衆議院

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第2号 令和4年10月26日(水曜日)

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令和四年十月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 忠彦君

   理事 薗浦健太郎君 理事 谷川 とむ君

   理事 藤原  崇君 理事 宮崎 政久君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 沢田  良君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    岩田 和親君

      上杉謙太郎君    奥野 信亮君

      加藤 竜祥君    熊田 裕通君

      鈴木 馨祐君    田所 嘉徳君

      高見 康裕君    津島  淳君

      西野 太亮君    鳩山 二郎君

      平口  洋君    宮路 拓馬君

      山下 貴司君    渡辺 孝一君

      鈴木 庸介君    中川 正春君

      本庄 知史君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      阿部 弘樹君    漆間 譲司君

      日下 正喜君    平林  晃君

      鈴木 義弘君    本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         葉梨 康弘君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君

   最高裁判所事務総局行政局長            門田 友昌君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河野  真君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  秡川 直也君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 友井 昌宏君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       吉川  崇君

   政府参考人

   (法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           押切 久遠君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    花村 博文君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    宮田 祐良君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  松下 裕子君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    田野尻 猛君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片平  聡君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 中村 仁威君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       石川  武君

   法務委員会専門員     白川 弘基君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     渡辺 孝一君

  津島  淳君     宮路 拓馬君

  深澤 陽一君     上杉謙太郎君

  吉田はるみ君     本庄 知史君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     西野 太亮君

  宮路 拓馬君     津島  淳君

  渡辺 孝一君     岩田 和親君

  本庄 知史君     吉田はるみ君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     深澤 陽一君

    ―――――――――――――

十月二十五日

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河野真君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長秡川直也君、警察庁長官官房審議官友井昌宏君、消費者庁政策立案総括審議官片岡進君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、法務省大臣官房政策立案総括審議官吉川崇君、法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官押切久遠君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、法務省民事局長金子修君、法務省刑事局長川原隆司君、法務省矯正局長花村博文君、法務省保護局長宮田祐良君、法務省人権擁護局長松下裕子君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、公安調査庁次長田野尻猛君、外務省大臣官房参事官片平聡君、外務省大臣官房参事官中村仁威君、外務省大臣官房参事官今福孝男君、文化庁審議官中原裕彦君、文化庁審議官小林万里子君、厚生労働省大臣官房審議官野村知司君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己君及び防衛省大臣官房政策立案総括審議官石川武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君及び行政局長門田友昌君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。

宮崎委員 自由民主党の宮崎政久です。

 私、自由民主党の法務部会長を仰せつかっておりまして、今日質問の機会を頂戴したと思っております。理事、委員各位の先生方の御配慮に感謝を申し上げまして、質問をさせていただきたいと思っております。

 葉梨大臣とは、私が法務委員会の理事に、初めてここに入ってきたときに委員長の席にお座りでいらっしゃいました。私が政務官をさせていただいたときには与党の筆頭理事ということで、目の前にお座りでいらっしゃいました。この委員会だけを見ましても長らく御指導をいただいているというふうに思っております。

 今日は、これまでの御指導いただいた成果を踏まえてしっかりと質問をさせていただきたいと思っておりますので、大臣、どうぞ今日はよろしくお願いいたします。

 まず、旧統一教会に関連する問題を質問させていただきたいと思っております。この分野では総合法律支援の充実強化が必要でありますので、この分野に限って質問します。

 自由民主党としても、旧統一教会の問題への対応は非常に重要であると考えております。政務調査会の下に霊感・悪徳商法等の被害者救済に関する小委員会を設置いたしました。前消費者担当大臣である若宮健嗣衆議院議員を小委員長といたしまして、私、事務局長をさせていただいているところでございます。

 昨日の二十五日には、小委員会で取りまとめました緊急提言について、党の機関決定を経ました。今週中には、岸田総理、当然、葉梨大臣の元にも要請に行きたいと考えているところでございます。

 この旧統一教会等に関連する国民の皆様の様々なお困りの問題については、政府は、被害者救済の観点から、葉梨大臣を議長とする関係省庁連絡会議を設置して対応に当たられ、特に合同電話相談窓口に多くの電話相談を受けていただいております。御報告、聞くところによると、その七割は金銭的トラブルに関するものであって、かつ、法的にも複雑な問題を含むものが多いというふうに聞いています。

 多額の献金をしたことで家庭が崩壊してしまったとその苦しみを訴える方の声がある。幼少期から信者の家族として貧しい生活を強いられて、うつ病を発症するなどして大変な状況にあるという、つらい過去と今を切々と訴えてくる二世の方の声がある。こういった多くの被害に苦しむ声を聞き、また、声を上げられないでいるであろう方もたくさんいらっしゃるということを認識しています。

 私自身も、困っている人を助けたいという思いで弁護士になりました。今こうして国政の場に立たせていただいていることに鑑みても、まだまだ真摯にやらないといけない課題がここにたくさんある、そのことを重要に、重く受け止めて、誠実に丁寧にこの問題に対処しなければいけないという自覚の下に日々仕事をさせていただいております。

 法テラスは、様々な法的な問題を抱える方の司法アクセスを確保するという意味で、言ってみれば社会のセーフティーネットと言えるものであると思います。旧統一教会を始めとする様々な問題について、被害者救済の観点から、法テラスが行う総合法律支援の重要性は一層高まっていると思います。

 そこで、法テラスを所管する法務省として、これらの問題について総合的にどう対処していくおつもりか、大臣の見解をお聞きします。

葉梨国務大臣 お答えいたします。

 宮崎委員には、党の法務部会長としていつも御指導を賜っていまして、本当にありがとうございます。

 おっしゃるとおり、まずは旧統一教会の問題ですけれども、御指摘のとおり約七割が金銭トラブル、そして、それを解決するためには法的にいろいろと複雑な問題を解きほぐしていかなければいけないということがございます。法務省が所管しております総合法律支援体制の充実強化、私も非常に急務であるというふうに思っています。

 そこで、法テラスにおいては、お困りの方々の多様なニーズに応えて、まずは十一月中にも、合同電話相談窓口の機能等を継承した対応窓口の設置を目指します。また、日弁連と連携して、経験や理解のある弁護士を紹介をいたします。さらには、法テラスにおける無料法律相談、弁護士費用等の立替えを行う民事法律扶助の積極的な活用を図ってまいります。そして、心理専門職等を活用したワンストップ型相談会等を実施してまいります。

 これは窓口ということですけれども、この取組を推進するため、これに併せて十一月中にも対応部署の設置を目指します。その部署においては、この対応窓口の業務から先行して始動した上、弁護士、心理専門職等を配置します。相談事例の分析、支援策の企画立案等も行えるように早急な準備を進めてまいります。

 この人的、物的体制を強化をいたします。そして、各相談機関が有する知見の共有、適切な窓口の相互紹介などによるネットワークの形成を図ります。

 このように、法的支援のみにとどまらない総合的支援に向けた道筋を強力にサポートしてまいります。

 そして、御指摘のように、旧統一教会に限らず、所信でも述べさせていただきましたけれども、法テラスを中核として、総合法律支援の充実強化を図ってまいりたい、そのように考えています。

宮崎委員 大臣、ありがとうございます。

 この問題に関して、さらに、自民、公明、立憲、日本維新の会、四党で救済に向けての策をつくるという、今、実務者協議、昨日も夜までやりましたけれども、こういったことの取組も会期末までの間にしっかりと、政府とまた歩調も合わせるところはしっかり合わせてやっていかないといけないと思っておりますし、この問題、被害者を救済しなければいけないということに関しては、党派性があるとは思っておりません。多くの同志議員の皆さんと一緒になって、国民の皆様の不安の解消と困っている方の救済のために取り組むべきと思っております。この法務委員会でも様々議論が行われると思っておりますので、大臣のリーダーシップもまたお願いをするところでございます。

 話題を変えさせていただきます。国際化の話をしたいと思います。国際化、国際貢献の推進という大臣の所信の部分について質問申し上げます。

 私、一か月前に、オランダのハーグにある国際刑事裁判所、ICCに行ってまいりました。ロシアによるウクライナ侵略は、この冬に、雪が降ったりし始めた頃にターニングポイントを迎えることもあると思っておりまして、そうなりますと、戦争犯罪であるとか集団殺害などに関連して、国際社会のICCへの関心は必ず高まると考えて、弾丸の日程でありましたけれどもオランダに行って、そして、日本人の裁判官である赤根智子判事ともまた再会させていただいて、さらに、日本人だけでなく、本当にいろいろな国から出ている職員さんがいらっしゃいました、多くの職員の皆さんといろいろなレベルでの意見交換をさせていただいたところです。

 このICCに最も多く資金拠出をしているのは、実は我が国日本であります。現在、十三名の日本人の方がICCに在籍をしているんですが、書記局という事務を扱うトップの方と話をしたときに、拠出額の割合から計算をすると、あと三十三人は日本から来てほしいんだよなというような言葉も、これは冗談という意味ではなくて、そういうことができないかというふうなお申出もあったぐらいです。

 すぐにとは言えないんだけれども、じゃ、例えばどういうところがあるかなというところでいろいろディスカッションしていくと、ICCで手つかずになっている分野があって、例えばサイバー犯罪とか金融犯罪、こういったところはまだ十分に専門家がいないんだという話がありました。例えばこういう分野に、法務省、警察庁や金融庁とか、こういったところから、政府や、また民間からも、例えば政府のクレジットをつけて派遣をするという方法もあっていいんじゃないかというふうに思っております。私も行ってみて、本当にいろいろな国の人と話をしましたけれども、世界中から人が集まっているところでの仕事をするというのは、行かれたその方の大きな財産になるだけではなくて、組織としての日本政府にとっても大きな財産になるものだと実感しました。

 そこで、法務省はこれまで、司法外交ということで、法の支配や基本的人権の尊重という普遍的な価値の確立を国際社会に大きく発信をしてきたところであります。国際社会がロシアによるウクライナ侵略という法の支配に対する大きな挑戦に直面している中、政府として司法外交にどう取り組んでいくか、大臣のお考えをお聞きします。

葉梨国務大臣 お答えいたします。

 今お話のありましたICC、国際刑事裁判所ですけれども、先般、ホフマンスキ所長が来日されまして、私も、ホフマンスキ所長、さらには赤根判事ともお会いをして、意見交換をいたしました。所長からも、是非日本からも人を出してほしいというような御協力の要請もございまして、私どももこの夏までに二人の検事を派遣したというのは既に記者会見等で述べているとおりです。

 その上で、司法外交でございますが、本当に宮崎委員おっしゃるとおり、その重要性というのは極めて高まっているというふうに思います。

 昨年の春に京都コングレスを開催いたしました。法の支配、これがSDGs等の誰一人取り残されない社会の礎であるということ、これも確認をいたしましたが、その価値の具体化のために、やはり私たちはしっかりと取組を進めなければいけません。

 そして、さらには、今までも取り組んでおります法制度整備支援、あるいはUNAFEIにおける研修、そういったものも、このコロナにおいて、対面での研修ができるようになりましたので、更に充実強化をしていかなければならないと思っています。

 そして、さらには、来年は日・ASEAN友好五十周年という年に当たりますので、日・ASEAN特別法務大臣会合を東京で、七月ですけれども、開くべく、今準備を進めているところです。

 そういったことで、あらゆる方向に司法外交というのを、今、本当に戦略的に、また積極的に取り組んでいかなければいけない。そして、やはり国際社会が、ロシアの暴挙がある今こそ、法の支配であるとか基本的人権の尊重、そういったような普遍的価値というのを再確認するということ、このことが私自身も大変必要なことだというふうに思っておりますので、積極的に取り組ませていただきたいと考えています。

宮崎委員 大臣、ありがとうございます。

 私が行ったとき、法務省から行っている若手の検事さんとも会って懇談をさせていただいて、大分率直なところで、日本から行って大変なところということも聞きましたし、一生懸命仕事をされている姿も見てまいりました。

 今、京都コングレスに触れていただきましたけれども、京都コングレスをやった一つの内部的な成果、レガシーみたいなものとして、こういった国際機関などに、法の支配や、ジャスティスの官庁である法務省、もちろん、各省庁からも協力を得て人が出ていく、そして、帰ってきて、ちゃんとセカンドキャリアをしっかりできるような仕組みを立てることが重要だと思っておりますし、帰ってきてからその経験が生かせる仕事をしっかりやらないといけない。例えば、国際分野でやった人が、あなたも現場をやらないと駄目だよみたいなことばかり言っていても、国際関係の人は育たないわけですね。

 ですから、そういったことをやれる職員も必要になってくるし、あと、レベル感も、若い人の研修ということはもちろん大切です。ですけれども、ミドルクラスも、そして上のクラスの人たちも、それに見合うところで出ていって国際貢献をしてもらうということを是非やるべきではないかと思っております。

 今大臣から、ホフマンスキ所長と会談をされたことのお話もありました。岸田総理とも所長はお会いをいただいているというふうに聞いております。

 このICCは、実は、締約国が百二十三か国しかまだなくて、アジア太平洋では十九か国しか入っていない。実は、世界の人口の六割がアジアにいるにもかかわらずこういう状況であるということがあるので、ICCの国際的な普遍性をつくらなければいけないという観点からも、アジア各国への働きかけを、法の支配を実践する我が国が主導的に担うべきではないかなと思っております。

 今日、新聞記事でありますが、資料一をお配りをさせていただいております。これは、今大臣にもお触れをいただいた、ホフマンスキICC所長が来日する際の記事でありまして、ICCが世界で初めてとなる地域事務所を日本に設立することを検討しているということを報じています。

 私が一か月前にハーグに行ったときにも、この話題は、実は主要な意見交換の課題の一つでありました。私からは、日本にICCの地域事務所、リージョナルオフィスを設置するということになれば、日本政府側の政治決断が絶対に必要なんだということを申し上げて意見交換をしてきたところであります。

 法務省として、今まで法曹人材の派遣など様々やってきておりますけれども、このICCとの連携について、これからどう進めていこうとお考えであるか、大臣のお考えをお聞かせください。

葉梨国務大臣 お答えいたします。

 ホフマンスキ所長が日本に来られまして、私に対しても、リージョナルオフィスを日本に設置していただきたい、そしてアジアに対するICCの関与を是非強めてまいりたい、そういうような申し越しがございました。

 私どもとしても、これは法務省だけで決められる話ではございませんので、外務省などともよくお話をしながら、政府全体でしっかり受け止めて検討していきたいと思っています。

 そして、その上で、先ほど検事二名を派遣したというお話は申し上げましたけれども、今回の来日で、先ほど申し上げましたUNAFEI、国連アジア極東犯罪防止研修所、そことICCとの協力覚書を結ぶことができました。一般的な協力関係ではあるとはいえ、一つの成果が上がったものだというふうに思っています。

 そして、そういったものを核として、やはりICCと日本との関係を更に深めるということは私自身も必要なことだというふうに思っています。

宮崎委員 ICCの関連で、ちょっとこれは質問ではなくて言いっ放しになりますけれども、デジタル化のことについて一言触れて、言いっ放しになりますが、言っておきたいと思います。

 ちょうどICCを訪問したときに、eコートシステムというのが成立をしていて、一番先端的なやり方でやっているというやり方の説明を受けて、現実にちょうど裁判もやっていたものですから、裁判も傍聴してまいりました。

 その裁判では、説明にもあるんですが、日本の裁判でやるように書証とか物証が出てくるということは全くないわけであります。法廷には大きなスクリーンがあって、そして、訴訟関係人、裁判官、検察官、弁護人、書記官始め、みんな、小さいスクリーンが、パソコンのスクリーンがあって、それで自分で自由にそれを、証拠を見ながら訴訟をやっていくという形です。言ってみれば、例えば、物の写真であれば、本当に3Dの形で、後ろはどうなっているんだろうとかということが自分で自由に見られる。地図などであれば、奥の方がどうなっているかを自分でマウスをやりながらやれる。そういった形で審理が充実をしていくような仕組みがされている。

 言ってみれば、紙の書証がPDFの形になってメールで送りましたみたいな、こういう次元では全くないということでありますので、日本の司法手続、これまで人権の擁護とか様々な配慮から若干抑制的であった部分はあったと思います。この部分は、民事の部分、刑事の部分、それぞれ違ってくると思いますけれども、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに御期待を申し上げたいところでございます。

 人権の問題について触れたいと思います。

 部落差別の問題、改めて触れさせていただきたいと思います。

 私、議員立法の形で、部落差別解消推進法の立法に携わらせていただきました。その第一条には、急速にIT化、デジタル化が進んでいく社会を念頭に、こういう言葉を入れたんです。「情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、」と書きました。幸いではなくて、不幸なことにと言わないといけないんですけれども、立法をしたときに懸念をしたインターネット上での部落差別に関する人権侵害は、いまだ解消を図れておりません。

 資料の二をお配りしております。

 これはモザイクをかけているんですけれども、実は、特定の地域が、この前のページでは都道府県名、市町村名に至るまで示されて、そして、これは動画なんですけれども、見た人が見たらすぐ分かるというような形で流されて、特定の地域が同和地区であったと指摘する情報がインターネット上に流されている。こうした差別を助長するようなことは一刻も早くやめるべきであると思いますが、現実にはこの差別的な言動が止められていないという現実があります。

 法務省が対応していないとは私は言いません。やっていることを知っております。ただ、例えば、多くのプロバイダーは、削除要請を受けても、海外の事業者であるということが多くて、なかなか削除が進んでいないという現実もあるし、裁判所の命令を取ってくればいいじゃないかという話があるかもしれないけれども、特に部落差別の問題などで結婚差別みたいなものにいきなり直面をした方が、独力で、弁護士さんを頼んで裁判所へ行ってというふうなことになるにはやはり限界があるわけでありまして、どうしてもここは行政の力を発揮するべき場面だと思っております。

 新しい法律を作らせていただいて、理念もある。こういった課題に対して、法務省としてどう対処していくおつもりか、大臣の見解をお聞かせください。

葉梨国務大臣 部落差別の解消法、委員がお取り組みになられた、党内で取り組んでいらっしゃったときに、私は、差別に関する特命委員会の事務局長をやっておりまして、また、さらには、この法律が成立したときの委員長もさせていただいておりました。当時からそういう問題があるということは、まあ懸念が当たってしまったというのは非常に不幸なことであるというふうに思っています。

 これに限らず、やはり差別の問題に対しては、プロバイダー等に対して削除要請を行うことにしているんですが、特に、同和問題については海外の事業者が理解が不足しておりまして、なかなか削除が進んでいないという問題があります。

 そこで、本年五月、有識者会議で法的な整理をいたしまして、削除の判断基準等の法的整理をしていただきました。そして、削除の進まない海外事業者の間で意見交換を繰り返す。これは、海外事業者が、最近、ちょっと別の理由もあるんですが、日本で登記をしていただけるようにもなったものですから、やはりそういうことを本当に粘り強くやっていくことが必要だと思います。

 この種投稿、これについてしっかり理解をしていただいて、そして、しっかり削除していただくような粘り強い取組を進めていかなければならないというふうに思っています。

宮崎委員 差別の問題は、部落の問題もそうなんですが、やはり心の問題が大きいわけでありまして、例えば、こういう動画情報などが出て、それが、何というんですか、深い気持ちではないのかもしれないような形で拡散をされていったりしてしまっているという実情もある。やはり駄目なものは駄目なんだというふうなことを世の中にしっかりお伝えをしていくということも必要であります。

 そのためにも、今お話があったような取組、特に、事業者の方に商業登記をしっかり外国法人としてしてもらうこと、これも進めていかないといけない。これも法務省のやるべき所掌業務でございますので、是非、こういったことも含めてきっちりと進めて、差別のない、ここのところに踏み込んでいかないといけないので、これはやはり、本当に困っている人がおられますので、こういった人を助けていく取組を是非お願いしたいと思っております。

 犯罪被害者の方々への支援という項目についての質問をさせていただきます。

 特に、その中でも性暴力の関係、自民党の中では上川陽子元法務大臣が会長となって、性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟、これは、性暴力被害は一件あったとしても多過ぎるということで、ワン・イズ・トゥー・メニーという言葉から、略称ワンツー議連というふうにしております。この事務局長をさせていただいておりまして、さきの国会では、この議連のメンバー、特に山下貴司元法務大臣には細かいところまで法制化に向けての御尽力をいただき、また、自民、公明、立憲、維新、国民、共産、六党の超党派で合意をして、アダルトビデオの出演被害防止の救済法にも取り組ませていただいたところでございます。

 性犯罪、性暴力の根絶のためには、関連する刑事法の整備もしっかりと進めていく必要があります。一昨日の法制審議会、この関連部会で、刑法を始めとする性犯罪の規定についての見直しの試案が公表されて、報道にもかなり大きく出ているところであります。

 法律には社会規範を形成する力があります。今回の性犯罪に関する刑事法改正にあっても、我が国社会や国民の皆様が求めている社会規範がしっかり成立するような方向で法改正するべきだと私は思っています。

 強制わいせつとか準強制わいせつの罪の構成要件の改正に当たっては、例えば、スポーツや芸能界において、意思に反してわいせつ行為を強要されたり、拒むことができない状況でそういった行為がされているということの報道があります。

 こういったことは許されちゃいけない、こういったことをしっかり示せるような内容の改正、分かるような、処罰されるべきものが処罰されるような構成要件の規律になるような形にしないといけないと思っています。

 被害者支援をしている方々からは、包括的に、意思に反している場合は不同意性交罪となるという要件を定めてほしいという要望が繰り返し出されています。私どもワンツー議連でも幾度となく聞いており、その思いも共有しているところであります。

 他方、罪刑法定主義であるとか、現実に処罰が運用できるようにならなければ意味がない、だから明確性も必要なんだ、重要なんだという御意見で、具体的な要件を列挙するべきだという意見も出てきているところであります。

 ここは大きく関心のあるところでありますので、難しい論点でもあります。多くの方が、多く納得していただけるように、この議論を重ねていくべきだと思っております。

 現在、法制審でやっている話ですから、どこまでかということはありますけれども、この点に関する調査審議、特に性犯罪、性暴力根絶のために関連法令の整備は絶対に必要でありますので、大臣の基本的な御認識、御見解を伺いたいと思います。

葉梨国務大臣 性犯罪、性暴力、これは精神に対する殺人と言われています。これは絶対あってはならないことで、撲滅していかなければなりません。

 他方、宮崎委員からも今御質問あったように、非常にバランスの取れた御質問だったというふうに私は理解をいたしました。

 そこで、先般、法務省として、今までの議論を踏まえた、たたき台というのを提示をさせていただきました。

 この議論は、やはり、そういうような目的に向けて、かつ、しっかりとワークする制度をつくっていくという観点から、本当に幅広い議論が期待されるものというふうに考えています。そして、これへの適切な対処というのは本当に喫緊の課題だというふうに思っています。

 法制審議会における充実した御議論を期待して、そして、その取りまとめを受けて、我々としても早急な対応を取っていきたいというふうに思っています。

宮崎委員 あと、もう一点、犯罪被害者の方の件に触れたいと思っていましたが、ちょっと時間が来ましたので。

 この点については、犯罪被害者の権利確立に御尽力をされた岡村勲先生が、新たに、新あすの会、もう一回やらないと駄目だということで立ち上げました。そして、この中で一番訴えておられるのは、やはり、犯罪被害者の方が加害者に対して裁判を起こして債務名義を取っても経済的な回復が図れない、お金を払ってもらえない、ここのところをしっかり政府の方で支援してくれという思いがあっての動きであります。党でも議連をつくりました。是非、政府にしっかり要請していきたいと思っております。

 法務、司法の分野は、今日触れたように、困っている人に関わることが多い、そして社会の本当に基礎的、基盤となる取組でありますので、きっちりと取り組むことが必要です。派手ではないかもしれない、だけれども、このことをしっかりやらないとこの国の基礎が崩れる、私はそう思っています。どうか、大臣始め法務省の皆様の御尽力と、今日この席にいる与野党全ての委員の皆さんと一緒にこういった思いで取り組みたいと思っております。

 今日はお時間をいただきましてありがとうございました。

伊藤委員長 次に、日下正喜君。

日下委員 公明党の日下正喜でございます。

 本日は、葉梨大臣には初めての質問となりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 初めに、技能実習制度、特定技能制度など、外国人材の受入れについて質問したいと思います。

 今、両制度の見直し時期に当たり、本年二月から古川前法務大臣の下で特定技能制度・技能実習制度に係る勉強会が開催され、各界の有識者の皆さんから御意見を集められたと伺っております。今も、建設、製造、運輸、農水、観光、サービス産業など、あらゆる分野で人材不足が叫ばれ、より深刻な状況となっております。古川前大臣は、この外国人材の受入れ、そして外国人との共生社会の実現に向けて、このチャンスは逃さない、歴史的決着に導きたいとの抱負も示され、改革の意思を前面に出されておられました。私自身も大変心強いものを感じておりました。

 まず、葉梨大臣にお伺いいたしますが、大変重要なこの制度の見直しにおいて、前大臣の勉強会の成果などをどのように生かし、今後の議論をどのように進めていかれるのか。また、スケジュール感も含め、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

葉梨国務大臣 日下委員、よろしくお願いいたします。

 制度趣旨と、それから実態との乖離等々、古川前大臣が提起された問題意識、これはしっかり重く受け止めていかなければいけないというふうに思っています。

 たまたま、私、この技能実習の法律とそれから特定技能の法律、これを審議したときの法務委員長でございました。ですから、その審議の過程で提示されたいろいろな問題点も、私自身、肌身に感じているところです。

 そして、この問題は、やはり政府全体でしっかりと取り組む必要があるということで、官房長官と私が共同議長を務めます外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の下に有識者会議を設けて、今、会議の開催に向けての準備中です。年内にもというふうに思っています。

 そして、スケジュール感についてなかなか予断を持ってお答えすることは困難なんですけれども、しっかりとした検討をいずれにしても行っていただかなければいけないと思います。そして、そこで様々な御意見を伺って、政府全体で丁寧な検討を進めていきたいと思っています。

日下委員 次に、特に技能実習制度につきましては、国際貢献という目的と、人手不足を補う労働力として扱っているという実態の乖離が指摘されてきました。

 私は、本年一月、予算委員会分科会でも質問をさせていただきましたが、実習実施者にとっても実習生にとってもプラスになる、ウィン・ウィンの関係とするために、一つには、これは建築、左官業を営む方からも聞いたんですけれども、前提として三年ないし五年たてば帰国してしまうという現状では、職人が持つ本当の技術、技能を伝えるには、時間的にも、またモチベーション的にも大変難しいという声を聞いてまいりました。この技能実習制度を本格的な外国人材確保に向けたファーストステップとして捉え、一定期間、日本語学習も含め、OJTを通して技能を習得していただき、実習生や受入れ企業の意向も踏まえて、そのまま特定技能へ移行してもよし、本国に帰って技能や経験を生かすもよし、すなわち、日本において職を得ていくことを可能にする試用期間のような位置づけにしてはどうかということ、これが一点です。

 二つ目には、技能実習、特定技能一号、二号の連続性、整合性を持たせていくということについて、それぞれ対象職種や特定産業分野の見直しなどを進めていく必要があるということ。

 また、外国人材を必要としている国は日本だけではありません。相対的な賃金の低さ、円安も相まって、日本で実習し、働きたいという外国人は減少していると聞いております。そこで、三つには、技能実習生がしっかり将来にわたるキャリアパスを描き、安心して生活していける環境整備、すなわち、日本で働くことの価値が高まるような制度設計が不可欠だと思います。

 この三点について、法務大臣の所見をお伺いいたします。

葉梨国務大臣 日下委員が御指摘になられた点、非常に重要なポイントだと思っています。

 私自身も、やはり専門家の方々あるいは現場の方々から同様な御意見を承ることも多々ございます。ですから、そういった御意見もしっかり参考にしながら、今、先ほど申し上げました有識者会議、ここにおいてしっかり議論をしていただくということが、現段階では、この場で、どういう方向性があるんだということをちょっとなかなか申し上げることが困難だという御事情は御理解をいただきたいんですけれども、いずれにしても、委員御指摘のポイントは非常に重要だと思いますので、しっかり参考にさせていただいて、議論を深めるようにしていきたいというふうに考えています。

日下委員 ありがとうございます。

 本当に人材不足は深刻で、いろいろな業界の方からお話を聞きますけれども、分野を問わず、本当に人がいない、もうパイが小さくなっている。中長期的には少子化対策ということもあるでしょうし、今取り組もうとしているリスキリングによる労働移動もあると思いますが、やはり、外国人材の皆様のお手もかりるということも必要になってくるというふうに思いますので、しっかり各省庁、また業界団体等とも連携を取りながら、きっちり進めていただきたいというふうにお願いいたします。

 次に、関連いたしまして、技能実習生と技能実施者等の間でのトラブル、実習先で不当と思える扱いを受けても相談、交渉等ができない実習生がいることなど構造的な問題もございますが、特に実習生たちの日本語能力、コミュニケーション能力によるところも大きいと思います。

 これは実習の場だけに限らず、日本で生活するためには一定水準以上の日本語の習得は欠かせないと思います。一方、我が国における外国人向けの日本語教育の環境整備が追いついていないのが現状で、今後、日本語教師の新たな資格、日本語教育機関の認定制度の創設、日本語教育の空白地域解消を目指した地域日本語教育の総合的な体制づくりなどを、両制度の見直し、施行に先んじて取り組んでいくべき喫緊の課題であると思います。

 日本語教育についての人員、予算の強化も含め、文化庁の所見をお伺いいたします。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、我が国の在留外国人数は約二百九十六万人に達するなど増加傾向にあり、留学生、技能実習生等を含めた就労者、生活者としての外国人が希望する日本語教育に対する多様なニーズというのが、これまで以上に高まっているというふうに認識をしております。

 文部科学省におきましては、外国人に対する日本語教育の質の維持向上を図るため、日本語教師の新たな資格とともに、日本語学習のニーズに対して適正かつ確実に実施する日本語教育機関の認定制度に関する新たな法案の速やかな国会への提出を目指し、必要な措置を講じてまいります。

 あわせまして、習得レベルの目安となる日本語教育参照枠を踏まえました日本語教育プログラムの開発、普及、日本語教師の養成、研修、認定した日本語教育機関の多言語情報発信などの基盤強化とともに、日本語教育の空白地域解消を目指した都道府県等が行う地域日本語教育の総合的な体制づくりの支援など、必要な令和五年度予算を計上し、これらの取組を総合的、一体的に推進するための体制強化を図るため、令和五年度の機構・定員の要求を行っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、制度実現に向けまして、法務省、厚生労働省など関係府省庁と緊密な連携を図りつつ、御指摘も頂戴しましたとおり、日本語教育に関する取組を推進してまいりたいというふうに存じております。

日下委員 日本語について大変に重要な御答弁をいただきましたけれども、言葉は文化とともに、文化は言葉とともに発達してきたと思います。明治の初期には、海外から英語などで日本に科学技術がもたらされまして、日本語のフィルターを通して独自の進化を遂げていったというふうに思っております。世界に誇れるこの日本語を残し、伝え、また海外にも発信していく大事なツールになってくると思いますので、しっかり日本語教育の充実強化に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 では、次に、技能実習制度の運用上の改善についてお伺いいたします。

 現在、外国人技能実習機構の下に監理団体があり、監理団体は実習実施者や実習生に対して、監理、相談、支援等を行っています。

 監理団体の方々にお話を伺うと、機構への報告内容や申請書類などが煩雑である、また、業務の分類などで機構の地方事務所と本部等で言われることが違っていて、円滑な運営に支障を来すことがあるというふうに聞いております。

 申請、届出、報告、帳簿など、もっとデジタル技術を活用して、例えば、同じ証明書を用いる場合は再提出は不要にするとか、同様の届出をする場合は変更箇所だけを直して届出ができるようにするなど、なるべく分かりやすく、無駄なく、適正に、オンライン、端末入力で行えるようにするなど工夫していただきたいと要望いたしますが、法務省の御所見をお伺いいたします。

西山政府参考人 委員御指摘のとおり、提出書類の簡素化や、申請、届出におけるデジタル技術の活用、これは利用者の利便性の向上に資するとともに、業務の効率化の観点からも重要だと認識をいたしております。

 現状を申しますと、例えば技能実習計画の認定申請では、同時に二以上の申請をする場合や過去の一定期間に同一の書類を提出している場合にあっては、重複する書類の提出を不要とする、あるいは、様式を統合するとか、申請書類等の押印を原則として不要にするなど、提出書類の省略、簡素化に係る取組を行っているところでございます。

 また、外国人技能実習機構における技能実習計画の申請手続等のオンライン化につきましては、閣議決定されました規制改革実施計画等に基づきまして、令和七年末までの導入を目指して検討をいたしているところでございます。

 入管庁としては、厚生労働省や外国人技能実習機構と連携し、今後とも、提出書類の省略、簡素化や、デジタル技術を活用した利用者の利便性向上について、検討を行ってまいりたいと考えております。

日下委員 ありがとうございます。

 この本格的な制度の見直し、施行まで、あと二年、三年とかかると思いますけれども、運用システムの改善であるとか、スムーズな運用につきましては、やはり先んじてそれを整えて、次のステップに移っていくというのが一番いいかと思いますので、しっかり運用面の充実をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、ちょうど一昨日、先ほどもございましたが、法制審による試案が示されたところですが、障害児者に対する性犯罪に対処するための法整備についてお尋ねいたします。

 刑法の性犯罪処罰規定の中に、被害者が障害児者であることに乗じた性犯罪をきちんと規定していただきたいというものでございます。

 これまでも、障害児者入所施設などの職員などによる性犯罪が新聞紙上でも取り上げられてきました。障害児者は健常者の三倍の割合で性被害に遭っているという報告もございます。被害者が障害児者である場合、性犯罪から逃れるための知識、手段、時間は圧倒的に不利な状況にあり、こうした犯罪が表に出、加害者が裁かれるまでには幾つものハードルを越える必要があります。加害者と被害者との間に大きな力関係があることを踏まえると、こうした表に出る性犯罪はまさに氷山の一角であると考えられます。

 こうした犯罪を抑止し、障害児者を守るためには、広く国民に、障害のある人を狙う卑劣な行為があり、そうした行為を許してはならないという規範を周知する必要がございます。

 準強制性交等罪、準強制わいせつ罪の要件に心神喪失や抗拒不能がありますが、障害児者の中には、被害の認識がすぐに持てない、記憶力や証言能力が低い、被害そのものを否定したい、自分が悪いんだと思ってしまう、こういう方が少なからずおられます。そうした障害のある被害者が、まず第三者に抵抗の意思を示し、更にそれを立証するということは、健常者に比べても極めて困難であります。

 こうしたことを踏まえ、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ、韓国など諸外国では、障害児者への性犯罪が刑法に明記されております。準強制性交等罪、準強制わいせつ罪の抗拒不能の要件に、被害者が障害児者であることを、これは試案にも入れていただいておりましたけれども、きちんと盛り込んでいただきたいと考えます。これが一点でございます。

 さらに、例えば、福祉、医療職、また教育職等に携わる方は、人の生命や健康、健全な生育を預かる者として高い倫理観が求められることは言うまでもないことですが、しかし、そうした立場を利用した性犯罪が後を絶ちません。障害児者である我が子が、身内がこのような性被害に遭ったとしたら、本人、家族は誰を信頼して生活していけばよいのか。

 私は、地位、関係性を利用した性犯罪として、被害者としての障害児者を明確に位置づけていただきたい、是非、刑法、性犯罪処罰規定に書き込んでいただきたいと思いますが、この二点について大臣の所感をお伺いいたします。

葉梨国務大臣 先ほどの宮崎委員との質疑にもございましたけれども、性犯罪、性暴力、これは撲滅しなければなりません。また、特に、障害者であることを利用してというか、それで犯罪に至るという、これは本当に許し難い行為であるというふうに思っています。

 その上で、二点について一括してお答えをしたいと思うんですが、諮問事項自体は、相手方の脆弱性や地位、関係性の利用を要件とする罪の新設という諮問事項がございました、これは後者に当たると思うんですが。その上で、今まで法制審でもいろいろと議論をしていただいて、どういう形でワークする制度を、ワークするような法律を作っていくかということでの議論があったというふうには承知しています。

 そこで、現在、試案の段階では、心神喪失、抗拒不能に代わる被害者の状態を規定するに当たって、その原因となる行為や事由として、心身の障害や、社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益の憂慮、これを列挙するという案を試案としてはお示ししたわけなんですけれども、今後、更にこの諮問事項との整合性等々も含めて法制審議会においてしっかり議論をしていただきたいと思います。

 この面、国民の関心が非常に高い分野ですし、また、本日の委員会でもこういうような質疑があったということも踏まえて、しっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。

日下委員 ありがとうございます。是非前向きに検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、旧統一教会の被害者救済についてお尋ねしたいと思います。

 旧統一教会をめぐる問題について、被害者救済に向けて関係省庁連絡会議を設置し、現在、合同電話相談窓口を設け、様々な相談に対応するとともに、今後、複雑な問題の総合的な解決を図るため、法テラスにおいても相談窓口を新設されると聞いております。現に悩み、苦しんでいる方々を救済していくためにも、相談体制の強化をお願いしたいと思います。

 具体的には、合同電話相談窓口を当面の間継続すること、そして、今実施している電話相談では、法的に複雑な問題を含む金銭トラブル等が多く寄せられていることを踏まえ、法テラスにおいて一元的な相談窓口が十一月中に設置されると伺っております。先般、公明党からも法テラスによる相談対応の充実強化を具体的に提言させていただいておりますが、どのような内容になるのか、葉梨大臣の答弁を求めます。

葉梨国務大臣 旧統一教会に係る被害者の救済というのは極めて大切な問題だと思います。

 各相談機関それぞれある中で、私ども法務省が議長ということになったというのは、まさにこれは、単に相談を受けるということだけではなくて、実質的な救済につなげていく、このためだというふうに私自身も考えておりますし、だからこそ、委員御指摘のような法テラス、これはやはり複雑な法律問題とかそういったものを抱える問題、あるいは金銭の問題が多いものですから、そこがしっかり充実強化をして、現実に実際の救済につなげるという努力をしていきたいと思います。

 具体的には、合同相談窓口を継続をいたします。その上で、十一月中にも、その機能等を継承した対応窓口、これを法テラスへの設置を目指します。そして、日弁連との連携に基づく、経験や理解のある弁護士の紹介、無料法律相談や弁護士費用等の立替えを行う民事法律扶助の積極的な活用、心理専門職を活用したワンストップ型相談会などの取組を進めます。

 そして、これは対応する部署も必要です、窓口だけではなくて。そこで、十一月中にも、対応部署の設置を目指します。この部署においては、窓口の業務から先行して始動した上で、弁護士、心理専門職等を配置して、相談事例の分析、これは大事です、支援策の企画立案等も行えるように早急に準備を進めます。そして、人的、物的体制も強化をさせていただきます。

 そして、その上で、そこだけで対応できないところもございます。各相談機関の知見の共有、さらには適切な窓口の相互紹介という形で、法的支援にとどまらない総合的支援というのを行っていきたいというふうに思っています。

 いずれにしても、このような法テラスの取組は、旧統一教会をめぐるトラブル、冒頭申し上げましたように、本当に実効的な救済、これにつなげていくように一生懸命頑張ってまいりたいと思います。

日下委員 明確な答弁、ありがとうございます。

 やはり被害者の立場に立った、相談に行くのもやはり勇気が要ることだと思いますし、そこに行って本当に、弁護士の方、また心理士の方等、すぐにつながっていける、有機的にきちっとそこで対応してもらって、安心して話を聞ける、また対応してもらえる、そういうふうな本当に実効性のある相談窓口に是非していただきたいということをお願いしたいのと、知見の共有ということも言われておりましたが、デジタル技術もしっかり用いて、全国で発生している問題でありますので、しっかり、そういう情報の共有、知見の共有、また対応の仕方等、進めていただきたいというふうにお願いいたします。

 次に、再犯防止について質問いたします。

 平成二十九年に再犯防止推進計画が策定され、本年度末で五年の計画期間が終了いたしますが、出所受刑者の二年以内の再入率も、令和三年までに一六%以下にする目標を令和元年には達成するなど、二年の前倒しという形で達成をいたしまして、随所に成果が出ております。

 本年度は、新たな再犯防止対策の策定に向けた大切な時期に当たります。再犯防止施策に関しては、既に様々なメニューが用意されているところですが、今も満期釈放者の再入率が仮釈放者の二倍を超えており、満期釈放者に対する就労支援を始め、より高いケアが必要であると感じます。

 更生保護施設職員によるアウトリーチ、訪問等を含めた生活相談体制の強化や、更生緊急保護制度をもっと身近で使いやすいものにしていくための工夫、保護司等民間協力者の活動支援が必要です。

 また、国と地方公共団体との役割分担の明確化及び地方公共団体が再犯防止に取り組むための財政支援など、出所受刑者を孤独から守り、支援につなげていく取組の強化を望むものです。

 今後の満期釈放者対策に関して、法務大臣の御所見をお伺いします。

葉梨国務大臣 委員御指摘のように、満期釈放者、これは刑事司法手続が終了しております。でも、その方々が地域社会の中で取り残されるということもあってはならないことだと思います。ですから、その方々の再犯を防ぐという意味では、地域社会の中で孤立しない、そういうような息の長い支援が必要です。そのためには、委員も御指摘のように、地方公共団体、関係機関、しっかり連携を取っていかなければなりません。

 ですから、私ども、現在、再犯防止推進計画加速化プラン、これなどに基づいて、更生保護施設退所者等に対する訪問支援事業、満期釈放者等に対する地域における支援ネットワークの整備等を行う更生保護地域連携拠点事業、地方公共団体における再犯防止の取組を促進するための知見の共有や協議などを実施しています。

 そして、今申し上げましたように、都道府県や基礎自治体と連携して再犯防止に取り組むということは本当に必要なことなので、だからこそ、今申し上げました事業を、保護司や民間協力者の活動に対する支援、これに対する支援が必要だというふうに考えているわけですが、今年の概算要求で、都道府県に対して予算措置で支援をするという予算も要求をさせていただきました。財政的にも支えていくということが非常に大切だと思います。

 ですから、今後、やはり、地方公共団体、さらには民間の協力者の方々と一層連携を含めて、満期釈放者等に対する再犯防止対策をしっかり進めていきたいというふうに思っています。

日下委員 今、概算要求についても触れていただきましたけれども、加えて、足りずの部分が出てくるというふうに思いますので、地方財政措置をすることも含めてしっかり取り組んでいただきますようお願いしたいと思います。

 本当に、再犯というか、刑に服する人、犯罪を犯すまで、すばらしい能力を発揮して仕事をされ社会の中にいた人が、例えば、各種依存症等によって、それが引き金となって犯罪を起こしてしまったというふうな例も、私、身近に接する人から聞いたんですけれども、本当に依存症も病気の一つでございますので、満期出所者と釈放者等、社会の中でそういった方をどう受け入れていくか、本当に大切な問題だと思いますので、どうぞ、今後とも制度の拡充、よろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鎌田さゆり君。

鎌田委員 おはようございます。

 葉梨大臣、御就任おめでとうございます。そして、大きな問題も抱えていらっしゃるときの御就任ですからお疲れさまですが、是非、その優秀な能力を御発揮をいただきたいと思います。葉梨大臣が与党の筆頭理事のときのバランス感覚を目の当たりにしてまいりましたので、いつ大臣になられるのかなとずっと思っておりまして、本当にお祝いも申し上げたいと思います。大臣を上げたつもりですが。

 先日、大臣所信表明を拝聴いたしました。前大臣の古川大臣のときにも、私、冒頭に所信に対して質問したんですけれども、所信の中に多様性という文言が入っていないということを以前の通常国会でも指摘をさせていただきました。葉梨大臣はバランス感覚も優れています。この法務委員会でも重責を多く担ってきました。多様性ということについて、なぜ文言がないのかなということはちょっと気になりますので、確認をさせていただいて、そして、きちんとその御認識をお持ちかどうかも併せて確認をさせていただきたいと存じます。

葉梨国務大臣 鎌田委員、よろしくお願いいたします。

 私自身も、多様性、ダイバーシティーというのは非常に重要な概念だし、大切にしなければならないというふうに思っています。

 ただ、今回の所信は、臨時国会の所信ということなので、実は、概算要求をする前に、ちょっと事務的な話を申し上げますと、七月段階で、予算の基本的な枠組みというか、重点というのを法務省でつくるんですね、これは古川大臣がつくられたものなんですが。そこで、共生社会、困難を抱える方々への対応、それから複雑化、困難化する法務、デジタル化とかへの対応、国際化への対応、四つの柱をつくられまして、今回の所信ではしっかりそれを引き継いでいこうと。継続性が大事ですので。

 共生社会という言葉を使いますと、社会の方から見ると、多様な個人を包摂するような、インクルーシブな社会という、これが共生社会である。個人の方から見ると、多様な、ダイバーシティーを持った多様な方々が社会の中でしっかり生きられる。同じことを、社会の側から見るか個人の側から見るかという、用語の使い方として、今回、前のものを引き継いで共生社会という言葉を使わせていただいたんですけれども、今後、通常国会での所信に当たっては、しっかりそこら辺の問題意識も踏まえて、バランスの取れたものを更に考えていきたいと思っています。

鎌田委員 ありがとうございました。

 じゃ、通常国会を御期待を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました、御答弁、冒頭から。

 早速なんですけれども、大臣所信の十ページに当たりますね、法務、司法制度を支える人材育成ということで、こちらに三行ほど記載がございました。内容については、私、全く異論もございませんし、大賛成であります。

 ただ、今ここで、きちんとこの法務委員会で議事録に残して、そして、政務三役の皆様あるいは大臣としてのお考えも、きちんと、できれば前向きな御答弁をいただけるように、ちょっと具体的に、通告もしておりますので、谷間世代ということで質問していきたいと存じます。

 大臣、この谷間世代というものが、六十五期から七十期、法曹資格を持っている方々、存在をしているということは御認識でいらっしゃいますか。

葉梨国務大臣 累次この委員会でも議論になった点ですので、存じ上げております。

鎌田委員 十分に御承知だと思って、あえて聞いたんですけれども。

 門山副大臣は弁護士でもいらっしゃいますね。司法修習は四十五期でいらっしゃったと思うんですけれども。

 ちょっとここで、大臣と門山副大臣、そして高見政務官に。地元で、この谷間世代を何とかしなくちゃいけないんじゃないかという声は、きっとこれは全国で起きていますので、そういうときに、メッセージを寄せたり、この谷間世代を何とかしなくちゃいけないなとか、そういうことというのはなさっていますか。私の地元の宮城県では、与野党を問わず、自民党の国会議員の方々も谷間世代を何とかするために頑張りますというメッセージを寄せているんですけれども。済みません、これは通告していないんですが、大臣、副大臣、政務官、いかがですか。

葉梨国務大臣 お答えします。

 地元ではないんですけれども、院内でそういう集会が行われまして、これは与野党を問わずメッセージを送ってくださいというような話がありまして、メッセージは寄せていますが、ただ、中身はやはり、私は、今の立場じゃなくて、前も副大臣をやったり委員長をやったりしているものですから、そこに対して、貸与制を給費制へ、取り返しますみたいな、そういうような具体的な文言のメッセージはたしか寄せていなかったというふうに記憶しています。

門山副大臣 私、四十五期でございまして、地元の千葉県弁護士会なんかは特に、非常に熱心にこの問題に取り組んでいるという認識はございます。

 私がその当時メッセージを寄せたかどうか。何らかのメッセージを回答したことはあったかに記憶しているんですけれども、今ちょっとそこの部分、はっきりとした記憶がないので、ここの場で申し上げることができませんが、地元でそういう声があるということはよく承知しております。

高見大臣政務官 鎌田委員の御質問にお答えをいたします。

 この谷間世代の問題、これまでこの委員会でも御議論になっておることはもちろん承知をしております。

 私自身は、地元においてこのような谷間世代の問題についてメッセージを発したということはこれまではございませんでした。これからそうしたことも意見交換をしっかりしていきたいというふうに思っております。

鎌田委員 ちょっと具体に伺います。

 この谷間世代と呼ばれています司法修習の六十五期から七十期、ここで貸与を受けた方は何名いらっしゃいますでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 新六十五期から七十期までの司法修習生の数、全体でいいますと一万一千八十三人でありますが、この各司法修習期において貸与金の貸与を受けた者の合計は八千七百九人であると承知をしております。

鎌田委員 今日は資料一としてお認めをいただきまして、お手元に、皆様にも配付をさせていただいております。ここの(二)のところと(三)のところをお読みいただければ。でも、法務委員の皆様ですので、この問題はもう篤と御存じだと思いますが、一応、資料として今日は配付をさせていただきました。

 ただいま御報告ありましたとおり、六十五期から七十期、谷間世代と呼ばれている方々は八千七百九人いらっしゃるんですね。この方々のうち、もちろん、検察官、検事になられる方や裁判官になられる方も、いろいろいらっしゃると思います、弁護士さんの方もいらっしゃると思います。それぞれ御事情は違うと思うんですが。

 そこで伺うんですけれども、国が給料を出して育成するプロフェッション、あるいは給費制を取るのは、多岐にわたって我が国に存在しています。実は、私も知らなかったんですけれども、地元で活火山の砂防の大会があったときに気象庁からお役所の方がいらっしゃって、気象大学校というのもあって、気象に関する、今のこの気候変動に合わせて、それから火山の監視体制に合わせて、優秀な人材を育てるために、そこはしっかりと生活からあらゆるものを保障しているという気象大学校、それから、もちろん防衛大学校等々、優秀な人材を育てていくためにということで国がお金を出している制度があります。

 そもそも、何で国がお金を出してもそういう人材を育てるというふうに大臣はお考えになられますか。

葉梨国務大臣 防衛大学校、気象大学校、私も気象大学校というのは御質問をいただいて初めて知ったんですけれども、防衛大学校は知っていました。そういうような制度があるというのは承知していますが、ただ、これは、私として、それぞれの制度について所管している立場ではございませんので、なかなかちょっとお答えするのは困難だということも御理解願いたいと思います。

鎌田委員 理解します。

 では、私の考えを述べます。

 やはり国がお金を出してもそれぞれの分野のプロフェッショナルを育てていくということが国益にもかなう、そして国民一人一人にとってもこれは利益になるということで、それでお金を出してまでもプロフェッションの人材を育てるんだと私は考えています。

 この谷間世代の歴史を見ますと、戦前、戦中は弁護士になる人だけが無給だったんですよね、もう御存じのとおりですけれども。戦後になって、一九四七年から、昭和二十二年からですけれども、国の司法権を担う法曹三者を国の責任で養成すると。そこから六十四年間にわたって給費制だったんですね。

 ところが、その後、これまた御存じのとおり、司法制度改革等々がございました。変遷をたどって、給費制が裁判所法の改正によってなくなって、無給になって、貸与制になって、つまり修習生にとっては借金しなくちゃいけなくなっちゃったんですよね。だから、弁護士さんの中では、さあ、弁護士で仕事をしようと思ったそのときに既に三百万の借金を抱えている人、年間三十万返さなきゃいけない人、そういう実情があるわけですよ。

 ですので、当初の給費の額までとまではいかなくとも、その後、また給付金を出すという制度に変わって、月額十三万五千円を給付をする、そして不足する場合には希望者には貸与制もあったんですけれども、その新しい制度ができたときにずぼっと、六十五期から七十期の、この六年間の法曹の方々は、まさに谷間の底のような感じで谷間世代ということになっているわけですよ。

 ですから、私はもう大至急手当てが必要だと考えていますが、大臣、これから、まあ、百億以上は多分必要になると思うんです、計算すると、すぐに。一気にどかんとまではいかなくとも、まずは検討をしていく。そして、谷間世代の方々が、先ほどの数の報告もありました、どんだけ今はしんどい思いを抱えながらいるかということも、もう少し声を聞いて検討していかなきゃいけないなぐらいの御答弁をいただけたら非常にありがたいんですけれども、いかがでしょうか。

葉梨国務大臣 本当に鎌田委員のお気持ちも分かります。それから、そういうような会合でメッセージを私に依頼をした方々の御意見も聞いております。

 ただ、なかなか、累次の法務大臣の答弁がございまして、それがあるからということじゃないんですが、当時、釈迦に説法ですけれども、給費制から貸与制になったというのも、当時の司法改革で三千人を目指すという中で、それが果たしてどこまで国民の理解を得ることができるんだという、その政策判断ですよね、それでなったわけなんですけれども、もう既に今法曹となっている方に対して国から財政的な支援を行うということになると、なかなか国民の理解が得られない。

 これはもう今までの答弁どおりになっちゃうんですけれども、制度設計で、貸与を受けている方と、先ほどの答弁もありましたが、貸与を受けていない方もいる、そこをどう均衡を取るかというような問題もあるし、また、救済策としては返還期限の猶予などの制度があるということで、なかなか制度上は困難であるということを、その答弁をちょっと私も踏襲しなければならないという御事情を、なかなか理解できないかも分かりませんが、御理解いただければと思うんです。

 ただ、その上で、やはり、私自身思っていますのは、法曹資格者、有資格者の活躍の機会というのを是非もっと広げるべきだと。そのためには、やはり、私ども法務省も、しっかりと活躍の機会をもっともっと、これだけ複雑化、困難化してグローバル化しているわけですから、もっと活躍の機会を広げて、実際に役割に応じた俸給もいただける、そういうような形になるように、その活躍の機会を広げる努力をしっかりしていきたいなというふうに思います。

鎌田委員 踏襲しなくちゃいけない事情は、いや、理解はしますよ。まだまだ諦めずにやっていきますので。

 過去、十六年七か月前に事情があって議員バッジを私は外して、法務委員会に戻ることを目指して十六年七か月、地べたをはってきたんですけれども、その十六年七か月前に戸籍法の改正というのをやりまして、地味な法律改正で、誰も一緒にやってくれる方がいなくて、この法務委員会で、森山真弓さんが法務大臣だったときに、戸籍法の改正、二年半かかって、様々な人の御理解をいただいてやりました。それで多くの人が救われました。ですから、諦めませんので、これからも粘ってやっていきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、統一教会の問題に触れさせていただきます。

 皆様のお手元には、資料二として、予算委員会でももう皆様も御覧になっていらっしゃると思いますが、推薦確認書というものが資料二でございます。

 この推薦確認書は、大きな選挙のときに、候補者と、平和大使協議会及び世界平和議員連合に入会するとともに基本理念セミナーに参加することを約束として、いわゆる旧統一教会との推薦確認書なんですけれども、ここで、大臣、副大臣、政務官に、昨年の総選挙若しくは過去の御自身の選挙でこの推薦確認書を交わしたことがあるか否かを伺います。

葉梨国務大臣 ございません。

門山副大臣 ございません。

高見大臣政務官 ございません。

鎌田委員 ありがとうございました。

 岸田総理が自ら党内は調査をされないということだったので、済みません、法務委員会で大臣始め三役にお聞きをいたしました。確認をさせてもらいました。

 この旧統一教会は、このように選挙との関わりというものも取り沙汰されています。それで、選挙というものに目を向けますと、公選法に基づいて、私はですけれども、戦うとき、相手をリスペクトして正々堂々と法を守って戦うものだと私は思っています。でも、私、去年からそれをやめたんですけれども。いいですよ、議事録に残しても。

 ちなみに、伺いたいのは、大臣、選挙のとき、もちろん大臣も候補者で総選挙を戦われていらっしゃっていますから、本人を示す、いわゆるたすきというものがございますけれども、このたすきは御本人のみが、大臣も候補者のとき、御本人のみが使用して戦ってこられていると思います。それは当然のことだと思います。その当然なことをちょっとあえて伺いますけれども、もちろんそれは大臣御自身だけですよね。

葉梨国務大臣 はい、そのとおりです。

鎌田委員 ありがとうございました。当然のこと。

 今日は総務省にも来ていただいておりますので、一般論として伺います。

 候補者本人を示すこのたすきの、例えばですよ、隅っこの方に次男とか小さい文字で書かれてあって、でも候補者の名前はこうですね。だから、私を例えにすれば、鎌田さゆりというたすきがあって、この端っこの方に次男と書いて私の次男がそれを着けるわけですよ。これは公選法違反ですよね。確認させてください。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 総務省としては、個別の事案について実質的な調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にありませんので、お答えを差し控えさせていただきます。

 その上で、公職選挙法の規定について申し上げますと、同法第百四十三条第一項第三号において、選挙運動のために使用する文書図画のうち、たすきについては公職の候補者が使用するものが認められており、選挙時において候補者本人の名前が記載されたたすきは一般的には選挙運動のために使用する文書図画に該当するため、候補者以外の者が使用することはできないものと解されます。

鎌田委員 一般論として、ありがとうございました。改めて教えてもらいました。

 ちなみにですけれども、これは各都道府県の選管によって解釈が違ったり、あるいは、あの候補者さん、こういうことをやっているんですけれどもと警察に届ける、そういうときに各都道府県警の対応に違いが出たりはしないという解釈でよろしいでしょうか。

三橋政府参考人 総務省としては、個別の事案について実質的な調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にありませんので、お答えを差し控えさせていただきます。

鎌田委員 済みません、各選管によって解釈は変わりませんよねと聞いたんです。そこの部分だけでもお答えいただけないですか。

三橋政府参考人 法律に基づきまして、各選挙管理委員会において適切に判断されているものと考えます。

鎌田委員 各都道府県の選管によって、総務省の今のお答え、解釈は変わりませんよねと聞いているんですよ。あらかじめ通告で打合せしたときに変わらないと聞いていますけれども。

三橋政府参考人 公職選挙法の規定に基づきまして、各選挙管理委員会において判断しているものと承知しております。

鎌田委員 公職選挙法に基づいて各都道府県の選挙管理委員会が判断するものと思われますという、今、答弁でしたよ。そうすると、各地域によって、選管によって判断が変わるんですか。済みません、大事なところなので。一般論で聞いています。

三橋政府参考人 公職選挙法の規定に基づきまして、各選挙管理委員会において統一的な判断に基づいてやっておるというふうに考えています。

鎌田委員 委員長にお願いします。

 あらかじめ通告をして、打合せをして、これは各選管で変わらないというのを聞いた上での質問なので、ここで何問もやっているわけにいかないので、理事会で、これ、きちんと見解を示していただきたいと思います。

 これは、全国で見解が、解釈が違って、あそこの県ではいいんだとか、こっちではいいんだとなると、これは、公職選挙法自体がゆがみますので、済みません、改めて理事会で、委員長、お願いいたします。

伊藤委員長 理事会で引き受けさせていただきます。

鎌田委員 ありがとうございました。

 大臣、済みませんでした。ありがとうございました。私も、もちろん、自分のたすきは自分だけということでやっていますので、当然だと思うんですが、一般論で聞きました。

 私は、そういう、ここに、端っこの方に次男と書いて、候補者じゃない人が候補者の名前のたすきを使って立って、あら、急に若くなったことと思って、それで、間近で何回も見たものですから、ええっと思って。これは非常に重要なことだと思って、ごめんなさい、聞いたんだけれども、こんなに時間がかかると思わなかった。そういう方が閣僚にいるということは、ちょっと小声では言っておきますけれどもね。

 さて、旧統一教会の問題なんですけれども、大臣も先ほどから、実効的な救済が必要だということを重ねて御答弁くださいました。本当におっしゃるとおりです。

 ここで、あえて私、ちょっと断言したいんですけれども、文化庁宗務課は、宗教法人法が改正された後も、この旧統一教会について、解散命令請求を出すどころか、非常に及び腰で、弱腰で、それの壁になっているのは、信教の自由を、憲法、これに侵害してはならないということも一つ大きな壁だったんだと思うんですけれども、あえて断言します。この旧統一教会というのは、信教の自由を守るどころか侵害してきたということは、私ははっきり断言したいと思います。

 なぜなら、統一教会への入会勧誘だということを告げずに、ある意味正体隠しですね、それで違法な勧誘を組織的、継続的、悪質に行い続けて、脱会したら地獄に落ちるぞと生活が破綻に追い込まれるまで献金や寄附を強制する旧統一教会は、私は、信教の自由を語る資格などないと思っています。これは断固、毅然とした態度で対応する必要があります。

 そこで、まず最初に大臣に伺いますが、関係省庁連絡会議設置の際に、所管庁の文化庁が入っていないのはなぜだったんでしょうか。これは大臣の判断でしょうか。

葉梨国務大臣 関係省庁連絡会議は私が議長でございますので、私が関係者、参加者を決めるというたてつけです。私の判断です。

 それで、その上でなんですけれども、関係省庁連絡会議というのは、基本的に、まず被害者の救済、その上で被害状況の把握ということをしっかりとやっていくということでございます。それで、先ほど言ったように実効的救済につなげるということだけではなくて、いろいろな相談内容、これについては、分析もいたしまして、関係先に提示をするということになってまいります。

 文化庁の宗教法人法というのは私どもの所管ではないんですけれども、例えば宗教法人法に基づいて、質問権を行使するとか、あるいは解散命令を請求するというようなことになりますと、そのための相談窓口で集められた情報というのは、当然、文部科学省にも提供されることになるわけですが、その判断自体は、関係省庁連絡会議に諮って判断するものではないわけです。例えば、被疑者を逮捕するという判断は、捜査機関において判断をして裁判所に請求するということで、ほかの誰かに、誰かほかの関係機関の役所に諮ってするというものではございません。

 ですから、その意味では、被害者の救済に関わる相談窓口を持っているところ、そこを関係省庁連絡会議のメンバーという形にしたということでございます。

鎌田委員 分かりました。

 これは、実質性の伴う関係省庁連絡会議でなければ意味がございませんので。先ほどから答弁も伺っていますので、これ以上は聞きません。是非実りあるものにしてもらいたい、もらわなければならないと考えます。

 続いてなんですが、全国霊感商法対策弁護士連絡会から公開申入書が葉梨法務大臣宛てにも届いていると思います。ここには、申入れの趣旨の二番目のところに、「検察官を通じ、」「速やかに、」という文言が、これはここの二番目のところの肝だと思うんですけれども、この「検察官を通じ、」「速やかに、」というところ、これ、連絡会、弁護士の方々、なぜこのようなことをあえて法務大臣にも申入れをしているのか。どのように受け止めていらっしゃいますか。それで、これに対してどのように応えていこうとお考えになっていらっしゃいますか。お願いします。

葉梨国務大臣 私も申入書というのを読ませていただきました。そして、報道等も見させていただいたんですけれども、やはり、私ですとかあるいは検事総長に対しての申入れがなされたというのは、刑事事件として立件されたもの、これについての分析というのがなかなか文科省では難しいんじゃないかということでこちらにも来たということを報道で聞いております。

 その上でなんですけれども、私どもの解散請求というのは、個別の事件に基づいて検察官が解散請求できるということになっていると理解しておりますので。それ以上はちょっと御答弁いたしませんけれども。

 お尋ねの問いに関しましては、そういうようなことで私どもが受けたということでございますが、それに対して、なかなか現状、私、法務大臣としては、検察官でもございませんし、また文化庁でもございませんので、では、私がどこまで対応できるかというのはなかなか難しいところもあるのかなというふうに思っています。

鎌田委員 今、御答弁の最初のところで重要な御答弁をいただいたかなというふうに考えているんですけれども。

 文化庁さんにも来ていただいていると思います。

 刑事摘発の際の資料、これは文化庁の宗務課には存在しているんでしょうか。共有されているんでしょうか。例えば、二〇〇七年から二〇一〇年にかけて相次いだ特定商取引法違反十一件、薬事法違反二件、特に、二〇〇九年、このときの新世事件、これらの刑事摘発の資料、これは文化庁宗務課には存在しているでしょうか。伺います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 済みません、ちょっと御通告いただいていなかったのであれなんですが、基本的には持っていないと思います。

鎌田委員 大臣、ないんですよ。文化庁さんにはその資料がないんです。だからこそ、この申入書で、検察官の目が欠かせないんだということを訴えているわけです。

 ですので、先ほどの苦渋の御答弁も理解しつつなんですけれども、私、この申入書の中身には、もう御覧いただいたということですので、細かく、検察が関わることの重要性が書かれてあります、検察官の目が欠かせないんだということ。そこに一定の理解というものが示されてしかるべきだと思うんですけれども、これは大臣宛てに申入書も来ていますから、再度伺います。

葉梨国務大臣 二〇〇九年にたしか刑事事件の判決がございました、新世社事件だと思います。これについての、実は私どもも、その記録、もう過去のもので、ないんです。今法務省で持っているのは、判決書とか、論告求刑が何か公刊物にあるという話もあるんですが、いずれにしても公刊物なんです。

 ですから、そういった公刊物については、もし文化庁が持っていらっしゃらないということであれば、それをお渡しすることは可能だと思います。

鎌田委員 お渡しすることは可能だという御答弁でございましたので、そこをきっかけに検察官の目が入っていく、検察官が共同で行っていくということに前進をすることを期待をしたいと思います。ここはとても重要なこの申入書の内容だと私は考えていますので、よろしくお願いいたします。

 時間が迫っておりますので、済みません、通告しているのをもろもろちょっと飛ばさせていただきたいと思います。ちょっと飛びます。最高裁にお聞きします。

 岸田総理は予算委員会で質問権を行使すると答弁なさいました。宗教法人法によりますと、裁判所は、職権で解散を命ずることができるとの定めがあります。

 これまで積み重なっている事案の判決、たくさんございますよね。何でしないんでしょうか。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 個々の宗教法人につきまして、宗教法人法八十一条一項に基づきまして、所轄庁等の申立てを待つことなく、裁判所が職権を発動して解散命令を出すことが可能か否かということのお尋ねですけれども、これについては、具体的な事件を担当する個々の裁判官あるいは裁判所が行うものでございまして、最高裁の事務当局としましては答弁ができないというところでございます。

鎌田委員 八十一条を今御紹介くださいました。裁判所はという主語で始まって、何々何々により若しくは何々により又は職権で、その解散を命ずることができると明記されています、八十一条に。そして、今、最高裁からの答弁だったんですけれども、旧統一教会に関係する裁判例、刑事事件だけを見ても、もう御存じのとおりの件数。あえてここで全部を言うと、また時間がなくなるので。

 岸田総理が、民事についてもということ、使用者責任についてもということはもう答弁で言及されています。その裁判記録を見ますと、最高裁で決定している案件も、平成二十年、平成十五年、平成十六年、平成十八年、平成十九年、中身は、伝道の手口が違法だ、献金勧誘及び物品販売行為の違法性、いわゆる霊感商法の手口による物品販売行為などの違法性、最高裁が決定している案件というものも多々ございます。

 今のお話だと、それぞれの裁判所の裁判体で決めないと駄目なんだから、最高裁の事務総局でしたっけ、としては答えられないという話でしたけれども、最高裁でも決定しているんですよ、案件が。たくさんあります。各地方の裁判所でも同じです。

 だから、私は、質問権行使というのは一歩前進だと大きく評価もしていますが、そういうことに時間をかけるよりも、この宗教法人法の八十一条を適正に活用して、何で裁判所が解散を命ずるということに踏み切らないのか、何やってんのと私は思っているんです。

 もう一回ちょっとお答えいただけますか。最高裁の案件も御存じのとおりですからね。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮ですけれども、具体的な事件を担当する裁判体が判断するということになりますので、事務当局としてお答えすることはできないところでございます。

 ただ、一般論として申し上げますと、通常、裁判所は、当該宗教法人の活動全体を把握しているわけではございませんし、把握するために必要な権限もございませんので、所轄庁等の請求によることが通常であると思われるところでございます。

鎌田委員 いやいや、だって、裁判をやっているわけですから。あらゆる事実関係を積み重ねて判決が出ているし、そして、最高裁でも決定しているんですよ。確定しているんですよ。宗教法人が何やっているかよく分からないなんというのは、ここの答弁に残していいのかと私は思いますよ。この八十一条をきちんと適用させるべきだと私は思います。この宗教法人法の改正当時の人たちからすれば、一体何やってるんだ、あの八十一条があるじゃないかというふうに感じている方々も、多くないと思います。

 ちなみになんですけれども、八十八条、これは、もし質問権行使をして回答がなかったとか回答にうそがあったとか、そういう場合でも、これは偽証罪は成立しないで過料の十万円で済むということでよろしいんですね。これはもし大臣、大臣じゃなかったら参考人で。

小林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございます。

鎌田委員 様々な悪質な違法行為、反社会的活動によって御長男が焼身自殺をされた橋田さんの話もあります。小川さゆりさんという仮名の方の連日のテレビ出演もあります。

 旧統一教会というところは、大臣御存じでしたっけ、私は生まれ育ちが自民党なんですよ。両親が自民党本部の職員で。だから仙台で市会議員をやっていたときには自民系で、山は富士山、野球は巨人、政治は自民党、こういう家庭で育ったんです。だから、市会議員をしているときも、ちっちゃい頃から両親が、選挙というと夜遅いし朝早いし、そして選挙というと統一教会と勝共連合がセットで命懸けで応援してきてくれた実態を私見てきて。

 すごいですよ、勝共連合の選挙運動といったら。一日十万円くらいもらっているのかと疑いたくなるくらい命懸けで選挙してくれるから。元大蔵大臣、運輸大臣をやった三塚博先生、私、だっこして育ててもらいましたけれども、あの先生の選挙カーは全部がそうでした。すごい命懸けの選挙をやっていました。

 ただ、当時、霊感商法なんて、私、存じ上げていません。知らないわけですから、すごいな、宗教の力ってすごいんだなというぐらいにしか感じませんでした。だけれども、やはり今こうなっている。そして、三十年間空白の時間があって、私も自民党に籍を置いていた時代がありますから、勝共連合や統一教会と関わりを持っている、当然だよな、そして応援してもらう、だけれども、その裏側まで、背景まで、そっち側までちゃんと調べないで応援をもらっていた方々はいっぱいいるだろうなと思いながら、でもやはり、今私たちはここで全員、与野党壁を越えて被害者救済に当たらなきゃいけないと思うんです。

 それで、これを統一教会で最後にしますけれども、岸田総理は、被害者の橋田さんや仮名の小川さゆりさんと直接会って話を聞くということを予算委員会で答弁されました。私は、人権を守る、そしてこの相談窓口をつくっている法務省のトップの葉梨法務大臣もその場に同席をして一緒に話を聞くということが、私はうんと大事だと思うんですけれども、いかがですか。

葉梨国務大臣 同席できるかどうか、それぞれの日程等もございますのでにわかにはちょっとお答えできないですけれども、よく検討させていただきたいと思います。

 また、ちなみに、私、小川さゆりさんとはテレビでも共演させていただいて、そのときもいろいろとお話を承りまして、感ずるところもございました。

鎌田委員 ありがとうございました。

 是非、日程が合って、岸田首相の隣に葉梨法務大臣がいて、一緒に話を聞いているという場面が実現できるように期待をしたいと思います。日程調整大変だと思いますけれども。

 最後になります。

 先週木曜日、朝の報道で、私、強い衝撃を受けました。資料も出していると思いますが、事件記録等保存規程というものを最高裁で定めていらっしゃって、神戸家裁で、いわゆる酒鬼薔薇事件ですね、これの少年審判に関する資料が全て消失していたということが発覚をしました。

 これは事件記録の保存規程に従っていないんじゃないですか。伺います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 個々の記録の廃棄は、記録を保存する裁判所におきまして行われていますところ、本件記録が特別保存に付されていなかった理由や廃棄された当時の状況については明らかでなく、個別の廃棄の判断が適切であったかどうかについて、最高裁として見解を述べるのは差し控えさせていただきたいと考えております。

 もっとも、規程におきまして、事件記録等で史料又は参考資料となるべきものは保存期間満了の後も保存しなければならない、つまり特別保存しなければならないとされています。

 さらに、通達上で、具体的に、世相を反映した事件で史料的価値の高いものや、全国的に社会の耳目を集めた事件又は当該地方において特殊な意義を有する事件で特に重要なもの等については特別保存に付するものとされておりましたが、本件当時、各庁においてこの特別保存を適切に行うための仕組みが整備されておらず、規程や通達の趣旨に沿った適切な運用がされていたとは言い難いもの、言い難い状況であったというふうに考えております。

鎌田委員 猛省ですね。必要なのは猛省。

 規程はあるけれども、仕組みが運用がなされていないって、どういうことでしょう、大臣。最高裁の話なので大臣には振りませんけれども。

 お手元に配付した資料を御覧いただきますと、この事件記録等保存規程というのは、昭和四十年に改正されてからずっと通達が出されていて、質疑時間が終わったので、私、答弁を求めず、自分の言いたいことだけ言って終わりにします。

 お手元の資料の四番目ですけれども、ちょっと会派内で調整いただけるということなので、下の方に、令和元年十一月二十七、それから令和二年九月二日というふうに、この規程を見ますと、こうやって規程が改正されていて、その都度、最高裁から、ちゃんとやってくれと、平たく言うとですね、通達を出していますよね。

 今回のこの神戸家裁の件は、たまたま新聞記者があの事件の記録を見せてと、見たいと言ったら明らかになったんですよ。この新聞記者がそういう申出をしなかったら、全部なくなっていたということも分からないままでいたということになりますよね。うなずいていますから、そうなんですよね。

 記録が消失していたということは、今回の件に限らず、上川法務大臣の時代に、オウム真理教をめぐる一連の事件の刑事裁判記録を永久保存すると表明した一方で、その次の年には、憲法判断を争った歴史的な民事裁判の記録が多数廃棄されていることが判明した、これは二〇一九年ですからね。そのときも通達を出していますよね、ちゃんとしてくれと。そして、今回もちゃんとしてくれと。何だか、ちゃんとしてくれ、ちゃんとしてくれと言っているけれども、現場はちゃんとしないんですね。困りましたね。

 これは、後々に歴史的な検証にさらされるというときに、誰が責任を負うんでしょうか。もう二度とこういうことがあってはならないと、多分これまで、その都度その都度反省してきたと思うんです。でも、こうやって起きています。

 ですから、これは私、猛省を促したいと思います、最高裁に。もう二度とこういうことが起こらないように。その決意を一言いただいて終わります。

小野寺最高裁判所長官代理者 本件当時、特別保存を適切に行うための仕組みが整備されておらず、規程、通達の趣旨に沿った適切な運用がされていたとは言い難い状況にあったものと理解しており、下級裁を支援、指導する立場にある最高裁として、各方面からの御批判については重く受け止めているところでございます。

 東京地裁におきましては、先ほども御指摘ありましたけれども、重要な憲法判断がされた事件の記録等の廃棄が明らかになったことを端緒といたしまして、適切な記録保存の運用を確保するため、有識者の意見を踏まえて、令和二年二月に運用要領を策定いたしまして、同地裁の運用要領も参考にして、各庁においても運用要領が定められたところでございます。

 この度、耳目を集めた少年保護事件記録等を特別保存に付さずに廃棄していたことが明らかになりました。

 最高裁として、改めて、これまでの特別保存の運用の在り方が適切であったのか、適切な運用に向けた取組が十分であったのかを第三者の目から客観的に評価していただき、将来にわたって事件記録の管理の適切な運用を確保していく必要があるというふうに考えております。

 外部の有識者による会合を開催し、委員の意見等も踏まえまして、今後の検討を進めてまいりたいと考えております。

鎌田委員 終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、立憲・無所属会派を代表いたしまして質問いたします。

 私は、今ほどの時間が多分四分ぐらいですので、四分減らして四十一分でお話しさせていただきます。

 まず、葉梨法務大臣、御就任おめでとうございます。

 まず、統一教会との関係について御質問いたします。

 先般、我が党の打越議員が山際大臣に信者かどうかということをお尋ねしましたが、これについては、御党の世耕弘成参院幹事長が記者会見で、公人とはいえ信教や内心の自由は保障されるべきで、適切でなかったと批判されております。

 私も、憲法二十条で定める信教の自由は極めて重要な人権であり、その一内容として、自らの信仰表明を強制されない自由は当然、大臣にもあると思っております。ただ、打越議員の質問が憲法五十一条で保障される自由な質疑の範囲であったということも、これは大前提の前提でありますけれども、しかし、必ずしも望ましいものではなかったというふうに思っております。

 したがって、私は大臣の信仰について一切御質問するつもりはありません。一方で、大臣を任命した岸田総理大臣は、八月二十二日の記者会見で、政府が疑念を持たれることがないよう、過去の説明をしっかりした上で、これからこうした団体との関係は絶っていただくよう徹底していくことは重要だと公式に言っておられます。

 また、一昨日、山際大臣が辞任されましたが、昨日ですね、山際大臣が辞任されましたが、表向きの理由はどうあれ、これは、旧統一教会との関係について合理的説明がなされなかったからだと理解しております。

 関連団体を含めた統一教会との関係というものにつきましては、もはやこれは総理が公式に言っておられることですので、当然しっかりお答えいただく必要があるものかと存じます。

 大臣の信教の自由に触れることについては質問いたしませんし、お答えいただく必要はありませんが、この関係について御答弁をいただければと思います。

 その統一教会との関係についてですが、葉梨法務大臣就任後の最初の記者会見で、知り得る限り、私は当該団体との関係はないと説明しましたが、後に、平成二十年頃に旧統一教会と関係がある雑誌の取材に応じ、記事が掲載されたことを明らかにされました。

 これを前提に伺いますが、岸田総理から任命されるに当たって、関係があるかないか、これを直接、岸田総理から問われましたでしょうか。つまり、岸田総理は、葉梨法務大臣以外にも同じことをしているはずではありますけれども、きちんと旧統一教会若しくはその団体との関係を確認してから任命したのでしょうか、それについて、それとも確認しなかったのか、お答えください。

葉梨国務大臣 任命時に岸田総理からは、確認するようにというような指示がございました。

 御指摘のインタビュー記事なんですけれども、実は、私自身も全くそれが統一教会関係のものなのかどうかということすらも知らなかったわけなんですけれども、当時、長く答弁すると時間がなくなっちゃいますから、闇専従という、社会保険庁が、民主党の支持母体で、そちらの追及をしていったということで、国対筋からも、あらゆるメディア、例えば他の政党の機関誌であっても、そこに答えるようにというようなことで話がありましたので、私自身は関係等は持っておりません。

 ちなみに言うと、自民党が一定の関係があるということで公表した基準というのは、関連団体の会合に出席、統一教会主催の会合に出席、関連団体などへの会費支出、関連団体などからの寄附やパーティー券、選挙でのボランティア支援、選挙での支援の依頼や組織的支援、動員等の受入れ、これらを基準として一定の関係と言われているということが参考になるんじゃないかと思います。

米山委員 実は、私も自民党でございまして、自民党当時、ボランティアで統一教会関係の方は来ていましたので、一定の関係があるのは、それはまあ、私を含めて、あった人はいるということであろうかと思います。

 今ほど大臣から具体的にその関係の基準を伺いましたが、そうしますと、今言ったものが自民党がおっしゃっている関係だということでよろしいですね。つまり、統一教会若しくは統一教会の団体の一員であるということは、関係の基準ではないということでよろしいですね。

葉梨国務大臣 これは、あくまで自民党の点検における基準でございまして、統一教会の一員だとか関連団体の一員であれば、当然のことながら、それが公職の候補者となれば、あの団体のことですから徹底的な応援をされるんじゃないかなというふうに思います。

米山委員 報道されるされないはともかくとして、自民党の中で関係と言っているものの中には、統一教会若しくはその関係団体の一員であるということは入っていないという御答弁でよろしいですね。

葉梨国務大臣 そこは、自民党が党として、一定の関係がある基準として公表したものであって、ちょっと私が答える立場にはございません。あくまでそういうような形で公表した。更に党として何らかの基準を作られるのかどうか、これは私が答弁する話ではございません。

米山委員 そうしましたら、葉梨法務大臣、先ほど岸田総理から関係があるかないか聞かれたと言っていますし、葉梨法務大臣自身が、御自分で記者会見の中で、私は関係がないと答えているんですけれども、この関係の中に、統一教会若しくはその関係団体の一員であることは入っていますか、入っていませんか。御自分が答えたんですから、それは基準がちゃんとあるはずだと思いますが。

葉梨国務大臣 米山委員、そこの議論をしていても余り生産性があるかどうかは分からないんですけれども。

 統一教会とか関連団体の一員であるというのは、それは関係ではなくて、まさに構成員そのものだということで、言ってみたら、暴力団でいいますと構成員、準構成員。関連があるというのは、フロント企業だとかそういったことがあるので、もしも一員であると言ったら、それは、関係というよりも、もうそのものということなんじゃないかと思いますけれども。

米山委員 そうしますと、葉梨大臣の認識としては、もし一員である場合には、関係があると答えるべきなんでしょうか、関係がないと答えるべきなんでしょうか。

葉梨国務大臣 当然、選挙で選ばれた公務員ですから、あくまでこれは自民党がアンケートをした点検の基準なんですけれども、統一教会の一員であれば、例えば選挙における支援だとかあるいはボランティアの支援、当然のことながら受けているし、そこと重なってくるんじゃないかなと私自身は思います。

米山委員 明確な御答弁をいただけないのでこれ以上押し問答はしないんですが、基本的にはその関係の中には入っていなかったと答えられたのかなと認識しております。

 次に、葉梨法務大臣後援会御主催のゴルフ大会について御質問させていただきます。

 これは、週刊誌の報道なんかを質問に使うなと言われますが、しかし、まさに公職にある方ですから重要なことだと思うんですけれども、会費一万円の葉梨康弘後援会主催のゴルフ大会で、自転車や五十五インチテレビ、大体これは、私、アマゾンで調べましたが、今どきでも五万円から十二万円はする、超高額賞品が出されており、その事実関係自体は、週刊誌の取材で葉梨法務大臣もお認めになったというふうに報道がなされております。

 主催者が誰であるかに関しては、御意見がおありなようなのでそれはさておくとして、葉梨法務大臣後援会の関係者と言わせていただきます。関係者によって、例年、また少なくとも二〇一八年には、報道されているようなゴルフ大会が開催されたこと自体は、それはよろしいですか。

葉梨国務大臣 どこの報道を見て米山委員が事実関係を私が認めたというふうに言っておられるのか、ちょっと私は理解できないところがありまして……(米山委員「新潮です」と呼ぶ)新潮を報道とは私は考えておりませんので。

 新潮の報道でそのような報道が、新潮の記載があったということについては、後の記者会見で、新潮に書かれた事実関係は全くでたらめであるということは、私自身は記者会見で述べさせていただいているし、その内容はしっかりと共同通信等々の報道でもなされておりますし、また、法務省の記者会見のホームページ、先ほどは統一教会の関係は見られたということなんですが、この関係でも私は記者会見していますから、是非見ていただきたいというふうに思います。

米山委員 私、それも見たんですけれども、葉梨法務大臣、それは主催者が違うと言っているだけで、事実関係として、関係者によってゴルフ大会が行われたこと自体は否定しなかったと思うんですが、それも否定されるんですね。事実関係として、二〇一八年ぐらいに、高額賞品が出された、そういうゴルフ大会は葉梨法務大臣の関係者によって開かれていない、そうおっしゃられたんですね、今ここで。

葉梨国務大臣 新潮の報道について……(米山委員「新潮はいいので」と呼ぶ)ということではなくて、事実関係で申し上げますと、それも見ていただいているということでしたら、ゴルフ大会自体は開かれております。

米山委員 そのゴルフ大会の、葉梨法務大臣も参加されたと思うので、正確な会費とプレー費を御教示ください。

葉梨国務大臣 私、ゴルフは下手なものですから、実際に参加するのは、まあゴルフしたことも一回か二回はあったかも分かりませんけれども、後の懇親会のときに挨拶のために行くというのがほとんどだったと思います。

 それで、御指摘ございましたので調べてみましたところ、関係者に聞いて調べてみましたところ、ビジター一万一千円、メンバー一万円、これはゴルフ場によって多少変わっている年もあるようなんですが、それはそれぞれの方がお支払いして、会費としては二千円、これをいただいていたというふうに関係者からお聞きいたしました。

米山委員 その費用がちょうど新潮が報道されているゴルフ大会のことと一致しますから、同じゴルフ大会のことをおっしゃられているのかなと思います。

 そうしますと、大臣御承知のとおり、公職選挙法第百九十九条の五、政党その他の団体、その支部で、特定の公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の政治上の主義若しくは施策を支持し、又は特定の公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者を推薦し、若しくは支持することがその政治活動のうち主たるものである、これを後援団体という、皆さんも当然御承知だと思いますけれども、後援団体は、当該選挙区内にある者に対して、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならない。

 第二項、何人も、後援団体の総会その他の集会又は後援団体が行う見学、旅行その他の行事において、第四項各号に分かれる当該選挙ごとに一定期間、当該選挙区内にある者に対して、供応接待をし、又は金銭若しくは記念品その他の物品を供与してはならないと定めております。まあ、この期間に関しては、もしかして期間じゃなかったのかもしれないんですけれども、二項に関しては。

 葉梨法務大臣、先ほど言われたゴルフ大会は、この公職選挙法百九十九条の五の第一項には該当しないんでしょうか。御見解を伺います。

葉梨国務大臣 御指摘の点ですけれども、これは主催者が違うということはもう既に御認識されているかと思うんですけれども、その主催者も、特に組織ということではなくて、確かに葉梨康弘後援会という政治団体はあるんです。ただ、葉梨後援会ゴルフ大会というのをずっとやっておりまして、それは葉梨後援会という組織はないんです。その葉梨後援会の事務局、ないんですよ。実行委員会というのを、私の地元の取手市の後援会長の方がゴルフが大好きなものですから、毎年、じゃ、この時期になったらみんなで声をかけてやろうやということで、アドホックに実行委員会というのをつくられるもので、それ自体がまさに親睦の集まりであって、そこで何か寄附をするとかいう、そこに対して私の事務所から、あるいは私の政治資金団体から寄附をしたということであればなかなか問題はあるのかも分かりませんけれども、そういう事実は一切ございません。

 みんなで会費を持ち寄って、その実行委員会の方がいろいろな協賛企業とかいうのを募って、そこの中で閉じた形で賞品を提供しているということでございますので、違法性はないというふうに認識しています。

 犯罪に当たるかどうかというのは、私、法務大臣ですので、なかなかそこはお答えはできません。

米山委員 報道されております、新潮によりますと、確かに、ビラには第二十九回葉梨後援会ゴルフ大会と書いてございます。しかし、その下に、主催葉梨康弘後援会と書いております。こう書いてあっても、葉梨大臣の御主張によりますと、これは葉梨後援会であって、葉梨康弘後援会じゃないからいいんだと、法務大臣としてそうおっしゃるわけですね。

 私もこういうビラを出したら、私、米山隆一後援会なんですけれども、米山ゴルフ大会御案内、主催米山隆一後援会と出したら、それは米山後援会ゴルフ大会で、米山隆一後援会じゃないから全然この百九十九条の五の規定には当たらない、そう御主張されているし、法務大臣としてはそう言っているんですね。

葉梨国務大臣 これは法律解釈の問題というよりは、事実か誤記かという問題なんです。確かに……(米山委員「誤記なんですか」と呼ぶ)この週刊新潮、ですから、抗議文として、あなたたちは報道には値しませんよという抗議文を週刊新潮に送らせていただきましたが、第二十六回葉梨後援会ゴルフ大会では、確かに、そこの誤記で、問合せ先として葉梨康弘後援会事務局というのになっているんです。

 それが新潮に出たものなんですが、同時に、新潮社からの問合せがありましたので、第三十回葉梨後援会ゴルフ大会、それから第三十一回葉梨後援会ゴルフ大会、ここにおいては、主催は葉梨後援会ゴルフ大会実行委員長、委員長は私の取手の後援会長ということで、しっかりと正しいものとして案内をしているという内容も週刊新潮社には提出をしているんです。

 ところが、あえてそのことを無視して、週刊新潮が、あたかもそういうことが直っていないかのような、そういうような記事を書かれましたので、そのように私どもがしっかり証拠も提出をして、経緯も説明をしているのに、それをちゃんと踏まえたものになると彼らは記事をもう書けないんですよね。書けなくなってしまうから、あなたたちはそれは報道の名に値しないという抗議文を、発売の翌日には新潮社に対してお送りさせていただきました。

米山委員 今ほど大臣、この大臣が主催者だと御主張しているところの、葉梨康弘後援会ゴルフ大会実行委員会の委員長は、葉梨康弘、康弘があっちゃいけないですね、葉梨後援会ゴルフ大会実行委員会の委員長は、葉梨康弘後援会の会長だとおっしゃいましたよね。(葉梨国務大臣「支部のね」と呼ぶ)支部の会長でいらっしゃるわけですね。

 そうすると、この葉梨後援会ゴルフ大会実行委員会というのは、どういう方がメンバーなんですか。それは、ほとんど皆さん、葉梨康弘後援会のメンバーなんじゃないですか。違うんですか。

葉梨国務大臣 葉梨後援会というのは規約もございませんし……(米山委員「葉梨後援会ゴルフ大会実行委員会でしょう」と呼ぶ)ゴルフ大会は。ですから、実行委員会のメンバーというのが葉梨後援会のメンバーなんですかと問われても……(米山委員「葉梨康弘後援会」と呼ぶ)いや、そこは、あくまで葉梨後援会ですからね。葉梨後援会ですから、葉梨後援会というのは規約もございませんし名簿もございませんので、葉梨後援会のメンバーかどうか、構成員かどうかということについては、ちょっとお答えはできないし。

 また、葉梨康弘後援会のメンバーとダブっている方も多いと思います。ほとんどはそうなのかも分かりません。基本的には、後援会のメンバーでゴルフ好きの人間が集まっているということなので、後援会のメンバーだからといって、ゴルフをやらない人は来るわけではありませんので、ゴルフ好きの集まりだというふうに認識していただければと思います。

米山委員 つまり、その実行委員会の大半は葉梨康弘後援会のメンバーなわけですね。会長もいられるわけですよ。だって、そうおっしゃられたじゃないですか。だから、実際そうでしょう。そんな、否定されるのもおかしいと思うんですけれども。米山隆一後援会の人が葉梨康弘ゴルフ大会実行委員会に入るとはちょっと思えないので。通常、そうですよ。(葉梨国務大臣「メンバーとしては入れますよ、手を挙げれば」と呼ぶ)ああ、そうですか。じゃ、実行委員会に入るんですね。実行委員会に入られる。(葉梨国務大臣「プレーはできますよ」と呼ぶ)まあ、いいですよ。ともかく、そうだと思いますが。

 そうしますと、葉梨大臣、これはすごく真面目な話で、例えば、私も米山隆一後援会がございます。私、ゴルフしないんですけれども、お肉が好きでございます。私の後援会の人、肉が好きな人が多いです。じゃ、焼き肉が好きな人が焼き肉大会実行委員会というのをつくって、うち、実は実家が肉屋なので、肉を無償提供しますと、供応しました。それは当たらない、それは問題ないというふうに法務大臣としておっしゃられたんですね、今。

葉梨国務大臣 御質問の趣旨がちょっと違うんじゃないかと思いますよ。(米山委員「違いませんよ」と呼ぶ)いえ、もしも、米山委員の実家がお肉屋で、米山委員と一体だと……(米山委員「一体じゃないですよ。母は全く別の人ですよ」と呼ぶ)いや、ちょっと待ってください、それは仮定の話で、米山家から……(米山委員「じゃ、一体じゃないとしましょうか」と呼ぶ)

伊藤委員長 米山さん、ちょっと座ってください。今、大臣が答弁しているんです。

葉梨国務大臣 私は、実家がそうだから、多分、そうなってくると、実態が違うとはいっても同志、つまり米山さんと同じようなグループだというふうに見られる疑念はもしかしたらあるかも分からない。その方が、親睦の組織をつくるかつくらないかは別として、そこに肉を無償提供すると、その行為は、場合によっては、これはもう一般論になりますけれども、寄附というふうに見られかねない場合もありますね。

 ですから、そこが一体かどうか、一体じゃないかというのは、個別具体の判断によりますから、私として、それが当たる当たらないというのを答弁するわけには、法務大臣ですから、いきませんけれども、私の後援会ゴルフ大会、これがやっているのは、私の事務所やあるいは私の父親、私の親族から、そこに対して、親族というか、遠縁の親族は実行委員会でいたかな。じゃ、私とか私の実家が例えば肉屋だったとして、そこに肉を、賞品を提供したというようなこともないんですよ。

 ですから、そういった意味では、米山委員の言われている内容と、私のゴルフ大会の内容というのは、ちょっと違うんじゃないかなというふうに思います。

米山委員 じゃ、別に私の実家じゃなくていいんですけれども、全然実家じゃなくていいんですけれども、私の後援会のメンバーが、いや、でも笑い事じゃないですよ。結構、だって、普通にみんな選挙をやっているわけですから、似たようなことは起こり得るし、できるわけですよね。葉梨法務大臣がそれでいいんだったら、みんなしますよ。いや、しますよ。だって、後援会の人が集まって……(発言する者あり)そうですよ。ちょっと黙ってくださいよ。黙れ。

 後援会の人が集まって、実行委員会をつくって、でも名前には葉梨康弘を応援するみたいな名前をつけて、地元の企業から協賛を募って、そういう大会をしても問題ない、そういう御主張ですよね。

 それでは、みんなしますよ。それでいいんですね。別にいいなら、僕、うれしいからやりますけれども、自分も。そうでしょう。だって、葉梨さんは所信演説で、法の下の平等、法治主義は大事だっておっしゃられたじゃないですか。葉梨さんがやっていいことは、私もやっていいはずですよ。そうですよね。

葉梨国務大臣 まあ、そういう観点でいえば、米山委員の後援者の方でゴルフ好きの方がアドホックに集まって、別に組織をつくるというわけじゃなくて、私どもも組織をつくっているわけじゃなくて、アドホックで集まっているんです。アドホックで集まって、その方が主催をして、その方の意思で企業から協賛を募って、そしてその閉じた中でゴルフ大会をやるということ、これに関しては私はいいんじゃないかなというふうに思いますよ。

米山委員 葉梨法務大臣は大変そういうことがお上手なんだと思うんですけれども、なかなか、関係ないような企業がそんなふうにアドホックに集まってなんてことができるかどうかは私はちょっと分かりませんけれども、それは伺いました。

 葉梨法務大臣は法を守る立場にあると思うんですけれども、私はこれは、葉梨さんの主張は、脱法行為を法務大臣が認めたんだと思いますよ。事実上の脱法行為ですよ、それ。どう見たって後援会がやっているじゃないですか。公職選挙法百九十九条の五をこうすれば脱法できますよということを、法務大臣が公式におっしゃられたわけです。

 私は、極めて残念です。葉梨法務大臣が、所信で法治主義を掲げながら、自ら法治主義を骨抜きにされるようなことを公然とおっしゃられた。私はそう取っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 じゃ、御答弁どうぞ。

葉梨国務大臣 先ほど申し上げましたが、新潮社には、抗議書、抗議文書を提出させていただいておりまして、これも自民党のコンプライアンス室の弁護士の御指導に従って、これは違法な行為ではないし、そのような報道、つまり、明らかに違法、闇ゴルフというような記事だったんですよね。そこはしっかりと事実関係も弁護士さんに説明した上で、抗議書を弁護士の監修の下に送らせていただいております。

米山委員 そうおっしゃるなら、私ももう一言言わせていただきますけれども、私ね、こんな立場で一応弁護士ですから、いろいろな人から、こういう行為は公職選挙法に当たりますかねといろいろ聞かれますよ、地方議員から。私は、聞かれたら、これは絶対するなと言いますね。それこそ、地方の選挙管理委員会から駄目だと挙げられる可能性はあると思いますよ。そんな、葉梨さんみたいにみんなうまくできるかどうか分かりませんからね。それを、本当に、こういうふうにおっしゃられるのは、非常にがっかりするし、正直、率直に申し上げまして、大臣としての資質を疑います。

 では、次の質問に移らさせていただきます。

 十月十一日、米軍横須賀基地の元従業員が、長時間労働で精神疾患を発病したことをめぐって国に損害賠償を求めた事件で、和解案を協議する期日において、裁判官と原告のみによってなされる話合いを国側の代理人がICレコーダーで録音していたという事案が露見しております。裁判所が調べると、ICレコーダーには以前の期日のやり取りも録音されており、少なくても実行した職員においては故意であると考えざるを得ません。

 裁判所における録音一般は、民事訴訟規則第七十七条で、裁判官の許可を得なければ行うことができませんが、それ以上に、単なる録音ということではなくて、裁判において、これは、裁判官、裁判所とこちら、片側当事者だけの話を相手が聞いてしまうということは、裁判という業務そのものを妨害しているとも言えます。

 そこで、防衛省にお聞きいたします。

 このとき、被告の指定代理人としてどの省のどういう立場の職員がいたのか、それぞれ何人いたのか、お答えください。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 十月十一日、横浜地裁横須賀支部における弁論準備手続期日におきまして、国の指定代理人である防衛省職員の録音機が録音状態にあったことが発覚いたしました。国の指定代理人である防衛省職員が規則に反する行為をしたことは誠に遺憾でありまして、事実関係を調査した上で適切に対応してまいります。

 その上で、委員お尋ねの本件事案の国の指定代理人につきましては、法務省の法務局三名、そして防衛省の南関東防衛局三名と承知をしております。録音を行っておりましたのは、この南関東防衛局三名のうちの一名でございます。

米山委員 そうしますと、この盗聴を行っていたこと自体は、この六人の間では共有されていましたか、いませんか。お答えください。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御質問の事項も含め、具体的な事実関係につきましては、現在調査を行っているところでございます。

米山委員 それはおかしいでしょう。今もうそれは答えるべきことでしょう。

 だって、普通、裁判に六人指定代理人がいたら、それは情報共有していますよ。一人だけがやったって、だって書面が書けないんだから。それはおかしいでしょう。六人で共有したんですね。答えてください。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事項も含め、現在調査中でございます。

米山委員 つまり、隠蔽される、そういうことでございますね。それならそれでいいんですけれども。そういった基本的なことをちゃんと言わないと。それは極めて驚くべきことだと思いますけれどもね。

 そうすると、これからどう対処するつもりなのか。それは私、質問通告しているんですけれども、答えられるんですか。

 一応質問させていただきますけれども、この盗聴の事実を踏まえて防衛省はどのように対応するつもりですか。また、この盗聴に当たった担当者は引き続き訴訟に当たっていますか。処分はしますか。どのような処分を想定していますか。答えてください。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 この録音を行った職員につきましては、十月十四日付で、本件を含む全ての事件の指定代理人の指定が取り消されたところでございます。

 また、今調査中でございますので、関係者の処分につきましては、この調査の結果判明した事実関係に基づき、厳正に対処してまいります。

米山委員 つまり、残りの二人はそのまま当たっているということですね。お答えください。残りの二人の指定代理人はそのまま職務に当たっているんですね。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で指定代理人の指定が取り消されたということはございません。

米山委員 今回の盗聴は、これ、刑法百三十条の住居侵入罪若しくは刑法二百三十三条の偽計業務妨害罪に当たり得ると思うんですけれども、防衛省の見解をお答えください。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 犯罪の成否につきましては、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でございますので、防衛省としてお答えできる立場にはございません。

米山委員 この個別の事案じゃなくて、一般論として聞いていいですか。一般論として、裁判の片方当事者のものを盗聴したら、それは住居侵入罪若しくは偽計業務妨害罪その他の刑事罰は成立し得ますか、一般論です。個別は聞いていません。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としてお答えできる立場にはございません。

米山委員 じゃ、答えなくていいんですけれども、それなら。

 ちなみに、これは、相手方がいますから、民事訴訟の提起もあり得ると思うんですよ、損害賠償を提起され得る。損害賠償を提起されたらどうしますか、認めますか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 仮定の御質問でありますのでお答えすることは難しゅうございますけれども、仮に相手方から損害賠償を請求された場合には、適切に対応していく所存でございます。

米山委員 これは、期間が短いといえば短いのかもしれませんけれども、十月十一日ですから、もう既に二週間ぐらいたっているわけです。それである程度の方向性も示せないということは非常に残念ですよ。

 しかも、これは、このままこういうふうにぐだぐだ言って、しかもろくな処分もしないということになったら、日本の行政って何なんだとなりますよ。日本の行政は、いつ、どこで録音しているかもしれない。そんなの信じられないでしょう。しかも、裁判の相手方の、明らかにフェアでないことをやっている。日本の行政ってそういうアンフェアなことをやるんだと、それはもう世界中に知らしめられてしまうわけですよ。

 この件は、担当の防衛省としてかなりきちんとやっていただかないと困るわけです。是非、ちゃんと処分をしていただくこと、そして、場合によっては相手から損害賠償請求が来たらきちんと真摯に対応することを心よりお願い申し上げます。

 次に、葉梨大臣にお聞きいたします。

 これは通告していないことになってしまいますが、この指定代理人の中に法務省が三人いると知らなかったので。法務省が三人いるわけで、しかも、状況からすればかなり高確率で、この三人も盗聴していたことを知っていたはずです。葉梨法務大臣としてどのように対応されますか。

葉梨国務大臣 御通告外ですが、今現在そういうことも含めて調査中でございますので、今予断を持ってお答えすることはできません。

米山委員 この三人もそのまま指定代理人として職務に当たっているということでよろしいですね。

葉梨国務大臣 状況からして、実際にその防衛省の職員がそういうことをされていたというのは事実であるというような報告を受けていますけれども、現状において、その法務省の指定代理人というのがそれに関与していたということではないというような報告、現状においては受けております。

 ただ、事案は全体として防衛省において調査中ということなんですけれども、指定代理人を解くというようなことではございません。

米山委員 いや、これは法務省側もそれはきちんと調査すべきだと思いますよ。しかも、かなり高い確率で、むしろ法律問題は法務省の方がやるんでしょうから、それは録音を実行はしなかったでしょうけれども共有はされていたはずですよ、前の期日のものだって入っているんだから。

 ちなみに、先ほどと同じ質問をさせていただきますけれども、これは住居侵入罪や偽計業務妨害罪が起こり得ると思うんですけれども、個別の案件でなくていいので、政治家葉梨康弘さんとして、この御見解を伺いたいと思います。

葉梨国務大臣 政治家としてというよりは、やはり法務大臣の立場でございますので、一般論でよろしいとはいっても、やはり、今話題となっているのが個別の事案ということになりますので、個別の事案については、捜査機関、これが収集された証拠に基づいて判断されるべき事案だと思います。

 法務大臣でございますので、ますますそこのところの答弁は慎重にせざるを得ないということも御理解願いたいと思います。

米山委員 それでは、最高裁判所にお聞きします。

 最高裁判所の方、この事件が発覚してからどのように訴訟指揮を行っていますか。まるでなかったことのように、そのまま続いているんでしょうか。お伺いいたします。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 担当裁判官が御指摘のような事態を受けて、どのような考慮の下に今手続を進行させているかということにつきましては、これは個別事件における裁判官の裁判事項そのものに関わることでございますので、事務当局からの答弁は差し控えさせていただきます。

米山委員 また同じ質問を、また一般論として聞かせていただきますけれども、これは実は、最高裁判所が一番大きなところといいますか、裁判所が実は被害者なんですよ。住居侵入罪、偽計業務妨害罪、これは裁判所の業務が妨害されているし、裁判所に盗聴という不法な目的で住居侵入されているわけです。

 これは、最高裁判所がきちんと刑事告発すべきなんじゃないですか。刑事告発の考えはおありにならないんですか、おありになりますか。お答えください。

門田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 先ほど来出ておりますように、本件事案に関する客観的な事実関係については現在調査中であると承知しておりまして、今後、明らかになった事実関係を踏まえまして、適切な対応を検討していくことになるかと考えております。

米山委員 そうじゃないんですよ。防衛省や法務省はそういう答えでいいんですけれども、最高裁判所、裁判所は被害者なので、事態が明らかになってから、犯罪が成立してから被害届を出しますなんという被害者はいないんです。そうでしょう。最高裁判所は被害者なので、分からないうちに被害届を出して、刑事告発しなきゃいけないんです。そのお考えはありますか。

門田最高裁判所長官代理者 繰り返しになって恐縮ですけれども、最高裁判所としては、裁判所としてはになりますが、裁判所としては、今後、明らかになった事実関係を踏まえまして、適切な対応を検討してまいるということになります。

米山委員 つまり、裁判所は、被害者であるにもかかわらず、積極的にこの事案の解明を警察に求めない、そういうことですよね。そうおっしゃっていますから。それはいいんですか。

 弁護士だったら、確かに弁護士会が懲戒してくれますよ。でも、そうやって、裁判所が事実上、盗聴してもおとがめなしです、私たちは被害者として事案の究明を求めません、そういう態度だったら、本人訴訟の場合、本人は幾らでも盗聴できますよ。できるでしょう。だって、本人は懲戒されない、犯罪として立件されない。だったら、もう和解交渉は盗聴した者勝ちですよ。

 しかも、今どき盗聴なんて、別に盗聴ってほどのことじゃない。盗聴器なんて買う必要もない。iPhoneをただ録音にして、かばんの中に入れておけばいいだけですよ。そういうことを、この事件で今のような、裁判所が、最高裁判所がそういう態度を取るなら、それを是認することになるんですけれども、それでいいんですか。

 もう一度お伺いしますが、最高裁判所は被害届を出さないんですね。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 御紹介がありましたとおり、裁判所の手続において、録音を行うということについては裁判所の許可を得てということになっておるところでございますので、裁判所が無断で録音することを容認するということは断じてございません。

 ただ、その前提で、この案件についてどのように裁判所が対応するかにつきましては、今後の事実関係の調査の結果も踏まえて検討していくということになります。

米山委員 もう二週間たっていますからね。通常の被害者なら出すんですよ、被害届を。自分の業務が妨害されているんですから、出すんですよ。出さないなら、それはもうこれを容認しているんです。幾ら規則に書いてあるといったって、民事訴訟規則には罰則はありませんから、刑事罰がないんだから、やりたい放題です。やった者勝ちですよ。そういうことを是認しているんです。

 先ほど、この問題を放置したら日本の行政の信頼性が失われると言いましたけれども、これを放置したら日本の司法の信頼性が失われるんですよ。通常、こんなことを裁判所でしたら、それは刑事罰ですって。それを何にもしない、そんな国にしていいんですか。法を守るところでしょう。最高裁判所なので、是非、ちゃんとこの問題を解決するように自分で主体的に行動してください。

 そして、葉梨法務大臣、法治主義、守られるんでしょう、是非これをきちんと対応するようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党、長崎三区、山田勝彦でございます。

 葉梨大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣は所信で、我が国の法秩序の維持と国民の権利の尊重を、同時かつバランスの取れた形で実現する、常に使命感とバランス感覚を持って事に当たる、そうおっしゃいました。

 現行の入管行政により多くの外国人の方々の貴い命が奪われ、司法においても国の責任が明らかになっているところです。さらに、国際機関からは長年、人権的問題があることが指摘され続けております。

 現状、この著しくバランスを欠いた入管行政のどこをどのようにバランスを取られると言われるのでしょうか。お答えください。

葉梨国務大臣 山田委員、よろしくお願いいたします。

 入管行政全体が今、現状として著しくバランスを欠いているかということについては、多分委員とは見解を異にするところはあるんですが、ただ、やはり、昨年の名古屋入管の事件もございます。いろいろな、せんだってのカメルーンの判決もございました。重く受け止めなければならないところはしっかり重く受け止めていかなければならないんです。

 ですから、先般、所信でも述べましたが、私、名古屋入管に参りました。そこで、職員の前で申し上げたことというのは、余りそういうことを言う法務大臣というのはいなかったらしいんですけれども、皆さんは、まず、法秩序といったときには、収容施設内での秩序維持も大事なんだけれども、同時に、収容者の人権の尊重、これを図るという使命があるんですよ、常にそのことを、管理職も、また一線の方々も肝に銘じて仕事に当たっていただく、そして、具体に、例えば医療的なものが必要ですとか、そういった専門的な知見が必要だということについては、調査報告書等にいろいろな改善策が示されているわけですけれども、基本において、やはり、そこのバランス感覚というのは常に管理職も、まあ、私もそうなんですけれども、管理職も一線の職員も持っていかなきゃいけないということを、私も、職員、管理職の前で申し上げてまいりました、名古屋に行って。

 これからもそういう行脚はしっかりしていかなければいけないというふうに思っています。

山田(勝)委員 葉梨大臣、ありがとうございます。大臣のその現場主義の姿勢、大変共感を持たせていただきます。本当にすばらしいことだと思います。

 是非、現場で入管庁の職員さんたち、その声を聞かれることも大事だと思うんですが、収容されている当事者の方々や現場でそういった方々を支えているそういう声も、大臣、現場主義であられると御期待しておりますので、どうか聞いていただくお約束はできないでしょうか。

葉梨国務大臣 私自身が対応するかどうかということについてはまた更に検討させていただきたいと思うんですけれども、現場で、やはり入管の職員、特に、しっかり支援者の方々と対応する場面というのはあるわけですよね。ですから、名古屋でも申し上げたのは、支援者の方々というのは人権の尊重という観点から入管のところにも来られるんですが、私たちもやはり、秩序の維持は当然だけれども、人権の尊重というのをしっかりと踏まえて仕事をしているんだというような意識がなければ、なかなかお話もかみ合わないよということも実は話してまいりました。

 私自身がということについては、今ここで、じゃ、いつ行くかとかそういう話ではございませんが、検討させていただきます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 前向きに検討いただけるということで、大変うれしく思います。

 まさに葉梨大臣が強調されている、この入管行政におけるバランスを取っていくには必ず必要なことだ。当事者の方や長年支援されている方々の直接の声を聞いていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 岸田総理の所信に対し、立憲民主党の田名部議員が、入管庁が在留資格のない外国人を、司法審査を受けず、期限、回数に制限なく身体拘束することは、国際法違反の恣意的拘禁であり、人権侵害である、国際法違反との強い批判を受けている現行制度を見直すことが必要であると代表質問しました。岸田総理は、我が国が締結する人権条約に違反するものと考えていない、そう答弁されました。本当でしょうか。

 国際人権条約で定められている個人通報制度が日本には適用されていません。個人通報制度とは、人権条約に認められた権利を侵害された個人が、各人権条約の条約機関に直接訴え、国際的な場で自分自身が受けた人権侵害の救済を求めることができる制度です。

 葉梨大臣、まさにバランスを取るために絶対に必要な制度ではないでしょうか。この個人通報制度を定めている選択議定書になぜ日本政府は批准していないのでしょうか。お答えください。

葉梨国務大臣 この個人通報制度、これは条約の実施の効果的担保を図る意味で注目すべき制度であるというふうに考えています。

 ただ、ここの受入れについては、条約等に関しては外務省が主に担当しているところでございますので、外務省が関係省庁と連携して所要の検討を行っているというふうに思っています。

 ですから、その検討状況については是非外務省の方にお尋ねいただきたいと思いますけれども、当省、法務省としては、やはり必要な協力をしっかり行ってまいりたいと思います。

山田(勝)委員 それでは、外務省、本日お越しかと思いますが、外務省の方からお答えいただけますか。

片平政府参考人 お答えいたします。

 人権諸条約の選択議定書に規定されている個人通報制度につきましては、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度と認識しております。

 個人通報制度の受入れに当たりましては、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無及び個人通報制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識しております。

 個人通報制度の受入れの是非につきましては、各方面から寄せられる意見も踏まえつつ、引き続き、政府として真剣に検討を進めてまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 外務省からも、真剣に検討を進めていきたい、葉梨大臣からも、大いに注目をしているという前向きな御答弁をいただきました。

 是非とも、この個人通報制度、日本が加入することができれば、個人の人権侵害の救済だけではなく、条約機関から、人権侵害の原因となる法制度の改善を日本が国として国際的に求められることになります。つまり、日本の国内制度が国際人権基準に沿って改善されていく道を開くことにつながっていきます。是非とも一刻も早く加入していただくよう強く要請いたします。

 続いて、大臣は所信で、ルールに違反する外国人の存在も大きな課題だと言われました。そもそも、ルールに違反する外国人とは、具体的にはどのような違反者なのでしょうか。

葉梨国務大臣 所信においては二か所で述べさせていただきました。ルールに違反する者とルールに違反する外国人ということで、後段については送還忌避とか長期収容の問題を挙げさせていただいたんですが、前段の方が主に一般論を言っていまして、具体的には、刑罰法令であるとか入管法に違反した外国人ということになるわけですけれども、それについての対策というのも、法を確実かつ適正に適用していくということで、そこはまさに適正にやっていかなきゃいけないということだろうと思います。

山田(勝)委員 大臣の御答弁の中に送還忌避という言葉が出ました。

 二〇一四年三月、入管施設内で適切な医療を受けられずにお亡くなりになったカメルーン人男性、この方はまさに送還忌避と法務省が呼ばれている対象者であったがために収容されたかと思われますが、二〇一三年十月に、成田空港に到着後すぐに入管施設に収容されました。

 一般論で構いません。外国人の方が我が国に避難を求めて空港に降り立ったとき、難民ですと申出があった場合、日本政府はどのような対応をするのでしょうか。お答えください。

葉梨国務大臣 一般論ですけれども、入管難民法、この規定に基づいて、入管申請があれば、そこに対して入国審査官等々で適切に対応するということになってまいります。

山田(勝)委員 その適切な対応に大変疑問があります。

 国際的には、そういった場合、難民の申請を受け付ける間、難民として扱われます。日本の場合は、難民申請をしている間もそのような扱いを受けない。まさに、この問題、カメルーン人男性に限らず、多くの今この国で収容されている外国人の方々、当事者の声を私も直接聞きました。こう言われています。

 犯罪歴もないのに、日本政府は難民申請者は要らないという理由で強制退去させられそうになり、成田空港で入国警備官から暴力を受け、死にそうになったこともあります。世界の強国であるG7の日本が、助けを求めてきた難民申請者に対しこのような扱いをし、まるで犯罪者で、役に立たないかのように扱い、国に追い返して、死に追い込もうとしているのです。難民申請者と犯罪者と、どんな関係があるのでしょうか。

 このように、自らが難民であることを訴え、保護を求めても、難民として受け入れない姿勢を日本政府は貫いております。このような国際基準から相当逸脱したこの運用の在り方、むしろルール違反は外国人ではなく日本政府ではないでしょうか。大臣、お答えください。

葉梨国務大臣 現行法における難民の範囲というのが、難民条約に基づく難民の範囲というのが元々それほど広くないということをまずは御理解をいただきたいんですけれども、そこに当たらないという方も、一見して当たらないという方も結構いるんですね、あくまで一般論のお話ですけれども。

 ですから、その意味で、現場のお話として、難民を受け入れない、受け入れないという印象を受けたというお話はあるという、そういうような御質問でございますけれども、今の法律のたてつけとしては、現行法で難民に明らかに当たらないという者については、もちろん申請はできるんですけれども、そこはもう、ちょっと難民じゃないよねというような形になってくるわけです。

 ですから、その意味で、私どもも、真に庇護すべき方々をどう庇護していくのかということはやはり真剣に検討していかなきゃいけないというふうに思っています。

 一つは、難民の認定基準ということで、国連難民高等弁務官、UNHCRともいろいろと協議をしていますし、また、補完的保護対象者、これをどういうような扱いにするかといったことについてもまた検討を進めておる。

 確かに、今の法律を厳格に適用する中で現場で幾つかトラブルがあるというようなことも理解はしておりますので、そこは法的な対応が必要なのかなというふうに思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 現行、そういった難民申請中の方々を難民として扱わない、先ほど、現場判断で難民に当たらないという判断がなされて収容されている実態もあるようですので、こういったところが国際的な運用基準と大いに乖離があるのではないかと思いますので、是非とも改善していただきたいと思っております。

 送還忌避者について質問していきたいと思います。

 送還忌避者とは、入管より退去強制命令を受けながら、様々な事情により母国への送還を拒む方のことです。

 大臣は、そもそも、この送還忌避者、なぜ生まれている、その原因は何だとお考えですか。

葉梨国務大臣 これはあくまで一般論としてお答えいたしますけれども、結論から言いますと、一概にこれをお答えすることというのはなかなか困難な面があるんです。もちろん、送還忌避者ということで、本国に帰ったら非常に怖いというような方もいらっしゃれば、今、仮放免というのも結構、相当運用を拡大をされているところもありますので、日本にい続けたい、い続けたいがゆえに送還忌避を行うとか、多種多様な理由があるんだろうと思います。

 ですから、そういった意味で、一概に理由についてお答えするのはなかなか難しい面があるということも御理解願いたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 昨年、政府は、入管法の改正法案を国会に提出されました。その大きな背景として、送還忌避者が増えている、これは社会問題だ、早急に母国に帰ってもらわないといけない、その原因が、難民申請を繰り返し繰り返し行う、その間送還を停止しないといけなくなってしまう、なので難民申請を制限する、このような趣旨の法改正だと理解しております。しかしながら、ウィシュマさんの事件もあり、政府は強行採決を断念し、廃案となりました。

 現状、葉梨大臣は、昨年政府が提出した法改正、今なお必要だとお考えでしょうか。

葉梨国務大臣 骨格としては、やはり、昨年の法改正、これは全体を見ての法改正でございます。現実問題として、この送還忌避者の問題、実際に送還を拒む者、あるいは仮放免をされている方、さらには逃亡して仮放免を取り消されたという方も、いろいろなパターンがあるわけですけれども、昨年の法改正、骨格ではやはり私は必要なことなのかなというふうに思います。

 ただ、今現在、昨年のいろいろな審議も踏まえまして、どういうところを検討しなければいけないかということも含めて、私も交えましていろいろな議論を省内で行っているところでございます。ただ、骨格は皆様にまた御審議をお願いするということになろうかと思います。

山田(勝)委員 その前提となる送還忌避者の推移なんですが、事前に法務省よりデータをいただきました。実は、二〇一六年以降、二〇二〇年まで、送還忌避者の数は減少傾向にあります。こういったデータも踏まえて、そのような収容された方々の権利を奪うような、そういった法改正は是非とも改めていただきたい。そういうことがないように、私の立場から強くお願いしたいと思っております。

 その上で、送還忌避者が生まれてしまう本質的な原因は、日本の、圧倒的に低いと国際的な批判を受けている難民認定率にあるのは明らかです。

 二〇一八年、難民申請者数、日本政府に対して一万四百九十三人に対し、難民認定されたのは僅か四十二人、認定率は〇・四%です。一方、アメリカやヨーロッパの国々、この年、認定率は約一五%から五〇%。日本の〇・四%という数字がいかに衝撃的か。

 葉梨大臣、なぜこんなに圧倒的に日本政府は難民認定率が低いのでしょうか。真っすぐ質問しますので、真っすぐ答えてください。

葉梨国務大臣 これもまた幾つかの理由がありますので、そう真っすぐ、一つの理由でなかなか答えづらいところもあるんですけれども。

 最近、コロナの関係で海外渡航が非常に難しくなる前は、実は、この難民認定申請者の中で、先ほどの送還忌避者といいますか、強制送還を逃れたいために難民認定申請をするというのも相当数見られたということも一つの理由でもあるんです。実際上、明らかに難民でないにもかかわらず難民申請をするというのも結構なグループがある。

 もう一つは、やはり、数だけを見て難民の率が低いということだけを一概になかなか言うことはできないんですけれども、例えばシリアとか、ああいうような例を見てみますと、シリアの方々が、じゃ、日本に来て難民申請をするかというと、やはりEUとかあちらの方に行くわけです。確かに率は低いんですけれども、例えば最近ですとアフガニスタン、ああいった形ですと、難民申請、百人以上を一挙に受け入れたりという例もございますし、また、ミャンマーについては、難民自体は少ないものの、例えば在留特別許可とか特定活動、そういったことで、人道上の理由で日本にいていただくという方もいらっしゃいます。

 いずれにしても、日本のこの法律というのは、難民条約を忠実になぞっているものですから、難民の範囲というのがいささか狭いのかなということで、もうちょっと庇護する方を広げてもいいんじゃないかという印象は、私自身は思っています。

 幾つか理由を挙げましたので、直球で理由を言うということはなかなか難しいんですけれども、やはり、こういう複層的、複雑な理由がいろいろと重なっているんだというふうに御理解いただければと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。葉梨大臣から、かなり誠実に、正面から受け止めてお答えいただいたこと、感謝いたします。

 この問題、はっきりしているのは、日本が国際標準並みに難民認定率が上がっていけば、当たり前です、当たり前なんですけれども、送還忌避者は減ります。なので、送還忌避者がいることが問題ではなくて、日本の難民認定率が低いことが送還忌避者を生んでしまっている、このことを是非とも大臣も認識いただきたいですし、大臣自身が、難民条約に忠実に基づいて手続するがゆえに範囲が狭いというお話がありました。

 続いてのテーマなんですけれども、資料を委員会に提出しております。先ほど大臣からお話もあったとおり、ミャンマーについてです。

 御存じのとおり、二〇二一年二月、ミャンマーでは軍によるクーデターが発生し、このクーデター前後、多くの国々が積極的に難民支援を行ってまいりました。まさに日本は地理的にも、国際的に、こういったミャンマーの方々の難民支援、大変期待が大きかったと思われます。しかしながら、実際、ミャンマー出身者の難民認定数、このような状況です。各国と比べ、圧倒的に日本の難民認定率が低い。二〇一六年から二〇二〇年の五年間においては、僅か一人しか難民認定していない。尋常だと、言わざるを得ないデータです。

 なぜ日本は、難民条約に批准しておきながら、このようなひどい難民認定の在り方なのでしょうか。大臣、改めてお答えください。

葉梨国務大臣 その点については、先ほど答弁したことともちょっと重なるところはあるんですが、ミャンマーは、政情不安になる前は、やはり就労目的で日本に来て、それで、オーバーステイということで強制送還されそうになった、でもやはりまだ日本にいたいという方が申請するというケースも相当数あったというふうに聞いています。

 ただ、委員の資料にもございますとおり、政情、ああいう形のクーデターが起きてからは、実際に難民に該当するとして難民認定したのは三十二名ですけれども、人道的な配慮、政情不安ですから、人道的な配慮で在留を認めたミャンマー人、これは令和三年ですが、四百九十九人ということで、そこは、今の法律の中でしっかりと審査をしながら、人道的な配慮、これも併せて判断しているということです。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 難民と認めていなくても、人道上の配慮から一定の在留許可を与えているという御答弁でした。しかし、実際、全然答えになっていないと思います。クーデターまで起こっている国から逃れた方々を難民としてなぜ受け入れられないのかと私は質問しておりまして、これも事前に担当部局と確認しました。

 難民認定と人道的配慮の在留許可、処遇に違いがあります、圧倒的に。難民認定されれば、五年ごとの更新、さらに、日本社会に定着してもらうための様々な支援プログラムが受けられます。一方、単なる人道上の配慮による在留許可の場合、六か月から一年で更新時期を迎え、支援プログラムはありません。これでは、日本に避難してこられた方々、とても安心して心穏やかに日本で暮らしてはいけません。

 そして、この問題、ミャンマーだけではありません。ウクライナも同じような扱いをされ、難民ではなく避難民という新しいカテゴリーで、難民とは違う形で受け入れている。

 この人道上の配慮による在留許可を与えている方々、本来は難民として認めるべきではないでしょうか。午前中最後の質問です。葉梨大臣、お答えください。

葉梨国務大臣 御趣旨はよく分かるんですけれども、例えばミャンマー人の場合は、もう既に日本にいるミャンマー人が帰ったら迫害される、政情不安で迫害されるかも分からないというのを、今の現行法上、どういう形で難民として認めるかというのはなかなか難しいところもあるんです。

 ですから、そういう意味で、そういったことについても、補完的保護対象等々、法律的な対処というのは私ども必要ではないかというふうに考えております。

山田(勝)委員 本来は難民として受け入れるべき方々が、人道上の配慮という、日本政府の制度上、これは改めるべきだと思っております。

 難民として受け入れていくこと、ミャンマーやウクライナの方々、これこそが国際社会から日本が求められていることではないでしょうか。

 時間が来ましたので、午前中の質疑はここまでとさせていただき、また午後から引き続きよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田勝彦君。

山田(勝)委員 午前に引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 これまで、入管行政による非人道的な対応により、残念ながら入管施設内で十七人もの外国人の方々の貴い命がなくなりました。大変無念であられたことでしょう。

 しかし、実際には、入管行政によって貴い命を奪われた方々は十七人にはとどまりません。仮放免中、亡くなった人の数について教えてください。

西山政府参考人 お尋ねの数字につきましては、統計を作成していないため、お答えすることが困難でございます。

山田(勝)委員 驚きです。実はこの質問、私、半年以上前から担当部局にお願いして、報告してもらうように何度もお願いしているところでした。

 仮放免中の方々に対しては、入管は毎月必ず一度、出頭を命じているんです。つまり、入管は管理下に置いている、仮放免中の方々。各センターからその状況を集計すれば済むこの統計データを、不必要だという理由で統計データが存在しないという回答でした。とても信じられません。

 仮放免中の方々、人としての当たり前の普通の暮らしができません。大臣も御存じかと思います。当事者の方がこのように私に言われていました。

 私の人生は惨めなものです。日本政府が私にしていることのために、私はいつも死を考えています。働きたくても働けない、食べるものもなく、おなかがすけば水を飲むしかない。体調が悪くても、医療保険にも入れないので、病院にも行けません。治るまで何週間もベッドで寝ているしかありません。家にいるのも収容されているのも変わりありません。

 このような絶望の中、実際に仮放免中に自殺された方々はいらっしゃいます。大臣、御存じでしょうか。さらに、末期がんの状態にもかかわらず、仮放免として入管の外に出され、適切なタイミングで医療にアクセスすることなく亡くなられた方も実際にいらっしゃいます。支援団体の方々が、このような、複数件把握しているにもかかわらず、なぜ入管が把握していないのでしょうか。

 大臣は記者会見で、帰っていただくべきは帰っていただく、保護すべきは保護すべきというバランスを取っていきたいとおっしゃいました。大臣、入管行政によって命を奪われている、命を守る入管行政であるために、守るべき命が守られていないこの現状、この統計、大臣、本当に不必要と思われるでしょうか。お答えください。

葉梨国務大臣 お答えします。

 必要か不必要かということよりも、先ほども送還忌避者の中で、仮放免をして逃亡した方についてちょっと触れさせていただいたんですが、そちらは、出頭を求めても逃亡されてしまって、どこに行ったか分からない。そこをなかなか追跡するのは困難もあって、統計としてそれを把握するのはなかなか不正確であるという理由で統計として把握していないんだというふうに私は認識をしているんですけれども、どういう工夫ができるか、またちょっと事務方ともお話合いはしていきたいと思います。

 正確にこれを出すということはなかなか困難ではあります。

山田(勝)委員 その事情も分かりますが、全く死亡案件を把握できていない状況はおかしいと言わざるを得ません。

 委員長、入管行政について大変重要なデータになります。命を守る入管行政であるために、是非とも理事会で御協議いただき、法務委員会にこのデータを提出してもらうようお願いいたします。

伊藤委員長 検討させていただきます。

山田(勝)委員 次に、大村入管のネパール人男性についてです。

 収容中に大腿骨頭壊死症を患ったにもかかわらず、手術することなく三年以上放置され続け、自分の足で歩くことができなくなってしまい、寝たきり状態に。さらに、数か月前からは排尿障害となられてしまいました。

 さきの通常国会でも、私たちは幾度となく、一刻も早くこの男性に手術を行うべきだと再三この委員会で訴えてまいりました。当時の葉梨筆頭理事も横で聞いていらっしゃったと思います。いまだに手術がなされていない。事態はますます、どんどんどんどん悪化していきます。

 葉梨大臣に伺います。

 本人も望んでいる手術です。なぜ国は手術を行わないのでしょうか。

葉梨国務大臣 私も、筆頭理事として、本件については何回も伺わせていただいたんですが、その件について、私も、事務方、ちゃんとお話合いをして、どういう状況になっているかということは聞かせていただいているんですけれども、なかなか、個別の案件について必ずこうするよという話はちょっとおくとして。

 一般論でまず言うと、体調不良を訴える被収容者についての内容、症状に応じては、適切な診察、治療を受けさせる、収容している方についてはですね、というようなことをまず一般論として申し上げた上で、この事案については、訴訟係属中でもあって、またプライバシーの観点もありますので、事細かにお答えすることはなかなか困難なんですけれども、いろいろな適切な医療機関を今探されて、複数の医師の診療を適時受けさせた上で、その診察結果に従った医療的対応が行われているというふうに伺っておりまして、そこのところは委員会の御議論も踏まえて対応しておるというふうに聞いています。

山田(勝)委員 残念ながら、適切な医療は行われていないので、事態は悪化していくばかりです。今も昔も、医療体制は全く強化されていないと言わざるを得ません。この件もまた訴訟となり、いずれ国の責任、賠償責任は免れないことだと思われます。

 それでは、一般論としてお答えください。

 外国人の方に、在留資格として医療目的の特定活動が与えられた場合、その必要な医療行為、手術などの医療行為がなされた後は再収容となってしまうのでしょうか。

西山政府参考人 一般論でございますけれども、医療行為のために特定活動を認めたということであれば、医療が必要なくなれば、その在留資格はなくなるということでございます。

山田(勝)委員 つまり、在留資格がなくなり、母国へ帰りなさいと言われる、それを拒めば、また収容ということが考えられてしまいます。大変恐ろしい事態だと思います。

 生活保護法では、外国人は生活保護を原則受けられないとされています。しかし、活動に制限のない永住、定住などの在留資格を有する外国人の方であれば生活保護を受けることができると例外的にされています。

 つまり、こういったケース、治療後に人道上の配慮が必要であると入管が判断した場合は、生活保護を受けられる定住資格が与えられるケースは考えられるのでしょうか。

西山政府参考人 あくまでこれも一般論でございます。個別の事情に応じて、今委員御指摘のような事情を踏まえて、在留資格を新たに付与するということも考えられますけれども、今おっしゃった定住者という資格についてはなかなか難しいのではないかと考えております。

山田(勝)委員 続いて、在留特別許可に係るガイドラインについてお尋ねいたします。

 特に考慮する積極要素として、当該外国人が、日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合とされております。このガイドライン、主な消極要素としては、重大犯罪などが挙げられております。

 一般論として、日本人と結婚して、かつ犯罪歴がない方は、当然認められるはずだ。しかし、担当部局からは、一概には言えない、個別事情で様々な審査を行った上で判断されるという回答がありました。

 この基準の曖昧さが当事者の方々を相当苦しめています。外国人男性と結婚されている方から悲痛な声を聞きました。

 私たちは婚姻してあと数か月で八年になる。在留資格を得られないまま、ずっと仮放免の延長をしている状態です。ある日、夫が仮放免の延長が不許可となり、理由も告げられず突然収容されてしまいました。罪を犯したりなど理由があれば納得もできますが、総合的判断によりと書面に書いてあるだけでは到底納得することはできません。そこで私は、違反審判部門に申し入れました。そのとき返ってきた職員の言葉はこうでした。もう要らない外国人はみんな帰ってもらいたいんですよ、在留資格なんて宝くじで当たったようなものですから。では、日本国民である私が、内戦やテロがある危険な母国に夫と帰り、危険な目に遭ったらどうしますか、そう質問すると、それは自己責任ですからと半笑いで言われました。国家公務員が平然とこのような発言をすることに唖然としました。同時に、これが入管の本音なのだなと感じました。

 更に続きます。

 同じような境遇の方からも私は話を聞き、驚きました。日本人の配偶者の方、在留資格を申請しているにもかかわらず、日本人と結婚して在留資格を申請しているにもかかわらず、審査中、その結婚生活の実態を全く調査されることなく、不許可の通知が出された。

 それぞれの方が、人生を懸けて、必死の思いで、祈るような気持ちで在留資格を申請されています。

 政府のガイドラインの積極要素に該当し、かつ犯罪歴がない、それを、総合的判断、個別事情で本当に済まされていいのでしょうか。一体、誰がどのように判断をされているのか。大臣が判断されているのでしょうか。この不透明で恣意的判断、本当に許されることなのでしょうか。法治国家として改めるべきだと思いますが、大臣の見解をお聞かせください。

葉梨国務大臣 結論からすると、積極要素として、しっかりこちらとしても周知はしておるんですが、やはりどうしても個別で考えなければいけない部分というのはあるんですよ。

 私、法務大臣になるずっと前ですけれども、議員になってからですが、うちの地元でも、日本人の方が外国人の女性と結婚した、ただ、刑法犯等は犯していないんですが、その前に入国関係のいろいろな経緯があって、私も相談に乗ったんです、乗ったんだけれども、やはり一旦帰っていただいて、少したってまた戻っていただいて迎えるようにしましょうということを、入管の方々とも、またその方々とも、当事者ともお話合いをして、納得して帰っていただいて、それで、今は日本に来て幸せに暮らして、ありがとうございましたと言われた、そんなような事例もございます。

 ですから、個別判断ということは、これはやはり致し方ない面はあるんだろうというふうに思います。

 ただ、委員が言われたように、現場において、どういう経緯でそういうようなお話が職員からあったのか、私自身は分かりませんけれども、今初めて聞いた話で。だからこそ、やはり教育訓練で、冒頭から申し上げています、法秩序の維持と同時に、やはり人権の尊重というのは極めて大切だ、このバランスが非常に大切だというのも、私どもは私どもの責任としてしっかりと教育訓練をしていかなければならないし、また、この通知の趣旨というのも、取扱いの趣旨というのも徹底していくということが必要なんだろうと思います。

山田(勝)委員 現行の入管行政、大臣が言われました人権の尊重という点において、著しくバランスを失っているかと思われます。こういったことを是正することが、葉梨法務大臣への、大きな期待、国民の期待、あろうかと思います。

 私たちは、当事者や支援者の方々の声に基づき、野党提出、入管法の改正法案を提出して、真のバランスを取り戻していきたいと思っております。

 大臣、私たちの提出法案、改正案、入管行政の改革、賛同してもらえるでしょうか。

葉梨国務大臣 議員立法ですので、今この場でその法案についてコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、今までの、あれは参議院提出法案だったので、私、最近見ましたけれども、衆議院の筆頭理事のときはちょっと知らなかったんですが、今までの委員会等々の議論を踏まえて、今私どもも内部的な検討をさせていただいているということです。

山田(勝)委員 お時間になりました。

 必要な追及や提案を、真の共生社会を実現するために今後も続けていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹です。

 まず、裁判記録の保存について御質問させていただきます。

 大臣への質問はちょっと最後にさせていただきますので、よろしくお願いします。

 私、裁判記録の保存というのは、例えば、明治二十四年に起きた大津事件。ニコライ皇太子に、警護に当たっていた津田巡査、津田巡査がサーベルを持って人力車を襲い、そしてけがをさせた。皇太子の日記によると、周りの人は誰もそれを止めなかったということで、ロシア皇帝の皇太子が日本で傷つけられた。まだ日本が、外交あるいは治外法権など、様々な不平等条約が改善していない時期でございますから、本当に日本は慌てて、戦争になるんじゃないかということ。これは、ボアソナードの作った旧刑法時代の裁判記録でございます。これを現代の我々が見られることで、その当時の裁判、刑事判断が再現、よみがえってくるわけでございます。

 今回は家庭裁判所ということで、直接もちろん大臣の所管する事務ではありませんが、例えば昭和十一年に起きた阿部定事件、本人はお亡くなりになってあるということでございまして、この事件についても、まあ、法律、こういう裁判記録を残していくようにという、その法ができる以前の話ですが、この裁判記録というのは残っておるんでしょうか。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの事件の刑事確定訴訟記録につきましては、当該事件の第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官において保管しているものと承知しております。

阿部(弘)委員 その後、刑事事件については裁判記録を残すという法律ができておりますが、その法律について御説明願えないでしょうか。

川原政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねは、確定した刑事裁判記録の保管ということでございますが、刑事確定訴訟記録につきましては、御指摘のように刑事確定訴訟記録法というのがございまして、これに基づきまして、刑事確定訴訟記録は、被告事件の第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が保管することとされております。

 この保管期間でありますが、この法律によりまして、例えば、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に処する確定裁判につきましては、裁判書は百年、裁判書以外の記録は五十年、また、有期の懲役又は禁錮に処する確定裁判につきましては、裁判書は五十年、裁判書以外の記録は言渡しの刑に応じて五年から三十年の期間、保管することとされております。

阿部(弘)委員 実は、私は、二十年、三十年近く前には、厚労省の精神保健課の課長補佐をしておりました。そのときに担当した事件は、神戸の小学校殺人事件、いわゆる酒鬼薔薇事件でございます。それと宮崎勤事件、これは、幼児を殺害して、そしてその後逮捕され、父親の骨をむしゃむしゃと食べたというような報道がなされた事件でございます。

 非常に、こういう事件というのは、やはり精神状態というのが大切でございます。特に少年犯罪については、人格形成の途上でありますので、特に酒鬼薔薇事件、いわゆる神戸小学校殺人事件に関しては、何でこんな残酷なことを少年がするんだということで、時の総理大臣、橋本総理が説明のレクを求めてまいりました。

 もちろん、私は課長補佐でしたからその場には行きませんでしたが、行為障害、行為障害というのは、愛玩動物を、子供たちが、例えばカエルとかトンボとかを捕まえて、トンボの羽をむしってみたり、カエルを殺してみたり、そういうことが時に起きてしまいます。そういう行為障害の子供たちは、将来、大人になったらどういうふうな病状の経過をたどるのか。

 私は、その後は週刊誌でしか知りませんが、神戸小学校殺人事件の方は社会復帰をされたというふうに聞いております。社会復帰をされる方、そして人格のゆがみが続く方、反社会的な行動を繰り返す方、そしてまた一方で、統合失調症のように妄想性障害で人格が荒廃していく方、こういう方が、大まかに三つに分類されるわけでございます。少年犯罪というのは、犯罪精神医学の観点からすると、様々な矯正の手だてを与える一つのきっかけを我々に教えてくれるわけなんです。

 ちなみに、宮崎勤さんは、二審の頃には、非常に人格も荒廃されて、結果的に統合失調症のような症状を見せられていたと聞き及んでおります。ですから、宮崎勤さんの場合は、そもそも責任能力があったのかどうかという議論も起きてくるわけでございます。

 かように、記録を残すことが、その後の、社会の、少年の矯正、あるいは刑務所などの施設の処遇についても、非常に知見を、知恵を与えてくれるということは私は確信しておるわけでございます。

 さて、家裁の裁判記録が紛失した件、裁判所にお聞きしたいと思います。

 これは、産経新聞の夕刊に、特別に記録を残しているのは十五件だというふうに書いてありましたが、それは事実でございますか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 全国で少年保護事件について特別保存されている件数は、十五件ということでございます。これは、令和四年十月二十一日現在の数字でございます。

阿部(弘)委員 そうなんですよ。

 これを見て不思議に思った。十五件のうち、十件は東京、そして、福井、大阪、山口、佐賀、各一件。つまり、ほとんどの家裁は、記録は、年限が過ぎたら捨てているんじゃないですか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所におきましては、保存期間が満了しました事件記録等は、特別保存に付するものを除きまして、規程の八条によりまして廃棄するということになっております。これに従いまして廃棄が行われているということでございます。

阿部(弘)委員 これから、もうなくなっちゃったものはしようがないけれども、復活できないでしょう。だから、さきの国会でIT化を始めたんですよ、裁判の。ですから、マイクロフィルムに撮るなり、今の技術を使えば、様々な方法で簡単に残せるじゃないですか。

 そういうのを、もう家裁レベルじゃ無理だというのは僕はこの数字を見て分かりますから、せめて家裁の上級庁、高裁になるんですかね、その上級庁あたりが管理監督して、永久保存を指定したものはずっと永久保存で残すようにされたらいかがですか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 事件記録等につきましては、原則として当該事件の第一審裁判所で保存されているということになっております。特別保存に付するか否かの判断につきましては、記録を保存する裁判所において行うのが相当であり、記録を現に保存する第一審裁判所において行っているという現在の規程は合理性があるものと考えています。

 もっとも、この度、耳目を集めました少年保護事件記録等を特別保存に付さずに廃棄していたということが明らかになり、最高裁といたしましては、改めて、これまでの特別保存の運用の在り方が適切であったか、適切な運用に向けた取組が十分であったかを第三者の目から客観的に評価していただき、将来にわたって事件記録の管理の適切な運用を確保していく必要があるというふうに考えております。有識者委員による会合を開催し、委員の意見等も踏まえまして、今後の検討を進めてまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 大津事件は、百数十年以上のものが国民はまざまざと今起きた事件のように見ることができる、そういう法曹界であってほしいと思いますので、是非ともよろしくお願いします。大臣の御意見を、感想を聞かせてください。

葉梨国務大臣 そうですか、あの平成九年のとき、阿部委員は厚労省にいらっしゃったんですね。私は、あのときに警察庁の少年課の理事官というのをやっていまして、まさにその捜査を担当させていただきました。

 ということで感慨はあるんですが、ただ、大臣として、今の個別の案件についてはなかなか触れるのは難しいんですけれども、ただ、やはり裁判所の事件記録というのは事件処理等には不可欠なものだと思います。名誉、プライバシーの保護、そういう観点を踏まえた適切な取扱いが必要ですけれども、やはり史料ですとか参考資料として重要な価値を持つものと思っています。

 二十六歳までということだけではなくて、やはり二十六歳までというのは、可塑性のある少年が罪と向き合う、だけれども二十六歳で本当にそれで終わりか、物によってはということもあるわけですから、本当に、委員御指摘のとおり、しっかり大切にしていかなければいけないなというふうに思います。

阿部(弘)委員 時間がちょっとなくなってきましたので、次の質問、足早に言います。

 私は、母と子の愛情、つながりというのは、今の民法では、前提として母子はつながっているものだというふうに今回の法改正でも思うわけです。しかし、母と子の別れ、これが今まさにある。

 私は、NHKのドキュメンタリーを見まして、戦後間もない頃、GHQの占領下、日本の女性は生きるために様々な努力の職業をしてきた。ある県のある施設の前に三歳ぐらいの子供を置いて、そこの前のトンネルを、お母さんは振り向きもせず、一目散に子供を置いて走っていくわけですよ。それは親と子の別れの瞬間です。子供はお母さんと何度も叫んでも、お母さんは振り返らない。その瞬間がある。

 今般は、匿名出産についても、あるいは赤ちゃんポストについてもお話ししたい。

 現地を見てまいりましたよ、赤ちゃんポスト。一生懸命、子供を生かしたいと赤ちゃんをポストまで届けて、そして、お母さんは非常に重傷を負って出産してある。孤独出産というのは危ないんですよ。でも、赤ちゃんポストがない大阪や札幌、ロッカーの中で赤ちゃんが死んでしまう。そして、トイレで赤ちゃんが死んでいるのが発見される。これは、本来は厚労省の話でございますけれども。

 じゃ、匿名出産についてお話ししたい。

 匿名出産というのは、元々、ドイツやフランス、中世の頃は、農家は赤ちゃんをキリスト教の教会の前に置いていった。そうすると、教会が育ててくれるからといって、育ててくれる。そういう流れがあって、今、フランスやドイツでは、匿名出産の数は非常に増えて、後追いして行政がその仕組みをつくっていった。

 ちょっと時間がありませんから、はしょって言いますけれども、済みません、答弁を準備してある方、申し訳ない。

 母親が子供を認知しないということが現実に起きるわけですよ。父親じゃないですよ、母が産んだ子供を認知しない。その視点が今の民法には欠けているんじゃないか。戸籍法にも欠けていると思う。

 フランスは、一生懸命努力して、匿名出産の方々から、生まれるまでの情報とか、パートナーとかは余り話さないけれども、九〇%以上はその情報を行政が仕入れるわけですよ。そうすると、成人年齢に達して、一定年齢に達したら、出自を知る権利が子供には保障される。

 今度のガイドラインでは、今の制度をなぞっただけで、母親の認知しない権利、この視点は全くない。そのことをこれからどうやっていくのか。

 時間がありません。

 入院一時金を四十二万円から五万円増やす。この入院一時金は、匿名出産や自宅で子供を産んだお母さんには支給されないんですよ。全国の妊婦さんに支給すると言っておいて、実は支給されない方がいるということ、そのことをまとめて厚生省の審議官に聞きますけれども、それはちょっとどうにかしてあげた方がいいんじゃないかと私自身思います。

 開かれたファイルに、出自を知る権利、それと入院一時金、まずは厚生省に聞いて、そして大臣に、これから、今すぐじゃなくていいです、やがて増えていくと思いますので。もう熊本県では七件ですよ。恐らく、本当は公立病院で全部やっているんですね、入院助産をやるところで、それが整備が整えば、もっともっと増えると思います。

 まず、厚労省からお願いいたします。

日原政府参考人 まず、出産育児一時金についてお答えをさせていただきます。

 出産育児一時金でございますけれども、こちらは、加入者の方が出産をされました場合に保険者が一時金を支給する制度でございますので、支給に当たりまして、やはり、その出産の事実でありますとか、被保険者記号、番号、あるいは氏名などの情報がどうしても必要になってまいりますので、保険者がこうした情報を把握できない場合は支給することは困難であるというふうに考えられるものでございます。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘ありました内密出産でございますけれども、今回、かねてより厚労省、法務省で戸籍の扱いあるいは医療機関での診療録の取扱い等についてお示しをしてきた通知などを総合する形でガイドラインというものを、現行制度でできることということでお示しをさせていただいたところでございます。

 御指摘のように、内密出産、そもそもの内密出産の在り方として見るならば、やはり、母とのつながりあるいは母に対する福祉的な支援が出産の直後に切れてしまうというのは、そういった出産の在り方そのものをどう捉えるかであるとか、あるいは、まさに御指摘のように、出自を知りたい権利との関係をどう捉えるのかなど、幅広い観点について様々な御意見がある状況でございまして、慎重に議論を深める必要のある課題であるというふうに受け止めております。

葉梨国務大臣 戸籍の関係では、内密出産であっても戸籍を作成するというのは、戸籍法上の問題としては別に法整備は必要はないということなんですけれども、出自を知る権利の関係というのがやはりどうしても残ってまいります。

 これは児童の権利条約にも書いてある権利なんですけれども、これについて、厚労省の担当になりますけれども、このガイドラインにおいても、お医者さんに対して周知徹底を図るとか、あるいは説得を図るとか、いろいろな項目があるというふうに聞いておりますので、また引き続き、厚労省とも連携を取りながら、先生の御指摘も踏まえて、今後の運用をしっかり見ていきたいと思います。

阿部(弘)委員 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 まずは、自治体によるウクライナ避難民への独自支援についてお伺いいたします。

 地元からの要望もありまして、今年の五月十一日に、経済産業委員会でも質問をさせていただき、法務省の参考人に御答弁をいただきました。引き続き質問をさせていただきます。

 現在、国がウクライナからの避難者に対する支援を実施している対象者は、日本に身寄りのない人に限定されており、対象者の大多数、約九割に当たる日本に身寄りのある人に対しては、居住している自治体等が独自支援を実施している状況です。

 まず、避難民の方々の自治体負担の状況について、五月に質問をさせていただいたときから見て増加傾向なのかどうかについてお伺いいたします。

西山政府参考人 お尋ねの、避難民の方々に対する地方自治体の負担状況ということにつきましては、地方自治体による支援の内容は様々でございまして、これらは各自治体の判断で行われてございますので、当庁としては、その各自治体の負担状況は把握はできていないという状況でございます。

 なお、お尋ねの負担と関連いたしまして、先ほど身寄りのあるないの人数のことをお触れになりましたが、五月十一日から十月二十四日までに千百五十二人のウクライナ避難民の方々が入国されておりますが、その方々の身寄りの有無の内訳でいきますと、身寄りのある方が九百九十七人、身寄りのない方が百五十五人となっております。

漆間委員 済みません、先ほどの千百五十二人というのは、五月の状況ですかね、現在の状況ですか。

 五月のときと今、喫緊で、どれぐらい増加しているかというのをちょっとお伺いしたいんですけれども。

西山政府参考人 失礼いたしました。

 五月十一日の時点では八百九十二人の避難民の方を受け入れてございまして、それ以降、十月二十四日までの間は、先ほど挙げた千百五十二人の方々を受け入れているということでございます。

漆間委員 やや増えているということでありますけれども、地元の自治体にとっても負担が増えている状況でございます。

 私の地元自治体からは、避難者の受入れは国の方針であって、国全体での対応であるので、身寄りのあるなしにかかわらず、日本に避難してきた人には同じ内容の支援を実施できるような制度設計にすべきであり、また、自治体が独自支援のために負担した財源は全額国が負担すべきと要望をいただいております。このような要望はうちの自治体以外の全国からも上がっているのかどうか、まずお伺いいたします。

 あわせて、こういった、どの程度の自治体が独自の支援を行っているのか、数や割合など、国は把握しているのかどうか。

 あわせて、査証の際、身寄りのある方がどれだけ避難民支援ができているかの調査はしっかりとなされているのでしょうか。

 三点、お伺いいたします。

西山政府参考人 まず、お尋ねの一点目、自治体からの要望に関しましてですが、ウクライナ避難民の支援に関して地方自治体が負担した費用の全額を国が負担すべきという要望は今のところ見当たりませんが、地方自治体等からウクライナ避難民支援に係る様々な要望をいただいておりますうちで、一部の自治体からは、地方自治体に対して財政支援を行うようにという要望は承っております。

 続きまして、自治体の独自支援の数等の把握についてお尋ねがございましたが、先ほども申し上げましたように、自治体における支援というのは各自治体の判断で行われておりまして、国に対して支援の申出があった自治体等につきましては、その支援内容について把握することもできておりますけれども、全国の自治体について網羅的にその支援内容の確認を行っているものではございませんので、独自の支援を行っている自治体の数等については把握できておりません。

 三つ目でございます。査証審査の際の調査、身元保証人の調査、しっかりできているのかというお尋ねでございます。

 現在、身寄りのある避難民が在外公館で査証申請を行う際、身元を引き受ける親族や知人の滞在費支弁能力に疑義が認められる場合には、外務省から法務省に対して査証協議がなされることになります。法務省において確認を行った結果、避難民として受け入れるべきものである者の身元保証人の滞在費支弁能力に疑義があり、身元保証人から適切な支援を受けられず生活に困窮する懸念があるというような場合には、個別の事情に応じて国が直接支援をする、身寄りのない避難民という扱いとして受け入れることにいたしております。

漆間委員 ちょっと再質問で聞きたいんですけれども、疑義がある場合は確認をしているということなんですけれども、しっかり保証ができているか、そういう保証の保証書みたいなものを多分提出されているかと思うんですけれども、それはしっかりと、身寄りのある方がそういう滞在費を保証しますということを全ての避難民に対して保証書の提出を義務づけているものなんでしょうか。お伺いいたします。

西山政府参考人 ウクライナ避難民の受入れにつきましては、政府で取り組んでおります緊急措置的な意味合いもございます。それで、個々の事情に応じて受入れの判断をしているところがございますので、今お尋ねがありましたような件も含めて、具体的な審査の内容等につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

漆間委員 身元引受人の方がしっかりとウクライナ避難民の方の生活を保証できているのかどうかに関しては、かなり疑問のあるところでございます。

 現に、自治体が独自支援をしていて、国に支援を求めている状況からすると、そもそもの制度設計として、身寄りのあるないにかかわらず、やはり国がしっかりと支援する体制に変えていかなければならないと思うんですけれども、大臣、コメントをよろしいでしょうか。

葉梨国務大臣 今回のウクライナ避難民、今も政府参考人からも答弁ありましたように、非常に、国際協調に加えて、緊急性ということで、当初は、国の支援も最初は六か月だったものを、もう一年延ばしてみようか、みようかと言ったらちょっとおかしいですが、もう半年延ばすということで一年にした、そういう経緯もありますし、非常に緊急的なものであるということから、身寄りのない方について御指摘のような支援をさせていただいているわけですが、身寄りのある方については、やはり、制度のたてつけ上は、地方創生臨時交付金、これは相当、補正予算等で積み増しをいたしましたので、そちらでいろいろな形での地方自治体による支援というのを行っていただくという、今の緊急的な状況においてはもうそうならざるを得ないのかなというふうに思っております。

 ただ、このウクライナ避難民というのは、前もこの委員会でも議論がありましたけれども、特定活動で受け入れている方が多いわけなんですね。ですから、特定活動ということになるとそういう形にならざるを得ない面もあるんですけれども、やはり、今回、補完的保護対象みたいなものでしっかりと庇護すべき対象というような法的な位置づけがまだないものですから、身寄りのない方についての支援ということにある程度とどまっている面があるということで、早急に法的な対応も進めていかなければいけないなというふうには感じています。

漆間委員 今回、緊急的なことということでありますので、これを契機にしっかり体制を整えていただきたいと思います。

 もう一点、地方自治体の独自支援なんですけれども、国の支援制度に合わせた支援を行っておりまして、例えば、九月に半年間の受入れ期間延長ということでありますけれども、これに地方自治体も独自支援を半年間延長と合わせているところなんですけれども、この期間延長に関する情報提供、国から地方自治体への情報提供が遅かったということをちょっと聞いております。そういうこともありますので、地方自治体への情報提供も迅速に、密にお願いしたいと思います。

 こちらに関して何かコメントはありますでしょうか。

西山政府参考人 ウクライナ避難民の方々への適時適切な支援を行っていくために、委員が先ほど来御指摘のように、国と地方が十分に連携していく必要があり、そのためには、国から地方自治体に迅速に必要な情報を提供する、これが非常に重要で不可欠なものというふうに私どもも認識しております。

 委員の今御指摘がございましたけれども、地方自治体への情報提供については、これまでも提供する準備ができたものから順次自治体へ提供を行ってきたところではございますけれども、先ほどの委員の御指摘も踏まえて、より一層迅速に情報提供を行えるよう努めてまいりたいと考えております。

漆間委員 是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、地元の報告会でちょっと御意見をいただきました、在日ロシア人の方々の人権保護についてお伺いいたします。

 本年四月に、JR東日本の恵比寿駅で、利用者からの声でロシア語案内表記を一時覆い隠したという報道があったところです。

 ロシアのウクライナ侵略以降、在日ロシア人や、あとウクライナの避難民の方々なども併せて、偏見や差別の事例を法務省としてはどのように把握して対応しているのか、お伺いいたします。

松下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のようなロシアによるウクライナ侵略をめぐる偏見、差別に関する御相談は、法務局に対して寄せられてはおりますけれども、その数としては僅かでございます。

 その御相談の内容につきましては、相談者のプライバシー保護などの観点から、お答えは恐縮ですが差し控えさせていただきたいと存じますが、法務省の人権擁護機関では、御指摘のような報道などがあったことを踏まえまして、誹謗中傷や排除が生じないようにするため、SNSを通じまして、不安や怒りなどを偏見や差別につなげることなく、良識ある言動を取るようにと呼びかけるメッセージを発信するなど、様々な人権啓発活動に取り組んでいるところでございます。

漆間委員 是非、差別や偏見のないようにお願いいたします。

 なお、窓口がなかなか、法務局の人権擁護課にそういった差別を受けている方々が声を届けるというのはなかなか難しいのかなと思いますので、こういった報道を通じて知ったことからも、対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、ロシアが九月に部分動員令を発令いたしました。訓練もほとんどないまま厳しい戦地に送られるという報道もあるところです。

 今後の話として、ロシアからの徴兵を逃れるために日本に脱出してこられた方について、日本政府は保護できるのでしょうか、お伺いいたします。

西山政府参考人 あくまで一般論として申し上げることになりますけれども、お尋ねのような方々から我が国で難民認定申請がなされた場合には、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、条約の定義に基づいて、難民と認定すべき者を適切に認定することとなります。また、難民と認められない者であっても、本国情勢等を踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる者には、入管法の規定に基づいて我が国への在留を認めているところでございまして、そのような取扱いを行うことになると考えております。

漆間委員 是非、適切な判断で、保護をよろしくお願いしたいと思います。

 私からの質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会の、埼玉の沢田良です。

 私は、この臨時国会より、法務委員会の理事、そして党の法務部会長として法務行政に携わることになりました。本日は、初めて法務委員会で質疑をさせていただきます。

 葉梨法務大臣は、警察庁の御出身であり、第二次、第三次安倍内閣で法務副大臣をされ、また、二〇一六年には法務委員長も歴任されていらっしゃいますので、まさに法務行政を知り尽くした大臣と存じております。経験豊富な大臣と、法務委員会を通じ、我が国の屋台骨を支える法務行政について議論させていただけることは大変貴重なものです。この機会を国民の皆様にとって有意義なものにできるよう、前向きに議論を尽くしていきたいと考えております。

 葉梨法務大臣、伊藤委員長、関係省庁の皆様、そして委員部の皆様、そして法務委員会の全ての委員の皆様、本日よりよろしくお願いいたします。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 先日、大臣所信を拝聴いたしました。冒頭で、職員それぞれが常に使命感とバランス感覚を持って事に当たることが求められる、そして、職員の使命感の涵養と風通しのよい職場環境の整備に全身全霊で取り組む所存ですという、法務省職員の皆様への御期待と、そして働きやすい職場環境へ取り組む大臣の意気込みを強く感じさせていただきました。

 少し法務省からは外れてしまうのですが、葉梨大臣は警察庁に十七年間在籍なさっておりましたので、是非お伺いしたいことがございます。

 昨今、SNSなど手軽に動画をインターネット上に公開できるようになっております。警察官や機動隊の方々の公務を無断で撮影し、動画のネタにしたり、悪意を持った使用をする、そういったケースも多く見受けられます。

 私は、警察や機動隊の方々というのは、職業柄、プライバシーの重要性が直接命に関わるような職業であることから、職員の皆様が御不安を抱えているのではないかと強く感じております。

 葉梨大臣はそういったことを御存じでしょうか。また、問題意識がございましたら御意見を教えてください。

葉梨国務大臣 御指摘のような事案があることは承知しております。なかなか現場も困っているところはあるだろうというふうに思うんです。警察官に限らず、せんだっても、山手線でJRの職員が動画を撮られて拡散されたとかいう例もございます。

 ただ、それぞれの個別事案について私からコメントするというのはなかなか難しいところはあるんですが、公務員であろうが、例えばJRの職員であっても、やはり人格権や人格的利益というのは保護されなきゃいけないというふうに思っています。

 私どもとしては、インターネット上の不適切な情報については、それを削除するようにいろいろなところで要請をさせていただいておりますし、また、啓発活動の中で、やはりインターネットの適切な利用ということについても啓発をさせていただいているんですけれども、しっかりとそういう努力を続けていかなければいけないというふうに思っています。

沢田委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり、まずリーダーである大臣がこういった御認識を持っていただいているということが、昨今、子供たちも本当にSNSを身近に使えている状況で、どういった教育の中でどうやって使っていいかということも分からない状況がどんどんどんどんつながっていったときにこそ、しっかりとリーダーシップを取って大臣の方で引っ張っていっていただければと思います。

 今大臣からもおっしゃられたように、この問題というのは警察や機動隊の方だけの問題ではなく、特に私は、法務省の職員の皆様、こういった方々も、大変危険というか、こういったものがある仕事だと思います。インターネット上の書き込み等が他人を傷つける道具となることがないように、利用のルールやマナーの啓発と不適切な書き込みの解消に取り組むといった言葉も大臣所信の方に、先ほど大臣も言っていただきましたが、あったことも、職員の皆様の人権を守ることにもつながっていくということに思いますので、是非、私たちの日頃の暮らしを支えてくださる警察や機動隊の皆様だけでなく、しっかりと、裁判官出身や検察官、公安調査庁、入管等の職員がいらっしゃる法務省もまた、他省庁に比べてそういった部分、高いと思いますので、是非、風通しのよい職場環境、こういったものも含めて整備するとおっしゃられた大臣自身がどのように動いていただくのかというのを前に進めていただければと思います。

 ちなみにですが、法務省の大臣所信の中で、風通しのよい職場環境を整備すると大臣の方でおっしゃられましたが、具体的にどのような動き方をされるのか、ちょっと教えていただいてもいいですか。

葉梨国務大臣 風通しのよい職場環境といったときに、それぞれ、横と縦といいましょうか、両方あるだろうと思うんです。えてして法務省の行政の場合、例えば矯正について、刑務所の中のことを聞く、入管のことを聞く、保護のことを聞く、それから刑事局に聞く、民事局に聞く、何となくばらばらのような感じも持つ、印象も持たれるかと思うんです。

 ただ、やはり、刑事の場合でしたら、まさに法秩序と、それから被疑者、被害者、その人権、それをどうバランスを取るか。民事の場合は、財産権という権利とその財産権を律する公共の福祉とどうバランスを取るか。矯正の場合も、収容所内における秩序の維持と収容者の人権の尊重をどうバランスを取るか。入管も同じですね。収容者の場合であれば、まあ審査もあるんですけれども、収容者とか外国人の人権と、適切な出入国管理と、それから収容所内の秩序の維持をどう図るか。保護というのは、まさに、犯罪を犯した方、どういうふうな形で社会に入っていただきながら秩序の維持を図っていくか。公安調査庁もあるんですけれども。

 ということで、それぞれが、法秩序と人権尊重のバランスということで、全ての局、部署が同じ悩みを抱えているということを、やはりみんなで横の連携を取るということが、一つのチームとしての力を発揮するのに非常に大きな推進力になるんじゃないかということで、まず、そういう法秩序の維持と人権の尊重、そのバランスは全てに貫き通すものですよ。

 ですから、そういったような難しいバランスをしっかりと組織としても取っていくためには、これはもう、さっきの縦の連携、縦という言い方がいいのか分かりませんけれども、いろいろなことを話をし合うことができる、そういうような風通しのよい職場もつくっていかないといけない。

 そういう意味で、私も、しっかり現場を回りながら職員の士気高揚等に努めていかなければいけない。そして、その上で、やはり職員のワーク・ライフ・バランス、ここをしっかり目を向けながら、国民のためにみんながいい仕事をしていかなければいけない、そういうふうに思っています。

 法務省、御指摘のように、裁判官出身もいれば、検察官出身もいれば、総合職出身もいれば、それぞれの採用において異なるところがありますけれども、そこがしっかりと風通しのいい形で連携が取れる、そういうような組織づくりのために私も力を尽くしたいと思っています。

沢田委員 ありがとうございます。

 やはりちょっと、縦とか横と言われるとどうしても、我々の考えでは縦割りとか、横というとデジタル庁が横に串を刺したなんということが言われている中でですけれども、大臣の方からデジタル化、IT化の推進ということにも言及がございましたので、やはりデジタル庁に横のつながりをつないでいただくということは是非やっていただきたいなと思うんです。

 デジタル化、IT化の本質は、職員の皆様がより精度の高い仕事に集中できること、また国民の皆様がより身近に使いやすいサービスにつなげていくことが私は大事と考えております。特に、民間も含めて全国的に人材不足が叫ばれている中で、公務員離れというのも問題になっておりますが、少子高齢化のトレンドを考えれば、人材不足を受け入れながらやっていかなければならないとも考えております。

 私は、優秀な法務省の職員の皆様でなければならない業務以外は、積極的にデジタル化、IT化で代用していくことが不可欠と考えておりますが、具体的に、今回の所信にあったIT、デジタル化というのを、業務改革を行う中で、今分かっている範囲でどういったことをやろうとしているか、教えていただければと思います。

押切政府参考人 お答えいたします。

 本年六月に閣議決定されましたデジタル社会の実現に向けた重点計画において、各府省庁のLANシステムにつきましては、デジタル庁が整備する最新技術を採用した業務実施環境であるガバメントソリューションサービス、通称GSSに移行することが原則とされております。

 これを踏まえ、法務省においては、GSSの活用を基本方針とし、そこへの移行について検討をしているところでございます。

 GSSへの移行が実現しますと、事務処理に利用するパソコンのモバイル化、無線LANの整備、クラウドサービスの活用等の業務環境の刷新が行われ、働く場所を選ばない、全ての職員がリモートワークを実施できる環境、ウェブ会議やチャット等の新たなコミュニケーションスタイルの定着などといった業務改革に資する環境整備が実現され、事務処理における生産性の向上等が見込まれております。

 法務省の雇用環境整備にはデジタル化、IT化が重要であると認識しており、GSSへの移行に向けた取組など、セキュリティーも十分に確保しながら、デジタル技術を積極的に活用した業務改革に、葉梨大臣の下、取り組んでまいる所存でございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 追加で言わせていただきますと、先ほど日本維新の会の阿部委員からも指摘がございましたけれども、神戸家裁の資料廃棄の問題について最高裁判所より御説明いただきましたが、紙での保存だからこそ、現実的な運用として廃棄を定期的に行わなければならないというのは、これはやはり古い考え方だと思います。今、デジタルの中で、無制限にデータを持って、このデータがまたドリブンする、またつながっていくことで新しい可能性を生み出せる、こういう時代になってきておりますので、是非、ほかの省庁に先んじてデジタルでの保存の徹底を進めていただけるようお願い申し上げます。

 今回、公務員の皆様の働く環境について一番最初に質問させていただいたのには、私、一つ考えがありまして、私の所属します日本維新の会が公務員の皆様を目の敵にしているのではということをよく声をいただきます。確かに、税金の使い方について厳しい意識は持っておりますし、公務員給与の基準を決めている人事院勧告の仕組みがどうしても大企業中心であるのではないかという立場で反対を続けておりますが、多くの国難を抱える日本をしっかりと導いていくためには、政治が覚悟を示すだけでは足りないということも当然ながら理解しております。

 政治と行政の連携は必須です。公務員の皆様が活躍できる、そしてやりがいを持って取り組んでいただける環境づくりに、我々は耳を傾け、全力を尽くすことが必要と考えておりますことをお伝えしたかったということがあります。

 本日来ていただいている関係省庁の皆様も、是非、維新に対して苦手意識を持たずにお気軽に声をかけていただければと思います。

 続きまして、ポストコロナ時代を見据えた出入国管理体制の計画的整備についてお伺いいたします。

 出入国管理において、私は情報の管理というものが大変重要と考えますが、日本において情報をつかさどる部署は主に五つあると存じております。法務省の公安調査庁、内閣府の内閣情報調査室、警察庁の外事情報部、そして外務省、防衛省、これらの関係部署との連携がより一層重要だと思いますが、御見解を伺いたいと思います。

西山政府参考人 先ほど委員から御指摘ございました関連で、私ども出入国管理庁としては、テロリストを含めた危険人物の水際での確実な阻止、これが私どもとしても非常に重要な任務と考えておりますけれども、そのためには、これら要注意人物に関する可能な限りの正確な情報を可能な限り多く入手することが極めて重要であると認識しております。

 この点、入管庁におきましては、関係機関と連携を図りつつ、テロリストや犯罪者等の情報を収集、分析し、要注意人物リスト、いわゆるブラックリストに登載するなどして、そのような危険人物の確実な入国阻止を図っているところでございます。

 今後も、引き続き、関係機関との情報連携を強化し、テロリスト等の入国を確実に阻止するための水際対策に、更に強力に推進してまいりたいと考えております。

葉梨国務大臣 後段、公安調査庁についての言及があられましたので、その点についてちょっとお答えをしたいと思います。

 連携の関係は他の省庁にも聞いていただければと思うんですが、所信でも述べましたけれども、非常に我が国の安全保障環境は厳しさを増しています。また、経済安保、そこら辺についての必要性も非常に問われています。ですから、その情報の分析、これはもう極めて重要だと思っています。

 先ほど公安調査庁に言及しなかったのは、この問いがあるということを聞いておったからなので、公安調査庁の職員も、しっかりその情報分析、情報収集、分析能力、これを強化をさせなきゃいけないし、さらには、関係するコミュニティー、各省庁のコミュニティーとの連携を更に緊密にしていかなければいけないということで、私どもも概算要求の中で所要の増員も要求をさせていただいています。

沢田委員 どうもありがとうございます。答えていただけると思わなかったので、大変ありがたいです。

 ちなみに、先ほど挙げさせていただいた五つの部署なんですけれども、細かいことは、もちろん秘匿性がありますと思うので、説明できないと思うんですけれども、ホームページには載っていないような連携のざっくりとしたイメージですね、この動画を見ている方もいらっしゃると思いますので簡単に教えていただけますか。

河野政府参考人 現在の情報コミュニティーは、内閣直属の情報機関である内閣情報調査室を始め、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省といった情報コミュニティー各省庁が、内閣の下に相互に緊密な連携を保ちつつ、情報収集、分析に当たっております。

 具体的には、内閣官房長官が議長である内閣情報会議や、その下に置かれる合同情報会議を通じるなどして、各省庁が収集、分析した情報が集約され、総合的な評価、分析を行う体制が整備されており、情報コミュニティーとして機能していると認識しております。

 政府といたしましては、引き続き、各省庁の緊密な連携に努めつつ、政府における情報の収集、集約、分析の一層の充実強化を図ってまいりたいと考えております。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 やはり、先ほども縦割りという言葉を使わせていただいたんですけれども、まさに国を守る情報、これが縦割りで、もし分裂してしまうと、本当に重要な情報で、国民の命に関わるようなものもございますので、是非、今説明していただいたような枠組みの中で連携を取っていただければと思います。

 先ほど大臣の方からもちょっと説明いただきましたが、昨今、ロシア、ウクライナの、侵略であったり、ミサイルを撃ち続ける北朝鮮、領海に侵入し続ける中国、また、高まる台湾有事へのリスクといった安全保障環境が緊張感を高めております。また、そういったものがより一層高まるという可能性も考えたときに、大臣がおっしゃるように、公安調査庁の機能強化を明確におっしゃる大臣の姿勢は、私は安心感を持たせていただきます。

 私個人としては、更に踏み込んで、スパイ防止法の制定や、今よりも踏み込んだ情報機関の創設が必要と考えておりますが、現在のインテリジェンスコミュニティーを維持するという前提であれば、公安調査庁の機能強化にとどまらず、このインテリジェンスコミュニティー全体の予算、権限などの底上げが必要と考えます。

 他省庁のことなので大臣はお答えづらいとは思うんですけれども、警察や法務を、やはりほかの大臣と違って知り尽くした大臣だからこそ、現場目線でそういったことに対してどのように考えられているのか、少し教えていただけませんか。

葉梨国務大臣 底上げが必要という点では、私も全く同意見でございます。

 警察にもまだ、私も、後輩になりますが、残っておりますし、私の同期も内閣調査室にもおりますので、しっかり連携を、私自身も、公安調査庁を督励して連携を図るだけではなくて、そういった体制面、底上げの整備、そこに努力をしていきたいと思います。

沢田委員 大臣、心強い御答弁ありがとうございました。

 本日の質疑ですが、以上となりますが、引き続き議論を尽くしていけるように、葉梨大臣ほか関係省庁の皆様、委員部の皆様、よろしくお願いいたします。

 以上で質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 質問に入りたいと思います。

 大臣は、所信の中で、今日も何人かの方から御質問があったんですけれども、我が国の法の秩序の維持と国民の権利の尊重という二つの要請をバランスの取れた形で実現することが不可欠だ、法務行政の、まさにそのことが求められているというふうに述べられているんですね。

 でも、このバランスというのは、これはなかなか難しいなと。私も質問を考えながら、この抽象的な、バランスの取れたという言い方を公文書みたいな形で残してしまって、では何をもってバランスが取れたと判断するのか。一年おやりになるか二年おやりになるか、振り返ってみたとき、自分がやってきた大臣としての仕事で、バランスが取れた、何を尺度にしてバランスが取れたというふうにお考えなのか、まずお尋ねしたいと思います。

葉梨国務大臣 鈴木委員、またよろしくお願いします、引き続き。

 確かに、言うはやすく行うは難しというところはございます。でも、私自身、なぜあの所信の中でああいうような言葉を使ったのかといいますと、それは、管理職であれ第一線の職員であれ、常にそういう気持ちを持ちながら、自らの仕事、業務というのをやはり遂行していかなければいけない。つまり、一つ、片っ方の方だけに偏って仕事を遂行すればいいというわけではなくて、常にそのバランスの中で我々は立っているんだということを、仕事を遂行するに当たって、頭の、無意識下でも結構なんですが、しっかりそういうことを踏まえた仕事なんだということを理解をしていく、このことがまず最初だと思います。

 結果として、どういう形でバランスが取れている、取れていないというのは結果においての話なんですけれども、業務の遂行の、業務を行うに当たっての心構えとしては常にみんなが持たなければいけない。そのことにおいては必要なことだし、ですから所信の中でバランスということを使わせていただいたということです。

鈴木(義)委員 そうしますと、近年、近隣で迷惑行為、例えば水をまいたとか、大きな音を立てる、ごみ屋敷の問題等々で、法の秩序維持以前に、社会的モラルや規範が、一昔前は、世間が見ているというのが一つの抑止力だったんだと思うんです。他人に迷惑をかけることはするんじゃないと、私も親から言われたなというふうに思われるんですけれども、社会的道徳心が低下しているような事件が多くなってきているような気がするんです、これが刑法犯なのか何の法律かは別にして。

 さらに、国を挙げて少子化対策に取り組んでいるにもかかわらず、近隣住民から子供の声がうるさいからということで反対をされて保育園ができなかったり、例えば幼稚園や小学校の運動会や伝統ある神社やお寺の祭礼に対して、うるさいと苦情の電話を入れるんですね。それによって開催時間の短縮や中止を余儀なくされることが、地元でもよく聞きます。

 例を挙げれば枚挙にいとまがないんですけれども、例えば今の時代、時代が変わったなと。十二月三十一日から一月一日の夜に除夜の鐘を鳴らすんですけれども、近所からうるさいと言われて、昼間鳴らすというんです。除夜の鐘じゃねえだろうって私は思うんですけれども、これは国民の権利なんでしょうかね。

 その地域には地域の歴史や地域の秩序というのがあったんだと思うんです。それが崩壊しつつあると感じるのは私一人だけではないと思うんですね。

 このような社会の変化に対応する法務行政をつかさどる大臣としての、先ほどのバランスも含めて、再度お尋ねしたいと思います。

葉梨国務大臣 なかなか、法務省が地域におけるいろいろな苦情に対応するということは、場面としては考えづらいところがあるんです。ただ、しかしながら、まさに委員のおっしゃられるような問題意識というのは、私も時々感じることがあります。

 だから、最近私どもが進めているのは法教育です。これは所信の中にもあるんですけれども、互いが尊重し合うことができる社会をつくるためには、法的な物の考え方やルールの必要性というのを子供の頃から教えていく、そのための教材も作っています。

 では、法的な物の考え方というのは一体何かということなんですけれども、やはり、まず基本的には、他人に迷惑をかけないためにルールがある。でも、ルールだけではなくて、やはり他人に迷惑をかけてはいけないし、権利を主張するというときに権利の濫用にわたるようなことはあってはならない、これが基礎にある考え方ですので、そういったことを、地道ではあるんですけれども、法務省としてもしっかり法教育の推進というのを進めていかなきゃいけないなということを、委員の御質問を聞きまして感じた次第です。

鈴木(義)委員 法務行政のトップが個別の案件についてコメントを差し控えるという答弁をよくお使いになるんですけれども、だから駄目なんじゃないかと思うんですね。やはり、こうあるべきだというのを法務行政をつかさどっている大臣が強く発信することで、大体、トラブルを起こしている人は低年齢の人じゃないんですよ。みんな私よりもずっと先輩の人たち。その人たちに再教育するといったって、それは無理だと思いますよ。

 子供の頃教育されたから、そのままずっと大きくなれば、この世の中、犯罪はないですよ。でも、現実はそうならない。だから、それをどう対応していくかという。逆の立場でいけば、私も難しいなと思って質問しているんですけれども。

 次に、組織のトップとしては大変孤独なんじゃないかなと思うんです。自分が考えていることを部下に伝える。分かっているだろうと思うことなく指示を出すんです。私もそうです。正確には、でも伝わっていかない、自分の意図することが。どなりはしないんですけれども、何回も同じ過ちをすると、ちょっと、何でそこを間違うの。まあ、諭すような言い方はするんですけれども。

 本省の職員は、まだ大臣が直接いろいろやり取りがあるんですけれども、出先の職員、先ほども、いろいろなところに出向いていって自分の理念を伝えたいという答弁をされていたと思うんですけれども、出先の職員でいる人、本庁もそうなんですけれども、自分の仕事があるんですけれども、実際、何らかの形で国民と接していると思うんですね。そこから得られた情報が必ず行政の中に入ってくると思います。

 それが、下からいろいろな情報を上げていったときに、何人の職員さんがいらっしゃるか、また、法曹界まで入れたらもっと数が多いんだと思うんですけれども、その人が上に上げていった情報で、必ず、人を介すと、その人のバイアスが自然とかかってしまうと言われているわけです。これは要らない、これは要る、この報告は上に上げる。でも、捨てた情報が本当は大事なのかもしれない。

 それで、江戸時代もそうですけれども、目安箱を置いたり、時には法務省としてアンケートを取ったり、今は、メールなどのSNSで直接声を聞こうじゃないか、これは自治体の長も同じことをやっていると思うんです。

 それで、先ほどもお尋ねがあったように、職員の使命感の涵養と風通しのいいというのは、そういった国民と接している中でいろいろな情報をどうキャッチするのか。それをきちっと自分のところまで、これは全部上げてこられたって全部目は通せないと思うんです。そこのところの取組、どうこれからおやりになるのか。

葉梨国務大臣 なかなか具体的にというのはあれなんですが、しっかり耳障りな話もこちらに上がってくるようにと。ただ、それは量的なものもありますので、そこは、まずは今、私も副大臣のときもそうだったんですけれども、ずっと現場を回りながら、職員の顔色、顔色というか、御機嫌を取るという意味じゃなくて、どういうような、生き生きとした顔をしているのか、そうじゃないのかといったこともよく見て歩きながら、では、具体的にどういうような形で私のところにその声が届くようにするか。

 実は今、各局とも、教育訓練の仕方とか、どういう形で、特に矯正が一番数が多いんですね、法務省の場合は。ですから、どういう教育訓練の話をしていくのか、あるいは、現場においてどういうような議論をしていくのか、そして、その中で私にどういうようなものを上げていただくのか、そんな議論も始めておりますので、まだ具体的にこういう形というものができているわけではありませんけれども、是非そういう取組は進めていきたい、また、早急に進めていきたいと思っています。

鈴木(義)委員 過去に法務省でも、事件というんですかね、不祥事みたいな形で報告が何件かあったんですけれども、人なのか、その職場環境なのか、それともそれを吸い上げようとする制度が疲弊しちゃっているのか、老朽化しちゃっているのか、壊れちゃっているのか、破損しちゃっているのか、そこのところをやはりきちっと切り分けして、どこを対応するか。職員だけじゃないんだと思うんです。職員は一応やっているんですけれども。私もそうです。どんなに訓練して、どんなに知識を得たとしても、結局、ヒューマンエラーは直らないんですよね、私もそうですけれども。そのヒューマンエラーを極力少なくするのにどうするかということに尽きると思うので、是非、不断の努力をお願いしたいというふうに思います。

 次に、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップを策定し、取組を推進していくというふうにあるんですね。これは日本国内での取組を示しているんですけれども、来日する外国人の方にも我が国のこうした取組を理解してもらうというのも大事なんじゃないか。

 今、日本の国内に、外国人登録されている外国籍の方が二百八十万ぐらいいらっしゃると思うんですね。そういう人方に日本の取組をやはり理解してもらうことも大事なんじゃないか。日本語で幾らホームページで書いてあったって、誰も見ないですよ。自分の国の言葉で書いてあれば別ですけれども。また、その機会がなければなかなか理解してもらうというのは難しいと思うんですけれども、まず、それについてどう取り組んでいくか。

葉梨国務大臣 鈴木委員おっしゃるとおりだと思います。

 私どもの取組を外国人の方々に知らせていくというのは非常に大切な取組で、今現在、準備を進めているところなんですけれども、このロードマップ、まずはロードマップの概要について、十四か国語、これで、多言語翻訳を進めています。今、準備を進めています。早急に行いたいと思います。

 また、在外公館ですね、関係機関と連携して、また外国人を受け入れる機関などとも連携して、来日する外国人に対しても、来日される方に対しても、このロードマップを周知するようにまず努めていきたいと考えています。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。頑張ってください。

 次に、電子渡航認証システムというのがあるんですね。ESTAは、二〇〇九年にアメリカで導入されて、渡米する旅行者の適格性を判断する電子システムなんだそうです。アメリカ、カナダ、オーストラリア、スリランカで導入されていて、申請する内容は国によって若干異なるんですけれども、パスポートに記載されている基本情報に加え、犯罪歴や伝染病の病歴、過去の渡航先、連絡先、これらの情報を基に安全な入国者であるかが判断されるということです。経歴によっては、電子渡航認証ではなくビザが必要なケースもあるとのことで、隣の韓国では、二〇二一年九月から、安全性強化の目的で、事前に、電子渡航認証システムを導入していくと聞くんです。

 特に、韓国でなぜこれを入れたのかといったときに、外国籍の方が韓国に入ってきて、二人に一人、強制退去させているんですって。そういう実例が隣の国にあるということですね。だから、こういう、事前に一回審査しましょうということなんですけれども。

 ビザなし外交でいろいろな国と日本もやっていますけれども、我が国において導入する考えはあるのか、お尋ねしたいと思います。

葉梨国務大臣 韓国は隣国ですけれども、ちょうど私、平昌オリンピックの前に、当時法務副大臣だったんですが、韓国に行ってまいりまして、当時、今度私どもが導入しようとしている相互事前旅客情報システム、iAPIですが、これが韓国にあるということもまた知りました。

 それと、今、入国管理の話ですけれども、民事関係においてもIT化が相当日本よりも進んでいるなということで、やはり、見習わなければいけないところは見習わなければいけないということを痛感しておったんです。

 そこで、今お話ししたとおり、まずは、現在、我が国では、海外の空港での航空機搭乗前に、本邦に渡航予定の外国人の情報を航空会社と出入国在留管理庁の間で交換することで航空機搭乗前の事前スクリーニングを可能とする相互事前旅客情報システムの導入を今検討しています。

 御指摘のような電子渡航認証システムの導入によって本邦渡航前の事前スクリーニングを強化することで、テロリスト等の問題のある外国人の入国を未然に防ぐとともに、到着空港における円滑な入国審査を実現すること、これは非常に重要な課題なんです。

 ただ、これの導入に当たっては、航空機の搭乗前に渡航認証取得の有無を含めた事前スクリーニングを行うことによって、認証を受けていない外国人の渡航を阻止する仕組みというのが必要になってまいります。

 ですから、そういった意味で、法務省としては、今後も、こういったような認証制度も含む事前スクリーニングの強化のための施策について不断に検討していくこととしたいと思います。

鈴木(義)委員 日本のことを理解してくれる外国籍の人が来ていただくのは結構なんですけれども、いろいろな意図を持って来られた人で、手続の不備をついて入ってきてしまうという方を退去させられないというのはやはり理不尽だと思うんですね。真面目にやっている人が逆にかわいそうだというふうに思いますので、是非早めに対応してもらいたいなと思います。

 それと、あと、通常国会のときにも、デジタル化、IT化という話があったと思うんですけれども、前にもお尋ねしたように、やはりどこかで横串を刺さないと、チェック・アンド・バランスが取れないんだと思います。

 それで、例えば、これは一つの事例、時間がないので事例を挙げますけれども、知り合いの弁護士さんに聞くと、文書を作成するのに一太郎を使っているというんです。ワードですよね、私たちが主流で使うのは。私もそうなんですが、えっ、何で半角ずれちゃうのって。半角ずれるんです、改行すると。そうすると、使いづらいから、一太郎の方がそこは細かく設定できる、こういう話なんですけれども。

 そうすると、デジタル化して共通化していくのに、PDFでやるのかテキストでやるのかは別としても、やはり、共通の使い方をしていかないと、データを集めることもできないし、それを共通の形で共有化して、データを残すということにもつながらないんじゃないかと思うんです。

 先般も、ある書類が紛失したと。これは紙で残すのか、私はデジタルとダブルチェックした方がいいと申し上げたんですけれども、私たちが使っているこの紙も、結局、印刷機なりコピーをしているわけですから、これが半永久的にずっと、色も変色することなく、百年も二百年も残るかというのは分からないんです。この黒のインクは、結局、カーボンをプラスチックを介して圧着させているだけなんです。だから、時間がたつとこの文字がぺらぺらっと剥がれてみたり。だから、ペーパーで残すのもどうかなというのもあるし。

 じゃ、デジタルで残すというんですけれども、記憶の媒体が、文明が変わることによって形が変わっていきます。今、だって、カセットテープレコーダーでデータを保存するなんてあり得ない話ですよね。今、みんなUSBのメモリーでやっていますよ、ハードディスクは別としても。そうすると、それがまた違うものが、デバイスが出てきたときにはもう使えなくなっちゃう。

 だから、やはりダブルでやっていくような形を取っていった方がいいんじゃないかと思うんですが、あくまでもデジタル、デジタルといったときに、クラウドの話にだんだんなっていくんですけれども、そこで情報漏えいだとかサイバー攻撃が起きたときに誰がそれをチェックしますかという話なんです。

 そこの辺をこれから取り組んでいかれると思うんですけれども、御答弁いただきたいと思います。

葉梨国務大臣 しっかり取り組まなきゃいかぬなと思います。

 データの管理というのは非常に大きな問題ですが、一つ、横串のフォーマットというのは物すごく大切です。

 その上で、今、鈴木委員からも御指摘があったように、バックアップですね、全体のデジタル化を図るためにデータセンターをどういう場所に置くかとか、そういった検討も進んでいます。また、セキュリティーの問題も非常に大切だと思います。

 その意味では、これは政府全体の課題ですから、よく関係省庁、連携を取りながら、まだセキュリティーチェックとかそういう段階までは行っていないんですけれども、しっかり横の連携を取っていかなければいけないというふうに思います。

鈴木(義)委員 是非その辺も、新しいものが、どんどんどんどん技術革新していく中で、バージョンアップだったり更新をしていかなくちゃいけないことも視野に入れて対応していただければと思います。

 それと、あと、次に質問したいんですが、これは所管外だと言われる可能性があるんですけれども、国内に監視カメラと言われるものが五百万台設置されているんだそうです、それが推計されていると聞くんですけれども、監視カメラの映像から、犯罪者の検挙や行方不明者の捜索に大変役立っているのは認識するんですけれども、しかし、その映像の利用に関してルールが決められていないんじゃないかということなんです。

 確かに、総務省だとかほかの省では、ガイドラインというのは作ってあります。ただ、個人の、先ほど、一番冒頭、最初にお尋ねした国民の権利の尊重とか法秩序の維持というところにつながっていくんですけれども、そこに対して、これからまだまだ、監視社会というんですかね、監視化されていく社会が進んでいくと思うんです。

 法務省として、その映像の取扱いの指針をきちっと法務省の見解として出すことはできないか、こういうお尋ねです。

葉梨国務大臣 委員もおっしゃられたとおり、基本的には、例えば、個人情報保護委員会とか、あるいは、もし犯罪捜査にそれを使用するという場合は、警察において検討する話なのかなというふうに思いますが。

 私が伺った話では、防犯カメラ、これは、例えば商店街とか町内会が設置することが多いようです。それを犯罪捜査のために使うに当たっては、どういう範囲を見せていただきますよということは、個別に対応しながら、それが違法な証拠と認定されないように十分注意はしているというふうに伺っていますけれども、今のお話を、また、個人情報保護委員会、それから警察庁とも、こういう質疑があったということも共有させていただきたいと思います。

鈴木(義)委員 もう時間がないので。民主主義を破壊させる巨大IT企業による監視資本主義と題した記事が目に留まったんですね。結局、現在のネット空間では、人々がパソコンやスマートフォンで情報を検索したり、ネット交流サービスなどを使ったりするたびに、利用履歴が、個人的に関するデータが収集される仕組みになっているという。

 私も、面倒くさいなと思いながらパソコンを開いて、見たくもない広告がぱらぱらぱらぱら出てくるんです。それで、グーグルやFBなどの、今はFBと言わないんでしょうけれども、巨大ITがこれらのデータを事実上無断、本人に了解なく収集しているんです。

 だから、先ほど言った、映像かもしれませんけれども、私のパソコンでもスマホでも同じことが起きている。それは、私の個人的な権利はどうなのかと。私は了解も何もしていない。それがどんどんどんどん進んじゃっている社会になってきているから、法務大臣として、一つの方向をぴしっと示してもらえないかというお尋ねなんですけれども、いかがでしょうか。

葉梨国務大臣 さっきの防犯カメラとまたちょっとこれは違う次元の話だと思います。

 ビジネスと人権の話ですね、これは、そういう御指摘があるということも十分受けておりますし、やはり、法務省の人権擁護機関、ここでは、ビジネスと人権に関する様々な啓発活動を展開しています。

 今後とも、そういった取組を通じて、プライバシーに配慮した適切な企業活動が実現できるように私どもも努力をしていきたいと思います。

鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 統一協会の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 人生をめちゃくちゃにされ、家庭を崩壊されたということなど、深刻な人権侵害、被害があったと、被害者の方が本当に人生を懸けて声を上げられておられます。

 これまでの甘い対応が被害を拡大させてきた。やはり、過去に遡っての被害者の救済、そして被害の根絶を本気で行うためには、政治家は統一協会との癒着を完全に断ち切らなければならないというふうに考えております。

 そこで確認なんですけれども、法務大臣、副大臣、法務大臣政務官に確認をいたします。

 統一協会あるいは統一協会関係団体との推薦確認書、先ほども議論がありましたけれども、その中身は、憲法改正ですとか、LGBT問題、同性婚合法化の慎重な取扱いということで、LGBTQの方々の平等のことを足を引っ張る内容も書かれているわけですけれども、そうやって報道されているんですけれども、そうした推薦確認書、あるいは別の政策での類似の確認書のようなものを統一協会あるいは関係団体と取り交わしたことがあるかという点、また、自民党の自己申告あるいは報道などで公になっている関係以外に、統一協会、統一協会関係団体との関係はほかにないかという点、確認をお三人の方にさせていただきたいと思います。

葉梨国務大臣 まず、本村委員、よろしくお願いします。

 そしてその上で、お答えですが、いずれの点についてもございません。

門山副大臣 同様、いずれの点についてもございません。

高見大臣政務官 いずれの点につきましても、該当はございません。

本村委員 先ほど来お話がありましたように、葉梨大臣は「ビューポイント」のインタビューに出ているという点や、門山副大臣は共同通信のアンケートにはお答えになっていないということですけれども、その点、ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、ないから回答していないということなんでしょうか。

門山副大臣 期限には間に合わなかったみたいなんですけれども、その後、電話でちゃんと説明させていただいているというふうに認識しております。

本村委員 高見政務官につきましては、NHKの取材に対して、島根県議会議員を務めていたときに、数回にわたり、関係団体が主催するイベントに出席したということでありますけれども、統一協会と政治家との癒着の中で甘い対応が続き、被害が拡大してきた、苦しむ方々が多く生まれてしまったということに関しましては、やはりその責任を自覚するべきだというふうに思っております。

 葉梨法務大臣は、警察出身ということで、警察の時代からこの統一協会が問題がある団体だということを認識されておられたのかという点、確認をしたいと思います。

門山副大臣 先ほど答弁したんですけれども、共同通信、正直言って、その後いろいろなところから問合せがあったので、共同通信に答えたのか、その後ほかの社に答えたのかというところがはっきりしないんですけれども、いずれにしても、期限を徒過したということが、遅れたという事実はあったんですが、ないということは、今、同じように説明させていただきますので、もしかしたら記憶違いがあったかもしれないので、一応、訂正させていただきます。

葉梨国務大臣 平成十一年まで警察庁に勤めておりました。私、最後は少年課でございますけれども、同じ生活安全局で生活経済課というのが当時ございまして、霊感商法等の刑事事件等があれば、そこで取り扱っておったというようなことがございます。ですから、当時、特に霊感商法等華やかなりし頃は、民事、刑事でいろいろな問題があったということは承知しています。

 ですから、私自身は、そういった教会とのおつき合いはしないように心がけておったわけですけれども、ただ、その後、十年とか二十年のスパンで、それでも問題が続いているということまでの認識はございませんでした。

 そこの不勉強は恥じたいと思うんですが、今回、法務大臣になりまして、関係省庁連絡会議を主宰することになった、そういう中で、旧統一教会が今でも、例えば、生活破綻に追い込むような献金を要求しているとか、あるいは関連団体を使って政治家とつき合いを持とうとしているということは、私は、法務大臣になってから知ったわけです。当時、そういうような問題があっていたということは認識しておりますが、その後はなかったのかなと思っていたんです、個人的には。それがまさにありのままの話です。

本村委員 まさに問題があるからこそ、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議というものを主宰をされているということだというふうに思います。

 今、統一協会に解散命令請求をということで大きな声が上がっているわけですけれども、岸田首相は、組織性、悪質性、継続性が明らかになる事実を積み上げることが必要だということを述べております。

 私どもは、刑事事件でも、そして民事事件でも、この組織性、悪質性、そして継続性は明らかである、積み上がっているというふうに認識をしております。しっかりと分析をするべきだというふうに思うんですね、この裁判判決についても。

 二〇〇九年十一月十日の東京地方裁判所、新世事件の判決の、量刑の理由の部分を御紹介をいただきたいと思います。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の判決につきましては、委員の方で資料を配られておられまして、この資料は公刊物でございますが、これに基づきまして私の方から申し上げますと、御指摘の判決におきましては、その量刑の理由の中におきまして、

  本件における印鑑販売の手法は、販売員らが、街頭で呼び止めた通行人に姓名判断をするなどと言って被告会社の営業所まで同行させ、長時間にわたって、姓名判断にかこつけて客の悩み事等を聴き出し、その悩み事と先祖の因縁を絡めて客の不安をあおり、因縁を断ち切るためには印鑑を変える必要があるなどと言って印鑑の購入を執拗に勧めるなどし、高額な印鑑の購入を即断するよう迫り、さらには、契約締結に至ると、不安感等を抱いた客の心理状態を巧みに利用して、即座に支払えるだけ現金を支払わせた上、印鑑を購入したことを他言しないように言って口止めをするというもので、巧妙で悪質である。

  被告会社は、被告人Y2及びY3ら会社役員も販売員ら従業員も全員がC協会(以下「C協会」という)の信者であるところ、被告会社では、設立当初から長年にわたり、このような印鑑販売の手法が、信仰と渾然一体となっているマニュアルや講義によって多数の販売員に周知され、販売員らはこのような販売手法が信仰にかなったものと信じて強固な意思で実践していたものであり、また、被告人Y2及びY3は、被告会社から印鑑を購入した客をC教会に入信させるための活動であるフォーラムへ誘うなどし、C協会の信者を増やすことをも目的として違法な手段を伴う印鑑販売を行っていたものであって、本件各犯行は相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一貫であり、この点からも犯情は極めて悪い。

という記載がございます。

本村委員 資料一ページ、二ページですけれども、まさに刑事事件で、統一協会の問題で組織性、悪質性、継続性が断罪されております。

 当時、統一協会第一地区東京教区幹部信者と報道されております被告人は、懲役二年、罰金三百万円、そして別の被告人は、懲役一年六か月、罰金二百万円ということで、執行猶予はついておりますけれども有罪となっております。そして、新世は、罰金八百万円と判断をされております。

 大臣は、統一協会とその関係団体の悪質性、継続性、組織性について、どう考えておられるんでしょうか。全国で起きているそれぞれの深刻な被害が、統一協会という組織と全く関係なく、個人の責任だけで行われている犯行であるというふうにお考えでしょうか。

葉梨国務大臣 まずはしっかりと被害者の救済に積極的に取り組むということを申し上げた上で、本件判決は、会社としての組織性というのは認めておるわけなんですけれども、これをもって御指摘のような悪質性、継続性、組織性が宗教法人法上の解散命令請求を行う際の考慮要素と指摘されておりますけれども、その件に関しての御答弁は、法務省の所管外になりますので、ちょっと差し控えをさせていただきたいと思います。

本村委員 被害者の救済に尽力していただく、そして被害の根絶のために尽力していただくという点に関しましても、やはり、人権侵害がどういう原因で起こっているのかということをしっかりと分析しないといけないというふうに思うんです。

 法務省、検察庁についても、統一協会と関係団体の悪質さというのをつかんでいたというふうに思います。この新世事件の第五回の公判、論告求刑の四を紹介をしていただきたいと思います。

川原政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘の点は、委員が配付された資料に記載されているところでございます。

 ただ、最初に申し上げますが、この事件の判決文、それ自体には論告内容の引用という形がされておりませんので、私どもとしてその論告内容を正確に把握しているわけではございませんが、委員のお配りになった資料の中で委員御指摘の論告の内容として紹介されている点をこの委員の資料に基づくという形で御紹介させていただきますと、そこには、この事件における検察官の論告の内容として、

 被告人両名や販売員が行っていたY1の活動は、信者を獲得しながら献金を出させることを目的としたものであることが認められる。

  そして新規からビデオセンター(BF)までの流れと題するフローチャートを仔細に見ると、守護祈願、開運守護祈願として一見宗教的意味合いのように見せながらその実g数即ちグラム数とし、同様に新規からの基本的な流れには開運守護祈願士としながらその実客の財産の把握に主眼を置いていることを如実に示す記載がある。

  更にC協会の信者には種々の義務献金があり、信者の中には献金のためには借金をする者までいた。信者の目標は即ち献金の獲得であり、Y1の活動は結局のところ献金として莫大な財産を吸い上げるもの

というような記載がなされているところでございます。

本村委員 検察官はその論告の中で、答弁されたように述べております。財産を把握し、借金までさせ、献金をさせるということを指摘をしているわけです。

 この二〇〇九年の新世事件の判決の日なんですけれども、全国霊感商法対策弁護士連絡会の方々は、この二〇〇九年の段階でも、霊感商法が社会問題化してから三十年近く行政や司法が放置し続けてきた異常性を指摘しておられます。そして、文部科学省に対して、宗教法人法に基づく調査、業務停止命令、そして解散命令申立ての権限を行使するべきだということを当時から求めておられました。

 その声を無視し続け、続けてきた行政の責任ということを、連絡会議のトップとして大臣はどうお感じになっておられるか、お示しいただきたいと思います。

葉梨国務大臣 私も別に行政の無謬性にこだわる立場では全然ないんですけれども、関係省庁連絡会議というのはまさに被害者の救済のためのものでして、それに対して、解散命令を請求しなかったことについて、なかなかコメントする立場にないということも御理解をいただきたいと思います。

本村委員 参議院の予算委員会で岸田首相も、今日まで放置したことを強く深刻に受け止めなければいけないというふうに指摘をしております。

 先ほども判決、御紹介をさせていただきましたけれども、それのほかにも様々な、民事でも刑事でも判決がございます。組織性、悪質性、継続性は、もう既に判決の中でも明らかであり、積み上がっているというふうに思います。

 財産の移転などの心配の声も寄せられておりますけれども、早急に解散命令請求を行うべきだというふうに考えますけれども、御答弁お願いしたいと思います。

葉梨国務大臣 先ほどそこのところは答弁させていただいたとおりです。

 総理は、全体の責任、政府、内閣の代表者ですから、そういうような形で御答弁されたんですけれども、解散命令の請求を行わなかったことについての答弁ではなかったというふうに私は理解しておるんですが、法務大臣の立場で、解散命令を行うべき、請求を行うべきと問われても、やはりなかなかここはお答えが難しいところはあろうかと思います。

本村委員 文部科学副大臣にも来ていただいております。是非、答弁をお願いしたいと思います。

 早急に解散命令請求を行うべきです。

簗副大臣 お答えいたします。

 宗教法人法に基づき解散命令を請求するためには、報告徴収、質問権の行使に係る疑いがあると認めるだけでは足りず、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした等に該当する事由があると認められることが必要となります。

 このため、文部科学省といたしましては、宗教法人法に照らして、解散命令の請求の適否を判断するためにも、まずは、報告徴収、質問権の行使を通じて、行為の組織性、悪質性、継続性等について具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにした上で、法律にのっとり必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

本村委員 財産移転などを許さないためにも、早急に解散命令請求をやるべきだというふうに重ねて求めたいと思います。

 今、質問権の行使のことを準備しているんだというお話でしたけれども、昨日、基準を作る協力者会議が行われました。その協力者会議でも、宗教法人審議会でも、そして文化庁が質問案を作るというふうに聞いておりますけれども、それを作るに当たって、長年、被害者救済に奮闘されてこられた全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士の方々に必ず参画をしていただくということ、検察など犯罪捜査に携わったことのある方も参画をさせるべきだというふうに考えますけれども、文部科学副大臣そして法務大臣の見解を伺いたいと思います。

簗副大臣 御指摘のありました昨日開催された会議に関係をしますいわゆる質問権の行使に当たっての基準作り、それから報告徴収で質問する内容の原案を作成するに当たりましては、まず情報収集が必要であります。

 御指摘の旧統一教会問題をよく知る弁護士等、団体ですね、こういった方々から情報提供を受けたりすることは考えられるというふうに思っております。

葉梨国務大臣 文部科学省からそういうような要請があれば、政府の一員としてしっかり協力していきたいと思います。

本村委員 被害者救済のためにも、この統一協会の韓国始め諸外国へのお金の流れも調査、把握をするべきだというふうに考えますけれども、これは誰が把握するべきだと大臣はお考えでしょうか。

葉梨国務大臣 今現在、法務省として諸外国へのお金の流れというのを調査、把握する手段というのがなかなかないものですから、ちょっと私どもとして把握をするということはなかなか難しいのかなと。今のところ手段がないんですということで、私に問われると、そういうお答えになってまいります。

本村委員 韓国始め諸外国へのお金の流れをしっかりと調査する、把握するということを政府としてやっていただきたいというふうに思います。

 自己破産をさせるような高額献金も行われているということで、連絡会議の中にも資料として出されています。時間がないものですから、自己破産をさせるような高額献金、御相談も来ているというふうに思いますけれども、これは大変悪質だというふうに思うんですけれども、この件だけではなく、ほかの件にも何%かあるという資料も出ておりますけれども、この悪質性について大臣の見解を伺いたいと思います。

葉梨国務大臣 御相談内容はそのとおりでございます。それをしっかり法律の専門家につないで、いろいろなアクションを起こす中で、事実関係がまだ確定しているわけではないものですから、個別の事案について、それが悪質だとか悪質じゃないかという、今の段階ではなかなか難しいところはあるんです。ただ、しっかりと、そこは専門家につないで、またフォローもしていきたいと思っています。

本村委員 この統一協会の方々、返金を応じるケースもあるんですけれども、一部あるんですけれども、分割払いという点をよく聞くわけです。信者などからまたお金を集めて返金させるというのであれば、また新たな被害が出てしまうので、やはり韓国の教団本部などにある資産から返金させるということが肝要だというふうに思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

葉梨国務大臣 それも、まずは、旧統一教会、これが教会としてどういうような形での献金を要求したかということにもよるんですけれども、日本における宗教法人ですから、もし組織的に旧統一教会がそういうようなことをやっていたとしたら、まずは、日本の宗教法人、当該宗教法人との関係でいろいろとお話をしていくということになるのではないかなというふうに思います。

本村委員 新たな被害を出さないために対策を打っていただきたいというふうに思っております。

 そして、ちょっと時間がないものですから、裁判記録の保存について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 一九九七年に起きた神戸の連続児童殺傷事件に関する全ての事件記録、神戸家裁が破棄しているということが判明をいたしました。この神戸の事件、社会的に衝撃を与え、少年法の改正のきっかけにもなった重大な事件です。史料価値は高く、社会的損失は極めて大きいものと言えます。

 なぜ最高裁が事件記録等保存記録の特別保存の対象として保存をしてこなかったのか。また、当時の関係者からの聞き取りも含め、事件記録廃棄の経過を詳細に調査をし、そして歴史的価値のある裁判史料が廃棄されないよう検討し、対策を取るべきだというふうに思いますけれども、最高裁、お答えをいただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、神戸家裁に係属しました連続児童殺傷事件の少年保護事件記録等を始め、その他の庁におきましても、耳目を集めた少年事件の事件記録が二項特別保存に付されずに廃棄されていることが明らかになっているところでございます。

 この二項特別保存の運用につきましては、令和元年に東京地裁において重要な憲法判断がされた事件の記録等が廃棄されたことが明らかになり、これを端緒といたしまして、同地裁におきまして有識者の意見を踏まえて策定された運用要領を参考に、全国各庁において運用要領が策定されるに至っております。

 神戸家裁の事案はこの要領策定前のものでございますが、記録保管に関する裁判所の運用について疑問を呈されている状況にあるものと承知しております。

 最高裁といたしましては、外部の有識者委員による会合を開催し、委員の意見等も踏まえて今後の検討を進めてまいりたいと思っております。御指摘の神戸家裁の事案を含め、どのような調査、検討が考えられるかにつきまして、有識者委員の意見を聞きながら進めてまいりたいと考えております。

本村委員 数ある史料が破棄されることがないように、是非対策を打っていただきたいということを求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伊藤委員長 次に、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。葉梨法務大臣。

    ―――――――――――――

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

葉梨国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。

 これらの法律案は、政府において、人事院勧告の趣旨に鑑み、一般の政府職員の給与を改定することとし、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出していることから、裁判官及び検察官についても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講じようとするものであり、改正の内容は、次のとおりであります。

 一般の政府職員について、若年層の俸給月額を引き上げることとしておりますので、八号以下の報酬を受ける判事補等の報酬月額及び十六号以下の俸給を受ける検事等の俸給月額についても、これに準じて引き上げることとしております。

 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、令和四年四月一日に遡ってこれを適用することとしております。

 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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