衆議院

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第8号 令和8年5月8日(金曜日)

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令和八年五月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 英孝君

   理事 阿部 弘樹君 理事 木原 誠二君

   理事 高見 康裕君 理事 谷川 とむ君

   理事 藤原  崇君 理事 西村智奈美君

   理事 三木 圭恵君 理事 小竹  凱君

      浅田眞澄美君    井出 庸生君

      伊藤  聡君    稲田 朋美君

      神田 潤一君    小泉 龍司君

      河野 太郎君    世古万美子君

      武部  新君    辻 由布子君

      寺田  稔君    西山 尚利君

      福原 淳嗣君    藤沢 忠盛君

      藤田ひかる君    古川 禎久君

      丸尾なつ子君    三ッ林裕巳君

      森原紀代子君    保岡 宏武君

      山本 大地君    若山 慎司君

      有田 芳生君    國重  徹君

      金村 龍那君    原山 大亮君

      井戸まさえ君    臼木 秀剛君

      鈴木 美香君    和田 政宗君

    …………………………………

   法務大臣         平口  洋君

   内閣府大臣政務官     古川 直季君

   法務大臣政務官      福山  守君

   最高裁判所事務総局総務局長            清藤 健一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 遠藤  剛君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 鈴木 敏夫君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          飯田 健太君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           阿向泰二郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          内野 宗揮君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    松井 信憲君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    佐藤  淳君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    日笠 和彦君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 内藤惣一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       堀野 晶三君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           足立 基成君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            山戸 義勝君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     若山 慎司君

  辻  秀樹君     伊藤  聡君

  井戸まさえ君     臼木 秀剛君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤  聡君     森原紀代子君

  若山 慎司君     丸尾なつ子君

  臼木 秀剛君     井戸まさえ君

同日

 辞任         補欠選任

  丸尾なつ子君     上川 陽子君

  森原紀代子君     浅田眞澄美君

同日

 辞任         補欠選任

  浅田眞澄美君     辻  秀樹君

    ―――――――――――――

四月二十八日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(井出庸生君紹介)(第三〇三号)

 元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(井出庸生君紹介)(第三〇四号)

 民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(有田芳生君紹介)(第四〇六号)

 同(井戸まさえ君紹介)(第四〇七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四〇八号)

 同(田村智子君紹介)(第四二二号)

 冤罪被害者の唯一の救済手段である再審制度を公平公正な制度にすることに関する請願(西村智奈美君紹介)(第四二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁長官官房審議官遠藤剛君外十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、お手元に配付いたしておりますとおり、最高裁判所事務総局総務局長清藤健一君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西山尚利君。

西山委員 おはようございます。自由民主党の西山尚利です。

 法務委員会、初の質問の機会をいただきました。委員長始め御関係の皆様に心から感謝申し上げます。

 本日は、司法アクセスにおける地域格差という問題意識から、法テラスについて質問いたします。

 私は、福島県福島市で生まれ育ち、これまで、県議会議員の経験も踏まえ、福島県における震災復興、都市部と地方との格差是正などの課題に取り組み、福島県民の声を政治に届けるべく活動をしてまいりました。人々が日々の暮らしの中で感じる悩みや不安、それらは決して特別なことではなく、家族のこと、住まいのこと、仕事のことなど、ごく身近なところから生ずるものだと実感してまいりました。

 福島県は、これまで様々な困難に、様々な複合災害に直面してきた地域でもあります。私自身、一人の政治家として、福島県民の皆様の声を聞く中で、法的な問題が生活の再建や将来の選択に大きく影響する場面が少なからずあり、法にアクセスできるかどうかがその人の人生を左右する現実を目の当たりにもしてまいりました。

 こうした経験を踏まえると、法的な支援が、特定の知識のある方や経済的な余裕を持つ人のためのものだけではなく、誰もが支援が必要なときに必要な形で利用できるものであることが極めて重要であると考えております。その中核的な役割を担ってきたのが、日本司法支援センター、いわゆる法テラスであると思います。

 本日は、これまで法テラスが果たしてきた役割を確認するとともに、少子高齢化の進行や人口偏在等の我が国の社会状況、構造の変化といった地域が抱える課題を踏まえ、今後、法テラスの支援や体制がどうあるべきかについて順次質問させていただきます。

 法務省では、法テラスの設立から二十年を迎え、現在、法テラスの在り方に関する有識者検討会が設置されていると伺っております。この有識者検討会は、二十年間の中で変化してきた社会情勢を踏まえ、改めて法テラスの支援や体制の在り方を見直すべきだという問題意識の下に設けられたものと承知をいたしております。

 まず、こうした有識者検討会を設置した思いとして、法テラスがどのような使命と役割を果たしていくべきとお考えなのか、国民にとっての司法アクセスの将来像も含めて、法務大臣政務官の考えをお伺いいたします。

福山大臣政務官 西山議員さんの御質問にお答えをいたします。

 法テラスは、今年四月に設立から二十年を迎えました。この間、少子高齢化の進行や人口等の地域偏在、デジタル技術の進歩等、我が国の社会情勢や国民生活は大きく変化をしております。このような中において、法テラスの業務は質、量共に広がりを見せ、支援ニーズも多様化、複雑化をしております。

 一方で、司法サービスの地域格差や司法ソーシャルワークの在り方に関する課題のほか、例えば、一人親支援、犯罪被害者支援、被災者支援等、様々な問題を抱える人々のニーズに沿った包括的支援を提供する上での体制や連携上の課題も見えてきたところであります。

 法テラスにおいては、これらの課題を踏まえた上で、財政と体制上の制約がある中で、業務の効率化、支援リソースの適正化等を図るとともに、利用者の利便性を向上させ、全ての人にあまねく司法へのアクセスを確保し、必要とする支援を届けることが重要であると考えております。

西山委員 政務官、ありがとうございます。

 全ての人にあまねく司法へのアクセスを確保する、私も大変重要だと思っております。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、その有識者検討会についての現在の状況もお尋ねいたします。

 有識者検討会はこれまでに何回開催され、どのような論点が議論されてきたのか、今後のスケジュールなども含め、現時点での進捗状況を法務省政府参考人にお伺いします。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただいたとおり、法テラスの在り方に関する有識者検討会、これは、法テラスが設立から二十年を迎えたということを契機といたしまして、これからの法テラスの在り方につきまして、外部有識者の多様な御知見をいただきながら多角的な検討を行うために設置されたものと理解しております。

 本年三月末から現在まで二回の会議を開催をいたしまして、これまでに、地域の司法アクセス拡充に関わる地方自治体の担当者、法的ニーズ調査の結果の分析を行った法社会学研究者などからヒアリングを実施した上で、特に、今後、地域におけるその実情に応じた司法アクセスの充実強化を図るためにどういった検討を行うべきか、地域における司法アクセスといったところなどをまずは検討テーマといたしまして、議論が目下行われているという状況でございます。

 今後の予定といたしましては、本年七月をめどに必要な検討テーマについて一通りの議論を行いまして、それぞれの検討テーマにおける課題を具体的に明らかにし、現時点では、本年夏以降に課題の解決に向けた具体的施策に関する検討を進めまして、十分な御議論をいただくことを想定している、こういうことでございます。

西山委員 お答えいただきましたように、地域の実情に応じた司法アクセスの充実強化は大変重要であると考えております。

 次は、有識者検討会で取り扱われる予定のテーマについて質問いたします。

 公開されている第一回有識者検討会の資料を見ますと、検討事項の例として挙げられているものは、民事法律扶助などの法テラスによる支援内容そのものに関するテーマもあれば、地方自治体等の関係機関との連携といった法テラスの外側の人たちとの関係性に関するテーマもあります。また、業務効率化といった組織改善に関するテーマなどもあり、とても幅広いものとなっているように思います。

 このような幅広いテーマについて議論するには、弁護士や司法書士といった専門士業の方々だけではなく、ユーザーである国民の目線、地方の目線、また組織運営、マネジメントの観点など、多様な視点そして専門性から充実した議論を行っていただく必要があると思います。

 そして、その上で、ここでの議論を受けて、法務省だけではなく政府一体となって、地方ともしっかりと連携をして政策の検討に生かしていくという姿勢が求められます。

 そこで、どのような方々が委員として御参加いただいているのか、そして、法務省、法テラス以外の関係政策を行う省庁にも議論の内容はしっかり共有されているのか、法務省政府参考人の説明を求めます。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的には、肩書も含めまして、詳しくは法務省のホームページで既に明らかにしておりますところではありますが、座長は、法社会学を御専門とされ、法テラス設立十年目の有識者検討会でも委員を務められ、長期的視点で法テラスについて多様な観点から研究をされてこられました、東京大学名誉教授であります佐藤岩夫氏にお務めいただいているところでございます。

 これに、委員といたしましては、ざっと申し上げていきますと、民事手続に造詣が深い法学者や、総合法律支援の経験豊富な実務家委員、地方自治体の関係者など地方行政に知見のある有識者、そして、利用者の目線ということでございますけれども、消費生活相談の関係者、AIリーガルテックに知見のある実務家弁護士、報道関係者など、それぞれ御参加いただいているところでございます。

 その上で、有識者検討会には、法テラスに関係する多様な政策に対応するべく、これらの政策についての関係機関、関係省庁等からも多数、オブザーバーとして担当者に御参加いただいておるところでございます。

 引き続き、関係機関、関係省庁とも議論状況を共有いたしまして、より一層緊密に連携を図ることとしてまいりたいと考えておるところでございます。

西山委員 より一層緊密な連携をお願い申し上げたいと思います。

 最後の質問に移ります。

 私は、この有識者検討会、単なる現状追認の場にとどまってはならないと思います。将来を見据えた抜本的な議論を行っていただく場であってほしいと考えています。現場の声や利用者の実情を丁寧にすくい上げ、支援を必要とする方に必要な支援を届けることができるよう、法テラスによる支援の持続可能性を高める議論を行っていただきたいと思います。

 その上で、有識者検討会において、法テラスが直面する課題についてどのような視点から今後どのような議論が行われることを期待されているのか、法務大臣の考えをお伺いいたします。

平口国務大臣 お答えをいたします。

 法テラスには、全ての人にあまねく司法へのアクセスを確保し、必要とする支援を届けるという使命を果たし続けていくことが期待されているものと考えております。

 その上では、現下の法テラスが直面する一つ一つの課題に向き合いながら、今後とも持続可能な形で総合法律支援体制を構築、維持していくことが重要であるというふうに承知をいたしております。

 そのためにも、幅広い分野から御参加いただいた委員の皆様に、それぞれの専門的知見に基づき、今後の法テラスの在り方について、これまでの枠組みにとらわれない、充実した建設的な御議論をいただくことを期待しているところでございます。

西山委員 大臣、ありがとうございました。

 法務行政、共同親権制度も導入されました。詐欺による被害も後を絶ちません。また、外国人の方々の相談もこれから増えてくるものと思います。SNSやAIが進歩し、著しく発達し、子供や未成年者、高齢の方々が被害に遭うことも常態化しております。

 私自身、少し誰かに話をしただけで、専門の方々に話をしていただけで解決することもたくさんあろうかと思っております。そういった意味で、いつもそばにいる、隣にいる法テラスをつくっていただきたい、そういう法テラスをこれから目指していただきたい、そうお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、有田芳生君。

有田委員 おはようございます。有田芳生です。

 今日は、いわゆる未解決事件、コールドケースについてお聞きをしたいと思います。

 最初に、警察庁にお伺いをしたいんですけれども、いわゆる足利事件、菅家利和さんが十七年半も刑務所に入れられていたんだけれども、冤罪、無罪であったということがもう既に明らかになっております。このケースも含めて、その周辺、足利市周辺で連続的に幼女誘拐殺人事件が起きました。その五つのケースについて、簡単に御説明ください。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事案でございますけれども、昭和五十四年から平成八年までに発生した、いわゆる北関東連続幼女誘拐殺人事件及び誘拐容疑事件につきまして、発生順に申し上げますと、福島万弥ちゃん事件につきましては、当時五歳の福島万弥ちゃんが昭和五十四年八月三日に栃木県足利市内の神社付近で所在不明となり、同月九日に同市内の渡良瀬川河川敷内において御遺体が発見されたものでございます。

 長谷部有美ちゃん事件につきましては、当時五歳の長谷部有美ちゃんが昭和五十九年十一月十七日に栃木県足利市内のパチンコ店付近で所在不明となり、昭和六十一年三月七日に同市内の畑において御遺体が発見されたものでございます。

 大沢朋子ちゃん事件につきましては、当時八歳の大沢朋子ちゃんが昭和六十二年九月十五日に群馬県太田市内の公園付近で所在不明となり、翌六十三年十一月二十七日に同市内の利根川河川敷内において御遺体が発見されたものであります。

 松田真実ちゃん事件につきましては、当時四歳の松田真実ちゃんが平成二年五月十二日に栃木県足利市内のパチンコ店付近で所在不明となり、翌十三日、同市内の渡良瀬川河川敷内において御遺体が発見されたものでございます。

 横山ゆかりちゃん事件につきましては、当時四歳の横山ゆかりちゃんが平成八年七月七日に群馬県太田市内のパチンコ店付近で所在不明となり、現在も所在不明となっているものでございます。

 このうち、横山ゆかりちゃん事件につきましては、群馬県警察において現在も捜査本部を設置して、また、警察庁においても特別捜査報奨金の対象事件として不審者等に対する捜査を鋭意継続しているところでございます。

有田委員 今、五件について御説明をいただきましたけれども、そのうち三つが足利市で起きた事件です。

 菅家さんは、足利事件で冤罪、無罪が明らかになったんですけれども、当時、その足利市で起きた三つの事件について犯人ではないかと疑われておりましたよね、確認したいんですけれども。

遠藤政府参考人 捜査の過程におきまして、そのようなこともあったかと承知しております。

有田委員 つまり、一連の事件について菅家さんは疑われていたんだけれども、冤罪であった、無罪であった。だけれども、菅家さんに何度もお話を伺いましたけれども、自分が冤罪だと晴れたのはうれしいんだけれども、じゃ、真犯人は捕まっていないじゃないか、どこかにいるんじゃないかということを今でもおっしゃっている。

 この事件ですけれども、足利市の駅を降りると、すぐに織姫山という標高百八十メートルの小さい山があるんですよね。そこに登って周りを見渡すと、目の前には渡良瀬川が流れている。今御説明いただきましたけれども、織姫山から渡良瀬川を見て、右側を見ると畑がある、そこで一九七九年に五歳の女の子がリュックサックの中から遺体として発見された。

 その同じ織姫山から、渡良瀬川の畑から直線で、川の向こう、二百メートルの反対側で、一九九〇年には四歳の女の子が遺体で発見された。

 さらに、山から左の方を見渡しますと、そこから一九八四年に、先ほど御説明がありましたけれども、五歳の女の子の遺体が発見された。

 渡良瀬川から右の方を見ると、太田市が見えるんですよね。その太田市では、一九九六年に四歳の女の子がパチンコ屋から誘拐されて、いまだ行方不明、横山ゆかりちゃん。

 さらに、その太田市の近くでも八歳の女の子が誘拐をされて、遺体となって発見された。

 これは現場に行ってみれば分かるんだけれども、半径十キロの範囲でこれだけの事件が起きているんですよ。

 ここで確認したいんですけれども、私は、二〇一一年の三月八日、参議院の予算委員会で、当時の国家公安委員長の中野寛成さんに、これは警察は連続事件と見ているのかどうかということを聞きましたら、この五件については連続事件の可能性がある、そういう答弁をされましたけれども、間違いありませんね。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の国家公安委員会委員長の答弁でございますけれども、この五つの事件につきましては、いずれも幼女を対象とする誘拐容疑又は誘拐殺人といった事案であるということ、それから、行方不明になった場所等が近接をしていることもあって、同一犯による犯行の可能性は否定できないと考えているという趣旨の答弁があったかと思いますが、その点については今も変わっておりません。

有田委員 五つの事件、いまだ未解決なんだけれども、そのことに対して、捜査は続いていると先ほど答弁いただきました。

 実は、足利事件が起きたときに、菅家さんが無罪だということが明らかになった事件なんだけれども、遺体が発見される前日、渡良瀬川を、赤いスカートをはいた女の子の手を引いて川の方に行った男性が目撃をされていた。それは、警察庁、確認されていますね。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 個別の具体の捜査の詳細はなかなかお答えし難いところでございますけれども、様々目撃情報もございまして、そういったことも含めて、あらゆる可能性を排除せずに捜査を行っているというふうに承知しております。

有田委員 その不審な男性については、当時、自分のお子さんと一緒に目撃していた美術の教師をやっていた女性は、そのイラストも非常に詳細に描かれていて、記憶もはっきりしている。もう一人、男性も目撃をされているんだけれども、その男性の証言によると、その男性の姿というのは漫画のルパン三世のような表情だったということだった。だから、目撃者がいる。

 その人物に対して、当時、県警は二回にわたって事情聴取をやっていますね。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 個別の事件の中の特定の人物につきましてどういった捜査を行ったかということは、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、容疑性のある人物につきましてはその可能性を排除せずに捜査をするということでございます。

有田委員 目撃証言などによって、その不審人物は二回、県警によって事情聴取されたんだけれども、菅家さんが逮捕されたものだから、それで終わってしまったんですよ。

 だから、繰り返しますけれども、菅家さん、あるいは被害者の御家族たちにとっては、誰が真犯人なのかというのは、いまだ悶々とした悲しみの中にいらっしゃる。パチンコ店で姿を消した横山ゆかりちゃんの御両親なんかは、その事件が起きた七月七日になると、今でも泣いていらっしゃるんですよ、未解決だから。でもそれは、殺害されたあとの四人の女性たち、女の子たちについても同じでしょう。

 だから、本当に真剣に捜査を進めていただかなければいけないんだけれども、菅家さんの冤罪が晴れたのは、DNA鑑定で、それまでの鑑定方法と違うSTR法によって、菅家さんのDNAではなかったということで冤罪、無罪というふうになったんだけれども、実は、その不審人物について鑑定をした人がいた。

 当時、菅家さんのDNA鑑定も行った、筑波大学の、今はもう退職されていますかね、先生ですけれども、鑑定を行った。そうすると、STR法で、その人物のDNAについては、私は参議院の予算委員会でも指摘をしましたけれども、三十数か所DNAが一致した。今の詳細なDNA鑑定でいえば、四兆七千億人に一人という、四兆七千億人ですよ、日本人の人口どころじゃないんです。四兆七千億人に一人というDNA鑑定の結果が出たというのは御存じですか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 個別の事件につきましての具体的な中身については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

有田委員 五つの連続幼女誘拐殺人事件、そのうち三件はパチンコ屋で発生している、そのうち三件は、遺体は河川敷で発見されている。共通点がある。最初に言いましたように、織姫山から見ると一望できるところで事件が起きている連続幼女誘拐殺人事件、いまだ未解決。

 だけれども、当時、不審人物と言われていた人に対しては筑波大学の先生がDNA鑑定をやって、繰り返しますけれども、四兆七千億人に一人というとんでもない確率で鑑定結果が出ている。にもかかわらず、捜査というのはその後続いているんですか、県警の。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 県警察の捜査につきまして御指摘でございますけれども、群馬県警察におきまして横山ゆかりちゃん事件の捜査を行っておりまして、その他関連する事件につきましても、横山ゆかりちゃん事件の捜査を中心として、その事案の解明について捜査を進めていると承知しております。

有田委員 私は、二〇一五年、参議院の行政監視委員会でもこの問題を質問しました。そのとき警察庁の方は、横山ゆかりちゃん事件、つまり行方不明事件ですけれども、月に十数件あるいは数十件の情報が来ている、そういう答弁がありました。

 あれからもう十一年たちますけれども、今、捜査体制そして情報提供というのはどうなっていますでしょうか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの横山ゆかりちゃん事件につきまして、群馬県警察におきまして現在も捜査本部を設置いたしまして、ホームページ掲載でありますとか、あるいはチラシの作成、配布等によって情報提供を呼びかけております。そのほか警察庁におきましても、特別捜査報奨金の対象事件として不審者等に対する捜査を鋭意継続しているところでございます。

有田委員 繰り返しますけれども、二〇一一年、私は三月八日に参議院予算委員会で質問しましたけれども、当時、ジャーナリストの清水潔さんがこの問題をずっと取材をされていて、DNA鑑定で、不審人物、四兆七千億人に一人の、三十数か所DNA鑑定が一致したということで、テレビでも発言し、本にも書かれて、今も取材を続けていて、とにかく真犯人を見つけなければいけない、もうピンポイントで目星がついているじゃないかという指摘をずっとされている。

 警察庁に伺いたいんですけれども、二〇一一年の段階で最高検にこのDNA鑑定の結果が届けられているというのは御存じですか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 個別具体の捜査の具体的な中身につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

有田委員 差し控えていただいてもいいんだけれども、真犯人を捕まえるような、そういう捜査をやっていただきたい。

 もう十年以上前に、最高検にそういう届出がある。当然、県警にも連絡は行っているはずですよ。ですから、まだ捜査体制は続いているわけですから、やはり、事実に基づいて、引き続き捜査を強めていただきたいということをお願いをいたします。

 北関東連続幼女誘拐殺人事件だけではなく、今日は、グリコ・森永事件、そして赤報隊事件についてもお聞きをしたいので、引き続いて警察庁にお聞きをしますけれども。

 私たち、昔は、取材をしていて、捜査関係者もそうだけれども、一一六とか一一四という言い方をしていたわけですけれども、あるいは一四、一六とか、捜査陣はそういう呼び方をしていましたけれども、警察庁の広域重要指定事件というのは、今はないそうなんですけれども、どういう事件だったんでしょうか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 警察庁の指定事件とは、複数の管区警察局の管轄地域で発生している社会的影響の大きい凶悪又は特異な事件で、複数の地域にまたがり組織的に捜査を行う必要があるものとして警察庁が指定する、そういう事件でございました。

 警察庁指定事件につきましては、警察庁が都道府県警察と捜査会議を開催いたしまして、捜査方針を協議するほか、関係都道府県警察以外の都道府県警察に対する捜査共助の指示、関係情報の集約、分析等を行うこととしていたところでございます。

有田委員 そのうち未解決は、一一四、いわゆるグリコ・森永事件と、一一六、赤報隊事件、その二つですね。

 その二つの事件について、どういう内容だったのか、簡単にお話しいただけますでしょうか。

井上委員長 審議官、もう少し、ちょっと大きい声で答弁いただけますか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの警察庁指定事件につきましては、二十四事件が指定されまして、このうち被疑者が検挙に至っていない事件は二事件でございまして、その一つは、いわゆるグリコ・森永事件であります。

 昭和五十九年三月に発生した江崎グリコ株式会社社長に対する身の代金目的誘拐事件に端を発し、その後、森永製菓等大手食品会社を対象に多額の現金が要求されたものであります。犯人は、かい人二十一面相を名のり、自らの犯行を誇示するような文書を報道機関等に送付したほか、関東、中部、関西地区の百貨店、スーパーマーケットの菓子売場等に青酸ソーダが混入した菓子が置かれ、広域にわたる殺人未遂事件が敢行されたものであり、警察庁において警察庁指定第百十四号事件に指定し、関係都府県警察において捜査を行いましたが、平成十二年二月までにこれら一連の事件について公訴時効が完成したというものでございます。

 もう一つは、いわゆる赤報隊事件でありまして、昭和六十二年一月に朝日新聞東京本社に対する散弾銃発砲事件、同年五月に朝日新聞阪神支局における散弾銃使用による同記者殺傷事件、同年九月に朝日新聞名古屋本社の寮に対する散弾銃発砲事件、昭和六十三年三月に朝日新聞静岡支局に対する爆破未遂事件、そして同年八月に東京都港区内の株式会社リクルート前会長宅に対する散弾銃発砲事件が発生したことから、これらいずれも赤報隊を名のる犯人による一連の事件と見て、警察庁において警察庁指定第百十六号事件に指定して、関係都県警察において捜査を行いましたが、平成十五年三月までにこれら全ての事件についての公訴時効が完成したものと承知しております。

有田委員 グリコ・森永事件、赤報隊事件、大臣とか委員長の世代だったら思い出されるでしょうけれども、今もう若い人たちは知らないんですよね、それはしようがないことなんだけれども。だけれども、先ほど問題にしました北関東連続幼女誘拐殺人事件にしても赤報隊事件にしても、人が死んでいるんですよね。

 幼女の問題についてはまだ捜査は続いているんだけれども、法務省に伺いたいんですけれども、赤報隊事件、そしてグリコ・森永事件は時効なんだけれども、時効が止まるケースというのはどういう場合でしょうか。

佐藤政府参考人 例えばということでございますけれども、一般論として申し上げますと、刑事訴訟法二百五十五条第一項におきましては、犯人が国外にいる場合には、公訴時効は、その国外にいる期間その進行を停止することとされているところでございます。

有田委員 赤報隊事件についても、一九八七年五月三日、憲法記念日に朝日新聞阪神支局が襲われて、目出し帽の男が改造散弾銃を撃って、当時、小尻知博記者、二十九歳が殺害をされた、人が死んでいる事件なんですよね。

 そういう事件は、その散弾銃を撃った人間を車で逃走させた人物もいましたから、あるいは、朝日新聞静岡支局爆破未遂事件についても、全く違ったモンタージュ、似顔絵の男がいますから、これは複数の、グループによるものだろうと私は判断しておりますと同時に、グリコ・森永事件についても、捜査当局はもうはっきり確認されているはずですけれども、リーダーがいて、その下に五人か六人、つまり、本当に密な関係の、複数、グループだという判断を下していらっしゃるはずなんです。これは、当時取材した人たちはもう当たり前のことなんです。

 今日、資料をお配りしましたけれども、吉山利嗣さんという、毎日新聞の名物記者で、グリコ・森永事件について最近の毎日新聞が報道しましたけれども、こうおっしゃっている。たとえ時効になっても、警察は指紋のデータベースを持っており、照合作業は続けているはずや、なのに四十年以上も一致する指紋が出ないなんてことがあるやろか。指紋の問題が重要なんですよね。

 朝日新聞静岡支局爆破未遂事件については、私は、当時、取材もして、遺留指紋が三つあるということは確認しており、週刊文春にも書きましたけれども、これは警察関係者から話を聞いたことを記事にしましたけれども、遺留指紋が赤報隊事件にもある、だけれども、前科のある人物とは一致しなかった。グリコ・森永事件についても、毒入り危険、食べたら死ぬでというお菓子が置かれた、そこから指紋も検出されているんだけれども、プロですから、御承知のように、前科のある人からは指紋がヒットしなかった、一致しなかった。でも、指紋はあるんですよ、グリ森にしても赤報隊事件にしても。

 じゃ、そこで、時効になったけれども、海外に犯人の一部が行っている可能性もあることを含めて、いまだ捜査は続けなければいけないと思うんですけれども、ここでお聞きしたいのは、時効になったグリ森事件あるいは赤報隊事件について、捜査体制というのはもう時効になれば一応なくなるんですかね。どうなんでしょうか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますが、時効が完成した事案につきましては、一般的には捜査は終結するというふうに理解しております。

有田委員 終結した上で、この人が不審者だというような情報はどこで受け付けるんでしょうか。警察庁なんですか、それとも各都道府県警本部なんでしょうか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、事件に関する情報というものは、一般の方からの情報提供を含めまして、警察業務のあらゆる場面で入手することがございます。これは捜査を行っている県警以外であっても同様でございまして、ただ、最終的には、当該事件を捜査している都道府県警察の担当に集約されるというふうに承知しております。

有田委員 そこから、これはかなり重要だなという判断をされた場合には、各都道府県警、例えばグリコ・森永事件だったら兵庫県警、大阪府警、滋賀県警、赤報隊事件についても同じようなことですけれども、そこの都道府県警で判断をして、これは捜査をしなければいけないなという判断をされるんでしょうか。あるいは、これは重要だなと思ったときには、警察庁にも相談されるんでしょうか。どういう体制、システムになっているんでしょうか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 個別具体的な事件の捜査につきましては、第一義的には、その管轄を有する都道府県警察において行うことになりますので、捜査の方針等につきましては、基本的には当該都道府県警察において判断するものになると承知しております。

有田委員 重要事件、特に警察庁広域重要指定事件に指定されたグリコ・森永事件、赤報隊事件について、先ほども言いましたけれども、遺留指紋は確実にある。これは警察当局が私に当時語ったことでもありますから、その遺留指紋というのはどういう形で今も保管されているんでしょうか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますが、遺留指紋、つまり、犯人が犯罪現場等に遺留したと認められる指紋につきましては、この記録をデータベースに登録いたしまして、将来的な犯人の割り出し等に備えて保管をしているところでございます。

有田委員 もう一度確認しますけれども、一一四、一一六のような、世間をあれだけ震撼させた事件については、データベースの指紋を消去するということはないでしょうね。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 個別具体的な事件については、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

有田委員 重要事件について、指紋がデータベースに入っていることを期待したいんですけれども。

 事件が発生した一九八〇年代に比べて、今はより指紋の照合というのは技術が進歩していると思うんですけれども、例えば、グリーンレーザー、ハイパースペクトルイメージャー、そして重複指紋を分離して画像化できるシステムができていると聞いていますけれども、それで正しいですか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、お尋ねのグリーンレーザーについてですけれども、こちらは、指紋成分のアミノ酸でありますとかたんぱく質が緑色の光を当てると黄色に蛍光するという性質を利用いたしまして指紋を検出するというものでございます。これは、実際の事件でも効果を発揮しているところでございます。

 また、もう一つ御指摘ございましたハイパースペクトルイメージャーというものがございまして、こちらは、高出力レーザーと、あと特殊なフィルターを組み合わせることによって、これまで技術的に検出できなかった物体からも指掌紋を検出できる可能性があるほか、御指摘のように、重なり合った指掌紋を、それぞれを分離して採取できる可能性があるということでございます。

 これらの資機材を活用して指紋、掌紋を採取いたしまして、採取した指掌紋をデータベースに登録した上で照合を行っているというところでございます。

有田委員 その最新鋭の指紋照合システムによって犯人を特定したケースというのは、これまであるんでしょうか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 個別の活用事例につきましては、捜査手法に関わるものであって、具体的なお答えは差し控えさせていただきたいとは思いますが、その上で、グリーンレーザーにつきましては、平成二十五年に全国都道府県警察に整備されまして、その後の十年以上にわたって、実際の事件捜査でも指紋を検出し、被疑者を特定するなど、効果を上げているところでございます。

有田委員 お聞きしたいんですが、一般的な手順としての指紋自動識別システムと、今御説明いただいた最新鋭のものとは同じものなんですか。それとも、段階を踏んで発展したという理解でよろしいんでしょうか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、指紋の自動識別システムといいますのは、被疑者から採取した指掌紋と、犯罪現場等から採取した遺留の指掌紋とをデータベースに登録した上で、照会があったときに照合するという照合の方のシステムになります。

 それから、先ほど御答弁申し上げましたグリーンレーザーでありますとかハイパースペクトルイメージャーというのは、現場における遺留された指紋を検出するという方の機械、資機材ということになります。

有田委員 細かいことですけれども、グリーンレーザー、そしてハイパースペクトルイメージャーについては、どのぐらい警察当局に導入されたんでしょうか、台数というのか。予算はたしか五百万円ぐらいなんですか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、グリーンレーザーにつきましては、平成二十五年度に全都道府県警察と警察庁にそろっております。そして、ハイパースペクトルイメージャーにつきましては、令和元年度、警察庁の方に整備をして、必要があれば都道府県警察の捜査に活用するという形になっております。

 予算につきましては、グリーンレーザーは、平成二十五年度に、全体、トータルで二・七億円を措置いたしまして、ハイパースペクトルイメージャーにつきましては、令和元年度に〇・一億円を措置しているところでございます。

有田委員 最初にお聞きしましたけれども、足利事件で菅家さんが冤罪、無罪が明らかになったのも、DNA鑑定の手法が物すごく精度が高まった、MCT一一八からSTRに変わったことによって、これは菅家さんじゃないぞということが明らかになったわけですけれども、それと同じように、今御説明いただきましたけれども、指紋照合についてもかなり精度が高まってきている現状の下で、グリコ・森永事件については、これはどことは言いませんけれども、重要な人物についての指紋が既に捜査当局に通報が行っているはずなんです。

 私が気になるのは、北関東連続幼女誘拐殺人事件についても、四兆七千億人に一人というぴったりの鑑定がなされているにもかかわらず、二〇一一年ですから、もう十五年間も放置されている、捜査当局によって。グリコ・森永事件についても、あるいは赤報隊事件についてもそうですけれども、これからいろいろな、重要な情報提供があった場合に、北関東の連続事件のような、何か隠蔽しているんじゃないかと思われるようなことのないような捜査をやっていただきたいんですよね。そのことをちょっとはっきり確言していただけませんか、そんな隠蔽するようなことはないということを。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 最初に、先ほど予算の関係で御答弁申し上げたところ、二十五年度は警察庁以外の都道府県の方ということでございましたけれども、警察庁はそれ以前に措置しておりましたので、訂正いたします。

 そして、各事件の捜査でございますけれども、御指摘のような、そんな隠蔽というようなつもりは当然ございませんし、若干情緒的なことになりますけれども、やはり、都道府県警察、警察庁も含めて捜査に従事している者としましては、やはり被害があった御家族などとも接することもありまして、何とか事件を解決したいという思いで皆やっておりますので、その点については是非御理解をいただきたいと思います。

有田委員 未解決事件についてきっちりと捜査を進めていただきたいということをお願いしまして、時間が来ましたので質問を終わります。

井上委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 私は、四月十五日の当委員会におきまして、新潟県内の地方裁判所管内、そこにおきまして、簡易裁判所の開廷日の日数を見直す方向なのではないかということについて質問をいたしました。

 その際、最高裁からの答弁は、この度確認したところ、新潟県内の簡易裁判所で、柏崎簡易裁判所以外に見直しを具体的に検討しているというところはございませんという答弁がありました。この答弁は、今も最高裁として維持しているんでしょうか。

清藤最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘の四月十五日の委員会におきまして、新潟県内の簡易裁判所の開廷日の見直しに関する御質問につきまして、私の方で、まだ決定しているものではございませんが、新潟地方裁判所において、柏崎簡易裁判所の開廷日の日数を見直す方向で準備をしているものと承知していることと、この度確認したところ、新潟県内の簡易裁判所で、柏崎簡易裁判所以外に見直しを具体的に検討しているというところはございませんと答弁いたしました。

 その委員会の後、翌日に、委員から御指摘をいただきまして、新潟地方裁判所に確認をしましたところ、柏崎簡易裁判所のほか、三条簡易裁判所、長岡簡易裁判所及び高田簡易裁判所におきましても開廷日の日数を見直すことを具体的に検討しておりまして、令和八年五月一日からの開廷日の日数を見直したということが確認されました。そのため、四月十五日の答弁につきましては、おわびの上で、そのように訂正をさせていただきたいと思います。

 事実と異なる答弁をしてしまった原因について申し上げますと、開廷の日割りにつきましては、最高裁判所規則におきまして、各裁判所が毎年あらかじめ定めた上で庁内の公衆の見やすい場所に掲示することと規定されておりまして、また、一般的には裁判所ウェブサイトにおいても公表されているものでもございますけれども、最高裁に報告すべき事項とはされておりませんで、また、先日もお答えいたしましたとおり、一般的に、開廷日の見直しにつきましては、事件数の多寡などの事件動向、事件処理状況等を踏まえて、適正かつ効率的な事務処理体制を確保する見地から不断に見直しをし、各裁判所において決定されるものと承知しておりまして、最高裁としてその全てについて把握しているわけではないところでございますけれども、新潟県内の簡易裁判所の開廷日の見直しにつきましても、四月十五日の時点で最高裁において把握していたものが柏崎簡易裁判所についてのみでございまして、また、私どもの確認が不十分であって、新潟県内のほかの簡易裁判所において変更がないものと誤認した、誤って認識したということが原因でございました。大変申し訳ございません。

西村(智)委員 幾つかまたそれぞれ個別に伺いたいと思うんですけれども、どこの担当者にどういうふうに確認をしたのでしょうか。私は、不思議でならないんですよ。

 今、三条、長岡、高田、ここの簡易裁判所も、人数が減るということで、それに加えて柏崎、ここの柏崎だけ四月十五日は御答弁になったんですけれども、なぜ柏崎だけ確認ができたのか、教えてください。

清藤最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、私といたしましては、四月十五日の質疑でお答えするに当たっては、開廷日の見直しの有無について最高裁の事務総局の担当者らを通じて新潟地方裁判所に確認をしたものと私が誤って認識しておりまして、この度確認したものと申し上げたのでございますが、その後に委員から御指摘をいただいて改めて確認しましたところ、実際には事務総局の担当者らにおきましては新潟地方裁判所に改めて確認していなかったというものでございまして、事務総局内部で確認するにとどまっていたものでございまして、確認が不十分でございました。申し訳ございませんでした。

 今、柏崎簡易裁判所についてなぜ把握していたのかというような御質問があったと思います。そこについてお答えいたしますが、先ほど申し上げましたように、簡易裁判所を含みます各裁判所における開廷の日割りの決定といいますのは、各庁、各地域の実情、さらには人事的事情も含む総合判断が必要なものでございまして、また、この開廷の日割りといいますのは、独立性が確保されるべき裁判権の行使と密接に関連しているものでございますので、裁判官の独立に対する配慮がされることが相当と考えておりまして、その地の裁判所における裁判官会議において自律的かつ適切に判断されるべきものと考えております。

 最高裁としましては、各裁判所において自律的に判断すべき事柄に関する決定につきましては、その判断を尊重するのが相当だと考えておりまして、そのような事項について最高裁が把握するのは、各裁判所が全国的な影響の度合いなどに鑑みて最高裁と情報を共有することが適切であると考えて報告などした場合ということになります。

 柏崎簡易裁判所の開廷日の見直しについてでございますが、令状処理等に係る事務処理体制に変更が生じるものでございまして、対外的な影響も多いということから、新潟地方裁判所において先ほど申し上げたような観点から最高裁に報告をしたものと承知しているところでございます。

西村(智)委員 本当にあきれて物が言えないんですけれどもね。新潟地裁の方に確認をしないで、事務総局の中での、ちょっと横の机の人にどうなんだと聞いただけでこの国会で答弁をした、うその答弁をした、でたらめの答弁をしたということですよ。重く受け止めていただきたいと強く申し上げます。

 あわせて、先ほど総務局長は、人事的事情も含む総合的判断だということで、各地域の裁判官会議がそれぞれ自律的に判断をしているというふうにおっしゃいました。だけれども、それは、本当のところ、深掘りしていったら、最高裁の方から人手が減らされているということがやはり背景にあるんじゃないですか。これまでも各地方で開廷日が減らされているところは結構あるんですよ、委員の皆さんの地元でもちょっとお調べいただきたいぐらいなんですけれども。

 それで、よくよく聞いてみると、また、本当に正直に話してくださる地方裁判所の方々などは、やはり、裁判官が減っているからだ、減らされているからだ、しようがないんだ、最高裁がそう言っているからしようがないんだというふうにおっしゃる方がいる。

 私は、先ほど清藤さんが人事的事情も含む総合的判断と御答弁の中でおっしゃったのは本当に恐らくそれだなと思ったんですけれども、やはり、開廷日が減らされているというのは、地域での裁判官が減らされているということが、これが理由なんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。

清藤最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 開廷日などにつきまして、一般論をまず申し上げますと、ある都道府県などにおきまして、全体として裁判所の適正かつ効率的な事務処理体制を不断に見直して確保するという際には、事件数の多寡などの事件動向や事件処理状況のほか、実際に裁判に当たる各裁判官などの健康面など人事的な考慮要素も含めた諸事情を総合的に考慮して判断しているものでございますが、その中にはもちろん人数の増減ということも一つの考慮要素に含まれるものでございますし、そのほかの点も含めて総合判断しているというところでございます。

 そして、新潟県内について、簡易裁判所の開廷日の見直しにつきましても、新潟地方裁判所において、事件数の動向や事件処理状況などに加えまして、新潟地裁管内の簡易裁判所において簡易裁判所判事の定年退官に伴って令和八年度には一名減少するといった事情も踏まえまして、総合的に判断されたものと承知しております。

 いずれにしましても、先日も御説明しましたように、新潟地方裁判所管内全体の適正かつ効率的な事務処理体制を確保するという見地から検討しまして、事件動向などから見まして、開廷日数を減らしても事件処理には支障がないものと判断したものと承知しております。

西村(智)委員 最高裁からすれば、各地域の裁判官会議で自律的に判断をしてもらっていますということだと思うんですけれども、実際、何で、じゃ、開廷日が減っているか。平成二十七年と令和七年、同じ月で比べると、これはやはり通知が出ていますね、最高裁の方から。実際に減らされているんですよね。新潟県内でいいますと、簡易裁判所の裁判官、定員が、平成二十七年のときは十人だったのが、令和七年には七人に減らしますということであるんですよ、実際に。

 件数の多寡、それはあるかもしれません。だけれども、地方での司法サービスを維持するというのは、先ほど自民党の方も法テラスのことで質問されていましたけれども、身近なところで司法サービスが受けられるというのは、これはやはり人権保障のまずスタートラインだというふうに私は思うんですよね。

 大臣、こんなふうに、裁判官が減っているということで、地方の司法基盤が、私はやはりだんだんだんだん足場の砂がどうも欠けているように思えてならないんですよ。支部の統合のときからもそうでした。統合しても従来からのサービスは受けられるという話だったはずなのに、だんだんだんだん遠くまで行かなくちゃいけなくなったといったようなことですと、本当に地方の司法の基盤というのは大丈夫なのかというふうに思うんですけれども。

 大臣、ここはちゃんとリーダーシップを取っていただいて、何とかこの基盤の崩れに歯止めをかけていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

平口国務大臣 お答えをいたします。

 まず、一般論として、地域を問わず、あまねく全国において司法へのアクセスが確保されるようにする上では、司法権を担う裁判所において充実した人的体制が構築されることが重要であると認識しております。

 裁判所の人的な体制整備の在り方については、事件の動向等、裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえて、まずは最高裁において必要な検討がなされるべきだと考えております。

 法務省といたしましては、法律を所管する立場から、最高裁判所の判断を尊重しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

西村(智)委員 最高裁に判断を委ねたいということでした。

 最高裁の方としてはいかがでしょうか。

清藤最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 人的な体制につきましては、今後も引き続き必要な体制の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 開廷日の見直しについても、この度の開廷日の見直しについて、直ちに司法サービスが低下するというか、裁判所の事務処理に影響があるというものとは考えていないところではございますけれども、今後とも体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 直ちに影響が出ちゃ困るんです、それは。当たり前のことを御答弁になっただけで、今後、これ以上基盤が崩れないようにお願いしたいということを強く申し上げておきます。

 次の質問に移ります。在留資格の経営・管理についてであります。

 この間、済みません、何度も通告しておりながら、今日やっと質問になるんですけれども、経営と管理で日本に来られる方というのは、私の理解ですと、日本の経済の発展のため、そしてまたイノベーションのため、日本の市場に新しい価値を提供したりするという、意義のあるものだというふうに認識しておりますけれども、そのとおりでよろしいでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 在留資格、経営・管理は、我が国の経済社会の活性化に資する外国人を受け入れるための専門的、技術的分野の在留資格の一つとして位置づけられております。その上で、受け入れられた外国人の企業経営活動を通じて、委員御指摘の点も含め、様々な効果が期待されるところでございますが、例えば、我が国への投資、雇用の創出、イノベーションの促進等により、我が国の経済社会の活性化に貢献していただくことが期待される在留資格である、このように考えております。

西村(智)委員 様々な効果が期待できるということでありました。

 例えば、地元、それぞれの地域で、エスニック料理の店なんかを経営している方もいらっしゃると思うんですね、この経営・管理という在留資格で入ってこられている方の中には。大臣は、例えばお地元で、そういった外国の方が経営するエスニック料理の店などに行かれたことはありますか。

平口国務大臣 エスニック料理というので、外国人が経営される料理を食べることはあります。特に、ネパールの料理についてそのような体験をいたしております。現在も引き続いて行っております。それ以外にも、東京でベトナム料理なんかを食べることはございます。

西村(智)委員 大臣も召し上がっておられるということで、ちょっと何か親近感が湧きました。

 それで、実はこの経営・管理の認可基準なんですけれども、昨年の十月にこれが大幅に変更となっております。いろいろな要件、基準があるんですけれども、その中で、資本金について、それまでは五百万円だったものが三千万円に引き上げられました。これはどういう経過を経て変更されたものか、御答弁をお願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの点につきましては、平成七年十月に行った在留資格、経営・管理の許可基準の見直しについてでございますが、令和七年八月二十日に法務大臣の私的懇談会でございます出入国在留管理政策懇談会を開催し、幅広い観点から有識者の御意見を伺ったところでございます。

 さらに、令和七年八月二十六日から九月二十四日までの三十日間、パブリックコメントを実施し、在留資格、経営・管理で在留する方を含めまして、数多くの方から、合計七百二件の様々な御意見をいただいております。

 出入国在留管理庁におきましては、これらの御意見も踏まえて改正省令を策定したものでございます。

 以上でございます。

西村(智)委員 ちょっと今の答弁、確認したいんですけれども、八月二十日の出入国在留政策懇談会で議論を行って、八月二十六日からパブコメを開始したというふうに御答弁されましたか。そのときのパブコメにかけた案というのは、それはどういうものなんでしょうか。

内藤政府参考人 突然のお尋ねですので、もしかしたら微細な違いはございますかもしれませんけれども、基本的に現在行われている省令案でございます。

 それから、済みません、追加でございますが、先ほどの答弁、訂正がございまして、平成七年十月に行った在留資格、経営・管理の許可基準の見直しと先ほど答弁したらしいんですけれども、正確には令和七年十月でございますので、大変恐縮でございます。

西村(智)委員 それで、出入国在留管理政策懇談会というのは、大臣の私的な懇談会というか勉強会であるというふうに事前にお聞かせをいただいているんですけれども、この中で、私も議事録を拝読したんですが、十六人の委員の方がいらっしゃるんですよね、座長を含めて。そのうち十三人が出席をしていらして、うち、資本金についてだけちょっと問いますけれども、資本金を五百万円から三千万円に引き上げることについて明確に賛成だとおっしゃったのは、私が理解しているところ、お一人。あとの委員の方々は慎重意見だったというふうに思うんですけれども、間違いないでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の令和七年八月二十日に行われました出入国在留管理政策懇談会におきましては、出席された有識者十三人の方から、幅広い観点から御意見を伺ったところでございます。

 委員の御意見は必ずしも端的に賛成又は慎重と述べられたものではなく、また、そのようなものを求めたものでもなく、資本金額の引上げの必要性について理解を示された上で引き上げることに伴うリスク等に係る意見を述べられる方もおられ、一概に賛成又は慎重に区別してお答えすることは困難かと思います。

 なお、当庁といたしましては、賛同意見が一人のみであり、他の委員全てが慎重意見であったとまでは認識しておりません。

西村(智)委員 私はその場にはいませんでしたから、場がどういう雰囲気だったかというのは議事録を見ただけではもしかしたら分からないのかもしれません。だけれども、私が議事録を読んだ限りでは、明確に自分は賛成だとおっしゃっているのはお一人だったというふうに私は読みました。

 それで、その上でなんですけれども、二十日にこの懇談会が開かれて、二十六日には既に資本金三千万円という案を示してパブコメにかけているわけですよね。ちょっと、余りに短期間過ぎやしないかなと。つまり、懇談会の最後の方で、座長の方からも、いろいろな調査ですとか、実態調査、実態把握が非常に重要だというようなことも言いながら、担当の課長が、いろいろと御意見をいただいて、いずれもごもっともだと思っておりますし、今後我々として最終案を決定する際に、そこの中で十分に踏まえて検討させていただければと思っておりますということで、短期間、一週間のうちに出しちゃったというのは、これはちょっと、懇談会を何かアリバイ的にやったんじゃないかというふうに私には見えるわけなんですよ。

 それで、質問は、三千万円という額がどういう根拠でこの額になったのかということをまず伺いたいと思うんですけれども、どうでしょう。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、パブリックコメントにかけたものがどのような案だったかということで、資本金額とは若干ずれるんですけれども、先生御承知のとおり、日本語要件というのが今回かかっているんですけれども、パブコメのときにはそれはなかったということをちょっと補足説明させていただきます。

 その上で、三千万円の趣旨でございますけれども、在留資格、経営・管理につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、外国人の企業経営活動を通じて、例えば、我が国への投資、雇用の創出、イノベーションの促進など、我が国の経済社会の活性化に貢献いただくことが期待されているところでございます。

 このような観点を踏まえまして、許可基準の一つである資本金等の額につきましては、事業の安定性や日本の経済に資する事業の規模という観点から、法人企業の経営実態に関する統計、これは国税庁の会社標本調査、令和五年度のものでございますが、において法人の資本金階級別で欠損法人よりも利益法人が多くなるのは二千万円超五千万円以下の階級であること、諸外国の同様の制度における要件等を参考として検討し、資本金等の額を三千万以上とすることが適当と判断したものでございます。

西村(智)委員 では、日本国内では二千万円超が一つの基準となるということの答弁ですかね、今の参考にした数字として。

 総務省に伺うんですけれども、日本国内で資本金三千万円以上はどのくらいの比率になるんでしょうか。

阿向政府参考人 お答えいたします。

 総務省統計局が行いました令和六年経済センサス基礎調査の結果によりますと、令和六年六月一日現在で、会社企業全体に占めますお尋ねの資本金三千万円以上の会社企業の割合は八・七%となってございます。

西村(智)委員 ごめんなさい、ちょっと総務省に追加で済みません、もう一件。

 先ほど出入国管理庁の方から、利益率が要は黒になるというところが二千万円超が目安だというふうな答弁があったんですけれども、そういったデータを取っておられますか。

阿向政府参考人 お答えいたします。

 本日、ちょっと通告いただいてございませんので、承知してございません。

西村(智)委員 通告していなかったので申し訳ないんですけれども。

 今、ちょっと二千万円超という新しい数字も出てきまして、何かすごく混乱させられているような気もするんですけれども、そもそも何で三千万円なのかということをやはり私としては考えるわけなんですよ。

 日本の企業の中でも、三千万円以上の資本金の企業というのは八・七%しかないわけなんです。これが仮に、すごく、過半数以上あるとかというんだったら、ああ、そうかと、何となく感覚としては分かるところはあるんだけれども、何かこういった急激な資本金の引上げということが、ある意味やはり日本社会としてのちょっとおかしなメッセージとして私は伝わってしまう危険性があるんじゃないかなというふうに思うんですよね。

 今回、基準を変更した場合に、それはそれでいろいろな影響があると思いますけれども、一体、改正後の基準でどれだけの人たちが、この三千万、日本語とかいろいろありますけれども、ちょっとそこは取りあえずおいておくとして、資本金三千万円という基準を大体どのくらいの企業が満たすということになるのか、経営・管理の人が満たすということになるのか、また、変更した場合の影響についてはどの程度考慮されたのか、答弁をください。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 出入国在留管理庁におきましては、在留資格、経営・管理の許可基準の見直しを検討する中で、令和六年末における同在留資格で在留中の者四万一千六百十五人を対象に調査を行ったものでございます。

 もっとも、当該調査は、対象者の直近の申請書に記載された内容を基に把握できる範囲において実施しているものである、こういうふうな一定の限界があるということは御理解いただきたいと思うんですけれども、それを前提としてお答えさせていただきますと、当庁として把握できたもののうち、資本金の額が三千万円以上であったものは約四%であったものでございます。

 変更した場合の影響を考慮したかとのお尋ねにつきましてでございますが、在留資格、経営・管理の許可基準の見直しに当たっては、出入国在留管理政策懇談会において御議論いただいたほか、パブリックコメントを実施し、様々な意見を踏まえて基準を見直したところでございます。

 いただいた御意見の中には、見直し時点において既に在留資格、経営・管理で在留している方に対しては、その置かれた立場に十分に配慮されるべきであるとの御意見もあったところでございます。

 先ほど申し上げた点等々も含めて、このような御意見も踏まえまして、改正前から在留資格、経営・管理で在留中の方については、改正後の許可基準を直ちに適用することなく、一定の配慮を行うこととしたものでございます。

西村(智)委員 この議論のきっかけは、ペーパーカンパニーですとか名義貸し、こういったものがいわゆる不法就労の隠れみのになっているのではないかという疑いがあったからだというふうに聞いております。

 大臣の私的な勉強会の出入国在留管理政策懇談会の中でも、やはり実態調査なんじゃないですかということは、多くの委員の方が言っておられるんですよね。いろいろな国の例も引きながら、例えば韓国なんかでは、やはり最初の設立時というのは実態調査というのは難しい、だけれども、例えば更新するときに実態調査と税務確認をやるというようなことを厳格化したんだということ、それから、入国審査官がもっと出ていって実態調査、実地調査を行うべきではないかというふうな話もありましたけれども、これについては、こういうのをやったらどうでしょうかね。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 出入国在留管理庁としても、委員御指摘の実態調査及び公租公課義務の履行状況の確認については在留資格を適正に運用するために重要なものと考えておりまして、令和七年十月の在留資格、経営・管理の許可基準の見直しに合わせて強化を図っているところでございます。

 具体的には、在留審査におきまして、事業の実態に疑義がある場合には、可能な限り実態調査を行って実態の把握に努めているところでございます。また、在留期間更新許可申請において、上場企業等一定の事業規模のある所属機関を除き、事業所としての公租公課の支払い義務の履行状況に関する書類の提出、これを新たに設けることとしまして、厳格な審査を行っているところでございます。

 出入国在留管理庁においては、引き続き、もちろん体制面での問題もございますが、実態調査の実施に努めるとともに、公租公課の支払い義務の履行状況の確認を徹底し、適正な在留管理に努めてまいりたい、このように考えております。

西村(智)委員 今、大臣もお食べになったようなエスニック料理の店がなくなるんじゃないかという心配があるわけなんですよ。是非これは私の方からも見直していただきたいということを強く要請して、この質問は終わりにしたいと思います。

 最後に、四月三十日にまた御本人が記者会見を行いました、大阪地検トップの検事正が在任中に部下の検事に対して性的暴行を加えた疑い、準強制性交罪で逮捕、起訴された事件について伺いたいと思います。

 検察内部の言ってみれば疑惑、こういったものがまた出てきました。例のフロッピーディスクの改ざん事件、これで、フロッピーディスクが改ざんされただけではなくて、これが隠蔽されたというのが、もう二十年ぐらい前になりますでしょうか。あのときに、やはり検察の隠蔽的体質だというふうにいろいろな方面から表現をされておりましたし、また、あのときは裁判所の方も結構強い形で判示されていたと思います。特捜部の威信を懸けた事件の公判の遂行や、検察組織を守るために隠蔽をしたというふうにこれは判示されておりますし、また、検察庁による犯罪や不正行為には厳正に捜査、調査する義務があるんだということもこの判決の中で示されているというふうに私は承知しております。

 今回、大阪地検の検事正のこの疑い、今公判中だと聞いていますけれども、裁判が、もう長いこと公判が開かれていないということもちょっと異例だというふうには聞いていますけれども、実際に性的暴行を受けた、加えられたというふうに提訴している女性がいろいろなことを言っておられるんですけれども、まず、警察庁や法務省で、違法行為やハラスメントがあった場合の相談窓口として、内部と外部にどういったものが存在しているのか。これまでの通報件数や対応状況について答弁をください。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 職員からのハラスメントに関する苦情相談に対応するため、法務省におきましては、各組織ごとに相談員を設置しているところでございます。まず、検察当局におきましては、各地検に加えまして、高検、最高検にも広く相談員を設置しているほか、人事院、法務省大臣官房人事課、法務省刑事局などにも相談窓口があることを職員に対して周知するなど、ハラスメントの有無を把握できるように努めているところでございます。

 お尋ねの通報件数については、網羅的、統計的には把握しておらず、お答えすることが困難ではありますが、残念ながらハラスメント事案が発生した場合には、各相談員において被害を受けた職員に寄り添うなどしつつ、検察当局において事実関係を調査した上で、厳正に職責を問うなどしているところでございます。

西村(智)委員 ハラスメントや違法行為というところまでは今答弁しませんでした。私は、違法行為があったときの通報などについてはどうなっていますかということも含めて聞いたんですけれども、それについてあえて答弁しなかったんでしょうかね。もういいです。

 それで、今回提訴している女性が二回にわたって、非常につらいPTSDに苦しみながらも、二回、最近でいうと三月の二日とまた連休中の四月の三十日に記者会見を行っていまして、自分の件も含めてだと思うんですが、独立した第三者委員会をつくって調べてくれというふうに求めた、これは記事にもなっております。該当部分だけでもいいので、こういった女性からの要望書、これは出ていると会見でも述べておられます。三月の二日に大臣とそれから検察庁、そこに宛てて要望書を出しているというふうに聞いていますけれども、どういう内容なのか、ちょっと明らかにしてもらえませんか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の要望書は特定個人の要望等が記載されたものでございまして、その具体的内容を明らかにすることは差し控えるべきものであると考えておりますが、当該女性が自ら公にしている内容もあることに鑑みまして、その一部について概略をお答えしますと、当該女性に関わる個別案件についての具体的要望を含む相当多岐にわたる要望の一つとして、検察庁、法務省から独立した専門家による第三者委員会を設置し、犯罪被害、ハラスメント被害の実態調査や原因究明の検証を求める旨が記載されているものと承知しているところでございます。

 もっとも、お尋ねの女性は、要望書を提出する一方で、その内容を含む国家賠償請求訴訟を提起したとされているところでございまして、その個別具体的な対応に関する事柄についてはお答えが困難でありますけれども、検察当局におきましては、令和七年五月、次長検事名によりハラスメントの防止等に係る取組を徹底するように指示があり、これを受けて、本年度には全職員を対象としたハラスメント調査を実施する予定であると承知しているところでございます。

 引き続き、ハラスメントの撲滅及び職務環境の改善に向けた更なる的確な方策について不断の検討及び具体的取組を行っているものと承知しているところでございます。

西村(智)委員 今の答弁、私はやはり一部承服できない部分があります。相当多岐にわたる要望があった。何かちょっとやゆしていませんか。私にはそういうふうに聞こえるんだけれども。検察内部から、こういうことがあったんじゃないですかという申出なんですよ。もうちょっと真剣に受け止めてもらいたい。フロッピーディスクの改ざんがあって、それも隠蔽してという組織の中で、また今回、検察内部の組織の問題だというふうに言われているわけですよ。同じなんです。やはり変わっていない、私はちょっとそういうふうに思えてなりません。

 そろそろ時間なんですけれども、大臣、これは大臣宛ての要望書だったということなんですが、受け取っておられますよね。御覧になっておられますよね。受け取って、どういうふうに思いましたか。

平口国務大臣 御指摘の文書については、受け取っておりますし、詳細に読みました。

 議論が多岐にわたるんですが、その中で、いわゆるプライバシーに関する部分が相当数あるものですから、私がここで答弁することは差し控えたいと思います。

西村(智)委員 一般社会であれば、組織の中で例えばトップが関わるような問題が起きたときには、大体、独立した第三者委員会をつくって、そこで調査するんですよ。そうでないと、内部で例えばハラスメントの対応といったって、それはできるものじゃありません。是非、これは、大臣のリーダーシップ、今こそ必要なときだと思いますので、よろしくお願いします。

 再審法の改正も大臣のリーダーシップが本当に今大事だと思いますので、是非ここで力を発揮していただきたい。強く要望して、終わります。

井上委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 維新の金村です。

 ちょっと声が、連休中頑張り過ぎたものですから、大変お恥ずかしい声でお聞き苦しいですが、是非おつき合いいただきたいと思います。

 今日は、再犯防止、それから受刑者の高齢化について質問させていただきます。

 いわゆる受刑者の年齢別構成比、さらには罪名別構成比を見ると、特に女性が高齢者の受刑者が多いというのが割合で出ています。加えて、六十五歳以上の窃盗で刑務所に入っている人が、男性だと五六%、女性だと八八%。窃盗もいろいろ中身はありますが、私は、窃盗を繰り返している、再犯率が高いものだと想定しています。

 その中で、窃盗に対する再犯の取組について教えていただきたいと思います。

日笠政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、高齢の出所受刑者の再入率は比較的高いポイントを示しております。また、窃盗事犯につきましては、高齢受刑者に限らず、全受刑者の二年以内再入率は約二〇%、三年以内再入率は約三〇%ということで、高くなっております。そのため、窃盗事犯者に対する指導、支援は重要であるというふうに考えております。

 窃盗事犯者が抱える問題は多種多様でありまして、各刑事施設におきましては、これまでも、その特性や犯罪態様等に応じまして、職業訓練、改善指導、社会復帰支援など必要な指導等を行ってきたところであります。

 また、窃盗事犯者の中には、社会内で頼るべき存在がなく、困窮、孤立した状態に陥った結果、犯罪を繰り返していることを特徴とするグループが認められますことから、こうした類型に該当する受刑者を対象とする困窮・孤立対策のためのプログラム、これはコネクト・プログラムと呼んでおりますけれども、これを新たに作成いたしまして、本年度から実施しているところであります。

 このプログラムは、出所後、社会内において困窮、孤立し、窃盗を中心とした再犯に至るおそれが認められる受刑者に対しまして、地域の一員として、社会と健全なつながりを保つために必要な能力を身につけさせるとともに、出所後、必要に応じて支援を求めることができる機関等についての知識などを習得させるものとなっております。

 引き続き、窃盗事犯者への指導等を適切に行って、再犯防止に取り組んでまいります。

金村委員 ありがとうございます。

 再犯率はやはり高いんですよね、窃盗はとにかく。そういう意味では、しっかり刑務所内で教育を提供していただきたいなと思う一方で、高齢者の皆さんが社会に出て、実際に、再犯を、また罪を犯さずにしっかりと社会復帰していこうと思うと、それはそれで、高齢者であれば就労が難しい問題とか、様々な問題があると思うんですね。そういう意味では、高齢者に対する支援というものはどういうものが適切なのかというのは、いま一度、考えていきたいと思います。

 その上で、昨年六月より拘禁刑が施行されました。これは、これまでの懲役と禁錮を廃止して、個々の受刑者の特性に応じて、改善更生、再犯防止のために必要な作業を行わせ、また必要な指導を行うことが可能になったとあります。当時の資料に、ポイントとして、受刑者の必要性に応じた作業の実施、作業と指導を柔軟かつ適切に組み合わせた処遇、作業を含む受刑生活への動機づけの強化とあります。これまでの作業を刑罰の目的から改善更生、社会復帰支援のための手段と位置づけたことがよく理解できます。私は、これはいいきっかけになると思います。

 その上で、高齢福祉課程というものが新たに創設されたと思います。令和七年十二月十日現在で、千七百五十七名の受刑者、全受刑者の構成比率のうち五・四%がこの課程に所属していると思うんですが、この取組、今どのような取組をなさっているのか、御披露いただきたいと思います。

日笠政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月一日に拘禁刑が導入されて以降、刑事施設におきましては、個々の受刑者の特性に応じた処遇を実現していくため、一定の共通する特性等を有する受刑者の類型ごとに二十四種類の矯正処遇課程を設けて運用をしております。

 高齢受刑者の中には、認知機能や身体機能に低下が認められ、出所後の自立した社会生活に支障が生じるおそれがある者も少なくありません。そのため、認知症、身体障害等により自立した生活を営むことが困難である高齢受刑者に対しましては、矯正処遇課程の一つである高齢福祉課程を指定した上で、高齢等の自己の特性を理解させるとともに、社会生活に必要となる心身の健康保持を行わせること、また、個々の状況に応じた支援の必要性を理解させ、各種支援の利用を含めた出所後の社会生活を考えさせることを矯正処遇の主たる目標として、個々の特性に応じたきめ細かな矯正処遇や円滑な社会復帰支援を行っております。

 例えば、認知機能や身体機能を維持向上させる機能向上作業のほか、社会復帰準備指導プログラムを実施しておりまして、このプログラムにおきましては、社会福祉制度に関する知識その他の社会適応に必要な基礎的な知識や能力を身につけさせるとともに、出所後、必要に応じて福祉的な支援を受けながら、地域社会の一員として健全な社会生活を送るための動機づけを高めさせるなどの指導を行っているところでございます。

金村委員 これはちょっと質問に入れていなかったんですが、矯正局長の中で、例えば高齢者の方が出所して再犯を犯してまた戻ってくる、その中に、要は、社会において、例えば生活保護を受給する方も中にはいるでしょうし、なかなか定職に就けない方もたくさんいる、そういう意味では泣く泣く罪を犯してしまうというような割合は、統計的に見たときにどのぐらいいるとお思いですか。これは、統計を長く見てきた中でどういう印象をお持ちなのか、お答えいただければ。

日笠政府参考人 お答えいたします。

 正確な数字というのはちょっと持ち合わせておりませんのであれなんですけれども、恐らく、先ほどお答え申し上げましたように、やはり困窮、孤立というところの問題というのがすごく大きくて、高齢者につきましては、やはりそういった、社会に帰っても、居場所とか、それから、当然、経済的な問題もありますし、そういった意味で、やはり社会になかなかいづらいというような人が一定数いるだろうなという感覚は持っております。

金村委員 やはり高齢福祉課程というものが必要となっている現状、プラス、受刑者の中でも高齢者の高止まりが近年続いているという中で、福祉的支援が必要な受刑者が高止まりしている現状の中で、刑務官もそういう知識が必要とされている、それそのものもどうなのかというのはもちろん議論はあるんですけれども、そういう状態が続いているという中で、専門家の配置というのは今現状どういう状況なんですか。

日笠政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、高齢受刑者に対する福祉的支援を行う専門家、この一つであります作業療法士でございますけれども、これにつきましては、令和八年度、全国の刑事施設で二十五名が配置されておりまして、機能向上作業などに関与しております。

 この作業療法士が関与している機能向上作業と申しますのは、認知機能や身体機能に低下が認められ、また、受刑期間中にこれらの機能が低下するなどして出所後の自立した社会生活に支障が生じるおそれがある者に対し、作業療法士による定期的な助言や指導を行って、認知機能や身体機能の維持向上を図るものであります。

 具体的な内容といたしましては、手や指の動作性を高め脳の活性化を図るため、折り鶴、ちぎり絵など、認知機能や身体機能のレベルに合わせた作業を反復させております。また、定期的にその作業の成果の評価テストを行って、その結果に基づいて作業療法士が必要な助言、指導を行って、認知機能等の向上を図っているところでございます。

金村委員 何か社会的コストを考えたときに、高齢者の方が、福祉的支援もある刑務所でコストを見るか、それとも孤立しないように社会でケアしていくために結果として生活保護で社会的コストを担うのか、これはどっちがふさわしいかというのは、当然、社会で見るべきだと思うんですけれども、一方で、福祉的支援が手厚くなればなるほど、それは刑務所でもいいかなと思っちゃう高齢者が増えないように、そこがあべこべにならないように、そこは気をつけていただきたいなというふうに認識しています。

 その上で、出所時に社会的支援が必要な人、先ほど来言っていますけれども、刑務所や法務省でのやれる役割と、実際、社会に出た後は自治体だったりがサービスを担うことになると思うんですけれども、出所時にどういった社会的支援をしているのか、教えてください。

日笠政府参考人 お答え申し上げます。

 刑事施設におきましては、高齢等により出所後の支援の必要性が認められる者につきましては、刑執行開始時、最初の段階から、福祉の専門性を有する職員等が福祉的支援のニーズ等に関するアセスメントを行っております。

 その上で、福祉的な支援として、例えば、社会福祉士等の資格を有する福祉専門官を始めとする職員による出所後の社会福祉制度の利用などに関する相談、助言の実施、出所後、円滑に福祉サービスを受けられるようにするための障害者手帳取得に向けた支援、出所後の福祉的支援の必要性の理解や障害受容が難しい受刑者もおりますので、こうした受刑者に対する福祉サービスを受けることへの動機づけを高めるための支援などの取組を実施しております。

 さらに、高齢等により矯正施設出所後の自立が困難と認められる者に対しては、関係機関と緊密な連携を図りながら、釈放後の福祉サービスを調整する特別調整等の福祉的支援も行っているところであります。

 刑事施設内における処遇を社会内の関係機関へと切れ目なくつなげていけるように、連携を強化して、再犯の防止に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

金村委員 やはり、罪を犯せば当然そこには被害者がいるという意味では、再犯防止は徹底しなければならないというのがまず大前提の中で、再犯防止の対象年齢、若い人に対しては再起をしっかり図っていく、一方で、高齢者の皆さんには孤立や困窮をしっかり回避する、そういった支援があって初めて再犯防止につながると思いますので、国を挙げての取組に期待したいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、井戸まさえ君。

井戸委員 国民民主党の井戸まさえです。

 本日は、まず、無戸籍を例に、法務省の広報の在り方について伺います。

 皆様には配付の資料がありますので、それを御覧いただきながらお聞きをいただきたいと思います。

 法務省は、無戸籍問題の解消に向けた啓発活動の一環として、アニメ「秘密結社 鷹の爪」とコラボレーションして、昔話、一寸法師を舞台にした啓発動画を制作、公開しています。公開は二〇二三年三月、本編約五分に加えて、約三十秒と約十五秒のダイジェスト版も制作をされています。この動画では、一寸法師の妻、春姫が再婚であり、その娘、千姫が無戸籍であるという設定が用いられています。

 まず、この動画ですが、どのような制作目的、どのようなターゲットを想定して作成されたのでしょうか。その意図、目的をお伺いをいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の動画は、約五分弱、無戸籍問題や相談窓口について丁寧に御説明をするものでございますが、無戸籍者御本人やその関係者だけでなく、広く一般の方にとっても分かりやすく、かつ興味を引く動画形式によって広報活動を実施することによって、より多くの国民に把握、理解してもらうことを目的として制作したものでございます。

井戸委員 この設定ですよね。千姫といえば、誰もが、徳川と豊臣の政争に翻弄された歴史上の女性として広く知られた名前であること、これは理解すると思うんですね。無戸籍状態にある当事者の多くというのは、制度のはざまで、本人に何の落ち度もないまま戸籍を持てずにいる方々であり、その境遇を翻弄される姫のイメージと自然に重なるようにして、覆面をした一寸法師を父に、コミカルな昔話のパロディーとして描く本動画の設定について、無戸籍当事者及びその支援者から、自身の境遇が娯楽的にパロディーにされている等の強い懸念が届いています。

 しかも、一寸法師と春姫の婚姻が遅れた理由、皆様に配付をしたその資料にもありますけれども、一寸法師が鬼退治に行っていたので婚姻届を出せなかったなどというパロディーの度を超えた設定になっており、深刻な無戸籍問題の説明としては適切性を欠く、ふざけたものと受け止めざるを得ません。

 言うまでもなく、当事者たちは鷹の爪さんやアニメを否定しているわけではありません。むしろ逆で、評価するからこそ、法務省の姿勢が問題なのではないかと指摘されているのです。

 法務省は、本動画、今皆さんに渡しているのはそこから取った絵なんですけれども、この動画を是非終わったら見ていただきたいと思うんです、本動画の企画、制作の際に、こうした表現が当事者の尊厳を損なう可能性についていかなる検討を行ったのでしょうか。当然、法務省が内容については専門ですから作ったのだと思うのですが、なぜこんな内容になったのか、私はそこに強い問題意識を持っています。

 そもそも、本動画の制作や公開に当たり、無戸籍当事者や母、家族、支援団体などに対するヒアリングを行いましたか。お答えください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の動画は、法務省民事局において、入札をした業者からの動画作成の提案に対し、内容の分かりやすさ、視聴した人に不快又は嫌悪の情を催させないものであること、視聴者の興味を引く内容であること等の観点から評価を行い、さらに、落札後においても、落札業者との間で内容の適切さ、分かりやすさ等の観点から検討を重ねて作成したものでございます。

 この動画の制作や公開に当たって、当局において無戸籍の方々などからのヒアリングは実施しておりませんが、仮にヒアリングを行うこととする場合には公平にその対象者を選定することができるかなど困難な点もございまして、この動画の制作時においてヒアリングを実施しなかったことが不適切だったとは考えておりません。

井戸委員 この内容について法務省がある意味オーソライズをして公開をしていたことに、大変強い衝撃を私は当事者の一人として受けました。

 私が、先般、無戸籍者数の統計データの公開について質問した際に、民事局長は、無戸籍者の心情への配慮を踏まえて判断をする必要があるため、慎重な検討が必要とおっしゃったんですよね。今回、私がなぜこの問題を取り上げたかというと、まさに、ここの心情への配慮なんです。

 担当者からも直接、当事者の心情に配慮するために公開は難しいと、そのデータについてのことを説明を受けましたけれども、当事者や支援団体にヒアリングもせずに当事者向けのパロディー的な啓発動画を作っていた。当事者への心情の配慮を理由に客観的な統計データなどの資料の情報公開には物すごい慎重である一方で、当事者に向けたこうした表現については意見などを聴取をしていない、これが法務省の人権啓発の実態であること、もう本当にただただ残念であります。

 更に伺います。

 この動画の制作費はお幾らだったのでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の動画は令和四年度に業者との間で請負契約を締結して作成されたものであり、契約額は三百九十万八千三百円、税込みでございます。

井戸委員 五分の本編の動画その他で三百九十万円。単純計算すると、一分当たり八十万円という単価です。一般的な行政動画や民間制作の動画と比較しても高水準だと思います。

 大臣も委員の方も、ユーチューブ動画、選挙のときなんかも撮られたりすると思うんですけれども、一企画当たり三百九十万円となると、これは三本撮ったら選挙費用の上限を超えるというような水準だと思うんですけれども、大臣、この単価は妥当だとお考えでしょうか。

平口国務大臣 お答えをいたします。

 御指摘の動画は、動画作成業者との間で締結した請負契約に基づいて制作されたものでございます。

 その請負契約に当たっては、一般競争入札を行い、価格の相当性も含めた総合評価により落札者が契約者として決まったものでありまして、制作費は妥当なものと考えております。

井戸委員 私がここで問題にしたいのは、この高い、安いということよりも、その効果なんですね。

 本動画は、公開から三年を経て、本編の再生回数は約四千二百回にとどまっています。一再生当たり約九百三十円、公費を投じた計算なんですけれども。

 一方で、同じ鷹の爪さんのコラボでも、SNSを駆使した総務省の「#NoHeartNoSNS大作戦」では、二〇二二年度にユーチューブ広告だけでも百三十万件の視聴を獲得しており、本件の到達率は突出して低いのは明らかだと思います。

 再生回数には私や支援者、当事者が余りの衝撃に問題意識を持ってそれぞれ十回以上は見ている分も入っていますので、閲覧数は実際もっと低いと思うんです。つまり、実質的な到達は更に限定的であると思います。ニーズに合っていないんだと思うんですね。

 この三年間で四千二百回という再生実績を、本動画の当初の目的を達成したものと評価されますか。大臣の御見解を伺います。

平口国務大臣 お答えをいたします。

 御指摘の動画は、無戸籍問題や相談窓口について、無戸籍者やその関係者だけでなく、広く一般の方を含めたより多くの国民の方々に把握、理解してもらうことを目的として制作したものでございます。

 本動画の再生回数は月当たり平均約百十五回でございまして、現在の無戸籍者把握数が約六百六十人であることを考えますと、無戸籍関係者に対する広報動画として再生回数が少な過ぎるという評価は当たらないと考えております。

 他方で、さきに述べたとおり、広く一般の方を含めた国民への周知という意味では、必ずしも多くの方々に御覧いただけていないというふうには考えております。

 委員の問題意識を踏まえつつ、無戸籍問題の解消に向けた効果的な周知、広報の在り方について引き続き検討してまいりたいと考えております。

井戸委員 目的は当事者に対しては届いているというような認識であられるというのを今ちょっとお伺いをしましたけれども、いずれにせよ、じゃ、それというのはデータでちゃんと証明されているんでしょうか。この動画を見て窓口に相談に行くとかという方たちが何人いたか、このデータは取っているんでしょうか。

 無戸籍問題は、戸籍がないことで、進学とか就労、医療、住居契約、人生のあらゆる場面で具体的に不利益が生じているわけです。極めて深刻な問題なんです。

 求められるのは、こうやって、窓口に行ってもちろん戸籍を取るということもあるんだけれども、そこのところで、動画を見て何かその手続を知るということ、もちろんそれはあるんだけれども、三百九十万円という公費を投じるのであれば、民事法律扶助、先ほども法テラスの話がありました、法テラスも含めてですけれども、また、当事者団体の直接の助成だとか、相談窓口の人員強化、自治体窓口の担当者向けの研修教材の整備など、より直接的で実効性のある施策に充てることも可能だったわけです。

 そこで、民事局長に伺います。

 この動画による無戸籍解消に向けた認知向上効果と実際の相談件数の増加との因果関係を示すデータを、法務省は保有されているんでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省としては、無戸籍問題への認知向上や無戸籍解消を目的として、御指摘の動画を含めた複数の動画の作成のほか、リーフレットやポスターの作成等の様々な広報活動を実施しているところでございます。

 もっとも、それぞれの広報活動がどの程度無戸籍問題への認知向上や相談件数の増加に逐一つながったのか、その因果関係を定量的に把握することは困難でございまして、そのようなデータも保有しておりません。

 いずれにしても、様々な境遇に置かれた無戸籍の方々に対しどのような広報を行うのが有効であるかについては、引き続きしっかり検討し、無戸籍問題の認知向上や無戸籍解消に向けた効果的かつ適切な広報活動に取り組んでまいりたいと考えております。

井戸委員 ちなみに、先ほどの百三十万件の再生をした総務省の方は、同じ鷹の爪コラボをしたんですけれども、検証結果をしっかり公表しています。つまりは、鷹の爪さんの力をまさにこれは活用して生かしているということだと思うんですよ。せっかく鷹の爪さんの動画をやるのだったらば、この内容で四千二百件はちょっとあり得ないぐらい効果が薄かったということになると思うので、これは検討をちゃんとしていかないといけないと思っています。

 整理しますと、本動画は、届くべき当事者には届かず、届いた当事者を傷つけた。啓発活動として二重に失敗したと評価せざるを得ない状況です。無戸籍問題に、当事者に関わった私としても大変なショックを受けたわけですけれども、当事者、支援する弁護士、司法書士からも、やゆであるだとか、当事者や家族の置かれた環境とのギャップが大き過ぎて見るに堪えない、中身がすかすかで、誰に向けた、何の目的か分からないとの声が届いています。

 人権救済を所管する法務省としては看過できる事案でないと思います。なので、当事者参画が不十分である、効果検証もない、到達率も低い、当事者を傷つけた声もあるというような状況、これは啓発活動として極めて問題が大きいと考えています。

 また、当事者たち、手続を知りたいということだった場合は、この動画は、自分と例えば千姫を重ねるとか、一寸法師を同一化して見るなんてことは、そうして無戸籍の問題の解決に動き出そうというようなことを考える方というのはいらっしゃらないと思うんです。ユーチューブもほかにも何本も上がっているのは私も承知をしておりますけれども、一般的には、その再生回数が、無戸籍当事者たちへのアンケートやヒアリングでどれほど効果的だったのかを検証して、次の制作に生かしていくのだと思います。検証はしていないということだったんですけれども。

 そこで、大臣に伺いたいと思います。

 こうした動画について、取下げも含めて公開継続の妥当性を再検討するお考えはありますでしょうか。特に社会的に脆弱な立場にある当事者を対象とする広報、これは、無戸籍問題だけではなくて、それこそ離婚後の共同親権だとか、民事局が担当するものというのはそのほかにもたくさんあると思うんです、DVを受けたケースもそうです。そうしたことについての広報について、当事者参画と事前検証、事後評価というのを制度的に担保する、当事者の尊厳を守るための広報ガイドラインを作成すべきだと考えますが、大臣、そのお考えはありますでしょうか。

平口国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の動画は、広く国民に無戸籍問題を認識していただくために作成したものでございます。

 御指摘の動画に人権上の問題があるとは考えておりませんが、委員の御指摘のような見方があることも踏まえ、無戸籍者解消に向けた今後の広報の在り方について引き続き検討していきたいと思っております。

 なお、事後検証等のガイドラインの作成についてでございますけれども、個々の施策についての具体的な広報の在り方については各施策に応じて個別に検討する必要があり、御指摘のようなガイドラインの策定については慎重に検討する必要があると思いますが、よりよい広報ができるように不断の努力をしていきたいと考えております。

井戸委員 是非不断の努力をお願いしたいと思います。

 本件は、単なる無戸籍だけの問題じゃないんですね。法務省の人権啓発の在り方、予算に関する向き合い方、そして広報の在り方そのものが問われている事案であると思うので、是非善処をお願いしたいと思います。また次のときにも同じような観点で質問していきたいと思います。

 時間が迫ってきましたので、次の質問に行きたいと思います。

 こちらも前回に引き続き、旧氏の法制化と選択的夫婦別氏の問題について伺いたいと思います。

 前回も申し上げましたけれども、今回の旧姓の使用の法制化の核心というのは、なぜ住民票なのか、もっと言えば、なぜ戸籍ではないのかです。利便性の向上の問題だから住民票でいい、戸籍はいじらないという説明なんですけれども、それは逆に戸籍制度の形骸化を進めることにはならないでしょうか。

 最初、氏とは何かということを法務大臣に伺おうと思ったんですけれども、時間の関係上それは割愛させていただいて、民事局長に、これまで旧氏について法制化をした例、若しくは通称を法制化した例というのがあるかどうか、お尋ねをさせていただきます。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省が所管する制度で旧氏の法制化の例としては、昭和五十一年の民法改正により導入された婚氏続称制度が挙げられます。

 婚氏続称制度は、婚姻前の氏に復した夫又は妻が離婚の日から三か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって離婚の際に称していた氏を称することができるとするものでございます。

井戸委員 そのとおりですよね。旧姓の法制化というのはもう前例があるんですよ。住民票でやらなくても、民法と戸籍法でやってきたじゃないですか。

 更に言えば、通称の方はどうなんですか。国際結婚で通称を戸籍に書き込んでいる、これは違いますか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの通称の法制化の意味するところが明らかでないため、お答えが困難でございますけれども、御指摘の、日本人が外国人と婚姻した場合における氏の変更の制度は、昭和五十九年の戸籍法改正により導入されているところでございます。

井戸委員 そうなんですよ。導入されているんですよ。

 重要なのは、こうした制度はいずれも利便性の向上のための制度、まさに今回、住民票で、利便性の向上だから住民票と言っているんだけれども、そうしたことも、過去には、政府は住民票でなくて戸籍制度の中で対応してきているんです。

 驚きなのは、この氏のどちらも、民法上の氏、つまりは身分上の関係を示す氏ではないということなんです。民法上の氏は別にあるのに、いわゆる旧氏そして通称といったあだ名のようなものを戸籍上に書き込んでいるものなんです。民法上の氏は別にあるけれども、それは戸籍のどこを見ても表面には書いていないんです。過去のを見れば分かるんだけれども、表面に書かれていない。それには気づかない当事者がほとんどだと思うんです。戸籍制度を守れという方々も大抵は知らない事実だと思うんですね。それでも氏を戸籍に書き込む、それが日本の戸籍制度の基本である。

 婚氏続称のときは、稲葉修法務大臣、皆さんも覚えていらっしゃる方がいらっしゃるかもしれないですけれども、保守派で有名な方だったんです。この方が、こうした、イレギュラーでもありながらも、戸籍制度存続のために、まさに戸籍に氏を書き込むということをこれまでの内閣は一貫してやってきたということなんです。多少制度が複雑になっても、氏は戸籍で扱うという原則を維持してきました。

 特に、婚氏続称制度は、二〇二四年度の戸籍統計では、四二%の方、離婚後ですよ、四二・八九%の人が利用しているんです。こうして五十年間、ちょうど五十年前の一九七六年ですから、六月にこの婚氏続称というのが成立して今年で五十年なわけです。ある種、こうした制度が五十年間も制度的に不具合もなく運用されているんですね。

 それで、法務省はなぜ、この婚氏続称の応用である制度、私に言わせると旧氏続称というんですけれども、それを採用せずに、あえて住民票でやるんでしょうか。民事局長に、何でわざわざあえて住民票でやられるのかということをお答えをいただきたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在政府において検討中の旧氏使用の法制化は、婚姻等による氏の変更によって社会生活で不便や不利益を感ずる方を更に減らすことができるよう、旧氏使用の拡大の取組をより一層進めるというものでございまして、既に住民基本台帳に旧氏が記載され、利用されているため、これを活用することを想定しているものと承知しております。

 御指摘のような旧氏を戸籍に記載するような制度は、民法が定める夫婦の氏の在り方に関わり得るものであるところ、そのような夫婦の氏の在り方については、国民の間になお様々な意見があることから、国民各層の意見、国会における御議論を踏まえて検討する必要があると考えております。

井戸委員 でも、これは本当に、法制審議会から三十年もたっている。そして、やりようによっては、こうした様々な、国民の間に議論があることも承知をしていますけれども、そうしたいろいろなやり方があるということを徹底して共有をしていかなければいけないと思うんです。ところが、法務省さんの今の御答弁もそうですけれども、なかなか戸籍制度とこの氏の話というのがリンクをしてこない。

 最後に、大臣に伺います。

 氏は戸籍で扱う、これが近代戸籍制度の基本原則である、その理解でよろしいでしょうか。また、氏に関する制度改正について、戸籍制度の対応を回避することはこれまでの政府方針の大きな転換であるという御認識はあるでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

平口国務大臣 お答えいたします。

 現行の戸籍は、一組の夫婦及びこれと氏を同じくする子が編製単位とされておりまして、日本国民の出生、婚姻、死亡等の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿でございます。

 旧氏使用の法制化は、このような現行の戸籍制度を前提としつつ、これまで二十年以上にわたり政府が進めてきた旧氏使用の拡大の取組を一層進めるものでございます。その検討に当たっては、既に住民基本台帳に旧氏が記載され、利用されているため、これを活用することを想定しているものと承知をいたしております。

 したがいまして、旧氏使用の法制化がこれまでの方針を変えるものであるとの御指摘は当たらないというふうに考えております。

井戸委員 旧氏使用を、今、民法でももうやっていると言ったじゃないですか。わざわざ住民票でそれをということは、今の答弁はやはり矛盾があると思います。

 また次に引き続きお尋ねをしていきたいと思います。終わります。

井上委員長 次に、臼木秀剛君。

臼木委員 国民民主党・無所属クラブの臼木秀剛と申します。

 今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今日は、いわゆるスラップ訴訟というものについて、法務省、それから消費者庁の方にお聞きをしたいと思います。

 我が国では定義がない言葉ですので、少しだけ説明をさせていただければ、一九八〇年代後半のアメリカで、法学者、社会学者の共同研究で生まれた概念であります。ストラテジック・ロースーツ・アゲンスト・パブリック・パティシペーション、これのそれぞれ頭文字を取って、SLAPPでスラップということで、日本語で直訳すれば、市民参加に対する戦略的訴訟ということになりますが、日本の、我が国の中では、しばしば恫喝訴訟とか口封じ訴訟というふうにも言われています。

 このネーミングが、平手打ちを意味するスラップ、slapですね、これと同音にしたことでキャッチコピー的な意味も持って認知も広がっていったとされ、米国では三十を超える州で反スラップ法、スラップ被害防止法などが整備され、二〇二二年には連邦議会にスラップからの保護法が提出されています。

 また、EUを始め諸外国でもこの動きは広がっていますが、先ほども少しお話をしたとおり、我が国では、時折、報道でも取り上げられるようにはなってきていますが、明確な定義がなければ、また、訴訟制度改正の議論においてもなかなか話題にはなってはきていません。

 そこで、まず、政府に対して御質問させていただきますが、そもそも、スラップ訴訟というものについてどのような認識であられるか。また、海外では法規制も既に導入はされていますが、これはなぜそもそもこういうものが、規制が海外でされているのかという基本的な認識についてお答えをいただけますでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるスラップ訴訟については明確に定義されておりませんが、一般に、公共の関心事に係る意見の表明等の行動をした者に対し、抑圧、萎縮、報復などの効果を狙って戦略的に提起された訴えに係る訴訟等と理解されております。

 御指摘のとおり、例えばアメリカの複数の州においては、いわゆるスラップ訴訟について、一定の規制を行う法律を制定しているものと承知しています。アメリカの複数の州でこのような規制がされた背景等について、法務省において網羅的に把握しているわけではございませんが、いわゆるスラップ訴訟においては、相手方に応訴の負担を強いることにより、公共の関心事に係る表現の自由を萎縮させるおそれや、経済的、精神的負担を余儀なくさせるといった問題があることから、こうした問題に対応するために講じられたものと考えられます。

 他方で、裁判を受ける権利を重視する観点から、このような法律の制定に消極的である州も複数あると承知をしています。

臼木委員 ありがとうございます。

 私も同じ認識でありまして、先ほどありました、意見表明をさせにくくする、また、金銭的、様々な負担を訴訟を提起されますと強いられますので、こういうことを目的として、本来の訴訟の目的とは違う目的での訴訟提起がされるということで、大きな問題になっているということだと思います。

 ただ一方で、米国においても我が国においても、訴訟を受ける権利というものは保障はされていますので、これとの均衡、また調整が必要になってくるというところも全くおっしゃるとおりだと思います。

 当然、我が国でも、スラップ訴訟と呼ぶか、分類するかどうかは別として、こういった本来の訴訟の目的である権利確定や真実の解明を目的としないような、いわゆる口封じとか抑圧を主たる目的とするような提訴は、これは実際に過去にあったと承知はしています。その際、司法はどのような対応がされてきたのかということについても御説明いただいてよろしいでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのような訴えの提起に対する対応は、事案ごとに裁判所が判断する事柄ではございますが、一般論としてお答えすれば、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときは不法行為に該当し、損害賠償責任が生じ得るとした判例がございます。

 また、訴えの提起が著しく信義に反し、訴権を濫用する不適法なものであるとして、訴えを却下した判例もございます。

臼木委員 ありがとうございます。

 今ほどありましたとおり、裁判の提訴自体が著しく目的を欠く場合には不法行為に当たるということですので、これは一般論でのお答えにはなると思いますけれども、いわゆるスラップ訴訟と呼ぶかどうかは別としてですが、こういった、相手の意見表明を抑圧したり、また相手に嫌がらせをするような目的で行われた訴訟に対しては不法行為も成立し得るということですから、これは当然、訴えられた側からは、損害賠償請求等の反訴も可能であるという理解でよろしいのか。ちょっとこの点もお答えをいただくことは可能でしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 反訴には、民事訴訟法上、反訴の要件というものがございますけれども、その要件を満たす場合であればそのようなこともあり得るかと考えます。

臼木委員 ありがとうございます。

 明確な定義はないけれども、実務上、様々な形で処理はされてはきているということではありますが、やはり、一般の方と言うとあれですけれども、突然、民事訴訟を提起されて、そして、我が国の民事訴訟においては、基本的には、被告、それから訴訟物も、どのような形で選ぶかは訴える側の自由に設定をされますので、突然、訴訟の場に、引きずり出されるという言葉が正しいかどうか分かりませんが、訴訟の場に出ていかなければいけなくなり、また、応訴をしなければ原告の主張が認められる可能性が非常に高いわけですから、こういった心理的な負担、精神的な負担、また時間的にも金銭的にも様々な負担を負いかねないという、これはある意味、司法、裁判制度の濫用、悪用というようなところの指摘もありますので、何らかの対応は必要ではないかと思います。

 また、今ほど、ずっと司法上の処理がされてきたということがありましたけれども、我が国でも、これに近い考え方が入れられた法制度がないわけではないと思います。例えば、公益通報者保護法の七条では、事業者は、公益通報によって損害を受けたことを理由として、公益通報者に対して賠償を請求することができないという規定が入れられていますので、これは公益通報による保護法益が訴訟を受ける権利よりも優先されるんだろうということで規定されているものだと思っています。

 ただ、近年、この公益通報者保護法の七条があっても、いわゆるスラップ的といいますか、嫌がらせであったり、公益通報を抑圧するような、また通報者を孤立させるような目的を持って訴訟提起がされることも見られており、これもまた報道等でも指摘され、問題となっています。

 消費者庁には今日お越しをいただいておりますが、この公益通報者保護法七条、先ほど少し読みましたが、公益通報によって損害を受けたことを理由としては訴訟提起はできませんが、それ以外のことで訴訟提起をすることも、実務上といいますか、実態上あるわけですので、この公益通報者保護法七条の限界について消費者庁としてどのように考えているか、御説明いただけますでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 公益通報者保護法でございますけれども、現行法第七条でございますが、「公益通報によって損害を受けたことを理由として、当該公益通報をした公益通報者に対して、賠償を請求することができない。」と規定されている、これは委員御指摘のとおりでございます。

 これにつきまして、令和七年改正でございますけれども、この中におきまして、公益通報者を特定することを目的とする行為というのも禁止されております。通報者探索を行った場合には不法行為に該当することとなりまして、例えば、民事裁判での敗訴につながり得る、あるいは、その役員などが株主から経営責任を追及され得るなど、報復としての訴訟を行おうとする事業者に対する牽制効果が働くものとも考えられます。

 さらに、通報妨害行為というものが禁止されておりまして、事業者が公益通報を行おうとしている者に対して報復としての訴訟をほのめかした場合にも不法行為となって、同様の牽制効果が働くものと考えております。

 このように、公益通報者の保護を強化しているところではございますけれども、消費者庁といたしましては、一層の公益通報者保護の観点から、令和七年改正法の内容を含めまして、必要な周知に引き続き努めるとともに、公益通報に関する訴訟の実態についても十分に把握、注視してまいりたいと考えております。

臼木委員 ありがとうございます。

 昨年ですかね、法改正が行われ、今年の十二月一日からまた、内閣府の方でですかね、必要な指針というもの、これが動いていくものと思っていますけれども、先ほど御説明いただきましたが、探索行為は禁止をされる、また通報を妨害することも禁止をされるということですが、これは別に、特段こういうことをしなくても、たまたま知った、又は知り得たことにより訴訟を提起すること、これ自体が妨げられるわけではありませんし、実際、今見てみれば、そもそも公益通報に当たらないんだということで訴訟を提起をすることは、これは元々認められるし、これからも変わりません。

 また、通報自体ではなくて、例えば、それに関連して、守秘義務違反であるとか、民事上の名誉毀損であって不法行為に当たるんだということで、これもまた民事の訴えを提起することは妨げられないということは、これはうなずいておられるのでそうだと思います。

 この点、EUの公益通報者保護指令でいえば、公益通報を行ったことによる免責と訴訟却下を求める権利を通報者側には認める一方で、いわゆる濫用的通報に対しては罰則の規定を入れるということで、それぞれ、通報者にも、また通報される側にも更なる抑止を入れているということで、当然、それぞれに権利があるわけですし、それぞれの主張がありますが、節度を持ってといいますか、当然、社会的なルールに従って、それぞれ権利を行使する際にはきちんと責任を持って権利行使をしろという規定を入れるべきであろうということが、このEUの公益通報者保護指令では入っています。

 一歩進んで、我が国においても、こういった、それぞれ、当然、公益通報を行ったことによる通報者への権利行使についての保障を入れる一方、きちんと、何か自分で意図的に、故意で、また濫用的になるような場合についての抑止規定も入れる、こういうことがやはり権利の対立がある場合には入れていく必要があるのではないかと思いますが、改正をしたばかりですので、まだ先の議論にはなりますが、この考え方について、消費者庁の方からお考えを伺ってよろしいでしょうか。

古川大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の、報復からの保護措置や罰則等について定めているEU公益通報者保護指令の内容については承知しております。

 先ほど政府参考人からお答えしたとおり、まず、損害賠償請求からの通報者の保護という観点では、公益通報者保護法では、「公益通報によって損害を受けたことを理由として、当該公益通報をした公益通報者に対して、賠償を請求することができない。」と規定されており、EU公益通報者保護指令と軌を一にするものと考えております。

 また、令和七年の改正においては、近年の事業者の公益通報への対応状況及び公益通報者の保護をめぐる国内外の動向に鑑み、有識者による検討会を経て、公益通報をしたことを理由とする解雇又は懲戒に対して刑事罰を新設するなど、通報者の保護の強化を図ったところです。

 いずれにいたしましても、消費者庁としては、まず、本年十二月一日の法改正の施行に向けた取組を着実に進めるとともに、通報者保護の強化に関しては、御指摘のEU公益通報者保護指令を含めた諸外国の事例、裁判例等の立法事実の蓄積状況等を把握するとともに、注視してまいります。

臼木委員 ありがとうございます。

 まずは、今年十二月から始まりますが、こういった指針を基に実態も調査をしていただきたいと思いますが、最初に話をさせていただいたスラップというものについては、民事訴訟が、訴訟を受ける権利だからといって、当然提起はできるんですが、その場にやはり引きずり出す、何度もちょっと言葉選びを自分で考えなきゃいけないんですが、引きずり出してくることを目的としてやっているわけですから、要は、訴える側とすれば、高額な賠償金、損害賠償請求をするという、それでもう目的はほぼ達せられているということですので、これも、公益通報の本来の目的からすれば、なるべく訴訟の場に出さないようにするということをやはり考えていく必要があると思いますし、今日質問したスラップ訴訟についても、全般についても同じだと思います。

 これは、日本国憲法の三十二条が定める裁判を受ける権利と、表現の自由、憲法二十一条などの基本的人権がまさに真っ正面から衝突しているということだと思います。

 何度も先ほどからお話をしていますが、我が国の民事訴訟では、被告も訴訟物も、まずは原告が自由に設定して提訴することができますし、提訴されれば被告は応訴しなきゃいけない、金銭、時間的、精神的、肉体的疲労、様々なコストを負いますし、また、今、訴訟が、当然、時間がかかりますので、こういうことがこれから減ることは恐らくないんだろうと思います。これから増えていくことについては、司法への信頼を確保していくことを損なうことにもなると思いますし、また、限られた司法資源ですね、裁判所、またそこで働く皆様方の司法資源の浪費を防ぐという観点からも、やはりこれは少し我が国としても前向きに検討していかなければいけないのではないかと思います。

 そういう意味でも、スラップ訴訟と呼ぶかどうかは別として、こういったいわゆるスラップ訴訟というものを、これをなるべく起こさないような仕組みというものを入れていく議論というのが、これからこの国会においても是非やっていくべきであろうと思いますし、是非やっていただきたいと思います。

 具体的には何があるのかといえば、先ほどもお話ししましたが、裁判を受ける権利ですので、当然、裁判をするなということはできないでしょうから、そもそもがスラップ訴訟をなるべく起こさせないような仕組みを入れる。

 例えば、先ほどありました、実務上、訴権の濫用による訴えの却下ということがこれは下級審で認められていますが、特定の訴訟類型において、これはスラップであるという抗弁を入れれば、早めに先にスラップであるかどうかを審議して、場合によっては棄却、却下ということを早めに手続的にやっていくということであったり、また、これは弁護士費用の負担についても、特定の訴訟では認められていますが、一般民事訴訟においては、弁護士費用というのは原告、被告それぞれが負担することになっていますので、いわゆる片面的敗訴者負担制度というものですね、スラップであれば弁護士費用負担分の裁定をしていくとか、こういう様々な、提訴されたとしても金銭や時間の浪費を最小限にとどめる仕組みを入れることもできると思います。

 こういった、これは海外で、特にアメリカではもう既に数十年の運用もありますし、こういうことも参考にしながら、我が国においてもスラップ訴訟に対しての法整備であったり制度の整備ということをやっていくべきではないかと思いますが、最後、大臣の決意や思いも含めて御答弁をいただけますでしょうか。

平口国務大臣 お答えをいたします。

 憲法で保障された表現の自由等を保護する観点から、いわゆるスラップ訴訟について法規制を求める声があることは承知をいたしております。

 表現の自由の保護は極めて重要でございますが、他方で、裁判所において裁判を受ける権利も憲法で保障された重要な権利でございます。そのため、訴えの提起に何らかの制約を設けることについては極めて慎重な検討が必要であると認識しております。

臼木委員 ありがとうございます。

 ちょっと残念な御答弁だったなと思いますが、裁判を受ける権利の裁判というのは、これは当然、適正な権利に基づく、裁判の本来の目的である真相の解明また権利の確定、これを行うこと、それを求める権利があるということですので、濫用的に制度を使うものまで保護に値するかということは、これは十分検討に値すると思います。

 先ほどもお話をさせていただいたとおり、これは、表現の自由との対立の中でどちらを優先していくかということは、時代が変わる中で真剣に議論していかなきゃいけないことだと思いますので、また機会があれば是非質問や議論にも関わっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

井上委員長 次に、和田政宗君。

和田(政)委員 参政党の和田政宗です。

 今日は、名護市辺野古のボート転覆死亡事故と、業務上過失致死傷罪の量刑についての課題提起の観点から質問をしていきます。

 この辺野古沖のボート転覆死亡事故は、前途有望な女子高校生がお亡くなりになり、ボート二そうのうち一そうの船長も亡くなりました。波浪注意報の中での出航、そして、転覆後、生徒の安否確認、人数点呼が行われたのかなど、様々な疑問が呈されています。

 海上保安庁に聞きます。

 現在、どのような容疑で捜査を行っているのでしょうか。

山戸政府参考人 お答えいたします。

 今般の辺野古沖の転覆事故につきましては、事故発生直後から、現場の状況確認や関係者からの聞き取りを行うなど、沖縄県に所在します中城海上保安部において業務上過失致死傷等の容疑で捜査をしております。

 海上保安庁といたしましては、引き続き、法と証拠に基づき、捜査に全力を尽くしてまいります。

和田(政)委員 報道等によりますと、ボート転覆後に、船長は、生徒の安否確認、人数点呼を行っていないのではないかとの疑問が呈されています。

 国土交通省の小型船舶の航行の安全に関する教則によれば、転覆時に取るべき処置はどうなっているでしょうか。

足立政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、小型船舶の船長が習得すべき知識及び技能を取りまとめた小型船舶の航行の安全に関する教則を策定しており、国家試験の出題及び登録小型船舶教習所で使用される教本の基礎となっております。

 本教則におきましては、転覆などの事故が起きたときの小型船舶の船長の対応として、落水した者がいるか、けが人はいるか、けがの程度など、人の安全確認を第一に行うこと、救助が必要な場合には、通信手段又は遭難信号を使用し、救助を求めること、事故を目撃したり事故を知ったりした場合には、自身の安全を確保した上で救助に向かうことなどを規定しており、適切な対応を行うことを求めております。

 以上でございます。

和田(政)委員 答弁にありますように、まずは安否確認なんですね、人が取り残されていないか、また、どういう状況かということなんですけれども、これは、もし今回の事故で安否確認を行っていないとすれば、命を守るという運航上の責任を果たしていません。

 大人がいて子供の命が失われるということは、これはあってはなりません。まず子供の命を守る、そして全員がいるのかということを確認をするというごく当たり前の行為が果たして行われていたのかどうか、しっかりと海上保安庁においては厳正な捜査をしていただければというふうに思います。

 この辺野古沖のボート転覆死亡事故においては、今答弁にありましたように、海上保安庁は、現在、業務上過失致死傷罪で捜査が行われているということでありますけれども、業務上過失致死傷罪はどのような罪で、その法定刑はどうなっているか、法務省、答弁願います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 刑法二百十一条に規定する業務上過失致死傷罪は、業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合に成立する罪でございまして、その法定刑は五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金とされているところでございます。

和田(政)委員 業務上過失致死傷罪は五年以下の拘禁刑ということであります。

 この業務上過失致死傷罪等で捜査が行われているということでありますけれども、船舶事故においては業務上過失往来危険罪についても捜査が行われることが多く、今回の辺野古沖のボート転覆死亡事故においては、メディア各社も、業務上過失往来危険罪についても捜査が行われていると海上保安庁への取材を基に報道しております。

 業務上過失往来危険罪はどのような罪で、その法定刑はどうなっているでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 刑法百二十九条第二項に規定する業務上過失往来危険罪は、電車や船舶等の往来に関する業務に従事する者が、過失により、それらの往来の危険を生じさせた場合や、電車や船舶等を転覆させるなどした場合に成立し、その法定刑は三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金とされているところでございます。

和田(政)委員 三年以下の拘禁刑ということなんですね。

 業務上過失致死傷罪が五年以下の拘禁刑、業務上過失往来危険罪が三年以下の拘禁刑ということでありますが、この二つの罪の量刑は合算されることはあるんでしょうか。

佐藤政府参考人 合算されるかどうかということで、犯罪の成否の関係は証拠によって判断される事柄ではございますけれども、一般論として申し上げますと、業務上過失致死傷罪と業務上過失往来危険罪とがいわゆる観念的競合として科刑上一罪となる場合、すなわち一個の行為で二個の罪名に触れると認められる場合には、法定刑の重い業務上過失致死傷罪の法定刑の上限である拘禁刑五年が処断刑の上限になるということでございます。

和田(政)委員 答弁にありますように、五年と三年が足されるわけじゃないんですね。

 業務上過失致死傷罪の五年というものが最高刑になるわけでありますけれども、例えば、小型船舶では、乗客が船長や運航管理者に身を預ける形で乗船をいたします。いざ転覆や沈没をしてしまいますと即座に命の危険につながり、北海道知床の小型観光船沈没事故では二十六人の乗員乗客が死亡、行方不明となっておりますけれども、最高刑は五年の拘禁刑となります。

 そこで、お聞きをいたしますけれども、自動車運転における過失運転致死傷罪はどのような罪で、その法定刑はどうなっているでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の第五条に規定する過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合に成立するものでございまして、その法定刑は七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金とされているところでございます。

和田(政)委員 七年以下なんですね。

 では、お聞きをいたしますけれども、この過失運転致死傷罪、創設当時は自動車運転過失致死傷罪でしたけれども、これはなぜ創設されたんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、時系列的に御説明いたしますと、平成十九年の刑法改正以前は、自動車運転による過失致死傷罪については、先ほどの、法定刑が五年以下の懲役、禁錮、百万円以下の罰金である業務上過失致死傷罪が適用されていたところでございます。

 しかしながら、自動車運転による死傷事故として、危険運転致死傷罪には該当しないものの、飲酒運転中などの悪質かつ危険な運転行為によるもの、あるいは多数の死傷者が出るなどの重大な結果が生じるものが少なからず発生しており、そのような死傷事故に対し罰則の強化を求める意見が見られるようになったこと、加えて、自動車運転による業務上過失致死傷罪について法定刑や処断刑の上限近くで量刑がなされる事案が増加し、事案の実態に即した適正な科刑の実現を可能とする必要があったことなどから、平成十九年の刑法改正において、自動車運転による過失致死傷事犯を対象として自動車運転過失致死傷罪を新設し、法定刑を業務上過失致死傷罪よりも重い七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金とすることとされたものでございます。

 その後、自動車運転過失致死傷罪の規定は刑法から平成二十五年に制定された自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に移されまして、罪名も過失運転致死傷罪に変更されたということでございます。

和田(政)委員 更にお聞きをしますけれども、この過失運転致死傷罪より最高刑が重い危険運転致死傷罪は、これはなぜ創設されたんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 危険運転致死傷罪は平成十三年の刑法改正により創設されたものでございますけれども、それ以前は、飲酒運転や著しい高速度運転などの悪質かつ危険な自動車の運転行為による死傷事犯につきましても、不注意な運転行為によるものとして業務上過失致死傷罪により処罰されていたところでございます。

 しかしながら、この罪は、これらの事犯の悪質性や重大性に的確に対応するものではなく、被害者やその御遺族を始め広く国民の間にも、過失犯として処罰されることに対する疑問の声、あるいは刑が軽過ぎるなどとして罰則の整備を求める声が高まったことから、故意に悪質かつ危険な運転行為を行い、その結果人を死傷させた場合には、暴行により人を死傷させた者に準じた処罰を可能とするため、平成十三年の刑法改正によりまして危険運転致死傷罪が新設されたものでございます。

和田(政)委員 この答弁にありますように、自動車運転においては、事故を起こしたときの重大な結果に鑑みて、刑罰の新たな整備ですとか、最高刑が引き上げられているんですよね。

 先ほど小型船舶の例を出しましたけれども、ほかにも乗客等が運転者や運航管理者に身を預ける状態のものがあり、事故が起きると即座に命の危険につながるものがあります。それを業務上過失致死傷罪で一くくりにしておいてよいのかという問題提起をしたいというふうに思います。身を預けて例えば船に乗ったところ、運転者や運航管理者が必要な注意義務を果たさずに乗客を死亡させたというときでも、最高刑は五年なのですね。

 辺野古のボートの転覆死亡事故においては、本当に前途有望な女子高生がお亡くなりになった、また、知床の小型観光船の事故においては、二十六人の方が行方不明また死亡なさっている、こういうような状況がある中で、最高刑五年がどうなのかという意見は、実は私のところにも寄せられておりますし、こういった疑問の声を聞きます。

 法務大臣にお聞きをいたします。

 量刑の見直しをしたり新たな罪を創設する際には、法務大臣が法制審に諮問をして答申を受けた上で法改正案を提出するという手順だと認識をしておりますけれども、法務大臣はどのような判断の下、諮問を行うのでしょうか。

平口国務大臣 お答えいたします。

 法制審議会は、法務大臣の諮問に応じて、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項を調査審議する機関でございます。

 例えば、罰則の新設や法定刑の改正については、一般に、社会犯罪情勢の変化や既存の法令の適用状況等を総合的に考慮して、法改正の検討の要否を判断することになると考えております。そして、法改正の検討の必要性が認められる場合において、法制審議会に諮問するか否かについては、一般に、対象となる法律の性質、検討すべき改正の内容、程度等を総合的に考慮して判断することになるものと考えております。

和田(政)委員 御答弁は、社会犯罪情勢の変化、また世論の高まり等がその判断基準になるということの内容だったというふうに思いますけれども、このようなボート転覆死亡事故が起きた中で、まず、今回、課題提起をさせていただいて、引き続き法務委員会で取り上げていきたいというふうに考えます。

 そして、辺野古のボート転覆死亡事故について述べますと、私は、この事故現場から二、三キロの距離のところで小型船で釣りをしたことがあります。そのときは波浪注意報は出ておりませんでしたが、波がそれなりに高く、私は船が転覆するのではないかと不安になりまして、時間を切り上げて港に戻ってもらったことを記憶をしております。

 今回の辺野古のボート転覆死亡事故においては波浪注意報が出ておりました。波浪注意報が出ている中、高校生を乗せて出航するというのは、そもそもあの海域では危ないという地元の方の声があります。

 そして、高校生たちが乗ったボートは基地反対運動をする人たちの船でした。沖縄の基地反対運動においては、傷害、暴行、器物損壊、威力業務妨害等で多くの逮捕者を出しています。

 警察庁に聞きます。

 近年の沖縄の基地反対運動における逮捕者数とその内訳はどうなっているでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。

 キャンプ・シュワブ及び米軍北部訓練場周辺での抗議行動に関連し、平成二十七年以降、沖縄県警察において八十九件、延べ百十人を逮捕したものと承知をしております。

 その内訳につきましては、主なものといたしましては、公務執行妨害事件で四十一件、延べ四十一人、道路交通法違反事件で二十四件、延べ二十六人、刑事特別法違反事件で九件、延べ十九人であると承知をいたしております。

和田(政)委員 警察庁からいただいた資料ですと、平成二十七年以降、沖縄県警察が逮捕した者が延べ百十人で、外国籍の者五人もいるということであります。このうち、沖縄県民以外の逮捕者数というのはどうなっているでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。

 キャンプ・シュワブ及び米軍北部訓練場周辺での抗議行動に関連し、平成二十七年以降、沖縄県警察が逮捕した者として、先ほどお答えした百十人のうち、外国籍の者がお尋ねのとおり五人、このほか、逮捕当時、沖縄県外を住所地とする者が延べ二十三人と承知をしております。

和田(政)委員 沖縄県外の人が二十三人入っているということで、計算しますと、四人から五人にかけて一人が沖縄県外の人ということなんですけれども、これは逮捕者ですね。

 私は、実は、平成二十八年、二〇一六年に現職議員として辺野古で演説をしたんですけれども、基地反対運動の活動家たちに囲まれて暴行を受けました。その際に分かったのが、沖縄の言葉以外を話す方がそれなりの人数に上ったことです。辺野古の方々にお話を聞きますと、辺野古の基地反対運動には元々の辺野古の住民はいないとお話しになります。

 お聞きをします。

 平成二十九年、二〇一七年三月の参議院内閣委員会における私の質問に対し、警察庁は、沖縄の基地反対運動を行っている者の一部には極左暴力集団も確認されているという初めての答弁を行いました。現状においても同様の状況なのか、聞きます。

鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの件につきましては、御指摘の答弁で述べられた、沖縄の基地反対運動を行っている者の一部には極左暴力集団も確認されていると承知しているとの見解に変わりはございません。

和田(政)委員 現在も、沖縄の基地反対運動を行っている者の一部には極左暴力集団も確認されているということが改めて明らかになりました。

 では、その極左暴力集団とはどのような集団なんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。

 暴力革命による共産主義社会の実現を目指す集団であります極左暴力集団によりますテロ、ゲリラは、統計のある昭和四十七年以降、千百六十一件発生しているところであります。

 極左暴力集団は、依然としてテロ、ゲリラの実行部隊である非公然組織を擁するとともに、組織の維持拡大をもくろみ、暴力性、党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んでいるものと承知をいたしております。

和田(政)委員 今答弁にありますように、非常に凶悪性が高いということ、これは警察庁の資料でも述べられております。

 簡潔な答弁でしたので、警察庁の三月の極左暴力集団の現状等というところを改めて述べますと、民間人を巻き込む凶悪なテロ、ゲリラを実行するなど、市民生活を混乱させ、我が国の治安に大きな影響、このほか、自らの主義主張を通すために殺人や傷害等の内ゲバを実行、こういったことが極左暴力集団ということで述べられております。

 また、極左暴力集団の主なセクトとして、革マル派、中核派、革労協などが挙げられておりますけれども、革マル派は、警察や対立する団体、個人等に対し、住居侵入、窃盗、電話盗聴等の違法行為を行う調査活動も実施、中核派は、多くのテロ、ゲリラを実行、革労協は、多くのテロ、ゲリラのほか、死傷者を出す凄惨な内ゲバを実行という形で、形でというか、もうこれは凶悪な状況でありますけれども、最近の検挙事例ということの中で、沖縄の基地反対運動以外でも、沖縄県警察が、天皇皇后両陛下の沖縄県行幸啓に際し、中核派が取り組んだ抗議行動において、警備中の警察官の頬を拳で殴打する暴行を加えたとして、令和七年、昨年ですけれども、中核派の活動家一人を公務執行妨害で逮捕したというようなことで、まさにこういう状況であるわけなんですね。

 そこで、文部科学省にお聞きをしたいというふうに思います。

 一般的にということでお聞きをします。一部でも極左暴力集団が関与しているような活動現場に学校が研修旅行や修学旅行を行うことについて、文科省はどのように考えるのでしょうか。

堀野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、学校における修学旅行等の実施におきまして、今回のような痛ましい事故が発生することのないよう、安全の確保のための配慮や、教育活動として適切に計画、実施することへの十分な留意がなされることが必要と考えております。

 このため、文部科学省においては、去る四月七日付で通知を発出いたしまして、事前の実地調査など安全に実施するための必要十分な情報をあらかじめ確認をすること、また、関係業者を利用する際には信用度を十分に調査した上で利用すること、また、教育基本法第十四条第二項で、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他の政治的活動が禁止されていることや、従来より、通知におきまして、特定の事柄を強調し過ぎたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなど、特定の見方や考え方に偏った取扱いにより、生徒が主体的に考え、判断することを妨げることのないよう留意することについて示しているということを踏まえまして、修学旅行を含む教育活動が適切に行われているかの確認及び必要に応じた見直しなどを通知において全国の教育委員会や私学担当部局に求めたところでございます。

 文部科学省としては、本通知の周知徹底を図りながら、全国の学校現場における修学旅行等の安全確保の徹底を促してまいります。

和田(政)委員 今回、このような形でお亡くなりになった女子高校生がおられます。現地に行って下見をしていれば、別の判断になったというふうに思っています。

 これは通告していないので、お答えになれるようだったらお答えをいただきたいというふうに思いますけれども、現地の状況把握というもの、これは安全ですとか、そういう思想的に偏っていないかとか、そういったものはどういうふうに具体的に学校は行うべきだと考えていますでしょうか。

堀野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の件につきましては、特に事前の下見が十分に行われていないということも明らかでありましたし、それから、実際に船を運航していただく方に関しまして、現在調査中ではございますが、学校の教育活動の中で、やはり一定の偏りのない教育をするための打合せというものが本来行われるべきだと思いますけれども、その点についても、当該方を信頼していたということで十分なことが行われていなかったのではないかということだと感じております。また正式には調査結果としてお示しをしたいと思いますけれども。

 やはり現地の業者であったり運航をお任せする方、そういった方々の信頼性、こういったものを、旅行会社とも協力しながら、しっかり確認をしながら、また、講師をお願いする方はどういう考え方の方か、しっかり事前打合せで確認をした上で実施をされるべきものだと考えております。

和田(政)委員 文科省から極めて重要な答弁が出たというふうに思っております。

 この辺野古のボート転覆死亡事故の、お亡くなりになった女子高校生の方の御遺族のつづられたものも読んでおります。本当に、亡くなられた女子高校生は、この研修旅行、修学旅行というのを、友達と行くということを楽しみにされていたわけですよね。それが、こういう事前の下見であるとか注意を怠ったと見られる人たちによってこのように命が失われるということは、学校教育現場ではあってはならないというふうに思っております。

 文科省にお願いをしたいのは、この検証を、様々な犯罪捜査ということも海上保安庁などで行われているわけでありますけれども、あわせて、文科省においても検証をしていただきたいというふうに思います。学校教育現場におけるこういう事故の防止というものは、やはり文科省がどれだけ取り組めるかということであるというふうに思います。

 東日本大震災のときの宮城県石巻市の大川小学校のあのような悲惨な事故についても、私は、繰り返し、あの事故当時から、国会議員になってから申し述べて、今国会でも質問をしてまいりましたけれども、やはり学校がしっかりと対策を取っていれば、あのときは事前防災がありますけれども、しっかりと、避難場所をどこにするのか、速やかに逃げるためにはどういうふうなことが必要なのか、こういったことを事前に構築をしていれば、あの状況というのは防げたというふうに私も考えています。裁判の判決の結果もそうでありました。

 今回のことは、繰り返しになりますけれども、本当に、楽しみに行って命が失われるという、こんな悲惨なことがあっていいのかというふうに私は思っております。ですので、これは、文科省におかれては、船長とか運航管理者が注意義務を怠ったのでそれに尽きるということではなく、今御答弁にありましたように、しっかりと、どういう現地の状況なのかということ、また、思想的なこともございましたけれども、そういう偏りがあるのかないのかということも含めて、やはり事前の下調べというものを徹底をして、安全な形で、安心できる形で子供たちが研修旅行や修学旅行に行っていただくように、しっかりと文科省において対策をしていただきたいというふうに思います。

 そして、沖縄の基地反対運動について、極左暴力集団の一部が現在も関与しているということで警察庁からお話がありました。

 これは、私は、先ほど、以前演説をしたときに暴行を受けたということを言っておりますけれども、あのときに、私は、活動家たちに腕をはたかれたりひっかかれたりしまして、私に暴行を働いた人物は書類送検されています。また、私の同行者に対して、硬いプラカードの角をいわゆる顔にぶつけてくるということで、眉間に当たりました。同行者はつんのめって倒れました。もし目に当たっていたら失明するような状況なんですね。これは事実を述べています。映像も残っています。ユーチューブに同行者などが公開をしております。そういうような状況というものも、これは重々、学校側においてやはり把握がなされるべきであったというふうに思っています。

 そして、業務上過失致死傷罪のことも申し述べましたけれども、今回の辺野古のボート転覆死亡事故はこういったことが複合的に絡み合っていることであるというふうに思いますので、この事故については、私は、引き続き、当法務委員会においても質問をしていきたいというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。

井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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