衆議院

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第3号 令和6年12月12日(木曜日)

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令和六年十二月十二日(木曜日)

    午後一時二十分開議

 出席委員

   委員長 西村智奈美君

   理事 小寺 裕雄君 理事 津島  淳君

   理事 松本 剛明君 理事 鎌田さゆり君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君

   理事 金村 龍那君 理事 円 より子君

      安藤たかお君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    稲田 朋美君

      上田 英俊君  英利アルフィヤ君

      大空 幸星君    上川 陽子君

      神田 潤一君    小池 正昭君

      河野 太郎君    寺田  稔君

      平沢 勝栄君    星野 剛士君

      森  英介君    若山 慎司君

      有田 芳生君    篠田奈保子君

      柴田 勝之君    寺田  学君

      平岡 秀夫君    藤原 規眞君

      松下 玲子君    萩原  佳君

      藤田 文武君    小竹  凱君

      大森江里子君    平林  晃君

      本村 伸子君    吉川 里奈君

      島田 洋一君

    …………………………………

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   法務大臣政務官      神田 潤一君

   衆議院庶務部長      梶田  秀君

   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君

   最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君

   最高裁判所事務総局経理局長            染谷 武宣君

   最高裁判所事務総局刑事局長            平城 文啓君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          松井 信憲君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    森本  宏君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    押切 久遠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           尾田  進君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十二日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     星野 剛士君

  上田 英俊君     五十嵐 清君

  上川 陽子君     大空 幸星君

  棚橋 泰文君     安藤たかお君

  若山 慎司君     小池 正昭君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤たかお君     棚橋 泰文君

  五十嵐 清君     上田 英俊君

  大空 幸星君     上川 陽子君

  小池 正昭君     若山 慎司君

  星野 剛士君     英利アルフィヤ君

同日

 辞任         補欠選任

  英利アルフィヤ君   井出 庸生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房司法法制部長松井信憲さん、法務省民事局長竹内努さん、法務省刑事局長森本宏さん、法務省保護局長押切久遠さん及び厚生労働省大臣官房審議官尾田進さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也さん、人事局長徳岡治さん、経理局長染谷武宣さん及び刑事局長平城文啓さんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小寺裕雄さん。

小寺委員 自由民主党の小寺裕雄でございます。

 これまでは農林と文科でやらせていただいたんですが、今回から法務委員会に移らせていただきまして、また、初めての質問ということで大変緊張しておりますが、以下よろしくお願い申し上げます。

 時間も限られておりますので、早速ですが、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをさせていただきます。

 今年、春季労使交渉では、連合の発表によれば、基本給を底上げするベースアップ分と定期昇給分を合わせた賃上げ率は、平均で五・二八%であったというふうな報道がありました。昨年の三・八〇%を大きく上回ったところであります。また、組合員数が三百人未満の中小企業においても、上げ幅は四・四二%ということでございまして、いずれも経済の専門家の予想を大きく上回るという結果になったところであります。

 このように、企業が大幅に賃上げを、引き上げる理由としては、急激な物価高騰から従業員の生活を守るためといったことや、慢性的な人手不足に対応するために人材の確保をするという目的が考えられます。

 そこで、今回提出された二つの法律案は、本年八月に行われた人事院勧告に基づくものということは承知をしておりますが、その趣旨と概要につきまして、鈴木法務大臣にお尋ねをしたいと思います。

鈴木国務大臣 今、小寺先生の方から、今回の二法案の趣旨ということでお尋ねをいただきました。

 この二法案でありますけれども、一般の政府職員の給与改定に伴いまして、裁判官の報酬、そして検察官の俸給を改定する、これを内容とするものであります。

 今御指摘のように、本年八月に人事院の方で、今年の四月時点における官民の給与較差に基づく俸給表の水準の引上げ、そして社会と公務の変化に応じた給与制度の整備等を内容とする一般職の職員の給与改定の勧告をしたところであります。

 この二法案でありますけれども、この人事院勧告、これを踏まえまして、一般の政府職員の給与改定に準じて、裁判官そして検察官の報酬、俸給の月額を引き上げるものであります。

小寺委員 今回の人事院勧告では、民間企業との給与較差を埋めるために、総合職の初任給を二万九千三百円、大卒一般職の初任給を二万三千八百円、高卒一般職の初任給を二万一千四百円と、それぞれかつてないほど大幅に引き上げ、なおかつ、これを踏まえて、三十代後半までの職員に重点を置いたところに大きな特徴があるものというふうに思います。

 昨今増加している勤務期間の短い若手職員の離職を減らして、仕事に対する満足度を上げるために給与を引き上げるということは必要なことだというふうに思いますし、十分に理解をいたします。

 一方で、裁判官や検察官は、特別職であって、例えば、最近では人事評価が給与と連動していることが多いというふうに思うのですけれども、裁判官や検察官の人事評価や給与との関係を考えたりすると、こうした特別職であるがゆえに、一般職の給与に関する人事院勧告の趣旨がこうした裁判官や検察官に対しても適合をするのかどうか、疑問に感じるところもあるわけであります。

 そこで、今申し上げました、裁判官や検察官に対してなぜ一般職の人事院勧告が適合するのかといったことをお尋ねしたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額の改定は、従前より、人事院勧告を受けて行われる一般の政府職員の俸給表の改定に準じて行っているところです。

 人事院勧告の趣旨は、一般職の国家公務員の労働基本権制約の代償措置として、その給与水準を民間の給与水準に準拠して定めるところにあり、合理性があるものと認識をしております。

 一般の政府職員の俸給表に準じて裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額を改定する方法は、一方で、裁判官及び検察官の職務と責任の特殊性を反映させつつ、他方で、人事院勧告の重要性を尊重し、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスの維持にも配慮するという理由に基づくものであって、給与水準の改定の方法として合理的であると考えております。

小寺委員 ありがとうございます。

 そこで、今回の給与改定では、全ての裁判官、検察官の報酬、俸給月額の改定に加えて、先ほど大臣からも御答弁いただきましたけれども、一般職の給与制度の整備、いわゆるアップデートが行われるところです。

 このアップデートというのは、勤務成績に応じて支給される勤勉手当について、特に高い業績を上げた人たちに傾斜配分するというか、一つは、特に優秀な方々を、三倍ぐらいまでにいわゆる傾斜配分して払いましょうということになっているわけです。

 そこで、こうした見直しを行う一方で、このアップデートに対応して、行政職俸給表(一)に対応する報酬、俸給を受ける裁判官や検察官についても令和七年の四月から施行される、改定が行われるということになっておりますけれども、なぜそのようなことを行うのか、その理由及び内容についてお尋ねしたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 一般職給与法等の一部改正法案では、社会と公務の変化に応じた給与制度の整備として、御指摘のとおり、行政職俸給表(一)三級から十級までの俸給月額を改定し、令和七年四月から施行することとされております。

 判事補及び簡裁判事五号以下並びに検事九号以下及び副検事三号から十六号までの報酬、俸給月額は、行政職俸給表(一)三級から九級までの俸給月額に対応していることから、改正法案では、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスを維持する観点から、それぞれ報酬、俸給月額の改定を行って、令和七年四月から施行することとしているものでございます。

小寺委員 分かったような、分からぬような感じで申し訳ありませんが、時間の関係もあって、先に進ませていただきます。

 次に、裁判官、検察官の手当についてお尋ねをいたします。

 裁判官、検察官は、特別職であるために、裁判官については裁判官報酬法第九条一項のただし書において、また、検察官についても検察官俸給法第一条第一項のただし書において、超過勤務手当、夜勤手当や休日給などは支給されないものというふうにされていることは承知しているところです。

 そこで、今回の給与改定において、裁判官並びに検察官の手当は変更されることがあるのでしょうか、お尋ねしたいと思います。

松井政府参考人 現行法上、裁判官及び検察官の受ける諸手当については、基本的に、一般の政府職員の例に準じて支給されることとなっております。

 例えば、一般の政府職員の受ける期末・勤勉手当については、令和六年の人事院勧告を受けて、一般の職員では支給月数四・五か月分を四・六か月分に引き上げ、指定職俸給表適用職員では三・四か月分を三・四五か月分に引き上げるという内容の改正法案が現在国会で審議中であり、この法案が成立した場合には、裁判官及び検察官の受ける期末・勤勉手当についてもこれに準じて改定されることとなります。

 また、地域手当や通勤手当等についても同様に、一般の政府職員に準じて改定されることになります。

小寺委員 おおむね理解はいたしました。

 今、地域手当についてもというお話をいただきました。

 国家公務員の地域手当が今回見直されることは承知しているんですが、直接このことには関係するわけではないんですけれども、地域手当の考え方というのも、何となく、改定されるに当たって言うのもなんですが、いかがなものかなということを思うところがあります。

 それは、都会、東京都二十三区内は二〇%、地方へ行くと安くなっていくというのは、低くなるというのは承知しているんですけれども、これが裁判官や検察官の方々に当てはまるかどうか分かりませんが、結局、都会にいる方が、官舎に入りながら給与が高いとなると、物価上昇を考えても、都会で仕事をする方が、実は同じ仕事をしていても報酬的には得になるんちゃうかというふうなことを考える人はいないのかなと。

 特に一般の方々にすると、地方で子供の教育とかいろいろなことを考えたときに、都会で官舎に入っていいお給料をいただく方が、何となく、そういったことに地域手当が影響することはないのかなといったことを少し疑問に思うところもありますので、これは別に皆さんが考えていただくことではないですけれども、是非、裁判官や検察官の方々にはしっかりと地方で働いていただけたらなというふうなことを思うところです。

 それで、テレビでニュースなどを見ておりますと、様々な事件の裁判の模様が報道されることが多々あります。そうしたときに感じるのは、最近、女性の裁判官が随分増えてきたなということであります。女性の社会進出はかねてより進んでおりますし、特にテレビのバラエティー番組などを見ておりますと、女性の弁護士の先生が様々な質問にお答えをいただいている場面もよく拝見いたします。

 そこで、最近の司法修習生から判事補及び検事の採用状況、そこに占める女性の割合についてはいかがな形になっているのかというのをお尋ねしたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 直近の七十六期司法修習生からの判事補の採用数でございますが、今年一月に採用された者でございますけれども、八十一人でございまして、うち女性の数は三十四人、四二%を占めているところでございます。

小寺委員 ありがとうございました。

 想像していたよりも女性の割合が高いのを感じたところであります。

 今回、法務委員会へ移らせていただいて、今まで余り知らなかった、裁判官であったり検察官の方々の給与についてお調べをさせていただいたところでありますが、内閣総理大臣と同格の最高裁長官であったり、あるいは検事総長という方々の報酬であるならば、さほど不満も少ないのではないかというふうに思いますが、特に、裁判官や検察官の方々でも若手から中堅の方々に至る俸給については、その職務や職責の重さや専門性からすると、私からすると決して高額とは言えないのではないかというふうに感じたところであります。

 人口減少社会の現在、仕事は引く手あまたであります。民間企業はもちろんのこと、公務員や教員の世界でも競争倍率が低下して、数はもちろんのことではありますけれども、質の確保に課題を抱えているような状況でもあります。

 医療の世界でもワーク・ライフ・バランスということが重んじられるようになって、お医者さんでも、働く、勤務する場所を大都市に希望が集中してきて、地方や過疎地では医師の確保がままならないということもありますし、また、診療科目の偏在ということも大きな課題となっているわけであります。

 司法試験という難関試験を通過されて、そして高い志と倫理観を持って、こうして志望された方々が希望を持って職務に専念していただくためには、私は、それにふさわしいお給料で報いることこそが一番大事なのではないかと思います。

 どうか、任官していただいた若手の裁判官や検察官が、夢を、希望を持って仕事に励んでいただけるようにこれからもお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、米山隆一さん。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。

 ちょっと、通告がなくて、今質問を聞いてあれっと思ったんですけれども、ちょっとお伺いしたいんですけれども、今回変わります勤勉手当、こちらの方は若手の裁判官も適用になるということでよろしいですか。ちょっと確認させていただきたいんですが。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 勤勉手当につきましても、一般の政府職員に準じて定められることになっておりますので、若手の裁判官については同様の改めがあるということになります。

米山委員 これも通告なしで恐縮なんですけれども、そうしましたら、検察官はそれはいいと思うんですけれども、裁判官は、身分保障といいますか、憲法との兼ね合いで、なかなか、勤勉手当というか、ここに書いてあるような、資料にあるような、成績優秀者、優秀者でないということに対して、余り給与の上下をさせますと、上になった後、下げられるのかという問題も出てくるかと思うんですが、勤勉手当の上下に関してはどのように運用される御予定なんでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりの問題があるわけですが、裁判官の勤勉手当につきましては、裁判官の職務の独立性に鑑み、いわゆる業績評価の結果を反映することはなじみにくいと考えられるところでございますので、人事評価を直接反映させず、均一の成績率を用いて支給しているところでございます。

米山委員 安心しました。それなら結構かと思います。

 ただ、そうしますと、ちょっと興味になってしまうんですが、これは上がるんですかね、今回の改定で。今までの均一の基準だったものが、今回ですと上げる余地が増えるようになるわけですけれども、それは上がることになるんですか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 幾らというのはちょっと申し上げにくいんですが、全体として上がるということになります。

米山委員 別にそれは悪くないといいますか、結構でございます。分かりました。済みません。

 それでは、もうちょっと、通告した質問の方をさせていただきます。

 資料にあるとおり、既に御質問があったとおりですけれども、裁判官の、また検察官の給与が一%から九%上がるということで、なかなか上がるわけなんですけれども、ただ、それは結構年次によって差がある、年次というか、号俸によって差がありますので、これは全体で一体何%ぐらい上がるのかを確認させていただきたいと思います。

 それには、最高裁判所の裁判官全体の給与が今まで幾らで、これがこれから幾らになるのか。また、検察官の給与は今まで幾らで、これから幾らになるのか。それぞれ、最高裁判所と法務省の担当の方、お答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今回の法改正トータルでお答え申し上げますと、法改正で対象となる裁判官の報酬及び諸手当の額は約四百六十八億七千万円でございます。それが、今回の改正により、約四百七十八億六千万円になる見込みでございます。したがって、約九億九千万円の増額でございまして、それを割合にいたしますと約二・一%ということになります。

松井政府参考人 お答えいたします。

 検察官については、この法案による改正前については、俸給及び諸手当を含み約三百二十二億六千九百万円であり、この法案が成立した場合には約三百三十億九千三百万円となり、金額にして約八億二千四百万円、パーセンテージで平均約二・六%の増額となります。

米山委員 二%、二・六%で、結構なこととは思うんですけれども、資料二を見ていただきますと、物価というのは実は随分上がっておりまして、直近で二・六%、検察官の方は、そうすると、物価が二・三%で、これを超えているということかもしれませんが、裁判官の方はこれ以下ということになります。

 また、先ほどのお話にもちょっとありましたけれども、若い方はいいと思うんですけれども、私らはもう働き盛りとは言えないんでしょうけれども、働き盛りの世代、子育て世代、三十代半ばで大体八号俸程度と私の同期なんかから聞いているんです。三十代半ばで八号俸ぐらいということですと、その方々は上昇率が一・五四%になるわけです。そうしますと、全体として二%、二・六%であっても、働き盛りの世代は一・五四%ということで、結局この人たちは、実は、実質賃金は下がっておるということになるわけでございます。

 政府を挙げて物価と賃金の好循環と言い、政府を挙げてわざわざデフレ脱却といって物価を上げているわけなんですから、まずは隗より始めよと。まずは、裁判官の方、検察官の方、もう少しこれは給与を上げたっていいんじゃないですか、特に働き盛りの世代。それは、若い方は上がっていますけれども、働き盛りの三十代、四十代の方、子育て世代の方をもっと上げたらいいと思うんですが、法務大臣の御所見を伺います。

鈴木国務大臣 先ほど、前の質問で申し上げましたが、今回の人事院勧告は、消費者物価指数が上昇していることも、今御指摘ありましたけれども、そこも認識しつつ、民間給与の実態調査を行い、官民較差に基づく給与の改定を勧告したものであります。

 この勧告を踏まえた一般の政府職員の給与改定に準じて、裁判官、検察官の報酬、俸給月額を改定するという方法を今回も取っております。これは、裁判官、検察官の職務と責任の特殊性を反映させつつ、人事院勧告の重要性を尊重し、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスの維持にも配慮するという観点から合理的だというふうに考えております。

米山委員 それは、裁量はあるんでしょうけれども、合理的という理屈もあるんでしょうけれども。

 ちなみに、この二つの法律は、実は、人事院勧告に従わなければならぬという規定はないんですよね。ないんですよ。ですので、法務大臣が御決断すれば、何と、ここに並んでいらっしゃるいろいろな職員の皆さん、法務省職員、また、元々、検事の方も、裁判官の方もおられるんだと思うんですけれども、の方々の給与を上げられるわけなんです。是非頑張っていただいて。

 しかも、大臣も、閣議に参加して、閣議の中で、デフレ脱却だといって、デフレ脱却のために物価を上げねばならぬと言っている一人なわけじゃないですか。そうしましたら、それは、物価以上に皆さんの給与を上げるようにするのは大臣の職責だと思うんです。

 ですので、何も若手だけじゃなくて、働き盛りの三十代、四十代の方にも是非給与を上げていただきたいと思いますので、もう一度御所見を伺います。

鈴木国務大臣 人事院勧告を踏まえて、その給与改定に準じて改定するというやり方、現在これを取っていますので、そういった意味で合理的だということを改めてそこは私から申し上げさせていただきたいと思いますし、今御指摘のように、物価の上昇、これが実際にある中で、官民較差が二・七六%存在するということを前提として、特に今回、人材確保、これに焦点を当てて、全体として若年層に重点を置いているということで、そこは、裁判官、検察官についても同様の方針でということで考えております。

米山委員 今、人材確保という言葉も出ました。

 資料三を御覧いただきたいんですけれども、では、人材は確保できているのかというところでございまして、特に若手の方、裁判官に限って言います、これは判事補として雇用されるわけなんですけれども、その充足率は何と八〇・三%、要するに欠員率が一九・七%ございます。つまり、全然確保できていないんですね。

 これも当然でございまして、初任給二十六万三千円といいながら、いろいろな諸手当、ボーナス等もございますので、伺ったところによると、年収では実はそんなに少なくなくて、大体六百七十七万円ぐらいにはなるということではあるんですが、人材の取り合いをしていると思われるところはもっと高い。

 といいますのは、なぜかといいますと、こうやって常に、裁判官定員法というのを四月にいつもやるわけですけれども、その定員法で、いつも欠員が出ますので、私は三月に法務委員会で伺ったときに、これは二〇二二年三月ですけれども、何でこんなに欠員が多いんだと。では、採用している人の採用時の年と学歴を教えてくださいと言うと、もう本当に一流大学、それは東大、京大、一橋大学とだあっと並び、採用年齢はみんな若いわけですよ。

 要するに、これは、最高裁が裁判官を、いわゆるエリート、別に私はその人たちをエリートだと言いたいんじゃないですよ、でも、いわゆるエリートと言われている人たちしか採用しない。そういう人たちは、これまた四大事務所と言われている大きな大手の渉外事務所があるんですけれども、そういうところが年収一千万超で雇用しているわけでございますよ。

 そうしますと、それはどうしたって欠員が出るに決まっているわけでございますので、しつこいんですけれども、やはり人材の確保とかおっしゃるんでしたら、今六百七十七万円ですけれども、せめて八百万ぐらいにしないと、到底それはこの欠員が埋まるとも思えないんですが、年収八百万ぐらいにしませんか。

鈴木国務大臣 そういった事情は、恐らく裁判官、検事のみならず、政府全体ということでもあろうと思います。

 そういった中で、政府全体として、人事院の方での勧告がございましたらそこに準じてということで、恐らくはそれが合理的だということで我々としては判断してございます。

米山委員 これは押し問答が別に意図ではないので。

 では、給与が上げられないということであれば、次の資料、資料四を御覧ください。

 今ほど、何か、裁判官とか弁護士とか、随分もうかるんだなと聞かれた方もおられるかと思うんですが、実はさにあらずでして、どんどん今弁護士は増えていますので、平成十八年のときは五年未満の弁護士でも七百七十万円もらえていたんですけれども、どんどんと下がって、もはや半分以下、令和五年では三百五十一万円となっております。

 これは、先ほど言った、いわゆるエリートには該当しない、いろいろな社会人経験があったり、必ずしもブランドと言われているような学校ではない学校を卒業した方というような方が、なかなか四大事務所はそういう方を事実として採らないわけですよ。かつ、そういう人たちは、ある種、三百五十万ぐらいの収入でおられているわけなんですけれども、別にこの方々が優秀じゃないかというと全然そんなことはない、私も同期はいっぱいいますけれども、いや、同じでしょうと。

 それは単にある種のブランド志向といいますか、えり好みというか、四大事務所がえり好みするのは、それは民間のことですから構わない、構わないというか、口を出すことではないと思うんですけれども、裁判所はそんなえり好みをする必要ないじゃないですか。だって、二〇%も欠員がいる中で、給与も上げられませんというのであれば、多様な人材を次々採れば、きっと本当に、私は、喜んでなりたい方がおられると思うんですよ。是非そうやって、採用基準を変えて、より幅広い人材を採用したらいかがでしょうか。

 これを言うと、いや、していますと言うと思うんですけれども、していませんからね。私も同期がいますので、修習している中で、裁判官になれた人、なれたと言うべきだと思う、それなりに競争があるので、なれる人というのは、そういう若くてブランド校と決まっていますので、その採用基準を変えることを御提案させていただきますが、御見解を伺います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所としては、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者に任官してほしいと考えておりまして、下級裁判所裁判官指名諮問委員会におきましても、そのような観点から、審議、答申がされているものというふうに承知をしております。

 今後とも、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者には、できる限り任官してもらえるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

米山委員 では、もうこれは押し問答になるので繰り返しませんけれども、是非、鈴木大臣には、指導してくださいよ。実際問題、本当により好みしていますから。それを変えれば、随分この不足を補えるんだと思いますよ。

 そして、次に、今度はちょっと話を変えるんですけれども、判事、検事というのは、実は転勤が非常にあるんです。それぞれ、判事、検事の平均的な転勤頻度といいますか、何年に一回ぐらい転勤するのか、お答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官は、おおむね三年に一度異動しているという実情にございます。

松井政府参考人 検事につきましては、年次や個人差によって異なるので一概に申し上げることは難しいものの、おおむね二、三年に一度程度、人事異動があるのが実情でございます。

米山委員 これも今までの労働慣行だと言われればそうでしょうし、こういう資料なんかを見ると、全国津々浦々の事情を知るために必要なんだとおっしゃるわけなんですけれども、それはやはり随分古いといいますか、だって、転勤できるということは、基本的には、正直、背景にあるのは、専業主婦的な頭といいますか、何となくそう思っているから、転勤させても大丈夫と思っているわけだと思うんですよ。

 ところが、大体、司法界も割に同じ職場で、職場というか、司法同士で、法曹同士で結婚する方は多いので、そうすると、どうしても、パターンとしては、別に逆だっていいと思いますけれども、夫の方が転勤して、妻の方は弁護士さんで、ついていかなきゃならないとか。でも、夫が弁護士になったら、なかなかもう妻の方は大変だみたいなことは多々あったりしますし、逆に、これもちょっと、別に私がそうだと言いたいんじゃないんですけれども、言いづらいなりに、女性の裁判官はやはりそこが非常にネックになって、大変なのよと。なかなか、結婚相手を探すときに、相手から転勤するんでしょうと言われちゃうみたいなことが言われるわけなんです。

 さらに、これは、今度は、利用者目線といいますか、弁護士目線と言っては恐縮ですけれども、裁判を利用する方からも、別に、今短くなったとはいえ、二年、三年かかる裁判はいっぱいあるんですけれども、三年に一回、二年に一回交代されると、結構な確率で、裁判の途中で裁判官が替わるんですよ。ちゃんと引き継いでいますと言いますけれども、やはりそれは、こっちとしても、また一から説明ですかとか、あれっ、今までと全然、突然雰囲気が変わっちゃったみたいなことがあって、これはまた何か、そんな不合理なと思ったりするわけなんです。

 これはやはり、そろそろこの慣行は変えてもいいんじゃないでしょうか。一つは、急に変えられないにしたって、せめて五年に一回ぐらいにしたら大分違うんじゃないですか。動く方だって、五年間いられれば随分違うでしょう。それはあるでしょうし、何となれば、地域限定みたいなキャリアトラックを選ぶ。本人が選ぶならいいんだと思うんです。私は家裁の人を選びます、私は新潟家裁の人を選びますという人がいたっていいと思うので、そういうような余り異動しないキャリアトラックというようなものを用意されたっていいんだと思うんですが、いかがでしょうね。最高裁の御見解を伺います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 全国の裁判所における均質な司法サービスを確保するためには、地方都市も含めまして、全国各地にひとしく優れた裁判官を配置するということが必要不可欠でございます。

 希望する一部の裁判官について、転勤がない、また通勤可能な範囲での異動に限定するという仕組みを設けますことは、大都市志向が強まっている状況におきまして、裁判官に真にふさわしい能力、資質を有する者を全国に確保していくことができるかどうかなど、慎重に検討すべき点が少なくないものと考えられるところでございます。

 ただ、裁判官にとっても、仕事と家庭生活の両立というのは重要なことでありますことから、異動に際しては、引き続き、それぞれの裁判官の希望をよく聴取した上で、十分な配慮をしてまいりたいというふうに考えております。

米山委員 これは今言ってもそうなるんでしょうけれども、そこは是非工夫していただきたい。

 というのは、資料五がございまして、資料五を御覧いただきまして、先般、民法改正で共同親権が、二年以内に、もうあと一年ちょっとでしょうけれども、一年ちょっとでできるようになるわけです。

 実は、民事事件自体は、全体は減っているんですけれども、家事事件は増えておりまして、共同親権が本当に動き出すと、それは随分件数も増えるんじゃないかと予想されているところで、そんな中で二〇%もの欠員をいつまでも放置するのはどうなんだということでございますので、それには給与なのか、それとも採用基準なのか、若しくは今言った転勤みたいな、幅広い意味では勤務条件ということになるんだと思うんですけれども、そういったものをやはりきちんと改善して、皆さんが気持ちよく、もちろん優秀な方々が気持ちよく働けて、そして採用できるということをつくらなければならないと思いますので、最後に、法務大臣にその意気込みを伺います。

西村委員長 時間が迫っていますので、簡潔に。鈴木大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 裁判官の、判事のそういった人事といったことだと、法務大臣ではなかなかこれはコメントしづらいものですから、そこは御了承いただきたいと思います。

米山委員 では、終わりです。ありがとうございました。

西村委員長 次に、柴田勝之さん。

柴田委員 立憲民主党・無所属の柴田勝之でございます。

 前に質問した米山委員、この後質問する篠田委員も含めまして、実は、今日質疑するうちの会派、三人とも弁護士でございます。さらに、平岡委員と藤原委員も弁護士でありまして、いつも一緒にお仕事させていただいている裁判官と検察官の給与、待遇、大いに関心を持っているところでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、今回の法改正による裁判官、検察官の給与の増額の状況、それから裁判官の欠員の状況は米山委員の質疑に出ておりましたので、それを前提に、お配りしている資料一の雑誌記事についてお伺いしたいと思います。

 この冒頭に、現役裁判官の話として、「最近、任官して十年前後の若手裁判官の退官が増えている。」とあります。これは事実でしょうか。お答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 判事補の退官者数ということで見ますと、令和三年度は十五人、令和四年度は十二人、令和五年度は十四人でございます。その前の三年間は、平成三十年度が九人、令和元年度が七人、令和二年度が五人でありましたので、比較するとやや増加していると言うことはできると思います。

柴田委員 資料二を御覧いただきたいと思いますが、司法修習を終了して裁判官になった人数、平成二十七年終了の六十八期までは九十人を超えておりましたが、平成二十八年終了の六十九期以降は六十人台から八十人台に減少しております。

 令和二年三月三十一日の法務委員会における最高裁の答弁では、新任判事補の採用減少の理由の一つとして、大規模事務所との競合の激化というのが挙げられております。

 資料一にも、「裁判官のサラリーは公務員としては破格であっても、大手の法律事務所で働く弁護士と比較すれば大きく劣る。」とございます。

 私、以前、司法研修所の教官というのも務めていたことがありまして、そのときの経験からも、また、ちょっと常識的に考えても、こういう収入面の事情が裁判官の採用難の一つの原因になっていることは否定できないのではないかと考えておりますが、この点について最高裁の御認識を伺います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 任官を希望する司法修習生の大規模法律事務所等との競合という場合には、収入以外にも、内定先の弁護士業務の魅力であるとか、内定を断ることのためらいであるとか、転勤がなく大都市で勤務することができることなど、個々の修習生により様々な事情があり得るところでございます。

 また、近年の新任判事補の任官者数は、令和三年に任官した七十三期、これは六十六人でございましたけれども、七十四期が七十三名、七十五期が七十六名、今年任官した七十六期は八十一名と増加をしてきているところでございます。

 裁判官の採用全体で見れば、裁判官の収入額がその採用を難しくしているとまでは必ずしも言えないものと認識をしているところでございます。

柴田委員 裁判官と検察官、我が国の司法を担う重要な人材でございます。ほかの公務員とのバランスの観点も必要とは思いますけれども、同じ法律家、法曹ですね、法曹の資格を持つ弁護士の収入と比べて余りに低いという状況は、人材確保のためにも改善する必要があると思います。

 実は、その趣旨で、若手の裁判官と検察官については初任給調整手当というものがございますが、その金額は平成元年以降増額されていないと伺っています。それからもう三十年以上たっているわけでございますし、平成二十八年以降に、さっき出た裁判官の採用人数が少なくなってきているという状況が生じていて、原因の一つとして、弁護士との収入の格差も否めないんじゃないか。

 そして、元々の初任給調整手当の趣旨を踏まえますと、この手当の金額というのは実は法律ではなく規則で定められるものでもありますので、この手当を増額する方向で検討されるべきではないかと考えますけれども、裁判官については最高裁、検察官については法務大臣の見解をそれぞれ伺いたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の初任給調整手当でございますが、御指摘のとおり、修習を終えた司法修習生の中から判事補を採用することが困難な状況になったために、判事補の給与面での待遇を改善し、任官希望者を確保する目的で設けられたものでございます。

 判事補任官者数につきましては、一時伸び悩んだ時期がございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、近年は採用者が増加してきておりまして、相当数の任官者を継続的に確保できているところでございます。

 初任給調整手当を含めた裁判官の給与水準は、裁判官の職務と責任の特殊性を反映させつつ、国家公務員全体の給与体系の中でのバランス維持にも配慮されているものでありまして、合理性を有するものと考えているところでございます。

鈴木国務大臣 検察官、検事につきましても、同じく、この初任給調整手当の制度、給与面での待遇の改善によって任官希望者を確保するという目的で、昭和四十六年の四月に設けられたと承知をしております。

 これ以降、日本弁護士連合会に勤務弁護士の方の収入調査を依頼をした上で、その調査結果を踏まえて、これまで二回、昭和六十一年と平成元年にこの手当を増額をしているところであります。その結果、今お配りをいただいた資料にもございますけれども、検察官につきましては、長年、多少上下はありますけれども、七十人前後、毎期確保できている状況でございます。

 そういった中でありますが、今後も適切に確保できるように、任官者数の状況を見守りながら、必要であれば、全体のバランスも考えながら、初任給調整手当の増額改定の要否も含めて検討してまいりたいと思います。

柴田委員 では、次に、司法試験について伺いたいと思います。

 まず、そもそも、司法試験の合格者はどのような考え方で決められているのかという点でございますけれども、例えば、運転免許のような資格試験、これは公道を運転するのに必要な能力があると認められれば合格する試験であって、特に人数の限定とかは必要ないというふうに理解しております。他方、司法試験というのは、法律家としての最低限の能力は前提としつつ、そのような能力があると認められた人全員を合格させているわけではなくて、その中で上位の一定人数を合格させるという選抜試験、いわば学校の入学試験のような面もあるものと認識しております。

 資料二に出ております数字、これは司法修習の終了者数なので、司法試験の合格者数とは少し違うんですけれども、ただ、おおむね傾向としてはこれは合っておりますので、これを御覧いただきながらお聞きしたいと思います。

 司法修習の終了者数、昭和六十一年終了の第三十八期を見ますと、四百五十名となっております。ところが、だんだん増えて、平成十五年終了の五十六期で一千人を突破しております。そして、平成十九年終了の六十期には二千三百七十六人になっています。

 私は司法試験の考査委員というのも務めた経験がございますけれども、その経験を踏まえても、また常識的に考えても、この昭和六十一年終了の四百五十番目の人と平成十九年終了の二千三百七十六番目の人、この合格者が司法試験の出来が同じレベルということは常識的にちょっと考えにくいと思うんですね。

 これは、平成十三年司法制度改革審議会意見書というものが出ております。これで示された、我が国において法曹資格を持つ人がもっと多く必要である、そういう状況認識を踏まえて政策的に合格者を増やした、別の言い方をすると合格ラインを下げたというふうに理解しております。

 現に、平成の前期はいわゆる丙案、古い方は御存じだと思いますけれども、若手受験者の合格ラインを直接的に下げたということもございました。こういう従前の合格者数の経緯を踏まえても、法曹資格者の需要の状況というものが司法試験の合格者数を決める一つの要素となり得る、すなわち、現在の我が国に法曹資格者が不足している、そういう状況が認められれば、法曹資格者がもっと必要だという政策的考慮から司法試験の合格者を増やすこともあり得るというふうに私は考えておりますが、この点について法務大臣のお考えを伺います。

鈴木国務大臣 今御指摘の関係の点ですが、平成二十七年の六月の法曹養成制度改革推進会議の決定というものがございます。法曹人口の在り方について、当面は毎年千五百人程度は輩出をされるような取組を進めるとともに、さらには、これにとどまることなくということで、社会の法的需要に応えるために、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況になることを目指すべきというふうにされております。

 このように、今御指摘のように、法曹人口のあるべき姿ということで、やはり社会の法的需要、これは考慮すべき要素の一つではあろうかと思います。ただ、委員御指摘のように、やはり合格者判定については、やはり法曹となろうとする者に必要な学識であったり、あるいはその応用能力を有するかという観点から、学識経験を有する、委員もやられたんだと思いますけれども、司法試験考査委員の判定に基づいて司法試験委員会によって決定をされるということで、基本的には試験結果に基づいてということになると思います。

 ということで、この決定の在り方ということで法務大臣がどうということで申し上げることはなかなか難しいということは御理解いただければと思います。

柴田委員 資料二の一番下の令和五年終了の七十六期を見ますと、終了者千三百九十二名という、そこまで減少しております。直近の司法試験の合格者はもう少し実は増えておりますが、今年、令和六年、千五百九十二人になっております。これは、今の我が国において法曹資格者が実は足りないところもある、そういう現状が認識されているのかどうかという疑問を私としては持っております。

 私ども弁護士の世界でも、裁判所の手続を始めとするいわゆる伝統的な弁護士の業務分野、そこについては既に足りているという部分もございますけれども、今法律家が活躍すべき領域というのは以前よりも広がっております。そのような新しい業務分野を中心に不足が生じているという現象もございます。

 四つほど挙げたいと思います。

 一つ目は、まず令和二年三月三十一日、法務委員会における最高裁の答弁、新任判事補の採用難の原因の一つとして、司法修習終了者、これはさっき申し上げたように司法試験合格者とおおむねイコールでございますが、それが減少しているということが挙げられている。

 二つ目、司法過疎地や弁護士費用を払えないような方の司法アクセスを改善するために設けられている日本司法支援センター、いわゆる法テラスに勤務する弁護士、これも近年は応募が減っておりまして、欠員が生じております。

 三つ目、地方の弁護士会では、ここ数年の新規登録者数が非常に減っております。数名というところが多く、新人弁護士がゼロというところもございます。

 それから四つ目、最近は、企業や官公庁においても法曹資格者が必要であるという認識が広まってきております。企業内弁護士とか任期付公務員の弁護士の募集も増えているんですけれども、応募がないため採用できないという事例が少なくありません。

 法務大臣におかれては、今述べた四つの状況を現時点でどの程度御認識されているか、それぞれについてお答えください。また、法務省におかれては、さっき申し上げた平成二十七年の意見書からも時間が経過しております。今申し上げた四つの点を含む、法曹資格者の過不足の現状、今の状況をもっと更によく調査検討いただく必要があると考えますけれども、この点について、法務大臣のお考えをお聞かせください。

 そして、その結果、我が国にとって法曹資格者が足りないという認識にもし至った場合、司法試験合格者を増員する必要性ありと認めて、しかるべき対応をお願いしたい。先ほど、司法試験合格者は司法試験委員会が決めると、そのとおりではありますが、過去には、先ほど挙げました平成十三年とか平成二十七年の意見書、それによって司法試験合格者数は変動している、そういう実例もございますので、法務省における調査、御検討の結果、我が国において法曹資格者が足りないという御認識に至った場合には、そういう認識を司法試験委員の皆様にも共有いただいて、十分配慮していただく、そういうことは問題ないし必要なことだと考えております。この点について、法務大臣のお考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 今三点についてお尋ねをいただきましたので、まとめてお答えをさせていただきたいと思います。

 まず最初、現状認識というところですが、最高裁のこの委員会での答弁の中で、新任判事補の採用数が伸び悩む原因の一つに、判事補の給源となる司法修習終了者の人数自体の減少を挙げていたということ、そして日本司法支援センターの常勤弁護士に欠員が生じているということ、そして地方の弁護士会における新規登録者数について、御指摘のような状況が生じている、そういったことについて承知をしてございます。

 そして、現状の調査ということもありますけれども、その点については、先ほど申し上げましたような、平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定においては、法曹人口についての必要なデータ集積、ここについて継続的に行っていき、そして、国民の法的需要に十分応えることのできる法曹の輩出規模について引き続き検証を行うとされていますので、そこについても、法務省でも、関係の機関や団体の協力をいただきながら、国の機関や地方公共団体に在籍する弁護士の数の推移であったりとか、あるいは企業内弁護士数の推移などの必要なデータ集積を行っております。今後も、そういった必要な調査分析をしっかりと行っていきたいと思っております。

 三点目、足りないとの認識に至った場合どうするんだということをおっしゃいました。その点につきましては、まさにその原因が、法曹有資格者の総数の不足ということなのか、あるいは弁護士の偏在等の問題によるものなのか、そういったところの分析、これは慎重にやっていく必要があると思っております。

 そして、司法試験の合格者の判定も、これは言わずもがなでありますけれども、やはり、必要な学識、応用能力を有するかという観点からの実際の試験結果に基づいてなされるということ、これはまさにそうでありますから、そういった中で、いずれにいたしましても、我々といたしましては、推進会議決定を踏まえて、法曹の質を確保しながら、国民の法的需要に十分に応えることのできる法曹の輩出規模について、必要な検討を今後とも行ってまいりたいと思っております。

柴田委員 ありがとうございます。

 また全然別の質問ですけれども、本年の十月に報道されたことですけれども、金融庁出向中の裁判官がインサイダー取引をしたという事件が報じられております。裁判官なので、インサイダーだ、やっちゃいけないということはもう重々分かっているはずなんですけれども、要するに、ちょっと給料が安いからやっちゃったのかなというようなことも考えたりしているんですけれども、この事件について、最高裁の受け止めと対応状況をお答えいただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官であった者が金融庁への出向中にインサイダー取引の疑いで調査を受けていることは遺憾でございます。

 現在、証券取引等監視委員会において調査中の案件でございますので、これ以上の発言は差し控えたいと思いますけれども、今般の状況も踏まえまして、裁判官及び裁判所職員は、出向中であるか否かにかかわらず、裁判所に対する信頼を損なうことのないよう、株式等の取引を行うに当たっては、国民からの疑惑や不信を招くような行為は厳に慎むよう、改めて注意喚起を促す連絡文書を発出したところでございます。

柴田委員 あと、今回の人事院勧告に、ウェルビーイングの実現に向けた環境整備というものが挙げられております。裁判官と検察官も、やはりこの点は重要ではないかと。ちょっとブラックな職場だというイメージが、私が昔、司法修習を受けていたときにはそういうイメージが強かったですけれども、現時点での裁判所、検察庁のこの点の検討状況、実施状況をお答えいただきたいと思います。

西村委員長 徳岡人事局長、時間が迫っていますので、簡潔にお願いします。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所においては、裁判所特定事業主行動計画を策定し、働きやすい職場環境の整備を進めるとともに、育児や介護を担う男女を含む組織全員の力を最大限発揮できるよう取り組んできたところでございます。

 今後とも、全ての職員が仕事と生活を両立しながら活躍できる職場環境を整備してまいりたいと考えております。

森本政府参考人 検察庁についてお答えいたします。

 検察においても、ウェルビーイングの実現のためのワーク・ライフ・バランスの推進というのは重要だというふうに考えておりまして、法務省の全体の取組、アット・ホウムプラン・プラスワンというものがございますが、これに基づきまして、職員のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組を推進しているところでございまして、今後とも進めていきたいと思っております。

柴田委員 我が国の司法を担う裁判官、検察官の皆さんが思う存分活躍できるようにしていただくことをお願いしまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、篠田奈保子さん。

篠田委員 私は、二十五年前に弁護士となりました。現場で様々な方を支えてまいりました。中坊公平弁護士が二割司法の改善を訴えて、私が弁護士になってから司法改革が進み、様々な司法改革が進む中で、総合法律支援法ができ、私も、この法律に基づき、法テラスのスタッフ弁護士として業務もしてまいりました。司法が真に、市民に、特に社会的に厳しい弱者の人権救済の組織として信頼され成果を上げる、そんな組織になるために、皆さんとともに頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に移らせていただきます。

 今回の裁判官の報酬についてであります。

 地域手当が一級地で二〇%、そして地域手当がつかないところは〇%、地域手当のない地域と地域手当の一番高いところで二〇%、給料として二割の格差があるということになります。この手当の格差により、転勤によって裁判官の手取りが減額されてしまうことがあるのかどうか、最高裁判所にお尋ねをいたします。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官が地域手当の支給割合の高い地域から支給割合の低い地域に異動した場合、いわゆる異動保障の制度によりまして、異動後一年間は異動前の支給割合の地域手当が支給されますけれども、その後は地域手当の支給割合は下がり、個別の異動の状況にもよりますけれども、いわゆる給与の手取りが異動前より少なくなることはございます。

篠田委員 憲法第八十条二項との関係についてお尋ねしたいと思っております。

 憲法第八十条二項は、「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」とありますが、それと今の答弁との整合性についてお答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 憲法上減額されないとされている裁判官の報酬でございますけれども、これは一般の公務員の基本給たる俸給と同じ意味でありまして、地域手当を含む各種の手当とは明確に区別されたものであると理解されているものと承知をしております。

篠田委員 そうしますと、地域手当は報酬に含まれないという御回答なんですね。しかしながら、実際に手取りは減るということです。

 そうしますと、例えばボーナス、期末手当なんですけれども、これを算出するに当たっては、地域手当は、そこの算出の中の基礎の収入に加えられて計算をされておりますか、お答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の期末手当、これは一般の政府職員の例に準じて支給されておりますところ、地域手当も期末手当の算定の基礎に含まれております。

篠田委員 そうしますと、結局、二〇%の地域手当があるところと〇%のところ、毎月の俸給について二割違う、そしてボーナスでも反映される。それが、地域手当の逓減の制度はあっても、実際に手取りが下がることがあるわけですよね。

 そうしますと、例えば、裁判官は、やはり都会にいて二割高いところに勤務をしたい、地方に転勤になると手取りが減らされる、こういう状況になるとすると、結局、憲法八十条二項の趣旨からすると、裁判官の独立を保障する、そういう趣旨が没却されるのではないかというふうに思っています。

 国や最高裁に忖度をして、とにかく俸給の高い都会にいたい、そうなれば、最高裁に評価されるためにとにかく事件を滞留させないように無理な処理をする、そうなると、やはり国民の権利や人権が脅かされる。そしてまた、こういう窮屈なことになると、若い人が裁判所に、いつも自分の良心に従って裁判をするということだけに集中できればいいですけれども、結局は、様々にこういったいわゆる上のことをおうかがいしながら裁判をする。

 そういうことが、やはり若い人たちが裁判官を敬遠するような、そんな原因になっていると私は思うんですが、この見解について、お答えをいただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官は、その良心に従い、法と証拠に基づいて裁判を行うものでありまして、他者からの評価を意識して裁判をするようなことはあってはならないと考えております。その職権行使の独立に配慮することが極めて重要であると考えているところでございます。

 裁判官の任用、配置に当たっても、職権行使の独立に配慮しながら運用していることはもちろんでございますし、例えば、人事評価の実施に当たっては、各裁判所の所長等の評価権者におきまして、裁判官の個別の事件処理に影響を与えないよう、細心の注意を払って実施しているところでございます。

 今後とも、裁判官の職務の特質を踏まえた上で、裁判官が自律的に職務を遂行することができるよう十分留意してまいりたいと考えているところでございます。

篠田委員 しかしながら、やはり地方にずっと、例えば支部に赴任をし続けると、都会で裁判官をしている人たちとの収入格差が広がっていく、そのことがやはり裁判官の様々な独立の立場、職責を損なう、それは私は明らかだというふうに思います。

 裁判官の独立を確保するという、やはり、憲法八十条二項による要請からしたら、私は、地域手当の制度を他の公務員と同様に裁判官に適用していくというのは、憲法八十条二項に反する状況だというふうに思っております。これについては、答弁は結構でございます。

 それでは、次に進みます。

 先ほど来、判事補、判事の欠員について問題となっております。現時点で、判事、判事補の欠員は何人生じておりますか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令和六年十二月一日現在ということになりますが、判事については、定員が二千百五十五人、現在員が二千五十七人でありまして、欠員が九十八人となっております。判事補につきましては、定員が八百四十二人、現在員が六百七十三人であり、欠員が百六十九人となっております。

篠田委員 相当深刻な事態だと思うんですよ。

 離婚後共同親権の法改正がありました。衆議院の附帯決議には、家庭裁判所の負担増が予想されるとして、家事事件を担当する裁判官などの増員が必要だという附帯決議がなされています。

 こんな状態で、新しいこの新法の施行が本当に可能な状況なのでしょうか。これについて法務大臣に見解を伺います。

鈴木国務大臣 円滑な施行のために国民に対する十分な周知や関係機関における準備を要する一方で、子供の利益を、子の利益を確保するためには、やはり速やかな施行、これが必要だと思っております。そういった意味で、しっかりこの速やかな施行を行っていくということに尽きると思います。

篠田委員 子供の利益を守るために速やかな施行が必要だと言いましたけれども、こんなに裁判所の人手不足が加速している中で実際に施行するとどうなるか、私は現場の弁護士ですからよく承知をしています。

 例えばですけれども、過去には、民法の監護権に対する法改正があり、そこから、たくさんの面会交流事件が申し立てられました。もう裁判所は上へ下への大騒ぎのような状態だということは私は肌で感じておりまして、実際にそのときどんなことが行われたかというと、とにかく今ある調停なり審判なりを迅速に解決していかなければいけないということで、様々な親子、子供一人一人違うんですよ、ケースが違います、しっかりアセスメントして決めなければいけないのに、面会はとにかくさせるべきだ、とにかく月一回二時間から始めなさい、そういうことがたくさんの事案で強制されて、それで様々に弊害が起こり、運用を家裁が変えたという事態がありました。こういった、本当に整っていない中で強行するということは、まさに子供の権利が損なわれる事態になると思っています。

 法務大臣、是非、家庭裁判所の人員体制が確立するまで、法案の施行を中止をしていただきたい。若しくは、まずは真摯な合意のある当事者の事件から始めて、少しずつ検証していくような、そんなやり方が必要ではないかと思うんですが、見解を伺います。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたように、この施行、これをしっかり速やかにしていく、その中で、この改正法については、公布の日から二年以内において政令で定める日を施行日としているところであります。

 その中で、今御提案がありました、父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない、そういった御意見については、父母の協議が調わない理由には様々なものがあると考えられることから、合意がないことのみをもって父母双方を親権者とすることを一律に許さないということになりますと、かえって子の利益に反する結果となりかねないと考えております。

 そういったことで、この改正案においては、裁判所は、父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であるかなどの観点を含めて、親子の関係、父母の関係その他一切の事情を考慮して実質、総合的に判断することとしております。そういった中で、これらの点について、御提案のような、これは改正ということになると思いますけれども、これを再度行うということは相当ではないと考えております。

 その上で、法務省として、関係府省庁等と連携をして、改正法の円滑な施行、これは当然、必要な体制も整備が必要だと思っておりますし、そこに向けて準備をしっかりと進めてまいりたいと思っているところでございます。

篠田委員 なかなか答弁がかみ合っていないという状況なので、これに関してはまた次の委員会などで質問させていただきます。

 次の質問は、検察官の俸給に対する、関連する質問でございます。

 大阪地検の検事正が部下の女性検事に性的暴行をしたという事案が発生をしております。本件が今刑事裁判にかかっており、有罪か無罪かは別として、本件に関わっては、検察庁の関係者が内偵捜査中に情報を漏らしたりとか、様々な、経過についても課題がございます。まずは、検察庁として、この事案についてしっかりとした検証の体制をつくることが必要だと思っております。

 検察官の俸給を上げる、そのことに国民の理解を得るためにも、この案件についての適切な対応を求めてまいりたいと思いますが、それについての法務大臣の見解を伺います。

森本政府参考人 まず、事実関係からお答えさせていただきます。

 まず、検察の元幹部職員が逮捕、起訴されるに至ったことは、検察に関することを所管する法務当局として誠に遺憾であると考えておりまして、このことについては、事件が検挙されたときの法務大臣も述べているところでございます。

 今お尋ねになられたような関係のものにつきましては、被害女性からの告訴、告発を受けて捜査している面もございまして、なかなかその点について今の段階ではお答えはしにくいところでございますが、今後、先生お尋ねのような観点に関する捜査も進んで、その捜査において明らかになった事実関係に基づきまして、仮に検察職員の非違行為というものが確知される場合には、調査の上、適切な指導監督が行われることでその是正を図って、事案に応じた再発防止策を講じていくということが、本件においても同様の結論になるというふうに考えております。

篠田委員 検証は検証、捜査は捜査だと思うんですよ。いつも、こういう不祥事があったときに、今は係争中だからとか、捜査中だからということを名目にして、迅速な調査がなされないということは大変問題だと思うので、しっかりと調査も並行していただきたいというふうにお伝えいたします。

 最後に、やはり、検察への市民の信頼、今揺らいでいる状況だと思います。検察官の俸給を上げるというのであれば、袴田再審無罪事件、これに対してしっかりとした対応を法務省がするための再審法の改正について、法務省が力強く前に進めていくことが必要だと考えておりますし、プレサンス事件に代表されるような、やはり違法な取調べ、こういったことに対する、様々な、弁護人の立会いなど、そういった制度についても早急に法務省の主導で実施をしていただきたいと思いますが、法務大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 最近、国会等の場において、検察の活動、取調べが適正に行われていないのではないか、こういった厳しい御指摘がある中であります。その中で、今、様々なこれからの刑事手続の在り方等々についてのいろいろな御指摘をいただきました。

 こうした再審制度であれば、この在り方について様々な議論がある中であります。そういった中で、現在、再審制度の在り方については、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会において協議が行われているところでありまして、こうした議論をしっかりと踏まえながら適切に対応してまいりたいと思っております。

篠田委員 法務大臣、再審法の改正は具体的にいつ行うんですか。

鈴木国務大臣 再審法の改正という今のお話であります。

 今申し上げました協議会、ここの議論、この協議の取りまとめということが、一つの、そういったことでいえばポイントになりますが、この取りまとめの見通し、こういったことについて現時点でお答えすることは困難でございまして、私どもとしては、この協議会において充実した議論が行われるよう、しっかりとこれは尽力をしてまいりたいと思っております。

篠田委員 再審法の改正については、もう様々に議論もされており、日弁連からもたくさんの意見が届いておりますよ。この再審法改正は、やはり袴田事件の総括として今まさに取り組まなきゃいけない課題だと思っておりますので、その旨をお伝えをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 大変ありがとうございました。

西村委員長 次に、萩原佳さん。

萩原委員 日本維新の会、萩原佳と申します。

 地方議員としての経験はあるんですけれども、今回の委員会質疑が国政ではデビュー戦ということで、非常に緊張しておりますが、何とぞよろしくお願いいたします。

 また、前の方と質問が重複するところが多々あると思いますが、その点も御容赦いただければと思います。

 まず、私の方からは、今回、昇給されるということなんですけれども、裁判官、検察官の方、多数いらっしゃいますけれども、今回の法案改正は、これは全ての方が、全員が昇給することとなっております。また、支給対象の皆様のほぼ全員が司法試験合格者で、一般の行政職の皆様よりも人数は少ないものの、給与水準は相対的に高いものとなっておりますが、ここでお聞きしますが、今回の法改正により、全体としてどの程度人件費が増えることが想定されているのでしょうか。法務省と最高裁判所にお聞きいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 検察官については、俸給及び諸手当の計算で、官民較差等に基づく改定により約六億三百万円、給与制度の整備に伴う改定により約二億二千百万円、これらを合わせて約八億二千四百万円の増額を見込んでおります。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今回の法改正によりまして、裁判官の報酬及び諸手当の計算で約九億九千万円の増額を見込んでいるところでございます。

萩原委員 ありがとうございます。

 合計約十八億円程度というところで、それなりの額であると考えております。

 法案の賛否につきましては、我々日本維新の会、前例踏襲ではなく、今回のインフレの状況であるとか、裁判官、検察官の皆様を取り巻く直近の状況、これを考えて慎重に判断していきたいと考えております。

 続いて、二問目として、釈迦に説法ではあるんですけれども、こうして別途法務委員会が開かれているとおり、国家公務員法は特別職には適用されず、人事院が状況に適応して給与を勧告するという規定は適用されません。一般行政職員とは昇給パターンも大きく異なる中で、一般政府職員の給与改定に準じて俸給を上げる意味、これがどこにあるのか、お答えください。

鈴木国務大臣 そもそも論になりますけれども、人事院勧告、これについては、一般職の国家公務員の労働基本権制約の代償措置として、その給与水準を民間の給与水準に準拠して定めるということがあるということで、まずもって、その点については合理性があるんだろうと思っております。

 その上で、一般の政府職員の俸給表に準じて、裁判官の報酬月額そして検察官の俸給月額、これを改定するということについては、裁判官及び検察官の職務と責任の特殊性を反映させつつ、やはり人事院勧告の重要性を尊重して、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスの維持を配慮する、この双方の観点に基づくものでありまして、そういった形で、裁判官そして検察官の報酬、俸給の月額を決めるということは合理的であろうというふうに私どもとしては考えております。

萩原委員 一定合理性があるということなんですけれども、裁判官や検察官の皆さんの給与テーブルは、そもそも職責、業務の特殊性を考慮して、一般の方とは別テーブルですよと。この別テーブル、設けること自体は非常に合理的だと私も考えております。だからこそ、なぜ裁判官や検察官の皆さんの給与を連動させる必要があるのかというところ、これはやはり非常に疑問に思っております。

 先ほども少し話しましたが、私は地方議員の出身です。当たり前ですけれども、各自治体で独自の給与テーブル、これを作成しています。しかし、国公準拠の名の下、自治体ごとに定めたテーブルですね、国家公務員の給与の増減に合わせて地方自治体の給与水準を決定していくような形を取っていて、今回の国家公務員の給与改定、これが行われれば、それに合わせて、各地で今条例改定が出ている状況にあります。

 しかし、このこと自体、どうなのかなと。地方自治の観点から、また、国税庁の民間給与実態統計調査との乖離ですね、人事院勧告の。その問題点も考えると、国公準拠の方針を取る必要というのは必ずしもなく、独自の給与改定を行うべきという主張を市会議員時代はしていたんですけれども、これと同じことをやはり感じておりまして、一般給与の給与改定だけではなくて、次年度以降は、別途、ある意味同じ司法試験合格者である弁護士等を始めとする専門職の皆さんの給与水準との比較も加味して給与テーブルを改定していくということが必要じゃないのかなと考えているんですけれども、御見解をお聞かせいただければと思います。

鈴木国務大臣 今御指摘があった点でありますけれども、そもそもの、現在のベースというところにおいては、業務の特殊性とか、そういったことを勘案して、これはかなり違うベースになっているというところ、そこをどう変えていくのかというところについては、やはり、国家公務員全体の給与体系のバランスというところもありますので、そこをあえて、この年度でどう変えていくというところ、変えていくという、そういったことにおいては、なかなか合理性は見出しづらいのかなということを考えております。

 要すれば、こうした、今年どう上げていくか、どう変えていくかということにおいては、人事院勧告に基づいて、ここに準じて行っていくということで、私どもとしては合理性があると考えておりますので、その点、申し上げさせていただきたいと思います。

萩原委員 お考えはお考えとして承りました。

 次に、国会法三十五条との関連で一点お聞きします。

 同条は、議員は、一般の国家公務員の最高の給与額、地域手当を除く、より少なくない歳費を受けると規定しており、同条の対象からは、国家公務員法第二条第三項十三号により裁判官は対象外、また、検察官は検察官の俸給に関する法律によって一般の国家公務員には該当しないものとして、最高裁判官また検事総長等は国会議員よりも高い給与設定になっております。

 これに関連してお聞きいたしますが、国会法三十五条と検察官の俸給との関係、これはどのように考えられているんでしょうか。法務省、お願いいたします。

松井政府参考人 お答えいたします。

 国会法第三十五条は、ただいま御紹介があったとおりでございますが、まず、検察官につきましては、その準司法官的な性格という職務の特殊性や、原則として裁判官と同一の試験、養成方法を経て任命されるという任用上の特殊性がございます。そのため、特別職である裁判官に準じて給与が定められているという事情がございます。

 また、今御指摘あったとおり、検事総長などの給与については、検察官俸給法において、基本的に特別職の職員の給与に関する法律の例によると規定されております。

 法務省として、国会法の解釈につきお答えする立場にはございませんが、これらの事情を踏まえれば、御指摘のような問題点というものは生ずるものではないと考えているところでございます。

萩原委員 問題点は生じないというか、別枠で考えていきますよという回答だとは思うんですけれども、そう考えると、やはり人事院勧告に従う必要というのは必ずしもないのではないかなと感じておりますが、この点は以上といたします。

 続きまして、裁判官、検察官の方の評価についてお聞きいたします。

 裁判官及び検察官の方々の評価、これはどのように行われているのか、お答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の人事評価につきましては、最高裁判所の規則に基づきまして、毎年一度、所長等の評価権者が行っているところでございます。

 その目的としては、本人の成長を促すということに加えて、公正な人事の基礎とするためということでございます。

松井政府参考人 検察官の人事評価は、他の一般職の国家公務員と同様に、国家公務員法の人事評価制度に関する規定の適用がありまして、各検察官の捜査、公判能力、管理者としての能力、執務姿勢等を総合的に勘案して、能力評価と業績評価が実施されているところでございます。

萩原委員 評価の方法については、非常に一般的というか、人事評価については承知いたしました。

 そこで、評価と密接に通常であれば関連している昇進や昇給についてお聞きします。

 一般企業や一般職員の場合、評価がよければ人事考課が反映される、昇進が早まると、言葉だけの評価ではない形で評価が反映されて、昇給や昇進、これは一定の枠があるにせよ、個々ばらばらでしていきます。しかし、皆さん御存じのとおり、裁判官の皆さんの場合は事情が大きく異なる状況となっています。

 裁判官の皆さんは、任官されてから約二十年間は同様に昇進する、進級制というかなり特殊な方法を採用されております。しかも、その報酬については、地域手当とか扶養手当等、各種裁判官の家庭の事情を除くような、手当を除くと、勤勉手当も含めて、二十年間、同期の給与が全く同じであると聞いております。

 ここでお聞きいたしますけれども、このような進級制を採用している趣旨ですね、何回も答えられているとは思うんですけれども、よろしくお願いいたします。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、裁判官の昇給につきましては、任官後、約二十年の間、同期の裁判官がおおむね同時期に昇給するという運用を行っております。

 これは、昇給が裁判官の職権行使の独立に影響してはならないということに最大限配慮する必要があることや、全国各地の裁判所に異動して様々な担当事務につき独立して職権を行使するという裁判官の職務の特殊性から、これを比較して差をつけるということが困難であることなどを考慮したものでございます。

松井政府参考人 検察官の昇給につきましては、経験年数、勤務成績、責任の度合い、能力等を勘案して昇給させることとしております。

萩原委員 裁判官の場合は二十年間、検察官の場合はさもあらずという回答であったかと思います。

 特に、今回、裁判官の方でお聞きしたいんですけれども、考え方、趣旨というところは理解はいたしましたが、しかし、この約二十年という期間というのは本当に妥当な期間なのかなというのを非常に疑問に思っております。

 二十年という期間、非常に長い期間だと考えております。裁判官という職務、役割、非常に特殊ですし、非常に重要であるというのは当然の前提ではあるんですけれども、ただ、同じ年の司法試験に受かって、そして同じ年に裁判官として採用されたとしても、各人の持つ能力、これは全く違いますし、その能力、実力を醸成するのに、この二十年という期間は本当に必要なのかなというのは非常に疑問に思ってしまいます。

 私自身も、公認会計士という専門職ではありましたけれども、数年すれば能力の違いというのは明らかな差が出てきますし、十年もたつとかなり差がついていて、同じ処遇、評価というのは、評価は違うのかもしれませんが、同じ処遇というのはなかなか考えづらいなと感じてしまいます。

 また、上場企業、今約四千社ありますけれども、その中で平均勤続年数が二十年を超える企業というのは約百社超ぐらいで、大体全体の数%しかないような状況です。上場会社のほとんどの会社の平均勤続期間よりも長い間、恐らく、同期の間で実力も能力も、何をもって能力かという話はあるかもしれませんが、相当差がある方々を同じ報酬で働いてもらうという状況が正しいのかというのはまた疑問に思っております。

 そして、しつこいんですけれども、今回、法案審議でいただいた法務参考資料を見ていますと、裁判官の報酬体系の見直しは、昭和三十八年が最後になると過去の委員会答弁に載っていましたけれども、昭和三十八年といえば約六十一年前で、カラーテレビ、クーラー、そして車が新三種の神器と言われていた時代です。

 でも、現代は、生成AIも使って事案の調査方法も効果的、効率的に行われるようになっていて、また、裁判官を取り巻く環境も大きく変わっている状況かと思っておりますし、裁判官の働き方も大きく変わっていると思いますが、このように環境や働き方が大きく変わっているにもかかわらず、報酬体系をこの六十何年間全く変えようとしていない、その合理的な理由というのを説明いただければと思います。

 私個人としては、皆さん真摯に職務に向き合っていらっしゃると思いますし、考えれば考えるほど、二十年間同じ処遇を続けることに合理性がなかなか見出しづらいと考えてしまうんですけれども、答弁をお願いいたします。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、昇給が裁判官の職権行使の独立に影響してはならないということに配慮する必要があること、あるいは、全国各地の裁判所で様々な担当事務を独立して職権を行使して担当するという裁判官の職務の特殊性から、これに比較して差をつけるということが困難であることなどを考慮して、長年この運用をしてきているところでございますが、今のような理由から、この運用の見直しについては、慎重に考えなければならないというふうに思っているところでございます。

萩原委員 慎重に考えなければならないとはおっしゃいますけれども、本当に慎重に考えていただくのであれば、時代の状況、変化に合わせた対応、期間、処遇というのを考えていただければなと。

 今日いろいろお話を聞いている中でも、裁判官若しくは検察官の皆さんの報酬の面、いろいろお声が上がっているのを聞いていると、そのとおりだなと思うことも多いです。それに合わせて、是非同じように、評価期間を一定にする、そういう期間の短縮も含めて考えていただければなと考えております。

 最後に、人事院勧告に従って給与テーブルを最初に変えているというところに関して、もしそれを貫くのであれば、せめて勤勉手当に関しては、人事評価、これは反映したとしても、今おっしゃったような懸念というのは生じないんじゃないのかなと。逆に、きっちりと働く、きっちりと評価というか、人事の評価というのはもしかしたら勤務地でされているのかもしれないんですけれども、それに合わせて勤勉手当で評価を変えるというのも一定考え得るんじゃないのかなと思うんですけれども、見解をお聞かせください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の勤勉手当でございますけれども、これは裁判官の職務の独立性に鑑みて、いわゆる業績評価の結果を反映することになじみにくいと考えられることから、人事評価を直接反映させず、均一の成績率を用いて支給しているところでございます。

萩原委員 均一の評価というところで、同じ答弁かなとはもちろん思いますけれども、是非、人が辞めていくという話も先ほどあったと思いますけれども、どうすれば辞めないのか。二十年間同じ処遇、評価というところは皆さん理解して入ってきている中でも途中で辞めていってしまう方がいるというところは、やはり、公平にやっている中で、その処遇がどうかと思う方が多いということだと思いますので、是非、まずは期間も含めた検討、そして勤勉評価で、評価の在り方というところも、評価の見せ方ですね、それも御検討いただければと思います。

 本当はもう一問あったんですけれども、時間がかなりかかる形なので、質問は以上とさせていただきます。

西村委員長 次に、小竹凱さん。

小竹委員 国民民主党の小竹凱です。

 石川県金沢市からやってまいりました。初当選で法務委員会の質問に立たせていただけることを本当にありがたく思います。

 私は、平成十年生まれの二十六歳で、国民民主党最年少衆議院議員でございます。今の政治の在り方は、単なる対処療法の連続だと思っております。私は、二十年後も三十年後も現役世代という立場から、まさに未来に責任を持てる若い世代こそ立法に携わり、目の前のことだけでなく、中長期的なビジョンを掲げる必要がある、そういうふうに考えています。当委員会においても、未来を見据えた建設的な議論が重ねられるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入ります。

 まず、大前提として、私としては、今回の裁判官の報酬等引上げに関しては賛成の立場から意見をさせていただきます。

 その上で、法案の概要にもありますよう、今回の改定は、一般の政府職員の給与改定に準じてこれらの改定が行われたわけであります。例年、この一般の給与改定に準じて同様の給与引上げが行われているわけでありますが、裁判官の報酬及び検察官の俸給を一般政府職員と別で定めている理由、その意義について、改めてお答えください。

鈴木国務大臣 今回御審議をお願いしている裁判官の報酬と検察官の俸給、それぞれについてでありますが、まず、裁判官ということで申し上げれば、三権の一翼であります司法権を担う存在であるということ、そして、その重責にふさわしい適材確保の必要性があるということ、そういった裁判官の職務と責任の特殊性を考慮しつつ、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスにも配慮をして、裁判官報酬法によってその報酬が定められているところであります。

 検察官ということでございますが、検察官についても、司法権の発動を促し、その適正、円滑な運営を図るという準司法官的な職務と責任を有するということ、そして、原則として裁判官と同一の試験及び養成方法を経て任用されるなど、裁判官に準ずる性格を有しているということ、そうしたことから、裁判官の報酬月額に準じて、検察官についても、検察官俸給法によって俸給が定められているというところであります。

小竹委員 ありがとうございます。

 過去の一般職と裁判官の報酬の引上げ率を見てみますと、ほぼ同水準で引き上がっております。先ほどの答弁の中から、バランスであったり特殊性、そういう言葉があります。あくまでも司法権を行使する独立した組織であることで別と定めていると存じておりますが、私としては、上げるならもっと賃上げをするでも構いませんし、合わせるなら、毎年のように、過去の答弁を見ても、臨時国会になりますとこの法案が出てきて、本則の議論とは別の部分で議論が広がっているように感じますので、こういった国会の改革という意味でも委員会が形骸化しないような取組をしていかなければならないと、この件を通じて改めて感じさせていただきました。

 次に、報酬以外の給与に含まれる手当について質問します。

 裁判官報酬法第九条一項によりますと、報酬以外の給与は、一般政府職員の例に準じて支給されることになっています。その中で、地域手当というものがあります。全国ですと、地域手当のない市町村から、最も高いのは東京二十三区の二〇%です。これまで、市町村単位で支給地域及び支給割合が定まっていることにより、近隣市町村との人材確保の公平性の観点から問題がある、また、地域手当の支給割合が高い地域に人材が流出してしまう、そういう課題が挙がっております。

 例えば、千葉県の浦安市ですと地域手当は八%ですが、一駅渡った江戸川区は二〇%。こういった、特に県境で大きな差異を生み出している箇所が多々あるという認識でおりますが、そこでお聞きいたします。

 地域手当は今の東京一極集中に加担しているような側面があると感じますが、どのように考えていらっしゃるでしょうか。

鈴木国務大臣 一極集中についてどうなのだということであります。

 そもそも、地域手当というのは何かというと、今委員もおっしゃったように、やはり、地域の民間給与水準をより的確に反映させるというものであります。

 そういった中で、この地域手当の在り方、どうあるべきなのかという議論、これは様々、恐らく人事院の方でも考えた中でやっていると思いますけれども、まさにそういった中で、我々としては、裁判官あるいは検察官についても、国家公務員ということでありますから、その全体の中のバランスというのは考えざるを得ないと思いますし、私どもだけでその地域手当をどうするのかということ、そういったことを申し上げることはなかなかふさわしくないのではないかなと思っております。

小竹委員 ありがとうございます。

 一般の給与改定の根拠になるのは民間の給与の改定率でもありますけれども、民間ですと、地域手当というのを廃止している会社も今は多々ありますので、また、民間の定義とはどういうことになっているのかというのもまた必要になってくるかと思います。

 また、昨日の予算委員会で、我が党の長友議員による質疑の際に、石破総理が、国策で人為的に進められてきたこの東京一極集中は人為的に解消する必要があるというような答弁をされておりました。私はまさにこのとおりだと思っておりますし、人為的に東京一極集中を解消するその一つのきっかけといいますか、政策が、地域手当を見直していくことになるんじゃないかというふうに考えます。

 地域手当の、生活費、地域差を調整して、公務員が地方によって不公平にならないようにというふうな考えにのっとっていると思いますが、今生活の流れも大きく変わっていまして、昔ですと物を所有する時代から、今若い世代ですとシェアする時代に変わっております。ですので、東京で暮らす、地方で暮らす、東京が高くて地方が安い、こういう考え方がそもそも変わってきているのではないかというふうに考えております。シェアして暮らせば、東京でありながらもコストを抑えられる、一人一台物を所有しなくてはならないというときは、むしろ地方の方がコストがかかる。

 そういった側面もありますので、東京一極集中の是正という意味も踏まえまして、この地域手当を見直しをしていただきたいと思いますが、公務員全体のベースアップをしていく中で地域手当というのを削減していく、そういった方向性の意見、検討というのはありますでしょうか、現状。

鈴木国務大臣 今回の法案でございますけれども、私どもとしては、やはり、国家公務員全体のバランスという中で、人事院勧告というもの、これを踏まえて、一般職の公務員というものに準じてということで、その枠内で今回検討を行っております。

 全体としてどうあるべきなのか、今委員おっしゃった様々な視点、当然これは時代の変化ということもあろうと思いますが、それは恐らく、公務員全体としてまず考えていくべきことであろうと思っております。法務大臣として、そういった公務員全体の給与体系、これはコメントする立場ということではありませんので、そこのところは御理解いただきたいと思います。

小竹委員 ありがとうございます。

 時代の流れにも合わせて全体的な見直しをしていくというのは、これからも、私も一体となって頑張りたいと思います。

 それでは、次の質問に入ります。次は、保護司の役割に対する給与という視点で質問させていただきます。

 保護観察は、受刑者の再犯防止や更生、円滑な社会復帰を目指し、全国の保護司がボランティアで行っている法務省直結の制度です。ですので、今回、給与法の質疑でこれを取り上げさせていただきました。

 最近は、保護司の減少、高齢化などによって、制度の維持が危惧されている状況にあると存じます。これまで保護司制度の見直しに向けた検討会が開かれ、早ければ来年の通常国会で保護司法の改正案が提出される旨は承知しております。

 日本の犯罪検挙数が例年減ってきていることは大変すばらしいことだと思いますが、相対的に再犯者の割合が上がってきています。令和五年度版の犯罪白書によりますと、刑法犯の再犯者率は四七・九%と、罪を犯した人のうち二人に一人が再犯者という現状において、保護司は、犯罪更生支援において重要な役割をこれから一層果たしていくと考えます。

 そこで、保護観察の効果について率直にお聞きいたします。例えば、仮釈放された人のうちの再犯率について、どのくらいの効果があるのでしょうか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 保護観察対象者の再犯率については、幾つかの指標があるところですが、今委員御指摘ありました、例えば刑務所を出所した者の五年以内再入率で見ますと、平成三十年に出所した仮釈放者については二七・七%、同年に出所した満期釈放者については四四・八%であり、保護観察に付される仮釈放者の再犯状況は、保護観察に付されない満期釈放者に比して顕著に低くなっております。

小竹委員 ありがとうございます。

 ざっくり二割近く再犯率が減っているということで、再犯防止の重要性が増す中、保護司は地域の方々の善意によって成り立っているのが現状です。ここ最近は、公募制も導入する方向で人員の確保や認知度の向上に向けた取組がなされておりますが、まだまだ社会的な認知度は低いように感じます。

 他方、最近問題となっているのは闇バイトの問題です。政府は、今回の補正予算として、闇バイト対策に、町中の監視カメラであったり、SNS上でのパトロールによる対策、約六・五億円を計上しました。もちろん、やらないよりはいいかと思いますが、根本の解決になっていない、まさに対処療法ではないかと考えます。

 先ほども申したとおり、再犯率の高さ、犯罪のいわゆる負のループといいますか、抜け出せない方々にとって一番必要なのは、刑務所から出た後の生活支援であったり就労支援だと考えます。SNSや監視カメラで犯罪、現行を押さえるのではなくて、その手前の、犯罪の方向に向かない人とのつながり、特に人間関係が希薄化している今だからこそ、温かみのある支援が保護司を要として必要になるのではないかと考えます。ですから、私は、保護司制度にこそ、ボランティアでなく、しっかりと予算をつけていく考えも持つべきだと思います。

 令和二年度の犯罪白書とともに公表された再犯防止推進白書によりますと、出所者らを積極的に雇用する協力雇用主として登録されている企業数は現在で約二万五千社に上っておりますが、この協力雇用主に対する刑務所出所者等就労奨励金は、年間で最大七十二万円支給される制度が既にあります。

 就労支援する企業に対して報酬等を行うのであれば、生活支援をする保護司に対しても、報酬的な手当であったり税制上の優遇措置、こういったものを検討してみるのはどうでしょうか。お聞きします。

鈴木国務大臣 社会の安心、安全のために、まさに再犯の防止、これは極めて大事でありますし、保護司の仕組み、これはまさに、この日本のある意味特筆すべき、非常に大事な制度でありまして、日頃から保護司の皆様方に大変その点で御尽力をいただいているところは、私どもも重々承知をしているところであります。

 そういった中で、今、報酬であったりとか、そういったことをお話をされたと思います。

 実は、この検討会の取りまとめられた報告書の中では、これはいろいろな議論が当然ありますけれども、やはり報酬というのはなかなかなじまないのではないか、そういったことが結論としては言われております。ただ同時に、やはり、今後の我が国の社会情勢や人々の価値観の変化等に対応していく必要があることから、五年ごとに、保護司の待遇も含めて、保護司制度の在り方やその維持発展のための方策等について検討するということが盛り込まれていまして、これは不断にこれからもしっかりと検討を続けていくということだと思っております。

 その上で、税制上あるいは報酬という話もされましたが、まず、実際にいろいろな負担というか、そういった実費のことも含めて、いろいろそういったところについてしっかりと対応していくということで、そういったことを我々としては待遇の改善ということで推し進めようとしているところであります。

小竹委員 ありがとうございます。

 報酬のみならず、保護司の課題は社会全体で取り組むべき重要な問題だと考えますので、地域住民や行政、企業も連携して、時代に合わせて、そして柔軟で、何より持続可能な制度、支援体制というのが欠かせないと考えます。

 保護司不足をまず解消して、再犯防止や更生支援の充実、こういったものを図ることをより一層していくことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、平林晃さん。

平林委員 公明党の平林晃と申します。よろしくお願いいたします。

 再び法務委員会に所属させていただくことになりました。本日は、給与法二法案の改正について質問をさせていただけたらと思います。もう様々質問、出てまいりまして、議論されておりまして、重複する部分はお許しいただけたらというふうに思います。

 今回の改正案では、本年八月八日に行われた人事院の勧告に基づき、一般政府職員の給与を改定し、これに伴って令和六年度の裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額を引き上げることに加えて、一般の職員の給与制度の整備に伴い、令和七年度以降の裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額を改定することとされているわけでございます。

 この度の人事院勧告における民間給与との較差、一万一千百八十三円、このように算出をされているところでございます。これは、ラスパイレス比較と呼ばれる方法により算定をされていると伺っております。すなわち、この方法、少しだけ調べたわけですけれども、民間企業給与を民間企業の人員構成で平均するのではなくて、国家公務員の人員構成で平均を取って、国家公務員給与で同様に計算した平均、要するに二つの平均が出てきてその差額を算出したものと理解をいたしております。

 今回、では、裁判官なり検察官なり、その実員で、今回の改正によってどの程度の金額が平均で上がるのかということを計算させていただきましたところ、裁判官の平均は九千三十三円になる、検察官は八千五百四十円になる、裁判官、検察官合わせますと八千八百十二円ということになりまして、これは端数はもう四捨五入していますけれども。要するに、裁判官のみでも、検察官のみでも、両者の合算においても、人事院勧告の一万一千円という金額には二千円以上及ばない、こういう状況になっているということで、数値はそういうふうな計算になるということであります。今回の改正案は、社会状況が大きく異なりますので、改正額そのものは非常に大きいわけですけれども、このような結果になっているということでございます。

 先ほど来、本当に様々議論がありまして、大手弁護士事務所であれば、もう本当にもっともっといい給与が出ているというような御議論もあったかというふうに思っております。法曹の皆様にとって、収入だけが職業選択基準ではない、このように承知している部分もございますけれども、やはり、その一つにはなり得るのではないかな、こういうふうに思います。

 そこで、大臣に伺いますけれども、民間との競争力を強化するためにも、裁判官の報酬及び検察官の俸給についてより一層の改善を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今、平林先生、より一層引き上げるべきでないかというお話でございました。

 若干繰り返しにもなって申し訳ないんですけれども、やはり、今回、一般の政府職員の俸給表に準じて、裁判官の報酬月額と検察官の俸給月額を改定をするということとしております。この点は、繰り返しになって恐縮ですが、裁判官そして検察官の職務と責任の特殊性の反映をさせながら、しかし、人事院勧告の重要性を尊重して、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスの維持にも配慮をする、こういった理由に基づくもので、給与水準の改定方法としては合理的だと私どもとしては判断をしておりますということを申し上げたいと思います。

 そして、民間のということで、恐らく大手法律事務所等ということにもなろうかと思いますが、弁護士ということで申し上げれば、その営業形態が一様ではない上に、自ら顧客と契約を締結して報酬を得るという事業主的な営業形態を取ることも少なくないということで、国家公務員である裁判官、検察官とその収入等を単純に比較することは困難ではないかと考えております。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、やはり裁判官、検察官、この人材の確保は大事でありますので、御指摘の観点も踏まえながら、採用の実情、これを見守っていきたいと思っております。

平林委員 ありがとうございます。

 続きまして、この度の改正では、地域手当について、これも見直されることとされております。

 この地域手当、私自身も少し、余りうれしくない経験があります。

 二十代の駆け出しの大学教員をしておりました頃に、二十三区内の都内の大学から地方の大学に移ることになりました。これは共に国立大学でありまして、当時まだ法人化前でしたので、まさに文部科学教官、こういう立場で移ったわけでございます。余り僕は認識をしていなかったんですけれども、地方に移ってからも、当初は、異動保障ということで、東京の手当が出ていたわけですね。ところが、私の勤務は十三年に及びましたので、五年が経過したときに突然打ち切られまして、この激変が非常にショックであった、こういう経験をさせていただいております。これは結構大きな金額なんですよね、五万円は超えるような金額であった、このように認識をさせていただいております。

 この異動保障、東京にすぐ戻る人にとっては給料がつながる制度なのかもしれませんけれども、私にとっては地域に慣れた頃にやってきた、非常に激変であった、こういう経験をさせていただきました。

 こんな話をさせていただきますと、異動保障、二年を三年に延長するという点について、確かにこれも、そもそもちょっと全体を考え直した方がいいんじゃないかなということを申し上げたいと思っておりまして、そもそも地域によって給与に差をつけること自体について疑問を感じるというところでございます。

 先ほどの議論にも通じるところではございますけれども、人事院勧告の考え方、本来これに従う従わないという話もありますけれども、地域の民間賃金の状況を反映させる、このように見直すということは理解をしておりますけれども、裁判官や検察官は、必ずしもその考えに従わなければならないのか。どの地域に赴任をしたとしてもほぼ同等の業務に従事をするということであるならば、同様の報酬、俸給を受け取るべきではないか、このように考えますけれども、法務省の見解を伺います。

松井政府参考人 委員御指摘のとおり、地域手当は、地域の民間給与水準をより的確に公務員給与に反映させるものであって、合理性があるものとは認識しております。

 また、裁判官や検察官も国家公務員でございまして、手当を含む給与については全体の給与体系の中でバランスの取れたものとする必要があるところでございまして、基本的に一般の政府職員の例に準ずるものとされているところでございます。

 そのような観点から、地域手当につきましては、各地域によって差を生ずることにはなりますけれども、それが不相当であるとまでは考えていないところでございます。

平林委員 そういう答弁が来るということは分かってはいるわけではございますけれども、先ほどの国民民主党さんの御質問もありましたけれども、やはりこれは東京一極集中の是正にもつながるというふうにも思います。同じ給料で、地方に行ったらゆっくり仕事もできて、ゆっくり生活もできるということが非常に日本にとってもいいことではないかなというふうに思いますので、是非とも御検討いただきたい、このように思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 では、ここまで待遇改善に関してお話をさせていただきましたけれども、民間との競争力を強化するという意味においては、待遇改善とともに、働き方の改革、これも重要と考えます。裁判官、検察官、共に激務という印象を持っております。この点について、どのような取組を、働き方改革という取組を行っておられるのか、最高裁判所、法務省、それぞれに見解を伺います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所におきましては、裁判所特定事業主行動計画を策定し、働きやすい職場環境の整備を進めるとともに、育児や介護を担う男女を含む組織全員の力を最大限発揮できるよう取り組んできたところでございます。

 例えば、職員の育児、介護等に係る状況を把握するとともに、両立支援制度を周知、説明し、育児、介護に伴う休暇、休業等の計画的な取得を促すなど、育児、介護と仕事の両立支援制度の取得促進も図っているところでございます。

 今後とも、全ての職員が仕事と生活と両立しながら活躍できる職場環境を整備してまいりたいと考えております。

森本政府参考人 検察についてお答えいたします。

 検察当局においても、検察官を含む職員のワーク・ライフ・バランス、働き方改革は非常に重要であるという認識の下で、実施状況につきましては、法務省全体の取組、アット・ホウムプラン・プラスワンというものがございますが、それに基づきまして、職員のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組を推進しているところでございます。

 具体的には、業務の効率化、デジタル化の推進、それから勤務時間管理の徹底、育休の取得を含む、全ての職員が家事、育児、介護等をしながら活躍できる職場環境の整備、年次休暇の取得促進と、それが当たり前になるような職場づくりなどの取組を進めているところでございます。

平林委員 ありがとうございます。

 裁判所も検察庁も共にお取組を、法務省を含めて進めておられると。これはアット・ホウムプランなんですね、アットホームじゃなくて。非常に頑張っておられるなというふうに思ったところでございます。済みません。

 今、話が出てまいりましたけれども、育休、どちらも頑張っておられるということでしたけれども、この育休の取得率、裁判官及び検察官それぞれについて、現在どのような状況になっているのかを伺います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令和五年度における裁判官の育児休業の取得率でございますが、男性裁判官が七八・二%、女性裁判官が九七・四%でございます。

森本政府参考人 検察官についても、同じく令和五年度でございまして、男性検察官が六九%、女性検察官が九一%となっております。

平林委員 本当に、私の想像していたよりも非常に取得率としては高いなというような印象を持ったところでございますが、なおかつ、今、令和五年度のお話をしていただいたと思いますけれども、令和二、三、四年、五年と考えていくと、比較的上昇トレンドにある、このようにも認識をさせていただいております。

 ただ、男性の取得期間、取ってはおられるんですけれども、やはり一か月以下が最も多い。女性のように半年など長期で取得するケースはそれほど多くない、こういう状況もある、このようにも認識をさせていただいております。

 我が党が推し進めております、また、政府にも、こども未来戦略に書き込んでいただいております共働き、共育てという観点からは、質、量共に広がる取組を是非引き続き行っていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、裁判官、検察官のそれぞれの男女の比率、これをそれぞれ伺います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令和六年十二月一日時点における裁判官に占める女性割合、これは二五・〇%でございます。

松井政府参考人 検事の男女比率は、令和六年三月三十一日時点で、男性七二%、女性二八%でございます。

平林委員 ありがとうございます。

 これも、今の数字は数字として、上昇傾向にある、このようにも認識をさせていただいているところでございます。

 職務的に考えて、裁判官、検察官、それぞれ男性、女性でどうこうということではないのかもしれません。ただ、やはり多様性、包摂性という意味におきましては、女性比率がもう少し高いということがあってもいいのではないかな、このように考えているところでございます。

 やはり、アンコンシャスな環境の差異とか、いろいろ意識されていない部分が、女性が増えることによって改善をされていくということはやはりある、このように認識をしております。

 折しも、本年七月、史上初の女性検事総長が誕生されたということも、これもあくまで適材適所、御本人の能力ということではあるかもしれませんけれども、やはり非常に旗印という意味におきましてはいいことではないかな、このように考えさせていただいているところでございます。

 日本のジェンダーギャップを考えたとき、経済界、政界、行政、法曹にしても、女性の活躍、まだまだ増えていっていいのではないかなというふうに思っておりますので、我が党としてもそのことをしっかりと後押しをさせていただくということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党、本村伸子です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 法案審議に入る前に、鈴木法務大臣の政治資金、所得の報告について問わなければならないというふうに思っております。

 日本共産党が発行するしんぶん赤旗が、大臣の疑惑について連続的に報道しております。今回は十二月八日号の記事を取り上げたいと思います。資料の一になります。

 資料の二と三を御覧いただきたいんですけれども、今年、二〇二四年三月五日に総務省に提出をされた、政治団体全国損害保険代理業政治連盟の二〇二三年分の政治資金収支報告書になります。この中で、パネルにも出させていただいているんですけれども、オレンジの部分、二〇二三年一月六日、百万円、顧問鈴木馨祐、大臣の名前が書かれております。そしてまた、二〇二三年十一月二十一日、十万円、顧問鈴木馨祐、大臣の名前が書かれております。合わせて百十万円、顧問である鈴木大臣に顧問料が出されております。

 ところが、ここに書かれているとおりであれば受け取ったはずの、鈴木大臣の衆議院議長に提出をされた所得等報告書には、資料の四の下の方になりますけれども、二〇二三年の雑所得、三十一万五千四百九十九円しか書かれておりません。

 この違いというのはどういうことなのか、詳しく御説明をいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 今、本村先生御指摘のところであります。

 まず、全国損害保険代理業協会のところにございます顧問料、今はもう、当然、顧問としては辞めておりますので、この百十万円というところで、顧問料として受領をしているところであります。当然、雑所得、雑収入ということにこれは当たります。

 そういった意味で、一般的に、これは国税庁のホームページを見ていただいても分かりますけれども、雑所得とはというところでいうと、総収入金額、これは雑所得に係る、雑収入に係る総収入金額から必要経費を除いたものがその雑所得となるということであります。そういった中において、私としては、適切に確定申告は当然しておりますし、そこに基づいてこの所得等報告書についても報告をしたところでございます。

本村委員 顧問料を受け取った、百十万円受け取ったということはお認めになったということでよろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 そこについては、先方の全国損害保険代理業政治連盟、こちらの報告書にございますように、これは、受け手は私でございます。

本村委員 今日も、午前九時半過ぎに私どもの事務所の秘書さんが総務省に行って、確認をさせていただきましたけれども、二〇二三年分の全国損害保険代理業政治連盟の収支報告書の変更はございませんでした。ですので、大臣が受け取ったということをお認めになっておりますので、そういうことだというふうに思っております。

 この問題については、衆議院の事務局の方にお伺いをしたいんですけれども、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律第三条第一号では、議長にどのような所得を報告するということになっているかもお示しをいただきたいと思います。

梶田参事 お答えいたします。

 政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律第三条第一号は、前年分の所得について、同年分の所得税が課される場合における当該所得に係る次に掲げる金額として、総所得金額及び山林所得金額に係る各種所得の金額並びに租税特別措置法の規定により、所得税法第二十二条の規定にかかわらず、他の所得と区分して計算された所得の金額であって両議院の議長が協議して定めるものを記載することを定めるとともに、各種所得金額が百万円を超える場合にあっては、その基因となった事実を記載することとしています。

 なお、実務上、所得等報告書の各所得金額欄には、確定申告書の金額の数字を記入していただくよう御案内しております。

本村委員 大臣の二〇二三年の雑収入は三十一万五千四百九十九円というふうに報告をされているんですけれども、百十万円との差、一体何に使われて、それを、控除というか、したのかという点、お示しをいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 まず今、雑収入が三十一万五千四百九十九円とおっしゃいました。それは誤っていますので、それは雑所得が三十一万五千四百九十九円ということであります。

 そういった意味においては、先ほど申し上げましたけれども、税法上というか、確定申告、税務申告の実務上、適切に処理をした結果の数字がこういったこととなっております。

本村委員 何に使ったのかお示しをいただきたいと思います、その差を。

鈴木国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますけれども、これは税法ということなので、私は直接大臣として答える立場にはございませんが、雑所得というもの、これは所得税法上のこととして、雑所得の総収入金額から必要経費を差し引いたものが雑所得ということで計上されるということとなっていると承知をしております。

本村委員 是非、何に使ったかについて資料を御提出いただきたいと思いますけれども、大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 改めて申しますけれども、適切な税務申告上の処理をしておりまして、これは当然、当局に対して提出をするようなものについては、きちんとそれは適切な手続を踏んでおりますので、この場での提出にはなじまないと思っております。

本村委員 委員長、今申し上げました百十万円と三十一万五千四百九十九円の差について、是非資料の提出を委員会として求めていただきますよう、お願いを申し上げます。

西村委員長 後ほど理事会で協議いたします。

本村委員 大臣はこの間、しんぶん赤旗ですとか、文春のオンラインですとか、そういうものが報道するたびに修正を、少なくとも、私が数えただけでも五回は繰り返しております。報道されなければ隠し続けていたのではないでしょうか。その点、お答えください。

鈴木国務大臣 今、多分そこのフリップというか、あるんだと思いますけれども、まずもって、当方の事務所において様々なミスがあったこと、これはおわびを申し上げたいと思っております。

 その上で、これは別に意図的に隠すとかそういうことではなくて、これは実際の事務所における処理ミスということでありますので、改めておわびを申し上げたいと思います。

本村委員 法務大臣は、基本法制の維持、整備、法秩序の維持、一人一人の権利擁護、とりわけ腐敗政治を正すということについて重要な責務があるというふうに思っております。

 法務大臣である鈴木大臣が法令に反していると何度も指摘をされている、これは御自身で法務大臣にふさわしいとお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 改めてになりますけれども、様々法律にのっとり適切に処理をしていると承知をしております。

本村委員 大臣にふさわしいと考えているのかという点を問うたわけでございます。

 もう一つ、資料を出していただきたいんですけれども、自民党神奈川県第七選挙区支部の寄附金百四十八万円も所得等の報告には書いておりませんけれども、その点について是非御報告をいただければと思います。

 委員長にお願いしたいと思います。委員会として提出を求めていただければと思います。

西村委員長 ただいまの件も理事会で協議をいたします。

本村委員 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

西村委員長 次に、吉川里奈さん。

吉川(里)委員 参政党の吉川里奈です。どうぞよろしくお願いいたします。

 看護師で三児の母である私は、青天井の保険診療の行き過ぎたビジネス化や、昨年成立しましたLGBT理解増進法が、性的指向やジェンダーアイデンティティーを法律で定めることが女性や子供たちの安心、安全に影響を与えることを懸念し、政治の道を志すことにいたしました。

 今後、法務委員会におきましては、選択的夫婦別姓に反対の立場を明確にし、移民や不法滞在問題、外国資本による土地買収などの課題に取り組んでまいります。国益を守り、子供たちによりよい日本を残すために全力を尽くす決意です。

 本日は、裁判官及び検察官の給与改定の法案に関して、外国人犯罪の増加に伴う裁判官と検察官の業務負担について伺います。

 本年九月十三日、埼玉県川口市で、難民認定申請中のクルド人男性が執行猶予中に十二歳の少女に性的暴行を行い、逮捕、起訴されたことや、同じく川口市にて、本年九月二十九日の早朝、飲酒して一方通行を逆走した中国籍の男性が時速百キロ以上で衝突し、日本人男性が死亡する事故が発生したというショッキングな報道がなされています。

 犯罪統計によると、近年、来日外国人による重要犯罪が増加しています。令和五年には、来日外国人による殺人や強盗などの重要犯罪の検挙人数が四百十九人、殺人が五十六人に上り、十年前の二倍以上となっています。この背景には、外国人労働者の受入れを拡大する政府の移民政策と来日外国人人口の増加があります。

 参政党としては外国人を過度に受け入れる方針に反対していますが、政府がこの政策を進め、外国人人口が増加する以上、これに伴う犯罪率の上昇は避けられないと思います。

 外国人犯罪の増加に伴い、刑事裁判では通訳の手配や言語対応、文化の違いへの配慮が必要になります。また、外国人被疑者の取調べや尋問には時間と労力がかかりますし、逃亡や不出頭のリスクを考慮して勾留や保釈の判断も慎重に行う必要があります。これらの要因が重なることで、裁判官や検察官の業務負担は確実に増加することが予想されます。

 そこで質問をさせていただきます。

 外国人犯罪の増加を含む社会経済等の変化に対応するため、今回の給与法改定において裁判官や検察官の業務負担を考慮した場合、人事院勧告を上回る待遇改善の必要はありませんか。また、今回の給与法改定にとどまらず、国民の命を守るために、裁判所及び検察庁において人員確保を含めどのように適正な体制整備を行っていくのでしょうか。

 以上、二点について答弁を求めます。

鈴木国務大臣 吉川先生今御指摘の、外国人犯罪増加を含めた社会経済情勢等の変化に対応するため、業務負担も考慮してということであります。

 まず、今回の法案ということで申し上げれば、先ほど来の繰り返しになって恐縮でございますが、一般の政府職員の俸給表に準じて裁判官の報酬月額そして検察官の俸給月額を改定する、これは、裁判官そして検察官の職務と責任の特殊性を反映させるということ、同時に、人事院勧告の重要性を尊重して、国家公務員全体の給与の体系の中でのバランスの維持に配慮するということで、そこについては合理性があると我々としては認識をしております。

 その上で、業務が増えるではないか、増える可能性があるではないかという中で、この業務負担、これをどう軽減するかということについて申し上げれば、やはり、事件数だけではなくて、犯罪が複雑化をして、事案を解明して適切に対処するために必要な検察官の業務量、これは増加していく、そのことも考慮しているところであります。

 法務省としても、こうした近時の犯罪情勢等に適切に対処していくために、これまでも検察官の人員の確保を含めて必要な体制整備を行っているところであります。

 今後とも、事件数あるいは犯罪情勢等、様々な事情も考慮しながら、体制の整備をしっかり進めてまいりたいと思っております。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所の人的体制の確保についての御質問がございました。

 裁判所といたしましては、これまでも適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために必要な体制整備に努めてきたところでありますし、これまで相当数の増員をいただいてきたところでございます。

 今後とも、事件動向、事務処理状況、社会経済情勢の変化やこれに伴う事件の質的な変化、法改正の状況など、その時々の諸事情を踏まえて必要な人的体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

吉川(里)委員 外国人犯罪自体の数は増えておりますので、このような重要犯罪が増えていくという、件数自体は、不同意わいせつにおいては二〇一三年から考えますと昨年度は二倍以上、そして、不同意性交におきましては二〇一三年から考えますと約六倍ともう増えている状況が続いております。こういった状況に関して、やはり、何かが起きてから、被害者が増えてから対応するのではなく、先手を打って、こういった人員の確保をするための待遇の改善であったり、体制強化を行っていただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質疑と代えさせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、島田洋一さん。

島田(洋)委員 日本保守党の島田です。

 私は、検察官及び下級裁判所の裁判官の俸給、報酬を上げることに関しては特に異論はありませんけれども、今、最高裁判所の判事の俸給、報酬を上げることに関しては、国会が間違ったメッセージを与えるんじゃないかと強く危惧しております。

 というのは、言うまでもなく、憲法において最高裁判所は違憲立法審査権を与えられているわけですけれども、これは、三権分立の理念からいっても非常に慎重かつ抑制的に用いなければならない。ところが、今の最高裁は、この点の意識が非常に弱いんじゃないか、また、あえて言えば、勉強も足りないんじゃないかと思っています。

 具体的に言うと、昨年、二〇二三年十月二十五日のいわゆる経産省トランスジェンダー判決であります。ここで、この国会において平成十五年に成立した性同一性障害特例法の一部規定、生殖腺を取り除かないと性別変更を認めないという規定が憲法違反だということを十五人一致で決めたわけです。

 ちなみに、アメリカの連邦最高裁においては、二〇二〇年に重要なトランスジェンダーに関する判決を出していますけれども、それは、LGBTだという理由で雇用差別をしてはならない、LGBTだからといって解雇してはならないという判決、これは全く当然のことでありますけれども、その判決の中で、トランスジェンダーとトイレ、更衣室の関係等に関しては、これは議会や州において熟議されるべきことであって、最高裁が前のめりに判断を示すべきではないという抑制的司法の立場から、判断はいまだに示していません。ところが、日本の最高裁は、日本の国会を通った法律に関して憲法違反だという判断を下している。

 しかも、この問題で一番大事なのは、やはり女性の保護、特に女性専用スペースにおいていかに女性の安全を守るかということですけれども、いわゆるトランスジェンダーを自認する人の中に、オートガイネフィリアと言われる自己女性化性愛症、つまり、生物学的男性であって、自分が女装したり女性の格好をすることに性的快感を覚えるけれども、性的な対象は女性である、こういうタイプの人がいるというのが研究で明らかになっているわけですが、こういう方が女性専用スペースに入るというのは極めて危険である。

 ところが、そのオートガイネフィリアに関することを、最高裁の判決、個別意見も含めて、書いているかと思って私は全文読みましたけれども、全く言及がない。国会においてはそういう懸念も含めてきちんと法律を作っているのに、そういう勉強は何もしていない最高裁判事がこの法律は無効だと決めている。これは極めて傲慢でおかしい。

 だから、私は今の最高裁判事の給与を上げるということは反対なんですが、大臣の所見を伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 今の経産省トランスジェンダー訴訟についてという島田先生のお話でございますが、大変申し訳ありませんが、法務大臣としてということでこちらに立っておりますので、個別の判決について答弁ということは差し控えさせていただきたいと思います。

島田(洋)委員 ちょっと制度的な問題、今の関連で触れたいんですけれども、憲法改正にも関係してくるような問題ですが、最高裁判事の人事に国会が全く関与できないというのが今のシステムです。会計検査院とか三十九の機関の人事に関しては、国会同意人事ということになっていて、衆参の承認がなければ就任できない。ところが、それよりもはるかに重要な最高裁判事の人事に関しては、内閣が指名して、そのまま就任できてしまう、国会が全く関与できない。

 一方、最高裁の方は国会が通した法律を一方的に無効化できる物すごい権限を持っているのに、そのチェック・アンド・バランスという観点から、それなら国会の方もその就任の人事に関して何らかの発言権を持たないとバランスが取れないわけですが、これは憲法の大きな私は欠点だと思っているんです。

 例えば、アメリカのように、大統領が最高裁判事を指名して、上院が公聴会をしっかり開いて、上院司法委員会で開きますから、まさにこの法務委員会のような場できちんと我々が質問して、この人は最高裁判事にふさわしいのかということを国会が認めて就任する。

 国会が人事に関与するのならそのチェック・アンド・バランスは成り立ちますけれども、今、全く国会が人事に関与できない最高裁判事が一方的に国会が通した法律を無効化する。これは制度的に極めて大きな欠陥で、これは憲法改正になるんですけれども、私は、法務委員会から改正すべきだというような発信をしていくべきだと思うし、これは最高裁が変な判決を出したら、やはり行政の長としても、行政の現場も混乱するわけですから、その辺り、法務行政のトップとして見解を伺います。

鈴木国務大臣 今先生御指摘いただきましたように、やはり最終審としての違憲審査権、これを有するという、極めてある意味強大な権限を与えられた最高裁ということであります。

 三権分立ということの理想でいえば、立法権、また行政権に比して余りにも最高裁が強くなり過ぎる、これも確かにそこは妥当ではないというところ、そこもありますので、そういった意味で、行政権の責任者である内閣が最高裁判所の裁判官の任命を通じて、司法権の組織にある程度影響を与えるということを認めたのがこの趣旨というふうに承知をしております。

 そういった意味で、内閣で判断するというこの任命でありますので、法務大臣というその立場からは、答弁は控えさせていただきたいと思います。

西村委員長 島田さん、挙手の上、指名を受けてから御発言をお願いします。

島田(洋)委員 はい。

 それでは、時間が来たようなので終わります。ありがとうございました。

西村委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十一分散会


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