第2号 令和8年4月10日(金曜日)
令和八年四月十日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 英孝君
理事 阿部 弘樹君 理事 木原 誠二君
理事 高見 康裕君 理事 谷川 とむ君
理事 藤原 崇君 理事 西村智奈美君
理事 三木 圭恵君 理事 小竹 凱君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上川 陽子君 神田 潤一君
小泉 龍司君 河野 太郎君
世古万美子君 武部 新君
辻 秀樹君 辻 由布子君
寺田 稔君 西山 尚利君
福原 淳嗣君 藤沢 忠盛君
藤田ひかる君 古川 禎久君
三ッ林裕巳君 保岡 宏武君
山本 大地君 有田 芳生君
國重 徹君 金村 龍那君
原山 大亮君 井戸まさえ君
鈴木 美香君 和田 政宗君
…………………………………
法務大臣 平口 洋君
法務副大臣 三谷 英弘君
最高裁判所事務総局刑事局長 平城 文啓君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 服部 準君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 源河真規子君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 原嶋 清次君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 堤 良行君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 内野 宗揮君
政府参考人
(法務省民事局長) 松井 信憲君
政府参考人
(法務省刑事局長) 佐藤 淳君
政府参考人
(法務省矯正局長) 日笠 和彦君
政府参考人
(法務省保護局長) 吉川 崇君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 杉浦 直紀君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 内藤惣一郎君
政府参考人
(公安調査庁次長) 霜田 仁君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 三宅 史人君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 山本 文土君
政府参考人
(国税庁課税部長) 高橋 俊一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 橋爪 淳君
政府参考人
(文化庁審議官) 梶山 正司君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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四月九日
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
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○井上委員長 これより会議を開きます。
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁長官官房審議官服部準君外十六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井上委員長 次に、お諮りいたします。
本日、お手元に配付いたしておりますとおり、最高裁判所事務総局刑事局長平城文啓君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高見康裕君。
○高見(康)委員 おはようございます。自由民主党の高見康裕です。
大臣の所信につきまして、平口大臣、三谷副大臣始め法務省の皆様と議論させていただきたいと思っておりますので、御答弁のほどよろしくお願いいたします。
まず初めに、入管法、あるいは入管庁の体制強化について質問をさせていただきます。
我が国の在留外国人の数は、昨年末の時点で、過去最多を更新する四百十三万人というふうになっております。平口大臣の所信にもありました外国人との秩序ある共生社会を実現するために、入管庁が果たすべき役割はどんどん増えていると思っています。それに伴って、当然、コスト、必要な費用も増えてくるわけですけれども、ここにどう対応していくのかということを私はきちんと整理すべき局面に今来ているんだというふうに思っています。
そこで、最初の質問でありますけれども、国民の皆様の理解の下で出入国及び在留の公正な管理を進めていくためには、入管行政のDXや受入れ環境の整備、このために必要なコストについて、やはり受益者負担という観点から、在留外国人にも相応の負担を求めるべきだと私は考えますが、どのように対応していくお考えなのか、入管庁に伺います。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、出入国在留管理庁としては、外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を確実に実施しつつ、更なる強化拡充を図る必要があると考えており、そのためには、これに要する費用について、在留外国人に相応の負担を求める必要があると考えております。
このため、在留資格の変更の許可に係る手数料などのいわゆる在留許可手数料について、審査に要する実費のほか、これまで十分に考慮されてこなかった外国人の出入国及び在留の公正な管理に要する費用の額及び諸外国の同種の手数料の額を勘案して引き上げる予定であり、今国会に提出させていただきました出入国管理及び難民認定法等の改正法案におきましては、昭和五十六年の改正で一万円と定められたままになっておりました在留許可手数料の額の上限額を引き上げる等の措置を講ずることとしているところでございます。
具体的には、在留資格の変更の許可及び在留期間の更新の許可に係る手数料の額の上限額は十万円、永住許可に係る手数料の額の上限額は三十万円に引き上げることとしておりまして、実際の在留許可手数料の額につきましては、改正法案の成立後、国会での御審議の内容も踏まえながら検討を行い、在留期間に応じた額を政令で定める予定としております。
○高見(康)委員 ありがとうございます。
今回、今御答弁いただきましたように、手数料の上限額を、現行一万円のところを十万円ないしは三十万円に引き上げられるということで、一部で、これは過大ではないかという声もあると承知をしています。上限額十万円あるいは三十万円というのは、どのような考え方で定める考えなのかということを伺います。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
改正法案における在留許可手数料の額の上限額は、改正法案の提出時における合理的な仮定に基づいて、審査に要する実費、外国人の出入国及び在留の公正な管理に要する費用の額、諸外国における同種の手数料の額、今後の物価上昇等にも弾力的に対応できるようにすることを総合的に勘案して定めたものでございます。
その上で、審査に要する実費につきましては、在留資格の変更の許可及び在留期間の更新の許可について一万円程度、永住許可について二万円程度と試算いたしまして、また、外国人の出入国及び在留の公正な管理に要する費用の額につきましては、外国人一人当たり年間二万円程度と試算したところでございます。
そして、これらの試算を踏まえつつ、諸外国の同種の手数料の額等を勘案し、在留許可手数料の額の上限額を定めるための参考としての額を検討した結果、在留資格の変更の許可及び在留期間の更新の許可につきましては、許可される在留期間が三か月以下の場合は一万円程度、許可される在留期間が五年の場合には七万円程度、永住許可については二十万円程度と見込んでいることから、これらの額と今後の物価上昇等を総合的に勘案して、改正法案における在留許可手数料の額の上限額を定めたところでございます。
○高見(康)委員 今答弁をいただいた積み上げの根拠ですね、実費がかかる、公正な管理に対して費用がかかる、そして今後の物価上昇も見込む、そして諸外国との比較の観点も入れていると。この点は、本当に丁寧に説明を尽くしてもらいたいと思います。
この国会審議はもちろんですけれども、実際に現場で、窓口で、外国人の皆様、またそれを支える方々、雇用主の皆様ですとか、こうした直接向き合う職員の皆様が、今次長が御説明いただいたように、誰がやっても同じようにきちんと説明して納得が得られるような、そういうことをきちんと現場に徹底していただきたいというふうにお願いをしておきます。
次に、平口大臣に伺います。
外国人の出入国及び在留の公正な管理に資する政策を強化拡充するから受益者負担を、今手数料を引き上げる、これは理解はいたしますが、真に納得が得られるためには、では、この引き上げた手数料で具体的にどのような政策の強化拡充を進めていくのかということが、発信が極めて重要だと思っております。
この点について、大臣の御決意を伺います。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
在留許可手数料の収入は、一般財源として計上されているという前提ではございます。
その上で、法務省としては、所信でも申し上げましたとおり、デジタル技術の活用による出入国在留管理行政のDXの推進、難民等の適切かつ迅速な保護、支援、国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランの強力な推進など、出入国管理の一層の適正化を図っていきたいと考えております。
また、本年一月二十三日に決定された外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策に基づいて、外国人が日本語や我が国の制度、ルール等を学習するプログラムの創設の検討、あるいは情報発信、相談体制の強化などの外国人が日本社会に円滑に適応するための取組も進めていく所存でございます。
○高見(康)委員 ありがとうございます。
今回の手数料引上げで増える歳入というのは約九百億円だというふうに見込まれています。これはもちろん一般会計に入りますが、今の受益者負担というロジックからして、当然、外国人との秩序ある共生社会の実現のための政策に充てられるべきであるということは申し上げておきたいと思います。
次は、違う角度から大臣にお聞きをいたします。
大臣の所信の中で、外国人の受入れの基本的な在り方に関する基礎的な調査検討を進めるということでありましたけれども、これまでの状況と今後の方針について大臣に伺います。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
お尋ねの基礎的な調査検討につきましては、昨年の関係閣僚会議における高市総理から私への指示を受けて、外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣の小野田大臣と相談しつつ、出入国管理庁庁内のプロジェクトチームにおいて進めてきたところでございます。
この基礎的な調査検討は、今後、外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策に基づいて進めていく具体的な調査検討、将来推計等に有用な既存の将来推計やこれに関連する資料等の収集、関係各所からのヒアリング、関係省庁からの関連情報の収集等、様々な事柄について多角的観点から行ってきたところでございます。
今後、小野田大臣の下で、内閣官房外国人との秩序ある共生社会推進室を中心として、省庁横断的に更に具体的な調査検討、将来推計等を実施することになりますが、法務省としても、政府全体の取組の中で求められる役割を十分果たしていきたいと考えております。
○高見(康)委員 ありがとうございます。
次に、リーガルテックについて質問いたします。
リーガルテックとは、AIやクラウド技術などを活用して法務業務を効率化、高度化するサービスのことでありまして、近年、企業の法務部門は、ビジネスのグローバル化、イノベーションの加速、コーポレートガバナンスの強化など、業務が質、量共に増えている一方で、企業法務に携わる人材不足というのは進行しておりまして、AIなどを用いたリーガルテック活用のニーズは非常に大きくなっていると認識をしています。
ただ、この普及、活用に当たりましては、当然、弁護士法との関係の整理が必要となります。そこで、法務省は令和五年にガイドラインを示して一定の整理をされたと思いますが、その後もリーガルテックは進展してサービスの範囲も拡大をしておりますので、より広範な整理が求められているのが現状だと認識をしております。
そこで質問ですが、内閣府の規制改革推進会議における弁護士法におけるAI活用の更なる明確化についての議論などを踏まえて、法務省においてどのように検討を進められているのか。また、三谷副大臣の下でタスクフォースを立ち上げられたということでありますけれども、この進捗状況や今後の見通しなどを含めて、三谷副大臣の所感を伺います。
○三谷副大臣 お答えいたします。
企業法務分野におけるAIリーガルテックの利活用でございますけれども、本年二月、政府の規制改革推進会議から出されました中間答申を受けまして、法務省では既に、法務大臣から御指示をいただきまして、私の下に企業法務分野におけるAIリーガルテック規制に関するタスクフォースを立ち上げて、検討に入ったところでございます。
この点に関して、先ほど御指摘もいただきましたけれども、法務省では令和五年に、リーガルテックの中でも当時比較的サービスが進展をしておりました契約書等関連業務支援サービスについてガイドラインを公表したところではございますが、その後、この範囲にとどまらず、時代のニーズに即してリーガルテックを使いやすくするための法整備や環境整備が必要であるとの御要望を多数いただいてきたところでございます。
他方で、弁護士法七十二条は弁護士以外の者による法律事務の取扱いを禁止しているところ、これは、非弁護士が報酬目的で業として法律事件に介入することを放置すれば、当事者その他関係人の利益を損ね、ひいては法律秩序を害することになることから設けられた規制でございます。
法律事務が当事者その他関係人の権利利益に直結するテーマであることからすれば、具体の事実関係や証拠関係を前提に臨機かつ的確な判断を行い得る弁護士の判断というものは、やはりこれからの時代においてもなお重要であるというふうに考えております。
そこでではございますが、こうした弁護士法七十二条の趣旨やAI利用による技術的、社会的課題も十分に踏まえたガバナンスの視点も取り入れながら、弁護士とリーガルテックのシナジーをどのように発揮させ、我が国の法務サービスの質やそして国際競争力、これを高めていくかという観点に立った検討が重要であるというふうに考えています。
忌憚のない御意見を頂戴するため、今回のタスクフォース自体は省内で非公開の形で行っておりますが、担当部局における準備的な会合のほか、本日までに既に二回の会議を行っております。また、弁護士法について研究しておられる法社会学や刑事法の研究者、リーガルテックの業界団体や日弁連といった関係機関の方々からのヒアリング等を行っております。
その他、海外における規制や国内外の実務の動向等についても参考にしつつ、本年夏頃を目途といたしまして、課題解決に向けてまずは着実な一歩を進められるようその道筋を示すことなど一定の結論を得るべく、不断の検討を重ねてまいりたいと考えております。
○高見(康)委員 ありがとうございます。
サービスがやはり適法かどうかがはっきりしないと、抵触してしまうかもしれないということで開発側は開発をためらったり、利用する側は利用をためらったりということになってしまうと、結局、このAI、成長戦略の柱でありますので、この分野で国際競争力を失ってはいけないということを懸念をしております。ですので、サービスも、今あるサービスだけではなくて、日進月歩ですので、今後の開発のトレンドも踏まえて、そういうところまでカバーできるような予見可能性を高める整理を是非お願いしたいと思います。
次に、司法外交について質問いたします。
丸四年を超えたロシアによるウクライナ侵略以降、自国優先主義の台頭や経済の武器化の顕在化など、これまで前提となっていた国際秩序は大きく揺らいでいます。国際秩序が崩壊して利益を得るのは誰なのかということに思いを致すときに、我が国が国益を守り抜くため、法の支配に基づく国際秩序を維持していくことの重要性は決して変わるものではなく、法の支配を国際社会に浸透させようとする司法外交の取組は極めて重要だと考えています。
これまで法務省は、京都コングレスや日・ASEAN法務大臣会合、G7司法大臣会合などを通じて、法の支配の重要性を国際社会に発信する様々な取組を実施してきました。これまでの司法外交の取組の総括と具体的な成果について伺います。
○堤政府参考人 お答えいたします。
法務省におきましては、法の支配や基本的人権の尊重といった価値を国際社会に浸透させるための司法外交に取り組んでおります。
これまで行ってきた司法外交の主な取組といたしましては、委員御指摘の令和三年に開催された京都コングレスや、令和五年に日・ASEAN特別法務大臣会合、G7司法大臣会合及びASEAN・G7法務大臣特別対話を同時開催した司法外交閣僚フォーラムなどの国際会議の開催、戦略的司法対話の実施等を通じたパートナー国との連携強化、法の支配等の価値の定着に向けた積極的な法制度整備支援の推進などがございます。
これらの取組により、例えば、京都コングレスの成果の一つとして、昨年十二月には、法務省が外務省と連携して策定を主導した再犯防止に関する国連準則が国連総会において採択され、また、東ティモールの要請を受けて開始した法令の起草等に関する法制度整備支援の成果として、近年、同国において不動産登記法等の複数の土地関連法が制定されるなど、着実に成果を上げていると考えております。
○高見(康)委員 ありがとうございます。
私も法務大臣政務官をさせていただいたときに、ASEAN、G7の法務大臣会合、東京でホスト役もさせていただきました。このときに、日本にもっと役割を果たしてほしい、日本だからこそ各国の事情に寄り添って対応してくれる、日本だからできることがたくさんあるんだという各国の皆様の声をじかに聞いて、日本の評価、期待、そういうものを肌で実感をしたところです。
ただ一方、今、円安の影響で、この予算は円建てですので、実質的にはかなり目減りをしてしまっていて、国際機関に拠出金、いろいろなプログラム、これを削減せざるを得ないような状況が今発生しているということは危機感を覚えています。我が国が司法外交においてきちんとプレゼンスを発揮できるために、十分な予算の確保、これは極めて重要であるということを強調しておきたいと思います。
京都コングレス、今答弁いただきましたが、ここの成果として、再犯防止に関する国連準則というものが昨年末、国連総会でも正式に採択をされました。
我が国には世界に冠たる保護司制度があります。官民連携で立ち直りを支える更生保護ボランティアの仕組みが世界各国に普及していくように、保護司の皆様と連携をして、日本が主体的に取り組むべきだと考えますけれども、お考えを伺います。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
御指摘の再犯防止に関する国連準則には、犯罪者の社会復帰にボランティアが貢献する仕組みの普及を図るべきことが盛り込まれており、ボランティアの例として、我が国の保護司がローマ字表記で紹介されております。
日本の保護司制度を参考とする仕組みが取り入れられた例として、ケニア及びフィリピンでは、我が国の支援によって更生保護ボランティア制度が導入されており、法務省が国連と協力して運営する国連アジア極東犯罪防止研修所においては、現在も両国における社会内処遇制度の発展を支援しております。
また、来週四月十五日には、インドネシアにおいて、我が国の主催により、第三回世界保護司会議を開催し、保護司による発表も含め、更生保護分野で地域ボランティアを活用する各国の取組の共有を図るなど、我が国が国際社会において地域ボランティアの有用性に関する議論を主導していくこととしております。
今後とも、保護司と連携しながら、保護司を始めとする更生保護ボランティアの国内外における認知度の向上と世界的な普及に努めるとともに、我が国の保護司制度についても、諸外国の制度も参考にしながら、よりよいものに成長し続けられるよう取り組んでまいります。
○高見(康)委員 次に、拘禁刑に関する取組について質問いたします。
近年、我が国の刑法犯認知件数は、戦後最多だった二〇〇二年からは約四分の一にまで減少しているものの、検挙者に占める再犯者の割合は四七%と高止まりをしております。再犯防止は喫緊の課題でありまして、その意味で、懲らしめから更生へ、懲らしめから立ち直りへという考えの下導入された拘禁刑は、再犯防止の成否の鍵を握る、矯正行政にとっても大きな転機だと私は考えています。
そこで質問ですが、拘禁刑が導入されて間もなく一年となりますが、第二次再犯防止計画で定められた受刑者の特性に応じた刑務作業等の実施が導入されて、作業は実際どのように変わったのか、そしてどのような課題があるのかということを伺います。
○日笠政府参考人 お答えいたします。
拘禁刑下におきましては、受刑者の改善更生を図るため、その特性に応じて、作業と指導を柔軟に組み合わせた処遇を実施しているところであります。
刑務作業につきましては、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に必要な場合に行わせるものと位置づけられたことを踏まえまして、それぞれの作業は何を目的としてどのような処遇効果が期待できるのかといった視点から、基礎的作業、機能別作業、職業訓練の三つに分類して、個々の受刑者の特性に応じて実施しております。
加えまして、受刑者に作業を実施させる場合には、作業を行う意義や必要性を理解させて、自主的に作業に取り組む意欲を育むため、動機づけを行っております。
このような取組によりまして再犯防止が更に推進されることが期待されておりまして、そのためにも、今後、拘禁刑の趣旨を踏まえた処遇の充実、刑務官や専門スタッフなどの職員体制の整備、処遇の担い手である職員のスキルアップなどに取り組んでいくことが重要であると考えております。
引き続き、受刑者の改善更生、円滑な社会復帰に向けて、特性に応じた一層効果的な処遇を実現するための取組を進めてまいりたいと考えております。
○高見(康)委員 今御答弁いただきました受刑者の特性に応じた処遇というのは、これは今始まったことではなくて、拘禁刑導入に先駆けて行ってきたのが、全国に四か所ある、民間のノウハウを活用したPFI刑務所だと思っています。
私の地元にも島根あさひ社会復帰促進センターがありますけれども、ここに視察に行きました。訓練生、受刑者と呼ばずに訓練生と呼ぶんですけれども、それぞれの適性とか興味に応じて、デジタルコンテンツを編集したりとか、あるいはセンターの外で農作業に携わったり、あるいはパピー、子犬を盲導犬に育てたり、こういう様々なプログラムがあって、これらのプログラムには、教材を作ったり教育関連サービスを手がける民間企業のノウハウが活用されていました。拘禁刑の理念を具現化していく上では、是非こうしたPFIの先進的な取組を大いに参考にして、横展開に努めていただきたいと思います。
次に、刑務所における就労支援について質問いたします。
出所後にきちんと立ち直ることができるのか、それとも再犯をしてしまうのか。これを分ける大きな要素というのは、出所後、切れ目なく、きちんと居場所を見つけることができるのか、それとほぼイコールなのが、やはり職業に就くことができるのかということだと私は思っています。その意味では、刑務所の中にいるうちから、社会復帰を見据えて就労支援をしていくということが非常に大事だと思っています。
そこで、お尋ねしますけれども、拘禁刑の理念を踏まえた社会復帰支援の充実に欠かせない、刑務所における就労支援の取組について伺います。
○日笠政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、受刑者の再犯防止、円滑な社会復帰に当たっては、就労の確保が重要であります。
刑事施設では、入所当初から、就労支援制度の概要を説明するほか、就労に関する課題別の教材や民間企業のノウハウ、知見などを活用した指導等を実施しておりまして、受刑者に対して就労の重要性を理解させ、就労意欲を喚起する働きかけを行っております。
その上で、個々の受刑者の特性等を踏まえながら、ハローワークなどと連携し、受刑者本人の希望や適性等に応じた職業相談、職業紹介、事業主との採用面接等、きめ細かな就労支援を行ってきた結果、在所中に就職が内定した受刑者等の数は、令和四年では千百八十七人であったところ、令和六年では千五百九十一人と増加しておりまして、一定の成果を上げているところであります。
引き続き、円滑な社会復帰に向け、民間企業や関係機関等との連携を深めながら、更なる就労支援の充実を図ってまいりたいと考えております。
○高見(康)委員 成果が出ているということで、引き続きよろしくお願いいたします。
就労支援におきましては、職業訓練で身につけた知識や技能が、社会に出た後の社会側のニーズときちんとマッチしているのかという視点が非常に大事だと思っています。幾ら技能を習得しても、出所後にそれを生かして就職できないということであれば、私は効果が少ないんだというふうに思っています。ですので、社会でどのような人材が求められているのか、どのような分野で特に就職の可能性が高いのか、そうした出口を最初から意識した就労支援をお願いしたいというふうに思います。
その意味では、例えば農業、こうしたところに私は可能性が非常にあると思っていまして、刑務所の中での農業の支援にも、農業の従事者の方、経営者の方、こうした方にできるだけこの中のプログラムにも関わってもらうような仕掛けが大事だと思っています。
島根でも今農業をやっていると御紹介しましたが、一度実際に働く訓練生の姿を見た方は、必ずイメージがよくなります。そして、実際、雇うことへの心理的なハードルというのが決定的に下がります。だけれども、最初、皆さんはイメージで、先入観で判断をして、なかなかそこに踏み切れないということで、実際の姿を経験してもらうというのが一番の近道ではないかというふうに思っていますので、そのような仕掛けを、こうなると、法務省だけというわけではなくて他省庁とも連携になる話だと思いますので、進めていただきたいと思います。
次に、最後の質問に移りますけれども、拘禁刑の理念を踏まえた取組として、刑務所において保護犬の育成プログラムを実践しているということでございますけれども、これはどのような取組を行っておられるのか、教えてください。
○日笠政府参考人 お答えいたします。
令和六年度以降、複数の刑事施設におきまして、各地域の動物保護団体や関係機関の協力を得て、一般改善指導として保護犬育成プログラムを実施しております。これは、令和七年六月の拘禁刑導入を踏まえた新たな取組でありまして、受刑者が保護犬の殺処分の状況等の現状について学ぶとともに、保護犬と触れ合いながら、一般家庭に引き渡すことを目指して適切な訓練や世話の方法を主体的に考えて実践し、信頼関係を築くことを内容としております。
このプログラムを通じて地域社会で課題となっている保護犬の育成に携わることによりまして、受刑者の自己効力感や自己肯定感、他者への思いやりやコミュニケーション能力、社会貢献意欲の向上などを図っております。
引き続き、このプログラムの活用を通じまして、再犯防止を着実に推進してまいりたいと考えております。
○高見(康)委員 ありがとうございます。
殺処分されてしまうかもしれない犬をこうして保護犬として育成をする、それによって受刑者側も自己肯定感が高まる、コミュニケーションが高まるという、非常にウィン・ウィンの、いい取組だと思いますので、是非進めていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 西村です。
まず、今日、私は、再審法から質問をしたいと思っております。
二〇二四年の十月に、袴田事件で再審無罪が確定をいたしました。袴田巌さんは、無罪が確定するまで五十八年もかかっています。ほかにも冤罪事件があまた、あまたとは言えないかもしれませんが、あまた起きているということ、こうした厳然たる事実が再審法改正の立法事実であるというふうに私は考えております。
冤罪は、無辜の民に対する最大の人権侵害であるとともに、その陰では真犯人を逃しているということもあるわけです。また、司法に対する信頼を揺るがす大きな問題だというふうに考えております。
二〇二四年の三月に、超党派の議員連盟が立ち上がりました。えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟ということで、私も加わらせていただいたんですけれども、その一方で、法務省の方も、法制審、法制審議会の再審法部会で議論をし、答申をまとめているということです。
しかし、この超党派議連と法制審の答申との間では、考え方といいますか、方向性にかなり隔たりがあるというふうに思っております。本当に冤罪被害者を救済するための改正案がこの国会で提出されるのかどうか、今まさに分岐点にあるというふうに私は受け止めております。
今日は、再審法の中身に入る前に、法制審の問題について主に質問したいと思っております。
まず、大臣、冤罪について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
お尋ねの冤罪という用語については、法令上の用語ではなく、また、その意味内容が必ずしも一義的に明らかではないことから、法務省として、冤罪の定義についての特定の見解を有しているものではございません。
その上で、処罰されるべきでもない者が処罰されることがあってはならないのは当然のことでありまして、万一そのようなことが生じた場合には、速やかに救済されなければならないと考えております。
○西村(智)委員 冤罪という用語がどうしても法務省、法務大臣としては使えないということかもしれませんが、冤罪は、私はやはり、最大の人権侵害であるというふうに、国家による最大の人権侵害であると思っております。
三月三日に、私は予算委員会の基本的質疑で高市総理にこの点を質問しましたときにも、一般論としてということですが、犯人でない人を処罰するということは、その人権を著しく侵害するものであって、当然あってはならないことだと認識をしている、そのようなことが起こらないように、適正な捜査、公判が遂行されることが肝要だと考えております、こういうふうに答弁をいただいたところだったんですね。
冤罪被害者の救済のためには、私は、やはり何よりも適切な再審、これが重要だというふうに思っております。その再審の在り方についての法改正においては、これは国会の関与がどうしても必要になってくるわけです。これまで与党内審査が行われてきたというふうにお聞きしておりますが、そういった与党内の審査と、それから超党派の議連も、この間ずっと議論をしてきました。
ここで、法制審の答申に対して、あるいは法制化に向けて、どういった意見が出ていると大臣は認識しておられるでしょうか。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
刑事訴訟法の一部を改正する法律案に関して、与党内審査において議員の皆様から様々な御意見をいただいていることについては報告を受けております。
もっとも、国会議員の活動に関わる事柄であり、法務大臣としては、与党内での議論状況の詳細についてはお答えを差し控えたいと思います。
また、御指摘の超党派議連での議論状況についても、国会議員の活動に関わる事柄であり、法務大臣としてはお答えを差し控えたいと思います。
いずれにしましても、法務省としては、法制審議会の答申を重く受け止めつつ、与党内審査における議論も踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えております。
○西村(智)委員 三月三日の予算委員会で、高市総理は、法制審の答申というのは非常に重いものですけれども、審査がこれからありますので、例えば与党内、そして超党派議連でも御議論いただいていますから、そういった御意見もしっかりと踏まえて適切に判断するというふうに述べておられました。平口大臣に、私はその後、その日に見解を求めましたところ、平口大臣も、総理と同じ考えであるというふうに答弁をしていただきました。
今、与党内の審査のことについては、それは与党の中の話ですので、私もこれ以上はお尋ねしませんが、超党派の議連については、これはマスコミフルオープンでも行われておりますし、何より、昨年の通常国会で、超党派の議連案をそのまま野党の方から国会に提出をしております。
中身は明らかなんですよね。それでもまだ大臣は、超党派の意見は国会議員の活動なので申せませんというふうにおっしゃるのか、あるいは、今ここでは言えないけれども、論点とか中身、様々ないわゆる意見については承知しているというふうに言えるのか、どうなんでしょうか。
○平口国務大臣 与党内審査においては議員の皆様から様々な観点からの御意見をいただいていることについては報告を受けておりまして、御指摘の議連の方からの御意見も、そういったようなところを通じて報告を受けているところでございます。
法務省としては、そのような与党内審査における議論も踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えております。
○西村(智)委員 頼むよという声が後ろから聞こえるんですけれども。
大臣、分かっておられますよね、論点については。何が論点になっているのか、そのことについては、今はここの場では言えないけれども分かっているというふうに理解していいですね。
○平口国務大臣 例えば、再審請求審における証拠の提出命令制度とか、再審開始決定に対する検察官の不服申立ての在り方などについては、皆様から様々な御意見をいただいているという報告は受けております。
○西村(智)委員 ありがとうございます。
私も再審に関して、いろいろと本当にたくさん課題はあるんだけれども、主には、先ほど大臣が答弁してくださった、証拠開示の問題であったり、あるいは検察官の不服申立てであったりということだというふうに思っているんです。
その中でも、やはり私は、法制審の議論など、答申を見ていて、特に、証拠開示については、これは一応は議論して答申に盛り込まれているところもある。ただ、これは随分、私の目から見ると、今までの再審に当たっての証拠開示の在り方よりも、スクリーニングが入っているという点においてもかなり後退しているというふうには思うんですけれども。
それよりもっと大事、もっと重たい、際立つのがやはり検察の抗告禁止なんですよね。これが法制審の答申に盛り込まれなかったです。諮問項目の中には入っていたんだけれども、答申には全く入ってこなかった。これはなぜでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
再審開始決定に対する検察官による不服申立ての在り方については、法制審議会において議論が重ねられたところでございます。
その上で、検察官の不服申立てにより再審請求審が長期化しているからこれを禁止すべきであるなどの意見も示されたものの、一方で、三審制の下で確定した有罪判決を一回限りの判断で確定的に覆せることとなるのは不合理である、上級審による審査の機会がなくなり、再審開始の判断の慎重さ、適正さの欠如をもたらすおそれがある、再審請求審における審理の迅速化を目的とするのであれば、端的に再審請求審の手続の迅速化方策を検討するべきである、こういった意見も示されまして、この検察官抗告の禁止の制度を設けるに当たっては反対意見が大勢を占めて答申に盛り込まれなかった、そういうことで含まれていないということでございます。
○西村(智)委員 ちょっとおかしいと思うんですよね。
私が冒頭申し上げましたとおり、やはり再審はすごく時間がかかるわけですよ、まずその再審が始まるまでに。袴田さんは実に五十八年かかっているわけですよね。ほかの事件も、それこそ年単位でかかっているものが結構あります。これに対してどう法改正で対応するのかという、ここの再審の長期化というのが私は今回の見直しの立法事実だというふうに思うんですよね。それを軽視して、そういった意見は少なかった、むしろ、裁判の合理性を担保するためにやはり抗告禁止はできないんだという意見が多かったからそういった結論になるというのは、やはり立法事実ときちんと向き合っていないというふうに私は思うんですよね。なので、そこはよく承知してもらいたいと思います。
それで、意見が、そういった反対論が多かったから答申としてはそういう結論になったということなんですけれども、では、一体全体、法制審の再審法部会がどういう構成だったのかということは、やはり疑問を持たざるを得ません。
メンバーを見ますと、刑事局長も入っていらっしゃるし、検察の方、裁判所の方、いろいろ入っていて、学者、有識者の方もいらっしゃる、日弁連からですか、弁護士の方が三名かな、いらっしゃるということなんですけれども、聞いたところ、検察の抗告禁止について、反対論を述べていたのはその弁護士の三人の方だったということですよね。
これは、冤罪の被害者の側あるいは御家族の側に立ってみて、考えてみてほしいんですけれども、冤罪の当事者の方や御家族の方から見れば、あえて言いましょう、遺族の方から見れば、例えば検察とか裁判所とか、そういった方々というのは、言ってみれば当事者そのものなわけですよ、関わっていた人。だから、第三者とはやはり言えない。
本当は、法制審は第三者的な立場で議論してもらうということを国民からすれば望んでいるわけですけれども、どうも当事者そのものが入っているということは、やはり中立性や客観性がないんじゃないかというふうに見られるのも当然だと思うんですけれども、この点について大臣はどうお考えですか。
○平口国務大臣 再審制度の改正は、基本法である刑事訴訟法の改正に関わるものでありまして、刑事裁判実務に非常に大きな影響を及ぼすものでございます。そのため、刑事法に関する基本的な事項をつかさどる法制審議会におきましては、様々な立場の専門家の方々に、再審請求事件の実情を踏まえつつ、幅広い観点から議論していただくこととしたものでございます。
そして、御指摘の方々は、審議事項に関する立案等の行政事務や法運用の実務等に精通する者として、法制審議会の部会の委員、幹事に選任されたものでございます。その上で、法制審議会の部会には、御指摘の方々のほか、刑事法の研究者、裁判官、弁護士といった様々な立場の方々にも委員、幹事として御参加いただいたところでありまして、構成が中立性、客観性を欠くとの御指摘は当たらないものと考えております。
○西村(智)委員 スタートラインからしてそういった中立性や客観性に疑義のある構成の中では、やはり立法事実に即した議論というのは期待できないと私は申し上げざるを得ません。
当事者と見られるような人たちが入っていることに加えて、もう一つ。
学者の方からも、六名ですかね、入っていただいているということです。皆さん、それぞれ刑事訴訟法の方の大家ですか、刑法でなくて刑事訴訟法の方の大家であるということで、非常に立派な見識をお持ちだと思うんですけれども、この委員の中で、再審法、再審制度に関する論文を発表した学者の方はいらっしゃるんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
法務当局といたしましては、研究者個人の学術論文の執筆状況について網羅的に把握しているものではありませんので、お答えすることは困難でありまして、そこは御理解いただきたいと思います。
その上で、法制審議会の委員、幹事を務めた刑事法研究者は、西村委員御指摘のとおり、我が国の、日本刑事訴訟法学界を代表する方々であると認識しておりまして、法務省としては、このような幅広い観点から検討を行っていただくのに適した方々に委員等をお引き受けいただいたものと考えているところでございます。
○西村(智)委員 これについては、時事通信社が、昨年の十一月頃でしょうか、十月から十一月にかけて、再審制度に関する論文を発表した人たちにアンケートを行っていました。
これによりますと、過去十年以内に再審に関する論文発表を確認できた国内の現職の研究者は二十四人だったと。時事通信によりますよ、私は正確には分かりませんが。二十四人に対してアンケートを実施したところ、回答した十九人全員が、再審開始決定への検察官の不服申立て禁止に賛成をしているということでした。
なお、この法制審部会の委員の方十四人のうち学者は六人を占めるということで、この六人の方々には論文発表の有無を確認したんだそうなんですけれども、お二人は書いていないと明確にお答えになった、四人の方々は回答をしなかったということなんですよ。
確かに刑事訴訟法の大家でいらっしゃるんだろうと私は本当に思います。ですが、やはりこの再審制度というのは、本当に、今、目の前に苦しんでいる方々がいらっしゃって、国家による最大の人権侵害と言われる被害があって、今まさにこの問題に着目をして研究をしている人の声、思い、あるいは研究結果といったものが私はやはり重視されるべきだというふうに思うんですよ。
それで、この間、例えば研究者の方々は、幾つものグループがあるようなんですけれども、声明を出しておられます。「再審法改正議論のあり方に関する刑事法研究者の声明」、それから「再審法の改正に関する意見」ということで、この再審法改正に関する意見というのを出された四人の方々は、再審制度とその運用について研究を続けてきた者の視点からということで、再審部会における議論の問題点を幾つも指摘しておられるわけなんですよ。こういったことを見ますと、本当にこの法制審で公平に議論が行われてきたのかというふうに私は申し上げざるを得ません。
再審法改正議論の在り方に関する刑事法研究者は、こぞって検察官抗告を禁止すべきだというふうに言っています。実は、研究者の方々だけではなくて、元裁判官の方もこれはよくないよと言っておられます。御存じですかね、「再審法改正に関する元裁判官の共同声明」というのが、六十三人の元裁判官の方が出しておられまして、ここでも同様の指摘がされているわけなんです。
大臣、法制審、これまでやってこられました。答申も一旦は出ています。ですけれども、これは今、四月十日、今回の閣議決定を見送ったわけじゃないですか。もう一度、こういった人たちの、まさに関わってきた人たちの声、そして、国会の関与はどうしても必要です、国会での声、これをしっかりと受け止めて、改正案をもう一回練り直してほしいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
法制審議会の答申について様々な御意見があることは承知をいたしております。
もっとも、法制審議会においては、再審制度の在り方について、様々な立場の構成員により、幅広い観点から精力的かつ丁寧な議論がなされたものと承知をしております。
法務省としては、法制審議会の答申を重く受け止めつつ、与党内審査における議論も含めて、適切に対応してまいりたいと考えております。
○西村(智)委員 適切に対応してまいりたいというその言葉で全てを酌み取ってくれということなのかもしれませんけれども、でも、この後出てくるものがどういうものか、それによって、今の大臣のお言葉が、本当に心のこもった、自分の真心からの答弁であったかどうかというのは問われることになりますよ。そのことをよく御承知いただいた上で、今後、法改正案の調整、見直しに臨んでいっていただきたいというふうに思います。
今日、私は、もう一つ、いわゆる人質司法について質問をしたいと思っておりました。ちょっと時間が限られてまいりましたので、最初の方だけになるかもしれません。
実は、昨年の三月二十六日に、この委員会のこの場において、刑事司法に関する参考人質疑を行いました。このときに、いろいろ、被害者、当事者の方からもお越しいただいてお話を伺ったり、また、裁判官でいらっしゃった、今は研究者の方からもお話を伺ったり、あるいは心理学の先生などからもお話を伺いました。
それで、いわゆる保釈の問題についてちょっと今日は集中して伺いたいと思うんですけれども、起訴された後に保釈がされるというのは、私は原則だというふうに承知をいたしております。ですけれども、例えば、大川原化工機事件であったり、それからプレサンス事件であったりというのはどうだったかというと、起訴されてからもずっと勾留が長く続いたわけですよね。
大川原化工機事件においては、その会社の元顧問であった方が、がんが分かった後も保釈が、ずっと請求を出していたわけですけれども、認められることなく、被告のまま亡くなってしまったということなんです。
プレサンス事件の方は、これは会社を経営していた社長が勾留されて、その間に、勾留されてしまったわけですから、会社の運営に携わることもできなくなり、また、いろいろ、ちょっと私は詳しくは分かりませんが、例えば株式を売却しなければいけなかったりということで、経済的な損失も非常に大きかったし、会社の経営に携わることができなくなったという、こういった損失もあったわけなんです。
こういった、保釈が認められないことによって、本当にこういう、命がなくなったり、それから経済的な損失が極めて大きくなったり、もうそれで人生やはり変わってしまうわけなんですよね。そういったことがあるということについては、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。私はすごく胸の痛みを感じるんですけれども、どうでしょうか。
○平口国務大臣 お答えいたします。
お尋ねは個別事件における裁判所の判断にも関わる事柄であるため、法務大臣として所感を述べることは差し控えたいと思います。
ただし、その上で、御指摘のいわゆる大川原化工機事件について、最高検は、検証結果を公表した際に、次長検事が、相嶋氏におかれては、保釈が認められないまま亡くなられるという重大な結果が生じており、最高検としても、相嶋氏に心から哀悼の意を表するとともに、相嶋氏の御遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます、そして、問題点、反省点が認められる保釈対応がなされたことについても、相嶋氏、相嶋氏の御遺族の皆様に改めて心より深くおわび申し上げますと、おわびの言葉を申し上げたものと承知をしております。
その上で、最高検においては、本件における保釈請求への対応に関する問題点、反省点を踏まえて、保釈請求により適切に対応することについて、全国の検察庁に向けて通知を発出したものと承知しております。
検察当局においては、その通知の内容も踏まえて、保釈請求への対応の適正な確保により一層努めていくものと承知をしております。
○西村(智)委員 大臣のお考えを私は伺いたかったです。
これまで、例えば最高検がそういった言葉を発しているということは私も承知をしておりますが、やはり、この件、検察や裁判所にお任せをする、お任せをしてきたことによって、保釈までの期間が長期にわたってしまっているという、そういった現象は起きているんだというふうに私は思うんです。
ですから、ちょっと今日はもう時間がなくなってしまったのでここまでにいたしますが、これを、やはりどうやって運用を見直していくなどできるのかということについて、次の機会に質問したいと思っておりますので、今日はこれで終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 おはようございます。中道改革連合の國重徹です。
まず、平口大臣に、大臣の政治信念、これについてお伺いしたいと思います。
○平口国務大臣 私は、郷里の灘尾弘吉という先生、衆議院の議長もされた方ですけれども、その人のおっしゃっている、夫子の道は忠恕のみという言葉を念頭に政治を行ってまいりました。忠恕というのは、誠ということと、恕は愛ということでございますので、この信念に従って法務大臣として法務行政も預かりたい、このように思っております。
○國重委員 今、大臣の政治信念として、愛と誠ということ、これを基軸に置いて法務行政もしっかり判断、進めていきたいというような答弁をいただきました。今日も、大臣に質問することもあれば、政府参考人とやり取りさせていただくものもありますけれども、是非そのときもやり取りを聞いていただいて、もちろん答弁書は事前に用意されていると思いますけれども、大臣の愛と誠、人間味が加味された答弁を是非よろしくお願いします。
法制審議会の、法制審の刑事再審部会、この第二回目の会議で、冤罪被害者、またその親族からヒアリングをしていますけれども、大臣はその議事録は読まれましたか。
○平口国務大臣 よく読んでおります。
○國重委員 読まれたということです。その中で、一部ここで御紹介をさせていただきたいと思います。
袴田ひで子さんは、その部会の中で、再審法に不備があることは間違いありません、是非改正を急ぎ、法律の不備についての訂正をお願い申し上げます、巌だけが助かればいいという問題ではございません、今も冤罪で苦しんでいる大勢の方がいらっしゃいます、巌が長く苦労したということをせめて法律の改正ということで役立ててくださるならば、私たちにとってこんな幸せなことはございません、法務省の皆様、弟、巌が四十七年七か月頑張ってきたということを、人間として考えていただけますでしょうか、このようなことをおっしゃっています。
こういった切実な訴え、その声を大臣としてどう受け止めているのか、そしてどう応えようとしているのか、お伺いします。
○平口国務大臣 袴田ひで子さんのヒアリングについては、御経験に基づいて、再審制度の在り方を検討する上で非常に参考となるお話があったものと承知をいたしております。
その上で、同部会においてはそうしたヒアリングの結果も踏まえて調査審議が行われたものと承知しておりまして、処罰されるべき者でない者が処罰されることがあってはならないのは当然のことでありまして、万が一そのようなことが生じた場合には、速やかに救済されなければならないと考えております。
法務省といたしましては、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するよう、再審請求者等の手続保障の充実を図るとともに、手続の円滑化、迅速化に資するために、再審制度について所要の改正を行う必要があると考えておりまして、そのための法律案をできる限り速やかに提出できるよう、力を尽くしてまいりたいと考えております。
○國重委員 先ほどの袴田ひで子さんの切実な声に真っ向から反する内容のものが、法制審の答申になっています。大臣は、この答申について、先ほど西村委員とのやり取りの答弁においてもそうですけれども、重く受け止めていますと述べられています。それはなぜですか。
○平口国務大臣 法制審議会は、それぞれの分野において著名な方もいらっしゃいますし、重要なことを記述しておられますので、そういう方々のおっしゃることはまず第一義的に十分に尊重しなければならない、このように思っております。
○國重委員 今、大臣、答弁書を見ずに御自身の言葉で答えられて、非常に、私が評価するのはあれですけれども、よかったと思います。
その上で、答弁内容は別にして、御自身のお言葉で是非お答えいただきたいんですけれども、ちょっと一問追加させていただきたいですが、一方で、この答申に関して、先ほどの袴田ひで子さんは、この内容、この法律では巌のような立場の人は全く救われません、法務省は法律しか守らない、人間を守らない、せめて人間を守るような法律を作っていただきたいとおっしゃっています。
大臣、法制審の答申は重く受け止めると言われましたけれども、この声は重く受け止めないのか。なぜ再審制度の見直しが今求められているのかといいますと、これは重大な冤罪事件があったからです。その過程で多くの不公正な実態、また法制度の不備があったからです。とすれば、一番大事にしないといけない声は冤罪被害者やその家族の声だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○平口国務大臣 袴田ひで子さんは、被告人の、当事者の近い方、お姉さんでございますので、そういう方のお答えとして御指摘のようなこともあったということを、御意見は十分にしんしゃくしたい、このように思っております。
○國重委員 十分にしんしゃくをしていただきたいと思います。
大臣が重く受け止めると言っている法制審の答申、この法制審議会について、これからお伺いしたいと思います。西村委員と事前に調整をしていなかったので、一部かぶるところがございますけれども、ちょっと工夫しながら質問していきたいと思います。
法制審議会の委員は学識経験のある者のうちから法務大臣が任命すると法制審議会令の第二条に定められています。ここで言う学識経験のある者とは一体どういう人たちを指すのか、伺います。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
法制審議会は、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項を調査審議することなどを目的とするものでございまして、その調査審議に当たっては、法律専門的な調査検討を行うとともに、国民各層の意見を適切に反映する必要があるところでございます。
したがいまして、法制審議会の委員等につきましては、基本法令の研究者、法律実務家のほか、実業界、労働界、言論界からの有識者などが選任されておりまして、こういう方々が学識経験者に該当する。
また、行政機関の職員につきましても、やはり基本法の立案準備作業におきまして周到、綿密な要綱案の作成等に関わる、また、行政実務にも影響してくる内容が含まれてき得るということでございますので、こういった運用等に関する専門的知識や行政実務、こういったものの経験に着目いたしまして、知見を有している方々が学識経験者に該当する、このようなことで運用されている。
一般論としては、そのような方々を意味しているものと考えているところでございます。
○國重委員 今御答弁いただきましたけれども、それを受けて、次の質問に入ります。
法制審議会やその部会において、最終的に議事を決するのは委員になります。ですので、その委員の構成には公平性や透明性、これが担保されることが非常に重要になってきます。
委員を任命するのは法務大臣ですけれども、その前提として、大臣、この方たちでいかがですかという、事前に大臣に示される候補がいるはずです。この法制審の各部会の委員等の候補は誰が示すのか、この委員等の人選は、事実上、誰がどのように行っているのか、伺います。
○内野政府参考人 お答えします。
委員のお尋ねにつきましては、具体的に定められたルールといったようなものは見当たりませんので、一般の流れを御説明することで御勘弁いただきたいんですが、一般論として申し上げますと、法制審議会の部会を構成する委員等の任命につきましては、今も御指摘いただいたように、公正かつ均衡の取れた構成になる、これが重要だというふうに考えておりますところ、その定め方につきましては、法制審議会令等に定められた要件等に照らしつつ、様々な方が選び上げられた上で、そういう中から大臣の御判断で最終的には任命されるというのが一般的な流れということになっているところでございます。
○國重委員 ちょっとずれがあるかもしれませんね。誰が選ぶのか。司法法制部が例えば選ぶのか。今私が言ったのは、法制審の各部会の人選は事実上誰がまず行うのかということで、誰が。主体についてちょっと伺います。
○内野政府参考人 お答えします。
法制審議会の諮問事項も様々なものが含み得るところでございまして、やはり、そういった諮問事項の内容等に照らし、また、司法法制部は御案内のとおり一般的な法制審議会の事務を担当しておりますので、通常、こういった事務方、こういったところが、今の、ピックアップといいますか選び上げ、こういうことをさせていただいて、大臣と御相談した上で判断されている、このように認識しております。
○國重委員 法制審の部会は、例えば、刑事関係であれば刑事局が事実上人選して、そして民事関係であれば民事局が人選をする。法制審の総会、親会の方の人選は、事実上、司法法制部がするけれども、各部会については、今申し上げたように、刑事関係については刑事局、民事関係については民事局、そうじゃないんですか。
○内野政府参考人 お答えします。
やはり、まさに委員御指摘のとおり、その諮問事項に対応いたします担当部局というのがございますので、そういったところが中心となって対応する、こういう理解でよろしいかと思います。
○國重委員 中心となってというか、ほぼそこがリードをして決めていく。あとは、単なる事務的なことを司法法制部が後でするかもしれませんけれども、事実上、そこは担当部局の方で決めていくということだと思います。
では、今回の法制審の再審部会の委員等の事実上の人選は誰が決めたんでしょうか。伺います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
個別の人事に係る検討の過程に関する事柄の詳細についてはお答えを差し控えるところでございますが、今回の法制審議会刑事法再審部会に属する委員等の候補者につきましては、まず事務方において検討を行って、当時の法務大臣に随時報告したものと承知しております。その上で、当時の法務大臣におきまして、事務方の報告を踏まえてこれを了承したということであると承知しております。
○國重委員 要は、刑事局が事実上選んだということだと思います。
弁護士ドットコムの記事にも、検察官である法務省刑事局長が候補として示した有識者がそのまま選ばれていた、これは開示請求して、基づいてそのようなことが書かれてありましたけれども、刑事局が、要は、そこのところで事実上選んでいったということだと思います。
ちょっと質問の順序を変えて、次、大臣に聞きます。
法制審の答申を大臣が重く受け止めるとおっしゃっていますけれども、それが尊重されるのは、先ほど大臣が言われたところもあると思いますけれども、要は、審議会が出した結論だからという形式的なものじゃなくて、その構成と審議過程、ここに正当性があると考えられているから、これは当然のことだと思います。そうである以上、この委員には専門性がまず求められる、また、この委員の構成の公平性また均衡性、こういったものが厳格に担保されていなければならないというふうに考えますが、大臣はその点についてどのようにお考えでしょうか。
○平口国務大臣 法制審議会とは、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項を調査審議することなどを目的とするものであることから、委員の任命に当たっては、各諮問の内容にも照らし、幅広い意見を述べていただくために、公正かつ均衡の取れた構成になるよう配慮しつつ、法律専門家あるいは一般有識者といった多様な立場の方々にお引き受けいただくことが重要であると考えております。
この点に関し、選任基準に関するものとしては、法制審議会令のほかに、平成十一年に閣議決定された審議会等の整理合理化に関する基本的計画というものがありまして、任期や年齢等についての指針も定められているものと承知しております。
○國重委員 要は、公正かつ均衡の取れた構成にしていくというようなことの答弁がありました。
じゃ、その公正かつ均衡の取れた構成、それをするために何を基準にこれは判断をするのか、具体的な基準や指針はあるのか、伺います。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
法制審議会令のほかに、委員お尋ねの基準等に関するものといたしましては、平成十一年に閣議決定されました審議会等の整理合理化に関する基本的計画というものがございます。お尋ねにあるような、委員の構成や委員の選任についての指針が定められているものでございます。
具体的に申し上げますと、例えば、当該審議会等の設置の趣旨、目的に照らし、委員により代表される意見、学識、経験等が公正かつ均衡の取れた構成になるよう留意すること、委員の任期について、再任は妨げないが、一つの審議会等の委員に十年を超える期間継続して任命しないこと、また、委員に占める女性の比率を府省編成時からおよそ十年以内に三〇%に高めるよう努めることなどが定められているところでございます。
○國重委員 今ちょっと早口でよく分からなかったというのがありましたが、私は把握しましたので、それを基にさせていただきます。
私もちょっと事前に勉強しましたけれども、審議会等の整理合理化に関する基本的計画、その中の審議会等の運営に関する指針の中にそのようなことが定められているということですけれども、これは一般論としてこういうのがある。
私が今本当は聞きたかったのは、公正かつ均衡の取れた構成と言っているけれども、より具体的な中身というのはどうなんだということを聞きたかったんですが、ちょっとそれは飛ばして、じゃ、先ほどの法制審の再審部会の委員は、公正かつ均衡の取れた構成になるように留意しなさいよとあるけれども、実際、どのような具体的な基準で人選したんですか。ばくっと公正かつ均衡の取れた構成とあるんですけれども、この諮問の内容に照らして、どういうことに留意をして決めたのか。事前に、こういうこと、こういう指針とかこういう基準にのっとって選ぼうというのがあると思うんですけれども、それはどうだったのか、伺います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
再審制度の改正というのは、基本法である刑事訴訟法の改正に関わるものでありまして、刑事裁判実務に非常に大きな影響を与えるということで、様々な立場の専門家の方々に議論していただこうと思って御参加いただいたということでありますが、今、部会の構成だけ前提として申し上げますと、合計が全体で十四名でありまして、研究者の方が六名、裁判所から二名、弁護士さんが三名、検察が一名、警察が一名、それから法務省が一名ということであったということで、研究者が四三%、裁判所が一四%、弁護士が二一%といった形になっているということでございます。
○國重委員 今、属性のところで公正かつ均衡の取れたというようなことの答弁だったと思いますけれども、先ほど私も紹介した審議会等の運営に関する指針の中に、委員の任命に当たっては、当該審議会等の設置の趣旨、目的に照らし、委員により代表される意見、意見ですから、この諮問の内容に関して賛否等様々な意見があるけれども、この意見についても公正かつ均衡の取れた構成になるよう留意するものというふうに読めるわけですね。
今回、冤罪を生み出してきた側である検察組織の幹部が冤罪防止の制度設計を議論するメンバーの多くを事実上選ぶことになるわけですから、より透明性の確保された基準というか、そういう指針のようなものがあってやはり選ぶべきだと思うんです。そうでないと、やはり疑義が抱かれる。本当に正当性があるのか、法制審の答申に。大臣が尊重すると言っているこの前提自体が崩れるわけです。
そうしますと、今、属性のところで言われましたけれども、この指針に書いている、意見が公正かつ均衡の取れた構成になるように、どのようなことに留意をして選んだのか、伺います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
大変難しい御質問でありますけれども、個別の人事に係る検討の過程に関わる事柄でありますので、お答えするのはなかなか難しいところではありますけれども、刑事司法制度というのは、裁判所、弁護士、それから検察、警察、それから被疑者、被告人、さらには犯罪被害者、こういった方がステークホルダーとしておられて、また、そのような立場それぞれから議論をして深めるということが、よりよい議論のためにはやはり我々としてはいいと思っているというのが一点。
あと、刑事訴訟法の学者さんたちについては、どのような御議論、どのような御意見をお持ちかというのも、必ずしも個別の論点についてはとりわけ分からないところでありますが、我々としては、先ほど申し上げたように、日本を代表する刑事訴訟法の研究者にお願いした、引き受けていただいたというふうに考えているというところでございます。
○國重委員 それでは、ちょっと具体的に聞いていきたいと思います。専門性があったのかとか、あるいは公平性、均衡性が本当にあったのかということについて順次お伺いしていきます。
先ほど西村委員の方からもございましたので、ちょっとこれは質問を飛ばすというか、私の方で言い切っていきたいと思いますけれども、この法制審の再審部会の委員十四名のうち、学者の方が六名いらっしゃる。この意見の賛否についてはよく分からないと今おっしゃいましたね、事前には。ただ、このうち、再審に関する論文を発表した方はいるのかという先ほどの西村委員の質問に対して、私はちょっとメモしましたけれども、網羅的に把握しているわけではありませんというような答弁だったというふうに思います。
じゃ、私は聞きたいんですけれども、諮問の内容に応じて専門的に部会で議論するわけですよね、にもかかわらず、刑事法全体といっても、再審に関してこの方が専門家なのかどうなのかということを事前に調べもせずに選んだのか。大臣、よく聞いておいてくださいね、このやり取り。後で聞きますから、総括して。再審に関する論文を書いたかどうかとか、そういうことの御専門ですかということを何も確認せずに事実上選んだということでよろしいですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
網羅的に把握していないというのはそのとおりでありまして、一方で、刑事司法というのは、再審だけではなくて、例えば、誤判を防ぐためには、まずは通常審においてそのようなことがないようにしなきゃいけないというのが大前提でありまして、例えば、平成十五年以降、裁判の迅速化法であるとか、それから刑事訴訟法が度々改正されまして、証拠開示が拡大され、国選弁護が拡大され、それから取調べの録音、録画等の制度もできて、そういう中で、全体としての刑事訴訟の中でこの再審制度を位置づけていくことになるわけでありますので、そういう観点から、我々としては、刑事訴訟法の学界を代表する、全体として見ていただける方であると理解しておりますので、そういうことも加味して判断したということになるかと思います。
○國重委員 西南大学の福永俊輔教授はこう言われています。再審や誤判に関してこれまで積極的に研究してきた方が選ばれていない、このように苦言を呈されています。
これは、同じ医者といっても、例えば眼科とか整形外科、脳神経外科、同じ医者ですけれども専門が違います。もちろんお一人お一人は非常にすばらしい学者の方だと思います、部会の方も。ただ、じゃ、なぜ再審の論文を発表している専門性のある学者を一人も委員に選ばなかったのか、伺います。
○佐藤政府参考人 済みません、個別の人事に係る過程に関する事柄についてはお答えを差し控えたいところでありますが、我々としては、刑事裁判実務に非常に全体として大きな影響を与えるこの再審制度の議論、検討に当たりまして、そのような幅広い観点から議論していただくことに適した方々に引き受けていただいたと考えているところでございます。
○國重委員 今のは明確な答弁にはなっていないと思います。
再審や誤判に詳しい刑事法研究者ら計百四十二人が、今回の法制審の答申の内容は重大な問題をはらんでいるとして、今月六日、反対の緊急声明を公表しました。この中のお一人である明治大学の石田倫識専任教授は、法制審にも研究者が入っているが、今回の百四十二人とは正反対の意見で、学界の通説、多数説ではない、このように指摘をされています。
再審部会の人選は本当に公正で均衡の取れたものだったのか。先ほど西村委員も取り上げましたけれども、過去十年以内に再審に関する論文を公表した現職研究者に対する時事通信の調査では、回答した十九人全員が再審開始決定に対する検察官の不服申立て禁止に賛成をしています。ところが、刑事局長が、刑事局が事実上人選したこの学者五名は、全員が真逆の、法制審の見直し案に賛成しています。
なぜ、これほど再審法改革に前向きな学界の状況がある中で、法務省案に沿う学者ばかりが、しかも五名全員がですよ、意見が違うんじゃなくて五名全員が並ぶ構成になったのか、これで公正で均衡の取れた人選だったと言えるのか、伺います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになって恐縮でございますが、個別の人事に係る検討の過程に関する事柄についてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、再審制度というのは本当に刑事司法全体に関わる論点でございまして、そこを議論いただくのに適した方々に委員をお引き受けいただいたというふうに考えているところでございます。
○國重委員 先ほどの再審に関する論文を発表した研究者に対する調査では、再審部会の人選について約九割が不適切又はどちらかといえば不適切と答えていることを、改めて指摘はしたいと思います。
ちょっと、後ほどの我が党の有田委員の時間を五分ほどいただいて、続きの質問をさせていただきたいと思います。
今年二月二日に開催された再審部会の第十八回会議で、村山委員が、私は元々検察官の不服申立ては廃止すべきという意見であります、実際に、ここまで来ていますから、採決ということを考えた場合には、仮にどういう結論になっても、相当ここでは議論があったということで、取りまとめ案には両論併記していただきたいと強く思っていますと。弁護士委員がせめて両論併記にすることを求めましたけれども、結果的にそれすら認められませんでした。
この部会の進め方、これは不公正じゃないですか。いかがですか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
御指摘につきましては、再審法の部会におきまして、委員から、再審開始決定に対する不服申立ての論点について答申案に反対意見を記載して両論併記とすべきであるという意見が示されました。これに対しましては、答申案は法務省が法案を作成するための基礎となるものとして法制審議会の総会に提示されるものでありまして、これが法案の基礎となるからには特定の案を示すべきであるといった反対意見が示されたものと承知しております。
こうした意見を踏まえて、部会長におきまして、従来の慣例でもありますので両論併記とはせずに特定の案を示すこととしたい旨を構成員に諮ったところ、異議が示されなかったことから、同部会の答申案におきましては特定の案を示すこととされたものと承知しているところでございます。
○國重委員 先ほど言いました審議会等の運営に関する指針、これはどう書いているか、議事について。審議を尽くした上で、これは政府の指針ですよ、審議を尽くした上でなお委員の間において見解の分かれる事項については、全委員の一致した結論をあえて得る必要はなく、例えば複数の意見を併記するなど、審査の結果として委員の多様な意見が反映された答申とする、これが政府の大方針なんです。
とすれば、再審部会で明確に異論が示されていました、私も議事録を読みましたけれども。それを反映しなかった取りまとめというのは、この指針に反するんじゃないか。
今、何か前例が云々とか専門的と言われましたけれども、でも、私は、これは説明になっていないと思います。政府の指針は、見解が分かれる場合には複数意見の併記を予定しているわけです。そうである以上、問われるべきは、過去にやったことがあるかどうかとかそういうことではなくて、今回の再審制度という重大な論点で明確な異論が存在したのに、なぜ多様な意見を答申に反映しなかったのか。前例を理由に少数意見を退けるのは、指針よりこれまでの慣行とかを上に置く議論じゃないか。
また、専門的といっても、専門的な事項が多い分野だからこそ、制度設計上の価値判断、副作用が見えにくくなりがちなので、やはり、だからこそ、ここにはこういう反対論がある、こういう危険が指摘された、こういうことを私はやはり書くべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
先ほども申し上げましたけれども、答申案は法務省が法案を作成するための基礎となるものとして作るものでありまして、これは特定の案を示すべきだという意見が大勢であったということが、御意見があったということといたしますのと、それから、答申案は、いろいろな様々な御議論を踏まえて要綱骨子案も作ったんですけれども、一部の委員、幹事の要望に応じて附帯事項も加えられまして、それらの修正に関する議論も尽くした上で内容を確定させたものであるということは御理解いただきたいと思っております。
○國重委員 附帯事項では十分ではないと思うんですね。
やはり、法案を作るといっても、これが多数意見で少数意見ということを書くことがなぜ差し障りになるのか、私はちょっと理解ができません。
大臣、今聞いていただきましたね、やり取り。紙を見ていただくのもいいですけれども、今の生きたこのやり取り、専門性とか公正性、均衡が取れたものなのか、こういったやり取りを踏まえて、本当に、大臣、重く受け止めると言っているのは、単に法制審の答申だから重く受け止めるというよりも、その前提として、その法制審の答申に正当性があり権威がある、その因数分解をしていくと、そこには専門性があり、その委員の構成には公正性がある、公平性がある、こういったことがあると思います。
今のやり取りを聞いて、委員の人選とかメンバー構成に大臣は何らの問題もないとお考えですか。大臣、愛と誠を大事にする大臣としてお答えいただきたいと思います。
○平口国務大臣 個別の人事の検討の過程に関する事項についてはお答えを差し控えたいと思いますが、私としましては、諮問の内容に照らして、再審請求事件の実情を踏まえつつ、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくのに適した方々にお引き受けいただいたと考えておりますので、法務省においても適切な判断をして考えたというふうに思っております。
○國重委員 今、個別の人事の過程に答えられないとか何かそういう話だった。そんなことは聞いていないんです。今このやり取りを聞いて、本当にそれが公正性があるのかというようなこと、大臣としてどう思うんですかということを聞いたんですね。
大臣は、幅広い分野の方から選ばれたから今尊重するんだみたいな趣旨のことをおっしゃいましたけれども、やはり、外部的に今人事の公正さに疑義が生じているときには、法務大臣として、これは中立公平な人選をしたということを積極的に、もっと説得的に説明する、この説明責任があるんじゃないですか。いかがですか。
○平口国務大臣 いずれにしても、私としましては、諮問の内容に照らして、再審請求事件の実情を踏まえつつ、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくのに適した方々に委員等をお引き受けいただいたものと考えております。
○國重委員 大臣、もう私、今日は時間の関係でこれで終わりますけれども、今お答えいただいていないんですね。やはり、政治家が法務大臣になっている意義を是非感じていただきたいと思います。
法制審の答申が来るから、そのまま、ああ、これは専門家がやったからいいんだじゃなくて、本当にこれは大丈夫なのかと。しかも、この再審については、自民党内で、大臣も自民党御出身の大臣ですけれども、そこでも激しい議論が闘わされているわけですから、こういったことについては、また帰っていただいて、袴田ひで子さん等の冤罪被害者あるいはその親族の声も大事にすると言っていただきましたけれども、大臣が初めに言われた、夫子の道は忠恕のみ、人間の道は愛と誠が大変大切ですと、ホームページに書かれているんですね、是非こういったことを踏まえてこれからの御判断をしていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、有田芳生君。
○有田委員 旧統一教会の問題、まだまだ終わっておりません、実は。政治との関わりだけではなく、清算がこれからどれだけ行われていくのか、そして、さらには、教団としたら、財産隠しを今狙っているという問題、あるいは二世の問題などなど、多くの課題を抱えております。
世界基督教統一神霊協会、略称統一教会ですけれども、この日本においては、韓国などに次いで、二〇一五年に世界平和統一家庭連合、いわゆる家庭連合に略称を変えました。しかし、私は、予算委員会など、あるいは原稿を書くときでも、統一教会と名称を変えずに語っております、書いております。本質は変わっていないからです。
今どういう動きがあるのかについて、今日は、公安調査庁、警察庁などにもお聞きをしながら、様々な問題があるんだということを指摘していきたいと思います。
まず最初に一般論ですけれども、法務省にお聞きをしたいんですけれども、一般財団法人が名称変更あるいは役員の変更、目的の変更をする場合には、どういう手続があるんでしょうか。まず一般論としてお答えください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘の一般財団法人の名称変更等でございますけれども、まず、その法人の中の機関において適切な、法令に基づいた機関決定をする、その上で登記をする必要がございますが、登記された事項に変更が生じた場合には、二週間以内に管轄の登記所に対して登記の申請をする必要がございます。
○有田委員 登記申請をして登記がされた、それが却下をされるケースというのは、どういう場合があるんでしょうか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
却下される場合といたしましては、登記の申請書や添付書面、それと既存の登記簿の内容、これらの間に不整合がある場合などが挙げられると思っております。
○有田委員 実は、皆さん御承知のように、統一教会は、二〇二五年の三月二十五日に東京地裁によって解散の決定がなされました。そして、今年の三月四日に東京高裁でも同じ決定がなされました。ところが、統一教会は、その前の旧統一教会は、三月四日に解散決定がなされて、その三日後の三月七日に、実は、東京の新宿五丁目にある成約ビルという、統一教会の関連組織が一階から五階まで入っているんですけれども、そこの四階にある一般財団法人孝情教育文化財団の名称変更、役員の変更、目的の変更を行いました。
この問題で、共同通信は、四月の八日に旧統一教会、統一教会が新しい団体をつくるんだと報道しました。朝日新聞も大きく報道しました、四月八日ではなく近々という、近く新しい団体ができるという報道をしました。
ところが、統一教会の家庭連合元広報渉外局は、四月八日、共同通信が四月八日に統一教会が新しい団体をつくるという報道をしたその四月八日に、新団体に関する報道についてというコメントを出しました。教団の関連新聞である世界日報のデジタルにも記事が出ましたけれども、一部マスメディアで四月八日にFFWPUという名称の新団体を設立すると報道されました、これは事実ではありませんと報道しました。また、報道では後継団体との表現があるけれどもそれは違うんだということを、教団元広報渉外局はコメントを出しました。
ところが、新団体に関する報道について、そんなものはなかったんだということを家庭連合元広報渉外局は言っているんだけれども、この四月八日に、東京法務局新宿出張所で、この登記の申請について却下をしたと私は理解しているんですが、それに間違いありませんか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
委員お尋ねの内容は、個別の登記申請に関するものでございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○有田委員 統一教会問題というのは、社会問題となって、今でも大きな課題を残しているわけでしょう。個別の問題というのは、確かにそういう言い方をするしかないんでしょうけれども、昨日私がこの質問を追加したときには、どこから得た情報ですかと担当者から私は聞かれているんですよ。どこから聞かれた情報ですかというのは、それは情報源なんというのは言えないですけれども、だけれども、どこから得た情報ですかということは、これはお認めになったものとしか思えなかった。
だから、何が起きたかというと、もう一度繰り返しますけれども、統一教会に東京高裁から解散命令、決定が出された。その三日後に、新宿にある一般財団法人の名称を、実は、FFWPU、これは世界平和統一家庭連合の英語の略称なんですよね、それに変えて、さっき言った孝情教育文化財団からFFWPUに名称変更したということなんだけれども、実は、その登記をして、登記が認められたときに代表者も替わっているんですよ。代表者は誰になったかというと、統一教会、つまり世界平和統一家庭連合の代表者に替わったんです、堀正一さんという方に。
これは細かい話ですけれども、実は、皆さん御承知のように、教団解散のときの会長というのは田中富広さんだったんだけれども、韓国から文鮮明教祖の孫がやってきて、日本で彼を更迭させて、その代わりに堀正一さんになった。この方が新しい団体の代表に就任しようとしただけではなく、本当は御存じなんだろうけれども、目的についても、一般財団法人の目的に宗教界の和合統一というのを入れた、財団法人が。さらには、儀式、教育の伴う宗教活動。宗教活動をやるということに、全然違う財団法人がそういう目的になったんですよ。
だから、当然、法務局の方は、恐らく皆さん方とも御相談されたんでしょうけれども、却下をされて、新しい動きをこれから取っていこうとしているんだと思うんです。
大臣が今ちょっと席を外されたので。実は、統一教会というのはいろいろな団体を持っているんですよね。宗教法人としての世界基督教統一神霊協会というのはあった。だけれども、その周りに、皆さん御承知のように、国際勝共連合であるとか、UPFジャパンであるとか、あるいは英会話教室であるとか、国会議員の秘書さんたちが今もいっぱい行っているんだけれども、あるいは学習塾であるとか、それから魚屋さんであるとか、いろいろな組織を持っている中で、財団法人というのは、今、統一教会が新しく新団体にしようとしただけではなくて、霊感商法の総元締めだったハッピーワールドという会社があったんだけれども、その下にいろいろな会社がある。あるいは、ヒョジョンマグノリア財団というのもある、今、五反田の方に移ったんだけれども。いろいろな財団を持っているわけですよ。
だから、これからもいろいろな形で新しい仕組みをつくっていこうと。当然、解散になったって、信教の自由はあるわけですから、信者の皆さんが自分の信じる信仰を続けていらっしゃるというのは当然なんだけれども、そこで社会問題になった高額献金が再び行われる可能性が極めて高いんですよね。だから、そのことをやはり見ておかなければいけないと思うんです。
大臣にお聞きをしたいんですけれども、これまで、二〇二二年の七月八日に安倍晋三元総理が銃撃を受けて残念なお亡くなりのされ方をした、それから社会問題になった統一教会なんだけれども、その事件以降の国会では、必ず大臣所信の中に統一教会問題というのは入っていたんですよ、旧統一教会問題への対応というのは。これは二〇二二年からずっと入っていた。だけれども、統一教会が解散したという大きな事件があったにもかかわらず、この間の大臣所信には統一教会問題は一言も入っていないんですよね、オウム真理教は入っているけれども。
だから、ここで何が聞きたいかというと、これまでの旧統一教会問題への対応の中で、法テラスで相談をするという問題があった、あるいは特定不法行為等被害者特例法に基づく支援ということがずっとうたわれてきた、その結果、どういう成果があったのかをちょっとお答えいただけますか。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
法テラスでは、これまで、令和四年十一月から霊感商法等対応ダイヤルを設置いたしまして相談を受け付け、弁護士、心理専門職等の知見を活用しつつ、関係機関等と連携し、弁護団を始めとする適切な相談窓口等を紹介するなどしてまいりました。
また、令和六年三月から、特定不法行為等被害者特例法に基づきまして、被害者に対し、その資力の状況にかかわらず、無料法律相談や民事事件手続における弁護士費用等の立替え等の支援を実施してまいりました。
これまで、対応ダイヤルにおきます相談実績は、令和八年二月二十八日時点で、全体で一万二千九百八件、このうち旧統一教会に関する相談が二千五百八十七件となっております。
また、特定不法行為等被害者特例法に基づく支援につきましては、解散命令が確定するまでに申込みがなされた被害者を対象として行うものとされているところ、速報値ではございますが、本年三月三十一日までに支援を受けることが決定した事案の案件、件数は、法律相談が百二件、民事事件手続におきます弁護士費用の立替え等が三百三十五件などとなっております。これらの支援を実施してきたところでございます。
法テラスにおきましては、引き続き、対応ダイヤル等の窓口に問合せがあった場合には適切な窓口紹介をしていきますし、清算人手続が始まっておりますので、この清算人等とも連携を図りながら、清算開始後の被害者等の支援に遺漏がないように、積極的に協力してまいりたいと考えております。
○有田委員 そのように、これからも問題があるという御答弁でしたけれども、是非とも大臣所信の中にも、終わっていない問題なので、やはりこれからは加えていただくようにお願いをしておきたいと思います。
次に、三月二十八日に、御覧になった方もいらっしゃるだろうと思いますけれども、NHKの「未解決事件」の中で統一教会を取り上げました。政治との関わり、教団の名称変更が二〇一五年に行われたときに文科省に働きかけたんだという、当時の国会議員の方の証言もありました。
その中で物すごく注目しなければいけないのは、実は、一九九五年三月二十日に地下鉄サリン事件が起きて、日本中あるいは世界でも驚くような事態が進行し、報道もありましたけれども、この「未解決事件」の中で注目すべきなのは、地下鉄サリン事件の二年前、一九九三年に警視庁の中に宗教問題を担当するチームができて、そのときには統一教会が九割、オウム真理教は一割だったというんですね。それは事実なんですよ。
ところが、統一教会の摘発を準備していたにもかかわらず、地下鉄サリン事件が起きてしまったので、その方向にずっと当然捜査当局は努力をされた。私も当時の警察庁の幹部、警視庁の幹部にも何度も言われましたけれども、オウム事件が終わったら次は統一教会なんだということで、具体的な着手の方法、課題などについても聞きました。
その中で、NHKの報道の中では、十七年前、つまり二〇〇九年に、教団本部、つまり統一教会の教団本部、今も渋谷区の松濤にありますけれども、今は清算人が管理をしておりますけれども、教団本部摘発で動いたというのが「未解決事件」の報道でした。
そこで、警察庁にお尋ねしたいんですけれども、そのときの二〇〇九年というのはいわゆる新世事件と呼ばれておりますけれども、その事件の概要、結果、教えてください。
○服部政府参考人 お答えいたします。
平成二十一年六月に警視庁が印鑑等の販売会社の社長等七名を印鑑の売買契約を締結させるために顧客の不安をあおって威迫、困惑させた特定商取引に関する法律違反で逮捕した事件であると承知しております。
○有田委員 そのときには統一教会の渋谷教会、つまり、本部の前にあった施設なんかも警視庁公安部は捜索を行っているんですけれども、その事件をきっかけに統一教会本部への摘発というものが実は準備をされていたんだけれども、様々な事情があって実現をしなかった。だから、この問題というのは終わっていないんですよね。
この新世事件というのは、統一教会解散決定の東京地裁、東京高裁の決定文の中にも出てまいります、新世事件。いわゆる民事だけではないんですよ。刑事の問題もあって統一教会は解散決定がなされたということで。
それに対して、警視庁、警察庁だけではなくて、公安調査庁に引き続きお聞きをしたいんですけれども、「内外情勢の回顧と展望」、立派な冊子が今年もできておりますけれども、この中に、かつて公安調査庁は、特異集団、特異な、特別な、奇妙なと言っていいのかも分からないけれども、特異集団ということで統一教会を記述されていましたよね。まず、その確認をさせてください。
○霜田政府参考人 お尋ねの「内外情勢の回顧と展望」につきまして、平成十七年及び平成十八年に特異集団という記述がございます。
○有田委員 その特異集団の中には統一教会も入っていたわけですよね。
○霜田政府参考人 おっしゃるとおりでございます。
○有田委員 これまでも国会の中で、例えば一九九八年の参議院の法務委員会で質問がなされている中で、公安調査庁の長官が、当時ですけれども、公安調査庁といたしましては、統一教会が種々社会的な問題を引き起こしている団体であるということは十分承知しておりますという答弁をなさっている。あるいは、今後についても大いなる関心を持って統一教会という団体の動向については広く情報を集めてまいりますということを、繰り返し当時の公安調査庁の長官が答弁なさっている。
恐らくというか、今も同じ認識だと理解してよろしいですね。
○霜田政府参考人 お答え申し上げます。
旧統一教会に限らず、個別の団体に対しまして当庁の現時点における評価というものを御回答申し上げることは、今後の業務に支障を来すおそれがございますので、御容赦いただければと思います。
○有田委員 だけれども、実際に公安調査庁の職員の方々が、オウム真理教が問題になったときも含めて、私のところに統一教会についていろいろ話を聞かれるということは、当然十分関心を持っていらっしゃるということですよね、言えないけれども。
○霜田政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、現時点における個別の団体に対する評価等を御回答することは御容赦いただければと思います。
○有田委員 かつてよりもいろいろな問題が起きて解散せざるを得なかった教団に対して、やはり関心を持つというのが当然公安調査庁あるいは警察庁、警視庁の方々のお仕事の一環だと思っているので、それ以上言えないということならば、解散が決定されたということも含めて、今後は「内外情勢の回顧と展望」にもやはり触れられたらいいんじゃないかと期待をしているということをお伝えしておきたいと思います。
さっきも言いましたけれども、特異集団なんですよ。例えば信者の皆さんが今でも日々勉強されている「原理講論」という教義解説書などには、将来、世界は韓国語で統一されると書いてあるんですよ、かつても今も。世界は韓国語で統一されるという教義なんですよ。
あるいは、少し問題になりましたけれども、昨年十二月から韓国で特に明らかになり、日本でも報道されましたけれども、TM特別報告、TMというのはトゥルーマザー、まことのお母様、つまり韓鶴子総裁を指しているんだけれども、そのTM特別報告についても、高市総理は答弁の中で、いや、あれは韓国の文書でしょうと言うけれども、全然そうじゃないんです。日本の統一教会の最高幹部たちが韓国の教団に報告したものなんですよ。三千二百十二ページ、今明らかになっている。あと二千ページぐらいあるんだけれども、そこには様々な、日本にも関わるような問題が出てくる可能性が今も高い。
一言だけ、ここで大事だというのは、これまで統一教会が日本をどうしようとして与党も野党の議員の皆さんにも接近していたかというのは、理由があるんですよ。理由がある。明らかな理由がある。それは、選択的夫婦別姓を実現させないためとかいろいろなことが言われてきたんだけれども、決定的なことがこのTM特別報告には明らかになった。
一言だけ言っておきますけれども、彼らの目的というのは、これは田中富広統一教会の会長が韓鶴子総裁に詳細に報告しているんだけれども、我々の目的は日本の天皇制を撤廃することだと報告している。その目的のために国会議員なんかにずっと接近していたんです、最終的な目的は。そして、信者の国会議員を誕生させる、最後は信者の総理大臣を誕生させるんだ、そのために、多くの国会議員の皆さんに、与党だけではなく野党にも接近していったというのが、それが明らかにされた。そんなことはできるはずはないんだけれども。
まさしく特異集団なんですよ。だから、もっともっと真剣に、オウム真理教は大臣所信にも出てくるわけですから、この教団についてはそういう目でも見ていかなければいけないというふうに思います。
物すごく巧妙なんですよ。宗教団体としての解散命令は出たけれども、さっきも言いましたけれども、様々な団体を持っている。国際勝共連合だけではなく、いろいろな形で国会議員の皆さんにも接近してきた。
文化庁にお聞きをしたいんですけれども、天地正教というのは何ですか。
○梶山政府参考人 お答え申し上げます。
宗教法人天地正教については、昭和六十二年に北海道知事において宗教法人天運教の設立の規則認証が行われ、その翌年、昭和六十三年に同法人の名称を天地正教に変更する規則変更の認証が行われたところです。
その後、平成七年の宗教法人法の改正に伴い、同法人は平成八年に所轄庁が北海道知事から文部大臣へと変更になり、現在、文部科学大臣所管の宗教法人となっております。
○有田委員 天地正教というのは、天運教から変わって、名前を変更して、北海道の帯広に本山がある。今はもうアパートなんですけれども、アパートのようなものが天地正教の拠点なんですけれども。
何が問題かというと、統一教会が解散された、東京地裁、東京高裁が決定した。東京地裁の決定文には出てくるんだけれども、実は、さっき新世事件というのは何ですかと伺ったのは、この問題と関わるわけですよ。二〇〇九年に新世事件が起きて、教団本部が摘発される可能性がかなり高かった。そのとき、教団は、今回の財団法人の名称変更などと同じような形で、当時、つまり二〇〇九年の六月二十三日に、統一教会の責任役員会及び評議員会において、残余財産、財産が余ったら、結論だけにしますけれども、この帯広にある天地正教に余った財産を移すことができるということを決めているんですよ。危なくなるとすぐ動いた。今回と一緒なんですよ。
この天地正教というのは弥勒菩薩を本尊としている。先ほど、一九八七年、昭和六十二年十二月に設立されたということを答弁していただきましたけれども、弥勒菩薩が本尊なんですよね。だけれども、統一教会なんですよ。統一教会はキリスト教系なんですよ。だけれども、弥勒菩薩を信仰している。教団の内部文書、天地正教の内部文書がありますけれども、弥勒菩薩というのは文鮮明教祖の生まれ変わりだというんですよ。だから、キリスト教系の団体が仏教系の弥勒菩薩を本尊としている。
だから、何としてだって、財産を隠したり韓国にお金を送るようなシステムというのは、かつても今も続けているんです。東京高裁の決定にもありますように、従属しているんです、韓国の本部に。だから、宗教団体としての解散は決まったんだけれども、いろいろな形でこれから資産隠しなんかを行ってくるというのが教団の本質だということを強調しておきたいと思います。
大臣にも感想をお聞きしたいというふうに昨日レクの中で言ったんですけれども、単に法テラスとかそういうテーマだけではなく、公安調査庁も当然特異団体としてかつては関心を持っていらしたんですから、今日はもう時間がありませんのでやめますけれども、大臣の感想をお聞かせいただけますか。
○平口国務大臣 統一教会については、これまで様々な社会的問題が指摘され、政府において、その被害者等の支援に関する関係閣僚会議を開催するなどして、その支援策などの対応を図ってきたところでございます。
引き続き、公安調査庁等においても破防法、破壊活動防止法なんかを所管しておりますので、それとの関連をよく見極めたいと思います。
○有田委員 とにかく、今後、いわゆるスパイ防止法なども法案として提出される動きはありますけれども、やはり、TM特別報告を詳しく見ていますと、日本の政治家の動きなどについて物すごく韓国の教団トップに報告しているんですよね。こういう行為こそ問題じゃないかと私はずっと思っておりますので、そういう観点からも、引き続き、旧統一教会、統一教会について多くの議員の方にも関心を持っていただきたいということを強調しまして、時間が来ましたので質問を終わります。
○井上委員長 次に、井戸まさえ君。
○井戸委員 国民民主党の井戸まさえです。
法務委員会では十三年ぶりの質問になります。
本日は、大臣所信で言及をされている困難を抱える方々への取組、国民の権利擁護に向けた取組、人権擁護の視点から、法務行政の根幹とも言える戸籍をめぐる諸問題、無戸籍、旧姓の法制化、出自を知る権利など、時間の限り伺っていきたいと思っています。
まず、無戸籍問題についてです。
世界に冠たると国民の信頼を得ているはずの戸籍は、様々なバグも指摘をされています。そのうちで最大のバグと言われているのが、無戸籍者たちの存在です。
この問題は、二〇〇七年に毎日新聞が取り上げたことをきっかけに、まずは離婚後三百日問題として社会問題化いたしました。私は、無戸籍の子供を抱える当事者の一人として、何も支援のない時代にこの問題と向き合い、特に裁判所の手続で戸籍を作ることがいかに難しいかに直面いたしました。その後、私と同じような苦労を味わってほしくないと思い、無戸籍児やその家族、母親たちのための支援団体を立ち上げて、伴走型支援に取り組んでまいりました。二十四時間無料電話相談や、全国を飛び回って役所との交渉、弁護士探しなど、サポートも行ってまいりました。
誰もが振り向かなかった頃に手を差し伸べてくださったのは、まさにこの衆議院の法務委員会の委員であった公明党の大口善徳元衆議院議員、そして自民党の早川忠孝元衆議院議員でした。
残念ながら、当時は民法改正までには至らず、次善の策として、乳幼児医療や一定の要件下での住民票の発行に関する行政通知が発出されました。しかし、政府は、これらを基にあれができる、これができると言うのですが、実際には自治体に行くと、それはできない、たらい回しにされる、家庭裁判所には受け付けてももらえない。戸籍もできないその現実が、当事者を何重にも苦しめ続けることとなりました。
二〇一四年には、NHKがそうして大人になった無戸籍者たちの姿を捉えた番組が国民に衝撃を与え、ここから法務省の実態調査が始まっていきます。
さらに、二〇一五年には、上川陽子委員が法務大臣に就任された後に、寄り添い型の取組実施のために、省庁をまたいだ、当時としてはまさに画期的な無戸籍ゼロタスクフォースが立ち上がり、二〇二二年、令和四年の法改正につながったと承知をいたしております。
この間、この委員会にもおられる中道改革連合の西村智奈美委員、國重徹委員にも御理解をいただき、法改正だけではなくて、無戸籍者の抱える課題の解消に向けた環境整備に後押しをいただきました。特に、初期から関わってくださっていた大口元衆議院議員には、コロナ禍で無戸籍者にも給付金を支給対象にするなど、具体的な支援を形にしてもいただきました。
無戸籍者たちの苦悩は、戸籍ができたから終わりではありません。そこから新たな闘いが始まります。学校に行けなかったこと、仕事に就けなかったこと、結婚できなかったこと、不安の中で連鎖した無戸籍の子供を産み育てたこと、生きていく基盤がなく、国家に拒絶されたという強烈な体験は一生消えず、彼らの人生に大きな負荷を残し続けます。戸籍ができた後も、彼らが貧困、人間関係、職場での様々なトラブルに巻き込まれる姿を見ると、何よりも登録されることの大切さをつくづくと感じます。
また、私の問題意識の中には、日本は国民主権国家にもかかわらず、主権者たる国民を長期間にわたって把握をしてこなかった、今もできていない現状に対しての強い危機感があります。こうした視点から質問させていただきます。
まず、令和四年、二〇二二年に民法改正が行われて、嫡出推定制度が変わりました。施行されてからは丸二年になりますが、無戸籍者の人数、また原因の内訳などを教えてください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
法務省においては、本年三月十日時点で、全国で六百六十九名の無戸籍者を把握しているところでございます。このうち、成人されている方は二百十五名、未成年の方は四百四十五名、年齢が分からない方が九名でございます。
戸籍に記載されていない主な理由とその人数としては、夫の嫡出推定を避けるために出生の届出がされていない方が四百五十九名、記憶喪失等により本籍を確認することができない方が九十三名と把握をしております。
○井戸委員 二〇一四年の八月から調査が始まっています。そこから十二年もう間もなくたつんですけれども、法務省が把握をした無戸籍の方の数、そして、そのうち解消された数、これの詳細をお願いいたします。
○松井政府参考人 お答えいたします。
本年三月十日現在で、累計で申しますと、無戸籍の方は五千三百三十一名いらっしゃったところ、解消された方は四千六百六十二名であると把握をしております。
○井戸委員 十二年で五千三百三十一名もの無戸籍者が、把握をされている、行政が把握をしている数だけですから。無戸籍というのは、基本的には行政には把握をされていないからこその無戸籍なんですね。本当にこれは深刻な重大な数字であるということ、まずこの委員会の皆さんとも共有をさせていただきたいと思います。
こうした中で、総務省は、法務省の無戸籍対応などに関して、行政運営改善調査することを発表いたしました。この一月から調査が始まっていると承知をいたしています。なぜ総務省がこの調査、法務省の無戸籍対応を対象にしたのでしょうか。その意図と目的、そしてどんな事項を調査しているのか、教えてください。
○原嶋政府参考人 お答えいたします。
総務省では、各府省における政策立案、改善の取組を後押しするため、行政運営改善調査を実施しております。
まず、今回の調査対象とした理由についてでございます。
行政運営改善調査の対象は、国民生活への影響が大きいなど改善の必要が高いものや、分野横断的な課題など各府省単独では対応が難しい課題を中心に選定することとしております。
委員御指摘の無戸籍者の支援に関する調査につきましては、無戸籍者として七百名、こちらは令和七年三月十日時点でございますが、が把握されており、いまだ解消に至っていないこと、その支援については、戸籍を所掌する法務省のほか、様々な福祉施策を所掌する厚生労働省やこども家庭庁など、複数の省庁にまたがることといった理由から、政策評価審議会での議論も経て、調査テーマとして決定したところでございます。
次に、調査内容でございます。
無戸籍者の現状を把握するため、当事者に対するアンケート調査等を実施するとともに、市区町村や法務省における無戸籍者支援の状況などについて調査することとしております。
なお、現在調査を実施中でございますので、現時点で具体的な改善内容をお答えすることは困難ではございますが、各府省の無戸籍者の支援に関する取組が充実するよう調査を進めてまいりたいと思っております。
○井戸委員 平口大臣、今の総務省の説明ですね、これは改善の必要性が高いというようなこの行政運営改善調査の対象になった、こういった理由も含めて、どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。お聞かせください。
○平口国務大臣 お答えいたします。
無戸籍者問題は、国民でありながら、戸籍という社会的な基盤が与えられておらず、社会生活上様々な不利益を受けるという、人間の尊厳にも関わる重大な問題であると認識しております。
法務省は、平成二十六年以降、法務局において、無戸籍者の把握と、無戸籍状態解消のための寄り添い型の支援を継続してきたところでございます。
現在、総務省の行政評価局においては、無戸籍状態の早期解消や、無戸籍である間の利益保護を図る観点から調査を実施されているものと承知をしております。
法務省としても、この調査が無戸籍者問題の解消につながるよう、必要な協力をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
○井戸委員 この調査名を見てちょっと驚いたんですけれども、無戸籍者支援に関する先行調査ということで、法務省がずっとこれは取り組んできて調査もしていると思うんですけれども、それでは足りない、そして総務省の方では先行調査という名前なので、なかなかここら辺の、お互いのデータの共有も含めてですけれども、そういったこともできていないのかなというふうに思いました。
実は今、旧氏の法制化というのが、住民票の方でもということになっていますが、無戸籍もこの住民票とは非常に深い関わりがありまして、現在でも、無戸籍でも、戸籍を得るための裁判とか調停を行っている場合は、係属証明書を出せば住民票を得ることができます。戸籍には記載されないまま住民票が発行されるということなんです。
例えば、被選挙権の行使、立候補することは難しくても、地方選挙も国政選挙も、住民票さえあれば投票できます。つまりは、住民票があれば生きていけるんですね。無戸籍の放置というのは、こうした戸籍の形骸化の問題とも密接に関わっているということを指摘しておきたいと思います。
次に、二〇二二年に行われました、令和四年の改正の経過措置についてちょっと伺いたいと思います。
いわゆる令和四年の民法改正は、無戸籍問題の原因の約七割と言われる嫡出推定制度に関しての改正で、特徴としては、これまで嫡出否認、つまり、子供の父ではないと訴えられるのは前夫だけだったところが、母や子に拡大をされました。ただ、施行前に生まれた子は改正民法が適用されないため、施行から一年に限って、つまりは二〇二五年の三月末まで、過去に生まれた無戸籍者に関しても、母や子が嫡出否認の訴えを提起できる特例的な経過措置としての救済制度が設けられました。
この救済制度はどのぐらいの無戸籍者が対象で、実際に利用された方はどれほどいたのでしょうか。お伺いをいたします。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の令和四年改正民法の経過措置規定による嫡出否認の訴え等により嫡出否認がされた方の数について、最高裁判所に確認をいたしました。
そうしましたところ、概況調査の結果で、今後の集計によって異同を生ずる可能性があるという留保つきではございますが、本年二月時点で百二十二名の方が嫡出否認がされたということでございます。
○井戸委員 百二十二名ということですけれども、二〇二五年の二月に、毎日新聞が、無戸籍の解消進まず、救済制度、来月末期限、嫡出否認、母子側が利用しづらくと題して、法務省が二〇二五年一月時点で救済制度の対象となる無戸籍者数を把握をしていないということをスクープし、衝撃が走りました。
続く三月の毎日新聞の報道によれば、法務省がその後調査をいたして、嫡出推定制度が無戸籍の原因だとした五百九名のうち、救済制度の対象は五百四名。この五百四名のうち、百四十八名は救済制度とは別の手続で無戸籍を解消することができる一方で、六十二人は救済制度でなければ解消が難しいと見られ、二百九十四名は判断がつかないとされています。結局、少なくとも五百四名が救済制度の対象でありながら、二〇二五年の一月末現在では五十九名にとどまっているということが判明したという記事でした。
その後、今おっしゃったように、三月末までの駆け込みの申出が増えたということが、この百二十二名、制度を利用して戸籍を得ることができたということ。これ自体、今伺ってよかったなとは思うんですけれども、母数を考えると決して高い水準ではないと思います。むしろ、残りの人々はどうなったのか。
実は、令和四年、二〇二二年の改正時に、趣旨説明や衆議院、参議院での質疑で、当時の葉梨法務大臣、そして民事局長も含めてですけれども、おっしゃっていたのは、無戸籍ゼロを目指し、それを実現するのが責務だと明確におっしゃっておられました。
一方では、大臣も民事局長も、改正時に、今回の法改正では不十分であることを認識している旨を繰り返し、経過を見た上で更なる法改正も必要であれば検討するとも発言をされています。法改正以前から、法改正での効果が薄いということは認識されていたわけで、今日伺って、その数字というのが残念ながら現実として表れた形だなというふうに思いました。
この法改正は、無戸籍者の多くの原因とされる嫡出推定制度に対しての改正であった。当時から課題となっていたのは、この嫡出推定制度以外の無戸籍者、三割の無戸籍者に対しての対応です。
この嫡出推定以外の原因になっている無戸籍者に対する検討状況を教えていただければと思います。具体的には、どういった会議体で、いつ、どのような方策が話し合われたのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたとおり、無戸籍の理由としては、前夫の嫡出推定を避けるためという以外には、記憶喪失等により本籍が認識できないですとか、その他、不明というようなもの、様々なものがあると認識をしております。
無戸籍の方には非常に個別性が高い様々な事情があると承知をしておりまして、これまで、法務省としては、地方支分部局である法務局等を通じて、無戸籍者の方一人一人の個別の事情を伺いながら、寄り添い型の支援を実施してきたところでございます。
嫡出推定を避けること以外が理由で無戸籍となっている方についても、個別の事情に応じて、戸籍の記載に必要な届出や就籍等の裁判手続の案内や支援等を行ってきたというところではございます。
○井戸委員 案内や支援だけでなくて、やはり具体的な方策を考えなければ無戸籍は解消しない。
私は、無戸籍問題の解決というのはもう新たなフェーズに入っていると思うんです。法改正での効果が薄い中で、今後どうしたら無戸籍が解消されるか。私自身は、三千件以上の無戸籍事案に当たって、対決よりも解決の国民民主党の所属の議員としても、幾つかの具体策をここで示させていただきたいと思います。
一つ目、まず、せめて、外国人との間の子で嫡出が重なるときに行われてきている、前夫に確認なしで父欄を父未定と記載した上で母の戸籍に登録可能とすること。
二つ目は、内密出産のガイドラインの応用を行って、市町村長の職権での戸籍作成をするということです。
同じ無戸籍状態から出生届を提出するいわゆる内密出産においては、令和四年の九月に、妊婦がその身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにして出産したときの取扱いというガイドラインが、法務省の民事局長、厚生労働省医政局長、厚生労働省子ども家庭局長の連名で出されています。
このうち、戸籍関係の取扱いについてという中には、市町村長の職権による戸籍作成についての記載があります。ここには、法定の届出期間を相当程度超えた場合など母による出生届の提出を期待することができないと判断したときには、戸籍法の規定により管轄法務局長の許可を得て、可能な限り速やかに子供を戸籍に記載するものとあります。
職権記載というと、無戸籍の場合は否定的に捉えられてきたんです。私の場合もそうだったんですけれども、出生届を出していないと、市役所から連絡が来て、職権で、本来の父親じゃない父親をそこに、空欄ではなくて、書いて戸籍を作成をする。つまりは、出生届を出すと、子供の事実上の父ではない、母の前夫や元夫が記載されて、DVが背景にあった場合など、事態をより深刻化させる。そして、こうやって職権で記載をされるとなれば、慌てて調停や裁判などを起こさざるを得ないということでした。
一方で、内密出産では、子の父の欄も母の欄も空欄で提出ができます。内密出産と無戸籍の場合の違いは、行政に対して母の名前を明かすか否か、また、子供の養育を希望するかしないかというところでありますけれども、このガイドラインでは、養育若しくはその意思の有無は関係なく、あくまでも母による出生届の提出を期待できないと判断したときとあります。
三千件以上、無戸籍を見てまいりましたけれども、その中には何十年も出生届を提出できない人がいます。そのうちにやっと前夫が亡くなって、ようやく出生届を出すケースなどもあるんです。こうしたケースも、母による出生届の提出を期待することができないケースと言えます。つまり、このガイドラインは無戸籍児、無戸籍者に対しても活用できるのではないでしょうか。
三割の方々の状況を丁寧に分析して、今申しました、父未定、内密出産など、本気で無戸籍ゼロにする、そうした意思があるならば、今ある法的資源と運用、そして政治的な技術を総動員して、それを駆使することによって状況を改善できること、これは可能ではないかと思います。
大臣、今私が掲げたような現実的な検討をされたことが法務省の中ではありますでしょうか。そして、これからまたそれを検討する、そうした御意思がありますでしょうか。お答えいただけたらと思います。
○松井政府参考人 技術的なことでございますので、私の方からお答え申し上げます。
まず、委員御指摘のとおり、いわゆる内密出産で出生した子についてはガイドラインがございます。が、これは、市区町村には父母についての情報がないことを前提に、市区町村長の職権で、父母空欄のまま戸籍を作成することとされているものでございます。
また、御指摘のとおり、嫡出推定が重複して父を定めることができない場合には、父未定の子とする出生届出を受けて戸籍を作成するとされております。
これに対し、本件のいわゆる無戸籍問題における無戸籍者につきましては、市町村としては、基本的にその母が分かっている、また、母の婚姻歴の有無からその無戸籍者に嫡出推定が及ぶ父の有無も明らかになる、そのような前提でございますので、御指摘のような、父母は空欄あるいは父未定とする戸籍を作成することが難しいということでございます。
○井戸委員 これは前提が間違っていますよね。そういう方もいる、もちろん市町村長が把握をしている方もいるけれども、多くは把握をしていません。そして、その中で子供を産んでいるんです。となると、内密出産と何が違うのかというのが今の御答弁では私には理解ができませんでした。
そして、例えば父未定で提出をすることについても、今、嫡出否認が母と子に付されています。当然これは司法の場でやらなければならないことではあるんですけれども、例えば認知届で認知準正をするときなんというのは、そのまま紙に書いて、それが認知として認められるわけですよね。そして、実際には、今は二百日の規定というのがなくなったので、婚姻から二百日以内でもお父さんになれますけれども、昔はそうではなかったわけで、そのときはそうやって認知という制度を使ってもできていたわけです。
本当にこれをなくすつもりがあるのであったならば、幾らでもそうしたことができるんですよ。なので、検討を是非していただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか、今のを聞いて。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの、内密出産の場合に父母空欄のままというお話がございました。しかし、この無戸籍の場合には、母が引き続き子を養育するということが通常の事例であろうと考えておりまして、父母空欄のまま戸籍を作成したときというのは、戸籍によって公証することができないなどの難点もございます。
直接このようなことを応用するというのは難しいわけでございますが、どのようなことができるのか、今後も戸籍制度をより深く研究してまいりたいと考えております。
○井戸委員 ありがとうございます。
本当に、是非、もっといろいろできることというのがあるところを、法務省としても取組を進めていっていただきたいと思っています。
次に、無戸籍ゼロタスクフォースについてお伺いします。
先ほども紹介いたしましたが、上川大臣が二〇一五年五月に設置された無戸籍ゼロタスクフォースは、様々な場面で無戸籍問題に直面した人々を救ってきました。
例えば、当時三十二歳だった無戸籍の女性は、小学校に行っていなかったので、小学校の卒業の資格がないと中学校は行けないんですよ、なので、勉強したくても、まずは小学校から行かなければいけなくなってしまう。こういったことだったんですけれども、このゼロタスクフォースで、その姿をヒアリングで見た文部科学省の若手の官僚が動いてくれて、それまでの指針を変えて、小学校の卒業証書がなくても中学校に通えるよう通知を出してくださって、実際、地元の中学校に通って、中学校の卒業証書を手にすることができた。できるできると言っていても今までできなかった現実に対して、そうした指摘に対してのことをやってくれました。
このように機能してきたタスクフォースだったんですけれども、ここ数年の活動状況を教えてください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
法務省では、無戸籍の解消のため、平成二十七年五月から無戸籍者ゼロタスクフォースを立ち上げ、無戸籍者問題に関連する各省庁、裁判所、弁護士会等との間で情報共有と意見交換を行ってまいりました。最近ですと、令和五年三月、令和六年三月、令和八年三月などにタスクフォースを行っているところでございます。
直近の本年三月九日、第十四回会議では、無戸籍者問題の概況、令和四年民法改正の内容、解消に向けた具体的な取組、無戸籍者ゼロに向けて今後取り組むべき事項等について、関係者間で情報共有と意見交換を行ったところでございます。
○井戸委員 最初は頻繁にやっていたところが、いつの間にか年に一回しか開催されなくなって、それでも毎年三月には開催されていた。ところが、令和七年、二〇二五年はなぜ開かれなかったのか、大臣にお伺いをしたいと思います。
〔委員長退席、三木委員長代理着席〕
○平口国務大臣 令和六年度につきましては、令和四年改正民法の経過措置期間中であったため、経過措置の利用状況を調査、把握し、それを踏まえて更なる無戸籍解消に向けた対応を検討することが適切と判断し、タスクフォースの開催を見送ったところでございます。
令和七年度に開催されたタスクフォースでは、経過措置による無戸籍者の解消人数や経過措置経過後も無戸籍が解消していない理由等を関係機関等と共有した上で、個別の事情に応じた支援の在り方等の検討について更に連携を強化して取り組むことを確認したところでございます。
○井戸委員 今、令和七年度とおっしゃったところは、令和八年の、今年の話でいらっしゃいますよね。
二〇二五年、特に三月は、救済措置の対象者以外の無戸籍者も、またマスコミも、支援者も、固唾をのんで見守っていた時期なんです。令和四年の法改正を受けて令和六年の四月一日からの施行、まさにそこから一年だったので、実は、この救済制度の利用の分かれ目でもあり、ここ数年で最も大切なときでした。
また、地域における無戸籍者問題についての協議会についても伺います。
法務省は、二〇一七年十一月以降、実態把握と支援に取り組むとして、各地方自治体や関係機関と連携した無戸籍者解消のための地方協議会を全国の法務局、地方法務局に設置いたしました。地域ごとの弁護士会、法テラスなどと連携強化をするともしていました。都道府県、市町村長等も含み、地域の法務局が無戸籍問題に関する協議会を主催をしています。
ところが、二〇二五年になって、会合の回数が減っている、終わりになりそうだと懸念する声が、支援する弁護士や司法書士たちから私の元にも上がってきています。無戸籍問題は解消していないのに、法改正をしたところで終わってしまったかのような認識を持っているのではないか、若しくは、これ以上は無理と切り捨てるのではないかとさえ思います。
この事態を法務省は把握をしていらっしゃいますか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの地方協議会の開催回数について、客観的事実を申し上げますと、令和六年度も令和七年度も、いずれもおおむね全国で五十回程度ずつ開催されており、これが減っているというふうな印象は持っていないところでございます。
○井戸委員 その五十回の内訳というのは、地方協議会で年間各五十回ということですか、全体で五十回ということですか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
年間、全国で五十回程度でございます。
○井戸委員 ということはやはり、四十七都道府県あって、あとは政令市などもあるわけで、法務局ごとということであれば年間一回ぐらいの開催ということになっているんですよね。
是非、これは継続して続けていただかないといけない。現場の司法書士さんだとか弁護士さんが終わってしまうのではないかというふうに思われているということは、非常に懸念されることでもあると思うので。この地域の法務局が、まさに最前線で無戸籍問題をやっているんですよね。なので、ここは継続して是非続けられるよう、法務省の方からもしっかり見ていただきたいと思っています、現場からのこれは声ですので。
また、先ほどもデータの話をしましたけれども、法務省は、毎月十日時点での無戸籍者の状況を二〇一四年の八月から集計しています。
実は私は、毎月その頃になると、ちょっと、十日の発表なので少し遅れるわけですよね、最新のデータを聞きたいので、民事局に電話して無戸籍者の数を伺うということをほぼ毎月やっています。
ところが、浪人中、私は、大学院に行きまして、博士論文を書いたんですけれども、その際に、無戸籍者数を聞くと情報公開請求をしてくれと言われて、毎月は言ってくださるんですけれども、過去の分のデータについては情報公開請求の対象であるということで、そんな数を、そんなに情報公開請求することなのかなというふうに思っておりました。
また、先ほどのタスクフォースの資料や議事録も同様に情報公開請求の対象でした。令和三年の三月分まではタスクフォースの議事要旨というのが出ていたんですけれども、なぜか令和四年から、情報公開請求をするとほぼ黒塗りで、以後同じような状態です。もちろん、個別の話なんていうのは、個人情報を開示しろなんては言っていないんです。
今、無戸籍者については、テレビドラマや映画、小説などで取り上げられる、国民の関心が非常に高い分野ともなっています。先ほども地域協議会の話もありましたけれども、年に一回のタスクフォースで何が話し合われているのかは重要です。国民への感度を上げて、議事要旨や、ましてや人数の集計の数値というのはホームページで公開してよいのではないでしょうか。しなかった理由はなぜだったのか、いかがでしょうか。
〔三木委員長代理退席、委員長着席〕
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
無戸籍者の方の数につきましては、今日のこの場での御説明のように、国政調査や国会の御審議で必要な都度しっかりと御説明を差し上げるというのはもちろんでございます。
他方で、そのような無戸籍者の数をホームページ上で公表することについては、その必要性や無戸籍者の方の心情への配慮等を踏まえて判断する必要があると考えており、慎重に検討してまいりたいと考えております。
○井戸委員 無戸籍者の心情への配慮とはどんな、何人いるということは、誰も自分が無戸籍ということは通常余り分からないので、何人いるかなんていうのは、心情に配慮をするというか、そもそもあるんでしょうかというか、逆に言うと、公表してもらいたいというふうに、心情的にはそう思う当事者が多いと思うので、もう一回、慎重に是非御検討いただきたいと思います。
先ほど、令和四年の改正時に、趣旨説明や衆参両院での質疑で、大臣や法務省の民事局長は、無戸籍ゼロを目指してそれを実現するのが責務だと明確におっしゃっていたということをお伝えしました。一方で、大臣も民事局長も、改正時には、今回の法改正では不十分であるということも認識している旨を繰り返されたということも御紹介をいたしました。残念ながら、今回、そういった意味では、数字としても表れてまいりました。
このようなこと、また、できることも幾つもある中で、本当に解決をしようと思ったならば、出口戦略というものをしっかり出していく必要があると思っています。
大臣、いつまでにゼロにするのか、そのためにはどんな方策を講じる予定なのか。ロードマップ、出口戦略をお伺いをいたします。
○平口国務大臣 お答えいたします。
無戸籍者問題は、人間の尊厳に関わる重大な問題であるというふうに認識しております。
法務省では、このような認識の下で、これまでに、無国籍者ゼロタスクフォースの設置、無国籍の方への寄り添い型の支援、民法改正による無国籍の方への情報提供の充実、嫡出推定制度の見直し等を実施し、一定の成果を上げてきたところでございますが、今なお無国籍状態にある方もおられる状況にあります。
現時点において具体的なタイムスケジュールを申し上げることはできませんが、個々の無国籍者につき、これまでの対策によっても無国籍状態のままである理由に応じてよりきめ細かい対応を行うなど、無国籍の解消に向けた具体的な取組を展開することが重要であると考えております。
法務省といたしましては、今後とも、無国籍者ゼロを目指し、関係省庁及び関係機関と連携しつつ、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
○井戸委員 今、聞き間違いだと信じたいんですけれども、無戸籍で、無国籍ではないんですね。国籍はある、日本人なんです。なので、無戸籍ですので、言い間違いだとは思うんですけれども、それこそ、当事者の心情、これを考えると私はちょっと悲しくなりますので、是非次からお気をつけいただけたらと思います。
上川元大臣が無戸籍ゼロタスクフォースを立ち上げた直後の二〇一五年の六月の無戸籍者数は六百二十六名です。令和四年の民法改正を経て、最新の二〇二六年の三月、今お伝えいただいた数は六百六十九名です。むしろ、毎月の人数は当時から増えている。
つまりは、世界に冠たる戸籍に登録できないという戸籍のバグはもはや構造的な問題であり、更なる対策を真剣に講じなければならないということは、大臣、お分かりいただけたと思います。是非、引き続きこの問題は次の機会にも取り上げたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
時間の問題もあるんですけれども、幾つか通告をしていたところを飛ばしまして、出自を知る権利について、この権利擁護に対しての質問をいたします。
医療の発達、社会の変化に伴って、子供たちの生まれ方、育ち方は多様化しています。そうした中で、子供たちの出自を知る権利についてどのように擁護しているかということを聞きたいと思います。
具体的には、特定生殖補助医療、特別養子縁組、児童養護施設、ここは棄児で預けられているお子さんとそのほかはまた別個なんですけれども、また、無戸籍、非嫡出子、父親欄が空欄ですから、出自を知る権利という意味では、父をたどれないという方もいらっしゃるかもしれない。また、今問題となっている取り違えのこと。それぞれが親を知りたいと思ったときに、十分な権利保障がされる体制が整っているんでしょうか。
まず、法務省が所管する部分を教えてください。そして、こども家庭庁、厚生労働省が所管するところも教えてください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
子の出自を知る権利は、委員御指摘のような内密出産等の場面で問題となってございます。
法務省は、例えば内密出産に関しては、戸籍法や民法という民事基本法制を所管する立場から、戸籍の取扱いや特別養子縁組が問題となる場面について、関係省庁と連携し、必要な協力を行ってまいりました。
戸籍法は、民法上の親子関係などを前提として親族的身分関係を公証するものであって、子の出自を知る権利を定めるものではございません。
法務省は直接的な所管ではないものの、子の出自を知る権利は非常に重要である、また、関係府省庁が連携して取り組むべき問題であると認識をしておりまして、民事基本法制を所管する立場から、引き続き、関係府省庁と連携し、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
○源河政府参考人 お答え申し上げます。
こども家庭庁は、児童相談所や民間の養子縁組あっせん機関により養子縁組が成立したケース等につきましては、これらの機関に対し、所管の法令などを通じて各種記録の保存を求めることにより、出自情報等の適切な管理を担保しております。
また、いわゆる内密出産により生まれた子供の出自を知る権利の保障につきましては、令和四年に発出したガイドラインにおいて、医療機関等の対応の在り方をお示ししております。
子の出自を知る権利は非常に重要であり、法務省なども含め関係省庁で連携して対応していくべき課題と考えておりますが、内密出産については、法制化の是非も含めて慎重に議論すべき課題であるというふうに考えております。
さらに、第三者の精子又は卵子を用いた生殖補助医療により生まれた子が自らの出自に関する情報を知ることに資する制度の在り方につきましては、議員連盟等において議論がなされているところと承知してございます。
○井戸委員 子の出自を知る権利というのは本当に大事だと思っています。
いろいろ質問をするということでレクチャーを受けたときに、私も驚いたのは、やはり、例えば、特定生殖補助医療は議連で今話し合っているからということで、所管がどこだかが分からない。逆に、本当にばらばらなんです。
四月七日の我が党の伊藤孝恵参議院議員の予算委員会の締めくくり質疑の中で、出自を知る権利というのは、今は内密出産のことをおっしゃいましたけれども、それだけではなくて、特別養子縁組、生殖補助医療、全部ひっくるめて検討していかなければいけないことであると。そして、総理からも、黄川田大臣が取りまとめ役として共に意見を交換し合う、そしてまた認識を共有していく、そういう取組は大事だと今感じたという答弁があったんですけれども、しかし、これらの問題を全部見ていくと、全ての登録は、出生届そして戸籍に始まるんです。
大臣、押しつけ合わずに、むしろ積極的に省庁を横断して、子供たちのために御尽力いただけないでしょうか。私は、このことは本当に大事だと思っているので、大臣の御答弁をお願いいたします。
○平口国務大臣 先ほど、戸籍と答弁するのを国籍と表現しましたので、訂正させていただきます。
委員御指摘のとおり、子の出自を知る権利は非常に重要なものだと認識しております。
戸籍法は、民法上の親子関係などを前提として親族的身分関係を公証するものでありまして、子の出自を知る権利を定めるものではございませんが、引き続き、民事基本法制を所管する立場から、関係府省庁と緊密に連携して、必要な協力をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
○井戸委員 子どもの権利条約の第七条一、児童は、出生の後直ちに登録をされる、児童は、出生のときから氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する。つまり、登録される権利、氏名を有する権利、国籍を取得する権利、父母を知る権利。複雑化する子供たちの出自とそれを知る権利擁護は、まさに私は法務省でしかできないことだと思っています。
大臣、是非これは出自を知る権利擁護タスクフォースというようなものをつくっていただいて、新たな枠組みの中で子供たちの権利擁護をしっかりやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
残りも少ないので、最後に、刑法の改正に向けた調査についてお伺いをいたします。
二〇二三年の六月に、不同意性交罪を始め性犯罪に関する改正刑法が成立をいたしました。この改正には附則が設けられていて、その検討等については、これから改正するかしないかというところで、性的被害の実態、また、それに対する社会の意識の変化を鑑みて、施行後五年を経過した場合において、施行状況を踏まえつつ、性犯罪に関する制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときには所要の措置を講ずるものとあり、また、性的被害を申告することの困難さやその他の性的被害の実態についても必要な調査を行うものとされています。
現在二〇二六年で、見直しの時期とされる施行後五年というのは二〇二八年です。調査の実施やその分析には、少なくとも半年から一年程度期間がかかると思います。
そこで、お尋ねをいたします。こうした調査についてです。性的被害を申告することの困難さを含めた調査は、いつ、どのように実施をされる予定でしょうか。
そしてまた、内閣府は、実証的政策立案のための性暴力被害の把握の在り方に関する調査研究事業として、被害者が相談できない要因も含めて、女性に対しての性暴力の実態を的確に把握するためのデータの在り方や調査設計について検討をして、既に、二〇二五年三月にこの調査は終了いたしています。
こうした既存の知見も活用して、内閣府や他省庁とも連携をしながら、調査を前倒しも含めて実施をして実態調査を進めるべきだと思いますけれども、見解を伺います。また、その成果を具体的にいつ、どのように法務省の検討に取り込むのか、タイムスケジュールについてもお示しをください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
法務省におきましては、今委員から御指摘のあった改正刑法等の附則におきまして、検討条項及び必要な調査を行うという附則が付されたことを踏まえまして、この規定の趣旨を踏まえまして、その施行後五年経過後の検討に資するものとなるよう、今必要な調査を実施しているところでありまして、性的な被害の実態の把握に努めているところでございます。
その上で、施行後五年経過後の検討に当たりましてどのような資料を用いるかにつきましては、現時点において確たることを申し上げることは困難でございますけれども、法務省としては、その五年経過後の検討が充実したものとなるように、今御指摘のありました内閣府の調査なども含めまして、関係府省庁とも連携しつつ、引き続き必要な調査を行いまして、検討のための準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○井戸委員 今の御答弁、もう一回確認をさせていただきたいんですが、調査をやるわけですよね。五年後に向けてやるということでよろしいでしょうか。お願いします。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
済みません、答弁が不明確だったかもしれませんが、現に今、必要な調査を実施しているところでありまして、様々な調査を実施しておりますが、例えば公訴時効期間の延長に関しましては、事件発生から長期間が経過した後に処理された事案について調査を行ったり、もろもろしているところでございます。
○井戸委員 安心をいたしました。これはやはり調査が進まないと、なかなか見直しに向けてのタイムスケジュールというか、被害者の方たちは本当に心配をしているので、今日この御答弁を伺って、安心をいたしました。
今も性被害はやむことがありません。日本では、やはり社会的な偏見等、複合的な要因から、性被害の申告が遅れやすいとも言われています。また、実態が明らかになるような精緻な調査というものをお願いしたいと思っています。
大臣、この改正に向けては、論点、公訴時効によって救済されない被害者が現に多数存在をしているということです。被害者が十八歳未満である場合には、時効期間に一定の猶予が設けられていますけれども、それでもなお、性被害を受けた未成年者が被害を認識して警察に届け出るまでには、数十年単位の時間を要する場合も少なくありません。不同意性交罪は十五年、不同意わいせつは十二年を過ぎたら、刑法では罪に問えないのです。
性被害に関する公訴時効撤廃について、どのように受け止められているか、また、法務大臣として、性被害の撲滅に対しての意気込みをお聞かせください。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
被害者が十八歳未満である場合について、その者が十八歳に達するまでの期間に相当する期間、公訴時効期間が更に延長されたところでございます。法務省としては、まずはそれらの規定が有効に、適切に運用されることが重要であると考えております。
その上で、改正法の附則では、政府において、施行後五年を経過した場合に、同法等の施行状況を勘案し、性的な被害の実態等も踏まえつつ、速やかに施策の在り方について検討を加えることなどが定められておりまして、公訴時効の在り方についても検討の対象になり得るものと考えております。
○井戸委員 ありがとうございます。
現行の法体系では、被害者は時間がたったから仕方がないんだよと切り捨てられているというようなことを思われているわけですね。しかし、声を上げられなかったのは被害者の責任ではありません。だからこそ、精緻な調査をして、国が実態把握をすることが必要です。政治の責任として取り組むべきだと思っています。是非、実効性のある対応をお願いをいたしたいと思います。
あと二分ぐらい残っているので、最後に、夫婦別姓、別氏について、短く質問させていただきます。
これまた住民票でやるというところに対して私は非常に思いを持っているんですけれども、それでいいのかと。なぜ住民票なのか、なぜ戸籍ではないのかというところがあるんですけれども、もう一つ、婚氏続称という、離婚後の氏ですね。主に女性が一生で使う氏というのは、旧姓、婚姻後の氏だけではありません。離婚した場合の氏、さらに、再婚したときの氏など、人生で数度変わる場合もあります。
そこで、最後の質問です。
離婚した人の氏については、今検討されている旧氏を住民票に書き込む法制化でどうなるでしょうか。離婚後に婚氏続称を選択せずとも、住民票記載の旧氏を利用することも可能になりますか。その場合、婚氏続称は存続の危機だと思うんです。婚氏続称はどうなるのでしょうか。お答えください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
旧氏使用の法制化については、現在政府において具体的な内容を検討中でございまして、現時点において婚氏続称制度との関係を予断を持ってお答えすることは困難でございます。
婚氏続称制度は、昭和五十一年に民法及び戸籍法の改正により導入され、長期にわたり利用されてきた制度であり、現に利用されている方も数多くいらっしゃると承知をしております。そのため、仮に旧氏使用の法制化と婚氏続称制度との関係を検討することになったとしても、婚氏続称制度がこのように社会に定着していることを十分に考慮する必要があると考えているところでございます。
○井戸委員 ありがとうございます。
また次のときにやらせていただきますけれども、私は、この婚氏続称を利用して、旧氏続称というのをまた対決よりも解決で皆様にもお示しをし、また、国民民主党も独自の案を出させていただいていますので、そうしたことも今後議論させていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
○井上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。金村龍那君。
○金村委員 維新の金村です。今日はよろしくお願いいたします。
昨年の通常国会で私は初めて法務委員会に所属をし、そして夫婦別氏の議法なんかを提出して、活発な議論をさせていただきました。その上で、臨時国会は離れておったんですが、また舞い戻ってまいりました。大臣、よろしくお願いいたします。
その上で、まず、再犯防止について質疑をさせてください。
再犯防止というのは、矯正施設の中でどういう教育や技術を学ぶのかということと、社会に出てどれだけ自立して生活がしていけるのか、やはりこの二点が再犯防止には根幹となってくると思います。
その上で、矯正施設の中における技術だったり、そして教育、そういった分野がどのような状況にあるのかをまず聞いていきたいと思うんですけれども、今、少年院に入院する少年が増えているというふうに聞いています。その上で、その多くの割合に、いわゆる障害を持った少年たちが含まれている。この統計をまずお示しをいただきたいと思います。
○日笠政府参考人 お答えいたします。
少年院の新収容者数につきましては、令和以降で見ますと、令和四年までは減少をしておりまして、同年の新収容人員は千三百三十二人であったところ、その後、増加に転じまして、令和六年におきましては令和元年の千七百二十七人を上回る千八百二十八人となっております。
また、少年院の新収容者のうち知的障害や発達障害等の精神障害を有する者の割合につきましては、令和元年は約二四%でありましたところ、令和六年におきましては約三五%と、その割合は増加傾向にあります。
○金村委員 これは、少年院に入る少年が増えていることも、どういう対策が必要なのかというのは改めて根本的に考えていかなければなりませんが、一方で、障害を持つ少年の割合が三五%を超えている、つまり入院している子供というか少年の中で三人に一人は障害を持っているという状況ですので、これは、非行に走る、犯罪を犯してしまう少年たちの中の相当数に、きちんとした、ルールを守る、法律を守る、そういったリテラシーみたいなところがやはり届いていない状況があるんじゃないかと考えています。
私は、いろいろな委員会で質疑するたびによく話題に出すんですけれども、知的障害や発達障害に含まれない、でも生きにくさを感じて、なかなか生活スキルや教育、学力が上がっていかない一つの指数として、境界知能というのがあります。平均的なIQでいえば八五から一一五、知的障害は七〇未満ですから、この間、七〇から八四までのIQを指す人たちを境界知能というんですけれども、この境界知能の少年も含むと、もはや四割は優に超えるんじゃないかと思うんですね。
ですので、こういった、分かりやすい障害、加えて境界知能のような少年たちに対して、実際に少年院の中でどういう体制を今構築しているのか、お示しください。
○日笠政府参考人 少年院在院者に対する処遇は、在院者の年齢、心身の障害の状況、犯罪的傾向の程度などの事情に照らしまして、一定の共通する特性を有する在院者の類型ごとに、矯正教育の重点的な内容、標準的な期間を矯正教育課程として定めて行っております。
精神障害を持つ者などの処遇上の配慮を要する者は、矯正教育課程のうち、主に支援教育課程が指定された少年院において処遇を行っておりますが、近年、精神障害を有する者の割合が増加していることを踏まえまして、この支援教育課程を指定する少年院を増やすことで処遇体制の強化を図っているところであります。
また、当局におきましては、職員が発達上の課題を有する在院者の処遇に関する理解を深めて様々な課題に対応できるようにするために、発達上の課題を有する在院者に対する処遇プログラムを実施するためのガイドラインを策定しているところでありますが、内容の充実を図るために、令和七年三月にこれを改定しまして、更に職員の職務能力の向上に努めているところであります。
○金村委員 まず体制をしっかりしなければ、いい支援や教育にもつながらないと思いますので、まさか少年院で刑務官をやられている人たちが障害児支援をするとは多分思っていなかったでしょうから、まずは働く人たちのアップデートに努めていただきたいなと思っています。
その上で、私は、国会議員になる前は障害児支援をする施設を経営してまいりましたので、発達に偏りがあったり特定の技能が習熟していかない子供たちに対してどういう支援が必要なのかというのは、一定、自分の中では理解をしているつもりでおります。
その上で、実際に少年院の中でどういうプログラムが、例えば知的障害の子にどういう支援が必要なのか、発達障害の子に、境界知能の子に、こういった、障害も十人十色ですから、その子に合わせた指導や教育が必要になってくると思うんですけれども、どういったプログラムがあるのか、お示しください。
○日笠政府参考人 先ほど申し上げました支援教育課程が指定されている少年院におきましても、ほかの少年院と同様、生活指導、職業指導、教科指導など五つの分野にわたって教育指導を行っているところでありますが、その指導は障害の特性に配慮したものとなっております。
例えば、生活指導の一環であります性非行防止指導におきましては、ワークブック教材について、知的能力に制約のある在院者が理解しやすい教材を別途作成いたしまして、グループワーク又は個別指導による特別プログラムを実施しております。
また、出院後、就労するためには一定の基礎学力が必要でありますので、令和七年度からは、一部の少年院において、障害を持つ少年も含め、基礎学力の向上等を目的として、民間事業者が有する学習支援のノウハウを活用した学習支援事業というものを開始しております。
○金村委員 かつて、少年院で、ケーキのホールがあるじゃないですか、こういう丸いやつ、あれを例えば七等分してくださいとか何等分してくださいというと、中にいる少年たちは切れないんですね。分からないんです、どう切ったらいいか。実は、非行に走る少年たちの多くは、家庭に飢えているというよりも、そういう理解をしていない子たちが非常に多いんですね。
なので、しっかりと、その少年たちがどういう課題を持っているのか、読み書きそろばんとよく言ったもので、変な話ですけれども、公文とか、そういった小学校低学年がやるような基礎学力や学習に向き合うこと、勉強の仕方が分からないという子も多いと思いますので、そういった支援も含めて、多岐にわたる形で、少年院を出た後に再び戻ってこないように是非支援をいただきたいなと思います。
そして、これは何も少年院に限った話ではなくて、多分、刑務所も同様な数値が出ていると思います。
そういう意味では、刑務所において障害傾向のある受刑者がどのぐらいいるのか、また、刑務所においてどういったプログラムを取り入れているのかをお示しください。
○日笠政府参考人 刑事施設における精神障害を有する者の実態といたしましては、令和六年における新受刑者一万四千八百二十二人のうち、知的障害、人格障害、神経症性障害、発達障害その他の精神障害として診断された者は三千二百六十六名、約二二%であります。
刑事施設におきましては、令和七年六月一日に拘禁刑が導入されて以降、個々の特性に応じた処遇を実現していくために、一定の共通する特性等を有する受刑者の類型ごとに二十四種類の矯正処遇課程を設けて運用を開始しております。
そのうち、知的障害や発達障害を有し、又はこれらに準ずる者に対しては、矯正処遇課程の一つであります福祉的支援課程を指定した上で、自己の障害特性等を理解させるとともに、社会生活に必要となる基本的な生活習慣や対人スキル等を身につけさせること、支援の必要性を理解させ、各種支援の利用を含めた出所後の社会生活を考えさせること、これらを矯正処遇の主たる目標として、個々の特性に応じたきめ細かな矯正処遇及び社会復帰支援を実施しているところであります。
○金村委員 かつて私も障害児支援をしてきたので、非常に特徴的なものの一つとして、発達障害だったり境界知能にある子供たちや少年というのは、実は、健常の我々から見ると、すごくずる賢く見えたりするんですね。特定の分野にだけ頭の回転が働き、そして自分だけがいい思いをしているように周りからは見える。けれども、そのほかのことは余り手につかず、そうすると、周りとやはりなじめなくなって、そこから境界知能の子であれば非行に走ってしまい、非行に走った子がまた少年院でいいプログラムに出会わなければ、結果として再犯を繰り返す。そうすると、繰り返していくと、結果として、立派な犯罪者と言うと失礼ですけれども、犯罪者になってしまう。だから、やはり再犯防止というのは、矯正施設の中で一体どういう支援をしていくのかということが私は柱にあるべきだと思っています。
本来だと、再犯のところで、社会に出た後、どうやって支援が必要なのか、また保護司の在り方等、お聞きしたいところではありますが、時間もございますので、まずは大臣に、私は矯正施設における支援が最も必要だと思っているんですけれども、再犯防止につながる支援の在り方、大臣の見解をお伺いさせてください。
○平口国務大臣 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、再犯防止を進める上で、受刑者及び在院者の個々の特性に応じた各種指導や社会復帰支援等を実施していくことは極めて重要であると考えております。
少年院では、従前から、一定の共通する特性ごとに類型化した矯正教育課程を設けるなどして、体系的に処遇を実施してきたところであります。刑事施設でも、昨年から拘禁刑が導入されたことに伴い、高齢や障害等といった特性等に応じた二十四種類の矯正処遇課程を新たに設けるなど、個々の特性に応じたきめ細かな処遇を実施しております。
また、第二次再犯防止推進計画においても、重点課題として、犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導の実施等が掲げられているところ、矯正施設においては、引き続き、効果的な矯正処遇等や円滑な社会復帰に資する支援を充実させるとともに、国、地方公共団体との連携を強化しつつ、民間の知見も活用するなどし、再犯の防止に向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○金村委員 ありがとうございます。
トクリュウの犯罪の中身とかを見てみると、やはり、指示を出す側、犯罪を企てる者と実際に行為をしてしまう者というのはかなり切り分かれていますね、今の時代。そういう中で、今言った、こういった境界知能だとか障害を持った人たちが安易にその行為に手を染めない、又は、一度染めてしまったものから再び罪を犯さないようにするためにも、しっかり矯正施設における支援をしていっていただきたいと思います。
その上で、続いて、ネット社会におけるプライバシー侵害、そして名誉毀損。
私は、常々、プライバシー侵害や名誉毀損というものに対して大変関心が高いというか、どちらかといえば、私も政治家の一人ですから、当然、いろいろな面でプライバシーが公になっていることは、自分で選んだ道ですからある程度は承知をしておりますが、とはいえ、今これだけSNSが普及している中で、加害していることを当人は全く理解せず個人情報がさらされていたり、そして、その個人情報が一方的にSNSの中で展開をされ、そして、デジタルタトゥーなる呼ばれ方もしながら、自分の個人の情報や履歴が全て明るみに出てしまう。これはやはりしっかり守っていかなければならないと思うんですね。
その上で、こうやって個人情報がさらされてしまったいわゆる国民の側からすれば、ともすれば、心を病み、そして精神疾患となり、二度と社会復帰ができなくなるおそれすらあるんじゃないかと思うんですね。
プライバシー侵害をしっかり守っていくためには、やはり一定の抑止力、そういった行為をしてしまうと自分たちが処罰されてしまうかもしれないという抑止力が必要だと思うんですけれども、今現在、インターネット上の人権侵犯事件においてプライバシー侵害に当たると判断した事案として昨今どのようなものがあるのか、お示しください。
○杉浦政府参考人 お答えいたします。
インターネット上のプライバシー侵害について法務省の人権擁護機関が救済措置を講じた人権侵犯事件としましては、例えばインターネット上に個人の電話番号、住所、メールアドレス等の個人情報が無断で掲載された事案がございます。
○金村委員 済みません、今の、昨今の事案ですね、大体、増加傾向とか、そういった統計的なものはいかがですか。
○杉浦政府参考人 お答えいたします。
令和七年におきまして、新規に救済手続を開始したインターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件は千五百六十九件でございますが、前年から比較しますと百三十八件減少しております。
○金村委員 増減でいうと減っているというのはいい傾向だと思うんですけれども、ただ、なくなることはないと思うんですね、プライバシー侵害。かつ、どこに訴えたらいいか分からないという例えば子供たち、さらには若い人たちは、もはやネットが当たり前の世界の中で育ってきている人たちだと、さらされて当たり前みたいに思っている人も中にはいるかもしれませんので、そういった周知、告知、そういったものにも力を入れていただきたいと思います。
続いて、名誉毀損について質問させていただきます。
先ほど申し上げたとおり、私自身も今、政治家の立場ですから、国民に対して説明責任ももちろんあるでしょうし、一方で、説明責任を負えば批判にさらされることも、自分としては当然だと思って受け止めています。
しかし、事実に基づかない、うわさ話の類いが飛び交ってしまって、さも事実のように既定されてしまうと、それはやはり個人としていい思いはしませんし、また、それは家族にも負担がかかってしまう話だと思っています。
その上で、名誉毀損というのは、今や、我々のような政治家や有名な経済人だとかそういった人に限らず、全ての国民が加害者になるおそれもあるし、被害者になるおそれもある。こういったときに、抑止力をつけようというと、大体リテラシーを高めようというんですけれども、確かに今、ネット社会におけるリテラシーというのは、個人を守るため、自分自身を守るためにも、それぞれの人が自分で学び、リテラシーを高めているとは思うんですけれども、ただ、こういった名誉毀損の類いというのはほとんどなくならないというところで、まず、今インターネットが普及して、名誉毀損の変化、例えば、以前だと、昭和とか平成の中ぐらいまでは、ほとんどマスコミが報じるものに対して名誉毀損が存在していたと思うんですけれども、今どういう変化が生じているのか、教えてください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
名誉毀損等による不法行為の動向につき、法務省として網羅的に把握しているものではございませんが、一般論として、インターネットの普及以前は、新聞や雑誌等のマスメディア上の記事によるものやビラ配りによるものなどが中心であったと認識をしております。
これに対し、インターネットが普及した現在は、委員御指摘のとおり、SNSや電子掲示板などのソーシャルメディアの利用が拡大し、これらのソーシャルメディア上の書き込みによるものなどがその中心を占めるに至っていると認識をしております。
このようなインターネット上の名誉毀損等による不法行為においては、マスメディア上の記事によるものと比較し、一般市民が被害者や加害者となりやすいといった特徴があると認識をしております。
○金村委員 SNSのおかげで、それぞれが専門性を学び、専門家として発信する自由というものは広く与えられているわけですから、当然自由なんですけれども、一方で、その発信によって、事実に基づかずに一方の側を傷つけてしまうと、それはやはりそういう代償が働いてしまうというのが当然だと思うんですね。
私は、どうにかしてこの名誉毀損に対する抑止力の効果を出したいなと考えたときに、損害賠償請求額にちょっと着目してみたんですね。今、名誉毀損によって、例えば名誉を毀損された人が相手方に対して損害賠償請求をかけると、大体三十万から五十万円なんですね。先ほど言ったとおりリテラシーを高めるというのも必要ですけれども、やはりこの金額では、やり勝ちというかやり逃げというか、そういう状況にくみしてしまうんじゃないかなと思うわけですね。
私個人的には、損害賠償は、ゼロを二つぐらい上げてもいいんじゃないかぐらいに思っているわけですね。SNSの匿名性も一定程度まで制限をかけていく。そうすることによって、発信する側も、そして受け手も、もう少しファクトに基づいた形にしていくことで、無用なプライバシーの侵害や名誉毀損に至らないようにする社会を構築していくべきじゃないかと考えているんですけれども、今、実際その損害賠償請求額が三十万円から五十万円というのが本当に妥当かどうか、その辺りのお考えを御披露いただけますか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
名誉毀損等に対する損害賠償額が低廉であるとの指摘があることは承知をしております。
損害賠償額は裁判所が個別具体的な事情を踏まえて判断する事柄であって、裁判所の判断について法務省として見解を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
その上で、一般論としてお答えしますと、不法行為に基づく損害賠償制度は、被害者に生じた損害を加害者に賠償させることにより、不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするとされております。したがいまして、名誉毀損等の被害者が被った不利益が十分に補填される、そのような適切な損害賠償額が定められる、認められることが重要であると考えております。
法務省においては、先ほどのような損害賠償額が低廉であるとの指摘等も踏まえ、インターネット上の名誉毀損等に関する損害賠償請求訴訟について、公開されている裁判例を収集し、認容された慰謝料の額の動向やその算定における考慮要素等について調査を行っているところでございます。
今後、その調査の結果が取りまとめられた時点で法務省のウェブサイト等で公表する予定であり、インターネット上の名誉毀損等に関する損害賠償請求訴訟に関わる弁護士、またインターネットの利用者など、広く御活用いただきたいというふうに考えているところでございます。
○金村委員 この金額が妥当なケースももちろんあるとは思うんですけれども、実際に、プライバシー侵害や事実に基づかない名誉毀損によって、その人の人生が大きく変化をしてしまう、本来あるべき働き方や家族等の形成みたいなものが全く失われた中で、この金額が妥当だとは少なくとも私は考えられないんじゃないかなと思いますので、もちろん裁判で判例を出していくことが一番だと思うんですけれども、是非、法務省の側も研究をしていただきたいと思います。
それでは、最後の、最後のというか、項目になりますが、外国人との共生社会について質問させていただきます。
今年一月に策定された外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策があります。この中で、やはり、不良外国人といいますか、日本の法律やルール又は文化などをなかなか受け入れずに、なじめずにいる不良外国人の皆さんをどう、ある面でいうと、ルールに基づいて実際に母国に帰ってもらったりとか、いろいろな手だてをルール化しているものなんです。
私は、その上で、やはり大切なのは日本語教育にあると感じています。ちょうど日本語教室も今普及していく途上だと思いますが、今どういった日本語教育についての支援をされているのか、教えていただけますか。
○橋爪政府参考人 お答え申し上げます。
外国人との秩序ある共生社会の実現に向けて、日本語教育を始めとして外国人の児童生徒に対する支援を充実させることが重要だと考えてございます。
このため、文科省といたしましては、これまでも、外国人の児童生徒が日本の学校生活に円滑に適応できるように、就学促進の取組への支援、あるいは日本語指導が必要な児童生徒の状況に応じて取り出し指導などを行えるような特別の教育課程を制度化する、それから必要な教員定数の改善とか、あるいは日本語指導補助者等の配置に取り組む自治体への支援に取り組んできたところでございます。
あわせて、地域の日本語教育の体制整備、これもやっておりまして、その中で、外国人の子供と保護者を対象とした日本語教室や、外国人の子供の学習を支援する学習サポーターへの研修など、自治体の取組を支援させていただいております。
さらに、今後、御指摘の総合的対応策を踏まえまして、プレクラスなどの外国人児童生徒への日本語教育における初期支援の強化、あるいは自治体への日本語指導補助者の配置に関する財政支援の拡充、それから地域日本語教育の総合的な体制づくりへの自治体に対する財政支援の拡充など、学校と地域が連携した中で取組を進めていきたいと思っております。
○金村委員 都内の小学校とかだといろいろな国籍の子がいて、日本語教育が、その子たちが日本語の習熟度が上がっていなければ、その分だけ学校教育の難しさも出てくると思いますので、是非しっかり御支援をいただきたいと思います。
その上で、本来だと不法滞在者ゼロプラン、これも質問したかったんですが、ちょっと時間がありませんので、最後、大臣に、今年一月に策定された外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策を実行していくに当たっての意気込みをお聞かせください。
○平口国務大臣 お答えいたします。
外国人との秩序ある共生社会を実現していくためには、秩序は社会の土台、多様性は社会の力であり、この両者を両立させていくことが真の秩序ある共生社会への道であることに十分留意する必要があると考えております。
本年一月二十三日に決定した総合的対応策の下においては、このような考え方の下で、国民の安全、安心のための取組のほか、外国人が日本社会に円滑に適応するための取組が数多く盛り込まれているところでございます。
法務省においては、今後とも、関係省庁等と連携し、これらの施策を着実に進めていくとともに、検討事項についても必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
○金村委員 是非、外国人との共生社会、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、鈴木美香君。
○鈴木(美)委員 こんにちは。参政党の鈴木美香と申します。
本日は、初めての質疑となります。質問の機会をお与えいただき、ありがとうございます。
私が所属いたします参政党は、投票したい政党がないという国民の声から生まれ、自ら立ち上がってつくった政党でございます。
私自身、社会の様々な課題に直面することで、このままでは古きよき日本が失われてしまうのではないかという強い危機感を抱き、日本を守り、子供たちに誇れる日本を残したいという思いから、政治の道を志しました。
政治経験はまだ浅い立場ではございますけれども、だからこそ、国民目線で、率直な声をこの場に届けていきたいと思っております。未熟ではございますが、国民の負託に応えるべく全力で取り組んでまいりますので、どうぞ何とぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日は、外国人問題と夫婦別氏制度についてお尋ねさせていただきます。
まず、外国人問題です。
先日、入管庁は、令和七年末における在留外国人の数が四百十二万人を超えると発表されました。この四百十二万人のうち、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者の合計数は約百六十五万人であり、全体の約四〇%を占めております。つまり、在留外国人の四〇%が定住や永住を前提とした在留資格であるということです。
また、令和七年において日本人人口が約九十一万人減少していることからすると、その急激な日本人の人口の減少にも驚きを覚えておるところでございます。こうした人口減少の進行も背景として、外国人材の受入れが進んでいるものでありますけれども、そこでお尋ねしたいんですけれども、特定技能と育成就労外国人の受入れ見込みについてお聞きいたします。
今年一月二十三日に、高市内閣は、令和十一年三月までの特定技能一号及び育成就労に係る外国人労働者の受入れ見込み数を百二十三万人と設定されました。この見込み数ですけれども、特定技能一号の在留資格の方が受入れ制限のない特定技能二号に移行した場合は、空いた枠にまた新たに特定技能一号の外国人の方を受け入れるということでしょうか。お尋ねいたします。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
一号特定技能外国人と育成就労外国人の受入れの上限として運用する受入れ見込み数について、例えば、出国や、御指摘のあった二号特定技能外国人への移行等によりまして、一号特定技能外国人が一人減少した場合に受入れ上限数が一人分空くということについては御指摘のとおりでございます。
○鈴木(美)委員 ありがとうございます。
ということは、百二十三万人という見込みの数は、実質的には、上限としてでは十分に機能していないということになりますでしょうか。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の受入れ見込み数百二十三万人は、一号特定技能外国人及び育成就労外国人の受入れ見込み数の合計でございまして、それぞれの分野ごとに一号特定技能外国人又は育成就労外国人の在留者数が受入れ見込み数を超える場合には受入れ停止措置等が取られることとなることから、上限として機能していないとは考えておりません。
なお、一号特定技能外国人等の受入れ見込み数については五年ごとに設定することとしておりますが、その設定に際しては、二号特定技能外国人の増加数も考慮して設定することとなっております。
○鈴木(美)委員 ありがとうございました。
では、そういう調整をして受け入れていくということで理解いたしました。
しかし、特定技能一号から受入れ制限のない特定技能二号に移行が進むという中で、新規に受入れも並行して行われるということは、この五年間においては、百二十三万人という見込みの数が、在留外国人の人数全体の実質的な総量管理とはちょっと機能していないのかなというところをお伝えいたしたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、特定技能二号において家族帯同が認められている点も踏まえますと、在留外国人の人数は更に増加していく方向に働くものと考えます。
そのほかですけれども、多くの在留資格については家族帯同が認められていますが、このような家族を含め、在留外国人の方が妊娠、出産、子育てをする機会が当然増えていきます。政府は、深刻な少子化対策に対処するために、異次元の少子化対策として、こども未来戦略加速化プランほか、数々の少子化対策を行っており、加速化プランでは、各年度予算において、総額約三・六兆円の充実を図るとされております。
また、政府は、我が国の人口減少に伴う人手不足に対する外国人労働者を受け入れることが必要であるとしていまして、外国人に手厚い少子化対策を講じることで定住を促す誘因となっているのではないか、結果的に実質的な移民政策になってしまうのではないかと懸念しております。
外国人受入れ制度は、家族帯同、定住化、公的制度利用と不可分であるので、少子化対策に対する国籍要件を設けるかどうかという事柄も法務行政の問題になるのではないかと思います。
そもそも、国籍要件を設けることは法的に可能なのかということについてお尋ねいたします。
国籍要件につきましては、今年四月三日の参議院予算委員会における参政党の宮出千慧議員に対して政府参考人の方が答弁されていましたが、昭和五十六年の難民の地位に関する条約の加入によって国籍要件が撤廃され、外国人にも保障されるようになったということでした。
この難民条約ですけれども、第二十三条に、締約国は、合法的にその領域内に滞在する難民に対して、公的扶助及び公的援助に関し、自国民に与える待遇と同一の待遇を与えると規定されております。
ここで、外務省にお尋ねいたします。
一般論としてですが、難民以外の外国人を社会保障の対象から除外するという国籍要件を設けることは、難民条約上の問題は生じないんでしょうか。また、一般論として、国際人権規約上は許容されるのでしょうか。お尋ねいたします。
○三宅政府参考人 お答え申し上げます。
まず、難民条約でございますが、難民条約は、第一条で定義される難民のみを対象としております。その上で、第二十四条で、社会保障について、難民につきましては、自国民に与える待遇と同一の待遇、これを与える旨を規定しておりますが、難民と難民以外の外国人との間で異なる扱い、これを設けることにつきましては特段の定めはございません。
したがいまして、難民以外の外国人との関係で社会保障について国籍要件を設けることが難民条約との関係で問題になるものではないと解されます。
次に、社会権規約でございますが、社会権規約は、第九条におきまして、外国人を含む全ての者に対して社会保障についての権利を認めていると解されます。
一方で、同規約第二条は、同規約上の権利の実現を漸進的に達成するために締約国が利用可能な手段を最大限に用いる旨規定していますが、これは、締約国が合理的かつ客観的な理由に基づく区別、これを行うことまで排除しているものではございませんで、締約国に一定程度の政策上の裁量、これが認められているものと解されます。
なお、同規約第二条が規約上の権利の実現を漸進的に達成する旨規定していることに鑑みまして、特定の施策を意図的に後退させる措置、これにつきましては慎重な検討が必要とされるものと考えております。
以上でございます。
○鈴木(美)委員 詳しい説明、ありがとうございました。
それぞれの御回答をいただきましたが、難民以外の外国人を社会保障の対象から除外するという国籍要件を設けることは難民条約上禁止されているわけではないという意味でしたね。
国際人権規約については、最高裁判所も、平成元年の三月二日の判決におきまして、障害福祉年金についてではありますけれども、国籍要件は国際人権規約に違反しないという判示も出ております。また、国籍要件が生存権を規定する憲法二十五条に違反しないという理由にしても、国の財政事情を無視することはできないという当たり前のことも指摘しております。
この点、難民条約の加入を契機として国籍要件が撤廃された昭和五十六年当時と比べると、我が国の財政事情は現在著しく悪くなっており、在留外国人の人数も著しく増加し、税と社会保険料の我が国国民負担率は四六%となって、多くの国民が苦しんでいる状態でございます。このように、昭和五十六年当時と今の国の財政状況の違いのほか、少子化問題の深刻さの違いや少子化対策の手厚さの違いも検討要素になるのではないかと思います。
この点、外国人も日本人と同様に保険料を納付しているということのみを理由として外国人にも一律に日本人と同様の給付を行うべきかについては、例えば、日本人で子供を持たない方や既に子育てを終えた方などは保険料を納付しても給付を受けられないという方も存在することを踏まえれば、決してこれは絶対的なものではないという検討の余地があると考えられます。
また、相互主義の観点からも、国籍要件を設けることは合理的だと考えます。
先日、入管庁は、令和七年末における在留外国人の人数を発表されました。そこで明らかになったのは、国籍別在留外国人の数ですけれども、現在、日本では、一位が中国人の方で約九十三万人、二位がベトナムで約六十八万人、三位が韓国で約四十万人で、合計約二百万人の方が在留外国人として、約半分の方がこの三か国になっております。
逆に、この三か国における児童手当について、国会図書館で調べてみました。この三か国では、いずれも、一定の条件を満たしたその国に住む在留外国人にも各種の社会保険料を納める義務がある一方で、その在留外国人には児童手当を受ける権利はないということでした。つまり、日本に住む在留外国人の方には、社会保険料を納めていただくと児童手当等いろいろな支援を受けることができますけれども、この上位の三か国では、そこの国に住む日本人は、社会保険料を納める義務はあっても、その国では手当を受けていないということになります。
そういうことを踏まえまして、少子化対策に国籍要件を設けることは、憲法上も、難民条約上も、また国際人権規約上も可能であると考えますので、これからの在留外国人の政策において、国籍要件のことについても今後御検討いただければと思います。
では、次ですけれども、通告の順番を変えまして、四の一を先にお伝えさせていただきます。
外国人の入国や在留は一般的に当該外国人の権利として保障されるものでしょうか。それとも、どういう条件でどれだけの外国人を受け入れるのかという判断は、国家の広い裁量に委ねられているのでしょうか。お尋ねいたします。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
外国人の入国を認めるか否か、認める場合にどのような条件の下にこれを認めるかについては、国際慣習法上、国家の自由裁量に属するものとされているものと承知しております。
そして、この点に関しまして、最高裁判所昭和五十三年十月四日大法廷判決、いわゆるマクリーン事件最高裁判所判決は、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付すかを、当該国家が自由に決定することができるものとされていると指摘した上、憲法上、外国人は、我が国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん、所論のように在留の権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されているものでもないと解すべきであると判示しているところでございます。
○鈴木(美)委員 ありがとうございました。
外国人の受入れに関しては、外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議のメンバーである関係閣僚それぞれの所管分野における人手不足への対応という観点から、今、外国人労働者の受入れが進められていますが、そういった法律的なところで、法務大臣の所管事務である刑事司法、在留外国人の適正な管理であり、受入れ規模の適正化は、法務行政上の論点であると思います。
国家の広い裁量という観点から、外国人受入れについて、厳格に、慎重に判断することを法務大臣に期待しております。
その点から、在留外国人全体の総量の規制、適正な管理の在り方、これについて法務大臣にお伺いさせていただきます。
○内藤政府参考人 お尋ねは、外国人の受入れの基本的な在り方に関するものと認識しております。
この点、本年一月に取りまとめた外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策では、省庁横断的に、外国人を受け入れることのメリット、デメリットを含む具体的な調査検討、将来推計等を行い、社会保障、教育など、外国人に係る諸課題を整理した上で、政府全体で受入れに関する基本的な考え方を検討することとされております。また、この検討に当たっては、在留管理の適正化や在留資格の在り方の検討状況などを踏まえることとされております。
法務省としては、小野田大臣の下、政府全体の取組の中で求められる役割を十分に果たしていくことでこれらの検討を着実に進めていく、こういうふうな立場であると認識しております。
○鈴木(美)委員 その検討が先ほども申しましたような視点で取り組んでいただければなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
では、次に、トータルコストに関してお尋ねしたいんですけれども、外国人受入れに係るコストの総額についてお尋ねいたします。
法務大臣は、令和七年十一月十九日の衆議院法務委員会における参政党の吉川里奈議員の質疑で、政府としてトータルコストは試算していないという内容の御答弁をされました。国民の理解を得るためにも、社会保障を含めたトータルコストを試算する必要があるのではないでしょうか。その後、トータルコストの試算について、政府の方で進んでいますでしょうか。お尋ねいたします。
○平口国務大臣 お答えいたします。
外国人の受入れの在り方については、先般取りまとめた総合的対応策に基づいて、外国人を受け入れることのメリット、デメリットを含めた具体的な調査検討、将来推計等を行い、社会保障、教育など、外国人に係る諸課題を整理した上で、政府全体で受入れに関する基本的な考え方を検討することとしております。
法務省といたしましては、小野田担当大臣の下で、政府全体の取組の中で求められる役割を十分果たしていくことでこれらの検討を着実に進めてまいりたいと考えております。
○鈴木(美)委員 ありがとうございました。
是非、国民の理解を得るためにも、トータルコストについては具体的な試算を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
外国人の受入れについては、社会保障負担の増大という問題以外にも、AI導入による労働力余りが生じるのではないかという問題もあり、AI導入による業務効率化により来年春入社の新卒採用を大幅に減らす大手企業が複数あるとの報道もあります。また、先日、三月二十四日の参議院の法務委員会での参政党の安達悠司議員の質疑におきまして、労働省から、我が国には就職を希望しているという意味での潜在労働力が三百八十八万人存在するとの答弁もありました。
こうした状況を踏まえますと、産業界における人手不足分野への対応は必要である一方で、将来的な労働需給の変化も見据える問題があると考えます。
仮に労働需給が緩和した場合には、AIが取って代わることができない、まさに今、人手不足分野であるとされる特定技能や育成就労の分野の業種に労働力がシフトし、賃金の上昇圧力が生じる可能性もあると考えられております。そのときに日本人と外国の方との雇用の奪い合いにならないように、外国人労働の受入れには慎重な対応とともに、国内人材確保に向けた取組の工夫が重要であると考えます。
このため、法務大臣は関係閣僚会議の副議長であられますので、他省庁との関係閣僚間での横串を刺した論議と検討を是非ともお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次に、旧氏の、夫婦別氏制度に関してお尋ねさせていただきます。旧氏の単記を可能とする基盤整備についてお尋ねします。
法務大臣は、高市内閣総理大臣から、旧氏の使用の拡大、周知を一層推し進めるとともに、旧氏の単記を可能とする基盤整備の検討を進めるように指示されていらっしゃいます。
例えば、既に、裁判官の判決や検察官の起訴状、公務員が業務上作成する行政文書について旧氏を単記で記載するのと同様に、業務上の不便を解消するための旧氏の単記については私も賛同できます。
しかしながら、住民票とか運転免許証、パスポート、マイナンバーカードといった身分関係を証明するような文書に旧氏の単記を認めることは、実質的に夫婦別氏制度となりかねません。また、将来的に戸籍法改正にもつながりかねないと考えます。
お尋ねいたします。犯罪捜査や刑事司法におきまして、戸籍はどのような役割を果たすのでしょうか。その役割の重要性について御説明いただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
現在の捜査、公判の実務上、日本人である被疑者、被告人につきましては、基本的に、戸籍の記載に基づいて被疑者、被告人を特定した上で、逮捕、勾留、公訴の提起、判決の宣告等が行われているところでございまして、刑事手続におきましては戸籍は重要な役割を果たしているものと承知しているところでございます。
○鈴木(美)委員 ありがとうございます。戸籍は大事ということで、お伺いしました。
高市総理大臣も、このように厳格な本人確認に用いられる書類に関しては併記を求める検討も必要であると答弁されていらっしゃいます。刑事司法や戸籍行政をつかさどる法務大臣は、戸籍を守る観点からも、ブレーキを踏む役割を期待したいと考えておりますけれども、法務大臣の御見解はいかがでしょうか。
○平口国務大臣 お答えいたします。
戸籍は、日本国民の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿でありまして、真正な身分変動の登録、公証を行うという大変重要な機能を有していると認識しております。
現在、政府において検討中の旧氏使用の法制化は、一組の夫婦及びこれと氏を同じくする子を編製過程とする現行の戸籍制度を維持しつつ、旧氏の使用の拡大の取組をより一層推し進め、婚姻等による氏の変更によって社会生活で不便や不利益を感じる方を減らすものであると承知しております。したがいまして、旧氏使用の法制化は、選択的夫婦別氏制度とは全く異なるものでありまして、これによって戸籍制度の機能等が変わるものでもないというふうに認識をしております。
また、厳格な本人確認に用いられる書類については、戸籍上の氏と旧氏の併記を求めるという検討は当然必要になると考えております。
法務省としては、内閣府を始め関係省庁と協力し、旧氏の使用拡大の推進に向けて必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
○鈴木(美)委員 ありがとうございます。
高市総理も法務大臣も、戸籍は重要で、戸籍制度を変えることはないという今お話を聞いて安心いたしました。ただ、同一戸籍同一氏の原則は家族の一体性を守るために重要ですので、このような観点からも、厳格な本人確認に重要な身分証明書については、旧氏の単記ではなく、併記を維持していただくということでお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日は、外国人問題を中心にお聞きいたしました。高市総理は、国民と外国人双方が安心、安全に生活し、共に繁栄できる社会を目指したいと掲げていらっしゃいます。その大義には私も大いに共感いたします。また、外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策に基づいて、違法の外国人ゼロプランの推進、外国人の方が違法行為やルールを逸脱することのないようにという対策をいただいていることも、頼もしく、ありがたく思っております。
ただ、国民が不安や不公平を抱く要因は複合的であり、一部の外国人による違法行為やルールの逸脱のみに限られるものではありません。外国人との共生を前提としつつも、日本が日本らしくあることは重要だと考えますし、その基盤があることこそが日本の生産性の向上につなげていくことだと私は考えます。そのために、我が国の文化、伝統、慣習をしっかりと継承するよう、四百十二万人をこれからも超えると思われる在留外国人の人数が増えていくことを踏まえた上で、制度設計が必要だと思います。
どうか、少子化対策、労働力を補う対策が、外国人の方に委ねるというありきの考え方を、できればもっと日本人が働ける場所、居場所をつくる、その日本を残していく、そういうことの政策を含めた方針を是非取り入れていただきたいと思います。
このような制度設計を、法務行政の一環だと思いますけれども、関係閣僚会議の副議長であられる法務大臣に期待しております。よろしくお願いいたします。また、日本固有の戸籍は刑事司法の観点からも重要であることですので、戸籍を守ることについても法務大臣に期待させていただきますということを、思いを伝えた上で、私の本日の質疑を終わらせていただきます。
本日はありがとうございました。
○井上委員長 本日予定しております質疑は終わりました。
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○井上委員長 次に、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。平口法務大臣。
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裁判所職員定員法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○平口国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、裁判所の事務を合理化し、及び効率化すること等に伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少しようとするものであります。
これは、家庭事件処理の充実強化を図るため、家庭裁判所調査官を十人、ワーク・ライフ・バランス推進を図るため、裁判所事務官を二人それぞれ増員するとともに、他方において、裁判所の事務を合理化し、及び効率化すること等に伴い、技能労務職員等を百三十八人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を百二十六人減少しようとするものであります。
以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。
○井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時二分散会

