第4号 令和4年11月2日(水曜日)
令和四年十一月二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 伊藤 忠彦君
理事 薗浦健太郎君 理事 谷川 とむ君
理事 藤原 崇君 理事 宮崎 政久君
理事 鎌田さゆり君 理事 寺田 学君
理事 沢田 良君 理事 大口 善徳君
東 国幹君 五十嵐 清君
岩田 和親君 上杉謙太郎君
奥野 信亮君 加藤 竜祥君
熊田 裕通君 國場幸之助君
鈴木 馨祐君 鈴木 貴子君
田所 嘉徳君 高見 康裕君
西野 太亮君 鳩山 二郎君
平口 洋君 深澤 陽一君
穂坂 泰君 山下 貴司君
新垣 邦男君 鈴木 庸介君
中川 正春君 山田 勝彦君
吉田はるみ君 阿部 弘樹君
漆間 譲司君 日下 正喜君
平林 晃君 鈴木 義弘君
本村 伸子君
…………………………………
法務大臣 葉梨 康弘君
法務副大臣 門山 宏哲君
文部科学副大臣 井出 庸生君
防衛副大臣 井野 俊郎君
法務大臣政務官 高見 康裕君
最高裁判所事務総局総務局長 小野寺真也君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 川崎 暁君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 山越 伸子君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 木村 公彦君
政府参考人
(法務省大臣官房政策立案総括審議官) 吉川 崇君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 竹内 努君
政府参考人
(法務省民事局長) 金子 修君
政府参考人
(法務省刑事局長) 川原 隆司君
政府参考人
(法務省矯正局長) 花村 博文君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 松下 裕子君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君
政府参考人
(外務省大臣官房外務報道官) 小野 日子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 安彦 広斉君
政府参考人
(スポーツ庁審議官) 星野 芳隆君
政府参考人
(文化庁審議官) 中原 裕彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 野村 知司君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 原口 剛君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 松尾 浩則君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 杉浦 正俊君
法務委員会専門員 白川 弘基君
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委員の異動
十一月二日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 西野 太亮君
岩田 和親君 國場幸之助君
熊田 裕通君 穂坂 泰君
津島 淳君 鈴木 貴子君
米山 隆一君 新垣 邦男君
同日
辞任 補欠選任
國場幸之助君 岩田 和親君
鈴木 貴子君 上杉謙太郎君
西野 太亮君 石橋林太郎君
穂坂 泰君 熊田 裕通君
新垣 邦男君 米山 隆一君
同日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 津島 淳君
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十一月一日
民法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
民法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
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○伊藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
両案に対する質疑は、去る十月二十八日に終局いたしております。
これより両案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。沢田良君。
○沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。
会派を代表し、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、両案について反対の立場から討論をいたします。
まずは、日々、国のために御尽力いただいている全ての公務員の皆様に、心から敬意と感謝を申し上げます。
民間と公務員の給与を比較するラスパイレス方式は、大変考えられた仕組みとも感じます。ただ、この仕組みは、当然、事業規模五十人以上というのに当てはまらない正社員、また全ての非正規やパート、アルバイトで生活をされている方々の実態を反映させない仕組みとなっており、結果、国税庁の民間給与実態統計調査とはかなり乖離した数値が民間平均とされ、人事院勧告が出されております。
また、民間では給与と退職金につながりがございますが、人事院勧告にはそれがなく、民間の変わり行く労働環境にむしろ官民格差が広がる懸念も残ります。ボーナスにしても、民間では利益の調整や分配であるものを、そのまま模倣するのが正しいとはやはり考えられません。
公務員の皆様は、職員に採用された際、公務員としての服務義務について服務の宣誓という形で誓いを立てておられます。国民全体の奉仕者として公共の利益のために職務を遂行することは、公務員の存在意義そのものです。
また、今の日本は大変に危機的な状況でありますことも含めて、人事院勧告の仕組みを見直すだけでなく、我々国会議員の歳費の在り方も含めて見直すべきことを申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。
○伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○伊藤委員長 これより採決に入ります。
まず、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○伊藤委員長 次に、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局参事官川崎暁君、総務省大臣官房総括審議官山越伸子君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、法務省大臣官房政策立案総括審議官吉川崇君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、法務省民事局長金子修君、法務省刑事局長川原隆司君、法務省矯正局長花村博文君、法務省人権擁護局長松下裕子君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、外務省大臣官房外務報道官小野日子君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省大臣官房審議官岩本桂一君、外務省大臣官房参事官池上正喜君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、スポーツ庁審議官星野芳隆君、文化庁審議官中原裕彦君、厚生労働省大臣官房審議官野村知司君、厚生労働省大臣官房審議官原口剛君、農林水産省大臣官房審議官松尾浩則君及び経済産業省大臣官房審議官杉浦正俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○伊藤委員長 次に、お諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○伊藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
○中川(正)委員 おはようございます。
質疑の時間をいただいて、感謝します。同時に、朝一番で、交代してやっていただいて、自民党の御配慮に感謝を申し上げたいというふうに思います。
今日は、私の言葉で言えば移民政策、多文化共生、あるいは、外国人の日本に対する受入れに対して、総合的な施策が必要だという、その観点から問題を具体的に議論をしていきたいというふうに思っています。
長いことこれに私も携わってきたんですけれども、制度そのものがパッチワークなんですね。厚生労働省、あるいは国土交通省、総務省、今日は日本語も取り上げますけれども、文科省、そして入管ということでありまして、いろいろこれまで問題が指摘されて、改革をしていかなければならないという、そういう機運は出てきたように思うんですが、しかし、それをやろうと思うと、ひとつ戦略的に、例えば、移民政策基本法というような形であるとか、あるいは多文化共生の基本法であるというような、そういう、総合的な戦略と、それから総合的にそれを管理をしていく、運用をしていく省庁の責任体制といいますか、そんなものが前提としてないと、それぞれのパッチワークを改革をしていっても、また同じような矛盾が繰り返されるんじゃないだろうかという、そういう問題意識の中で今日は質問をしていきたいというふうに思います。
先般、ドイツから来た人権・人道委員会のメンバーと懇談する機会がありました。ドイツというのは、いわゆるドイツ民族でつくられたという我々の感覚があるんですけれども、彼らに実際会って話を聞いてみると、もう完全に移民国家になっていまして、多文化共生もいいところで、三〇%、四〇%が移民、あるいは移民を前提にした今の世代が、議員そのものも、みんなそれぞれ出所が違うという、そういう形にドイツはもうなってしまっているんだということを改めて痛感をしました。
そんな中で、この問題についても話し合う機会があったんですけれども、彼らは、基本的にはそれがドイツ社会の活力、移民を受け入れて、それをドイツ社会の活力にしていく、あるいは、将来に対して、ドイツが、ヨーロッパの中心として位置づけていける、多様性といいますか、そんなものを持っていく基本になっていくんだという、それぐらい覚悟を決めて移民を受け入れているというふうな話があった。
その中で、それだけに、社会統合をどうしていくか、あるいは、日本でいえば多文化共生というのを、どのような社会づくりをしていくかという、そこが今最大の課題になってきているということなんですが、そのときに何が一番大事なんだという話をしました。
彼らから出てきた答えというのは、言葉なんだと。みんな入ってきた人たちが、基本的には共通のインフラとして言葉が習得できるという社会環境をつくるということと同時に、彼らが言葉を習得しなければならない、社会の中で分断をつくらないためには、彼らが言葉がしっかりできていくということ、それを習得するというインセンティブというか、そういうものをつくっていくということ、これが基本になるということを聞かされまして、私は、我が意を得たりという思いでそれを受け止めました。
実は、その思いを持って、今、法制化をしながら、外国人に対してどのように日本語を習得をしていく環境をつくっていくかということと同時に、海外に対しても日本語を展開をしていくということ、これを具体的に制度として確立をしていくためにはどうしたらいいかという、その課題を今、私、持っているんです。
そんな中で、一つ議員立法でできたのが、日本語教育推進法という形で、これは、超党派の議員立法の中で、同じ問題意識を持ちながら、まず日本語の基礎を環境としてつくっていこう、そういう法律を成立をさせることができました。
その上に立って、実はもう一つ、日本語の教育機関、日本語学校を中心に、様々コミュニティーでやっている、地域でやっている日本語教室、あるいは派遣会社なんかがつくっている日本語学校、様々に今ありますけれども、これは法的基盤というのはなくて、告示校として入管が指定しているだけなんです。
入管の告示校というのは何を中心にやっているかといったら、ビザなんですよね。留学というような形でビザを出すときに、それなりの学校がちゃんと指定されるということでビザを出しましょう。だけれども、管理しているのは、本来は学校じゃなくて、留学生の管理ということが入管ということであります。
ということで、学校そのものの質の保証というのができていないということもあって、この推進法の中に、その法制化をしていくということ、これを入れ込みました。
今、文科省、来ていただいていると思うんですが、まずそこのところを、今の取組と、それから、それをどう展開していかなきゃいけないかということを、まず話をしていただけますか。
○中原政府参考人 お答え申し上げます。
今後、外国人の在留者数が増加していく中におきまして、日本語学習を希望する留学生、生活者、就労者に対しまして、質の高い日本語教育を提供していくことが重要であるというふうに考えてございます。
現在、令和元年に公布された、御指摘の日本語教育の推進に関する法律を踏まえまして、日本語教育の質の維持向上を図るため、日本語教育課程を適正かつ確実に実施することができる日本語教育機関が文部科学大臣認定を受けることができる仕組み、国内の日本語教師の資格化についてなどに関する新たな法案の速やかな国会への提出を目指し、検討を進めているところでございます。
また、文部科学省におきましては、令和五年度概算要求におきまして、新法案の実現を目指した、認定を受けた日本語教育機関の多言語情報発信、日本語教師の養成、現職日本語教師の初任者向けの、留学生、就労者、生活者、難民を対象にした指導に関する研修支援などを計上しております。
文部科学省としましては、制度創設に向けて関係者の皆様からの御意見を聴取し、さらに、具体的な仕組みについて丁寧に議論を進めるとともに、日本語教育の推進に関する法律の理念を踏まえまして、関係各省庁と緊密な連携を図りつつ、本制度を活用いただけるような仕組みを検討してまいりたいと存じます。
○中川(正)委員 聞いていただいたとおり、留学生ということだけではなくて、就労者のための日本語、あるいは生活者のための日本語ということを教育をしていくのに、ちゃんとしたところですねと、いわゆるマル適マークをそれぞれの教育機関へ向いてつけていく、教育という立場から認定をしていくというような、そういう制度をつくるということで準備していただいていて、次の国会に出していただくんだろうというふうに思います。
そこで、問題は、そこで学習する外国人がそのつもりになって、その制度の中でしっかりとした日本語を教育をしていくという、そっちの部分ですね、動機づけができるかどうか。ちゃんと日本語教育機関へ向いて外国人が来て、日本語の習得ができるかどうかという、そこがもう一つこれからの課題として残っているんです。
そこのところをちょっと確認をしていきたいというふうに思いまして、関係各所に、本当はこれは入管で全て管理しているのであればそれで分かるんですけれども、制度を開いてみたら、いや、技能実習は厚生労働省、建設関係は国土交通省、あるいはEPAはまた違った厚生労働省の中のシステム、あるいは外務省というような形で、みんな自分の省庁の都合で制度化をしているんです。その中に日本語という観点の課題もあるということでありますので、念のためにということで、皆さんを呼んで、ここへ来ていただいて、ちょっと今のその状況というのを順番に説明をしていただけますか。どこからでも結構です。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省における日本語関連事業といたしましては、法務省と共管している技能実習制度におきまして、日本語科目の講習実施を義務づけているほか、技能実習生が入国前、入国後の講習であるとか技能実習中に日本語学習を行う際に活用できる職種ごとの日本語教育ツールを外国人技能実習機構により開発、提供を行う事業であるとか、日本語に慣れていない定住外国人の求職者を対象といたしまして、日本の職場におけるコミュニケーション能力の向上であるとかビジネスマナーなどに関する講習を実施する外国人就労・定着支援事業、外国人介護人材が自律的に学習する際の教材の作成、提供などの日本語学習支援事業等を実施しているところでございます。
厚生労働省といたしましては、議員御指摘の法律案において検討されております認定日本語教育機関、登録日本語教員につきましては、文化庁等関係省庁とも連携しながら、その養成の動向を踏まえつつ、厚生労働省が行っておりますこれらの事業におきまして、日本語レベルの質を担保できるよう、これらの活用につきまして検討してまいりたいと考えております。
○岩本政府参考人 私の方からは、日本がインドネシア、フィリピン、そしてベトナムとの間で、経済連携協定に基づいて、外国人の看護師、介護福祉士候補者に対して日本語研修を実施しておりますので、その関係での費用分担、また、その内容について御説明を申し上げます。
この日本語研修ですけれども、訪日前と訪日後の二段階に分けて研修を行っております。その費用分担につきましては、以下のとおりとなります。
インドネシアは、訪日前については外務省、訪日後は外務省と経産省で経費を負担しております。フィリピンにつきましては、訪日前は外務省、訪日後は経済産業省で負担をしております。そして、ベトナムにつきましては、訪日前、訪日後、いずれにつきましても外務省と経済産業省で費用を分担をしております。
そして、この日本語研修の質の向上のために、これまで、送り出し国政府、受入れ施設側との協議を通じて研修の拡充等を進めてきております。引き続き、この研修の質の向上に努めてまいりたいと思います。
○杉浦政府参考人 先ほど外務省からもお話がございましたとおり、経済産業省では、インドネシア、フィリピン、ベトナムとの経済連携協定に基づく看護師、介護福祉士候補者の受入れについて、関係省庁と連携して行っております。
候補者の日本語能力及び国家試験合格率の向上が課題としてございますので、経済産業省としましては、日本語等の研修を関係省庁と連携して実施しておりまして、日本語能力の向上等に取り組んできております。
今後につきまして、議員御指摘の法案につきましては、現在検討いただいているという状況だと承知しておりますけれども、関係省庁と緊密に連携しながら、こうした日本語能力の向上及び国家試験合格率の向上という課題に対応する取組を進める上で、同法案が想定する内容を、その検討状況も含めて、候補者に対してより質の高い日本語教育を提供するために、いろいろと方策を検討してまいる考えでございます。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
総務省といたしましても、外国人住民が日常生活及び社会生活を地域住民とともに円滑に営むことができる環境の整備を図るために、日本語教育を適切に推進することが必要であるというふうに認識をしております。
地域の国際化を一層推進するため、総務省が地方公共団体に示しております多文化共生推進プランにおきましても、これまでも、日本語教育の推進に関する法律の趣旨を踏まえまして、地域の状況に応じた日本語教育の推進の施策を実施する旨提示するなど、地方公共団体における日本語教育の推進を促してきております。
今後、今検討されている新たな制度等が創設された際には、関係省庁とも連携をしながら、当該制度や、その機関等に関する情報を、地方公共団体の多文化共生担当部署に対しまして丁寧に情報提供をすることによりまして広く周知を図るなど、努めてまいりたいと思っております。
○中原政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、日本語教育の適正な推進を図るための法案の提案に努めてまいりたいと存じます。(発言する者あり)日本語教育の質の向上を図るための法案の提出に努めてまいりたいと存じます。
○西山政府参考人 まず、先ほど委員からも御指摘ございましたとおり、現行制度におきましては、在留資格、留学の対象となる日本語教育機関を告示する立場でございます。その適正な運営に向けた指導監督を行っているところでございます。
先ほど御指摘ございました、検討されております新たな認定制度への移行に当たりましては、これまでの告示基準等の要件を維持しつつ、在留管理の観点から、適正な留学生の受入れが行われるよう、文部科学省等と連携して取り組んでいく予定でございます。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
外務省といたしましては、先ほど御説明申し上げたものに加えまして、日本語教育機関の認定及び日本語教師の国家資格化に関する法案等を踏まえて、在外公館や国際交流基金の海外拠点を通じて、各ウェブサイトでの情報提供を行うことを検討をいたしております。
具体的には、日本語教育機関の認定につきましては、海外にて日本語教育を実施している大学や日本語教育機関などに周知をすることにより、現地学生が日本への留学を検討するに当たっての参考となるよう、また、日本語教師の国家資格化については、実際に日本語教師として勤務している現地教師の団体である日本語教育会への案内を通じて、日本語教師としてのキャリアパスの参考となるような活用方法も検討をいたしております。
今後、認定された日本語教育機関や日本語教師の国家資格化に関する情報など、海外での発信について、文部科学省と連携しながら取り組んでいく方針であります。
外務省といたしましては、文部科学省等の関係省庁と連携をしながら、引き続き海外での日本語教育の推進に努めてまいります。
○中川(正)委員 入管が抜けているんですけれども。これは、定住外国人なんですね、定住外国人から永住へ行く、この人たちに対する日本語施策というのが、本来、これは入管なんだと思うんだけれども、どうしていますか。
○西山政府参考人 今、委員の御質問が、在留外国人についての日本語に関する能力を求める場面があるのかという御質問でございましたら、現在のところ、例えば、日系三世等の定住者の在留資格で最長在留期間である五年を決定する場合であるとか、あるいは、日系四世の入国時や入国後一年及び三年を経過した後の在留期間更新許可申請時などにおいて一定の日本語能力を求めることとなっております。
○中川(正)委員 現実は、それに対して応募してくる人たちというのは何人ぐらいいるんですか。そのポイント制で。
○西山政府参考人 申し訳ございません。今、手元にその数字を持ち合わせておりません。
○中川(正)委員 いや、もう数えるほどしかないんですよ、現実は。そのポイント制を使うことができない。基本的には、この人たちが日本語を習得をするというインセンティブというのがつくれていないということなんですね。
これは、入管の部分が一番抜けているんです。ほかの制度の中では、形の上で、日本語をこれだけ習得をして、それから来てくださいよという、技能実習なんかも含めた制度化はされているんだけれども、生活者に向けた日本語教育というのは、総務省がさっき答えていただいたように、地方で教室がある、それに来てくださいよという話なんだけれども、私の地元で、三千人から四千人の外国人の集住しているコミュニティーがあるんですが、そこで日本語教室をやっているんだけれども、二千人、三千人の中の、それこそ十人、二十人という形で教室が運営されていて、それがいわば外国人施策をやっていますよというふうなシンボルになっているということだけで終わっている。
しかも、更に言えば、技能実習の中で日本語を勉強しなさいよという制度がありますよということだけれども、雇用者が、ボランティアでやっている日本語教室へ向いて技能実習生を送り込んで、日本語をここで勉強させてくださいという形で手当てをして、それで日本語研修をやっているというふうなことになってきていまして、今。あちこちの日本語教室から、これでいいんですかというような悲鳴が聞こえている。定住者のためにそれを開いたにもかかわらず、技能実習で使われているということでいいんですかということなんですよね。
改めて聞きたいんだけれども、技能実習というのは、誰が日本語の研修についてコストを負担して、それを、ちゃんと日本語を勉強していますねというのを、運用の中で誰が監督をしていくという建前になっているんですか。
○西山政府参考人 技能実習制度におきましては、技能実習計画というのがございまして、その中で日本語の教育に関する事項がございます。したがいまして、技能実習実施者がその計画に基づいてそのような教育の機会を与えるというふうな仕組みになっております。
○中川(正)委員 仕組みは分かっているんだけれども、本当にそれがしっかり機能していますか、その機能しているということを誰が監督しているんですかということです。どういうふうに評価していますか。
○西山政府参考人 実習実施者がきちんと計画に沿って行っているかにつきましては、監理団体の監理もございますし、その上には外国人技能実習機構による審査等もございます。
○中川(正)委員 実態は、それぞれ現場から様々に聞こえてきているように、日本語のレベルというのを、必要なところまで達していない、いわゆる日本語が話せないということの中でいろいろな支障が起きているということ、これは、アンケートを取ると必ずこの問題が出てくるというのが実態だということだと思うんですね。
こういういびつな話、もっと言えば、コストについて言うと、EPAは、これもよく批判されることですけれども、全部税金でやっていますよ。一人に対して、一人の実習生に対して、EPAの、大体一千万近い資金が使われている、税金が使われているんですよ。
ところが、日系を中心にした定住外国人であるとか、あるいは技能実習生については、自分でやりなさいよという話でもあるし、やってもやらなくてもいいという話でもあるし、実態としては、日本語を学んでいく環境ということについても、ボランティアで面倒を見ていく程度のことでしかない。
それに対しては補助金は出していますよと、それぞれさっき答弁がありましたけれども、補助金を出していても、それが面的にいかないんですよね。まあ、ある意味、ちょっと言葉の使い方は悪いんですけれども、やっているふり、うちはやっていますよという程度の説明に使われることでしかない。本気でないということなんです。日本語教育が本気でないということなんですよ。これが浮き彫りになってくるという現状があるんです。
これに対して、例えば、さっき定住外国人の話をしましたけれども、定住外国人でいけば、ドイツあたりの政策を参考にすると、まず、入ってくるときに何百時間か日本語は学習しなさいよという制度を横串を刺して全体につくっているんですよね。全体につくっていて、それの費用については国が保証します、無償で保証するから、まず、基本のインフラをつくっていくというところまで突っ込んで言葉の教育というのを制度化しているという、そういう国もある。
そこまでいかなくとも、何らかの形で横串を刺して、日本語を勉強していくんだというインセンティブを彼らの気持ちの中にもつくっていくという工夫が要るんじゃないかというのが私の問題意識なんです。
例えば、入管でいえば、定住者に三年ごとにビザを更新していくわけですから、そのビザを更新していくときに、ちゃんと日本語を勉強していますね、何百時間か、認定された日本語教育機関で受けましたねという証明書みたいなものを、これをしっかり制度化して、その証明書でもってビザの更新をしていく、そういうきっかけをつくっていくとか、知恵はいろいろあるんだろうと思うんです。
そんなことを、今回、日本語教育機関の法制化ということで、質の保証というのを、認定の機関として、これは地域の日本語教室もその認定の対象にしていくということだと思うので、そういうものも前提にしながら、この際、横串を刺して、彼らが日本語を勉強するというモチベーションとかインセンティブとかそういうものをつくっていく制度をつくっていきませんかというのが私の今の提案なんです。大臣、どう思われますか。
○葉梨国務大臣 最前から中川委員の議論を聞いておりまして、この横串、大変大事な視点だというふうに思います。
国家行政組織法が改正されまして、今までは内閣府が専ら総合調整を持っていた事務がそれぞれの各省庁に分担されるようになりました。ですから、出入国在留管理行政についても法務省が総合調整を行うということになりましたので、そこの機能をやはりしっかりと発揮していくことは必要だろうというふうに思います。
例えば、本年六月に策定された外国人との共生社会の実現に向けたロードマップにおいては、中長期的な課題の一つとして、円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組を掲げて、その具体的施策を実施しています。
これについても、毎年点検を行って進捗の確認を行うとともに、必要に応じて施策の見直しを行っていくということを考えています。
それで、ドイツのような制度が可能かどうかというのはなかなか難しいところだと思うんですが、例えば、定住外国人が、日本語が問題になったのは、特に日系三世に定住資格を与えるといったときに、顔は日本人だけれども全然日本語がしゃべれない、そういう方がたくさん来られた。この頃大変問題になりました。
そういうことで、それぞれの在留資格の中で、新しい在留資格の中でいうと、まず特定技能について言うと、一定の日本語のレベルというのを要求するという形になりました。
また、技能実習については、先ほど西山次長がお答えしたとおり、実習実施計画の中で日本語をちゃんと習得させるというようなことが一つ一つ行われているわけですけれども、今回、特定技能それから技能実習、これについても有識者の会議を立ち上げて見直しを行って、そういう中でも、今の日本語教育の状況というのは、本当に十分、まあ、必ずしも十分ではないと私も思いますので、そこについてもしっかり点検をしながら、今の御指摘も踏まえて、総合調整機能を発揮できるように、私も、入管庁はまだ、内閣府と違うものですから、入管庁で総合調整しているという意識が必ずしも、あるんですけれども、そんなに高くないかも分からないので、よくそれを高めるように頑張りたいと思います。
○中川(正)委員 そこの入管庁、頑張っていただきたいんですよね。
これまで入管というのは管理するということだけを主眼にやってきたのが、多文化共生で、この社会で、外国人が人権を保障されて、それで活躍をしていくという部分で、そこの領域を広げて入管ということにしたんですが、にもかかわらず、やはり制度そのものが、各省庁、完結して、自分のところに都合のいいようにつくっているものに対して、入管が横串を刺していくというのはなかなかできていないんですよ。
もう一つ言えば、この日本語の場合でも、こうして法制化をしていこうということの前提の中に、各省庁の担当レベルで集まって関係者会議を開いて、さっき答弁にあったように連携をしていきなさいよという話になっているんだけれども、文化庁ではなかなか動かせない。
やはり、これは入管が一緒になって、横串を刺して、トータルで移民政策としてどうしていくのか、多文化共生の社会構造をつくっていくのにどうしていくのかということ、その観点からやってもらうということがいかに大事かという局面になっているんだなというのを私も実感しているので、ひとつよろしく御指導をいただいて、各省庁に対しても働きかけをお願いしたいということであります。
これは日本語の例なんですけれども、働くということ、定住するということ、あるいは留学する、各分野で同じような課題というのは言葉のほかにもあるということも指摘をしておきたいというふうに思います。
そんな中で、今のトータルな制度で見直していかなければならないとしたら、どこにその基本があるかということだと思うんですね。いわゆる移民政策として、ここだけは共通して理念として持っておかなければいけないというところですね。逆に言えば、それがないからいろいろな矛盾と問題を起こしているということだと思うんですが、そこのところの肝というのは何だと思われますか。
今から技能実習と特定技能については専門家会議を開いてやっていくという話は聞いていますけれども、それだけじゃなくて、トータルで何が、基本、欠けている、あるいは何が問題であると大臣は思われていますか。
○葉梨国務大臣 外国人の受入れ施策については、釈迦に説法ですけれども、我が国においては、ずっともう、閣議決定、それから出入国管理の基本計画の中でもあるんですが、いわゆる高度人材については積極的に受け入れていきましょう、そして、高度人材以外の外国人の方については、雇用、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安など、幅広い観点から国民的コンセンサスを深めていこう、そしてもう一つは、やはり、技能実習というのは、建前としては国際貢献として受け入れている、そういうようなトラックがあって、これはもうずっと変わっていないんです。それについて、いろいろな御議論もあるし、また、もうそろそろもっと基本的なところから考えなければいけないんじゃないかという御意見もあることは承知しています。
でも、まずは、高度人材については、これは関係閣僚会議でも、例えば留学生、高度な、高等教育等で学ぶ留学生をより定着させるような、閣僚会議、有識者会議も始まりました。閣僚と有識者の会議も始まりました。これは、もっともっと広げていくために何ができるかをしっかり考えていきます。
そして、それ以外の人材、雇用とか、そういったことを考えながら受け入れなければいけない人材、それからもう一つの技能実習のトラック、ここについてはいろいろな問題点が指摘されておりますので、ここはもう抜本的に見直すというところで、今のところは鋭意その取組を進めていくという段階かなというふうに思います。
基本的なところから議論しなければいけないということ、御指摘があることはよく分かっているんですが、まずは特定技能、技能実習、そこの部分の、エリアの基本的なところをしっかり議論したいなというふうに思います。
○中川(正)委員 まずそこからということで私もいいんだと思うんですが、そのときに、基本的に、様々に問題を起こしたのは何かというと、働くということ、この働くということの中で、日本人と同じような、人権という観念からいくと、人権保障して、それで日本で働くということができているかどうかということだと思うんですね。
さっき国際貢献という話が出ましたが、これはもうよく指摘されることで、片方、国際貢献といって、働くために来るんじゃないから、勉強するために来るんだからということの枠の中で働かせたら何が起こるかといったら、これは人権侵害が起こるわけですよ。
そんな中で、私の基本からいけば、一つは、彼らに職業選択の自由を与えるということ。これは、限界はありますよ。やったら、みんな都会を向いて出てくる。それに対して、日本の社会全体としてはどう調整していくか、そういう工夫は要ると思うんだけれども、基本的に職業選択の自由というのがないから、技能実習は様々に問題を起こしているんです。
大将とけんかして、あるいは賃金が払われていないとなったら、日本人だったら職業を替わりますよ。自由に選択していきますよ。そんな中で、もっと高い賃金を払ってもらうところへといって行ったら、市場原理がそこに働いて、低賃金ということでもなくなってくる。これは保障されていないから今の現状が起こるということが一つ。
それからもう一つは、各省庁が勝手につくってきたことの中で、一番基本的に、政治的に、制度を横串でつくれなかったのはなぜかというと、単純労働は受け入れないよという理念と、もう一つは、移民という言葉は使わないよ、移民じゃないんだよ、この二つなんですよ。
移民じゃないんだよと言っていて、完全に移民なんですよ。特に定住で入ってきた人たちについては、三年ごとに更新していって、今永住という形で異動していますよ。永住から帰化していくんですよ。子供たちは日本で育っていって、この人たちは日本人になっていくんです。
これは移民でしょう。にもかかわらず、移民としての受入れの準備ができていない。彼らは、日本へ来て、そして出稼ぎで帰っていくんだろうという前提の中でこの制度を入れたんだと思うんだけれども、実際は、彼らの気持ちからしたら、やはり日本で定住する方がいいんだ、日本で移民として日本人になっていく方がいいんだということが起こっているんです。もう二十年も三十年もたって、それが五十万人や六十万人、もっとになって、もう百万人になっているんじゃないかなというような矛盾を抱えながら来た。
それから、技能実習にしても、あるいは特定技能でもそうですが、これは単純労働という形で、そういう職種なしで、必要な産業部分だけに門戸を開いてやるとしても、それなしで、きれいに単純労働として入れて、労働者としての権利を保障して、日本人と同じような環境の中で働くということがつくれれば、今の問題は全部解消しますよ。
そういうような政治的な偏見というか、何というのか知らないけれども、何でこんなことにこだわるのかというところ、そこを解消しないと、私は、全体としてのトータルな基本法みたいなものは作れないんじゃないかなというふうに思っております。
頑張ってください。トータルで、一回真剣に、私たちの社会が海外から人材を受け入れて活性化していくということでないとこの日本も元気にならないんだという、それぐらいの気持ちでひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。
以上です。ありがとうございました。
○伊藤委員長 次に、加藤竜祥君。
○加藤(竜)委員 おはようございます。長崎二区選出、自由民主党、加藤竜祥でございます。
本日は、法務委員会での初めての質問の機会をいただきました。委員長並びに理事の皆様方に感謝を申し上げます。
葉梨大臣を始め政府の皆様方に質問をできることを光栄に思い、早速質問に入ります。
まずは、特定技能、技能実習制度の見直し、外国人材の確保について質問をいたします。
私の地元長崎県の喫緊の課題は、人口減少問題です。全国的な少子化に加え、県土の多くが半島、離島であるため過疎化が著しく進んでおり、人口の社会減少率が全国で最も大きくなっております。長崎県は、将来的な生産年齢人口の減少に伴い、更なる労働力の減少が推測をされております。
このような状況ですので、県内の各産業において深刻な人手不足が生じ、既に外国人材が貴重な働き手として貢献をしております。令和三年十月末には、千四百三十四事業所において五千七百八十二人の外国人が雇用をされている状況です。
しかし、外国人に支払う賃金の水準は、長崎県を基準にしております。ですので、最低賃金が低い長崎県を自己の専門技能を生かす場として選ぶ外国人は少なく、人材の確保が難しくなっていると聞いております。
特定技能という制度が始まってから、日本各地の受入れ側の情報が出そろってきており、外国人側も、情報収集により少しでも条件のよい場所を選択をするため、平均賃金が高く、日常生活でも利便性の高い大都市圏に集中するのではないかと危惧をいたしております。
担い手不足が深刻化する中で、外国人材の安定的な確保ができなければ、地域産業の発展はなし得ません。現在、技能実習制度並びに特定技能制度は、法律の規定による検討の時期に来ており、既に法務省で勉強会を開催され、制度の問題点や課題が見えてきていると思います。
技能実習制度の期間に関しても、技術を習得するには短過ぎるとの意見もありますし、本来の制度趣旨を超えて、地域の労働力として長く働いてほしいという意見も多く耳にします。これも、深刻な労働者不足に悩む地方の意見でございます。
また、少子高齢化が進み、このままでは各業界そのものが立ち行かなくなることから、外国人労働者を受け入れるという特定技能制度の趣旨を本当に必要としているのは、大都市圏ではなく、少子高齢化が特に著しい地方都市であると思います。
地方の産業を維持発展させ、地方都市を消滅させないためにも、外国人材が地方に目を向けるような新たな制度の構築、拡張が必要であると思います。地方に対しても外国人材を安定的に確保できるようにするという点について、政府はどのように考えているのか、葉梨大臣にお尋ねをいたします。
〔委員長退席、藤原委員長代理着席〕
○葉梨国務大臣 加藤委員にお答えいたします。
特に特定技能の関係ですと、技能実習の場合は、もう御案内のとおり、転籍というのが原則として実習ですからできないということになっているわけですけれども、ですから、そういった意味で、一か所の事業所にとどまりますから大都市への集中という問題が余り生じないですけれども、特定技能の場合は、これは労働者ですから転籍が可能になります。
これは、やはり制度が発足した当時から今のような問題意識、お父様も含めて大変持っていらっしゃいまして、閣議決定の中でも、大都市圏に過度に集中させないための方策ということで、閣議決定で、各省庁がそれぞれの関係団体と協議会を設けて、適切な地方における受入れ体制を整備する、そういったような施策が取られておりますし、またそれも閣議決定されて実際に進んでいるところです。
今のコロナの関係もありまして、元々技能実習で地方で働いていた方が特定技能に上がるという、上がるというんじゃないですね、訂正いたします。特定技能の資格に移るという方が大宗になっておるんですけれども、今後は、まさに委員御指摘のとおり、海外からも特定技能のために入ってくるという方はだんだんだんだん増えてくるかと思います。
ですから、今のこの閣議決定されている方策が有効なのかどうか、しっかり点検しながら、また、地方の方が大都会よりも暮らしやすいという面もありますので、そういったような広報もまたしなければいけませんし、また、状況によりましては、今、最前来議論になっております有識者会議、これを年内にも立ち上げることとしていますので、そういった場でもしっかりとした御議論をいただきたいというふうに考えています。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
しっかりと引き続き議論を尽くしていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、外国人との共生社会の実現に向けての取組について質問をいたします。
世界各国が外国人労働者を受け入れる条件、環境を見直す中で、外国人が生活しやすい環境が整っていなければ、日本を選択をされません。まさに、葉梨大臣が所信でおっしゃっていた、日本人と外国人がお互いを尊重し、全ての人が安全、安心に暮らせる共生社会を実現することが極めて重要になると考えております。
共生社会に向けた地域の暮らしの環境向上という点においては、市区町村の役割が重要であり、市区町村に対する自由度の高い交付金制度を含めた支援を拡充すべきであると考えております。市区町村が独自に、地域の実情に合った外国人材の居住環境の向上や、地域コミュニティーへの参加が円滑になるような取組を支援していかなければならないと考えております。
また、外国人材からの相談、通報、支援体制の拡充に向けて、各機関の対応、体制、連携強化が必要であると思います。
そこで、今後、政府はどのように外国人との共生を図っていくのか、特に外国人労働者に対する環境整備について、現在の取組の状況やお考えについて高見政務官にお尋ねをいたします。
○高見大臣政務官 加藤竜祥委員から、御地元長崎県が直面をされている人口減少、とりわけ農業を始めとする各産業において人材不足が待ったなしであるという厳しい実情を拝聴をさせていただきました。
そのような状況の中で、地域の担い手としての外国人が暮らしやすい環境、つまりは共生社会を、とりわけ地方こそ実現しなければならないんだという強い問題意識、私も、地元は島根県でございますので、強く共感をするところでございます。
その上でお答えをいたしますけれども、政府におきましては、今年六月に策定いたしました外国人との共生社会の実現に向けたロードマップに基づき、日本語教育等の取組、外国人に対する情報発信等の強化等の重点事項に関する施策を実践することとしております。また、外国人労働者に対する環境整備につきましても、事業主が遵守すべき法令や努めるべき雇用管理の内容などを盛り込みました外国人雇用管理指針の周知啓発及び当該指針に基づく事業主の指導、また、地方公共団体が運営する外国人相談窓口への支援や、外国人在留支援センター、FRESCにおける相談対応などの様々な施策を盛り込んでおるところでございます。
法務省におきましては、引き続き、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能を発揮しながら、関係省庁との連携を一層強化し、加藤委員御指摘のように、地方公共団体等としっかり協力をしつつ、ロードマップ等に基づいて外国人との共生社会の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
続きまして、地元長崎県の農業の外国人材の重要性と支援体制についてお尋ねをいたします。
私の地元は、島原半島を中心として農業が大変盛んなところです。長崎県では、二十年前の農業生産額が一千三百六十九億円であったのが、基盤整備等による担い手への農地の集積、集約を進めたことで、生産性が向上し、近年の生産額は一千五百億円になり、ここ二十年で約百三十億円も増加しました。全国的にはこの二十年間で農業生産額が二・一%減少をしている中で、長崎県は大きく向上しております。
大きく成長をしている農業分野ではありますが、やはり人手不足が深刻な状況です。生産現場においては雇用の確保が大変難しく、産地を維持するための人材の雇用が課題となっております。
県内農業分野では、技能実習生五百二十人と特定技能の在留資格を持つ三百二十一人を受け入れており、長崎県の農業にとって必要不可欠な存在となっております。
長崎県の受入れ機関として、株式会社エヌという登録支援機関があります。長崎県内の農業、漁業分野に人材の派遣や紹介を行うことで、農業、漁業分野に携わる人や組織の所得の向上と、第一次産業の成長産業化を支援する趣旨で、長崎県やJA、そして人材派遣会社などが協力して設立をされました。二〇二一年度から、特定技能の在留資格を持つ県内の外国人労働者を長野県と北海道にリレー派遣する事業に取り組んでおります。
農家にとって忙しくない時期も外国人を雇うのは経営的な負担となり、農作業が忙しい時期だけ派遣してほしいという要望が多かったことから、農閑期は、忙しい時期が異なる県外に派遣することで、外国人労働者が通年で働ける環境を提供し、産地の維持や農家の経費節減につながっております。
このような中、外国人に選んでもらうために受入れ側が様々な工夫をしているところではありますが、外国人を雇用するに当たって、住居の確保や遠隔地にある農地への集団移送のための交通手段の確保といった労働環境整備に関して、資金面で大変厳しい状況にあります。さらに、昨今の急速な円安による影響により賃金が目減りし、外国人労働者の確保が厳しい状況が続くと思われます。
先月十月二十二日の日本農業新聞の論説に衝撃的な記事がありました。記事によると、今春にベトナムとオーストラリアが農業労働者の受入れについて協定を結び、オーストラリアはベトナム人農業労働者に対して、一人当たり日本円で月約三十五万円の給料を保障するというものでした。この待遇の水準を日本の受入れ機関や農家の自助努力に求めるのは大変厳しいことであります。
長崎県の農業はここ数年の間に大きく成長し、更なる成長が見込まれる中、人手不足が原因でチャンスを逃すようなことはあってはならないと思います。ウクライナ危機で明らかになった我が国の食料安全保障を根底から支える農業の担い手の確保の問題でもあります。
そこで、農林水産省にお尋ねをいたします。
中長期的な視点で、我が国の農業労働力確保に向けた担い手確保、特に外国人材確保に向けて、受入れ側への支援についてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
農業生産を安定的に行っていくためには、人材獲得競争が激化する中で、農業の現場で必要な人材を確保していく、こういったことが重要と考えております。また、外国人材の受入れに当たっても、外国人材にとって農業現場が働きやすい環境となるように整備していくことが重要と考えております。
このため、農林水産省におきましては、受入れ農業者及び外国人材に向けて多言語に対応した相談窓口の設置、あるいは、外国人材の労働環境の調査分析による実態把握と、改善のための受入れ農業者への助言活動、さらには、受入れ農業者による就労環境改善等の優良事例の収集、周知、こういったことの支援を行ってきているところでございまして、今後とも、外国人材の確保と円滑な受入れに向けて努めてまいりたいと考えております。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
特に、地方においては、人口減少、高齢化の進行が都市部よりも早く、地方経済を支える一次産業や製造業等様々な分野での働き手不足はより深刻な状況になっておりますので、どうぞ政府の皆様方におかれましては、これからも引き続き議論を深めていただきまして、最良の方策を導き出すように心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
〔藤原委員長代理退席、委員長着席〕
○伊藤委員長 次に、寺田学君。
○寺田(学)委員 寺田です。
質疑時間をいただきまして、私の関心事項を含め、質疑させていただきたいと思います。
まず、冒頭、葉梨大臣、御就任おめでとうございます。私も法務委員会は二回目ですけれども、常々法務行政に携わられて、ここまで満を持して大臣になられた方はいらっしゃらないんじゃないかなというぐらい、そういう経歴を持たれていると思いますし、これから、民法もやりますし、来年は入管法、そして、今回取り上げますけれども、性犯罪に関する刑法改正と、大きな大きな国民的な関心事の法案が待っておりますので、是非大臣としてのイニシアチブを発揮して御尽力いただきたいというふうにエールを送りたいと思います。
今日、五十分のお時間をいただいて、中川先生の余り時間をいただいて一時間弱の質疑をしますけれども、選択的夫婦別姓、その後、最高裁の事件記録の破棄の問題、その後、入管の問題、そして最後に性犯罪に関する刑法改正のこと、この四項目に対して質疑をしたいと思います。
まず冒頭ですけれども、選択的夫婦別姓に関してです。
どのように取り組むのかと通告しましたけれども、昨日の本会議も含めて大臣御答弁されていますので、改めて問う必要はないかなと思うんですけれども、かなり膠着状態にあると思います。賛成される方、反対される方、政党会派でいうと、自民党さん以外は、選択的夫婦別姓を導入すべきだと党として表明をされているわけですけれども、自民党の中においても、昨年含めて、賛成、導入すべきだという方と慎重に考えるべきだという方で分かれていると思います。
報道にもありましたけれども、国民に対して聞いてみようということに関しては、朝日新聞等の報道を見る限りにおいては、なかなか民事局としても様々なことがあったというふうに聞いておりますし、そのことに対しても他の議員が多分質問されると思います。
国民がどう思っているのかということは非常に大事なことであると思いますけれども、それとともに、この膠着した状態をどうやって動かしていくのか、物事の結論をつけていくのかということも大事だと思います。
それで、御提案なんですけれども、二十五年ほど前にもう既に、法制審に諮問をして、答申を受けて、導入すべきだという結論が出ている部分はありますけれども、このことに関しては、恐らく唯一の例外として、法制審の答申が出ているにもかかわらず法制化がされていないという問題だと思いますけれども、もう二十五年たちました。このような状態にありますし、世論に聞くということに関しても、問いの在り方でかなりの議論があったようです。ですので、もう一度法制審に、二十五年たちましたので、諮問をするというようなことが一つの大きな物事を動かすきっかけではないかなというふうに思っていますけれども、大臣、もう一度諮問しませんか。
○葉梨国務大臣 法務省からということではなくて、やはり、各、いろいろな議連の方々も含めて、有識者の、制度設計はいろいろな意見がありますので、聞いていかれるということは非常に大事なことだというふうに私自身は考えています。
法制審について言うと、確かにルールとしては、一度諮問したものについて再諮問をしちゃいけないというルール自体はないんですけれども、ただ、委員も御案内だと思いますが、答申自体の内容が実情に合わなくなったり有用性を失った場合にはそういうこともあり得るかなというふうに考えているところです。
そこまで、平成八年二月の答申が有用性を失ったり実情に合わなくなっているかというところまではちょっと私ども考えておりませんので、やはりそういった答申があることを前提として、更に国民各層で議論をしていただいて、またさらに、先ほど言ったとおり、それぞれのグループで、実際に制度設計等々についても含めて有識者の御意見等々も聞いていただきながら、理解を深めていただくというようなことが大事なんじゃないかなというふうに思います。
ですから、法制審ということにつきましては、現段階で再度諮問するということは考えておりません。
○寺田(学)委員 もう正直、自民党さんの中の話だと思うんです。余り言いたくはないですけれども、この件に関しては、今、目下最大の話題になっている統一教会の皆さんからの要請事項にも入っていますので、これをもって、自民党の中で賛成の方、反対の方々が様々議論して党としてまとめ上げる機運があるのであれば、私もそういうところを見守りたいというふうに思いますけれども、正直、この問題に関しては膠着状態が続いていると思います。
大臣、答申のとおりに動いていただくのであれば、別に再答申しませんかということは言いませんけれども、答申を受けながら、二十五年ほったらかしにしているわけですよね。まあ、ほったらかしと言うのはあれですけれども、様々な努力の跡がありながらも答申どおりにはなっていないわけですから。やはり二十五年は大きいですよ、生まれた子供が大学を卒業して働いているわけですからね。時代の流れは変わったと思いますよ。様々な意見というものは、諸外国の制度も変わっていますし、国民の皆さんの意識も変わっていますので。
答申をするかしないか、ちょっと正直、今の段階でしないと言われると寂しい問題があるんですけれども、答申をするかどうか、もう一回、ちょっと省内を含めて御検討いただくぐらいはしていただけないですか。
○葉梨国務大臣 そこはなかなか答えづらいところではあるんですけれども、平成八年から二十五年間ほったらかしということではなくて、平成二十二年にも法改正を提出しようということがあったんですよね。でも、そのときも、やはりいろいろな意見、政権内部の意見等々ございまして、なかなかできなかったというような状況もございます。
それと、自民党の中でも、昨年初めてですよね、賛成派の議連というのが立ち上がって、また通称拡大の議連というのも立ち上がって、そこで活発な議論がされているというふうにも聞いておりますので、そこはやはり、昨年立ち上がった議連の中の議論もしっかり注視していくということで、御容赦いただきたいと思います。
○寺田(学)委員 では、どなたが関係者か分かりませんが、ちょっと頑張ってください。もう自民党待ちです。
膠着状態にあること自体で不利益を被っている方々は年々年々増えていっているわけですから、そこは早めに結論を出していただきたいですし、もしそれで、どちらか、それはやはり慎重になるのだというのであれば、それはそれで、法務省として答申を受けているわけですから、それを受けた上で、しっかりと政府・与党で話し合って結論を出していかなきゃ。今もうニュートラルじゃないですか、答申を受けているにもかかわらず。非常に、民事局の報道もありましたけれども、そういうことがあってちょっと引き過ぎていて、誰もイニシアチブを取っていない、きっかけもないというのが膠着状態を持続する要因になっているので、余りにも自民党が動かなかったら、大臣、御判断ください。それだけお伝えしておきたいと思います。
最高裁の事件記録の破棄の問題を質疑したいと思います。
私も、過去もこういう報道があったのか、最近の報道で知ることになったので、過去もこういうことがあったのかということを知らなかったんですけれども、初めて見たときには、とんでもない話だなと思いました。
神戸の事件記録ではありましたけれども、誰がどう考えたって、あれは非常に重大な事件であって、国民の関心も高く、これからのいろいろなことを検証する際にも有益なものであったにもかかわらず、捨てられてしまった。報道で知る限り、あとは最高裁の方々に聞く限りにおいて、事の重大さに対しての認識が甚だ薄いな、低いなというのが個人的な印象です。
まず一問目として聞きますけれども、このような事件記録は誰のものだ、そもそも誰のものなんだという認識に立っているのか、最高裁として答えてください。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
事件記録等は、事件に関して裁判所及び当事者にとって共通の資料として作成され、受訴裁判所において保管されているものでございます。訴訟の進行に利害関係を有する当事者によって利用されることが当然に予定されているものでございます。
もっとも、事件記録の中には、その存在について歴史的、社会的な意義が認められるものや、後日の事件処理に当たっての参考になるようなものなど、事件記録等保存規程で定める保存期間が経過しても特別に保存すべき史料又は参考資料も含まれているものというふうに理解しております。
○寺田(学)委員 私が聞いたのは、この事件記録というものはそもそも誰のものだと認識しているんですかと聞いているんです。答えてください。
○小野寺最高裁判所長官代理者 事件記録は、当事者から提出をされて、裁判所に保管されます。ですので、裁判所の方において責任を持って保管、管理をしているというものでございます。(寺田(学)委員「いや、だから、誰のものかと聞いている。管理しているのが誰かとか聞いていないよ。そんなのは知っているよ。誰のものかと聞いているんだ」と呼ぶ)
誰が所有しているかということになるとなかなか今直ちにお答えしにくいのですが、裁判所において保存して保管しておるというものでございます。
○寺田(学)委員 どのようにしてこれが記録として成り立っているのか、そして誰が管理しているかなんて聞いていないですよ。これ自体が誰のものなのか、どう認識しているんだと最高裁の判断を聞いているんです。
もうあと、これ以上質問しませんよ。答えてください。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判所が保有しているものというふうに理解しております。(寺田(学)委員「もう質問しないです。誰のものかと聞いているんですから。もう僕は質問しないです」と呼ぶ)
○伊藤委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○伊藤委員長 速記を起こしてください。
それでは、小野寺総務局長。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判所が保有しております記録は国のものでありまして、それはすなわち国民のものということだというふうに理解しております。
○寺田(学)委員 その管理を裁判所としてやっているわけですよね。いずれ、特別保存という形で後世に残すということ自体は、ひいては、国民の様々なことに資するためということだと思います、制度上。
これは、どれぐらいの事件記録が特別保存されているんですか、現状。どう把握していますか。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
今回の件を踏まえまして、最高裁において取り急ぎ、各庁に対して、特別保存に付された事件の件数について照会を行っているところでございます。
各庁から報告を受けたものを概数としてお示しいたしますと、令和四年十月二十一日現在で、特別保存に付されている事件の件数は、全国で約千五百件というふうに承知しております。
○寺田(学)委員 その千五百件がちゃんと保存されているという確認は取れていますか。
○小野寺最高裁判所長官代理者 最高裁といたしましては、現在、各庁に対して、特別保存の件数のほか、特別保存に付された事件記録等の保存状況について照会を行っているところでございます。各庁における特別保存の状況の把握に現在努めているところでございます。
○寺田(学)委員 現状、最高裁としては、特別保存に指定されているものがちゃんと保存されているかどうか分からない状態にあるということですね、今の答弁で。
今指定しているもの自体がちゃんと保存されているかどうか、まだ把握していない。かつ、今回の問題点でいうと、本来特別保存に指定されるべきものが指定されていなかったという問題です。それの運用がしっかりしていなくて、これから何が問題であったかということを検討しますと悠長なことを言っているんですよね。
ここ、一つ提案しますけれども、そもそも、特別保存に指定されているものがちゃんと保存されているということが確認が取れる、そしてまた、本来、特別保存、今、東京地裁の方で具体的な要綱を出していますけれども、大手二紙とか、様々そういうもの自体がしっかりと各下級裁の方で運用されている確認が取れるまでは、どの資料も捨てるべきじゃないですよ。
それが確認されるまで事件記録の破棄をしない、そういう方針でいいですか。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
令和四年の十月二十五日になりますけれども、保存期間が満了いたしました全ての事件記録等について、当分の間、その廃棄を留保するように最高裁の方から各裁判所に事務連絡を発出したところでございます。
特別保存に付されている事件記録等の管理の在り方等を含め、有識者の委員の意見も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
○寺田(学)委員 じゃ、今止まっているんですね。
その意味で、僕は法務委員会も前いましたけれども、最高裁に対して何かしら質疑したこともないですし、レクも受けたことないですけれども、もちろん、裁判官の独立であったり、様々それは司法として尊重しなきゃいけない部分もありながらも、先ほど御答弁いただいたとおり、国民のものですから、その文書の、事件記録の管理の在り方自体というのは我々がしっかりと責任を持って監視すべきものなのかなというふうに個人的に思っています。
ちゃんとやれないんだったら、これは立法府と司法との関係でどうかというのはいろいろ議論があると思いますが、議員立法してでも、しっかりとその記録を守るような仕組みをつくらなきゃいけないんじゃないかなという問題意識を持っています。そのことだけお伝えをして、この最高裁の問題は終わりにしたいと思います。
次は、法務省の入管についてです。
入管に関しては、ウィシュマさんの問題もありますし、先ほど特定技能の話もありましたし、様々視点としてあるので、もちろん、来年の入管法を見据えた上での議論というものも、他の委員であったり、私自身も後ほどやりたいと思いますが、私自身、個人的な、議員として間もなく二十年ぐらいになりますけれども、ライフワークとしてやっていること自体は、教育の多様化と、そしてライブミュージック、ミュージックを、音楽を守っていく、サポートしていくということと、性犯罪の撲滅ということです。
今日はこの三つのうちの二つをやるわけですけれども、入管の中の興行に関する在留資格についてです。
都度都度、入管の方々に現状を聞きながらお話を聞いているんですけれども、様々ある中において、まずちょっと入管の方に聞きますけれども、興行の在留資格を設定して要件を課している、その制度趣旨はまずそもそも何かということを御答弁ください。
○西山政府参考人 在留資格、興行の現行の上陸許可基準は、人身取引等の不適切な事案を防止するために、人身取引に関与した者の排除や報酬支払いの確保などの厳格な基準を設けているところでございます。
具体的に申し上げますと、以前から、在留資格、興行により入国、在留する外国人の中には、ホステス等として不法就労する者も少なくなく、また、性的な労働を強要されるなど、人身取引の被害に遭う者も存在するとの指摘が国内外からなされてきたところでございます。
そのような状況を踏まえまして、平成十八年に、在留資格、興行に係る上陸許可基準を改正し、外国人と契約を締結する機関及び出演施設を運営する機関の経営者等について、過去に人身取引や不法就労に関与していないことや外国人への報酬が確実に支払われることについて厳格な基準を設けたものでございます。
また、その一方で、人身取引等の不適切な事案が発生するおそれが少ないと考えられるもの、すなわち、客室において飲食物を有償で提供せず、かつ客の接待をしない施設における演劇等の興行、あるいは高額な報酬を受け短期間行われる興行などについては、円滑な受入れのために基準を緩和したものでございます。
○寺田(学)委員 ここから大臣にちょっとお伺いしますけれども、自分の問題意識を言うと、言われたとおり、制度趣旨としては、これは山下委員にもちょっといろいろ聞いたんですけれども、まさしくフィリピンパブを主として、人身売買であったり、ホステス、当初の興行目的とは違った形で働いているケースが散見というかかなり問題化して、それを防ぐために要件を設定し、興行のいわゆる在留資格というものを絞っていったということ。
その制度趣旨と目的自体は全く否定しませんけれども、現状どうなっているかということを申し上げると、私は音楽が好きな一人の人間であって、よくライブも、この間も屋外でやっている野外のライブに行ってきましたし、家族で行ってきましたけれども。そのユーザーとしても、そしてそれを企画する興行主たちからもいろいろ話を聞いている範囲で言うと、制度趣旨は制度趣旨で大事なんですけれども、一律にやっているために、そういう懸念、リスクがおよそ起こらないであろうアーティストの招聘に関しても必要以上の手続が必要になっている。
この間、トミー・ゲレロという、私にとってはすごく、神のようなアーティストなんですけれども、日本中二十か所ぐらい、青森とかも含めて回るツアーがあったんですけれども、何回も日本には入国していたんですけれども、ビザが下りず断念をしました。
多分、私もがっかりしましたし、興行をする方々も本当に経済的にも精神的にも大変だったと思いますし、何より日本中のトミー・ゲレロのファンの人たちはがっかりしたと思いますし、本人からも連絡が来ましたけれども、こんなに日本に対して今までやってきたのに、何でこういう扱いをされるんだろうということになりました。
なので、その方なんて、私より年上の男性ですから、ホステスをやることもないでしょうし、ましてや売春をするために来るような蓋然性などはゼロですよ、ほぼ。だけれども、今の一律の運用のために蹴られた。
結局、それで興行側も大変だし、私のようなファンも本当に悲しい思いをするし、一方で、今課されているこの興行の在留資格の審査のために、実際やっていた方の話を複数聞きましたけれども、大臣、大変らしいですよ、東京入管も。若手の職員たちが、申請資料がうわあっと積み重なって、それをとにかく一生懸命、ルールどおりにやらなきゃいけないので、ステージの高さを測りに行ったとか。本当に、その趣旨のために働いているというよりは、決まったルールがあるからそれに従わなきゃいけない。真面目なのはいいんですよ。ただ、それによって過剰な労働が、今入管の現場でもなっていて、興行側にとっても国民にとっても入管の職員にとっても、このルールが一律課されているために大変な思いになっている。
なくせとは言わないです。当然ながら、その制度趣旨は十分理解しています。そういう人身売買だったり目的外のことをやるのは、当然、防ぐために要件は必要だと思うんですが、ちょっと正直、まあ、言い方が正しいかどうか分かりませんけれども、出来の悪い抗がん剤みたいなもので、悪性腫瘍をしっかり取るために治療しながらも、良性の部分まで全部被害を被っているような、こういう仕組みは改めるべきだと思っています。
もちろん、受け入れる側、来るアーティスト、そしてその興行自体がちゃんとやられるか、そして帰国しているか、様々なことをちゃんとクリアする、安心できる要件が必要だと思いますけれども、これ、ちょっと柔軟に変えていくということが私は今必要、誰にとっても、入管にとっても必要だと思っていますが、大臣、いかがですか。
○葉梨国務大臣 確かに、寺田委員おっしゃるとおり、私も警察で現役だった時代は、結構この問題は大きな問題になっていたのを記憶していますけれども、ただ、今は、もうグローバル化も相当進んでいますし、先ほども申し上げましたように、高度な人材はしっかり受け入れておこうというような形になってきています。制度というのは、私はバランス、バランスということを所信でも申し上げましたが、あつものに懲りてなますを吹くというのもいかがなものかなというようなところもございます。
ですから、こういった外国人アーティストのような、様々な文化芸術分野の外国人、これはスペシャリストでございますが、を受け入れることは、私は、国際的な文化交流の発展、我が国の社会の活性化に資するというふうに思います。
今般の委員からの御指摘も踏まえて、在留資格、興行の上陸許可基準の改正について、しっかりとした検討を行っていきたいと思います。
○寺田(学)委員 ありがとうございます。
ちょっと入管、頑張りましょうよ、それ。
正直言うと、入管の人たちがそのアーティストの価値を測ることなんて無理だと思うんですよ。今、一応、先ほど説明にありましたけれども、高額なギャランティーをもらえるのであれば有名な人だろうなというのは、この間のブルーノ・マーズなんて、すごい額をもらっているとは思いますけれども、まあいいですけれども。ただ、やはり音楽に関しては多様性があるので、ギャランティーが高いから、逆に言うと、低いからその人はスペシャリストではないというのはどうかなと思います、エド・シーランとかだって最初は路上からやっているわけですし。そういう意味で、入管の人たちに音楽に詳しくなれなんて言うつもりはないので、一律に金銭の部分だけでやるというのも様々な弊害が出るかなと思います。
大臣から前向きな御答弁をいただきましたので、是非とも、そこは変えていくための努力はしていただきたいと思いますし、それを早急に、多分ライブに関しては、今からシーズン的に冬ですけれども、また春ぐらいからかなりいろいろな方々をお呼びしようという話になると思うので、早急に行いたいと思いますので、よろしくお願いします。
最後の、性犯罪の刑法改正です。
今日、お手元の方に資料を様々お配りをしていますけれども、三枚配っています。
一枚目が、これは、今行われている法制審の中で、法制審に対しての質問状を、ヒューマンライツ・ナウの方々がされたので、それをこれは拝借しました。
これはどういうものを列挙したか。男性と女性で裁判が行われて、女性側は嫌だと、同意していないということを伝え、それが裁判所で認定をされているにもかかわらず無罪になった。現行法制の中でいうと、いわゆる抗拒を著しく困難ならしめた上でなされたものとは足りない。不同意ということは認定しているんだけれども、今の法律上は、不同意、嫌だと、私は嫌だと、抵抗したり、発言したり、あとはそれが言えない状態になっていたり、そういうことがあったとしても、今の法律上は無罪になることが現実として多々起きているということを列挙したものです。読むと結構きついですよ。
こういうところの裁判、法律の体系と、それによって導き出される判決自体が、本当に性犯罪に対してやはり現実に寄り添っていないということで、度々改正の議論が起きているんだと思いますし、今議論されていると思うんです。
これは、専門家に聞くと、それは構成要件上こうだから何とか何とかでと言われるんですけれども、一般の人には何でこれが無罪になるのか分からないと思うんですよね。
通告をしていますし、大臣のソーシャルネットワーク、SNSを見ていますけれども、娘さんがいらっしゃるということ、されていたので、大臣、この、女性側が嫌だと、同意をしていない、そしてそれを裁判所も認めているにもかかわらず無罪になっている、これは何でなのと娘さんに聞かれたら、何て説明しますか。
○葉梨国務大臣 うちの娘は三人とも法律の関係をやっているものではないので、聞かれると、法律というのはなかなかね、人を罰する、刑罰の場合は罰しなければいけない、そうすると、どういう行為が確実にそれに当たるんだよということが明確じゃなければいけないんだ。例えば、その一回の行為で、やめてというのがあったにしても、もっとその前の、どういうおつき合いをしていたとかということによって状況は変わってくる。ですから、そこの場面において、どういうような行為を罰するんだということをしっかりと書いていかなければいけないんだよと、そんなような説明をすることになるというふうに思います。
それでもやはり、そこは明確化するということは大事なんだけれども、やはり被害者の感情というのをしっかり酌み取った上で、どういうようなところはみんなが、罰しなきゃいけないんだという、そのコンセンサスをみんなでつくっていかなければいけないんじゃないか。だから、いろいろな、そういうような、不同意性交、これについての、罰するべきだという意見が、非常に重要な意見がある。だから、そういうことを、今、法律の専門家の先生方にも、また被害者や心理学の専門家の方々にも入っていただいて、しっかり議論をしていただいているんだ、そんなような説明をすることになるんだと思います。
○寺田(学)委員 娘さんの御年齢のことまでちょっと聞くつもりはないですけれども、嫌だと言うだけじゃ駄目なんだよと教えるんですかね、大臣。年齢は分かりませんけれども、そういうことが必然的に起きるようなケースというのは出てくると思いますが、嫌だ、したくないと言うことじゃ足りないんだよということを現状教えることになってしまうんですよ、今の構成要件とこの裁判例を見ていると。
私、自分は息子ですけれども、やはり性的同意に対して、どういうものかということを丹念に教えていかなきゃいけないなと思っています。最初は嫌だと言ったけれども後々嫌だと言わなくなったから同意なんだなんて、そんなふうに思わせてしまったら親として失格だなと僕は思っていて、逆に、娘さんを持たれている方、親であれば、まずはノーと言いなさい、嫌なときは嫌と言いなさいと。
ただ、現状として、ノーと言って、裁判所もノーと言ったということを認定しながらも、強制性交で罪に問われず無罪になっているケースがあるということは、まず大臣としてやはり、娘さんに御説明されるときには、今の法律がどうなっているかという説明とともに、どうあるべきかということは、お立場としてお考えを私はちゃんと説明してほしいなというふうに思います。
あくまでも規範意識ですけれども、やはり、主に女性ですから、女性側がノーだと言ったこと、それにもかかわらず性交することになったということ自体は、本来、どう捕捉するかという議論はありながら、規範意識としては罰せられるものだと私は思っています。あくまでも規範意識の話です。大臣、どうお考えですか。
○葉梨国務大臣 不同意性交というのが、これは悪いことだということは、私はそう思います。
ただし、刑罰法規ということになってくると、今現状では、しっかりした明確な要件がないと罰することは、個々の裁判例については私はコメントする立場じゃないんですが、ということを言った上で、今の現状では、うちの娘はそれぞれ年頃ですから、おつき合いの仕方というのは気をつけないといけないよというようなことは申し上げることにはなるんだろうと思うんですけれども。
不同意性交自体が、罰するかどうかは別として、よいことではない、これは私もそう思います。
○寺田(学)委員 そのよいことではない、望ましくないこと、本来罰すべきこと自体をどう法律体系に落とし込んで罰するのかということは、絶えず検討していただきたいというふうに思っています。
今、法制審をやっていますので、法制審の議論を待つ形になっていると思うんですが、これは素朴な議論としてですよ、法制審で答申が出ました、方向性が出ました、いつ法務大臣として政治的なイニシアチブ、大臣としての政治的な判断を織り交ぜるのかがよく分かっていなくて。
法制審の答申が出ましたと、まあ、選択的夫婦別姓のときには寝かせ続けるということがありましたけれども、基本的にそのとおりに法制化する形に今までなっているでしょうから。だとすると、大臣含めて機械的に、法制審が答申を出した内容を法文化して国会にかけるという機械的な作業で終わってしまうのか、大臣として政治的なイニシアチブをどこかのタイミングで発揮されるとすれば、どういう形で大臣としてのお考えを織り交ぜていくことになるんですか。
○葉梨国務大臣 お答えします。
法制審の議論自体を、私は諮問している立場なものですから……(寺田(学)委員「今はね」と呼ぶ)今はですね。昔は法制審は会長が法務大臣だったんです、うんと昔は。でも、その後、委員の互選によって私が指名するという形になったんですけれども。諮問している立場なので、その議論自体を右だ左だという形で左右するということは現状においてはできないんですが、法制審の答申を受けて、これをどういうような形で適切な条文に落とし込むか、どういう時期に法案を提出するか、その条文の作り方等々も含めて、やはり私自身もしっかり判断をしていきたいと思います。
○寺田(学)委員 是非、大臣の考え方も、もちろん機械的に法務省として、法務大臣として動くというのも、それは何か、もちろん国会の場で議論して修正していくこともあるでしょうけれども、やはり法務大臣としてのお考えを織り交ぜていただきたいと思います。
今、その法制審の中で試案が出てきました。いわゆる性交同意年齢の引上げですけれども、いわゆる五歳差という年齢差要件の話が出ていますが、その中に加えて、対処能力が不十分であることに乗じてという文言が試案の中に入りました。
説明の中においては、一般的に、年少、十六歳未満の男性が無理やり五歳差離れた女性に対して行った場合に構成要件的に罰することになるので、構成要件から除くためにそういう文言を入れたんだというのが一つと、ただ、法制審の審議の議事録を見ていますけれども、五歳差以上離れていたとしても実質的に罪に問われなくてもいいケースもあるのではないかと佐伯教授含めて言われていますけれども、そういうような意見があって織り交ぜた部分だと思いますが、端的に、この試案に対して、対処能力が不十分であることに乗じてと文言を入れた理由を教えてください。
○川原政府参考人 お答えいたします。
委員今御指摘の性交同意年齢の引上げに関して、試案の中で委員御指摘のような要件を設けた理由でございます。
現行法上は十三歳未満とされている対象年齢を十六歳未満に引き上げることに関しまして、十六歳未満の者に対してわいせつな行為又は性交等が行われた場合には、例外なく処罰対象とすべきという御意見が示された一方で、十三歳以上十六歳未満の者に対してわいせつな行為又は性交等が行われた場合であっても、年齢の近い者同士での行為である場合など一定の場合には処罰対象としないこととすべきではないかといった御意見が複数示されたところでございます。
その上で、どのような場合を処罰対象としないこととするかについて、行為者と相手方が対等な関係と言えるかどうかという観点から、十三歳以上十六歳未満の者と行為者との年齢差を要件とすべきという御意見が示されましたが、年齢差要件だけで処罰範囲を適切に画することができるのか、その年齢差がある場合、対等な関係が存することはあり得ないと言い切ってよいかといった疑問も示され、また、十三歳以上十六歳未満の者が、年長者に対して、暴行、脅迫を用いて性的行為に至った場合など、一定の場合について構成要件の段階で処罰対象から除外すべきという御意見も示されたところでございます。
こういった部会での御議論を踏まえまして、試案におきましては、御指摘のような要件を設けることとしたものでございます。
○寺田(学)委員 残り二十分なのでちょっとスピードを上げていきますが、対処能力というのは何じゃという話ですよ。
井出副大臣、済みません、御足労ありがとうございます。
そもそも、中学生、一般的には女子中学生でしょうから、女子中学生に対処能力があるかないかということの議論だとは思うんです。
性教育に対してですけれども、女子中学生に対して、中学生に対して、性交の具体的な在り方も当然ですけれども、避妊の仕方等、今文科省は教えているんですか。
○井出副大臣 お答えをいたします。
避妊の方法につきましては、全国の全ての中学生一律に、共通に指導するという内容にはしておりません。
現行の学習指導要領で、一律に指導すべきもの、それから個別に指導すべきもの、その二つの考え方に立っておりますので、個別、個々の生徒の抱える事情ですとか、また関心ですとか、そうしたものに応じて個別に指導するなどの指導に努めているところです。
○寺田(学)委員 避妊方法を教えずに、大臣が答弁もしているんですが、適切な、要は、性感染症や性犯罪、そして性暴力、予期せぬ妊娠など、子供たちの性と健康に関する現代的な課題に、まずは、子供たちが性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるよう、学習指導要領に基づき、着実な指導を努めると大臣は言っているんですが、避妊方法を教えないでどうやって適切な行動を取るのか、僕は分からないです。
そこは反論できるんですか、副大臣。
○井出副大臣 全国の全ての中学生に一律の教育の内容として、御質問の避妊の方法というものは、全国一律の教育内容としては現在は入っておりませんが、必要に応じてきちっとやっているという認識でおります。
○寺田(学)委員 教えていないということですよ。必要に応じてと言っていますけれども、僕、レクのときに言われてびっくりしましたけれども、その子が、必要だな、性教育、避妊の仕方を言わなきゃ、教えなきゃいけないなと思う人を先生がちゃんとチェックしているので大丈夫ですみたいなことを言われたんですよ。気持ち悪いですよ。もうそういうレベルの話じゃないですよ。教えていないんですよ。
いや、だから、僕は文科省に対して、もちろん様々な、この歯止め規定に対しては議論はありますよ、一方的に責めるつもりはないですけれども、教えられていないんだ、全国一律に全員に対して教えられていないんだ、だから未熟なんだという立場に立つべきなのに、なぜか、適切な行動が性犯罪に対してでも取れるように指導していくと言っているところが欺瞞だと僕は思っているんです。ここを変えなきゃいけないと思っていますよ。未熟なんですよ、教えられていないから。
それは、ネットで厚労省のサイトを、誘導するようにしていますとか、もうよく分からないです。性教育が必要な人が誰かというのを、予防的に、先生が見て教えることもできるので大丈夫ですとか言われて、ちょっと正直、そこの議論はまた別個でやりたいんですけれども。
現状、そういうところ、そういう状態にあるのが女子中学生ですよ。それに対して、対処能力があるかないかと議論する時点でどうかしていると僕は思います。
お手元の方に資料二、これが法制審の中で議論されている性交同意年齢の引上げについてですけれども、最近、中央大学の教授で、刑法の大家の方だと思います、刑法の在り方ということなら専門的だと思いますが、その中において、ずっと、下線部ありますけれども、一律に罰するのはいけないんじゃないの、真摯な合意に基づく性的関係というものが生まれ得るんだ、それは排除できない、そういうことが生まれることは排除できないと。
それに対して、これは抜粋ですけれども、被害者団体の当事者の方であったり、臨床心理学の小西さん、その次ですね、言い方をどう捉えるかは別として、反論されているんですよ。
かつ、山本委員は、自らも性被害に遭われている方ですし、その被害者の方々を守ろうと、サポートしようとやっている団体の方ですけれども、非常に落ち着いて言われています。下線部ありますけれども、お互いに対等な関係で同意のある性交というためにはと、だあっといった後に、性的な同意と性的コミュニケーション、性行為と妊娠、出産の過程を学び、きちんとコンドームの使用の方法を守って、性感染症の防止を行い、異性間の性交だったら妊娠がありますから、女子に関しては毎月三千、四千円のピルを買える、コンドームは避妊具ではないですから、性感染症を防ぐものですから、しっかりと九十何%防ぐことができるそのピルの、三千、四千円で買える経済的な力も必要になります。それらがあった上で、毎回、性的行為のときに同意を交わすということがお互いできるかどうかが、対等な性的同意。
女性であり、当事者であり、被害に遭った方も含めて、一番ケースを知っている方々、そしてまた、先ほど申し上げた小西さんは、臨床心理学として実践的に向き合っている方々ですけれども。
山本さんは最後に、ピルを年長者が買って年少者に与える、大人が女子中学生にピルを買ってあげるということは、性的な搾取に入ってくると思うんだけれども、それが入らないということは、どういうことなんでしょうねという柔らかい言い方で言っています。
ただ、それでも、佐伯委員は最後に、例えば、二十二歳と十五歳であれば完全に対等とは言えないというのは分かっているんです、知識にも格差があると認識して、ただ、そういう格差や知識の格差を配慮しながら、例えば、避妊するとか、あるいは、そういう格差を補う努力を、真摯という言葉が適切かは分かりませんが、私の考える真摯というものは、単なる主観の問題ではなくて、どういう具体的な格差を補う努力をしているかどうかで、客観的な問題であろうという話をされていて。
すごくこれを読んだときに違和感を覚えたのは、刑法学として、構成要件として今どういうものがあって、どういうふうに落とし込むことが法律の安定につながるのかという問題の方が、ある種、女子中学生の恋愛の在り方とか性的な同意の在り方を想像しながらお話をされて、結構それに引っ張られている部分があって、何とか、その当事者であったり、それを一番間近で見ている方々が異論を挟んでいるという構図になっているんです。
正直、これを読みながら思うのは、教えられてもいない、さっき文科省が言いましたけれども、性交の仕方を教えられていないわけですよ、中学生。教えられていない性交と教えられてもいないような避妊を、中学生に対して、これは言葉をかりると格差を埋める努力なんですけれども、性交するに至って真摯な同意ができ上がりました、それは罰するべきじゃないと言うこと自体がどうも私は全く理解ができなくて、どういう議論がここで行われているんだろうとすごく不安になります。
あえて私は議事録に残すためにこうやってしゃべっているんですが、小児性愛者の研究家からもいろいろ聞きますが、いずれみんな教わることだから教えてあげるよというのはもう典型的な言葉です。そういう発想と物すごく、つまり全く違う発想でもない中で、こういう格差を埋める努力というものがあるんじゃないかと議論されていること、議論は自由ですよ、ただ、それが国の考え方として背骨になるのはどうなのかなというのを非常に危惧に思います。
これは刑事局長にお伺いしますけれども、力や知識の差の格差を補う努力、例えば、成人男性側が、一対一で女子中学生に対して、性交はこうやってやるんだよ、避妊をするから大丈夫だよということを女子中学生に教えて性交に至ること自体が、グルーミングと何が違うのか、その線引き、もし分かったら教えてください。
○川原政府参考人 お答えいたします。
今委員の方からグルーミングという行為についてお尋ねがございました。
実は、試案の中でも、このグルーミング行為に関する罪の新設という部分がございます。グルーミングと申しますのは、試案の言葉をかりますと、性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為ということでございまして、実は試案では、どういった場合を犯罪とするかということですから、わいせつな目的でということを掲げた上で、対面によってそういったわいせつな行為等がされることを防ぐために、面会を要求する行為を処罰する、あるいは、非対面で映像等の送信をさせられる行為を防ぐために、送信を要求する行為を処罰するという形にしておりまして、ちょっと、その前の段階の、どこまでをグルーミング行為ということになるかというと、社会的な用語の問題になってしまいますので、私としてちょっとそこは明確にお答えいたしかねることを御理解賜りたいと存じます。
○寺田(学)委員 私も、性犯罪のことについていろいろ勉強するときに、妻からも言われましたし自分でも自戒として持っていますが、男性の視点で考えちゃ駄目だということだと思うんです。
党内で議論することも踏まえて、いろいろな女性の方に恥ずかしながら聞いて回りました、中学校のときの性に対する考え方。議事録に残したいので、ちゃんとそういうのを紹介したいんですけれども。
これは女性から言われたことですけれども、元々、女性にとってセックスは、女性にとって命懸けの出産や子育てにつながる行為であって、一部例外的に性欲が異常な人、これは治療が必要だと思うというお話です、そういう人は除いて、かなり限定的に、消極的に行う行為だと。好きとセックスをしたいは必ずしも直結せず、特に中学校ぐらいは無関係。性欲ではなく、好奇心や経験欲があるせいで、そこにつけ込まれたり判断を誤るときがある。女子は、圧倒的な力の差から、深層心理では常に男性から脅かされているような存在だ。一対一の状態で男性に対して自由に断れるということはまずないということを前提に立つべき。好きの延長線上にセックスをしたいはない、特に中学生なんて考えられない。
今度、女性議員からも聞いたんですけれども、高校生時代の友人も、好きな彼氏に何度も要求されて断り続けたけれども、嫌われたくないからしてしまった、そういう声を聞いたと。
愛し合えば、女子中学生であっても性行為をしたくなるはずだというのは、私は男性側の勝手な思い込みだとこれを様々聞きながら思いました。この場にいる女性がどう思っているか、それはちょっと分かりませんけれども。
やはり、男性目線の、男性的な発想で考えると、私は、もちろん、今この場にいらっしゃらない方、佐伯先生がお考えになられて想像されているような、いや、避妊をちゃんと施すということが、それは男性側にとっては真摯だと思われるかもしれませんけれども、一対一で、年齢差が離れている中で、女子中学生側がそれで真摯な同意ができるのだと立つこと自体が、私は男性側の勝手な思い込みが強いのではないかなと強い危惧を持っているということなんです。
今回の試案にあるように、年齢差だけではなくて、年齢差が開いていたとしても、対処能力が不十分かどうかというところで除外要件が生まれるとすると、いろいろケースを聞くと、やはり、中学校時代にそういうことに巻き込まれている人自体は、家庭環境が恵まれなくて自己肯定感が著しく低下しているような人ほど遭いやすくて、優しくしてもらえるというその恋愛錯覚が、被害に陥っていることの自覚をずっと妨げている。逆に、嫌われたくないから、優しくされ、続けてほしいから応諾してしまうということが往々にあって、後刻、性の搾取に気づいたときには、もう強い心的障害を持って苦しみ続ける。
一部の例外を設けるような、年齢差ではなくて、実質要件と言えばいいのかどうか分かりませんけれども、そういう要件を設けること自体は、このような自覚なき性搾取を生み出し続けて、長いこと被害者は苦しみ続け、そしてまた、いざ事件が起きたとき、その中学生に対して、私は拒否したんだ、私は恋愛ではないということを取調べにおいても裁判においても説明させることを想定しなきゃならないと思っているんです。
私自身、年齢差要件というよりも、三枚目に資料をつけていますけれども、イギリスは、成人が十六歳未満の者に性的な行為をしたときに、それは成人としてけしからぬということで罰しているわけですよね。私はこれが一つの在り方だと思います。やはり、成人になった側の方が成熟していると認定されているわけですから、未熟な者に対して、性教育もされていない未熟な者に対して行為に及んだこと自体は罰せられるべきだというのは、物すごく分かりやすいし、安定していると思います。
こういう考え方も含めて議論するべきだと思うんですが、これはまず、局長からでもいいですけれども、この例外を設けるということ、年齢差要件というか、機械的な要件のみならず、実質要件を設けることによる問題点というのはどう捉えているのかということを局長ないしは大臣にも、御意見があればお伺いしたいというふうに思います。
○葉梨国務大臣 御意見というか、先ほども、私は法制審に諮問している立場、法務省としては立場ですので、これから、いろいろな意見、多角的に丁寧に法制審において議論をしていただく、この試案はまさにたたき台であるというふうに思います。
それぞれ、委員御指摘のように、刑法の立場、心理学の立場、あるいは被害者の立場、それぞれの考え方があろうかと思いますが、しっかり自由に闊達な議論をしていただいて、最終的にはコンセンサスの取れたバランスのいい形に落ち着くこと、これを期待したいと思います。
○寺田(学)委員 様々な方をメンバーとして招き入れられたことは私は前進だと思うんです。今回、被害団体の方も入ったし、精神科、臨床心理の方々も入った。
何を申し上げたいかというと、入れた理由は何かというところですよ。やはり、刑法だけ、あとは弁護士、検察、そういう方だけでやっていたら、本当にそのときどういう心情だったのかということが分かりにくい。その分かりにくさが、一番最初にお示しをした、あの同意はしていないけれども結局今の法律構成上は無罪になってしまうというケースが起きていることを招いていると思うんですね。だからこそ、被害者団体の方であったり、臨床心理の方を入れているんだと思うんです。
改めて問いますけれども、大臣、あえて今回、ヒアリング対象ではなくて、メンバーの中に被害団体の方々及びそういう方々とずっと向き合ってきた臨床心理や精神のことを専門とされている方を入れた理由は何なのかということを改めて問いたいと思います。
○葉梨国務大臣 前回、性犯罪の関係で刑法を改正したとき、確かに、法制審の中の議論で、あのときは性交同意年齢は引上げにならなかったんです。中学生同士の恋愛をどこまでするんだみたいな議論がありまして、引上げにはならなかった。
ただ、その後、やはりいろいろな、性犯罪の被害者の方々等々からも本当に切実な声が、私も大臣になる前に私のところにも寄せられましたし、また法務省にも寄せられた。やはり多角的な議論をしていくということが非常に大事だということで、偏りない形で、実際の被害者、心理学的な観点からも御意見を言っていただくということで、今回は構成をさせていただいたというふうに聞いています。
○寺田(学)委員 なので、各自の専門性が尊重される、及び各自が何をもって呼ばれたかということ自体がしっかりと反映されている答申であってほしいと私は願っておりますし、その答申を導くために、事務局としては法務省でやっているわけですから、法務省としてもしっかりとした態度でやってほしいと思います。
これ自体がいつ法制化されて、いつ国会にかかるか分かりませんけれども、性被害というのは絶えず起きています。私もこの場で前回取り上げたケースもありましたけれども、小学生が友人宅で寝ている間に友人のお父さんから性被害を受けたというケースでした。そのときには、性交同意年齢以下でしたので、取調べなく、その本人が気づくこともなく、罪に問われることに、結果的に裁判でも、聞きましたけれども、見ましたけれども。本当にありとあらゆるところにそれは潜んでいる。それに対して早急に対策を打つべきだというのが社会の要請だと思いますので、大臣、頑張ってください。法務省の皆さんも頑張ってください。そういうことで、しっかりと私も支援していきたいと思いますし、議論していきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○伊藤委員長 次に、阿部弘樹君。
○阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。
私は、三問質問を予定しておりますが、まず最初に、内密出産や赤ちゃんポスト、母親の、子供を認知しないということに関して質問させていただきます。
最高裁の判例でも、母子は認知をするということが前提であります。それは、皆さんももう言わずもがな、出産というのは母親が行う行為であり、生まれた瞬間に、その認知は当然であるというふうに現代まで考えられてきております。
しかし、内密出産を行うことで、初めてそこに、出産に立ち会う医師が母親の名前を書かない、本人が希望しないために書かないということで、認知の拒否を行うという行為が第三者によって明らかになるということが起きているわけでございます。
フランスなど、内密出産、実はフランスはもう内密出産とは言わないんですね。生まれてくる子供たち、母親が名のらなくても国が育てる、国の子として特別養子縁組をつくり、そしてそれまで戸籍を作らないという仕組みが、ヨーロッパの農村社会などで起きていた。教会の前に子供を預ける、あるいは捨てるという言い方かもしれませんが、そこに預けて、そして育っていくという仕組みが、中世の、私はウィーン大学に留学しておりましたが、モーツァルトのフィガロの結婚なりドン・ジョバンニは、まさに荘園領主を批判する歌劇であります。ですから、教会の前に置いていかれた子供たちは、教会が育て、そして必要なときに農村でまた預かっていく。
そういうのが当たり前に行われていて、現代では、内密出産という形で我々は考えるんですが、実は、母親が認知しない出産というのが常に公立病院で行われていく、そして特別養子縁組が行われて初めて戸籍ができていくという仕組みなわけです。
そこで、出自の秘密に関しては、行政が、あるいは、国の子ですから国が様々な説得を行い、説得すれば、母親が九九%まで、生まれがどこであるか、出自の関係とか、あるいは人種、何でこのような赤ちゃんが生まれてきたかなどの出自の秘密を明らかにしていく。そして、開かれたファイルとして、子供が大人になって、その出自の秘密を知りたいときにはそれを開けることができる。他者はそのファイルを見ることができない、閉じたファイルとして行っていけるわけでございます。
まず最初にお伺いいたします。
このように、現代で初めて母親が認知しないということが起きてきたわけでございますが、戸籍として、まずこのようなことを民法上想定していたわけでございますか。
○金子政府参考人 戸籍として当初から想定していたかどうかということはお答えが難しいんですが、少なくとも、戸籍を作るということはできる、そういう状況に対応してでも戸籍は作ることができるというのが現行の戸籍法の立場でございます。
○阿部(弘)委員 その場合にも、当然、特別養子縁組の手続というのはできるわけでございますか。
○金子政府参考人 特別養子縁組の手続は、戸籍を記載した後で手続を取るということはできます。
○阿部(弘)委員 冷静に考えて、施設の前で子供を置いていって、いわゆる捨て子という形でも養子縁組はできるとは思いますから、この場合にも当然できることだというふうに思うわけでございます。
出自を知る権利というのは、これはどういう形であっても、生まれた子供にとっては大変重要なことだと思うわけであります。この現在のガイドラインを見ると、出自を知る権利については、現状では、生まれた病院が聞き取りを行うという程度のもので、その保存の仕組みもその病院の善意によっているというところでございますが、出自を知る権利について、厚労省、どのようにお考えでしょうか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、今般の内密出産のガイドラインにおきましては、内密出産を受け入れる医療機関において、その医療機関内で明文化した規程に基づいて、母親の身元情報というのを管理をしていただくこととしております。
一方で、子供の出自を知る権利といった観点からも、こういった内密出産により生まれた子供の場合であるとか、あるいは特別養子縁組により養子になった子供も含め、こういった出自に関する情報にしっかりたどり着くことができるような仕組みが必要ではないのか、ガイドラインではなくて、もうちょっとしっかりとした仕組みが必要ではないのかというような御意見もあることも承知はしております。
ですが、今回のガイドラインにおきましては、内密出産を希望される場合は、医療機関以外の人たちには身元情報を明らかにしたくないという妊婦さんの御意向であるとか、あるいは、やはり、現行の法制上も医療機関以外のところに情報を集約するとか、そういったような根拠となるようなものがないというようなこともありますので、このようなガイドライン上の整理をさせていただいたところでございます。
確かに、出自に関する情報を知ることが困難な状況に置かれがちな方々について、その出自の情報をどのようなところで、どのような範囲で、いかに管理をしていくのか、そうした知る権利に応えていくのかというのは非常に重要な課題ではありますが、一方で、そうであるがゆえに様々な論点があり、中長期的な検討が必要な課題かなというふうに考えてございます。
○阿部(弘)委員 説得によって、九九%の母親は子供にメッセージを残すと。その内容は、父親、母親についての情報、あるいは母親の年齢、あるいは国籍や出身地、そして、母親の身体的特徴、住んでいる地域、そして、子供に伝えたい情報や、最後はプレゼントですよ、大人になって、その子にプレゼントを与えよう、そういうものが、開かれたファイル。しかし、ほかの人には誰も見れない、閉じられたファイルなんですよ。
そういったものをつくる仕組みというのは、そして、これを行政が関わっていくということですから、是非とも、ただ今ある現行制度を書くのがガイドラインじゃないですよ、しっかりと、国民が豊かな気持ちになれる。そういう仕組みがないために、トイレで子供を産んで死んでしまう、コインロッカーに預けたままで、死んだ嬰児が発見される、そんな社会であってはいけないと思っています。
フランスは、子供が特別養子縁組になっても、親の貧困と全く関わりなく、様々な仕組みを、そして教育を受ける権利まで十分に保障される。日本維新の会も、親の貧困に、所得に関係なく教育を受ける権利を大学まで保障していこうということで、大阪でそれを実践しているわけでございます。
是非とも、開かれたファイル、子供さんに対してだけ開かれるファイル、そして、閉じられたファイル、皆さんにとっては、国民にとっては閉じられたファイルかもしれませんが、それは大切な仕事だと思います。
今般、入院一時金は、匿名出産、秘密出産の方にはもらえないということです。あるいは、出産一時金ももらえない。そして、まして、入院助産施設でもこの秘密出産はできないということですが、もう一度、厚生省の担当の方、お願いします。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
入院一時金の方、保険給付の方は、先般、保険局審議官の方からお答え申し上げましたとおりでございますが、保険給付でございますので、被保険者の方から申請というか申出、個人を特定しないと支給ができないというふうな仕組みになってございますが、一方で、今御指摘のありました、児童福祉法による助産施設の方の、入院助産の方でございますけれども、こちらの方も、児童福祉法上は、経済的な理由により病院等で出産できない妊婦の方からの申込みを受けて都道府県が実施をするというふうな形になっておりまして、そういう意味では、氏名や所得情報などの個人情報といったものを把握した上で行われるということになってまいります。
そうした意味では、内密出産というのは、自らの氏名等の情報を秘匿した上で出産することを強く希望しておられるということでの内密出産ということになりますので、こういった入院助産による助産施設の利用、そういったことも視野に入れて、名前を出しての出産であればそういった支援が受けられるといったような形での説得、そういったものにも努めていただきたいというふうに考えているところでございます。
○阿部(弘)委員 いずれ、今はできなくても、ヨーロッパで当たり前のように行われているような仕組みが日本にも適用されることを心から願っております。
私は、旧厚生省に勤めておるときに、旧優生保護法を担当しておりました。母体保護法でございます。過去は、例えば、らい患者さんの収容施設、あるいは不妊手術、当時はそれが正しいということで行われた行為であっても、何十年か後の我々国民にとっては、とても過ちの行為であったということを断罪されております。
母親が子供を認知しない社会を願っているわけではありません。万葉の時代から、子供は両親にとって本当に宝であり、国の宝という歌をたくさん、千年前から日本人が歌に込めて歌っているわけでございます。
しかし、何十年か後に、この仕組みが早くあればよかったなということが考えられるわけでございますから、是非とも関係者の皆様、御努力をお願いしたいと思います。
大臣、感想で結構です。
○葉梨国務大臣 子の出自を知る権利、厚労省が所管ということですけれども、戸籍の関係は私どもで現行法でもできますので、きっちりやります。
よりよい制度、というか、元々は、内密出産というのは、厚労省と私どももお話をして、好ましい制度とは言えないなということであったんですけれども、ただ、やはりそういうことが行われるということになりますと、子供が、本当に嬰児の死みたいなことに、これはやはり生きていていただきたいということで、ガイドラインを両省で作らせていただいたわけです。
厚労省においても、やはり子の出自を知る権利というのは非常に大切なことだと思いますので、また、このガイドラインの運用状況等を見ながら、よく厚労省ともお話合いをしていきたいと思います。
○阿部(弘)委員 よろしくお願いします。
次の質問に移ります。
今度は、私は、宮城刑務所を訪問させていただいたことについて御質問させていただきます。
宮城刑務所は、明治十二年に集治監として開設された。これは驚いたことに、西南戦争で捕縛された敵軍の方々を収容するために造られた東北の施設だと。九州だと、鹿児島の方々がたくさんいらっしゃるからなかなか監獄に入れることができないということで東北でできたものだそうです。ですから、当時、集治監の職員の中には会津藩の方々もたくさんいらっしゃって、西郷隆盛さんの叔父様がそこに捕縛されて連れてこられたということも記録に残っているそうです。その後、明治三十六年に監獄となり、大正十一年には刑務所となっている。
そこはお城の中に造られた刑務所であります。臥竜梅という、伊達政宗が朝鮮半島から持って帰った朝鮮梅という見事な梅があるそうでございます。と思いながら、本当に、受刑者の方々もこういうものをめでながら、そして、たくさんの方々がここでお過ごしになったんだなと。帝銀事件の平沢死刑囚もここで過ごされたということも聞いております。
さて、本題でございますが、法務省矯正局特別機動警備隊が頑張っているんですね。災害のときに様々な災害援助、市町村とも協定を結んであるそうでございます。その市町村と矯正施設である刑務所が協定を結んでいるということについて、ちょっと担当の法務省の方、御説明願えますでしょうか。
○花村政府参考人 お答えいたします。
刑事施設につきましては、災害時における自治体等との協力体制を構築することを推進しておりまして、令和四年九月末時点におきまして、刑事施設、本所七十三庁中六十三庁が所在地自治体等との防災協定を締結し、主として鍛錬場や職員待機所等、また刑事施設、施設内の一部建物や土地を避難場所として提供することとしております。
例えば、平成二十八年四月の熊本地震におきましては、熊本刑務所の施設の一部を避難所として開放し、近隣住民の方を最大約二百五十名受け入れ、飲食物の提供やお風呂の提供等を実施したところでございます。
○阿部(弘)委員 そうなんですね。熊本県の熊本地震のときは、熊本刑務所を避難所として、もちろん受刑者がいらっしゃいますから、その本来の仕事をしつつ、被災者、避難される方を受け入れたということでございます。
そこで、私ははたと気がついたんですよ。これから台湾有事などがあった場合には数多くの難民を日本で受け入れなければいけない。しかし、入管施設というのは、大村の入管施設がそんなに数多くの方を受け入れることができない。
是非とも刑務所も、受刑者と一緒に処遇するのは難しいでしょうけれども、刑務所の定数とか、宮城刑務所でも千食以上の食事を毎日三食作っているんですよ。「法務省だより あかれんが」でも、食事が、温かいものが提供されて、入浴施設が利用できて、そして暖かいベッドがある、清潔な。そして、お医者さんもいるということで、非常にありがたいということでございますが、今の刑務所の定数というのはどのくらいなんですか。
○花村政府参考人 お答えします。
刑事施設の収容定員でございますけれども、おおむね八万五千人ほどというふうな数字になっております。
○阿部(弘)委員 実際は、お話を聞いていると、柔道場やその他の施設で宿泊をお願いするということでございます。
同じ法務省の施設でありますので、鍵をかけることもできる。そして、お医者さんもいる。そして、シャワーなどの入浴施設もあって、きれいな寝具もあるということでございます。
今、刑務所が全て定数が埋まっているということは聞きませんが、塀の中には入れられないとしても、少なくとも食事や入浴など、十分に対応できると思いますが、このことについて、入管、台湾有事やその他の有事があったときにどういうふうに施設を対応していかれるのかお聞かせください。
○西山政府参考人 お尋ねのような多くの避難民が到着するような場合の対応につきましては、避難民の保護、応急物資の支給、上陸手続、我が国において庇護すべき者に当たるか否かのスクリーニング等の一連の対応を行うことを想定しております。
もっとも、具体的な想定につきましては、事柄の性質上お答えを差し控えさせていただきたいと存じますけれども、入管庁としましては、関係機関と緊密な連携を取り、委員御指摘の受入先といった点も含めて、適切に対応する所存でございます。
○阿部(弘)委員 宮城刑務所は、北収容棟新営工事が行われて、本当にきれいになって、それに伴って施設の中の処遇も非常によくなっているというふうに私は感じた次第でございます。
船による収容、あるいは刑務所の外を使った収容、検疫も必要でございます。あるいは先ほどの、一人一人のいろいろな調査も必要だということでありますから、本当に刑務所の、中に入れては社会問題になります、国際問題になりますが、地震の、災害の被害者と同じように、外での処遇というのは、鍵もかかるし、様々な手続もスムーズに行われるから非常にいいものだと私は感じております。
もう残りが一分になりましたので、次の時間に性犯罪者の矯正施設での処遇についてお伺いいたしますが、私は、裁判で入ってきた性犯罪者の方々の矯正施設での治療といいますか処遇、どういうふうにしていけば再犯が減るかということに非常に関心を持っているところでございます。
海外の調査も行ってあるということでございますが、ちょっと一端をお知らせ願えないでしょうか。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
先生、性犯罪者に対するGPS装着の関係でお尋ねということでよろしいでしょうか。
令和二年六月に関係府省会議で決定された性犯罪・性暴力対策の強化の方針におきましては、性犯罪者に対する再犯防止施策の更なる充実方策の一つとして、仮釈放中の性犯罪者等にGPS機器の装着を義務づけること等について、諸外国の法制度、運用や技術的な知見等を把握し、その結果も踏まえて所要の検討を行うこととされております。法務省では、この強化の方針に沿いまして、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン及び韓国、計七か国の法制度や運用等について調査を進めているところでございます。
今後、調査結果を取りまとめる予定でございますので、その調査結果を踏まえた上で、どのような制度が導入可能かということについて検討を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○阿部(弘)委員 もう時間が来ましたので終わりますが、済みません、刑務所の利用については大臣にお聞きしませんでしたが、是非ともよろしくお願いします。
終わります。
○伊藤委員長 次に、漆間譲司君。
○漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。
まずは、二〇二五年大阪・関西万博アクションプランへの法務省の関わりについてお伺いいたします。
大阪・関西万博アクションプランは、万博のコンセプト、未来社会の実験場の具現化に向けた各省の予算要求や地元からの要望を踏まえた、現時点における取組、検討状況についてまとめたものです。経産省であれば空飛ぶ車であったり、消費者庁であれば食品ロス削減などが挙げられております。これに法務省の関わりが全くございません。
大臣所信では、共生社会の実現だったり、困難を抱える方々への取組の推進、国際化、国際貢献の推進など、万博と関わりのある法務省の取組はたくさんあるように思うんですけれども、アクションプランへの法務省としての関わりは今後もないのか、これまでどんな議論があったのか、大臣にお伺いさせていただきます。
○葉梨国務大臣 関西万博、私も大変楽しみにしておりますけれども、コンセプトとして、モビリティー、エネルギー・環境、デジタル、健康・医療、観光・食・文化、科学技術・テーマプロジェクトなどの分野に整理してアクションプランができたというふうに承知しております。
この整理ということになりますと、このアクションプランに法務省が、私どもが所管する取組がここに盛り込まれるというのはなかなか、この整理になりますと難しいところがあるんです。
しかし、最近とみに、やはり今後、持続可能な包摂社会、私ども共生社会と言っていますけれども、それに対しての取組というのは非常に大切になってきております。ですから、我が国の未来を見据えた取組として、私どもの取組の理念と通ずるところは非常にあるんだろうというふうに思います。
ですから、今後、さらに、大阪・関西万博の開催に向け、できる限りの協力をしていきたい、私どもの取組もです、と思いますし、また、ロジの観点から申しますと、出入国管理の観点からも、関係府省庁としっかり連携をしていきたいというふうに思います。
○漆間委員 今、世界の流れとしては、社会課題の解決と経済成長の両立というものが新しい基軸としてなっているということもありますので、是非アクションプランへの法務省の関わり、検討をよろしくお願いいたします。
ちょっとこれは法務省の所管ではないかもしれないんですけれども、要望として、万博の公式キャラクターでミャクミャク君というのがあるんですけれども、これを使ってTシャツだったり名刺だったりを作るという、その使用規程がまだ設定されていないので、是非その早期設定と分かりやすい使用申請の仕組みなども併せて要望させていただきます。
続きまして、国際金融についてお伺いいたします。
菅政権のときに号令があり、規制緩和もなされて、日本各地で国際金融の取組が進んでおります。まずは、金融庁に、現在の進捗状況や法務省に関わる部分はどんなものがあるのか、お伺いさせていただきます。
○川崎政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、日本各地での国際金融の取組であります、世界に開かれた国際金融センターの実現におきましては、海外の金融事業者や高度金融人材を日本に呼び込みまして、日本として、アジア、世界における国際金融センターの地位確立を目指すものでございます。
そのためには、日本がビジネスを行う場として魅力的な国家となることが重要であると考えておりまして、金融庁といたしましては、英語での行政対応を始め、ビジネス環境や生活面の課題改善に取り組んでまいりました。こうした取組もありまして、海外資産運用業者が迅速かつ円滑に参入できた事例が継続して出てきております。
また、海外企業、人材の受入れに当たって、地方自治体との取組も不可欠だと考えておりまして、関連する取組を進めています東京、大阪、福岡、そういった各都市とは、国としても引き続き積極的に連携してまいりたいと考えてございます。
さらに、法務省に関連する国際金融センターの関係施策といたしましては、高度人材の受入れや国際ルールの環境整備も重要だと考えております。昨年七月には、在留資格の特例を創設する等の取組が行われたものと承知しております。
金融庁といたしましては、引き続き、法務省を始め関係省庁や地方自治体等とよく連携を取りながら、必要な取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○漆間委員 ありがとうございます。
御答弁のとおり、日本各地域が国際金融都市を目指す上で、高度人材の受入れだったり国際ルールの環境整備が欠かせないと思いますが、地方の目指す国際金融都市の取組に法務省としてはどう関わっていくのか、応援できるのか、お伺いいたします。
○西山政府参考人 委員も御指摘のとおり、専門的、技術的分野の外国人は、我が国の経済社会の活性化に資するという観点から、積極的に受け入れていくことが重要であると認識しております。
法務省としましては、平成二十四年五月から、高度人材ポイント制を導入し、高度な能力を有する外国人材の受入れについて積極的に取り組んできたところでございます。
委員御指摘の、世界に開かれた国際金融センターの実現のための取組の一つとしまして、高度人材ポイント制におきまして、投資運用業等に従事する金融人材に対しましては、高度外国人材に対するボーナスポイントの新設、家事使用人の雇用要件の緩和、在留資格、短期滞在で入国後、帰国することなくビジネスを開始するための在留資格付与の特例、配偶者の就労に係る利便性の向上の特例を講じ、受入れを促進しているところでございます。
法務省といたしましても、今後も引き続き、高度な能力を有する外国人材の受入れを推進してまいります。
○柴田政府参考人 国際ルールの環境整備という点についてお答えいたします。
世界に開かれた国際金融センターを実現するということは、海外で資産運用等を行ってきた事業者や人材を我が国に呼び込み、観光のみならずビジネスを行う場としても魅力的な国家を実現するという観点で有用な施策でございます。
そして、海外からの事業者が安心して我が国において起業し、取引を行うためには、事業から生じ得る法的紛争が適切に解決されるような国際ルールが形成されることが重要であります。
法務省は、国際商取引法の調和等を目的とする国連の機関であるUNCITRAL、国連国際商取引法委員会等に政府代表として職員を出席させ、我が国の国内法制と親和性があり、国際社会にも有益となる国際ルールが形成されるよう、積極的に関与しております。
さらに、このUNCITRALにおいては、昨年、現代社会における紛争解決をテーマにした我が国提案のプロジェクトが採択されました。当該プロジェクトの実施のためには、法務省の職員を国連事務局の法務官として派遣しているところでございます。
このように、我が国の国内法制と親和性がある国際ルールを形成していくことは、地方において生じ得る国際的な法的紛争を適切に解決していくことにも資するものと考えております。
法務省といたしましては、今後も、国際機関における議論に積極的に参画し、関係省庁とも連携して、国際ルールの形成においてリーダーシップを発揮してまいりたいと考えています。
○漆間委員 是非、積極的に推進をよろしくお願いいたします。
続きまして、万博、IRに係る入国管理体制についてお伺いいたします。
二〇二五年の万博開催やその後のIRも見据えて、関西における入国管理体制の強化は重要な課題であります。昨年のオリンピック、パラリンピックの経験も生かしつつ、入国管理体制の強化に取り組んでいくべきだと考えますが、法務省の見解をお伺いいたします。
○西山政府参考人 入管庁におきましては、これまでも、審査機器の整備や職員の増員等により、出入国手続の円滑化と厳格化に取り組んできたところでございます。
二〇二五年に開催される大阪・関西万博やIRに向けて、また、その先の二〇三〇年に訪日外国人旅行者数六千万人との政府目標に向けまして、本邦渡航前の事前スクリーニング強化などにより、一層円滑かつ厳格な出入国審査を実現することが喫緊の課題であると認識しております。
現在、海外の空港での航空機搭乗前に、本邦に渡航予定の外国人の情報を航空会社と出入国在留管理庁との間で交換することで、航空機搭乗前の事前スクリーニングを可能とします相互事前旅客情報システムの導入を検討しているところでございます。
入管庁としましては、デジタル技術等の活用により出入国審査の高度化を図るとともに、関西国際空港を始めとした出入国港における出入国管理体制の計画的整備をしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○漆間委員 特に、万博もありますけれども、IRの区域認定に関しましては、経済発展はもちろんのこと、認定された地域の入国管理体制の整備など、様々な整備計画を踏まえれば、できるだけ早期に認定することが必要であると考えております。よろしくお願いいたします。
続きまして、オンラインカジノなど、インターネット技術によって法や規制が及ばない状態への対応についてお伺いいたします。
海外の事業者によるスポーツベッティングは、日本のスポーツも対象になっております。また、海外オンラインカジノによるギャンブル依存症に関しても、地元から多く意見をいただいておるところで、対策が急務となっております。
岸田総理も、本年六月一日の予算委員会で、オンラインカジノ、これは違法なものであり、関係省庁が連携をし、厳正な取締りを行わなければならないと思いますと述べ、また、資金の流れの把握、実態把握、これをしっかり行うことは重要でありますと述べておられます。
一般論として、オンラインカジノに関わる賭博行為の一部が日本国内において行われた場合、刑法の賭博罪が成立することがあり得ます。しかし、国内から参加した者は処罰の対象となっても、オンラインカジノの業者は、サーバーの所在地の法律に従って合法的に事業を行っている場合には、海外オンラインカジノの業者を我が国の刑法により処罰することが可能かどうかは不明でありますが、現実としてはかなり不可能に近く、一種の治外法権ともなっております。
こうした一種の治外法権は、海外サーバーのAV、アダルトビデオでも同様でして、AV新法が実効しないおそれもあります。海外からの人権侵害や誹謗中傷の書き込みでも同様の問題がございます。こうした海外サーバーを起点としたサービスによる一種の治外法権にどのように対応していくべきかについて、何点か聞かせていただきます。
日本から、例えば海外オンラインカジノを行うといったような、日本では違法であっても海外では合法の場合について、違法行為が処罰の対象となるよう、海外サーバーや、事業者の所在する海外の捜査機関と協力する枠組みはあるのでしょうか。まずお伺いいたします。
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねは、我が国で犯罪とされていて、一方、外国では、当該国では犯罪とされていない行為について、我が国からその捜査共助をすることができるんだろうかという御趣旨でございますが、共助犯罪に係る行為が外国において行われたとした場合におきまして、その行為が当該外国の法令によれば罪に当たるものでないとき、我が国と捜査共助条約等を締結していない外国に対しても、外交ルートを通じて国際捜査共助の要請を行うこと自体は可能でございまして、このように、いわゆる双罰性を欠く事案において、要請された共助を実施するか否かは、あくまで当該外国の判断に委ねられるところでございます。
また、我が国が締結する二国間の刑事共助条約等において、双罰性を欠く場合でありましても、直ちに共助を拒否することとはされておりませんで、例えば、アメリカとの間の日米刑事共助条約のように、任意処分については共助の実施は義務とされ、強制処分についてのみ裁量的拒否事由とされているものもございます。
さらに、我が国が締結しております多国間条約、二国間ではなくて、多くの国と結ぶ多国間条約につきましても、国際組織犯罪防止条約や国連腐敗防止条約などがございまして、当該条約の加盟国との関係では、双罰性を欠く場合であっても、直ちに共助を拒否することとはされていないものがございまして、例えば、国連腐敗防止条約におきましては、一定の場合を除き、任意処分については共助の実施は義務とされ、強制処分についてのみ裁量的拒否事由とされているところでございます。
○漆間委員 国際捜査の共助という仕組みがあって、これは多国間でも、各国の法の違いを乗り越えて捜査協力をする枠組みがあるということで御答弁をいただきました。
ここまで法務省にお伺いさせていただきましたが、総務省にも、通信を所管するということで、こうした海外サーバーを起点としたサービスによる一種の治外法権への対応についてお伺いしたいと思います。
例えば、中国ではグレートファイアウォールによるサイトブロッキングなども行っておりまして、地元大阪府からも、昨年、国に、法務省の方にも、昨年七月に、インターネットの人権侵害事象に対処するための提案の中でサイトブロッキングについて言及があったところであります。対応の手法としてのサイトブロッキングについても、併せて総務省の方にコメントをお伺いしたいと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員御指摘のサイトブロッキングについてでございますけれども、これは、電気通信事業者がユーザーの閲覧先を網羅的に、一般的に検知をしまして、特定のサイトを閲覧しようとする場合に通信を遮断するものというふうに認識しているところでございます。これは、憲法第二十一条第二項の規定を受けて電気通信事業法に規定されております通信の秘密を侵す行為、これに該当し得るというふうに考えているところでございます。
また、サイトブロッキングの実効性についてでございますが、サイト運営者が対象となるサイトのURLを容易に変更することができるなど、その効果を疑問視する指摘もあるところというふうに認識しているところでございます。
海外にある違法サイトからの行為につきましては、法務省から先ほど国際捜査共助について御答弁があったところでございますけれども、総務省としましては、これに加えまして、ユーザーへの意識啓発によりますアクセスの抑制、プラットフォーム事業者などによります自主的な取組の促進、それから国際的な対話、協力の推進、こういった取組が重要だというふうに考えているところでございます。
総務省としましては、こうした取組につきまして、関係府省庁、関係機関と連携しながら総合的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○漆間委員 現実的に、サイトブロッキングはなかなか、憲法だとかの関連もあって、あと実効性も含めて難しいという御答弁をいただきました。
であるんだったら、今できる方策をしっかりと高めていって、今、こういう海外のサーバーを起点とした治外法権状態をできるだけ解消していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、前回、大臣所信質疑で質問をさせていただきました、ロシアからの徴兵を逃れるために日本に脱出してこられた方について、日本政府は保護できるのかという質問をさせていただきましたけれども、これに対して、法務省からは、難民条約の定義に基づいて、申請者ごとに審査、適切に認定する、また、難民と認められない者であっても、本国情勢を踏まえ、人道上の配慮が認められる者には、入管法の規定に基づいて在留を認めると回答いただいたところです。
一方で、報道によれば、ロシアの徴兵逃れで脱出してこられた方々の受入れについては、ドイツやフランスなど、人道的な観点から受入れに前向きな国があるものの、東欧では安全保障の観点から受入れに消極的で、例えばリトアニアでは、ロシアにとどまってプーチンと戦うべきと、入国拒否する国もあるとのことです。
質問時間が終了いたしましたということですので、またの機会に聞かせていただきます。ちょっと質問、途中で失礼しますが、これで質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○伊藤委員長 次に、鈴木義弘君。
○鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。順次質問をいたします。
まず初めに、旧統一教会の問題で、法務大臣が先頭に立って相談窓口をつくられて、いろいろな会議も何回もおやりになっていると思うんですけれども、例えば、相談窓口に来られた案件の中で、刑事罰の対象となり得るもの若しくは民法上の不法行為に当たるものが何件あったのか、さらに、その判明したものをどのように扱ったのか、まずお尋ねしたいと思います。
○松下政府参考人 お答えいたします。
合同電話相談窓口におきましては、寄せられた御相談内容に応じて、それを解決するのにふさわしい個別の相談窓口や制度を速やかに御案内することとしております。
そこで、そのために必要な範囲で情報をお伺いしておりまして、御相談内容について、刑事罰の対象となるか、あるいは民事上の不法行為に当たるかといった評価や仕分は行っておりませんので、そのような意味での件数はお答えすることは困難でございますが、いずれにいたしましても、御相談内容や御要望に応じまして、警察や法テラスなどを含め、適切な相談窓口を御紹介しているところでございます。
○鈴木(義)委員 紹介しただけで、それで終わりですか。今お尋ねしているのは、だから、相談の内容によっては、これはもう刑事罰に値するというのが分かった段階で、警察にちゃんと情報を出して、それで捜査するなりなんなりしなければ、本当の意味での問題の解決にはならないんじゃないかと思うんですね。
ただ聞きました、あなたの案件はこっちです、こっちですと紹介して、後は知りませんというのはちょっと違うんじゃないかと思うんですけれども。もう一回お願いします。
○松下政府参考人 失礼いたしました。
御相談をいただいた段階でそういう評価は行っておりませんけれども、内容に応じて、こちらは警察に御案内すべきもの、これは法テラスに御案内すべきものということで御案内をし、また、それぞれ、警察の窓口あるいは法テラスにおいても、関係省庁会議のメンバーでございますので、それぞれが御相談内容に応じた適切な対応をするということになっておりますが、御相談、この取組を始めてからまだ二か月でございまして、それがその後、具体的にどのような展開になっているのかというところまでにつきましては、現在のところ、まだそこまで、件数を御説明できるようなものではないというところで御理解いただきたいと思います。
○鈴木(義)委員 じゃ、是非、資料ができたらまた報告をお願いしたいというふうに思います。
大臣、今後、こういった献金に関して同じような事案が発生したときに、法務省が率先して対応していく考えがあるのか、まずお尋ねしたいと思います。
○葉梨国務大臣 まずは旧統一教会の関係、これをやっていくということなんですが、法テラスに、この十一月中に、旧統一教会の関係では、今の相談窓口を引き継ぐ窓口を設置します。
そして、今、松下局長からもお話があったとおり、決して、相談窓口は受けるだけで、後は人任せよということではなくて、例えば法テラスであれば、金銭トラブルのうち三分の二程度は法テラスにつないでいる。法テラスにつないで、そこで民事上どういうことができるかということをいろいろ検討していただいている。それについてまた分析をするというところの、部署もまたつくる予定にしています。
それから、警察の関係も、相談内容が事件の端緒になり得るのかどうかというのは一概に、一回相談に来ただけでは分からないところがあります。まだ二月ですから、端緒となり得る、そしてそれが事件になるかどうかというのを判断するには、まだまだちょっと時間がかかる。
そういう事情もあるわけですけれども、法務省としては、特に法テラスを中心として、しっかりそこら辺を引き継ぎながら、また分析もして、また委員御指摘のように、プライバシーの問題等々もございますけれども、明らかにできるところは皆様にも公にして、しっかりフォローをしていきたいというふうに思います。
○鈴木(義)委員 お尋ねしたのは統一教会の話ばかりじゃなくて、それ以外の案件が出たときにどういう対応を法務省としてされるのか、今回の件だけじゃなくて、いろいろな団体がありますから。その辺はどう取り扱うのか。
○葉梨国務大臣 今回、そういう専門部署をつくりますし、また、法テラスの民事法律扶助というのをしっかり充実をしなければいけません。ですから、これは走りながら考えるというところもあるんですけれども、旧統一教会の事例を参考としながら、私どもとして、引き続き、他のいろいろな相談にも対応できるのかどうか、これも含めて今後の在り方を検討していきたいと思います。
○鈴木(義)委員 それに関連してなんですけれども、宗教法人法の七十八条の二項のような、法律はあるんですけれども、運用されなければ行動が起きないわけですよね。
それで、大臣の指示がなければ何にも動かないのか。法務省もいろいろな法律を所管していると思うんです。世の中に法律があるんですけれども、行政側が責任を持って動くということをしない限り、じゃ、いつも大臣の指示を待たなければ動けないものなのか。それが一番の大きな問題じゃないかなと私は思うんですね。
だから、現場で苦労されている職員さん、これは本庁ばかりじゃなくていろいろなところ、法務省もいろいろな所管がありますから。そうすると、一々大臣にお伺いを立てて、いいよと言ったらやる、駄目だよと言ったらやらない、それではやはり、法はあっても、結局、運用でできないということになれば、また同じことが繰り返されるんじゃないかという懸念があるんですけれども、その辺、大臣の御見解をいただきたいと思います。
○葉梨国務大臣 法律があります、また政令、下位法令等々ありますが、その執行に当たって、一々私のところに上がってくるというわけではありません。
私として、特にやはり、よくありますのは、例えば新しい仕組みで、政令を作りますとか、そういった通達、こういった通達、通知の類いというのは、法執行の重点みたいなことをその中に書いてあるわけですが、そこについて、私もそれを見て、じゃ、こういう方向で全体としてやっていこうじゃないかというような方針を示して、それに基づいて、やはり現場の判断というのは非常に大きな部分を占めますから、その中でしっかりと法執行をしていただく。
ですから、私もちゃんと相談にあずかり、私の意思も呈した形での、重点の置き方を示した上で、それを、個別の法執行の段階では、やはり現場においてしっかりと執行をしていただくということが大事だと思います。
○鈴木(義)委員 是非、忖度という言葉が一時期はやったんですけれども、やはり、法務省は特にそうですね、法の番人みたいなところも、まあまあ、裁判所が法の番人なんでしょうけれども、やるというふうにしなければ、結局、問題が大きくなったからやると。そうじゃなくて、問題が大きくなる前に。だって、過去に裁判を幾つも幾つもやっているのは、もう法務省だって分かっているわけですから。だから、そういうものに関しては、法律があって、所管する省庁があるんだったら、そこはやはり動かないと、同じことが繰り返されちゃうんじゃないかと思うんですね。
次に、前任の方も御質問された裁判記録について。先日、特別保存の書類破棄の事案を説明に担当者の方が来られて、えっ、そんなことがあるんだと私は思ったんですけれども、ここ数年、公文書の破棄などが次々に問題になっている。その一つの、公文書である裁判記録の保存と公開についてお尋ねしたいんです。
資料を取り寄せますと、刑事確定訴訟記録法というのが昭和六十二年に制定されているんですね。ここにもいろいろ書いてあるんですけれども。それで、二〇二〇年に東京地方裁判所でようやく保存の基準を公表したんだというんですね。
裁判記録は公文書の扱いには該当していなく、民事裁判の場合、最高裁規程で、裁判の記録は確定後一審の裁判所に五年間保存され、判決文は別に保存されているというふうに聞きます。さらに、重要な裁判記録は特別保存として永久保存になり、この記録も基本的に誰でも閲覧可能だと。そして、特別保存記録は最後に国立公文書館へ移されるというんですが、この流れで、一年でどれだけの、まあ、民事訴訟なんでしょうけれども、記録が保存されているのか。昨年間このぐらいという数字だけ教えてください。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
昨年度の民事訴訟事件の事件記録につきましては、百六件の移管を行っております。
○鈴木(義)委員 民事訴訟の場合は内容が様々だと思うんですけれども、この百六件というのは、基準はきちっと示されていると思うんですけれども、簡単な形で結構ですから、何でこの百六件になったのかというのをお示しいただきたいと思うんです。
民事裁判って、一年間に何十万、たしか起きて、そこまでいかなかったかな、ちょっと私の記憶違いなんですけれども、そのうちの何%ぐらいなのか。
だから、何を基準にしてそこを保存するというふうな定義づけにしたのか、そこをお答えいただきたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
公文書館への特別保存された記録の移管というのは、取決めに基づきまして、計画的に順次行っているものでございます。
先ほど申し上げました、令和三年度、昨年度の百六件という記録につきましては、これは計画的に昔のものから順次移管する計画の中で行われているものでありまして、具体的には、保存の始期が昭和四十二年十二月三十一日以前のものについて昨年度は移管をしたというようなものでございまして、それも、五年計画がございまして、それで順次やっている、そういうような流れになってございます。
○鈴木(義)委員 今年の四月か五月に質疑に立たせてもらったときに、デジタル化の推進を法務省も図っていくんだという形で、大臣も、前任の大臣だったですけれども、古川大臣だったと思いますが、進めていくと。幾つか懸念はあったとしてもですね。
では、デジタル化を推進していくということになれば、わざわざこれは記録として残す、残さない以前で、デジタルで残せばいいだけの話で、それはやっていくお考えはあるんですか。
例えば、国立国会図書館なんかでも、日本で出版されているあらかたの出版物はみんなマイクロチップに記録をして、後からまたそれをチョイスすることができるような仕組みになっているわけです。なぜ法務省、デジタル化をしていくんだったらそこまでやる気があるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○葉梨国務大臣 民事裁判の関係については、民事裁判のデータベース化ということで、十月、先月ですね、私ども、研究会を立ち上げて、これはデータベース化していこうということで、有識者を入れて研究をしています。
そして、これはビッグデータになるのか、後にはAIによって解析される形になるのか、またどういうような記録を残す形になるのかということ、これも検討していくわけです。イメージとしては、もうまさに有識者の議論によるんですけれども、判決書とかそれに付随するもの、どこまでを記録するかというのはこれから議論をしていただくわけですけれども、民事裁判記録ということになりますと、判決書だけではなくて、いろいろな記録がたくさんあるわけです。
ですから、そこまでをデータベースという形で記録するというのは、なかなかちょっと間尺に合わないところがあるんだろうというふうな気はいたしますので、私どもはやはり、今後活用できるデータベースとしての民事裁判のデータベース、これを検討していく、そして記録については最高裁で判断していただくという、そんなデマケになるんじゃないかと思います。
○鈴木(義)委員 私はまだがらくた携帯を使っているんですけれども、今、これでぴっと撮れば、いろいろな資料をぱっと記録できちゃうんですね。わざわざ打ち込む必要もないし。そういった付随するような資料については、やり方で幾らでも保存はできると思うんです。是非御検討いただいて。最終的には、国民の利益になるかどうかというのが一番です。
次に、刑事裁判では、形式上似たような制度があるんですけれども、保管するのは裁判所じゃなくて検察庁。保存期間は事件ごとに違うが、閲覧可能なのは刑が確定してから三年とされちゃっているんです。
なぜこの三年なのかというのを、三年を過ぎても社会的に影響の大きい事件や重大犯罪などを調査するために閲覧したくてもさせてくれない仕組みがあるんだというふうに言われているんですけれども、その点をまずお尋ねしたいと思います。
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
刑事確定訴訟記録の保管に関することでございますが、委員御指摘のように、刑事確定訴訟記録法四条二項二号は、被告事件終結後三年を経過したときは、保管記録の閲覧が制限される旨を規定しております。ただ、このような場合でありましても、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者からの閲覧と認められた場合は、これを閲覧させることができるものとしておりますので、三年の経過によって閲覧することができないのは、今申し上げましたような訴訟関係人や閲覧につき正当な理由があると認められる者以外でございます。
その上で、このように三年の経過によって閲覧することができないとした趣旨でございますが、事件の終結後、時間の経過に伴いまして、一般公開の要請に比して犯人の改善更生や訴訟関係人の名誉等の利益の保護の要請がこれに優越するに至るからであると考えております。
三年という期間という具体的な制限を規定した理由につきましては、刑事確定訴訟記録法の立法当時、訴訟記録を閲覧した者のうち九八%以上の者が事件終結後三年以内に閲覧していたという実情を踏まえたものと認識しております。
○鈴木(義)委員 さすが日本の法務省、というより裁判所の記録か分かりませんけれども、刑事参考記録一覧というのがあるんですね、一覧表で、だあっと。これを見ていきますと、明治十九年からの資料がずっと載っているんです。中には、刑名とか刑期というところで、例えば、平成二十七年、道路交通法違反、これは無罪になっている人までこの記録に載っているんですよね。無罪の人も記録に残すんですか。この一覧表を見ればきちっと出ているんです。これは裁判所で作っているのか検察で作っているのか分かりませんけれども。
だから、さっきと同じで、結局、民事はデジタル化していくけれども、検察の方も同じようにやはりデジタル化していく。ここに載っている、刑名も含めて、無罪の人まで載っているんですよ。これを保管しているというふうに、記録で残っているんです、一覧表の中では。なぜなのかなと、私は素人ですから単純に思うんですけれども。無罪の人まで記録を残す、それは何でそうしたのかって、理由があるはずなんですね。
もう時間がないので申し訳ないんですけれども、先ほど申し上げました刑事確定訴訟記録法の中に、法務大臣が指示をするような形でたてつけがされているんですね。法務大臣がやれと言えば出すし、出さないしという話なのか、最後に御答弁いただいて終わりにしたいと思います。
○葉梨国務大臣 先ほどの法律の運用のとおり、もございますが、これは通達等でいろいろな運用指針というのを示しております。その上で、私が指定するというたてつけになっていますけれども、そういった客観的な運用指針の中で法律が運用されているものというふうに承知しています。
○鈴木(義)委員 時間が来ましたので終わります。
○伊藤委員長 次に、本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、統一協会の問題について質問をさせていただきたいと思います。
統一協会の被害の合同電話相談窓口を開設をされているんですけれども、その相談の中で、六四・三%は、多くは法テラスに回されているということを伺っております。
新たに、法務省としては、法テラスにこの統一協会に関する相談窓口を新設するということをおっしゃっているんですけれども、法テラスの現状をお伺いしておりますと、今も弁護士の方々の持ち出しは結構ある、そして弁護士会の皆さんの持ち出しもあるという状況の下で、新たに新設するということですから、やはり国が、統一協会の相談窓口ということですから、弁護士の体制ですとか受付の体制、研修などを保障する予算をしっかりと確保するということが必要だというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○葉梨国務大臣 法テラスの体制については、今回の経済対策でもしっかりそこの窓口の関係も予算化をしていただくということで、今後、補正予算の審議を予算委員会、それから本会議でお願いをするということになります。
○本村委員 次にお伺いしたいんですけれども、関係省庁連絡会議の事務局も担っておられます法務省の人権擁護局の職員は、僅か二十八人ということでございます。合同相談窓口の御相談、より詳しいものを出してほしい、あるいは、より新しいものを分析したものを出してほしいというふうに申し上げているんですけれども、なかなか人数が少なくてできないんだというお話もお伺いをしております。
この統一協会の問題や、あるいは深刻なヘイトスピーチやヘイトクライムの問題、その撲滅をするため、そしていじめの撲滅、様々、人権侵害があるわけですけれども、人権を保障するために定員の純増が必要だというふうに考えております。また、地方の法務局の定員も純増するべきだというふうに考えておりますけれども、大臣、この点も御答弁お願いしたいと思います。
○葉梨国務大臣 今回のような旧統一教会の問題等々、非常に業務が多忙になるということで、定員上は御指摘のとおり非常に少ないんですけれども、実員としてアドホックに応援体制を組むようにはしております。
ただ、御指摘のように、やはり地方の法務局、本省も含めて、ちょっと見劣りのする体制であることは私も認めざるを得ないと思いますので、財政当局ともよく御相談をしながら、体制の充実強化、定員増、これに努めていきたいと考えています。
○本村委員 積極的な御答弁をいただき、ありがとうございます。
次に、先回の続きなんですけれども、井野防衛副大臣に来ていただきましたけれども、井野防衛副大臣が法務大臣政務官時代に、統一協会関係者が中心となった俊世会の人たちを法務大臣政務官室に案内したという報道に関し、確認すると先回お約束をいただきました。
斉藤県議及び俊世会の中心人物から聞き取りを行ってくださったと思うんですけれども、その結果をお示しいただきたいと思います。
○井野副大臣 私の方で斉藤県議さんには電話等で連絡をさせていただきました。その中で、斉藤県議からは、福田さんという、そういった窓口になっていただいた方が、私の法務大臣政務官時代に法務省に見学にいらっしゃったということは聞いていたということで、確認はしております。
○本村委員 ということで、法務大臣政務官室に案内したということでよろしいですね。
○井野副大臣 はい、そうです。
○本村委員 お認めになりました。
その法務大臣政務官室に案内をした二〇一六年十一月の五か月前ですけれども、二〇一六年六月二十八日には、統一協会の組織的な不法行為責任を認定した東京高裁の判決が出されております。
法務大臣政務官として、当然この判決を知っていたはずですけれども、統一協会の悪質性そして組織性を厳しく断罪したこの判決の直後に関係者の人を法務省に招き入れたという責任をどう考えておりますでしょうか。被害者の方々のことは考えなかったんでしょうか。
○井野副大臣 過去、十分な認識なく、こういった方々とおつき合いといいましょうか、要請があるままに様々、国政報告会、こういった、国会見学といいましょうか、そういうことでの懇談を持ってきたことに対しては、本当に真摯に反省をしているところでございまして、今後こういったことのないようにしっかりと点検し、関係を絶つということで、政治活動をこれからも続けていきたいと思っております。
○本村委員 葉梨大臣にもお伺いをしたいというふうに思います。
統一協会の関係者を法務省の政務官室に入れていただけではなく、十日前くらいに、統一協会関係者が中心となっているこの後援会の解散を求めたということですけれども、岸田総理は、今現在、閣僚等において接点があったとしたならば、それは辞任していただくということを答弁をしております。
葉梨大臣は連絡会議の担当大臣として、やはりこれは辞任、更迭の案件であるということを進言するべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○葉梨国務大臣 旧統一教会との関係につきましては、それぞれの議員がしっかりと調べていただいて、そして説明をしていただくということだろうと思いますし、しっかりそれぞれの議員に説明していただきたいというふうに思います。
任命権者は岸田総理でございますので、私からは、その点についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○本村委員 統一協会との癒着を断ち切るということが本当に喫緊の課題だというふうに思います。被害者の救済、そして被害の根絶に全力を挙げていかなければいけないというふうに思います。内閣の姿勢が今厳しく問われているということを申し上げておきたいと思います。
次に、選択的夫婦別姓についてお伺いをしたいというふうに思います。
選択的夫婦別姓の制度は、一九九六年の法制審議会の答申で行われましたけれども、残念ながら、自民党の反対で、そのときも法案、国会提出が見送られてしまいました。
九六年の民法改正要綱の骨子の中では、結婚年齢を男女共に満十八歳にすることや、夫婦は同姓か別姓か選択できる、五年以上の別居を離婚の理由に認めるということや、嫡出子、非嫡出子の相続上の差別を撤廃するということ、そして女性の再婚禁止期間を百日に短縮するというものでした。
このうち、実務運用も含めて現時点で実現していないものを端的にお示しをいただきたいと思います。
○金子政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、平成八年二月、法制審議会が答申した内容には多岐のものが含まれておりますが、御指摘の項目のうち、女性の婚姻年齢の引上げ、それから嫡出子と嫡出でない子との間の法定相続分の区別の撤廃、再婚禁止期間の短縮、これにつきましては既に法改正に至っております。
選択的夫婦別氏の制度の導入、あるいは裁判上の離婚事由の見直しなどについては、法改正に至っていないという状況にございます。
○本村委員 五年以上の別居を離婚の理由と認めるのは、もう考慮要素となっていますね。
○金子政府参考人 何分、裁判実務によるところではございますが、離婚を認めるかどうかの裁判において、別居期間の長さ、これは考慮要素となっているというふうに認識しております。
○本村委員 ありがとうございます。
実質的に、この選択的夫婦別姓のみが今残っているという状況になっております。
この選択的夫婦別姓というのは、人権の問題だというふうに私は思うわけです、大臣も思われているというふうに思うんですけれども。最高裁の判決の中でも、やはり、氏名は、個人がそれまで生きてきた歴史、人生の象徴というべきものであり、婚姻のときまで使用してきた従前の氏の変更は、個人の識別機能を喪失させ、また、個人の人格、アイデンティティーの否定につながることから、氏名は、個人にとっての重要性は極めて高く、個人の尊厳として尊重されるべきものですと。
選択的夫婦別姓は、個人の尊厳の問題であって、人権の問題だというふうに思いますけれども、大臣もそうお感じに、考えておられますねということをまず確認をさせていただきたいと思います。
○葉梨国務大臣 そのような御意見があるということは承知をしております。
そして、この制度が、人権の問題なのか、家族観の問題なのか、これについて、どちらに重点を置くかみたいな話もありまして、いろいろと御意見があるところなので、私がここで一概に、イコールで人権の問題だというような形での、複合的な要素がたくさんあるんだと思います、お答えをするというのはなかなか難しいと思います。
○本村委員 十月十三日、十四日に行われた、国連の市民的及び政治的権利に関する国際規約、自由権規約の委員会の日本審査がございました。
そこで、男女平等、自由権規約の第三条及び第二十五条に関わって、事前質問がございました。そして、審査が行われました。
日本に対して、婚姻した夫婦が同一の姓を使用することを義務づける民法第七百五十条により、実際には女性が夫の姓を名のることを余儀なくされているが、同条項を改正する上で何らかの進展があったかについて明示していただきたいという質問があったと思うんですけれども、どういうやり取りがあったか、お示しをいただきたいと思います。
○金子政府参考人 委員御指摘のとおり、自由権規約の対日審査において、国連人権委員会の委員から、夫婦が同じ姓を名のることを義務づける民法七百五十条の改正にどのような進捗があったかという趣旨の御質問があり、それに対する政府による回答としましては、最高裁判決に触れつつ、現行の夫婦同氏の規定である民法第七百五十条は、夫婦がいずれの氏を称するかについて、当事者間の協議に委ねるものであり、性別に基づく法的な差別的取扱いを定めているものではないことを説明した上で、選択的夫婦別氏制度の導入は、婚姻制度や家族の在り方に関わる重要な問題であり、国民各層や関係方面で様々な議論があることから、政府として、現在国民の意見の動向を注視している状況にあることなどを回答しております。
○本村委員 私、日本政府の主張に対して、法務省も関わっていると思いますけれども、大変失望をいたしました。選択的夫婦別姓を望んでおられる方々、どういう思いでこの創設を願っているかということを御理解いただいていないというふうに感じました。フラットな制度だからということでは解消できない人権の問題があるということを是非御理解いただきたいというふうに思っております。
最高裁の共同意見の中でも、当事者の意思に反して夫婦同姓を受け入れることに同意しない限り婚姻が法的に認められないというのでは、婚姻の意思決定が自由で平等なものと到底言えないんだということで、憲法二十四条一項の趣旨に反するという意見が出されております。このことを重く受け止めていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○葉梨国務大臣 いろいろな意見はございます、ちょっとがくっとされたようなところもある。それぞれの意見は私は重く受け止めなければならないというふうに思います。
○本村委員 是非、人権の問題として捉えていただき、前に進めていただきたいということを強く思います。
この選択的夫婦別姓に関わって、世論調査の質問項目が、政治的圧力、自民党の一部議員からだというふうに言われていますけれども、圧力によってその質問項目を変えられたという疑惑について伺いたいというふうに思います。
昨年十二月から今年一月に行われた世論調査の項目が変更されたということなんですけれども、資料として、今日、内閣府の方の資料を出させていただいております。朝日新聞の情報公開に、求めに応じて出されたのが、この男女共同参画局調査室作成の野田大臣と民事局長との面談という資料でございます。
項目変更に圧力をかけた議員の名前が黒塗りになっているんですけれども、この名前をお示しいただきたいと思います。
○金子政府参考人 この面会録は、私どもに事前の、事前のというか、作成したことについて確認をされないままに作られているので、このときのやり取り、しかも、一時間ぐらい野田大臣と、いろいろ、これまでのいきさつとか、あるいは大臣との思い出とか、いろいろ意見を交わしながらの話だったので、こういう形で取りまとめもされているということも全く知らなかったんですが、ちょっとその前提で、ただ、野田大臣とこの件でお会いしたのは一回ですので、このときの話が記載されているということは理解しますが、そのときに何か特定の議員の名前が出たかどうか、出たのか出ていないのか、この辺りは私としては記憶をしておりません。
○本村委員 金子局長が出ておりますが、佐藤参事官や濱岡局付ということも明記をされております。その方々はしっかりとメモを取られたと思いますけれども、それを出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○金子政府参考人 何といいますか、手控え的なものが、取らなかったということにはならないんでしょうけれども、いわゆる、皆さんで情報を共有するための行政文書として作成したということはございません。
○本村委員 ただ、そのメモを取っているということで、是非資料として出していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○金子政府参考人 メモはあくまで本人のメモで、それは私自身も確認していないようなものでありますので、いわば組織として共有するという趣旨のものではないので、現在あるかどうかも、どういうものかも、私、存じ上げないので、出す出さないという問題、そもそもないと思いますが。
○本村委員 委員長に、資料の提出、後で理事会でお取り計らいをお願いしたいと思います。
○伊藤委員長 後刻、理事会で調整します。
○本村委員 その黒塗りになっている方々と統一協会の関係があるかどうかについて、お示しをいただきたいと思います。
○金子政府参考人 そもそも、先ほどお答えしましたが、どういう、そもそも特定の議員の名前が出たかどうかも判然としないので、ちょっと前提が違っており、お答えのしようがありません。
○本村委員 最後の問いですけれども、そもそも、世論調査の項目作りに政治的な圧力、忖度によって信頼性が失われることがあってはならないと思いますけれども、大臣、最後に答弁をお願いしたいと思います。
○葉梨国務大臣 この世論調査の項目、たしか朝日新聞ですか、この件について報道がありましたので、私も事務方にその経過について聞きまして、報告を受けました。
そうしますと、内閣府との間のずっとやり取りの経緯、これは省略をいたしますけれども、私自身はできるだけ公平な立場でお話を聞かせていただいたんですが、前の質問項目を維持するという形で法務省が意見を言っていたもので、私自身は、法務省の意見は妥当なものだし、前回の調査との連続性を確保するという意味から、合理的な判断じゃなかったかなと思います。
○本村委員 選択的夫婦別姓を前に進めていただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。
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○伊藤委員長 次に、内閣提出、民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。葉梨法務大臣。
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民法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○葉梨国務大臣 民法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、無戸籍者の問題を解消し、児童虐待を防止するなどの観点から、民法等の一部を改正しようとするものであります。
その要点は、次のとおりであります。
第一に、民法の一部を改正して、嫡出推定規定を見直し、母の婚姻の解消等の日から三百日以内であっても、母の再婚後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとし、これに伴い不要となる女性の再婚禁止期間に関する規定を削除するとともに、嫡出否認をすることができる者の範囲及び嫡出否認の訴えの出訴期間を見直し、また、事実に反する認知についてその効力を争うことができる期間を設けるなどの措置を講じ、さらに、親権者の懲戒権に関する規定を削除し、子の監護及び教育において子の人格を尊重することや体罰をしてはならないこと等の規定を新設することとしております。
第二に、国籍法の一部を改正して、事実に反する認知の効力を争えなくなった場合でも、事実に反する認知によって日本国籍を取得することができないことを明らかにする規定を設けることとしております。
第三に、人事訴訟法及び家事事件手続法の一部を改正して、嫡出否認の判決又は審判が確定した場合に、その内容をこの判決等により嫡出推定を受けることになる母の前夫に通知すること等の規定を設けることとしております。
第四に、生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律の一部を改正して、嫡出否認をすることができる者の範囲の見直しに係る民法の一部改正に伴い、第三者の精子を用いた生殖補助医療により出生した子について、妻及び子の嫡出否認権を制限する規定を設けることとしております。
第五に、児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正して、親権者や児童相談所長等が児童に対して行う監護及び教育等に関する必要な措置について、子の監護及び教育等に係る民法の一部改正と同様の見直しを行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○伊藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る八日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十一分散会