衆議院

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第17号 令和7年5月28日(水曜日)

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令和七年五月二十八日(水曜日)

    午前九時十九分開議

 出席委員

   委員長 西村智奈美君

   理事 小泉 龍司君 理事 津島  淳君

   理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君

   理事 金村 龍那君 理事 円 より子君

      五十嵐 清君    井出 庸生君

      稲田 朋美君    上田 英俊君

      上川 陽子君    神田 潤一君

      工藤 彰三君    河野 太郎君

      高見 康裕君    寺田  稔君

      平沢 勝栄君    森  英介君

      若山 慎司君    有田 芳生君

      篠田奈保子君    柴田 勝之君

      寺田  学君    平岡 秀夫君

      藤原 規眞君    松下 玲子君

      萩原  佳君    藤田 文武君

      石井 智恵君    福田  玄君

      大森江里子君    平林  晃君

      本村 伸子君    吉川 里奈君

      島田 洋一君

    …………………………………

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   外務副大臣        宮路 拓馬君

   文部科学副大臣      野中  厚君

   法務大臣政務官      神田 潤一君

   外務大臣政務官      生稲 晃子君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 原  典久君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          源河真規子君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   蓮井 智哉君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堤  良行君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          松井 信憲君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    森本  宏君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 柏原  裕君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       大野 彰子君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   橋場  健君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡本 利久君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     高見 康裕君

  棚橋 泰文君     工藤 彰三君

  小竹  凱君     福田  玄君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     棚橋 泰文君

  高見 康裕君     五十嵐 清君

  福田  玄君     石井 智恵君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     上田 英俊君

  石井 智恵君     小竹  凱君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 民法の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外五名提出、衆法第二九号)

 婚姻前の氏の通称使用に関する法律案(藤田文武君外二名提出、衆法第三〇号)

 民法の一部を改正する法律案(円より子君外四名提出、衆法第三五号)

同月二十二日

 選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求めることに関する請願(源馬謙太郎君紹介)(第一二二三号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一二二四号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一二二五号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一二三七号)

 同(おおたけりえ君紹介)(第一二三八号)

 同(眞野哲君紹介)(第一二三九号)

 同(道下大樹君紹介)(第一二四〇号)

 同(白石洋一君紹介)(第一二五六号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一二六〇号)

 同(小熊慎司君紹介)(第一二六一号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第一二六六号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一二六七号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一二八四号)

 同(辻英之君紹介)(第一三三二号)

 同(波多野翼君紹介)(第一三三三号)

 同(水沼秀幸君紹介)(第一三三四号)

 同(野間健君紹介)(第一三六八号)

 民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一二二六号)

 同(大森江里子君紹介)(第一二四三号)

 同(道下大樹君紹介)(第一二四四号)

 同(渡辺創君紹介)(第一二七九号)

 同(道下大樹君紹介)(第一二八五号)

 民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(枝野幸男君紹介)(第一二四一号)

 同(野田聖子君紹介)(第一二四二号)

 選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(新垣邦男君紹介)(第一二六五号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一二八六号)

 同(藤原規眞君紹介)(第一三六九号)

 性虐待・性搾取等子供への性加害を根絶するため関係法規の更なる改正とサバイバーの声を生かした施策強化に関する請願(大河原まさこ君紹介)(第一二八三号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第一三四四号)

 同(有田芳生君紹介)(第一三四五号)

 同(安藤じゅん子君紹介)(第一三四六号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一三四七号)

 同(石川香織君紹介)(第一三四八号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一三四九号)

 同(大島敦君紹介)(第一三五〇号)

 同(小沢一郎君紹介)(第一三五一号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一三五二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三五三号)

 同(篠原孝君紹介)(第一三五四号)

 同(杉村慎治君紹介)(第一三五五号)

 同(中谷一馬君紹介)(第一三五六号)

 同(西川厚志君紹介)(第一三五七号)

 同(西川将人君紹介)(第一三五八号)

 同(藤原規眞君紹介)(第一三五九号)

 同(牧義夫君紹介)(第一三六〇号)

 同(水沼秀幸君紹介)(第一三六一号)

 同(緑川貴士君紹介)(第一三六二号)

 同(八幡愛君紹介)(第一三六三号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一三六四号)

 同(山田勝彦君紹介)(第一三六五号)

 同(屋良朝博君紹介)(第一三六六号)

 同(柚木道義君紹介)(第一三六七号)

同月二十八日

 選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求めることに関する請願(今井雅人君紹介)(第一四〇五号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第一四〇六号)

 同(柳沢剛君紹介)(第一五四一号)

 選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第一四〇七号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四〇八号)

 同(阿久津幸彦君紹介)(第一四〇九号)

 同(今井雅人君紹介)(第一四一〇号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一四一一号)

 同(神谷裕君紹介)(第一四一二号)

 同(櫻井周君紹介)(第一四一三号)

 同(篠田奈保子君紹介)(第一四一四号)

 同(高井崇志君紹介)(第一四一五号)

 同(津村啓介君紹介)(第一四一六号)

 同(寺田学君紹介)(第一四一七号)

 同(野間健君紹介)(第一四一八号)

 同(三角創太君紹介)(第一四一九号)

 同(矢崎堅太郎君紹介)(第一四二〇号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一四六四号)

 同(大石あきこ君紹介)(第一四六五号)

 同(海江田万里君紹介)(第一四六六号)

 同(川原田英世君紹介)(第一四六七号)

 同(櫛渕万里君紹介)(第一四六八号)

 同(小山展弘君紹介)(第一四六九号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一四七〇号)

 同(吉田はるみ君紹介)(第一四七一号)

 同(荒井優君紹介)(第一五〇五号)

 同(尾辻かな子君紹介)(第一五〇六号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一五〇七号)

 同(道下大樹君紹介)(第一五〇八号)

 同(森田俊和君紹介)(第一五〇九号)

 同(池田真紀君紹介)(第一五四二号)

 同(梅谷守君紹介)(第一五四三号)

 同(高橋永君紹介)(第一五四四号)

 民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(櫛渕万里君紹介)(第一四六三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府大臣官房審議官原典久さん外十六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。河野太郎さん。

河野委員 まず、委員長並びに理事の皆様に申し上げます。

 理事会が長くなることが予想される場合には、きっちり時間を取って、委員会に迷惑をかけないように理事会を開催していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、法務大臣にお伺いをいたします。

 法務大臣就任の際のブリーフィングで、公証人制度についてのブリーフィングがあったでしょうか。

鈴木国務大臣 制度全般ということで、その中に公証人制度の話もブリーフィングがあったと承知をしております。

河野委員 小泉龍司法務大臣のときに、公証人制度、特に、定款認証の手数料その他について大きく前進がありましたが、公証人制度そのものについては、残念ながら、そこで決着することができずに持ち越されました。それから数か月たちますが、いまだに何ら進展がありません。

 これは法務省がよくやる手口で、この公証人制度が問題になったときには、必ず翌年に何だか調査だか検討といって、そのまま棚上げになってしまっている。それが続いておりますが、法務大臣、これだけデジタル化が進み、AIが進んでいる中で、この公証人制度あるいは公証人役場の数、今までと同じように必要だと認識されていますでしょうか。

鈴木国務大臣 まさに今委員御指摘のように、制度全体としてどうあるべきなのか、これはまさに、デジタル技術等々も様々進んでいる中で、その公証という制度、どこまで必要なのか、そういった全体像の見直し、これは当然のことながら進めていかなくてはいけない点だと思っております。

 一方で、現行の制度からのトランジションということになりますので、そこについては、きちんとした検討プロセスを経てやっていかなくてはいけないと思いますが、私自身としても、そうした見直し、これは不断に続けていく必要があると考えております。

河野委員 毎回そういうことになります。検討が必要だ、検討が必要だ、結果が出ないうちに法務大臣が替わって、次の法務大臣にはなかなか持ち越しがないということでございますので、これは鈴木法務大臣のうちにしっかり決着をしていただきたいと思います。

 今もうオンラインでいろいろな会議ができる、あるいは、不動産の重要事項説明までオンラインでやってもいいということでございますから、公証人とのやり取りを対面でやる必要はないと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 この制度の中でつかさどっているそれぞれについて、それはオンラインでできるというものも当然あろうと思いますし、そういったところについては、様々、幅を含めて、そういったことをきちんと対応するべきではないかと私としては考えております。

河野委員 オンラインでできないものは、例えばどのようなことが考えられるでしょうか。

鈴木国務大臣 基本的にはウェブ会議ということで、できるというための法改正を実施をしております。そうした中で、必ずこれが対面でなくてはならないということはないと承知をしております。

河野委員 対面でやることがないのに公証人の役場と称するものが全国たくさんあって、そこに一々公証人を置かなければいけないというのはそろそろ改める必要があると思います。

 また、今、会社をつくるときの原始定款は認証をしなければいけないということで、時間をかけ、手数料を払ってこれをやります。これは小泉大臣のときに大分改善をしていただきましたが、原始定款は認証が必要ですけれども、それが認証されたら、その認証された定款ごと会社を売っ払ってしまうということもできるわけで、また次に定款を変えるときには、定款を変えましたといって届出をすればいいわけで、原始定款だけ認証する必要というのは多分ないんだと思いますね。

 これがなぜこんなことが行われているかというと、法務省の説明は、何かそれがちゃんとしていない、反社だったり何だったりするといかぬと言うんですけれども、別にそれは、公証人役場に出てくる人が何かそれを偽って出てくればいい、あるいは、別な人に会社をつくらせて、その会社を反社に売っ払ってもそれを止めることができないわけで、むしろ、原始定款の認証をするということよりも、誰が実質的なオーナーなのかというのをきちんと調べる、あるいはきちんと届出を出させるということが大事で、それはむしろ公権力がやるべきものであって、何だか立場がよく分からない公証人がやるべきものではない。

 つまり、原始定款の認証なんというのはもうやらなくてもいいのではないか、あるいは、モデル定款というものを作っていただきましたから、モデル定款を採用するんだったら、それはモデル定款ですから、それをそのまま採用して会社を始めるということでいいんではないかと思いますが、何か原始定款の認証を続けなければいけない理由というのがありますでしょうか。

鈴木国務大臣 定款の認証ということで申し上げれば、これは様々、作成手続の真正、あるいは記載内容の会社法等への適合性、この審査ということで、その必要性というのは一定あるんだろうと思います。

 その一方で、原始定款についてということでありますけれども、定款の認証、これを不要とするということについて、法務省の有識者検討会においても議論されたところでありますが、その結果としては、単純な定款認証の廃止ということではなく、定款認証制度が果たすべき機能を前提とした新たな方策や見直しの方向性が相当とされたというふうに承知をしております。

 そういった中で、やはり、今、河野委員がおっしゃったように、今の様々な状況の変化、これは技術的な進歩も含めて、何が本当に必要なのか、本当に必要なそうした認証プロセス、公証プロセスとは何なのか、そこについてはきちんとした検討、これは当然やっていかなくてはいけないと思いますし、それについてはしっかりと私の方で指示をしていきたいと思っています。

河野委員 公証人の九八%が天下りという現状について、法務大臣はどのようにお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 今、状況として申し上げると、これまでの職歴ということで申し上げたときに、大半が検察官あるいは裁判官出身の方である、そういった状況があると承知をしています。

 天下りということなのかということは別として、ただ、やはり、それは幅広い方々になっていただくべきことだと考えておりますし、そういった意味では、最近は弁護士の出身の方も一定程度、かなりまだ少数でありますけれども、入ってきている状況にあります。

 まさにこれをどう広げていくのか、これは私どもとしてもしっかりと考えていかなくてはいけないと考えておりまして、一部、特に、そうした希望者がいない、なり手がいないというところについては、様々な事務官出身であったり、あるいは司法書士の出身の方々等々も最近は登用しているところでありますので、そこについては、門戸をどう広げていくのか、そのことは必要性としては感じているところであります。

河野委員 希望者がいない公証人役場を維持する必要はもうないのではないかと思います。大臣からも、対面でやる必要はない、デジタルで、ウェブ会議でできるという話でございますから、もう公証人の手が挙がらないようなところは廃止をして、オンラインでやっていただければいいんだと思います。

 今大臣から手が挙がらないという話がありましたが、そもそも公証人の役場の収支がどうなっているのか、あるいは公証人個人の収入がどうなっているのか、これを法務省は個人情報だとして開示をしませんが、本当にこれは個人情報なんでしょうか。

 身内にだけは収支を教えて、おいしいところは身内が手を挙げる、そういうことがまかり通っているから九八%天下りという状況になってしまっているわけで、まず、公証人役場ごとの収支をちゃんと公表をするべきですし、公証人が上がりを持っていくという今のやり方はやめなければいけないのではないか。ちゃんと公証人の給料を決めて、それに足らない部分は国が出すし、余った部分は国がちゃんと国に納めさせるということにしていけば、公証人になったときに自分の給料が幾らになるのかというのが分かりますから、手が挙げやすくなる。この収支も外に出さないというような慣習はやめるべきではないでしょうか。

鈴木国務大臣 まさに御指摘のような、そういった面があると思います。そこについては、やはり状況が分からない限り、当然、手の挙げようがないという状況、これは私どもとしても承知をしているところであります。

 そういった中で、近年の状況でありますが、例えば、手数料収入の平均ですとか、あるいはそういった都市圏だとか、そういった類型によってどのぐらいの状況なのかということで、今、そうした数字としては情報提供しているところであります。

 例えば、それで申し上げると、年間手数料収入の全国平均、これは三千二百万円、そのうちの経費割合、この全国平均が五二%という、そういった状況で、大都市圏の中心地域で申し上げると、その年間手数料収入の平均が三千九百万円、あるいはその少し周辺の地域だと三千五百万円、そしてそうではない地域だと二千七百万円、そういった、広域でどういったエリアだとどのぐらいの収入になるのか、そういったことについては開示を始めたところであります。

 ただ、もちろん、今委員がおっしゃいますように、それで十分なのか、そういったことについては御指摘もあろうと思いますので、どこまでそういった開示ができるのか、そのことについては部内でしっかりと検討していきたいと考えております。

河野委員 公証人を選ぶための委員会の構成についても問題が指摘をされております。この公証人を選ぶ委員会についても、立て方を改めて、公平に選ぶことができるようにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 当然のことながら、公証人、要求される能力ということも当然あろうと思います。様々な場面で、法定的なというか、そういった中立の者としての関与をするという中で、必要な能力というもの、それは一定のそうした見識を持った中で選ばれる必要があると思っておりますが、当然のことながら、その結果として、明らかにおかしいと思われるような、そういった選考がもしあるとすれば、それは問題であるということは当然のことだと思います。

 そういった中で、選び方ということでありますが、今現在ということで申し上げれば、運用ということで、私どもとしてはそういった問題がないと考えておりますが、そういった御指摘も踏まえて、当然のことながら、有為かつ多様な人材を公証人として登用できるように、そういった状況をつくっていくべく努めてまいりたいと考えております。

河野委員 そもそも、九八%が天下りになっている時点で、これは大きな問題があると言わざるを得ないと思いますので。

 今申し上げたように、まず、公証人役場の数を維持する必要はないということは今の大臣の答弁で明確になりましたので、まずこれをしっかり削減をしていただくということと、原始定款の認証を始め、公証人を食わせるために手数料を取っている部分というのが現状ではどうしても出てまいります。これは、国が給料を保証して、国から出すというならば、不要な手数料はどんどん引き下げることができると思いますけれども、手数料で公証人が食っていかなければいけない以上、手数料を下げることについては、法務省はこれまでも断固として反対をしてきたという歴史があります。

 今大臣からの説明でも、少なくとも、公証人は、経費が半分としても、一千万以上の収入を得ているわけでございますから、この公証人制度そのものをそろそろ抜本的に見直さなければいかぬと思いますが、これは、副大臣のところで、いつ頃までにこの見直しをやられることができるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 そうした公証制度の在り方、これはすなわち、今の様々なデジタル技術等々も含めた状況の変化の中で、何が一体、公証というものが必要なのか、そういったことの見直し、ここを早急にやっていくことは当然必要だと思っております。

 その中で、先ほど、どのぐらいの公証人の数が必要なのか、そういった話もございました。当然これは、デジタルということを導入していくに当たっても、それに十分に対応できない、そういったケースも当然ありますから、ある程度地理的な分布というものもしっかり考えていかなくてはいけないと思います。

 そういった中で、もちろん、公証人のバックグラウンドというか、どのように選考するのか、より広い人をどう入れていくのか、そういった様々な検討が必要だと思います。

 今の制度において、様々な見直し、当然これは不断に行っていく必要がありますが、もっと広い意味で、公証制度全体ということで抜本的見直しを行っていく、そのことについては、これから私も担当にしっかりと指示もしていきたいと思いますし、そういった中で、なるべく早く、これは明示的にいつまでということを申し上げられませんけれども、なるべく早いタイミングで、しっかりとそういった議論、これを行って、きちんとした対応を進めていきたいと考えております。

河野委員 デジタルを使えない人は、市役所なり郵便局でオンラインにつなぐということもできますから、そこに役場を維持していく必要はないと思います。

 是非、大臣のところで検討していただいて、いつまでに結論を出すかというのを記者会見やその他で申し上げていただきたいと思います。

 宮路副大臣、査証免除になっている国が幾つかございますが、この査証免除になっている国の査証免除を停止する理由はどういうことがありますか。

宮路副大臣 査証免除の停止につきましては、過去に、一部の国に対して、査証免除の停止を導入したことがございます。

 これらの措置、例えば、イランやパキスタンやバングラデシュといった国々になりますが、これらの措置は、各国との関係や治安への影響等を含め、様々な個別の状況を踏まえて決定したものでございまして、その導入の理由について一概に論ずるものではないというふうには思っております。

河野委員 一概に論じていただかなくても結構ですが、どういう理由で停止をしたか、教えてください。

宮路副大臣 例えばイランについて申し上げますと、一九九二年、我が国は、イラン国籍者の不法就労問題を背景として、一九七四年から実施されてきたイランに対する査証免除措置を一時停止いたしました。

河野委員 例えば、今、トルコから来る、トルコ国籍のクルド人の難民認定申請が急増している、あるいは不法就労の問題、これが川口市を始め様々なところで増えているということは副大臣も認識をされていると思いますが、これが査証免除の一時停止にならないのはどういう理由でしょうか。

宮路副大臣 まず、査証に関してですが、トルコに対する査証免除措置は、日・トルコ間の人的交流の促進を通じた両国間の友好親善関係の発展に寄与するものと認識しております。同時に、トルコとの間では、これまでも、犯罪の防止や出入国管理上の懸案解消に向けた二国間の対話、協力を行ってきており、その強化に取り組んでいるところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、現時点で、トルコに対する査証免除措置を直ちに停止する状況にあるとは考えておりませんが、引き続き、当該措置の実施状況を不断に注視してまいりたいというふうに考えております。

河野委員 どういう状況になったら査免の停止になるんですか。

 これだけ川口で大きな問題になり、副大臣は、入管の施設を御覧になったことがございますか。入管は今この問題で非常に大変な状況にあって、外務省は今問題はないというような御発言ですけれども、現地、あるいは入管には大きな問題が出ているということを副大臣は認識されていますか。

宮路副大臣 入管の施設を実際に見に行ったわけではございませんが、今般、御質問いただくに当たって、外務省からもしっかりと話を聞いて、当然、報道等も目にしておりますので、そうした状況については認識しているところでございます。

河野委員 入管から外務省に、もう何度もSOS、査免の停止の要求が出ていますけれども、外務省は、そのたびに受けておりません。それはどういう理由なんでしょうか。

宮路副大臣 先ほど申し上げたとおりでございますが、査免につきましては、トルコに関しては、とりわけ難民申請の問題が取り上げられておりますが、一方で、先ほど申し上げたとおり、査免は、日・トルコ間の人的交流の促進を通じた両国間の友好親善関係の発展に寄与、これは間違いなくしているものと考えておりますし、同時に、トルコとの間で、犯罪の防止や出入国管理上の懸案解消に向けた二国間の対話、協力を現在も行っております。

 そうしたことを踏まえまして、現時点で、トルコに対する査免、査証免除措置を直ちに停止する状況にあるとは考えていないということでございます。

河野委員 今、このクルド人の問題で、日本とトルコの間の友好親善は、むしろ、逆に、対トルコ感情が悪化しているという現実がありますが、外務省は、地域課が二国間の問題になるのを恐れて何もやらない。これは今、タイも同じような状況があります。韓国に不法就労しているタイの人が多くて、韓国が取り締まったために、タイの人が日本に来て難民申請をして不法就労をするという状況になっていて、これについても外務省は何もやっておりません。

 外務省、やらないならば、川口市と入管に外務省から人を出したらどうですか。

宮路副大臣 御指摘のクルド人の問題等々に関しまして、もちろん、川口市を始めとして様々な自治体で問題が発生しているということは認識しております。

 したがって、今、関係省庁で連携して、どうした対策を講じていくべきかということは、これは法務省と外務省のみならず、警察庁も含めて検討しているところでございますので、そうした中で、外務省としてどうした取組ができるかということは不断に考えていきたいというふうに思っております。

河野委員 これは副大臣、政務を呼んでいるのに、役所の答弁を読んでいるだけだったら、政務を呼んでいる意味がないじゃないですか。副大臣の判断というのはないんですか。

宮路副大臣 もちろん、政務としてこちらに参っておりますが、当然、外務副大臣としてこの場に立たせていただいておりますので、そうした中で、今回、御質問を受けて省内で様々説明を受けた中で、やはり法務省でできること、外務省でしなければいけないこと、できること、そして警察庁にも取り組んでいただくべきこと、様々あると思いますので、その中で最善の道を取っていきたいというふうに思っております。

河野委員 これは副大臣、是非入管の施設を御覧いただきたいと思いますし、入管からどういう状況になっているのか、外務省に都度ブリーフィングがあると思いますので、それをしっかり踏まえて対応を、政務の方から指示をしていただきたいと思います。

 今日、警察庁に来ていただいておりますが、不法就労した人間がどれだけ検挙されているか、あるいは、この不法就労を雇った者がどれだけ検挙されているか、数字を教えてください。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、不法就労した者の雇主の刑事処分の件数につきましては把握はございませんが、警察庁が把握しているものといたしまして、令和六年中に出入国管理及び難民認定法に規定する不法就労助長罪で二百六十二件、三百十二人を検挙しているところでございます。

河野委員 不法就労した者の検挙数は幾つですか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 不法就労した者の件数につきましては、警察において把握はございません。

河野委員 今日、入管が来ていると思いますけれども、入管、数字分かりますか。

杉山政府参考人 退去強制手続を取った外国人のうち、不法就労事実が認められた者は一万四千四百五十三人でありまして、入管法違反者全体の七六・四%を占めていたということを公表しております。

河野委員 不法就労した人間で検挙された者が一万四千人いて、雇主は二百件、三百件しか検挙されていないというのは、これは警察、どういう理由なんでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの一万四千幾らの人数につきましては、こちらは検挙件数ではございません。そういう認識でございます。

 理由につきましては、警察として、入管当局における不法就労外国人の統計の計上方法につきましては承知しておりませんが、一般論として申し上げますと、警察が不法就労助長罪で検挙する場合には、刑事事件として取り上げられるべき、求められる厳格な立証を行っておりますことから、入管当局の不法就労外国人の統計と警察における雇主等の検挙件数に差が生じているものと認識しております。

河野委員 これだけ不法就労で検挙されているのに、警察はその件については知りませんというのは、これが問題で不法就労が減らないのではないかと思いますので、この問題は更に突っ込んでお伺いをしたいと思います。

 今日は文科の副大臣にお出かけをいただいておりますが、ハーバード大学が留学生の受入れを停止するというような状況に陥りそうでございます。ハーバード大学に留学している日本人、それなりの数がいると思いますが、文科省はどのような対応をするでしょうか。

野中副大臣 ハーバード大学には日本人留学生が百十人通っておりまして、また、ハーバードだけではなくて、アメリカというのは日本人学生の最大の留学の受入先でありますので、不安の声が上がっているのは承知をしております。

 今、外務省と連携して、具体的な影響そして大学側の対応について、米国政府に対して情報提供を求めております。

 昨日、あべ大臣の方から発信をさせていただきましたが、対応としましては、相談窓口の設置、そして渡米中の学生の留学計画の変更や奨学金の継続といった対応の検討、そして、やはり学びの継続というのが大切でありますので、日本国内の大学への受入れ等の可能な支援策に係る情報収集及び公表という対応を発信させていただいたところでございます。

河野委員 アメリカに留学をしている多くの学生、日本人学生、不安に思っていると思いますので、ここは是非、しっかりとした情報発信と、万が一のときには、日本の国立大学を筆頭に日本の大学で受け入れることができるような対応をお願いをしたいと思います。

 ビジット・ジャパン・ウェブについてお伺いをしたいと思います。

 先週末、私はワシントンへ行きました。全日空で往復をいたしましたけれども、帰りの飛行機の中で税関の書類ですといって紙が配られました。これは、ビジット・ジャパン・ウェブを導入しているにもかかわらず日本の航空会社が一生懸命機内で紙を配る、こういう状況はどんなものなんでしょうか。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の、エアラインさんによって紙が配られた事象でございますけれども、ビジット・ジャパン・ウェブの利用促進という観点から、様々な顧客に対するサービスというのを各エアラインがお考えになっていると思いますけれども、他方、一部の航空会社、別の会社でございますけれども、機内での税関申告書等の紙の配付というのを取りやめていただくなどの踏み込んだ対応を行っていらっしゃるところもあると聞いてございますので、引き続きそういったような好事例なんかもお伝えもしながら、私ども、引き続き、航空会社とも緊密に連携して、そのようなビジット・ジャパン・ウェブの更なる利用促進を図ってまいりたいと考えております。

河野委員 外国の方は、ビジット・ジャパン・ウェブをどのように使っていいのかよく分からない、あるいは、飛行機を降りたところの、羽田空港、成田空港で、そもそも大勢の人がウェブに接続しようとしてウェブにつながらない、様々な問題があると思いますが、今デジタル庁で把握している問題はどのようなものがあって、それにいつまでにどのような対応をしようとしているのか、教えてください。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、日本人のみならず、様々な国や地域から日本に入国する外国人、訪日旅行者の方々の認知度の向上というのは非常に重要でございますので、まさに航空会社と連携しております。

 その中で、例えば、航空会社による利用案内で、ウェブでのオンラインチェックイン、このフローの中での利用案内をするでありますとか、チェックインカウンターや搭乗時での利用案内をする、さらに機内アナウンスでの利用案内など、やはり認知度がなかなか足りないということがまずございますので、訪日の旅行者にターゲットを絞った、デジタルやアナログ両面からの効果的なアプローチを行っていただいているところでございます。

 さらに、御指摘のように、様々な航空会社等の関係者の方々とも意見交換なども行っていく中で、さらに、今委員御指摘いただいたような課題もございます、済みません、これは一つ一つ丁寧に対応してまいりたいと思っております。

河野委員 最後に、法務大臣の方から強制送還その他についての取組の発表がありました。限られた時間ではございますが、残り時間で詳細を御説明をいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 私の方から、五月二十三日に、国民の安全、安心のための不法滞在プランということで発表させていただきました。

 まさにこれは、入国管理という入口、さらには、在留管理、難民審査という実際の審査の部分、在留の部分、さらには出国、送還という出口の部分、それぞれについて、しっかりと、どうスムーズにこうしたことを厳格に行っていくのか、そうしたことで、取組として私どもとして進めてきたところであります。

 恐らく、ちょっと時間も来ましたので、しっかりとこれからもこうした取組を進めていきたいと考えております。

河野委員 ありがとうございました。終わります。

西村委員長 次に、有田芳生さん。

有田委員 有田芳生です。

 今年は、戦後八十年、そして昭和百年に当たります。石破総理が談話を出されるのかどうかというのを注目しているんですけれども、戦後の日本で様々な戦後処理が終わっていない課題が多い。例えば、私がずっと取り組んできた問題の一つとしては、BC級戦犯。植民地支配の下では、台湾人あるいは朝鮮人がBC級戦犯に問われた。だけれども、戦後処理の中でそのことが十分解決してこなかった。

 これは、二〇〇九年、一〇年の段階で、議員立法として法律ができたんだけれども、何と民主党政権のときでもそういう法律を通すことまで至らなかった。結果的に、同進会という朝鮮人BC級戦犯の組織の責任者などはもうお亡くなりになった。本当に時間がないまま、八十年たってしまった。

 まず、大臣にお聞きをしたいんですけれども、これは大臣としてではなくて、戦後問題についての認識を議員として、まずお聞きしたいと思います。

鈴木国務大臣 戦後八十年ということで、様々、いろいろなことでこれまでも、有田先生もいろいろと尽力されてきていると承知をしております。

 そういった中で、ここの場は法務大臣としてということで立たせていただいておりますので、議員としてということではなかなか申し上げられないということは是非御理解をいただきたいと思います。

 その上で、閣僚として、法務大臣としてということで申し上げれば、平成二十七年八月十四日の閣議決定されました七十年の際の談話ということ、内閣総理大臣談話ということの認識というものが、私どもとしてはそうした思いでいるということであります。

 まさにそれは何かといえば、やはり国内外に倒れた全ての方々、この尊い犠牲もあります。そういった中で、その前に深くこうべを垂れ、痛惜の念を表すとともに、やはり永劫の、哀悼の誠、これをささげるということで、そこの中でも触れておりますけれども、まさにそういった思いであります。

 そういった中にあって、こうした二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、あるいは、そうした意味では、本当に様々つらい状況にある方も大勢いらっしゃいます。そういった方々に対してもしっかりとした、そうした国としても応えていく、そういったことがあろうかと思っております。

有田委員 今、大臣は、全ての方々とおっしゃいましたけれども、その中には日本の植民地支配下にあった朝鮮人あるいは台湾人も入っていますか。

鈴木国務大臣 この総理大臣談話にもありますように、当然のことながら、全ての方々ということで申し上げれば、思いとしてということで申し上げれば、その中に入るということだろうと思います。

有田委員 今日は、これから時間をかけて、長生炭鉱、山口県宇部市にあった海底炭鉱の遺骨収容の問題について細かく質問をしていきたいと思います。

 皆さんのところに資料はもう届いていますよね。まず見ていただきたいんですけれども、これが山口県宇部市にある長生炭鉱の現場です。今年の二月一日に犠牲者の追悼集会が行われました。一番大きな写真を見ていただければ分かりますけれども、これが坑道。これは市民団体がいろいろな長年の努力を重ねて、これが坑道入口だろうということを、五メートル、いろいろ証言者あるいは電気調査などを行って、ようやく見つけた坑道の入口の写真です。ここから潜水をして、今、遺骨収容のための努力がなされております。

 上の写真が、右側がピーヤ、海底炭鉱ですから空気が入る穴が要る、それがピーヤというもので、沖合と手前のところに今も現地に行けば分かるようになっております。ここに、一九四二年の二月三日に海底炭鉱で落盤事故が起こりました。そのために日本人四十七名、朝鮮人百三十六名、合計百八十三人が今も海の中に、救出されないまま遺体、遺骨が残っている。

 このことを、市民団体が一九九一年から努力を重ねて、自分たちでクラウドファンディングをやってお金を集めて、何度も努力をして坑道入口を見つけた。そして、見つかったから、海の中に自分たちで雇った水中探検家の方に入っていただいて、何とか日本人、朝鮮人の遺骨を収容しようじゃないかという努力を長年なさってきた。そこに対して日本政府がどう関わるかということを今からお聞きをしたいというふうに思います。

 犠牲者名簿もちゃんとあります、日本人、朝鮮人。日本人の平均年齢は四十二・〇九歳、中には二十歳の方あるいは五十七歳の方がいらっしゃいます。朝鮮人の犠牲者、二名は名前が不明ですけれども、平均年齢でいえば三十・八一歳、二十一歳、十八歳の青年もこの炭鉱で、徴用で日本に来て、炭鉱の中で一九四二年に命を失った。ここに政治がいかに手を差し伸べることができるかということをこれから伺っていきたいというふうに思います。

 まず、厚労省に伺いますけれども、二〇一六年、議員立法で成立した戦没者遺骨収集推進法、この収集という言葉が、私は物すごく違和感があって、遺骨は収集じゃないだろう、ごみ収集じゃないんだから収容と本当はするべきだと思いますけれども、法律としては戦没者遺骨収集推進法、二〇一六年、この中でどのように犠牲者たちは位置づけられているでしょうか。具体的に言えば、その中に朝鮮人労働者は位置づけられているのでしょうか。まず政務官にお尋ねいたします。

安藤大臣政務官 車椅子なものですから、着座でお話しさせていただくことをお許しいただければ幸いでございます。

 まず、長生炭鉱の坑道の落盤事故において犠牲になられた全ての方々に心よりお悔やみを申し上げます。

 そして、先生から御質問があった平成二十八年に成立いたしました戦没者遺骨収集推進法において、戦没者は、今次の大戦により死亡した我が国の戦没者と定義をされています。御指摘の労働者はこの定義には該当しないということから、同法の遺骨収集の対象にはならないものと認識をしております。

有田委員 そのように長生炭鉱で亡くなった人たち、日本人も含めて朝鮮人も戦没者の定義に入っていないんですね、この法律の中では。だけれども、そんなことを言っていられるかどうかということ。

 次に、経産省にお聞きをしたいんですけれども、当時は商工省でしたけれども、例えば、長生炭鉱鉱業所鉱務課が渡航鮮人に対する注意事項という文書を残しているんですけれども、これは確認されていますでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の渡航鮮人に対する注意事項については承知をしていないところでございます。

有田委員 そういう文書が今でも残っているんですよ、一九四〇年に作られた。具体的に言うと、長生炭鉱鉱業所鉱務課が出した渡航鮮人に対する注意事項という文書なんですけれども。

 これは当時の日本では当たり前なんだけれども、銃後にいる人たち、つまり前線にいる人たちだけじゃなくて、銃後にいる人たちも日本のために戦ってきたという位置づけだったわけですよね。これはもう常識ですよ。ですから、この長生炭鉱の鉱業所鉱務課が出した渡航鮮人に対する注意事項を読んでも、戦場の兵士と同様の役割を担っている、つまり、長生炭鉱の日本人も朝鮮人労働者も。

 渡航鮮人、朝鮮人に対しても、鉄砲や大砲や弾丸や軍艦などをたくさん造らなければならない、当時の戦争中ですから。そのために石炭が必要だ。そのために、全国に炭鉱があったけれども、長生炭鉱も海底炭鉱として存在していた。そこで働く人たちも同じ位置づけなんだ、戦争をしている心持ちなんだ、そういう位置づけなんですよ。当時の日本はそういうことでしたよ、総力体制の下では。だけれども、朝鮮人労働者はいまだそうやって法律の中からは排除されている。

 外務省にお聞きをします。

 二〇〇五年の日韓合意の中で、朝鮮人労働者の遺骨についてはどのように位置づけられていますか。

大河内政府参考人 旧朝鮮半島出身労働者等の遺骨の問題に関しましては、二〇〇五年五月の日韓協議の結果、韓国側と、人道主義、現実主義及び未来志向、この三つの原則に基づいて取り組んでいく、こういうことで合意されてございます。

有田委員 つまり、先に答えを言ってしまうと、寺院にある遺骨でないと対象にならないわけですよね。

大河内政府参考人 合意の趣旨を鑑みますと、そのようなことかと思われます。

有田委員 つまり、朝鮮人の遺骨であっても、それが発見をされて、今、日本全国の寺院にあったものについては、その返還の問題などが課題にはなってきたけれども、だけれども、海に沈んでいる長生炭鉱の朝鮮人労働者百三十六人については対象になっていないんですよ。そんなことでいいのかということなんです。

 今から核心部分を政務官にお聞きをいたしますけれども、実は、二月一日に行われた現地での追悼式、私も行きましたし、平岡議員もいらっしゃいました。そこには社民党の議員、共産党の議員の方もいらっしゃいましたけれども、何と、韓国政府からも出席しているんですよ。韓国人の、朝鮮人の犠牲者の遺族の方も二月一日の追悼集会には来ているんですよね。だけれども、日本政府はそういうことをやっていない、やろうと今もしていないんですよ、残念ながら。

 先に政府の問題点を挙げておきますけれども、追悼集会には韓国政府からの代表が来ただけではない。日常的に調査を今も行っていて、この名簿の中には、当時は創氏改名ですから、石原さん、徳山さん、共田さん、中村さん、永山さん、廣田さん、星山さんという日本名の方々の犠牲者もいらっしゃるんですよね。だけれども、韓国政府は、この間、韓国の各地方自治体と共同で調査を行って、この人たちの本名まで調べ上げたんですよ。十人の中の五人までは、今、明らかにした。

 それだけじゃないんですよ。いずれ遺骨が収容されるということを前提にして、もうDNA検査の準備もしているんですよ。二十九人、DNA調査実施遺族がおります。さらに、DNA鑑定、遺骨が収容されたら行いたいということで二十六人申請をしていて、今、韓国政府は合計五十五人の遺族の方のDNAを採取、保管することになるんですよ。韓国の方はそこまで進んでいるんだけれども、日本政府は今どうなっているのか。

 まずお聞きをしたいのは、これは細かいことですから厚労省にお聞きをしますけれども、今どういう状況に政府の取組は、長生炭鉱についてなっていますでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のございました長生炭鉱ということでございますが、落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査、発掘をするということにつきましては、安全性に懸念があり、現時点では実地調査というふうな実務に照らして困難であるというふうに考えておりますが、四月の決算委員会でも総理からも御発言があったというふうな中で、そういった趣旨も踏まえまして、専門的な知見を必要とする本件の性質を踏まえた対応を検討しているというところでございます。

 現在、落盤後の廃鉱から長期間を経過をして、炭鉱の構造が正確に把握をされていないということもございますし、また、構造物としての強度もつまびらかでない中ではありますが、構造物としての炭鉱の安全性や、安全を確保した上での潜水の実施可能性などの観点から、知見を有する方面からお話を伺っているというところでございます。

有田委員 安全性、安全性、安全性とずっと言ってきて、民間の人たちは、自分たちでお金を集めて専門家を雇って、何度海に潜って遺骨を収容しているんですか。政府の対応は大問題ですよ。

 だけれども、この間の国会での質問に応じて、例えば三月二十一日は、岩屋国務大臣、外務大臣が、長生炭鉱の件については、もう遺骨の回収ができるものなら、本当に一日も早くさせてあげるべきだと。だけれども、安全性の問題とおっしゃっていた。これが三月二十一日。

 だけれども、さらに、四月七日になると、今度は石破総理がこう言っている。民間がそうやって努力をして遺骨を収容しようとしていることは尊いことだと総理がおっしゃった。危険があるということを政府が承知していながら、そういう方々がそういう作業をしておられると、そうしますと、自己責任ですからねみたいなことを言うわけにもならないと言っているんですよ、総理は。さらに、いかにして安全が確保できるかということは、技術は進歩するものでございますので、政府としてもこれは勝手にやってくださいという話にはならぬと思っています、総理はそうおっしゃった。

 さらに、五月二十日になると、福岡厚労大臣は、民間がクラウドファンディングでこれまでお金を一生懸命集めて、それで潜水する人を探して、その前には、さっきも言いましたけれども、坑口を見つけて、そして潜水して、この間なんか、クレーン船を雇って、中にあるいろいろな妨害物を取り除いて、更に進もうとしている。だから、そういうことに対しても、福岡大臣は、財政的支援だって検討していく余地はある、あり得るという答弁をこの間なさっているんですよ。

 だから、そういう下で、何で実際に潜っている専門家の話を聞かないんですか。今専門家の話を伺っているとおっしゃいました、土木、潜水など。そこに何で実際に潜っている人の話を聞かないんですか。

安藤大臣政務官 どうもありがとうございます。

 今の御質問ですけれども、ダイバーである伊左治氏の御意見については、これまでも担当の職員がお話をお伺いしております。閉鎖された空間で何か起きても浮上できない、水の透明度が悪く視界がない、再崩落の可能性があるといった話があったと承知をしております。また、さきの潜水調査では、坑道が途中で崩落している可能性があり、それ以上先に進めなかったと承知をしております。

 落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査、発掘することについては安全性に懸念があり、現時点では実地調査という実務に照らして困難であると考えているものの、現在、政府において、様々な知見の集積を、集めているところでございます。

 引き続き、各方面からの知見を集積していきたい、そう思っております。

有田委員 安全性、安全性、安全性。だけれども、何度も繰り返しますけれども、市民団体は自らダイバーを雇って何度も海の中に潜って、遺体を、遺骨を収容しようとしているんです。

 だから、今政務官がおっしゃった伊左治佳孝さん、実際に潜っているダイバーですけれども、話を伺ったとおっしゃいましたが、これは去年の十二月十一日ですよ。だけれども、その後に別の専門家に話を聞かれているという答弁なんだけれども、何で一緒にできないんですか。実際に潜っている人の意見を、今、ほかの専門家と聞くべきじゃないですか。違いますか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 ダイバーの伊左治様の御意見ということにつきまして、委員御指摘のように十二月にお伺いをしたというふうなことでございます。大臣からも先日の委員会で申し上げましたけれども、更に必要があればということであれば、御意見を伺うということも考えられるかというふうに思っております。

 その上で、先ほど申し上げましたように、専門的な知見を必要とする本件の性質を踏まえた対応ということで、現段階では知見を有する方面からお話を伺って、そういう知見をちょっと集積をしているというふうな段階ということでございます。

有田委員 日本政府は恥をかきますよ。おととい、さっきの写真でお見せをしましたけれども、上の右の方、ピーヤという排気口、その沖合の排気口の中に入った別のダイバーですけれども、水深三十四メートルのところに横穴が発見されたんですよ、つい数日前に。そこから十五メートルから二十メートル横穴で入っていくと、本坑道に到達するんですよ。本坑道に到達したら、遺骨がある場所に到達するところまで今来ているんですよ。

 そして、そのダイバーたちは、もう既に、六月十八日、六月十九日、さっきお示ししました伊左治佳孝さんが入っていく。さらに、七月二十九日から三十一日には、もう一度、伊左治さんが単独で遺骨を収容、発見するために入っていく。八月二十四日から二十六日には日本と韓国の潜水調査が行われるんですよ。そこまで来ている。

 だから、皆さんが、調査、調査、調査、安全、安全、安全と言っているうちに遺骨が発見されたら、本当に日本政府は今まで何をやっていたということになりますよ。そう思いませんか、政務官。

安藤大臣政務官 どうもありがとうございます。

 先生がおっしゃることはよく分かります。しかしながら、専門家の中には御自身の意見が外に出るということを、やはりプライバシーの件も含めて前向きに考えていらっしゃらない方もいらっしゃるという中で、現時点で今後の進め方については引き続き検討していきたいと思っております。

有田委員 違うんですよ。日本人の犠牲者もある、名簿だってあるわけだから。例えば沖縄の犠牲者は五人なんだ。沖縄のテレビなんかはこの五人の犠牲者の家族はいませんかって、何度も沖縄のテレビはやっているんですよ。そういう努力を民間がやっている。さっきも言いましたけれども、韓国政府はもうDNA鑑定さえ準備をしている。創氏改名の名前だって本名を探して遺族に接近しようとしているのに、日本政府は遅れ過ぎているんですよ。

 まず、政務官、ちょっと今御体調がお悪いのは分かるんだけれども、政務三役あるいは厚労省の方々、現地に行ってくれませんか。自分の目で見てくれませんか。自分の耳で波の音を聞いてくれませんか。あの沖合に日本人と朝鮮人が今も冷たい中にいるということ、それを民間が努力して収容しようとしているということ、その現実を現地に行って見てくれませんか。基本だと思うんですよ、現場に行くことは。いかがですか。

安藤大臣政務官 どうもありがとうございます。

 長生炭鉱において一九四二年に発生した坑道の落盤事故で犠牲になった方々の御遺骨は海底に水没している状態であり、その埋没位置や深度等が明らかでなく、落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査、発掘することについては安全性に懸念があります。何度も安全性という言葉を言っておりますけれども。

 現時点では、実地調査という実務に照らして、対応可能な範囲を超えているというふうに現在考えております。このため、現時点で現地長期視察を考えていないけれども、先般の総理の発言の趣旨を踏まえて、専門的な知見を必要とする本件の性質を踏まえた対応については検討してまいりたいと思います。

有田委員 全然前に進まないじゃないですか。総理それから福岡厚労大臣の答弁、さらに、今質問したのは、現地に行ってくれませんかと言っているんですよ、政務官でなくても、厚労省の人でも。現地を見ることは必要じゃないですか。潜ってくれと言っているんじゃないですよ。何が起きているのかというのは、それは基本じゃないですか、政府としても、政治家としても。それを最後にお聞きします。

西村委員長 安藤大臣政務官、時間が来ていますので、簡潔に答弁をお願いいたします。

安藤大臣政務官 有田先生がおっしゃることはよく分かりますけれども、様々なことを踏まえた中で、やはり、専門的な知見を必要とする本件の性質を踏まえて検討していきたい、そう思っております。

西村委員長 有田さん、時間ですので終わってください。

有田委員 終わります。

西村委員長 次に、藤原規眞さん。

藤原委員 立憲民主党・無所属の藤原規眞です。

 司法試験の受験生が司法試験に合格した後、実務家になるためには、司法修習を経なければなりません。その司法修習生、一定の給付が出るわけなんですけれども、しかし、それが全く出なかった期がある。司法修習六十五期から七十期の間です。谷間世代と言われるんですけれども、法務大臣は、この司法修習の谷間世代の存在、これは認識はなさっていますか。

鈴木国務大臣 私自身も、昨年の十二月に、谷間世代の方を含む日本弁護士連合会の方々と面会しておりますし、そうした状況の中で、給費制、給付費制ではなくて貸与制ということで修習をされていた、そういった世代であるということを認識しております。

藤原委員 実は、私も六十九期で谷間世代なんですね。谷間世代の弁護士が、貸与金の返済などをしながら、あるいは非常に経済的に苦しい状況の中、なりわいとしての弁護士活動のほかに、公益活動も担っています。

 谷間世代の弁護士と鈴木法務大臣は、先ほどおっしゃったとおり面会もなさっています。状況はよく御存じのはずです。そういった、厳しい中、公益活動を担っている谷間世代がいる、そのことについて、法務大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。

鈴木国務大臣 まさにこの谷間世代の方々もそうでありますけれども、その方々だけではなくて、やはり多くの法曹の方が様々な公益的活動をされているということ、私も、知人もおりますし、大変承知をしているところであります。その御奮闘には心から敬意も表させていただきたいと思っております。

 そうした中で、谷間世代の方々ということで、貸与金の貸与ということで申し上げれば、様々な状況があるにせよ、ほとんど予定された返還も行われているという状況だと承知をしております。

 そういった中で、経済状況ということで、一概に申し上げることはできませんけれども、私どもとしては、こうした谷間世代の方々、ほかの世代との公平性をどう考えるのかということはやはりあろうと思いますし、そういった中で、こうした若手、中堅の法曹の方々が公益的活動を含む様々な分野で活躍をしていただけるように、こうした必要な環境整備は私どもとしても行っていきたいと考えております。

藤原委員 三権分立といいながら、その国家作用の一つである司法の予算というのは極めて小さいわけですね。裁判所予算に至っては〇・三%という状況です。裁判所や法務省が担う司法の重要性、あるいは力強い司法を実現するための司法予算の増額というのは、喫緊の課題だというふうに考えています。

 その中で、多くの国会議員の方々が、司法の一翼を担う谷間世代の支援をするということに賛同されています。それは大臣も御覧になっていることと思うんですね。敬意を表するというふうにおっしゃってくださいましたし、あるいは、返還が進んでいる、返済が進んでいるといっても、それは相当努力をして、苦労して返済をしているということ、当然それは大臣も御存じだと思いますので、この状況を踏まえて、法務省の具体的な対応、対策、谷間世代救出のためにどのようなことを考えていらっしゃるか教えてください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 日本弁護士連合会において、国会議員の方々から送付された応援メッセージを取りまとめた資料を作成していることは承知をしております。それらメッセージについて申し上げる立場にはございませんが、日本弁護士連合会が作成した資料を拝見する限り、その内容は様々であると認識をしております。

 先ほど大臣が答弁されたとおり、法務省としては、谷間世代を始めとする若手、中堅法曹の活動領域の拡大に向けた取組が重要であると認識しており、社会経済の変化に伴って新たに生じ、また生じつつある法的ニーズを的確に把握した上で、関係機関、団体と連携しながら、これらの法曹が様々な分野において活躍の場を更に広げていけるよう、必要な情報発信を含め、環境整備を行ってまいりたいと考えております。

藤原委員 骨太の方針に、日弁連も提唱していますけれども、基金、これは是非入れていただきたいということを申し上げて、次の話題に移りたいと思っています。

 昨今、新宿の大久保公園やその周辺で、女性が売春を目的として立って、そこに買春目的の男性が集まって、尋常ならざる光景になっています。各種メディアでも報道して事の重大さが広く認識されるようになっている、そんな状況の中で、女性支援団体も孤軍奮闘している、そんな状況です。

 さて、売春防止法五条は、売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以内の懲役又は一万円以下の罰金に処すると。そして、各号に列挙されているのは、女性側が男性客を取るために勧誘する、これは一号ですね、あるいは、女性が立ち塞がったり、つきまとったりする、これは二号です、あるいは、女性が客待ち、誘引をする、これは三号、ことを罰するというふうにされています。要は、男性客、男性側はおとがめなしなわけですね。同時に、売春行為自体は罰則の適用がないわけです。

 勧誘には罰則がある、売春自体には罰則の適用がない、その理由はどういったものでしょうか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 売春防止法におきましては、第二条において、「「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。」と定義された上で、第三条において、売春する行為及びその相手方となる行為が禁止されておりますが、これらの行為そのものは処罰の対象とされておらず、他方、委員御指摘のとおり、売春を助長する行為が処罰の対象とされておりまして、それらは、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良な風俗を乱すものであることに鑑み、売春の周旋や場所の提供をするといった、売春を助長する行為等が処罰の対象となっているということになっております。

 これは、こういうふうに処罰の在り方がなっておりますのは、性の問題に関しては、判断能力の十分な者について、私生活上の行為としてあえてこれを処罰の対象とすることまでは適当でないものの、売春を助長する行為等について、私生活上の行為を超え、売春を蔓延させる可能性があるなどといった制定当時の様々な議論を踏まえた結果でありまして、その結果、売春行為を処罰の対象とせず、売春を助長する行為等を処罰することによって、売春による種々の弊害を防止しようとしたものであるというふうに理解しております。

藤原委員 本年四月三日の参議院内閣委員会で、日本共産党さんの井上哲士委員が、売春防止法五条の規定に関し、男性側がおとがめなしという問題について質問したところ、吉田法務省大臣官房審議官は、公衆の目に触れるような方法での勧誘や客待ちなどを処罰対象とするものでございますけれども、これは、売春の行為そのものの違法性に着目したというものよりも、そうした行為が社会で行われることによる風紀の乱れというようなものに着目したというふうに理解しておりますというふうに答弁なさっています。

 この答弁には、二点問題があると思っています。

 まず一点目は、売春防止法は、制定目的を定めた一条で、先ほどもおっしゃいましたけれども、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗を乱すものであることと明示しているところ、売春が人としての尊厳を害しとはっきりうたっているにもかかわらず、それを飛ばしてしまっている点。

 次に第二点目として、第三条で、先ほどおっしゃいましたけれども、何人も、売春をし、その相手方となってはならないと明記しているにもかかわらず、売春の行為そのものの違法性に着目したというよりもと、売春行為の違法性を風紀の乱れに劣後させている点であります。

 法務省に伺いたいんですけれども、この第五条の保護法益は、風紀の乱れを防止すること、これに尽きるんでしょうか。井上議員への答弁と、ここでも同じ答えになりますか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 売春防止法五条に規定する行為は、社会の風紀を乱し、公衆に迷惑を及ぼすことから、処罰対象とされているというものと理解しております。

藤原委員 では、男性側が、立っている女性に対し、公衆の目に触れるような方法で買春の、今度は買う方です、買春の相手方となるよう勧誘する行為については風紀の乱れを助長することにはならないというふうに考えているんでしょうか。

森本政府参考人 お尋ねの、売春の相手方となろうとする者が、売春をしようとする者に対し、公衆の目に触れるような方法でする行為というものにつきましては、どの程度それが風紀を乱すかということについて、その社会実態を踏まえつつ検討すべき事柄であるというふうに考えております。

藤原委員 その社会実態は踏まえているんですか、検討は既になされているんでしょうか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 委員が先ほど御紹介なさったような事象につきましては、報道等で私どもも一定程度承知しているところでございますが、それを踏まえて、法改正まで必要かどうかということにつきましては、更に、もう少し実態を踏まえて検討する必要があるというふうに考えております。

藤原委員 石垣のりこ参議院議員の質問主意書で同じ質問がされているんですね、これは資料一なんですけれども。驚くべきことに、お尋ねの買春の相手方となるよう勧誘する行為の意味するところが明らかでないため、お答えすることは困難であるという答弁なんですね。資料二です。

 大久保公園の周辺の映像なり写真、これは、男性客、多くは中高年の方で、娘さんと変わらないような年齢の女性に声をかけて、一、二分の交渉の末、まとまれば、近くのラブホテルに連れ立って入っていく。これは、異様としか言いようもない、本当に阿鼻叫喚のような世界ですね。

 資料三の一と三の二、これは、協力団体、支援団体から提供を受けた写真なんですけれども、こんな異様な、阿鼻叫喚のさまが常態化しています。この状況について法務省は把握していないんですか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のような報道があることは承知しております。

藤原委員 報道ベースにとどまるということなんですけれども、大臣もこれは報道ベースで知るにとどまるということですか。

鈴木国務大臣 状況の把握ということでいえば、報道によって承知をしているところであります。

藤原委員 では、逆に、報道以外では知らないということなんですかね。

鈴木国務大臣 法務大臣、役所の立場ということで申し上げれば、私どもとしては、報道を通じて状況を把握しているということであります。

藤原委員 この大久保公園周辺の模様というのは、ユーチューブで全世界に拡散されています。女性を買える場所ということで、悪い意味で観光名所にまでなっている。これこそ国の恥、国益に反するどころの騒ぎじゃない、これは人権の問題ですから。

 これは、大臣がその場を熟知しないと、報道ベースでしか知らないというのは、国民全体の奉仕者として公共の利益のためにその職務を行いとうたった国務大臣、副大臣、大臣政務官規範の関係でも、大問題だと思うんですね。

 大臣、これは、一緒に視察に行かないですか。支援団体の代表の方も引率すると言ってくれているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 状況ということで、実際どのようなことが起こっているのか、こういったこと、私がということかどうか分かりませんけれども、当然のことながら、状況の把握ということは、必要は必要だと思います。

 ただ、その一方で、現状、実際にどのような対応をするべきなのか等々も含めて、まずは報道を通じて現状を把握してということかと思っております。

藤原委員 警察が、大久保公園で客待ちの女性を一斉摘発しているんですね。強化月間に指定された昨年秋は、二か月で五十人が検挙されています。これはどのような被疑事実なんでしょうか。適用法条は何なんでしょうか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件につきましては、警視庁が、大久保公園を中心とした環境浄化総合対策の一環といたしまして、売春目的による客待ちに対する集中的な取締りを実施し、令和六年十月から同年十一月末までに五十人を売春防止法第五条第三号違反で逮捕したとの報告を受けているところでございます。

藤原委員 五条三号、これは先ほど申し上げましたけれども、三号というのは、客待ちと誘引なんですね。ただ立っているだけでも、客待ち、誘引の目的で立っているということが五条三号での検挙においては重要なわけです。

 ただ一方で、客待ちをしているのか、ほかの目的なのか、あるいはただ突っ立っているだけなのか、これは心の中の問題ですから、心の中が読めなければ確認しようがないわけです。

 要は、大久保公園という、男性が買いに来る、その環境の中で立っているから、客待ちということが認定できるはずなんですね、買いに来る男性がいるから。だから、立っているだけでも五条三号違反、それが認定できる。これは違いますか。そういう環境があってこその五条三号適用じゃないんですか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 ある行為が刑罰法令に触れるか否かにつきましては、証拠関係全てを総合的に判断し、個別に判断すべきものでございますので、御質問の件については、お答えは差し控えさせていただきます。

藤原委員 個別の案件とは言いつつ、一斉検挙で五十名なんですね。しかも、男性が群がっている状況で立っているということは、その総合的な考慮の中に入っているんじゃないんですか。お答えください。

大濱政府参考人 繰り返しになりますが、先ほどの答弁のとおりでございます。

藤原委員 直近一年間の売春防止法五条違反の検挙数、起訴数、不起訴数を回答してください。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 警察庁においての把握でございますが、令和六年中の警察における売春防止法第五条違反の検挙件数は二百三十七件でございます。

森本政府参考人 起訴件数と不起訴件数についてお答えします。

 令和六年分がまだ取りまとまっていないので、一年遡って恐縮でございますが、令和五年における売春防止法違反の罪全体の起訴件数は二百一件、不起訴件数は三百五件でございます。同年における委員御指摘の五条違反の起訴件数は八件、不起訴件数は二百三十五件でございます。

藤原委員 支援団体の方に引率されて、私も現地を見ました。明らかに未成年と思われる女性を含め、女性は立っているだけです。グループになって話している女性もいますが、大方一人でスマホを触りながら立っているんですね。これだけ見ると、駅構内で待ち合わせをしている女性と区別がつかないわけです。

 本来、立っているだけでは逮捕なんかできないはずなんです。相手、要は買手、買春男性の存在があってこそ、同じ立っているだけでも法的な意味合いが出てくる。

 声をかけられた男性と二人で最寄りのホテルに入ったとする。しかし、そこにお金が介在せずに、ただセックスをする相手を探して立っているだけだったら、罰則の対象にはならないわけです。定義規定である売春防止法二条が「「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。」と規定している以上、この例は売買春にならないわけですね。

 検挙の際は、二条の対償をどう位置づけるんでしょうか。支払いの現場を押さえているんですか。実際の運用はどうなっているんですか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 売春防止法第五条第三号を適用する際には、同法第二条で規定されている対償を受けること又は対償を受ける約束があることが必要でございます。

 その上で、実際の捜査手法につきましては、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

藤原委員 何も答えていただけないんですけれども。

 例えば、ホテルから出たところを捜査員が声をかけて男性に確認する、職務質問する、これは男性も一定の取調べを受ける、しかし、終わったら解放され、女性だけが検挙される、このような実例があるわけです。これは明らかにバランスを欠くんですけれども、なぜ男性側には罰則が存在しないんでしょうか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 売春防止法の制定当時には様々な議論があり、先ほど若干御説明したような経過で、まず、単純売春あるいはそれの相手方となることについては処罰規定を設けず、一定の類型の売春を助長する行為というものを処罰の対象とするというのが制定当時の考えでなされました。

 それを踏まえまして、委員御指摘のような自己を売春の相手方として売春を勧誘する行為を広く処罰することにつきましては、その保護法益をどのように考えるか、あるいは当該行為をめぐる実態に照らして、その保護法益が当該行為によってどの程度侵害されているか、処罰の対象とすべき行為を明確かつ過不足なく規定することができるか、それから、男女間の性に関わることであり、機微にわたる部分もあるところ、国民の自由を不当に制限することがないかといった観点からの検討が必要になると考えております。

藤原委員 これは昭和三十一年制定の古い法律なんですね。そこから抜本的な改正を含む検討がなされていないということ自体、異常なことだと思っています。

 女性が客待ちをすることと男性が物色して歩くこと、これは、風紀の乱れを助長するという観点から、どこがどう違うんですか。

森本政府参考人 若干繰り返しになって恐縮でございますが、売春の相手方となろうとする者が売春をしようとする者に対しまして公衆の目に触れるような方法でする行為というものが、売春する側の売春の勧誘行為と同様に社会の風紀を乱すと言えるかどうかについては、現在の実態等を踏まえつつ、検討することが必要であると考えております。

藤原委員 大臣も局長も、これは現場が全く見えていない、机上の空論あるいは報道ベースの域を全く出ていないと思うんですね。

 先ほども言いましたけれども、それこそ現場を見に行って、風紀の乱れをどっちが助長しているのか、売春側と買春側と、どっちが助長しているのか、これは大臣の目で確認してもらえませんか。町全体を見て判断していただく、大臣も。改めて、いかがですか。

鈴木国務大臣 当然のことながら、どういう状況なのかということ、印象論ということと実際どういう法的なことが起こっているのかということ、まさに、どちらかというと、私どもとしては、法制度ということで考えれば、当然、法的にどういったことが起こっているのか、さらに、どういう法益を守るべきなのか、そういったことで、しっかりとそこはきちんとした議論をしていくべきかと思います。

藤原委員 法益を見る、あるいは現場を見る、そうでなければ法的な組立てはできないと思うんですけれども、行く、行かない、どっちですか。

鈴木国務大臣 法務大臣としてどうするのかということで、当然の御質問だと思いますので、その点については様々なところから検討をしていきたいと思います。

藤原委員 では、法務省のどなたかを派遣する、それは今決断していただけませんか。大臣御自身じゃなくても。

鈴木国務大臣 状況として申し上げれば、今どなたかがおっしゃっていましたけれども、大々的に行くということではなくて、状況を把握するということかと思います。

 そういった中で、報道で承知できない範囲ということがあるとすれば、それはそういったことも検討し得ると思いますし、そこはしっかりと判断してまいりたいと思います。

藤原委員 売春防止法一条、目的規定の、しかも、最初、イの一番に書かれている、「売春が人としての尊厳を害し、」という趣旨に立ち返り、男性が女性を買春の相手方となるよう勧誘することそのものを罰則の対象にすべきだと考えています。

 まず検討を始めるべきだと考えています。大臣の検討を最後に伺いたいと思います。

西村委員長 鈴木大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いいたします。

鈴木国務大臣 保護法益であったり、あるいはその保護法益は行為によってどの程度侵害されるのか、あるいはその処罰の対象とすべき行為を明確かつ過不足なく規定することができるのか、さらには、性的なところということで、運用によっては自由を不当にということにもなりかねないという、そういった懸念もあります。その一方で、そうした尊厳ということ、あるいは社会の善良の風俗を乱す、そういったこともあります。そういった観点から総合的に検討していく必要があるかと思います。

藤原委員 どうもありがとうございます。

西村委員長 次に、松下玲子さん。

松下委員 立憲民主党、松下玲子です。質問の機会をありがとうございます。

 内閣府の調査によりますと、およそ十二人に一人の女性、百人に一人の男性が無理やり性交を受けた経験があると回答しています。性犯罪は魂の殺人とも呼ばれ、被害者の尊厳を踏みにじる悪質な犯罪です。被害者は、身体的にはもちろん、精神的にも大きなダメージを受けています。性暴力、性犯罪の根絶に向けて、以下、何点か質問をいたします。

 繰り返しますが、性犯罪は被害者の尊厳を傷つけ、深刻な心身の苦痛を与える悪質な犯罪です。被害者が被害のショック等からすぐには被害を訴えられず、泣き寝入りを強いられるケースも多いと思われます。

 犯罪被害者支援ハンドブック・モデル案、支援に携わる際の留意事項、性犯罪に遭った人への対応には、このように書かれています。「早期解決・回復のためには、すぐに警察に相談することが重要です。しかしながら、性犯罪の被害者は、羞恥心や恐怖心から、被害の届出をためらう場合が多いため、警察でどのような対応がされるか説明する、支援者が警察まで付き添うなどし、被害者の不安の軽減に努めることが重要です。」ということです。

 性被害が起きて事実が明らかになるまでにどのくらい時間がかかっているのか、調査を行っていますか。そうしたデータがあるのか教えてください。

    〔委員長退席、鎌田委員長代理着席〕

森本政府参考人 お答えいたします。

 性犯罪につきましては、一般に、その性質上、被害申告が困難であることなどから、他の犯罪と比較しまして類型的に被害が潜在化しやすいことを踏まえて、令和五年六月に成立いたしました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律によって、公訴時効が期間が五年間延長、まず五年延長されるなどしたところでございます。

 その上で、同法の附則においては、政府において、施行後五年を経過した場合に、同法等の施行状況を勘案し、性的な被害の実態等も踏まえつつ、速やかに施策の在り方について検討を加えることとされた上で、そうした検討がより実証的なものとなるよう、性的な被害を申告することの困難さその他性的な被害の実態について調査を行うこととされております。

 そこで、法務省といたしましては、附則の規定の趣旨を踏まえ、関係府省庁と連携いたしまして、施行後五年を経過した場合に予定されている検討に資するものとなるよう、現在、必要な調査を実施し、性的な被害の実態の把握に努めているところでございますが、この調査につきましては、その検討に向けて実施しているところでございまして、現時点におきましては、まだその結果としてお示しできるものを持ち合わせていないところを御容赦いただきたいと思います。

    〔鎌田委員長代理退席、委員長着席〕

松下委員 今長々と御答弁をいただいたんですが、現時点では調査中であって、まだ明らかにすることはできないということがお答えだったのかなと思います。

 今御説明があった二〇二三年の改正刑法、これは、立憲民主党は当時、時効を撤廃することを求めていたと思うんですね。その中で、修正協議で、施行五年後の検討事項と被害申告の困難さに関する調査実施を明記した附則修正に与野党が合意をして実現をしているという認識を持っています。

 五年間調査をしっ放しということではなくて、もう二〇二三年から今年は二年経過していますので、途中経過でも私は教えていただきたいなというふうに思っているところでございます。

 実際に、内閣府の調査では、被害からワンストップ支援センターへの相談までに要した時間が、七十二時間以内というのが最も多く二四%なのですが、次いで、被害から一年以上十年未満と十年以上を合わせると二〇・五%となっています。今答弁でもありましたが、性犯罪、性被害というのは、これはなかなか申告がしづらいという現状があるんだと思います。

 以前は、親告罪として、原則として犯人を知った日から六か月経過後は告訴することができないとされてきました。しかし、強制わいせつ罪、強姦罪、わいせつ、結婚目的略取誘拐罪等に係る告訴について、被害者が精神的ショック等から告訴するまでに時間がかかることから、まず、二〇〇〇年に刑事訴訟法改正で告訴期間の制限がなくなって、二〇一七年の改正で非親告罪となって被害者の告訴なしに提起できるようになり、さらに、二〇二三年の刑法改正で公訴時効期間が五年延長されています。被害者が未成年の場合は十八歳になるまでの期間が加算をされました。

 未成年の被害等、法改正後に明らかになっているのか、教えていただきたいと思います。実際に処罰に至った事案はあるのでしょうか。

森本政府参考人 重ねてで恐縮でございますが、現在、先ほど答弁しましたとおり、調査を行っておりますけれども、現時点において、まだその結果として取りまとまって、お示しできるものを持ち合わせていませんので、御容赦いただきたいと思います。申し訳ございません。

松下委員 附則に基づいて調査は行っている、でも、今はまだ示していないということですが、これはやはりどこかの段階でしっかりと示していただきたいと思います。五年後の見直しといって、五年たってから調査結果をお示しいただくのではなくて、やはりしっかりとこの法務委員会や議会に、その調査の過程も含めて私は示していただきたいなという思いを持っています。やはり実態把握というのが非常に重要ではないかなと思いますので、その観点から、二〇二三年刑法改正前後の変化を知りたいと思います。

 二〇二二年から最新の不同意性交等罪と不同意わいせつ罪の認知、検挙状況を教えてください。実際の数と前年比をお答えいただきたいと思います。

松田政府参考人 お答えいたします。

 まず、刑法改正前の強姦及び強制性交等並びに同改正後の不同意性交等についてお答えいたします。

 警察庁でまとめている犯罪統計で見ますと、認知件数は、二〇二二年は千六百五十五件で前年比プラス二百六十七件、二〇二三年は二千七百十一件で前年比プラス千五十六件、二〇二四年は三千九百三十六件で前年比プラス千二百二十五件。検挙件数は、二〇二二年は千四百一件で前年比プラス七十一件、二〇二三年は二千七十三件で前年比プラス六百七十二件、二〇二四年は三千三百七十六件で前年比プラス千三百三件。検挙率は、二〇二二年は八四・七%で前年比マイナス一一・一ポイント、二〇二三年は七六・五%で前年比マイナス八・二ポイント、二〇二四年は八五・八%で前年比プラス九・三ポイントとなっております。

 次に、刑法改正前の強制わいせつ及び同改正後の不同意わいせつにつきましては、認知件数は、二〇二二年は四千七百八件で前年比プラス四百二十五件、二〇二三年は六千九十六件で前年比プラス千三百八十八件、二〇二四年は六千九百九十二件で前年比プラス八百九十六件。検挙件数は、二〇二二年は四千六十二件で前年比プラス百九十四件、二〇二三年は四千八百十三件で前年比プラス七百五十一件、二〇二四年は五千八百五十七件で前年比プラス千四十四件。検挙率は、二〇二二年は八六・三%で前年比マイナス四・〇ポイント、二〇二三年は七九・〇%で前年比マイナス七・三ポイント、二〇二四年は八三・八%で前年比プラス四・八ポイントとなっております。

松下委員 詳細にお答えをいただきました。

 不同意性交等罪は当事者のみで行われることがほとんどで、その実態把握や証拠保全等が非常に難しいのではないかと思われますが、今お示しをいただいたように、これは数が大幅に増えています。法改正によって、これまでは被害把握が難しかったものが顕在化して増えているのではないかなとも思われます。

 性暴力、性犯罪をなくすためにも、今後も実態把握に努めていただきたいですし、捜査に当たっては、くれぐれも二次被害が起きないように、被害者の人権や尊厳が守られるようにしていただきたいと思います。

 二〇二三年の主要な改正点の一つが、不同意状態にある人の状況を明確にしたことがあります。改正前に被害に遭った人が改正後に申告した場合には、旧法の適用になるのかどうか、改正法前にアルコールによる影響で性被害を受けた被害者が申告を法改正後にした場合、その扱いに違いがあるのかどうか、簡潔に教えてください。

森本政府参考人 お答えいたします。

 まず、令和五年の刑法等一部改正法の施行前にされた行為については、改正前の刑法の規定が適用されることになります。

 その上で、御指摘の令和五年の刑法等一部改正法は、改正前の刑法における強制わいせつ罪や強制性交等罪の要件につきまして、より明確で判断のばらつきが生じない規定とするために改正したものでございます。

 あくまで一般論として申し上げれば、御指摘のようなアルコールの影響下で性犯罪被害を受けたような事案も含めて、令和五年の改正により、改正前の刑法の下でも本来であれば処罰される行為が、より的確に処罰されることとなる規定となったものと考えておりますので、改正の前後で処罰の対象となる範囲に変更はないというふうに承知しております。

松下委員 分かりました。

 次に、二〇一八年に発生しました大阪地検元検事正の性的暴行事件について伺いたいと思います。

 事件の概要と、検察内で起きたこの重大な事件をどのように受け止めているのか、教えてください。

森本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事案は、北川元大阪地検検事正が、平成三十年九月十二日深夜から同月十三日未明までの間に、大阪市内の自宅宿舎におきまして、当時の部下である女性検事が抗拒不能であることに乗じて同人と性交等をしたとの準強制性交等の事案でありまして、検察当局は、令和六年六月二十五日、同元検事正を逮捕した上、同年七月十二日、公判請求したものと承知しております。

 検察の元幹部職員が逮捕、起訴されるに至ったことにつきましては、検察に関することを所管する法務当局としても誠に遺憾であるというふうに考えておりますが、事件そのものの受け止めにつきましては、現在公判中の個別事件に関するものであるため、個別事件についての受け止めについては差し控えさせていただきます。

松下委員 元幹部職員が逮捕されたとおっしゃいますが、元幹部、事実でしょうが、元大阪地検のトップだった方ですからね、これ。本当に事は重大だと私は思っています。

 二〇一〇年の大阪地検特捜部検察官による証拠隠滅によって、村木厚子さんの冤罪事件が起きました。その後、法務大臣の私的諮問機関として検察の在り方検討会議が設けられ、「検察の再生に向けて」と提言があります。検察は組織として本当に反省し、再生に向かっているのでしょうか。私は疑問が残ります。

 二〇一〇年の証拠隠滅事件以降、今回も含めて大阪地検で起きた不祥事、検察官の逮捕等を全て、その発生年と事案についてお答えください。

森本政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘の大阪地検特捜部の検事が証拠であるフロッピーディスク内に記録された文書データを改変した事件がありましたが、それに関しましては、当該行為に及んだ検事が証拠隠滅罪でまず逮捕されましたほかに、同じ年でございますが、その当時の上司であった大阪地検の特捜部の部長及び副部長につきましても、犯人隠避罪で逮捕されたものと承知しております。

 同年以降に大阪地検所属の検察官が在職中の事実で逮捕された事案というのは、その次が北川元検事正の事案でございます。

松下委員 二〇一〇年に逮捕され、今回二〇二四年に逮捕された事案のみということですね。逮捕以外でも、取調べが不適正として、二〇二四年には大阪地検は最高検察庁から認定もされています。そうしたことがなぜ繰り返し起こるのかということが、これは本当に私自身疑問ですし、正していただきたいと思います。

 個人の問題とするのではなくて、組織の問題として解明すべきことではないでしょうか。大阪地検の元検事正による事件は、性加害のみならず、二次加害まで起きています。まさに検察不祥事とも言える重大事件であると私は認識しています。なぜこのような事件が起きたのか。二度と起こさないためにどうしたらよいと考えるのか。鈴木大臣にお答えをいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 なぜ起きたのかということについては、今、司法の場でそうしたことが係属中ということでございますので、そこについて行政府の立場から申し上げることは控えさせていただきたいと思いますが、我々、所管をする法務当局として申し上げれば、やはり検察の活動、これは当然のことながら、国民の皆様方の信頼、信任に基づいているところであります。まさにそういった中でこういったことが起きたこと、これは誠に遺憾でもありますし、そういった中でこうした非違行為、ハラスメント、これが発生しないような組織づくり、これは極めて重要だと思っております。

 私の方からも、検察長官会同等の場において、こうした本件が起訴をされたことを踏まえて、非違行為あるいはハラスメントなどがない良好な職場環境を保つということの重要性、さらには、組織のトップとしてそれぞれの方々には、常にそうした良好な組織風土の構築、これに努めていただきたい、そういったことを私としても申し上げているところであります。

 さらには、次長検事名で、今年の五月、検察当局においてハラスメントの防止等に係る取組を徹底するよう、そうした指示も行われたと私としては承知をしております。

 まさにそうしたことから、私としては、検察当局に、しっかりと開かれた、そういった組織風土、これは「検察の理念」ということも踏まえて、そうしたことをしっかりと進めていくように必要な取組を推進してもらいたいと考えております。

松下委員 これは本当にあってはならない事件が起きたと私は思っています。

 正直、この被害者の女性検事の方のインタビューを動画で拝聴いたしましたが、見るのも苦しかったです。なぜ、レイプ被害に遭わなければならなかったのか。職場の上長からですよ。そして、自分自身、すぐに被害を訴えたかったのに、検察組織を守るためとして、被害を訴えてくれるなと口止めをされているんですよ。六年間、つらかったと思います。その間も仕事をされています。

 被害者に寄り添ってまさに捜査を行ってきた大阪地検で、きっとこうした強制わいせつ事件や不同意性交罪に当たる事件、たくさん抱えていたでしょう。そこに関わっていた人自らが被害に遭われているということを、これは本当に重く受け止めて、そして、仕事をしたい、また職場に戻りたいというその思いを組織としてちゃんと受け止めて、二度とこうしたことが起きないように、職場復帰がかなうようにしていただきたいと思います。

 私、この問題を、法務省はやはり女性の人権とかをどう考えているんだろうということを、このことに関しても本当に強く思わざるを得ませんし、男女平等ということがまだまだ実現できていない日本社会を変えていかなきゃいけないという思いを強く持っています。

 続いて、女性差別撤廃条約選択議定書批准に向けて、関連もして質問をしたいと思います。

 国連から勧告を受けても日本政府は選択議定書を批准しない理由に、長年、司法制度や立法政策との関連での問題の有無など検討課題があることを挙げています。

 司法制度や立法政策との関連での問題とは具体的にはどのようなことか、教えてください。

堤政府参考人 お答えいたします。

 女子差別撤廃条約選択議定書で規定されている個人通報制度の受入れに当たっての検討課題といたしましては、委員会から、例えば、国内の確定判決とは異なる内容の見解、通報者に対する損害賠償や補償を要請する見解、法改正を求める見解等が出された場合に、我が国の司法制度や立法政策との関連でどのように対応するか、実施体制も含めて検討すべき論点があると認識しております。

松下委員 本当にそれは理由になっていないと思うんですね、私。確定判決と異なる見解が出たり、補償し得るという見解が出たら、議論すればいいんじゃないですか。そして、法改正が必要だと思えば、立法府がしっかりと議論をすればいいことだと思うんですね。

 何か都合の悪い意見には耳を傾けたくないから選択議定書を批准しませんと言っているように私は聞こえてならないんですね。本当にもうずっと、二十五年かな、ずっと検討を重ねている。長過ぎると思いますし、今の理由では、批准をしない理由には当たらないと私は思います。

 女性に対する暴力の廃絶宣言の前文には、女性に対する暴力は、女性が男性に比べて従属的地位に置かれることを余儀なくさせる重要な社会構造の一つであることを認識しとあります。

 同じ司法試験に合格し、同じ検事という立場で仕事をしてきた一人の女性、一人の人間が、上司と部下、そして男性と女性という違いによって性被害にも遭っているんですよ。こうした現状を重く受け止めなきゃならないんじゃないですか。

 そして、今なお女性差別が撤廃されていない現実を受け止めたら、これを早急に解消するためにも、人権擁護の観点から、女性差別を撤廃するために、長年続いた検討を、真剣な検討をもういいかげん終えて、選択議定書を早急に批准すべきと考えますが、大臣の見解を伺います。

鈴木国務大臣 女子差別撤廃条約の選択議定書、ここで規定されている個人通報制度につきましては、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度と認識をしております。

 その一方で、この個人通報制度の受入れに当たりましては、我が国の司法制度あるいは立法政策との関連での問題の有無であったり、あるいは個人通報制度を受け入れる場合の実施体制、ここの検討課題があると我々としては認識をしているところであります。

 私どもといたしましては、引き続き、外務省を中心とした関係官庁とも連携をしながら、政府全体で、各方面からの御意見も承りながら、個人通報制度、この導入の是非についての検討を進めていきたいと考えているところであります。

松下委員 選択議定書の批准を求める地方議会の意見書採択は、既に三百六十八議会に達しています。日本の男女平等、そして女性の人権を国際基準に引き上げるためには、私はやはりこの選択議定書を批准することが重要であると考えます。

 今年は戦後八十年、女性差別撤廃条約批准四十年という節目の年に当たります。今年こそ、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を実現したいと私自身は考えて、質問を終えたいと思います。

西村委員長 次に、金村龍那さん。

金村委員 日本維新の会の金村龍那です。

 今日は、外国人問題についての質問と、それからスポーツベッティングについてお伺いをさせていただきます。

 まず初めに、外国人問題ですが、五月の二十三日に、国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン、ルールを守らない外国人により国民の安全、安心が脅かされている社会情勢に鑑み、不法滞在者ゼロを目指し、外国人と安心して暮らせる共生社会を実現する。

 これは、今、日本に七万人以上の不法滞在者がおり、そして強制送還を拒否している外国籍の方も三千人以上いる現状の中で、どうやったら共生社会をしっかり実現できるのかということで、私の記憶だと、当然、社会問題化しているいわゆるクルド人の問題とかはあれど、この通常国会の中で自民党の議員も含めて様々な議員が質疑の中で取り上げて、それを法務省の中でやはりこれは何らかの処置が必要なんじゃないかということで、急遽、この二か月余りの中で新たなプランを創設したと理解しております。だからこそ、この新しいゼロプランもしっかり中身を精査し、そして実際、理にかなった結論を得ていかなければならないと思っています。

 その上で三つポイントがあって、入国管理、それから在留管理や難民審査、そして出国や送還、この三つのアプローチの中でゼロプランを実現するというプランになっておりますが、まず初めに、元々二〇三〇年度にJESTAが導入される予定だったと記憶しておりますが、これを二〇二八年度中の導入を目指すとなっておりますが、これは実際導入が可能なのかどうか、政府参考人、お答えください。

杉山政府参考人 委員に御指摘いただきました電子渡航認証制度、正式略称JESTAは、オンラインで外国人に身分事項や渡航目的等をあらかじめ申告させ、スクリーニングを行うことを可能にするものでありまして、テロリストや不法滞在を企図する外国人等、我が国にとって好ましくない外国人の来日を未然に防止するという観点のみならず、増加が見込まれる外国人旅行客の入国審査の円滑化という観点からも重要な意義を有するものであります。

 制度導入の時期につきまして、先月の当委員会におきまして法務大臣からも答弁申し上げたとおり、二〇二八年度中の制度導入を目指していきたいと考えておりまして、システム開発などについてスケジュール感を持って、しっかり検討、調整を行ってまいりたいと考えております。

金村委員 入国管理においてはこのJESTAが最もポイントになると思いますので、技術開発も含めて、一日も早くスタートできることが望ましいと思いますので、是非御努力をいただきたいと思います。

 続いて、在留管理、難民審査のところですけれども、今回このゼロプランを改めて勉強させていただく中で、これまでの制度設計は、言ってみれば、そういった外国人の皆さんが、不正とまではいかないけれども、何度も何度も難民申請をして日本に滞在できるようにしていくことが可能となる制度設計だったと思うんですね。つまり、日本側の美徳として、そういう疑わしい人たちを前提としたシステムになっていなかった。実際には、日本の中で不法滞在者や強制送還に応じない外国人が増えてきた。また、治安の問題も、若干ではあるけれども地域性に応じて生まれてきた。

 そういう中で、じゃ、どうやって日本人と外国人がしっかりと共生社会を実現するかという中で、この難民認定申請の審査の迅速化というのは非常にポイントになってくると思うんですけれども、これは実際どういう、ゼロプランによって、システムが変わり、実際に不法滞在者が減少傾向に至るのか、そのポイントについてお示しをください。

杉山政府参考人 難民認定手続のスピードアップにつきましては、本年三月に鈴木法務大臣から入管庁に対して御指示いただいていたものでありまして、今般の不法滞在者ゼロプランにおきまして、その対応策として二点実施することを考えております。

 一点目、いわゆるB案件、すなわち、明らかに難民と認められない案件の処理の迅速化と在留制限の実施であります。

 これは、申請案件のうちB案件として処理するものを確実に振り分けられるように、最新の出身国情報等を踏まえてB案件を類型化することで、従前の運用を抜本的に改善し、スピードアップを図ることにあります。

 二点目が、令和五年の改正入管法の施行以前に申請をした複数回申請者に対する迅速処理の実施であります。

 改正法の施行以前に申請をした複数回申請者につきましては、経過措置規定により、現在の審査中は送還停止効の例外が適用されないこととなっておりまして、速やかな送還が実施できていないという実態がありますため、これを解消するために、複数回申請者に対する迅速処理を実施し、難民等と認められない者の迅速な送還につなげたいと考えております。

 B案件へ確実に振り分けを行うためには、出身国情報の充実が重要であり、また、複数回申請者を含めた審査のための体制については、これまでも人員及び予算を含めて整備をしてきたところでありますが、不法滞在者ゼロプランにも盛り込んだとおり、今後早期かつ迅速な処理体制を整備することも重要であると考えております。

金村委員 これはあえてB案件を類型化と資料にも記載がありますので、多分、このB案件というのがこれまでなかなかもどかしい案件だったんじゃないかなと。つまり、本来は一刀両断できたものも、なかなかそういうわけにもいかず、また、外国人の皆さんが日本にいたいという気持ちもよく分かる。ただ、余りにもそれに寄り添い過ぎてしまうと、ここがだだ漏れになってしまって、ある種の、とにかく日本に行っちゃえば何とか滞在できるという状況に外国人側にとってなってしまっていたところじゃないかなと思いますので、この迅速化についてしっかりこれからも取り組んでいただきたいと思います。

 その上で、最後は出国と送還のところで、私は、このゼロプランを勉強させていただく中で初めて知ったのが、護送官つきでその国に送還する、強制送還は飛行機に乗って個人が帰るのかなと思っていたんですけれども、護送官がつかなければ帰らない人も中にはいると。それそのものが私はちょっとおかしいなと思ったんですけれども、実際に最後、強制送還をする際になって、護送官がいなければ国に帰らないと言い切ってしまう外国人の皆さんが今でもいらっしゃる。

 実際に護送官をつけて帰るとなると、要は予算の問題、体制を強化するとか、そういう言葉に置き換わるのかもしれないんですけれども、やはりそこをしっかり予算づけしていかないと、最後、帰らない帰らないと言う駄々っ子が得をするような、そういう制度設計というのは私はよくないと思うんですね。

 あくまでもこれは、日本側にとってこの外国人は損である得であるとか、そういう観点ではないと思うんですね。しっかり精査をして、共生社会を実現するに当たって、余りにも素行不良というか、日本側の制度になじまないのであれば、やはり本国に帰っていただくというのは当然の手続であるがゆえに、この護送官付国費送還のところ、これは、制度を強化していくためにも、どういうお考えなのか教えてください。

杉山政府参考人 入管法上、退去強制令書が発付された者については速やかに送還することとされておりますところ、委員御指摘いただいたとおり、退去強制令書が発付されても自発的な出国が期待できない者がおりまして、そういった者につきましては護送官つきの国費送還を実施しているところでございます。

 今般の不法滞在者ゼロプランにおきましては、特に、令和五年改正入管法により送還停止効の例外となった者あるいは重大な犯罪を犯した者を中心に、退去強制が確定した外国人について計画的、確実に護送官付国費送還を実施していくこととしております。

 その趣旨は、こうした者を退去させずに放置することとなりますと、不法滞在や不法就労を企図する者を更に我が国に誘引することにつながりかねないことから、これらの者を速やかに送還することが重要であると考えております。

 その上で、護送官付国費送還を安全確実に実施するため、必要な体制整備を図りつつ、護送官として従事する職員の研修、訓練を更に充実させまして、三年後には護送官付国費送還を倍増させることを目指すこととしております。

金村委員 ありがとうございました。

 やはり制度がしっかりしていれば、強化し続ければ、そう遠くない未来にこのゼロプランというものの見通しが立つんじゃないかと思います。

 その上で、最後、神田政務官に決意を伺いたいんですけれども、私は、実は同期でして、SNSを拝見していると、八戸のことかランニングのことが多いんですけれども、実はこのゼロプランについてだけ非常に熱意のこもった投稿が何件か見られて、これはかなり熱量があるなと。これは多分、法務委員みんな感じたことだと思うんですけれども、これは聞かねばならないと思うんです。

 入管チームと二か月にわたり神田政務官が担当したと言われるこのゼロプラン。このゼロプランを通して、いわゆる不法滞在者をゼロに向けて努力していく、とりわけ素行の悪い、不良外国人と呼ばれるような人たちをしっかり強制送還していくところも含めて、御決意をお伺いできればと思います。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 委員が御指摘いただきましたように、不法滞在者ゼロプランにつきましては、鈴木法務大臣から私に、三月の初めに、こうした誤用、濫用的な難民認定申請を繰り返している者を含めて、ルールを守らない外国人を速やかに我が国から退去させるための対応策をまとめるよう御指示があり、出入国在留管理庁内のチームの皆さんと一緒に、二か月ほどかけまして議論、検討を行いましてまとめたものでございます。

 退去強制が確定したにもかかわらず我が国から退去しない者が放置されるということになりますれば、不法滞在、不法就労を企図する者が我が国にどんどん押し寄せてくる、我が国に誘引されるということにつながりかねないということですから、まずは、今御質問いただいたような、入口、中間、出口というところで、JESTAの早期導入あるいは難民認定審査の迅速化、そして退去強制が確定した外国人を速やかに送還するなど、毅然とした対応を示すことが重要であるというふうに認識しております。こうした認識の下で、本プランの取組をしっかりと推進していくこととしたいと考えております。

 こうしたプランを推進していくことで、ルールを守る外国人を積極的に我が国に受け入れる一方で、ルールを守らない外国人に対しては厳格な対応を行うということで、国民の皆様の安全、安心を守りつつ、外国人と安心して暮らせる共生社会の実現に貢献してまいりたいというふうに考えております。

金村委員 うれしい御決意を伺えました。

 やはり、共生社会というのは前提条件があるんだと。何でもかんでも共生すればいいというわけではなくて、ルールという前提条件を守った上で、お互いがお互いを持ち寄り、共生社会をつくっていくということだと思いますので、私も自分の立場でしっかり頑張ってまいりたいと思います。

 続いて、スポーツベッティングについてお伺いをさせてください。

 これは実は、質疑をするに当たって非常に悩みました。悩んだというのは、スポーツベッティングに対する所管というのが実は日本にないんですね。当たり前ですね、解禁されていないので。そういう意味では、じゃ、どこで質疑をしたらいいのかと考えたときに、所管を探し続ければいつまでたっても質疑ができないわけですね。そういう意味では、法務省の所管と言うと変な言い方ですけれども、賭博罪というものがありますので、一般質疑という機会をいただいて、そこでスポーツベッティングに対する問題提起というか、私なりの質疑をさせていただきたいと思います。

 五月の十四日に日経新聞に掲載された記事、これは多くの方が拝見していると思います。国内居住者、つまり日本にいる居住者で、海外のスポーツベッティングに賭けている金額の総額が六兆五千億。日本から賭けている人のうち、日本のスポーツを対象とした賭け、ベッティングに賭けているのが約一兆円。国内外から日本のスポーツを対象とした賭け金も四兆九千億円。

 このベッティング市場というのは、実は、統計的に言われるのが、スポーツベッティングに大体五〇%、いわゆるカジノ系、オンラインカジノとかIRとかも含めてカジノ系が四〇%、そしてポーカーが一〇%と言われているんですね。

 つまり、スポーツベッティングが、今、ベッティング市場の中で世界で一番、最も市場が大きくて、日本から海外のサーバーを通して、海外のベッティングサイトを通して賭けている金額が今六・五兆円なんですね。ざっくりその統計に合わせると、日本でベッティングに流出している富が十三兆円余りあるんですね、仮にその統計と合わせていくと。

 ちょうどプロ野球がシーズンに入る前に、複数の選手が例えばオンラインカジノを利用していたとか、ある芸人さんが利用していたとか、そういったことで自粛したりだとかいろいろなことがありました。

 ですけれども、今、国としては、そういったオンラインカジノであれば違法サイトにアクセスできないようにすると言っていますが、じゃ、実際どこまで、国外は違法じゃないわけですね、適法なわけですね、海外にとっては。日本にとっては違法なわけですね。そういうものをどこまで閉じ込めて、本当にそれが実現できるのか。

 加えて、私が一番問題だと思っているのは、日本のスポーツは既に賭けの対象になっているということなんですね。つまり、日本のプロ野球選手、主にですね、例えばJリーグの活躍されているサッカー選手とかは、海外の人からするとそれがベッティングの対象なわけですよ。それに既に四兆九千億円も年間でベットされている。けれども、一切お金は入ってきていないと思うんですね、そのスポーツ選手たちに。

 例えば、今、海外を見てみると、スポーツ選手の契約金とかは非常に高騰していますよ。高騰している原因の一つに、やはりこういった市場が、しっかりとスポーツの振興に資金が届けられていることが挙げられると言われておりますので、やはり、外形的に見ても、このスポーツベッティングというのは、違法だからやめようというところから、どこまで次のステージに考えていくかということが私は大切になってきているんじゃないかなと思っています。

 その上で、まず政府参考人に伺いたいんですが、日本でスポーツベッティングを解禁するために、スポーツベッティングそのものが賭博罪が成立しないように合法化すべきだと思いますが、そのためのテクニカルなところを教えてください。

森本政府参考人 お答えいたします。

 まず、刑法上、賭博が犯罪とされていますのは、賭博行為が、勤労その他の正当な原因によらず、単なる偶然の事情により財物を獲得しようと他人と相争うものであり、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害すること、副次的な犯罪を誘発し、さらに、国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあることから、社会の風俗を害する行為として処罰することとされているものと承知しております。

 その上で、他方で、競馬、競輪、競艇などといったいわゆる公営賭博がございますが、それらにつきましては、競馬法や自転車競技法、モーターボート競走法などの、それぞれ関係省庁が所管する法律に基づいて実施されておりまして、法務省といたしましては、それらの法律を所管するため、それぞれの個々の法律についてお答えする立場にはないのですが、賭博の罪を定める刑法を所管する立場から申し上げますと、理論的には賭博罪の構成要件に該当する行為であっても、それらの法律に従って行われるものであれば、刑法三十五条による法令による行為として違法性が阻却されるということとなります。

 このように、既存の公営賭博につきましては、それぞれの事業を所管する省庁が、その事業の推進に当たりまして、賭博罪との法律関係を整理いたしまして、法整備を行ってきたものと承知しております。

 御指摘のスポーツベッティングにつきましては、これを賭博と、例外とするかどうかにつきましては、今申し上げたような点を踏まえて、まずはどの省になるのかという問題はあろうかと思いますけれども、それに向けた事業を所管する省庁がございましたら、そこでまずは検討されて、刑法との関係を整理するという形になろうかと思います。

金村委員 何か、国が胴元だったらええんちゃうのという話に聞こえたんですけれども。

 私はやはり、スポーツの楽しみ方、観戦するのももちろん私自身も好きですし、自分がプレーヤーになることも好きですし、そこにベッティングという新たな考え方が生まれてきていることも世界の潮流の中では認識はしています。ただ、日本の富が流出していることもしっかり認識しなければならなくて、私自身、実際にスポーツベッティングが海外のサイトを通してやられていることそのものにアクセスできないようにすることだけをもって、これで日本人がいわゆる日本の法律である賭博罪に適用されることはないというのは余りにも無責任じゃないかなと思うんですね。

 つまり、今、世界の潮流は、かつてアメリカもスポーツベッティングは解禁されていなかったんですね。でも、それが数年前から解禁されていったのは、やはり違法であるものというのはイタチごっこになってしまう、取り締まってもということと、違法市場であれば、やはりそこに、依存症じゃないですけれども、どっぷりつかってしまった人を助け出すすべというのがなかなかないんですね。

 そうであれば、表の市場できちんと規制をかけることによって、そういった不測の事態もできるだけ防げるような制度設計の中で、余暇を楽しむレベルで楽しめるような仕組みをつくれば、これだけ多くの富が流出することというのはないと思うんですけれども。

 実際、今、日本でスポーツベッティングに非常に近しいものといえば、いわゆるtotoの制度があると思うんですけれども、今の日本のtotoの売上げ、そして還元率、さらに、スポーツ振興に配分されると元々たてつけでなっていたと思いますので、どれぐらいの予算が配置されているのか、お伺いをさせてください。

橋場政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのスポーツ振興くじにつきましては、直近の令和六年度の売上げは約千三百三十六億円となっております。また、還元率は五〇%であり、スポーツ振興くじの収益から配分されるスポーツ振興事業助成における令和七年度の配分額は約二百三十四億円となっているところです。

金村委員 ありがとうございました。

 これは単純に、還元率の違いで、賭ける人の興味というか、好奇心というか、そういうのも変わるので、単純に比較はできないですけれども、先ほど言ったとおり、日本に居住している人が日本のスポーツにベットしている金額の総額は約一兆円と言われているんですね。totoを使っている金額は一千三百三十六億円と、十分の一ですよね。このぐらい桁が違うんですよ。

 これは、スポーツをやられている、プロスポーツに従事している人からすると、自分たちがスポーツをする行為は変わらないわけですから、適法なのか違法なのか分からないけれども、賭けの対象にされて、実際に一兆五千億ぐらいは賭けられていて、振興に、自分の懐や業界に来ているお金というのは、そのうち一千三百億円しか対象となっていないわけですね。

 こういう状態というのはやはり私は異常だと思っていて、少なくとも海外の人が日本のスポーツを対象として賭けているものも日本のスポーツに対して僕は協賛を得るべきだと思っているし、日本人が海外のベッティング企業を通して賭けているものというのは非常に悲しいですよね、国内のtotoに賭けてもらえば、それは分配される対象になっていたのに。

 やはり、今スポーツベッティングというのは、世界の潮流に合わせて国内の法制度も変えていくべきだし、それに準じた形に変えていくべきだ。もちろん、八百長だったり、そういった不正行為、スポーツに従事している方たちのそういう行為は絶対に招いてはならないですけれども、これだけ世界で広く使われているということは、それなりにそういった八百長に対してアラートが鳴る精度とかが非常に高くなっていることも海外では一方で指摘をされておりますので。

 大臣、今既に海外からベッティング対象となっている日本のスポーツ産業に、結局、海外の胴元からは振興予算が配分されていない現状を踏まえて、私は、スポーツベッティングを解禁する方向性に今こそ日本がかじを切るべきだと思いますが、大臣の、今の幾つかの問題点をお伝えさせていただいた中での所感を教えてください。

鈴木国務大臣 今、金村先生が御指摘をされた様々な問題、課題というかそういったこと、あるいは同時に、例えばプロスポーツとかそういったところの市場規模、日本はなかなか拡大が、ほかの大きなプロリーグに比べると遅いとか、あるいは、様々なところでかなりベッティングという話、その意味合いがあるということ、私としてもそういったことには、情報には接していますけれども、正直、法務省は、このことについて言えば、ある意味、受け身の立場ということにならざるを得ません。

 まさにスポーツベッティングの解禁ということが、刑法で禁じられている賭博等の罪に当たる行為を限定的に許容するということであろうかと思いますので、そういったことである以上は、そうした施策を実施をしようとする省庁において、政策の目的に応じて立案等を検討していただくことであろうかと思います。

 その上で、私どもといたしましては、そのような施策の政策的な当否、これはそうしたそれぞれの施策の実施官庁において判断されるべきものですので、私どもとしては、そこに主体的にお答えする立場ではないわけでありますけれども、もしもそうした関係省庁においてスポーツベッティングを解禁をするといった施策を実施するための特別法の検討等が行われるということであれば、それは刑法を所管する立場から、法務省としてもそういった協議に応じていくということになるのではないかと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 是非、新しい地平線を切り開く、当然いろいろな課題はありますけれども、私は、唯一、国会議員でスポーツベッティングを解禁するべきだと堂々と発信していた結果、マイナースポーツの方から激励がすごく届くんですね。予算が配分されていない、それでも頑張りたい。やはりこういった予算のつくり方も、新たなファウンディングじゃないですけれども、あり得るということで、御検討いただければと思います。

 どうもありがとうございました。

西村委員長 次に、円より子さん。

円委員 円より子です。

 本日は、離婚後や別居中の別れて暮らす親と子の親子交流について質問させていただきます。

 これは長年、面接交渉権とか、つい最近まで面会交流とか呼ばれておりましたが、今は面会交流よりも親子交流と言った方がいいのではないか、そういった御意見も参議院、衆議院のちょうど共同親権の法案審議の中で随分言われておりましたので、今日は親子交流ということでお話しさせていただきます。

 長い間、我が国は、離婚後の親権は単独でした。それがいよいよ、小泉先生が大臣のときに御審議されました共同親権も、二〇二六年、来年から選択できるようになります。子供は、どちらの親からも愛されている、見守られていると思えるならば、たとえ親が離婚しても、ある程度そのつらさが軽減されるのではないかと私は思っております。

 そこで、まずお聞きいたします。今現在の離婚件数と、そのうち未成年の子供の数がいる割合はどのくらいなのか、その件数等も含めて教えていただけますか。そしてまた、この二十年ほどの推移、減っているのか増えているのか、その辺りも含めてお教えください。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省の人口動態統計によりますと、令和五年の離婚件数は十八万三千八百十四件、そのうち、親権を行う子がいる件数は九万四千四百八十七件と承知をしております。

 離婚件数のうち親権を行う子がいる件数につきまして、済みません、二十年ではございませんが、その割合の推移についてお答えいたしますと、令和二年五七・六%、令和三年五七・一%、令和四年五二・八%、令和五年が五一・四%と承知をしております。

円委員 未成年の子供のいる離婚件数はかなり減ってきているというふうに思われますね、今の数を見ますと。

 多分、それは中高年離婚が増えていることなのか、それとも子供の数が減っているのか、その辺はちょっと分かりませんが、およそ十九万の離婚件数のうち、今もなお、長年ずっと調停離婚や裁判離婚よりも九割という数で協議離婚が占めておりますが、そのうちの、もちろん調停とか裁判離婚も含めてでもよろしいんですが、せっかく共同親権も選択できるようになりましたが、どのくらいの方々がこの共同親権を選ぶと見込まれているのでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 民法改正法では、父母が協議上の離婚をするときは、父母の協議で、その双方又は一方を親権者と定めることとされており、父母の協議が調わないときは、裁判所が子の利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方のみとするかを判断することとされております。

 離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方のみとするかにつきましては、各家庭における個別具体的な事情に即しまして、子の利益の観点から最善の判断がされるべきものであると考えております。

 したがいまして、民法改正法の施行後に、離婚後に父母双方が親権者となる件数を一概に予測することは困難であると考えております。

円委員 なかなか予測は不可能というか、難しいという御答弁でございますが。

 この法律が、かなりドメスティック・バイオレンスの被害者の方々や様々な方々からの反対意見も多い中で、わざわざこれが作られたのは、共同親権が子供にとっての利益になる、かなりの親が選ぶと考えてのことかと私は思っていたんですね。

 実は、私は、長い間、こうした子供たち、離婚した子供たちとつき合ってきましたので、面会交流、さっきから言います親子交流ですね、離婚後の、それがしっかりと国からも自治体からも支えられ、相談するような場があったりすれば、わざわざ共同親権にしなくてもいいのかなとずっと思ってはきたんです。

 ただ、共同親権の利点も大変ありますので、子供に会えない、また子供の養育に関わりたいという人たちにとっては、この共同親権も選べるということは福音でしょうし、離婚する夫婦が、いろいろ仲が悪いとか争いがあるとかということは、もちろんあるから離婚になるのかもしれませんが、でも離婚までに余りにも憎しみを深めるような離婚の仕方ではない離婚の仕方だってあるのではないかと思い、なお、子供がいる場合は、争いなどをせずに、徐々に共同親権などを選択できるような夫婦が増えることを私は願っているんですが。

 そうした方々に、離婚をする前に、共同親権というものがある、親としてはどういう形で子供に離婚を知らせればいいのか、なぜ親と会えなくなるのか、また、親とちゃんと会えるのかというようなことを話しておくようなことも必要なので、そういった人たちにどんな啓蒙をしたり、この共同親権は、国民の間にまだまだ浸透していないように私は思われるんですが、どういうお知らせなどをちゃんとしているのかどうか、その辺りをお聞きしたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、民法改正法の施行までの間に、離婚を検討している方々を始め、国民や関係諸機関の方々にその趣旨、内容が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報に取り組むことが重要であると認識をしております。

 法務省では、民法改正法について解説する動画を公開したほか、関係府省庁等連絡会議での検討も経まして、民法改正法の趣旨、内容を分かりやすく解説をしたパンフレットを作成し、関係府省庁等の協力も得まして、関係諸機関等に配布をいただいているところでございます。

 例えば、法務省から各自治体の戸籍窓口に対しまして、離婚届の用紙を取りに来られた方々への配布を依頼しており、必要な方々にパンフレットが届くよう取組を行っております。

 また、関係府省庁等連絡会議におきましては、民法改正法の施行後に具体的に問題となる場面を想定いたしましたQアンドA形式の解説資料の作成が進められているところでありまして、今後、同資料の完成後には、それらも活用して更なる周知、広報を行う予定としております。

 現時点での改正法の趣旨等が国民にどの程度浸透しているかということでございますが、なかなか定量的にお答えすることは困難ではございますが、委員からも御指摘いただいたとおり、民法改正法は子らに重大な影響を与えるものであることに鑑みまして、民法改正法の趣旨、内容をしっかりと御理解いただけるよう、引き続き周知、広報に取り組んでまいりたいと考えております。

円委員 この共同親権導入の法改正に当たりまして、子供の意見は聞かれたのでしょうか。どのような調査をして、その結果の主なところを教えていただければと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 法務省は、令和六年民法改正法に関する調査審議を行った法制審議会家族法制部会におきまして、その調査審議の議論の参考とするため、令和二年度に未成年期に父母の離婚を経験した子に対するアンケート調査を実施し、令和四年度には、未成年期に父母の別居、離婚を経験した子に関するインタビューを含む調査研究を実施いたしました。

 また、同部会の調査審議の過程では、十代、二十代の方も含めまして、未成年期に父母の離婚を経験した子の立場の方、合計五名のヒアリングが行われましたし、中間試案に対するパブリックコメントに寄せられた意見の中には、未成年の子の意見や過去に父母の離婚を経験した子の意見等もございました。

 同部会では、こうした実態調査や子自身の意見等も踏まえた調査審議が行われまして、子の利益を図る観点から、離婚後の子の養育に関する制度を見直すことを内容とする要綱案が取りまとめられたところでございます。

 結果でございますが、一部を紹介させていただきますと、令和二年度に実施したアンケート調査におきまして、父母別居後のあなたと別居親との交流について、父母間で取決めはされていましたかとの質問に対し、取決めがあったとの回答は一二・二%、取決めはなかったとの回答は五一・四%であり、父母別居後、別居親とあなたとの交流の取決めについて、あなたの希望、意見を伝えましたかとの質問に対し、本心を伝えたは三七・七%、伝えたが本心ではなかったは二七・九%、意見、希望はあったが伝えていないは一六・四%でございました。

 もう一つ、家族法制部会の第二回会議のヒアリングに御協力をいただきました中学二年生で親の離婚を経験されたという方からは、親の離婚でしんどかった四つの理由として、一緒に暮らす親たちの表情を見て、自分の気持ちを抑えなければならなかったこと、自分の親の悪口を聞くこと、生きる環境が変わること、それからお金のことが挙げられ、日本には子らのしんどさに寄り添う制度、支援がないとの指摘がありました。

 法務省といたしましては、こうした御意見も参考にしながら、引き続き、令和六年民法改正法の周知、広報等に取り組んでまいりたいと考えております。

円委員 詳しくありがとうございました。

 実は、もう四十年以上前になるんですけれども、ニューヨークの本屋さんに行ったときに、本屋さんに、日本ではもう全然考えられなかったんですが、離婚と子供の本のコーナーがあって、もうずらっと何十冊も並んでいたんですね。私はもうびっくりしまして、その中に、こういう本がありました。ザ・キッズ・ブック・オブ・ディボースというんですが、これは、マサチューセッツ州のある中学の子供たち、だから十三、四歳の子供たちなんですが、その子たちが、いろいろなそういうたくさんの本があるんだけれども、今、親が不仲で離婚しそうだとか離婚した子供たちだとかが、どの本を読んでも自分たちの気持ちに沿わない、それで、子供たち同士で話し合って、自分たちで本を書こうという、その本なんですね。私はもう本当に驚いて、私がこれは翻訳した本なんですけれども、そのときに。

 子供たちは、本当に親の離婚、別居、それから、毎晩、ちょっと目が覚めたらお母さんがキッチンで泣いているとか、そういうのを見てもう本当に心を痛めて、葛藤と不安の中にいて、でも、その子たちは、お互いそういう環境にある子供たちと話し合うことで、また、相談できる先生がいたことで物すごく救われた、そう言っているんですね。

 それで、私は、さっき子供のときに離婚を経験した二十代、三十代の調査の話を言ってくださいましたけれども、当事者の子供たちの相談できる場とか、その子たちが話し合える場というのはすごく大事だと思うんですが、ちょっと時間がないので大臣に、そういう場を是非国は支援の場としてつくったらどうかと思うんですが、大臣の見解を聞かせていただけますか。

鈴木国務大臣 気軽に相談できるそういった場であったり、あるいは子ら同士で話し合うことができる場、まさにそういった御指摘はございまして、父母の離婚や別居を経験する子らは、様々な思いあるいは悩みを抱えているという状況があると思います。また同時に、悩みや思い、それをなかなか親に、父母等に伝えることができない、そういった状況も当然のことながらあると思います。そうしたことの中でもそうした子をしっかりと支援をしていく、これは、当然のことながら、極めて重要、大事だと思っております。

 私どもとしましては、現在のところでは、父母の離婚等を経験する子たちを対象としたウェブサイトの開設を行って、このウェブサイトを通じた、離婚やあるいは離婚後の養育に関する知識、あるいは、父母の離婚に関して、自分を責めてはいけない、責める必要はない、あるいは、言いたいこと、これは周りに言っていい、そういったこと等についての情報提供をしっかりとしているところであります。

 また、私どもといたしましては、本年度、父母の離婚、別居を経験する子の養育について、子の意思等を適切に反映させる方策に関する調査研究ということで、それを行う予定であります。そこでは、今御提案いただきましたような、子らに対する相談支援の在り方についての検討も、これも行う予定であります。

 また、本年度、養育計画の作成促進に関する調査研究、これも予定をしております。そこでは、父母の離婚等に関して、地域で、自治体内の複数の部局、あるいは法律家、専門職等の連携によるネットワーク型の支援についての検討を行う予定でありまして、子らに対する支援の在り方についても検討を行う予定でおります。

 今御提案をいただきました様々なこと、あるいは委員のふだんからの御提案も参考にしながら、引き続き、子らに対する支援の在り方も検討をしていくとともに、いい事例、支援の好事例につきましては、関係府省庁とも連携をして、しっかりと横展開にも努めてまいりたいと考えております。

円委員 私は、春、夏、今ちょっとなくなりそうな国立女性教育会館を使って、離婚した家庭の子供たちやお母さんたちと合宿をやっていたんですね、五十人ぐらい。そうしますと、そういう中で、子供たちが、お母さんが病気のときに、自分で、四歳でも五歳でも御飯が炊けるように、おみそ汁が作れるようにと、調理室でそんなこともやっている合間に、子供たちがいろいろな話を私にしてくれるんですね。

 例えば、母親に暴力を振るっていたのをずっと見ていた男の子が、お母さんにこんなんじゃ駄目だから離婚した方がいいよと小学生で勧めたような男の子が、お父さんが嫌いなのかなと思っていたら、いや、中学に入るときに、お父さんにちゃんと入学した、合格したことを知らせて、その後ずっとお父さんと会っているとか。

 それから、赤ちゃんのときに父子家庭になった女の子が、お母さんは自分を捨てたのかな、でもお母さんに会いたいと私に相談に来て、私は、母親、女性は働きながら子供を育てるのは今でもすごく大変だから、あなたのお母さんが別れた頃はとっても大変だったと思うから、捨てたり、そんなことではなかったから、お父さんに話してごらんなさいと言ったら、その後お父さんと話して、ちゃんと別れたお母さんと会うようになったとか。そんなケースをたくさん子供たちの声を聞きながら見てきたんですね。

 ですから、親子交流を、本当に、子供の幸せのために実施していくことは大事なので、今大臣がおっしゃったように、ウェブサイトとか、いろいろなものも大事なんですが、是非是非、実際に交流できるような場がうまくつくれるような、そんなこともお考えいただければと思っております。

 もう時間がなくなってしまったんですが、ちょっと、こども家庭庁にも来ていただいておりますので、こども家庭庁の方に御質問させていただきたいと思っております。

 養育費を支払わない親やDVが原因で離婚した親には会わせたくないというケースももちろんあります。また、子供との親子交流をしたがらない親にはどういうアドバイスや支援をしているのか。

 また、離婚時に、父母が子供の心情や親としての対応などを学ぶ講座の受講義務化は見送られました。これをするとDVの人たちが離婚できないということもあったので見送られたということも分かっておりますが、義務化までしなくても、そうした離婚前の親に、子供の幸せについて、子供との親子交流についてなどのしっかりとした受講講座みたいなものができているのかどうか、その辺りについてお教えください。

源河政府参考人 お答えいたします。

 離婚後も引き続き父母双方が適切な形で子供の養育に関わることは、子供の利益を確保する上で大変重要であると認識しております。

 このため、令和七年度予算におきまして、今委員から御指摘がございましたように、離婚前の相談支援から離婚後の養育費確保、親子交流支援までを伴走型で一体的に提供できるよう、離婚前後家庭支援事業として予算の強化を図ったところでございます。

 この事業では、自治体等を通じまして、離婚前あるいは前後に離婚が子供に与える影響、離婚後の生活や養育費、親子交流の取決めについて考える機会を提供するような親支援講座の実施、養育費、親子交流に関する相談支援、手続支援を進めているところでございます。

 まだまだ取り組む自治体は少のうございますが、好事例を横展開することによって、離婚前後の家庭への支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

円委員 ちょっと順番が逆になりましたが、法務省にお伺いいたします。

 養育費の取決め、これは何割ぐらいなのか。また、しっかりと養育費の取決めにかかわらず送っている人もいますし、決めても送らない人もいるかと思うんですが、そういう養育費がしっかり子供たちに送られるためにどんな対策を取っていらっしゃるか。

 離婚理由の大半は、統計ではよく性格の不一致と出ているんですが、実は経済的要因が圧倒的に多いんですね。浮気されても暴力を受けていても結構離婚しない人が多いんです、夫の地位が高かったり収入があったりすれば。それはやはり、女の人の雇用環境が、いまだに男女の賃金格差があって、ひどいことがあるからだと思いますが、この辺、やはり養育費がしっかり取れていれば、また経済的安定が図られていれば。

 これは、私が日本で子供たちのためにアンケート調査したものなんですが、経済的安定は精神的安定につながって、親子交流をしている母親がすごく多かったんです。ですから、養育費の、きちんと取決めと、その取立てと言うとおかしいですが、ちゃんと確保できるような方策があれば教えてください。

西村委員長 竹内民事局長、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度全国ひとり親世帯等調査の結果によりますれば、養育費の取決めをしていると回答した割合は、母子世帯の母では四六・七%、父子世帯の父では二八・三%であります。

 また、養育費の受給状況について、養育費を現在も受けていると回答した割合は、父親からの養育費では二八・一%、母親からの養育費では八・七%でございました。

 養育費の支払い確保は子の健やかな成長のために重要な課題でございまして、民法改正法では、養育費債権についての先取特権の付与、あるいは、養育費の取決めをすることなく離婚した場合の法定養育費制度の新設、民事執行の申立ての負担軽減等の措置を行っているところでございます。

 引き続き、これらの施策の円滑な施行に努めてまいりたいと考えております。

円委員 少子化の中、どうやれば子供たちが産み育てられるかということが話題になっておりますけれども、今いる、生きている子供たちのためにも、離婚した子供たちの支援を是非よろしくお願いしたいとお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党、本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 法務大臣に、性暴力被害当事者の声を大事にしていただきたいという立場で質問をさせていただきたいと思います。

 不同意性交等罪を含む性犯罪刑法に関して、法案の国会の議論の中で、改正刑法の附則に、「性的な被害を申告することの困難さその他性的な被害の実態について、必要な調査を行う」というふうに明記をされました。この附則に基づく実態調査について、資料の一ですけれども、昨年三月十三日のこの委員会で、当時の小泉龍司法務大臣に御答弁いただきました。

 資料の二ページ目に当たりますけれども、そのときに、法務大臣は、前回の改正のときに十分対応ができなかったという思いを持っていらっしゃる方も大勢いると思います、そうした方々の声にももちろん直接耳を傾け、また、諸外国の調査の在り方もよく我々も検討して、そういったものから得るものがあればそれを加味して、実態に即した実証的な検討そして調査をしたいと思っておりますというふうにおっしゃられ、また、確かに、おっしゃるとおり、調査というのは当事者に触れるわけですから、そこでまた新たな被害のようなものが生じないとも限らない、そこに細心の注意を払う、また、その知見は諸外国にあろうと思われるので、怠りなくそういったところにも目くばせをしながら、できるだけ早く調査に着手したいと思いますというふうに、一年二か月前に答弁をしていただきました。

 しかし、いまだにこれが進んでいないわけです。そういう確認の質問を何度もしなければならない。なぜ誠実にやっていただけないのかというふうに、非常に憤りを持っております。

 子供のときに性暴力の被害を受けた当事者が、この公訴時効は被害実態に合っていない、切り捨てないでほしいと泣きながら語られておられたことを、法務省には何度も何度もお伝えをしております。性暴力被害当事者の方々の声を軽視しないでいただきたいというふうに思います。

 この小泉龍司法務大臣の答弁に即して、鈴木法務大臣にも性暴力被害当事者の方々の声を聞いていただき、答弁にあった、附則の実態調査を早急に推進する立場で力を発揮していただきたいというふうに思います。

 また、内閣副大臣にも是非、前に進めていただくために御尽力をいただきたいというふうに思いますけれども、まず、内閣副大臣から御答弁いただきたいと思います。

辻副大臣 本村委員御指摘の、刑法等改正法の附則に規定された、性的な被害を申告することの困難さ、そのほか性的な被害の実態についての必要な調査については、同附則の規定に基づき、既に法務省において取り組まれているものと承知しております。

 昨年六月に策定した女性版骨太の方針二〇二四においても、法務省の下で、実施に向けて着実に検討を進めるものとしてお示しをさせていただいたところでございます。

鈴木国務大臣 まさに、性被害に遭われた方々のそうした声をしっかりと承る、私も様々な機会でそこはさせていただいておりますし、そこはしっかりと寄り添う形で対応していきたいと思っております。

 その上で、今御指摘ありました、令和五年六月に成立をしました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律の附則のところにあります、この必要な調査ということでありますけれども、私どもといたしましては、この趣旨を踏まえまして、関係府省庁とも連携をした上で、施行五年経過後の検討に資するものとなるように、必要な調査を実施をしております。

 その中で、性的な被害の実態の把握ということについて努めているところでありますが、この調査の結果ということで申し上げると、これは、この五年後の検討ということに向けて実施をしているという状況でありまして、これは行っていますけれども、今、何らかその結果として報告をできるような、そういった状況ではないということについては、今の段階ではということでありますけれども、是非御理解をいただきたいと思います。

本村委員 じゃ、諸外国の調査は、在り方、そういうことを調査をして検討しているんでしょうか、大臣。

森本政府参考人 お答えいたします。

 今大臣から御答弁あったとおりですが、五年後の検討に資するものとなるように様々な形で調査を実施しておりまして、現時点で、これがどの段階とか、こうということは申し上げられませんが、五年後の検討に資するような調査を行っていきたいというふうに考えております。

本村委員 被害当事者の方々とコミュニケーションを取っていただいて、調査項目もしっかりと被害当事者の方々から声を聞いて作っていただきたいということを申し上げてまいりました。それをやっていくんだという御答弁でしたけれども、それはやっているんでしょうか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる意見交換という形で今ございますけれども、性犯罪被害当事者の方々との意見交換はしながら進めているというふうに思っておりまして、どこまでの調査をしていくかということはまた今後の課題かと思いますけれども、様々な団体等との意見交換はしておるところでございます。

本村委員 いつ、どこでやったか、後で資料を出していただきたいと思いますけれども、局長、いかがでしょうか。

森本政府参考人 相手方のあることでございますので、相手方の御了承を得る範囲もあろうかとは思いますけれども、大丈夫なものについては、また先生の方に後ほど御連絡申し上げます。

本村委員 昨日も、もう何回かレクをしていただいているんですけれども、昨日の段階は、法務省は検察に公訴時効が延長したことによる状況について調査をしているということを話しておられましたけれども、実際に何の説明もなかったんですけれども、なぜ答弁と食い違っているんでしょうか。

森本政府参考人 もし、私どもの方で説明に赴いた者の説明のところで、先生との間でこちらが、済みません、意を酌まなくて説明できなかったところがあったとしたらおわびいたしますが、これまで、複数回にもちろんわたってでございますけれども、被害関係団体の方々、その中に被害者の方も、当事者も含まれる方々と意見交換はしながら進めておるところでございます。

本村委員 是非、被害当事者の方々の声をしっかりと踏まえて、調査項目も含めて、そして諸外国の事例も含めてしっかりとした調査をしていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

鈴木国務大臣 まず、私どもとしても、当然これは極めて重要な事柄であると考えております。そういった中で、施行後五年経過後の検討、ここが充実したもの、適切なものとなるように、そういったものに資するように、きちんとした形で適切な調査を進めてまいりたいと思います。

本村委員 是非、被害者の方々に寄り添った丁寧な実態調査をしていただきたいというふうに思っております。

 二〇二三年の性犯罪刑法の改正で、性犯罪について公訴時効の期間を五年延長するとともに、被害者が十八歳未満である場合には、十八歳に達するまでの期間に相当する期間、更に公訴時効の期間を延長する法改正がなされました。

 しかし、一方で、子供期に性暴力の加害行為の被害当事者の方々が民事で損害賠償請求をしようと思ったときに、その民事の消滅時効は現行法はどうなっているのかお示しをいただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 民法七百二十四条に規定がございますが、不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから三年間行使しないとき又は不法行為のときから二十年間行使しないときは時効によって消滅する旨を規定しております。

 平成二十九年の民法改正によりまして、この二十年の長期の権利消滅期間は消滅時効期間というふうにされまして、時効の完成猶予や更新の規定の適用を受ける上、被害者は加害者の時効の援用による権利消滅の主張が権利濫用であるなどと主張することも可能であることとされております。

 また、民法七百二十四条の二は、先ほどの三年の短期の消滅時効期間につきまして、人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権に関して五年に長期化する特例を設けておりまして、性的被害もこれに該当すれば、損害賠償請求権の短期消滅時効期間は五年となります。

本村委員 子供の性被害には民事消滅時効を適用しないことを定める立法を求めるということで、「子どもの性被害 時効にNO!」キャンペーン事務局の皆さんが各党に要請をされているというふうに思います。私どもの党のところにも来てくださいました。その中には、ジャニー氏の加害行為によって被害に遭われた方々もいらっしゃいます。

 民法では、先ほども御説明がありましたように、加害者を知ったときから三年あるいは五年、損害賠償請求権の時効によって消滅をしてしまう。このままですと、刑事事件で不同意性交等罪が認められても、損害賠償は時効で認められないということが起こってしまいます。実際に、実の父親からの性暴力によって、民事裁判を起こしたけれども、時効といって切り捨てられる判決が先日もございました。

 刑法で、子供時代の同意のない性的行為、性暴力に関する刑法の時効について撤廃するということを求めると同時に、刑法以上に実態に見合っていない民法の消滅時効をなくしていくことが必要だというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。そして、少なくとも、被害当事者を入れた検討を始めるべきだというふうに考えますけれども、大臣、御答弁をいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 性犯罪につきましては、被害申告の困難性を踏まえまして、令和五年の刑法等の改正によりまして公訴時効期間が五年延長されたというところでありまして、その際、被害者が十八歳未満である場合には、若年者の特性、それを踏まえまして、その者が十八歳に達する日までに相当する期間、性犯罪の公訴時効期間が更に延長されたところでございます。私どもといたしましては、まずはこれらの規定が適切に運用される、それが大事だと思っております。

 その上で、この附則におきましては、政府において、施行後五年を経過した場合に、速やかに施策の在り方について検討することとされておりますので、公訴時効の在り方についても、それは検討の対象になり得ると私どもとしては考えているところであります。私どもといたしましては、附則の規定の趣旨を踏まえまして、関係府省庁とも連携をして適切に対応してまいりたいと考えております。

 同時に、民法ということでも御指摘がございました。

 まさに、心身共に未熟な子供が性被害を受けた、そういった場合には、被害を申告をすることは必ずしも容易ではない、これはそのとおりだと思います。そうした状況の中で、そのような子供の性被害に係る民事上の損害賠償請求権の履行を確保するということ、これは私ども法務省といたしましても重要な課題だと認識をしているところであります。

 そして、その消滅時効をどうするのか、このことについても、当然のことながら、そうした様々な私どもとしての課題への認識ということの中で、この消滅時効制度の趣旨を踏まえながら、どのような対応が可能なのか、そのことについての必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

本村委員 是非、性暴力被害当事者の方に寄り添った法改正を行うべきだということを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。

 資料の二つ目です。金沢弁護士会の会長声明でございますけれども、法テラスにおける能登半島地震の被災者の方々への資力を問わない無料法律相談が二〇二四年十二月三十一日で切られてしまいました。日本弁護士会からも、一年で終わらないように法改正を求めるということで会長声明が出されております。

 液状化の地域も地面がまだ動いていて、この地域で本当に住宅を再建するかを迷っているというお声もお伺いします。それで、公費解体もまだ六六・三%の状況でございます。一年では生活再建できない。

 そういう中で、やはり資力を問わない被災者の法律相談援助の期間を延長するべきだというふうに思いますけれども、さらに、再開をして延長するべきだというふうに思いますけれども、大臣の答弁を最後に求めたいと思います。

西村委員長 鈴木大臣、時間が来ていますので、御協力をお願いします。

鈴木国務大臣 この延長につきましては、現行制度の趣旨に照らして、改正を要する具体的な事実があるか等々の観点から、この期間終了後の民事法律扶助による援助の状況等も踏まえた慎重かつ十分な検討を要する問題であると考えております。

 ただ、日本弁護士連合会からも御要望を様々受けてございますので、今後の進め方も含めて、日本弁護士連合会及び法テラスとの間で必要な協議、検討を行ってまいりたいと考えております。

本村委員 公費によるDV被害者の支援ですとか、公費による子供パートナー弁護士、この点も是非前に進めていただきたい、検討を進めていただきたいということを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、吉川里奈さん。

吉川(里)委員 参政党の吉川里奈です。よろしくお願いいたします。

 本年五月、外免切替えで日本免許を取得したペルー国籍の男性による高速道路の逆走、中国国籍の男性による飲酒ひき逃げなど、重大事故が相次ぎました。交通事故全体件数は減少傾向にある一方で、外国人による交通事故は増加しています。

 外免切替え制度は、一九三三年に運用上の措置として始まり、一九六〇年から七〇年代に法整備が進み、現在の形が確立されました。一九九三年に簡易な知識試験が導入されて以降、審査内容の見直しはほとんどされていません。

 政府が観光立国を掲げ、外国人の受入れを進めた結果、訪日、在日外国人は急増しました。本来であれば、その時点あるいは外免切替えの申請が急増した時点で、安全面や実態に合わせた制度の見直しが行われるべきではなかったのか、御見解を伺います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 外国人運転者による交通事故件数を見ますと、二十年前の平成十七年に一万三百二十四件であったものが、令和二年には五千四百四十一件まで減少しております。

 しかしながら、訪日外国人の増加や外国籍の日本の運転免許保有者の増加を背景に、近年、交通事故件数は増加傾向にございます。

 また、外免切替えの状況を見ますと、平成十五年には四万八千三百六人であったものが、二十三年には二万四千五百八十三人となり、三十年以降は四万人台で推移していたものの、令和五年には六万十人、六年には七万三千四百七十七人と大幅に増加している状況にございます。

 加えて、観光ビザ等による短期滞在者がホテル等の滞在場所を住所として免許を取得しているといったことが指摘されているほか、最近報道されておりますような、外免切替え制度により免許を取得した外国人による交通事故の発生も見られるところでございます。

 したがいまして、これまでは外免切替え制度の見直しを直ちに行うべき状況にはなかったものと認識しておりますが、ただいま申し上げました最近の状況の変化を踏まえ、現在、警察庁におきまして、外免切替え制度の在り方について検討を行っているところでございます。

吉川(里)委員 令和二年や二〇二三年はコロナの時期だったと思います。そのような件数の減少を理由にはしていただきたくありません。

 そもそも警察庁は、外国人の外免切替えの取得状況は、この十年で約二・五倍、国籍別や在留資格別の把握はしていないとおっしゃられました。外国人事故の増加も把握しながら、抜本的な見直しは行われず、重大事故が起きてから初めて動くという後追いの対応が常態化しています。

 その影響は他分野にも広がり、例えば、税や保険料の未納、医療費の踏み倒し、外国人の犯罪の増加などによる、社会の現場では既にひずみが起きています。外国人を受け入れる以上、その社会的コストを見える化し、国民に説明責任を果たすべきだと私は思います。

 また、外免切替えの見直しに当たっては、住所要件や知識試験の厳格化のみならず、我が国の交通マナーを理解するためにも、路上講習の追加というものを強く要望いたします。

 二問目を飛ばして三問目に行きます。

 配付資料を御覧ください。就労資格のない外国人が日本人名義のアカウントで配達業務に従事していた事案が明らかになりました。本人確認や在留資格の確認がなされず、不法滞在者が働ける事実というのは極めて深刻です。加えて、一部の日本人事業者が、不法滞在者や難民申請者を使い、悪質な中抜き構造を形成していることに強い懸念を抱きます。

 外国人配達員に関しては、在留資格を定期的に提出させるなど、対策を徹底すべきではないでしょうか。また、名義を貸した日本人や確認を怠った事業者への責任の明確化が必要だと考えますが、御見解を伺います。

杉山政府参考人 御指摘いただいたような事案が報道されていることについては承知しているところでございます。

 出入国在留管理庁といたしましては、業種のいかんにかかわらず、在留資格を有することなく我が国において稼働する不法就労外国人対策は重要な課題と認識しております。

 当庁におきましては、独自に、あるいは関係機関の協力を得ながら、不法滞在者の情報の収集、分析を行い、事案に応じて警察等とも連携して調査を進め、不法就労や不法残留等の違反事実が確認された場合には、取締りを実施し、法令上の手続を経て退去強制を行っているところでございます。

 また、毎年、警察庁、法務省、出入国在留管理庁、厚生労働省をメンバーとする不法就労外国人対策等関係局長連絡会議を開催しておりまして、関係省庁間で、不法就労等外国人問題の現状、関係省庁が連携して対策に取り組むことの重要性を共有しているところでございまして、引き続き、委員御指摘の点も含め、不法就労対策に関します効果的な対策を検討し、関係機関と連携を取りつつ、より一層、不法滞在者等の縮減に取り組んでまいりたいと考えております。

吉川(里)委員 企業が外国人を雇う場合は在留期間をきちんと確認することができますが、日本人の事業者が契約書も作らず直接雇うようなケースに当たっては不法就労に当たることが多く、外国人が安い労働力として使われてしまっている現状があります。にもかかわらず、こうした問題に対して明確な責任を持つ省庁がなくて、対応が遅れてしまっていることが現状かと思います。

 河野委員の御指摘にもありましたが、退去強制となった外国人のうち七六・四%が不法就労に関わっており、こうした働き方は、労働条件や税の面でも大きな問題を生んでいると考えます。ですが、厚労省、警察庁、入管庁、互いに責任を押し合っていては、制度の隙間に落ちたままの人が放置され、日本の治安悪化にもつながりかねません。

 これから始まるゼロプランでは、こうした現実をしっかり見据え、関係する省庁が力を合わせて、法務省は中心となって対応していただくようお願いいたします。

 最後に、今後、外免切替えは原則として三か月以上滞在する外国人に限ると聞いておりますが、これは、いっそのこと、運転免許証の有効期間も在留資格と連動させるべきだと思います。というのも、これが不法就労を助長し、オーバーステイの長期化につながっていると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西村委員長 鈴木大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

鈴木国務大臣 今委員御指摘のような、そうした問題意識については理解をしないところではありませんが、このことについては、当然、免許ということであれば、警察庁においてということであります。そうした御指摘についても、警察庁からの情報の共有も含めて、検討の依頼があれば必要な対応を行っていくということになろうかと思います。

吉川(里)委員 そういったところが、縦割り行政の弊害が今起きていると思いますので、しっかりとした対応をお願い申し上げ、私の質問を終わります。

西村委員長 次に、島田洋一さん。

島田(洋)委員 日本保守党の島田です。

 先日、鈴木大臣が不法滞在者ゼロプランを発表されて、私も、この前、昨年来、不法移民対策の強化を繰り返し主張してきました。そうした中で、今年三月、大臣が政務官に指示を出されて、こうした対策強化を打ち出された。

 このプランの方向性、そして指示を出されたということについては高く評価するものですけれども、ただ、実施のペースに関しては疑問を抱かざるを得ない点があって、例えば、今、不法滞在者、昨年末時点で七万四千人と言われていて、その中でも特に厄介な送還忌避者、これが三千人。この三千人に関して、今後、五年半で半減させるというのが打ち出された目標ですけれども、ということは、五年半たっても半分は残るということですよね。

 それから、物理的抵抗をしかねない、特に悪質なケースと言ってもいい護送官付送還、これは昨年二百五十人だったのを、三年後に五百人に増やすのを目標にする、これもちょっとペースがゆっくり過ぎるんじゃないか。

 だから、大臣、ちょっとこれは目標が低過ぎるんじゃないですか。

鈴木国務大臣 当然のことながら、私どもとしても、ゼロプランということで申し上げておりますので、そこはしっかりとそこを目指していくということであります。

 ただ一方で、当面のということで申し上げると、私どもは今回様々な運用変更を行う中で、審査の迅速化等々ということもこのプランにありますので、そうした中で、恐らく、これから退去強制が確定をする外国人、この数も増えていく、分母が増えていくという、そういったことも当然見込まれます。

 そういった中にあって、そうした現実の中で、私どもとしてどこまでしっかり厳格にできていくのかということで考えたときに、まずは五年半で半減ということ、これを目標として掲げたところでありますが、その我々の思い、趣旨としては、当然それはゼロに持っていくということであります。

 護送官つきの方の話でありますけれども、ここについては、やはりその熟練度、これはかなり重要であります。これはやはり暴れる人をどう押さえてということもありますから、そういったことの中で、人材育成ということも含めて考えれば、我々もこれは非常に増やしていきたい、その思いは当然ありますが、三年後、この倍増ということで、これは予算の面も含めてそういったことにならざるを得ないということかと思います。

島田(洋)委員 これはできるだけペースアップしていただきたいと思います。

 今、予算のお話をされたんですけれども、本来、偽装難民等の対処に日本国民の税金を使うというのはおかしな話で、これはそういう偽装難民を出している国にきっちり費用負担を求めるべきだと私は思っています。だから、護送官付送還に関しても、相手国に、費用を出せ、出さないんだったらその国に対する経済援助額を減らす、そういったこわもての外交も必要だと私は思いますが、この辺り、大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 思いは分からなくもありませんが、その一方で、我々としては、一九五三年の十月に加盟をしております国際民間航空条約、この第九附属書におきまして、被送還者を送還する締約国が送還に関連する全ての義務、責任及び費用を負うとされていて、原則、費用の負担については送還する側の締約国が負うということとされている、そういった現実があります。

 そういった中で、例えば、実態として、令和六年中に送還をした被送還者のうちの約九割は自費出国をしておりますし、同時に、このプランで入口のところもしっかりと押さえていきますので、そういった意味では、これで送還の対象者を減らしていく、そういった中で、国民の負担となるようなことがなるべく減っていくように私どもとしてはしっかりと対応していきたいと考えております。

島田(洋)委員 例えば、アメリカのトランプ政権などは、コロンビアに悪質な違法な滞在者を送り返すに当たって、コロンビアが飛行機を出して費用も全部見ろとか、そういうことをやっています。その辺りも参考にしていただきたいと思うんですけれども。

 それで、日本において難民申請者数が二年連続一位がスリランカ。しかも、難民認定された数がゼロ。つまり、全員が偽装難民、少なくとも法務省の認識では。そのスリランカに、今年二月、生稲政務官が行かれて、向こうの大統領と面談された。同じ月にはジュネーブでもスリランカの外相と面談されている。

 前回来ていただいたときに、この難民問題を話題にされたんですかと聞いたところ、話題にしなかったと。これは、話題にしなかったというのは、日本が偽装難民を黙認しているんだという間違ったメッセージを与えたという意味で、私は外交的失態だと思いますが、今後、スリランカ政府に対して、この偽装難民に対してその流出を防ぐようしかるべき対応を取れと申し入れられるつもりは、生稲さん、ありますか。

生稲大臣政務官 お答えいたします。

 次回のスリランカの要人との接触の機会や、またその際の議題について、現時点で予断することはできませんけれども、日本に在留するスリランカ人に関する課題につきましては、これまでも外交ルートで取り上げてきていまして、今後とも法務省と連携して適切に対応してまいりたいというふうに思っています。

島田(洋)委員 今後ともと言われましたけれども、だから、二月にスリランカに行かれたとき、話題にしなかったわけでしょう。取り上げていないじゃないですか。だから、答弁が全く矛盾しているんですが。

 じゃ、さっきも鈴木大臣に聞きましたけれども、例えば、強制送還の費用とかをスリランカ政府が持て、持たないんだったら援助額を減らしますよ、やはりこういった強い外交も必要だと思いますが、この点は生稲政務官、いかがですか。

柏原政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘のありました日本に在留するスリランカ人に関する課題、これにつきましてどのように対処、対応していくかということにつきましては、今後とも法務省と連携して適切に対応してまいりたいというふうに考えます。

島田(洋)委員 今後ともと言われますけれども、これまで話題にしていなかったわけでしょう。だから、これまでと同じような対応では全く困るわけですね。

 生稲政務官、アジアや太平洋諸国を地域としては担当しておられるわけで、だから、こうした、スリランカは完全に日本をなめていますよ。だから、今度向こうの大統領とか首相に会うときは、私がばしっと難民問題に切り込みますとちょっと言ってもらえませんか。

西村委員長 生稲外務大臣政務官、時間が来ていますので、簡潔にお願いいたします。

生稲大臣政務官 そのときは適切に対応させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

島田(洋)委員 じゃ、終わります。どうも。

西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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