第18号 令和6年5月14日(火曜日)
令和六年五月十四日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 武部 新君
理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君
理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君
理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君
理事 池下 卓君 理事 大口 善徳君
青山 周平君 東 国幹君
五十嵐 清君 井出 庸生君
井野 俊郎君 稲田 朋美君
英利アルフィヤ君 奥野 信亮君
勝目 康君 菅家 一郎君
高見 康裕君 谷川 とむ君
中曽根康隆君 中西 健治君
中野 英幸君 平口 洋君
藤原 崇君 三ッ林裕巳君
おおつき紅葉君 鎌田さゆり君
鈴木 庸介君 寺田 学君
山田 勝彦君 阿部 弘樹君
斎藤アレックス君 美延 映夫君
日下 正喜君 平林 晃君
本村 伸子君
…………………………………
議員 道下 大樹君
法務大臣 小泉 龍司君
厚生労働副大臣 宮崎 政久君
法務大臣政務官 中野 英幸君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君
政府参考人
(国税庁長官官房審議官) 植松 利夫君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官) 八木 和広君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官) 青山 桂子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 巽 慎一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 増田 嗣郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 原口 剛君
政府参考人
(水産庁漁政部長) 山口潤一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 常葉 光郎君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
山田 美樹君 杉田 水脈君
同日
辞任 補欠選任
杉田 水脈君 山田 美樹君
同月十三日
辞任 補欠選任
三ッ林裕巳君 土井 亨君
同日
辞任 補欠選任
土井 亨君 三ッ林裕巳君
同月十四日
辞任 補欠選任
斎藤 洋明君 青山 周平君
三ッ林裕巳君 菅家 一郎君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 井野 俊郎君
菅家 一郎君 三ッ林裕巳君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 勝目 康君
同日
辞任 補欠選任
勝目 康君 中西 健治君
同日
辞任 補欠選任
中西 健治君 斎藤 洋明君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出、衆法第一〇号)
派遣委員からの報告聴取
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○武部委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案並びに階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案の各案を議題といたします。
この際、各案審査のため、昨十三日、第一班群馬県、第二班宮城県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。第一班笹川博義君。
○笹川委員 第一班として群馬県に派遣された委員を代表いたしまして、団長に代わり私からその概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、武部新委員長を団長といたしまして、米山隆一君、池下卓君、中曽根康隆君、平口洋君、鈴木庸介君、美延映夫君、日下正喜君、私、笹川博義の九名であります。
まず、高崎市内において、三進工業株式会社を視察し、特定技能外国人二名及び技能実習生一名を含む関係者から説明を聴取いたしました。
次いで、ホテルグランビュー高崎において意見陳述者の方々との会議を開催いたしました。
意見陳述者は、伊勢崎市長臂泰雄君、大泉国際交流協会会長糸井昌信君、群馬県地域創生部長新井薫君及び群馬大学大学教育・学生支援機構教授兼情報学部教授結城恵君の四名でありました。
意見陳述者の陳述内容について、簡単にその要旨を御報告申し上げます。
まず、臂泰雄君からは、地域経済の発展のために外国人材の適切な確保が不可欠であること、外国人材の受入れ体制整備に取り組む地方自治体への財政措置の必要性等の意見が述べられました。
次に、糸井昌信君からは、外国人住民を地域の生活者として捉えた共生事業の取組、外国人児童に対する日本語学習支援の体制整備の必要性等の意見が述べられました。
次に、新井薫君からは、群馬県の多文化共生、共創の取組、国と地方自治体の連携による不法滞在、不法就労者対策の必要性等の意見が述べられました。
最後に、結城恵君からは、多文化共生社会の実現のため日本人の意識と行動を啓発する必要性、外国人材の承認欲求、自己実現欲求を満たすことにより地方への定着を促す取組等の意見が述べられました。
次いで、各委員から意見陳述者に対し、就労継続を希望する外国人及び受入れ企業に対する地方自治体の支援、日本人と外国人の相互理解の促進のために必要な取組、地方行政から見た外国人就労者の転籍状況の評価、外国人の受入れの在り方についての今後の法整備を含む基本的な方向性など、多岐にわたる質疑が行われました。
以上が第一班の概要であります。
会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれにより御承知願いたいと存じます。
今回の会議の開催等に当たりましては、地元の関係者を始め多数の方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。
以上、御報告申し上げます。
○武部委員長 次に、第二班牧原秀樹君。
○牧原委員 第二班として宮城県に派遣された委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、私、牧原秀樹を団長として、道下大樹君、大口善徳君、稲田朋美君、土井亨君、山田美樹君、鎌田さゆり君、阿部弘樹君及び本村伸子君の九名であります。
まず、石巻市内において、株式会社阿部長商店グループの渡冷を視察し、技能実習生二名を含む関係者から説明を聴取いたしました。
次いで、仙台市内の仙台国際ホテルにおいて意見陳述者の方々との会議を開催いたしました。
意見陳述者は、宮城県農業協同組合中央会代表理事会長佐野和夫君、萩協同組合代表理事千葉憲治君、宮城県社会保険労務士政治連盟会長須田直樹君及び福島大学行政政策学類教授坂本恵君の四名でありました。
意見陳述者の陳述内容について、簡単にその要旨を御報告申し上げます。
まず、佐野和夫君からは、日本語能力の向上等の取組に係る外国人本人や受入れ関係者の負担軽減の必要性、地域間及び産業間の格差に配慮した制度の構築の必要性等の意見が述べられました。
次に、千葉憲治君からは、東北地方における技能実習生の受入れの現状、入国時の住民登録等の外国人材の受入れに係る各種手続の負担を見直す必要性等の意見が述べられました。
次に、須田直樹君からは、ビジネスと人権の観点から見た技能実習制度の問題点、監理支援機関における外部監査人要件の厳格化の必要性等の意見が述べられました。
最後に、坂本恵君からは、日本に来る外国人労働者が今後減少することを見据えた施策の必要性、外国人が来日前に送り出し機関に支払う手数料の在り方等の意見が述べられました。
次いで、各委員から意見陳述者に対し、育成就労制度に対する期待と懸念、育成就労外国人に対してスキルアップの道筋を提示する必要性、育成就労制度及び特定技能制度における家族帯同の在り方、送り出し機関に支払われる手数料等の費用の状況、外国人労働者の定着のための職場環境整備の必要性など、多岐にわたる質疑が行われました。
以上が第二班の概要であります。
会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれにより御承知願いたいと思います。
今回の会議の開催に当たりましては、地元の関係者を始め多数の方々の御協力をいただきましたので、ここに深く感謝の意を表する次第でございます。
以上、御報告申し上げます。
○武部委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
お諮りいたします。
ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕
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○武部委員長 引き続き、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として出入国在留管理庁次長丸山秀治君、国税庁長官官房審議官植松利夫君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官八木和広君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官青山桂子君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官巽慎一君、厚生労働省大臣官房審議官増田嗣郎君、厚生労働省大臣官房審議官原口剛君、水産庁漁政部長山口潤一郎君、経済産業省大臣官房審議官常葉光郎君及び中小企業庁事業環境部長山本和徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○武部委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平口洋君。
○平口委員 自由民主党の平口洋でございます。
質問の機会をお与えいただきましたことに大変感謝をいたしております。
それでは、早速質問に入りたいと思います。
まず、立憲民主党さんにお伺いしたいんですが、育成就労について、立憲民主党の案では、ハローワークというものがあれば十分で、監理支援機関は不要であるというふうにおっしゃっておりますが、これはなぜでしょうか。
○道下議員 御質問ありがとうございます。
今、平口委員から御質問があった件でありますけれども、外国人技能実習制度については、これまで、悪質な民間ブローカーによる関与が技能実習生に対する深刻な人権侵害を生じさせてきた原因の一つであったと指摘されておりますし、また、来日前の高額な手数料負担ということも、借金を背負わされるということも大きな問題であるというふうに認識されております。したがって、制度の根本的な見直しのためには、まずはこの問題に真っ正面から取り組むことが不可欠だと考えております。
このため、立憲民主党案は、認定雇用機関と外国人労働者との雇用契約に当たっては、監理団体などの民間の職業仲介機関ではなく、ハローワーク等の公的機関が中心となったスキームを構築することなどの措置を講ずることとしております。
なお、マッチング以外に監理団体が担ってきた入国後の研修については、政府がそのためのハード面及びソフト面での体制や基盤整備の支援を行うこととするとともに、外国人労働者の雇用主となる認定雇用機関において責任を持って研修実施に関する取組を行うことを想定しているところでございます。
以上です。
○平口委員 悪質ブローカーの排除といったような観点から、ハローワークが直接事に当たるということでございますけれども、この点については政府案の方はどのようにお考えでしょうか。
○小泉国務大臣 育成就労制度における監理支援団体、これは多種多様な役割を果たすことを期待されております。雇用契約の成立のあっせんから始まって、育成就労の実施に関する監理、入国後の講習の実施、転籍の申出があった際の連絡調整などなど、いずれも身近で実情に応じてきめ細かく、相手が生身の人間でありますので、きめ細かく対応する必要がある、そういう業務が種々多様なものが予定されております。
したがって、これを公の機関で担えるかというと、非常に大きな負荷がかかってくる。あくまでやはり民間の監理支援機関に担当してもらうことが合理的であると我々は考えているところであります。
仮にこれを国や公的な機関が担うとなれば、まず、膨大な人員、予算、そして新しい仕組み、機構、そういったものをつくり上げるのに何年もかかるかもしれない、そういうことがあります。ですから、監理支援機関の行動を是正する必要は強くありますが、存在そのものを否定する必要性、適切性、相当性はないと我々は判断しております。
○平口委員 きめ細かな対応を即時にしていく必要があるということでございますので、その考えも正しいかと思いますけれども、その際には、悪質なブローカーが介在することがないように御注意いただきたいと思います。
それから、通告したのをちょっと順番を変えまして、実習生の方の費用負担の問題ですけれども、現在の技能実習生の費用負担ですが、来日前に自国の送り出し機関に何らかの費用を払った技能実習生というのは八五%に上りまして、その支払い費用の平均値は五十二万円ということでございます。
かねてから高額手数料を徴収するなどの悪質な送り出し機関が介在しているということは聞いておりますけれども、この調査によると五十万円払ったとして、この高額な、送り出し機関への高額手数料の問題、これはこの法案でどのように解決されておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度では、高額な手数料などを徴収するなどの悪質な送り出し機関が存在し、これによる借金が原因で失踪事案等が生じている旨、指摘されております。そこで、育成就労制度では、送り出し機関に支払う手数料などについて、外国人の負担の軽減を図るため、受入れ機関と外国人が適切に分担するための仕組みを導入することを予定しております。
この点について、本法案では、育成就労計画の認定要件として、送り出し機関に支払った費用の額が、育成就労外国人の保護の観点から適正なものとして主務省令で定める基準に適合していることという要件を設けております。
主務省令で設ける基準につきましては、手数料等は来日後に得られる利益に対する先行投資という側面もあることや、外国人にとっての基準の明確性という観点から、例えば、来日後の給与額に基づいて上限額を算出する仕組みとすることを検討しております。
一方で、具体的な基準を定めるに当たりましては、送り出し国での実態などを踏まえた丁寧な検討が必要であり、また、送り出し国の法令との関係の整理も必要なことから、法案成立後、施行までの間に、関係者や有識者の御意見等をお聞きしながら決定してまいりたいと存じます。
○平口委員 いずれにしても、送り出し機関への高額手数料の問題、これを借金してくる方も多いわけでございますので、これは御指摘のような注意深い規制でもって何とか取り締まってもらいたいと思います。
これと関連するんですけれども、外国人技能実習機構が行った調査によりますと、平均給与月額、給与の月額でございますけれども、これを技能実習生に調査をしております。この中で、控除額、月給から差っ引かれるもののうち、うちその他とありますが、このうち、大体、一号ですと、農業は五百四十円とか、製造業ですと七百一円とかあるんですけれども、漁業についてだけ二千八百四円というふうに算出されておりますけれども、この数字の持つ意味を教えてもらいたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘がございました金額につきましては、実習実施者が外国人技能実習機構に対して提出している実施状況報告書に記載された金額を基に算出しているところです。
当該報告書において、食費、居住費、税、社会保険料以外の控除額をその他として記載することを求めておりますが、その他の内訳について記載するよう求めていないことから、その他の内訳について把握し御説明することが困難でございます。
○平口委員 その他ということで、こういうふうに調査をしたからしようがないんですけれども、これだけ高額な、例えば三千円ですと、月三千円だと年に三万六千円、十人あれば三十六万円という大きな数字になるものですから、これは、その他じゃなくて、個別にきちんと表示をして、何に使っているかということを明らかにしていただきたいと思います。
このような凸凹というんですか、凸、大きい方が問題なんですけれども、このようなことをなくすために漁業についてはどのようなことを考えておられるのか、教えてもらいたいと思います。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
まず、その他の内訳につきましてでございますが、水産庁といたしましても、これに何が含まれているかということは承知をしておりません。
ただ、技能実習の漁業分野につきましては、漁業技能実習協議会の決定に基づきまして、監理団体が労働組合と協議して技能実習生の待遇を定めるということになってございます。この待遇を具体的に定める労働協約に基づきまして、組合費を徴収している事例があるという点は承知してございます。個別の労働組合において、その組合員から徴収する組合費の水準につきましては、水産庁として意見を申し上げる立場にはございません。
その上で、漁業者が労働組合員の組合費に相当する額を給与から控除して労働組合へ支払うということにつきましては、労働組合及び監理団体による個別の労働協約により合意、決定されているものと承知してございます。
こういった仕組みでございますが、漁業につきましては、失踪や海上での労働災害など、漁業特有の問題があったということもございまして、過去からの経緯で構築されてきたという経緯があるものと承知してございます。
いずれにいたしましても、漁業分野における育成就労制度の具体的な仕組みにつきましては、今後検討がされていくものと考えてございます。
○平口委員 創設時にはそういうふうな問題もあったかと思いますが、現在では外国人技能実習機構などがきちんと機能しておりますので、このような、貧乏な技能実習生から更にお金を取るというようなことはやめてもらいたいと思います。
それと、次に、真面目に日本語学校に通う外国人留学生、技能実習生じゃなくて日本語学校に通う外国人留学生というのが、卒業後、育成就労を希望する場合、技能実習生となろうとすると、一旦帰国する必要があるわけでございます。現在は、留学生が技能実習生を志そうとすると一旦帰国する必要があるということでございますけれども、これで更に技能実習でまた日本に来るというふうなことは、やや無駄じゃないかというふうに思うわけでございますけれども、帰国しなくても育成就労外国人となる構図は考えられないかどうか、これについてお答えをお願いしたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度におきましては、人材育成による技術移転を通じた国際貢献という制度目的を踏まえ、出身国から直接来日いただくことを想定しているため、在留中の外国人が技能実習に資格変更することは想定していないところでございます。
これに対しまして、育成就労制度は、人材育成及び人材確保を目的としており、技能移転を直接的な目的とするものではないため、従前の在留資格が留学であった者を含め、他の在留資格からの資格変更を認めることに特段の支障はなく、御指摘のように帰国せずに育成就労に在留資格を変更することを可能とする方向で検討しております。
ただし、育成就労への資格変更を無制約に認めるものではなく、例えば、変更前の在留資格がそもそも他の在留資格への変更が認められないものである場合や、育成就労の業務区分について既に特定技能一号水準の技能を修得済みである場合などについては、変更を認めないとする可能性が考えられます。
いずれにしましても、今後詳細を検討してまいります。
○平口委員 持ち時間が参りましたので、これで終わります。
○武部委員長 次に、平林晃君。
○平林委員 公明党の平林晃です。
この度の法案の審査も、金曜日、厚生労働委員会との連合審査、昨日は群馬県、宮城県での地方公聴会と、連日の審査が続いております。国の将来像を決め行く重要な法案審査ですので、私も、有意義な審査となるよう質問させていただければと存じます。
金曜日、五月十日、厚生労働委員会との連合審査会では、西村委員の御質問に対しまして、議法提出者から次のような御答弁がございました。
すなわち、技能実習の時代は三つの大きな問題があったとされまして、第一の問題が、国際貢献との美名の下に安価な外国人労働力を大量に雇い入れていたという点で、これは今回の改正でなくなるとされておりました。その上で、第二の問題点が、やむを得ない事情がある場合のみ転籍が認められたんだけれども、やむを得ない事情が極めて狭く解されることによって、実際には、転籍が認められず、人権侵害がある職場にもとどまらざるを得なかったという点。第三が、送り出し機関が人材紹介手数料ということで法外な金額を外国人労働者から徴収して、これが借金となり、この借金を支払うために意に沿わない働き方もしなくてはならなかった。これらの点を述べられまして、確かにごもっともと存じますし、当然解決していかなくてはならないと思っております。その上で、閣法には第二、第三の問題点はまだ残っている、このように述べられたわけでございます。
閣法におけるこれら二点への対応に関しましては、四月二十四日、我が党の大口委員からも様々な質問がありまして、やむを得ない事情がある場合の転籍の要件の明確化や拡大が行われることについて、また、第三の、送り出し手数料の問題に関しましても、上限額算出の仕組みの算定や、MOCの再度の締結により送り出し機関の通報や認定取消しを要請できる仕組みを強化する、こういう答弁もあったところでございます。
そこで、議法の提出者にお伺いをさせていただきます。
閣法においてこうした対応が取られているわけでございますが、議法の提出者が、閣法において第二、第三の問題がなお残っているとしておられる御趣旨を伺います。
○道下議員 御質問ありがとうございます。
まず、閣法に残された第二の問題点として、転籍制限を指摘させていただきました。
閣法では、やむを得ない場合の転籍について、その範囲を明確化する、手続を柔軟化するとの御説明があったと思います。しかしながら、このような措置は法改正を待たずともできることでありまして、なぜここまで転籍の問題点が指摘されてきたにもかかわらず放置されてきたのか、そして、このような経緯に加えて、先日も政府から御答弁があったとは承知しておりますけれども、通知やガイドラインといった形でいまだ示されていない中で、これが適切に機能するのかどうか、この点について疑念を感じざるを得ません。
また、本人意向によります場合の転籍も認めることとしておりますけれども、そのためには様々な条件を満たす必要があるとされておりまして、また、その具体的な条件は全て今後検討するとされているにすぎないため、実際にどれだけの外国人労働者が転籍することができるのかはいまだ不明でございますし、甚だ疑問に感じざるを得ません。
次に、閣法に残された第三の問題点でございますけれども、外国の送り出し機関に法外な手数料を支払い、その多額の借金を返すために意に沿わない働き方をしなくてはならないという点を指摘させていただきました。
この点についても先日も御答弁があったことは承知しておりますが、海外の悪質ブローカーを排除しようという目的やそのための手段については、一定程度その基本的考え方を共有するものであります。しかし、その具体的な制度設計は、これもまたこれから検討するとの答弁に尽きており、その実効性の確保は見通せないままでございます。
また、内容的にも、新たな二国間取決めを作成した国の送り出し機関からのみ受入れを行うことを原則とすると説明されておりますが、では例外の場合にはどのような形で悪質ブローカーを排除するのかといった点もまだまだ疑問がございます。
このように、政府の答弁を踏まえた上でも、やはり閣法の問題点は十分に払拭されていない、されたわけではないと考えております。
以上です。
○平林委員 今御説明があったわけでございますけれども、それでは、ちょっと政府側に伺わさせていただければと思うんですけれども、ただいま議法提出者から、この二点に関しましてまだ残っているというお話があったわけですけれども、この点に関しまして、より踏み込んだ御説明がありましたら、その内容をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度では、転籍が認められるやむを得ない事情の範囲ついて、あらかじめ示されていた労働条件と実態に一定の相違があった場合、職場内での暴行、常習的暴言だけでなく、各種ハラスメントが発生している場合など、より具体的な例を示して、その範囲を明確化することを想定しております。
また、例えば、受入れ機関側の都合による一定の賃金低下があった場合、予期せぬ形で居住費などの本人負担額の増加や生活環境の変化が生じた場合などの例を追加し、範囲を拡大することも想定しております。
加えて、現行の運用では、転籍が認められるための立証の程度などについて、特に、実習生と受入れ機関の主張が食い違う場合などには、転籍手続が速やかに進まない事案も見受けられたところです。
このため、対応の必要性や緊急性を踏まえ、例えば、外国人から録音、写真などの資料による一定の疎明があった場合には、機構においてやむを得ない事情がある場合と認定し、転籍を認める場合があることを明確化し、これにより迅速な転籍支援につなげることを想定しております。
次に、送り出しに係る手数料につきましては、外国人の負担を軽減するため、送り出し機関に支払った費用の額が、育成就労外国人の保護の観点から適正なものとして主務省令で定める基準に適合していることという育成就労計画の認定要件を設けております。具体的には、明確性の観点から、例えば、来日後の給与額に基づいて上限額を算出する仕組みとすることが考えられます。
このように、育成就労制度では、現行の技能実習制度で指摘される問題に対する一定の対応を講じているものと考えております。
○平林委員 ありがとうございます。
まだ検討中という御指摘が衆法の提出者からもございましたけれども、その点、やはりしっかりと、恐らく衆法においてもそういう部分があると思いますので、その点に関してはそれぞれ明確にしていっていただけたらと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、やむを得ない事情がある場合の転籍に関しまして、これも今ちょっと議論があったところですけれども、質問させていただければと思います。この条件、要件に関しまして、今回の改正案において、その範囲を拡大、明確化するとともに手続を柔軟化する、このようにしているわけでございまして、その中身について少しだけ確認をさせていただきます。
まず、現行のやむを得ない事情の範囲については、運用要領で、実習実施者の経営上、事業上の都合や、実習認定の取消し、労使間の諸問題、暴行等の人権侵害行為や対人関係の諸問題などの場合に該当することとされている、これが元々だったと思います。そして、今回の改正においては、この範囲を、受入れ機関側の都合により稼働日数が予定よりも少ないことなどによる一定の賃金低下があった場合や、予期せぬ形で居住費などの本人負担額が増加した場合や生活環境の変化が生じた場合などの例も追加されることとされているわけでございます。
その上で、やはり重要なことは、やむを得ない事情、今こうやって類型されているわけですけれども、こうしたことを起こらないようにしていくということも非常に大事なのではないかなというふうに思っております。私も、ほんの少しだけですけれども海外にいたときに、住む場所に急に問題が生じたときには、本当にどうしたらいいんだろうと思って、結局対応が取れなかったというようなことも経験をさせていただいております。
こういうやむを得ない事情が起こらないようにするために、今回の改正案ではどのような措置を講ずることとされているのか、大臣にお聞きできればと思います。
○小泉国務大臣 御指摘のとおり、やむを得ない事情がそもそも起こらないようにする、防止をする、極力防止をする、非常に重要なことであると認識をしております。
そのような観点から、今回の育成就労制度では、まず、監督の強化ですね、監理支援機関の独立性、中立性の確保、あるいは外国人育成就労機構の監督指導機能や支援、保護機能の強化による監督の強化、これによって不適切事案が生じにくくなるような形で規律を高めたいというふうに考えております。
第二に、不正行為を行った受入れ機関に対して、育成就労計画の取消し等を含む厳格な対応を行うことも予定をしているところでございます。また、分野別協議会において関係者の意識の啓発を行う。
こういった施策を合わせて、人権侵害行為等のやむを得ない事情が極力生じない制度としていくよう努力してまいりたいと思います。
○平林委員 ありがとうございます。
続きまして、ハローワークの体制強化に関しまして少しお聞きできればと思います。
閣法においては、転籍支援を、監理支援機関が中心となって、外国人育成就労機構及びハローワークが連携して取り組むこととされています。このためには、外国人育成就労機構、この点、僕、前回質問したんですけれども、とともに、ハローワークの体制強化も必要と考えます。この点に関しまして厚生労働大臣からも御答弁があったところです。
一方で、議法においても、衆法と言った方がいいんですかね、ハローワークの体制強化は必要でありまして、五月八日、本委員会の寺田議員の質問に対しまして、宮崎厚生労働副大臣が、業務が明確でないので試算は難しいけれどもファクトとしての数字はこのとおりである、このような御答弁をしておられました。これをお聞きして、私は、現実的に難しいのではないかな、こんな印象を持ったわけでございます。
これに対して、閣法におけるハローワークの体制強化においてはどの程度の規模が必要になるのか、現実として可能な程度であるのか、厚生労働省の見解を伺います。
○原口政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度におきまして外国人の転籍支援を行うに当たりましては、まずは監理支援機関が中心となって行うこととしつつ、外国人育成就労機構に加えまして、ハローワークにおいても機構等と連携しながら職業紹介を行うこととしてございます。具体的には、ハローワークにおきましても、外国人からの転籍相談を受け付け、外国人育成就労機構から外国人が育成就労を行う分野の受入れ企業の一覧などの情報提供を受け、職業紹介等の転職支援を行うことを検討しております。
ハローワークにおきまして円滑に転籍支援を行うことができますよう、育成就労制度の施行に向けまして、各分野の受入れ見込み数や、当分の間、各受入れ対象分野ごとに一年から二年までの範囲内で期間を設定する、従前の育成就労実施者の下での就労期間など、本人意向による転籍要件など、制度の運用の詳細の検討も踏まえつつ、加えまして、施行後におきましての転籍希望の件数など実情を勘案し、ハローワークにおきまして円滑に転籍支援ができるよう、必要な体制整備を検討してまいりたいと考えてございます。
○平林委員 ちょっと時間がなくなりましたので、さっき監理支援機関に関しまして平口委員から少し御質問がありましたので、飛ばさせていただけたらと思います。申し訳ございません。
最後、特定在留カードに関してお聞きできればと思うんですけれども、マイナンバーカードに関しましては、この度の法律の改正によって、スマートフォンへの搭載がより一層可能になっていくということなんですけれども、この度の特定在留カードに関しましては、スマートフォンへの搭載はどのようになっているのでしょうか。お聞きいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今国会に提出されている番号利用法改正案では、マイナンバーカードの所持者を対象に、当該マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載し、マイナンバーカードと同様の本人確認ができる仕組みを設けるものと承知しております。
一方、在留管理制度においては、中長期在留者全員に在留カードを交付し、これに受領義務及び常時携帯義務を課すことによって、適法な在留資格を持って我が国に在留する者であることや、就労の可否などの情報を即時的に視認できるようにし、適正な在留管理を図っているものです。
そのため、現時点におきましては、在留カードの機能をスマートフォンに搭載することは予定しておりませんが、適切な在留管理に資する在留カードの在り方につきましては、技術の進展なども踏まえながら、引き続き検討を進めてまいります。
○平林委員 私もデジ庁の方に確認をいたしましたけれども、これは技術的にはできることであるということでございました。せっかくマイナンバーカードは載るのに、しかもカードは一体化されているにもかかわらず、結局在留カードは財布に残る、こういう話になってしまうのが現状の制度ですので、是非、これはもう制度的な話だと思いますので、それが実現できるように改正も検討していっていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 次に、おおつき紅葉君。
○おおつき委員 立憲民主党のおおつき紅葉と申します。
早速質問に入らせていただきたいと思います。
さて、育成就労外国人がやはり日本で安心して就労そして生活するためには、適切なサポートが欠かせないと思います。現行の技能実習制度においては、事業所の職員が生活指導員として技能実習生の生活の指導を担当しているということで承知をしております。
そこで、政府に伺います。
今回の育成就労制度においても、現行の生活指導員と同様に、育成就労外国人の身近でサポートを行う人員の配置を義務づける予定があるのかどうか、まず入管庁、お願いいたします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の生活指導員につきましては、現行の技能実習制度で配置を義務づけており、生活上の留意点について指導するだけでなく、技能実習生の生活状況を把握するほか、技能実習生の相談に乗るなどといった業務を行っているところです。
当該生活指導員につきましては、技能実習生の生活における身近な支援者といった点で意義があると考えており、育成就労制度におきましても引き続き要件化する方向で検討しております。
○おおつき委員 しっかりと制度を整えなきゃいけないと思います。
さて、では、立憲民主党の提出法案についても伺います。
立憲民主党の提出法案では、外国人の一般労働者に対する職業生活上、日常生活上及び社会生活上の支援を行うこととされているんですけれども、こちら、具体的にはそれぞれどのような支援を行うこととなるのか、提出者に伺います。
○道下議員 おおつき委員の御質問にお答えいたします。ありがとうございます。
立憲案では、外国人一般労働者に対する職業生活上、日常生活上及び社会生活上の支援については、様々な主体がそれぞれの役割に応じて実施する仕組みを構築することとしております。
まず、日頃から外国人労働者と接している雇用主による支援です。
立憲案では、雇用主の認定制度を設け、その適格性を厳格に判断することとし、その認定に当たっては、職業生活、日常生活、社会生活上の支援の体制が整備されていることを要件とすることとしております。
昨日の宮城での現地視察でも、雇用主及びそこの社員の方が、技能実習生の方のいろいろな困り事に親身に対応して答えているということで、大体それでもう相談事が解決しているというものがあるので、こういったことも必要かというふうに思っております。
次に、外国人労働者の支援、保護の拠点として整備する外国人一般労働者就労支援センターによる支援です。
センターでは、例えば、外国人労働者からの相談に応じたり、必要な情報提供を行ったり、外国人労働者が日常生活、社会生活及び職業生活を我が国で送るに当たり必要な支援を確実に受けられるようにすることとしております。
さらに、地域定着という観点から、地方公共団体による支援が想定されています。
そして、地方公共団体が、外国人労働者が雇用主の下で就労を継続し、地域において生活を円滑に営むことができるようにするための取組を行う場合には、政府がこれを支援することとしております。
以上でございます。
○おおつき委員 ありがとうございます。
まさに、視察に行かれた先の現場の声も生かしていただきながら、来ていただく方にとっての心理的安全性とは何かという観点において、母国から初めて離れる方々も多くなると思うんですよ、そういった方々をサポートしていく体制というのは、しっかりと整えていく必要があると感じております。
さて、次の質問もさせていただきます。
育成就労で来日する外国人の多くにとって、やはりお金を稼ぐからこの国、日本に来られることというのが最大の動機であり、できるだけ高い賃金を得られる企業で働くことを希望することと思われます。
一方で、育成就労外国人の受入れを希望する地方の中小企業は多いものの、やはり、賃金については、現行の技能実習制度上、各都道府県の最低賃金に合わせているのが実態でありまして、現行以上の金額を支給することが難しいというのが実情です。
私自身も、地元で話を聞いていると、やはり、この最低賃金、上げていかなきゃ来ていただけないけれども、それ以上出すのは厳しいという声も正直出ているんですよ。
なぜかというと、今回も、職種、様々十六分野出ておりますけれども、農業においても、すぐに価格転嫁というのは、やはり、リンゴとか野菜とか、すぐに倍や三倍にすることは厳しいですよ。払う側も厳しい。漁業もそうですよね、担い手も少ない中で来ていただくとは思うんですけれども、じゃ、魚が今、最近、若い子も含めて魚離れが進んでいるという中で、魚の値段、二倍、三倍になっているものもありますよ、あります。でも、全てというわけではないと思うんですよ。
また、食べ物だけじゃなくて、建設現場でさえも、昨日も、ゼネコンとかも含めて、やはり人件費の高騰、かなり厳しいという声が上がっていますよね。開発を進めていったとしても、それでも現場の作業員が足りなくて、元の会社を厳しい状況にするんだったら、これは大手のゼネコンだけじゃなくて、現場のもっと下請、その下請、地方の中小、やはり厳しいですよ、人件費がどんどんどんどん上がっていくと。でも働く側としては上げてほしい。
この葛藤の中で、やはり日本は経済をどんどんどんどん回していかなきゃいけないという中に入っていると思うんですけれども、この観点で、やはり私たちは問題点に立たなきゃいけないと私自身は思っております。
こういう現状の中で、でも、まずは人手不足を解消するという今国策に出るわけですよね。その観点において、でも、育成就労の外国人が、賃金水準の高い産業や職業を選択したり、同一産業でも賃金の高い都市部に集中するということが予想される中で、じゃ、私たちは地方も含めた人材確保の中で何をしていくべきか。
そこで、この地方の中小企業が人材を確保できるようにするためには、受入れ当初の賃金については、賃金格差を平準化する仕組みを導入しなければいけない、こういった新たな制度の検討が必要ではないかと考えるんですけれども、先日の当委員会の質疑において、我が党の鈴木庸介委員が、賃金を全国一斉に底上げするといった補填の仕組みが必要ではないですかと質問を、指摘したところ、政府参考人からは、そのような仕組みの導入は難しいという答弁がありました。
そこで、まず厚労省にその理由を伺いたいと思います。
○原口政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘の仕組みでございますけれども、国が直接賃金の補填を行うことによりまして地方の企業における育成就労外国人の賃金を都市部並みにすることということを指しているということでありますれば、まず、労働者の賃金なるものは、本来、各企業で労使交渉により自主的に決定されるべきものということと、あと、育成就労外国人と同等の業務に従事する日本人労働者との公平性などの課題がございまして、そのような仕組みを導入することは難しいものということで御回答したところでございます。
一方、議員御指摘のとおり、育成就労制度におきましては、人材育成と人材確保を目的とするというものでございまして、地方における人材確保に配慮することは重要と考えてございます。
重ねになりますけれども、このため、地域における人材流出の不安につきましては、本人意向の転籍について一定の要件を設けるとともに、過度な引き抜き行為などを防ぐための措置を講じるほか、各地域の特性を踏まえた人材確保の観点から、自治体においても、地域協議会に参画し業所管省庁との連携を強化することでありますとか、外国人相談窓口の整備、外国人の生活環境を整備するための取組を推進することが重要だと考えているところでございます。
○おおつき委員 本当にそれだけで流出を私は防げるのか少し不安なところもあるわけです。
さて、立憲民主党の提出法案では、外国人一般労働者と認定雇用機関との間の雇用契約については、報酬について基準に適合するものでなければならないこととされていますが、報酬の水準がどの程度かという点についてはどうなるのか、提出者に見解を伺います。
○道下議員 御質問ありがとうございます。
外国人労働者の報酬の水準につきましては、民間同士の契約に関することでありますので、この場で確定的にお答えすることは難しいところだというふうに思います。
ただ、最低賃金を始めとして、関係の労働法令の規定が日本人労働者と同様に外国人労働者にも適用されること、あるいは、外国人労働者であることを理由とした待遇の差別的取扱いが禁止されることはもちろんのこと、外国人労働者の就労継続や地域定着といった観点からは、最低賃金に張りついているかのような報酬水準は適切ではないと考えております。
このことは、雇用主の認定制度を設けるに当たり、本邦における求人の努力を尽くしていることを認定要件として、最低賃金での求人はこの要件を満たしていないとの考え方を明らかにしている点からも担保されているものと考えます。なお、このような考え方は指針等で示されることも想定しているところでございます。
また、外国人労働者の報酬を引き上げること、この原資については、我々の案では、監理団体を廃止し、毎月の監理費等を支払う必要がなくなるということになりますので、その分は報酬に充てられる、報酬が引き上げられるということにつながるというふうに考えるところでございます。
そして、雇用された後における報酬水準の適正が維持されているかどうかのチェックは、新たに整備します外国人一般労働者支援センターが中心となり、関係機関が連携してこれを行うこととしております。
以上です。
○おおつき委員 ありがとうございます。
本当に、これは運用開始しないと見えてこないところもあるとは思うんですけれども、今からできる手だてを含めて、やはり、来られる方々に寄り添った制度、今よりも寄り添った制度というものが私は必要になってくると思いますし、そして、悪質なブローカーの影響もあってこれまで日本に悪いイメージを持たれている方々をいかに少なくしていくのか、これを私はしっかりと、この後の質問もさせていただくんですけれども、ちゃんとやっているところは評価していこうというような体制を考えていただきたいと私は思っております。
立憲民主党の衆法提出者は退席していただいて結構です。ありがとうございました。
さて、次の質問にさせていただきます。
まさに今お話をさせていただいた、適切な受入れ企業に対する支援についてです。
現行の技能実習制度では、一部の技能実習生に対する人権侵害等の不当な扱いが指摘をされております。その一方で、外国人労働者が働きやすい職場環境を工夫して頑張っている企業も多数あると思います。
私の地元でも、例えば、技能実習生のために寮をつくって、同じ国から来た方々に一緒に住んでもらって、そうやって日常生活からサポートしている、そういった事業者の方々もありますし、例えば、大きなところであっても、受け入れるときから駐日大使館と良好な関係を築いて、適切な受入れを行っている企業というものも多数あります。
そこで、こういった適切な受入れを行っている企業については、今回の育成就労制度創設に当たって、受入れ手続の簡素化をするなど、優遇措置を設ける必要があると考えるんですけれども、大臣、どういった御見解をお持ちでしょうか。
○小泉国務大臣 育成就労制度における受入れ機関、これについては、ルールを守って適正な受入れを推進する受入れ機関に対しては、委員おっしゃるように、積極的に優遇措置を与える、そしてめり張りをつける、これは重要な施策だと思います。
この点、現行の技能実習制度においても、技能修得の実績や技能実習を行わせる体制、相談体制などといった点で優良と認められる受入れ機関には、当該受入れ機関における受入れ人数枠の拡大など、優遇措置を設けております。
今後、この育成就労制度が導入されるに当たっても、例えば、もちろんこれは、手続全般の簡素化、合理化は必要でありますけれども、優良な受入れ機関に対しては、更に簡素化等の措置を講ずるなど、インセンティブを付与するような優遇措置、これを導入するべく、関係省庁と検討してまいりたいと思います。
○おおつき委員 是非、私は、この制度を進めるに当たっては、その検討を進めていただいて、そこからまた悪質になっても仕方ないんですけれども、ちゃんとやっているところを評価するということが大事な制度だと私は思っております。
また、例えば、監理団体から監理支援機関と名前を変えるだけなんじゃなくて、名前を変えるというのは最近よく政府が使う手だなと思うんですけれども、今回も、名前を変えるとか変えないとかは私は関係ないと思っていて、それよりも、ちゃんとしたところをどう評価するか、悪質なところにしっかりと措置を講じる、私はそういったことの方が大事なんじゃないかと思っていて、名前を変えるありきではないことを是非心に留めていただきたいと思っております。
さて、次の質問に行きます。
私、先日も質問させていただきましたが、外国人留学生の活用について質問させていただきます。
さて、今回、我が国の深刻な人手不足を解消するためには、現在既に我が国が受け入れている外国人労働力について、更なる活用を検討する必要があると私は考えております。中でも、資格外活動許可を受けて就労している外国人留学生については、もっと活躍できる余地があるんじゃないかなと思っております。
そこで、まず確認をしたいんですけれども、現在、日本には何人の外国人留学生が在留していて、そのうち何人が資格外活動許可を受けて就労しているのか、伺います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
我が国に留学の在留資格で在留する者は、令和五年末現在において、三十四万八百八十三人でございます。
このうち、資格外活動許可を受けている人数については、統計を取っておらず、お答えは困難でございますが、例えば、一年間に資格外活動許可を行った件数ということであれば、留学の在留資格で在留する者に対しては、令和四年中に二十三万八百四十二件の資格外活動許可を行っているところでございます。
○おおつき委員 それは、改めて調査をする考えというのはあるんですか、こういった制度を導入するに当たって。
○丸山政府参考人 入管庁の今の仕組みとしては、現在そういう統計になってございますけれども、別途、厚労省の方で、外国人雇用状況報告の方で、資格外活動の許可で何人が働いているかということはまた別途把握されているところでございます。
更にこれ以上、入管の方でどこまでできるかということはまた検討させていただきます。
○おおつき委員 それは、私は、こういった制度を導入するからこそ、厚労省と入管庁で連携をして調査を行うべきだと思うんですけれども、いかがですか。
○丸山政府参考人 現状申し上げておりますのは、現在の私どものシステムでその部分がなかなかすぐに取れないということを申し上げているところでございますので、本日また改めて御指摘をいただいておりますので、検討してまいります。
○おおつき委員 人数の把握を含めてこの後もちょっとお話をするんですけれども、やはり人数の把握はこういったことを徹底的に細かくしていくべきだと。厚労省と是非連携をして、ここで答弁してくださいというわけじゃなく、連携をしてしっかり把握して進めていくことは私は大切だと思っているんです。
前回の質疑のときにも、資格外活動許可を受けた留学生というのが、今、週に二十八時間以内、又は在籍する教育機関の長期休業期間中、夏休みとか冬休み含めて一日八時間以内の就労が可能ということで答弁されていたんですけれども、この週二十八時間以内という根拠を伺いたいと思います。また、この規定、制定当初から全く変わっていないんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
留学生の資格外活動許可につきましては、留学生本来の活動である学業を阻害しない範囲で、アルバイトを通じて留学中の学費及び生活費を補うことにより学業の遂行に資するという観点から、入管法施行規則におきまして、申請に基づき、資格外活動許可として一定の範囲内で就労活動を認めているものでございます。
このため、一日当たりのフルタイム勤務約八時間の半分である四時間を算定の基礎とし、これを七日間行うという考え方に基づき、包括的に資格外活動許可を認める範囲を一週につき二十八時間以内としているところでございます。
また、あと、資格外活動許可の変遷でございますけれども、ちょっと幾つか御紹介させていただきますと、平成二年時点では、留学、あと、以前は日本語学校を中心に就学という在留資格がございました。留学と就学の者に対して一日四時間以内の包括的な資格外活動許可というのが平成二年の状況でございます。また、平成十年には、留学、大学とか専門学校でございますが、留学の者について週二十八時間以内に変更。さらに、平成二十二年に留学と就学の在留資格を一本化したことにより、旧就学の者についても週二十八時間以内に変更したところでございます。
○おおつき委員 これまでの流れもあると思うんですけれども、実は、この日本において大きな変化があったという過去も伺いました。これは、とある福祉大学の方々が千六百人近く留学生がいなくなってしまったという事件を受けて、制度を改めてガイドラインを策定したという過去があるということも私は存じ上げております。
しかし、大切なのは、やはり私は、基本として日本で日本語を勉強して、日本語の教育機関とかで、外国人においては、来て、短大や専門学校へ行って、そして働いて自分たちの母国に、家族に仕送りをしたりとか、また、自分で働いて学業へ戻る、大学へ改めて行く、学び直すということをできるような体制に基本はしなきゃいけないと思うんです。
今回の制度は、我が方の案も含めて、今本当に人手が急に足りないので急に増やさなきゃいけないというのも一つ分かります。ただ、理想としては、その反面、次の中期的、長期的観点でいうと、こうやって日本で、ある種、人を育てていく体制というのを私は拡充すべきだと思っているんですね。
当時の問題点、留学生を受け入れるだけ受け入れて、例えば職員の数が足りなかった、そういったことでしたよね。あとは、その留学生の方々も、学生への指導が不十分だったという話もあったというように伺っております。そういった体制を整えた上で、整える制度設計が今もう行われてきたのだとしたら、それを踏まえて、私はやはり、働きながら大学に行けるような制度、そういったこともきちんと創設すべきだと思っております。
今のこの就労時間の範囲内ですと、大体一年間に百万ぐらいですよね。百万円だと、日本人だとしても大学に行く、学校に行くというのはやはり厳しいですよ。これを例えば二百万円以上だとか、働いて学校へ行けるような制度というのを私はできるようにした方がいいと思いまして、日本人だって週に二十八時間という制度はないですよね、バイトの時間に制限。
これもちゃんと、ここをちょっと拡充するということ、まあ、いきなりというのは難しいかもしれないですけれども、例えば、フルタイムとはいかないかもしれないですけれども、週二十八時間から四十時間の間で、かつ、今回の、足りない特定の職種に関しては広げていくなんということもできるんじゃないかなと思うんですけれども、これに関して、これまで資格外活動許可に関わる就労時間制限の緩和について、政府部内で議論されたことはあるんでしょうか。今後検討する予定はありますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますが、留学生の資格外活動許可につきましては、留学生本来の活動である学業を阻害しない範囲で、アルバイトを通じて留学中の学費及び生活費を補うことにより学業の遂行に資するという観点から、一定の範囲内で就労活動を認めているものでございます。
このように、資格外活動許可は、あくまでも留学生本来の活動である学業を阻害しない範囲で許可されるべきものであり、在留資格制度の適正な運用の観点からも、現在認められている資格外活動の範囲を緩和することについては慎重な検討が必要と考えております。
なお、最近の取組としまして、省令を改正いたしまして、教育機関において資格外活動許可状況の適正な把握等を義務づけたところではございます。
○おおつき委員 私は、日本でも丁寧に外国人を育てる制度はつくっていけると思っております。これはあくまで私の私見です。できると思っておりますので、是非これからもこの訴えを続けていきたいと思っております。
時間がなくなってきました。最後に一問だけ。
今回の施行時期における検討事項について伺いたいと思います。
今回、公布日から起算して三年を超えない範囲において政令で定める日とされておりますが、これについて、特定技能制度導入時における入管法改正に比べて、今回は施行までしっかりと時間をかけることとなっておりますが、その理由を伺わせてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案は、施行準備等に必要な一部の規定を除いて、公布の日から起算して三年を超えない範囲内で政令で定める日から施行することとしております。
当該施行準備期間におきましては、分野や見込み数等について意見するための有識者等から成る新たな会議体の設置、分野の選定を含む制度全般にわたる基本的な事項を定めた基本方針の策定、各分野の受入れ見込み数その他の方針等を定めるための分野別運用方針の策定、政令及び主務省令、運用要領等の整備などの作業が必要となります。
前回の特定技能との違いで大きなところで申し上げますと、今回ですと、技能実習制度で現行約四十万人の技能実習生の方、約六万五千機関の実習実施者の方、約三千七百団体の監理団体といった多数の関係者が制度運用に関わっていらっしゃいます。このような現行の運用状況を踏まえますと、新制度への移行に向けた準備は、関係者に不当な不利益を発生しないよう、慎重かつ丁寧に行うべきであると考えているところでございます。
○おおつき委員 時間が来たので終わりますが、是非適正な体制を整えていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、山田勝彦君。
○山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。
今国会中いろいろありまして、法務委員会では初めての質疑となります。どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。
昨年十一月、本委員会で、技能実習生をテーマに小泉法務大臣に質問をいたしました。私から三つ具体的な提案をし、それぞれ前向きな答弁をいただいております。まず、答えは現場にある、現場の声を大臣自ら聞くべきではないかという私の質問に対し、大臣からは、もちろんそのように努めたいと力強くお答えいただきました。
そして、大臣は、実際に四月、現場視察に行かれています。日本で働く技能実習生との対話の中で、大臣は何をどのように変えなければならないと感じられましたか。お聞かせください。
○小泉国務大臣 委員にも御指摘をいただきましたとおり、現場の声に触れる、非常に重要なことであると思います。
四月の一例を申し上げますと、四月の十五日に千葉県内の技能実習の受入れ機関を訪問しまして、技能実習生、介護に携わっていらっしゃる東南アジアからの若い女性の実習生の方々でありましたけれども、直接お話を、一時間足らずでありますけれども対話をすることができました。本当にそれぞれの皆さんが高い志を持って来ていただいているということを強く感じましたし、非常に明るい、未来に希望を持って、いろいろなことを学んで、そしてそれを国に持ち帰りたい。何を一番学びたいか、要約していくと、日本が長寿社会を成し遂げた、そのことを大変重く感じている方が大勢いらっしゃいまして、高齢者を大切にする、高齢者がまた頑張っていらっしゃる長寿社会を我が国にも持ち帰りたい、そういう思いを語られる方が多くいらっしゃいました。
その中で、来日してから何が一番楽しいことですかと、そういう質問をしましたら、全員の方が同じ答えだったんですよね。これは、お世話をして、ケアをした日本の高齢者の方々が、本当にうれしそうに、ありがとう、おかげさまでこうしていられるんですというお礼の言葉を述べられたときが一番幸せであり、またやる気が出てくると。もう一人残らず、例外なくそういうふうにおっしゃいました。働くことの意味又は社会に貢献することの意味、そういったものを大事にしながら頑張っている姿、本当に感銘を受けました。
そういう方々が生き生きとして職場で働けるように、もちろん、その関係者も、本当に彼女たちを仲間として受け入れて、同僚として育んでいることも強く感じることができました。
様々な反省を我々もそこからしていかなければいけないな、そんな思いで帰ってきました。
○山田(勝)委員 ありがとうございます。
今大臣がおっしゃったように、高い志を持って日本に来ていただいた外国人の方々が安心して笑顔で働ける環境、それを目指していく上で、やはり、今問題になっている、外国人の方々の人権、これを決して侵害してはいけない。
そこで、私は前回の質疑の中で、日本に送り出す実習生に百万円もの手数料を課し、重い借金として実習生にのしかかっているこの問題について質問しました。借金の重たさと外国人労働者の失踪率は比例しています。
外国人労働者を搾取するような悪質ブローカーを排除するために、日本政府が行っているアンケートに協力してもらった実習生へ直接追加でヒアリングを行い、ブローカーを特定していくべきではないかというふうに大臣に質問したところ、大臣は、御指摘は一理以上ある、大変大きな御示唆なので実行できるかどうか適切に検討したいと力強く答弁されました。その後の進捗について、大臣、教えてください。
○小泉国務大臣 入管庁が令和三年から四年にかけて行った技能実習生の支払い費用に関する実態調査、御指摘がありました。これはアンケート調査というふうに称していましたので、当時のやり取りの中で、直接技能実習生に、記載するのではなくて、対面で口頭で調査を行うべきではないかという御示唆をいただきました。全くそのとおりだと思います。
これはちょっと御報告が遅れて申し訳なかったんですが、実態調査の、このアンケート調査のやり方を確認しましたところ、二千名の技能実習生が対象でありますけれども、お一人お一人にヒアリングをしています。個別の対応でヒアリングをした結果の集計をお見せしている。
そして、今後こういうことをやらないのかということになるわけですけれども、技能実習機構が三年に一回の頻度で受入れ機関に対して実地検査をしています。三年に一度ということは、年間に三分の一ずつ実地検査、そこでも技能実習生から直接ヒアリングをしているということでございますので、委員から御指摘がありましたので、三分の一ずつ行っていく、ここにおいては着実にヒアリングをして問題点を摘出する、そういうことをしっかりと取り組みたい、このように思っています。
○山田(勝)委員 地元の優良な監理団体の経営者の方からヒアリングを行って、こういうふうに要望をいただきました。優秀な送り出し機関と契約を結べるように、日本政府が明確な指針を出し、その上で二国間協定を交わす。相手国の送り出し機関を厳選してほしい。こういった切実な現場の声に政府はしっかりと応えていかなければなりません。
監理団体のその経営者の方は、こうも言われていました。以前は相手国の送り出し機関と日本の監理団体の間にブローカーが入ろうとしていたけれども、さすがにそれはなくなった。しかし、今そのブローカーは、相手国の送り出し機関の後ろに、裏に隠れている。国内の監理団体からすればそれが見えないんだと。だからこそ、政府が徹底的に排除していかなければなりません。その悪質なブローカーは、外国人労働者からも手数料を取り、さらに、送り出し機関からもキックバックをもらっている可能性が極めて高い。
だからこそ、私が提案したように、実際に被害に遭っている国内の外国人労働者の方々にしっかりとヒアリングをして、そこで被害に遭っている方々に対しては、送り出し機関も同様に大きな問題点を抱えている、つまり手を組んでいる可能性が極めて高いわけです。
なので、こういった対策を強化していくことが何よりも重要だと御指摘をさせていただきます。
その上で、大臣に質問したいんですけれども、日本政府は、今後、このような悪質な、いわゆるブローカーと手を組んでいるような送り出し機関は徹底して排除するんだと、そして、もし排除することができないのであれば、そういった国からは外国人労働者を私たち日本は受け入れないんだと、そういう強い意思を二国間協定で相手国へ明確に示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 悪質なブローカーと手を組んでいるようなことが明らかな、そういう事実認定が客観的にできるようなケースであれば、これはもちろん排除するということを二国間協定の相手国にも我々は常々伝えねばならないし、またそのように対応していく必要があると思います。
ただ、送り出し機関も様々な業務を行っていますので、その正当な、相応の対価としての費用徴収が行われるのであれば、その部分について全否定するということは、これはできないというふうに思います。
繰り返しになりますけれども、悪質なブローカーと明らかに手を組んでいる、そして外国人材に大きな実害を生じているということが明らかに客観的に事実認定できるのであれば、それは明確に排除する、その姿勢は当該国にもあらかじめ示していく必要はあると思います。
○山田(勝)委員 なので、その事実認定をしっかりと行えるような体制強化、これが重要だということを、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
その上で、私が前回質問したテーマなんですけれども、監理費、これが、もう何度も私この法務委員会でも、そして本会議場では岸田総理にも質問いたしました。
結局、監理費を毎月平均三万円も払っている、これが受入れ企業にとっては外国人労働者を、処遇をよりよくしていくための壁になっていると。なので、この監理費を減額する、そういった対策が必要であって、公的に支援をしていくべきではないかというふうに小泉法務大臣に質問をいたしました。それに対し大臣は、様々な方面から意見をよく聴取して検討したいと答弁されました。
具体的にどう検討されたのでしょうか。
○小泉国務大臣 実費に限り徴収することができるというのが原則であります。それを上回る費用徴収については、これを是正する必要があるということでございます。
今回は、監理支援機関が徴収する監理支援費の算出方法あるいは基準を明確化して、それをホームページで公開する、そしてそれを主務省令で義務づける、監理支援機関に義務づけるということによって費用の透明化を図ろうということが一つございます。
また、費用の算出方法に係る考え方を運用要領等で明確にする。また、外国人育成就労機構による実地検査による確認、指導等を徹底していく、過大な監理支援費を徴収するなどの悪質な機関に対する厳格な対応を行う、こういった総合的な対応です。
まず、基準あるいは算出方法を明確化してホームページに載せる、こうしたこと、それをまた育成就労機構がフォローしていく、実地検査をしていく、三分の一ずつ検査もしていく、こういう体制で取り組みたいと思っているところでございます。
○山田(勝)委員 つまり、具体的に、平均三万円を引き下げるような、効果的な対策が今お話を聞く限りは全くないと、残念ながらそう感じざるを得ません。
そこで、立憲民主党の法案提出者に伺います。
外国人労働者の負担軽減のため、悪質なブローカー排除や、初期費用、毎月の監理費など、立憲民主党の法案が成立した場合、どのような対策がなされるのでしょうか。
○道下議員 御質問ありがとうございます。
立憲案では、外国人労働者の費用負担について、明確かつ最小限度にするために必要な措置を講ずることとしております。
その上で、具体的には、これまで悪質な民間ブローカーが様々な段階で搾取を繰り返し、そのことが技能実習生に対する人権侵害を生じさせてきたことへの反省を踏まえ、国外においては、悪質な民間ブローカーをしっかりと排除するための措置を講ずることが担保された国からのみ外国人労働者を受け入れることとし、国内においては、マッチングに監理団体が関与する仕組みを廃止し、ハローワーク等の公的機関が中心となったスキームを構築することとしております。
これらの措置によって、外国人労働者の金銭負担は軽減されることになり、また、マッチング成立後に必要とされる初期費用や毎月の監理費を監理団体に支払う必要もなくなるため、雇用主の負担も軽減されることになると考えます。また、その分、外国人労働者の給与に上乗せされるのではないかというふうにも思います。
なお、研修費用に関しては、立憲案では、政府が円滑かつ効果的な研修を実施するため、ハード面及びソフト面での体制整備や環境整備を行うこととしております。この措置により、外国人労働者自身が負担することとなる費用の更なる軽減に資することになるのではないかと考えております。
以上です。
○山田(勝)委員 まさに、外国人の方と真の共生社会を実現するために必要な改革案であるというふうに感じました。
次に、監理費の闇深い問題について伺います。
相手国の送り出し機関に払っている費用は、実は初期費用だけにとどまっていません。日本の監理団体から相手国の送り出し機関へ、毎月、外国人労働者一人当たり五千円から一万円支払われているのです。初期費用の高額な紹介手数料だけではなく、毎月毎月、三年間も、事実上、外国人労働者から搾取し続けています。一人当たり三年間で三十六万円、千人送り出せば三・六億円です。この莫大な資金は一体何に使われているのでしょうか。そして、こういったシステムは、まさに労基法六条、中間搾取禁止違反、職業安定法三十二条の労働者からの手数料徴収の禁止違反に該当するのではないでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
監理団体から送り出し機関に毎月支払われている費用、いわゆる送り出し管理費につきましては、技能実習法令上、監理費の一部として、実習実施者、受入れ機関から徴収することが法的に認められております。
この費用は、御存じのとおり、実習実施者と技能実習生との間における雇用関係の成立のあっせんに係る事務に係る費用として徴収を認めているものでございます。外国の送り出し機関において、技能実習生の紹介やあっせんを行うのに要した費用、実費を監理団体を通じて実習実施者から徴収しているものでございまして、先ほど申し上げましたとおり、技能実習法上認められているものでございます。
一方、御指摘ございましたけれども、技能実習法第二十八条第一項の規定によりまして、監理団体は、いかなる名義でも、技能実習生から手数料を徴収することは禁止されております。また、技能実習法施行規則第十四条第三号の規定によりまして、監理費を直接又は間接的に技能実習生に負わせることも禁止されてございます。
このようなことから、送り出し機関に支払う費用を技能実習生から徴収することはできない仕組みとなってございます。
○山田(勝)委員 直接外国人労働者から徴収していないから法令違反に当たらないということなんですが、これは先ほどから議論しているように、監理費というのは、事実上、雇用している外国人労働者の処遇に影響するものです。この監理費を不当に送り出し機関に払い続けているということは、事実上、そこで働いている外国人労働者の搾取に当たる。これは脱法行為そのものではないでしょうか。すぐに禁止すべきだと考えます。
そして、こういった、使用目的が今の説明でも全く理解できません。まさに、理由もなく、仕事もしていないのにお金を取り続けているのは明らかではないでしょうか。監理費の適正化対策で、先ほど小泉法務大臣からもありました、監理団体の金額の透明化を図っていくんだとか、指導を徹底して業務の無駄を省くようやっていくんだとか、そういう答弁がなされていますが、いずれも抽象的で、精神論、効果的な対策とは期待できません。
小泉法務大臣、こういった監理費を削減するため、今、毎月毎月、監理団体が送り出し機関に五千円から一万円もの不当な支払いをしている、こういったことをすぐに止めるべきではないでしょうか。
○小泉国務大臣 現行の技能実習制度における送り出し機関、様々な業務を行っています。
まずは、送り出しの際の監理団体と協力した外国人と受入れ機関のマッチング、これも多くの労力を要するものであろうと思います。また、入国前には外国人に対する入国前講習や必要書類の準備等がございます。入国後にも外国人本人や監理団体から各種相談を受けたり、本国側で必要な事務手続等を行うといった役割を担っている例があります。
何もしないのに介在して不当な利得を得ているということではない、基本はですよ、もちろん、基本はそういう仕組みの中でこれは動いていますので、そこで徴収される対価、費用徴収が行われることそのものが一切不合理であり不適正だというふうには考えることはできないと思います。
ただ、おっしゃるように、費用の適正化に向けての努力は、これは厳しく積み上げていかなければならない。先ほど申し上げた措置のほかに、それに加えて、送り出し機関に支払われる手数料を受入れ機関と外国人が適切に分担するための仕組みの導入、あるいは監理支援費の透明化及び実費徴収原則の徹底、こうした方策を、今回の改正法案を機に、また、こうした国会での本当に熱心な御議論を契機として、しっかりと我々は取り組んでいきたいと思っています。
○山田(勝)委員 小泉法務大臣、先ほど答弁で、決して不合理ではないとおっしゃいました。では、明確に、最初の初期費用は紹介手数料として払った上でですよ、毎月毎月、三年間、五千円なり一万円を送り出し機関に払っている合理的な理由は何ですか。
○小泉国務大臣 それは、送り出し機関の側で日常的な業務があってこそ、その都度のマッチングのニーズに応えられるわけでありますから、その日常業務、日常的な人材の確保、そういった費用がゼロでというわけにはいかないと思うんですね。発注があったときだけ人を集めて組織を動かしマッチングするということは、できないと思います。日頃の業務があってこそ、そこには一定の費用がかかるということはあり得ると思うんですね。
○山田(勝)委員 それを紹介後の外国人労働者一人当たりから徴収し続けることが法令違反に当たるんじゃないかという指摘に対して、その運用のために必要な経費なんだと、それは余りにも相手国の送り出し機関の立場に立った視点での話じゃないですか。こちら側に立って、国内に来ている外国人労働者の方々が、先ほどおおつき委員からもあったとおり、最低賃金近い処遇で働いている実態をどう改革するかという議論の中で、大臣はどちらの立場で御説明されているのか、全く意味不明でございます。
そして、残念ながら名称の変更でしかない今回の改革案だなというふうに改めて感じたところです。つまり、改革するつもりがない。この五千円から一万円の送り出し機関への不当な支払いを止めれば、平均三万円が平均二万円まで一気に減額していけるわけです。
これは、もう現場の監理団体の方々も本当に止めてほしいと願っているんですよね。大臣、その辺り、またしっかりと調査をしていくべきではないかと思うんですが、今後検討もしないんでしょうか。
○小泉国務大臣 送り出し機関が当該相手国でどういう活動をしているのかということについては、まだ我々も、直接そこへ出向いていく、そういう調査手法を持たないわけでありますが、しかし、重要な御指摘でありますので、何らかの形で実態把握ができる方向に向けて知恵を絞りたいと思います。
○山田(勝)委員 大事なことだと思いますので、是非ともお願い申し上げます。
そして、次のテーマです。技能実習機構の天下りと経営状況についてです。
配付資料を御覧ください。
監理費を抑制するために様々な対策を私たちは訴えているわけです。しかしながら、現行の改正案では具体的なものはない。公的支援、国の補助金は一切そこに充てていかないという内容です。
しかし、機構の理事ポストに就く厚労省や法務省からの天下りには、資料にあるとおり、高額な報酬と、機構の運営費には年間六十億円以上もの国費が投入されています。一・三億円余らし、国庫へ返納している。
全国の地方に十三か所事務所があり、東京に本部が一か所。職員は六百人で、地方に五百人、本部に百人配置されています。給与体系は公務員に準じており、比較的高額。
そして、機構の業務内容は、技能実習計画の認定、実習実施者、監理団体への報告要求、実地検査、実習実施者の届出の受理、監理団体の許可に関する調査、技能実習生に対する相談援助、転籍の支援、技能実習に関する調査研究という内容です。
立憲民主党の法案提出者へ伺います。
こういった支援機構の業務内容を全国各地のハローワークや労働基準監督署へ移行することは可能でしょうか、お答えください。
○道下議員 御質問ありがとうございます。
技能実習制度において、この技能実習生の人権侵害問題が生じた理由の一つとして、悪質な民間ブローカーが様々な段階で搾取を繰り返してきたことがこれまでも指摘されておりますし、山田委員も指摘しておられます。
この問題に対しては厳格な対処が必要であるとの認識から、我が立憲民主党案では、監理団体制度を廃止するとともに、監理団体のチェックを担ってきた外国人技能実習機構も廃止することとしております。
したがって、従前機構が担っていた業務のうち、監理団体からの申請書類の受付や監理団体の年一回の指導については、そもそもその必要がなくなることとなります。
残りの外国人労働者からの相談窓口としての機能については、立憲民主党案の中で、ハローワーク等の体制強化や、外国人一般労働者からの相談支援等を行う拠点となる外国人一般労働者就労支援センターの設置といった様々な措置を講ずることとしておりまして、これまで以上に充実した形で外国人労働者からの相談に対応できるようになるものと考えております。
以上です。
○山田(勝)委員 ありがとうございました。
それでは、立憲民主党の法案提出者の方、もうここで退席して結構でございます。
次に、厚労省に伺います。
六百人の機構の職員をハローワークや労基署へ配置転換できれば、毎年六十億円もの国費がかなり削減されます。そして、その削減された予算を外国人労働者の処遇改善に使うべきです。機構への天下りを確保するために国費を投入するのではなく、人権侵害とも指摘される外国人労働者の労働環境を向上させるためにもっと投資していくべきだと考えます。外国人から選ばれる国となるために、機構という現行制度を大きく改革するべきではないでしょうか。
○宮崎副大臣 先生が先ほど御指摘をいただいたとおり、機構の業務というのは非常に多岐にわたっており、その業務の内容、また、例えば許可の数などの件数なども大変膨大なものになっているということは御理解いただいているところと思います。
例えば、今、現行の技能実習を前提にお話ししますが、技能実習制度においては、技能実習法に定める技能実習についての専門的な知見を有する機関が、法務省と厚生労働省の二省にわたる内容について一貫した指導監督を行うために、外国人技能実習機構を設立して、先ほど話が出たように、技能実習計画の認定事務、実習実施者や監理団体などに対する報告要求や実地検査の実施、技能実習生からの相談対応などの業務を行わせることとして、必要に応じて労働基準監督署などの関係機関とも連携を行ってきたところであります。
育成就労制度を認めていただいた場合には、育成就労制度に関する専門的な機関である外国人育成就労機構において指導監督などの業務を行わせることが適当と考えておりまして、外国人技能実習機構を育成就労機構に改組した上で、職員を引き継ぐという形にしたいと考えております。
少し端的に申し上げると、例えば、育成就労になるという場合に、育成就労制度について専門的な知見を有する機関が、法務省と厚生労働省の二省にわたる内容について一貫した指導監督を行うことが必要と考えておりますので、ハローワークというのは職業紹介を行う機関、労働基準監督署というのは法定労働条件の履行の確保を図るための機関でありまして、育成就労制度に関する専門的な機関である外国人育成就労機構において指導監督などの業務を行わせることが適当だというのが政府の考え方であります。
○山田(勝)委員 専門性が求められる職種であるというふうな御説明は理解できます。
ただ、実際に、そういった方々、働いている方々の多くは、既に元々公務員だったり、労基署の再雇用の方々だったり入管庁出身であったり、その六百人の職員さんもそういう経歴の方々です。その専門性をより明確にはっきりと生かしていく上でも、民間なのか公務員なのか曖昧な立ち位置ではなくて、むしろ、もう公務員として、外国人との真の共生社会を実現するための公的な担いをその方々に果たしてもらうべきではないでしょうか。
そもそも、外国人労働者と日本人との労働環境の、そして労働法整備上の差別をなくしていくというのが今回の改正の趣旨であるはずです。であれば、日本社会に受け入れるべき制度改正であるので、今回、日本人と外国人労働者を区別することなく、ハローワークや労基署でそういった業務を行っていくのがより自然ではないかと思いますので、引き続きこのことは議論していきたいと思っております。
残念ながら時間が来ました。永住権の取消しについても質問したかったんですけれども、鎌田委員に託したいと思います。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、鎌田さゆり君。
○鎌田委員 今、山田委員がこの法務委員会に戻ってきて、そして、その質疑の順番、永住権の取消しのことを託されましたので、昨日追加で通告をしました永住権の取消し、しつこいようですけれども、更に伺っていきたいと思います。
まず、今日は国税庁にお越しをいただいております。ありがとうございます。この間、質問してまいりまして、入管庁からなかなか、しかるべき対応を国税庁さんの方でやっているんじゃないか、地方自治体がやっているんじゃないかということだったものですから、今日は国税庁にお越しをいただいて質問させていただきます。
今回、入管法の改正で、永住権の取消しの理由のところで、故意に公租公課の滞納があった場合という項目が入っています。そこで、国税庁に伺いますが、公租公課の滞納整理に当たって、国税庁は、滞納者の国籍や在留資格に応じて対応を変えているんでしょうか。伺いたいと思います。
○植松政府参考人 お答えいたします。
一般論として申し上げますと、国税の滞納整理に当たりましては、納税者個々の実情に即しつつ、法令等に基づき適切に対応することとしておりまして、滞納整理に際し、滞納者の国籍や在留資格に応じて取扱いが異なるといったことはございません。
○鎌田委員 ありがとうございました。
国税庁さんとしては、しっかり、国籍も何も関係なく、ちゃんと納税義務のある方には対応しているということを今御答弁いただきました。
続けて国税庁さんに伺います。永住者が公租公課の納めを怠った場合、それは、日本国籍の人と同じように、時に督促をしたり、財産調査をしたり、あるいは差押処分に入っていくこともあり得るということでよろしいんですよね。それを外国籍の人だからしてはいけないという規定はないということですよね。
○植松政府参考人 お答えいたします。
一般論として申し上げれば、国税通則法上の納税者が国税をその納付期限までに完納しない場合には、督促状によりその納付を督促することとなります。また、督促や納付の慫慂をしても納付の意思が示されないような場合には、納税者の財産調査や差押えを行うこととなります。
こうした取扱いは、滞納者が永住者であってもその他の納税者であっても同様でありまして、国税に関する法令におきまして、永住者が国税の納付を怠った場合に、督促や財産調査、差押えを行ってはならないといった旨を定めた規定はございません。
○鎌田委員 審議官、ごめんなさい、これは通告していないんだけれども、もう一個。ちなみになんですけれども、今御答弁をるるいただきました、はっきりしました、ちゃんと国籍にかかわらず国税庁さんはお仕事されていると。取る仕事ですからね。この永住者の滞納の件について、入管庁から何か問合せというのはこの間ありましたでしょうか。
○植松政府参考人 お答えにつきましては、法案に関しましてということでございましょうか。(鎌田委員「公租公課の滞納に対してどういう対応をしているかという問合せがあったか」と呼ぶ)
突然のお尋ねですので、そこまで確認してございません。
○鎌田委員 済みませんでした。電話で打合せをしたときには、入管庁さんから問合せがないのでという、お電話ではお返事をいただいたものですから。済みません。ありがとうございました。
国税庁さんは、これで私からの質問は終わりですので、御退席いただいて結構でございます。
○武部委員長 植松審議官はどうぞ御退席ください。
○鎌田委員 改めて分かりましたことは、入管庁は、今回、永住権を取り消す、剥奪をするということを入管法の改定の中に一つの大きな柱として入れ込んでいるんだけれども、公租公課の故意による滞納ということを理由にしているけれども、国税庁は国籍にかかわらずちゃんとやっているというのが今答弁ではっきりしました。今までの委員会で、入管庁さんからそういう答弁というのはありませんでしたので、今日はきちんと確認をする意味で国税庁にも来てもらったんですけれども。
そこでなんですが、四月の二十四日、私は、次長の答弁をいただきました。自治体からの通報や苦情は何件あったのかといったときに、通報のあった件数、統計は持っていない、滞納額についても当庁としては把握していないと。つまり、国税に対して問合せをしていないということは、四月二十四日の時点で明らかなんですね。
その後、五月八日のこの法務委員会で、与党の議員に対して、法改正に向けてどんな調査をしているんですか、どんな結果を得られたんですかという質問に対して、丸山次長ですが、永住者全体の公的義務の履行状況を調査することは困難だと前置きをしたんですけれども、永住者の実子として出生した者による永住許可申請の審査記録において、永住者である扶養者に公的義務の不履行の有無を確認したというふうに説明をしていました。
ところが、そのときの数字が、その後、世間を独り歩きしまして、ネット上では、永住者の一割が税金未納だ、これがもうどんどん独り歩きしたんですよ。世論をミスリードしたどころか、私は、あのときの与党の議員の方の質問と次長の答弁も聞いていましたけれども、本当に誤導されていくような、誤導、誘導されていくような感じで、永住者の一割が税金を払っていないのかというような印象も実は私も持ったんです。その後、ネット上では、そのような偏見の目で見るような話が飛び交いました。これは大変なことだということで、永住者の方たちは声を上げているわけなんです。
そこで、今度は入管庁に伺っていきますけれども、済みません、時間も限られているので、ここからちょっとイエスかノーかでお答えいただきたいんですけれども、この入管庁が公表したデータなんですが、令和五年の一月から六月までに処分がなされた一千八百二十五件、このうち永住者として日本で暮らしている方に子供が生まれたから、その子供について永住許可申請をした方についての申請のデータだということでよろしいですね。はいかいいえでお答えいただきたいです。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございます。
○鎌田委員 ありがとうございました。
そこで、次の質問ですけれども、その審査時点において現に未納があったという人ということかどうかを伺いたいと思います。あわせて、未納の金額、どの程度の期間未納だったのか、これは確認されたんでしょうか。これが二つ目。さらに、父母のうちどちらか一方でも未納があれば未納としてカウントしていたのか伺います。三点お願いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
永住者による未納が確認された二百三十五件は、審査時点において未納であった件数であり、免除などの納付緩和措置を受けた者は除いております。
今般の調査は、許可とならなかった五百五十六件について公租公課の未納の有無を確認することを目的としておりますことから、これらの未納の金額や期間についての集計は行っておりません。また、許可とならなかった五百五十六件のうち、父母のどちらか一方について永住者による未納があることが審査記録上明らかであれば、今回の二百三十五件に含めております。
○鎌田委員 ただいまの答弁のとおり、まだ調査が完全にされないままで今回の立法になっている。だから、立法事実がやはり希薄だということは明らかなんですね。
永住者の子供の申請なんですけれども、これは、入管法の二十二条の二第二項の規定によって、お子さんが生まれてから三十日以内に申請しなければいけない、こういう決まりでよろしいですね。はいかいいえでお願いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
基本的に委員のとおりでございます。より正確に申し上げますと、六十日を超えて本邦に在留しようとする場合という要件がつきます。
○鎌田委員 今日、資料として配付をお許しをいただきました。ありがとうございます。永住許可申請書、これは二枚なんですけれども、これは入管庁のホームページからダウンロードしたものでございます。もちろん、永住許可の申請を出すときには、この二枚だけじゃなくて、過去何年分の納税の記録、過去何年分の保険料の記録と、膨大な資料をきちんと提出をしなきゃいけないんですけれども。
この二枚目の方を御覧いただきたいんです。資料の2。2の上の方にあります十八番の項目。在日親族というところがあるんですね。在日親族というところで、ここは日本語で書かれています。後ろの方に行くと、父、母、配偶者と書かれてあって、及びという日本語、そして同居者となっていますよね。及びです。
ところが、その下に、今度は英語で書かれています。この英語の一番後ろの方、次長、お詳しい専門家ですから、ちょっとここの英語のところ、オアの後を読んでいただけますか。そして、オア何々の英語の日本語の意味、教えていただけますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘があった英文のところは、オア・コーレジデンツという意味で書いております。通常、日本語でオアですと又はという意味かと思いますが、この件については従前御指摘を受けたことがございまして、私どももネイティブの方たちに御相談した結果、この部分で、及びで使っておりますが、英語としてオアでも誤りではないということはいただいているところでございます。
○鎌田委員 今、オアでも誤りではないとおっしゃったのはちょっとよく分からないんですけれども、今日、資料で、三つ目もお許しをいただきました。これは数年前、二〇二〇年の新聞記事なんですけれども、子供さんの永住申請をしたときに、そのときに、記事の中段より下の方になるんですが、これは及びとオアの違いが申請者にとって分からなかったんですよ、日本語と英語と。その当時、子供さんを養育している、監護している母親の方は、父親の方とは婚姻関係というか同居状態ではないので書かなかった。そのときに入管からその指摘を受けなかったので、ここで記載しなかったんですよ。ところが、六年たってから、あのときあなたは書きませんでしたねということで永住権が取消しになっている。何でと。この新聞記事の要旨はそういうことなんです。
つまり、永住権の申請をする段階で、この申請書を見ても、日本語と英語、申請する者にとってはどういうふうに解釈したらいいのか分からない。及び、あるいは、又は、どっちなんだと分からないような申請書をもってして、そして、そのときに説明もしないで、結果こういうふうに、その後裁判になって争うことになる、六年後には取消しされるということも起きているわけですよ。
ですから、ここは、今回法律案に皆様は永住権の剥奪ということを盛り込んでいますけれども、まずは、永住権を申請する際に、きちっと申請者に対して最低限親切な申請書類を用意をして、そしてちゃんと丁寧に説明をして、その後六年たってから子供さんの永住権が取消しされたなんて、そんなことが起きるようなことがないように、まず入管庁さんでそこを徹底してから、それでもなおというなら分かりますけれども。
提案です。今後、入管庁としての対応、こういうことが起きないように徹底して対応を、日本語と英語を勘違いしないように丁寧な説明をしていくということ、次長、お約束していただけませんか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまの委員の御指摘につきましては、恐らく私の記憶、この英文について、この訴訟の件で若干記憶があったことを申し上げたというふうに思っております。
ただ、いずれにしましても、申請者の方が誤解をされるようなことがないようにしっかり対応していきたいと思います。
○鎌田委員 委員長、済みません。衆法提出者への質問はもうちょっと後になるので、そこから離席していただいて大丈夫です。
次長、今御答弁いただいたんですけれども、この国会の場で、入管庁の次長という偉い方がそのような意思をお持ちだと答弁されたということは分かりましたけれども、でも、この様式は変わらない、変えるつもりはないんですね。変えるつもりはないんですよね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
過去のことについて、オアでも大丈夫だろうということをお聞きしたということは、そのような記憶はございますけれども、本日、委員より改めて御指摘をいただきましたので、より適切なものはどうなのかということは持ち帰って検討いたします。
○鎌田委員 次長、もう一回。
いや、変えてください。このままでは分からない。日本語では及びだけれども、英語だとオアなんですよ。そして、オア同居者というのは、実家での同居者という意味でしょう、コーレジデンツということは。だから、及びとオアでは全く違いますから、変えてください。もう一回答弁をお願いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
委員から度々のお尋ねでございますので、変更も含めて検討いたします。
○鎌田委員 今、次長、少し踏み込んで御答弁されました。大臣、この点について明確に御指示をいただきたいと思います。お願いします。
○小泉国務大臣 誤解が生じないような、フォーマットの改正も含めて検討したいと思います。
○鎌田委員 大臣のその言葉を信じますので、今後、この及びとオアと、及びとあるいはということの違いが出ないような永住許可の申請の書類の様式に変わること、変わる際には必ず御報告をいただきたいと思います。
大臣に、私はずっとこの間、永住許可を取り消す、剥奪するというようなことは、特に今回、入管庁が出したデータというのが子供さんのことについてだったんですよ、子供さん。
子供さんの申請というのは、生まれてから三十日以内、そして千八百二十五世帯を対象として、それがサンプルだとは私は到底言えないと思うんですね。しかも、お子さんが生まれた世代ですから、これは想定です、想像ですが、若くて収入が多くない方だったり、産休とか育休中だったり、あるいは非正規雇用とかフリーランスの方とか、そういった方々だということはもう想像がたやすくできるんです。母親は出産のために仕事を休むということもしていたかもしれない、収入が一時的に減っていたかもしれないということもあり得るわけですよ。
ですので、その調査対象の五百五十六件、子供に永住許可がされたかどうか、永住者の子供として生まれたんだけれども、永住権を許可されなかった、この子供が許可されなかった場合、子供の在留資格というのは非常に不安定なものになるんですよ。
今回のこの法律は、故意に公租公課を支払わなかった永住者の大人に目が向きがちなんですけれども、その間に生まれた、生まれたばかりの子供の永住権にもこれは関わっているんです。
子供は、この入管法の規定でいくと、永住者の配偶者等という在留資格になるんですよ。この永住者の配偶者等という在留資格になると、在留期間が一年とか三年と決まっていて、更新が必要な在留資格なんです。これは、永住許可の取消しのこの法案が通っちゃうと、大人だけじゃないんです。そこの間に生まれた子供に影響するんです。日本で生まれた子供の在留が不安定な状況になるんですよ。
大臣、このままじゃ私はいけないと思うから、今回もこうやって時間を割いて、済みませんけれども、しつこく質問させてもらっています。大臣、子供さんの在留資格が不安定なままになる、このことについて、今すぐでなくてもいいです、もしこの法案通っちゃったら、今後でもいいです、子供に対してきちんと考える、検討する余地があるという答弁を私はいただきたい。子供が不安定な在留資格のままではいけないと思います。いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 先生おっしゃったように、永住者の配偶者等の在留資格が認められることになります、一般的には。永住者の在留資格を有する者の子としての立場を得るわけであります。
これは、永住者の在留資格が認められない場合であっても我が国で中長期の滞在が可能になる、そして、もし税金の滞納や社会保険料の未納が解消されるということであれば、再度永住許可申請を行って、早期に永住許可を得ることも可能であります。
こうした手続を踏んでいただくことによって、スムースに永住者の在留資格を再度得るということは可能でありますので、その点をまず御理解いただきたいと思います。
○鎌田委員 故意の公租公課の滞納がなければ、個別案件により、悪質な公租公課の滞納がなければ、そして、今の大臣の御答弁は、その後、子供さんのですよ、できるんだという御答弁ですけれども、そういうふうにおっしゃるなら、最初から入れなければいいじゃないですか。そう思いませんか。
今適正にちゃんとやられているわけでしょう。今適正に、この人には永住権を与えちゃいけないなという判断が出れば永住権を出していないわけでしょう。何でわざわざ、今回、この法案の改正、改定の中に入れるんですか。今適正に行われていないというのだとしたら、それは入管庁の仕事の怠慢か、仕事の瑕疵かでしょう。わざわざ入れる必要はないですよ。
本当にこれは後に禍根を残すことだと思いますので、私は、引き続き、この法案がもし通ったとしても、在留資格の取消しによる対処というのは差別的であって、共生社会の実現にとっては有害でしかないという気持ちを持って、これからも私は質問してまいりますので、そのことは述べたいと思います。
もうこれだけで二十二分使ってしまいましたので、済みません、通告した二番と三番については先ほどの山田委員と重なりますので、予定をしておりました四番目の家族滞在について伺いたいと思います。
まず、閣法提出者に伺います。閣法だと、八年間は家族滞在が認められていません。これは永住取得の就労年数にもカウントされないという認識で合っているかどうか、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 永住許可のガイドラインにおきまして、通常、十年以上の在留期間、あるいはそのうち就労資格五年以上というのを一つの目安に持っております。そのうち、育成就労につきましては、そのトータルの十年間の方ではカウントいたしますけれども、就労資格での五年というものには含めない予定としております。
○鎌田委員 今の御答弁のとおりだと確認させていただきました。そして、八年間は家族滞在が認められない。
昨日の地方公聴会で、地元宮城のJAさんの理事会長が、やはりホームシックになる人が多いんですよねと。ただ、監理団体の代表の方は、しっかり送り出し機関を徹底して調査してやっていますので、ホームシックになるようなこともなく、きっちりケアしている監理団体、優良な監理団体だったので、我々の衆法提出の案について、二年は短過ぎる、正直言って、八年家族滞在がなくても、私たちがアテンドしている実習生はきっちり働けていますという意見もあった。一方で、社会保険労務士の政治連盟の会長、それから福島大学の専門の教授は、やはり八年は長過ぎる、家族滞在がないのは。ただ、私たちの衆法の二年ではちょっと短いんじゃないでしょうか、せめて三年ぐらいでしょうかという御意見を陳述人からはいただいた。これは事実であります。
衆法の提出者に伺いますけれども、閣法との違い、八年と二年と違いがあります。その違いをまず伺った上で、私が今言っちゃいましたけれども、衆法案によって期待ができること、これの具体例を伺いたいと思います。
○道下議員 御質問ありがとうございます。
ちょっと重ねてかもしれませんが、閣法との違いをまず。
政府案においては、家族滞在については、育成就労の期間中の三年間及び特定技能一号の期間中の五年間という長期にわたって認められず、特定技能二号の在留資格を得てようやく認められるものというふうに承知しております。
これに対して、我が立憲民主党案については、一般労働一号の在留期間中の二年間は、外国人労働者に日常生活及び社会生活上の基盤を築いていただくために家族滞在を認めないこととしており、必要最少限度の制約をお願いしているところでございますが、一般労働二号に移行後はそのような制約の必要もなくなることから、配偶者及び子供について家族滞在を認めることとしております。
次に、二つ目のお尋ねについてですが、二年たてば御家族とともに生活できるということで、外国人労働者にとって魅力ある制度ですし、家族ぐるみで日本に定着してもらえることになれば、産業及び地域に継続的な利益をもたらすとともに、多文化共生社会の形成に資するという効果が期待できると思います。
以上です。
○鎌田委員 ありがとうございました。
衆法提出者、済みません、今日、この一問だけだったので、これで終わりですので、どうぞ退席していただいて結構です。
○武部委員長 退席して結構です。
○鎌田委員 今、答弁をもらったというか、答弁してもらったとおりに、やはり、私たちが出している二年というのは、確かに、もし十八歳、十九歳で日本に働きに来て、そして、すぐ、二年後、二十歳ぐらいで家族滞在がオーケーとなったら、その時点で結婚している方というのはなかなかいないと思うんですけれども、でも、やはり、八年間家族が滞在が認められないというのは、これは結構長いなと。この八年間の家族滞在が認められないということは、これは私は賛同できないなという部分に入ってきておりますことは申し上げたいと思います。
残りの時間を使って、厚労省さんにも今日来ていただいていますので、また派遣のことについて伺いますが、入管庁の説明を正しく理解して聞こうとすればですが、育成就労生を受け入れた企業、雇用主が、派遣法に基づいて派遣元として許可を受けて派遣事業を営むことは可能となり得ますよね。確認させてください。
○原口政府参考人 先生御指摘のとおりになります。
○鎌田委員 端的にありがとうございました。
今の問いで、続けてですけれども、自分のところで働いてもらう期間以外は、その許可をもらったらですよ、他の地域の他の企業に、派遣先に更に派遣する、これも可能になる、なりますよね、システム上。
○原口政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおりでございます。
○鎌田委員 つまり、今回の入管法改正、改定の中に派遣労働が入っているんですけれども、派遣業法に基づく許可をもらえば、派遣されてきたんだけれども更にどこかに派遣をするということも可能になっちゃうんですよ、大臣。二重に派遣が発生するということになるんです。
そうすると、育成就労生、私の時間が来たので、最後に大臣の答弁をもらって終わりにしたいと思いますが、派遣形態を法律として許容しておいて、制度として許容になっていますから、しているんだけれども、ところが、今度、省令で漁業と農業に限定するというこの枠組み、矛盾していると思うんです。
派遣を認めていることがそういうことを生んでしまっているんですね。大臣、問題意識をどのようにお持ちでしょう。
○武部委員長 小泉法務大臣、答弁は簡潔にお願いします。
○小泉国務大臣 法的規律の在り方の整合性、それはもう一度よく精査したいと思います。
また、派遣が抱えている様々な問題点、それも私もよく認識をしておりますので、全体として相応な、適切な結果が導かれるように、制度全体をもう一度私なりにチェックしてみたいと思います。
○鎌田委員 まだまだ議論は必要です。
終わります。
○武部委員長 次に、斎藤アレックス君。
○斎藤(ア)委員 教育無償化を実現する会の斎藤アレックスです。日本維新の会との統一会派の時間で質問をさせていただきます。
まず、厚生労働省の方にお伺いをしていきたいと思います。
今回のこの入管法の改正、労働力の不足もありまして、海外から人材を受け入れるという、そういった趣旨での法改正ということになります。今まさに日本は人口減少、特にやはり労働人口は急減をする時代というものに突入をしていますので、そのことをどう乗り越えていくのかという中の議論だというふうに思います。
ただ、私も参考人質疑の場でも言わせていただきましたけれども、改めて政府にも確認したいんですが、労働人口の減少を、海外からの移民であったり、あるいは少子化対策で補っていくということは現実的に不可能だというふうに思います。
これから二十五年間で二千万人程度労働人口が減るわけですけれども、二千万人海外から移民を受け入れますかということであれば、そういったことを政府でも考えていないと思いますし、それはやはり非現実的な話だと思います。また、少子化対策は大変重要ですけれども、この二千万人の労働人口の減少を少子化対策で補っていけるのかといえば、それも、これまた非現実的な話ですので、そういったことを政府でも考えているわけではないと思います。
だからこそ、賃金を上げていく、一人当たりの生産性、一人当たりが稼ぐお金、一人当たりのGDPを上げていって人口減少を乗り越えていく、GDPの減少であったり、あるいは税収、経済の縮小を抑えていく、そういったことが大変重要だと思っています。
今、実質賃金は相変わらずマイナス状態になってしまっていますけれども、これを上げていかないと、幾ら海外から人材を受け入れても、どんどん日本の経済はしぼんでいって、社会保障、財政などが維持できなくなりますので、実質賃金を上げることがとてつもなく重要、これが日本の生存戦略であるというふうに思うんですけれども、その問題意識を厚生労働省で持っていただいているのか、お答えいただきたいと思います。
○宮崎副大臣 結論から言うと、持っているということであります。
賃金は、労働者の生活を支える基本的な労働条件であるとともに、経済成長の原動力でありまして、経済の好循環により国民生活を豊かにしていくためにも、実質賃金の上昇は必要だと考えております。
厚生労働省としての認識ということでございますので、関係省庁と連携をした上で、三位一体の労働市場改革や生産性向上への支援の取組を進めることによって、国内の労働者の持続的な賃上げに向けて努力をする必要があると考えております。
○斎藤(ア)委員 持っているという御答弁でしたけれども、私は、あえて言いますけれども、日本の経済戦略の中で、また日本のこれからの生存戦略の中で、実質賃金を上げるということが最も重要だと思っておりますので、それを阻害するような政策はしちゃいけないということは強く申し上げたいと思います。
今回の海外からの人材の受入れ、特に、技能実習生の名前を変えて育成就労ということですけれども、この方々というのは、日本国内で、言うたら最低賃金水準で働いていただく方ということになると思います。
参考人質疑の中でも、技能実習生というのは、日本の派遣労働者と同等の給料をもらっているんです、あるいは、報道とかを見ていても、技能実習生の賃金というのは、高卒の一年目と同じような給料になっているから、外国人の方が給料が安いということはないんだ、そういったお話がありましたけれども、私は、そもそも、日本で最も低い賃金水準で働いてくれる方々を海外から今のタイミングで受け入れるというのは、賃上げにマイナスになってしまう、抑え込んでしまうんじゃないかということで、今、大変危惧をしておりますけれども、そういった問題意識は厚労省では持っていないんでしょうか。
○宮崎副大臣 まずちょっと御答弁を申し上げますけれども、今御指摘になった育成就労制度は、生産性の向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な特定産業分野に限って受入れをするというものでありまして、人手不足の状況を適切に把握した上で、受入れ見込み数を設定することや、臨機に受入れの停止の措置をするということなどもいたしまして、国内の雇用の安定に影響を与えることがないようにする措置を取っているものであります。
また、受入れに必要となる育成就労計画の認定に当たりましては、育成就労外国人に対する報酬の額が日本人が当該業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であること、その他育成就労外国人の待遇が主務省令で定める基準に適合していることという要件を設けておりまして、こういった措置を通じて、日本人の処遇の低下につながらないように適正な運用に努めてまいりたいというところであります。
その上で申し上げますと、先生も御指摘になっておられるとおり、やはり日本は人口減少社会に今直面をしていて、そして、それがこの後、大変大きな流れになることが分かっている。そうすると、人手不足に対応していかないと、やはり強い日本経済をつくっていくということができない、人手不足倒産のような形にもなりかねないというふうに考えております。
ですから、そのために、今ちょっと申し上げたように、特定産業分野に限って受入れをするような形での人材を受け入れるということを正面から受け止めた制度として、育成就労の制度をつくっていく。
その結果として何を目指しているのかというと、やはり成長と分配の好循環が回っていくような日本経済をつくっていく、その先には、物価上昇を上回る持続的で構造的な賃上げを実現したい、これが今政府が目指している方針でありまして、そうすると、そのことによって、経済が強くなっていくことによって、日本人の賃金も上がっていく、当然、それに連動する形で、外国人の賃金も、外国人で労働していただいている方も賃金が上がっていく、そういった社会を目指していかなければいけないというところが、今、厚生労働省として認識しているところでございます。
○斎藤(ア)委員 日本人労働者と遜色のない給料を渡すんだということは、それはよく分かるんですけれども、その水準が低過ぎるんです、今既に、日本で。
三十年間にわたって実質賃金が上がっていない、下がってしまっている。この二十数か月間もまた実質賃金が下がってしまっている。この中で、最低水準の給料で働いていただける外国人の労働者を入れることは、生産性の向上の努力とか投資とか、そういったものを阻害してしまうのではないかということを大変危惧しております。
私は、海外から労働者の方に入っていただくことをやめるべきだと言っているわけではないんですけれども、賃金が上がっていない状況で、ますます実質賃金が下がっている状況で、その最低水準の賃金で働いてくれる方を入れるということは、今やっと生産性を上げようと、物流業界でも、MアンドAをしたりだとか大変な投資をして人手不足に対応しようとか、新しい取組を、やっと日本が前に進み始めた中で、賃金も、やっと名目賃金では上がり始めた、実質賃金もこれから上げていかないとという中で、その中で、更に、一番安い給料で働いてくれる人を海外から受け入れますというのは、これは私は日本の生存戦略に反すると思いますので、その点、特に注意をしていただきたいというふうに思うんですね。
その上で、賃金が上がるようになれば、特に実質賃金が持続的に毎年一%、二%上がるようになれば、私は海外から労働力を受け入れるということはやってもいいと思うんですけれども、どうやってその賃金が上がる状態をつくるかですよね。今もずっと二十か月以上また実質賃金が下がってしまって、三十年間上がってこなかった。
特にこの実質賃金をどう上げていくのかというところなんですけれども、生産性を上げる取組、そして、無理やりでも賃金を上げる、最低賃金の引上げというのはとても重要になっていると思いますので、特にこの二点、それぞれ厚労省、経産省からお答えをいただきたいと思います。
まず経産省から、生産性の向上とかそういったところをお答えいただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
持続的な賃上げを実現するためには、我が国の雇用の約七割を占める中小企業が、価格転嫁の促進や生産性の向上によりまして収益、売上げを拡大し、その原資を確保していくことが重要でございます。
そのため、価格転嫁対策といたしましては、価格交渉促進月間等の取組を粘り強く続けていくことで、中小企業にとって価格交渉しやすい環境を引き続き整備し、サプライチェーンの隅々まで価格転嫁を浸透させていくことが必要であると認識しております。
また、中小企業向けの賃上げ促進税制については、前例のない長期となります五年間の繰越措置の創設によりまして、赤字の中小企業でも賃上げに挑戦していただけるよう抜本強化をさせていただいたところであります。
加えまして、中小企業が構造的な人手不足を乗り越え、生産性を向上し、収益、売上げを拡大することも大変重要でございます。このため、カタログから選ぶような簡易で即効性のある省力化投資等の支援の強化に取り組んでいるところでございます。
こうした取組が、深刻な人手不足など厳しい環境にある中小企業にしっかり届きますよう、全国四十七都道府県に設置しているよろず支援拠点等における経営支援の中でも丁寧にサポートしてまいる所存でございます。
○宮崎副大臣 厚生労働省の取組、お尋ねをいただきました。
生産性の向上や三位一体の労働市場改革に向けた施策を関係省庁と連携して推進をするなど、企業が賃上げできる環境の整備に向けて取り組み、また、先生から特に御指摘のありました最低賃金でありますけれども、当然、最低賃金は、公労使三者で構成される最低賃金審議会でしっかりとした御議論をいただいた上で決まるものでありますけれども、二〇三〇年代半ばまでに全国加重平均千五百円となることを目指すという目標につきましては、より早く達成できるように、労働生産性の引上げにもつながります業務改善助成金などによる支援なども進めているところであります。
春季労使交渉でも、五%を上回る賃上げの回答を今ずっと労使でやっていただいているところでありまして、物価上昇が当然あるわけでありますけれども、実質賃金の上昇に向けて、取り組むべき課題に間断なく強く取り組むことは、御指摘のとおり非常に重要だと思っております。
○斎藤(ア)委員 今お話しいただいた最低賃金も、物価が上がっているし、実質賃金が今下がり続けている状況ですので、この一、二年でスピードを上げて引き上げていただくことはとても重要だと思いますし、生産性の引上げの部分も本当に、これから二十五年間で二千万人以上労働人口が減っていく中で、早く実質賃金の上昇トレンドをつかみ出していかないといけないと思っていますので、本当に集中的な取組をこの数年間でやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
高度外国人材の受入れのところを、ちょっと時間が厳しいので飛ばしていきます。申し訳ないです。
次に、そういった賃上げの状況をつくり出した上ではありますけれども、海外からの人材を受け入れることも私は必要だと思うんですけれども、その上で、やはり共生政策というのはとても重要になります。今、海外からの人が入ってくると社会の分断が起きてしまう、あるいは犯罪率が上がってしまうのではないか、そういった懸念が他国の状況を見ながら寄せられているところでございますけれども、こういった移民政策で大きな問題が生まれているところでは、共生政策がうまくいっていないというところが大きいと思います。
共生政策って何なのかというところがまず重要だと思うんですね。共存と共生はやはり違うわけです。共存というのは、同じ国土に別々に住んでいる状態でも共存というと思いますし、フランスなどでは、移民の方々だけが住んでいるマンションみたいなのが大量にできて、そこで大変治安が悪化するということが起きてしまって、フランスの社会に溶け込んでいるとは言えない状況が生まれてしまっているというふうにも聞いています。
そういった形にならないように、フランスの全体のことを私は理解しているわけでないので、それをおいておいてですけれども、やはり分断をされてしまって外国人と日本人の間で対立が生まれたり、それで社会が不安定化することを避けるために共生というのは重要だと思うんですけれども、共生政策の重要性をどのように認識しているか、また、どういったところがポイントだと法務大臣は思われているか、考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 外国人材は、労働者として入っていただくと同時に、日本で生活をされる生活者でもあるわけです。我々においても重要なことは、労働者として適切な受入れをすることであると同時に、地域社会、コミュニティーにおいてしっかり受け止める、そして一定の共感をできる、そういう関係をつくりながら、日本で働くことに本来の幸せを見出していただく、それが我々の目指す共生社会の一つの姿かなというふうに思います。
経済的な理由で来ていただくんですが、同じ仲間ですよという気持ちを、どのように交換し、伝え合い、信頼関係がつくれるのか、それをどうやって自治体が、国が、バックアップできるのか、そういう大きなテーマがもう一本立っているというふうに認識をしております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
法務大臣はいつも幸せというワードを使っていただいていますけれども、大変重要なことだと思いますので、是非よろしくお願いします。
その中で、社会の統合を実現する上で、やはり重要なのが教育でございます。国内に来ていただいた外国人の方々にも、日本語教育の話は今回ありますけれども、その子供たちにもしっかりと学校に通っていただく、日本人の子供たちと一緒に学んでいただいて、自分たちがこの社会の一員なのだと。言語もそうですけれども、知識もつけていただいて、就職もしていただける、しっかりと社会で活躍をしていただける教育を日本で受けていただくことが、外国人の子供にとっても大変重要なんですけれども、外国籍の子供に関しては、日本国民と同様の義務、親は義務教育を子供に受けさせる義務が日本国憲法にありますけれども、その義務が外国籍の親子には適用されないということで、小中学校、義務教育に通っていない外国籍の子供の数が一定程度あって問題になっていると思います。
どれぐらいの外国籍の子供が小中学校に今通っていなくて日本国内にいるのか、また、高校、大学への進学率が、外国籍の子供は日本国籍の子供よりも低くなってしまっているというお話がありますけれども、どういったふうになっているのか、ちょっと教えていただければと思います。
○八木政府参考人 お答えいたします。
文部科学省において実施している外国人の子供の就学状況等調査結果におきまして、令和四年度の調査結果では、不就学の可能性のある子供の数は八千百八十三人、六・〇%となっており、そのうち、小学生相当は五千二百八十六人、五・五%、中学生相当は二千八百九十七人、七・一%となっております。
また、進学率につきましては、文部科学省において実施している日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査において、令和三年度の調査結果では、全中学生等の高等学校等への進学率は九九・二%、日本語指導が必要な中学生等の高等学校等への進学率は八九・九%、そして、全高等学校等の高等教育機関等への進学率は七三・四%、日本語指導が必要な高校生等の高等教育機関等への進学率は五一・八%となっております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
今のは、国籍で調べた数字ではなくて、日本語指導が必要な子供に関して進学率を教えていただいたわけですけれども、それを、仮に外国籍の子供が多いという想定をすると、高校進学率でも少し少なくなってしまっているし、大学進学率、高等教育進学率でも少なくなってしまっているということだと思いますので、ここの部分、しっかりと、国籍に関係なく、国内で子供たちが均一に教育の機会を与えられるということが大変重要だと思っています。
親が外国籍で子供も外国籍だと、いや、うちの子供は小学校、中学校に行かせないんですと言われてしまうと、基本的にはそれで終わってしまう可能性があると思います。各自治体によって、より強く働きかけて、学校に来てくれと言っている自治体もあると思いますけれども、やはり、国として方針を示して、国籍に関係なく、日本に住んでいる以上は日本でしっかりと教育を受けてもらいます、税金も納めてもらうし社会保険料も納めてもらうけれども、子供にもちゃんと教育を受けさせるんだ、これが我々日本のやり方なんだということで、外国人の子供にもしっかりと教育を受けていただくような方針を国として示していただくことが大変重要だと思っています。
よく、外国人の人、移民が増えると犯罪が増えるだとか、低所得の人が増えて困るだとかいう話がありますけれども、教育を受けていなかったら当然いい仕事には就けませんし、教育を小中学校さえ受けていなかったら、不法行為を働く可能性というのは統計的に上がっていくのは当然のことだと思いますので、そういった社会の不穏な状況とか、また分断を生み出さないためにも、しっかりと国籍に関係なく学校に行っていただく、そのことが重要だと思っておりますので、是非、国策として、これから外国人の子供は増えていくことになるんでしょうから、しっかりとその部分はやっていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間がないのでここの部分は質問を省かせていただきまして、次に、共生政策で、もう一つの部分で、家族の帯同についてお話をさせていただきたいと思います。
さっき鎌田委員からもお話がありましたけれども、今回の法改正、育成就労期間と特定技能一号を合わせると、最長八年間にわたって家族の帯同が認められないということになります。それでも来てくれたらいいんだということでは私はいけないと思います。
やはり、これもちょっと偏見があるかもしれないですけれども、家族でいらっしゃる方の方が社会に溶け込もうとするし、様々なイベントに参加をしたり、あるいはPTA活動に参加したりとかして、家族がいる方がコミュニティーに溶け込めると思うんですね。一人で来ている方よりも、やはり法律を守ったりだとかルールを守ったりしようという意識が高まると思いますし、八年間にわたって一人で来させて、それが日本のためになるかといえば、私は逆にならないんじゃないかなというふうに思っております。
そもそも、もう一つとして、家族は来ちゃいけませんという状態で八年間国内で働いてもらって、それで日本に定住してほしいんですと言っていることは、ちょっとそごがあると思うんですね。家族がいない状態で八年間も過ごさせるのか、それは私は日本国民の良心にももとる行動だと思うんですけれども。
これは日本のためにもならないし、当然、外国人のためにもならないと思うんですけれども、この八年という数字はちょっと異常じゃないかなと思うんですけれども、その点、法務大臣はどう思われているんでしょうか。
○小泉国務大臣 八年間家族に全く会えないわけではなくて、当然、往来は自由にできるわけであります。そして、これはやはり、熟練した技術を修得される前の八年間でありますので、十分な家族扶養の能力、経済的能力が得られるかというと、多くの場合はなかなか難しい。そうすると、家族の方々を国なり自治体が助けるという形が想定されますね。それが社会的コストです、公のコスト。そのことを日本の国民がどう感じ、どう評価するかということに懸かってくる問題であります。
そこをすっ飛ばして、とにかく来てください、何でもしますと。いや、日本の納税者がついてこなければ制度は持続できないわけでありますので、日本の納税者を説得できるかどうか。この法案が成立し施行されることは大きな説得力の前進になると思います。
○斎藤(ア)委員 今のお話は最後の私の質問につながっていくんですけれども、じゃ、家族を扶養できないような低賃金で海外から人材を受け入れるのはやめてくださいということだと思います。
今までは、一応、海外の開発支援ということで、建前があって受け入れてきたけれども、今は人材が足りなくて受け入れるということになるわけですけれども、家族を受け入れたら、その家族が生活力がなくて様々なサポートの方がお金がかかってしまうとか、子供の養育にもお金がかかるからと。そういった低賃金で労働者をこき使うような日本の経済状況を変えよう、だから賃金を上げようという話もさっきさせていただいたわけですけれども、賃金を上げよう、生産性を上げようということと、今やっている政策が私は相反しているようなものになっていると思いますので、その点は本当にもう一度考えていただきたいというふうに思います。
本当に受け入れるのであれば、しっかりと受け入れていく。賃金が上がるとか、賃金がいい方々をしっかりと受け入れていく。そういったことにしないと、国内の賃金が上がることを阻害する可能性もありますし、国民の理解も深まらず、あるいは低賃金で入ってきた方々が生活で様々な問題を起こしてしまうということも、それは、就労が十分にできなかったり教育が十分に受けられなかったら誰でもそうなる可能性はあるわけでございますから、そのことは是非考えていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間が来てしまいましたので、そのことを最後にお願いを申し上げて、終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。
○武部委員長 政府参考人から訂正のため発言を求められておりますので、これを許します。厚生労働省原口審議官。
○原口政府参考人 先ほど、鎌田さゆり先生からの御質問に対する回答につきまして誤りがございました。
先生御指摘の内容がいわゆる二重派遣のことを指しているとすれば、二重派遣につきましては、職業安定法上も認められておりませんし、当然、育成就労制度においても、こうした形態での受入れは認めることはできないということでございます。
申し訳ございませんでした。
○武部委員長 次に、美延映夫君。
○美延委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の美延映夫でございます。
前回、八日の委員会において、育成就労制度における転籍について質問をいたしましたが、本日は、永住許可制度の適正化について重点を置いて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、会社員の頃、サラリーマンをしている頃、旅行会社とか貿易会社に長年勤務をしておりました。外国人の方と日常的に接しておりました。その頃から、私は、現在の我が国の社会経済を維持発展させていくためには外国人の方を積極的に受け入れる必要があると考えております。そして、その増える外国人を生活者として受け入れ、日本の行政サービスや社会保険制度を適切に利用できるようにすることも、外国人の方が我が国で安心して生活するためには重要だと考えており、だからこそ、外国人による社会保険等の行政サービスの不正利用等がマスコミで報道されると、外国の方に対する憎悪などが生まれてしまうのではないかと懸念をしております。
また、我が国の国民皆保険制度や行政サービスが魅力的だからこそ、共生社会の実現に当たって、そのルール作りをしっかりとしなければならないというのは、特定技能制度を創設した当時から我が党の一貫した主張であります。
我が党の石井苗子参議院議員の、外国人の社会保険や税金の滞納に関する質問に関して、当時の山下法務大臣は、外国人材の適正な受入れと共生社会実現のためには、まず、外国人にも納税や社会保険制度上の義務をしっかりと適正に履行してもらうことが重要であると考えておるというような答弁をいただきました。
ここで、最初に小泉大臣にお伺いしたいんですが、この考え方は今でも変わっておられないでしょうか。
○小泉国務大臣 外国人との共生社会を実現するためには、我が国に在留する外国人にも、責任ある社会の構成員として、公的義務の履行など、我が国で生活する上で最低限必要なルールを守っていただく必要があると考えます。
この点、現在においても、法務省としては、引き続き、外国人にも納税や社会保険制度上の義務を適正に履行してもらうことが出入国管理の観点から重要である、そのように認識しております。
○美延委員 お考えはずっと変わっていないということでありますので、この後、五年前から引き続きそのための施策に取り組んでいただいているところだと思うんですが、実際問題として、いまだに外国人の住民税や国民健康保険料の滞納率が高い状況にあると思います。
今日、資料を配付をさせていただきましたが、二月九日の日経新聞によれば、これなんですけれども、豊島区によると二一年度の国民健康保険料の滞納率は、日本人は七・五%、外国人は三九・三%。これはかなり比率的には高いと思います。また、二一年度に時効によって消滅した外国人の滞納分の累計額は二億三千八百万円ほどにも上るというデータが示され、この中で、同記事では、豊島区は留学生ら短期で滞在する外国人が多く、国民皆保険の仕組みの理解が進んでいないと見るという分析をされております。
これは、市町村によって在留資格の傾向も異なり、なかなか統一的な統計を集計することというのは困難であると思いますが、さきの委員会で、他の委員が新宿区における外国人の国民健康保険料の滞納について問題提起をしていたとおり、このような傾向は、どこの区とかどこの市町村でも抱えている大きな問題だと思います。
そこで、政府に伺いたいんですけれども、外国人の滞納率について、どのような実態を把握しているのか、見解があれば教えていただけますでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
一般に、外国人の税や社会保険料の滞納状況について網羅的に調査することは困難であると承知しております。
その上で、当庁におきましては、今般の永住許可制度の適正化の検討に当たり、令和五年十一月から十二月にかけて、複数の地方自治体から聞き取りを行ったところ、入管の手続時に未納分を支払う者が多く、未納分を払う際も在留審査でチェックされる分だけを納付し、過年度分を支払わないことが多い、外国籍の方で、病院に行かないので払わないという者が多い、保険証が欲しいときのみ保険料を支払っている傾向がある、永住者の住民税や国民健康保険料などの納付状況を定期で確認し、滞納しているのであれば永住許可の取消しなどの対応が必要であるといった声もいただいたところです。
○美延委員 今聞いても、ちょっとこれは、はっきり言ってもうあきれる状態であります、これが事実であるとすれば。
今も言われていたんですけれども、自分はけがや病気をしないからというような、日本では支払い義務となっている保険料をお支払いにならないということが、いらっしゃるとすれば、それこそ、そのような考えはしっかり改めていただき、しっかりとしたルールを守っていく必要性が私は高いと思います。
そこで伺いますが、現在の政府の取組として、外国人の受入れ、共生のための総合的な対応策においては、保険料を一定程度滞納した者から、在留申請を不許可とする等の対策を講ずるというものがありますが、具体的にはどのような対策を講ずるのか、もう少し具体的に教えていただけますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
地方出入国在留管理局におきましては、一部の地方自治体から協力要請を受けて、在留審査手続において国民健康保険料などの納付証明書の提出を求める取扱いを行っております。
具体的には、国民健康保険料又は国民健康保険税の悪質な外国人滞納者について情報提供を受け、当該外国人が在留資格変更許可申請又は在留期間更新許可申請に及んだ場合には、国民健康保険料又は国民健康保険税を納付したことを示す資料の提出を求め、当該資料の提出がない場合には、原則として不許可処分としているところでございます。
○美延委員 この取組においては、地方自治体から保険料を滞納しているということで協力要請があり、入管においては審査の際に社会保険料の納付状況の確認をするということですが、実際、入管庁がそのような情報提供を何件受けて、審査の結果、不許可とした件数は何件あったのか、具体的な数字を教えてもらえますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
これから申し上げる数値は、いずれも速報値ということで御理解いただきたいと存じます。
令和三年一月から令和五年十二月までの間に国民健康保険料又は国民健康保険税を滞納しているとして地方自治体から情報提供を受けた外国人の人数は、一万三千六百三十二人となっております。このうち、令和四年中に初めて当該情報提供を受けた外国人、四千二百八十八人について調査した結果、令和六年三月十五日の時点で在留申請を行い、その申請が処理されている者は、三千九百五十三人でした。そのうち、許可処分を受けた者は三千六百六十八人であり、割合で申し上げると、九二・八%となります。他方、不許可処分を受けた者は六十五人であり、割合で申し上げると、約一・六%でございます。
なお、これらのほか、申請の取下げなどがございます。
不許可処分を受けた六十五人のうち、国民健康保険料又は国民健康保険税の未納のみを理由とする者は十六人です。
入管庁としましては、引き続き、地方自治体と連携しながら、本取組を適切に進めてまいりたいと思います。
○美延委員 今御紹介いただいて、六十五人という数字だそうですけれども、国民健康保険に関する取組については、あくまでも在留審査の機会があるものに関する取組で、永住者に関するものではないと承知しておりますが、この取組によって納付率の向上に寄与したと評価できるのではないでしょうか。
このような結果を見ると、永住者についても、地方自治体の声として、滞納分について、永住許可申請のために必要な分をまとめて支払い、許可後はまた払わなくなるという方がいらっしゃると先ほど答弁もいただきましたけれども、また、入管において調査をしたという、日本でお子さんが生まれた永住者というのは、世代的に働き盛りと思われる層であるにもかかわらず、一定数の不払いが確認できたという事実があるわけです。
そこで、入管庁に伺いますが、今般の永住許可制度の適正化というものは、このような不払い事案に対して、外国人にもルールを守っていただくという大きな取組の中で、どのような効果が期待できるとお考えでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今回の永住許可制度の適正化は、一部において、入管の永住許可の審査において必要とされる期間だけ税を納付し、その後、再び滞納するなどする事案があるとの指摘があるところ、かかる永住許可後の行為は永住許可制度の趣旨に反するものであることから、永住者の在留資格の取消し事由として追加することとしたものです。
外国人との共生社会を実現するためには、我が国に在留する外国人にも責任ある社会の構成員として、公的義務の履行など、我が国で生活する上で最低限必要なルールを守っていただく必要があるところ、今般の適正化により、受け入れた外国人と日本人が互いを尊重して生活できる共生社会の実現に資するものと考えております。
○美延委員 次に、今回の政府案には入っておりませんが、永住者の許可時の在留状況が変化した事案が実際にはほかにも指摘をされていると私は承知をしております。
例えば、以前の委員会では、生活保護は、故意に公租公課の支払いをしないに含まれないという説明があったと思いますが、独立生計要件があることが許可の前提であり、これを満たさなくなったときも、許可時の要件を満たさなくなる場合になるのでしょうか。
そこで、伺いますが、今回、生活保護の支給開始も取消し事由に追加しなかったのはなぜか、教えていただけますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今般の永住許可制度の適正化は、適正な在留管理の観点から、永住許可後に故意に公的義務を履行しないなど、永住許可の要件を満たさなくなった一部の悪質な場合について、その在留資格を取り消すことができるとするものです。
一方で、永住者が生活保護を受給することになった場合、その経緯や理由は様々であると考えられるところ、生活保護を受給していることをもって一概に在留状況が適切ではないと評価することはできないため、取消し事由とすることは適当でないと考えたものです。
○美延委員 ほかにも、日本人の配偶者等の在留資格であれば、三年で永住許可申請が可能であるため、日本人との結婚を装い、通常の就労資格などよりも短期に永住者の在留資格を取得し、永住許可後すぐに離婚して、本国から本当の家族を呼び寄せるような場合も指摘をされております。
さらに、永住者は、入管で再入国許可を受ければ五年間、在外公館で延長申請をすると最大六年間、我が国に在留しなくてもよいことになっています。本会議で別の委員が指摘されていたように、中には、これを悪用して、五年か六年に一度だけ来日して在留資格を維持しつつ、児童手当など公的サービスだけ受けているような場合も指摘されていると思います。
これらの、永住許可後のすぐの離婚事案や、許可後は海外に移住し我が国に在留実態がないと認められている場合も取消し事案に追加することを検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
永住許可後、早期に離婚する場合のような、永住許可前からの婚姻の実態や信憑性に疑義が生じるような事案につきましては、永住許可申請時などにおいて当該婚姻の実態や信憑性を慎重に審査することで対応は可能であると考えていることから、今般の取消し事由には追加しておりません。
また、永住者が海外で長期間滞在している場合であっても、我が国における永住の意思がありながらも、様々な事情によって海外で長期間滞在せざるを得ない場合もあると考えられるため、このような方々まで取消しの対象とすることにつきましては、より慎重な検討が必要と考えます。
入管庁としましては、引き続き、厳格な在留審査及び適切な再入国許可制度の運用に努めてまいります。
○美延委員 次に、在留資格取消し事由として追加された刑罰法令違反についてお尋ねをいたします。
公的義務の不履行については、国民の皆さんやきちんと公的義務を履行している永住者の方々との不公平感を生じさせないという趣旨で取消し事由を設けるものと考えておりますが、刑罰法令違反については、国民の皆さんの不安にダイレクトに直結するものです。永住者が素行が善良であることを要件として許可される在留資格であるにもかかわらず、犯罪を犯した場合でも、退去強制事由に該当する場合を除いて在留資格を取り消すことができなかったということ自体驚くべきことで、これは法律の抜け穴だったと思います。
今般、取消し事由に追加することとした特定の刑罰法令違反とは具体的にどのような場合であり、これらの刑罰を選定した理由は何か、教えていただけますか。
○丸山政府参考人 まず、現行入管法第二十四条第四号の二において、特定技能などの別表第一の在留資格をもって在留する者については、一定の刑罰については刑の執行猶予の言渡しを受けた場合、又は、一年以下の懲役、禁錮の刑に処せられた場合であっても退去強制の対象となることが定められております。
しかし、現在、永住者は、同号の退去強制処分の対象となっていないため、これらの刑罰については再犯を繰り返しても何ら入管法上の措置ができない者がおり、これに対応する必要がございます。
そこで、第二十四条第四号の二に掲げる特定の刑罰法令違反について、永住者の在留資格の取消し事由として追加することといたしました。
具体的には、例えば、刑法上の窃盗、強盗、詐欺、各種偽造、殺人、傷害などの一定の罪に該当し、一年以下の拘禁刑の実刑に処せられた場合などが当たります。
○美延委員 今般の適正化においては、故意に公租公課の支払いをしないことや刑罰に処せられた場合など、いわゆる悪質と言える場合が取消し事由として追加されているところですが、直ちに取消しとはせず、在留資格を変更することとした趣旨は何でしょうか。
また、我が国に引き続き在留することが不適切として取り消されるような場合というのはどのような場合を想定しているのか、教えていただけますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
永住許可を受けるに当たっては、外国人が長期間、本邦に在留していることが要件とされていることからすれば、永住者の在留資格を取り消すべき場合であっても一定の配慮をする必要があります。
そこで、即座に在留資格を取り消して出国させるのではなく、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣が職権により永住者以外の在留資格への変更を許可することとしました。
また、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合とは、当該取消し事由に該当するに至った経緯、それまでの在留状況や今後の在留意向などを総合的に判断することとなりますが、例えば、今後も納税する意思がないことが明らかである場合や犯罪傾向が進んでいる場合などは、これに該当する場合があると考えております。
○美延委員 先日の参考人陳述で、永住許可の制度を悪用するような事例が生じた場合、国内の日本人から、外国人、外国にルーツを持つ人たちが総じて偏見の目で見られるといったことが発生しないように、きちんとルールを整えていく必要があるという陳述があったわけですが、私もまさにそのとおりだと思います。
外国人を受け入れる土壌をつくるに当たって、ルールを守らない外国人、とりわけ、更新がない永住者のルール違反を容認する施策となれば、国民感情として、外国人を受け入れられるような方向性にはならないと思います。
そこで最後に、大臣に伺います。
今般の適正化の必要について、大臣の御所見を伺います。
○武部委員長 小泉法務大臣、答弁は簡潔に願います。
○小泉国務大臣 委員がおっしゃったとおり、悪質なルール違反がある場合に、それをそのままにしておくと、結局、国民は一定の評価を下してしまう、心を閉じてしまう、長い目で見たときに、国を開く、大勢の外国人に来ていただく、そういう道とはそれてしまう、そういう大きな視野に立って、今回の措置を取ろうとしているところでございます。
○美延委員 ありがとうございます。
終わります。
○武部委員長 次に、本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
昨日の地方公聴会、私は、宮城県に行かせていただきました。受け入れてくださった皆様に心からの感謝を申し上げたいというふうに思います。
地方公聴会で、坂本さんがこういうふうにおっしゃっておりました。渡航先を検討する場合、永住許可は重要な選択基準となっている、永住許可を不安定化する日本は、海外労働者にとっては更に魅力のない国となり、渡航先選択肢から外れる可能性がある、これは、中小だけではなく、大手企業にとってもダメージである、経済界の意見をもっと十分聞くべきだということもおっしゃっておりました。
この永住許可の問題について質問をさせていただきたいというふうに思っております。
まず厚生労働省に確認ですけれども、国民年金、国民健康保険料、国民健康保険税、全体の納付率についてお答えをいただきたいと思います。
○巽政府参考人 お答えいたします。
国民年金の保険料につきましては、令和四年度末における国民年金第一号被保険者の令和二年度保険料分の最終納付率についてお答えいたしますと、八〇・七%となっております。
また、国民健康保険の保険料、保険税につきましては、令和三年度の市町村における収納率は九四・二%となっております。
○本村委員 ありがとうございます。
先日、出入国在留管理庁の次長から御答弁がありました、永住者の実子の永住許可を申請した子の扶養者の国民年金、国民健康保険税、保険料の納付率というのは、これは永住者全体を示すものではないということも強調させていただきたいですし、これは立法事実とは全くならない統計であるというふうなことも強調させていただきたいと思います。その上で、次長がおっしゃった一部の永住者の方々の納付率というのは、例えば、国民年金の保険料は全体と比べても納付率がよいということになっておりますし、国民健康保険料、国民健康保険税にあっても九九・二%が支払っているということで、全体と比べても納付率がよいということも強調をさせていただきたいというふうに思っております。
そのことは、大臣、お認めになりますねということ。この間の答弁、納付率はいいですね。
○小泉国務大臣 これは、永住者の実子の方が、その扶養者の国民年金等の納付が十分でない場合の比率でありまして、一般的な納付率のような性格のものではありません。しかし、一定数こういうケースがあるということがしっかり示されたわけでありますので、我々はそれに注目しているところであります。
○本村委員 お答えになっておりません。入管庁が答弁した一部の永住者の方の方が、納付率はいいですね、事実として。これはファクトとしてお認めになりますね。
○小泉国務大臣 これは、永住者の実子の永住許可を申請したその子の扶養者の国民年金等の納付の話であります。特定の場合の話。ですから、比べる話ではないと思います。
○本村委員 人権侵害の根拠としておきながら、その答弁はひどいと思いますよ。ファクトとして認めてくださいよ。
○丸山政府参考人 まず事務当局からお答えさせていただきます。
厚生労働省が公表している国民年金の保険料の最終納付率は、保険料の未納率を示したものではなく、納付対象月数に対する納付月数の割合として算出した納付率であると承知しております。
また、その数値に関しては、日本人と外国人、あるいは在留資格を区別して算出しているものではないと承知しております。
○本村委員 ファクトとして、入管庁が答弁をした一部の永住者の方の方が、納付率が高い、よいということでございます。
そしてもう一つ、これは出産をされた方ということですのでそういう年代の方だというふうに思いますけれども、国民年金保険料の納付率について、全体の二十五歳から二十九歳、三十歳から三十四歳の納付率を、厚生労働省、お示しをいただきたいと思います。
○巽政府参考人 年齢階級別の国民年金の納付率につきましては、令和四年度末における令和二年度保険料分の最終納付率でお答えいたしますと、二十五歳から二十九歳までにつきましては約七二%、三十歳から三十四歳までにつきましては約七四%となっております。
○本村委員 子育てをするような、出産をするような年代で示させていただいたんですけれども、その年代で比べても、かなり、入管庁が答弁をされた一部の永住者の方の納付率というのは、物すごくいいということになってまいります。
そのことは、今回の法改悪の、永住許可の取消しの法改悪の立法事実にはなり得ないというふうに思っております。
もし、納付が未納になっているというのであれば、その背景には何があるのか。例えば、社会保険料に加入させるべきところを雇用主が加入させていないですとか、なかなか正規雇用になれないなどの問題はないか、お一人お一人、事情を伺い、その改善を考えていくことが共生社会のために必要ではないかというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 そういう、未納に至る様々な生活の実態、また、その収入の減少、それがやむを得ないものであって、本人が納付する余裕があるのに故意にそれを支払わなかったのではなくて、やむを得ない事情があったということは当然勘案されるべきだと思います。
○本村委員 今回、一部の永住者の方の納付率に関して答弁をしたんですけれども、じゃ、それが故意なのかどうかというのは調べていないということですよね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
あくまで、永住許可申請におきましては、ガイドライン上も、公的義務を適正に履行しているかどうかという観点から審査をしておりますので、その理由、背景等までは調査をしておりません。
○本村委員 調査をしていないということ、これは西村智奈美議員も連合審査のときにおっしゃっておりました。
税金や社会保険料の滞納ということであれば、日本国籍の方々と同じように、督促とか、差押えですとか、行政処分ですとか、刑事罰で十分対応できるというふうに思っておりますし、また、滞納は、生活が困っている、様々困難を抱えているSOSだというふうにしっかりと捉えて、支援につなげるという自治体もございます。そういうことこそするべきじゃないんですか。
○小泉国務大臣 まず、いろいろなケースがそれはあり得ると思います。
許可のときだけ条件合わせをするような、許可を得てしまえばもう滞納に戻ってしまうような、そういうケースもあれば、頑張って働いていらっしゃるけれども、出産、育児というような事情の下で、十分な収入が得られない、結果滞納になっていくケースも種々あると思います。
だから、処分に当たってはそういう個々の事情を十分に適切に勘案しなければならないと思います。
それから、外国人材の方、永住者の方々は、納税者としての法的なポジションと、ステータスと、出入国在留管理上の許可を得た者という法律上のステータスを持っておられます。その両方についての措置が、税務上の問題であれば差押え、督促、そして、出入国在留管理上の手当てとしては、在留資格の変更、こういった措置を取るということが適切な法の執行だというふうに認識をしております。
○本村委員 私も、よく日本国籍の方から、日本人の方から、社会保険料の滞納の御相談を受けます。一生懸命何とか払おうとして、そのときは借金をして払うということがあるわけです。
そういう事情かもしれないわけですよ。そのこともしっかりと、永住者の方に関してもしっかりと見ていただき、それはSOSかもしれないという視点で、共生社会をつくっていくために大臣に力を尽くしていただきたいと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 そういうケースがあり得るということは、私も認識を同じくしておりますし、また、本日、先生、委員がそのことをこの委員会の場で鋭く指摘されたということも、これは議事録を通して様々な関係者にも伝わってまいりますので、しっかりとその点を踏まえて対応したいと思います。
○本村委員 今回の立法事実はないというふうに思いますので、その部分はしっかりと撤回をしていただくということを求めたいというふうに思っております。
二世、三世の方のことについてお伺いをしたいんですけれども、日本で生まれ育った永住者の方、到底納得できないというふうにおっしゃっております。大学生の方からは、精神的につらい、寝られない、不安過ぎる、しんどい、こういうお声がございます。
二世、三世の方々まで永住許可を取り消すというのはあってはならないというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武部委員長 丸山次長。(本村委員「大臣、お答えください、大臣」と呼ぶ)
○丸山政府参考人 委員長御指名でございますので、お答え申し上げます。
そもそも、永住者の在留資格は、御指摘のような永住者も含めて入管法による在留管理の対象であり、現行法上も在留資格取消し手続、退去強制手続の対象となっております。
その上で、今般の適正化は、適正な在留管理の観点から、永住許可後に故意に公的義務を履行しないなど、永住許可の要件を満たさなくなった一部の悪質な場合についてその在留資格を取り消すことができるとするものであり、日本で生活する大多数の永住者に影響を及ぼすものではありません。
また、在留資格を取り消そうとするときは、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣が職権により永住者以外の在留資格へ変更を行うなど、永住者の本邦への定着性に十分配慮したものとなっておると考えております。
○小泉国務大臣 今御説明申し上げましたように、ごく一部の悪質な例を念頭に置いております。そして、定着性についても配慮をするべきだという判断をしております。永住者の本邦への定着性に十分配慮して、在留資格の変更を行う、そこに変更という一つのステップを置いているわけであります。
そういう方々が、法律をなかなか守っていただけない、非常に悪質な形で守っていただけないということに着目した、そういう制度でありますので、多くの通常の善良な外国人永住者にとって、これは大きな影響を及ぼすものではありません。そのことを周知していかなければならないとは思いますけれども、是非御理解もいただきたいと思います。
○本村委員 大学生の方が、寝られないというふうにおっしゃって、つら過ぎるというふうにおっしゃっている、こういう声は、この方だけではなく、私は何人もの方々から聞いております。
そもそも、この永住許可の取消しというのは急に出てきた話なんです。多くの方々が所属をしている、そういう団体も、もう本当に急に聞いたというお話を伺っております。
この永住許可の取消しに関しまして、法案提出の立法事実、永住許可を受けた当事者の方々からのヒアリングというのはどういうふうに行われたんでしょうか、大臣。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
立法事実とは、法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える社会的、経済的事実などのことを申します。
育成就労制度の創設により、特定技能制度を通じて……(本村委員「当事者からのヒアリングのこと」と呼ぶ)
失礼しました。また、永住許可に関する適正化の検討過程では、永住者本人へのヒアリングは実施していないものの、現行法の在留資格の取消し事由に加えて更に取消し事由を設ける必要があるのかなど、永住者の地位に与える影響を考慮すべきであるとの有識者からの御意見が示されていたこともあります。
したがって、法務省としては、そのような懸念があることを踏まえ、永住者の在留資格について一部の悪質な場合に取り消すことができるものとしつつ、その場合は原則として他の在留資格に変更するとして、永住者の本邦への定着性に十分配慮して、慎重に立案したものでございます。
○本村委員 精神的につらい、寝れない、不安になる、そういうような立法をするのであれば、慎重にも慎重を期し、そして、当事者の方からヒアリングするというのは当たり前じゃないですか、大臣。
○小泉国務大臣 ヒアリングは実施していないというような、ただいま御説明をしましたけれども、関係する有識者からは御意見をきちっといただいておりますし、いただいた御意見を踏まえて、変更というステップを踏むという形を取ったわけであります。
繰り返しになりますけれども、普通に納税していただいている、通常に生活していただいている永住者にとって、何も恐れることはありません。何も怖がることはありません。(発言する者あり)
ですから、悪いことをされる人たちがいるので、それをしっかりと除外……(本村委員「現行法でもあるじゃないですか」と呼ぶ)ちょっとしゃべらせていただいていいですか。
○武部委員長 答弁中ですから、静粛にお願いします。
○小泉国務大臣 はい、お願いします。
そういう方々を排除するための法律なわけであります。そして、そういう方々がいると、国民から多くの誤解を招く、善良な方々も、真面目にやっている永住者の方々も非常に悪い印象を持たれてしまう、それを防止する必要があります。
ごく一部の悪質なケースに絞っているということを是非念頭に置いていただいて、そしてそれを周知しなければなりませんね。それは周知しなければならないと思います。まだまだそういう十分な情報がないために、不安を持っていらっしゃる方は大勢いると思います。それは私も分かります。ですから、こういう審議を通じて、また、法案を成立させていただけたとしても、その後もしっかりと周知、広報、理解を求めていく、まさに非常に重要なことだと思います。努力をします。
○本村委員 当事者からもヒアリングを行っていないということで、ここの点も立法事実を欠いているというふうに考えますので、永住許可の取消しについては撤回をしていただきたいと思います。
そしてもう一つ。日本は、過去に戦争を起こし、不当な植民地支配を行いました。植民地支配によって日本国籍にされた方々がいらっしゃいます。そして、戦争が終わり、日本国籍ではなくなり、その後、引き続き日本に在留されている方については、植民地支配による深刻な人権侵害、歴史的な経緯、定住性に鑑み、法的地位の安定化を図るために、特別永住者として永住することができるようになりました。
特別永住者の方々と同じように、植民地支配の被害者であり、日本国籍であった被害者の方々の中で、終戦をし、そしてその後、一旦国に帰る、しかし、その後、朝鮮戦争などもあり、日本に来た、そういう事情じゃない、一旦帰っただけですぐに来たという方もいらっしゃいますけれども、特別永住者ではなく、永住許可というふうになっております。
こういう歴史的な経過からしても、植民地支配の被害者や家族に対して永住許可の取消しを行うことがあってはならないというふうに考えますけれども、大臣に見解を伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 特別永住者については、今回のこのスキームからは外れています。外してあります。
それ以外の関係者の方という御指摘でありますけれども、しかし、そこは、もし悪質な納税、滞納があれば、それはやはり、公平性の原則に基づいて措置を取らざるを得ないということも御理解をいただきたいと思います。
○本村委員 繰り返し申し上げておりますけれども、永住許可取消しの法案を通す立法事実は示されていないわけです。永住許可の取消しについては撤回をすることを強く求め、質問を終わらせていただきます。
○武部委員長 次回は、明十五日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会
――――◇―――――
〔本号(その一)参照〕
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派遣委員の群馬県における意見聴取に関する記録
一、期日
令和六年五月十三日(月)
二、場所
ホテルグランビュー高崎
三、意見を聴取した問題
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出)について
四、出席者
(1) 派遣委員
座長 武部 新君
笹川 博義君 中曽根康隆君
平口 洋君 鈴木 庸介君
米山 隆一君 池下 卓君
美延 映夫君 日下 正喜君
(2) 意見陳述者
伊勢崎市長 臂 泰雄君
大泉国際交流協会会長 糸井 昌信君
群馬県地域創生部長 新井 薫君
群馬大学大学教育・学生支援機構教授兼情報学部教授 結城 恵君
(3) その他の出席者
法務委員会専門員 三橋善一郎君
法務省大臣官房政策立案総括審議官 上原 龍君
――――◇―――――
午後一時開議
○武部座長 これより会議を開きます。
私は、衆議院法務委員会派遣委員団団長の武部新でございます。
私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。
皆様御承知のとおり、当委員会では、内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案並びに階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案の審査を行っているところでございます。
本日は、各案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、当高崎市におきましてこのような会議を催しているところでございます。
御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。
なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
まず、派遣委員は、自由民主党・無所属の会の笹川博義君、中曽根康隆君、平口洋君、公明党の日下正喜君、立憲民主党・無所属の米山隆一君、鈴木庸介君、日本維新の会・教育無償化を実現する会の池下卓君、美延映夫君、以上でございます。
次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
伊勢崎市長臂泰雄君、大泉国際交流協会会長糸井昌信君、群馬県地域創生部長新井薫君、群馬大学大学教育・学生支援機構教授兼情報学部教授結城恵君、以上四名の方々でございます。
それでは、まず臂泰雄君に御意見をお述べいただきたいと存じます。
○臂泰雄君 着座のまま失礼をいたします。
本日は、こうした大変貴重な時間を取っていただきましたことを心より御礼申し上げたいというふうに思います。武部委員長始め理事の皆様、委員の皆様方に心より感謝を申し上げます。
伊勢崎市の状況を少し話をさせていただき、また、今、伊勢崎市は外国人集住都市会議のメンバーとして活動しております。先日行われた小牧市での全国大会での提案のお話をさせていただいた後に、今回の法改正に伴い、伊勢崎市の様々な団体の皆さんから聞き取ったことについて、補足で説明をさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。
まず、伊勢崎市の現状を少しお話をさせていただきます。
資料にありますけれども、外国籍住民の状況は、伊勢崎市全体で二十一万の人口のところに、今一万五千人の外国籍の方がお住まいになっております。なお、六十か国以上にわたる多国籍であることが伊勢崎市の大きな特徴であるというふうに思われます。
そして、次のページですけれども、外国籍住民の皆さんの中で、今まではブラジル、ペルーの方が多かったんですけれども、今ベトナムの方が一番となってきております。ブラジル、ペルー、中国の方が横ばいの状況の中で、ベトナム、フィリピン、ネパールの方が増えているということであります。
次のページですけれども、在留資格別で見てみますと、永住、定住者が多いということはあるんですけれども、ここのところ、技能実習生、特定技能の方が増加傾向であるということであります。
次のページですけれども、外国籍の方々からいろいろな聞き取りをする中で、今、まず一番の課題として、日本語でのコミュニケーションがなかなかできない。このことについて、課題として外国籍の方は捉えているということであります。そのほかにも、日本と母国の文化の違い、こういったものになかなか慣れないということだとか、日本人と交流する場所や機会が少ない、こういったこともお話をされております。
来日直後でも、長く日本に住んでいても、日本語でのコミュニケーションに苦労している、外国籍就労者が日本語を学んでもインセンティブがないため、日本語学習のモチベーションが保てない、こういったことが課題であります。
この課題解決のために、伊勢崎市として、集住都市会議のときにも、国への投げかけとして次の二点をお話をさせていただきました。
国から企業等に日本語習得の重要性を呼びかけていただきたいということであります。
日本語を習得することによって、労働災害や作業ミスを防ぎ、日本人就労者とのコミュニケーションが促進され、作業効率が上がるのではないか。災害時の支援ボランティアやコミュニティーリーダーとして地域社会で活躍できるようになるのではないか。また、転籍ということが話題になっておりますけれども、これから転籍する際に日本語能力が必須となる。そのためにも、日本語能力の基準の統一化というものを考えていただきたいというふうに思います。
また、国から企業等への財政支援をお願いしたいということであります。
外国籍就労者に対する負担軽減として、日本語教室の受講料や教材代及び日本語検定の受検料への補助金、また、日本語学習する時間を確保するために、学習時間などを有給扱いにした場合の補助金、受講する企業内の日本語教室の講師派遣料など、こういったものを国から財政支援をお願いできればというふうに思います。
次のページですけれども、外国籍就労者が在籍する現場の声ということで、市内の会社さんにお聞きをしております。
安易に受入れをして、勤勉ではない外国籍就労者が来ると、地域の治安悪化につながる心配があるというような声もありました。また、農家の方には、人材確保が重要である農家にとって、外国籍の方々に働く場として日本が選ばれなくなってしまう、人材が集まらなくなることが心配だということでお話をされていました。介護事業所でも同じような、人材確保が難しくなるのではないかなという心配の声がありました。
また、外国籍の方で介護事業所を経営されている方の言葉の中に、外国籍の就労者こそ、しっかり日本語を学んで、日本人と同じ就労環境で働いていくべきだというふうにおっしゃられる方もいらっしゃいました。
人材不足が喫緊の課題である一方で、適切な受入れを行い、就労先に日本が選ばれるような受入れ環境を望んでいる、これが本市で事業をされている方たちの声であるというふうに思います。
外国籍就労者の課題として、受入れ側の国や監理団体、企業等の役割が重要であります。借金を抱えて来るため、賃金をもらうことが目的となってしまい、日本語学習や仕事に対する意欲がないまま就労してしまう、こういったことを防がなければならないということであります。
また、受け入れる側は、今後、技能実習生の労働者としての基本的人権をより一層守っていかなければならない。そのことによって、低賃金や労働環境の劣悪さを原因とする失踪や犯罪につながらないようになるというふうに考えております。より一層の受入れ環境を整備する必要があるということであります。
そこで、次に、国への二つ目の投げかけでありますけれども、国が厳選した送り出し機関のリストを作成していただきたい。
悪質な送り出し機関と取引をしないために、こういった悪質な送り出し機関をリスト化をして公表して、こういったことにならないようにしていただく、これが必要ではないかということであります。
また、受入れ後の監督指導を強化するということであります。
外国籍就労者が失踪や犯罪に向かってしまってからでは遅いということで、まずは、相談があったときに母語で、母国語で相談できる窓口を充実させる必要があるということであります。また、監理団体や企業等が適切に日本語学習機会を提供できているかをしっかり監督指導する必要があるというふうに思います。
監理団体や企業等が安心して受入れできる環境、外国籍就労者が長く日本で活躍できる環境、こういったものを整えていく必要があるというふうに思います。
外国籍の方々が、日本人と同じ生活者として安心して働くことができ、地域コミュニティーのリーダーとして長く活躍できる環境づくりが必要だということで、誰一人取り残さない制度設計の構築、これを伊勢崎市としては目指していきたいと思っております。
その上で、今回、この法改正に当たりまして、幾つか補足説明をさせていただきます。
まず一つは、外国人材の適切な確保というのは、伊勢崎市を始め地域経済の発展を目指している地方自治体にとって欠かせないことであります。この適切な確保がまず大前提であるということであります。
それを受けて、地方自治体としての対応と課題として幾つか挙げさせていただきます。
一つは、外国人材として日本に来られた方に、日本の法律や社会制度、ルール、特に、税金や様々な社会保障制度、公租公課を理解してもらう。これは担当窓口で本当に苦労しているところでありまして、このことをしっかり理解をしてもらうことが必要だというふうに思います。
そのためにも、また生活をする上でも、日本語教育の推進というのが大変重要になります。情報のやり取りは常に課題でありますけれども、ここの部分についてボランティアの方に依存をしているという状況である、本当に脆弱な状況の中での日本語教育をされているということでありますので、ここの充実を何としても果たさなければいけないというふうに思っております。
また、もう一つ、地域住民の理解であります。日本人との交流を望む外国籍の方もたくさんいらっしゃいます。まずは日本の方に、地域住民に外国籍の方の状況を理解してもらうことも必要だというふうに思います。これまで取組をしておりますけれども、更に広がるようにしていかなければならないというふうに思っております。
そして、こうした受入れ体制の整備や様々な取組は大きな財政負担が生じております。やはり外国籍の方々を受け入れている地域、受入れ体制を整備しようとする地域にとって、この財政負担は大きなものがあります。是非ここを見ていただきたいというふうに思います。
三つ目として、不法就労、不法滞在への厳正な対応ということであります。
この不法就労、不法滞在の人たちに対するトラブルが原因となっているということであります。こうした方々は、低賃金で、労働時間も守らない。真面目に取り組んでいる事業者、様々な監理団体に大きな影響を与えているということであります。また、犯罪に向かう方たちもいらっしゃいます。警察や労働基準監督署、国の入管の皆様を始め、こうしたところとしっかり連携をしながら、ここに対して厳正な対応をお願いしたいというふうに思います。
四つ目として、市内にある監理団体、受入れ機関、事業者の皆さんの声をお聞きいたしました。
今回の法改正でも様々な議論がありますけれども、監理団体と受入れ機関の関係性は多様であって、対等ではないということを理解していただきたいという声がありました。どちらかというと、受入れ機関は監理団体の下請のような考え方を持っている、そういう中では、なかなか適正な指導を受け入れてくれないという状況があるということであります。
また、転籍についての懸念がありました。労働力の流動化自体は悪いことではないというふうに思いますけれども、労働環境の悪化につながるのではないかなという声もありました。
また、悪質な監理団体、闇ブローカーの介入、そういったものが転籍が容易になることによって出てくるのではないかなというふうに言われていました。こうした悪質な監理団体や受入れ機関の排除もしっかり考えていただきたいということであります。
そういった不正なことを防ぐために、この改正を機会に、各それぞれの主体の意識を変えることが大事だということであります。安く使えるとか、長時間使えるとかということではなくて、しっかり適正に外国人材を受け入れる、このことによって更に日本の経済が発展するのではないかなという前向きな御意見もありました。育成就労者とのよい関係をつくっていく、このことを目指している会社さんもありました。
そして最後に、この法改正における新制度のことについてまだ周知がされていないということであります。この新制度の周知を図っていただきたい、こうした声もお聞きをしております。
せっかくの改正でありますので、よりよいものにつながるように是非御議論いただければというふうに思います。
大変ありがとうございます。
○武部座長 ありがとうございました。
次に、糸井昌信君にお願いいたします。
○糸井昌信君 大泉国際交流協会会長の糸井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
大泉国際交流協会は、平成七年にできました民間のボランティア団体でございます。民間です。私も民間人です。ですから、運営とすると、町からの補助金と町内企業からの寄附金のようなもので運営しているということでございます。
ですから、私、よく言っているんですけれども、私どもがやっている事業は隙間産業、行政ではなかなかできないようなことも請け負って、行政と力を合わせながらやっていくということで隙間産業と私はよく言っていますけれども、そういった事業の中で私が今まで感じてきたこと、あるいは地域の課題等をここに資料として載せましたので、御覧いただきたいと思います。
まず、お手元の資料を御覧ください。
まず一枚目は出典でございますが、二枚目は大泉町の現状でございます。
大泉町は、一九九〇年の入管法改正によりまして日系人が急増した町でございます。大泉町自体は、昭和三十二年に小泉町と大川村が合併してできたところでございます。下の表は、九〇年の入管法改正前、平成二年の前と平成二年の後では、外国人登録の状況、今は外国人の皆さんは住民基本台帳法の中に入っていますが、この当時は外国人登録法です、平成二年を境にがらっと変わったところでございます。
三ページは、今までの大泉町の状況を述べています。
出稼ぎから定住化へということで、初めは、皆さん日本に来るときに、どのくらいいるんですかと聞いても、先は分からなかった。ところが、日本に住み始めると、だんだん先が見えなくなる。今では、三十年間日本で暮らしている方もいるということです。いわゆる定住化が進んできたということが言えます。
なぜ大泉町に増えたかといいますと、中小企業の人手不足、大企業ではなくて中小企業の製造業の人手不足が深刻であったというところで、九〇年の入管法改正に合わせてブラジルからの日系人を雇用し始めたということが発端でございます。
当初は、中小企業ですから、本当に家族ぐるみのおつき合いをしたりして、週末になるとバーベキューをやったり、温泉旅行に行ったりというような、非常に和やかな雰囲気で働いていた日系人が多かったと思います。
その後は、いろいろ、派遣業が入り込んできて、雇用形態も変わって、大企業に派遣される日系人も多くなって、入国する日系人も多くなってきたということで、様子ががらっと変わっていったということでございます。
現在いる日系人の多くは二世代、三世代ということで、俗に言う二世代効果、三世代効果というのが出ていまして、子供たちが日本の学校に入るか、あるいはブラジル人学校を選択するか、あるいは、親御さんが教育について関心がないかというところで格差社会ができてきている、大きな格差になっている。
端的に言うと、子供を日本の学校に入れた家庭は、お子さんは小学校、中学校、高校、大学と日本で進んでいく。職業を選択して、それなりの地位に就いている方、持家を購入している方はいると思います。ところが、ブラジル人学校を選択すると、短期間で日本から離れていく方はいいんですけれども、長く日本に住むと、やはり子供たちの学歴の問題が出てきたり、なかなか思うように就職できなかったりする。あるいは、日本語ができない親御さんですと、日本の生活にもなじんでこないということがあります。
その辺はまた長くなりますので、次に行きます。
四ページを御覧ください。
四ページは、現在の外国籍住民の現状でございます。
上は、人口及び比率です。群馬県は、国籍別ではベトナムがナンバーワンになったんですけれども、大泉町では、ブラジル、ペルーというふうにまだ南米の方が多い状況でございます。下の表は、在留資格別でございます。永住者が三八%、約四割の方が永住権を持っているということでございます。
右の五ページは、行政の取組でございます。
どんなことをやっているかでございますが、まず、言葉の問題です。行政情報を的確に伝えることに言葉の壁があります。通訳職員の配置、あるいは、相談事等に対応するために、大泉町多文化共生コミュニティセンターを設置してございます。ホームページ等も二か国語、三か国語で対応しているということでございます。ポルトガル語及び英語による町の広報紙GARAPAというものも発行しております。あと、防災マニュアル、こういったものも出しているということでございます。
下の写真は、移動領事館。年に一回程度、ブラジルの移動領事館というのが大泉町で開催されます。そのときに応じて、行政から情報を発信するという機会を設けています。右側は、各地区に職員が出向いていって、いろいろ行政のPRをしていくということでございます。
六ページは、多文化共生への主な事業です。
これも町の事業でございますが、上は、文化の通訳事業といいまして、日本の文化を住んでいる方に知ってもらおうということでございますが、何も、日本語が分からなくてもいいではないか、自分たちの分かる言葉で日本の文化を伝えて、そこからまた広く仲間に日本の文化を伝えてもらおうということで、文化の通訳という名前で毎年行っております。年末になりますと、年賀状の書き方とか書き初めの仕方とか、そういった日本文化についての学習をしております。
下は、外国人ボランティアチームの活動とありますが、東日本大震災を境に、外国人の方の行動も大きく変わってきたと私は感じております。なぜかというと、それまでは、外国籍の方は災害のときは災害弱者という扱いだったんですけれども、皆さんも御存じのように、ボランティア活動でかなりの方が東北地方に行って、炊き出しを行ったりしております。大泉からも、ブラジル人を中心としたボランティアの方々が、私も参加したんですけれども、東北地方に炊き出しに行きました。元気な人は、言葉を克服すれば、災害弱者ではなくて、皆さん一緒に協力して、災害時には活躍できる存在であるということだと感じております。
それから、下の方には、子供の健全育成を目指した事業、これには教育委員会の事業も入ってくるんですけれども、特に、ブラジル人学校は大泉町の中に二校ございまして、一校は今休校中なんです。太田市にも二校ブラジル人学校があります。ブラジル人学校は日本の中では学校ではありません、塾扱いです。日本の学校教育制度が及ばないんです。ですから、健康診断もない、あるいは運動場もない、特別教室もないというところで、皆さん子供たちが学習している状況です。
そういった状況に、行政として何かしらの、あるいは我々民間団体が支援ができないかということで、健康診断を行ったり、各種体験授業、田植体験とか、普通の学校では普通に行われていることを協力してやっているということでございます。
下は、他自治体とありますけれども、先ほど臂市長さんがおっしゃっていました、大泉町も外国人集住都市会議のメンバーでございます。伊勢崎市、太田市、大泉町は外国人集住都市会議のメンバーですので、そういったところと連携をしております。
次のページですけれども、七ページは、我々、大泉国際交流協会の主な事業でございます。
上が、日本語講座です。今、週三回行っております。毎回二十人から三十人。登録者は今のところ百二十人ぐらいいます。ボランティアさんは三十人ぐらいいるんです。ここにも子供たちが来ます。なぜ来るかというと、日本の教育を受けていない親御さんですと、子供たちが宿題を家に持って帰っても、誰も宿題を見てやれない。それなので、子供たちがこういったところに宿題を持ってきて、ボランティアさんに宿題を見てもらうということも行っています。
下は、最近、ネパールの方、ベトナムの方も増えてきましたので、言葉はどうも難しいんですけれども、多少文化の触れ合いということで、地元の方、ネパール人、ベトナム人を呼んできて、こういった事業も行っております。
次は、八ページです。
学習支援は、土曜日の午後、小学校、中学校、あるいは高校を目指すお子さんが来て、ボランティアさんに勉強を教えてもらっているということです。この学習支援も、住んでいる地域、国籍を別に問いません。いろいろな子供が来ています。太田市のお子さん、館林のお子さん、いろいろなお子さんが来て、高校入試を目指していくということでございます。
下は、ポルトガル語、スペイン語講座の様子でございます。こんな事業も行っております。
九ページは、我々がここ二、三年行っている地域共生への取組ということです。地域が転入者をどのように受け入れるかということが一つの課題になってきます。
これはベトナムPhoフェアという、ベトナムの食べ物フォーをみんなで食べてみようという事業でございます。なぜかといいますと、大泉町、太田市は企業の町でして、海外駐在員が多いんです。ベトナムで駐在員として働いていた方が戻ってきまして、ベトナムの人が増えてきたなということで、逆に、そういったリタイアされた方がいろいろ地域活動に目を向けてくれる。
これは、ベトナムの人に畑を貸したら、地域の人が、何だか知らないけれどもベトナムの人が畑仕事をしているよということで、悪く言えばちょっとうさん臭いかなという話を聞いて、地元の人が、それだったらベトナム人と一緒に交流を図ろうよということで、フォーをみんなで食べたというような事業でございます。このときには百人ぐらい地域の方が集まりました。やはり地域がどのように新しい人を受け入れるかという姿勢が大事かなという気がいたします。
次、十一ページですけれども、教育について。
これは教育委員会の事業が主なものなんですけれども、現在、大泉町の小学校、中学校は、一番多いところで三〇%ぐらいの外国籍の子供がいる学校が、小学校も中学校もあります。伊勢崎市さん、太田市と同じように、公立学校に日本語学級、名称は違いますが、国際教室、日本語学級というのを設置しています。
それから、就学前の説明会、学校に上がる前の親御さんを対象に説明会を行っている。これは、子供たちじゃなくて親に日本の学校のシステムを教えるというのが目的でございます。それと、高校進学説明会、これも本当に、日本の高校に入るにはこういうふうに勉強しなければいけない、お金をためなければいけないという保護者の方への認識ということですね。
それから、その下は、多言語サロン、これはプレスクール。太田市さんでも行っていますけれども、プレスクールです。日本語学級は設置してありますけれども、なかなか日本語が上達しないお子さんが多いです。一般に言われるのが、小学校三年程度までに日本に来れば、日本語を覚えて学習もできるということを言われますが、なかなかそうはいかない。それなので、学校に上がる前に少し日本語教育をやろうというのがこのプレスクールでございます。
次のページでございますけれども、ブラジル人学校への支援。先ほど申し上げましたけれども、ブラジル人学校は、日本では学校ではありません、塾扱いです。そこで、いろいろと事業を行っている、支援をしていくということでございます。
最後に、丸で示しましたけれども、来日する年齢、日本語能力はそれぞれ異なります。それが教育の現場においてやはりネックとなっていることかなと思います。
それから、最近は子供の多国籍化が進んでいるということです。アジアからの子供も増えています。アジアからのお子さんも日本で高校を目指すということでございますが、日本の高校は、どちらかというと日本語ができないと高校進学は難しい。これからの社会にどう対応していくのかということだと思うんですね。
それと、日本の教育を受けていない保護者は、日本の教育について理解していないことが多いということでございます。先ほど申し上げました就学前の説明会あるいは進学説明会も必要でございます。
最後に、ブラジル人学校は、先ほど何度も申し上げておりますけれども、日本では学校ではないため、教育に関する法などが及ばない、日本では学歴がつかない。日系人、もう三十何年たちますけれども、本当に二世代、三世代で格差社会が生じているというのが今の現状かなと思います。地域で本当に日本人の皆さんと同じように生活している人もいれば、なかなか地域になじめない方もいるということでございます。
私の資料の説明は以上で終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○武部座長 ありがとうございました。
次に、新井薫君にお願いいたします。
○新井薫君 改めまして、群馬県地域創生部長の新井でございます。本日は貴重な機会を設けていただきまして、ありがとうございます。
群馬県は、多文化共生、さらに共創を加えてそれを推進しているところでございますけれども、今回のこういった機会、改正法案を含めまして、多文化共生、共創が一層進むことを期待しているところでございます。
まず、資料を御用意いたしましたので御覧いただければと思います。
二ページ目のグラフでございますが、二〇二二年の状況ですけれども、外国人住民の割合は全国三位になっております。東京、愛知に次いでなぜ群馬と思われるかもしれませんけれども、先ほど糸井会長からお話がありましたように、中小企業、製造業の人手不足ということもございまして、群馬県に外国人の割合が多くなっております。
下のグラフを見ていただきますと、入管法の改正と本当にリンクしております。こちらも糸井会長からお話がございましたが、まず、一九九〇年の在留資格に定住者新設によりまして、ブラジルやペルーからの南米者が増えてまいりました。また、その後、技能実習ができまして、ベトナムからの外国人住民の割合が増えてまいりました。その結果、昨年末の時点ですが、ベトナム人の割合が一九%とトップになり、次がブラジルの一八%になっております。昨年末の時点で七万二千三百十三人おります。
次のページを御覧いただきますと、一番上、群馬県全体の外国人住民の割合は三・八%になっています。最初にお話ししていただきました臂市長の伊勢崎市が外国人住民が一番多い市になっております。また、糸井会長のおられます大泉町が外国人住民の割合がトップ。大泉町の割合は全国でもトップクラスだと思います。さらに、結城先生の群馬大学のあります前橋市を含めた、ここに記載しました六市町に群馬県の外国人の六五%が集中しております。いわゆる集住地域ですが、その内容、例えば、どんな在留資格なのか、国籍、これはそれぞれ異なっております。本日いらしていませんが、一番下、例えば館林の場合にはロヒンギャのコミュニティーがあるですとか、様々な特徴があるところでございます。
その次のページですが、群馬県の多文化共生、共創の課題を記載させていただきました。
一番上にありますのが、外国人犯罪の割合が残念ながら五年連続一位というところでございます。データ的には二〇二二年のものがございまして、犯罪といっても、その多くが入管法違反、これが四割を超えているというのも承知しております。ただ、刑法犯に限定したり、検挙件数、検挙人員、様々な割合で検証してみたのですけれども、いずれで調べても群馬県が上位にあるということはやはり問題があると思っております。報道によりますと、在留カードの偽造であったり、大麻栽培、銅線窃盗、SNSを通じた盗品売買、こういった話も出ているところでございます。
これと同様な状況になろうかと思いますが、不法就労者もワーストファイブに入っているところでございます。
また、次に書かせていただいたのが、税の滞納が多いということです。本日いらしておりませんが、二番目に外国人住民の多い太田市の市長さんがこれをコメントされていたことがございます。なかなか数値的なものは公表できないのですけれども、外国人比率の高い市町村とそうでない市町村の間で国保税の収納率の差が生じている、これは間違いないところでございます。
また、その国保税と密接に関係があるのですけれども、医療費の未払い問題もございまして、実は関係団体から要望が出ているところでございます。
次の五ページを御覧いただきますと、群馬県の多文化共生、共創の取組ということで、山本県政の目指す姿と書かせていただきました。年齢や性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、全ての県民が、誰一人取り残されることなく、自ら思い描く人生を生き、幸福を実感できる自立分散型の社会、これは「新・群馬県総合計画(ビジョン)」の中に掲げているものですが、計画に書いてあるだけではなく、常日頃山本知事が口にしている言葉でございます。同様に、下に書かれている、外国人県民は地域経済、地域の活力を共につくる仲間だ。ただし、これはルールを守っている外国人に限るというのもついているところでございます。
その次のページでございます。
その山本県政の思いを受けまして、令和三年四月に群馬県多文化共生・共創推進条例を施行いたしました。これは、多文化共生のみならず、共創という項目をつくったということで、全国初の条例になります。
また、その同じ年に群馬県多文化共創カンパニー認証制度というものを創設いたしました。これは、県内の企業の外国人材の受入れ環境を整えるため、モデルとなる企業の取組を紹介して他の事業者の参考としてもらう、そういった狙いがございます。皆様が本日午前中、こちらの前に三進工業さんに行かれたと思いますけれども、そちらもこの認証企業の一つでございまして、多分、プラスチック成形技能検定に合格するよう指導している、そういった御紹介もあったのではなかろうかと思います。
こういった取組をしている群馬県の立場から、次のページになりますけれども、政府の改正案について賛成ということを表明させていただければと思います。群馬県の課題に対してこういったところで解決できるということで、四項目挙げさせていただきました。
まず一点目ですけれども、現在の技能実習生の制度は複雑になっております。特定技能への移行も、対象職種、分野が不一致という問題がございます。現場からは、技能実習生は基本三年で帰国なので日本のルールを覚えてくれない、地域に根づかない傾向がある、そういう話も聞いております。今回の改正によって育成就労から特定技能へキャリアアップの道筋が明確化して、地域に根づく人材になることを期待しているところでございます。
二点目ですけれども、不法就労助長罪の厳罰化によりまして、不法就労者を雇用する事業者が減少することを期待しております。
明らかに不法就労を知って雇用する事業者はまれだと思います。ただ、厳罰化によって在留資格の確認がしっかり行われるようになる、それを期待しているところでございます。
三点目ですけれども、永住許可制度の適正化により、滞納者が減少することを期待しているところでございます。
四点目、こちらは少し毛色は違うんですけれども、実は、群馬県は日本最先端クラスのデジタル県を目指しておりますので、在留カードとマイナンバーカードの一体化によりまして、各種手続の効率化を期待しておりますし、偽造防止につながることも期待しているところでございます。
こんな群馬県ですけれども、先ほど申し上げたとおり、多文化共生、共創を掲げて、外国人県民を日本人とともに価値を生み出す仲間としております。ただ、仲間として迎え入れるためには、環境、特に企業さんの適切な雇用が必要と考えております。
それに対して、外国人の犯罪が多いという矛盾しているところがございまして、これをどうしたらいいかということで、次のページですが、現在、国家戦略特区に群馬県として申請をしているところでございます。
このイメージとしますと、まず、入国する前から、問題なく入国していただいて、群馬県内で活躍しているときも問題なく活躍していただきたい、そういう趣旨でございます。
左上に、まずは入国前のということで、群馬県独自の取組ですけれども、ASEAN諸国の大学生等に日本入国前に群馬県内の優良企業を紹介できるような外国人材活躍推進ネットワーク構築に取り組んでいるところでございます。右の方、これが今申請しているところですけれども、これは後ほど御紹介いたしますけれども、情報共有ですとか立入検査同行により適切な雇用を守っていきたい、そういうものを考えているところでございます。
次のページを御覧いただけますでしょうか。先ほど賛成というふうに申し上げたのですが、こういった機会でございますので、是非追加で御検討いただきたい項目を書かせていただきました。
まずは、先ほど申し上げた犯罪が多いということがございまして、取締りの強化はもちろんですけれども、不法滞在者の速やかな退去強制、こういったところも考えていただけないかと思っているところでございます。
二つ目は、仮放免者の居住実態把握は困難と書かせていただきましたけれども、仮放免者であれば身元保証人、監理措置者であれば監理人になるのでしょうか、そちらから居住する市町村に、居住しているよという通知をしていただきたいというお願いでございます。
実は、コロナ禍のときに、どうも外国人の方がいるらしいということが分かっても、例えば、ワクチン接種の接種券を届けることができない、コロナ対策を周知することができない、そういった課題がございましたので、それをできるだけ解決したい、そういうふうに考えているところでございます。
三点目ですけれども、仮放免者の方が就労不可というのは、速やかに帰国していただきたいということで、そのために就労不可なのだということは重々承知しておりますけれども、それによって困窮されたり健康上の問題があったりします。ですので、帰国したくてもなかなか難しいケースも個々にはございますので、人道的配慮が必要な場合は速やかに在留特別許可を与えていただきたい。また、そうではなく、帰国を希望している、ただ費用がという場合には、国費送還の速やかな判断をしていただきたいと思っております。
四点目ですけれども、税滞納者が多いという中で、永住許可者以外に対しても税滞納を在留資格の要件化していただけないかということでございます。これは、もちろん故意ですとか悪質な場合に限っていただきたいとお願いしたいと思います。
日本人であっても、車検を通すために慌てて自動車税を払う方もいらっしゃいますので、税金を払わなければ県や市町村から入管の方に通告されるということになると、税金を払うモチベーションにつながるのではないか、そういうふうに考えております。
また、先ほど申し上げた未払い医療費の問題がございますので、外国人受入れ医療機関への支援をお願いいたします。
また、先ほども糸井会長から日本語教育の話もございましたけれども、今示されている中でN5という話が出ておりますけれども、これで十分なのか、疑問を持っているところでございます。企業のルールですとか作業内容が理解できる程度の日本語能力の担保、もしそれが難しい場合には、働きながらこういった能力を身につけられるような日本語学習体制の整備もお願いできればと考えております。
時間も参りましたので駆け足で参りますが、その次のページに、なぜ特区申請しているのかということをもう一度整理させていただきました。
実は、群馬県にも市町村にも、技能実習生が、今度は育成就労生になろうかと思いますが、どこの受入れ企業にどこの国の人が何人ぐらいいるのか、全く情報がないのです。さらに、どんな言語の方がいるかが分からないので、必要な情報を提供することができない。そういう課題がございます。
もし情報が得られれば、外国人材を雇用する企業に、こういった扱いをすると適切な対応ができますよと多文化共生、共創の理念をお伝えすることができる。また、外国人材に対して分かる言語で、例えば、ここには日本語教室がありますよとか、そういった情報を提供することができると考えております。
また、立入検査に同行することができれば、確かにその情報が外国人材に伝わっているかどうか、もちろん、不適正な雇用があった場合の取締りは国なり監理機構さんにお願いすることですが、その直前の対応について御相談を受けることができる、そんな力になれるのではなかろうかと考えているところでございます。
最後にもう一つ、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律も示されましたので、それに対して懸念と要望をお伝えさせていただければと思います。
一号の在留資格に日本語能力不要というところで、先ほどから日本語能力の話が出ておりますけれども、地域社会のつながりという意味では、それが保てない。最低限の日本語能力は必要ではないかと考えております。
また、一号と二号の移行に対して、一号と二号では資格要件が異なりますので、その間にその能力をどうやって身につけることができるのか、キャリアアップにつながるような支援体制が必要ではなかろうか。
また、一般労働二号の家族滞在が増えますので、家族の日本語取得支援、生活者でございますので、日々の暮らしに必要な日本語、また、お子さんがいれば学校教育の場での日本語教育、こういったものが自治体の負担増になるのではなかろうかと懸念しているところでございます。
駆け足になりましたけれども、群馬県は多文化共生、共創を推進してまいりますので、どうか御支援をよろしくお願いいたします。
○武部座長 ありがとうございました。
次に、結城恵君にお願いいたします。
○結城恵君 ありがとうございます。群馬大学の結城でございます。
お手元の資料に基づき御説明させていただきます。
まず、私どもの意見陳述の骨子から説明させていただきます。
二つの法律案がございましたが、最初の出入国在留管理及び難民認定法の一部を改正する法律案につきましては、私は賛成でございます。これは、外国人にとっても雇用主にとっても利便性、個人情報の保護が強化されているからです。
続いて、出入国管理及び難民認定法及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、基本的には高く評価しております。理由は二つございまして、一つは、外国人のキャリアアップの筋道を明確化していること、二つ目は、外国人の人権への配慮が行われていることです。
しかしながら、これらが実際に展開というふうになりますと、幾つか障壁になることが予測されます。その理由は、以下の三点が不明瞭であるという点です。まず第一に、多文化共創のカウンターパートとしての日本人の意識啓発、役割はどうなっているのか、第二に、外国人労働者にとってジャパニーズドリームは存在するのか、第三に、消滅するとも言われている自治体が集まる地方に活力を生み出す仕組みづくりはできているのか、これらが明らかではないからです。
そこで、今日の私からの意見陳述は、障壁の背後にある前提の指摘と、障壁を取り除くためのヒントを含め、意見陳述をさせていただきます。
さて、申し遅れましたが、私は群馬大学に来て二十五年になります。そして、ここに来たときにまず思ったのは、この日本地図を思い浮かべました。当時から人口減少ということが言われていましたが、群馬は、この色で見ていただくと分かるように、比較的中程度というところになります。しかし、同時に、都心に人が流れていくという特性も持っています。この地域でモデルがつくれれば、つまり、人口減少を食い止める、しかも都心に人々が流れないというモデルがつくれるならば、こんなにいいことはないだろうし、いろいろな地域にモデルとして説明ができるのではないかと考えました。そこで、私どもは、多文化共生と就職支援で地域定着という志を持って取組を進めてきました。
なお、私の取組は、最後の二ページになるのですが、参考資料としてつけております。ここにざっとまとめておりますが、これを御覧になって分かりますように、私は、外国人児童生徒、それから外国人留学生、そして定住外国人の人たちの高齢化の問題については扱ってきましたが、今回大きなテーマになっている技能実習生については余り深く関わっておりません。しかしながら、ここまでの二十五年間の積み重ねの中で恐らく共通するものがあるということを実感しておりますので、それについて説明をさせていただきます。
では、二ページ目を御覧ください。
外国人労働者のキャリアアップの筋道の明確化と人権への配慮ということで、高く評価するというふうに申しました。
私は、国家資格、キャリアカウンセラーでもございますので、この取組が表明されたときに、非常に面白い、ありがたいと思いました。なぜかといいますと、これは、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の中の図に出てきているのですが、ライフステージがずっと上がっていく長い過程の中で支援していくという方針が明確化されたところです。
ところが、見落としがちなことは、それぞれのステージの移行過程に転機が訪れるということです。この赤丸のところなんですけれども、実はここにたくさんの問題があります。ここでうまく移行しなければ、いろいろなことが悪い方向に動くということがよくございます。では、ここをどの部署が、あるいはどの省庁が担当するのかというところも曖昧になってしまいます。すなわち、省庁連携、部署連携というのが非常に重要な部分で、今後は、こういったキャリアアップというのはいいことなんだけれども、よりきめ細かくステージの移行過程、転機をどういうふうにサポートするかということを考えていかないと、いろいろな問題が起きてしまうかもしれないというふうに考えました。
それでは、次に、予想される障壁、その背後にある前提、求められる方策について少し考えてみたいと思います。
まず第一点、多文化共創のカウンターパートとしての日本人の意識啓発、役割はという問いです。
日本人は冷たいという外国人の声をよく聞きます。その実態を一緒に見てまいりたいと思います。
結論から言うと、日本人(受入側・住民)の意識や行動は本法案の円滑な施行の障壁になり得ると考えています。
その理由をお見せします。三ページを御覧ください。
ここに書いてあるデータですが、実は、二〇〇六年に群馬県からの御依頼をいただいてアンケート調査の設計をさせていただきました。そのときの問いですが、日本人住民と積極的に交流したいと考える外国人住民の割合、一方、外国人住民と積極的に交流する方がよいと考える日本人住民の割合、さらに、有事のときのことを考え、近所で親しくつき合う日本人がいると答えた外国人住民の割合です。
二〇〇六年度は私が研究代表者としてこの調査をし、ありがたいことに、群馬県さんが二〇二〇年にこの質問項目をもう一度組み込んだアンケート調査をしてくださっています。すなわち、この項目について経時的な比較ができることになります。御覧になってみてください。外国人住民は、より日本人住民と交流したいと考えているということがよく分かります。一方で、逆に、日本人住民は、外国人住民と交流しようという割合は余り高くありません。一割程度です。近所で親しくつき合う日本人がいると答えた外国人の割合もそれほど伸びていません。
ここから言えることは、日本人住民は冷たいと言われてもしようがないかなというふうに思われます。
さらに、NHK、二〇一九年の第十回日本人の意識調査を見ていただくと、これはそもそも何年間かの比較をしているんですけれども、交流さえないと言っている日本人の住民が約半数いるということです。外国人との交流を半数の日本人がしていない、この実態をどう考えるかということになります。
こういったことが起こる背後には、ある前提があるように思います。
本法案は、外国人を育成就労、特定技能一号、二号として受け入れるために、外国人を対象とする育成、管理、保護の仕組みを明示するものであります。外国人は、日本語教育を受けることや、生活や就労ルールの遵守が前提となっています。では、受入れ側となる日本人には遵守するべきルールはないのでしょうか。この点については一切書かれていません。
求められる方策は、外国人と日本人が共に暮らし、働くという意識の醸成、そして、安定的な関係づくりを目指す基本方針も併せて盛り込む必要があるのではないかと考えます。
次のページを御覧ください。2、外国人労働者にとってジャパニーズドリームは存在するのか。
外国人労働者の感情を考えてみましょう。よく私たちは言います。人手不足を補う。これは非常によく繰り返しますが、外国人の方々にとっては失礼な話ではないかなと思うこともよくあります。外国人労働者が日本で働き続ける動機をキープしてもらわなくては選ばれる日本にはなりません。
ここで根拠になる、参考になる議論が幾つかあります。
ハーズバーグの二要因理論では、幾ら賃金や労働条件をよくしても、不満は減るけれども満足度は上がらないというデータを出しています。つまり、満足度を上げるには労働者の動機づけをしっかりとしないと、満足して日本にはとどまらないということが示唆されるわけです。
続いて、マズローの欲求五段階説を見ても分かります。マズローは、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求というふうに、最低限満たされるものが一つ一つ満たされていって人は上の段階に上がっていく。つまり、そこでは、自分が認められる承認欲求であったり、社会に貢献したり自己実現をしたい、さらには、日本のためになりたい、その企業のためになりたいという気持ちになるということは、そこまで支援をしていかなくてはなりません。
ところが、今まで出てきたいろいろな施策を見ても、社会的欲求のところまではフォローしていますが、その上のところまでの具体的なものはほぼ出ていないように思われます。その背景には何があるかというと、私たち日本人は、つい、何々してあげるということで欠乏欲求を満たそうとしています。これでは外国人住民も自立しません。
求められるのは、育成就労から特定二号まで、キャリアアップの筋道を明確にしているが、外国人労働者の承認欲求や自己実現欲求を満たすような基盤整備、支援システムが必要となるということです。
それでは、具体的にどう考えるかということになります。
とにかく人の感情によく敏感になりながら、人手不足だから受け入れるという表現は、これからやめていった方がいいのではないかというふうに思います。共に一緒に築いていく動機づけを多様性を持って考えていき、地域活性化を図るということです。
最後に、3。自治体が非常に苦しくなっている地方に活力を生み出す仕組みがあるのかということですが、ここに一つの事例をお話ししたいと思います。
私どもが担当している文部科学省認定、留学生就職促進教育プログラムのグローカル・ハタラクラスぐんまプロジェクト、群馬県が行っているものです。
実は、始める前の二〇一四年度の実態をここに示しております。群馬県に残りたいと言っていた外国人留学生は一六・四%でした。東京に行くという人たちもいますが、約半数弱は国に泣く泣く帰っていました。企業はどうかというと、採用してもいいよと答えるのは一七%程度です。多くは、採用しないとはっきり言っています。
この実態はどう変わったか。二を御覧ください。
実は、二〇一五年度の調査ではこのような結果が出たのですが、私たちがGHKGという仕掛けを入れたところ、群馬県内への定着率を六倍に上げることができました。また、国が三割から五割にせよという日本での就職率は、ほぼ一〇〇%達成することができました。これは何かというと、人材育成カリキュラムを展開したことです。
今回、技能実習生も育成就労というふうに言っています。育成するということは、育てる、人材育成カリキュラムを入れ込むということです。それは効果があるはずです。きちんとやれば効果が認められます。
この一部受講というのは、日本語に特化したトレーニングだけを受けた学生です。そうすると、かなり下がってきます。今、日本語教育の論議が非常に多いですが、これだけでは十分ではないのです。それがこのデータから分かります。また、何もしなければ、二〇一五年度よりも状態は悪くなっているということが分かると思います。
さて、このプログラムは二百五十時間というかなりハードなものです。多くの学生たちが授業以外に、異なる大学、異なるキャンパスから集まってトレーニングを受けています。その学生たちが実際にやってみる。キャリア教育を受け、コミュニケーション教育を受け、いろいろな企業様の応援をいただきながら、二週間の集中的なインターンシップを二度やる中ですごいねと褒めてもらえる。自治体へ行くと、留学生、いいじゃないかと言ってもらえる。家族のように接してもらえる。そういった中で、自分はこの地域で必要とされている、感謝されているという実感を持つようになります。そして、自分がこの職場で必要とされているかもしれないというふうに、群馬で働くイメージを持ち始めます。だから定着していくわけです。
こういった心を捉えるということを技能実習生、育成就労、それから特定技能一、二にどういうふうに組み込んでいくかが課題です。これは大学だけでできることではありません。コンソーシアムを設けまして、今日いらっしゃる群馬県さん、大泉町さん、伊勢崎市さん、いろいろな方々が入っていただき、産官学金でけんけんがくがく議論をしながら、さらに、それぞれの役割分担をしながらチームになることでやっていきます。
八ページ目を御覧ください。特に今日は政治家の皆さんもいらっしゃるので、この例を最後にお話ししたいと思います。
ウィン・ウィン・ウィンで持続可能な循環できる仕組みづくりということで、非常にいい例だなと思いました。これは文部科学省と法務省が連携しているものです。
文部科学省が今申し上げた留学生就職促進教育プログラムをずっとやっていく中で、JASSOが奨学金を出します。土日もなく学生たちは一生懸命頑張りますので、アルバイトをしなくても進められるようにサポートしてくれます。そして、そういったところでトレーニングした学生を採用した企業は、法務省から在留資格変更手続における優遇措置が受けられるというふうに制度化してくれました。そうするとウィン・ウィン・ウィンになるので、このプログラムができるまではお金がかかりますが、その後はうまく循環していくということを実感しています。それほど経費はかかっていきません。こういったことを今回の法改正案の中でうまく酌み取って、そういったシステムが生まれることを心から願っております。
御清聴ありがとうございました。
○武部座長 ありがとうございました。
以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○武部座長 これより委員からの質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。中曽根康隆君。
○中曽根委員 自由民主党の中曽根康隆でございます。
本日は、地元群馬においてこの地方公聴会を開いていただきまして、委員長を始め委員の皆様に感謝申し上げるとともに、何よりも参考人の皆様、大変お忙しい中、お出ましいただきましたことに御礼を申し上げたいというふうに思います。
今参考人の皆様から大変示唆に富んだ貴重なお話を伺うことができました。改めて痛感をいたしましたけれども、今回のいわゆる育成就労制度、そしてその先の特定技能一号、二号、これは、単に労働力の確保ということではなくて、我が国の外国人に対する姿勢とか寛容度とか、そういったことを対外的に示す大変重要な制度、この法案の審議であるということを改めて感じた次第でございます。
選ばれる国というキーワードがよく出てまいります。インバウンドの面から見ると、やはりコロナ禍を過ぎて、もう九割回復してきて、大体三千万人弱が日本に毎年来ている。二〇三〇年までには、政府の目標として六千万人の外国人が年間来る。こういう観光とかインバウンドという意味においては、日本は大分選ばれる国になってきているのかなというふうに思います。
一方で、労働という意味で選ばれる国になるためにどうしたらいいか、又は住みたい国になるためにどうしたらいいかという意味ではまだまだ課題が残っている。他国との賃金優位性もほぼなくなってきている中で、外国人の方々に来てもらう、暮らしてもらう、働いてもらう、このためにどういう制度が必要かが問われていると思いますし、まさにそのときに出てくるキーワードが共生社会だというふうに考えております。
今回の法改正自体はもちろん国の責務で行いますけれども、実際に外国人の皆さんが住み、働くのは地方が多いわけであります。共生社会において、当然、地方での取組ということが重要になってきますし、地域産業政策として、外国人受入れの環境整備というものも、国もですけれども、自治体もしっかりと整備をしていく、そういう意識を持つ必要があるというふうに考えております。
そういう意味でも、今日は、地方、この群馬県において、特に、日本有数の外国人集住地域である伊勢崎市長であったり、また大泉町から糸井会長であったり、そして、県、アカデミアからも参考人の皆さんにお出ましいただいたことに本当に感謝をしたいというふうに思います。
育成就労制度の中身、これはもう国会でも、法務委員会で相当な時間を割いて議論をしてまいりました。転籍の要件もそうですし、監理団体の強化もそうですし、各論については議論をしてきました。
本日は、せっかく地方に来ておりますので、質問の軸足を地域における共生社会という観点で私からは質問させていただきたいというふうに思います。
先ほど、午前中、三進工業さんにお伺いしまして、プラスチック成形の現場も見せていただきました。そこで、社長さんを始め、そこで働いていらっしゃる技能実習生そして特定技能一号のベトナム人の皆さんと直接意見交換をする機会をいただきまして、一言で言うとすばらしい会社だなと私は思いました。
まさに今、結城参考人がおっしゃった承認欲求がちゃんと満たされている。自分が必要とされているという感覚を持ちながら、ベトナム人の皆さんが頑張っているわけですね。そして、社長自身も、自分が習得した技術、スキルに自信と誇りを持ってもらいたいんだという、すごい熱い思いを持った会社、すばらしい取組をされていました。
そこで、一つ問題が出てきたのが、特定技能一号の二人のベトナム人が、日本に来て、技能実習の段階からもう七年、八年がたって、技能検定も二級を取って、いよいよ二号に挑戦をしている最中だ。日本語も大分うまくなって、会社の中でも、後輩の技能実習生たちにいろいろ教える、アドバイスをする先輩としての役割もすごく頑張っている。
ただ、彼らは、特定技能一号は五年ですから、もうすぐタイムリミットが来てしまうわけですね。テストに受からないと、仕組み上はもう帰国せざるを得なくなる。ただ、企業としては大変助かる人材だし、彼らももっともっと日本で働きたいし、やっと日本の生活にも慣れてきたし。こういう状況の中で、しっかりと合格をしていただきたいなと私強く思ったんですね。
そういったときに、労働者に任せているだけではなかなか難しい。また、企業に任せているだけでも難しくて、やはり行政とか自治体がしっかりと企業を支えてあげる、そして、労働者の成長につなげていく必要があるというふうに思っております。
ここでちょっと質問なんですけれども、自治体の関わりというのが、こういった頑張ろうと思っている労働者たちにおいても非常に重要という中で、これは答えられる範囲でいいんですけれども、臂参考人にお伺いしたいんですが、こういう熱意ある会社、熱意ある外国人の労働者がいるところにおいて、自治体としてどういうサポートを、手を差し伸べることができるか、何か御意見とか感想があればお聞かせいただきたいというふうに思います。
○臂泰雄君 御質問ありがとうございます。
今、中曽根先生が言われるように、やる気のある外国籍の人材、これからも、日本の特に地域経済を牽引していただける人材だというふうに思っております。
そのためには、今お話があったように、技能的なところ、技術的なことは、企業でしっかり独自の技能、技術を学んでいただく、そういうことが必要だというふうに思いますけれども、日本語の教育というところでは、かなりの雇用をされている企業さんでも、日本語教育をしていくというのは大変な努力が要りますし、個々の人によってレベルが全部違うという中では、やはり行政がそこでしっかり関わりたいという思いは伊勢崎市もあります。
今、商工会議所とか商工会さんと連携を今年度は深めて、企業から離れた場所での日本語教育で統一的にできるような仕組みをつくれないかということで模索中でありますし、場合によっては、こちらから企業の方に日本語教育をできる人材を送ってそこで教育をしてもらうとか、行政が日本語教育のところにしっかり関わっていくということが大事だというふうに思います。
それは個々の企業のためにやっているということではなくて、その方たちが、皆さん生活者としてこの伊勢崎に住んでいるという中では、市民の理解も得られるのではないかな。そういう形で、個々の企業に何か利益を与えるみたいに思われてしまうのではなくて、そのことが地域全体を高めることになるという理解は得られるのではないかなというふうに思いますので、日本語教育についてそういうことをしっかりやっていきたいと思います。
もう一つ、先ほども言いましたけれども、日本語教育の試験の制度が幾つかある中で、そのレベルが本当に、日本語教育としての、これから日本で住む上での一番ベストな試験なのかというところも、試験制度でどこまでの日本語能力を持ってもらうのかについては、今後国の方でもいろいろ考えていただければというふうに思っております。
○中曽根委員 ありがとうございます。
伊勢崎市は、多言語のラジオ放送をやったり、そこにAIのアナウンサーを導入したり、DXも本当にうまく駆使されて、いかに外国人の皆さんに対して、労働という意味じゃなくて、生活者としてなじんでもらうかという取組をされていると思いますので、大変それは私もすばらしいなというふうに思っております。
次の質問ですけれども、先ほども結城参考人からもありましたけれども、群馬県の調査で、外国人の七割が地域と積極的に交流をしたい、ただ、一方で、日本人の六割が最低限の交流でいい、ここに認識のギャップがあるというふうに思っております。
新井参考人にお伺いしたいんですけれども、この外国人に対する情報発信、今の臂参考人の話も大事なんですけれども、一方で、このギャップを埋めるためには、県民に対する認知とか情報発信もすごく大事になってくるというふうに思います。外国の皆さんを受け入れるメンタリティーとか心構えを県民、市民に持ってもらう必要があると思うんですけれども、そこら辺に対しての県としての考え、取組をお教えいただきたいと思います。
○新井薫君 実は、山本知事も、このギャップの話というのは常日頃口にしております。
それで、昨年度、からっかぜパークというのをやってみました。というのは、日本人も、子供の頃から外国人と親しむ、一緒にスポーツをする、一緒に何かをする、そういう経験が非常に近い関係をつくるのではないか、心の障壁を下げるのではないかということで、県庁で昨年度初めて実施したものです。
通常、県の事業としてお試しでやった後、同じことを続けてさせていただけないんですが、非常に好評でして、もう一回今年もやりなさいということで、今年も十月に予定しております。
これは、イベントの実行委員会の段階から、日本人だけではなく、外国籍の方、留学生であったり外国の支援団体、しかも若い方から高齢の方まで多様な方に入っていただいて、こうするとよりそれぞれの意識のギャップが縮まるのではないか、身近に感じられるのではないかという取組を行おうと思っております。
さらに、それを、一回イベントをやったら終わりというものではなく、県ですといろいろな行事がございますので、そういうときにこういった情報発信をしていくようにしたり、例えば、スポーツのイベントに合わせてこういうことも実はできますよねと、そういう発信をしていければなというふうに考えているところでございます。
○中曽根委員 ありがとうございます。
続いて、結城参考人にお伺いしたいんですけれども、いろいろな御著書、また書かれているものを拝読させていただく中で、外国人に対する日本語教育の重要性というものをいろいろ目にさせていただきました。
言語は極めて重要でありまして、言葉ができないことによる行動の制限が生まれたり、そこから孤立化がまた出てきたりと、長く日本に滞在することになるだろう外国人の子供たちへの日本語教育というのはやはり非常に重要なんだなというのを勉強させていただきましたし、それがもたらす地域への影響というのも非常に大きいんだというふうに思います。先ほど糸井参考人からも、外国人にも格差がある、子供の学歴、そういったところから、いろいろなものがある意味始まっているというような御示唆もいただきました。
その上で伺いたいのは、外国人の子供の日本語教育もそうですけれども、ライフプランの中でのキャリアアップ、そして、先ほどおっしゃった転機の一つに就職というものが入ってくる。日本という場所、そして、例えば群馬でいえば、この群馬という地域に愛着を持って、さらには雇用主とよい関係を築いて、本当の意味で日本になじんで、キャリアを積んで暮らしていく、働いていく。こういったことにおいて、行政や又は雇用主である企業というのはどういったことを心がけていくべきと考えるか、何か御意見があれば教えていただきたいと思います。
○結城恵君 ありがとうございます。
まず、そういった、子供たちが夢を描ける、キャリアビジョンまではいかなくても、こういう世界があるんだ、こういう人がいるんだ、こういう仕事があるんだというところにアクセスができるということが非常に大事かと思います。ここは行政のお力や金融機関のお力をかりながら、いろいろな働く場との連携をされているところに私たち教育関係者がお世話になりながら、子供たち、学生たちの可能性を広げていくということは非常に重要なのではないかなというふうに思っています。
例えばの例なんですが、今、ここではなく、私、豊田市の方で要請をいただいて行っているのですが、オーバーエージの子供たち、すなわち学齢期を超えた子供たちが、夢をなくし、本当だったら社会の片隅に置かれていくような子供たちに何とか就職させようという運動がありまして、そこでもキャリアサポートに行っています。
夢を与えるということを自分から探っていくと、何かできるのではないかというふうに思い始め、そこは教育の力ですが、そこから行政、労働、いろいろなところから力をかりてその世界を探索するというところまで行くと、かなり実現性は高く、高校の進学率が九割に上がったということは非常にびっくりしました。こういった仕掛けを産学官金連携で進めていく必要があろうかと思っています。
○中曽根委員 ありがとうございます。
本人が、もっと住みたい、進学したい、働きたいという意思が出たときに、いかにその環境、物心両面におけるサポートを、自治体が、又は国が、又は企業が、地域がしてあげるかというのがすごく大事なんだなというふうに思いました。
続いて、糸井参考人にお伺いをしたいというふうに思います。
先ほど参考人が、冒頭、隙間を埋めているんだということをおっしゃいましたけれども、この隙間を埋めるというのは物すごく大事なことだというふうに思います。やはり国、行政の目の届かないところ、細かいところを非常に小回りが利く配慮の中でサポートしている、まずその御尽力に心から敬意を表したいというふうに思います。
一方で、様々な取組をされている中で、いろいろなものが手作りであったり、ボランティアの皆さんの使命感にある意味依存をしているところもあると思いますので、こういったところがもっと、予算面も含めて仕組みをしっかりとつくっていくことが大事なんだなというのも感じました。
質問は、すばらしい取組をされて、共生社会が実現されているようにもお見受けするんですけれども、とはいえ、二割が外国籍の方ということで、一般的な懸念というのは、外国人がいると治安が悪化する、先ほどから話も出ていますけれども、犯罪が増えるということになります。そういう話があります。
実際、この大泉町で、そのど真ん中で関わられている参考人として、いわゆる一般的な、治安、犯罪、こういった懸念に対する率直な御感想とか御意見をお伺いしたいというふうに思います。
○糸井昌信君 犯罪につきましては、一般市民とすると余り意識はないと思うんですね。なぜかというと、大泉町は、御存じのように人口の二〇%が外国籍なものですから、既にもう、子供たちが学校へ行けば隣の席は外国籍の子供、家に帰れば隣近所も外国籍の人が住んでいるということで、余り国籍とか外国人というのを意識せずに生活していると思うんですね。
ただ、新聞報道では、外国籍の方の犯罪というのが大きく取り上げられます。私の感想からすれば、またベトナムの人が何かやったかなとか、そういった感覚は受けるんですけれども、それも、話せばまたいろいろなことは出てくるんですけれども、やはり働く場の確保とか生活の安定感がないと犯罪に走ってしまう、あるいは事故になってしまったり、そういったことにつながっていくのかなという気がするんですね。
ですから、本当に、地域社会の中では、国籍、在留資格関係なく皆さん仲よく暮らしていこうという意識は日本人の中でも、資料の中でも、先ほど結城先生は日本人は一〇%、二〇%ということですけれども、大泉町のあれからいくと、既に約三〇%の日本人が外国籍の人と交流を図りたいという結果がありますし、外国人の人は、もちろん、七〇%以上の方が地域での交流を図りたいということを願っているんですね。ただ、とはいいつつ、外国籍の方は、日本語にやはり不自由な方が多いということなんですね。
私は先ほどから聞いていまして、言葉は余り必要なくても地域で仲よくできると私がいつも言っているのが、音楽、食べ物、スポーツなんですね。その三つをうまく利用しながら地域社会で仲よく暮らしていく方法はできないかなといつも考えているんです。
犯罪については、確かに、新聞等を見ますと、また外国籍の人が何かやったなという意識はあるかもしれないんですけれども、それが多くなっているという市民レベルでの意識はないと私は感じています。
以上です。
○中曽根委員 ありがとうございます。
今の話を伺って、二点、ちょっと思ったのは、一点は、そもそも日本に来る段階で悪いことをしようと思っている人はそんなにいないんだろうと。外国人が置かれている職場での環境だとか、又は言語からくる孤立化だとか、又は心配な、困ったときに頼る人がいないとか、そういった中でどんどん押し込まれていって、結果的に、そういう人たちが不法滞在だったり犯罪を犯していることがあると思いますので、やはり周りの環境がしっかりしていれば、そういう犯罪もなくなるんだろうなというのが一点。
もう一点、大泉町のように、二割というところまでいってしまう、又はこれだけの歴史がある場合は、もう横に座っているのが当たり前になりますけれども、そこに至るまでの過程において、ほかの自治体では、まだまだそういう違和感というのを感じる自治体もあると思いますので、そういったところが特徴なのかなと思いました。
時間も来ましたのでもうやめますけれども、本日は、本当に貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
大泉町の村山町長は、労働者と生活者は違いますとおっしゃっていますけれども、これはすごく重い言葉だというふうに思います。真に選ばれる国、地方になるために何が必要か、引き続き国会でも議論してまいりますけれども、皆様方にも御指導賜れれば幸いに存じます。
本日は、誠にありがとうございました。
○武部座長 次に、日下正喜君。
○日下委員 公明党の日下正喜でございます。
本日は、お忙しい中、それぞれ陳述者の皆様から貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。今後の法案審査にしっかりと生かしていきたいというふうに考えております。
先ほどもあったように、午前中に三進工業さんを訪問させていただきまして、視察をさせていただき、外国人材の方たちの受入れ、また、当初は、作業者というか、そういう簡単な仕事をしてもらうためにということを考えていたようですが、途中から、技術者として本格的に育成に取り組んでいく姿勢というか、それにも感銘を受けましたし、また、特定技能の方々が上を目指して頑張る姿に対して、日本の従業員も、また女性の従業員も、技術者としての向上心をめらめらと燃やし始めて頑張り始めているという話をお聞きして、まさに理想的な姿だなというふうに感じました。日本語も一生懸命今学ばれているということで、日本にもずっといたいというふうな思いも口にされておりました。
私、非常に感動もしたんですけれども、一点気になるというか、これは日本人でも難しいんですけれども、彼らというか彼女らは、仕事が終わったら、自分たちのアパートに帰って、そこで母国語で話をする。それは非常にストレス解消にもなりますし、いいことなんですが、休みの日も、サッカーをする、三十何名入れ替わり立ち替わりするみたいですけれども、やはりそれも日本人ではない人たちと一緒にされるというふうなこと。
まあ、日本人でも、一つのグループからなかなか出ていかないとか、社会に属さないとか、地域の自治会にはもう顔を出さないという若者はたくさんいますから、自然なのかなとも思うんですけれども、これから企業内で共生というか共存がしっかり図られたとしても、地域社会との一体性というか、その辺はやはりまだ課題があるのかなと。日本人のうち、交流をしていきたいという人が、まだ数値が低いというかパーセントが低いというのはそういうことなんだろうなというふうに思うんですよね。
だから、本当に対等な、自分たちも社会の一員だというふうにお互いが認め合っていくということが非常に大事だと思うんですが、そういうふうなことに関して、それぞれ陳述人の皆さんから御意見をいただきたいというふうに思います。
○臂泰雄君 ありがとうございます。
伊勢崎市が多文化共生を進める上で、伊勢崎の場合には、行政区ごとに、町内に区長さんという方がいらっしゃって、地域のまとめをしていただいているんですけれども、区長さんにもアンケートを取ると、外国籍の方が住んでいるのは分かるけれども、どんな人がどんな状況で住んでいるかということの情報が全くないというところで、不安に感じられている区長さんもたくさんいらっしゃいます。
うまくいっているところは、例えば、防災のための訓練を一緒にやるとか、地域でのお祭りに一緒に交じって様々なことをやるとか、やはり交流を進めることによって相互の理解が進むと、そこは本当に、そういった町内はうまくいくという状況があると思います。
生活者として受け入れる地域があって、そこに外国籍の方も入ってきていただく。ただ、これを、働きかけがなかなか区長さんの方からもできない状況があるので、やはり企業の方にこれからお願いをして、企業の方が、そこの雇用をしている外国籍の方と地域の方とを結びつけるところまで少しお手伝いをいただくと、その後は好循環になるのではないかなというふうに思うんですけれども。
スポーツ大会も今年度はいろいろ予定をしておりますし、様々なところでお互いの交流を図るという仕組みづくりは、こちらも積極的にこれからもやっていかなければならないと思うんですけれども、やはり、まずは、雇用者である企業、受入れ機関の方のお手伝いというところをしっかりお願いしていきたいと思っています。
○糸井昌信君 お答えします。
私の立場からいうと、例えば、私どもで行っています日本語講座ですけれども、日本語講座は週に三回今行っています。その中にも、先ほど来話が出ていますけれども、N1、N2コースというのも特別に設けたり、企業内での会話についての勉強をしたいという方もいますので、そういった方にも対応するように、隙間産業ですから、要望があれば何でもできるということなので、やっています。
あと、隣に部長さんがいらっしゃいますけれども、私は実は県の地域日本語教育調整会議という調整会議のメンバーにもなっています。
地域の日本語講座というのは、日本語を教えるだけではなくて、外国籍の方の居場所づくりというのも一つの役割なんですね。企業からも、うちの方に技能実習生が二十人来たんだけれども、日本語講座に行ってもいいですかという問合せが来ます。我々としては、どんどんウェルカムなんですよ。場所も問いません、どこに住んでいても構わない。それで、来た方に、例えば、居場所づくりですから、昨年ですと、大泉町と熊谷と太田市で合同の花火大会がありました。今度、花火大会があるから、みんなで行ってみようよとか、そういった声がけをして、みんなで何らかの行動を取るということもやっております。
地域で、そういったところでは、地域の在り方とか、日本語講座に来てごみの出し方を勉強していったり、そういう方もいるんですね。ですから、そういった接する機会をなるべく多く取って、地域での生活について役立ててもらいたいなという働きかけはしております。
以上です。
○新井薫君 一つ、群馬県の多文化共生・共創推進会議の委員の外国籍の方から言われたのは、日本にいる外国籍の方というのは、日本文化を知りたい、いろいろなイベントに参加したいんだけれども、自分たちが参加していいのか分からないというふうに言われたことがございまして、ちょっとしたところなんですけれども、外国語の表記で外国籍の方もどうぞというようなことがあるだけでも随分違うのかなというふうに思っております。
また、そういった情報が、先ほど臂市長からも、企業からというふうにお話がありましたけれども、実は、自治体からの通知をなかなか外国籍の方は見ていただけない、そういう問題がございまして、先ほど、特区の中で、企業さんへの立入検査の同行をしたいということの中には、そういったことをきっかけに、こういったこともありますよということを直接外国籍の方にお伝えする機会もできるのかなというふうに思っております。
群馬県としましても、いろいろな形で多言語のものは用意したいと思っていますけれども、なかなか、国数が非常に、百か国を超える方々の必要な言語で用意するというのもできませんので、何かいい方法がないかなといつも考えているところです。是非取り組んでいきたいと思います。
以上です。
○結城恵君 ありがとうございます。
今、ちょうど地域日本語教育の話が出ました。
私も文化庁の地域日本語教育のアドバイザーでいろいろな地域に行っていて、私自身も、ここにいらっしゃる糸井会長さんとも一緒に、太田市で地域日本語教室を開いているんです。
いい例があるのでお話ししたいと思います。ちょうど机上にこれを配らせていただいていると思うのですけれども、これの防災版を御覧ください。何か頭巾みたいなのをかぶっている絵なんですけれども。
日本語教室というと、日本人が外国人に教えてあげるみたいな印象を持ちますよね。でも、地域日本語教室というのは、日本語がツールなんだけれども、誰が先生であっても構わないんですね。それがすごく面白かったのは、これは台風十九号のもので大分前のものなんですけれども、五ページを御覧ください。
これは本当に行政の方も一緒にいてくださったら面白かっただろうなとすごく思ったんですけれども、大雨が降ったときにいろいろな通知が出ますよね。それで、警戒レベル四で全員避難みたいなチラシも出ているじゃないですか。でも、これは、外国人の人たちにどうと言ったら、意味が分からないと言っているわけですね。
テレビを見た方がいいよとか、私もNHKの視聴者会議に行ったので、是非ポルトガル語を出してくださいとかと言ったら、出してくださったこともあって、テレビを見ようねとかと言ったりしたんですけれども、そもそもテレビを置いていないとか、見ても、この画面がなぜ危険なのかが分からない。さらに、うちのそばで雨が降っているけれども、このテレビの雨が降っているところがどこか分からない。そういうふうな状況にあるんだというのを聞いて、初めて、それを踏まえて情報発信やいろいろな支援を考えなきゃいけないんだなというふうに気づかされていくわけです。
それで、次のページを見てみると、では、みんなでもう一度、みんなで一緒に知恵を集めて考えてみようという感じになるわけですね。そういうふうにしてディスカッションしていると、この冊子を、実は留学生が主体的に、自分たちが地域の人たちにプレゼントしたいということで、いろいろ調べて、外国人目線で情報発信をしたり支援をすることはいかに大事かというのを示してくれたもので、私にとっては宝物なんですね。
そういうふうに、これからの関係づくりは、日本人が教えてあげるとか企画するじゃなくて、いろいろな多様な人たちとニーズを出し合いながら、知恵を集め合って、共につくっていく、先ほどおっしゃっていましたけれども、共創というところですね。そういったところをしっかりと埋め込んでいくということが求められていくのかなというふうに実感いたしました。参考になれば幸いです。
○日下委員 ありがとうございました。
どういうことをされている人たちか分からぬと地域住民の方が思われるのも確かだと思うんですね。私、今日、実際に三人の若者と接して、何て真面目な、真剣に取り組む姿というか、若いというのはいいなというか、日本人と全く一緒ですね。かわいいなというか、何とか育ってもらいたい、そういう思いがやはりするんですね。
だから、地域住民との接点というか、そういうのをいかにつくっていくか。個人的な目線で見て本当に優秀な、言葉が分からないので、何か本人たちもたどたどで、こっちの聞き取る方もなかなかしんどいということで、一つの大きなハンディキャップになると思うんですけれども、それを除いたら、もしこの人たちが流暢な日本語でしゃべれたとしたら、全然また見る目が変わってしまうんじゃないのかというふうに思ったりもしました。しっかり地域との交流を進めていけるように頑張っていきたいというふうに思っています。
次に、これは群馬県の新井部長にお尋ねしたいんですけれども、群馬県は、多文化共生・共創実現のための国家戦略特区提案、先ほどございましたが、国に提出し、国家戦略特区に係る申請を行っていますが、その経緯や狙いは、狙いというかメリットはいかなるものかというのが一つです。
もう一つは、先ほど技能実習機構と共同で実地検査、改善命令等の実施を目指して申請をしているということをお伺いしましたけれども、具体的にどのような課題があってそのような申請をしたのか、それによってどういうふうなことが得られるのか。その辺、ちょっと説明をお聞きしたいと思います。
○新井薫君 この特区の申請については、実は、県職員の政策プレゼン、知事に対してプレゼンしたことが元々のきっかけでございました。
先ほどちょっと申し上げた群馬県の課題の中に、外国人の犯罪割合が多い、その一方で、多文化共生、共創を実現したい、その相矛盾するところをどのようにするかというところで、まずは、ルールを守って活躍していただくためには、受け入れる企業に適切な雇用をしていただく、また、働く外国人には必要な支援が届くようにしなければいけない。その思いがあって、今回の特区申請をしたところでございます。
情報提供がなぜ必要かというのは、本当に我々は、どこの企業さんに、例えば三進工業さんですと多文化共創カンパニーを認証しておりますので、何人いらっしゃるというのは承知しているところなんですけれども、そういったところがないと情報がございません。
先ほど、たどたどしい日本語と。では、どの言語だったら読みやすい資料なのか。そういった情報がないものですので、まず働いている方にちゃんと情報を届ける、そのためのベースとしての情報共有を求めているところです。
実は、立入検査については、今相談している中ではなかなかハードルが高いというふうには聞いているところなんですが、立入検査の権限をいただきたいというわけではなくて、同行していくことで、先ほどお話があったようなことを、実際にこんなイベントがありますよ、こんな日本語教室がありますよ、こういうスポーツ大会がありますよ、是非参加してくださいということを伝えられます。
外国籍の働いている方が、企業さんは自分たちのことを思ってやってくれるんだけれども、これはちょっと困るんだよね、実はちょっと悩んでいるんだよねということも聞き出せるのではなかろうか。又は、本当にこういう指導でいいのかと困っている企業さんに対して、こういうこともありますよね、こういういい事例がありますよね、そういうことも伝えられるのではないか、そういうふうに考えているところでございます。
ちゃんとしたお答えになっているかどうか分からないんですが、そんな思いがございますので、どうかよろしくお願いいたします。
○日下委員 ありがとうございます。
それでは、糸井陳述人にお伺いしたいんですけれども、これまで、一九九五年に立ち上げられてもう三十年近くたっておりまして、さっき様々な数値についても教えていただきましたけれども、外国人の皆さん、来られた方々、特に大泉町は二〇%の割合で外国人の方がいらっしゃって、これは日本でも本当にトップクラスというか、これからの社会を見据えた上では先進地でもあると思うんですね。
そういった意味で、これから外国人材の受入れがどんどん進んでいく中で大変参考になる取組だと思うんですが、当初の受け入れたときから三十年近くたった今、どういうふうな変化が社会に、地域に、また受け入れられる外国人の方に起こってきたのか。また、これから先の課題についても御教示いただければと思います。
○糸井昌信君 お答えいたします。
おっしゃるとおり、九〇年の六月に施行になった入管法改正ですけれども、当初はやはり、資料にもあったとおり、出稼ぎという、日本でいえば出稼ぎみたいな扱いだったと思うんですね。本人たちもそうだったですね。
来た当時は、どのくらい日本にいるんですか、やはり短期間で帰るとか未定という回答が多かったんですけれども、徐々に、だんだん、今皆さんに聞くと、例えば、もう帰らないよと言うお子さんがいるし、親の方は、いや、帰るんだといまだに言う人がいます。恐らく帰れないんじゃないかなと思うんです。ですから、日系人の場合は本当に長期化する、これからも日本にい続けるのではないかと私は思っています。
やはり、先ほどから申しましたように、二世代、三世代の代になっています。いわゆる二世代効果、三世代効果、本当に格差社会、日系人の中の格差社会です。
それで、先ほど言ったように、お子さんが日本の学校に行って、小学校、中学校、高校、大学、本当に社会人として日本で立派に働いている方もいらっしゃいます。ブラジル人学校へ行って、すぐに帰るんだという考えで恐らくブラジル人学校へ行ったんだと思うんですけれども、結局、学歴は日本ではつかなくて、やはり親と同じような職業で働くような方、あるいは、単身で来た方も、地域ではそのままなじめないままで暮らしている方。
もう一つは、これからは高齢化社会の問題が出てきます。当初来たときは、彼らも長く見なかったので、健康保険とか、特に年金に入っていなかった方もいます。これからはそういった問題も出てくるんじゃないかなとは私は思っているんですね。
ただ、先ほど申し上げたとおり、地域に根差している方というのは多くいるんですね。例えば、私どもはこういった会報を毎年作っているんですけれども、この会報の編集や印刷をやってくれているのは、国籍でいうとブラジルの方なんですよ。我々の会とすると、本当に国籍に関係なくいろいろと自分たちの能力を生かしてくれる、そういった人材が多いということですね。
これからの問題とすれば、やはり高齢化社会の問題があったり、それと、職業についても、就くにしても国籍条項、大泉町長が国籍条項を撤廃するんだというような発言もありましたけれども、彼らを見ていると、将来の夢は何ですかと聞くと、消防士になりたいとか言う子供もいるんですよ。ただ、群馬県では国籍条項にひっかかるから無理かな、そんなことを思ったり、彼らの夢をやはりかなえてやりたいようなことも考えていきたいとは思っているんですけれども。
それと、技能実習制度でいうと、例えば、単身で来た方が家族帯同ができない。家族帯同はできないんだけれども、日本に来て恋愛関係に陥ったりして、いろいろと問題になっている方も中にはいます。だから、よく私は言われるんだけれども、人間が来るわけですよと。家族帯同がない、駄目なんだよ、結婚しても難しいんだよという話をすると、人間が来るんだよということをよく日系人の方に言われます。
ですから、そういった問題も、先ほど来、人権問題の話も出ていますけれども、なかなか難しい問題もあると思うんですけれども、そういった問題も一歩一歩、これから先、多文化共生のことを考えていくと、克服というか解決していかなければならない問題かなとは感じております。
以上です。
○日下委員 大変ありがとうございました。
以上です。
○武部座長 次に、鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介と申します。
今日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
私は、二十六年前にNHKの前橋放送局に赴任しまして、その頃、ちょうど結城先生が群馬大学にいらっしゃって、大泉町で増えていく外国人をどう管理していくかというところで、いろいろ御指導いただきながら取材をした覚えがございます。
また、今、境町はなくなってしまいましたけれども、あそこにモスクがたしかあったと思います、今もあるかどうか分かりませんけれども。あそこに多くの外国人が蝟集してきて、これをどうするのかという問題についても取材をさせていただいた覚えがございます。
二十六年たって、増えていく外国人をどうするかではなくて、減っていく外国人をどう残していくか。大きな問題のテーマが変わってきたなというところで、この歴史の一時代に一議席を預からせていただいている者として、しっかり意見陳述者の皆様の御意見をいただきながら政策を前に進めていければと思っています。
今何が起きているか端的に申し上げると、国際労働移動が起こっている中で、御案内のように、多くの国際労働市場での人権侵害はスキルレベルの低さから来ているという認識が今ございますけれども、例えば、今日伺った三進工業さんみたいに、プラスチック成形士といった形でスキルの見える化をすることによって、それは大きくカバーできることなのかなと思っています。スキルの形成というものを労働者の皆さんにいかに促していくかということが、今回、育成就労ということになるならば一番大事なことになってくると思うんです。
ただ、私が群馬県の太田市で取材させていただいた頃は、先ほど糸井参考人からもありましたけれども、どんどんどんどんブラジル人が来て、例えば、アマゾナス州の奥の方のちっちゃな自治体で日系人の偽造の出生証明書を作って、日系人と全く関係ない二世、三世と偽った人たちが日本に来る。つまり、日本語はしゃべれないし、日本の文化も理解していないし、普通にその辺にいるブラジル人をこっちにいっぱい連れてきた。今は少なくとも監理団体なり送り出し機関というものが絡んでいますけれども、そうじゃない人たちが直接日本に来た時代というのを結城さんと糸井さんは御経験されていると思うんです。
そこで、私がお二人に伺いたいのは、当時のブラジル人のスキル教育、言語教育、子供の教育もスキルだと私は思っていまして、当時、右も左も分からない、日系人かどうかも分からないような大量のブラジル人が町に突然来たときに、スキルに特化していただければと思います、どうやって彼らのスキルと子供たちの教育、ここに御苦労されたのかというところを教えていただきたいと思います。
○糸井昌信君 どうもお世話になります。鈴木さんを思い出しました。
大泉町に日系人が増えたのは、九〇年の六月の入管法の改正で急増するわけですけれども、子供を連れてくるわけです。初めは日系人が確かにおっしゃるとおり都会から来ました。サンパウロを始め都会から日本に入ってきたわけです。そのときは、日系人ですので、ブラジルでも日本人に近い生活をしていた方が多かったと見えて、日本語を結構しゃべっていた方、話せた方、理解できた方が多かったんです。大泉の場合には、中小企業ですから、先ほども申し上げたとおり、家族で経営しているような小さい工場に入ってきて、家族ぐるみで仲よく働いていたという光景はよく私も見ました。
お子さんの教育については、大泉の小学校では日本語学級が九〇年の十月に一番初めにスタートしているんです。六月に入管法が変わって、四か月後にはある小学校には日本語学級を設置した。なぜかというと、日本語がおぼつかないお子さんが増えてきたということだったと思うんです。徐々に増えてきて、町内全ての小学校、中学校に日本語学級が設置されてきたということです。
それとは逆に、今度は、おっしゃるとおり、ブラジルのいろいろな地域から日本に入ってきた方が増えてきます。そうすると、子供の不就学の問題が二〇〇〇年頃から出てきたかなという気がするんです。それで、結城先生もいらっしゃいますけれども、私と結城先生が中心となって子供の不就学問題を調査したことがあります。私も一軒一軒大泉町内の家庭へ伺って、お子さんはどこの学校へ行っていますかという調査をやったことがあるんです。その結果出てきたのが、この資料の中にもありますけれども、プレスクール。日本の学校に不安を持っている親御さんが多かったんです。日本の学校に入るといじめられるんじゃないかな、あるいは、日本語ができないと大変じゃないかなという親御さんが多かったものですから、それだったら日系人の方が中心となってプレスクール的なものを始めましょうということで、その当時からプレスクールを始めたという経緯がございます。
そうすると、今度は逆に親が日本語がついていけないんです。プレスクールを土曜日の午前中に、大泉町でいうと図書館で多言語サロンを実施していたんですけれども、そこにお子さんと親も来ていいよという話になって、親子で来て日本語を学ぶようになっていった。ですから、地道な働きかけといいますか、そういったことも大事じゃないかなと思います。
不就学の問題は結城先生の方から話があると思うので、私はその程度でよろしいでしょうか。
○結城恵君 御質問ありがとうございます。
今先生がおっしゃったように、国際労働力移動というところは子供たちに当時いろいろな影響があったと思います。親御さんが何かの加減で仕事が見つかった、じゃ、帰るよという感じで、学期の終わりとは関係なく急に帰るということで、学業あるいは一つの区切りのスムーズな移行ができなくなって、ひどいケースは、小学校や中学校を終える前に不就学状況になってしまう。特に、中学校を終えないでそのまま不就学になり、高校の学齢期になったというケースも非常に多かったんです。これはひとえに、国際労働力移動、親御さんの判断で子供たちが巻き込まれているなということはよく実感しておりました。
ですが、その後、親御さんが移動したくてもできないケースというのが、二十数年の間に幾つかの山があったように思います。その一つがリーマン・ショックです。もう一つはコロナです。このときに、親御さんがふっと帰ることができなくなっていたので、そこでどういうふうにするかということを考え始めたところから親御さんの職業選択も少しずつ変わってきたように思います。
例えば、リーマン・ショックのときには、いわゆるラインで働くことが難しくなりました。そうすると、親御さんもトラックドライバーになるとか介護の方に行くだとか、より安定性のある仕事に変わっていく、そうすると子供の教育に対するメンタリティーも変わっていくということで、少しずつ子供の進学率も上がってきたのかなと思います。そういった変化が見られたのがこの数年間の変化だと思っております。
これがよりいい形で、持続可能なような形で、親御さんたちにも啓発しながら、また、同じコミュニティーの中でそういった励まし合い、知恵を集めながら頑張ってもらえるような環境づくりに少しでもお手伝いができればと思っています。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
日系人の皆さんは定住者で取れていたので、すぐに転籍、仕事のチェンジができたと思うんですけれども、育成就労からだと永住権を取るために最低でも七、八年かかるという中で、これは臂参考人と新井参考人に伺いたいんですけれども、行政から御覧になっていて、外国人の転職というのは今どう見えていらっしゃいますでしょうか。どこからどこ、活発なのかそうじゃないかぐらいでも結構なんですけれども、どのような感じで見立てを持っていらっしゃいますでしょうか。
○臂泰雄君 先ほど新井さんからもお話がありましたけれども、そういった情報が自治体の方に入るかというと、全く入らない状況です。どんなふうに動いているかというのは全く分からない状況です。
ただ、今回のこともありますし、今まで産業界の皆さんには、伊勢崎が多文化共生を進める中で今どんな状況かというのを聞き取りをする中で、転籍が今までできなかったというところで人権侵害みたいな話が出てきていますけれども、それ以上に一番今地域で課題だったのは、不法就労、不法滞在、その不法に入った人たちが低賃金で、なおかつ様々な労働規制を外れて長時間労働をする。こういったことによって、地域の中での外国人材の評価というのは、三Kの現場でとにかく安く、やりたい放題できるんだというところのものが蔓延してしまっていることが一つ大きな問題だと思います。
技能実習制度の転籍ができないことがその原因だということで今回法改正されるわけですけれども、そういう部分を本当にしっかりやるならば、不法就労、不法滞在をまずは止めるということと、それから、正規で入ってきていただいている方にはしっかりルールを守っていただくこと、生活者として地域で住んでいただくこと、こういう当たり前のことは当たり前のようにやっていただくということが大事です。
その中で、確かに、初期投資というか、最初にいろいろな事務手続を含めて受入れをしたら、一年で次に行ってしまった。これについては、最初にやった様々な大変な思いが、簡単にほかに行ってしまう。そこに、例えば、うちは時間給で千円だけれども、千百円出すというようなところで、闇のブローカーみたいな人が暗躍されると本当に困るということで、幾つかの企業さんは、育成就労の制度にうちは入らない、特定技能で入れてくるような形のところで初期投資をしても、転籍が一年でできてしまうような状況だと困る、だからそこには入らないという企業さんもいらっしゃいます。
ですから、転籍が悪いということではなくて、転籍をするときにその初期投資の部分まで担保できるような補償をきちんと次のところがやるとか、移るときには監理支援機関がしっかり関わってくれるとか、そこのところを、制度としてしっかり考えられていますから、これを本当にしっかりそのまま適正に運用できるようにしていただくことが大事ではないかと思います。
まとまりがなくて申し訳ありません。
○新井薫君 転籍の状況はどうかということになりますと、情報がないということに尽きるんですけれども、考えるに、転籍ができない、ではどうするかというと、彼らが逃亡してしまう。それが不法滞在、不法就労につながっているのではなかろうかと思っております。
これも報道によるのですけれども、実は、派遣会社の方の話の中で、面接に来られた方の中に、一応パスポートですとか在留資格を確認して雇用するかどうかを決めるんですけれども、中にはもしかしてと思うような事例もあるという話も報道で見たことがございますので、実際にあるのではなかろうかと思っております。
実は、不法就労ですと社会保険に入れない、ですので派遣会社としても安価で雇用することができるというところで、もしかしたらほかの会社ではそんなことをやっているところもあるのではないかと取材に答えていたところがあったのを見た記憶がございます。
また、これはコロナのときの話になるのですけれども、ちょうど当時の前橋市長が話題になったのですけれども、コロナのクラスターが発生した、実は派遣社員がそのコロナの原因になった、派遣会社は太田市にあって、そこの派遣社員が住んでいるのは伊勢崎市だったという、たどっていくと分かるということがございました。
それもありますので、繰り返しになってしまいますけれども、我々としても、必要な情報はいただければなと。情報共有をしていただくといろいろな御支援も、自治体としてできることもあるのではないか、考えていけるのではないかと思います。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
先日、今クルド人が蝟集して話題になっている蕨と川口に行ってクルド人の皆さんともコミュニケーションを取らせていただいたんですけれども、結局、三十年前に大泉で起きていたこととほぼ同じことが今起きているような感じがしています。
時間がないので一言ずつ四人の参考人の皆さんにお伺いしたいんですけれども、東毛地区でこれだけ蓄えられた知見を全国でこれから起こり得るこういったところに活用していくためには、例えば、外国人集住都市会議みたいなものはありますけれども、今は昔と比べると活発にやっていることはないというような話も聞くんですけれども、この知見を生かすためにはどういう姿勢というか、どういうやり方があるとお考えになりますでしょうか。
○臂泰雄君 なかなか難しい問題だと思うんです。
ただ、地方自治体とすると、一つは、子供たちに対する教育という部分が大きな意味を持つと思いますので、教育委員会と、今ある伊勢崎で様々行ってきている学校教育の中でのノウハウは、いろいろお話をいただければできるだけ外に出せるようにしていきたいと思っております。
それと、今、伊勢崎は、SDGsに基づく共生という意味合いで、外国籍の方、障害のある方、男性でも女性でも、多様な立場、多様な考え方の方たちと共に生きるという姿勢で市政運営を行っているんですけれども、こういった様々な多様性、ダイバーシティーの部分と、外国籍の方も皆さん一緒だという包摂性、インクルーシブ、ここを入れたSDGsに基づく共生という考え方を強く広めて、市民の皆さんを含めて市内外に訴えていきたいと思っております。
今伊勢崎市がやっている先進的な取組は、課題もありますけれども、担当課で苦労して様々やっていただいていますので、この取組を外に広げることが大きな意味を持つと思いますので、そういった形で発信していきたいと思っています。
○糸井昌信君 こういった問題は、私はよく属性と呼んでいるんですけれども、外国人の方の国籍や在留資格によって地域で違うと思うんです。そこを画一的に持っていくのは非常に難しい問題である。私が先ほど来隙間産業と言っていますけれども、地域に応じた悩み事をその都度解決していかないと難しい問題かなと感じております。
先ほどちょっと思ったのは、コロナの話ですけれども、仮放免の方の情報が市町村には回ってこないんですね。我々は隙間産業ですから、SNSでワクチンを受けたい人を呼びかけたら、仮放免の人を含めて百人ぐらいが出てきたんですね。東毛地区で仮放免の人六十人ぐらいが受けられた、そういったこともあるんです。
ですから、情報共有というか、国からの情報を市町村に流してほしい。仮放免の人も受けられるんだよと言いながら、情報がないと実施できない。そういったこともあったものですから、皆さんでお互いに情報共有しながら進めていかなければならないかなという感じはいたします。
○新井薫君 先ほど来、情報共有をお願いしますと申し上げましたけれども、今の御質問に対して言いますと、群馬県の取組を是非国の方から情報を発信していただきたい。例えば、こういうことが困っています、こういう取組をしていますというのを発信していただくと、同じような悩みを抱えているんだな、こういうふうにすると自分のところも解決につながるのではなかろうか。
今、糸井会長がおっしゃられたように、地域の属性が違います。伊勢崎の取組と大泉の取組、太田の取組、前橋市もありますけれども、それぞれ違う取組があって、それぞれ合致する地域が全国にあろうかと思います。是非、群馬県の取組を皆様のお力をかりて発信していただければ、さらに、困っているので、いい知恵があれば群馬県の地にその知恵を寄せていただきたいということも併せてお伝えいただきたいなと思います。
また、学校教育の話がございまして、実は、群馬県内においても集住地域とそうでない散在地域で対処の仕方がかなり違っておりまして、市町村によってここの問題が今難しくなっています。
今までは集住地域の対応だけで済んでいたところが、散在地域にも外国人が増えてくる。そういう状況になったときに、外国語、日本語のサポートをする要員をなかなかつけにくい。そういった場合にはどうしたらいいのか。オンラインなり、何か特別なプログラムなり、そういったところの要請も出てきておりますが、まだ決め手となるような解決はございませんので、是非こちらについても全国から、群馬県はこんな課題を抱えているんだよ、こうするといいよという、いいお知恵をいただければと思いますので、どうぞ発信していただければと思います。お願いいたします。
○結城恵君 ありがとうございます。
私は逆に、徹底的に情報収集をして構造的な分析をしていくことだと思います。例えば、どういうふうな条件があれば群馬県での事例が成功事例につながるのか、どういう条件があればうまくいかないのかということを客観的に見ていくことが大事かなと思っています。そうでなければ、異なる条件のほかの地域にどういうふうに応用展開していくかというところは、こんなにやっているんだよというだけでは全然応用できないので、そこをつないでいくためにはやはり分析が大事かなと思っています。
自分も今年からチャレンジしてやるんですけれども、地方定着率が上がった留学生の就職促進ですが、今年から、人口減少が非常に似ている広島と兵庫、それから声をかけられた愛媛、この四地域で比較分析をしながら、どういう条件が整えば就職率が上がるのかというところ、ここはアカデミックの仕事だと思うんですけれども、そこをしっかりやって、行政や企業、関係者様に御提供して、いろいろな計画を立てていただければと考えています。
○鈴木(庸)委員 終わります。ありがとうございました。
○武部座長 次に、池下卓君。
○池下委員 日本維新の会の池下でございます。
本日は、参考人の皆様には、お忙しい中をお越しいただきまして、ありがとうございます。
本日最後の質問者ということでございまして、重なる部分もあるかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
あと、私、今朝から風邪を引いてしまいまして、鼻声で聞きづらい点もあるかもしれませんが、御容赦いただければと思います。
それでは早速お伺いしていきたいと思うんですけれども、最初の質問は、各分野の皆様がいらっしゃると思いますので、それぞれの分野の方から皆様にお伺いしたいなと思っております。
まず、今現在、我々の法務委員会で質疑されている内容といいますのが、技能実習というものに代わりましての育成就労、入管法、この二法について審議している最中ですけれども、東京で委員会をやっている最中にも同じような質問を他の委員の皆様からされているわけなんですが、新聞や報道では、今回の法律につきましてシークレット移民政策ではないかとか、若しくは、政府の方に移民というものに対してどう考えているんですかという質問をほかの委員がされたところ、日本では移民という定義はないんですよ、移民は考えていないんですよ、こういう答弁が法務省の方から返ってくるわけです。
しかしながら、国際的には、移民というのは何ですかとインターネットでやりますと、ある一定程度母国から離れてお住まいになっていたらこれは移民であるというサイトがありました。例えば、留学生でも数年いるわけですから、そういう扱いになるかなと思うんですけれども、一方、日本政府は頑としてこういうものを認めてこないわけです。タブー化しているという点も非常に私は心配かなと思っております。
一方、日本で、群馬県を見てもそうなんですけれども、何年にもわたって外国人の皆様の人口は増え続けている。これは仕方がないものだ。これを受け入れていくには日本としてどうしていくのか、これを建設的にやっていくことが必要であるかなと思います。
では、どうしたらいいのかといいますと、今まで皆さんが言われているように、外国人の就労者に対して余りに安い賃金で働いてもらうということは駄目ですし、外国人の人権もきっちり守らないといけない。一方、日本の国として受け入れ難い人材を受け入れるというのも難しい。先ほどからもありましたように、犯罪を犯す人であったり、公租公課を納めない人であったり、そういう方はおやめいただきたい。一方、日本に経済効果をもたらすような人材はどんどん入ってきていただきたいと思っているわけなんです。
今日の糸井参考人の資料にもありましたように、永住者が三八・一%、定住者が約三〇%、特定技能や技能実習は数%程度。また、外国籍の方も、ブラジル人、ペルー人、インドネシアの方、いろいろな方々がいらっしゃるかと思いますし、当然それぞれに問題が違うと思っております。
今日ありました教育の問題、今日、三進工業さんに行かせていただいたら、実習生同士で結婚したり恋人になったり、いずれ子供が生まれたりするかもしれませんし、外国人の方も、今は若いかもしれませんけれども、いずれ高齢になっていくとか、そういういろいろな問題があると思います。
私は、今後の外国人の受入れの在り方の大きな方向性を、いろいろな委員さんからもありましたけれども、外国人基本法みたいな形で国として法律を定めた上でやっていかないと、自治体の長もいらっしゃいますし、民間のボランティアの方もいらっしゃいます、学校の先生の方もいらっしゃいます、そういうところでは法律というものが非常に大事かなと思うんです。
皆さんにまずお伺いしたいのが、外国人基本法、仮称ですけれども、そういうものが必要であるかどうか、また、それぞれの立場からどういうことを盛り込んでいったらいいのかということを皆様の御知見からお伺いしたいと思います。
○臂泰雄君 御質問ありがとうございます。
今の基本法の話は、外国人集住都市会議でも議論になっているところであります。統一的に全体で話が出ているわけではないということではありますけれども、しっかり国として一つの方向性を示していただきたいというのはあります。
ただ、それはあくまでも国の議論ということで、地方自治体とすると、先ほども言いましたけれども、地方の地域経済をしっかり支える人材として、今、外国人材がいなければ多分伊勢崎の産業は成り立たないというところまで来ているということが一つ。
それから、太田、大泉もそうですけれども、伊勢崎もブラジル、ペルーの方がかなり長いこと定住されていて、永住されていて、一つの文化として根づいているということがある。
それから、何よりも、これからの外国人材の方たちは、いろいろな立場であっても、先ほどから何度も言っているように、生活者としてこの地域に住んでいるということで、我々地方自治体とすると、生活者の方々のある意味で人権を守りながら福祉の向上を目指すということに尽きるんだと思います。
そのためには、入ってきていただいた方たち、今住んでいる方たちには、きちんと日本の法律、ルール、生活習慣を学んでいただきながら、守っていただきながら、納税の義務から何からそういうことをやっていただきながら、そうやって増えていく方たちと我々日本人、地域で住む方たちが本当の意味での共生ができるような、お互いの文化のぶつかり合いの中で、一緒にただ住んでいるということではなくて、本当にぶつかり合いながら新しい文化をしっかりつくっていくところまでやっていかなければならないというのが地方の我々の仕事だというふうに思っております。
移民政策云々というところは国でしっかりした議論をしていただきながら、そういう中で基本法の制定等を考えていただければありがたいと思います。我々のところでは、外国籍の生活者の方たちと共生する、こういった施策をしっかり進めていきたいと思っているところです。
○糸井昌信君 お答えいたします。
外国人法あるいは外国人庁、省庁をつくれという話は、先ほど臂市長からもお話がありましたけれども、外国人集住都市会議で何度も出ていることです。特に、明治大学の山脇先生は、早く外国人庁をつくってほしいという要望もしているようです。ただ、移民という言葉の言葉尻を捉えると、確かに国を離れて移動する人は移民なんですね。では、移民政策とは何か。私もその辺のところは学者ではないのでよく分かりません。
今、日本の労働力が足りないから技能実習生を入れます。ただ、技能実習生というのは目的は社会貢献なんですね。国際貢献という言葉が入っている。果たしてそうなのかなという気もしないでもないです。
そういった具合に、例えば、生活に困った、生活保護をもらいたいというところを、外国人の方に生活保護を出しているところと渋っているところ。これはなぜかといったら、法律で決まりがないからです。私の知るところでは、憲法はもちろん国民はという出だしで始まっています。法律の中にも、外国人はという法律はほとんどない。恐らくないんじゃないか。私は法律家でも何でもないんですけれども。
要は、労働力の問題にしても社会保障の問題にしても、なし崩し的に行っているのが地方自治体の現状ではないかなと思うんです。移民政策とかそういったものがきちんと出されれば、先ほどから出ている日本語教育についても、国としてこういったものが基準ですよというある一定の基準を出してもらわないと、今、学校教育の場でも皆さん手探り状態でやっている。伊勢崎市さんもそうだと思うんです。太田市もそうです。大泉もそうです。学校の現場の先生が手探り状態で行っていることが多いと思うんです。
ですから、そういったものを一つずつ解決していくには、外国人法あるいは外国人庁というきちんとした柱を国で設けてもらう。移民政策がどうのこうのではなくて、そういった柱を国として設けてもらうことが大事かなと私は思っています。
以上です。
○新井薫君 今、地方は、外国人基本法がなくても対応せざるを得ないので対応していますということで、実は、その法律ができることでどう変わるのかというところがイメージできなかったものですから、何が必要か、何を盛り込むべきかということに対しても的確なお答えができかねるかなと思っています。
多分、本来はそういったものがあって、その上で地方でいろいろな取組をするというのであれば考え方は違うんでしょうけれども、ない中で、先ほど手探りでというふうに糸井会長からもありましたけれども、やってきてしまっているという中で、これができてどう変わるんだろうかという思いは一つございます。
また、移民という言葉にアレルギーを起こされる方もいるということで、実は、山本知事は県職員の国籍条項を撤廃したいという方針を出されているんですが、それに対する反対意見が多くて、なかなか踏み切れないでいます。もちろん、公権力の行使というのは国籍条項を撤廃したとしてもできない。既に先行して実施している自治体はあって何ら問題がないにもかかわらずです。実は反対する県民の方が非常に多い。
その中では、反対する人が多くて気持ちよく受け入れてもらえないのであれば、これを強行するのは得策ではないというのが山本知事のお考えでございまして、それを考えますと、今の移民政策、移民とは何ぞやという話と不可分になろうかと思いますけれども、そちらがきちんと整理されない中では、必要とも不要ともなかなかコメントしづらいかなと思いました。
以上でございます。
○結城恵君 御質問ありがとうございます。
私は論点を二点考えております。
まず第一点ですけれども、今、新井部長さんがおっしゃったことにすごく共感するんですけれども、私自身も出入国在留管理庁に関わっている仕事として、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策並びにロードマップで、各省庁がどのような取組を進められているかという評価とアドバイスを担当させていただいているんですけれども、そこにも非常に明確な三つの理念があって、国としてきちんとした方向性を定めているなということは実感しています。
ただ、問題は、それは省庁向けにどうするかという内容でございまして、国民に対してどうなのかというところは、今、自治体レベルでいろいろ行われていると思うのですが、国がどう考えるかというところをよりイメージしていきながら、幼児期から大人まで、そういったことをしっかり考えて共生社会をつくっていくことが必要かなと思います。
その際に、先ほどから外国人法という名称が出たりするんですけれども、それでいいのかと思ったりします。なぜならば、今日の私の意見陳述にもありましたように、この問題は外国人だけを取り立てて考えるものではなく、それを推進していき受け入れていく日本人住民にとっても責任なり覚悟が要ることです。ですから、そういうことを通して対話を重ねていくことがとても大事で、そういったことを根幹とする基本法みたいなものができるのは私は賛成かなと思っています。
二点目なんですけれども、改めてこの制度見直しのイメージ図を今お話を聞きながら眺めていたんですけれども、今の社会情勢は別にして、考えるのは自由なので、こんな考え方もできるのではないかということで、一つ御提案です。
ここへ来る前にいろいろ調べたんですけれども、何で外国人の人たちが日本に来るのかな。留学生に聞いても、科学技術は日本がナンバーワンと言ってくれていた時代はいいんですけれども、今それがちょっと陰りが出てきた。でも、日本は安全ですよねとすごく言われるんです。危険を余り感じないで過ごせるというのは、南米諸国の方々も口を合わせておっしゃるところです。
そうだとすると、外国人を受け入れるというところで、この日本では安心、安全に、本当に夢がかなうような受入れ方をするというブランドをつくってしまうのはありかなと思いました。例えば、近隣のアジア諸国でもそういう取組をしてうまくいっていない事例がたくさんありますね。日本は、牛歩の歩みかもしれないけれども、しっかりとそこを考えてブランディングできる。
そういうふうなことを考えると、この図も、長い道のりかもしれませんが、見方を変えれば、外国人の人たちに、本当にそれでいいのとしっかり考えてもらう、それで、覚悟が出たんだったら永住権まで行くとか帰化まで行く、そういう問いかけをしていくという仕組みも一つあるのかなと思いました。御検討いただければ幸いです。
○池下委員 ありがとうございました。
私も、今日も先ほど午前中に三進工業さんに行かせていただいて、実習生の方に、先ほど質問にあったんですけれども、休みの日であったり仕事が終わった後、コミュニティーの方とサッカーをやっているというお話がありました。地元の日本人の方々と交流していないんですということを言われたので、法律を作るにしても、外国人の方だけではなくて、受け入れる、一緒に住む、まさに共生する日本人側の理解を促進していくものにしていかないといけないと思いますし、基本法なりなんなりを作ることによって、将来的に、基本法はあくまで基本法ですから、そこからの財政措置であったり予算をつけられるということがありましたら、当然、基礎自治体であったり地方公共団体に対して有利になるようなものができるんじゃないかと個人的には思っておりますので、またアドバイスがありましたらよろしくお願いしたいと思います。
時間がなくなってきましたので、もう一問だけさせていただきたいと思うんですけれども、糸井参考人と結城参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
今日も日本語教育のお話がたくさん出ました。実習生の方だけではなく、これから永住者の方も増えてくると、お子さんであったり、途中で家族を呼ばれたりすると、成人になってから日本に来られる方もいらっしゃいますし、いろいろなライフステージの中で日本語教育というものを受け入れていかなければならないし、日本人側もお伝えしていかなきゃいけないという形になってくるかなと思うんです。
今日いろいろお話をいただきました。ブラジル人学校のお話もありましたけれども、日本の学校教育法の範疇にある学校ではありませんので、専修学校扱いになってしまいますので、補助金も全部日本の小中学校と一緒になりますかというと、今は難しいかなと思うんですけれども、改めて、学校教育に関しましてどうあるべきなのかということをお伺いしたいのと、もし御存じだったらでいいんですけれども、海外でも同じようによその国の方が国に入られて定住されていくということは多分にあるかと思うんですけれども、海外でこういう事例はこうやっているんだよということがありましたら御見解を述べていただければ幸いに思います。よろしくお願いいたします。
○糸井昌信君 子供たちの教育についてですけれども、問題は、日本に入ってくる年代が違うということがまずあります。
それと、最近多いのは、アジアの方々は自分の国で義務教育程度が終わって入ってくる方もいるんです。日本の学校制度は、九年間義務教育が終わっていれば日本で高校受験ができますよと文科省は恐らく言っていると思うんですけれども、ところが、八年間で終わってしまう義務教育の国があったり、そういった子供たちが日本に入ってきて、私が接したのは、国籍は日本で日本人なんですけれども、日本語教育が云々ではなくて、日本に来て教育の受けようがないという場合もありました。ですから、教育全般のことを見ると非常に奥が深い問題があるんです。
それで、俗に言う民族学校、例えば、海外の日本人学校というのは、現地の日本の駐在員さんがつくった学校があったりして、日本の駐在員の子弟さんが入っていたりする。ない場合には、例えばアメリカでは補習校というところに行って日本語を学んだりしている。その国が責任を持ってその国の子供を教育している例はあるんですね。例えば、ブラジルもそういったようにブラジル政府が責任を持ってブラジル人の子供を教育しているかといったら、そうではないんですね。やはり経済的にも難しい問題があったり。
ですから、日本の義務教育というのは、はっきり言うと、日本の小中学校というのは日本人をつくるための学校であると思うんですね。その学校に外国籍の子供を当てはめていくというのは無理があるのかな。その辺のところをフレキシブルに考えられる学校も必要ではないかなと私は感じています。
以上です。よろしいでしょうか。
○結城恵君 ありがとうございます。
日本語教育については、自分も文化庁の事業に関わっていたりするので、こういうことを言うのはどきどきするんですけれども、やがて日本語教育をそんなに一生懸命やらなくてもいい時代はもう来始めているのかなというふうに思っています。こうやって眼鏡をかければちゃんと翻訳して見えるとか、イヤホンをつければ完全に通訳が入るとか、そういう時代はもうそこに来ていると思うんです。自分も情報学部の教員なので、データサイエンス、プログラミングでそれは可能であるし、既にテレビの宣伝でもやっていますよね。
そうなったときに、言葉というのは何なのか、コミュニケーションとは何なのかと考えたときに、ストレスフリーで異なる国の人とコミュニケーションを取るとします。そうすると、価値観も違うし、主張する順番も違うし、表現方法も違います。留学生とやっているとずっとそれは感じます。そうすると、自分とは違うとか、何か違和感を感じるなと、いらいら、もやもやしながら聞いていては、幾ら言語が、日本語がスムーズでも、英語がしゃべれるようになっても、中国語がしゃべれるようになってもそこは解決しません。
ですから、言葉という手段の奥にある相互理解、相互尊重とか、違うことを面白いと興味を持って考えるとか、それを次に面白く生かしてみたらどうなのかなという遊び心、そういったことのトレーニングがこれから必要になると思います。
今度は海外の場合ですけれども、私は、実はアメリカでトレーニングを受けて幼稚園の免許も持っているんですけれども、要するに、移民の国でもあります。マグネットスクールからオープンエデュケーション、いろいろ見ましたけれども、オーストラリアのケースも見ましたけれども、共通していると思うのは、体験を先にさせて、そこから後で言葉がついてくるんです。だから、先生は先に日本語とか英語を教えないんです。何かをやりながら繰り返し繰り返しキーワードを伝えていって、これは摩擦ということだったんだとか、遊びながら摩擦という格好いい言葉を覚えて帰る、自分は偉くなった感じでお父さんとお母さんに伝えるみたいな、そんな世界観を見てきたように思います。そういったことは、ひょっとしたら日本語教育とか外国人の学びじゃなくてもいろいろ通じるところがあるのかなと思ったりして、今思い出しました。
○池下委員 ありがとうございました。以上になります。
○武部座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
意見陳述者の皆様方におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。
本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。
また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
これにて散会いたします。
午後三時三十五分散会
―――――――――――――
派遣委員の宮城県における意見聴取に関する記録
一、期日
令和六年五月十三日(月)
二、場所
仙台国際ホテル
三、意見を聴取した問題
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出)について
四、出席者
(1) 派遣委員
座長 牧原 秀樹君
稲田 朋美君 土井 亨君
山田 美樹君 鎌田さゆり君
道下 大樹君 阿部 弘樹君
大口 善徳君 本村 伸子君
(2) 意見陳述者
宮城県農業協同組合中央会代表理事会長 佐野 和夫君
萩協同組合代表理事 千葉 憲治君
宮城県社会保険労務士政治連盟会長 須田 直樹君
福島大学行政政策学類教授 坂本 恵君
(3) その他の出席者
法務省大臣官房長 佐藤 淳君
――――◇―――――
午後二時三十分開議
○牧原座長 これより会議を開きます。
私は、衆議院法務委員会派遣委員団団長の牧原秀樹でございます。
私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。
内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案並びに階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案の審査を当委員会では現在行っているところでございます。
本日は、各案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、当仙台市におきましてこのような会議を催させていただいているところでございます。
御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いを申し上げます。
それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。
なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
まず、派遣委員は、自由民主党・無所属の会の稲田朋美さん、土井亨君、山田美樹さん、公明党の大口善徳君、立憲民主党・無所属の道下大樹君、鎌田さゆりさん、日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部弘樹君、日本共産党の本村伸子さん、以上でございます。
次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
宮城県農業協同組合中央会代表理事会長佐野和夫君、萩協同組合代表理事千葉憲治君、宮城県社会保険労務士政治連盟会長須田直樹君、福島大学行政政策学類教授坂本恵君、以上四名の方々でございます。
それでは、まず佐野和夫君に御意見をお述べいただきたいと存じます。
○佐野和夫君 JA宮城中央会の佐野でございます。
ちょっと喉を痛めておりますので、たまに聞きづらい点があろうかと思いますけれども、その点は御容赦願いたいと思います。
本日は、このような場で発言する機会をいただきまして、大変感謝を申し上げる次第であります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
外国人技能実習制度及び特定技能制度については、本県の農業現場においても、技能実習制度では人材育成における国際貢献に資するとともに、特定技能制度では農業現場における一定の労働力の確保に資する等、両制度の趣旨、目的に沿った形で幅広く活用されているものと認識いたしております。
本県の外国人労働者数は、宮城労働局、外国人雇用状況の届出状況まとめ、今年の一月二十六日付のプレスリリースでは、五年十月末現在で一万六千五百八十六人、前年度と比較して一二・二%程度増加いたしております。うち農業における外国人材は二百四十三名と、他業種と比較すれば多くない状況です。耕種、畜産関連農業法人での活用が主であると認識いたしております。とりわけ本県は、稲作、畑作、畜産が盛んな県でありまして、これまで以上の制度活用への期待と、改正法による農業の発展可能性についても大いに期待しているところであります。
今般、政府・与党においては、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告を踏まえ、両制度の見直しに係る政府方針が示され、現在、国会で法案審議がなされているものと承知しているところであります。
こうした中で、今回の制度見直しが、私どもの農業、持続的農業生産に資する制度として確立されるよう、期待を込めて意見を申し上げさせていただきます。
新たな制度全般については、初めに、全世界的に労働者不足の長期化する中、国際的課題である人権尊重、人身取引の防止、強制労働の防止に対応し、農業のみならず、外国人材から日本が選ばれる人材育成、労働市場として、政府、各業界団体が一体となり取り組むことが必要だと感じております。このため、新たな制度においても、最大限人権に配慮されるよう、制度設計や運用の徹底を行うことが必要であると感じているところであります。
技能実習制度の見直しについては、制度目的が変わりますが、外国人材のキャリア実態等を踏まえ、新たな制度目的である人材育成、確保を実現できる制度体系とすることが必要であると考えます。また、特定技能制度の見直しについては、外国人材が求めるキャリアアップを図りながら、農業労働力の確保に資する制度体系とすることが必要だと思われます。
このため、JAグループとしては、外国人材に選ばれる農業の職場をつくるために努力をいたしますが、我々の力のみでは解決できない課題が多くあります。よって、新たな制度においては、これまで同様、国、地方自治体が主体的な責任をしっかり果たし、受け入れる外国人材と地域住民が安心して共生できる総合的環境づくりを行っていただくことが重要だと思っております。
例えば、国、自治体の役割では、行政サービスの多言語化の促進をさせて、交通、生活インフラなど外国人材の生活利便性の向上に取り組む必要があります。また、受入れ側だけに任せられがちな近隣住民との交流の場を行政側が創設していただくことも、安全、安心な共生社会に結びつくものと思っております。是非ともよろしくお願いをいたします。
監理団体、送り出し機関については、監理団体の許可要件等の厳格化に当たっては、早期に具体的な要件を明らかにするなど、現場の不安払拭に努める必要があると思われます。
また、送り出し機関については、入国を希望する受入れ側が優良な送り出し機関を比較検討しやすいよう一覧等の公開を行っていただき、送り出し機関の運営についても、二国間協定に基づき、外国人材に不利益が生じないよう、新たな制度においても必要な措置を講じる必要があると思います。
今回の制度改正によって、現行制度に基づく外国人材や監理団体、受入れ機関等に新たな負担が生じるなどの不利益が生じないような配慮をお願いをいたします。
転職の在り方についてでございますけれども、やむを得ない転職については、受入れ機関の信用に関わるため、転職理由の範囲を明確化し、事実認定は厳格化する必要があると思います。
受入れ初期費用の分担については、不公平が生じないよう、基準の明確化や実効性について十分な配慮が必要だと思われます。
国、地方自治体については、外国人材の方に日本語能力の向上をしていただくことが重要でありますので、外国人材本人及び受入れ側関係者の日本語能力の向上等の取組に係る負担軽減などの配慮が必要だと思われます。特に、国若しくは地方自治体が外国人材に対して必要な経済的給付を行うなどして、多くの外国人材に入国チャンスが広がるよう、日本語能力の向上について配慮する必要があると思われます。
また、入国後の日本語講習については、個人の能力差や勤務形態等の違いのほか、農村地域からの認定日本語教育機関への通学が困難であることなどの事由を生じることから、Eラーニングや双方向性のあるウェブ研修など、多様な教育手法が認められる制度体系を整備する必要が重要だと思われます。
失踪者対策を強化するため、失踪者と関係者の厳罰化、不法就労や不法滞在した者及び不適切な行為を助長した者への厳罰化、悪質ブローカーを排除する仕組みの構築が必要だと思われます。
また、年金制度の見直し検討を行う際には、外国人材に支給される脱退一時金の在り方について検討する必要があります。外国人材の労働者としての権利性を高めることに結びついていくものと思っております。
地域間、産業間格差については、均衡ある地域発展のため、まずは地域間及び産業間格差に配慮した制度体系となることを切にお願いしたいと思います。
農業は季節性などの産業特性に特徴があるため、勤務、雇用体系の検討に当たっては、在籍出向、農作業請負、派遣形態などの受入れを可能とする必要があると思われます。
また、新たな制度導入に当たり、外国人材のキャリア形態及び受入れ側関係者の経営指針が判断できるよう、十分な周知を図れる移行期間を確保することが必要と思われます。
最後に、県内の農業法人からの意見、要望についてでございますけれども、今回のお話をいただいてから、受入れ実績のある県内一農業法人代表に、制度改正に係る意見、要望の聞き取りを行いました。
今回の改正内容は、外国人就労の現場実態に合った法改正になっているため、基本的には賛成との所感でありました。また、今後想定される現場課題、要望として三点をいただきました。
一点目が、外国人実習生を就農させるまでの初期費用の負担についてです。
就農させるまで渡航費用、研修費用等の初期費用が発生している関係から、短期間での転籍が発生した場合、費用負担は転籍前の受入れ者、農業法人のみが全額負担することになるのは不合理ではないかという課題であります。
監理団体、組合の機能強化や費用負担軽減についてです。
外国人材の日常管理やトラブルの回避、人材更新、短期派遣等の適切な対応を図るためには、監理団体、組合の多面的な機能発揮、品質向上、信頼確保が欠かせないことから、その機能強化が必須であり、加えて、団体への会費、組合費についての負担軽減を講じてほしいとの要望であります。
生活環境整備についての支援であります。
外国人材の本人意思によって短期転籍が可能となることから、賃金条件のよい職場、受入先への転籍が起こり、賃金水準の比較的低い地方部においては、結果的に人材確保が困難な状況の懸念が想定されます。例えば、本県から茨城とか群馬県への転籍が考えられるということであります。
安定した雇用人材を希望していることもあり、この賃金格差による転籍を抑制する手段としては、生活面における環境対応、住宅の確保、自転車の貸与などが有効と思料されることから、地方、中小規模法人向けの生活環境整備に係る支援をお願いしたいというものであります。加えて、行政のしっかりとした関与を期待しておられました。
以上、私からの説明であります。
以上、終わりにいたします。よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
○牧原座長 ありがとうございました。
次に、千葉憲治君にお願いいたします。
○千葉憲治君 皆さん、こんにちは。萩協同組合の代表理事を務めております千葉憲治と申します。
今日は、この公聴会に参加して、有益な議論を行えることを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。
当組合は、建設業、食品製造業、機械金属業、養殖業などの幅広い業種の事業者四十五社で構成する、仙台市内に事務所を置く監理団体です。組合員は、秋田県を除く東北一円におります。当組合員のことだけではなく、東北全体の地域産業の存続への危機感から意見を申し上げる次第でございます。
東北六県では、少子高齢化の影響を受けて、地域農業、漁業の第一次産業、水産加工、食品製造、被服縫製や造船、建設等の第二次産業、介護、医療などのサービス業など、中小企業を中心に人材不足が深刻な状況にあります。
技能実習生は、送り出し国、受入れ企業などの様々な側面から課題が報道されていることは承知しておりますが、それでもなお、人材不足を補う有効な選択肢の一つとして技能実習生の受入れをしております。
技能実習に対する世間のイメージの悪化は承知しておりますが、当組合の肌感覚からしますと、法令違反、ハラスメントなどはごく一部の事例で、当組合の組合員は技能実習生に対して懇切丁寧に接しております。また、日本人従業員雇用に対する、多額のコストをかけて技能実習生を受け入れています。
監理団体の現場としては、備付けの帳簿の確認と指導、労働法の説明、法改正時の周知等を行うことで、技能実習生を受け入れる前よりも、各法令を意識し労働環境を改善している企業がいるというよい面も心にとどめていただければ幸いです。
しかし、法令を遵守しない一部の企業が世間の技能実習制度あるいは実習生に対するイメージの悪化を招き、最終的に、今般の技能実習制度の廃止、育成就労制度の創設につながっているのだと認識しております。
技能実習生の確保は、受入れのための諸条件が複雑で、受入れ企業にとっては、よい人材を安定的に確保する手段として必ずしもベストな方法ではないと考えています。同時に、日本人採用が困難なので、やむを得ず外国人を採用するという理由で技能実習生受入れに踏み切ることが多いと思います。日本人を採用するよりも高コストであることも多く、ほかに方法は見つけることができないためです。最後の手段として技能実習生の採用にたどり着いています。
しかしながら、人口減少社会、都市部に比して地方の産業の担い手不足は深刻、現在は外国人技能実習生がその多くを担っています。技能実習生に代わる育成就労制度においても、地方中小企業がその制度を利用できるかどうか、持続的経営において切実な課題となっております。
最後になりますが、監理団体として、要望が七点ございます。
一つ、入国時の住民登録について。
入国時の講習は約一か月かかりますが、二週間以内に住民登録をしないといけません。そのため、一時滞在申請して、講習終了後に再度住民登録をすることになっています。転居することが明らかな場合には、講習終了後に住む住所への登録を認める、若しくは転入届の期間を現行の二週間から講習終了後までに延長していただきたいです。
二、国民健康保険の加入についてです。
当組合の技能実習生は、総合保険に三年間加入しています。最初の二か月は医療費一〇〇%の補償であるのにかかわらず、講習期間中は国民健康保険に強制加入され、雇用開始後、社会保険に加入して、解約手続をします。手続が煩雑であり、保険料を二重に払うことにもなります。技能実習生は企業に配備されている際に社会保険に全員加入しますので、加入するまでの間、民間の医療保険についても公的医療保険に準ずるものとして扱っていただきたいです。
三、雇入れ時の健診結果についてです。
産業医による就業判定として就労可の記載が必要となりますが、どのような就労であるか、職種、業務の内容、勤務体系など、一つ一つ判断するのはお医者様も困難と思われます。対応してくれる健診施設はごく少数です。健康上問題はないという所見で認めるべきではないでしょうか。
四、厚生年金脱退一時金について。
現制度では、何年加入しても、脱退一時金の支給の上限が六十か月しかありません。育成就労制度では、特定技能一号の水準の人材の育成を目指すものとして、特定技能制度と接続された制度設計がされていくので、厚生年金脱退一時金についても三年プラス五年の計八年としていただきたいのです。
五、時間外労働について。
現行の技能実習制度では、時間外労働は想定されていないため、三六協定届出とともに、技能実習計画軽微変更届出書又は技能実習計画の変更認定申請書をすることになっています。人材確保、人材養成を目的とする育成就労制度においては、三六協定の締結を前提として、時間外労働についても想定される制度設計をしていただきたいと思います。
六、技能実習生の申請書類、帳簿類について。
重複して記載する箇所、何度も提出必要な書類があります。新制度へ切り替わる機会に、提出書類の簡素化、ペーパーレス化を図ることも一考ください。
七つ、建設業においては必須である特別講習、玉掛けとか車両系建設の機械についてです。
作業上、特別教育が必要な業種がありますが、地方においては外国人に対する教育機関が少なく、少人数での開催も難しいため、多言語対応の教育機関が増えるとありがたく思います。また、多言語対応の特別教育が定期的に開催されると、企業としても予定が立てやすく、便利ではないかと考えます。
以上になりますが、貴重な御意見の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。今後もこのような有益な場所を設けられることを期待しております。また、私たちの提案や要望が今後の活動に反映されることを願いまして、引き続き御支援のほど、よろしくお願いいたします。
以上、本日はどうもありがとうございました。(拍手)
○牧原座長 ありがとうございました。
次に、須田直樹君にお願いいたします。
○須田直樹君 宮城県社会保険労務士政治連盟会長の須田直樹と申します。今日はよろしくお願いいたします。
本日は、陳述人として意見を述べさせていただく機会を頂戴し、誠にありがとうございます。全国社会保険労務士会連合会で取り組んでいるビジネスと人権の観点なども用いて、法律案について陳述させていただきます。
まず、冒頭に恐れ入りますが、社会保険労務士会として取り組んでおりますビジネスと人権について説明させていただきます。
日本でも急速に、ビジネスと人権、BHRへの意識が高まっているところ、全国社会保険労務士会連合会としても、日本の未来を展望し、全ての人にディーセントワーク、働きがいのある人間らしい仕事を提供し、持続可能な社会の創造に向けた、より多くの企業、労働者、消費者、その他全ての利害関係者が力を合わせて発展していくための支援をしていくことが使命だと考えています。
そこで、全国社会保険労務士会連合会では、ILO、国際労働機関駐日事務所からの技術協力をいただきながら、ビジネスと人権に関する研修を社会保険労務士のために構築、提供し、ビジネスと人権、BHR推進社会保険労務士を養成しているところであり、更に人権尊重に関する取組を加速しているという背景から、この法律案について意見を述べさせていただきます。
この後は、現状の技能実習制度の問題点と今回の法律案への意見とに分けて述べさせていただきます。
まず、ビジネスと人権の観点から見た技能実習制度の問題点を一から五まで、五つ述べさせていただきます。
一として、人材育成を通じた国際協力という目的が形骸化しているという問題を挙げさせていただきます。
技能実習制度においては、人材育成を通じた国際協力を目的としてうたっておりますが、国内の人材不足が加速するにつれて、ていのいい労働力確保の手段へとなってしまっている現状があります。つまり、目的が形骸化しているため、実習生でありつつ労働者という地位を併せ持っているという立場が曖昧になってしまい、それが受入れ機関の知識や自覚の欠如に拍車をかけてしまい、不法就労を助長してきた側面があったかと思われますので、目的の適正化は急務であります。
二として、転籍が困難であるという問題を挙げさせていただきます。
現状は、転籍の理由が余りに制限されており、かつ本人都合による転籍が認められていないため、転籍が極めて困難であります。
さて、自らの仕事、せめて職場を自由に選ぶという極めて基本的な人権が侵害されているということは、ビジネスと人権の観点からもゆゆしき事態でありますので、この範囲を拡大し、手続を緩和するということは非常に重要なことかと思います。また、外国人にとって魅力的な労働市場をつくりたいというスローガンが叫ばれるようになって久しいと思いますが、職場を選択する自由がない市場に魅力を感じてもらうのは極めて難しいのかと思っております。
三として、送り出し機関と監理団体、受入れ機関の不透明な関係という問題を挙げさせていただきます。
送り出し機関が不当に高額な手数料を徴収したり、監理団体、受入れ機関へキックバックを行ったりすることが絶たないという問題があります。悪質な送り出し機関により法外な紹介手数料を請求され、多額の債務の返済のために実質的に身柄が拘束されているような状況になっており、人権問題であるとともに、外国人による犯罪を助長している側面もあるものと存じます。
四として、監理団体の能力担保に関する問題を挙げさせていただきます。
現状の制度では、監理団体の資格要件に若干曖昧さがあり、受入れ機関に適正な指導を行えるだけの能力が本当に担保されているのか疑問が残ります。特に、正確な労働法知識、キャリアパスの考え方、人権意識などの専門家が不在のまま監理することはそもそも不可能であり、それらに抜け道が生じたことにより、専門知識、倫理の欠如が生じ、外国人が不法、不当な取扱いを受けているケースもあるものと思われます。
五として、途上国の経済成長と円安による失踪者等の増加という問題を挙げさせていただきます。
三の送り出し機関と監理団体、受入れ機関の不透明な関係とも関係するのですが、多額の借金を抱えたり、母国の家族を支援する必要があったり、経済的な問題を抱えた技能実習生が極めて多い現状に途上国の経済成長と円安が重なり、日本で給与を得るメリットが急激に減退しています。
さらに、日本における働き方改革の進展などにより残業も制約されることとなり、収入の増加も見込めず、多額の借金や母国への経済支援といった理由も相まって、技能実習生が勝手に副業を行ったり、危険なアルバイトに手を出したり、最悪の場合、犯罪に手を染めてしまったりする事案が増えていると思われ、それらに対する抜本的な対策が必要であります。
ここまでは五つの問題点を列挙させていただきましたが、この後は、改正後の法律案への五つの問題点に応じた五つの意見を述べさせていただきます。
一として、今回の法律案で目的が明確化されたということについて意見を述べさせていただきます。
法律案では、特定技能一号水準の技能者の人材育成、人材確保を目的として明記し、労働者という位置づけが明確化されたことにより、労働法遵守に寄与するものと考えております。さらに、DアンドI、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンやビジネスと人権などの考え方も含め、受入れ企業への啓蒙活動は継続的に必要であるものと存じます。この後も何度か申しますが、そういった、受入れ機関の経営者のセンスに訴求する地道な取組がこの制度の成否を決定づけるものと思っております。
私は、社会保険労務士として日々様々な会社の雇用にまつわる相談を受けているわけですが、現在の日本の、特に零細中小企業の経営者は、悪い意味で短期的合理性や硬直的ルール、現場の空気みたいなものに執拗にこだわる傾向があります。これは外国人に限らず日本の若者にとっても理解し難いものであり、そのことが外国人にとって日本が魅力的な市場でなくなっていることの大きな要素だと思っております。その辺の価値観の転換にどのようにリーチできるかが、最終的にはこの制度の成否を決定づけると思っております。
二として、転籍の範囲拡大、手続緩和という点について意見を述べさせていただきます。
やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲が拡大し、就労期間一年超などの条件付で本人意向の転籍が認められるというのは、ビジネスと人権の観点からも大きな進展かと思われます。もちろん、自由度が上がれば上がるほど魅力的な市場化に寄与するわけですが、一方で、急激な緩和により、育成就労外国人の追跡が困難になるというのは、犯罪抑止、税務署による所得の捕捉などの観点から考えましても、余りにリスクが大き過ぎるものと思われますので、激変緩和措置として経過的に条件を付して、育成就労外国人の転籍動向や、それによる各方面への影響を注視しながら、最終的には転籍制限の撤廃を目指し、順次、更なる拡大、緩和を図っていく必要があるものと存じております。
また、転籍については、当分、民間職業紹介事業者の参入は認めない方針ではありますが、転籍量の拡大に伴い、近い将来、ハローワーク等のみでは目詰まりを起こすことは想像に難くありませんので、優良な職業紹介事業者の関与の必要性が生じるものと思われますが、その有料職業紹介事業者の審査に当たっては、現行、労働局により行われている五年、許可直後の初回のみ三年に一度の監査のみでは、不良職業紹介事業者の指導監督は困難かと思われますので、手前みそではございますが、社会保険や労働法といった労務全般の専門士業であり、職業紹介事業許可や労働者派遣事業許可などの申請代行も行っている社会保険労務士の知見を活用するといった方法も検討の余地があるのではないかと思われます。さらに、季節ごとに仕事量のばらつきが多い農業と漁業に限り労働者派遣が認められるという点についても同様に、社会保険労務士の活用は効果的かと思われます。
社会保険労務士の活用については、具体的には、現在、企業主導型保育事業において専門的労務監査が公益財団法人児童育成協会から全国社会保険労務士会連合会に再委託されることにより効果的に行われている事例などが参考になるものと思われます。
三として、送り出し機関と受入れ機関の間の金銭の授受に関する基準についてですが、外国人が送り出し機関に支払った費用額や送り出し機関と受入れ機関の間の金銭の授受に基準やペナルティーを設け、育成就労外国人の人権を擁護する仕組みができることは、現在、経済的に苦心する外国人を救い、不当な利益を享受している機関を排除してクリーンな市場にする観点からも非常に重要であります。
四として、監理支援機関の外部監査人要件の厳格化について意見を述べさせていただきます。
現状任意である専門士業による外部監査人の設置を許可要件とし、また、外部監査人の権限を強化することで、コンプライアンス意識は格段に高まるものと思われます。更に言えば、外部監査人を引き受ける専門士業の者は、当然、自分の専門領域の知識はありますが、人権や倫理、キャリアパス、SDGsなどについて必ずしも総合的な専門知識があるわけではないので、外部監査人に就任するに当たり、かつ、外部監査人に就任後一定期間ごとに、広く深く様々な能力を担保するため、現行の法律を中心とした養成研修ではフォローアップできていないDアンドI、SDGsといった広範な人権教育も含めた講習を義務づけることなども有効なのではないかと思われます。
再三同様のことを申してしまい恐れ入りますが、入管法や労働法などの法律を受入れ機関の経営者に守らせることはもちろん、日本の労働市場を魅力的なものにする鍵は、ダイバーシティー、インクルージョンといった世界基準のマネジメント感覚、人権感覚を経営者に身につけてもらうこと以外ないのではないかと思っております。外部監査人にその趣旨を十分に理解してもらい、その外部監査人を通して効率よくそれらの啓蒙を広く深く浸透させる方法なども検討する余地があるのではないかと存じます。
五として、途上国の経済成長や円安による育成就労外国人の経済的な事情への現実的な対応について意見を述べさせていただきます。
途上国の経済成長や円安は市場原理に基づくものなのでコントロールできるものではありませんが、その動向によっては育成就労外国人の経済的なダメージは相当なものになりますので、それらのリスクをあらかじめ入国前の外国人に事前に啓蒙することは当然ですが、事後的に経済的な窮乏に見舞われるような状況に陥った際には、激変緩和措置として臨時的な経済支援なども視野に入れておく必要があるものと思われます。
また、日本と送り出し国との経済格差が縮まることにより、日本に送り出される育成就労外国人の能力のレベルが急激に下がってきているという現象も見られ、日本語教育、職業能力教育において、各外国人のレベルに合わせた、きめ細やかな、あるいはDXなどを巧みに用いた教育を行っている教育機関の成功事例などを研究し、情報共有して、外国人教育システムを迅速にアップデートしていく仕組みづくりを構築していくことも急務かと思われます。
最後に、日々、経営者、労働者から相談を受け、現在の日本の労働問題に直面している社会保険労務士として、この法改正が豊かな労働環境に寄与されますことを御祈念して、私の意見陳述を終了させていただきます。
以上、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○牧原座長 ありがとうございました。
次に、坂本恵君にお願いいたします。
○坂本恵君 お隣の福島から参りました、福島大学の坂本と申します。
今日、このような機会を頂戴しまして、感謝申し上げます。
私自身は、この二十年ほど技能実習生、監理団体、実習実施機関支援を行ってまいりまして、ベトナムも十五回ほど行き、派遣機関とも連携をしてきました。最近は高齢化を埋める形で外国人労働者の多い石川県能登半島にも地震発災後三度ほど参りまして、外国人労働者、監理団体、登録支援機関支援を行っております。それらで得た知見も本日お示ししたいと思います。二〇一六年と一八年、本委員会でも陳述の機会をいただいております。
まず、前提の認識の点です。
四月二十四日、本委員会で、自民党牧原委員から、日本国内の生産年齢人口減の指摘がございました。公明党大口委員からも、国際的な人材獲得競争が激化しており、我が国が外国人から選ばれる国であり続けるため、不断の努力が必要との御指摘もございました。
外国人労働者受入れは、今後全く違う様相を呈することになる。それは、ベトナム、中国、東南アジアの急速な高齢化の進行と労働人口の減少の問題です。
ベトナムを例に挙げると、一九七五年、合計特殊出生率は六でした。夫婦に子供六人ですね。現在、御存じでしょうか。一・九八です。二を切り、人口は減少局面に入ります。生産年齢人口は既に減少局面に入っています。家族介護が基本の国ですので、高齢化する両親を二人以下の子供が面倒を見て、海外に働きに行く余裕がなくなる。十年、十五年というスパンで見ると、ベトナム人労働者も、中国がそうであったように、十分の一ほどに減少する、激減するということが予想されます。
同じく、合計特殊出生率、マレーシア一・七、シンガポール一・二、タイ一・五、ミャンマー、インド、バングラデシュ、三か国共に二で、この三か国はここ数年で二を切ります。これが現実です。
政府は、特定技能労働者の受入れ上限を、三十四万五千人から、向こう五年間で八十二万人に拡大するとしていますが、門戸を開けば外国人労働者が押し寄せる時代は既に終わったということを知るべきです。円安もあり、監理団体、登録支援機関からは、日本に来る人が減って、ほかの国に流れて、現地で人集めが難しい、今日もそういう御意見が上がっております。日本は既に選ばれない国になってきている、これが現実であり、その認識に立った施策が求められます。
二点目。監理団体に代わる新設の監理支援機関の問題です。
今回の能登半島地震では、監理団体のよしあしが実習生対応の是非を決めました。実習生を事実上放置した監理団体もあったと聞きます。しかし、よい監理団体、例えば、金沢市にございますビジネスアシスト事業協同組合、理事長が発災直後に奥能登、珠洲市に行きまして、本人に意思確認した上で実習生十六名を救出し、十二時間かけて羽咋郡まで連れ戻り、四百食の水、食料も提供された。就労先が再開できないので、四十名近くの水産加工の実習生を引き取って、移籍ポータルを使って、全国に電話をして、転籍先を今も探しておられます。実習生らは、転籍はやむを得ないけれども、会社、監理団体がよいので本当は動きたくないというふうに言います。
やはり、こういう優良監理団体を増やさないといけない。入管、実習機構は、激甚災害指定地域でもありますので、移籍手続は、通常の順番待ちではなく、最優先で行っていただきたいというふうに思います。
今回の育成就労法で新設される監理支援機関ですけれども、先ほどもございました、外部監査人設置、あるいは、受入れ機関と密接な関係を有する役職者を業務に関わらせてはならないとあります。ただ、これで悪質な監理団体を本当に排除できるのでしょうか。
例えば、監理団体の関係者が会員制の技能実習試験機関を設立をして、会員には便宜を図る一方で非会員には不利益な扱いをする、こういう場合は密接な関係にはならないのでしょうか。監理支援機関関係者にやはり人権教育を徹底する必要がございます。それから、公認会計士による監査も必要ではないでしょうか。
育成就労生に対する避妊教育、それから、産休とか育休が日本にあるんだという周知、こういう多言語のよいテキストがあるんです。そういうのを使っておられる監理団体もございます。
三点目。転籍要件の問題です。
日本語要件ですね。やはりこの案では本人の意思による転籍を妨げることになるのではないかということです。
育成就労制度及び特定技能制度に関わる評価方法では、育成就労一年経過時及び育成就労終了時のいずれも、日本語能力A1ないしA2相当以上の試験の受験とございます。合格を求めていないんですね。
ところが、本人の意向による転籍の場合は、つまり一年終了後、二年終了後ということですから、これはA1、A2相当の試験の合格が要件となるとなっております。これはやはりダブルスタンダードでして、転籍の場合にも、合格ではなく、一年目、二年目ですので、受験を要件としてそろえるべき、基準を同一にすべきではないでしょうか。
四点目。送り出し手数料の問題と、転籍元と転籍先の初期費用分担の問題です。
初期費用の中には、送り出し機関への送り出し手数料が含まれております。来日前の費用支払いについて、入管庁は、令和四年七月二十六日に、不当な徴収がされていることが疑われることを踏まえて、技能実習生の支払い費用に関する実態調査というのを、報告を行っていただいております。これは資料の中に図で入っております。入管庁の御尽力に本当に感謝を申し上げたいと思います。
ここでは、来日前初期費用として実習生が母国の送り出し機関、仲介者に支払った総額は平均で五十四万二千三百十一円とあり、ベトナムは六十八万八千百四十三円、中国、カンボジアもほぼ六十万円を払ってきております。実際は、ベトナムの場合、平均で七十五万円くらいではないかという専門家の指摘もございます。二百万円以上払ってきているというケースもあるようです。
このお金、本国では領収書も実は一部しか発行されないんですね。このお金が、日本側監理団体に対するいわゆる過剰な接待あるいはリベート、賄賂にその一部が使用されている可能性もやはり高いものだと思います。
禁止されておりますけれども実態としては徴収されているという、一万ドルを超える保証金ももし合わせると二百三十万円ほどの金額になり、これを借金によって準備してきているわけです。ベトナムの場合は、安くとも、金利、年利一〇%ですので、ベトナムだと、今、平均月給は月三万五千円程度ですけれども、約五年分の年収に相当する借金を背負って来日をして、その返済のために、高い給料を得られるというふうに言われると、失踪する原因ともなっているかと思います。
もちろん、一部は送り出し機関の仕事に対する報酬だとしても、それ以外の不当な手数料を禁止させることがやはり必要です。日本の国内法でもILO条約も、労働者から仲介手数料を徴収することは禁止されております。労働者からの手数料徴収を禁止をして、これを送り出し国に通告するべきではないでしょうか。これは、二国間協力覚書、MOCを結ばなくても、高額な初期費用を取るなら受け入れませんよと相手国に通告すればできることです。
四月二十六日、本委員会の是川参考人の意見がございましたけれども、この初期費用、正当な部分のみになれば、育成就労の外国人、監理支援機関、育成就労実施機関、全ての負担が減るわけです。失踪も防げる効果が大きいわけです。三方両得で極めて効果が高いことですので、技能実習機構、新設の育成就労機構には、本当に検討、尽力を強く求めたいと思います。
初期費用の分担について、入管庁は、転籍先の負担割合が大きくなるよう傾斜をつけることも検討しているとされておりますけれども、一年に一度転籍が認められている韓国では、転籍の初期費用負担というのはそもそもございません。また、就労年数に応じた単純按分の方が、誰にでも分かりやすくてよいのではないでしょうか。
五点目。本人意向の転籍の問題です。
本人の意思での転籍を認めると、給与の高い都市部に流れるのではないか、特に実習実施機関でその懸念があること、今日お話にもありました。私は十分存じ上げております。やはり、最低賃金張りつきではない時給をお支払いいただき、敬意を持って扱われれば、外国人労働者は、時給がよいというだけでは容易には動かない。私が能登で会った実習生たちはそうでした。
原則を言うと、技能実習生も有期雇用労働者に該当する。有期雇用労働法が適用されると想定しますと、二〇二一年四月一日に施行された同一労働同一賃金が適用されるわけです。これに違反すると、行政の助言、指導、勧告の対象となります。
最低賃金で物を言うから都市部への流出の話が出ますけれども、最低賃金ではなく、それ以上の賃金を頑張って支払っていただいて、労働環境を向上させれば、都市部への流出の懸念は相当なくなるというふうに思います。法務省、入管、厚労省の原則的な対応を求めます。
六点目。最後に、永住許可取消し問題です。
他の在留資格とは異なり、厳格な審査を経て得られる永住許可です。現行法でも、一年を超える懲役刑、禁錮刑を科された外国人は強制退去の対象となりますが、今回の法改正では、軽微な一年以下の懲役、禁錮刑であっても永住許可の取消しが可能になるのではないか。
四月二十四日、本委員会で、自民党山田美樹委員が、永住者の公租公課不払いの実態を入管庁は把握しているのかとの質問に、丸山次長は、一部の自治体から、永住の申請時にまとめて滞納分を支払って、その後再び滞納するといった声をいただいているところですということしか答えられずに、具体的な数字は一切挙げられませんでした。立法事実がやはり存在していないということかと思います。公租公課の支払いを行わない、行えない場合は、日本国籍者同様に、法的に督促、差押え、行政罰を科せばよいだけです。
欧米の事例紹介が、四月二十六日、本委員会の岡部参考人からございました。しかし、日本の場合、在留カード不携帯等の極めて軽微な入管法違反の場合も、永住許可取消しになり得るのではないか。入管は、そのような場合は適用しない運用をと言われますけれども、それであれば、それを法文に明記すればよいということです。
また、冒頭述べたとおり、育成就労になっても、外国人が増えるより、早晩減少に転じます。このような形での永住許可取消しは、マイナンバーと在留カード一体化と同様に、G7の流れとも全く逆行し、海外から改めて人権侵害と指弾されるものだと思います。
高度人材含め、渡航先を検討する場合、永住許可は重要な選択基準となってまいります。永住許可を不安定化する日本は、海外労働者にとっては更に魅力のない国になり、渡航先選択肢から外れる可能性がございます。これは、中小企業だけではなく大手企業にとってもダメージだと思います。
今法改正の永住許可取消しに関して、政府・与党は経済界の意見を十分聞かれたのでしょうか。恐らくかなりの懸念が予想されます。永住許可取消し部分に関しては、本法案からは切り離して、経済界の意見も十分反映し、別途法案として再度提出し直すべきではないでしょうか。それが本法案審議の前提です。
日本の進路を決める重要法案です。慎重な審議、修正を期待して、意見とします。
ありがとうございます。(拍手)
○牧原座長 ありがとうございました。
以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○牧原座長 これより委員からの質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲田朋美さん。
○稲田委員 自由民主党の稲田朋美でございます。
本日は、地方公聴会で、こうして意見陳述者の皆様方から様々生きた御意見を伺うことができまして、質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。
今回の法改正で、技能実習制度、様々課題が指摘されていた制度から、新たに育成就労制度を創設をする、監理団体を監理支援機関に変更、さらには、永住許可の要件を明確化するということになったんですけれども、古川大臣がおっしゃっておられた、歴史的な解決、長年の課題を歴史的決着に導く、そういう改正になっているのかどうなのか。
四人の先生方から、今回の改正に最も期待をすることと最も懸念をされている点について、端的にお伺いをしたいと思います。
あと、もう一点、今日、午前中に石巻市の食品加工のところに視察に行かせていただいたんですけれども、そこで、やはり、今回の改正で本人意向による転籍が認められていることから、一、二年経過した段階で大都市に流れてしまうのでは、移籍してしまうのではないかと。私も選挙区は福井ですので同じような課題を抱えているわけですが、選ばれる国というのもありますけれども、選ばれる地域ということも考えていかなきゃいけないと思います。
先ほど坂本先生から賃金だけじゃないんだというお話もありましたけれども、外国人の労働者の皆様から、魅力のある地域をつくっていかなきゃいけない、その支援をしてほしいという要望が今日の朝あったんですけれども、どういったことを支援をする、またどのような仕組みづくりをする、また国が支援できることというのはどういったことがあるというふうにお考えでしょうか。四人の皆さんからお伺いをしたいと存じます。
○牧原座長 そうしましたら、大きく二点質問があったと思いますけれども、佐野さんからお願い申し上げます。
○佐野和夫君 非常に答えづらいところがありますけれども。
私たちは、これからその制度というものを使っていかなければいけない、まず初歩的なところにあるところでございまして、この制度の中で、技能実習制度から育成就労制度に変わっていったという中で、しっかりとそれを捉まえた形の中で、どうしても、農村部というもの、私たちの住むところは、例えば、水稲単体であるとか畜産であるとかというようなところで、作業が偏ってしまっているという中では、年間を通して就農というような中で非常に難しいところがある。さて、それではどうしたらいいのかなというところを考えたときに、やはり、その地域地域の中で、来ていただく就労者を活用して、しっかりと、言葉は悪いんですけれども、お互いに利用し合っていこう、そして育てていこう、そして協調し合っていこうというふうなシステムをつくっていくことが大切であろうかなと。
答えにならないかもしれませんけれども、まず、初期段階としては、私たちはそういうところを考えているというところであります。
もう一点、何だったでしょうか。
○牧原座長 新しい法律に期待する点、あるいは懸念する点がありましたらという質問です。
○佐野和夫君 期待する点については、やはり、転籍が自由なところがある。転籍が、一年の中で、それは非常に不安であります。
ということは、どうしても、うちの方にも、まるっきりそれは違う場面でしたけれども、お嫁さんに来た中で働いていた経緯があって、一年もしないうちに都会の方に失踪してしまったような例があったんですけれども、やはり、地域の中で長く働いていただくというふうな中では、一年というものは余りにも短い。
ただし、労働者にとっては、そうやって働く側にとっては、しっかりとそれを選ぶ権利もあるという中で、それも大切であるという中のジレンマというものがお互いに発生していく。
このジレンマをいかに解決していく、それをうまく利用、取り去っていくかというのは、今度の新しい制度の中では、ちょっと我々にとっては、農村部にとっては難しい問題であるかなというふうに思っております。
○千葉憲治君 まず一つは、転職の問題でございますが、やはり転職は、どうしても我々地方の中小企業から見れば、給料じゃないと言いますけれども、余りにも給料の格差が多いです。今日の日経新聞でもありますように、地方と中心部の給料の差、これは企業の差もあると思いますが、その大きな差がありますので、どうしても転職を避けるというのは難しいかなというふうに考えております。
もう一つは、今の、新しい法律からいいますと、以前もそうなんですが、どうしても人材派遣会社向けの内容が多い、人材派遣会社用の設定といいますか、そういう関係が多いと思います。
我々は技能実習生の監理団体ですけれども、そうじゃなくて、やはり緻密に、企業さんまた組合員の人たちに丁寧に説明をする。私どももそうなんですが、まず組合員になる前に、何か月間かけて企業さんを訪問して、外国人を使う場合はこういう問題がある、こういう欠点もある、こういういいところもあるということを、何回か訪問して、講習をやったりして、やっと認識していただいて入っている、組合に加盟しているという状況もあります。
ですから、そういう面では、非常に、確かに、どなたかおっしゃいましたけれども、受入れする企業さん、特に中小企業なものですから、受入れする企業の、外国人を活用するという、マナーといいますか、そういうものが東北の場合特に欠けているんじゃないかと思いまして、その辺を徹底させればいいかなと考えています。
以上です。
○須田直樹君 うちのクライアントさんなんかでも最近よくお聞きするのが、ベトナムの方は日本ではやはり稼げないという感覚なんですかね、円安もあって、あとベトナムの経済成長もあって、そういった感覚が一方でありつつ、使用者側とすれば、日本人にはかからないコストがかかるというところがあって、より効率的に働かせたいみたいなところとか、全く矛盾した、お互いのニーズがぶつかり合っているようなところがあるのが非常に懸念されるというか、これは更に円安とかが進んでいくと、そういう外国人のリスクがより上がっていくんじゃないのかなというところを懸念しております。
ただ、先ほど坂本先生の話の中で、能登の、外国人の技能実習生のところを非常に大事に扱われているということで、そこから離れたくないといったお話を聞くと、やはり労働法も大事なんですけれども、その上位概念というか、人権概念というか、そういったものをどうやって根づかせていくかというのは非常に難しいんですけれども、そういったところにもしかすると活路があるのかなと思っております。
あとは、やはり外部監査人のところが、ちょっとこちらも、外部監査人の講習を例えばより厳しいものにしていけば、それは最終的にコストに跳ね返ってきて、それがまた外国人の労働者から搾取しようとするところに最終的に行ってしまうと、それはそれでリスクがあるところなので、そのコストとしっかりした外部監査人の教育というところの、どうやってその辺に折り合いをつけていくのかといったところも大事なのかなと思っております。
以上です。
○坂本恵君 ありがとうございます。
期待するところですけれども、技能実習と、今回は育成就労ですけれども、その上にある特定技能外国人労働者のつなぎ方の問題が、有識者会議の最終案ではまだかなりそごがあって、法制が上がなかったりとかしたのが、かなり急速につなげていただいて、ほぼ問題ないところまで多分来たんだと思うんですね。それがやはり私は本当によかったなと思っていて、技能実習は、今、九十職種百六十五作業があって、全部一致しないと移れないんですけれども、特定技能とつなぐと枠が大きくなるのでいろいろなことができやすくなるということがあって、私はそこを本当に期待をしております。
懸念するところは、済みません、たくさんあるんですけれども、転籍と最賃のことなんです。
私は、最低賃金ではなくて、少しでも、十円でも二十円でも高くしてあげていただけないかなというお話をしたんですけれども、結局、実習実施機関が最低賃金しか払えないというのは構造的な問題があって、本国に五千円、日本側ブローカーに三万円、一人について月三万五千円バックしないといけないというのは割とあるんですけれども、要は高いんですよね、実習生は。
だから、私がお話しさせていただいたように、その構造をやはりちょっと変えないと最低賃金も上げられないと思うので、送り出し機関に関する手数料、これは余分なところはもう取るなということを言えばがっと下がると思うので、最賃プラス十円、二十円ということができるようになるのではないかなと思いまして、そういう御尽力をいただければと思います。
ありがとうございます。
○稲田委員 ありがとうございます。
次に、佐野会長からも、千葉理事からも、外国人の年金の脱退一時金の指摘がございました。
まずはその充実というか、知らない人も多くて、実は、その制度を知らなくて、知っていても手続を行っていない人がいるということを聞きます。千葉理事に、どのようにすればその問題が解決をできるのかということをお聞きをしたいと思います。
反対に、日本人には年金の解約は認められていなくて、これは本国に帰られる方が掛けたことが無駄にならないようにということで実は設けられているものですので、例えば、永住外国人、ずっと日本にいらっしゃるということを基本とした外国人の方に脱退一時金制度を適用するのはいかがなものかという考え方も、今、年金部会で議論をされております。この点は、社労士の須田先生はどのように考えておられますか。
お二人にお伺いしたいと思います。
○千葉憲治君 脱退一時金につきましては、やはり中途半端なんですね。中途半端というのは、先ほど言いましたが、三年と五年、八年間とありますけれども、八年間いないと脱退一時金がもらえない。それも、日本にいてはもらえないんですよ。帰らないともらえないんですね、脱退一時金というのは。ですから、逆に言うと、脱退一時金をもらうために八年間頑張って、やっと帰れるということで帰る人もいるということですね。
これは、永遠にしますと日本人と同じようになりますから、それはそれでいいと思いますけれども、やはり、途中で帰る、どうしてもやむを得ず母国に帰らなきゃならないという人は、脱退一時金というのは非常に大きなお金になってしまうんですね。
○須田直樹君 ありがとうございます。
私も勉強不足なところがあって申し訳ないんですけれども、脱退一時金、先ほど千葉様のお話を聞いていて、六十か月で、確かに、今度の制度改正で、長く在籍する方にとっては余りに不利益な制度だと思うので、もう少しきめ細やかな制度にやはり変えていかなきゃいけないのかなと思っております。
もちろん、日本人でも一定の損得は年金制度は出てしまうので、完全に平等というのは難しいと思うんですけれども、そういった、特定技能に移られた方であったりとか永住される方、永住される方というのは、そもそも、場合によっては帰化されたりとかということもありますし、日本に長期で滞在されるというインセンティブにもなると思うので、日本人と同様に年金を受給してもらうというのが一番いいと思いますし、仮に本国に帰るときには、また先ほどのバリエーションの豊かな形で脱退一時金的な制度を、完全に報いることはできなくても、設けるべきかなと思います。
以上です。
○稲田委員 最後に、坂本教授に、今の点についてちょっとお伺いしたいのと、あとは、地域で共生する取組で最も重要なことというのはどういうことだというふうに思われるのか、お伺いをしたいと思います。
○坂本恵君 ありがとうございます。
二つ目の、地域で共生するということから言うと、技能実習制度の、やはり、実習生が地域と共生できない、難しいということの恐らく根本的な理由は、実習生がどんな会社で、何人働いていて、どうなっているのかという状況が地域自治体にほぼ行かないということがあるんだと思うんですね。
だから、市だって、町だって、村だって、県だって、対策しないといけないと思っていても手の打ちようがないということがあると思いますので、育成就労制度でしていただくのであれば、やはり地方自治体にきちんと情報が行くような対応をいただけると進むのではないかなというふうに思っております。
私は、脱退一時金のことも手伝ったことがあって、お金を持ってベトナムに行ったこともあるんですけれども、今まで出ましたように、今回、三年プラス五年ということで八年に延びるということであれば、その実態に応じた形で、もう少しやはり脱退一時金を受け取る形がスムーズになると、本人たちもいいのかなと。脱退一時金があるということを知らないですから、そのことを伝えてあげるということも大事なことかなと思います。
ありがとうございます。
○稲田委員 それでは、ありがとうございました。
○牧原座長 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党の衆議院議員の大口でございます。
四人の陳述者の方々には、大変お忙しいところ、貴重な現場の声を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。
私からまず質問をさせていただきたいことは、今回の育成就労制度、そしてまた転籍についての、本人の意向に基づくもの、それと、やむを得ない事情によるものについても拡大をする、こういう形での改正でございます。
このことについて、やはり、それこそ他の地域への流出、特に都市部、また賃金の高いところへということに対して、非常に中小企業また地方の皆様が危機感を持っておられるということで、特定技能の場合も他の地へ移行することがあるわけでありますが、宮城県におきまして、例えばJAの佐野陳述者、あるいは協同組合の千葉陳述者、特定技能において、こういう流出の実例といいますか、そういうことがあったのか、あるいは、今後の本人の意向による転籍によってどのような影響が出てくるのかということをお話しいただければと思います。
○佐野和夫君 私たちの、今現実に受けている方々に話を聞くと、やはりしっかりとした技能を持っている方々が来ていただくことは非常に助かる、しかしながら、なかなか、そういう方々をまず最初に受け入れるということは非常に難しい。ただし、心構えの中で、しっかりそれを育成していくんだということは大切であるということがやはり大きい力になるということで、今進んでいる。それが、実際、その地域地域の集団の中では、法人の中では生かされて、回っているということで、やはりある程度のしっかりとした技能は持ち合わせていることは非常にベターなんですけれども、その人なりの持つ力というものが、それなりの人物が来たことによってそれは解決がされているというのが、大きい力になっているということは言っていましたね。
だから、今の現実の中では、転籍は非常に大きな脅威でありますけれども、それが地域の中で、意識の中では今は心配の中には入っていない、何とか回っていくということを言っているということで、我々も、そういうことの中で解決していく一つの手だては、やはり組織のチームワーク、そして地域の取組というようなものが大きく作用していくものだと感じております。
○千葉憲治君 賃金の格差といいますか、それにつきましては非常に難しい問題で、地方と都市部との差が、どうしても避けられない問題でございます。
ですから、我々がやっているのは、今いる実習生に対して、要するに、面倒を見るといいますか、お金でないものがあるんだよということをよく説明して、長くいてもらうようにするというのが今の一つの手段ですね。
中には、一度母国に帰りまして、母国にはやはり仕事がないということで、うちの方に電話がありまして、また元に戻りたいというのも多々あります。やはり前いたところがよかったなというふうに思えて多分電話をくれたんだと思いますけれども、そのようなことがやはりありますので、是非そういうふうにやってもらいたいと思うんですね。
先ほど人材派遣のことを言いましたけれども、コマーシャルを今見ても分かるとおり、要するに、移転する、職業を替わることが、コマーシャルでもいっぱいやっているんですね。実習生も、日本語が分からない人もいるから、聞いているかどうか分かりませんけれども、今、転職する方が給料がよくなるんじゃないかというふうな風潮があるんですね。その辺、やはりマスコミとかなんかを見ても、気をつけなくちゃいけないなというふうに思っています。
○大口委員 賃金というのは非常に大きな影響があるわけでございますけれども、外国人労働者の方が、育成就労なり、特別技能といいますか、それにチャレンジするというのは、賃金もありますけれども、やはり自分がスキルアップをしていく、そして、そういう中で、段階を上げていくことによって非常にいろいろなものを身につけていく、こういうことが非常に大事だ、こういうふうに思うわけであります。
そういう点で、四人の陳述者の方々に、これから、育成就労、それから特定技能第一号、そして第二号、こういう形でステップアップをしていくに当たっては、やはり、それぞれのスキルアップができるような仕組みもつくっていくことが非常に大事なのかなと。そういうことをしっかりと提示をすれば、短期的な賃金格差はともかくとして、自分の人生の将来を考えるときにおいては非常にプラスになるということを理解していただければ、私はすごく、選ばれる国、また選ばれる地域、また選ばれる産業であり職場になっていくんじゃないか、こういうふうに考えております。だから、どうスキルアップをしていく道筋を提示をすべきなのかということをお伺いしたいと思います。
もう一つは、日本語の能力をやはり高めていかなきゃいけない。育成就労から特定技能一号への移行時、そして特定技能一号から二号への移行時に日本語能力試験が、合格が必要になってくるわけであります。
今日も、午前中、食品加工の視察をさせていただきましたが、ある方は、四年目であるんですが、日本語の上達がまだそうでもない。その方は三か月の研修だった。もう片方の方は、六か月の日本語の研修をして、本人の意欲もあるんでしょうけれども、かなり、一年目なんですが、結構堪能、日本語の意思疎通ができるということもございます。
やはり、そういう環境の整備を、これは国も、また自治体も、また受入れ事業者も、あるいは監理支援機関も、また実施支援機関、機構もそうでありますけれども、日本語をしっかり学んで、そういう能力をつけていただくことについても非常に大事だと思います。
その二点についてお伺いしたいと思います。
○坂本恵君 ありがとうございます。
スキルアップのことなんですけれども、恐らく分野によってかなり状況は違うんだと思うんです。例えば、縫製なんかで来ている人は、最初からかなりの技術を持っている人が来るんですよね。建築でも、日本で家を建てたりとか建築をする工事と、本国へ帰ってやる工事は全く違うわけです、家の建て方が違うので。
だから、先生が御指摘いただいたように、スキルアップを考えることは大事だと思いますので、やはり分野ごとにきちんとそのイメージを持ってもらうということが必要だし、そうしないとスキルアップにはつながらないように思います。
日本語のことも大事なことだと思うんです。私は、福島県から依頼されて分析もやりましたけれども、受け入れている実習実施機関、一番困っているのは何かというと、日本語での意思疎通ができないというのがもう七五%ぐらい、二千五百社に対して聞き取った結果としてね。だから、やはり日本語能力をアップして、目標をはっきりさせるということは大事だと私は思います。
ただ、そのためには、御指摘いただいたように、勉強できる環境の整備、これを、きちんと時間を取れるような形、それからもう一つはよいテキストをきちんと使うようなことの徹底は必要かなと思います。
ありがとうございます。
○須田直樹君 ありがとうございます。
外国人の方の育成就労から特定技能に上がっていくキャリアパスの件なんですけれども、前からちょっと疑問なんですけれども、介護とか保育とか建設とか、今非常にキャリアパスに力を入れている割には、分かりやすいテキストが国から、国に期待するのかどうなのか分からないですけれども、割とどの仕組みも分かりづらいというのが、社労士から見ていてあります。CCUSとかもそうですけれども、あと、介護とか保育とかというところで処遇改善、キャリアパスが必要と言いつつ、分かりやすい見本がなくて、もう大分時間がたっているのに割と迷走している事業者さんが多いというイメージがありますね。
なので、今回、外国人の方に関しても、もちろん、各社全然事情が違うので、びちっとはまるものを提供するというのは難しいと思うんですけれども、もう少しバリエーション豊かな、見本みたいなものを提供して、そのまま何か使えるようなものがあれば、これはもう、ほかの業種も含めて、一気にキャリアパスというのは進む可能性はあると思っております。
あと、日本語能力のことについては、先ほど佐野理事長がおっしゃっていたEラーニングとかウェブ研修とか、そういったものを、これはもう予定には入っていると思うんですけれども、非常に充実させることによって、もうちょっと短期間で能力アップというのは目指せると思うので。
あと、先ほどテキストということだったんですけれども、学習塾なんかで学力のアップというのは相当差が開くと思うんですけれども、それと一緒で、やはり優秀な、非常に能力アップに寄与している機関の学習方法を横展開していくというのに国もサポートしていくというようなことも必要なのかなと思っております。
以上です。
○千葉憲治君 日本語のスキルアップにつきましては、最近、スマートフォンで、皆さん、うちの方はミャンマーからも入れているんですが、ミャンマーからもスマートフォンを持ってきて、日本語に解説するものが全部あるんですね。ですから、難しい、専門的な仕事以外は、それほどスキルアップしなきゃいけないという問題は今のところない状況ですね。
それよりも、仕事の技術ですね。これが一年、二年ででき上がるものではないので、仕事の状況、例えば建設業なら建設業の仕事の度合いによってスキルアップをするということが大事だと思いますけれどもね。
以上です。
○佐野和夫君 やはり、日本語の能力の向上というものが私は一番大切であるというふうに考えている、意思の疎通というものが大切であるということでありますから、そういう中で、今、千葉さんが申し上げましたとおり、先ほど私も言いましたとおり、スキルアップを図っていくためには、Eラーニングとかウェブ研修とか、農村部にいてもできる方法を取り入れながらしっかりと言語力を高めていく必要があるというふうに私は思っております。
以上であります。
○大口委員 ありがとうございます。
結構、お一人で勉強される方もいれば、本当に、職場の方と一緒になって勉強される方もいて、その方の性格にもよると思うんですが、やはり、地域でもって、あるいは職場でもってわいわいやりながら日本語を学ぶ、そういう環境というものの醸成も必要じゃないかなというふうに、この視察を通して感じたところでございます。
それから、今回、監理支援機関につきまして、千葉さんそしてまた須田さんにお伺いしたいんですが、この監理支援機関の規制の強化についてどうお考えになるのか。
それから、やはり今回、外部監査人を選任することが義務づけられます。その外部監査人に求められる能力と、そして、社労士の先生についても想定される資格になっておるわけでありますけれども、その辺りについて、どうあるべきなのか、お伺いできればと思います。
○千葉憲治君 一つは、この法改正に当たりまして大事なことは、やはり、まず、受け入れる日本人、私たちは組合員なんですが、組合員に、いろいろな団体がありますけれども、そこで外国人を入れるだけの能力といいますか、そういう、団体でもって指導していく、いろいろなところがあると思うんですが、建設業なら建設業なり、昔の方法で、要するに、見れば分かるよ、これが大体建設業の主流なんですね。具体的に教えないんです、見れば分かるよという感じで。ですから、外国人を入れるわけなので、もうちょっと具体的に教えてくれる、教育してくれる、企業さんに対して。そういうのが、我々でできないということもあるので、その辺を予想し、強化してほしいなと思いますね。
ただ人が欲しいというだけじゃなくて、要するに、こういうことでこういうことがあるから、こういうものを教えるんだよ、それで、教え方もこうですよと。ただ頭から言うのではなくて、具体的にこういうふうに教えなさいということをやっていただけると助かりますよね。
○須田直樹君 ありがとうございます。
外部監査人の方ですかね。逆に言うと、今まで任意で外部監査の方がいて、労働法の知識等もそれほどないまま、よくやられていたなという感じがします。
現在の講習だと、労働法も、とはいえ数時間とかなので、この複雑な、先ほど先生もおっしゃっていたように、同一労働同一賃金とか、そういう広い概念もいっぱいあるので、そういったところまで網羅的に講習だけで学習するというのはちょっと不可能ですし、あとまた、私はいろいろ言い過ぎちゃったところもありますけれども、人権教育とかダイバーシティーとかといったところまで教育していくとなると、やはり外部監査人研修が重たくなり過ぎるのかなとは思うんです。
でも、そのくらいのボリュームがないと、最終的には、安い労働力としてしか考えていない人に啓蒙していくには、やはり相当力がないとできないのかなと思っていますので、その辺、どういった外部監査人の教育が一番いいのかというところはすごく知恵を絞っていただきたいなと思います。
○大口委員 ありがとうございました。
時間となりました。外部監査人の研修をしっかりやらなきゃいけないという先生の御指摘も、しっかり承りたいと思います。
ありがとうございました。
○牧原座長 次に、鎌田さゆりさん。
○鎌田委員 本日は、お四方の皆様、意見の御陳述ありがとうございました。
それぞれの専門のお立場からの御意見でしたので、とても、改めて新鮮に、刺激的で、拝聴することができて、とてもありがたく思いました。
まず最初に、お四方のそれぞれの皆様に御意見を伺いたい、見解を伺いたいと思うんですが、実は、今回の改定に向けて有識者会議がずっと議論を重ねてはきておったんですけれども、ただ、その議論の中で、強制帰国ですとか、低賃金、賃金不払い、暴力、パワハラ、妊娠、出産への制約、それから家族の帯同の不可、この点についてはなかなか議論が進まなかったという指摘は内外からも出ております。
そこで、お四方に伺いたいんですけれども、私ども立憲民主党としては対案を出しておりまして、一般労働、二年たったら、家族は、配偶者と子は滞在できるというふうに私たちは対案を出しているんですが、今回の政府案は、最低でも八年間は家族が滞在できないという制約になっております。
やはり、日本で育成就労として働くにしても、家族がいるということは働く場合のモチベーションのアップにもつながると私どもは考えておりまして、家族の滞在ということ、八年一緒にいないというのはちょっと長いんじゃないかなと私は思うんですけれども、私たちが出している二年に賛成してくれませんかなんということは、そこまでは言いませんけれども、家族滞在についての御意見がございましたらお願いいたします。お四方それぞれお願いします。
○佐野和夫君 私も、今から十五年前に、中国から農業実習生を一年という形で引き受けたことがあります。男性でしたけれども、子供さん二人に奥さんという家族構成だったんですけれども、やはりホームシックにかかりますね。そして、一年だから我慢する、一年だから我慢するというふうな中でおりましたけれども。あと、一緒に三人来ましたけれども、それぞれの場所におりまして、一人は独身者だったんですけれども、やはり限界が非常に早かった。結果的には八か月ぐらいで帰ってしまったという経過がありました。
やはり、今、八年ということは、家族を持っていて、例えば八年だったら、来るとき生まれた子供が八歳というふうなところでは、家族形成も家庭形成も非常に困難である。そして、やはり、それからの人生を考えたときには何か非常にむなしいものを感じてくるような感じがいたします。
やはり、少なくとも、私自身考えるのは、三年ぐらいがベターなのかなと。やはり、どこでも家族というものを大切に考えていく上で、ましてや日本の中でも今いろいろ家族というものを捉まえられている風がある中では、私はそういうふうに思いますね。
以上です。
○千葉憲治君 家族滞在、二年間というのは非常に厳しいかなと思います。まず、日本に来るために、やっと日本語を覚えて日本に入ってきます。仕事もできるかどうか分からない状況で、二年間で家族滞在というのは非常に酷といいますか、厳しいといいますかね。
というのは、その後に、子供さんがいれば学校の問題もあります。転職の問題もあります。旦那さんが途中で転職したいなと思ったときに、子供さんたちはどうなるのか、その母親とか家族はどうなるのかと考えると、二年間というのは非常に厳しいかなと。八年ぐらいは必要だとは思いますけれども、今、八年でもまだ難しい状況にはあります。
○須田直樹君 ありがとうございます。
私も最初お聞きしたときは、自分だったら一か月でもちょっと無理だなと思いますので、そんなに引き裂かれるのはつらいことだと思うんですけれども、今、千葉さんのお話をお聞きすると、ああ、そういうものなんだな、現実としてはと。あと、学校の件とかをお聞きすると、本当にそのとおりだなと思いますので。
八年は長過ぎるけれども、確かに二年だとちょっと現実的ではないというところがあるのかなと思いますので、せめてその代替手段ですね、オンラインであるとか、定期的に交流ができる、行ったり来たりできるような仕組みなどを構築できればいいのかなと思いました。
○坂本恵君 ありがとうございます。
立憲民主党の法案も拝読させていただきました。家族帯同ということでのお話ではあるんですけれども、根本的に言うと、やはり、日本を本格的にどういう形で海外の労働者の方に支えていただくのかというところに多分行き着くのかなと思うんです。そういう中で、家族帯同を二年後とかあるいは三年後とかということで少し早めるということの選択肢はもちろんあり得ると思うんですね。
本委員会では、四月二十四日の参考人意見陳述の中で、参考人の方から外国人基本法の制定ということが御意見が出ておりまして、私としては、やはり、外国人基本法のような形で国としての基本構想を定めるという中で、家族帯同の問題もその中に含み込んでいくということが大事な流れかなというふうに思います。
ありがとうございます。
○鎌田委員 ありがとうございました。
それぞれ御意見があるということ、これからも参考にさせていただきたいと思います。
続きましては、萩協同組合の千葉憲治代表理事に伺いたいと思います。
先ほど、七つ御要望項目をお聞きをして、どれも本当に、そして最後に人材派遣感覚じゃ駄目なんだというまとめをしてくださって、本当にもう全部共感して、おっしゃるとおりだなと思ったんですが。
千葉代表理事も御存じのとおり、今回、政府案は、公布の日から三年以内に施行というふうに定められております。千葉代表理事からの七つの項目、大事だと思いながらなんですが、公布から三年以内の施行となると、どのくらい準備できるんだろうかというふうに私は不安に駆られる一人なんですが、千葉代表理事のお立場から、このくらいスピードアップして、このようにやっていかないと間に合わないよというような御意見を改めてちょっと具体的に伺えたらありがたいです。
○千葉憲治君 具体的な、この距離があればいいということは持ってはいないんですけれども。
基本的には、時間とか何かの問題ではないというふうに私は考えていますけれどもね。短時間であればいいとか悪いとかという問題ではなくて、中身の問題だと思います。要するに、日本に来る実習生あるいはその人材の中身の問題だと思います。その人がどういう形で、どういう気持ちで日本に来るのか、日本で働きたいのか、その辺の内容によると思います。
○鎌田委員 ありがとうございました。
衆議院の法務委員会では、法務大臣が再三にわたって、委員会で審議する際に、日本を開かれた国にする、とにかく選んでもらえる国にする、そのための今回の法改定なんだというふうに御答弁をされるんですけれども。
私たちが対案を出している理由は、果たして今回の法改定は、はっきり申し上げれば、これは委員会でも申し上げているんですが、ちょっと看板のつけ替えに終わっている感が否めないなと。本当に開かれる国で、選んでもらえる国で、そして、日本の社会経済を土台から一緒に働いてもらって暮らしてもらって支えていく人材としてウェルカムするには今回の改定ではちょっとなというところがあって、私たちは対案を出しているんですが。
そんなこともあって、次に、さらに、専門家でいらっしゃいます須田直樹宮城県社労士政治連盟の会長に伺いたいと思います。
現状としまして、特定技能二へのアプローチが不明確で円滑ではないとの御指摘や、技能試験が開始されている業種が僅かで、かつ合格率も低そうだとの指摘をよく受けます。特定技能一の後半の二年から三年の間に、マネージングでしたり、それからスキルアップ、これを修得できる仕組みがあればなというお声も寄せられているんですけれども、須田先生におかれましては、今回の法改定で、この点、どのような評価をされていらっしゃるでしょうか。率直に御意見をいただきたいと思います。
○須田直樹君 ありがとうございます。
ちょっと勉強不足なところがあって、深く知見がなくて申し訳ないんですけれども。
ちょっと先ほどの話と重複しちゃうんですけれども、キャリアパスという概念が日本では生まれたばかりで、本当に根づいていないなというところがあります。なので、今回の、これは先ほど言ったように、日本人の中でもキャリアパスの概念がないので、それを外国人に適用させるというのは非常に大変なことだなと思っております。
ただし、今これだけ外国人に対する政策が動いている中で、やはり、本当に本腰を入れて外国人のキャリアに取り組んでいかないと、先ほど言った開かれた日本にはならないと思うので、ちょっとやることが多くて大変だと思う、外部監査人にも先ほど注文を出したばかりなんですけれども、そこの部分に関しても非常に分かりやすい仕組みというのを開示していただければ、多分皆さん、日本人というのはそういう分かりやすいモデルがあると追随するのは得意だと思いますので、そういったところに力を尽くしていただければなと思います。
○鎌田委員 ありがとうございました。
続いて、福島大学行政政策学類の坂本教授、法務委員会では幾度となく参考人として御意見も御陳述をされていて、今回も本当にありがとうございます。
伺いたいのは、技能実習制度において問題視をされています、先生も先ほど触れられていらっしゃいましたが、技能実習生の失踪を防ぐ観点から、育成就労期間中でも転籍の制限緩和を図っているものと思うんですけれども、その要件の一つに挙げています、同一機関での就労が一年から二年、これは分野ごとに設定されていますが、その一年から二年を超えているということによって、分野によっては育成就労期間が残り一年を切った段階から転籍先を探すことになって、転籍先となる企業の手間などを考えますと、転籍というのが現実的ではなくなってしまうんじゃないかと。
現行制度同様に転籍できなかった外国人が失踪するという可能性があるんじゃないか、失踪問題の根本的な解決には至らないんじゃないかという懸念が実は私どもは残っているんですが、この点について、先生、どのような御評価をされていらっしゃいますでしょうか。
○坂本恵君 ありがとうございます。
後半お話しいただいた、残り一年になって実際に転籍ができるのかどうかということは、鎌田先生御指摘のとおりだと思います。極めて難しいだろうと思うんです。
ごめんなさい、一言だけなんですけれども、私、能登で実習生をずっと一月から支援していますけれども、一人はお金も送ってあげたりしましたけれども、結局、仕事を再開できずに、こんなことはしたくないけれども私は失踪しますと言って、ベトナム語でディボドイと言うんですね、戦場に行くという言い方をするんですけれども、失踪しました。
ということで、やはり、これも御指摘いただいたように、転籍要件の緩和、これは実習実施機関とか監理団体から言わせると、決して容易でないということは、私、存じ上げておりますけれども、やはり転籍要件の緩和の方向に進むということは無用な失踪を防ぐということになると思います。
ベトナム人だって、失踪するということの意味が分かっていないんですね。私たちから見ると、全て日本の法律のらち外に出る、健康保険だってそうですけれども。やめた方がいいよ、もうちょっと我慢してというふうには言うとしても、本人たちは失踪することの問題性がまず分かっていないんです。だから、そういうこともきちんと研修で教えてあげるということは必要かなと思います。
ありがとうございます。
○鎌田委員 ありがとうございました。
私、残り、持ち時間五分なんですけれども、最後に、須田会長と坂本教授にお伺いをしたいんです。
先ほどは坂本教授が触れていらっしゃったんですけれども、今回、有識者会議で全くと言っていいほど議論がされていないことが、今回の法律の改定の一つの柱として出てきたんですね。細部じゃなくて、枝葉じゃなくて、一本の幹のようなところで出てきました。それは、永住権の剥奪と私は呼んでいます。
永住者に対して、故意の公租公課、これの未払いがあったらということで、個別具体にちゃんと調査をして、永住権を取り消すときにはというふうに入管庁は毎回答弁をされるんですけれども、ただ、永住権を剥奪されるということは、この国でもう何十年と暮らしている、それからこの国で生まれた子供さんもいます、その人たちの人生、生活、暮らしを根底から、永住権がなくなっちゃうわけですから、取り上げられてしまうものですから。有識者会議で議論されていないのに何で突然ここに入ってくるんだというふうに、私は毎回委員会で、その根拠、立法事実がないじゃないかということをとにかく訴えているんですが。
須田会長、坂本教授、この永住権の剥奪ということが突然盛り込まれました。私は、立法事実はなきに等しいと考えている一人です。ですので、今日は、須田会長と坂本教授にもこの点について御見解を伺いたいと思います。
○須田直樹君 ありがとうございます。
済みません、私も、また知見がそんなにないところで申し訳ないんですけれども。
私は、入管のイメージというのは、非常に自由裁量というか、裁量権のすごく大きなところだなと。それは裁量がないといろいろなことを摘発できないというところですごく分かるんですけれども。
ただ、この一点に関して言えば、先ほど坂本先生がおっしゃっていたように、もうちょっと緻密な、確かに、法律というか、法律から規則とかになっていくのか分からないんですけれども、どういった要件の場合に、それを明示しちゃうと脱法的な行動が起こってしまうので明示しにくいというのもすごく分かるんですけれども、やはりもっと明文化して、こういう場合にという、重篤な場合には剥奪するというのは、それはそれで多分、現行法律でもできるところなのかもしれないんですけれども、それは当然のことだと思いますので、そういった法文化というのを、明記すべきというところに私も賛成だなと思って先ほど聞いていました。
○坂本恵君 ありがとうございます。
現在、日本国内で永住資格をもう既に取得されて長く住んでおられる方、八十八万人を超える方が日本で生活をされております。この八十八万人の方というのは、生活者であると同時に、いろいろな企業であったりとか、いろいろな職場、いろいろな分野で活躍をされているという方々だと思うんです。
公租公課の未払いのことについてはちょっとお話ししましたけれども、日本国籍者同様に対応すればいいだけのことであって、それをもって永住許可を取り消すというのは、外国人証の不携帯も、取り消される可能性があるのではないかと私は懸念するんですけれども、それであれば、きちんと、こういうことであればということで法文化されればいいということだと思います。
ですから、私は、永住許可の取消しに関しては、やはり経済界の意見をもっと十分聞いた上で、それに即した法案を改めて出し直していただく、本法案から切り離していただくということを強く求めたいと思います。
○鎌田委員 ありがとうございました。終わります。
○牧原座長 次に、阿部弘樹君。
○阿部(弘)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部弘樹でございます。
今日は本当に、陳述人の皆様方、ありがとうございます。
私は法務委員会でもお話ししておったんですが、今回の法改正は、短期就労そして長期就労、永住許可、単純労働と言っていいのかどうか分かりませんが、そういう方々にある意味で永住の道筋をつける、国際的な常識としまして、移民というものは家族帯同が原則だ、そういうものを許可すれば移民政策にかじを切るということが言われております。
今回の入管法も、法務大臣に聞くと、これは移民政策の転換ではない、移民政策ではないということをおっしゃってありますが、最初は国際貢献の名の下に労働力の一時的な助けを得るというところでお話があったんですが、今後の移民政策についてのお考え、各分野でもそれぞれございましょうが、どのようにお考えかというところを。
要するに、ビザの問題なんですね。就労ビザを発行すればいい話なんです。日本の労働力の不足を、このような技能実習生制度、もう一つは、日本語学校などを始めとする、本来は労働が認められない就学ビザに週二十八時間労働を認める、この二つが今の外国人労働者の大きな柱だというふうに私は見ておりまして、いつも法務大臣にそのような説明をさせていただいています。
今後の移民政策についてどのような考えがあられるか、それぞれの陳述人の方々にお伺いしたいと思います。
○坂本恵君 ありがとうございます。
先ほど御指摘いただきました外国人労働者ということの中には、留学生の週二十八時間の資格外労働もあるわけで、それ自体、重要な、日本の国内の労働分野を支えていただいているのではないかなと私自身は感じております。
済みません、これも先ほどお話ししたこととちょっと重複するんですけれども、就労ビザをどういうふうに整理すればいいかというのはなかなか難しい問題ではありますけれども、資格外労働なんかはちょっと別としても、やはり、二〇一九年四月一日に入った今の特定技能の議論をしたときに何回か質問が出たんですけれども、これは二階建てじゃないんだという話があって、技能実習と特定技能は二階建てじゃないんだということをすごく法務大臣も言われたんですけれども、実際、二階建てであれば二階建てでもいいんだと私自身は思っていて、うまくつなげることがやはり重要だと思いますし、それは先ほど申し上げた外国人基本法にもちょっと関わるのかなと思います。
ありがとうございます。
○須田直樹君 移民というと、またちょっと、本当に、ますます知見がなくてあれなんですけれども、諸外国の移民政策なんかを聞いていると、先ほど来、私、人権問題と言っているんですけれども、ダイバーシティーとかそういったところが、やはり日本というのはまだそこまで成熟していないんじゃないかなと単純に思っていたりします。なので、もうちょっと国家を挙げて、移民という政策をもし用いるのであれば、もう少し国民自体を成長させないといけないんじゃないかなと思っております。
あと、資格外活動許可に関して、二十八時間の件に関しては、日々、私たちの仕事の中にも大量に留学生が、本当に相当な規模で宮城県でも働かれておりまして、非常に、本当に支えられているというか、単純労働なのかもしれないですけれども、支え手となっているかなというところがあります。
済みません、そんなところでした。ごめんなさい。
○千葉憲治君 移民につきましては、私ども、基本的な考え方を持っていないので、ちょっとお答えできかねます。
以上です。
○佐野和夫君 私たち農業者人口は、今、百万、百十万人とも言われている、それが二〇四〇年頃になりますと三十万人ぐらいに激減していく。
その中で、外国人労働者ということでいろいろ入ってくるというふうなところに頼らざるを得ないような話は、話としては出ている。その前にいろいろな国内の制度をしていかなければいけないというようなことは出ておりますけれども、極端に移民というところまでは、今初めてそういうものに直面して、私も、正直なところ、答えに窮しているところであります。
今後の一つの考えの一端として、頭の隅に置いておきたいというふうに思っております。
○阿部(弘)委員 突然移民の話をして大変戸惑われたかもしれませんが、実質的に今回の法改正は、私自身は、少なくとも、短期就労と長期就労、そして日本語の能力さえあれば、単純労働に従事していても長期滞在、永住許可を出すというところに、移民政策への転換なのかなということも考えておるわけでございます。
非常に悲しくてならない問題は、今回、失踪問題が、要するに、その場を逃げ出すという事案が散見されるわけでございます。坂本先生もおっしゃってありまして、事の重大さというのがよく分かっていない。賃金未払いとかあるいはパワハラが起きているんだろうかということも考えるわけでございます。
諸外国から、アメリカのバイデン大統領からも、あれはどういう意図だったのかよく分かりませんが、ゼノフォビアという非常に厳しい言葉で日本を批判してありました。外国人嫌いというよりも、飛び越えて、外国人恐怖症というような言い方。岸田総理がああいう歓迎を受けながら、一方で、バイデン大統領は日本国に対してそういう言葉を発するというところに、本当にじくじたる思いを持つところでございます。
では、ちょっと話を変えますが、千葉代表理事にお聞きしたいんですが、母国の送り出し機関と監理機関との関係というのは、やはり、それぞれの国とコミュニケーション、パイプを持って行っていかれるところなんでしょうか。ベトナム、インドネシアとかいうところ。
○千葉憲治君 そのとおりです。最初、私どもは中国が中心でした。というのは、日本は製造業が非常に多かったので、私たちも製造業を中心にということで、中国が多かったですね。その後、建設業が実習生を求めるようになりまして、ベトナムに替わって、それからミャンマーに替わって、今、インドネシアが一社おります。
○阿部(弘)委員 では、そういう送り出し機関に技能実習生は一定のお金を払って、そして日本にやってくるわけなんですね。そして、こちらに来て監理機関にもお金を払う。
先ほど坂本教授からお話があったんですが、送り出した母国に対しても、月五千円ですか、そういう支払いというのは継続して、そしてこちらに来た後も監理費用として月三万円、前の視察のところでは別な料金が示されましたけれども、そういう実態があるんでしょうか。
○坂本恵君 ありがとうございます。
二〇一八年の公聴会のときかな、やはり、本国に五千円、日本人ブローカーというか仲介者の方に月々一人三万円というのは一般的だという意見がこの公聴会の中でも出ましたし、そのとき、ベトナム人のレロンソンさんという派遣会社の方はもっと高いみたいなことを言われていたので、それはちょっとケース・バイ・ケースだとは思いますけれども、本国に対して一人の実習生に月五千円バックするということはそんなに珍しいことではないのかなと私自身は理解しています。
○阿部(弘)委員 送り出した母国にもお金を払う、そして、こちらで働いていても監理料を支払う、それが、国連機関のILOなどからスレーバリーと言われるゆえんじゃないかなと私は思っておるんです。その二つの機関から逃れられないような、今の実習制度になっているんじゃないかなというような気もしないではないんですけれども。
では、その五千円とか三万円とか、どなたが払うんですか。会社が払うんですか。
○坂本恵君 ありがとうございます。
私の理解では、それは、実習実施機関が監理団体を通して払う、実習実施機関、会社が監理団体を経由してバックするというふうに私自身は理解をしております。
○阿部(弘)委員 済みません、千葉さんにもお聞きしますけれども、やはり監理料金というのは会社が支払ってあるんでしょうか。
○千葉憲治君 会社が支払うようになっています。
○阿部(弘)委員 平均額、大体で結構です、この仙台で。
○千葉憲治君 うちは一律に決まっていまして、最初からずっと二万五千円と五千円です。二万五千円と、送り出しの方が五千円です。
○阿部(弘)委員 そうすると、送り出した方も、毎月、その人数掛ける一定額が入ってくるわけですから、やはりビジネスとしては成り立つわけですね。
そうすると、失踪したらそれはもうなくなるわけなんですか。
○坂本恵君 ありがとうございます。
ごめんなさい、失踪したらなくなるというのは、払わなくていいということですか。
○阿部(弘)委員 会社が払わなくなりますよね。
○坂本恵君 ごめんなさい、その事例はちょっと分からないですけれども。
実習生は失踪すればそこの事業所からいなくなるので、ただ、契約は契約なので、本国の機関に対して、監理団体、実習実施機関、会社、これが払うという形は恐らく残るかなと思います。
ごめんなさい、一言、余計なことで申し訳ないんですけれども、五千円というのも大きいとは思うんですけれども、ベトナムなんかは、今、派遣機関が三百あると言われていますけれども、新しく登録するのに一千万から二千万ぐらい払うというんですね。ですから、実態は一千近くの送り出し機関があるのではないか。だから、ぬれ手にアワかもしれないですけれども、向こうには向こうの論理があるというか、だから、そういうところをきちんと規制しないとよくならないのかなというふうに思います。
○阿部(弘)委員 千葉代表理事、何か御意見はありますか。
○千葉憲治君 私どもは、まず、失踪していなくなった人はいただきません、企業さんからもいただきません。
まず、外国で選ぶ企業さんですけれども、それは、私たちが、足をかけて現地に行って、その会社の実態を見て、どういう状況なのかということを確認した上で取引をするようにしています。
○阿部(弘)委員 それでは、失踪の話はやめますけれども、平均賃金の話をちょっとさせてください。
やはり、日本人と同一労働同一賃金というのは、今、この仙台周辺でも守られているんでしょうか。外国人労働者だから安いということはないんでしょうか。
○坂本恵君 ありがとうございます。
ごめんなさい、私、仙台のことは存じ上げていないんですけれども。
私、陳述のフルペーパーの五点目にも書きましたけれども、同一労働同一賃金、これは、原則を言うとという前書きがあって、つまり、二〇二一年四月一日から中小企業に適用された有期雇用労働法というのが外国人労働者にもそのまま適用されるものなのかどうかというのは、ちょっと、議論は恐らくあるところだろうとは思うんです。
だから、私自身は、原則としてはこうなんですよ、外国人労働者であっても同じ仕事をしているのであれば同じ賃金を払うということが有期雇用労働法に準じることになるのだというふうに指摘はしましたけれども、でも、実態として今何ができるのかということでいうと、例えば、宮城と東京の最低賃金の差は八十円ぐらいだと思うんですよね。だから、八十円プラスをするというのはいきなりは難しいとしても、やはり、二十円、三十円でもプラスをして、きちんと丁寧に接してあげるという努力をすると状況は変わってくるのかなと思うので、そういうところからスタートを是非、大変なことだとは思うんですけれども、お願いしたいなと思います。
○阿部(弘)委員 須田政治連盟会長、お願いします。同一労働同一賃金。
○須田直樹君 ありがとうございます。
同一労働同一賃金ガイドラインの中にも、採用の仕組みとか、その後の長期雇用か短期雇用かとかというコースの違いなんかによっても同一労働同一賃金を判断するということなので、必ずしもいわゆる正社員という人と同じとは言えないかもしれないんですけれども、少なくとも同じ有期雇用というか、そういった方とは同程度じゃないとやはりおかしいのではないかと思います。
また、特定技能に関しては、やはり相当それに近い状況が実現してきているんじゃないかなと思います。
一方、技能実習生に関しては、やはり最低賃金というイメージが現場としてはあります。
○阿部(弘)委員 もう時間も迫ってきましたので、佐野会長にお聞きいたします。
この技能実習法の改正に伴って、農業分野でどういう方々が働き手として海外からお見えになることを期待してありますか、農業の分野ですけれども。特に、この資料を読みましたら、冬場はなかなか農業分野の仕事が減ってくるというお話も記載してありますので、是非とも、佐野会長が代表理事を務められるこの地域について、お考えを聞かせていただきたい。
○佐野和夫君 私たち農業者としては、やはり一番なじむのは、農業地帯から来ていただくのが一番なじむ。少なからず、機械化とかそういうものはなしにして、そういうある程度の実地体験をしていますから、なじみ方が早い、スピードが速いということは、実質、私も、さっき言いましたけれども、八か月実習体験をさせてみてそれを強く感じておりますから、農村地帯から来ていただくのが一番であるというふうに感じております。
○阿部(弘)委員 時間が来ましたので、以上で終わります。
○牧原座長 次に、本村伸子さん。
○本村委員 日本共産党の本村伸子と申します。
今日はお忙しい中、貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。
私は、愛知県の豊田市出身でございまして、愛知県というのは外国人技能実習生が一番多い県となっております。
そこで、私が、最大手の企業の下請中小企業の方からお話を伺ったところ、やはり下請単価がどんどん引き下げられる中で、安い労働力というところで国籍がシフトしていったというのが現実に起こっていることです。今回の育成就労に関する法律だけでは、日本の課題、地域の課題、賃金が上がらないという低賃金傾向というのは解決できないのではないかというふうに考えております。
そこでお伺いしたいんですけれども、中長期に見た場合に、そもそも人手不足になってきた原因をどのように考えているかということ、また、日本全体の賃金を引き上げていく、農業所得を引き上げていくということが課題ですけれども、やはり外国人労働者が低賃金というままでは、日本全体の賃金の引上げということが実現することが難しいのではないかというふうに考えております。その点について、四人の皆様に是非御意見を伺いたいというふうに思っております。
○佐野和夫君 農業現場の人材がなくなったというものは、一番は、労働に見合う収益がないということ、つまり、生産物の価格が転嫁されていないというのがずっと続いているということが一番である。今まさに価格転嫁ということで、我々も運動の柱にしております。
やはり、その対価というものをしっかりと生産物に組み入れていただいて、再生産できる体制づくりというものをしっかりと取ることによって、後継者も農村地域も潤って、活性化が成り、人材もそこに育っていくというふうに思っておりますので、そういうところで、これ以上の農村人口、農業者の人口を減らすことがないようにしていただきたいというのが一番です。
○千葉憲治君 私ども、もう二十年間実習生の事業をやっておりますが、一度もそういうふうに安くやった、金額が低いというときはありませんでした。
以上です。
○須田直樹君 人手不足という問題は、本当に人口構造と大きく関係あるので、ひとえに、そんな簡単に解決する問題ではないと思うんですけれども、外国人の待遇が低いというか、日本人の待遇も同様に低いというところがあるので、これはどっちかが、外国人を上げれば日本人が上がるという話でもないと思うので、どうやって賃金を上げていくかと、今、国家的に取り組まれているところだと思います。
ただ、人手不足の中で、外国人というのは、日本人より採用しやすい環境がもし今回の制度改正で生まれたとすれば、相対的に外国人のステータスはどんどん上がっていくんじゃないか、市場原理で上がっていくんじゃないかなとは思っています。
あと、一方で、再三言うんですけれども、やはり、経営者のモラルがこの数十年で大分、ちょっと狂っているというか、独り占めしていいみたいな風土は間違いなく生まれていると思うので、先ほどの人権教育じゃないですけれども、そういったところを、昔ほどにならなくても、独り占めみたいな感覚をどうやって変えていくかというところが全てに影響しているのかなとは思っています。
○坂本恵君 ありがとうございます。
二〇一八年の十一月、衆議院の法務委員会で、自民党の方から質問というか意見がございました、本会議で、外国人労働者の賃金が低いということは、日本人雇用者の賃金上昇を抑える効果を果たしてしまっているのではないかという御指摘をいただいて、私も本当にそういうふうに思っているんですけれども、やはり、本村委員が最初御指摘いただきましたように、下請単価の問題にかなり関わってくるのかなと思うんです。
私は、福島で縫製の実習生、本当に三十人ぐらい関わりましたけれども、働いている会社も最低賃金の半分ぐらいしか払わなかったりとかというケースが幾つもあったんです。監理団体がよくないと言ってしまえばそうなんですけれども、監理団体は、下請単価をどんどん下げられていて、ぎりぎりの状態でやっているということを考えると、やはり、そういう中小企業をきちんと支援する在り方が必要なのかなというふうに思います。
人手不足の対策は、これは恐らくはっきりしていると私は思うんですけれども、やはり日本の少子化対策を根本的にやるということだと思います。
そういう意味では、日本の十五歳から六十五歳の労働力人口の中で外国人労働者が果たしているパーセンテージは、本委員会でもあったんですけれども、四%ぐらいなんですよ。恐らく、マックスで四%ぐらいです。だから、そのぐらいと言ってしまえばそのぐらいなんですけれども、そこをきちんと理解しながら、この育成就労制度の問題も、国会のこういう審議、地方公聴会、今日、とても大事な機会だと思いますけれども、やはり国民的理解を広げるということも必要かなと思います。
ありがとうございます。
○本村委員 ありがとうございます。
先ほど水産加工の現場の方を見させていただきまして、東日本大震災で被災をして、それから本当に復旧復興ということで頑張っておられる、様々な、いろいろなものも抱えておられる中で、技能実習生の方々にも大変親切に対応されておられるわけですけれども、実習生の方にお伺いをしましたら、韓国に行きたいという声も多いのだというお話もありました。
出入国在留管理庁の方からその場で御説明があったんですけれども、韓国の方が賃金が高いというお話がありましたけれども、日本はなぜ韓国と比べてこれほど賃金が低くなってしまっているというふうにお考えなのかという点を、これは坂本先生に是非お伺いできればというふうに思っております。
○坂本恵君 ありがとうございます。
このお話をすると、またその話かとなるんですけれども、韓国は、二〇〇四年かな、雇用許可制を導入しましたよね。あれは、やはり根本的に、ポイントは、GツーGの関係に変えたということです。つまり、外国人の派遣受入れ、雇用、サポート、全部政府対政府でやるという形に決めましたので、完全ではないかもしれないんですけれども、その間に入るブローカーが、入る余地がなくなってきたんですよね。それと、違法な、いわゆるデポジット、保証金を取っている国からは入れないということを韓国は言って、ベトナムは一回それでアウトになって、しばらく入れることはできなかったんです。
だから、余計なバックマージンとかそういうものを払わなくてよくなった分、それを賃金に回すということはあり得るのかなと。私自身は、一つの参考にはなることかなというふうには思っています。
ありがとうございます。
○本村委員 ありがとうございます。
先ほどお話を伺いました技能実習生の方々、インドネシアの方は四十万円借金をしてきた、ミャンマーの方は五十万借金を抱えておられるというお話でした。
受入れ企業の方は、その前に借金がたくさんになる、そういう送り出し機関では失踪も増えてしまうということで、現地に行って、借金をなるべく背負わないでいいようにということでいろいろ御努力をされて、送り出し機関も変えたというお話でした。
ミャンマーでいえば、かなり月給というのは低い地域だというふうに思うんですけれども、そういう中で五十万円の借金を抱えなければならないということで、送り出し機関に支払うお金が正当なのかどうかというのを、どこでチェックをすれば借金を減らせるのかという点を、是非、千葉参考人、坂本参考人に伺いたいというふうに思います。
○千葉憲治君 今までやった中で、ある企業さんが、入国するときの費用、要するに日本に来る費用、また、入国先でどうしてもお金がかかるものは、勉強する費用なんですね、日本語を勉強させる費用、それから、入国する飛行機代、それを全部会社が持ちます、それでいい人材を入れてください、そういう企業がありましたね。
一つは、そういう法則をつくるといいますか、方法を考えるというか、そういうことが一つあると思いますね。
以上です。
○坂本恵君 ありがとうございます。
今日、こういう機会をいただけるということで、送り出し機関への手数料に関しても、いろいろ専門家の方などにも意見は聞きました。ですので、正確な根拠としてはなかなか示せないんですけれども、やはり入管の今日お示しさせていただいたこの統計は極めていいと思います。
これは、聞き取り調査で、二千五百人ぐらいの実習生から入管が聞き取って、この数字を出しておられます。ただ、領収書のことをお話ししましたけれども、ベトナムなんかだと、二回にわたって手数料を取る、一回目は領収書を出すんだけれども、二回目は領収書を出さないという話を伺いました。
いろいろ御専門の方に伺ったところ、送り出し手数料をゼロにしろと言うのはある意味簡単かもしれないんですけれども、先ほどのお話のように、実費はかかっているわけですよ。そこをちゃんと、実費は支払うというふうに考えた方が私はいいのかなと思っております。
ちょっと国によっても違うんですけれども、やはりベトナムが一番高くて七十万ぐらいなんですけれども、私の聞いたところでいうと、三、四十万が実費ではないかという話もございますので、これは二国間の話合いというか、やはりこれだけの調査をしていただいたので、実際の送り出し機関からもいろいろ話を聞いていただいて、ちょっと率直なところも聞いていただいて見極めるということでやっていただければ、大分前に進むのではないかなと思います。
ありがとうございます。
○本村委員 今、坂本先生がおっしゃられた二国間の取決めなんですけれども、借金を減らしていくためにも、それ以外にも、どういった二国間取決め、覚書なのか協定なのかということも問題になるというふうに思いますけれども、それぞれ四人の皆様に、どういう点を入れてほしいという御要望があれば、是非お聞かせいただければというふうに思っております。
○坂本恵君 先ほど申し上げた、送り出し手数料の関係でいうと、私自身は、MOCでわざわざ規定する必要はなくて、違法に、違法にというか、極めて高過ぎる派遣費用を取っている国からは入れませんよというふうに協議で言えばいいだけであって、MOCで記入いただくのであればそれでいいとは思いますけれども、そこまでしなくても、きちんとはっきり伝えていただければいいのではないかなというふうに、済みません、ちょっと現時点ではそのぐらいで。
○須田直樹君 済みません、私も知見がなくて申し訳ないんですけれども、今回の法改正でも、その辺にどのくらいペナルティーとか基準が明確に設けられて、どの辺まで切り込んでいけるのかというところに懸かっているのかなとは思っていたりしますね。
以上です。
○千葉憲治君 二国間協定でやるというのは非常に難しいかなと思っていますね。今、税金関係の問題も、二国間協定ができるのが、中国と日本だけで二国間協定をやっていますけれども、ベトナム、ミャンマーとかは全然やっていませんので、二国間協定でそれをやるというのは難しいかと思いますね。
以上です。
○佐野和夫君 やはり優良な送り出し機関を比較検討しやすいような、そういうものを作り出すということが必要であると私は思います。
○本村委員 ありがとうございます。
技能実習生や特定技能労働者が定着している受入れ企業の特徴などあれば、是非お伺いしたいというふうに思っております。各産業の構造的な問題も含めて、転籍をしないでいいような職場環境をいかにつくっていくのかということが必要だというふうに思いますけれども、その点で四人の皆様に是非お伺いしたいというふうに思っております。
○佐野和夫君 農業現場については、決して安価な労働力で受けているという認識は割とないんですね。結果的には、受け入れるためには結構コスト、様々なコストをかけて、しっかりとした賃金を払ってやっておりますから、かなり、日本人と同等ぐらいの賃金も払いながら雇っているというのが現実的にあるというふうに思っておりますから、そういうふうな、安価なというような感覚は今のところは持ち合わせていないのが現実であるというふうに思っています。
○千葉憲治君 基本的には、実習生は何のために日本に来ているのかということが、いろいろな審議の中でも欠けているものがあると思うんですね。
私たちが扱っている実習生は、ほとんど、お金が欲しくて日本に来ているんです。お金を稼ぎたいと思って日本に来ているんです。それで、あれをやっては駄目だ、これはやっては駄目だというような規制だけが多くて、実習生が本当に仕事をやれるものが、内容が少ない、今そういうことになっています。ですから、その辺を改革していただければいいなと思います。
○須田直樹君 私も、継続して働かれている、技能実習生の方が生き生きと働いているところというのは、まず、日本人と同じく公正に待遇が、先ほど言ったように、公正と言いつつ、全く最低賃金に近いところはあるんですけれども、とはいえ、時間外とかそういったところが公正に支払われている、プラス、かといってビジネスライク過ぎないというか、ある程度家族的な雰囲気もお持ちのところというのが、非常に生き生き働かれているというイメージです。
○坂本恵君 ありがとうございます。
今日、千葉陳述人がおっしゃっていただいたとおりだと思うんです。
定着企業の特徴ですけれども、ちょっと抽象的な言い方になりますけれども、やはり外国人の労働者の方に敬意を持って接するかどうかというのはとても大事なことだと思います。部屋に入るときだって、きちんとノックして、入っていいかと聞けばいいし、震災で逃げるときは、会って、避難したいですかということを必ず意思確認をする。転籍先を探すときは、石川県は九百三十三円だけれども、千葉県はこれぐらいの給与で、これでも行きますかと。そういう、本人の意思を尊重し、敬意を払うということですね。
もう一つ、構造的に言うと、やはりそういう監理団体は、今日の萩協同組合さんもそうだと思うんですけれども、送り出し機関を選ぶんですね。やはり本国の送り出し機関でいいところにつながるんです。もう一つは、監理団体が実習生を送り出すときに、実習実施機関、会社を選ぶんです。うちは、あなたの会社がこうこうこういうことできちんと対応するのであれば送り出しますよということで、送り出し先を選ぶんですよね。その努力は本当に大変な努力だとは思いますけれども、実際そういうことをやられている監理団体もございますので、そういうことを是非広げていただけるといいのかなというふうに思います。
ありがとうございます。
○本村委員 貴重な御意見を本当にありがとうございました。
○牧原座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
意見陳述をいただいた皆様方におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りましたことを、心より御礼を申し上げたいというふうに思います。
本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査において大変重大な、大切なものだと受け止めておりますので、ここに厚く御礼を申し上げる次第でございます。
こうした、衆議院の法務委員会ということとしては、初めて多分こうした地方公聴会をさせていただきました。改めて、委員を含めて、大変参考になったし、貴重なものだったというふうに感謝を申し上げます。
この会議を開催していただいた関係者の皆様、また御参加いただいた皆様にも、心より御礼を申し上げたいというふうに思います。ありがとうございました。
これにて散会いたします。
午後五時十四分散会