第13号 令和6年4月17日(水曜日)
令和六年四月十七日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 武部 新君
理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君
理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君
理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君
理事 池下 卓君 理事 大口 善徳君
東 国幹君 五十嵐 清君
井出 庸生君 稲田 朋美君
英利アルフィヤ君 奥野 信亮君
斎藤 洋明君 高見 康裕君
谷川 とむ君 中曽根康隆君
中野 英幸君 平口 洋君
藤原 崇君 三ッ林裕巳君
山田 美樹君 山本 左近君
おおつき紅葉君 鎌田さゆり君
鈴木 庸介君 寺田 学君
渡辺 創君 阿部 弘樹君
斎藤アレックス君 美延 映夫君
日下 正喜君 平林 晃君
本村 伸子君
…………………………………
法務大臣 小泉 龍司君
法務大臣政務官 中野 英幸君
最高裁判所事務総局民事局長 福田千恵子君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 江口 有隣君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 和田 薫君
政府参考人
(法務省大臣官房政策立案総括審議官) 上原 龍君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 坂本 三郎君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
辞任 補欠選任
谷川 とむ君 山本 左近君
同日
辞任 補欠選任
山本 左近君 谷川 とむ君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)
――――◇―――――
○武部委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、総合法律支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官小八木大成君、警察庁長官官房審議官江口有隣君、警察庁長官官房審議官和田薫君、法務省大臣官房政策立案総括審議官上原龍君、法務省大臣官房司法法制部長坂本三郎君、法務省民事局長竹内努君及び出入国在留管理庁次長丸山秀治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○武部委員長 次に、お諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局民事局長福田千恵子君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○武部委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。東国幹君。
○東委員 それでは、早速でございますが、総合法律支援法の一部を改正する法律案、これに対して質疑をさせていただきたいと思います。
犯罪被害者として、突然、急にその立ち位置に立たされたときには、その身にならなければ肌身に感じない悩みが生じたりするというのは推察しているところでございます。したがって、犯罪被害者等を早期の段階から包括的に、そして継続的に援助をしていく必要性を強く感じます。そして、その援助をされなければならない方々というのは、資産の多寡による条件をたとえ設定をしても、それを実情に合ったものとして、機会は均等であることが望まれるところなんですが、私はその立場になったことはありませんけれども、かなりの想像力をかき立てながら質疑をさせていただきたいと思います。
この制度は、例えば民間団体の日弁連でも同様の支援を行ってきたことと承知はしておりますけれども、この改正なんですが、被害者救済の必要性を感じて新制度にまた更に改正をするという趣旨だと思うんですけれども、この法律案の趣旨、概要、これをまず最初にお伺いしたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
犯罪被害者やその御家族は、被害直後から様々な対応が必要となりますけれども、精神的、身体的被害等によって自らが対応できないばかりか、その被害に起因するなどして経済的困窮に陥ることにより弁護士等による援助を受けられない場合がございます。現行の法テラスによる援助にも、民事法律扶助等、一定の被害者等が利用可能なものはございますけれども、その援助対象や内容が限定的であることなどから、早期の段階から包括的かつ継続的に援助する制度の必要性が指摘されておりました。
そこで、法務省におきましては、令和五年六月の犯罪被害者等施策推進会議決定などを踏まえまして、関係機関等と協議しつつ、法案の提出に向けた準備を進めまして、今般、この法律案の提出に至ったところでございます。
この法律案の概要でございますけれども、法テラスがそのような被害者等の刑事手続への適切な関与又は損害、苦痛の回復、軽減を図るために必要な法律相談を実施し、契約弁護士等に法律事務を取り扱わせることにより、早期の段階から包括的、継続的に被害者等を援助する犯罪被害者等支援弁護士制度を創設するものでございます。
○東委員 その存在というものは多くの支援者の皆さんが実績を持っているというふうには承知しているんですけれども、今回改正されるというところの業務内容、これについてお伺いしたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この法律案は、犯罪被害者やその御家族を早期の段階から包括的かつ継続的に援助するため、法テラスの業務として、被害者等が刑事手続への適切な関与又は損害、苦痛の回復、軽減を図るために必要な法律相談を実施すること、及び、法律事務及びこれに付随する事務を契約弁護士等に取り扱わせることを新設するものでございます。
この制度の対象となる法律事務やこれに付随する事務の具体的内容は、この法案成立後に、関係機関、団体等と協議を行って定めることになります。ただ、現時点では、必要な法律事務には、例えば、被害届や告訴状の作成、提出、加害者との示談交渉や損害賠償請求等訴訟における訴訟代理、犯罪被害者等給付金の申請手続等を含めることを想定しております。また、法律事務に付随する事務につきましては、例えば、捜査機関による事情聴取への同行、裁判傍聴への付添い、関係団体による適切な支援を受けるための援助、報道機関への対応等を含めることを想定しております。
これらの法律事務等の具体的内容につきましては、刑事、民事関連を始めとして、包括的かつ継続的な援助が可能となるよう、どのようなニーズがあるかを十分把握するなどして適切に定めてまいりたいと考えております。
○東委員 これはやはり、弁護士がつくかつかないかというのは大きな大きな焦点でありますし、ましてや専門的な事務事業が多い係争事でございますので、そういったことは不可欠だと思います。
しかし、こういった支援の制度設計を考えるということになりますと、やはり、この場面ではどうなのかとかいろいろなことが想定されると思うんですね。今、あらあらのスキームは承知しているんですけれども、まず、新制度においての対象となる犯罪被害者等の範囲、これについてお伺いしたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度は、犯罪被害者やその御家族が、被害直後から様々な対応が必要となるにもかかわらず、精神的、身体的被害等によって自らが対応できないばかりか、その被害に起因するなどして経済的困窮に陥ることにより弁護士等による援助も受けられない場合があることから、そのような被害者等を支援するために創設するものでございます。そこで、こうした事態に陥ることが想定される一定の罪に係る被害者等を類型化いたしまして、本制度による援助の対象としております。
具体的に申し上げますと、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪又はその未遂罪の被害者等、二番目に、刑法等における一定の性犯罪若しくはその犯罪行為にこれら性犯罪の犯罪行為を含む罪又はその未遂罪の被害者等をそれぞれ対象としております。
さらに、これらの被害者等以外の方々につきましても、この制度の趣旨や対象とすべきニーズ、弁護士等の対応体制等を考慮して、適時適切に支援の対象とすることができるようにするため、人の生命又は心身に被害を及ぼす罪として政令で定めるものの犯罪行為により被害者が政令で定める程度の被害を受けた場合における当該犯罪行為の被害者等も対象としてございます。
以上でございます。
○東委員 犯罪の種類もそれぞれあると思うんですけれども、あらあらちょっと御答弁をいただいたところなんですけれども、例えば、援助をする対象者なんですけれども、例えば本人でない場合、家族はどの辺の範囲かだとか、例えば籍を入れていない事実婚の方はどういうことになるのかだとか、課題はかなり私は尽きないと思うんですね。例えば、日本国籍を有しているのか、外国で起きた場合の日本国籍の方はどうなるのかだとか、これから運用をしていく中で相当細部に答えを求められることが多いかと思うんです。
そこで、この制度を施行していく範囲、私は、こういう場合はどうなんだ、この方だったらどうなんだということがどんどんどんどんやはり出てくると思うんですね。そういう場合、細部にわたって本当に具体的とは言わないまでも、あらかじめ早い段階であらあらの範囲というものを決めておくというのも必要ではないかと思うんですけれども、そういったところの見解というものはどうなんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本制度による援助の対象とする必要性をしっかり把握して、援助の対象の範囲を適切に設定していくことは重要であると認識しております。
この制度は、精神的、身体的被害等によって自ら必要な対応ができないばかりか、その被害に起因するなどして経済的困窮に陥ることにより弁護士等による援助も受けられない被害者等を支援するために創設するものでございます。
そこで、この法律案では、そのような被害者等を類型化して援助の対象とすることといたしまして、法律に規定した、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪等の二つの類型の罪に加えまして、人の生命又は身体に被害を及ぼす罪として政令で定めるものの犯罪行為により被害者が政令で定める程度の被害を受けた場合における当該犯罪行為の被害者等も対象としております。
この政令の具体的内容につきましては、この法案成立後に、この制度の趣旨も踏まえまして、この制度による援助の対象とすべきニーズ等を的確に把握しつつ、真に本制度による援助を必要とされる方が対象となるよう適切に定めてまいりたいと考えております。
○東委員 こういう御指摘を申し上げましたのも、やはり何か、どんどんどんどん対象が私はこれから広がっていくような気がするんですね。これは、それぞれの犯罪類型だとか、そして援助をするための方々の環境だとか、これはどうなんだ、これはどうなんだということになると、財政規律上、そういった観点からも範囲というのは際限なくというわけにはならないんです。そういったこともちょっと懸念して、早い段階であらあらスキームを決めていく、たてつけを決めていく、そういったことがやはり私は求められるべきではないかと思います。
それと、先ほども御答弁の中にもございましたけれども、資力の要件を設けるというふうになっています。これは、理由というのはもちろん分かるんです。弁護士等々をつける資力がないというのも分かるんです。そして、そういったところの内容、この資力がないというのもちょっと形而上的で、一行で終わってしまうんですけれども、利用者の費用負担、そういったところもちょっとお伺いしたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度におきましては、先ほど来御説明申し上げている制度の趣旨を踏まえまして、この制度では原則として利用者の方に費用を負担させないことを考えているため、一定の資力要件を設けることといたしまして、その内容といたしましては、刑事手続への適切な関与等を図るための訴訟その他の手続の追行等に必要な費用の支払いによりその生活の維持が困難となるおそれがあることとしております。
この制度の資力要件の具体的内容につきましては、この法案成立後に、本制度の趣旨を踏まえつつ関係機関、団体とも協議を行って定めることとなりますけれども、民事法律扶助業務の資力要件よりも緩やかなものとすることを考えております。
その上で、資力要件を定めるに当たりましては、「その生活の維持が困難となる」という法律上の文言や、法テラスが日本弁護士連合会の委託により行っている援助業務の資力要件との関係等も考慮しつつ、被害者等に寄り添った利用しやすい制度となるように検討してまいりたいと考えております。
また、この制度における費用負担の在り方につきましては、この制度の利用者の方には原則としてこの制度利用に係る費用は負担させないということを考えてございます。例外的に、利用者の方がこの制度によって援助を受け、加害者から損害賠償として多額の金銭を受け取った場合等には、利用者の方にも一定の費用負担をしていただくことを考えておりますけれども、こうした例外的場合における費用負担に関する事柄につきましては、この制度の趣旨等を踏まえ、犯罪被害者やその御家族に寄り添った利用しやすい制度となるよう、引き続き関係機関、団体と協議を行って定めてまいりたいと考えております。
○東委員 資産の要件、諸条件をお聞きしたのは、例えば土地や家屋を持っている、それでも、緊急な場合、すぐ売ることなんかできないんですね。過疎地の住宅だとかだったらなおさらのことです。私も家と土地を昨年売りましたけれども、三年を要しました。山林を持っている場合なんかどうなのかとか、船舶だったらどうなのかだとか、緊急性にはちょっと対応できない。そういった面でちょっとお伺いしました。
限られた時間ですので、何件か懸念されることを申し上げましたけれども、法務省として、ほかに、この新制度の円滑そして充実した運用に向けて取り組むべき課題はどのように捉えているのか、お伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 本制度の円滑かつ充実した運用のため、本法成立後も、本制度の運用に必要な法テラスの業務システムの構築、質、量共に充実した本制度の担い手となる弁護士の確保等、様々な課題がございます。
まず、業務システムの構築でありますけれども、業務内容の細部を詰めて、それを業務フローに落として、それをシステム化するという段階を踏んでまいります。極力、作業を短縮化して、コンパクトに、早期にこの作業を進めたいと思っております。
また、担い手の弁護士の確保でありますけれども、これは日弁連や各弁護士会等、関係機関、団体としっかりと連携し、継続的に粘り強く、短期決戦ではなくて粘り強く検討作業を進めていく必要があると思います。
施行期日でございますけれども、先ほど申し上げた業務フローあるいはシステム構築がうまく進めば、二年を待たずともスタートさせることが可能になりますので、何としても二年を待たずにスタートさせるということをむしろ目標にして取り組みたい、このように思っております。
○東委員 終わります。
○武部委員長 次に、おおつき紅葉君。
○おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。
限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
まず最初に、本改正案に関連して伺いたいと思います。
現在、犯罪被害者等は、その加害者に対して損害賠償請求の裁判を提起してたとえ勝訴したとしても、加害者側に支払い能力がないと、結果としてその履行を受けることができずに経済的に困窮するという指摘がなされております。このような問題に対して、全国知事会からの提言の中にも述べられているように、例えば、北欧などでは既に導入されているのが、国による賠償金の一時的な立替え払い制度や、その後、国による加害者への立替え払い金の求償措置等の支援施策を検討することが必要だと思います。その支援施策の一環として、現在、この犯罪被害者等給付金制度の見直しが進められているというふうにお聞きをしております。
では、伺います。その見直しの状況も含めて、今後の犯罪被害者への経済的支援措置に係る拡充の在り方や具体的なスケジュールについてお伺いいたします。
○江口政府参考人 お答えを申し上げます。
現在、警察庁におきましては、昨年八月から犯罪被害給付制度の抜本的強化に関する有識者検討会を開催し、給付水準の引上げに向けた検討がなされているところでございます。本年の二月、早期に犯罪被害者や御遺族への支援を充実させるという観点から、有識者検討会におきまして、遺族給付金の支給最低額の一律引上げ、遺族給付金の支給額の増額、休業加算額及び障害給付金の支給最低額の一律引上げを内容とする犯罪被害給付制度の見直し骨子が取りまとめられ、現在、改正に向けた作業を進めているところでございます。
最終的な有識者検討会の取りまとめも踏まえまして、犯罪被害者や御遺族への経済的支援を早期に充実させるという観点から、できる限り早期に改正制度が施行できるよう、引き続き作業を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
○おおつき委員 では、大臣、この施策の全般を見ると、被害者支援施策は決して終わるものじゃありません。被害者の置かれた状況に真摯に寄り添って、その被害救済に向けて、北欧などの犯罪被害者施策の先進国における最新の事例を調査するなどして、たゆまぬ検討を続けていくことが重要だと考えております。
そこで、先ほどの立替え払い制度の話も含めては、財務省との話合いなど、やはり大臣しかできないことというのがあると思うんですよ。なので、今改正案の提出に当たって、今後、犯罪被害者等の支援施策、大臣はどのように推進していくのか、伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 今委員から御指摘がありました給付制度、経済的な救済の問題と、それを含む被害者救済全体の、その他の措置を含めた全体像と、二つ課題があると思うんですね。
前者の問題については、今、警察庁からお話をしましたけれども、国が立て替えても、今度は犯罪者にそれが求償できないとすれば、国が持つことになりますので、国の給付制度の問題と関連して、立替え制度も含めて、今、有識者会議で警察庁が事務局になって検討していただいています。その結果を待ちたいと思います。
また、それを含む被害者救済全体については、第四次犯罪被害者等基本計画がございます。令和三年から令和七年にかけて二百七十九の施策を打ち出し、うち法務省が九十四施策ということで、着実に各省庁、自分の分担分については進めているところであります。
法務省としても、法テラスの活用のほかに、昨年十二月からは、矯正施設における犯罪被害者等の心情等の聴取・伝達制度、これをスタートしました。そして、今回、今日御審議をお願いしております犯罪被害者等支援弁護士制度の創設、これを打ち出し、成立させ、実行していく。法務省の分野においても、全体像を見ながらしっかりと取り組んでいきたいと思います。
○おおつき委員 大臣、日本が世界に遅れることがないよう、是非、最新の状況も常にアップデートして、そういった研究も続けつつ進めていただきたいと思います。是非、世界標準に合わせていきましょう。
次の質問に行きます。この制度における対象の犯罪について伺います。
令和二年から検討されてきて、今回の改正案によって創設されることとなった犯罪被害者等支援弁護士制度というのは、公費で弁護士の支援を受けられる制度とされておりまして、これは、犯罪被害によって働けなくなったりだとか、例えば医師の診察を受けたりと、様々な不安を抱える犯罪被害者の方にとって非常に心強い制度になるんじゃないかなと私は考えております。ただ、この制度を利用するためには、対象となる犯罪や資力要件などの一定の要件が必要とのたてつけに今なっているんですね。
これは、本来であれば、被害に遭われた方全ての方々を制度の対象とすべきであると考えますが、今回、一定の要件を設けることとした理由、また対象犯罪と資力要件を定めた理由について御説明していただけますか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度でございますけれども、対象といたしましては、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪又はその未遂罪の被害者等、刑法における一定の性犯罪若しくはその犯罪行為にこれらの性犯罪の犯罪行為を含む罪又はその未遂罪の被害者等をそれぞれ援助の対象としております。
さらに、これらの被害者等以外の方々についても、本制度の趣旨や対象とすべきニーズ、弁護士等の対応体制等を考慮して、適時適切に支援の対象とすることができるよう、人の生命又は心身に被害を及ぼす罪として政令で定めるものの犯罪行為により被害者が政令で定める程度の被害を受けた場合における当該犯罪行為の被害者等も対象としてございます。
また、この制度におきましては、刑事手続への適切な関与又は被害の回復等を図るための訴訟その他の手続の追行等に必要な費用の支払いによりその生活の維持が困難となるおそれがあることという資力要件を設けております。
政令で定める罪ですとか資力要件等の具体的内容につきましては、この法律案の成立後に、本制度の趣旨を踏まえつつ、関係機関、団体とも協議を行って定めてまいりたいと考えております。
○おおつき委員 済みません、江口審議官、警察庁の方々は退席していただいて結構です、もう質問がないので。
では、今の対象の範囲なんですけれども、条例違反の痴漢行為というのはどうなんですかね。今改正案の中には、刑法における性犯罪又はその犯罪行為にこれらの性犯罪の犯罪行為を含む罪とされているんですけれども、痴漢行為、これは支援の対象になるのか、伺います。
○坂本政府参考人 条例違反となる痴漢行為につきましては、この制度による援助の対象となる一定の性犯罪には含まれていないというところでございます。
○おおつき委員 痴漢行為が含まれないということなんですよね。でも、痴漢行為というのはやはり結構多いですよね。
痴漢行為については、加害者側から、会社に言われて首になる前に示談で終わらせたいだとか、示談を成立させて不起訴処分や少しでも軽い刑にしてもらいたいなどの理由から、加害者は、反省している、慰謝料を支払いたいと示談を求めてくるという事例があるかというように伺っております。そのときに、被害者側に弁護士がついていなければ、その示談の理由やその効果も分からずに、処罰してほしいと思っていても、加害者を許す文言が入っている示談に応じてしまって、本人の意思に反した結果になってしまったということを聞いたことがあるんですよ。
このようなケースを考えると、痴漢行為についても、被害の直後から被害者に弁護士がちゃんとついてサポートを受けられることが必要になるんじゃないかと私は考えております。そこで、このような痴漢行為の事案についても犯罪被害者等支援弁護士制度を利用できるようにすべきじゃないですか。どうですか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度は、精神的、身体的被害等によって自ら必要な対応ができないばかりか、その被害に起因するなどして経済的困窮に陥ることにより弁護士等による援助も求められない被害者等を支援するために創設するものでございます。その上で、この法律案では、財源や弁護士の体制等に一定の制約があることから、本制度による援助の必要性が高いと認められる被害者等を類型化いたしまして、必要な援助を行えるようにしたものでございます。
もっとも、本制度の対象につきましては、制度創設後も、その運用状況を見定めながら、委員御指摘の点も含めまして援助の必要性等を勘案し、真に犯罪被害者やその御家族に寄り添ったものとなるよう不断の検討を行ってまいりたいと考えております。
○おおつき委員 私は、痴漢行為も精神的なダメージはやはり大きいと思います。これは男性も女性も関係ないですし、特に、例えば幼少期に大切なところを触られたとか、これは男の子でも女の子でも聞きますよ。なので、こういった制度の在り方は、是非、大臣、引き続き検討していただけたらと思います。うなずくだけで結構です。
続きまして、施行期日の質問もしていたんですけれども、これは先ほどの東委員の中で答えられているので一問飛ばしまして、遡及の適用について伺いたいと思います。
さて、今月、警察庁は犯罪被害に関するアンケートを実施しまして、その中で、犯罪被害に遭った人の実に約四割の方が被害を相談しなかったということが明らかになりました。その理由は、相談先が分からなかった、何もしてくれないと思ったというものが多かったとされております。さらに、性犯罪の被害者は、どこにも相談しなかった理由について、被害について誰かに話すことが恥ずかしかった、他人に知られたくなかったという理由がほかの被害と比べて極めて割合が高くなっているんですね。
例えば、旧ジャニーズ性加害問題の被害者の方々も含めて、性犯罪の被害者の方々は声を上げにくい状況にあるわけです。このような、相談したかったけれども相談できなかった、泣き寝入りしてきた方々について、様々な事情で声を上げられなかった方々を救済するためにも、施行日前の犯罪についても過去に遡って適用されるべきではないかと思っているんですけれども、これはいかがでしょうか。
あわせて、もし施行に時間がかかるようであれば、少なくとも、本法律公布後の事件については対象としてもいいんじゃないかなと考えるんですけれども、いかがでしょう。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度は、被害の実情に応じまして、被害直後から様々な対応が必要となる犯罪被害者やその御家族に対し、原則として費用を負担させることなく、早期の段階から包括的、継続的に援助をするものでございます。とりわけ、被害者等は、被害を受けた後、早期の段階で捜査その他の様々な対応が必要となり、この制度による援助の必要性が高いと考えております。
加えて、この制度の趣旨を全うするためには、財源あるいは弁護士の体制等に一定の制約がある中で、これらを最大限活用いたしまして、被害直後から包括的かつ継続的な援助を確実に実施する必要があると考えております。
そのため、この法律の施行日以後に行われた犯罪行為による被害を本制度の対象とすることとしておりまして、可能な限り早期に制度を開始できるよう最大限努力してまいりたいと考えております。
他方で、この制度の対象とならない場合でございましても、日弁連の委託援助でございますとか民事法律扶助等を活用することによって最大限援助を行ってまいりたいと考えております。
○おおつき委員 是非、一人でも多くの方を救う努力を考えていただきたいと思います。
次に、やはり性犯罪の被害を受けた方々というのは声を上げにくかったり被害申告をしにくいという実情があって、この点を踏まえて、昨年の刑法改正では性犯罪について公訴時効の延長がなされて、国会で修正された附則において、延長の必要性について更に検討することとされたところであります。
そこで、伺います。今回創設される犯罪被害者等支援弁護士制度についても、例えば、施行後の犯罪行為で時効が完成していないものであれば、被害を受けてから十年、十五年など、相当期間が経過した場合でも利用することができるということでよろしいでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
先ほどと繰り返しにはなりますけれども、この制度の対象となる罪の被害者等は、被害を受けた後、早期の段階においてこの制度による援助の必要性が高く、本制度の趣旨を全うするためには、財源や弁護士の体制等に一定の制約がある中で、これらを最大限活用し、被害直後から包括的かつ継続的な援助を確実に実施する必要がございます。そのため、この法律の施行日以後に行われた犯罪行為による被害を本制度の対象とすることとしておりまして、可能な限り早期に制度を開始できるよう最大限努力してまいりたいと思っております。
これもまた先ほど申し上げたことでございますけれども、この制度の対象とならないものにつきましても、日弁連委託援助でございますとか民事法律扶助等を活用することによって最大限援助を行ってまいりたいと考えております。
○おおつき委員 同じような答弁が続くので、ちょっと次に行きたいと思います。
次に、この制度を担う弁護士の要件について伺いたいと思います。
犯罪被害者支援を実際に行う弁護士の質の確保という点では、犯罪被害者等支援弁護士は、身体的そして精神的に傷ついた被害者に寄り添って、そして、刑事手続のみならず民事、行政、マスコミ対応といった幅広い支援をする必要があると思います。
そこで、犯罪被害者の権利を守るためにも弁護士の質を確保する必要があるという声があるんですけれども、犯罪被害者等支援弁護士制度を担う弁護士は何か要件が要るんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度におきましては、契約弁護士等が担い手となるところでございますけれども、それ以外に法律上特段の資格は定めてございません。
もっとも、今御指摘いただきましたとおり、この制度の円滑かつ充実した運用のためには、犯罪被害者等支援に精通した弁護士に担い手になっていただくことが必要だと考えております。そこで、この制度では、犯罪被害者等支援に精通した弁護士等をあらかじめ確保した上で、各案件を担当していただくということを考えてございます。
あまねく全国におきまして犯罪被害者やその御家族に寄り添った援助を行うため、日本弁護士連合会や各単位弁護士会等と連携を図り、担い手となる契約弁護士等の確保に努めてまいりたいと考えております。
○おおつき委員 この弁護士業務の中には、私もマスコミ出身なんですけれども、メディアスクラム対応というのが含まれてくると思うんですよ。そもそもメディアスクラムが起きる事件自体が少数だと思われるんですけれども、やはり全員がメディアスクラム対応の経験がある弁護士ばかりではないと思うんですね。
先ほど精通弁護士のお話もありましたけれども、弁護士であっても必ずしも経験しているとは限らない分野について、一定の資質を兼ね備えた弁護士を確保する必要があると思っているんです。先ほどの答弁もありましたけれども、例えば、日弁連とか弁護士研修にお任せするだけじゃなくて、やはり今後、国の制度として行う以上は国としても取組が必要と考えるんですけれども、国としての取組はいかがでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
弁護士は法テラスが実施する援助業務の中核を担っておりますので、犯罪被害者等支援を含めた総合法律支援に関する制度全体の円滑かつ充実した運用を図るためには、先ほど委員御指摘いただきましたとおり、質の高い弁護士を十分に確保していくことが極めて重要となると考えております。
法テラスでは、各種援助業務の担い手となる契約弁護士に対しまして、民事法律扶助業務について、弁護士会と連携しつつ、法テラスの業務に関する説明会、協議会等を実施いたしまして、制度のより深い理解を求めることで、弁護士の業務を全国的に均質かつ効率的なものとするよう努め、サービスの向上を図ることや、国選弁護等関連業務や犯罪被害者支援業務について、法テラス地方事務所と弁護士会との共催による研修等を実施すること等の取組を行っているところでございます。
また、法テラスは、所属する常勤弁護士につきましても、その資質の向上を図るため、経験年数等に応じた各種研修を実施するとともに、メンター制度による若手常勤弁護士に対する支援等の取組も行っております。
引き続き、犯罪被害者等の支援を含めた法テラスが実施する援助業務の円滑かつ充実した運用のため、弁護士会等と連携し、法テラスの援助業務全体におけるサービスの質の向上等に取り組んでまいりたいと考えております。
○おおつき委員 まさにそれにプラスしてお伺いしたいのが、先ほどお話ししていた精通弁護士についてなんです。
現在、令和五年で三千九百六十三人と、平成三十一年と比較しても二百四十人しか増えていないんですね。私は、生まれ育ったのは北海道なんですけれども、地域での偏在が見られること、これはまだまだ不足しているんじゃないかなと思うんですよ。地方も含めて、今後、犯罪被害者の支援を行う弁護士の数を増やして、また地域偏在を解消させていくためにはどのような施策を取るおつもりでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
今委員から御指摘いただきましたとおり、この制度の円滑かつ充実した運用のためには、犯罪被害者等支援に精通した弁護士をあまねく全国において確保して、担い手になっていただく必要がございます。
法務省及び法テラスでは、各種援助業務について、日本弁護士連合会及び各地の弁護士会と連携しつつ、各地の弁護士に対し説明会や研修を実施するなどして、精通弁護士の確保を図っております。
法務省といたしましては、法テラス及び日本弁護士連合会等と連携し、この制度についても各地の弁護士にしっかり説明をいたしまして、その理解を得るなどして、十分な数の精通弁護士を確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
○おおつき委員 是非、地域偏在の解消に向けては力を尽くしていただきたいと思います。
法テラス全般関係の質問に入らせていただきます。
一問飛ばしまして、今回創設される制度も含めて、認知度の向上について伺いたいと思います。
法テラス自体が今、国民にどの程度認知されているのか。私たちは法務委員会に所属しておりますけれども、やはり、一般の人たちにどのぐらい認知されているのか、これはすごく大事な点だと思うんですよね。
令和四年度は、令和四年十二月中旬から令和五年三月中旬にかけて、このタイミングで、実は、旧統一教会の被害者救済法の施行を受けて電話相談窓口を開設した時期かと思うんですけれども、このときに大規模な広報活動を行ったとしております。それで、令和五年の三月時点で、法テラスの名称の認知度というのは五一・六%から五七・四%に約六%上昇しているんですけれども、法テラスの業務の認知度自体は一五・六から一六・〇%と〇・四%しか上昇しておらず、まだまだ不十分なのではないかと私は考えております。
例えば、認知の仕方についてなんですけれども、この制度を利用したいと思ったときに、法テラスに相談できるんだとまず皆さんが認知していないとどこにアクセスしていいかどうか分からないというのは、先ほどの調査からもあったと思います。
こういった犯罪の問題は、みんなでいるときに考えるかというとやはりそうじゃなくて、一人になったときにアクセスしやすいんじゃないかなと私自身は思うんです。女性の方々、今日も何人かいらっしゃるかと思うんですけれども、女性のトイレには、実は、例えばDVの相談の窓口のカードとか電話番号のシールとかが貼られているんですよね。これは、男性の方に聞いたら、見たことないとおっしゃっていました。こういう一人になる空間のところ、例えばお手洗いだとか、又は女性だと授乳室なんかも一人になる空間だと思うんです。こういったところに、カードとかそういう周知できるもの、例えば役所にビラを置くだけじゃなくて、一人になれる空間に置くことは大切だと思うんですね。
なので、大臣、これは最後に伺いたいと思います。いつも政府広報についてはチラシとかネットで、取りあえず省庁のネットで告知するのもいいんですけれども、やはりそういうプライベートな空間とか、一人一人に合わせたオーダーメイドの形が必要だと今は特に思うんです。だから、明日は我が身だと思って、どのような方法が一番効果的なのか、いま一度考え直していただきたいですし、各省庁の連携に努めていただきたいと思うんですけれども、大臣、どのように考えますか。
○小泉国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。女性がお一人になる空間、そこにそれがあれば目に入る、意識も行きやすい、全く、言われてみて初めて気がついた思いがいたします。そういう新しい発想で広報をしていかなきゃいけない。
これは是非、そういうアイデアを法務省にまた下さい。我々もそれを勉強していきますから、一緒に考えましょう。一生懸命考え、取り組みたいと思います。
○おおつき委員 いい制度だと思うんです。だから、是非、大人だけじゃなく子供にもしっかりと届くような制度に、周知徹底していただきたいということをお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、鎌田さゆり君。
○鎌田委員 今日もよろしくお願いします。鎌田でございます。
小泉法務大臣は、百八代目の法務大臣ということでいらっしゃいますね。百八代目です。
ちょっと、遡ること何十年とは言いませんけれども、実は、七十二代と七十三代の法務大臣をお務めになられた法務大臣、御存じかどうか。それは聞きません、大丈夫です。野沢太三衆議院議員。野沢先生が法務大臣だったときに、実は、法テラスのことで私は法務委員会で質問をしているんですね。
そのとき、法テラス、つくるのは結構です、すばらしい外側をつくるのは結構ですが、中身が伴わなくて、特に予算がきっちり伴わないのであれば、これは私は賛成できない。ちょっと粘って粘ってしつこく、失礼ながら、当時の野沢法務大臣にきっちり予算の獲得をやっていただけるかということを迫りましたところ、野沢当時の法務大臣は答弁席で、私の遺言に懸けて法テラスはきっちり予算をつけるということを御答弁をされたものですから、この法テラスのことに関しましては、私はそのときいたく感動しまして、充実を図ってほしいし、予算もきっちり措置をしてほしいしという思いでずっと見詰めてきたものですから。
今日はそんな思いを込めて、先ほどは、小泉法務大臣、おおつき委員への答弁に、本当に大臣のお人柄が出るような感じで、御意見も下さいというふうにもおっしゃっていましたので、是非、それもまた私の質問にお答えいただければなという思いでもって質問してまいりたいんですけれども、大分質問がかぶっているものですから、通告をしておりました一番目と二番目は、済みません、飛ばさせていただきます。
先ほど来御答弁いただいている中で、政令で定めるという御答弁が結構目立っていたように思うんですね。
今回の総合法律支援法の改正案の第三十条第一項第九号関係なんですけれども、三番目に一気に飛びます。政令で定めるものとして、「人の生命又は心身に被害を及ぼす罪」とありますが、どのような罪を予定しているのかということ。あわせて、「被害者が政令で定める程度の被害を受けた場合」と規定しているんですけれども、ここは精神的な被害も対象となるという理解でよろしいでしょうか。さらに、三つ、政令では全治何日あるいは全治何か月といったことも規定する予定になっているんでしょうか。伺います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
犯罪被害者やその御家族は、その被害の実情に応じ、被害直後から様々な対応が必要となるにもかかわらず、精神的、身体的被害等によって自らが直接対応できない場合があることから、この制度では、これらに該当する場合を類型化いたしまして、本制度による援助の対象としております。
そして、法律に規定した二つの類型の罪以外の罪の被害者等につきましても、その被害の内容、程度によっては、精神的、身体的被害等により自らが直接対応できず、弁護士等による包括的かつ継続的な援助が必要となる場合があると考えられます。そこで、そのような必要性等を考慮いたしまして、適時適切にこの制度による援助の対象とすることができるよう、政令で定める人の生命又は心身に被害を及ぼす罪の被害者等であって、政令で定める程度の被害を受けた場合をこの制度の対象とすることとしております。
その上で、政令で定める罪ですとか被害の程度、先ほど精神的な被害とか、全治何か月とかいうような、そういう問いがございましたけれども、その具体的内容につきましては、この法案成立後に、関係機関、団体等と協議して、この制度の対象とすべき必要性等を考慮して定めることとなります。
○鎌田委員 つまり、やはり政令で定めるということなんですよね。
先ほど来出ていますけれども、その政令で定めることは、それはそれで、皆様のこれからの二年間の間で定めていかれるんでしょうけれども、大切なことだとは承知はしているんですけれども、やはり、私たち、この法務委員会でこの法案を、私は、もう最初に結論から申し上げれば、反対するつもりは全くございませんし、賛同したいと思います。ただ、その政令で定めるところが相当あるという印象を受けております。そこのところに私たちがどの程度関与していけるのかというところの不安は拭えないわけで、ですので、政令で定めるという言葉で片づけないで、是非、その都度その都度我々にきちんと情報提供していただきたいというふうに述べておきたいと思います。
ちなみになんですが、被害を受けた行為が支援対象となる犯罪か否かというのは、誰がどのようにどこで判断するんでしょうか。予定になっているんでしょうか。
○坂本政府参考人 御案内のとおり、この法律案は、法テラスの業務を拡充することによってこの制度を創設しようとするものでございます。
したがいまして、この制度の対象となる罪やその被害者等への該当性につきましては、法テラスにおきまして、申込者本人の申述内容や提出書類等を踏まえて適切に判断されるものと考えております。
○鎌田委員 では、法テラスは弁護士の皆様に大変力強く応援をしていただいているわけですが、その点は法テラス側とはもう協議済み、お話は伝わっているんですね。法テラスに申述があった、そして法テラスで決めてくださいという話は伝わっているんですか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
具体的な制度の運用の在り方について、もちろんこの法案の審議を踏まえて更に詰めなければならないというところはございますけれども、法テラスの方、また関係機関、団体とは内々に協議させていただいているところではございます。
○鎌田委員 協議させていただいているところでございますというのが、ちょっと、中途半端というか、曖昧でよく分からないんですけれども、私が申し上げたいのは、最初に申し上げたとおり、今、法テラスの弁護士さんたち、登録者数は少ないわ、それから報酬は少ないわ、なり手がいないわで、ここも大変だという認識はお持ちだと思うんですね、法務省さんも大臣も。そういうところで、法テラスの方で判断する予定です、そして協議をしているところですというのはありましたけれども、実際にこれを法テラスを担っていらっしゃる日弁連、弁護士の方々がお聞きになったら、えっ、聞いていないよということが後で起きないように期待をしたいと思いますので、にこやかにうなずいていただきましたから、絶対そうしてくださいね。
さらに、ちなみになんですが、裁判の後、例えば無罪になったら、その時点で経済的援助は終了するということになるのか、あるいは、支援開始時期に遡って受けていた費用相当額を返還しなければならないのか、あわせて、最初は支援対象外と判断されていた被害を受けていた行為が実は支援対象になる罪とされた場合は、自己負担で賄っていた当初の弁護士費用、これは依頼した当初に遡って援助の対象になるというふうに解釈してよろしいですか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度における援助の途中で対象外の罪名に変更されたような場合、まさに今、無罪になったような場合とおっしゃいましたけれども、そのような取扱いにつきましては、関係機関、団体等と協議を行いながら今後定めていくことになりますけれども、例えば検察官への送致ですとか検察官の終局処分、その際に変わることもございますけれども、その罪名が対象外の罪名に変更された時点で援助は終了すると考えております。
この場合において、利用者がこの制度に係る費用を返還するということは考えてございません。
他方で、この制度における援助が行われていない事案について、本制度の対象罪名に変更された場合の取扱いにつきましても、関係機関、団体等と協議を行いながら今後定めていくことにはなりますけれども、罪名がこの制度の対象罪名に変更された時点で援助を開始することが考えられると思います。
この場合において、利用者が過去に負担した弁護士費用についてまで公費負担するかにつきましては、この制度が、様々な対応を要するにもかかわらず、自ら直接対応できず、経済的困窮に陥って弁護士等による援助も受けられない被害者等を支援するものであることに鑑みまして、慎重な検討を要するものというふうに考えてございます。
いずれの場合の取扱いにつきましても、犯罪被害者やその御家族が適時適切に必要な援助を受けられることを最優先に考えた運用を検討してまいりたいと考えております。
○鎌田委員 大臣、今御答弁いただいたんですけれども、先ほど私が質問した後半の部分なんですね。最初は支援対象じゃなかった、ところが、途中から支援対象だと分かった、ただ、最初自分で自腹で賄っていたもの、そこについてはこれから慎重な検討という答弁だったと思うんですけれども、ここはやはり、大臣、是非、最初自分で賄っていた弁護士費用ですから、そこのところを遡って、それが後で支援対象の犯罪行為だったんだと分かったら、そこは遡って対象になる、援助対象になるというお考えを、是非、大臣、お取り組みいただけないでしょうか。
○小泉国務大臣 しっかりとその状況も踏まえながら検討したいと思います。
○鎌田委員 ありがとうございました。
大臣の検討しますというのは、つい、検討しますという言葉にね、人柄なんでしょうね、得ですね。いいですね。大臣が検討しますと言うと、ああ、検討してくれるんだなと思っちまいますよ、こっちは。ありがとうございます。(小泉国務大臣「検討しますよ」と呼ぶ)検討します、そうそう、そのとおり、いいんです。ありがとうございます。検討してください。ごめんなさい、ちょっと地元のなまりが出ちゃってごめんなさい。
続けて、対象者についてなんですけれども、犯罪被害者の遺族に支払われる犯罪被害者等給付金について伺いますね。
令和六年三月二十六日付で、今年です、最高裁の判決の趣旨で、同性のパートナーも事実婚に該当して、支給対象となり得るという判断を示されています。自治体によっては、御存じのとおり、パートナーシップ制度が導入されている自治体もあります。
事実関係や実態が確認しやすい場合、そういった場合は、今回の本制度について対象に含めるべきだと私は考えるんですが、これは、大臣、是非お聞きしたいところでございます。今回、入っていないと思うんですね。これは、改めて、最高裁の判断もあります、御検討する必要があるんじゃないですか。大臣、伺います。
○小泉国務大臣 これは、先日、参議院の法務委員会でも、まあ、この問題ではないんですけれども、最高裁の判決が出ました、それによって変わるべき部分があるのではないですかという御質問がありまして、私は、しっかりと取り組みます、最高裁の決定の趣旨を踏まえてしっかりと取り組みますと二度申し上げております。この問題も同じだと思います。
ただ、今は、パートナーシップ制度が入っている自治体がごく一部であって、取扱いがばらばらでありますので、法執行の公平性、普遍性が担保されないということを我々は危惧しているわけでございます。仮にこれが全国一律なものになれば対象とできるという筋道だと思います。
○鎌田委員 大臣、先ほど検討だったのが今度は取り組みますに変わったので、ちょっとバージョンアップになったかなと思いますので、取り組みますを二度おっしゃっていただいたということで、じゃ、私たちも、附帯決議に衆議院の方でも盛り込んで、大臣の取り組みますという言葉を信じたいところでございます。
ただ、今、大臣、後段の御答弁のところで、これがあまねく全国になればそれはもうもちろん的なことだったんですけれども、パートナーシップ制度というか同性婚といいますか、我々立憲民主党はもうとうにSOGI法というものを、法案を我々は提出していまして、これは国対で決めることでしょうけれども、同性婚だったりパートナーシップ制度というものを国がきちんと法制度化すれば、まさに今大臣が、全国でこれが決まればそれこそこれは全国でやらなくちゃいけないことだにつながるので、我々の法案の方は今まだぶら下がっている段階ですので、是非これは法務委員会で審議を早くすべきではないかなと思いますが、ちょっと、大臣、政治家として御所見がありましたらお願いします。
○小泉国務大臣 そういう御提案をいただいているわけですよね、国会に提出をしていただいているわけですね。それはじっくりと拝見したいと思います、まずは。
○鎌田委員 拝見からですね。是非御覧をいただきたいと思います。まずは読んでいただいて、まさか御覧いただいていないとは思っていなかったので、是非御覧をいただいて、私たちは、今はマイノリティーですけれども、マイノリティーの方であっても、大臣、先日の私の質問に、そこに一つの命があるならば全て皆ひとしく人権を持っているというふうに御答弁をいただきましたので、是非我々が出している法案を御覧をいただきまして、また御意見などを拝聴できればと思っております。
次に移ります。一つ飛ばしますね。
二番目の法テラスに関する国の予算措置なんですけれども、調査室さんで作ってくださった資料を見ますと、国が法テラスに関して予算をどのくらいかけているかというと、大体横ばいでございまして、それはもう私が指摘するまでもなく、皆様はもしかしたら、もっと予算が欲しいんだけれどもと心の中で思っているかもしれませんよ、大臣。大臣も思っているかもしれませんかね。あっ、思っているかもしれない、うなずいていただいた。横ばいなんですよね。
だけれども、法テラスが今から十八年前に、平成十八年の四月十日からですね、法テラスが始まったのが。そこから、日弁連の協力を得ながら、委託業務もお願いをしながらやってきて、日弁連も意見書、会長声明を出しているとおり、想定していた以上に法テラスを訪ねて相談に訪れる人が多くなっている、日弁連も想像以上だったと。そして、その中で、日弁連は特別会費を徴収して、弁護士さんたちが自分たちの自腹を払ってでもやっているわけですよね。
だけれども、国からの予算措置というのは横ばいなわけで、日弁連としては、もう本当に正直に、破綻するかもしれないから、これは国費できちっとやってほしいというのは弁護士さんたちの悲痛な叫び。それを日弁連としてまとめていらっしゃると思うんです。大臣うなずいてくださっているから、きっとこの辺の悲痛な思いというのは共鳴をいただいていると思うんですけれども。
そこで伺いますが、本制度が導入された後の弁護士への報酬について、想定している額などはあるんでしょうか。伺います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度における弁護士報酬につきましては、この制度の担い手となる弁護士を十分確保できるようにすること、弁護士が担う業務の内容、事件の困難性を適切かつ公平に反映したものとすること、弁護士報酬は国民の負担によって支払われますことから国費の支出の適正を確保すること等の要請を踏まえて検討する必要があると考えております。
その具体的な報酬額につきましては、この法案成立後に関係機関、団体等と協議を行って定めることとなりますので、現時点で確たるお答えは困難であるということで御容赦いただければと思います。もっとも、法務省といたしましては、この制度における弁護士報酬が適正なものとなるよう、しっかり協議、検討を行ってまいりたいと考えております。
○鎌田委員 まだ決まっていないそうでございまして、私としては、一定程度目安的なものは決まっているのかなと思ったんですけれども。
というのは、それこそ、野沢太三元法務大臣のときに、国選弁護人の方々は当時は八万円台だったんですよ、ここで牧原筆頭がうなずいていますけれども、八万円台で低過ぎると、いちゃもんじゃなくて、文句じゃなくて、意見を述べたんですね。これじゃやっていけないと。自民党席にいらっしゃった弁護士の方々は、自分たちが言えないことをよく言ってくれたと。私は、弁護士でも法曹でも何でもないものですから、ある意味利用者側ですから、やはり、そのサービスを提供してくれる弁護士さんたちがきちんとモチベーションを持ってやる気を持ってやっていただくためには、国選が八万円台じゃ、とてもじゃないけれども低い、だから、それを上げてくれと要望して、今は十万円台ぐらいですか、十万円前後、牧原筆頭、うん、十万前後ぐらいですか、少しは上がったのかなと思うんですけれども、やはり、弁護士さんの国選だったり法テラスで働いてくださっている方々の報酬というのは、私は低いと思うんですね。
それで、大臣、先ほども申し上げましたけれども、報酬が低いから法テラスに登録しないという弁護士が多いというのはよく耳にするんですね。この現状は、法務省のトップであらせられます大臣はどのように認識して把握しているのか。特に離婚関連事件、養育費の報酬の立替えをせずに、弁護士が直接依頼者から回収しなければならないという制度となっているために、私、ここで、大臣、今回の本制度導入に当たっては、いいです、これは求めません。これからですね、これから、弁護士の報酬の適正化、これを、是非、大臣、その指揮というか号令というか、そういう指示を出していただいて、弁護士報酬の適正化、ちょっと考えませんかということをおっしゃっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。お願いします。
○小泉国務大臣 歴代法務大臣、それぞれ財政当局とかけ合い、御努力されてきたと思いますが、今回はこうした大きな画期的な立法が行われるわけであります。犯罪被害者の救済の重要性、社会的なニーズ、また、その方法としての法テラス、弁護士の活躍、その力をかりる、そういったことに光が当たります。ですから、これをてこにしなくてどうするという思いはあります。
財政当局に伝わる一番説得力になるのはこの立法の事実だと思います。また、この委員会での御議論だと思いますので、しっかり受け止めて頑張ります。
○鎌田委員 ありがとうございます。
野沢大臣が私の遺言に懸けてと言ったのを思い出しました。これをてこに、この立法の事実をもってかけ合っていくという大臣の意気込みを私は感じ取りましたので、是非期待をしたいと思いますから、何とぞ、ここは大臣、力を発揮していただきたいと思います。
今日は警察庁さんにも来ていただいておりますので伺いますが、先ほどおおつき委員にも犯給金について質問がありました。その犯給金についてなんですが、昨年の八月から検討が始まって、できるだけ早期にという答弁がどうしても私はひっかかるんですよね。これは出口としては、昨年五月からそういう提起があって八月から議論があって、一年をめどにじゃないかなと思うんですけれども、そうするともう今年の五月、来月なんですよね。八月から議論してもう来月の五月には、できるだけ早期に犯給金の充実ということを、その時期が迫っているわけなんですけれども、これは大丈夫ですか。期待していいですか。それとも、何かで、今実はこういうことがネックになっていてなかなか議論が進まないんだということがありましたら、是非ここで答弁いただきたいんですが。
○江口政府参考人 お答えをいたします。
今議員お尋ねの検討会につきましては、今年の五月までに結論を得るということで言われておりますので、それに向けて今検討を、最終段階で進めているところでございます。
先ほど、犯給法の見直しにつきまして、できる限り速やかに施行できるように努力したいと申し上げましたけれども、現時点では、早期の施行に向けまして作業を行っている、こういうところでございますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。
○鎌田委員 ごめんなさい、再度。もうしばらくというのは、だって、来月、五月に迫っているわけですから、もうしばらくというのは、五月よりも超えちゃう可能性はあると認識していた方がいいですか。
○江口政府参考人 お答えを申し上げます。
検討につきましては、五月までにということでございますので、検討は終わるわけでございます。その後、実際に制度を改正するためには必要な手続がございます。こちらについて、しかるべく、できるだけ早く施行できるようにということで作業を進めているところでございます。
○鎌田委員 警察庁さんの御努力も、本当にお疲れさまですと、決して責めているわけではありません。頑張っていただきたい。
そこで、大臣に伺います。
警察庁もこうやって犯給金を充実させるために犯給法の改正で頑張っていらっしゃいますので、法務省のトップとして、法務省も、法務大臣として、ここに全面的に協力をすると是非御宣言をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 これは、もとより政府全体で取り組んでいる問題でありますから、全面的に協力をいたします。バックアップします。
○鎌田委員 警察庁さん、今、法務大臣が全面的に協力しますとおっしゃいましたので、頼って、お互いに是非協力し合って、お願いいたします。
最後、大きな項目の、これからの法テラスに期待されることについて伺っていきたいんですけれども、警察庁さんはどうぞ、私はもう終了ですので、御退席いただいて結構です。
弁護士の確保については、先ほど来から質問がなされていましたので、一番目は飛ばします。
二番目の、いわゆる精通弁護士の実情なんですけれども、精通弁護士という言葉は、一般的には、やはり、なかなかポピュラーではないと申しますか、我々利用する側からすれば、この分野には得意な弁護士、この分野は不得意な弁護士という表現の方がポピュラーだと思うんですけれども、例えばお医者さんだと専門医の認定の制度がありますから、弁護士さんにも、得意分野についての第三者の認定機関というものがないわけなんです、法テラスで専門相談窓口の設置を進める必要があるんじゃないかと思うんですけれども、例えば、DVですとかストーカー、児童虐待といった被害に遭った犯罪被害者については、相談窓口はできています。だけれども、相談窓口はできていますが、それが受任に直結するという制度にはなっていないですよね。
ですので、これから、大臣も意気込みを語ってくださいました、法テラスが更に市民に利用されて、そして、担当する弁護士さんもきっちり仕事ができるように、報酬も併せてなんですが、それぞれ、精通弁護士をきちんと第三者の立場から名簿化をしていって、市民が利用するときに、精通弁護士、ああ、こうなんだというのが分かるようにしていくことが必要だと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。御検討される余地はないですか。
○坂本政府参考人 まず精通弁護士についてでございますけれども、法テラスでは、弁護士会から犯罪被害者等支援に関する研修を受けた弁護士の推薦を受けるなどして、犯罪被害者等支援の経験や理解のある精通弁護士の名簿を作成しているところでございます。
先ほど、得意分野、それから認定ということをおっしゃいましたけれども、弁護士の業務の性質上、なかなかそういうことを行うことにつきましては慎重な検討が要るのではないかというふうに考えてございます。
○鎌田委員 確かに私も慎重な検討が必要だと思います。ですが、一般の市民、法曹でもない私のところに相談にいらっしゃる方々は、法テラスで全く相手にされなくて帰っていらっしゃる方々が、法曹でもない私のところに御相談にいらっしゃるわけですよ。結局、得意分野、不得意分野、それから、例えば企業の労使関係の中で、経営者側に立って弁護士活動、代理人活動をしている方に、労働者側として相談に行くと、もうそこでさようならとなっちゃうんですね。そういったことがこの十八年続いている話が結構多くて、私は、そういうことは法テラスでは今後起きないようにするべきじゃないかなと。
だから、報酬、弁護士報酬の適正化と併せて、精通弁護士もいずれ、遠い将来ではなくて近い将来に、こういう分野に精通しているということで名簿化をされていくということが私は求められている理想の姿ではないかなと思うんですが、大臣、御所見ありましたらお願いいたします。
○小泉国務大臣 この制度が施行され、そして年限を経て様々な経験が蓄積されていく中で、おのずと、この方々はこういう事案に優れている、そういうその区分けがですよね、これはなかなか難しい問題ですけれども、経験を積むことで、この方々は間違いないな、そういう方々が選ばれてくるということが考えられると思います。その可能性を行政として見失わずにフォローしていくというのがあるべきスタンスではないかと思います。
○鎌田委員 間もなく私の質疑時間が終わりますので、答弁、要りません。私の意見だけ述べて終わらせていただきますね。
そもそも、この法テラス、十八年前にスタートしたとき、弁護士ゼロワン地域と呼ばれている地域の存在があって、司法過疎対策が進んできて、この間、皆様の御努力、特に日弁連さんも御努力をされて、ゼロの地域はなくなりました。ただ、金沢地裁、それから岡山地裁、ここはまだゼロワンです。やはりゼロワンをなくさなくちゃいけないと思います。
ですので、司法過疎対策、これは法テラスの重要な業務の一つでありますので、是非早期にゼロワンはなくすということで取り組んでいただきたいのと、それから、私、これは地元の弁護士さんから是非この法務委員会で言っていただきたいということで、代弁をさせていただきたいんですが、DV等被害者法律相談援助制度、それから民事法律援助制度との関係については、これは整理されてきていなくて、日弁連独自の財源で、法律援助事業との融合も進んでいるとは言えないと。
現在、犯罪被害者法律援助事業は、被害発生後の早い段階から広範な刑事手続の法的支援を提供しているわけで、ですが、その財源というのは、やはりこれは日弁連が特別会費として徴収しているわけです。ですので、何度も申し上げますけれども、ここは国費できちんと将来的にちゃんと充実化を図っていけるようにお願いを最後に申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、米山隆一君。
○米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。
総合法律支援制度の一部を改正する法律案ですが、先ほど来、質疑、答弁がございますが、もちろん、この法律それ自体に反対する人はなかなか少ないといいますか、それは結構な法律ということだと思いますが、問題は、その対象であり範囲、そして運用であろうと思います。
そこで、まずもって伺いますけれども、総合法律支援法第三十条一項九号イ(一)、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪、また、(二)で、刑法第百七十六条、百七十七条、百七十九条、これはつまり今の刑法なら不同意わいせつ、不同意性交等罪ですが、これらの犯罪に当たる年間の発生件数といいますか送致件数といいますかは大体どのぐらいでしょうか、教えてください。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
委員お尋ねの、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪の年間の発生件数に関しましては、そのような罪は多岐にわたるものの、統計によれば、これらの罪については、令和四年の一年間に検察庁が新規に受理した人員数のうち、例えば、殺人未遂を含む殺人は千四百五十三人、傷害致死は百十六人、危険運転致死は五十二人となっております。
また、刑法百七十六条、百七十七条及び百七十九条の罪の年間の発生件数に関しましては、統計によれば、これらの人員について、令和四年の一年間に検察庁が新規に受理した人員数は、現在の刑法の百七十六条に包含される令和五年法律第六十六号による改正前の刑法になりますけれども、その百七十六条及び百七十八条一項の罪の合計は四千百四十五人、現在の刑法第百七十七条に包含されます令和五年法律第六十六号による改正前の刑法第百七十七条及び第百七十八条二項の罪の合計は千四百五十二人、刑法第百七十九条の罪は二百十五人となっております。
○米山委員 これはやはりすごく多いんですよね。日本は安全だからそんなに、少ないかと思いきや、もちろんこれは程度もいろいろだとは思うので、先ほどおおつき委員からお話があった痴漢から、若しくは本当にもっとひどいところまで、痴漢がひどくないと言いたいんじゃないですけれども、程度としてはいろいろあるんですけれども、なから一万人弱といいますか、おられるわけで、やはりこれは結構対象は多い。
もちろん、被害者の方に資力がある方もおられるでしょうから、すべからくということではないんでしょうけれども、やはりこれを制度として、しかも国の制度としてやるからには、実は考えるべき対象はかなり多いということをまず御念頭に置いて、その対象、運用などを考えていただければと思います。
次に、同じような質問なんですけれども、総合法律支援法第三十条一項九号ロの方で、「人の生命又は心身に被害を及ぼす罪として政令で定めるものの犯罪行為により被害者が政令で定める程度の被害を受けた場合における当該犯罪行為の被害者等」というのが定められていて、要は、今ほどの一項九号イの方は、明文でこの刑罰規定となっていますけれども、ロの方は、これから政令で決めますというふうになっていて、これはちょっとよく分からないわけなんです。一体全体どのぐらいの範囲なんでしょうか。
先ほどのがっちり決まっているところで既に一万弱ぐらいはあるわけで、この政令で対象とするのは一体どのぐらいかということで、これもちょっと統計として伺いたいんですが、刑事犯として傷害以上の結果を及ぼす犯罪の年間の発生件数がどの程度か、そしてまた犯罪の内訳ということを教えていただければと思います。
○坂本政府参考人 今委員お尋ねがございました、刑事犯として傷害や死亡の結果を生じた罪の年間の発生件数に関しまして、傷害や死亡の結果を生じた罪につきましては多岐にわたるものの、先ほど申し上げた殺人等以外の罪のうち、これがどれだけ政令で対象となるかというのは現時点で確たることは申し上げることはできませんけれども、死傷の結果を生じた罪として令和四年の一年間に検察庁が新規に受理した人数については、例えば傷害につきましては二万三千百七十九人、危険運転致傷が六百七十五人、過失運転致死が二千八百七十九人、過失運転致傷が二十九万七千九百八十四人となっております。
○米山委員 そうなんですよ、過失運転致傷がすごく多いといいますか、それは交通事故でけがをしたというのがすごく多くて、それはもちろん、正直かすり傷みたいなものだってあるんだとは思いますが、当然非常に重い傷害を負った方もおられるということで、交通による過失致傷が入りますと、これはもう三十万人ですから、かなりな数が対象になるということだと思います。
ただ、交通犯罪ということに関しましても、東池袋の自動車暴走死傷事故というのは記憶に新しいところでございまして、こういうところでも、やはりそれは被害者にとってみれば非常に重大なことですから、こういった交通犯罪に関しても、これは一定のレベルの傷害があるという前提ではあろうと思うんですけれども、対象になるということでよろしいでしょうか。
○坂本政府参考人 委員お尋ねの一定以上の重い結果が生じている交通犯罪のうち、危険運転致死又はその未遂罪の被害者等につきましては、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪又はその未遂罪として、この法案上、この制度の援助の対象となっております。
また、危険運転致傷や過失運転致傷等につきましては、法律に規定する故意の犯罪行為により人を死亡させた罪には該当いたしませんので、この法案成立後に、政令で定める人の生命又は心身に被害を及ぼす罪や被害の程度の内容により本制度による援助の対象とするかどうかということを定めていくことになるということでございます。
そのため、現時点で確たることを申し上げることは困難でございますけれども、政令の内容を定めるに当たりましては、関係機関、団体等と協議いたしまして、この制度の趣旨や、交通事犯については責任保険制度が整備されていることなどを踏まえまして、本制度の対象とすべき必要性があるかどうかということについて検討してまいりたいと思っています。
○米山委員 恐らくは入るんだと私は思っておりますので、これもまた、そういった政令が決まったところで、いろいろな質疑もさせていただきたいと思いますが、やはり現実にはそこは非常に多いわけですから、制度をつくって、ここは全く対象でないとなると、なかなか国民の納得も得られないところだと思いますので、是非そこは検討していただければと思います。
もちろん、交通事犯に関しては任意保険もあるので、いろいろな対象をきっちりつくっていくことは結構細々とやらなきゃいけないんだろうなと思いますので、全部と言いたいんじゃないんですけれども、適正な制度をつくっていただければと思います。
資料一、三を御覧ください。
先ほど来、報酬の話として、何となく決まっていないという話ではあったんですけれども、しかし、実は、今般の改正は、ありていに言えば、既に弁護士会がやっている日弁連犯罪被害者法律援助制度をそっくりそのまま日弁連から移管しますよという法律だというのが事実だと思います。
決してこれは、法務省さんが何もしていないとか言いたいんじゃないんですけれども、経過としても、資料二にあるように、日弁連さんから、うちでこういうのをもう既にやっているんですよ、ちゃんと国費でやってくださいよというような要請があって、それに応えたという法律だと思うんです。
その日弁連の報酬が、これは弁護士報酬十二万円なんですね。実費五千円。これで日弁連はやっているわけなんですよ。かつ、件数として、現在の件数は千六百件、支出額は一億七千万円、もうちょっと変わっているのかもしれないんですけれども。これは、やはり非常に低いんだと思うんですよ。
特に、私も弁護士としてやったんですけれども、民事は、そういう方もちょっと難しいですけれども、民事というのは、要はお互い平常状態、特に取引関係に関しては、それは相手が契約を履行しないとかとぷんぷん腹を立てているにせよ、基本、別に殴り合っているわけじゃないわけですよ。
ところが、刑事というのは、それは当事者同士が正直本当に殴り合ったという話の後始末をどうつけるかという話なわけですよね。そうすると、当事者間は極めて様々な感情、民事とは比較にならない感情的葛藤を抱えているわけです。
これも実態として、基本的には、先ほどお話もありましたけれども、例えば痴漢事案なんかで、何とか被害者と和解してくださいみたいなことを頼まれることは時にあるわけなんですけれども、そのとき、被害者に会うだけでも結構大変なんです。被害者はやはり余り会いたくないですから、そんな加害者側の弁護士なんかと。話もしたくないということで、きちんとお会いしていただくために結構な時間と労力、労力と言ったら怒られるんでしょうけれども、時間と手間はかかるわけですよね。
これが、被害者側から加害者に折衝に行くとなると、それは相当大変なことといいますか、そんな、みんな、加害しちゃったからごめんなさいなんといって、しおらしく言ってくれる加害者なんというのはそんなに多いわけはないわけでして、しかも、弁護士だってそれは怖いですよ、特に傷害事件、殺人事件の加害者と折衝するなんというのは。
まずもって居場所を確かめるだけでも大変、さらに、その人と安全に話をするだけでも大変。だって、その人が弁護士をつけてくれるなんてことは基本ないわけですよね。ほぼほぼ、その人が、殺人を犯した方が、方というのもなんですが、弁護士をつけてくれるなんということは、アメリカみたいな状況はほぼ起こらないという状況で、それは、この制度をそのまま移管したとはいえ、この報酬では受ける人はなかなかいないでしょう。受けたいと思う人もそう簡単にいるとは思えないといいますか。
今、では何で日弁連はやっているんだというところですけれども、日弁連の刑事に携わっている弁護士さんというのは、弁護士仲間の私から見ても頭が下がるといいますか、正直、手弁当な部分が非常に大きいんだと思います、あれは。なかなかあれを定常的にやるというのは極めて難しいんですね。ほかのところ、案件である程度余裕があるという前提でやっているということが基本になっていると思うんですよ。
でも、それをそのまま、先ほど言ったとおり、これはこれから国の制度でやる。しかも、やはり対象としては、どこまで線引くかはおいておいて、数としては結構になる。しかも、結構な数の中で、やはり公平性ということだってありますから、物すごく当たり外れがあっちゃいかぬわけですよね。
一生懸命やってくれる人と、何か全然してくれませんみたいな人と、当たり外れがあっちゃいかぬとなると、やはり報酬も、当然、一定程度、今の弁護士会でやっているものよりは常識的に増やさなきゃいけないでしょうし、また、そうすれば当然、件数も増えて報酬も増えればそれは予算も増えるわけですから、一億七千万なり一億八千万とかで済むわけはないと思うので、是非、報酬の在り方、そしてまた予算の在り方を検討していただきたいと思うのですが、大臣の御所見を伺います。
○小泉国務大臣 大変分かりやすい御説明をありがとうございました。
この制度は、我が国の司法制度の新たなインフラの重要な柱の一つになるというふうに思います。ボリューム的にも非常に多くの方々が、人数的には対象に既になっておられるし、将来これが広がる可能性も皆無ではないというふうに考えますと、今のままの財政基盤で十分それが果たし得るのかという大きな問題があると思います。
先ほど鎌田委員にもお話をしましたけれども、この立法が行われる、全会一致になるんでしょうか、なったとすれば、全会一致で決まったんだ、これが財務省に対する、財政当局に対する大きな我々の交渉材料になってまいりますので、ここでの議論、また立法の事実、それを前面に掲げて、政府の中ですけれども、しっかりと財務省を説得して、継続的にこの制度が支えられる財政基盤というものを強く意識して、確保していきたいと思います。
○米山委員 大変ありがとうございます。
今度は、その上でなんですけれども、ちょっとこれは通告はないんですが、恐縮ながら、先ほど東委員の、一言なので別にどうと言ったわけじゃないんですけれども、日本国籍があるかないかというのが今後検討みたいなお話があったんですけれども、これはちょっといかがなものかと思うということで御質問させていただきます。
というのは、もしかして私が見落としているかもしれないので絶対とは言いませんけれども、総合法律支援の一部を改正する法律には特段国籍要件はないし、そもそも、基本、法律というのは属地主義でございまして、外国人が日本国内で殺人をしたら捕まるわけですよ、それで日本法で裁かれるわけでございまして。
さらには、外国人といいましても、長期滞在する人は税金も払っておる。さらに、人権保護という観点において、今ほど司法インフラというお話がございました、外国人の人は税金を払っていないんだから道路を使うな、橋を使うななんて言っちゃいけないわけで、司法インフラだって同じように使えなきゃいけないわけなんだと思います。
例えば、今度は逆の立場になって、アメリカにこういう制度があるとして、アメリカでアメリカ人から撃たれた。大体、日本で犯罪があったら、日本で外国人が被害者になるんだったら、確率からいったら日本人が加害者の可能性の方が高いわけですね。外国人のこともないとは言わぬですけれども、それは日本人からやられるわけですよ。逆に、同じように、アメリカで日本人が被害者になるんだったら、それはアメリカ人からやられる可能性が極めて高いわけですよね。そのときに、いや、アメリカ人ならこういう保護があるけれども、あなたは日本人だから保護しませんとかと言われたら、何だ、アメリカという国はと思うわけですよ。
当然、この制度は、そもそも法律上国籍要件はありませんので、当然、日本国内で生じた犯罪については被害者の国籍を問わずに適用があるということを確認させていただきたいんですけれども、大臣でも政府参考人でも結構ですので、御答弁ください。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度は、犯罪被害者やその御家族が、精神的、身体的被害等により、被害直後から必要となる様々な対応を自ら行うことができない場合があることから、これらに該当する場合を類型化いたしまして、弁護士による包括的、継続的な援助を行おうとするものでございます。
そのため、資力や対象被害者等の要件を満たす必要はございますが、外国人であることや、あるいは適法に在留する者ではないことのみをもってこの制度の利用が妨げられることのないよう適切に対応してまいりたいと考えております。
○米山委員 法律ですから、当然そうあるべきだと思いますし、そうしていただけるということで、結構な答弁かと思います。
次に、これも、先ほど来、鎌田委員も聞きましたし、また、参議院でも石川委員も聞いたところではございますし、また、さらに、参議院先議で、附帯決議七条で、対象者に事実婚関係の方を入れるということについて検討するという条項が入っているんですけれども、先ほど、大臣、御答弁で、自治体のパートナーシップ条例などに関しては全国津々浦々でない、全国津々浦々になったらやりますということをおっしゃられたんですけれども、私、そこは結構、理念的にそうですかと思うんです。
というのは、あらゆる法律というかあらゆる政策というのは、公平さは大事ですよ、でも、評価軸というのがあって、公平であり、公正であり、効率的であるとよく言うんですよね、三つ。公平というのは、みんな同じ。公正というのは、物すごくひどい目に遭う人をつくらないということですよね。とんでもない理不尽な目に遭う人をつくらないというのは公正だと思うんです。効率は、もちろん、財政に対してどのぐらいのリターンがみたいな考え方なんですけれども、その三つを全部満たすのは、それは極めて困難だし、やはり法律も政策も、三つを満たす必要はない。それぞれの政策によって優先順位があると思うんですよね。
私は、この法律は、公平とか効率とかよりは、やはり公正、非常に不幸な人をつくらない、犯罪の被害に遭ったのに助けてももらえない、何にもできない、そんなことで物すごい不幸になる人をつくらないという法律だと思うんです。
かつ、大臣等がおっしゃる、確かに、事実婚というのはいろいろあるので、全てをというのは、それは難しいと思うんですよ。だって、ちょっと一日同棲しただけのカップルですみたいな、そういう人はそれは違うでしょうというのはあるので、そういう人を線引きするのはいいんですけれども、パートナーシップ条例で、どこの自治体だって、さすがに、一日同棲した人をパートナーシップで認める自治体というのは余りない。一定のもちろん同居としての実績があって、それ相応に社会的な認知もされているみたいな方をやっているんだと思うんですよ。
そうであるなら、もうそれでいいじゃないですかと。公平でないとは思いますよ。一定程度、公平でない、そういう制度がないところはあるとしても、そういう人を救えれば、そういう人を救うことがこの法律の目的なんだから、かつ、別に公平を害するとはいいながら、何か適用にならなかった人が損するわけじゃないですよね。その人は得をしないだけであって、別に誰かを害するとか、誰かが損するわけじゃない。不幸な人全員を救えないだけで、でも、何人かは救えるというならば、私はそれは適用すべきだと思うんです。
だから、パートナーシップもそうでしょうし、例えば、どう見ても生計を一緒にしている、もう十年も生計を一緒にしていますみたいな、明らかに簡単に証明できるみたいな、明らかな事実婚みたいな方に関しては適用すべきだと思うんですけれども、決して全国津々浦々を待たずに。大臣の御所見を伺います。
○小泉国務大臣 確かに、公平性だけにこだわると、全国の自治体がそろわないと進めないということになってしまいます。それを先ほど申し上げたわけではありません。
一方で、公正性、救わなければいけない方々もいるわけでありますから、公平性を担保しつつ、公正な結果も導けるような、そこは比較考量というか、総合判断というか、大局的な判断、そういったものにおいて取り組んでいく必要があるということを申し上げたかったわけでございます。
○米山委員 そうすると、比較考量の上で適切なことをしていただけるということでよろしいですか。
○小泉国務大臣 はい、そのように努力をしていきたいと思います。
○米山委員 政治も財政もありますから、直ちに今できると言うのは、それはむしろ不誠実なんでしょうから、是非努力をして、かつ、その努力が結果になるように、我々もそこはサポートさせていただきますので、是非頑張っていただければと思います。
それでは、これで総合法律支援のところは終わらせて、次、ちょっと済みません、特定技能の制度についての御質問をさせていただきたいと思います。
これは、昨日、技能実習制度に係る育成就労制度導入を柱とする入管法改正案が審議に付されましたが、この委員会でも次に審議が始まるわけなんですけれども、この育成就労制度特定技能一号の水準、技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とするというものでございます。そして、政府、三月二十九日に、この特定技能一号の受入れ人数を二〇二四年から向こう五年間で八十二万人、現行の上限の二倍以上に増やすということを閣議決定されております。資料四にありますね。
これに併せて、特定技能二号についても、特定技能一号の十二の特定産業分野のうちの特定建設分野及び造船・船舶工業の溶接工のみが対象となっていたのをどんどんと増やしまして、様々、九分野等々を増やすということになりました。これは資料五を御覧ください。
ここからが問題なんでございますけれども、これで、「特定技能二号の対象分野の追加について」、これも令和五年六月九日、閣議決定がありまして、それを受けた、入管庁の「試験の方針について」というガイドラインがございます。資料六を御覧ください。ここで、「技能を要する技能が求められることを踏まえ、上級技能者のための試験である技能検定一級の合格水準と同等の水準を設定する。なお、例えば、「実務経験A年程度の者が受験した場合の合格率がB割程度」など合格者の水準を可能な限り明確化する。」と。まるでこれは通信簿の五は五%、四は二〇%みたいな、特定技能試験の合格率をもう決めなさいというのを入管庁が言っちゃっている、言っちゃっているというか、言っているわけなんですよ。それに基づいて資料七の試験なんかがもうあるんですけれども。
そういう理解で資料七の試験なんかが決まっているので、資料七だと大体これは合格率は三割程度なので、要は、入管庁は、この特定技能二号の試験の合格率を大体三割に設定しなさい、そうおっしゃっているということでよろしいでしょうか。確認させてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
特定技能の技能評価につきましては、出入国在留管理庁が策定する「「特定技能」に係る試験の方針について」において試験水準を示しているところ、御指摘の合格率は、あくまでも試験水準を明確にするに当たっての例示として記載しているものです。実際の特定技能二号の試験の要領、幾つかございますけれども、このような例示に沿っているものもございますが、ちょっと例外的なものとしましては、造船・舶用工業分野におきましては、溶接区分の特定技能二号試験の水準について、全ての向きで適切に溶接を行うことができる技能を問うものとすると定めており、技能試験の水準は合格率の記載に限定されるものではございません。
いずれにしましても、出入国在留管理庁としましては、業を所管する省庁とも連携し、試験の実施状況なども踏まえ、今後も適切な試験の運用に努めてまいりたいと思います。
○米山委員 これは御答弁として、官僚的な答弁なのでそうなると思うんです。
でも、その中で、結局おっしゃられたのは、今の造船のやつはすごい分かりやすかった、全ての方向から、こうでもこうでもこうでも溶接できる、それは正しいです。それが技能工というわけでしょう。
一方で、いや、三〇%なきゃいけませんとかというのはかなり変な話なわけですよ。しかも、今ので、そういうふうにちゃんと決まっているのは極めて例外的で、ということは、つまり、ほかのところでは大体何十%ということが実は事実上決まっているし、そうじゃないというなら、この文言を切ればいいんです。入管庁の単なる方針なんですから、こんな文言、なくすればいい。達成水準をきちんと示せと言えばいい。それが本来なんですもん。
製造業の現場、それこそ、我々なんかより、むしろ与党、自民党の先生方のところに工場の、会社の社長さんからお話が行くとは思うんですけれども、日本を支える製造業も在留外国人に依存しております。いなきゃ立ち行かないというのは本当だと思いますよ。
企業としては、五年間もかけて継続して勤務してくれたら、大体五年かければ、それは大概の人はある程度熟練はするわけですよ。逆に、本当に向かなかったら御本人も嫌になるでしょうということでしょうから。そういう方に関しては、それは基本いてほしいわけです。せっかく技能を修得してくださって、しかも代わりがいるわけでもない。代わりがぼしぼしいるというならまだ分からぬでもないですけれども、代わりもいませんと。
そういう人は一号から二号になってほしいわけですよ。それでそのまま働いてください、より一層どんどん技能を向上させてくださいと思っているのに、やはりこれはどう見ても、こういう文言がありますしね、水準を決めるという文言があるんだし。かつ、結局のところ、そういう三〇%とかがない、これがないと言ったとしてもですよ、資料七である実際に用いられることになるであろう試験というのは、事実上、三〇%ですから、合格率。そんなふうに切るというのはそもそも全然合理的でないし、日本経済の弱体化につながってしまうじゃないか、全く日本という国をこれから豊かにしていこうという方向に合わないじゃないかと思うんですけれども、大臣の御所見を伺います。
○小泉国務大臣 これは、技能実習制度もそうでありますし、特定技能制度もそうなんですが、一定の技術水準を持った方々に限って日本に入っていただいて頑張っていただく、そういう形を取っているわけですね。それは、その方々が入る職場に直接影響が及ばないように、及ぶとしてもそこに限定的な影響しか及ばないような配慮をするということから、間口をある程度コントロールする、出口をコントロールする、そういう考え方でこういう仕組みにたどり着いたんだと思いますが、委員おっしゃるように、直接的な影響があったとしてもなかったとしても、外国人労働者がそもそも来てくれないんじゃないか、選ばれないんじゃないか、また、もっと多くの方に入ってもらわなければ、間接的な、経済成長を通じた雇用の提供の場が減ってしまうではないかという、もっと総体的、全体を見た御議論というものが当然出てき得るわけであります。今、その過渡期だと思います。
今回の法案も、また御審議をいただきますけれども、そういった点にどう配慮するかということがかなり大きな実は問題点になっておりまして、この委員会でのまた御議論も踏まえて、先生のそういう新しい発想もあり得るという点もしっかりと踏まえて、行政としてできることを考えていきたいと思います。
○米山委員 今できる範囲で前向きな御答弁をいただいたと解釈させていただきたいんですけれども、その前向きに更に乗せさせていただきますけれども、試験問題につきましても、実は製造業、特に製造業はそうだと思うんですが、製造業の各企業においては、まず、それぞれの会社、工場において熟練工であることが必要なのであって、何も技能検定一級のような汎用性のある技能が必要なわけじゃないんですよね。
そのような試験のための準備をすること自体がリソースの無駄遣いであり、一定程度の、もちろん全く試験しなくて、本当に全然駄目な人でもいいという話じゃないとは思うんですけれども、一定の監督下、例えば経済産業省の外郭団体の検定機関などをつくって、各会社や各工場レベルで、この工場で熟練工なら、その工場にとっては十分いいわけですよ。何なら別に、むしろライバル企業の熟練工になんかなってほしくないというのが、工場にとっては希望ですよね、うちで熟練工になってくれと。
それを検査すればいいじゃないか、その方がよほど現実的ではないか、そういう試験制度を考えてくれないかという要望を伺うんですけれども、そういった各企業における試験、各企業における熟練工、そういう考え方に対応していくというお考えがあるのかないのか、法務大臣の御所見を伺います。
○武部委員長 小泉法務大臣、答弁は簡潔にお願いします。
○小泉国務大臣 個々の企業、会社仕様の技術がしっかりしていればいいじゃないかということですよね。しかし、また、逆方向からの議論もあるんですよね。実習生は、技能実習生を含めて、様々なスキルを学びたがる。一つ学べば、その隣、その隣の技術、ベーシックな技術、非常に向上心が強い。また、日本の産業界においても、そういう日本全体に汎用性を持った高いスキル、ほかの分野でも通用する汎用性の高いスキルを持ってもらいたいというニーズもあると思います。少なくとも転籍は一定の業務範囲の中で行われますので、ある程度の学力の、スキルの統一性というものも必要だと思います。
この点は、ちょっとまだ結論が我々も出せませんけれども、引き続き議論をさせていただきたいと思います。
○米山委員 現在の制限の中では、しかし、議論させていただくといいますか、今後検討していただけると思いますので、またよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、阿部弘樹君。
○阿部(弘)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部弘樹でございます。
それでは、早速質問させていただきます。
まず、法テラスの犯罪被害者法律援助、これについては、国籍要件は日本人に限るということですが、今般の総合支援法の対象は、ほかの議員もお聞きになりましたが、対象者は国籍要項はあるんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘いただいたのは民事法律扶助だと思いますけれども、民事法律扶助につきましては、国民若しくは我が国に住所を有し適法に在留する者というものを対象としてございますけれども、この制度につきましては、先ほど御答弁いたしましたとおり、資力や対象被害者等の要件を満たす必要はあるものの、外国人であることや、適法に在留する者でないことのみをもってこの制度の利用が妨げられることのないよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
○阿部(弘)委員 それでは、従前、日本弁護士会の犯罪被害者法律援助制度というのがあるわけでございますが、今般、この総合支援法の改正で公費を適用するということですが、費用負担による犯罪被害者法律扶助では、その対象を、生命、身体若しくは自由に関する犯罪又はストーカー、DV行為としていますが、本法律ではそれより狭い範囲の適用になった理由というのは、どういう理由でしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘いただきましたとおり、この制度におきましては、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪又はその未遂罪の被害者等、刑法における一定の性犯罪又はその犯罪行為にこれらの性犯罪の犯罪行為を含む罪又はその未遂罪の被害者等、さらに、人の生命又は心身に被害を及ぼす罪として政令で定めるものの犯罪行為により被害者が政令で定める程度の被害を受けた場合における当該犯罪行為の被害者等を対象としております。
これらの被害者等は、精神的、身体的被害等によりまして、被害直後から必要となる様々な対応を自ら行うことが類型的に困難であると考えられますことから、これらの被害者等のうち、経済的困窮に陥って弁護士による援助を受けられない方々をこの制度の対象とすることによりまして、弁護士による包括的かつ継続的な援助を受けることができるようにしたものでございます。
○阿部(弘)委員 答弁の中にも、何度も政令で定めるということがございますが、具体的に、政令で定める予定というのはどのようなものを考えておられるのでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
政令で定める内容につきましては、この法律の趣旨も踏まえまして、今後、関係機関、団体等と協議して定めていくことになるということで、現時点でどういうものが対象になるかと確たることを申し上げることはできないということで御容赦いただければと思います。
○阿部(弘)委員 どのくらいの時期をめどに、政令で定められるんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
時期につきましても、現時点でいつまでということを申し上げることはなかなか難しいということでございますが、これは当たり前ではございますけれども、二年以内の、政令で定めるということが、施行日とされておりますので、その施行の準備等も踏まえまして、適切な時期に定めてまいりたいと思っております。
○阿部(弘)委員 この法律の公費負担の援助は、刑事の捜査段階での援助、公判段階での援助、また、民事援助というものが説明文書の中には出てくるわけでございますが、民事法律扶助というのは、今まで税金で扶助されたことというのはあるんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
民事法律扶助という制度につきまして、民事事件が中心でございますけれども、民事事件についての弁護士費用を法テラスの方で立替え払いをする、その立替え払いをした費用につきましては、利用者の方から原則として償還を求めるというような制度となってございます。
○阿部(弘)委員 この度の法改正、説明のところでも、民事訴訟の訴訟代理なども公費負担、扶助の対象になるというふうにうたってありますが、そうすると、立替え、そして最終的には本人が支払うということなんですか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度におきまして、この制度を利用して民事損害賠償等の民事請求を行う場合の費用につきましては、原則として利用者の方に費用を負担していただかないということを想定してございます。
ただ、例外的に、この制度を利用したことにより一定程度の金額の支払いを受けたような場合等については、場合によっては費用負担をお願いすることがあるということで考えてございます。
○阿部(弘)委員 恐らく、刑事は別として、民事の訴訟において税金を投入するということは、私は余り聞いたことがない。そうすると、法テラスが法的に業務を受託するのかということであるわけでございます。法定受託事務として、この法テラスが業務を行うということなんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度によりまして法テラスが行う業務のうち、法律相談の主体といたしましては、法テラスが、もちろん相談自体は弁護士が行うわけでございますけれども、その実施主体としては法テラスということになります。また、その他、法律事務その他付随業務につきまして行う者は、契約弁護士等が行うことになるということでございます。
○阿部(弘)委員 いや、そういうことを聞いているんじゃないですよ。要するに、国の税金が投入されて、民事法律事務を行うわけですから、この民事の民民の争いにおいても税金をお支払いする。そして、その事務を、自治体ではないわけですから、ある意味では弁護士会という団体に、法テラスという団体に法定に受託していただくという事務。恐らく、これは法律の世界では初めてのことだと私は考えるわけなんですよ。
つまり、後で大臣にお聞きしますが、要するに、ナショナルミニマムとしての設定をこの際行うのかということをお聞きしたい。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
大変申し訳ありませんが、今の委員のナショナルミニマムとして設定するのかという御質問の御趣旨、ちょっと、私、必ずしも明確に今理解できたわけではございませんけれども、法テラスは独立行政法人類似の団体ということとされてございます。法定受託事務云々というのは、地方自治法の世界でそういうことが言われておるということは承知していますけれども、そういうこととは少し違うのではないかなというふうに思っております。
その上で、法テラスが立替え払いではなく業務を行うことがあるのかということにつきましては、一定の、民事ではございませんが、DV被害者についての法律相談等につきましては国の費用で原則として対応するということは行っております。
○阿部(弘)委員 いやいや、ちょっと待ってくださいよ。刑事訴訟のときには国選弁護人というものがあるわけですから、それは国の制度として事務が行われている。そして、国に刑事裁判を、告発されれば、裁判を受ける権利の下に国選弁護人を選任することができるわけなんですよ。今般も、民事訴訟についても、この制度に基づいて民事訴訟の弁護士をつけることができるわけですから、その制度と全く同じじゃないですか。地方自治の世界に使われている言葉じゃないですよ、ナショナルミニマムというのは。
国民は、例えば裁判を受ける権利であっても、最低限の権利。ただし、それは、民事であれば自分たちの費用で行ってくださいよ、刑事であれば国選弁護人などは国が負担しますよと。今般、民事法律扶助において、初めて国が財政支援をするということなんですから、これは国の一つの制度になったんじゃないですか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
国の制度になったのかということでございますが、まさにこの法律で、法テラスの新しい業務として犯罪被害者等支援弁護士制度ということを設けるというものでございます。
また、民事の世界で国が費用を負担することはなかったのではないかということでございますけれども、先ほど民事法律扶助は立替え払いが原則だということを申し上げましたけれども、一定の資力が更に乏しい方につきましてはその立替金の免除ということも行っておりまして、そういう場合には国の負担となるということで現在も行っているところでございます。
○阿部(弘)委員 いや、答えになっていないですよ。そもそもこれは、こういう対象になるかどうかは、資産要件なんかを最初に設けるわけでしょう。だから、扶助の対象になるわけですから、立替え払いのわけがないじゃないですか。
国が民事訴訟においても扶助を行うという、私はこの世界で初めての制度だと理解しておるんですけれども。
じゃ、この議論はいいんですけれども、何でDV、犯罪暴力防止法をこの対象に含めなかったんですか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度は、精神的、身体的被害等によりまして自ら必要な対応ができないばかりか、その被害に起因するなどして経済的困窮に陥ることにより弁護士等による援助を求められない被害者等を支援するために創設するものでございます。その上で、この法律案では、財源や弁護士の体制等に一定の制約があることから、本制度による援助の必要性が高いと認められる被害者等を類型化いたしまして、必要な援助を行えるようにしたものでございます。
御指摘の配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律における配偶者からの暴力の被害者等につきましては、法テラスにおけるDV等被害者法律相談援助ですとか民事法律扶助のほか、法テラスが日本弁護士連合会から委託を受けて行っております犯罪被害者法律援助等を最大限活用して支援を行ってまいりたいと考えております。
また、この制度の対象については、制度創設後も、その運用状況等を見定めながら、援助の必要性等を勘案いたしまして、真に犯罪被害者やその御家族に寄り添ったものとなるよう不断の検討を行ってまいりたいと考えております。
○阿部(弘)委員 今の答弁は、財政的に限界があるからまず限定的にやったんだというお話のように聞こえたわけですが、国民は、配偶者暴力防止法ができて、その法律的な支援も行われることを期待していますよ。あるいは、児童虐待、そういったものに対しても、国の支援、法律扶助が行われることを期待していますよ。そういった点、将来的にはいかが、検討の余地はあるんですか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
将来的にどうかということでお尋ねですけれども、この制度の対象につきましては、制度創設後も、その運用状況等を見定めながら、援助の必要性等を勘案いたしまして、不断の検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○阿部(弘)委員 では、この法改正に伴う、法制局と協議するんですかね、まあ財務省とは協議されると思いますが、予算はどのくらいの規模を予定してあるんですか。
○坂本政府参考人 予算につきましても、今後、関係機関、団体等と協議いたしまして具体的に定めていくということになりますので、現時点で幾らということを申し上げることは難しいということで御容赦いただければと思います。
○阿部(弘)委員 おかしいな。僕も法律を作ったけれども、大体、予算規模を先方に、財務省に言わないと法改正なんかできないですよ。
増えるんですか、減るんですか。
○坂本政府参考人 この制度でございますけれども、法テラスに新しい業務をつけ加えるというものでございますので、当然、それに要する経費というものは必要になってくるものと考えております。
○阿部(弘)委員 それはそうでしょう。増えなきゃ、あるいは、試算で大体どのくらいの件数を予定するんですかということをもちろん財務省との協議をやらないと、閣議了解なんかできないじゃないですか。件数はどのぐらいを予定しているんですか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
新しい制度でございますので、何件というふうに明確に予測という形で申し上げることは困難ではございますけれども、先ほど来話題に出ています日弁連の委託援助事業、これが大体年間千八百件程度、直近のものでございますので、それが一つの参考となる数字になるのではないかというふうには思っております。
○阿部(弘)委員 余り司法法制部長を、議論を詰めるところではないとは思うんですけれども、そういうことなんですよ、予算が伴うこと。そしてまた今後、国民が希望するのであれば、法改正、罪状、罪名を増やす、あるいは政令で定めるというところを、後で大臣にお聞きしますけれども、望むところであります。
しかし、今般はDV防止法は罪名としては入らないということでございますけれども、先ほど、議員の質問の中、いいことがあったんですよ。女子トイレの中に、そういう相談のステッカー、張り紙があるということなんです。DV防止法は、今般、四月一日から施行がされました。
関係する省庁にお聞きしたいと思いますが、まず、今般、警察はこれの普及についてどのように取り組まれていきますか。
○和田政府参考人 警察におきましては、配偶者からの暴力について相談等を受けた場合、相談者のお気持ちに寄り添いつつ、事件化すべき事案については必要な捜査を行うとともに、被害者の安全確保を最優先とした措置を講じているところです。
また、被害者が法律支援を求めるなど、警察以外の関係機関による対応がふさわしいと考えられる場合には、相談者に対し、その内容に応じて、配偶者暴力相談支援センターや法テラス等の関係機関の業務などについて説明し、これらの機関に円滑に引き継ぐこととしております。
いずれにいたしましても、DV事案につきましては、警察が認知した段階では危険性やその切迫性を正確に把握することが困難である一方、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが高いことから、被害者の安全確保を最優先に、関係機関と連携しつつ、組織的な対応を図っていくこととしております。
○阿部(弘)委員 それでは、内閣府はいかがでございますか。
○小八木政府参考人 お答え申し上げます。
配偶者からの暴力等の被害者が必要に応じて法的支援を受けられることは、大変重要なことだと認識しております。
配偶者暴力相談支援センターでは、個々の相談の内容を踏まえまして、相談者の希望に応じて、法テラスにおきまして、今般改正前から実施しておりますDV等被害者法律相談援助などの制度の利用に係る情報提供を行うなど、法テラス地方事務所や弁護士会とも連携して取り組むこととしております。
○阿部(弘)委員 今般、配偶者暴力防止法は罪名としてはありませんでしたが、DVについて、あるいはチャイルドアビューズについても、罪名としては加わっておりませんが、いずれそういう時期が来るとは思いますので、是非とも、国民の皆さん、特に困ってある方々がたくさんいらっしゃいますので、普及に努めていただきたいというふうに思っております。
法務省の方はいかがですか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
DVにつきましては、法テラスにおいて、DV等被害者法律相談援助あるいは民事法律扶助を行っているほか、法テラスが日弁連からの委託を受けて行う犯罪被害者法律援助等の制度がございますが、それを最大限活用して支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
○阿部(弘)委員 次に、この制度は弁護士さんの役割というのが非常に大きいわけです。ただし、この法テラスにしても、ゼロワン地域というものはいまだに存在するわけでございまして、日本国内どの地域においても弁護士さんがいないとこの制度が運用できないわけでございますが、そういうゼロワン地域、法律過疎の対策については、大臣、これから取組はどのように行われていきますか。
○小泉国務大臣 まさに弁護士さんの確保がこの制度の中心的な課題であるというふうに思います。
法務省及び法テラスでは、日本弁護士連合会等と連携を図りつつ、弁護士に対し各種の業務説明あるいは研修を実施するなどして、担い手となる弁護士の確保を行っております。また、法テラスでは、司法過疎地域に地域事務所を設置して常勤弁護士を常駐させ、法律相談や訴訟代理等の法律事務を幅広く取り扱わせております。また、この事務所が設置されていない場合においても、電話、オンライン相談の活用により司法アクセスの確保を図っております。
今後、施行までの期日において、司法過疎地域については、必要な体制が整備できるよう、的確に法務省としては対応したいと思っております。
○阿部(弘)委員 実際は、弁護士費用が安いというのを他の議員が質問してありましたが、そうすると、なかなか、これを今大臣が答弁したように実現するというのはまだイバラの道だと思いますよ。
関係する皆さん方が努力なさって、国民がこの制度を享受できるように是非とも頑張ってほしいと思います。
以上で終わります。
○武部委員長 次に、斎藤アレックス君。
○斎藤(ア)委員 教育無償化を実現する会の斎藤アレックスでございます。
日本維新の会との統一会派のお時間をいただきまして、質問をさせていただきます。
本日、私からも総合法律支援法について質疑をさせていただきたいと思います。
先ほど、最後に阿部委員からおっしゃっていただいたように、弁護士のゼロワン地域の件も、かつては滋賀県もそういった支部がありましたけれども、法テラスの取組を通じて解消に向かっている。まだ完全にゼロワン地域がなくなったわけではありませんけれども、その点、私からも是非取組をお願いしたいということを冒頭申し上げておきたいと思います。
この法テラスの創設の背景としても、元々、犯罪被害者に対する弁護であったりとか法律的な扶助、支援が置き去りにされているのではないかという問題意識があったというふうに思います。犯罪加害者に関しては、資力がなくて国選弁護人をつけるということが憲法上の人権保護の観点からもずっと行われてきたわけでございますけれども、一方、犯罪被害者の方に関しては、なかなか、法律、司法の中で置き去りにされている、そういった問題意識があって、だんだんと犯罪被害者に対する支援というものも拡大をしている状況だと思います。
そういった背景があって、そういった取組の延長線として今回新たな支援制度が創設をされるということで、この点に関しては、多くの議員の皆様がおおむねそこに関してはやはり方向性は一致をしていると思いますけれども、一方で、本日も質疑にあったように、その支援対象であったりだとか、そして、支援対象の中には、支援の対象となる犯罪であったりとか資力であったりだとか、そういったものが様々ありますけれども、そういったところについて様々議論があるんだというふうに思っておりまして、私からも、支援対象に関して、どういった理由でこういった今状況になっているのか、それを更に拡大することが必要ではないかという観点で何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。
まずは、参考人の方にお伺いをしたいというふうに思います。
今回、この弁護人の制度で、犯罪被害者支援弁護士制度に関して、対象となる犯罪の類型が示されています。その中に、第三十条第一項第九号のロに、人の生命又は心身に被害を及ぼす罪と規定をされていまして、これが、本日もこれは一体どういった罪が該当するのかという議論がされていますけれども、改めて、この後の質疑でちょっと関係するところでございますので、この第一項第九号のロにどのような犯罪が含まれると考えればいいのか、その点を教えていただければと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
犯罪被害者やその御家族は、その被害の実情に応じまして、被害直後から様々な対応が必要になるにもかかわらず、精神的、身体的被害等によりまして自らが直接対応できない場合があることから、この制度では、これらに該当する場合を類型化いたしまして、この制度による援助の対象としております。
そして、法律に規定した二つの類型の罪以外の罪の被害者等につきましても、その被害の内容、程度によりましては、精神的、身体的な被害等によって自らが直接対応できず、弁護士等による包括的かつ継続的な援助が必要になることが考えられるところでございます。そこで、このような必要性等を考慮いたしまして、適時適切にこの制度による援助の対象とすることができるよう、政令で定める罪の被害者等であって、政令で定める程度の被害を受けた場合をこの制度の対象とすることとしております。
その上で、具体的に、では、この政令で定める罪や被害の程度、この内容ということでございますけれども、これにつきましては、この法案成立後に、関係機関、団体と協議しつつ、また、この制度の趣旨、あるいはこの制度の対象とすべき必要性等を考慮して定めることになるというふうに考えております。
○斎藤(ア)委員 被害者本人であったり遺族の方々が自ら対応することが難しい場合を想定して、こういった支援制度をつくるということですと。それだけ聞いていると、もっと幅広くしなきゃいけないんじゃないかなと思うんですけれども、これから様々検討をされるということは今日の答弁で繰り返しあるんですけれども、どういうことを念頭にして我々はこの採決に当たったらいいんでしょう。どういったところまで含まれるのかとか、こういう度合いだとか、我々の採決の態度を決めるときに、これから全部決めますというのだとなかなか、本来であれば難しいと思います。方向性はみんな一致していますので、反対するものでは当然ないですけれども、何か踏み込んだ御説明というようなものはないんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
先ほど来、この法制度の趣旨といたしまして、精神的、身体的被害等により自ら直接対応ができないという場合の被害者というものを想定しているということでございます。
その具体的中身、更に何かということでございますけれども、先ほどのお答えと重複しますけれども、まさにその趣旨を踏まえ考えていくということになりますけれども、今それが確定しているというものではございませんけれども、例えば、傷害等の罪の被害者で、今申し上げたような、自ら直接対応できないような程度の被害を負っておられる方というのが政令の検討の対象になるのではないかというふうに考えております。
○斎藤(ア)委員 もちろん、今から考えるということなので、例えばということで、傷害の度合いが重いということも検討の対象ではないかというお答えだったと思うんですけれども、これは確認なんですけれども、人の生命又は心身に被害を及ぼす罪というのは、体のことだけに限定されるのか、心の傷にも範囲が及ぶのか。ちょっとここは明確に通告をしていなかったので、お答えは難しいかもしれませんけれども、基本的なことだと思いますので、もしお答えをいただけるのであれば、お願いをしたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
そこら辺も含めてまた検討ということになってしまうということでありますけれども、精神的傷害ということで、それが一定の犯罪対象ということになってくるということであれば、検討の対象とはなり得るものというふうには思っております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
その点、この委員会の皆様も、また法務省の皆様も、できるだけ救済される、支援する対象を広げたいとは思っていると思いますので、是非そこは前向きにというか、是非含めていただくよう検討していただきたいと思います。
ちょっと質問の順番が変に思われるかもしれませんけれども、今お話があったところも含めて、今回、支援対象に関してはこうこうこういうものです、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪、不同意わいせつの罪、不同意性交等の罪、それにプラス、今お話があった、人の生命又は心身に被害を及ぼす罪ということで例示をされているというか、条文に書かれているわけでございますけれども、何らかの理由があって今回支援対象の犯罪をこの範囲にしているわけでございます。いろんな制約があってこうしているんだと思いますけれども、こういう制約を設けることがどうこうというよりかは、どういった基準でこういった範囲を定めたのかというところをもうちょっと分かりやすく教えていただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度では、犯罪被害者やその御家族が、被害直後から様々な対応が必要となるにもかかわらず、精神的、身体的被害等により自ら直接対応ができない場合があることから、これに該当する場合を類型化して援助の対象としたということは、先ほど来御答弁差し上げているところでございます。
そして、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪でございますけれども、被害者を奪われた近親者に対しまして、被害者に匹敵する多大な精神的被害を与えるなどしてその生活を一変させるものであることから、この罪の被害者と一定の関係にある近親者につきましては、類型的に、自ら刑事手続に適切に関与したり損害、苦痛の回復、軽減を図ったりすることが困難であるというふうに考えられます。
また、一定の性犯罪につきましては、被害者等に精神的に回復困難な多大な苦痛を与えるなどして長期にわたって社会生活、対人関係に深刻な影響を及ぼし得るものであり、かつ、強い羞恥心を抱かせる被害の特質や各手続の過程における二次被害への懸念から、その罪の被害者等は、類型的に、自ら刑事手続に関与したり損害、苦痛の回復、軽減を図ったりすることが困難であると考えられます。
このような理由から、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪及び一定の性犯罪の被害者等をこの制度の対象とすることとしたものでございます。
○斎藤(ア)委員 今回の法改正の趣旨というのは、精神的、身体的被害等によって自ら対応できないということが書かれているので、今説明いただいたところは全く我々も問題視しているわけでは、人を殺されたとか、不同意わいせつ、不同意性交等というのはそれに該当するわけですから、当然入るということは全く疑義がないんですけれども、なぜこの範囲になってしまっているかというのが私の問題意識というか、質問だったわけです。
それについてはちょっと法務大臣に伺いたいんですけれども、本日もこういった同じ問題意識で様々な委員から質問があったと思います。趣旨はよく分かるし、こういった、今、対象となる犯罪も対象にしていただくのは当然なんだけれども、精神的、身体的被害等によって自ら対応できないというのは、もっといろんな犯罪があるじゃないかということなんですよね。
日本弁護士会の犯罪被害者法律扶助では、生命、身体若しくは性的自由も含めて、生命、身体、自由に関する犯罪又はストーカー、DV行為ということで、今回の法改正より大分幅広の支援対象としているわけでございます。
今回の法律の趣旨にのっとるということであれば、ここに今例示をされている対象だけではなくて、もっと拡大をしていくことが本当は重要だと思いますし、これは本来は法務省さんもそうされたいと内心思っていらっしゃると思うんですけれども、そのことについて、ここまで、今の支援対象だけではなくてもっと広げていくことが必要だという、そういった思いをまず大臣として持たれているのか、是非教えていただきたいと思います。
○小泉国務大臣 限られたマンパワーと限られた予算の中で、今回の措置はこれまであった法テラスの取組と比べて何が違うかというと、深刻なダメージを受けた方々の類型をある程度絞って、そして、そういう方々に対してはもう徹底的に、迅速に継続的に包括的に、徹底的にお守りしよう、深く入ろう、こういう考え方です。法テラスの方は、この法案よりも幅はあると思います、対象は。ただ、いろいろな手当てはなされますけれども、今回、民事も刑事も行政もやろうということに比べると、相対的には範囲は、浅い、まあ浅いと言うと怒られますけれども、相対的には、我々、今回の法案の方が、深くやろうと。そういう、狭く深く、広く浅く、類型的にいえばその違いがあるわけです。
今回、深く入りますから、当然漏れている分野は目につくわけでありまして、これは当然意識に置いて、視野に置いて、必要に応じ、また予算獲得をしながら広げていくという御議論は当然あり得ると思っております。我々もそういう問題意識を持って注視をしていきたいと思っています。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
マンパワー的にも予算的にも当然これは制限がある中で様々な政策を実行していかなければならないということでございます。
財政面の部分では、法務省さんと財務省の間の折衝というものがあると思いますけれども、是非頑張っていただいて、この第一項第九号のロに含まれる部分は、是非、より幅広になるように、その運用というか、これから政令で定めるものをしていただきたいというふうに思います。
また、マンパワーでいうと、やはり弁護士が足りない、特に過疎地域、地方では弁護士が足りないということも現実の問題としてあると思いますので、その点、法曹の養成というのはなかなかうまくいっていない部分があると思いますので、継続した課題として法務省には取り組んでいただいて、マンパワー的な制約で、犯罪加害者の方は必ず国選弁護人がつくけれども、被害者の方は、たとえお金がなくても、犯罪の類型によっては弁護士がつけられないということは、これは私は国民心情的にもなかなか納得できない部分があると思いますので、是非、そういったところを含めて、より積極的に法務省さんには頑張っていただきたいというふうに思っています。
この中で、特に私がお願いをしたいことは、今回、対象犯罪がこう決められている、資力要件があるということなんですけれども、未成年の子供に関しては、もう無条件に全面的なサポート、法律的なサポート、弁護士をつけるということも含めてやっていくという方向で是非検討いただけないかなということを申し上げたいと思います。
もちろん、子供の中にも、資力がある子供、未成年の子供というのはいると思うんですけれども、本当にそのお金を自分で使えるのか、自分の口座を管理できているのかということも含めて、たとえ仮に本当に特殊例で資産がある子供がいるかもしれないですけれども、それは本当にごくごく少数のケースだと思いますので、未成年の子供の場合は、法テラスに来ていただいたら全面的にサポートしますよというような体制をつくって、それを周知していくことが、未成年に対する犯罪を継続させるとかそういったことを防いでいく上で大変重要だと思うんです。
この未成年の子供に対する対策、対応についての重要性であったりとか、今私が申し上げたことについて御所見があれば、是非、法務大臣からお伺いしたいというふうに思います。
○小泉国務大臣 お考えはよく分かります。ただ、本制度、国費を投入してまいりますので、資力がない方ということがやはり前提になっています。
未成年の場合、多くの場合、資力がないんでしょうけれども、しかし、父母の状況によっては十分な資産があるという場合も当然あり得るわけでありまして、そういうことをどういうふうに処理していけるのかどうか、どうさばいていけるかどうか、そういった点についての検討が必要だと思います。
問題提起いただいたことをしっかり踏まえて、引き続きこれは検討していきたいと思います。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
ちょっと関連して、参考人にお伺いできればと思うんですけれども、未成年の子供に関しては、親の、保護者の資力に基づいて資力要件が考えられるということになるんでしょうか。加害者が親の場合もあると思いますので、いろいろ例はあると思うんですけれども、そういったところもこれから検討されるということでしょうか。ちょっとお答えをいただければと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
その点の詳細につきましても、先ほど来、こういう答弁の繰り返しで恐縮でございますけれども、今後、関係機関、団体と協議していきながら詳細を定めていくということで考えております。
○斎藤(ア)委員 特に未成年の子供に関しては、法律に関する知識も当然相対的に乏しいわけでございますし、また、残念なことに、親が加害者というケースもあると思いますので、そういったところも想定をしながら、政令でしっかりと、また運用などをしっかりと定めていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間がなくなってきましたので、支援対象に関連した御質問なんですけれども、今回、施行期日前の犯罪被害は支援の対象外となっております。もちろん、どこかで区切りをつけて、これ以降で対象にするということは、どこかで決めていかないといけないわけでございますけれども、この国会で、参議院はもう通過していますので、衆議院を通過すれば、この国会、今月中にもこの法律は成立をするということになりますけれども、その後、二年たつまでの間、法律は成立しているけれども、施行期日前の方は支援されないということで、これも支援対象が十分でないというふうな考え方もできるかというふうに思います。
これに関しては、もうそうせざるを得ないんだということだと思いますので、私から重ねてお願いしたいのは、であるならば、この施行期日、二年を超えない範囲としている期日に関して、前倒しをできるだけしていただくということが、できるだけ多くの犯罪被害者を救済していく上で大変重要だと思いますので、その点、法務大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
○小泉国務大臣 財源や弁護士の体制等の一定の制約がありますので、どこかで線を引かなければいけないということは御理解をいただきたいと思います。しかし、だからこそ、公布後二年を待たず可能な限り早期に制度を開始できるよう、これを一つの目標にして我々は取り組みたいと思います。
○斎藤(ア)委員 それはよろしくお願いをいたします。
最後に、被害者に対する損害賠償の実効性の確保に関してお伺いをしたいと思います。
本日も質疑に出ていますけれども、犯罪被害者の方、損害賠償をかち取ったとしても、実際に加害者の資力がないという理由でほとんど損害賠償が履行されないというか、もらえないという例が多いというふうに様々な調査で伺っております。
こういったときに、犯罪被害者の方がしっかりと損害賠償を受け取れるようにするために、本日もお話がありましたけれども、一旦国の方で立て替えて、そして国の方が加害者に対して求償していくということ、私は、これは制度として大変重要な制度になるし、是非前向きに検討いただきたいというふうに思っております。
この被害者の救済に関しては法務省そして警察庁の方で連携をして取り組んでいるということだと思いますので、まず、法務大臣からこの点に関して御答弁いただきたいと思います。
○小泉国務大臣 政府が立て替えますと、その後、犯罪者に求償するわけですが、それがうまく調わなければ結局最終的には国が負担をする、国が給付をしたという形になります。ですから、立替え制度の問題も含む給付制度の在り方について政府全体で考えていこう、抜本的に強化していこう、こういう考え方で、御案内のように、警察庁が事務局になって有識者検討会を開催しています。法務省も全面的にバックアップをしていきたいというふうに思います。
○江口政府参考人 お答えを申し上げます。
現在、警察庁におきまして開催をしております犯罪被害給付制度の抜本的強化に関する有識者検討会におきましては、御指摘のようないわゆる立替え払いも含めまして、様々な御意見をいただいているところでございます。
また、加害者による損害賠償について、犯罪被害者等が置かれた状況につきましては、昨年度、警察庁において実施をした調査の結果、犯罪被害者等全体の約九割の方が、そもそも加害者側との損害賠償に関する訴訟や交渉等を行っていないとの回答もしておりまして、犯罪被害者等が置かれる状況は様々でございますが、多くの方が訴訟等を行っていないという状況もうかがわれるところでございます。
本委員会において御審議いただいております総合法律支援法の改正によりまして創設されることとなる犯罪被害者等支援弁護士制度につきましては、このような状況の改善にも資するものと考えてございますが、引き続き、警察庁といたしましても、犯罪被害者等の損害回復、経済的支援等につきまして、法務省を始めとする関係府省庁と連携をして取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございました。
最後に、まとめということで申し上げたいんですけれども、今回の支援対象にしても、また、一回立て替えて求償するにしても、やはり国民の税金を使うということになりますので、当然、慎重な検討をされるのは、これは行政のあるべき姿だと思いますけれども、犯罪被害者の救済、特に未成年の子供とかそういった方々の救済に関しては、私は国民はそこはもう国費を投じてくれという思いが強いと思いますので、そういった案件であることも踏まえながら、是非、積極的に被害者救済が、より範囲が拡充できるように取り組んでいただきたいというふうに思います。
以上で質問を終わります。
○武部委員長 次に、本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
犯罪被害者が民事訴訟などを通じて迅速かつ確実に損害賠償を受けられるようにすることは、被害者の方々が少しでも損害を回復するためにも重要だというふうに考えますけれども、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 犯罪被害者等基本法においては、犯罪被害者等のための施策の基本理念の一つとして、犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受け取ることができるよう、講ぜられるものとすることを掲げております。
このような基本理念を実現するという観点から、委員御指摘の犯罪の被害に遭われた方やその御家族等が損害を回復すること、これは重要であると認識しております。
○本村委員 重要なんですけれども、先ほど来御議論がありましたけれども、犯罪被害者の方が損害賠償を受け取ることができない現状がございまして、もう本当に御苦労をされているということですけれども、その点について、大臣、どういう御認識か伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 警察庁が実施しました令和五年度犯罪被害類型別等調査によりますと、事件に関連して受領した給付、支給、賠償の内容について、犯罪被害者等の七九・九%がいずれも受けていないと回答しております。また、加害者からの賠償を受けたとの回答は三・一%にとどまっております。また、加害者側との損害賠償に関する訴訟、交渉等の実施状況について、犯罪被害者等の八八・〇%が訴訟や交渉などを行っていないと回答しており、訴訟や交渉などを行った際、弁護士等に頼んだとの回答は一・三%にとどまっております。
こうした調査結果は、犯罪被害者等に対して支払われるべき損害賠償金が十分に支払われておらず、また、弁護士等による援助も受けられていないという現状を示しているものと認識しております。
こういった状況を踏まえ、犯罪被害者等に対し早期の段階から弁護士等による包括的かつ継続的な支援を提供する制度の創設を内容とする本法律案を提出し、その御審議をお願いしているところでございます。
○本村委員 七九・九%の方が受けていないということですけれども、日弁連の皆さんの二〇一五年アンケートの結果では、金額の回収率、回収割合ですね、回収金額割る債務名義ということで回収割合を出しておられますけれども、殺人の場合は三・二%しか受け取っておられない、殺人未遂の場合は一・四%しか受け取っておられない、傷害致死の場合は一・四%しか受け取っておられないということになりますと、やはり被害者の方の損害の回復ということができていないということになりますし、そもそも、この損害賠償請求に意味を持たなくなってしまうということにこのままではなってしまうのではないかというふうに思いますけれども、その点も是非大臣の御所見を伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 今御指摘いただいたこと、私が述べましたこと、全部踏まえて、今回の法案、まずは成立をお願いしたいと思います。
○本村委員 一般社団法人犯罪被害補償を求める会の皆様からお話を伺ったことが私もございます。余りにも損害賠償を受けていないという方々が多く、そして本当に御苦労されているという状況をお伺いいたしました。
愛知県で起きた事件なんですけれども、犯罪被害者の方の事例なんですけれども、加害者に殴られ、そして重傷を負い、そして半身不随という状況になっております。労働能力の喪失ですとか治療費ですとか後遺症関係などなどの損害賠償は一億六千万円ということで判決が出ました。加害者は、刑を終え出所したわけですけれども、逃げて一円も支払っていないということでございます。
犯罪被害者の方が民事訴訟で損害賠償の判決を受けても支払われないということが続くために、時効にならないように手続をする必要がある、そういう費用も物すごくかかるんだというお話を聞いております。
犯罪被害者の方はどのような手続あるいは経済的な負担が必要で、その時効にならない手続が、そういう経済負担が必要なのかという点もお伺いしたいんですけれども、例えば賠償金が一億六千万円の場合、どのくらいの費用が必要になるのか、これは大臣にお答えをいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 損害賠償請求権が判決によって確定した後に時効の更新の効力を生じさせるためには、再度の訴えの提起や加害者の財産に対する差押え、債務者による財産開示手続などの手続が必要となります。これらの手続については、手数料等のほか、弁護士に委任する場合には弁護士費用も必要となるものと承知しております。
なお、例えば、再度、請求額が一億六千万円の訴えを提起する場合、その手数料は五十万円となるということでございます。
○本村委員 それに加えて弁護士の費用で何百万と支払っているというお話も、支払われない期間が続けば続くほど、そういう経済負担が増えていくということになってまいります。
この弁護士費用も含めた、被害者の方が時効にならないようにしていく、そういう場合に幾らぐらい御負担があるのかという点を実態調査したことがあるのかという点について、法務省に伺いたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
民事裁判で勝訴判決を受けた犯罪被害者の方が消滅時効の更新をするために必要な弁護士費用については、個々の弁護士との間の契約によって定まるものでございまして、法務省としては、これを網羅的に把握しておりません。
また、個々の犯罪被害者にとってどれほど負担になるかという点については、被害者の資力、被害者に対する各種制度による支援の状況、委任した事案の内容等によって様々であることから、実効的な調査をすることが難しいものと考えられます。
もっとも、御指摘の、弁護士費用等が犯罪被害者の方にとって負担となり得るということは考えておりまして、法務省といたしましては、この制度施行後、様々な声に真摯に耳を傾けまして、犯罪被害者の方々を支援するための適切な制度の在り方について、不断の検討を行ってまいりたいと考えております。
○本村委員 大臣にお伺いしたいんですけれども、被害を受けて、損害賠償の判決をかち取っても支払われず、その上、こういう時効にならないようにという手続などで様々費用が、負担が生じているという点、やはり私は、犯罪被害者の方に更なる経済負担が生じるというのはおかしいというふうに思います。その御苦労をやはり国としてもしっかりとつかむ必要があるというふうに思います。その点、実態調査、是非やっていただきたいというふうに思いますし、そういう皆さんのお声を是非聞いていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 犯罪被害者の方々に対する経済的補償の枠組み、内容については、政府の有識者会議で、警察庁が事務局になって検討を進めています。給付の抜本的強化という方向性が出ているわけであります。
その中で様々な議論がされていると思います。先生の御指摘も、現場の様々なそういう御苦労、そういった御指摘があったことも、この警察庁の事務局にはしかとお伝えをしたいと思います。
○本村委員 損害賠償を受けられず、そして時効にならないようにする部分ですね、この法案の犯罪被害者等支援弁護士制度で、これは過去の犯罪被害者の方々も救済、支援するべきだと思いますけれども、大臣、是非範囲に入れていただきたいと思います。
○小泉国務大臣 これは、限られた予算であり人員でありますので、どこかで線を引かざるを得ないということは御理解いただきたいと思います。本法施行後の犯罪についての適用を前提としております。
しかし、その間、我々ができることはベストを尽くしたいというふうに思います。まず一つは、施行日を極力早くすること。全力を尽くしたいと思いますし、また、その間、日弁連委託援助あるいは民事法律扶助等も、現行のその仕組みを最大限活用するべく、しっかりと法テラスとも緊密な、緻密な連携をしたいと思っております。
○本村委員 日弁連の皆様の犯罪被害者法律援助制度というのは、先ほど来御議論がありましたように、日弁連の皆様の特別会費の方のお金ということで、それに国が頼るというのはやはりおかしいというふうに思うんですね。そして、民事法律扶助は立替金を返さないといけないという制度になっておりまして、それは犯罪被害者の方のまた御負担になってしまうということになってまいります。
是非真摯に検討していただきたいというふうに思いますけれども、せめて損害賠償請求権のある犯罪被害者の方は過去の事例でも支援の対象にするべきだというふうに考えますけれども、大臣、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
民事裁判で勝訴判決を受けた犯罪被害者であっても、強制執行等の手続によりその権利を実現するために様々な支援を要する場合があるということは認識しております。
この法律施行日後の犯罪行為による被害につきましては、勝訴判決後の手続も、必要に応じてこの制度による支援の対象となり得るものでございます。
もっとも、先ほど大臣も御答弁申し上げましたとおり、施行日前の犯罪行為による被害につきましては支援の対象とはしておりません。施行日前の犯罪行為による被害につきましては、これも先ほどの御答弁のとおりでございますけれども、日弁連の委託援助でございますとか民事法律扶助等を活用することによって最大限援助を図ってまいりたいというふうに考えております。
○本村委員 日弁連の皆様を国が頼るというのはやはり本末転倒で、国が責任を持って支援をするべきだというふうに思っております。
先ほどもお話がありましたように、犯罪被害者が損害賠償を受けられるように、やはり国が立て替えた上で加害者に求償する制度が必要だというふうに思います。
二〇二三年七月二十六日、全国知事会の提言がございます。「犯罪被害者等の負担を減らし、実効性のある損害の回復が図られるよう、消滅時効期間の伸長を認めるとともに、国による賠償金の一時的な立替払制度や、その後の国による加害者への立替払金の求償措置等の支援施策を検討すること。」というふうに、全国知事会の皆さんも昨年提言をされております。
是非、こういう制度、実現するべきだというふうに思いますけれども、まずは警察庁、そして法務大臣、お願いしたいと思います。
○江口政府参考人 お答えを申し上げます。
警察庁におきましては、現在、犯罪被害給付制度の抜本的強化に関する有識者検討会を開催をしているところでございまして、本検討会におきましては、御指摘のようないわゆる立替え払いも含めまして、様々な御意見をいただいているところでございます。
具体的には、例えば、民事訴訟で苦労して債務名義を得たとしても、実際に加害者から賠償を受けることができていないことから、立替え払いを考えるべきという御意見がある一方で、様々な犯罪、様々な被害原因や履行を得られない債権がある中で、賠償責任がない国がなぜ民事上の損害額そのものを支払うこととなるのかなどの御意見もあるところでございます。
いずれにいたしましても、有識者検討会の取りまとめも踏まえまして、犯罪被害者等の損害回復、経済的支援等につきまして、法務省を始めとする関係府省庁とも連携をして取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
○小泉国務大臣 犯罪被害者の方々に対する経済的な救済、これは政府全体の方針決定が行われています。改めて申し上げることもないと思いますが、犯罪被害者給付制度の抜本的強化を行う、そのための検討会をつくる、そして警察庁が有識者検討会を設置をしております。その結論を我々もバックアップしていこう、こういう考え方でいるわけでございます。
○本村委員 是非進めていただきたいというふうに思います。
先ほども申し上げましたけれども、損害賠償請求に意味を与えるということにもつながっていくというふうに思いますので、是非、この点、やっていただきたいと思います。
今回の制度拡充というのはいいことだというふうには思いますけれども、しかし、損害賠償請求をしたとしても、それが支払われなかった、判決が出ても支払われないということになれば、その損害賠償請求自体の意味がないということになってしまいますので、是非、その点も含めて、知事会も検討してほしいんだというふうに言っているわけですから、検討を是非積極的に進めていただきたいと思います。
もう一度、大臣、お願いしたいと思います。
○小泉国務大臣 そういった問題も当然この有識者検討会では話し合われるものと承知をしております。そこで出された結論、我々はまたその実行をしっかりと受け持っていきたいと思います。
○本村委員 是非進めていただきたいと思います。
それで、損害賠償の判決を受けて、加害者が逃げてしまったり、財産を隠してしまったり、そういうことがあるわけですけれども、損害賠償を確保するために、国が、加害者の財産情報ですとか、どこに逃げたかということを捜すということも含めて、調査する制度があるというふうに思いますけれども、その点、お示しをいただきたいと思います。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
確定判決等の債務名義を得た犯罪被害者が民事執行の手続により債務者である加害者の財産を差し押さえるためには、その対象となる債務者の財産を特定する必要がございます。民事執行法には、犯罪被害者のために特化したものではないのですが、債務者の財産状況を調査する制度として、まず、執行裁判所が債務者を呼び出し、その財産について陳述させる財産開示手続と、金融機関等の第三者から債務者の有する財産に関する情報を取得する手続が設けられているところでございます。
○本村委員 こういうことも含めて、手続に関する支援を是非していただきたいというふうに思います。
先ほど来お話がありましたけれども、事実婚、前の委員会でもやらせていただきましたけれども、今回の制度なんですけれども、事実婚、同性パートナーの方の支援に関しては対象外になっているということですけれども、法務省は、事実婚や同性パートナーの方の犯罪被害者の方については日弁連の委託援助事業の支援を利用してくださいというふうに言っていますけれども、今回の法案の支援の内容と日弁連の委託援助事業、これはやはり支援の内容が違うわけです。その違いについてお示しをいただきたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
日本弁護士連合会の委託援助事業におきましては、同連合会の負担において、生命、身体、自由に関する罪等を対象といたしまして、同性のパートナーを含めまして、いわゆる事実婚の状態にある被害者等に対しても、刑事手続、行政手続を中心に援助を行っているものと承知しております。
他方、国費を用いて援助を行うこの制度におきましては、同性のパートナーを含めて、いわゆる事実婚の状態にある者は対象とはしておりませんけれども、被害者等が刑事手続への適切な関与に加え、民事手続等による損害、苦痛の回復や軽減を図るために必要となる法律相談を法テラスが実施し、契約弁護士等に法律事務を取り扱わせることといたしまして、早期の段階から民事、刑事、行政に関する包括的かつ継続的な援助を行っているものとなっております。
○本村委員 何か違いをおっしゃっていただけないんですけれども、例えば損害賠償請求の訴訟における訴訟代理、そういうものは日弁連の方の支援にはないわけでして、やはり、この法律の制度の中に事実婚、同性パートナーの方々の支援も是非含めていただきたいということを最後に申し上げたいと思います。先回の質問の中で、大臣は少し積極的な答弁をいただいたんですけれども、是非前に進めていただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。
○武部委員長 次に、日下正喜君。
○日下委員 公明党の日下正喜でございます。
総合法律支援法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
これまで、公明党は、人権の党として、犯罪被害者支援策の拡充を強力に推進してまいりました。一九八一年の犯罪被害給付制度の創設を始め、犯罪被害者の権利を明記した二〇〇四年の犯罪被害者等基本法の制定など、リードしてまいりました。各地の地方議会でも、犯罪被害者支援条例の制定などを積極的に進めてまいりました。
この度の法律案についても公明党が一貫して主張してきたものですが、殺人や性犯罪などの被害者と遺族が裁判などの対応で弁護士から包括的、継続的な支援を受けられる新制度を創設するもので、弁護士費用は公費で負担するとされており、早い段階から加害者側との示談交渉などを一括して請け負い、被害者などの精神的、経済的負担を軽減するのがその目的であります。
被害者や遺族は、突然の犯罪や事故に遭い、精神的、経済的な負担を抱えながら捜査機関とのやり取りを重ね、加害者側への民事訴訟や刑事裁判などの対応にも迫られます。大変な負担だと思います。被害者の中には、事件の影響で体調を崩し働けなくなって、弁護士費用を用意できないケースもあるほか、裁判で敗訴し、弁護士費用の返済がその後の生活を圧迫する事例も見られます。
ここでまず確認しておきたいのはこの犯罪被害者の定義でございますが、様々な犯罪被害が考えられますが、どのような犯罪の被害者が対象になるのか。また、日弁連の委託援助業務との関係性について法務当局にお尋ねします。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度は、精神的、身体的被害等によって自ら必要な対応ができないばかりか、その被害に起因するなどして経済的困窮に陥ることにより弁護士等による援助も受けられない被害者等を支援するために創設するものでございます。
そこで、この法律案では、そのような被害者等を類型化いたしまして援助の対象とすることとして、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪又はその未遂罪の被害者等、刑法における一定の性犯罪又はその犯罪行為にこれら性犯罪の犯罪行為を含む罪又はその未遂罪の被害者等を対象といたしまして、さらに、人の生命又は心身に被害を及ぼす罪として政令で定めるものの犯罪行為により被害者が政令で定める程度の被害を受けた場合における当該犯罪行為の被害者等も対象としております。また、この制度では、被害者が死亡した場合等には、被害者の配偶者、被害者の親や子等の直系の親族若しくは兄弟姉妹も援助の対象としてございます。
また、日弁連の委託援助業務のうち犯罪被害者法律援助は、生命、身体若しくは自由に関する罪又はストーカー、DVに係る罪について、それらの罪の被害者又はその親族若しくは遺族を援助対象としております。犯罪被害者等支援弁護士制度の援助対象とならない犯罪被害者やその御家族であっても、日本弁護士連合会の犯罪被害者法律援助の対象に該当する場合には、その援助を行うことによって被害者等に寄り添った支援を実施していくことが可能となっているということでございます。
○日下委員 次に、支援が事件直後の早い段階から行われるという点ですが、現行の法テラスによる被害者等への援助業務と何がどう違うのか、法務大臣に分かりやすくお示しいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 犯罪被害者やその御家族に対する法テラスの現行の援助業務としては、民事法律扶助業務、また、日本弁護士連合会から委託を受けて実施している犯罪被害者法律援助がございます。
これらは、いずれも御指摘の早期の段階から利用可能ではありますが、それぞれ別個に利用申込みをする必要があり、また、それぞれ、各要件を満たす場合に利用が認められるものでございます。また、この民事法律扶助業務は民事手続に限定され、犯罪被害者法律援助は刑事訴訟法手続及び行政手続にそれぞれ限定して適用されるということでございます。したがって、現行の援助業務は、被害直後から被害者が必要とする民事、刑事、行政手続に関連する様々な対応を包括して支援するというものではございませんでした。
これに対して、本制度は、早期の段階から民事、刑事、行政に関する包括的、継続的な援助を可能とするものでございます。
○日下委員 ありがとうございます。
まず、被害に遭ったら直ちに相談できるということが大事だと思います。そういう窓口の周知、広報、また、被害届を受け付ける警察など関係機関への周知徹底、また、法テラス自体の認知度がまだ低いという話も先ほどもございましたけれども、認知度のアップ、そうしたことにもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、被害者等の精神的負担の軽減ということですが、どのような支援メニューを考えておられるのか、法務当局にお尋ねします。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この法律案は、法テラスの業務として、被害者等が刑事手続への適切な関与又は損害、苦痛の回復、軽減を図るために必要な法律相談を実施すること、法律事務及びこれに付随する事務を契約弁護士等に取り扱わせることを新設するものでございまして、精神的、身体的被害等によって自ら対応できない被害者やその御家族を早期の段階から包括的かつ継続的に援助することによりまして、被害者等の精神的負担の軽減につながるものと考えております。
この制度の対象となる法律事務やこれに付随する事務の具体的内容につきましては、この法律案の成立後に関係機関、団体と協議を行って定めることとなりますけれども、現時点で、必要な法律事務としては、例えば、被害届や告訴状の作成、提出、加害者との示談交渉、損害賠償請求等訴訟における訴訟代理、犯罪被害者等給付金の申請手続等を含めることを想定してございます。また、法律事務に付随する事務といたしましては、例えば、捜査機関による事情聴取への同行、裁判傍聴への付添い、関係団体による適切な支援を受けるための援助、報道機関への対応等を含めることを想定しております。
これらの法律事務等を具体的に定めるに当たりましては、刑事、民事関連を始めとして、包括的かつ継続的な援助が可能となるよう、どのようなニーズがあるかを十分に把握するなどして、その内容を適切に定めてまいりたいというふうに考えております。
○日下委員 ありがとうございます。
法律事務的には大変に不安が解消されるということでございますけれども、やはり精神的な負担、様々あろうかと思いますので、こういう枠外の支援についてもまた考えをつないでいけるようにお願いしたいと思います。
次に、経済的負担の軽減という点でお尋ねします。
被害者等は、刑事手続を進め、損害、苦痛の回復、軽減、そのための訴訟その他の手続の準備、追行に費用が必要になってくるわけですが、そうした費用を国費で賄うということでいいのか、また、資力要件、収入要件についてはどのように考えているのか、法務大臣に答弁を求めます。
○小泉国務大臣 原則として、本制度利用に係る費用は、利用者に負担させないものとすることを考えております。もっとも、例外的に、利用者が本制度による援助を受け、また加害者からも損害賠償として多額の金銭を受け取った場合、こういう場合には利用者にも一定の費用負担をしていただくことを考えております。
また、本制度では、刑事手続への適切な関与等を図るための訴訟その他の手続の追行等に必要な費用の支払いによりその生活の維持が困難となるおそれがあることという資力要件を設けておりますが、民事法律扶助業務の資力要件よりも緩やかなものにすることを考えております。
具体的な水準については、法案成立後に定めることになりますが、その際には、被害者等に寄り添った利用しやすい制度となることを検討していきたいと思います。
○日下委員 改正案が成立すれば二年以内に施行されるということでございますが、できるだけ早い施行が望まれます。どのような準備にこの二年という期間を設けているのか、法務当局に伺います。
○坂本政府参考人 今、御指摘いただきましたとおり、この法律案では、公布の日から二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
この二年という期間でございますけれども、この法律により新設される犯罪被害者等支援弁護士制度を円滑に運用していくために必要な準備といたしまして、業務フローの検討でございますとか、業務管理システムの構築作業等を行う必要があるほか、弁護士会等の協力を得た上でこの制度の担い手である弁護士を十分確保する必要もございますことから、これらに要する期間を踏まえて定めたものでございます。
もっとも、これらの作業のスケジュールにつきましては、関係機関、団体とも協議の上、不断の見直しを行いまして、公布後二年を待たずとも、可能な限り早期に制度を開始できるよう最大限努力してまいりたいと考えております。
○日下委員 犯罪被害については、捜査や裁判、報道機関、関係支援団体などへの対応などが考えられ、こうしたことに関わってきた、精通した弁護士に担当していただくということでございますけれども、こうした業務を取り扱う契約弁護士等をどのように考え、どういう形態で法律事務を取り扱うことを想定されているのか、法務当局にお答えいただきたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度の円滑かつ充実した運用のためには、犯罪被害者等支援に精通した弁護士に担い手となっていただくことが必要であると考えております。そこで、この制度では、犯罪被害者等支援に精通した弁護士等をあらかじめ確保した上で、各案件を担当していただくことを考えております。
あまねく全国におきまして、犯罪被害者やその御家族に寄り添った援助を行うため、日本弁護士連合会や各単位弁護士会等と連携を図りまして、担い手となる契約弁護士等の確保に努めてまいりたいと考えております。
○日下委員 次に、先ほど鎌田委員や米山委員からも分かりやすい、説得力があるお話がございましたけれども、契約弁護士の報酬単価についても伺いたいと思います。
他の案件も抱えている弁護士さん、使命感を持って日夜奮闘されているというふうに思いますけれども、突然起こる犯罪被害者への対応を依頼することになると思います。そういった意味では、報酬単価が低いと、そうした業務を受けていただく弁護士の確保も難しくなるのではないかというふうにも思います。
報酬単価の考え方について、法務当局にお尋ねいたします。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
この制度における弁護士報酬につきましては、この制度の担い手となる弁護士を十分確保できるようにすること、弁護士が担う業務の内容、事件の困難性等を適切かつ公平に反映したものとすること、弁護士報酬は国民の負担によって支払われますことから、国費の支出の適正を確保すること等の要請を踏まえて、検討する必要がございます。
この制度における弁護士報酬につきましては、この法律案成立後に関係機関、団体等と協議を行って定めてまいりますけれども、法務省といたしましては、関係機関等と連携を図りつつ、犯罪被害者等支援の実情等について的確に把握するなどして、適正な弁護士報酬となるよう、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
○日下委員 本制度におきましては、もう本当に弁護士の役割は大変大きいものがあると思いますので、しっかりと検討を進めていただきたいというふうに思います。
最後になりますけれども、犯罪被害者や遺族にとっては、特定の弁護士が事件また被害直後から切れ目なく包括的に支える仕組みというのは、心強く大きな支えになると思います。また、相談者の経済的事情を考慮し、弁護士費用を原則無料化することも、人の大きな安心感につながると思います。新制度の速やかな実施、また円滑な施行へ、周知活動や弁護士確保など、準備作業にも全力で取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○武部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○武部委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、総合法律支援法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○武部委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、笹川博義君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。おおつき紅葉君。
○おおつき委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
総合法律支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 日本司法支援センター(以下「法テラス」という。)が本法において定められた犯罪被害者等支援弁護士制度に係る業務を遅滞なく開始し、その目的を十分に果たすことができるよう、必要な予算の確保及び体制の整備に努めること。
二 犯罪被害者等が、適切な支援を利用し、迅速かつ円滑に被害を回復することができるよう、本法の趣旨並びに関係府省庁及び法テラスが実施する犯罪被害者等支援施策の全体像について十分な周知広報に努めること。
三 犯罪被害者等支援施策には様々な実施主体による多様な支援があること、犯罪被害者等に対し被害直後から包括的かつ継続的な支援を行う必要があることなどを踏まえ、各犯罪被害者等支援施策を実施する関係機関の緊密な連携体制を構築するよう努めること。
四 あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現するため、全国的なバランスを踏まえながら、犯罪被害者等支援業務を行う契約弁護士等の数及び質の確保に努めること。
五 犯罪被害者等に対する包括的かつ継続的な援助を速やかに実現するため、本法の運用に係る政省令の策定等に向けた取組を直ちに行うこと。
六 犯罪被害者等に対する支援の実施に当たっては、支援が必要な者に適切な支援がなされるよう、犯罪被害者等支援弁護士制度の対象者の該当性を適切に判断するとともに、費用負担を求める基準及びその負担額を定めるに当たっては、同制度の利用を必要とする犯罪被害者等がその利用を躊躇することのないようにすること。
七 犯罪被害者等支援弁護士制度の対象者として、異性であるか同性であるかを問わず、犯罪被害者と事実上婚姻関係と同様の事情にある者を加えることについて、犯罪被害給付制度に係る令和六年三月二十六日付け最高裁判決の趣旨及び現行の犯罪被害者等支援施策全体の動向等を踏まえつつ、検討すること。
八 施行後の本法の運用状況を勘案し、我が国及び諸外国における犯罪被害者等施策の動向も踏まえ、本法による支援の対象となる犯罪、資力要件及び支援内容等について検討すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉法務大臣。
○小泉国務大臣 ただいま可決されました総合法律支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○武部委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○武部委員長 次回は、来る二十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会