第20号 令和7年6月6日(金曜日)
令和七年六月六日(金曜日)午前十時一分開議
出席委員
委員長 西村智奈美君
理事 小泉 龍司君 理事 津島 淳君
理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君
理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君
理事 金村 龍那君 理事 円 より子君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上田 英俊君 上川 陽子君
神田 潤一君 河野 太郎君
中西 健治君 平沢 勝栄君
森 英介君 山下 貴司君
若山 慎司君 有田 芳生君
篠田奈保子君 柴田 勝之君
高橋 永君 平岡 秀夫君
藤原 規眞君 松下 玲子君
萩原 佳君 藤田 文武君
小竹 凱君 大森江里子君
平林 晃君 本村 伸子君
吉川 里奈君 島田 洋一君
…………………………………
議員 岡本あき子君
議員 米山 隆一君
議員 藤田 文武君
議員 長友 慎治君
議員 円 より子君
法務大臣政務官 神田 潤一君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 新田 一郎君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
六月六日
辞任 補欠選任
棚橋 泰文君 中西 健治君
寺田 稔君 山下 貴司君
寺田 学君 高橋 永君
同日
辞任 補欠選任
中西 健治君 棚橋 泰文君
山下 貴司君 寺田 稔君
高橋 永君 寺田 学君
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六月五日
選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(大石あきこ君紹介)(第一七八二号)
治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(福島伸享君紹介)(第一七八三号)
同(竹内千春君紹介)(第一八三二号)
同(森山浩行君紹介)(第一八三三号)
裁判所の人的・物的充実に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七八四号)
同(神谷裕君紹介)(第一七八五号)
同(菊田真紀子君紹介)(第一七八六号)
同(志位和夫君紹介)(第一七八七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一七八八号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一七八九号)
同(田村貴昭君紹介)(第一七九〇号)
同(田村智子君紹介)(第一七九一号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一七九二号)
同(本村伸子君紹介)(第一七九三号)
同(屋良朝博君紹介)(第一七九四号)
同(米山隆一君紹介)(第一七九五号)
同(松下玲子君紹介)(第一八三四号)
選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八二三号)
同(志位和夫君紹介)(第一八二四号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一八二五号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一八二六号)
同(田村貴昭君紹介)(第一八二七号)
同(田村智子君紹介)(第一八二八号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一八二九号)
同(本村伸子君紹介)(第一八三〇号)
民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(大河原まさこ君紹介)(第一八三一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
民法の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外五名提出、衆法第二九号)
婚姻前の氏の通称使用に関する法律案(藤田文武君外二名提出、衆法第三〇号)
民法の一部を改正する法律案(円より子君外四名提出、衆法第三五号)
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○西村委員長 これより会議を開きます。
黒岩宇洋さん外五名提出、民法の一部を改正する法律案、藤田文武さん外二名提出、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案及び円より子さん外四名提出、民法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官小八木大成さん、総務省大臣官房審議官新田一郎さん及び法務省民事局長竹内努さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○西村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山下貴司さん。
○山下委員 自由民主党の山下貴司です。
結婚前の姓を引き続き使って活躍したい、生まれ育った、なじんだ旧姓を大切にしたいという思いを持ちながら、結婚後、旧姓使用に不都合、不便を感じているという問題については、政府全体で取り組む必要があると考えております。この切実な声、私も聞いておりますし、私も、実は仕事を持つ二人の娘がおり、切実な問題です。
これまで自民党は旧姓の使用拡大を進めてまいりました。その結果、多くの公的文書で旧姓が記載され、例えば銀行の約七割は旧姓名義による口座開設等に対応しています。しかし、私はもちろん、自民党もこれで十分だと思っているわけでは全くなく、関係者からのヒアリングを重ね、検討を重ねてまいりました。残念ながら今国会には間に合いませんでしたが、必ず意見を集約し、国会での議論に臨ませていただきたいと考えます。
さて、今回の野党各案の提案者の御努力と思いには深く敬意を表する次第ですが、私は、その解決方法が、現在野党の皆様から出されている選択的夫婦別姓制度だけかというと、それは違うと言わざるを得ません。
現在提出されている選択的夫婦別姓制度法案は、平成八年法制審答申を基礎としたものですが、昨年来、私が予算委員会の場でも指摘したように、選択すれば、必ず親子のいずれか、親の一方は子と名字が違う、姓が違う、必ず家族別姓になる、選択しなければ、婚姻前の姓、つまり旧姓の法律上の手当てはないという究極の選択を迫る制度だと私は考えています。選択するかしないかは自由という論者もいますけれども、究極の選択しかできない制度設計にするかどうかは国会の責任であります。
人にとって、結婚前のアイデンティティーも重要であると同じく、結婚後の家族というアイデンティティーもまた重要であります。しかし、別氏制度は、旧姓も家族姓も使いたいというニーズには対応しておらず、個人が持つ結婚前のアイデンティティーと結婚後の家族というアイデンティティーの両立が困難な制度と言わざるを得ません。
そして、現行夫婦同一姓制度の合憲性は、最高裁大法廷の判断によっても重ねて認められております。また、国民に対する調査においても、令和四年の内閣府の調査でも、また今年初めの読売新聞の調査でも、旧姓使用の拡大をすることを含めて、合計約七割の回答者が夫婦同姓制度の維持を支持しているところであります。
本日は、そのような問題意識から、各案の提案者や関係省庁に質問をさせていただきます。
なお、法律用語上は別氏制度ということですが、一般用語に倣って別姓制度とも言うことがあります。
さて、現行民法は夫婦同氏制度を採用していますが、選択的夫婦別姓制度の議論は主に村山富市内閣のときの法制審議会で議論され、平成八年、選択的夫婦別姓についての答申が提出されました。
答申に先立って、答申案となったA案、夫婦別姓を原則とするB案、夫婦同一氏を維持しながら婚姻前の氏を自己の呼称として法律上承認することで事実上夫婦別氏制を実現しようとするC案の三案が検討されました。ただ、その経緯を示す中間報告を読むと、C案が夫婦別氏制の理念が後退していることを理由に否定され、A案がこれを望まない国民の側からも比較的受け入れやすい案として採用されたことからも分かるように、答申は、私には、夫婦別氏制度を導入するためにはA案からC案のどの案が適当かという視点から検討されたものと受け止められます。
しかし、問題は、夫婦別氏制度を採用する前提でA案からC案のどれが適当かという視点ではなくて、そもそも夫婦と家族の氏の法制としてどのような制度がよいのかという国会での議論が必要だと考えます。
立法府としてそのよすがとすべきは司法府の判断であります。最高裁大法廷は、平成二十七年、そして四年前の令和三年と二度にわたり、夫婦同一氏制度は合憲との判断を下しました。資料一を一枚めくって資料二を御覧ください。最高裁大法廷平成二十七年判決は次のように判示しております。
家族同一氏制度の合理性については、氏は家族の呼称として意義があるところ、現行の民法の下においても、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つに定めることには合理性が認められる。そして、立法に当たり国会が検討、判断すべき事項についても触れておりまして、婚姻及び家族に関する事項は、国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断によって定められるべきものということを言っております。そして、具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定が、このように、国会の多方面にわたる検討と判断に委ねられているものというふうに指摘しているわけであります。
最高裁が言っているのはこういうことですが、ちょっと法務当局に伺いますけれども、この平成二十七年最高裁大法廷合憲判決で示された、氏は家族の呼称として意義がある、家族の呼称を一つに定めることには合理性が認められるという判示や立法の際に国会の検討、判断すべき事項に関する判断というのは、今でも判例上は変更されていないんでしょうか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
夫婦同氏制度が合憲であると判断した委員御指摘の平成二十七年の最高裁判決でございますが、判決の理由中において、委員御指摘のとおり判示されたものと承知をしております。
そして、最高裁令和三年決定は、平成二十七年判決を引用しまして夫婦同氏制度は合憲である旨判示しており、委員御指摘の判決、判断、理由中の判示部分を変更するような判示はしていないものと承知をしております。
○山下委員 つまり、最高裁は、重ねて、立法政策だから何でもできるというわけではなくて、最高裁が示した、例えば国の伝統や国民感情などの社会状況における種々の要因、あるいは夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合判断としての法案でなければならないというのが、立法府に対する最高裁が与えた命題であります。
そこで、今回提案された各党の御提案が、先ほど述べた最高裁大法廷判決が指摘するように、種々の要因を踏まえた全体の規律を見据えた上での総合的判断か否かが問われなければならないと考えます。
そこで、まず、国民感情について検討するに、選択的夫婦別姓の導入を求める切実なお声があることは私も受け止めております。しかし、一方で、先ほど資料一でお示ししたように、直近の内閣府の世論調査等において、旧姓の使用拡大などを含めれば合計約七割の回答者が夫婦同姓制度の維持を支持しているところであります。これも大きな国民感情と言わざるを得ません。婚姻後の氏の問題は国民全体に関わる議論であることを考えると、この世論調査も重く受け止めなければならないわけであります。
また、社会状況における種々の要因には、旧姓の使用の拡大が実際にどこまで進んでいるかということも含まれております。そして、この問題を考えるに当たって立法府として大切なことは、国会が夫婦や親子関係についての全体の規律を検討した上で総合判断したかと言えるかだと私は考えます。
その観点から各党提案者に伺います。
夫婦別姓に消極的な方が述べる理由として、子供と別の姓にはなりたくない、旧姓を引き続き使いたいだけなのに家族と別姓になるのはつらいという声も多くあります。
そこで、立民、そして国民の提案者に伺います。
まず、選択的夫婦別姓制度導入後、別姓を選ばない夫婦が旧姓を使いたい場合には法制上どのように対応するのでしょうか。そして、別姓を選択した夫婦で、その別姓を選択した方に法律上の家族姓というのはあるんでしょうか。順次伺います。
○米山議員 それでは、お答えいたします。
まず、選択的夫婦別姓制度導入後、まず別姓を選ばない夫婦が旧姓を使いたい場合ということでございますが、こちらはもう現在既に認められているパスポート等の公的証明書への旧姓併記等の政府の取組について立憲案は何ら否定しているものではございませんので、選択的夫婦別姓導入後も引き続き維持されるものと想定しております。
したがって、今と全く変わらない。さらに、別姓制度が更に、旧姓を使用できる範囲が広がるならば、同様に広がっていくということかと思います。したがって、同氏を選択した夫婦のうち氏を改めた夫又は妻は、現行制度で認められている範囲内において旧姓を、旧氏ですね、旧姓を通称として使用することが可能となります。
次に、家族姓のことでございますけれども、まずもって、少々、家族姓という言葉はそもそも現行法上ございませんので、それは何を意味するかということは明らかでないということは最初に御指摘させていただきます。
その上で、委員がおっしゃっている家族姓というものが家族を特定する単一の姓であるということであれば、現行法上、例えば、離婚後旧姓に復した母親と元の姓を継続している子供の家族や国際結婚の家族、また事実婚の家族のように、単一の姓、単一の呼称を持たない家族は現に多数いるということを指摘させていただきます。
そして、ほかならぬ我が家におきまして、妻とその最愛の息子は姓が異なります。もし委員が家族は家族姓を持たなければならないと御主張しているのであれば、それは逆から見れば、家族姓を持たない家族は家族として欠けたところがあるという御主張にも聞こえるんですけれども、私は、そのような御主張は当たらないとはっきりと申し上げさせていただきたいと思います。
その上で、この立憲民主党の民法改正案が成立した場合、夫婦別姓を選んだ家族においては家族内に二つの姓が存在することになりますので、委員がもし単一の姓を家族姓と言っておられるのであれば、そのような単一の呼称としての家族姓は存在しないことになりますが、私は、家族というものは、お互いの愛情と血縁、若しくは、場合によっては養子縁組などのようなものによって結びついているものであって、それによって、家族のきずなは、単一の姓を持つ、夫婦同姓を選んだ家族といささかも異ならないものと確信しております。
○山下委員 今の観点ですけれども、私が申し上げているのは、最高裁大法廷判決の、氏は家族の呼称としての意義がある、呼称を一つに定めることには合理性が認められるという最高裁判決を言って、家族姓というのがどうなのかということを聞いているわけですが……(発言する者あり)
○西村委員長 御静粛にお願いします。
○山下委員 それにつきまして、法律上の家族姓というか、最高裁が求めているようなものはないということでありました。
そして、先ほど通称使用については現状が維持されているということでございましたけれども、我々が言っているのは通称使用の拡大でありまして、通称使用が今のままでいいということは我々は言っていないわけであります。その点は私は指摘しておきたいと思います。
それでは、国民の提案者にお伺いします。
○円議員 山下委員にお答えいたします。
まず、最初にちょっと、山下委員がおっしゃった世論調査なんですけれども、内閣府の世論調査では、確かに、先生がおっしゃるように、夫婦は同じ名字とする今の制度を維持したい、した方がよいという方々が結構いらっしゃるんですね。でも、この方々にお聞きしてみますと、もちろん自分たちは夫婦同氏がいい、この制度が維持されるのもいいけれども、でも、別氏にしたいという方々までを否定するものではないとおっしゃる方も結構いらっしゃるんです。ですから、この世論調査だけを余り基盤にしてお話しなされるのはちょっとどうかなというふうにも思っておりまして。済みません。
それで、先生の御質問にお答えいたします。
別氏を選ばない夫婦が旧姓を使いたい場合の方でしたっけ。そうですよね、次の質問になっていましたよね、先生の最初の私への質問とは違って、順番で。ごめんなさい。
それで、先生の御質問ですが、現在既に認められているパスポート等の公的証明書への旧姓併記等のいわゆる通称使用、その取組につきましては、立憲案と同じく、私たちの国民案も何ら否定するものではございません。選択的夫婦別氏制の、これがもし導入されましても引き続き維持されることを想定してございます。
そして、したがって、同氏を選択した夫婦のうち氏を改めた夫又は妻は、現行制度で認められている範囲において旧氏を通称として使用することは当然可能でございます。
なお、この点につきましては、六月四日の法務委員会でも、法務省の方から、同氏を選択した夫婦の一方である氏を改めた者について、旧姓を通称として使用することは否定されず、旧姓の通称使用に係る政府の取組は当然には排除されないという答弁があったことを申し添えます。
○山下委員 選択的夫婦別姓制度の採否にかかわらず、例えば選択しない夫婦のためにも、私は通称使用の拡大はしっかりと法律上どうするかというのは考えるべきだと思います。それを含めて全体の規律をやはり考えるべきではないかということを申し上げておきます。
そして、最も大事な、最高裁が指摘する全体の規律という意味では、戸籍法の規定が不可欠であります。
平成八年法制審答申案は、民事行政審議会答申で示された戸籍法改正案を示しております。にもかかわらず、立民の法案では、法案上、戸籍法の改正の姿については全く示されておりません。戸籍法についての法案を示した上で、併せて審議すべきではないかということでありますが、立民の提案者、いかがでしょう。
○米山議員 お答えいたします。
ただ、そのお答えをする前にちょっと、最高裁判例につきまして、質問があって答える機会がなかったので回答させていただきますけれども、最高裁判例は、基本的には、現行の規定、現行の同氏の規定は人権侵害とは言えない、そういう判断かと思います。一方、先ほど申しましたとおり、現行法におきましても一つの家族において姓が異なるということはございますので、逆に、一つの家族において姓は異なるということもまた合理的であるというのが最高裁の判断であるというふうに私は考えております。ですので、最高裁の判断から何か別姓が否定されるということは全く帰結されないというふうに考えております。
その上で、戸籍法について申し上げますけれども、一般的に、戸籍法は、実体法である民法で定められた各人の親族的身分関係を登録し、公証するための戸籍の届出、記載の手続について定める手続法であると理解されております。
したがって、実体法である民法において夫婦や子の氏の在り方を明確に定めれば、我々は現行の戸籍の編製基準を基本的に維持することを想定しておりますので、あとは現行の戸籍法の根幹、つまり戸籍の編製基準を維持しつつ、必要な範囲で手続法である戸籍法を整備すれば足るものと考えられます。そのような技術的改正は政府において検討し、しかるべく対応していただきたいと考えております。
なお、仮にそのとき我々が政権の座にあれば、もちろん責任を持って現行の戸籍法の根幹、戸籍の編製基準を維持した適切な戸籍法の改正を行うことを申し添えさせていただきます。
○山下委員 二日前の委員会で、立民は平成八年の民事行政審議会答申で示された戸籍法改正案を前提としているような答弁がありましたが、それはどうでしょうか。
○米山議員 はい、基本的にはそれを想定しております。それを想定した上で、またそれぞれの場において適切な法改正を行えばよいと考えております。
○山下委員 ということは、立民が考える戸籍法の中身は確定していないということじゃないですか。もし決まっているんだったら、答申はほぼ条文のようにできているわけですから、なぜその改正案を出さないんですか。
○米山議員 逆に、なぜその手続法までをきっちりと必ず出さなければならないのかというのがちょっと私はなかなか理解できないところでございまして、民法の改正案で実体法を定めれば身分関係は定まります。それに対して適正な手続法を定めれば、それはそれで手続として決まるわけです。
手続法を定めなければ実体法を定められないというのは、ちょっと言い方は恐縮ですけれども、元検事であられる委員のおっしゃることとしては、整合性がちょっと、あるのかなというふうには捉えさせていただいております。
○山下委員 今は米山委員と同じ弁護士でございますので、同じ感覚を持っていると思うんですが。
これは、手続法と実体法といったって、結局、戸籍にどう書くかというのが極めて問題で、しかも、立民の案は、二か月前までは二十年間ずっと、子の姓は出生のときに都度都度決めるということを旧民主党時代から二十年間言ってきたんですよ。それを二か月前にころっと変えられて、そして二日前に初めて、私が聞いたのは初めて、実は立民案は平成八年の民事行政審議会答申を念頭に置いていますという話があったんですが、それがしっかりと条文上定められていないと、我々は、この最高裁のマンデートである夫婦や親子関係についての全体の規律を踏まえた総合的な判断ができないのではないか、それは国会の責任放棄じゃないかと私は思うんですが、いかがでしょう。(発言する者あり)
○西村委員長 御静粛に願います。
○米山議員 まず、非常に倒錯した議論だと思います。親族の身分関係というものは実体法で定まるものでございます。手続法によって実体法が何か影響を受けるというのは、実体法と手続法の関係としては全く倒錯しておりまして、非常に、何を言っているのか分からないんですけれども、実体法で身分関係が定まれば、それに適切な手続法を決めればいいのであり、実際、御党は、そういった趣旨で様々な法案におきまして、実体法を定めて、あとは政省令に委ねるという決め方をされているわけですよね。もしそのような御議論が可能であるならば、御党もこれからありとあらゆる政省令を全て決めてから法案を提出していただきたいということになろうかと思います。(発言する者あり)全く理論的でございます。実体法できちんと決まればそれはいいんです。
その上で、もし実体法、我々の選択的夫婦別姓が通りましたら、御党が与党の立場にいるという前提で、御党においてその実体法に合わせた適切な戸籍法を作ればいいことでございますし、我々が政権の場におりましたら、実体法に合わせた適切な戸籍法の改正をさせていただきます。
○山下委員 今の、米山委員らしくないのが、今の話をつづめると、米山委員においてあるいは立憲民主において、具体的な戸籍法改正案がないということなんですよ。与党は与党でやればいい、野党は野党でやります、だからこの法文になっていると。しかし、それでは私はこの最高裁のマンデートは果たせないと思います。
そして次に、先ほど少し言いましたが、旧民主党時代からいえば二十年以上、つい二か月ほど前まで立憲民主党は、別氏夫婦の子の姓は出生時に父母の協議で決定という、兄弟姉妹で別々にもなり得る制度を一貫して主張してこられましたが、この見解は誤りだったんでしょうか。
○米山議員 まず、何度も申し上げますけれども、御党もあらゆる法律において細部を詰めずに政省令に委ねるという法律を作っているわけでございます。実体法を定めた後で手続法の細部を後で詰めるのはごくごく当たり前の法技術ですので、それを否定されるんでしたら、御党はこれから全ての政省令を出してから法案を出してください。
それでは、次の質問に答えさせていただきますけれども、旧民主党や我が党などが令和四年に提出した法案では、確かに、別氏夫婦の子の氏は出生時に父母の協議で決定することとしておりました。そのときの考え方は、婚姻の際にはまだ生まれていない子の氏を定めるよう求めることは、子を持つのかどうかといった婚姻の在り方や家族の在り方に関わるため、これを婚姻時に決めることは実際上困難であることもありますし、また、当事者の状況によっては過酷となり得るという議論の結果によるものでございます。一方で、兄弟姉妹の氏が異なる可能性が出てくることについての懸念や不安を抱く方が一定以上いらっしゃったことも当時から承知しております。
そこで、今般我が党は、今回、そうした懸念や不安を取り除きつつ、最大公約数として、より幅広い方々からの理解や賛同を得られるようにと考え、兄弟姉妹の氏が同じになる、すなわち別氏夫婦の子の氏は婚姻時に決めることとする平成八年の法制審案をベースに法案を作成いたしました。
物事には、時に、一つの線の右と左で画然と正誤が分かれるのではなく、正と誤の中間に非常に幅広い、いずれの選択も可能な領域が存在することがございます。我々は、子の氏の決め方は、そのように合理的な幾つかの選択肢の中からいずれの選択肢、も取り得る性質のものだというふうに理解しております。
○山下委員 端的にお答えくださいね。
ちょっと先ほどの、じゃ、立民は、例えば省庁に戸籍法改正案を用意しろとか、そういったことは指示したことはありますか。
○米山議員 恐縮ながら、私は二〇二一年に国会議員になっただけですので、立憲民主党全体が省庁にどのような指示をしたのかは存じ上げません。
○山下委員 実体法を作るときに自民党はどういうことかといったら、手続法は役所が作る、あるいは政省令は役所が作るといっても、大体のイメージは一緒に固めて、それでやるんですよ。そして、今ここで戸籍法のイメージが、こうやって答申が出ているわけだから、それを大前提にするというのは当たり前のことなんですね。それを我々はやってきたんです。しかし、立憲民主党ではそれがないというふうにも受け止められました。
そしてまた、伺いますけれども、平成八年の法制審答申、あっ、ちょっとこれは撤回します。ちょっと時間がなかなかなくなってきたので。
立民と国民案は、全ての既婚夫婦が、夫婦別姓となることを施行後一年間は選択できる制度となっています。これは、国民に対する周知というのは十分でしょうか。立民の提案者に伺います。
○米山議員 お答えしますが、その前にお答えしますけれども、戸籍法は法制審案を想定しているというふうに申し上げておりますので、そういう意味では、戸籍法の改正については当然統一のイメージはできているわけでございます。しかも、そのイメージは御党と同じということかと思うんですけれども、法制審案と同じということかと思いますので、全く先ほどの指摘は当たらないというふうに考えております。
その上で、立憲案では、施行日を公布の日から起算して三年を超えない範囲において政令で定めるものとしております。そして、施行前に婚姻した夫婦のうち氏を改めた夫又は妻は、施行後一年以内に限り婚姻前の氏に復することができることとしております。
したがって、公布の日から最長四年間は、既婚の同氏の夫婦について、婚姻前の氏に戻すかどうかを熟考することができるため、これに対する周知期間としては四年ですので、十分確保されていると考えております。
○山下委員 御党と同じかというと、そうではないんだろうと思います。二日前に初めて委員会で明らかにされたものですから。条文上も明らかでないということで、私は、最高裁の規律を言うのであれば、その全体像を示してやるべきだと思います。
次の質問に移りますけれども、維新の皆さんは旧姓使用拡大制度を言っておられるということであります。自民党でもそういった検討をしているわけでありますけれども。
資料四で、旧姓拡大制度と選択的夫婦別姓制度の相違ということで、これは、ちょっともう時間がないのであれですが、旧姓使用については、私は、法的根拠があれば戸籍上の氏に代えて使用できるというふうに解釈しております。ですから、旧姓使用拡大制度は、法的根拠がある場合とない場合ということが分かれるんだろうと思います。その法律をどうするかということがこれから問題になってくるんだろうと思います。
ただ、両制度を比べた場合に、先ほどのように、戸籍上の家族姓、家族単一の姓というのは別氏制度ではないということであります。
私は、先ほど来申し上げるように、選択的夫婦別姓で、例えばそれを選ばない夫婦も、やはり旧姓使用の拡大、旧姓を使いたいというニーズ、これは絶対にあるんですよ。だから、これをやはりまずやるべきであろうというふうに考えております。
そして、資料五で選択的夫婦別氏法案の論点を掲げましたけれども、こうした論点についてしっかりと解消できないと、これはやはり、我々、性急に結論を得ることはできないというふうに考えております。
ちょっと時間があるのでありますけれども、申し訳ありません、維新の、あれで。各党の提案者が短期間で各党の案をまとめた努力には敬意を表します。ただ、立民、国民とも、旧民主党時代からの二十年来の主張をこの二か月で大幅に変更し、極めて短期間で党としての見解をまとめたものであります。そして、制度の根幹を担うはずの戸籍法改正案も、具体的な条文案としてはいずれも出されておりません。恐らく、必然的に実務を担う各省庁の検討は実質的にまだ何ら開始されていないはずであります。
また、維新案も、戸籍と旧氏の両立を図ろうとする方向性は理解できるのですけれども、これまでの、前回の委員会の御説明によれば、事実上旧氏しか使えないということ、そしてまた、旧氏を代えて使うためには法律上の根拠が要るということについて、これは一個一個変えていくと条文だと二万を超えるんですけれども、ただ、藤田委員が、包括的にやるということも、読替規定を置くということも考えるということなので、それはまた今後やはり議論を重ねなきゃならないというふうに思います。
最高裁は、夫婦同一姓制度の合憲性を重ねて認め、立法するにしても、国の伝統、国民感情を踏まえた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断を求めているのがその判断であります。私は、立民あるいは国民の皆様、あるいは維新もそうですけれども、法案の全体像、制度を示した上で改めて審議すべきじゃないかというふうに申し上げたいと思います。
私は、法務大臣在任当時から、結婚前のアイデンティティーと結婚後の家族のアイデンティティーを両立させる制度が考えられないかと考えておりました。(発言する者あり)
○西村委員長 御静粛に願います。
○山下委員 日本は、世界に誇る戸籍制度が整備され、加えて、平成八年時と大きく違うのは、全ての人に付されるマイナンバーや住基ネットなど、戸籍にひもづいているけれども、電子的に人の同一性を証明する手段が完備されています。ほかの国にない戸籍とシステムがある。
日本であれば、日本らしい旧姓の使用拡大によってそういった女性活躍あるいは思いをできるのではないかということを申し上げ、そして、拙速な採決は断固反対であることを申し上げて、質問を終わります。
以上です。
○西村委員長 次に、大森江里子さん。
○大森委員 公明党の大森江里子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
氏名は単なる呼称ではなく個人のアイデンティティー、そう感じる方が多くいらっしゃいます。政治には、その思いを守る責務があります。また、婚姻の際に夫婦となるべき一方が改姓を強制される現行法は、婚姻の自由の点から考えても人権上問題があります。生き方の選択に制約を加えている現行法は変更し、もっと選択肢のある社会を目指さなければいけません。公明党は、選択的夫婦別姓制度の導入を積極的に推進します。
もとより、社会の根幹に関わる制度の導入ですので、論点に関する国民的な議論を一層深め、党派を超えた幅広い合意の下、社会に定着させていくべきです。そのためにも、丁寧なプロセスを踏むことが大切であると考えております。
この度、三党から法案が提出され、二十八年ぶりに審議が始まったことは、国民理解を深めていく意味で大変に意義のあることと思っております。国民的な議論をより深め、幅広い合意を得るためにも、各党の主張する制度は導入されたときの姿が明確に示されているのか、また、仮に当該法案が成立した場合、その後にどのような検討や準備が必要なのか、社会の混乱なく円滑に施行期日を迎えることができるよう、現実的な流れを想定した法案となっているのかという点で御質問をさせていただきます。
初めに、政府にお伺いいたします。
選択的夫婦別姓制度を導入するのであれば、現在の戸籍制度ないしは戸籍上の記載がどう変わるのかの議論を外すことはできません。戸籍制度の議論をする前提として、現行の戸籍制度にはどのような意義や機能があるのか、お聞かせください。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとにこれを編製するものとされておりますところ、日本国民の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿でありまして、我が国の戸籍制度は、真正な身分変動の登録、公証を行うという本質的かつ重要な機能を有していると認識をしております。
○大森委員 ありがとうございました。戸籍は重要な機能を有するということを承知いたしました。
選択的夫婦別姓制度を導入することにより戸籍制度がなくなるのではないかと心配している方や、戸籍の問題を何より重要なことと捉えている方も一定数いらっしゃいます。戸籍がどう変わるのかを示すことは大変重要であるにもかかわらず、立憲民主党の法案では戸籍がどうなるのか示されていません。
法案において戸籍の在り方を明確に示さずに、政府に検討させることとした理由をお伺いしようと思っておりましたが、先ほどの山下委員の御質問と重なりますので、次の質問に移らせていただきます。
次に、日本維新の会の提出法案について、提出者にお伺いいたします。
御党の法案は、婚姻前の氏を通称として単独使用することを認めるものですが、通称名と戸籍名の法的な位置づけですとか、理論的な根拠が不明です。その中で、必要な法制上の措置を講ずるということを政府に求めていますが、この必要な法制上の措置やこれに伴うシステム整備について想定している内容は具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
○藤田議員 お答え申し上げます。
維新案が施行されれば、新制度に基づき通称として使用する婚姻前の氏を届け出た者につきましては、法令上氏名を記載すべき場合には、氏名に代えてその婚姻前の氏と名を記載することができるように法制上の措置が必要となります。例えば、パスポートであれば旅券法、運転免許証であれば道路交通法といったように、個別の法律を改正していくという作業があります。
ただ、先ほど山下委員からありましたけれども、その関連する、例えば氏で検索すると六百五、六十と言われていますけれども、それらを一つ一つ検証し整備していくという方法もあれば、一括して、いわゆるみなし規定のような形で基盤を整備するというやり方もあります。
これは、ちょっと紹介させていただきますと、六月三日に自由民主党の氏制度のあり方に関する検討ワーキングチームのペーパーが出されていましたけれども、そこに旧氏の単記も可能とする法制化を含めた基盤整備の検討を進めると書いてありますが、全く同じ考えでありまして、その他の考えもほとんど同じでありますから、自由民主党が主張し、方向性をひもづけているこのペーパーは我々の考えとほとんど同じなので、御賛同を是非いただけるようにお願いしたいと思います。
それから、戸籍につきまして、新制度に基づいて届出があった場合は婚姻前の氏を記載することとなっているために、市区町村が管理する戸籍システムの改修が必要となるということが想定されております。
○大森委員 ありがとうございました。
やり方によっては、いろいろな数の、たくさんの数の改正も必要になるのかなと思っておりますけれども、更に日本維新の会にお伺いをいたします。
政府に求めている必要な法制上の措置というのは、施行までの一年間に措置する必要があるということでしょうか。そうである場合は、何をするのかも明確では余りない中で、かなりの短期間での措置が求められることになり、政府にとっては過大な負担となるのではないかと心配をしています。
仮に必要な措置は施行後にしてもよいということであっても、期限や内容が曖昧で、かつ地方公共団体や事業者にも措置を講ずる義務を課す内容となっておりますので、混乱を生じさせると懸念しておりますが、御見解をお伺いいたします。
○藤田議員 お答え申し上げます。
委員の御指摘は、維新案の三条一項に基づき国が講ずるべき法制上の措置その他の措置についてであろうかというふうに思いますけれども、あくまでも法施行後に国にこの義務がかかるのでありまして、法施行までに必要な措置を全て講じなければいけないという、そういう理解ではございません。
その上で、法施行後に国が講ずる措置の期限や内容が曖昧であるとの御指摘でありますけれども、まず、措置の内容につきましては、氏名を記載すべきこととしている法令を検討対象として明示し、氏名に代えて婚姻前の氏及び名を記載することとなるための措置を講ずることとしておりまして、措置の内容も十分明確にしておりまして、どのような法整備を検討するかは明らかであります。
また、措置を講ずる期限を特に設けているわけではありませんけれども、措置を講ずるためにかかる時間も法令ごとに異なることと考えられますから、そこも含めて政府にしかるべき対応をしていただきたいという趣旨でありまして、期限を設けることはかえって拙速な対応となるというおそれもあるために、このようになっております。
ちなみに、六百五、六十が多いという指摘は結構あるんですけれども、私は多くないと思います。なぜならば、今、通称使用の拡大というのはいろいろなところで政省令や通知で進んでいますよね。その事務たるや、数百にもう既に及んでいます。ですから、それらを全て一括して整理して、旧姓の使い方と戸籍氏の関係性をしっかりと規定するというのが今回の我々の提案でございます。
○大森委員 ありがとうございました。
そうすると、施行前もあり得るし、施行後からの措置もあり得るということでしょうか。ちょっと、続けて、申し訳ございません。
○藤田議員 あくまで、戸籍法の改正、そして必要な法制上の措置を講ずることを義務づけるという法律が一年後に施行されるということでありますから、その他の法制上の措置は、その前に施行されることはないというふうに認識しています。
○大森委員 ありがとうございました。
そのまま、引き続き日本維新の会に質問をさせていただきます。
法改正をする場合、改正による見直しの規模や制度整備の進め方など、具体的に検討を進め、政府ともより具体的な検討を行うことが必要であると思っております。
十分な検討や準備を行って制度整備の全体像を示すべきであると思いますが、御見解をお伺いいたします。
○藤田議員 お答え申し上げます。
維新案に基づく新制度導入のための法整備についてですが、具体的にどの法令についてどのような対応が必要となるかの検討は、各法令を所管する各省庁において行われることが最も合理的であり、それによって法体系の整合性が取れることとなるであろうことは我々も理解しております。
そして、そうであるからこそ、維新案では、新制度の内容を明示した上で、その導入のための法整備については、制度を執行する政府に委ねるということにしたものでございます。
○大森委員 ありがとうございました。
次に、国民民主党提出の法案についてお伺いをいたします。
政府への御質問はちょっと飛ばさせていただきまして、提出者の方にお伺いをいたします。
御党の法案では、戸籍筆頭者により子の氏が決定されるという重大な効果を生みます。これは、現行制度における戸籍筆頭者の概念というものを従前から大きく変えるものだと思いますが、その点についての御見解と、あわせて、現行制度との整合性について御見解をお伺いいたします。
○円議員 失礼ながら、少し誤解をされているように思いますので、しっかりと説明させていただきたいと思います。
私ども国民民主党案におきましては、婚姻時に別氏夫婦が定めるのはあくまでも戸籍の筆頭に記載すべき者であり、戸籍法上の戸籍の筆頭に記載した者、いわゆる戸籍筆頭者とは区別された民法上の概念でございます。そして、別氏夫婦の間に子供が生まれましたときは、その婚姻時に定めた戸籍の筆頭に記載すべき者の氏を子供が称するという構造にしておりまして、戸籍法上の概念である戸籍筆頭者を直接引用しているわけではございません。あくまでも、民法上定めた戸籍の筆頭に記載すべき者が、結果として戸籍法上の戸籍筆頭者にもなるという関係になっていることでございます。
したがいまして、国民案は、私どもの案は、戸籍法上の戸籍筆頭者の概念を何ら変更するものではございませんで、現行制度との整合性に欠けるところではございません。
○大森委員 ありがとうございました。
私が事前にこの筆頭者についていろいろ勉強をしていたところによりますと、戸籍の筆頭者というのは、余り大きな重要な意味を持っていないようなイメージがございまして、政府の方からも少しお話を伺いますと、インデックスのような代わりを持つものだというようなことも伺っておりましたので、やはりちょっと新たな概念が入るのかなというようなちょっと印象も持たせていただきました。
続きまして、引き続き質問をさせていただきます。国民民主党にそのままお伺いします。
改正法附則に戸籍法改正方針が示されておりますけれども、具体的な条文案というのが示されておりません。方針や記載イメージ案だけでなく、戸籍法の改正条文も明確に示して、具体的な議論を行うべきだと考えておりますが、御見解をお伺いいたします。
○長友(慎)議員 お答えいたします。
私たちの国民案につきましては、附則二条におきまして、現行の戸籍の編製基準は維持すべきこと、そして別氏夫婦の戸籍における氏名の記載順序は、戸籍筆頭者、配偶者、子の順序によることという戸籍法改正の方針を示しつつ、政府において施行日までに必要な改正を行うべきこととしております。
このように、改正の方針を立法府において定めることによって、戸籍法の改正はあくまで技術的な改正にとどまることが明らかとなるため、その具体的な法整備は政府に委ねれば十分であると考えていました。
○大森委員 ありがとうございました。
ただ、戸籍法の改正条文というのは、法案提出時には是非とも出していただく方がよろしいのかなというのが印象でございました。
内閣府の調査では、婚姻時に改姓をしているのは約九五%が女性です。女性の社会進出に伴い、婚姻後も働き続ける女性は増えています。改姓は、生活上の不利益だけでなく、キャリアの断絶にもつながり得るものでありますが、旧姓の通称使用や併記では解決できません。特に、通称は国際社会では理解されず、混乱を起こしてしまうこともあります。事実婚を選ばざるを得ない方もいらっしゃいます。
私は、前職は税理士をしておりました。税理士会では平成十五年から旧姓の通称使用が認められています。しかし、税法では、申告納税する際の氏名は戸籍名であるため、旧姓は屋号扱いとなります。また、インボイス制度の適格請求書発行事業者公表サイトにおいて旧姓を公表したい場合には、原則は住民票に旧姓を併記する手続が必要であるなど、旧姓使用による様々な場面で煩雑さがあり、心理的負担も感じる方がいらっしゃいます。
制度の導入は社会の根幹に関わる大切な問題でありますので、制度設計をしっかりと行って、党派を超えて広く合意形成し、着実に、確実に、実現に向けて公明党としても取り組んでまいります。
以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○西村委員長 次回は、来る十日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時四十八分散会