衆議院

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第3号 令和7年3月14日(金曜日)

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令和七年三月十四日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 西村智奈美君

   理事 小泉 龍司君 理事 津島  淳君

   理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君

   理事 金村 龍那君 理事 円 より子君

      井出 庸生君    上田 英俊君

      上川 陽子君    神田 潤一君

      寺田  稔君    中西 健治君

      平沢 勝栄君    福田かおる君

      三谷 英弘君    森  英介君

      若山 慎司君    有田 芳生君

      階   猛君    篠田奈保子君

      柴田 勝之君    寺田  学君

      平岡 秀夫君    藤原 規眞君

      松下 玲子君    萩原  佳君

      藤田 文武君    小竹  凱君

      大森江里子君    平林  晃君

      吉田 宣弘君    本村 伸子君

      吉川 里奈君    島田 洋一君

    …………………………………

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   文部科学副大臣      武部  新君

   法務大臣政務官      神田 潤一君

   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君

   最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君

   最高裁判所事務総局家庭局長            馬渡 直史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         江口 有隣君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       上原  龍君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          松井 信憲君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    森本  宏君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小山 定明君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     福田かおる君

  河野 太郎君     三谷 英弘君

  棚橋 泰文君     中西 健治君

  藤原 規眞君     階   猛君

  大森江里子君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  中西 健治君     棚橋 泰文君

  福田かおる君     稲田 朋美君

  三谷 英弘君     河野 太郎君

  階   猛君     藤原 規眞君

  吉田 宣弘君     大森江里子君

    ―――――――――――――

三月十四日

 選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第三一六号)

 同(山崎誠君紹介)(第三一七号)

 同(大石あきこ君紹介)(第三三一号)

 同(宮川伸君紹介)(第三三二号)

 同(大西健介君紹介)(第三四八号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第三四九号)

 同(岡本あき子君紹介)(第三五五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三七三号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第四〇四号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第四五九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四六〇号)

 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(公訴時効廃止・延長に関する改正刑訴法)の再検討に関する請願(長坂康正君紹介)(第三四七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官大濱健志さん、警察庁長官官房審議官松田哲也さん、警察庁刑事局組織犯罪対策部長江口有隣さん、法務省大臣官房政策立案総括審議官上原龍さん、法務省大臣官房司法法制部長松井信憲さん、法務省民事局長竹内努さん、法務省刑事局長森本宏さん、法務省矯正局長小山定明さん、出入国在留管理庁次長杉山徳明さん及び文部科学省大臣官房審議官奥野真さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也さん、人事局長徳岡治さん及び家庭局長馬渡直史さんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠田奈保子さん。

篠田委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の篠田奈保子です。

 月餅を配る人もいる、十万円の商品券を配る人もいる。すっきりしない朝でございますけれども、私は、安心と安定の暮らしを皆さんにお届けをするために頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 私は、北海道根室、釧路地域で、町の弁護士として家庭裁判所に関わる事件を多く担当をしてきました。釧路、根室地域は、北海道の中でも離婚率の高い地域です。街頭で活動していますと、過去に担当した親子が元気に私に手を振って応援してくれる、そんな場面に遭遇をしたりもします。親子で元気に生活しているんだな、お子さん、大きくなったな、とてもほっとするとともに、家庭裁判所に関わる事件を担当していて本当によかったなというふうに思います。

 今日は、私のそんな弁護士としての実務経験から、家庭裁判所の人員などの充実について質疑をさせていただきます。

 まず、家庭裁判所の現状についてお伺いいたします。全国の家庭裁判所の本庁、支部、出張所の数は幾つですか。また、家庭裁判所調査官が常駐している支部の数とその割合をお伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 家庭裁判所の本庁の数は全国で五十庁、家庭裁判所の支部の数は全国で二百三庁、それから、家庭裁判所の出張所の数は全国で七十七庁となっております。

 家庭裁判所調査官の配置につきましては、支部二百三庁のうち百十三庁に配置されており、この割合は支部全体の五五%程度ということになっております。

篠田委員 御回答ありがとうございます。

 そうしますと、本庁には調査官が常駐しているけれども、支部のうち五五%に常駐をし、四五%は常駐をしていない、出張所七十七か所は調査官がそもそも常駐していないということになりますね。

 そうしますと、この常駐していない支部や出張所には、調査官がどのように対応しているということになりますでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 御指摘の家裁調査官が配置されていない庁につきましては、近隣の配置されている庁、本庁でありますとか配置されている支部から出張して対応するということになっております。

篠田委員 ちょっと分かりやすく説明をするために、私の所属している釧路家庭裁判所管内についてなんですけれども、釧路の本庁に調査官は何名、支部に何名が配置されておりますか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 御指摘いただきました釧路家庭裁判所管内の家庭裁判所調査官の配置状況についてお答えをいたします。

 まず、釧路家裁本庁でございますが、五人となっております。そして、帯広支部、北見支部それぞれ三人ずつ配置しておるということになります。なお、網走支部、根室支部もあるわけですけれども、こちらには配置がございません。

篠田委員 私の選挙区だと、釧路本庁の五人ということになるんですけれども、その五名の方々が、根室の支部や、標津にも出張所があるんですけれども、それぞれ片道百二十キロ近くある地域なんですね、調査官に出向いてもらって仕事をしてもらっています。管内の人口は今約三十八万で、いや、管内の人口ですね、釧路、根室を総合すると五十三万人ぐらい、一五%ぐらい未成年者がいるとすると、五万人ぐらいの子供たちがいる計算になるのかなと思うんですけれども、その規模で五名の調査官で対応していただいているということになろうかと思います。

 調査官の仕事というのは調査が仕事でありまして、子供の生活する現場、学校や保育園に訪問したり、家庭訪問をしたり、それこそ、私のこの根室、釧路管内というのは新潟県の広さより広いんですけれども、そこに暮らす家庭裁判所に関わった子供たちの調査を五人で担当いただいているということで、職務においては公共交通を使うことを原則とされているということをお聞きしているので、私のように自家用車で自分で自由に走り回って様々なところに回るとか、そういうこともできず、本当に大変な労力だろうなというふうに思います。

 私は、よく裁判所の坂の下のバス停で、家裁の調査官が一時間に一本来るか来ないかのバスを待っている姿を見かけることもありまして、本当に頭が下がる思いでおります。私の面積と人数だけを見ても、本当に足りているのかというふうに思うわけです。

 そこで、今回、家裁の調査官を全国で五人増員するということのようですが、その五人の根拠をお伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 家裁調査官につきましては、その特色である行動科学の知見等に基づく専門性を十分に発揮して的確な事件処理を図れるよう、これまでも、家庭事件の複雑困難化といった事件動向や事件処理状況に加えて、法改正による影響等も踏まえて、必要な体制整備に努めてきたところでございます。具体的には、平成十二年から十八年まで合計六十八人の増員を行ったほか、平成二十一年には五人、令和四年に二人の増員を行ってまいったところでございます。

 このような状況において、令和七年度につきましては、家裁調査官を五人増員することで、改正家族法の円滑な施行に向けた検討、準備を含め、引き続きその役割を果たすことができるものと判断したものでございます。

 今後の人的体制につきましても、事件動向や事件処理状況等のほか、適切な審理運用の在り方等の検討、準備の状況を踏まえまして、必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。

篠田委員 今の説明を聞いても、なぜ五人なのかということが判然としません。そして、これは全国で五人の増員というわけです。

 ちょっと視点を変えて、今、調査官の全体の数と女性の数、女性の割合、また、直近三年間の調査官補の採用の女性割合もお伺いしてもよろしいですか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。

 令和六年七月現在における家庭裁判所調査官の全体数、これは千五百六十六人です。うち女性の数は九百五十三人、女性割合は六〇・九%ということになります。

 次に、直近三年間の家庭裁判所調査官補採用者数の女性割合でございますけれども、令和四年度は八三・三%、令和五年度は七七・四%、令和六年度は八五・二%でございました。

篠田委員 全体の割合は六〇%なんですけれども、ここ近年だと、もう八五%まで女性の採用が進んでいるということで、本当に女性弁護士は人気がなくて二〇%になかなか届かないという状況の中で、このように家裁の調査官が、女性の方たちの就職が活発になっているということはすごく喜ばしいことなんですが、やはり、女性の割合が八〇%以上を超えていくということになりますと、今後、女性が出産や育児により、どうしても女性の方が休職する期間が長かったり増えていくことが予想されますから、その手当ても当然今後必要になってくると思います。

 そして、先ほど、改正家族法の施行により五名増員したということなんですけれども、この改正家族法、いわゆる離婚後共同親権の施行により、家庭裁判所の事件数なんですけれども、どのような状況になると予測をされておりますか。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 いわゆる離婚調停事件自体は長期的に減少傾向にある中でございますが、改正家族法では、委員御指摘のとおり、離婚後の父母双方を親権者とすることを可能とする規律の見直しが行われるほか、父母双方が親権者である場合の親権行使について、父母の意見対立に対応するための裁判手続が新設されており、これに伴いまして、事件数が増加する可能性もあるというふうに考えております。

 これらはいずれも新たな手続であることからしますと、今後の事件数につきまして、具体的な予測を申し上げることは困難でございます。

 以上です。

篠田委員 そうしますと、具体的な事件数の予測が困難なので、それを踏まえた五人の増員というわけではないという御回答になろうかなと思います。

 それで、私は、そこの読みが大変甘いと思っていて、今回の離婚後共同親権の施行によって、既に離婚が成立しているけれどもまだ子供が未成年のケースについて、共同親権への変更などの申立てが施行の直後からやはり増加する可能性が大変高いと思っています。それを期待して法改正を求めていた方々がたくさんいらっしゃいましたので、そういう傾向になろうかと思います。

 そしてまた、協議離婚においてなんですけれども、共同親権をよく分からないでというか、どういう制度になるのかそもそも分からないので、よく分からないで選択してしまったケースについては、今後、それを起点にトラブルが発生をするという可能性が大変高くあると思っています。

 例えば、共同親権にしないと養育費を払わないと言われたから共同親権を選んでしまった、早く離婚したくて共同親権を選んだとか、だけれども、結局、やってみたら、子供の進学先にイエスと言ってくれないとか、転勤で転居しなきゃいけないのに、それに同意してくれないとか、様々に子供のために同意を求めたら、じゃ、養育費を減額してくれという交渉になったとか、性交渉を迫られたとか、やはり、様々なトラブルが新しい制度の中で発生することは容易に想定されます。

 また、実務家の立場からすれば、親権の争いがこれまで想定されなかった単に金銭給付だけの争点の離婚事案であったとしても、やはり、弁護士の立場からは、未成年の子供がいて別居しているケースだと、別居中も共同親権であるわけですから、様々な場面で子供の決定をする事柄について支障が出ることが想定されるので、これまでは単に離婚の調停だけ申し立てたケースでも、しっかりと監護者の指定もやはりセットで申し立てていく、そういうことが当然実務家の中でトレンドになりますし、私も新人の弁護士の皆さんに、これからのこの法施行後に離婚の相談にどう対応しますかということになったら、この調停の二本立てセットでやってください、若しくはそれに保全処分をつけてください、そういうような手続の案内をすることになるんですね。まさにそれだけで大量に事件が増えると思っています。

 想定し難い事件数の増加が見込まれる、私はこのように考えていますが、本当に五名の調査官の増員で足りるんでしょうか。その点に関して、再度見解を求めます。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 家庭裁判所調査官のこれまでの増員に関しましては、先ほど御説明をしたとおりでございます。

 そして、今年の、今回の増員を五人としたことについて、先ほども御説明したとおりではございますが、更につけ加えるとすれば、事件全体の状況を見ながら、私ども検討を進めているというところがございます。

 少年事件を見てみますと、家裁調査官は、少年に対する適正な処遇に資するように、少年に対する調査のほか、学校等の関係機関あるいは保護者を始めとする関係者に対する調査等を行い、その結果や処遇に対する意見を書面で裁判官に報告するなどの関わりをしているところであります。このような少年事件は、大幅な減少の傾向にあるというところもございます。

 このような状況も踏まえまして、家庭裁判所調査官、現在、これまで拡充してきた人員、そして今回の五人の増員を含めて、全体として対応していくということが可能であろうというふうに考えているところでございます。

 今回の増員に関しましては、改正家族法の円滑な施行に向けた検討、準備を一層加速させるとともに、その専門的知見をより適時適切に活用し、家庭事件処理の充実強化に資するような、改正法の趣旨、内容を踏まえた適切な審理運用の在り方などを集中的に検討していくような大規模庁において配置をして、必要な体制を整備していくということを考えているものでございます。

篠田委員 今、少年事件は十年で三分の一程度に減少していると言っていましたけれども、一昨日、藤原委員から闇バイトに関する質疑であったように、特殊詐欺事件の少年事件の関わりや、強盗に参加してしまう少年の割合が二倍に増加したと。SNSを通じて少年犯罪にも質的にも量的にもやはり変化が見られておりまして、現実に、コロナを経て、元の水準に戻りつつある。やはり、そういった動向もしっかりと精査していかなければならないのではないかなというふうに思います。

 想定し難い事件数が見込まれる中で、今後、不足する調査官の中で、どのように家庭裁判所で子の意思の把握に努めていくのかということがやはり大きな問題です。家庭裁判所の調査官は、子の意思の把握について重要な役割を担っています。子供の意見なしに手続が進むことは、子供の利益にも子供の福祉にも当然反します。

 私は、調査官の調査報告書を見て、ああ、私が気づかないような子供の思いがあったんだな、こういう個性の子供なんだと、本当に調査官が丁寧に調査してくれて、結論を導いてくれて、本当に真に納得して、当事者が納得する、そういう事案を大きく大きく体感しています。

 家庭裁判所の事件が多くなって、そして離婚後共同親権の事案がある中で、家庭裁判所の調査官が関与する事件、関与しない事件、誰がどのように決定していくんですか。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 子の監護権や親権、また親子交流などが争いになっている家事事件におきまして、家庭裁判所調査官を関与させるかどうかは、子をめぐる紛争の程度やその内容、子の状況その他の事情を踏まえて、調停であれば調停委員会が、審判であれば裁判官において適切に判断すべきものというふうに考えております。

 以上です。

篠田委員 そうしますと、調査官によって丁寧に子の意思を確認してもらえる子供、そうじゃない子供、格差が生まれるじゃないですか。そして、その選別、ちゃんと本当にできるんでしょうか。

 私は、しっかりと、やはり全ての子の監護に関する事件、そして親子交流、親権に関する事件は、調査官が適切に関与して全ての子供の意思を確認できる、そういう体制をすべきであると考えておりますので、しっかりとした調査官の大幅増員を実現をしていただきたく思います。

 次の質問に移ります。

 そうはいっても、限られた調査官の人員の中で適切に事案解決を目指さなければならない現状の中で、適切に調査官が関与するかどうかの事件、特にDVの案件が見過ごされてしまったら、DVなどの事案に共同親権が強制される、そういうような事態が想定されます。

 そこで、昨日ですけれども、参議院の法務委員会において仁比聡平議員が、ハンガリーの日本人殺害事件と共同親権の関係で質疑をしておりました。今日お越しになっている法務省の竹内民事局長が、父母の間に力の差を背景として一方に他方を支配するような関係性が認められる場合には、父母が共同して親権を行うことが困難であると言えるものと考えられますと答弁していただきました。また、DV被害者にはそもそも被害の自覚を欠いている場合もあることを勘案した上で、適切な判断がなされるものと考えておりますとも答弁いただきました。大変、私は、DVの本質を捉えた重要な答弁で指摘だったというふうに思います。

 家庭裁判所の判断においても、この法務省の御指摘に沿った運用、そして調査官の関与の有無を決していただきたいと思いますが、裁判所はいかがお考えでしょうか。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今、竹内民事局長の答弁の話は家族法制の改正の審議の中でもいろいろ触れられていたところだと承知しておりまして、それらを含めて、この家族法制の改正、国会審議の状況というのも各地の裁判官等に対してしっかりと周知して、判断の役に立つようにというふうに思っております。

 以上でございます。

篠田委員 法務省と最高裁がしっかりと見解を統一して運用いただくようにと思います。

 最後に、ちょっと時間が足りなくなってきたので、予算委員会の分科会でも触れました離婚後共同親権に関するQアンドAの作成についてお伺いいたします。

 この作成、いつになりますでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のQアンドAでございますが、関係府省庁等連絡会議に設置をされました関係府省庁連絡会議の幹事会において議論されているところでございまして、本年一月二十一日に開催をされました関係府省庁等連絡会議幹事会の第二回会議において、QアンドA形式での解説資料についての意見交換を行ったところでございます。

 具体的には、法務省において作成した民法に関する問い立ての案につきまして、その相当性や追加すべき問いの有無等について意見交換を行ったところでございますが、現在、関係府省庁連絡会議に参加している各府省におきまして、必要な問い立てについて各関係機関とも協議しているものと承知をしております。

 また、法務省においても、関係団体等と個別に協議を行っているところでございまして、現在まさに検討中の事柄でございまして、いつというところが今のところはまだ未定のところでございます。

篠田委員 おとついも衆議院の文部科学委員会で、自民党の柴山議員が、離婚後共同親権に関して、共同親権になった場合、別居親への学校の対応に関する具体的な取扱いがどうなるのかと質問をしておりました。

 共同親権になった場合、学校現場で、保育現場で、様々な子供の現場で、高等学校等就学支援制度の申請においてなどなど、どんな取扱いになるのか、本当に皆さんの関心が高いんですよ。どんなQアンドAになるのか、しっかりとこの委員会でも検討しなければならないと思っております。

 それを前提に、是非今国会の会期中にその具体的内容をこの委員会でしっかりと審議をさせていただきたいというふうに思っております。是非四月末日までの提出を求めさせていただきたいと思います。

 委員長、これに関して、理事会についてお諮りをいただくこと、よろしいでしょうか。

西村委員長 後刻、理事会で協議します。

篠田委員 ありがとうございます。

 最後に、法務省にお願いでございます。

 そのQアンドAに、先ほど私が指摘した参議院の竹内民事局長のDVに関する答弁をやはりしっかりと記載をしていただきたいと思っております。国会での答弁内容でありまして、離婚後共同親権の運用の指針となる大切な発言であると思っておりますので、是非御配慮のほどをよろしくお願いを申し上げます。

 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

西村委員長 次に、松下玲子さん。

松下委員 立憲民主党の松下玲子です。

 本日は、裁判所職員定員法改正案の審査のため質問を行いたいと思いますが、冒頭、まずは鈴木大臣の公選法違反疑惑について伺いたいと思います。

 法務省のトップである法務大臣は、誰よりも遵法意識の高い人でなければならないと私は思います。私費での支出であるから政治資金規正法違反にならないということは全くなく、どんなにその目的が職員をねぎらうという善意であったとしても、政治資金規正法の趣旨に照らし合わせて、これはしっかりと調査をしなければならないと私は考えます。

 一昨日、立憲民主党の藤原委員が質問をした際に、鈴木大臣は石破総理から注意を受けたというお話がございました。しかし、昨日、その注意をした側の石破総理自身も、新人の議員に私費、ポケットマネーで一人十万円の商品券をお配りになったという事実が明らかとなりました。

 注意をする側も、政治家が政治家に渡しているにもかかわらず、私費だからいいんだ、これでは、注意を受けた方の鈴木大臣も、響かなかったのは仕方ないのかなと思います。

 であるならば、これは、政治資金規正法に照らし合わせて、何が問題かということをしっかりと事実を明らかにしたいと思います。

 私は、月餅をどうやってお配りになったのかな、ここをまず聞かなければならないと思いました。多忙を極める大臣が全職員に手渡しをするなど考えられないんですね。誰かが、それは、大臣室に取りに行くのか、大臣が部局に運ぶのか、大臣の秘書官が行うのか、法務省の職員の皆さんがどう関与するのか。

 これは、一人一人に確実に配るには、正確に配るには、人数の把握、個数の把握と、その先の配付のためにリストも必要になってくるはずだと思います。そもそも、月餅には賞味期限がありますね。私は、崎陽軒のホームページを確認してみましたところ、製造日から十九日と賞味期限がございました。配送にかかる日数を引くと、受け取ってから二週間ぐらいで賞味期限が来るものを、素早く、確実に全ての法務省の職員に配付するには、これは高度な準備が必要だと思うんですね。

 そこで、一昨日の委員会では何個配ったのかお答えにはなりませんでしたが、誰が月餅を配ったのか、全ての職員に大臣、秘書官が配ったのか、法務省の職員が配ったのか、お答えをください。

 リストがなければ正確に配ることはこれは困難だと思いますので、月餅配付に用いた資料の有無と、関わった職員数についても教えてください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 配り方についてまずお尋ねがございましたが、この配り方でございますけれども、官房におきまして、各部局ごとに渡すという形で配らせていただいたところでございます。

 また、資料についてもお尋ねがございました。この点につきましては、職員に対する慰労、激励の趣旨でいただいた差し入れというものでございまして、役所の業務というような類いのものではなかったことから、特段、資料を作成し保存するというようなことはしておらず、官房において各部局に渡すことに関わった職員の数等については残していないということで、職員の数については把握していないということも御理解いただければと思います。

松下委員 官房から各部局に配ったことまでは分かりました。

 では、各部局から各個人にどのように配ったのか。さっき私は、そこまでお答えしてほしい思いで質問をしたのですが、今お答えがなかったので、答弁漏れかなと思うので、各部局から各個人にはどのように渡ったのか、お答えください。

西村委員長 上原総括審議官、もうちょっと大きい声で答弁してもらえますか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 今の各部局での配り方ということでございますが、各部局における配り方については調査しておらず、その点は把握しておりません。

松下委員 これは、誰かが配らないと、一人一人の手には渡らないんですよ。職員への激励や慰労の意味で大臣は配ったとおっしゃっているんですね。じゃ、どこか、給湯室に放置されていたとか、そういうことにもなりかねないので、御自身はどうやって受け取られたか、お答えいただけますか。

上原政府参考人 また個人ということでお尋ねがございまして、なかなかそういった点は差し控えさせていただきたいところではございますが、あえて申し上げさせていただきますと、私が外出して戻ってきたときに、私の机の上に誰かが置いていってくれた、そういう状況でございました。

松下委員 誰かというのは、外部の人が入るわけないですから、その部局の職員の方が配られたんだと思うんですね。これはやはり、私は問題だと思うんですよ。

 じゃ、先に、まだ続けたいんですけれども、法務省の職員に配ったという月餅は、法務省の刑事局長や検察庁の検事総長にもお配りになったのかどうか、伺います。あわせて、配っていたのなら、それをお受け取りになり、お食べになったかどうかもお答えください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 通常国会が始まるに当たってということでいただいたものでございまして、刑事局には配ったところでございますが、検察庁には配っていないというところでございます。

 以上でございます。

松下委員 刑事局には配った。これはやはり、本当に問題だと思うんですよ。公職選挙法の公訴の提起を行う機関、その経験もある幹部の方がもらって食べていたら、もしこれが公選法違反だったら、でも、食べちゃったから起訴しないとか、そういうあらぬ疑いを国民から持たれると思うんですね、私。これは事実をやはりちゃんと明らかにするべきだと思います。

 大臣は、職務に精励されている職員を慰労、激励の気持ちで気軽にしたことかもしれません。でも、ちょっと受け取る側の職員の気持ちを考えていただけますか。自分の上司に当たる人から物を渡されて、仮に、これっておかしくないかしら、寄附行為の禁止に当たるのではないかしらと思ったとしても、断るということは相当勇気が要ることです。

 そして、政治と金の問題がこれだけ大きな国民の政治不信を招く問題になっているにもかかわらず、私費だから、政治活動じゃないから、これは収支報告書にも載らないということですよね。月餅の購入費用が有権者の買収にもつながりかねないんです。この受け取った職員の中に、大臣の選挙区である、比例の、関東三つのブロックの中の神奈川県、千葉県、山梨県、この方がいたら、それは買収にもつながりかねないんですよ。それに私自身は憤りを感じます。

 そして、お金がなければ、職員をねぎらうことも、職務の遂行もできないのかと思われかねません。政治にはお金がたくさんかかるのかとまた国民に思われてしまうと、私自身も一政治家として悔しくてなりません。

 鈴木大臣は本当に今回のことを反省していらっしゃるのでしょうか。お伺いをしたいと思います。

鈴木国務大臣 今の件ですけれども、今御指摘をいただいている話、まさにこの国会が始まるタイミングあるいは法律の立案等々、様々、私も組織のトップとして、いろいろと大変な御苦労を皆さんにいただくものですから、そこはやはりねぎらいをということで、そこはトップとして、職員の皆さんにということで差し入れをさせていただいたということにまさに尽きる話であります。

 もっとも、そういったことで、不適切であるというような、そういった趣旨の御指摘も受けてお騒がせをすることがないよう、襟を正して職務に全力で精励してまいりたいと思っております。

松下委員 組織のトップとして差し入れをしたいという気持ちに尽きると今お答えがありました。

 私は、比べるのは甚だ僭越ではありますが、私自身も、東京都の一自治体、武蔵野市のトップ、武蔵野市長として六年間仕事をさせていただきました。

 約千人の職員がいて、それこそ多忙を極める中で、一自治体とはいえ、年間約八百億円の一般会計予算がある予算をつくったり、そして、いろいろな資料の準備をしたり、政策を具現化したり、職員をねぎらいたい気持ちはありましたよ。でも、その私が職員をねぎらいたいからといって、物を上げることはやはり許されないんですよ。

 武蔵野市の職員は、その中に武蔵野市民率が大体二割から三割と言われています。私は、武蔵野市民には物を上げちゃいけないんですね。ねぎらいたいからといって、上げるときに、あなた何市民、じゃ、大丈夫ね、あなた何市民ということはできないですよね、普通。だからこそ、全てにおいて、物ではなく違った形で職員を激励するとか、一緒に伴走する、一緒に仕事をするというのが組織の長として必要な資質だと私は思います。

 私自身、武蔵野市長として、よい仕事大賞といって、組織の中でいい仕事をしたのを上げてもらって、それを市長賞とか指定して、皆さんで情報を共有して、やる気を、そしてモチベーションを高める努力をしました。

 物を上げなければ激励ができないなんてことを言ったら、それは石破内閣の方針ですか。物がなければ慰労ができない、これは他の省でも行われていることなんですか。遵法意識から照らし合わせると、これは甚だ疑問です。

 大臣は、政治資金規正法、これを熟知していらっしゃいますか。そして、大臣規範に照らしてもおかしなことではないと胸を張って言えるのかどうか、お答えください。

鈴木国務大臣 先ほどからの繰り返しになりますけれども、不適切であるというような、そういった趣旨の指摘を受けてお騒がせをするといったことがないように、しっかりとこれから襟を正して職務に精励をしてまいりたいと思っております。

松下委員 やはり、不適切と言われて騒がせたから、何かちょっとまずいかなみたいに今聞こえちゃうんですよ。これは公職選挙法違反の疑いがあるんです。

 そして、私は、大臣規範に照らしてもおかしいなと思うんです。大臣規範には、これは閣議決定されているものですが、公務員との関係という項目がございますね。「国家公務員法等の趣旨を踏まえ、国民全体の奉仕者として政治的中立性が求められている職員に対し、一部の利益のために、その影響力を行使してはならない。」と書いてあります。これは一般論なので、政策的なことを言っているのかなとも読めるんですけれども、でも私は、よく見ると、この一部の利益というのが、自身がもらった月餅もその一部の利益に入るんじゃないかなと思えてならないんですね。

 この大臣規範に照らし合わせても、これは大きな問題、不適切だと思います。周りが不適切と言ったんじゃなくて、行った行動自体が不適切であり、また、公職選挙法違反の疑いがあると思います。

 委員長、やはり、実際に配った個数や、どこまでの範囲なのか。本省の範囲なのか、試算すると、それだと約五十万円、本省以外の外局も入れると、地方機関を含め法務省全ての職員に配ったと計算すると、三千六百万円ぐらいになるんですよ。これは本当に社会通念の域を超えています。本省だけでも約五十万円。

 これは私費であればいいというものではないので、本当に私費なのと、言った言葉を信じていいのという私は疑問もありますので、正確にそのお金の出どころを明らかにしていただきたいと思いますし、また、公職選挙法違反にならないか、お受け取りになった職員の中に大臣の選挙区の有権者の方がいないか、これは委員会として調査を求めたいと思いますが、いかがですか、委員長。

西村委員長 既にこの件については理事会で協議事項になっておりますが、御指摘の点も含めて、理事会でまた後刻協議をさせていただきます。

松下委員 政治資金規正法の趣旨というのは、やはり、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするために、透明性を高め、政治資金規正法に基づいて収支報告書に全てを記載をして国民の監視の下に置くことが、これは民主主義のためにも重要であると思うんですね。だからこそ、今、国民から政治不信も起きている。

 立憲民主党は、企業・団体献金の禁止を求めていますが、自民党さんはこれに全然応じない。お金の出どころをやはりちゃんと限定していかないと、お金のある人じゃないと政治ができないというふうにもなってしまうと思うんですね。そこは、襟を正すだけではなくて、しっかりと調査の下に、反省すべきは反省し、政治資金規正法違反かどうかというのを、これはしっかりと司法の手によって明らかにしていただきたいと私は思います。

 次の質問に移ります。

 最高裁判所の職員の定数についての法改正です。

 毎年、なぜ裁判所職員定員法を改正し、定員削減をし続けるのか、裁判所職員の定員管理の大きな方針は誰がどこで立てているのか、伺いたいと思います。そして、改正案の基となる方針や計画、意思決定の過程を教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所の定員につきましては、国家機関の組織に関する事項として法律で定めるべき事項である一方、その前提となる裁判所の行う業務の量が、その性質上、事件の質や量といった事件動向により大きく左右されるというものでありますことから、最高裁において毎年必要な検討をし、所要の見直しが行われているというものでございます。

 最高裁の司法行政事務は、裁判官会議の議決により行われております。したがいまして、最高裁の予算等に関する意思決定は、最終的には裁判官会議において行われるということになります。

 もっとも、最高裁の裁判官会議のみで司法行政事務の細目にわたり全てを執り行うことは困難でありますので、最高裁の庶務をつかさどっております事務総局が置かれております。この事務総局においてあらかじめ立案作業した上で、裁判官会議に付議し、その議決により定めるというような内容になっております。

松下委員 事務総局で立案をし、付議し、裁判官会議で決定をするということが分かりました。

 その意思決定の過程の中に、本省の、財務省と協議があったのかなかったのか、教えていただきたいと思います。裁判所は独立機関でありますから、政府機関ではもちろんありませんので、政府の定員合理化計画には入っていないはずだと思うのですが、政府の定員合理化計画に協力をして裁判所の職員も定数削減をしているのではないかと思えてなりません。いかがか、教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 定員合理化につきまして、財務省と意見交換はしているところでございますが、御指摘のとおり、裁判所は行政機関ではございませんので、政府の定員合理化計画に直ちに拘束されるものではなく、裁判所が自主的、自律的に判断をしているものであります。

 裁判所といたしましては、国家公務員の定員をめぐる情勢が依然として厳しい中で、引き続き、裁判所としての必要な体制を整備していくためには、国家の一機関として、他の行政官庁と同様に、業務の効率化等、必要な内部努力を行い、定員合理化に協力することは必要であるというふうに考えております。

 一方で、定員合理化に当たって、事件処理に支障があってはなりませんので、その年々の状況に応じて、どのような体制を整備していくか検討しているところであり、令和七年度につきましても定員合理化への協力について必要な判断をしたというものでございます。

 裁判所といたしましては、これまでも、適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために必要な体制の整備に努めてきたところでありますが、引き続き、これらの確保に努めてまいりたいと考えております。

松下委員 業務の効率化は、必要な部分もあるとはもちろん思います。その上で定員の合理化を図ってきたというお答えでございますが、毎年毎年法改正をして定数、定員を削減をしているということに、私自身は、これは毎年毎年するものなのかなという疑問も思いました。

 そして、職員の皆さんの働く実態はどうなっているのかな、本当にその定員の合理化が事件処理に支障を来していないのか、ひいては、国民の福祉の向上につながるべく裁判所というのはあるはず、あっていただきたいと思うのですが、それを阻害することにはなっていないのかという視点で少し疑問を持ちました。

 実際に裁判所の職員の定員が法律で定められていて、今回改正案が出ているわけでございますが、では、定員とは別に、実際の職員数がどうなのかということを教えていただきたいと思います。また、メンタル不調など長期の休業等の人数と欠員も併せて教えてください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令和六年十二月一日現在、裁判官以外の裁判所職員の現在員、これは二万一千二百六十人でございます。

 また、メンタル不調、すなわち精神及び行動の障害による九十日以上の長期病気休暇を取得している裁判官以外の裁判所職員は、令和六年四月一日現在の数字ですが、百五十人でございます。欠員については、四百五十三人ということになります。

松下委員 欠員が四百五十三人で、休暇を取られている方、これは病気休暇というのかな、百五十人というお答えだったかと思います。

 これは、実際には、定員というのはもちろん大切なものですが、働いている職員の実数がどうなのかということを私はやはり着目をしていかなければならないというふうに思いました。

 そういう意味では、この欠員の四百五十三人というのは、定年退職等も含むのか、そして新規採用等で補充がされるのか、その辺りも教えてください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 欠員の部分につきましては、また毎年の採用等もございます、年途中で辞める者等もございますので、それは順次充員に努めていくということになります。

松下委員 今回の立法の目的として、裁判所の事務を合理化、効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少する必要があるとございます。

 事務の合理化、効率化の具体的な事例、実態を教えてください。そして、職員を減員できるほどの明確な事務の合理化、効率化は具体的に何なのか教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今回の減員につきましては、技能労務職員及び裁判所事務官等を対象とするものでございます。

 技能労務職員につきましては、定年等により退職に際しまして、裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、外部委託、いわゆるアウトソーシングによる合理化等が可能であるかを検討しまして、後任を不補充とすることにより生じた欠員について合理化を行っているというものであります。

 また、裁判所事務官につきましては、既存業務の見直し、例えば庁舎改修の終了に伴う事務の減少分等について合理化による減員を行うものであります。

松下委員 裁判所の仕事は、国民の権利を守り、国民生活の平穏と安全を保つことであると承知をしています。そのためには、裁判所で働く職員のワーク・ライフ・バランスを推進するということもこれはとても重要であり、その上で、国民のために審理期間の短縮、迅速な事件処理を行っていただきたいと思います。

 国民の権利を守るためには、裁判官等を増員すると同時に、裁判所の職員の適切な配置、適切な人数についてもしっかりとお示しをし、実態を把握した上でお示しをしていっていただきたい、今後もそうしていただきたいとお伝えし、私の質問を終わります。

西村委員長 次に、階猛さん。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 裁判所職員定員法の改正案ということです。今、松下さんは、裁判所の職員について問題意識を表明されておりましたけれども、私の方は、今回、定員の異動のない裁判官、特に判事補の定員についてちょっと取り上げたいと思っております。

 資料を用意しましたが、一ページ目を御覧になってください。これは、私、毎年この場で示させていただいているものなんですが、過去十年ぐらいの下級裁判所の判事、判事補の定員と現在員、実員とも言いますけれども、要は今いる人数、この推移を示したものです。

 この中で、法改正によって判事補の定員は少しずつ減らされてきております。ただし、今回もそうですけれども、今年は一定のまま変わっていないということです。八百四十二人ということです。他方で、欠員という欄を見ていただきたいんですが、欠員の方は、令和六年度、直近の一つ手前ですけれども、百六十九人ということで、その前の令和五年度より微増しています。欠員の増加が更に続くようでしたら、やはり過去もそうであったように、判事補の定員も見直さなくてはいけません。

 そこで、足下、二百四十二人という欠員になっておりますけれども、これは間もなく新任の判事補が採用されるということですから、減ってくるだろうというふうに思われます。新任判事補、今回何人採用して、その結果欠員は何人になると見込んでいるのか、最高裁からお答え願います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 判事補の欠員状況でございますが、今御指摘をいただきましたとおり、令和七年一月現在では、定員は八百四十二人、現在員は六百人、欠員が二百四十二人となっております。

 現在司法修習中の七十七期司法修習生のうち、九十二人が判事補への任官を希望しているところでございます。仮に、この九十二人が全員判事補に採用されると仮定いたしますと、この差引きにおきましては、欠員数は百五十人ということになります。

 裁判所といたしましては、引き続き、判事補にふさわしい資質、能力を有する司法修習生が、裁判官の職務のやりがいや魅力を理解して、任官を志してもらえるよう、努力を重ねてまいりたいと考えております。今後とも判事補の充員に努めてまいりたいというふうに考えております。

階委員 今の答弁ですと、前年は新任判事補八十二人だったものが、十人ぐらい増えて九十二人になる。その結果、欠員は百五十人になるということですから、令和六年度に比べると二十人近く減るということで、これ自体は評価させていただきます。

 ただ、無理に採用を増やして、その結果、裁判官への信頼が失墜するようなことがあってはならないわけでありまして、ちょっとその点、危惧するような事例が最近ありました。

 昨年の暮れですけれども、金融庁に出向中の判事補が職務上知った公開買い付け情報を基にインサイダー取引を行って、訴追されたということがありました。この人物につきましては、驚くべきことに、出向してすぐインサイダー取引を開始して、半年弱の間に十回もインサイダー取引を行っているわけですね。出来心で済まされるような話ではありません。そもそも規範意識が著しく欠如していて、裁判官の適性を欠くのではないかと思っております。

 このような信じ難い事件が起きたのは、欠員を埋めようとして無理な採用を行ってきた結果ではないかと思うんですけれども、この判事補、まだ任官してそんなに月日がないので、まさに皆さんが採用に苦慮されたときだと思っていますが、私の懸念、どういうふうに考えますか。お答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官であった者が金融庁への出向中にインサイダー取引をしたとして起訴されたこと、御指摘のとおりでございます。誠に遺憾でございます。

 もっとも、判事補の任官につきましては、裁判官にふさわしい資質、能力を有する者に任官してもらうという必要があるところでございますが、最高裁は、判事補に採用されることを希望する者全員につきまして、判事補に任命されるべき者として指名することの適否、これを学識経験者等によって構成されている下級裁判所裁判官指名諮問委員会に諮問をし、同委員会においては、裁判官にふさわしい資質、能力を備えた人材か否かという観点から審議、答申がされております。

 最高裁は、同委員会の答申を尊重して判事補に任命されるべき者を指名してきているところでございます。このような手続をして任官をしていることを踏まえますと、今回の不祥事は誠に遺憾なことではございますが、定員充足のために不適切な人材を任官させているということは認識をしておりません。

階委員 手続を適正にやっているから不適切な人事にならないとは限らないわけですね。手続をやれば済む話ではなくて、ちゃんと実態を見てください。

 それと、そもそも、ただでさえ、先ほど示したとおり、欠員が多い中で、出向をこれほどする必要があるのか。金融庁だけではなくて、官民にたくさんの人材を出向させているわけですよ。

 そもそも法科大学院ができた当初は、多様な人材を幅広く法曹の世界に招き入れるということが大きな理念だったと思うんですけれども、法科大学院が始まった平成十六年度、そして今年度、令和六年度で、法科大学院入学者に占める未修者、そして社会人、それぞれの人数と入学者に占める割合、どのように変化したのか、端的にお答えください。

奥野政府参考人 お答え申し上げます。

 法科大学院入学者に占める法学未修者の割合につきまして、開設初年度の平成十六年度には、全入学者五千七百六十七名のうち、いわゆる未修者コースにつきましては三千四百十七名、五九・三%でございます。令和六年度は、全入学者二千七十六名のうち六百名、二八・九%となってございます。

 次にお尋ねの法科大学院入学者に占める社会人経験を有する者の割合について、平成十六年度は、全入学者五千七百六十七名のうち二千七百九十二名、四八・四%であり、平成六年度には、全入学者二千七十六名のうち三百七十三名、一八・〇%となってございます。

階委員 お聞きになってお分かりになったと思うんですが、著しく未修者とか社会人の割合が低下しているわけですね。多様性が失われているわけです。多様性を重んじる法曹の世界に多様な人材が入らなくなっているというのは非常に問題だということを指摘させていただきたいと思います。

 こうした点でも、二十年前から始まっている法曹養成制度改革、これは失敗していると言わざるを得ないと思うんですが、更に大きな失敗があります。これから指摘していきます。

 私が以前から指摘した問題をまず挙げます。法科大学院を修了して司法試験を受験する人、それから予備試験を合格して司法試験を受験する人、それぞれの合格率を見てみます。資料の二ページ目、御覧になってください。実は、直近二年はもう一つの、法科大学院在学中に受験する人というカテゴリーができたので単純比較はできないんですけれども、一貫して、予備試験に合格して司法試験を受けた人の合格率が法科大学院を修了して受験した人の合格率を大きく上回っています。

 例えば、令和四年で見ますと、予備試験の方は司法試験合格率九七・五三%、法科大学院を修了した人の合格率三七・六五%、これは三倍近い開きがあります。令和五年、令和六年は、さっき申し上げた在学中受験者というのも入ってきたんですが、仮にですけれども、法科大学院修了と在学中受験者、これを合算したとしますと、令和五年は四〇・七%、令和六年は三四・八%です。いずれも、それぞれの年の予備試験合格者の司法試験合格率、すなわち令和五年でいうと九二・六三%、令和六年でいうと九二・八四%、これらを大きく下回っているわけですね。

 そもそもなんですが、三ページ、これも従来から指摘しているところでございます。法律上、司法試験法第五条というのがありまして、ここで書いているのは、司法試験予備試験は、ロースクール修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とするというふうに書いておりますので、これほど予備試験の合格者がロースクール修了者の合格者と差があるというのは法律には反していると思うんですね。

 まず法律に反しているということ、それから閣議決定にも反しています。なぜならば、その下に書いてありますように、下線が引いてあるところ、「予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させる」というくだりがありますけれども、これにも大きく反しているわけです。

 こうした現状の下で、そもそもロースクール修了を司法試験の受験要件として、そうでない人は予備試験を受からないと司法試験を受けさせないという仕組みは、私は非常に問題がある、不合理であると考えておりますけれども、この点について、大臣、どうお考えになりますか。

鈴木国務大臣 今御指摘のロースクール、法科大学院を中核とするいわゆるプロセスとしての法曹養成制度は、旧司法試験下において、厳しい受験競争下で受験者の受験技術優先の傾向が顕著となっていたこと、あるいは質を維持をしながら大幅な法曹人材の増加を図ることに大きな困難が伴うとされていたことなど、司法試験というのは、いわゆる点によって、点のみによる選抜の方法について指摘をされていた、様々な問題点を克服するために導入をされたものと理解をしております。

 その上で、司法志望者数の減少等々、様々な課題が生じたことを通じて、いろいろな改革、これは法科大学院教育の一層の充実であったり、あるいは在学中受験資格の導入等の制度改正等の改革が行われてきたところであります。

 この間、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成の理念、これは堅持をされてきたものでありまして、司法試験の受験資格から法科大学院の修了の資格を除外するということについては、我々としては相当ではないと考えているところであります。

階委員 同じような答弁を毎年聞かされてきたわけですよ。

 もう一回、二ページを御覧になってください。

 今に始まった問題じゃないんですよ。予備試験の合格者が、司法試験の合格率が一貫してロースクール修了者よりも高いという問題は、もう平成二十四年からずっと続いておりまして、なおかつ、近年その傾向が顕著になってきているということなんですよ。ずっとこの間、法律違反、そして閣議決定違反も続いてきたということなんですよ。そのことは大臣も、この場で委員長をやってきて、私の議論を聞いていたので重々承知なんだと思うんですよ。

 だから、これだけやっても是正されない、かえって悪くなっているんだから、もうロースクール修了を受験資格とすることはやめたらいいんじゃないかということを申し上げているわけです。今までと同じような答弁をしている場合じゃないと思います。

 それに加えて、もう一つ、今の私の提案を補強すべきデータを挙げさせていただきたいと思います。

 これは新しい事実として出てきた話として、二ページ目の令和五年と令和六年のところを見てください。ここから在学中受験資格というのが始まりまして、ロースクールに入ったけれども、修了する前に受けられるということになっているわけですよ。

 初年度は、在学中の人が合格したのが五九・五三%、修了した人は三二・六一%。何と、修了した人の方が合格率が圧倒的に低いわけです。普通、大学受験とかを考えると、高校三年生の方が二年生よりも、大学受験を仮にしたとして、合格率が低かったら大問題になりますよね。そんな学校、存在意義があるのかという話ですよ。まともに通ったら、かえって成績が下がるわけだから。そういうことですよね。

 令和六年、更にこの数字が悪化しておりまして、在学中は五五%に対して修了した人は二二・七三%しか受かっていない。もっと低下しているわけです。こんな状況で、なぜ法科大学院修了に重きを置く今の受験資格制度があるのか、ますますこの制度を存置する合理性が失われてきたということです。

 今私が述べたこと、大臣、しっかり受け止めていただいて、この制度は見直す、その方向で検討していただけませんか。

鈴木国務大臣 御指摘のところ、例えば実際の司法試験合格率等々で乖離があるし、そこは埋まっていない、これは事実であります。そういった中で、当然法科大学院の教育の質等々、そういったこともしっかり我々としても考えていかなくてはいけないと思っています。

 同時に、先ほど申し上げましたけれども、やはりプロセスとして、法科大学院というところでの法曹養成制度ということで、ある意味、点だけでということではなくて、そういった人材の資質というところでこの法科大学院という制度を考えてきた、このこと自体というのは、私は決して否定をされることではないと思っています。

 そういった中で、必要な見直しということは当然していくことはあると思いますけれども、まさに、今現時点で、例えば受験資格から除外するとか、そういったことについては、今の段階でそういったことを申し上げることではないのかなというふうに私は思っています。

階委員 今の段階で、今の段階でという答弁を過去の大臣も繰り返されて、このていたらくですよ。今の段階でという時期は過ぎました。だから、見直してくださいと言っているわけです。

 プロセスとしての法曹養成制度、これは四ページ目に、左側に、法科大学院制度の二十年の歩みということで、確かに、平成十三年、司法制度改革審議会意見書、司法試験という点のみによる選抜ではなく、法科大学院を中核とした、プロセスとしての法曹養成制度を整備すべきというところから始まっているわけですね。

 しかし、この法科大学院、全く機能していないわけですよ。機能していないからこそ、修了ではなくて在学中にも受験を認めるようになったのではないですか。自ら機能していないことを認めるようなものですよ。

 それにもかかわらず、私はびっくりするんですが、在学中に受かった人、この人たちは、司法試験に受かったら普通はすぐ修習に行きたいわけですよね。でも、修習に行かせずに、まずはロースクールを修了してください、修了しないと司法修習を受けさせませんよという制度にもなっているわけです。これもおかしな仕組みで、さっきの受験資格共々改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今の御指摘について申し上げると、ロースクール、法科大学院について申し上げると、それはまさにプロセスとしてというところのその大きな柱であります。

 そういった中で、例えば、先ほどおっしゃいました在学中受験資格の件で申し上げると、やはり我々としては、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成の理念を堅持をしつつ、法科大学院課程修了後の司法試験合格者と同等の能力、資質を備えていることを確保するということにあるということでありまして、この要件によって、法科大学院在学中に司法試験に合格した者についても法科大学院修了までの学習プロセスを確保するということもやはり大事だと思っております。

 そういった中で、そういったことをしつつ、法曹に必要な学識、能力を培うということに資するものということで、私どもとしては、こうしたことについても除外をしないということが合理的であると考えているところであります。

階委員 だったら、予備試験を経て司法試験に合格した人はこうした仕組みはないわけですよね。その人たちは別にロースクールを修了しなくても修習に入れるというわけで、それは何か不平等じゃないですか。これもおかしいですよ。

 それで、文科省、政務の方にも来ていただいていますか。やはり私は問題の根源はロースクールにあると思っていまして、ロースクールがちゃんとした教育をしていれば、黙っていても学生は集まってくるわけですよ。そして、黙っていても法曹志願者は増えるわけですよ。

 ところが、ロースクールが不人気だから、無理やり集めようとして、在学中でも受験できますよと言ったり、あるいは、在学中受かってもすぐやめられたら経営が成り立たないので最後までいてくださいねと言ったり、まさにこれは受験生のことを無視した、法科大学院のための制度改悪が進んできたと思っています。

 やはり、今の受験生はZ世代とも言われますけれども、タイパとかコスパというのを非常に重視するわけですよ。こうした人たちは、こんな法科大学院、タイパもコスパも全く考えないような法科大学院制度がある限り、法曹志願者は根本的に増えていかないと思いますよ。

 どうぞ、法科大学院、今のままではまずいということで、先ほど私が提案した受験資格の撤廃とか、合格後も、修了をしないと修習に移れないといった仕組みは変えていくということを法務省と一緒に進めていただけませんか、お願いします。

武部副大臣 文部科学省としては、法科大学院教育、司法試験、司法修習によるプロセスとしての法曹養成制度において、質、量共に豊かな法曹の養成を目指し、その中核である法科大学院教育の充実に取り組むことが重要であると考えております。

 志願者数も減っているというお話をいただきましたけれども、ここ近年は増えてきているのもまた事実であります。また、法科大学院の教育の質の向上については、令和元年制度改正によって、法曹となろうとする者に必要な学識等を体系的、段階的に涵養すべきことが規定されておりまして、各法科大学院においても、教育課程、あるいは内容の創意工夫を図るなど、取り組んでいただいていると承知しております。

 また、司法制度改革の理念である多様な法曹の輩出については、未修者に対する教育の充実を図ることが重要でありますので、各法科大学院においても、補助教員の配置や個別指導の実施など、サポート体制の構築等にも取り組んでいます。

 今後も、関係機関と連携して、質の高い法曹を輩出できるよう、法科大学院教育の充実に努めてまいりたいと思います。

階委員 質、量共に豊かにする、三千人合格を目指したのが、今千五百人ですよ。多様性も何も、さっきデータも出ましたけれども、未修者は減り、社会人も激減している。何にも目的、果たされていないじゃないですか。

 四ページ目、法科大学院制度の二十年の歩みと書いていますけれども、これは失われた二十年だったんじゃないですか。失われた二十年、このままだと三十年、四十年と延びていくだけじゃないですか。だから、私は、毎年この場で警鐘を鳴らし続けているんですよ。もうそろそろ変えないと。

 これは、法科大学院のための制度で、全く司法試験を目指す人のための制度になっていませんよ。私も法曹の不肖な先輩ですけれども、法曹の先輩として、これは声を大にして言いたいです。今の制度のままでは、失われた三十年、四十年になってしまう。その危機感を持って、法務省と文科省には改革に取り組んでいただきたい。

 法務大臣、もう一回、私の問題意識を受け止めて、これからどうしていくか、お答えいただけませんか。

鈴木国務大臣 まず、私どもとしては、質、量共に豊かな法曹を養成していく、このことは当然、これは共有をしていると思っています。その上で、今、様々、階先生御指摘の点、実際の客観的な数字として、そこの乖離が埋まっていない、あるいは法科大学院についても、恐らく様々な改善すべきところ、これはあるんだろうと思います。そういったところはしっかり改革もしていくことは当然必要だと思っておりますし、ただ同時に、やはり、先ほどプロセスという話を申し上げましたが、プロセスということでいえば、司法修習とともに、これまでの施策の経緯から、法科大学院、ここについても我々としては重きを置いてきているのもまた事実であります。

 そういったところの中で、このプロセスということをしっかりと維持をしながら、まさに、質をどう高めていくかということを、選考以降もですけれども、選考以前ということで、法科大学院も含めて、私どもとしてはパッケージとして考えたいということがあります。

 その上で、今、例えば法科大学院卒業後五年目までで七十数%まで合格率が上がっているということも事実ですので、今いただいた御指摘、様々踏まえながら、何がこれから必要な改革なのか、そこは危機感を持ってしっかりと考えていきたいと思っています。

階委員 合格率七〇%というのにだまされないでくださいね。あれは累積合格率というもので、これは結局、司法試験の受験資格を限っているおかげで、予備試験の合格した人は非常に低い割合に抑えられています。その結果、法科大学院から合格する人の枠が、千人ぐらいは毎年あるわけです。千人の枠がある中で、毎年二千人ぐらい法科大学院を修了して受けているわけだから、二千人の人が千人の枠で何回か受ければ、それは七割、八割合格しますよ。

 ただ、問題は、それしか司法試験を受ける人がいなくていいのか。今四千人弱ですよ、司法試験を受ける人が。昔は四万人、五万人いました。無理やり司法試験を受けられる人の枠を絞って、そして法科大学院を優遇するということによって、法科大学院は甘えが生まれているわけですよ。それで、いつまでたっても法科大学院の教育の質は高まらず、こうしたていたらくに陥っているということを指摘申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 それでは、文部科学省奥野大臣官房審議官、答弁の訂正があるということですので、お願いします。

奥野政府参考人 先ほど先生から御質問いただいた令和六年度の社会人経験者の入学者数をお答えする際に、平成とお答えしておりましたが、正しくは令和でございます。申し訳ございませんでした。

西村委員長 次に、金村龍那さん。

金村委員 日本維新の会の金村龍那です。

 今日は、裁判所職員定員法の改正について質疑をいたします。

 今、階議員の質疑を聞いておりまして、非常に法曹養成制度について知識も深く、そして問題点も私にとっては非常に分かりやすかったので、後に続いて、しっかりと議論してまいりたいと思います。

 私からは、まず、判事補の確保に向けた取組についてお伺いをさせてください。

 先ほど階議員もおっしゃっておりましたが、定員が、判事補については八百四十二、見込みを入れて欠員が百五十程度ある、このリクルートですね。法曹志望者、司法修習者の中で、裁判官をどのように確保していくのか。そして、できるだけ定員に近く充足させていくことが裁判所の充実につながると思っておりますので、このリクルートの部分、まず教えていただけますか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所としては、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者にはできる限り任官してほしいと考えております。

 これまでも、実務修習の指導担当裁判官あるいは司法研修所の教官から司法修習生に対し、裁判官のやりがいや魅力、異動の希望や負担にはできる限り配慮していることを伝えるなどをしてきたほか、若手裁判官にその仕事内容や司法修習生へのメッセージを話してもらう企画を実施したりするなど、裁判官の仕事の実情とその魅力が司法修習生に伝わるよう取り組んでいるところでございます。

 近年の判事補の任官者数でございますけれども、令和三年一月に任官した七十三期が六十六名でございましたけれども、その後、七十四期が七十三名、七十五期が七十六名、七十六期が八十一名と増加してきておりますので、引き続き、裁判官にふさわしい者に任官してもらえるよう努めてまいりたいと考えております。

金村委員 私、私自身が国会議員になった後、お聞きしたんですけれども、現職の中央官庁の大臣が、母校に自ら赴いて、我が省に入ってほしいというリクルートを大臣自身が行ったというお話を聞きました。なかなか裁判官というお仕事の関係で、そういったリクルートの在り方が適切かどうかはありますけれども、やはり情熱を持って働いてくれる人の確保、判事補ですね、しっかり行っていただきたいと思います。

 そして、裁判所のデジタル化についてお伺いします。

 私は、必ずしも、裁判所で働く人たち、裁判官も含めてですけれども、定員を減らしていくこと、減少していくことそのものがすばらしいことではなくて、大切なのは一人当たりの生産性を高めていく、そこにしっかりとデジタル化がセットで議論されていかなければならないと思います。当然、業務の効率化もありますし、そしてデジタル化が推進されればされるほど、新たな業務も生まれていると思います。

 実際、今、デジタルの専門官が十名程度配置されていると思いますが、加えて、デジタル庁との連携ですね、フォーマットやスキームを作るのであれば、デジ庁と連携した方が早いんじゃないかなと私なんかは思うんですけれども、裁判所のデジタル化についてお答えください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判手続のデジタル化に関しましては、現在、システム開発を鋭意行っているところでございます。これを踏まえて、合理化、効率化される事務処理の在り方についても鋭意検討しているという状況でございます。

 そのため、現時点でその合理化等がどうなるかということについて詳細にお答えするところが難しいという面はございますけれども、例えばということで申し上げますと、訴訟記録の電子化がされるということになりますので、期日間における職員による記録の運搬を始めとした、記録の物理的な管理というものは不必要になるというなど、合理化、効率化が図られるというところが考えられるところでございます。

 その一方で、デジタル化に伴い裁判所で導入するシステムを利用する方、あるいはこれから利用される方に対して、システムを円滑に利用していただくよう、手続案内、あるいは適切なサポートを行うなど、これまで以上に注力すべき業務も生じてくるということも考えているところでございます。

 そして、このような裁判手続のデジタル化に伴う業務の変革に十分に対応していくために、デジタルに関する専門的な知見を活用していくことが重要であるというのは、委員の御指摘のとおりかと考えております。

 御指摘いただきましたとおり、裁判所におきましては、デジタルに関する専門的な知見を有する方の採用をしております。令和三年度から始めておりまして、令和三年度は合計三名でございましたが、継続的に人数を増やして、令和七年四月には合計十名の体制になる予定でございます。

 また、デジタル庁との関係についても御指摘をいただいたところでございます。裁判手続に関するシステム開発等を進めていくに当たっては、デジタル庁と緊密に連絡を取りながら、その助言も受けつつ、検討を進めているというところでございます。

 引き続き、デジタルに関する専門的な知見を十分に生かしつつ、裁判手続のデジタル化に向けた取組を更に進めてまいりたいと考えております。

金村委員 デジタル化を推進するために必要なのは、初期投資が一番だと思います。業務を棚卸しして、どうしたら効率化できるのか、えいやあで一気にやるのが一番いいと思いますので、人を徐々に増やすようなやり方がないようにしていただきたいと思います。

 その上で、速記官についてお伺いさせてください。

 平成十年から養成は行っていないという理解をしておりますが、裁判所として、速記官としてそのまま働いていくのか、それとも、違う職種、転属して裁判所の中で働き続けていくのかというのを、これまでの間に、速記官自身にそういう投げかけをしたというお話は聞いています。

 一方で、速記官として働いている人たちにとって、実際には、自分たちがお辞めになると、最終的にはその業務というのがなくなるわけですね。さらに、今、いわゆる健康寿命というか、健康の時間が長く続いている中で、再雇用とかされて、生涯にわたってしっかりと働いていく社会をつくっている中で、速記官という専門性の高い職種ではあれど、やはり長く働き続けていくためには、実は、今から違う職務に就いた方が、息の長い働き手として活躍できるんじゃないかなと私自身は考えています。

 その上で、今、速記官に対して、そういった働きかけを再度する予定があったりとか、速記官自身がどういう働き方を求めているのか、この辺りについてお答えください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所速記官でございますけれども、民事裁判あるいは刑事裁判に立ち会いまして、法廷内における証人等の供述を逐語的に記録し、それを反訳して速記録を作成するといった業務を行っているところでございます。

 現行の機械速記方式をめぐる社会状況等を踏まえまして、増大する逐語録需要に応えていくため、速記制度を見直して、機械速記制度から録音反訳方式に緩やかに移行してきたというところでございます。御指摘いただきましたとおり、平成十年四月以降、速記官の新規養成を停止したというところでございます。

 その上で、平成二十一年度まで、速記官本人の希望等を考慮して、一定期間の研修を受講させた上で書記官に転官させるといった方策を講じてきたところでございます。速記官としての職務を継続することを希望した人につきましては、その能力を十分に発揮し、速記官としてやりがいを持って執務に臨んでもらっているものというふうに認識しているところでございます。

 最高裁といたしましても、そのための環境を整備する必要があるというふうに考えておりまして、速記官の要望も踏まえつつ、備品の整備あるいは研修の充実など、可能な限りの執務環境の整備を行ってきているところでございます。

 今後とも、速記官が安心して職務に精励できるように、速記官の執務環境の整備等に努めてまいりたいと考えております。

金村委員 是非速記官にも、もちろん御自身で決断することはなかなか難しいと思いますので、組織としての決断が必要だと私は感じています。

 その上で、家事調停事件についてお伺いさせていただきます。

 令和に入ってからの質疑の中で、東京家庭裁判所で、いわゆる家事事件を専門的に担当している裁判官の一年当たりの一人当たり抱えている事件数というのが五百件という答弁が以前ありました。令和三年ですけれども、審判事件が二百二十、調停事件が二百八十という答弁になっていたと思います。これは、何かこう、ぱっと聞くと、非常に一人当たりの事件件数が多いんじゃないかなというふうに感じました。

 加えて、例えば家事調停事件であれば、いかに生産性を高めて早く結論を出していくか、もちろん、感情的な対立がある問題が多いと理解していますので、スピード感だけでは語れないと思うんですけれども、一人当たりの負担を一定程度抑えていく必要もあるんじゃないか。

 加えて、これから、多くの人が質疑もしていますが、やはり共同親権が来年の五月までに施行されるわけですから、そうすると、ある程度こういった家事調停事件が増えていくことも予測されている中で、裁判官の役割、そしてこの調停事件における職種間の連携についてお答えください。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、家事調停事件につきましては、原則として、裁判官一名と調停委員二名以上により構成される調停委員会が調停を行うものとされておりまして、調停委員は当事者双方からの事情聴取、働きかけ等を主として担い、裁判官が手続全体を指揮するといった役割を担っております。この調停委員と裁判官とが、個別の事案の内容や局面に応じて適時適切に評議を行って、手続の進行や解決の方針等について共通認識を形成するとともに、他の職種、関係職種とも連携しながら調停運営を行っているところでございます。

 御指摘のとおり、東京家裁の裁判官の事件数等も御指摘ありましたけれども、いずれにせよ、各裁判所において改正法の趣旨、内容を踏まえた適切な審理が着実にされるということ、こういったことも考えながら、調停の在り方についても不断に検討して改善していく、例えば、裁判官の関与の在り方をより効果的に実効性のあるものにしていくとか、期日が漂流しないようにしていくとか、そういった点について不断に改善していくということが重要であると考えておりまして、最高裁といたしましても、こういった各裁判所における検討や準備についてしっかりと支援してまいりたいというふうに考えております。

金村委員 感情の対立が主に多い調停事件ですから、関わる人の負担も非常に重いと思います。できるだけ生産性を高めて負担軽減していくことが長くその業務に就くポイントになると思いますので、是非御尽力いただきたいと思います。

 その上で、実際、例えば離婚調停だけをピックアップすると、夫婦間で非常に対立が、整理がつかなくてこういったところに、調停事件にまで至るんだと思うんですけれども、そういったときに、例えば裁判官や家裁調査官みたいな役割の人が、この御家庭、例えば子供を見たときに、そこに福祉的視点で、このまま、例えば、帰してしまうと、もう少し危ない対立に至ってしまうんじゃないかとか、そういった気づきってあると思うんですね。

 家庭裁判所という役割として公平中立は当然なんですけれども、裁判所に福祉的な視点や、そういった専門性の高い職員が配置されていれば未然に防げることもあるんじゃないかなと私なんかは思うわけですね。そういう意味では、家庭裁判所と福祉の連携みたいなところは、今、実際どのようになっているのか教えていただけますか。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 家庭裁判所、そもそも論としては、司法機関として個々の紛争を適切に解決することをその役割としておりますが、紛争解決に向けたプロセスにおいて、必要な範囲で、例えば、児童相談所等の関係機関から事実関係を聴取したり、また家庭裁判所から情報提供するといったこともございます。こういった連携を図る例というのもあると承知しておりまして、家庭裁判所において、司法機関としての役割を果たすべく、適切な紛争解決を図るために関係機関とも必要な連携を図っていくことが重要であるというふうに考えております。

 以上でございます。

金村委員 あえて言わせていただくと、仮に調停事件、離婚調停であれば、それは夫婦間の問題なわけですね。対立が深まれば深まるほど、その影響は子供に至ってしまうということなので、この視点って必ず必要だと思うんですね。それはなぜかというと、やはり子供の育ちって、環境ってすごい重要だと思うんですね。

 そういう意味では、大臣所信にもありました、いわゆる未成年、少年の闇バイトやトクリュウの問題。私は、子供の育ちが大切だから、裁判所からも福祉のアプローチがあってもいいんじゃないかというのが先ほどの質問で、そういう意味では、今実際にトクリュウというのは匿名・流動型ですから実態がよく分からないと思うんですね。ただ、一方で、特殊詐欺みたいな闇バイトを募集して、いろいろな方が質疑もされていますけれども、そういった安易に犯罪に手を染めてしまう。

 これは実際、例えば、近年で特殊詐欺の中で、例えば立件された、その中で十代、そしてまた二十代、こういう人たちの犯罪の件数とか、そういったところって統計はございますか。

江口政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和六年中に特殊詐欺の受け子などで検挙した被疑者は全体で二千二百二十九人となっておりますけれども、このうち十代の者は四百三十一人で全体の二割となってございます。また、二十代につきましては千十四人ということになっておりまして、こちらは割合的には、済みません、ちょっと今計算はしておりませんでしたが、四割ほどというふうに占めているところでございます。

金村委員 では、もう一つお伺いしますが、今の少年の近年の非行状況というのはいかがでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 最近の少年非行情勢につきましては、令和六年中の刑法犯少年の検挙人員が戦後最少でありました令和三年から比べまして、三年連続で増加しております。今後、その動向について注視すべき状況であるという認識でございます。

 また、令和六年は路上強盗、オートバイ盗、万引きなど多くの罪種で検挙人員の増加が見られたほか、特別法犯では大麻事犯の検挙人員が依然として高水準で推移しているなどの特徴が見られるところでございます。

 警察におきましては、こうした最近の少年非行情勢を踏まえまして、引き続き、関係機関、団体やボランティア等と連携いたしました取組を一層推進してまいる所存でございます。

金村委員 いわゆる、ここ三年、少年犯罪が増えている、その中で、薬物の事案とそれから窃盗や強盗の事案が増えている。窃盗や強盗が増えるというのは、貧困か、まさにトクリュウのような、ああいった特定の犯罪ですね、まだ解明はできていないと思うんですけれども、そういった犯罪が増えていて、そこに関わる十代が増えているというのが統計で出ていると思います。

 もちろん、罪を犯すことは、少年であってでもやはり処罰の対象になることは仕方がないと思いますが、やはりそれを、過ちを認めて、そして再起していく、その過程を、少年ですから、しっかりとサポートしていくことが国の制度として求められていく、そういう意味では、いわゆる少年院での今の矯正教育について少しお伺いをさせてください。

 私は、再犯防止、前回質疑でもさせていただきましたが、いかに再犯防止をしっかりと、教育を提供して、そして、その子たち自身が自立していくかというのが大切だと思っておりまして、少年院における矯正教育についてお伺いをさせてください。

 今現状、どんな取組をされているのか、また、実際には軽度の知的障害だったり発達障害を抱えた少年の犯罪というのが増えていると思いますので、その辺りを教えていただけますか。

小山政府参考人 少年院は、委員御指摘のとおり、家庭裁判所から送致されました少年を収容いたします施設でございます。収容されました在院者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るため、生活指導や教科指導、職業指導などの矯正教育と社会復帰支援を行っております。

 矯正教育を行うに当たりましては、在院者の年齢、心身の障害の状況及び犯罪的傾向の程度、在院者が社会生活に適応するために必要な能力その他の事情に照らしまして、一定の共通する特性を有する在院者の類型ごとに、例えば、義務教育課程や支援教育課程、これは御指摘のありました障害のある在院者の課程でございます、医療措置課程などといった矯正教育課程を設けるなどいたしまして、体系的に実施しておるところでございます。

 さらに、在院者一人一人の特性に応じた個別的な、個別的矯正教育計画を策定いたしまして、立ち直りに向けた目標を設定し、その達成度を評価するなどの方法によりまして矯正教育に取り組んでおりますほか、出院後の就労、修学等に向けた支援も行っております。

金村委員 少年が、これは成人とはまた違いますから、少年が犯罪を犯すところに私は教育は非常に影響があると思っていまして、学んでいないからこそ、その危険性とか、そういったことを顧みず手を染めてしまうというのは非常に多くあると思います。

 その上で、やはり、少年院の中で、学ぶ力、考える力、こういったものをしっかり養っていくことが再犯防止につながると思っています。また、そのカリキュラムがその人その人に合わせたコースを選択できるのであれば、より学びの深度が深まると思っています。

 その上で、例えば少年院の中で通信制の学校に通ったりだとか高卒認定を取得できたりだとか、その辺の状況というのはいかがでしょうか。

小山政府参考人 少年院の在院者につきましては、中学校卒業又は高等学校中退等の割合、そういう者の割合が六割余りを占めております。そういう状況にございまして、少年院の在院者の円滑な社会復帰を図る上では、修学のための支援というのが重要だと考えております。

 そのため、少年院におきましては、文部科学省と連携いたしまして、少年院の中で高等学校卒業程度認定試験を実施しておりますほか、令和三年度からは、一部の少年院において、希望する在院者に対しまして、少年院在院中の通信制高校への入学及び出院後の学びの継続に向けた調整等を行うモデル事業を開始いたしまして、令和六年度からは全国の少年院で本取組を実施しております。

金村委員 僕はこれは実はすばらしいと思っていて、やっぱり自信をつけていくこと、そして継続性を持って挑戦していくことは人生にとっては非常に重要な成功体験につながりますので、是非こういった取組に力を入れていただきたいですし、加えて、まず学び、教育からそういった知識を深め、そして考える力を養う、その次にやってくるのが、再犯防止について言えば、やはり自立、つまり就労ですね。

 この学びのカリキュラムのところで就労の適性のところまで結びつけられると最も再犯率は下がると私は考えているんですが、今、職業指導、職業訓練についてはどのような取組をされていますか。

小山政府参考人 少年院の在院者でございますけれども、その多くに共通する傾向といたしまして、職業に関して必要な知識や技能、それから勤労の意欲が欠けているということが挙げられるところでございます。

 職業指導を少年院で行わせていただいておりますけれども、具体的には、職場で求められます基礎的な知識や態度などを身につけさせるといった指導のほか、就業に必要な専門的知識や技能の習得等を目的といたしまして、製品企画科、ICT技術科といった種目を設けております。希望に応じまして、小型車両系建設機械運転やフォークリフトの運転といったような資格の免許も取得できるような講座も実施しておるところでございます。

金村委員 私も、トクリュウからきっかけとして少年犯罪で少年の再犯防止を改めて勉強する中で、少年院の役割というのは非常に大きいんじゃないかなと感じた次第です。

 そういった意味では、大臣、こういった今非常にアップデートされている少年院の現状、そして十代、若い人たちが犯罪に手を染めてしまってもそこからしっかりとリスタートできる社会をつくっていく、こういったことに今法務省は力を入れて取り組んでいると思うんですが、大臣の御決意をひとつお伺いさせてください。

鈴木国務大臣 今委員御指摘のとおり、少年院、これは非行を犯し、家庭裁判所から送致された少年の立ち直り、これが一番大事ですから、そういった意味で、明るく規則正しい環境の下で、一定の共通する特性ごとに類型した矯正教育課程を設けるなど、体系的に処遇を実施しているところであります。今局長からも答弁いたしましたが、就労であったりあるいは復学等々といったこともその大きな眼目になるかと思っています。

 まさにそうしたことが、今後がある少年たちでもありますので、非行の再発防止、こういったことも含めてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

金村委員 今、高齢者の中で、昔はオレオレ詐欺が一番話題に上っていたんですけれども、今はトクリュウが一番話題に上っていて、その末端にいる犯罪者はほとんどが若い人たちである。そうであれば、一度犯罪に手を染めてしまってもリスタートできる環境をしっかりとつくっていくことが犯罪そのものを減らしていくことにつながると思いますので、是非御尽力いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 訂正、どなたですか、警察庁組織犯罪対策部長江口さん。

 答弁の修正があるそうですので。

 ちょっと、今日は政府側から答弁の修正が非常に多いようなので、政府側は気をつけてください。

江口政府参考人 先ほどちょっと事前通告が必ずしもなかったものですので、申し訳ございません。

 検挙した被疑者のうち、先ほど受け子などとして検挙された二十代につきまして四割ほどと申し上げたところでございますけれども、正確に申しますと四五・五%ということになりますので、よろしくお願いいたします。申し訳ございません。

西村委員長 次に、円より子さん。

円委員 国民民主党の円より子です。

 今日は、裁判所職員の定員法の中でも、共同親権導入に当たりまして、家裁の調査官の定員について御質問したいと思っております。

 まず、裁判所職員の定数というのはどのような根拠で決められているのか、その中でも家裁調査官が今回五名の増員ということでございますが、これもどういう根拠で五人増員なのか、お伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 家庭裁判所調査官につきましては、改正家族法の成立を受けまして、各裁判所において法の趣旨、内容を踏まえた的確な調査が行われるように、具体的な調査の在り方を含めて、その円滑な施行に向けた検討、準備を行う必要がございます。

 また、現行法下での事件処理につきましても、改正法の施行に向けて、家裁調査官の専門的知見をより適時適切に活用しながら、家庭裁判所の紛争解決能力の一層の改善、向上を図っていく必要があるというふうに考えております。

 裁判所といたしましても、これまで、家裁調査官の体制整備に努めてまいりました。平成十二年から十八年までは合計六十八人増員をいたしました。また、平成二十一年に五人、令和四年に二人の増員を行ったところでございます。

 一方で、少年保護事件が大幅に減少の傾向にあるという事件動向もございます。このような状況を踏まえまして、令和七年度につきましては家裁調査官五人を増員することで、改正家族法の円滑な施行に向けた検討や準備を含めた、引き続き家庭裁判所に期待される役割を果たすための準備を進めていくということをしたいというふうに考えたものでございます。

 今後とも、各種の検討、準備の状況や、事件動向及び事件処理状況等を踏まえまして、必要な体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

円委員 今の御答弁にもありましたが、二〇二四年に共同親権が法制化されました。来年五月までに施行されますので、家裁の事件処理の件数が増えると予想されます。

 それによって調査官の仕事も増えると思いますが、どのくらいの件数が増えると予想されての五名増員なのかをお聞きしたいと思います。

馬渡最高裁判所長官代理者 改正法施行後の事件数、どのような見込みかというお尋ねでございますが、改正家族法では、離婚後の父母双方を親権者とすることを可能とする規律の見直しが行われているほか、父母双方が親権者である場合の親権行使について、父母の意見が対立する場合に対応するための裁判手続が新設されておりまして、これに伴い事件数が増加する可能性もあるというふうに考えておりますが、これらはいずれも新しい手続であるということとか、長期的なトレンドとしては離婚調停事件が減少傾向にあるといったことも併せて考えますと、施行後の事件数について現時点で具体的な予測を申し上げることは困難でございます。

円委員 それでは、先ほど篠田議員への答弁で、今現在は家裁の調査官が全国に千五百六十六名いると答弁なさっておりました。また、全国の家裁本庁五十庁には全て家裁の調査官がいらっしゃいますが、支部は二百三庁のうち百十三で五五%ということなんですが、定員を調べますと、家裁調査官は、調査官補も含めて千五百九十八人となっておりますよね。今現在は千五百六十六名。この欠員三十二名といいますのは、どのようにして補充をされたのか、その補充に関しては五名の増員でいいのかどうか、この点についてお伺いいたしたいと存じます。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 定員の数につきましては、今委員の方から御指摘をいただいたとおりということになります。様々な事情で欠員が生じるということはございますので、その点については引き続き充員に努めるというふうに考えております。

 その上で、充員に努めることは充員に努めるとした上で、さらに、今回五人の増員、枠としての増員をいただくことで、体制の整備を図っていきたいというふうに考えているというところでございます。

円委員 三十二名も欠員があって、五名の増員だけで、その後の何名かはどうするのかは今の答弁では全く定かではないんですが、ちょっとそれは後に置きまして。

 財務省に予算請求をするときに、件数によって査定されるので、事件の件数とかですね、抑制的に予算要求をしていると聞いているんですが、家裁調査官というのは事件処理の件数では測れないお仕事をされていると思うんですね、大臣もそう思っていらっしゃると思うんですが。千五百名余りしか全国にいない家裁調査官ですから、既に三十二人もの欠員があれば、それだけでも二%の穴になってしまうわけです。

 この五年間に、例えば病休者、休職者、病気による事務軽減者の現状がどうなっているか、また、調査官の健康度も重要だと思うんですが、メンタル疾患の数字もちゃんと調査なさっているならお聞きしたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。

 令和二年から令和六年までの五年間に、メンタル疾患、すなわち精神及び行動の障害による九十日以上の長期病気休暇を取得した家庭裁判所調査官の人数でございますけれども、令和二年が三人、令和三年が二人、令和四年が四人、令和五年が三人、令和六年が十二人でございます。

 また、病気による事務軽減者、これは各庁で行っていますけれども、この点は集計をしておりませんので把握をしておりません。

円委員 急激に十二人に増えているということで、これも、メンタル疾患はなぜそんなことが起きるのか、個人情報もかなり関係しますので調査は難しいかもしれませんが、もしできれば調査もしていただきたいとお願いを申し上げておきます。

 それで、さっきの三十二人もの欠員の件もありますけれども、調査官五人の増員ではとても足りないと私は思っているんです。今回、民法改正八百十九条七項では、DVのおそれの有無、また、その他、父母が共同して親権を行うことが困難であると認めるときは単独親権とするとされてはおりますが、すんなりと親権が決まらない場合、調査官には、子供の声を聞く、バックグラウンドを調査するために、父母双方への聴取や、保育園や学校、その他子供に関わる関係者への調査、さらには、子供への調査などが必要だということは御存じのとおりです。

 裁判所の外も含めて、幅広い、そしてきめ細かな仕事が求められますが、十二日の質疑で我が党の小竹議員の質問への答弁でも、家裁調査官は、親権変更の調停などで、意見表明の難しい年齢の子供については、親だけでなく、保育者等にも話を聞くため保育園にも行くと答えられましたが、共同親権が導入されれば、今まで以上に子供の意向が重要になります。

 皆さんは、子供たちのためにも、少ない人数で調査官の方々は頑張られるんだと思いますけれども、スーパーウーマン、スーパーマンではありませんから、病気になることもあるかと思います。

 また、調査結果というのは、何と十数ページの報告書を作成することにもなり、その労力は大変な時間を要するものだと思います。

 このDVのおそれなどを争うケースをどのように調査するのか、そういうケースはどのくらいあると見込まれているんでしょうか。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 子をめぐる紛争のある事件における家裁調査官の調査におきましては、子の安全、安心を確保することを最優先として、事案の内容に応じて様々な事情を総合的かつ適切に勘案して検討するように努めております。

 例えば、子供のDVのスクリーニングみたいな視点というのも調査事務の中に取り入れるということが子の安全、安心の確保に有益であると認識しているところでございまして、これまでも、家庭裁判所調査官の研修や研究におきまして、大学教授等の講師を招聘して講義を受けたり、事例を基にした検討を行うことなどを通じて、スクリーニングの視点なども踏まえた調査というのを進めることの重要性を共有してきて、実際の調査事務でも生かされるようになってきているところでございます。

 こういった取組もしっかりやっていきたいと考えておりますが、改正法施行後に、じゃ、こういった子のDVがどの程度の事案で問題になっていくかということは、問題となる程度は様々なので一概には申し上げにくいというところでございますが、一定数はあるんだろうというふうに思って、そういった前提で、しっかりと、引き続き研修等についても取り組んでいきたいというふうに考えております。

円委員 どのくらい件数が増えるかの見込みがほとんどつかめていらっしゃらない状況下で調査官五人というのを決められた、その数の決め方がちょっと私には分からないんですが。

 面会交流というのは、取決めがあるかどうかは、これは共同親権か単独親権かというときに大変重要な一つの決め方の要素になると思うんですが、厚労省のアンケートでは、面会交流を取り決めなかった理由に、配偶者からのDVがあったからが三・八%です。法務省のアンケートでは、これは聞き方が違うんですけれども、配偶者からDVがあったからというのが一%で、連れ去りや虐待の可能性があったからが三・八%。

 こういう両方の省庁の調査を見ますと、共同親権をためらう理由として、多分、DVや虐待が四、五%に上るのではないかと考えられます。そうしますと、共同親権か単独親権かというのを決めるときに、かなりの紛争が起きる。調停に上げられて、調査官の仕事も増えるのではないかと予想されておりますので、私は、とても五名では足りないので、しっかりとその辺り、先ほどの欠員も含めて、頑張って調査官の補充をしていただきたいなと考えております。

 次に、調査官の研修についてはどのようなものをやっていらっしゃるか、お伺いします。

 研修内容は、以前は一流の外部講師から講義を受けられたのに、予算が削られて、ベテランの調査官が新人調査官へ指導するというような、内部講師の割合が増えてしまっていると聞いております。

 今回導入される共同親権、単独親権についての紛争が多くなることを考えますと、調査官の方々にも、賛成派、反対派の両方の学者からしっかりと学べるような研修が必要だと考えております。例えば、先ほどお答えにもちょっとありましたが、オーストラリアなどでは、ファミリーロー・ドアーズといったDVのスクリーニングをしております。

 家庭裁判所では、こうしたアセスメントを例えば調査官の調査のときに取り入れるということが必要だと思われるんですが、こういうことはなさっているという、やりたいと先ほどおっしゃっていましたが、人員の増加だけではなくて、ツールの習得や研修も必要かと思いますが、御見解はいかがですか。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 先ほど、ちょっと先走って今のお尋ねについても実質答えてしまったのかもしれませんが、御指摘のとおり、家庭裁判所調査官を含め、裁判所職員が必要な専門的知見を身につけるということは非常に重要だと考えておりまして、最高裁判所におきましては、これまでも、家庭裁判所調査官を対象として、例えば、子のニーズに着目した子の監護者指定等をめぐる事件の調査事務や、DV、虐待、子の意向、心情等の様々な考慮要素を踏まえた親子交流をめぐる事件の調査事務、さらに、夫婦間の紛争が子の精神発達に及ぼす影響についての研修等を行うなどして、専門性の向上に資する方策を講じてきておるところでございます。

 先ほど申し上げたようなスクリーニングの関係でも、大学教授等の講師を招聘して講義を受けるなどもしてきておるところでございまして、引き続き、改正家族法の施行を見据えた研修というのをしっかりと最高裁としてもやっていきたいというふうに考えているところでございます。

円委員 今現在でも、家事事件手続法に基づいて、子供の代理人として弁護士を選任できるようになっていますが、希望する弁護士が少なく、需要に対して供給が足りていない現状があるそうです。

 こういった事情を考えますと、親権をどうするかを調査する過程で、法律の知識を持ち、中立の立場で子供に状況を伝えた上で、子供の意思を正確にヒアリングできる専門家として、弁護士以外にも、心理司、アドボケートなどが関わっていけるような仕組みを取り入れる方がよいと考えますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今おっしゃいましたように、基本的には弁護士ということになっていますけれども、子供の手続代理人のことにつきましては、法律事務に精通していない当事者の利益を保護するなどの観点から、そうした運用になっております。

 子供の手続代理人が選任される家事事件につきましては、子の監護や親権をめぐる紛争など、紛争性が高い困難な事案が多いということが考えられますので、そういった観点からは、子供の手続代理人として、弁護士だけではなくて、今おっしゃいましたような心理司であったり、あるいはアドボケートなどを選任することができる新たな仕組みを設けるということについては、慎重な検討が必要というふうに考えております。

円委員 是非、慎重ではなく、積極的にやっていただけたらと考えております。

 そもそも、需要に対して供給が足りていないというのは、弁護士報酬が支払われるのかどうか、また、それがすごく少ないということもありまして、やはり、子供の代理人として関わっていくときに、子供は報酬を払えませんよね。親も、なかなか、自分たちのためには弁護士をつけても、子供のためにまで弁護士報酬を払うということができないのかもしれません。

 これは、一層子供の権利を守るためにも、国が代理で子供の弁護士をつけるというようなことを考えられませんでしょうか。大臣に是非お聞きしたいと思います。

松井政府参考人 御指摘のとおり、子供の手続代理人として弁護士がなるに当たっては、報酬をめぐる費用の問題というものがあるというふうに承知をしております。

 この点につきましては、紛争が私である私人間の紛争であるということでございまして、その点について国費を投入することについては慎重な検討がなお必要だろうと考えております。

円委員 是非とも、今、子供の数が減っている中で、今いる子供たちを守るためにも、両方の検討を是非お願いしたいと思っておりますが。

 子供の代理人として関わっていくときに、調査官の仕事というのは大変重要なんですが、今、働き方改革と秘密漏えいの観点から、家裁調査官は残業や自宅での仕事が禁止されております。もちろん、働く時間の短縮は大事ですし、残業や自宅への仕事の持ち帰りはない方がいいに決まっていると私も思いますが、事件数が増えて仕事量は増えているのに、働く時間に制限がかかっているので、本当に、黙々と仕事をし、トイレに行くような時間も惜しんで、心身共に擦り切れてしまっている調査官たちが多くなっていると聞いております。

 例えば、今はもう家事事件が、報告書が開示になりましたので、今はこういったことはないんですが、少年事件が大量に発生した時代には、A票、B票、C票、D票という各文章量の差のある報告書用紙を作って、大容量のA票は使わず、じゃんじゃんD票を使って済ませるというようなこともあったそうですので、調査官の人たちもそんなことはしたくないでしょうから、だからこそ、本来の仕事ができるように、これからも、ただただ効率性やスピードで測れる仕事ではありませんから、家裁調査官をもっと増やして、そして、働く環境整備をしっかりと、仕事のしやすい環境整備を実現していただきたい、その思いで大臣の決意をお聞きして、最後の質問といたします。

西村委員長 鈴木大臣、時間が来ていますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

鈴木国務大臣 家庭裁判所調査官ということで、裁判所における職場環境あるいは体制整備の問題と思います。裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえて、最高裁判所において適切に判断をされるべきものと考えております。

 私どもといたしましても、裁判所関連の法律を所管する立場から、引き続き、裁判所の判断、最高裁判所の判断を尊重しつつ、適切に対応してまいりたいと思います。

円委員 終わります。

西村委員長 次に、大森江里子さん。

大森委員 公明党の大森江里子でございます。

 質疑の時間を頂戴し、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 今回の定員法の改正では、家庭裁判所調査官を五人増員することとしています。これまで、家庭裁判所の調査官の人員については、多方面から人員不足を指摘するお声を伺っております。ほかの委員の皆様方と重なってしまう質問もございますが、とても大事なことだと認識しておりますので、私からも改めて質問させていただきます。

 委員の皆様の中には名立たる弁護士の先生や司法に関わってこられた方たちも多いため、大変に恐縮ではございますが、まずは家庭裁判所についてです。

 最高裁判所の資料によりますと、家庭裁判所は、離婚や相続などに関する家庭内の紛争及び非行のある少年の事件を専門的に取り扱う裁判所として、昭和二十四年一月一日に誕生しました。紛争や非行の背景にある原因を探り、どのようにすれば家庭や親族の間で起きたいろいろな問題が根本的に解決され、非行に及んだ少年が再び非行に及ぶことがないようにしていけるのかということを第一に考え、それぞれの事案に応じた適切、妥当な措置を講じ、将来を展望した解決を図るという理念に基づいて創設された裁判所です。家庭に光を、少年に愛をというのが家庭裁判所創設当時の標語であり、家庭に平和を、少年に希望をというのがその後に作られた標語ですが、これらの言葉は、こうした家庭裁判所の理念、役割を象徴しているものと言えましょうとあります。

 昨年、民法が改正され、離婚後の共同親権が可能になり、来年五月までに施行される予定です。改正法では、父母が離婚した後も子供の利益を確保することを目的として、子供を養育する親の責務を明確化することなどが定められています。家庭裁判所は、今後ますます重責を担うことになると予想されます。本日は、家庭裁判所の調査官の人員状況についてお伺いさせていただきます。

 この度の定員法の改正では調査官が五人増員される予定ですが、過去十年で見ますと、調査官の増員は令和四年度に二人増員されただけです。これまで調査官の増員が余り行われていない理由をお聞かせください。

    〔委員長退席、鎌田委員長代理着席〕

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 家裁調査官につきましては、これまで、必要な体制整備に努めてきたところでございます。先ほど委員から過去十年ということで御指摘をいただいたところであります。確かに、この十年で見ますと令和四年に二人というところでございますが、平成十二年から十八年までには合計五十八人の増員を行いました。また、平成二十一年にも五人の増員を行ったところでございます。

 その一方で、繰り返しではございますが、少年事件につきましては大幅な減少傾向が続いているというところでございます。足下の令和五年、令和六年は増加しているところはございますが、やはり、全体として見ると大幅な減少の状況にあるというふうに考えているところでございます。このような事件動向を踏まえまして、各裁判所において、これまで、事務分担を随時見直すといったような形で、家事事件の処理のために必要な体制整備を行ってきたというところでございます。

 そのような状況の中で、令和七年度につきましては、家裁調査官五人の増員を行うというところでございまして、改正家族法の円滑な施行に向けた検討、準備を含め、家庭裁判所に期待される役割を果たすことができるのではないかというふうに考えているところでございます。

 今後とも、事件動向や事件処理状況等のほか、適切な審理運用の在り方等の検討、準備の状況等を踏まえまして、必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。

 先ほど、失礼いたしました、五十八と申し上げてしまったかもしれません。六十八でございますので、訂正させていただきます。

大森委員 ありがとうございました。

 過去には大幅な増員もということでしたが、近年はそれほどの増員は行われていないと思いますので、ちょっと状況は承知いたしました。

 続きまして、またこれも重なってしまう質問になるかと思いますが、家庭裁判所は全国に設置をされておりまして、今までの御質問の中でも全国の設置数を教えていただいたところでございます。改めて、調査官が常設で配置されていない家庭裁判所の数について教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えをいたします。

 家庭裁判所の本庁の数は全国で五十庁、そして、支部の数は全国で二百三庁、家庭裁判所出張所の数は全国で七十七庁ということでございますが、そのうち、調査官が配置されている庁、本庁につきましては五十庁全て、そして、支部につきましては二百三庁のうち百十三庁に配置されております。残りの支部九十庁、それから、申し上げました出張所には配置されていないという状況になっております。

大森委員 ありがとうございました。

 出張所については常駐の調査官はいらっしゃらないということで承知いたしました。

 離婚による子供をめぐる紛争においても調査官によって様々な調査が行われているそうですが、調査官の調査内容や調査の進め方、そして報告書を提出するまでの平均日数など、お分かりになりましたらお聞かせください。

    〔鎌田委員長代理退席、委員長着席〕

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 家庭裁判所調査官は、子をめぐる紛争のうち、例えば子の監護をめぐる事件におきましては、子や親とそれぞれ面接をしたり、必要に応じて関係機関の調査等を実施して、子の監護状況や生活状況、また心身の状況、また子供の意向や心情等を把握するように努めております。ただ、どのような調査をするかは、具体的には事案に応じるということになります。

 また、お尋ねの調査期間の平均日数につきましては、統計を取っておりませんので統計的な数値はお答えすることは困難なんですが、事案の性質や調査の内容に応じて調査期間にも長短はあるものの、おおよその感覚で申し上げますと、調査命令を受けてから調査報告書の提出までの期間は、多くの場合、おおむね一、二か月程度ではないかと考えているところでございます。

大森委員 ありがとうございました。

 子供をめぐる紛争の際ですが、調査官によって子供との面接など多角的に調査していくとのことで、調査官が関与することの重要性を改めて感じております。しかし、地元の方などの多くの方から、家庭裁判所の人員不足、特に調査官が不足しているという話をよく耳にします。本来は調査官による丁寧な調査が必要な事案であっても、調査官が足りないため、調査官をつけられない事案や調査を簡略にせざるを得ない事案があるのではないかと懸念しております。

 調査官が配置されていない家庭裁判所で調査官が必要な事件があった場合、これまでどのように対応なさってきたのか、お聞かせください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 家裁調査官の具体的な配置につきましては、事件数のみならず、近隣の支部からの交通事情でありますとか扱っている事件種別、事件処理状況などを総合的に踏まえた上で、必要な体制を整備しているところでございます。

 事件数が少ない庁につきましては、人員の有効活用の観点から、家裁調査官を配置していない庁があるということで、先ほど申し上げたような状況になっているというところでございます。

 このような家裁調査官が配置されていない庁につきましても、近隣庁に配置されている家裁調査官が当該庁に出向くなどして事件を担当することで、事件処理に支障が出ないように必要な体制整備が整えられているところでございます。

大森委員 ありがとうございました。

 事件の状況によってほかの家裁から派遣されるよりは、調査を十分に行うためにも、できれば現地に配置されていることが望ましいと思いますので、更なる改善を御検討いただきたいと思っております。

 調査官の仕事内容をお聞きすればするほど、事案ごとの調査内容の多さや相当な調査期間を要することが想像されます。調査官の仕事の状況や現場での課題、各調査官が抱えている件数や要望など、最高裁はどのように調査官の実情を把握しているのか、お伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 最高裁といたしましては、事件種別ごとの事件動向や審理の状況、家裁調査官の関与の有無や関与の態様等につきまして、統計データの分析によるほか、各種協議会あるいは下級裁との意見交換の機会に、各庁の家裁調査官の事件処理の実情の把握に努めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、例年、首席家庭裁判所調査官による協議会等を複数回実施したりしまして、家裁調査官の職務の状況や内容、現状の課題及びその改善に向けた対応策等を協議しております。

 これらの協議を通じまして、全国の家裁におきます家裁調査官の職務の状況や諸課題を把握、共有し、課題の改善に向けた対応に努めているところでございます。

 引き続き、こうした手法も活用しながら、現場の実情の把握に努めてまいりたいと考えております。

大森委員 ありがとうございました。

 是非、全国の家裁にも出向いて、実際の現場の状況をつぶさに見ていただきたいと思っております。そういう機会を増やしていただくことを是非お願い申し上げます。

 特に、子供をめぐる紛争については、子供の利益を優先し、子供の思いや意見の確認を丁寧に行うために、できれば全ての事案で調査官がつくべきだと思っておりますが、現状はいかがでしょうか、お聞かせください。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 家事事件手続法六十五条、二百五十八条で調停事件に準用されておりますが、この規定に基づきまして、家庭裁判所は、未成年の子がその結果により影響を受ける事件において、適切な方法により、子の意思を把握するよう努めるものとされておりまして、事案の内容や子の年齢、子を取り巻く状況等に応じて、家裁調査官の調査の方法によるほか、書面により子の陳述を聴取したり、また、子のふだんの様子を見ている父母から聴取したりするなどして、調停委員会等において、事案に応じた適切な方法により、子の意思を把握しているものと承知しております。

 その上で、全国の家庭裁判所における子をめぐる事件のうち、親子交流、子の監護者指定及び子の引渡事件のそれぞれについて見ますと、八割前後の事件については家庭裁判所調査官が関与しているところでございまして、関与すべき事件については適切な形で関与しているものと承知しているところでございます。

大森委員 ありがとうございました。

 来年までに施行される民法等改正法は、父母の離婚に直面する子の利益を確保するためのものです。子供を囲む環境を知り、子供に本当の気持ちを話してもらうには時間がかかると思いますし、簡単なことではないと思います。ですが、調査官が子供に寄り添い、子供が表現する様々なメッセージを受け止めて、子の利益を確保する解決につなげることができると思っております。

 全ての子供をめぐる紛争には調査官をつけるべきだと思っておりますが、今後の御見解をお聞かせください。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今般の家族法改正が、父母の離婚に直面する子の利益を確保することは重要であるといった理念に基づくものであるということは、委員が今御指摘されたとおりだと我々も認識しております。

 その上で、個別の事案において家庭裁判所調査官を関与させるかどうかということにつきましては、子をめぐる紛争の程度やその内容、子の状況その他の事情を踏まえて、調停委員会等において適切に判断されるべきものと考えております。

 最高裁といたしましても、各家庭裁判所で適切な審理運営がされるよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

大森委員 ありがとうございました。

 子供の気持ちに配慮し、子供の思いを受け止めるためには、調査官の役割は重要であると思っております。子供が将来幸せに暮らせるような解決に結びつくよう、全ての事案に調査官をつけていただきたいと強く思っております。

 調査官の仕事は、非常に専門性の高い知見や技法の習得を必要とします。社会情勢を考えますと、家事事件の内容は複雑化し、家庭裁判所の果たす役割はますます大きく、調査官を必要とする事件は増えていくのではないかと思っております。専門性の高さゆえ、研修や育成に年数を要する調査官は、急な増員の対応は無理だと思っております。来年の離婚後共同親権の施行後も見据えた調査官の増員を是非計画していただきたいと強く希望を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、名古屋地裁管内で裁判官の退職が相次いでいる問題について伺いたいと思います。

 資料の一、中日新聞の記事です。二〇二三年から二〇二四年九月までで十二名が辞めています。中でも、愛知県の西三河地方を管轄する岡崎支部、私は豊田市に住んでおりますのでまさに地元の支部ですけれども、六人と突出をして辞めております。

 最高裁は原因をどのように分析をしておられるのか、お示しをいただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 依願退官というものは個々人の個別事情によってされるものでございまして、その事情も様々でございます。退官を決意する理由も必ずしも一つではないものと承知をしているところでございます。

 とは申しましても、裁判官については、事件動向等を踏まえた適切な人員配置に努めておりますほか、各地の裁判所においては、個々の裁判官の業務負担の程度について様々な形で把握するように努めて、必要に応じてその働き方について助言をしたり、事務負担を見直したりするなどしているものと承知をしているところでございます。

 先ほど申し上げたとおり、依願退官の事情はいろいろ様々ではあるとは思いますけれども、今後とも個々の裁判官の状況等を把握して、ワーク・ライフ・バランスを実現できる執務環境の整備にも努めてまいりたいと考えております。

本村委員 岡崎支部、豊橋支部に対してどういう助言がなされているんでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 御指摘の豊橋支部、岡崎支部、それぞれでどういう助言をしたか、これは個別のことになりますので、こちらで把握していないところでございますけれども、状況に応じて働き方等について当然ながら助言等もされていたのでないかというふうに考えております。

本村委員 いつも、こういう職員の方の問題も含めて、各庁において適切に把握し適切に対応しているというふうに言って、最高裁の方は把握していないわけなんですね。そうした答弁に私は心底いつも失望しているわけです。日本の人権のとりでである裁判所が、本当に血の通った組織として、特に幹部の方にはそうした対応をしていただきたいというふうに強く思っております。

 この一の資料の中日新聞には、全国転勤の負担ということでも指摘をされております。勤務地によって不公平があることにうんざりしたという声です。地域手当などによってかなり年収の差が出てしまうという問題がありまして、私は、東京に合わせて全部二〇%にした上で、地域手当というものはなくして所得をちゃんと保障していくということが必要だというふうに思っておりますけれども、そういう地域間格差があると。

 そして、名古屋地裁の豊橋支部の裁判官だった方の声が載っておりますけれども、豊橋支部では、裁判官は支部長を含め五人だ、本庁には医療や労働の専門部があるが、支部は全部やらないといけない、民事の裁判官も刑事の裁判の一部を担う、常に二百件近くの事件を抱え、資料の読み込みに追われたというふうに書かれております。

 そして、資料の二は、これは毎日新聞ですけれども、豊橋支部の実情が書かれております。

 裁判官は帰宅後も深夜まで仕事の資料を読み込み、土日も出勤して判決文や和解文の作成に追われたと記事には書いてあります。休日返上で書類を仕上げる、三か月間で休みは五日しかなかったというふうに書かれております。そして、どれだけ働いても、休日手当や時間外手当は支給されない、裁判官は深夜、早朝の令状発付に備えて宿直の勤務もある、月四日だ、宿直手当も宿直室もなく、豊橋市外から勤務している裁判官は自己負担でホテルに泊まらざるを得なかった、労働事件で会社が出張旅費を出さないと言えば、会社側は負ける、そんな判決を言い渡す裁判官が、宿直旅費を自己負担しているのはおかしいのではというふうに憤って書いてあります。

 裁判官の多忙さというのは、司法サービスの低下にもつながっているのだというふうに記事に指摘をされております。証拠保全の手続は、ほかの仕事の合間を縫い現場に出向いていた、証拠保全は決定後、数日以内に実施されるのが通例だが、人手不足で約三か月かかることもあった、その間に証拠の破棄や改ざんをされる可能性もあるというふうに書かれております。

 こういう裁判官の働き方や処遇を改善しなければ、なり手は減る一方です。退職が相次いで、そして、こうした事例をお示しをしても、原因は知らないで済ませようとしているんでしょうか。最高裁、お答えをいただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘の多忙の関係ですけれども、その点については、先ほど御説明申し上げたとおり、その働き方等についてそれぞれの工夫あるいは助言などを通じ、あるいは事務負担の見直しなどを通じ、改善をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、異動の点の御指摘もございました。裁判所におきましては、全国に均質な司法サービスを提供するほか、地方と都市部の勤務の公平を図るという必要もあることから、異動は避けられないところでございます。その点は、職員の任用、配置に当たっては、面談等を通じて把握する本人の任地や担当職務等の希望も踏まえて、家族等の事情にもきめ細かく配慮しつつ、適材適所の観点で実施をしております。

 いずれにしても、適切な司法サービスが実現できるよう、体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 もう一つお伺いしたいんですけれども、質問の順番を変えますけれども、この間、女性差別撤廃委員会から勧告が出されております。それは、裁判所に対しても書かれております。女性差別撤廃条約の国内適用に関する司法機関及び法執行機関の能力開発の不足により、法的手続における条約の使用が制限されていること、これが懸念する点として書かれておりまして、そして、締約国に対し、裁判官、弁護士及び法執行機関の専門家に対して、条約、委員会の一般勧告及び選択議定書に基づく法解釈に関する能力開発を強化し、法的手続においてそれらが十分に考慮されることを確保することを勧告する、あるいは、子供の親権と面会交流権を決定する際にジェンダーに基づく暴力に十分配慮することを確保するため、裁判官と児童福祉司の能力開発を強化、拡大する、このことも勧告をされております。

 裁判官がこんなに忙しかったら、そうした研修、学ぶ機会、ちゃんと確保できているんでしょうか。お答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の研修、研さんとしては、もちろん、OJT、自己研さんというものが基本ではございますけれども、司法研修所におきましても各種研修を実施しておりまして、例えば、人権に関する条約への裁判官の意識を高めるため、国際人権法に関する研修なども行っているところでございます。

本村委員 これだけ多忙で、休日も返上で働いている。この岡崎支部は、性暴力被害者に対して、実の父親から性虐待があった、それが無罪判決が出されたところなんですね。ですから、とりわけジェンダー平等に関する教育をしていただきたい、そういうふうに思っております。こういう忙しさも一つの原因ではないか、全く不当な判決が出る、そうした背景にあるのではないかということも痛感をしております。

 裁判官がこれだけ忙しいということは、裁判所の職員の方々もかなり忙しいという現実があるというふうに言わざるを得ません。岡崎支部や豊橋支部は、多忙で職員の方々も転勤に行きたがらないところだというふうに聞いております。裁判官も調査官も職員の方々も、増員をしていただきたいというふうに思います。

 そして、この裁判所の職員の方々なんですけれども、一般職の方々、九十日以上の長期病休取得者がついに二百人を突破してしまったということを伺いました。

 全司法の皆様からお話をお伺いをいたしますと、二〇二四年九月一日現在における一般職員の九十日以上の長期病休取得者の総数は、裁判所全体で二百十八人に及んでおります。そのうち精神及び行動の障害による長期病休者は百八十八人に、昨年も私、質問させていただきましたけれども、また増えております。この原因をどのように分析をされておられますでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 精神及び行動の障害による長期病休者等の関係が増えているということの御指摘でございました。

 なかなか、この病休の原因というのは、人それぞれ、個別様々な事情がございます。仕事の事情もあるかもしれません、あるいは家庭の事情等もあるかもしれません。様々な事情があるので、これがということは申し上げにくいんですが、ただ、これらのその原因はさておきましても、裁判所の中においても、ワーク・ライフ・バランスを実現できるような方策を対応していきたいというふうに考えております。

本村委員 それでは、昨年も質問させていただいて、また増えているわけです。その原因をちゃんと、さておきじゃなくて、原因をちゃんと分析して、対策を取るべきじゃないですか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原因を分析して原因を取り除くということは重要であるとは認識をしているところでございます。

 裁判所におきましては、例えば、職員が自らの不調に気づくための知識、これを付与したり、あるいは、部下職員にメンタルヘルス不調が発生した場合でございますけれども、管理職員が早期に発見して対策を取ることができるような知識付与、これを行うことなどしてきたところでございます。

 引き続き、職員の健康保持に向けた取組も進めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 じゃ、原因分析というのはちゃんとやるんですね。そのことをお答えをいただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、原因を分析して原因を取り除くことは重要であると認識しております。それぞれの個別事情がございますので、どこまでできるかということはございますけれども、これは重要であると思っておりますので、それは可能な範囲でやってまいりますし、先ほど申し上げたとおり、職員の健康保持に向けた取組は進めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 名古屋地裁管内の相次ぐ退職の背景や、二百人を突破した一般職員の方々の九十日以上の長期病休取得者などの問題に鑑みれば、裁判官、職員の増員こそ本質的な解決の道だというふうに思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今、委員の方からいろいろな問題を御指摘をいただきました。

 裁判所において全ての職員が心身共に健康で職務に精励できるよう、ストレスチェックや、あるいは外部講師による講演会の実施、カウンセラーによる相談体制の整備や、職員が自らの不調に気づくための知識付与などにも取り組んでおります。

 また、病気休暇を取得していた職員の職場復帰に当たっては、職員の主治医や裁判所の健康管理医の意見を踏まえて、職場において必要な環境整備を行い、円滑な職場復帰が可能となるように努めているところでございます。

 その上で、裁判所の人的体制につきましては、これまでも、各庁の事件動向や事件処理状況等を踏まえて、各庁における必要な体制を整備してきたというところでございます。

 今後とも、各庁各部署における実情をきめ細かく把握しつつ、裁判事務に支障が生じないよう、必要な体制の整備に努めてまいります。

本村委員 六月からは、児童虐待等の一時保護について司法審査が始まります。そして二〇二六年からは、非合意共同親権を含む改定民法の施行も予定をされております。業務が増えるのに人を減らす提案になっております。これでは本当に一人一人の子供さんに寄り添ってやっていただけるのか、このことも大変懸念をしております。是非抜本的な増員を求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、吉川里奈さん。

吉川(里)委員 参政党の吉川里奈です。

 本日は、裁判所職員定員法一部改正案について質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本法案、裁判官以外の裁判所職員の数について、過去十年を見てもおおむね小幅な改正が毎年行われており、国民の皆様にはなかなかこの意義が分かりにくいかと思います。DXの時代、事務の合理化や国会事務のリソースの有効活用という観点からすると、毎年ではなく、複数年単位で定員を見直すということも検討すべきではないかと思うんですけれども、大臣の見解をお聞かせいただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 この法改正のやり方ということですけれども、例えば、ほかの行政機関職員定員法等であれば、その定員の最高限度枠を定めて、具体的な定員の定めについてはそれぞれの規則に委任する、そういったこともあります。

 そういったことを行えば、定員の計画的、弾力的な運用や、あるいは機動的な対応、こういったことは可能となる、そういった長所はありますけれども、同時に、こうした場合に、定員数の最高限度、これをどう定めるかというところで、やはり中長期的な事件動向等々の予測がこれは必要になってきます。そうしたことが実際できるのかどうか、こういったことの可否を含めて、まずは裁判所において検討いただくべきものであろうかと思っております。

 そして、事件の適正迅速な処理を図るためには、事件動向を踏まえた人的体制の充実のほか、実務上の運用改善や手続法などの制度改正を含めた総合的な取組が必要でありますので、そうした取組を踏まえた裁判所の人的体制の整備の必要性について、こうした形でこの法改正のように国会で審議をいただくということにもまた意義があるのではないかと考えています。

吉川(里)委員 次に、令和八年までに施行の改正民法では共同親権導入や面会交流の充実が進められますが、その適切な運用には、子供の状況を調査し、裁判所の判断を支える家裁調査官の役割が極めて重要です。

 全国の調査官は約千六百人にとどまり、家庭裁判所二百五十三庁のうち約三分の一に当たる九十支部には常駐しておらず、必要なのに調査官が関与しない、調査が遅れるといった声が現場から上がっております。

 また、令和五年の日弁連人権擁護大会でも、調査官の増員、非常駐支部の解消、子供の意見を聞く機会の確保が求められ、各地の弁護士会や関係団体からも増員要望が続いております。

 最高裁は、家裁調査官の人員体制や業務負担の現状について、どのような機会に関係団体からの意見を聴取しているのか、お聞かせください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、家庭裁判所調査官の事務処理状況をどうやって把握するかということにつきましてですが、事件種別ごとの事件動向や審理の状況、家裁調査官の関与の有無や関与の態様等について、統計データの分析によるほか、各種協議会や下級裁との意見交換の機会等に、各庁の家裁調査官の事件処理の実情の把握に努めてきているところでございます。

 引き続き、こういった手法を活用しながら、現場の実情を把握することに努めてまいりたいと考えております。

 また、裁判の利用者など、広く国民の意見や要望等を伺う機会を得るということは重要であるというふうに考えております。関係する方々から、具体的な実情や要望について書面をいただくなどをしているところでございます。

 今後とも、限られた人的資源を有効に活用しつつ、全国的な観点からの体制整備や司法サービスの充実を検討してまいりたいと考えております。

吉川(里)委員 いろいろな声を聞いてくださっているということではありましたが、今回の五人の増員では、実質的な人材不足の解消につながるとは私は思い難いので、是非、様々な声を聞いていただき、人員の確保をしていただきたいと思います。

 次に、先ほどの本村議員の事例と重なり大変恐縮ではございますが、昨年十一月の記事の配付資料を御覧ください。名古屋地裁管内で、裁判官が自腹で泊まり勤務をするほど激務である、そして、おととしから昨年九月まで十二人が離職したと報じられております。

 裁判所のデータにおいても、全国で定年者以外の離職者が毎年五十人に上っている、こういったこの現状を踏まえて、裁判所は離職防止に向け具体的な対策を何か講じる考えがあるのか、お聞かせください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 依願退官は個々人の個別事情によってされるものですので、その事情も様々でございまして、退官を決意する理由も必ずしも一つではないところでございます。

 とはいえ、裁判官のワーク・ライフ・バランス、これは重要であると考えております。各庁の事件動向等に応じた裁判官の配置に努めるとともに、各庁の実情に応じて担当事務の分担の仕方の工夫をするなどの配慮を行いますとか、仕事と育児や介護等の両立支援制度の周知に努めるなどして、今後ともワーク・ライフ・バランスを実現できる執務環境の整備には努めてまいりたいというふうに考えております。

吉川(里)委員 ワーク・ライフ・バランスについてしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、私は、この記事で気になったのは、仕事にはやりがいを感じていたし、仕事が嫌で辞めた人はいないという元判事のコメントがありました。政府として適切な定員の増員を行っているとはいえ、裁判官、家裁調査官において離職者、休職者というのは増えている実態がございます。

 裁判官は、法律に基づき、国民の権利を守るため、正当な判断を下し、争い事を解決する。そして、家裁調査官も、家事事件、少年事件の背景調査や話合いのサポートを行う専門職員であり、両者共に重要な役割を果たしております。

 迅速な事件解決にはまず人材の確保、拡充が最優先されるべきであり、職務に就かれている皆様へアンケート調査を行うなど、現場の声を直接把握していただくことも必要かと思います。

 事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだという子供の頃に見ていたドラマのせりふを、私は今回思い出しました。表面的な解決ではなく根本的な解決をするためにも、是非、政府には適切なアプローチでこの問題に本質的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、島田洋一さん。

島田(洋)委員 日本保守党の島田です。

 裁判所の仕事がいかなる形でどの程度増えるか減るか、これは今後どういう法案が成立していくかにもよると思うんですけれども、そこで一例として、二〇二二年に立憲民主党が提出された選択的夫婦別姓法案、この法案では、別姓を選んだ夫婦の間で、子供の氏に関する協議が不調に終わった場合、家庭裁判所の審判を求めるということになっています。

 どういう基準で判断するか分からないと、家庭裁判所、それから調査官も、どのぐらいの作業をどういう格好でやるのか分からない。これは、子供の氏を早く決めないといけないので、迅速に処理しないといけないわけですけれども、これは法務省の方でもシミュレーションされていると思うんですが、どういう基準で家庭裁判所が審判を成立させるのか、この大体のイメージを、大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 御指摘の案の詳細は承知をしていませんが、実は、選択的夫婦別氏導入の場合に子の氏をどのように定めるのか、平成八年までの法制審での議論においても、子の出生時に父母の協議により定めるとする案も検討されていたと承知をしております。

 ただ、この案については、子の氏について父母の協議が調わない場合には家庭裁判所の審判で定めることとしても、その判断基準を設定することは難しい、性質上、審判に親しまないのではないか、そもそも、子の氏を父母の意思によってではなく国家機関が定めるとする制度の在り方が望ましいのかといった指摘があり、採用されなかったものと承知をしております。

島田(洋)委員 次に、難民認定をめぐる訴訟が今後増えてきた場合に、そちらの方に、もちろん裁判所それから法務省、入管庁も相当時間、人員を取られると、ほかに手が回らない、しわ寄せが寄るということにもなりかねないんですが、そこで、一昨日もお尋ねした自称LGBTのチュニジア人男性、この男性に関して、大臣は、この方は国による迫害は受けていない、したがって難民とは認められないという認識を示されましたけれども、ところが、大阪高裁は違った判断を示した。昨日が上告の期限だったわけですけれども、まず、上告したのかしなかったのか、その理由も含めてお願いします。

鈴木国務大臣 まず、今御指摘いただきましたように、今回のこの訴訟の第一審において、私どもとしては、LGBTであることのみを理由に政府による迫害を受けるおそれがあるとしたこと、さらには、原告が非国家主体から迫害を受けており、国籍国の効果的な保護を受けることができないとしたことに不服があったために控訴をしたものでありました。

 本判決、特に高裁の判決においてかかる不服の申立てを受け入れられなかった、このことについては誠に遺憾であります。ただ、これは、私自身もそれは非常にそういった感じを持っておりますが、ただ、一方で、最高裁への上告及び上告受理申立ての理由、これが、法令上、憲法違反や法令の解釈に関する重要な事項を含むものに限定をされていまして、事実認定については、これをし得る余地がないということもございました。

 そういったことで、この判決内容について慎重な検討を重ねた結果、そうした憲法違反とか法令解釈に関する重要な事項と言えるようなことが、そこが見当たらなかった、残念ながらということで、そうしたことで上訴をしないということとしたものであります。

島田(洋)委員 その判断については、またいろいろ精査して議論したいと思うんですけれども。

 そこで、今後の行動ですけれども、法務大臣がこのチュニジア人男性に難民認定書を出されるのか、あるいは、過去に、クルド人のケースで、二件だったかな、高裁段階で難民認定しろという判断が出て、法務省、法務大臣は上告断念という決定をしたんだけれども、その後、再び審査、難民審査をして、もう一度難民不認定を出した。だから、クルド人に関しては、結局、難民認定されていないわけですけれども、そのように、もう一回審査にかけるということ、そういう行動を取られるのか、どっちなんでしょうか。

杉山政府参考人 今回、判決が確定したということでございまして、その判決に従って、今後の手続を進めていくということになります。判決が難民不認定を取り消したということでございますので、それを踏まえた手続を進めていくことになろうかと考えております。

島田(洋)委員 今の答弁では肝腎なところは分からないので。だから、もう一回難民審査にかけるのかどうか、これをお願いします。

杉山政府参考人 失礼いたしました。

 この判決をもって直ちにということではなく、今後手続を進めていく中で、判決がこういう判断をしている以上、最高裁の判決でございましたので、これに従ってやっていく。基本的な事情変更がなければ難民として……

西村委員長 高裁ですね。

杉山政府参考人 失礼いたしました。

 高裁判決として確定するということになりますと、これを踏まえた対応をしていくということになろうかと思います。

島田(洋)委員 もう一回確認しますけれども、じゃ、法務大臣が難民認定書を出すということじゃないんですか。もう一回、難民認定の審査にかけるわけですね。

西村委員長 答弁できますか。

 ちょっと時間を止めてください。

    〔速記中止〕

西村委員長 起こしてください。

 杉山次長、時間が来ていますので、簡潔にお願いいたします。

杉山政府参考人 大変失礼いたしました。

 本件訴訟につきましては、難民不認定処分及び難民審査請求の棄却裁決の取消しを求める事案でございました。

 難民不認定処分の取消しが認められたということで、難民不認定処分がなくなるということになりますので、今後改めて難民認定手続を行って、処分を行うということになろうかと思います。

西村委員長 島田さん、時間ですので、御協力をお願いします。

島田(洋)委員 時間が来ましたけれども、このケース、国際的にも注目されていて、処理を誤ると、偽装LGBT難民がどんどん来かねないということなので、しっかり難民審査、大臣、お願いします。

西村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子さん。

本村委員 私は、日本共産党を代表して、裁判所職員定員法改定案に反対の討論を行います。

 本法案は、裁判官以外の裁判所職員の定員を四十七人減員するものです。

 日本共産党は、憲法が保障する国民、住民の権利を守るため、裁判所職員の増員、裁判所予算の増額を求めてきました。

 本来、独自の予算権限を持つ最高裁判所が、その定員について、政府の総人件費抑制方針、定員合理化計画に協力し、国民、住民の皆様の権利保障の機能の後退を招く、そのことは許されないことから、本法案に反対いたします。

 二〇二五年度、最高裁判所は、デジタル化を重点項目とし、裁判手続のデジタル化を進めています。

 しかし、職場からは、簡素化、効率化と言うが、人減らしの理由になっている、業務量はほとんど変わらない、システムがフリーズしてやり直しになる、オンライン弁論の通信不良に備え、書記官が二人がかりで対応など、効率化どころか、逆に仕事が増えているという実態が語られています。

 また、財産開示や個人情報保護、秘匿制度、プロバイダー責任制限法、今年六月からは児童虐待等の一時保護の司法審査がスタートするなど、新たな制度への対応など業務の増加で、これでは職場が崩壊するなどの悲鳴が上がっています。

 さらに、二〇二六年には、非合意共同親権を導入する改定民法が施行を控えております。

 子供たちへの丁寧な関わり、聞き取りを行うためにも、日本弁護士連合会人権擁護大会シンポジウム提言のように、調査官は数百人規模の増員が必要です。技能労務職員、運転手の方が減らされ、裁判官、調査官が現場に行くのにも時間がかかるようになり、効率が悪くなっているという問題も直視するべきです。

 この十年で、一般職は二百八十八人が減らされてきました。職員の負担が増加し、サービス残業も常態化しています。二〇二四年九月一日現在における一般職員の九十日以上の長期病休取得者の総数は、裁判所全体で二百十八人。そのうち精神及び行動障害による長期病休者は百八十八人と急増しています。

 ある若手職員の方は、一人で記録の整理事務を任され、痛み止めを毎日飲みながら仕事をしていた上司が早期退職という決断をされた、去っていく後ろ姿から、悲しい、無念の感じが伝わってきた、自分の将来、不安で心配というふうにおっしゃっておりました。

 こうした現場の切実な声や不安に増員で応えるべきです。

 裁判所定員数の削減ではなく、労働時間の客観的な把握などを行い、職場実態に見合った抜本的な人員配置の純増こそ必要だということを申し述べ、反対討論といたします。

西村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、津島淳さん外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、参政党及び日本保守党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。米山隆一さん。

米山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 民事訴訟手続の審理期間及び合議率の目標を達成するため、審理期間が長期化している近年の状況を検証し、審理の運用手法、制度の改善等に取り組むとともに、産業の高度化や国際化に対応できるよう裁判官の能力及び職責の重さの自覚の一層の向上に努めること。

 二 裁判所職員定員法の改正を行う場合には、引き続き、判事補から判事に任命されることが見込まれる者の概数と判事の欠員見込みの概数を明らかにし、その定員が適正であることを明確にすること。

 三 当委員会における裁判所職員定員法改正案の審査に際しこれまでに付されてきた附帯決議等を踏まえ、最高裁判所において、引き続き、判事補の定員の充足に努めるとともに、判事補の定員の在り方について、現実的な実員の増減見通しも踏まえて更なる削減等も含め検討していくこと。

 四 現在の法曹養成制度の下で法曹志望者の数について顕著な改善傾向が見られないことを踏まえ、そのことが法曹の質や判事補任官者数に及ぼす影響につき必要な分析を行い、その結果を引き続き国会に示すとともに、同制度や法改正の趣旨を踏まえた更なる法曹養成機能の向上、法曹志望者の増加等に向けた取組をより一層進めること。

 五 裁判手続等のデジタル化の進捗状況を踏まえ、合理化・効率化が可能な事務と注力すべき事務をそれぞれ考慮した上で裁判官・裁判所職員の適切な人員配置を行うよう努めるとともに、裁判官以外の裁判所職員の労働時間を把握し、適切な労働環境を整えること。

 六 両親の離婚時における子どもの利益確保の要請等への対応、その他価値観の多様化に伴う家事事件の複雑化・困難化の動向等に対して、家庭裁判所における多角的な対応が適切かつ十分に行われるよう、裁判官・家庭裁判所調査官の充実を含め、家庭裁判所の人的・物的体制の強化を進めること。

 七 裁判官・裁判所職員が健康的に働き続けられる職場環境を整備すること。子育て、介護など仕事と家庭の両立に向けた取組をより一層進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の皆さんの起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木法務大臣。

鈴木国務大臣 ただいま可決をされました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。

    ―――――――――――――

西村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西村委員長 次回は、来る十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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