第15号 令和6年4月24日(水曜日)
令和六年四月二十四日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 武部 新君
理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君
理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君
理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君
理事 池下 卓君 理事 大口 善徳君
東 国幹君 畦元 将吾君
五十嵐 清君 井出 庸生君
稲田 朋美君 英利アルフィヤ君
奥野 信亮君 小森 卓郎君
斎藤 洋明君 谷川 とむ君
中曽根康隆君 中野 英幸君
西野 太亮君 平口 洋君
藤原 崇君 三ッ林裕巳君
柳本 顕君 山田 美樹君
おおつき紅葉君 鎌田さゆり君
鈴木 庸介君 寺田 学君
渡辺 創君 斎藤アレックス君
空本 誠喜君 高橋 英明君
日下 正喜君 平林 晃君
本村 伸子君
…………………………………
法務大臣 小泉 龍司君
厚生労働副大臣 宮崎 政久君
法務大臣政務官 中野 英幸君
厚生労働大臣政務官 三浦 靖君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 山越 伸子君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 豊嶋 基暢君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 鎌田 隆志君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官) 八木 和広君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 原口 剛君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮崎 敦文君
政府参考人
(林野庁林政部長) 谷村 栄二君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 橋本 真吾君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 長井 総和君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 岸谷 克己君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
四月二十四日
辞任 補欠選任
高見 康裕君 西野 太亮君
三ッ林裕巳君 畦元 将吾君
阿部 弘樹君 高橋 英明君
斎藤アレックス君 空本 誠喜君
同日
辞任 補欠選任
畦元 将吾君 三ッ林裕巳君
西野 太亮君 柳本 顕君
空本 誠喜君 斎藤アレックス君
高橋 英明君 阿部 弘樹君
同日
辞任 補欠選任
柳本 顕君 小森 卓郎君
同日
辞任 補欠選任
小森 卓郎君 高見 康裕君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
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○武部委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官山越伸子君、総務省大臣官房審議官豊嶋基暢君、法務省人権擁護局長鎌田隆志君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官八木和広君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己君、厚生労働省大臣官房審議官原口剛君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君、林野庁林政部長谷村栄二君、経済産業省大臣官房審議官橋本真吾君、国土交通省大臣官房審議官長井総和君及び国土交通省大臣官房技術審議官岸谷克己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○武部委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。
○牧原委員 おはようございます。自由民主党の牧原でございます。
いよいよ入管法の質疑が今日から本格的に始まるということでございます。言うまでもなく、この法案、野党の皆様も重要広範に指定をされておりますし、今国会の中でも最重要法案の一つであるというふうに思います。
それは、当然ながら、我が国の在り方にも大きく影響するし、また、将来、外国に行って働いてみたいという世界中の多くの若者が、この法案を通じて、その選択肢に日本が入るかどうか。こういう多くの人の人生にも関わる法案であるということでございますので、現在、筆頭理事を仰せつかっておりますので、この法案はそういう意味で国民の皆さんにも重要であるとともに、世界中の人にも大きく注目をされているという意識を持って、道下筆頭始め野党の皆様とも力を合わせながら、丁寧な審議にも心がけていきたい、こう思っているところでございます。
言うまでもありませんけれども、我が国には様々な問題、課題があります。その中で、明らかに見えている最重要課題の一つが、人口の問題、年齢構成の問題です。今日、改めて言うまでもない資料でございますが、資料一、資料二とつけさせていただきましたけれども、総人口は二〇〇五年ぐらいをピークとして、今後二〇五〇年まで、これは推計でございますので減る可能性もありますけれども、三千三百万人の人口が減るということになります。首都圏が吹っ飛ぶぐらいの人口が減っていくということになります。
若者はもう既に物すごい減っておりますけれども、九百万人減るということですから、地方の町によっては若い人を見るのがほとんど珍しい。私、五島列島というところに昔行ったときに、島に子供がいたんですけれども、あっ、子供がいますよと言ったら、市長がすごい興奮しまして、政務官はめちゃめちゃついていますね、子供なんかめったに見れませんと言われて、イリオモテヤマネコよりも珍しいと言われましたね。本当にそういう状況が日本中でやはり起きてくるということでございます。
生産年齢人口、これは形式的なもので、十五から六十五とかでいいのかという議論はありますけれども、これも大幅に減って、割合も減るということになって、増えるのは高齢の人口であるということでございます。
その裏、二になると、単に人口が減っていくとかいうことだけではなく、ピラミッドで見ると、単純に下が上を支えるという感じで見ますと、下が細まって、そして上の年代が非常に分厚いということになりますので、若い人、現役世代が年配の人を支えていくというのはもう難しいし、労働人口も、今までの感じで人を雇ってやっていくということは不可能になることは目に見えているわけですね。
これを、不可能で難しいですねと諦めるわけにいかないので、例えば、十年かけて保育所を整備して、働きながらでも家庭を持てる、子供を持てるようなことはどうやったらいいのか。今も子供国会と言われておりますけれども、いろいろな意見の差異はあっても、その大きな目的においては与野党を問わず差がないと思うんですね。その一つとして、今回、いわゆる技能実習というものを廃止して、そして育成就労制度をつくるということがあるんだろうというふうに思います。
こうした国の在り方自体が大きく問われる法律改正になりますので、やはり、第一問として、この法律を通じて、日本国としてどういう形というものを考えているのか。中には、この法案は移民の解禁だ、こうおっしゃって批判をされている方もいらっしゃいますけれども、果たして移民の解禁なのか。それとも、今見た労働力を、不足を解消するという法案になるのか。そしてまた、これを通じて多民族が共生するという新たな日本の形を考えているのか。この辺のイメージを法案の責任者である大臣から、まずお伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 移民という言葉は様々な文脈で用いられておりまして、明確に定義することは困難ではありますが、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策を指して、いわゆる移民政策と表現することがございます。しかし、政府としては、そういった政策を取る考えはありません。
ただ一方で、委員御指摘のように、近年の我が国における労働力不足の深刻さ、国際的な人材獲得競争の激化、こうした状況に鑑みますと、我が国は魅力ある働き先として選ばれる国になる必要があるということも事実でございます。
こうした観点から、一定の技能等を持って我が国で働こうとする外国人の方々に対しては、今までよりも門戸を開いた上で、より長く日本の産業社会を支えてもらい、そしてそのような方々との共生社会を実現をしていく、これが必要不可欠だというふうに認識をしております。こういう考え方に基づいて、今回の法案を提出させていただきました。
多民族国家になるというものではなく、多様性を受け入れていく、多様性をこなしていく、消化していく、自分たちのものにしていく、そういう意味での共生社会を願っての法案でございます。
○牧原委員 今大臣がおっしゃったように、この法案、単に労働の関係の法案ではなくて、どう共生社会をつくっていくのかという大きな国家ビジョンが必要になります。
現時点で、資料三におつけしましたけれども、在留資格のある外国人の方ですけれども、百八十二万とありますが、この翌年、令和五年までの統計が出ていまして、二百四万八千六百七十五人、雇用者総数に占める割合は三・三七%と、この十年で、〇%台から三%半ばまで大幅に上昇をしてきております。
これは、全体の数の問題もありますけれども、どれだけ急激に外国の方が増えていくのかということにも、大きな我が国の社会との摩擦等もあり得る話ですし、現に埼玉県では一部そういう問題が起きていて、非常に不幸な状況になっているというのも事実でございます。
是非とも、この制度が始まると、間違いなく、現在四十一万二千五百一人だった外国人技能実習生、増えるのではないかと見込まれておりますので、こうした社会づくりを急がねばならない、こういうふうに思っておりますが。今申し上げたように、今これだけ外国の方が増えてきているという状況で、技能実習生は現時点で四十一万二千五百一が受け入れという形に全体としてなっていると思うんですが、この法案を通じた将来ビジョンを考えると、あと何人ぐらい労働者の方が増えていくのかというイメージをお持ちなのかどうか、ちょっとお聞きします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度は、育成期間中の就労や育成後に特定技能一号に移行して活躍することによる人材の確保を目的とする制度であることから、特定技能制度と同様、日本人の雇用機会喪失を防ぐなどの観点から、分野ごとの受入れ見込み数を定め、これを受入れの上限として運用することとしております。
具体的な受入れ見込み数について現時点で明確に予想することは困難でございますが、本法案の成立後、有識者等から成る新たな会議体において議論を行い、その意見を踏まえて政府が判断する仕組みとする予定です。
なお、当該判断に際しましては、現在、特定技能制度において設定している約八十二万人という受入れ見込み数、現在、約四十万人が在留する技能実習制度がなくなることを踏まえた人手不足の状況、今後、育成就労制度から特定技能制度に移行すると見込まれる外国人の割合なども考慮しつつ、育成就労制度と特定技能制度、それぞれの見込み数を設定することになるものと考えております。
○牧原委員 今おっしゃったように、なかなか言いにくいということだと思いますけれども、育成就労制度ができて、その後、特定技能、通常であれば一号、二号と行くというイメージがされておりますけれども、これは本会議の質問でもありましたけれども、そうイメージさせておきながら、実は、特定一号とか特定二号の人数を絞って、何か受験で落ちていくみたいなイメージになるというのは、非常に、日本を目指して、夢を見て来た人からすると、これはつらい制度だなと映りかねないので、ここもしっかりと、言いにくいのはそうだと思いますけれども、大体どのぐらいなのか。
さっき申し上げたように、生産年齢人口は三千五百万人減ります。これを、どれだけAIとか生産性の向上とかで見ていくのか分かりませんし、産業の転換とかで見ていくのかも分かりませんけれども、やはりこれは、もちろん法務省の方だけの仕事ではなくて、政治家全体として、我々国づくりを責任も持っているわけですから、このイメージを持ちながら、ありとあらゆる政策を打っていかなきゃいけないということだと思っております。
この制度が入って、施行期間が大体三年ということでありますけれども、三年という結構長い期間になるわけですね。この間は今の技能実習が続いていくということになります。
そうすると、もう廃止される制度で入ってくる皆様と、それから、三年後からは新しい制度がスタートしていくということになります。そこまですごい違う制度なのかという議論は後に野党の皆様もされると思いますけれども、とはいえ、やはり名前が違う看板で入ってくるということは結構な大きな話でございますので、私は、やはりこの移行がすごく大事だというふうに思っております。
特に、三年の施行期間ということは、今から三年後ぐらい、ぎりぎり技能実習で入ってきた人は、その後、新しい育成就労の人とごちゃ交ぜになって日本に在留するということになろうかというふうに思いますので、そうした三年後、六年後までイメージして、この法案の施行、そして準備、そして実施をやっていく必要があると思います。
その一つとして、これまで技能実習制度の下では、二国間で取決めを行って、相手国とちゃんと約束をしながら、不正とかを防いだり、ちゃんとした受入れをやっていくということをやってきましたけれども、育成就労になって、技能実習時代にいっぱいの国と作った二か国間の取決めというのはどうなるのか、この見通しと予定についてお伺いをしたいということになりますし、それから、技能実習のときには、例えば、一度技能実習が終わって帰国すると、もう一回、同じような、同じ職種では入ってこれないという、一度きり制度でございましたけれども、技能実習が終わって帰ったけれども、育成就労という新しい制度が始まったから、育成就労でまた入ってくることができるのか。この辺についても、ちょっと移行について、関連する二つの質問をしたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案は、施行準備等に必要な部分を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内で政令で定める日から施行することとしております。
当該期間においては、育成就労制度では、悪質な送り出し機関の排除の実効性を高めるために、新たに送り出し国政府との間で二国間取決めを作成し、原則としてMOCを作成した国の送り出し機関からのみ受入れを行うとしていることを踏まえまして、送り出し国となり得る国との間でのMOCの作成及びこれに向けた交渉などが必要となります。
また、過去に技能実習を行った方を育成就労に受け入れるかどうかということにつきましては、基本的には、例えば、技能実習制度を三年間全うした方であれば既に一定の技能をお持ちということになりますので、基本的には育成就労の対象にはならないという整理をしております。
○牧原委員 その辺についても、外国の方でもう一回日本に来たいと思っている方もたくさんいらっしゃると思いますので、世界への周知も大変重要になると思います。
資料四では、各国の在留資格による入国数の推移を見ると、今、ベトナムが一番圧倒的に多くて、中国、インドネシア、フィリピン、ミャンマーとかいう形に、これは技能実習一号の在留資格でございますけれども、こうした国々とは、二か国間取決め、見直すのであれば、取り直すのであれば、できるだけ優先してやるように、そうした優先づけも重要になるかというふうに思います。
続きまして、資料六の方になっちゃうんですけれども、よく外国の人が増えると犯罪が増えるんだという話があって、実はかつて、今観光客が三千万人を超えるレベルになっていますけれども、ビザを緩和したりするときにも、当時、法務省の方は、外国の人がいっぱい増えると犯罪が増えかねないということをおっしゃっていました。しかし、安倍政権の下の一つの柱として、外国からの日本への訪日客を増やそうといって、ビザの緩和とかいろいろなことをやって、当時八百万人だった観光客が三千万人を超える水準までなってきたわけです。
しかし、この表を見ますと、明らかに、町中にいらっしゃる外国の方は、観光客もそうですし、さっき見た労働者の方もそうですし、割合としても増えている、数としても増えているんですけれども、決して犯罪が増えているというわけでは全くなくて、むしろ減少傾向にあるわけですよね。
こうした間違ったイメージみたいなものを払拭するという努力は、私は、我々議員も含めてやはりしなきゃいけないと思うんです。やはり、一部、過激な外国の方の犯罪があったりすると、外国の人が入ってくると危ないねみたいなことがあるし、一部の町のトラブルを全体かのように言って外国人は危ないという、これは差別意識とかを助長しかねないということだと思いますので、こうした客観的なデータをきちんと用いて私は議論していくべきだと思います。
他方で、心配なことが一つあって、景気の波です。やはり、技能実習とかで入ってこられるというのは、景気がいい、人手が不足しているという前提に立ってこういう制度をつくって入国してもらうわけですけれども、コロナのときにも、残念ながら職を失った一部の国の方が豚を盗むみたいな事件があって、やはり、生活に困ったときに、でも自分の国には帰れない、そうすると、何らか生きていく道を探らなきゃいけないということは非常に困難なことで、犯罪につながることもございます。これはかつて、例えば日系のブラジル人の方とか南米の方を入れていたときにも、静岡とか、笹川さんの地元の群馬とかでやはり問題になったこともございます。
ですから、やはり、こういう景気の波もあるんだということを考えると、私は、社会福祉制度とか社会保障制度というのを、セーフティーネットをちゃんと考えていくということは極めて重要だというふうに思っております。
こういう育成就労制度ができたときに、まず、例えば、残念ながらいられなくなったという方に対して生活保護というのは対象になるのか。あるいは、コロナ禍中においては、緊急一時金とか総合支援金という形で、とにかくぱっと貸して、生活を支えていただくというような福祉制度がありましたけれども、困窮者対策の制度がありましたけれども、こうしたようなものは外国人の方が対象になるのか。例えばコロナ禍ではどのぐらいの割合で受給したのかというデータも含めて、教えていただければと思います。
○宮崎副大臣 共生社会の実現のためには、日本人も不安を生じないようにするということは大変適切な御指摘だと思います。
健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を国民に保障している憲法第二十五条は、その主体を「すべて国民は、」という表現で、国民に保障しておりますので、これを受けた生活保護法も、日本国民のみを対象としているものでございます。
その上で、生活に困窮する外国人の方につきましては、日本人と同様に国内で制限なく活動できる永住者などの在留資格を有する場合には、行政措置として、生活保護の取扱いに準ずる保護を行うこととしております。
育成就労、特定技能の在留資格につきましては、その活動が一定の業種での就労に限定されるものでありまして、これらの在留資格を有する外国人の方については、生活保護の取扱いに準じた保護の対象とはならないものとなっております。
また、お尋ねの緊急小口資金などの利用者に占める外国人の割合でございますが、この点については網羅的に把握をしておりません。緊急小口資金等の貸付けは外国人の方も対象としておりまして、実際に貸付けを行うかにつきましては、日本人の場合と同様に、資金の使途や必要性、償還能力などの勘案をするほか、外国人の方の場合には残りの在留期間も確認をした上で貸付けを行っているものでございます。
○牧原委員 今のお話のように、生活保護の対象にはならないということなので、ほかのセーフティーネットをやはり考えておかなければいけないということになりますので、ここは共生社会の実現において考えておかなきゃいけない、こう思います。
今の小口資金とか総合支援金は、社会福祉協議会なのかな、つまり、役所ではないところで取り扱われるんですけれども、私も豊島区の現場にお話を聞きましたけれども、コロナ中、おびただしい方がいらっしゃって、しかも、何々語とかといろいろな言葉があって、大変だったという話を聞きました。また、これは貸付けなんですけれども、もらえるらしいぞといううわさになっちゃうので、みんな全然返す気なんかなく、何か日本はお金をもらえるぜといってもらいに来るという方もたくさんいらっしゃって、これは本当にモラル的にも困ったという話がありました。
そうした、是非、現場で大変だったところのコロナ中の御経験もお聞きしながら、育成就労がスタートする、今から本当は必要ですけれども、しっかりそうした制度の充実を整えていただきたい、こう思います。
続きまして、ちょっと社会保障関連ですけれども、当然ながら、年金とか医療とか介護という、社会保障制度の根幹を成すような制度もあります。
資料五をつけさせていただきましたが、これは日本の社会保障制度の現状で、私も、これが日本のさっき言った大問題の一つであるということで、専門的に取り組んできているところでありますけれども。給付が右肩上がりにめちゃめちゃ上がっていて、結局、日本の借金が増えているというのも、原因はほぼここに尽きるわけですね。この中において、要するに、持続可能性とかを今一生懸命考えながら、ここ数年は横ばいになっているというような状況に何とかしていますけれども、これからますます高齢化になって若い人が減れば、この構造も全く成り立たなくなってくるのではないかということが、我々の心配の種ではあるわけです。
ここに外国の労働者の方がいっぱい入ってくるというふうになると、これはどういうふうに図が変わり得るのか、あるいは、社会保障制度全般に外国の方がどこまでどう適用があるのかも含めて、こうしたことについて副大臣にお聞きしたいと思います。
○宮崎副大臣 年金、医療保険、介護保険といった各制度につきましては、どういった方が加入するかについては、これは法定事項でございますので、それぞれの法律で定められております。国籍にかかわらず、日本国内に住所を有するものと各法律でその要件を定めておりますので、在留する外国人も、国籍にかかわらず日本人と同じ条件で加入していただくことになりますので、今般の法改正による育成就労の創設をしたことが、各社会保障制度に特別な影響を新たに与えるということにはならないわけでございます。
○牧原委員 今おっしゃったように、これは住んでいる人なので、適用があるということですし、適用があるということは、逆に言うと、影響しないという判断になるということだと思います。
年金なんかは、これは二か国間の協定を結んでいないと、明らかに育成就労で三年とかだと払い損になりますので、こうした二か国間の協定なんかも結びながらじゃないといけないと思いますし、また、結んだときに、将来的にどう年金が払われるかということも、しっかり影響試算はしておいていただきたいなと思うところでございます。
今回の法案の中で、一つ、刑罰のところが目立つところが一点だけありまして、これは不法就労助長罪の引上げです。これは三年、三百万、併科可能なんですけれども、これが五年、五百万と上がります。
こういう主要法律においては、ここまで法定刑がばんと上がるのは結構なことだ、こう思いますので、これは相当な意思が込められているものと思いますけれども、これについての背景と趣旨についてお伺いをしたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
不法就労外国人の存在は、我が国の出入国在留管理秩序の根幹を乱すのみならず、社会経済秩序への悪影響、外国人労働者に対する差別待遇等の人権問題の発生など、種々の問題が生じるおそれがあることから、厳格な対応を行う必要がございます。
特に、技能実習制度においては、技能実習生が失踪し、不法就労活動に従事しているという実態があるとの指摘がされているところ、本法案では、技能実習制度に代わる育成就労制度を創設し、育成就労外国人が本人の意向により転籍をすることができる場合を認めるなどすることで、失踪の生じる事態が起きないよう対処しております。
あわせて、育成就労制度の創設により、就労目的で来日する外国人が一層増加することが想定されることから、悪質なブローカーや雇用主を撲滅することを直接の目的とする法律の整備をすることが必要でございます。そこで、不法就労助長罪の法定刑を引き上げ、厳格に対処することとしたものです。
○牧原委員 これはすごく重要な話だと思います。先ほど申し上げた共生社会をつくるという意味で、特に非常に質の悪いブローカーの存在は完全に撲滅しなきゃいけないことは一つの鍵になりますので、しっかりとやっていただきたいと思います。
もう一つ、私の近所の団地で、非常に古い団地なので、外国の方が増えて、ごみ出しとかいろいろなことでトラブルになって怖いという話が自治会の会合に出たときにありました。そのときに、私、アプリで、こういう同時翻訳システムがありますよと教えてあげたところ、ベトナム語でも、ミャンマー語でも、ネパール語でもみんな入っているので、それを使ってやり取りしたところ、そのトラブルは解消されたという事案が、うちの大宮の団地であったということがありました。
この同時翻訳システムがちゃんとあること、そして、それを年配の方も知って、使うということによって、私はトラブルというのはかなり解決をすると思いますけれども、この同時翻訳システムの普及、周知が極めて重要だと思いますが、この点についての見解を伺いたいと思います。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
総務省におきましては、国立研究開発法人情報通信研究機構、NICTと呼んでおりますが、ここと連携をしまして、外国人の方との言葉の壁をなくすべく、いわゆる多言語翻訳技術、これはVoiceTraと呼んでいますが、これの高度化とその普及に取り組んでおります。
具体的には、このVoiceTraにつきましては、英語、中国語、韓国語のほか、ベトナム語、フィリピン語を始めとする訪日、在留外国人対応等を想定をしまして、三十一言語に対応しております。また、このVoiceTraを使った民間の製品、サービスにつきましても、既に三十以上が市場に投入されておりまして、様々な現場で利用は進んでいるものと承知をしております。
外国人の方のコミュニケーションにおきましては、当然のことながら、就労面のみならず、この技術を使うことによって、日常生活におけます日本人の方とのコミュニケーションにも非常に有効なものであるかというふうに考えております。
こうした観点から、総務省では、多言語翻訳技術の活用に向けまして、多文化共生に係るイベント等の機会を捉えまして広く周知を図るとともに、例えば、地方公共団体に対しまして、多言語翻訳サービスを活用した先進事例の紹介、あるいは、多言語翻訳技術を活用した際の必要な財政措置等の導入支援も講じているところでございます。
総務省としましては、引き続き、多言語翻訳技術の更なる高度化に取り組むとともに、入管庁も含めまして、関係省庁とも連携しまして、多言語翻訳技術の活用推進に一層取り組んでまいりたいと考えております。
○牧原委員 VoiceTraは私も何回か使ったことがありますけれども、時々不正確なこともあるので、とにかく質を高めていっていただいて、みんながこれを使うんだというふうにしていただければと思います。
今言ったようなコミュニケーションのところ、あるいはブローカーのところで関係しますけれども、やはりヘイトとか差別というのはなくさないといけないと私は思っています。やはり、日本人って結構、外国に行ったことがある人とか、それから外国とのつき合いとかというのが、国境が陸で行き来自由な国と比べると、やはり経験が浅いという面もあって、私は、ともすると、ちょっとした経験が差別とかあるいはヘイトとかにつながってしまって、そうしたデモが行われたり、激しい対立が生まれたりするというのを非常に悲しいことだと思っております。育成就労で入ってくる人たちが例えばそういうことを経験すれば、日本ってそういう国だぜって、たった一つの経験が日本という国全てのインプレッションになってしまう可能性もあります。
私は、ここはすごく大事だと思うので、ヘイトとか差別とかということにもしっかり対策を打っておく必要があると思いますが、ここは大事な点なので、大臣にお伺いをしたいと思います。
○小泉国務大臣 外国人に対する不当な差別、偏見、これはあってはならないものであると認識しております。また、特定の民族、国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、まして、そのような動機で行われる暴力や犯罪は、いかなる社会においても許されないものと考えております。
法務省の人権擁護機関においては、「外国人の人権を尊重しよう」というフレーズを啓発活動の強調事項の一つとして掲げ、各種人権啓発活動を行っております。また、いわゆるヘイトスピーチに関しては、「ヘイトスピーチ、許さない。」というキャッチコピーを行ったポスター、啓発冊子の活用、SNSによる定期的な情報発信といった、ヘイトスピーチに焦点を当てた人権啓発活動に取り組んでおります。
そのほか、今委員から御指摘がありました、多言語に対応した外国語人権相談ダイヤル等の相談窓口を開設し、相談を受け付けており、人権侵害の疑いを認知した場合には、人権侵犯事件として立件した上で、調査を行い、事案に応じた適切な措置を講じております。また、捜査当局においては、当然のことでありますけれども、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて適切に対処するものと承知しております。
今後とも、法務省としては、こうした人権擁護活動にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○牧原委員 これは、改めてですけれども、文科省とかとの協力とかも私は必要だと思いますので、力を入れて取り組んでいただきたいですし、また、細かいことですけれども、入管の窓口、うちのさいたま市の中央区にあるんですけれども、物すごい、外まで列ができちゃって、みんな、かわいそうだというぐらい並んでいます。やはり、こういう入管の窓口の混雑の解消とか、それから、大使館が日本にせっかくありますので、東京の大使館との連携とか、こうしたところもやっていただきたいと思います。
いずれにしても、日本の新たな形を示す重要法案ですので、これは政府に押しつけるつもりはなく、我々政治家、政治側とも一緒になって、しっかり取り組みたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 次に、山田美樹君。
○山田(美)委員 おはようございます。自由民主党の山田美樹でございます。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。牧原議員に続きまして、出入国管理法と技能実習法の改正を中心に、外国人労働者全般について、私の地元であります新宿区や千代田区など、都心部の観点から質問いたします。よろしくお願いいたします。
今回の入管法改正の議論に先立ちまして、政府は、特定技能について、これまでの十二分野に加えて新たに四分野を追加する閣議決定を行いました。あわせて、これまで受入れ上限を三十四万五千人としていたものを、向こう五年間で八十二万人まで拡大することを決定しました。
今年一月の厚生労働省の発表では、昨年十月現在、日本で働く外国人は二百四万八千人、円安とはいえども、本国と日本との賃金格差などから、今後も就労目的の来日は増えることが予想されます。昨年四月に国立社会保障・人口問題研究所が発表した日本の将来推計人口では、外国人人口は二〇四〇年に五百二十八万人に増加する見通しであり、また、この推計を基にして、外国人労働力人口についても大幅な増加が見込まれるとの見通しがございます。
外国人労働者の増加に伴って、日本社会はこれまで以上に変容を迫られます。諸外国では移民政策は国の根幹に関わり、欧州、ヨーロッパなどでは政権運営に直結するテーマでもあります。また、米国では、不法移民への対応が来る大統領選の大きなテーマとなっており、連邦政府の方針に公然と従わない州も数多く存在しています。
我が国においても、日本という国の形を守りながら外国人の方々と共生していく根本理念をしっかりと持っていかなければならないと思っております。
将来の外国人労働者の拡大に合わせて日本社会はどのように変容すべきか、逆に、変えてはならないことは何か、小泉法務大臣にお伺いします。
○小泉国務大臣 これからの中長期的な外国人の受入れをどう考えるかという大きなテーマでございます。
これはやはり、個人のレベル、あるいは産業、企業のレベル、また国のレベル、それぞれの見方、考え方、受け止め、こういったものがありますので、ここでその全てを申し上げることは難しいのでありますが、少なくとも今回我々が着目し、立脚していますのは、まず、選ばれる国としての日本、これは、主として個人生活レベルもあり、また産業レベルの問題でもあります。この選ばれる国にまずなるということである、あり続けるということが基本だというふうに思っております。これだけグローバル化が進む中で、付加価値を生み出してくれる外国人が誰も来ない国になってしまっては、これはどうしようもない。そういうことから、今回の法案を構成しているわけでございます。
そして、それに対する答えを一言で申し上げれば、やはり、外国人との共生社会をつくるということであります。これは、更に申し上げれば、多様性というものを我々がしっかり受け止めて、そして、多様性の中にも同じ人間としての共通性を見出し、外国人の幸せ、外国人の方々の生活、そういったものも包含できる国になっていく、そして、外国人の方々にもより長く日本にいていただいて、産業を支えていただき、また、新しいイノベーション、多様性の中で生み出される様々な文化的な価値創造、そういったものも含めて豊かな社会に貢献をしていただく、そういう大きな考え方の中で今回の法案を我々は提案させていただいているところでございます。
○山田(美)委員 非常に包括的なビジョンといいますか、お示しくださり、ありがとうございます。
やはり、日本が選ばれる国になって、そして外国人の方々との多様性の中でつくり出されていく豊かな社会というものを目指してまいりたいということを、今お話を伺って実感をいたしました。
続いて、入国審査の迅速化についてお伺いします。
日本で働くことを希望する外国人の増加に伴って、入管庁の体制強化も急務です。地元で入管業務を行う行政書士の先生方からも、外国人の入国に際して、入管庁における事前審査としての在留資格認定証明書交付申請に関する審査の遅延が大変深刻であるというお話を伺っております。
経営・管理など、在留資格の種類によっては審査に半年から約一年を要している場合もあり、これによって、日本への入国そのものを諦めてしまったり、審査を待ち切れずにほかの国に就職先を変更したり、企業側も、審査の長期化が原因で採用自体を取りやめるケースも散見されるそうです。また、短期間のプロジェクトのメンバーとして来日、就労を希望しても、プロジェクト期間よりも審査期間の方が長く、プロジェクト自体が流れてしまうケースもあると伺っています。
既に在留している外国人の在留期間の更新許可申請や在留資格の変更許可申請についても大幅な遅延が見られます。
こうした状況は、日本での就労や就労継続を希望している外国人にとって、就労機会の逸失、生活の不安定化を招くことはもちろんですが、我が国全体にとっても、ビジネスの発展や税収の増大の機会を失うことにつながっています。
本来であれば入管庁の職員の大幅増員を求めたいところですが、実務に携わる方々の現場の声として、せめて審査の進捗状況を見える化してほしい、審査中というだけではなくて、あとどのぐらいかかるのかの目途を示してもらえないかという切実な御要望をいただいています。これがもし可能であれば、入管庁への進捗状況の確認の問合せも減少し、入管庁の職員の方々も本来業務に専念できると考えます。
政府のこれまでの対応と今後の改善の方向性について御教示ください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症対策に係る水際措置の廃止に伴い、昨年四月以降、外国人入国者数が大幅に増加し、令和五年の在留資格諸申請受理件数の速報値を令和四年と比較しますと、在留資格認定証明書交付申請は約四一%、在留資格変更許可申請は約二六%、在留期間更新許可申請は約一三%、それぞれ増加する中で、審査処理期間が長期化している場合がございます。
これを受けまして、出入国在留管理庁におきましては、特に審査処理期間が長期化していた地方局の担当部署に職員を応援派遣するなどして、審査処理期間の短縮に努めてきたところでございます。
次に、審査の見える化につきましては、入管庁のホームページにおいて在留資格認定証明書交付申請等の標準処理期間を示した上で、四半期ごとに平均処理期間を公表しているところでございます。
なお、オンラインで申請がなされたケースにつきましては、オンライン上で、審査中、在留カードの発行待ち、追加資料請求中を意味する追完待ちなど、審査の審査状況を一定程度確認することは可能となってございます。
出入国在留管理庁としましては、審査の遅延が深刻であるとの御指摘を真摯に受け止め、提出書類の明確化などにより、引き続き円滑な審査に努めてまいります。
○山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。
本当に、急増する、申請が増えていく中で大変な業務かと思いますが、また、更なるDX化を進めるなど、様々な工夫もあるかと思います。是非今後とも引き続き御対応をよろしくお願いいたします。
続きまして、新たに創設される育成就労制度について質問いたします。
現行の技能実習制度にはこれまでも数々の問題点が指摘されてまいりました。技能実習生の多くは本国を出る時点で多額の借金を背負わされていることや、技能実習生への対応に問題のある受入れ企業も少なからず存在し、過酷な職場環境に耐えられず職場を逃げ出す実習生もいたとの報道を度々耳にしました。
現行の技能実習制度で、受入れ企業から失踪した技能実習生、そして、その後、不法滞在となった実習生は、それぞれ何人程度いるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
技能実習法施行以降の平成三十年から令和四年までの失踪技能実習生の合計数は、三万九千九百六人でございます。また、在留資格、技能実習における不法残留者数は、令和六年一月一日時点で一万一千二百十人となっております。
○山田(美)委員 ありがとうございます。
不法滞在となった実習生が都市部に流入し、違法な就労や犯罪に手を染める例も多いと言われています。私の地元の新宿区も含めて、大都市の繁華街の近くに住む地域住民にとっては、不法滞在の外国人の増加による治安の悪化を最も危惧しており、町の安心と安全を守ってほしいというのが切実な願いでもあります。
新たに創設される育成就労制度では、こうした事例を改善するためにどのような措置を取るのでしょうか。今般の法改正によって、今後は、育成就労外国人が失踪、不法滞在となるような不幸な事例はゼロにすると言えるのでしょうか。お伺いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
技能実習生の失踪原因につきましては明確に特定することが困難な面もございますが、暴行等の人権侵害など一部の実習実施者の不適切な取扱いによるもの、新たな就労先を求めるなど技能実習生側の事情によるものなどがあり得るものと考えております。
この点、育成就労制度におきましては、監理支援機関について、外部監査人の設置の義務づけ等により独立性と中立性を確保するとともに、受入れ機関数に応じた職員の配置、相談体制を確保すること、外国人育成就労機構について、監督指導機能や支援、保護機能を強化することなどによって、不適切事案の発生を予防し、適切に対応すること等を予定しております。
また、転籍制限を緩和することにより、労働者としての権利保護をより適切に図ること、外国人が送り出し機関に支払う手数料などが不当に高額とならないようにするための仕組みを導入すること、不法就労助長罪の法定刑を引き上げブローカーを排除することなど、失踪等の原因となる要因の解消に資する方策も講じているところでございます。
○山田(美)委員 様々な措置を講じていただいている今回の法改正でございますが、その中の一つに、育成就労外国人に対して本人意向での転籍が認められることになったのがあるかと思います。
就労する側の権利にも配慮した対応であることはもちろん、技能実習制度では転籍が不可能だったことが実習生の失踪ひいては不法滞在につながったことを考えますと、育成就労制度そのものの安定性にも資するものだと考えます。
詳細な制度設計はこれから検討されると伺っていますが、転籍前の企業と転籍後の企業との負担の平等性の確保などに配慮した制度づくりに期待をしたいと思います。
その一方で、特に地方の受入れ企業の中には、転籍を認めると給与条件のよい都市部に移ってしまうのではないかという心配の声も聞かれます。そもそも同一の業務区分内での転籍に限定されますので、都市部に流入する業務区分というのは限定的とも考えられますが、政府は、民間の職業紹介は認めない、それから過度な引き抜きはさせないことは当然だとしても、例えば、同じ企業で長く働くことにインセンティブを設けるですとか、地方の魅力向上のための自治体への支援など、何らかの対策を講じる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
本法案では本人意向による転籍を認めることとしておりまして、適切な人材育成の観点から、同一の受入れ機関において就労した期間が一定の期間を超えていることなどを一定の要件としているというところでございます。
また、お話ございましたとおり、転籍前の受入れ機関が負担した初期費用等に正当な補填がされる仕組みを設けるほか、当分の間、民間の職業紹介事業者の関与を認めないこと、分野別の協議会における業界ごとの取組などを行うことによりまして、過度な引き抜き行為が行われないようにするということを考えております。
さらに、業所管省庁におきましては、育成・キャリア形成プログラムを策定することとしておりまして、これによりましてキャリアパスが明確になり、当該受入れ機関での三年間の就労を通じた育成のイメージを抱きやすくなるものと考えてございます。
加えまして、各地域の特性等を踏まえました人材確保の観点から、自治体におかれましても、地域協議会に参画してもらいまして、業所管省庁との連携を強化するほか、外国人相談窓口の整備や外国人の生活環境を整備するための取組を推進することで、外国人にとって各地域の魅力がより高まる取組を進めることと考えております。
こうした取組によりまして、外国人がそれぞれの持つ能力を発揮しつつ、受入れ機関や地域におきまして安心して働き続けられる環境整備が進むように取り組んでまいりたいと考えてございます。
○山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。キャリアパスを明確になるように示していく、それから、地域に溶け込めるような施策を行っていく、これは非常に重要なことだと思います。
私の地元である新宿区は、今月一日現在、三十四万九千人の住民のうち、四万三千人、一二・五%が外国人です。近隣のアジア諸国にとどまらず、百三十か国を超える様々な国から集まっているのが特徴です。区民の間では、新宿区には日本で一番最初に未来が訪れると言われていますが、まさに近未来を見るような思いです。
先日、新宿区役所の多文化共生の担当部署の方々にも現場でのお話を伺ってまいりました。新宿区役所では、外国人を外国人としてではなく住民として捉えるため、庁内に外国人に対して一元的に担当するというような部署はなく、それぞれの部署で創意工夫を重ねながら対応をされてきたとのことですが、その中でも特に課題に直面しているのが国民健康保険の担当部署だそうです。
現行制度では、三か月を超えて日本に滞在する外国人は国民健康保険に加入する義務があります。労働者の場合は企業内保険に加入することになりますが、企業によっては、外国人を個人事業主扱いにして国民健康保険に加入されるところもあるようです。
新宿区においては、外国人の国民健康保険料の滞納率が五九%と、日本人の二四%と比較して二・五倍近くなっています。滞納率は国によって大きく異なりますが、資格別では特定技能労働者の収納率が著しく低くなっています。
また、これは一般論ですけれども、高額な治療を受けても保険料を払わずに帰国してしまう外国人や、同じ健康保険証を仲間内で使い回しているなど不正利用が疑われる事例もあると言われており、例えばですが、加入義務を一年以上の滞在として、一年未満は全額負担とすべきじゃないかなどといった声も聞かれるところです。
そこで、厚生労働省にお伺いしますが、こうした問題に対応するために、何らかの制度上の措置を検討すべきではないでしょうか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
国民健康保険は、国民健康保険法上、日本国内に住所を有する者に適用することとされておりまして、外国人の方につきましても、適正な在留資格を有し、住所を有している場合には、原則として適用対象としてございます。社会連帯と相互扶助の理念等に基づきまして、国籍のいかんを問わず、ひとしく保障を及ぼすべきであるという我が国の社会保険制度の基本的な考え方に照らして、こうした適用対象としているものでございます。
ただいま委員より御指摘をいただきました滞納等への対応につきましては、外国人を含め、保険料の滞納者への納付の勧奨や相談などの取組を引き続きしっかり運用いただくよう、厚労省としても引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
○山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。
社会保険制度上の見直しは考えていないとのことですが、先ほど申し上げた新宿区のように、外国人の滞納率が高い現実を目の当たりにしますと、外国人も日本人も共にルールを守って地域社会で暮らしていく共生社会をまだまだ十分に実現できていないように感じています。
そこで、入管庁に質問ですが、今般の法案においては永住許可制度の適正化についても盛り込まれているところ、衆議院本会議での趣旨説明質疑において、法務大臣から、一部の永住者について、永住許可後に公的義務を履行しなくなる場合があるといった指摘があるとの御答弁がありました。
新宿区について御紹介した数字は必ずしも永住者に係るものではないですし、永住者の方は厳しい要件を満たして永住許可を得た方々であり、多くの方が義務を守っておられることは承知しておりますが、入管庁では、永住者の公租公課の不払いについてどのような実態を把握しており、これに対してどのような措置を講じるのでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
出入国在留管理庁におきましては、一部の自治体から、永住の申請時にまとめて滞納分を支払い、その後再び滞納する永住者がいるといった声をいただいているところです。また、当庁におきましても、永住者に関連する在留審査の中で、一部の永住者について公的義務が適切に履行されていない事例があることを認識しているところでございます。
そこで、適正な在留管理の観点から、永住許可後に故意に公的義務を履行しないなど、永住許可の要件を満たさなくなった一部の悪質な者について、その在留資格を取り消すことができることとしたいと考えております。
○山田(美)委員 ありがとうございます。是非しっかりした対応をお願い申し上げたいと思います。
さて、今般の法改正に先立ちまして、昨年六月の閣議決定で、特定技能二号に十一分野が加えられ、家族帯同や永住権の取得が可能になる範囲が広がりました。
外国人労働者本人が日本での仕事や生活に溶け込んでいただくことはもちろん、帯同する家族への支援も充実させていく必要があります。日本語学習の環境整備や、生活ルールやマナーの多言語での周知が必要なのはもちろんですけれども、特に、子供の保育と教育、それから高齢者の健康増進と介護が大きな課題だと認識しています。
外国人労働者の子供の教育については、最大の問題は進学です。日本語の壁が原因で挫折してしまうことがないように、外国人の子供たちの居場所づくりや学習支援などのサポートが不可欠です。自治体によってはNPOなどへの委託も行っていますが、こうしたNPOは主催者が私財をなげうって運営しているというような例も多く、公的な資金支援がなければ立ち行かないというのが実情です。
また、外国人労働者本人や帯同家族の高齢化の問題も年々深刻になりつつあります。日本に三か月を超えて在留する四十歳以上の外国人の方は介護保険の被保険者となり、日本人と同様に介護サービスを受けることができますが、現実には、今まだ多言語で介護サービスを受けられる状態ではありません。また、外国人へのフレイル予防ですとか認知症対策などをどのように行っていくかというのは、まさにこれからの課題であります。
こうした問題に対して、外国人住民の割合が高い自治体の自助努力に委ねるのではなく、国全体の将来の問題として対策の方向性を打ち出す必要があると感じています。法務大臣のお考えをお聞かせください。
○小泉国務大臣 家族帯同に伴う問題として、御指摘がありました子供の保育、教育、また高齢者の健康増進、介護といった問題、どういう施策でケアをさせていただけるかどうか、また、その財政負担、社会的コスト、それを誰がどういうルールで負うか、そこをこれからしっかり詰めていかなければならないというのは、御指摘のとおりだと思います。
法務省は、こうした事柄全般に権限、所管を有しているわけではありませんけれども、既存の社会保障制度との整合性という議論もありますが、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能というのを法務省はいただいておりますので、それに基づいて、共生社会をつくるためのロードマップの枠組みも大きなものがございます。自治体と国、関係省庁の連携がそこで図られております。
それから、総合調整機能に立脚しつつ、共生社会に向けたロードマップのフレームワークの中で、家族帯同に伴う社会的コストの負担の在り方、また施策の在り方、そういったものを研究していきたいというふうに思います。
○山田(美)委員 非常に明確なビジョンをお示しいただき、ありがとうございます。
財政負担、そのコストを、国や自治体、そして受入先企業ですとか民間団体の中でどういうふうに役割分担をしていくかというのは、これは本当に重要な問題だと思いますし、あと、本件、非常に感じますのは、これは霞が関の中で本当に多くの省庁が関わっていく話の中で、是非法務省にしっかりと総合調整機能を発揮していただきたいと思いますし、それ以上に、国と地方自治体の連携強化というところもしっかりと進めていただきたいというふうに感じております。
さて、最後の質問でございます。
外国人労働者を見てまいりますと、ちょっと今も申し上げましたけれども、特定の自治体に過重な負担がかかっているという現実が見えてくるかと思います。特に、育成就労外国人の日本語能力の向上や日本での生活ルールやマナーの習得に関しましては、今のルールでは監理支援機関がまずはそこで責任を持って行うということで、全てを監理支援機関に委ねるというような形にはなっておりますけれども、そこに全てを委ねてしまうのではなくて、受入れ企業が果たすべき役割というのも非常に重要だと思っております。例えば、留学生でいえば、受入れ教育機関が果たす役割というのも、これもまた同じ話だと思っています。
この受入れ企業の話につきましては、自治体の立場からも、受入れ企業において、例えば、週に一回、一、二時間程度で構わないので、就労時間の枠内で研修を受けさせるようなことはできないかというような御提言というか、そうした御意見も伺っているところです。
技能実習制度から育成就労制度に移行するこの機会に、受入れ企業に対しては、外国人は安価な労働力だといったような誤った認識を改めてもらうために、政府はどのような周知徹底、意識改革を行っているんでしょうか。また、受入れ企業さんの中にもしっかりとした対応を行っているところもあろうかと思います。そうした好事例、ベストプラクティスをどのように共有していくかといったことも含めて、御答弁をお願いできればと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行制度におきましては、例えば、特定技能制度における各受入れ企業において、日本語の勉強会を開いている例、資格取得のための勉強会を実施する例、町内会の行事に積極的に参加し、ごみ出しや清掃の当番を担当する例などの様々な取組がなされていると承知しており、各分野別協議会においても各受入れに係る優良事例の周知を行っているところです。
育成就労制度は、特定技能一号水準の人材を育成するための制度であり、外国人は安価な労働力だといった誤った認識を持たれないように、育成就労実施者などの御理解を得ることは重要と認識しております。そのため、制度の施行に向けて、制度趣旨など、丁寧な事前広報を行う予定です。
また、本法案では、分野を所管する行政機関の長が、その長及び育成就労実施者などを構成員とする団体などにより構成される分野別協議会を組織することができることとしているところ、そういった場で、関係者に対する意識啓発、優良事例の紹介等が行われるように努力してまいりたいと思います。
本法案成立後、施行までの間に、このような取組により関係者の皆様に御理解いただけるよう丁寧に説明してまいります。
○山田(美)委員 ありがとうございます。
最後に、今回、いろいろな関係者の方々から、特に新宿区の関係者の方々にお話を聞いて一番印象的だったのは、今年は一月に能登半島地震があって、防災が今非常に大きなテーマになっていますけれども、新宿区では外国人の居住者に向けた防災訓練なんかも実施をしているんですが、そのときに本当に一生懸命参加をされている。自分の本国では地震というものを経験したことがないので、実際そういう状況になったらどうなるのかということで、非常に問題意識高くやってくださっているというお話も伺いました。そしてまた、外国人の住民の方々には、むしろ日本人よりもボランティア精神が強い方もいらっしゃって、お互い助け合いながらやっているというような、非常に前向きな、プラスのお話も伺ったところです。
恐らく、そういったところは私たち日本人も大いに学ぶところがあるかと思いますし、そうした意味で、共生社会の実現に向けて、前向きにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございました。
○武部委員長 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
入管二法の審議、本当に日本の国の今後の在り方について大きな影響を与えるものでございますので、しっかりと審議をしていきたいと思います。
昨年の六月一日、我が党の外国人受入れ対策本部が、働く外国人が活躍できる共生社会を実現するための提言、そして、昨年十二月二十一日には、政府方針策定に向けた提言を出させていただきました。
我が国の労働力不足は深刻であり、経済社会の担い手として外国人は不可欠の存在となっております。我が国の外国人労働者は二百万人を超え、そのうち、技能実習生は四十一万人を超えています。特定技能外国人は二十万人を超えた方が在留をしております。
国際的な人材獲得競争が激化しており、我が国が外国人から選ばれる国であり続けるために、不断の努力が必要であります。
今回の法改正では、技能実習制度を発展的に解消して新たに育成就労制度を創設するとともに、現行の特定技能制度についても適正化を図ることなどとしていますが、今なぜこのような見直しを行う必要があるのか、法務大臣よりお伺いします。
○小泉国務大臣 近年、我が国における労働力不足の深刻化、国際的な人材獲得競争の激化、こうした状況の中で、選ばれる国になるということが必要不可欠であるという認識が出発点になっております。
そして、これまでの技能実習制度は国際貢献ということが目的に掲げられておりましたが、これは制度の目的と実態のずれをもたらす、こういった問題も指摘を受けまして、正面から人材の確保と育成ということを掲げて、なるべく長く日本にいていただく、なるべく長くいてスキルアップをしていただく、もちろん御帰国されることもあるわけですが、日本も共生社会をつくって受け入れるという努力をしていこう、こういう考え方が一つの大きな柱としてございます。
もう一本の柱は、人権保護等の観点から、転籍ができなかった、こういったことを改めていく。不適正な受入れ機関、監理団体があった、それを是正していく。こうした本来のあるべき制度の姿をきちっと厳格に規律をしていく、こういう二本目の柱もございます。
この両方でもって様々なこれまでの課題を解決して、外国人にとって、ひいては我が国にとっても魅力のある有益な制度にしていこう、こういう考え方でございます。
○大口委員 特に、現行の技能実習制度については、今大臣も指摘がございましたように、国際貢献という制度目的と運用実態の乖離、また、特定技能制度との分野の不一致といった課題に加え、原則として転籍ができないことや、不適正な受入れ機関や監理団体の存在等、人権保護等の観点から課題が指摘をされております。技能実習生が九千人超失踪するということも現実に起こっているわけです。
こうした課題は、今回の見直しによってどう解決されるのか、大臣にお伺いします。
○小泉国務大臣 今の御説明の続きになりますけれども、育成就労制度では、やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲、これを拡大し、また明確化するとともに、本人の意向による転籍、これを一定の要件の下で認めていこうという形で、労働者性をより強め、労働者として適切に保護する、こういう考え方を強く打ち出しております。
また、育成就労制度では、受入れ機関、監理支援機関の要件の適正化により、適正な受入れ、人材育成がなされる仕組みとして、もう一度、一から立て直していこうという考え方であります。また、送り出しの在り方についても適正化を図る。こういった形で、外国人の人権保護の観点からの課題を解決していこうということでございます。
○大口委員 次に、転籍についてお伺いしたいと思います。
育成就労制度において、同一の受入れ機関において就労した期間が一定の期間を超えることなどの要件を満たした場合には、同一業務区分内に限り、外国人本人の意向による転籍が認められることとされています。
当該一定期間については、当分の間、受入れ対象分野ごとに一年から二年までの範囲内で設定されることとされていますが、ここで言う当分の期間とはどの程度の期間を想定しているのか、また、就労期間の要件の見直しは、法律施行後、どの程度の期間が経過してから行うことになるのか、法務大臣にお伺いします。
○小泉国務大臣 端的にお答え申し上げますと、当該措置の継続の要否、当分の間、この文言でございますけれども、この措置の継続の要否については、制度施行後の人材育成や転籍に係る制度の運用状況等を踏まえて、見直しの要否を判断する必要があると考えております。
より具体的には、育成就労制度による育成終了後に特定技能一号に移行する外国人の割合や、技能、日本語能力に係る試験の合格率、育成就労期間中の転籍の発生状況、とりわけ地域をまたいだ転籍等の発生状況、制度関係者の考え方の変化といった点を総合的に考慮して、一定の期間の規定の在り方を検討したいと考えております。
○大口委員 政府方針では、就労期間の要件を一年を超える期間に設定する場合、転籍の制限を理由とした昇給その他待遇の向上等を図るための仕組みを検討することとされています。
転籍制限に見合った待遇の向上が必要と考えられますが、具体的にどのような仕組みを検討しているのか、また、待遇向上の取組状況はどのようにチェックするのか、入管庁にお伺いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
待遇向上の具体的な内容につきましては、例えば、各業界内での昇給率なども参考として一定割合以上の昇給を行うこと、待遇向上策として、法定で定められた以上の年次有給休暇の追加的付与や、私事による一時帰国費用の援助を行うことなどを想定しているところでございます。
また、当該待遇向上を担保する方法としましては、一年を超える転籍制限期間を設ける場合に、待遇向上を行うことを育成就労計画の認定基準として、当初の認定の際にその旨を確認することとし、監理支援機関による定期的な監査や、外国人育成就労機構による定期的な実地検査において、当該待遇向上等が適正になされているかを確認するといったことが考えられます。
これらの詳細につきましては、今後、様々な関係者の意見等を踏まえつつ、検討してまいります。
○大口委員 次に、転籍に際して、各受入れ対象分野で設定する一定の日本語能力の試験に合格することを要件とするものとされておりますが、この日本語能力を転籍要件の一つとした趣旨は何なのか、入管庁にお伺いをいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本人意向による転籍時の日本語能力に係る要件は、三年間の就労で特定技能一号の技能水準の人材を育成するという育成就労の目的を達成する上で、転籍により当該育成に支障が生じることがない程度に日本語能力が向上していることを確認するために設けているものであり、当該要件により、外国人の段階的な学習が促進されることが期待されます。
なお、具体的な水準につきましては、分野ごとに設定するものとしており、その際には、就労開始時と育成終了時に求められる日本語能力の水準を考慮した上で、転籍可能時点で達成されるべき能力水準、業務の実情等を踏まえ、転籍先でも支障なく就労する上で必要な能力水準などを踏まえて水準を設定することを想定しているところでございます。
○大口委員 また、本人の意向による転籍の場合、転籍前の受入れ機関が支出した初期費用等のうち、転籍後の受入れ機関も負担すべき費用について、転籍前の受入れ機関が正当な補填を受けられるようにするための仕組みを検討することとされています。
転籍前の受入れ機関が育成就労外国人の受入れのために負担した費用のうち、初期費用として認められる範囲はどこまでなのか、また、初期費用として認められるものについて、転籍前と転籍後の受入れ機関でどのように分担するのか、入管庁にお伺いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
転籍後の受入れ機関による補填がなされるべき初期費用としましては、転籍前の受入れ機関が監理支援機関に支払うなどして負担した職業紹介費、送り出し機関への送り出し手数料、入国後講習費などの育成費用などを想定しております。
これらの初期費用の補填のための計算方法につきましては、具体的金額や負担割合が曖昧な場合、当事者間の折り合いがつかず、円滑な転籍が阻害される懸念がございます。そこで、初期費用の標準額等をあらかじめ定めて公表しておき、転籍後の受入れ機関が当該基準に沿った支払いを行う旨表明している場合には転籍を認める制度とすることなどで、可能な限り転籍を阻害しないものとすることを検討しております。
また、初期費用の負担割合につきましては、必ずしも在籍期間に応じた単純按分にするのではなく、当該外国人材の能力や生産性は就労年数に応じて向上することが想定されることも考慮し、転籍先の負担割合が大きくなるよう傾斜をつけることなども検討しております。
いずれにしましても、これらの詳細につきましては、今後、様々な関係者の意見等を踏まえつつ、検討を進めてまいります。
○大口委員 それから、転籍支援についてでございますけれども、これは監理支援機関を中心としつつ、ハローワークと外国人育成就労機構の両機関についても連携をして取り組むこととされております。
転籍の実効性を高めるためには、両機関が十分に役割を果たしていくことが必要でありますが、ハローワークについては、転籍先の情報が不十分である、そういう指摘もあります。また一方、外国人育成就労機構は、今回の法改正により自らも職業紹介事業を行えるようになったことから、積極的に転籍先の情報収集やあっせんを行っていくことが強く期待されるわけであります。
転籍の実効性を確保するための両機関の連携の在り方について、具体的にどのように考えているのか、法務大臣にお伺いいたします。
○小泉国務大臣 今回の制度では、外国人の転籍支援について、監理支援機関、外国人育成就労機構、そしてハローワーク、この三者が連携をして職業紹介等を行うということにしております。
ハローワークでも転籍の相談を受け付けるわけでございますが、機構が、外国人が育成就労を行う分野の受入れ企業の一覧などの情報をハローワークに提供するといった、情報連携がまず考えられます。その上で、この三者が適切に、強みを生かして、重複せずに連携していく。より実践的に、研究を深めていく必要はあると思いますが、少なくとも、情報は三者でより共有をしていくという形を取りたいと思っています。
○大口委員 やはりここは非常に大事なところでございまして、この三者の連携によってスムーズに転籍ができるようにしないと、実際、結局紹介できなかったということになりますと本来の目的を達することができませんので、よろしく、法務大臣のリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
次に、やむを得ない事情がある場合における転籍についてお伺いをいたします。
具体的な要件が拡大、また明確化されることとされておりますけれども、現行と比べてどのように拡大されるのか、その詳細を伺いたいとともに、やむを得ない事情についての立証手段の簡素化など、手続の柔軟化が図られることとなるわけでございますけれども、この点についても併せて入管庁にお伺いをいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度におきましては、転籍が認められるやむを得ない事情の範囲について、運用要領で、実習実施者の経営上、事業上の都合、実習認定の取消し、労使間の諸問題、暴行等の人権侵害行為や対人関係の諸問題などの場合に該当する旨、明らかにしております。
しかしながら、どのような場合が労使間の諸問題や対人関係の諸問題に当たるのか明らかでなかったことから、あらかじめ示されていた労働条件と実態に一定の相違があった場合、職場内での暴行、常習的暴言だけでなく、各種ハラスメントが発生している場合など、より具体的な例を示して、その範囲を明確化することを想定しております。
また、やむを得ない事情がある場合の転籍を認める範囲の拡大につきましては、例えば、受入れ機関側の都合により稼働日数が予定よりも少ないことなどによる一定の賃金低下があった場合、予期せぬ形で居住費などの本人負担額の増加や生活環境の変化が生じた場合などの例を追加することを想定しているところです。
手続の柔軟化について、現行の運用では、やむを得ない事情がある場合の転籍が認められるための立証の程度等について、個別の事案に応じて判断され、特に、実習生と受入れ機関の主張が食い違う場合などには、転籍手続が速やかに進まない事案も見受けられるところです。
このため、対応の必要性や緊急性を踏まえ、例えば、外国人から録音、写真などの資料による一定の疎明があった場合には、機構においてやむを得ない事情がある場合と認定し、転籍を認める場合があることを明確化し、これにより迅速な転籍支援につなげることを想定しているところでございます。
○大口委員 このやむを得ない事情を拡大する、また、明確化するということについては、しっかり、やはり外国人の労働者の方々にもこれが分かるように周知徹底する必要がある、こういうふうに思っていますので、そこら辺もよろしくお願いをしたいと思います。
その点について、ちょっと入管庁に聞きます。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げた内容について、見直しを行った場合には、受入れ企業の皆さん、監理団体の皆さん、また、外国人本人の皆さんにもよく周知できるように努めてまいりたいと思います。
○大口委員 次に、外国人が送り出し機関に支払う手数料については、不当に高額にならないようにする必要があります。
政府方針によれば、外国人が送り出し機関に支払う手数料については、受入れ機関と外国人が適切に分担するための仕組みを導入し、外国人の負担の軽減を図ることとされており、今回の法案では、手数料の額が、育成就労外国人の保護の観点から適正なものとして主務省令で定める基準に適合していることという要件を設けているところであります。
具体的にどのような基準を考えているのか、また、新たに送り出し国と作成する予定の二国間取決め、MOCにより実効性を担保することはできるのか、入管庁にお伺いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案では、手数料などについての外国人の負担を軽減するため、育成就労計画の認定要件として、送り出し機関に支払った費用の額が、育成就労外国人の保護の観点から適正なものとして主務省令で定める基準に適合していることという要件を設けております。
主務省令で設ける基準につきましては、外国人にとっての基準の明確性という観点から、例えば、来日後の給与額に基づいて上限額を算出する仕組みとすることが考えられます。
もっとも、その具体的な基準については、送り出し国での実態を踏まえた丁寧な検討が必要であり、送り出し国の法令との関係の整理など、送り出し国側との調整も必要でございます。
そのため、本法案成立後、施行までの間に、関係者や有識者の御意見等をお聞きしながら決定する予定としております。
また、育成就労制度では、新たに送り出し国政府との間で二国間取決めを作成し、当局間の定期協議などを通じて、不適正な送り出し機関の通報や認定取消しの要請を行うことができる仕組みを強化する方針としております。
その上で、原則として、当該取決めを作成した国の送り出し機関からのみ受入れを行うこととしており、こうした取組により、新たな取決めの実効性を確保してまいりたいと考えております。
○大口委員 次に、永住者の在留資格の取消し等についてお伺いをします。
この点につきましては、一部、心配の声も上がっております。政府として丁寧な説明が必要であります。
今回の法改正では、永住者の在留資格をもって在留する人が入管法に規定する義務を遵守しないことが永住者の在留資格の取消し事由とされます。しかしながら、仮に、うっかり在留カードの携帯を忘れただけで在留資格が取り消されることとなれば、義務違反とそれに対するペナルティーとのバランスを欠くと考えますが、入管庁の見解をお伺いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今般の永住許可制度の適正化は、適正な出入国在留管理の観点から、永住許可後にその要件を満たさなくなった一部の悪質な場合について、その在留資格を取り消すことができることとするものです。
実際には、個々の事案の個別具体的な状況等を考慮して悪質性を判断するものであるため、一概にお答えすることは困難ではございますが、一般論として申し上げれば、在留カードの携帯を失念したような場合に取り消すことは想定しておりません。
○大口委員 また、今回の法改正では、永住者の在留資格をもって在留する人が故意に公租公課の支払いをしないことが永住者の在留資格の取消し事由とされました。
この点、病気や失業のために支払いができない場合であっても、税金や社会保険料の支払い義務があることを認識した上で支払わない場合には故意に該当するのではないかとの指摘がありますが、入管庁の見解をお伺いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
故意にとは、一般的に、自己の行為から一定の結果が生じることを知りながら、あえてその行為をすることをいうところ、ここでは、支払い義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払いをしないことをいうものと考えております。
これに該当するか否かは、個々の事案の具体的状況に応じて判断されるものであるため、一概にお答えすることは困難でございますが、その上で、一般論として申し上げますと、病気などによってやむを得ず公租公課を支払えないような場合には、これに該当しないものと考えております。
○大口委員 次に、今般の改正法では、在留資格の取消しに係る通報の規定が設けられております。国や地方公共団体の職員は、在留資格の取消し事由に該当すると思われる外国人を知ったときは、通報できることとされています。
通常、税金や社会保険料の滞納があった場合には、督促を行い、資力のない場合には支払いの猶予や滞納処分の停止、資力がある場合には財産調査や差押え、換価という手続に進むことになります。このようなプロセスの中で、税金や社会保険料の徴収に携わる国や地方公共団体の職員はどの段階で通報すべきなのか、この辺りがしっかり分かっていないと、大変な混乱を招くことになるわけでございます。そこで、そのような場合を想定してガイドラインを策定するなどして、周知を行うべきではないかと考えます。
また、入管庁は、通報を受けた場合でも、やはり永住者の在留許可の取消し等については、これは重大な影響を受けることになります。また、住宅ローン等についての影響もあるわけでございますので、その辺りのことも十分配慮すべきではないか、こう考えますが、いかがでございましょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
改正後の入管法第六十二条の二第一項は、在留状況が良好とは評価できない、故意に公租公課の支払いをしない永住者を知ったときに、国又は地方公共団体の職員が通報できるとするものですが、どの時点で通報するかは、税金等の徴収手続で一概に区別し得るものではないと考えております。
出入国在留管理庁におきましては、国又は地方公共団体の職員が通報の要否を検討する際に参考となる事例を示す必要性があることは理解しており、施行までに、故意に公租公課の支払いをしないことに該当するとして在留資格を取り消すことが想定される事例について、ガイドライン等として公表することを予定しております。
そして、出入国在留管理庁としましては、通報を受けた後は、更に事実の調査を行った上で、対象となっている外国人からの意見の聴取等を行い、事実関係を正確に把握した上で、取消しの可否等を慎重に決定することとなります。
このように、新制度を適切に開始するとともに、引き続き、対象者の権利利益に配慮した適正な運用に努めてまいります。
○大口委員 そういうことで、適正手続といいますか、これをしっかり履行していく必要があると思います。そしてまた、ガイドラインもしっかりと作成をしていただきたいと思いますし、また、十分に、非常に厳しい要件をクリアして永住者になったわけでありますので、その辺りにつきましてもよくこれは配慮をすべきである、こういうふうに考えておるところでございます。
次に、これは法務大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、永住者の在留資格をもって在留する外国人について、在留資格の取消しをしようとする場合には、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除き、職権で、永住者の在留資格以外の在留資格への変更を許可するものとされております。
この場合、入管庁はどのような事項を考慮して、変更後の在留資格をどのように決定するのか、そしてまた、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合とは具体的にどのような場合が想定されるのか、お伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 まず、改正後の入管法第二十二条の六、これは永住者の我が国への定着性に配慮したものでございます。つまり、原則は取消しではなくて変更ですということが条文で示されております。これは、永住者の我が国への、これまで定着してこられたという点に配慮したものであります。
変更する場合に具体的にどういう在留資格に変更するかということでありますが、これは、個々の外国人のその時々の在留状況や活動状況に鑑みて、引き続き本邦に在留するに当たって最適な在留資格を付与することを想定しております。一般的には、ほとんどの場合、定住者になると思われます。
また、取消し事由に該当する、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合とは、当該取消し事由に該当するに至った経緯、それまでの在留状況や今後の在留意向などを総合的に判断することになりますが、例えば、今後も納税する意思がないことが明らかである場合や犯罪傾向が進んでいる場合などは、これに該当する場合があると考えられます。
○大口委員 また、永住者の在留資格が永住者以外の在留資格に変更された場合、当該永住者の配偶者や子供の在留資格はどのような影響を受けるのか、入管庁に見解をお伺いいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
在留資格の取消し又は変更の対象となった者の家族の在留資格への影響につきましては、当該家族が現に有する在留資格によって対応が異なると考えております。
例えば、当該家族が永住者の在留資格である場合は、引き続き永住者の在留資格のまま在留することとなります。他方で、例えば、取消し又は変更となった者の配偶者が永住者の配偶者等の在留資格である場合は、永住者の配偶者の身分を有する者でなくなることから、別の在留資格に変更する必要が生じます。その場合、例えば、永住者本人の変更後の在留資格が定住者である場合には、当該家族につきましても定住者に変更することが考えられます。
いずれにしましても、永住者本人及びその家族の我が国への定着性に十分配慮して、適切に制度を運用してまいります。
○大口委員 我が党の昨年六月一日の、働く外国人が活躍できる共生社会を実現するための提言、これを時の官房長官に提出させていただきました。
これは、誰一人取り残さないという理念が国際社会の潮流となる今、来日する外国人の一人一人の人権を尊重し、外国人が活躍できる共生社会の実現が重要であるということ、そしてまた、少子高齢化の進行により人手不足が深刻な我が国において、地域経済等を支えるための働く外国人が能力を最大限に発揮できる環境整備が必要である、こうした視点から、国際貢献のみを目的とした現行制度を廃止して、国際的に適正な人材確保や人材育成を目的とした制度を創設すべきである、こういうふうに提言をさせていただいているわけでございます。
いずれにいたしましても、この審議を通じまして、日本が選ばれる国に、そして、世界中の若い人たちが希望を持てる、そういう希望を提供できる国をつくるべきである、こういうふうに思っております。
時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○武部委員長 次に、米山隆一君。
○米山委員 それでは、会派を代表して御質問させていただきます。
最初に、通告ではないんですが、ちょうどよく、厚生労働大臣政務官、三浦大臣政務官がいらっしゃいますのでちょっとお伺いしようと思うんですが、最初の牧原委員、山田委員の御質問の中で、年金制度、また社会保障制度に対する影響というお話がございました。
これはもちろん、今現在、滞納があるというようなこともありますので、なかなか今後の影響というのは見通しづらいとは思うんですけれども、既に質問の中でお話があったように、基本的には、育成就労であれ現在の技能実習であれ、その方々は社会保障費を払う義務があり、実際払わない人はいるにせよ、基本的には払う義務がある。
きちんと払う以上は、実は全く日本人と同じであるし、更に言うと、牧原委員が指摘した、社会保障給付費の向上で、しかも人口逆ピラミッドというのは、要は、現役世代ではない高齢者が増えることによって起こっているわけですから。
そして、外国人労働者というのは、基本的には労働する方といいますか、若い方が来られるわけですから、きちんと社会保障費を払っていただける前提で、払っていただければ、むしろ、日本の社会保障にとってはプラスになる可能性も高い。
必ずこうだとは言えませんけれども、きちんと払ってくださるなら、むしろ、少なくとも人口的には、原理原則的には社会保障の収支を改善する可能性が高いと思うんですけれども、御所見を伺えればと思います。
○三浦大臣政務官 お答えいたします。
先ほど委員おっしゃられました年金、医療保険、それから介護保険といった各制度につきましては、国籍にかかわらず、日本人と同様に、同じ条件で加入していただくことになりますので、今般の法改正におきましての育成就労の創設が、各社会保障制度に対する特別な影響を与えるものではないと私の方では考えておるところでございます。
○米山委員 若い人だからむしろ改善するでしょうということは答えていただけなかったので、通告もしていないので、別にそれは押し問答はしないんですけれども。
何を言いたいかというと、山田委員の質問であり、また、巷間言われているところで、確かに現在は、外国人の方で滞納率というのが高いところだってあるんだと思うんですね。しかし、その多くの部分というのは、別段、むしろ知らないといいますか、若い者だから、余り病気にならないからそもそも保険が要るとは思っていないみたいなところもあるのであり、かつ、それがきちんと周知されて、そしてちゃんと払うようになっていただければ、むしろ若い人が増えるから、基本的には社会保障は改善するであろうと思われるということは指摘させていただきたいと思います。
それでは、通告している方の、育成就労制度の全体の制度設計についてお尋ねいたします。
この制度、技能実習制度を改めるということで導入されるということが目されているわけなんですが、これは、技能実習法を建前として、第一条で、人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力を推進するということを掲げながら、その実態は、誰がどう見てもというか、安価な労働力の確保であり、そして、様々な不適切な事例が生じたことから、新たに定められたものというのは理解しております。
今般の育成就労制度は、目的として、育成就労分野における相当程度の知識又は経験を必要とする技能を有する人材を育成するとともに、育成就労産業分野における人材を確保することを目的とすると定められているわけなんですが、ですので、この育成就労分野というのを伺いたいと思います。
資料一を御覧いただきますと、今までの技能実習分野というのがございまして、その中で、令和六年二月九日に閣議決定されたいわゆる政府方針によりますと、育成就労制度は、人手不足分野における特定技能一号への移行に向けた人材育成を目的とするものであるので、受入れ対象分野を特定技能制度における特定産業分野に限るものとするとしているということです。要は、特定技能があるものに限るのでということで、今までの技能実習の制度をそのままは採用しませんよという方針を確認しております。閣議決定しております。
そうすると、この黄色の分野、これは該当しないということになりそうなものなわけなんですよ。例えばということなんですけれども、この黄色の分野、右の方のところで真ん中ぐらいに、紙器・段ボール箱製造というのがあるわけです。これは恐らくですけれども、技能実習の方が大分活躍しておられるんだけれども、なかなか、段ボール製造というのは、最初は大変でしょうけれども、二か月か三か月あったら大概それは習熟できるわけで、ちょっと、建前として掲げているところに、相当程度の知識又は経験を要する技能を有する人材を育成するという話にはなりそうにないわけですよ、通常考えて。
にもかかわらず、政府方針では、それ以外の分野は、この黄色の分野ですね、育成就労制度の趣旨、目的も踏まえ、特定産業分野への追加の要否や対応について、業所管省庁と業界団体等との連携、調整を政府全体で促進していく。その際、技能実習が行われている職種のうち、対応する特定産業分野が設定されていないものについては、現行の技能実習制度が当該職種に係る分野において果たしてきた人材確保の機能の実態を確認した上で、特定産業分野への追加について検討を進める。
結局、あれこれ言った割に、技能実習は人材確保でした、育成就労とかと言っておきましたが、実のところ、この黄色いところも、段ボール箱作成も特定産業分野に追加いたしますという趣旨に読めるし、実際問題、そうしなかったら、では、これから段ボール箱をどうやって作るんですかということになると思うんですけれども、この黄色の部分をこれから一体どうする方針か、大臣の御所見を伺います。
○小泉国務大臣 技能実習二号の対象職種のうち、対応する特定産業分野がないものについてのお尋ねでありますが、現行制度がその分野において果たしてきた人材確保の機能、つまり、技能実習がなければその分人材不足があっただろうというふうに考えられるかどうか、そういった点を確認した上で、特定産業分野への追加を検討したいと思います。
何を検討するかということでありますが、それは、特定産業分野とは、あくまで、生産性向上あるいは国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にあるかどうかということでございます。
有識者等から成る新たな会議体での議論も踏まえて、この点を確認した上で、技能実習制度が果たしてきた役割を踏まえつつ、結論を得たいと思っています。
○米山委員 御答弁としてはそうなるでしょうけれども、要は、これは基本的に、やはり、人材育成とか言っておられますけれども、それは労働力確保なわけですよ。
そこでお伺いしたいんですけれども、この育成就労、新たになると目されている法律の第二条で、必要な講習を受けること及び当該機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所において当該育成就労産業分野における技能を要する業務に従事する。従事するのはいいんですけれども、何せ、講習を受けなきゃいかぬわけですよ。
ところで、この技能実習の中にあり、かつ、今後とも特定分野になっているところの、例えば漁船漁業、カツオ一本釣りとかがあるわけなんですけれども、このカツオ一本釣りの技能実習をされていた方、また、これからこの育成就労を受ける方は、一体全体どんな講習を受けることになるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
技能実習制度におきましては、適正な技能実習の実施及び技能実習生の保護の観点から、お尋ねの職種、作業に限らず、技能実習計画の認定基準としまして、監理団体が、日本語、本邦での生活一般に関する知識、出入国又は労働に関する技能実習生の法的保護に必要な情報、その他本邦での円滑な技能等の修得等に資する知識について、技能実習生が入国後、実習実施者における技能実習の開始前に一定期間講習を実施することを求めております。
育成就労においても、ほぼ同様なことになろうかと考えております。
○米山委員 そうなんですよね。だから、別にカツオの一本釣りの講習を受けるわけじゃないです、当たり前なんですけれども。これはオン・ザ・ジョブ・トレーニングですから、カツオの一本釣りは漁船の上でやる、仕事としてやるわけです。
では、講習を受けるというのは、日本語は分からぬではない、日本語は分かる。でも、日本で暮らすマナーというのは、そんなもの、講習は要りますか。いや、要りますかというのはちょっと正しくないですけれども。
例えば、私がアメリカに留学して、留学というか、働いていたわけなんですけれども、特にアメリカで働く講習とかを受けたことはないわけですよ。そんなもの、いれば、だって、同じ人間ですから、見れば分かりますよというか。それは、最初の一か月や二か月は戸惑いますよ、ハンバーガーはどうやって注文したらいいんだろうみたいなね。ヒア・オア・ツーゴーと言われて、何、ここでとか、そういうことはあるんですけれども、そんなものは二か月か三か月すれば分かるわけですよ。ベトナム人の方だって一緒でしょう。
しかも、今どき、そんなに、幾らベトナムと日本が違うといったって、そこまで違うわけでもないわけです。しかも、何ならユーチューブを見れば、ベトナム語でそういうのも書いてありますがな、出てありますがなと。ただでそんなものを見られるわけなんですよ。
にもかかわらず、ちょっと一問順番を変えますけれども、その次の資料三、四を見ていただきますと、毎月毎月、監理費用を三万円も払っているわけなんです、平均して。
いや、日本語の講習が要るんだといいますけれども、では、私がネットでネイティブのイングリッシュの方の英語の講習を受ける、これは月々せいぜい三、四千円ですよ。むしろ四千円なら高い。何なら、二千円ぐらいのものはあるわけです。日本語は少ないかもしれないけれども、三万円はかからないと思います。それはかなり、何かもうプライベートレッスンですかみたいな話であり。
そして、先ほど言ったとおり、その他の日本で暮らすマナーなんというものも、正直、動画を一本作っておいて、みんなこれを見ろと言えばよくないですか、それぞれの言語で。何なら、言語すら、別に翻訳する必要もなく、そんなものはグーグルに任せておけと言えば、見られちゃったりするわけだと思うんですよ。
この監理費用というのは、何でこんなにかかるのか。また、これは育成就労になっても、やはり大体同じぐらいの監理費用を育成就労の期間というのは取るんですか。同じように今後も三万円取り続けることでよろしいんでしょうか。お願いいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度において、監理団体は、職業紹介費や講習費、監査指導費など、監理事業に通常必要となる経費などについて、実費に限り、あらかじめ用途及び金額を明示した上で、監理費として実習実施者から徴収することができることとされております。
この監理費は、監理事業に通常必要とされる経費などを徴収するものであることから、育成就労制度においても、こうした費用の徴収を禁じることは困難と考えております。
他方で、この監理費の仕組みを実効あるものとするために、現行制度においては、監理団体に対して、監理費管理簿の監理事業を行う事業所ごとの作成や、インターネットでの公表を求めているところです。また、外国人技能実習機構が年一回程度実施している実地検査において、徴収する費用が実費の範囲内であることなども確認を行っているところです。
育成就労制度におきましても、適正な運用が確保されるよう、同様の取組に対応してまいりたいと思っております。
○米山委員 そういう官僚答弁になると思うんですけれども、やはり通常的な感覚として、明らかに今までの技能実習では適正じゃなかったわけですよ。だって、月三万円、しかも、最初の一か月や二か月、最初の三か月ぐらいならいいですけれども、三年間、月々三万円ずつ取り続けます。
しかも、資料四を見ていただきますと分かるんですけれども、お給料は十八万とか十九万とかなわけですよ。その五分の一とか六分の一ぐらいのものが、正直何だか分からない、ユーチューブを見せればいいような。だって、カツオ一本釣りを教えるならいいですよ、それでどんどんカツオを釣れるようになるんだったらそれはいいですけれども、全然違うでしょう。日本での暮らし方みたいな、そんなことにこんなお金を取るというのは本当におかしなことですので。
それはきちんと、やはりそれがそうならないようなきちんとした監理がなされ、適正な監理費用になるような指導も、行政指導も必要だと思いますし、また、さらには、率直に言って、これは競争的な制度というものもあっていいんだと思いますよ。監理団体というものが、地域独占みたいな、その場独占みたいになっちゃっているということも非常に大きいのだと思います。それを申し上げさせていただきたいと思います。
ちょっと質問を戻りまして、資料二のところにありますけれども、基本的には育成就労から特定技能一号に行くんだろうと思いますが、それはまだ始まっていないので、パーセンテージは分からないんですけれども。
それでお伺いしたいんですが、技能実習二号から特定技能一号に行っている人の割合というのを、技能実習生全平均、また、さらに、先ほど掲げた漁船漁業、カツオ一本釣り、カツオ一本釣りに限らなくて漁業でもいいんですけれども、電子機器組立ての三つについて、御教示ください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
技能実習二号修了者のうち特定技能一号に移行した者の割合について、令和五年六月末時点の集計によれば、令和二年度に修了した者については二一・九%、令和三年度においては三三・二%、令和四年度においては三六・四%となっております。
なお、業種別の移行例については集計を行っていないため、お答えすることは困難でございます。
○米山委員 これは、実は今の技能実習でも、皆さん、別に特定技能一号にならずに帰られているわけですよ。だって、なっている人は二一・九%、三三%なわけですから。
そうすると、どういう問題が生じるかというと、いや、講習を受けなくていいじゃないというね。技能実習なり育成就労で働く人から見たら、いや、働けたら、別に育成していただかなくて結構です、特定技能は。三年が終わったら、私、帰りますので、稼ぐだけ稼いで。そもそも、移民とかという懸念をしていますけれども、いや、日本になんて特段長くいたくありません、これは出稼ぎですといって、さっさと帰りたいんですと。
その間、監理費用、三万円とか取られるのは嫌です、別に、働けますから。もちろん、ちゃんと働く前提ですよ。ちゃんと働いて、いや、日本語だって一定程度はちゃんと話します、でも、それ以上、別にすごくうまくなりたいなんて思いません、私は三年でいいんですということで帰るということは、しかも、七割の人が実際そうして帰っているわけですからね。
そうすると、育成、育成とかと言っていますけれども、それは単なる押しつけじゃないですか。七割の人にとっては、ほとんど要らないようなことというものを押しつけているんじゃないかと思うんですけれども。
何せ、ちょっと確認的にお伺いしますけれども、もちろん、育成就労も、何となく聞いていると、必ず特定一号に行かなきゃいけないような気がするんですけれども、これも同様に、別に三年で帰ってもいいわけですよね。しかも、現在の実績から考えると、実は七割の人が育成就労だけで帰るんですよね、帰ると予想されるんですよねということを確認させていただきます。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
冒頭に、先ほどの答弁、ちょっと若干補足を。(米山委員「後で」と呼ぶ)では、後で、済みません。
お答え申し上げます。
まず、育成就労制度では、効率的な技能修得、外国人本人の権利保護、地域社会との共生といった観点から、育成就労制度から特定技能制度に至るまでの各段階において、日本語能力に係る講習受講や試験合格要件を設け、継続的学習により、段階的な日本語能力の向上を図ることを予定しております。
具体的には、育成就労での就労開始前に、日本語能力A1相当以上の試験合格又は相当講習の受講と記載しており、育成計画認定に際しては、A1相当以上の試験に合格していない者が日本語能力に係る講習を受けないとなると、主務省令に適合せず、認定基準を満たさないこととなります。
なお、様々な事情で、三年の期間経過後に帰国となることを考える方もあると思いますけれども、結果的に特定技能に移行せず帰国することは許容されているところでございます。
申し訳ございません、先ほどの答弁をちょっと補足させてください。
先ほど委員からの御指摘が、特定技能一号に移った方という御指摘でしたので、そのほかの、結構な数でございますけれども、技能実習三号に行っている方も結構いらっしゃって、その後、特定技能へ行かれる方もいらっしゃるということは、申し訳ございません、ちょっと補足させていただきます。
○米山委員 そうすると、僕の通告の仕方が悪かったから、では、全部で、三号も含めて何割が一号に行っているかは、たった今出てこない。出てくるんですか。出てきたら教えてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと合計を間違えたかもしれませんが、技能実習三号の数を申し上げさせていただきます。
令和二年の修了者につきましては、令和五年六月末時点で二一・五%、令和三年の修了者で二六・八%、令和四年度の修了者で二四・二%の方が技能実習三号にいらっしゃるということです。(米山委員「三号に行っている」と呼ぶ)はい。
○米山委員 そうすると、でも、結局、やはり合わせて半数ぐらいということですよね。二号が終わって、三号なり特定技能一号に行くのは、結局、半数ぐらい。全部足して、そうなりますでしょう、そうだと思います。結局、だから、半分の人は行かないわけですよ。
そして、それはそうなんですよ、主務省令で育成の講習を受けろと書いてあるから、それは受けなきゃいけないわけです。受けなかったらそれは違反ですよ、では、あなたはもう駄目ですよという話になるんだけれども。でも、その講習は、本来、特定技能一号を取るために必要な講習なわけでしょう。ところが、半数の人は特定技能一号は取らずに三年で帰って、別にそれでいいわけですよ。だから、既にここでも制度と実態が乖離していますでしょうということなんです。
それは、技能実習のときに、先ほど申しました、国際協力を推進するという、非常に実態と乖離した、むしろ国際協力に逆行するような建前を掲げていたのと同じように、今回もまた、同じように特定技能一号の人材を育成するという。いや、実は違うじゃないですか。
だって、何なら、段ボールを作るという、到底そんな、育成なんて必要ないと言ったら怒られるでしょうけれども、段ボール、育成だって難しいとは思いますけれども、それにしたって三か月ぐらいで終わりそうな、修得できそうなものに関して、やはり育成だという名前をつけ、そして、そこから実は月々三万円も取る。しかも、その三万円というのは誰のものというと、もちろん、きっと実施機関、雇主が払ってはくれるんでしょうけれども、しかし、本来それは育成就労している外国人の方がもらうべきお金だったんじゃないですか。
結局、これは国家を挙げて変な建前を維持して、しかも、その建前の維持の大きな理由は、実は監理機関がお金を外国人から取るためのものじゃないですか。そういうふうにだって考え得る制度だと思うんですよ。それをやりながら、だって、十八万のうちの三万円も、国家全体のスキームの中で、正直、ピンはねしちゃっているわけで、そういう制度をそのまま残しながら、共生社会です、外国人から選ばれるんですというのは、ちょっとおこがましいと思うんですね。
そんな建前なんかよりも、はるかに給与を三万円増やしてくれた方が、別に、そんな監理費用は要りません、何なら、一万円ぐらいだったらいいかもしれないですよ、ちょっとはいろいろな事務的なものはあるでしょうからね。一万円というか、五千円ぐらいでいいと思うんですけれども、残りの二万五千円を増やした方がよっぽどいいわけですよ。
ですので、やはり本当にこんな制度をそのまま維持していいんですか、相変わらず実態との乖離というものを残していいんですかと思います。
そういう私の意見を今とうとうと述べさせていただいたんですけれども、是非、これは大臣の御所見も伺いたい。本当にこのままでいいのですか。大臣の御所見を伺います。
○小泉国務大臣 実態をよくもう一度精査しますけれども、監理費用の適正化、これは必要だと思います。押しつけになってもいけないし、過大な請求をしてもいけない。
ただ、この問題と、この制度は育成とは関係がないんだ、人材確保だけなんだというふうに踏み切るということは、また別の問題だと思います。
確かに、そういう前半の問題はありますが、やはり諸外国、また、諸外国の若者から見ると、日本でスキルアップしたい、いろいろな可能性をつかみたい、チャンスをつかみたい、そういう希望を持って来られる方もたくさんいらっしゃるわけでありまして、無駄な研修を押しつけるわけにはいきませんが、彼らにも成長してもらいたい、その夢を追いかけてもらいたい。
この制度は、そういう趣旨をしっかりと踏まえて、人材の確保と育成というもう一本の柱を立てておりますので、そこが共生社会の礎になるという考え方でありますので、まどろっこしく感じられた部分もあるかもしれませんが、丁寧にそこは対応していくことがやはり必要だというふうに思います。
○米山委員 前半は結構な御答弁でして、実は、この法律、法律としては非常によくないと思うんですけれども、それはなぜかというと、何せ、かなりの部分が省令等に任されちゃっているので、実は分からないんですよ。
でも、同時に、それは認めるとかじゃないんですけれども、法律としていいと言いたいんじゃないんですけれども、逆に、大臣がしっかりと、今のようなお考えに基づいて、柔軟な省令にしていただける、例えば育成就労、育成の講習等について、ある種の選択性があるといいますか、かつ、別に、キャリアアップしたい人がどんどん講習を取ってキャリアアップできるのは、それは結構なことだと思うんです。そういう人がいるのは否定しない。逆に、先ほど来の、半分の人は一号に行ってくれるわけですからね。半分の人にそういうものを提供するのはいいんだけれども、同時に、それが押しつけになって、過大なコストにならないように。
我々は我々の、また今後、法案を出すつもりですから、そちらの方を、もちろんそういうふうに法制度的にすべきだと思うけれども、もし仮にこの法律が成立するのであれば、それはもうしようがないので、省令等でしっかりと対応して、適切に、かつ指導もできるわけですから、主務官庁としてしっかりと適切な対応をしてくださいと申し上げたいと思います。
どんどんと時間がたってしまうわけなんですけれども、次の質問のうちの幾つかしかできないんですが、一つだけでもお伺いしたいと思うんです。
この育成就労制度の一つの柱というか目玉が、転籍制限の緩和ということなんだと思います。これによって、先ほど来の、ある種の競争も一定程度できて、真っ当な受入れ機関であったり真っ当な監理機関のところに行くということが起こり得るわけなんですけれども、同時に、この転籍においてこれが本当にうまくなされるか。それがなされなかったら、単に絵に描いた餅じゃないかということになるわけです。
まず、八条の二第一項で、育成就労外国人は、育成就労実施者の変更、転籍を求めるとき、主務省令で定めるところにより、書面をもって、雇主、監理支援機関、出入国管理庁長官、厚生大臣に申し出るとされているんですけれども、これはなかなか簡単じゃないでしょう。
私、先ほど、日本語のレッスンなんか要らないとか、講習は要らないとかと言っておいてなんなんですけれども、これはちゃんと、やはり申出書みたいなフォーマットは置くんですよね。法務省のフォーマットに置くなり、また、各監理団体は、転籍なんかされては困るとかと言わずに、ちゃんと各講習でこれを教えて、しかも、何ならこの紙をどうぞ、この紙に、何なら日本語の上にちゃんと母国語も書いておいて、これに名前を書けばあなたはこれで出せますよ、切手を貼れば出せますよというぐらいのことはちゃんと教えるということでよろしいんでしょうね。
また、文書で出すというのは、何も法務大臣のところに行って、アポを取って文書を持っていって出せという意味じゃなくて、郵便で出していいということですねということを確認させていただきたいと思います。
○原口政府参考人 お答えいたします。
育成就労法第八条の二に基づきまして、外国人が転籍の申出を行う際の書面につきましては、主務省庁におきまして様式等を定めまして、ホームページ等で公表することを予定しているというところでございます。
また、外国人から直接、育成就労実施者や監理支援機関、外国人育成就労機構に書面を渡して申出を行うことができる場合はそうしていただいて、難しい場合には郵送で行っていただくといったような対応も可能であると考えてございます。
いずれにいたしましても、転籍を希望する外国人が円滑に手続を行うことが可能となるよう、今後、制度関係者の御意見等も賜りつつ、詳細を検討してまいりたいと考えてございます。
○米山委員 それは結構なことなので、是非そうしてくださいということだと思います。
もうばんと飛ばして、でも、これは聞いておこう、聞いておきたいというところなんですけれども。
八条の二で、まず、自分で言えるんですけれども、しかし、外国人にしてみたら、そんなことを言えますかというか、そもそも、この中に雇主も入っているわけなんですけれども、雇主にはなかなか言えないでしょう。だったら、厚生大臣とか監理支援機関に言えばいいじゃないかと思うかもしれないんですけれども、実は八条の二の第一項各号の規定によって、情報を共有しろと書いてあるんですよ。だから、たとえ法務大臣に行こうが、厚生大臣に行こうが、監理支援機関に行こうが、それは雇主に情報が行っちゃうわけなんですね。
それは、もうそんなことをされたら、だって、まだ変えてくれと言っている段階で、次のところが決まっていないわけですから。逆に、外国人が、次のことを決めてからここに変えてくれというようなことは全く予定されないわけですね。ただ単に変えてくれとしか言えないという段階でいきなり共有されるというのは、そうしたら、嫌です、だって、そんなことをしたらいじめられるかもしれないし、次が決まらなかったら困るじゃないですか、そんなことはできませんということになってしまったら、やはりこの条項の実効性というのは非常に失われてしまうんだと思うんです。
これに関して、外国人の方が、いや、雇主には言ってほしくないということに対して、条文上手当てされているのか、それとも、何かそれに対して対策を打っているのか、御質問をさせていただきます。
○三浦大臣政務官 米山先生御指摘のとおり、育成就労外国人が転籍を希望する際には、新たな転籍先を探している事実について、現在の育成就労実施者には知られたくないといったケースが想定されるところでございます。そのような状況も踏まえまして転籍支援を行うことが大変重要だと考えておるところでございます。
このため、育成就労外国人が転籍を希望する際、現在の育成就労実施者以外に、監理支援機関又は外国人育成就労機構に対しましても転籍の希望を申し出ることが、行うことができることとするとともに、監理支援機関又は外国人育成就労機構に対する転籍の申出があり、転籍希望の事実を現在の育成就労実施者に通知することが適当でない場合には、当該通知は行わずに転籍支援を行うことを可能としておるところでございます。
そのような場合も、監理支援機関による対応について具体的に主務省令及び関係通知などで明確に定めることを検討しておりまして、転籍を希望する育成就労外国人が不利益を受けることがないように、施行の際には関係者への周知を徹底してまいりたいと考えておるところでございます。
○米山委員 もう時間なので、すぐ、まとめるだけで終わりますけれども、答弁としては結構な答弁だと思うんですが、ちょっと正確を期すと、法文上は、一応、通知しろと書いてあるわけですよ。それを単に、直ちに通知しないだけであって、直ちに通知しないところを主務省令で、ちゃんと決まってからにしろみたいなことをされるという予定だと思うんです。
我々は、もちろん、そんなぼやっとしたものじゃなくて、ちゃんとそういうふうに、言ってほしくない人が言われないような制度を担保すべきだということを、法律を出させていただくわけなんですけれども、とはいえ、もし仮にこの法案が通るなら、それはしようがない。通るとしたら、それは反対しますけれども。いや、反対するかは決まっていないですけれども、済みません。
もし仮に通ったら、それはやはり主務省令が非常に重要になりますので、今ほどおっしゃられたように、きちんとした明確な主務省令を作っていただいて、外国人の方がきちんと、うまく転籍の申出をできるようにしていただければと思います。
大変ありがとうございました。
○武部委員長 次に、鎌田さゆり君。
○鎌田委員 立憲の鎌田でございます。今日もよろしくお願いいたします。
通告をしておりますので、まず冒頭に、大臣に伺いたいと思います。
名古屋入管でウィシュマ・サンダマリさんが若い命を落としてから三年になります。亡くなる直前に、衰弱し切って脱水状態、自力では歩行が困難、そういう彼女の体を、外部の医療機関、それも精神科に受診をさせられて、クエチアピンというお薬をマックス量処方されているんですね。この委員会で私は何度もこの点については質疑をしてきたんですが、衰弱し切っていて、本当に瀕死に近いような状態の、体の状況の人間に、患者に対してこのクエチアピンという薬をマックスで処方するというのは、私は、彼女の死を更に早めてしまったということを疑問視をしている人間なんです。
そこで、大臣に、この処方に疑義を感じる一人として、私は、この処方が適正だったのか、再度検証するべきではないかと大臣にお尋ねをしたいと思います。お考えを伺います。
○小泉国務大臣 この調査報告書では、可能な限り客観的な資料に基づいて、医師を含む外部有識者の方々の御意見、御指摘もいただきながら、事実を確認し、考えられる問題点を幅広く抽出して検討がなされました。
調査報告書に対して様々な御指摘があることは承知をしておりますが、本件については十分に調査が尽くされたものであって、再調査が必要であるとは考えておりません。
○鎌田委員 そういう答弁になるんだろうなとは思いましたけれども、一般質疑の方でも再度追及していきたいと思っております。そのことは申し上げておきます。
では、今回の入管法の改正について、私は、永住許可制度の適正化、このことに特化をして、絞って伺っていきたいと思っております。
結構な量を通告をしているんですが、一番、二番は飛ばし、三番も飛ばしまして、一気に四番目に行きたいと思うんですけれども、コロナ禍の方ですね。
私は、この法案が出されたときに非常に驚きました。入管法の改正のところの柱でもある四番目のところに、永住許可制度の適正化という文字が書かれていて、突然どうしたんだろうというふうに感じました、まず第一印象。もちろん、法務省の方々が、世論調査的なこと、国民の皆様へのアンケートみたいなことをなさってきたことも承知をしておりますけれども、急にここに、法案に出てきて驚きました。
適正化とは一体何なんだろうというふうな印象を持った次第なんですけれども、二〇二三年、昨年の十二月時点では、永住者は日本には八十九万一千五百六十九人。在留外国人のうちの二六・一%とも言われるこの永住者の方々、この方々の日常の暮らしにこれはどんな影響が出るのかという懸念の声、先ほど大口委員も懸念を示しながら質疑をされていらっしゃいました。与党の方もそのように感じている点なんですね。
通告の四番に、伺いたいことを質問をいたしますけれども、この間、日本はコロナ禍で、日本人も含めて多くの方々が収入が減ったり、会社が倒産したりとか、様々な状況に追いやられました、経済的に。そこで伺いますが、コロナ禍の中で、収入が減った年があって、転職のブランクがあったとか、それから納税ができなかったとか、そういう理由で永住が不許可になったケース、あるいは永住許可が取り消されたケースというのはありますでしょうか。何件あったか教えてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
まず、通常の審査、永住審査でございますけれども、永住許可は、原則として、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること……(鎌田委員「コロナ禍の」と呼ぶ)済みません。
コロナ禍の状況等を含めて、一定期間の収入の状況等とかも確認して永住許可の判断をしておりますので、一般論で申し上げますと、数年間の状況を見て判断させていただいているところでございます。
ですので、その影響が、例えば余りにも収入が少ない時期が何年も、コロナであったとしても続いているとすれば、その時点では、永住としては許可をしていないということはあろうかと思います。
あとは、取消しの話もございました。
現行の制度でございますけれども、現行の入管法においては、在留資格の取消しの対象となる類型は入管法第二十二条の四第一項各号に定められております。収入が減ったことは取消し事由には当たりません。
また、永住者は、入管法上、在留活動を行わないことに係る取消し事由となっておらず、転職のブランクがあったことを理由に永住者の在留資格が取り消されることはございません。
なお、収入が減ったことや転職のブランクがあったことという事情は、そのことのみをもって、今般御提案しております新たに追加される取消し事由には該当するものではございません。
○鎌田委員 済みません、コロナ禍の、数年ありましたよね、日本でも。その中で、転職だ、収入が減った、そして納税できなくて永住許可が取り消された方、あるいは申請をしたけれどもその審査が通らなかった方の件数は把握はされていますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと重なりますけれども、コロナ禍で収入が減ったことによって納税義務を履行できなかったというようなことで在留資格を取り消すということは、現行法ではございません。
あとは、一般の審査の中ではそういった例があった可能性はございますけれども、件数としては把握してございません。
○鎌田委員 件数は分かっていないけれども、あった可能性はありますよね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
もう少し丁寧に申し上げますと、先生の御質問の内容が、コロナ禍で収入が減って納税ができなかったというようなことを仮定の御質問として承って、可能な範囲で御説明しますと、収入が減って納税できないような場合であれば、恐らく税の世界で、納税の対象から外れるというようなことはあるのかなとは思います、一般論としてですけれども、収入が少ないことをもって。
他方、収入が余りにも少ないと、やはり独立生計要件を満たしていないという判断をすることは一般的にはあろうかと思っております。
○鎌田委員 私が聞きたかった、コロナ禍は数年間あったわけです、日本で。そこの間で、今、永住者として暮らしている方、それから、永住許可の審査を申し込んだ、申請をした人、その人たちに、経済的な、日本全体が覆われていたときの影響がどういうふうにあったのか、その件数を数字として把握をしているかということをお聞きをしたかったんですけれども、数字については今は分からないというか、御答弁いただけないということで、次に移らせていただきます。
今、生活保護を受けている永住者の方は日本に何人いらっしゃるでしょうか。その方々は、この法改正でどのようになると想定したらよろしいでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
最初の御質問の生活保護の人数でございますけれども、生活保護制度は当庁所管ではないため、当該数字をお答えすることは困難でございます。
一般論として、生活保護受給者は、故意に公租公課の支払いをしない者には該当しないことから、今般提案しております永住者の在留資格の取消しの対象とはならないと考えております。
○鎌田委員 ごめんなさい、今、困難とおっしゃるその前、何とおっしゃったか、もう一回お願いします。何で困難なんですか。何人いるか分からない。
○丸山政府参考人 申し訳ございませんでした。
生活保護制度は当庁で所管していないため、御質問のあった生活保護を受けている永住者の数というのはお答えすることが困難ということでございます。
○鎌田委員 済みません、私、これは通告しているんですけれども。生活保護を受けている永住者は何人いますか、その方々は今回の法改正でどうなりますかと通告しているんですが、他省庁だから分かりませんということで済まされてしまうわけなんですかね。昨日、打合せのときにそういうお話は出なかったんですけれども。
では、いいです。次に行きます、時間がないので。
今回の入管法改正案の柱的な四番目、冒頭申し上げましたけれども、永住許可制度の適正化、これについて、有識者会議あるいは第三者的な会議体で客観的な議論というものはなされてきたんでしょうか。伺います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の内容は、どういう議論をしてきたのかということかと思いますので、その辺をちょっと御紹介させていただきます。
従前から、当庁におきましては、一部の永住者が永住許可後に公的義務を履行しなくなる例があることを地方自治体の声などを通じて把握したり、問題意識を有していたところでございます。
国会からの指摘としましても、平成三十年の入管法等改正法の審議の際、参議院の附帯決議第十におきまして、近年の我が国の在留外国人数の増加を踏まえ、永住許可要件の適合性について審査を厳格に行うことが盛り込まれ、平成三十一年四月の出入国在留基本計画において、永住者の在り方を検討していくこととしておりました。
このような状況において、政府では、令和元年十一月に、永住許可要件の内容や許可要件を満たさないとなった場合の措置等の永住者の在り方に関する世論調査を行っております。また、令和二年に行われた第七次出入国管理政策懇談会第二十一回会合では、当該世論調査の結果を踏まえて有識者による議論が行われ、永住許可時の要件を満たさなくなった場合に在留資格を取り消すことについては、合理的とする意見と、慎重に検討すべきとの意見が示されたところでございます。
そして、令和四年六月に策定された外国人との共生社会の実現に向けたロードマップにおいて、永住許可後に永住者としての要件を満たさなくなったと思われる事案に対処できる仕組みを構築する必要があるとされてきたところでございます。
このように、永住者の在り方につきましては、従前から法務省としましては検討してきたところでございます。
○鎌田委員 今お示しいただいたものは、こんなに重大なものを法案にして提案をするに当たっては、私は、とても足りない議論形成だったのではないかなと思うんですね。
政策懇談会、それから有識者会議でも一部出たようなお話もありましたけれども、これは今回の入管法の改正の柱の一つですよね。それを、今おっしゃった、今御答弁されたそれだけでもって、今、永住者が日本に八十九万人以上いるというふうに先ほども申し上げましたけれども、その方たちの暮らしに直結する、影響を及ぼす今回の法改正なんですよ。
それが今のような御答弁の状況で、これはきちんと有識者会議、あるいは客観的に、中立公正な、第三者的な会議体で議論、検討してからこの法案に出すべきだと私は思うんですけれども、突然振って申し訳ございません、大臣、いかが思われますか。
○小泉国務大臣 先ほど事務局から御説明しましたように、懇談会を開き、様々な御意見を承ってきた。その上での改正法案であり、そして、これは国会でまだ御議論をいただくわけでございますので、民主的なプロセスにおいて我々は進めている、こういう認識でございます。
○鎌田委員 私は、民主的なプロセスを踏んでいないと思うんですよ。国会にまず提案される前の段階で、今次長が御答弁された。その後、我々、党の法務部門会議でこれまで何回も法務省さんから、入管庁さんから御説明をされているのは、政府部内で検討してきたと。じゃ、政府部内で検討してきたことを時系列で、ちゃんと論点を整理したものを私たちに示してくださいということを先週も、昨日も申し上げました。だけれども、お答えは差し控えさせていただきますだったんです。これがずっと続いているんですよ。
次長、その点は御報告が行っているかどうか分かりませんけれども、私は、改めて申し上げます。こんなに重大な法改正をするんです、きちんと、改めてこれは出し直しをして、有識者会議、客観的な、第三者的な会議体で議論、検討してから出し直すべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
法務省内での過去の、これまでの検討状況、あるいはどういった会議体で報告したとかというのは先ほど申し上げたとおりでございますが、その上で、今般、育成就労制度の創設により、永住者の在留資格を取得し得る外国人の受入れ数が増加することが予想されるところ、併せて永住許可制度を適正化することが相当であると考えたことから、育成就労制度の創設に関する入管法等改正案に永住者の在留資格制度の導入を盛り込ませていただいたところでございます。
○鎌田委員 今、次長が答弁したことはすごく重要なんですよ。
先ほどから大臣含めて皆さん、この委員会で、共生社会、日本が選ばれる国、皆さんが日本に夢を描いて来ていただける国ということを目指して、国の在り方がこれから変わるかもという議論をされていました。
でも、今の次長の御答弁だと、これから育成就労を新たにやっていくに当たって技能実習生が増えていく、そうすると永住者も増えていく。確かに、微増ではありますけれども増えていっています。
私のところに御説明にいらっしゃったときには、何でこれを適正化するの、何でと聞いたときに、やはり技能実習生も増えるので、永住者も一定程度抑えておかないと、増えないようにと。
それを、この委員会で共生社会をうたっている我々が、どの口を使ってこの永住者の取消しの、永住許可制度の適正化という言葉を使ってそんなことを出すんだと、私は非常に憤っています、正直言って。二枚舌というかダブルスタンダードじゃないのと。外に向かっては共生社会と言っているけれども、内側に向かって、日本で今実際に永住者として暮らしている人たちがどんな思いでこの法案の行方を見詰めているかということを、私は、是非その立場に立っていただきたいと思います。
今、大臣、お手を挙げられましたけれども、後でまたお願いします。
今、次長が御答弁されました。私たちの部会では、お答えは差し控えさせていただきますが続いていたんですけれども、議論がなされてきたのであれば、その議論の時系列、いつ、どこで、誰が、どのような論点整理をしながら議論をして、そしてこの法案提出になったのかということをきちんとまとめたものを委員会に提出していただきたいということを委員長にお願いして、理事会でお取り計らいをお願いいたします。
○武部委員長 ただいまの資料要求につきましては、理事会にて協議いたします。
○鎌田委員 続けて、また立法事実について伺っていきますが、外国に籍のある人が、永住者の方でですよ、公租公課を滞納している、この点について、自治体からの通報とか苦情というものは何件あったんでしょうか。あわせて、公租公課の滞納の統計というものは取っていらっしゃるんでしょうか。それを示してください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
出入国在留管理庁におきましては、一部の自治体から、永住の申請時にまとめて滞納分を支払い、その後再び滞納する永住者がいるといった声をいただいているところでございます。
また、当庁におきましても、永住者に関連する在留審査の中で、一部の永住者について、公的義務が適正に履行されていない事例があることは認識しているところでありますが、先ほどの通報のあった件数といったものの統計は持っておりません。(鎌田委員「公租公課の滞納の」と呼ぶ)済みません。
あわせて、公租公課が納められていない額、滞納額につきましても、当庁としては把握しておりません。
○鎌田委員 自治体からの通報、苦情は、声はいただいているけれども何件あったかの数字は把握していない、それから、公租公課の滞納の統計は取っていないということは御答弁いただきました。ここでも立法事実に関連してくると思うんです。何件あったか数字が分からない、統計も取っていない。
じゃ、続いてですけれども、この実態として、永住者が公租公課の滞納をしているんじゃないかという調査を、法務省が主体的に自ら調査をしたことはあるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
具体的に、私どもとしましては、一部の自治体でございますけれども、実情についてヒアリングをさせていただいたことであるとか、あと、当庁において、永住者に関連する在留審査の中で、一部の永住者について、公的義務が適切に履行されていない事例があるということは把握しているところでございます。
○鎌田委員 つまり、御自身、主体的に法務省が自らは調査をしていないということです。
にもかかわらず、今回の入管法改正案には、故意に公租公課の支払いをしないこと、こういうことが条件として入っているわけですね、永住権の取消しのところに。そして、自治体からの通報云々も書かれています。
だけれども、それの根拠になる立法事実は、今お聞きしたとおり、把握していないし、調査もしていないし、統計も取っていない。これでは立法事実に相当及びませんよ。駄目ですよ、これじゃ。
公租公課の滞納に関してですと、日本国籍であっても外国籍であっても、私は、ひとしく督促や差押えで対応するのが公平というものだと思うんです。永住者にだけ、安定した生活の基盤となる在留資格を取り消す、これは差別そのものじゃないですか。大臣、いかがお考えになりますか。
○小泉国務大臣 この委員会の、この法案審議とは別の場面で私もお答えした記憶があるのですが、これは、永住者の方を抑えるということではなくて、日本の国の在り方として、国を開くわけでありますので、公的義務を果たしていただけない、そういう外国人の方には、やはりその立場をまた踏まえた処遇というものを考えざるを得ない。
なぜかというと、不公平感が国民の間に生まれてきます。国民から見て、外国人の方々が税金を払っていない、目の当たりにすれば、心は閉じていきます、国を閉じようと。せっかく開こうとしているときでありますので、ルールを守らない方については適切な処理をしていく。
また、自治体から様々な批判、苦情、問題の提起、そういったものは、法務省はたくさん受けています。外部世界とつながった上で、何が起こっているかを把握しつつ、国民の視線から見たときに、公的義務を果たしてもらえない方がいることで、国を閉じなきゃいけない、外国人は駄目だ、そういう世論が逆に巻き起こっていく。
これは、抑えるのではなくて、開くための措置です。そのことも、実際そうです、実際にそういう効果をこれは大きく持つと思いますので、是非そこは御理解いただきたいと思います。
○鎌田委員 本当にお言葉を返すようで申し訳ないんですけれども、私は理解できないんですよね。
大臣は今、公平を期すために、ちゃんと納税の義務を果たしていない方には、それは日本人から見たら、ええっ、不平等だ、じゃ、国を閉じなきゃとなるかもしれない、そういう心配をされたけれども、でも、永住者の方からしたら、大変厳しい審査を経て長年日本で生活して、そして、要件も三つあるわけですよ。独立して生計を営めるとか、それから日本で活躍する、日本の国益に資する、そういう要件を、三つの要件がありますよね、大臣御存じだと思いますが。
そういう人が永住者で暮らしているんだけれども、うっかりして納めるのを忘れていたとか、それから、コロナで会社が大変なことになってしまったんだとか、これから生きていく上で、日本人と同じようにこの国に、労働現場でも頑張っている。それから、大学教授の人だっていらっしゃいますよ。そういう人たちが、ええっ、私たち、これから追い出されるかもしれないのと思っている人が、実は、大臣のその光を見出すような御答弁とはまた裏腹にいらっしゃるんですよ、実際に。
今、私たちは、永住許可を持って日本で暮らしていて、そういう方々の不安の声というものを集めているんですね。例えばなんですけれども、アメリカに国籍のある方です。永住権を持っています。二十歳のときに日本に来て、日本語を覚え始めた。二〇〇五年からずっと日本で大学教授として仕事をしている。それで、数年前にやっと永住権が取れました。
永住権というのは、その国で、この方は日本ですよね、安心して暮らす権利だと。日本の永住者がこんな法律でいつの間にかという状況の中で、永住権を取り消されるようになるかもしれないともしも当時知っていたら、その方は、日本で人生を送る道を私は選ばなかったというふうにまで不安の思いを抱いているんですね。本当に多くの方が今不安を抱いています。
私は、申し上げたいのは、やはり立法事実が、様々な統計が取られていないとか数字が分からないとか、まだまだヒアリングが足りないようにも思えますし、この適正化ということが、今までは、じゃ、不適正だったのかというふうにも読めるわけですよ。
ですので、大臣、これは法務省に、是非入管庁に指示をしていただいて、もっときちんと立法事実を整えて、そろえた上で、この入管法の永住許可制度の適正化についてはちゃんと、堂々と国会に提出できるようにしろというふうに指示をしていただけませんか。
○小泉国務大臣 その手続の前に、また中身で恐縮でありますけれども、これは悪質性の高い一部の方についての対応です。そして、いきなり取り消すのではなくて、ほかの在留資格を持っていただくという道を探るわけであります。
それはなぜかというと、おっしゃったように、日本に定着していただいて、頑張っていただいて、日本の経済社会のために尽くしてこられたというその実績を我々は重く見ます。うっかりして、そういう方々を考えているわけではありません。そういう方々、一生懸命やっていらっしゃる方々は、恐らく公租公課、公的義務を果たしてくださっていると思うんですよね。
だけれども、そうではない方が一部いるので、そういう方々が日本の国民の目に触れると、外国人は全部駄目だ、全部いいかげんだ、国を閉じろ、そういう議論にすぐつながってしまう。そういう方々は適切な対応を我々もさせていただいて、日本の国民がより広く外国から人を招き入れられるようにしていくというのがその趣旨でございます。
こういう議論を引き続きさせていただきたいと思います。
○鎌田委員 大臣の気持ちはよく、御答弁も紙を見ないで御自身の言葉で語られますので、気持ちとしては伝わってきますし、うんとうなずいてしまいたくなる自分もいるんですけれども、やはり立法事実が、根拠がきちんとそろっていないと、ちゃんと調査して、これだけいる、こういう事態が発生している、自治体からもこれだけ、去年はこれだけ件数が来ているとか、そういうものがそろっていないと、我々立法者として、ここで、はい、いいですよとは、それは言えないんですよ。責任なんですよ、立法府の人間としての。
大臣は行政の長ですから、立法する場合の、そのときの責任者ですから、そこのところは、私はやはり、大臣のその気持ちは伝わってくるけれども、うんとは、賛成とはなかなか言えない。
永住許可者の数を抑えようという政府の意思の表れにも取られてもこれは仕方ないと私は思うんです。
令和五年の六月九日、去年ですね、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の冒頭に、「政府としては、条約難民や第三国定住難民を含め、在留資格を有する全ての外国人を孤立させることなく、社会を構成する一員として受け入れていくという視点に立ち、外国人が日本人と同様に公共サービスを享受し安心して生活することができる環境を全力で整備していく。」というくだりがあるんですよ。
私は、もし今回、この入管法の四番目の永住許可制度の適正化、これを立法事実も中途半端極まりない中で通そうとするなら、このくだりはもう撤回していただきたい、そのように思いますので、それを申し上げまして、時間が参りましたので終わります。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、高橋英明君。
○高橋(英)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の高橋英明でございます。
大臣、今日はよろしくお願いをいたします。
実は昨日、初めて在留カード、実物を見ました。たまたま、夕飯を食べに行った店にベトナムの子がいたので見せてもらったんですけれども、意外に、ちょっと目立ちますね、あのカード。でも、今日はカードの質問はしません。技能実習の方をさせていただきたいというように思います。
この技能実習の改正なんですけれども、一体何が変わったのかなというのが正直な見解でして、まず、技能実習、育成就労、名前が変わった、転籍が三年から一年ないし二年になった、特定二号の、職種が、業種が増えた。そのほかに何が、改正になって、違いと、目的と、あと受入れ側の企業と外国人労働者のメリットを教えていただけますか。
○小泉国務大臣 確かに、制度のフレームワーク、骨格は大きく変わってはいません。それは、激変緩和の観点からも必要なことである部分もあると思います。
一番大きく変わったのは、理念ですね。国際貢献して、帰っていただくこと、帰国を前提とした制度ではなくて、もちろん帰国される方もそれはかなりいらっしゃいますけれども、でき得る限り長く日本にいていただく。そのためには、労働者性を認めていく、あるいは人権にも配慮していく、関わる方々の適正な行動というものもしっかりと規律をしていく。国もまたそれを後押ししながら、必要な支援、そういったものも手厚くしていく。向いている方向が変わります。
そうすると、関わっている方は、そういうものをやはり敏感に、ある程度察知をしていただいて、この立法趣旨に従った法の運用というものを期待していく。その出発点に今立っているんだというふうに思います。
○高橋(英)委員 でも、これはいわゆるブルーカラーの安価な労働力の確保からスタートしているんですけれども、これは変わるんですか。
○小泉国務大臣 特定技能一号にスキルアップしていただくということが実務的な目標値になっています。特定産業というのは、生産性を上げる、あるいは国内雇用を追い求める、それでも人手不足が残るという業種を選んで、そこに入っていただく、スキルアップして入っていただく、こういう制度でありますので、人手不足を埋めるという要素はもちろんあるわけでございます。
○高橋(英)委員 実はこれは、我が町川口が事の発端だったようなんですね。約四十年ぐらい前に、鋳物屋さんが多いですから、いわゆる三Kですけれども、労働力が全然足らなくなって、安価な労働力を求めに中国まで行っていたみたいなんですけれども、そこから出発して、でも、まだ法整備ができていなかったので、法整備をお願いしてこれができたというような話を聞いているんです。
最初は中国だったんですね。その次はベトナムに行ったんです、中国はもう合わなくなってきたので。ベトナムに行って、今はもうベトナムも合わなくなってきて、また、どこかもっと遠くの方に行き始めているんですけれども。
だから、これは上から目線なんですよね、ずっと。これを変えただけでその意識が変わるとはなかなか思えないんですけれども、いかがですか。
○小泉国務大臣 上から目線という言葉が適当かなんですが、これまでは、日本の様々な産業技術をお伝えをして、そしてそれを母国で生かしてください、そういう、我々が貢献するんですというポジションにいたわけですけれども、これからはイコールフッティングです。我々も皆さんのために貢献しますけれども、皆さんも日本のためにまた貢献してください、完全なイコールフッティングに立った制度であります。多くの方々がそれを理解をしていただく必要はあると思いますけれども、根本的に変わったことの、そこも一つ大きなポイントだと思います。
○高橋(英)委員 要は、これを見たときに、人道的に結構批判とかがあったので、何となく対外的に体裁を整えたのかなというような気がしてならないんですけれども、その点、いかがですか。
○小泉国務大臣 体裁の問題ではなくて、実体的に、やはり人権侵害があってはいけないし、また、外国人の方々が共に幸せになる共生社会、共に幸福になる、そういうものをベースにしておりますので、我々が間違っていた、至らなかった部分は、制度上の問題点は直していこう、実体的に変えていこう、そういうことでございます。外向きの体裁、全くそういうことではありません。
○高橋(英)委員 何かレクのときにそんなようなこともちらっと聞きましたけれども。
キャリアアップ、これを明確にしやすくなるみたいな話をしていましたけれども、技能実習で特定に上がるとき、当然、今でも試験がありますよね。聞くと、意外に、特定一号にはなれるそうなんです。特定二号にはやはりなかなかなれないというんですね。
育成就労から特定技能一に上がるときのハードルというのは、まさか低くするわけではないですよね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行制度におきましては、技能実習をおおむね三年修了した方は試験なしで特定技能一号に行けるという仕組みになってございますが、新しい制度では、育成就労を三年やった方も試験を通ってから特定技能一号に行くという形に変えさせていただこうと思っております。
なお、現在も、技能実習生が移行する場合、あるいは技能実習生以外の方が特定技能一号に行く場合に、技能検定三級相当の試験に技能的には通っていただく必要がございます。今回の育成就労を終わった後も、技能検定三級程度のレベルの技能を確認させていただく予定でおります。
○高橋(英)委員 要は、特定技能になって五年いるわけですよね。特定二号はなかなか難しい。そうなった場合、もう五年たったらお帰りいただくとなると、せっかく育成したのに五年で帰ってもらっちゃったら、これは育成損になると思うんですよね。その点、いかがですか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
特定技能制度は、生産性向上や国内人材確保の取組を行ってもなお人材確保が困難な特定産業分野に限って外国人労働者を受け入れるという趣旨から、一号特定技能外国人には通算五年という在留の上限を設定しているところでございます。
他方、委員御指摘のございました特定技能二号は、熟練した技能を要する業務に従事する外国人を受け入れるものであり、上級技能者のための試験である技能検定一級の合格水準と同等水準の試験の合格を要件としているところでございます。
そのため、当該試験に不合格となった外国人の特定技能二号への移行は、認めることは考えてございません。
○高橋(英)委員 だから難しいわけですよね、特定二号に受かるというのは。
何が言いたいかというと、育成就労で企業側もせっかく育てたわけで、五年で戻すというのは、やはりこれはちょっと問題があるというか、もったいない気がするんですよ。真面目に当然働いている外国人の方ですから、ここの五年という縛りを、ほかに何か延ばすことをちょっと考えていただきたいなと。二号に受からなかったらもう帰れじゃなくて、企業側と話をしてもらって、この外国人は本当によくやるから、入管庁さん、ちょっともうあと数年頼むよとか、そういう幅を持った方がいいかと思うんですが、いかがでしょう。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
重ねての答弁で恐縮でございますが、特定技能一号、特定技能二号、それぞれの技能のレベルということを今法律で定めてございますので、ちょっと、委員の御指摘のようなことは、なかなか検討は難しいかなと今思っているところでございます。
○高橋(英)委員 実際、現場で言っているので、これは検討してください。是非、ちょっと、検討していただきたいというように思いますので、お願いをいたします。
それと、やはり、選ばれる国になるという話ですけれども、今の外国人に日本が選ばれる、特に、この技能実習なんか日本語じゃないと駄目なわけで、韓国とか台湾は英語でもいいわけですよね。非常に日本は不利なわけですよ。そしてまた円安ですし、なおかつ選ばれる国になるというふうになったら、これは逆に言うと、国内での労働力、これも望めるのかなというふうに思うんです。
だから、こういった魅力ある国になるのであれば、基本は国内で労働力をやはりしっかりと確保するというのを考えていただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。
○小泉国務大臣 委員おっしゃったのは、国内で労働力を確保するということでございますね。
少子化が進む中で、やはり、IT技術あるいはAI、そういった技術革新を使ったマンパワーの補填といいますか代替、これが一番有力な考え方だと思います。女性の就業率も大分上がってまいりましたけれども、もうアメリカ水準並みで、頭打ちとは申しませんけれども、いっときほどの多くの就労を期待することは難しくなっています。
少子化対策も必死で取り組んでいるわけですけれども、効果が出るまでには二十年、三十年かかりますので、IT化、AI、そういったものを実装していく。それによって、逆に、就業者の数が大幅に減るんだという逆方向からの心配もイギリスなんかでは出ていますけれども、日本ではそこまでの実装化はまだ見通せておりませんので、就労という観点で申し上げれば、ちょっと所管外ですけれども、そういったものも努力していく片方の、片輪の一つだろうと思います。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
ちょっと確認なんですけれども、やはり、本当に足りないところの外国人労働者の受入れというのは必要だと思いますけれども、これはもちろん、職種によってきちんと人数制限はなさるんですよね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度につきましても、その分野ごとに受入れの上限数ということを見込み数として定める予定としてございます。
○高橋(英)委員 じゃ、次に行きますけれども、受入れ先企業なんですけれども、やはり、賃金だとか、冒頭言いましたけれども、どうしても安価な労働力という頭が抜け切れないので、その辺の監理とか監査みたいなのはどのようにしていくのか、お聞かせください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
外国人の受入れに当たりまして、賃金や労働条件、社会保障といった点で法令が遵守され、適切な雇用が行われることは当然の前提と認識しております。
この点、外国人の雇用関係等の適正性について、現行の技能実習制度では、技能実習計画の認定手続や、監理団体による定期的な監査や、外国人技能実習機構による実地検査などを通じた確認等がなされております。
その上で、育成就労制度では、監理団体に代わる監理支援機関について、現行の技能実習制度における対応に加えて、外部監査人の設置を義務化するなど、受入れ機関からの独立性、中立性を高めるための方策を講じ、監査等がより適切になされることとしております。
また、外国人技能実習機構に代わる外国人育成就労機構につきまして、その監督指導機能や支援、保護機能を強化して必要な体制等を整備するとともに、労働基準監督機関等との連携を強化していくこととしております。
これらによって、受入れ機関による外国人の雇用について、より適切に監督及び対応をしてまいりたいと考えております。
○高橋(英)委員 これを何で聞いたかというと、実は、三の関係機関の在り方と資料にありますけれども、これをとにかくきっちりやっていただきたいんですね。同業種の組合とかに任せたら、本当に悪いことをしますので、今言った、外部監査というものもありましたけれども、これは本当にちょっと徹底していただきたいというふうに思います。本当に、これまでみたいな同業種等々の組合なんかに任せていたら、ちょっとこれは大変なことになると思うので、是非これをお願いいたします。
ちょっと順番が変わるかもしれませんけれども、御容赦していただきたいと思います。
大臣、また新しいことをいろいろ入管庁がやりますけれども、人員や予算は大丈夫なんですか。
○小泉国務大臣 これは非常に重要なポイントでありますので、この法案の成立を期して、財政当局といち早く交渉を始めたいと思います。単年度では済まないと思います。複数年度にわたって、我々がやるべきこと、役割を理解をしてもらう、その努力はベストを尽くしたいと思っています。
○高橋(英)委員 人員だけ見ると、本庁はちょっと抜かしておいて、やはり現場ですよね、足りないのは。
現場の地方出入国在留管理官署というのがあるんですけれども、審査官が、令和四年四千五十四人、令和五年四千八十五人、警備官が、千六百二十三人、千六百五十九人、これは全然変わっていないんですね、人員。
恐ろしいのが、難民申請が、令和四年が三千七百七十二、令和五年が一万三千八百二十三に跳ね上がっているんですけれども、単年度では駄目だという、そんな悠長なことを言っていられるような状況ではないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 単年度で勝負をつけるということではなくて、粘り強くやりたいという趣旨で申し上げました。
部内の人員の配置、あるいはITの利用、デジタルの利用、そういったものも含めて総力体制を組んで、この法案を通していただいたときにはしっかり我々が執行できるように、支えられるように、一生懸命努力をしたいと思います。
○高橋(英)委員 予算に関しては何か魔法の予備費みたいなのがあるみたいですから、是非お願いしたいと思いますけれども。
これは市役所からちょっと聞いたんですけれども、明らかに違法性の高いことをしている仮放免の方々ですか、そういった方々がいて、入管庁にちょっとお願いをしたらしいんですね。そうしたら、入管庁は、人手不足でとてもじゃないけれども対応ができないという話なんですよ。今、実際そういうことが現場で起こっていますので、これはやはり、例えば、いろいろな場所がありますけれども、圧倒的に多分東京が多いんだというふうに思うので、選択と集中じゃないですけれども、一回ちょっと、短期間でもいいですから、そういった場所に人員を厚く配置をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの点でございますが、業務量的には東京管内、首都圏が多うございますが、実は地方でも、訪日外国人観光客につきましては全国どこも増えております。ただ、その中にありましても、やはり、できるだけ配置を工夫しながら、特に業務量が多いところの体制を少しでも強化できるように取り組んでいるところでございます。
○高橋(英)委員 そういった情報を入管庁の方に流した場合、すぐに対応はしていただけるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
日々、いろいろな情報をいただいているところでございますので、その優先順位と、あるいは、申し訳ございません、我々の体制等も含めて勘案しつつ、優先順位をつけながら対応させていただいているところでございます。
○高橋(英)委員 優先順位ということですから、本当に喫緊の対応が必要なものに関しては当然優先順位は上がるんでしょうから、また、警察ともしっかりとタッグを組んでやっていただきたいというふうに思いますけれども、ばんばん情報を差し上げますので、是非優先順位を上げて対応していただきたいんですけれども、どうでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
入管庁では、独自に、あるいは関係機関等の協力を得ながら、不法滞在者の情報収集、分析を行い、事案に応じて警察等関係機関とも連携して調査を進め、不法就労や不法残留等の違反事例が確認された場合には取締りを実施しているところでございますが、今後も不法滞在対策にしっかりと取り組んでまいります。
○高橋(英)委員 あと、確認ですけれども、六月十日に改正入管法が施行になりますけれども、これは、六月十日以前の難民申請なんかももちろんカウントされるわけですよね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
恐らく、お尋ねの趣旨が、六月十日以降、三回目の難民認定を申請された場合に、難民認定の相当の理由がない場合には送還が停止されないということのお尋ねと思いますので、その場合の回数のカウントとしましては、今回の改正法施行以前に難民認定申請された回数も含んでカウントいたします。
○高橋(英)委員 じゃ、施行前に例えば五回目の申請をしていた、六月十日以降に六回目を出した、それで、六回目が駄目ならもうアウトということですね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今委員お尋ねの方が不法滞在になっている方ということを前提にいたしますと、仮に六月十日以降に六回目の難民認定申請がされて、その申請の中身としてやはり難民とすべき事情がないということであれば、送還停止効は適用されないということになります。
○高橋(英)委員 それと、当たり前の話ですけれども、六月十日前でも、明確なルール違反等々があったら、やはり送還対象に当然なりますよね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
恐らく、委員がおっしゃっているところのルール違反というのが、先ほどの話から想像しますと、仮放免者の方が、ただ、条件に違反しているとかということかなと思ってお聞きしておったんですけれども、そういう場合については、改正法の施行前後にかかわらず、やはり、仮放免の条件を守らない、守る意思がないということであれば、仮放免の取消しということになります。また、送還するかどうかは、先ほど申し上げたとおり、特に難民認定申請者の場合ですと、六月十日以降の申請について考慮するということになります。
○高橋(英)委員 とにかくやることが満載だと、入管庁、思いますので、是非、とにかく人員を増やしてください。早急にこれはお願いしたいというように思います。
それと、ちょっと元に戻りますけれども、受入れ先の企業、やはりこれは賃金なんかもそれ相応に上げていかないといけないんだろうと思いますけれども、元々の発想が、先ほど言いましたとおり、安価な労働力の確保というのからなかなか抜け出せないと思うので、何か国として制度的にフォローできるものがあるのかどうか、お聞かせください。
○原口政府参考人 お答えいたします。
外国人労働者に関する事業主への支援といたしまして、厚生労働省といたしましては、雇用管理への間接的な支援でございますけれども、都道府県労働局などに外国人雇用管理アドバイザーを配置いたしまして、外国人労働者の雇用管理の改善であるとか職業生活上の問題など、外国人を雇用する事業主からの様々な相談に対する事業所の実態に応じた高度かつ専門的な支援、援助を行うほか、外国人が自ら労働条件などを十分に理解して、適正な待遇の下で安心、納得して就労を継続し、その能力を発揮することができますよう、就業規則の多言語化など外国人労働者の就労環境の整備を行う事業主への経費支援等を行っているところでございます。
○高橋(英)委員 先ほど監督機関の話をしましたけれども、これは今、最近、何とかGメンというのも結構どこの省庁でも、はやりなのか分かりませんけれども、受入れ先のGメンみたいな設置というのは、どうなんでしょうかね、やった方がいいかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどのちょっと御答弁と重なって恐縮でございますが、今回の法改正を踏まえて、外国人技能実習機構に代わる外国人育成就労機構につきましては、その監督指導機能や支援、保護機能を強化して、必要な体制等を整備したいと考えております。それをGメンと呼ぶかどうかは別ですけれども、必要な体制の強化には努めたいと思います。
○高橋(英)委員 是非お願いしたいと思います。
非常に、やはり外国人労働者、とにかく我が町は多いので、本当に間近であっても見られますし、企業の忘年会とかに行くと、必ずと言っていいほど外国人労働者もいっぱいいますので、是非その辺の監督はしっかり行っていただきたいと思います。じゃないと、やはりなかなか、魅力ある国というのには我が国は現状ではなりづらいのかなというふうに思います。
先ほど韓国と台湾が英語でも可能だという話だったんですけれども、これは競争力をつけるために、ちょっと通告はしていないですけれども、答えられると思うので、我が国も英語でも対応できるようには考えられないんでしょうか。
○丸山政府参考人 申し訳ございません、ちょっと委員の、何を、どの部分を例えば英語で対応するかという。済みません。
○高橋(英)委員 うちは、だから、N4だとかN5だとか、みんな日本語じゃないですか。その部分ですね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
その点につきましては、現時点におきまして、やはり技能の修得でありますとか、本人の権利主張をできる暮らしにするとか、あるいは日本での地域での共生を進めていくという観点では、ある程度日本語を勉強していただくということが必要ではないかと考えているところでございます。
○高橋(英)委員 日本で暮らせば日本語は話せるようになると思うので、最初の入口のところで選んでもらうためには、やはり間口は広げておいた方がいいと思うので、是非そういった検討もしていただきたいというように思います。
時間がだんだんなくなってきてしまったのであれですけれども、先ほども言いましたけれども、先ほども大臣、前の方のときに、やはりルールをしっかり守っていただかないと駄目だというようなお答えをしておりましたけれども、まさにそのとおりなんだろうなというふうに思っています。
先日も、私の地元でちょっとコンビニに入ったんですけれども、私の知り合いがやっているコンビニで、イートインってあるじゃないですか、そこでコーヒーでも飲もうかなと思って。そうしたら、鎖で行けないようになっているわけですよ、イートインのスペースに。これは行けないんだと言ったら、どうぞどうぞと、外して、使わせてもらったんですけれども、何でこんなことするんだと聞いたら、やはり外国の方々が、コンビニはアルコールを置いているじゃないですか、そこで酒盛りを始めて、大音量で音楽を聞く。注意をしたら、ふてくされて、人数も多いですからいきがるのかもしれませんけれども、カップヌードルの食べかけだとか、全部ぶちまけて帰っていくらしいんですね。そういったことがあるからそういった封鎖もしていると。これは営業的にも、要は営業妨害にもなりますしね。ただ、言っていたのは、やはりいい人もいるという、当たり前の話ですけれどもね。
だから、本当に一部なんだというふうに思いますので、選択と集中という言葉がありますけれども、是非、情報提供いたしましたらすぐに対応をしていただきたいというふうに思いますので、この点、大臣、是非お願いしたいので、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 適切に対応いたします。
○高橋(英)委員 是非お願いいたします。
終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。おおつき紅葉君。
○おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。早速、質問に入らせていただきたいと思います。
四月十四日、ある統計の衝撃的な見出しが、私は新聞を見て驚きました。日本人が八十三万人減る、こういった統計が出まして、過去最大規模、だからこそ働き手確保が課題ということが、私の手元にあるのは東京新聞の見出しなんですけれども、人口推計が出ました。こういった経過もあることから、今回、法を改正して、やはり就労を通じた人材育成と人材確保を目的としていかなきゃいけないということは理解をいたします。
ただ、その観点で私から一つ伺いたいことが、そういった世の中の流れの中で、今後ともやはり育成就労の外国人にとって日本が魅力ある働き場となるためには、来日した育成就労外国人に我が国で学ぶ場を提供することも一つの重要な要素になるんじゃないかなと考えております。
私は北海道出身なんですけれども、特に地方の中小企業における人手不足を解消するための手段の一つとしても、地方の大学とか、あとは職業能力開発校において、学びながら物づくり等の技能を有する外国人を育成することは、これは有効であると考えております。
そこで、まず入管庁に伺います。現在、留学の在留資格で来日した外国人がアルバイト等の就労活動を行う場合の要件がどうなっているのか伺います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
留学生の資格外活動許可につきましては、申請に基づき、一週につき二十八時間以内、又は在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは、一日について八時間以内で就労活動を認めているところでございます。
○おおつき委員 では、次に文科省に伺います。技能実習生が働きながら例えば大学の夜間コースや大学二部などで修学することが可能であるのか、もし可能である場合はその要件についても併せてお伺いしたいと思います。また、現在、大学二部などで技能実習生を受け入れている実例があれば、具体例もお示しいただければと思います。
○丸山政府参考人 まず、入管庁からお答えさせていただきます。
一般論として申し上げれば、技能実習生が大学二部、夜間大学において修学することにつきまして入管法上制限する規定はなく、本来活動を阻害しない範囲内で修学することは可能でございますが、そのような実例については入管庁では把握しておらないので、お答えすることは困難でございます。
○八木政府参考人 お答えいたします。
大学について言えば、ちょっと資料が今手元にないんですが、専門学校につきましては、一定の留学生が来ておりまして、例えば令和元年の場合ですと、二〇一九年度ですね、二五%が留学生が専門学校に在籍している実績がございます。
○おおつき委員 大学等の事例も、ちょっと通告もちゃんとしているので、もし数字があれば後日出していただければと思うんですけれども。昨日、通告、レクでしているはずなんですけれども。
○八木政府参考人 申し訳ございません。ちょっと今、手元に資料がございませんので、後ほどまた資料の方をお届けさせていただきます。(発言する者あり)
○武部委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○武部委員長 速記を起こしてください。
それでは、おおつき君。
○おおつき委員 夜間大学だけでも、資料が出てきた段階で発表していただければと思います。
実際、これをなぜ聞いているかというと、私自身も大学が海外だったんですよ。大学の学科、学部のクラスに日本人が一人という、ある種マイノリティーで、アルバイトも向こうでもしていました。それぞれの国で違うかもしれないですけれども、修業時間内のアルバイトをしていた時期もあります。
そういった経験もあるので、だからこそ伺いたいんですけれども、そうやって、その地域で学びながら働く人の枠を広げるというのも例えば人材確保の面では大切なことなんじゃないかなと思うので、私は、その中でも、先ほど専門学校には触れていただきましたけれども、職業能力開発校について次は伺いたいと思います。
職業能力開発校というのは地域によって呼び方がそれぞれ違っていて、私の地元の北海道は高等技術専門学院と呼ばれるんですけれども、例えば新規学卒者や離職、転職する方々を対象に職業訓練を実施する学校というのがあります。新規学卒者や学び直し、そして既卒者、もう卒業した方、そして女性や障害がある方を含めて、多様な人材の職業能力開発を目的としておりまして、労働市場への参加を促進することにより、地域の産業を支える人材を育成する役割を果たして、地域経済の持続的な発展に寄与しているというのがこういった学校の役割だと思います。
そこで、育成就労外国人の技能向上やスキルアップのために高等技術専門学校などの職業能力開発校を活用することは有意義であると考えるんですけれども、現行の制度や本改正案の育成就労制度において、技能実習生や育成就労外国人が高等技術専門学院などの職業能力開発校において修学が可能かどうか、伺います。
○原口政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘の北海道立高等技術専門学院を含めまして、都道府県の設置する職業能力開発校におきましては、高等学校卒業者などを対象とした学卒者訓練、求職者を対象といたしました離職者訓練、中小企業等にお勤めになられている方を対象とした在職者訓練などを実施しているというところでございます。
まず技能実習生について申し上げますと、技能実習生は、技能実習者と雇用契約の下、技能実習計画に基づきまして、実習実施者における実際の業務を通じて人材育成を行われることを前提として受け入れられているものでございまして、まず学卒者訓練及び離職者訓練を受講することは想定されません。
一方で、技能実習計画に掲げる技能の修得等に資するものとして、あらかじめ計画したものであれば、職業能力開発校等実習実施者以外の第三者が実施する在職者を対象とした訓練に技能実習生が参加することは可能としてございます。
また、育成就労制度におきましても、まずは事業主の下での人材育成が行われることが重要と考えてございますが、育成就労制度における人材育成の在り方につきましては、今後、関係者の意見もお聞きしながら具体的に検討してまいりたいと考えてございます。
○おおつき委員 可能な範囲ということなんですけれども、今回の改正案の中で創設される育成就労制度というのは、これは別の視点になるんですけれども、こういった職業能力開発校ですね、北海道だと高等技術専門学院のような学校で、訓練を受けることを目的とした留学生とか外国人の受入れを検討する必要性について、これは大臣、御所見を伺えますか。
○小泉国務大臣 職業能力開発校において留学生の受入れができるようにし、また、受け入れた外国人が、在留資格、技術・人文知識・国際業務へ在留資格を変更することを可能にしたいという御要望が地方分権提案として出されております。
法務省としては、民間の教育訓練機関との関係性に留意しつつ、令和五年十二月二十二日の閣議決定に従って、今年中、令和六年中に結論を得て、必要に応じ所要の措置を取ることを検討しております。
○おおつき委員 今、検討中というお話であるんですけれども、じゃ、その方向性、各省の現在の検討状況を伺えますか。文科省さんと厚労省さんになるかな、お願いします。
○八木政府参考人 お答えいたします。
今、法務大臣が御答弁されましたように、御指摘の地方分権提案につきましては、民間の教育機関との関係性に留意しつつ検討する旨が令和五年十二月の対応方針で閣議決定されているところでございます。
文部科学省といたしましても、関係団体の意見を伺いつつ、引き続き法務省や厚労省とともに検討を進めてまいります。
○原口政府参考人 お答えいたします。
先ほど来お話がございます職業能力開発校でございますけれども、労働者に対して段階的かつ体系的に職業に必要な技能、これに関する知識を習得する職業訓練を行うことなどを目的としまして、都道府県が設置している施設でございます。
当該施設が職業訓練を実施するに当たりましては、公共の施設という性格上、官民の役割分担に十分配慮して、民間の教育訓練機関との競合を避ける必要があると考えているところでございます。
このため、お尋ねの地方分権改革に関する提案につきまして、関係省庁とともに民間の教育訓練機関団体に伺ったところ、民間においても既に外国人留学生を受け入れていることから競合が生じることとなる旨の懸念の御意見を頂戴しているところでございます。
このような状況を踏まえまして、昨年十二月に閣議決定されました令和五年の地方からの提案等に関する対応方針におきましては、先ほど来ございますとおり、民間の教育訓練機関との関係性に留意しつつ検討し、令和六年中に結論を得るというところでございまして、引き続き、官民の役割分担を踏まえつつ、提案、県や関係省庁と検討してまいりたいと考えているところでございます。
○おおつき委員 でも、やはり日本は今人手が足りていないんだと思うんですよ。だから、こうやって受け入れなきゃいけないし法の改正をしなきゃいけないから、そこは、競合を避けるだけじゃなく、やはり官民連携で進めていかなきゃいけない段階だと私は特に地方出身者なので感じております。是非、まだ検討段階というか結論までは至っていないということなので、そこまで枠を広げて私は対応していただきたいと思っております。
結局のところ、学びながら働くという枠組みをやはり広げていかないと、今、どうにもこうにもいかない状況にこの国がなっちゃっているじゃないですか。これは今までの政治責任だと思いますよ、私は見通しの甘さが。
だから、日本人でも、そういった専門学校とか職業能力開発校でもいいですよ、通いながら働いて、例えば、生活が成り立つぐらいの収入が得られるような、外国人もそのぐらい、来ても収入が得られるような、学びながら働いても得られるような制度設計にしていくことで、地域に呼び込んだ人材が更にその地域で貢献してくれることにつながっていくと思うんですけれども。それは、日本人と同等レベル、又は、少なくともこの地域で学びながら働いていける、そのような制度に拡大していくことが必要だと私は考えるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 ASEANの方とお話をしますと、やはり技能実習で技術は学びたい、だけれども日本の社会の在り方も知りたいと。どうしてこんなに治安がいいのか、どうしてこんなに長寿国なのか、どうしてと様々なクエスチョンがあって、それを解明して、そしてそれを、答えを得たら本国へ帰って、そういう国に自分の国をしたい、そういうことをよく聞きます。
そのときに、学びたい日本というのはどこにあるのかという話になるんですけれども、山田さんがいて恐縮ですけれども、学びたい日本というのは東京じゃなくて地方にあるということを彼らはよく言います。給与は低いんだけれども、地方社会には様々な日本の知恵があって、そこで学ぶこともたくさんあるんだという話をよく聞いておりました。
委員が今おっしゃった、働きながら学ぶ、学びながら働く、それは、地域社会に、地域活性化の方策だけではなくて、共生社会の一つのステップとして取り入れられる余地もあるのかもしれないな、そんなふうに思いました。
○おおつき委員 是非、これから、まだ検討段階ということなので、大臣からもそういった意見を推し進めていただきたいと思っております。
こういった地方の観点から、次は、地域おこし協力隊における外国人隊員について伺いたいと思います。
現在、総務省が取組を推進している地域おこし協力隊。先日、外国人が地域おこし協力隊員として監理団体で働いて、そして技能実習生の入国直後の講習を担当したりとか、あとは実習期間中における病気などの困り事に母国語で相談に応じているという新聞報道を拝見いたしました。外国人が地域の活性化に一役買っている、これは非常にすばらしい事例だと私は考えます。
まず、地域おこし協力隊について、現在、何名の外国人隊員が活躍されているのでしょうか。また、外国人が隊員となるための要件についても併せて伺います。
○山越政府参考人 お答えいたします。
外国人の地域おこし協力隊の人数につきましては、直近のデータ、令和四年度でございますが、全国で百五十一名の外国人の方々が地域おこし協力隊として活躍いただいております。
また、外国人が地域おこし協力隊になるための要件につきましては、外国人が協力隊になる場合、在留資格に定められた活動の範囲でその業務に従事する必要があります。
○おおつき委員 この在留資格要件というのが、活動終了後、もう一回この国にとどまって、地域で、例えば新しい仕事とか、こういった人材不足が分かったからこの仕事に従事したいという人たちがまたそのまま働き続けるということの弊害の一つにもなっているのは事実なんですよ。なので、こういった要件も含めて、今回の改正案とはちょっと違う観点ですよ、でも、広げていくという観点の、いろいろな今できることというのはまだあると思っていて、ここも私は一つだと思っているんですよね。
この地域おこし協力隊というのは、協力隊員だと活動経費として一人当たり約五百二十万円を上限に国が負担する制度になっているんですね。これだけあると、少なくとも地方だと、暮らして、自分の子供たちも含めて、生活に支障がない収入なんじゃないかなと私自身は感じます。
ここで、次に入管庁に伺いますけれども、外国人が地域おこし協力隊員として活動する場合、在留資格の取扱い、これはどのようになるんでしょうか。隊員になれる在留資格に制限はあるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
委員お尋ねの地域おこし協力隊の隊員は、地方自治体からの委嘱により報酬を受けて活動するものであり、就労活動に関する出入国管理及び難民認定法第十九条第一項の規定による規制の対象となります。
まず、入管法別表第二の上欄に掲げる永住者、定住者等の在留資格を有する外国人については、我が国で行う活動に制限がないことから、地域おこし協力隊員としての活動に従事することができます。
次に、外国人が、地方公共団体との契約に基づき、報酬を得て、ハザードマップの多言語化や町役場の窓口等における通訳等に従事するときには、在留資格、技術・人文知識・国際業務に該当するものと考えられます。
○おおつき委員 さて、技能実習生の研修や生活支援を担う人材として外国人を地域おこし協力隊の協力隊員として活用することは、慣れない地域で暮らす技能実習生にとっては安心につながるし、外国人の受入れに慣れていない地域にとっても、地域住民と外国人実習生とをつなぐ存在になるということなので、双方にとってプラスになると考えるんです。
地域おこし協力隊員への外国人の積極的な登用に向けて、今後、政府は、今百五十一名ということなんですけれども、後押しをすべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○山越政府参考人 お答えいたします。
外国人の地域おこし協力隊の方々には、それぞれ、言語能力などの自らの強みや外国人独自の視点を生かして、地域の様々な活動に活躍いただいているところです。
具体的には、日本の生活習慣等の理解を深めるための講習を始め、技能実習生などの外国住民への生活支援、また、地域住民との異文化交流のイベントの開催といった多文化共生の取組のほか、外国人向けの日本旅行情報サイトであるとかSNSなどを通じました地域の魅力発信や、外国人観光客向けのツアーの開発、実施などインバウンド対策の取組など、極めて幅広い活動に取り組んでいただいているところでございます。
このような各地域での取組を支援するために、総務省におきましては、今年度から財政措置を拡充することといたしております。
具体的には、地域に関心のある外国住民に、より地域活性化の取組や地域おこし協力隊の活動に理解を深めてもらうためのイベント等を実施する際に要する経費や、実際に協力隊として活動する外国人隊員に対し特に実施する研修や、ほかの外国人隊員との交流の機会を設ける等のサポートに要する経費、これらについて、道府県に対しまして新たに特別交付税措置を講ずることとしております。
今後、具体的な活動事例も周知しながら、自治体の取組支援を行ってまいります。
○おおつき委員 だからこそ、地域の魅力発信だけじゃなくて、それを農業とか、今回足りない職業にまで広げることが、それこそ今回の対策の横串として必要な対策なんじゃないかなと私は思いますので、是非、大臣、引き続き御検討のほど、お願いいたします。
次に行きます。地方入管局における審査の在り方についてです。
さて、外国人をこの国に受け入れる際には、受入れ機関が地方入管局に在留資格の認定申請を行います。入管行政は裁量行政だとよく耳にするんですけれども、私は、少なくとも、地方局に申請しても、通るべきものは通って、通らないものは通らないという、国の組織としての判断の一貫性があるものと正直思っておりました。
しかしながら、同じ書類を提出しても地方局ごとに判断が異なる場合があるようで、例えば、東京の入管では認められない申請が名古屋の入管では認められるということがあるそうです。申請する側は、当然通りやすい地方局を選ぶし、まずはそこから入国させようという対応を取っているものと聞いております。
これを裏づけるように、昨年刊行された「入管ブラックボックス」というもので、元入管職員の木下さんが、審査にはある程度の基準はあるものの、その基準が地方局ごとに異なって、入管行政では、法務大臣の権限が地方の入管局長に委任される結果、地方の局長ごとのキャラクターが出て、ローカルルールができてしまう、つまり、裁量判断に統一性がなくて、恣意的に、一貫性がなく、不公平であると指摘しているんですよね。
このような現状について一体どのように考えているのか、まずお伺いいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
地方官署によって在留諸申請に係る運用が異ならないようにすることは、行政の公平性の観点から重要であると認識しております。地方官署によって在留諸申請の審査結果が異ならないようにするため、入国・在留審査要領等を定め、地方官署に通知するとともに、研修や会議の場を通じて判断の統一化を図っているところです。
入管庁としましては、上記の取組により統一的な運用が図られているものと認識しておりますが、今委員御指摘のようなことがないように、引き続き努めてまいります。
○おおつき委員 ないように引き続き努めていただきたいとは思うんですけれども、実は、この問題、七年前から指摘され続けているんですよね、法務省の方々はよく御存じだと思います。今後、更に増加することが見込まれる外国人労働者を適切に受け入れるためには、地方局ごとに対応が異なるといった現状があるとすれば、改善しなければならない。でも、これは実は七年前から指摘されているんですよ。
七年前から指摘され続けていて、去年、我が党の山田勝彦議員からも、この委員会の中で留学ビザの視点から質疑がされていて、当時の齋藤大臣は、通知により審査基準等の統一を図って、引き続き統一的な運用に努めると答弁もしているんですよね。でも、まだ続いているらしいんですよ。
そこで、今の小泉大臣に伺いたいんですけれども、あれから通知以外にどのような審査基準の統一的運用に資する改善策が実施されて、又は通知の徹底以外になければ、具体的な次善の策というのはあるんでしょうか。お答え願います。
○小泉国務大臣 基準が統一的ではないこと自体に問題もありますし、統一的ではないんではないかという認識が広がってしまうことにも大きな問題があると思います。
部内の通知は徹底をしています。研修、会議でも、国会で山田議員からも御指摘をいただきましたので、厳しくそこは、通知を出し、また会議等、研修の場でも確認をしていますが、なおこれを繰り返し粘り強くやりたいというふうに思います。
七年前、少し我々もちょっと状況をよく遡ってみて、直すべきところは早急に手当てをしたいと思います。
○おおつき委員 七年間ずっと続いている話で、粘り強くと言っても、正直説得力はないんじゃないかなと思います。やはり、制度設計自体を考え直さなきゃいけない段階に来ているんじゃないでしょうか。
先ほど言いました、元入管職員の木下さん、このように言っています。入管職員は人権感覚がないわけじゃないし、多くの職員は釈然としない思いを抱えながら仕事をしている、ただ、上司が替われば判断が変わってしまうという状況なんだ、上司の一存で通るか通らないかが変わってしまうような、この現場の状況をどうか分かってほしいと。
やはり、例えば第三者機関が入るとか、今こそ、政治も含めてですけれども、透明性が求められているんじゃないんですか。こんなに一人一人、情報と近い、距離感が近い中で。だからこそ、この制度設計自体も、是非大臣、もう一度考え直していただきたいと思います。
時間が余りないので、それでは、育成就労支援制度の関係に移らせていただきたいと思います。育成就労外国人が働きながら日本語を学ぶ体制に関連して質問をいたします。
今回の改正案というのは、育成就労外国人に技能実習生より高い日本語能力を求めておりまして、就労開始前、そして開始から一年経過時まで、そして就労終了時までの各段階において、日本語能力に係る要件が設けられているんですけれども、まず、この各段階における日本語能力に係る要件についてお答えください。また、そのレベルを設定した趣旨についても伺います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
効率的な技能修得、外国人本人の権利保護、地域社会での共生といった観点から、育成就労制度から特定技能制度に至るまでの各段階において日本語能力に係る試験合格等の要件を設け、継続的な学習により、段階的な日本語能力の向上を図ることとしております。
具体的には、育成就労での就労開始前に日本語能力A1相当以上の試験合格又は相当講習の受講、特定技能一号移行時にA2相当以上の試験合格、特定技能二号移行時にB1相当以上の試験合格を原則的な要件として定めることとしておりまして、段階的に能力向上を図っていただきたいと考えているところでございます。
○おおつき委員 やはりいつもこの議論の最初に、必ず議論で出てくるのが、私は、日本に来る、来にくい理由の一つに、言語の壁があるところなんだと思うんですよ。
世界的に見ても、やはり日本語というのは私はすごく好きで美しい言語だと思うんですけれども、世界の人口が約八十億人いる中でも、今、日本語を話す人たちは約一億二千六百万人程度と言われております。対して、中国語とか英語というのはそれぞれ十一億人ずついるんですよね。やはりそうなると、日本語を話す条件が一つとなって入ってくるというのは、やはりかなりハードルが高い。
つまり、人手が足りていないといっても、海外から来日してすぐにコミュニケーションが取れないというデメリットがあると思いますし、特に人手が足りない地方では、こういった言語のハードルは東京に比べて高くなってしまいます。ゆえに、高い日本語能力が必要となってしまうんですけれども。
まず、入管庁に伺いたいんですけれども、今回、現在は技能実習二号を良好に修了した実習生は無試験で特定技能一号に移行できますが、育成就労から特定技能一号に移行するには必ず日本語試験に合格しなければなりませんけれども、この点に関してどのように思われますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の特定技能制度では、技能実習を経て特定技能一号に移行する、いわゆる技能実習ルートの場合、技能評価については、技能検定三級等に合格せずとも、二号実習を良好に修了した場合、特定技能一号の在留資格が取得可能としております。
このように、良好に修了でもよいこととしたのは、三年間の技能実習の実施により特定技能一号の技能水準の人材となり得ることを前提に、試験不合格となった外国人に酷な結果となりかねないという観点を踏まえたものでございます。
しかし、有識者会議での議論も踏まえ、改めて検討した結果、技能を修得していることについて適正な評価を行うべきと考えられたこと、分野ごとの育成プログラムの策定によって育成の適正化を図ることや、不合格の場合の期間延長の救済措置を設けることで、試験合格を要件としても必ずしも外国人にとって酷とならないことから、育成就労を経て特定一号に移行する場合には、技能検定三級等の技能の要件、また、日本語についても試験の合格を要件とすることを予定しているところでございます。
○おおつき委員 時間が大分来ているので、最後に、国や地方自治体が日本語教育の環境整備などの支援を行うことも私は必要かと思います。だからこそ、是非、そういったことの支援も含めて検討いただきたいと思います。
先ほど文科省さんに求めた件について、私の質問時間内に資料が手に入らなかったようなので、後日、個別に、理事会の方に提出をいただきたいと思いますけれども、委員長、よろしいでしょうか。理事会に提出で。個別に御回答でもいいんですけれども。
○武部委員長 個別に。
○おおつき委員 個別に御回答をお願いします。
質問をあと二つ、準備していただいたんですけれども、私はこの質問で終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○武部委員長 次に、鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。
午前中もいろいろ議論があったかと思うんですけれども、率直な感想として、今回の法案がこれまでの内容を追認している、大枠も中枠もそのままで、小さな部分が改正されただけではないかという印象を持っております。
技能実習制度で問題視された外国人の人権とか快適な労働環境の確保、そしてさらには、海外からやはり、日本に、働きに行きたい国としてアピールするには、これをもってするのは大変厳しいかなと。
特に、送り出し機関、監理機関、育成就労は別として、ここに、派遣の場合は派遣の元請、さらには派遣先と、幾つ入ってそれぞれ利益を入れているんだろうかと考えたときに、情緒的な言い方になって本当に申し訳ないんですけれども、制度に関わる皆さんに、一人の人間として、この政策が正しいか考えていただきたいんですね。
僕の中のイメージですよ。発展途上国に生まれて、国内ではなかなか成功できないけれども、自分を変えたい、そして子供や家族に少しでも明るい未来をと考えて、親族でお金を集めるけれども、そこでお金を集め切れなければ、利息のかかるところからお金を集めてくるわけですよね。多額の金、借金を抱えて、ようやく不安と一緒に日本に来る。
また、先日、移住連の皆さんからお話を聞いたんですけれども、何でこんな給料が安くて搾取されるような国に皆さん来るんですかねと聞いたら、一番多い答えが、やはり日本はすてきで安全で住みやすい国だからって。大好きなんですよ、この国のこと。皆さん、だから来てくれるんですよ、この給料で。本当にありがたいと思います。
でも、実際に来たら、円安で思ったより手取りも少なくて、全てではないですけれども労働環境も悪い。一生懸命働いても、なかなか仕送りも貯金も、更に自分の娯楽もできるお金がたまらない。でも、借金があるから帰れませんよね。ようやく技能実習が終わる頃になって、前回、法務委員会でも指摘させていただいたんですけれども、年金の払戻しが数十万戻ってくることすら知らされず、かつ、次のキャリアも見通せず、逃げ出して、どこかで働いて、最後は犯罪者として帰っていく人もいる。
自分が日本で過ごした時間は何だったんだろうと後悔するようなことはしてほしくないんですよね。本当にこんなことをやっていちゃ駄目だと思います。彼らも、私たちと同じ夢を見て、家族を愛する人間ですから、頼むから、微細な変更を繰り返して、お茶を濁して、一部のシステムを守り切るような政策ではなくて、もっと情と道徳のある政策に大きな転換をしていただきたいと改めてお願いを申し上げます。
変更が加えられるたびに適切、適切とおっしゃるんですけれども、仮に今回の法案が通ったら、運用面で相当法務省は頑張らないと、日本の外国人政策は引き続き足踏みが続いていくんじゃないかなということを改めて申し上げた上で、質疑に入らせていただきたいと思います。
まず、育成就労と特定技能について伺わせてください。
入管法第二条の三第四項なんですけれども、特定技能について知見を持つ者、育成就労法第七条第四項でも、育成就労について知見を持つ者の意見を聞かなくてはならないとあるんですけれども、この法務委員会でもお伝えしたんですが、これまでの有識者会議のメンバーって、実際に現場の実習生の代表と思われるような人って一人もいなかったと僕は思っているんですね。いないですよね、恐らく。いわゆる偉い人はいっぱいいるんですよ、有識者会議に。
しかし、フェイスブック上にベトナム人実習生のコミュニティーがあって、連絡を取り合っていて、ここに六千人も七千人もいるわけですね。ここは隠す様子もなく、夜の仕事の募集とか、仕事の募集の広告とか載っているわけですよ、コミュニティーが。
こういうところに何が書かれているのかしっかりチェックして、現場で何が問題になっているかリアルタイムで把握できるような人だったり、あとは、これも皆さん御存じだと思うんですけれども、ベトナムの実習生って、皆さん自分をボドイと言うんですね。これは兵士という意味です。兵士とか戦士。悲しい示唆ですよね、何で自分たちが兵士だと言うのか。こういう現場が分かっている人が本当に有識者と呼ばれる人たちにいるのかというのが僕の大きな疑問です。
例えば、何百人の実習生を見てきた行政書士さんとか、そういう現場のきつさを本当に見てきたような人たちをしっかりメンバーに入れていっていただかないと、本質的な解決につながるアイデアとかって出てこないと思うんですけれども。
まず伺いたいんですが、こういう今の有識者会議のメンバーで納得していますか。それとも、もっと替えて、現場を分かっている人に替えていかなくちゃいけないという問題意識はございますでしょうか。
○小泉国務大臣 御指摘の点、よく分かります。有識者会議の具体的メンバーは法案成立後選定作業に入りますが、その中で、今御指摘いただいた、現場を知っている人、現場の痛みが分かる人、それを伝えられる人、そういう観点をしっかり取り入れたいと思います。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
その観点を取り入れると大臣にはっきりと発言していただいたというのは大変ありがたく、次につながることだと思うんですけれども、是非よろしくお願いを申し上げます。
監理支援機関と受入れ機関についても伺わせてください。
今回の法案の目玉の一つでもある転籍なんですけれども、私、先日、本会議場で質問させていただいたときに岸田総理は、転籍の申出があったときには関係者との連絡調整など適切な措置を取るとおっしゃっていただきました。
ただ、これも以前指摘したんですけれども、監理機関は自分のところに外国人がいる限りは毎年の監理料をもらえますけれども、仮に転職をされてしまってほかのところに行かれてしまったら、これはお金が取れなくなるわけですよね。そんな中で、本当に、転職したいのね、自分に合う新しい職場で頑張ってねと快く送り出すのかと思うと、気持ちよく送り出してもらうためにいろいろやっているとは思うんですが、具体的にどのような対策を取っていらっしゃるんでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度におきまして、育成就労外国人が転籍を希望する場合には、育成就労実施者、監理支援機関、外国人育成就労機構のいずれかにその旨を申し出ることができることとしてございます。
監理支援機関は、この申出を受けた場合、育成就労実施者や外国人育成就労機構といった関係者間で情報の共有を図りまして、当該申出をした育成就労外国人に対しましては、ほかの育成就労実施者又は監理支援機関その他関係者との連絡調整や、他の育成就労実施者等への転籍先の職業紹介など、外国人が引き続き育成就労を行うために必要な支援を行うこととしてございます。
○鈴木(庸)委員 何かちょっと分かったような分からないような答えなんですけれども、要は、情報をシェアするということなんですね。情報をシェアすることによって、例えば、あそこの監理機関が自分のところから人を失いたくないから情報を隠しているみたいなことは絶対にないようにする制度が整っているという理解でよろしいんでしょうか。
○原口政府参考人 監理支援機構の外部監査等を強化することによりまして、中立性、独立性を担保する観点から、そのような形でしっかりと行っているのかということについて確認していくということは考えてございます。
○鈴木(庸)委員 ごめんなさい、外部監査の話を聞いているのではなくて。じゃ、Aさんという外国人の方が、転籍をしたいと育成就労機構に申し出る。申し出たときに、はい、この人が転籍をしたいと言っていますよということを、そのまま同じ監理機関で、所属しているほかの企業とかにあっせんされるというケースも出てくると思うんですけれども、ちゃんと彼が、彼でも彼女でもいいんですけれども、ほかを経由して違う監理機関に移ったとしても、しっかりとその転職のチャンスを得ることができるように担保するシステムはどうなるのかという話を伺いたいんですけれども。
○原口政府参考人 申し訳ございません。お答えいたします。
これらにつきまして適切に行わない場合につきましては、その許可を取り消すなどの必要な措置を講ずることとしてございます。
○鈴木(庸)委員 要は、罰則をもって必ずやらせる、そういう理解でよろしいわけですね。うなずくだけで結構です。罰則をもってということですね。はい、分かりました。
しっかりとそこをやっていただいて、転籍をしたいと言った瞬間にまた不当な扱いを受けるとか、こういったことがないような制度にしていかないといけないというところが一点と、更に申し上げると、転籍前の受入れ機関が、これは午前中でも質疑にあったかと思うんですけれども、受入れ機関がその労働者を迎えるために払った初期費用のうち、転籍後の機関にも負担させるべき費用について、転籍前の受入れ機関がその正当な補填を受けられる仕組みをつくると総理からも答弁があったと思うんですけれども、国がこの仕組みをきっちりつくっておかないと必ず相当もめると思うんですね。
裁判所にお任せとなってしまわないようにする上で、どのような指針で運用していくんでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度におきましては、本人の意向による転籍につきまして、転籍前の受入れ機関が負担した初期費用等が正当に補填される仕組みをつくることとしてございます。
この点につきまして、初期費用の補填のための計算方法につきましては、具体的な金額や負担割合が曖昧な場合、当事者間の折り合いがつかず、円滑な転職が阻害される懸念がございますので、例えば初期費用の標準額等をあらかじめ定めて公表し、転籍後の受入れ機関が当該基準に沿った支払いを表明するということによって転籍を認める制度としていくことを検討してまいります。
また、初期費用の負担についてでございますけれども、在籍期間に応じた単純按分ではなくて、当該外国人材の能力や生産性は就労年数に応じて向上していくことなども想定されますので、転籍先の負担割合が大きくなるような傾斜をつけることなども検討してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございました。
しっかりと数字が出てくる、国から大方針が出るということなので、納得をいたします。
先ほどの外部監査人なんですけれども、外部監査人が具体的にやる役割というのをまず簡単に説明していただきたいのと、どんな人が外部監査人にふさわしいというか、どんなイメージを持っていらっしゃいますでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
冒頭、ちょっと申し訳ございません。先ほど罰則ということでございましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、許可の取消しで対応するということでございます。申し訳ございません。
それでは、お答えいたします。
本法案では、監理支援機関の中立性や独立性を担保する観点から、役員の監理支援事業に係る職務の執行の監査を行う外部監査人の設置を義務化するということとしております。
この外部監査人についてでございますが、本法案では、監理型育成就労実施者と密接な関係を有しない者であって、職務の執行の監査を公正かつ適正に遂行することができる知識等を有すること、役員の監理支援事業に係る職務の執行の監査を行わせるための措置を講じていることといった要件を設けているところでございます。
このうち、監査を公正かつ適正に遂行することができる知識等を有することとしては、所定の講習の受講などを受けるほか、労働関係法務や監査業務等に一定の知見を有すると考えられる弁護士、行政書士、社会保険労務士といった国家資格者であることを要件とすることを検討してございます。
また、役員の職務の執行に対する監査につきましては、受入れ機関と密接な関係を有する役職員による業務の関与を制限することから、外部監査人はこのような制限が守られているかを適切に発見するなどの役割も期待されているところでございまして、このため、外部監査人による監査は、より監査支援機関から独立し、中立的な立場から行われることが期待されておりまして、そのために必要な監査の要件等につきまして、制度関係者等の意見にも耳を傾けつつ、検討してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(庸)委員 外部監査をどれだけ厳しく正確にやるかというところが大変大きな問題になってくると思うんですけれども。
あと、転籍なんですが、外国人が仕事を探すときに、いわゆる公的機関であるハローワークと外国人育成就労機構が連携して対応するともしているんですが、それなら最初からハローワークにその機能を持たせてはどうなのかと思うんです。なぜ、とにかく中にいろいろ入れようとするんでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度におきましては、幅広い相談先を確保し、転籍支援の実効性を高めるため、監理支援機関や外国人育成就労機構だけではなく、ハローワークにおいても職業相談、職業紹介等を行うこととしてございます。
一方で、転籍支援に当たりましては、育成就労外国人、受入れ企業、送り出し機関といった関係者間の調整などが必要となるところ、迅速かつ円滑な転籍支援を行うためには、これら関係者と日常的にやり取りを行っている監理支援機関が中心となって支援することが合理的と考えているところでございます。
○鈴木(庸)委員 ハローワークにその機能を持たせた方がよっぽど合理的だと僕は思っていますけれども。
大臣に伺いたいと思います。外国人が転籍をできるということで、ハローワークに外国人が直接問合せすることができるけれども、ただし、その外国人がハローワークでAという会社を探し当てた、でも、それが監理機関の傘下に入っていなければ転職もできないというところで、転籍してもいいけれども、でも、監理機関の手が及ばないところに行くんじゃないぞみたいな、そんな制度設計になっているような気もするんですけれども、転籍ということについて、大臣、どういった見解をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
○小泉国務大臣 いろいろなケースがあり得ますけれども、やはり、この分野にある程度習熟した主体が間に入って、きめ細かく、また速やかにマッチングを行っていく必要が私はあると思います。
ハローワークの力もかりながら、しかし、今までの業務の流れに精通している関係者が、引き続き、民間において引き続きマッチングを行い、また指導を行い、そのフォローアップをしていく。大きく申し上げれば、そういう仕組みが今のところふさわしいというふうに思っています。
○鈴木(庸)委員 とはいえ、業務の流れに精通している別の機関をつくらなかったのがここの歴史ですよね、これまでの。結局、今までと同じような仕組みを残したまま、そのまま、ほとんど大きな違いもなく、追認して、次の制度に動いていく。
問題の本質は、業務の先ほど大臣のおっしゃった大きなところをできる機関なり、ものをもう一つつくって公正性を担保していかなくてはいけないということを、改めてちょっと私の感想として申し上げたいと思います。
次に、永住権の取消しについて聞かせてください。
公租公課の定義を、まず教えてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
改正後の入管法第二十二条の四第一項第八号における公租とは、所得税、住民税等の租税全般をいい、公課とは、租税以外の公的医療保険、公的年金などの公的負担金のことを指しております。
○鈴木(庸)委員 確認ですが、年金も保険も入るということでよろしいんですね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
したがいまして、国民年金、厚生年金といった公的年金の保険料、あるいは国民健康保険等の公的医療保険の保険料は、公租公課に含まれるものと考えております。
○鈴木(庸)委員 こういう話があるんですね。コロナウイルスの緊急小口資金等特別貸付け、これは、私の知人もシェアハウスを運営していて、ここに住んでいた外国人への督促状だけで、黄色い封筒が二十とか三十とか積み上がっているんですけれども。
実際、二〇二三年の返済予定額は、返済率が三七%にとどまるといったところの報道もあったんですけれども、緊急小口資金等特別貸付けの償還については、公租公課に入りますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの生活福祉資金貸付制度に基づく緊急小口資金等の特例貸付けの償還は、公租公課に含まれないものと考えております。
○鈴木(庸)委員 含まれないんですね。ありがとうございます。
当たり前と言ったら当たり前の話なんですけれども、生活に窮して支払いの優先順位をつけなくてはいけなくなると、どれを払って、どれを待ってもらうかといった判断をしなくてはならないので、ここがクリアでないと、永住権を取り消されそうな人はどうしていいのか、動きようがないと思うんですけれども。
個別の場合で悪質性を判断するとあるんですけれども、改めて、悪質性とは、何をもって悪質なんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
永住者の在留資格の取消しの要否につきましては、個別の事案の具体的状況に応じて判断されるものであるため、一概にお答えすることは困難でございます。
その上で、在留資格の取消しに当たりましては、入国審査官等による事実の調査を行うほか、取消しの対象となっている外国人からあらかじめ意見の聴取を行うとともに、証拠提出の機会を与えるなど、対象者の権利利益に配慮した適正な手続を保障してまいります。
○鈴木(庸)委員 先ほど、おおつき議員からの御指摘もあったんですけれども、ここも大変巨大な裁量行政の闇が潜んでいる気がいたしまして、何をもって悪質なのかというのは人によって大分判断が違うと思うんですけれども、ある程度明確なものを出していただかないと、やはり国会でもずっと聞き続けなくてはいけなくなってくるところなのかなと思っております。
その延長で、家族の呼び寄せについても教えてください。
今回の法案では、最初の八年間は一人で働く、日本に家族を呼び寄せることができるのは八年後からで、一人で出稼ぎに来ている人といっても、大体給料の一か月分ぐらいの航空券のお金がかかるわけですから、なかなか帰ることも難しい。八年たってようやく、そこから更に五年たってようやく永住権。このたてつけが、今後、外国人に魅力的な国たり得るかという問いに対して、総理は、扶養能力や受入れ環境の観点から家族の呼び寄せには慎重な対応が必要としているわけですね。
ここもまたちょっと漠としたところがあって、家族の呼び寄せについての扶養能力というものについて、具体的な指針を示していただきたいと思うんですね。その見解を伺いたいと思います。
そうすれば、例えば、今回の育成就労というのは一応転籍ができるわけですから、転籍をする最大のモチベーションの一つは、やはり給料のアップだと思うんですよ。仮に給料八百万円、独身、一人の人が八百万円あって、子供も奥さんも連れてこられるような給料があるのに連れてこられないというよりも、これぐらいの年収まで行く転籍をすることができれば恐らく家族を連れてこられるんだなという方が、はるかに外国人を引き寄せる力になると思うんですが、その辺の見解を伺えますでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労、特定技能一号につきましては、一定期間の在留後、出国することが予定されているという在留資格の性格上もございまして、総理答弁もございましたとおり、家族帯同を認めにくい中、本人の扶養能力や家族の受入れに要する社会的コスト等の観点を踏まえた慎重な検討が必要と考えているところでございます。この点につきましては有識者会議の議論もあったところでございますけれども、その結果も踏まえて、こういう案で提案をさせていただいているところでございます。
○鈴木(庸)委員 そもそも論ですけれども、今、御自身で、皆さん、考えていただきたいんですけれども、八年間家族と離れ離れになるような覚悟で永住権を目指す人っていると思いますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
個々の外国人の皆様の御判断ではございますけれども、この前の育成就労制度の報道がされている中においては、永住の道が開かれたというようなことを御発言なさっていた外国人の方もいらっしゃったというふうには承知しています。
○鈴木(庸)委員 方もいらっしゃるって、なかなか探すのが大変そうですけれども、そんな感想を持っております。
そうした大変な思いをしてようやく永住権を取っても、今回、取り消される要件が拡大される。これは、本人の永住権が取り消された場合、御家族、特に子供の在留資格というのはどういう影響を及ぼされるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
在留資格の取消し又は職権による変更の対象となった者の家族の在留資格につきましては、当該家族が現に有する在留資格によって対応が異なるものと考えております。
一般論として申し上げれば、例えば、当該家族が永住者の在留資格である場合は、引き続き永住者の在留資格のまま在留することになると考えております。
他方で、例えば、取消し又は変更となった者の配偶者が永住者の配偶者等の在留資格である場合は、永住者の配偶者等の身分を有する者でなくなることから、別の在留資格に変更する必要が生じます。その場合、例えば、永住者本人の変更後の在留資格が定住者である場合は、当該家族についても定住者に変更することになるものと考えております。
いずれにしましても、個別の事案に応じ、永住者本人及びその家族の我が国への定着性に十分配慮して、適切に制度を運用してまいります。
○鈴木(庸)委員 御家族に影響しちゃうんですよね、結論から言うと。大変慎重な運用が求められるところだと思います。
次に、在留読み取りアプリケーションについて伺わせてください。
実はスマホで今在留カードをやるといろいろ情報が出てくるんですけれども、これは皆さん、アプリをダウンロードしていただければ、すぐどんなものか分かるんですけれども。現在は、改ざん検証と発行元検証が行われているということなんですけれども、これはマイナンバーカードと一体化した場合は、どこまでの情報がそこに表示されることになるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
在留カード等読取アプリケーションでは、特定在留カードのICチップ内に記録された在留カードに係る情報である顔写真や氏名などを、スマートフォンなどの画面に表示させることを検討しております。
なお、本アプリは、マイナンバーカードの情報を読み取るものではないため、マイナンバーが表示されることにはなりません。
○鈴木(庸)委員 その確認をさせていただきたかったです。
もう一度確認させていただきたいんですけれども、誰が誰の携帯でその身分を確認されたとか、マイナンバーの情報については一切記録されない、保存されないという理解でよろしいですよね。はい、うんでいいです。
ただ、在留カードの方の情報についてはちょっと、昨日のレクだと一応残らないという話だったんですけれども、コンピューター上のどこかのデータのところには残ってしまうのかなとも思うんですけれども、この情報についても適切な管理をお願いしたいと思います。
あと、空港で在留カードを受け取って、市町村にマイナンバー一体型の請求を行って、さらに、それができ上がったら取りに行く。個人情報をさらすだけなので、外国人にとって余りインセンティブがないというところで、国民健康保険と一体化されたとしても、保険に入らない外国人も数多くいるということも本会議で指摘させていただいたんですが。例えば、せめてものインセンティブとして、空港で一括して渡す、そういったことについては御検討されていますでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の在留カードは、在留管理制度の根幹を成すものであることから、外国人の新規上陸時から継続的な在留管理を可能とするため、空港で即時に発行しております。
マイナンバーカードの交付を受けるためには住民基本台帳に記録されることが必要ですが、外国人が空海港で上陸を許可された段階では、いまだ住民基本台帳に記録されておらず、マイナンバーカードの交付要件を満たしておりません。そのため、空海港において新たに入国する外国人に特定在留カードを交付することは困難な状況でございます。
○鈴木(庸)委員 となると、やはりほとんどみんな作らないようなことになってしまうんじゃないかなと思っております。別に空港で渡すということだけじゃなくて、とにかく何らかのインセンティブがないと、日本人ですら作っていないわけですから、そこはしっかりお願いしたいと思います。
ちょっと強制帰国についての問いを飛ばさせていただいて、最後に大臣に伺わせていただきたいと思います。
重ねてになるんですけれども、結果的には、大枠では、外国人と受入れ企業の間に幾つもの機関が存在するという形は残ることになってしまった。これだけ批判があるのに、この仕組みは残った。多くの人の認識として、物事は変わらないだろうと。結局、外国人は搾取され続けて、また問題が大きくなったときに小規模な変更を繰り返すんじゃないか、抜本的な解決にはほど遠いんじゃないかという指摘がいろいろなところから出ておりますが、そのことについての大臣の見解を伺わせてください。
○小泉国務大臣 この育成就労制度は、様々なお立場の方が全国で様々な営みをし、また、転籍をするという形で新たなマッチングというような業務も増えてまいります。それを、じゃ、誰がどうやれば実現できるか、やはり誰かが介在をしなければマッチングはできないし、フォローもできない。ただ、その一つ一つのプレーヤーの適正性、そして、そこで行われる行動、業務の適切性、そういったものは厳密に、厳格に担保する必要があると思いますけれども、この仕組み自体が誤っているというふうに我々は思っておりません。
改善すべき点は、そこは謙虚に受け止めて改善はしてまいります。不断の努力はしてまいります。しかし、多様な動きができるのはやはり民間の機関だと私は思います。その点を御理解いただければと思います。
○鈴木(庸)委員 在り方については引き続き問うていきたいと思います。
終わります。
○武部委員長 次に、空本誠喜君。
○空本委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、空本誠喜でございます。
本日は質問の機会をいただきまして、皆様に感謝を申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきます。
今回の外国人の育成就労制度への移行に係りまして、まず、特定産業分野のうち、なぜ繊維業が工業製品製造業分野への取り込みが遅れたのか、追加が遅れたのか、法務大臣と経済産業省より、それぞれお答えをお願いいたします。
○小泉国務大臣 特定技能制度の受入れ対象分野の追加、これについては、基本方針に基づいて、まずは、分野を所管する省庁において、現場の意向や経済団体等の意見を踏まえて検討が行われます。その結果を受けて、法務省等の制度所管官庁において追加の適否についての検討が行われ、その上で、追加が適当であると認められる場合には追加の閣議決定を行う、こういうプロセスでございます。
お尋ねの繊維業の追加でありますが、業を所管する経済産業省において検討がなされ、その後、同省からの要請を受けて、制度所管官庁において、我が法務省を含め、検討した結果、本年三月、閣議決定に至ったものでございます。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
繊維業は、従前、厚生労働省から外国人技能実習に関する法令違反が多いと指摘され、適正な技能実習の実施がなされていない状況であったことから、二〇一九年に特定技能制度を創設する際には、同制度の対象となる特定産業分野とすることは見送ることとした次第でございます。
こうした状況を適正化するため、経済産業省は、二〇一八年三月に日本繊維産業連盟と共同で、技能実習法に基づく事業協議会として、繊維産業技能実習事業協議会を設置いたしました。同協議会におきまして、繊維産業における外国人技能実習の適正な実施等のための取組を定めた上で、非加盟企業に対する働きかけを含め技能実習制度の適正利用を進めてまいりました。
さらに、日本繊維産業連盟は、国際労働機関と連携し、繊維産業における企業行動ガイドラインの作成、周知及び企業行動実施宣言の実施や取引の適正化等、繊維業界全体の信頼回復に向けた取組を業界一丸となって進めてまいりました。
こうした取組の結果、外国人技能実習に関する法令違反の状況が改善してきていることなどから、今般、特定産業分野である工業製品製造業分野の中に繊維業が追加されたことと承知しております。
○空本委員 ありがとうございます。
それでは、配付資料のまず1を見ていただきたいんですが、1の上段に「繊維業における特定技能の受け入れに係る追加要件(案)」ということで、これも三月二十九日に経済産業省から出されたものでございます。
ここに書かれているのは、今説明があったとおり、繊維業の技能実習制度において、時間外の労働に対する賃金不払い等の違反が多いこと、そういったことが書かれていまして、繊維業においては追加要件を要すると書かれているんですけれども、実際はどの程度繊維業が賃金不払いが多かったのか、本当ならば他の産業との比較検討をお願いしたいということで、質問取りの際にはそうお願いしていたんですが、なかなかそれは簡単ではないということでございます。
実際は、そういった比較検討した上で、本当に他の産業と、そういった違反等が多かったのかどうか、それをまず見た上でいろいろ検討すべきだというふうに私はまず進言したいと思います。
そこで、繊維業の不払い賃金、どの程度多いのか、また、違反件数並びに外国人受入れに対する発生件数、その割合について、定量的な御説明を経産省からお願いいたします。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
繊維・衣服関係では、令和五年末時点で二万五千六百五十人の技能実習生の外国人を受け入れております。
また、厚生労働省の「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況」によれば、繊維・衣服関係の技能実習において割増し賃金の支払いを事由として違反を指摘された事業場数が、令和二年は百十、令和三年は九十六、令和四年は八十二となっており、三年間の累計違反事由として最大となっております。
○空本委員 その件数は分かるんですが、それが本当に他の産業とどのぐらい違うのか、それを判断しなかったら、実際ここに書かれている、他の産業と比較してと書いていませんけれども、違反が多い少ないということを語ることはできないと思います。
経済産業省、これは事務方の方に、これまで数か月、この問題についてお話をさせていただきながら、また、法務大臣の方にも予算委員会で質問させていただいたりしております。やはり、ここは定量的な評価というものをしっかり経済産業省の方にはお願いして、書きっぷりについても、定性的な書きっぷりではなくて、ある程度定量的な判断に基づいた書きっぷり、こういったものをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
そして、ここに書かれています追加要件でございますが、国際的な人権基準遵守、勤怠管理の電子化、パートナーシップ構築宣言の実施、そして特定技能外国人の給与の月給制、こういったことが追加要件とされているんですが、これは、今回、育成就労で、技能実習で入ってこられる全ての外国人の方々に対してやるべきだと思います。どれも当たり前のこと、若しくは中小企業はできないこと、その辺を踏まえて共通要件とするべきではないか。若しくは、後から言いますが、月給制というのは中小企業の場合は厳しいかもしれません。そういったことも踏まえて、この追加要件というのは全分野においてやはり展開するべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
繊維業の上乗せ要件は、先ほど申し上げましたとおり、技能実習制度におきまして時間外労働に対する賃金不払い等の違反の割合が特に大きいという実態を踏まえ、違反をなくし、適正な制度運営を推進するため、上乗せ要件を設定することとしたものでございます。
委員御指摘の、ほかの業種への上乗せ要件の適用につきましては、全受入れ事業者が加入している製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会における事業者向けセミナーの実施や相談体制の構築等を通じて、まずは制度の適正な運用に努めたいと考えております。その上で、制度の適正な運営に必要な場合には上乗せ要件につきましても検討してまいりたいと考えております。
○空本委員 今、違反の割合が多いと言ったんですが、本当に多いんでしょうかね。そこは本当ですか。違反の割合が多いとおっしゃったんですか。
○橋本政府参考人 違反の件数が多いということでございます。
○空本委員 やはりこれは違反の割合として正しく評価するべきであるということを進言させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
今後、書きっぷり等には、もう事務方の方はよく分かっていらっしゃって、私もすごくいろいろお願いして、今回の質問に当たっても丁寧に、皆さん、各省庁さん、対応していただいていますので、分かっていらっしゃると思いますので、その辺、是非よろしくお願いいたします。
そして、この追加要件のうち、四項目ありまして、まず、その中で、二項目めと四項目め、勤怠管理の電子化そして給与の月給制、これについて、本当に中小企業はできるのかな、若しくは、様々な業種でできるのか、私は心配でございます。そういった意味で、経産省としてこの2、4について具体的にどのように考えているか、御説明をお願いします。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員御指摘の勤怠管理の電子化につきましては、手作業を介在させずにタブレットやICカード等を活用して電子的に勤怠管理を行っていただきたいと考えております。これにより、確実に時間外労働に対する割増し賃金を支払うこととなると考えておるところでございます。
なお、中小企業が労働生産性向上に向けて勤怠管理システム等のソフトウェアを導入する際にはIT導入補助金を活用できることから、そういったものにつきましても広く広報を行ってまいりたいと考えております。
また、外国人の給与の月給制につきましては、日給制と月給制の併用とした場合、労働者としては、毎月の給与が変動し、特に日本に生活の基盤がない外国人労働者にとっては、生活が不安定となるため、安定的かつ確実に給与が支給されるとの観点から、月給で雇用契約をすることを要件としたものでございます。
○空本委員 今私の手元に、地元の、外国人を雇用していますといいますか、受け入れている会社の皆さんから、何社かといいますか、十社以上から意見をいただきました。さっきファクスが入ってきました。その中で、この問題に対して、電子化するような知識も資金もない、そんな暇があれば仕事をする、賃金の計算、事務的なことは小規模事業者はアナログでの計算が実態、賃金のごまかしはしてはいけない、それを分かっている、ならば、労基署や、そういった監督をしっかりしていただければいいんじゃないか、そういった意見が来ています。これは生の意見です。これを理解した上でこの制度の構築をしない限り、この制度は崩れますよ。
事務方の方、現場を歩いていらっしゃるというふうに聞きました。確かに、歩いていらっしゃって、優良企業、まずい企業、いろいろあるということも確認されているのは分かりますが、本当に現場の生の声、ここに今、四ページございます。後で事務方の方にお渡ししたいと思うんですが、こういった意見をしっかり酌んでいただきながら、現場に合った形での要件、こういったものにしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 制度の運営に当たりましては、そういった声も踏まえ、しっかり対応してまいります。
○空本委員 是非よろしくお願いいたします。
続いて、外国人育成就労制度、また、この前の技能実習制度、外国人の雇用を増やす、これは、今日午前中の大臣の御発言、多様性というか、そういった意味で私も賛成でありますけれども、まずは日本人の労働者を増やすべきではないのかな。
若しくは、今、完全失業率が二・六%でございます。配付資料の1の下段、完全失業率と有効求人倍率、一九四八年から二〇二三年の年平均が示されています。そのうち、棒グラフが完全失業率でありまして、私が生まれた一九六五年前後は一%ぐらい、そして二〇〇〇年とか二〇一〇年は様々な問題で五%。一%から五%の完全失業率、現在は二・六%。
今現在、完全失業率の中で二十五歳から四十四歳の人口は約七十万人おります。そのうち、病気とかで働けない方もいらっしゃると思います。けれども、この働き世代、二十五から四十四歳で七十万人のうち、せいぜい五十万人、六十万人働いていただければ、まず、今回求めている、八十二万人ということを午前中の御発言等、質問等ではございましたけれども、ある程度クリアできるんじゃないかな。まずは完全失業率を一%ぐらい目指して頑張って皆さんに働いてもらえる、そして日本人の就労を増やす、こういったことが大事じゃないかと思うんですが、経産省、農水省、国交省、いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
特定技能制度は、国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に限り外国人を受け入れるものと承知いたしております。
経済産業省といたしましても、今回、特定分野である工業製品製造業分野へ業種を追加する際には、賃上げや処遇改善に加え、例えば重作業軽減のためのロボットの導入など、国内人材の確保に向けた取組を行ってもなお人手不足が解消しない状況であることを確認いたしたところでございます。
このように、経済産業省としても、日本人の就労が増加していくことは適切だと考えておる次第であります。
○空本委員 外国人の皆さん、私も実はベトナムの方々と仲よくさせていただいています。実は、ベトナムから来ている広島大学の教授と一緒に組んでベトナム日本専門家協会というのをつくって、これも、この間、前国家主席がいらっしゃいましたが、国家主席公認で動かしている協会でございまして、二月にテトの会を東広島市で行いまして、約二百人ぐらい、東広島市で働いていらっしゃるベトナムの方々に来ていただいて、一緒にお餅とかを食べながらいろいろ交流をさせていただきました。
そういった意味で、外国人の方を受け入れるといいますか、来て、本当に一生懸命働いてくださる方々がたくさんいらっしゃいますので、そういう方々を私も容認いたしますけれども、まずは日本人が働き、そしてその中で足りない方々というか、日本でもっともっと、外国人で有能な方々がいらっしゃいますので、そういった方々にどんどん日本に入っていただく、そういう働き方があるんだろうと思うんですが、この一番の問題というのは、労働集約型の産業において労働力が不足しているということを、過去の外国人研修制度から始まって、そして、三Kと言われたきつい仕事に対して、中小企業は人手不足、そこで、外国人技能実習制度、これに狙い撃ちをしてつくってきた、そういう制度であって、まさにこれまでの制度は、短期就労外国人受入れ制度という表現がぴったりで、短期就労を目的としたものであります。長期に働いていただいて特定技能二号の方に行っていただくのはいいんですが、元々の考え方を大きく変えなきゃいけない。
これまで、戦後、経済成長を基に労働集約型産業、農業、実は私、資料の裏側、2を見ていただいて、空本誠喜事務所、私の事務所におきましては、できるだけ知識集約型の業務をしたいんですが、日々、国政を目指して、二〇〇三年ぐらいから、労働集約型の業務をしなきゃいけない。くい打ちをしなきゃいけない。ポスターを貼るに当たっては、一生懸命穴を空けて、くいを打って、そして草刈りをして、田畑にポスターを立てさせていただく。本当に、農家の方々がやっている作業を私自身もやっていますし、まだやっています。(発言する者あり)皆さんやっていらっしゃるんなら、もういいですね。私はこれは得意なんですけれども、くい打ちが大好きで、得意なんですけれども。
そういうことをやっていて、こういう産業から、実は、経済成長において資本集約型に移った。さらに、最近はネット社会に乗って知識集約型に移ってきた。そういったことで、労働集約型産業についての低賃金、これが一番の問題で、今回の育成就労にしても、この根本的な労働集約型産業、そういう産業は日本において大事であって、農業にしろ、製造業にしろ、労働集約型産業はなくなりません。
その産業で賃金が安いから外国人に入ってきてもらったというのがこれまでの制度であります。じゃ、その低賃金問題を何とか解決しなきゃいけない。どうするんでしょうか。でも、これは移民でやるのか、いや、やっちゃいけないんじゃないか、そういうことも考えます。法務大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 まず国内人材の確保に取り組み、それでも人材が集まらない場合に特定技能あるいは育成就労、こういった制度が発動されていく、こういう形でやります。
そうすると、今委員がおっしゃったのは、どうしても生産性の低い仕事が外国人にはあてがわれてしまう、給与が上がらない、そういう矛盾をどう解決するかという、そういうお尋ねでありますね。
これは、日本の生産性そのものを、大企業、中小企業、様々ありますが、底上げしていくしかない、それが唯一の道だと思います。賃金というのは、生産性の上昇に裏づけられて初めて持続的に維持できるものであります。それが日本にはなかった、この三十年間、生産性の上昇が止まってしまっていた、それが大きな現在の経済状況の根底にはあるわけです。
外国人の就労の問題についても同じであると思います。我々の社会経済が生産性を底上げすることができれば、その中の相対的な有利、不利はありますけれども、外国人に十分な給与を払って日本に滞在していただくということは可能であると思います。
なかなか難しい議論であります。所管外ですから、これぐらいで失礼します。
○空本委員 丁寧な御見解、ありがとうございます。
なかなか難しい問題で、農業とか漁業とか、また製造業においても、例えば今言った繊維業なんかも労働集約産業であります。そして、そういう産業については、やはり、例えば製造業の場合、元請に対して要求できないんですよ。ここにも書いています。今日、現場から悲鳴の声的にいただいた紙。今日はこれはないです、後で事務方の方にお渡ししますが。書いていて、なかなか労賃を上げられない、これが現場の声です。すごく生産性を上げてきたけれども、無理なんですよ。そこに来ているんです。
農業だって同じですよ。農業だって、米の値段が三十キロ五千円だったら、誰も農業はできないんですよ。やはり、三十キロせいぜい八千円、六十キロ一万五千円、六千円なければ、収入が入らなければ農業をしないんですよ。そこをもう一回見直さなきゃいけない。戸別所得補償制度、そういったものも含めて、元々の考え方を改めないとこの労働問題は収まりません。是非、大臣、御検討をお願いいたします。
次の問題に行きますけれども、今回、特定技能の移行に際して、特定産業分野への取り込み、四業種ありました。自動車運送業、鉄道、林業、木材産業、ありますが、まず、この四業種において、どのくらい不足していて、そして自動車運送業、バスの運転士さん、これは後から追加させてもらいましたが、タクシー、要は二種免許を持っている方々も入れるのかどうかを含めて、国交省、林野庁からお答えください。
○長井政府参考人 お答え申し上げます。
今回、自動車運送業ということで分野追加ということをお願いしていただいておりますけれども、これにつきましては、バス、タクシーについても含めて、及びトラック、こういうことでございます。
受け入れる特定技能外国人の具体的な業務内容でございますけれども、事業用自動車の運転に加えまして、運転に付随する業務、バス、タクシーにつきましては、運行前後の点検、緊急時の対応、旅客への接遇業務等、それからトラックにつきましては、運行前後の点検、荷積み、荷降ろし等を予定しているところでございます。
なお、先ほど議員より、まず日本人の採用をというような御質問をいただいておりますけれども、この点につきましては、先ほど経産省からも御答弁ありましたけれども、特定技能制度の趣旨、これが、生産性向上や国内人材の確保の取組を行ってもなお人材不足の状況にあると見込まれる産業において活用する、こういう原則がございます。こういった趣旨を踏まえて、私どもといたしましても、しっかりと国内人材の確保については取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
○岸谷政府参考人 お答え申し上げます。
鉄道分野でございます。鉄道分野で受け入れる特定技能外国人の主な業務は、軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、そして運輸係員の五つの業務を予定してございます。
また、人材不足につきましては、今後五年間の輸送需要やそれに伴う施設の保守量等を考慮して、五年後に必要となる従業者数とその時点の従業者数の差分の約一万八千四百人が不足すると推計してございます。
この不足分につきまして、先ほど御質問ございましたが、技術開発等による生産性向上や処遇の改善の取組等による追加的な国内人材の確保等を行ってもなお不足すると見込まれる、最大三千八百人を鉄道分野における特定技能外国人の受入れ見込み数としてございます。
○谷村政府参考人 お答えいたします。
特定技能外国人が従事いたします業務内容につきまして、林業分野におきましては、育林や素材生産に関する作業、木材産業分野においては、製材業や合板製造業などにおける木材の加工などを予定しているところでございます。
この両分野の就業者数の減少が現状の傾向で推移すると仮定した場合に、森林・林業基本計画で設定しております木材供給量の目標、四千二百万立方メートルを確保するために、令和十年度の段階で、林業分野では二万人程度、木材産業分野では五万七千人程度の人手が不足すると推計をしたところでございます。
これにつきましては、先ほど来、他分野でも申し上げているように、まずは国内人材の確保、併せて生産性の向上に取り組むこととしておりますが、そういう取組を行ってもなお不足する人数を受入れ見込み数として設定しており、令和六年度から令和十年度までの五年間の受入れ見込み数につきまして、林業分野では最大一千人、木材産業分野では最大五千人として、これを上限として運用するということで考えておるところでございます。
○空本委員 ありがとうございます。
ちょっと、自動車運送業の中で一問飛ばします。
そして、自動車運送業の中で、外国人の運転免許を持っている方を今回入れるということなんですが、国内の免許に書換えするのは、多分数か月かかるというふうにお聞きしました。その期間の人件費とかは誰が負担するのか。中小零細企業が負担するのか。また、今、運転手さん、二種の方、バス、タクシー、こういった方も入れると言ったんですが、二種の免許を取らせる、その費用負担は誰がするのか。お答えください。
○長井政府参考人 お答え申し上げます。
自動車運送業でございますけれども、これは、バス、タクシー、トラックについてでございますけれども、もろもろの不足分を、生産性向上ですとか人材確保の取組を実施してもなお生じる不足分、二・四五万人分について、特定技能外国人の受入れにより対応したい、このように考えているところでございます。
このうち、これについて、自国での運転免許を取得している外国人につきましては、先生御指摘のとおり、日本の運転免許を取得するということをやっていただく等々必要でございますけれども、こういったところにつきましては事業者が負担をするというところでございます。これは、バス、タクシー、トラック、いずれも同様でございます。
○空本委員 事業者が本当に負担できるのか。大手のトラック運送業とか、二種だったら、二種免許のバス運送業、こういったところも結構厳しい経営環境にあると思います。そういったところが実際に二種免許を取らせるような時間があるのかどうか、その時間、本当に賃金を払うことができるのかどうか、そういったことを踏まえて、実際、本当にできるのかどうかも踏まえて制度設計をしっかりお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
そして、激変緩和措置について、もう時間がありませんので、次にお伺いしたいと思います。
これは国土交通委員会でも確認させていただいたんですが、外国人就労、今回の育成就労制度への移行に関して、激変緩和措置を三年間取る。
二〇二七年からこの制度を進めるとするならば、二〇三〇年まで三年間を想定されているということで聞いておりますが、技能実習制度がその新制度に移行できるのか、国内で。また、もしできないのであるならば、技能実習制度が、その期間、ちょっと減っていくんじゃないかな。そしたら、製造現場とかそういったところで人が減ってしまうのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。法務省からお答えください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案の施行時に技能実習の在留資格で在留している者については、一定期間施行日時点で技能実習一号で在留し又は施行日後に新たに技能実習一号で来日した者については、技能実習二号への移行を認めるとともに、施行日時点で技能実習二号で在留している者については、主務省令で定める一定の範囲内で技能実習三号への移行を認める経過措置を予定しております。
また、本案施行時に技能実習の在留資格で在留している方については、育成就労への在留資格の変更は認めないこととしているところでございます。
委員お尋ねの、それによって入国人数が減るのではないか、人手不足が生じないかという御指摘につきましては、改正案を御了解いただければ、三年近く施行準備の期間をいただく予定にしておりますので、その間きっちり、いろいろ周知をして、技能実習から育成就労制度へスムーズに移行できるような形で対応したいと考えております。
○空本委員 ありがとうございます。
午前中の牧原先生の質疑の中で、技能実習生が一度本国に帰って、育成就労制度でまた再入国することができないというコメントをちょっと聞いたと思っているんですが、それは私の誤解ですかね、どうですかね。そこだけ、ちょっと。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
午前中に答弁しました内容は、例えば、技能実習で三年間ほぼ日本にいらっしゃった方については、一定の技能レベルに達せられているので、育成就労での入国を認めることとはしていないということでございます。
他方、特定技能一号には行ける可能性はございますので、そういう方には是非御利用いただければと思っております。
○空本委員 よく分かりました。ありがとうございます。
とにかく、この制度、外国人の方々をしっかり日本人と同じ雇用にするということで、それは正しい判断であろうと思いますが、事業者の方としては大変つらい環境に置かれる可能性がございます。そういった意味で、事業者の声をしっかり聞いていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、現状の問題について質問をさせていただきたいと思います。
技能実習生の失踪者数は、二〇二二年、九千六人に増えております。失踪者が多い分野は建設、そして農業というふうになっておりますけれども、それぞれの分野でなぜ失踪者が相次いでいるのか、失踪した実習生はどこで何をしているのか、命を落としていないのか、調査分析が必要だということで、四月十六日の衆議院本会議で質問をさせていただきました。
そのときに、岸田総理は、技能実習生が失踪した場合には、速やかに受入れ機関に対して実地検査を実施するなど、失踪の実態や原因の調査に努めているというふうに答弁されました。
そこで、お伺いをいたします。
この間三年間のことでお答えをいただきたいというふうに思いますけれども、外国人技能実習機構が実地検査をした失踪者を出した受入れ機関の数についてお示しをいただきたいと思います。大臣。
○丸山政府参考人 まずは事務当局から御答弁させていただきます。
委員のお尋ねが、失踪者を出した受入れ機関のうち、外国人技能実習機構が実地検査した受入れ機関数という御趣旨であれば、これを集計することはしておりませんが、他方で、外国人技能実習機構では、それが失踪者であるか否かを問わず、行方不明を理由として提出された技能実習実施困難時届を基に、受入れ機関単位で実施した実地検査の状況は集計しております。
この集計によりますれば、実地検査の実施状況等の把握や進行管理に用いるために行っているものであり、日々、記録、数値が更新されるところではございますが、検査数を現時点の速報値で申し上げますと、二〇二〇年分については五千五百二十四件、二〇二一年分につきましては六千四百四十四件、二〇二二年は六千九百六十九件となってございます。
失踪に関する調査につきましては、他の調査との兼ね合いなどから、必要性等を勘案して順次対応しているところであり、失踪が発生した全ての受入れ機関に対して実地検査を行えているわけではございませんが、届出受理後、速やかに賃金台帳等の客観的資料を入手いたしており、未着手の事案はなく、行方不明の発生後の初動調査において必要な措置は講じているものと認識しております。
○本村委員 これは質問しないと出てこなかったんですよね。以前、この数字を出してほしいということを申し上げましたら、失踪者ということで集計は行っていないため提出することができないということですけれども、行方不明は、二〇二二年で六千九百六十九件、実地検査をしている。
私が聞いたのは、失踪者を出した受入れ企業の実地検査は二〇二二年は全部はやっていないというようなお答えもあったんですけれども、もう一度整理してお願いしたいと思います。行方不明者と失踪者の違いも含めてお答えをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
申し訳ございません。以前の説明がちょっと不十分な点があったかとは存じます。
私どもで集計した九千六人、先ほど先生御指摘しました、あくまで入管の方で失踪者ということで集計をさせていただいたものでございます。
機構の方で行方不明者という言い方をしておりますのは、実は、皆さん、企業さんの方から基本的に報告が参りますので、企業から見て行方が分からないという方たちの連絡が来ることになってございます。
その中には、入国予定だったけれども入国していないというような形、例えば本国の方とも連絡がつかなくなっているような方も含めて行方不明という形で企業から報告が、一部、前のものを含めてカウントしているところがございますので、委員お尋ねの正確な数字が出ないのですけれども、近い数字として申し上げたということでございます。
また、先ほど、実地検査数で、準備としましては、失踪事案、行方不明事案がございましたら、賃金台帳等の取り寄せをして何か問題がないかどうかということをまず確認し、その上で実地検査を順次実施しているという順番となってございます。
○本村委員 それでは、もう一つお伺いしたいんですけれども、失踪者を出した受入れ機関を実地検査した結果の法令違反等の状況についてお示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げた実地検査数に対応するものとしての数値を申し上げます。
二〇二〇年分につきましては、検査数五千五百二十四件のうち違反事実を確認したものが一千六百二十三件、二〇二一年の検査数六千四百四十四件のうち法令違反を確認したものが二千百五十三件、二〇二二年の検査数六千九百六十九件のうち違反事実を確認したものが二千四百十三件となっております。
○本村委員 これは行方不明の方ということですから、例えば六千九百六十九件でいいますと、失踪者の九千六人とはどういう関係にあるのか、お示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 申し上げます。
先ほど申し上げたのは、あくまで検査を行った件数でございます。そして、委員御指摘の九千六人というのは個々の実習生の方の累計でございまして、一つの機関から複数の方が所在不明になっている方もいらっしゃったりするものですから、そうすると幾らか差は出てこようかとは思っております。
○本村委員 失踪者数が九千六人ということですから、これに対してしっかりと集計を取っていく必要があるというふうに思っております。
やはりこういう数字をしっかりとつかんでおかなければ、法務省出入国在留管理庁は機構の方にいろいろな業務を委託をしているというふうに思いますけれども、そこがしっかりと役割を果たしているのかということを法務大臣としてもチェックができないというふうに考えますけれども、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
○小泉国務大臣 それぞれ立場において職責を果たしていただいていると思いますが、なお至らない点がないかどうか、これはチェックしたいと思います。
○本村委員 それで、例えば日本とベトナムとの二国間協定、協力覚書を見させていただきますと、これは法務省、外務省、厚生労働省、そしてベトナムの労働・傷病兵・社会問題省というところで、二国間で協力覚書をしているんですけれども、ここで、生じる問題の解決ということで、失踪した技能実習生、この問題を解決するというふうに書いてありまして、日本の省の責務ということで、ベトナムの技能実習生が日本に滞在する間、技能実習生の権利と正当な利益を保護することというふうに書かれておりまして、やはり失踪した技能実習生の実態などをしっかりと調査をしなければ、集計もしっかりとしなければ解決はできないんじゃないですか。大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 正確な件数の把握は大事なことであると思います。しかし、それはそれとして、また、二国間取決めを含めて、今回我々も新しい取組を始めますので、これをしっかりとやり遂げたいと思います。
○本村委員 それで、岸田総理は、技能実習生が失踪した場合には、速やかに受入れ機関に対して実地検査を実施するなど、失踪の実態や原因の調査に努めているというふうに答弁をいたしましたけれども、その失踪者に関して集計もしていないというのに、なぜ速やかにやったということが分かるのか、そして、実地検査を実施したというふうに分かるのか、そして、失踪の実態、原因調査が、なぜ分かるんでしょうか、集計もしていないのに。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
まず、スタート地点としまして、九千六人の失踪届人数と申し上げている数と、機構の方で行方不明としてカウントしている方がほとんど、かなり重なっているという実情がございます。その上で、先ほど申し上げた件数につきましても、進捗を管理する観点から集計をしたものをお答えさせていただいております。ですので、まずは、賃金台帳等の取り寄せは全て着手している、そのうちの、先ほど申し上げた、一定程度、案件については、実地の検査も終了しているということを御説明させていただいております。
○本村委員 それに対して、先ほど法令違反のことを申し上げましたけれども、じゃ、どういう違反があったのかということを具体的におっしゃっていただければというふうに思っております。違反の状況、何法違反とか、賃金とか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました違反件数は、いずれも技能実習法令違反の件数ではございますが、あくまで検査等の進捗状況を整理するものとして集計している関係もございまして、それ以上の詳細な違反内容については集計をしておりません。
○本村委員 そうしますと、失踪の実態、原因の調査に努めているというふうに総理はおっしゃったんですけれども、そこができていないということになるんじゃないですか、大臣。
○小泉国務大臣 集計の数字は、先ほど御説明したとおり、改善の余地があるかもしれませんけれども、業務の進行を管理するための書類、これはしっかり作って、それによって業務フローが動いているというふうに私は認識をしております。
○丸山政府参考人 申し訳ございません。
お答え申し上げます。
参考となる数字ということで御説明させていただくわけでございますが、失踪に関する実地検査の結果に限ったものではございませんが、令和四年度に外国人技能実習機構が実地検査において指摘した主な違反事由は、延べ一万四千九百九十七件であり、多いものとしましては、軽微変更届出を適正に提出していなかったものが三千百五十八件、二一・一%、宿泊施設の不備、これにつきましては、私有物収納設備でございますとか消火設備等の不備等に関するものが二千二百十七件、一四・八%、残業代が適切に支払われていなかったものが一千四百六十五件、九・八%になっているところでございます。
○本村委員 そういう中で失踪者が出ている状況はどういうところにあるのかということを分析していただきたいわけです。
失踪者を出した受入れ機関やブローカーなどへの対応、行政処分などについてもお示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
外国人技能実習機構におきまして実施した実地検査の状況等のうち、失踪に関する実地検査を行った結果、技能実習計画の認定が取り消された受入れ機関は、二〇二〇年から二〇二二年までの三年間において一機関となっているところでございます。
○本村委員 一機関で失踪で計画の取消しがあった。だから、そのまま続いているということが大多数であるというふうに思います。
それで、以前、失踪者を出した受入れ機関やブローカーなどへの対応、行政処分などをお示しくださいということを申し上げましたところ、法務省の出入国在留管理庁が文書で下さったわけですけれども、そこでは、法令違反が判明した受入れ機関やブローカーについては、行政処分等や関係機関への通報など、必要な措置を講じていますというふうに書かれておりました。
そうしますと、その通報をしたというのは、どこの府省庁に、どこの関係機関に、それぞれ何件通報したのか、お示しをいただきたいと思います。
○武部委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○武部委員長 速記を起こしてください。
丸山次長。
○丸山政府参考人 申し訳ございません。
お答え申し上げます。
技能実習に関しまして、技能実習機構から労働局の方に通報した件数でございますが、令和四年が二千五百五十九件という数字がございます。
○本村委員 法令違反が、労働局の方に行ったことが一番多いということです。
それで、失踪した後、見つかった技能実習生から、元技能実習生も含むわけですけれども、個別に給料ですとか労働条件など事情を聞き取った聴取票があるというふうに思いますけれども、その実態をお示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
入管庁におきましては、失踪技能実習生を認知した場合に、必要に応じて、不適正な受入れ機関に対する調査、処分等や、関係機関に通報といった対応をすることを目的として、入国審査官が失踪動機などを聴取することとしております。
その聴取結果は、失踪技能実習生本人からの一面的な情報であり、裏づけのある情報ではないことなどを踏まえ、集計することは行っていないため、聴取件数等についてのお答えは困難でございます。
○本村委員 これについては集計は行っていないということで、失踪の後、見つかった技能実習生の聴取票というのは、取られているとは思うんですけれども、集計はされていないということです。
これについては、じゃ、聞き取った聴取票の人数はどのくらいかという点、お示しをいただきたいと思います。何人かということ。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたとおり、聴取した人数等についても集計は行っておりません。
○本村委員 これは、それさえやっていないということで、この点も前から提出できませんというふうに言われていたんですけれども、人数さえ教えてもらえない。
では、失踪した後、見つかった人数は何人でしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今お尋ねがございました数値につきましても集計は行っておりません。
○本村委員 大臣にもう一回お伺いしたいんですけれども、二国間の協力覚書のところで、ベトナムに約束したんですよね、失踪者の問題を解決していくんだ、保護を図っていくんだということを約束したんだというふうに思うんですけれども、これで保護が本当に図れるんですか。
○小泉国務大臣 失踪者の問題については、日本で問題が起こったときに、ベトナム側にこれを通報し、ベトナムの送り出し機関に問題があればベトナム政府からケアをしてもらう、そういうやり方で進んできています。
ただ、今回は、新たにMOCを結び直して、その結んだ国、当事国しか受け入れないという制約もつけまして、一段と厳しいものにしていこう、そういうことを踏まえた約束になっておりますので、我々はしっかりとその約束を誠実に履行していきたいと思いますし、履行できると思っています。
○本村委員 でも、失踪者の数というのは増えているわけです。もちろん、コロナということがございましたけれども、この直近の三年間を見てみましても右肩上がりで、コロナというのもあったんですけれども、増えているわけでございます。ですから、対策は全く不十分です。
失踪した外国人技能実習生の聴取票というのは、過去、私たち野党が要求をいたしまして、今日、その一部、本当にこの重いファイルが何ファイルもございまして、何分冊もありまして、私たち野党の法務委員のメンバーや野党の有志の皆さんが全て書き写して、その写しがここにあるわけです。失踪した技能実習生の一面的な声なんだということなんですけれども、しかし、そういう労働者の声に耳を傾けなかったらどうやって改善していくのかということでございます。
例えば、ベトナムの、このときの、当時の聴取票、個票ですけれども、ベトナム男性、とび、失踪した理由について、低賃金というふうに書かれております。そして、送り出し機関に払った金額は百二十万、そして、借金の借入れは親族に百二十万、そして、最初、月額給与は二十万だと母国で入国前に説明があったんですけれども、実際には十万であった。そういう実態がこの聴取票で分かるわけですよ。
ですから、この票をいま一度、この法案審議に当たっても出していただきたいというふうに思いますけれども、大臣、是非お願いしたいと思います。
○小泉国務大臣 その聴取票は、法務省においても、もちろん担当者も含めて見ているわけです、しっかり。そして、そこから様々な政策示唆を受けていると思います。ただ、その聴取票そのものは、技能実習生その方個人に関する情報そのものでありますから、プライバシーそのものでありますので、生の聴取票を公表するということは難しいということは御理解をいただきたいというふうに思います。聴取票の中身は法務省も見ております。
○本村委員 見ていると言っても、さっき、取りまとめていないのに、大臣はどうやって見たんですか。
○小泉国務大臣 数は集計していないと言っているわけです。現物はありますから、現物を見ていますよね。
○丸山政府参考人 申し訳ございません。
ちょっと説明が不足しているところがあるかと思いますので、補足させていただきます。
委員お尋ねの聴取票につきましては、平成三十年法改正のとき、いろいろ御議論いただいたところでございますが、その後、全ていろいろ調査をしてきまして、あくまで聴取票については問題事例等を把握するものとして御利用させていただいておりますので、入国審査官が聴取した中で特に問題があると思われるものについては、技能実習機構とも情報を共有し、機構単独あるいは入管庁とともに調査を行うというふうに行われているところでございまして、入手した情報を活用していない、見ていないということではございませんので、その点はちょっと補足させてください。
○本村委員 失踪した後、見つかった技能実習生の人数についても、私たち国会議員にも知らせてもらえない、そういう中で審議をしなければいけないということでございます。
聴取票を是非見せていただきたいというふうに考えておりますのは、以前、この聴取票を出していただく前に、失踪した技能実習生の外国人、二千八百七十人分あったんですけれども、そのときに、出入国在留管理庁、法務省は、最低賃金未満で働いていた人は二十二人だというふうにおっしゃっていたんです。しかし、これをみんなで写して調査してみたら、三分の二が最低賃金以下だったということが分かったわけです。
ですから、政府のいろいろな数字が出てくるわけですけれども、その基になる一次データが大切だからこそ見せていただきたいというふうに申し上げているので、こういう過去の事例もあったものですから、是非、今回も見せていただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 個別票を公表しますと、やはり当事者の方々にとっては、自分の生の個人情報が出ていきますので、今後、我々がそういう聴取票をいただきたいと言っても、いや、それは無理ですと、皆さん、警戒をして、もう本当のことを言ってくれなくなる、そういうリスクは非常に大きいと思います。我々はそこを考えているわけです。
○丸山政府参考人 申し訳ございません。
若干補足させていただきますと、委員御指摘のお話は、恐らく、当時の法務委員の先生方が聴取票を写されて、集計された結果を御報告された数字だと思いますけれども、あくまで聴取した本人がおっしゃった金額、これも、手取りなのか、控除額を含む含まないとか、ほとんど言い値しか書いてございません、裏取りができておりません。
その後、私どもの方で裏取りの調査を翌年三月にかけてやった報告書は提出させていただいているところでございますが、それによりますれば、最低賃金違反事件というのは、人数は五十八人というような数字が確認できているところでございます。
○本村委員 ちゃんと労働時間等も含めて割らなければならないというふうに思いますので、そういう点についても調査をするために一次資料を出していただきたいというふうに思います。
続きまして、失踪した後に死亡したことが分かった技能実習生の方々の数をお示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの件につきましては、失踪後の状況ということもございますので、数値として集計していくことは困難でございます。
他方で、技能実習生の技能実習期間中に発生した死亡事案につきましては把握しており、各年ごとに集計しております。令和二年から四年における死亡事案の件数につきましては、令和二年は五十三件、令和三年は四十八件、令和四年は三十八件の、合計、三年間で百三十九件となっております。
○本村委員 それは、失踪した後の人数ではなくて、技能実習生の方が亡くなったということですね。それの中の労災の数を教えてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現在手元で持っている数字で御紹介できますのは、そのうち実習中の事故死というものが十一件という数字を手元に今持っているところでございます。(本村委員「三年間で」と呼ぶ)三年間でございます。
○本村委員 では、後で死因について教えていただきたいというふうに思います。
失踪した後、亡くなっていないのかという点に関して、私は非常に心配なわけです。今、人身売買ですとか、臓器売買されたのではないかを含んで、非常に失踪された方が心配になるわけですけれども、大臣はそういうお気持ちはないんでしょうか。
○小泉国務大臣 それは、お一人でも無事でいてほしい、とにかくできるだけ大勢の方に無事でいてほしい、無事で生きていていただきたい、生活していただきたい、その思いは本村委員と変わらないと思います。
○本村委員 それで、外国人の方が亡くなったと分かったときに、警察ですとかいろいろなところから出入国在留管理庁に知らせがあるというふうに思いますけれども、そういう点からも集計はできないでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
日本でお亡くなりになった外国人の方につきましては、市町村への届出等がございまして、その結果として私どもで把握できる数字はございますけれども、お尋ねの、実習生の方が失踪後お亡くなりになったかを正確に把握することはなかなか困難でございます。
○本村委員 後でまた、警察から亡くなった方のお知らせ等がございましたその数、人数についてお示しをいただきたいと思います。次長、お願いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
どういう数字がお出しできるか、ちょっと帰ってまた検討させていただければと思います。
○本村委員 もう一つお伺いをしたいんですけれども、失踪者が多い業種というものがございます。建設業、そして農業ということになりますけれども、これは、以前から私、国土交通委員をやっていたときから、国土交通省を挙げて、業としてしっかりとやってほしいんだということも申し上げてまいりました。そして、農水省に関しても、前にいろいろ聞き取りを行ったんですけれども、余り関心を持っておられるとは思えなかったわけです。
国交省や農水省と、失踪者を減らす対策についてこれまでどういうことをやってきたのかという点、お示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
法務省におきましては、技能実習法に基づく事業協議会などの機会を捉えて、建設や農業を所管している関係省庁等に対して、職種別の失踪技能実習生に係る情報提供や失踪防止対策に係る周知啓発などの取組を行ってきております。
先日も、入管庁におきまして、失踪防止対策に対する取組として、新たにリーフレットを作成し、入管庁ホームページに公表した上で、国土交通省や農林水産省を含む業所管省庁に対し、周知啓発の依頼を行ったところでございます。
○本村委員 失踪者の数が減らないということで、これは受入れ企業だけの問題ではないというふうに思っております。最上位の企業が下請単価や取引価格を引き下げたり制限する中で低賃金という構造ができているわけですから、ここの根本を正さないといけないというふうに思っております。
そして、今日は厚生労働副大臣にも来ていただいたので、機構についてお伺いをしたいというふうに思います。
外国人技能実習機構及び外国人育成就労機構は、相談に乗るわけですけれども、私も名古屋の事務所に行ったことがあるんですけれども、とても外国人の方が相談しやすい場所ではありませんでした。相談しやすい場所にすること、SNSでも相談しやすい場所にしていくべきだというふうに考えます。また、専門性のある職員の増員が本当に必要ですし、そのための職員の育成が必要だというふうに思います。そして、転籍先が見つかるまで生活保障を是非やっていただきたいというふうに思いますけれども、厚生労働副大臣、お願いしたいと思います。
○武部委員長 申合せの時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○宮崎副大臣 まず、現行の技能実習制度における相談の体制でございますが、母国語相談対応ということで八か国語で対応しております。
電話、メール、それとあとオンラインの通話もしております。これはフリーダイヤルで受けるようにしておりまして、機構本部で一元的に無料で相談を受けるような形にしております。
また、全国十三か所、地方事務所、支所がございますので、御来所いただいた場合には対面での相談にも対応しておりまして、この場合、言語についても、もしその支所に人がいなければ、電話で通訳をしっかりできるような体制を活用しているところでございます。
また、相談の質ということでありますが、毎年度、本部及び各地方事務所の職員に研修を実施をさせていただいているところでございまして、これを育成就労制度に移行した場合に改組してまいりますので、その中でしっかりとした対応をしていきたいと思っているところでございます。
また、もう一点、生活保障の御指摘もございました。今、技能実習法の五十一条で、連絡調整その他必要な措置を講ずるということになっておりまして、この必要な措置の中には、先生が御指摘になったような、次の実習先のあっせんだけではなくて、次の実習先が確保されるまでの間の宿泊先の確保や日常生活に必要な費用の支援ということも含まれております。育成就労制度に移行した場合には、現行制度も踏まえつつ、関係者の御意見を聞きながら定めてまいりたいと思っております。
○本村委員 是非、見つかるまでの生活保障も充実をさせていただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○武部委員長 次回は、来る二十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時四分散会