第17号 令和6年5月8日(水曜日)
令和六年五月八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 武部 新君
理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君
理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君
理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君
理事 池下 卓君 理事 大口 善徳君
東 国幹君 五十嵐 清君
井出 庸生君 稲田 朋美君
英利アルフィヤ君 奥野 信亮君
斎藤 洋明君 高見 康裕君
谷川 とむ君 中曽根康隆君
中西 健治君 中野 英幸君
平口 洋君 藤原 崇君
三ッ林裕巳君 山田 美樹君
山本 左近君 おおつき紅葉君
鎌田さゆり君 鈴木 庸介君
寺田 学君 野間 健君
山田 勝彦君 阿部 弘樹君
斎藤アレックス君 美延 映夫君
日下 正喜君 平林 晃君
本村 伸子君
…………………………………
議員 階 猛君
法務大臣 小泉 龍司君
厚生労働副大臣 宮崎 政久君
農林水産副大臣 武村 展英君
国土交通副大臣 堂故 茂君
法務大臣政務官 中野 英幸君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 野村 知司君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 長徳 英晶君
政府参考人
(国税庁課税部長) 田原 芳幸君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 西條 正明君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官) 八木 和広君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 原口 剛君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 勝野 美江君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 蒔苗 浩司君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
五月一日
辞任 補欠選任
渡辺 創君 山田 勝彦君
同月七日
辞任 補欠選任
土井 亨君 三ッ林裕巳君
同月八日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 中西 健治君
三ッ林裕巳君 山本 左近君
寺田 学君 野間 健君
同日
辞任 補欠選任
中西 健治君 井出 庸生君
山本 左近君 三ッ林裕巳君
野間 健君 寺田 学君
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五月七日
外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出、衆法第一〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会に関する件
委員派遣承認申請に関する件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出、衆法第一〇号)
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
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○武部委員長 これより会議を開きます。
階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案を議題といたします。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。階猛君。
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外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○階議員 ただいま議題となりました外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
近年の我が国における労働力事情を踏まえれば、外国の方々を人材不足の産業や地域に労働者として適切に受け入れる体制を整備することが喫緊の課題になっております。
しかし、現状では、技能実習生に対する人権侵害事案が発生するなどしており、また、今般提出された政府案も、悪質ブローカーを完全に排除するものとなっていません。
さらに、外国人労働者を縛りつける転籍制限に関しても、育成就労の期間はもとより、特定技能に移行した後も高い障壁が設けられたままなど、抜本解決に至るものになっていません。このままでは、急速に進む円安と相まって、我が国は外国人労働者に選ばれない国になってしまうかもしれません。
今こそ、社会経済の持続的発展と多文化共生社会の形成という我が国社会にとっての利益と、人権が尊重される中で安定かつ充実した職業生活を営み、希望に応じて職業能力の開発と向上を目指せるという外国人労働者にとっての利益の双方を追求する観点が必要です。
そこで、私たちの会派は、技能実習や特定技能に代わる新たな在留資格を創設し、その制度を適切に運用するために必要な措置を講ずることを内容とする本法律案を提出したところです。
次に、本法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、基本理念として、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進は、先ほど申し上げた、我が国社会にとっての利益と外国人労働者にとっての利益の双方を追求することを基本として行うこととしております。
第二に、政府は、基本方針に基づき、その整備の推進を行うものとし、特に、必要な法制上の措置については、法施行後一年以内を目途に講じなければならないこととしております。
第三に、特定技能及び技能実習の在留資格を廃止した上で、人材確保が困難な産業や地域での就労が可能な新たな在留資格として、必要最小限の制約を付した期間を二年とする一般労働一号と、転籍や転職に制限を設けない期間を五年とする一般労働二号を創設する旨を基本方針として掲げております。なお、一般労働二号の在留期間満了後もその経験等を生かして引き続き本邦での就労が可能な在留資格を創設することが予定されており、これにより、外国人労働者が長期にわたって希望に沿う形で仕事を続けられる魅力ある制度となっております。
第四に、同じく基本方針として、新たに創設する在留資格に係る制度の適切な運用を図る観点から、1円滑で機動的な受入れを可能とするため、基本指針や運用計画を策定すること、2新たな在留資格を有する者である外国人一般労働者を雇用する機関の認定制度を設けること、3外国人一般労働者と雇用主とのマッチングをハローワークに限定し、悪質ブローカーを排除すること、4適正な労働条件を確保するため、派遣形態の労働を禁止するほか、雇用契約の内容に一定の水準を設けること、5外国人一般労働者の費用負担を明確かつ最小限度のものとすること、6外国人一般労働者に対する支援とその保護等のための拠点となる外国人一般労働者就労支援センターの設置その他の必要な体制整備を図ること等を掲げております。
第五に、外国人一般労働者雇用制度の整備を総合的かつ集中的に行うため、内閣に、外国人一般労働者雇用制度整備推進本部を置くこととしております。
なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。
また、この法律が施行されても、既に取得された永住権の効果には何らの影響も及ぶものではないことを念のため付言させていただきます。
以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○武部委員長 この際、お諮りいたします。
昨七日、議長より承認のありました当委員会の委員派遣につき、その派遣の目的に、ただいま趣旨の説明を聴取いたしました階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案の審査を追加することといたしたいと存じます。
つきましては、議長に対し、本変更について承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○武部委員長 内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案並びに階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案の各案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官野村知司君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、外務省大臣官房参事官長徳英晶君、国税庁課税部長田原芳幸君、文部科学省大臣官房審議官西條正明君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官八木和広君、厚生労働省大臣官房審議官原口剛君、農林水産省大臣官房審議官勝野美江君及び国土交通省大臣官房審議官蒔苗浩司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○武部委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山本左近君。
○山本(左)委員 おはようございます。自由民主党、東海ブロック比例代表選出の山本左近でございます。
本日は、法務委員会にて質問の機会をいただきまして、委員長、理事、そして委員各位の皆様に感謝を申し上げます。そして、改めて、この国会に送り出していただきました国民の皆様にも感謝を申し上げたいと思います。
この度のいわゆる技能実習法、育成就労制度の創設等の改正案について質問をさせていただくことに当たり、私のバックグラウンド、また経験を三つほど、まず最初にお伝えさせていただきたいと思います。
一点目は、私は愛知県豊橋市出身で、中学生のときにブラジル出身の同級生がいました。
二点目は、十九歳のときに、私自身の夢であったF1ドライバーになるという目標に向かって日本を飛び出し、単身でヨーロッパに渡り、二十代の大半を欧州を拠点に世界を回るという生活をしていました。つまり、自分自身が外国人として海外で生活したことがあります。
三点目は、日本に帰国後、医療や福祉の仕事を通じて、もう十年以上前になりますけれども、外国人人材の受入れを始めました。そのときには、私自身が現地国へ渡り、面接を何度も行い、主にEPAなどで来日をいただきました。看護師候補生や介護士候補生として働くだけでなく、働く中で勉強もしながら、国家資格取得のために頑張っている優秀な外国人人材を見てきた経験があること。
この三点の経験を持った上で、今回の改正案について質問をさせていただきたいと思います。
これまで、技能実習というのは、技能移転による国際貢献という名目の下、外国人の受入れをしてきましたが、しかし、その実態は国内の労働力不足を補う人材として受け入れてきたことは、多くの方々が指摘したとおりであります。
今回の改正案において、外国人労働者を真っ正面から捉え、人材確保と人材育成を目的とした新制度、それが育成就労制度の創設と理解をしています。育成就労から特定技能一号、二号等、外国人がキャリアアップできる仕組みへの制度の見直し、また、分かりやすく見える化を図ることによって、国際的に人材獲得競争が激化する中で、人材育成をこのように捉えたことは重要であると思います。
現在、この東アジアにおいて、二十年前とは違い、二〇二三年時点では、日本、韓国、台湾の三か国とも、一人当たりのGDPで三万三千USドル前後でありまして、日本の経済的優位性はほとんどありません。先日訪問させていただいた台湾にて、台北の新聞の求人欄を実際に見てきましたが、日本の賃金よりはまだ安いかなという感じですが、その価格差というのは以前ほどなくなってきていて、非常に迫ってきているということは明白であります。
人材獲得競争が世界的に厳しくなっているからこそ、日本が選ばれる国として、外国人が日本で働きやすい労働環境をつくることは、外国人にとっていいことだけではなく、日本人にとっても働きやすい環境につながることや、また、日本国の利益や経済が発展し、それが賃上げなどにつながり、国際競争力が上がるなど、日本で働く者にとっても魅力を高めることができるかどうかというところが今回の法改正においても問われていると承知しています。
また一方、賃金について話した中で、出入国在留管理庁が令和三年度に実施した、有効回答数七千九百八十二件の在留外国人に対する基礎調査結果報告書を見ますと、日本に来た理由を問うたわけですが、その第一位は、スキル獲得、将来のキャリア向上のため、それが一九・三%。第二位は、日本が好きだから、これが一八%。第三位は、勉強のため、一七・一%。第四位が、お金を稼ぐためで、一五・六%となっています。
賃金はもちろん重要でありますが、それ以外の部分、特にキャリア、やはり技術獲得、将来のキャリアのためといったところは、選ばれる国として、魅力を高める必要があることが分かります。
ここで大臣にお伺いしたいと思いますが、小泉大臣は、介護など技能実習の現場も視察をされ、働く外国人の方々と実際に意見交換されていらっしゃったと伺っております。スキル獲得や将来キャリア向上のためのキャリアアップの制度設計や見える化などは、我が国が選ばれる国として、魅力向上に重要な要素だと考えますが、改めてこの育成就労制度における意義についてお伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 私も、技能実習、介護の現場に伺い、また、そこで働く方々と意思疎通、意見交換をすることができました。
そこで気がついたのは、当面、目先の賃金の高い低いはありますけれども、やはり、その職場が自分たちに与えてくれるスキル、そして、その背景にある日本という社会の仕組み、国民性、そういったもの全体に憧れる、それを自分の国に持ち帰りたい、そういう強い意欲を持っていらっしゃるということがよく分かりました。その中で、やはりキャリアアップをしていく明確な道筋を示してあげることも、賃金を引き上げることと同じように重要だというふうに考えるに至りました。
今回の技能実習制度は、よく御承知のとおり、特定技能制度と新しくつくる育成就労制度の整合性、連続性を高めて、業務区分も同じになりますよね。そういった整合性を取ることによって、明確な、明快なキャリアアップの道筋を示すことによって、日本により魅力を感じてもらう、そういった側面が強くございます。
併せて申し上げれば、転籍制限、韓国とか台湾よりも柔軟な基準にしております。これは明らかに日本の魅力を高める効果を持ち得る、そのように考えているところでございます。
○山本(左)委員 大臣、ありがとうございます。
今まさに大臣からおっしゃっていただいたとおり、日本に憧れて来て、その人たちが、こんなはずじゃなかったというふうに思われる外国人を一人でも減らしていこう、そして、日本で働くことによって、ますます日本というものを、みんなで共生社会を実現することでよりよい日本をつくっていくんだ、そういった意義も含まれているんだということを改めて認識をさせていただきました。
そして、今回の法律の改正案の中で、育成就労計画の認定制度と監理団体に代わる監理支援機関というのが重要な要素であると考えます。
育成就労計画では、雇用の任期や、先ほど大臣からもありました転籍に関することや、また、技能や日本語能力などの目標や内容、受入れ体制の整備など、育成就労の実施に関する計画を作成し、出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に提出して、それが適当である旨の認定を受けることができるものとすることや、監理支援機関が雇用関係の成立のあっせんや監理を行うとあります。
これまで、技能実習生の方が失踪してしまったり、不法滞在をする、若しくは犯罪に手を染めるなどのケースで、聞かれる言葉として、やはり現地国で借金を背負ってくるなど、悪質ブローカーの存在というのを聞いたりいたします。
その中で、今回は、国内での法改正で悪質ブローカー排除に対して目が届きそうなんですが、送り出し側、相手国側でもそのようなことがないようにする必要があると思いますが、今回の改正案ではこれらの課題に対してどのように対応しているのか、お答えください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度では、不当に高額な手数料の徴収や監理団体などへのキックバックなどを行う悪質な送り出し機関が存在し、それにより技能実習生が借金を負った状態で入国することで、失踪事案の原因となる場合もあることなどが指摘されてきたところです。
悪質な送り出し機関の排除を強化するため、本法案では、育成就労計画の認定要件として、送り出し機関が適切な取次ぎができる者であること、外国人が送り出し機関に支払った費用の額が育成就労外国人の保護の観点から適正なものであることを一定の基準で判断することとしています。
また、育成就労制度では、悪質な送り出し機関の排除の実効性を高めるため、新たに送り出し国政府との間で二国間取決めを作成し、これによる通報や認定取消しの要請などの仕組みによって送り出しの適正性が担保されていることを受入れの条件とするという趣旨から、原則としてMOCを作成した国の送り出し機関からのみ受入れを行うものとしております。
このような取組により、送り出しの適正化を図ってまいりたいと存じます。
○山本(左)委員 ありがとうございます。
今、御答弁の中で、いわゆる第九条一項十一の、外国人の送り出し機関に支払った費用の額が育成就労外国人の保護の観点から適正なものとして主務省令で定める基準に適合していることということも答えていただきましたが、現時点で、この基準についてどのようにお考えなのか、また、検討されているのか、教えていただけますでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
主務省令で設ける基準につきましては、手数料等は来日後に得られる利益に対する先行投資という側面もあることから、外国人にとっての基準の明確性という観点から、例えば、来日後の給与額に基づいて上限額を算出する仕組みが考えられるところです。
一方で、具体的な基準を定めるに当たっては、送り出し国での実態を踏まえた丁寧な検討が必要であり、また、送り出し国の法令との関係の整理など、送り出し国側との調整も必要なことから、法案成立後、施行までの間に、関係者や有識者の御意見等もお聞きしながら決定してまいりたいと考えております。
○山本(左)委員 ありがとうございます。
法案成立後にこの基準の明確性を議論していく、具体的に丁寧に議論されていくといったところを、しっかりと取組をしていただきたいと思います。
続きまして、入管庁の体制整備についてお伺いしたいと思います。
この質問に当たって、先日、愛知県にある名古屋入管を視察させていただきました。愛知県は、令和五年末のデータで、在留外国人の数が東京に次ぐ第二位なのですが、技能実習については東京の二倍以上の三万七千三百八十四人で、圧倒的に全国一位であります。
全国で技能実習と特定技能を合わせると約六十万人となりますが、こうした現状の中で聞こえてくるのは、在留資格の審査の遅れについてです。申請してからなかなか返事が来ない、また相手が来ない、こういった話をよく受入れ企業からも聞きますし、また、先日の参考人質疑においても同様の意見がありました。これは、実際の、現在の審査期間の現状はいかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症対策に係る水際措置の廃止に伴い、昨年四月以降、外国人入国者数が大幅に増加し、令和五年の在留諸申請受理件数の速報値を令和四年と比較して申し上げますと、在留資格認定証明書交付申請は約四一%、在留資格変更許可申請は約二六%、在留期間更新許可申請は約一三%、それぞれ増加する中で、審査に要する期間が長期化する状況となってございます。
その上で、審査に要する期間の現状を申し上げますと、令和六年一月から三月までの許可処分において、平均的な審査期間が手続ごとに定めております標準処理期間の上限を超過している在留資格が一定数ございます。
具体的には、優先的に早期処理が行われる高度専門職を除いて申し上げますと、在留資格認定証明書交付申請の標準処理期間の上限は三か月であるところ、平均処理期間が九十日を超えている在留資格が一、在留資格変更許可申請の標準処理期間の上限は一か月であるところ、平均審査期間が三十日を超えている在留資格は、対象となる二十九の在留資格のうち八、在留期間更新許可申請の標準処理期間の上限は一か月であるところ、平均審査期間が三十日を超えている在留資格は、対象となる三十一の在留資格のうち六となってございます。
出入国在留管理庁としましては、引き続き円滑な審査の実現に努めてまいります。
○山本(左)委員 ありがとうございます。
ただいま、現状を教えていただきました。今、円滑な審査をしていただいている中でも、やはりどうしても標準期間よりも長くなってしまうといったケースもあるといったことをお答えいただきました。
こういった、視察させていただいた場所においても、多くの皆さんがそこの部屋で審査業務を行っているわけなんですが、その部屋の中にはやはり書類の山が、物すごい量の数が積み上げられていて、本当に一生懸命仕事をされているのはよく分かるんですが、膨大な書類の山だらけで、これをどうやってさばいていくのだろうかと思うぐらいの量でした。
これから、特定技能など、今後五年間で更に約八十万人の受入れを見込んでいる中では、審査体制の人員の拡充や、また、デジタル化等での生産性の向上などを図っていかなければ、今お話しいただいた標準期間、また平均日数が延びてしまう可能性もあるわけで、法務省として、この辺り、更に私は拡充が必要なのではないかと思いますが、対応としてはいかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
在留諸申請に対する迅速な審査を行う上で、出入国在留管理庁の体制整備は重要であると認識しております。
出入国在留管理庁としましては、これまでも体制整備に努めてきたところですが、出入国在留管理庁に求められる役割を適切に遂行するためにも、御指摘のございました事務の合理化などと併せて、引き続き必要な人員、体制の確保に努めてまいります。
○山本(左)委員 ありがとうございます。
まさに体制整備に努めていただいていると思いますが、合理化や、そして人員、体制の拡充もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
また、入管においては、育成就労や特定技能などの審査だけではなくて、空港における訪日外国人旅行者の管理もされております。
令和元年、二〇一九年、訪日外国人は約三千六百万人でしたが、その後、コロナで激減したわけですが、今年は、二〇一九年比で九〇%、九割ほど戻ってきているとも聞いています。
今後、二〇三〇年の訪日外国人旅行者数六千万人という数字を政府として目指している中で、現在も、自動化ゲートなどの導入など、空港での業務の効率化、また省力化に努めていただいていると承知していますが、アメリカの電子渡航認証システム、通称ESTAのように、事前に渡航者の適格性を判定し、その渡航が危険なものでなく安全であることを事前に確認するための自動化システムなどの導入といったことは、到着時の管理において業務効率化の改善につながるのではないかと考えますが、こうした取組について、法務省の現在の検討状況や、また、今後の取組についてはいかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の訪日外国人旅行者数は約二千五百万人に達しております。政府目標では、二〇三〇年に訪日外国人旅行者数を昨年の二倍を超える六千万人を目指すこととされており、円滑な出入国審査を実現することが喫緊の課題となっております。
この点、御指摘のございましたアメリカなどで導入されている電子渡航認証制度の我が国への導入は、空港における入国審査の円滑化とともに、入国目的に疑義がある者を事前にピックアップして、我が国への渡航を事前に差し止めるという厳格化の意味合いでも、大きな効果があるものと期待しております。
ただし、電子渡航認証制度は、入国審査の一部を入国前に前倒しで行うものであるため、空港での業務負担は軽減される面はございますが、直ちに入国審査全体の業務負担が軽減されるものでもないという点は御理解いただければと存じます。
いずれにしましても、日本版ESTAの導入を含め、審査の円滑化や厳格化に向けて検討を進めてまいります。
○山本(左)委員 ありがとうございます。
まさに今御答弁いただいたとおり、ESTA導入によって全ての業務が効率化、改善するわけではなく、一部の審査を事前にするということで、期間的余裕は生まれるかなと思います。こういったことをすることによって、今限られた人員で、育成就労や特定技能といった働く人たちが増えてくる、若しくは訪日外国人の旅行者が増えてくる、こういった増えてくる人たちへの管理について、より合理的に、そして、かつ効果的に対応いただきたいと思います。
続いて、転籍要件の話に移りますが、今回、権利保護の観点から最も議論のあった論点の一つだったと思います。
外国人労働者の失踪の話を聞きますが、これは調べてみると年間約九千人、技能実習生全体の約二%であります。これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれですが、いわゆる大部分の受入れ日本企業は適切な労働環境で外国人労働者を雇用し、また、多くの外国人も真面目に働いているということは私は理解しています。なので、理想的には、本人が三年間自分の意思で就労継続を希望するような労働環境を更につくり出していくことが重要であると考えています。
法務省が取りまとめていただいている外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ、そこでは、目指すべき外国人との共生社会の三つのビジョンが掲げられています。安心、安全な社会、多様性に富んだ活力ある社会、個人の尊厳と人権を尊重した社会。これらのビジョンを実現するために重要な取組は、日本語教育支援です。
冒頭お話ししたとおり、私は外国人になった経験があります。しかも、英語圏ではないところに行きました。それはドイツだったわけですが、初めて着いた日の話をさせていただくと、いきなりある田舎町に連れていかれて、その田舎町のレストランで歓迎会をしていただいたわけですが、このレストランがまたドイツ風の古風なレストランだったんです。
そこでトイレに行こうと思ったわけですが、そこにはトイレのドアが二つあって、一つはヘレン、もう一つはダーメンと書いてありました。私は、どちらが男性でどちらが女性か、その言葉からは全く意味が分からず、さんざん迷った挙げ句に、メンと書いてあるからきっとこっちが男だろうと思ってばっとドアを開けたら、そこにいたドイツ人の女性に物すごくこっぴどく叱られた経験があります。
このように、言葉が分からないというのは、その人が悪い人だとかいい人だとかという前に、そもそもその社会の中で生活の幅が極端に狭まってしまう、こうした経験を私自身がしていました。
これはちょっと極端な話かもしれないんですが、言葉ができないことによって、言いたいことが言えない、自分の中で鬱憤がたまる、そうすると誰ともコミュニケーションを取らないようになる、異国の地でだんだんと孤立化、孤独化していってしまう。そういった現状というのは、決して、いい方向に進むというよりかは、悪い方向に転がりがちなんです。
文化庁の日本語教育関係のデータによりますと、外国人に対してアンケートを取ったわけですが、日本語教育へのアクセスに関する課題を多くの外国人が回答しています。また、日本語能力の低い者ほど、生活環境全般の満足度について、満足していないなどと回答する在留外国人の割合が高くなる傾向にあることが示されています。また、日本語能力の低い在留外国人ほど、日本語学習に困難を感じて、日本語を学習していない者の割合が高くなる傾向にあることがあります。そして、受入れ企業の約半数が日本語教育の取組や支援を希望していること、また、日本で暮らしやすくなるための社会の中での生活環境構築を政府に求めていることなどがありました。
データから見ても、日本語教育支援というのは円滑なコミュニケーションと社会参加のためにとても大切であり、法務省と文科省など、省庁を超えて連携強化を更に取り組んでいただきたいと思います。
これまでの日本語教師の数の推移を見てきても、ボランティアの講師の方が五割から六割で推移してきて、昨年の通常国会で成立をした日本語教育機関認定法により、今年の四月から、認定日本語教育機関や登録日本語教員の制度も始まりました。
日本語の教育支援について、様々な取組をしていただいていると承知していますが、文部科学省の取組はいかがでしょうか。
○八木政府参考人 お答えいたします。
我が国の在留外国人の数が今後も増加することが見込まれる中、外国人が必要な日本語を理解し、使用する能力を身につけられる環境の整備が重要と考えております。
文部科学省といたしましては、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップを踏まえ、本年四月から施行された日本語教育機関認定法による、質の担保された日本語教育機関の認定制度と登録日本語教員の資格制度を着実に実施し、日本語教育の適正かつ確実な実施を図ってまいります。
また、これらに加えまして、各地域で日本語学習を希望する外国人等が学習機会を得られるよう、都道府県等による地域日本語教育の総合的な体制づくりへの支援、各市町村に対する日本語教育の有識者であるアドバイザー等の派遣による日本語教室の開設支援、ICT教材の多言語化などの充実による支援、日本語教師や学習支援者の養成、研修等を実施しているところです。
こうした取組により、日本語教育の環境整備を一層推進してまいります。
○山本(左)委員 ありがとうございます。
ただいま文部科学省から御答弁いただきましたが、やはり外国人の方たちが、これまで日本語教育へのアクセスについては、課題として感じている、なかなかそういった場づくりが難しかったというところなんですけれども、都道府県に対して総合的な支援を、コーディネーターの支援を行うこと、また、市町村に対しても、実際に日本語教室を開くとか、そういったことについて支援を行っていく、そういったことを答弁いただきました。
また、日本語教師がこれまでボランティアで五割、六割だったということで、日本語教師を更に拡充していこうという中でも、やはり一つの課題としては、日本語教師の賃金の向上についてはしっかりと取り組まなければいけない課題の一つとも認識をしています。
やはり日本語教室というのは、ただただ日本語を学ぶ場ではなくて、その地域において在留外国人の皆さんのいわゆる居場所づくりにも役立っているという話をよく現場の皆さんからお伺いします。やはり社会とのつながりをいかにつくることができるのか、また、つながりの関係を日本語教育支援を通じていかに広げていき、そして深めることができるのか、こういった取組も重要になってくるんだと思います。
ある地域では、日本語教育は、日本語を教えるだけではなくて、地域の自治会の人と一緒に、ボランティアというか、入っていただくことによっても地域との結びつきを深めるといった事例も紹介されていますので、今後のお取組の参考に、是非、更に強化をしていただきたいというふうにも思います。
また、地域においての話で、居場所づくりの役割があるという話もしましたが、今現時点でも、在留外国人の方々で、更に連携を強化していただきたい施策として、アウトリーチについてお伺いしたいと思います。
行政や、また受入れ企業、そして日本語教育関係者だけでなくて、今、日本に住んでいる外国人の方の二世や三世のお子さんやお孫さんが、その親の世代、おじいさん、おばあさん世代をケアするという、ヤングケアラーに陥っている現状もあるということも伺いました。決して多くの、みんなが、大多数がそうだというわけではないんですが、やはりこういった課題が地域の中で埋もれている現状があります。
共生社会の実現を目指す、法務省としてビジョンを取りまとめていただいていますが、やはりこれからも、国、都道府県、市町村だけでなく、民間団体やボランティア団体とも一緒になってこういった課題について取り組んでいく必要があるかと存じます。
また、学校や教育機関を通じて、スクールソーシャルワーカーを学校には配置していただいていまして、児童生徒についての実態把握や対応もされていると思いますが、限られた時間でもありますから、なかなか、全てのケースに対応できているのか。これは外国人だけでなくて、日本人の児童についてもそうでありますが、そういった支援も更に拡充が必要ではないかと考えます。
こうした子供たちがいる現状や、また、支援が必要な大人がいる現状に対してどのように対応されていくのか、そして、今現時点の取組はいかがかということを、こども家庭庁にお伺いしたいと思います。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる子供が親や祖父母などのケアを担っている場合、これはヤングケアラーでございますが、こういったものが外国籍のお子さんの立場でも起こっているということでございます。
こういったヤングケアラーの子供たちについては、しっかりと支援をしていけるような体制づくり、こうしたことを進めていく必要があると考えております。
ヤングケアラーへの支援でございますけれども、ケアを担っている子供が外国籍の子供であるか否かにかかわらず、周囲の大人が理解を深めて、家庭において子供が担っている家事であるとかあるいは御家族のケアの負担に気づいて必要なサポートにつなげていく、こういったことが必要ではないかと考えておりまして、今、令和四年度からの三年間を、ヤングケアラーの認知度向上のための集中取組期間として、広く国民に周知を図っているところでございます。
支援体制を具体的につくっていくための取組といたしまして、まず一点目、市町村のこども家庭センターにおきまして、学校などと連携し、ヤングケアラーである子供の状況を的確に把握することができるように、自治体における実態調査の実施、こういったものを支援していくということ。さらに、そういった把握をできた子供などについて、個々の家庭の状況などに応じたサポートプランを作成して必要な外部サービスなどの支援につなげていく取組であるとか、あと、その中で外国語対応が必要な家庭に対しては、病院や行政手続における通訳派遣などを行う、こういった取組をされる自治体に対する財政支援などを実施しているところでございます。
引き続き、ケアを担う子供が外国人である場合も含め、ヤングケアラーの把握と着実な支援、こうしたものの体制づくりに努めてまいりたいと考えております。
○山本(左)委員 ありがとうございます。
今御答弁いただきましたとおり、ヤングケアラー、これは日本人だろうが外国人だろうが関係なく、しっかりと、地域のこども家庭センターが中心となり、学校との連携を取ったり、また、いわゆる外部サービスにつなげる、そして、外国語の通訳の派遣を支援する。こういったメニューを様々持っているということを、是非多くの、今外国人が住まわれている自治体の皆様には知っていただき、そして活用いただくことが重要であると考えます。
これからも、地域の中で、日本人、外国人、共生社会実現に当たって、私自身も現場の声をしっかり聞いて、汗をかいてまいりたいと思います。
本日は、御質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございました。
○武部委員長 次に、藤原崇君。
○藤原委員 藤原でございます。
質問の時間をいただきましたので、山本委員に続きまして、私の方からも質問をさせていただきたいと思います。
まず初めにお伺いをしたいのは、四月二十四日の法務委員会において、永住者の方々の公租公課の不払いに関して、入管庁の方から、一部自治体からの声や審査事例に関しての御説明がございました。
そこで、より具体的に、今般の法改正に向けてどのような調査を行い、どのような結果を得られたのかということの詳細について、お伺いをしたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
従前から、入管庁におきましては、一部の永住者が永住許可後に公的義務を履行しなくなる例があることを、地方自治体の声などを通じて把握しており、問題意識を有してきたところです。
今般の永住許可制度の適正化の検討に当たり、令和五年十一月から十二月にかけて、改めて複数の地方自治体から聞き取りを行ったところ、入管の手続時に未納分を支払う者が多く、未納分を払う際も在留審査でチェックされる分だけを納付し、過年度分を支払わないことが多い、永住許可の申請時に滞納分を支払い、その後再び滞納する永住者がいる、永住者の住民税や国民健康保険料などの納付状況を定期的に確認し、滞納しているのであれば永住許可の取消しなどの対応が必要であるといった声をいただいたところです。
また、永住者全体の公的義務の履行状況を調査することは困難でございますが、当庁におきまして可能な範囲として、永住者の実子として出生した者による永住許可申請の審査記録において、永住者である扶養者による公的義務の不履行の有無を確認いたしました。
その結果、令和五年一月から六月までに処分がなされた千八百二十五件のうち、許可がされなかった五百五十六件を精査したところ、二百三十五件について永住者による公租公課の未納が確認されております。
○藤原委員 ありがとうございました。
全てではない中で、永住者の方というのは、基本的に、手続を、許可をやっていくわけではない中で、永住者の方に実子ができた場合に、その方の永住許可申請、それを半年間見てみて千八百二十五件チェックをしたところ、二百三十五件に公租公課の不払いがあったというような説明だったと思いますが、ここは大事なところなので、もう一度その点について、千八百二十五件中二百三十五件、そういう公租公課の不払いがあったということでよろしいかどうか、答弁お願いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
答弁が重なりますが、千八百二十五件のうち、精査したところ、二百三十五件について永住者による公租公課の未納が確認されたということでございます。
○藤原委員 ありがとうございます。
一割強というところだと思いますが、実際にやってみたところ、そういうところがあったということであります。
ただ、もちろん公租公課の支払いをしないことについても、それぞれ理由があったりすることもあるんだろうというふうに思っております。
今回の法案におきましては、故意に公租公課の支払いをしないことというのを永住許可の取消し事由の一つとして新設をしているわけであります。この点についてはやはり議論があるところでございますが、そもそも、ここで言う故意ということの意味というものは、どういう意味になるのか、認定になるのかというところについて御説明をお願いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
故意とは、一般的に、自己の行為から一定の結果が生じることを知りながら、あえてその行為をすることをいうところ、ここでは、支払い義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払いをしないということをいうものと考えております。
○藤原委員 ありがとうございます。
一般論として御説明をしていただきました。支払い義務があるのにかかわらず、あえて支払いをしないということであります。
そうすると、よくある例というか典型的に思い浮かぶのは、お金が普通にあるのに、十分支払えるのに支払いをしない、そういう場合が典型例になるんだろうというふうに思っております。
ここは結構委員会の審議でも出てきているところでございますが、そうしますと、通常想定される、お金がなくて払えないという場合。あるいは、コロナというものがあって、例えば飲食店で勤務している人たちは、雇調金なんかもありましたけれども、非常に大変なことがあって収入がゼロになってしまうような方々もいらっしゃいました。例えば、前年は普通に収入があったけれども、翌年になって収入がなくなって、住民税というのは前年の所得を前提にします。通常想定される、資金不足の場合とか、コロナによる収入変動で次の年に住民税を十分に支払いをする原資がないというようなケース。そのようなケースは、そもそも条文上の故意に当たらないという理解でよろしいでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
取消し事由に該当するか否かは、個々の事案の具体的状況に応じて判断されるものであるため、一概にお答えすることは困難でございますが、その上で、一般論として申し上げれば、御指摘のようなケースなど、本人に帰責性があるとは認め難く、やむを得ず支払えないような場合には、これに該当しないものと考えております。
○藤原委員 ありがとうございます。
あえて支払わない場合は取消し事由になる一方で、やむを得ず支払いができない場合には取消し事由にならない、一般論としてはそういうことだということでありました。
ただ、もちろん、じゃ、これがあえて支払わないケースなのか、やむを得ず支払わないケースなのかというのは、これは個別具体的な事例に落ちる話なんだろうと思います。
十万円の税金があったときに、九万円しかなければ、これはやむを得ず支払えない。十万円持っていて十万円の支払い義務があったとき、十万円を払ってしまえば次の日からの生活費がなくなるということで、これも人によっていろいろでしょうけれども、やむを得ずと言えることもあるのかもしれない。十万円の支払い義務があって十万一千円、それも大丈夫かもしれない。じゃ、十二万円はどうだ、十五万円はどうだというふうになってくるのは、個別事例ということになるので、そこはなかなかこの場で、委員会の答弁でできることではないと思うんですが。
あえて支払いをしないことが取消し事由であって、やむを得ず支払いをしない、やむを得ず支払えないというのは当たらないということで明らかにしていただきました。
入管法の二十二条の四第一項の八号、いわゆる在留資格の取消し。この場合には、過失によって在留カード不携帯になった場合、あるいは、先ほどもお話をしました、資力の問題によって公租公課を支払えない場合、やむを得ず支払えない場合という場合だろうと思うんですが、こういうのも対象となるのではないかという指摘もございますが、その点については、入管庁の見解はいかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今般の永住許可制度の適正化は、適正な出入国在留管理の観点から、永住許可後にその要件を満たさなくなった一部の悪質な場合について、その在留資格を取り消すことができるとするものであるため、日本で在留する大多数の永住者の方に影響を及ぼすものではないと考えております。
実際には個々の事案の個別具体的な状況などを考慮して判断するものであるため、一概にお答えすることは困難ですが、一般論として申し上げれば、在留カードの携帯を失念したような場合や、やむにやまれず公租公課を支払えなかった場合に、取り消すことは想定しておりません。
○藤原委員 ありがとうございます。
そういう場合は、立法、法案を作成した担当としては想定をしていないということでお話をしていただきました。
二十二条の四第一項八号、この文言を見ますと、永住者の在留資格をもって在留する者が、この法律に規定する義務を遵守せず、又は故意に公租公課の支払いをしないこと、これが判明したときは資格を取り消すことができるという、できる規定になっておりますが、仮に、こういう事実、あるいはその疑いがあること、そういうのを端緒として見つけた場合、それは入管庁だけの判断で取消しができるんでしょうか。その点の手続がどういうふうになっているのかという点について、二十二条の四第一項八号、同条に基づく永住許可取消しの手続、これはどのような手続で実施されるのかについて御説明をしていただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
法務大臣は、在留資格を取り消そうとするときは、取消し事由の有無などの事実関係を正確に把握するために、入管法第二十二条の四第二項から第五項までの規定や、第五十九条の二の規定により、入国審査官又は入国警備官に事実の調査を行わせるほか、対象となっている外国人からの意見の聴取を行わせることとなります。
また、当該意見聴取の手続において、当該外国人は、意見を述べ、証拠を提出する機会が与えられており、対象となっている外国人の権利利益に配慮した適正な手続が保障されております。
その上で、これらの手続によって把握した事実関係に基づき、取消し事由の有無や取消しの可否などにつきまして慎重に検討することとなります。
○藤原委員 不利益処分ということになるので、本来であれば行政手続法上の手続というのが入るわけでございますけれども、それと別で、これは入管法上ルールが定められているということになっているわけでありますが、その中で攻撃防御の手続が用意をされているということでございました。
仮に、その手続を踏まえた上でも、公租公課の支払いを故意にしていないと認定を当局がした場合、あるいは、入管法の義務を遵守していない、このように認定をされた場合、これは、そのまま短期滞在で、いわゆる出国準備ということで切り替えて、日本を出国、退去しなければいけない、そういうような扱いになるのかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案では、第二十二条の四第一項第八号に該当する場合であっても、即座に在留資格を取り消して出国させるのではなく、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣が職権により永住者以外の在留資格への変更を許可することとしており、ほとんどの場合は定住者の在留資格への変更を許可することになると思われます。
出入国在留管理庁としましては、永住者の本邦への定着性にも配慮した上で適切に運用してまいります。
○藤原委員 ありがとうございます。
今、非常に大事なことを入管庁から言っていただいたんだろうというふうに思っております。仮に二十二条の四に該当したとしても、当該外国の方が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除いて、職権で在留資格の変更をして、定着性に配慮をして対応するということでございました。
やはり、二十二条の四の一項八号というのに少し不安を持っている方というのは、非常に不安を持っている方というのはいらっしゃいます。そういう中で、手続がどういうふうになっているのかということをしっかりとまずは御理解をいただくということ、それで了承していただくかどうかはまた別にしても、そういうふうなルールになっているということをしっかりと理解をしていただくということは非常に大事なんだろうというふうに思っております。
まさしく、税金の滞納という問題が出てきますが、そこでは故意性ということがそもそも要件になっているということ。あるいは、通常の手続と同様に攻撃防御が予定をされている、これはそのままなんですが。その上で、仮に二十二条の四、一項八号に該当したとしても、二十二条の六による変更ということが予定をされている。これが職権であるから、これはちょっと違うんじゃないかとか、申請権がないから駄目だとか、そういう議論も確かに正直あると思います。
ただ、その一方で、そういうルールになっているということ、そして、今、入管庁の次長さんから、定着性にもしっかり配慮をして対応をしていきたいというふうに提出者の方がお話をしたということは、これは非常に実務にとっても大事なことだと思いますので、その点はしっかり踏まえて運用していただきたいというふうに思っております。
続きまして、少し違うお話に参ります。大臣にお伺いをしたいというふうに思っております。
技能実習制度の場合は、監理団体が受入れのマッチングや監督指導などの役割を行っております。その一方で、育成就労制度、今回導入される新しい制度においては、名前こそ監理支援機関と改めますけれども、基本的には現行制度を継続するという方針を取っております。
かつては一部監理団体が適切に監督指導を果たせていないのではないかという厳しい指摘も、この技能実習制度にはございました。その中で、現行の枠組みを維持する趣旨、そして、監理支援機関が監督指導を果たせる、それへの適正化への取組というのをどういうふうにやっていくのか、これは大臣にお伺いをしたいと思います。
○小泉国務大臣 育成就労制度における監理支援機関は、雇用契約の成立のあっせん、また育成就労実施者に対する指導監督、また外国人からの相談への対応といった業務を行うことが想定されております。
これらの業務は、いずれもきめ細かな対応が必要になるというふうに考えております。あっせんということになれば、これは国境を越える、国境をまたぐ活動でありますし、指導監督あるいは相談への対応、これは様々な、種々多様な状況に応じて、生身の人間を相手にした、そういう業務でもありますので、きめ細かな対応が必要だ。そういう観点から、民間の監理支援機関において引き続きこれらの機能を担わせようというふうに考えておりますが、しかし一方で、今御指摘のような様々な問題もございました。課題もございます。したがって、監理支援機関の業務の適正化、厳格な措置を取ることを前提としているわけであります。
まず、許可制度、全ての監理機関が改めて許可を得ることが条件になります。条件を満たさない、要件を満たさないところは許可されないという形で精査が進んでまいります。また、外部監査人の設置の義務や、受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限について法律で規定して、独立性、中立性を担保する。受入れ機関数に応じた職員の配置を行う。送り出し機関からのキックバックや供応の禁止を主務省令で定める。厳格な監理を行うことによって業務の適正を確保し、その中で多面的な、きめ細かな活動をしていただく、こういう対応を考えているところでございます。
○藤原委員 ありがとうございました。
そういう中で、監理支援機関、これを残してやっていく、適正化については引き続き新たな立法対応も行っていくということでありました。
この技能実習制度あるいは育成就労の制度では、監理団体あるいは監理支援機関というものが、やはり、様々な批判を受けることもあるんですが、大事なプレーヤーの一人であることは間違いがないというふうに思っております。
その中で、監理団体であるとか監理支援機関、ここが何を活動の原資にしているかというと、当たり前のことですが、監理費、新しい制度では監理支援費というふうになるんだと思いますが、これを原資にしているわけですが、この金額がちょっと高いのではないかという、この委員会でもありましたし、やはり下げられるものはしっかり下げていくということは非常に大事なことだろうというふうに思っております。
例えば監理費が一人当たり定期費用が五千円下がれば、それをどう使うかは経営者の判断なんですが、五千円、実習生の方あるいは育成就労で働いている労働者の方に還元してもいいですし、設備投資なり、何に使ってもいい。そういう意味では、これをコストとして下げていくということ、もちろん無理な下げ方はしてはいけないんですけれども、そこはしっかりやっていくということは大事なんだろうと思います。
それで、お配りした資料、これは入管庁が実施をしたアンケートでございますけれども、定期費用、以前の委員会でも議論になりましたが、技能実習の場合、定期費用、一号は三万五百五十一円、二号は二万九千九十六円、三号は二万三千九百七十一円ということで、徐々に徐々に低減をしていく、監理の手間がかからなくなってくるからということなんだろうと思っています。
ただ、その一方で、この分布を見てみますと、右側のグラフ、三つあるのが、これは技能実習の定期費用ということになっています。
例えば、技能実習一号で見てみましても、平均が三万ちょっとということで、確かにそこが中央値で百三十くらいの監理団体がございます。しかしながら、その一方で、一万円未満というのも二十ぐらいの団体がある。一万から一万五千が三十六、一万五千から二万が六十九ということで、それなりにボリュームがあるわけですね。逆に、七万円以上というのも四団体ぐらいあるというふうになっております。
技能実習三号なんかを見てみますと、定期費用の平均は二万三千円なんですが、五千円未満というのも五十九ということで、かなりボリュームゾーンとしてはあるわけで、実は、平均値で見ると三万ぐらいということなんですが、かなりばらつきがあるわけであります。
これは、民民の関係だからなかなか国が介入することはできないというのは、確かにそのとおりなんだろうというふうに思っています。
しかし、その一方で、やはりこういうふうにばらばらな監理費というのは果たして本当に適正なのかということ。確かに、名古屋でやっている場合と、あるいはもっとコストのかからない地域でやっている場合、全くコストが違うことはそのとおりなので、一律というのは違うというふうに思うんですけれども。その一方で、これだけばらばらなのは本当に適正なコストを徴収しているのかということが問題になると思います。
これを適正化するための取組というのは入管庁に求められておりまして、例えばなんですが、携帯電話の値下げをするというときに、調査をして、どういうコストがかかっているんだ、そういうことを調査をして公表したり、いろいろな働きかけをしました。
実際、この監理団体、今後は監理支援機関も、地域や加入事業者数などの要因があると思うんですけれども、何で高い団体は高くなっているのか、低い団体は何で低くなっているんだ、それぞれの違いや取組内容を調査して、定期的に、低い団体はこういう団体です、高い団体はこういう団体で、こういうふうになっています、それを広く告知をすることで、各監理団体の監理費の適正、低廉化に向けた取組、こういうことを促すべきではないかと思いますが、入管庁の御見解をいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
監理団体は、現行制度において、職業紹介費や講習費、監査指導費など、監理事業に通常必要となる経費などについて、実費に限り、あらかじめ用途及び金額を明示した上で監理費として実習実施者から徴収することができることとしております。
その上で、現行制度においては、この監理費の仕組みを実効あるものとするために、監理団体に対して、監理費管理簿の監理事業を行う事業所ごとの作成やインターネットでの公開を求めるとともに、外国人技能実習機構が年一回程度実施している実地検査において、徴収する費用が実費の範囲内であることなどの確認を行っております。
育成就労制度の監理支援機関についても技能実習制度における実費徴収の原則を踏襲することとしているところですが、現時点で考えております今後の方策としましては、監理支援機関が徴収する監理支援費の算出方法や基準を明確化し、インターネットで公開することを主務省令などで監理支援機関に義務づけ、費用を透明化すること。費用の算出方法に係る考え方を運用要領などで明確化すること。外国人育成就労機構による実地検査による確認や指導などを徹底し、過大な監理支援費を徴収するなどの悪質な監理支援機関に対する厳格な対応を行うことなどによって、適切な運用を図ってまいりたいと考えております。
○藤原委員 なかなか、まずは公開をということなんですが、定期費用の内訳を見てみますと、大きいのはやはり監査・訪問指導費用、これが半分ぐらいなんですね。これが適正かどうかというのは、何とも言えないところなんだと思うんですよね。二人で監査、訪問を全部できるけれども、じゃ、三人いたらそれは不適正かというと、なかなかそうも言えない。
あるいは、給料はどれくらいがいいかってありますけれども、例えば三十万払っていた、だけれども、これを五十万払っていますと。これも適正かどうかというと、なかなか、不適正とまでは言えない。
そういう意味では、適正というところは枠がありますのでなかなか外れられない。だけれども、その一方で、是非この点については調査をして、よそはどうやっているんだというところ、そこをしっかりと共通理解を得るというのが非常に大事だと思いますので、前向きに検討いただきたいと思いますし、それから、このアンケートは回答率が三〇%強ということで、今後監理支援機関について許可するのであれば、やはり一〇〇%しっかり答えていただくというのは大事だと思いますので、そこは入管庁にも御指導をお願いしたいと思います。
ちょっと一問飛ばしまして、今回、特定産業分野であったり、技能実習が予定されていない分野、例えば警備業などがございます。このような分野においても人手不足が叫ばれているんですが、今後更に育成就労への職種の追加があり得るのか、その場合にはどのような手続を想定しているのかという点について、お答えをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度では、基本方針において分野の選定に関する基本的な事項を定めた上、分野ごとに定める分野別運用方針において各分野の受入れ見込み数を定めるものとし、これらの方針を作成する際には、育成就労制度に関し知見を有する者の意見を聞かなければならないものとしております。
これらに基づき、育成就労制度における対象分野及び見込み数の設定につきましては、法改正後、速やかに有識者等から成る新たな会議体を立ち上げて議論を行い、その意見を踏まえて判断する予定でございます。
具体的な手続としましては、まずは、各業所管省庁において業種ごとの特性や事情などを踏まえた検討、精査を行い、その後、法務省において厚生労働省などの制度所管省庁とともに検討を行った上で、新たな会議体において議論を行うことを想定しているところでございます。
○藤原委員 今、人手不足が叫ばれている中で、やはり人材確保の面のある分野というのはまだまだあると思います。是非、そういうことも今後あり得るというふうに思っております。
技能実習制度において地域協議会が創設をされておりますが、育成就労制度でも同様に協議会の設立を全国八ブロックで予定をしているというふうに伺っております。育成就労制度は人材育成と人材確保を目的とした制度であります。そのために育成就労制度の地域協議会の在り方というのは技能実習の在り方とは変わると思うんですが、その点について御説明をいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度における地域協議会は、全国八ブロックの地域で組織され、出入国在留管理機関、労働基準監督機関、地方公共団体の機関などを構成員として、相互の連絡を図り、地域の実情を踏まえた技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に有用な情報の共有を目的として活動を行っております。
その上で、育成就労制度では人材確保も制度目的としており、地域への定着などをより促進していく観点から、地方自治体が積極的に地域協議会に参画し、地域産業政策として受入れ環境整備などに取り組むなど、地域協議会において、よりきめ細やかで積極的な取組を行う方針としております。
地域協議会の設置方法などに係る詳細につきましては、今後、関係行政機関等の意見も聞きながら検討いたしますが、地域協議会に期待される役割を踏まえ、実効性のある取組を行ってまいります。
○藤原委員 ありがとうございました。
是非、もちろん一番はしっかり賃金をお支払いをするということ、そして労働環境をよくするということ、それが大事なんですが、それと同時に、やはり、住みやすい地域である、受入れができやすい地域であるということも非常に大事だと思っております。その意味で、共生社会の取組を更に充実強化することが必要だというふうに思っております。
ちょっと時間が来ましたので一問飛ばして、最後に大臣にこの点についてお伺いをしたいと思います。
まさしく、外国人材が増えていくことによりまして、共生社会の取組というものを更に充実強化をしていかなければいけないと思っています。その中心的な役割を担うのは入管庁であるということは明らかであります。
しかしながら、やはり、入管庁は長らく規制官庁としての役割が中心でありまして、共生社会を実現するという、ちょっとまた違う取組をしていくにはマインドを変えていかなければいけない。オーバーステイの外国の方に出ていっていただく、そういうような役割の省庁だったところから変えていく。その点に関してどういう取組が必要か、問題意識を最後に大臣に伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思います。
御指摘のとおり、法務省も入管庁も規制官庁としてではなく、これからはより大きな共生社会の実現というものを、そういう展望を持って進んでいかなければならないと思います。
ただし、その際、国民の不安というものはどうしても生じてまいりますから、国民の不安を和らげる、そのことの必要性は変わりません。引き続きそれは重要な課題であると思いますが、こうした措置を取った上で、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能、これを内閣の中で法務省、入管はいただいておりますので、これを十分に我々も理解をし、また研究を深め、十分にその機能を発揮していく必要があるというふうに考えております。
令和四年の共生社会実現のためのロードマップ実現のためには、我々が、各省所管の問題はありますけれども、縦割りに陥ることなく、半歩踏み出す、その意欲を持って、それだけの見識を持って進みたい、そのように考えます。
○藤原委員 是非、半歩と言わず一歩踏み出して、御努力をいただきたいと思います。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、平林晃君。
○平林委員 公明党の平林と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。
五月四日の朝日新聞に報道されていた全国世論調査、人手不足に関するものですけれども、以前と比べて人手不足を感じると答えた人が六九%に上って、外国人労働者の受入れを拡大する政府方針に六二%が賛成している。二〇一八年の数字が四四%だったということで、これはかなり大きな変化じゃないかなというふうに思っております。
言うまでもなく、この五年間、コロナ禍を通して労働力不足が一気に進んで、それを私も含めて国民が実感をしている、その一つの証左ではないかというふうに思っております。その意味で、今回の改正、非常に時宜を得たものであるというふうに思っておりますので、国民の期待に応えられる改正となりますように、私もしっかりと質問をさせていただきたいというふうに思います。
以下、閣法に関しましては法務省、入管庁、もちろん大臣も含めましてお聞きをさせていただきまして、また、立憲民主党御提出の外国人労働者安心就労法案に関しましては法案提出者に御質問をさせていただければと思います。今までの御質問と重複することもありますけれども、御容赦願えればと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、まず、外国人労働者を継続して受け入れていくために、日本が選ばれる国であり続けることの重要性、これは共通の認識であると考えております。こうした選ばれる、選ばれないという定性的な評価の一方で、アジアから日本に来る外国人、これは、九〇年代から三十年間で経済格差は縮まっているにもかかわらず、一昨年、昨年は年間三十万人の増加ということで、過去最高を更新し続けているという状況でございます。
こうした状況をつぶさに把握した上で、秀でた点は伸ばし、足らざる点を補強するなど、今後も選ばれる国であり続けるための方策を検討する必要があると考えております。
この方策、様々な技能水準によるというふうに思いますけれども、とりわけ技能水準が初歩レベル、すなわち技能実習、育成就労レベルと思いますけれども、その外国人に対する方策に関しまして、法務省の見解を伺います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案におきましては、現行の技能実習制度に対する様々な御指摘を踏まえ、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を創設し、特定技能制度との連続性を高め、転籍の制限の緩和や、受入れや送り出しの適正化といった方策を講じることで、外国人にとって魅力ある制度としております。
そして、これらにより、例えば、キャリアアップの道筋を明確化し、適切な人材育成が担保される制度とすることについては、技能実習生の多くがスキル獲得やキャリア向上を来日の動機としていることなどがアンケート調査でも明らかとなっていることからも、制度の魅力を大きく高める要素となるものと考えているところです。
これらに加え、出入国在留管理庁としましては、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップなどに基づき、関係省庁と地方公共団体との連携を図りつつ、外国人との共生社会の実現に向けた取組を着実に進め、受入れ環境の整備を行うなどして、選ばれる国になるよう努めてまいります。
○平林委員 ありがとうございます。
今、技能水準が初歩レベルの外国人に関しましてお聞きしましたけれども、高い技能水準の外国人に日本を選んでもらう、これも大事なことでありまして、この制度の実効性を高めるための施策、重要と考えているところでございます。
例えば、昨年四月から、特別高度人材制度が、J―Skipという名称ですけれども、導入されています。これまでの高度人材ポイント制とは別に、学歴又は職歴と、年収が一定の水準以上であれば高度専門職の在留資格を付与し、特別高度人材として現行よりも拡充した優遇措置を認めることとなっています。
とりわけ、私の前職に近い分野で申し上げれば、三類型あるわけですけれども、その第一の類型である高度学術研究活動というところは、修士号以上の学位を取得しており、かつ年収二千万円以上の者に高度専門職一号が付与されます。
ただし、このような高収入の研究者は、既に海外の大学などで定職に就いており、そのような研究者が日本に滞在して研究に取り組むということは極めてまれのようにも考えられます。
だからこそ、このような優秀な人材を獲得するためには、例えば日本学術振興会、JSPSの外国人招聘研究者制度などを活用して、現地の職に就きながら日本にまずは短期滞在してもらって、その後に国内で研究に取り組んでもらうなど、呼び水的な施策が必要と考えております。
こうした取組に関しまして、どのような検討がなされているのか、あるいは既に実施されている施策があるのか、文部科学省に伺います。
○西條政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、様々な取組を通じまして優秀な人材に訪日していただく機会を提供することは重要であると認識しております。
委員御指摘の外国人招聘研究者プログラムにつきましては、昭和三十五年から、中堅から教授級の優秀な諸外国の研究者を招聘する事業といたしまして運用されておりまして、記録の残っている昭和四十八年以降で一万四千人以上の人材を採用しているところでございます。
また、このほかにも、昭和六十三年から、若手研究者を招聘する外国人特別研究員プログラムも運用するなど、外国人研究者の日本における共同研究の機会を提供しているところでございます。
これらの取組によりまして、例えば、外国人特別研究員で一年以上日本に滞在した若手研究者のうち、約三五%がその後も我が国で研究活動を継続しているところでございます。
文部科学省といたしましては、引き続き外国人研究者の招聘を通じて優秀な人材を我が国に引きつけられるよう取り組んでまいります。
○平林委員 ありがとうございます。
実は、私も外国人招聘研究者制度でフランス人を招聘したことがあります。彼は日本が大好きで来てくれたんですけれども、残念ながら、その後のリクルートでは負けて、今サウジアラビアで研究者をしているということで、本当に勝っていくことは難しいなと考えているところでございます。
残り二類型、高度専門・技術活動や高度経営・管理活動におきましては、経済産業省における取組が必要になってくると考えております。法務省、入管庁のリーダーシップの下、連携した対応をどうぞよろしくお願いをいたします。
文部科学省は以上でございますので、もしよろしかったら、御退席を。
○武部委員長 では、文部科学省西條さんは、どうぞ、御退出して結構です。
○平林委員 続きまして、改正案では、事前に定められる基本方針にのっとり、分野別運用方針を定めることとされています。この中には、当該分野において求められる人材の基準や育成に関する事項などとともに、当該分野における人材の受入れ見込み数その他の人材の確保に関することが定められることとされています。この受入れ見込み数は今後どのように検討されていくのでしょうか。
また、ここから先は余り明確に通告できていないかもしれませんけれども、外国人技能実習生よりも多くの育成就労外国人を受け入れることになるのか。あるいは、今後五年間で八十二万人と閣議決定された特定技能の在留資格との関係、これがどのようになるのでしょうか。可能な範囲で結構ですので、法務省に御見解を伺えればと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度は、就労を通じて特定技能一号の技能水準の人材育成を図るものであり、特定技能制度と同様、日本人の雇用機会の喪失や処遇等の低下を防ぐなどの観点から、分野ごとの受入れ見込み数を定め、これを受入れの上限として運用することを予定しております。
当該受入れ見込み数につきましては、分野ごとに定める分野別運用方針において各分野の受入れ見込み数を定めるものとし、同方針を作成する際には育成就労や特定技能に関し知見を有する者の意見を聞かなければならないものとしており、有識者等から成る新たな会議体において議論を行い、その意見を踏まえて政府が判断する仕組みとする予定でございます。
受入れ見込み数の設定方法の詳細は今後検討することとなりますが、育成就労制度と特定技能制度のそれぞれについて、人材育成の機能を有するか否かや、修得している技能のレベルの違いを踏まえつつ、技能実習制度がなくなることを踏まえた人材不足の状況や、今後育成就労制度から特定技能制度に移行すると見込まれる外国人の割合などを考慮して、受入れ見込み数を設定することとなるものと考えております。
育成就労産業をどのように設定するかという今後の議論もございますので、現時点で技能実習制度からどうなるかはちょっと申し上げにくいところでございます。
○平林委員 ありがとうございます。
続きまして、改正案では、現行の技能実習制度と同様、育成就労を行わせようとする本邦の個人又は法人は、育成就労の対象となろうとする外国人ごとに育成就労計画を作成をして、これを入管庁長官及び厚生労働大臣に提出をして認定を受ける、このようになっているわけでございまして、その上で、入管庁長官及び厚生労働大臣は、この認定に関する事務の全部又は一部を、外国人技能実習機構を改組して発足する外国人育成就労機構、これに行わせることができるとされているわけでございます。
ここで課題となりますのが、外国人育成就労機構の体制であります。
育成就労外国人におきましては、外国人技能実習生以上の人数、今、明確にはありませんでしたけれども、受け入れられることも考えられるわけであり、また、育成就労計画の審査は簡単な作業ではない、こういう指摘も参考人からもなされたところでございます。
だからこそ、外国人育成就労機構におきましては、外国人技能実習機構以上の体制が必要と考えております。この点に関しまして法務省の見解を伺います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度の創設に当たり現行の外国人技能実習機構は外国人育成就労機構に改組することとなりますが、監督指導、支援、保護機能を強化し、そのために必要な体制を整備した上で、外国人育成就労機構に引き継ぐこととしております。
具体的には、育成就労外国人と受入れ機関との間の職業紹介や、ハローワークに対する情報提供を行うこととし、育成就労外国人に対する転籍支援の円滑化を図るほか、特定技能一号外国人への相談対応の業務についても新たに行うなど、支援、保護機能を強化することとしております。
さらに、不適正事案に対する確実な対応を行うため、労働基準監督署、地方出入国在留管理局などとも連携を強化するなど、監督指導機能の強化を図っていくこととしております。
このような機能強化等に伴い、必要な体制の整備に着実に取り組んでまいる所存でございます。
○平林委員 ありがとうございます。
続きまして、本改正案におきましては、地域協議会及び分野別協議会を組織できることとされています。
それぞれの組織、どのような者によって構成されることになるのか。また、地域協議会及び分野別協議会がそれぞれどのような役割を果たすことになるのか。まず、この点に関しまして法務省の見解をお伺いできればと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
まず、地域協議会でございますが、地方入管局、都道府県労働局、業所管省庁の出先機関などの国の機関及び地方公共団体を構成員として、相互の連絡を図り、地域の実情を踏まえた育成就労の適正な実施や、育成就労外国人の保護に有用な情報の共有を目的として組織することとしております。
同協議会は現行の技能実習制度下においても組織されているものでございますが、育成就労制度では、地域への定着の促進や共生社会実現の観点から地方公共団体も積極的に参画し、地域産業政策として地域への受入れ環境整備などに取り組むなど、よりきめ細やかで積極的な取組を行うこととしており、これらにより外国人の地域への定着を図る方針としております。
他方、分野別協議会は、特定技能制度を参考にしつつ、分野を所管する省庁、その分野に属する受入れ機関などを構成員とし、関係者の連携の緊密化、制度趣旨や情報の周知、法令遵守の啓発、地域ごとの人手不足状況の把握などを行うために組織することとしております。
このような趣旨から、同協議会においては、例えば、各分野における過度な引き抜きを防止するための取組を行うなど、人材流出の防止策についての検討などがなされることを想定しているところでございます。
○平林委員 ありがとうございます。
ちょっと通告のときに分けていなかったので、恐らく後半の部分も御回答いただいたんじゃないかなと思うんですけれども。地元から、今回、本人意向の転籍、これに関して懸念がやはり出されておりまして、最低賃金が安い地方から高い都市部への移動が簡単にできるようになってしまって、非常に地方が不利なのではないか、こういうことは再三言われております。
こうした懸念に対して、地域協議会及び分野別協議会、これは今お話がありましたけれども、しっかりと対応していっていただける、このように期待をしておりますので、御指導のほど、是非よろしくお願いを申し上げます。
地方自治体に関連して、もう少しお聞きさせていただければと思います。
参考人質疑におきまして、私は、広島県の特定技能外国人受入モデル企業支援事業という取組を御紹介をさせていただいて、ほかにも自治体サポートの好事例があるのかどうか、こういう質問をさせていただきました。
これに対して参考人の方から、外国人労働者支援事業がこれから起こりつつあるとされながらも、全プロセス、要するに、リクルートから地域の定着までという意味でおっしゃっておられましたけれども、これを視野に入れて包括的に支援できている自治体はまだないというような御認識が示されたところであります。また、五十を超える自治体が相手国と直接MOU、基本合意書を結んでいるとの現状も御報告があったところでございます。
こうした取組は、自治体がそれぞれの地域の労働力不足に対して強い危機感を持たれていて、今申し上げた、リクルートから地域定着までを安定的に実施していこうと考えておられる、このことがよく伝わってくると感じます。
ちょうど広島県の市議会議長会から要望書が届いたところでありまして、その要望事項、幾つもあるんですけれども、その中の一つには、外国人への生活支援と外国人材受入れ企業及び地方自治体が行う施策への支援、このようにあったところでございます。地方においても国からサポートを是非お願いしたい、このように考えておられる一例と存じます。
こうした地方へのサポートについて、政府としての御見解を入管庁にお伺いいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
外国人の受入れ、共生に関する様々な事業を進めていく上で、実際に外国人が居住し、日々の生活を送っている地方自治体が果たす役割は重要であり、政府としても地方自治体と十分に連携していくことが必要と認識しております。
各地域の特性などを踏まえた人材確保という観点からは、政府方針として、各地方自治体において地域協議会に積極的に参画して、業所管省庁などとも連携を強化しつつ、共生社会の実現や地域産業政策の観点からの受入れ環境の整備、外国人相談窓口の整備や外国人の生活環境などを整備するための取組を推進することで、地域への定着等を促進することとしております。
各地域における取組として具体的にどのようなものが考えられるのかについては、今後、様々な御意見等も踏まえつつ各地域で検討されることになると考えておりますが、政府としましても、例えば、地域協議会等の枠組みを活用し、育成就労外国人の受入れに関する全国の好事例や制度の適正化に関する情報を適切に共有するなどして、議論の活性化を図ってまいりたいと考えております。
○平林委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
続きまして、日本語教育について伺います。
政府が掲げる外国人との共生社会を実現していくために、外国人による日本語の習得は極めて重要であります。
政府案におかれましては、育成就労期間の開始時点において、また終了時点において、それぞれ、日本語に関してN5、N4ということで、A1、A2ですかね、定められているなど、期間中レベルアップを図っていく、そんな制度が設計されているわけでございます。こうした制度にのっとって外国人が日本語を習得するためには、本人の学習意欲とともに、そのための環境が与えられることも重要であります。
そこで伺います。技能実習生や育成就労外国人が日本語教育を受けやすくするために、どのような支援、対策、対応を検討しておられるのでしょうか。よろしくお願いいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度では、適正な人材育成や入国後の地域社会との共生といった観点を踏まえて、育成就労の内容等として、段階的に日本語能力を向上させることを予定しております。日本語を学ぶ環境を適切に整えることも重要と認識しており、受入れ機関が取り組むだけでなく、国による環境整備の必要性についても御指摘を受けているところです。
その上で、外国人の日本語能力の向上を図るに当たっては、国の制度の活用や政府関係機関の支援や協力も極めて重要と認識しており、日本語教育機関認定法の仕組みを活用した日本語教育の質の向上、日本語学習のためのオンライン技術の活用による負担軽減、母国における日本語学習支援としての日本語教材の開発といった取組を行うことを予定しております。
出入国在留管理庁におきましては、関係省庁とも連携しながら、必要な環境整備等に努めてまいります。
○平林委員 ありがとうございます。
ここまで政府案に関して伺ってまいりましたが、最後に大臣にお聞きできればと思います。
今回の法改正についてもそうですけれども、統計情報や好事例など、外国人にとって有益な情報について、より積極的に国際発信していくことは重要と考えます。
この点について、岡部参考人からも御指摘があった内容ですけれども、統計情報については、例えば失踪について、日本は年間九千件、こういう話ですけれども、率でいえば韓国の方が三倍から八倍ぐらい高い、こんな指摘もありましたし、伝え方に配慮する必要はありますが、有益な情報と思っております。好事例については、技能実習生や特定技能外国人、それに対する受入れ企業、監理団体を含めて、顔が見えるようにしていく、こういったことも必要なのではないかなというふうに思います。
悪い事例はSNSなどですぐに発信されて、それが技能実習の悪い評判を広めてしまった、こんな部分もあったんだろうと思いますので、しっかりと対抗していく必要があるのではないかなというふうに思います。
今回の法改正についても、目的や趣旨、ポイントを発信してあげれば、安心してもらえる部分もあるのではないかなというふうに考えております。こうした努力が選ばれる国であり続けるためにも必要であると思っております。
以上、国際的発信についてどのように対応されていくのか、大臣の見解を伺います。
○小泉国務大臣 我が国が選ばれる国になるためには、積極的な情報発信、これが非常に重要です。どんなにいい制度をつくっても、これが発信されて伝わらない限りは、選ばれるということにはつながっていかないわけであります。
一方で、これまでにも多くの技能実習生が実習を行うことによって母国等で活躍をしている実績、こういったものもございます。好事例ですね。こういったものを評価する声も現に存在をいたします。
こうした点を踏まえて、今後は、選ばれる国になるという本改正案の趣旨を踏まえ、こうした好事例の情報や改正法の内容、スケジュール等について、ホームページ、SNS上での広報、あるいは在日大使館等の協力を得ながら、国内外の外国人への広報をより深めていきたいと思います。
その中で、私が重視したいのは、やはり、各国の在京大使館、ここともっと連携を深めたいというふうに思っております。各国大使と面会を繰り返していますが、話せば話すほど、彼らは本気なんですよね。そして、自国の出身者が自分の任地である日本に来てもらいたいという思いを深く持った大使は大勢いらっしゃいますので、そこにお願いをして好事例を発掘してもらうということは可能だと思うんですね。大使館を、法務省の側に来てもらうというような発想でちょっと深掘りをしたい、このように思います。
今日、御質問を受けましたので、なおそのように進めたいと思います。
○平林委員 非常に熱意のこもった御答弁をありがとうございます。お金も人員もかかると思いますけれども、その価値は絶対あると思いますので、是非ともよろしくお願いを申し上げます。
以上、政府案について伺ってまいりました。
続きまして、立憲民主党御提出の外国人労働者安心就労法案について伺っていければと存じます。
まず、立憲民主党案では、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進、これを主たる目的とし、そのために当該制度の推進本部を設置することとされております。
外国人一般労働者雇用制度とは、外国人一般労働者の適正な受入れを促進し、適切な就業環境を実現させるための制度であり、この中の外国人一般労働者とは、一般労働一号、二号の在留資格を有する者であるということになっております。
そこで、まず、この一号、二号に関して確認をさせていただければと思っております。
一般労働一号は、特定の産業上の分野及び都道府県の区域において一般業務に係る活動を行うことができる在留資格とされております。
ここで特定の産業上の分野とありますけれども、ここに関しまして、政府案では、育成就労産業分野ということで、特定産業分野の一部である、このように明記されているんですけれども、立憲民主党案では、そこら辺に関して、私の見た資料の限りでは書いてございませんでしたので、この点に関しまして、特定産業上の分野の具体的な意味を法案提出者に伺います。
○階議員 御質問いただきまして、ありがとうございます。
特定の産業上の分野とは何かという御質問でした。
先ほど委員も冒頭で取り上げた朝日新聞の記事、私も拝読しました。医療、介護や運輸を始め、これからいろいろな分野で人手が足りなくなる。「「働き手不足千百万人」の衝撃」という本が二月ぐらいに出版されて、それも見たんですが、二〇四〇年には働き手が千百万人も足りなくなるということで、いろいろな分野で人が足りなくなると思います。
ただ、それを、今の段階でこれだということを特定するのではなくて、我々の法案では、特定の産業上の分野は政府が定める運用計画で示そうということにしています。そして、この運用計画を定める際には、分野別、地域別の人手不足の状況や経済的、社会的な受入れ許容枠を分析する労働市場テストというものを行いまして、関係者の意見も踏まえながら、特定の産業上の分野等を定めることとしております。
○平林委員 ありがとうございます。
続きまして、二号に関しまして、これは一号と同様に、特定の産業上の分野及び都道府県の区域においてと書いてございますが、ここの活動の分野には一般労働一号からの接続性などによって制限があるのかどうか、この点に関して確認したいのと、あわせまして、一般労働二号の在留資格の取得には、一定水準以上の日本語能力及び経験、知識、技能等を要するとされていますけれども、この一定水準以上の日本語能力、経験、知識、技能、これはどのように規定されるのか、法案提出者の御見解を伺います。
○階議員 今の委員の質問、二つあったと思います。
まず、一般労働二号において活動できる分野に制限はあるのかということなんですが、先ほど申し上げました一般労働一号の在留資格において認められる活動というのが今後定まってくるわけです。それと接続性のある形での活動を認めるということなんですが、一般労働一号の在留資格で認められている活動については二号においても認めようということで、活動の範囲が狭まったり広がったりということは想定しておりません。
その上で、当該外国人労働者については、一般労働二号に移れば、活動が認められている範囲の中では自由な転職は認められるということにしています。
そして、二点目の質問。一般労働二号の取得に当たって必要とされる日本語能力とか経験、知識、技能の点でいいますと、一般労働一号から二号に同一事業者の下で移行するというケースを前提に考えてみますと、まず、活動ごとに必要となる能力は様々であることから、それぞれの活動に応じたきめ細やかな設定をされるということが一つ。それから、一定水準をクリアしているかどうかについては、必ずしも資格試験の合格だけに限られず、それぞれの活動に応じて、研修の受講や同種同業の職務経験等からも判断されるということが二つ目。これを基本にした上で、語学能力だけではなくて、様々な要素を総合的に考慮して決めていくということになると思います。
○平林委員 その上で、一般労働一号、二号の在留資格を有する、不足する人材の確保を図るべき産業上の分野及び地域の活力の向上及び持続的な発展、当然私もそうあるべきと考えますけれども、人材の確保、あるいは産業上の分野の、地域の活力の向上、これは日本国内の問題でありまして、外国人の貢献をそれに対してお願いをしている、そういう内容というふうに捉えておりますが。
一方で、外国人のキャリアアップや育成などの考え方、これがどうなっているかということなんですけれども、政府案におきましては、これがステップアップを図れるということになっているんですけれども、御党の案におきますと、希望に応じた職業能力の開発及び向上が図られることとされておりまして、希望しない外国人に対しては図られないのかな、このように受け取れるわけでございます。
この点に関しまして、育成を目的の一つに掲げている政府案と、目的までは掲げていない立憲民主党案の異なる点と考えているんですけれども、この点に関しまして見解をお願いいたします。
○階議員 お答えします。
育成という観点が我が党の案では弱いのではないかという問題意識かと思います。
委員御指摘のとおり、日本が選ばれる国になるためには、外国人への貢献の考え方が重要だということはごもっともだと思います。
立憲案でも、社会経済の持続的発展と多文化共生社会の形成という我が国社会にとっての利益だけではなくて、人権が尊重される中、安定かつ充実した職業生活を営み、希望に応じて職業能力の開発と向上を目指すことができるという外国人労働者にとっての利益、この双方の利益を追求することを目的とし、このことは基本理念を定める三条に規定しているということは委員御指摘のとおりです。
その上で、なぜ希望に応じてということにしたかということなんですが、関係者から我が党で御意見を伺う中で、外国人労働者全員がキャリアアップしてもっと責任ある仕事に従事したいと考えているわけではないということが分かってまいりました。そのため、育成といういわばパターナリスティックな考え方は取らず、個々の外国人労働者の自発的な意思に基づいて、キャリアアップを希望する方々には国が積極的に支援をしようという形を取ったものであります。
以上です。
○平林委員 時間となりました。もう一問ありましたけれども、別の機会に伺えればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、鎌田さゆり君。
○鎌田委員 立憲民主党・無所属会派の鎌田でございます。
まず最初に、法務大臣に伺いたいと思います。
今回の法改正、これは、遡ること二〇二二年七月二十九日の閣議後の会見で、当時の古川法務大臣が、外国人技能実習制度の本格的な見直しをする必要があるという意思を、長年の課題を歴史的決着に導きたいという言葉を使って表明をしております。そこからつながっているものだと私は解釈をしています。
当時、背景としては、外国人技能実習制度は、労働者が労働者として、人間として安心して生活し、働ける社会をと訴えるデモのような運動が起こっていたという社会情勢の背景もありました。外国人労働者の労働環境の劣悪さというものも社会問題として浮き彫りになっていたことであります。
そこでなんですが、大臣、今回の法案、法改正で、当時の古川大臣の、長年の課題を歴史的決着に導きたいとまで表現をした、大幅に、根本的に見直すということは、今回の法改正にどのように反映されているというふうにお考えでしょうか。
○小泉国務大臣 古川法務大臣が、令和四年の七月、記者会見で話をされました。技能実習制度について、長年の課題を歴史的決着に導きたい、こういう決意を述べられました。同じ記者会見で、具体的な中身にも触れておられるわけでございます。
ちょっとその中身を要約しますけれども、今後、両制度の、特に技能実習制度の見直しを本格的に検討するに当たっては、私としては、次の四点がポイントであると考えています。第一に、政策目的、制度趣旨と運用実態に乖離のない、分かりやすい仕組みであること。第二に、人権が尊重される制度であること。第三に、日本で働き、暮らすことにより、外国人本人の人生にとっても、また、我が国にとってもプラスとなるような右肩上がりの仕組みとし、関係者のいずれもが満足するものであること。第四に、今後の日本社会の在り方を展望し、その中で外国人の受入れと共生社会づくりがどうあるべきかを深く考え、その考えに沿った制度とすること。その意欲の先にこの四点が指摘をされております。
我々は、こうした点をしっかりと踏まえて、今回の改正案を作るに至ったわけでございます。
○鎌田委員 ありがとうございました。
私は、今回の法改正で、当時の古川法務大臣が抜本的に見直すというところがどこまで反映されているのかということについては大きく疑問を感じておりまして、はっきり申し上げますと、看板のつけ替えにただなっているだけじゃないか。支援機関、機関という名前に改組される、それから監理団体も監理支援、とにかく名前が変わるだけで、ほぼ機能としては踏襲されるわけですから、どこがどういうふうに当時の大臣の考えが反映されているのかなというふうに私は疑問を感じているんです。
そこで、衆法の提出者に伺いたいと思います。政府提出法案は、私は、これは看板のつけ替えにすぎないと言っても過言ではないと思うんですが、同じ、先ほど大臣に問いましたことについての見解を伺いたいと思います。
○階議員 御質問いただき、ありがとうございます。
看板のつけ替えということの中で、先ほど委員からも御指摘のあった監理団体を監理支援機関として引き続き存続させるということは、私は大きな問題があるのではないかと思っております。
これまで、外国人技能実習制度の下、悪質な民間ブローカーによる関与が、技能実習生に対する深刻な人権侵害を生じさせてきた原因の一つであったというふうに指摘されています。ですので、この問題には真正面から取り組むことが不可欠だと考えています。
ただ、その中で、今回の政府案はちょっとその部分が不十分ではないかというふうに思っていまして、我々の案は、この問題に対し、認定雇用機関と外国人労働者との雇用契約に当たって、監理団体などの民間の職業仲介機関ではなくて、ハローワーク等の公的機関が中心となったスキームを構築すること等の措置を講ずることとしており、抜本的な解決策を提示したものというふうに考えております。
○鎌田委員 済みません、衆法提出者、これは通告にないんですが、今の御答弁ですと、外国人労働者であっても日本人労働者であっても、この日本国内で同じ労働者として働く者同士、同じように、公的なハローワークの体制強化などを行って、公的に行政が関与していって、そこにそういう機関が関与していって労働環境を抜本的に改善していくという基本的な考え方が根底にあるという解釈でよろしいですか。
○階議員 お答えします。
職業仲介機関がハローワークに一元化されることによって、委員御指摘のとおり、労働条件が外国人と日本人とで同程度になる、そういう効果も期待できるかと思います。
それとともに、例えば、政府案ですと、職業仲介について、先ほど申し上げましたとおり、監理団体を監理支援機関として、名前は変わりますけれども、従来どおり民間が携わる。しかも、その監理支援機関は雇主から手数料をいただいているわけですね。そうなると、雇主を変える転職というのは、監理団体あるいは監理支援機関にとってみると、自分たちの手取りが減ることにもつながるわけですから、どうしてもそこに利益相反という問題が生じるのではないかというふうに考えています。
そうした意味においても、やはりハローワークに一元化する方が合理的であり、かつ利益相反という問題も生じないのではないかというふうに考えます。
○鎌田委員 御丁寧にありがとうございました。
立憲案、衆法の方なんですけれども、やはり行政コストを抑えていくという点でも合理性がある、私も同じ考えであります。
続いてなんですけれども、これは通告をしております、三番のところなんですけれども、転籍、転職についてはこれまでハードルが高いと言われてきました。衆法案では、この点について読みますと、新たな期待を持ってもいいのではないかというふうに考えられますが、三番の2の方でございます、転籍、転職のハードルが高いと言われてきたこと、衆法案では、新たな期待、どのように考えたらよろしいでしょうか。
○階議員 転籍、転職、より外国人の働く方にとってやりやすくなるのではないかという趣旨の御質問だったと思います。
政府案においては、やむを得ない場合のほか、本人意向による場合の転籍を認めることとしていますが、その場合には、同一業務区分内であるとか、同一機関での就労が一、二年を超えているとか、技能水準については技能検定試験基礎級程度のレベルが必要であるとか、日本語能力についてはA1、A2相当の試験への合格が求められているとか、転籍先が育成就労を適正に実施する基準を満たしているといった様々な条件を満たす必要がある。その条件が具体的には今後省令で定められるということなんですが、やはり我々は、ちょっと細か過ぎる、ハードルが高過ぎるというような認識を持っております。
他方で、我が党の案ですけれども、二年間の一般労働一号の在留期間中の転籍制限は、当初、雇主さんが雇った場合のいろいろな負担とかに応えるという意味で、やはりその期間については転籍制限を課しているんですが、一回であれば転籍はその期間でも認める。そして、二号の在留期間中には転籍に係る制限はなくて、自らの実力をもって職場を選ぶことができるということから、立憲案は、政府案に比較して転籍、転職のハードルを下げており、委員の言うとおり、より転職、転籍がしやすい制度になっているというふうに思っております。
○鎌田委員 今、法務委員の皆様もお聞きいただいたと思うんですけれども、私は、衆法の方が、多文化共生社会の形成ですとか、それから外国人の人権尊重と保護というものをやはり真ん中に基本理念として掲げていることが、今の衆法提出者からの答弁でも明らかに伝わっているのではないかなと思っております。
続いて伺っていきます。
先ほど藤原委員も御質問されていて、前回の法務委員会では、私はこの問題に特化をして質疑をいたしました。四番です。衆法提出者に伺います。
在留資格のところについて、四番の2でございますけれども、政府案には永住許可制度に係る取消し事由の追加等が盛り込まれています。衆法の方には、これは一切ございません。そこについて、政府案にこの取消し事由が追加されているということについての見解をまず伺いたいと思います。
○階議員 お答えします。
まず、我が党の案では永住権の取消しなどに関するものは一切含まれていませんので、永住権には何ら影響がないということは先ほど趣旨説明でも申し上げました。
その上で、委員の問題意識と私は共通しております。有識者会議等で議論されていない永住権の取消しというものが政府案に突然盛り込まれることになったということで、非常に問題だと思っております。日本に腰を据えて頑張りたいと思っていただいている外国人の方々について、十分な議論もなくその地位を奪うという制度を設けることは、外国人労働者に選ばれない国になってしまうことにつながるのではないかと思っております。
したがって、現時点において、このような制度を設けることには反対だということを申し上げたいと思います。
○鎌田委員 ありがとうございました。
前回も申し上げましたけれども、直近では、永住許可を持っている外国人の方は八十九万一千五百六十九人と言われています。
前回の委員会で、なぜ立法事実がほぼなきに等しいそれを今回の法案の一つの柱として盛り込んだのか、政府内でどのような議論をされてきたのか、それを理事会に提出をしてくださいとお願いをしましたところ、今朝の理事会で、入管庁さんから、永住許可制度の適正化に係る主な検討経緯というペーパーが、一枚、理事会で配られました。
私も理事会で配られたこれを拝見して読んでいましたが、先ほど藤原委員からの質疑の中で、地方自治体へのヒアリング調査、これは令和五年、昨年の十一月と十二月に行った、これは前回の法務委員会でも御答弁をいただきましたけれども、前回の委員会では、そのときにちゃんと統計を取っていますか、データとして残していますか、立法事実に資するものはありますかと質問した際に、それはないという御答弁だったと私は記憶をしているんです。
ただ、一部の自治体から、そういう公租公課を支払わない、納税義務を果たさない外国人の方が一部ありますと声があるという御答弁はありました。
ただ、先ほど藤原委員には、一千八百二十五件のうち二百三十五件が未納だったという数字を答弁でされました。
そこで伺いたいんですけれども、二つ伺いたいんですが、一つは、この数字のデータは、今朝の理事会で配られたこのペーパーには入っていません。きちんと、主な検討経緯として正式に理事会に出されたこの紙にこの数字が出されていないのはなぜなのか、どこの、どの自治体、どこどこの自治体を調査したものなのかが一つ。あわせて、その未納だった方々、公租公課を支払わなかった、納めなかった方々に督促状を送付したりしているんでしょうか。併せて伺います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
前回の答弁の際、何か統計とかはちょっと持ち合わせていないと御説明したのは、御質問の御趣旨を、永住者全体の滞納の状況とか、そういうことを把握しているのかというふうにちょっと受け止めたものですから、先ほども藤原委員に御答弁したとおり、全体として永住者の滞納率がこれこれというものは持っておりませんと御答弁させていただきました。
その上で、前回の答弁の中で、一部そういう事例があることは把握しているということは御答弁させていただいて、その後、委員の御指摘を受けて理事会協議事項になりましたので、改めてこれまでの検討経緯を整理させて、その必要な範囲内で、本日、御報告させていただいたというところでございます。
また、地方自治体へのヒアリングについては、複数の自治体からお聞きをしているところでございますが、どこの自治体から聞いたということについては、自治体との関係もございまして、具体的な自治体名については答弁を差し控えさせていただきたいというところでございます。
あと、もう一つ、済みません。(鎌田委員「督促状です」と呼ぶ)
それで、先ほど申し上げた、二百三十五件という数字を申し上げましたが、あれはあくまでも、私どもの審査の段階でいただいた書類の中で未納が確認されたというものですので、それ以前の段階として、自治体の方でどういう手続をされていたかというところは、確認は取っておりません。
今回、あくまであれは、永住の申請の段階で、その時点の状況のものを提出資料としていただいたものが、その中で未納が確認されたということを御報告申し上げました。ですので、未納に至った経緯であるとか、あるいは、自治体等からその外国人の方、永住者の方に対してどのような手順を踏まれているものなのかというところまでは、確認はしておりません。
○鎌田委員 ですから、前回も申し上げましたけれども、なぜ、永住者にだけ永住権を剥奪するような物すごく厳しいことを処するんですか。日本人と同じように、未納が分かったのであれば、まず督促状を送付して、それから財産の調査をして、あるいは差押えに至ることもあるでしょう。それから差押財産の換価、いわゆる換金をして、それを滞納している税金に充当するというふうに、日本人と同じように、税金未納でしたねといったら、それに対しての対応というのは同じようにしてよろしいんじゃないですか。なぜ永住権を剥奪というところまで行っちゃうんですか。
○丸山政府参考人 今回、その内容を法案に盛り込ませていただいた事情としましては、永住許可後に適正に納税義務等を履行されていない方が一部いらっしゃるという問題意識の下において立案したものでございます。
また、今回、法案成立後にこの手続を開始する前提としましては、未納があるかどうかということは、地方自治体等関係機関から入管に御連絡をいただいたところから手続が開始いたしますので、当然、連絡する前には、それぞれの部署において必要に応じた対応をしていただいているものと考えております。
なお、前回、大口委員の説明も、答弁させていただきましたが、入管としてどのような方をこの制度で取消しの対象とし得ると考えているのかということについては、法施行までの間に十分整理させていただいて、ガイドラインのような形で具体的にお示しし、それを参考にして自治体等から御連絡をいただけるということを考えているところでございます。
○鎌田委員 今、必要な対応をしていると思うという次長の御答弁だったんですけれども、その必要な対応は、どんな対応をしているかは把握しているんですか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
正確には、申し上げたかったことは、国とか自治体、担当の部署がございますので、それぞれの部署において法令に従って適切に対応していただいているものと思いますということを申し上げたところでございます。
ただ、実際に取り消すかどうかということについては、意見聴取等も行いますし、どのような事情で滞納に至っているのかということも確認しながら行わせていただきます。
○鎌田委員 結局のところ、先ほど千八百二十五と二百三十五の数字はお示しになられました、それから検討経緯も紙で出していただきましたけれども、やはり、これは立法事実に資するとは到底私は言えないと思います。日本で住んでいらっしゃる永住者の永住権を剥奪する法案ですよ、これは。私は、改正とは呼びたくありません。
やはり、衆法提出者が先ほど答弁なさったように、全くこれは衆法には入っておりませんので、この点については、私は、せめて有識者会議できちんと議論をして、それから調査、統計も取って、立法事実に資するものがあってから法案として出すなりなんなり、出直しをするべきだということは改めて申し上げたいと思います。
続いてなんですが、ちょっと時間がかかりましたので飛ばさせていただきます。衆法提出者に伺います。
労働者の派遣という問題についてなんですけれども、一般労働一号、一般労働二号共に不可ということになっていますね。その理由について伺いたいと思います。
あわせて、政府案では、季節性のある分野での派遣形態可能、農業、漁業、これで派遣形態可能となっていますが、政府案の派遣形態可能に対する見解を伺いたいと思います。
○階議員 お答えいたします。
派遣労働について、二点お尋ねがあったと思います。
まず、我が党の案で、一般労働一号、一般労働二号共に不可としている理由。
我々としては、労働者派遣については、日本人の派遣労働者であっても、正規雇用労働者と比べて同等の待遇を確保することはできていないというふうに考えております。したがって、より弱い立場である外国人労働者に労働者派遣の形態での就労を認めることは、派遣先での就労継続が不可能となった場合には、契約内容によって派遣元が収入を補償するものでないといった問題もありますので、外国人労働者の保護や健全な労働環境の確保の観点から不適切であると考えて、派遣形態による就労を禁止しているということであります。
そして、政府案についての見解ということなんですが、政府案では、農業や漁業といった季節性のある分野で派遣形態による就労を認めるということは委員御指摘のとおりですが、日本人の派遣労働者の待遇でさえ十分に確保できていないという先ほど申し上げたこともありますので、外国人労働者の労働環境の悪化等を招くのではないかというふうに懸念しています。
以上です。
○鎌田委員 私も全く同意見でございます。日本人の派遣労働で働いている方でさえも、今、衆法提出者の答弁にあったとおりなんですね。それを、より弱い立場の外国人労働者の方に派遣を認めるということは、私も、これはとても賛同できないなという考えの一人であります。
そこで、政府案、閣法提出者に伺いたいと思います。
派遣についてなんですけれども、派遣元、これは、今度、監理支援機関と名前が変わりますけれども、その監理支援機関の傘下にある派遣業資格を有している民間企業が担うことになるということでよろしいんでしょうか。あわせて、派遣業者の利益というのは、どこから、誰から得ることになるんでしょうか。伺います。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
まず、派遣形態を取る場合でございますけれども、労働者派遣法に基づく資格を有しております派遣会社におきましても一事業所として参加する形になりますので、監理支援団体ということではございません。
あと、利益につきましては、派遣会社とその先にある派遣先の事業所とからの収益という形になって、派遣会社が収益を得るものと考えております。
○鎌田委員 派遣先で、例えば、悪天候が続いて農作業ができない、それから漁に出られないなど、仕事がない状態となったとき、就労計画をあらかじめ作る決まりになっていますけれども、就労計画どおりに労働ができなくなると、労働者のその間のお給料というのは、これはどうなるんでしょうか。あわせて、就労計画どおりに労働ができなくなったということが発覚した場合、派遣元に対する処分というのはどうなるんですか。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
まず、就業先における業務ができなくなった場合、その期間の所得につきましては、使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させることに該当しますので、労働基準法に基づきまして、休業手当の、百分の六十を支払う必要が出てまいります。
あと……(鎌田委員「派遣元に対する処分、就労計画どおりにいかなかったら」と呼ぶ)処分と申しますか、その場合におきましては、派遣の計画、派遣元と派遣先の計画が変更する形になりますので、計画届の変更を要することとなります。
○鎌田委員 計画届の変更だけで済むんですか。派遣業としての資格には影響しないんでしょうか。
それから、先ほど、使用者が給料の十分の六を補償するということでしたが、その使用者というのは、派遣先、働いている場所の派遣先が給料の十分の六を補償する。じゃ、十分の四は、これは補償されないということでよろしいのかということと、それから、そうなってくると、転籍を選ばなくちゃいけなくなると思うんですけれども、転籍先が見つかるまでというのは、人によって、時間が六か月かかるか三か月かかるか、それぞれだと思うんですけれども、それまでの間の生活費、お家賃だったり水道光熱費だったり、そういったものはどこが補償することになるんでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げました休業手当の金額のベースになるところでございますけれども、これは派遣元の金額、契約は労働者と派遣元が結んでおりますので、派遣元から支払われる賃金の百分の六十ということになります。
あと、先ほど計画が変更を要するということでございましたけれども、計画の変更に当たりましては、その中身が適切でない、わざとうまくやらないようにしているとかいう場合におきましては、指導、若しくは、事案によりましては計画の取消しという形になります。
転籍先が見つかるまでの間の生活費につきましては、現行制度におきましても監理団体が行っているんですけれども、監理支援事業に関する経費の中から出されていくものと思われます。
○鎌田委員 派遣のことについては、もっときちんとやり取りをして、質疑をして、御答弁をいただかないとよく見えない、分からないことがあるなと思いました。昨日、ちょっとレクで、お電話でやり取りしたんですけれども、その内容と今の審議官の御答弁と違いがあるので、引き続きだなと思っているんですけれども。
最後に、生活費、次の転籍先が見つかるまでは監理団体が支援をするという御答弁でした。つまり、今度、法改正がもし成った場合、監理団体は監理支援機関というふうに名前が変わりますから、監理支援機関がいわゆる機関としての自腹で、転籍先が見つかるまで、生活費は、三か月だろうと六か月だろうとそこは補償するということになるんですね。もう一回確認させてください。
○原口政府参考人 お答えをいたします。
転籍先が見つかるまでの生活補償についてのお尋ねだったと思います。
現行の技能実習制度では、技能実習実施者が技能実習生に実習を行わせることが困難となりまして、技能実習生が実習継続を希望している場合におきましては、監理団体において、ほかの実習実施者や監理団体等との連絡調整その他必要な措置を講じるという形になってございます。
この必要な措置でございますけれども、個々の実習生の置かれた状況に応じまして必要な支援を行うものとなってございますけれども、技能実習生に次の実習先をあっせんすることのほか、次の実習先が確保されるまでの宿泊先の確保であるとか、日常生活に必要な費用に関する支援も含まれているものとなっております。
育成就労支援制度におきましても、育成就労外国人から転籍の申出があった場合に、育成支援機関は、関係者との同じく連絡調整その他必要な措置を講じなければならないとしており、その具体的な措置の内容につきましては、現行制度も踏まえつつ、今後、関係者の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。
○鎌田委員 結局、最後の、今後、関係者の意見を聞きながら検討していくということでまとめられたんだと思うんですけれども、改めて衆法提出者に伺います。
この派遣、労働者派遣については、今のやり取りをお聞きになられて、この労働者派遣ということが今回の法改正に盛り込まれているということについて、衆法提出者、改めてちょっと見解を伺います。
○階議員 先ほども答弁の中で申し上げたとおり、派遣元の方で収入を補償していない、これは契約内容いかんに関わってくるということですので、外国人労働者の待遇が非常に不安定になるというふうに思っています。やはりそれも選ばれない国になる要因になると思いますので、これから外国人労働者を日本にどんどん招き入れて、そして共生社会の一員として日本国民と親しくおつき合いをしていくという上では、この派遣形態の労働というのは私どもはふさわしくないというふうに思っています。
以上です。
○鎌田委員 時間が参りましたので、終わります。
永住権の取消し、それから労働者派遣、ここについては私は大きく異論を持っている一人です。
質疑を終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 次に、道下大樹君。
○道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。
時間も限られておりますので、入管法改正案について質問させていただきたいと思います。
まず、現行の技能実習制度について法務大臣に伺いたいと思います。
技能実習制度をめぐっては、労働ではなく研修の目的で来日しているはずの外国人を実質的に低賃金労働者として扱う実態が広がっていることや、転籍を制約し技能実習生の権利主張を抑制してきたことなどがあり、アメリカ国務省による人身売買に関する年次報告書の中で強制労働などと繰り返し批判を受けてきた経緯があります。このような国内外からの意見や批判に対してどのような認識をお持ちなのでしょうか。
○小泉国務大臣 現行の技能実習制度に対しては、国際的にも、今御指摘がありました年次報告書の中で、あっせん業者等による技能実習生からの過度の保証金や手数料の徴収の排除、また制度の監督機能の強化、また、本人が希望する場合の雇用先の変更等を可能とする正式なルートの設定、これらが勧告をされているところでございます。
こうした点を踏まえて、今回の改正法案においては、育成就労制度を創設した上で、手数料等が不当に高額とならないようにするための仕組みの導入、外国人育成就労機構の監督指導機能等の強化、監理支援機関の独立性、中立性の確保、転籍制限の緩和といった方策を講じており、これらにより国際的な指摘に対しても相応の対応を行っているものと認識しております。
○道下委員 国内外からの意見や批判に対して、そのような今の御答弁、そして今回の閣法の内容では、私は不十分であるというふうに思います。
先日もバイデン大統領が発言をなさり、そして林官房長官は、正確な理解に基づかない発言で残念とおっしゃいました。
岸田総理は、先日、国賓待遇でアメリカに行ったはずでございます。そして、強固な日米関係を改めて確認をされたと思うんですが、しかし、残念ながら、バイデン大統領がこの前のような発言をされたわけで、私は、正確な理解に基づかない、そんな発言なのか、まだまだ日本として外国人の人権をしっかりと守っていない、そうしたものがまだまだ続いて、そして今、この法案についてもしっかりと日本政府がアメリカに対して説明不十分なのではないかというふうに思うんです。
その点について、これが関連するのかどうかまだ十分に分かりませんけれども、バイデン大統領の発言と技能実習制度についての、今の日本の制度と結びつくのかどうかは、これは本当に本人に聞いてみないと分かりませんけれども、こうした状況がまだまだ日本のイメージとして世界に広がっていることについて、もう一度、法務大臣から伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 バイデン大統領の発言に関するコメントについては、政府全体として官房長官がお答えをされておりますので、私からは控えたいと思います。
しかし、それにかかわらず、外国人の雇用に関する制度の在り方、また、今回の改正の内容、その趣旨、考え方、実効性、そういったものについては、先ほどの別の委員の御質問にもありましたけれども、積極的に情報発信をしていく、正確に理解をしていただく、その努力は新しい制度をつくる努力と同じぐらい重要なことだというふうに思っております。
まずは、この法案を可決、成立させていただいた暁には、今度はその努力をしっかりと進めていきたいと思います。
○道下委員 先ほど来、我が会派の議員も意見を述べておりますけれども、趣旨、目的は大きく変わったかもしれませんが、中身が看板のかけ替えなどで終わっているものでございますので、本当にそのような大臣の目的、方針がしっかりと実現される閣法なのか、私はまだまだ甚だ疑問でございます。
ちょっと質問の順番を入れ替えさせていただきまして、今日は宮崎厚生労働副大臣にお越しいただいています。ありがとうございます。
今回の入管法改正案に関わっての転籍についてちょっと集中的に伺いたいというふうに思っております。
今回の法案について、本人の意向による転籍を制限する期間に関して、有識者会議の最終報告書では、基本的に、「同一の受入れ機関において就労した期間が一年を超えていること」とされた上で、「制度の移行による急激な変化を緩和するため、」云々かんぬん、「当分の間、受入れ対象分野によっては一年を超える期間を設定することを認めるなど、必要な経過措置を設けることを検討する。」とされておりました。また、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の決定でも、「当分の間、各受入れ対象分野の業務内容等を踏まえ、受入れ対象分野ごとに一年から二年までの範囲内で設定する」とされていました。
この制限期間については、今回の経緯の中で最も変遷が多かったところでありますけれども、法案では当分の間という文言がなくなっております。この当分の間が法案に記載されなかった理由と、関係閣僚会議の決定と法案で一年から二年と期間要件が引き延ばされた理由を副大臣に伺いたいと思います。
○宮崎副大臣 まず、この法案は、先生御指摘の一つであります本年二月九日の関係閣僚会議において決定をした政府方針の内容を具体化したものでございます。
この政府方針では、本人意向の転籍の要件となる就労期間につきまして、計画的な人材育成への支障や地方からの人材流出が生じかねないといった懸念を踏まえまして、人材育成の観点を踏まえた上で一年とすることを目指しつつ、地方や中小企業などへの配慮の観点からも、急激な変化を緩和するためのいわゆる激変緩和措置を設けることとしたものでございます。
これは、これも御指摘いただきました有識者会議の最終報告書におきまして、同一の受入れ機関において就労した期間が一年を超えていること、受入れ対象分野によっては一年を超える期間を設定することを認めるなど、政府において必要な経過措置を設けることを検討すると提言されたことを踏まえたものでありまして、最終報告書の内容と本法案は方向性を同じくするものと考えております。
その上ででありますけれども、本人意向の転籍が制限される一定の期間ということにつきましては、一年を超える期間を設定するかどうかや、一年を超えるとする場合にどの程度の期間とするかということも含めまして、各受入れ対象分野の業務内容などを踏まえて検討する必要があるため、本法案では、主務省令で定める期間といたしまして、省令において具体的に定めることとしております。その考え方としましては、繰り返しになりますが、最終報告書や政府方針の内容を踏まえて定めているものと御説明申し上げます。
○道下委員 今の副大臣の御答弁に更にちょっと深掘りをさせていただきますが、これは政府参考人に伺いたいと思いますが、一年から二年の期間について、この法案では、業務の内容等を勘案して、今答弁されたように、省令で定めるというふうにされていますけれども、この業務の内容等とは具体的にどのようなものを想定しているのでしょうか。育成就労産業分野ごとに定めるのか、法案でも、分野ごとに期間を設定することが念頭に置かれているのか、業務区分単位の違いも想定されるのか、伺いたいと思います。
○原口政府参考人 お答えいたします。
本人の意向による転籍の要件の一つである就労期間につきましては、まず、同一の育成就労実施者の下でどの程度の期間、育成を継続して行うことが必要と認められるかという人材育成の観点から、当該分野における業務内容を踏まえて定めることとしてございます。
さらに、これに加えまして、長期の転籍制限期間を設定することで、外国人にとっての当該分野への意欲が低減し、人材確保上のリスクが生じること、一年を超える期間を設定する場合には、一年経過後には転籍の制限を理由とした昇給その他待遇の向上等を義務づける方針としていることなどを踏まえて検討することを想定してございます。
また、就労期間は、少なくとも育成就労産業分野ごとに設定することを想定してございますけれども、業務区分ごとに設定することも含め、有識者等から成る新たな会議体の意見を踏まえて検討してまいりたいと考えてございます。
○道下委員 仮に期間が一年から二年の間の二年というふうになった場合、在留期間は、三年のうちの二年になって、あと残り一年となるわけでございます。かつ、転籍手続に必要な期間等も考えれば、転籍を諦めることにならざるを得ないのではないでしょうか。
先ほども、ほかの多くの委員が、この転籍手続に関しては結構時間がかかっているというような話がありました。そういったことも考えますと、二年という期間が設定された場合の転籍の実効性確保については、私は慎重に見ていく必要があるのではないかというふうに思うんですけれども、もし転籍を抑制しているような場合には、これは見直しが必要と考えますけれども、これは宮崎副大臣に伺いたいと思います。
○宮崎副大臣 育成就労制度においては、幅広い相談先を確保いたしまして、外国人の転籍支援の実効性を高めるために、監理支援機関の支援、保護に関する要件を厳格化したり、外国人育成就労機構やハローワークにおいても職業紹介などを行うとしておりまして、残りの在留期間が短い場合にも速やかな転籍が可能になるようにする予定でおります。
また、各分野において設定する一定の期間というのは、各受入れ対象分野の業務内容、よく業務内容等を踏まえて決めるというふうに言うんですけれども、この業務内容や、もうちょっと言うと、人材育成の観点から必要とされる技能の内容や程度なども踏まえて政府として判断することとしておりまして、例えば特定の業界団体などが一定の期間を希望したとしても、それにすぐ従うということではなくて、不合理に転籍を抑制するような期間を設けること、これは認められないものと考えております。
いずれにしましても、こういった措置につきましては、制度施行後の人材育成や転籍に関する制度の運用状況などを踏まえて、見直しの要否も含めまして、しっかりと判断をしていく必要があると考えているところでございます。
○道下委員 今、副大臣からは、業界団体や受入れ機関からの意見のみを優先というか、そういうことはしないというふうにおっしゃいました。
やはりこれは、今回の政府案に関しては方針を大きく変えたものというふうにおっしゃっていますし、また、今後、育成就労、そして永住というものでございますので、そう考えれば、海外から日本へ働きに来られる方々の意見また人権というものをしっかりと尊重し、日本人と対等に待遇をしなければならないというふうに思いますが、そのときに、今の御答弁にもあった、業務の内容等の妥当性は誰が判断するのでしょうか。
関係する省令を定める際は、分野所管省庁及び関係業界、労使団体等から意見を聞く場を設けるなど、分野ごとの実態を把握することが必要だと先ほどもおっしゃいましたけれども、私も必要だと思いますが、それとプラスして、当人であったり、今回の外国人労働者の方々の、もしかしたらこれから団体等ができるかもしれません。そうした当事者などからもしっかりと意見を聞く場が必要だと思います。そうした実態を把握することについてどのような手続を想定しているのでしょうか。また、パブリックコメントの実施も想定しているのでしょうか。
これは政府参考人に伺いたいと思います。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
本人意向による転籍を制限する期間につきましては、各受入れ対象分野の業務内容等を踏まえて省令で定めるということとしてございまして、各分野の分野別運用方針において、育成就労実施者の変更に関する事項として、分野ごとの方針を定めることを想定してございます。
この分野別運用方針を定めるに当たりましては、制度所管省庁から一定の期間の検討に当たって考慮すべき事情等をお示しした上で、各業所管省庁が業界団体等の意見を踏まえつつ検討を行って、政府として分野別運用方針の案を作成し、当該案につきまして有識者、労使団体等から成る新たな会議体で議論し、その意見を踏まえて政府が最終決定するということを想定してございます。
また、御指摘のございましたパブリックコメントの実施につきましては、行政手続法の規定に沿いまして適切に対応するほか、このように関係者の意見もお聞きしながら検討してまいりたいと考えてございます。
○道下委員 今、そのような労使団体や関係業界というところからもお話を聞くということでございましたけれども、私はその中に、やはり、関係する、これは経済団体のみならず、外国人労働者の方々をこれまでしっかりと支援されてきたり、又は、人権侵害があったらそれをしっかりと受入れ機関や行政機関に訴えてきた、そして人権を保護するような活動をしてきた、そういう団体からもしっかりと意見を聞くべきだと思いますが、そうした団体もしっかりと対象になるんですね。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
そのような団体の方々も含めまして、新たな会議体で議論したいと考えてございます。
○道下委員 そうした、当事者を支えている、守っている団体の意見をしっかりと踏まえていただきたい、聞いていただきたいというふうに思います。
次に、転籍における要件についてなんですけれども、法案では、技能、日本語能力とも、省令で定める基準に適合していることとしています。
そもそも、技能や日本語能力という条件をつけた理由は何でしょうか。その基準は主務省令で定めるとしていますけれども、どのような考え方に基づいて定めることとするのでしょうか。育成就労産業分野別に定めるのか、あるいは業務区分別に異なってくるのか、政府参考人に伺いたいと思います。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度におきましては、外国人の労働者としての権利保護をより適切に図る観点から、本人意向による転籍を認めることとしつつ、その際には、外国人労働者が転籍先でスムーズに育成就労を継続できるよう、最低限の技能及び日本語能力を有していることを要件とするものでございます。
このうち、技能につきましては、現行制度におきまして、技能実習一号における一年間の実習目標として技能検定基礎級などへの合格が掲げられていることにも鑑みまして、育成就労制度におきましても、分野にかかわらず技能検定基礎級などへの合格を転籍の要件とすることと考えてございます。
また、日本語につきましては、育成就労制度におきましては、就労開始前にA1相当以上の試験の合格などを求め、特定技能一号への移行時にA2相当以上の試験の合格などを求めていることとしているため、転籍の要件といたしましては、A1からA2相当の試験への合格を要件とすることとしてございます。
その上で、分野によっては、就労開始前や特定技能一号への移行時に求める日本語能力が異なることから、転籍時に求める日本語能力も、分野の業務内容等を踏まえまして分野ごとに設定することと想定してございます。
○道下委員 次に、改正案における、育成就労外国人というふうに一応名前をしておきますけれども、育成就労外国人が転籍を希望する場合、書面をもって申し出ることができるというふうにしているわけでありますけれども、そうした理由はなぜでしょうか。書面、紙ですね、書面に限られるんでしょうか。メールではできるのでしょうか、できないのでしょうか。また、書面は日本語に限られるんでしょうか、母国語でも可能なんでしょうか。
書面については、私は多言語で一定の様式を定める必要があるというふうに思いますが、母国語を含めて、いろいろな言葉、言語でそうした転籍の希望を出す書面又はメール、こうした一定の様式を定める予定はあるのでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
育成就労法第八条の二に基づきまして、外国人が行う転籍の申出につきましては、転籍の手続的要件でございまして、監理団体等による支援等の契機となる重要なものであることから、後日の紛争等を防ぎ、円滑な転籍に資するよう、書面をもって行うこととしてございます。この書面につきましては、主務省令におきまして多言語による様式等を定めまして、ホームページ等で公表、周知することを予定してございます。
また、当該様式を用いて作成した書面の提出方法でございますけれども、御指摘の、メールによる送付の方法も含めまして、転籍を希望する外国人の方々が円滑に手続を行うことが可能となるよう、今後、制度関係者の御意見を踏まえつつ、詳細を検討してまいりたいと考えてございます。
○道下委員 次に、やむを得ない事情による転籍について、有識者会議の最終報告書では、「その範囲を拡大・明確化し、」云々かんぬん、「手続を柔軟化する。」とし、関係閣僚会議の決定でも同様の内容でありましたが、法案では、「主務省令で定めるやむを得ない事情があると認められるとき」とし、省令事項となっております。
主務省令で定める内容として、具体的にどのような事情が想定されているのでしょうか。当然、暴力やハラスメントといった事案は対象にすべきと考えますが、それでよろしいでしょうか。一定限度を超える時間外労働や賃金低下、予期せぬ形での本人負担額の増加や生活環境の変化もその内容に想定されているのでしょうか。また、主務省令を定める手続は関係者からのヒアリングやパブリックコメント等も想定しているのでしょうか。政府参考人に伺いたいと思います。
○原口政府参考人 お答えいたします。
現行の技能実習制度におけるやむを得ない事情がある場合の転籍につきましては、どのような場合に転籍が認められるのか分かりにくいという指摘がございます。
このため、外国人の人権保護等の観点から、やむを得ない事情がある場合の範囲を拡大、明確化することを予定してございます。具体的には、やむを得ない事情がある場合に該当するものといたしましては、育成就労実施者の倒産などにより育成就労の継続が困難となった場合、実習先での暴行、常習的な暴言、ハラスメントなどの人権侵害行為があった場合、労働契約の内容と実態に一定の相違があった場合、一定限度を超える賃金低下や時間外労働及び休日労働があった場合、本人の予期せぬ形での本人負担額の増加や生活環境の変化が生じた場合などを検討してございます。
これらを主務省令に定めるに当たりましては、パブリックコメントの実施につきましては行政手続法の規定に沿って適切に対応するとともに、関係者の意見を聞きながら検討してまいりたいと思います。
あと、先ほどの答弁の中で、申し訳ございません、書面につきましては主務省庁におきまして多言語による様式を定めるということでございますので、省令ではなくて主務省庁。申し訳ございませんでした。
○道下委員 次に、現行の技能実習制度では、転籍のための手続に時間がかかり、その間に実習生が生活に困窮してしまうといった実態もある中、転籍の実効性を確保する観点から、生活面の補償や支援も重要と考えます。
先ほど、一部、これから監理支援機関がそういったことをやるというふうに言っていましたけれども、私は、これは入管庁若しくは厚労省、行政機関としても何らかの措置が必要なのではないかと思いますが、検討されているのでしょうか。伺いたいと思います。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
重ねての御説明になりますけれども、現行の技能実習制度では、技能実習者が技能実習生に実習を行わせることが困難となり技能実習生が実習継続を希望している場合におきましては、監理団体においてその他実習実施者や監理団体等との連絡調整その他必要な措置を講じるよう定められております。
この必要な措置でございますけれども、個々の実習生の置かれた状況に応じまして必要な支援を行うものでございますけれども、技能実習生に次の実習先のあっせんをするほか、次の実習先が確保されるまでの宿泊先の確保でありますとか、日常生活に係る必要な経費に関する支援も含まれるものとなってございます。
育成就労制度におきましても、育成就労外国人からの転籍の申出があった場合には、監理支援機関は関係者との連絡調整その他必要な措置を講じなければならないこととしてございまして、その具体的な内容につきましては、現行制度も踏まえつつ、今後関係者の意見もお聞きしながら検討してまいりたいと考えているところでございます。
○道下委員 政府案では外国人育成就労機構に職業紹介機能を持たせることとしておりますけれども、その理由を伺います。
あわせて、転籍の際のあっせんは育成就労機構でも可能となりますけれども、育成就労外国人が機構の存在を認識していることが機能する上で大前提となります。認知度の向上と連絡の取りやすさが鍵となると思いますが、どのような施策を講じるのか、伺いたいと思います。
○原口政府参考人 お答えいたします。
転籍支援につきましては、受入れ機関と送り出し機関、外国人の間で調整が必要となることに鑑みまして、まずは監理支援機関が中心となって行うこととしてございますが、なかなか転籍先が見つからないなどの場合には、スムーズな転籍を行うことができますよう、外国人育成就労機構が監理支援機関に対して転籍先に関するリストを情報提供するほか、育成就労外国人と受入れ機関との間の職業紹介を機構自らが行うことができるようにしたところでございます。
議員御指摘のとおり、こうした転籍支援を実効性のあるものとするためには、機構の認知度の向上や連絡の取りやすさが重要と認識してございます。この点、現行制度における外国人技能実習機構においても、入国時、全ての技能実習生に配付する技能実習生手帳におきまして機構について周知しているほか、技能実習を行うことが困難になった場合には機構の母国語相談等に連絡するよう案内しているところでもございます。
育成就労制度におきましても、こうした取組のほかに、外国人育成就労機構における転籍支援が適切になされるためにはどのような工夫ができるのかにつきましては、関係者の意見等を聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
○道下委員 転籍についての最後の質問になりますけれども、政府案では、育成就労の実績等、省令で定める基準への適合が要件とされていますが、最終報告書で示された試験の合格率等は想定されているのでしょうか。
人材育成の担保という観点からは、受入れの企業が、過去に法令違反がないことを始め、技術力が一定レベル以上あること、母国語による相談窓口が常備されていること、安全衛生優良企業認証の取得など、日本人を含め一定以上の安全衛生体制が確保されていること、経営の安定性が保たれていることなども要件として考えられるのではないかと考えますが、宮崎厚生労働副大臣に見解を伺いたいと思います。
○宮崎副大臣 道下先生御指摘のとおり、人材育成の担保という観点から、今、諸点御指摘をいただきましたけれども、おおむね、やはりそういうことは、必要なことは、見解は同じでございます。
転籍先の受入れ機関の要件につきましては、当該受入れ機関で適切に人材育成が行われることを担保することが必要だと考えています。
この点、有識者会議の最終報告書でこういう指摘がございます。「在籍している外国人のうち転籍してきた者の占める割合が一定以下であること、転籍に至るまでのあっせん・仲介状況等を確認できるようにしていること」「所属する外国人の技能検定試験等の合格率や人材育成体制等の一定の条件を設けることが望ましい」というような記載がございます。
先生御指摘の点をちょっと見ますと、例えば、法令違反の点を指摘していただきましたが、法令違反がないことにつきましては、この法案の第十条九号におきまして、転籍先だけではなくて、全ての育成就労実施者の要件として、過去五年以内に出入国又は労働に関する法令に関する不正又は著しく不当な行為をしていないことなどを定めているほか、現行の技能実習制度においても、技能実習を継続して行わせる体制が適切に整備されていることとして、一定程度の財産的基盤を有するという条件を、現行法の九条の六号で技能実習の認定基準として実習実施者に基準適合を求めていまして、それを施行規則、運用要領という形で明確化しまして、こういったような要件も立てているところでございます。
育成就労制度においても、こうした現行制度の要件を踏まえて育成就労実施者の基準を定めていく予定でありますので、先生から御指摘をいただいた点、また有識者会議での議論なども踏まえて、どういう要件とするかにつきましては、施行までの間に関係者の皆様の御意見を丁寧に伺いながら検討してまいりたいと思っております。
○道下委員 やはり、よく政府も選ばれる国にならなければならないというふうにおっしゃいますけれども、国だけじゃなくて、個々の受入れ機関、そうしたところの対応というか環境も非常に重要だというふうに思っています。
この点については、これまで同様よりは、それ以上に厳格な対応というか環境整備に向けて取り組まなきゃいけないというふうに私は思っておりますので、その点は是非よろしくお願いしたいというふうに思っております。
時間が参りましたので、残り、済みません、外国人労働者の受入れの在り方についてはまた今度にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○武部委員長 次に、寺田学君。
○寺田(学)委員 寺田学です。
質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
昨年に引き続き、入管法ということで、昨年は、難民申請者及び難民の方に対する改正という大きな議論もありました。
当時、私自身は理事としてこの委員会に臨んでおりましたが、様々な方々の御協力やいろいろなことがありながら、いわゆる入管行政を取り扱うことの非常に難しさを感じながらも、それを、歩みを進めていく上で大事なことも学ばせていただいたなというふうに思っております。
そういうような御縁もありまして、今お手元に資料を配っていただけると思いますが、「国際人流」という本が復刊をしたということで、お手元の方には、自民党の古川元法務大臣と、恥ずかしながら、私も、寄稿をということで、載せさせていただきました。
古川元大臣のすごく大局的なお話の中において、中段ぐらいに「ですから、」というところもあるんですが、なかなか、もちろん与党の大臣経験者ということでもありますけれども、与党の中で様々な議論のある中において、一部の与党の中の方々からは厳しく御批判されるような発言すらも素直に述べられているなと思います。
産業界の都合で何万人の外国人が欲しいとか、何年までに何万人欲しいというような一方的な議論には危うさを感じるし、外国人なら転籍を禁じてもいいというような考え方にも無理があると思う。日本人であれ、外国人であれ、お互い立派な人間同士、参政権はともかく、基本的には同じ扱いをと考えるのが自然な発想だと思います、もちろん、出入国管理上のルールは遵守されなきゃいけませんがというお話をされていました。
私の方も、もしかしたら野党の方々から怒られるようなこともあるのかなということも素直に載せさせていただきました。引用はしません。
別に古川さんと話し合ったわけではないんですが、同じ言葉を期せずして使っていることがありまして、私の方の文章から引用したいんですけれども、前段の方に、ヨーロッパを訪れた際の、英語が通じないし、ごみと騒音に疲れて共生の難しさを感じたという妻の感想を基に、二十年以上フランスで暮らされる高崎さんという女性の方ですけれども、その方に相談をしたところ、すごく示唆に富むことをお話をされたので、入管法の審議の最初にお伝えをしたいと思うんです。
確かに多様性というものは疲れるんですよね、本当に。しかも、その多様性が能力やイデオロギーだけではなくて衛生観念や公共物の取扱いなど生活習慣に及んでくると、なかなかきれいごとだけでは済まされないなと日々痛切に思います、中略。でも、私も二十年以上フランスに住んでいて、多様性の難しさに疲れながらも、その歴史の中で粘り強くつくられてきた折り合いの制度と人道主義に助けられて、そこから学んで今やっとここです。そして、ここまで来た経験が実感となって、多様性の力を信じることもできていますと。
折り合いという言葉が私が受けたアドバイスで、古川大臣も、実は二段目のところで、外国人とどう向き合うかを考えるときに、特段構える必要はない、私たち本来のおおらかさを発揮すればいい、お互いの違いを認め、尊重し、折り合いをつけながら共に生きていくと。
意見が違っても、折り合いをつけて、何とか、間を取ってなのか、お互いの違いを理解しながらも、物事を折り合いをつけて進めていくというのが、私は、外国人との共生社会をつくる上での一番大事なポリシーというか、要諦だと思っています。
同じように、「国際人流」の中で、日本の中においては先進地域と言われている大泉町の話、町長のインタビューが載っていて、その中でも様々なことが言われていて、ここもやはりタイトルにもあります、三十年たっても問題はごみと騒音という町長の吐露でした。
やはりどれだけ先進地域と言われて長い歴史をつくっていても、いまだに大きな問題として、ごみと騒音があります。外国人住民が急増して三十年たってもです。ごみ捨てのルールを守れない問題への対応としては、七か国語で分かりやすいごみ出しのカレンダーを作って配付したり、何度も何度も説明の機会を設けたり、ついにはごみステーションに防犯カメラをつけて、余りのルール違反があれば通報するなどせざるを得ないこともあります。そこまでするのは、とにかくそのルールを守ってほしいということと同時に、近隣の日本人の住民の方々の感情的に、町が徹底的にやってこそ理解が得られる面があるんだということだと思います。
これこそ、私は、先進地域とはいいながらも、やはり三十年たった今でも、ごみと騒音という衛生観念とか公共物の取扱いというところで苦しまれていて、町として徹底的に、ある種、やり過ぎじゃないか、人権はどうなのだと言われるようなことを投げかけられても、そういう姿勢を取ることによって日本の住民の方々の納得を得られる側面もあるのだ、そうやって進めていくのだということを御紹介されておりましたので、非常に勉強になりました。
私自身、この入管法、今回は労働者の方々、いわば国際的な労働移動についての日本の受け方の議論をするわけですけれども、立憲として法案をまとめて、今回、階さんに御尽力いただきますけれども、提案者として、我々の考えるべきあるべき姿というものを示して、それを説明しながら、政府案と対比して、私は折り合いをつけていくべきじゃないかなというふうに思います。
我々は、一方的に、もちろん与党側、政府側として出したものに、与党側としてももちろん大変な議論があったことは、それこそ折り合いをつけながらここまでたどり着いたんだと思いますが、まさしく立法府の場で、そこにこだわり過ぎることなく、一方の意見を聞き入れ、そして、我々としても、もちろんあるべき姿というものはしっかりと提示しながらも、その歩みに向けた、少しでも進められるように折り合いをつけていくべきではないかなというふうに思っております。
長くなりましたが、質問に移ります。
先日、参考人質疑の中で、毎度毎度参考人質疑は大変参考になるんですが、本当にいろいろ参考になりました。多くの機会を設けていただいた委員長及び理事の皆さんには感謝したいと思いますが、最初に御説明をいただいた是川参考人の質疑を基に、我が党案と政府案の説明を求めていきたいなと思います。
政府案と我が党案の大きな違い、何点かありますけれども、いわゆる監理団体、中間団体をつくるかつくらないかというところがありました。これに関して参考人から一つの考え方を述べられたので、それに対して提出者並びに政府から説明を受けたいというふうに思っています。
一部引用しますけれども、監理団体などの移住仲介機能こそが中間搾取などの問題の温床であり、なくすべきではないかという声があるのも事実です。しかし、それは、国際労働移動の分野では非現実的であることが明らかにされていますと参考人として意見を述べられています。
もちろん、仲介機能を廃して、労働者個人と雇用企業を直接結びつけようとする試みは過去にも数多くなされてきましたが、ほぼ成功していません。
一例を挙げたいと思います。二〇一九年に導入した特定技能制度では、海外の求職者が日本の求人側と移住仲介機能を介さず直接契約できる仕組みを取り入れました。日本、インドネシア間においては、インドネシア政府が管理する労働市場情報システム、IPKOLを導入し、特定技能分野での求人、求職のマッチングを試みています。
しかし、うまく機能しておらず、駐日インドネシア大使館によれば、特定技能の施行から四年以上たった二〇二三年十月下旬の時点で、利用実績は一件もないとのことです。このことは、国際労働移動において移住仲介機能を廃するということがいかに難しいかを示していると言えますという参考人の意見がありました。
これは政府に聞きたいと思いますが、今回、大きな改正を試みて様々な議論をされたと思いますが、まず、いわゆる仲介機能そのものがなく、直接求職者と受入れ側を結ぶような方式、インドネシアに関しては政府が設けたCツーCの仕組みだとは思いますけれども、これがうまくいかなかった理由というのはどのように分析されているものですか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、インドネシアとの直接契約方式について、IPKOLについて御指摘をいただいたところでございます。
特定技能制度において、求人者である日本の受入れ機関とインドネシアの求職者をマッチングさせる目的で、インドネシア政府がオンライン上で管理するシステムであると承知しております。IPKOLはインドネシア政府が管理するシステムでございまして、日本側で管理に関与しているものではないため、その運用状況について我が国としてお答えすることは困難でございます。
なお、日本の受入れ企業によるインドネシアからの労働者受入れに当たりまして、インドネシア政府はIPKOLの利用を強く希望しておりますが、インドネシアの職業紹介事業者を介する方法も許容されており、現に利用されているものと承知しております。
○寺田(学)委員 是非、実態把握及び、結果的に、在日本のインドネシア大使館によると実績がないということでしたので、どういう理由でそういうふうな結果にまず現時点でなっているのかというのは、是非とも入管の方で関心を持っていただきたいというふうに思います。
もう一点、続けますけれども、ここが恐らく立憲案と政府案の違いを表しているところだと思いますが、参考人がお話しされたことを続けますと、今、IPKOLのような、政府が一つのフォーマットを作って、あとは求職者を含めた個人間でどうぞ使ってみてくださいというのはうまくいかないということで、今度は、では、それを政府が仲介したらどうだろうかということが、韓国の例だと思います。
移住仲介機能を政府部門で扱うべきという意見も少なくありません。例えば、韓国の雇用許可制は、国際的な労働あっせんプログラムを全て政府側、つまりはGツーGで行っている点が高く評価されている意見もあります。しかしながら、その実態を見ると、失踪率は日本の約三倍から八倍とはるかに高く、また、外国人が実質的に負担する手数料も、韓国政府の調査によれば、四十万円近くになるという場合もあることが明らかになっています。また、公的部門が職業あっせんを担っていることから、採用までの待ち時間が長く、そもそも希望者の半数程度が採用に至らないなど、必ずしもうまくいっていないということが指摘されています。
この方の結論としては、つまりは、移住仲介機能をなくすことや、あるいは全て公的部門が担うことは、国際労働移動の実態を踏まえるならば、非現実的と言えますと結構はっきりと言っちゃっているんですよね。
まず政府にお伺いしたいんですが、韓国が一例ですけれども、公的機関が仲介機能を中心とした様々な役割を担うということ、今回の改正案でもその立場は取らないんですけれども、韓国の仕組みの評価とともに、なぜそういうような仕組みを取らないのか、御説明いただければと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
韓国の制度につきましては、有識者会議の方でもいろいろ御意見をいただいたところでございまして、ただいま委員から御指摘がございましたので、ちょっと重複しますので全部は読みませんけれども、やはり民間事業者による仲介機能を形式的に廃止しても、非合法なブローカーがばっこし、労働者が実質的に負担する手数料が高額になっている場合もある、また、日本と比べても失踪率が高いというような御指摘もあったところでございます。
有識者会議においてこういう御議論が出まして、その下において、有識者会議の報告書でも、直接方式じゃなくて、民間事業者を絡ませる現行の制度を活用しながら、いいところを活用しながら制度を見直してはどうかという御意見をいただいてきたところでございます。
○寺田(学)委員 もう一回政府に聞きますけれども、はしょっていただいたのはあれですけれども、議論ですから、政府としての公式な評価を聞きたいんですが、結果として非合法なブローカーがばっこすることになる、なった、なることが予想されるということなのかもしれません。
政府が直接的にやる形に対してどういうふうな評価を持っているのか、マイナス面を含めて、しっかりと御説明いただければと思います。
○丸山政府参考人 申し訳ございません。では、丁寧にということで、御説明申し上げます。
先ほど申し上げたほかに、参考人質疑の中におきましても、例えば、制度を維持するには海外事業所を置くなど莫大な費用がかかり、それにもかかわらず、特定産業だけが受益することで、自国民の納得を得るのが困難となり得るといった指摘があったことも承知しております。
また、外国人の受入れに際して、ミスマッチを防いで適切なあっせんを行うには、送り出し機関と連携して、過去の実績等を踏まえた当事者への助言、外国人と育成就労実施者との面接のセッティング、実際の受入れに向けた準備行為などを行うなど、人によるきめ細やかな対応が必要と考えているところでございます。
そこで、育成就労制度では、技能実習制度、特定技能制度の在り方に関する有識者会議の提言も踏まえ、雇用許可制のような政府が送り出しを仲介する仕組みを採用せず、二国間取決めを新たに作成し、悪質な送り出し機関の排除に向けた取組を強化するとともに、原則としてMOCを作成した国の送り出し機関からのみ受入れを行うこと、送り出し機関と連携して職業紹介を行う監理支援機関の要件等を適正化することなどの方策を組み合わせることで、厳格な管理の下で、民間事業者による仲介機能を活用しつつ、送り出しの適正化を図ることとしたものでございます。
○寺田(学)委員 それでは、提出者にお伺いしたいと思いますが、参考人としても、そして政府としても、いわゆる政府が仲介機能を担うということに対して否定的な意見、具体的なデメリットもありましたけれども、それに対して、提出者としてのお考えをお聞かせください。
○階議員 御質問いただいて、ありがとうございます。
私はふだん法務委員会におりませんので、参考人の意見を詳細に承知しているわけではありません。そのことをまず申し上げた上で、先ほど来のお話を聞いていると、韓国の一般雇用許可制は、結局、非合法な悪徳ブローカーを排除できなかったという問題があるというふうにお聞きしました。
ただ、非合法な悪徳ブローカーがばっこすることを理由に、合法な悪徳ブローカーを放任するということはおかしいのではないかと私は思いました。
ただ、その上で、韓国の一般雇用許可制、これはパーフェクトなものではないということは、私もそのとおりだと思います。幾つか課題があると思います。
まず、ブローカーが完全に排除されていない。これは、悪徳ではなくて、いいものも含めて排除されていないということが我々としては問題ではないかと思っておりまして、先ほどおっしゃったGツーGの仕組みの方がいいのではないかというふうに思っています。
というのは、これも先ほど鎌田先生の質問に対して答えておるんですが、ハローワーク等の公的機関のみが仲介、あっせん機能を担うことによって、より外国人労働者と国内労働者の待遇の均等が図れるのではないかという点。そして、ブローカーが介入することによって手数料が生まれますから、その手数料収入と転職の支援というのが利益相反に当たるのではないかという問題があると思っておりまして、その面で、やはりブローカーについてはなくして、そしてハローワーク等の公的機関のみが関わった方がいいのではないかということです。
それと、失踪者が増加しているという課題もあるかと思います。この点については、韓国の制度は在留期間の終わりが決まっていて、その後は見通せないということが一因だと思っております。
我々の案では、一般労働二号の在留期間満了後も引き続き就労可能な新たな在留資格の創設を検討するということにしておりまして、将来に予見可能性が持てるということで、より人生設計が描きやすくなるのではないかというふうに考えております。
以上です。
○寺田(学)委員 ありがとうございました。
非合法なブローカーがばっこするのではないかという懸念に対してどのようなアプローチをするかというところの違いはあると思います。
私も直接これに関わっているわけではないので、実態としてどうなっているかはつぶさに申し上げられませんが、とはいえ、非合法な、ブローカーであれ業者であれ、様々な分野には出てくるんですけれども、大体それの発生源はどういうことかというと、正規の手続が非常に遅くなるとか、非常に面倒だとか、非常に高額だということに関して、非合法的な形で何かしらサービスを提供しよう、便宜を図ろうという人たちが出てくるのはどの分野においてもあることだと思います。
なので、実際、非合法なブローカーがどれぐらい出てくるのかは別としながら、韓国のケースでいうと、いわゆる公的部門の職業あっせんを待っていたら余りにも時間がかかり過ぎるのでというところは、発生源になり得るんだと思います。うちを使ったらすぐ行けますよ、うちを使ったらすぐどこどこで働けますよ、だけれども高いですよ、だけれどもこんな条件ですよ、だけれども待っていたら二年かかるんですよ、では、行きませんかということになるんだと思います。
そういう意味で考えると、では、本当に公的部門で担う、今民間部門でやっていることを公的な部分で、ガバナンスで、Gの方で担うんだとすれば、相当程度ハローワークの増強をしなければ、私は、結果的に悪質なブローカーを生む温床をつくってしまうんだと思うんです。
そういう意味で、宮崎さん、御足労ありがとうございます。厚労省として、今回、今まで技能実習生の数十万人を担ってきて、これから伸びていくことが予想されますが、これをハローワークで担うとしたら、どれぐらいの人的、予算的な増強をするべきなのか。そういう見通しを含めて、まずは政府に、その後、提出者にお伺いしたいと思います。
○宮崎副大臣 寺田委員の御質問を今聞かせていただいていて、国際労働移動の分野の現実みたいなところを、私も読ませていただきました、是川参考人の御意見なども踏まえてお話しいただいていたものと理解して聞いております。
国際的な雇用のマッチングにおいては、やはりミスマッチを防いで適切なあっせんを行うには、送り出し国側において受入れ機関のニーズを踏まえて候補者の募集、確保を図るとともに、先ほど入管庁の次長から説明がありましたけれども、日本側においても、送り出し機関と連携をした上で、過去のあっせん実績などを踏まえた当事者への助言や、外国人と育成就労実施者との面接のセッティング、実際の受入れに向けた準備行為など、きめ細かな対応が必要であるわけであります。
そこで、今の御質問でありますけれども、現在、全国に五百四十四か所のハローワークが設けられています。現行の技能実習制度において、監理団体の数は約三千七百団体でございます。そして、実習実施者の数は約六万五千機関あるという状況でございます。こういった数字の中で、先ほど申し上げたように、監理団体が担っている国際的な雇用のマッチング機能をハローワークに担わせることは困難ではないかというふうに思っています。
なお、今御質問にありました、具体的にどの程度の費用や人員かということにつきましては、これはハローワークに担わせるとした場合の業務の範囲などの詳細が明らかにならないと、推計することは、必ずしも、難しいと思いますので、必要となる予算、人員について、今現状において具体的に試算することは困難でありますので、今申し上げたような、ファクトとしてある数字を御答弁申し上げます。
○階議員 お答えします。
まさにタイム・イズ・マネーというのは万国共通で、時間がかかり過ぎると闇でブローカーがばっこすることになりかねない、非常に重要な問題意識だと思います。我々はGツーGを目指すわけですから、ハローワークの体制は当然強化しなくてはいけない。
今副大臣から答弁がありましたとおり、監理団体は今三千七百ですか、それぐらいの数があるわけで、我々は、監理団体を、看板のつけ替えであっせん、仲介をさせるのではなくて、ハローワークにその機能を担わせるということですから、それ相応の人員や予算、権限が必要となるということはそのとおりだと思います。
これについて、まだ我々の方も実は具体的な数字までは出せておりませんが、問題意識としては委員のおっしゃるとおりで、しかるべく対応をしていきたいと思っております。
○寺田(学)委員 あえてニュートラルに政府にも提案者にも聞いている理由は、私は、問題意識は同じだと思うんです。それに対する手法や、それは仲介機能をなくして公的な部門でやるべきだという我々の考え方も、当然ながら、目的は、そういう中間搾取で労働者の方々に対して不利な待遇をつくらないようにするべきだということもそうですし、政府は政府の中で、公的な部門でやるということも、当然ながら、先ほどいろいろ問題点を挙げられましたので、視野の範囲に入りながらも、先行事例を見てみると、非常にそこにはまた新たな問題点があるだろう。
なので、どちらが手法としていいのかということは様々な議論があると思いますけれども、いかに悪質な監理団体というか、悪質なことをする人たち、利害関係者を減らしていくのかということに対しては、同じ方向性を見て歩みを続けられると私は思うんですよね。
今回、ちょっと時間がないので質問を多少飛ばしますけれども、監理団体の適正化ということを政府案でも出しています。先ほども話がありました。
では、ちゃんとそこの団体がまともなことをやっているのかということを、ある種、外部監査という形で監査することで、密接な関係がある人はそういうような立場に就いちゃいけないという話ではありましたけれども、本当にこれはちゃんと機能するんですかというような強い疑念を私は持ちます。
そこに対して、監理団体に対して、適正ではないような行いをすることに対して、しっかりとそういうことが明らかになり、報告がされ、改善がなされるような仕組みがあって初めて民間団体でやることを続けられるんだと私は思います。
入管庁、大丈夫ですか、今回の改正案。甚だ私は問題意識を持っていますけれども、いかがですか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度における監理団体につきましては、多くの監理団体の役員等が受入れ機関の役員等を兼ねている実情などから、監理や外国人の保護などの役割を十分に果たせていない団体があるとの指摘もございます。
そこで、本法案では、監理支援機関について、受入れ機関からの独立性、中立性を担保するため、従前、必須要件ではなかった外部監査人の設置を許可要件とし、受入れ機関と密接な関係を有する役職員が一定の監理支援等の業務に関与することを禁止することとしております。その上で、既存の監理団体につきましては、これらの要件を踏まえて、改めて監理支援機関として許可を受けない限り、育成就労制度における監理支援を行うことはできないこととしているところです。
そのほか、監理支援機関については、受入れ機関数に応じた職員の配置や対応体制の確保、外部監査人の氏名、所属の公表といった見直しを行うことを検討しており、主務省令においてその詳細を定める予定でございます。
○寺田(学)委員 ごめんなさい、外部監査をする人は誰が指名するんですか。
○丸山政府参考人 外部監査人につきましては、監理団体の方でそれぞれ決定していただくことになります。
○寺田(学)委員 密接な関係にある同じような会社の役員だとか従業員はできないとは言いながら、自分にとって好みの人を就けることは可能じゃないですか。
もちろん、それ自体が、レク、説明を受けている段階においては、一定程度、それは弁護士さんだ何だとかというような条件はあるかもしれないですけれども、密接な関係というその定義における、同じような役員だったり職員じゃなかったということじゃなくても、幾らでも密接な関係というのは、それは人間関係ですから、山ほどあるわけです。
どういうふうに監査されるかというのを、第三者から選ばれて全く関係性がない人に監査されるならまだしも、密接な関係があるかないか自体が、同じように働いたことがないような人だとか役員じゃない人だというのは、おおよそそれは甘い監査が起こり得るんだと私は思うんですけれども、そういう懸念に対してどう考えますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現時点におきまして、外部監査人につきましては、弁護士であるとか行政書士、社会保険労務士といった資格を有する方たちを想定しているところではございます。
また、監理団体において外部監査が機能しているかどうかについては、外国人育成就労機構における実地検査等を通じてしっかり確認してまいりたいと思っております。
○寺田(学)委員 弁護士さんだから、依頼主との関係において、それは当然ながら職務を頑張ってやるんだとは思いますけれども、我々も様々な形で、自民党はやっているのかな、分かりませんが、監査を受けますよ、団体とかの。ただ、それに対しても、その人選の在り方というのは、私は何の曇りもないですけれども、頼む相手がどういう人かというのは、非常にそれは頼む側の意思で考えるところはありますよね。
今、ちゃんとそういう検査が行われているかどうかというのも、しっかり実地検査しますとは言っていますけれども、果たしてそれ自体がどういうような形で行われるかということも含めてしっかりと議論して、そこが明らかにならないと、今回の改正案に対する信憑性というものが整わないのではないかなというふうに思います。
時間が参りましたので、終わります。
○武部委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時九分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。
まず、法令違反への対応について伺わせてください。
令和四年の厚労省の、実習生の実習実施者に対して行った監督指導や送検等の状況について取りまとめた、実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況という調査があるんですね。ここでは、全体の何と七三・七%に当たる七千二百四十七件で法令違反が認められている。主な違反事項は、使用する機械等の安全基準が二三・七%、割増し賃金の支払いが一六・九%、健康診断結果についての医師からの意見聴取の順ということで、厳しい見方をしているにしても、約四分の三で違反が見つかったことについて、大臣の見解を伺わせてください。
○小泉国務大臣 委員御指摘の厚労省から公表されました監督指導等の状況については、監督指導自体が、全ての実習実施者を対象として無作為に抽出されたものではなくて、法令違反が疑われる事業所を対象として実施されたものでありますが、一部の実習実施者において労働関係法令違反が生じているのは事実であり、改善すべき課題の一つであると認識をしております。
○鈴木(庸)委員 さらに、今、一部というお話があったんですけれども、監理団体についても、不正行為とかまた法令違反が認められて、ほぼ毎月資格を取り消されているところが出ている状況でございます。
監理団体については、ほぼ毎月資格取消しが行われている中で、どういった処分理由が多いんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
外国人技能実習機構では、受入れ機関や監理団体に対して定期又は臨時に実地検査を行い、違反等を認知した場合は改善を指導、勧告しており、さらに、違反の態様等に応じて、主務省庁において監理団体の監理許可の取消し等を行っております。
監理団体に対する行政処分について申し上げますと、平成二十九年十一月の技能実習法施行から令和四年度末までに、監理許可の取消しが四十三件、改善命令が二十七件となっております。
監理団体の許可取消しの原因となった違反事由について、重複も含め、多いものから順に申し上げますと、認定計画に従った実習監理を行っていなかった場合などの技能実習法令違反が十七件、受入れ機関に対する監査を適切に行っていなかったなど監査に関する基準違反が十二件、虚偽の監査報告書を外国人技能実習機構に提出するなど偽変造文書等の行使等に関する基準違反が十件、送り出し機関との間に不適切な契約を締結するなど監理事業を適正に遂行することができる能力を有するものとは認められなくなった許可基準不適合が十件となっております。
○鈴木(庸)委員 問題山積というところで、更に申し上げると、実習実施者については、重大、悪質な労働基準監督法違反によって二十一件も送検されているということなんですけれども、監理団体については、例えば複数回の処分が行われたといった例もあるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十九年十一月の技能実習法施行後、令和四年度末までの時点で、改善命令を受け、その後、再度法令違反が認められたことから、監理許可の取消しとなった監理団体が一件ございます。
具体的には、適正な実習監理を行っていなかったことにより改善命令を受け、その後、適切な監査を行っていなかったことなどの法令違反が認められたことから、監理許可取消しとなったものでございます。
○鈴木(庸)委員 あるわけですよね。
四分の三が違反をしている実施者、これについては、その数字の評価については別途あるということでございましたけれども。また、毎月のように資格が取り消されている監理団体がある。
こういう状況で、今回の法律が出てきたわけですけれども、大臣、このような状況をどう評価していらっしゃいますでしょうか。
○小泉国務大臣 現行の技能実習制度において、多くの受入れ機関あるいは監理団体については適切な技能実習が行われていると承知しておりますが、今、事務局から御答弁申し上げたように、一部の受入れ機関等において不適切な受入れが行われており、この点は重く受け止めなければならないと考えております。
そのため、育成就労制度では、全ての受入れ機関、監理支援機関がその役割をより適切に果たすことができるよう、各要件の厳格化などの措置を整えております。
○鈴木(庸)委員 適切に、また厳格化という、度々出てきたお言葉がまたあったんですけれども、育成就労ということで、こうした監理団体や実習実施者について同じようなことを引き起こさないために、私どもの部会でも、適切にという言葉が本当にいっぱい何度も出てきたけれども適切になっていないよねという評価もある中で、具体的にどう指導監督していくんでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度におきまして、育成就労実施者や監理支援機関に対しまして、適切な監理、指導を行っていくことは重要と考えてございます。
このため、本改正におきまして、まず監理支援機関につきまして、受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限、外部監査人の設置の義務化などにより、その独立、中立性を担保するとともに、受入れ機関数に応じた職員数の配置を要件とするなど、許可基準の適正化、厳格化を図り、育成就労実施者に対する監理、指導の機能をより適切に果たすことができるようにすることとしてございます。
また、外国人技能実習機構を改組して設立する外国人育成就労機構におきましても、労働基準監督署、地方出入国在留管理局などとの連携を強化するなど監理、指導の強化を図ることとしており、育成就労実施者や監理支援機関における法令違反等に対し厳正に対処してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(庸)委員 その厳正に対処がうまくいったとしましょう、少し前に進んだとしましょう。
ただ、監理団体の一部については、度々指摘されているところですけれども、いわゆる名義貸しをしているところが一定数存在すると言われているわけですね。名義を借りている側が問題を引き起こすといったケースもあるわけですけれども、こうした名義貸しの実態調査というのは行われているんでしょうか。もし行われているとするならば、現状についてどのような見解をお持ちでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
技能実習法におきまして、監理団体が自己の名義をもって他人に監理事業を行わせてはならないとしてございまして、こうしたいわゆる名義貸し行為を行う監理団体は、外国人技能実習機構の実地検査等により把握した上で、許可取消しなどを念頭に厳正に対処しているところでございます。
○鈴木(庸)委員 実地検査されているということで、済みません、これは通告していないんですけれども、何件ぐらいとかというデータはあるんですか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
過去五年間で許可取消しが四十八件ございますけれども、そのうち名義貸し行為による取消しにつきましては七件となってございます。
○鈴木(庸)委員 引き続き、名義貸し等々、そういった問題についてもしっかり取り組んでいただければと思いますが。
厚労省の調査では先ほどのような数字が明らかになったわけですけれども、同じ令和四年に、技能実習生から労働基準監督署に対して労基法違反の是正を求めてなされた申告の件数というのは僅か百四十五件なんですね。七千件を超える先ほどのデータと比べても圧倒的に少ないと感じてしまうんですけれども、背景には、労基に訴えるという知識と語学力がやはり不足しているのではないかということもあるのではないかと思っております。
こうした人々がきちんと申告、これがフォローできるようにするために、今回の改正案ではどんなことが担保されているのかというところを伺いたいんですけれども、大臣。
○小泉国務大臣 技能実習制度では、入国の際に技能実習生全員に配付されます技能実習生手帳を通じて、入管法や労働関係法令を始めとする日本の法令等の適用に関して周知を図っております。
また、技能実習生は受入れ機関に配属される前の一定期間、一か月から二か月程度、監理団体が実施する入国後講習を受講する必要がありますが、ここにおいても、技能実習生手帳を活用しながら、労働に関する法的保護等必要な情報について講習を受講する、こういう形で知識の周知、向上に努めているところでございます。
今後、厚労省、技能実習機構とも連携しながら、引き続き、不断の見直しを行いながら、有効な手だても考えていきたいと思います。
○鈴木(庸)委員 よろしくお願い申し上げます。
あと、労基に訴えたら雇主に言われて復讐されるんじゃないかといった不安から、なかなか言い出せないといったケースも多々あると聞いております。
外国人が匿名で相談できる機関というのはあるんでしょうか。もしあるとするならば、匿名の外国人からの訴えをどういったフォローで国は吸い上げているんでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
外国人技能実習機構が行っている母国語相談では、八か国語により行っているところでございまして、電話やメール等で相談対応を実施しているところでございますけれども、匿名での相談も可能としてございます。また、地方事務所、支所におきましても電話や来所による相談で対応しているところでございますが、同様に、匿名での相談も可能としているところでございます。
機構におきましては、こうした匿名での相談があった場合ですけれども、必要な助言を当然行うこととしまして、相談内容を記録し、本部、支所間で共有することで、次に相談があった場合に参照できるようにしているところでございます。
なお、本人が匿名でも事業所名等の開示があった場合でございますけれども、相談があったことの開示の可否を本人に確認した上で、それらの情報に基づき実地検査を行い、必要な指導などを行っていくこともございます。
○鈴木(庸)委員 個人情報を守りながら、しっかりとそこも対応していただければと思います。
次に、外国人の手取りの増加について伺わせてください。
この委員会でも何度も、参考人の方もおっしゃっていましたけれども、出稼ぎ先を選ぶ上で当然最も大きなインセンティブは幾ら稼げるかということになるかと思うんですけれども、ただ、日本人の賃上げもままならない中で、経済全体を底上げして外国人を呼ぶといったことには余りにもこれから時間がかかる。今ある制度の中で、何とか日本に来れば一財産つくれると思っていただけるような工夫が必要だと私は思っているんですけれども。
以前、三月十三日の法務委員会で、外国人の社会保険料の脱退一時金について、法務大臣から外国人支援コーディネーターのカリキュラムに入れるという答弁を、前向きな力強い答弁をいただいておりますが、その後の進捗状況について伺わせてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
外国人支援コーディネーターにつきましては、本年八月から養成研修を開始する予定でございます。養成研修で使用するテキストにおいて社会保険料の脱退一時金についても記載しており、研修受講者には同制度について学んでいただくこととなっております。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
この脱退一時金以外にも外国人が理解しているか分からない制度が結構いっぱいあって、これを理解してもらって手取りを増やしてもらうということも大切なことなのではないかなと思います。
その一つに、各国との租税条約がございます。まず、租税条約の締結によって所得税や住民税が一部又は全額の免除を受けることができる制度の概要について御説明いただけますでしょうか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
一般論として申し上げますが、技能実習生につきましては租税条約上の事業修習者に該当すると考えられるわけでございますが、中国やタイなどとの一部の租税条約におきましては、事業修習者として国内に一時的に滞在する人に対する給与等につきまして、一定の要件の下で所得税を免除することとされております。
租税条約の規定に基づき給与等の所得税について免除を受けようとする場合には、租税条約に関する届出書を給与等の支払い者を経由して税務署長に提出することとされております。
○鈴木(庸)委員 お金が戻るはず、戻るというか、払わなくていいお金が出てくるわけで。ただ、実習生に租税条約についてはどういう形で周知をされていますでしょうか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
租税条約は締結する国ごとに内容が異なっておりまして、課税上の取扱いがまちまちとなることから、国税庁におきましては技能実習生に特化した周知ということでは行っておりませんが、技能実習生に対する課税上の取扱いにつきましては、外国人技能実習機構が作成しております技能実習生手帳などによりまして、日本での生活に必要な情報等と併せまして周知されているものと承知しております。
○鈴木(庸)委員 租税条約以外にも、国外居住親族の扶養控除等というのもあるわけですけれども、これについては周知されているんでしょうか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
国外居住親族につきまして扶養控除等の適用を受ける際には必要となります確認書類がございまして、その内容につきましては、国税庁ホームページに給与所得者向けのリーフレット、あるいは源泉徴収義務者向けのQアンドAを掲載いたしまして、周知を図っておるところでございます。
また、国外居住親族を有します給与所得者につきましては日本語が得意でない外国人の方も多いと考えられますことから、給与所得者向けのリーフレット、こちらにつきましては、日本語以外にも、英語、中国語、ベトナム語など六言語で作成して、周知を行っておるところでございます。
○鈴木(庸)委員 先ほど申し上げた社会保険料の脱退一時金と租税条約、さらには国外居住親族等の扶養控除、幾つもあるんです。それぞれが別々のところに情報が行ってしまっているようで、是非、今あるシステムの中でいかに彼らにお金を持って帰ってもらうかという視点で、縦割りをやめていただきたいんですね。
これを全部まとめて、今度、法務省さんの方には技能実習手帳の現物をくれとお願いはしているんですけれども、この手帳の中に、すごく分かりやすく、こうすればあなたが帰るときに大体百万近くのお金が戻ってくるかもしれませんよみたいなことを書くということと、そうすれば全体で家に持って帰れる額が多くなるわけですから、その辺、是非丁寧にお願いをしたいと思っております。それによって、やはり日本にしようという方というのは必ず増えてくると思いますので、是非御検討いただきたいと思います。
同じお給料に関して伺いたいんですが、実習生の最低賃金や実習生の給料については、やはり都道府県の最低賃金に合わせているようなのが実態なのかと思うんですけれども、東京等の大都市への流入を避けて地方の中小企業が人材を確保できる環境を整えるには、これは難しいとは分かりますけれども、賃金を全国で一斉に底上げするといった補填の仕組みなどの政策というのも必要となってきてしまうのではないかなと思っております。そうしたことについて制度的な検討というのは今なされているんでしょうか。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度は人材育成と人材確保を目的とするものでございまして、特に地方の中小企業において人材確保が図られるよう配慮することは大切だと考えてございます。
議員御指摘のような仕組みの導入につきましては難しいと考えてございまして、当方といたしましては、育成就労制度におきましては、育成就労外国人に対する報酬の額が日本人が当該業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であることを育成就労計画の認定要件としており、外国人労働者に対する適正な待遇が確保されるように考えているところでございます。
また、各地域の特性等を踏まえました人材確保の観点から、自治体におきましても、地域協議会に参画して業所管省庁などとの連携を強化することでありますとか、共生社会の実現や地域産業政策の観点からの受入れ環境の整備、外国人相談窓口の整備や外国人の生活環境など整備するための取組を推進することで、外国人にとって各地域の魅力がより高まる取組を進めることと考えてございます。
こうした取組によりまして、地方の中小企業における人材確保が図られるよう対応してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(庸)委員 次に、転職について伺わせてください。
悪質なブローカーの介入を防ぐため、今回の法案で民間の職業紹介事業者の関与は当分認めないという方向性なんですけれども、日本国内の転職エージェントといった適切な運営がある程度担保されているような機関も参入できない理由というのは、なぜなんでしょうか。
○原口政府参考人 現行の技能実習制度におきましては、やむを得ない事情がある場合を除きまして転籍を認めていない、かつ、転籍の支援団体、監理団体が中心に行うこととしているため、民間の職業紹介事業者が関与することは実質なかったということでございます。
これに対しまして、従前認めていなかった本人意向の転籍を今回の法案では一定の要件の下に認めることとしてございますので、これまで以上に転籍が増えることが想定されます。
民間の職業紹介事業者につきましては、現行法制上、技能実習の転籍に関与しておらず、今回の転籍の関与を認めることとすれば、過度な引き抜きなどにより就労を通じた人材育成という制度目的が阻害されるような転籍が生じる可能性も拭えないところでございます。
このため、まずは当面の間、民間の職業紹介事業者の関与を認めないことといたしまして、監理支援機関が中心となって転籍支援を行うとともに、公的機関であるハローワーク、外国人育成就労機構にも連携して対応することとしておるものです。
○鈴木(庸)委員 何らか理由をつけて民間を排除するというような、そういう答弁だと解釈をしているんですけれども。
転職することがメリットとするならば、引き続き監理支援機関の傘下にある団体でないと転職できないとなると、ハローワークなどで自分で見つけてきてそこに転職することができないというならば、これまで特定技能や技能実習で認められていたのと違うというのは、これまでの実習生なら三年で、今回一年、二年、この期間の違い以外は何も変わらないんじゃないかと思ってしまうんですが、それについての見解を伺えますでしょうか。
○原口政府参考人 現行の技能実習制度では、先ほど来申し上げていますとおり、やむを得ない事情がある場合を除きまして転職を認めていないところでございます。
今回の法案で育成就労制度における目的に人材育成と人材確保を掲げまして、外国人労働者としての権利保護を適切に図る観点から、やむを得ない事情があると認められる場合のほかに、従前の受入れ機関の下での就労期間など、一定の要件の下で本人の意向による転籍についても認めることとしたところでございます。加えて、やむを得ない事情がある場合の転籍につきましても、外国人の人権保護の観点から、やむを得ない事情がある場合の範囲を明確化、拡大するとともに手続を柔軟化することとしてございます。
これらにより、外国人の保護と本人意向に沿った転籍がこれまで以上に可能となるものと考えてございます。
○鈴木(庸)委員 まあ、お考えになるということなんでしょうね。実際、ただ、制度だけ見ると、やはり、期間しか違わないって何が違うのかなというのはずっと疑問として残っております。
ミャンマーについて伺わせてください。
ミャンマーにおける情勢不安を理由に本邦への在留を希望するミャンマー人については、緊急避難措置として、当該措置に係る在留資格、特定活動での在留を認めるということですけれども、技能実習や特定技能のミャンマー人が特定活動に移ったケースというのはあるんでしょうか。あるんでしたら、その件数についても伺えればと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
ミャンマー人への緊急避難措置は、有している在留資格の種類にかかわらず措置の対象となっております。在留資格、技能実習又は特定技能を有する方についても緊急避難措置の対象となっているところでございますが、その件数については統計を作成していないため、お答えは困難です。なお、令和五年十二月末時点で、一万五千百七十二人のミャンマー人に対して緊急避難措置に係る在留資格、特定活動を許可して、在留されているところでございます。
○鈴木(庸)委員 技能実習と特定活動だと全然外国人に与えられている権利というのが違ってくるわけですけれども、技能実習から特定活動に切り替えるときに、諸手続等と接続、この接続の部分というのは一体どういった形になっているんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
ミャンマーにおける情勢不安を理由に本邦への在留を希望するミャンマー人について、現に有する在留資格の活動を満了した者、自己の責めに帰すべき事情によらず、現に有する在留資格の活動を満了していない者には、一年間の在留期間で特定活動の許可をしているところでございます。また、技能実習の途中で失踪するなど、自己の責めに帰すべき事情により、現に有する在留資格の活動を満了していない者についても、六か月の特定活動の在留期間で、週二十八時間以内の就労を認めているところでございます。
当庁としましては、今後のミャンマーにおける情勢の変化など、最新の同国の情勢を踏まえつつ、個々のミャンマー人の置かれた状況にも配慮しながら、引き続き対応してまいります。
○鈴木(庸)委員 失踪した人についても、二十八時間の就労制限はあるものの、滞在と働くことを認めているというのは大変評価するべきだと思うので、引き続き情のある政策をミャンマー情勢についてお願いしたいと思います。
最後に、JITCOについて伺います。
これは、質問通告のときも、JITCOについて伺いたいというお話をしたら、管轄でないのでお答えをできませんというお話をいただいているんですが、改めて聞かせていただきます。JITCOの事業の概要って何なんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
JITCOは、平成三年に当時の法務省、外務省、労働省、通商産業省の四省共管により設立された財団法人でありますが、平成二十四年に公益財団法人に移行した際に、内閣府が所管する法人となっているところでございます。
そのため、同法人の事業内容等について、現時点で当庁からお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○鈴木(庸)委員 それで内閣府に聞いたら、法務省に聞いてくれと言われるわけです。区役所でたらい回しにされたような感じなんですけれども。
何も答えられないということなので、一方的に私が説明をいたします。
JITCOは、技能実習、特定外国人等の外国人材の受入れの促進を図り、国際経済社会の発展に寄与することを事業目的としている。教材の開発、提供などの各種支援サービスを行うほか、主務大臣からの告示を受けた養成講習機関として、監理団体の監理責任者や実習実施者の技能実習責任者等に対する養成講習を実施されているということで、最後に、ちょっと飛ばしますけれども、セミナーの開催や申請支援サービス等の各種支援サービスを行っている。
主務大臣という言葉が出てきたんですが、この主務大臣は法務大臣という理解でよろしいのでしょうか。それとも、それも言えませんか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今、委員御発言ありました主務大臣につきましては、法務大臣と厚労大臣ということを指していると思います。
○鈴木(庸)委員 ちなみに、このJITCO、理事長さんは、東京地検の検事正、東京高検の検事長まで務められた大物辞め検が就いていらっしゃいますよね。
さらに、事業内容で、「外国人技能実習機構及び地方出入国在留管理局宛ての各種申請書類の作成について助言し、点検・提出・取次について優待します。」と書いてあるんですね。この優待という言葉の意味もちょっと勉強したいところなんですけれども、企業会員、賛助会員も、会員、一口十万円から何口でもオーケー、そういった団体となっております。
私、今この場では、不勉強で、勉強を十分にしていないので、いい悪いは論じておりませんが、事実の確認だけをさせていただいております。
重ねて伺います。JITCOは法務省とは関係ないと断言するということでよろしいでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
法務省と関係がないと申しますか、団体として関係ないという意味で御説明を今させていただいております。ですので、技能実習制度などで関与していますので、そういった面では、どういう活動をしているかはある程度は承知しているところでございまして、あえてホームページ等の記載等を御参考に申し上げれば、賛助会費を主な財源として、セミナーの開催であるとか相談対応など、各種支援サービスのほか、先ほど委員御指摘ございましたように、監理団体の監理責任者等に対する養成講習等を実施されていると承知しております。
○鈴木(庸)委員 今回の全体の中で、内閣府に移行したという話があったんですけれども、元々その前は法務省と一緒にやっていたと思うんですけれども、今、この全体の実習制度、今度、育成就労になる中で、この団体がどういった形で制度設計又は今後の運営に関わってくるのかというところについては、また改めて確認をさせていただきたいと思います。
終わります。
○武部委員長 次に、美延映夫君。
○美延委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の美延映夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
午前中、ただいまの質疑にもありましたように、他の委員さんからもございました、他の国との競争に打ちかっていくためには、外国から来られる方の人権の保護や適正な賃金を確保しないと、これはやはり多国間競争にも勝てないと考えております。せっかく日本に来ていただいたのですから、日本に来てよかったなと思っていただけることがやはり一番大切である、私は、その観点から今日は質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
さて、我が国では、働き手の中心である十五歳から六十四歳の生産年齢人口の減少が続き、二〇五〇年には五千五百四十万人と、今より二割減ると言われております。もはや人材確保に悩む企業にとっては、外国人材は不可欠の存在になりつつあります。このように、人口の急減期に入った我が国は、外国人労働者と共生する以外に選択の余地はありませんが、円安もあって、外国人労働者の獲得競争は厳しさを増すばかりだと思います。
私は、実は昨年の法務委員会でも、技能実習制度について小泉大臣に質問をさせていただきました。ただ、当時は、法案はもちろんのこと、有識者会議の最終報告書も出ておりませんでしたので、法案の中身について具体的な答弁をいただける状況ではありませんでしたが、人権侵害が横行している技能実習制度についての御所見を伺ったところ、小泉大臣は、技能実習生に対する人権侵害は絶対にあってはならない、労働関係法令違反やハラスメント等の人権侵害問題の発生については深く受け止めている、人権侵害はあってはならないという原点を忘れずに制度設計に入りたいという趣旨の御答弁をいただきました。
昨年の質疑以降、最終報告書を取りまとめ、政府方針の公表、そして今回の法案提出へと進んでまいりましたが、今回の法案が人権侵害はあってはならないという小泉法務大臣のお考えを十分に反映したものになっているかどうか、確認していきたいと思います。
まず、今回の法改正では、やむを得ない事情がある場合の育成就労外国人の雇主である育成就労実施者の変更、すなわち転籍について、その範囲を拡大、明確化するとともに、手続についても柔軟化することとされました。現行の技能実習法においてもやむを得ない事情がある場合には転籍を認められているはずですが、現行制度にはどのような問題があり、また、今回の改正はどのような点を見直すのか、まず教えていただけますでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
現行の技能実習制度におけるやむを得ない事情がある場合の転籍についてでございますけれども、まず、どのような場合に転籍が認められるのか分かりにくいという指摘があることと、また、転籍が認められるための立証の程度も個別の事案に応じて判断されておりまして、特に、実習生と受入れ機関の主張が食い違う場合などには、転籍手続が速やかに進まない事案も見受けられるといった課題があると認識してございます。
まず、先ほど申し上げました、一点目の転籍の範囲の拡大、明確化についてでございます。一点目につきましては、外国人の人権保護などの観点から、やむを得ない事情がある場合の範囲を拡大、明確化することとしてございます。
具体的には、やむを得ない事情がある場合に該当し得るものといたしまして、育成就労実施者の倒産などにより育成就労の継続が困難となった場合、実習先での暴行、常習的な暴言、ハラスメントなどの人権侵害行為があった場合、労働契約の内容と実態に一定の相違があった場合、一定限度を超える賃金の低下や時間外労働及び休日労働があった場合、本人の予期せぬ形での本人負担額の増加や生活環境の変化が生じた場合などを検討してございます。
また、二点目の立証責任の課題でございますけれども、やむを得ない事情がある場合の対応の必要性や緊急性を踏まえまして、例えば、外国人からの資料などに基づく一定の疎明があった場合には、機構においてやむを得ない事情がある場合と認定し、転籍を認める場合もあることを明確化することとしてございます。
やむを得ない事情による転籍が実効性のあるものとなるよう、具体の検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○美延委員 今るる内容をお答えいただきましたけれども、今、最後に言われましたように、これはまさに実効性のあるようにしてもらわないと、絵に描いた餅では全く意味がないので、よろしくお願いいたします。
これは、ルールを改めても、そのルールが、先ほど言いましたように、適切に執行されなければ意味がありません。やむを得ない事情がある場合は転籍が確実にできるようにするには、監理支援機関の指導監督や育成就労外国人の支援、保護を行う外国人育成就労機構の機能強化が私は必要であると考えています。
先日の参考人質疑でも、参考人の方から、外国人技能実習機構の職員数は増えているが、まだ全然足りないという悲鳴が上がっているという発言をいただきました。
外国人育成就労機構の人的体制や機能の強化に向けて今後どのように取り組んでいくのか、お考えを聞かせていただけますか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
育成就労外国人の転籍につきましては、監理支援機関が中心となって支援を行うこととしてございますが、転籍先が見つからないなどスムーズに転籍が進まない場合には、公的機関であるハローワークと外国人育成就労機構も連携して対応することとしておりまして、転籍支援に当たっては、外国人育成就労機構も重要な役割を担うものと認識してございます。
このため、育成就労制度におきましては、外国人育成就労機構の監督指導、支援、保護機能を強化し、そのために必要な体制を整備していくことと考えてございます。
具体的には、育成就労外国人に対する転籍支援をより円滑に行えるようにするため、育成就労外国人と受入れ機関との間の職業紹介、ハローワークに対する情報提供などを機構の業務として法律で新たに規定する。また、不適正事案に対する確実な対応を行うため、労働基準監督署、地方出入国在留管理局などとの連携を深めるなど、監督指導機能の一層の強化を図っていくこととしてございます。
これらにより、やむを得ない事情がある場合を含め、転籍が円滑に行われるよう努めてまいりたいと考えてございます。
○美延委員 今回の法改正では、現行の技能実習制度では認められていない本人の意向による転籍を認めることと先ほども御答弁いただきましたが、しかしながら、それが認められるためには、同一機関で就労した期間が一定期間を超えていること、一定の技能検定や日本語試験に合格していること、転籍先が一定の要件を満たすことといった様々な要件を満たさなければなりません。
技能実習制度における転籍制限の存在は、雇主である実習実施者と技能実習生との間に過度な支配、主従関係を生じさせ、様々な人権侵害を発生させ、深刻化させる背景、原因となっていると有識者会議でも指摘されております。
そこで伺いたいんですけれども、今回の育成就労制度の創設に伴い、転籍制限が緩和され、本人の意向による転籍が認められることとなりましたが、今回の改正により、実際どれだけ転籍が可能になるとお考えでしょうか。本人の意向による転籍を認めたという、これは海外へのアピールだけにとどまるのではないかということを危惧しておりますが、今回の改正の実効性について御所見を伺います。
○原口政府参考人 お答えいたします。
本人意向による転籍につきましては、お話がございましたとおり、従前の育成就労実施者の下での就労期間、外国人の技能等の水準、転籍先となる新たな育成就労実施者の適正性について一定の要件を満たす場合に転籍を認めることとしてございます。
この点、例えば、育成就労実施者が育成就労外国人に転籍をさせないようにするために、日本語を学ばせないようにしているような場合なども考えられますけれども、監理支援機関や外国人育成就労機構による指導などが行われるほか、育成就労実施者が計画に従って育成就労を行わせていないものとして、育成就労計画の認定取消しを行うことも考えられます。
また、転籍支援につきまして、日常的に関係者とやり取りをしている監理支援機関が中心となって行うこととしているほか、転籍がスムーズに進まない場合には、ハローワークと外国人育成就労機構も連携して対応することとしております。
これらの取組によりまして、本人意向に沿った転籍が可能となるようにしてまいりたいと考えてございます。
○美延委員 今聞いて、日本語を教えないという、そんなのは言語道断ですわね。
本人の意向による転籍要件は大きな論点となっている、これは承知していますが、特に、同一機関での就労期間を一年にするか二年にするかについては、地方や中小零細企業における人材確保のためには、一年で転籍されるのは短過ぎるという意見がある一方、人権擁護の観点からは、二年間我慢しなければならないのは逆に長過ぎるという意見がありました。
こうした相反する議論を聞いておりますと、地方や中小企業の人材確保と外国人労働者の人権擁護があたかも両立し得ないものであるかのように思えてしまいますが、地域社会全体で外国人材をしっかり受け入れるための補助金の支給や、地域における生活支援等により、地方で働く魅力を高め、外国人労働者に地方にとどまってもらう環境を整える必要があると考えますが、どうでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
地域における共生社会の実現、地方における人材確保などの観点から、外国人が地方で働く魅力を高めるための環境整備に取り組むことは重要と認識してございます。
このため、各地域の特性を踏まえました人材確保の観点から、自治体におきましても、地域協議会に参画して業所管省庁との連携を強化することでありますとか、外国人相談窓口の整備や外国人の生活環境等を整備するための取組を推進することで外国人にとって各地域の魅力がより高まる取組を進めることとしてございまして、その際には、出入国在留管理庁が実施している外国人受入環境整備交付金などにより、一層積極的に活用することも考えられるところでございます。
こうした取組によりまして、外国人がそれぞれの持つ能力を発揮しつつ、受入れ機関や地域において安心して働き続けられる環境整備が進むよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
○美延委員 先日の参考人質疑において、参考人から、生産性の低い企業が安価な労働力として外国人に頼った結果、人権問題や失踪事案が発生しているとして、安価な労働力を求める企業には育成就労制度を利用させるべきではないという意見がありました。私も全くそのとおりだと思います。
現在の特定技能制度は、生産性の向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野で外国人の受入れを行うものです。
そこで伺います。
育成就労制度の受入れ対象分野も特定技能制度における特定産業分野に限られますが、育成就労制度を利用して外国人を受け入れようとする企業は、受入れに先立って、生産性の向上や国内人材の確保のための取組又はその検討を行う必要があるのか、政府の見解を伺います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度におきましては、人手不足分野における特定技能一号への移行に向けた人材育成を目指すものであり、受入れ対象分野については、特定技能制度における特定産業分野に限ることとしております。そのため、特定技能制度と同様、生産性向上や国内人材確保に向けた取組を行った上で、なお人手不足が生じていることが受入れの前提となります。
本案成立後、対象分野及び見込み数の設定については、有識者や労使団体等で構成する新たな会議体の意見を踏まえて判断することとなりますが、当該判断に当たっては、当該分野において生産性向上や国内人材確保のための取組が十分に行われているかなどについても確認の上、議論、検討がなされる予定となっております。
○美延委員 ありがとうございます。
先日の参考人質疑において、参考人からは、転籍には、やむを得ない事情がある場合の転籍、それから経営不振など、受入れ企業側の都合による実習の中止の場合の転籍、それから本人の意向による転籍があり、これら三つを有効に機能させることが人権保護のためには大切であるという指摘がありました。
この点に関して、改正法における制度のたてつけについてお伺いをいたします。
○原口政府参考人 お答えいたします。
改めての説明となりますけれども、本法案では、ハラスメントや暴行等の人権侵害、受入れ企業などの倒産などによるやむを得ない事情がある場合や、一定の要件の下での本人の意向により転籍が可能であることを法律上明記することとしてございます。
このうち、転籍が認められるやむを得ない事情につきましては、労働契約の内容と実態に一定の相違があった場合など、より具体的な例を示してその範囲を明確化するとともに、受入れ機関側の都合により稼働日数が予定よりも少ないことなどによる一定の賃金低下などがあった場合など、やむを得ない事情の範囲を拡大することなどを検討してございます。
また、本人の意向による転籍の要件につきましても、転籍が円滑かつ適正になされるよう、転籍前の育成就労実施者が負担した初期費用の正当な補填など、転籍先となる新たな育成就労実施者の適正性を図るための要件も設けることとしてございます。
また、転籍の具体的な流れといたしましては、外国人が転籍を希望する場合、育成就労実施者、監理支援機関又は外国人育成就労機構のいずれかに転籍希望のお申出を行い、申出を受けた監理支援機関や外国人育成就労機構が職業紹介などの転籍支援を行い、転籍先を探した上で、転籍先が新たな育成就労計画の認定を受けることとしてございます。
監理支援機関や外国人育成就労機構のほか、ハローワークにおいても外国人から転籍の相談を受け付け、外国人育成就労機構などと連携しながら職業紹介などを行うこととしてございまして、様々な関係機関が連携して支援を行うこととしてございます。
○美延委員 ありがとうございます。
今年三月の閣議決定により、令和六年度から向こう五年間の特定技能外国人の受入れ数は、全十六分野の合計で八十二万人とされました。
また、今後は、育成就労制度において受入れ対象分野ごとに受入れ見込み数を設定することとされていますが、既に四十万人を超える技能実習生が我が国に在留していることを考えると、これはかなりの人数になると予想されます。
一方、育成就労外国人の増加に伴い、監理支援機関の数も増えていけば、機能を十分に果たせない、小規模あるいは不適当な機関が増えてしまうのではないかということも考えられます。
最終報告書では、財政的基盤が脆弱な団体や監理を行う受入れ機関が一者のみの小規模団体を排除すべきとの意見もありました。
そこで伺います。
今回の法案でも、監理支援機関のガバナンスの強化についての規定が新設されています。受け入れた外国人の人権保護の観点からは、監理支援機関の規模拡大と適切な業務実施体制の確保が必要であると考えますが、政府の御所見を伺います。
○原口政府参考人 お答えいたします。
監理支援機関における監理支援事業が安定的に運営されるためには、有識者会議の最終報告書にございますとおり、一定の規模や財産的基礎を有することが必要であると考えてございます。
このうち、財産的基礎につきましては、現行制度におきましても、監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有することを監理団体の許可要件の一つとしてございまして、運用上、債務超過の有無などを総合的に勘案して判断しているところでございます。育成就労制度におきましては、この基準を厳格化した上で、主務省令において明確化することを考えてございます。
また、規模に関してでございますけれども、許可基準として主務省令で定める要件といたしまして、受入れ機関数に応じた職員の配置や相談対応体制の確保を求めることとしているところでございます。
さらに、監理支援を行う受入れ機関が一者しかない場合などは、監理支援機関の独立性、中立性の観点からも望ましくないと考えられるところでございます。
育成就労制度におきましては、監理支援事業を適正に遂行するに足りる能力を有する者を許可要件の一つとしているところでございまして、御指摘の点も踏まえまして、今後、施行までの間に、関係者の御意見等も丁寧に伺いながら、詳細を検討してまいりたいと考えてございます。
このほか、本改正におきましては、監理支援機関について、受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限、外部監査人の設置の義務化について法律上規定しておりまして、その独立性、中立性を担保することとして、これらにより、育成就労実施者に対する監理、指導や外国人に対する保護、支援等が適切に行われるようにしてまいりたいと考えてございます。
○美延委員 そこは、監理支援機関については、今おっしゃったように、しっかりお願いしたいと思います。
今回の改正で、監理支援機関は、転籍の希望を申し出た育成就労外国人が転籍先で育成就労を継続できるよう、関係者との連絡調整、職業紹介、その他の必要な措置を講じなければならないとされています。そして、これらを適切に行わない場合は監理支援機関の許可を取り消すなどの必要な措置を講ずると今も答弁いただいたわけですけれども、許可を取り消されないように監理支援機関が頑張ってくれるのは、これはよいことですけれども、それでも監理支援機関が動いてくれない場合はどうなるのでしょうか。
これは、転籍したい場合、外国人にとって、自分の転籍先が決まることが大切であって、監理支援機関の許可がどうなろうかということよりもそちらが絶対大事なので、転籍支援は、監理機関を中心にハローワークと外国人育成就労機構が連携して取り組むこととされていますけれども、中心である監理支援機関がその役割を果たさない場合、残り二つの機関は、転籍先がしっかり決まるまで、最後まで面倒を見てくれるのでしょうか。教えていただけますか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
監理支援機関において転籍が見つからないなど、スムーズに転籍支援が進まない場合でございますけれども、外国人育成就労機構が監理支援機関に対しまして転籍先に関するリストを情報提供するとか、必要に応じて育成就労外国人と受入れ機関との間で職業紹介を自ら行うこととしてございます。
また、ハローワークにおきましても、外国人からの転籍の相談を受け、外国人育成就労機構などと連携しながら職業紹介を行うこととしております。
このように、外国人育成就労機構及びハローワークにおいても、監理支援機関とも連携しながらでございますけれども、育成就労外国人の転籍が円滑に行われるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
○美延委員 ここまで厚労省さん、法務省さんからいろいろ御答弁いただきましたけれども、転籍以外の点でも、これまでの技能実習制度において、実習生に対する人権侵害が数多く報告されています。
小泉大臣、これまでどのような人権の態様ないし類型があったのか、認識されているのでしょうか。また、今回の改正で、それぞれの類型の人権侵害をどのように防ごうとお考えなのか、大臣の御所見を伺います。
○小泉国務大臣 外国人労働者に対する人権侵害行為、これはあってはならないことでありますが、技能実習制度の下においては、一部の受入れ企業等が、制度趣旨を十分に理解せず、例えば実習実施者の職員等による技能実習生への人権侵害事案が生じております。その類型としては、暴言や脅迫、暴行、ハラスメントなどがございます。
新しい育成就労制度においては、外国人の人権保護を徹底するため、やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲の拡大、明確化及び手続の柔軟化、外国人育成就労機構の監督指導機能の強化や監理支援機関の独立性、中立性の確保による人権侵害事案への適切、厳格な対応といった方策を講じているところであり、これらに加えて、制度趣旨を関係者に適切に周知していくことなどによって、人権侵害が行われないよう徹底してまいりたいと思います。
○美延委員 これは是非大臣もよろしくお願いいたします。
もう一問、大臣に伺いたいんですけれども、今回の改正案では、転籍時の日本語能力が、最も易しい日本語能力試験N5レベルや、基本的に日本語を理解することができるN4レベルを設定するとしています。
他方、日本語能力の要件は、転籍を困難にするという意見も聞いております。余りそこばかりをすると、やはり、じゃ、もう英語圏に行こうかというようなことにもなりかねないと思いますので、転籍時の日本語能力について大臣はこれからどうお考えか。先ほどありましたように、日本語も教育しないとか、そんな団体があるということをさっき伺いましたけれども、こんなのはもう話になっていませんけれども、一般論としてはどうでしょうか。
○小泉国務大臣 転籍によって人材育成に支障が生ずる、そういうことがない程度に日本語能力が向上している必要がある、それを確認するために、本人意向による転籍時の日本語能力に係る要件を設けております。
その際、当該要件は、分野の業務内容等を踏まえて、分野ごとに異なる水準を設定可能としておりますが、これは、就労開始時や特定技能一号への移行時に必要となる日本語能力要件について、分野ごとに異なる水準を設定可能としたことを踏まえたものであって、転籍を不当に制限することを目的としたものではございません。
その上で、今後、A1相当からA2相当までの範囲内の水準で新たな試験の導入を検討したいと思っております。これにより、各受入れ対象分野における業務や人材育成の実情に合った適切な日本語能力要件を設定することが可能になると考えております。
○美延委員 是非そこは、大臣、しっかりやっていただきたいと思います。
もう一度ぐらいまた質疑をする機会はあるかと思いますが、この後まだ少し残っているんですけれども、今日はもう時間が来ましたので、また次回に譲らせていただきます。
本日は、ありがとうございました。
○武部委員長 次に、阿部弘樹君。
○阿部(弘)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部弘樹でございます。
まず、大臣にお伺いいたします。
さきにアメリカ大統領、アメリカを訪問した岸田総理ですが、国賓級の待遇を受けて、その後のバイデン大統領の日本に対する評価、そのコメントは官房長官にお任せするということですが、どういうことを言ったか御存じですか。
○小泉国務大臣 正確な記憶ではありませんけれども、大統領が言われたことに対してアメリカの当局者は、すかさず、それは移民がアメリカの成長にとって非常に重要だということを言おうとしたんです、こういう説明があった、釈明があったということは記憶をしております。
○阿部(弘)委員 日本政府、日本に対してのバイデン大統領の発言、それも法務大臣に言った言葉ですよ。ちゃんと答えてくださいよ。何と言ったんですか。
○小泉国務大臣 その点も含めて、政府全体としてのコメントを官房長官が発しておられますので、私は控えたいと思います。
○阿部(弘)委員 ごまかさないでくださいよ。世界中の人が知っていますよ。質疑はできませんね。
キーワードは一つでしょう。法務大臣は人権も所管する。その人権に関わる一つの言葉を言ったんじゃないですか。
○小泉国務大臣 五月一日に米国バイデン大統領が、日本は外国人嫌いで移民を望んでいないという発言をされたと聞いております。
○阿部(弘)委員 英語でキーワードが一つでしょうが。最後までお答えにならないんですか。たった一つのキーワードが世界中のニュースになったんじゃないですか。
○小泉国務大臣 ゼノフォビックと表現をされたようでございます。
○阿部(弘)委員 惜しい。ゼノフォビア、精神病ですよ、精神病。これは、アメリカ人や英語圏の人たちが使う、おまえは最低だ、差別主義者だという言葉ですよ。大臣、そのことについてどう思いますか。
○小泉国務大臣 その点も含めて、政府全体の考え方、コメントについては官房長官からお話をさせていただいておりますので、私は控えたいと思います。
○阿部(弘)委員 アメリカ政府は、このことについて言い訳をしていましたよ、バイデンがやってしまったと。それは、共和党のライバル候補に言うなら、それはそれで国内問題だからいいけれども、ロシアや中国と並んで、ゼノフォビアだと、日本は。それは、官房長官が言うんじゃなくて、大臣、あなたも、しっかりと心に。
日本人は差別主義者なんですか。
○小泉国務大臣 差別主義者ではないと思います。
○阿部(弘)委員 じゃ、次の質問に進みます。
日本人は差別主義者じゃないですよ。
大臣、でも、今般の技能実習制度、一定の労働力を日本が必要だから受け入れる、短期ビザではなくて、受け入れる。それも、国際貢献だと。でも、外国の識者たちはスレーバリーと言っているんですよ。済みませんね、英語ばかり使って。奴隷制度と言っているんですよ。
厚生労働副大臣、我が国の労働政策をどのように考えていくんですか。
○宮崎副大臣 我が国の厚生労働政策におきましては、働く方の人権の確保というのは非常に重要なポイントでありますし、労働基本権を始めとして、法制上もしっかりとした保護の下で厚生労働行政を行わせていただいております。
外国人をめぐる状況につきましても、内国人、つまり日本人と同じ待遇で労働環境を整備することが重要だ、そのような形で厚生労働行政を進めております。
○阿部(弘)委員 そんなことは聞いていないんですよ。
これから少子高齢化で労働力が不足していく、だから、初期は、国際貢献の名の下に一定の労働力をいただきたいから、諸外国に、技能実習制度という、海外から言わせると奴隷制度、移動の自由もない、時にはパスポートを取り上げられる、自国民では働く人がそれほど集まらない、低賃金もその一つでしょう、そういう仕事に今や外国人の方々が四十万人。
労働行政としてどう考えるんですか。労働行政が出てこないから分からないんですよ、うちは入管の委員会ですから。
○宮崎副大臣 外国人をめぐる制度につきましては、今先生御指摘のような形で、技能実習制度、これは国際貢献を目的としてつくって運用してきた制度であります。
ただ、様々、先生の御指摘もいろいろ今日いただいているところでありますけれども、制度の中でその目的と現実が乖離している側面があるということを率直に認めた上で、有識者の皆さんに様々な御見解をいただいた上で、今般、育成就労という形で、人材確保のことも含めて目的に入れた上で、新たな制度として国会で御審議をいただいて、人権保障についても更に十分手厚い保障をしていく中で、外国人の方に日本の社会で働いていただける環境をつくっていきたいと思っているところであります。
○阿部(弘)委員 宮崎副大臣は弁護士さんだから人権の話をされますけれども、労働力が不足するからこういう外国人材を引き受けるわけでしょう。それも、短期就労という、移民政策でも何でもない、外国にもないような制度を、短期就労から、今回は長期就労、そしてその先に永住権。これは私は移民政策かなと思うんですが。だから、移民にかじを切ったのかなと。
奴隷解放を、奴隷制度の廃止をしたのはリンカーンですね。私もゲティスバーグの映画を見まして、あのときの言葉を思い出しますよ。南北戦争で兵隊が死ぬ。ただ、黒人兵はどう言ったか。黒人兵は白人兵よりも三ドルも少ないんですよと。
今ある技能実習制度というのは、奴隷解放以前の、安い賃金で多くの方々に働いてもらう、そして、国際貢献の名の下に、またこれにかじを切ろうとする。
厚生労働省としては、この法案の意義についてはどのように思われますか。
○宮崎副大臣 まず、現行の技能実習制度におきましても、先ほども御説明をさせていただきましたが、日本人と同じように、最低賃金制度もまた、要するに、同じ条件で雇用するべきというふうな形の労働法上の規制はかかっているところでありますので、決して、外国から安い労働力を奴隷のように入れるためにつくられた制度ではないと考えております。
ただ、制度を運用していく中で、様々不都合な点が出てきたことも事実でありますので、そういった点を真摯に見詰め直して、今般、国会で御審議をいただいている育成就労という制度をつくらせていただきたいと考えているところであります。
○阿部(弘)委員 外務省はちょっと想定外のことになりますけれども、私が最初にお話ししますね。
国際移住機関、IOMの定義では、日本人の外国労働者のほとんどは立派な移民と言われております。また、二〇一八年の移民の権利保護を定めた国連移住グローバルコンパクトの中では、日本政府、外務省は、移民の権利を保障しますと海外に約束したんですね。
日本には移民の定義に該当する人はいるんですか、外務省。
○長徳政府参考人 外務省としまして、移民の定義についてお答えすることは差し控えたいというふうに思いますけれども、海外には多くのいわゆる移民及び難民という方々が存在をしているというのは事実でございます。
日本政府としましては、特に外務省としまして、こういった海外の移民及び難民という方々に対して、国際機関などを通じて支援をしているところでございます。
日本国内において移民という定義に相当する方がいらっしゃるのかどうかという件については、外務省としましてちょっとお答えしかねるので、御容赦いただければというふうに思います。
○阿部(弘)委員 二〇一八年のグローバルコンパクトのときには、外務省はちゃんと定義もおっしゃっていますよ。議事録に残っているもの。
外務省は、永住権を持って家族同伴で定住する。非常に狭い。でも、狭いながらでも、定住している方々で帰化される方もいらっしゃるでしょう。あるいは、非常に特殊な技能をお持ちの大学教授の方などもいらっしゃるんでしょう。そういう方々を移民と定義していますから。ちょっと勉強してきてくださいよ、よその委員会だろうけれども。
では、日本は海外移住、移民制度を戦前など行っていましたが、今、何人ぐらい移民の方々はいらっしゃるんですか。
○長徳政府参考人 お答えいたします。
委員御質問の点は、日本から海外に移住した人々の数だというふうに承知をいたしますが、日本人による海外移住の歴史は長く、一八六八年にいわゆる元年者と呼ばれる人々がハワイに移住したことに始まったというふうに言われております。その後、米国本土への移住、それからペルーへの移住、ブラジルへの移住というのが次々に始まり、中南米諸国への移住が本格化したというふうに承知をしております。
最初に海外移住が始まってからもう既に百五十年たちますので、その間に移住者は各地で世代を重ね、現在では日系八世という方もいらっしゃるという状況でございます。
今現在の、こういった海外に移住された方々及びその子孫の数の推計でございますけれども、これは外務省の推計ですが、二〇二三年十月現在で約五百万人というふうに推計をしておるところでございます。
○阿部(弘)委員 ビザは、どんなビザで行かれたんでしょうか。
○長徳政府参考人 当時、それぞれ、移民された方々、様々な手段で移民をされたというふうに承知をしており、個別具体的なケースごとに違った可能性はございます。中には、ビザを取得する形で外国に移住をされたという方もいらっしゃるというふうに思います。
○阿部(弘)委員 僕が読んだ本では、一部は就労ビザ。世界標準は就労ビザじゃないですか。だから、日本みたいな技能実習制度というのは特異な制度、それも、短期就労で、仕事が終わったら母国に帰ってちょうだいよと。今回は中期就労、そして、その先は永住も認められる。
入管の方にお聞きしたいと思いますが、移民政策は取られないんですか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
この点については何度も御答弁しているところで恐縮でございますが、移民という言葉は様々な文脈で用いられており、明確に定義することは困難ですが、政府としましては、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策を取る考えはないところでございます。
本法案において創設する育成就労制度は、我が国の労働力不足が深刻化する中、人手不足分野における人材育成と人材確保を目的としており、他方、同制度は、三年間の就労を通じて特定技能一号の技能水準の人材に育成するための受入れであり、特定技能制度と同様に、受入れ見込み数を上限に受入れを行うこととしており、かつ、家族の帯同を認めないことなどからすれば、いわゆる移民政策には該当しないものと認識しております。
○阿部(弘)委員 外務省が最初に定義した、二〇一八年に少なくともコメントしていますからね、家族の帯同というのが基準の一つですね、移民制度の。
今、外国人労働者の数は、技能実習生が四十一万人、その他の資格で三十五万人、全体で二百五万人と言われておりますが、これから経済政策、経済発展に寄与するとお考えですか。宮崎副大臣。
○宮崎副大臣 外国人の方が日本に入国をして働いていただいているということは、日本における例えば人口減少の状況であったり、これは都会も地方も共通だと思いますけれども、働く方が日本人だけでカバーできない。例えばコンビニなんかに行ったりしますと、外国人で働いていらっしゃる方もおられる。たくさん見るわけでありまして、そういう意味で申し上げますと、やはり、外国の方が日本で働いていただいているというその事実は、日本の社会の経済の活動に貢献している部分が大きいと考えております。
○阿部(弘)委員 質問を変えますが、GDPを上げると思われますか。
○宮崎副大臣 GDPにどれだけ寄与するかというのは、これはなかなか御質問としても難しい点で、即座に答えられるということではありませんけれども、国内総生産を計上するに当たって、やはり、生産をして、購買をして、消費をするという一連の経済活動がないと国内の経済活動も進まないわけでありまして、広い意味でいいますと、GDPの上昇に貢献する面は、当然それはあると考えるべきだと私は思います。
○阿部(弘)委員 ユーチューブやネットで調べたらすぐ分かりますが、移民を多く入れた国はGDPが下がっていくんですよ。その他の負担が非常に多くなってくる。決して、単純労働者の移民を引き受けるからといって、GDPは上がっていかない。二百の国を全部ドットで調べると、下がっていくんですよ。だから、厚生労働省の役割というのは非常に重要だと私は言いたい。
いかがですか。感覚で言われても駄目ですよ。そういう二百か国の、移民を引き受けた国、統計データがあるんですから。
○宮崎副大臣 まず大前提として、先ほど入管庁の方からの答弁もありましたけれども、移民を受け入れた国と我が国の今の外国人をめぐる労働政策の在り方を一律で議論することは、私はそれは適切ではないというふうに思います。ただ、その上で、更に様々コストがかかるということについても、先生御指摘の点はおっしゃるとおりの面はあると思います。
もう一つ、先生は今、労働政策としての重要性を御指摘になる文脈の中で御質問になっていらっしゃるんだというふうに拝察をしておりますけれども、それは全く正しい御見識だというふうに思いますし、外国人の方にどうやって日本の中で働いていただくのか。これは、出入国在留管理行政のみならず、労働政策としてこれをどうやって考えていくのかということは、非常に重要な観点であると私も思います。
○阿部(弘)委員 移民を引き受ける国というのは、やはり民主国家が多いんですね。民主主義の国が移民政策を引き受ける。今副大臣がおっしゃったように、同一労働同一賃金に近い形で、外国人だからといって差別をしない。
バイデンさんは間違えて言ったのか本気で言ったのか、私は大統領に聞いたこともないし、岸田総理が聞いてきてくれたらよかったなと思いますが。ですが、人手不足の解消だけで外国人労働者、それも単純労働者を引き受けていたら、それはGDPも上がりませんわ。いろいろなことを、暮らしの保障をしていかなきゃいけない。だから、しっかりと基本法を策定するなり、外国人労働者が豊かに暮らせる仕組みをつくっていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。
もう一回聞きますよ。
技能実習制度は短期就労、そして今般の法改正は長期就労、そして永住権ももらえるかもしれない。外国のレポートを見ると、日本はいよいよ、働いていれば移民として引き受けてもらえる移民制度にかじを切ったのか。僕は、ああ、法務大臣はついにリンカーンになったのか、奴隷を解放した、そういうふうなすばらしい大臣だなと思いますが、入管庁、どうですか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
重ねてのお答えで申し訳ございませんが、先ほど申し上げましたとおり、移民という言葉は様々な文脈で用いられており、明確に定義することは困難でございますが、政府としては、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策を取る考えはないということにつきましては、今回、法案を提出している現時点においても変更はございません。
○阿部(弘)委員 大臣にお伺いしたい。
この法案を改正するに当たり、法務省だけではなくて政府全体としての会議は行われましたか。提言がありましたか。入管次長でもいいですよ。
○小泉国務大臣 これは、内閣官房に関係閣僚会議が構成されておりまして、所要の会議を経て、最終的には基本方針、政府方針ですか、根本となる方針を決定をしていただきました。
○阿部(弘)委員 およそ一年前に基本方針が出たから、ああ、そうか、日本は外国からとかく批判があるこの技能実習制度について改正に着手したんだなというふうに感じましたのでお聞きしたんですよ。
各省をまたいで、法務省だけの話じゃないんです、厚生労働省も重要な役割を果たしていただかなきゃいけない。どの分野にどういう労働政策、労働力を補填をするか。それは、業界の言葉だけを信じていたら業界は技術革新しないですよ、安い賃金のままで。
今、九州の熊本にTSMCという半導体工場が二つもできている。すると、熊本の労働者の賃金が物すごく上がっているんですよ。もちろん、台湾から来られる方々の賃金も日本人と比較にならないぐらい高くなっている。今や日本の市場というのは、円安もあって労働者の賃金が安い。そして、しっかりと働いてもらえる。
だから、日本は、高度成長期、昭和の時代は東南アジアに工場を造って、そこで安い労働力で車など工業製品を造っていたけれども、今は、日本が安いから、日本の中に工場を造れという議論は盛んに行われている。でも、日本人は高い賃金で働けるんだったら、それは非常に喜ばしいことだ。そういうこともしっかり厚生労働省としても考えていただきたいなと思っておりますが、いかがですか。
○宮崎副大臣 先生の御指摘の点は非常に重要な点ではないかなというふうに思います。
外国人をめぐる労働政策を考えるに当たって、どれだけの方に来ていただくかということをよく議論をいたします。それぞれ、例えば、今話題になっている育成就労産業分野における人材育成や人材確保ということで人数を出したりしますけれども、今御指摘のように、日本人と外国人の方との就労者の割合をどうするのかというようなことも非常に重要な視点だと考えておりまして、まさにこれは我が国の労働政策として考えるべきことでありますし、労働分野を超えて、国としてどのように社会全体を前に進めていくかという観点で非常に重要な御指摘だと思っております。
○阿部(弘)委員 時間も迫ってきましたから。
社会保障の制度は、外国人労働者、最低賃金や労働三権、産業衛生や医療保険、年金などは全て整っておるんでしょうか。
○宮崎副大臣 結論から申しますと、そのような制度が整っているということでございまして、労働三権の保障、最低賃金法の適用、また労働安全衛生法などに基づく安全衛生の確保のための措置の義務づけ、労災保険、医療保険、年金制度なども対象としており、外国人の場合には、要件を満たせば脱退一時金の支給などもあるという制度になっております。
○阿部(弘)委員 制度が整って非常にいいんですけれども、今の新人社員の方々の天引き、年金、医療保険、失業保険、引かれたら、四割近く引かれるそうですよ。やはり、今般の制度でも、二十万と仮にしますよ、二十万とすると、四割五分引かれたら九万円が社会保障のための費用、高過ぎますよね。そうすると、その中から仕送りをして、住居費などを払っていたら。おまけに、かつては一ドル百十円程度だったものが今は百六十円に迫ろうとしている、目減りしますから。
ですから、選ばれる国じゃなくて、やはり経済成長がいい国に、賃金が上昇していきますから、外国人労働者は憧れて行く側面もあるということですね。日本の文化にも、もちろんいい面がたくさんありますけれども。
ですから、そういう点でしっかりと、これは入管法の話だけじゃなくて、恐らく、各省、関係省庁の連絡会議があったように、日本全体の労働政策の話なんだと私は感じております。
ちなみに、トランプさんのライバルのニッキー・ヘイリーさんは、国連大使は、南北戦争の理由を答えられなかったから選挙戦から脱退しましたので、そのことを申し伝えておきます。奴隷解放のことを明確にお答えできなかったということであります。
時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 次に、本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、前回に引き続きまして、外国人技能実習生の失踪の問題についてお伺いをしたいと思います。
二〇二二年の失踪者は九千六人ですけれども、そのうち一番多いのは建設で四千七百十七人ということで、五二%を占めております。また、二番目には農業ということで九百四十八人、一一%ということになっております。
外国人技能実習生の失踪者、避難者ともいうんですけれども、が多い業種である建設、農業の所管省庁、国土交通省そして農水省は、原因、失踪された方々がどこに行ってしまったのかという点、そして対策について、まず両副大臣にお伺いしたいと思います。
○堂故副大臣 お答えします。
技能実習生の失踪の主な原因としては、一部の実習実施者側の不適切な取扱いや、入国前に支払った費用を返済するために新たな就労先への転職を求めるなどの技能実習生側の経済的な事情となっており、具体的には様々な原因があると認識しています。
建設分野については、仕事の繁閑により報酬が変動し得る点や、現場ごとに就労場所が変わり管理の目が行き届きにくい点などの業の特性が挙げられます。
このような特性を踏まえまして、国土交通省としては、建設分野独自の上乗せ措置により、処遇や職場環境の改善等を図っております。例えば、月給制による安定的な賃金支払いの義務化、そして、実習実施者の社会保険の加入状況が見える化される建設キャリアアップシステムへの登録の義務化、他分野より厳しい受入れ人数枠の設定によるきめ細かい目配り確保に取り組んでいるところです。
さらに、出入国在留管理庁と連携して、失踪防止対策に係る企業の取組等の普及啓発に努めてまいりたいと思います。
○武村副大臣 お答え申し上げます。
農林水産省では、個別経営体からの相談などにより失踪を把握した場合には、可能な限り、同じ職場の技能実習生等へ聞き取りを行い、失踪理由を把握するように努めております。
失踪原因につきましては、明確に特定をすることが困難な面もありますが、実習実施者の不適切な対応や技能実習生側の事情によるものと聞いております。
また、入管庁からは、業種別、国籍別の失踪者数や失踪防止対策に係る周知啓発のリーフレット等が共有をされておりまして、これにつきましては、農業や漁業の業界団体等で構成される技能実習事業協議会を通じ、周知に努めているところです。
そのほか、失踪防止のために、技能実習事業協議会を通じた現状、課題の共有、また、相談窓口の設置や優良事例の収集、周知等の取組を行っているところでありまして、引き続き、外国人材が働きやすい環境の整備に向けて取り組んでまいります。
○本村委員 まず、建設の問題でお伺いしたいんですけれども、先ほどおっしゃられた月額賃金ですとか、キャリアアップシステム、これの登録義務化ということですけれども、これは二〇二〇年からやっているというふうに伺っておりますけれども、二〇二〇年から対策を行っているんですけれども、建設でいえば、二〇二〇年、二千六百九十三人の方々が失踪をされ、逃げていったということですけれども、二〇二二年には四千七百十七人というふうに増えております。
実際は、普及啓発とかではなくて、抜本的な対策が必要なのではないかというふうに考えますけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○堂故副大臣 今お話ししましたように、地道な取組もしっかり続けていく必要があると考えています。
さらに、国土交通省としても、建設業を所管する立場から、受入れ企業に係る労働関係法令等の違反が認められる場合には、建設業法に基づき必要な指導監督を行うなど、適切に対応してまいりたいと思います。
○本村委員 地道にということですけれども、建設分野技能実習に関する事業協議会というところがございまして、ここで失踪者の問題についてもやっていくんだというふうにも聞いてきたわけですけれども、その議事内容なんかを見てみますと、一回目には、半年に一回やりますというふうに書かれてございました。しかし、実際にこの事業協議会がやっていたのは、二〇一八年に一回、二〇一九年に一回、二〇二三年に一回、二〇二四年に一回というふうに、全く、半年に一回も開かれていないわけです。
ですから、やはり真剣さが足りなかったのではないかというふうに私は考えておりますけれども、そこら辺の反省というものはないんでしょうか。
○蒔苗政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘ございました事業協議会についてでございますが、コロナ等の影響もございまして、何年か開催されていない時期がございました。
第三回の開催が昨年三月に再開しておりますけれども、この際に、協議会のメンバーに業界団体の対象を大幅に拡大させたこと、他の分野においても開催頻度を定めることが一般的でなかったことを踏まえまして、設置要綱の見直しを行ってございます。
ただし、今御指摘ございましたように、今年度、三月に開いてございます。また、議事概要の部分につきましては、一部、ホームページで分かりにくい表示になっておりましたので、そちらは今後改定したいと思ってございます。
今後も、少し連携を強めまして、先生御指摘の失踪問題について、きちっと国交省として対応してまいりたいと考えてございます。
○本村委員 厚生労働省の資料でいいますと、技能実習の受入れ企業全体で監督指導実施事業場を増やしておりますけれども、違反率は七三・七%に増えております。その中で、建設分野というのは違反率が八三・二%というふうに多いわけです。その次に多いのが農業ということで、やはり、労働法制を含めて違反が多いというところから失踪者が多い、あるいは、監督にそこに入っていただくので増えるということもあるかというふうに思いますけれども、そういう関係になっております。
違反で多いのが割増し賃金。建設でいうと、一番多いのが割増し賃金、そして年次有給休暇、そして医師等からの意見聴取、これが多いということになっておりますけれども、まず、建設分野で避難をした、失踪をした技能実習生の声を聞いていただくということが非常に重要だというふうに思います。そして、技能実習生から相談を寄せられている技能実習機構ですとか、支援者ですとか、支援団体ですとか、そうした声を集めてしっかりと分析、検証を行い、技能実習生が逃げなくてもいい、そういう職場環境を是非つくっていただきたいというふうに思いますけれども、副大臣、お願いしたいと思います。
○堂故副大臣 大変貴重な意見をいただいたと思います。しっかり検討させていただきたいと思います。
○本村委員 技能実習生の人権侵害、悪質な事業者というのは、やはり、建設業法で先ほども指導を強化するというふうに言っていただいたんですけれども、指導監督を強めるべきだというふうに思います。
人権侵害、悪質なケース、これは、賃金不払いもかなりの悪質な人権侵害ですから、悪質な場合は建設業としてももう許可をしないということも含めて、厳しくやっていただきたいというふうに思います。
そして、そもそも重層的な下請構造がございます。そういう中で、発注者ですとか元請が安全衛生経費も含めてしっかりと下請単価を保障する、そういう責任も問うべきだというふうに考えますけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○堂故副大臣 そのように思いますし、今度の国会では建設業法の改正も提出させていただいておりまして、外国人労働者だけでなくて、一次、二次、下請構造の改善も含めて取り組んでいきたいと思っています。
○本村委員 是非、発注者、元請から是正をしていただきたいというふうに思っております。
次に、農業分野ですけれども、ここでもやはり失踪が相次いでおります。
厚生労働省の資料では、農業の労働法制の違反率は七四・七%ということで、建設に次いで高い数値となっております。
農業の場合で一番多い違反が賃金の支払いの違反ということは、結局不払いがあるというところだというふうに思いますけれども、そして次が年次有給休暇、そして安全基準ということになっております。
農業の分野でも、農業技能実習事業協議会は毎年一回やるというふうに言っていたんですけれども、二〇一八年に二回やった後、二〇二〇年に一回、二〇二二年に一回と、ここも、先ほど答弁があったんですけれども、真面目にやっていないというふうに思うんです。
失踪せざるを得ないような状況に関しまして、やはり真面目に改善しようということでやってこなかったのではないかというふうに私は考えておりますけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○武村副大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、外国人材が働きやすい環境の整備に当たりましては、失踪に係る情報を適切に把握をし、取組に生かしていくことが重要であると考えております。
農水省といたしましては、今後、技能実習事業協議会を定期的に開催をするとともに、協議会のオブザーバーである入管庁や外国人技能実習機構等とも相談をし、失踪に係る情報の把握や失踪防止に向けた取組について更にどのような対応が可能か検討してまいります。
今先生御指摘をされました農業技能実習事業協議会につきましては、平成三十年に設置をして以来、毎年六月頃に開催することを基本とすることとしているものの、御指摘のとおり、定期的な開催がかなわず、これまで不定期に計四回開催をしてきたところです。
一方で、公式な協議会の開催ではありませんが、協議会を構成する農業団体の担当者とは、技能実習制度や特定技能制度による外国人材の受入れに関して恒常的に打合せを行っておりまして、こうした活動を通じまして、外国人材にとって働きやすい職場環境づくりを業界を挙げて取り組んでいるところです。
今後は、農業技能実習事業協議会による情報提供や農業団体との打合せを密に行うことにより、農業分野における失踪の防止に努めてまいります。
○本村委員 農業の分野でいいますと、この法案では派遣を導入するという問題もございます。この失踪者が多いような現状では、とても派遣を導入できるような状況でもありませんし、そもそも私たちは、中間搾取がある派遣を導入するというのは反対でございます。
先ほども副大臣からお話がありましたように、出入国在留管理庁、そして厚生労働省、技能実習機構、農水省と、農業で失踪した、避難をした技能実習生の声、そして支援者の声を共有し、そして、出入国在留管理庁が持っている、失踪した後に見つかった技能実習生の聴取票、これも分析をしていただいて、失踪しなくてもいい環境をつくっていただくためにも、農水省にももっともっと真面目に取り組んでいただきたいということを強く要請をしたいというふうに思います。
参考人質疑でも、この失踪者の問題については、失踪した技能実習生への救済措置を強化するべきだということを参考人からおっしゃっていただきました。
そこで、法務大臣にもお願いしたいんですけれども、やはり、失踪した技能実習生の方の救済措置、もう一度やり直すチャンスが得られるような、失踪せざるを得なかった労働環境の下で失踪したという方々も多いわけですから、是非、救済し、まともな職場で働けるようにするべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 技能実習生が実習先から失踪して不法残留状態となったり、また不法就労を行ったりした場合には、入管法の規定に従って厳正な対応を取ることが原則でありますが、他方で、技能実習生が失踪後間もなくして再度実習の再開を希望する場合等には、個別の事情次第で実習の再開を認める運用をしております。この運用の中身ということだと思います、委員が御指摘なのは。
現行の技能実習制度でも、実習の継続が困難となった技能実習生に対しては、外国人技能実習機構が、実習先の変更の支援を行い、実習先の変更がなされるまでの間の保護を図るため、一時宿泊、宿泊先の提供等の支援を行っております。新しい育成就労制度においても、基本的にこうした対応は継続するということで考えております。
○本村委員 是非、劣悪な環境から避難をした、逃げた技能実習生の方、これからは育成就労外国人ということになると思いますけれども、救済し、まともな職場で働けるようにするべきだというふうに考えております。
出入国在留管理庁も、そして技能実習機構も、人が足りない中で、やはり業として、厚生労働省もそうですし、国土交通省さんもそうですし、農水省さんもそうですし、業を所管するところが真面目に、真剣にやっていただかなければ、深刻な人権侵害はそのままだということになってしまいますので、是非、強力に、逃げなくてもいい職場環境をつくるために尽くしていただきたいということを求めたいと思います。
この内容についてはこれで質問を終わらせていただきますので、御退席いただいても構いませんので、よろしくお願いいたします。
○武部委員長 それでは、両副大臣、御退席していただいて結構です。
○本村委員 続きまして、永住許可の取消しの問題について質問をさせていただきたいと思います。
永住者の在り方等に係る検討については、ロードマップで、諸外国の制度も参考にすることが書かれていますが、どのような調査をし、諸外国の制度についてどのような議論をされてきたのか、お示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
令和四年の外国人との共生社会の実現に向けたロードマップにおきましては、「永住許可後、永住を許可し続けることが必ずしも適切ではないと思われる事案について、諸外国の制度も参考にしつつ、永住許可の取消しの可否を含め、対応方針を確定する。」「永住許可後に永住許可要件を満たさなくなったと思われる事案等について、永住許可の取消しを含めて対処できる仕組みの構築を検討する。」とされております。
法務省におきましては、従前より永住者の在留資格の在り方について検討を行っていたところ、先ほど申し上げたロードマップも踏まえ、一部自治体に対するヒアリング等のほか、諸外国の永住資格の取消し制度などについても必要な調査を行ってきたところです。そして、検討過程におきまして、取消しが永住者の地位に影響を与える、考慮すべきであるとの有識者の御意見が示されたところ、法務省としては、この懸念があることも踏まえまして、一部の悪質な場合に取り消すことができるとしつつ、その場合は、原則として他の在留資格に変更することとして、永住者の定着性に十分配慮するよう慎重に検討を行ってきたところでございます。
○本村委員 諸外国の制度に関しましては検討をやってきたというふうにおっしゃったんですけれども、いつからどこでやってこられたんでしょうか。それは法務大臣始め政務三役が入っていたのでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
永住許可制度の適正化につきましては、法務省において従前から検討を行ってきたところ、有識者から示された御意見のほか、諸外国の制度の調査結果や自治体からのヒアリング結果等も踏まえて、十分検討した上で、本法案として提出させていただいたところです。
そのため、法務省としては、本法案提出に当たりましては、諸外国の制度についても日々十分な検討を行ってきたところでございます。
○本村委員 いつからやってきたんでしょうか。次長、お答えください。
○丸山政府参考人 申し上げます。
本日の理事会でも御説明させていただいた資料にも書いてございますが、従前よりこの件については検討しておりましたので、いつからというふうに限定的に申し上げることは困難ですが、従前より調査をしてきたところでございます。
○本村委員 鎌田議員の求めに対して理事会に出した検討経緯というところには、諸外国の制度がいつからかということは書いてないわけです。
いつやってきたんだということを支援団体の方がずっと聞いても、答えてこなかったわけですよ。情報を隠して結論だけ押しつけるというのは、民主主義に反します、国民主権にも反します。明確にしてください。なぜ隠してきたかも含めて、明確にしてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
諸外国の調査については、いつからいつまでということではなくて、継続的に行ってきたことでございますので、従前より行ってきたと御説明させていただいております。
○本村委員 支援団体の方がこれを何度も聞いても答えなかったというふうに聞いております。本当に不誠実な対応だというふうに思います。このことについても改めて抗議をしたいと思います。
諸外国の制度、どういう制度があるかという資料を全部出してください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現時点で調査した内容を御報告いたしますと、米国では、適正に納税申告を行わない場合、永住権を失わせることを可能とする……(本村委員「時間がないので資料を出してください」と呼ぶ)ちょっとまだ、後刻、中で調整して御報告いたします。
○本村委員 支援団体の方々に対しても非常に不誠実な対応を出入国在留管理庁は行ってきたんです。こういう態度を是非是正をして、しっかりと情報は開示をする、大臣にこのことをお約束していただきたいと思います。
ほかのことでもいろいろあるんです。この前質問したことも、事前に教えていただければ、それを前提にまた質問できるということになりますけれども、事前に国会の方にも教えてもらえない、私の方に教えてもらえない、嫌がらせなのかなというふうにも少し感じているんですけれども、そういうことはやめていただきたいということを、大臣、お願いします。
○小泉国務大臣 適切な対応ができるよう努力したいと思います。
○本村委員 外国人との共生社会の実現に向けたロードマップは、オープンな文書であるにもかかわらず、ロードマップに書かれている諸外国の制度を、当事者が入った、議事録が残るところでなぜ議論をしなかったのでしょうか。
○丸山政府参考人 本件につきましては、ロードマップ等でも検討課題として掲げているところでございまして、その後、過去の政策懇談会においても御議論いただいたところでございますが、そういったときの御指摘も踏まえて、法務省の中で日々検討してきたということでございます。
○本村委員 人権に関わることは、やはり当事者を含めて議論をする、対話をするというのが必要だというふうに思います。
永住者の方々が多く所属をされている団体の方々も、今回の永住権の取消しは突然だったというふうに言われております。人権に関わることは当事者からのヒアリングをする、政策決定に参画する、そういうことが必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 先ほどの答弁と重なりますけれども、そういう点も含めて、適切な対応を図るよう努力したいと思います。
○本村委員 是非、この永住権の取消しの問題は、立法事実が全く不十分だということも含めて、慎重な検討がされていない。そういう意味では、ここの部分は撤回をしていただきたいというふうに思います。
先ほど次長の答弁の中で、子供さんの永住許可の申請に関する数字といたしまして、千八百二十五件の中で二百三十五件が公租公課の未納があったということですけれども、これについて、数字が独り歩きしてもいけませんので、質問をさせていただきたいと思います。
一人一人の未納の理由は何だったのか、つかんでおられますでしょうか。そして、いつからの調査なのか、いつ調査をしたのか、お示しをいただきたいと思います。国民健康保険料、国民健康保険税なのか、介護保険料なのか、社会保険料なのか、日本国籍のある人たちとの違いはどうなのか、国税、地方税なのか、その点について伺いたいと思います。
○丸山政府参考人 申し上げます。
一度にたくさん御質問いただきましたので、できるだけちょっと、漏れていたらまた御指摘ください。
お答え申し上げます。
入管庁におきましては、永住者の子として出生したことにより本邦に在留することとなった外国人から永住者の在留資格の取得の申請がなされた際は、その許否判断のため、その者の永住が日本国の利益に合すると認められるかという要件として、その外国人を扶養する永住者の公租公課の支払いを含む公的義務の履行状況を審査しており、永住許可制度の在り方を検討するに当たって、その審査結果を調査することとしたものです。
調査対象は、昨年の令和五年一月から六月までに処分結果が出たものを対象に調査いたしました。
したがいまして、入管庁は、永住許可するか否かに当たり、その要件である公的義務を果たしているかどうかを、納税証明書などの提出があるかどうかなどの観点から審査をしているため、公租公課の不払いの者について、その経緯や理由の調査までは行っていないところでございます。
こういった場合、永住許可のガイドラインでも示していますとおり、通常、税金のほか、公的な医療保険でございますとか公的な年金制度への支払い状況について確認をさせていただいているところでございます。
○本村委員 国民健康保険料なのか、国民年金なのか厚生年金なのか、介護保険料なのか、国税なのか地方税なのか、明確にお答えください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
数字につきましては、取り急ぎ、現在手元で持っている数字を申し上げさせていただきますので、その点については御了承いただければと思います。
今回、二百三十五件の内訳でございます。お一人で複数未納がございます方もありますので、合計が二百三十五になりませんのを前提でお聞きください。
住民税に係る未納が三十一件、国民健康保険に係る未納が十五件、国民年金に係る未納が二百十三件、そのほかが四件となっているところでございます。
○本村委員 それぞれの未納の理由というのは、つかんでいないということです。
先ほども鎌田議員から御質問がありましたように、督促なんかは行われているのかということも、分からないという御答弁でした。
上記答弁の、今言われた答弁の根拠資料を全てこの委員会に提出をしていただきたいと思いますけれども、お願いいたします。次長。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
まず、いわば個人情報でございますので、私どもとしては、なかなか提出は難しいというふうに考えておりますが、また委員会で御判断いただければと思っております。
○本村委員 後で根拠資料をこの委員会に提出をさせてください。委員長、お願いいたします。
○武部委員長 理事会にて協議いたします。
○本村委員 一人一人の事情も把握せずに数字だけで見るのは非常に乱暴であり、危険だというふうに思います。新たな人権侵害を誘発してしまう、そういうおそれもあります。先ほどの答弁の根拠資料については、必ず提出をしていただきたいというふうに思っております。
立法事実に関わりまして、育成就労制度等によって、永住につながる労働者がどうやって大幅に増えることが予想されているのかという点を大臣にお伺いしたいというふうに思います。
○小泉国務大臣 育成就労制度は、未熟練労働者を受け入れて、人手不足分野における特定技能一号への移行に向けた人材育成を目指すものであります。そのため、育成就労から特定技能一号に移行し、また、その後、特定技能二号等を経て、中長期的には永住許可を受ける外国人が増加し得ると考えているところでございます。
○本村委員 今の御答弁なんですけれども、育成就労期間の三年、そして特定技能一号の五年、これは永住許可に必要な就労期間には入りません。ですから、そこから五年は必ず働かないと永住許可というものはなく、そして、しっかりと税金や社会保険料を払っていなければ許可は得られないという厳しい状況になっております。
やはり立法事実というのがかなり不十分だというふうに思っております。
今、三年、五年とありましたけれども、急速に永住許可が増えるわけではないということが明らかでありまして、立法事実を慎重に検討してほしいんだということを、今日、在日本大韓民国民団中央本部の団長の声明も資料として出させていただいているんですけれども、やはり立法事実の有無等を慎重に検討するべきだというふうな御意見もございます。
まだ十分期間があるわけですから、これを一回取り下げてやり直すべきじゃないですか、大臣。
○武部委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○小泉国務大臣 事務局からるる御説明しましたように、一定の期間の、一定の経過を経て、これまで様々な調査も行い、また様々な方々の意見も、地方自治体の意見も伺い、ここまで法案を作ってまいりましたので、是非御理解をいただきたいと思います。
○本村委員 当事者の声を聞くべきだということを強く求め、質問を終わらせていただきます。
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○武部委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
ただいま審査中の各案に対し、厚生労働委員会から連合審査会開会の申入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
また、連合審査会において、政府参考人及び会計検査院当局並びに参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、お諮りいたします。
連合審査会において、最高裁判所から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、連合審査会の開会日時等につきましては、厚生労働委員長と協議の上、公報をもってお知らせをいたします。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三分散会