第20号 令和6年5月17日(金曜日)
令和六年五月十七日(金曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 武部 新君
理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君
理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君
理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君
理事 池下 卓君 理事 大口 善徳君
東 国幹君 五十嵐 清君
井出 庸生君 稲田 朋美君
英利アルフィヤ君 奥野 信亮君
勝目 康君 斎藤 洋明君
高見 康裕君 谷川 とむ君
中曽根康隆君 中野 英幸君
平口 洋君 藤原 崇君
三ッ林裕巳君 山田 美樹君
おおつき紅葉君 鎌田さゆり君
酒井なつみ君 鈴木 庸介君
山田 勝彦君 阿部 弘樹君
斎藤アレックス君 美延 映夫君
日下 正喜君 平林 晃君
本村 伸子君
…………………………………
議員 道下 大樹君
法務大臣 小泉 龍司君
厚生労働副大臣 宮崎 政久君
法務大臣政務官 中野 英幸君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 増田 嗣郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 原口 剛君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
東 国幹君 勝目 康君
寺田 学君 酒井なつみ君
同日
辞任 補欠選任
勝目 康君 東 国幹君
酒井なつみ君 寺田 学君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出、衆法第一〇号)
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○武部委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案並びに階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案の各案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として出入国在留管理庁次長丸山秀治君、厚生労働省大臣官房審議官増田嗣郎君及び厚生労働省大臣官房審議官原口剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○武部委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田勝彦君。
○山田(勝)委員 おはようございます。立憲民主党、山田勝彦でございます。
永住権の取消しは、大変な人権侵害です。
資料を御覧ください。移住連に寄せられた当事者の方々の声です。
永住資格は、永住者が日本で生活基盤を築く上で大事な在留資格であり、安定した生活の根幹を成すものです。永住資格取消し制度を盛り込んだ今回の法改正が通れば、私たち永住者の生活基盤は根底から揺るがされ、安心して暮らすことができなくなります。税金や社会保険料を支払うのは義務であり、未納や滞納をする人は既にペナルティーが用意されています。日本人だろうが外国人だろうが、同じ法で平等に裁けばいいのではないでしょうか。税金を未納、滞納する日本人は幾らでもいるのに、外国人に対してだけ、生活基盤となる永住資格を剥奪する正当な理由はどこにあるのでしょうか。それは差別でなくして何でしょうか。
そのほかにも、こんなひどい法律が成立することが分かっていれば日本に来ていなかった、他国へ行きます、こういう怒りの声や不安の声、夜も眠れない、こういう悲痛な声を当事者の方々にたくさん頂戴しております。
このような悪法は絶対に成立させてはいけません。こういった強い懸念を払拭するには、相当に慎重な議論と、政府から丁寧な説明が求められます。つまり、立法事実が重要になります。
法律の必要性や正当性を根拠づける社会的な事実は何でしょうか。
○小泉国務大臣 まず、御理解をいただきたいのは、外国人との共生社会、これを実現するためには、我が国に在留する外国人にも、責任ある社会の構成員として、公的義務の履行など、我が国で生活する上で最低限必要なルールを守っていただく必要がある。まず、これが基本的な出発点であります。
この点、現行入管法上は、永住者については、永住許可後に在留期間の更新といった在留審査の手続が存在していないため、永住者全体について網羅的に税金等の納付状況を把握することが困難であるという状況にありますが、その中で、地方自治体を中心に、永住者の一部において公的義務を履行しない場合があるといった指摘がございます。また、入管庁においても、永住者に関する在留審査の中で、一部の永住者について公的義務が適切に履行されていない事例があることを把握し、認識をしております。
こうした状況を容認することは適当ではないと考えます。このような状況を容認すれば、適正に公的義務を履行する大多数の永住者や地域住民との間で不公平感を助長するだけではなく、不公平感だけではなく、不公平そのものを助長する、また永住者全体に対する不当な偏見を招くおそれがあります。
今申し上げた点を踏まえて、一部の悪質な事例を対象として、今般、こうした措置を取ることとしたところでございます。
○山田(勝)委員 一部のというお話がありました。それであれば、こういった重要な法案審議の場に、根拠となる、そういった永住者の方々が滞納している方が多いんだ、社会問題なんだ、そういうデータを示せるんでしょうか。また、日本人と比較して永住者の方々が滞納者が多いというデータはあるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣からも申し上げましたとおり、永住者全体の網羅的な滞納率等は把握しているわけではございません。現在把握しておりません。
ただ、この国会でも御説明いたしましたが、地方自治体等のヒアリングの結果、永住許可を取った後に支払いをしなくなる方がいる、滞納される方がいらっしゃるというような事実はお聞きしております。
また、それは、何件あるから、何%あるからこういう制度を設けたいという提案をしているわけではなくて、現在の構造としまして、永住許可を取る時点では、適正に公的義務を履行されているかどうかを確認させていただいてございます。その後、そういうことを履行していただけない方がいらっしゃいますので、その事情は手続の中できちんと確認しなければなりませんけれども、その中で、故意に支払いをしていない方についてこういった仕組みをつくりたいという提案をさせていただいているところでございます。
○山田(勝)委員 もう今の答弁で明らかなんですよ。立法事実、根拠となるデータは存在しません。何件あるからではなく提案しているというのは、一体何なんでしょうか。こういった曖昧な状況の中で、永住者の方々の人権を侵害するような法案が出されているということです。そもそも、国内における永住者、日本人と比較しても滞納が多いという事実も存在していません。
唯一、立法根拠として挙げられているのが、昨年十二月、自民党から出されている提言です。「新制度によって永住に繋がる就労者が大幅に増えることが予想される為、永住許可の制度の適正化を検討すること。」と、この提言書に書かれています。
これは、何か大きな勘違いをしているのではないでしょうか。今国会は、裏金、脱税国会です。今、社会問題になっているのは、永住者の未納ではなく、自民党の裏金議員による脱税行為じゃないでしょうか。
私は、この裏金問題で、三週間ほど前まで選挙を戦っておりました。今の政治に対する怒りの声をたくさん頂戴してきました。国民の皆様が求めているのは、自民党の裏金議員がまず納税をすることではないでしょうか。
小泉大臣自身の所属されていた派閥でも、こういった裏金事件が起こっています。そして、もう何か月もたっているにもかかわらず、与党からは、現時点において、いまだ政治改革案すら提出されていません。
大臣、せめて、政治改革案を成立させ、政治の信頼回復をしてから改めて議論すべきではないでしょうか。
○小泉国務大臣 政治資金の適正性に関する様々な御批判、また、今、それに対する与党、関係各党の御努力、そういったものは非常に重要な問題であると私も認識しておりますが、それが解決するまでの間、では法務行政の適正性を確保するための措置を止められるのか、そういうことはできないわけでありまして、政府としては、政治資金の問題は重要ですよ、しかし、法務省としては、また法務大臣としては、一刻も早く、一刻もゆるがせにすることなく、法務行政の適正性、在留管理の適正性を期するための措置を講ずる国民に対する重い責務がございます。そのことを是非御理解いただきたいと思います。
○山田(勝)委員 永住の資格をようやく長年かち取った外国人の方々に対して、立法根拠もなく、そして、今こうやって政治不信の極み、納税がきちんと適切にできていないんじゃないかという政治家自身に対する国民の強い疑念があるこの国会中に成立させる法案ではないと強く抗議をいたします。
その上で、この自民党の提言、大変違和感があります。「大幅に増えることが予想される為、」とありますが、これは一体何なんでしょうか。そんな曖昧な予想とかで法律というのは作っていいんですか。あと、仮にこの予想が的中したとして、なぜ永住権を取消しできる法律が必要なんでしょうか。外国人の方々がたくさん来てもらって永住者が増えて、何が問題なんでしょうか。
要は、日本は、外国人永住者を増やし過ぎたくありません、こういう愚かなメッセージを世界へ発信しているようなものです。そうでありながら、国内の労働力不足を補うために、一定期間だけ外国人労働者に来てほしい、これは余りにも都合がよ過ぎるのではないでしょうか。ちなみに、車はアクセルとブレーキを同時に踏むと止まるそうです。この改正案は、永住権取消しという強力なブレーキにより、改正ではなく改悪になることは明白です。
大臣、外国人の方々から選ばれる国であるために、この永住権の取消し条項は削除した方がよろしいのではないでしょうか。
○小泉国務大臣 もっと大きく考えていただきたいのであります。大きく考えていただきたいのは、様々な不正がある、納税に関する不正がある、それを正していくことが、やはり、長い目で見て、日本国民の外国人材に対する、外国人に対する、在留者に対する正当な、適切な評価がそこから生み出されていく、そうでなければ、外国人に対する拒絶反応というものが蔓延していく、そのリスクは非常に大きいと思います。
それから、外国人の方は、労働者であり、また納税者でもありますが、もう一つ、在留資格というものを許可を得た、そういう在留資格者としての許可を得た者としての法的ステータスがございます。それぞれの法的な取扱いの中で、我々は、取消し、しかし実態的には在留資格の変更という形で、定着性にも十分配慮した形で適正性を確保しよう、こういうふうに考えているところでございます。
○山田(勝)委員 まず適正化すべきは、裏金国会です。その上で、本法案は立法根拠もなく永住許可を不当に取り消す悪法であって、決して適正化されないと確信しております。
大事な解釈の問題について質問していきたいと思います。
本法案では、故意に公租公課の支払いをしないことが永住権の取消し事由となり、この解釈がとても重要になります。弁護士によると、法律的には、故意にという文言は、納税義務を認識しながら納税できなかった場合も含まれ、悪意はなくても、やむを得ない事情で納税できなかった場合も入るそうです。つまり、急病や失業で税や社会保障を払えなくなったケースでも、払う義務があることを知っていれば、法律的には故意とみなされます。本法案では、故意に税金や社会保障の支払いをしなかった者が永住権の取消し対象と規定されています。
大臣に伺います。税金を払いたくても急病や失業で払えない、やむを得ない事情があった方が滞納した場合、永住権は取り消されるのでしょうか。
○小泉国務大臣 本人の責に帰すことができない事情がある場合の滞納、こういったものについては、取り上げるという考え方を我々は持っておりません。帰責性、それが一つの基準になります。ですから、悪質な一部の例を対象にするというふうに申し上げているのも、そういうことでございます。
○山田(勝)委員 ということは、そういった事情があれば取消しの対象にならないということを明確にお答えいただきました。
続いて、資料二を御覧ください。事前に国税庁にお願いし、脱税、滞納、申告漏れについての政府見解を示してもらっております。
申告漏れとは、単純な計算誤りや解釈誤りなどによる場合も含め、申告額が過少になった場合又は申告がなかった場合のことを指す一般的な呼称です。
その上で、納税者の申告額が過少であることが判明した場合又は無申告であることが判明した場合には、原則として、過少申告加算税又は無申告加算税、つまり、こういった行政罰が科されることになっています。
悪意なく申告漏れをしており、このような行政罰を受けたような場合、永住権は取り消されるのでしょうか。
○小泉国務大臣 行政罰を受けたことのみをもって、機械的に、自動的に取消しということにはなりません。
申し上げますけれども、実質的に見て本人の責に帰すべき事情があるかないか、つまり、在留が良好なものであるかどうかというのが最終的な基準になりますけれども、本人の責任があるかどうか、そういうものがないのであれば、我々は対象にするつもりはありません。
○山田(勝)委員 今、大変重要な御答弁をなさったと思います。つまり、申告漏れという行政罰の対象であったとしても、これは必ず、法案にも書いてありますが、取消しをする前には直接そういった弁明の機会が与えられますよね、そういったところで、悪意はないんだ、本当にただ申告するのを忘れていたんだということが確認できれば、永住権の取消しの対象にはならない、そういう理解でよろしいと。
○小泉国務大臣 そういう理解で結構でございます。
○山田(勝)委員 ありがとうございます。ここは本当に重要な御答弁をいただいていると思います。こういったことを曖昧にしておくことが一番不安、そして恐怖になってしまうからです。
次に、国税庁が定義する脱税は、申告義務が適正に履行されていない場合において、悪質性の高いものを指す一般的な呼称だと。つまり、先ほどの答弁からも分かってきたように、大臣が想定されている永住権の取消し事由とは、意図的に所得を隠すなどして税金の額をごまかし、納税義務を免れようとする悪質性が高い行為、これが脱税なんです。そして、こういったことが、この脱税行為が対象になる、取消しの対象になるという理解でよろしいですか。
○小泉国務大臣 脱税というものの定義はちょっとまだ客観的に確定できない部分はありますので、また同じ説明になりますけれども、悪質性、本人に帰責事由があるかないか、これが基準になるわけでございます。
税務行政は、それとはまた別に、収納という、税を集めるという、そういう観点が入ってくる。我々は、良好な在留状況というものに照らしての判断をしなければならないと思っているわけであります。
○山田(勝)委員 事前に入管庁の担当の方とも、この辺は本当に大事な点なので、何度も何度も確認をいたしました。想定しているのは極めて悪質な場合だと。つまり、悪質性がポイントになってくる。申告漏れであっても、悪質性がなければ対象にならないという御答弁もいただきました。ということは、つまり、これは脱税なんです、悪質性のある申告漏れということは。
そうであれば、もはやこの法案を成立させる意味は全くありません。なぜなら、現行法でも永住権が取り消されるからです。
脱税による刑事罰は、適用される法律ごとに定めはありますけれども、基本的には、入管法でも、一年を超える懲役、禁錮の実刑に処せられれば、外国人労働者は強制送還の対象になります。脱税行為であれば当然一年以上の実刑判決を受けるわけです。つまり、今、現行法の運用においても、わざわざ永住権の取消し規定を加えなくても、そういった残念ながら私たちの国のルールを守ってくれない外国人の方々の永住権は、永住権というよりも在留資格自体がなくなってしまうという運用はできるんじゃないですか、大臣。この法律は必要ではないんじゃないでしょうか。
○小泉国務大臣 永住者としての在留許可後について、更新手続その他においてこれを是正する客観的な条文上の根拠というものを我々は今持っていないので、一度許可すればそのままになってしまっているわけでありますが、今回の改正をしていただくことによって、現状を把握する、そういう権限を得ることができます。より適切に現状を把握し、より公平に、より的確に悪質性のあるものを探し出す、こういうことが初めて可能になるわけでありまして、その法律の欠如の部分を補う、そういう法律改正であります。
○山田(勝)委員 こういった納税とか未納に関わることは、国税庁が現行法でも十分取り締まっているんです。わざわざ入管庁が目を光らせる必要はありません。これこそ二重行政の無駄ではないですか。大臣、この法案自体、本当に問題があるし、そして必要性もないことがこの議論で分かりました。私たちは断固として反対する決意を述べて、この質疑を終わります。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。
今回の入管法改正の議論を終える前に、どうしてもこれだけはやらせていただきたかったと思うのがありまして、理事会の皆様、時間を与えていただいて本当にどうもありがとうございます。
まず、技能実習制度から育成就労に変わる中で、いろいろ多くのテストがございますけれども、そのテストの中で、技能実習評価試験と特定技能一号評価試験について簡単に御説明いただけますでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
技能実習評価試験でございますけれども、技能実習法に基づきまして、技能実習二号及び三号が設けられている職種におきまして、各段階の技能実習を修了するまでに技能実習生が修得した技能等を評価するシステムの一つといたしまして、国内の業界団体等の機関が試験実施機関となりまして、技能実習関係法令等に基づき、全国、職種ごとに共通の基準の下で実施、運営しており、各種の試験問題であるとか受検料は全国統一となってございます。
試験問題につきましては、各試験実施機関におきまして、当該職種に係る専門的な技能や又は学識経験を有する方で構成する委員会を設けまして、試験問題の作成や内容の審査、決定を行っているところで、試験問題につきましては、前年度に実施した問題の一部また全部を各試験実施機関のホームページ等で公表しているところでございます。
また、試験の監督及び採点でございますけれども、各実施機関が選任する試験監督官が実施することとしてございますけれども、試験監督官につきましては、不正防止と公平性の確保の観点から、技能実習評価試験の受検者、いわゆる技能実習生を受け入れている企業の役職員以外の者を必ず選任することとしております。
これらによりまして、技能実習評価試験制度の公平性、公正性を担保しているところでございます。
以上でございます。
○鈴木(庸)委員 公平性について極端に強調していらっしゃいましたけれども、これは誰がどうやって作り、採点をされているんでしょうか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
試験問題につきましては、各試験実施機関におきまして、団体が各職種に関する……(鈴木(庸)委員「団体が作っているんですね」と呼ぶ)団体が作りまして、その中で、各職種に係る専門的な技能又は学識……(鈴木(庸)委員「分かりました。それだけでいいです」と呼ぶ)はい。
○鈴木(庸)委員 要は、団体が自分で作っているわけですよね。これは国はどう監修していますか。
○原口政府参考人 試験問題の適正性につきましては、厚生労働省におきまして確認をしているところでございます。
○鈴木(庸)委員 どう確認しているんですかと伺っているんですが。どう確認しているんですか。
○原口政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、技能実習法関連法及び事務扱い要領におきまして確認しているところでございます。
○鈴木(庸)委員 要は、確認していないですよね、採点。
今、一部、全部、過去問も公開されているみたいな言い方をされていましたけれども、これは本当ですか。全部公開されていますか、各業種について。一部ですよね。
○原口政府参考人 お答えいたします。
一応、要領上そのような、先ほど説明申し上げましたとおり、ホームページ等におきまして問題の一部又は全部について公表しているということで認識してございます。
○鈴木(庸)委員 技能検定試験の基礎級と三級は、都道府県知事がしっかりとテストの実施に関わっていますよね。でも、なぜかこの技能実習評価試験と特定技能一号評価試験というとても大事な試験についてはほぼ完全に業界団体任せになっている。ここまではそういう理解でよろしいですよね。
それで、一部の業種については、過去問も公開されず、実習生が何点取ったのかも分からない。ホームページにちょろっとサンプル問題が出ていますけれども、この状況では、教える側の実習実施者は何を教えていいのか分かりませんよね。
もっと申し上げると、教科書、問題集もテスト範囲も分からない中で、その業界のOBとか何とか組合とか何とか団体みたいなところが問題を作っているわけですよね。この組合に所属している人たちも、先ほど、試験官についてはテストの製作者になれないとはおっしゃっていましたけれども、当然のことながら、この組合に所属している人たちも自分の会社を持って、そういった方がテストを作っている可能性もある。
ちょっと確認なんですが、自分で実習生を受け入れている会社の人間が問題作成や採点に関わってはいけないという制限というのはありませんよね。(発言する者あり)
○武部委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○武部委員長 速記を起こしてください。
原口大臣官房審議官。
○原口政府参考人 お答えいたします。
試験の監督及び採点でございますけれども、各試験実施機関が選任する試験監督官が実施する。その監督者につきましては、先ほど申し上げましたけれども、技能実習評価試験制度の受検者、要するに受検する技能実習生を受け入れている企業の役職員以外の方を必ず選任するという規定になってございます。
○鈴木(庸)委員 ですから、それは採点と試験官に限っている。問題を作る側には、それは規制されているんですか。
○原口政府参考人 お答えいたします。
試験問題につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、当該職種に係る専門的な技能、学識経験を有する者で構成する委員会において確認をして、試験問題の作成、内容の審査、決定を行っているところでございます。
○鈴木(庸)委員 ですから、先ほどからその具体的な話を全くおっしゃっていただけないんですけれども、もう一度確認させてください。
その問題、例えば国が確認をして、おかしい、おかしくないよみたいな、そういったチェックを入れた上でテストにして、採点されて、過去問も、要は、どこまで公平性が担保されているのかということを聞いています。
○原口政府参考人 お答えいたします。
試験につきましては、学識経験者と労使から成る技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議、本省にございますけれども、による確認の上、厚生労働省人材開発統括官が認定しているものでございます。
○鈴木(庸)委員 同じ答弁の繰り返しなので、ちょっと先に進まないといけないと思うんですけれども、つまり、問題の作成に関わっている人たち、問題を作る人たち、テストの採点をする人たち、そして試験官をする人たち、この人たちの中に、じゃ、技能実習の受入れをしている人とかはいないという理解でよろしいんですか。全くいないという理解でよろしいんですね。
○原口政府参考人 重ねての御説明になりますけれども、試験の監督及び採点についてはいないという形でございます。
○鈴木(庸)委員 試験の監督についてはいないということなんですね。では、それ以外はいるということですよね、今の答弁だと。そこを確認させてください。
○原口政府参考人 試験問題につきましては、先ほども申し上げていますとおり、まず、専門的な技能、学識を有する者で……(発言する者あり)
○鈴木(庸)委員 何で笑っているのか分からないんですけれども、あなた。
私、本当に伺いたいのは、要は、ここからはあくまで仮定の話、本当に仮定の話としてさせていただきます。そんなことはないと信じていますよ、私も。ただ、例えば、その問題を作っている団体、こうしたところが、団体に年会費を払っている企業とかに便宜を払ったりとか、その便宜の在り方として問題の内容を示唆するといったことというのは一〇〇%起こっていないということを確認をしたい、そういうことなんです。
万が一そんなことが行われていたらどんな犯罪なんですかと言っても、個別具体的な案件にはという答えになると思うんですけれども、私も法務委員会でここまで言うわけですから、根拠を持って申し上げています。もしそういうことがあるとするならば、余りにも実習生に対する敬意を欠いているのではないかなと思っているんです。
もちろん、ここで役人の皆さんがこれを認めるとか認めないとか、そんなことはできるわけないと分かっていますけれども、法務委員会の質疑でこの話が出たということを議事録に残したいと思って、あえてこのお話をさせていただいております。
私、国会で入管法の質疑を始めてから、本当に様々な情報をいろいろなところからいただくようになりました。もちろん、技能実習やこれからの育成就労に関わるほとんどの機関は、先日伺った三進工業さんのように、真っ当に、誠実に頑張っていらっしゃいますよ。ただ、しかし、残念ながら、それだけではない話がいっぱい聞こえてまいります。
まだ私自身も調査が終わっていないので、今回はここまでにいたしますけれども、先ほど申し上げているように、このテスト、やろうと思えば利権化できますよね。そこを、はっきり、そんなことはできないという確証を持ちたい、申し上げているのはそういうことなんです。
そういったことの中で、決して私は、全く断定はしておりませんけれども、そういうことも可能でなくはないのではないのかな、可能なのかなというような言い方をしておりますが、法務省としてどう公正公平で、情報公開された試験制度にするのか、大臣の見解を伺わせてください。
○小泉国務大臣 適正かつ公正な試験の実施の確保、これは、育成就労制度及び特定技能制度を円滑に運用する上で根幹を成す非常に重要な問題点、課題であると思います。
今後は、現行制度における取扱いを踏まえつつ、特定技能評価試験のレベルの評価等については、有識者等から成る新たな会議体において議論を行い、その意見を踏まえて政府が判断することとしているところであり、試験運用についてより一層の適正化を図ることとしております。
法務省としては、厚生労働省を始め関係省庁等と連携し、試験の運用も含め、両制度が適正に運用されるよう取り組んでまいりたいと思います。
○鈴木(庸)委員 有識者というものがどこまで有識者かというのは、私もこの法務委員会の質疑で何度も疑問を呈させていただいているんですけれども。
通告していないんですが、大臣に二つだけお願いしたいと思います。技能実習評価試験と特定技能一号評価試験について、匿名のアンケートを実施していただけないでしょうか、それが一点。もう一つ、少なくとも過去問については全て公表をしていただきたい。この二点について、御検討を願えないでしょうか。
○小泉国務大臣 検討いたします。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。検討していただける、大変力強いお言葉をいただきました。
公正公平、これはもう、人生が懸かったテストで、一年目で、二年目に行けないといった実習生がいっぱいいる中で、彼らの人生が懸かっているテストですから、我々も敬意を持って応えるべきだと思っております。
次に、帰国同意書について伺わせてください。
育成就労についても、帰国同意書、意思確認書による外国人の早期の帰国というのは想定していますでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
技能実習生が技能実習計画の満了前に途中で帰国することとなる場合には、意に反して帰国する必要がないことを説明した上で、帰国の意思を確認する趣旨から、技能実習生が帰国する前に、原則として、帰国の意思を確認した書面を添付した上で外国人技能実習機構に提出することを求めております。
育成就労制度におきましても、個別の事情により外国人が育成就労途中で帰国せざるを得ない場合が想定されますが、外国人の意に反した帰国を防止するため、育成就労制度におきましても引き続き帰国同意書を活用する方向で検討しております。
○鈴木(庸)委員 本人が強引に帰国同意書を書かされるケースがあるという話も聞いております。そのやり方も、訳の分からないまま書かされたりするケースもあれば、故郷の送り出し機関を通じて家族に圧力をかけたりとか、結構ひどいやり方もあると聞いているんですけれども、帰国同意書が本当に本人の意思で書かれたものなのかということについての担保をしっかりとお願いできればと思うんです。
確認書が提出されてから実習実施者に対して何らかの処分又はヒアリング等々が行われるまでのフローについて御説明いただけますでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度におきましては、技能実習生が技能実習を途中で終了し帰国する場合には、受入れ機関等において、技能実習生の帰国の意思を書面で確認し、技能実習実施困難時届出書とともに帰国前に外国人技能実習機構に提出することを運用上求めております。
そして、外国人技能実習機構では、技能実習実施困難時届出の届出内容や、母国語相談等に技能実習生から事前に寄せられていた相談内容等を踏まえ、受入れ機関等が技能実習生の意思に反して技能実習を打ち切り、帰国させた疑いがあれば、受入れ機関等に対し実地検査を実施するなど、事実関係を確認しております。
その上で、事実確認の結果、技能実習生の意思に反して技能実習を打ち切り、帰国させたことが認められた場合には、主務大臣等において、受入れ機関に対しては、技能実習計画に従って技能実習を行わせていないことを理由として技能実習計画認定の取消し、監理団体に対しては、技能実習計画に従った実習監理を行う業務に違反したことを理由として監理許可の取消しといった必要な措置を講ずることとしております。
○鈴木(庸)委員 きちんと対応していただければというのと、あと、実習生側もちょっと、えっというのがありまして、出発する、帰国するときには円満に見えたけれども、帰国してしばらくたってから、いや、実はあの会社にひどいことをされて強引に帰国書を書かされたといって、何らかのメリットを取るというようなケースもあると聞いております。
そうすると会社の方もたまらないので、大臣にちょっとお願いをしたいのは、例えば、確認書を帰国数日前に必ず提出する。空港でもう一度、実習生の帰国書で帰る人たちには、あなた本当に帰るのという運用が入管についてはなされているということは、これはすばらしいことだと思うんですけれども、確認書を数日前に提出することによってトラブルを事前に回避することについても是非御検討いただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 実質的に窓口で今おっしゃったような措置を取っていますが、それで十分かどうかという御指摘だと思います。これも一回検討してみたいと思います。
○鈴木(庸)委員 よろしくお願い申し上げます。
最後に、監理団体について伺わせてください。
労働基準法の農業における適用除外と建設業の時間外労働の上限規制について、簡単にお願いします。
○増田政府参考人 お答えを申し上げます。
労働基準法第四十一条第一号に基づきまして、農業に従事する労働者については同法の労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しないこととされております。
一方、建設業では労働基準法の労働時間規制が適用されており、一週四十時間、一日八時間を法定労働時間としておりますし、また、時間外労働につきましても、本年四月から、一か月四十五時間、一年三百六十時間を原則とし、臨時的な特別の事情がある場合であっても時間外労働を年七百二十時間以内などとする上限規制が適用されているところでございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
そうなんです。特に農業は特殊で、農林水産省の令和三年の調査だと、特にレタスとか、レタスの場合は全労働時間二千百時間余りのうちの九百時間近くが収穫にかかっていて、その収穫に十何時間かけている。監理団体の側が、そういった農業の特殊事情とか建設業の特殊事情とかを全く勉強しない状態で、とにかく人だけを持ってくるみたいな話が結構ありまして、この監理団体の不勉強というところについて、是非是非、国としても検討の基準に入れていただきたいと思うんですね。
そのことについての大臣の見解を伺えますでしょうか。
○小泉国務大臣 現行の技能実習制度においては、監理団体による実習監理の適正化の観点から、監理団体の監理責任者に養成講習の受講を義務づけているほか、特定の職種及び作業に、特有の事情を踏まえたいわゆる上乗せ基準の設定も可能としております。上乗せ基準としては、具体的には、自動車整備職種や介護職種において、実務に通じた者が役職員に含まれていることを要件とするというものでございます。
育成就労制度においても、現行の技能実習制度における要件を参考としつつ、委員の御指摘も踏まえて、監理支援がより実効的になされるよう、必要な要件の設定を、各省庁とも図り、検討してまいりたいと思います。
○鈴木(庸)委員 是非よろしくお願い申し上げます。
本当に、自分を食べようとしている肉食獣がいろいろなところにいるジャングルを、言葉という武器も持たずに家族のために食料を取りに行くような、何かそんな印象を最近持っております、技能実習の皆さんには。是非、法務省の皆さんには、引き続き、彼らに安心して、安全に食料を確保してもらえるように頑張っていただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、米山隆一君。
○米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。
まず、先ほど来といいますか先日来といいますか、鎌田委員、山田委員を始めとして多くの委員から懸念や立法事実の不存在が指摘されております、入管法第二十二条の四第八号、九号についてお尋ねいたします。
この条項では、先ほどから大臣の御答弁もあるんですけれども、故意に公租公課の支払いをしないという事実が判明した場合には、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格、まあ永住許可の資格ですけれども、これを取り消すことができると定めております。
ここに言う公租公課というのは、ちょっと技術的な確認ですけれども、何のことを言っているでしょうか。
所得税、住民税は当然だと思いますけれども、公租公課に含まれるものとしては、考えてみたら、それは、国民健康保険料もあれば国民健康保険税もあり、また、介護保険料もあり、固定資産税もあり、自動車税もあり、相続税もあり、さらに、考えようによっては、今話題になっている富士山の入山税、あれは法定外目的税というふうに言われていますから、富士山の入山税を払わず富士山に登ったら、それは当たるのかということもあり得るかと思うんですけれども、そういったものを理由として在留許可を取り消せる、そういう条項であるということでよろしいのか、御確認をさせてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案では、入管法第二十二条の四第八号を新設し、故意に公租公課の支払いをしない場合には、永住者の在留資格を取り消すことができるものとしております。ここに言う公租とは、国税、地方税などの租税全般をいい、公課とは、租税以外の公的医療保険、公的年金などの公的負担金をいいます。
したがいまして、御指摘のありました国民健康保険料、健康保険料、介護保険料、国税である所得税及び相続税、地方税である住民税、国民健康保険税、固定資産税、自動車税等は公租公課に含まれることとなります。
この点、御指摘のございました富士山の入山税につきましてですが、これが山梨県富士山吉田口県有登下山道設置及び管理条例で定められている登下山道に係る使用料というものであれば、その性質は山道の使用料であると承知しており、公租公課には含まれないのではないかと考えております。
○米山委員 さすがに富士山の入山税は違うということで、それはまあ妥当な判断だと思うんですけれども、入山料ですね、違うということなんですけれども、でも、これは、要はかなり幅広いわけなんですよね。かなり幅広いというか、要は全部ということですから、それは、随分適用には注意しなきゃいかぬということだと思います。
また次に、先ほど山田委員からも御質問はありましたけれども、故意に公租公課の支払いをしないというところは、それは知っておる、知っておるけれども、お金がないから払えませんという人が世の中にいっぱいいるわけです。外国人の生活保護というのは議論もあるところで、それは権利として保障されていないのは承知していますけれども、同時に、別に禁じられているわけではない。外国人の方でも生活保護になっている方はおられるわけなんですけれども、そうした場合、通常、それは自治体によるのかもしれませんが、生活保護を受ければ、様々な税金は免除になり、未納分も執行停止となって消滅するというのが通常の解釈だと思いますが、そのような場合にも、これは故意に公租公課の支払いをしないに該当するのか、お答えください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案第二十二条の四第一項第八号における、故意に公租公課の支払いをしないことについて、故意とは、一般的に、自己の行為から一定の結果が生じることを知りながら、あえてその行為をすることをいうところ、ここでは、支払い義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払いをしないことをいうものと考えております。
もっとも、これに該当するか否かは一概にお答えすることが困難でございますが、一般論として申し上げると、本人に帰責性があるとは認め難く、やむを得ず支払えないような場合にはこれに該当しないものと考えております。
また、御指摘がございました生活保護受給者につきましては、国民年金保険料や住民税等の納付義務の法定免除の対象とされていると承知しており、一般論として、故意に公租公課の支払いをしない者には該当しないと考えております。
○米山委員 これは法案そのものの是非はともかくとして、先ほど来、結構な答弁をいただいているんだと思います。やはり有責性が大事であり、そして、本当に困っていたら、きちんと手続してください、手続されて免除されれば、対象ではないんですという御答弁をいただいたかと思いますので、それは確認させていただくとともに、きっちりやっていただきたいと思います。
そして、また、この滞納の具体的な手続ということでお伺いしたいんですけれども、話題になっている国民健康保険料でございますが、国民保険料、これは日本人でも収納率は九〇%程度、これは市町村で違いますけれども九〇%程度で、逆に言うと、一〇%ぐらいの人は、結構な割合ですよ、実は払っていないということなんですが、未納を続けるとどうなるかというと、いきなりいろいろなことが起こるわけじゃなくて、まずは市町村から督促を受ける。次に、短期被保険者証が交付されて、次に資格証明書が交付されて、その資格証明書が交付された段階で大体十割負担になる。窓口では十割負担をした上で、ちゃんと七割返してくださいみたいなことが起こるわけです。そして、大体滞納から一年半ぐらい、保険資格を喪失して、最後には差押えを受けるということになろうかと思います。
これは、別にそれでいいと言いたいわけじゃないんですけれども、逆に言うと、一年半ぐらいは払わなくたって強制執行はされないわけなんですよ。日本人は、そういうふうに滞納している方、それはおられるわけですよ。いろいろな事情によっては、それは払いたいけれども払えないということもあろうということで、恐らくこういう順に手続が進んでいくということになっているんだと思います。
そうしますと、外国人の方も結局、こういう手続が進んでいくわけなんですけれども、一体全体、どの時点で、先ほど来話をしている入管法第二十二条の四の第八号に該当するということになるのか。どの時点で一体、永住資格喪失の手続が始まるのかというのをお伺いさせていただきたいと思います。
理屈からいけば、国民保険料未納の瞬間なのか、一月でも滞納になったらそうなのか、それとも、短期被保険証が交付された辺りなのか、それとも、十割負担になった資格証明書が交付された辺りなのか、それとも、完全にもう保険資格を喪失したときなのか、差押えを受けたときなのか、これを教えてください。
そしてまた同時に、通常、手続に時間がかかりますから、手続中に慌てて納付する人も多いし、更に言うと、強制執行されて事実上払いました、自分で払ったんじゃないのかもしれないけれども、強制執行で、ともかく、債権としては履行されましたということもあると思うんですけれども、そのような場合にもこの入管法第二十二条の四第八号に該当するのか、こちらをお答えください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
永住者の在留資格の取消し事由である、故意に公租公課の支払いをしないことに該当するかどうかについては、個々の事案の具体的な状況に応じて判断されるものである上、仮に取消し事由に該当するとして、実際にその取消しなどをするかどうかは、公租公課の未納額や未納期間のほか、最終的に支払いに応じたか否か、すなわち、御指摘の未納の公租公課に係る関係行政機関の措置への永住者の対応の状況などをも踏まえて判断することになるため、一概にお答えすることは困難です。
なお、出入国在留管理庁としましては、取消し事由に該当するかどうかや、実際に取消し等をするかどうかにつきましては、事実の調査を行い、対象となっている外国人から意見の聴取等を行って、事実関係を正確に把握した上で慎重に判断することとしております。
○米山委員 これも、結局、職権だというお声もあり、曖昧さが残る、それはそうだと思うんです。同時に、そこは確かに、おっしゃられたように、ちゃんと払ったらそれは認めてくれるという部分の御答弁もいただきましたので、それはしっかり確認させていただいて、そういうこともまた本人にもちゃんと聴取するということも確認させていただきました。
その次に、じゃ、まあ、分かりましたと、いい悪いはともかくとして、在留資格、永住資格がなくなるとしたら、条文上は、第二十二条の六で、法務大臣は、職権で、永住者の在留資格以外の在留資格への変更を許可できるとされているんですが、そもそも、これはどういう在留資格になるんですかというのが条文からは分からない。まさか、永住資格がなくなったからもう一回一から育成就労をやってくれと、そんなことになるわけはないと思いますし、就労ビザというのは相手がいることですから簡単に取れるわけでもない。そうすると、一定の、何か、こういう資格にしますよというのが想定されていないと実現困難だと思うんですが、これは一体どういう資格に移すことを想定されているんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
改正後の入管法第二十二条の六は、永住者の在留資格の取消しをしようとする場合には、原則として他の在留資格に変更することとするものであり、永住者の我が国への定着性に配慮したものでございます。
具体的にどのような在留資格とするかは、個々の外国人のそのときの在留状況や活動状況に鑑みて、引き続き本邦に在留するに当たって最適な在留資格を付与することを想定しておりますが、一般的には、ほとんどの場合は定住者という在留資格になると思われます。
○米山委員 これも、まあ、裁量の余地はあるにせよ結構な御答弁といいますか、基本的には定住者になるということですから、いきなり出ていけと言われることではないし、一定期間、相当一定期間といいますか、結構な期間は安心していられる。まあ、安心かどうかはともかくとして、いられるということになろうかと思います。
次に、また、それでもということで確認させていただきたいんですけれども、私も、この条項はともかくとして、犯罪を犯したり、当局の支払い要請に、再三の要請にも、お金があるにもかかわらず、払えるにもかかわらず全く応じないというような不見識な方がおられる、それに関して永住許可が取り消されるという方に関して、まあ、それはやむを得ない部分もあるよなというところは思うんですけれども、同時に、先ほど来、裁量じゃないかというところもあり、いや、それは違うだろう、幾ら何でもこんなので取り消されるのはおかしいじゃないかということもあると思うんです。先ほど来の答弁では、それは入管庁が適正に判断しますということだとは思いますけれども、物事には常にグレーゾーンはあり、常に境界線のところというのはあると思うんですよ。
そうすると、おかしな判断がされた、あなたはひどい、こんなんじゃ駄目だと言うけれども、いや、私には私の事情があったんだ、この永住許可の取消しの判断というのはおかしいと思った場合に、当該外国人はどのようにしてそれを争うことができるか。それは、行政取消し訴訟を行えるということでよろしいのか、そのときには、裁量権の逸脱ということで争えるのかということを確認させてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねのとおり、永住者の在留資格取消処分等に不服がある場合には、取消し訴訟により裁判所の判断を求めることが可能です。
その際、当該処分の適否をどのような理由で争われるのかは、当該処分を受けた原告に委ねられることから、お答えすることは困難でございます。
○米山委員 まあ、それは、少なくとも前半の、行政処分取消し訴訟を行うことができる、しかもそれは、判断は入管庁ではなくて裁判所になるというのは結構な御答弁かと思います。
その上で、何を理由にするか、それは原告が決めることだと言われれば、それはそのとおりですけれども。法文上きっかりと、それこそ、先ほど来、何が故意の不払いなのかというのは、悪質性、有責性で決めるんだと言っているので、それは裁量権の逸脱ぐらいを理由にするしかないわけですよね。全く事実がないというならそれはいいんです、全部払っているのに、あなたが勝手に誤解したというなら、それはそれが理由だと思いますけれども、そうでない場合、少なくとも事実があるなら、それは裁量権の逸脱ということになるんだと思います。
私も、先ほど来質問しているとおり、入管法第二十二条の四第八号に賛成ではありません。公租公課を支払わない外国人がいたら、それは強制的に徴収すればいいわけです、さっき言ったみたいに。そんなの強制執行したらいいでしょう。本当に悪意がある場合は、それは脱税で刑事罰がありますから、強制退去にすればいいわけですよ。何せ、納税債務といいますか、納税の義務というのは破産しても消えるわけではないので、それはもう何せ、ひたすら強制執行、強制執行。ともかく取り立てればいいんですということかと思うんです。
逆に、強制的に幾らやっても払えませんという人は、それは払えないわけです。ない袖は振れないというのは、日本人だって、極めて最も強い抗弁であって、ない袖を振らせるのは無理ということで、そういう人に対して、支払えないということを理由に、永住している、永住地という、ついの住みか、生活の基盤を奪うというのは、それは本当に私は行き過ぎだと思います。
一方なんですが、世の中にはいろいろな人がいて、支払えるのに、あの手この手で支払わない人は確かにいるはいるでしょう。健康保険料の時効は二年ですから、市町村の徴収実務との兼ね合いで、ひたすら払わないで済ませている人というのは、それは日本人、外国人問わずにいるわけです。
そういう状況の中で、在留資格取消しの手続は入管庁が行うわけなんですけれども、当然ながら、入管庁は常日頃、永住在留者の公租公課の支払い状況をチェックしているわけではありません。また、これを調査するような権限もないというふうに理解しております。そうすると、実態としては、これは改正入管法第六十二条の二の、「国又は地方公共団体の職員は、その職務を遂行するに当たつて第二十二条の四第一項各号のいずれかに該当すると思料する外国人を知つたときは、その旨を通報する」と。要は、自治体職員の通報にかなりこれは依拠した運用になるんだと思います。
そうすると、先ほどから有責性、帰責性を判断すると言いますけれども、何の基準もなかったら、それは大混乱になると思います。どうしたって、それは一定の基準を設けるべきだと思います。全てを画一的に決めて公表すると、例えば一年以上の未納があった場合は永住許可を取り消すとかとすると、逆に一年以下ならいいのかというメッセージにもなりかねないので、全てを画一的に公表することは困難だということ自体は理解するんですけれども、一方、やはりそれは、とはいえ一定のガイドラインは要るじゃないですか。例えば家賃の未納で賃借権を取り消されるときは、事実上六か月という基準になるわけですね。それは別に六か月間未納していいという意味じゃないんだけれども、事実上六か月という基準がある、判例基準みたいなのができ上がっているわけです。
それと似たような話で、それはやはりきちんとした基準、きちんとしたガイドライン、運用の基準を設けていくということをしなければいけないと思うんですけれども、大臣の御所見を伺います。
○小泉国務大臣 それは全くおっしゃるとおりだと思います。
在留特別許可についてもガイドラインを設けておりますので、在留資格の取消しについても、条文だけでは、これはなかなか予測可能性も立たないし、地方公共団体の職員の通報の要否にも判断がなかなかつかない。
したがって、どの程度のものになるか、詳細なものにできるか、やってみなければ分からない部分はありますが、ガイドライン、これは是非作りたいと思っております。公表したいと思っています。
○米山委員 これも結構な御答弁といいますか、それは是非作っていただいて、そして、妥当なガイドラインを作っていただいて公表していただきたいと思います。
それでは次に、家族の帯同についてお伺いいたします。
これは、ちょっと要望みたいなことになっちゃうんですけれども、まず、特定一号について家族帯同ができずに、二号になると家族の帯同ができる、その趣旨を教えてください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
一号特定技能外国人を含め、一定期間の在留後、出国することが予定されている外国人に家族帯同を認めるか否かについては、本人の扶養能力や家族の受入れに要する社会的コスト等の観点を踏まえた慎重な検討が必要と考えております。
この点、特定技能一号は、人手不足分野における人材確保を目的として、従来の専門的、技術的分野の外国人には当たらないが、一定の専門性、技能を有する外国人の受入れを行う制度でございます。
そのような性質から、特定技能一号では無制限の在留を認めるものとはせず、特定技能などに移行しない限り五年を上限として帰国していただくものとしております。
これに加え、特定技能一号の場合は、特定二号などの外国人の場合と比較すれば、家族の扶養等のための経済的能力の観点もより慎重な考慮が必要となるため、これらを踏まえ、特定技能一号では家族帯同を認めていないものでございます。
○米山委員 これは、今聞いて、は、という感じだったでしょう。やはり、特段それは真っ当な、合理的理由じゃないわけですね。所詮、程度問題ですし、しかも一号と二号で扶養能力が違うって、そんなに給料は変わりませんよ。二号になってめちゃめちゃ給料が上がったりするんだったら、それはもしかしてその理由もあり得るのかもしれませんけれども、ほぼほぼ給料なんて変わらないわけです。
そして、五年間一号でいるときに、別に何も永遠にそこに家族と一緒にいさせてくれなんて言っていないんですよ、別に五年間ですから、五年間単身赴任するときに、単身赴任するのか、家族帯同できるのかというと、家族帯同できた方がいいに決まっているじゃないか、日本人だって。単にそれは、一緒に来て、一緒にお帰りいただけばいいだけなんです。
何せ、育成就労のときから家族帯同というのは、それは確かに御本人たちだっていっぱいいっぱいでしょうし、なかなかそれは厳しかろうというのは、それはそうだと思うんです。
でも、一方、特定技能一号に行くときというのは、その育成就労を終えて、もう既に一定の技能、先ほど来、先ほども、今の答弁でも、一定の能力はあるとおっしゃられたわけですよ。認めているじゃないかと。
もう育成就労を終えて、一定の技能、日本語能力を取得して、さらには、育成就労も終えて、でも更に日本にいようと思ってくださっている方なわけだし、しかも一定の基盤もできているわけですし、これは家族の帯同を認めない理由というのはないんだと思うんです。
まず、これは是非、私は今回でやるべきだと思うけれども、逆に、仮に今回でないとして、そうしたら育成就労の制度が始まるわけですから、その二年、三年の経過を見て、いや、この人たち、やはり育成就労を真面目にやった人はちゃんと定着するんだなと思ったら、是非、それを見て検討すべきだと、特定技能一号の方には家族帯同を検討すべきだと思いますけれども、大臣の御所見を伺います。
○小泉国務大臣 国を開いていくという考え方で今回の法改正をお願いしているわけでございますので、方向性としては家族帯同についても視野に入れて検討していくべき課題であるというふうには基本的に認識をしております。
ただ、現状においては、やはり国民のなかなかまだ拭えない不安感というのもありまして、家族帯同で来られた方々に対する社会的な費用、コスト、それを本当に日本の国民が、納税者が負担してくれるかどうか、そういった点についても、行政サイドでも不安もないわけでもありません。
また、これまでの実習生の実態を見ると、この間も介護の現場に行ってきましたけれども、二十代前半の、半ばぐらいの若い介護士が、外国人材が、夢は何ですかと、それはもう、ここで三年間頑張って、そして国へ帰って大きな家を建てるんだということを言っていました。家建つんですかと、もちろん建ちますと、じゃ、一番広い部屋を専有した方がいいですね、もちろんそうします、設計図も書いています。もうそういう気持ちを話してくださいました。
これまでの恐らく技能実習生、あるいは特定技能の方々は、家族を呼びたい方ももちろんいらっしゃると思いますが、働いて得たものを家族を呼んで日本で使うのではなくて、働いたものを本国へ送り、本国へ持って帰り、そこで家を建てる、あるいは大きなその資金にする、そういう方向を向いた方々が多くいらっしゃいました。
そういう我が国の事情とまた実習生の方々の事情、そういったものを踏まえて今回こういう措置になっておりますが、しかし、おっしゃったように、程度問題じゃないか、どこかで原理的に切れる、そういう、断絶するラインはない、それはそのとおりだと思いますので、視野に入れて、また国民世論の状況も見て、育成就労の在り方の現状も見て、これは課題として考えていきたいと思います。
○米山委員 前半のところは承服できませんが、最後のところは課題として検討いただくということで、結構な御答弁ということで受け止めさせていただきたいと思います。
最後、一問。三問あるのを一つにまとめてお伺いしたいんですが、こちら、資料を御覧ください。この制度がもし始まりますと、それは、実は、外国人育成就労機構に求められる役割って物すごく強くなるんだと思います。
といいますのは、これは、転籍、派遣が可能となりますから、実は結構なトラブルが生じ得るんですよ。転籍では、監理支援機関は本音では転籍してほしくない、それは、だってそうでしょう、経済実態上、そうなるはずですよということになりますし、転籍の要請をサボタージュするというインセンティブが働いちゃうわけです。派遣では、派遣元、派遣先の話が食い違って、育成就労外国人が約束された待遇、報酬を受けられないと幾ら会社に言っても、監理支援機関に言っても全然らちが明かないということが起こり得るわけなんです。
そういうときに、きちんとそれをさばけるのは、それは外国人育成就労機構になるはず、というか機構しかいないはずなんです。それは、法務大臣もそうかもしれませんが、なかなか直に法務大臣には来ないわけですよ。
ところが、今までの、その前身である、現在であるところの外国人技能実習機構が本当にちゃんとやっているかって、そうでもないというのがこのニュースなわけですよね。これは、パワハラを受けた実習生が労働組合に入って、ともかく何とかしてくれ、かつ退職させられたから戻らせてくれと言ったら、会社が求めているのは労働組合を脱退することですよとおっしゃられて、いや、それはおかしいだろう、機構がそんなことやっちゃいかぬでしょうということだと思うんです。
そこで、だっとまとめて質問させていただきますけれども、そもそも、まず、これから育成就労に就く外国人の方、これはちゃんと労働組合に入れるんですよね。そして、労働組合に入って、いろいろなことがあったときに、組合員として団体交渉していいんですよね。かつ、機構はちゃんとそれを認めて、ちゃんと外国人からの問いに真摯に答えるんですよね。さらに、そういったことをきちんとする、大臣はそのおつもりがあるんですよねということをまとめて全部質問させていただきます。
○武部委員長 小泉法務大臣、答弁は簡潔にお願いします。
○小泉国務大臣 御指摘のとおり、技能実習生は労働者として労働組合への加入等についての権利が保障されております。外国人技能実習機構においては、同機構の職員が技能実習生から相談等を受けた際には中立的な立場で適正かつ公平に対応しなければならない、組合から出ろというようなことを言ってはならない、そのような判断を我々もしているところでございます。
この機構がこれまでの役割をもっと大きく、公的なものも取り入れて、中心になってこの制度を運用していくんだ、受け身でなくて主体性を持ってやっていくんだ、それは大事なポイントなんですね。
この御質問を受けてから私もずっとその方法を考えていますが、しっかりと、実務レベル、幹部、優秀な人材がかなり送り込まれてはいるわけです、法務省からも厚労省からも。能力はあると思うんですね。あとは意思ですよね、おっしゃる。それをどういうふうにインストールするか、これは重要な課題として取り組みたいと思います。
○米山委員 これで質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
○武部委員長 次に、斎藤アレックス君。
○斎藤(ア)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の斎藤アレックスです。本日も質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
通告時とちょっと議事が、想定が変わりましたので、ちょっと順番を変えて、まず括弧二の方から質問させていただきたいと思います。
もう既に今やり取りがありましたけれども、先日の五月十五日、総理入りの質問の、総理の答弁も含めて、また、今参考人から同じ答弁があったんですけれども、それについてちょっと質問させていただきたいと思います。
今回の法改正で、永住までキャリアパスができて魅力ある制度になって、海外から、外国人から選ばれる、そういった新しい制度をつくるんだということでこの法案の審議、説明がされていたと思いますし、私も、政府としてはそういう考えなんだろうということで質問をさせていただいていたわけでございます。
育成就労で入っていただく方にも、特定技能一号に上がっていただいて、そして特定二号に上がっていただいて、長く、長期間にわたって日本国内で活躍をしてもらう、そういったキャリアパスを今回完成させるという趣旨だと思っていたんですけれども、先ほどの説明でもあったんですけれども、総理入りの質問の際に道下委員が、家族の帯同が八年間もできないのはひどいではないか、これは、総理、寂しくないですか、こんな状態で働けますかという質問をしたところ、特定技能一号と育成就労のことを指して、一定期間の在留期間後、出国することが予定されている外国人と表現をされたわけでございます。今、参考人も同じことを表現をされましたけれども、これは一体どっちなのかということをちょっと聞きたいんですね。
今までの認識だと、政府というのは、今回の法改正で、長期間にわたって国内で活躍をしていただけるためのキャリアパスを完成させました、長く日本にいていただけます、永住資格も視野に入れて取り組んでいただけます、だから外国人の方、魅力的でしょう、来てくださいと言っているのかと思えば、一方で、いや、この人たちは帰ってもらう人たちなので家族には来てもらわなくていいんですというのは、これはどっちなのかまず聞きたいんですね。まず大臣、お願いいたします。
○小泉国務大臣 大まかに申し上げると、三つのグループがあると思うんですね。一つは未熟練の労働者。これは国民のコンセンサスを得て考えていきましょうという政策スタンスになっています。また、専門性あるいは技術性に優れた専門的、技術的分野の労働者。これは積極的に入っていただきましょう。その中間にあるのが育成就労に来られる方々だと思うんですね。未熟練から一定の技能、特定技能まで、一定の技能までは頑張っていただく。こういう三つのグループがあります。
そして、この真ん中のグループについては中期的な滞在を認めよう、こういう仕組みになっています。専門、技能分野の方々についてはもう永住者として受け止めるという道が開かれていて、現実にそういう方もいますけれども、真ん中の、今回の育成就労の対象となる方々は、中期的にやってください、滞在を認めますと。その中で、向いている方向性は、それでもできるだけ長くいてください、できることなら永住まで頑張ってくださいと、その向いているベクトルです、ベクトルを指しているわけです。だから、仕組みとしては帰国する仕組みなんですが、そこに我々が込めているベクトルは、長くいてもらいたい、そういうことです。
○斎藤(ア)委員 ちょっと苦しいんじゃないかなと思うんですけれども。中期的な滞在というワードも新しく聞きましたので、ちょっと混乱をするんですよね。
どういう制度なのかはっきりさせないと、また詐欺的な状況が外国人に対して生まれてしまうんじゃないかと思うんですね。いや、これは帰ってもらいますと。特定技能二号に上がったら家族を帯同できる、その後、永住権もあるけれども、実際問題、総理の答弁を聞いていると、帰ってもらう想定なので、めちゃめちゃその要件は厳しくて、二号に上がれない、永住資格も取れないということであれば、希望を持ってこの日本にやってきた外国の人たちをだますことになってしまう。これは日本の名誉にも関わること。
技能実習制度というのは海外からすごい批判をされて大変問題があるので、今回改正をしようというのはそれは必要なことだと思いますけれども、同じようなことを繰り返していたら、海外から、また日本は何をやっているんだと。
これは別に、海外からどうこう思われるから嫌というわけではなくて、我々がこんな形で外国人を受け入れたいのかといったら、多くの日本人はそんなことは思わないと思うんですね。いろいろな議論があると言っていますけれども、我々日本人というのは、様々な面で今やはり寛容な意識を持っている人が大変増えていると思いますので、それにちょっと今政府のシステムが追いついていないというか、国民の意識に追いついていないのではないかなというふうに思います。
今、ベクトルは長期にいてもらうということに向いている、できるだけ長期でいてもらいたいということなのであれば、そうはっきり言ってもらわないといけないし、それは、帰ってもらうという参考人の答弁であったり総理の答弁と違うと思うんですけれども、ここははっきりさせた方がいいと思うんです。できるだけ長くいてほしいんですか。その部分は、改めて聞きますけれども、どうなんでしょうか。
○小泉国務大臣 これは、国会答弁を通じまして、できるだけ長く我が国の経済社会を支えていただくためにこの制度をつくっていこう、運用します、こういうふうに申し上げてきたところであります。
ある制度を写真に撮って眺めると、中期の滞在ですから、中期が終われば帰っていただくという表現になってしまいますけれども、その中期の方々もできるだけ長くいていただいて、永住というところも視野に入れて我々は受け止めていきます、またそれを応援していきます、そういう考え方に基づいているところであります。
ただ、給与が安いんじゃないかという御質問が従来からあるわけですけれども、やはり、未熟練労働者からステップが上がっていきますので、それに見合う生産性があって、その生産性に見合う適正な賃金というのが当然出てくるわけでございまして、それを上回る賃金を中小企業に払ってくれと言ってもそれはなかなか難しい、そういう現状もあるわけであります。
○斎藤(ア)委員 私は、ちょっと繰り返しになるんですけれども、言ったら、我々日本人としては、海外から来る方もしっかりと同じ待遇で適切に扱って、我々が丁寧にしっかりと対応をすれば、外国人の方も当然丁寧に適切に日本社会のことを扱ってくれると思いますので、そういった良心とか信頼関係に基づいた関係が重要だと思うし、それを日本国民のほとんどの方は理解していただいていると思います。
先日、アメリカのバイデン大統領が選挙演説の中で、日本は外国人嫌いだということを言って、ちょっと国内で問題になりましたけれども、これは明らかに、バイデン大統領がちょっと認識を間違えていると私は思うんですね。
私、父親はスペイン人ですし、私はアレックスという名前で滋賀一区で活動していますけれども、この名前であったり出自がマイナスに働いたと感じることは一切ありませんでしたし、また、ほかの選挙区でも、海外にルーツを持つ方が選挙区で勝つということも最近はあるということでございますから、これは明らかに日本社会の方は適応していると思いますし、外国人嫌いということは全くないんですけれども、日本の政府が今つくっているシステムがそういった誤解を海外に与えているということなんです。
技能実習生もそうですし、今回の、一号、育成就労で八年間家族帯同ができないのはちょっと厳し過ぎるんじゃないかという話すら、いや、帰ってもらう人だからという答弁が出てきて、一体何を、そっちが本音なんじゃないかなと思っちゃうんですね。総理大臣はそうおっしゃっているわけですから。一定期間安い給料で働いてもらって帰ってもらおうと思っているんじゃないかと。
また同じような批判をこの日本が受けることになったら、これは日本の良心であったり日本の国民の意識と違うことを政府がやって日本の名誉を傷つけるということになってしまいますので、その点は特に注意をして、情報発信にまた、どういう制度をつくるのかということはしっかりと認識を共有した上で海外にも発信してもらわないといけないので。いや、これは海外の人に短期間で働いてもらう制度ですというんだったら、そう言ってもらわないと詐欺になってしまいますので、そこは適切にやっていただきたいというふうに思います。
もう一つ、今、ちょっと大臣から先走って賃金のことがあったんですが、これからこれを質問しようと思っていましたので、質問させていただきたいんですけれども。
これも、今日の答弁でもありますし、私が十四日に行った質問でも法務大臣はお答えになっていました。私は、実質賃金が下がることが問題で、今下がり続けています、これを何としても上げないといけないので、最低賃金水準で働いていただくような方を日本国内に海外から受け入れるということには、基本的には今の経済状況では反対でございます。実質賃金が一%、二%毎年上がっていくような正常な賃金の状況になったら受け入れることもこれはあると思うんですけれども、今、人手不足が続いているのにどんどん実質賃金が下がるという極めて異常な状態になっていますので、まずこれを立て直すべきだということを先日質問させていただきました。
それに続いて、家族帯同ができないことは、私も、八年間というのは幾ら何でもひどいんじゃないか、また、国内にしっかりと共生をしていただく、溶け込んでいただく、日本のルールを守っていただくという上でも、やはり家族で日本で暮らしていこうという思いで、家族と一緒に住んでいる外国人の方が適応するという努力をされると思いますので、そういった意味でも、日本の社会のためにも家族帯同の件は考え直すべきだということを質問したところ、一号と育成就労の方に関しては、十分な扶養能力、経済的能力が得られるかというと、多くの場合はなかなか難しい、そういうふうに法務大臣は答えられた。そうすると、家族の方々を国なり自治体が助けるという形が想定される、それが社会的コスト、公のコスト、そのことを日本の国民がどう感じ、どう評価するかということに関わってくる問題であります、日本の納税者がついてこなければ制度は持続できないわけでありますので、日本の納税者が納得できるかどうか、こういった答弁をされました。本日も同じ趣旨の答弁をされていると思います。
これは当然そうだと思うんですよね。家族の中で一人だけ働いていただく方がいて、その人は最低賃金水準で働いて大変扶養能力が低いということになれば、社会のコストになってしまうということだと思うんですけれども、だからこそ、そんな給料で受け入れることが本当に日本の経済、日本の社会のためになるのかということを改めて問いたいというふうに思うんですね。
繰り返しになりますけれども、今、人手不足になっている、それなのに実質賃金が下がっていっている。このままだと、日本の社会と財政、社会保障制度も含めて維持できなくなるというのは、若い人であれば皆さん危機感を持っていると思うんですね。この国、もう詰んでしまっているんじゃないかと多くの若者が思ってしまっている、それぐらいの状況でございます。
それを打破していくためには、とにかく一人当たりの生産性を上げて、一人当たりの税収も上げて、ますます高齢化する中でも社会経済を維持していくという、実質賃金を上げる取組が何よりも重要なのに、その努力を阻害するような形になってしまわないかということで、大変問題意識を持っているんです。
そもそも、子供やあるいは配偶者さえ扶養できないような最低水準の賃金で労働者を受け入れることが今の日本の経済にとって必要なことなんですかということを改めて伺いたいと思うんですけれども、法務大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 かなりグローバルなフレームワークでおっしゃいましたので、的確に全部にお答えできるかどうかあれなんですが、未熟練労働者から一定の技能を修得するところまで頑張っていただくというその過程においては、やはり技能を持った労働者よりも生産性がどうしても低くなりますので、それに見合う給与というものは受け止めていただかざるを得ないと思います。日本国全体として労働分配率を上げるとか生産性を上げるとか、それは、もっと大きな課題があることはもちろんそのとおりでありますけれども、このスキームの中では、やはり未熟練であるところからのスタートでありますので、給与水準を余り過大に研修実施先に求めていくということはできないと思います。
また、彼らの立場からすると、いろいろな表現がありますけれども、日本円の感覚でいうと五百万円ぐらい払って日本に来て、三年から五年頑張って、二、三千万の貯金をつくって帰る、日本人の円の感覚でいくと。そういうふうな、短期間とにかく頑張って大きなお金を稼いで、家族の元へ戻り家を建てるんだ、こういうパターンが多くあったわけですよね。
これからはまた違ってくるとは思います、技術を修得して、家族も呼び寄せて、日本で定着する。今までは、せっかく稼いだものを、家族を呼び寄せて日本で使ってしまう、そういうもったいないことはしなかった。全部持って帰って、向こうで円からドンに替われば急速に価値が上がりましたからね。これからはまたそれは変わってくるかもしれません。今まではそういう仕組みの中で動いてきた制度であると思います。
改善の余地、これは常に考えなきゃいけないとは思います。
○斎藤(ア)委員 今日はそういった話はなかったんですけれども、例えば、この制度はどうなんだという話のときに、いや、シンガポールではもうちょっと更に厳しい要件だとか、台湾ではもうちょっと、例えば長期間にわたってこちらもやはり家族帯同は認められないとかということで、ほかのアジアの所得が高い国の制度を比較して、日本の今の育成就労の制度は、この法案改正はいい制度なんだということを何回か答弁で聞いたんです。
今の大臣のお話もちょっと通ずるところがあると思うんですが、本人はそれで幸せだというような外国人に入っていただく、技能実習生の方も、参考人からも、技能実習生の方、日本で技能を身につけられて大変喜んでいる、評価している方が多いという話がありましたけれども、それも確かに重要ですけれども、何よりも重要なことは、日本にとってどのような受入れ方が望ましいのかということだと思います。
海外から来た人が、日本国内でしっかりとルールを守っていただいて、そして共生をしようとしていただいて、十分な給料がもらえて、家族とも安心して暮らせる。それが日本の社会のためになるんだったらそれを目指していくべきだと思っていて、台湾がやっているから、シンガポールがやっているから日本もこれぐらいでいいんだということで、日本の社会、国内がよくない状況になってしまってはいけないと思いますので、そういったところも含めて、しっかりと計画を作ってほしい。
何名ぐらい、どういった形で外国人を受け入れていくのか、そういった方々は家族が一緒にいるのかいないのか、明確にしていただいて、外国人の方にもそれを知っていただいた上で、日本はこういった形の共生社会、こういった形の外国人労働者の受入れ方をしていきますということを、根本的な戦略であったり方針というのを定めていただきたいと思うんですね。
今の、育成就労から行って一号特定技能に上がっていく、その先の二号に上がっていく、その後、永住者になっていく、それを何人ぐらい想定しているのかが分からない、何%ぐらい次のステップに上がれるのかが想定がないということでは、繰り返しになりますけれども、長期間来てくださいと言っている割には、実際にはどんどん帰しているみたいな、一番給料が安いときだけいてもらって、その後、一定程度年を取ったらもう帰ってもらうみたいな、そんな非人道的なことを制度としてやってはいけないと思いますので、そういったところも含めて、しっかりと計画を作っていただきたいと思っています。
先日、私、学校に行っていない外国籍の子供が大変多くなっていて問題であるといったことであったり、進学率が外国籍で少なくなっている可能性が高いという感じの質疑をさせていただきましたけれども、何人ぐらい外国人が来て、どういった家族構成で来て、それが何年いていただくのか、ずっといていただくのかとか、そういった全体像が示せないと文科省も対応できないと思うんですよね、学校の体制、共生政策も含めて。
そういったところも含めてしっかりと包括的な戦略を外国人政策に関して考えていただくことが重要だと思うんですけれども、その点、改めて法務大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
○小泉国務大臣 理論的には、まさにそのとおりだと思います。
ただ、我々は、多様な外国人材を受け入れるということについてはまだまだ経験不足であります。その経験を踏んでいく中で、新しく気づく問題もあろうかと思いますし、国民の意識も変わっています。また、円のレート自体が目まぐるしく変わっていますから、日本の世界経済における経済的な位置づけも変わっています。その中で、今回、一つのステップを踏ませていただいて、そこで様々なことがまた議論され、様々なことが明らかになってくる。それを積み重ねていく先に、おっしゃる、包括的な基本法ですか、そういうものが見えてくるんだというふうに私は認識をしております。
一つ一つ踏みながら、そこで重要な情報を得ながら、様々な議論もしながら、コンセンサスも得ながら、最終的にはそういうものができれば望ましいとは考えます。
○斎藤(ア)委員 今回の技能実習が育成就労に変わるという部分に関しては、看板のつけ替えではないかという批判もありますけれども、一歩前進であるというふうには思いますので。ただ、今申し上げたような、ほかの委員の方々からもおっしゃられたような問題も、大変まだまだ積み残っていると思いますので、しっかりとその点は対応していただきたいと思います。
最後に厚生労働副大臣にお伺いをさせていただきたいんですけれども、今回の外国人人材の受入れに関しては、都市部に集中してしまって、地方での働き手不足の解消に結局つながらないんじゃないかという懸念が出されているんです。
私は、外国人人材に関しても日本人に関しても同じだと思うんですけれども、やはり、地域に、地方に定住していただいて活躍していただける、しっかりと生計を立てていただけるような政策というのは、これは外国人と日本人関係なく今取り組んでいかなければならないことだと思っているんですけれども、こういった都市部への労働人口の集中を防ぐためのポイント、どういったところだと思っているか、またどういったふうに今取り組まれているのか、ちょっとお話を伺えればと思います。
○宮崎副大臣 斎藤委員からは、経済政策も含めて先般も御質問いただいて、今日も、今の御指摘は非常に重要な国家政策だと思っております。
政府としましても、例えば、外国人材の関係でいいますと、育成就労法、今、技能実習も特定技能もやっておりますが、地域協議会を形成いたしまして、関係各省庁はもちろんのこと、各地の自治体にも参画をしていただいて、連携強化して政策をつくっていくこと、また、外国人の相談窓口の整備や外国人の生活環境等を整備するための取組を、これは法務省、入管の予算などもあるわけでありますけれども、こういったものを積極的に活用していくということをしております。
育成就労制度を今度つくっていただいた場合には、やはり、転籍によって無制限にどんどん人が移動していってしまうということになってはいけませんので、本人意向の転籍を認めるとしつつも、適切な人材育成の観点から、元々のところが一定の期間を受け入れたことを前提とした上で、初期費用についての補填の措置であったり、転籍先として適切だと認められている一定の要件を立てるなどしているところでございます。
あと、国内人材についての御指摘もありましたけれども、国内人材についても、Uターン、Iターン、Jターンのような形で地方就職を後押しする、また、地方就職希望者の活性化事業などによって、地方に就職をしていく方を掘り起こすなどいたしまして、それぞれのニーズに応じた支援をしているところでございます。
これは、特定技能の外国人との関係で、生活の利便性と給与の満足度の調査をした結果で、都市部より地方の方が満足度が高いという結果もあります。学者の先生の分析では、ここから先は分析なんですけれども、例えば、給与よりも、生活や地域に溶け込めている安心感が地方の方があるんじゃないかとか、都市に行ったとしても、生活費が高くて使えるお金がそれほど増えるわけじゃないんじゃないかというふうなことを分析をしている文献などもあるわけでありまして、こういったことが、やはり、日本人も外国人も含めて、地域が、しっかりと地方が活性化していくための一つの要因ではないかというふうに考えております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございました。
根本的には、地域と都市部の地域の経済格差、賃金格差を埋めていく。フラットにすることは難しくても、是正をしていくことが重要だと思いますので、そこの点、是非お願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、阿部弘樹君。
○阿部(弘)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部弘樹でございます。
早速質問に移らせていただきます。
家族帯同についてなわけですが、閣法と衆法、それぞれ違った立場で家族帯同についての考え方をお持ちでございますが、まず、衆法の方で家族帯同についての、私にとっては非常に画期的な考え方だというふうに思いますが、御説明をお願いします。
○道下議員 御質問ありがとうございます。
政府案に関しての私の認識は省略させていただきまして、立憲民主党案について説明させていただきたいと思います。
立憲案につきましては、一般労働一号の在留期間中の二年間は、外国人労働者に日常生活及び社会生活上の基盤をしっかりと築いていただくために家族滞在は認めないこととしておりまして、必要最小限度の制約をお願いしているところでございますけれども、一般労働二号に移行した後は、そのような制約の必要もなくなることから、配偶者及び子供について家族滞在を認めることとしております。
そういうふうな家族滞在、家族帯同を認める理由は、二年たてば御家族とともに生活ができるということで、外国人労働者にとって魅力ある制度ですし、家族ぐるみで日本に定着してもらえることになれば、産業及び地域に継続的な利益をもたらすとともに、多文化共生社会の形成に資するという効果が期待されるわけだからでございます。
以上です。
○阿部(弘)委員 私は、さきの質問で、今般のこのような法改正については移民政策にかじを切ったのか、短期就労から長期就労、そして永住許可を得られるような。移民の定義というのは、国際移住機関は、家族帯同を旨とするというところでありますから、そういった点からも、実際は移民政策への転換でありながら家族帯同を認めないという制度に、そこは制度の矛盾が少しあるのかなと思いつつも、次に大臣にお聞きします。
大臣は、今の答弁で、そういう就労に関わる方々に三つのグループがあるということをおっしゃいまして、まだ未熟な方々、それと今般の育成就労の方々、それと、恐らくEUのブルーカードをイメージされて、高資格保有者や医師などの滞在許可が優遇されるグループとおっしゃってあったんですが、そこのところをもう一つ分かりやすく説明していただけませんでしょうか。
○小泉国務大臣 三つのグループ、一つは未熟練労働者の方々であります。こういう方々の受入れについては、日本の経済社会に大きな影響も及び得るという考え方もあり、国民のコンセンサス、考え方、特に国民のコンセンサス、こういったものを得ながら考えていこう、対応していこうという考え方で進んできております。そして、高度人材については、むしろ優遇措置を設けて積極的に我が国に来ていただくという政策を近年急速に強めているわけであります。
今回は、その真ん中であります。未熟練でありますが、一定期間頑張っていただいて育成就労し、特定技能にも入っていただいて、中期の滞在を認める中でステップアップをしていただく。もちろん期間の上限というものは置いているわけであります。
その間はフルに能力が発揮できる状況ではありません。やはり、技術なり生産性を磨いていく、そういう途中経過であります。未熟練労働からスタートするわけでありますので、必ずしも十分な給与というものを稼得できない。それは、経済原則に従って考えてみても、そういうことになると思うんです。そういう方々が家族を帯同するということについて、やはり社会的コストが発生せざるを得ない。それを誰が負担するのかという議論をまだまだ日本では十分にできていない、また理解が進んでいない、そういう状況判断の下で、今回は家族帯同を認めない、八年間ですね、そういう方法を考えているわけであります。
○阿部(弘)委員 そうすると、見直し後の育成就労期間を未熟練の労働者というふうにお考えなんですか。それと、成熟してきた方々を特定技能一号の方々と、ブルーカードに相当するような方々と、三つに分けられたんでしょうか。
○小泉国務大臣 まず日本語の習得から始まるわけでありますから、最初は、スタートラインは、未熟練労働者としてのスタートだと思います。
そして、特定技能というのは、高度人材ではなくて、そこまでは到達できずも、一定の技能、能力を備えた、技術を持った方々という定義がございますので、そこへ向かってステップアップをしていく過程、これが育成就労であり、特定技能一号を目指して頑張っていただくという、今回のスキームの趣旨であります。
○阿部(弘)委員 未熟練労働者というのがこの法律の中には出てきますか。次長、お願いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
法律上は、未熟練労働者ということを書いているわけではございません。
ただ、大臣が御説明されておりますのは、育成就労で来られる時点では未熟練の方も来られて、その中で特定技能一号のレベルに向かってレベルアップをしていくための資格、そういうことを大臣は御説明されているものと認識しております。
○阿部(弘)委員 それでは、最近、テレビでは、太陽光発電で、銅線泥棒の話がよく出てきます。ある特定の国のグループが夜陰に乗じて銅線を泥棒する。
入国の際は、犯罪歴とかそういうものもちゃんとチェックされるんでしょうか。
○丸山政府参考人 あくまで一般論でございますが、一定の犯罪を犯しています場合は、上陸の拒否事由ということも該当する場合がございますので、そういった意味で、犯罪歴、一定の刑罰を受けたことがあるかどうかというようなことの確認はしております。
○阿部(弘)委員 では、家族帯同の方にまた戻りますが、特定技能一号に進んだら、家族帯同というのは認められますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今お尋ねの特定技能一号の家族帯同の対応につきましては、今後も現行と変わらず、家族の帯同は原則認めない。一部、人道配慮で、個別的に認めることはございますけれども、制度としては原則認めていないというものでございます。
○阿部(弘)委員 そうしますと、衆法と閣法の違いというのは、結局、三年なのか二年なのか。
二年でいらっしゃいますかね。もう一度、よかったら。
○道下議員 衆法は、最初、二年までは家族帯同不可ということで、それ以降、一般労働二号になりましたら、家族帯同可能ということでございます。閣法は八年間不可ということでございますので、二年と八年の違いでございます。
○阿部(弘)委員 そうしますと、特定技能一号を取れたら家族帯同ができるんですか、できないんですか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
特定技能一号では、家族帯同は原則認めておりません。特定技能二号に行かれた方は認めるということで、先ほど、三年と五年を足して八年という御説明だったと思います。
○阿部(弘)委員 やはり八年というのは長いですよね。
もう一つ大臣にお伺いしたいのは、二〇一二年にEUは、ブルーカード制度、高資格保有者や医師など、滞在許可が優遇され、永住権申請条件も優遇される。日本には、その制度についてはなかなか分かりにくい制度になっていますけれども、ブルーカードみたいなネーミングをつけられたらいいんじゃないですか。次長。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
我が国におきましても、受入れを推進すべき高度人材につきまして、高度人材のポイント制というふうに申し上げたりとか、在留資格としては高度専門職というものを設けておりまして、永住までの滞在期間を短くするとかいう措置は講じているところでございます。
○阿部(弘)委員 次の質問に移らせていただきます。大臣はよろしいですよ。
どうも、技能実習制度ができてから、ここに関わるビジネスモデルがいっぱいできている。送り出しの国からもお金を取る、入国した後もお金を取る。そして、いろんな名目があるにしても、日本に滞在してからもいろんなお金を取られていく。ですから、それが結局、技能実習生の収入減につながっていく、処遇が悪くなることにつながっていく。これは私もじくじたる思いがありますから、そういった点は、衆法提出者にお伺いします。
○道下議員 私どもも、現在の法制度における来日前の多額な費用負担、それと来日後の送り出し機関に対する手数料負担というものは非常に大きな問題であるというふうに思っております。そうしたことでありまして、それを受けまして、我が党では、本衆法、本法律案の立案作業の過程において、関係団体の皆様とも意見交換を重ねてきたところでございます。
その中で、不適切な送り出し機関や監理団体等の実態についても多くの切実な声が聞かれました。例えば、送り出し機関が保証金や手数料といった名目で外国人労働者に巨額の借金を負わせること、監理団体と受入れ企業との間で癒着があること、監理団体と送り出し機関との間で違法な金銭授受、キックバックがあることなどでございます。
立憲案は、このような悪質な民間ブローカーの介在こそが外国人労働者に対する人権侵害を生じさせてきた大きな原因の一つであり、外国人労働者の適正な受入れに関する法制度の整備に当たっては、この問題に対する抜本的な見直しが必要であるとの認識を前提としています。
このため、まず、送り出し国については、悪質なブローカーの排除等に関し適切な措置を講ずることが担保される国に限定するとともに、次に、国内においては、マッチングに監理団体が関与する仕組みを廃止し、ハローワーク等の公的機関が中心となったスキームを構築することとしております。
これらの措置によって、外国人労働者の金銭負担は軽減されることになり、また、マッチング成立後に必要とされる初期費用や毎月の監理費を監理団体に支払う必要もなくなるため、雇用主の負担も軽減されることになると考えます。さらに、雇用主においてそのような経費削減がされることから、その分が外国人労働者の給与に反映されることも期待されるところでございます。
以上です。
○阿部(弘)委員 次長にお伺いします。
こういうビジネスモデルがたくさんできている。今日の質問の中でも、試験問題に関しても、あたかもそういうビジネスモデル、悪く言えば利権の構造みたいなものができ上がっているようなお話がありましたので、そういった点が法改正を契機に改められることを本当に期待しております。大臣が帰ってこられたけれども、ちょっと次長に御質問します。
○武部委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
外国人の労働者としての権利保護や制度の魅力向上といった観点からは、関係機関が徴収する手数料などについて一層の適正化を図っていく必要があると認識しております。この点、育成就労制度では、来日に当たっての外国人の負担を軽減するため、海外の送り出し機関が外国人本人から徴収する手数料に上限を設けた上、送り出し国との二国間取決めにより、悪質な送り出し機関の排除に向けた取組を強化することなどしておるところでございまして、改正後におきまして、委員の御指摘も踏まえ、しっかり対応してまいりたいと思っております。
○阿部(弘)委員 終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 次に、本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
今日は、京都弁護士会の意見書を資料として出させていただきました。「入管難民法に憲法及び国際人権条約の遵守等を明記する改正を求めるとともに永住者資格取消制度の創設に反対する意見書」です。ここでは、憲法違反のおそれがあるということも書かれております。
そうした人権に関わる重大な法案、重要広範議案でありながら、対政府質疑は十九時間半と、ほかの法案と比べても少ない時間で、今日採決しようとしております。もっと審議を積み重ねるべきだというふうに考えますけれども、委員長、お願いします。
○武部委員長 もう理事会にて合意がされておりますので、委員長の権限で審議を進めることは、これ以上することはありませんので、質問を続けてください。
○本村委員 是非考え直していただきたいというふうに思います。
様々な論点がありまして、ずっと通告をしながら、時間がなくてできないという問題、今日もさせていただきたいというふうに思っております。
二国間取決めについてまず質問をさせていただきたいと思います。
先日も、技能実習生の方、二百万円の借金を負っている、百万円の借金を負っている、こういう事態をお伺いをしております。
技能実習生の方、今、解雇ということも相次いでおりまして、そして、事実上の強制帰国、こういうこともございます。巨額の借金を背負って、そして、日本に来たことによって、本人も家族も人生がめちゃくちゃにされる、こういうことを絶対に防がないといけないというふうに思っております。
そのためにも、労働者からいかなる手数料、経費も徴収してはならない、国内でやっていることを相手の国にも求め、それを二国間協定、協定として結んでいただきたいというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 二国間協定、現行の技能実習制度における二国間取決め、この中で、送り出し国側の実施事項として、認定基準に基づいた送り出し機関の認定を行うこと等が定められておりますが、今後の新しい育成就労制度においては、こうしたMOCの内容を踏まえつつ、新たに、これに加えまして、送り出し機関の認定基準として、手数料の上限等に係る基準を遵守することや監理支援機関等への供応、キックバック等を行わないことなどを盛り込むことを検討しております。
また、MOCの実効性を持たせるための措置も考えております。一定期間の新規受入れを停止するといった措置も考えているところでございます。
○本村委員 これからの育成就労、実習生の今の段階でも、二国間協定、取り結んでいただきたいというふうに思っておりますけれども、今の大臣の答弁では、やはり、労働者から手数料とか経費を徴収すると。
日本では、日本の国内では徴収してはならないとなっているんですけれども、ほかの国には徴収していいということになりまして、結局、実質的にILOの百八十一号条約、これに違反をした状態を容認しているということになるんじゃないですか、大臣。
○丸山政府参考人 申し訳ありません。私の方からまずは答弁させていただきます。
委員の御指摘は、ILOの御指摘の条約を今回結ぶようなことを相手方にきちんとMOCで決めるべきではないのかということかとは思いますけれども、この条項につきましては、特定の条約を批准するか否かは各国が主権国家の立場からそれぞれ検討、判断されることを考えているため、御指摘のILO百八十一号条約の批准をMOC作成によって求めることは適当ではないと考えているところでございます。
○本村委員 日本国の判断として、このILO条約を批准した国でないと駄目ですよという判断をしてほしい、そういう要求なんですけれども、大臣、お答えいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 これは相手国から、技能実習生を送り出し、日本で受け入れてほしい、そういうニーズ、そういう考え方と、また、我が国の経済社会的なニーズ、それが合致している結果、進められているスキームでありますので、我々の方から、向こうの国境の中で行われる様々な取引、やり方について、こうしてくださいとかそういうことを言える立場ではないと思っております。
○本村委員 やはり技能実習生の方、今からもやっていただきたいですし、育成就労の方々が、多額の借金を背負って、そして人生がめちゃくちゃになるということを絶対に防いでいただきたいからこそ、こういう質問をしているんです。先進国として、やはりそういう不幸なことを起こさせないためにも、責任を持って、そういうことを提案するべきじゃないですか。
○小泉国務大臣 実習生の方々にも、様々なケースがあると思います、様々な、我々が国内において、今回のスキームも含めて、なし得る法律上、制度上の努力、また執行上の努力、そういったものを総力を結集して、今おっしゃったような方が出ないように、やはり全力を尽くしていかねばならない、そのように思っております。
○本村委員 是非ILO百八十一号条約を基準とした、そうした二国間協定を結んでいただきたいというふうに思っております。
次に、接待の問題についてお伺いをしたいというふうに思っております。
二〇二〇年の十月十七日、NHK、ETV「調査ドキュメント 外国人技能実習制度を追う」という番組を見させていただきました。日本の監理団体がベトナムの送り出し機関と思われる機関から性接待を受けていたという報道があり、その性接待の費用は結局技能実習生の負担に加算されているという報道がございました。
当時も私、出入国在留管理庁に対してこうしたことはやめるようにということを申し入れ、そして、ノー接待という宣言をしていくんだというような、単なる宣言で何の拘束力もないんですけれども、そういうことをやっていくんだというふうに言っておりましたけれども、やはり接待、賄賂の禁止、これは監理支援機関、送り出し機関、監理団体と送り出し機関双方にあるかもしれないんですけれども、そういうことは一切禁止をする、そして、接待費用を最終的に技能実習生、育成就労労働者に負担をさせることの禁止、これは二国間協定に必ず入れていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 御指摘の接待の禁止、賄賂の禁止については、先ほども少し御答弁させていただきましたが、MOCの内容に適切な形で含まれるように検討していきたいと思います。
○本村委員 必ず、接待、賄賂の禁止ということ、技能実習生の段階からやっていただきたい、今すぐやっていただきたいものですので、そして、接待費用を最終的に技能実習生そして育成就労労働者に負担させることがないように、進めていただきたいというふうに思っております。
次に、御相談を受ける内容として、出身国で説明をされた労働条件と日本に来た労働条件が違うということが問題になっております。
労働条件を母国語で明示をし、労働条件明示書類を技能実習生、育成就労労働者に渡すこと、そして、その出身国で母国語で示された労働条件を下回ることがあってはならないという二国間協定を結んでいただきたいと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘がございました内容につきましても、今後、MOCの内容とするべきか否かにつきましては、送り出し等の適正化というMOCの趣旨を踏まえつつ、検討してまいります。
なお、委員御指摘の点につきましては、私どもがきちんと説明して、それをきちっと守っていただくということは非常に重要だと思っておりますし、かつ、以前も御答弁もしておりますけれども、今後、やむを得ない事情による転籍のところを明確化する中にあっても、こういう事前の説明と、来てからの状況が違うではないかという点についても十分考慮していきたいと思っています。
○本村委員 いや、転籍は何の保障もないから、こういうことも言っているわけでございます。
大臣、是非、その出身国の母国語で示された労働条件を下回ることがあってはならない、現地で説明されたものと日本で実際、これが乖離があってはならない、下回るものは駄目、上回るものはいいんですけれども、是非、その点、二国間協定に入れてください。
○小泉国務大臣 労働条件を母国語で明示し、労働条件明示書類を育成就労労働者に渡すこと、その出身国で示された労働条件を下回ることがあってはならないこと、これについてMOCの内容とするべく検討をしてまいりたいと思います。
○本村委員 次に、これも相談の中であるんですけれども、相談や申告等をしたことによって不利益取扱いは絶対にあってはならないというふうに、出身国であっても絶対に不利益取扱いはあってはならない、これも二国間協定に入れていただきたいと思います。
○小泉国務大臣 これも同じく検討の対象としたいと思います。
○本村委員 検討の対象というのは、やるということでいいんですか。
○小泉国務大臣 やるか、まあ、それは検討します。検討します。
○本村委員 検討では。相談、申告したことによって事実上の強制帰国というのが実際に今あるわけです。それを絶対に防いでいただきたい。これは、多額の借金を背負って、そして、事実上強制帰国させられたら、本当に人生がめちゃめちゃになってしまうわけです。
相談することによって問題が発覚するということで、これは日本社会にとってもかなりプラスだというふうに思います。だからこそ、不利益取扱いの禁止、これは是非二国間協定に入れていただきたいと思います、是非。
○小泉国務大臣 委員の御指摘、御懸念をしかと受け止めて、検討したいと思います。
○本村委員 是非進めていただきたいと思います。
MOCとおっしゃっておりますけれども、法的拘束力のある協定にするということを求めたいと思いますけれども、どうぞ大臣、お願いします。
これは、次長の話じゃないですよね、大臣。(小泉国務大臣「法的拘束力」と呼ぶ)法的拘束力のある協定。二国間で。
○小泉国務大臣 まあ、御趣旨は分かりますが、これは相手国のある話でございますので、相手国との議論、そういったものを経ての話になります。
そういう意味では、広い意味では検討対象にしたいと思います。
○本村委員 今すぐやってほしいことなんですね。すぐやっていただきたいということを強く求めたいと思います。
そのほかにも通告をしておりますけれども、是非、私が示しました点を二国間協定の中に入れていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○小泉国務大臣 今日の御指摘、様々いただきましたけれども、それらを含めて、しっかりと制度の適正を期するために検討したいと思います。
○本村委員 時間がございませんので、次に、永住許可の取消し問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
大臣は有識者に話を聞いたんだという話も答弁ございましたけれども、そこで確認をさせていただきます。
第二十一回、第七次出入国管理政策懇談会議事録十二ページから十三ページ、ロバーツ委員の発言についてお示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの発言につきましては、
永住者の現状について、コメントを述べさせていただきます。
四点ございます。まず、永住者はどういう存在の方なのか考慮する必要があるということです。永住権を持っている方は、厳格なスクリーニングを経て永住権を取得した人ばかりで、生活保護を当てにして永住権申請はしていません。申請した時に、普通は五年間若しくは十年間滞在し、全ての税金を払い続けてきた人ばかりで、日本という国に投資した人たちです。
二番目に、永住権取得者は、長い年数を経て国に税金を納めているので、切羽詰まってしようがないときに生活保護制度を申請するのは当然だということです。
三番目ですが、永住権取得者はこの国に大変大きな貢献をした、国にとって大事な存在です。だからこそ、大事な存在として扱った方が適当ではないかということです。うまくいく時だけ歓迎をして、彼らの仕事の成果の一部を奪い取り、厄介者になった時に永住の身分を取り消して追い出すのは、今の入国管理の方向性に反するスタンスだと思うし、不親切です。
四番目ですけれども、そういう厳しい政策を決定する前に、少なくとも根拠のデータを見せる必要があります。例えば割合、今の段階で永住者のうち何%が生活保護をもらっているのか。それから期間、どのぐらいの年月もらっているのかなど、つまり、国にとって経済的に大きな負担だということを示さない限り、こういう政策を設定するのはおかしいです。
以上でございます。
なお、ロバーツ委員の御発言は、生活保護の受給を念頭に置いて、永住者の在留資格の取消し制度を創設することに慎重な意見を述べられたものと思われますが、生活保護を受給していることをもって、一概に……
○本村委員 次に、同じく懇談会議事録十五ページ、四行目から九行目、岡部委員の発言をお示しください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの発言につきましては、
それから、永住権を取得した後に例えば経済的な困窮に至って要件が満たされないという人々についても、これは通常の日本人であっても、景気が悪化したときに失業の憂き目に遭う人は多い中で、これは各国のどの国のデータでも示していることですが、通常の国民に比べて外国人の失業率は常に高いわけです。そうすると彼らはより脆弱な環境に置かれるということを考えると、やはりそこで厳しい要件を課すというのはいかがなものかと思います。
以上でございます。
○本村委員 こういう有識者の声をしっかりと聞いていただきたい。ほかの委員もこうした趣旨、この永住許可の取消しについて反対、慎重、こういう意見があったわけでございます。
そして、この懇談会の報告書が二〇二〇年十二月に出ております。二十六ページの下から四行目、そして二行目までお示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの記載につきましては、
いずれにしても、外国人やその関係者等各方面から幅広く意見を聴くとともに、諸外国の永住許可制度の例も参考にするなどして、丁寧な議論を行っていく必要がある。
以上でございます。
○本村委員 外国人やその関係者等、幅広く意見を聞く、この点につきましては、永住者、当事者の方から意見を聞いていないということが前々回の議論の中で明らかになりました。
大臣、まず、この永住許可の取消しをやめて、この条文は撤回をして、外国人やその関係者の方々から幅広く意見を聞く、ここからやり直すべきじゃないですか。
○小泉国務大臣 今回の改正は、永住者の方全体を対象にしたものでは全くなくて、一部の、一部の悪質な行動をされている方が対象なんですよね。
ですから、それが地方自治体からも話は来る、また、我々政府が作ったロードマップにもそういった問題点の指摘が行われてきています。対応策をつくるべきだということはかねてより指摘をされてきているわけであります。ごく一部の方々が納税義務を果たさないということをそのままにすれば、この在留許可制度そのものが崩れていく、そういう懸念も表明されているところであります。
様々な御意見を踏まえて、また、こうした国会での御指摘もいただきながら議論を進めてきたところでありまして、多くの方々が懸念を示されるように、全ての在留者が対象となるものではないので、そこを是非、永住者が対象となるものであれ、ごく一部の本当に悪質な行動をされる方がターゲットでありますので、そこをまず考え方の出発点に置いていただいて、それを見過ごすことが日本の社会にどういう影響を及ぼすかということも考えていただきたいと思います。
適正な在留管理が成り立たなくなる、国民に誤解が生じます。より多くの外国人に入っていただくためにも、そのためにも、むしろ、しっかりとした措置を取って、是正をしていくということであります。
しかし、定住性にも配慮しています。定住性にも配慮して、いきなり取消しということにはなりません。定住者という、ワンクッション置く変更措置、ここも考えているわけです。それは定住性に配慮した措置であります。
いろいろ考えて、様々な御議論を経てここに至っているということを、是非是非御理解をいただきたいと思います。
○本村委員 丁寧に議論をするべきだということが有識者会議の報告書の中に書いてあるのに、やっていないじゃないですか。鎌田委員に示されたその経緯を見ても、閣僚会議、自民党の部会、こういうことで、広く意見を聞いて……
○武部委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○本村委員 しっかりと検討していないじゃないですか。
大臣は、声を上げづらい人々の声を切り捨てる、こういうことばかり、この間やっております。このことに強く抗議をし、質問を終わらせていただきます。
○武部委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
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○武部委員長 この際、内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対し、笹川博義君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。米山隆一君。
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出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○米山委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
第一に、附則において、政府の措置として、次の四つの措置を定めております。
一つ目に、政府は、育成就労制度の運用に当たっては、人材が不足している地域において必要とされる人材が確保され、もって地域経済の活性化に資するよう、育成就労外国人が地方から大都市圏に流出すること等により大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないようにするために必要な措置を講ずるものとしております。
二つ目に、政府は、監理支援機関及び育成就労実施者が、育成就労外国人の人権及び労働環境に十分配慮しつつ、育成就労外国人に係る育成就労実施者の変更及び労働者派遣等監理型育成就労に関する事務を適切かつ円滑に実施することができるよう、監理支援機関、育成就労実施者、外国人育成就労機構、公共職業安定所等の間の連携強化その他の必要な措置を講ずるものとしております。
三つ目に、政府は、監理支援機関が監理型育成就労実施者から独立した中立の立場で監理支援事業を行うことができる体制が十分に確保されていることを確認するために必要な措置を講ずるものとしております。
四つ目に、政府は、本邦に在留する外国人に係る社会保障制度及び公租公課の支払いに関する事項並びに新入管法第二十二条第二項及び第二十二条の四第一項の規定その他の新入管法及び育成就労法の規定の趣旨及び内容について、本邦に在留する外国人及び関係者に周知を図るものとしております。
第二に、附則において、新入管法第二十二条の四第一項第八号の規定の適用に当たっては、永住者の在留資格をもって在留する外国人の適正な在留を確保する観点から、同号に該当すると思料される外国人の従前の公租公課の支払い状況及び現在の生活状況その他の当該外国人の置かれている状況に十分配慮するものとしております。
第三に、附則において、政府は、この法律の施行後三年を目途として、外国の送り出し機関及び監理支援機関の事業活動の状況その他の育成就労制度の運用状況の検証を行い、その結果等を踏まえて育成就労制度の在り方について検討を加え、必要な措置を講ずるものとしております。
以上であります。
何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○武部委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○武部委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。英利アルフィヤ君。
○英利委員 自由民主党の英利アルフィヤです。
私は、会派を代表し、本法律案及び修正案について、賛成の立場から討論させていただきます。
近年の我が国の労働力、人手不足は大変深刻であり、このような状況で外国人材が経済社会の重要な担い手の一部となっていることは間違いない事実であります。その上で、国際的な人材獲得競争は一層厳しさを増している状況でございます。
このような状況を踏まえると、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国になるという観点に立って、その取組の一つとして、外国人が我が国で就労しながらキャリアアップできる分かりやすい制度を設けるとともに、時代に合ったアップデートを続け、人権侵害等の防止や是正を図ることが重要だと存じます。
その一環として、本法律案は、技能実習制度に代えて、特定技能一号の技能水準を有する人材を育成し、我が国の産業を支えてくださる人材を確保することを目的とする育成就労制度を創設するものでございます。
加えて、技能実習制度で指摘されてきた人権保護等の観点に立って、転籍制限の緩和や監理団体、受入れ機関の要件の厳格化など、受入れの適正化方策も講じることとしております。
また、育成就労制度の創設により、今後、永住者が増加し得ると考えられるところ、本法律案は、永住許可の要件を明確にするとともに、適切に公的義務を履行しない永住者に対して在留管理上の対応が十分にできないという課題に対応するものであります。
また、大多数の永住者は公的義務を履行しているということ、そして、十五日の総理答弁にありましたとおり、適用は定着性に配慮して慎重に検討するとともに、対象を一部の悪質なケースに限るということを強調することも極めて重要だと存じます。
さらに、本法律案は、在留カードと個人番号カードを一体化し、在留外国人の利便性を高めるとともに、行政運営の効率化を図るなどとするもので、デジタル社会の実現に寄与するものだとも考えております。
本法律案については、十九時間を超える委員会質疑や参考人質疑、地方公聴会等を行い、慎重かつ丁寧な議論を経て、修正が加えられ、附則において、必要とされる人材が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないようにするために必要な措置を講ずる旨の規定などが追加されました。
本法律案及び修正案については、我が国が必要とする人材を確保し、アジアで最も経済力の高い民主主義として常にアップデートを続け、リーダーシップが取れる国に向かうための一つであり、一日も早い成立、施行が必要でございます。
委員各位の賛同をお願い申し上げまして、私の賛成討論といたします。
ありがとうございます。(拍手)
○武部委員長 次に、鎌田さゆり君。
○鎌田委員 私は、立憲民主党提出の外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案に賛成、政府提出の出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成、修正部分を除く原案に反対、同じく政府提出の出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
立憲民主党提出の法律案は、現在、人権上の問題が多く、国際的にも批判されている技能実習制度について抜本的な改正を行うものであり、人材不足の産業分野、地域の活力向上等と併せて、外国人の人権尊重、職業生活の確保と希望に応じた職業能力の開発等を図ることを基本理念としております。
そのために、新たな一般労働一号及び二号の在留資格を設け、柔軟な転籍や家族帯同を可能とするなどの人権への配慮を十分に行うものとし、雇用主の要件を厳格化するとともに、外国人労働者の求職等の業務を公的機関が一元的に行うことなどとしております。
本案は、現在の技能実習制度における様々な問題点について、透明性、公平性に十分に配慮しつつ、その解消を図るものであり、今後、我が国が外国人労働者とともに多文化共生社会の形成を図っていく上で必要となる施策を講じるものとなっており、本案については賛成いたします。
次に、政府提出の入管法及び技能実習法等改正案は、我が国の労働力不足を解消し、我が国が魅力ある働き先として外国人から選ばれる国になることを目指すものとされています。立憲民主党提出の法律案と同様、技能実習制度の改正を行うものですが、その内容を見ると、理念に逆行したものとなっていると言わざるを得ません。
本案には多くの問題点がありますが、その中でも最も大きい問題は、永住者の在留資格の取消しについてです。
公租公課の支払いを行わない外国人などに対する永住権の取消しは、我が国に定住する外国人にとって死活問題とも言える重大な制裁措置です。にもかかわらず、入管庁による一方的な永住権の取消しを認める本規定が、政府の有識者会議で何の議論も行われず、また明確な立法事実もなく、政府部内の手続の最終段階で突然に追加されました。内容的にも手続的にも問題の大きいこの規定については、改めて十分な立法事実をそろえ、慎重な議論を経た上で法律案を再提出すべきであり、この規定が含まれる法案には絶対に賛成することはできません。
次に大きな問題が、派遣形態での外国人労働者の就労についてです。
本案では、育成就労外国人について、季節性のある分野を対象として、派遣元から複数の派遣先への派遣形態による就労を可能とすることとしています。
しかし、派遣という労働形態自体が低賃金など多くの問題を抱えているだけではなく、外国人労働者が、事業者側の都合により十分な補償もないまま一方的に雇用が打ち切られる可能性があるという、極めて不安定な立場に置かれてしまうこととなります。事業者側の都合により外国人の権利侵害を容易にする派遣形態での育成就労を許す制度は、断じて認めることはできません。
就労外国人の家族の帯同が、特定技能二号へ移行するまでの少なくとも八年間は認められない点も大きな問題であると思われます。八年もの間、家族と離れて生活することを強いることは、非人道的であり、我が国において育成就労を行うことを希望する者を減らしこそすれ、決してその増加につながるものではありません。
以上のことから、修正部分を除く原案については、共生社会の実現や我が国が魅力ある働き先となることを妨げるものであると言わざるを得ず、反対いたします。
次に、本案に対する修正案については、立憲民主党提出の法律案の趣旨に沿って求めた政府案に対する修正要望を全て反映したものとは言えませんが、先ほど申し述べました問題点を少しでも払拭することができると判断し、賛成いたします。
また、政府提出の入管法等改正案は、在留カードとマイナンバーカードの一体化を図る内容となっておりますが、その立法趣旨に疑問があるだけでなく、最近報じられているマイナンバーカードの偽造の問題等もあり、プライバシー保護の観点から疑念が残るものと言わざるを得ず、反対をいたします。
以上をもちまして、各案に対する討論といたします。(拍手)
○武部委員長 次に、池下卓君。
○池下委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の池下卓です。
現行の技能実習制度が始まってから三十年、多くの外国人が様々な業種において国際貢献の名の下に来日をされてきました。
しかし、高度な技能を身につけ、母国で生かすという建前は早々に崩れ、実習生が安価な労働力として扱われてきたのが実態であり、低賃金、長時間の過酷な労働条件に加え、パワハラやセクハラなど人権侵害が多発してきたことが、外国人実習生の失踪、不法滞在、犯罪化につながり、また、大きな社会問題としてその解決が望まれてきました。
今回の改正法案は、技能実習制度を日本の労働市場における人材の育成と確保を目的とした育成就労制度に改めるもので、外国人の労働者性に正面から向き合い、劣悪な労働環境や人権上の問題を改善するために必要な措置と評価されるべきです。
まず、移籍制限の緩和により、本人の希望と実際の職場とのミスマッチの解消や、受入れ企業での待遇改善のインセンティブが期待されます。
次に、賃金については、日本人と同等又はそれ以上との要件が付されており、外国人が安上がりの労働力として扱われることを防ぐ狙いがあります。
また、外国人労働者の適切な管理やサポートが求められており、入管法改正では在留カードとマイナンバーカードの一体化が可能とされております。これにより、正確で効率的な管理が可能となり、外国人労働者との連携や情報提供の効率化も進む見込みです。納税や所得、居住地の一元管理により、違法な働かせ方の防止や適切な外国人政策の展開が期待され、外国人本人にとっても利便性が向上いたします。
さらに、今回の改正では、永住資格の変更や取消しに関する規定も設けられました。一定以上の罪を犯した犯罪者や、納税や保険料の支払い意思がない者に対しては、永住資格に疑義が生じることが当然とされ、厳しい対応が求められます。一方で、未払いや未納については厳格に調査することも必要です。
ただ、本改正案は、外国人労働者に関わる問題の根本的な解決ではなく、現実の問題に目を向けた最初のきっかけにすぎないということも事実であり、我が党といたしましても、本制度を有効にするための積極的な修正提案を行った結果、外国人労働者が地方から大都市圏に集中することを防ぐための措置を講じ、人材が不足している地域に必要な人材を確保し、地域経済の活性化を図ることが盛り込まれました。
今後は、外国人基本法と呼ぶべき基本戦略を確定させることが必要です。我が会派は、日本の文化と安全を守りつつ、多様な高度人材を受け入れ、豊かな多文化共生を実現するために全力を尽くすことを表明し、閣法二法及び修正案に対する賛成討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)
○武部委員長 次に、本村伸子君。
○本村委員 私は、日本共産党を代表し、入管法、技能実習法改定案等に反対の討論を行います。
人権に関わる重要な法案を、重要広範議案にもかかわらず、十九時間半の対政府質疑で採決を強行していることに断固抗議します。
以下、反対の理由を述べます。
現行の技能実習制度は、大企業が下請単価、取引価格の引下げ、抑制をする下で、外国人を非熟練、低賃金の労働力として使い、強制労働や性的搾取など深刻な人権侵害の温床となってきました。国連自由権規約委員会などからも人権侵害を指摘されています。法案は問題を根本的に改善するものになっていません。
育成就労制度は、転籍の自由を保障する制度とは言い難く、監理団体と同じような監理支援機関に関与させ、多額の借金問題の解決の見通しもない、技能実習の看板のかけ替えにすぎません。
現行の技能実習制度は、原則、転籍の自由がなく、労基法違反や暴力など、やむを得ない事情がある場合に限って転籍を認めていました。入管庁は、失踪が多発する原因を本気で改善せず、技能実習生の命と安全を軽視しています。
本法案は、新たに本人の意向による転籍を規定していますが、分野ごとに一年から二年は転籍を認めず、しかも日本語、技能要件などの制限を求め、主務省令に白紙委任しています。今のままでは転籍の自由を事実上認めないものと言わざるを得ません。転籍の空白期間の生活保障や手厚い転籍支援も確実に行うべきです。
外国人労働者の地方での定着のためには、個人を尊重することとともに、中小・小規模事業者の皆さんを本気になって応援して、全国一律最低賃金制度千五百円を実現することこそ必要な対策です。大企業の内部留保に適正に課税をして財源を生み出せばできます。
農業と漁業など季節性のある分野に派遣労働の仕組みを導入することは、中間搾取で手取り、労働条件が悪くなり、使い捨て、短期間での帰国など機械的な扱いになってしまう懸念があります。
多額の借金を背負う問題について、育成就労では、原則として、新たに二国間取決めを作成した国からのみ受け入れ、手数料負担の軽減を図るとしていますが、法務大臣の答弁も、育成就労労働者から費用徴収が前提であり、実効性が担保されていません。公的機関が介入し、不当な手数料等を根絶して、悪質なブローカーを排除する施策が必要です。
重大なことは、永住許可制度の適正化と称して、税金や社会保険料などが未納の場合などに永住許可を取り消すことができる制度を新設することです。入管庁が答弁した一部の永住者の方々の公租公課納入率も、全体の納付率よりもよいことが明らかになりました。
この法案で、永住者の大学生を始め、眠れない、しんどい、つらいという声が届いています。永住許可取消しに反対する署名は四万筆を超えて賛同が集まりました。入管庁に人生を握られ、署名したくてもできない悲痛な叫びがあることを知るべきです。有識者懇談会報告書でも、「外国人やその関係者等各方面から幅広く意見を聴くとともに、諸外国の永住許可制度の例も参考にするなどして、丁寧な議論を行っていく必要がある。」と書いてあるのに、乱暴に採決を強行することは、余りにも暴力的であり、人権軽視を恥ずべきです。
外国国籍の方は、社会に様々なハードルがあり、脆弱性を持っています。
税金や社会保険料を滞納してしまう場合は、まず生活困窮のSOSと捉え、支援につなげ、そうでないケースは、日本国籍者と同じように、督促、差押え、行政処分、刑事罰などで対応すればいいのではありませんか。差別的、懲罰的なやり方は憲法違反のおそれがあると指摘されています。永住者だけではなく、永住許可を申請しようとする全ての外国人の地位を著しく不安定にします。
○武部委員長 本村君、まとめてください。
○本村委員 永住しようとする外国人労働者と家族に対して、終始、厳しい管理、監視を続け、やむを得ない事情を考慮せず、永住許可を取り消し、日本で培った十分な生活基盤を失わせることは、人道に反しています。
立法事実がないことが審議で明らかになりました。永住許可取消し制度は撤回するべきです。
そもそも、法律に違反をした自民党議員の裏金問題、脱税疑惑こそ、真相を明らかにし、責任を取るべきです。
特定……
○武部委員長 本村君、まとめてください。約束の時間を過ぎています。
○本村委員 マイナンバー制度がそもそも持つ問題があり、マイナンバーカードとの一体化は、自己情報コントロール権、個人情報保護の観点から反対です。
なお、立憲民主党案については、転籍制限を設けている点で、賛成することはできません。
家族の帯同を含め、外国人を尊厳ある人間として受け入れる制度、共に生きる制度をつくることを強く求め、反対討論とさせていただきます。
○武部委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○武部委員長 これより採決に入ります。
まず、階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○武部委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、笹川博義君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。池下卓君。
○池下委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、在留カード等と個人番号カードの一体化のための準備を進めるとともに、特定在留カードの更なる利便性向上のための措置について引き続き検討を行うこと。また、年々巧妙化する偽造技術に対応し、これを防止するための取組を進めるとともに、プライバシー情報の保護のためのセキュリティ対策を着実に行うものとすること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
―――――――――――――
○武部委員長 次に、内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、笹川博義君外三名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○武部委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、笹川博義君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。酒井なつみ君。
○酒井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 我が国が外国人材にとって魅力ある働き先となり、就労希望者がより長く我が国で就労することができるよう、外国人就労者の生活・就労環境等の整備に努めるものとし、賃金をはじめとする待遇や職場環境の改善、国及び地方公共団体等における受入れ体制の整備、本人及び家族のための生活環境の整備、社会保障制度に関する周知徹底、我が国の文化や社会に対する理解の増進等の諸施策の総合的な取組に向けた検討を進めること。
二 外国人就労者の受入れ企業が労働関係法令を遵守し、適切に外国人就労者の雇用と支援を行うことができるよう、人権意識の醸成及び徹底に向けて、適切な情報発信及び取組支援の在り方等について検討を行うこと。また、外国人就労者に対する人権侵害の実態や外国人失踪者に関する状況の把握に努め、必要な改善措置について検討を行うこと。
三 地域社会での生活や育成就労の適切な実施に資するとともに、改正後の制度の各段階において日本語能力がこれまで以上に求められることから、外国人就労者の日本語習得のために適切な支援がなされるよう、国及び地方公共団体における環境整備の在り方について検討を行うこと。特に、地方における日本語習得の機会の確保について、十分に配慮するものとすること。
四 我が国の産業分野における労働力不足への対応を目的とする本法の趣旨に照らし、特定技能及び育成就労に係る対象分野及び受入れ見込数の設定に関しては、外国人就労者の現状や我が国全体の雇用状況を適切に勘案して、透明性・予見可能性が確保されるよう努めるとともに、専門性のある有識者及び関係団体等の知見が適切に反映され、公平性・中立性が確保されるよう努めるものとすること。また、経済社会の牽引役となりうる高度外国人材に関し、これまで以上に積極的に誘致を行う方策について検討を行うこと。
五 我が国での就労経験を持つ外国人が、過去に習得した技術や日本語能力、日本社会及び日本文化等への理解や経験を生かして更に我が国で活躍してもらうための受入れ手段について検討を行うこと。
六 育成就労外国人の意向による転籍を認めるための要件に関する主務省令の策定に際しては、技能及び日本語能力の基準等について、適正かつ現実的に転籍が可能なものとなるよう特に配慮するとともに、改正後の制度の運用状況を踏まえて必要に応じて見直しを検討するものとすること。
七 育成就労外国人の転籍が迅速かつ円滑に進められるよう、転籍の申出の手続にかかる負担が極力少なくなるための措置を検討するとともに、転籍先が確保されるまでの期間が長期化した場合における生活支援等の在り方について検討を行うこと。
八 季節性のある分野における派遣形態による育成就労計画の認定に当たっては、派遣元又は派遣先の事業者の事情により育成就労外国人の利益が不当に害されることのないよう、労働関係法令等に即した適切な処遇の確保について特に配慮すること。
九 監理支援機関の独立性・中立性の確保のための役職員要件及び業務範囲に関する要件等に関する主務省令の策定に当たっては、本法の趣旨及び地方における監理支援機関の実情に照らして実効性が確保されるよう留意するとともに、当該要件の充足の状況及び外部監査人の選任の在り方を含む適切な業務実施体制の確保の状況等について、実地検査等を通じて継続的に把握するよう努めること。併せて、監理支援機関による育成就労実施者からの監理支援費の徴収に当たっては、当該費用が実費に限られることに留意し、監理支援費の設定及び預託金の精算等が適切になされるよう、必要な措置を検討すること。
十 育成就労を希望する外国人が送出機関に不当に高額な手数料を支払うことのないよう、主務省令で定める手数料の金額の基準を育成就労外国人にとって合理的なものとするとともに、送出国との新たな二国間取決めの策定に際しては、悪質な送出機関が排除され、我が国への育成就労外国人の送出しが適切に実施されるものとなるよう、協議を進めるものとすること。
十一 永住者に対する永住許可の取消及び職権による在留資格の変更を行おうとする場合には、既に我が国に定住している永住者の利益を不当に侵害することのないよう、定着性及び法令違反の悪質性等の個別事情を厳正に判断するとともに、具体的な事例についてのガイドラインを作成し周知するなど、特に慎重な運用に努めること。また、その場合における永住者の家族の在留資格の取扱いについて、十分な配慮を行うものとすること。
十二 我が国が魅力ある働き先として選ばれるため、外国人就労者の家族帯同の在り方について引き続き検討すること。
十三 本法の施行に伴う出入国在留管理庁及び厚生労働省における業務負担の増加に伴い、関連業務を迅速かつ適切に実施するために必要な人的・物的体制の整備に努めること。また、外国人育成就労機構が支援・保護業務や相談援助業務を適切に行うための体制の整備に努めるとともに、育成就労外国人からより広く認知されるための取組を進めること。
十四 外国人就労者が改正後の制度について正しく理解して安心して我が国で働くことを可能にするとともに、共生社会の実現に向けて国内外の理解が深まるよう、本法の趣旨及び内容について国際社会や国内の関係機関等に対する周知広報に努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、両附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉法務大臣。
○小泉国務大臣 ただいま可決されました出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○武部委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
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○武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十分散会