第3号 令和6年3月15日(金曜日)
令和六年三月十五日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 武部 新君
理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君
理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君
理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君
理事 池下 卓君 理事 大口 善徳君
東 国幹君 五十嵐 清君
井出 庸生君 稲田 朋美君
英利アルフィヤ君 奥野 信亮君
斎藤 洋明君 高見 康裕君
谷川 とむ君 中曽根康隆君
中野 英幸君 西野 太亮君
平口 洋君 藤原 崇君
三ッ林裕巳君 柳本 顕君
山田 美樹君 おおつき紅葉君
鎌田さゆり君 階 猛君
鈴木 庸介君 堤 かなめ君
渡辺 創君 阿部 弘樹君
斎藤アレックス君 美延 映夫君
日下 正喜君 平林 晃君
本村 伸子君
…………………………………
法務大臣 小泉 龍司君
文部科学副大臣 あべ 俊子君
法務大臣政務官 中野 英幸君
最高裁判所事務総局総務局長 小野寺真也君
最高裁判所事務総局人事局長 徳岡 治君
最高裁判所事務総局経理局長 染谷 武宣君
最高裁判所事務総局家庭局長 馬渡 直史君
政府参考人
(人事院事務総局審議官) 植村 隆生君
政府参考人
(人事院事務総局職員福祉局次長) 荒竹 宏之君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 坂本 三郎君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(法務省刑事局長) 松下 裕子君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
三月十五日
辞任 補欠選任
英利アルフィヤ君 西野 太亮君
中曽根康隆君 柳本 顕君
寺田 学君 渡辺 創君
山田 勝彦君 階 猛君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 英利アルフィヤ君
柳本 顕君 中曽根康隆君
階 猛君 堤 かなめ君
渡辺 創君 寺田 学君
同日
辞任 補欠選任
堤 かなめ君 山田 勝彦君
―――――――――――――
三月十四日
民法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)
同月十五日
再審法改正(刑事訴訟法の一部改正)を求めることに関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第三五四号)
同(鈴木貴子君紹介)(第三五五号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第四二三号)
同(笠井亮君紹介)(第四二四号)
同(穀田恵二君紹介)(第四二五号)
同(志位和夫君紹介)(第四二六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第四二七号)
同(田村貴昭君紹介)(第四二八号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第四二九号)
同(宮本岳志君紹介)(第四三〇号)
同(宮本徹君紹介)(第四三一号)
同(本村伸子君紹介)(第四三二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
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○武部委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局審議官植村隆生君、人事院事務総局職員福祉局次長荒竹宏之君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、法務省大臣官房司法法制部長坂本三郎君、法務省民事局長竹内努君及び法務省刑事局長松下裕子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○武部委員長 次に、お諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君、人事局長徳岡治君、経理局長染谷武宣君及び家庭局長馬渡直史君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○武部委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。階猛君。
○階委員 立憲民主党の階猛です。
本日は、質問の機会をいただきまして、与野党の先生方に感謝を申し上げます。
私も、長年この法務委員会におりまして、様々な問題について議論を重ねてきました。最近、袴田事件の再審がどうなるのかということをきっかけにして、冤罪を防ぐための再審法などの議論も与野党で盛んになってきている、今日、井出さんもいらっしゃいますけれども、その問題も非常に関心があります。
それで、冤罪を防ぐためには、再審法も大事です、でももっと大事なのは裁判に関わる法曹の質を上げる、冤罪を防ぐためには法曹の質も大事なんだと思っております。
そこで、法曹の質と量、共に豊富にしていくことを目指して、今から二十年前に法科大学院が始まりました。この法科大学院、当初の目的に反してどんどん法曹養成が衰退してきているんじゃないか、実は私、十五年前、民主党政権で総務大臣政務官のときに、政策評価でそういう問題意識を総務省として明らかにしたこともあります。それから更に年月がたちましたけれども、事態はよくなるどころか、私にとっては、悪化する一方だというふうに見えてなりません。
文科省も、問題の抜本的な改革に取り組むことなく、その場しのぎのびほう策を重ねて今日に至っていると思っております。その象徴が私は裁判官のなり手不足だと思っております。
本日の議題、裁判所職員定員法では、今日、資料もつけておりますけれども、二ページ目を御覧になってください、三ページ目ですか、三ページ目の方が分かりやすいかと思います。
判事補の欠員、年次ごとに並べておりますけれども、欠員のところを見ておりますと、直近でも百五十九人、こういう状況であるにもかかわらず、過去二年は定員を減らしましたが、今回は定員を減らさないということであります。
一ページ目に戻っていただいて、これは昨年の附帯決議ですけれども、この第三項に、「最高裁判所において、引き続き、判事補の定員の充足に努めるとともに、判事補の定員の在り方について、現実的な実員の増減見通しも踏まえて更なる削減等も含め検討していく」というくだりがあります。
そこで、最高裁にお尋ねします。
まず、来年一月まで、これからの一年間で、今申し上げました実員の増減見通し、どうなるのか教えてください。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
今年、令和六年一月現在での欠員というのは、先ほど御指摘ありましたけれども、百五十九名ということになっております。
令和七年度、来年の一月段階となりますと、現在の定員八百四十二人を前提といたしますと、その欠員数は二百四十人程度が見込まれるところでございます。これは、七十七期の判事補、次の判事補の採用が令和七年五月頃になる見込みとなっておりまして、令和七年一月の時点では司法修習生から判事補に任命される者がいないという状態になっております。ですので、その一方で、相当数の判事補は判事に任官するということが見込まれますので、その時点の欠員数が大きな数字になっているというところでございます。
○階委員 今、最初に二百四十一という数字を……(小野寺最高裁判所長官代理者「二百四十程度というふうに」と呼ぶ)二百四十ですか。来年の一月で二百四十で、もし判事補の任官がゼロであれば、このままゼロであれば二百四十に行くけれども、判事補がこれから任官が明らかになってくるので、それがプラスされれば二百四十は減ってくるという趣旨だったと思います。
そこで、今までの任官者の実績を見ますと、直近ちょっとずつ増えてきていますが、それでも八十一なわけですよね、直近で。二百四十人で、仮に八十採用したとすれば、欠員はなお、二百四十引く八十で百六十なわけですよ。百六十というのは相当な欠員ですよ。
それで、今回の法案は、今申し上げたとおり、裁判官の方は定員をいじっていませんけれども、裁判所職員の方は減らしていますよね。減らして、三十一人減らすということなんですよ。
二ページ目を御覧になってください。二ページ目を御覧になっていただくと、それぞれの職種ごとに定員と実員、欠員というのが書いていますけれども、これを見ますと、判事補は、八百四十二人の定員に対して、欠員が百六十六です。比率にしますと二〇%。ところで、今、定員を減らそうとしている裁判所職員、二つ目の表ですけれども、二つ目の表の右下のところ、これは減らす前の定員が二万一千七百四十四人で、それに対する欠員が五百二。計算しますと、欠員の割合は二%なんですよ。二〇%と二%。なおかつ、裁判所職員はここから更に定員を減らそうとしているわけですよね。どう見てもアンバランスですよね。
なぜ、これほど、二〇%も欠員が生じている判事補については、去年、一昨年と定員を減らしてきましたよね、今年は減らそうとしないんですか。先ほどの実員の増減見通しを聞いても、劇的に変化しないじゃないですか。これを踏まえると、今回法案で裁判官の方に手をつけなかったというのは解せないんですよ。
なぜ、判事補の定員は、昨年までと同様、減らさなかったのか、この理由について説明してください。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
判事補につきましては、平成二十九年から令和二年までの間、判事定員への振替をすることにより、合計百三人の定員を減少させてきました。その後も、直近の事件動向や充員動向、衆議院及び参議院における法務委員会附帯決議等を踏まえまして、総合的に判断した結果、令和四年度に四十人、令和五年度に十五人の減員をしたところでありまして、この点については、委員からも御指摘のとおりでございます。
他方で、裁判所といたしましては、判事補の充員にも努めているところでございます。判事補の給源となる司法修習終了者の人数が減少し、渉外事務所等の法律事務所との競合も激化しているなどの昨今の状況におきましても、令和三年の採用数六十六人でありましたのが、令和四年は七十三人、令和五年は七十六人、令和六年は八十一人というふうになっておりますとおり、近年は増加しつつあるというところでございます。
そのような中で、令和六年一月時点の欠員数は百五十九人と先ほど申し上げましたとおりでありまして、令和五年一月時点の欠員数に比べますと状況が改善しているというところでございます。
判事補は、将来の判事の給源でございます。今後の司法需要の変化等も考えられますところ、令和六年度につきましては、昨年度までに相当数の判事補定員を減少させたということ、そして近年の判事補の採用状況なども踏まえまして慎重に検討した結果、今年度に関しましては減員は行わないということとしたものでございます。
なお、欠員数が高くなっているというところにつきましては、委員からも御指摘があるところでございますし、私どもとしても認識しているところでございます。
裁判所といたしましては、引き続き、裁判官にふさわしい資質、能力を備えた人を採用できるよう努めるとともに、判事補の定員について、今後の事件動向や充員の見込み等を踏まえて検討を続けてまいりたいと考えております。
○階委員 昨年、一昨年もほぼ同じ答弁をしていたと思うんですけれども、それでも、昨年、一昨年は定員を減らしていたわけですよ。だから、今年だって定員を減らす十分な理由はあると思いますよ。
それで、今おっしゃるように、法曹の質を上げるということも重要なんですね。法曹の質を上げるということが、一ページ目に戻っていただきますと、「現在の法曹養成制度の下で法曹志望者の数について顕著な改善傾向が見られないことを踏まえ、そのことが法曹の質や判事補任官者数に及ぼす影響につき引き続き必要な分析を行い、その結果を国会に示す」とあります。
まず、法務省に伺いますけれども、法曹の質に関連して、法務省として検証をどのようにしているのか、お答えください。
○小泉国務大臣 法務省では、令和四年の三月、法曹の質に関する検証結果を公表いたしましたが、その後の附帯決議を踏まえ、更なる検証に向けた検討を進めております。
具体的には、法曹養成制度改革連絡協議会において、法曹の質の検証に当たっての調査の視点、方法の参考とするために、企業や公認会計士、その他様々な分野における能力評価の在り方などについて有識者から意見聴取などを行っております。
現在は、この検証が充実したものとして実施できるよう調査方法等を検討している段階ではございますけれども、これらの検討を踏まえて、できる限り速やかに調査検討を実施していきたいと考えております。
○階委員 調査に時間をかける必要は私は余りないと思っていて、数字が明らかにしていると思うんですね、法曹の質の低下について。なぜならば、四ページ目を御覧になってください。
法科大学院志願者、二十年前、始まった当時は七万二千八百人だったのが、最近は3+2、三年で法学部を終わって法科大学院に進学できるコースができたので少し増えましたけれども、それでも一万二千百七十四です。
その3+2の法曹コース、これについては、在籍者数、五ページ目の上の方に書いていますけれども、二年次、三年次在籍者数、増えてはいますけれども、在籍者の割には修了数は減ってきている、法科大学院進学者数も減ってきている、こういう状況で、この法曹コースも劇的な改善策には至っていない、なっていないということであります。
それから、もう一つ数字を御紹介しますと、七ページ目に司法試験の受験者数の推移を示したものがあります。左側の数字ですね。司法試験受験者数合計ということで、平成十八年、二千九十一名、この辺りから、もう法科大学院で修了しないと試験が受けられなくなってきたわけですけれども、一時は、法科大学院が入学者が多かったときもあったので、受験者が増えた。ところが、その後どんどん下がってきて、過去七年ぐらいはずっと受験者が減ってきていました。ようやく、先ほどの3+2が始まって、法科大学院在学中も受験資格が得られるということになったので、去年は八年ぶりに八百四十六人ぐらい受験者が増えたと言っていますけれども、これは、特殊要因があったので、必ずしも受験者が増えているとは言えないと思います。
こういう受験者、志願者が大幅に減っている中で、質が低下するというのは免れないと思うんですが、法務大臣、ちょっとこの点については御自身の御見解をお願いします。
○小泉国務大臣 大局的な傾向としては、志願者の数が減れば、つまり母数が減れば、裾野が狭くなれば、そこから選ばれる人たちの、結果的に法曹の質が低下するということは、これは否定し難いと思いますが、じゃ、どういう点でその質が劣ってくるのか、なぜそういう結果に結びつくのか、その理由であり内容については、やはりしっかりと目を凝らして議論をし分析をする必要はあろうかと思います。
大きな数字としての傾向は委員おっしゃるとおりなんですけれども、じゃ、質はどうやって測る、どういうメルクマールで評価する、質の低下を計数化できるのかできないのか、そういった点も、企業の動向、公認会計士等の業界の状況、そういったものをしっかりと我々は習得をしつつ、具体的な取組を進めていかなければならないと思っております。
○階委員 私は、質の低下を分析することよりも、今大臣も大局的にお認めになったとおり、志願者が減れば質は普通は下がっていく、だから志願者を増やさなくちゃいけないということがもっと大事なことだと思うんですよ。
そこは、志願者を増やすことに注力すべきだということは御異論ないですよね。
○小泉国務大臣 もちろんそれは異論はありませんが、法曹の質を高めることが最終目的です、裾野を広げることではなくて、この富士山の頂上を高くすることが目的でありますから、じゃ、質が高いというのはどういうことなんだ、なぜ上がらないんだという、その質の分析、それも不可欠だと思います。両方併せてということなんでしょうね。
○階委員 私が言いたいのは、是非、質の低下の分析もしていただきたいんだけれども、それに時間をかけている間に志願者がどんどん減っちゃうと元も子もないわけで、志願者を増やすということを最優先でやっていただきたいということなんですね。
その上で、今日、文科副大臣がいらっしゃっていますけれども、今申し上げました法曹養成機能の向上とか法曹志望者の増加に関連して、中教審の法科大学院等特別分科会というところでいろいろ議論したり活動したりしていると思うんですが、その成果を教えていただけますか。
○あべ副大臣 階委員にお答えいたします。
中央教育審議会大学分科会の下に置かれました法科大学院等特別委員会におきまして、法科大学院教育の改善等について専門的な調査審議を継続的に行っているところでございます。
同委員会におきましては、これまで、各種の調査結果、取組の好事例も踏まえて提言を取りまとめているところでございまして、これを受けまして、各法科大学院におきましても、在学中の受験に向けた教育課程の工夫、さらには法学未修者に対する教育の充実などの取組が行われているところでございます。
昨年の附帯決議以降、令和五年度には同委員会を四回開催させていただきまして、令和元年の法改正により導入されました諸制度の実施状況、法科大学院の入学者選抜に関する調査結果などを基に審議を行いまして、法科大学院教育の充実に向けた方策等について検討を進めているところでもございます。
文部科学省といたしましては、同委員会における審議も踏まえまして、引き続き、法曹養成の機能の向上、また志望者の増加に向けた取組を一層進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
○階委員 さっきも言いましたとおり、在学中受験ができるようになった3+2コースというのができたけれども劇的な改善にはつながっていないわけですね。
じゃ、なぜこれほど志願者が伸びないのかということなんですが、今日お手元に配付している資料の六ページ目を御覧になってください。これは、アンケートの調査結果、法学部に在籍する学生に対するアンケート調査結果ですね。これは、法曹養成制度改革連絡協議会に出されたものなんですが、実はちょっと古くて、令和四年の調査結果なんですね。令和五年も是非早めに出していただきたいと思うんですけれども。
その上でですが、令和四年までの結果を踏まえますと、ここに、法曹等を志望するに当たって感じている不安や迷いの内容ということで、上の方に文章が少しあって、下の方にアンケートの結果、この選択肢の中から選ばせるという仕組みになっているんですね。
この選択肢の出し方も私は結構恣意的だと思っていまして、真ん中の四項目合計、私の方で印をつけたんですが、四項目合計というのは、いずれも法科大学院に起因する受験生が少なくなる要因です。すなわち、司法試験の受験資格を得るまでに複数の試験を受けなければならず、負担が大きいということであるとか、法科大学院修了者の司法試験合格率が全体として低く、法科大学院に進学しても合格できるか不安であるということとか、大学卒業後法科大学院修了まで二、三年の期間を要し、時間的負担が大きいということ、あるいは経済的な負担が法科大学院修了までだと大きいといったようなこと。
この四項目はわざわざ項目を分けて聞いているので、一見数値が低く見えますけれども、いずれも法科大学院に起因することだということで、合算しますと、平成二十九年では九九・三%に達する、令和四年には八四・五%、少し減りましたけれども、それでもこれだけの高水準で、他を差しおいて断トツの一位ですよ。法科大学院が法曹志願者の低下につながっているということは、このアンケート結果を見れば明らかだと思います。もし反論があるんだったら、令和五年の数字、早く出してくださいよ。
まず、法務省、法務大臣にお聞きしますけれども、なぜ、令和五年のアンケート結果、今の段階でも出ていないんですか。お答えください。
○小泉国務大臣 調査は行われているとのことでございますので、まだ協議会に提出をされていない理由については、申し訳ありません、至急調べたいと思います。
○階委員 これは、事務方とも先日このことについて話したところ、もう調査自体は外部に委託して終わっていて、かつデジタルで集計はできるということなので、早急にまとめて、こういった形で、こういったフォーマットで、結果を、この委員会、理事会に出してもらえますか。
○小泉国務大臣 速やかにそのように対処します。
○階委員 ありがとうございます。
委員長、お取り計らい、お願いいたします。
○武部委員長 理事会で協議させていただきます。
○階委員 さて、それで、こういう状況なわけで、私、法科大学院に起因して志願者が増えないという問題があると思うんですけれども、最高裁にもお聞きしますね。
法曹志望者がこれまでるる申し上げたとおり減少し続けている、そして、それによって司法修習生が減少しているわけですけれども、これが判事補任官者数に及ぼす影響について、これも、過去の附帯決議で、ちゃんと最高裁は分析すると言っています、そしてその結果を国会で示すということも言っていると思うんですが、それを教えてください。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
司法修習終了者の数は、平成二十六年までは二千人前後でございましたけれども、その後減少し、令和元年以降は千三百人台から千四百人台で推移をしております。
他方、司法修習終了後の判事補任官者数は、平成二十八年までは九十人台から百人台でしたけれども、平成二十九年以降は六十人台から八十人台で推移しており、司法修習終了者に占める判事補任官者の割合について見ますと、平成二十六年に任官した六十六期以降、四%台から五%台で推移しているところでございます。
法曹志望者が減少し、ひいては判事補の給源となる司法修習生が減少すれば、一般的には、司法修習生の中で裁判官にふさわしい資質、能力を有し任官を希望する者の数も減少するということにつながり得るものと考えております。
○階委員 そういう中で、志望者が減少する中で、裁判官を確保すべく必死な努力もされているかと思うんですけれども、やはり根本的な解決をしなければいけないということをかねがね申し上げているわけです。
それで、七ページ目を御覧になってください。
法曹志願者が減る中で、何とか合格者を千五百人をめどにしてこれからもやっていくということは、たしか平成二十七年度ぐらいの政府の会議で決めたことだと思います、千五百人目安。直近では、合格者が千七百八十一人、これは多分、在学中受験者を認めたので、その分上乗せしたんだと思いますけれども、合格率は四五%を上回ってきている。半分受かる試験になっているんですね、司法試験が。昔だと考えられない。桁が一桁も違うような話です。もっと違うかもしれません。我々のときは二、三%でしたので、もっと違うかもしれません。
問題なのは、昨年から在学中受験資格という新たなコースもできましたので、今、三つカテゴリーがあるわけですね。法科大学院を修了して合格される方、在学中に受験して合格される方、そして予備試験を合格して司法試験に合格される方、この三つのカテゴリーごとに合格率を見ますとどういうことになるかということで、七ページの右下の方に書いています。まず、法科大学院を修了すると三二%です、合格率。在学中受験だと五九%です。予備試験を合格すると、司法試験には九二%です。物すごい数字の差がありますね。
そこで、まず、法科大学院修了者と在学中受験者の合格率の著しい違い、これについて、文科省の問題意識と、この格差を是正するための方策について伺います。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
平成三十年度から令和四年度までの修了者を合わせて、修了者全体の合格率、三二・六%でございますが、直近の令和四年度修了者の合格率に限れば五五%となっているところでございます。在学中受験の合格率である五九・五%を比べて、著しい差異があるとまでは言えないと考えているところでございまして、また、令和五年司法試験におきまして、委員が指摘されたように、初めて在学中受験の運用が開始されたところでございまして、令和六年以降も、制度改革の状況を継続的に把握また検証する必要があると考えているところでございます。
文部科学省といたしましては、今後とも、一人でも多くの有為な人材がプロセスとしての法曹養成を経て法曹となるよう、引き続き、法務省また法曹関係機関とも連携しつつ、法科大学院教育の更なる充実に努めてまいります。
○階委員 何ら問題意識が感じられないんですね。
高校受験でも大学受験でも、卒業する年に受ける人と、例えば高校だったら、二年生で仮に大学受験を受ける人と、普通は、卒業する直前に三年生で受ける人の方が合格率は圧倒的に高いですよね。普通、大学受験するのに、高校二年生ぐらいで受けたらなかなか受からないと思いますよ。
しかし、法科大学院は、むしろ卒業する間際の方が成績が落ちちゃっているじゃないですか。これは何なんでしょうか。質、量共に豊かな法曹養成をするためにつくられた法科大学院が、むしろ、質、量共に足を引っ張っているんじゃないですか。この法科大学院を修了することを受験資格とする意味が果たしてあるのかどうか。こんなことを放置していていいんですか。
これほどやはりレベルが低いということは、私はずっとこの委員会で指摘してきましたけれども、今回初めて在学中受験資格というものがスタートしたことによって、いかに法科大学院の教育がまずいものであったかということが明らかになったと思います。さっき副大臣がおっしゃっていました、修了直後は三二・六一%じゃなくて五五%なのでいいんですと言っていましたけれども、修了直後でも五五%で、在学中の人よりも低いんですよ。おかしいじゃないですか。
私もずっと言ってきましたけれども、法科大学院修了を受験資格にする、これはやめた方がいいですよ。どうですか、副大臣。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
文部科学省といたしましては、在学中の受験を選択する方も修了後に受験する方も、法科大学院において充実した教育を受け法曹となることができるように取り組み、法科大学院全体としての合格率を高めていくことがまさに重要であるというふうに考えております。
その上で、修了後に受験する方に関して、各法科大学院におきまして、教員との個別面談を通じた履修指導の実施、また、修了生を対象とした司法試験合格に向けての勉強会の開催などに取り組んでいるところでございまして、文部科学省においても、予算の配分措置を通じてこれらの取組をしっかりと支援してまいります。
○階委員 法科大学院の全体の合格率を上げていくことが重要だと。これがまさにこの問題の本質なんですよ。受験生のこととか、あるいはこの国の法曹養成制度のことなんか、どうでもいいんですよ。法科大学院さえ成り立てばいい、そういう発想だから失敗するんですよ。
法務省にもお尋ねしますけれども、今の、在学中の人の合格率の方が修了した人よりも高いというのも大きな問題ですし、もう一つ、これはずっとある問題なんですけれども、法科大学院を修了した人と予備試験を合格した人で合格率が同程度にならなくちゃいけないというのが、これは、八ページ目の下の方に書いてある、内閣府、規制改革推進のための三か年計画(再改定)、平成二十一年三月三十一日閣議決定の抜粋ですけれども、私が今申し上げたようなことを書いていますね。
それともう一つ、これもずっと申し上げていますけれども、司法試験法の第五条のところに、司法試験の予備試験は、司法試験を受けようとする者が、要は法科大学院修了者と同程度の学識、応用能力等々を有するかを判定することを目的としているということだから、予備試験を合格した人と法科大学院を終わった人で合格率が同程度にならないとおかしいんですね。ところが、さっき言ったように、七ページ、合格率を見ますと、これは三倍ぐらい開きがありますよね、予備試験合格者と法科大学院修了者で。
これも非常に問題で、こういう状況を考えると、予備試験なんかわざわざ受けさせる必要がないんじゃないか、法科大学院修了者であるかどうかにかかわらず全ての人に司法試験を開いた方がより平等になるんじゃないかと思います。あるいは、もう一つの方策としては、合格率をそろえるのであれば、法科大学院を修了した人に予備試験も受けさせればいいんですよ。みんな予備試験を受かった上で、まあ屋上屋を重ねるようなものだけれども、司法試験を受けさせれば、合格率は平等になると思いますよ。法科大学院修了者だけ異常に低くなるということはないと思いますよ。
どちらかやるべきだと思うんですけれども、どうですか、法務大臣、お答えください。
○小泉国務大臣 昔から、今も基本そうだと思いますが、非常に難しい、困難度の高い試験ですよね、司法試験は。ですから、スタートダッシュで駆け込んでいく方々もいれば、三年、五年、五年、十年かかって、じっくり実力を養って合格されていく方もいます。
その多様な合格の仕方というのが司法試験の一つの大きな特徴だと思います。大学受験とは違います。新入社員の試験とも違います。一つの職業を選択するのに、本当に、大学三年で上がっていった同級生もいますし、十年かかって大成された方もいます。ですから、それにふさわしい、全体として、それをそれぞれ選べる制度であること、やはり複数のルートがあっていいと思うんです。
そして、最後に同じ試験を受けるわけでございますので、その途中の合格率は、確かに、この閣議決定もあり、一つの大事なメルクマールだと思います。ルートによって狭かったり広かったりする不公平が起きないように、一つのメルクマールとして、合格率を横並びで見てみる、そういう趣旨の閣議決定だと思いますが、最終ゴールは、同じ試験で同じ点数で決まるわけでございますので、公平性というのは根本的に担保されているんだと私は思うんですね。
であれば、その手前のところは多様性があっていいと思うんです。法科大学院でじっくりと学ぶ、そういう方がいてもいいし、独学で走っていく、速攻で攻めていく、そういう方がいてもいいし、司法試験というのは私はそういう性格のものだというふうに捉えておりますので、まだちょっと先生の御指摘が十分のみ込めていないのかもしれませんけれども、多様な選ばれ方を担保するということも必要だということは申し上げたいと思います。
○階委員 受験ルートがいろいろあることを否定しているわけじゃないんですよ。ただ、どのルートで来ても合格率が同じようにしなさいというのが、この司法試験法であるとか閣議決定の趣旨なんですよ。それが全然できていないんですよ。だから直せと言っているわけであって、今の説明は全く答弁になっていない。ちゃんと私の問題意識を理解してくださいよ。その上で、改革をしなくちゃいけないということを表明してください。
最後にお願いします。
○武部委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○小泉国務大臣 この申合せ、閣議決定の事項については、考慮要素として非常に重要だと思いますので、真摯に受け止めて、その努力をしていきたい、知恵も絞りたいと思います。
○階委員 終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 次に、斎藤アレックス君。
○斎藤(ア)委員 教育無償化を実現する会の斎藤アレックスです。日本維新の会との統一会派を代表し、質問をさせていただきます。
私、昨日、本会議に登壇をさせていただきまして、小泉大臣に御答弁いただきましたけれども、今年のこの国会で民法の改正案が提出をされておりまして、そのことが、大変、裁判所の事務であったり機能に対して大きな影響を与えると私は認識をしておりますので、本日の法律案に関連してということで、民法の改正案でどのような裁判所の体制が必要なのかという観点で、何点かまず質問をさせていただきたいと思います。
昨日も申し上げましたけれども、今回の民法改正案が成立をするということになりましたら、裁判所の果たす役割は大変増える。離婚時に父母の協議が調わない場合の有権者の指定と、あるいは、協議離婚の後に改めて親権者を裁判所が変更するか否かの判断をすることもあるでしょうし、また、親権の行使に当たって、共同親権を持つ父母で意見がまとまらない場合に、それを調整する、整える役割も裁判所が果たすということになります。
こういったことを拝見していますと、家裁の役割が大変重要になる、財源措置も含めて考えていかなければならないということを、様々な団体の方がおっしゃっていますし、私もそのように感じますけれども、まず、前提として、最高裁判所にお伺いをしたいんですけれども、民法の改正案、今、審議をされているものでございますので、この民法の改正案を念頭に置いて、今、裁判所の体制を整えたりとか、何か検討するということは、まだ行われていないという理解でよろしいか、御答弁をお願いしたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
民法等の一部を改正する法律案につきましては、先日国会に提出されたものと承知しております。本年度の裁判所職員定員法の改正に当たって、これを念頭に置いているわけではございません。
○斎藤(ア)委員 昨日、小泉大臣に御答弁をいただいたときには、しっかりとした体制整備が裁判所の方で行われるということを、そう考えられていらっしゃるという旨の御答弁がありました。
その件に関して、最高裁判所にお伺いをしたいんですけれども、今回の民法改正案が成立するということになれば、様々な団体がそう指摘しているように、家裁の役割が大幅に増えるということを認識をされているのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
現段階におきまして裁判所として確たることを申し上げることは困難でございますが、仮に、御指摘の民法等の一部を改正する法律が成立し施行されたならば、家庭裁判所に期待される役割がこれまで以上に大きくなるということは、委員御指摘のとおりであると考えております。
○斎藤(ア)委員 では、その点に関して、どのような役割拡充が必要なのかということをお伺いしたいんですけれども。既に、共同親権ではないですけれども、単独親権の下で、監護や親権に関する調停、審判というのは行っていらっしゃいますし、また、成年後見制度に関連をして審理数も増えているということをお話を伺っておりますので、どのような業務が増えるか、どのような人員が必要なのかということは、現時点でもお答えをいただけるのではないかなと思ったんですけれども、その点はいかがでしょうか。どのような機能充実が必要と御認識をされているのか、御答弁をいただきたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 裁判所におきましては、事件動向や事件処理状況等を踏まえまして、必要な人的体制の整備を図っているところでございます。
例えば、監護や親権に関する審判、調停事件が増加するなど、ある部署において急激に事件数が増加した場合には、まずは、事件を処理する当該裁判所において必要な処理体制を構築することになりますが、その場合には、他の事件の事件動向や事件処理状況も考慮しつつ、地家裁を含め、事務分配を見直したり、応援体制を構築したりして、必要な体制を整備することになります。
また、最高裁におきましても、各裁判所の事件動向や事件処理状況等の客観的な統計数値を考慮しつつ、高裁を通じるなどして把握した各地の実情等も踏まえ、全国的な見地から必要に応じて人員配置を見直すなど、体制を検討して整備をしていくということになります。
このように、最高裁や各裁判所がそれぞれ連携をしながら、必要な裁判所、必要な部署に適切に人員を配置して、その時々に見合った合理的な体制を整備し、各種の事件数の増加にも対応しているところでございます。
○斎藤(ア)委員 現時点では、他の部署であったり、他の裁判所、全国的に調整をされて対応をしていくという、一般論でお答えをいただいているかと思いますけれども、やはり、ざっと見ただけでも、本当に業務が増えるんだろうなということが推測をできると思います。
裁判を行うのは裁判所でございますので、法務省に関しては、直接何かを指示をしたりする立場ではないと思いますけれども、それでも、この法案の成立によって裁判所にどのような影響を及ぼすのか、また、どういった体制整備が必要なのか、財源措置が必要なのかということは、これは二年以内に施行されるというふうな法案になっておりますので、大変緊急の課題として取り組んでいかなければならないし、それができなければ、共同親権を選択可能とする法律案が成立して施行されるときに大混乱が起きかねないというふうに思うんですけれども、その問題意識をお持ちになられているのか、改めて法務大臣にお伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。
実効性ということを考えた場合に、今回の民法改正によって家庭裁判所が果たす役割、機能的な部分、非常に重要なものがあります。それがどれぐらいのボリュームになるのか、仕事量になるのか、そこはちょっとまだ測りかねる部分はありますけれども、そこがしっかり稼働していただくことが、この法案を誠実に執行していくということにつながっていくと思います。これは裁判所が判断されるべき事柄でありますけれども、裁判所と法務省は日頃から常々意思疎通をしております。情報共有もしております。この法案の中身もよく御説明してあります。
我々は行政権ですから、司法権に対して指示はできませんけれども、意思疎通、情報の共有、問題意識の共有はしっかりと図ってきたつもりでございますが、国会の御審議も踏まえながら、そういった点について、そごが生じないように、共通意識を持てるように、またしっかりと、法案が、成立させていただいた暁には、それが正しく公正に稼働できるように、裁判所の体制、我々も協力していきたいと思います。
○斎藤(ア)委員 ちょっと関連して、財源に関しても、機能拡充ということであれば財源が当然必要になるんだろうというふうに想像するんですけれども、来年、再来年にかけて、この財源についても何らかの取組をしていかなければならないという認識を持たれているのかというところ、大臣か若しくは事務方でも構いませんけれども、現時点で何か検討されていることがありましたら、教えていただければと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
今御質問にありました財源ということの意味が、最高裁の方の予算ということであるのであれば、それは最高裁において御検討されるものというふうに承知しております。
○斎藤(ア)委員 法務省の分掌とまた司法の分掌、行政と異なりますので、そこは、最高裁判所で、財源が必要であればまた検討し、国会に出していただくということでございますけれども、いずれにしましても、どのような趣旨でその法改正がなされて、その法改正によって、どのような業務が増えるのかということは、国会審議でも明らかにしていただかなければならないと思います。
また、どういった基準に基づいて裁判所が判断をしていくのかということは、昨日も質問させていただきましたけれども、やはり国民の皆様が分からないとこの法案に対する不安が高まるだけだと思っておりますので、その点に関して、また本法案の審議の後、この民法の改正案についてはこの委員会で審議をされるということになりますけれども、そのことに関してはしっかりと答弁をしていただきたいというふうに考えております。
ちょっと先取りという形になってしまいますけれども、この民法の改正案についても何点か質問をさせていただきたいと思います。
まず、昨日、離婚届の様式が変わるのかということを御質問させていただきました。具体的には、親権者と別に監護者というものの記入欄を設けるのかということを御質問させていただきましたけれども、それは今後検討していかれる、様式については検討していかれるという回答でございました。
もう一つ、離婚届の様式に関してお伺いをしたいのが、今回の共同親権が可能になる法律案が成立すれば、共同親権、共同監護となる父母、子供の関係というのが出てくることになります。
都度、何か父母間で協議が調わなくて、学校をどうするかとか、病院をどうするかとか、留学をさせるのかとか、そういったことがあるたびに、裁判所に協議が調わない場合に調停を求めるということでは大変時間がかかりますし、父母の負担も子供の負担も大変重くなってしまうということで、あらかじめ計画を作って、こういったときにはこうする、それで、何か決まっていない分野があるときには、そのことに関してはどちらが決める、父母どちらが決めるみたいな形で計画を定めるということをやっている国も共同親権の国では多いわけですけれども、そういったことを促していくことの重要性は昨日法務大臣からも御答弁をいただきました。
今、離婚届の様式を見ますと、その中には、面会交流のことであったり養育費の定めについてちゃんと取決めを行いましたかというところをチェックするところがあって、その取決めの方法に関するパンフレットのQRコードとかが張ってあって、これを見てちゃんと話し合ってくださいということが書いてあるんです。本当は、講座などを開いてしっかりと勉強していただく、それで、計画に関してもしっかりと立てていただくことをその講座の中で促していくみたいなことが望ましいとは思うんですけれども、この離婚届の様式に記載をしていくということも重要だと思うんです。
離婚届の内容を拡充したり、あるいは、そのパンフレットを、今は面会交流と養育費のことしか書いていないですけれども、お互いの協議が調わない場合があると大変煩雑になるので、あらかじめこういうことは決めておきましょうみたいな、そういった指針みたいなものを配付をするようなことを念頭に置いていたり検討されているのかということについて、大臣にお答えをいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 これも貴重な御指摘だと思います。
法案成立後の話にはなりますけれども、子の養育に関する事項をあらかじめ取り決める、非常に子供の利益にとっては望ましいことであると思います。また、養育計画の作成促進、これは行政的にも重要な課題であるということを改めて認識を深めました。その離婚届出書におけるチェック欄ですね、今あるものを改良していく、改善していく、今回の法改正の趣旨にのっとって、具体的にどうするか、これはしっかりと検討して改変をしていきたいというふうに思います。
○斎藤(ア)委員 先ほどの裁判所の体制の話と直結するわけですけれども、あらかじめ取決めをしたりとか、あらかじめ合意をしていないと、本当に、裁判所で調停をする方、元夫婦が大変増えてしまって、それで業務量が、もし適時適切に裁判所がそれを処理できないということになると、ずっと調停ができずに、それで子が待たなければならない、進学、留学に関する親の協議が調うのをずっと待たなければならないみたいなことになってしまえば、それは大変、子にとって不幸になってしまって、子の最善の利益にならないと思っておりますので、この事前の協議、そういったものを促していくような取組は、様々な場面で、特に離婚届というのは必ず離婚するとき目にすることになりますので、その中でしっかりと記載をしていただく、案内をしていただくということも有効だと思いますので、是非その点は検討をしていただくときに前向きに取り組んでいただきたいというふうに考えております。
次に、さらにちょっと全体の話になってしまうんですけれども、昨日の質疑の中でも、ほかの党の議員からの質疑でもありましたけれども、今回、反対、賛成が大変鋭くなっている、既に大変鋭くなっている法案だと思います。
子の最善の利益というところを追求するのはどちらの立場も同じだと思いますけれども、子の最善の利益にならないと強く訴える方もいらっしゃいますし、子の最善の利益のためには共同親権を導入することが必要だと訴える方もいらっしゃって、それがいずれも個人事になっているので、大変激しい意見の対立になってしまっています。
特に、極端というか、特に強くその懸念を挙げられている方々がよくおっしゃることとして、例えば、共同親権になってしまうと、DVをしてくるような夫と関わらないといけないだとか、DV夫に子供を会わせなければならない、そういった懸念の声が上がってきたりしていますけれども、まずこの点に関しては、この法律案はそういったことに対しては、こういうふうに対処している、そういった法律ではないということは、当然御検討されていると思いますけれども、まずその点を御答弁をいただきたいというふうに思います。
○小泉国務大臣 この法案は、子供の利益を第一にしていこうということをがっしりと中心軸に据えておりますので、DV被害に遭った夫婦関係であれ親子の関係であれ、DVからその子を守る、その子の成長を守ってあげる、そういう観点から措置を講じていこうという仕組みになっております。
○斎藤(ア)委員 つまり、私が言うのも変ですけれども、これは、DVであったりとか虐待案件があるときには、それは単独親権になるし、もちろんそのことによって、共同親権が可能となる法案ができたからといって、そのカップル、その元夫婦に関して、必ず共同親権となるわけではなくて、しっかりとそのことに関しても事実認定を行っていくということだと思うんです。
そのときに問題になるのが、昨日も申し上げましたけれども、DVがある、ないという判定は大変難しい。そして、言い出せない方もいるし、立証しなくても今は単独親権にしたら何とかなるから、もう離婚してしまって単独親権になって、問題があったのも覆い隠しているみたいな場面もあると思う中で、共同親権になるとそういったところに向き合わないといけないという御不安があると思っていまして、そのためには、どういったふうに事実認定をするのか、裁判所がその機能をしっかりと果たしてくれるのかというところが、本当に今不安を皆さん抱えているところだと思うんですけれども、これは共同親権を推進する立場からも同様だと思います。
中には、私はDVをしていないのにDVをしたと認定をされて子供に会えなくなってしまったとおっしゃっている方々もいますので、DVがあった、なかったの認定についてはこれからますます重要になるし、そこが今回の法案の争点になるとも思っているんですけれども、そこの部分の不安の解消が今の答弁では全くされないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 ちょっと余りに概括的に申し上げ過ぎたと思います、申し訳ないです。
今回、民法改正案は、これまでどおり、DV被害に遭った方々に加害者との面会を強制するというものでは全くありません。また、裁判所の判断によって、単独親権でなければ子供の利益が守れないというケースは単独親権を決定するという形でありますので、とにかく子供を守っていこうというところから厳格に場合分けをして、そして、単独親権、共同親権の選択を両方とも認めますけれども、子供の利益が守れない場合には単独でいくということをはっきりと明示しております。
また、その判定の仕方でありますが、例えば、父母の一方が暴力等を受けるおそれがあったり、子の心身に害悪を及ぼすおそれの有無、これを判断するわけですけれども、その際には、当事者の主張だけではなくて、客観的に見たDV等のおそれ、これを基礎づける事実、またそれを反対側から否定する事実、そういったものを総合的に考慮していこうということになっております。
そういうことで、非常に慎重に、丁寧に、子供に被害が及ばないように、その家庭を守れるように、そういう仕組みを慎重に、丁寧につくろうとして、原案を作っているところでございます。
○斎藤(ア)委員 もう時間が来ましたので、改めて今の御答弁を受けて裁判所の体制について一言申し上げたいんですけれども、やはり、当事者の言っていることだけではなくて、しっかりと調査をして、そして事実認定をしていくという、そのお話を聞いただけで、裁判所の業務がとてつもない膨大なものになるということはやはり想像できます。
裁判所の方で一義的には考えられることですけれども、やはりこれは今の段階から詳しく、立法意思ですとか、どういったことを目的として今回の法律を作って、そのためにはどういった体制整備が必要なのかということは、これまで以上に、更に密に連携を取っていただいて、御相談をしていただいて、そして法律ができれば二年以内の施行となりますので、もう時間が余りないと思います。その中で、どうやって体制整備をしていくのかということは大変重要な課題ですし、一般には大変多くの方が危機感を持っているところだと思いますので、裁判所の体制整備、この民法改正案に絡めても大変重要になると思いますので、その点をお願いを申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、おおつき紅葉君。
○おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉と申します。
本日から法務委員会の質疑を始めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
早速、まずオンライン接見の導入についてお伺いいたします。
身柄を拘束されている被疑者や被告人にとって、弁護人の援助を受けることは大変重要な権利だと考えております。そして、現代のIT化社会においては、弁護人が遠方にいる被疑者の方々とオンラインシステムを用いて、助言を得るということは実現可能な手段であると考えておりまして、権利性を有する法律上の制度として、オンラインシステムによる接見というのは、国家として予算措置を、運用されるべきものだと私自身は考えております。
そこで、まず事務方の方でよろしいんですけれども、現状、これは法制審で調査審議されているんですけれども、去年の臨時国会でもその審議状況を報告されておりますけれども、その後行われた段階も含めて、権利として規定することについて、現状をお伺いできますか。
○松下政府参考人 お答えいたします。
いわゆるオンライン接見を被疑者、被告人の権利として位置づけるということにつきましては、法制審議会において議論がなされましたけれども、先日、本年の二月十五日でございますが、法制審議会から答申があった要綱骨子には、その点は盛り込まれておりません。
○おおつき委員 まだ盛り込まれていないということで、これまでも様々な意見が出ているということは存じ上げております。その中でも、十二月の回ですか、なぜオンライン接見が実現しないのか、著しく不公平だという意見も出されているように伺っておりますが、この意見も踏まえられているということでよろしいですか。
○松下政府参考人 お答えいたします。
御指摘のような御意見もございました。ですけれども、その議論の中でどのような御意見があったかということを御紹介申し上げますと、全ての刑事施設においてオンライン接見を実現可能とするということは短期的には非常に困難でございまして、それが整わないままに権利だと権利化してしまうということになりますと、大部分の刑事施設などにおいて被疑者、被告人が法律上認められた権利を行使できないというようなことになってしまって法の趣旨に反する状態が長期間にわたって続くこととなるということで、直ちに御指摘のような制度を設けるということが難しいというふうに議論としてはなったと承知しておりまして、法務省といたしましても、御指摘のような法制度を直ちに設けるということは考えていないというところでございます。直ちにということでございます。
○おおつき委員 ただ、去年の臨時国会において、近い将来にという話なども出てきていたかと思うんですけれども、この中で、法務省からの答弁の中でも、運用として、ニーズが高い地域から弾力的に実施していくのが適切であるという旨の意見も出されているということなんですが、こういった地域から先行的に実施することも考えられるんでしょうか、近い将来。
○松下政府参考人 お答えいたします。
御指摘の点でございますけれども、実務的な運用上の措置といたしましては、従来からオンラインによる外部交通を部分的に実施をしてきたところでございまして、現在、弾力的にその実施を拡大していくということで関係機関や日本弁護士連合会との間で協議を行っているところでございます。今後とも関係機関などと連携しつつ、その取組を進めてまいりたいと考えております。
○おおつき委員 私がなぜこの地域性のことを話すかといいますと、私自身も選挙区は北海道で、委員長なんかも北海道で、日本で一番広い選挙区だと思うんですけれども、この地元北海道では、北海道というのは、感覚として皆さんたちにもう一度周知したいんですけれども、東北六県と新潟県を合わせたぐらい広いんですよ。今この中で、私の出身地であります小樽市の拘置支所も廃止されました。四月には室蘭という地域も廃止されるんです。東北六県と新潟県、この広さの中でこれから二か所しかなくなっちゃうんですよ、二か所。そうなると、よく大臣にも言われますよね、三時間四時間かけて行かなきゃいけないということもあるんです。しかも、それを数十分の接見のために。こういった地域の地域間格差、やはり国を挙げて埋めていかなきゃいけないというのは、皆さんもやはりこの認識に立たなくちゃいけないと思うんです。
大臣の選挙区なんかは埼玉です。埼玉の中でももしかしてちょっと遠いかもしれないですけれども、それでも私たち北海道民にとっては交通の便などはやはりいいんですよ。(発言する者あり)そうなんですよね。そういったことも考えて地域の特殊性というのは、やはり大臣、これは国を挙げて考えていっていただきたいと思うんです。
これが、例えば私の小樽の拘置所の管轄エリアにある倶知安町、これはニセコのスキー場なんかでも有名なんですが、町議会ではオンライン接見を国に求める意見書を議会の中で可決しているんです。この中で何が言われているかというと、やはり地域間の格差が生じているということなんですよ、大臣。
ですから、大臣、ここで伺います。オンライン接見の導入又は、ここには選択肢があると思うんです、オンライン接見を導入するか、古くなった施設を、お金をかけて、何億円もかけてやはり造り直して整備していくのか。こういったことをやはり選んでいかなきゃいけないと思うんですけれども、でも、このオンライン接見の導入が私は一番可能性が高いんじゃないかと思うんです。だからこそ、被疑者等が立会人なく弁護人と接見することは、適正手続の保障、そして、冤罪防止、そして地域間格差を埋めるためにも重要だと考えているんですけれども、大臣のお考え、そして現在のこの検討、調査審議されている状況の現状も踏まえて、今後の方向性についていつ頃示せるのか、教えてください。
○小泉国務大臣 過疎化は言うまでもなく、少子化が進み、また限界集落、様々な問題が社会的に起こっています。その中で、法務行政を適正に執行していくことが、ではどういう方法があるのか、そういう重要な課題だというふうに受け止めております。
当然のことでありますけれども、オンラインというものを有効活用したい、その思いは我々も同じでございます。ただ、権利性を持ったオンライン接見という、その完成形から入ろうとすると、様々な問題が、事務方から御説明したような問題も含めて起こってまいります。
国民の権利だとして確定すると、じゃ、何が足りないというところに議論が入ってしまうので、大きな方向性としては、ニーズが高い分野を含めて、まず実践的に事実上オンラインの活用を広げていく、実効性を高めていく、よりたくさんオンラインを使っていく、その結果をまた踏まえて次へ進む、着実にそういうふうに進みたいなというふうには思っております。
○おおつき委員 大臣、もう一問です。
では、被疑者の家族も含めて、いつ頃から始まるのかなというのが普通の人の感覚だと思うんですよ、いつ頃から。
去年の十一月の臨時国会のときに、大臣、既にそういった背景にある事情というのはしっかりと承っているというようなお話をされていますよね。もうそこから四か月たちました。今現状、この四か月で、自分自身の認識、法制審議会の審議状況を含めて、これからどのぐらいのスピード感で進めていかれる御決意ですか。
○小泉国務大臣 これは、刑務所の統廃合とかそういった問題とも関係してくる重要な課題だと思います。いつまでにという期限を今切ることはできませんけれども、今日御指摘もありましたから、なお一層取組を加速したいと思います。
各地の弁護士会とも有益な意見交換をさせていただいています。その意見も十分に我々は承っております。それを現実のやり方に知恵として出していきたいと思います。
○おおつき委員 加速化と言いましたので、大臣、就任中に是非実現に向けて取り組んでいただきたいと思っております。
では、次の質問に行きます。
技能労務職員減員に係る具体的な検討内容についてです。
さて、今回の裁判所職員定員法の改正では、裁判官以外の裁判所職員の定員を三十一人減員することとしておりまして、そのうち技能労務職員は十八人減ることとなっています。
この技能労務職員は、かつては一年間に六十人から七十人程度減員されていた時期もあったんですけれども、ここ二、三年は十八人の減員となっています。
さて、昨年の衆議院の法務委員会において、最高裁判所は、技能労務職員の定員に関しては、定年等による退職に際し、裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、外注化による合理化等が可能かを判断し、後任を不補充にして生じた欠員について定員合理化をしている旨の答弁をされているかと思います。
確かにこれは外注を行った方が原則としては公務員として雇用を行う場合よりも経済的な側面を持っているかもしれません。しかし、将来的に全ての技能労務職員を外注により置き換えることもまた現実的ではないんじゃないかなと思うんですけれども、公務員でなければならない業務もまた残り得るものと考えられます。
そこで伺います。
最高裁判所は、今回の技能労務職員の減員を検討し、法案化するに際して、さきに述べたこの外注化による合理化等が可能かについて、庁舎の清掃や警備や電話交換等の庁舎管理業務や、自動車の運転等の業務を行う技能労務職員の存続又は外注への振替について、将来的な見通しや計画も含めてどのような具体的な検討がなされたのか、またその上で、今回の法改正による減員の内容について、機械的に昨年と同様の数字ありきで行われるものじゃなくて、具体的にどのような職種を対象として外注及び人員削減を行うこととしているのかお伺いいたします。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
政府による技能労務職員が行う業務のアウトソーシング等への取組については私どもも承知しているところでございまして、裁判所といたしましても、そのような政府の取組状況や、あるいは裁判所の事務への支障の有無等を考慮しながら技能労務職員の定員の合理化を図ってきたというところでございます。
委員からも御指摘いただきましたけれども、技能労務職員の定員の合理化を行うに当たりましては、定年等による退職に際して、裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、外部委託、アウトソーシングができるかどうか、その合理化が可能かどうかを判断して、後任を不補充ということにより生じた欠員について定員合理化をしてきているというところでございます。
私どもといたしましては、既に欠員になっている技能労務職員について、庁舎管理業務等を外部委託できるかどうかの代替を考えて、実際それを行っていき、そして技能労務職員を削減するというステップを踏んでいるわけでございまして、裁判所の業務に支障があるというようなことは生じないような形で進めているところでございます。
○おおつき委員 では、その合理化の目的について伺いたいんですけれども、今回の法改正の結果を見据えて、来年度予算の人件費を積算して要求されていると思うんですけれども、今回の減員による公務員人件費の削減効果、これはどれぐらいになると見込んでいらっしゃいますか。
○染谷最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
技能労務職員の減員による人件費の削減効果という点でございますが、令和六年度予算におきましては、技能労務職員を十八人減員することとしております。この分の人件費の削減額といたしましては、およそ九千万円余りを見込んでおります。
○おおつき委員 九千万円余りということです。これは、たとえ技能労務職員の減員を進めて人件費の削減を行ったとしても、技能労務職員が行っていた業務を外注して、その費用が人件費の削減分を上回るようになっては、これは元も子もないと思うんですよね。となると、新たな外部委託というのは、基本的には入札によって委託業務が決まることになると思われるんですが、経済的な側面からいっても、予定価格の作成の在り方や実際の入札率によっては、これまでどおり公務員で実施していた場合に比べて、外部委託への振替によってかえって費用負担が大きくなってしまう可能性も否定できないんじゃないかなと思うんですが。
もちろん、現段階ではこの費用対効果の詳細は不明かと思うんですけれども、予算要求の段階で、大まかな試算で結構ですので、今回の法改正に伴う減員による人件費の削減と外注に必要な費用との差引きで、どの程度の予算削減につながっているのかについて、数字があればお答え願います。
○染谷最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
委員も御指摘のように、技能労務職員が行っていた業務を外部業者に委託するに際しましては、既にあります業務の見直しですとか、事務の統合等、業務の最適化を行いまして、業務の合理化を行っているところでございます。
その上で、技能労務職員が行っていた業務をそのまま外部委託するわけではなく、業務の合理化、効率化を行ってもなお残存するものについて外部委託を行うといった、できる限り外部委託経費の増加を抑制するように努めているところでございます。
そして、その予算削減効果という点につきましては、委員も御指摘のとおり、技能労務職員の業務は多岐にわたっておりまして、かつ、これらの業務の全国各庁での外注化の状況等を最高裁で全て把握しているわけではないということでございまして、いわゆる外注化、アウトソーシングによる経費節減効果を金額という点で正確に申し上げるのは困難というところは御理解をいただきたいと思います。
一例といたしまして、全国の裁判所庁舎の清掃業務及び警備業務の予算額の合計額につきましては、令和元年度を基準とした、その後、六年度予算案までの五年間で、技能労務職員につきましては百十六人の定員を合理化しております。他方、その間の清掃業務、警備業務の予算額の合計につきましては、一億円余りの増額ということにとどまっております。そして、その百十六名の技能労務職員の合理化の人件費削減額というのが合計六億円余りということになってございます。金額としてはそのような関係になってございます。
○おおつき委員 ごめんなさい、その一億円というのは、五年間で一億円ということですか、それとも一年間でですか。
○染谷最高裁判所長官代理者 失礼いたしました。
お答え申し上げます。
清掃業務、警備業務に関しましても、令和元年度を基準として、令和六年度までの五年間ということで、一億円余りの増額ということでございます。
○おおつき委員 ありがとうございます。
このように、一つ一つ、元も子もないような事態にはならないように、しっかりとこれからも伺っていけたらと思います。
さて、次に気になるのが、業務の更なる外注化が進むことによって、外部の方が裁判所の庁舎に出入りする機会が増えることで、セキュリティー面の対策が重要になってくると思います。当然ですけれども、裁判所では、当事者のプライバシーや、営業秘密等に係る秘密保持が必要となる情報を取り扱っている場所だと思います。
セキュリティー面では、裁判手続等のデジタル化の推進に伴って、サイバーセキュリティーに注目が集まりがちなんですけれども、いわゆる従来型の人の出入りや対人接触に対応する、警備保安上も含めたセキュリティー対策も引き続き重要であると考えております。
もちろん、外部委託に当たっては、契約書において、秘密保持義務が明記され、その違反については、違反金等が課せられることになるかと思われますが、法律上の様々な制約が課される公務員自らが行う場合に比べて、強制力は弱いものになるんじゃないかなと懸念をしております。
また、一旦受託した事業者が、ほかの事業者に交代したり、再委託や下請業者を利用することもあるなど、公務員が直接行う場合に比べて多くの関係者が関与することで、秘密漏えい等のリスクが高くなる傾向もあるのではないのでしょうか。
そこで、伺います。
このような観点から、外注化を増加させることに伴って、現在既に講じている、また、今後、外注化の更なる増加に備えて検討を予定している、裁判所におけるセキュリティー対策の取組状況について、お答えできる範囲で結構ですので、説明をお願いいたします。
○染谷最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判所は、その業務の性質上、法廷でありますとか受付窓口のあるエリアは、裁判所を利用される方々の出入りを前提にした場所ということになります。一方で、特に執務室のエリアにつきましては、基本的には職員のみが立ち入るエリアということになります。外注業者の出入りが増加をするということに伴いましてセキュリティー対策の重要性が増すというのは、委員御指摘のとおりでございます。
その上ででございますが、裁判所庁舎のセキュリティーという事柄の性質上、個別具体的な対策の内容についてここでお答えをするということは差し控えさせていただきたいと考えておりますが、最高裁の例ということを幾つか申し上げますと、まず、外注業者との契約におきまして、守秘義務でありますとか、情報漏えい防止等の措置を取る義務ということを課しております。そのほか、写真つきの入構証で入構管理を行うなどの対策を講じております。
また、セキュリティー対策が特に重要になる執務室エリアへの立入りにつきましては、立入りそのものを制限したり、あるいは、作業等に際しまして、職員が同行して、職員の監視の下で作業を行わせるなど、機密保持に必要な措置を講じているところでございます。
裁判所といたしましては、今後も、業務を外部業者に委託するに当たりまして、セキュリティー対策の重要性に鑑み、引き続き必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○おおつき委員 その契約もしっかりとセキュリティー対策を行いながら、そういったことを強化することによって、かえって費用負担が大きくなるような事態に陥らないようにしっかりと監視を徹底していただきたいと思います。
それでは、最後に、裁判職員における女性活躍という観点でお伺いしたいと思います。
先週の三月八日は国際女性デーでした。日本のジェンダーギャップ指数、百四十六か国中百二十五位と、昨年の百十六位からまた後退して、過去最低となった事態であります。これは先進国の中の最低で、G7でも最下位と言われているんですけれども、裁判官以外の裁判所職員について見ると、実は、三十代以下では女性の方が多くなっているんですよね。特に二十代では、女性が男性を大きく上回っているというデータがあります。
裁判官以外の裁判所職員の中で、特に女性の割合が高くなっている職種はあるんでしょうか。女性職員の割合が高まっていることは歓迎すべきことではあるんですけれども、その反面、現在のライフスタイルや出産、育児など、男性と異なる面もある女性に対しては過度に負担がかかっているというときもあるので、可能性も懸念しております。
そこで、これらの裁判所職員の行う業務について、実務の現場で男女間に大きな相違があるのかどうか、そして、そのような状況の中で女性職員が増加している要因について伺います。
また、逆に、職員の男女比について女性の割合が高くなることから生じる人事管理上の、組織運営上の課題がないのか、現状を伺います。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判所書記官、家庭裁判所調査官、裁判所事務官の一般職の業務内容につきましては、男女によって相違があるものではございません。
委員御指摘のように、裁判所事務官あるいは家庭裁判所調査官補の採用者に占める女性の割合は、ここ数年来五〇%を超える状況になっております。
裁判所では、これまでも、男女を問わず優秀な人材の確保に積極的に取り組んでいるところでございますが、例えば、採用試験のパンフレットやホームページなどで、仕事と生活を両立させながら活躍している女性職員を取り上げたり、あるいは、育児経験のある職員が説明会に参加をして、経験談を交えて各種の両立支援制度の説明を行ったりしてきたところでございます。
今後、女性職員の割合が増えることによる課題ということでございますが、先ほど述べたとおり、業務内容について男女の相違がないことから、女性職員の割合が増えることを理由とする業務運営上の支障というものは特段生じていないものというふうに認識をしております。
今後とも、男女問わず、組織全員の力を最大限発揮できるよう努めてまいりたいと考えております。
○おおつき委員 時間が参りましたので終わりますが、男性も女性も、是非子育て世代が挑戦できる環境を整えていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、道下大樹君。
○道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。
本委員会で理事を務めさせていただいております。今日はどうぞよろしくお願いをいたします。
今回の法案について質問する前にちょっと、昨日、ホットな話題で判決が出されました、同性婚訴訟について法務大臣の受け止めを伺いたいと思います。
同性同士の結婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法に反するとして訴訟が行われ、昨日午前中には東京地裁で、そして昨日午後には札幌高裁で判決が出されました。東京地裁では、違憲状態であるということ、それから、札幌高裁では、三年前の札幌地裁では違憲ということだったんですけれども、それに対して、札幌高裁では、さらに、違憲というところも踏まえて、また、憲法二十四条一項それから二項についても違憲という判断、判決を下されました。
この点について法務大臣の受け止めを伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 御指摘の判決は、原告らの請求を棄却し、又は原告らの請求を棄却した地裁の判決に対する控訴を棄却したものでありますが、東京地裁の判決では、その理由中において、委員から御指摘ありましたように、民法及び戸籍法の婚姻に関する規定等が憲法二十四条二項に違反する状態にある旨の判断が示されました。また、札幌高裁の判決では、その理由中において、民法及び戸籍法の婚姻に関する規定が憲法十四条及び憲法二十四条に違反する旨の判断が示されました。真摯に受け止めております。
ただ、いずれも現段階では確定前の判決であり、また、他の裁判所に同種訴訟が係属していることから、その判断も注視してまいりたいと思います。
○道下委員 札幌地裁では、憲法十四条について違憲、そのほかは合憲でしたけれども、今回、札幌高裁は、全てに関して違憲と。そして、憲法二十四条二項については、東京地裁で二年前に違憲状態、名古屋地裁では違憲、福岡地裁では違憲状態、東京地裁では違憲状態ということで、今、司法の判断は、同性婚を民法等で認めないのは違憲若しくは違憲状態であるという大きな流れができております。
昨年の毎日新聞によりますアンケート調査によりますと、同性婚を法的に認めるか認めないかというアンケートに対して、認めるべきという賛成する人が六三%、反対は二四%、もう国民は過半数以上が、同性婚を法定で認めるべきという世論が多くなっています。大臣、是非、私はしっかりと政府が動くべきだと思います。
今日の朝日新聞朝刊では、早稲田大学教授、家族法が御専門の棚村先生のお話として、「札幌高裁判決は、憲法二十四条一項の婚姻の自由に同性婚も含まれると宣言した。極めて画期的で、一連の「違憲」「違憲状態」判決とは質が異なる。初の高裁レベルの判決であり、意義は大きい。」、そして、「判決の付言は「間髪を入れずに法制化せよ」とのメッセージだ。国会や政府は重く受け止め、早急に議論を進めるべきだ。」と述べられています。
是非、法務大臣、政府から、同性婚を認める民法改正を出しましょうよ。よろしくお願いします。
○小泉国務大臣 同性婚制度の導入の問題は、これまでも御説明をさせていただく機会がありましたが、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であります。国民的なコンセンサスと理解がなければ、それを得た上でなければ進めることが難しいと考えております。
そのためにも、国民各層の意見、国会における御議論、そういった状況に加え、こうした同性婚に関する訴訟の動向、また地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入の運用やその状況等を関心を持って注視してまいりたいというふうに思っております。
○道下委員 今、小泉法務大臣からの御答弁で、国民の理解とかコンセンサスということでございましたが、先ほど申し上げたように、毎日新聞のみならず、他のアンケート調査では、もう同性婚を認めるべき、法的に認めるべきという意見はあちこちで過半数、そして、当事者の団体のアンケート調査でも七割以上が賛成、特にまた若い人たちが九割近く賛成しているわけであります。もう私は国民の理解やコンセンサスは得られているというふうに思っております。
それから、国会での議論もありましたけれども、この法務委員会には、我が党が昨年三月に、民法の一部を改正する法律案、いわゆる婚姻平等法を提出しております。先ほど、早稲田大学の棚村先生が、国会や政府は重く受け止め、早急に議論を進めるべきということでありますけれども、これについて我が立憲民主党は、この婚姻平等法を既に昨年提出をしておりますし、それに対して、本会議で趣旨説明を要求しているのは、維新さん、共産党さん、そして国民さんということで、野党はもうこの法案を議論しましょうと言っているんです。国会で議論を止めているのは、政府や与党ではないかというふうに私は思うんです。
是非、法務大臣、閣法で出さなければ、国会で我々が出している婚姻平等法案の議論をしましょう。よろしくお願いします。
○小泉国務大臣 国会での御議論については、委員会も含めて国会で議論していただきたいと思います。
また、国民各層の意見の把握という点では、確かに、複数の報道機関等による世論調査はございます。これらの結果も、国民各層の意見を把握するための一つの資料として注視をしておりますが、また、これらの結果のみによって国民各層の理解、意見が進んだ、理解が整った、そういうふうに把握できるものではないと思っております。
○道下委員 法務大臣の今の御答弁は、ちょっと国民の認識また理解とずれているというふうに私は思います。
是非、その点は、非常に重要な役職に就かれて、そして答弁されるわけですから、この答弁は私は修正された方がいいのではないかというふうに思いますし、今、国会に我々立憲民主党が出しています婚姻平等法案について、是非この国会で議論を進めていただくように与党側とも交渉させていただきます。
是非、委員長、このお取り計らいを、この婚姻平等法案、この国会で、これを付託してもらって、そして議論することを進めさせていただきたいと思いますので、理事会でお取り計らいをよろしくお願いします。
○武部委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。
○道下委員 それでは、裁判所職員定員法について、法案に関して質問させていただきたいと思います。
定員法改正の目的は、事件処理の支援のための体制強化と国家公務員の子供の共育て推進などが挙げられております。
それで、伺いますけれども、子供の共育てというか、ワーク・ライフ・バランスというふうに広く捉えた方がいいかなと思うんですけれども、これまで裁判所においては、男性職員の育児休業の取得率を令和二年度まで二〇%とすることを目標として取り組んできたけれども、平成三十年度においては、もうそのときに目標を超えて、男性職員の取得率が三一・四%、平均取得期間は三か月というふうに過去の国会での答弁で公表されております。
それでは、今現在、男性と女性それぞれの育児休業の取得率と平均取得期間を伺いたいと思います。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
令和四年度における裁判所の一般職の育児休業の取得率でございますが、男性職員が八四・七%、女性職員が九九・七%でございます。平均取得期間は、男性職員が四・一か月、女性職員が十六・七か月でございます。
○道下委員 裁判所は独立機関でありますので、比べるのはどうかと思いますけれども、法務省を含めて他の省庁の男性の育休取得率と比べると、非常に高いなというふうに思います。男性が八四%台、女性が九九・七%、過去の国会での答弁では、女性一〇〇%を達成したときもあるということでございます。
これまでどのように、裁判所においてこのような育児休業の取得率を高めてきたのか、特に男性について、非常に育児休業を取得しやすい環境づくりに努めてこられたと思いますが、どのように取り組んでこられたのか、伺いたいと思います。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判所では、ワーク・ライフ・バランスを阻害する要因となり得る職場優先の風土あるいは性別役割分担意識の是正も進める必要があるというふうに考えておりまして、男女を問わず、仕事と生活を両立しながら真に協働できる職場を目指しているところでございます。
男性職員に対しましては、面談等を通じて子の出生や育児に係る状況を把握し、各種制度の取得検討や管理職員とのコミュニケーションのためのツールとしてチャイルドプランというものを職員に活用させるなどして、育児休業等の取得を促進するなどしているところでございます。
今後とも、子育てや介護を担う職員等を含め、組織全員の力を最大限発揮できるよう、仕事と生活の両立に向けた支援や環境整備等に取り組んでまいりたいと考えております。
○道下委員 非常に取組が進んでいるというふうに思いますし、是非、そうした取組は、裁判所内部のみならず、各省庁又は地方自治体、またもちろん企業でもこのようなものは取り組んでいただきたいと非常に思いますが、ただ、そういう男性も女性も育児休業を取りやすいという環境は、そういう様々なシステムもあるんですけれども、やはり十分な職員数がいる、定員そして実人員が十分いるということが根底になければならないのではないかというふうに思っております。
そこで伺いますけれども、現在、裁判官並びに裁判官以外の職員の必要人員は定員どおりで十分に足りているのか、実人員換算でも足りているのか、先ほど階委員やおおつき委員も職員の定員や実員についても伺っていましたけれども、私からも伺いたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判所はこれまでも、事件動向や事件処理状況等を踏まえまして、裁判官や裁判所書記官を相当数増員するなど必要な人員体制の整備を図ってきたところでございます。
近年の裁判所全体の事件動向を見てみますと、成年後見関係事件などの一部の事件を除きまして、落ち着いた状態が続いております。民事訴訟事件や刑事訴訟事件、少年事件につきましては、長期的に見ますと減少の傾向にあるというふうに評価しております。
このような事件動向を踏まえますと、令和六年度につきましては、これまでいただいている増員分を有効活用しつつ、審理運営の改善、工夫等も引き続き行うことで、適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものというふうに考えております。
○道下委員 これまで、社会状況の変化や抱える事件の増減に応じた定員の体制を取ってきたということでありますが、先ほども斎藤アレックス議員がお話をされました、今、これから本委員会でも民法改正案について審議が行われる予定でございます、そうした点を考えると、もしこれが可決されればではありますけれども、私は、特に大きな影響を受けるのは、家庭裁判所調査官の数が十分足りるのかという点でございます。
調査官のいない非常駐の家庭裁判所もあると承知しております。今後の法改正や社会経済情勢の変化等によって、非常に専門性が必要な調査官の業務量は急増すると想定されます。専門性を有するということは、それまでにちゃんと育成だったりしなきゃいけないというわけでありますので、これは一年、二年でぱっと優秀な、能力を高められるというような状況になるかどうか、私は、しっかりと調査官が確保されるのかは非常に心配をしております。
今現在、どのように増員しようと内部で検討されているのか、最高裁判所に伺いたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
家庭裁判所調査官につきましても、これまで、事件動向や事件処理状況等を踏まえて必要な体制整備に努めてきたところでございます。
家裁調査官の具体的な配置について、先ほど家裁調査官のいない裁判所についての御指摘もあったところではございますが、事件数のみならず、近隣の支部からの交通状況や扱っている事件種別、事件の処理状況などを総合的に踏まえた上で必要な体制を整備しているところでございます。
事件数が少ない庁におきましては、人員の有効活用の観点から、家庭裁判所調査官を配置せずに、近隣の庁に配置されている調査官が填補して事件を担当しているところもございます。こういった庁におきましても、家裁調査官による必要な関与はされており、適切に事件処理が行われているものと認識しているところでございます。
いずれにいたしましても、今後の体制につきましても、御指摘もありますような法改正の影響あるいは社会経済情勢の変化等のほか、裁判所全体の事件動向や事件処理状況等も注視しながら、必要な体制を検討して整備してまいりたいというふうに考えております。
○道下委員 家庭裁判所調査官については、今後の民法改正案の質疑の方に送りたいというふうに思います。私は非常に重要な問題だというふうに思っております。
時間がそろそろ参りますので、最後の質問とさせていただきますが、二〇二一年四月六日の参議院の法務委員会での質疑に対する答弁では、裁判所は行政機関ではないので政府の定員合理化計画に直ちに拘束されるということではないと答弁されつつも、裁判所として必要な体制を整備していくためには、政府からの協力依頼を踏まえて、他の行政官庁と同様に、必要な内部努力を行って定員合理化に協力することは必要であると考えたところと答弁されています。
私は、独立機関である裁判所がなぜ協力するのかというふうにちょっと疑問に思っています。定員について財務省との事前調整をしているのか、それに対しては否定された答弁がありました。
司法試験合格者数を増やした理由の一つは、裁判官や検察官を増やして裁判審理の迅速化のためだったはずであると思いますが、先ほどの階委員のとおり、これは目的というか、今、その改革が止まっているところ、又はちょっと悪くなっているというふうに思います。必要な人員確保のための定員と予算はしっかりと要求すべきと考えますが、最高裁判所の見解を伺います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
委員から御指摘いただきましたとおり、裁判所は行政機関ではございませんので、政府の定員合理化計画に直ちに拘束されるものではございません。
ただ、国家公務員の定員をめぐる情勢が厳しさを増す中で、引き続き、裁判所としての必要な体制を整備していくという観点から、国家の一機関として、他の行政官庁と同様に、事務の効率化等、必要な内部努力を行って定員合理化に協力することは必要であるというふうに考えているところでございます。
他方で、事件処理に支障があるというようなことがあってはなりませんので、その時々の状況に応じて、どのような体制を整備していくのか、裁判所が自主的、自律的に判断をしているところでございまして、令和六年度につきましても定員合理化への協力について必要な判断をしたところでございます。
定員合理化について、財務省と意見交換はしているところではございますが、先ほど申し上げましたとおり、政府が国家公務員の定員について厳しい姿勢で合理化に取り組んでいること等を踏まえまして、裁判所において自主的に判断したものであります。
裁判所といたしましては、これまでも、適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために必要な体制の整備及び予算の確保に努めてきたところでございますが、引き続き、これらの確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○道下委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 次に、池下卓君。
○池下委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の池下卓でございます。
本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。
それでは、早速でありますけれども、裁判所職員の定員法の一部を改正する法律案につきまして質疑の方をさせていただきたいと思います。
まず、今回の法案では、これまでも様々の委員から御質問ありましたけれども、事件処理の支援のための体制強化と国家公務員の子供の共育ての推進等を図るために、裁判所事務官を四十四人増員するとともに、他方で、裁判所の事務の合理化をすることによっての効率化で、技能労務職員七十五名を減員させることで、結果、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十一人減少させると承知をさせていただいております。
本日、階委員、またそのほかの委員の皆様からも御質問がありました。私も、三権分立をつかさどる中で、やはり裁判官の皆様の、この法曹人口の充実というのはしっかりとやっていかなければならないと考えております。
昨年の第二百十一回国会の附帯決議、これも議論ありましたけれども、これは、裁判所職員の定員法の改正を行う場合には、引き続き、判事補から任命されることが見込まれる者の概数と判事の欠員見込みの概数を明らかにし、その定員が適正であることを明確にすることとあります。また後るるありまして、最高裁判所において、引き続き、判事補の定員の充足に努めるとともに、判事補の定員の在り方について、現実的な実員の増減の見通しも踏まえて更なる削減等も含めて検討していくこと、こういうことが挙げられているわけなんですね。
資料の一枚目、これも見ていただいたらいいかなと思うんですけれども、こちらの方は判事補でありますが、平成二十九年以来、令和三年を除いて減員をされております。令和六年度は減員されないということになっているわけなんですけれども、これまで様々、るる議論があったんですが、判事補について、定員と実員の差が埋まっておられると考えているのか。また、令和六年度減員なしということでありますが、附帯決議についての検討状況と今後の方針について改めてお伺いをいたします。
あと、あわせて、具体的に法曹人口を増やしていく施策についても併せてお伺いをいたします。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
まず、委員からの御質問のありました裁判所の判事補の定員の関係についてお答えを申し上げます。
判事補につきましては、平成二十九年から令和二年までの間、判事定員への振替をすることによる定員の減少ということをさせていただきました。また、直近の事件動向や充員状況、本委員会の附帯決議等を踏まえまして総合的に判断した結果、令和四年度に四十人、令和五年度に十五人の減員をしたというところも、委員からの御指摘のとおりでございます。
他方で、裁判所といたしましては、引き続き、判事補の充員に努めており、判事補の給源となる司法修習終了者の人数が減少し、渉外事務所等の法律事務所との競合も激化しているという昨今の状況におきましても、令和三年には採用数六十六人、令和四年が七十三人、令和五年は七十六人、令和六年は八十一人というように、採用者数が増加しつつあるところでございます。
判事補の定員と実員との差、すなわち欠員の数につきましては、令和六年一月現在で百五十九人、これは一年前の百七十六人に比べますと状況が改善しているというふうに考えているところでございます。
判事補は、将来の判事の給源であります。今後の司法需要の変化等も考えられますところでございますので、昨年までに相当数の判事補定員を減少させてきたことや、近年の判事補の採用状況なども踏まえまして慎重に検討した結果、令和六年度につきましては減員は行わないということにしたものでございます。
裁判所といたしましては、本委員会の附帯決議も踏まえて、引き続き、判事補の充員に努めてまいりますとともに、今後の判事補の定員の在り方につきましても検討を続けてまいりたいと考えております。
○池下委員 今、御回答いただきましたけれども、欠員の数というのもまだまだあるのかなと思っておりますし、これまた議論がありました、法曹人口、量と質というところもありますので、これはしっかりとやっていただきたいなと、非常に不足をしているんじゃないかという印象を受けました。
ちょっと時間がなくなってきますので、次に行かせていただきたいと思います。
次に、家事事件についてお伺いをしたいと思います。
こちらの方も資料がありますけれども、昨今、家事審判事件につきましては増加傾向にあります。ただ、その内容を見ますと、成年後見人事件が増えてきているというのが背景にあるということも承知をさせていただいております。
ただ、一方、令和四年度に改正されました児童福祉法、こちらの方で、一時保護の際の司法審査の導入が行われました。これは施行されるのが令和七年の六月からということになります。
先ほども議論ありました、昨日審議入りしました家族法、民法の改正というところにもなりますし、詳細は先ほど斎藤アレックス議員の方からるるありましたので割愛させていただきますけれども、これに伴って、過去に離婚された方々、離婚カップルの別居親の方が、親権回復の申立てを行っていくということも考えられます。
そこで、事実の確認をさせていただきたいんですけれども、年間で二十万組が離婚している事実の中で、成人年齢十八歳までと考えたときに、親権回復の申立てのベースとなる離婚カップルの子供の人数について、どの程度いらっしゃるのかお伺いしたいと思います。ただ、これは死別であったり離婚後に特別養子縁組をされている方もいらっしゃいますので、そちらは除いてお聞かせ願います。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省が実施をいたしました令和三年度全国ひとり親世帯等調査の結果によりますと、調査をした令和三年十一月一日時点での推計値になります、令和三年の時点ですので、成年年齢は当時満二十歳になっておりますことを御注意いただければと思いますが、母子世帯は百十九万五千百二十八世帯であり、うち離婚を原因として母子世帯になったものは九十五万四百五十八世帯、父子世帯は十四万八千七百十一世帯であり、うち離婚を原因として父子世帯になったものは十万三千六百十六世帯でございます。
○池下委員 今のデータが二十歳の成人年齢のときということでありましたけれども、今十八歳に下がっているわけですけれども、二十歳のときでも、母子世帯、父子世帯合わせて、離婚の世帯数というのが百万世帯以上あるということでありますし、当然、お子さんがお一人とは限らないということであります。
ですので、まさに、家族法を改正されたときに、過去に離婚された方の親権回復によって家裁での負担というのも大きくなるのではないかなと理解をさせていただいております。
次に、先ほど申し上げました、児童福祉法の改正で、一時保護開始の判断に関する司法審査が導入されるということもお話をさせていただきました。具体には、児相が子供を一時保護する際に、親権者が同意をした場合を除いて、事前又は保護開始から七日以内に裁判官に一時保護状を請求する等の手続を設けるということが決まっているという状況であります。
そこで、児童相談所の一時保護の際の司法審査の導入や、今回の民法改正によって進展が期待される親子交流の推進で、家裁の負担も増加すると考えますけれども、現在の家裁の体制についてお伺いをしたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判所はこれまでも、事件動向や事件処理状況等を踏まえまして着実に裁判官を増員してきたところでございます。平成二十五年以降で見ますと、民事訴訟事件の審理充実を図るほか、家庭事件処理の充実強化を図るために、事件処理にたけた判事の増員を継続的に行ってまいりました。
また、各裁判所におきましても、家事事件を担当する裁判官等を増員するなど、事件数増も見据えて、家事事件処理のために着実に家裁の体制を充実させてきたところでございます。
○池下委員 先ほどからの議論もありました、これまでの事件の動向を見て対応されていく、対応されてきたということになるかと思いますけれども、当然、法律が改正されれば、その前提条件というのが変わってきますし、刑事から家事事件ということで異動させるということも当然あり得るかと思うんですけれども、やはりここはある程度予測をしながらというところで、先ほども、法曹人口、足りていないですよね、裁判官、足りていないですよねということで、各委員の方から質疑があったところだと思いますので、そこら辺はしっかりと対応していただければありがたいのかなと思います。
そこで、家庭裁判所の裁判官、また先ほど道下委員からもお話がありました、心理学、社会福祉学、教育学等の専門知識を有する家庭裁判所の調査官ですね、この調査官の方といいますのは、まさに、親子の面会交流の際にも、専門的な知識を使っていただいて尽力していただいている方だと思っておりますし、問取り、勉レクの方でいろいろ聞かせていただきましたけれども、言うても、すぐさま、その人材というのが育成できまして、どこかから持ってくるというわけにもいかないのかなと承知をしております。
そういう中で、人員補充、また質の担保など、計画的に行っていく、これから行っていくべきと、先ほどは現状どうですかということを聞かせていただきましたけれども、これからしっかりとやっていくべきだと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 裁判所はこれまでも、家事事件処理のために着実に家裁の体制を充実させてきたところではございますが、他方で、裁判所全体の事件動向を見てみますと、民事訴訟事件、刑事訴訟事件、少年事件は減少傾向にあるというところもございます。
裁判所といたしましては、このような事件動向も踏まえて、最高裁と各裁判所がそれぞれ連携しながら、必要な裁判所、必要な部署に適切に人員を配置して、その時々に見合った合理的な体制の整備に努めております。
今般の家族法の改正があった場合におきましても、各庁において適切に対応することができるよう、このような取組をしっかりと進めつつ、必要な体制を検討し、整備していくことになるというふうに考えております。
○池下委員 済みません、もう一回改めてお伺いしたいと思うんですけれども、やられている内容は分かるんですよ。やられている内容は分かるんですけれども、まさに、家族法改正、児童福祉法の改正、また親権回復、るる、それも、ベースとなる数といいますかが非常に多いということになるので、これは機動的にできるのかなと。ワンテンポ遅れて、そこから動向を見てとなっちゃいますと、どうしてもワンテンポ、ツーテンポ遅れて、対策になってくるかと思いますので。
私は、やはり救われないお子さん、例えば、家事で共同親権の部分でとか、児童福祉法の改正の部分で一時保護というところに仮にちょっと限定させていただいたとしても、救われないお子さんを少しでもなくすためにしっかりとやっていくべきだと思うんです。ちょっと改めて、もう一回伺いたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
委員からも御指摘をいただいているような、様々な家庭裁判所に持ち込まれる事件ということに対して、裁判所として適切に対応していく必要があるということは当然のことというふうに考えているところでございます。
裁判官を始めとする人的な体制の整備ということにつきましても、申し上げましたように、今後の事件動向や事件処理状況を踏まえつつ検討を続けていくということになります。なかなか中長期的に計画を立てるというのは、その時々の状況によって定まってくるということもあります。
また、申し上げましたように、民事や刑事等を含めた全体での人員配置のバランスを取っていくというようなことも進めてまいりたいというふうに思っておりますので、そういうことも含め、そして、将来の人的な体制ということについても検討してまいりたいというふうに考えております。
○池下委員 ちょっと今のところで、しっかりやってくださいとしか今言いようがないわけですけれども、各委員からの御希望もありますので、是非しっかりとやっていただきたいと思います。
時間もなくなってきますので、ちょっと最後の質問をさせていただきたいと思うんですけれども、性同一性障害者の戸籍変更についてお伺いをしたいと思います。昨日も鎌田委員の方からも御質疑がありました。
改めてなんですけれども、最高裁は、五つ要件があるうち、生殖機能要件、これを違憲とされました。あと、五つ目の要件でもあります外観要件についても、議論が不足しているということで、高裁の方に差戻しをされていると承知をしております。
私、昨年の十一月に、この委員会でこの問題について質疑をさせていただきました。大臣の方からも、特例法は議員立法でありますから、立法府の動向を注視しますというお話もありましたし、また、昨日の質疑でもありましたけれども、現在、生殖機能要件を満たしていない場合でも、性別変更を認める審判が明らかなときは、戸籍上の性別の変更を可能とすることを全国の市町村に伝達している旨ということで、昨日あったかと思います。
一方で、生殖機能要件につきましては、これまで、実際に手術という医療行為がありました。言い換えれば、手術を行ったという医師からの証明に基づいて家庭裁判所の方も審判されていたと思います。しかしながら、これが違憲となったわけですよね。家裁も、これまで以上にしっかりと慎重な審判をしていかなければいけませんし、司法の方でも、これは医療と非常に関係してくる部分もありますので、専門医などの医療関係者と意見交換をするなど、更なる見識、これも深める必要があると考えております。
さらに、現在議論不足とされています外観要件が今後違憲とされた場合には、より慎重な判断を家裁の方はせざるを得ないと考えます。
そこで、昨年の最高裁で違憲と判断されました性同一性障害特例法の規定への影響がどのようなものがあるのか、お伺いしたいと思います。
また、今後、手術を経ない当事者からの申立てについての審判はこれまで以上に丁寧な取扱いが求められると考えますが、裁判官の研修も含めて、これからどのような対応をされていくのか、お伺いをいたします。
○馬渡最高裁判所長官代理者 二点ありましたけれども、まず、御指摘の違憲判断の影響に関するお尋ねにつきましては、最高裁家庭局といたしまして、御指摘の大法廷決定後の各庁における事件処理の状況について網羅的に把握しているものではございませんので、その影響についてもお答えすることは困難ですが、家庭局におきましては、昨年の大法廷決定を受けて、本年一月以降、各庁から、審判がされた事件について月ごとに報告を求めるということを始めたところでございます。
また、今後の審理に関するお尋ねにつきまして、最高裁家庭局といたしましては、個別の事件の審理、判断の在り方について意見を述べる立場にはございませんが、各庁において、大法廷決定がされる前から、性同一性障害特例法に定められた各要件の充足性を丁寧に審理、判断してきているものと認識しておりまして、大法廷決定の前後を通じて、違憲と判断された同法三条一項四号以外の要件の充足性について適切に審理、判断しているものと考えております。
家庭局といたしましては、先ほど申し上げた各庁からの月ごとの報告等も踏まえまして、引き続き、性別変更審判事件の事件動向を注視して、どのような対応を取る必要があるかを含めて、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上です。
○池下委員 人権、非常に大事ですし、今、社会的な影響もあります。今日はもう時間がありませんので終わりますけれども、しっかりとお願いいたします。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、日下正喜君。
○日下委員 公明党の日下正喜でございます。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、関連の質問をさせていただきます。
この度の改正では、判事、判事補については増減なしとした上で、裁判所事務官を四十四人増員し、技能労務職員を七十五人減ずるとされています。
事務官の増員については、昨年も三十九名増員されており、一つは、民事訴訟手続や家事事件手続、刑事手続等におけるデジタル化の本格的な運用開始に向け、システム構築や規則改正、具体的な運用など、それらを担う、デジタルに強い、それらに対応できる事務官を増員する、そういう趣旨であると認識しておりますが、これまで紙ベース、対面ベースで行っていたものをデジタルやオンラインで行っていくとなると、様々な意味で新たな技術を、技能を有する人員の増員及びこれまで業務に携わってきた職員への新たな研修やサポートを行う職員も必要になってくると考えられます。
今回増員される事務官がどのような仕事を行っていくことを計画されているのか、もう少し具体的な内容をお伺いしたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判手続のデジタル化に向けまして、例えば、民事訴訟手続につきましては、関係法律の改正を受けて、オンライン申立てや訴訟記録の電子化、訴状等の電子送達、手数料等の電子納付など、全面的なデジタル化に対応するために新たなシステムを構築、導入していくことが求められており、改正法の施行までの間に、これらの検討を更に加速させ、新たなシステムの構築、試行、導入、導入に当たっては職員への研修等も必要になるわけでございますが、これらのプロセスを経ていくことが想定されているところでございます。
また、オンライン申立ての方式や訴状等の電子送達に関する規律など、民事訴訟手続の全面的なデジタル化に対応するための民事訴訟規則等の改正作業が必要となるほか、各裁判所における円滑な運用を支援する観点から、新たな法制やシステムの下での具体的な事務の在り方などについても検討を進めていく必要がございます。
このような各種の検討につきましては、保全や執行、倒産等の民事非訟手続や、家事事件、刑事事件においても必要となってまいります。
これらの裁判手続等のデジタル化の推進を含む事件処理支援のための体制強化等のために、令和三年度以降、毎年相当数の裁判所事務官の増員をお認めいただいているところでございますが、これまでの増員に加えて、今回お願いをしています増員分もしっかりと有効活用して、各種の検討を加速してまいりたいと考えております。
○日下委員 家事事件が増加傾向にあり、今後、共同親権の導入についても議論されてまいります。近年の家事事件の増加への対応については部署異動等によって調整していくと伺っておりますが、家事事件を扱う家庭裁判所の体制整備について、これまでどのような取組を行ってきたか、他の部署からの異動に対しての研修等も含め、イメージできるよう分かりやすい説明をください。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判所、これまでも、事件動向等を踏まえまして、着実に裁判官の増員を進めてきたところでございます。各裁判所におきましても、家事事件を担当する裁判官等を増員するなど、事件数増を見据えて、家事事件処理のために着実に家裁の体制を充実させてきたところでございます。
家事事件を担当する裁判官の数について、一人の裁判官が民事、刑事、家事など複数の種類の事件を取り扱っていることも珍しくないものでありまして、またその担当の見直しというのも随時行うということがございますので、なかなか正確にこれという数字を申し上げるというのは難しい部分はあるのでございますが、最高裁で把握しているところで申し上げますと、家事事件を担当する裁判官というのは、平成二十三年度は全国で約六百二十人でございましたものが、令和五年度には約七百三十人に増加しているというようなところでございます。
また、研修等についてのお尋ねもございました。
異動等によりまして家事事件を担当することとなった裁判官につきましては、着任時に各庁において執務の参考となる資料が配付されるほか、裁判所職員が閲覧することができるポータルサイトにおいても執務の参考となるような資料を掲載しております。
加えて、事件を担当する書記官や家裁調査官などから必要な説明を随時受けることができるというのは当然でございますし、同種事件の経験のある裁判官から助言を受けることもでき、新たに家事事件を担当する裁判官に対しては様々な側面から支援を行っております。
家事事件に不慣れな裁判官であっても円滑に事務処理を開始することができるよう、サポート体制を整えているところでございます。
○日下委員 ありがとうございます。
次に、家事事件を取り扱う家庭裁判所の現状と強化策についてもう一歩踏み込んでお尋ねします。
家裁は、全国に本庁五十庁のほか、二百三か所の支部及び七十七か所の出張所が設置され、夫婦、親子間の問題、遺産分割、成年後見等の家庭内や親族間の問題及び少年事件等を扱う裁判所であります。
こうした家事事件は、いつでも誰でも当事者になり得るものでありまして、そういう意味で、地域の家裁は住民にとって裁判を受ける権利が保障される地域の人権保障のとりでとしての大変重要な役割を担っております。
児童虐待についても、子供たちは自分にどのような権利が保障されているのかも知らないまま命を落とす悲惨な虐待事件が後を絶ちません。DVや児童虐待、成年後見制度など、裁判所における福祉的視点の強化が急がれるところですが、家裁において、家事事件、少年事件を専門に取り扱う裁判官は本庁及び大規模な支部以外には配置されておらず、裁判官が常駐している支部においても、民事事件や刑事事件を兼務しながら取り扱っているのが実情であると聞きます。
家事事件の大幅な増加に対して、裁判官の増員が追いついていないとの指摘もございます。また、家裁における子の監護事件及び未成年の子がいる婚姻関係事件並びに児童虐待に関連する各種事件への対応として、家裁調査員の増員及び積極的活用を図ることも必要であります。さらに、全ての家裁支部庁舎及び出張所庁舎に調査室、試行面会施設ともなる児童室を設置し、どの地域の子供であっても平等に意見表明権が保障され、面会交流の支援を適切に受けることができる環境整備を行っていただきたい。そのための予算の確保も重要です。
この度の家族法制が改正された場合には、更に家庭裁判所の役割は高まるものと思います。どのような対応を考えておられるのか、最高裁の御所見を伺います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
家族法制の改正ということについての御指摘がございましたが、法案が成立前の段階でございますので、裁判所として確たることを申し上げることは困難でございます。ただ、家族法の改正がございました際には裁判所に期待される役割がこれまで以上に大きくなるというのは、御指摘のとおりであろうかというふうに考えております。
最高裁といたしましても、家族法の改正があった場合には、各裁判所において立法趣旨を踏まえた制度対応ができるように、各裁判所における運用の検討や、研修等の実施に必要な情報提供やサポートを行うなど、しっかりと支援していくことが重要であるというふうに考えており、適切に対応してまいりたいと考えております。
また、裁判所はこれまでも、適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために必要な人的、物的体制の整備及びこれに必要な予算の確保に努めてきたところではございますが、今般の改正がございました際におきましても、裁判所に期待される役割を適切に果たせるように、引き続き、必要な体制の整備及び予算の確保にも努めてまいりたいというふうに考えております。
○日下委員 ありがとうございます。しっかりと、体制構築、応援してまいりたいというふうに考えております。
次に、少し話は変わるんですけれども、国際司法裁判所また国際刑事裁判所を始め、国際機関に対してどのような人的協力を我が国が行っているのか伺いたいと思います。
今、ロシアによるウクライナ侵略や、ガザではたくさんの子供や市民を巻き込んだ目を覆いたくなるような事態が生じています。また、北朝鮮のミサイル発射等々、一体日本として何ができるのか、報道を見ながらジレンマを感じている人は少なくないと思います。混沌とした国際情勢の中で今求められているのは、岸田首相が昨年のG7サミットでも示された、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の構築を一歩一歩進めていく以外にないということだと思います。
総理は、脆弱な国にこそ法の支配が必要であり、主権や領土の一体性の尊重、紛争の平和的な解決、武力の不行使など、国連憲章上の原則が守られていることが、国際社会で自由が享受される重要な前提と言えるということである、力による一方的な現状変更の試みや、ロシアが行っているような核兵器による威嚇、ましてやその使用はあってはならないものとして、断固として拒否する必要があると述べられております。
やはり、法の支配ということが重要な意味合いを持つものと思いますし、この法の支配という価値を高め、我が国が国際社会の平和に貢献していくためには、国際機関により多くの人材を派遣していくことが実質的に重要になると思います。
もっとも、日本は、百二十四か国が加盟する国際刑事裁判所への最大の分担金拠出国、実に一五・四%を負担をしているにもかかわらず、職員は僅か十名程度にすぎず、拠出金割合に応じた適正人数、四十一名と聞いておりますけれども、遠く及ばないというのが現状でございます。
アジア太平洋の加盟国は十九か国であり、うちアジアは日本と韓国のみ。我が国のプレゼンスを高めつつ、アジア太平洋の加盟国を増やしていくことも大変重要であると考えます。
また、経済界、産業界、外国人材などの人の往来も含め、ますますグローバル化する国際社会にあって、そうした舞台での経験を積んだ法曹人材が帰国し、更なる力を発揮することも大いに期待できます。
三月十一日に、国際刑事裁判所、ICCの所長に日本人で初めて赤根智子判事が選出されたとの報道に接しました。赤根氏が選出されたのは、日本が法の支配を粘り強く訴えてきたことに加え、日本のICCへの拠出金分担率が一位である実績が追い風になったというふうにも聞いておりますし、この赤根氏は、プーチン大統領に逮捕状を出したICCの判事三人のうちの一人、これに反発したロシア政府から指名手配までされているという人物でございますけれども、その赤根氏自身、コメントとして、所長選への立候補に勇気を振り絞った、日本人が国際機関のトップに立つ、若い人に続いてほしいというふうに述べられているとも聞いております。
法の支配を支える国際機関への人材派遣、やはり、日本の歴史や文化、また平和主義、これを正しく認識する、そういう人材を派遣する、充実強化していくことについて、法務省としてももっと踏み込んでいかれるべきだと思うのですが、法務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 法務省では、法の支配等の価値を我が国から国際社会に発信し、推進する司法外交に取り組んでおります。その中で、同じく法の支配の強化に向けた活動をしている国際機関等への職員の派遣を充実強化することは極めて重要であり、また効果的であると考えております。
また一方で、国際業務を通じた多角的な視野、交渉力、調整能力を培った職員が増加し、そういう方々が帰国することによって、国際業務以外の法務省の業務においてもリーダーシップを発揮すること、これは法務省全体のパフォーマンスの向上にも寄与してまいります。
法務省では、御指摘がありました、ICCあるいは国連薬物犯罪事務所及び国連国際商取引委員会、UNCITRAL等に法務職員を派遣しておりますが、まだまだ足りないと思います。これは本腰を入れて進めなければいけない、そのように、先生のお話も踏まえて、今考えております。
赤根判事がICCの裁判所長に月曜日、三月十一日に選ばれた。我々も全面的にバックアップしたわけでありますけれども、やはり、判事の互選で当選されたわけでありますが、おっしゃったように、日本国の努力、赤根判事の努力、そういったものが総合的に国際的な評価を受けて影響力を及ぼしたと思います。誇りであり、また、日本のプレゼンスを高めてくださったことに感謝をしたいと思いますけれども、それに安住することなく、法務省としても、本格的な、真剣な努力をこれから戦略的に進めていきたいと思っております。
○日下委員 ありがとうございます。是非しっかりと進めていただきたいと思います。
もう一問用意しておりましたが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。本当にありがとうございました。
○武部委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時十八分休憩
――――◇―――――
正午開議
○武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
裁判所職員定員法についてお伺いしたいと思います。
全国の裁判所の職員の皆さんからは、増員要求が各地でございます。今日、資料をお示しをさせていただいているんですけれども、これは、昨年の十月五日、日本弁護士連合会人権擁護大会シンポジウムの提言、改めて出させていただきました。そこには、裁判官や家庭裁判所の調査官の増員は急務であるということで、裁判官でいうと、できるだけ速やかに、数百人単位の裁判官、判事、判事補の増員が不可欠であるというふうに書かれておりますし、家裁の調査官も、どの地域においても家裁の調査官の数が足りていないという声で満ちあふれているというふうにも指摘をされ、家裁の調査官の速やかな増員及び体制強化は急務である、司法権をつかさどる裁判所の職員が足りないことは明らかであるというふうに指摘がされております。
にもかかわらず、今回、減員の法案となっております。なぜこうした声を聞かないのか、最高裁の方にお伺いしたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判所といたしましては、これまでも、事件動向や事件処理状況等を踏まえまして、裁判官や裁判所書記官を相当数増員するとともに、家裁調査官についても一定の増員を行うなど、必要な人的体制の整備を図ってきたところでございます。
他方で、近年の裁判所全体の事件動向につきましては、成年後見関係事件などの一部の事件を除きますと落ち着いた状態が続いております。民事訴訟事件や刑事訴訟事件、少年事件については長期的に見て減少の傾向にあります。
このような事件動向を踏まえますと、令和六年度につきましては、これまでの増員分を有効活用しつつ、審理運営の改善、工夫等も引き続き行うことで、適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものと考えているところでございます。
他方で、国家公務員の定員をめぐる情勢が厳しさを増す中で、引き続き、裁判所としての必要な体制を整備していくために、国家の一機関として、他の行政官庁と同様に、事務の効率化等、必要な内部努力を行い、定員合理化に協力することは必要であるというふうに考えており、技能労務職員及び裁判所事務官を対象とした定員の合理化を予定しているところでございます。
もっとも、裁判所事務官につきましては、事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員の子供の共育て推進等を図るために増員をお願いしているところであります。
以上の増減を通じますと、全体としては職員の員数は減少ということになりますけれども、技能労務職員につきましては、定年による退職に、裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、外注化による合理化等が可能かを判断し、後任を不補充とすることにより生じた欠員について減員を行うものであります。
また、裁判所事務官につきましては、既存業務の見直し、例えば庁舎新営の終了に伴う事務の減少分等について、合理化による減員を行うものであり、いずれも裁判所の事件処理に影響が出るものではないというふうに考えております。
裁判所といたしましては、引き続き、今後の事件動向や事件処理状況を踏まえつつ、必要な人的体制の整備について検討を続けてまいりたいと考えております。
○本村委員 資料の四百九十六ページのところを見ていただきたいんですけれども、子がいる婚姻関係事件については、原則として、全件、家裁調査官を関与させるべきだということを、日弁連の皆さんのシンポジウムの提言ではなされておりまして、こうした部分の拡充ももっと必要でございますし、三権分立の、人権を守るとりでである裁判所が、政府の総人件費抑制方針に協力し、定員合理化計画に協力するというのは、本当に私はおかしいというふうに、先ほども道下議員からもお話がありましたけれども、やはりおかしいというふうに思っております。
なぜ削減できるのかということも問いたいというふうに思うんですけれども、この間も、いろいろな現場の皆さんからお話を聞いてまいりました。例えば、下級裁の会計課の方が、四人体制でやっていたのが三人になって、そしてメンタルヘルスの不調になって一人病欠になって、二人体制になってしまったというお声をお伺いしました。こういうところにちゃんとカバーができていないという問題があります。
そして、先ほど事件数の話もありましたけれども、別の下級裁の職員の方からは、民事訴訟事件も内容が複雑化しているのに、書記官の配置が削減されてしまったと。事件数だけではなく内容をちゃんと見てほしいという声がございました。
また別の下級裁では、メンタルヘルスに不調を来してしまった職員の方がいて、周りの方がフォローをして、今度はそのフォローしていた方が体を壊してしまい、ドミノ倒しのような状況になっていると。これはここだけではなくて、別のところでもドミノ倒しというような状況がございます。
そして、職員の人数が少ない職場で、育児時間などで十七時以降残業できない方が部署にはいらっしゃると。そして、人数が少ない状況の中で、令状が三十通来ることがあると。警察が発付するということも、待つことも含めて、若い女性の方が、もちろん女性、男性区別なくですけれども、夜九時頃まで働いているというのが、一人で夜九時過ぎまで働いているということが日常化しているということもございました。
別の部署の皆様の中では、職場全体の余力がなかったり、職員同士のコミュニケーションが不足することにより、育児、介護等の制度があっても、行使できない職場がある、それが多くあるというお話も伺っております。
こういう実態をちゃんと把握していれば、削減なんてできないんじゃないですか。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判所各庁は、育児や介護などの家庭の事情にも考慮した上で職員の配置をしたり、必要に応じて部署内の応援や他部署からの応援等のサポート体制を構築するなど、適切に対応しているものと認識をしているところでございます。
また、最高裁としても、管理職員に対して、各種研修や事務打合せ等の機会を通じて、職場におけるサポート体制の構築について、理解の促進に努めているところでございます。
今後とも、管理職員を始めとする職員の意識啓発を進めて、両立支援制度をより一層取得しやすい環境づくりに努めていきたいと考えております。
○本村委員 今、育児の部分のことしか言わなかったんですけれども、こういう実態からすれば、総合的に見れば削減などできないというふうに思います。適切に把握しているのであれば、なぜメンタルヘルス不調を始め、病休の方が増えているのでしょうか。
一部の人に仕事が集中していないか、追い詰められていないか、しっかりと目配りをし、子育て、介護などの仕事と家庭の両立ができるように配慮をし、現場からの必要な人員の要求が、増員の要求がしやすくなるように、すぐに対応できる仕組みをつくるべきじゃないかと思いますけれども、最高裁、お答えをいただきたいと思います。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、仕事と家庭を両立できるよう配慮することは重要でございます。裁判所におきましては、これまでも、管理職員を通じて現場職員の様々な声を可能な限り拾い上げるなどして、執務環境の整備に努めてきたところでございます。
今後、男女を問わず、育児や介護等の家庭事情を有する職員のより一層の増加が見込まれる中、個々の職員がワーク・ライフ・バランスを実現することができるよう、仕事と家庭が両立できる執務環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○本村委員 それには増員が必要なんですけれども。
もう一つお伺いしたいんですけれども、裁判所のお仕事の中には宿日直というものもあります。仮眠を取るということが前提のようですけれども、ある職員の方でいいますと、一度も寝たことがないというふうにおっしゃっておりました。寝られずにそのまま朝働きますと、超長時間労働ということになってまいります。超長時間労働が発生しないように、翌日休めるシフトをつくるなど、十分な配慮が必要だというふうに考えます。
また、今、職員の方の有給休暇を取得しているそうなんですけれども、そうした通常の有給休暇の取得ではなく、特別の有給休暇をつくる必要があるのだというふうに思います。それはどうかという点。そして、宿日直で寝ないで働いた、そういう実態があるのであれば、手当を引き上げていくということも必要だというふうに思います。
その点、最高裁、これは国家公務員全体にも関わることですので、人事院にもお答えをいただきたいと思います。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判所職員の休暇につきましては、一般職の国家公務員の勤務時間に関する制度を準用しておりますため、最高裁判所としては、休暇の新設については意見を述べる立場にございません。また、宿日直勤務の際の手当額につきましては、法令に基づきまして、他の国家公務員と同様となっておりまして、最高裁判所としては、その額について意見を申し述べる立場にはございません。
なお、制度面は今申し上げたとおりでございますけれども、各裁判所の実情に応じて、連続して仮眠できる時間を確保できるような工夫を行ったり、あるいは宿直の翌日の業務を調整して休暇を取得しやすくするなど、職員の負担軽減が図られているものと認識をしております。
○荒竹政府参考人 お答えいたします。
一般職の国家公務員については、勤務時間法第十三条一項に基づき、宿日直勤務として、正規の勤務時間外において職員に設備等の保全、外部との連絡及び文書の収受を目的とする勤務等の断続的な勤務を命ずることができることとされています。また、各省各庁の長は、職員にこの宿日直勤務を命ずる場合には、当該勤務が過度にならないように留意しなければならないこととされています。具体的には、勤務日数をできるだけ少なくするような努力が必要であるほか、適正な勤務人員の確保、一回当たりの勤務時間の適正化、仮眠時間の確保、勤務環境の整備といった点に特に留意する必要があるとされています。
このような点を踏まえて、宿日直勤務が過度な勤務とならないよう、各府省において、適切に運用いただくものと考えております。
○本村委員 徳岡人事局長は、事実、過度な負担が出ているのに、そういう実態を見ていないというふうに思いますので、そこは改めていただきたいというふうに思います。
資料二に出させていただいているんですけれども、裁判官、裁判所の職員の病休の取得者が増えているという問題です。時間がないので、まとめて質問をさせていただきたいのですけれども、なぜこういう事態になっているのかという点。プライバシーのことがあるので把握しづらいというようなことを最高裁は言っているわけですけれども、職場をよくしたいから協力してもらえないかと、御本人の了解をいただきながら、第三者の方が聞き取るなどして、分析をして、まとめて、対策を打つということが、こういうことをやればできるじゃないかというふうに思うわけです。
プライバシーに配慮した形で御本人に依頼をして、九十日以上休んでいる職員の方、九十日未満休んでいる職員の方、そして公務災害で認定された職員の方、なぜ休むことになったのか、なぜ公務災害が生じたのか分析し、原因を取り除くことをやっていただきたいと思います。そして、メンタルで不調になってしまった方に関しましては、職場復帰の手厚いサポートにつなげる必要があるというふうに思いますけれども、最高裁、お答えをいただきたいと思います。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、病休取得者の数、令和五年と令和四年を比較しますと、一部増加しているところはございますけれども、病休の理由は、負傷や疾患など職員ごとに様々でございます。それには業務外の病気等によるものも含まれることを踏まえますと、一概にその病休取得者の数が増加していることの原因を分析することは、なかなか困難でございます。
委員御指摘の方にアンケートを取るというようなお話でございますけれども、体調への影響あるいはプライバシーへの配慮などを慎重に検討する必要があろうかと思われるところでございます。現在でも、職場に原因があるのではないかというような話を聴取したような場合には、これに対して、各庁において適切に対応を取っているものと認識しておりまして、引き続き、職員の健康保持に向けた取組を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
サポートの関係でお話がございました。委員御指摘のとおり、原因を分析して原因を取り除くことや職場復帰の手厚いサポートを行うことは重要であると認識しているところでございます。
例えば、精神疾患を例にして申し上げますと、職員が自らの不調に気づくための知識というものを付与したり、あるいは、部下職員にメンタルヘルス不調が発生した場合に、管理職員が早期に発見し対策を取ることができるような知識付与を行うなどしてきたところでございます。また、職場復帰に当たっては、職員の主治医や裁判所の健康管理医の意見も踏まえて、職場において必要な環境整備を行い、円滑な職場復帰が可能になるよう努めているところでございます。
いずれにいたしましても、引き続き、職員の健康保持に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
○本村委員 こうした分析もしっかりとせず、そして客観的な労働時間の把握もせず削減というのは本当におかしいということを指摘をさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
○武部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○武部委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。
○本村委員 私は、日本共産党を代表して、裁判所職員定員法改定案に反対の討論を行います。
本法案は、裁判官以外の裁判所職員の定員を三十一人減員するものです。日本共産党は、憲法が保障する国民、住民の権利を守るという本来の重要な任務を果たすために、裁判所職員の増員、裁判所予算の増額を求めてきました。本法案は、本来、独自の予算権限を持つ最高裁判所が、その定員について、政府の総人件費抑制方針に協力し、裁判所職員に負担を強いるものとなっています。最高裁判所が国民、住民の皆様の権利保障の機能の後退を招く定員合理化計画に協力することは許されないことから、本法案に反対いたします。
本法案の提案の理由は、裁判所の事務を合理化し、及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少する必要があるとしています。しかし、職場からは、簡素化、効率化というが、人減らしの理由にされている、業務量はほとんど変わらない、NAVIUSというシステムが一週間使えず、一か月アナログで対応している、デジタル化は全く進んでいないなどの声があります。
本法案は、現場の増員要求の声に応えず、職場の疲弊を招くものです。数年にわたる地方からの大規模庁への人員シフトにより、ぎりぎりの人的体制になっている下で、育児、介護など仕事と家庭の両立支援制度を利用する職員や病気による休職、退職者が出るなどした場合に、職員個々の負担が重くなり、繁忙になっています。
九十日以上の長期病休取得者数は百五十五人、そのうち精神及び行動の障害による病休者数は百二十九人となっており、増加傾向にあることは質疑の中でも明らかにしました。長期病休取得者数がなぜ増加するのかを分析し原因を取り除くことや職場復帰の手厚いサポートなどを行うべきです。
裁判所定員数の削減ではなく、労働時間の客観的な把握などを行い、職場実態に見合った抜本的な人員配置増こそ必要だということを申し述べ、反対討論とさせていただきます。
○武部委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○武部委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○武部委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、笹川博義君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。おおつき紅葉君。
○おおつき委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 民事訴訟手続の審理期間及び合議率の目標を達成するため、審理期間が長期化している近年の状況を検証し、審理の運用手法、制度の改善等に取り組むとともに、産業の高度化や国際化に対応できるよう裁判官の能力及び職責の重さの自覚の一層の向上に努めること。
二 裁判所職員定員法の改正を行う場合には、引き続き、判事補から判事に任命されることが見込まれる者の概数と判事の欠員見込みの概数を明らかにし、その定員が適正であることを明確にすること。
三 平成二十五年三月二十六日、平成二十八年三月十八日、平成二十九年三月三十一日、令和二年四月三日、令和三年三月十二日、令和四年三月九日及び令和五年三月十日の当委員会における各附帯決議等を踏まえ、最高裁判所において、引き続き、判事補の定員の充足に努めるとともに、判事補の定員の在り方について、現実的な実員の増減見通しも踏まえて更なる削減等も含め検討していくこと。
四 現在の法曹養成制度の下で法曹志望者の数について顕著な改善傾向が見られないことを踏まえ、そのことが法曹の質や判事補任官者数に及ぼす影響につき引き続き必要な分析を行い、その結果を国会に示すとともに、同制度や法改正の趣旨を踏まえた更なる法曹養成機能の向上、法曹志望者の増加等に向けた取組をより一層進めること。
五 裁判手続等のデジタル化の進捗状況を踏まえ、合理化・効率化が可能な事務と注力すべき事務をそれぞれ考慮した上で裁判官・裁判所職員の適切な人員配置を行うよう努めるとともに、裁判官以外の裁判所職員の労働時間を把握し、適切な労働環境を整えること。
六 両親の離婚時における子どもの利益確保の要請等への対応、その他価値観の多様化に伴う家事事件の複雑化・困難化の動向等に対して、家庭裁判所における多角的な対応が適切かつ十分に行われるよう、家庭裁判所の人的・物的体制の整備を進めること。
七 裁判官・裁判所職員が健康的に働き続けられる職場環境を整備すること。子育て、介護など仕事と家庭の両立に向けた取組をより一層進めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉法務大臣。
○小泉国務大臣 ただいま可決されました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。
―――――――――――――
○武部委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十四分散会