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第1号 令和4年2月25日(金曜日)

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本国会召集日(令和四年一月十七日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 鈴木 馨祐君

   理事 井出 庸生君 理事 熊田 裕通君

   理事 葉梨 康弘君 理事 山田 美樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 階   猛君

   理事 守島  正君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    尾崎 正直君

      奥野 信亮君    国定 勇人君

      田所 嘉徳君    高見 康裕君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      中野 英幸君    西田 昭二君

      野中  厚君    八木 哲也君

      山田 賢司君    伊藤 俊輔君

      鈴木 庸介君    藤岡 隆雄君

      山田 勝彦君    米山 隆一君

      阿部 弘樹君    前川 清成君

      日下 正喜君    福重 隆浩君

      鈴木 義弘君    本村 伸子君

令和四年二月二十五日(金曜日)

    午後零時十七分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 馨祐君

   理事 井出 庸生君 理事 熊田 裕通君

   理事 葉梨 康弘君 理事 山田 美樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 階   猛君

   理事 守島  正君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井野 俊郎君    石橋林太郎君

      尾崎 正直君    奥野 信亮君

      神田 憲次君    国定 勇人君

      田所 嘉徳君    高見 康裕君

      谷川 とむ君    中野 英幸君

      西田 昭二君    野中  厚君

      山田 賢司君    伊藤 俊輔君

      鈴木 庸介君    馬場 雄基君

      藤岡 隆雄君    山田 勝彦君

      米山 隆一君    阿部 弘樹君

      前川 清成君    日下 正喜君

      福重 隆浩君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         古川 禎久君

   法務副大臣        津島  淳君

   法務大臣政務官      加田 裕之君

   最高裁判所事務総局経理局長            氏本 厚司君

   法務委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  野中  厚君     神田 憲次君

  八木 哲也君     井野 俊郎君

  藤岡 隆雄君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     八木 哲也君

  神田 憲次君     野中  厚君

  馬場 雄基君     藤岡 隆雄君

    ―――――――――――――

二月十五日

 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律の再検討に関する請願(長坂康正君紹介)(第二五号)

 子供の性虐待・性搾取被害悪化の現状に鑑み国連勧告に沿った児童買春・児童ポルノ禁止法の抜本的改正を求めることに関する請願(葉梨康弘君紹介)(第四二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 裁判所の司法行政に関する事項

 法務行政及び検察行政に関する事項

 国内治安に関する事項

 人権擁護に関する事項

以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、法務行政等の当面する諸問題について、法務大臣から説明を聴取いたします。古川法務大臣。

古川国務大臣 法務大臣の古川禎久です。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年十月に法務大臣に就任し、約五か月の間、私は、今、この時代における法の意義、そして法務行政が果たすべき役割について、日々、自らに問いながら、職務に取り組んでまいりました。

 人類社会は、人の尊厳が重視され、尊重される社会へと、一歩ずつではありますが、着実に歩んできました。自由、基本的人権の尊重、法の支配、そして民主主義は、そうした社会を実現するために、人類があまたの困苦を乗り越えながら獲得してきた原理と言ってもよいでしょう。

 我々の社会は、それぞれが自らの考えをしっかりと持ちながらも、他者を尊重し、共に生きていくこと、言い換えれば、人とのきずな、社会とのきずなを結ぶ力なしには成り立ち得ません。我々は、これらの原理を共有し、きずなを結び、誰もが幸せを享受できる社会を目指して、不断の努力を積み重ねていかなければなりません。

 法秩序の維持、国民の権利擁護等を任務とし、我が国の法制度の基盤を担う法務省においては、このような大局観を常に念頭に置きつつ、諸課題に取り組むことが大切だと考えています。法務大臣として、法務行政に寄せられる内外からの様々な声にしっかりと耳を傾け、法務行政をよりよいものとすべく、持てる力を尽くして、取り組んでまいります。

 以下、四つの大きな視点の下、法務行政を推進してまいります。

 一つ目の視点は、共生社会の実現です。

 全ての人々が、互いの違いを認め、尊重し、助け合うことのできる共生社会の実現を目指します。

 まず、何よりも、不当な差別、偏見は、断じてあってはなりません。お互いを尊重し合える社会を目指し、人権相談や調査救済活動を充実強化するとともに、効果的な人権啓発活動等の取組を推進してまいります。

 外国人との共生社会を実現するためには、外国人の人権に配慮しつつ、ルールにのっとって外国人を受け入れ、適切な支援を行うとともに、ルールに違反する者に対しては厳正に対応することが重要です。

 より一層適切な在留管理、支援を行うため、関係府省庁とも連携し、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策や、外国人在留支援センター、FRESCにおける支援等を推進してまいります。また、特定技能制度や技能実習制度は、それぞれ見直しの時期を迎えており、現行制度の適切な運用に努めるのはもちろん、広く様々な関係者の御意見を伺いながら、よりよい制度に変革していくための検討をしっかりと進めてまいります。

 昨年三月の名古屋出入国在留管理局における被収容者の死亡事案は、決してあってはならない悲しい出来事でした。同様の事案を二度と起こさないという固い決意の下、まずは、出入国在留管理庁の意識改革、組織改革を含め、調査報告書で示された改善項目全てを着実かつ迅速に遂行してまいります。

 あわせて、現行制度において生じている送還忌避及び収容の長期化の問題は、早急に対応すべき喫緊の課題であるとの認識の下、これらを解消し、退去強制手続を一層適切かつ実効的なものとするための検討を鋭意進めてまいります。

 また、難民認定制度については、その運用の一層の適正化を図るため、国連難民高等弁務官事務所、UNHCRの連携も含め、幅広い知見を集積すべく検討を進めてまいります。

 犯した罪を償い、立ち直ろうとする人たちを受け入れられる懐の深い、しなやかな社会づくりを推進します。国、地方公共団体、民間協力者が一体となった息の長い支援が可能となるよう、保護司、更生保護施設、協力雇用主等の民間の方々の活動に対する支援や、地域における支援ネットワークの一層の充実強化に取り組んでまいります。

 また、罪を犯した者に対する処遇を一層充実させるため、新たな自由刑や被害者の心情を処遇に反映するための制度の創設、更生緊急保護制度の拡充等の満期釈放者対策等を内容とする刑法等の一部を改正する法律案等を今国会に提出する予定ですので、十分に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いいたします。

 再犯の防止等の推進に関する法律の施行から五年を迎え、この間の取組の効果や更なる課題を検証し、次期再犯防止推進計画の策定に向けた検討を進めます。

 本年四月一日には、成年年齢の引下げに係る民法の一部を改正する法律及び少年法等の一部を改正する法律が施行され、若者を取り巻く社会環境は大きく変化します。

 これからの時代を担う若者たちが、自らの考えをしっかりと持ちながらも、他者を尊重し、共に生きていく力を身につけることは、共生社会実現の礎となります。法の役割やその基礎となる諸原理を理解し、法的な物の考え方を身につけるための法教育の浸透に積極的に取り組んでまいります。

 また、罪を犯した若者の立ち直りを支えるため、少年院や少年鑑別所の施設、ノウハウを活用した処遇の拡充や多様な教育、職業指導等の導入など、その特性に応じた処遇の充実を図ってまいります。

 二つ目の視点は、困難を抱える方々への取組の推進です。

 誰もが生き生きと暮らし、幸せを享受することのできる社会の実現を目指し、様々な困難を抱える方々への取組を推進してまいります。

 子供たちの心身を深く傷つける児童虐待は、決してあってはなりません。法務省は、専門的な知見、情報を児童相談所等に提供するなど、関係機関と連携して児童虐待の根絶に取り組んでまいります。

 いわゆる無戸籍問題は、解消すべき喫緊の課題です。一人一人に寄り添った支援とともに、発生を予防するための民法の嫡出推定制度に関する検討等を進めてまいります。

 また、父母の離婚等に伴う子の養育の在り方について、法制審議会における調査審議が進められており、制度の見直しについての検討とともに、運用上の対応にも取り組んでまいります。

 犯罪被害者やその御家族が、被害から回復し、平穏な生活を取り戻せるよう、第四次犯罪被害者等基本計画に沿って、きめ細やかな支援を実施してまいります。

 性犯罪、性暴力は、被害者の尊厳を著しく傷つけ、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続けます。その根絶のため、性犯罪・性暴力対策の強化の方針に基づく再犯防止施策の充実強化等に取り組むとともに、関連する刑事法の整備について、引き続き、しっかりと検討を進めてまいります。

 様々な困難を抱える方々にきめ細やかに対応するため、人権擁護活動にしっかりと取り組み、また、総合法律支援の中核を担う法テラスの機能、体制の充実強化を図ってまいります。コロナ禍の中で生活に困難を抱える在留外国人に対しては、引き続き、在留資格上の特例措置や外国人在留支援センター、FRESCにおける相談対応等の支援を行ってまいります。

 三つ目の視点は、時代に即した法務、司法制度の実現です。

 法務、司法制度は、安全、安心な国民生活の基盤です。デジタル化やグローバル化、感染症や相次ぐ自然災害等、社会情勢が大きく変化する中で、時代に即したよりよい法務、司法制度を実現するため、不断の努力を続けてまいります。

 法務省におけるオンライン手続の拡充やデジタル技術を活用した業務改革を推進してまいります。

 民事訴訟制度の一層の迅速化、効率化を図り、国民にとってより使いやすい制度とするため、民事訴訟手続の全面的なIT化等を実現する民事訴訟法等の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定ですので、十分に御審議の上、速やかに御可決いただけますようお願いいたします。

 刑事手続における情報通信技術の活用についても、情報セキュリティーに十分に配意しつつ、スピード感を持って検討を進めてまいります。

 また、人権相談、人権啓発活動においては、時代に即したインターネット、SNS等の積極的な活用を推進します。

 高度、複雑化する法的ニーズに対応できる人材の育成と体制整備が急務です。

 文部科学省を始めとする関係機関と連携し、法曹養成制度改革法の着実な実施を含め、必要な法曹人材の確保を進めてまいります。また、訟務機能の充実強化に取り組んでまいります。

 時代の変化に即した刑事法制の整備も重要です。

 インターネット上の誹謗中傷が社会問題化している現状を踏まえ、先ほど申し上げた刑法等の一部を改正する法律案には、侮辱罪の法定刑の引上げも盛り込んでいます。

 また、保釈中の被告人等の逃亡を防止し、公判期日への出頭や刑の執行を確保するための刑事法の整備について、法制審議会の答申を踏まえ、法整備に向けた検討を進めてまいります。

 安全、安心を支える法務、司法の基盤整備を怠ってはなりません。

 コロナ禍にあって、万が一にも業務に停滞を来すことがないよう、引き続き、緊張感を持って、全国の法務官署及び施設における感染予防、業務継続対策に万全を期してまいります。

 公安調査庁では、その情報収集・分析能力を一層強化して経済安全保障施策に積極的に貢献するとともに、サイバー空間上の脅威に関する情報提供にも努めてまいります。また、いわゆるオウム真理教について、団体規制法に基づく観察処分の適正かつ厳格な実施等を通じた公共の安全確保に努めてまいります。

 所有者不明土地問題への対策は、政府全体で取り組むべき重要課題であり、昨年四月に成立した民法等の一部を改正する法律等の円滑な施行に向けた準備を始め、関係機関と連携した様々な取組を推進します。

 矯正施設を始めとする法務省施設の耐震化、老朽化対策を着実に推進することに加え、災害発生時の避難所としての機能確保も進めてまいります。

 性別を問わず、職業生活と、子育てを含む私生活を両立できる社会環境の整備が求められる中、法務省では、昨年三月に策定したアット・ホウムプラン・プラスワンに基づき、全ての職員が生き生きと活躍できる職場環境の整備とワーク・ライフ・バランスの実現を推進してまいります。

 また、裁判所の組織体制、職場環境を整備するため、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに御可決いただけますようお願いいたします。

 四つ目の視点は、国際化、国際貢献の推進です。

 インターネットが世界をつなぎ、社会経済のボーダーレス化が進むこの時代において、自由、基本的人権の尊重、法の支配等の原理を、国内はもとより、広く世界の国々とも分かち合い、ルールに基づく国際秩序を形成、拡大していく司法外交の取組を一層推進することが重要です。

 昨年三月の京都コングレスで採択された京都宣言では、法の支配が持続可能な開発や誰一人取り残さない社会の礎であることが確認されました。京都コングレスの成果の具体化を通じて、ルールに基づく国際秩序の形成、拡大に主導的役割を果たしてまいります。

 また、京都コングレスのサイドイベント、世界保護司会議で採択された京都保護司宣言を踏まえ、我が国が誇る保護司制度を世界へ発信、普及させる取組を推進してまいります。

 我が国は、長年にわたり、法制度整備支援や国連アジア極東犯罪防止研究所、UNAFEIを通じた研修等により、開発途上国における法の支配確立へ貢献してまいりました。

 日・ASEAN友好協力五十周年を迎える令和五年には、ASEAN各国の法務、司法大臣による会合を主催すべく準備を進めており、こうした機会も捉え、法制度整備支援、各種研修の実施等、国際貢献の取組を更に深化させ、法の支配等の諸原理、ルールに基づく国際秩序の浸透、確立に努めてまいります。

 グローバル化、ボーダーレス化時代において、日本企業の海外進出や我が国への投資、人材の呼び込みを支える環境整備は重要です。

 我が国法令の外国語訳整備は、その基礎となる重要なインフラであり、各府省庁と緊密に連携し、整備を加速化してまいります。

 我が国における国際仲裁の利用の活性化は更なる経済発展に資するものであり、日本国際紛争解決センター、JIDRCのサービス向上、仲裁人等の人材育成、国内外の企業等への周知、広報等のインフラ整備と、最新の国際基準に見合う法整備を、車の両輪として進めてまいります。

 また、国際商取引及びその紛争解決に関する国際ルールの形成にも積極的に関与してまいります。

 国境を越える脅威に対しては機敏に対応し、我が国の安全、安心をしっかりと確保していく必要があります。

 新型コロナウイルス感染症の水際対策においては、政府一丸となり、状況に応じた機動的かつスピード感のある対応を行っていくことが重要です。出入国在留管理行政を担う立場から、国民の健康と安全を守り抜く強い使命感を持って対策に取り組むとともに、ポストコロナも見据え、一層円滑な出入国審査、管理を実現するため、デジタル技術等を活用した業務の高度化を進めてまいります。

 また、テロ関連動向の把握、北朝鮮に係る核・ミサイル関連や日本人拉致問題を含む対外動向等についての情報収集・分析機能の一層の充実強化を図ってまいります。

 私は、津島淳副大臣、加田裕之大臣政務官、そして全ての法務省職員と気持ちを一つにし、冒頭に述べた大局観を常に念頭に置きつつ、法務行政の諸課題に一つ一つ取り組んでまいります。鈴木馨祐委員長を始め、理事、委員の皆様方には、より一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

鈴木委員長 次に、令和四年度法務省関係予算の概要について説明を聴取いたします。津島法務副大臣。

津島副大臣 法務副大臣の津島淳でございます。

 法務行政の諸課題については、いずれも国民生活の基本、根幹に関わる重要なものばかりでございますので、加田法務大臣政務官とともに古川法務大臣を支え、精力的に取り組んでまいります。鈴木委員長を始め、理事、委員各位の御指導と御協力をよろしくお願い申し上げます。

 では、令和四年度法務省所管等予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 法務省の一般会計予算額の総額は八千六十七億八千三百万円であり、前年度当初予算額と比較しますと、百七十四億六千六百万円の増額となっております。所管別に区分いたしますと、法務省所管分は七千四百三十七億八千五百万円、デジタル庁所管として計上されている法務省関係の政府情報システム経費の予算額は六百億九千三百万円、国土交通省所管として計上されている法務省関係の国際観光旅客税財源充当事業の予算額は二十九億五百万円となっております。

 また、復興庁所管として計上されている法務省関係の東日本大震災復興特別会計の予算額は一億七千二百万円となっております。

 次に、一般会計予算の内訳は、人件費五千百九十六億六千二百万円、物件費二千八百七十一億二千二百万円となっております。そのうち、主要施策の経費について、四つの柱を掲げておりますので、各柱に沿って御説明申し上げます。

 まず第一に、経済社会構造の転換を加速するための法務行政のデジタル化の推進の柱においては、法務行政における質の向上及び業務の効率化を図るためのデジタル化の推進に必要な経費として五百四億四千二百万円、戸籍事務におけるマイナンバー制度の利活用の推進に必要な経費として二百五十三億四千百万円、民事・刑事手続等のIT化の推進に必要な経費として六千万円を計上しております。

 第二に、誰一人取り残さない包摂的な社会の実現に向けた取組の充実強化の柱においては、頼りがいのある司法の確保のための法テラスによる総合法律支援等の充実強化に必要な経費として三百二十四億五千五百万円、インターネット上の人権侵害など様々な人権課題の解消に向けた人権擁護活動の充実強化に必要な経費として三十五億五千二百万円を計上しております。

 第三に、ポストコロナの持続的な成長のための法的基盤の強化の柱においては、所有者不明土地等問題への対応及び地図整備の推進に必要な経費として六十八億八千七百万円、外国人材の受入れ・共生社会の実現に向けた取組の推進に必要な経費として三十八億五千万円、法令外国語訳のより一層の推進及び国内外の法的紛争に係る予防司法機能の強化等に必要な経費として二十一億二千八百万円、京都コングレス後のレガシーの構築を含む戦略的司法外交及び国際協力の推進に必要な経費として四億九千七百万円、社会経済情勢の変化に対応するための民事基本法制の整備等の推進に必要な経費として一億六千四百万円を計上しております。

 第四に、安全で安心な暮らしの実現のための取組の充実強化の柱においては、経済安全保障体制及びテロ発生の未然防止体制の充実強化に必要な経費として三十二億五千九百万円、良好な治安を確保するための検察活動の充実強化に必要な経費として十二億八千三百万円、満期釈放者対策を始めとする再犯防止対策等の推進に必要な経費として百十四億二千八百万円、矯正・出入国在留管理施設等の環境整備に必要な経費として二百八十七億二千八百万円を計上しております。

 次に、定員の関係でありますが、令和四年度においては、出入国在留管理体制の強化、外国人材の受入れの促進、経済安全保障体制の強化、再犯防止対策、所有者不明土地問題への対応等の政府の重要課題に対応するため、法務省全体で一千三百三十八人の増員が認められており、定員合理化による一千七十四人の減員を差引きいたしますと、二百六十四人の純増となっております。

 以上、令和四年度法務省所管等予算の概要を説明申し上げました。

鈴木委員長 この際、加田法務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。加田法務大臣政務官。

加田大臣政務官 法務大臣政務官の加田裕之でございます。

 国の統治基盤の一つである法務行政を推進していくに当たりまして、古川法務大臣、津島副大臣と力を合わせ、誠心誠意取り組んでまいる所存でございます。

 鈴木委員長を始め、理事、委員各位の御指導と御協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局経理局長氏本厚司君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 令和四年度裁判所関係予算の概要について説明を聴取いたします。氏本経理局長。

氏本最高裁判所長官代理者 令和四年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 令和四年度裁判所所管歳出予算の総額は三千二百二十八億一千四百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百五十三億六千八百万円と比較いたしますと、差引き二十五億五千四百万円の減少となっております。

 次に、令和四年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 一つ目に、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百三十六億五千五百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、裁判手続等のデジタル化関係経費として七億一千七百万円を計上しております。この中には、民事、刑事、家事の各デジタル化関連経費、情報基盤整備関連経費が含まれております。

 第二に、民事事件関係経費として二十六億九千九百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第三に、刑事事件関係経費として四十一億二千七百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費、法廷通訳関連経費等が含まれております。

 第四に、家庭事件関係経費として六十一億一千二百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 二つ目に、庁舎の耐震化等のための経費として百四十五億五千七百万円を計上しております。

 次は、定員の関係であります。

 事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員のワーク・ライフ・バランス推進を図るため、家裁調査官を二人、事務官を三十九人の合計四十一人の増員をすることとしております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力等として六十七人の減員をすることとしております。

 なお、この増員等の中には、速記官から事務官への振替二人が含まれております。

 また、近年の事件動向、判事補の充員状況を踏まえ、判事補を四十人減員することとしております。

 したがいまして、裁判所全体で差引き六十六人の純減となります。

 以上が、令和四年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

鈴木委員長 次回は、来る三月一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十六分散会


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