衆議院

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第4号 令和4年3月4日(金曜日)

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令和四年三月四日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 馨祐君

   理事 井出 庸生君 理事 熊田 裕通君

   理事 葉梨 康弘君 理事 山田 美樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 階   猛君

   理事 守島  正君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    尾崎 正直君

      奥野 信亮君    国定 勇人君

      田所 嘉徳君    高見 康裕君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      中野 英幸君    西田 昭二君

      野中  厚君    八木 哲也君

      山口  晋君    山田 賢司君

      伊藤 俊輔君    鈴木 庸介君

      藤岡 隆雄君    山田 勝彦君

      米山 隆一君    阿部 弘樹君

      稲津  久君    福重 隆浩君

      鈴木 義弘君    本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         古川 禎久君

   法務副大臣        津島  淳君

   法務大臣政務官      加田 裕之君

   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君

   最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君

   最高裁判所事務総局行政局長            門田 友昌君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         松本 敦司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   法務委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月四日

 辞任         補欠選任

  中野 英幸君     山口  晋君

  日下 正喜君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     中野 英幸君

  稲津  久君     日下 正喜君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官松本敦司君、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、法務省民事局長金子修君、法務省刑事局長川原隆司君及び出入国在留管理庁次長西山卓爾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君、人事局長徳岡治君及び行政局長門田友昌君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。五十嵐清君。

五十嵐委員 おはようございます。栃木二区、自由民主党の五十嵐清でございます。

 冒頭、一日も早くウクライナに平和が訪れるよう心から御祈念を申し上げます。

 法案に関する質疑の前に、昨日の本会議において、大臣から、ウクライナからの避難民の方々に対する支援に力を尽くす旨、御答弁がありました。

 そこで、法務省、特に在留資格制度などを所管する入管庁がこの問題において具体的にどのように取り組んでいくのか、確認をさせていただきます。

西山政府参考人 政府においては、困難に直面するウクライナの人々のための支援に力を尽くし、我が国への避難民の受入れを進めていく方針であると承知をいたしております。

 これにつきまして、法務大臣からは、当庁に対し、関係省庁と連携の上、早急に検討し、積極的かつ適切に対応すべきであり、必要な対応を取るよう指示をいただいたところでございます。

 今後、政府全体での検討を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。

五十嵐委員 さきの委員会でもほかの議員からも要望、指摘があったところでありますので、しっかりと関係省庁と連携をして、できるだけ迅速に方針を明確にしていただいて、是非、ウクライナからの難民の方々に寄り添う、そして受け入れる、そういうことでの国際貢献、是非発揮をしていただきたいと思います。

 それでは、法案の質疑に移ります。

 裁判官育休法改正が成立をしますれば、今後、育休を取得する男性裁判官が更に増えることが予想されます。

 しかし、育休は子供を授かった際に取得するという不定期なものでありまして、十分な時間的余裕を持って計画的に取得できる性質のものではないと考えております。当然ながら、スムーズな引継ぎも必要となってきます。

 そこで、今回、判事補を四十人減員することとしておりますが、裁判官の育休の取得に対して、具体的にどのように対応を考えているのか、最高裁に伺います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判官が育休を取得した場合でありましても、全国的規模の異動、所属裁判所内での配置換え、事件配填の変更、係属事件の配填替えなどの措置を講ずることで、裁判等の事務に支障が生じないよう対応しておりますほか、各庁に裁判官を配置するに当たりましては、こうした事情も総合考慮して配置を行っているところであります。

 今回の判事補四十人の減員につきましては、充員の状況のほか、育休取得等の観点も考慮に入れました上で、減員しても将来の事件処理に支障を生じさせない範囲であるというふうに考えておりまして、今後も引き続き、裁判官の育休取得に対しても適切な対応を行っていくことができるものと考えております。

五十嵐委員 ただいまの答弁では、全国的規模の異動というものも視野に入れているということですけれども、私が裁判官のお仕事の内容をつぶさに理解をしていないこともあるかもしれませんが、全国的な異動も含めて、裁判所内の異動や配置換えあるいは担当替えでスムーズに仕事を引き継ぐということでありますけれども、これは口で言うほど簡単ではないのかなと私なりに感じております。

 是非、育休取得に向けて、しっかりと制度が効率、効果的に運用されますように十分な準備をしていただいて、男性裁判官を始め裁判所職員がより多く育休が取得できるように、引き続きの御尽力をお願いをさせていただきます。

 次の質問に移ります。

 今回の定員法改正では、事件処理の支援のための体制強化等のため、裁判所事務官三十九人を増員するとのことですが、今後、今国会に民事訴訟法改正案が提出予定でもあり、さらに、法務省では刑事訴訟法の改正も検討していると承知をしております。

 デジタル化の推進のためには計画的な人員配置が必要だと考えますが、今後の見通しについて最高裁にお伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 委員から御指摘いただきましたとおり、裁判所におきましては、民事訴訟手続を始めといたしまして、裁判手続等のデジタル化に裁判所を挙げて推進をしているところであります。

 今回の改正におきましては、裁判手続等のデジタル化の検討、準備等を含む事件処理支援のために、裁判所事務官の増員をお願いしているところでございます。

 具体的には、今御指摘をいただきました民事訴訟法や刑事訴訟法の改正を含む、現状におけるデジタル化のスケジュールを踏まえまして、検討の中心的役割を担っております最高裁事務総局に増員を行い、下級裁に適切なサポートを行うことにより裁判所全体の体制を整えることとしたものであります。

 今後も、具体的なシステムの内容、これに基づく事務の在り方についての検討が必要になってくるところであります。専門人材の登用を含めまして、引き続き、必要な人的体制の整備を図っていきたいというふうに考えております。

五十嵐委員 ただいまの御説明を聞きまして、今後のデジタル化の進展をしっかり踏まえた上での今回の増員ということであります。

 これから、国内のいろいろな、様々な分野でデジタル人材の争奪戦ということも予想がされると思います。また、司法を取り扱うという現場で、法的ないろいろな知識を持ち、なおかつデジタル分野のことにも詳しい方をしっかりと登用するだけではなくて、当然、組織の中で人材を育成していく、このような視点、あるいはこのような体制も今後必要になってくると思います。

 しっかりとその体制を整えることで、下級裁にもサポートを手厚くできるような形で、今後、しっかりと法務省あるいは裁判所内でのデジタル化が進展をするように要望させていただいて、次の質問に移らせていただきます。

 次に、法曹の質の検証状況についてお伺いいたします。

 当委員会では、昨年の定員法改正案の審査において、法曹志望者の減少が法曹の質に及ぼす影響について必要な分析を行い、その結果を国会に示すことを要望する附帯決議を行いました。

 これを踏まえ、法務省において法曹の質に関する検証が行われたと承知しておりますが、その検証結果について御説明をお願いいたします。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 法曹の質の検証結果でございますが、委員御指摘の附帯決議に基づきまして、今般、法務省において調査分析を行い、法曹養成制度改革連絡協議会において了承をいただいた上、本年三月三日、法務省ホームページにアップロードして公表をしたものでございます。

 今回実施した調査では、法的支援等が必要とされている主要な分野における法曹、特に弁護士の活動内容に着目をいたしまして、それぞれの分野に具体的にどのようなニーズがあり、そのニーズに対し法曹がどのような活動をし、その活動が利用者や関係者からどのように評価されているかという観点から調査分析をし、法曹の質に関する検証を行ったものでございます。

 具体的には、民事訴訟、法律相談、企業法務、児童福祉、高齢者福祉等、そして教育行政の六つの分野を取り上げまして、既存の調査結果を収集、分析したほか、法務省において利用者等に対するアンケート調査やヒアリング調査を実施いたしました。

 その結果でございますが、本調査におきましては、いずれの分野におきましても、法曹の活動等に対して、満足しているとか、期待した効果が得られたなどとする利用者等の声が多く、また、若手法曹一般の資質、能力やその活動の質についても、他の法曹と比較して劣っているなどとする指摘は認められなかったものでございます。

五十嵐委員 今、検証結果概要が説明をされましたけれども、おおむねポジティブなそんな反応があったということですけれども、ただいまの説明にあった法曹の質に関する検証結果について、ここで法務大臣はそれをどのように受け止めておられるのか、また、法曹の質の向上のために今後どのような取組を考えているのか、大臣の決意も含めてお答えをいただきたいと思います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 ただいま委員からの御質問は、今回行われた検証結果への受け止めと、それから決意ということだったかと思います。

 その検証につきましては、ただいま司法法制部長からお答えをさせていただいたとおりなのでございますけれども、私の受け止めということでございますが、現在の法曹養成制度は、司法制度改革の一環として創設されたものであります。その中で、その方向性を示した審議会意見書におきましては、法曹が、国民の置かれた具体的な生活状況ないしニーズに即した法的サービスを提供することを求められているわけです、その審議会意見書の中では。これを踏まえて、今回の調査では、利用者等の評価という観点、その観点から検証をしたものであります。

 この調査におきましては、今お話がありましたとおり、利用者等からは、現在の法曹の活動等に対して高い評価を得られていること、あるいは、多くの分野において法曹との更なる連携を求める声などが確認されております。これは、審議会の意見書が求めておりました、法的サービスを適切に提供することのできる法曹が確実に育っているということを示す検証結果であったというふうに受け止めています。

 法務省としましては、今回の調査結果を関係機関等と広く共有した上で、より多くの有為な人材が法曹を志望するよう、国民に向けた情報発信も積極的に行って、質、量共に豊かな法曹の養成確保に向けた取組をしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

五十嵐委員 大臣から決意をお聞きできましたので、安心をしたところであります。

 国民の中には、法曹の質については、いまだに疑問を呈するような、そんな雰囲気もあるやに聞いておりますけれども、やはり、時代とともに法曹に求められているニーズというのは明らかに変わってきております。

 一律に法曹の質というのを評価するというのは大変難しいことであろうと思ったんですけれども、今回のアンケート調査は非常に上手にやっていただいて、うまく国民の利用者がどんなふうに今の法曹を感じているのかというのが引き出せて、いいアンケート手法だったなというふうに思っています。

 これをしっかりと分析をした上で、これからの法曹の質の向上に向けては引き続き御尽力をいただきたいと思うんですが、大臣も御指摘いただいている、これまでの法曹の活躍する場所というのは、やはり民事訴訟であったり、あるいは法律相談、そして企業活動がメインであったというふうに私は理解しておりますけれども、これからはやはり児童福祉の分野、高齢者福祉の分野、そして教育行政において、法律専門家と行政、あるいは民間が連携をしていくことで今の課題解決につなげていく部分があると思います。

 今も取組は進められておりますけれども、まだそのノウハウの蓄積にまでは至っていないと思いますので、引き続き、大臣を先頭に、法曹の質の向上に向けて御尽力を賜りますようお願いを申し上げて、私の全ての質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 おはようございます。公明党の福重隆浩です。

 法務委員会におきまして初めての質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 まず、法案に関する質問の前に、ウクライナ危機についてお伺いをいたします。

 今回のロシアによるウクライナ侵略を受け、我が党の山口代表は、軍事力を行使し、力による一方的な現状変更は断じて許されない、これはウクライナという局地的な問題ではない、国際社会で力を使った国が優位になり、国際法が意味を成さないものになってはならないと強く表明をいたしました。

 加えて、二日夜、岸田総理は、ウクライナから第三国に避難された方々の、我が国への受入れを今後進めていくと発言され、さらには、まずは、親族や知人が日本にいる人たちを受け入れることを想定しているが、それにとどまらず人道的な観点から対応する、今後も、ウクライナを強力に支えるために、G7を始めとする国際社会との連携を強化していきたいと述べられました。総理からの避難民の受入れの御発言に同感するとともに、ウクライナに一刻も早い平穏な日常が訪れることを深く願うものであります。

 その上でお伺いをいたしますが、難民条約上の定義では、難民とは、迫害を受けるおそれがある理由として、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、政治的意見という五つの理由である者に限られているのではないかと思いますが、我が国では、今般のロシアのウクライナ侵略を含め、紛争から逃れて庇護を求める方々を難民として保護できるのか、法務省の御答弁をお願いいたします。

西山政府参考人 入管法上の難民は、難民条約の適用を受ける難民でございまして、委員お尋ねの方々から我が国で難民認定申請がなされた場合には、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定するということになります。

 その上で、委員御指摘のとおり、条約の適用を受ける難民は、迫害を受けるおそれがある理由が、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、政治的意見という条約上の五つの理由である者に限られております。このため、お尋ねの方々については、迫害を受けるおそれがある理由が条約上の五つの理由に必ずしも該当せず、入管法上の難民に該当しない場合があり得ます。

 もっとも、難民とは認められない者であっても、本国情勢等を踏まえ人道上の配慮が必要と認められる者には、入管法の規定に基づき、我が国への在留を認めているところでございます。

 いずれにいたしましても、法務省としては、ウクライナから避難される方々を迅速かつ適切に保護することが重要と考えており、今後のウクライナ情勢を踏まえつつ、関係省庁とも連携の上、積極的かつ適切に対応してまいりたいと考えております。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 今の御答弁の中には、該当しない場合もある、ただ、そういった場合でも、人道的な見地に立って対応するというようなことがございましたけれども、その上で、次に、緊張が続く国際情勢において、今後も世界のどこで紛争が起こるか分かりません。その上で、紛争を逃れて我が国に庇護を求める方々を保護することを法制度上も明確にするために法整備が必要ではないかと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 ウクライナで起こっておりますことは、これは大変ゆゆしき事態でありまして、庇護を求める者に対して我が政府としても全力を挙げて、その受入れ等に対して全力を尽くすということは、これはもう当然のことだというふうに思っております。

 その中で、先ほど委員からの御質問がございました。我が国に庇護を求める者を保護する上で何か法制度が、特段の法制度が必要ではないかというお尋ねでございました。

 実は、法務省としては、さきの通常国会に提出をしておりました入管法改正案、この中で補完的保護対象者の認定制度を創設することといたしておりました。この制度は、先ほども御説明申し上げました条約上の五つの理由以外の理由によりまして迫害を受けるおそれがある者を補完的保護対象者と認定をして難民に準じて保護する、そういう制度でありまして、例えば内戦で戦闘に巻き込まれて命を落とすおそれがある者などを想定しておったものでございます。

 残念ながら、この入管法改正案というのは成立に至らなかったわけですけれども、法務省としては、今後とも、真に庇護を必要とする者を確実に保護するために必要な法整備を進めていきたい、このように考えております。

福重委員 大臣の積極的な答弁、大変にありがとうございました。

 山口代表はかつて、難民政策はその国の人権感覚を映す鏡であると表現しておりましたが、日本の国際貢献として、しっかりとした法の整備をしていくということが私は大事だというふうに思っております。ある意味で、場当たり的な対応ではなく、しっかりそういったことを明記していく、それを世界に示していくということがやはり日本の国際貢献に私はつながっていくのではないかというふうに思いますので、どうかスピード感を持って対応していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、裁判所職員定員法の一部を改正する法案について質問をさせていただきます。

 まず、判事補の員数を現在の八百九十七名から八百五十七名に、四十名減少するということですが、近年の判事補の充員状況、及び、判事補は将来判事になっていく方々ですから、判事、判事補の将来にわたる需給バランスについてどういう見解をお持ちなのか、お伺いをいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 判事補につきましては、充員が困難な状況が続いていること、それから、直近の事件動向、あるいは令和三年三月十二日衆議院法務委員会附帯決議等を踏まえまして、総合的に検討した結果、令和四年度におきましては判事補を四十人減員することとしたものであります。

 判事補は将来の判事の給源になるものであるということは委員の御指摘のとおりでありまして、将来の事件処理への影響につきましても考慮しつつ、今回の判事補定員の検討を行ったものであります。今回の減員によりまして事件処理に支障が生ずることはないものというふうに考えております。

福重委員 次に、判事補の減員という今回の判断の背景には事件動向もあると思うのですが、近年増加傾向が見られる成年後見関係事件や家事審判事件について、今後も問題なく対応できるのか、御見解をお伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、判事補の定員の在り方を考えていくに当たりましては、その時々の事件動向を踏まえる必要がありますところ、家事事件について、事件数が増加傾向にあり、特に成年後見関係事件の申立てが増加している状況にございます。

 このような状況に対して、裁判所はこれまでも、例えば大規模庁におきまして、成年後見関係事件の適正迅速な処理を行うことを目的として、後見事件を専門的に取り扱う部署を設置するなど、各家庭裁判所の実情に応じた体制面の整備に努めてきましたほか、家庭事件への対応を充実強化するため、成年後見事案について、裁判官の命を受けて書類の点検を行ったり手続案内を行ったりする書記官を相当数増員することに加えて、平成二十五年以降は、事件処理にたけた判事を増員するといった人的体制の整備も行ってきたところでございます。

 以上のような体制整備の状況も踏まえますと、令和四年度につきましては、これまでの増員分を含む裁判所全体の現有人員を有効活用することでこれらの事件を適切に処理することができると考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 次に、司法修習終了者の進路についてお伺いをいたします。

 司法試験に合格後、司法修習を終了した方は、裁判官、検察官、弁護士のいずれかの道を選ぶこととなりますが、司法修習終了者の進路別の人数と割合について御説明をいただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 直近で司法修習を終了した第七十三期司法修習生の進路別の人数と割合でございますが、裁判官が六十六人で四・五%、検察官が六十六人で四・五%、弁護士が千四十七人で七一・三%、その他が二百八十九人で一九・七%でございます。

福重委員 次に、裁判所の定員と現在員を見ると、欠員は百八十二となっております。このように欠員が大きくなっている背景については、裁判所当局はどのように分析をされておられるのでしょうか。また、より多くの判事補を採用するための対策が必要と考えますが、どのような対策を検討しておられるのか、御答弁をお願いいたします。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所としては、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者に任官してほしいと考えているところでございますが、新任判事補の採用数が伸び悩んでいる理由としては、判事補の給源となる司法修習終了者の人数が減少していることに加え、弁護士として活躍する分野が広がっているだけでなく、大規模法律事務所等との競合が激化していることや、大都市志向の強まり、配偶者が有職であることの一般化に伴って転勤への不安を持つ司法修習生が増えていることなどが理由になっていると考えております。

 判事補の採用を増やすための対策については、これまで、実務修習での指導担当裁判官や司法研修所教官から司法修習生に対し、裁判官のやりがいや魅力を伝えるほか、異動の希望や負担にはできる限り配慮していることを伝えるなどしてきたところでございます。

 また、最高裁修習プログラムを新設したり、司法研修所教官がウェブ会議を活用して司法修習生からの進路相談に応じたりしているほか、若手裁判官にその仕事内容や司法修習生へのメッセージを話してもらう企画を実施するなど、裁判官の仕事の実情とその魅力が司法修習生に伝わるよう努めております。

 今後とも、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者に任官してもらえるよう努力してまいりたいと考えております。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 私、昨年の九月まで県会議員を十八年間務めていたんですけれども、私の同僚がやはり弁護士から県会議員になったものでございましたので、司法修習後の進路についてどういうふうな判断をしていたのというふうなことを聞きましたら、ある意味で、裁判官、検事、そういったものに対しての魅力が修習時代に余り伝わってこなかった、そういった意味では、今後の自分の人生を、ワーク・ライフ・バランスを考えた場合に、転勤が多いだとか様々そういったことを考えたときに、やはりそういったものに任官するというものがちょっと選択肢になかったというようなことを、昨日電話で確認したら言っておりました。

 そういった意味では、しっかりとそういったところの啓蒙活動、こういったことも大事だと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。

 次に、育児休業のことに関しましてお聞きをしようと思っていたんですが、五十嵐議員から同様の趣旨の質問がございましたので、重複を避ける関係で割愛をさせていただきたいと思います。

 次に、今回の定員法の改正では、近年定員に変化が見られなかった家庭裁判所調査官を二名増員することとなっておりますが、近年の家庭裁判所における事件動向や、これまで調査官の増員が図られなかった理由について御説明をお願いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、家庭裁判所における事件動向につきましてですけれども、家事審判事件につきましては、主に後見関係事件の増加によって増加傾向が続いておる一方で、家事調停事件については近年はおおむね横ばいとなっており、少年事件については長期的に減少傾向が続いているところであります。

 家庭裁判所調査官につきましては、その特色である行動科学の知見等に基づく専門性を十分に発揮して的確な事件処理が図られるよう、これまでも、事件動向や事件処理状況を踏まえて、事件処理体制の整備に努めてきたところであります。

 近年増加傾向にある後見関係事件では、家庭裁判所調査官の関与が限定的であること、少年事件の事件数について見ますと、この十年だけでも約三分の一程度まで減少していることなどを踏まえまして、近年は現有人員の有効活用によって引き続きその役割を果たすことができると判断して、家庭裁判所調査官の増員をしてこなかったところでございます。

 令和四年度につきましては、職員のワーク・ライフ・バランス推進を図る観点から、二名の増員をお願いしているところであります。

 裁判所といたしましては、今後も引き続き、事件動向及び事件処理状況等を踏まえまして、必要な人的体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

福重委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 立憲民主党・無所属会派の米山です。質問させていただきます。

 まず冒頭、改めて、二月二十四日のウクライナに対するロシアからの侵略に対して、一週間以上もの間、命の危険にさらされながら全力で戦っておられるウクライナの方々に、心より敬意を表させていただきます。また、そのウクライナにおいて、民間人への無差別攻撃や禁止兵器の使用が取り沙汰されていることに、強い抗議の意を表させていただきます。

 我が国政府は、当初より、自由主義陣営各国と連携して、ロシアに経済制裁を科すことを表明し、また三月二日には、岸田総理がウクライナからの難民受入れを表明したところでございます。また、大臣からも度々前向きな御答弁をいただいております。

 既に何度も質問と答弁があったところですので繰り返しませんが、たった今御答弁されたところではありますけれども、是非、政府には、毅然として、自由主義陣営各国と連携して、国際法秩序を守る姿勢を自らの行動で示し、国際法秩序を実現する一翼を、特に難民受入れという形で担っていただきたいと思っております。

 それでは、裁判官定員法について御質問させていただきます。

 今般の法改正は、裁判官、判事補の定員を四十人減らすものと承知しております。しかし、いただきました資料、配付資料でございますけれども、こちらの八十二ページによりますと、これは、判事で百九人、判事補で百八十二人、合計二百九十一人、定員に対しては九・五%、おおむね一〇%もの欠員が生じております。ですので、この定員減は、むしろ欠員の現状追認ということかと思います。

 裁判所として、この欠員はどうするおつもりか。今後、更に定年退官も出てくるわけですから、それを含めてこの欠員を埋めるつもりがあるのか、御見解をいただきたいと思います。

 また、あわせて、昨年の定年退官人数をお示しください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 判事の欠員につきましては、御指摘のとおり、令和三年十二月一日時点で百九人ということになっておりますけれども、令和四年一月の判事の任官を経た時点では三十四人となっておりまして、適切に充員が図られているものと考えております。

 他方、判事補につきましては、御指摘いただきましたとおり、欠員数が多くなっておりますが、更なる減員を行うかは、将来の事件処理体制への影響や判事補の採用等への影響も考えられるところでありまして、これまでの減員の影響も踏まえつつ、慎重に見極めていく必要があるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、裁判所としては、今回の改正後の定員を充員できますように引き続き努めてまいりたいというふうに考えておりますが、裁判官にふさわしい資質、能力を備えた人材を採用するという観点も踏まえますと、何年で欠員を埋めるというふうに計画的に進めていくということはなかなか難しいということは御理解をいただければというふうに思っております。

 欠員の……(米山委員「定年退官数ですね」と呼ぶ)それは別途お答えをさせていただきます。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 昨年度、令和二年度の定年退官者数は、判事二十六名、簡裁判事四十六名で、合わせると七十二名ということになります。

米山委員 そうすると、毎年七十二名減っていくわけですよね。二百九十一人を例えば五年で埋めようとすると、それは六十人必要ですから、実は、毎年百三十人ぐらい採用できないと五年で埋まらない。まあそれは、五年じゃなくて、例えば十年でもいいんですけれども、少なくても八十人とか九十人とか採用しないと埋まらないわけなんです。

 もうそれについては御質問はしないんですけれども、これは基本的にはこのままでは埋まらないということなんだろうと思います。

 少々話題を変えさせていただきますけれども、またやはりいただいた資料百十七ページによりますと、民事・行政訴訟の平均審理期間は、平成二十三年から一貫して延長しております。一貫して延長して、令和二年では十三・九か月、一年以上を要する状態になっております。医療訴訟、これは私、いっぱいやるんですけれども、これも、平均審理期間、二十六年までは短縮しましたが、一貫して延長しておりまして、やはり、令和二年現在では二十六・七か月、二年以上かかるという状態になっております。また、家事調停、これは離婚が多いんだと思うんですけれども、こちらも、平成二十三年には四・八か月であったのが、令和二年現在では七・二か月になっております。

 裁判所としましては、この裁判期間が延長している理由は何であるのか、御見解をお示しください。それに是非数字的根拠がいただきたいと思いまして、一つの根拠としては、考える指標としては、一つの事件に関する平均の期日の日数、何回、期日をやっているのか、またその期日間隔の平均、そういった統計があれば、それもお示しください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 地方裁判所の民事第一審訴訟事件の平均審理期間は、過払い金事件の増減の影響も受けまして、平成二十二年頃から平成二十七年頃まで長期化が続きました。その後、ほぼ横ばいに推移してまいりましたが、近年再び長期化に転じ、令和二年では九・九月ということになっております。

 このような長期化の原因につきましては、種々考えられるところではございますが、例えば、医療関係訴訟、建築関係訴訟、労働関係訴訟等といいます平均審理期間が長い事件類型につきまして相当に複雑困難な事件が多く含まれておりまして、これが平均審理期間の長期化の一つの原因、要因となっているものと考えられます。

 お問合せいただきました、令和二年の平均期日回数ですが四・七回、それから平均期日間隔は二・一月となっておりますところ、平成三十年の平均期日回数を見ますと五・〇回、平均期日間隔は一・八月となっております。

 二年前と比べまして、平均期日回数は若干減少したものの、平均期日間隔は若干長期化しておりまして、全体として、争点整理期間が長期化する傾向にあります。

 なお、令和二年の平均期日間隔の長期化の背景には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び緊急事態宣言の発出、並びにこれに伴う裁判所業務の縮小の影響もあったものと考えております。

米山委員 ただいま御答弁いただきました。

 まさに、平均期日間隔二・一か月というのは、私、弁護士ですから裁判をやるんですけれども、これは、御案内でない方は、期日というのはいわゆる裁判の日です。裁判の日から次の裁判の日まで二か月空いているんです。今ほど、コロナの影響もあるとか複雑化していますと言いましたけれども、正直言って、裁判官の期日が入らないからです。それは要するに、待たされているんです。

 先ほど来るる、十分です、十分ですとおっしゃっていますが、実は現実は、一回のたびに二か月待たされて、そして一つの事件を解決するのに一年若しくは二年かかる、それが現状だと思います。ですので、私は、やはりそこはきちんと裁判官を増員していく、初心に返ってちゃんとやっていく、それが法治国家を実現する道であると思います。

 さて、それに関しましてまた質問させていただきたいんですけれども、先ほど、裁判官をなかなか採用できない理由をおっしゃられましたが、いただいた資料八十五ページによりますと、令和二年の司法修習生は千四百六十七名、減っているといいましても千四百六十七名ございます。その中で採用者が六十六人で、僅か四・五%にすぎません。

 大手事務所との採用競争が厳しいということでございましたが、確かに、大手事務所は採用を増やしておりますが、これは大体二百人前後でございます。つまり、一三%程度を採用しているにすぎません。逆に言いますと、八七%は大手事務所が採用しておらず、司法修習を経た私から見ても、率直に言って、なかなか就職先が見つからぬ、そういう修習生もたくさんございます。

 そこで、裁判所に採用基準を伺います。また、実際の基準とともに、基準ってきっと抽象的なことをおっしゃるんでしょうから、統計として、新規採用者の平均年齢及び二回試験における平均順位、また、旧試験組と新試験組の比率、卒業大学、卒業ロースクール等の統計があれば、それをお示しください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 判事補の採用に当たりましては、外部の有識者等から構成される下級裁判所裁判官指名諮問委員会に、判事補としての任命の適否が諮問されます。

 指名諮問委員会の判断基準としては、事件処理能力、部などを適切に運営する能力、裁判官としての職務を行う上で必要な一般的資質、能力を審査項目として、裁判官にふさわしいかどうかが審査され、その審査においては、修習中の成績のほか、指導担当者の意見など、人柄に関する情報なども総合的に検討されているものと承知をしているところでございます。

 直近である令和二年度に任官した第七十三期新任判事補六十六人について申し上げますと、平均年齢は二十六・二歳でございます。

 このうち、法科大学院を修了していない予備試験合格者は十一人でございまして、出身大学の内訳及び人数は、東京大学が三人、京都大学、早稲田大学が各二人、大阪大学、慶応義塾大学、同志社大学、立命館大学が各一人でございます。

 また、法科大学院を修了した者は五十五人でありまして、出身法科大学院の内訳及び人数は、東京大学法科大学院が十三人、京都大学法科大学院が八人、慶応義塾大学法科大学院が六人、一橋大学法科大学院、中央大学法科大学院が各五人、早稲田大学法科大学院、東北大学法科大学院が各四人、立命館大学法科大学院、神戸大学法科大学院が各二人、大阪大学、同志社大学、北海道大学、名古屋大学、岡山大学、創価大学の各法科大学院が各一人でございます。

 なお、二回試験における平均順位については、統計として把握をしておりません。

米山委員 もうこれ以上押し問答はしないんですけれども、率直に言って、今の御経歴を見て皆さん感じたと思うんですけれども、裁判官は新卒でエリートというところに採用をこだわっていらっしゃると思います。

 私が実際に見た仲間でも、この人は結構いけるのになというのが、恐らくハードルは年齢だろうみたいな感じで、全くもう相手にもされなかったという例も見ておりまして、正直、私は、そこは裁判所の余り合理的じゃないこだわりがあるのかな、また、それがかえって多様な人材の採用というものを妨げているのではないのかなと思います。

 是非、やはり、そんなところにこだわるよりも、数は大事ですから、きちんと裁判官の数を増やして、一期日に二か月も空かない、ちゃんと次の期日まで一か月ぐらいでできて、裁判がちゃんと大体半年ぐらいで終わる、そういう法治国家として真っ当な処理能力を備えていただきたいということを申し上げまして、私のこの裁判官定員法に対する質問を終わらせていただきます。

 次に、名古屋入管における外国人死亡案件につきましてお話しさせていただきます。

 三月二日の委員会で、大臣は、ウィシュマさんの事件について、このようなことが二度と起こらないように、再発防止に全力を尽くして、なすべきことを全てなすとおっしゃられました。私は非常に心強い気持ちで聞かせていただきました。しかし、そのためには私は欠けるところがあると思いますので、御質問をさせていただきます。

 まず、これは結構大事なところだと思うんですが、被収容者から診療の申出があった場合に、医療者でない看守勤務者や看護師等が、医者でない者がスクリーニングしていいかというのを三月二日に質問したら、これは大坪寛子大臣官房審議官がそれでいいんだとおっしゃられて、私、かなりびっくりしたんですけれども。

 ただ、報告書の中では、これをどうするのか、実は矛盾したことが書いてありまして、報告書八ページの、平成三十年三月五日付法務省入国管理局長の指示では、診察の要否について医師等の判断を仰ぐと書いてあるんですけれども、同時に、報告書七ページの細則では、処遇統括官が診療の要否を判断するというようなたてつけになっております。

 つまり、これは結局、診療の申出があった場合に、それをちゃんと全部、全件医者に言うのか、それとも、やはり医者ではない人が事前に、処遇統括官であれ誰であれ医者ではない人がそれを決めていいのか。それは大事なことだと思いますので、それはどちらなのか、御担当者、御見解をお願いいたします。

西山政府参考人 まず、委員御指摘の名古屋局の処遇細則に基づきますと、まず、診療の申出があって、それに応じる場合の判断ですけれども、その判断の責任を負うのは、申出に応じる場合においては処遇部門首席入国警備官、申出に応じない場合は局長が判断するということになっております。

 体調不良者等に対する対応につきましては、被収容者処遇規則におきまして、収容施設の所長等は、被収容者が罹病等したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならないと定めておりまして、これを踏まえた御指摘の通達においては、体調不良の訴えがあった場合は、その内容を十分に聴取するとともに、体温測定等により身体状況を的確に把握した上で、診察の要否について医師等の判断を仰ぐ又は速やかに医師の診断を受けさせるなど病状に応じた適切な措置を講じるということとされております。

米山委員 それは読んだだけなんですけれども。でも、今のお話をすると、ちゃんと全てのことは一応医師が判断して、最終的な決定はその統括官がやるなりなんなりする、そういう御趣旨なのかなと思います。

 そういう御趣旨だと、前提として質問を続けさせていただきますと、でも、そうだとすると、これは報告書にも書いてあったところですけれども、スクリーニングが行われた、それはいけないわけですよね。このスクリーニングが行われたことにつきまして、三月二日の委員会で、井出委員から、いつからなんですかと言ったら、それは分かりませんという回答だったんです。

 これは、分からないのは仕方ないとして、分からないならそれは分からないのでしょう。でも、じゃ、いつから、少なくとも、遅くとも、一体いつからあったか、遡って、いついつからはやっていました、それは分かるはずですよね。だって、今勤務している人がいるんですから、一年前やっていましたか、二年前やっていましたか、三年前やっていましたかと聞けるはずです。また、ほかの入管庁でやったか、それも聞けるはずです。これをちゃんと聞いたのか、それは聞いた上でいつからなのか、それを御質問させていただきます。

 また、この調査について、そのような指示が、これはレビューしたという寺崎弁護士、三好弁護士からあったのか、それもお答えください。

西山政府参考人 昨日も御答弁したとおり、また委員が御指摘のとおり、スクリーニングが行われていた経緯については解明できなかったんですが、その上で、調査をしたところ、聴取を行った看守勤務者に聞きましたが、いずれも、それぞれが名古屋局に着任したときには既にそのような運用はなされていたということは確認をできたところでございます。

 なお、お尋ねの、ほかの地方官署において、取扱い、これも確認をいたしましたが、名古屋局であるようなスクリーニングを行うという取扱いがなされていた地方官署は、名古屋局以外には見当たらなかったということでございます。

 それから、有識者の指摘等についてお尋ねがございました。

 この調査におきましては、外部有識者におきましては、発言内容や発言者を明らかにしない前提で率直に議論をいただいているということで、その点につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

米山委員 また、三月三日の委員会で、階委員から、尿検査結果報告書というもの、これが中間報告ではなかったということで、それが発見された経緯、それを尋ねられたんですけれども、佐々木入管庁長官は、あると聞いてびっくりした、しかし、それがなぜ欠けたのか分からなかった、こうおっしゃられたんです。

 私、かなりその答弁を聞いてびっくりしたんですけれども、通常、こういう尿検査報告書というのはカルテに一つづりになっているものだと思うんですね。若しくは、電子カルテなら電子カルテで、同じところに入っていて、プリントアウトしたら一斉にプリントアウトされるものだと思うんですよ。

 そうしますと、分からないというだけでは何の意味もないわけなので、この尿検査報告書はどのように保管されていたのか。カルテで、普通、皆さんが想像する、診療録として一つづりになっていたのか、電子カルテとしてあったのか。また、なかったということでしたら、最初、なかったというのは、誰がそもそもその診療録を調査チームに出したのか。また、そのときに欠けたのは分からないとして、じゃ、発見された、どこで発見されたのか、どういう形態で発見されて、それをどういうふうに出したのか。それについて知るところをお伝えください。

 また、これは回答しないとどうせ言われるんでしょうけれども、そういった経過について、やはり、寺崎弁護士、三好弁護士は何らかのアドバイスをしたのか、それを調べることについて、これについても、まあ、駄目と言うんでしょうけれども、お答えください。

西山政府参考人 お答えいたします前に、先ほど、昨日の答弁というふうに申し上げましたけれども、正確には三月二日の答弁でございます。訂正させていただきます。

 その上で、御指摘の尿検査の結果につきましては、保管の状況ですけれども、診療録等と一つづりの紙冊子で保管されていたということでございます。

 御指摘のその診療録を含む関係資料につきましては、事件発生後、直ちに本庁から写しの送付を指示をいたしまして、名古屋局処遇部門において写しを作成して送付したという経緯でございます。

 それから、尿検査の結果につきまして、中間報告後の更なる調査の中で、入手済みの資料を確認したところ、二回目の尿検査が実施されたことがうかがわれたことから、調査チームから、当該文書を管理する名古屋局処遇部門に対しまして、この尿検査実施の有無を確認したところ、診療録等と一つづりの、先ほど申し上げました紙冊子の中に当該尿検査に関する資料がつづられていた、これについて早急に写しの作成及び送付をいたしたということで、名古屋局処遇部門は、最初の写しの作成及び送付のときに、この尿検査結果の資料につきまして、それを漏らしてしまったということが把握されたということでございます。

 これらにつきまして、委員御指摘のとおりでございますが、有識者の方の具体的な指摘等は差し控えさせていただきたいと存じます。

米山委員 これはもう押し問答しませんけれども、おかしいんですよ。紙つづりで一冊になっていたのにわざわざそこだけ抜けるって、それは変なんです。それをとやかく言いたいんじゃなくて、そういう変なところがあったら、私がもし調査を依頼された弁護士だったら、それをした人を具体的にちゃんと特定して、その人の経緯を調べますよ。だって、そうしないと事実が分からないから。

 私は、決してあげつらいたいんじゃないです。ちゃんと事実を解明しなきゃいけないでしょう、それが不十分でしょう、そう言っているんです。

 次の話題なんですけれども、三月五日、死亡の一日前、恐らくこの方は庁内看護師、一名いらっしゃる、その人だと思うんですけれども、この人は心臓を聴診して、ちょっと心臓が忙しそうに動いているねと言って、職員から、血圧が測れなかったんですと言っているんですよ。しかも、脈拍数は百から百十一で、御本人、ウィシュマさんは寒いと言っている。それに対して、更に職員は、熱がないと言っているんです。

 これは、医者が聞いたら全員、ほぼ全員、もしかしてショックかもしれないと思いますよ、あの状態を見て。この人、まずいんじゃないかと思います。ところが、この看護師さん、大丈夫、大丈夫、丈夫な体に産んでもらってよかったねと言って、過ごしちゃっている。しかも、それを聞いて、不安そうだった職員さんも、ああ大丈夫だという顔になっているんですよ。

 この看護師さん、今も雇用されていますか。

西山政府参考人 看護師の現在の勤務状況あるいは退職事実の有無につきましては、一般に公表するものではなく、また公表すべき特別の事情等も見当たらないため、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

米山委員 私はそう言うとは思ったんです。私、これはあげつらいたいんじゃないんですよ。でも、この看護師さん、明らかに間違った判断をしているのに、その方をそのままに置いていていいんですか、同じことが起こりますよということです。

 そしてまた、報告書でも、この件、全然触れられていないんです。大坪さん、杉さんという二人のお医者さんがレビューしているはずなのに、普通の医者が見たらおかしいだろうということが全然触れられていないんですよ。私は、この報告書は不完全だと思います。

 私がこれを言っているのは、本当に、繰り返しですけれども、あげつらいたいんじゃないんです。でも、大臣はおっしゃられました。再発を防がなきゃいけない、原因を究明しなきゃいけない。そうでしょう。そして、原因というのは、多くの場合、そこにぼんとないんですよ。それはそうです。担当者は、別に意図的じゃなくたって、なるべく自分の責任は避けようとします。組織というのはどうしたって自分でかばおうとする、それはしようがないです。別にそれ自体は、何というか、あげつらいたいんじゃないですよ。でも、そういう隠れているものをきちんと探して、そして隠れている原因にちゃんと対処して、正しい対策を打つ、そうしなければ再発は防げないんです。

 そして、そのためには、たった二人の弁護士、しかも、恐らく問題があったであろうことを何ら指摘していない二人の弁護士、たった二人の医師、恐らく問題があったであろう、ショックを見逃したであろうことを何ら指摘していない医師、そしてそれらの問題を指摘していない報告書、それに基づく対策、それだけでは……(発言する者あり)大事なことですよ。それだけでは再発は防げないんです。

 私は、この問題……(発言する者あり)あげつらっておりません。私は、この問題はきちんともう一度調査をして……(発言する者あり)時間内です。いいかげんにしてください。邪魔です。私は、この問題、きちんともう一度、全ビデオを公開して、死亡の鑑定書、きちんと入手していただいて、そしてそれを公開して、多くの専門家の目でレビューして、きちんと問題点をもう一度出して、再発防止策を打つべきだと思います。

 大臣の御所見を伺います。

古川国務大臣 この名古屋事案、ウィシュマさんが亡くなって間もなく一年でありまして、改めて哀悼の意を表したいと存じます。

 繰り返し私も申し上げておりますとおり、二度とこういう事案を起こしてはならない、その決意の下に、私は二点、心構えとして持っております。

 一点は、この調査報告書、様々な御指摘をいただいておりますけれども、私どもとしては、これは客観的な資料に基づいて、複数の外部識者の御意見もいただきながら、幅広く問題点を抽出して作成をし、そこで示された十二項目の改善項目、これを誠実に実行していこうということで、今取り組んでいるところでございます。

 これと、もう一点、やはり、調査報告書ということだけに限定せずに、こういう出来事が起こる背景に、運用一般あるいは制度の何らかのそごなどがあるかもしれない、こういうことを私は直感的に思います。ですから、そこに対して、そこはしっかりと見極めなければならないという思いは持っております。

 ですから、今この委員会で、委員を始め様々、この調査報告書を御覧になる中で、当時のその実態、これはおかしいではないか、不適切ではないかというようなことを幾つか御指摘をいただいているというふうに承知をしております。そういう御指摘は私は真摯に受け止めたいと思っております。それは、結果的に入管の収容施設における運用がより適正なものになるためには、大事な御指摘をいただいているものというふうに考えております。

 ただ一方で、この調査報告書については、私どもとしては、るる申し上げてきましたとおり、きちんとした報告書を出させていただいて、そしてその上で、そこで示された改善項目を誠実に実行に今移しているところでございますので、ここは貫かせていただきたいというふうに思っております。

米山委員 それでは最後、一言だけで終わらせていただきます。

 先ほど、公明党の委員でございますが、福重委員から、難民問題は人権感覚を映す鏡だとおっしゃられました。同じだと思うんですよ。より一層、入管は日本の人権問題を映す鏡です。

 そして大臣、所信表明で何度も大局観とおっしゃられました。法秩序の確立が大事だとおっしゃられました。そうなんですよ。私もそう思うんです。そして今、一時的に、これをきちんと調べたら、それはもしかして恥ずべき事態が分かるかもしれない。でも、それが分かって……

鈴木委員長 申合せの時間が経過していますので、よろしくお願いします。

米山委員 では、一言だけ。

 それをきちんと解明するのが私は大局観だと思います。大臣には、今後……

鈴木委員長 御協力をお願いします。

米山委員 より一層の解明をお願いいたして、私の質問を終わらせていただきます。

 大変ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、階猛君。

階委員 今日は、質疑時間が短時間ですので、早速本題に入らせていただきたいと思います。

 判事補の定員が余っている状況が続いております。定員が余っているということは、本来、最高裁が複雑困難な事件の円滑、適正な処理をするために必要だと考える裁判官の数を確保できていないことを意味します。これが裁判の質の低下につながっているのではないかという問題意識を持っています。

 この点について追って議論するとしまして、まずは事実関係を確認させてください。

 一ページ、私の資料を御覧ください。これは、毎年この法案を審議するたびに私が用いている資料です。問題となる裁判官の定員の余り、つまり欠員の直近の数、この表でいいますと、判事補の欄、真ん中の欄に「欠員(A)」というところがありますけれども、一番下に二百六十七という数字があります。この同じ欄の数字、去年は百七十一でした。今、二百六十七と申し上げましたけれども、ちょっとこれは特殊要因がありまして、最高裁によると、任官の時期がコロナの影響で遅れているので、任官者が任官すると、大体、多く見積もって八十人ぐらい、ここから欠員が減るそうです。ただ、それを勘案しても百八十七人、やはり、去年のこの審議のときに出した百七十一という数字から大幅に増えているわけです。

 昨年のこの法案の審議のときに私が何を申し上げたかといいますと、一年後には欠員が更に増えるのではないか。にもかかわらず、昨年は定員を減らさずに維持したわけです。これはおかしいんじゃないかということで、我々は法案に反対しました。案の定、今申し上げたとおり欠員は増えているわけです。

 今回、遅ればせながら、判事補の定員を四十名減らす法案となっていますが、昨年の定員維持とした判断、最高裁は誤りだったということを認めますか。まず、この点から審議をスタートしたいと思います。お答えください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今般の判事補の状況につきまして、充員が困難な状況が続いていること、直近の事件動向、あるいは、令和三年三月十二日の衆議院法務委員会附帯決議等を踏まえて、総合的に今般検討した結果、本年度につきましては判事補を四十人減員するものとしたものでございます。

 昨年につきましては、昨年の段階での事件動向あるいは今後の充員の在り方ということを、当時の検討としてそれが誤っていたというふうには考えておりませんが、今回の充員状況の動向も踏まえまして、今般、四十人の減員ということを考えたというものでございます。

階委員 事件の動向は昨年も今年も変わっていないですよ。全般的に件数は減っていますよね。それから、昨年の充員の見込み、これは明らかに多過ぎる見込みを出したから欠員になっているわけですよ。だから、皆さんの当時の判断は間違っていたと私は考えます。だから、こういう過ちを認めた上で何をすべきかということを議論すべきなんですよ。米山さんも入管の問題でそれを言っていたわけです。

 法務省は、やはり、最もエビデンスベースで政策判断をしなくちゃいけない。EBPMの模範となるべき役所だと私は考えていますよ。その法務省が、一番証拠を無視する、事実関係を無視した政策立案をやっているから、私たちは声高にその過ちを主張しなくちゃいけない、こういうことなんですよ。

 それで、今申し上げたとおり、裁判官は欠員がどんどん増えている。逆に言うと、実員が減っているということでもあります。実員が減って、私は裁判の質にも影響が出ているんじゃないかというふうに思います。その根拠となると思われるような事案がこの度発生しました。資料の二ページ目を見てください。

 これは、生活保護の支給水準が問題となった裁判の下級審裁判所の判決文を抜粋したものです。太字のところに、いずれも括弧書き、あるいは括弧が付されていないものもありますが、「NHK受診料」という表現が出てきています。受信料のシンが、何とお医者さんから診察を受けるときの「診」という字になっています。これは明らかな誤字で、普通、自分で書くとしたら間違いに気づくはず。ところが、これは時系列的に左から並んでいますけれども、最初の福岡の判決文と同じ過ちが京都、金沢で起きている。これは当然コピペしたというふうに誰が見ても思うはずです。

 最高裁として、この点、いわゆるコピペがあったことを認めますか。お答えください。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今委員御指摘のような形で、同様の、「受診料」という文字について誤りがあったというところは事実でございます。

 ただ、これがいわゆるコピペによって起きたのかどうかということについては、最高裁としては、確たる証拠がございませんので、答弁を差し控えさせていただきます。

階委員 確たる証拠はここに表れているじゃないですか。

 裁判官の皆さんはみんな、NHKの受信料ってこの字を使うんですか。だったら分かりますけれども、私の周りでNHKの受信料でこの「診」を使った人はいません、はっきり言って。裁判官ってみんなこの字を使うんですか。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 この「NHK受診料」につきましては、誤字であることは確かでございます。正しくは「信」を書くというふうに理解をしております。

階委員 もし本気で間違って覚えているとしたら、しかも裁判官が三人そろって同じ間違いをするとしたら、それはそれで大問題なんですけれども、そんなことはないということは分かっていますよ。誤字だということは、裁判官であれば当然分かるはず。

 問題は、この誤字を、同じようなところの誤字を、三つそろっているということはコピペしたんじゃないかと。今回はたまたま明白な誤字があったから、これはコピペだということが発覚したわけですけれども、ひょっとすると、誤字がないから分からないだけで、同じようなコピペがあちこちで起きているんじゃないかというふうにも思うわけです。すなわち氷山の一角ではないかという疑いもあるわけで、そうしたらゆゆしき問題ですよ。

 憲法上、裁判官の独立が保障されているのはなぜなんですか。これは、独立を保障して、何物にも左右されずに法と証拠に基づいて適正な判断をするために裁判官の独立を保障しているわけでしょう。私、今回、実は弾劾裁判の裁判員というのをやっているんですが、裁判官の身分は保障されているがゆえに、裁判官の身分を失わせるのは弾劾裁判だけなんですよ、憲法上ね。

 それだけ手厚い身分保障がありながら、人の判決文をコピペする、こんなことがあったら大問題ですよ。その重要性を分かっていますか。分かっているんだったら、早速調査すべきでしょう。こんなコピペがほかで行われていないか、調べるべきでしょう。やらないんですか。お答えください。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今回、このような判決に誤字があるということで、委員御指摘のとおり、判決文がいわゆるコピペによって作成されているのではないかということが報道されております。

 今回の報道では、最終的に作成する判決書の内容が自分の判断となることについて責任を持って判断しているのかということが問われたものであるというふうに認識しております。その点について、まさに国民の皆様の疑念を生じさせる事態となったことについては、裁判所としてはその信頼を揺るがしかねないものとして重く受け止めているところでございます。

階委員 質問に答えてください。ちゃんと調査してください。しないんですか、するんですか。お答えください。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判官が個別の事案において判決書をどう起案するかについては、各裁判官の判断と責任に委ねられているところでございまして、最高裁判所が個別事案における裁判官の判決起案の在り方やその過程について調査、検証等の対応を取ることは、裁判官の職権行使の独立との関係で相当ではないと考えているところでございます。

 したがって、最高裁としては、今回報道されました判決の起案過程において、いわゆるコピペが行われたかどうかについて調査、検証することは難しいということを御理解いただければと存じます。

階委員 いや、何をおっしゃっているか分からないんですけれども、裁判官の独立を言うのであれば、まず、それにふさわしい仕事をしているのかどうか、これを調べる責任があるということを申し上げまして、この後の質問は次回に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 私からは、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に関して質問いたします。

 まず、近年の事件動向及び判事補の充員状況を踏まえ、裁判所の事務を合理化、効率化するということで、こうした適正規模に向けた裁判所の改革は一定支持いたしますが、司法制度改革とはやはり国民への十分な司法サービスを提供することにあるため、そのための法曹人員や設備等はしっかりと担保をしないといけないと考える上で質問に当たりたいと思います。

 まず最初に、今回、判事ではなく判事補のみ定員を減員する理由を教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 近年、民事訴訟事件の複雑困難化への対応として合議制による審理を進めること、成年後見関係事件の増加への対応や後見監督体制の強化などを行うことを目的に、相当数の判事を増員して着実に人的体制の整備を図ってきたところであります。

 直近の事件動向につきましては、成年後見関係事件の一部の事件を除きまして、増加に歯止めがかかり、落ち着きも見られるようになっております。もっとも、複雑困難事件への対応が必要な状況に変わりはなく、判事についてはこれまでの増員分も活用して、適正かつ迅速な事件処理を行うことが必要であるというふうに考えております。

 他方、判事補につきましては、充員が困難な状況が続いておりますところ、以上のとおり、判事の増員を図ってきたこと、直近の事件動向に照らせば、将来の判事の給源たる判事補の定員を四十人減員しても事件処理に支障は生じないと判断したものでございます。

    〔委員長退席、熊田委員長代理着席〕

守島委員 ありがとうございます。

 基本的には、仕事の性質が、複雑化することなど、変わって、合議制で行うことが増えているということで、判事は増員、維持してきたということですけれども、経験者の割合が増えるのは了としても、やはり、比率的に判事の割合が増えるということは、今後の年齢構成などが変わることになるので、長期的な組織のクオリティーコントロールの点でいうとバランスを欠いてしまわないかなということが少し危惧するところです。

 では、判事補の定員に対して充員数の近年のトレンド及び定員と充員数の乖離理由を簡単に教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 各年の十二月一日現在の判事補の現在員数でございますが、平成三十年は七百七十九人、令和元年は七百七十九人、令和二年は七百四十七人、令和三年は七百十五人でございます。それぞれ定員に対する充員割合でございますが、平成三十年は八一・八%、平成元年は八四・〇%、令和二年は八三・三%、令和三年は七九・七%であります。

 裁判所といたしましては、できる限り判事補の充員に努めているところではございますが、判事補に採用するためには裁判官にふさわしい資質、能力を備えていることが必須であるところ、判事補の給源となる司法修習終了者の人数が減少していることに加え、渉外事務所等の法律事務所と競合するといった事情もあることから、裁判官としてふさわしい資質、能力を備えた人で裁判官への任官を希望する者の人数が伸び悩むこともある状況となっております。

 こうした事情も相まって、結果として、この数年の採用数が六十五人ないし八十二人ということとなっておると考えておりますが、今後とも、裁判官にふさわしい人を確実に採用して、裁判の運営に必要な体制を確保していくよう努力してまいると考えております。

守島委員 やはり仕事が変わったということもあるけれども、結局は、判事補の採用が困難となっているということに起因して今回の減員につながっているのかなと。直近では二割以上の減員が、減員というか、補充率が足りないということですが、判事の確保は大事なんですけれども、長期的な組織力というと、判事補の採用が大事になってくると思っています。

 判事補の定員を今回減らすことになったとしても、新たな定員内で判事補の充員数を満たしていくことで、その結果、現状よりも多くの判事補を得ることも可能にはなってくる、まあ数字上はなるんですけれども、そのためには、今おっしゃったように、採用の強化というのが必要になってきます。

 裁判所として、今後、採用面での強化策があれば教えてください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 これまで、実務修習での指導担当裁判官や司法研修所教官から司法修習生に対し、裁判官のやりがいや魅力を伝えるほか、異動の希望や負担にはできる限り配慮していることを伝えるなどしてきたところでございます。

 また、最高裁修習プログラムを新設し、若手裁判官にその仕事内容や司法修習へのメッセージを話してもらう企画を実施するなどしております。

 今後とも、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者に任官してもらえるよう努力してまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 先ほどの質疑等でも、報酬面とかで民間大手と競合すると人材確保が難しい状況もあるんじゃないかという話もあったんですけれども、しっかりと、裁判官になる社会的意義も含めて積極的にPRに努めてほしいと思いますし、先ほどの米山委員の質疑のように、新卒優先ということが現状あるのであれば、そうしたところからアプローチ、採用の方法を変えていくというのも、それも手段だと思いますので、是非、そうした方法論、見直し等も検討していただきたいというふうに思っています。

 次に、判事補のほかに減員する、今回六十七人の技能労務職員に関して、合理化可能な理由と、当事者が担っていた業務の継続をどのように行っていくのか教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 技能労務職員につきましては、庁舎の清掃や警備、電話交換といった庁舎管理等の業務や、自転車の運転等の業務を行っているところでございます。

 技能労務職員の定員の合理化は、定年等の退職に際し、裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、外注化による合理化が可能かを判断し、後任を不補充とすることにより生じた欠員について実施しているところであります。

 技能労務職員が担当してきた業務につきましては、必要に応じて既に外部委託による代替等が行われているところであり、今回、技能労務職員の定員を合理化することで裁判所の事務に支障を生じさせることはないものと考えております。

 済みません、先ほど自転車と申し上げてしまいまして、自動車の運転等の業務でございます。失礼いたしました。

守島委員 自転車は自分で運転してほしいと思います。

 退職者の不補充とか、その分の外注活用等で、業務としてのレベルは維持されるということなんですけれども、今回の裁判所の定員案における人件費の要求額の差引きはどうなっているのか、これも簡潔に答えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今回の裁判所事務官三十九人の増員等に必要な経費は約二億四百万円でございます。判事補四十人及び技能労務職員等の定員合理化による減員等によりまして約八億二千九百万円の人件費減となります。差引き合計で約六億二千五百万円の減となります。

守島委員 人件費六億減という話なんですけれども、これはあくまで人件費の要求額で、実際は、定員数が減るだけで、四十人の判事補が減るわけではないですし、先ほど言った技能労務職員の業務も外注になる部分もあるので、これが全てコストカットにつながるというわけではありませんが、一定要求額が下がることで、今後のコスト効果も期待することはできると思っています。

 これまでの合理化とか効率化は、事件動向の落ち着きなどの背景の下に実施されてきたと思うんですけれども、今後は、裁判所の手続等のデジタル化が推進されていく中で、より裁判所事務のスリム化が図られていくことになると思うんですけれども、現在はまだそうした取組の過渡期なので、そうした効果は今後生まれるものになると思っています。

 今後、デジタル化の推進を図ることで軽減されるであろう負荷をどのように見通していて、それをどのように生かしていくのか、裁判所としての考えがあれば教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判手続等のデジタル化が進んでまいりますと、これに伴って事務処理の在り方が大きく変わっていくものと考えられます。ある場面においては業務の合理化が図られるものと考えておりますが、他方で、これまで以上に注力すべき業務も生じ得るものと考えられます。

 現在、最高裁判所におきましても、裁判手続等のデジタル化に伴いまして、合理化、効率化される事務処理の在り方について鋭意検討を進めているところであります。適正迅速な裁判の実現のために、マンパワーを適切に配分してまいりたいというふうに考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 しっかりデジタル化の効果を見極めて、その効果を、コスト削減だけじゃなくて、司法の充実にも振り分けていってほしいというふうに思っています。

 そして、裁判所であっても、やはりBPMのようなマネジメント手法、いわゆる、業務プロセスの現状を把握し、変更し、改善を行うような取組なんですが、そうしたマネジメント手法や長期的な定員管理など、経営感覚を持つことが裁判所の運営にも有益かつ必要だと思うので、そうした経営的価値観も持ちつつ、合理化や司法サービスの向上に努めてほしいと思っています。

 次に、先日、法曹の質に関する検証結果報告書が出まして、さきの質疑でその結果のやり取りは聞いていたんですが、法曹の質は一定維持できていると仮定して、法曹人口としての過不足に対する評価というのはあるでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 現在、我が国の弁護士人口でございますが、約四万三千人を超えるまでに増加をしてきました。これまでの弁護士人口の増加によりまして、企業内弁護士など、法曹有資格者の活動領域が大幅に拡大し、司法過疎地域の減少といった大きな成果も上がっております。

 また、今回の検証を通じまして、企業法務のほか、児童福祉、高齢者福祉等、教育行政の分野におきましても、法曹との更なる連携を求める声があることを把握したところでございます。

 法務省といたしましては、引き続き、法曹人口の在り方に関する必要なデータ集積を継続するなどして必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 質とともに量も、長期見通しを含めた検討をいただきたいんですけれども、じゃ、今、何が法曹界で問題になっていて、それに対してどのような取組をしているのか教えてください。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 今回の検証を通じまして、従来法曹が活動してきた分野にとどまらず、近年、新しく法曹の活動が求められるようになり、あるいは法曹との連携が求められていることが明らかになったところでもございます。

 これは、各分野における法曹の真摯な取組によりまして、法的支援の必要性や法曹を活用することの有用性が広く関係者に認識されるようになった結果であるというふうに受け止めております。

 法務省といたしましては、こうした新しい分野における法曹の活躍や法曹と連携することの有用性等につきまして広く国民に情報発信するとともに、潜在的な法的ニーズも含め、国民の具体的な生活状況やニーズに即した適切な法的支援が行われるよう、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

守島委員 新たに起こっているニーズに対して司法サービスが届くように、弁護士さんの活動領域の進展も含めて、促す施策をお願いしたいというふうに思っています。

 最後に、裁判所の支部においては、裁判の合議制が取られていない支部がありまして、例えば相模原支部は、取扱いの事件数も地方の本庁などよりも多い中、政令市において唯一合議制が取られず、単独審理が採用されている中で、地元からも合議制導入の要望が上がっていると聞くんですが、その理由と、こうした裁判所の運営方針の決め方がどうなっているのか教えてください。

    〔熊田委員長代理退席、委員長着席〕

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 合議事件を支部で取り扱うかどうかにつきましては、形式的な基準によって一律に決められているものではありません。決定のプロセスといたしましては、地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則第三条一項に基づきまして、各地家裁の裁判官会議において決定されるものとされており、その際には、当該支部の管轄内の人口動向や事件の係属状況のほか、最寄りの合議事件取扱庁までの交通事情等の様々な要因を総合的に勘案されているものというふうに認識しております。

守島委員 ありがとうございます。

 様々な見地から仕事の役割分担をしている、交通アクセスも含めてということですが、地元の要望もあるので、しっかりとそれを聞いた上でも検討していただきたいんです。

 今後は、よりIT化とかが進展することで物理的距離の問題も変わってくることを考えるに、より、例えば専門性のあるところの機能集約とか、広域的視点での裁判所運営も可能になってくることも可能と思うんですけれども、そうした裁判所の配置とか役割分担など組織の在り方で、今後、検討されている方針とか考えがあれば教えてほしいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所の配置は、裁判所へのアクセス、提供する司法サービスの質等を総合した国民の利便性を確保する観点から、裁判所の利用者数だけではなく、人口動態、裁判所で取り扱う事件数の動向、交通事情等の変化等を考慮の上、IT技術の進展等も視野に入れながら、総合的な利便性の向上の見地から検討する必要があると認識しております。

 したがいまして、裁判所のデジタル化が進むことによって当然に本庁、支部の統廃合が進むというものとは考えておりません。

 引き続き、デジタル化の状況も含め、申し上げたような考慮要素について注視してまいりたいと考えております。

守島委員 統廃合を求めているというわけではないんですが、時代によった適配というのも大事だと思いますし、質や量というのはしっかり担保しつつも、時代に応じた経営の在り方というのは常に変わってくると思うので、そうした時代に応じた改革が都度なされていくことを期待して、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 すぐに質問に入らせていただきたいと思います。

 近年、日本国内で裁判の審理をする件数が減少している。だから今回の裁判官の数を減らしますという話なんだと思うんですけれども、やはり件数が少ない方が私は喜ばしいと思うんですけれども、まず、大臣の御所見をいただきたいと思います。

古川国務大臣 近年、企業内での法律家の増加ですとか、法テラスでの法律相談などに見られますように、裁判に持ち込まれる前に紛争を予防する方策が充実をしてきているということは事実だと思いますし、確かに、素直に考えたときに、事件数が減ってきている、これはいいことだというふうに思うのは、そういうところはあると思います。

 しかし、他方、我が国の社会というのは、多様化、国際化が進んでおります。また、コロナ禍ということもあって、いまだ非常に困難な状況、社会状況の中にあって、様々な法的紛争や法的課題を抱えながらも、様々な事情があって裁判所になかなか持ち込めない場合もあり得ると考えられるわけです。

 そういうことからすると、裁判所の事件数が減少したことをもって、一概に、潜在的な法的紛争を含めて法的需要が減少したとまでは言えないのではないか、いや、むしろ、法的需要というのはますます多様化してきているのではないかというような認識を持ちます。

 法務省としては、こうした多様な法的需要に的確に応えられるように、裁判手続の利便性を高めていくということはもちろんなんですけれども、さらに、ADRの利活用を促進するということですとか、法テラスの機能の充実強化など、やはり国民が司法にアクセスしやすい環境というものを整備していくことが大事だというふうに思います。

 このようにして、真に国民にとって身近で頼りがいのある司法というものを実現していかなければならないと思います。

鈴木(義)委員 そもそもの話をさせてもらったんですけれども、例えば、よく警察官の増員をお願いするような意見書が各都道府県から出たりするんですけれども、本来は、犯罪を犯す人が少なければ、警察官の数は増やす必要はないんだと私は思うんですね。

 だから、裁判所に持ち込む案件じゃなくて、当事者同士で解決ができるような社会になっていけば、逆にまた、私は、社会の中でいざこざが少なくなれば、住みやすい社会になっていくんじゃないかと思うんです。

 ただ、先般もお話ししたように、法律を知っている人がどのぐらいいるのかといったときに、そこの辺が、プロの立場である弁護士さんだとかに相談するんですけれども、これもまた費用がかかる、無料相談をやっている市町村もありますし、県もありますけれども。やはり、相談先にあって、そこを充実していけば、裁判に持ち込むことというのは少なくなっていくんだと思うんですけれども、そこのところは啓蒙啓発をしていくしかないかなというふうに思うんです。

 それと、二番目で、平成十三年から、裁判の迅速化、専門化への対応等のため増員を行ってきたんですが、昨今、複雑困難化する地方裁判所の民事訴訟事件に関して、合議率が着実に上昇している一方で、事件数は近年落ち着きが見られるということで、今回の法案が出てきたんだと思います。

 これまでに認められた増員を最大限活用するとともに、審理運営の改善といった内部的努力を引き続き行うことで、適正かつ迅速な事件処理を行うことができるとしているんですが、昨今の高度化していくような産業技術、それとか国際化している案件が増加した場合に、その対応が取れているのかどうかということをお尋ねしたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、裁判所は、平成十四年から、訴訟の迅速化、専門化等への対応のため、十年間で約四百五十人の裁判官の増員を行うなどしており、これらの裁判官を大規模庁を中心として増配置をしてきたところでございます。

 加えて、例えば、特許権事件等の知的財産関係訴訟、医療関係訴訟、建築関係訴訟等の専門的知見を要する民事訴訟につきましては、一部の大規模庁にこれらを専門的、集中的に処理する部を設けておりますほか、特に知財関係訴訟につきましては、知的財産高等裁判所を設置し、それぞれの分野における知識経験が豊富な裁判官による審理を実施するための体制を整備しております。

 このほか、知的財産関係訴訟など専門性の高い事件におきましては、各分野の専門家を裁判所調査官や専門委員といった形で事件に関与させ、専門的な知見を要する事件にも対応しているところでございます。

 さらに、国際化への対応という観点からは、毎年、多数名の裁判官、判事補でございますが、を海外の大学や研究機関等に派遣し、海外の司法制度や裁判実務の状況等について調査研究を行わせているほか、知的財産権に関する国際的研究教育機関等に裁判官を派遣するなどもしているところでございます。

 裁判所といたしましては、以上のような取組を今後とも継続していくことにより、高度な専門性を有する産業技術の高度化、国際化の事件が増加した場合にも適切に対応していくことができるものと考えております。

鈴木(義)委員 これはなかなか、産業技術の分野でいくと、日進月歩にどんどん技術が進歩していくわけですね。今御答弁いただいたように、研修を受けさせるとかとなるんですけれども、そもそも、例えば、判事なら判事の資格を持ちました、三年とか五年とか、機械の精通した人とか、化学が精通した人、医療が精通した人、もう少し、目利きという言い方が合っているかどうか分かりませんけれども、判事さん自身がやはりスキルを上げていく仕組みをつくっていかないと、研修を受けさせました、大学に行かせましたというだけでは、対応し切れないんじゃないかと思うんですね。

 データを見ますと、大体、一つの審理、判決が出るのに九か月ちょっとでできますよといいながら、物によっては二年も三年もかかってしまうものもあるわけです。その時間がかかることによって企業なり個人の損失も膨大なものになっていくわけですから、それで実際判決が出たら、何十万円ですよ、何百万円ですよというだけで、じゃ、その時間的な損失を誰がカバーしてくれるんだという話になるわけですね。

 判決が出れば、じゃ、賠償金をいただきましょう、払いましょうという話で、そこからもうスタートができるんだけれども、それを二年も三年も時間がかかってしまうということで、機会の損失というのかな、時間の損失について誰も責任を取ってくれないんです、今の制度でいくと。

 そこのところをもう一回御答弁いただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、社会経済情勢の変化等を背景といたしまして、民事訴訟の事件の複雑困難化等の要因もございます。民事第一審訴訟事件の平均審理期間は、令和二年では九・九月ということになっており、長期化傾向にあるというところでございます。

 一方、医事関係訴訟の平均審理期間につきましては、平成十二年と令和二年を比較しますと約九か月短縮している。あるいは、知的財産訴訟につきましては六か月短縮しているというような成果も出ているところであります。

 いずれにいたしましても、審理の長期化ということについては裁判所としても重く受け止めているところであり、内部でも審理の充実の在り方というようなことについて検討を進めているところでございます。

鈴木(義)委員 地裁で判決が出て、不服があれば高裁に、最高裁という三審制を取っている国なんですけれども、ジャッジをする判事さんの、専門性が高い人からのアドバイスというんですか、意見をもらって最終的に判断するんですけれども、最終的に判断するのは結局、判事さんになっちゃうわけですね。その方にスキルがなければ、何が正しくて、何が正しくないのか。

 法務省の担当の人で事前にレクに来られた方がいみじくも言っていましたけれども、分からなけりゃどんどん聞く、こういう話なんです。でも、聞いても、それが正しいことかどうなのかというのは、自分の中に尺度がなければそれを対比することができないという考え方です。

 これから、もっともっといろいろな、だから、AIを使うことによって時間をなるべく短縮させようとか、デジタル化をするというのはそういうことだと思うんですね。

 中には複雑な案件があるから、一概には時間だけで評価するものじゃないんだと思うんですけれども、そういった、再度、言い方は失礼なんですけれども、仕組みをやはりつくっていかないと人材育成になっていかないんじゃないかなという考え方なんです。

 そこの仕組みをつくっていく考えがあるのか、今取り組んでいるからいいという話なのか、そこをもう一回お尋ねしたいと思います。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 仕組みの関係でございますけれども、最先端の知見というのはなかなか裁判官が全てキャッチアップしていくというのは難しいところもあろうかと思っておりまして、個別の事件の対応という点では、技術が問題になる事件につきましては、当該分野の知見を有する裁判所調査官、これは常勤の職員でございますけれども、これに調査を命じたり、あるいは、当該事件の技術分野に特化した専門家、大学教授などの方を、非常勤の職員ですけれども、専門委員として関与させたりすることによって、技術分野の最先端の知見を取り入れるということをしまして、専門的知見を踏まえたその事案の理解をした上で解決できるようにということをしておるところでございます。

 今後とも、やはり、的確な人が得られるかというところがありますので、今のような仕組みを更にブラッシュアップして、事件の適正迅速な解決に努めてまいりたいと思っております。

鈴木(義)委員 じゃ、次の、もう一つ関連するような質問なんですけれども、裁判官の質の低下の可能性が平成二十一年三月十七日の衆議院法務委員会で指摘されてから、約十年たっています。懸念材料、懸念部分に留意して、今後とも注意深く見守っていきたいと述べているんですね、二十一年のときに。

 現状はどうだったのか。そもそも何をもって、質が向上した、低下したということを言うのか。判断材料は何なのか。そうしなければ、幾ら研修を受けさせる、いろいろな経験を積ませるといっても、何が向上したのか、何が下降したのかが分からないのに、それを一生懸命訓練しても適正なジャッジができないんじゃないかという考え方ですね。それにも増して、今回、定員を減らす、こういう話になっていくわけですから、その辺を踏まえて改善していく考えがあるのか、お尋ねしたいと思います。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 先ほど御紹介いただきました国会答弁の後、十年以上の月日がたっているということでございます。その間、先ほど来御紹介しておりますとおり、研修ですとか、あるいは専門部、集中部の体制の整備ですとか、先ほど申しました裁判所調査官あるいは専門委員制度の活用というようなことを通じまして、当事者や国民の信頼に応えられるような審理運営を行うように努めてきたところでございます。

 この成果がどうだったのかというのはなかなか一概に申し上げにくいところがあるかと思いますけれども、今後も引き続き、そのような様々な方策を講じてまいりまして、国民の信頼と期待に応えられるような裁判を行っていきたいというふうに思っているところでございます。

鈴木(義)委員 何か明確な答弁じゃないんですけれどもね。

 だから……(発言する者あり)終わりなんです、残念ですけれども。また議論させていただきたいと思います。

 終わります。

鈴木委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 裁判所の職員定員法案、判事補を四十人定員を減らし、そして、裁判官以外の職員の方々の定員を二十六人減らすということで、事務官や速記官を減らし、初めていわゆる行(一)職の定員を純減するということにも手をつける、そして、行(二)の技能労務職員の方もアウトソーシング、問題が多い法案だというふうに思っております。

 そもそも、三権の一つである裁判所の予算が国家予算のたった〇・三%しかないというのも私はおかしいというふうに思っておりますし、名古屋の弁護士の皆さんも、例えばDVとか虐待とか、本当にそういう事件を一生懸命やっている弁護士さんも、家庭裁判所、期日がなかなか入らないというお声などがございます。人的体制の充実というのはまだまだ必要だというふうに私は考えております。

 法案の趣旨説明、理由において、「事務を合理化し、及び効率化することに伴い、」とありますけれども、どのような合理化、効率化を行っているのでしょうか。実際に二〇二二年度に直ちに人員が削減できるほど合理化や効率化が成果を上げているという御認識でしょうか。お答えをいただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所におきましては、事務処理の合理化、効率化が図りやすい事務局部門におきまして、これまでも効率化、合理化を図ってきたところでございます。

 具体的には、庁務員等の技能労務職員につきましては、庁舎管理業務等を外注化するなどして合理化、効率化を図り、事務官につきましては、最高裁判所及び下級裁判所の事務を一部見直すなどして合理化、効率化することにより、減員が可能だというふうに考えております。

本村委員 アウトソーシングはバラ色ではないというふうに思うんですね。公契約法案、私たちは法案を求めておりますけれども、安定雇用とか賃金とかを保障した契約に最高裁のものはなっていないということですので、働く人たちの労働条件が悪くなり、貧困化、そして不安定化が進むというふうに私は認識しております。その点も認識を改めていただきたいというふうに思います。

 そして、事務官に関しても、今でも、持ち帰りの仕事や、朝早く出てきて仕事をしたり、休日に出勤しなければならない、そういう実態があるわけですけれども、どういう根拠でどこを減らそうとしているのか、お示しをいただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、技能労務職員の定員の合理化の点でございますけれども、これを行うに当たりましては、既存業務の見直しや事務統合による業務の最適化等により業務の合理化を行ってきているところであります。

 具体的には、定年等による退職に際しまして、裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、外注化による合理化等が可能かを判断し、後任を不補充とすることにより生じた欠員について定員合理化をしてきているところでございます。

 事務官につきましては、これまで各庁各部署において事務の見直しや業務フローの見直しなどに取り組んできており、既存業務の見直しによる合理化が可能な部署について個別に減員を検討しているところでございます。

 例えば、庁舎新営の終了に伴います事務の減少分などについて、合理化による減員が可能であるというように考えているところでございます。

本村委員 人の配置を考える上で、客観的な労働時間の把握というのは欠かせないというふうに思います。職員の方々の命や健康、心身共の健康を守ることができ、そして、出産や育児、介護など、男性も女性も、そして多様な性の方々も、家庭的な責任を果たしながら、ケアをしながら働き続けることができる人員計画を作るに当たっても、客観的な労働時間の把握が必要だというふうに思いますけれども、その点、御見解を伺いたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 各庁の人員配置につきましては、事件動向や事件処理状況等の事務量に応じて適正な配置となるように常に見直されるべきものであります。人員配置の見直しに際しましては、それぞれの庁について、各種事件等の動向や事件処理状況等の種々の要素を考慮し、事務量等を見極めて行っておりますほか、人員配置の見直し後の業務処理体制等につきましても十分検討した上で実行してきているものであります。

 委員から御指摘をいただきました労働時間につきましても、人員配置の見直しに当たり、考慮要素の一つになるものと認識しております。

本村委員 客観的な労働時間の把握のことを問うたわけですけれども。先ほど来申し上げましたように、持ち帰りの仕事とか、早出の仕事ですとか、休日出勤をしている職員の方々がおります。客観的な労働時間がつかまれていないという声が現場から上がっております。

 内閣人事局では、今、客観的な労働時間の把握に努力をされておられるというふうに聞いておりますけれども、その点、お示しをいただきたいと思います。また、コストのかからないシステムもあると聞いておりますけれども、お示しいただきたいと思います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 客観的な労働時間の把握を進めることは、長時間労働の是正ですとか、効率的な業務執行、それから職員の健康管理の確保のために重要だと考えてございます。

 このため、政府決定を行いまして、本府省につきましては原則、昨年八月から客観的な把握を開始してございます。また、地方機関につきましては、業務に応じた勤務形態の多様性に配慮しつつ、最も効果的な方法を遅滞なく措置するよう進めるとしてございます。

 今後は、実態把握を行いながら、推進に向けて働きかけてまいりたいと考えてございます。

 また、コストについてお尋ねがございましたけれども、システム化の方法は組織によって様々でございますが、例えば、表計算ソフトの活用とか独自プログラムを自作することで、職員がコストをかけずに実現している例があると承知してございます。

本村委員 ありがとうございます。

 最高裁判所でもそういう方向に一応あるというふうには聞いているんですけれども、この三月から最高裁判所の一部の職員で試行している、四月から最高裁判所で実施しようということで進んでいるとは聞いているんですけれども、しかし、まだ、客観的な労働時間の把握の方が補助で、申告制の方を主としようとしているのではないかというふうに疑いを持っているんです。

 例えば、厚生労働省の、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインでは、原則的な方法として、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。」これが原則、原則的な方法なんだというふうに書かれております。申告制は、やむを得ない場合というふうになっております。

 最高裁判所でも、原則である客観的な労働時間の把握システムをメインとして、全ての裁判所を含め、踏み出すべきだというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所職員の超過勤務につきましては、職員が事前に超過勤務について申告し、管理職員が超過勤務の必要性や緊急性を個別具体的に判断し、実際の超過勤務の状況についても管理職員が現認することを基本として、適切な把握に努めているところでございますが、最高裁につきましては、行政府省と同じように、他律的な業務が多く、繁忙な状況となっているため、勤務時間管理をより一層充実させるため、本年四月から、職員の業務端末の使用時間を記録し、これを超過勤務把握の資料とする運用を開始する予定でございます。

 今後とも、職員の超過勤務の適切な把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 それは、地方の全ての裁判所を含めて進めていただく意思があるということでよろしいでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、最高裁において、職員の業務端末の使用時間を記録し、これを超過勤務把握の資料とする運用自体も、まだ実施しておらず、来月から開始する段階でございますので、まずは、この運用を着実に軌道に乗せていくことに注力してまいりたいと考えております。

本村委員 正確に労働時間をつかんでいないというふうに、現場の皆さん、労働組合の皆さんから声が上がっておりますので、是非客観的な労働時間の把握を進めていただきたいというふうに思っております。

 家裁調査官は大変重要な役割を果たしていただいているんですけれども、その職員の方々が、配偶者の方や家族との関係、あるいは育児や介護などの理由で、転勤や単身赴任が難しくて仕事を辞めざるを得ないケースがあるというふうに聞いております。また、新幹線通勤を余儀なくされて、高額な自己負担もあるというふうに伺っております。

 お一人お一人の御事情をしっかりと把握をして、家庭的責任、このことにもちゃんと配慮をして人員配置するべきだというふうに考えますけれども、御答弁いただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 家庭裁判所調査官の人事異動につきましては、適材適所の任用原則にのっとり、均質な司法サービスの提供、人材育成、異動負担の公平等の観点からも考慮する必要があるため、異動範囲が広域とならざるを得ない場合や、必ずしも本人の希望どおりにはならない場合もあるところでございます。

 もっとも、職員の仕事と家庭生活の両立は重要なことであると考えており、これまでも、職員個々の希望や、育児、介護といった家庭事情等をきめ細かく把握するよう努めているところでございます。

 今後とも、こうした諸事情にも可能な限り配慮した異動の実施に努めてまいりたいと考えております。

本村委員 家庭裁判所の皆さん、家庭裁判所の調査官の方々の人材というのは大変重要な人材だというふうに思いますけれども、仕事を辞めざるを得ないケースがあるわけで、そうしたことがないようにしていただきたいと思いますけれども、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 いろいろな事情で辞めざるを得ない人がいるのではないかという御指摘でございます。

 個別の事例についての答弁は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、家庭事情等の諸事情にも可能な限り配慮した異動の実施に努めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 また、新幹線通勤で高額な自己負担を余儀なくされるということも強いられているということですけれども、その点も、何か手当を出すことも含めて、あるいは配慮した配転をするということも含めて、しっかりとやっていただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 これも個別の事例についての答弁は差し控えさせていただきますけれども、新幹線通勤等に係る通勤手当につきましては、法令に基づいて、他の国家公務員と同様に、適切な運用がされていると認識をしております。

本村委員 仕事と家庭の両立をしながら働き続けることができる、そういう職場に改善をしていただきたいということを切に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次回は、来る九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十二分散会


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