衆議院

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第7号 令和4年11月11日(金曜日)

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令和四年十一月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 忠彦君

   理事 薗浦健太郎君 理事 谷川 とむ君

   理事 藤原  崇君 理事 宮崎 政久君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 沢田  良君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    岩田 和親君

      奥野 信亮君    加藤 竜祥君

      勝目  康君    熊田 裕通君

      高村 正大君    鈴木 馨祐君

      田所 嘉徳君    高見 康裕君

      津島  淳君    鳩山 二郎君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      山下 貴司君    鈴木 庸介君

      中川 正春君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      阿部 弘樹君    漆間 譲司君

      日下 正喜君    平林  晃君

      鈴木 義弘君    本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         葉梨 康弘君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   最高裁判所事務総局刑事局長            吉崎 佳弥君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   法務委員会専門員     白川 弘基君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十一日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     勝目  康君

  深澤 陽一君     高村 正大君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     鳩山 二郎君

  高村 正大君     深澤 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 この際、葉梨法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。葉梨法務大臣。

葉梨国務大臣 今月九日、私は、武井俊輔外務副大臣のパーティーに参加してスピーチを申し上げました。その発言の中で、職務を軽んじているような発言があったとの報道がなされています。このような発言により不愉快な思いをさせてしまったこと、私の至らなさであり、改めて、おわびを申し上げるとともに撤回をさせていただきます。

 そして、他のパーティーや地元の会合で、複数回、同趣旨の発言をしたこともありました。これらの発言についても、その軽率さを反省し、謝罪と撤回をさせていただきます。

 また、九日の発言中、外務省と法務省、票とお金に縁がないなどと述べた点についても、私の本意と異なる、正確性を欠くものであったことから、この場で明確に撤回させていただきますとともに、このような不正確な発言をしたことについてもおわびを申し上げます。

 昨日朝、官邸において官房長官から、発言には十分注意するようにと厳しく注意を受けました。

 私は、法務省の行政は、国の屋台骨を支える重要な行政であると認識しています。そして、憲法の理念を具現化する、人権の尊重と法秩序の維持、これをバランスを取った形で進めていく極めて重要な行政と考えています。

 ただ、残念ながらマスコミに露出する機会が少ないという趣旨での発言ではありましたが、このような発言は軽率なものであって、重ねておわび申し上げるとともに、改めて撤回をさせていただきます。本当に申し訳ありませんでした。

 今後は、私の真意がしっかりと伝わっていくように、発言には十分に慎重を期してまいりたいと考えております。

 以上です。

     ――――◇―――――

伊藤委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長川原隆司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局刑事局長吉崎佳弥君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。津島淳君。

津島委員 おはようございます。自民党の津島淳でございます。

 これより、十五分時間をいただきましたので、質疑をさせていただきたいと存じますが、正直言って、今日、この場に立って質疑を行う、本当に私は残念な思いでこの場にいるという、その心中、是非大臣に察していただきたいなと思うんです。

 先ほど、葉梨大臣、九日のパーティーでの御発言について、謝罪と撤回をされました。

 その九日のパーティーでの御発言、私、全文を目を通しております。そして、その後のぶら下がりでの御発言、そして昨日の参議院法務委員会での質疑、そのやり取りというのも概要を見ております。

 それらを全部目を通した上で、理解をした上で、やはり申し上げたい。これは、前任の副大臣であった、副大臣という立場で法務行政に関わってきた者、そして今、法務委員として大臣と議論をさせていただく、そういう立場である者として、率直に申し上げて、大変残念である、もうその一語に尽きるんですね。

 そして、法務省というのは、約五万五千の職員が全国の官署にいらっしゃる。その職員さんがどう思われたのかなと、そう思うときに、本当に悲しくつらい思いをしているのが私の今の本当に率直な気持ちなんです。

 九日のパーティーでも大臣がおっしゃられているのは、法務省というのは、まず、そもそも日本は法治国家であって、その法治国家たる日本が、法秩序の維持と、そして人権を守ること、そのバランスを取りながら進めていく、日本の屋台骨、そうおっしゃっているにもかかわらず、でも、全体としてそういう印象で伝わっていない、そのことですよね。

 改めて、私、この質疑を通じて大臣の認識についてただしていきたいと思います。どうか真摯にお答えいただきたいとまずお願いを申し上げます。

 さて、まず最初に、この質疑が決まった段階では、九日の発言で問題となった、三つ問題があるとすれば三つ目の、票とお金に縁がないという御発言についてでございます。それについては、今ほど冒頭発言で、これも謝罪、撤回ということをおっしゃられたということであります。

 それで、票とかお金になるとか、そういうことというのは、私は思うんですけれども、仕事に取り組んだことに対しての評価として来るのではないか、そう思うんですよね。

 そして、昨日の参議院の法務委員会で、共産党の仁比委員とのやり取りの中で、葉梨法務大臣はこうおっしゃっている。今のその発言に対する真意というのを問われて、いわゆる経済官庁についてはいろいろな形で企業の皆様とのおつき合いができる、そういう中で、政治資金パーティーなんかでも来られる方が多い、ただ、なかなか外務省とか法務省というのは、そういう企業とのおつき合いというのはそれほどあるものではありませんし、ですから、そういった意味でなかなか、政治資金という意味で、政治資金という意味ではなかなか集めづらいところはある、そういうことでございますと。

 そこで、経済官庁であるのかどうかというところです。私自身は、法務省というのは経済官庁でないのか、私はそうじゃないと思っているんです。

 法務副大臣のときに、レクに来る役人の皆さんに、それから、一筆書きキャラバンで全国の官署を回っているときに、必ずと言っていいほど、いや、法務省もこれからは経済官庁だ、もうそういう側面があるんだよ、だから頑張っていこうと申し上げてきたんですね。

 では、それはなぜかというのを申し上げます。

 所管する法律の中、基本法制ですね、日本の。基本法制、皆さん御存じ、商法が入っています。商法というのは日本の経済の根幹ではないでしょうか。

 そして、例えば所有者不明土地の問題、この解消、今、民事局、そして法務局、全力を挙げて取り組んでいます。例えば相続登記の義務化であるとか登記所備付け地図の整備、このことを通じて、例えば、公共事業が進まないとか、あるいは不動産流通が停滞しているとか、そこの隘路を突破する一つのきっかけになるんじゃないか、そういう意味で申し上げている。皆さんが、登記所あるいは法務局の皆さんが頑張れば、そうやって経済が回り出す一つのきっかけになり得るんだよと申し上げている。(発言する者あり)まあ、もうかるかもうからないか、そこは分かりません、それは。

 法テラス、司法アクセスを良好にするもの。生活トラブルの解決ということについて、これは、人々の営みをプラスの方向へ変えていこう、そのための一助として法テラス、司法アクセスを容易にしようというものであります。

 あるいは、国際仲裁を進めている。JIDRCを開設し、企業の法務、トラブルの解決をより容易にすることで、それはトラブル解決にかかるコストの削減ということにもつながるはず。そういった面でも経済には関わっている。

 そして、困難な状況にある、いろいろ罪を犯してしまった人の立ち直りの支援ということは、一人の生活者として自立をしていただき、そして、自立をするということは、すなわち国にとってみれば納税者になるということも意味する、そういうことではないでしょうか。

 一方で、では経済官庁という側面があるとして、でも大事なこと、法務省で。法秩序に基づいて行政を行うということが大原則。その上で、暮らし、なりわいとも、経済の基本とも関わる、そういう役所なんだという認識、そういう意味で私は経済官庁だというふうに申し上げていました。

 それで、私は、大臣の御発言が、私にとってそういう法務省の一面があるというその認識と、ちょっとずれているな、認識されていないように思われて、そういう意味でも御認識を伺ってみたいなと思っているところもあります。

 そこで、改めて、九日の票と金云々の発言について撤回されましたが、どのような思いでいらっしゃるのか、まず率直に思いを聞かせてください。

葉梨国務大臣 まず、おわびを申し上げます。先ほど申し上げましたとおりです。

 昨日撤回しなかったものを本日撤回をさせていただいたということなんですけれども、昨日の参議院の委員会の冒頭の方で質問がございまして、票とお金には縁がないというのは、法務省は国士の役所である、そういうことで行政を進めていかなければならないという意味で申し上げたので、それは読んで字のごとくで、撤回を、そこの部分は撤回までしなくていいのではないかということを冒頭申し上げました。

 ただ、その中で、今も御質疑がありましたけれども、野党の皆さんのいろいろな質疑、しっかり真摯に受け止めながら聞いておって、実際に、経済官庁と比べれば、法務省も、企業との関わりというのは量的には少ないかも分からないけれども、今、津島委員がおっしゃられたように、経済と関わる側面もあるわけなんです。ですから、そういった意味で、いささか言い訳的な、決して事実と異なるということではないんですが、言い訳的な答弁になってしまって、やはりここは不正確だなと、あの発言自体が、というふうに私自身も質疑の中で認識をいたしました。

 冒頭、撤回はしないと言ったものですから、質疑の中でまた途中で撤回するというのもいささかどうかなと思いまして、一旦、昨日の参議院の法務委員会が閉じた後、私もよく考えさせていただいて、その上で、本日の委員会で改めてその部分は撤回をしなければいけないし、謝罪もしなければいけないということで表明をさせていただいたわけです。

 昨日の法務委員会での質疑の内容、本当に真摯に受け止めた上での本日の発言であるというふうに御理解をいただきたいと思います。

津島委員 大臣の思い、しっかり受け止めました。

 次に、死刑について挨拶で触れたということ。死刑の執行というのは、決裁は大変重い責任を伴うことで、これは、司法手続として、しっかりとした証拠に基づいて司法が判断したものを行政府として刑を執行するということ、このことも非常に、それが、その趣旨が違うように受け取られる発言になったこと、極めて残念に思います。

 この死刑について取り上げたことを改めてどうお考えになっているか、お伺いします。

葉梨国務大臣 私自身は、死刑の判断、執行の基準とか、その執行の在り方、これについて申し上げたつもりではなかったわけですけれども、やはりこの死刑ということを文言として取り上げるという中で、非常にそこのところを不愉快な思いをされる方が多いということに思いを致すことができなかったことが私の至らなさだというふうに思っています。率直に反省をしたいと思います。

津島委員 率直な思いを吐露されたものと受け止めております。

 最後に、挨拶の中で、地味な役職というふうに表現をされました。この地味という言葉を使われたワーディングというのは、非常に私自身、残念なんですね。というのは、大臣という役職が地味であるということ以上に、法務省自体が地味だというイメージにつながってしまったなという感があって。だけれども、一方で、大臣自らが、日本の屋台骨、そういうこともおっしゃっている。そのことがもう一遍に吹き飛んじゃっている。

 法務省の仕事を、私、やってみて、感じたことというのは、日本社会の一面、それは普通に暮らしている人々から分からない、そういう世界であって、でも、そこにスポットを当て、困難な状況にある人々にそれから脱却していただく、そういったことに関わる使命感を持った人が、入管であれ、あるいは矯正、保護、多くの人がいらっしゃるわけですね。やはり、私は法務副大臣を務めたことを誇りに思っているし、大変重要な職責だと思っております。

 大臣に、改めて、法務省の五万五千の職員さんに向けるつもりで、御自身の職責をいかに考えておられるか、是非お話しいただきたいと思います。

葉梨国務大臣 地味な役職とか派手な役職というのが、派手な役職というのが逆にあるのかというと、なかなかこれは難しいところはあるだろうと思います。

 ただ、私、申し上げましたのは、地味に見えるかも分からないけれども、極めて大切な仕事である、だからこそ、法務省も、私も含めて、法務省の職員は誇りと使命感、そして緊張感を持って、そういった意味で、私自身が緊張感に欠けていたということは本当に真摯に反省しなければいけません。誇り、使命感、緊張感を持ってこの崇高な使命を果たしていく、このことが私は大切なことだと思います。

津島委員 時間が来ましたので、終わります。

伊藤委員長 次に、平林晃君。

平林委員 公明党の平林晃です。

 早速、質問に入らせていただければと思います。

 まず、法務行政について。

 葉梨法務大臣は、今取り上げられております十一月九日のパーティーにおきましても、国の根幹を成す、あるいは国の屋台骨を支える、こういったことを御発言をしておられます。法治国家であります。全くそのとおりと私も考えるところでございます。そして、その法務行政の最高責任者、それが法務大臣であられます。

 冒頭、まず、法務大臣の職責がどのようなものであるとお考えなのか、葉梨法務大臣の御認識を伺います。

葉梨国務大臣 改めて、私の発言が私どもの仕事を軽んじているような印象を与え、不愉快な思いをさせました。多くの方におわびを申し上げます。

 そして、法務省の行政ですけれども、非常に、法秩序の維持と基本的人権の尊重、これをバランスを取れた形で実現する、その意味で極めて崇高な使命を持っておると思いますし、また、その執行に当たっては、このバランスを取るということは、極めて難しさ、専門性も要する、そういうような仕事だというふうに認識をしています。

 そして、法務省の職員もそうですが、私自身も、そういったような使命を自覚して、誇りと使命感と緊張感、これを持って事に当たっていかなければいけない。その緊張感に私自身が欠けていたということは、まさに私の至らなさだというふうに思っています。

平林委員 バランスということを今強調されました。そして、それが極めて難しく、また、使命感というものの重要性もおっしゃられました。非常に重たい御発言と考えます。

 その法務大臣の重たい職務の中でも極めて重たい職務が死刑執行命令書へのサインである、このように承知をいたしております。これは、人の命を直接的に奪う、その意味において他のどんな職務よりも余りに重い職務であると私も認識をしております。

 昨日、参議院法務委員会において、我が党、谷合正明委員が質問したことに対しまして、葉梨法務大臣御自身が、事案の概要を精査をして、個別の事情によって異なるけれども、相当慎重に厳正な判断をしていく、このように述べておられました。

 この心情であるならば、朝、死刑の判こを押す、昼のニュースのトップになるのはそういうときだけだ、そういう地味な役職という、こういう御発言はとても考えられないのではないかな、このように感じるところであります。

 毎日新聞の報道によれば、執行に関わる人が地味な役職と発言したのは非常に残念で、日本の死刑制度に込められた意味を認識しているとは到底思えないとか、あるいは、歴代法相は執行のたびに慎重に検討と繰り返してきたが、今回の失言で、それが口だけだったことが分かったなどと、こういう厳しい専門家の意見が紹介されています。

 意味を認識しているとは思えない、あるいは、慎重にというのが口だけだった、こういうこれらの声に法務大臣はどのようにお答えになられるでしょうか。

葉梨国務大臣 私、死刑のその判断は慎重に行わなければいけないし、また、副大臣時代も関与をしておりましたので、行ってきたつもりです。

 そして、その判断について発言をするというのは、それはいかが何でも、私はするつもりはありませんでした。しかしながら、ファクトとして、なかなかマスコミに取り上げられないということの例示として、死刑という重たい刑罰、このことを例示として挙げたということが、やはり私の至らなさであり、それは緊張感に欠けていたんだというふうに感じています。

 そして、この死刑の判断については、私自身も副大臣のときに死刑の決裁に関与をさせていただきました。十分な時間をかけて、その事実関係とか、あるいはいろいろな個別の事情、これを聞き取った上で、私も、私の覚悟を持って決裁に関与をさせていただいてきておりますので、極めて、そういうようなことを経験した身からしても、今回の発言というのは本当に私の至らなさであるというふうに思っています。

 しっかり、皆さんがどういう印象を持たれるかということをよく確認をした上で、これから慎重に、発言に、言動に気をつけてまいります。

平林委員 今のお言葉を私としては信じたい、そういう思いであります。

 ところが、極めて残念でございますが、十月にも二度にわたって同様の発言をされていたというようなことが報道をされている。これは報道で、今朝、先ほど御自身でその旨をおっしゃられました。こういう発言が繰り返されていたとなりますと、どうもやはり軽いと受け取られかねない認識をお持ちだったのではないかと、思いたくないんですけれども、そう感じてしまう部分がございます。

 その点、葉梨法務大臣、どのようにお考えでしょうか。

葉梨国務大臣 本当に、複数回、パーティーでも発言をさせていただいたことは事実でございます。

 先ほど申し上げましたように、どういうような受け止め方をする方がいるかということをしっかりと私も確認をしなければいけなかった。そういうことで、まさに私の至らなさだと思いますし、今委員がおっしゃられたような受け止め方をされるという方がたくさんいるということも私も知っております。ですから、まさに、言葉の使い方等々についての自分の至らなさをしっかり反省をしなければいけない。

 そして、全く私、本意でない捉え方だったんですけれども、やはりこれは私の責任なんだろうというふうに思っております。しっかり反省をして、自覚をしてまいります。

平林委員 我が党の竹内譲中央幹事会長代理も、昨日の記者会見で、発言は慎重にしてもらいたい、気の緩みがあってはならず、国民の誤解を招くような発言はすべきではない、このように苦言を呈しております。斉藤国交大臣も、命の重さと法の厳正さの象徴である法務大臣として、覚悟に欠ける発言だった、このように批判をしております。厳粛にお受け止めいただきたい、このように思うところでございます。

 武井副大臣のパーティーが開催されましたのは、この法務委員会での民法改正案が可決をされた日の夜のことでありました。この御発言が多くの国民の法務行政に対する信頼を損ね、また、多くの国会議員に疑念を抱かせ、民法改正案は、本来は昨日の本会議で衆議院を通過する予定でありましたが、そうはならなくなりました。

 今国会、過密スケジュールであり、議論が慎重と、これは当然の大前提ではありますが、できる限り速やかに法案を処理していくということも、このスケジュールの中で重要ということも私は認識をさせていただいております。そのような状況であるにかかわらず、昨日衆議院を通過しなかったこと、これは極めて私も残念に思っております。関連して、参議院法務委員会も一時間遅れて開会をされたと伺っておりますし、本日、このように急遽衆議院でも法務委員会が開かれることになっております。

 このような事態に至っておりますことを法務大臣はどのようにお考えでしょうか。

葉梨国務大臣 私の発言が元で、もちろん、法案を提出していますのは、閣法ですから、法務省の職員、徹夜で働いてきた職員、おります。そして、委員会を全会一致で可決していただいた委員会の皆様、与野党の皆様、本当に、私の発言が元で御迷惑をかけた、率直におわびを申し上げたいと思います。

 私自身は、しっかり今後、反省をして、言動を注意するということは申し上げたとおりなんですが、国会運営にこのような影響を与えてしまったということについて、率直におわびを申し上げます。

平林委員 率直におわびを申し上げていただいたわけですけれども、最後に、これも通告していないんですけれども、もう一点お聞かせいただければと思います。

 昨日の松野官房長官のお話によりますと、岸田総理大臣のお言葉として、法務大臣の職責の重さを自覚し、大臣として説明責任を徹底的に果たしつつ、職務に当たっていただきたいと語られた、このように報道をされております。

 この徹底的にという表現、余りお聞きしたことがないのではないかなというふうに思います。総理がなぜこのように表現されたとお考えでしょうか。また、どのようにしてこの総理の御指示を実行していかれるとお考えでしょうか。葉梨法務大臣にお伺いします。

葉梨国務大臣 私の発言の真意について徹底的に説明しろということだけではないだろうと思うんです、徹底的にというのは。信頼回復のためにということですから。

 もちろん、私の発言、複数回の発言があったということも認めておりますし、また地元でも、特にインフォーマルな会合で何回かそういう発言をした覚えもありますので、その旨は記者の方にも申し上げました。決して後出しで何かをするというつもりは全くありません。

 全ての発言について、謝罪をして、至らなさを恥じて、反省をするということですけれども、それだけではなくて、やはり法務行政に対する信頼を回復するためには、法務行政、いろいろと大切な行政がございます。民事、刑事、矯正、保護、入管、公安調査、いろいろなところがございます。ですから、それぞれの行政の意義について軽んじているかのような印象を持たれる発言があった。これを謝罪した上で、しっかりと私自身が徹底的にこの法務行政の意味ということを国民の前に、国民に説明をしていく。そのことによって、私自身が法務行政に真剣に取り組んでいるということを分かっていただく。その意味でも徹底的に説明をしてくれということをおっしゃられたんだというふうに私は認識をしています。

平林委員 文字どおり徹底的に説明責任を果たしていただいて信頼を回復していただきたい。極めて厳しい状況とは存じますが、そのことを、信頼回復に全力を挙げられるということを御期待申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 会派を代表して質問させていただきます。

 まず事実関係を整理させていただきますけれども、大臣、十一月九日の武井俊輔外務副大臣の政治資金パーティーにおいて、前段として、法相になり三か月になりますが、大体、法相というのは、朝、死刑の判こを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういうときだけという地味な役職なんですが、今回はなぜか旧統一教会の問題に抱きつかれてしまいました、ただ抱きつかれたというよりは、一生懸命その問題解決に取り組まないとということで、私の顔も幾らかテレビに出るようになったということでございますと言い、後段として、外務省と法務省、票とお金に縁がない、副外相になっても全然お金がもうからない、法相になってもお金は集まらない、なかなか票も入らないという発言をされた。

 そして、十一月十日朝、松野官房長官から注意を受けた後の記者会見では撤回を否定した後、参議院法務委員会において、国民に対するオーソライズした説明として、国民の代表者たる各位に対して行うことが第一義だ、大切だと言って、本意ではない、職務を軽んじているような印象を与えてしまったということで、前段部分を謝罪、撤回した。

 そしてその後、十一月十日の夜、実は、この十一月九日の前、十月三十日に西田昭二を励ます会で、法務大臣といいますと、大体テレビに出るのは、大体、死刑の判こを押した次の日の昼のニュースで、会場笑い、大抵そんなところなんですがと言われ、十月三十一日に、自民党、小島敏文議員の後援会で、法務大臣といいますと、大体テレビに出るのは死刑の判こを押したその昼のNHKぐらい、ここでも笑いが起きた、と言われ、地元の会合でも発言していたということが報道されたものだから、この委員会におきまして、初めてこの十月三十日、十月三十一日その他の会合のことを認め、謝罪、撤回され、さらに、先ほど、昨日の参議院の法務委員会では撤回していなかった十一月九日の発言の後段部分も撤回した、こういう事実関係でよろしいですか。

葉梨国務大臣 まず、私の発言についておわびを申し上げますとともに、撤回をさせていただきたいというふうに思います。

 今の事実関係については、まさにそれで正しいということですが、昨日の段階では、昨日の今日ということで、九日のパーティーの件について質問を受けてお答えするのが精いっぱいだったところですけれども、決して、先ほども申し上げましたように、後出しで説明をするつもりはございません。

 たしか、確かめましたところ、計、東京のパーティーでは四回だと思います、あとは地元のインフォーマルな会合、そこでも複数回、同趣旨の発言をしたということは、今ここの場でも説明をさせていただきたいと思います。

米山委員 いや、後出しじゃないと言いますけれども、葉梨法務大臣は、十一月九日の時点で、それは当然、十月三十日のことも十月三十一日のことも知っているわけですよ。我々は昨日知りましたけれども、葉梨法務大臣は当然知っていたわけですよね。

 しかも、私、参議院法務委員会でのインターネットの録画を見ましたけれども、あのとき、葉梨法務大臣は、国民に対するオーソライズされた説明だと言っていたんですよ。オーソライズされた説明で、それはうそを言ったんですか。それとも、少なくとも隠していた若しくは矮小化していたということでよろしいんですか。

葉梨国務大臣 いえ、後出しとかそういうことではなくて、ちょうど昨日、一昨日の夜そういうような報道がありまして、昨日、朝から法務委員会、参議院があるということで、その準備も本当にばたばただったものですから、とにかく質問について答えるという形で精いっぱいだったわけです。

 ただ、その後、別に報道があったからということではございませんで、私自身は、ちゃんと記録、記憶等を精査をいたしまして、東京では、宮沢洋一先生、小島敏文先生、それから西田昭二先生、そこのパーティーでも、そういう同趣旨の発言を申し上げた、また、地元でも、これはインフォーマルな会合なんですけれども、そこで申し上げたということも今日まとめてお話をするということで、お話をしておるわけです。

 いずれにしても、率直に、本当におわびを申し上げて、撤回して、反省をしなければいけない、そういうふうに思っています。

米山委員 そうすると、今結局、全部合わせると五、六回というか六、七回だと思うんですけれども、地元の回数はよく分からないんでしょうから。

 その話は、昨日の官房長官にお話ししたんでしょうか。それと、あと、岸田総理は御存じなんですか。

葉梨国務大臣 官房長官も、総理も、御存じです。ただ、昨日の朝の段階ではそういうお話はしておりません。本日も、総理に対しては、非常に御迷惑をかけました、率直に反省していますということは申し上げました。

米山委員 ところで、そうしますとということなんですけれども、先ほど津島委員、非常に残念だ、我が党として残念だとおっしゃったんですが、これは自民党の中で五回か六回、この話、政治資金パーティーでされているんですよ。そうでしょう。自民党の議員はそこにいっぱいいて、みんな聞いているんですよ。そして、今回報道されるまで誰も止めていないんです。しかも、聞くと、大体毎回そこのところで、くすくす、くすくすと笑いが起こっているんです。

 そうすると、葉梨大臣、あなたは、実は死刑というものを、それは殺人犯ですよ、殺人犯として確定しているんですよ、でも、場合によっては、もしかしてそれは誤判で、無辜の人の命を奪うかもしれない国家行為なんです。それを毎回毎回、五回も六回も笑いのネタにしてきた。しかも、並みいる自民党議員が、それを一緒に笑って、黙っていた。

 そうなんです。自民党はそういう政党なんです。そして、自民党が法務大臣に選んだ葉梨大臣、あなたはそういう方なんですよ。

 今まで、五回も六回も、政治資金パーティーで、死刑というものを、話の導入、笑いを誘うお決まりのフレーズとして何回も使ってきた。これ、よろしいですね。

葉梨国務大臣 政治資金パーティーでは四回と記憶をしています。そして、そのことについて、私自身が、出席者等に、どういう印象を持っているかということをしっかり確認しなかったということ、このことは本当に足りなかったところだなというふうに思っています。率直に反省をしています。

 そして、今、米山委員が言われたような形で取られたとしても、それは致し方ないというふうに思います。この点についてもおわびを申し上げて、率直に反省をさせていただきたいと思います。

米山委員 そして、今に至るまで、自民党議員は誰も止めなかったということでいいんですよね。誰も言わなかった。

 政治資金パーティーですから、それは誰がいたか知りませんけれども、派閥のお偉い方々もいたはずですよね。通常いますよ。岸田総理がいたかどうかは知りませんけれども、いろいろな重鎮の方々もいて、今般報道されるまで誰も止めなかったということでいいんですね。

葉梨国務大臣 私の足りなさについては、重ねておわびを申し上げます。

 その上で、これは政治家の発言ですから、止める止めないというよりも、私自身が、あの場にいた方に、どういうような印象を持ったかということをちゃんと確認すべきであったんだろうというふうに思います。これも私の責任だと思います。

米山委員 じゃ、ちょっと話題を変えますけれども、先ほど来、葉梨法務大臣は、副大臣のときに死刑の決裁にも関わったというふうにおっしゃられました。その決裁に関わったとき、自分のところでやはり決裁をするわけですよね。そのときに、どのような要素を検討されましたでしょうか。

葉梨国務大臣 個別には、なかなか全ての要素というのをここでお答えすることは難しいことだとは思いますが、実際問題として、事実関係が、誤判ということで死刑になることはあってはなりませんので、昨日も御答弁いたしましたけれども、慎重に事実関係をしっかり確認をする、また、再審請求の可能性ということもございまして、その意味では被害者の感情というのもしっかり考慮をする、いろいろな要素を慎重に検討していくということだろうと思います。

米山委員 お話から伺うと、葉梨法務大臣はそれを決裁したわけですから、非常に高い確率でそれは恐らく執行されたわけですよね。その当時の法務大臣が恐らく署名して執行されたわけです。そのとき、葉梨法務大臣は、今日は大臣、お昼のトップニュースを飾るな、今日は大臣、派手な役回りだな、そう思ったということでよろしいですか。

葉梨国務大臣 あの発言自体は本当に軽率な発言だったと思いますが、私自身が決裁に関与した事案について、そのように考えた、あるいはそういうように思ったことはございません。

米山委員 そして、葉梨大臣、このまま職を辞されない、このまま続けるということですから、葉梨大臣が意図するところかどうか分かりませんけれども、もし仮に、葉梨大臣が、死刑執行命令書に署名されたら、それは大きな大きなニュースになるわけですよ。

 上川法務大臣は、二〇一八年七月六日に、松本智津夫死刑囚らオウム真理教元幹部の執行を命ずる執行命令書にサインした際の心境を、鏡を磨いて、磨いて、磨いて、磨き切るという気持ちと言われました。

 私も、法曹の端くれとして、その気持ちは分かる部分があります。あのオウム事件であっても誤判の可能性はゼロではない、どこかに自分に予断がないか、何か自分が間違っていないか、そういう疑いを何度も何度も自分の中で内省して、それを何度も拭い去って、取り去って、取り去るものがなくなってから判断する。そういう気持ちが死刑執行の最終判断をする法務大臣には私は要ると思うし、上川法務大臣にはその気持ちがあったから、あの言葉になったんだと思います。

 御無礼を大変承知で申し上げますが、葉梨大臣にはその気持ちはなかったんですよ。あれば、あんなせりふは出てきません。

 そして、仮にあった、若しくはこれから持とうとしても、もう葉梨大臣が鏡をのぞいた瞬間に、マスコミの人がわあっと後ろに来て、いろいろな人があれこれ言って、もう好むと好まざるとにかかわらず、そういう公正な気持ちにはなれなくなっているんです。

 葉梨大臣、葉梨大臣はもう公正に職務、大臣の職を執行できないのではありませんか。そうである以上、辞任すべきではありませんか。御所見を伺います。

葉梨国務大臣 極めて軽率な発言であったことを率直におわびを申し上げます。

 その上で、死刑の判断について、私も副大臣として死刑の決裁に関与した経験があります。同じような気持ちで、重大な判断と決断を下した覚えがあります。

 そして、そのことは、だからこそ、死刑の判断について軽々に外で言うというようなことは全く考えておりませんが、今回は、まさにファクトとして、なかなか法務省がマスコミに取り上げられることが少ない、けれども重要な役所だということで、死刑という文言を使ってしまった、このことは極めて軽率だと思います。(発言する者あり)いや、文言というかその言葉です、その言葉です、発言です。発言はもうまさに軽率なことだと思います。

 そして、死刑の判断ということについては、今も申し上げましたとおり極めて重要なものですし、法務大臣としての職責として、法に基づいて慎重かつ厳正に対応するということです。

 発言そのものであって、死刑ということを例示として出した、文言というのは確かに語弊があるかも分かりません。例示として死刑というのを出したということは極めて軽率だというふうに答弁を訂正させていただきます。

米山委員 それでは、その次の、後段、外務省と法務省、票とお金に縁がない、副外相になっても全然お金がもうからない、法相になってもお金は集まらない、なかなか票も入らないについて、こちら、この度撤回されたんですが、こちらも、撤回したとはいえ言っていますから、この真意についてお伺いしたいと思います。

 まず、葉梨法務大臣、法相になってもお金は集まらないとおっしゃいましたが、なられてから三か月の間に自らの政治資金パーティーを行いましたでしょうか。

葉梨国務大臣 政治資金パーティーは行っておりません。

米山委員 昨年の葉梨法務大臣の政治団体が集めた収入と使った支出を教えてください、総額を。通告しています。

葉梨国務大臣 済みません、資料を見ながらじゃないと、数なので答弁できないということで、ちょっと時間がかかってしまったことは申し訳ありません。

 政治資金管理団体でよろしいでしょうか。政治資金管理団体が政治資金パーティーを行います。収入額は政治資金パーティーだけではなくてほかの寄附とかもございますけれども、昨年の私の政治資金管理団体の収支は、収入額がおおむね三千二百九十三万円、支出額が三千六百八十八万円でございます。

米山委員 昨年の葉梨法務大臣の歳費を、文通費を合わせて教えてください。

葉梨国務大臣 国会議員の歳費でよろしいですか。歳費は月額約百二十九万円でございます。(米山委員「年間でお幾らですか」と呼ぶ)年間はそれに十二を掛けますので、ちょっと、電卓がなくて、申し訳ありません。

米山委員 じゃ、大臣になって、もらう歳費を教えていただいていいですか。これも通告しています。

葉梨国務大臣 通告は受けております。数を見ながらじゃないと、私も記憶しているわけじゃない。

 月額ですが、法務大臣の俸給月額は、月額約百四十六万円でございます。ただ、一部を今国庫に返納しておりますので、月額約百四十万円ということになろうかと思います。

米山委員 それで、葉梨法務大臣、お金はもうかっていないんですか、お金は集まっていないんですか。

 年収で二千万、政治資金団体で集まったのは三千二百九十三万で、それは去年ですから、今年はもうちょっと増えるんでしょうね。そうすると、五千万ほどあって、それで、葉梨法務大臣、法務大臣はもうからない、そうおっしゃったということでいいんですか。

葉梨国務大臣 後段の発言自体、本当に不正確でありますので、おわびをして撤回をさせていただいているわけですが、もうからないかというような趣旨で言ったわけではなくてですね……(米山委員「もうからないと言っていますけどね」と呼ぶ)だから不正確なんです。政治資金を集めるというのにはなかなか縁がないということを言うというよりは、まさに国士として働かなければいけない役所だということで申し上げたわけなんですが、それが、昨日の参議院の委員会、これでの質疑の中でも、まさに今米山委員がおっしゃったような、いろいろな形での批判等もございまして、また印象もございまして、これはやはり極めて不正確なので撤回をさせていただきたい。もうからないとか、もうかるとか、そういう気持ちで申し上げたわけではないので、撤回をさせていただいたわけです。

米山委員 いや、葉梨法務大臣、法務大臣になる前に三千二百九十三万円、政治資金は集まっているんですよ。まさか減らないと思うので、多分もっと集まるんでしょうね。それは野党側から見たらすごい集まっていますよ。それでも自民党の方は、三千二百万円じゃ足りない、こうおっしゃっていらっしゃるということですから、なかなかちょっと驚きを禁じ得ないです。

 また、先ほど津島委員から、いやいや、法務大臣も経済に関わる省庁なんだと。あたかも、いや、法務大臣ももうかりますよと言っているように聞こえたんですけれども。

 いずれにせよ、外務省と法務省はお金はもうからないと言っている以上は、お金がもうかる大臣があるんだと思う、少なくともそのとき想定していたお金がもうかる大臣があると思うんですけれども、それはどの大臣か教えていただけますか。それは、厚労大臣なのか、財務大臣なのか、それとも総理大臣でしょうか。教えてください。

葉梨国務大臣 まずは、そういうような形で、本当に、印象として、私の意図しない、つまり、国士の役所であるということで言ったこと、これが意図しない形で印象を持たれるというのは、私自身の責任として、極めて不正確なことを申し上げたということで、ですから、だからこそ、特定の大臣を想定して物を申し上げたということではございません。

米山委員 でも、昨日の参議院の法務委員会でもこの点をやはり聞かれまして、葉梨法務大臣、法務省は利権と遠い役所だという意味で言ったとおっしゃっているんですよね。つまり、じゃ、利権と近い役所があるわけですか。そして、利権と近い役所の人が政治資金を集められる。それはもう収賄じゃないんですか。

 そして、葉梨法務大臣は参議院の法務委員会で、それについては答弁を差し控えますなんて言っていましたけれども、葉梨法務大臣は法務大臣なんですよ。ほかの役所の人がそうやって、利権を使って、自分たちの職務分掌に基づいて、何か会社の方と仲よくなって、そしてパーティー券を買ってもらったら、それは収賄でしょう。違うんですか。法務大臣としてはそれを取り締まらなきゃいけない立場じゃないんですか。御所見を伺います。

葉梨国務大臣 個別の犯罪の成否、これについてはお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、昨日の参議院の委員会の答弁でも、私の趣旨は、他の役所のことを申し上げたわけではなくて、まさに国士として働かなければいけない役所ですよということを申し上げたわけなんですが、やはり、他の役所のことに関係しているような印象を与えてしまったんだなということを私も反省をいたしまして、謝罪をして撤回をさせていただいたということです。

米山委員 答えておられないと思うんですよ。

 やはり、言葉というのは、別に撤回したらなくなるわけじゃないんですね。法相になってもお金は集まらないとおっしゃられているわけじゃないですか。外務省と法務省はお金は集まらないと言っているわけじゃないですか。そうしたら、どこかに集まるところがあるわけでしょう。言葉としておかしいじゃないですか。

 しかも、そういう葉梨法務大臣は、三千二百九十三万円も集めているわけですよ。だから、三千二百九十三万円以上集めることができる大臣がいるということですね。経済官庁の大臣になったらそれ以上のお金が集まるのが自民党では普通だ、皆さんそういう認識でいるということですね。よろしいですか。

葉梨国務大臣 私の発言自体は極めて軽率で、本当におわびを申し上げますが、自民党としてのそういう認識であるということであれば、私はそういう認識は持っておりません。

米山委員 では、最後に私の意見を申し上げて御所見を伺いますけれども、いろいろ弁明しておられますけれども、少なくとも法務大臣を地味な役職と思っていらっしゃるわけです。そして、死刑執行という極めて厳正な職務を、テレビのトップニュースになって自分の顔が出るかということと絡めて考えていらっしゃるんです。そうでなければそんな発言は出てきません。そしてさらに、これから、好むと好まざるとにかかわらず、常にそれをマスコミから指摘され、正常な判断ができなくなります。その上、葉梨大臣は、大臣の職務権限によって集金力は変わると、収賄を疑われる事実を公然と公言されていたんです。

 それだけではありません。何か隠れていますけれども、御自身のブログに後援会のゴルフ大会だと自分で書いて、自分の後援会の事務所で自分の秘書が連絡先となって、自分の秘書が事務を担当して、葉梨後援会ゴルフ大会と銘を打ってなされたゴルフ大会を、アドホックに集まった有志でやったから関係ないと、法務大臣が脱法行為を堂々とおっしゃられているんです。

 あなたがこのまま大臣を続ければ、地味な仕事だと思っているトップの下で働いている五万五千人を超す法務省の職員も検察官も士気が上がらない。刑務官は死刑の判断に自信が持てないし、国民はそれを信じられません。

 その上、法務大臣が認めているんですから、後援団体における寄附や供応も、大臣の収賄すら、いいんだ、罰しないんだと思われてしまいます。余りにも不適任だと言わざるを得ません。

 あなたが所信で述べた法治主義の原則をあなた自身に当てはめて、あなた自身の首を切る、すなわち辞職すべきと思いますが、御所見を伺います。

葉梨国務大臣 米山委員の御意見、しっかりお聞きをさせていただきました。私自身、至らなさを本当に恥じております。

 そして、その上で、職員のためにも、また国民のためにも、仕事をすることで、この私の至らなさであって御迷惑をかけたことをしっかりリカバリーしていかなければいけないと思っています。

米山委員 時間ですので、終わります。

伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時十五分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鎌田さゆり君。

鎌田委員 質疑をさせていただきます。

 大臣、もう何度も何度も今回の件に対して謝罪は聞きました。釈明もたくさん聞きました。どうか、私の与えられた質疑の時間では謝罪も釈明も一切要りません。私は、事実かどうかを確認すること、それから大臣の今の意思を確認をさせていただきますので、もう謝罪、釈明はなしで御答弁をいただきたいと思います。

 まず初めに、今朝、閣議はございましたか。

葉梨国務大臣 そうはいっても、ちょっと私の気持ちで、一番冒頭に本当におわびを申し上げさせていただいた上でお答えをいたします。

 閣議はございました。

鎌田委員 その閣議の際、岸田首相とお会いになって何かお話は交わされましたか。

葉梨国務大臣 岸田総理にも御迷惑をおかけしていることについておわびを申し上げました。

鎌田委員 その際、岸田首相からは何という返事がありましたか。

葉梨国務大臣 個別のやり取りについてはお答えを差し控えなければならないんじゃないかというふうに思いますけれども、しっかり説明責任を徹底するようにというお話はございました。

鎌田委員 はい、分かりました。

 これまでの経緯の中で大臣は、今問題になっている発言について、当初は撤回をされませんでした。途中から撤回すると変わりました。何がきっかけ、変更するきっかけ、動機になったんでしょうか。

葉梨国務大臣 二つございまして、先ほど米山委員からも事実関係について御指摘があったわけですが、当初の、前段の部分、特に死刑を例示に挙げた部分については、私自身は当初から撤回をするつもりでございました。ただ、当日、参議院の委員会が開かれるというようなことも決まっておりまして、そこの場で、与党質疑の場でもこの件について質疑がされるということでございましたので、記者のぶら下がりの段階では、今のところは撤回しないよと申し上げたんですが、そのときには、委員会の場では、国民の代表者の前で、謝罪の上、撤回をしたいという意思は固めておりました。

 また、後段の部分、これは実は昨日の委員会でも、前段、いわゆる票と金という部分ですが、これについては、一般的に国士としての法務省の仕事を申し上げたので、撤回しないというふうに申し上げたんですけれども、その後の各種の質疑を聞いておりまして、そこの点について言い訳的な答弁をすることも、やはり誤解を呼ぶことにもなりますし、極めて不正確に取られる表現であったというふうに私も思うに至りました。

 そこで、後段の部分については、本日、私の発言として、謝罪の上、撤回をさせていただいた、そういう流れでございます。

鎌田委員 今、大臣、当初から撤回をするつもりであったということを述べられました。それはこれまで私たちには伝わってきていない事実であって、そこは明らかになったのかなと思います。

 当初から撤回するつもりがあった、そして、今ここに至って今朝の閣議、それに対して岸田首相は、なお更に丁寧な説明をするようにというその言葉でとどまっているんでしょうか。再度伺います。

葉梨国務大臣 総理との具体のやり取り全てをなかなかここで明らかにするということは難しいんですけれども、とにかく説明責任を徹底的に果たすように、この徹底的にということが非常に幅広い意味を持つんだろうというふうに思います。

鎌田委員 大臣、あの発言以来、ネット上では、死刑の判こというワードがトレンド入りをしたことが一時期ありました。

 大臣、覚えていますか。昨年の総選挙の後、私が十六年七か月ぶりに、法務委員会に戻ることだけを目指して、十七年近く時間をかけてこの委員会に戻ってきて、そのとき大臣は、こちらの席で筆頭理事でいらっしゃった。

 十月三十一日のその選挙の後、国会に来たら、デスクの上に、三名の方の死刑執行、紙一枚が置いてあって、そのうち二名は再審請求中だった。そのことを前法務大臣に、私は、何で再審請求している人を死刑にしたんだと尋ねました。そのくらい私は、日本の死刑制度についてもっと考えなくちゃいけない、そういう思いを持って法務委員会を目指してきた人間なんですよ。

 ですから、今回、大臣が死刑の判こという言葉を使って、どこからどう見ても、どこからどう聞いても、スピーチのつかみ、受け、これを狙うかのように使っているということに私は驚愕したし、残念などということを通り越して、ショックでした。

 この死刑の判こという言葉がトレンド入りをしているということは、大臣、御承知ですか。もしかしたら、知らないままでいらっしゃいましたか。

葉梨国務大臣 率直に申し上げて、インターネット、ネットサーチ、サーフィンというんですか、それをするほどの時間的余裕がございませんでしたので、それを知ることはありませんでした。

 しかし、極めて軽率で、私の至らなさだと思います。

鎌田委員 御存じなかったという事実を教えてもらいました。ありがとうございます。トレンド入りしました、死刑の判こという言葉が。

 私たちは、法務省に、死刑制度の流れ、実際に執行されるまでの流れというものを情報公開を求めても、昨年の法務委員会でも私は情報を出してくれと申しましたが、前法務大臣の古川大臣は、出せませんと。

 ですが、元刑務官、元死刑執行に携わった方々は、これを記録に残さなければならないということで、様々な書物に、書籍として、記録として残していらっしゃいます。だから、法務省が情報を出さなくても、我々は、死刑執行というものがどのように行われていくのかということを、全体ではなくても、知ることはできます。

 その死刑というものを、私たち国民が果たしてどれだけ、どのくらい知っているだろうか。ほとんどの方が分からない。実際にどんな流れで、どんなに多くの人が関わって、どんなに重い責任を負って、この死刑執行ということに、流れていくのか、ほとんどの人が知りません。

 ですが、大臣の死刑の判こという発言でもって、本来あるべき死刑制度を国民全体で考えなくちゃいけないことが、全く違うきっかけでもって世の中に伝わった、流布されたということは、とても残念です。

 ここからは、今、大臣は法務大臣でいらっしゃいますから、大臣の立場としてお答えは控えなければならないということを私が尋ねましたら、それはどうぞ御遠慮なくお答えを控えてください。

 伺っていきます。死刑執行の手続です。

 「死刑の執行は、法務大臣の命令による。」と刑訴法で定められています。御存じのとおり。高検は、死刑執行命令について法務大臣の判断を仰ぐという文書を、確定記録とともに法務省に送らねばなりません。その際、複数の法務省幹部やOBの方々の証言の記録に基づいて私たちが知ることができるのは、死刑執行について検討する法務省の刑事局には、確定記録だけではなく、裁判に証拠として提出されなかった供述調書などの捜査資料も高検から届けられることになっています。捜査機関が事件を立件するために集めた全ての記録が集まることになります。記録は十センチほどの厚さごとにひもでとじられて、一つの事件で二百冊から三百冊に及ぶことも珍しくありません。

 このことは、大臣、御承知ですか。

葉梨国務大臣 私も決裁に関与したことがございます。それで、何百冊になるのかということについては私は詳しくは知らないんですが、私のところに説明に来る資料、これだけでも、そんなに一瞬で判断できるものではなくて、相当厚いものが来て、それがエッセンスですということで説明があります。ですから、相当な資料が基礎として、それよりもより多い、たくさんの資料があるんだろうというふうなことは私も認識をしています。

鎌田委員 携わられたことがあるからこそ御存じのことを精いっぱい話してくださったんだと思いますが、記録を最初に読むのは刑事局付の方々、総務課、国際課、公安課、刑事局内にある全ての課の局付に機械的に割り振られていき、ある法務省の幹部はこう話しています。局付は法務省各局で事務的な作業を担う若手の検事や裁判官のポスト。刑事局には現在二十数人が配置されている。冤罪のおそれが絶対にないことを大臣に報告するために我々は仕事をしているという証言記録もございます。

 局付の人たちは、法務省の十二階、十三階にある各課の大部屋に自分の机を持っています。けれども、この死刑に関する仕事だけは、ほかの職員の目に触れないように、夜間や休日に、記録の保管をしてある部屋にこもって作業を行うことが多い。誰の執行が近づいているのか、万が一にも漏れてはならない。別の幹部は、検討作業の詳細を局内でも伏せる。その理由は、絶対に漏れてはいけない。

 それだけ重い責務と使命を担って、一人の人間を、死刑の刑が確定したからといって、国家が、国が殺すわけですから、だから、こんなにも重い仕事を責任を持って担っているわけです。

 今回の大臣の発言は、全国にある拘置所で確定囚と向き合っている刑務官、それから、あなたの後ろに座っていらっしゃる秘書官の皆さん始め、法務省の全ての皆さんを、その仕事を、評価をするのではなく、あなたの軽んじた発言で違う方向に向いてしまったんです。

 私はゆうべ眠れませんでした。大臣、あなたに国会議員を辞めろだなんて、そんなことは言いません。でも、大臣の職にい続けるべきではない、そのように私は考えて、今この場に立っています。そして、率直にその気持ちをあなたにお伝えしています。

 大臣は、自ら法務大臣の職を辞するという気持ちは今も持っていないのでしょうか。

葉梨国務大臣 死刑の判断、これについて具体的なことを、こちら、私としてコメントすることは、ない、なかなか差し控えたいんですが、私自身もその判断には極めて慎重で、また、極めて、保秘といいますか、秘密の保持、これにも慎重な、物すごく、私も関与いたしましたが、負担の大きい作業であるということは十分に認識しているつもりです。

 その上で、私が、不適当な例示、死刑の判断に関することではないとしても、死刑という言葉、これを例示として用いたということが、非常に職員にも不愉快な思いをさせている、このことはそう思います。

 ですから、その思いを、使命感と、それから誇り、さらにはやる気に変えるように、私自身しっかりと仕事をすることで、職員に対応していかなければいけないし、また国民にも対応していかなければいけないと思います。

鎌田委員 つまり、今現在、自ら辞任するという気持ちはないということですね。

葉梨国務大臣 もとより、私の任命権者は総理でございますけれども、私はしっかりと説明責任を徹底的に果たして、しかも、その至らなさを反省して、慎重にかつ徹底的な説明責任を果たしていく、そしてその上で、信頼の回復と、また士気の高揚に、これに努めていく、これが今、私のできることだと思っています。

鎌田委員 信頼の回復は、今ここで、できる限り早く、一旦、葉梨大臣は自ら潔く職を辞す、それの方が信頼の回復を早く進められる。そして、葉梨代議士という、私は尊敬していますよ、あなたがまた再び法務行政の中で再起をしていくのには、大変おこがましい言い方かもしれないけれども、潔く早くこの職を辞す、それだと私は思います。

 そこでなんですが、大臣が辞職の意思がないということを確認した上で伺いますけれども、今月の二十八と二十九日、ベルリンで法務大臣のG7、主要七か国の法務大臣会合が開かれるというふうに承知をしております。大臣自身が、今問題となっている会合でも、必ずこのことを、スピーチの中で述べられています。そのスピーチを、文字起こしを読むと、自分は法務大臣だから、このベルリンのG7の法務大臣会合に出席をするという意思が見受けられるんですが、今、大臣を辞めないということは、今月の末に開かれるベルリンの、世界の法務大臣会議、出席されるんですか。

葉梨国務大臣 この点については、従前から、可能な限り出席したいというようなことで申し上げてまいりました。二十八と二十九の日程を確かめましたところ、多分、補正予算の審議にかかる可能性が非常に高いということで、今、副大臣が出席する方向で調整が進められていると聞いています。

鎌田委員 初めて伺いました。補正予算の審議に関わる、いわゆる国会日程との都合で、兼ね合いで、このG7の方は副大臣、あるいは政務官かもしれませんけれども、そちらの方で出席を調整をされているというふうに今大臣から御答弁がございました。

 副大臣、その予定でよろしいんですか。

門山副大臣 はい、そのとおりでございます。

鎌田委員 国会日程ですから、大事な補正予算の審議ですから、法務大臣は国会の日程を優先をして、G7に副大臣始め政務官で対応というのは、手段としてはあるかもしれません。

 このことについて、岸田首相からは、補正予算の審議、こっちを優先して、G7は副大臣以下に対応するようにという具体的な何か指示はありましたか。

葉梨国務大臣 具体の会議についての具体的な指示はありません。しかしながら、徹底的に説明責任を果たすということであれば、当然、私は、その説明責任を果たすということを優先させていただくことになると思います。

鎌田委員 私は、個人的には、説明責任はもう言い尽くされているところがあると、私は個人的には感じています。それぞれ議員は受け取り方が違うと思います。

 毎日毎日、謝罪です、毎日毎日、釈明です。そして、今後は責務を全うしていきたいと。でも、これを続ければ続けるほど、続ければ続けるほど、国民は、葉梨法務大臣がどのようなスピーチを行ったのか、死刑制度に対して、今、死刑確定されている死刑囚に対して、その家族に対して、弁護人に対して、死刑執行に関わる法務省の職員全ての人間に対して、どんどんどんどんその傷を、あなたが大臣でい続けて謝罪と釈明を続けていく限り、その傷はもっともっと深くなっていくんですよ。だから、私は先ほど来、早く辞任をすべきだと、不遜な物言いかもしれない、それを分かった上で私は申し上げているんです。

 死刑についての書物はたくさん出ています。大臣もたくさん読まれていると思います。私は、大臣の先輩に当たられる警察庁OBの亀井静香先生、そして平沢勝栄先生の下で、死刑廃止議連に入って、今は死刑制度を考える議員連盟に入って、多くの方と議論しています。賛成の方の議論も聞いています。ですけれども、議論はいっぱいしなくちゃいけないけれども、死刑制度の死刑執行の現場で行われている事実は一つなんです。

 とある拘置所では、男性で、六十五キロぐらい。死亡を確定するまで二十分くらいかかる。ぶらんぶらんとぶら下がった手と足、人間というよりは、五体が垂れ下がっただけに見える、既に物になっている。口から黄色い吐瀉物が押し出される、これも断続的に顎を伝って胸を汚していく。顔色が蒼白になり、死人の色になった。けいれんがなくなった。そこでおもむろに医官が聴診器を胸に当てて、同時に脈を取って、脈がなくなって。でも、心臓は動いている。

 一人の男性が死刑執行されて死ぬまで、目をそらさずにじっと見ている人間が十数人います。これが死刑執行の現場、事実で、これは、死刑を残すべきだ、廃止すべきだ、議論にかかわらず、共通している事実なんです。

 私の質疑時間は終わりました。死刑というものをスピーチのつかみ、冒頭に使い、そして、法務行政の下で働いている方々の心をえぐり、きっと大臣の御家族も今どれだけつらい思いをしているかと思うと。

 私は、最後に再び問います。

 大臣、ここで潔く、一刻も早く法務行政の信頼を取り戻すために、一回ここで大臣を辞職すべきだと思います。その答弁を求めて、質問を終わります。

葉梨国務大臣 いろいろな思いを酌み取って、家族もいます、さらには、いろいろな意見、これはもう本当に、私のところにも寄せられています。酌み取りながら仕事をしていかなければいけないと思っています。

鎌田委員 終わります。

伊藤委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。

 午前中、朝からやっていますけれども、まあ、異様な雰囲気の委員会ですよ。与党の質問が始まるとき、終わるときも、拍手一つ起きないです。申し合わせたわけではないと思いますが、それが今大臣に向けられている内なる声というものを私は表しているんじゃないかなというふうに、この異様さを感じながら思っているところです。

 大臣がさんざん様々な発言を撤回されていますので、私も撤回したいんです。十一月二日、最初の質疑に立ったときに、大臣に対して、冒頭、常々法務行政に携わられて、ここまで満を持して大臣になられた方はいらっしゃらないんじゃないかと思います、エールを送りたいと思いますという言葉を撤回します。

 今回の発言を聞きまして、いろいろ御説明されていますけれども、あなた御自身は、法務大臣、法務行政が持つその重大さということを、私は、理解されていないんだというふうにやはり確信をしました。法務大臣が持つ力、権能、法務行政が持つ力というものは、やはり壮絶なものがあると思います。もちろん、国民の権利というものを大きく左右しますし、国民であるかどうかというものも決める権利を持っています。

 そして、今問題となっている死刑ということに関しては、あなた御自身、日本で唯一、合法的に人を殺すことを指示できる。閣僚の中においても最も重い責任を持っていると言っても全く過言ではないと思っています。それなのに、あのような発言があったということに驚愕をしています。

 どのような質問をまずかけるべきかということを悩んだんですが、一つ問いたいのは、あなたにとって死刑囚とは、どのような存在なんですか。

葉梨国務大臣 まず本当に、おわびを本当に申し上げた上で入りますけれども、死刑囚、非常に凶悪な犯罪で死刑が確定した方、殺人犯等多いわけですけれども、犯罪者あるいは確定囚であっても、一人の人間です。

寺田(学)委員 それを合法的に、あなたは死刑という刑罰として命を奪うことができる。そういうことが分かっていながら、よくあんな発言をされましたね。以前からそう思われているのにもかかわらず、あのような発言をしたということでよろしいんでしょうか。

葉梨国務大臣 以前から、死刑囚であっても一人の人間であるという思いはずっと持っています。

 その上で、あのような例示を発言の中で申し上げたということは、本当に極めて、不愉快な思いをさせるし、軽率だし、そういうことで反省をしています。

寺田(学)委員 恐らく不愉快という言葉では表現されないほど大きな影響というか、大臣自身のお考えを、内なる思いというものを吐露したものだと私は思っています。幾らそれを説明しようとも、撤回しようとも、拭えない部分はあると思っています。

 誠実にこの発言があった後に向き合っていたかということは、その反省というものがいかほどのものかということを測る上で大事だと思っているんです。

 先ほど米山さんの質疑でもありましたけれども、今日報道にもありましたけれども、今回、九日の発言のみならず、以前から同様の話をされていたということが明らかになっています。なぜ昨日の段階で併せて撤回しなかったのかということを改めて問います。

葉梨国務大臣 昨日の段階、おとといの話が昨日の委員会等の質疑等々でなされた、その準備というか、そちらの方で手いっぱいでございました。決してそれを隠すとか後出しにするという意図ではございませんで、私も、他の会合における発言等々、記憶と記録、これをしっかりある程度確認をいたしまして、本日の朝、報道が出たからということではなくて、報道されていない部分も含めて、謝罪をして撤回をさせていただいたということです。

寺田(学)委員 昨日撤回する段階において、それより前に複数回行っている発言の撤回の必要性は感じていましたか。

葉梨国務大臣 昨日の参議院の委員会が終わりまして、改めて、今日また衆議院の委員会も開催されるということも聞きました、やはりそういう場ではしっかりと撤回をしなきゃいけない、そういうふうに思っておりました。

寺田(学)委員 昨日の参議院の委員会が終わった後に、ちょっと、携帯を見ていないで、聞いてくださいよ。昨日の委員会で撤回している段階においては、撤回の必要性は感じていなかった。委員会が終わった後に、そういえばああいう発言もしていたなということで、その段階で発言の撤回の必要性に気づいた、認知したということでいいんですか。時系列的な話をしているんです。

葉梨国務大臣 まず、昨日、官房長官から厳重な注意を受けて、それからすぐに記者レク、記者のぶら下がり、それと委員会ということで、その委員会の冒頭の発言では、おとといのものについての撤回ということで発言をさせていただいたわけです。

 そしてその中で、委員会の質疑の中で、例えば後段の発言の部分ですとか、あるいは、他の部分もあるということは私自身も記憶しておりましたので、ただ、昨日の委員会は、おとといの昨日ということで、その質問に集中するのが手いっぱいでございました。委員会の質疑をいろいろと聞きながら、これはもうまとめてやはりしっかり謝罪をして撤回しなければいけないというふうに思った次第です。

寺田(学)委員 御自身として、米山さんの質疑の答弁を聞いていると、複数回話していることは従前から認知はあったけれども、昨日の段階においては問われた部分しか答えるのに精いっぱいだったので答えなかった、撤回しなかった。その後に、他の部分、過去の発言も含めて、改めて撤回の必要があったので、複数回話したこと、そしてまた、いわゆる九日の発言の、もうからないの発言も含めて、一度にわびることができたにもかかわらず、段階的に、徐々に、じりじりと撤回していっている状況にあるということです。これをもって、誠実に謝罪しようとしているか、向き合っているかというのは、おおよそ考えられないですよ。

 米山さんの質疑の中にもありましたけれども、今日、総理の方には過去複数回同じような発言をしていたということを伝えたと御答弁されていました。総理は、その複数回過去話したことを認知した上で、続投せよ、辞める必要はないと言ったということなんですか。

葉梨国務大臣 本日は、徹底的な説明責任を果たすようにという指示です。

寺田(学)委員 私が聞いているのは、岸田総理が、今日、説明責任をせよという話をされたというのは今答弁されましたけれども、複数回過去にもあったということを大臣自ら今日総理にお伝えしたと言ったんです、さっき答弁で。それを知った上で、そう言っているんですよねということです。

 岸田総理は、複数回、九日のみならず過去何度も同じような発言をしたということを分かった上で、説明責任を果たして続投せよと言ったということでよろしいですか。徹底的な説明責任するんでしょう。その部分を答えてください。

葉梨国務大臣 総理には、前にも複数回そういう発言をしたということを御報告した上で、徹底的な説明責任を果たすようにというようなお話があったということです。

寺田(学)委員 ということは、岸田総理は、複数回過去にも話していると。大きい話だと思っているんですよ。私は、たまたま軽率にしゃべったということでも大きな問題だと思うんですが、それが常習的に話されていたということは、大臣の中の核心部分ですから、うっかり話したという話じゃなくて、分かって故意に話し続けたということですよ。全然違いますよ。それを分かった上で、岸田総理は続投をするという判断をされて、説明責任を果たせと言われた。よろしいですよね。

葉梨国務大臣 もとより、私の身分に関することは総理の判断ということになりますけれども、私にできることは、徹底的な説明責任を果たしていくということだと思います。

寺田(学)委員 岸田総理は知っているんですよね、複数回しゃべっているにもかかわらず、複数回大臣自身が過去にも話しているのにもかかわらず、それを知った上で続投を指示したということでよろしいんですよねと言っているんです。

葉梨国務大臣 私自身が続投を指示されたということはないんです。だけれども……(寺田(学)委員「辞めろと言われていないと」と呼ぶ)それもないんです。

 ただ、今朝、しっかりと、複数回そういうことがありますよということは総理にも申し上げました。先ほど、参議院の本会議で岸田総理の答弁がありまして、総理の答弁からは、職責を全うするようにというような答弁がありました。これが事実関係です。

寺田(学)委員 先ほど議論にもなりましたけれども、複数回しゃべっている中で、自民党議員さんは絶対聞いているはずなんですよね。岸田派のパーティーか安倍派の議員のパーティーだと聞いていますけれども、この中にいるんですかね、聞いている人。私は、自浄作用が働いていないということも非常に問題だと思いますよ。それぐらいやはり大きい問題だと思っています。

 それで、この軽薄な発言自体の意図を聞きたいんです。うっかり言ったわけじゃないんですよ、確信的に何回も言っているわけですから。私が聞きたいのは、大臣自身が何度もこの軽率な発言を繰り返した理由を聞きたいんです。その発言自体、発言し続けたことが軽薄だった、軽率だったという評価を聞きたいんじゃないんです。何で何回も同じ話をしたんですか。その理由を教えてください。

葉梨国務大臣 法務大臣ですということを申し上げるところで、実際、なかなかマスコミに出る機会は少ないけれども、大事な仕事をさせていただいています、法務大臣ですと。今は、統一教会、旧統一教会の問題でも一生懸命やらせていただいています、そういう趣旨で申し上げたんです。

 例示は非常に……(寺田(学)委員「何度も繰り返した理由を聞いているんです」と呼ぶ)まさに今、旧統一教会の問題が非常にクローズアップされていますので、今まではマスコミに登場する機会はそれほど多くなかった法務大臣だけれども、今は旧統一教会の問題に一生懸命取り組んで、信頼の回復に努めている、そういうことを申し上げるということで何回も申し上げたということなんですが、例示は極めて軽率で、本当に、私の至らなさだと思います。

寺田(学)委員 指摘されるまで無自覚だったということだと思いますよ、これがいかにひどい発言だったのかということを。

 それで、今、反省されているんだと思いますけれども、それでもあなたは、これから、職務として、いわゆる死刑の判こを押すんですか。

葉梨国務大臣 法に定められた職責ですから、慎重かつ厳正に判断をしていくことになると思います。

 死刑の判断については、私、今までも決裁に関与した経験もございますので、さすがにそんなことを言うようなものではないんですけれども、例示として、今回、マスコミになかなか出ないということの例示としては、極めて私は至らないものだったというふうに思います。

寺田(学)委員 今この場でいろいろ聞くのもちょっとはばかられるような状況がいろいろありますけれども、私は、なぜこのまま大臣を続けようとされているのか分からないんです。

 端的に聞きますけれども、何で続けるんですか。

葉梨国務大臣 大臣の立場でやはり説明責任を果たす、そういうことでございます。

寺田(学)委員 先ほどから、不愉快な思いをさせたとかいうような発言をされていますけれども、私は、そもそもとして、大臣としての適格性を問う声が上がっているんだと思います。今回は、野党のみならず与党からも上がっていますし、本来であれば守るべき同じ派閥の方々からも上がっている。

 この問題に関しては、この現象というか、与野党対立がある中においても、やはり、死刑ということの重大さ、そしてまた法務行政の持つ重さに対する認識、ある種国会議員としての矜持として、与野党の壁を越えてそういう声が上がっているんだと思いますよ。

 私は、それでも法務大臣にとどまるという判断を御自身でされているということ自身、理解できないんですけれども。

 それでも、その発言自体の趣旨が、本当は、法務行政の重さを、重要さを伝えるために本心としては伝えたんだ、ただ、表現の仕方がそういう形でふさわしくなかったという話をされているんですけれども、私自身、本当にそのように大臣が思っているとすれば、大臣が取れる唯一の方法は、あの発言の重大さを鑑み、そして、法務行政の重さ、死刑というものの重さということを守り続けるために、大臣を辞めることだと思うんですよ。

 私は、どう勘違いされているのか、それとも御自身としてのプライドがあるのか分かりませんけれども、大臣の座にこのままとどまることによって、その一方で、あんな発言を確信的にしていても大臣として務め続けるんだという前提が、あなたの意図している部分と反対に、死刑の重さであったり法務行政というものの重さを瞬く間に地に落としていっていると思います。

 私、法務委員会の理事としていますし、法務委員会の持つ意味、法務行政の持つ重さを理解する一人として、本当に耐えられないですよ。

 もう一回繰り返しますけれども、本心で大臣自身が、法務行政の重さ、重要さをしっかりと国民に伝えたいんだ、その気持ちを貫徹する、それを守るんであれば、大臣、辞めるしかないですよ。辞めて示すしかないです。辞めて守るしかないんですよ。大臣、どうですか。

葉梨国務大臣 私自身の任免はもう総理にお預けをしておりますが、私自身は、しっかりとそこのところは説明をしながら、またさらには、法務行政の本当に真の重要性というのはしっかり説明を尽くしていきたいと思っています。

寺田(学)委員 どのような判断がなされるのか、いろいろあると思いますが、御自身で引くことと実質的に辞めさせられることでは、大きな意味、違いますよ。大臣として本当に、この法務委員会、そして法務省、その所管することの大きさを分かっていれば、それを守るためにお辞めになるべきだと思います。正直、このまま質疑を続けていること自体が何ともむなしいんですけれども。

 撤回されていない中においてもいろいろな発言、ありました。統一教会に抱きつかれるという、問題に抱きつかれるという言い方をしていました。この抱きつかれるという表現の、その趣旨は何なんでしょうか。

葉梨国務大臣 同様の趣旨の発言をした他の場では、被害者救済に一生懸命やっているというような表現だったかと思うんですが、その場でも、統一教会にということではなくて統一教会の問題に、抱きつかれるというのは、対応するとか、それを言い直しまして、やはりしっかり被害者の救済という形で言い直したわけですけれども、そこのところも、やはり表現としては極めてちょっと不正確でございます。

 ですから、対応する、しっかりと対応するという意味で申し上げたんですが、極めて不正確だということなので、謝罪して撤回をさせていただいたわけです。

寺田(学)委員 対応するという意味で抱きつかれたと言っていると。対応するという意味で、趣旨として、抱きつかれるという表現をしたと。何で対応すると言わないんですか。抱きつかれるという言い方をする趣旨があったからでしょう。それは何ですかと聞いているんです。

葉梨国務大臣 あの場のスピーチというのは原稿等々があるわけでもございませんので、たまたまそういう言葉を使ってしまったということで、極めて不正確であるというふうに思います。

寺田(学)委員 今、この抱きつかれるという言葉に対して、説明の上で、たまたまと言いましたよ、一般的な意味で。ああいう場で話すときにはそういう感じでたまたま話すときがあると。たまたまの中で死刑を持ち出したんですよ、あなた、何回も。今、聞いていて結構びっくりしましたよ。真摯に反省していないじゃないですか。たまたまなんて言えないですよ、そんな。どういうつもりで言っているんですかね。正直、今、答弁を聞きながら、びっくりしましたよ。

 答弁しますか。

葉梨国務大臣 全く言い訳するつもりもございませんが、たまたまというのを使ったのは、抱きつかれるという表現についてでございます。極めて誤解を呼ぶ用語を使ってしまった。

 死刑については、これはたまたまではございません。例示として挙げたことが極めて軽率だったというふうに思っています。

寺田(学)委員 死刑の方は、たまたまじゃなくて何だったんですか。

葉梨国務大臣 死刑という例示を挙げたのは、東京ではたしか四回だったと思いますが、地元でも複数回、インフォーマルな会合では同様の趣旨の発言はしております。

寺田(学)委員 なぜそのように何回も繰り返したのかということをさっきから聞いているんですけれども。なぜそんなに何回も、同じように死刑を例に出して話したんですか。何でやめようとしなかったんですか。何で何回も続けたんですか。

葉梨国務大臣 そこがまさに私の至らなさだと思います。その言葉が、受け取る印象について、それぞれの出席者の方々に、しっかりフォローをしながら、確認をしなければいけなかった。それをしないままにそういう用語をある一定の期間使っていたということは、私の至らなさであるというふうに思います。

寺田(学)委員 これ、大臣、記事で指摘されるまで、それ自体が大きな問題をはらむ発言だったということに気づいていなかったということでいいんですかね。

葉梨国務大臣 その印象をしっかりと他の出席者にも聞かなければいけませんでした。私自身がああいう発言をしたということについて、人に聞かないでずっと、ずっとではないんですけれども、一定期間使っていたということは、本当にこれは申し訳ないことだというふうに思います。

寺田(学)委員 いや、より確信しますよ。

 人に聞いていないことが問題だったと思っていないですよ。そもそも、言う前にそれが問題だと思っているものですよ、特に法務大臣は。あなたが日本で唯一、合法的に人を死に至らしめるんですよ。その人間が、死刑についてああいう軽率な発言を繰り返していたことを、人に聞いていなくて分からなかったと言っているんですか。もうおよそこの職にとどまる立場にないですよ。

 本当にお願いですから、このままじゃ法務行政は本当に軽く見られますよ。あんな発言をして、かつ、それ自体、人に聞くまで分からなかったし、人に聞かなかったことが反省点だなんと言っている法務大臣が、今後、人の人生を左右したり、国籍を与えたり奪ったり、そしてその命を奪うことだってあるわけですから、そういう座にとどまるべきではないと思います。そのことだけ最後に申し添えて、終わります。

伊藤委員長 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 まずは、急遽この衆議院法務委員会が開かれることになり、対応に当たった関係省庁の皆様、委員部の皆様、大変だったと思います。御対応、本当にありがとうございました。

 今週は、この法務委員会で民法改正案の質疑があり、採決を採りました。伊藤委員長の下、与野党委員、関係省庁が様々な意見、疑問点を出し、議論を深め、附帯決議つきで全会一致というところまでやってまいりました。

 十月二十六日の所信に対する質疑で、私は、経験豊富な大臣と、法務委員会を通じ、我が国の屋台骨を支える法務行政について議論させていただけることは大変貴重なものです、この機会を国民の皆様にとって有意義なものにできるよう、前向きに議論を尽くしていきたい、このように発言をさせていただきました。

 本日、これから質疑をさせていただきますが、大臣、今日の議論は国民の皆様にとって有意義な議論になるんでしょうか。私に対する答弁で、大臣は、職員の士気高揚等に努めていかなければならない、こうおっしゃいました。士気を下げているのではないのでしょうか。

 大臣は今回の発言について謝罪と撤回をなさいましたが、立場をもって改めて見れば、どう読み取っても問題があると言わざるを得ないと気づかれたからだと思います。法務大臣という重い職責を軽んじているとは思いたくもありませんが、そのような印象を多くの国民の皆様に与えてしまったのは紛れもない事実ではないでしょうか。

 本日、各党の委員の声を午前から聞かせていただいた上でこの場所に立たせていただいておりますが、大臣が所属する自民党を含めて、大変に残念だという声だけにとどまらず、辞職をすべきだ、そして、やはり、その職責について本当に真意を問うているのは、私は、先ほどの立憲民主党の答弁が、まさに法務大臣としてあるべき、その真意のところにあるのではないのかと強く感じた次第でございます。

 私は当選一年と少しの新人であり、大臣は十六年国会議員をなさるベテランです。人生経験という面でも、私は四十三歳、大臣は六十三歳、大先輩です。そんな方に人間性や職務の責任を問いただすなんということをこの委員会でやらなければならなくなったこと自体が本当に残念で仕方ありませんが、本日は、一国会議員として、国民の皆様の声を背負って質疑をさせていただきます。伊藤委員長、関係省庁の皆様、本日もよろしくお願いいたします。

 まず冒頭に伺いたいのですが、大臣の発言を知った十八歳の地元の後輩から、こんな言い方をするなら辞めたらいいじゃんと一番最初にLINEが来ました。

 葉梨大臣は、警察庁のキャリアから始まり、第二次、第三次安倍内閣で法務副大臣をされ、また、二〇一六年には法務委員長も歴任されていらっしゃいます。まさに法務畑を知り尽くした上での、総理から法務大臣を任命された。私からすれば、まさに職責の重さと意味を知った上で望んだキャリアをつかんだ方、そのようなイメージでしたが、本音は聞いたことがございませんでした。

 総理より法務大臣の任命があったときに、正直、どのように感じましたか。

葉梨国務大臣 まず、冒頭、私の至らなさ、軽率な言動について本当におわびを申し上げます。

 法務大臣の任命が総理からありました。今まで法務行政に携わってきた、あるいは法務委員会に携わってきた経験から、具体的に、実は、今かかっている法案だけではなくて、温めている政策というのもございます。そういったものを実現すべくやっていきたいなというふうなことを思った次第です。

 自分がそういうことを思っていながら、私自身のこの軽率な発言によって、そういった政策がなかなか遂行するのに、障害ですよね、障害になっちゃうというのは本当に不本意で、私も心から反省をしなければいけないというふうに思います。

沢田委員 まさに大臣の今の言葉から、私も本当に大臣自身のじくじたる思いも痛感しながら、一国会議員として、一国民として、やはり本当に、問題意識を持った大臣に続けていっていただく中でも、どうやってこの法務大臣という職責を担っていただけるということを、快く前に進めていける環境があれば、これは本当にすばらしいことだというふうに思っております。

 だからこそ、今回のようなことが、今の大臣のまさにその言葉の中から出た部分は、私は、一人間として、まさにそういった方に大臣をやっていただきたいという思いはあります。けれども、それを、まさに世論であり多くの方々がどのように思うかというのはまた別の視点になりますので、今言ったことを大臣としても是非また胸に置いていただければと思います。

 続きまして、昨日の参議院法務委員会において法案質疑が行われましたが、決して少なくない質疑時間が葉梨大臣の御発言をただすことに使われました。さらには、衆議院本会議での民法改正法案の処理を見合わせることとなり、参議院における今後の審議日程にも多大な影響を及ぼすことは既に明らかです。

 国会運営は一日約三億円かかると言われておりますが、昨今の物価高の中、国民負担率四八%という大変大きな負担を国民の皆様にお願いしている中、貴重な税金の無駄遣いになっていますことも知っていただきたいです。

 また、臨時国会の大変タイトな審議日程の中で、与野党の国対委員長主導の下、円滑な法案審議に向けての努力がなされてきましたが、今回の問題によって結果的にそれが覆されることにもなってしまいました。

 御自身の発言によって、結果的に国会審議が停滞してしまった責任についてどう考えたか、教えてください。

葉梨国務大臣 おわび、撤回を申し上げた私の発言、これは、国民の代表者である国会議員の皆様、さらには背景にいる国民の皆様におわびを申し上げたわけなんですけれども、私自身の発言によって国会日程自身に大きな影響を与えてしまったということは、これは与野党の国会の皆様もそうですし、また、民法の議了、衆議院の議了を心待ちにしていた、徹夜で働いていた民事局の職員にも申し訳なく思いますし、本当に、私自身の身から出たさびということで、これについても極めて本当に至らなさであるということを反省して、これは国民に対する、発言についてのおわびというよりも、国会日程に支障を来してしまったということについてもしっかりおわびを申し上げて、また反省したいと思います。

沢田委員 葉梨大臣は所信において、法務行政を我が国の屋台骨を支える行政と表現されました。私は、今回初めて法務委員会に所属いたしましたが、そうした重要な分野に携わる一員となったことを誇らしく思い、また身の引き締まる思いで大臣の所信を聞いておりました。

 国民の人権を守り法秩序を維持するという法務行政は、まさにこの国の根幹であり、国民の信頼なしに成り立たないことは言うまでもありません。

 今回の一連の御発言は、こうした国民の法務行政への信頼を揺るがすものであると思いますが、そのことについて御見解をお願いします。

葉梨国務大臣 先般の私の所信も、私自ら筆を執りながら作り上げたものでございます。そして、積極的に法務行政を進めていかなければいけない。

 そういう中で、私の非常に不注意、軽率な発言があったわけですけれども、総理からの指示もありましたとおり、この私の発言についての説明だけではなくて、法務行政について、その重要性を徹底的に説明をしていくということ、これが私に今課せられたことだろうというふうに思っています。

沢田委員 今国会では、旧統一教会と政治の関係なども取り沙汰されておりますが、政治への不信感はもう何年も国民の中で渦巻いています。

 そこへ来て、大臣は会合で、旧統一教会の問題に抱きつかれてしまいましてと。先ほど寺田委員の方からも質問がありましたが、今回の統一教会の問題についてだけ言えば、一番最初にこの問題が大きく世の中に出たのは、まさに自民党の安倍元総理が凶弾に倒れるということからのスタートだと思います。

 私は、安倍総理はすばらしい総理大臣だったというふうに考えておる一人であります。そういった自分の先人でもあり先輩でもあり、そういった方が命をなくしたこの事件について、私は、言葉は間違っているかもしれませんが、茶化しているようにも感じてしまう発言だとも思ってしまいました。そして、そう感じている人も、先ほどの寺田委員の質疑のように、大変多くいるように感じます。私は少しそこの感覚が分からない。

 自分の身内が凶弾に倒れたあの事件をきっかけに、この統一教会という問題は、国をもって、自民党、公明党だけでなく、維新も立憲民主党も国民民主党も含めて、全ての政党が問題解決のために動いていかなければいけないというところにおいては一致していることだと思います。

 そして、その問題意識の中心に、やはり自民党のつき合いの在り方というものがあったのではないのかということも取り沙汰され、それがまだまだ連日のように報道が続き、そして、それは当然、岸田内閣の支持率にまで影響している。葉梨法務大臣は、その岸田内閣の、派閥の一員でもあり、総理を支える、そういう一員でもあると思います。

 そういった全てのことを鑑みても、この統一教会の問題をこのように発言してしまったというのは、大変大きな誤解と、人間性を疑ってしまうというところは私は出てくると思います。

 そういった意味でも、言葉を撤回、発言されたということだとは思うんですが、その言葉自体にやはり間違ったものはあったという認識で撤回ということでよろしいでしょうか。

葉梨国務大臣 死刑については、最前来、例示として極めて軽率で不適当である。

 そして、統一教会については、被害者の救済、これをしっかりやっていくという、これは私はいいと思うんですけれども、その問題に対応するということを抱きつかれたというような表現をしたということは、これは不正確でもあるし、また不穏当でもあろうかと思いますので、謝罪をして撤回をさせていただいたということです。

沢田委員 やはり、そういった発言が、法務行政だけでなく、政府全体、国の在り方すら左右しかねない重大な問題につながっているという意識を持たれていると思いますので、是非そういったことも考えていただければと思います。

 葉梨大臣は、所信の中で、職員の使命感の涵養と風通しのいい職場環境の整備に全身全霊で取り組む所存であると表明されました。

 例えば人権擁護に関わる職員の皆さんは、大臣の今回の御発言を聞いてどう思われたでしょうか。例えば職場環境の改善に取り組む管理職の皆さんはいかがでしょうか。多岐にわたる法務行政の第一線で活躍されております五万人以上の職員のことを本当に思うのであれば、一つ一つの発信にもっと想像力を持つことができたのではないのかというふうに感じております。法務大臣という職責の重さ、言葉の影響力を理解できなかったのではないか、そういうふうに思ってしまう部分もございます。

 今後も職責を全うされるとのことであれば、この五万人を超える職員の皆様の信頼を取り戻すことも急務であると思いますが、そうしたことは可能と考えていらっしゃいますか。そして、先ほど鎌田委員からもありましたが、死刑執行に関わる方々は大変多くいらっしゃいます。こういった方々に対して、直接謝罪や理解を得るということを具体的にやるという考えもおありでしょうか。教えてください。

葉梨国務大臣 今回のこと、職員の士気を損ねる面があると思います。非常に私も、ですから、反省をするという中にそういったことも入っております。

 職員に、いろいろなところを現場に行きながら、いろいろな説明をずっとしたり、あるいは、皆さんの仕事というのはこうだということはいろいろと話しておるんですが、私が仕事を続ける以上は、職員に対しても、私の思いを直接発信するような、そういった工夫をしなければいけないというふうに思っています。

沢田委員 しっかりと、私も、鎌田委員ほど死刑の現場について詳しくなかったので、正直、先ほど委員が涙を流しながらああいった御意見を言われたということは、私自身、横に座らせてもらう立場で、本当に、現場を知るそういった声について、やはりいま一度大臣の胸に入れていただければというふうに思います。

 先ほども述べたとおり、本日の法務委員会は、想定外の事態で、急遽開催されることとなりました。委員会が立つことが決まったのは、昨日の夕方になってからです。委員会を中継などで御覧になっている国民の皆様に説明しますと、我が党は、委員会での質問内容の通告は、委員会二日前の夕方十七時までに行うことになっております。理由は、やはり、関係省庁の皆様が大変お忙しい中、我々議員の側が、少しでも早く、そして少しでもそういった中でお仕事を楽にしていただくということを考えていかなければいけないという問題意識からです。それでも、委員会が立て続けに行われている場合には、関係省庁の職員の皆様は忙殺されてしまうのが国会の今の現状だというふうに感じております。

 昨日の夕方以降に、急遽こうした突然の委員会開会や質問への対応に追われることになった関係省庁や委員会関係の職員について、今どのように思われているのか、お聞かせください。

葉梨国務大臣 本当に、私の身から出たさびで、申し訳なく思っています。

 関係省庁の職員にも本当に申し訳なく、また委員部にも申し訳なく、調査室にも申し訳なく、そして、答弁、実際、準備するまでもなく、私自身が私の言葉で今日は答えなければいけないですが、想定問答も、作ってくれた法務省の職員、本当に申し訳ないねということを言いながらその答弁資料を見させていただいて、何とか私を支えようとしてくれている方々がいるということに、本当に涙が出る思いです。本当に、私の身から出たさびです。申し訳なく存じます。

沢田委員 つけ加えさせていただきますが、一番許せないと感じている立憲民主党の寺田野党筆頭は、先日の理事会後に、役所の皆さんがここから大変な状況になるという御配慮を、我々野党のメンバーに声がけをされていました。そういったことは、私、本当にすばらしい野党筆頭だなというふうに感じたのもお伝えさせていただきます。

 今後は、大臣も所信で表明したように、現場を回り、職員の声を聞き、失いそうな信頼なのか失った信頼なのかは私は今現状では分かりかねますが、しっかり挽回をして、信頼の置ける法務行政をお願いしたいというふうに思っております。

 ほかの委員や昨日の参議院法務委員会でも既に何度も御指摘がありましたが、今回の御発言の中でも、法務大臣の仕事の中でも最も重大な、人命に関わる死刑執行について、非常に軽いというふうに感じられるような発言がなされていたということは非常に残念に思います。

 そこで、大臣にお伺いします。

 現在収監されている死刑囚の人数、把握されていますでしょうか。

葉梨国務大臣 百六名と聞いています。

沢田委員 百六名もいらっしゃるんだなということを本当に強く感じます。大臣が今述べられた百六名という人数は、大臣の署名によって死刑が執行される可能性のある人たちの数です。いろいろな問題でその現場に今いるとしても、その一人一人の方に人生があり、命があり、家族があります。

 昨日の参議院法務委員会でも、日本維新の会の梅村議員が大臣に対し、人の命に関係する軽率な発言は、所信で人権の重要性を強調していた大臣から出たのは非常に残念、このように問いました。私も同じ思いです。非常に残念です。

 我が党の馬場伸幸代表も、茶化すような発言は言語道断だとコメントしているように、やはり、軽い言葉、茶化している発言にしか聞こえていないというような現状だけが残りました。

 法務大臣という重い重い職責を担われる葉梨大臣の気持ち全てを私ごとき理解することはまだできません。ですが、百六人という数字だけでない、その奥にある意味をいま一度考えていただきたいと思います。

 さらに、大臣はこのような発言もなさっていました。外務省と法務省は票とお金に縁がありません。この発言を法務大臣のお立場でおっしゃるのは極めて残念です。

 大臣の本意として、武井俊輔議員という方を物心両面で支えてほしいというお願いの比喩に使ったということなんだと、私も政治家としては感じます。ただ、それにしても、今冷静にいろいろな委員の質疑を聞いて、また、ニュースを見て、テレビを見て、そして私自身も同じように立場を考えてみれば、正直、あの言葉は余りにも理解に苦しむ発言だった。また、周りにいらっしゃった方々がそれを笑っていたという現状も、知れば知るほど、やはりそういった部分をしっかり我々は律してやっていかなければいけないというふうに感じております。

 外務省と法務省はとおっしゃっているので、これは誰が聞いても、じゃ、ほかの省庁はお金もうかるの、お金が集まるの、こういうふうにも疑ってしまう、そういうような発言とも捉えられます。

 先ほど米山委員からもありましたが、立場がお金に御縁となれば、収賄や癒着などを許容しているとすら感じられてもしようがないと思います。

 我々政治の世界は、もう釈迦に説法になりますが、本音と建前という部分が強くあり、多様な価値観、思想、信条の中、確立した正しさなど、私はないというふうに考えております。

 ただ、国民の皆様の命や暮らしを預かる我々の本分は、どんな国会議員でも同じでなければなりません。死刑の判こなどといった命を軽視すると誤解される発言は、いま一度、この場をもって猛省いただき、襟を正していただけるようお願い申し上げます。

 最後になりますが、私は、伺いたいことは全て伺いました。そして、ほかの委員からのいろいろな指摘も、私自身、大変勉強になり、そしてまた、新しい切り口、そして大臣のいろいろなにじみ出る思い、これは私自身、痛感しております。

 この委員会を見た、報道を見た国民の皆様がどのような世論形成をなさるかは、私には計り知れません。ただ、現状、大臣自身が辞職を考えていないというのであれば、御自身の発言のせいで停滞した国会を前に進めるために御尽力されることこそが、私はやっていかなければいけないことだというふうに感じております。

 本日、前向きな答弁を求めるのは今日の趣旨とは反するかもしれませんが、今、現時点、大臣がこのまま大臣職を続けるというのであれば、私は、大臣から力強い一言もいただきたいというふうに思います。

 御自身が法務大臣というものを任命を受け、そして大臣自身、やれること、そして大臣自身、見える世界、そういったものの中でどう動かれるのかということを含めて、最後に大臣の力強い言葉をいただくことはできないでしょうか。お願いします。

葉梨国務大臣 この場面で力強くというのもなかなか難しいところはあるんですが、まず、この間通していただいた民法、これは、いろいろな質疑の中でもございましたが、極めて重要な法律です。ですから、これが例えば私のせいで止まってしまうというようなことは、本当に何とか避けたいし、そういった意味で、私自身もいろいろなところを説得もしていかなければいけないというふうに思っています。

 そして、その上で、先ほどいろいろなやりたいことがあるということを申し上げましたが、そういったことも、しっかり議論ができる環境を早くつくっていくことができるように、私も、しっかり真摯に猛省をしながら、今日のいろいろな質疑の意見、しっかり受け止めて仕事をしていかなければならないというふうに思います。

沢田委員 時間まで、三十分をいただいたんですけれども、私の方は以上で質疑とさせていただきます。大臣、丁寧に御説明、本当にありがとうございました。そして、関係省庁の皆様、本日の御準備、本当にお疲れさまでした。

 ありがとうございます。

伊藤委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 大臣とは何回も質疑に立ったんですけれども、本当に今日の委員会は悲しいしむなしいなというふうに思う一人であります。

 私は、小さい頃、祖父に、もう他界していますけれども、おまえ、よく覚えておけ、判こを押すというのはどういうことなのかよく覚えておけというふうに私は言い聞かされました。通常の三文判は、どっちが、鈴木という名前が上かというのが、みんなポンチマークか切り込みがあります。でも、実印は、切り込みも、ポンチがないんです、基本は。その判こを上下左右確認して判こを押せ、なぜそれをやらせるのか。この判こをついて、連帯保証人であったり、大きな高額な契約をするときに判こを押せば、それが取り返しのつかないことになるから、私はそう教わって今日まで来ました。会社の実印もそうです。契約印もそう。判こというのは、そんなに生易しいことじゃないんだと思います。

 過去にも、何人もの法務大臣が失言によって罷免や辞任に追い込まれる事例が後を絶ちませんでした。特にこの法務大臣、リップサービスであっても、それを聞いている側の感性で、不快や許せないといった感情を抱かせてしまうんです。大臣の発言で、いろいろ言い訳を言ったり、答弁が二転三転するようなことが過去にもあったように聞いています。

 今回、法務大臣は、法を施行したり、許認可を与えたりする権限があります。大臣は、大体、法相というのは、朝、死刑の判こを押して、それで昼のニュースのトップになるという趣旨の発言をされたと報道されて、今日の委員会になったんだと思います。

 死刑執行という重い重責を担う法務大臣として、職責を今後も全うし得るのか、それをまず先にお尋ねしたいと思います。

葉梨国務大臣 まず冒頭、おわび、私の至らなさ、反省申し上げた上で、私の職務、任免、これは総理の任免事項でございます。

 今日も、いろいろな御指摘、与党だけではなくて野党の皆さんから、また、これから、次の質疑に立たれる共産党さんもいらっしゃいます。いろいろな御指摘がありました。それぞれの御指摘、しっかり重く受け止めながら仕事をしていかなければいけないというふうに思います。

鈴木(義)委員 例えば、ロシアのプーチン大統領も、表面的にはロシアの民主主義の制度にのっとって大統領に選出されているんだそうです。しかし、他国民や自国民を殺しても、その行動が今でも止まらない。権力者です。

 今の民主主義の仕組みでは、選挙で勝ち、トップを取ってしまうと、世界やこれまでの人類の歴史から見れば奇行と思える行動や、大半の人が間違っていると批判されるような判断がなされても、それを正す仕組みがありません。だから、資質に欠く行動を慎まなければ、権力を行使する、常に心の中に入れて職務を遂行しなければならないと考えます。また、権力者は常に孤独だと思います。だから、何よりも忍耐力が必要と考えるんですが、大臣の今の率直なお気持ちをお聞かせください。

葉梨国務大臣 法務大臣が私は権力者であるとは思っていないんですけれども、権力の行使ということについては、私も、議員になる前は警察におりまして、権力の行使を行いました。今は、法務省も実際に権力を行使する役所です。だからこそ、私の発言、極めて軽率だったわけですが。

 つまり、人の一生、命あるいは人の一生、これを左右することになるのが権力で、その行使というのは人の一生に大きな影響を与えることになります。だからこそ、私自身は、実はいろいろなところでも申し上げているんですが、権力の行使に当たってはやはり謙抑的でなければならないということを、実は私の信条としていろいろなところで申し上げさせていただいておるんです。

 だからこそ、今回の発言、極めて軽率で、ああいう発言が口の端から出たということは、本当に私の、そう思って、それを信念としているにもかかわらず、そういう口の端から出たということは、私の至らなさだというふうに率直に反省をしています。

鈴木(義)委員 役所の方が来られているので。

 世界の中で死刑制度が存在する国はそんなに多くないんですね。日本や米国の一部の州と聞きます。

 現代ではDNA検査などの捜査技術が大きく発展しているにもかかわらず、依然として冤罪となる事件が多く存在すると言われています。冤罪の原因として、捜査当時のDNAの鑑定方式に欠陥がある可能性があったのではないか、現在の鑑定技術と比べると、検査方法が非常に大ざっぱで欠陥があるとされており、証拠と採用されるには疑問があるという声が元々あったように聞いています。また、そもそも本当にしっかりとした鑑定が行われていたのかどうか、これも疑問視されているところがある。

 それで、今、前任の方が、百六人の死刑囚が今いらっしゃると。そこで、現在のDNA鑑定の精度がちゃんと高まっているのかどうかですね。じゃ、過去の、死刑囚だという判決を下した人に、もう一度、当時のDNA鑑定と今のDNA鑑定では雲泥の差だと思うんですね、それを積極的に改善するような考えはあるのか、お尋ねしたいと思います。

川原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のDNA型鑑定でございます。

 これにつきましては、委員御指摘のように、従前からいろいろな検査方法がございまして、主に警察当局において行っているものでございますが、これにつきましては、鑑定の精度が上がるようにいろいろと工夫をされているところでございます。

 現在警察で行われているDNA型鑑定は、主に、STR型検査法と呼ばれるものでございまして、STRと呼ばれる特徴的な塩基配列の繰り返し回数に個人差があることを利用し、個人を識別する検査法であるものと承知しております。

 DNA型鑑定の精度に関しまして、過去に採用されていたSTR検査法では、日本人で最も出現しやすいDNA型鑑定の組合せであっても、出現頻度は約四兆七千億人に一人とされておりましたが、その後に採用されて現在用いられておりますSTR検査法におきましては、日本人で最も出現しやすいDNA型鑑定の組合せであっても、出現頻度は五百六十五京人に一人であるとされているものでございまして、時代とともにその精度は上がっているところでございます。

鈴木(義)委員 局長、そういうことを聞いているんじゃなくて、今の精度はどんどん上がっているんだけれども、十年前、二十年前、三十年前にDNA鑑定で有罪が確定した、その精度のことを言っているんです。だから、今の技術でもう一回それは鑑定し直した方がより事実に近づくんじゃないかという考え方です。

 それと、冤罪が生まれる理由には、自白の強要がされてきたためと言われています。検察がストーリーをつくった調書に、被疑者に判こを押させるようなことがあったとも言われています。現在の検察の取調べの状況は改善されたのか、お尋ねしたいと思います。

川原政府参考人 お答えいたします。

 取調べが適正に行われなければならないということは当然のことでございまして、検察の精神及び基本姿勢を示すものに「検察の理念」というものがございますが、この中におきましても、「取調べにおいては、供述の任意性の確保その他必要な配慮をして、真実の供述が得られるよう努める。」とされているところでございます。

 その上で、取調べの適正を確保するための具体的な取組について申し上げますと、検察当局におきましては、取調べの全過程を録音、録画することを含め、積極的に録音、録画を実施しており、取調べの適正確保にこれは資するものと考えております。

 また、最高検察庁におきましては、取調べの適正を確保するための通達等を発出しておりまして、例えば、取調べに当たっては深夜又は長時間にわたり取調べを行うことを避けるべきこととされているほか、取調べに対する不満等に対して適切に対応すべきこと、被疑者と弁護人等の間の接見に対してより一層の配慮を行うべきこととされているところでございます。

 検察当局におきましては、事件処理に当たり、信用性のある供述の確保とその裏づけ捜査の徹底、証拠物やその鑑定等の客観的な証拠の十分な収集及び検討等に一層の意を用い、適正な捜査処理に努めているものと承知しております。

鈴木(義)委員 これも、今はそういう対応をされていると思うんですけれども、三十年前、四十年前よりもっと古いときの事件のときにどうやっていたかというのをもう一回やはり検証するべきだと思うんです。

 この自白を重要視する裁判所の判断があるから冤罪が生まれることが、可能性が高まるというふうに聞くんですね。裁判所は自白に重きを置いた判決を下していないのか、現状を説明いただきたいと思います。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 被告人の自白の点も含めまして、各証拠の評価をどのように行うかにつきましては、各裁判体において個別具体的な事情を踏まえて判断すべき事項でございまして、今いただいた御質問につきましては、事務当局としてお答えをすることは差し控えさせていただきます。

鈴木(義)委員 今の答弁のとおり、結局、国民は全然分からないんです。だから、冤罪が生まれちゃうんじゃないかと思うんですね。

 じゃ、死刑囚というふうに言われて、今日の判この話になるんですけれども、本当にこの人、誰が見てもこの人は殺人犯だなというんだったらそれはそれでいいと思うんですけれども、過去の何十年も前の裁判の結果によって死刑囚になった人を、本当に自信を持って、確証を持って判こを押せるのかということなんです。それを面白おかしくやはり取り上げるというのは、人権じゅうりんというよりも、ちょっと私は違うんじゃないかなというふうに思います。

 人が介する以上、捜査も裁判も必ずしも完璧にはならない。冤罪はあってはなりませんが、判決が確定しても、冤罪という可能性がゼロではありません。無辜の者を決して罰してはならないという言葉があります。死刑執行の判こを押すには、その重みが必要です。その重みをしっかり認識して職責を全うすべきであると私も考えます。それが大臣に、再度の質問になりますが、これから遂行できるのか、覚悟をお伺いしたいと思います。

葉梨国務大臣 もとより、死刑の決裁への関与、これは、大臣も一番悩むところですけれども、関与しました副大臣の時代も、大変悩みながら関与をさせていただきました。その記録についても、先ほど鎌田委員からの御質疑もありましたけれども、私自身も、全部の資料ではないんですが、一部、それでも相当分厚い資料を精査しながら関与をさせていただいた覚えがあります。

 個々の事案、これが誤判ということは絶対にあってはならないということなので、関係記録の精査、刑の執行停止、再審事由の有無などを本当に慎重に検討いたします。また、保秘、秘密の保持、この徹底というのも、これもしっかりやっていかなければなりません。各段階の、決裁に関与する者全てがそういう覚悟で臨まなければいけない、非常に重い事案であります。

 だからこそ、私がああいう例示を挙げたということは、極めて私の至らぬところであり、しっかり反省をしなければいけない、そういうふうに思っています。しっかりした覚悟が必要だと思います。

鈴木(義)委員 私も、県会議員にお世話になってから、途中、落選をしたんですけれども、二十四年目を迎えているんですが、政治家を志したときに、やはり常に考えていなくちゃいけないことは、自分の出処進退、政治家が一番重い決断をするのは出処進退だと思っています。そこのところをどう考えるか。辞めろとか辞めないとか、そういう問題じゃない。自分の胸に手を当てて、自分の行ってきたことがどうなのか、御自分で判断して決断をするしか私はないんじゃないかというふうに思っております。

 以上で終わります。

伊藤委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 今日、こうした質問をしなければいけないことを大変悔しく思っております。

 法務大臣の人権と命を軽視した発言を絶対に許すことはできないというふうに考えております。法務大臣は、とりわけ命や人権を深く学び、そして熟考をした人物になってほしい。それは、これからのこの国の在り方が問われる深い問題だからこそ、そういうふうに思っております。

 葉梨大臣は、政治資金パーティーで、法務大臣は、朝、死刑の判こを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういうときだけという地味な役職と発言をいたしました。

 官房長官の厳重注意の後、葉梨大臣は、役職として法務大臣が光が当たるような形でトップニュースになるというのは、役職としてそういうときぐらいだというファクト、そういう意味では地味な役職でもあると発言をいたしました。私は、この言葉から反省は感じられませんでした。

 また、先ほども、政治資金パーティーで四回、地元のインフォーマルな会合でも同じような発言を繰り返していたということをお認めになりました。

 葉梨大臣は、法務大臣として、死刑の執行を決裁することの重み、そのことを、国家が命を奪うということの重みを本当に認識しているのか、その点について最初にお伺いしたいと思います。

葉梨国務大臣 まずは、私自身も、こういう質疑でお答えをしなければいけないということを本当に申し訳なく思います。そして、その上で、冒頭おわびを申し上げるわけですけれども、死刑の執行、私の発言は、その死刑の執行の判断について申し上げたわけではないんですけれども、やはり死刑という例示は極めて不適当だったというふうに私自身も思っています。

 そして、その死刑の執行の判断というのは、今まで私も、それに、決裁に関与したこともございますけれども、極めて重いものであるということは、私も経験をいたしましたが、私自身も悩みましたが、十分に認識しているつもりでございます。

本村委員 死刑を求刑するのは検察、そして死刑を執行するのは法務省、その両方の組織のトップが法務大臣です。政治資金パーティーで死刑の決裁のことをどうして軽々しく言うことができるのでしょうか。

葉梨国務大臣 それこそが私の至らなさのゆえということだろうと思います。深く反省して、恥じ入るところでございます。

本村委員 昨日の答弁の中でも、法務行政が極めて大切な行政であることの逆説的な導入なんだというふうにおっしゃられましたけれども、極めて大切な行政と思っているのであれば、なぜ地味な役職という言葉が出てくるんでしょうか。

葉梨国務大臣 本当に言葉の使い方が極めてちょっと不適切だったと思いますが、地味な役職、派手な役職というのがあるわけではありません。ただ、マスコミに露出することが比較的少ないという意味で、当時は地味という用語を用いさせていただいたんですけれども、極めてこれは、死刑の例示を挙げる発言とともに、全体として不適切であり、軽率であり、本当におわびを申し上げないといけないと思います。

本村委員 死刑を重い問題と考え、そして法務行政が極めて大切な行政であるということを本気で思っているのであれば、あのような発言をすることはないというふうに思います。

 松野官房長官と会ったときについてもお伺いをしたいんですけれども、何時から何時までお会いになって、どのような厳重注意を受けたのか、お答えをいただきたいと思います。

葉梨国務大臣 たしか昨日の八時台だったというふうに記憶をしています。そして、松野官房長官からは、また総理からの指示としても、とにかく軽率な発言は厳に慎むように、そして言動には慎重を期すようにということを厳しく注意を受けました。

 その時点で、私自身も、特に前段の発言については撤回をする意思を固めたところなんですが、いわゆる官邸でのぶら下がりにおいては、その後に参議院の委員会がございましたので、その時点ではまだ撤回の意思はないよと言ったんですけれども、参議院の委員会の場では、謝罪して撤回をするつもりでございました。

本村委員 私は、あの松野官房長官厳重注意の後の記者会見の状況を見まして、本当に真剣に厳重注意をしたのだろうかという疑問さえ持ちました。

 葉梨大臣は、記者会見で、今のところ発言を撤回するつもりはないというふうにおっしゃっていましたけれども、その後、参議院の法務委員会で、謝罪、撤回をされた。しかし、その間に時間があったわけですけれども、元々、深い反省はしていなかったのではないかと、あの記者会見の時点で。どうでしょうか。

葉梨国務大臣 最前申し上げたとおり、基本的にどういう対応をするかということですけれども、記者会見というのも、記者会見の想定があるとかいうわけではありません。基本的に考えていたことは、この場では撤回をしないで、謝罪、撤回の場は、委員会の場でしようということが基本にあったわけです。

 ですから、そういう意味で、想定問答とかいうのがございませんでしたので、その記者会見の部分を見ると、撤回をしなかったということで、その時点では余り反省がなかったのではないかというふうに受け取られても、受け取る方がいるということはよく分かります。ただ、その時点でもう既に、謝罪し撤回するということを考えておりまして、その時間の中で、参議院の法務委員会における読み上げ文書、これも作らせていただいたということです。

本村委員 厳重注意を受けた後ですから、今のところ発言を撤回するつもりはないと言うのではなくて、国会の場で正式に意見を述べたい、表明したいということをおっしゃればよかっただけじゃないですか。

葉梨国務大臣 その点は、そうかも分かりません。

本村委員 厳重注意の直後の記者会見を見てみましても、やはり本当に反省しているとは思えなかったわけです。

 先ほども鎌田議員が本当に魂の訴えをされておられましたけれども、拘置所で死刑執行に実際に携わる職員や医師のつらさをどういうふうに考えておられるのか、お示しをいただきたいと思います。

葉梨国務大臣 私も、法務副大臣を務めました当時、先ほど来お話ししているように、決裁にも関与させていただいて、その事件について、確実な事件か、あるいは再審請求の有無、被害者感情等々、私自身も私の目で見させていただいて、その重さというのは、これは判断の重さです。そして、実際に刑場も見たことがあります。どこで知らせて、どういう場で死刑の執行が行われるということも見たこともございます。

 そういった意味で、この死刑の執行ということについても、極めて重い負担、これを担当者に課しているということは私も認識しているつもりです。

本村委員 大臣は、死刑についての世界の流れは御存じでしょうか。

葉梨国務大臣 存じ上げておる、まあ、存じ上げているというか、全てを存じ上げているわけではないんですけれども、例えば、この死刑の問題、これがあるからこそトルコがEUに入れないとか、あるいは、この死刑の扱いをどうするかということで、国際的な流れの中で、防衛協力が、それを処理しなければ先に進まない、そういった流れの中で、死刑の廃止という国が相当数あるということ、これは存じ上げております。

本村委員 国連の死刑廃止条約が発効して三十年以上たちました。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルの皆さんによれば、執行の長期間停止を含めて、事実上の死刑廃止の国は百四十四か国に上っています。国連加盟国の七割以上を占めています。

 OECD加盟国三十八か国中で死刑制度が存在しているのは、日本と韓国とアメリカのみです。韓国は、一九九七年を最後に死刑を執行しておりません。また、連邦国家のアメリカでは、二十三の州で死刑を廃止しております。トランプ政権時に連邦政府として十七年ぶりに死刑を執行したことが厳しく批判をされ、そして、バイデン政権は、政権公約の中で死刑の廃止を掲げ、二〇二一年七月、連邦レベルでの執行の停止を指示をしております。OECD加盟国の中で死刑を執行しているのは日本だけです。

 死刑執行がトップニュースになっているのは、この世界の流れの中で、日本がいまだに執行しているその是非が大きく問われるからこそ、トップニュースとして扱っているというふうに思います。

 世界が死刑を廃止しているのは、死刑が、国家が生きている人の命を奪うという極めて重大なことだからこそ、世界は廃止をしている。それを判断し執行する立場の人たちが真剣に悩み、葛藤している結果です。そのことを大臣はどう理解しておられますでしょうか。

葉梨国務大臣 私の知る限り、その世界の潮流というのも存じ上げておりますし、先ほど答弁したとおりです。

 ただ、日本国においては、死刑制度についていろいろな議論があるという中で、今、現行法では死刑を認めておるわけですから、それを執行する立場としては、極めて慎重ではあるけれども、厳正に判断をしながら、重い判断をしていくということになるんだろうというふうに思います。

本村委員 この死刑の問題では、誤判による死刑の確定判決があり、そして死刑が執行された事実がございます。この日本の中で、そうしたことが実際に起きております。取り返しのつかない国家による人権侵害だという認識は、大臣はございますでしょうか。

葉梨国務大臣 誤判による死刑の執行というのはあってはならないことだというふうに思います。だからこそ、死刑の執行の判断については、慎重かつ厳正、そして重い判断が必要だというふうに考えています。

本村委員 岸田文雄内閣の下で死刑が執行されました。古川大臣のときです。先ほども御議論ありましたけれども、再審請求中に死刑が執行されたと。再審請求中に死刑が執行され、私は非常に大きなショックを受けました。

 再審請求中の死刑の執行を、大臣はどう考えるのか。こういうことが、判こという感覚でやられていいとお考えになっているんでしょうか。

葉梨国務大臣 判断については本当に極めて重いものがあって、これはあくまで、死刑の決裁をした段階でマスコミに出るという、そのことを申し上げたわけなんですが、極めてこれは軽率、その例示を挙げたこと自体が、判断についてまで軽く見ているのではないかというふうに受け取られかねないし、極めて不愉快な思いをさせたということで、非常に軽率、至らなさ、これを考えています。

 そして、その判断については、先ほど来申し上げているとおり、極めて重いものである。ですから、くれぐれも、私のそういう言動、しっかり注意をしなければいけないというふうに思います。

 済みません、答弁漏れがございました。

 再審請求中の者に対して死刑を執行するということは、古川前大臣のときに行った命令が、別に最初ということではなくて、ケースによってそれぞれ判断される、とにかく重い判断ですが、されるものだと思います。

本村委員 人権を重んじる国なのかということが大きく問われているというふうに思います。

 過去にも、四大死刑冤罪事件と言われる免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件では、再審で無罪判決が出されました。

 今日、資料として出させていただきましたのが、袴田さんの事件、そして名張毒ブドウ酒事件です。

 一九六六年、今の静岡市清水区で起こった事件ですけれども、袴田巌さんは、この死刑判決の下で拘禁されて、二〇一四年、静岡地裁が捜査機関の証拠捏造を指摘をし、そして再審開始、そして死刑と拘置の執行停止決定が四十八年ぶりにあり、そして釈放されました。検察が抗告をした、検察の抗告により取り消されましたが、最高裁が差し戻し、東京高裁で審理が行われております。

 資料を出させていただいておりますけれども、元々、警察の自白の強要、検察の証拠隠しなどで誤った有罪判決が出されました。しかし、この資料を見ていただきますと、犯行時に着ていたズボン、袴田さんははけませんでした。DNA鑑定も一致しません。国民救援会の皆さんの資料に書かれた問題点が幾つもあるわけです。こういう証拠で死刑判決など到底認められるはずがありません。

 死刑判決、死刑の執行というのは、こうした誤判や冤罪で人生を絶ってしまう取り返しのつかない人権侵害なんだ、そういう認識が大臣にはあるんでしょうか。

葉梨国務大臣 私が例示として死刑ということを挙げたこと、改めて反省もしておりますし、本当に至らなさだと思います。

 誤判による死刑の執行、これはあってはなりません。また、犯人でない方を処罰するということ、これもあってはなりません。ただ、何が冤罪かということについては、個別の事件について、お答えを差し控えさせていただきますけれども、いずれにしても、しっかりと、死刑執行の判断、重いものでございますので、事案をしっかり、確実なもの、あるいは被害者感情等々を考えながら、しっかり重い判断をしていかなければならないと思います。

本村委員 人権と命を軽視する発言を行った葉梨大臣は辞任をするべきです。

 辞任を求め、質問を終わらせていただきます。

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時八分散会


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