衆議院

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第18号 令和3年4月28日(水曜日)

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令和三年四月二十八日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 義家 弘介君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君

   理事 奥野 信亮君 理事 宮崎 政久君

   理事 山田 賢司君 理事 稲富 修二君

   理事 階   猛君 理事 大口 善徳君

      井出 庸生君    井野 俊郎君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      神田  裕君    黄川田仁志君

      国光あやの君    小林 鷹之君

      武井 俊輔君    出畑  実君

      中曽根康隆君    野中  厚君

      深澤 陽一君    藤原  崇君

      盛山 正仁君    吉野 正芳君

      池田 真紀君    寺田  学君

      中谷 一馬君    松平 浩一君

      屋良 朝博君    山花 郁夫君

      吉田 宣弘君    藤野 保史君

      串田 誠一君    高井 崇志君

    …………………………………

   法務大臣         上川 陽子君

   法務副大臣        田所 嘉徳君

   法務大臣政務官      小野田紀美君

   政府参考人

   (内閣法制局第二部長)  平川  薫君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小出 邦夫君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 赤堀  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河津 邦彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           度山  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君

   法務委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  山下 貴司君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     山下 貴司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

義家委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第二部長平川薫君、法務省民事局長小出邦夫君、法務省刑事局長川原隆司君、出入国在留管理庁次長松本裕君、外務省大臣官房審議官赤堀毅君、外務省大臣官房参事官河津邦彦君、厚生労働省大臣官房審議官度山徹君及び厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長岸本武史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲富修二君。

稲富委員 どうも、おはようございます。

 立憲民主党の稲富でございます。どうぞよろしくお願いします。

 まず、法案の前に、東京オリパラについて伺います。

 もういよいよ七月二十三日ということで、あと三か月を切っているわけでございますが、この入国に関して、どれぐらいの規模を想定して、いつから、どういう対応をするのか、あるいは、入管職員の増員など、どういった対応をするのか、まず伺います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 東京大会に出場する選手数につきましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会によりますと、上限の数といたしまして、オリンピックは約一万一千人、パラリンピックは約四千人という形で認識しておるところでございます。

 さらに、例えば、いつから、どの空港を使うのかといった点につきましては、候補としては成田空港、羽田空港あるいは関西国際空港等、複数挙がっているところでございますが、現在、その点については調整中というふうに認識しております。

稲富委員 水際対策の強化についてはどのような対応をされるか、教えてください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 現在、特に変異株への対応を含めました防疫措置の更なる対策とか、あるいは、これを踏まえた適切な入国審査等につきまして、内閣官房を中心として、当庁も含めて、関係省庁と検討を行っているところでございます。

 特に、その入国審査に当たりましては、適切な感染防止対策との連携というところが重要になってきます。そういう点におきまして、入国審査官の配置につきましても、その状況を踏まえて適切に対応したいと思っているところでございます。

稲富委員 ごめんなさい、二つあります。

 いつから選手団が来られるという想定をしているのかと、入管職員の増員等はどう考えているか、この二つ、お答えください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 いつからという点は、まだ調整中という形で認識しております。

 ただ、その数と空港が決まりました場合には、その内容に応じた入国審査官の配置を行いたいと思っておるところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。引き続きお取り組みをお願いいたします。

 さて、この法案に関する、ウィシュマさん、スリランカ人女性死亡事案について、まず伺ってまいりたいと思います。

 昨日、我が党の部会でウィシュマさんの御遺族からヒアリングをするという機会がございました。様々なことを御遺族はおっしゃっておりましたが、まず、御遺族への説明ということなんですけれども、どのようにこの事案があったかという説明をされているのかということをお伺いをいたします。

松本政府参考人 お答えいたします。

 お亡くなりになられてから、御遺族との関係につきましては、当庁として、スリランカ大使館を通じて行ってきたところでございます。

 例えば、この事案の内容について説明を受けたいという希望がございましたので、当庁からスリランカ大使館に、例えば中間報告をお持ちして、その内容を御説明するなどしてきているところでございます。

 さらに、御遺体をどのようにするのかといった点についても、大使館を通じて御遺族の意向を確認するなどしているところでございます。

稲富委員 要するに、大使館を通じてということで、直接、御遺族に対して、政府として何らか説明をしているということではなくて、大使館を通じてということであるということですよね。

松本政府参考人 お答えいたします。

 御遺族に対して直接という点については、当庁としては、直接は行っておりません。

稲富委員 そうなんですよね。この点も、少しどうなのかなということを率直に思います。

 続きまして、これは大臣に伺いたいんですが、ビデオの開示については様々議論があります。ただ、当然、御遺族としては、特におっしゃっていたのは、若干私の、まあZoomでのやり取りと通訳を介してのやり取りだったものですから、正確かどうかというところはありますが、やはり三月六日の、この中間報告にもありますように、その当日、反応がないとか、ビデオ検証の中で、声をかけたけれども反応がないとかという時間がかなりあるわけです。この中間報告でいえば、十一時三十五分からのビデオ記録ということで詳細に書かれております。なぜこの間こうなっていたのかとか、当然、御遺族としては、この間のことがやはり、なぜ病院に行けなかったのかなどなど、やはりあるわけでございます。

 ビデオ開示については様々な議論があり得ると思いますが、御家族について、これは開示ということを考えてもいいのではないかというふうに思うわけですが、大臣の見解を伺います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 今回の事案そのものではなくて、一般論としての入管のビデオについての考え方について御説明を申し上げます。

 全体といたしまして、入管収容施設の一般的な性格といたしまして、被収容者には重大な犯罪を犯した者とかテロリスト等も含まれ得るところでございます。したがいまして、入管収容施設に関する保安上の要請は非常に重要でございまして、こうした者の逃走、脱監等を防止するためには、施設の形状や設備、巡回の体制や頻度、監視カメラの撮影範囲や解析度の状況などの具体的な状況は高いレベルの保秘の対象であると考えておりまして、これまでこうしたビデオの内容を外部に開示はしておりません。

 その点につきましては、委員御指摘の御遺族との関係でも当てはまるのではないかと考えているところでございます。

稲富委員 あえて私もかなり、広くという意味ではなく、御家族、御遺族に対してということで伺ったのですが。

 大臣、今おっしゃったのは御遺族にも同じだということなんですけれども、今申し上げたように、その当日、三月六日のこの状況を見て、当然、大使館を通じてその報告を御遺族も見ていらっしゃる中で、このビデオ、少なくとも、その時間のどういう状況だったのかというのを御遺族が見たいということであれば、さっき、テロリストがとか、治安上の問題、公安上の問題とかおっしゃったのは、それはほとんど関係ない話でございますので、大臣、どのような見解を持たれるか、教えてください。

上川国務大臣 ただいま次長の方から説明をいたした、ビデオ映像記録についての出入国在留管理庁の基本的な考え方ということで述べさせていただいたところでございます。

 私自身も、こうした収容施設の設備でございまして、また職員の状況等も撮影したものということでございます、保安上の観点ということでございまして、取扱いにつきましては非常に慎重な検討を要するということで報告を受けているところでございます。

 その意味で、こうしたルールにのっとってしっかりと対応していかなければいけない、そういう取扱いではないかというふうに思っております。

稲富委員 なかなか堅いですね。

 次に、先ほど、御遺族に対しては中間報告を、大使館を通じてということだったんですけれども、これは大臣に伺います。最終報告ですね。

 我が部会にもいろいろ法務省の職員さんに来ていただいて、質問の四番です、いろいろ御説明いただく中で、この中間報告についてはやはり様々な課題があるということが、当委員会の質疑の中で明らかになってまいりました。客観性、公平性の問題もありますし、また、診療情報提供書にあるような、仮放免してあげればよくなることが期待できるということに対して、その記述がそもそも抜けているなどなどですね。後ほど同僚議員からいろいろあると思います。

 いずれにしても、このような中で、最終報告については、やはり私、この審議の中で出されるべきだというふうに思います。この中間報告がある意味こういう疑義が多い中で、法案審議が進んでいくということでございますが、是非とも最終報告をこの中で示していただきたいというふうに思うわけですが、大臣の御見解を伺います。

上川国務大臣 本件につきましては、私、大臣として、今回の亡くなられた方、体調不良を訴えられてから、診療機関、また病院等も含めまして、一連の状況についてしっかりと調べた上で、こうした死亡に至った状況について把握をするということをまず優先をして、そして、できるだけ早く中間報告についてはお出しをするようにということで、スタートから指示をしたところでございます。

 今この委員会の中でも様々な御指摘がございまして、また、そうしたことも含めましてフォローの調査をするということでございますので、できるだけ速やかに最終報告に向けましての調査、さらには専門医の意見聴取なども行うということでありますので、必要な調査検討を進めているという報告を受けているところでございます。

 できるだけ速やかに、この最終報告に向けまして努力をさせたいというふうに思っております。

稲富委員 これは二つありまして、まず、御遺族の方で申し上げますと、なぜ死に至らなければいけなかったのかということ、純粋にその家族の思うことに対して、中間報告ではそれは応えられないわけです、当然。早くそれをお届けすることが必要だと思うことと、当然、これは法案審議の中でのやはり入管に関わる、私は、立法事実に関わることなので、これはできるだけ速やかにではなく、やはりこの法案審議の中で最終報告を出すべきだというふうに思いますので、是非これは取り組んでいただきたいと思います。

 次に行きます。ちょっと大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。

 外国人の受入れについてでございますが、今回の入管法改正のみならず、外国人をどう受け入れるというときに、例えば、特定技能という新しい制度を設けて外国人を受け入れます、今回のような難民の課題についてもやりますというときに、外国人をどれほど受け入れて、社会としてどうやって許容していくかということは、多分、政治家それぞれについても随分と見解は違い、まさにそれが国の形だと思うんですね。

 その中で、私はこう思うんですね。

 外国人を受け入れるというのは、非常にいいこともあれば、これまでと、日本人と違う価値観もあるということで、例えば、特定技能で優秀な、そして日本社会が欲しい人材だけを採るなんという都合のいいことはないわけでございまして、やはり、外国人を受け入れるということは、価値観が違う人がたくさん来るということで、様々な摩擦が生まれるのは当然です。ただ、それを越えてでも外国人を受け入れるという姿勢を取るのか、いや、それはやはりやめておこうと思うのか、ここはかなり個人の差が出てくるところだと私は思います。

 そこで、今ちょっとお手元の資料一を見ていただきますと、この難民認定者数、これのグラフですし、実際の認定率は一%ということでございます。

 基本的に、大臣、外国人の受入れについてどう考えていらっしゃるのか。より、もっと来てほしいと思っていらっしゃるのか、いやいや、なるべく今は、違う価値観、来てもらうと困ると思っていらっしゃるのか。あるいは、難民の受入れについて、認定率一%という状況をどう基本的に考えていらっしゃるのか、まず伺います。

上川国務大臣 外国人の受入れに関する基本的な考え方についての御質問でございます。

 それぞれの議員によりましても、また国民の皆さんお一人お一人につきましても、どのように考えるのかということについては、先ほど委員御指摘のとおり、考え方は様々である、このことについてはそのように思っております。

 私自身も考え方がございますけれども、今、政府におきましては、この外国人の受入れに関する基本的な方針という形で平成三十一年の四月に策定されました出入国在留管理基本計画におきましても明確にしているところでございますが、専門的、技術的分野の外国人の方々については、我が国の経済社会の活性化に資するということで、積極的に受け入れるというものでございます。そして、その方針の下で外国人材の受入れを推進している状況でございます。

 他方、こうした専門的、技術的分野とは評価されない分野の外国人の方々についての受入れということでございますが、ニーズの把握、また経済的効果の検証、さらに、日本人の雇用への影響、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト等、幅広い観点から、国民的なコンセンサス、合意を踏まえて、政府全体として検討していく必要があるというふうに考えております。

 今回、特定技能の制度の在留資格を設けた折にも、こうした方々が地域社会の中でも、生活者としての位置づけということでございましたので、多文化共生、まさに、文化の違う、あるいは価値観の違う方々を受け入れるということに対して、包容力を持って取り組んでいくためのこうした施策につきましては、必ず環境整備ということでセットでつくっていかなければいけない、こうした流れについては、私は一つの方向性を示しているのではないかというふうに思っております。

 さらに、難民の受入れの規模についての御質問がございまして、これの規模について申し上げますと、難民認定というのは、そもそも、国際的な取決めでございます難民条約等に規定されている難民の定義にのっとりまして、申請者が難民に該当するか否かを判断するというものでございます。政策的に受入れ数を増減させるというような性質のものでは、そうしたものの手続ではないということでございますので、枠があって何かというようなものではないということ、これは御理解をいただきたいというふうに思っております。

 真に庇護する必要がある方をしっかりと庇護することができるように、その評価の仕方、いろいろ取組の仕方についても、その審査の体制については、しっかりとその認定ができるように、研修等もUNHCR等の御協力をいただきながら、また、ガイドラインも明確にするという方向性の中で検討してまいりたい、対応してまいりたいと思っております。

稲富委員 もうちょっと、個人、何というか、もちろん大臣としてなんですけれども、個人、まあよく御存じの上でおっしゃっていると思うんですけれども、もう少し本音のところが聞きたかったなと思いました。

 難民認定について、ちょっと事実関係を伺います。

 過去に難民認定がなされた者のうち、三回以上難民申請をして難民認定された方がいらっしゃるのか、その人数について伺います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 これまで三回目以降の申請手続におきまして難民認定された事例は、確認可能な限り、承知しておりません。

稲富委員 現時点で三回以上難民申請している方は何人いらっしゃるのか、お伺いします。

松本政府参考人 お答えいたします。

 委員お尋ねの統計そのものは取っていないんですが、令和二年末時点の速報値におけます送還忌避者数三千百三人のうち、難民認定手続中である者は千九百三十八人でございました。この千九百三十八人のうち、その直前の入国後に三回目以降の申請を行った者が五百四人でございます。

 また、この五百四人は、いずれも退去強制令書が発付されて在留資格を有していない者でございました。

 若干視点は異なりますが、令和二年に難民認定申請を行った者三千九百三十六人のうち、三回目以降の申請者は百七人という状況でございます。

稲富委員 済みません、時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

義家委員長 次に、池田真紀君。

池田(真)委員 立憲民主党の池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、資料要求をいろいろしておりました中で、一部ということで理事懇の方に御提出いただきましたこと、まずは感謝を申し上げたいと思います。

 しかし、私も委員会の中で申し上げていたのは、看護記録は既にあるんだけれども抜けているかどうかの確認、そして、バイタルは看守が行っていたということで、松本次長からも御答弁をいただいているので、その看守記録、そしてあと、モニターは入国警備員が行っているということでしたので、そこも併せてのその記録、答弁でなかなか確認ができない部分、あるいは記録では確認できない部分について求めたわけですので、是非、ビデオも含めて、また引き続き御協議、検討をお願いしたいと思います、委員長。

義家委員長 ただいまの件については、理事会にて協議をいたします。

池田(真)委員 それで、何でここの部分が法案審査の前に必要なのかということで、収容の在り方、今後の新たな制度の監理措置等いろいろあるんですが、やはり、大村の死亡事件とか、この間にも様々問題があるわけで、どこをどう受け止めてどう改善していくのかということも確認ができないとやはりスタートラインに立てないというふうに思っています。

 ここで、安否の、ちょっとここは時間がないので飛ばしますけれども、まず、この間、司法解剖が終わりましたね。司法解剖の結果は出ましたが、要するに事件性はないということでの最終的な御判断でよろしいでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 司法解剖は刑事手続として行われたものでございまして、入管のあの中間報告と、あるいは調査チームを立ち上げて行っている入管庁といたしましての調査とは別物でございます。

 刑事手続について当庁からコメントすることはちょっと困難でございますが、少なくとも、委員御指摘の、事件性がないというような形での判断がなされたということは承知しておりません。

池田(真)委員 まず一つずつの確認ですので、これで結構でございますが。

 まず、情報公開をこの間にもいろいろされていないこととか、記録の中でも確認できる範囲ですが、記録の中でしか私も確認できませんので、本人への同意とかインフォームド・コンセントとかプランについての確認、あと、支援者がいても仮放免の許可がない等、いろいろ、ここが何でかなと思うことが、この間の質疑の中でもなかなか明らかにならない、すっきりしないという状況があります。

 こういう状況の中で今事件が起きましたけれども、職員さんたち、そもそも職員さんたちのヒアリングというのはされているんでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 当庁の調査チームにおきまして、名古屋入管職員の聞き取り調査は行っております。

池田(真)委員 そうしますと、その職員さんたちの聞き取り調査の結果、報告というのはどこにあるんですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 中間報告の内容も、職員からの聞き取り調査の内容を反映させた内容となっております。

 さらに、現時点におきましても、職員の聞き取りというのは、並行して、継続して、最終報告に向けて行っているところでございます。

池田(真)委員 じゃ、今次長がおっしゃっている聞き取りというのは、多分、私との聞き取りの話とはちょっと別の次元かなと思います。事実確認がどうなっているのというところの、この記録の基となるものだけを聞き取ったというのが多分次長のされていたことだと思うんですけれども、私は、職員さんたちが日頃どういう環境の中でどういうところに困っていて、そしてどういう体制が望ましいのかとか、どういうものが求められているのか、そういったところがどう認識されているのかなと。

 そして、もっと言えば、人が目の前で亡くなっていくのをずっと、ずっと御覧になられていたんですよ。物すごく心理的にケアが必要な状態だと私は思います。それとも、そのことを感じなくなるぐらい、麻痺するぐらいの感覚になっているのかどうか。それが私はちょっと確認をしたいところなんです。

 犯人捜しになりがちなんですよ、組織内でやると。そうではなくて、そもそも、新たな制度に変えようということにもなっている中で、極めて重要なところです。

松本政府参考人 お答えいたします。

 職員への配慮の必要性の御指摘、ありがとうございます。

 実際、調査に携わった職員は、かなりストレスを感じているところでございます。聴取等に当たって、我々もその点は非常に留意して、かつ、ケアもお願いしているところでございます。

池田(真)委員 委員会ではここまでにしたいと思いますけれども、また改めてヒアリングさせていただきたいと思いますので、応じていただきたいと思います。体制の整備ということで、今後、またヒアリングさせていただきたいと思います。

 さて、この件に関して、スリランカのことでちょっとまた質問させていただきますが、名古屋入管の中で、この方、中間報告で言いますと七ページ目になりますが、一月二十九日に手紙を書かれているんです。それで、一月三十日に提出をされています。これは、迷惑だと言われたことなのかどうかは分からない、中身は分かりませんけれども、提出をしているんですが、この提出というのは、入管内にある提案箱なのか、それとも職員さんに手渡しをして、入れてくださいねと言ったのか、その受渡し状況をひとつ教えていただきたいと思います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の手紙につきましては、職員に直接ではなくて、提案箱に投函されていたものでございます。

池田(真)委員 その提案箱ですが、これは開封をされたのが三月の八日、視察委員会で開封されたというふうに記録になっています。これは遅過ぎませんか。通常ですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 この提案箱への投書につきましては、職員が直接取り扱えないことになっております。定期的にそれを委員会にお届けして、委員会におかれてその中を確認されるという運用になっておりまして、その日が御指摘の日だったという状況でございます。

池田(真)委員 では、この委員会は年に何回開催されていますか。

松本政府参考人 申し訳ありません。今ちょっと手元では分かりかねますので、ちょっと確認をさせてお答えさせていただければと思います。

池田(真)委員 事前にレクで伺ったときは、年に一回程度というふうに伺っておりましたので、事実確認については改めてまた後日お願いしたいと思います。

 要するに、私が言いたいのは、この方の、提案箱、心の叫び、本当に届いていたのかな、そこの部分なんですよ。その制度の問題点、あるかと思います。

 そして、もう一点。

 視察委員会での開封でした。今回の調査報告に当たって、この視察委員会の方々がメンバーで、第三者評価というか第三者の位置づけで入られているかと思います。そのことによって、名前が出されない、公開をされないという状況になっていますが、この視察委員会にしたというのは大臣の指示でしょうか、松本次長。

松本政府参考人 お答えいたします。

 外部の方々五名につきまして視察委員会にというのは、入管庁として判断したということでございます。

池田(真)委員 その判断の理由はどういったところでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 まず、視察委員会のメンバーであられる方々、あるいはOBの方といいますのは、視察委員会の活動を通じて収容施設の実情等についての一般的な知識は当然お持ちであるということ、さらに、それぞれの属性、弁護士あるいはお医者さん等々、多様な属性の方々がいらっしゃる、さらに、その弁護士の先生あるいはお医者さんというのは日弁連であったり日本医師会からの推薦である。そういう方々でありますので、中立公正、公平性という点でも適切だと判断した次第でございます。

池田(真)委員 しかし、その視察委員会の体制で、繰り返し収容施設の中での死亡事案や不適切事例が後を絶たないということでありますので、今回の事案について新たな法案を審議入りするに当たって、本来であれば、もっと国民に信頼性の持てる体制というか第三者を置くべきだったのではないかなというふうに私は思っています。これも一つの疑念を抱くところにつながってくる要因になりますから。

 それと、もう一つお伺いしたいんですが、このお手紙を受け取って、視察委員会はどのような対応をされたんですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 この手紙の内容を視察委員会として把握されまして、ちょうど当庁において調査が始まっていた時期でございます。当庁に連絡があり、我々の申出でその写しをいただいたという状況でございます。

池田(真)委員 その写しの中身を教えていただけませんか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 申し上げます。

 御指摘の文書は、一月二十九日の夜に作成されて三十日に投函されたものでございまして、その内容といたしましては、亡くなられた方は吐瀉物に血が混じっていたことを男性職員から迷惑な人だと言われた旨及び病院に連れていってもらえない旨を訴えるような内容だったと認識しております。

池田(真)委員 それを受け止めて、視察委員会の方々はどのように対応されるということなんでしょうか。この方の場合はもうお亡くなりになっていたわけですけれども。

松本政府参考人 お答えいたします。

 手続といたしまして、我々が行っている調査結果、これは最終報告でございますが、これを視察委員会にお示しをして、視察委員会としてその点についての御意見を受けるという流れを予定しております。

池田(真)委員 この方は亡くなられましたけれども、その手続は続投して対応されるということでよろしいでしょうか。確認です。

松本政府参考人 お答えいたします。

 そのとおりでございます。

池田(真)委員 これも報告書と併せて早急にお願いをしたいと思いますが、通常だといつ頃でしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 最終報告書の取りまとめと同時に、視察委員会にはそれをお渡しして、御説明を予定しております。視察委員会の御見解、御指摘も、可能な限り早くいただきたいと思っているところでございます。

池田(真)委員 早くお願いしたいと思います。

 処遇内容もちょっと確認をしたいんですが、ちょっと先に、優先をして別の話題に参りたいと思います。

 先ほど稲富委員も申し上げましたとおり、昨日、御遺族の方とZoomでいろいろお話を伺うということをさせていただきました。大変、まだまだ受け止め切れない、そういう状況の中で、深い悲しみの中でインタビューに応じていただきました。

 まず初めにちょっとお伺いしたいんですが、大臣、この方々、御遺族、来日をされるということですが、お会いする予定は現段階であるのでしょうか。

上川国務大臣 冒頭から、この調査に当たりまして、私自身、指示をするに当たりましての、基本的に思いを持って取り組んできたところでございますが、やはり何といっても異国の地で亡くなられた方でございますので、そのお嬢さんを送り出している本国で、今のような悲しいことになったということについて計り知れない悲しみを抱えていらっしゃるということ、このことは本当に心からお悔やみを申し上げたいというふうに思っております。

 大切なことは、どのような状況の中で体調不良のところから過ごされたのかということについて、医療の面で特に大切でございますので、そこを客観、公正にしっかりと調査をするようにということ。そして、そのこと自身も多分御遺族の方も知りたいと思いを持っていらっしゃるということもありましたので、そのようなことで、今、中間報告ということで、できるだけ、不十分であるとは、今そのような御指摘もありますが、しかし、なるべく早くお出しをする。そして、最終報告に向けまして、しっかりと様々な、更にフォローアップしながら対応していくようにということで、当初からそのような指示をしてきたところでございますので、一日も早くその最終報告の結果が出るように、私としても督励をしてまいったところでございます。

 今、ウェブ会議でヒアリングという形ででしょうか、なさったということでありますが、今、この調査をしっかりとしていくということが極めて大事だというふうに思っております。

 公正性というのは、それに対して皆様の方からどう思われるかということもありますけれども、ベストを尽くして、第三者の目線を踏まえた形で、また、委員会における御意見等もしっかりと参考にしながら調査を更に進め、そしてできるだけ早いタイミングでお出しすることが御遺族の方に対しても大切な責任ではないかと思っておるところでございます。

池田(真)委員 私の質問は極めてシンプルで、お会いする予定が現段階であるかどうかということでした。

 もう一度確認させてください、それのみ。

上川国務大臣 今、調査の進行中ということでございますので、直接お会いをしてということについては、必ずしもタイミングとしては適切ではないというふうに考えております。

池田(真)委員 分かりました。

 そうしたら、じゃ、中身について少しお伺いしていきたいと思いますが、松本次長、スリランカの方の外務省からこの御遺族の方々は何か紙を渡されたというふうに言っていました。時間とか、どういうことがあったのか。これというのは、私たちに今配っていただきました中間報告と同じものかどうか、確認させてください。

松本政府参考人 我々がスリランカ大使館にお渡ししたものは中間報告そのものでございますので、同じと思われます。

 あと、済みません、先ほど御答弁できなかった視察委員会の昨年度の開催状況でございますが、会議の開催回数が、東の視察委員会が四回、西の視察委員会が四回で、視察を行った回数が、東が九回、西が八回ということでございます。

池田(真)委員 この中間報告書と、私たちが見ているものと同じものを御覧になられて、日本側から一切説明がないということで泣いておられました。どう、いつ説明をする予定なのでしょうか、次長。

松本政府参考人 お答えいたします。

 最終報告の取りまとめにつきましては、その点についてもしっかりと御説明する予定でございます。

池田(真)委員 最終報告までは説明するつもりがないということでよろしいでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 現在も、御遺族の方、直接ではございませんが、スリランカ大使館と定期的に打合せ等も行っており、かつ、現在は御遺族の方の依頼を通じて弁護士の先生がついておられると認識しております。

 そのような方々からの御要請等も踏まえて、適切に対応したいと思っております。

池田(真)委員 やはり、日本側からの説明がないということと、多分私たちと同じと今次長はおっしゃったので、これを御覧になられているだけで、時間が書いてあるけれども対応がないとか、そういうところがどうなっているのかということはおっしゃっております。そして、まず、そもそも、いろいろな人から、亡くなったんだ、その方は亡くなったんだという形で聞くけれども、実際に会っていないから受け止め切れない、本当なのかどうか分からない、一刻も早くそれを確認したい、今そういう思いです。

 ですので、五月の一日に来日をされるということでございますから、そこの部分で確認、御対面をされた場合に、その後は、やはりこれが真実なのかどうなのか、真実を知りたいということなんですよね。ですので、ビデオだとか、あらゆるその他の記録を求めていらっしゃいますが、これについては対応していただけますか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 御遺族の方々が来日された場合の対応、御意向等も踏まえて、当庁としても適切な対応を取りたいと思っております。

 ただ、その中で、御指摘のビデオにつきましては、これまで申し述べたような理由から、御遺族の方にお見せするのは適切ではないと思っているところでございます。

池田(真)委員 そうしましたら、是非一緒に、一緒にというか、直接お話を伺っていただけますかね、代理人の方を通してでも結構ですけれども。

 ビデオというものが見せられないような処遇をしていたというふうに受け止められても仕方がないということでよろしいでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 御遺族の方が来日された場合に当庁として御遺族の方に説明をする、そこは、代理人の先生あるいはスリランカ大使館とも今後調整して、適切に対応したいと思っているところでございます。

池田(真)委員 説明はするということなので、十分御意見も伺っていただきたいというふうに思っています。

 もう一つ、どうしてもこの場でお伝えしておきたいと思いますが、やはり、同じようなものを見て、あとは報道等も含めてなんですが、この方はそもそもうそをつく人ではない、うそをついているかのような捉えられ方をしているのではないかというところに、本当に泣きながら訴えていらっしゃいました。だって、うそで血は吐けないでしょう、一〇〇%もう治療が必要な状態だったじゃない、それを何でうそだと言うんだというようなこともおっしゃっていました。

 とにかく、今回いろいろなものを御対応いただけないその理由というものがプライバシーと名誉についてということで、我々に対してということでありますが、御本人の名誉にとって何が大事なのかということも併せて直接伺っていただきたいんです。

 次長がお答えできれば、次長、どうでしょう。

松本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、亡くなられた方が何かうそのようなことを言っていたというような点につきましては、済みません、病気の点で、病気じゃないかのような点で言われているんじゃないのかというようなところは、外部の精神科の先生による診療情報提供書のことを言っておられるのかちょっとよく分からないんですが、我々として、名古屋入管の職員が病気じゃないというような形で認識していたというような状況ではないというふうに現時点では認識しているところでございます。

池田(真)委員 十分に直接お話を伺っていただきたいと思います。

 そして、Zoomでもできますから、大臣、今は調査を任せているということだと思いますので、今の段階は。でも、今、とにかく責任者に会いたいんだ、責任者から聞きたいんだということを御遺族は求めていらっしゃいます。そういう思いがあるということは受け止めていただいて、どこかの時点で、どういうふうに思われるのか分かりませんけれども、一言、御意見をいただきたいと思います。

上川国務大臣 ただいま出入国在留管理庁の方から、今調査をしているところということでございますが、御遺族の方々の思いということについては大変大事なことだというふうに私は思って、調査も指示してきたところでもございます。

 法務省としての支援をどうするか、先ほど、スリランカ大使館との関係もございまして、現時点で申し上げるということはできませんが、その時点時点の状況を踏まえまして適切に判断することといたしたいというふうに思っております。

池田(真)委員 極めて重たい、人が亡くなっているわけですから、是非そのことを私たち委員全員も受け止めて、これはきちっと対応していかなければいけないというふうに思っていますので、是非よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

義家委員長 次に、松平浩一君。

松平委員 立憲民主党、松平浩一です。よろしくお願いします。

 今までの議論を聞いていまして、ちょっとそもそものところから確認させていただきたいなと思いました。

 総論として、そもそも、憲法上、外国人に人権はどのように保障されるんでしょうか。

平川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの憲法第三章に規定する基本的人権の外国人に対する保障については、最高裁は、昭和五十三年十月四日大法廷判決におきまして、憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対してもひとしく及ぶものと解すべきであるとしているところでありまして、政府としても同様に認識しているところでございます。

松平委員 それでは、権利の性質上保障されるのかというところで、憲法十八条は人身の自由を定めています。皆様御存じのとおりと思うんですが、一応、資料一として配っています。「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」ということです。

 こちら、人間の尊厳に反する一切の自由拘束を否定して、人格の根源ともいうべき身体の自由を広く保障した規定です。これは、人としての非常に重要、中心となる基本的人権です。

 この人身の自由は、外国人に及ぶんでしょうか。

平川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの憲法第十八条の保障は、先ほどお答えしたとおり、外国人にも及ぶものと考えております。

松平委員 それでは、人身の自由に関連するものとして、在留の自由といいますか、在留資格に関することというのは最高裁でも指摘があったと思うんですが、その辺はどのように考えていらっしゃいますか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の最高裁判決はいわゆるマクリーン判決と思われますが、外国人の入国、在留というものは国家主権の問題である、そこについての外国人の権利というものはないというような判決内容だったと認識しております。

松平委員 今、そこにおいての外国人の権利はないとおっしゃいましたけれども、そういう意味でいうと、入管法で全件収容主義を取っている、原則ですね、というのは憲法の範囲内であり、人身の自由に反しないという理解でよろしいんですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、入管法の現行法で取っております全件収容主義という点につきましては、委員御指摘の内容での憲法違反ではないというふうに認識しているところでございます。

松平委員 今、入管庁の方でおっしゃっていただいた見解というのは、マクリーン事件によって立っているということなんですけれども、じゃ、そもそもこのマクリーン事件はどうなのかというところ、私、二つ指摘させていただきたいと思います。

 このマクリーン判決は、非常に批判も多い判決なんですね。本邦に在留する外国人については、入管法に基づく外国人在留制度の枠内でのみ憲法の基本的人権の保障が与えられているにすぎないということなんですけれども、やはり、文字面を見ると、入管法の範囲内で在留、つまり人身の自由が保障されている、つまり人権の範囲を国会で自由に決められるという、冷静に考えると結構すごい判決でして、非常に批判も多いところなんです、今では。

 ですので、最近の在留特別許可であるとか仮放免に関する裁判例はちょっと変わってきていまして、このマクリーンの判決に無批判に従うというわけじゃなくて、事態の深刻さですとか個別のケースに応じて判断する、そういった裁判例が結構出てきているんです。平等原則であるとか比例原則であるとか、そういうところから行政裁量を縛るケースが結構出てきているんです。

 裁判官出身の最高裁判事だった泉徳治さんは、二〇一一年二月号の「自由と正義」の中で次のようにおっしゃっているんです。マクリーン基準の余りに緩やかな表現に便乗して、裁量権統制の諸法理を踏まえた個別審査を実質的に回避するようなことは許されない、個別審査も憲法そして条約等に従って行われなければならないとおっしゃっています。

 やはり時代の流れで、裁判所でさえ変わってきているんですね。マクリーン事件の判決が出たのは昭和五十三年なんです。もう四十年以上たっています。この判決が出たときから、国際的な外国人の人権保障の枠組みというのは、本当に、やはり四十年もたつと変わってきています。この判決が出たときは、やはり国民国家という枠組みが結構強かったです。ただ、今では、例えば欧州では、欧州人権条約というものがあって、欧州人権裁判所というものが活発に判断しています。国家の枠組みを超えて人権保障が国際化している、そういう状況なんです。

 だから、私、人権に敏感にならなければいけない法務省が、いつまでたっても四十年前の判決に依拠している、そういうことではいけないんじゃないかと思っています。私、そのうち、このマクリーン判決自体、判例変更されるんじゃないか、そのぐらい思っています。

 ですので、そういった意味で、きちんと、最近の人権に関する動向、裁判に関する動向も法務省としては追っかけていってほしいなと思います。それが一つ目です。

 もう一つは、マクリーン判決の具体的な中身なんですね。資料二としてお配りしました。マクリーン判決の下線を引いたところです。「国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができる」、ここですね。ですので、マクリーン判決に依拠するとしても、今言ったように「特別の条約がない限り、」と明言しているんですね。

 この判決が出てから四十年の間に、いろいろな条約が締結されてきました。私が前回やった自由権規約も、この判決が出た後なんです。ほかにも、拷問等禁止条約、それから難民条約、子どもの権利条約など、いろいろな国際条約が締結されてきました。したがって、特別な条約があるので、外国人を受け入れる場合に、いかなる条件を付しても自由だ、国会の裁量なんだという話ではない、全件収容主義を取るというのは自由にはできないんだと言っていいと私は思います。

 だから、このマクリーン判決の、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎないというところだけを取って、文字面だけを取って、全件収容主義、大丈夫なんですとか、令状審査は要らないですとかというような結論を安易に取ってはいけないと私は思います。

 大臣、この判決が出てからのこういった時代の流れというものを踏まえて、外国人の人権、在留資格の在り方についてどう思われましたでしょうか。

上川国務大臣 まさに時代が大きく動いている。そして、今、交通手段も非常に発達していますし、昔は船の時代でしたから、誰もが移動することができない。そこを、飛行機ができ、また今はもうジェット機、また宇宙に行く時代となりました。宇宙ではもう国際性が、全て国籍を問わず、私たちの代表として行っているわけであります。そういう、時代が大きく変わっているということでありますので、私たち自身も、その当時の感覚とそして今の時代の中の物の考え方というのは、当然考え抜くということが必要ではないかと思います。

 今、委員の方から条約のお話もありましたが、これも、国家の枠組みの中で、国民国家としての国家としての協議をしながら、国連を中心にした国際機関の中で、各国間がいろいろな考え方を寄せ合って作られた条約であります。そのことを国の中でどのように展開するかも含めて大変重要な動きになっているところでありますので、絶えず、そうしたことについての見識とそして感覚を持って臨んでいくということは、これは大変大事だというふうに思っております。

松平委員 大変大切だと思っているとおっしゃっていただいたのであれば、やはり今回の改正、いま一度検討し直すという勇気も必要なのではないかと思います、大臣。

 次に行かせていただきます。

 前回の質疑で、恣意的拘禁作業部会による改正審議結果第五号について、外務省から、人権理事会の意見ではございません、我が国に対して法的拘束力を有するものではございません、文書を見て適宜対応するということだと思いますと答弁いただきました。それで、驚きは、当省からそれに基づいた対応をお願いしているということはございませんとおっしゃられたんですね。つまり、対応するかどうかは各省庁にお任せするという立場でした。本当にその姿勢でいいのか、私は疑問に思いました。

 というのは、二〇一六年九月三十日に人権理事会で採択された決議というものがありまして、資料三でお配りしたんですけれども、これは我が国も共同提案国になっているんです、共同提案国。提案しているんです。賛成どころじゃないんです。

 そこに、丸で囲ったところですけれども、「関係国に対し、作業部会の見解を考慮し、必要な場合には、自由を恣意的に奪われた者の状況を改善するための適切な措置をとり、そのとった措置を作業部会に報告することを要請し、」と書いていまして、次のページですけれども、「すべての国に以下のとおり呼びかけ、」呼びかけですね、「作業部会の意見やアピールに十分な考慮を払うこと」、そして「自国の法律、規制、実務が、関連する国際基準および適用される国際的な法律文書に引き続き適合するよう、適切な措置をとること」と、作業部会の見解に考慮し、適切な措置を取らなければならないとして、他の国にも呼びかけるとまで言っているんです。

 それだけじゃないんですが、二〇一九年の一月に出された文書もあるんです。これは、我が国が国連の人権理事会の理事に立候補した際の公約なんです、公約。ほかの国に、この公約を読んで選任してくださいねという文書です。そこに、また四角で囲った部分ですね、「日本は、国連人権高等弁務官事務所や特別手続との有意義で建設的な対話を重視しており、今後も協力を続けていく。」と言っているんです。

 先ほどちょっと、前回の質疑で議論させていただいた改正審議結果五号も、これも特別手続なんです。この特別手続に、有意義で建設的な対話をするという誓約までしているんです。それを、対応するかは各省にお任せするという答弁で本当にいいのですかと私は言いたいと思います。余りに国外向けの態度と国内向けの態度が違うんじゃないかと思います。

 ここの説明をお願いしてもいいですか。

赤堀政府参考人 お答えいたします。

 まず、配付いただきました資料でございますが、仮訳と書いていただいておりますが、この仮訳は当省作成のものではないということは前提でお答えいたします。

 御指摘の人権理事会決議でございますが、これの主眼は、恣意的拘禁作業部会のマンデートを延長するものでございます。二〇一九年に更にマンデートを延長する決議がございますが、そちらはコンセンサスで採択されておりますが、我が国は共同提案国にはなっておりません。

 パラ三、パラ五は御指摘の記述がございますし、パラ四には、作業部会が基本原則やガイドラインを詳述する取組に留意する旨が記載され、作業部会が詳述する取組に留意する、各国がですね、と記述されております。

 先般の御質問は法的拘束力に関するものでございましたので、そういうことでお答えしたわけでございます。また、この人権理事会の決議自体も、法的拘束力ということであれば、ございませんので、法的な義務というものはございません。

 その上で、そういった性質のものだから、恣意的拘禁作業部会の改定審議結果、これは日本が名宛て人ではございません、全ての国に対して発出されているものですが、これを一律に全て無視してよいと申し上げたわけではございません。その内容によっては、関係省庁において参考にできる点が含まれていることもあると考えております。

 このような認識の下、外務省といたしましては、今後も、関係省庁に対して、必要に応じ関連する情報提供を行っていくこととしたいと考えております。

松平委員 必要に応じて関連する情報提供を行っていくということで、じゃ、今回の改正審議結果五号については、必要だと思われたということでよろしいんですか。

赤堀政府参考人 お答えいたします。

 必要に応じ情報提供すると申し上げましたが、今回の件につきましては情報提供させていただきました。

松平委員 だから、必要に応じて情報提供するということは、情報提供させていただいたということは、必要があると判断したということでよろしいですよね。

赤堀政府参考人 お答えいたします。

 そのように理解していただいて結構です。

松平委員 では、法務省としてお聞きします。

 改正審議結果第五号パラグラフ二十五、二十六の指摘があります。これは資料を用意してこなかったですけれども、一応読みますね。

 パラグラフ二十五、出入国関連の理由による収容期間の上限は法律で、収容期間の上限です、法律で定められているべきであり、かつ、このような収容は最低限の期間のみ収容されるべきである。

 パラグラフ二十六、出入国管理関連の理由による無期限の収容を正当化することはできず、恣意的とされる。

 こちら、外務省は必要と思ったということです、検討されましたか。いかがでしょう。

松本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の記載等があることは当庁としても認識しているところでございます。

 その上で、御指摘の内容は、法的拘束力を有するものではございません。さらに、収容の上限を設けました場合には、その上限が来た場合には、逃亡のおそれが極めて高い者等につきましても収容を解かざるを得なくなりまして、このような実態はよろしくないというような判断をしているところでございます。さらに、収容に関しましては、司法審査を受けるという手続も保障されているところでございます。そういう点からの判断で改正法案の内容も組み立てているところでございます。

松平委員 残り五分を切ってしまったので、次のトピックに行きます。

 二〇二一年三月三十一日付で、国連人権理事会の特別報告者から、人権理事会特別手続の書簡というものを政府に宛てて出された。これは大臣、御存じだと思うんです。なぜかというと、記者会見をされているからです。

 そこで何とおっしゃったかというと、我が国から事前に説明を聞く機会があれば、立案の背景、内容、その適正性につきまして正確に理解をしていただけたと考えておりまして、一方的に見解を公表されたことについては抗議をせざるを得ないと考えていると述べられているんです。

 この大臣が抗議をせざるを得ないと言われたことに対して、私は、ちょっと立ち止まって考えていただきたいと思っているんです。

 これはエセックス大学の藤田早苗さんの御指摘なんですけれども、この特別報告者の手続は、人権理事会で二〇〇七年六月に承認されたコード・オブ・コンダクトというものに基づいて行われているんです。このときも、日本は理事会の理事国として、このコード・オブ・コンダクトを承認しているんです。だから、日本は手続を知らないはずがないんです。

 それで、特別報告は他の国にも同じように出されているんです。他の国に同じように出されたときに、日本は理事国として、一方的なのはおかしいと言って抗議したことはないんですよね。だから、自分が出されたときだけ一方的だと言って抗議するというのはどういうことなのかと思ってしまうんです。

 我が国は、人権理事会の設立以来、長い間、理事国なんですよね。この特別報告者のポスト、この制度は、我が国がつくった張本人なんです、担い手なんですよね。そこを忘れてはいけないと思います。

 あと、この特別報告は、単なる批判じゃないんですよね、助言なんです。建設的対話を行うためのきっかけなんですよね。だから、いきなり抗議をせざるを得ないと言うのは、ちょっとけんか腰になっているのはどうなのかと思うんですよね。

 例えば、他の国ではどう扱っているかというと、やはりちゃんと、きちんと対話しています。

 イギリスでは、二〇一五年に、監視法案に対して、プライバシーの権利に関する特別報告者が厳しい批判をしたんです。その後、イギリス政府は法案の一部を改正しましたよ。

 フランスでは、二〇二〇年の十一月、治安対策法案に対して、特別報告者が強い懸念の書簡を出したんです。それで、フランス政府は法案の一部を修正しました。

 二〇二〇年、去年、ブラジル政府は、やはりいろいろ問題が指摘されていたフェイクニュース対策法案の審議に際して、特別報告者をブラジルの国会に招致して意見を求めたい、そういう要望までしているんです。

 だから、この特別報告者は、法案の内容をよりよくするために助言をしている、そう受け取っていただきたいんですね。

 私、やはり日本国内向けと国外向けの、国際社会向けの説明をちょっと変えている、二枚舌なところがあると思うんです。こういった日本の態度は、二〇一四年の自由権規約の日本報告書審査のとき、議長が、日本は何度も同じ勧告を出されても従おうとしない、日本政府は国際社会に対して反抗しているように見える、そこまで言われているんです。二〇一四年の議長のこの指摘、私、これは的を得ていると思いますよ。案の定、やはり今回も即座の抗議反応ですから。

 大臣、やはり対話をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

上川国務大臣 先ほど委員から建設的対話というふうに御指摘がございました。大変重要なことであるというふうに思っております。

 特に、国際社会におきましては、それぞれの国がよって立つ文化やまた環境が違いますので、どういう仕組みの中で私たちの制度が時代の中で積み上げられてきたのか、その上で今どうあって、そしてこれからどうあるべきか、まさに法案の審議というのは、そうした過去とそしてこれから将来を展望しながらということになりますので、私は、その意味では、今回の新しい法案でございますけれども、このことについてまず事前の対話ということをしていくべきだったな、こんなふうに思っております。

 出てきた書類を見て、形式的にそれを審査する、助言をするということで、大変そこは前向きに取っていきたいというふうに思っておりますが、ゆえに、だとするならば、その前にやはりその背景とかというものをしっかり対話をしていく、そしてまた、それに基づいて建設的な、先ほど御助言というふうにおっしゃったわけでありますが、そういったものを踏まえて、対応策また運用の改善、こういったことに建設的につなげていく必要があるのではないかというふうに考えておりますので、そういう意味で、建設的な対話というのはこれからますます必要であるというふうに思っております。

 今回、共同書簡につきましては、我が国の入管法の改正案、これにつきまして、移住者の人権保護の幾つかの点につきまして国際人権基準を満たしていないようである旨の懸念という形で示されているものと承知をしております。先ほど来申し上げたとおり、事前に説明を聞いていく、そうした機会をいただいていましたならば、この法案そのものの内容また適正性につきまして正確に御理解をいただけたというふうに考えておりまして、この点、今年の四月六日でありますが、国連人権高等弁務官事務所に対しましてその旨を申し入れたところでございます。

 なお、その際、国連人権高等弁務官の事務所様からは、日頃から特別報告者の方々に対しまして、市民社会側だけではなくて政府側の意見にも耳を傾けるように促していらっしゃる、こうした反応があったと承知をしているところでございます。

 もちろん、国際社会との対話、国際社会というのはいろいろなマルチステークホルダーでありますので、極めて重要であるというふうに思っております。改正法案のことにつきましても、御指摘の特別報告者等も含めまして国際社会の理解を得るということが大変大事であるというふうに思っておりまして、丁寧に説明を尽くしてまいりたいというふうに思っております。また、国際社会からの御意見に対しましても耳を傾けながら適切な運用を図っていくということにつきましても、大切にしてまいりたいというふうに思っております。

 御指摘の共同書簡ということでございますが、関係省庁ともしっかり連携して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

松平委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。二度目の質疑になります。

 法案の中身を一つ一つ、これだけ物事が決まっていない、手続も決まっていない、程度も決まっていないような法律の中身ですので、一つ一つ詰めたいと思いますが、その前に、やはり名古屋の入管のことについては、話さなきゃいけないというか、質疑しなきゃいけないと思うんです。大臣に当てるわけではないですが、すごく大事なんですよ、やはり。

 これは、入管の信頼、入管が信頼を置ける組織かどうかということが非常に大事で、それがなぜなら、現行法もそうですし、改正法案もそうですけれども、多大な裁量を入管に持たせることになるということ、だからこそ、その信頼が置けるのかどうかということが非常に大事だということです。

 その信頼を測る意味で、今回のスリランカ人女性が亡くなった件に関してどのような対応をしているのかということが、その入管の信頼を測る上で非常に大事だと思うんです。

 その中で、前回の質疑で、外部の精神科医の方が、仮放免してあげればよくなることが期待できるということを診断書の中、報告書の中に書いているにもかかわらず、中間報告には載せていなかった件を指摘をしました。

 当時、松本次長は何を言ったかというと、そのスリランカ人女性の名誉とプライバシーがあるので載せなかったということを答弁されましたが、その日のうちに藤野委員の方から、いやいや、中間報告そのもののたてつけ、成り立ちが、プライバシーはあるけれども、今回は、国会の要請であったり、スリランカ側からの御了解もいただいた上で、事実を明らかにしていくことなんだと、中間報告自らが、プライバシーよりも事実解明のことを自ら述べていたと。

 その上で、昨日、わざわざレクを受けましたけれども、参議院の方で、新たに松本次長が御答弁をされました。

 大臣にこれは聞くわけじゃないですけれども、お手元に1として配っています。与党の先生方も是非見てください。そんなに難しい話じゃないです。

 僕が何でこんなにこだわるかというと、ちゃんとした説明がなければ、法務省、入管は、自分たちの都合の悪いことを、亡くなった女性の名誉やプライバシーにかこつけて隠したんじゃないかという疑念が払拭できないからですよ。ちゃんと説明してほしいんです。

 これは法案に賛否の以前の問題ですよ。入管がしっかりと公平中立、公正に執務をやって、何か起きたときもしっかりとした向き合いをしているかということは、これは与党も野党も、賛成、反対も関係ないですよ。なので、この一番、一枚目にやっています。

 大臣、これは聞かないです。ちょっとよく見てください。聞かれていると思いますが、昨日、松本次長が参議院で何を答弁されたか。

 さっき言ったとおり、プライバシーと言ったけれども、中間報告自体がそもそもプライバシーよりも事実解明と自ら言っているじゃないかということで、新たに言ったことが、この上の政府答弁、松本政府参考人。自ら言ったことだったので、それをちゃんと分解して書いています。これは発言のとおりです。

 何で、仮釈放してあげればよくなることが期待できるという言葉を載せなかったのかということに対して、松本政府参考人がこう言ったんです。一の部分です。

 病気になることで仮放免してもらいたいという動機についての指摘や、もう一つ、身体化障害の疑いの点のほか、もう一つ、詐病の疑いとの可能性の指摘も、その背景事情となる内容とともに記載されておりましたので、これらの内容はと、これがまず一つ目です。

 委員御指摘の記載部分と、この記載部分というのは、先ほどから私が申し上げている精神科医作成の診療情報提供書の、仮釈放してあげればよくなることが期待できる、これが二番目のところです。

 この一番と二番が、自ら言っているんですが、一連一体のものでございまして、これをそのまま中間報告に引用して公表することは、御本人の名誉やプライバシーに関わることになるのではないかと考えたんだと。

 一番と二番は一連一体のものと、新たに昨日定義されたんですよ。

 その上で、もう一回、中間報告、下に書いていますけれども、じゃあ、中間報告に何て書いているかというと、下に、この病院の精神科の医師は、「Aが訴える症状の出現時期が、Aが帰国希望から日本への在留希望に転じた時期と合うことから、」、身体的な話じゃないですよね。

 で、「例えば、」という言葉を勝手につけたらしいですけれども、「病気になることにより仮放免をしてもらいたいとの思いが作用するなど心因性の障害を生じさせている可能性があるとして、」、もう一つ、「「身体化障害の疑い」と診断し、」、身体化障害というのは身体の不調があっても病気が見つけられないということですけれども。

 そういうことを、言ってみれば、昨日の政府答弁の一の部分を、言葉は変えていますけれども、多少ぼやかしていますけれども、しっかりと記載はされているんですが、じゃあ、果たして一連一体のいわゆる二の部分、仮釈放してあげればよくなることが期待できるというところが書いていないんですよ。

 言っている意味、分かりますか、次長。大臣も、分かりますか。

 僕は、いや、そもそもとして不要な記述だったから載せていないんだと言うなら、是非はともかくとして、それは議論は成り立ちますけれども、政府参考人自らが、身体が不調でも病気が見つからない、もしかしたら詐称ではないか、そういうようなことと、いや、一方で、精神科医が、仮釈放したらよくなることが期待できるということは、一連一体のものだと言っておきながら、中間報告書には自分たちの都合が悪い方は書いていないんですよ。これが私は不信感。

 これをちゃんと説明できなかったら、あなたたちは、さっき言ったとおり、スリランカ人の名誉とかプライバシー、それにかこつけて自分たちの都合の悪いことを隠しているということになりますよ。ちゃんと説明してください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 まず、前回のこの委員会での御指摘は重く受け止めております。

 その上で申し上げますと、まず、前提といたしまして、当庁の調査におきまして、この外部病院、外部の精神科の先生からの事情聴取はできておりません。これは断られたというのが実情でございます。それの中で、御指摘のその診療情報提供書はこの外部の病院の精神科の先生が入管の収容施設のお医者さんに宛てたものでありますところ、その内容には御指摘の記載がございます。

 ただ、昨日、一部氏名等を黒塗りにしてお示ししました文書、これは、表題は同じ診療情報提供書なんですけれども、ここに同行していた入管の職員がこのお医者さんからその診療の結果について聞き取った内容を内部で報告する報告書でございますが、そこの記載内容には、詐病というような指摘は一切ございません。さらに、そこでの診療名というのは、詐病という記載ではなくて、身体化障害の疑いという内容でございました。

 そのため、外部病院の精神科の医師から事情聴取ができていない状況におきまして、中間報告で詐病の指摘が外部のお医者さんからあったことを記載することは適切ではないというふうに、当庁としては、中間報告の時点では判断したところでございまして、中間報告上、例えばと記載して、例示として身体化障害の疑いと記載したものでございます。

寺田(学)委員 稲田さん、いなかったから、ちゃんと助けてくださいよ、本当。

 答えていないですよ。いや、僕が設定したんじゃないですよ。あなたが昨日言ったことなんですよ、一連一体なんだと。身体化障害の疑いであったり詐病の疑いであったりということと、精神科医が診断した、仮放免したらよくなるかもしれないということが、自ら、一連一体だ、この二つの要素は一連一体だから書かなかったんだと言っているんですけれども、中間報告では、言葉そのものではないですけれども、明らかに詐病と疑われる、直接的にその言葉は使っていないですよ、書いているじゃないですか。症状の出現時期が、Aの帰国希望から日本への在留希望に転じた時期と合うことからとか。さんざん詐病をにおわせるようなことを書いておいて、自ら一連一体と言っている、精神科医の、仮放免したらよくなることが期待できるというところを落とす理由がないでしょうと言っているんですよ。

 どっちも落としているんだったら、是非は別として、理屈は通りますよ。自ら設定しているんですよ、一連一体だって。その上で、何で精神科医の部分だけ載せていないのかが物すごく不信感を募らせると言っているんです。今の答弁だって、全く理屈が通っていないですよ。説明になっていないですもの。詐病という言葉を使っていないでしょうということを言いたいのかもしれませんけれども、中間報告で完全にそれをにおわせるようなことを書いていますよ。

 だとしたら、本当の意味で名誉のことを考えたら、精神科の先生が言っていることを書かなきゃいけないでしょう、バランスとして。自ら一連一体と言っているんだったらなおさらのこと。

 大臣、ここ、聞きますよ。

 大臣は、前回の質疑で、これは載せるべきだったという判断をされました。そこは私は可としたいと思いますよ。

 ただ、問題点は何かというと、載せるべきかどうかじゃなくて、なぜ落としたかなんです。なぜ記載を、精神科医の部分、言ってみれば、それは入管にしてみれば、余り都合のいい話じゃないですよ、この都合のよくない話をなぜ載せなかったかということをちゃんと説明できなかったら、こんなもの、本当に亡くなられた方に対して失礼極まりないですよ。信頼できるわけないじゃないですか。

 大臣、どうします、これ。

上川国務大臣 まず、中間報告についてお出しをしたところでございますが、その中に、今のようなやり取りも含めまして、委員からいろいろな御指摘をいただいたところでございます。

 同庁からは、今般、司法解剖の結果を把握したとの報告を受けているところでございますが、亡くなられた方の健康状態の推移、診察経過、その間の検査結果等も踏まえまして、専門医等の意見を聴取する、必要な調査検討を進めているということでございます。

 この間もちょっと申し上げたところでありますが、すごく極端に言えば、一ページのものを括弧つきでそのまま記載をするという、それは一つ、エビデンスとしてはそのままのとおりということでありますが、いろいろな状況の中で、その書きぶりも含めて若干トリミングしながらというのは、これはまとめ方としては、括弧ではないという形であり得るというふうに思っています。

 どういうふうにまとめたかということの詳細に私自身コミットするということはできませんが、やはり、その前の診療状況については括弧してあるということがありましたので、そういう形でしっかりと引用していくということは必要ではないかと申し上げたところであります。

寺田(学)委員 精神科の先生の、仮釈放してあげればよくなることが期待できるということを、直接じゃないにせよ、一と二ってやっていますけれども、この一の部分と呼応したぐらいのぼやかし方で書いているんならいいですよ。何にも書いていないんですよ。だからこそ、都合の悪い部分だけ、ぼやかすこともなく落としているんですよ。

 一連一体と言ったのはあなたですよ。何で一連一体のもう一つの大事な方を、ぼやかすこともせず、そもそもないことになっているんですかということなんです。

 それで、大臣、これだけやっていられないのであれですけれども、最終報告に書く、どうこうとありますけれども、本当に最終報告に真摯な態度で公正、公平に書かれているかどうかを見ないと、こんなもの、審議できないですよ。

 これは委員長にお願いしますけれども、この法案審議中に最終報告を出してもらいたいです。出した上で、それの集中審議をしっかりとお願いしたいと私は思います。

義家委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議いたしますが、相手が出入国在留管理庁の調査でありますので、まず委員会として協議を行った上で、その上で調整という形になります。

寺田(学)委員 幾らでも待ってもいいと思います、委員会として。こんなの、ばかにされていますよ、国会が。

 もう一個、ああ、いないのか、井野さんの参考人質疑での発言です。お渡ししているやつの二枚目に抜粋をしました。

 四月二十一日の参考人質疑ですけれども、私は聞いたときに結構どっきりしましたよ。驚きました。今まで、入管庁もそうですけれども、ひた隠しにしてきた手続の中を、自らの法務大臣政務官としての経験として、結構いろいろお話しされたんです。さっき国際的な評価がありましたけれども、貴重な話ですよ。貴重な話で、この話を基に、日本の入管の仕組み及び入管難民認定の在り方が国際的な評価をされる材料ですよ、これ。

 どういうことを言っているかというと、太線と、アンダーバーを引きましたけれども、私自身どうしても納得いかなくて拒否した難民認定があると。法務省の役人から、もしかしたら当時の参考人として来られていた参与をやられた方々が上げられた案件かも分かりませんよ。いずれにせよ、ルール、プロセスにのっとって上げられてきたものが、御本人としては、私自身どうしても納得いかなくてサインを拒否した難民認定があると。

 その理由が、結構はっきり言っているんです、客観的証拠がないんですよねと。客観的証拠がないんですよね、難民認定に当たってはと。客観的証拠がないことを、難民認定を自らペケにした理由と挙げました。

 で、その後に続くんですが、結果としては、当時の金田大臣でしょうね、私は拒否しましたけれども大臣が認可したので、じゃ、大臣の判断に私は従いますと、合議制のことを話しているんですよね。法文上は法務大臣にしかないですけれども、政治的な手続をどう取っているのか分からないですけれども、政務官を取っている以上、副大臣そして大臣の決裁を取って、大臣が許可したから私も従うという合議的な話をされている。

 事実確認だけ、まず。

 入管庁が認定すべき、局でもいいですよ、過去ですよ、そのプロセスにのっとって上げられた難民認定が、政務の判断によって却下されたケースってあるんですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 難民認定に関する審査につきましては、決裁に関する規定にのっとって適正に実施しているところでございますが、個別の案件に係る手続の詳細等につきましてや、そこの決裁の過程、内容の点についてお答えすることは、今後の率直な意見交換等に影響を与えることから、適切でないと思っております。

寺田(学)委員 私が聞いているのは、過去にあるかないかです。個別事情って、自ら話されているんですよ。国会でそんなことを出されて、これは議事録に残って、国際的な判断材料ですよ。個別の話は聞いていないですよ。どのような件で却下された、どのような件で認可されたって聞いていないです。今まで、過去に、政務に上がって政務がはじいたことはあるかということを、イエス・オア・ノーで聞いているんです。

松本政府参考人 お答えいたします。

 御質問は、まさに決裁手続の中身に関わる内容でございますので、お答えすることは適切ではないというふうに認識しています。(発言する者あり)

義家委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

義家委員長 速記を起こしてください。

 改めて答弁をお願いいたします。出入国在留管理庁松本次長。

松本政府参考人 お答えいたします。

 大臣、副大臣、政務官の中で、その決裁の流れで、その前に上がっていた事務当局の内容が否定されたケースがあるのかという御質問だと思うんですが、そこはまさに、個別の判断でどういう決裁がなされたのかという、その決裁手続の中身に関わるところでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

義家委員長 松本次長、もう一度しっかり、まずは、じゃ、どういうプロセスで難民認定が上がっていくのかということを、分かりやすく、ちょっと説明した上で。

松本政府参考人 まず、手続について申し上げますと……

義家委員長 簡潔に言ってください。

松本政府参考人 はい。

 当時、難民認定をするときの決裁につきましては、当時でございますが、重要なもの、例えば、社会的に問題や関心のあると思われるようなものについては、法務大臣の決裁を要することとしておりました。さらに、難民不認定処分についての不服申立てについて、理由ありとするときの決裁は、法務大臣まで決裁を受けるという状況でございます。

義家委員長 寺田学君、もう一度質問してください。

寺田(学)委員 いや、というか、今言ったプロセスの中で、政務として覆されたケースはあるんですかと。

 申し訳ないですけれども、自民党の議員さんが言われたんですよ、過去。価値判断まで言っていますよ。客観性がない、客観的な証拠がないから駄目だったんだと。あと、もっと、認可なんてなくていいとまで言っていますよ。今認可されているものが多過ぎるという趣旨のことも発言されているんですよ。

 結構、これは国際的な評価の一つの大きな材料ですよ、認定プロセスの。

 今、次長が言われたお話の中で、政務として却下されたものはあるんですかという、過去あるかないかです。

松本政府参考人 お答えいたします。

 我々は、今まで、御指摘の点も含めて、決裁の中身に関わるものだという視点で、特別、そういう形での把握というのはしておりませんでした。

 ただ、今確認をしましたところ、今把握している限りにおいては、そのようなケースはないということでございます。

寺田(学)委員 政務官のところで却下されて、それで副大臣、大臣に上がっていって、金田大臣が認可されたということを自らお話しされているんですよね。

 客観的証拠がないから私は拒否したんだと言っていますが、客観的証拠がなければ難民認定はされないんですか。難民認定の、必ず必要なものなんですかということです。

松本政府参考人 難民認定手続におきましては、まず、御本人が主張される資料等に依拠するところでございますが、恐らく、本国事情等々、あるいは本人がそういう客観的な資料等を持っていないケースというのは多うございます。

 そのような場合につきましては、特に本国事情等につきましては、当庁としても、外務省あるいはUNHCRとの連携で情報収集したものに基づいて、それを的確に、その基礎資料として使っております。

寺田(学)委員 もう、長い。

 大臣、もう通告はしているので。

 客観的事実、客観的な証拠ですね、客観的な証拠は、難民認定において必ず必要なんですか。自ら言われているわけですよ、客観的証拠がないから私は認めなかったんだと言われているので。

 客観的証拠は必ず必要なんですかということを、大臣、お答えください。

上川国務大臣 難民認定をされる方の場合でありますが、性質上、迫害から逃れてくる者の中には、客観的な証拠資料というものを持っていない場合も少なくないというふうに考えられます。申請者による客観的な証拠資料に基づく難民該当性の証明が十分でないということのみをもって難民の認定をしないこととしたのでは、適正な難民認定を行うことができなくなるおそれがあるということでございますので、適切ではないと考えております。

寺田(学)委員 それ以上は申し上げません。

 あと、ちょっと小野田さん、これは質問でもなくて、僕は気になった御発言があって。

 中谷さんの質問で、いろいろな方とお話をしたことがありますかというときに、様々な方の声を聞くというのは非常に重要だと思っておりますので、お話は聞かせていただきたいと思いますと。ただ、日本は法治国家でございますので、感情ではなく、法に準じてしっかりと判断してまいりたいと思いますという御発言があった。

 私が申し上げたいのは、いや、法治国家なので法に従ってやるのは当然なんですけれども、その法が、事難民認定及び在特、在留特別許可に関しては、人道上の必要性がある、そういうことを考慮してと。人道上に必要かどうかなんて、感情そのものですよ。感情そのものをルールの中に入れている物すごくまれなケースだと僕は思っているんです。

 なので、ごめんね、何か言いたいことがあればあれですけれども、私は、言われたいことは分かるんですけれども、まさしくこれは、法務大臣が物すごい強い力として持っている、どういう人を、難民ではないけれども特別に在留を許可するかということを、人道的な観点を含めて判断するという、非常に感情が、その判断に左右、当然、それで判断するわけですから必要なものだと私は思うので、この発言に関しては、また機会があればお話をしたいというふうに思います。

 で、また法文に入れなかったんですけれども、これはあえて突然聞きますけれども、副大臣、いいですか。

 御自身が難民、まあ難民としてというのはなかなか憑依できないとは思いますけれども、突然、迫害に関してちゃんと説明してと言われたら、何て答えますか。

田所副大臣 通告がなく突然聞かれたことでありますけれども、私自身が迫害を受けているということを証明する、そういうシチュエーションも考えにくいことでございますので、ここで直ちに答えることは難しいということでございます。

寺田(学)委員 僕が何を言いたいかというと、別に答えられないから悪いと言っているんじゃなくて、難民認定をする、そういう方々って、まさしくこれぐらいの緊張感の中で、いきなり、あなたのことを話してね、迫害をされたということをちゃんと話してねといきなり言われるけれども、何を話していいかというのはなかなか難しいんですよ。

 今、時間が来たから次の機会に持っていきますけれども、私は、弁護士の同席、代理じゃないですよ、同席をちゃんと一次審査から認めるべきだと思うんです。必須じゃなくていいです。別に弁護士が話さなくていいです。何を求められているのかということをちゃんとサポートする人を隣に置くことができるようにすること。法律では禁止していないですよ。ただ、運用上、否定しています。それが、まずは適正な手続をする上での一番大事なことの一つだと私は思っていますので、このことは次回質疑もさせていただきたいと思います。

 終わります。

義家委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 東京オリンピック・パラリンピックが近づいてきていますけれども、オリンピック選手については水際対策の例外措置を認めるという話が出てきております。その是非はおいておくとしまして、やはりオリンピック選手だけではなくて、必要に応じてこれを考えて柔軟な対応をすべきときがあるのではないかという観点からお尋ねしますけれども、スリランカ人女性の御遺族から、先ほど来お話が出ているとおり、昨日オンラインでお話を伺ったんですが、御遺体と対面したいということで五月一日に来日するそうです。一刻も早く御遺体に対面したいとおっしゃっていましたけれども、それは可能なのかどうか、大臣に伺います。

    〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕

上川国務大臣 御家族の方が今後来日される意向をお持ちであるということで伺っておりまして、その際には、法務省といたしましても、関係省庁とも連携の上で、可能な限りの支援をしてまいりたいというふうに考えております。

階委員 最近の政府の対応を見ていると、コロナ対策にしても水際対策にしても、五輪対策になっているんじゃないか、本末転倒になっているんじゃないか。

 私は、水際対策をやるにしても、五輪の選手をもし優先するのであれば、ほかにもっと優先すべきところもあるんじゃないか。オリンピック憲章でもそういうことがうたわれているわけですよ。オリンピックの根本原則として、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すとか、全ての個人はいかなる種類の差別も受けることなくオリンピック精神に基づきスポーツをする機会を与えられるとか、そういったことがあるわけです。

 こういったオリンピック精神をしっかり体現するのが日本でオリンピックを開催する意義だと思うんですけれども、実際には、オリンピック選手だけを水際対策で優遇したり、あるいは、人間の尊厳が踏みにじられるような形で何の落ち度もなく亡くなったスリランカの女性、こうした方がいらっしゃったりということで、オリンピック憲章が実践されていないのではないか、そこでオリンピックをやる意義があるんだろうかという疑問も生まれるわけです。

 このオリンピック・パラリンピックを開催する意義、これは、大臣、どこにあると考えていますか。

上川国務大臣 まさに世界の団結の象徴として世界中に希望と勇気をお届けできる大会ということで、東京オリンピック・パラリンピック競技大会につきましては、コロナ禍ということでございますので、そして感染対策を万全なものとしてこれを実現する、こうした決意の下で準備を進めているところでございます。

 安全、安心な東京大会の実現ということになりますと、総力を挙げて取り組んでいくということでございますので、必要な措置についても検討してまいりたいと考えております。

階委員 人間の尊厳の保持とか、いかなる種類の差別も受けることがない、こういうことを世界に知らしめるオリンピックにすべきだと私は思っています。その点について大臣はどうお考えになりますか。

上川国務大臣 今、大きく調和の取れた世界の中で、誰一人取り残さないという仕組みをしっかりと打ち出していく、この大変大事な、誰一人取り残さないという、基本的な人権というのはベースにあると思います。

 スポーツは、スポーツを通して夢と希望を与えるものでありますが、そうした中で、世界各国の選手たちのこうした自己努力、またそれに対してのエールを送りながら、そしてお互いのきずなを強めていくということが趣旨でございますので、いろいろな思いで、この間、長い歴史がございます。

 委員おっしゃった点も非常に重要な点であると私自身は認識しております。

階委員 是非、オリンピック精神を体現するために、いろいろな法制度というものも考えていくべきだと思いますよ。

 それで、そういう中で、今回の法案について、いろいろな問題が出ておりますけれども、まず、前提となる入管施設、先ほど寺田さんが言ったように、ちゃんと信頼性が持てる運用をされているのかどうかという観点からお尋ねしますけれども、スリランカ女性の件だけでなくて、過去に入管の施設内で死亡事案が繰り返し起きているんですね。

 このことについて、なぜそういうことが繰り返されるのか、大臣の御所見をお願いします。

上川国務大臣 入管の収容施設は、大切な命を預かる施設でございます。被収容者の御健康保持、また必要な診療その他の措置を講ずるということで、死亡事案などが生じることがあってはならないというふうに思っております。処遇全般を適切に行うということ、これは出入国在留管理行政の責務というふうに認識をしているところでございます。

 今、過去の死亡事案についての御言及もございましたけれども、その上で、入管施設、収容施設におきましてどのような死亡事案があったのか、その経緯はどうなのかということについては様々であると承知をしていることでございます。死亡事案が生じた理由についても、個々の事案の具体的内容を踏まえてしっかりと把握する必要があると考えられるところでございます。

 今回の事案につきまして、亡くなった方が継続的に体調不良を訴えられて、庁内の診療室また外部の総合病院で診療を行っていた中で死亡に至った事案ということでございます。私自身、そのことについて大変重く受け止めさせていただきまして、即調査をするようにというふうに指示したところでございます。

 先ほど来、命を預かっている施設ということでございますので、それに対して適切な対応をしてきたのか、そして、どこにどういう課題や問題があったのか。かつての死亡事案について、その都度対応してきているところでありますが、今回につきましても、しっかりと可能な限りの調査をするということが前提であるというふうに思って、中間報告も対応してきたところでございます。

 今、第三者の方々の参加も得まして、可能な限り速やかな最終調査結果の取りまとめをし、そして事実関係の調査検討を行うということ、そして、何よりも、今も大切な命を預かっている施設でございますので、必要な改善策、特にコロナ禍ということでありますので、それはこの調査が出る出ないにかかわらず、健康管理については万全を期すようにということで、強い指示を重ねてしているところでございますが、そうしたことも含めまして、本事案に対しての評価、判断を最終報告においてお示しする方針でございます。

 こうしたことを繰り返さないようということでございますので、第三者の目を含む公正、客観的な観点からの再発防止策も講じてまいりたい、取りまとめてまいりたいと思っております。

階委員 過去の死亡事案について、その都度対応してきたと大臣はおっしゃっていましたけれども、その都度対応してきたら繰り返されるわけがないわけでして、反省とか教訓を生かすという体質がないから繰り返されるわけですよ。

 ところで、その都度対応してきたと言われていますけれども、大臣、これまで何度も法務大臣をやってこられて、自分が在任中に入管の施設で何人亡くなられたか、病気とか自殺で何人亡くなられたのか、把握されていますか。

上川国務大臣 申し訳ございません。今直ちにお答えすることができない状況です。

階委員 何ですか、その答弁は。

 その都度対応してきて、重く受け止めてきた、御自身が大臣の在任中を聞いているわけですよ。御自身の在任中ですよ、全部を言えと言っていませんよ。何でそんなことも答えられないんですか。全然重く受け止めていないじゃないですか。反省も教訓も生かされないからこういうことが起きるんでしょう。責任を感じませんか。

上川国務大臣 様々な事案があるということについてはもちろん承知をしております。命を預かる、今の、現在生きていらっしゃる方でありますので、そういった方々の命を最善に考えて取り組んでいくように指示をし続けてきているところであります。特に、コロナ禍ということもございまして、更にそのことの中でストレスを抱えられる、あるいは、家族との面会等も含めまして対応するようにということで指示をしてきているところでございます。

階委員 実は、大臣が過去の法務大臣在任中も含めて、四人亡くなっていますね。四人も亡くなっているんですよ、今回のスリランカ人女性を含めて。これでまた同じようなことが起きかねないから、今回、真相究明をしっかりやるべきだと言っているわけですよ。その都度対応してきたなんて、全く説得力ないですね、大臣が在任中だけでも四件起きて。

 それで、今回、スリランカ女性の真相解明という中で、病状を把握するための録画記録の公開を我々は求めています。遺族の方も求めています。遺族の方と昨日オンラインでお話しして、最初はまず自分たちに見せてくれというお話でした。その上で判断したいというお話でした。

 そのときに、どうも食い違いがあったのは、御遺族は、私たち国会議員だけじゃなくて世の中全体に公開する話だと思っていたらしくて、その後のやり取りでは、国会議員が真相を解明して法案の審議に役立てるということで、国会議員の範囲で見せるということであれば遺族としては全く問題ないというようなお話でありました。

 そこで、私は、繰り返される入管施設での死亡事案、こうしたことを起こさないためにも、適切に収容者の処遇はされるようにしていかなくちゃいけないと思っています。

 今回、私の資料にありますとおり、黒塗りの方を見てください、本来であれば、病気の方は仮放免の対象にしてしかるべきなんですね。この仮放免運用方針、黒塗りのちょっと下の部分に、「仮放免を許可することが適当とは認められない者は、送還の見込みが立たない者であっても収容に耐え難い傷病者でない限り、原則、送還が可能となるまで収容を継続し送還に努める。」というふうになっています。

 裏から読めば、収容に耐え難い傷病者については仮放免を許可するということなわけですけれども、今回のスリランカ女性については、この収容に耐え難い傷病者であったというふうには認定されなかったということでいいですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 亡くなられた方が継続的な体調不良を訴え、かつ、支援者の方からも様々な申入れを受けていた中で、庁内又は外部病院の医師による診察を行っていたものの、死亡という結果に至ったことについて、重く受け止めております。

 その上で、亡くなった方の収容を継続した判断が適切であったか否かの評価、検討におきましては、出入国在留管理庁といたしまして、従来から、仮放免の判断に当たり、健康状態を適切に考慮する方針としておりましたこと、さらに、コロナ禍への対応として仮放免の積極的な活用を行っていた事実を十分に踏まえる必要があると考えております。

 本事案につきましては、第三者も含む調査チームにおいて今後行います専門家等の聞き取りなどの結果等も踏まえて、入管職員の対応や医療的対応の問題点等について評価、検討を行いますところ、これらの事実、すなわち、本件当時、仮放免方針等も十分に踏まえた検証を行う必要があると認識しております。

    〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕

階委員 質問をすり替えないでください。当時の判断を聞いているわけですよ。あれだけ健康だった、スリランカにいた頃は献血するぐらい健康だった方が、収容されてから半年ちょっとでもう歩けないぐらいになって、体重も激減して、亡くなられているわけです。にもかかわらず、当時の判断としては、収容に耐え難い傷病者には当たらないということだったということでいいんですね。当時の判断を聞いていますよ。その判断が妥当かどうかという話ではありません。そこを明確にお答えください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 名古屋入管局としては、仮放免指針等の仮放免事由に当たらないということで不許可にしたというふうに認識しておるところでございます。

階委員 恐るべきことだと思いますよ。それで亡くなっているんですからね。びっくりしますよ。

 それで、今日、また新たな事実が新聞記事で出てきました。

 今朝の東京新聞ですけれども、亡くなられた方の緊急搬送された病院での血液検査、多数の異常値が出ていたと。医師の判断、これは検査したとは別の医師の判断ですけれども、驚くような異常値がずらりと並んでおり全身状態が悪い、意識障害を起こす重症の糖尿病で、脱水と併せ腎不全や高カリウム血症を起こし貧血も高度、致死的不整脈を誘発するレベル、専門的な医療機関に即入院して治療すべきだったというようなコメントもあるわけです。

 即入院のレベルというようなことが言われるぐらいの病状だったにもかかわらず、当時、収容に耐え難い傷病者でないという判断をしているんですね。

 これだと、とてもじゃないけれども、入管施設に大切な命を預かってもらうわけにいかないでしょう、どう考えたって。まずそこをきちっとしないと、法改正という議論には行かないですよ。どうですか、そこ。

松本政府参考人 お答えいたします。

 当時の名古屋入管局の判断がどうだったのかというところは、まさにしっかりと検証したいと思っております。

 かつ、現在収容中の者につきましても、大臣の指示を受けまして、その健康状態等も、あるいはそれ以外の個々の状況に応じて、仮放免が可能かどうかというところを個別に今判断しているところでございます。

 いずれにしても、運用は大事だと思っております。

階委員 ですから、こういう事案で、こういう血液検査の結果があるにもかかわらず、収容に耐え難い傷病者でないと判断したということがきちんと公正中立、公平中立、客観的になされているかというところを見るために、この中間報告、注目していたわけですけれども、先日来出ているとおり、その内容に信憑性が欠けるということなので、我々国会としても、法案審議の前提として、やはり客観的事実を知りたい。

 そこで、録画記録を、全員にというか世の中全体に公開しろとは言わないですよ、国会には秘密会という制度もありますから、秘密会でもいいですから、国会議員には公開すべきだ。これは遺族も認めていますから、遺族のプライバシーの問題はない。それから、保安上の問題も、我々を信用していただきたいと思います、国会議員ですから。

 そうしたことを考えて、私は録画記録の公開の必要性も許容性もあると考えますけれども、大臣の見解をお願いします。

上川国務大臣 ただいま委員から御指摘のビデオ映像の記録につきましては、出入国在留管理庁から、収容施設の設備の状況、また職員の状況等を撮影したものであり、保安上の観点などから、その取扱いについては非常に慎重な検討を要し、公開は適切でないという旨の報告を受けているところでございます。

 その上で、国会におきましての資料の提出のお求めに関する事項につきまして、国会の御判断が示された場合には、法令の許す範囲内で誠実に対応してまいりたいと思っております。

階委員 ところで、先回の質疑で、このビデオ、第三者と言われる中間報告に関わった人たちには見せていないということでしたけれども、これからは見せるというような話も事務方から伺っています。それは事実でしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 現時点では、もう五名の方々にビデオの一部はお見せしております。さらに、最終報告に向けて、全てのビデオについては御覧いただく予定でございます。

階委員 そうだとすれば、なぜ、その方たちには見せられて、国会議員には秘密会でも見せられないんでしょうか。大臣、お答えください。大臣の判断を、大臣に聞いています。大臣、お答えください。

上川国務大臣 今、最終報告に向けまして、ここの委員会の中で委員の皆様から御指摘いただいたことも踏まえまして、先ほど申し上げました点は繰り返し申し上げるところではございませんが、最終報告に向けまして、調査をしっかりと踏まえた上で深掘りをし、また、評価、検討を検証した上で、改善策も含めましてしっかりと取りまとめをさせていただきたいというふうに考えております。

階委員 答えていません。なぜ、第三者と言われる方には見せるのに、我々国会議員には秘密会でも見せられないんですかと聞いています。お答えください、その理由を。

上川国務大臣 今、出入国在留管理庁の中に調査チームをしっかりとつくり、また同時に、第三者の方々からしっかりとその資料につきましてもまた御意見をいただきながら、さらに調査を含めまして、最終的な、最終資料として、最終報告書をまとめる段階にございます。途中段階ということでございます。

 私からはそれ以上のことを申し上げるということは適切でないと思っております。(階委員「答えていません。質問に答えてください」と呼ぶ)

義家委員長 ただいまの協議中の速記は止めたという扱いにしてください。

上川国務大臣 先ほども申し上げたとおり、今、最終報告に向けまして、それぞれ御意見をいただいたところも踏まえ、最終報告をまとめる状況でございます。検証をまさにしている最中でございます。第三者の方々の、しっかり、五人の方にも意見を聴取しながら、客観、公正な最終調査報告にまとめさせていただくプロセスということでございますので、その意味で、その第三者の方に対してどのような情報を提供するかということについては、まさに、検証、調査のチームの中のことでございます。

 最終報告の中で是非御判断いただきたい、そして、先生方からの御意見、御指摘に対しましては、さらに調査も含めまして、しっかりと対応するものと思っております。

階委員 まず、いろいろ、ビデオを見せるためには慎重な検討が必要だと言ったんですけれども、第三者と言われる方々には見せるという判断をされたわけですね。であれば、常に見せられないというものでもなくて、大臣の判断によって見せることも可能なわけですから、可能だということであれば、第三者と言われる方々にも見せるのであれば、我々国会議員、法案審議の前提として必要な情報です、別に、ビデオですから、ダビングすれば両方で見られるわけですよ。第三者の人たちが見ることを妨げることもないわけです。だから、私たちにも公開していいんじゃないですか、なぜ私たちには見せられないんですかということをお尋ねしています。その点、さっきから全然答えていないんですよ。

 なぜ、第三者には見せるのに、我々には秘密会にしても見せられないのか、その点を明確にお答えください。

上川国務大臣 調査、検証チームを設定をして、この間、いろいろな情報についてヒアリングをしたり、また様々な情報を得た上で、最終報告に向けまして取りまとめをしていく、委員からも連休前にというような期限付の御指摘もございましたが、しっかりと丁寧にやっていく必要があるということ、しかし迅速に対応していく必要があるということでございます。

 委員の方々につきましては、まさに最終報告の中で御指摘をいただく方々でございますので、私からそのことにつきまして今指示をし、お願いをしている立場でございますので、そうした方々の様々な判断を踏まえた上での最終報告を待ちたいというふうに思っております。

階委員 いや、だから、別に第三者の方々に見せるなと言っているわけではありません。そこの判断を問題にしているわけじゃなくて、そちらにも見せるということは、なぜ我々には見せられないのかということを尋ねているわけですよ。何回言っても同じことじゃないですか。なぜ我々には見せられないのか。

 そして、先ほど御遺族にも見せられないというような答弁もありましたけれども、なぜ、第三者には見せられるものを、我々国会議員あるいは御遺族の方々に見せられないのか、その合理的な理由を納得できるように説明してくださいとさっきからずっと言っています。お答えください。

上川国務大臣 ただいま委員から御指摘のビデオ映像の記録につきましては、収容施設の設備の状況、職員の状況等を撮影したものであり、保安上の観点などから、その取扱いについては非常に慎重な検討を要し、公開は適切でないという旨の報告を受けているところでございます。

 国会における資料の提出のお求めに関する事項に関しまして、これはビデオも含めてということでありますけれども、国会の御判断ということで示された場合には、法令の許す範囲内で誠実に対応してまいりたいと思います。

 今、検証チームが、検証のための最善の努力をしていただいているところでありまして、それに必要な部分につきまして、御検討をいただくための必要な資料については、お出しをする方向で今動いていると私自身は推察をしております。

 私自身、むしろ、中立公正で調査をしていただきたいという趣旨でこの間の努力をしてきたところでございますので、その意味で、私の方からとかということについては、私自身は控えていくべきことではないかというふうに思っております。

階委員 全く合理的な理由も納得できる説明もなかったですね。

 そもそも、この見せていいという第三者なんですけれども、これは私の資料の裏側にも書いていますけれども、大臣が、本件の調査について客観性、公平性を担保するため、外部の第三者を調査に加えるよう指示を受けたということで、大臣から指示を受けてこの第三者という方が任命されているわけですけれども、名前が全く明かされていません。そして、その方々たちは、入国者収容所等視察委員会の現委員又は元委員ということで、純粋な第三者ではなくて、元々入管庁と関わりのあった方たちなんですね。それで本当に第三者と言えるか、名前も明かさないで客観性、中立性、透明性を担保できるのか、こういうことが疑問としてあるわけです。

 大臣がそのような指示を出したんですか。人選であるとか、あるいは名前を出さなくていいとか、それは大臣の指示ですか。お答えください。

上川国務大臣 私は、今回の調査に当たりましては、死亡に至る診療状況、経過、また対応状況につきまして、正確な事実関係を速やかに調査をするという趣旨、体調がお悪くなりまして、その間、診療の部分等、庁内におきましての医師の診断あるいは看護の状況、そして、全部の診療科目をカバーしているわけではありませんので、外部の病院、これも、提携先のところもありますけれども、物によってはそうじゃないところの御紹介もいただかなければいけない。こういったことを、出入国在留管理庁の現場の中では日頃から動いているところでありますので、そういったことをしっかりと調査をしていく。そして、体調が悪くなって死亡になったというこの経過についてしっかり調査をする。この事実関係の正確な調査が非常に重要であるということから指示をしたところであります。

 しかも、客観性、公平性ということでありましたので、第三者の方々に調査に加わっていただく、このことについても、チーム編成について、第三者の方に入っていただくように、こういう指示をしたところでございます。

 そうした指示を受けて、出入国在留管理庁でチーム編成をした上で、今調査が行われている、こういう理解を私自身はいたしております。

義家委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

階委員 はい。

 長々答えられますけれども、肝腎なことは答えないんです。

 第三者をどういう人を選ぶのかというのは、大臣が具体的に指示をしたわけではないということでいいですね。

義家委員長 申合せの時間が大幅に過ぎておりますので、簡潔に、大臣、お願いいたします。

上川国務大臣 第三者の御指摘がしっかりと生かされるということが、客観、中立であるということの大変大事な点であるというふうに思っております。中の調査ということではなく、第三者のしっかりとした御指摘をいただくということでございます。

 その意味で、第三者の方々にも調査チームの中でしっかりと御意見がいただけるように体制を組むように、このことを指示したところでございます。

階委員 要は、具体的な人選は役所任せ、そこでお手盛りの調査になって、名前も出せない。こんな調査を信用せよとは、到底我々は納得できませんし、私たちにも、ビデオを公開してもらってちゃんと検証する責任と権利があるということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

義家委員長 この際、松本出入国在留管理庁次長より発言を求められておりますので、これを許します。松本次長。

松本政府参考人 訂正の御報告でございます。

 先ほど池田委員からの御質問に対しまして、視察委員会の開催につきまして、私は令和二年度と申し上げましたが、これは誤りでございました。申し訳ありません。平成三十一年から令和元年中の数字をお答えしたものでございます。済みません。

義家委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 昨日、今の話にもありましたビデオはまだ出てきていないんですが、それ以外、一定の書類が理事会に提出されました。両筆頭の御尽力に感謝申し上げたいと思います。

 ただ、与党の方で、コピーは駄目だ、書き写せ、こうおっしゃるんですね。二十一世紀の今、コピーが駄目で、手書きで書き写せと。一体どこがデジタル化なんだというふうに思います。これは強く抗議申し上げたいと思いますし、その分、質問通告も遅れて、多くの方に御迷惑をかけているわけです。これは、コピーを強く、この点からも求めたいと思います。

 その上でですが、見せていただいたことで幾つか指摘したいと思うんですが、一つは看護師メモです。

 二月一日の看護師メモに、左上にベース情報という部分がありました。ここにこういう記述があるんです。体調が悪いのに、なぜ外部の病院に連れていってくれないのかと不満を述べた。一月三十一日、勤務員に対して、私はもうすぐ死ぬ、死んだ方がましと発言するなど、ナーバスになっている様子がうかがわれたと。ここに黒塗りで職員の方の名前が書かれてあった、黒塗りなんですが。

 問題は、中間報告書の八ページには全く真逆の指摘があるんですね。「Aは、二月一日」、同じ日です、「の面談の際も、薬や検査及び医師の受診は嫌である旨を述べていた。」こうあるんですね。

 看護師メモ、公表されている部分、ここが問題だと思うんです。同じ紙なんです。同じ看護師メモの二月一日の査定評価というのが下の方にあるんですね。そこにはこうあります。「薬は嫌だ、検査も嫌だ、内科受診はしたくない、外診はもっとしたくないと、かたくなに拒否していた。」とあるんです、外診。ところが、同じページのベース情報という部分には、なぜ外部の病院に連れていってくれないのかと不満を述べたとあるんですね。同じページなんです。なのに、中間報告とか看護師メモのところには全く逆のことが書かれている。

 これは何なんだと。これはもう質問してもあれですからしませんけれども、中間報告というのは何なんだということなんです。先ほど来、寺田委員からも階委員からも指摘がありましたけれども、要するに、入管が描きたいものを描くために出したのがこの中間報告なんじゃないか。昨日も私、痛感しました。同じ看護師メモで全く真逆のことが書いてあるのに、片一方しか載っていないわけです。国会をばかにするのもいいかげんにしろというふうに私は思いました。

 その上で、お聞きしたいと思います。

 この看護師メモを見ておりますと、最後のPというところ、要するにこれからの計画ですね、プランのところの記述で、一月の二十一とか二十二とか二十八、あるいは二月十六、十七は、嘱託医あるいは整形外科医に報告したり、あるいは診療を受けたりしているんです、この時点ではね。ところが、二月二十四日以降は、この看護師メモに医師という名前が出てこなくなる。実際、中間報告の十三ページにも記述があるんですが、二月二十二日の甲医師による診療以降三月四日まで、つまり十日ぐらいですね、要するに診療は行われなかったと中間報告自身に書いてあります。

 なぜ医師の診察を受けさせなかったか、これをちょっと御説明ください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 現時点で把握しておりますのは、その時点で外部病院の通院が決まっていたということ、外部の精神科の医師への。その間、十分な量ではございませんが、飲食の量が改善傾向にあり、かつ、看護師が平日ほぼ毎日、リハビリテーションという形で、亡くなられた方と接していた、このような状況から、その間の医師の診断等が行われていなかったというふうに認識しております。

藤野委員 いや、改善の傾向というのは、前回も指摘しましたけれども、それは全く違うわけですね。看護師メモを見ただけでも、本人が頭が痛いとかいろいろなことを訴えているというのは先日も紹介いたしました。

 そして、看護師が毎日何かリハビリしていたと言いますけれども、看護師メモの二月二十四日、ベース情報を見ますと、こう書いてあるんです。二月二十三日火曜日の夜、排尿介助が困難となり、おむつ使用との情報を得たので、外せるように、意欲向上のため、リハビリテーションを計画し、訪問すると。

 つまり、このリハビリというのはそういうことなんですよ。排尿介助がメインであって、何か体重が急減していることに対応するとか、そういうことでは全くない。そもそもリハビリというのは、よくなってきて更にやるものがリハビリだと思うんですが、この方はずうっと一貫して悪化してきているわけですね。だから、本当におかしい、そんなことは理由にならない、医師に診せない理由には全くならないと思います。

 そして、もう一点。階委員も先ほど御指摘になりましたが、今日の東京新聞。緊急搬送先、三月六日ですね、血液検査を行っております。血糖値が四百二十四、基準は七十から百九であります、大幅に超えている。尿素の窒素も八十九・六で、これも基準は八・〇から二十二・〇ですから、大幅に超えている。木村医師は、即入院のレベルというふうにおっしゃっていただいております。

 私、これを見て、改めてこの中間報告を読み直したんです。血液検査という言葉が出てくるのは一月二十一日なんですが、これ以降、血液検査はやっているんでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 一月二十二日から二十六日にかけて血液検査を含む検査を行っておるんですが、医師の指示として、二か月後に再検査という指示でございまして、結果として、それ以降の血液検査というものは行っておりません。(藤野委員「一月二十一から二十六」と呼ぶ)一月二十二日から二十六日にかけて、血液検査を含むエックス線検査、心電図検査、尿検査等を実施したところでございます。

藤野委員 報告書には、一月二十一日に「血液検査、心電図検査及び尿検査を実施した上で」となっていまして、その結果が一月二十八日にこの方に知らされているんですね。

 いずれにしろ、じゃ、二十八日以降はやられていないということですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 一月二十一日に医師の指示があったということです。一月、先ほど申し上げました期間以降、お亡くなりになるまで、血液検査は入管の施設の中では行われておりません。

藤野委員 血液検査というのは基本中の基本だと思うんですね。ところが、これが全くやられていない、大事な期間。まあ一定、初めの方はやっているんですけれども、病状が悪化していく過程で、医師の診査も受けさせないし、血液検査もやっていない。これは本当に私は大問題だと思うんです。

 委員長、ちょっと提出いただきたいのが、三月六日の緊急搬送先の血液検査と、今答弁があった一月二十日頃の検査の結果を御提出いただきたいと思います。

義家委員長 ただいまの件については、理事会にて協議いたします。

藤野委員 あと、委員長にもう一つお願いしたいのは、確かにいろいろ貴重な資料だと思うんです、看護師メモとか。昨日見せていただいたんですが、やはりまだ今日の質疑を聞いても、ちょっともう一回、今の答弁もここからは出てこないことなので、また改めて閲覧、コピーを求めたいと思います。

義家委員長 ただいまの資料要求につきましては、理事会にて協議いたします。

藤野委員 その上で、ちょっともう一つ聞きたいのは、大臣が先ほど来もおっしゃいました、外部の第三者を調査に加えるよう指示したと。階委員からも指摘がありました。報告書の一ページに、入国者収容所等視察委員会の現委員又は元委員、合計五名に調査に加わってもらったというふうに言っております。

 しかし、この入国者収容所等視察委員会に十分な第三者性があるのかということなんですね。私も、個々の委員の方が頑張っていらっしゃることは当然存じ上げていますし、お話も聞いたことがあります。しかし、それと制度のスキームとして第三者性が担保されているかというのは別問題だと思います。

 配付資料の一を見ていただきたいと思うんですが、これは日弁連が昨年八月二十日に出した意見書であります。入国者収容所等視察委員会の改革に関する意見書。これはかなり長い意見書なんですが、抜粋して「問題の所在」というところだけ御紹介しております。

 現行法上、視察委員会は、法務省令に定める出入国管理署に置き、その事務は、当該出入国管理官署の総務課の職員が務め、実際には、視察委員会は、出入国在留管理庁が策定した運用要領に従って運用されている。いつ、どの施設をどのように視察するかは、上記職員も入った会議で決定され、その結果、視察対象であるはずの出入国在留管理庁には視察予定は当然に知られており、視察の詳細も視察対象施設との連絡を経て上記職員によりおおむね準備される。委員の任命権についても、法務大臣。視察権限の範囲についても、限定的な解釈をしており、視察委員会の運営や活動内容は、実務上、出入国在留管理庁が定めた運用要領に従って行われているため視察委員会の独立性、自主性が限定され、活動の範囲も限定されたものになっている。こういう指摘なんですね。

 そして、これは国連からも、国連のいわゆるいろいろな委員会からも指摘をされて、勧告も出ております。この報告書の中で、この委員会が、例えばお話にあった仮放免が適切に行われているのかとか、送還がちゃんと行われているのかということも視察できないことになっている、視察対象にならない。日弁連はこれを視察対象にすべきだと提言しておりますけれども、そういう存在なんですね。

 大臣、私は、大臣が外部の第三者とおっしゃったので、てっきり独立性が担保された形かなと思っていましたら、何と、国内外から独立性が不十分だと指摘されている委員会の現委員そして元委員だというんです。大臣、これで第三者性はあると大臣はお考えなんでしょうか。

義家委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

義家委員長 速記を起こしてください。

 上川法務大臣。

上川国務大臣 調査に加わっている第三者の方々ということで御指摘がございました。

 私自身は、中立公正な形で調査がしっかりと行われるようにということで、第三者の目線をしっかり入れるということを指示したところでございます。チームの編成につきましては、出入国在留管理庁のチーム編成ということでございますので、その判断の中で、私自身、その結果を待ちたいというふうに思っております。

 入国者の収容所等の視察委員会のメンバー、そしてまた元メンバーの方々に調査に加わっていただいたということでございます。学識経験者、法曹関係者、NGO関係者及び入管施設地域住民ということでございまして、東日本地区入国者収容所等視察委員会のメンバー又は元メンバーの方に、また、医療関係者は西日本地区入国者収容所等視察委員会の元メンバーの方にお願いをしているところでございます。(発言する者あり)

義家委員長 答弁を簡潔にお願いします。

上川国務大臣 入国者収容所等視察委員会のメンバーのうち、法曹関係者については日本弁護士連合会の推薦を受けた弁護士に、医療関係者は日本医師会の推薦を受けた医師に就いているところでございます。

 チームの編成につきまして、また調査の状況につきましては、出入国在留管理庁、しっかりと客観性を担保するようにという指示をしたところでございますので、その中で適切に判断されたものと思っております。

藤野委員 いや、この日弁連のを読まれたらいいと思いますけれども、まさに今おっしゃったことを指摘されているんです。日弁連と医師会は関わっているが、あとの委員は全部入管が選んでいるから客観性が担保できないと書いてあるんですよ。何が透明性だという話ですよ。

 ちょっと法務省にお聞きしますが、五人、これは誰ですか。そして、この五人の方と入管庁は契約を結んでいるというお話を聞いたんですが、事実ですか。さらに、どんな契約を結んでいるんですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 まず、契約の点でございますが、今回、視察委員会としての調査ではなくて、別途、視察委員会の委員である方、あられた方というところに着目をして、個別にこの調査に加わっていくに当たっての契約を取り交わしております。その契約の内容といいますのは、例えば秘密保持の内容等に関するようなところも含まれているところでございます。

 さらに、どなたがという点でございますが、昨日、理事懇でのいろいろな御指摘を受けまして、改めて当庁におきまして、調査に加わっていただいている五名の方々に氏名の公表の可否等の意思を確認したところでございます。

 この五名のうち、法曹関係者、弁護士でございますが、あと医療関係者、医師である二名の元メンバーの方からは、最終報告時において氏名を公表することの了解を得たところでございます。

藤野委員 いや、これはどういう契約を結んでいるのかという話なんですね。先ほど秘密保持とありましたが、もう既に、この運用要領を読みますと、委員は国家公務員法第百条の守秘義務が課せられるとわざわざ書いてあるんですよ。

 それは別に私は問題にしているんじゃなくて、それ以外に、大体、契約に縛られるような人が第三者と言えるのかと。

 委員長、これはどういう契約なのか明らかにするためにも、提出をお願いしたいと思います。

義家委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議いたします。

藤野委員 その上で、この問題は、まさに、先ほど来指摘がありますけれども、本法案の大前提の問題でありまして、最終報告、先ほど来出ておりますが、この余りにもひどい中間報告からどう変わるのかも含めて、これは審議抜きに法案審議できないというふうには思っております。直ちに出していただきたいと思っております。

 その上でですが、しかし、ちょっと早めに指摘しておきたいことがありますので、質問させていただきます。

 配付資料の二を見ていただきたいんですけれども、これは左側の黄色いところが今回の法案の処遇の部分ですね、収容処遇あるいは保健医療に関する部分です。右側の青いところが、いわゆる刑務所に関する刑事収容施設法の部分なんですね。対照させてみました。もうこれは、ほとんどコピペしたのかと思うほど酷似しているんです。

 問題なのは、収容するということと刑務所に入れるということは全く趣旨が違うということなんですね。

 一九五四年二月三日の衆議院法務委員会で、当時の入管局長はこう答弁していまして、「ここは」、ここはというのは入管施設ですが、「ここはもちろん刑務所でもないし、そういう犯罪人を扱うところでもない、単に帰国する人たちの船待ちである。」という答弁なんですね。だから、船というか、今でもやはり趣旨は変わらないというふうに思います。基本的には、送還前にどうしても短時間必要な、ある意味、船待ちのための施設である。

 他方、刑務所というのは、まさに刑の執行のための身体拘束であり、権利制限であります。しかも、刑務所の場合は、事前に司法府による裁判を受けて、司法の判断として身柄が拘束されますし、司法の判断で刑期というか上限も決められるわけですね。

 ところが、入管収容の場合は、事前の司法チェックが全くなく、身体拘束が入管の判断で行われ、かつ、いつまで行われるかも入管の判断で行われる。そういう全く性質の違いがある、目的も違うし、性質も違う。ところが、この条文を見ていただきますと、ほとんど同じなんです。文言まで同じ。

 これは何でこういうことになっているんですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、刑事収容施設と入管収容施設というのは、目的は全く異なっております。

 それを踏まえまして、入管収容施設におきましては、現行法におきましても、被収容者には、保安上支障がない範囲内においてできる限りの自由が与えられなければならないと規定されているところでございます。

 ただ、これを前提といたしました処遇の充実あるいは被収容者の権利の保護という点におきましては、目指すところは同じでございますので、そういう点においての法律の条文の文言が……(藤野委員「今、何が同じと言いましたか」と呼ぶ)目指すところが。(藤野委員「その目指すところというのは何」と呼ぶ)

 もう一度申し上げます。被収容者の処遇の在り方あるいはその権利の保護という点におきましては、目指すところは同じでございますので、法文の規定も同じような内容になっているものと認識しております。

藤野委員 いや、権利の保護と言いますけれども、要するに、既に現時点でも入管施設は刑務所よりひどいという声があるのは事実であります。

 ただ、問題は、今回の法案で、まさに刑務所化するという宣言をしているわけですよ。文言も限りなく一緒で。権利制限と言いましたけれども、刑務所の場合は司法の判断を受けての上なんです。ところが、入管は、全くそういうチェックもない下で、刑務所と同じ処遇を可能にするわけですよ、ある意味。いかにこの発想そのものが異常か、そういう観点に立たないのか。

 大臣、大臣にお聞きしたいと思います。発想がおかしいと思いませんか。

上川国務大臣 もとより、入管収容施設という施設におきましては、収容者の命を預かるということでございますが、被収容者に対しましては、保安上支障がない範囲内におきましてできる限りの自由を与え、また人権に配慮した処遇を推進する、この大きな方針の中で進めてきているところでございます。

 その上で、今回の改正法案でございますが、被収容者の処遇の一層の適正化を図るために、他の法律の規定も参考にしつつということでございますが、被収容者の権利義務に関する事項などにつきまして、最終的に法律で定めることが適切と考えられる内容につきまして入管法で規定しているところでございます。人権規定、人権を尊重しつつ適正に処遇を行うことなどにつきまして、総則規定でしっかりと処遇の原則を定めているところでもございます。

 改正案が成立した場合につきましては、これらの処遇に関してしっかりと適切な運用をするということでございまして、被収容者の人権の尊重、そして適正な処遇、これにつきまして一層徹底してまいりたいと考えております。

藤野委員 私は、法務大臣の人権感覚を疑わざるを得ないと思います、率直に申し上げて。ここまで、文字まで一緒なんです。要するに、発想がおかしいと私は思う、持ってきたらいいだろうというね。本当にこんなものをよく出してきたなと思いますよ。

 対比の関係で資料の三を見ていただきたいと思うんですが、これは、イギリスの非常に大きなハーモンズワース入管センターというところを、東京弁護士会所属の駒井弁護士など視察団が二〇一二年、ちょっと古いんですが、視察されたときの資料をお借りしてまいりました。

 見ていただいたら分かると思うんですが、共有スペースには、ビリヤード、サッカーゲーム、卓球台、大画面テレビ。キオスクも、いろいろある。美容室もあるんですね。カラーのみ二ポンドとあるんですけれども、要するに髪を染めることもできる。インターネットのアクセスも利用可能。日本はこれはできないんですけれども、Eメール等々がいろいろできるとか。あと、外部のアクセスで、イギリスの場合、一人一台携帯電話が無償で貸与されるとか、二十四時間、時間制限なしとかですね。

 外部の面会、日本の場合、こういう平日のみとか週末は駄目とか午前中、いろいろな制限があるんですが、イギリスは、右の方で、一年三百六十五日、十四時から二十一時まで、時間制限なし。非常に明るい場所なんですね、日本はアクリル板で遮られていますけれども。寝室も、これは若干暗いんですけれども、こういうふうになっていますし、要するに二人部屋。日本は多人数なんですね。

 被収容者の運動というのも認められておりまして、ジムがこういうふうになっている。これは報告書があるんですが、読ませていただくと、やはり日本の弁護士の方が、こういうダンベルとか凶器になり得るようなものをチェーンもつけずに使わせていいんですかと聞いたら、いや、それは信頼の問題だという答えが返ってきてびっくりしたという記述も報告書にはあるんです。

 あとは、美術室もあるんですね。ここには、はさみもある。だから、はさみも凶器になり得るんですね。しかし、そういうものも信頼関係の下で使えるようになっているというお話をお聞きをしました。音楽室もある。被収容者たちがバンドを組んで練習しているというわけです。

 ですから、もう時間が来ましたので質問を終わりますけれども、あと、働くこともできるんですね。要するに、刑事施設とは全く違うのが当たり前であって、今回の法案のような、まさに刑務所化しようなんというのはいかにおかしいかということだと思います。

 この点も含めて、引き続き審議をしていきたいと思います。終わります。

義家委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 先ほどからの質問で、原則的なことをお聞きしたいんですが、この中間報告とか最終報告というのは、誰に対して、何のために作られているんでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 中間報告は、まず、亡くなられるに至った経緯等の客観的な事実関係をその時点で明らかにするという趣旨で、最終報告は、その後の調査結果も踏まえまして、入管の対応等々について評価、検討を行うという位置づけのものでございます。

 そして、誰向けかという点につきましては、亡くなられた件につきましての事実関係、評価について世の中に明らかにするとともに、これは御遺族も含みます、入管の今後の運用に対しても、それに反映をさせるという意味合いのものと認識しております。

串田委員 今、最後に、入管法改正に関しても反映させると。

 資料として、これが本当に適切に改正になっているのかということをやはり国会も監視していくという意味で、最終報告とかを私たちは見せていただくんだと思うんですが、その過程の中で、中間報告は、たまたま診療情報提供書というのが目に触れることになって、この中間報告書が随分書き換えられているじゃないか、あるいは、本来書かれていなければならないものが欠落しているじゃないか、大臣はこういうものに関しては正確に全部添付するなどをしなければならないんじゃないかと。こういうようなことは、たまたま診療情報提供書が出てきたから言えるのであって、最終報告書自身が真実を担保されているかどうかが疑わしいということで、こういう質疑を私たちは今しているんだと思うんです。

 その確認のためにビデオを見させてくださいということに関して、二つの理由が出てきました。

 一つは、これは保安上の問題なんだと。これに関しては、階委員が、保安上の問題だったら、第三者に見せて、第三者に対しては保安は守られるけれども、国会議員に見せたら保安は守られないということなのかということに関して、正確な答えがいただけないから、ああいうやり取りが続くのは仕方がないと思います。

 それに対して、大臣は、いや、調査中なんだ、調査の自由性というものを確保したいんだ、こう答えられているんですが、ビデオを見ることができないというか、開示できないのは、どっちを理由としているんですか。

松本政府参考人 まず、ビデオの保安上の理由について御説明申し上げます。

 保安上の理由は繰り返しませんが、ただ、国会議員の先生方にお見せした場合には、国会等の御質問の中で、その監視カメラの解析度とか射程範囲とか、そういった点も明らかになる可能性があると認識しております。その点におきまして、第三者の調査に加わっている方々と意味合いが違っているというふうに認識しているところでございます。

串田委員 国会質疑の中で保安上危険にさらすような質疑をするかもしれない、そういうことなんですか。それはひどいんじゃないですか。大臣、そういうことなんですか。

上川国務大臣 今、御質問について、私自身が中間的なことだからと申し上げたということでありますけれども、私は、自由に本当に調査をしっかりしていただきたいというふうに思っておりまして、私自身は指示したものでありますので、最終報告までしっかりと、独自に出入国在留管理庁の調査チーム、それには第三者の方々の中立な御指摘も踏まえてということで指示をしたところでございます。その目的にかなうようにしっかりと推進していくということでありまして、国会の中での先生方の様々な御指摘また様々な資料等の御要請ということもございまして、それはそれぞれ国会で御判断をいただきながらということでございます。

 ビデオの件につきましては、出入国在留庁の方からは、収容施設の設備の状況、また職員の状況等を撮影したものであり、保安上の観点などから、その取扱いにつきましては非常に慎重な検討を要し、適切でないという旨の報告を受けている状況でございます。

 国会における資料の提出のお求めに関する事項に関しましては、今日も多くの資料の提出のお求めがございましたが、国会の御判断ということでございますので、法令の許す範囲の中で誠実に対応してまいりたいと考えております。

串田委員 最終報告書とかは、法案に関して国民の信託を受けた国会が、正しい改正になるのかどうかということの反映をするために情報提供をするということであるならば、本当にそうであるのかということを確認したいと思うのは当たり前だと思うんですよね。それを、第三者には見せても、国会には保安上の心配があると。でも、第三者にはどうして保安上の心配はなくなるんですか。国会質疑をして、保安上の心配のような質疑をするという不安があるんですか。

 それはちょっと、この改正をするために今審議しているんですから、この改正をするために必要な資料というのはやはり必要ではないかなと思いますし、百歩譲って、上川大臣、今審査をしている意味で自由度が妨げられるということであれば、最終報告が終わった後はビデオを開示するということでよろしいですか。

上川国務大臣 資料の扱いということにつきまして私の立場で申し上げるということにつきましては差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、ビデオの映像記録につきましては、出入国在留管理庁からの報告でございますが、重ねてで恐縮ではございますが、収容施設の設備の状況、職員の状況等を撮影したものであり、保安上の観点などから、その取扱いにつきましては非常に慎重な検討を要し、適切ではない旨の報告を受けているところでございます。

串田委員 その報告を受けた上で大臣が決断するんじゃないんですか、大臣というのは。

 これは、中間報告がまともに報告されているんだったら、こんなこと言わないんですよ。診療情報提供書の文言をことごとく書き換え、必要なところを欠落しているから、最終報告書は真実をちゃんと担保されているんですかということを確認したい、こういう思いでビデオを見させてくださいと言っているわけですから。どうして、中間報告がこんな書換えされているのに、最終報告書だけは真正なんだ、信用してくれというのを、この国会の、国民の信託を受けた国会議員が、それをそのままうのみにしなければいけないのかということなんです。私たちは、やはり責任を持って、この改正案を検討したいんですよ。

 そして、スリランカの女性の方が亡くなられたということですよね。先ほどからもありますように、昨年の八月は普通に生活できた人が、最後は車椅子にまでなってしまった。それまでの間、自覚症状だけじゃなくて他覚症状も十分出ているじゃないですか。それを詐病というような、中間報告はそういうようなふうにイメージとして持たせるような書き方をして、責任逃れをしているように私には思えるんです。

 だから、最終報告はそういうことがなく、真実をそのまま書かれているのであるんだったら、そのビデオを第三者が見ているとおりに私たちも見て、最終報告が本当に真実であるかどうかということを確認させていただいた上で、この法改正をさせてくださいよ。

 これは憲法の人権の問題ではなくて、人が健康上、もう亡くなるような状況のときに助けるというのは、これは人権の問題じゃないですよ。人間として当然のことじゃないですか。それができているかどうかということを今確認しているわけです。

 ですから、大臣、これは、ビデオを、大臣として報告を受けているんじゃなくて、その上で、国会に対してしっかりこの法改正をしてもらおうという意味で、見させてください。そして、保安上の問題があるんだったら、そこだけモザイクをかけたりするなり、幾らでも今、現実の文化ってあるじゃないですか。先ほど藤野議員が、何がデジタル化だという話がありましたけれども、動画だって、幾らだって保安上の部分を抹消することはできるんですから、そこの部分を抹消してでもこれを開示する。お願いします。これは、改正、しっかり私たちも議論しますので。

松本政府参考人 まず当庁の立場を御説明させてください。

 やはり保安施設という特殊性で、もう理由は繰り返しませんが、いろいろな機微にわたる情報が入っております。かつ、保安施設は入管の施設だけではございません。そういうところとの取扱いも踏まえまして、このビデオについては開示等をすることは適切でないと認識しているところでございます。

串田委員 書換えをした当の張本人が言わないでくださいよ、そんなことを。もう今後はそうすることはやめますと言っていた、前回そういう答弁をされていた人でしょう。

 ところで、先ほど藤野議員が刑務所と違うんだという話をしまして、そういう資料もいただいたんですけれども、ごっそり抜けているところがあって、子の養育というところはごっそり、刑務所よりひどいんですね。

 私はずっと子どもの権利条約の話をさせていただいたんですが、四月二十四日に報道が、衝撃的なのがありまして、子供が、母親と会えない、一時保護で会えないということで自殺をした事案がございました。これは、お母さんと子供が、貧困だということで児童相談所に、困窮しているので相談に行ったんですよ。そうしたら子供だけ引き離されて、子供がお母さんに会いたい会いたいと言って泣いても、半年間以上、会わせなくて、そして最後は子供が自殺したんですよ。

 これは子どもの権利条約からずっと勧告を受けていて、今回の収容に関しても子どもの権利委員会から勧告を受けています。だから、何度も何度も質問させていただいているんですが、厚労省にも、その面会に関して質問させていただきました。

 今回の収容に関しても、それについては問題がないと言っていますけれども、このようなことをしているのは法務省ですからね。厚労省の一時保護に関しては、義務的司法審査というのを行っていないというのの法務省への質問もずっとさせていただきましたし、昨年の七月のEUに関しては、チャイルドアブダクションはチャイルドアビューズだというふうに、EUが六百八十三対一の非難決議を日本にしています。

 まず、外務省に関して、チャイルドアビューズというのはどういうふうに訳しているんですか。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 欧州議会で採択された決議について、政府として正式な訳を作成する立場にはございません。

 そのことを申し上げた上で、この決議そのものということではございませんけれども、日本が締結している児童の権利条約においては、御指摘のございましたアビューズを虐待と訳しているところでございます。

串田委員 この前、外務省にアブダクションというのを訳してくださいと言ったら、辞書が今手元にないからと言われたんですが、今は訳せるんですか。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 辞書におきまして、アブダクションの訳ということでございますれば、ジーニアス英和大辞典におきましては、アブダクションについて、誘拐、拉致、筋肉の外転、このような訳が記されているところでございます。

串田委員 だから、誘拐、拉致が一番最初に出てくるんですよ。だから、外務省は北朝鮮の拉致事件をアブダクションと言っているわけでしょう。

 要するに、外国でアブダクションというのは拉致、誘拐といって、EUもチャイルドアブダクションとして非難しているわけで、要するに子供の誘拐、子供の拉致を日本の国は放置しているから、チャイルドアビューズ、児童虐待だと言っているわけですから。児童虐待を放置している国なんだというのを、六百八十三対一でEUから非難されている。

 そして、国連勧告からも、この収容に関しても、子供と親を引き離さない法整備をしなさいと言われて、それに対して法務省は、やっていますよと。今度の子どもの権利条約も遵守していますよと。だけれども、世界中から非難されているじゃないですか。

 だから、何度も何度も聞いているし、先ほどの刑務所と収容所の違いも、子の養育に関してはごっそり抜けていて、日本は親と子を簡単に引き離して何とも思わない国なんだというふうに諸外国から思われているんだと私は思うんですが、大臣、この危機感というのは大臣もおありですか。

上川国務大臣 ただいま、子供の最善の利益に係る御質問ということで、毎回御質問いただいておりますが、私自身も、チルドレンファーストという言葉を大切に思いながら、この間の職務も果たしているところでございます。

 出入国在留管理手続におきましての子の権利の保護につきましては、まず、在留特別許可の判断ということでございますが、これまでも個別事案ごとに、子の利益等の様々な事情を考慮して行ってきたところでございます。

 改正案につきましても、在留特別許可の透明性を高めるための事項として、家族関係等の考慮事項を法律で明示することといたしております。子の利益につきましても、この家族関係、又は人道上の配慮の必要性に含まれるものと考慮されることとなるところでございます。

串田委員 今大臣が透明性というふうにおっしゃってくださったので、だから、透明性という限りは、差し障りのないところは全てやはり開示して、そして、正々堂々、正面から、この改正案が正しいかどうかというのを考えましょうよ。何か、見せたら具合が悪いような感じに、やはり誰もが思いますよ。

 そして、書き写した健康状態に関しても、本当に刻々と具合が悪い状況があるのと、あと、私も前回質問させていただきましたが、やはり通訳が足りていないなというのをすごく感じました。

 例えば、二月二十五日、かなり具合が悪くなってきたんですが、私、ここの中、胸を指して、大丈夫じゃない、足が冷たい、いつ病院に行くという書き込みがありました。二月二十六日も、私、大丈夫じゃない。

 どこが大丈夫じゃないかって、こんな日本語で記録に残されていても、私たちだったら、もっと日本語で、どういう状況なのかというのを描写できるじゃないですか。だけれども、通訳がいないから、私、ここの中、大丈夫じゃないというのが書かれているだけなんですよね。で、どんどんどんどん具合が悪くなって、最後は、泡沫なたんを吐いたりし、そして、車椅子で三月四日、そして、最後は三月六日午後三時二十五分にお亡くなりになられたんですね。

 これは、先ほどから、名古屋入管がどうのこうのというよりも、今、現時点で、このような状況になったときには、今回の改正五十四条の、健康上、人道上の、一時的に解除することが相当と認めるときというふうな判断をされるんですか。この状況を見ても、まだそうではないというふうに判断するんですか。

松本政府参考人 仮定のお尋ねにつきましてお答えすることは困難でございますが、ただ、改正法におきましては監理措置という制度がございまして、当初から収容せずに退去強制手続を進めるという制度、さらには、改正法におきます仮放免につきましては、法文上、健康上、人道上その他これらに準ずる理由によりその収容を一時的に解除することを相当と認めるときはという形で、健康上の理由というところを明示しているところでございます。

 いずれにいたしましても、それを踏まえた適切な運用というのは重要であると思っているところでございます。

串田委員 だから、適切かどうかという当てはめ自身が、具体的なものとして、私たち自身が、これはこれに該当するとか該当しないというものを確認しないと、条文上、健康上と書いていながら、よほどのことがあってもこれに該当しないんだったら、この改正は何にもならないじゃないですか。

 だから、今質問しているわけだし、ビデオを見て、これは該当するかどうかということを確認したいから、この法改正に臨んでいるわけで、そういう意味で、大臣、この全ての資料を見させていただいた上で、この法改正、判断させていただくということを申し上げまして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

義家委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 先ほど、朝の理事会で私びっくりしました。与党の稲田筆頭から、あと三時間やって質疑終局、採決というびっくりするような提案がありまして、我々野党としては、到底そんなことはのめないと。これだけ、今、中間報告あるいは最終報告、最終報告が出てからやはり私はしっかりやるべきだと思います。

 それと、是非申し上げたいのは、今もう世の中、コロナなんですね、国民の皆さんの関心は。入国管理法、まさに水際対策ですよ。私、この間も、今日もこの後やらせていただきますけれども、ここをまず一番に、真っ先に議論をして、しっかり万全の対策を取るということが今何より国民の皆さんの期待じゃないですか。私、厚労委員もやっているんですけれども、厚労でも今、高齢者窓口負担二割、自民党が強行採決しようとしていますけれども、はっきり言って、厚労委員会の質疑の大半はコロナ対策ですよ。当たり前ですよね。

 そんな中で、まあ大事ですよ、この法案も大事だし、二割負担も大事な法案ですけれども、今やることなのか。せめて第四波、緊急事態宣言が明けてから、そして、少し落ち着いて、国会を延長すればいいじゃないですか。それでやるべきですよ。そうすれば、最終報告だって間に合うし、そういう丁寧な議論を是非お願いしたい。今日も私も十五分しかありませんから、本当にお願いしたいと思います。

 それでは、どうしても聞きたいので、入国、水際対策の話を聞きます。

 前回、厚労省に来ていただいて、私は驚いたんですけれども、ビデオ電話を七十件程度やっていると。一日約二千人が海外から入国、まあ帰国も含めてでしょうけれども、入ってきて、それで七十件ビデオ通話をやっている。これでどうやって、余りにも少ないんじゃないですか。それと、そもそもこの入国、二千人、どういう形でフォローアップ、水際対策をやっているのか。もう一度、厚労省、しっかり御答弁をお願いします。

度山政府参考人 お答えを申し上げます。

 入国された方のチェックということですが、何重かの手段で行っております。基本的にはメール等で、これは待機期間の十四日間ですね、メールで健康状態を御報告していただくということがありますけれども、いろいろ出歩いたりされるみたいな事例もあったので、位置情報アプリというのを入れていただいて、それでランダムな時間に往信をして位置情報を返していただくというようなこともやっております。それに加えて、やはり目視の確認が確実だということで、ビデオ通話による状況確認というのもするということでやっております。

 ただ、問題は、メールの発信とか位置情報アプリは、ある程度機械の処理で、結果を人間がモニターすればいいんですけれども、ビデオ通話はマンツーマンでやることになりますので、人員の確保とか、それから、例えばそれをリモートでやるみたいな話になると、ちょっとプライバシーの問題もあったりして、やはりちゃんとコールセンターみたいな情報管理のできるところに集めてやらなきゃいけないということで、なかなか体制の整備に苦慮をしているというのが実態で、確かに件数は少ないわけなんですけれども。

 今はどうやっているかというと、メールとか位置情報アプリでの確認に往信というか返答がないような方について、直接電話をする、あるいはビデオ通話をするというような形で確認を、とにかく何らかの方法でちゃんとフォローをするということをやっておるということですし、ビデオ件数も、自慢はできませんが、今は百件ぐらいの対象者に徐々に拡充してきているので、その確認の密度を上げていくという努力をしていきたい、これが現状でございます。

高井委員 実は、ちょっとだけ進歩したんですね。昔は、私の友人が帰国したとき、今はLINEじゃなくてメールになったんですけれども、LINEで、熱はありますか、いいえ、もう一つ何か、二つぐらい聞いて、返すだけだったんですよ。実際どこにいるかなんか分からないわけですよ、そんなの。

 ですから、今、位置情報をつけてやるようにしたと言いますけれども、じゃ、聞きますけれども、大体二千人ぐらいが毎日入ってくる中で、位置情報つきでメールを返してくれる人はどのくらいいるんですか。

度山政府参考人 これは時期によってだんだん上がってきているわけなんですけれども、確かに、すぐに応答のない方というのもいらっしゃいますけれども、位置情報にログインをしていただいた方に関して言うと、応答は八割を超える程度で返ってきているというような状況にあるというふうなことを把握しております。

高井委員 ログインした人と言いましたけれども、ログインしていない人はどのくらいいるんですか。ログインした人の割合はどのくらいなんですか。

度山政府参考人 四月のここまでで把握した感じでいうと、大体四分の三ぐらいの人は適切にログインいただいていると。

 ログインができていない人は、例えば、外国の方で、しかも、英語の説明なんかも渡しているんですけれども、英語の能力が必ずしもないような方が、やはりそういうことがきちんと把握できていなくてみたいなことでログインできていないみたいなこともあるようなので、そこは、先ほど申し上げたように、例えば電話ですとか、ビデオがつながった方についてはビデオ通話でそういうことの重要性を言った上で、やっていただくように説明をしている、そういう状況です。

高井委員 いや、とんでもなくひどくないですか。ログインした人が四分の三ということは、四分の一がしていないわけでしょう。さらに、四分の三のうちの八割が返しているけれども、二割は返していないわけですよね。後で計算してみますけれども、相当数の方が野放しなわけですよ。

 かつ、今、外国人で英語が分からない方と言いましたけれども、まさに外国人の方が危ないわけでしょう、変異ウイルス。しかも、今、二重ウイルス、インドでは大変なことになっていますよ。これが入ってきたら、また新たな第五波、第六波となるわけですよ。

 今やるべきことは、とにかくこの水際対策ですよ、入国させない、ウイルスを入れない。そのためには、やはりもう私権制限もやむを得ないですよ。韓国なんか、一歩でも外に出れば罰則がかかって、スマホの位置情報で常に監視している、定期的に所在確認の電話をする。さっき体制整備の話をしましたけれども、ここにお金をかけてくださいよ。今、保健所じゃなくて、民間企業に委託しているんですよ。そこにどおんと、もっとお金を出して、人なんか幾らでも雇えるじゃないですか。本当にもうびっくりします。後で厚労委員会で厚労大臣にも聞きますので、ちょっともう今日はここまでにしておきますけれども。

 是非、この問題は、本当に、入国管理の問題ですから、法務大臣もしっかり当事者意識を持っていただいて、厚労省任せ、いや、本当に、大臣、どうですか、今のはちょっとひどいと思いませんか。こんなに外国人がいっぱい入ってくるということを入国管理の責任者としてどう思われますか。

上川国務大臣 外国と、そして日本は海で囲まれているということから考えますと、その水際はまさに水際ということでありますので、今の変異種のみならずというようなことを考えてみますと、そこがしっかりとガードをしていくということ、これは極めて重要だと思っております。

 CIQということで、空港の中で一連の対応をしているところであります。それの連携の中でしっかりと対応ができるように、今アプリケーションの話がございましたが、一人一人にしっかりとつながり続けなければいけないということでありますので、政府全体としての取組の中でも、しっかりと共有しながら、しかし、それぞれの責任の中で対応してまいりたいというふうに思っております。

高井委員 是非、それぞれの責任というか、外務省と法務省と厚労省なので、三大臣が集まっていただいて。やはり厚労省が弱いと思いますよ。大変なんですけれども、厚労省はいろいろな仕事を抱えているから。でも、そこをやはりフォローしてあげないと、本当に、これから新たなウイルスがまた入ってきますから、今度こそもう失敗をしない、そのことが一番大事だと思いますので、大臣もリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 それでは、あと五分になってしまったんですけれども、法案の話に入ります。

 実は、なんみんフォーラムという、先日、国民民主党でもヒアリングをさせていただきました。ここが、今年の三月十七日から四月の五日にかけて、弁護士や外国人を支援する個人や団体に、百二十六件の方にアンケートを取りました。そうしたところ、八九%の方が今回の監理措置は評価できないと答えていて、九割、九〇%の人が、監理人にはなれない、なりたくないという答弁をしています。

 これはやはり、せっかく制度をつくったんだけれども、実際引受手がないということになれば、私は制度が成り立たないと思いますけれども、大臣、御見解をお聞かせください。

上川国務大臣 先ほど委員が御指摘いただきました民間団体によりましてのアンケート結果につきましては、承知をしているところでございます。

 監理人にとりまして、生活状況を把握した上での届出義務、あるいは違反した場合の過料の制裁が負担となる旨の支援者の声が寄せられていると承知をしております。

 この点でございますが、収容・送還に関する専門部会というのが開かれてきたわけでございますが、新たな収容代替措置として、例えば、第三者の支援又は補助等により、適切に生活状況が把握され、送還の実施を担保するために逃亡防止や出頭確保を図り、収容施設外で起居するものとすることを認める措置、この導入を検討するよう提言がなされてきたところでございまして、これを踏まえまして、本改正案につきましては、監理措置に付された者による逃亡等の条件違反行為を未然に適切に防止するため、監理人の方々に対しまして、外国人の生活状況を把握しつつ、指導監督するとともに、必要な事項を届け出なければならないというふうにしているところでございます。

 この監理人の届出義務ということになりますと、これは監理措置制度の中核をなすということでございまして、その違反につきましては、一定の制裁を設けてその履行を担保することも必要ではないか、こういう考えでございます。

 支援者の皆様の懸念をしっかりと払拭をし、そして多くの方々に監理人をお引き受けいただくことで制度を円滑に機能させるということでありますので、こうした配慮から、出入国在留管理庁につきましても、負担を全て監理人に押しつけるということではなくて、外国人を収容する出入国在留管理庁と様々な交流をしながら、外国人お一人お一人に対して必要な助言指導が行われることができるように、しっかりと運用を図ってまいりたいというふうに思っております。

高井委員 大臣は、四月十六日の本会議でも、山尾委員に対して、制度の趣旨を丁寧に説明し、御理解を得るよう努める、そう言われているんですけれども、これまでも何度もこういった方々から意見を聞いてきているはずなんですよね。それが取り入れられていないことが、やはり、そもそもこの制度を評価できないというアンケートにつながっていると私は思います。

 もう一つ聞きますが、監理措置対象者の方の援助とか住居に係る支援を今監理人に求めるわけですけれども、しかし、それに係る費用については、これも本会議で山尾議員の質問に対して、大臣はこう答弁しています。依頼に基づく費用は外国人の側において負担すべきであり、監理人に対する財政支援を行うことは適切ではないと。そうおっしゃいますけれども、外国人の方は、就労も認められない、それから迫害を恐れて逃げてきている、あるいは長期にわたって収容されていた、そういう方々ですよね。その方々に費用負担を求めるというのは、非現実的で、制度そのものが成り立たないんじゃないですか。

 費用負担もできず監理人も見つからなければ、結局この方々は長期収容となるわけですけれども、それでも大臣としてはやむを得ないと考えているのか。是非、大臣、御見解をお聞かせください。

上川国務大臣 監理人の方々につきましては、基本的に、退去強制手続中の外国人の方の依頼を受けて就任するということでございます。その依頼に基づく費用が発生するのでありましたならば、当該外国人の方によりまして、あるいはその家族、親族によって支払われるべきものというふうに考えております。

 なお、退去強制令書の発付前の者につきましては、一定の要件の下で就労を許可できることとしておりまして、これによっても費用を賄うことが可能となるところでございます。

 また、仮に監理措置に付されない場合でありましても、収容中の者が健康上等の理由により収容を解く必要がある場合におきましては、仮放免することとなるところであります。

 出入国在留管理庁といたしましては、必要に応じまして、大使館、領事館に対しまして自国民保護の観点から支援を要請することも考えております。これまで以上に大使館、領事館の方々と密接に協力をしていただくべく、また、こちらの方も情報提供をしながら、この制度そのものがしっかりと運用できるように図ってまいりたいというふうに考えております。

高井委員 まだまだ質問は用意しているんですけれども、もう十五分、終わっちゃいましたので、くれぐれもあと三時間で終わるなんということはないように強くお願いして、終わります。

 ありがとうございます。

義家委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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