者による報告によって各裁判官が学んだ専門的知見につきましては、実際の裁判でどのように証拠化するか、あるいは裁判員裁判でどのように裁判員の方々と共有するのか、そういった議論が活発になされておりまして、裁判官の間で専門的な知見の共有が進んできていることがうかがえるのではないかと思っております。

 まだもちろん十分でない点があるかと存じますが、委員の御指摘も踏まえまして、引き続き更に充実した研修の実施に取り組んでまいりたいと思っております。

伊藤(忠)委員 これはなかなか、満足がいくというところに到達することは難しいことであります。しかし、唯一私たちが考えなきゃならないことは、被害に遭われた方々はずっとその人生を歩んでいきます。そうした人たちに対して、本当に支えとなることが生み出すことができるかどうか、それが裁判所の役目だと思います。ぜひよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。

 さて、性犯罪に手を染めた人たちがいまだに野放しにされ、被害に遭った被害者が泣いたまま、救われないことが間々あるのがまだ現実だと思います。このままでは、国民の皆さんが真に安心をして、安全に生活をすることがなかなかできない。誰もが、性犯罪、性暴力が根絶されることや、また、被害に遭った方々がみんな救われるような社会を望んでおられることは間違いないと思います。私としても、そのための対処を一刻も早く行っていってほしい、それを望んでおります。ここにいるみんなが同じことを考えていると思います。

 改めて、この新しいポイントについての取組について、大臣の決意をお聞かせをいただきたいと思います。

森国務大臣 伊藤委員のおっしゃるとおり、性犯罪については、被害者は一生その傷を背負っていくものでございます。このような犯罪が二度と起こらないようにしていくための施策を迅速に進めなければならないと思っています。

 前回の改正からの積み残しの課題が多くあり、論点もたくさんございますけれども、できるところから迅速に取り組んでいけないかという観点も含めて、リーダーシップを発揮してまいりたいと思います。

伊藤(忠)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 続いて、森法務大臣の所信におきまして、法務行政の課題の取組の中に、公判期日への出頭及び刑の執行を確保するための刑事法の整備についても言及をされました。これは、つまりは、カルロス・ゴーン被告人の逃亡事案に関することを踏まえまして、反省を含めて、私たち、やっていかなければならないことがあるんだということをポイントとしてお話をされたと思いますが、まず、このたび、義家副大臣がレバノンに出張されたということでございますので、時宜にかなった出張であったと思いますけれども、このレバノン出張の概要でございますとかその成果について、また、感じられた問題点について、義家副大臣から直接に御説明をお願いいたします。

義家副大臣 本年二月二十九日土曜日から三月三日火曜日までの間、レバノン共和国に出張いたしまして、マリークロード・ナジェム司法大臣、ミシェル・アウン大統領、ナシーフ・ヒッティ外務・移民大臣、ヤシーン・ジャーベル国会議員、国民議会の外交・移民委員長でございます、と会談を行いました。

 相手のある話でございますので、詳細を申し上げることは控えさせていただきますが、カルロス・ゴーン被告人がレバノンに逃亡していることに関して、ゴーン被告人が、保釈条件に違反して国外に逃亡した上で、自己正当化のために我が国の刑事司法制度について誤った事実を発信し続けており、到底看過できるものではない、また、ゴーン被告人が我が国の裁判所で裁判を受けるのは当然のことであるといった日本政府の立場を明確に伝えさせていただき、レバノン政府の理解を得ることができました。そして、本件の解決が日本、レバノン両国にとって極めて重要な課題であることについて、両国の認識は一致いたしました。

 また、我が国の刑事司法制度において正しい理解が得られるよう、働きかけも行いました。その上で、司法大臣との会談において、今後、法務、司法分野において、事務レベルでの必要な協議を進めていくことで一致したところでございます。

伊藤(忠)委員 日本とレバノン両国政府の法務、司法分野における連携の強化、そして、こうした課題について解決をしていくということで一致を見ていただいた。大変成果の上がった御出張をしていただいたと思います。

 本当に、この事案は、我が国の裁判を絶対に受けていただかなければならない。そうじゃなければ、私たちの司法制度というのは何であったのかということになりかねないわけでございます。

 義家副大臣のレバノン出張について、森大臣としてのお受けとめと、これからを語っていただければありがたいと思います。

森国務大臣 昨年の末でございましたが、十二月三十一日でございました、ゴーン被告人が私はレバノンにいるという声明を出したわけでございますが、それから、私ども政務三役と法務省が対応してまいりました。

 ゴーン被告人の記者会見において、個別の事件のほか、我が国の刑事司法制度一般についてのいわれのない批判がございましたので、これについては、その日のうちに反論をし、また、国際的にも意見表明をしてきたところでございます。

 そのような中で、今般、義家副大臣がレバノン共和国を訪問し、大統領や司法大臣と直接意見交換をし、我が国政府の立場を明確に伝えた上で、本件の解決が両国の重要な課題との認識で一致したこと、そして、両国の協力関係を強化していくことを確認できたことは大きな成果であるというふうに考えております。

 義家副大臣は、長時間の司法大臣との議論を重ねて、ここまでの結論を持ち帰ってきてくださいました。

 また、今後も引き続き、国際社会における日本の刑事司法制度についての正しい理解を醸成しつつ、司法外交を更に推進してまいりたいと思います。

伊藤(忠)委員 ありがとうございました。

松島委員長 次に、浜地雅一さん。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 私も、二十分、質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、新型コロナ感染症対策にかかわる法務省の対応について、御質問を一問させていただきたいと思っております。

 我が党は、さまざまな業界団体から、今回の新型コロナ感染症対策としてどんな影響があるのかをお聞きしているところでございますが、法務省に関係するところとして、日本語教育振興協会、日本語学校を運営される皆様方の集まりでございます、ここからの御要望をお聞きしましたので、それを一つ大臣にお答えいただきたいと思っております。

 今週から、報道にありましたとおり、中国、韓国からのビザ、査証が、発行が制限をされ、既に発行されているものも効力は無効とされる事態になったわけでございます。これはこれで、国内感染を防ぐという部分におきますと大変有効な施策であるというふうに私自身思っておりますけれども、しかし、中国や韓国を始めとする日本で学びたいという留学生にとりましては、査証が停止をされる。

 しかし、もう一つ、皆様御案内のとおり、短期滞在以外の皆様方については、在留資格認定証明書を発行されて、それを持って日本に入国をされるわけでございます。査証がとめられている間は、それはいたし方ないんですが、この在留資格認定証明書は発行されてから三カ月以内に入国をしないと効力を失うということでございますので、このコロナの対策がある程度進んだときには、既に、この三カ月の期間を経過してしまうと、なかなかこれはすぐに、新コロナ対策の感染症対策が終わった後に日本にやってくる中国、韓国を始めとする海外の留学生が入れないという事態になるわけでございます。

 そこで、この在留資格認定証明書、現在三カ月の有効期間でございますけれども、これを延長してほしいという要望がございますが、ここをどのように大臣がお考えか、御答弁いただきたいと思います。

森国務大臣 浜地委員の御指摘のとおり、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、既に交付を受けた在留資格認定証明書の有効期間、その期間内に本邦に上陸できない場合が想定をされます。

 この問題については、御党の高瀬委員から予算委員会で同様の御指摘を受けました。そのときの私の答弁は、これまでは、改めて同証明書の交付申請をしなくても、申請書及び受入れ機関作成の理由書のみをもって迅速に審査を行いますよというふうに答弁をしてまいりましたが、更に進みまして、今ほど浜地委員の御指摘のとおり、在留資格認定証明書の有効期間について、通常三カ月のものを六カ月間有効なものとして当面の間取り扱います。これをけさの記者会見で発表したところでございます。

 引き続き、個々の外国人の皆様の置かれた状況に十分配慮しながら柔軟に対応してまいります。

浜地委員 一歩進んだ答弁をいただきました。

 確かに、参議院で我が党の議員が御質問したときは、しっかり理由書を見て再審査に応じるという御答弁だったわけでございます。私のレクのときも実はそういう答弁だったわけでございますが、今回の事態を受けて、けさ、そのように大臣が決断をされて、三カ月から六カ月に延ばすということでございますので、しっかりとこれを現場にも伝えてまいりたいと思っております。大変な英断をしていただいたというふうに思っております。ありがとうございます。

 続きまして、日本語学校は、四月入学、七月入学、十月入学があるわけでございまして、今、四月生がこういった事態になっているわけでございますが、この状況が続きますと、今度は、七月の入学の募集について大変な御苦労をされているというお声も聞きました。

 そこで、日本語学校における七月期入学の募集について、法務省として特段の配慮を考えているのかどうか、ここを政府参考人に御答弁いただきたいと思います。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の七月入学生の申請書の受理に関しましてでございますが、御指摘のとおり、この交付申請の準備が間に合わないという相談が日本語教育機関などから寄せられているところでございまして、これを踏まえまして、在留資格認定証明書交付申請に係る提出資料の準備に時間を要する留学生につきましては、在留資格認定証明書交付申請の受け付け期間を延長するなど柔軟な対応をとるということにいたしました。

 引き続き、留学生等の置かれた状況に応じて柔軟に対応していきたいと思っております。

浜地委員 実際に二月の末に日本語学校等の皆様方からお聞きしたところによると、法務省からの、在留資格認定証明書の取扱いでありますとか、また先ほど御答弁いただきました七月入学生の受入れ期間の延長について、周知がなかなかなかったという声が寄せられたわけでございます。きょうも在留資格認定証明書の新しい取扱いが大臣からあったわけでございますので、やはり現場に落ちるように徹底した周知を行ってほしいという声がございますけれども、それについて法務省の御見解をお聞きしたいと思います。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 今回のコロナウイルス感染症の影響によりまして、いろいろな機関から、例えば休校あるいは発熱等による欠席の措置をどういうふうに取り扱うのかというような御質問がございました。

 そのため、入国在留管理庁では、日本語教育機関における新型コロナウイルス感染症への対応に係るQアンドAというのをつくりまして、また、そのほか、在留諸申請における取扱いを法務省のホームページに掲載いたしまして、また、その内容に応じては個別に各日本語教育機関に対して送信、送付しております。

 また、各地方出入国在留管理局におきまして、これらの情報に関する資料に加えまして、新型コロナウイルス感染症について在留外国人の参考となるサイト等を取りまとめた資料を在留資格認定証明書の交付に合わせて日本語教育機関に配付してきたところでございます。

 さまざまな緩和措置を講じても、知ってもらえないと絵に描いた餅になりますので、その広報に関しましてはしっかりやってまいりたいと考えております。

浜地委員 ぜひ周知徹底をお願いしたいと思っております。

 日本国内ではなく、やはりこういった日本語学校に入学する人たちは海外におられますので、まずはこういった協会の方に確実な周知をしていただいた上で、それがまた海外の方に発信をされるわけでございますので、特に迅速な対応をお願いしたいというふうに思っております。

 続きまして、テーマをかえまして、更生保護施設に対する支援の充実についてお聞きをしたいと思っております。

 二月の十日に、私、福岡が大体活動地域でございますけれども、福岡県の田川市にあります田川ふれ愛義塾という更生保護施設を視察してまいりました。NPO法人が運営をする少年専用の施設でございまして、全国に百三あります更生保護施設のうち、少年のみを受け入れているのは二カ所というふうに聞いております。そして、ここで珍しいのは、実は、男の子だけではなくて女の子、男女ともの少年を受け入れる唯一の機関が田川ふれ愛義塾なわけでございます。

 この理事長、工藤さんというふうに言われますけれども、非常に有名な方でございまして、十八歳のときに御自身も暴走族の総長になって、非常に不良だったというふうに御自身が言われております。二十二歳のときに逮捕もされまして、いわゆる刑務所の中で更生を誓い、二〇〇五年に田川ふれ愛義塾を創設されまして、少年少女の更生に向かって努力をされております。

 やはり、今の少年の特徴としてネグレクトが多い、また、特に女子は、性的虐待が多い。また、集団で逃亡するそうでございます。集団で逃亡するとみんなで捜しに行かなきゃいけないので、なかなかほかの業務にも非常な差しさわりがあるということです。

 また、最近の特徴として、障害認定を受ける少年が非常に多いということで、これに対しても、心のケアでありますとか、実際の事務作業の手間というものが多くかかるということでございます。やはり、この理事長が言われておりました、経営は非常に厳しいということをおっしゃっているわけでございます。

 そこで、少年を入所させた場合のまず委託費の概要についてどのようになっているのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

今福政府参考人 お答えいたします。

 少年を委託いたしましたときの支弁の方法でございますけれども、実際に保護した少年の人数に応じて支弁される仕組みとなってございます。もちろん地域によって若干差はございますけれども、その少年を宿泊させ、食事を提供した場合は、その少年一人につき一日当たり約六千八百円が支弁されます。

 加えて、少年につきましては特別な配慮が今御指摘のとおりございますので、そういった場合につきましては、一定期間、その少年一人につき一日当たり二千三百円を上限として加算する仕組みもございます。

浜地委員 今、六千八百円、そして、特定類型者加算というふうに聞いておりますが、二千三百円加算をされるということでございますが、やはり少年に、少年特有の問題をさまざま解決するためには、しっかりと話を聞く、話し相手になる、中には、実際自分が非行をした経験のある退所した子が来て、お世話をこの施設でもされておりました。

 そこで、そういった委託の実績にかかわらず職員を配置した場合、少年の専用施設においてはそういった定額支弁というのは行われているのかどうか御答弁いただきたいと思います。

今福政府参考人 お答えいたします。

 定額支弁の方法につきましては、更生保護施設に社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を有する者を置きまして、高齢、障害のある人ですとか、あるいは薬物依存の人ですとか、そういった者の専門的な処遇に当たっていただく場合にのみ限って定額の支弁という方法をとっております。

浜地委員 さっきも御答弁ありましたとおり、やはり公認心理師とか精神健康福祉士のような一定の資格がある方を配置しないとこういった定額支弁が行われないという答弁でございました。ですので、少年特有のやはり心のケアであるとか、非行を行ったことのある、退所した、もう今は成人になっている、少年の心が本当にわかる、そういった人を職員として雇った場合でも、結局、定額支弁はないわけでございます。

 私は、やはり何らかの形で、こういった少年や少女の特性に応じた対応をできる職員を配置した場合には何らかの支弁をすべきではないかというふうに個人的には思っております。

 そこで、少年やまた女性を受け入れる、こういった田川ふれ愛義塾のような施設の処遇の改善や支援の強化について一歩踏み出していただきたいというふうに思いますが、法務省の御答弁をいただきたいと思います。

今福政府参考人 お答えいたします。

 現在、法務省におきましては、再犯防止推進計画などに基づきまして、更生保護施設、更生保護事業のあり方の全般的な見直しを進めておりますけれども、具体的には、有識者の方から御提言をいただくですとか、更生保護施設の現場の御意見を拝聴しながら、それぞれの入所者の特性に応じた処遇や支援のあり方あるいは具体的な施策のあり方について検討を行っております。

 今委員御指摘にございました少年や女性についてでございますけれども、先ほど御指摘のとおり、彼らは家庭環境あるいは生育歴において問題が大きい場合が多くございますし、特に少年は精神的に未熟であったりして問題を起こしがちである、そういったことで処遇が難しい者も多いというのが現実でございます。こういった現状を踏まえて検討を進めていく必要があると考えております。

浜地委員 今御答弁をいただきました、これからの更生保護事業に関する有識者検討会のことを指していらっしゃるというふうに思っております。

 今局長からは御答弁の中で、少年やまた女性に対するさまざまな配慮をしていくということで検討していくということでございますが、私の手元にあるこの有識者検討会の課題の中に、少年少女という言葉は入っておりません。例えば、処遇プログラム等の充実、多様化ということで、高齢者とか障害者とか薬物依存の処遇に対応した施設の充実強化という言葉しか入っておりません。

 ぜひここに少年や女性という言葉を、しっかりキーワードを出して、この検討会で私は検討を具体的にしていただきたい、その御要望をしておきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 そして、少年につきましては、やはり退所後、更生保護施設を出た後のフォローが大変大事だというふうに工藤理事長も語っておられました。やはり可塑性がある反面、まだ未熟でございます。さまざま、退所した後の環境に左右されるのが少年の特徴でございますので、当然これは青年もこういった退所後のフォローアップは大事でございますが、特に少年についてはフォローアップ体制の充実が大事であるというふうに訴えられておりました。

 中には通所をする子もいるんですが、理事長みずから自宅に行って、現在の生活状況を聞いているということでございます。しかし、理事長からお話を聞きますと、フォローアップのための国からいただける費用というのは大変少ないそうでございまして、ここの充実もお願いしたいという声がございました。このフォローアップ体制の充実強化について法務省の御答弁をいただきたいと思います。

今福政府参考人 お答えいたします。

 少年の場合、あるいは他の入所者全般に言えることでございますが、更生保護施設、一時的に住居を提供して、そこでさまざまな訓練を施すだけでは不十分でございまして、そこから出た後、また孤立して、困難に直面して、また犯罪に手を染めるということも多いのが現状でございます。

 そこで、今御指摘のようなフォローアップの事業ということで、更生保護施設の方が退所した者に対して、その通所を受けまして、継続的に日々の生活相談に当たっていただいております。これにつきましては、平成二十九年度から予算化をされまして、一人一日当たり百四十九円の更生保護委託費が支払われているところでございます。

 引き続き、充実強化に努めてまいりたいと思います。

浜地委員 百四十九円、私、知っていましたけれども、交通費にもなかなかならないというふうに思っています。やはり、アウトリーチでその子の自宅まで行って、一回行って百四十九円では、幾ら思いがあっても、なかなかインセンティブはないのではないかというふうに思っております。

 この更生保護施設につきましては、私も実際に、こういった視察をしまして、本当に更生保護施設の取組というのは終わりがないものであるなということを痛感しました。また、更生保護施設には再犯防止のための取組が凝縮されている、そのように感じたところでございます。

 先ほど私が質問しましたフォローアップ事業に関しましても、まずはやはり国としての予算的な手当てをしっかりやっていただきたい、それだけでなく、事業そのものの充実強化をしっかりと進めていただきたいというふうに思っております。公明党としても、しっかりとこれはフォローしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 最後の質問になりますけれども、私、昨年のこの法務委員会におきまして、仮釈放の推進というものを訴えさせてもらいました。再犯防止の中において、仮釈放は満期釈放に比べて再犯率が低い、満期釈放の方が二五・四%の再犯率に対して、仮釈放の方は一〇・七%ということでございます。

 当然、仮釈放するには帰住地の確保が必要なわけでございますけれども、前回の質問の中で、地方更生保護委員会の保護観察官を刑務所等に駐在をさせて体制強化を図るという御答弁が法務省からございましたけれども、その具体的な取組についてどのように進んでいるのか、最後に御答弁をいただきたいと思います。

今福政府参考人 お答えいたします。

 地方更生保護委員会の保護観察官を刑事施設に駐在させるという取組でございますけれども、令和二年度予算政府案におきまして、全国の犯罪傾向の進んでいる者を収容する大規模な刑事施設、十一施設に保護観察官を駐在させるための経費を計上しているところでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 きょうは、更生保護施設、特に少年専用の保護施設のことを具体的に出しながらお話をさせていただきましたし、最後に、仮釈放の問題についても質問をさせていただきました。

 私も、この法務委員会に所属をして、入り口も大事なんですが、出口といいますか、罪を犯し、またこういった施設に入所した皆様方の教育、そしてその後のフォローアップというものが非常に大事だというふうに痛感したところでございます。

 今後も法務省の皆様方にはぜひしっかりとこの点頑張っていただきたいと思いますし、法務大臣にもぜひその点をよろしくお願いしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 以上でございます。ありがとうございました。

松島委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということで、大臣に質問をさせていただきます。

 まず、司法行政をつかさどる大臣としての基本的な姿勢について伺えればと思います。

 所信の中で大臣は、私は、法務行政を通じ、ジャスティス、すなわち正義が保たれる公正な社会の実現に向けて、真摯に取り組んでまいりますというふうに述べられております。

 この法務行政における公正性とは、日ごろ大臣の仕事の中でどのように担保しようと努力をされているのか、お伺いできればと思います。

森国務大臣 法務省は、国民生活の安全、安心を守るための法的基盤の整備という使命を負っているものと考えております。

 その使命を果たすため、法務省は、性犯罪、児童虐待、各種の人権問題など、一旦人権が傷つけられたり、虐待や犯罪の被害に遭ったり、法的な解決を要する事態に陥ったような場合には、これにより傷ついている皆様、困難を抱えている皆様を、本来あるべき状態、正義が保たれている状態に戻してさしあげること、あるいは、民事法、刑事法に関する課題、出入国在留管理に関する課題などについて、社会経済情勢の変化に対応して法制度の整備などを行った上でこれを適切に運用することなど、直面する数々の課題に対し取組を実施しているところでございます。

 このような取組によって、国民の皆様が公平、平等であると感じる社会を構築していくこと、それが法務行政が実現すべき公正性であると考えております。

落合委員 ほかの省と比べても、法務省の仕事というのは、公正性の実現、これは大変重要なことだと思います。

 次ですが、今回、黒川東京高検検事長の定年延長を閣議決定で決めたこと、これは、公正性、大丈夫なのかということも問われているわけでございます。

 私も、これを機にいろいろと調べてみました。検察というのは、独立性を持ってきたわけでございます。まあ、大臣にわざわざ申し上げるあれでもないですけれども。したがって、検察官の定年については一般的な公務員法も適用されないということがこれまではなされていたわけですけれども、その解釈を変更して、今回、ちまたでは政権の守護神とも言われている、政権のお気に入りの黒川検事長の定年が延長されることとなりました。

 この解釈変更は重要な変更なわけですけれども、その手続が、決裁の文書もなくて、口頭で決裁をしたということです。日ごろ、口頭で決裁することというのはたくさんあると思うんですが、検察の独立性にかかわるような重要な決定も口頭でやりましたと。これは公正さがあるのかなという問題なわけでございます。

 独立性のある検察官という職の定年延長は、先ほども申し上げたように、政治ですとかほかの行政はできるだけタッチしないようにしていこうということを決めていたわけですけれども、この大きな変更のプロセスを客観的に検証することも、文書が残っていないのでやりづらい。これで公正な法務行政なんでしょうか。もう少しやり方を変えた方がいいんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

森国務大臣 まず、今、決裁文書についてのお尋ねがございまして、そして最後の御質問で、文書が残っていないと後から検証ができないという問題提起がなされましたけれども、これには二つの問題があると思います。文書が残っているかどうかという保存の問題、そして、その文書を決裁しているかどうかという問題でございます。

 まず、文書の保存については、文書を作成しておりますし、保存しております。これについては、法務省の文書管理規則というところに定まっておりますので、このルールに基づいております。その文書の一部も国会に提出をしております。

 それとはまた別の問題で、また別の規則で定められております文書の決裁の問題がございます。

 これは、作成した文書について、書面に判こというか、押印を、押すような形などの決裁をとるべきかどうかという問題で、これは、先ほど言った管理規則と違う取扱規則、法務省文書取扱規則という別の規則によって定められております。

 規則が二つあって、名称も似ているので、混同してしまう方が多いのですけれども、質問もごっちゃになって質問されることが多いんですけれども、二つの規則がございます。

 そして、一つ目の、文書は作成をしておりますし、保存をしており、規則にのっとっております。二つ目の問題でございますが、決裁、これを得なければならないのは法務省文書取扱規則に定められており、決裁を得なければならないものについては、別表というものに記載をされております。

 今回の文書については、国家公務員一般の定年の引上げに関する検討の一環として検察官についても検討を進める過程で、国家公務員と検察庁法との関係を整理した文書でございまして、決裁を受けるべき取扱規則の別表には当たらないということで押印等の決裁は経ていないということでございますが、今申し上げたとおり、法案の一環としてつくられておりますので、最後に、成案がつくられたとき、つまり法案が法律になった最終段階では、もちろん、その経緯を後から検証する文書として、この一体として最後に決裁を得るということになるわけでございます。

落合委員 規則を、私も法務省からも、決裁の取扱いについてですとかどういうルールでやっているかということも、いろいろと勉強させてもらいました。

 今回は、ふだんどうしているという問題を、重要性を超えていて、今まで検察の独立性が保たれていたところにまでも踏み込むような決定を行ったわけでございます。ですから、これは、ふだんの仕事の処理の仕方と同じじゃだめなんじゃないかな、もっと公正性を保たなきゃいけないんじゃないかなというふうに考えて行動するのが公正な法務行政なんじゃないでしょうか。

 これは口頭決裁よりか文書決裁の方が重いわけですから、今回のような重大な変更は当然文書決裁をするべきである、これは誰でもわかることなわけでございます。

 検察は政治から独立していなきゃいけないということは、戦前からの教訓からそういうことが決められたわけでございます。これは、調べてみると、日本国憲法は三十一条から十カ条も刑事手続に関する規定を持っている。十カ条も刑事手続について規定する憲法、諸外国を見てもかなりまれな、我が国の憲法の特徴の一つでもあるわけでございます。

 検察庁法もいろいろ調べました。検察は政治的なものから中立でならなければならないという趣旨をもってこの検察庁法もつくられたわけでございます。だからこそ、そういう重要な問題だからこそ、歴代政権はこれを守ってきた。

 しかし、この歴史を破って今回閣議決定がされてきたわけでございます。しかも、同じタイミングで、桜を見る会やカジノや前法務大臣夫妻の問題が出てきて、検察が動いている、そういった中で、検察が政界に切り込もうとしている中で、何でそのタイミングで検察の人事に介入するのか。

 先日、いろいろなニュースを見てみますと、高市総務大臣も、口頭決裁は正式なものと位置づけられていないですよということをカメラの前ではっきりと言って、NHKのニュース等でも流れました。それから、他省庁やほかの与党からの政治家の声もいろいろな報道に、まあ、匿名のもありますし、名前を出して言っているのもありますし、あるわけでございます。

 率先して公正さを求めないといけない、それから権力の監視ということの重要性を鑑みて行動しなければならない法務省が率先してこういったことを行う。大臣、政治家として本当にこれでいいと思いますか。

    〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕

森国務大臣 司法の独立性についてのお尋ねがございましたけれども、司法権の独立性と密接不可分にあるということで、検察権の独立性も要請されております。ただ、司法権そのものではなく、行政権の一部でございまして、法務省に所属をしているので、その人事権も法務大臣又は内閣にあるということでございます。

 検察の独立性については、法務大臣の個別の指揮権が抑制的に行使されるなどにおいて守られております。

 ですので、人事権につきましては、要するに、それが適切に行使をされるということが大事であるというふうに思います。

 また、口頭による決裁、口頭による了解というのは、先ほども委員の御指摘のとおり、さまざまある多くの行政の手続の中でなされることもございます。高市大臣も、昨日の予算委員会で、文書の取扱規則について定める場合には、そこに定めているものについては文書の押印等の決裁が必要であるというふうにお述べになられました。私も、そういう意味で、取扱規則に定められた別表に当たるものについては、署名、押印又は電子決裁等の決裁をとっております。

 これは、過去の政府答弁も、議事録等で見ておりますと、例えば大臣が、平成二十三年三月九日の国会で、「会合でそのことが了承された、異議がなかったということで、大臣がそこで決定をされたと、こういうことでありまして、書面そのもので決裁の記録が残っているわけではございません。」との答弁をなさっているとおり、口頭の決裁というものはあるものでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、ルールにのっとりまして、行政文書取扱規則に定められた方法による決裁についてはとっておりますし、その別表に当たらないというものであるから今回は署名、押印等の決裁をとっておらなかったものでございますが、そのようなものでも大臣室まで上がってこないものもありますし、さまざまな文書の作成の仕方があると思いますが、今回の御指摘の文書は、検察庁法の解釈において改めて整理しようとするものであることから、内閣法制局等と協議するに当たり、事務次官まで文書を確認して、その内容を了解するという手続をとったものでございます。

    〔鬼木委員長代理退席、委員長着席〕

落合委員 司法の独立性ですとか規則がどうのこうのとか、それだけの問題ではないと思いますよ、これは。

 先ほど申し上げたように、今まで、歴代の政権の中で、同じ時期に、桜を見る会の問題、カジノの問題、前法務大臣の問題、政権に対して検察がこんなに動いている状況はなかったわけです。そのタイミングに合わせて政権がばしっと人事に介入してきた。これに対して、大臣が、公正さを第一義として、仕事で一番大切だというのであれば、規則もこれでいいのかと考えるのが仕事じゃないでしょうか。

 これをやったことで、先ほどの司法の独立性、検察の独立性はどんどん弱まっていってしまうと思います。同じことを次の政権もやればいいわけです。こういうあしき前例をつくって、日本の政治をもっと劣化しようとしている、こんなことを大臣として許してはならないと思います。そして、我々政治家も許してはならないということを申し上げて、次の質問に入らせていただきます。

 サービサー法についてでございます。

 債権回収をなりわいとするサービサーについての法律、これがサービサー法でございます。このサービサー法は、これまで議員立法で法整備が行われてまいりました。直近でも、次にどういうふうに改正するべきかですとか、そういったことを政党間それから各政党内でも議論がされてきているわけでございます。

 このサービサー法の運用状況について大臣はどう把握をされているか、お聞かせいただければと思います。

森国務大臣 サービサー制度は、金融機関の不良債権処理のため、特例的制度として平成十一年に運用がスタートしたところ、当時の金融危機の状況下における不良債権処理の担い手として重要な役割を果たしてまいりました。

 現在は、全国で七十六社のサービサーが営業を継続し、制度開始以降のサービサー全体の累積取扱債権数は約一億八千万件、累積取扱債権額は約四百三十九兆円、累積回収額は約五十二兆円に上っています。なお、平成三十年中にサービサーが取り扱った債権数は約一千二百万件、債権額は約十四兆円、回収額は約一兆八千億円となっておりまして、新たな不良債権の発生も依然として相当規模で続いている中では、今後も引き続き、不良債権処理の分野においてサービサーに期待される役割の重要性は変わらないものと認識しております。

 さらに、法務省は、サービサーの監督の一環として立入検査を実施しているところ、平成三十年は三十六件の立入検査を実施しました。また、サービサーに対する不利益処分については、直近では、平成二十八年に二件の業務改善命令を発令しているものの、それ以降の発令はございません。

 サービサーによる債権回収については、サービサー法によって行為規制が厳格になされており、これまでサービサーが違法な方法により債権回収を行った事例は法務省において把握しておらず、サービサーの業務の適正さは十分確保されているものと認識しております。

 サービサー制度を所管する法務省の立場からは、事業再生の分野等においても、これまで不良債権処理の分野で培われてきたノウハウや信頼を生かし、サービサーでその役割をこれまで以上に適切に発揮することを期待しております。

落合委員 適宜立入検査にも入っていて、しかし、平成二十八年以降は、不利益処分は、処分も出ていないという現状でございます。

 いろいろな専門家の意見等も聴取してみますと、やはり一部では、強権的な徴収に対する懸念というのは、これは改正のたびにも常に出てきたことは確かなわけでございます。適正な運用、これは今後も心がけていただければと思います。

 それでは、会社法の今後のあり方についてに入らせていただきます。

 まず、会社法とは直接には関係ないんですけれども、一昨日の三月八日が国連の定めた国際女性デーでございました。いろいろと調べてみても、我が国は、女性の国会議員も段トツに少ないわけですけれども、会社の役員もかなり割合として少ないわけでございます。

 今般の経団連の副会長選びでも、今回初めて女性が選ばれるかなという形で注目はされたんですが、残念ながら今回も選ばれなかったということでございます。

 大臣は女性政策にもこれまでかかわっていらっしゃいますが、このこと、女性の経営者、役員が少ないということについてどのようにお考えでしょうか。

森国務大臣 女性役員の登用を始め、女性の社会進出に向けた取組は政府全体で行うべき重要な課題であると認識をしております。

 また、取締役会等における監督等の実効性を高めるためには、取締役会等の構成員に必要な知識や経験が備わっていることのほか、ジェンダーを含む多様性を十分に確保していることが重要であると考えております。

 取締役会の構成におけるジェンダーを含む多様性については、コーポレートガバナンス・コード等のソフトローにおいて関連する規律が設けられております。

 私が女性活躍担当大臣のときに提出をいたしました女性活躍推進法において、女性の役員について有価証券報告書等で記載をすることを一部義務づけたわけでございますが、また今般改正されてその範囲が広がったところでございます。

 このようなソフトローによる取組を含め、女性役員の登用を促進する取組を行うことは必要かつ有益であるというふうに考えます。

 経団連の例をお出しになりましたが、副会長ではございませんけれども、初代の役員に吉田晴乃さんという方がおられましたが、残念ながらお亡くなりになりましたけれども、やはり彼女のような女性が経団連のような経済団体そして企業にふえていくことを望んでおります。

 今後も、ますます女性の社会進出の必要性が高まっていくと考えられますので、法務省としても、このようなソフトローに基づく実務の運用状況等を注視していくとともに、政府全体としてどのようなことができるかについて引き続き検討してまいります。

落合委員 ヨーロッパでも、今は女性議員比率がかなりふえていますけれども、三十年前の数字を見ると、びっくりするほど少ない、そんなに日本と変わらなかったんじゃないかというような数字でして、この三十年間、さまざまな努力をして女性の活躍する数をふやしてきたということでございます。やはり政策としてもそういった努力が必要であると思います。

 私も、二十年近く前に銀行に就職したんですが、そのときは、後に幹部になっていく総合職の女性の比率というのは一割もいないぐらい、一割ぐらいでございました。ちょうど就職氷河期だったので、女性は物すごく優秀でも、就職できない。一方で、どう比べても、この女性よりか、この男性、何で選ばれるのかなというような人たちは採用されていくというような現状を見て、私は新入社員のときに、そのときの私の銀行のトップに、これ、どう考えても、就職できない女性がたくさんいる中に優秀な女性がいっぱいいるわけだから、今こそ女性の幹部職の採用比率をふやすことが会社のためになるということをわざわざ、新入社員ですが、言いに行ったことがあります。その後、採用の仕事にも抜てきされまして、女性のそういった幹部職員をふやしていくということも努力をしてまいりました。

 今は、女性の役員もその銀行にも出てきていますが、やはり組織組織でのそういった努力も必要であると思います。

 ジェンダー平等は、社会的な問題だけではなくて、経済性を考えても、ジェンダー平等というのは重要であるということを述べさせていただきたいと思います。

 それでは、会社法についてですが、この委員会で私は大臣に、本会議でもですが、会社とは誰のものだと思うかということを問わせていただきました。大臣の答弁は、ストレートに、株式会社は株主のものですというようなお答えでございました。その様子が報道番組等でも取り上げられたようでございます。

 これは、何で会社法のようなそんなに知られていない法律に関する議論が報道番組でも取り上げられるようになったかというと、ことし一月、世界経済フォーラム、ダボス会議でも、アメリカのような株主資本主義の中心と言われるようなところでの経営者たちでも、そういう人たちからも、株主資本主義や金融資本主義、収奪型資本主義のような、今の資本主義の中身がこれでいいのかという発言が世界の経営者からも出て、それが中心的な話題となったから、報道番組でも、我が国でも取り上げられるようになったわけでございます。

 これは、国際的な経営者も、実態が伴っているのかはわかりませんけれども、株主だけではなくて従業員やお客さんや地域社会など、もっと多様なステークホルダーのためにこれからの会社はあるべきだということを発言し始めたわけでございます。

 世界の風潮が変わってきている、資本家と言われる人たち、経済人までもそういう議論を始めた、この世界の潮流の変化について、大臣、どのようにお考えですか。

森国務大臣 委員御指摘のとおり、ダボス会議においてステークホルダー資本主義について議論されたように、昨今、国際的にステークホルダー資本主義が議論されるようになっております。

 このような議論の趣旨は、企業が事業を継続し持続的に成長するためには、株主のみならず、従業員、顧客、そして社会全体という全てのステークホルダーに貢献する必要があるというものであります。

 私としても、企業が持続的に成長し、中期、長期的な企業価値を向上させることは重要であると考えております。

落合委員 この前の答弁では、株式会社は株主のものでありますというところしか答弁がなくて、その後、多様なステークホルダーという話がなかったわけですが、その考えを少し変えてきているというようなことでよろしいんでしょうか。

森国務大臣 委員との議論を今すぐ全て思い出せないんですが、私は、この法務委員会等で、ほかの委員の皆様方からも同様の御質問を受けておりまして、株式会社の所有、持ち物という意味では株主であると答えた後に、従業員を始めとしたステークホルダーに対しても株式会社というのは責任があるんだということを答弁してきているものでございます。

落合委員 そっち側の、後半の方をこれから重視して、会社法についてはぜひ考えていただければと思います。

 これは、調べれば調べるほど、やはり方向転換が必要だなというふうに思います。これは、アメリカで議論が始まったというのは、このバランスの悪い風潮がもう二十年近くアメリカでは先に進んでいるわけでございます。

 これは、例として、私は自社株買いについて本会議でもここでも取り上げたんですけれども、アメリカでは、株式市場から会社がお金を調達する金額よりも、自社株買いで会社のお金を株式市場に放出する金額の方が一九九三年からもう上回ってしまっているという、私にとっては異常な事態だと思うんですが、そういう状況になってしまっています。

 日本は、そこから二十年近くおくれて二〇〇一年から自社株買いが解禁されたわけですが、最近、内部留保がふえてきているという中で、この一、二年は自社株買いがかなり急増しております。まだ新規調達の方が割合は高いですけれども、自社株買いがアメリカと同じような風潮でどんどんふえてしまっている、これは外国人投資家の圧力であるわけでございます。

 それから、二月十四日、日経新聞。アメリカの企業は、七兆二千億円も、合計すると、もう既に債務超過になってしまっている財務状況だと。何で債務超過になっているのか。それが、言えばわかるような有名企業ばかり、かなり債務超過の企業が並んでいます。これは、利益の金額を上回る配当や自社株買いを近年行っているからどんどん資本が小さくなって、債務超過に有名企業が陥ってしまっている。景気が悪いからではなくて、配当をふやしているからそういうことになっているということでございます。

 だからこそ、ダボス会議で話されなければならないような、会社というもの自体が存亡の危機に立たされているということでございます。

 それから、MアンドAも、私が金融機関で働いていたころはいいものだというふうにみんな思っていたわけですが、アメリカでは、有望な成長株を全部自分のライバル企業が取り込んでしまうのでイノベーションが起きない、これが今問題になっているわけでございます。これはやはり、株主資本主義一辺倒に進んでいくのは問題である。

 調べたら、我が国でも既に、私も知っている、恐らくほとんどの方が知っているある企業が、外国人株主比率の多い会社が、純利益の八割、株主に配当金を出しているという会社ももう出てきているわけでございます。これは早急に対応を考えなければならない。今、内部留保が日本企業はあるからいいという面もあるわけですが、この状況で内部留保までなくなったら、日本経済のいいところがどんどんなくなってしまうわけでございます。

 そういった観点から、グローバルスタンダードに合わせよう合わせようというのは、もう二十年前のアメリカなどで取り入れられてきたこと、これから修正しようというところをまねしようとしているわけでありますから、これはやはり方向性を変えていくべきだと思います。

 大臣、先ほどの答弁で、必ずしも株主に偏った法改正を行っているわけではないというふうにおっしゃっていましたが、これははっきりと、株主資本主義一辺倒に進むのはよくない、これは方向転換をするべきだと考えているということでよろしいですね。

森国務大臣 剰余金の配当や自己株式の取得等、会社が上げた利益をどのように分配するかについては、基本的には、会社法に定める規律の範囲内でそれぞれの会社において、会社の持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上に資するように、事業環境や事業計画等を踏まえて判断されるべきものではありますが、会社がその成長を維持するためには、従業員についても、その会社の成長に応じた待遇の向上を図り、そのモチベーションを高めるなどの方策をとることが求められるものでございます。

 また、先ほどの御指摘でございますが、今までも、株式会社は、株主のみならず、従業員、顧客、取引先等のステークホルダーのために存在すると言える趣旨の御答弁を申し上げているものでございます。

落合委員 昨年の法改正の議論のときよりは、ニュアンスが変わって、いい方向に変わってきていると思います。ただ、これは、はっきりとやはり政府が旗を振ってあるべき正しい方向に向かわせるべきである、それくらい重要な問題だと思います。

 これは、内閣府ですとか財務省の参与も歴任しているあるベンチャーキャピタリストの方がこういうふうに言っています。レーガン政権時代ぐらいからアメリカでははっきりとしてきた株主資本主義は、短期利益を出すために賃金をカットして、そして、共働きをふやすことで経済のパイをふやしてきた。これは、一人一人の賃金が下がっていくけれども、働く人をふやしていくことでGDPは上がっていますという経済をつくろうとしたわけでございます。これは、三十年、四十年たった日本の今の姿そのものであると思います。

 その方ははっきりと言っています。株主への配当、社外取締役の設置、時価会計、ストックオプション、自社株買いといった先進的と言われている制度の導入が、会社が公器であることを阻んで、そして社会を壊してきたということを現場を見てきた方がはっきりと言っているわけでございます。

 これは、今、日本人の賃金が上がらないことが経済の大きな要因であって、この大きな原因の一つが、私はこのコーポレートガバナンスが原因であると。これは、企業統治を強化するのではなくて、経営者にとって雇いやすい労働者をふやしていくための改革ばかり、そして、その利益を株主に配当しやすい仕組みばかりが導入されてきた。全然、企業統治の強化と違うことが行われてきた、これが原因だと思います。

 会社法の改正はROEという指標を大きな基準としてきました。なので、元内閣参与が言っていることと同じことだと思います。目標をROEに定めていること自体が日本人を貧乏にしている、バランスが悪くなってきている、これは述べさせていただきたいと思います。

 まだちょっとありますね、もうないですか。それでは、続き、特定技能については、次回やらせてもらいます。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、高木錬太郎さん。

高木(錬)委員 立国社、高木錬太郎です。よろしくお願いいたします。

 大臣所信に対する質疑ということでありますが、まず最初に、そこに入る前に、昨年の臨時国会における法務委員会、当委員会での森大臣の答弁について、二点ちょっと確認させていただきたいと思います。

 私が質問いたしました災害時における避難所に関する質問に対する答弁で、避難所における人権状況の改善に取り組んでまいりたいという答弁がございました。改善する必要性があるという御認識だと思います。

 私がお願いした、ホームレス支援団体や避難所運営にかかわっている皆様との意見交換など、直接現場に行ってさまざま現場の状況を見てきた、そういうことは、この間、ありましたでしょうか。

森国務大臣 今のところ、ホームレスを支援している皆様と直接お会いできておりません。

高木(錬)委員 ことしも、起こってほしくはないけれども災害が起こるかもしれない。また同じような、同様の事案が発生しないように、人権擁護をつかさどるトップの姿勢として、ぜひ示していただきたいと思います。

 次に、二点目です。十一月八日の法務委員会で初鹿明博議員が質問いたしました、東京入管における女性被収容者の人権問題についてです。

 その際、初鹿議員から、現地へ行って自分の目で確認してきてくださいという質問に対して、森大臣は、大変重要な御指摘だ、人権に配慮した状態であるということを私もしっかり確認してまいりたいと御答弁なさいました。

 そこで伺います。現場に行って確認しましたか。確認した結果、どのような問題意識をお持ちになりましたか。

森国務大臣 私は、本年一月十四日、東京出入国在留管理局の視察を行いまして、収容施設の居室などの状況を確認して、視察してまいりました。また、法務副大臣を、一月十五日に大村入国管理センター、二月二十六日に東日本入国管理センターに派遣して視察をさせました。また、法務大臣政務官において三月四日に東京出入国在留管理局を視察させております。

 私は、視察により、自傷行為防止等のための監視カメラの監視の状況についても視察を行っておりまして、実際に居室の方に入り、また、カメラでの監視を行う場所、その状況について視察、確認をしてまいりました。

 女性の被収容者については、女性の入国警備官が監視を行っていることなど、収容施設における処遇の実情を確認したところでございます。

 その上で、私は視察の後、出入国在留管理庁に対し、女性の被収容者の動静監視を女性の入国警備官が行っているという実際の運用、それは確認できたわけでございますが、これを明確なルールとするように指示を出したところでございます。これについて、出入国在留管理庁において具体的な対応の作業中でございまして、進捗状況の報告を受けているところでございます。

 また、その他、収容全般につき、被収容者の人権に配慮した適正な処遇の徹底を改めて指示したところでございます。

 なお、現在、入管施設における収容や処遇のあり方については、昨年設置された収容・送還に関する専門部会において、有識者の方々にさまざまな観点からの御議論をいただいておりますので、今後とも、その専門部会における御議論を踏まえ、また、国会審議における、委員を始めとした御指摘を含むさまざまな御指摘に耳を傾けながら、制度や運用の改善に努めてまいります。

高木(錬)委員 各委員からのさまざまな指摘、人権に配慮した状態、処遇を前に進めてください。ぜひ、引き続き、現場に足を運んで改善していっていただきたいと思います。

 次に行きます。

 金曜日に伺いました大臣所信についての質問ですが、東京高検検事長勤務延長の具体的な妥当性について伺いません、そこについては伺いませんが、大臣所信を伺いまして、私は若干憤りにも似た感情が生まれました。

 一月末に閣議決定がされ、二月の衆議院予算委員会で、一カ月間、さまざまな議論がありました。大臣も実際、先週の参議院の予算委員会で、こうおっしゃられています。間が抜けているところがあった、答弁がわかりにくい点があったことについては反省する。こういう認識をお持ちなんですよ。間が抜けていた、つまりは大事なところが抜けていたということであろうかと思いますが、反省すると。

 これから、法案、二つ出される予定でありますが、法案審議をこちらにいる立法府に対してお願いする側、その方が、「速やかに御可決くださいますよう」とか、法務行政に対して、委員長、理事、委員に対して、「より一層の御理解と御協力を賜りますよう」などと言う前に、まずは所信の中で、答弁について至らぬ点があったとか、注意してまいりますとか、今後は間が抜けないように気をつけますとか、みずから、まずはそういう言葉があってもいいんじゃないですか。いかがですか。

森国務大臣 御答弁申し上げます。

 間が抜けていたと言ったかどうか、ちょっと今確認をしておりますが、その趣旨は、御答弁が、説明がわかりにくかった点については反省しておりますという趣旨でお話ししたかと思いますが、それについては、皆様の御指摘を踏まえ、わかりやすい説明に努めてまいります。

高木(錬)委員 丁寧な説明に努めますというぐらいは触れてもいいんじゃないでしょうか。私の前の与党側の委員の先生も、そういう御指摘をなさいました。十分反省すべきだという認識もお持ちなんですから、まずは触れてもいいんじゃないでしょうか。

 次に行きます。

 今回の解釈変更に関して、そもそものところで腑に落ちない点がありますので確認させてください。

 さきの衆議院予算委員会分科会で、法務省と法の解釈についてやりとりしたとされる内閣法制局長官が、今国会提出予定の国家公務員勤務延長についての法改正の議論の過程で、国家公務員法と検察庁法の解釈の関係を見直したい旨が法務省からあって、昨年の秋から議論してきたという趣旨の御答弁をなさっています。

 そもそも、今国会で提出予定の国家公務員法改正については、そもそもの起点から、総人件費や給与、退職手当、年金、ある意味、財政上の観点、論点での改正であったと私は承知しています。

 森大臣がこの間何度も答弁されているこの勤務延長の理由は、業務遂行上の必要性に基づきという理由を述べておられますが、この論点については、そもそも、この出発点である、閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針や、あるいはそれを受けての人事院の申出などに、一切どこにも書いてないんですよね。なのに、なぜ、この理由、大臣が繰り返し答弁でおっしゃっている理由、検察の業務遂行上の必要性という理由が法の解釈変更として持ち上がってきて、内閣法制局長官に法務省からの依頼として議論をお願いしたのか。そこの理由を教えてください。

森国務大臣 国家公務員の一般の定年の引上げが人事院の方から一番最初に示された後、始まりました。その中で、各省庁に対して、それぞれの定年制についても検討するようにというような御指示があったと伺っております。

 法務省においては、この国家公務員法一般の定年の引上げに関する検討の一環として、検察官についても検討を進めてまいりました。その中で、定年に関する制度である勤務延長制度や再任用制度についてどのように取り扱うかということも検討をしてきたということでございます。

高木(錬)委員 今回のこの問題になっている検察官の勤務延長についての、結局、解釈変更していますが、検察庁法の改正を行うんですか。

森国務大臣 改正法案についてのお尋ねでございますが、これは現在、政府部内において検討中であることから、現時点では詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

 詳細にわたらない範囲で申し上げますと、現行法上、検察官にも国家公務員法の勤務延長に関する規定が適用されるとの解釈を前提として、検察庁法の規定について必要な検討を行っているところでございます。

高木(錬)委員 この問題、この後の我が会派の質疑者も取り上げますし、あしたもありますので、私は以上の確認とさせていただいて、次に行きます。

 前法務大臣のときに立ち上がって、着任された森大臣も引き継がれた、児童虐待とたたかう法務省プロジェクトチームに関連してですが、さきの臨時国会でも私も何度も質問いたしまして、その検討結果を踏まえて、大臣所信で述べられていますが、法務省児童虐待防止対策強化プランをまとめられたということであります。

 事務方にお願いしたいんですが、説明を求めますが、ぜひ詳しい中身を教えていただけますでしょうか。

西山政府参考人 委員に御指摘をいただきましたプロジェクトチームにおきましては、昨年の十月の設置以来、合計十三回の会合を開催いたしまして、法務省の関係部局における現行施策の実施状況の把握、それから、厚生労働省や有識者からのヒアリング、児童相談所の視察などを行いまして、法務省における有効な児童虐待防止施策や効果的な関係機関連携のあり方について検討をしてまいりました。

 その上で、結果といたしまして、本年二月、法務省が有する資源、ノウハウを最大限活用し、児童相談所等に協力していくため、法務省児童虐待防止対策強化プランを策定したところでございます。

 その内容を具体的に申し上げますと、今後、法務省におきましては、この強化プランに基づきまして、児童相談所等が円滑に法務省関係機関に相談できますよう、各地の法務省関係機関に児童虐待担当窓口を置いた上で、例えば、法務少年支援センターにおきまして、心理に関する専門的知見を活用し、親や児童の心理分析に協力するなど、各地の法務省関係機関が提供し得る資源、ノウハウを児童相談所等に提示をいたしまして、また、その求めに応じて提供することといたしております。

 法務省としましては、こうした取組を推進することにより、児童虐待の根絶に向けて、その役割をしっかり果たしてまいりたいと考えております。

高木(錬)委員 ありがとうございました。

 政府一丸となって児童虐待を根絶していこう、その思いは、こちらにいらっしゃる各委員の先生方も同じ思いでありましょうし、私も、何度となくこの場で申し上げているとおり、約九年間の育児経験や、あるいは、会社員時代、二十代のころですが、児童虐待を受けた子供たちがいる児童養護施設にボランティアで一カ月に一回は足を運んで一緒に遊ぶみたいな活動をしてきた経験がありますので、とりわけ、皆さん同じ思いでしょうけれども、私も大変強い思いがあり、ぜひ政府一丸となってという思いもあります。

 また、その中で、法務省がプロジェクトチームを立ち上げて、法務省としてできることを精いっぱいやっていこうということになりましたので、ぜひ応援したいという気持ちもあって、また、これから児童相談所と連携ということがありますが、また各現場でそれぞれ御苦労もあろうかと思うんですが、何とか頑張ってほしいなという気持ちを込めて、あえて伺わせていただきましたし、法務省の職員、事務方の方からエールを送るつもりで御質問をさせていただきました。

 次に参ります。

 大臣所信の中でさまざまな人権問題への対応ということの言及がありまして、その中で、障害等を理由とする差別に関連して、私の方から幾つか質問していきたいと思います。

 駅無人化についてです。法務委員会でありますが、国交省鉄道局にお越しいただいております。ありがとうございます。ぜひ伺わせてください。

 JR東日本管内における駅で、駅員等が不在で無人になる時間帯が発生する駅はどのくらいあるのか、実態を把握されていますでしょうか。

寺田政府参考人 お答えを申し上げます。

 JR東日本からの報告によりますと、平成三十一年三月末時点におきまして、同社千六百四十四駅のうち、終日駅係員が不在の無人駅の数は七百駅となってございます。

高木(錬)委員 この駅無人化問題なんですが、五年前になるんですが、国会でも問題になっておりまして、それはJR九州に関するさまざまな質疑の中で取り上げられていたんですが、当時の国土交通大臣は、ちょっとどうしても読みたいので当時の答弁を読ませていただきますが、こう答えているんです。

 大事なのは、安全ということが大事であるし、そして、それを利用する方が困るというようなことがあってはならないというふうに思いますので、よく調べさせていただいて整理をさせていただきたい。

 さらには、別の委員会ですが、JR九州を含めた鉄道事業者におきましては、過疎化の進展などにより利用者が著しく減少している駅等については無人化が行われているというところです。無人化に際しては、安全性等の確認を行っているところです。

 更にもう一つ紹介します。

 JR九州に対しましては、駅の無人化に当たっては、その経過や理由などについて地元に十分説明した上で実施するように指示しているところであります。あわせて、無人化された駅については、状況を注視し、安全性や利便性上の問題が生じた場合には、迅速に必要な措置を講ずるよう指示していますという答弁がありました。

 駅無人化に対して、国土交通省として、少なくとも問題意識はあるということは確認されているわけであります。

 そこで伺いますが、JR東日本に対して実態調査という意味では、先ほど御答弁があった、このJR九州に関しての国交大臣の答弁と同じように、同様の認識で、同様の指示をJR東日本に発出していただきたいんですが、いかがですか。

寺田政府参考人 お答えを申し上げます。

 鉄道事業者におきまして、利用者の少ない駅を無人化することは確かにございます。その場合であっても、障害者の方々を始めとする駅の利用者の利用実態を把握した上で、必要に応じた設備、対応体制の整備等を行うことが重要であると考えてございます。

 このため、国土交通省におきましては、従来から、各鉄道事業者に対しまして、利用者の実態把握やそれを踏まえた対応を指導してきたところでございまして、鉄道事業者において、具体的には、例えばITを活用した遠隔カメラなどによる見守り、スタッフによる各駅の巡回、あるいは介助要員の派遣体制の整備などの対応を行っているところでございます。

 障害者の方々を含めました利用者の安全、安心の確保を図るよう、鉄道事業者に対して、引き続き指導してまいりたいと考えてございます。

高木(錬)委員 私の選挙区であるさいたま市桜区で活動されている障害者支援団体があるんですね。土曜日にお話を聞いてきました。

 もともと、駅無人化を、皆さん、当事者として、困ったな、これは駅利用に際して大変困る、安全性も不安だという皆さんの気持ちで、みずから、さまざま、例えばバリアフリー情報サイトであるとか駅の掲示板などを調べて、あるいは駅に実際足を運んで、どれぐらい駅の無人化になる時間帯があるのかというのを調べられたんです。

 この駅無人化の話になると、先ほどの答弁にもありましたように、利用者が少なくなったところは仕方ないじゃないみたいな話になりがちですが、決して実態はそうではなくて、例えば、一日五万人以上が乗る国立駅や千駄ケ谷という都心も無人化になっているんですね。かつ、私の選挙区の駅である、例えば南与野とか中浦和とか与野本町とか北与野とかあるんですが、利用者が少ないというところの駅は仕方ないじゃないみたいな話と、あるいは、始発から朝の六時半までの限られた時間だったら、まあまあそれはという話が出がちなんですが、今紹介した南与野だとか、埼玉の中の駅は、七時間から九時間、駅員がいないんですよ。

 さまざま、今おっしゃられたように、遠隔操作だとかいろいろやっておられるのは承知していますが、私の問題意識は、そもそも、お配りした資料にございますとおり、障害者基本法であるとか、障害者差別解消推進法であるとか、あるいはバリアフリー法は、障害の有無によって分け隔てなく生活できるようにしようという理念があると思うんです、根底に。

 しかし、私が実際に当事者の皆さんとお会いしてさまざま伺ってきた話を若干紹介して、大臣にお尋ねしたいと思うんですが、駅員のいない時間帯が多い駅では、車椅子の御利用など係員の案内を御希望の場合、御乗車の一日前までに御連絡くださいという張り紙があります。

 あるいは、私、今ここに写真を持ってきているんですが、その方々が撮ってきた、実際に足を運ばれて、駅に行って、一カ所じゃないです、何カ所も駅に行って、どういう状況になっているのか見てきたんですね。それで写真を撮られてきているんです。今申し上げた張り紙のほかに、例えば、御不明な点はインターホンでお問い合わせくださいとかあるんです。いやいや、視覚障害の方はどこにインターホンがあるかわからないでしょう。その案内自体も読めないわけですし。

 あるいは、こんな話もあるんです。筋ジストロフィーで車椅子生活を送られている方が、ある駅に、目的地に、駅員がその時間帯にいないので降車用の、降車時のスロープが出せないという理由で、出発駅で一時間待つように駅員さんに言われたんですよ。こういう事例も発生しているんですね。

 大臣、そこで伺います。

 これら、私が今申し上げた、たった三つの事例ですけれども、そのほかにも当事者の方々は御苦労なさっている。これは、障害者等を理由とする差別に当たって、人権問題だという御認識はありませんか。

森国務大臣 個別の案件について、なかなかお答えは困難なんですけれども、一般論として申し上げますと、障害の有無等にかかわらず、誰もがお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会を実現することは、法務省の重要な施策の一つでございます。法務省としては、障害者の方々を含むさまざまな人権の課題について、人権啓発活動や人権侵害に対する調査救済活動を通じて共生社会の実現を推進してまいりたいと思います。

 無人駅に行って電車に乗れないということは本当に御不便だと思いますし、それは企業の方の人員の問題等もあるかと思いますが、どのような改善ができるかということ、担当省庁と相談をしてみたいと思います。

高木(錬)委員 大臣、ありがとうございます。

 鉄道事業法によりますと、国交大臣が鉄道事業者に対して必要な措置を命ずることができるような条文もあります。

 共有していただいたと思いますので、さまざまな場面、機会を通じて、ぜひ、相談というお言葉を使いましたけれども、善処していただくように法務大臣としても御尽力いただければというふうに思います。当事者の方々は本当に困っていますので。

 また、政府一丸となってSDGsの取組を進めておられます。誰一人取り残さないという理念があろうかと思います。このまま放置してしまいますと、まさに取り残されていく一方なんですよ。

 先ほど申しましたように都心の駅もありますから、ことし、パラリンピックを開催する折には、海外から障害を持った外国の方々も見えられると思います。そういった方々が、不便だな、何て日本は人権の配慮がないんだなんということを思われないように、くれぐれもお願いしたいと思います。

 次に行きます。

 毎度毎度、当委員会で取り上げさせていただきます選択的夫婦別姓、政府の方は別氏制度についてです。

 内閣府に、まずはお伺いしたいと思います。

 男女共同参画会議、第五次基本計画策定に向けて立ち上がりました。もう会議も行われております。

 確認なんですが、そこの議員、男女共同参画会議の議員あるいは専門委員は、男女共同参画基本法第二十五条一項に「男女共同参画社会の形成に関し優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者」とありますが、その議員や専門委員は、当然、第一条に書かれてある目的、男女共同参画基本法の理念、精神を理解している方を内閣総理大臣が任命した、このような理解でよろしいですか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりでございます。

高木(錬)委員 その男女共同参画会議ですが、先ほど申しましたように、会議がもう開かれておりまして、公表されている議事録を私も読みましたが、第四次までの基本計画に常に、この民法改正、選択的夫婦別氏制度の導入については書かれてきているわけですね。

 しかし、既に今公表されている議事録の中では、民法を所管する森法務大臣含め、どなたも言及されていないんです。ですので、私は非常に不安になってきたので、ここで確認させていただきたいと思うんです。

 これからまた何度となく会議は重ねていくことと思いますが、大臣、これまでの答弁で、大臣は慎重な対応を検討と繰り返しこの問題については御答弁されていますが、この慎重な対応を検討するというのは、よもや一切無視するということではないですよね。

森国務大臣 そういう意味ではございません。

高木(錬)委員 今後の会議で、テーマとして、社会慣行の見直しのテーマのときには必ず触れていただきたいと思いますし、今までの、第四次までに書かれてきた書きぶり、トーン、決して後退することがないように、ぜひお願いしたいと思うところですが。

 ところで、大臣、この問題をお尋ねすると、必ず大臣は多様な意見が社会にはあるという趣旨の御答弁をなさいます。

 そこで伺いたいんですが、大臣の耳に入ってきている否定的な意見を幾つか紹介していただけませんか。

森国務大臣 否定的というふうに申し上げますとちょっと語弊があるかもしれませんが、直近の世論調査、平成二十九年の意見の中には、選択的夫婦別氏制度の導入に関して、家族の一体感、きずなが損なわれるという御意見や、子供の成長にとって好ましい影響があるなどの御意見があるものであります。(発言する者あり)失礼いたしました。子供の成長にとって好ましくない影響があるなどの御意見がございます。

高木(錬)委員 済みません、ちゃんと聞いていなくて、スルーしちゃいそうでした。大事なところでした。

 他方、家族のあり方の多様化についてもたびたび御答弁で述べられていると承知しています。

 今、否定的な御意見の、内閣府の世論調査の一つという紹介、前置きでございますが、家族の一体感というお話がありましたが、しかし、他方、大臣は、繰り返し答弁されているように、家族のあり方も多様だということはお認めだと思うんですね。という認識でよろしいですか。多様が当たり前だ、今、現代社会においては家族のあり方も多様だ、そういうものだということを確認させてください。

森国務大臣 私自身の認識といたしまして、女性の活躍、また社会の多様化に伴って、家族のあり方も多様化をしてきていると認識しております。

高木(錬)委員 この民法改正と申しますか、選択的夫婦別姓制度の導入は、あくまでも、もう委員の皆さん、そんなの重々承知だということだと思うんですが、あくまでも選択肢をつくることでありまして、例えば、男性の、あるいは夫の氏を名乗りたいという女性の思いや意思を何ら侵害するわけでもありませんし、そういった方々の選択を妨げるものではない制度を導入すべしと私たちは、私たちというか、私は心からそう思っているんですね。

 そういう認識で、大臣、よろしいですよね。大臣も同じ認識で構いませんか。

森国務大臣 選択的夫婦別氏制度は、その名称のとおり、夫婦が婚姻をする際に同氏とするか別氏にするかの選択をするということであると思いますが、近時、さまざまな提案もなされていまして、その選択的夫婦別氏制度の場合ですと、戸籍を別にするのかということが前提とされて議論されてきたと思いますが、戸籍はそのままでそれぞれの生まれたときの姓を継承できるようにした方がいいのではないかなどという御意見もございますし、また、選択をした場合も、また今度、子供が複数生まれたときにはずっと同じ姓を選んだ方がいいという御意見の方もおり、また、子供が生まれるたびごとに別々の姓を選べるんだという方もあり、さまざまなやり方が御提案なされてきておりまして、一〇〇かゼロかというような議論ではなくなってきているというふうに認識をしておりまして、そのような御議論もよく注視をしながら、慎重に検討をしていきたいと考えているところでございます。

高木(錬)委員 そのいろんなやり方があるというところを尋ねたわけではございませんで、ちょっとどうでしょう、答弁できないですかね。否定的な御意見をお持ちの方々に対するメッセージとして、私と認識を共有していただけませんかということなんですね。

 繰り返しますね。あくまでも選択肢をつくることであって、男性の、夫の氏を選択する女性の思いや気持ちや意思は何ら侵害するものではないし、その選択を何ら妨げるものではないという認識でよろしいですよね。

森国務大臣 あくまでも選択であるんだという委員の御質問の趣旨は理解をいたしましたけれども、私としては、先ほどの紹介した御意見の皆様が、その選択であっても、その家族全体のきずなでありますとか、それからまた戸籍がばらばらになることへのさまざまな不便や不安でございますとかいうことも、御意見としてございます。また一方で、最近、少子化で、一人っ子同士の御結婚もあり、そういったことで、氏制度に関する御不便も一方では指摘をされておりますので、私が委員の御意見に対して何か評価をするということはなかなかしにくいんですが、そういったさまざまな皆様の御意見に耳を傾けて、検討をしてまいりたいと思っております。

高木(錬)委員 前にも当委員会で御紹介しましたが、私は改姓当事者です。いろんな思いがあったと、そのときにもお話ししました。

 いろんな思いという言葉にしましたが、もっと具体的に、その氏を変えるかどうか決断をするときに、正直にそのときの思いを申し上げますと、実は屈辱感なんです。あえて申し上げますが、何で俺が、乱暴な言い方になりますけれども、女房の、女の氏を名乗らなきゃいけないんだという気持ちになりました。屈辱感です。

 自分は、政治家の女性と結婚して、育児も家事も一緒にやろうということで、相当リベラルな人間だなという、自称ですね、自覚はあったんですよ。

 しかし、この決断をするときに、決断を迫られたときに、いやいやどうして、私も大分、家とか家制度とか家父長制みたいなものが無意識のうちに自分の中にしみ込んでいるな、その考え方に引っ張られていたということを、後に、その私にとっては非常に重い決断をした後、ある思いに至ったときに、決断ができるようにまで思いが至ったときに自分を客観視できたんですね。そのときに、いやいや、自分は相当、言うほどでもなかったな、家とか家父長制みたいなことに引っ張られておったなと。

 これは、折しも三月八日は国際女性デーで、それに合わせて国連の中満泉さんがインタビューに答えられている記事を私も読みましたが、すり込みなんだろうなと思うんですね。私も相当すり込まれていた。

 男女格差ランキング、百五十八カ国中百二十一位。もちろん、この夫婦別姓の話だけじゃなくて、さまざまな指標でそういう評価になっているんだと思うんですが。

 大臣、改めてこの場で伺いたいと思います。この現状、何とかしませんか。何とかしましょうよ。今、男女共同参画大臣、橋本大臣、一緒になって、国民の議論を待つのではなくて、むしろお二人で喚起し牽引するぐらいの姿勢で、ぜひ変えていこうではありませんか。いかがですか。

森国務大臣 本当に、委員の御自身の体験に基づく思いを聞いて、ちょっと胸に迫りました。

 私も、やはり結婚をするときに氏が変わりましたので、そのときのことを思い出しましたけれども、私は家制度とか家父長制度については余り、全く思い入れはないんですが、そうではなくて、私の場合はやはり、結婚も遅かったこともあり、それまで三十年間ぐらい使ってきた自分の名前という、自分自身の存在意義というか、それがちょっと変わるようなつらさというか寂しさを覚えた経験がございます。

 それは、いろいろな方の御意見を聞いていると、長い結婚生活をしていて、夫の方の氏だったんだけれども、離婚をするときに、もとの旧姓に戻すんじゃなくて、ずっと結婚して使っていた名前がもう自分自身になっているので変えないという方もいらっしゃるのと似ているのかなとも思っております。

 それぞれ、皆さん、名前というもの、呼ばれる呼び名というものに対しては、いろいろな思いがあるんだと思います。それに対して、今さまざまな御意見があり、自民党の女性議員も、稲田朋美さんを中心に、旧姓継承制度というのも考えていらっしゃるようですが、また、その他の党からも、先日、予算委員会でも御提案をいただいたところなんですが、そういった国会や政党間での御議論もしっかり受けとめながら、検討をしてまいりたいと思います。

高木(錬)委員 自分の言葉で御答弁いただいて、感謝申し上げます。

 さまざまなところで、利便性の側面からアプローチされている方々もいらっしゃいますが、私は、それはそれで、さまざまな取組については云々するつもりはないんですけれども、私の観点は、やはり、障害者であろうが女性であろうが、先ほど御紹介しました障害者の話もそうですけれども、女性であろうが、一人の対等な人として、例えば、法の整備が不十分であればするべしだし、現場の実態がそうでなければ改めていこうじゃないか、そういう問題意識なわけですね。

 今、大臣がとても、自分の言葉で、何というか、共感していただける御答弁をくださった。大変、正直にありがたいなと思う気持ちがある反面、最後の質問は、その大臣のこれまでの御答弁について、さまざまな場面での発言について、質問をさせていただかなければなりません。

 先ほども申しましたように、間が抜けているというような御答弁もありましたが、大臣の答弁というのは国会内では非常に重い。衆議院の予算委員会でも、委員長に指摘される場面も見受けられました。まことに恐縮ですが、冷静さを欠いているなという場面もありましたし、昨日も参議院の予算委員会の場面で、委員の質問に対して的確、適切ではない答弁があって、また委員長から指摘もされていました。

 この大臣の、不安定なとあえて申し上げますが、御発言は、決して院内にとどまらず、院外でもあります。

 一月九日の記者会見です。大臣は、主張すべきと言うところを証明すべきと言う、刑事司法の制度を根底から揺るがすような大失言をしました。

 これは、大臣は弁護士出身でありますし、即座に、その場で、あっ、言い間違えたということで訂正されるのかと思いきや、後刻、御自身の、個人のツイッターのアカウントで訂正をされました。

 これはおかしいんじゃないんですか。法務大臣としての記者会見ですよね。であるならば、きちんと、法務省として、法務大臣として、個人のアカウントではなくて、訂正されるべきだと思いますが、いかがですか。

森国務大臣 法務省において訂正をしております。

 この発言について、法務省のホームページに掲載した当該記者会見の会見録で訂正を行い、さらに、その後、一月十四日に行われた記者会見においても御指摘の発言を訂正させていただき、その会見録も法務省のホームページにて掲載をしておりますので、法務大臣の立場で既に訂正をさせていただきました。

高木(錬)委員 終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次に、稲富修二さん。

稲富委員 立国社の稲富修二でございます。

 本日も、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、新型コロナウイルス対策について、入国管理の観点から伺います。

 先ほど浜地委員の御質問がございました。私は、同じ問題意識がございまして、留学生について、先ほどさまざまな答弁がありましたのでダブるところがございますが、少し補足する形あるいはつけ加える形で、幾つか確認をさせていただければと思います。

 昨日から中国、韓国からの入国を全面的に制限するということで、当然、留学生もそこに含まれているわけでございます。

 これも、浜地先生も同じように福岡が中心ということで、私も福岡で、福岡では多くの外国人が日本語教育機関で勉強しておられます。教育機関も、外国人が来なくなるということに対して非常な危機感を感じているわけでございます。

 先ほど法務省からありましたように、「日本語教育機関における新型コロナウイルス感染症への対応について」というQアンドAがあるということで、その対応についてお示しがあります。ただ、現場からは、年度末そして新年度を迎えるに当たって、より具体的なことを知りたいということがあるわけです。

 そこで、大臣に先ほど御答弁いただきましたので、まず大臣に伺います。

 先ほどおっしゃったように、在留資格認定証明書の有効期間を三カ月から半年に延ばすという御答弁がありました。これも、私も質問しようと思っていたので、非常に前進だと思います。

 更に言うと、この証明書の中に、ちょっと実務的ではありますが、三カ月以内と書いてあるんですね。なので、ぜひ御答弁いただきたいのは、実務上どうするかはおいておいて、より簡便にすると。半年に延ばすんだけれども、何かさまざまな手続は必要ない、簡便に半年に延びるんだということをぜひ御答弁いただけないでしょうか。

高嶋政府参考人 実務的な部分でございますので、当局の方からお答えさせていただきたいと思います。

 今、有効期限の期間の伸長の御質問の中で、書類の簡便化の話も一緒にございました。この関係でございますけれども、まず、先ほど大臣から答弁ございましたように、この有効期限三カ月間というふうに記載されているものについては、六カ月間というふうにして取り扱うということになりますので、これは六カ月間、在留資格認定証明書としてビザの申請等については使えるということになります。

 それからまた、六カ月過ぎてしまったような場合には、改めて在留資格認定証明書の申請をしなくてはいけないということになるわけですけれども、そのときに必要になる書類につきまして、これまで、資産だとか収入だとか、あるいはこれから行こうとする学校の書類だとか、そういうさまざまなものを提出しなくてはいけなかったものにつきまして、申請書とそれから受入れ機関作成の理由書のみをもって迅速に行うということにしております。これはもう、きょう以前にもやっていた措置でございますが、更にこの在留資格認定証明書の有効期限を六カ月に伸長した、こういう関係にございます。

    〔委員長退席、越智委員長代理着席〕

稲富委員 済みません。今の確認です。今の、三カ月ともう証明書に書いてあるものは六カ月とみなすということですか。手続は要らない、そういう理解でよろしいでしょうか。

高嶋政府参考人 御指摘のとおりでございます。そのままで結構です。

稲富委員 ありがとうございます。

 先ほど政府からもさまざま御答弁いただきましたけれども、次、お伺いしたかったことなんですけれども。おっしゃるように、半年延びるというのは七月期に向けてということでございますけれども、十月期あるいは一月期入学の場合もあるし、当然ながら、相手国の中で感染が広がっているような場合は、必ずしも四月に入学する方が七月になるとは限らないわけでございます。それが、七月が十月になるか、あるいは年が明けるかもしれないという状況次第では、やはり六カ月以上延びる場合もあるかと思います。

 そこで、今おっしゃっていただいたように、六カ月以上の場合は再申請が必要だけれども、それについては理由書で足りるという御答弁だったかと思いますが、それでは、その再交付申請書、理由書を出した後に、証明書発行にかかる時間、そして、各入管によって対応がやはり違うという実情がございますので、全国一律でやるのか、そして時間はどうなのか、その点もお伺いをいたします。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 日本語教育機関からの在留資格認定証明書交付申請につきましては、申請件数が非常に多く、特定の時期に重なるものですから、統一的かつ迅速な審査を行うために、あらかじめ日時を指定して、一括して申請を受け付けるということをやってまいりました。

 今回、新型コロナウイルス感染症の影響により、この在留資格認定証明書交付申請の準備が間に合わないといった相談がふえていることから、申請に係る提出資料の準備に時間を要する留学生につきましては、各地方出入国在留管理局の実情に応じて、一括申請の受け付け日を延長したり、あるいは追加の申請を一定期間認めたりして、柔軟に対応することとしております。

 各出入国在留管理局の体制が局によっていろいろ違うものですから、この期間をどのくらいにするのかということにつきましては、各局によってどうしても違ってくるところがございます。したがいまして、その詳細につきましては、各地方出入国在留管理局から、日本語教育機関に対して近日中に周知することとしているところでございます。

稲富委員 済みません、私が申し上げたのは、再交付申請の部分の証明書についてちょっとお伺いしたんですけれども、多分次の質問をお答えになっているのかなと思います。

 再交付申請の証明書の発行の時間はどれぐらいかということをお伺いをしているのと、あと、それは全国統一でやってほしいということでございます。

高嶋政府参考人 再交付につきましても、それから、一律に四月期、七月期でやっているものも同じでございまして、やはり、各地方の出入国在留管理局によって体制や受け付け数が違うものですから、これにつきましては、全国一律に何日でやりますというわけには、なかなか言うのが難しいところがございます。したがいまして、お答えは全く同じなんですけれども、これは、各局から日本語教育機関に対して近日中に周知したいというふうに考えております。

    〔越智委員長代理退席、委員長着席〕

稲富委員 済みません、もう一回申し上げます。

 この申請書自体は、再交付申請は簡便にするということが前提ですので、実際の、最初の申請と再交付の申請の書類の時間は当然違うという認識でいいですよね。だから、それをすぐやるんだということをぜひ御答弁いただきたい。

高嶋政府参考人 各局ごとということではなくて、各個人において前になした申請と今回の申請ということで比較しますと、実質的に判断しなくてはいけないところは、改めて申請する場合におきましても、まだこの日本語教育機関は受け入れることとしていますよということだけが確認できればいいので、時間的にはぐっと短くなる、こういうふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 続きまして、先ほど、ちょっともう御答弁があったんですけれども、七月期の生徒の在留資格認定書交付申請についてお伺いします。これは、今ちょうど、まさに教育機関も留学希望者も取り組んでいらっしゃいまして、実は福岡はあしたが締切日ということで、三月中旬から四月にかけて締切りがあるということです。

 御存じのとおり、今の状況で、総理が瀬戸際ということまでおっしゃっている中で、準備がおくれるというのはいたし方のない事情かなというふうに思います。それは、留学する国も我が国もこういう状況ですので、その申請期限があす、あるいはということは非常に、その提出期限がおくれても、これはやはり認めるべきではないかということで、先ほど延ばすということも少しおっしゃいましたし、浜地議員の際にも、柔軟に対応するという御答弁がありました。

 そこで、このQAの中で、問七で書いてあるのは、受け付け期間を延長するなど一定の配慮を行う場合がありますと書いてある。こういう表現は、非常に実際の教育機関からするとわかりにくいし、どれぐらいどうなのかということがわからない。結局、地方の局に聞いてくれということでございますので、ぜひ、もうあした期限のところもありますので、いつまでこれを延長して受け付けるのかという期限をより明確に御答弁できないでしょうか。

高嶋政府参考人 御指摘のQアンドAの問七には、今委員から御紹介ありましたように、一定の配慮を行う場合があります、各局にお問い合わせください、こういう記載になっておりますが、現在のところ、四月まで、三月いっぱいは延長するという考えでございます。

稲富委員 ごめんなさい、四月いっぱいですか。

高嶋政府参考人 失礼いたしました。

 まだ明確な日を切ることはできていないんですけれども、四月上旬までは受け付けるということで、今調整しているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 続きまして、留学生は、特に中国、韓国から非常に多くいらっしゃっているわけでございまして、この年度末、三月、四月期に向けての入国は非常に多いわけでございます。

 ことしは、ちょっとどれぐらいになるかわからないので、ちなみに、昨年、留学生は、韓国、中国から、そして全体、何人かということを御答弁をお願いします。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 ことしは、これからですので数字がございませんが、参考までに去年の数字ですと、昨年三月及び四月に本邦へ入国した留学生の総数は約十四万二千人でありました。そのうち、中国本土及び韓国国籍の者は、それぞれ、中国本土が約六万七千人、それから韓国国籍の方が約一万五千人となっております。

稲富委員 ありがとうございます。中国が約半分、五〇%、そして、中国、韓国を合わせると、五割から六割ぐらいを留学生の中で占めているという中でありまして、これは先ほど申し上げましたように、日本語の教育機関については、経営上に大きな懸念を抱いている、心配をしているわけでございます。

 そこで、このまま感染症の影響が長引けば、学校経営自体どうなるのか、そういう心配をしているということで、経営支援についてどのような対策があるのか、お伺いをいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、現在、幅広い事業者から資金繰りに関する御相談を受けております。九七%が資金繰りに関するものでございます。ちょっと日本語学校についてはまだ聞いておりませんけれども、全体情勢としてはそうでございます。

 このため、二月十三日に取りまとめた第一弾の緊急対策におきましては、五千億円規模の融資・保証枠を用意して、事業者の資金繰りを徹底的に支援しております。このうち、委員御指摘になりました日本語学校につきましては、株式会社ということであれば、日本政策金融公庫の金利が一律になっておりますセーフティーネット貸付け、それから都道府県の信用保証協会がやっておりますセーフティーネット保証四号を利用するということが可能でございます。

 また、本日、第二弾の緊急対策を取りまとめる予定としておりまして、その中で、日本政策金融公庫などにおける特別貸付の制度、それから、売上げが急減した個人事業主を含む中小・小規模事業者向けに実質無利子、無担保の融資を行う。それから、第一弾の緊急対応策で講じた五千億円も含めて、こういった対策をさかのぼって適用するということにしておりまして、こういった強力な資金繰り支援を含む対策を盛り込んでいきたいというふうに考えております。

稲富委員 セーフティーネットの五号には当たらないということですよね。それに対しては、これから考えられますか。ぜひ考えていただけないでしょうか。

奈須野政府参考人 現時点では、セーフティーネット五号の指定業種には日本語学校は入っておりません。

 ただ、今後、こういった業界、業種において、売上げが一定程度急減したというような事実が確認できましたら、指定したいと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。

 今度は厚生労働省ですよね。お願いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 日本語教育機関への経営支援のうち、雇用の関係について御答弁申し上げます。

 雇用調整助成金という制度がございまして、これを御活用いただくことが可能でございます。

 雇用調整助成金は、需要の減少など経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、日本語教育機関を含む民間の事業主の方が雇用保険被保険者である労働者に対して一時的に休業等を行って労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当等の一部を助成するものでございますが、これについて、今般の新型コロナウイルス感染症に関しまして、第一弾としては、二月十四日に支給要件の緩和を行っております。

 さらに、二月二十八日には特例措置の対象の範囲の拡大を行いまして、更にこれに加えまして、現在、雇用保険被保険者期間が六カ月未満の労働者を助成金の支給対象とするですとか、過去に受給していた事業主に対して受給制限、クーリング期間と申していますけれども、これを原則としては設けているわけですが、これを撤廃するといった、さらなる要件緩和を検討しているところでございまして、ぜひ御活用いただければと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。ぜひ、これからさまざまな対応が必要になると思いますが、よろしくお願いいたします。

 続きまして、ちょっと話題をかえまして、特別養子縁組について伺ってまいります。

 昨年改正した特別養子縁組に関する民法がこの四月一日に施行されます。

 今、栗原心愛さんの裁判が行われているという報道に接します。その報道に接するたびに、小学校四年生のあの女の子の声がなぜ届かなかったのか、それを受け取ることができなかったのかという、我々、そういう思いを多くの者がするわけでございます。

 他方で、子供の声をどこまで反映させていくのかというのは、非常に難しい部分もあります。私の地元でも、やはり、そういう子供さんの声はあります。その子供の声をどう反映させていくのかということでございますが、今回、四月一日から始まる改正法においては、子供の、十五歳以上については同意が必要であるということが書き込まれております。そして、子供に家庭的な養育環境を提供するために、特別養子縁組の制度の促進が目的とされておりまして、第一段階、そして第二段階というふうになっております。

 そこで、第一段階での審理の対象となる、八百十七条の六の実父母の同意についてお伺いをしたいと思います。

 この規定の後段には、「養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。」とあります。これはどのような場合を想定しているのか、お伺いをします。

小出政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の民法第八百十七条の六ただし書きに言う実親の同意を不要とするための要件、「その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合」でございますが、これは、一般的には、その条文の直前に掲げられております虐待や悪意の遺棄に匹敵するような事情がある場合、すなわち、父母の存在自体が子供の利益を著しく害する場合であると解されておりますが、具体的な事案において、このただし書きに該当するか否かは裁判所の判断に委ねられておりますので、一概に申し上げることはできません。

 その上で申し上げますと、公開されている審判例の中には、例えば、養親の候補者が養子となる者を五年以上も安定的に養育している一方で、問題とされた父、実親である父につきまして、この養子となる者だけでなく他の実子らについても児童養護施設等への入所や里親委託等が繰り返され、父のその言に反して養子となる者を引き取ろうともせず、家庭裁判所の調査や審判期日にも出頭しないなどの事情がある場合には、父の不同意は同意権の濫用に当たるとした判断があるものと承知しております。

稲富委員 ありがとうございます。

 今回の改正法での、その十五歳以上の場合の子供の同意についてなんですけれども、家事審判手続法六十五条では、子の意思を把握するように努め、そしてその意思を尊重しなければならないとあります。

 先ほど御説明いただきましたけれども、例えば、養子候補者が、実親と住むよりも長く、養育候補者との生活が長い、そして、養育候補者との親子関係をその養子が望んでいるという場合がございます。そういう場合で、実親の同意はどこまで必要とされるのか、先ほどの同意不要の事由をどこまで認めるのか。先ほどと同じ質問かもしれませんが、ぜひ御答弁をお願いします。

小出政府参考人 お答えいたします。

 特別養子縁組が成立いたしますと、養子となった子と実親との間の親子関係が終了して、養親がその子の唯一の親となるなど、特別養子縁組の成立は養子及び実親の法律上の地位に重大な影響を及ぼすものでございます。

 実親の同意をこの特別養子縁組の要件としておりますのは、その影響の重大性に鑑みまして、子の利益に第一次的責任を有する実親の同意を要件とすることで、子の利益を図るとともに、実親の親としての地位を保護するためでございます。

 したがいまして、一般論といたしましては、御指摘の事例、養子候補者が養親候補者との親子関係を望んでいるというような事例においても、子の利益及び実親の地位の保護の観点から、原則として実親の同意が必要となるものと考えられます。

 しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、八百十七条の六ただし書きの要件を満たせば、実親の同意がなくても特別養子縁組を成立させることができるとされているところでございまして、これは一概には申し上げられませんけれども、子供が実親との親子関係の終了を強く望んでいるような事情があるとすれば、この要件の該当性を判断する上で考慮すべき一つの事情にはなり得るものだと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 強く望めば審判の、その審議の上での考慮の対象になるというのは、一つ大きな御答弁をいただいたなと思います。

 最後に大臣に伺います。

 この制度活用促進が目的だと言ったとしても、今、実親の同意が一体何なのかということが明らかにならなければ、あるいはその例外であるところが明らかにならなければ、なかなか、審判への申出そのものをちゅうちょするということになると思います。

 そこで、同意不要の事由については、その例示あるいはガイドライン等があれば、更にそれの活用が進むというふうに思いますが、その点の御見解を伺います。

森国務大臣 昨年成立した特別養子制度の利用の促進をするための民法等の一部を改正する法律が本年四月一日に施行される予定ですけれども、もっとも、御指摘のとおり、改正法の施行後も、実親の同意が不要となるかどうかの予測が立たないために、養親候補者が第一段階の申立てをちゅうちょするおそれがないとは言えないものと考えられます。

 委員の御指摘もございましたので、どのような場合が民法第八百十七条の六ただし書きに該当するかという点は裁判所の判断に委ねられているものの、特別養子制度が更に利用しやすいものとなるように、法務省としても、どのような情報提供が可能か、必要な検討をしてまいりたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。制度促進ということでありますので、ぜひお取組をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

松島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

松島委員長 それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。日吉雄太さん。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 本日、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、権力者による犯罪について議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 お手元に資料を配らせていただいておりますが、こちらは、平成三十年九月七日付と三十一年一月二十八日に告発のあった案件で、安倍総理に対する告発なんですけれども、罪名は内乱首謀、内乱予備陰謀ということで挙げられておりまして、これは不起訴処分というふうになっております。

 これについて少し、後ほどお伺いしたいと思いますが、まずは憲法の条文の解釈についてお伺いしたいと思います。

 憲法九十九条、これには、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」というふうに書かれております。憲法を擁護しましょうということなんですけれども、これについて、具体的な何か罰則、こういったものはあるのかないのか、この点をまずお伺いします。

北川政府参考人 お答えいたします。

 憲法第九十九条に規定する義務でございますが、これは倫理的、道徳的性質のものでございまして、お尋ねの罰則規定は憲法上ございません。

日吉委員 今、罰則規定は憲法上ございませんという御答弁でございました。

 憲法以外のところで、実質的に、憲法を擁護しないといった場合に罰則ないし処罰がされるような規定があるのかどうかということをひとつ考えたいと思うんですけれども、ここに刑法七十七条、七十八条の内乱罪、予備罪がございます。

 これの条文を御紹介させていただきますと、第七十七条では、「国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、」「処断する。」ということになっており、七十八条では、「内乱の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の禁錮に処する。」こういった規定になっております。

 ここでまず考えたいと思っているのが、この内乱罪、これが憲法九十九条の憲法擁護に反する具体的な法律の、刑法の規定になるのではないかという問題意識を持った上で、御質問をさせていただきたいと思います。

 その中で、まず最初に、刑法第七十七条、これの対象となる、主体となる人として、大臣又は内閣総理大臣はこの刑法七十七条ないし七十八条の内乱罪に関する規定の主体となるかどうか、これを教えていただけますでしょうか。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 刑法七十七条の内乱罪の主体については、条文上、職務上の地位等による主体の限定はなされておりませんが、内乱罪に言う暴動は、多数人が結合して暴行、脅迫を内容とする行動をとることをいい、内乱罪の主体としては、憲法の定める統治の基本秩序の壊乱という目的を遂げるにふさわしい多数者の存在が必要であると解されているところでございます。

日吉委員 今のお話ですと、主体としての規定はないということですけれども、多数の人が必要になるというようなお話だったと思いますが、その多数というのはどのぐらいの人数を想定されているのでしょうか。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げた内乱罪の暴動とは、多数人が結合して暴行、脅迫を内容とする行動を行うことでございます。憲法の定める統治の基本秩序の壊乱という目的を実現する可能性を有する組織的、集団的規模を有することが必要でございまして、その程度は、少なくとも一地方の平穏を害する程度のあることを要するものと解されております。

日吉委員 今のお話ですと、そういった多数の人が結合して組織的に壊乱をするということなんですけれども、それを先導するというか首謀する者というのがいると思いますが、それについては、刑法の主体として、誰が、総理大臣であってもそれは対象になるという理解でよろしいですか。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたが、刑法七十七条の内乱罪の主体については、条文上、職務上の地位等による主体の限定はなされていないところでございます。

日吉委員 主体の限定はなされていないということなので、該当すると理解いたしました。

 もう一つ、この暴動の概念なんですけれども、これは、一つの地方というか、こういった大規模な規模をおっしゃっておりますけれども、これは物理的な暴力的なものを必ず必要とするものなのか、そうではなくて、もう少し、脅迫とか、こういった概念もここに言う暴動の概念に該当するのではないかというふうに認識しているんですけれども、この点はどのように理解すればよろしいでしょうか。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 内乱罪の暴動の意味でございますが、ここに言う暴動とは、多数人が結合して暴行、脅迫を内容とする行動を行うこととされておりまして、憲法の定める統治の基本秩序の壊乱という目的を実現する可能性を有する組織的、集団的規模を有することが必要でございまして、その程度は、少なくとも一地方の平穏を害する程度のものであることを要すると解されております。

日吉委員 今、脅迫というお話も改めて御答弁いただきましたけれども、そういった意味でいいますと、必ずしも暴力に限ったことではないのかなというふうに考えます。

 そういった中で、例えば、二〇一五年の安保法制、これの制定なんですけれども、これまでの集団的自衛権行使の、これは容認していないという考え方の中で、閣議決定によって、それを容認する形になってきました。しかし、憲法上はこれまでずっと集団的自衛権行使は容認されていなかったということでありますけれども、それを変えたというようなこと、これは、先ほどの内乱罪の規定にあります「憲法の定める統治の基本秩序を壊乱する」、こういったことに該当するのではないか、このようなことが考えられるというふうに思います。

 それとまた、辺野古の新基地建設、これについても、これを強行している状況を鑑みますと、憲法の定める統治の基本秩序を壊乱しているのではないか、このようなことで訴えをされております。この平野貞夫さんというのは元参議院議員の平野先生でございますけれども、この方がお訴えをされたわけでございます。

 こういった中で、じゃ、もう一つ憲法についてお伺いしたいと思うんですけれども、憲法七十五条がありますが、この七十五条では、「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。」というふうに規定されております。

 この内閣総理大臣の同意ということは、総理大臣が訴追される場合におきまして、この七十五条の総理大臣の同意、本人の訴追について本人が同意するということになってしまうんですけれども、これは必要なのか。これはどう考えればよろしいですか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 憲法第七十五条の国務大臣に内閣総理大臣が含まれるか否かにつきましては、当局といたしましては、これまで、具体的な検討の必要性がないことから、特に検討したことはございません。

日吉委員 済みません。具体的な必要性がないといいましても、条文にありますのでその解釈を教えていただきたいんですけれども。質問するというふうにお伝えしていたので、ある条文について検討していない、わかりませんという回答はないと思うんですけれども、もう一度お願いできますか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁したとおり、当局として特に検討したということはないのでございますが、学説といたしましては、その国務大臣に内閣総理大臣が含まれるという説と含まれないという説の両説があるというふうに承知してございます。

日吉委員 学説によりますと、どちらの説が有力なんですか。

北川政府参考人 当局としては、学説の優劣といいますか、どちらかを支持するとか、そういった立場にはございませんので、ちょっとお答えは控えさせていただきたいと思います。

日吉委員 そうしますと、先ほどの刑法七十七条、七十八条なんですが、主体は決まっていないということなので、仮に総理であっても首謀者として訴追される可能性があるのではないかと思うんですけれども、それはないのかあるのか。今のケースに限らず、一般論として、あるのかないのか、教えてもらえますか。

北川政府参考人 当局からお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、法制局といたしましては、関係省庁から御相談があれば適切に対応していきたいと考えております。

日吉委員 済みません。相談があれば適切、今現在は答えは持ち合わせていないということなんですか。

北川政府参考人 当局は、各省庁からの御照会、御相談に応じまして意見を述べるということを所掌としてございますので、訴追という事務そのものは当局の事務でございませんので、そういう意味では、私どもから何かをするということはないと考えてございます。

日吉委員 大臣、今のをどのようにお考えになられますか。

森国務大臣 総理大臣がこの条文に当てはまるかどうかという御質問だと思いますけれども、犯罪の構成要件の当てはめというのは捜査機関によってなされるものでありますので、一概にお答えすることがなかなか困難でございますけれども、一般論として申し上げれば、内乱罪は、国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動した場合に成立するものでございますので、それに当てはまるかどうかというのは捜査機関が判断するものだというふうに承知します。

日吉委員 それに当てはまるかどうかを捜査機関が判断して、当てはまるのであれば該当する可能性もあるという理解でよろしいですか。

森国務大臣 犯罪の成否については、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でありますので、私からのお答えは差し控えさせていただきます。

日吉委員 答えは差し控えるということは、それは捜査機関が判断することであって、総理大臣が訴追されることがあるかないかということはわかりません、そういうことですか、森大臣としては。

森国務大臣 今ほどお答えしましたとおり、一般論として申し上げたのは先ほどのとおりでございますので、それに当てはまるかどうかを捜査機関が収集された証拠に基づき個別に判断されるものと考えます。

日吉委員 大臣はちょっとお答えになられていないように思いますけれども。

 ちなみに、大臣、安倍総理のこの告発って、これは御存じでしたか。

森国務大臣 はい。御指摘の事件については、東京地検において不起訴処分としたものと承知しております。

日吉委員 これは、東京地検が告発を受理されたということで、不起訴にされましたということ、大臣も承知されているということなんですけれども、告発を受理するって、これはどういう意味を有しているのかをちょっと教えていただけますか。そこは、犯罪の可能性があるということから受理しているのか、いろいろあると思うんですけれども、この受理の意味を教えてください。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員のお尋ねのうち、個別事件にかかわる部分につきましては、個別事件における捜査の具体的内容や検察官による証拠の評価にかかわる事柄でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、その上で、一般論として申し上げますと、刑事告発は、捜査機関において告発の要件である犯罪事実の特定性や処罰意思等を満たしていると判断された場合に受理されるものであると承知しております。

日吉委員 そんな中で受理され、このケースでは結果的に不起訴処分になりました。

 その二枚目のところに、その理由、不起訴処分の理由として、「罪とならず」とこの理由告知書には書いてあるんですけれども、この罪とならずの具体的な意味、これを教えていただけますか。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 重ねてでございますが、お尋ねのうち、個別事件にかかわる部分につきましては、個別事件における捜査の具体的内容や検察官による証拠の評価にかかわる事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 その上でなお、一般論として申し上げますと、検察官が罪とならずとして不起訴処分といたしますのは、被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき又は犯罪の成立を阻却する事由のあることが証拠上明確なときであるものと承知しております。

日吉委員 犯罪事実がないということと理解しましたが、ひとつ、憲法七十五条で、この告発とは別の、一般論なんですけれども、七十五条で、国務大臣の訴追には内閣総理大臣の同意が必要であると。この同意があった場合に、仮に不起訴処分になった、こういったときも、罪とならずというような、こういった理由になるものなんですか。一般論としてで結構です。

川原政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、委員、御質問の中で、一般論としてということをおっしゃっておられますが、御質問の内容からしますと、個別の事案を念頭に置いておられるのではないかという部分もございまして、個別の事案に関する部分につきましては、個別の事案を念頭に置いた仮定の御質問ということですので、私どもからお答えをいたしかねるところでございます。

 なお、その上で、あくまで一般論としてということでございますれば、憲法七十五条の国務大臣というところで内閣総理大臣が含まれるかという憲法上の一般的解釈にもかかわる事柄でございますので、私どもとしてもやはりお答えいたしかねるところでございます。

日吉委員 最後のところをもう一度お願いできますか。ちょっと聞き取れなかったもので。

松島委員長 局長、最後、ちょっと語尾が、言語不明瞭だったものですから。はっきり言い直しだけで結構です。

川原政府参考人 申しわけございません。

 あくまで一般論として申し上げるところでございますが、それは、憲法七十五条の国務大臣に内閣総理大臣は含まれるかという憲法の一般的解釈にかかわる事柄でもございますので、その点について、私どもからお答えをいたしかねるところでございます。

日吉委員 お答えいただけないということでございましたが、もう一つ、仮に検察の方が総理なり大臣の犯罪を見つけた場合、これは当然、検察としては、起訴するかどうかを決定し、捜査をしていく、この義務はあるということでよろしいんですね。

川原政府参考人 お答えを申し上げます。

 犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でございますので、法務当局からお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

日吉委員 お答えを差し控えるということなんですけれども、この内乱罪、七十七条、七十八条なんですけれども、これは、趣旨としては、権力者が行う内乱というのは、やはり私物化をするということに尽きるのではないかなというふうに思います。

 今、桜を見る会もそうですけれども、公文書の改ざん、そして憲法解釈の変更、こういったことが続いている中で、私物化をしていく、これが、権力者が行う内乱、憲法の基本構造を壊乱する、こういうことにつながっていくことではないのかなというふうに思っておりまして、今後、こういった傾向はますます今強くなってきているのではないのかなということを申し上げさせていただいて、また改めて議論をさせていただきたいなと思います。

 それで、時間がなくなってきましたが、最後に、午前中にもありましたけれども、義家副大臣がレバノンに行かれましたということで、その中で、レバノン政府はよく理解されたというようなお答えがあったと思うんですけれども、そこをもう少し、どのような、ゴーンさんがどういったことを、違うことを言っていて、どのように説得して、どのように理解されたのか、このあたりを教えてください。

義家副大臣 まず、レバノンにおいては、マリークロード・ナジェム司法大臣、ミシェル・アウン大統領、ナシーフ・ヒッティ外務・移民大臣、ヤシーン・ジャーベル国会議員、国民議会の外交・移民委員長との会談を行いました。

 相手のある話でございますので、やりとりの詳細を申し上げることは控えさせていただきますけれども、カルロス・ゴーン被告人がレバノンに逃亡していることに関しては、ゴーン被告人が、保釈条件に違反して国外に逃亡した上で、自己正当化のために我が国の刑事司法制度について誤った事実を発信し続けており、到底看過できない、そして、ゴーン被告人が我が国の裁判所で裁判を受けることは当然のことであるという日本政府の立場を明確に伝えた上で、議論の末、レバノン政府の理解も得ることができました。そして、本件の解決が日、レバノン両国にとって極めて重要な課題であるということは、両国の認識は一致いたしました。

 また、我が国の刑事司法制度についても正しい理解が得られるよう働きかけを行った次第でありますが、その上で、司法大臣との会談において、今後、法務、司法分野において、事務レベルで必要な協議を進めていくことで一致したところでございます。

日吉委員 済みません。事務レベルでの必要な協議で一致したという、そこをもう少し、方向性ないし今後の対応。

 大臣、思うところがありましたら、ちょっと御答弁いただけますか。

森国務大臣 ゴーン被告人の逃亡事案についての具体的な取組の内容についてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、事務レベルでの必要な協議を進めていくことになりましたので、この協議を通じて、この問題及び広く国際社会における刑事司法制度についての正しい理解を醸成する上でのレバノンとの連携の強化も進んでいくものと思っております。

日吉委員 時間が参りましたので終わりますが、最後に一言だけ。

 やはり、ゴーン被告が逃亡すること、これはもちろんルールに反することなんですけれども、その一方で、人質司法だという批判が日本の中でもあったわけでございまして、そういったことも懸念していたということもあるので、しっかりとそのあたりを説明していくことと、制度に問題があるのであればそれを見直していく、こういったことをしていかなければいけないということを指摘して、終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、今井雅人さん。

今井委員 立国社の今井雅人でございます。

 私、法務委員会のメンバーではないんですけれども、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 実は内閣の理事をやっておりまして、内閣に国家公務員法の改正法案が出てまいります。検察庁法の改正も束ねで出てくるという話を聞いておりますが、僕は、こんなものは別々にやるべきだというふうに思っておりますけれども、法案審議に当たって、もろもろのこれまでの議論、ここが余りに不可思議なことが多いですから、このことをはっきりさせておかないととても法案の審議ができない、こう思っておりますので、きょうは、今まで疑問に思っていることを少しずつクリアにさせていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 今起きている問題というのは、実は二つのことが並行して走っていて、一つは、国家公務員の定年を延長するということで法案を改正しようという流れがあるということと、それから一方で、黒川東京高検検事長がかつてない異例な定年延長をしたという、この二つの事案が今あって、それぞれがどう絡んでいるのか、つながっているのか、どういう経緯でこうなっているのか、そのことが今一番わからないというか、明らかにしなきゃいけないことだというふうに私の中では思っております。

 その上で、少しずつまず整理していきたいんですけれども、昭和五十六年の四月に国家公務員法の改正ということが行われて、それまでは、裁判官とか検察官という特殊な仕事以外は、国家公務員は定年制がありませんでした。いわゆる退職勧奨というのをやったりして、もうそろそろやめてくださいよというような、そういう制度になっていたので、しっかりと定年制を導入しようということで行われたのが昭和五十六年の議論だったというふうに理解しております。

 それで、人事院さん、いらっしゃっていますか。一つずつ確認していきたいんですけれども、これまでの議論を少し整理したいんですね。

 昭和五十六年の四月二十八日、これは山尾委員が持ってこられた人事院の当時の事務総局任用局長の答弁ですけれども、きのう、人事院の総裁もちょっとお話しされていましたが、確認です。その段階、この法案ができた段階では、検察官は、現在既に定年が定められております、ですから、勤務延長を含む今回の定年制は適用されないことになっていると。きのう、人事院の総裁が勤務延長を含むというような答弁をされていましたので、こういう認識であったかということをまず確認をしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、昭和五十六年、定年制が導入されました当時におきます理解といたしましては、検察官につきましては、国家公務員法に定年制度が導入される前から、身分関係の特例ということで、検察官の定年年齢等が検察庁法で定められていたという経緯に鑑みまして、当時、理解といたしましては、検察官には、勤務延長を含め、定年制度については国家公務員法の適用がないものというふうに理解していたと認識しております。

今井委員 ありがとうございます。

 この法律ができたときは、検察官は、勤務延長を含む定年制は適用されない、今回の改正の適用は受けないということであった、今そういう答弁をいただきました。

 法制局さん、いらっしゃっておられますか。法制局さんに確認したいんです。

 これはきのう小西委員がやっておられましたが、内閣法制局がつくっている法律案審議録、資料にもつけてありますけれども、この中に想定問答集もあります。ここの想定問答集に何が書いてあったか、ちょっと読ませていただきます。

 これは、法律の中に明確な条文が入っていないので、やはりそこで一つ一つ解釈をしなきゃいけないということなんだと思うんですね。このときどういう解釈をしたかということなんですけれども、検察官、大学の教員については、年齢についてのみ特例を認めたのか、それとも全く今回の定年制度から外したのかという問題が来たときにどう答えますかという想定問答なんですが、その答えは、定年、特例定年、勤務の延長及び再任用の制度の適用は除外されることとなるが、第八十一条の五の定年に関するいわゆる事務の調整等の規定は、検察官、大学の教員についても適用されると。

 つまり、事務の調整等は適用されるんだけれども、それ以外のものに関しては適用は除外されるという答弁になっているんですが、これは法制局さんの審議録の中にあるものなんですけれども、その当時の法制局の理解はそういう理解でよろしかったでしょうか。

木村政府参考人 御指摘の審議録でございますけれども、当時、国家公務員法の一部改正法案を担当しておりました総理府人事局が作成し、法制局に持ってきた資料でございます。それを、私どもとしてはその説明として受けて、審議録にとじているということでございますので、当時、私どもとしてもそう解釈していたということになろうかと思います。

今井委員 ありがとうございます。

 ここでちょっとパッケージという考え方が変わってくると僕は思うんですけれどもね。事務の調整だけは認めるけれども、ほかは認めませんということを内閣法制局も当時は理解をしていたということを確認させてもらいました。

 そして、時はたち、平成三十年の八月、人事院から、これはもともと経済財政諮問会議でも議論があって、国家公務員も定年を延長しなきゃいけないんじゃないか、そういう意見の申出、具体的には国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるという意見の申出が人事院からなされて、そこからいろいろな議論がこれまでされてきたということだと思うんですけれども、きょうは、国家公務員法の改正の、内閣府の方、いらっしゃっていますか。

 それ以降、大体で結構ですけれども、これまでどんなようなスケジュールでどういう議論がされてきたか。この人事院の意見の申出を受けて、今回、まだ提出されていませんけれども、提出されるであろう法案に至るというところの、その経緯をちょっと少し簡単に説明していただきたいと思います。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年の八月に、人事院から、定年の引上げについての意見の申出を頂戴いたしました。

 その意見の申出を踏まえ、政府部内において検討してまいったところでございますが、検討すべき事項が多岐にわたっておるということでございました。

 例えば、役職定年制ですとか、六十歳を超える職員の給与制度とか、これまでの国家公務員制度にない点、制度がございましたので、そういった制度について検討してきたところでございますし、定年の引上げですとか、こうした新たな制度の導入は、将来的な人事管理や職員の働き方にも大きく影響するということで、各省の人事当局などの関係者からも意見を聞くといった必要もあって、いろいろ検討してきたということでございます。

 それで、この通常国会に提出いただくべく、今、政府内で調整、検討しているところでございます。

今井委員 その議論をずっとしてきているに当たって、法務省とも当然、じゃ、検察官をどうするとか、裁判官をどうするとか、そういう議論をされてきたんじゃないかと思うんですけれども、そのあたりは、どの時期にどんなような話をしたかというのは覚えていらっしゃいますか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 つまびらかには覚えてございませんですけれども、国家公務員法以外で特例等が定めている、あるいは特別職の国家公務員である関係省庁に、意見の申出を踏まえてどういった対応をしていくかということで、内閣人事局の方から検討を依頼、検討を投げかけたということでございます。

今井委員 法務省とはどんな協議をしたか、覚えていらっしゃらないですか。

 言ってみれば、国家公務員、今回束ねで出てくるわけですよ、検察庁法も改正するということですから、当然、法務省といろいろ協議しているはずですよね。その辺はどういう協議をしていらっしゃいましたか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 検察庁法、法務省におかれてどういう対応をされるかということは、一義的に法務省で御検討いただく話でございますので、私どもの方から法務省の方に対して、どういう対応をされるかということを検討をお願いしたということでございます。

今井委員 それは、今回の国家公務員法の改正の対象として検察官なども含むようにするかどうかということをそちらの方で検討して、法務省に投げかけたということですか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 人事院の意見の申出は、国家公務員法の適用される職員そのものについての定年の段階的な引上げということで……(今井委員「一般職ということね」と呼ぶ)一般職でございます。

 ですので、特別職である防衛省さんですとか、あるいは特例が定めてあります検察庁の関係について、それぞれどういった対応をされるかということを、この意見の申出を踏まえましてどういった対応をされるかということを検討をお願いしたということでございます。

今井委員 ありがとうございます。

 法制局さんにもちょっとお伺いしたいんですけれども、きのうの小西委員かな、とのやりとりのところのちょっと確認をしたいんですけれども、今回の国家公務員法の改正に当たって、こうおっしゃっていますね。

 検察庁法のパートについては、昨年の十月の終わりごろでございますけれども、手元に審査資料が届けられまして、当日あるいは十一月にまたがったかもしれませんけれども、遅くとも十一月の頭には了承したというふうに承知していますということですが、これで間違いないですか。

木村政府参考人 はい。昨日御答弁申し上げたとおりでございます。

今井委員 昨年の十一月ということは、この時点では、まだ法務省の方から解釈の変更についての依頼とかは何も来ていないわけですね。ですから、この十一月に法案を了承した段階では、昭和五十六年の見解は内閣法制局はまだ維持をしていたということですね。

木村政府参考人 昨年私どもが審査をしておりましたときは、実際に新しい解釈に、当然、その変更する前でございますので、従前の解釈に基づいて案文が作成され、それに基づいた審査をしていたということでございます。

今井委員 そういうことですね。つまり、そのときは検察官の勤務延長ということは論点ではなかったということですね。

 昭和五十六年のそれを維持したまま、定年の年齢を六十五に引き上げましょうということを多分議論していたと思うんですけれども、そうすると、勤務延長をするかしないかという、そこに関してはそのときは論点ではなかったということですね。

木村政府参考人 当時の法律案の具体的な詳細につきましては、まだ具体的に検討中の案件でございますので、少し詳細を述べることは差し控えさせていただきたいとは思うんですけれども、いずれにしても、その従前の考え方に基づいた立案ということで私どもとしては受けとめておったということでございます。

今井委員 そういうことなんですね。

 十一月に内閣法制局が了承したのは定年の年齢の引上げとかそういうことであって、勤務延長のところは、これは適用を除外するという前提で了承されているんです、去年の十一月の段階では。ところが、どこからか話は変わっていくんです。

 三月五日の我が会派の法務部会に法務省の方が来られましたけれども、そのとき、こういうような説明をされています。

 おととし、つまり二〇一八年から、閣法、つまり国家公務員法の改正の議論の中で、検察官の定年延長なども論点にはなっていたと。あくまでも省内のクローズの準備だそうです。その後、検察官への定年延長なしという前提で閣法の整理をしていた、ところが、ことしに入って、検察官の定年延長ありきというふうに根底が覆ったので、仕方なく、一月十七日から法制局に整理をしてもらうようにお願いをしたと。

 つまり、十一月に法案が一応了承されてから、何かが起きているんですよ、突然、ことしに入って。これが何かという問題なんです。

 大臣、お伺いします。

 突然、この議論が、年が明けて、勤務延長のところも解釈を整理してという動きが出たのはどうしてでしょうか。

森国務大臣 今井委員にお答え申し上げます。

 検察官の定年引上げに関する法律案については、従前からその検討を行っており、昨年十月末ごろには内閣法制局第二部長の審査が終了したというのは委員のおっしゃるとおりでございますが、その後、法律案の提出に至りませんでした。

 そこで、本年の通常国会への提出に向けて、改めて、法律案において勤務延長制度や再任用制度をどのように取り扱うかを考える前提として、昨年十二月ころから現行の国家公務員法と検察庁法との関係を検討していったものと承知しております。

今井委員 法律をつくるに当たって、法制局にいろいろ審査をお願いするわけですよね。その案が了承されているわけでしょう。基本的にそれが成案なんじゃないんですか、通常は。そこから何か追加されているわけですよね。なぜそれが追加されたのかが私はちょっとよくわからないんです。

 それはなぜなんでしょうか。

森国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございますけれども、昨年、審査が終了しましたが、法律案の提出に至っておりませんでしたところ、本年、通常国会への提出に向けて、その提出までに時間ができましたので、同法律案を改めて見直しながら検討作業を行ったところでございます。

 具体的には、定年年齢の引上げや、これに伴う諸制度について検察官への適用等を改めて検討する中で、特に勤務延長制度と再任用制度について検討を行いました。

 すなわち、勤務延長制度と再任用制度については、従前は、検察官には適用がないと解釈をしており、これを前提として法律案を作成しておりましたが、担当者において、果たしてこの解釈を維持するのが妥当なのかという観点に立ち戻って検討を行うなどし、その後の省内の議論を経て、勤務延長制度については今般の解釈に至ったものでございます。

今井委員 ちょっとよくわからないんですけれども、先ほどもちょっとお話ししましたが、ことしに入って、検察官への定年延長ありきというふうに根底が覆ってしまった、こういう説明を課長さんがされています。何かが起きているんですね、何かが起きているんです。

 午前中、葉梨さんが、ちょっと時間が、一月三十一日と近過ぎるとおっしゃっていましたけれども、やはり、突然こういう議論が起きるということは、何かあるんじゃないかなと疑いを持たれても仕方ありませんよ。

 それで、その上でちょっとお伺いしますけれども、きょう、葉梨さんの議論にもありましたが、その後、一月の十七か、今度は法務省の方から法制局に、こういうのはどうかというような問合せがあったということなんですけれども、これは、そうすると、国家公務員法の改正及び検察庁法の改正の中で、この解釈を整理しておかなきゃいけないから、どう思われますか、そういう趣旨で照会があったんでしょうか。

木村政府参考人 私どものところに御相談があったのは、一月十七日から二十一日でございます。

 その際、新しい解釈に立てば、当然、一定程度の法案の修正が必要になるのではないかという前提に立った御相談だったというふうに思っておりますし、私どもとしても、そういうものとして捉えて、それについてお返事をしたということでございます。

今井委員 そうなんですね。

 ここが問題だと僕は思っているんです。つまり、法律をつくるために解釈を変えた、目的だったわけですね。しかし、その解釈変更を特定の人事に流用したんですよ、そのロジックを。

 本来は、法案を改正するためにこの理論を積み上げてきたはずなんです。ところが、悪乗りしたんだと僕は思うんですけれども、それを特定の人の人事に当てはめてしまったから、鶏か卵、どっちが先か知りませんよ、黒川さんを定年延長させるためにこういうことをしたのかもしれないし、逆だとしても、それはやはり僕はおかしいと思うんですよ。法律をつくるためにやった解釈を、なぜ個別の人の人事に特別にそのロジックを使うんですか。目的が違う……(発言する者あり)ちょっと黙ってください。

 では、大臣、お伺いします。昭和五十六年の解釈の状況の中で、黒川検事長の定年延長はできなかったですね。

森国務大臣 従前の解釈による、勤務延長が適用除外だという解釈によりますと、勤務延長という人事はできないというふうに思われます。

今井委員 そういうことなんですね。従前だったらできなかったものを、今回法改正をするために行った解釈変更を、法律ができるよりも前にさかのぼって、まだ法律はこれからなんです、法律はこれから出てくるんですよ、そのためにやった解釈変更を法律より前に特定の人の人事に使っちゃったんですよ。これは適切ですか、大臣。(発言する者あり)

 ちょっとこっちがうるさいので、済みません。

松島委員長 ささやかずに、静かに聞いてください。

今井委員 これは適切なんでしょうか。そういう使い方をするということは適切なんでしょうか。

森国務大臣 個別の人事についてお答えすることはできませんけれども、適切な人事を行っております。

今井委員 いや、こういうものを適用するということが適切かどうかということ。(発言する者あり)

 今、法的に違法ではないとおっしゃっていましたけれども、今回の法解釈の趣旨に鑑みて、こういう個別の人事にそうやって活用するのは適切なんでしょうか。

森国務大臣 法律の解釈は、適法に、適正なプロセスで行われたものと承知しております。

 その上で、個別の人事についてはお答えすることを差し控えたいと思います。

今井委員 きょうは無駄な往復はするつもりはないので、これ以上言いませんけれども。

 やはり、本来この改正は法律を変えるためにやるものだったというものを別の目的に使ってしまったというのは、これはもう厳然たる事実ですから、これは否定しようがありませんので。そのことは私は本当に不適切だと思います。そのことをまず指摘しておきます。

 それと、これは何度も質疑の中で質問されていますけれども、改めてお伺いしたいんです。

 国家公務員法の八十一条の三の件なんですけれども、ここの留意点に、勤務延長の要件が、その職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときと限定されており、活用できる場合が限定的と。では、どういうときですかという例が三つ書いてあります。

 一つは、定年退職予定者がいわゆる名人芸的技能を要する職務に従事しているため、その者の後継者が直ちに得られない。宮廷の何か雅楽の方とか、ああいう方のことだそうですけれども。

 それから、定年退職予定者が離島その他の僻地官署等に勤務しているため、その者の退職による欠員を容易に補充することができず、業務の遂行に重大な支障が生ずる場合。

 三つ目が、定年退職予定者が大型研究プロジェクトチームの主要な構成員であるため、その者の退職により当該研究の完成が著しく遅延するなどの重大な障害を生ずる場合。

 ここまで御丁寧に例を出して、限定的だから、例えばこういう例がないとだめだよということを法律にわざわざ書いてあるんですね。法律というか、法律の説明に書いてあるんです、条文じゃないですけれども。

 この黒川さんのケースは、よく重要な任務とおっしゃっていますけれども、個別の話はいいんですが、本当にこの方じゃないとできない案件なんですか。

森国務大臣 今、今井委員がお示しになったのは、人事院規則一一―八のコンメンタールに記載されている例というふうに思いますが、コンメンタールの規則の条文そのものでございますと、七条に一号、二号、三号とございまして、三号の「業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき。」に当たるものと考えております。

今井委員 済みません。もう一度確認です。その三号に今回は該当するということですか。

森国務大臣 はい、そうでございます。

今井委員 それは、この方でないとできない業務ですか。ほかの方ではできないんですか。

森国務大臣 黒川検事長については、東京高検、検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するためには、黒川検事長の検察官としての豊富な経験、知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が必要不可欠であり、当分の間、引き続き東京高検、検察庁検事長の職務を遂行させる必要があるため、引き続き勤務させることとしたものであり、人事院規則一一―八との関係では、七条三号に該当するところでございます。

今井委員 法務大臣が所管されている検察の中には、黒川さんと同じような仕事ができる方がほかにはいないということですか。

森国務大臣 個別の人事にかかわることでございますので、これ以上の詳細については、捜査機関の活動内容やその体制にもかかわる事柄であることから、お答えを差し控えますけれども、いずれにしても、人事院規則一一―八の七条三号に該当するところと判断したものでございます。

今井委員 黒川さんは八月までですよね。その重要な事案は八月で終わるんですか。

森国務大臣 詳細については、個別の人事に関することである上、捜査機関の活動内容やその体制にかかわる事柄でもあることから、お答えを差し控えますが、当分の間、職務を遂行させる必要があると判断したものでございます。

今井委員 ちょっと解せないのは、これは最長で一年間延長できますよね。一年延長すればいいのになと思ったんですけれども、なぜ八月までなんだろうか。ここがよくわからないんですよ。なぜ八月なんでしょうか。なぜ半年なんでしょうか。

森国務大臣 詳細については、個別の人事でございますので、なかなかお答えは差し控えざるを得ないところなのでございますけれども、一年間という法律の規定の中で、当分の間、職務を遂行させる必要があるというふうに判断したところでございます。

今井委員 皆さん御周知のとおり、現在の検事総長が六十五歳になられるのはことしの八月ですので。ことしの八月ですね。ああ、来年か。そうかそうか、来年だ。ごめんなさい、間違えました。この半年というのがちょっとよくわからないということです。

 ちょっと時間がないので、もう一点お伺いしたいんですけれども、本当は、きょう、皆さんにも、ここの議事録で明らかに答弁が食い違っているのがいろいろあるので、これをじっくりやりたかったんですが、時間がありませんので、また法案が出てきたときあたりにやりたいと思いますが、決裁の問題なんですけれども、先ほど、午前中の葉梨さんの質疑を聞いておりましたら、口頭了解するときなんか、決裁なんかしないよとおっしゃっていたんですね。ということは、口頭了解は決裁じゃないということですね。

 公文書管理の方、いらっしゃっていますか。済みません。公文書管理上の決裁とは何でしょうか。

大塚政府参考人 お答えをいたします。

 公文書管理法の世界では、このガイドラインにおきまして、決裁を、「行政機関の意思決定の権限を有する者が押印、署名又はこれらに類する行為を行うことにより、その内容を行政機関の意思として決定し、又は確認する行為をいう。」と、公文書の世界ではこのような定義をしているところでございます。

今井委員 二月の二十五日だったかな、高市総務大臣が記者会見で、総務省では電子決裁を全部やっている、ただし、口頭了解するようなものも中にはありますけれどもとおっしゃっているんですね。

 それで、森大臣は、口頭で決裁をしたとおっしゃっています。

 それと、令和二年二月二十五日に、これは予算委員会だったと思いますけれども、決裁の取扱いについてというペーパーを法務省から出していただいて、三枚つづりなんですけれども、人事院のもありますね、決裁の取扱いについて。ここに、同規則に定められた方法による決裁を逐一要しないものと理解し、口頭による決裁として、必要な範囲でという、口頭の決裁という言葉も出てくるんですけれども、そういうのは例えば「国会審議における答弁案」というふうに書いてあるんです。ところが、後半になると、「国会答弁資料に関する事項等については、口頭での了解としている。」というふうに書いてあって、使っている言葉が違うので、ちょっとこれを僕、済みません、確認したいんですね。

 口頭による決裁と口頭による了解というのは同じ意味なんですか。

森国務大臣 はい、同じ意味でございます。

 私が一番最初に今国会で御答弁したのは、たしか小川委員の質問だったか、済みません、ちょっと委員の名前を間違ったら失礼いたしますが、予算委員会で御質問されまして、それは決裁を受けておりますかという御質問でございました。公文書法上の決裁を受けておりますかという御質問でもありませんし、文書取扱規則上の決裁を受けておりますかという御質問でもなく、単に決裁を受けておりますかという御質問で、突然の御質問でございましたので、私、後ろの事務方に確認をしましたら、決裁を受けておりますということでございました。

 法務省職員としては、この令和二年二月二十五日の、今委員がお示しになりました決裁の取扱いについてという文書で御説明したとおり、口頭による決裁という意味で、決裁を受けておりましたというふうに御答弁申し上げたとおりでございます。

 なお、法務省文書取扱規則上における電子決裁や押印による決裁については、その取扱規則に定められた別表に該当する文書についてはとっております。

今井委員 大塚さん、ちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほど、決裁は、押印、署名あるいはそれに類する行為とおっしゃいましたよね。口頭というのは、その他類するというものに含まれるんですか。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 ガイドラインの解釈でございますが、押印、署名又はこれらに類する行為のところは、基本的には電子決裁を念頭に置いているところでございます。ですので、口頭による例えば意思の決定、確認というのは、形式上はそのガイドラインの決裁には該当しないというふうに考えております。

 ただ、一方で、ガイドラインとは別に、これはあくまでも一般論になりますが、口頭での必要な指示、意思決定を行うということを、これを例えば口頭決裁と呼称すること、これはあり得るのではないかというふうに考えてございます。

今井委員 もう二分しかないから。

 今のところは大事なんですよ。

 行政文書ガイドラインのところに決裁という項目がありますよね。そこのところには、決裁とは、押印、署名その他に類する行為で行われたものというふうに書いてあります。今おっしゃるとおり、口頭はこれに入っていないというふうにおっしゃっていますよね。そうすると、口頭は、公文書ガイドライン上は決裁ではないということですね。いや、それは当然、そうなるじゃないですか。それ以外、どこにも読めませんよ。

 いやいや、これは法律の世界ですから、言葉の定義をちゃんとはっきりさせたいので。

大塚政府参考人 先ほど申しましたとおり、あくまでも公文書のガイドラインの決裁の定義としては先ほど申し上げたとおりでございますが、一方で、それによらないさまざまな形での用語が使われることも事実でございますし、それはそれとして、今実際にそれぞれの役所で運用として使用されているものと考えております。

今井委員 済みません。時間が来ましたのできょうはこれで終わりますけれども、少なくとも行政文書のガイドライン上の決裁ではないということは今確認させていただきましたので、あとは、それぞれ答弁が少し揺らいでおられたことの整合性をやりたかったんですが、それは、ちょっと時間がきょうはなくなりましたので、また次回にやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、藤野保史さん。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 まず、私、クー・トゥー運動についてお聞きをしたいと思っております。

 クー・トゥーというのは、靴を履くことに伴う苦痛、そして性暴力を告発するミー・トゥー運動に合わせてつくられた言葉でありまして、昨年の一月に女優の石川優実さんがツイッターで投稿されて一気に共感の声が広がって、署名も三万筆を超えまして、昨年六月には厚生労働省にも提出をされました。

 これは、同じ職種あるいは同じ仕事内容なのに女性だけにパンプスやヒールが強要される、まさに性差別の問題であるということで、同じ職種であれば、同じ仕事であれば、女性にも男性と同じくヒールのない靴の選択肢を与えてほしいという当然の声であり、運動だというふうに思います。

 パンプスやヒールを履くことで、人によっては、靴ずれとかまめができたり、外反母趾になる、腰が痛くなる、さまざまな健康被害にもつながるわけですし、仕事をする上でも動きづらいとか走れないとか、いろいろな問題になってくる。ですから、性差別の問題が中心ではありますけれども、健康問題、労働問題でもあるということだと思います。

 大臣にお聞きしたいんですが、大臣はこのクー・トゥー運動についてどのように評価されているでしょうか。

森国務大臣 三月三日の参議院予算委員会で小池晃委員から御質問がございまして、安倍総理大臣もおっしゃっておられましたけれども、職場の服装について、男性と女性が同じ仕事をしているにもかかわらず、苦痛を強いるような合理性を欠くルールを女性に対して強いることはあってはならない、私も全く同じ考えでございます。

 法務省においては、女性に関する問題を含め、さまざまな人権問題について人権擁護活動を実施しておりますので、これらの人権問題も含めて取り組んでまいりたいと思います。

藤野委員 ぜひ法務省としても、この問題でもイニシアチブを発揮していただきたいと思います。

 石川さんが声を上げて、一年という短い間に、これが全国に広がって、国会にも届いて、総理大臣や、今、森大臣からも前向きな答弁を引き出したということで、これは、皆さんの運動といいますか、もっと言えばジェンダー平等社会の実現に向けても、今回のクー・トゥー運動というのは非常に大きな動きだというふうに思っております。このクー・トゥーだけでなく、ジェンダー平等なくしてまさに二十一世紀の未来を切り開くことができないというのは、これは多くの皆さんの思いだ、国連のSDGsもこういう発想で今進められているというふうに思います。

 このジェンダー平等社会をつくっていく上で、私、法務大臣の果たされる役割というのは極めて大きいというふうにも感じております。大臣も、所信演説の中でフラワーデモについて触れていらっしゃいました。思いが伝わるなと思って私も伺っていたわけでありますけれども、まさに今法務省の焦眉の課題の一つが刑法の性暴力に関する改正問題であると思います。

 大臣は今、大臣直轄の勉強会をつくって、性暴力の被害者や支援団体の方々に入っていただいて、二月末からその勉強会を行っているというふうに伺っているんですが、大臣にお聞きしますけれども、なぜ今この時期にこうした大臣直轄の勉強会を設けられたんでしょうか。

森国務大臣 性暴力の問題を所信表明の一番最初に掲げさせていただきました。全ての問題が重要なんですけれども、迅速に取り組まなければいけないという意味で、一番最初に掲げさせていただきました。

 直轄の勉強会についてお尋ねをいただきましたけれども、私は就任してからさまざまな直轄の勉強会をやっておりまして、一つが保釈中のGPSに関する問題もやっておりましたが、これは法制審の方に諮問をいたしました。

 その間に、性暴力の被害者団体の方が大臣室に来られたんです。そして、被害者の方の思いを直接にお聞きする機会をいただきました。そこで、私は、もっとこの問題を私みずからが理解を深めなければいけないという思いから、被害者団体の方にメンバーになっていただいて、私的な勉強会を開催しているところでございます。

藤野委員 今、大臣自身が理解を深めなければいけないという思いということでありました。私自身も実はそれは同じ考えでありまして、やはりこの問題は本当に、当事者の方から、あるいは支援されている方、関係者の方からお話を聞くというのは非常に大きな力になるといいますか、中身になってくるなというのを私自身も感じております。

 それに係ってなんですが、大臣は、二月二十五日の予算委員会の第三分科会で、我が党の本村議員の質問に対してこう答弁されているんですね。法制審のメンバーについての答弁なんですが、被害者の立場の方、また被害者支援にかかわる研究者、専門家などの御意見を幅広く聞くことができるような体制で議論を進めてまいりたいと答弁されているんですけれども、この、幅広く聞くことができるような体制というのはどういう意味なのか。私自身はちょっとよくわからないんですが、これは、いわゆる法制審のメンバーにもそういう被害者の方などに入っていただく、そういうことなんでしょうか。

森国務大臣 私は、被害者の皆様の声が法制審のメンバーにより直接に届く体制にしたいと思っています。

 今般の保釈中の逃亡の問題についても法制審の部会をつくったんですが、そこにも被害者関係の方を入れるのに大変な苦労がございました。ですが、やはり被害者の声を聞かなければ、特にこの性犯罪に関するさまざまな残された課題について前に進めていくことが難しいと思っておりますので、私自身が全力をかけてよりよい体制づくりに向けて努力をしていきたいと思っています。

藤野委員 ぜひその方向で進めていただきたいですし、今、保釈中の逃亡者の法制審というお話がありましたけれども、それ以外もあると思うんですね。

 法務省にお聞きしますが、これまでの法制審でも、被害者の方々、被害者支援団体の方が参加した実例があると思うんですが、どのようなものがあるでしょうか。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねの点でございますが、例えば、現在調査審議を行っております法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会でございますが、ここにおきまして、少年犯罪の被害者の御遺族であり、被害当事者団体の代表を務める方が委員になっておるものと承知しております。

藤野委員 今、まさにそういう被害者の方、少年犯罪被害当事者の会代表の方も法制審のメンバーになっていらっしゃるわけであります。

 私は、やはり法制審のメンバーがどういう方々になるのかというのは極めて重要だというふうに思っておりまして、それは、やはり国会に提出してくる法案の中身に直接かかわってくるからであります。ぜひ、当事者の方をメンバーに加えていただいて、より充実した法案の中身になるようにイニシアチブを発揮していただきたい。

 更に加えて言いますと、法制審というのは議事録が作成されまして、もちろん私どもも読みますけれども、広く国民に公開されるということになります。性暴力に関する刑法改正というのは、どうしてもやはり国民的な議論が必要な課題であるというふうに思いますので、そうした議事録を通じて直接国民に被害者の声がより多く届いていく、そのためにも、やはり大臣がイニシアチブを発揮していただいて、被害者の方に法制審のメンバーになっていただく。

 法制審議会令という省令があるんですが、これを見させていただきますと、この審議会令の第二条にはこう書いてあるんですね。「委員は、学識経験のある者のうちから、法務大臣が任命する。」と。法務大臣が任命するということでありますから、最後に重ねてですけれども、大臣、被害者の方をメンバーにするということで御発言いただければと思います。

森国務大臣 私は、よくあることとして、被害者の方の声を一回ヒアリングしましたみたいなことがあるんですけれども、それでは性犯罪における諸問題の解決には結びつかないと思っています。

 今回、フラワーデモで性犯罪の被害者の方が声を上げた。それが全国を巻き込んで、十二回続いたということは非常に大きな意味があります。そのような勇気に報いるためにも、そして、国民の皆様の関心も非常に大きいわけでございますので、ここで明言はできませんけれども、私自身のリーダーシップを発揮して、何とかよい方向に持っていきたいと思います。

藤野委員 ぜひ大臣のイニシアチブの発揮を求めたいと思います。

 次に、いわゆる学校法人加計学園が運営する岡山理科大獣医学部の入試をめぐって、韓国人受験生が不当な扱いを受けたという報道についてお聞きをいたします。

 まず、前提として、文科省にお聞きしたいんですが、入学者選抜実施要項というのがあると思うんですけれども、これについて、入試における差別についてどのように規定しているでしょうか。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの令和二年度の大学入学者選抜実施要項におきましては、合理的理由なく、出身地域、居住地域の属性を理由として一律の取扱いの差異を設けることは不適切であると明記しております。

藤野委員 そのとおりなんですね。

 配付資料の一を見ていただきたいんですけれども、今回問題になっている大学の推薦入試A方式というのがあるんですが、それの概要なんですね。二になりますか。済みません、配付資料の二になるかもしれません。

 これによりますと、そのA方式の中には併願制と専願制というのがあって、そのうち専願制について、これまでは、出身高等学校の調査書五十点と、基礎的な試問、八十分二科目、各五十点、この二つしかなかったんですが、昨年から面接というのが試験科目に加わって、これは五十点なんですね。この去年から加わった面接というものの点数が、報道によれば、韓国人留学生は全てゼロ点だったというふうに言われている。

 面接を試験科目に加えること一般がだめだと言っているわけじゃ全然ないんですが、今回はそれが悪用されたのではないかという問題なんですね。

 文科省に確認しますけれども、今回、韓国人留学生は何人受験して、A方式ではそれぞれ何人合格したのか、それ以外の方式では、何人受験して、何人合格したんでしょうか。通告してあります。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 今回、この入試の方式におきまして、推薦入試におきましては、韓国の受験生につきまして、七名が受験をし、全員が面接ゼロ点であり、合格者はゼロであったということでございます。

藤野委員 ですから、今回問題になっている方式では、七名が受験したんだけれども、七名は面接ゼロ点で、合格者ゼロと。まさにそういう状況になっているわけですね。

 二〇一八年には、東京医科大などで入試における女性差別が大変な問題になりました。この東京医科大学が設けた調査委員会でさえ、その報告書の中で、重大な女性差別的な思考に基づくもので、強く非難されるべきだ、こう指摘をしているんです。

 ちょっともう一回、今のところを言いますと、要は、今はまだ文科省は調査中だというんですね。今お答えいただいた部分はわかったけれども、それ以外の、現時点においては入試の適否を判断する段階ではなくてということなんですけれども、その部分についてちょっと答弁いただけますか。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件の、三月六日、先週に、岡山理科大学担当者の方が文科省に来省をして、直接確認を行いました。

 これらによりますと、まず、大学の説明によりますと、今お答え申し上げましたように、韓国の受験生について、推薦入試では、七名受験し、全員が面接ゼロ点であり、合格者はゼロ名であったということ、それから、面接での点数がゼロ点の受験生は日本人でも複数名存在するということ、それから、面接の評価に当たりましては、責任ある者が複層的な確認を実施しているということ、それから、これらの受験生を含めて、一般入試の前期や私費外国人留学生入試におきましては合計四名の韓国の方が合格しているということでございました。

 そういった説明がございまして、こういった点は明らかになりましたが、今先生お尋ねのように、現時点におきましては、文部科学省として、まだ当該大学の入試の適否を判断できる段階ではなく、さらなる事実関係の把握に向けて、引き続き、今回の問題に対して大学として説明することを求めていきたいと考えております。

藤野委員 まだ事実関係は明らかでないというんですけれども、少なくとも、A方式による受験者七名は、面接全員ゼロ点で、合格者ゼロということなんですね。これはもうはっきりしているんです。面接がその七人全員ゼロ点、韓国人留学生だけがですね。

 先ほども言いましたけれども、二〇一八年には、東京医科大で入試における女性差別が大問題になって、大学が設置した調査委員会でさえ、重大な女性差別的な思考に基づくもので、強く非難されるべきだと報告書に書いてあります。

 大臣にお聞きしますが、事実とすればこれは許されない差別じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

森国務大臣 お尋ねのような報道は承知しております。

 そして、事実関係については今文科省の方で確認中ということでございますので、個別の事件についてのコメントはできないんですけれども、一般論として申し上げれば、外国人に対する不当な差別はあってはならないというふうに思います。

 法務省は、人権擁護を所管をする省庁でございます。そしてまた、ホームページで、「外国人の人権を尊重しよう」というふうに強調事項の一つとしてしっかり掲げているところでございます。各種人権啓発活動も実施しておりますし、人権相談、人権侵犯事件の調査、救済等に努めておりますので、差別のない社会の実現に向けて、しっかりと法務省としては取り組んでまいりたいと思います。

藤野委員 これは報じられてからかなり時間がたっておりまして、私が事実関係の確認を求めても求めても、法務省は小出しに、小出しに、小出しにしてくるんですよ。ですから、そういう姿勢ではなくて、事実関係は調べればわかるわけですから、今も、初めて今答弁したこともありますし、きのう幾ら聞いても言わなかったことを言ったこともあります。だから、やはり法務大臣としても、内閣としてこういうことは許さないんだという立場でぜひ臨んでいただきたいと思います。

 次に、日本原水爆被害者団体協議会がいわゆる核拡散防止条約の再検討会議、NPTに合わせてことし四月からアメリカのニューヨーク国連本部で開く原爆展をめぐって、外務省が被団協のパネルについて難色を示して、いわゆる後援を見送る、バックアップを見送るということが、被団協に伝えていたということが報じられております。

 過去三回この原爆展というのは行われておりまして、そのうち、三・一一以降は原発事故のパネルも展示しているというふうに認識しているんですが、これは間違いないですか。簡単な確認。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 先般、外務省に対しまして、四月末から行われますNPT運用検討会議の際に国連本部で開催予定の原爆展につきまして、後援名義の使用許可申請があったところでございます。

 現在、外務省について、本件については審査中でございまして、審査団体とのやりとりについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

 既往の経緯でございますけれども、二〇〇五年、二〇一〇年及び二〇一五年に実施した原爆展につきましては、外務省として、しかるべく審査を行った上で、それぞれ後援名義の使用を許可させていただいているところでございます。

藤野委員 二〇一五年のやつについては、チェルノブイリとスリーマイルとそして福島と、四枚のパネルにわたって、写真はもっとあるんですが、展示されているんです。今回はなぜか、二〇一五年には認められたのに、認めていないわけですね。

 茂木外務大臣は、三月五日の参議院の予算委員会でこうおっしゃっています。被爆者の方々は、核兵器のない世界の実現に向けて、長年にわたって被爆の悲愴な実相や核兵器の非人道性を世界に伝える活動に取り組まれてきておりまして、その大変な御尽力に対して、改めて心より敬意を表したいと思います。そして、こうもおっしゃっています。被爆の実相に関する正確な知識を持つことは核軍縮に向けたあらゆる取組のスタートとなると認識をいたしておりまして、引き続き積極的に取り組んでまいりたいとおっしゃっているんですね。

 これは、言っているときは本当にそのとおりだと思うんです。ただ、やっていることが逆なんですね。

 私は福島にもチェルノブイリにも行かせていただきましたけれども、福島でいえば、あしたはまさに三・一一なわけです。九年がたとうとしている。我が党の国会議員団の福島チームは定期的に福島を訪れているんですけれども、今でも、ふるさとに帰りたいけれども帰れない、帰りたくても帰れない、そして、たとえ帰ったとしても、口にできない、声にできない、いろいろな苦しみを抱えながら生きていらっしゃるわけですね。チェルノブイリに行きましたけれども、そのときは、三十年たっていますけれども、私が草むらにガイガーカウンターを近づけますと、ピピピピッと急激に上がるわけですね。

 一たび原発事故が起きるとどうなるのかというのは、これはやはり核の問題を考える上で避けて通れない話でありますし、この福島やチェルノブイリというのは、核と人間社会についての問題を極めて雄弁に、事実の問題として語りかけている場所だと思います。

 先ほど茂木大臣がおっしゃったように、NPTの基本理念というのは核軍縮なんですね。ですから、核の危険性をアピールすることはもう全く矛盾しないと思います。

 文科省に確認したいんですが、あいちトリエンナーレの問題がありました。このとき、文科大臣は、表現の自由の侵害に当たるのかという質問に対してどのように答弁していたでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の補助金の不交付決定は、補助事業の申請手続におきまして、補助金申請者である愛知県が、会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、文化庁に申告しなかったことを踏まえて判断したものでございまして、展示物の表現内容自体の適否について評価したものではございません。

藤野委員 つまり、文科大臣は、安全とか円滑な運営を脅かすようなことを認識していたのに報告しなかったのが問題で、表現内容じゃないんだ、表現内容自体の適否について評価したのではないですよというふうにトリエンナーレのときは言っていたんですね。だから表現の自由の侵害に当たらない。

 しかし、今回、外務省はまさに原発という展示内容そのものを問題にしているわけですね。法務大臣、これは表現の自由の侵害に当たるんじゃないでしょうか。

森国務大臣 もちろん、一般的に、表現の自由は民主主義の根幹をなすものですから、最大限尊重されるべきでございます。

 お尋ねの事案につきましては、先ほどの外務省の御答弁で審査中であるというふうにおっしゃっておられたと承知しておりますので、所管の外務省において適切に判断されるものと思います。

藤野委員 まさに憲法、人権保障をつかさどる法務大臣が、先ほどの文科省の態度とか外務省の態度について、やはり法務省として、法務大臣として、なかなか物を出してこないとか、審査中審査中と言って延ばしていくことについて、はっきり物を言うべきだというふうに思うんですね。そういう姿勢が大臣に問われているというふうに思います。

 最後に、検事長の定年延長問題についてお聞きします。

 この問題をめぐっては、まさに検察内部からも、与党からも異論が出ている。

 二月十九日の検察長官会同では、静岡地検の神村昌通検事正から、今回のことで政権と検察の関係に疑いの目が持たれている、国民からの検察に対する信頼が失われる、そして、この人事について、検察庁、国民に丁寧な説明をすべきという意見を述べたというふうに伝えられております。

 二月十五日には、中谷元元防衛大臣が国政報告会という公の場で、私が心配するのは、三権分立、特に司法は、正義とか中立とか公正とか、そういうもので成り立っているんですね、行政の長が私的に司法の権限のある人をですね、選んで本当によいのかな、権力の上に立つ者はしっかりとその使い方を考えていかなくてはならない、こうおっしゃっている。

 ですから、そういう声がいろいろなところから出ているわけですね、野党だけではなくて。とりわけ、現職の検察官幹部から、国民に丁寧な説明をすべきとまで言われているわけです、大臣。ところが、大臣は所信で一言もこの問題、触れなかった。私、正直言って驚いたんです。なぜ一言も触れなかったんでしょうか。

森国務大臣 国民に対して丁寧な御説明をしてまいりたいと思います。

 所信表明については、法務行政の課題について述べたものであり、個別の人事については述べておりません。

藤野委員 そういう姿勢が、今、現職の検事にもこれではだめだという声になって広がっているわけですね。

 私は、この問題を考える上で、なぜ検察官には一般公務員と異なる特別の定年制度が定められていたのか、ここを考える必要があると思うんですね。それは、戦前の治安維持法などによる人権侵害を二度と繰り返さないという反省に立った日本国憲法に由来するものだと思います。三権分立、そして基本的人権の尊重というものに深くかかわる検察官の地位の特殊性に結びついているからだと思うんです。

 日本国憲法は、先ほど委員からもありましたけれども、極めて詳細な刑事手続による人権保障があるわけですね。それに基づいて、この憲法に基づいて刑事訴訟法がつくられ、その刑事訴訟法を実践する部隊として検察庁法もつくられていく、裁判所法もつくられていくということになっております。

 大臣にお聞きしますけれども、ちょっと時間の関係で、これはもう配付資料でちょっとかえさせていただきますけれども、配付資料の三は刑事訴訟法の提案理由なんです。これは当時の鈴木国務大臣が答弁されているんです。

 こういう答弁なんですね。新憲法は、各種の基本的人権の保障について、格別の注意を払っているのでありますが、なかんずく刑事手続に関しましては、我が国における従来の運用に鑑み、特に三十一条以下数条を割いて、極めて詳細な規定を設けているのであります。そして、ちょっと飛びますけれども、さらにまた新憲法は、第六章におきまして、司法権の独立を強化し、最高裁判所に違憲立法審査権や、規則制定権を与えるとともに、その構成にも、格別の配慮をいたしているのであります。そのため新たに裁判所法や検察庁法の制定が必要とされたのであります。こういう組立てなんですね。

 要するに、新憲法があって、刑事訴訟法があって、そしてそれを実践するものとして裁判所法、当時は裁判所構成法の中に検事のことも書いてありましたけれども、司法の独立、三権分立を徹底する観点から検察庁法というのを別途規定する、これがスタートなんです。

 その大もとは、戦前の人権侵害に、検事も、思想検事として特高警察と車の両輪として治安維持法を運用していった、運用を拡大していった、そういう歴史があるからであります。戦前の弾圧によって、拷問で、時に私たちの党の先輩も命を落としました。こういう痛苦の経験を二度と繰り返しちゃいけない、だから、最高法規である憲法に、法律でも侵せないものとして詳細な刑事手続における人権保障規定が置かれた、そしてその精神を具体化する、その最後にあるのは検察庁法なんですよ。

 身分保障なんですね。定年というのは身分保障の根幹であります。だから、検察については一般公務員とは異なる定年制度がもとからあったんですね。もとからあったんです。

 ところが、先日法務省から、三月五日の当委員会の理事会にも提出されましたけれども、「検察官の勤務延長について」という、二〇〇一一六メモというのが理事会にも提出されました。これはちょっときょうは配付していないんですけれども、私が驚いたといいますか、この中にこういうくだりがあるんですね。戦後の検察庁法のいわば前身である裁判所構成法(明治二十三年法律第六号)、こういうのが出てきて、この並びで、この戦前の裁判所構成法の定年制度の趣旨と戦後の国家公務員法の定年制度の趣旨に差異はない、だから今回も適用するんだ、こういう論立てなんです。

 裁判所構成法というのは明治二十三年ですから、西暦一八九〇年で、百三十年前の法律です。定年制度がこの裁判所法改正で導入されたのが大正十年ですから、一九二〇年、約百年前、もちろん大日本帝国憲法下です。

 大臣、ちょっとお聞きしたいんですけれども、大日本帝国憲法下というのは、司法権は天皇に属しているんですね。裁判所は天皇の名において司法権を行使する。裁判官や判事の人事権、俸給などの身分保障というのは、司法大臣、今でいう法務大臣の監督下にありました。三権分立が極めて不十分な法体系なんですね。

 こういう法律が、戦後の、今議論されている、全く身分保障も異なる検察官の趣旨が同じだと持ってくるというのは私は許されないと思うんですけれども、大臣、何でこれを持ってきたんですか。

森国務大臣 御指摘の文書はあくまで検討過程のものでございますけれども、御指摘の該当部分は、検察官に定年による退職の制度が設けられた趣旨を検討するに当たり、該当法の審議における政府委員の発言に言及しているにすぎないものでございまして、この趣旨、退職の制度が設けられた趣旨について発言に言及をしているものでございますので、これをもって検察官に勤務延長制度が適用される理由としているものではございませんし、この趣旨というのは、伊藤元検事総長の検察庁法の解説本に書いてあるものとも同様でございます。

藤野委員 きょうは時間もあれなので、次回やりたいと思うんですけれども、全然違うんですね、三権分立の考え方が。いわゆる天皇のもとで、天皇に司法権が属しているわけです。司法行政権というのは、司法大臣、当時の法務大臣に全部あるわけですね。そのもとでつくられているのが裁判所構成法であります。

 それが今ここで復活してきたというのは、私は本当に恐ろしい。逆に言うと、安倍政権の一貫した姿勢じゃないかなというふうに私は思うんですね。戦前回帰という、その一環ではないかというふうに思います。

 最後にちょっと御紹介したいのは、「新しい憲法 明るい生活」という、ちょっときょうは資料をつけていませんけれども、「あたらしい憲法のはなし」という、戦後直後に出された有名な冊子があると思うんですね。あれはほぼ一世帯当たり一冊配られた非常に権威のあるものなんですけれども、そこでこういう項目があるんですね。

 十六ページに、役人は公僕である、こう指摘しているんです。

 憲法に定めがあったにもかかわらず、実際には最近まで警察や検事局が国民を手続なしに捕えて幾日も留置場へ入れておいたり、むごい方法で取調べを行い、無理やりに自白させたりすることも少なくなかった。新憲法では全てこうした不法なひどいことをかたく禁じた。

 そして、最後、こうあるんですね。これからは悪いことをしない限り、いたずらに警察や検事局を怖がる必要はなくなった。そればかりかこれからの役人は国民の生活を守ってくれる私たちの公僕となった。

 戦前は、検事というのは天皇の官吏であります。それが新憲法によって私たちの公僕になったというんですね。

 今回大臣がやろうとしていることは、この私たちの公僕を一内閣の官吏にまた返そうとしている、こういうことじゃないですか、大臣。

森国務大臣 全く違います。

 先ほどの三権分立についての御指摘も踏まえまして、三権分立によって、三つの権力が抑制と均衡を保たなければならない。その中で、司法権と密接不可分な関係にある検察でございますが、行政機関の一機関であるという特殊な関係にございますので、人事権は法務大臣又は内閣にあるわけでございますが、その中で適切な人事を行うということが重要なことであるというふうに心得ております。

藤野委員 もう終わりますけれども、要するに、一行政官ではなくて、公訴を担うわけですね。司法の独立といった場合、公判だけを保障すればいいんじゃなくて、公判に行くかどうかという公訴提起が政治的権力に左右されないかというのは、これは極めて重要なんです。だから、裁判官に準じた身分保障が検察に与えられている。その身分保障の根幹が定年制度なんです。ですから、今の答弁は全く成り立たない。

 この問題についてはあしたも質問するということを述べて、質問を終わります。

松島委員長 次に、串田誠一さん。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 きょうは、森法務大臣の所信ということで、所信に沿って質問させていただこうと思いますが、まず最初に、児童の虐待防止対策ということで書かれているんですけれども、私も、最近、児童の虐待に関する刑事裁判の報道なども連日なされておりますし、また新たな事件も報道されるなど、本当に痛ましい事件が多いという意味では、虐待防止というのは大いにこれは積極的に進めていかなければならないと思うんですが、一方で、誤った通報により一時保護されるというようなことは、これが長期に続きますと、逆な意味で子供に対する虐待になってしまうんだという認識、これは森法務大臣はお持ちなんでしょうか。

森国務大臣 串田委員にお答えいたします。

 児童虐待への取組についての御理解もありがとうございます。

 一方で、委員御指摘のように、児童福祉法による一時保護をめぐっては、虐待の事実がないにもかかわらず一時保護が行われる場合があり得るとの指摘があることは承知しております。

 現行法においては、児童相談所長等によって行われた一時保護の措置について、児童虐待の事実がないにもかかわらず一時保護が行われたなどの不服がある場合には、親権者等は都道府県等に対して審査請求の申立てをし、又は裁判所に対して取消しの訴えを提起することができ、それらの手続の中で一時保護の適法性が判断されることになるものと考えられます。

 ただ、この問題についても、串田委員からも今までもさまざま御指摘をいただいてまいりました。児童相談所長等が親権者等の意に反して二カ月を超えて一時保護を行う場合には、手続の適正性を担保する観点から、家庭裁判所の承認を得る必要もございますが、その二カ月という期間についても、今までも御指摘いただいてきたところでございます。

 これについては、平成二十九年の児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律の附則において、施行後三年を目途とする検討規定が設けられており、これを踏まえて、現在、厚生労働省が実態把握に向けた検討を行っていると承知をしておりますので、法務省としても必要な協力をしてまいります。

串田委員 これが非常に重要だということに関して、例えば、子どもの虹情報研修センターというところのデータがございます。

 これは、国と横浜市が協力して設置をし、運営は国から補助金で行われている、そういうセンターの資料でございますけれども、アメリカの児童虐待の現状についても調査がなされておりまして、チャイルド・プロテクティブ・サービシズ、CPSということのようなんですが、相談件数が三百四十万件あるそうなんですけれども、この中で子供の虐待が認められた数は六十八万六千人、虐待が認められなかった数は二百四十九万八千人なんですね。

 これは通告によって相談が始まるわけですよ。ということは、日本もそうなんですが、あそこの家庭は虐待しているようだよ、大きな声が、何か夫婦の声が聞こえるよ、虐待だよといって通告をされると、今、警察はすぐに児童相談所に通告をして、一時保護されていくという件数がもうすごくふえているわけですね。

 アメリカはそれを、迅速に裁判、司法関与等が行われて、三百四十万件の相談件数の中で認められたのが六十八万、認められないのが二百四十九万。いかに間違った通報があるかというのは、アメリカではしっかりとこういう審査がなされたことによって数字が出てきているわけですよ。

 ところが、日本は、今法務大臣が、異議があったら裁判所にという話なんですけれども、子どもの権利条約はそのような規定になっていますか。

森国務大臣 児童の権利に関する条約のことかと思いますけれども、第九条、締結国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する、ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでないと記載されております。

串田委員 今読んでいただいてもわかりますように、法務大臣のお答えというのは、異議があれば裁判所に異議の申立てができますよということをおっしゃったんですが、子どもの権利条約は分離されないのが大原則で、分離をするときには司法の審査が必要であるというのが子どもの権利条約なんですよ。

 そして、昨年二月の国連の勧告に、二十八というところにこう書かれています。児童が裁判所の命令なくして家族から分離される、かつ最長で二カ月間児童相談所に措置され得ることと。これに対して委員会は深刻に懸念しているというふうになっているわけです。

 要するに、子どもの権利条約は、分離をするときには司法審査が必要であるというのが大原則なんです。今、法務大臣は、保護をするのがまず最初、これに異議を唱えるのは裁判所に申し立ててくださいと。そんなことをやっていて、本当に、間違った通告によった保護であるかどうかという判断ができるかどうかということが問題となっているんですね。

 これが、ドイツの場合には、裁判所の審査がなくて抑留できる期間というのは四十八時間、これは緊急の場合だけです。緊急の場合でも四十八時間、裁判所の審査がなくて身柄を、子供を抑留することができる。普通の場合には、そういうこともできなくて司法審査が入る。

 子どもの権利条約はそう書いてあるんですよ。国連もそういうふうに勧告しているんです。なぜこれを法務省はやらないんでしょうか。

森国務大臣 委員御指摘のとおり、平成三十一年二月に、児童の権利委員会における対日審査の総括所見において、児童が裁判所の命令によらずに家族から分離され、最長二カ月間児童相談所の監護下に置かれることになり得ることについて深刻な懸念が示されたことは承知をしております。

 一時保護については、児童福祉法上で定められておりまして、迅速に児童の安全を確保する必要性が認められるため、親権者の意に反する場合であっても行政の判断で行うことができることとなっております。

 他方で、暫定的な措置であるとはいえ強制的に親子を分離する措置であり、長期化している事例も見られることから、児童相談所長等が親権者等の意に反して二カ月を超えて一時保護を行う場合には、手続の適正性を担保する観点から、家庭裁判所の承認を得る必要があるとされています。

 もっとも、この児童福祉法、厚生労働省の所管でございますので、現在、厚生労働省が実態把握に向けた検討を行っておりまして、法務省としても必要な協力をしてまいります。

    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

串田委員 厚労省に任せるんじゃなくて、条約を批准したのは政府なので、国なんですよ。そこには司法関与と書いてあるんだから、法務省が積極的にこれは司法関与していかなきゃいけないということを、厚労省と一緒になってやっていかなきゃいけないんです。予算を組んでいるときに、この予算ないじゃないですかという、党に対する説明が来たときに、これは法改正しなきゃいけないから厚労省と相談しなければならないことなんですという返答なんですよ。一九九四年ですよ、子どもの権利条約。二十六年もたって、まだ相談もしていないんですよ。

 そういうようなことをして、子供を保護しているといいながら、虐待している子供がたくさんいるんだということを認識していただかないと、何かこう、守っているんだというだけを表明されても、これは子供にとって大変気の毒だろうというふうに思っています。

 次に、前にちょっとお聞きをしたんですが、一時保護に関しては義務教育も受けられないということの中で、今、タブレットをみんなに渡すんだという話があって、文科省に聞いたんですよ、これは一時保護の子供にも渡すんですかと。それは文科省とは関連がないので除外していますと言うんですよね。義務教育も受けられない、学校からは神隠しのように連れてこられる、タブレットで教育も受けられない状況になっているわけです。

 これに対して、国連はこういうふうな指摘をしています。今なお多数の児童が基準に満たない施設に措置されていると。だから、判断をする機関も設けられない上に、長期間、基準に満たない施設に措置されているんですよ。

 義務教育も受けられない、そしてタブレットも渡してもらえない。これは、人権という問題から、ぜひとも、義家副大臣、尽力していただきたいんですが、いかがでしょうか。

義家副大臣 お答えいたします。

 昨年十二月、私自身も東京都の児童相談センターを視察いたしました。

 そこには多くの子供たちが一時保護されておりましたけれども、まず、委員の基本認識でわかっていただきたいのは、小学校学区というのは大変狭い。幾つかの小学校学区が集まって今度は中学校学区になって、高校になると全県区になるわけですけれども、必ずしも、児童相談所のセンターに入っている子供たち、それぞれの子供たちは学区の学籍、クラスがありますから、本籍地がありますので、じゃ、そこに仮に児童相談所から通おうとしたときに、委員の横浜とかだったら結構コンパクトですから物理的に可能かもしれませんけれども、例えば片道一時間かかるというようなケースもまた出てくるわけでありまして、また、センターからの意見聴取では、通学途中に保護者に連れ戻されるおそれがある子供もまたいる。そういう中で、一律の対応ではなく個別事案ごとに、児童相談所が学校等と連携しながら、子供たちが適切に教育を受けられるように対応していくことが大事であるというふうに考えております。

 ちなみに、多分、東京都児童相談センターは、極めて体制が整っている中の一つ、全国的に見てもですね。学齢期の子供に対して授業も実際に行われていたところでありますが、さまざまな課題を抱えている子供たちの学習機会を保障するための努力を行っているということは感じられました。

 いずれにしても、人権擁護の観点からも、子供たちがしっかりと学び成長していく、そういう体制を整えるということは重要であると思っております。

    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

串田委員 ここも、結構縦割り的な意味で、厚労省と文科省との間でやらなければいけないということがあるんですが、明石市のように通学を原則にしているというところもあるので、オール・オア・ナッシングじゃなくて、今言ったように、そういう通学できないところもあるとは思うんですが、できるところは積極的にやっていくというようなことを、地方自治体も実践しているところがありますので、そういったところを調査していただいて、取り入れていただきたいというふうに思っております。

 次に、学校が一斉休校になりました。しかし、一時保護所の子供たちというのは、戻れないわけですよね。そうすると、クラスターが発生するという可能性があるんですが、一番危険なのは、児童相談所の職員が、オフのときとかあるいは私生活上の状況のときに感染してしまった後に、その一時保護所の子供たちにうつしてしまうというようなこともあると思うので、非常に気をつけなきゃいけないと思うんですが、一時相談所の職員に対するコロナウイルス対策というのはどのようなことが行われているでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、一時保護所を含めまして、児童相談所の職員につきましては、子供また保護者と接する機会も多いことから、新型コロナウイルスの予防にしっかり取り組むことは重要であると考えております。

 このため、全国の児童相談所等に対しまして、手洗い、アルコール消毒等を行うこと、また、職員でございますけれども、発熱等の風邪症状が見られるときには休み、外出を控えること、また、感染が疑われる職員が出た場合については、速やかに最寄りの保健所などに設置されております帰国者・接触者相談センターに連絡をして、センターから指定された医療機関を受診することというふうな形で徹底しているところでございます。

 また、当然、一時保護所の中での衛生管理も重要でございますし、先ほど申しましたように、仮に保護されているような児童に感染が出たような場合についても、先ほど申しました帰国者・接触者相談センターへの連絡また指示を受けること、また、そうした疑いがある子供がいらっしゃった場合には原則個室に移すことなど、周知をして徹底しているところでございます。

串田委員 レストランにおける、私自身がほかの委員会でも質問をさせていただいているのがあるんですが、つり革をさわった途端にすぐにパンをちぎって食べる人は余りいないと思うんですよね。それが一番危ないと言われているんですけれども。いろいろな人がさわったつり革を、そのままパンをちぎって食べるというのは感染するだろうなと誰でも思うんですけれども、レストランのメニューというのは素手でみんなさわるんですよ。ファミレスなんかに行くと、つるつるした、本当にコロナのウイルスがつきやすいものなのですね。

 つり革に向かってしゃべる人はいないんですけれども、メニューに向かっては、みんな注文するので、飛沫だとかがいっぱいべたべたべたべたつくんですよ。それをみんなが手でさわって、お店の人がまた別の人に渡して、一日じゅうくるくるくるくる回っているのがメニューなんですね。そのメニューの手でパンをちぎって食べるんですよ。

 政府は、きれいに手を洗えと言う。私もやっていますよ、こうやって爪もね。でも、その方法は教えるけれども、洗うタイミングというのを私は教えていないのかなと。

 ライブハウスなんかも、ワンドリンク制なんですよね。密封した場所であるということはそうだと思うんですけれども、大概、ビールか何か飲みながらナッツを食べたりするんですよね。

 そういう意味で、メニューというのは極めて危険だというのを、安保でも、自衛官というのは潜水艦に入ったり自衛艦に入ったりするので、そこで感染すると大変なことになるというので、私は安保でも言おうと思うんですが、メニューというのは消毒をなかなかしない。つり革をさわったときにパンをちぎって食べる人はいないのに、メニューを持ってすぐにパンをちぎって食べるわけですよね。これは、感染経路がわからないとかというのは当たり前で、レストランに行ってメニューを持ってパンをちぎって食べたら、もう感染してくださいみたいなものじゃないですか。

 そういう意味で、厚労省に、メニューに対して感染の危険性があるのかどうか、ちょっと質問通告をしているんですけれども、お答えいただけないでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員からは、メニューのことは大変いつも心配いただいているところでございます。

 新型コロナウイルス感染症につきましては、専門家からは、これまで判明している感染経路は、せきやくしゃみなどの飛沫感染と接触感染が主体であるという見解が示されているところでございます。

 お尋ねのメニューにつきましては、やはり接触感染を予防するために、メニューも含めてですけれども、ドアノブだとかスイッチ、手すりなど手がよく触れるものにつきましては、消毒用アルコールや界面活性剤を含む住居用洗剤等で定期的な消毒をすることが有効であり、特に、小さなお子さんが来店する機会が多い施設につきましては、小まめな消毒を行うことが重要と考えているところでございます。

 このことにつきましては、厚生労働省ホームページの事業者向けのQアンドAに掲載するなど、事業者に向けた周知啓発を行っておりますが、引き続き、さらなる周知啓発、一般の方も含めまして、努めてまいりたいと考えている次第でございます。

串田委員 つり革や手すりというのは、非常に緊張して、大体、手を洗ったり、アルコール消毒するんですけれども、メニューは油断するんですよね。お店の人に注文した後、じゃ、メニューを下げさせていただきますとかいって、物が来るのを待っているわけですよ。その時点で洗いに行く人というのは余りいないんですね。

 これは、非常にメニューというのは飛沫もくっついていると思うので、ぜひ児童相談所の職員の方もオフのとき気をつけていただきたいとか思っていますし、政府も、この点、とにかく口に入れる直前が一番危ないので、そこの部分をもう少し注意していただきたいと思うんです。

 ちょっと質問はかわりますけれども、きょう配付資料をお渡ししましたが、これは、実はフランスの方あるいはイタリアの方から、ぜひ、ちょっと森法務大臣に、フランスの大使がどのような話をしに行ったのか、フランスの大使館はしっかりと子どもの権利条約と面会に関して相談に行ったと。そして、領事からも私、メールをいただきまして、大部分がこの件について相談をしているんだけれども、森法務大臣に関しては一切これが触れられていない、大使は本当に話をしに行ったのかということも言われるわけですよ。

 という意味で、このフランスの大使の本当の訪問の趣旨、これをちょっと明確にしていただけないでしょうか。

森国務大臣 本月三日に、法務省において、ローラン・ピック駐日フランス大使による表敬訪問を受けました。共同親権制度や京都コングレスなど、幅広い意見交換を行ったものでございますが、個別のやりとりの詳細については、相手方との関係もございますので、お答えすることは差し控えたいと思います。

串田委員 相手方といっても、フランスの大使は、この子どもの権利条約について話をしに行ったと、これはちょっと旗が描いてあるので、グーグル、あえて機械翻訳にしておいたんですが、この旗を除くと、子どもの権利条約における面会交流に関して話をしに行ったと大使が書いているし、二月の五日、フランスの上院議会で、子供の面会交流と連れ去りに関する非難決議を、満場一致、三百四十票、三百四十票の満場一致の議決というのは非常に珍しいらしいんですけれども、議決がなされ、二月十九日には欧州議会でこの問題が取り上げられているわけですから。

 これの下に、上川法務大臣のツイッターですけれども、これは、フランスのピック大使というのは、この左側の写真をクリックすると一番左側に全く同じ人が出てきているんですが、このように、子の面会交流や引渡しの問題につきこういう話合いをしたというので、話合いの写真まで載せ、そして返信もしましたと。この返信に関してもしっかりと公表されていて、この問題はしっかりと検討しなきゃいけないと。ただし、欧州のように陸続きのところでは、いろいろと苦難を乗り越えた、いろいろなノウハウがあるでしょうから、そういうものを日本も学びたいという、謙虚な、そういう対応をしているんですけれども、森大臣のところは、表敬訪問で京都コングレスについて話をしたと。まさに、この問題、森大臣、子どもの権利条約や子供の権利を守るという気持ちはあるんですかと、これは誰でも思いますよ。どうして、こういうような形で終わらせてしまっているのか。

 これは訂正するなり削除するなり、何か表明しないと。フランス語で翻訳され、アメリカで翻訳され、全世界の人が今読んでいる状況で、本当に、日本のこの問題を世界が憂えていて、何とかしてくださいというときに、やはりこれは真摯に受けとめているような姿勢を示さないと、どんどん欧州議会もエスカレートしていってしまうと思うんですが、森大臣のお考えをお聞かせください。

森国務大臣 相手のあることなので、個別のことはお答えをしないのが原則なんですが、まずピック大使から京都コングレスのお話がございました。この京都コングレス、国連の刑事司法制度の会議でございまして、我が国において四月に開催されるということで、ここに長い時間を割いてお話をしました。そして、私の方で招待状を出していたものですから、それに対する御回答を、この場で、フランスの司法大臣を出席させますよという正式なお答えをいただいたところでございます。それでございますので、私としては、四月に我が国において行われる京都コングレスについてまずは書かせていただいたところでございます。

 その後、女性活躍や男性の育児休業など、さまざまな意見交換があった後、最後にこの子供の権利についての意見交換もいたしました。そのことについて大使の方が書かれておりますが、大使の方は京都コングレスやその他のことは書かれておりませんで、それぞれがそのときにさまざまあった意見交換の中で一部書いたものかなというふうに思います。

 ただ、私は、これを書いた趣旨が、決して子の共同親権に係るピック大使とのお話合いについて軽視をしているということを意味するものではございませんで、これは、この件に関しても、日仏共同体の設置についてもお話があったところで、外務省を中心に検討しているところでございますので、しっかりと委員の御意見も受けとめて、取り組んでまいりたいと思います。

串田委員 この件についてはまたお聞きします。

 次に、選択的夫婦別姓についてお聞きをしたいと思うんですけれども、平成二十七年の十二月十六日に最高裁の判決がありましたが、この十五人の裁判官の中で、今回の、民法の婚姻をすると姓を変えなければいけないという規定が憲法第二十四条に反していると、違憲であるというふうに表明をした裁判官の数は何人でしょうか。

小出政府参考人 お答えいたします。

 五人の裁判官がそういった少数意見を書かれたというふうに承知しております。

串田委員 国民は余り知られていないかもしれませんが、十五人の裁判官のうち五人が、これは二十四条に違憲であるという判断をしています。そして、その五人のうち、女性は何人でしょうか。

小出政府参考人 お答えいたします。

 少数意見を書かれた五人の裁判官のうち、三人が女性の裁判官でございます。

串田委員 当時の最高裁判所の判決の構成員として、女性は何人だったでしょうか。

小出政府参考人 手元に確たる資料はございませんが、少数意見を書かれた三人の裁判官が十五人のうちの全てだというふうに考えております。

串田委員 要するに、最高裁判所で女性が三人しかいなくて、その三人は違憲だという判断をしているんですね。

 そして、この判決の中には、夫の氏を選択する夫婦が圧倒的に多数を占めているというのは、この判決文の本文の中に書かれているわけです。要するに、この問題を人権侵害だ、憲法違反だと考えているのは、これは夫の氏に変えるのが圧倒的に多いんですから、女性というのが普通に考えると当然だと思うんですけれども、女性の裁判官全員が違憲だという判断をしているんです。十五人のうち、女性の裁判官が過半数を超えていたら、これは判断が変わっていたと思いますよ。

 最高裁判所の長官を指名するのは誰でしょうか。

森国務大臣 内閣総理大臣です。

串田委員 正確には内閣なんですけれども、憲法第六条二項に書かれています。内閣が指名をする裁判官が、今回のこれは、国賠法で不作為という、要するに立法不作為による違憲訴訟なんですね。さんざん法律をつくらないということで国賠を訴えた。その国賠を訴えた裁判官を、男性十二人を選んでいるのは政府なんですよ。そして、その政府が不作為であるかどうかという判断を、任命権者の相手先に対して判断をしていかなきゃいけないわけですね。

 それでも、女性は三人とも、そして男性二名とも、憲法第二十四条にこれは反している、違憲であるという判断をしているんですが、この判断、憲法二十四条に違憲であるという判断は、法務大臣としてはどのような感想なんでしょうか。

森国務大臣 五名の裁判官が現行の夫婦同氏制度を違憲とする意見を述べたことは真摯に受けとめる必要があると認識をしております。

 もっとも、判決においては、選択的夫婦別氏制度の導入の是非については、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であるとの指摘がされたことでありますので、まずは国会における議論の動向等を注視しながら、対応を検討してまいりたいと思います。

串田委員 ここの木内裁判官、最高裁の裁判官が、二十四条を制限するに当たっての判断基準は、合理性があればいいという多数意見ではなくて、同一にしない限り、要するに別姓にしてしまうと公共の福祉に反するというような、むしろ逆に例外を許さないことに合理性があると言えなければならないというふうな判断をして、私はこれは大賛成なんですが、法務大臣として、今後、法律をつくるに当たっては、夫婦別姓、選択的夫婦別姓にしてしまうと何か不都合が生じるというようなことを立証しない限りは、現在のは違憲状態であると私は思っているんですが、法務大臣、最後にお答えいただけないでしょうか。

森国務大臣 委員の立証の意味するところが必ずしも定かではございませんけれども、平成二十七年の最高裁判決は、夫婦同氏制度において、社会の自然かつ基礎的な集団単位である家族の呼称を一つに定めることには合理性が認められること、家族の一員であることを対外的に公示し、識別する機能があることにも一定の意義があること、このような観点から見て、現行の夫婦同氏制度には合理性があり、憲法違反の問題は生じないものと考えております。

 他方で、この判決では、先ほど申し上げましたとおり、選択的夫婦別氏制度の導入の是非について、国会で論じられ、判断されるべき事柄であるとの指摘もなされておりますので、法務省としては、最高裁判決における指摘を踏まえながら、まずは、国会における議論の動向等を注視しながら、慎重に対応を検討してまいりたいと思います。

串田委員 時間になりましたが、呼称によって家族が同一であると。森大臣は通称を使われているんですから、外部から同一性は全然わかりませんよ。

 以上です。失礼しました。

松島委員長 次回は、あす十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十六分散会


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