衆議院

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第3号 令和4年10月28日(金曜日)

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令和四年十月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 忠彦君

   理事 薗浦健太郎君 理事 谷川 とむ君

   理事 藤原  崇君 理事 宮崎 政久君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 沢田  良君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    岩田 和親君

      奥野 信亮君    加藤 竜祥君

      熊田 裕通君    鈴木 馨祐君

      田所 嘉徳君    高見 康裕君

      津島  淳君    西野 太亮君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      古川 直季君    山口  晋君

      山下 貴司君    鈴木 庸介君

      中川 正春君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      阿部 弘樹君    漆間 譲司君

      日下 正喜君    平林  晃君

      鈴木 義弘君    本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         葉梨 康弘君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君

   最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君

   最高裁判所事務総局経理局長            氏本 厚司君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局次長)           岩崎  敏君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  松下 裕子君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 植松 利夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           朝川 知昭君

   法務委員会専門員     白川 弘基君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     山口  晋君

  津島  淳君     古川 直季君

  鳩山 二郎君     西野 太亮君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     鳩山 二郎君

  古川 直季君     津島  淳君

  山口  晋君     東  国幹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局次長岩崎敏君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、法務省民事局長金子修君、法務省刑事局長川原隆司君、法務省人権擁護局長松下裕子君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、国税庁長官官房審議官植松利夫君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官田中佐智子君及び厚生労働省大臣官房審議官朝川知昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君、人事局長徳岡治君及び経理局長氏本厚司君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。薗浦健太郎君。

薗浦委員 自民党の薗浦健太郎です。今日はよろしくお願いをいたします。

 法案審議に入って最初のバッターでございますので、まず最初に当局にお伺いをいたしますけれども、八月の人勧で三年ぶりに月例給、ボーナス共に引上げとなりました。これは人勧を受けたものですけれども、改めて、最初に、概要それから趣旨、この法案の意図について当局に御答弁いただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正でございますが、一般の政府職員の給与の改定に伴いまして、裁判官の報酬及び検察官の俸給を改定することを内容とするものであります。

 すなわち、人事院は、本年八月八日、官民較差を踏まえまして、初任給及び若手職員の俸給月額の引上げ等を内容とする一般職の職員の給与改定を勧告いたしました。そこで、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額につきましても、これに準じまして、判事補八号以下や検事十六号以下等の低い号俸の報酬、俸給月額を約〇・一四%から約一・三九%引き上げることを内容とするものでございます。

薗浦委員 ありがとうございます。

 今日は、法曹人材の確保という観点から伺いたいと思っています。

 二つの観点から僕はこれが大事だと思っていて、一つは、社会全体の複雑化、変容。要は、例えば、MアンドAをやるときに、デューデリどうしますかとか、調達のスキームを構築するのも専門的な人材が必要です。また、ITとかAIとかいろいろ新しい分野が出てきている中で、それぞれの専門家も必要だし、全体を通してある程度分かるゼネラリストみたいな人材も必要だ。これが一つの観点。

 それからもう一つは、僕自身が自由で開かれたインド太平洋ということで世界中を飛び回っていたときに痛切に感じたのが、法制度が未整備な国が非常に多い、これの支援をやはり先進国はやっていかなきゃいけないというのが一つ。今のロシアの話云々を見ていても、明らかに、さきの大戦以降、我々が大事にしてきた法の支配とか、いろいろな国際秩序を守るためのシステムを壊そうとする勢力がいる。日本は、明らかにこのシステムを守る側に立ってその努力をしなければならない。だとするならば、そこに、法制度整備とか、国際機関含めて人材を送り込んで、世界秩序、世界の法整備、そして法の支配といったルールを守るための汗を我が国自身がかかなきゃいけないと思っています。

 その観点で見たときに、やはり、人材というものは確保していかなきゃいけない。これは、ただ単に行く人だけじゃなくて、検察官、裁判官も含めて質の高い人材を確保する、それには養成システムをきちっと充実させていかなきゃいけない。この観点から、養成に関する今後の取組等について副大臣にお伺いしたいと思います。

門山副大臣 薗浦委員御指摘のように、複雑化、高度化する社会への対応、誰一人取り残さない社会の実現、法の支配を始めとする基本的価値の国際社会への浸透などを図っていく上で、法曹にはこれまで以上に、幅広い分野において重要な役割を果たしていただくことが求められていると認識しております。

 このような様々な課題に的確に対応できる質の高い法曹人材を輩出していくためには、より多くの有為な人材が法曹を志望するような環境づくりが重要であると考えております。

 法曹養成制度につきましては、今年の十月一日に、法科大学院教育の充実や、法曹資格取得までの時間的、経済的負担の軽減を目的とする、いわゆる法曹養成制度改革法が全面施行されたところでございます。来年の司法試験からは、新たに法科大学院在学生の中にも、一定の割合に、司法試験の受験資格が、一定の場合には受験資格が付与され、また、法学部三年と法科大学院二年のルート、いわゆる3+2の制度も経た受験者の受験も始まるところでございます。

 法務省といたしましては、引き続き関係機関と連携しながら、法科大学院教育等を一層充実させるための支援、3+2の制度の更なる周知を行うとともに、法曹の魅力や幅広い分野での活躍についての積極的な情報発信などに取り組み、より多くの有為な人材が法曹を志望いただけるような、そういう環境づくりに努めてまいる所存でございます。

薗浦委員 国際連携という意味では、確かに、フランスを始め、先進国にも法務省アタッシェが出ています。他方、ASEAN含め、またアフリカもそうですけれども、こういう途上国にアタッシェとして出て、まさにその国の法律の制度そのものを、例えば刑訴、民訴みたいな訴訟法すらない国もまだいっぱいあって、そこを手助けをする、これは極めて大事なことですし、もっと言えば、我が国に近い法制度を整備することによって、我が国の企業もそこで働きやすくなる。

 一例を挙げて言うならば、今、カンボジアの建築基準法は日本が手助けをしてやっていますけれども、そうすると、例えばカンボジア、何でこれ、要請があったかというと、中国の企業がどんどん入ってきてむちゃくちゃな建築をするものだから、建設途中に崩れて死人がいっぱい出た。このままじゃ駄目だと、カンボジア当局が、じゃ、日本、何とかしてくれと、今、制度整備支援もしていますし、建築基準法の認証に係る機関も日本と一緒につくりたいと言ってきている。日本企業が今後この国で活動するには、これは実はすごくプラスになる。そういった観点からも、是非、国際舞台で活躍できる人材の養成に力を尽くしていただきたいと思っています。

 他方、目指してくれる人、子供たち含めて、日本の法教育というのは、どうお考えなのかは答弁の中で少し触れていただければいいと思いますけれども、やはり、いろいろな考え方の中で、共生社会含めて、法曹への理解を子供の間から深めていくことは大事だと思っていて、だからこそ、目指す人たちが増える。僕自身は、法学部に行きながら、挫折というか、受けることすらかなわなかった人間ですけれども、目指す子供たちが増えるというのがやはり人材確保の一番スタートラインとして大事だと思うんですけれども、政務官のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

高見大臣政務官 お答えをいたします。

 法教育は、基本的人権や法の支配など、法や司法制度の基礎となっている価値を理解し、法的な思考を身につけるためのものでございます。また、法曹の役割に対する理解を深め、我が国を支える未来の法曹、さらには、薗浦委員が重ねて御指摘いただいております、国際的な法秩序を守る未来の法曹を育てることに資するものでもあると考えております。

 法務省は、これまで、法教育教材の作成、配付、教員向け法教育セミナーの開催、法律専門家による出前授業の実施など、学校現場におきまして、より充実した法教育が実践されるよう取組を進めてまいりました。

 また、本年四月の成年年齢、裁判員年齢の引下げを踏まえ、契約や私法の基本的な考え方などについて分かりやすくまとめた高校生向けの法教育リーフレットを作成、配付するなどしているほか、小中高校の授業に取り入れやすい模擬裁判用教材の作成も進めております。

 私自身、先日、東京大学法科大学院の法教育ゼミの学生と面談をいたしまして、若年層に対する法教育の意義やその活動状況について意見交換をしたところでございます。

 法務省といたしましては、引き続き、関係機関等と連携しながら、法教育の浸透に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

薗浦委員 ありがとうございます。

 政務官をやられる期間の間に、是非、これはやったというのを幾つか残していただきたい、そういう思いで取り組んでいただきたいと思うし、その残していくものの一つに、この子供たちへの教育というものを考えていただければありがたいと思います。

 さて、さっきから外交の話をしておりますけれども、ICCに検事を派遣したと伺っております。ウクライナの事態も含めて、ICCはこれからすごく大事になってくると思うんですけれども、こうした国際機関への派遣というのは極めて重要だと思っています。

 近年、僕も海外でいろいろ法務省アタッシェの方々にお会いしましたけれども、国際機関や在外公館、こういうところに職員をどの程度派遣をしているのか、まず当局にお伺いをしたいと思います。

柴田政府参考人 お答えいたします。

 在外公館や海外の国際機関等に勤務している法務省職員の数は九十名程度でございます。具体的な派遣先国際機関としては、国際刑事裁判所、ICCのほかに、国連薬物犯罪事務所、UNODC、それから、国連開発計画、UNDP、国連国際商取引法委員会、UNCITRALなどがございます。

薗浦委員 ありがとうございました。

 最後に大臣にお伺いしたいんですが、やはり、日本が国際舞台で使いやすいルールを作っていく。つまり、他国によって作られたルールを我が国企業とか我が国が守るんじゃなくて、ルールメイクそのものに我々が関与していく、そして作る。また、国際紛争の舞台でイニシアチブを取るためには、やはり、長い目で見た人材の育成と、それから、派遣を継続してポストをきちっと取っていく、そして、そのポストに見合う人材を育てていく。総合的な対策が必要だと思っています。

 今後この人材の育成に取り組んでいく大臣の決意を最後にお伺いをしたいと思います。

葉梨国務大臣 薗浦委員、全くおっしゃるとおりだと思います。

 ちょうど、私、約二十五年ほど前に、警察庁からインドネシアのアタッシェとしてインドネシアで三年ほどおりました。当時、法務省から、インドネシアはASEANの大国ですが、インドネシアにはアタッシェはいなかったんです。ですから私が法務省の関係も見ていたんですけれども、どちらかというと、警察庁から行きますとインテリジェンス関係が多くて、ルールメイキングという関係はほとんど私の頭の中になかったなということを反省もしています。法務省関係も実は私の担当だったんですけれども、なかなかそういう頭がなかった。

 ですから、司法外交を戦略的に、また積極的に推進するためには、人材の育成、それから派遣ですね、法務省の人材を派遣する、継続的に派遣するというのはやはり極めて重要なことだというふうに思っています。自分の経験からもです。

 ですから、まずは語学研修の一層の充実、多くの職員を幅広い国際関係業務に関与させること、国際機関等への派遣をさせること、これは大分進んできています。インドネシアにも、今現在、法務省からのアタッシェもしっかり行っていますけれども、また更にそれを充実させるということが非常に大切なことだ。私も在任中、是非その充実のために一生懸命汗をかきたいというふうに思っています。

 そして、法務省として、国際社会のニーズや活動領域等を踏まえつつ、より多くの法務省職員が国際機関等で活躍できるように、外務省を始めとする関係省庁、関係機関と連携協力を取った上、必要な取組を積極的かつ戦略的に進めていきたい、そういうふうに考えています。

薗浦委員 ありがとうございました。

 海外に人を出すとなると、優秀な人材を出す、そうすると、国内のポストというか、そこに当てはめる人材もカバーしなきゃいけないし、定員との関係でなかなか負担が大きくなるということを考えると、やはり定員の確保も含めてこれをやっていかなきゃいけない。お互いに協力しながらそういうことはやっていきたいと思っております。

 本日はありがとうございました。

伊藤委員長 次に、平林晃君。

平林委員 公明党の平林晃と申します。昨年、比例中国から初当選させていただき、今月から法務委員会に所属させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 今回改定される各職種、各号俸に所属する裁判官、検察官の人数及びその割合、最高裁判所及び法務省にお聞きします。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今回改定される号俸に在職する裁判官は、本年七月一日現在で百三十九人でありまして、これは全裁判官に対する約四%に相当いたします。

竹内政府参考人 検事でございますが、本年七月一日現在で百三十六名が対象になります。全検察官に占める割合は約五%になっております。

平林委員 ありがとうございます。

 本件、調査局作成の法務参考資料三十ページに細かく掲載がございますので、詳細はそちらを御覧いただければと存じますが、委員の皆様はよく御存じのとおり、現行制度では、司法試験に合格して裁判官になられる方は判事補十号俸を受けられることになり、十一号俸、十二号俸というのは、旧制度との整合で設けられているものの、実際にはほとんどおられない。今後、時がたつにつれ、ますます受けられる方は少なく、可能性は低くなっていくということであります。ここに月額引上げの最大値、二千八百円でありますとか二千六百円が割り当てられているということであります。

 検事の十九号俸、二十号俸も同様であります。

 簡易裁判所判事十三号俸から十七号俸と副検事十一号俸から十七号俸に関しましては、書記官などを務められた方がなられることが多いということであり、今回、引上げ対象の若年号俸を受けられる方はほとんどいない、こういう実態になっていると理解をしております。

 また、裁判官、検察官の人数に基づいて今回の裁判官報酬月額の引上げの平均、これを計算をさせていただきますと、裁判官全体ではなくて判事補のみに限定をいたしますと、月額が二百三十九円弱となります。また、判事補に対応する検事のみで俸給月額引上げの計算、平均を計算いたしますと、月額は二百四十三円弱というふうになってまいります。

 簡易裁判所判事及び副検事に関しましては、対象者がおられませんので、当然ゼロということになるわけです。

 人事院が指摘した民間との差額は九百二十一円でありますので、これらの平均額は九百二十一円にははるかに及ばない金額となっているということになりまして、仮に、今私は判事補のみあるいは対応する検察官のみで平均を計算しましたので、もし全体で計算をすると、もっと小さな値、五十七円とか八十一円とか、そういう小さな値が出てまいります。

 要するに、今回の俸給月額引上げは、司法試験の制度的にほぼ現れない号俸の月額に大きな引上げ額が割り当てられておりまして、また、判事補と該当する検事に限定して計算しても、人事院勧告の差額を平均的にかなり満足していない、こういうことになっているわけであります。せっかく人事院勧告に基づいて報酬、俸給の月額引上げを議論しているにもかかわらず、その恩恵を受ける方が極めて限定的、あるいは平均的に非常に小さいのではないか、このように感じているところでございます。

 そこで、第二の質問でございますが、月額引上げの該当者がより多くなるように、あるいは月額引上げの平均が人事院勧告の指摘により近くなるように、少しでも近くなるように報酬、俸給月額引上げを行うことも一つの考えと存じますが、見解を伺います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 裁判官の報酬及び検察官の俸給の改定につきましては、従前より、人事院勧告を受けて行われます一般の政府職員の俸給表の改定に準じまして、対応する一般職の俸給表の俸給月額と同じ改定率で改定額を定めることとしておるものでございます。

 この方法は、裁判官及び検察官の職務と責任の特殊性を反映させつつ、他方で人事院勧告の重要性を尊重し、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスの維持にも配慮するという理由に基づくものでありまして、給与水準の改定の方法として合理的であると考えておるところでございます。

 その上で、今般の人事院勧告は、官民の較差を踏まえまして、初任給及び若手職員の俸給月額の引上げ等を内容とするものとなっておりまして、今回の二法案につきましても、これに準じて裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額を引き上げることとしておるものでございます。

平林委員 ありがとうございます。

 あくまで一般職との対応関係に基づいて俸給表を改定する、こういう考え方であるかと存じます。

 ただ、そもそも、先ほど御答弁にもありましたけれども、裁判官と検察官はその職務と責任の特殊性を反映して独自の給与体制が定められている、こういうことでありますから、これはそのまま独自の考え方、俸給対応の実態を考慮して改定することも選択肢としては十分あるのかなというふうに考えているところでもあります。

 また、一般職との対応関係、基本的な考え方であるということであれば、法そのものをそのように整備するということもあり得るのかなと考えます。実際、期末・勤勉手当についてはそのような記述がなされており、今回、ここでの議論には含まれていないというふうにも理解をさせていただいております。今回どうのこうのということではないかもしれませんけれども、引き続き御検討いただければというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、大きな二点目の質問に移らせていただきたいと思います。

 司法におけるデジタル化の取組に関して伺いたいと存じます。司法分野におきましてはデジタル化と言わずにIT化と言われるそうですので、それに倣って御質問させていただければと思います。

 人事院勧告の基本的な考え方、これは民間との給与較差の是正であるということでありまして、その意味において、民間において強力に進められているデジタル化、IT化に関して、司法においても同様に進められるべきものと考えております。

 そこで、法務大臣に伺わせていただければと思います。

 まず、民事に関しまして、民事司法におけるIT化の現状と今後の方策について、所見を伺えればと思います。

葉梨国務大臣 お答えいたします。

 IT化とだけ言っているわけではなくて、IT化、デジタル化ということで並列して所信でも申し上げたんです。といいますのは、司法分野というのは、このITあるいはデジタルというのは非常に私ども遅れている分野だというふうに認識しています。ですから、IT基盤がなかなかまだそろっておりませんので、すぐにデジタル化というところまでいかない。一緒にこれを迅速にやっていかなきゃいけないと思います。

 その上で、お答えいたします。

 まず、手続の迅速化、効率化を図るためにも、IT化、デジタル化というのは極めて大切だと思います。また、国民の民事裁判を利用しやすくする、このためにも非常に必要なことだというふうに思います。

 さきの通常国会では民事訴訟法を改正していただきまして、IT化を進めるというような形で法律を成立させていただいたんですが、現在、民事訴訟法以外の手続もありまして、民事執行、民事保全、倒産及び家事事件の手続等のIT化、これについては、現在、法制審議会の部会で調査審議をしていただいています。もう既にパブリックコメントの手続が取られていますけれども、来年の通常国会、ここでの成立を図りたいなというふうに思っています。いや、必要な法案の、成立じゃなくて提出ですね、訂正いたします、必要な法案の提出を行いたいというふうに考えているところです。

 今、現在のこの充実した調査審議、これを行われることを期待いたしますとともに、その基盤の整備にも努めていかなければいけないと思います。

平林委員 ありがとうございます。

 大臣自ら、遅れている状況にあるというふうにおっしゃられまして、基盤を整えていくことが重要であると。必要な方向性であるということは本当に間違いないと思いますので、是非とも着実に進めていっていただきたいというふうに思います。

 これに関連しまして、今月十四日、民事判決のデータベース化に関する検討会が設置されたというふうにも伺っております。その意義や期待される効果に関しまして政府の見解を伺います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 民事判決情報をデータベース化して国民に提供することにつきましては、国民に対する司法の透明性向上、行動規範や紛争解決指針の提示といった意義が指摘されておりますほか、紛争解決をサポートするAIの研究開発の基盤整備に資するということも期待されております。

 その効果といたしましては、昨今のIT、AI技術の著しい進展とも相まって、例えば、法律専門家等を支援するAI開発がされることで法的サービスの一層の高度化が進んだり、あるいは、ビッグデータとして活用されて、これまでにない仕組みやシステムの開発のきっかけになったりすることが期待されております。

 法務省といたしましては、委員御指摘の有識者会議における御議論を踏まえまして、実現できるデータベースが社会の発展に大いに役立ちますよう取り組んでまいりたいと考えております。

平林委員 ありがとうございます。

 人工知能を使ったり、データベースから過去の判決例を参照する、様々利便性が向上する。これは裁判を受ける側だけではなくて、裁判を執行する側からしても、ひょっとしたら民事裁判のAI化などといったことも可能になるかもしれないということで、お話を伺うと、百件、二百件と民事案件を抱えておられる裁判官の業務量低減にもひょっとしたらつながることになるかもしれませんので、まずはしっかりとデータベース化を着実に進めていただければと思います。何とぞよろしくお願いいたします。

 もう一つ、最後の質問になると思います。

 ここまで民事司法に関して伺いました。同様に刑事司法についてもお伺いできればと思います。

 刑事司法に関するIT化、デジタル化の現状と今後の方策について、これも法務大臣に伺えればと思います。

葉梨国務大臣 刑事分野についても非常に重要な課題だと思います。先ほど申し上げましたように、国民の負担軽減や、円滑、迅速な手続を図るという意味でも大切です。

 これに加えて、刑事の場合は、刑事手続で取り扱う情報、特殊な情報になりますので、このセキュリティー対策、これも万全を期す必要があるというふうに思っています。

 このため、法務省では、書類の電子データ化、書類の発受のオンライン化、捜査、公判手続の非対面、遠隔化などについては、まず法整備の在り方がどうだ、それからシステムの構築を始めとしたIT基盤整備の在り方がどうだ、ここを、両面をしっかりと検討していかなきゃいけないと思っています。

 このため、この六月でございますけれども、法制審議会に対して諮問をいたしまして、今鋭意調査審議が行われているということでございます。このような調査審議の結果を踏まえながら、関係機関としっかりと連携を取りながら、IT基盤整備に向けた検討を進めていきたいというふうに考えています。

 いずれにしても、刑事手続のIT化の検討、これは重要な課題です。法制審議会における充実した調査審議を期待しておりますし、引き続きスピード感を持って検討を進めていきたいというふうに考えています。

平林委員 ありがとうございます。

 刑事は、特にプライバシー、ここはもう本当に大切であるというふうに思いますので、厳格性、正確性など、本当にしっかりと守っていかなくちゃいけない部分がたくさんあるんだと思います。

 だからこそ、これまで紙で行われていた部分がたくさんあったということであり、法制面からも、システム的な観点からも、様々検討する課題があるということであると理解をさせていただきました。

 ただ、様々検討していただいているということで、伺ったところによると、令和八年中にシステムを構築する、そういう目標も立てておられるということですので、是非とも実現していっていただきたいなというふうに思っております。

 こういうことが実現すれば、先般報道がありました裁判記録破棄の問題も、これは保存領域だけの問題ではありません、別の観点もあるというふうにも伺っておりますが、全件保存ということも選択肢の一つになってくるのではないかというふうに考えておりますので、いずれにしても、鋭意進めていただければというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、もう時間になりましたので、以上で私の質問を終わりたいと思います。引き続き、司法サービスの、均質、等質なサービスを提供いただきますようお願い申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属の鈴木庸介です。

 今日は、最高裁の方に、裁判官の仕事量と給与のバランス、さらには労働環境についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、現在の裁判官の報酬は、誰が、どのような判断で、俸給に影響する形で決定をしているんでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官が裁判官報酬法に定められたいかなる号の報酬を受けるかにつきましては、裁判官報酬法三条によりまして、最高裁判所が定めることとされております。

 裁判官任官後約二十年の間は、同時期に裁判官となった者がおおむね同時期に昇給する運用が行われており、約二十年を経過した後は、当該裁判官の経験年数のほか、ポストや勤務状況等を考慮して、各高等裁判所の意見を聞いた上で、最高裁判所の裁判官会議において決定しているところでございます。

鈴木(庸)委員 イギリスとかフランスとかドイツとかは、どの国の裁判所も大体一千万円ぐらいからお給料はスタートしているんですね。ただ、その一方で、日本は、裁判官の給料は大体五百七十万円からのスタートで、十年かけてようやく一千万円ぐらいに行くということですが、これは当然、物価水準に照らして議論しなくてはいけないとは思うんですけれども、一般に、職責に応じては安いのではないかなという感触を私は持っております。

 御案内のように、裁判官の皆さんには残業手当や休日手当などは支給されません。

 百九十二回国会のときのこちらの衆議院法務委員会での答弁で、裁判官及び検察官に超過勤務手当、夜勤手当、休日給等が支給されない理由について、こう答弁されていらっしゃいます。

 裁判官については、事件の適正迅速な処理のために、夜間など一般職の職員の勤務時間外においてもこれに対処することが要求される場合が少なくないわけであり、一般職の職員と同様の勤務時間を観念することが困難であるとおっしゃっています。

 これは分かるんですよ。これは分かるんですが、同じ国会で、例えば、まず、民事訴訟事件を担当する裁判官を例に取ると、裁判官は、開廷日は、開廷前に担当書記官とのミーティングから始まって、ほぼ間断なく、終日、法廷に入って審理を行い、開廷しない日であっても、弁論準備手続、和解を行うことがあり、記録の精査あるいは判決の起案などを行うのは、一般職員でいうところの勤務時間外あるいは休日ということも多く、あるいは、平日帰宅した後でも、夕食を済ませてからまた持ち帰った記録の検討を始めて、それが深夜に及ぶことも少なくないと。

 さらに、刑事訴訟を担当する裁判官について申し上げると、公判前整理手続や法廷における審理が終日行われており、併せて、被告人の保釈請求に対する判断も行っているが、これらの記録の精査や合議が深夜に及ぶこともある。

 さらに、夜間の令状当番や、迅速な判断を求められる仮処分事件を担当する場合などもあって、通常の勤務時間という観念を超えて集中的に取り組む必要が生じることなどもあり、裁判の現場における裁判官の負担は相当程度のものであると認識しているという答弁があります。

 当然、どれだけ裁判官の職責が大変なものであるかということを認識されているということなんですけれども、私、改めてなんですが、この仕事量、責任に対しては、決して高いお給料だとは思っておりません。長時間労働で、職場には労働基準監督署のチェックも入らない。かなりブラックな職場ですよね、今の言い方で言えば。

 これ、あなた方の、裁判官の法律や仕事を管理する法律、窓口は別口だからという理由で、こうした労働条件で裁判官を働かせることについて見て見ぬふりをしているようなところはあるのではないでしょうか。

 また、給料も、先ほど申し上げたように、諸外国と比べて、入口のところでは二割程度、三割程度、四割程度安くなっている。特に裁判官の皆さんというのは、いつ、我々の、人の人生をそのまま左右することがあるような、大変厳しい判断を毎日求められている、本当に大変な職場だと思うんですが、この給与水準と勤務環境を比較して、最高裁としてはどう評価していらっしゃいますでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の報酬は、その職務と責任の特殊性を踏まえたものであり、超過勤務手当の支給がないこと、その責任にふさわしい適材確保の必要性を満たすべきものであることを考慮しつつ、民間企業の給与水準とのバランスを踏まえて決まる国家公務員全体の給与体系の中でのバランスにも配慮して、法によって定められているものというふうに理解をしております。

鈴木(庸)委員 前の国会と同じ、そういう答弁になるということは承知しているんですけれども、ただ、こんなお話があります。

 ちょっと、今日質疑に立たせていただく前に、知り合いの裁判官とかと話をしたんですね。そうしたら、夜中まで、先ほど申し上げたように、お仕事をしなくてはいけない、時には、当然、時計の針が深夜十二時を回ることもあるということなんですが、真夏に、午後五時にエアコンが止まるということなんですが、これは本当でしょうか。

氏本最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、温度調整、執務室等の関係で、裁判官などの職員の執務環境の観点から重要であるということは認識しておりまして、空調設備の運転に関しましては、勤務時間内の稼働を前提といたしまして、裁判官など職員の申請があれば運転を延長するなど、実情に応じて適切に運用しているものと承知しております。

 例えば、最高裁判所におきましては、午前八時から午後六時まで空調の運転を行っておりまして、午後六時以降も、執務の必要がある部署から延長の申請がありますれば、運転の延長をしているということでございます。

鈴木(庸)委員 そうなんですよ、延長の申請がないと止まっちゃうんですね。延長の申請があっても八時までしかエアコンがつかない、それ以降は延長の申請が極めて難しくなるというようなお話も伺ったんですけれども、それは本当でしょうか。

氏本最高裁判所長官代理者 延長の申請についてのお尋ねでございますが、申請は、例えば数日の分を一定期間を区切ってまとめて行うことが可能でございまして、また、申請の方法も、担当部署にメールによって簡単に行うことができるよう運用するなど、可能な限り簡便に申請を行うということができるように配慮しているところでございます。

 それから、運転の延長をした場合でも、例えば最高裁の場合は、今御指摘ございましたように、午後八時までをめどとして、限度に運用しておりますところですが、御指摘の延長の申請における空調運転のニーズを踏まえまして延長する時間を定めておりますけれども、委員御指摘のとおり、執務環境に十分配慮しながら、運転延長のニーズを適切に把握し、柔軟な運用に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 先ほど、最高裁自身が作業が深夜まで及ぶのが当たり前という答弁をされているところで、夏場や冬場は八時になったらエアコンが止まってしまう、その後を延長するのは結構複雑で大変な作業となると、当然、裁判資料を自宅に持って帰る必要が裁判官は出てきてしまうわけですよね。それが大変重要な資料なら、やはり裁判官も裁判所の外側に持ち出すことをちゅうちょしますから、暑い中で死にそうになって判決を書いているなんという話が結構日本中に蔓延している。

 ですから、重ねてなんですけれども、法律が違うからという言い方をして一般の職場環境から切り離さないで、やはり大変な職責を担っている裁判官の皆さんに大いなる敬意を持って、最高裁の事務総局におきましては職場環境の改善に取り組んでいただきたいということを強く申し上げたいと思います。

 次に、事務総局自身の機能についてお伺いをさせてください。

 最高裁判所事務総局、これなんですけれども、じゃ、まずちょっと、事務総局の機能はどういったものか、そこについて教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 一般論としてお答えいたしますと、最高裁判所事務総局は、司法行政部門を担う最高裁判所の裁判官会議を補佐し、最高裁判所の庶務をつかさどる機関として設置されております。裁判所がその本来の使命たる司法裁判権行使の目的を達成するために必要な人的機構、物的施設を供給、維持し、事務の合理的、効率的な運用を図るといった事務を行っております。

鈴木(庸)委員 二〇一四年に出版された「絶望の裁判所」という、元裁判官の瀬木比呂志さんの書いた著書があるんですね。そこの部分をちょっと引用させていただきたいと思います。

 最高裁長官、事務総長、そしてその意を受けた最高裁判所事務総局人事局が人事を一手に握っていることにより、幾らでも裁判官の支配、統制を行うことが可能になっている。これが、事務総局が望ましいと考える方向に沿った判決だけを出すことにつながっているという指摘がある。事務総局は、裁判官が犯した、事務総局から見ての間違いであるような裁判、研究、公私にわたる行動については詳細に記録していて、決して忘れない。

 更にもっと厳しい言葉が続くんですけれども、裁判官の世界が閉ざされ、隔離された小世界、精神的な収容所だからであり、裁判官が期を中心に切り分けられ、競争させられる集団、しかも、相撲の番付表にも似た細やかなヒエラルキーによって分断される集団である。さらに、裁判官を外の世界から隔離しておくことは、裁判所当局にとって非常に重要である。裁判所以外に世界は存在していないようにしておけば、個々の裁判官は根なし草だから、放っておいても人事や出世にばかりうつつを抜かすようになる。

 こういった厳しい評価。この本だけじゃないんですよ。僕、この質疑に立たせていただく上で結構本を読ませていただいたんですけれども、どの本にも同じようなことが書いてあるんですね。この後もちょっと引用させていただくところがあるんですが。

 事務総局においては、こうした評価があるということ、蔓延していると僕は思っているんですけれども、少なくとも存在しているということについてはどのような評価をされているでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官は、その良心に従い、法と証拠に基づいて裁判を行うものでありまして、評価を意識して裁判をするようなことがあってはならないと考えております。裁判所としても、裁判官が自律的に職務を遂行するため、その職権行使の独立への配慮は極めて重要であると考えているところでございます。

 例えば、裁判官の昇給の運用に当たりましては、裁判官任用後約二十年の間は、裁判官職権行使の独立を給与面から担保する必要があることなどから、同期はおおむね同時期に昇給する運用を行っております。

 また、裁判官の任用、配置に当たっては、面談等を通じて把握する本人の希望、健康状態、家族の状況等の事情にきめ細やかに配慮しながら、適材適所の観点で実施しているところでございまして、個別の判決等における判断内容を反映させるようなことはあってはならないことであり、そのような考慮はしておりません。

 今後とも、裁判官の職務の特質を踏まえた上で、裁判官が自律的に職務を遂行することができるよう、その職務環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 そうなんですよ。まさに今おっしゃったように、最高裁判所事務総局の裁量権が物すごく大きいんですよね。

 そうなるとどうなるかというと、一番大事な裁判官の内面の独立というものの担保というところになってくると思うんですけれども、ちょっとまた引用させていただきます。

 西川伸一さんの二〇一〇年に発刊された「裁判官幹部人事の研究」という本があります。ここでも、裁判官の間には官僚制的な階層的秩序が堅牢なまでに形成されていて、上の覚えを気にかける傾向がはびこっているとの指摘があります。個々の事件を裁くに当たって、官僚として合理的な視点で心証形成がなされるとするならば、それは裁判というよりは行政処分に近くなるのではないかと指摘しているんですね。

 つまり、最高裁判所事務総局が内部を官僚的に統制すればするほど、司法権の独立は形式的には保たれるかもしれないんですけれども、その統制が裁判官の独立を犠牲にした形で展開されてしまっているならば、裁判官の皆さんは気概をそがれてしまって、実質的には司法権の独立というのは十分に機能しなくなるのではないかとこの方は喝破しているんですね。

 また、新藤宗幸さんが、二〇〇九年の著書「司法官僚 裁判所の権力者たち」では、こんなタイトルの本が本当にいっぱいあるんですけれども、戦後司法制度改革は、何よりも司法権の独立を裁判官の内面の独立にあるとの理念の下に進められてきたのではないか。そして、この独立と自治を基本的に支えているのは、裁判官が何人によっても地位を脅かされることがなく審理に当たれるということだ。こんな判決を出したら、勤務地やポスト、報酬に影響するといったことが裁判官の脳裏をかすめていたのでは、裁判官の独立もままならず、ひいては各級裁判所の分権と独立も機能しないのではないかとおっしゃっているんですね。

 裁判官の皆さんがこのように常に上の顔をうかがっているのが事実とするならば、組織人ですからね、一定顔色をうかがうのは仕方ないことではあるんですけれども、例えば、裁判官の皆さんの場合だと、懲戒処分一つ取っても裁判官分限法といった法律で、特別な地位に基づいていろいろなものが認知されている。

 こうした、裁判官の皆さんの内面の独立が脅かされている、こういった評価が蔓延していることについて、最高裁はどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所といたしましても、裁判官が自律的に職務を遂行するため、裁判官の内面の自由が制約されることのないよう、その職権行使の独立に配慮することが極めて重要であるというふうに考えております。

 裁判官の昇給や任用、配置に当たって、その職権行使の独立に配慮しながら運用していることはもちろんでございますが、例えば、人事評価の実施に当たりましては、各裁判官と面談した上で、裁判官にいわゆるランクをつけるような段階式の評価ではなく、文章体による記述式の人事評価を行うなど、各裁判所の所長等の評価権者におきまして、裁判官の個別の事件処理に影響を与えないよう、細心の注意を払って実施しているところでございます。

 加えて、司法研修所におきましても、裁判官が自ら応募し、自由に討議する形式の研修等を幅広く実施しているところでございまして、裁判官が裁判所における諸課題について自由に議論をし、自律的に職務に当たる環境を整備していくことは重要であるというふうに考えているところでございます。

 今後とも、裁判官の職務の特質を踏まえた上で、裁判官が内面の自由を制約されることなく自律的に職務を遂行することができるよう、その職務環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 私なんかが三十分質疑したところで物事が大きく変わるとは正直思っておりません、この裁判所という堅牢な組織が。ただ、この国会の法務委員会という場で、最高裁がこういった評価を社会からされているということを皆さんに認識していただくということは、ちょっと大事なのかなと思いまして、今日は取り上げさせていただいております。

 こうした問題、諸々指摘されているんですけれども、裁判官の皆さんの労働環境のチェックについてお伺いもさせていただきたいと思います。

 冒頭にも申し上げたんですけれども、裁判官の職場の環境というのは本当に大変、エアコン一つにしても大変厳しいものがあるなと考えております。

 我が党の真山前参議院議員が、裁判官の職場環境について国会で質問をさせていただいたことがございます。

 その際、裁判官については、勤務時間を個別具体的に把握、管理することにはなじまないというところがございます、先ほどもおっしゃったんですけれども、との答弁をいただいて、これは従前どおりなんですけれども、そこで彼が、無記名のアンケートをやってはどうかというところについても提案したんですね。そのアンケートを実施することによって各裁判官に対して無用の心理的影響を与えて結果的に職権行使の独立等に影響を及ぼさないかなどといった観点からも慎重な検討を要するものと考えておりますという答弁がありました。

 この頃から、裁判官の皆さんの職場環境について、どういった形で把握されて、どういった改善等々をされているんでしょうか、教えてください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官が心身ともに健康な状態で職務に当たり、その能力を十分発揮することができるよう、職務環境を整備することは重要であると考えております。

 そのため、事件動向等を踏まえた適切な人員配置に努めているほか、各地の裁判所におきまして、個々の裁判官が休日や夜間にどの程度の仕事をしているかや、裁判官の手持ちの事件数や内容を含めた負担の程度につきまして、部総括裁判官を始めとする周囲の者がきめ細かく把握するよう努め、必要に応じて、その働き方に指導助言したり、また事務負担を見直したりするなどして、裁判官の心身の健康に配慮しているところでございます。

 今後とも、裁判官の職務の特質を踏まえつつ、裁判官の職務環境の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 そうなんですよ。そういうことなんですよ。また総括裁判官が職場環境についても全部チェックしていると。また裁量なんですよ。余りにも、裁量行政以外を認めないような、そんな風潮が最高裁事務総局さんにはあるのかななんというのを、やはりちょっといろいろ拝見した中で思ってしまいました。

 裁量行政、結構です。でも、俺のところは違う法律でやっているからみたいな感じじゃなくて、今回その法律で審議しているわけですけれども、是非是非できるだけ客観的な意見も取り入れていただくようなシステムづくりを改めてお願いを申し上げたいと思います。

 裁判官の皆さんが置かれている環境については、本当に多くの改革が必要だと考えます。例えばドイツでは、一般の裁判官の間では、年齢による俸給の額の違いはあるんですけれども、そのほかに給与に格差はないんですね。ですから、つまり、昇進や昇給を裁判官統制の手段として事務方が利用することができないような仕組みが、構造ができています。

 また、給与から裁量性を除くということは裁判官の独立の前提条件であるんですけれども、やはりそれが日本ではできていないのではないかなというのが私の問題意識でございます。

 このほかにも、州の裁判官法が、少なくとも裁判所規則の形で、誰がいつどのような形で勤務評定を行うかが詳細に規定されているんですけれども、責任の所在が明確で、判決の内容を評価の対象とすることが許されない仕組みというのをしっかりとつくっている国が多いんですね。

 本当に、日本の司法制度におかれましても、こうした制度を見ながら、よりよい環境でいい判決が書ける職場づくりをつくっていただきたいということを、最高裁に重ねてお願いをさせていただきたいと思います。

 最後に、こうした状況を含めて、もう一度、今後、労働環境についてどういった取組をするか、方針について教えてください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げたとおり、御指摘もございましたが、やはり、裁判官が健康な状態で職務に当たり、その能力を十分に発揮することができるよう、職務環境を整備することは重要であると考えております。

 今後とも、先ほど申し上げたこともございますし、様々な方法で、裁判官の心身の健康に配慮しつつ、職務環境の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 よろしくお願い申し上げます。

 次に、入管行政について伺わせてください。

 良心的徴兵拒否者に対する対応について、お伺いをさせていただければと思います。

 ロシアからの、いわゆる良心的徴兵拒否者に対する日本政府の対応について、難民認定については従前どおり判断するという答弁を、おとといの日本維新の会の漆間議員に対する西山次長からの答弁がございました。

 それで、速報値、九月の速報値だけを見ると、ロシアのウクライナ侵攻から、おおむね毎月二百人から五百人ぐらい、ロシア人の方というのは日本に来ていたんですね。でも、九月の速報値では、これが一気に三倍になって、約千五百人になっています。

 まあ、速報値なので、それぞれどんなビザで入ってきているかということについては、ちょっとこの先、詳細な分析が必要になってくるかと思うんですけれども、まず、入管庁の評価として、この数字はただ単に申請数が飛躍的に伸びたということなのか、それとも、例えば、日本として何らかの配慮を働かせて、それまで積み残していたビザの申請手続を一気に進めるといった、こういった配慮があった可能性もあるんでしょうか、そこを教えてください。

西山政府参考人 今、入国のデータにつきまして委員から御指摘ございましたけれども、それの原因までは私どももまだ把握をできておりません。

鈴木(庸)委員 こんなケースがあると思うんですね。最近、よく町を歩いていくと本当にロシア語を聞くようになりました。

 ロシア人を見つけると僕は話しかけるようにしているんですけれども、先日、山手線の原宿駅周辺で会ったロシア人は、日本に住んでいる友人に頼んで、インビテーション、いわゆる入国に関係する手続の書類を、これはもう皆さんには釈迦に説法ですけれども、インビテーションが必要だったり旅程表が必要だったりするわけですよね、そういったところを日本に住む友人に頼んで書いてもらい、それでビザを出してもらったと。ただ、ようやく入れたんだけれども、ロシアには帰りたくない。こういうケースがあると思うんです。

 例えばですよ、今、現に千五百人入っています。この人たちが良心的徴兵拒否者として、帰国したくありませんと在留期間の延長とか難民申請をしてきた場合に、これにどう対応するのかといった法務省としてのガイドラインはあるんでしょうか。

西山政府参考人 ただいま委員が御指摘されたような事案についての特別のガイドラインというものは特段設けてはございませんけれども、委員今御指摘されたような方、そのような方がおられた場合、それが難民認定申請である場合には、一般論ではございますけれども、やはり、申請者ごとにその内容を審査させていただいた上で、個別の事情に基づいて、条約の定義に基づきまして、難民と認定すべき者は適切に認定するということになるかと思います。また、難民と認められない者であっても、情勢等を踏まえまして、人道上の配慮が必要であると認められる者には、入管法の規定に基づいて我が国への在留を認めることといたします。

鈴木(庸)委員 ということは、今この段階では方針は決まっていない、今までどおりの運用でやるという理解でよろしいわけですね。

 また、在日ロシア人が情報交換をするページがフェイスブック上に幾つかあるんですね。そこを見ていると、とにかく仕事を見つけてくれ、仕事を探してくれ、どんな仕事でもいいからやる、やらせてくれ、みんな三か月しかいないんだ、この間に仕事を見つけなきゃいけないんだと。なかなか手続の関係からすぐに仕事を見つけるのは大変だと思うんですけれども、そういった形で、戦争が長引くにつれて、これから、どうしても帰りたくないロシア人の皆さんという方々が多く出てくると思います。

 私は、なぜこれを申し上げているかというと、我々日本人というのは、このウクライナ問題から台湾有事の勉強をしなくてはいけないと思っているんですね。台湾が侵攻されて、一方的に違う国になりましたと言われたときに、その人たちがここに来たときにどうするのかとか。

 あと、こういうケースもあるんです。マリウポリにいらしたウクライナ人の方が、強引にロシアのパスポートを持たされて、そこから何とか自力でモスクワに行って、モスクワから日本に帰ってきた。この方、まだ連絡が取れていないので、ちょっと次回の質問のときにもお話ししようかと思っているんですけれども、そういった方も今いろいろなケースで増えてきております。

 ですから、ちょっと、入管庁さんの方には、このロシアに対する対応、ロシア人の良心的徴兵拒否者に対する対応というのも是非検討を始めていただきたいなということをお願いをさせていただいております。

 その一方で、例えば、アルメニアとか、大量のロシア人を今、アルメニアは、御案内のようにビザなしでロシアから行けますから、大量の優秀なロシア人がアルメニアに行って、それが来年のGDPの引上げ要因になっているという、そういう分析もあったりするんですね。

 重ねてになるんですが、このウクライナ情勢から我々が学ぶべきものというのは、ただ単にウクライナは大変だじゃなくて、台湾有事が起きたときに余りにも多くのことが日本側で準備されていない。準備されていなくて、その準備する最前線にあるのがこの衆議院の法務委員会だと私は思っておりますので、これからも積極的にそうした議論をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。

 今臨時国会から、今日は初質問、法務委員会にも所属させていただいて、ちょっと緊張しておりますし、拙い質問になるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の俸給表の改定は三年ぶりというふうなことを伺っているんですけれども、その割にはちょっと小幅かなという気がします。というのも、私も小川敏夫法務大臣の当時に秘書官を務めさせていただいて、法務省の中で皆さんが本当に大変な仕事の状況の中で、特に、同僚には検察官の方もいらっしゃいましたし、そこでお話を聞くと、何というんでしょう、簡単な言葉で言うと割に合わないなという感想を持つことが多いんじゃないかなというふうに私は感じました。

 そこで、私は今日は、性別に関わりなく、優秀な人材がその能力や業績を適切に評価され、その評価に応じた給与を受け、キャリアアップを図っていけるかどうか、とても重要なことだと思いますので、そのことに関して、裁判官、そして検察官についてお伺いしたいと思います。

 先ほど鈴木庸介さんの方から、裁判官の方、とてもすごい、深掘りしていただいたので、私としては、自分も同僚の一人として働かせていただきました、検察官の方を少し深掘りさせていただこうかなというふうに考えています。

 この中でも特に私が注目したいのは、女性の裁判官、女性の検事の方々のことです。これは個々人の人生の選択でありますけれども、出産、育児といったライフイベントが女性には発生します。その中で、育児取得率がどうなっているのかなとか、昇給する上で不利になっていないか、職場環境、働き方改革、こういったところが、裁判官、そして検事、どうなっているかということを聞いていきたいと思います。

 では、早速質問させていただきます。

 私は、裁判官、検察官に意欲的に働いてもらうためには、能力、業績に応じた適切な報酬、俸給を支給することが大変重要であると思っているんですけれども、その上で、先ほど鈴木庸介さんの方からありましたけれども、民間の方では、人事評価に基づいて昇給をしたり、お金ですね、あるいはプロモーションしたりというのがあるんですけれども、これはちょっと裁判官には向かないんじゃないかというようなこと、御指摘がありました。

 検察官はどうなのかなというところをちょっと教えていただきたいので、人事評価の評価項目、評価方法、具体的にどのような取組がなされていて、その評価されたものが実際報酬に反映されるものなのか、どのような形でそれをリペイしていくというんですかね、アプリシエートされているのか、教えていただきたいと思います。

 検察官、そして裁判官、それぞれ簡単にお答えくださいませ。

川原政府参考人 お答えいたします。

 まず、私の方から検察官についてお答え申し上げます。

 検察官の人事評価につきましては、他の一般職の国家公務員と同様に、国家公務員法の人事評価制度に関する規定の適用がございまして、各検察官の捜査、公判能力、管理者としての能力、執務姿勢等を総合的に勘案して、能力評価と業績評価が実施されているところでございます。

 そして、昇給等に関しましては、人事評価の結果を踏まえつつ、能力、適性等を勘案して適切に実施しているところでございます。

吉田(は)委員 例えば業績を評価する場合というのは、ちょっと私伺いたいんですけれども、検察官において、担当する案件でしょうか、それともその過程でしょうか。ちょっと具体的に教えていただけたらと思うんですけれども。かつ、自分もこれを担当したいということが言えるのか、それとも上司の方から言われた案件を担当するのか、教えてください。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、検察官の職務の一般を最初に申し上げますと、検察官というのは基本的に発生した事件の捜査、処理をするものですから、もちろん、事件の中には、被害がなかなか明らかにならないので、積極的に活動することによって明らかになる事件というのはございますが、そこは、仕事を自ら積極的に開拓していくというより、若干受け身でございます。したがって、業績といっても、例えば去年より何%アップで何かをするとか、そういった定め方ができないところでございます。ですから、基本的には与えられた任務を適切に果たしているかどうかという観点からになります。

 この与えられた任務でございますが、確かに、個々の検察官に、こういった事件をやりたい、ああいった事件をやりたいという希望があることはありますが、組織全体として適切に業務を運営するためには、個々の検察官が、僕これやりたい、私これやりたいでは混乱が生じてしまいますので、上司がおりまして、上司が全体の業務の中から適切に配分していく、さらに、当初配分したものが途中で、いろいろな事情があってアンバランスが生じていれば、またその調整をしていくという形で業務を与えるということになっております。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 こういうことをお伺いするのは、やはりどういったところに民間企業の場合はやりがいを感じていくかというところにもつながるんですけれども、与えられた任務を適切にということでした。

 実際、裁判官の方も超過時間が非常に多く出ている、検察官も私は同じだと思うんですけれども、それに対しては報酬が支払われない。民間でいうとホワイトカラーエグゼンプションみたいなものなのかなと私は理解したんですけれども。ちょっと昔の、昭和の時代は、一生懸命やっているやる気と、長時間労働で、先輩が帰る前に帰っちゃ駄目みたいな、そういうような文化はないですね。大丈夫ですか、検察。

川原政府参考人 お答えいたします。

 確かに、以前は委員御指摘のようなことが社会一般にあったということだろうと思いますが、現在は、検察当局におきましては、検察官を含む職員のワーク・ライフ・バランス実現が非常に重要なことであると認識をしておりまして、職員が心身の健康を保って働くことのできる働きやすい職場環境の構築に取り組んでいるところでございます。

吉田(は)委員 それを聞いて安心しました。本当にそれは真摯に取り組んでいただきたいなというところです。

 というのも、昨日レクではそのデータがないというふうに伺ったんですけれども、若年層の離職者、これが増えていないかなというところで、詳細なデータがないということだったんですけれども、肌感覚でもいいので、いわゆる結婚、子育て、この年代に当たるような若年層の、これ、もしよかったら裁判官の方も教えてください。裁判官、検察、この辺の離職状況、いかがでしょうか。肌感覚でもいいです、教えてください。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 データがないのであれなんですが、最近、報道等を拝見していますと、検察官に限らず、国家公務員全般で少し、委員のような御指摘の傾向があるのではないかという指摘があるようでございます。

 私どもとして、検察官が特に、他の公務員と比較して何か辞めるのが多いなというようなところまでは感じていないところでございます。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官につきましても、今手元にデータがないものですから、正確なところは分かりません。

 ただ、今の社会情勢等もあります、いろいろと個別に事情を抱えている者もおります。その辺りを配慮しつつ人事を行い、意に反してと申しますか、このまま仕事を続けたいのに離職をせざるを得ないというような状況ができるだけ生じないように配慮してまいりたいと思っているところでございます。

吉田(は)委員 データがないというところなんですけれども、これから若年層が、離職をしないで、やりがいを感じて、かつ、適正に報酬が支払われて、その仕事にプライドを持ってやっていくというのが、検察官、そして裁判官、司法の中で皆さん本当にすばらしい仕事をされる方々だと思いますので、とても重要なことだと思いますので、若い世代が、本当に大臣よろしくお願いします、生き生きとこの仕事に誇りを持ってという職場を是非つくっていただきたい。

 というのは、大臣、こんなことを聞いたことはありますか。民間企業では、もう夜の八時以降、電話やメールはしないと。昔は、昭和の時代は、一時、二時にメールを送って、うわあ、この人頑張っているわ、こんな時間までみたいな感じで、わざと夜遅くにメールを送ったり、朝早くメールを送ったりしていたんですよ、本当に。でも、もうそういうのはないです。民間企業ではもうそれはやりませんし、今コロナ禍で随分飲み会は減りましたけれども、それでも、金融機関、私は金融の方に勤めていたんですけれども、もしみんなで飲み会をやっても一次会で絶対終わりという決まりをつくっているんですよ。

 こんな形で働き方改革をはっきりと進めているところなので、大臣に是非伺いたいんですが、こういうような民間の流れに対して、まだ裁判官のところはちょっと私も不明なところがありますし、検察の方でもこうして働き方改革に取り組んでいらっしゃるようですが、大臣、どうでしょう、これは今、十分でしょうか。それとも、こういうところをもう少しやった方がいいんじゃないかというのがあれば。また、若年層の裁判官、検察官に対して、大臣がどんなふうに考えているか、お知らせください。

葉梨国務大臣 非常に今の御議論を興味深く私も聞かせていただきました。

 私も、議員になる前は警察におりまして、捜査も担当したことがございます。当時の担当の検事さんともいろいろと打合せもさせていただきました。確かに、昭和の時代、私も昭和の時代に捜査二課長をやっておりましたので、当時は、飲み会、深夜までというのもあって、大分若い警察官に迷惑をかけたなという反省をしております。

 それでも、最近は、私も法務副大臣を二年やって、それで今法務大臣として来ておりますけれども、法務省の中も大分さばけてきておりまして、私は裁判所の方はちょっとよく分からないんですけれども、何か、深夜まで仕事をしなければ仕事をしていないとか、そういう雰囲気はなくなってきて、非常にいいことなのかなというふうに思っています。

 それで、私たちとして考えなければいけないのは、やはり検察官、これは総合職もそうなんですけれども、裁判官の方もそうだと思います、広域の異動が非常に伴いまして、これが結構な負担になっていますので、ワーク・ライフ・バランスといったときに、単に短期的なものを見るだけではなくて、女性は特にそうだと思いますが、人生の制度設計を考えながら、いろいろな人事評価、それから人事異動等々も含めて、いろいろ考えながら、是非、非常に大事な仕事なんです、本当に崇高な仕事だと思いますから、希望者がたくさん来ていただくように、そういうことをやはり私たちはしっかり考えていかなきゃいけない、そういうふうに思っています。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり、メンターと言われるような先輩方が、ああありたい、自分もこうなりたいと思えるようなモデルが必要だと思うんですね。今の若い人たちが逆にがっかりしてしまうのが、これは民間企業の例なんですけれども、管理職にある上司が、昼、時間がなくて食パンをかじっている姿を見たら、ああ、あと十年後、ああなりたくないと思ったと。いや、これは本当にそういう実感があると思うんですよ。なので、是非、待遇の面で、ああ、こうなりたいというところをつくっていただきたい。

 というのは、これはやはり女性の裁判官、そして検察官の働き方にもつながっていくところです。今大臣おっしゃっていただきましたけれども、広域の異動、そしてまた転勤、いろいろなチャレンジングなことがあると思うんですけれども、大臣、マミートラックという言葉、聞いたことはありますか。別にクイズじゃないです。

葉梨国務大臣 正直なお話、今初めてお聞きをいたしました。マミートラップ、母のわなということでしょうか。

吉田(は)委員 マミートラックというのは、最近ようやく言われ始めてきているんですけれども、一旦育休とか産休から復帰した女性が、いわゆる比較的責任の重い、先ほどの話じゃないんですけれども、検察になったら重要な事件を担当したい、でも育休明け、産休明けであれば、本人はやりたくてもそこに配置してもらえないとか、変な忖度をされて簡単なものだけ渡されるとか。結局、自分がプロモーションしていく、トラックですね、道筋というんですか……(葉梨国務大臣「トラックね、トラップじゃなくて」と呼ぶ)トラック。自動車じゃなくて、道筋という意味のトラックなんですけれども。そのマミートラックというのは、そこから外れてしまう、簡単な言葉で言えば出世街道から外されてしまうということなんですね。こういうのが実際ありまして、裁判官も検察もそういうのがあるのかどうか伺いたいなと思います。

 というのは、もちろん、結婚、出産して、それに合った仕事をしたいという方もいらっしゃれば、そういうことの配慮なしに、自分は検察官として、自分は裁判官としての、男女で見られるのではなくて、自分はこのプロフェッションだということでやりたいという方もいらっしゃると思うんですよ。

 でも、もう一つ、大臣、マミーギルトというのもあるんです、ギルト、罪悪感。これは、自分がプロフェッショナルとしてやっていくと決めて、実際その仕事をやり始めても、やはり子供に対してはいつもどこか母親は罪悪感を感じるんですね。何かこの子のことを犠牲にしているんじゃないかなとか、そういうようなマミートラック、マミーギルトに対して、やはり検察庁も裁判所も配慮していただきたいなと思うんですけれども。

 大臣、こうした女性の裁判官、検察官の働き方の中で、実際、ああ、ごめんなさい、先にどんな取組をしているか聞いた後に、大臣、それに対して、もうちょっとこうしたらいいんじゃないとか、これはいいねというのがあったら教えてください。

川原政府参考人 お答えをいたします。

 今、マミートラックというのは私も初めて聞いたんですが、要するに、女性が出産、育児によって、そのキャリアの過程において不利益な扱いを受けないということだろうと思います。それは突き詰めて言えば、男女共同参画をきちんと実施するということなんだろうと思います。

 この男女共同参画という意味で申し上げますが、まず、育児休業等の出産、育児に伴う休暇の取得というのはもちろんなんですが、その後、職務に復帰した後も、早出遅出勤務の活用等によりまして個々の事情に応じた柔軟な勤務を可能にする。検察官の場合、皆で共同で作業をする場合もあるのですが、個々に、担当している業務をこなすというために、自分の時間の使い方ということの活用も可能ですから、そういう意味でも、遅出早出勤務の活用ということで、個々の事情に応じた勤務、柔軟な勤務を可能にするということを行っております。

 また、育児休業などを取ってしまいますと、その間の、私どもの仕事は、法律が改正されたり、いろいろな情報をどんどん上書きしていかなきゃいけないものですから、そういったものに関しましては、育児休業中の検察官に対しては職務の復帰に向けた必要な情報を提供するなどをする。

 あるいは、子育てに伴うことに関しましては、保育園等の情報を提供したり、あるいは、未就学児童を有する検察官が、先ほども大臣から御答弁がありましたが、全国転勤があるものですから、その場合に転勤先での保育所がきちんと確保できるようにということで、あなたはここに行ってもらいたいけれどもどうだろうかという、いわゆる意向打診と言っておりますが、こういった形を早めに実施して保育所確保の時間を取るという形で、まずきちんと業務が遂行できるような体制を取っております。

 そういった形の上で、男女だからという形で、それだけのこと、あるいはこの人は子育てしているからという、それだけの事情によって、何か業務において差を設けるというようなことは、当然のことながらしていないところでございます。

葉梨国務大臣 済みません、先ほどトラックというのを聞き間違えてしまいまして、申し訳ございませんでした。

 いずれにしても、マミーギルトというのも私も初めて聞かせていただきましたが、今刑事局長から答弁したとおりなんですが、非常に、我々としても組織の中で大変工夫を重ねている最中であるということです。

 特に、検察官は女性の割合が結構高いんです、御存じのとおり。ですから、貴重な戦力でございますので、しっかりと、今刑事局長からも話がありましたが、個別の事情もそれぞれあるんですけれども、戦力として、是非やる気を持って働いていただけるように頑張りたいと思います。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 例えば、その中で、これは昨日レクを受けた後に、私の政策秘書も弁護士で女性なんですけれども、彼女と話していて、妊娠したときに、検察官であれば、案件によってはちょっと読むのもつらい内容であったり、お写真や、もしかしたら現場も見られるとき、真っ先に考えるのが、おなかの子供に大丈夫かなという心配が出てくることだってあると思うんですけれども、こんな声、今まで女性検察官の方からないですか。その辺り配慮してほしいとか、自分は平気だけれどもおなかの子供に悪い影響があるんじゃないかとかと御心配なさるんじゃないかなと思うんですけれども、こういうような声というのは今までございませんか。

川原政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、刑事事件をやっておりますと、現場であるとか、あるいは亡くなられた方の御遺体の解剖などございますが、ただ、私どもの場合、それは実は、司法修習生、およそ検察官になる前の法曹の教育のときからそういうものが当然業務の前提になりますので、言葉として適切かどうか分かりませんが、業務として当然見るべきもの、接するべきものになりますので、妊娠したときに、それを見て精神的な衝撃を受けるというような恐らく状態ではない職業人になっているんだろうと思いますので、一般の方が見ればショッキングではありますが、そのことによって何かということは検察庁の中ではなかろうと思います。

吉田(は)委員 もちろん、そういう捜査のところにいらっしゃると思うんですけれども、やはり、妊娠すると、ちょっと女性としては気持ちが変わるときがあるんですね。もちろん自分は全然平気だけれども、あれ、こういうことを見ていることによって子供に影響ないかなとやはり心配される方もいらっしゃるんじゃないかと私は思いますので、そういった、言える空気というか、実際、ちょっと大丈夫かなというところで、例えば産業医とつなげるとか、そういうところでちょっと話合いができる場とか、何らか、女性の検察官の声を聞く場を是非つくっていただけたら、また次に入ってくるお若い方々が働きやすくなるのかなと思います。

川原政府参考人 今の御指摘の点に関しましてちょっと補足的に御説明申し上げますと、先ほどの、写真などショッキングなものということをおっしゃいましたが、それ以外にも、妊娠した女性の体調の変化など、妊娠していない状態とは違うということは我々男性も理解はできますので、妊娠したその女性の処遇に対しましては、管理職の方から、体調等あるいは精神状態を含めた状態等に何か配慮してほしい点はないかということは常日頃聞くように努めておりますので、もし委員御指摘のように、ちょっとそういう情報に接するのがつらいということがありますならば、それは当然に配慮するということでございます。

吉田(は)委員 今、こういうのも、自分がプロフェッショナルだと思えば思うほど、こんなこと言っちゃ駄目だと思って、さっきのマミートラックから外れたくないと思うので、無理される場合も恐らくあるかと思いますので、是非、これは男女関係なく、それぞれの能力を発揮していただくために、そういった定期的な、ざっくばらんな声を聞けるようなシステムを構築してほしいなと思います。

 これは単に数字を教えてください。

 裁判官の女性、男性の育児休暇取得率、そして、検察官の男性、女性の育児休暇取得率を教えてください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の育児休業の取得率ですが、直近二年を申し上げますと、令和二年度は、男性は三六・九%、女性は一〇〇%、令和三年度、男性は五五%、女性は九五%ということでございました。

川原政府参考人 お答え申し上げます。

 検察官に関してでございますが、直近、令和三年度の育児休業取得率でございますが、概数で申し上げますと、男性検察官が七〇%、女性検察官が一〇〇%でございます。

吉田(は)委員 すごい。男性検察官七〇%ということで。ちょっと長さも聞きたいなというところなんですが、時間が迫っているので。育児休暇とか保育園とか、形も大事なんですけれども、やはり精神的な面での是非フォローもお願いしたいと思います。

 最後の質問、テレワークに関して、大臣に一つ見解をお伺いしたいんですが、この間の、神戸の少年の殺傷事件で書類がなくなるということもありました。テレワークのことを考えたとき、私、一つ疑問に思ったことがあるんですよ。

 検察はなかなかテレワークができないので省内から書類を動かさない、対して、裁判官の方は自宅でもお仕事ができるということで、同じ書類が片方では持ち出せない、片方では持ち出して自宅でも見れるというような、この状況というのはセキュリティー上大丈夫なのかなと。このインバランスというのは、大臣、どうでしょうか。ちょっと確認した方がいいんじゃないかなと私は感じたんですが、いかがでしょうか。

葉梨国務大臣 お答えします。

 裁判所の扱いについては、私もちょっと、そこのところは裁判所に聞いていただきたいと思うんですが、少なくとも、検察に関しましては、セキュリティーの問題というのは非常に大切だと思います。

 先ほど、IT化、デジタル化でも御質問を受けたわけですけれども、しっかりそこのセキュリティーを確保するということが、今のテレワークのお話も含めて、非常に大切になってきますので、その制度設計はしっかりやっていかなきゃいけないだろうというふうに思います。

 書類の持ち出しというのは、これは、私もやはり、余り検察としては好ましいことではないんだろうと思います。

吉田(は)委員 ありがとうございました。

 大変拙い質問でございましたけれども、今日伺ったお話を基に、また深掘りさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。法務委員会では、二度目の質疑に立たせていただきます。

 先日の大臣所信に対する質疑では、職場環境の整備というテーマを通じて、我が国の屋台骨を支える法務行政に携わる職員の皆様への思いを聞かせていただきました。法務省を一つのチームとして、法秩序の維持と国民の権利の尊重、こういう二つの要請をバランスの取れた形で満たしていくという大臣の決意を伺い、法務行政の奥深さを改めて認識させていただいたところです。

 委員の皆様も御存じのように、人々の抱える困難が複雑化、高度化する中で、法務行政全般に対する時代の要請は刻々と高まっております。裁判所や矯正施設、出入国管理など、最前線の現場で使命感を胸に任務を果たしておられるお一人お一人の皆様が、まさに全体の奉仕者として日々働いていらっしゃることに、この場で改めて心より感謝と敬意を表します。

 そして、私自身、そこで働かれる皆さんの働きやすい環境、そしてやりがいのある環境、こういったものを推し進めていけることは、政治家として続ける限りこれを追求していきたいということもお誓い申し上げます。

 一方で、地元の埼玉県で各地域を回っておりますと、昨今の物価上昇で生活が苦しいという悲痛な声をたくさんいただきます。労働者の賃金がなかなか上がらず、引退後の年金支給額も下がっている中、物価だけが高騰して、日々の買物にも困っているという切実な声は、困難を抱える人々に寄り添う法務行政を担当されている法務省にも届いていることと思います。

 さて、本日は、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきますが、現下の状況やこれまでの経緯を踏まえ、適切な公務員給与の在り方そのものについても議論を深められればと思っておりますので、葉梨法務大臣、伊藤委員長、関係省庁の皆様、委員部の皆様、そして法務委員会の全ての委員の皆様、どうぞ本日もよろしくお願いいたします。

 では、まず最初に質問をさせていただきます。

 裁判官の年間の給与総額について、最高額の最高裁判所長官、そして最低額、簡易裁判所判事十七号、また、検察官の年間の給与総額について、最高額の検事総長、最低額、副検事十七号について教えてください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 現行の最高裁判所長官の報酬等の年額は約四千万円でございます。現行の簡易裁判所判事十七号の報酬等の年額は約六百万円でございます。

竹内政府参考人 検察官についてでございますが、現行の検事総長の給与年額は約二千九百十六万円、副検事十七号の給与年額は約四百五十万円でございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 最高裁判所の長官は四千万と大変高額だと思いますが、これをどういうふうに国民の皆様が感じるのかということになります。

 さて、本日は、この中で是非皆さんにちょっと考えていただきたいところが、最高額と最低額を教えていただいたんですけれども、もちろん、これ自体は、給与と賞与、これが大きく二つの要素としてまず入っているというところから整理をさせていただきます。そして、今回の法改正では、人事院より、その給与そして賞与について、民間比較した上で、上げるという提案が出ています。

 民間給与が月額四十万五千九百七十円に対して、国家公務員給与は四十万五千四十九円なので、差額である九百二十一円を引き上げる。そして、賞与については〇・一か月分引き上げる。平均給与でいうと、月額四十万五千九百七十円、賞与を合わせて年間給与六百六十六万円、勧告前より年間五万五千円引上げとなります。

 人事院が使う民間給与とは、民間給与の単純平均ではなく、独自のラスパイレス比較というものにより算出した金額となります。

 人事院に質問です。

 勧告で使われる人事院独自のラスパイレス比較というものについて、分かりやすく御説明をお願いします。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 給与は、一般的に、職種のほか、役職段階、勤務地域、学歴等の給与決定要素により水準が決まるものと認識しております。このため、国家公務員給与と民間給与の比較を行う際には、単純平均で比較するのではなく、給与決定要素を同じくする同種同等の者同士を比較するラスパイレス方式により、精密な比較を行っております。

 この比較を行うため、人事院は、職種別民間給与実態調査を実施しております。この調査では、全産業の民間事業所のうち、いわゆる外資系企業なども含めた、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の全国の民間事業所を母集団とし、その中から調査を行う事業所を選定しております。

 調査事業所の選定に際しましては、母集団事業所を都道府県別に組織、企業規模等により層化した上で、大手企業に偏ることなく、いずれの企業規模からもおおむね同程度の割合で、調査を行う事業所を無作為に抽出しているところでございます。

沢田委員 御詳細ありがとうございました。ちょっとは分かりやすく、ありがとうございました。

 何点か気になったので、一つずつ質問をさせていただきます。

 まず最初に、学歴という言葉が出てきたんですけれども、私は、民間企業が独自の判断で基準を決めていくことに口を出すつもりはもちろんないんですけれども、この日本は義務教育となります。当然中学までが義務教育となって、これ以降を、公務員という立場で、私は、差別というか区別をしていくことが、少しそれは違うのではないのかなと。もちろん、大学まで全部無償化にしていくという形であるならばまた別だとは思うんですけれども、この中で学歴を基準に入れることに対して、議論や問題意識というものはあったんでしょうか。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、給与は、一般的に、職種のほか、役職段階、勤務地域、学歴等の給与決定要素により水準が定まるものと認識しております。

 御指摘の学歴につきましては、我が国においては、高卒、大卒の賃金を比較した場合に、一般的に見て水準差が生じていること等を踏まえ、ラスパイレス方式による比較要素としているところでございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 ただ、義務教育は中学までなんですね。私たち日本維新の会としても大学までの無償化ということをずっと言っているんですけれども、民間企業であれば、その基準というものは、やはり、民間がお金を生産して、その中でどうそれをお給料として払っていくかというのはある程度自由であっていいと思うんですけれども、国がその方向性を指し示すというのであれば、それは、より給料が上がるというものが大学卒業者であり、また、そういった、それに付随する方となるのであれば、そこを当然、国側はリードしていく必要はあると思うんですね。

 それを逆に、中卒者から差をつけていく中で、学校教育としては中学までしか保障されていないというのであれば、私は、ちょっとここは考えるべきなのではないのかな、単純に民間との比較ではなく、しっかりとこういったことも含めて基準に入れていただければと思います。

 続きまして、対象企業、ここは企業規模五十人とありますが、これは民営事業者全体の正社員数の六割を超える人数をカバーしているとのことです。

 これは、非正規、パート、アルバイトは含まれないんでしょうか、教えてください。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、非正規、パート、アルバイト等は含まれてございません。

沢田委員 ありがとうございます。

 あくまで正社員の六割を超える人数をカバーと、これはよく御答弁で使われているんですけれども、非正規、パート、アルバイトの方々、大変増えております。そういった方々も、その金額で生活をなさっているということを考えたときに、この対象企業から外れているというのはちょっといかがなものかなというふうに感じます。

 続きまして、対象企業には、先ほど御説明あったように、日本に法人がある外資系企業なども入っているということです。ほとんどの外資系企業では、独自の積立て以外の退職金の制度を取り入れていません。それもあって、通常の報酬が高く設定されている傾向にございます。

 対象企業の退職金の有無、基本給と退職金の比率なども調査、又はラスパイレスには反映なさっていますでしょうか、教えてください。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 給与と退職金では、それぞれの性格、果たすべき役割が異なるとともに、これを受給する世代も異なることから、人事院といたしましては、給与及び退職金については、それぞれに適した方法で官民比較を行うことにより官民の均衡を図っていくことが現実的かつ適当であるものと考えております。

沢田委員 退職金と基本給というものは、民間では連動しております。公務員の給与はそれが連動しないということが今の御説明で分かったんですけれども、二つ提起をさせていただきます。

 一つ目は、公務員の皆様の退職金は大企業並みということを一つ御指摘させていただきます。

 令和二年度にはなるのですが、定年退職だけに絞った公務員の退職金の平均額は二千百四十二万一千円となります。日本経済団体連合会が公表しております退職金・年金に関する実態調査結果によりますと、新卒入社して標準的な昇進をした人の標準者退職金は二千万円前後。ただ、このデータの八一%は従業員五百人以上の大企業であり、全労働人口の一割しか当てはまりません。一方、東京都産業労働局が発表しました中小企業の賃金・退職金事情によると、中小企業のモデル退職金は一千万円程度となります。もちろん、退職金がない中小零細企業、たくさんあります。これがまず一つ目です。

 二つ目は、退職金をなくす又は退職金の比率を減らす企業が増えた場合に、月額報酬が上がり、それに伴い人事院の勧告額も上がるため、生涯年収における官民格差が広がる可能性が高いということを御指摘いたします。

 先ほども言いましたが、そもそも外資系企業に退職金はないので、その分、高めに設定がされている場合が多くございます。そういったものを採用して、ラスパイレスという形で給与の基準に入れているということは、私はちょっとフェアではないのかなというふうに思います。

 日本の企業も、元々は高度経済成長の際に、大変高い金利を払ってお金を借りるということから、やはり、その状況で少しでも、いわゆる従業員の方からお金を借りて、そしてそれを退職金という形で金利をちゃんとつけて返すという、これが高度経済成長に、いわゆる退職金と終身雇用という仕組みが大きく推進した一理だと私は考えています。

 これを考えると、やはり、退職金と通常のお給料というものの連動というものは確実にその時期からなさっていて、これができている状態だからこそ、それについて我々が両方を一緒に考えていくということは、これは当たり前の話なのかなというふうに考えております。

 そして、今、金利はどうでしょう。ほぼほぼゼロ%の金利を維持している状態がもうここ十年近くずっと続いております。この中で、企業がお金を借りやすい環境というのが続いている中で、普通に考えればですよ、労働基本法やそういったある種ルールがなければ、企業がお金を借りることと、退職金で金利をつけて従業員に返すの、どちらを優先するかといえば、それは当然、大企業としても、多くの方がいわゆる人材の流動化に動いていく、そして、もちろん雇いやすい環境にしていく中でも、退職金を比重を減らして、ある種、タスク、いわゆる自分の成果報酬に対して払っていく、こういう形にしていく方が妥当な流れだと私は考えております。

 そういった流れがずっと続くとなればこそ、先ほど言いました二つ目の部分、ここがどんどんどんどん広がっていきます。例えば、ほとんど退職金を想定しないような企業が多くラスパイレスの比較に入った場合に、基本的には全ての賃金上昇額が全て公務員の皆さんには乗っていきます。けれども、退職金は大企業並みの二千万円、そして、基準になっている会社自体はその退職金の想定がされていない、こういうことがねじれにつながるというふうになると、今のこの仕組み自体、問題がやはりあるのではないのかなというふうに考えます。

 私自身、非正規やパート、アルバイト、中小零細企業の反映がなされていないという基準もやはりおかしいと思いますし、どんどん新しくなる、先ほど言いました、民間の労働環境との整合性が取れなくなってくると思います。そんな中、給与は高く見積もられ、退職金は大企業と同等という、客観的に見てもいいとこ取りの制度になっていると感じてもおかしくないと思います。

 そこで、まず基準ということからいま一度考えていかなければならない。そう思うと、それに付随する、各省庁で発表しています指標が二つありましたので、御紹介させていただきます。一つ目が、国税庁の発表しています民間給与実態統計調査、二つ目が、厚生労働省の賃金構造基本統計調査となります。

 質問です。

 それぞれの調査の概要、いつの期間のものを参照しているのか、そして、最新の平均給与月額も教えていただきたいんですね。追加で、人事院も、どこの期間で判断しているのかということと、最新の平均給与月額だけは、これは人事院の方も教えてください。

植松政府参考人 お答えいたします。

 国税庁が実施しております民間給与実態統計調査は、民間の事業者を対象とした給与に係るサンプル調査となっております。民間の事業所における年間の給与の実態を、給与階級別、事業所規模別、企業規模別等に明らかにし、併せて、租税収入の見積り、租税負担の検討及び税務行政運営等の基本資料とすることを目的としているところでございます。

 こうした目的を踏まえまして、主な特徴といたしましては、調査対象に役員やパート、アルバイトを含んでいること、調査項目に賞与も含まれていること、対象となる期間は一月から十二月までにかけての年間の給与であることなどが挙げられます。

 また、直近の調査における平均給与のお尋ねにつきましては、令和三年分における、一年を通じて勤務した給与所得者の賞与を含めた平均給与は、四百四十三万円となっております。この金額を十二月で単純に除しますと、約三十六万九千円となります。

田中政府参考人 お答えいたします。

 賃金構造基本統計調査でございますが、これは、主要産業に雇用されます労働者につきまして、その賃金の実態を労働者の雇用形態、就業形態、職種、性別、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別等の属性ごとに明らかにすることを目的としてございます。毎年七月に、六月分の賃金等につきまして調査を行っております。

 最新の結果ですが、最新の令和三年の結果によりますと、一般労働者の所定内給与額、月額は、男女計で三十万七千四百円、短時間労働者の時間当たり賃金額は、男女計で千三百八十四円となっております。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 人事院勧告における官民比較の基礎となる民間給与につきましては、主として三月のいわゆる春闘期に賃金改定に関する労使交渉が行われていることを踏まえまして、月例給について、春闘期後の四月分の民間給与を調査しております。

 本年の調査の結果を基にラスパイレス比較を行う際に算出した民間給与額は、四十万五千九百七十円となっております。これは、公務と民間の給与を精密に比較して較差を求めるために、役職段階、勤務地域、学歴等の別に区分した国家公務員の人員構成と同じ人員構成の民間企業であれば幾らの給与が支払われるものかを算出した額を民間給与額として示しているものであり、民間給与の単純平均とは異なるものとなっております。

沢田委員 国税庁の民間給与実態統計調査は、役員報酬やパート、アルバイト、賞与も参考になっており、民間の平均給与に近い水準と感じました。ちなみに、これを参考にすれば、人事院勧告は、月額で大体三万七千円ぐらいですか、引き下げるというような勧告になると思います。

 厚生労働省の賃金構造基本統計調査を参考にすれば、九万八千五百七十円ぐらいの引下げとなるんですけれども、これについては、かなり限られた範囲と感じますので、民間の平均給与を調べたいということでは参考にならないと感じました。

 少し掘り下げたいんですけれども、国税庁の民間給与実態調査において対象外になるような事例というものはありますか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 民間給与実態統計調査は、先ほども答弁申し上げたとおり、民間の事業者における年間の給与の実態を明らかにするとともに、併せて、租税収入の見積り、租税負担の検討及び税務行政運営等の基本資料とすることを目的としているところでございます。

 こうした目的も踏まえまして、例えば、全従事員について源泉所得税の納税がない事業所については、調査の対象外となっているところでございます。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 その点を補うことができれば、民間の正確な調査に更に近づけることができるのかなというふうには思っております。本当にありがとうございました。

 少し話がずれるんですけれども、今回の人事院の判断として、給与プラス、ボーナスプラスとなる中で、年金は減りました。減った理由と、その基準となる材料の調査期間を教えてください。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度の年金額の改定率はマイナス〇・四%となってございますけれども、これにつきましては、年金額の改定ルールに基づきまして、令和三年の物価変動率、マイナス〇・二%でございます、それに平成三十年度から令和二年度までの三年度平均の実質賃金変動率、こちらもマイナス〇・二%、この二つを加えて算出した名目の賃金変動率がマイナス〇・四%となったことを反映している数字でございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 先ほど、公務員の給料をつかさどる人事院は、同年の四月を採用してお給料の一つの基準をつくっているということでしたが、年金は二から四年度前の、今回では賃金の変化がマイナス〇・四%だったということになるんですけれども、当然、年金の世代間格差是正や持続可能性向上のための対応としてこれは必要な部分もあると考えながら、基準が異なっていることによって結果が変わるということには違和感が残ります。

 特に、昨今のインフレ率上昇のあおりの原因でもあるエネルギー価格高に波及するあおりは、低所得になればなるほど影響が出やすい状況になっている中、年金が減らされれば更に大きな不安につながって当たり前と感じます。

 アメリカなど一〇%近いインフレが続く中、更にこのねじれが広がる可能性もあると考えれば、期間についてはせめて人事院と統一すべきと考えますが、厚労省でそのような問題提起又は議論はあったのか、教えてください。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 年金額の改定に当たりましては、確定値であります前年の物価の変動率と過去三年間平均の実質賃金変動率、この二つを用いることになっています。現下、物価が上昇してございますけれども、この物価の上昇分については来年度の年金額に反映される、そういう仕組みになってございます。

 実質賃金の方が過去三年平均としておりますのは、ある年に大きい賃金変動が起こりますと、特定の年の新規裁定者だけが低い年金額が生涯にわたって続いてしまう、そういう年齢間の不公平が発生してしまいますので、そこを緩和するために、賃金の変動を平準化するために三年平均を使っているところでございます。

沢田委員 仕組みは分かるんです、理解できるんですけれども。ただ、ここ最近の物価と年金の動き、お給料の動きというのは、少しデリケートにやらなきゃいけないのかなというふうに感じているのも事実です。地域を回ると、やはり高齢者、全体的に、ああ、物価が上がっている、物価が上がっている、円安になっているなんという言葉は聞くんですけれども、結局年金も減るのよなんという話になったら、これはやはり、おじいちゃん、おばあちゃん、大変不安だと。これはもっともっと減るんじゃないのかなという報道もいっぱいされているわけですね。

 例えば、二〇一九年に年金、二千万円問題が浮上した際にも、年金はマクロ経済スライドで百年安心、こう言いながら、あれから三年しかまだたっていないんですね。そんな中で、厚生年金の積立てを国民年金の穴埋めに使えるように動いたり、また、国民年金の加入期間を現在の四十年から四十五年に延ばす検討があるなど、これはやはり、地域に住まわれている方々は、かなりこういったことに対してデリケートに聞いているようなところがあると思います。私はやはり、議論からごまかして、こうやって少しずつ少しずつ微修正をすれば何とかなるというふうに思っているのが大きな間違いなのではないのかなと。

 そういった不安を持っている方々から見たときに、年金は落ちるんですよ、だけれども、公務員の方の給料は上がるんですよ、これ、客観的にどう思いますか。私はもちろん、仕組みは分かっています。こういう状況において、国民生活全体を俯瞰して見なきゃいけない我々国会の現場で、確かに小さな仕組み、ミクロの部分の仕組みということは理解しておきながらも、この部分に関してだけは、やはり国民の多くの方々が不安を覚えるのは私は当然だというふうに思うんですね。こういったところをある種悪用して情報をまいたりしたら、これはやはり間違ったことになると思うんです。

 やはり、出ていくものは同じ、そして、年金の本質というところでいうと、生活費ということではないのかもしれないけれども、そういった中で暮らしている方が多くいるからこそ、大きな誤解にならないように、是非この件につきましては前向きに検討いただければと思います。

 続きまして、公務員の位置づけについてお伺いしたいんですね。

 質問なんですけれども、国家公務員が採用されるに当たり、服務の宣誓内容について、あると思うんですけれども、教えてください。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 個々の公務員が国民全体の奉仕者としての高い倫理観と使命感を持って様々な公務職場において真摯に業務に従事することは、行政を運営していく上での最も重要な基盤であると考えております。そのためには、常日頃からこうした意識を涵養することが重要であることから、様々な形で意識啓発の機会を設けております。

 具体的には、新たに採用された者について、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚するといった内容の服務の宣誓を行うこととされております。

 採用後につきましても、人事院において、高い倫理観に基づいた国民全体の奉仕者としての使命感の向上等を目的とした研修を、採用直後から幹部級まで、役職段階に応じて行っているところでございます。

沢田委員 私は、この言葉の意味こそが公務員の皆様のマインドであるべきと考えております。人事院の言う、職業や立場、学歴などで正当性や妥当性を言う、そしてそれを給料に反映させるという今の人事院勧告の仕組み自体が間違っているのではないかというふうに考えております。

 私は、国民全体の奉仕者としている公務員の皆様の立場こそ、国税庁の調査のように、民間の非正規、パート、アルバイトまで含めた全ての働き手を採用すべきと考えますし、そして、政治も行政も、民間のように何かを生産して利益を生んでいるわけではありません。民間よりも多くの給料になれば、その分予算は多く使われます。予算とは税金です。税金が高くなれば、民間は活力を失うとともに生活が苦しくなります。日本の純債務は約七百兆円。国民負担率四八%。さらに、増税の議論が、昨日も、政府税調で、消費税、未来永劫一〇%では日本の財政もたない、こういった報道もありました。今の日本国は、利益の出ている民間企業と同じマインドではいけないんじゃないのでしょうか。

 大臣に質問です。

 国民全体の奉仕者として、こういうマインドで、このような国難の状況で、非正規やパート、アルバイト、中小企業の情報が少ない今回の人事院勧告に正当性があると思われるでしょうか。

葉梨国務大臣 ずっと御議論を拝承しておりました。人事院勧告についていろいろな御意見があるというのは私も承知しております。

 ただ、この人事院勧告という、もちろん私の所掌ではないんですが、これは、国家公務員の労働基本権が制約されている、その代償措置として、極めて独立した人事院という組織をつくりまして、一般職の国家公務員の給与を民間準拠という形で勧告をする、それには一定の合理性が私はあるんだろうというふうに思っています。

 そして、今回提出させていただきました裁判官の報酬、それから検察官の報酬、検察官は一般職の国家公務員ではありますけれども、勧告対象ではありません。人事院勧告の対象の公務員ではありません。裁判官は全く別でございます。

 ただ、これについても、一般職の国家公務員に対する人事院勧告に準じて、その引上げ率等を準じた形で提出させていただいた、これについても私は一定の合理性があるというふうに考えております。

沢田委員 大臣、丁寧な御議論、ありがとうございました。

 やはりいろいろな考え方が当然あると思っています。ただし、やはり我々、与党、野党同じで、危機感として、これからこの日本が大変厳しい状況の中で、どうやって多くの国民の皆様を中心に、国を守っていくのか、より発展させていくのか、これが大きな問題になるというときに、私は、政治と行政がまず国民の盾になって、どうやって国民の皆様の暮らしを守っていくのか、ここに切り出さないと何も変わらないというふうに考えております。

 私は、今の公務員の皆様は本当に激務の中で多くのお仕事をこなしていただいているというふうに思っております。今我々政治ができることは、給料を上げることではなく、例えば年功序列、例えば前例踏襲、そういった意味で、活躍できる若手と、あと、やりがいを持って働かれる公務員の皆様が今力を温存してしまうような、こういった制度であり文化、こういったものを変えていくことなのではないのかなというふうに言わせていただきます。

 本日の質問、以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 質問に入りたいと思います。

 今、国全体で進めている働き方改革の流れがあると思うんです。前任の方が同じような質問をされていると思うんですけれども、まず最初に、法務大臣として、それをどう、法務省、若しくは検察だとか、裁判所は別組織だからということもあると思うんですけれども、法務行政をつかさどっている長として考え方をお示しいただきたいと思います。

葉梨国務大臣 この委員会でも最前来議論させていただいておりますけれども、検察官を含みます職員、このワーク・ライフ・バランスの実現、これは非常に重要なことと考えています。職員が心身の健康を保って働くことのできる働きやすい職場環境の構築に取り組んでおります。

 検察についてですけれども、検察官の心身の健康を維持する観点から、各検察官の勤務状況や休暇の取得状況等について、適切かつ実効的な把握に努め、必要に応じて業務量を調整するなどして、過度な長時間勤務とならないような配慮がなされているものと承知をしています。

 さらに、法務省・出入国在留管理庁・公安審査委員会・公安調査庁特定事業主行動計画、これはアット・ホウムプラン・プラスワンというふうに言っておるんですが、そこに基づいて、例えば勤務時間管理の徹底あるいは各種休暇制度の周知、促進、これは先ほど来議論のありました育児休業等を含めたものです、こういったものなどで、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて積極的に取り組んでいるものと承知しています。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 詳細な御説明をいただいたんですけれども、私は、これは個人的な考え方になるんですが、戦後の復興期からずうっと右肩上がりで人口が伸びてきた時代の制度設計を今の社会とか役所の仕組みの中にずうっと入れてきているんですが、もう人口減少に入ってきている。人口が伸びていっている時代のときは、次からどんどんどんどん若手が入ってくるから、定年という形で、五十五歳、六十、今六十五というような考え方でやっているんですけれども、もう定年という考え方がなじまなくなってきているのかなと思うんですね。

 だから、段階的に、別の組織でいけば、六十一、二、三とかというふうに上げていって六十五までという話もあるんですけれども、是非、そういった意味で、これから、コロナが落ち着いた、いや、世界情勢が不安定化しているのは承知しているんですけれども、雇用がぱっと増えることはないと思うんです。

 なぜかといったら、完全失業率が三%台で推移している中で、だって、働いていない人はそれだけしかいない。九七%は働いているということですよ。だから、どこの企業でも、役所でもそうでしょうけれども、みんな人手不足、必ずそういうふうに言う。じゃ、どこにいるんですかという話になる。だから、今の制度をやはり根本的にちょっと見直していく時期に私は差しかかっているんじゃないかなというふうに思います。

 それと、あと、裁判官の働き方について、同じような御質問で、御答弁いただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官のワーク・ライフ・バランスは重要であるというふうに考えておりまして、各庁の事件動向等に応じた裁判官の配置に努めるとともに、各庁の実情に応じて担当事務の分担の仕方を工夫するなどの配慮を行うほか、仕事と育児や介護等の両立支援制度の周知に努めたり、男性裁判官が育休等を計画的に取得できるように配慮するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、ワーク・ライフ・バランスを実現できる執務環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 役所だとか大手企業さんというのは、俸給表を使って、長年ずうっと、それがまあ一番合理的だろうということでやってきたんですけれども、結局、今回の改正において、低位の人たちを厚くしようということなんですけれども、何年いたら幾らになるかって、結局は、昔から言われている年功序列、終身雇用制。役所はそれでいいのかもしれないんですけれども、そこにやりがいがあったり、やりがいがなくなったりということになってきているので、そこの点について、簡単で結構ですから、勤務実態がどうなっているのか。少し手厚くしてあげますよという人たちが、楽していることはないと思うんですけれども、仕事の量に見合っただけのサラリーを上げてもらうような制度になっているのか、確認をしたいと思います。

川原政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、検事十六号以下、それから副検事十一号以下に該当する者の勤務の実態、状況でございます。

 個々の者によってそれぞれ個別にいろいろな面がありますが、これらの者はいずれも、基本的には検事あるいは副検事になって間もない若年の検察官でございまして、専ら、全国の検察庁の第一線におきまして、捜査、公判の業務に従事しているところでございます。

鈴木(義)委員 最高裁判所の副判事十一号以下はどんな感じですか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官では、判事補八号以下、簡易裁判所判事十三号以下の改定ということになりますけれども、まず、判事補八号以下の者につきましては、判事補の中でも若手の者でございまして、各裁判所において、主に合議事件の主任裁判官等として執務し、裁判官として事件を担当する経験を積んでいる時期に当たるものと承知をしております。

 なお、簡易裁判所判事十三号以下のものについては、現時点で対象になる者がおりません。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 次にお尋ねしたいんですけれども、検察官も裁判官も勤勉手当というのを算出しているというふうに聞くんですね。

 いただいた資料を見ますと、成績率というのがそこに書いてあるんですけれども、民間企業と、実際に検察官だとか裁判官というのは、イコール、なじむ、何をもって成績にするかというのは難しいところなんですけれども、やはり、自分はこれだけやったんだというのをどう評価してもらって、それがサラリーとして戻ってくるかというのでモチベーションの向上につながっていくんだと私は思うんですね。

 だから、意欲のある人ほどどんどん仕事をやっていくし、でも、全然やらない人と同じボーナスって、えっ、これ違うんじゃないというところなんですけれども、その成績率の内容を簡潔に、どういう仕組みでやっているのかお答えいただきたいと思います。二つの部署で。

竹内政府参考人 まず、検察官の勤勉手当についてお答えをいたします。

 検察官の勤勉手当につきましては、検察官俸給法によりまして、一般の政府職員の例により支給するということにされておりますので、一般の政府職員に準じて勤勉手当の成績率が適用されることになります。

 具体的に申し上げますと、この一般職給与法が適用される職員について、検察官のうち検事について申し上げます。

 検事一号から八号までは指定職職員の成績率、検事九号から十二号までは特定管理職員の成績率、検事十三号以下につきましては一般職員の成績率がそれぞれ適用されることになります。

 なお、検事総長、次長検事、それから高検検事長に対しましては、特別職給与法が適用されますので、勤勉手当は支給されないということになります。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の勤勉手当は、裁判官の職務の独立性に鑑みまして、いわゆる業績評価の結果を反映することになじみにくいと考えられますことから、人事評価を直接反映させず、均一の成績率を用いる運用としているところでございます。

鈴木(義)委員 かわいそうですね。一年間に何件、事件の内容によったり、刑事と民事で中身が違ってくるんでしょうけれども、なかなか人事評価というのは難しいかもしれませんけれども、やはりそれも取り入れていってもらいたいなというふうに思います。

 それともう一つ、何点か手当についてお尋ねしたいんですけれども、例えば、検察官なんかでも、扶養手当、地域手当、幾つも手当があるんですね。これは俸給が変わると全部連動してパーセンテージで出していくものなのか、もう金額が決まっちゃっているものなのか、そこをお尋ねしたいと思います。

 それともう一つ、続けて、扶養手当という言い方をしているんですけれども、扶養手当自体が、もう民間の企業でも、なかなか今、昔みたいな家族構成じゃなくなってきているので、扶養手当をお出しするのがいいかどうかというので、だんだんだんだん本給に全部入れてきちゃっているんですね。結婚されている方、子供がいらっしゃる方、いらっしゃらない方も含めて。行政の場合はどうか分かりませんけれども、そういう扶養手当の額の見直しだとか支給の仕方、そういったことは議論になっているのか、併せてお尋ねしたいと思います。

竹内政府参考人 まず、検察官についてお答えいたします。

 お尋ねの手当のうち、地域手当でございますが、俸給月額を算出の基礎としておりますので、今回の検察官俸給法改正によりまして改正されることとなる俸給月額を受ける職員につきましては、地域手当の月額も連動することになります。他方で、扶養手当につきましては、俸給月額を算出の基礎とはしておりませんので、今回の改正には連動しないということになります。

 その扶養手当について議論があるかというお尋ねでございますが、検察官の諸手当の支給につきましては、先ほど申し上げましたとおり、一般の政府職員の例によることとされておりますので、検察官の扶養手当につきましては、検事九号以下及び副検事三号以下の対象職員に支給されているところではございますが、御指摘のような扶養手当の額や支給に対しての議論については、特に承知をしているところはございません。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の扶養手当及び地域手当、これは法令に基づきまして一般の政府職員の例に準じて取り扱うこととされておりまして、先ほど法務省の答弁にあった検察官の取扱いと同様ということになります。

 裁判官の扶養手当について議論は起きていないかということでございますが、これにつきましては、裁判所で独自の制度を有するものでなく、法令に基づき、一般の政府職員の例に準じているにすぎないものでございます。

 裁判所としては扶養手当の額や支給について意見を述べる立場にないと考えております。

鈴木(義)委員 じゃ、さらに、もう一点お尋ねしたいんですけれども、手当の中で居住手当というのと寒冷地手当というのが出てくるんですね。これから、寒くなっているし、自分の意図が、希望を出すのか分かりませんけれども、異動して寒い地域に行きます、どこに行きますとなったときに、寒冷地手当だとか住宅手当というのは支給されると思うんですけれども、一般の民間企業の場合は福利厚生の方でサポートするような制度もあるし、この手当を所得の方に入れて税金を引いて、じゃ、例えば、今回みたいに原油がぱっと上がったときに、その寒冷地手当がその価格に連動しているんだったらいいんですけれども、結局は持ち出しになっちゃうんですよね。

 そういう考え方であるんだったら、自分の意図がなく全国いろいろ異動してもらうんだったら、ちょっと切り離した手当ってあってもいいんじゃないかと思うんですね。そういう考えがもし、これから議論すると言えばそれで終わっちゃうんですけれども、お考えをもしお示しいただけたらと思います。

竹内政府参考人 先ほども申し上げたとおりでございますが、検察官が受ける諸手当につきましては、検察官俸給法によりまして、一般の政府職員の例によるということにされております。

 その趣旨でございますが、検察官の給与の仕組みにおいて、その職務と責任の特殊性を反映させつつ、他方で国家公務員全体の給与体系の中でバランスの維持にも配慮する、こういう趣旨であると理解をしております。

 その上で、お尋ねにありますように、検察官についてのみ住居手当及び寒冷地手当を所得に含まれない形で支給するということになりますと、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスの維持という観点からはなかなか困難な面があるというふうに考えております。

鈴木(義)委員 今の議論の中で、実質賃金が下がっているというのは何でかと聞いたときに、結局、所得税を払わなくちゃいけないし、社会保険料も年々どんどんどんどん上限を上げていっているんですね。実際は、給料を上げてもらうんだけれども、実質、手取り賃金が下がっちゃっている。でも、実質、それが自分の得になっているわけじゃない。今も言ったように、勤務実態に応じて、結局、いただいている話なので、是非これは、法務省だけで云々ということは、今の答弁を聞いていたら分かるんですけれども、人事委員会にそういうのを申し入れてもいいんじゃないかと思うんですけれども、最後に大臣の御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。

葉梨国務大臣 なかなか、この給与の関係というのは、他の省庁等ともよく連携を取っていかなければいけないので、ちょっと、お答えすることはなかなか難しいのかなというふうに思います。

鈴木(義)委員 以上で終わります。

伊藤委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、裁判官、検察官の報酬、俸給法案に関連して質問をいたします。

 物価の上昇で、二人以上一世帯当たりの、勤労世帯は十万円程度負担増になるというふうにエコノミストの方も試算をされておりますけれども、今回、若手の報酬、俸給を引き上げるということは当然ですけれども、全く不十分な状況だというふうに思っております。

 先ほど来御議論がありましたけれども、報酬、俸給の改善が少額であり、そして対象人数も少ないということで、問題だというふうに思いますけれども、その中で、司法修習の、いわゆる谷間世代の方々の救済も行わなければいけないというふうに考えております。

 検察官や裁判官の中には、司法修習時代に給費ゼロということで、無給で、申請者の方は貸与金が平均三百万円、プラス奨学金、大学時代や法科大学院のときに奨学金も抱えて、一千万円の借金を抱えている方々もいらっしゃるわけで、そうした方々の救済が急務だというふうに私は考えております。

 裁判官と検察官の、いわゆる司法修習の谷間世代の方々、それぞれ何人いるのか、お示しをいただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 新六十五期から七十期の司法修習生のうち、修習終了直後に任官した者の人数でございますが、裁判官は合計五百十九名、検察官は合計四百三十九名でございます。

本村委員 裁判官と検察官含めて千人弱の方々がいわゆる谷間世代ということで、旧六十五期までは給費制、その間に谷間世代がありまして、そして七十一期からは修習給付制ということなんですけれども。

 谷間世代の方々は、先ほども申し上げましたけれども、給費ゼロ、そして借金も抱えている方々もいらっしゃるということで、やはりこれは、同じ検察官として、同じ裁判官として仕事をしているんですけれども、不公平ではないかというふうに考えますけれども、大臣、どうお考えでしょうか。

葉梨国務大臣 給与を払っていたものが貸与になって、今、給費制という形になっているわけですけれども、それぞれの制度の変遷というのは、当時のそれぞれの政策判断の中で行われたものでございます。特に、貸与制を採用したというのは、司法制度改革の中で法曹の人数を増やしていく、そして当時は志望者も非常に多かったということの中で、やはり全てに給与を与える、給費するというのはなかなか国民の理解を得られないというような政策判断から行われたものというふうに考えております。

 そして、今、現実に検察官あるいは裁判官として働いていらっしゃるわけですけれども、それを希望して、検察官を希望し、また裁判官を希望して働いている人たち、それぞれ皆さん、本当に使命感を持ってやられておりますし、また、私は、法務省は検察の関係になりますけれども、特に、それを不公平だというようなお話で、そういうような意見を実際の検事の方々から聞いたということもございません。

本村委員 なかなか声は上げにくいというふうに思うんですね。特に、先ほど来の御議論もありますように、裁判官であったり、検察官であったり、声を上げにくい現状があると思います。

 国家の論理ではなくて、やはり一人一人にとって公平であるかということが問題なんだというふうに思います。

 国民的な理解の問題なんですけれども、資料も出させていただきましたけれども、これは弁護士の皆様方がまとめられた資料でございます。

 谷間世代の弁護士の方々からお話をお伺いをいたしますと、困っている方々、生活困窮者の方々、あるいは障害がある方々、困難を抱える子供たち、そして労働者、消費者の方々などの支援をもっとしたいというふうに考えている。しかし、奨学金ですとか、あるいは貸与制の返済、これが始まるという段階で、年間三十万円、通知が来る、納付してくださいと来る。やはりそのことを考えると、確実に収入に結びつく仕事をせざるを得ないという状況があって、本当は、困窮をされている方や困っている方、子供たち、障害がある方々のために仕事をしたいんだけれども、そういうことが難しくなってしまうということをお伺いをしております。

 やはり、そうした、人権を救済する、人権を守る、そのことを弁護士としてやっていただけるということが縮小するということであれば、これは社会にとって損失であると私は考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

葉梨国務大臣 特にその谷間世代の問題については、私も日弁連等々からいろいろな形で御意見を伺っているところなんですけれども、一つ、救済とまではいかないけれども、貸与金の返還期限の猶予、そういったものも制度上認められているということを指摘した上で、私自身は、やはりその解決を図るためには、今まで以上に法曹の方々が社会で活躍できる、そういうような環境整備や情報発信、これを行っていくことが必要だと思います。

 なかなか、今、法曹の方々に対するニーズ、これが、潜在的ニーズはすごく高いと思うんですけれども、顕在化していなくて、高い給料で、じゃ、企業が雇っていただけるかといったら、なかなかそういう状況にまでまだなっていないんです。そのニーズというのは本当に私はあると思うので、その情報発信、それから環境整備を行うことで、それをすれば法曹の志望者も増やしていくこともできますし、また、制度面もそうなんですけれども、環境整備、情報発信、これをしっかりやっていかなきゃいけないなというふうに考えています。

本村委員 人権救済の活動が金銭的な、経済的な理由によってなかなか難しくなっているというのは社会的な損失だというふうに私は考えております。

 法務大臣は、先ほども日弁連の皆様方というお話もありましたけれども、この救済に関して、日弁連の皆様にメッセージを出されております。皆で知恵を出しながら、よい方策を考えていきたいというメッセージを出されております。

 当事者とともに、法務省、そして最高裁、財務省が入った、知恵を出し合う場を是非つくっていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

葉梨国務大臣 このメッセージ、確かに出したことは私も覚えているんですが、私の考えとしては、財政的な支援を行うという趣旨でなくて、さっきも申し上げましたように、法曹の方々が活躍できる環境整備、情報発信、それを、皆でというのは、国会議員もそうですし、また法務省もそうですし、また経団連の、つまりユーザーである経団連の方々もそうだと思うんです、そういう方々と知恵を出しながら、ますますこの法曹の大切さを日本の経済社会がしっかり理解をしていただいて、そして、どんどんどんどん法曹が活躍できる、そういう社会をつくっていかなければいけない、そういう趣旨で申し上げたところです。

本村委員 活躍していただきたいからこそ、谷間世代の方々の救済が必要なんだというふうに思っております。

 日弁連の方々の資料をお配りをしているんですけれども、右下を見ていただきますと、一回百九十三億円、私はもうちょっと、三百億円とかの方がいいと思うんですけれども、百九十三億円、一回予算措置すれば、この救済はもう図れるんだ、終わるんだということですので。例えば、マイナポイントでいいますと一兆八千億円、補正予算でつけたこともあるんですけれども、その一部でできるわけですから、是非救済のために尽力をいただきたいというふうに思っております。

 時間がありませんので次に移らせていただきますけれども、法務行政と統一協会の問題についてお伺いをしたいと思います。

 井野俊郎防衛副大臣が法務大臣政務官だった二〇一六年に、統一協会関係者を法務省や法務大臣政務官室に招き入れていたということを、しんぶん赤旗日曜版の十月三十日付で報道をしております。極めて重大でございます。

 記事によれば、自民党関係者の証言として、二〇一六年十一月、俊世会の一行の十数人が法務省を見学した、法務史料展示会などを見学し、井野議員は政務官室にも案内をしていると報じております。

 井野副大臣は、俊世会の人たちを法務大臣政務官室に案内したことはありますか。

井野副大臣 お尋ねの方々が、法務大臣政務官時代に表敬訪問を受けたかということでありますけれども、私が政務官時代の表敬訪問、六年前でございました。当該後援会のメンバーが法務大臣政務官室に来訪した、六年前でございましたので、記録はちょっとなかったんですけれども、ただ、一般的に、そういう地元の支持者の方から要請があった場合には、そういった法務省見学であったり、そういう懇談の場を持つということはございました。ですので、当該後援会のメンバーの方が法務省にいらっしゃったということは、否定はしません。

 その上で、私は、支持者の方一人一人について、信仰する宗教や所属する宗教団体等を確認はいたしておりませんので、特定の宗教や宗教団体に所属している方々を配慮したということはございません。

 いずれにしても、今後は、こういった旧統一教会と確認された方々とは一切関係を持たない活動をしていきたいと思っております。

本村委員 済みません、二〇一六年十一月、俊世会の方々を招き入れたか、その点、御確認お願いします。

井野副大臣 繰り返しで恐縮ですけれども、記録等はございませんでしたけれども、そういった対応をした可能性は十分にありますので、その点は、なかったとは否定はいたしません。(発言する者あり)

伊藤委員長 もう一度、端的に答えてください。

井野副大臣 ですから、大変恐縮ですけれども、来たという確実に分かる資料等は、済みません、六年前のことですので、確認はできなかったんですけれども、そういった対応はした可能性は十分ありますので、そこは否定はいたしません。(発言する者あり)

伊藤委員長 お静かに。

本村委員 自民党の群馬県議の斉藤県議が参加者から聞いているということですけれども、その点、確認していただけますか。

井野副大臣 斉藤県議に確認しろということでしょうか。それは別に、こちらとしては確認することは可能だと思います。

本村委員 その俊世会なんですけれども、俊世会の俊という字は井野俊郎防衛副大臣の俊を取って、そして、世は世界平和統一家庭連合から取ったというふうに聞いておりますけれども、その点、御存じでしょうか。

井野副大臣 そこの名前をつけたのは私ではございませんので、誰がつけたかも分かりませんし、どういう趣旨でつけたのかは私は聞いておりません。

本村委員 この俊世会というのは今もあるでしょうか。俊世会、今もあるかどうか。

井野副大臣 私の方からは既に、この会長である斉藤県議さんには、解散というか、もう今後関係も持てないので、対応はできませんので、解散してくださいということは申し上げておりますし、その後どうなったかは確認は、まだ私のところには来ておりません。

本村委員 解散したんでしょうか。もうないということですか。

井野副大臣 何度も申し上げて恐縮ですけれども、私はその旨申し上げましたけれども、その後、どういう手続を取って、解散したかどうかまでは報告を受けておりませんし、確認はしておりません。

本村委員 引き続きこの問題について、統一協会の問題についてはこの委員会でも集中審議を求めて、質問を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

伊藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る十一月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十一分散会


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