第12号 令和8年5月22日(金曜日)
令和八年五月二十二日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 英孝君
理事 阿部 弘樹君 理事 木原 誠二君
理事 高見 康裕君 理事 谷川 とむ君
理事 藤原 崇君 理事 西村智奈美君
理事 三木 圭恵君 理事 小竹 凱君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上川 陽子君 菅家 一郎君
神田 潤一君 小泉 龍司君
河野 太郎君 世古万美子君
園崎 弘道君 武部 新君
辻 秀樹君 辻 由布子君
寺田 稔君 西山 尚利君
福原 淳嗣君 藤沢 忠盛君
藤田ひかる君 古川 禎久君
三ッ林裕巳君 森原紀代子君
保岡 宏武君 山本 大地君
有田 芳生君 國重 徹君
金村 龍那君 高見 亮君
中司 宏君 村上 智信君
井戸まさえ君 鈴木 美香君
和田 政宗君
…………………………………
法務大臣 平口 洋君
内閣府副大臣 津島 淳君
厚生労働大臣政務官 栗原 渉君
最高裁判所事務総局家庭局長 馬渡 直史君
政府参考人
(金融庁総合政策局審議官) 若原 幸雄君
政府参考人
(消費者庁審議官) 黒木 理恵君
政府参考人
(法務省民事局長) 松井 信憲君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 林 俊宏君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 森原紀代子君
上川 陽子君 園崎 弘道君
三ッ林裕巳君 菅家 一郎君
池畑浩太朗君 高見 亮君
同日
辞任 補欠選任
菅家 一郎君 三ッ林裕巳君
園崎 弘道君 上川 陽子君
森原紀代子君 井出 庸生君
高見 亮君 中司 宏君
同日
辞任 補欠選任
中司 宏君 村上 智信君
同日
辞任 補欠選任
村上 智信君 池畑浩太朗君
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五月二十一日
民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(神谷裕君紹介)(第四六九号)
同(沼崎満子君紹介)(第四七〇号)
同(田嶋要君紹介)(第四八二号)
同(落合貴之君紹介)(第五〇六号)
再審法(刑事訴訟法の一部)改正を求めることに関する請願(有田芳生君紹介)(第四八一号)
民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(井戸まさえ君紹介)(第五〇五号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第五二一号)
選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(山本ジョージ君紹介)(第五三九号)
同(有田芳生君紹介)(第五四九号)
治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(有田芳生君紹介)(第五六五号)
同(神谷裕君紹介)(第五六六号)
同(階猛君紹介)(第五六七号)
同(西村智奈美君紹介)(第五六八号)
同(山本ジョージ君紹介)(第五六九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
民法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)
民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四四号)
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○井上委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、民法等の一部を改正する法律案及び民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局審議官若原幸雄君、消費者庁審議官黒木理恵君、法務省民事局長松井信憲君及び厚生労働省大臣官房審議官林俊宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井上委員長 次に、お諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局家庭局長馬渡直史君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤田ひかる君。
○藤田(ひ)委員 おはようございます。自由民主党の藤田ひかるでございます。
本日は、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
また、本日、御配慮で、体調面での考慮から着座での質疑をお許しいただきましたこと、ありがとうございます。以後、着座にて失礼いたします。
では、本日は、成年後見及び遺言制度の改正につきまして、地元長野二区の現場の声を代弁する決意で質問に立たせていただきます。
私の地元長野二区でも、単身高齢世帯が急激に増加しております。例えば、安曇野市では二〇〇〇年から二〇二〇年の二十年間で約二・六倍、松本市でも約二・二倍となり、既に一万一千世帯を超えております。
将来、認知症などにより判断能力が低下しても、住み慣れた地域で本人の意思が尊重されながら安心して暮らせるのか、これは極めて切実な課題だと考えております。また、障害がある方につきましても、これまでの一度始まれば原則として一生続く硬直的な制度の下で、自己決定の機会が制約されてきた面がございます。
今回の改正は、単なる民法の条文変更ではなく、地域で皆さんが安心して暮らし続けるための社会基盤整備でもございます。この法改正の方向性自体は大変高く評価いたしますけれども、現場で、地方も含めて、しっかりと機能しなければ意味がないと思っております。その観点から、主に実効性の面でお伺いをいたします。
まず、家庭裁判所による司法審査の実効性の面についてお伺いをいたします。
これまで法定後見制度は、遺産分割など制度利用の目的が達成された後も、本人の判断能力が回復しない限り利用を終了できないことが大きな課題でした。今回の改正では、家庭裁判所が制度利用の必要性を判断して利用を終了できる規定を新設し、補助人は、年に一回、本人の状況を家庭裁判所に報告することが義務づけられます。これにより、家庭裁判所は、依然として支援が必要かどうかを定期的に個別審査することになります。
しかし、もしこれが形どおりにチェックするだけの形骸化に陥れば、本人の自己決定を守ることはできません。
現在、長野県内の家裁、家庭裁判所全体を支える裁判官は二十九名です。一方、二〇二〇年の時点で、制度利用の潜在的なニーズが高い単身高齢者の世帯数は約十万、また、認知症の高齢者の数は約七万人に上る状況です。
限られた人的リソースで増加するニーズに対応するためには、家庭裁判所、特に地方においてもこの体制の充実が重要だと考えています。さらに、審査の質を担保するためには、家庭裁判所が、今回の社会福祉法で法定化される中核機関といった地域の関係機関を始め様々な機関と緊密に連携し、本人の実態を反映した情報を適切に収集、共有できるような運用面での整備も不可欠です。
そこで、お伺いします。
地方においてもこの司法アクセスをきちんと充実させる観点から、法定後見制度の審査の質を担保するため、家庭裁判所における人員の拡充や生活状況の把握等における地域連携の在り方についてどのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いします。
○馬渡最高裁判所長官代理者 まず、改正法案が成立し施行された後の家庭裁判所における審理運用の在り方や人的体制について、現時点で確たることを申し上げることは困難でございますが、その上で、まず人員の点でございますが、最高裁といたしましては、これまでも事件動向や事件処理状況等を踏まえて必要な体制整備に努めてきたところでございまして、各庁におきましても、その実情を踏まえて体制整備に努めてきたところでございます。
改正法案が成立した場合には、改正法の趣旨、内容を踏まえた適切かつ合理的な審理運用の在り方を検討していくことが重要であると考えておりまして、こうした審理運用の在り方に見合った形でどの地域においても滞りなく事件処理が行われるようにして、全国的に適切な司法サービスを実現すべく、引き続き必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。
また、御本人の福祉の観点からのお尋ねについてでございますが、一般論として申し上げますと、制度利用の必要がなくなったと言えるかを判断するに当たっては、福祉関係者が作成した御本人の生活状況等に関する報告書等を活用するほか、必要に応じて市町村長等に対して本人の心身の状態等必要な事項に関する意見を求めることができる旨の新たな規定を用いるなどして、その判断に必要な福祉的支援に関する事情を把握することが一般論としては考えられるというところでございます。
最高裁といたしまして、改正法の趣旨や目的にかなった適切な運用が各家庭裁判所においてされるよう、必要な後押しをしてまいりたいと考えております。
○藤田(ひ)委員 ありがとうございました。
是非、今いただいたとおり、制度の趣旨等に鑑みまして、全国的に必要な、どこでも安心して受けられるような体制の整備、運用面での確保をお願いできればと思います。
次に、任意後見制度に係る改正についてお伺いします。
本人の意思尊重の観点からは、判断能力が十分なうちに、自らが信頼できる支援者を選び、委任内容を決めておく任意後見制度の活用が重要です。しかし、現状では、法定後見の利用者が約二十五万人であるのに対し、任意後見の契約発効、利用開始しているものは約三千件弱と、十分に活用されていない現状がございます。
今回の改正では、法定後見の利用開始により任意後見を終了しなければならなかったところ、任意後見と法定後見の併存を可能にし、家庭裁判所が明らかに必要がないと認めるときには任意後見監督人の選任をしないことができるとしています。これは任意後見を利用しやすくする重要な見直しだと考えています。
そこで、まず大臣にお伺いします。
本人の意思を尊重する観点から、先ほど申し上げましたように、任意後見制度の普及は極めて重要だと考えております。諸外国では任意後見が主流となっている国も多い中、今回の改正における任意後見制度の見直しの意義について大臣の認識をお伺いいたします。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
任意後見契約法の改正案は、明らかに必要がないと認めるときは任意後見監督人の選任を不要とするなど、任意後見制度の柔軟な利用を可能とするものでございます。
法務省としましては、改正法が成立した場合には、制度の概要や改正の内容について十分な周知、広報を行い、任意後見制度の利用促進に努めてまいりたいと考えております。
○藤田(ひ)委員 ありがとうございます。
任意後見人の制度は高齢化が更に進展していく中でますます重要だと考えておりまして、大臣からいただきましたように、この運用促進について是非取り組んでいただければというふうに考えております。
この任意後見制度の活用は重要である一方で、判断能力が低下した本人に対して悪意ある第三者や親族が不当な契約を結ばせ、財産を不適切に扱うリスクもございます。監督人を置かないことは、利便性を高める反面、チェック機能が弱まるのではないかといった声もございます。監督人が選任されない場合であっても、任意後見人が本当に本人の利益のために活動していることを確保することが必要です。
今回の改正におきまして、任意後見監督人の選任が明らかに必要がないと認められるのは具体的にどのような基準やケースを想定しているのでしょうか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
現行法では、任意後見人の事務を監督する任意後見監督人を例外なく選任することを必要としていますが、任意後見人が後見事務に精通した専門職である場合など、明らかに任意後見監督人による監督が必要ない場合にまで例外なく任意後見監督人を必要とすることについては、監督の負担が重過ぎるとの指摘がございます。
法制審議会の部会でも、任意後見人の職務内容、実績、経歴等の任意後見人側の事情、任意後見人と本人との利益相反行為の有無等を考慮して、明らかに任意後見監督人による監督の必要がないと認められるときは、任意後見監督人を選任しないとすることがあり得るとの意見が述べられました。
そこで、民法等改正法案では、家庭裁判所が明らかに任意後見監督人による監督の必要がないと認めるときは、任意後見監督人を選任しないことができることとしたものです。
今述べたような議論の経緯から、この要件に該当する場合としては、具体的には、例えば、任意後見人が成年後見制度に精通した弁護士等の専門職であり、本人のために事務遂行した実績もあり、本人との直接取引が予定される等の関係性にない場合などを想定しております。
○藤田(ひ)委員 御答弁ありがとうございました。
今のをお聞きしまして、専門職であること、それから本人とのこれまでの実績、それらを踏まえての判断となるということでお聞きして、安心をいたしました。
最後に、遺言制度についてお伺いをいたします。
私の地元でも、空き家問題ですとか所有者不明土地は深刻な課題でございます。例えば、地元大町市では空き家率が約一二・五%に達し、深刻な課題となっております。松本市でも、二千四百平方メートルもの農地が所有者不明として公示されるような事態に直面しております。
こうした土地や家屋が放置されてしまう大きな原因は、相続人同士の話合いがまとまらず、権利関係の確定が先送りにされることにございます。デジタル遺言は、こうした相続関係を早期に確定させ、相続登記の義務化をスムーズに進めるための強力なツールであり、その創設を高く評価いたします。
しかし、実務上の運用には心配の声もございます。今回の改正では、本人の意思を確認するために、法務局への保管申請時に遺言の全文を口述するというルールが課されます。さらに、対面での手続が困難な方については、ウェブ会議による手続も可能となったと承知しております。
実際、車社会の長野県においては、免許を返納されている高齢者の方も多く、法務局に出向くハードルも高いため、ウェブ会議での手当て、これは大変歓迎するところでございます。
一方で、このウェブ会議の利用につきましては、法務局側が相当と認めるときに限定されています。この相当性の判断が厳格過ぎれば、結局は、一部の利用者が制度から排除され、制度はつくったが使われないという事態になりかねません。
政府としては、この利用者の利便性を損なわないよう、どのようにこのウェブ会議を運用していくお考えでしょうか。見解をお伺いします。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
保管証書遺言書の保管申請において、ウェブ会議を利用して本人確認及び全文の口述を行うには、遺言者の利便性を図りつつ、遺言が遺言者の真意に基づくものであることを担保する観点から、遺言書保管官が遺言者からの申出を相当と認めることが要件とされております。
どのような場合に申出を相当と認めることができるかというウェブ会議の利用の在り方については、今後のデジタル技術の進展の状況等を踏まえて検討する必要がございますが、例えば、遺言書保管官において、通信環境が十分でないことなどによって遺言者の本人確認や全文の口述をしていることの確認をすることが困難な場合、また、遺言者の周囲に他人が存在しないことの確認が困難である場合などには、原則として、遺言が真意に基づくものであることが担保されるとは言えず、ウェブ会議の利用が相当と認められないということになると考えております。
他方で、例えば、デジタル機器の操作に不慣れな高齢者の方であって、遺言者のみではウェブ会議を利用することが困難な場合などには、例外的に機器の操作補助者等の同席を認めることとした上で、本人確認や全文の口述の際に、必要がない限り機器の操作補助者が発言や動作等を行わないことを求めるものとすることなどが考えられるところでございます。
○藤田(ひ)委員 御答弁ありがとうございました。
まさに真意に基づくものが確認できるという状況が担保されることが重要だと思っておりますし、その上で、ウェブ会議の機器がなかなか使えない高齢者の方にも配慮する形で、操作の補助については問題ないということを御答弁いただきました。
是非、このデジタル遺言制度を活用しまして、所有者不明土地問題ですとか空き家問題の解決にも資するような制度になることを私からは御期待申し上げます。
最後に、結びになりますけれども、今回の民法改正におけます成年後見制度及び遺言制度、いずれも本人の意思を尊重し、地域で安心して暮らし続けることができるようにするための制度だというふうに考えております。今回の法改正の恩恵が地方にもきちんと実効性を持って届くよう、政府の着実な取組を求め、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 おはようございます。
前回、特定補助の仕組みについて質問をいたしました。その後、参考人質疑がありまして、この中で、根本参考人の方から、この特定補助につきまして、部会において審議の最終段階まで導入の是非については意見が分かれたという紹介があるとともに、限定的かつ厳格な実務運用及び同枠組みの将来的な規定の要否についても、今後、その運用状況や利用実績などを踏まえた政府における検証が求められるものと思いますというふうな陳述がありました。
なるほどなというふうに私も思いまして、元々、特定補助について、参考人質疑の中でも、またこの委員会での対政府質疑の中でも、限定的に使われていくのではないかというような答弁、お話もあったところではあるんですけれども、今後の実質的な運用ですとか実務、どういう状況であるのかというのは、やはり政府が不断に検証していかなければいけないのではないか。やはり、この陳述一つ取ってみても、今回の民法改正は、ある意味、成年後見制度を言ってみれば見直して、インクルーシブな社会をつくっていくための途上の法改正なのかなというふうにも思ったところなんです。
大臣、この検証が必要であるという御意見についてどういうふうに受け止めているか。やはり、政府としては、これをしっかりと受け止めて検証していって、またしかるべき時期に必要な法的な措置というものを取るべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○平口国務大臣 お答えいたします。
特定補助の仕組みは、法定の重要な財産行為をいずれも取消し可能とすること等から、法制審議会の部会でも、どのような事案で利用されるかなど、その利用状況を検討することが重要であるとの意見がありました。
成年後見制度に関しては、附則で、改正後の規定の施行の状況について検討を加えることとされておりまして、特定補助に関しても、利用の状況等を踏まえて検討していきたいと考えております。
○西村(智)委員 是非、利用実績等々、検証していっていただきたいと強く要望をいたします。
それで、前回、私は、中核機関についても質問をいたしまして、厚生労働省から一定の回答をいただきました。ちょっと時間が限られていましたので走り走りになってしまって心残りがありますので、今日改めて質問したいというふうに思うんですけれども。
中核団体、中核機関ですね、これがやはりきちんと設置されることが必要だというふうに問い、そしてまた、受任者調整会議のような会議体を設けることについてどうですかというふうにお伺いをしましたところ、厚労省の方からは、設置に向けた支援を行うとともに、好事例の共有、それから、受任者調整も含めて、市町村における適切な支援体制の構築を促していくというような答弁がありました。
中核団体が設置されているところは全体の約八割、また、その中でも受任者調整を行っているところが六割ですから、八掛ける四で、およそ半数ぐらいのところにしか受任者調整機能が今のところは備わっていない。後でまた言うんですけれども、やはり、市民後見などを進めていく際には、この受任者調整の会議がちゃんとあって、いろいろサポート体制がある、バックアップ体制があるということが重要だというお話も伺ってまいりました。
ですので、やはり、いつ一〇〇%にするのかというその目標期限を決めた上で取り組んでいかないと、これはなかなかいつまでたっても前に進んでいかないのではないかというふうに思ったんですけれども、いつ一〇〇%にするかという、そういう目標ですね、そういったものを設ける、それに向かって自治体への支援等々を行っていく、こういうふうに考えておいてよろしいでしょうか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
現在の設置状況あるいは受任者調整の状況については、今委員御説明のとおりでございます。
本人のニーズに応じた支援を行うためには、全ての市町村において中核機関が設置されて、全ての中核機関で受任者調整を含めて求められる機能を発揮することが望ましいというのは御指摘のとおりだと思いますし、我々もそのように認識をしております。
また、中核機関の整備については、現在の第二期成年後見制度利用促進基本計画のKPIとしても、全ての市町村で中核機関を整備することを目標としてございます。
ただ、もっとも、特に小規模な市町村においては、人材の確保が難しいでありますとか、制度に対する理解が不足しているなど様々な理由で、中核機関の設置、必要な機能の発揮に当たり課題があると承知しておりますので、今回の成年後見制度の見直しも踏まえまして、また、中核機関に求められる役割や受任者調整の在り方についても整理が必要と考えております。
こういった点も踏まえつつ、引き続き、都道府県と連携をして中核機関の設置に向けた支援を行うとともに、必要な機能を発揮できるよう、研修等における好事例の共有を図るなど、適切な支援体制の構築を促進してまいる所存でございますが、具体的にいつ一〇〇%という数値目標を立てるかにつきましては、市町村における事情も様々でありまして、具体的な時期をお答えすることは困難ということを申し上げたいと思います。
○西村(智)委員 現行の計画のKPIにちゃんと、一〇〇%を目指すということで記載されているわけですし、私は、今御答弁の中で、規模の小さい自治体で設置がなかなか追いついていないというふうなことだと思うんですけれども、逆なんですよ、規模の小さい自治体ほどつくっていただきたいんです。
やはり、そういった地域などでは、専門職の方もなかなか不足しているということは想像ができるわけなんです。ちゃんとアクセスできるようにするために、受任者調整の機能も含めてちゃんとつくっていくということは、これはやはり、少しマインドを変えていただいて、次の計画になるのかも分かりませんけれども、是非進めていってもらいたいと強く要請をいたします。
あわせてなんですけれども、その中核機関の役割です。
出口支援、これが役割として含まれることになりますかということを質問しましたら、それは対応するべき重要な役割になる、含まれ得ると考えております、何か、含まれ得るというちょっと弱い答弁だったんですけれども、含まれるんですよね、出口支援というのは。それの確認をしたいのと、その上で、そうすると、中核機関の業務というものがこれまでよりは増えていくんだろうなというふうに想像ができるわけなんですけれども、それについてはどうでしょうか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
現行の第二期成年後見制度利用促進基本計画では、中核機関を中心とした権利擁護支援の地域連携ネットワークにおける支援について、三つの役割を場面に分けて整理をしております。
一つは、成年後見制度の利用前の場面で、相談を行い必要な支援につなぐ機能。二つ目が、成年後見制度の利用の開始までの場面で、成年後見制度の申立ての準備、後見人等の選任までを支援し、本人を中心とした支援チームを形作る機能、受任者調整もここに該当いたします。三つ目は、成年後見制度の利用開始後の場面で、本人を中心としたチームが機能するよう支援する機能というふうになっております。
ただ、今般の改正法案が成立、施行した際には、成年後見制度の利用を終了した後という新しい場面が生じることから、これに対応することも中核機関の役割と考えられる、中核機関の役割になるという旨を、五月二十日の本委員会で申し上げた趣旨でございます。
では、個々の中核機関の業務がやはり増えるのではないかということにつきましては、それぞれの業務がどのように増えるか減るかということにつきましては、各地域における関係機関の間での役割分担、新たな成年後見制度の運用、事務の在り方によっても異なることから、一概にお答えすることは困難でありますけれども、いずれにしても、中核機関がこうした新しい成年後見制度の利用終了後の支援も含めて引き続き必要な機能を発揮できるよう、成年後見制度の見直しに対応した業務運営等に関するマニュアルを作成するなど、厚労省としても適切に対応してまいります。
○西村(智)委員 何かだんだん心配になってくるような答弁なんですけれどもね。
結局、これは人材と財政面の問題だと思うんですよ。今日は厚労の政務官にお越しいただいているんですけれども、やはりこれは人手をちゃんとつけるということ。中核機関の話を今していましたけれども、全体として、社協や自治体の皆さんにとってみれば、これから出口、終わることができる後見になるということで、やはり業務が増えていくだろうというふうにみんな思っているわけで、そのときに、人手、人材とそれから財政面の拡充というのはやはりどうしたって必要だということで、全国市長会などからも要請書が上がっているというふうに思うんです。
これについて、ここは政務として、政務官の方から、これはもう確実に手当てができます、しますというふうに御答弁いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○栗原大臣政務官 人材と予算の確保についてのお問合せでありますが、御指摘の福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業は第二種の社会福祉事業でありますことから、事業の経営主体については制限を設けておらず、幅広い主体に参画いただくということを期待しているものであります。
一方で、全国どの地域でも援助を受けることができるよう、現在の福祉サービス利用援助事業と同様に、都道府県の社会福祉協議会に対して、都道府県の区域内で着実に事業が実施されるための必要な事業の実施を義務づけております。
その上で、社会福祉協議会が事業を実施するに当たり必要な対応については、支援を担う人材育成の在り方を含め、同様に法律上実施義務のある現在の福祉サービス利用援助事業における取扱い、これを参考にしつつ、本事業が利用料収入による運営を原則としている点や、他の民間事業者も担い手になる点といった特徴も踏まえまして、今後、予算編成の過程で検討してまいりたいと考えております。
○西村(智)委員 済みません、ちょっと通告の仕方が、もう少し工夫すればよかったなと思うんですけれども。
ともかく、やはり人材と財源というのはどうしたって必要なので、そこのところは、まさにこれは地域における共生社会をつくっていこうという政府としての大きな方向性でもありますから、是非そこは確保できるように取り組んでいってもらいたいというふうに思っております。
それで、ちょっと市民後見の方に話を進めるんですけれども、市民後見、現在、全体の一・一%ほどの利用だというふうにデータで見ました。多くはやはり専門職の方なんですけれども、先ほど申し上げたように、規模の小さい自治体などでは専門職がおられないところがあるわけなんです。
私は自分の選挙区に佐渡島が入っておりまして、離島が入っておりますと、そもそもやはり専門職の方が少ないということで、中核機関あるいは受任者調整会議などというものを置いて、市民後見でお一人で担当できるように、受任できるようにということで、随分活用されているというふうなお話も聞いたんですよ。
法務大臣にまず伺うんですけれども、市民後見の在り方というか、市民後見の今後の方向性ですね、どういうふうになっていくことが大臣としては望ましいというふうにお考えになっているか、まずは伺いたいと思います。
○平口国務大臣 お答えいたします。
高齢化の進展を踏まえると、補助人の多様な担い手を確保し、制度を活用する観点から、市民後見人の育成や活用が進められるということは重要であると考えております。
第二期成年後見制度利用促進基本計画には、市民後見人の育成等の推進など、その活用につながる施策が記載され、関係省庁等においてその取組が進められていると認識をしております。
今後ともそうした取組が継続されるよう、関係省庁等とも連携してまいりたいと考えております。
○西村(智)委員 法務大臣としてはこういう御答弁なのかなとは思うんですけれども、結局、増えるか増えないかというのは、一つにはやはり厚労省としての取組も必要になってくると思います。
厚労の政務官にまたお伺いしたいんですけれども、大臣に対する質問と同じものを、方向性、今後どういうふうになっていくということが望ましいと考えているかというのと、先ほど申し上げたように、専門職が少ないところにおいては、家庭裁判所とか、それから自治体、福祉、こういったところが連携する、専門職も必要に応じてきっちりとバックアップをする、そういう体制がやはりとても大事だというふうに思うんです。そういったような社協からのお話もありました。政府としてどういう支援体制を考えているのか、伺いたいと思います。
○栗原大臣政務官 委員御指摘のとおり、市民後見人が地域の権利擁護支援の担い手として活躍するためには、自治体が家庭裁判所や専門職団体と連携し、受任後の支援体制を整えることが重要であると考えております。
厚生労働省としては、市民後見人の養成を行う自治体への補助を実施しているほか、昨年度、市民後見人の育成や活躍支援に係る調査研究事業によりまして、養成研修修了者を対象とした勉強会や交流会を開催するなど修了者が孤立しない環境を整えているという事例、受任後も定期的な状況確認や専門職等への相談機会を設けるなど中核機関を中心にチームとして支援する体制を整えている事例、また、家庭裁判所に対し、行政と中核機関が一体となって市民後見人の活動内容や選任後の支援体制を説明し理解を得ている事例等の好事例を確認することができておるところでございます。
今後、こうした好事例を自治体に広く周知するなど、地域の関係機関が連携して市民後見人の活躍を支える体制づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
○西村(智)委員 ありがとうございます。
何かもう少し工夫が要るのかなというふうに、ちょっと今お話を伺っていて思いました。私からもまたいろいろ考えて御提案したいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
次に、つけ込み型不当勧誘の取消権についてお伺いをいたします。
今回、包括的な代理権、取消権を縮小あるいは廃止するという方向で民法の法改正がなされるということになります。本人の尊厳や意思決定支援を重視するということなんですけれども、私は、この方向性はそのとおりだというふうに思うんですけれども、やはり一方で、なかなか難しいケースがあるというのも、これも事実だというふうに思うんです。
現行の後見制度で、包括的な取消権は、高齢者や認知症それから知的障害等により判断能力が低下した方、いわゆる脆弱性の層に対して、後見人が包括的に取消しを行うことによって被害の防止や救済に一定の役割を果たしてきた、そういった指摘もあります。包括的な取消権が本人の自己決定を過度に制限する、そういう声がある、それも理解はいたします。両方あるんです。両方あるんですけれども、だからこそ、その包括的な取消権の縮減それから廃止に当たっては、代替的な仕組み、それは包括的であり、なおかつ省庁横断的な仕組み、こういったものをつくっていく必要があるんだろうと私は思っております。
それで、法務省も消費者庁も、これまで検討などは行ってこられたと私は承知しております。これまでの成年後見制度について、成年後見人等の包括的な取消権を用いて救済された典型的な消費者被害事例、例えば、高額な訪問販売契約、あるいは投資用のマンションや金融商品、マルチ商法、身元保証、終身サポート契約など、こういったものにはどのようなものがあって、どの程度活用されてきたと把握しているのか。家庭裁判所の統計や実務家、消費者団体からのヒアリング結果を含めてどのくらいあったのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
まず、法務省の方に伺います。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
現行法の後見における取消権の利用件数につきましては、御指摘のような裁判所における統計などがないということもあり、法務省としては把握をしておりません。これは一般の民法上の詐欺による取消しも同様でございますが、統計がないというところでございます。
法制審議会の部会におきましては、成年後見制度における取消権を行使する場面は必ずしも多くはないとの見解が述べられた一方で、取消権そのものを行使しなくても、取消権があることによって不当な取引を予防している側面があるとの指摘がされているとの見解が述べられたものでございます。
○津島副大臣 事実関係についてのお尋ねでございますので、私からお答えをいたします。
成年後見制度の包括的な取消権を用いて救済された事例や活用状況についてでございますが、所管は法務省ということでございまして、消費者庁としてお答えすることは困難でございます。
その上で、この成年後見制度とは直接関係するものではないんですが、消費者庁新未来創造戦略本部では、高齢者の認知機能障害に応じた消費者トラブルと対応策の検討に関する研究の中で、医療福祉関係者を対象としたアンケート調査、インタビュー調査を行っております。
その結果、軽度段階こそ被害リスクが高いが最も発見しにくいことや、被害は本人が気づかず、発覚は家族、医療福祉関係者、地域の第三者等による偶発的な気づきに依存することが分かったほか、居住形態や周囲との関係が被害の発生、長期化に密接に関連し、複数の要因が重なって被害リスクが増幅するとの示唆が得られております。
また、医療福祉関係者が消費生活センター等への相談や情報共有の範囲に迷いを抱えている実態が明らかとなっております。
こうした調査を行いつつ、個別の事案によりますが、消費生活相談において必要に応じて成年後見制度の利用を紹介する場合はあると承知はしております。
○西村(智)委員 結局、実態をなかなか、どちらの省庁としてもきれいには把握していないということですね。これで取消権とかがなくなってしまうということは、ちょっといかがなものかなというふうに思います。
次に、そうしましたら、ちょっと前に進めますけれども、今回の改正によって、包括的な取消権が縮減、廃止された場合、これまでであれば後見人の取消しによって防止、救済できた消費者被害がどのような場面でどの程度救済困難となるおそれがあるというふうに評価をしているのか、法務省と消費者庁にそれぞれ伺います。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
現行法では、本人が事理弁識能力を欠く常況にある者である場合には、後見の制度を開始すると包括的な取消権が付与されます。
これに対し、民法等改正法案では、本人に必要な範囲に限って個別に補助人に取消権を付与する補助の制度に一元化した上で、本人が事理弁識能力を欠く常況にある者である場合には、法定の重要な財産行為をいずれも取り消すことができる特定補助の仕組みも選択できることとしております。
そして、申立人は本人の状況を十分に理解していると考えられますので、本人の状況に応じ、本人の利益を保護するために必要な範囲で個別の取消権を付与する仕組みを選択するか、特定補助の仕組みを選択するかを判断し、申し立てることが期待できます。
重要なのは、適切な時機に、現行法であれば後見の申立てをする、また、改正法であれば補助ないし特定補助の仕組みを申し立てるということであると考えております。現行法におきましても、後見がつかなければ後見人による取消しはできません。改正法におきましても、特定補助の仕組みというふうに法定の重要な財産行為をいずれも取り消すことができる権限を、そのような仕組みをつくっておりますけれども、これも申立てがあって行うということになります。
ですので、適切な時機にこのような制度の利用をしていただくことが大事でありまして、これをしっかりと周知してまいりたいと思いますし、その観点からいいますと、今般の改正により本人の保護に欠けることにはならないと考えているところでございます。
○黒木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、成年後見人等の、今の制度の包括的な取消権が縮減あるいは廃止された場合の影響については法務省から今お答えがあったとおりかと存じております。
その上ででございますけれども、先ほど副大臣からも御紹介をさせていただきました、消費者庁の新未来創造戦略本部におきます研究におきましては、認知機能の低下の程度といいますか、それも、必ずしも重度の場合というよりはより軽度の場合、あるいは認知症と認定される前、軽度認知障害とかですね、そういった場合の方が被害に遭っていらっしゃる方が多い傾向があるということ、また、そのときであっても、本人が気づかれるということはなかなか難しいということであって、周りの人が気づくということで対応されている場面、あるいは気づかないことによって対応が遅れているというようなことが示唆されたところでございます。
また、医療福祉関係者などが把握しても、それを消費生活センター等につなぐことへのためらい、あるいはなかなか周知がされていないといったような問題も把握されてきたところでございますので、そのような観点も踏まえまして、皆さんに、どうすればうまく被害救済、回復、あるいはその道に乗るのかといったようなことを考えながら、適切な対策、例えばパンフレットを作ったり、御利用いただきやすい説明をしたりといった、こういうようなことも含めて取り組んでまいりたいと考えております。
○西村(智)委員 お二人の答弁を聞いていますと、ちょっとやはり本当にポイントになるところになかなか手が届いていないなというふうに思うんですけれども。
法務省の方からは、本人保護に欠けることにならないというようなお話がありました。確かに、今回の後見制度というところでいえばそういったことなんだと思うんですけれども、だけれども、後見制度の外にも被害者の方はいらっしゃることになるんだと思うんですよ。それはどうなのかというところの視点が全くやはり、ごめんなさい、法案審査だからそういうふうに答えられるのかもしれないんだけれども、やはりこの外側にいる被害者をどうするかという視点がちょっとすっぽり抜けているというふうに思いましたのと、それから消費者庁ですよね、周りの人が気づくかどうかということでアンケートを取ったりということなんですけれども、それで本当に救済につながるのかというのはやはりちょっと疑問に思いますね、現場をいろいろ想像してみると。
それで、ちょっともう一問だけ最後のところに行く前に伺いたいと思うんですけれども、法制審の民法部会ですとか、それから消費者委員会、消費者契約法検討会などにおいては、成年後見制度の縮減に伴って、今回の法改正に伴って、高齢消費者、障害のある消費者の保護を、今度は、民法の視点ではなくて障害者の視点で、障害者法制の側で補完する必要があるのではないかということが指摘されていたというふうに思うんです。
やはり、消費者保護という視点になると、言ってみれば、より包括的な、民法の外にいらっしゃる被害者の方々も救済できるということになるので、この点、大事な指摘だというふうに思うんですけれども、こういった点について、法務省と消費者庁との間で、成年後見制度の見直しとそれから消費者契約法などによる脆弱な消費者保護の強化を一体的に進めていこうというような政府内の調整を行ったのかどうか。ここは消費者庁にとっても法務省にとっても大事な視点だというふうに思うんですけれども、そういった調整を行ったのかどうか。行ったのであればその内容と、どういった経過で行ってきたのかということをお答えください。また、行っていないというのであれば、その理由をお答えください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
今回の成年後見制度の見直しは、令和四年三月に閣議決定された第二期成年後見制度利用促進基本計画において現行の制度について様々な問題が指摘されたこと等を踏まえ、検討が開始されたものであります。
第二期計画においては、成年後見制度が権利擁護を支える重要な手段と位置づけられ、権利擁護支援は成年後見制度を含めた総合的な支援として充実させていく必要があるとされ、成年後見制度の見直しに向けた検討を行うこととされております。
このような経緯から、成年後見制度の見直しと委員御指摘の脆弱な消費者保護の強化を必ずしも一体的に進めてきたものではございません。
もっとも、御指摘のとおり、法定後見制度の対象者は判断能力が低下している者であるため、消費者保護という観点からも制度の対象者の保護が問題となり得るものでございます。
そこで、内閣府に設置された消費者問題を調査審議する消費者委員会において成年後見制度の見直しの検討の状況等を報告させていただいたほか、成年後見制度の見直しに向けた検討過程を通じ、必要に応じて、随時、検討の内容や状況等の情報提供を行った上で、消費者庁とも意見交換を行ってきたところでございます。
法務省としては、民事基本法制を所管する立場から、引き続き、消費者庁としっかり連携してまいりたいと考えております。
○黒木政府参考人 お答え申し上げます。
成年後見制度の見直しの状況につきましては、先ほど法務省からも御指摘ございましたが、消費者庁としても注視をしてきたところでありまして、必要に応じて法務省と意見交換を行ってきたところでございます。
また、現在、消費者ならば誰しもが多様な脆弱性を有するという認識を消費者法制度の基礎に置いて、消費者契約法における具体的な規律や対応を検討するための検討会を開始しておりまして、本検討会においても、法務省にはオブザーバーとして御参加いただいているところでございます。
引き続き、緊密に連携してまいりたいと考えております。
○西村(智)委員 意見交換や連携などをしてきたとしても、先ほど法務省の答弁にあったように、法改正には考慮に入れてこなかったというようなことだと思うんですけれども、私は、やはりそんなことであってほしくないなというふうには思うんですよ。
消費者契約法についてなんですけれども、近年、消費者契約法は、時代の変化やこの間の改正に伴う議論を受けて、消費者法制度のパラダイムシフトのための検討を続けていると承知をしております。消費者の脆弱性を不当に利用するつけ込み型不当勧誘の法制化、これを一日も早く実現してもらいたいと思います。
ところが、残念ながら、現行法では、不当勧誘に対する取消権は限定列挙された類型ごとに構成されていて、認知機能の低下や精神障害等により判断能力が低下した高齢者、障害者に対するつけ込み型勧誘の全てを十分にカバーしているというふうには言い難い状況だというふうに思うんです。
パラダイムシフトというのは全ての消費者を対象にした制度の根幹を見直していくものであると思うんですけれども、しかし、今回、成年後見制度の包括的な取消権がこうなっていくということであれば、やはり空白地帯ができてしまう、そういう意味では。空白を、消費者契約法を始めとする消費者法制の方から埋めていくということが必要だと考えております。
それで、消費者庁に伺います。
成年後見制度の改正を契機に、消費者取引における、高齢者を含めて全ての消費者の正当な利益を保護するためのより包括的なルールの導入を目指すべきだというふうに思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○津島副大臣 今までのやり取りもしっかりと聞かせていただきました。
高齢者も含めた幅広い消費者の脆弱性に対応した形で被害へ対応することは、大変重要な課題であります。一方で、国際社会からの要請としては、自律した意思決定の確保とインクルーシブという考え方、これは私、共生・共助を担当している者としては、そちらも重要な観点であると思っております。いかにしてその双方のバランスを取っていくのかという視点も持ち続けなければいけない。そのことを申し上げた上で、消費者被害への対応は重要な課題だ、そのようなまず基本認識でございます。
その上で、消費者取引については、委員御指摘のとおり、超高齢化やデジタル化の進展、コミュニティーの希薄化など、消費者を取り巻く環境が変わっていること、これまでにいただいた附帯決議や答申の内容を踏まえ、消費者が安全、安心に取引できる環境を整備するため、令和七年十一月から、現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会を設置してございます。そこでは、消費者の多様な脆弱性を踏まえた消費者取引を規律する規範の確立などについて検討を行っておるところでございます。
今年の夏頃をめどに中間取りまとめを行う予定でございまして、引き続き検討を深めてまいりたいと考えてございます。
○西村(智)委員 国際社会が目指しているインクルーシブな方向性と、こうやって消費者被害に遭う方々を保護するということは、決して矛盾しない話だと私は思うんです。限定列挙された類型ごとでやられちゃいますと、今回成年後見で外れてしまうところがなかなかやはり対象になりにくいという現実もありますので、是非、矛盾しない、そのことを前提に議論を進めていってもらいたい、強く要請をいたします。
最後に、金融庁からお越しいただいております。
今回の改正で、例えば、成年後見制度の利用、後見制度が必要なくなったとして取り消された本人が金融機関の窓口で本人取引を望むということも想定をされます。部会の議論では、全銀協から、日常的な預貯金の払出しに関する特定預金商品という取組の検討状況が報告されていました。
金融庁としてはこれは把握していらっしゃるということだと思いますが、法改正後、この民法の改正後の金融機関の取組について、金融包摂という観点から金融庁としての具体的な今後の方針がおありかどうか、伺いたいと思います。
○若原政府参考人 お答えいたします。
今委員から御紹介があったような全銀協の検討等々が行われているというようなことは、金融機関としても成年後見制度の見直しに伴って取り組むべき課題があるという認識を有しているものというふうに私どもも承知をしているところでございます。
金融庁といたしましても、金融包摂の観点から、利用者保護の確保でございますとか、また利用者利便の向上、こういったものを図ってまいることが極めて重要というふうに考えておりますので、先ほど御紹介のあったような金融業界におきます検討ですとか取組状況を注視、フォローアップしながら、必要に応じて対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
○西村(智)委員 終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、有田芳生君。
○有田委員 おはようございます。有田芳生です。
民法の一部を改正する法律案に関わって、今、先日からも議論になっておりますけれども、成年後見、抜本的な改定という評価がされるんでしょうけれども、補助人に一本化するということで、この間も参考人質疑の中で、ある専門家の方は画期的な改正だという評価をされました。
しかし、果たしてそうなんだろうかという疑問を出していらっしゃる方も多くいらっしゃいます。例えば、後見制度と家族の会の方々によると、今回の改正というのは、改正ではなくて利用者のための改悪である、後見は悪くなる一方だという、真っ向から違う評価がされているんですよね。
なぜそんなことが起きてくるのかということについて、今日、具体的にお話を伺っていきたいというふうに思っております。
この成年後見については、四半世紀ぶりの抜本的な改正ということになるんですけれども、後で詳しくお聞きをしますけれども、例えば、後見人などによる不正事例というのはこれまでずっと起きてきて、びっくりしたんだけれども、例えば、二〇一四年、平成二十六年には五十六億円もの被害が出ている。その後、減っていくんだけれども、昨年一年にしても約八億円の被害が後見人等による不正事例として表れている。これは逮捕されたようなケースですから、もっと目に見えないことが恐らくいっぱいあるどころか、あるんですよ。
だから、そういうことが今度の改正によって本当に改善されていくんだろうかということを細かくお聞きをしていきたいんですが、まず大臣にお聞きをしたいんですけれども、四半世紀ぶりの改正という、それはなぜ、どういう理由で、これまでどんな問題があったから改正しなければいけないということになったのかの認識を伺いたいです。
○平口国務大臣 お答えいたします。
成年後見制度が創設された平成十一年以降、高齢化の進展等を背景に制度利用のニーズが増加しておりますが、現行制度には、判断能力が回復しない限りその利用を終了できないなどの問題点があると指摘されていたところでございます。
そして、令和四年三月に閣議決定された第二期成年後見制度利用促進基本計画には、そのような問題点が指摘された上で、成年後見制度の見直しの検討が盛り込まれたところでございます。
こうしたことから、令和六年二月、法制審議会に諮問をいたし、本年二月、法制審議会から要綱が答申されたため、要綱の内容を踏まえた本法案を提出したところでございます。
○有田委員 四半世紀ぶりの改正に至るに至るというのはおかしいな、至る経過で、今大臣はそのような問題がありという表現でしたけれども、もう少しそのような問題を具体的に示していただけませんか。そのようなの中身です。法務省でも構いませんけれども。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣が御答弁申し上げたとおり、一つには判断能力が回復しない限り利用を終えられないということでございますが、より具体的に申し上げれば、本人にとって適切な時機に必要な範囲、期間で利用できるようにすべきである、また、本人が必要とする身上保護や意思決定支援の内容やその変化に応じ後見人等を円滑に交代できるようにすべきである、そのような御意見があり、国は障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続や本人の地域社会への参加等のノーマライゼーションの理念も十分に踏まえた上で検討すべきであるというふうな指摘があったところでございます。
○有田委員 よく分からないんですね。そのような問題と言うけれども、今二点か三点挙げられましたけれども、いろいろな意見があったというのは、具体事例として意見が届いたわけでしょう。だから、それは法務省もそうですけれども、厚労省も具体的にどんな問題が起きたかということをつかんでいらっしゃるわけですよね。その上で、やはりこれは改正しなければいけないという判断に至ったというのは、それは論理的筋道はそういう結論になりますよ。
だから、どんな意見が全国から出てきたのかというのを、分かればというか、つかんでいらっしゃるんでしょうから、具体的にもう少しお話しいただけませんか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど私の方が申し上げたような指摘につきましては、第二期成年後見制度利用促進基本計画を策定するに当たり専門家会議というものが開かれておりまして、その専門家会議において、障害をお持ちの方、またその家族の方、支援される団体の方、そのような方々の声を直接聞いて、第二期計画が定められたという経緯でございます。
○有田委員 いや、だから、具体的にこんな例があったという。どこそこで何があったというのを聞きたいんじゃないんですよ。声があったというその具体例があるわけでしょう。具体例があって、まとめられて、やはり改正しなきゃいかぬという結論に至ったわけじゃないですか。
今のお話だと非常に抽象的なことに終わっているんだけれども、具体例というのはつかんでいらっしゃらないですか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
具体例として、一つ一つ、いつの時点で、誰が、どのような行為があったのか、そのようなことを今申し上げるべき資料というものもございませんが、声としては、必要な範囲で制度を利用したいとのニーズに対応できないという課題、一度制度を利用すると終了することができないという課題、選任された成年後見人等について交代が困難であるという課題、このような事柄を様々な方から聞いているということで、そのような声の集積というものは、そのような事実があったことを背景にするのではないかと考えているところでございます。
○有田委員 そうすると、具体的にお聞きをしたいのは、法務省に聞きたいんだけれども、例えば、後見人制度で後見人の権限が強過ぎたということはないんでしょうか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
現行の成年後見制度については、成年後見人は、本人の財産に関する包括的な管理権や、本人の法律行為に関する包括的な代理権、取消権を付与され、本人の自己決定が必要以上に制限されている等の指摘がされております。法制審議会の部会におきましても、後見人がこのような幅広い代理権等を有する制度については委員や参考人から反対意見が述べられ、パブリックコメントの手続にも同様の反対意見が寄せられたところであります。
民法等改正法案では、このような指摘等も踏まえ、後見及び保佐の制度を廃止し、本人にとって必要な事項に限って代理権又は取消権を付与する補助の制度に一元化しているところでございます。
○有田委員 今お話しになったように、非常に、例えば、財産といえば、通帳預かりすることもできる、それを包括的に権限を持っているのが後見人。それは、私の表現で言えば、やはり権限が強過ぎたんじゃないかというところで、いろいろな問題が現実には起きてきているから、家族に関する方々は、今回は利用者のための改悪であって、後見は悪くなる一方だ、補助人にしたってこれまで起きてきた問題点というのは改善されないんじゃないか、そういう懸念を持っていらっしゃるわけなんですよ。
厚労省にお聞きをしたいんですけれども、これまで、これまでというか、法改正はまだですから、後見人というのは、どういう能力を持った方かなんですけれども、民法上は、事理弁識能力の問題だという非常に難しい言葉なので、一般的にはなかなか通用しない言葉で使われているんだけれども、この被後見人の能力というのか、人間的能力というのか、それはどういうものなんでしょうか。それは、事理弁識能力に欠けるという答弁ではなくて、実際にはどういう状況なのかというのを具体的に教えていただけますか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
申し訳ございませんが、民法は、厚生労働省、我々の所管でございませんので、それについては責任を持った答弁はこの場でしかねます。
○有田委員 じゃ、質問を変えましょう。
被後見人、そうか、厚労省の法律にはないわけですか。こういう人が被後見人になるという、法律上はないんですか、厚労省関係では。
○井上委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○井上委員長 それでは、再開します。
厚生労働省林大臣官房審議官。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
同じ答えになりますけれども、民法において定義されておりますので、民法自体は厚労省の所管ではないというふうに認識しております。
○有田委員 はい、分かりました。済みません。
じゃ、法務省にお聞きをします。同じ質問です。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
法案審議でございますので、まず、法文の条文としては、私どもは、今回、特定補助の対象となる者については、事理を弁識する能力を欠く常況にある者というふうな規定ぶりで御提案しておりますけれども、これについては、社会生活上、人が通常経験する事務について、その内容を理解し、考えられる解決の利害得失を検討して、態度を決定することができる可能性がないことがほとんど普通の有様であるものというふうに整理をしているところでございます。
○有田委員 それを一人一人の人間に当てはめるとどういうことになるんですか、現実生活において。民法上の事理弁識能力がないという状況をお一人お一人の状況に合わせて説明していただくと、どういう状況の方が被後見人となるんでしょうか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
この点については、平成十一年の民法改正時には、日常の買物も自分ですることはできず、誰かに代わってやってもらう必要がある者などと説明されておりましたし、今回におきましても、その意義としては基本的に同様でございますが、より明確化する観点から、先ほど申し上げたとおり、考えられる解決の利害得失を検討して、態度を決定することができる可能性がないということがほとんど普通の有様であるということを家庭裁判所において認定するということ、そのような仕組みになっているところでございます。
○有田委員 言葉としては分かるんだけれども、それが一般社会に通用するかどうかというとき、説明するときに、端的に言って、被後見人になる人の今の人間的能力は、例えば千円札と一万円札の区別がつかないとか、あるいは、自分の息子であるとか娘であるとか夫であるとか妻であるとか、そういうことを認識することができない人を指すんじゃないんですか。違いますか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
今委員が御指摘になったような事情ももちろん検討されると思いますし、その他、その方、御本人に関わる様々な状況、それを総合的に考慮するものというふうに考えております。
○有田委員 そこで、世間では、この四半世紀、大きな問題が発生してきたわけですよ、今も。だから、それは補助人になっても同じようなことが続く可能性があるから、やはり危惧される方々がいらっしゃるんですよね。
具体的な例を挙げても、個別の問題にはお答えできないという答弁になるので、それを避けるために、どんなことが起きているかということを簡単に例えばお伝えしたいんですけれども、東京でも、私は練馬区に住んでおりますけれども、練馬であったり、港区であったり、あるいは江東区で問題が起きてきた。
厚労省にこれからお聞きをしますけれども、老人福祉法に基づいての保護や分離という問題になってくるんだけれども、だけれども、世間一般の言葉で言えば、連れ去り事件、連れ去り事案ということが各地で起きているということは、厚労省は把握はされていますか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
様々報道されている事実は承知しておりますが、御指摘のとおり、個別の事案についてお答えすることは差し控えさせていただきます。
その上で、一般論として申し上げれば、家族等が高齢者御本人と面会ができない、会うことができないケースを連れ去りという表現などで報道されていることもあると承知しておりますけれども、この具体的な背景といたしましては、まずは、市町村が高齢者御本人が虐待を受けているということで高齢者虐待防止法に基づく保護を行っている場合のほか、高齢者御本人の御意思によるもの、あるいは、高齢者御本人の御意思に基づいて、高齢者が入所等している施設長が有している施設管理権により行われているものなどが考えられると承知しております。
○有田委員 今お答えいただきましたけれども、でも、そんなきれいごとが進行しているんじゃないんですよ、御存じだと思いますけれども。
全国各地で何が起きているのか。例えば、昨年の三月十三日、江東区に、都営住宅にお住まいだった、去年九十七歳の武田和子さんは、今も行方不明。面会もできない。高齢者虐待防止法に基づいてというんだけれども、まず、その出発点、二〇二五年、昨年三月十三日、自宅のアパートの玄関の鍵を壊して警察官が侵入をして、武田和子さんとその娘さんとその娘さんを、警視庁城東署に任意同行ですけれども連れていった。
まずお聞きをしたいんだけれども、厚労省老健局にお聞きします。
市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援についてという非常に長い資料がありますけれども、そこで、六十四ページ、行政権限の行使等、立入調査、立入調査の制約ということがありますけれども、そこには何と書いてありますでしょうか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
申し訳ありません、通告に明確にございませんでしたので、その点、手元に資料がございませんので、今直ちにお答えすることが困難でございます。
○有田委員 昨日の夜、追加で通告しております。だから、それが伝わっていなかったのかも分かりませんけれども。立入調査について質問するというのは行っていなかったですかね。昨日の夜の通告、行きましたか、六時過ぎの。まあいいや、じゃ、済みません。失礼しました。
じゃ、こっちから、どういうことかということをお伝えします。
このマニュアルの中には、警察等関係機関への援助依頼があったときになんだけれども、例えば、養護者等が立入調査を拒否し施錠してドアを開けない場合、鍵やドアを壊して立ち入ることを可能とする法律の規定がない、できない、鍵を壊して入ったら。
だけれども、具体例ですけれども、江東区の武田和子さんがお住まいのところに、いきなり警察官がやってきて、外から鍵を壊して、家に入って、三人を連れていった。
これは、だけれども、通告が届いていなかったのか、していなかったのか、失礼なんだけれども、今読み上げましたけれども、この厚労省のマニュアルに基づくと、もう一度繰り返しますけれども、鍵やドアを壊して立ち入ることを可能とする法律の規定がないから、それはできない。その理解、間違っていないですね。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
個別の事案についての評価というのは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、立入調査という中で、鍵を壊すということまで想定されるものではないというふうに認識をしております。
○有田委員 そうすると、こういうマニュアルを作っていらして、ここに明確に書いてある、できるとは解されない、できないと。今も御答弁なされましたけれども、これは、一般論として、もしそういうケースがあったとしたら、どこに問題があるんですかね。警察に問題があるんですか、区役所に問題があるんですか、区の担当者に問題があるんですか。どう思われますか、感想でいいんですけれども。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しで恐縮ですが、個別のケースについての評価というのは、この場で答弁するのは差し控えたいと考えております。
○有田委員 警察官が鍵をこじ開けてその家に住んでいる人を一方的に連れ去るということは、許せないわけでしょう。警視庁だって困っているわけですよ、こんなことを現場がやってしまうから。だけれども、それを指示した人がいるわけですよ、ここだけではなく。だから問題なんです。
続いてお聞きをしたいんだけれども、これは確実に質問通告を出しているはずなんですけれども、家族からすればいわゆる連れ去りと見えること、そのことは老人福祉法でいえば保護や分離ということになるんでしょうけれども、その保護、分離をする場合というのは、高齢者虐待防止法によるという一言ではなくて、どういうケースで保護がなされ、分離がなされるんでしょうか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、状況を改めて整理して申し上げますと、今議論されておりますのは、高齢者虐待防止法に基づいて市町村が措置をする場合ということでございます。これは、具体的には家族、養護者による虐待を受けている高齢者のまず意思や高齢者の心身の客観的状況に鑑みて、高齢者を保護する緊急の必要があると判断される場合について、市町村で、高齢者虐待防止法及び老人福祉法、こういった規定に基づきまして、特別養護老人ホームへの入所措置など高齢者を保護する対応を講ずる、こういったことで行われているものでございます。
御質問いただきました国が提示しているマニュアルでこの法律の施行の具体的な進め方などを提示しておりますが、保護と分離につきましてはこのように書かれております。まず、高齢者の生命や身体に関わる危険性が高く、重大な結果を招くおそれが予測される場合などに、高齢者を保護するために養護者等から分離する手段を検討する必要があるといったこと、そして、施設入所や医療機関への一時入院、市町村独自事業による一時保護など、高齢者の心身の状況や地域の社会資源の実情に応じて、保護、分離する手段を検討することが必要であることといったことが記載されてございます。
○有田委員 じゃ、そのときに虐待認定というのはどこが行うんでしょうか。いろいろな通報があるわけでしょう。いいかげんな通報が多いんだけれども、虐待があるといったら行政は動かなければいけないから、法律に基づいて行動される。だけれども、本当に虐待があったかどうかというのはどこが判断するんですか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
高齢者虐待防止法上、虐待があったかどうかの判断は市町村が行うというふうにされております。
○有田委員 自治体の担当職員とか地域包括支援センターの職員など、専門家の方々がいわゆるコアメンバー会議でこれは虐待だなという判断をされるというのが一般的、それでよろしいわけですね。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、高齢者虐待対応に係る自治体向けマニュアルにおいて、厚労省として、虐待の判断あるいは行政の権限行使の判断など市町村の意思決定に当たっては組織的な協議を行う、コアメンバー会議と今言及いただきましたけれども、行うこと、専門的知見を有する者の参加やアドバイスが得られるような仕組みづくりを進めるよう示しているところでございます。
○有田委員 その場合、会議をやって、当然議事録というのは残りますよね。いかがですか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、会議での議事録を作成するということは重要であるということをマニュアルでも示しております。
○有田委員 重要であるということは、ない場合もあり得るという理解でいいんですか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
我々としてはそのようにマニュアルでお示ししておりますが、全てのケースにおいて市町村が具体的に作成されているかどうかについては、我々は把握はしてございません。
○有田委員 だから、議事録を作っていないところもあるから、それが本当に虐待だったかどうかというのは分からないわけですよ、家族にすれば。
昨年三月に、家から、突然警察が入ってきて、警察署に連れていかれて、それ以来、もう一年以上、九十八歳になるのに、行方も分からない武田和子さん。個別ですけれども、江東区のケースだけれども、虐待の根拠を何一つ示すことができない、会議録がないんだから。こんなことが起きているわけですよ。だから、それが今度の法改正で改善されるのかという問題なんです。
一般論として、正しい方向性としての、補助人に一本化するという、それはいいことでしょう。だけれども、現場でいろいろな問題が現在進行中で起きているわけだから、やはりこれは、議事録は徹底して作らなければいけないという方にマニュアルを強く示していただけませんか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、厚労省としては、現在でもマニュアルに議事録を作成するように記載してございますので、今後、その取扱いを徹底するように自治体に周知していきたいと考えております。
○有田委員 だから、マニュアルには正しいことが書かれていても、それをやっていないところがあるから問題が起きてしまっているので、それを徹底、確かに、もっと強くしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
それで、この江東区の武田和子さん、九十七歳、今九十八歳。問題は、先ほども面会のことが言葉に出ましたけれども、その前に、質問通告をやっている三番目の、虐待認定をするときに、コアメンバーもいいんだけれども、専門的知見を有する者との連携というのは必要なんじゃないですかね。区の職員の皆さんにしても、その周りの福祉の関係の人についても、専門的でない方もいらっしゃるわけだから、専門的知見を有する者との連携というのは考えてもいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省としては、高齢者虐待対応に係る自治体向けマニュアルにおきまして、虐待判断、行政の権限の行使等の意思決定に当たって組織的な協議を行うことに加えまして、御指摘のように、専門的知見を有する者の参加やアドバイスが得られるような仕組みづくりを進めるよう示してございます。
しかしながら、自治体の規模等により、市町村単独によってこういった仕組みづくりが困難な場合もあることから、厚生労働省といたしましては、補助事業によりまして、都道府県における弁護士あるいは社会福祉士などで構成される高齢者虐待対応専門職チームなどの活用によって、専門相談窓口を設置することや虐待防止ネットワークの有識者アドバイザーに相談する体制を構築するなど、都道府県による市町村のバックアップ体制の構築に対して支援を行っております。
現状では、三十八の都道府県におきまして、虐待事案への対応に関して市町村からの相談に福祉、法律などの専門職が対応する権利擁護相談窓口が設置されているというふうに把握しております。
また、市町村の活用状況といたしましては、三百六十の市町村、これは調査に回答いただきました市町村の約半分でございますけれども、が都道府県に設置されているこの専門相談窓口を活用しており、例えば支援者間の一定した支援の方向性の統一、現状の支援の方向性が間違っていないか、法的に問題はないかなどについての相談を行っていると承知してございます。
○有田委員 根本的には、この人が虐待かどうかというのは、現実に起きていることでいえば、近所の人が嫌がらせで、虐待されているよとかそういう通報だってあるわけですよ。だから、そういうことで、例えば議事録も残っていない、この人が本当に虐待されているのかどうかというのを判定できない。
だから、そういうときに、自治体にしても人数が少ないとか大変だというのは聞いているんですけれども、例えば虐待されているかどうか、この人はどうしなければいけないのかということを、その判断の過程で司法審査なんかを導入するということも必要な一つの方向だと思うんですが、いかが思われますか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
高齢者虐待防止法に基づく保護につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、その対応が適切に行われることが重要でありまして、厚労省から示しているマニュアルにおきましても、先ほどからるる申し上げております組織的な協議、あるいは専門的知見を有する者の参加、アドバイスが得られるような仕組みづくりを進めており、都道府県による支援についても補助を行っております。
ただし、高齢者虐待防止法に基づく保護につきましては、市町村が、虐待を受けている高齢者の御意思、高齢者の心身の客観的状況に鑑み、家族等の養護者による虐待を受けていると疑われる高齢者を緊急的に保護する必要があると判断される場合に講じられるものでありまして、この判断は緊急性を要するというふうに考えておりますので、議員御指摘のような司法判断の導入については、そういった観点から慎重な検討が必要というふうに考えております。
○有田委員 そのことについて関連してお聞きしたいんですけれども、厚労省は、各地方自治体に、後見人をつけることに対して数値目標というのは出していらっしゃるんですか、数値目標。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
承知している限り、後見人をつけることの数値目標というものを定めるように国から示しているということはないというふうに認識しております。
○有田委員 だから、数値目標をつくっている地方自治体なんかが、現場の成績主義なのかどうか分からないけれども、やはり無理をしているというケースがあるんですよ。
さっきの江東区の現在九十八歳になる武田和子さんは、もう一年以上、どこに行っているか分からないという。
じゃ、面会できないのは何なのかということについてお聞きをしたいんですけれども、これは五番目の質問で出しておりますけれども、面会制限について、マニュアルで書かれておりますよね、面会制限の条件について。ちょっと教えていただけますか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
面会制限の要否につきましては、マニュアルでは、虐待の内容や経過、高齢者の意思や心身の状況、養護者の態度等から、養護者と面会することによる高齢者の心身に与える危険性や弊害を考慮して、総合的に検討して判断するということ、また、面会制限の対象となる高齢者、養護者にとっては相互に面会する利益の制約となることに鑑み、当面の面会制限の期間と定期的な評価をする時期を定め、面会制限を解除する要件や方法などを検討しておくことが必要ですなどと記載してございます。
○有田委員 要するに、高齢者及び養護者に処分内容を通知しなきゃいけないわけですよね、行政手続法に基づいて。ところが、よく分からないことがやはり現場では起きていて、繰り返しですけれども、江東区のケースだと。
これは基本的なことをお聞きをしたいんだけれども、後見人が面会を拒絶する権限というのは法的にあるんですか。これは法務省ですね。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
現行民法上、補助人は、本人と親族の面会を制限する法的権限等を付与されておらず、このことは民法等改正法案でも異ならないと考えております。
○有田委員 ところが、具体的なところでいえば、この武田和子さんがいなくなったきっかけをつくった江東区の担当者たちは、こういうことを公文書で書いている。既に成年後見人が選任されており、面会も含め、対応は成年後見人に委ねられております。二〇二五年十一月十三日付の公文書なんだけれども。
これはおかしくないんですか。こういうことはあり得るんですか。後見人が面会も含めて対応を委ねられているということは、これはあり得るんですか。今の法務省の説明とは食い違ってくるんですけれども。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
何度も繰り返し恐縮ですが、個別の事案についてのコメントは差し控えたいと思います。
ただ、一般論として申し上げれば、先ほどからこれもるる申し上げていますように、家族等が高齢者と面会ができないケースにつきましては、今議論していただいております、市町村が高齢者虐待防止法に基づく保護を行っている場合、あるいは、高齢者本人の御意思によるもの、もう一つは、本人の御意思に基づいて、高齢者が入所等をしている施設長が有している施設管理権によって行われているものが考えられると認識してございます。
成年後見人の権限については、先ほど法務省から答弁があったとおりというふうに認識してございます。
○有田委員 認識がない人が家族と会いたくないというような判断を下すこと自体がおかしなことであって、面会させない理由があるんですよ。
もう時間が来てしまったのでやめますけれども、やはり不正が全国で起きているんですよ。最初に言いましたけれども、一年間で五十六億円もの後見人等による不正が起きていて、減ってきたけれども、今だって、一年間で、昨年、八億円あるんだから、こういう現実があるということを踏まえて、法律がよりよいものになっていくことを期待して、時間ですので終わります。
○井上委員長 次に、三木圭恵君。
○三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。
今日は、お手元の方に資料を配付させていただきました。この資料の中に書かれておりますのは、日本維新の会の幹事長の中司議員が成年後見制度を考える議員連盟を発足させて、これを党として、党内議連なんですけれども、取り組んできたという記事でございます。
そのきっかけとなりましたのが、中司幹事長の新聞記者時代の先輩が成年後見制度によって奥さんに会えなくなった、後見人がなぜ会わせないのかという素朴な疑問からだったということで、様々、私たちも、党内議連の中で、成年後見制度について、主に市町村長からの申立てにより法定後見人をつけられて、突然本人の行方が分からなくなり、居場所も教えてもらえず、親族が本人と会えなくなる、遺骨になって帰ってくるまで会えなかった、この中司幹事長の先輩も、事実婚だったと聞いておりますけれども、奥さんと会えずに亡くなられたという悲痛なお声が届いておりますので、今回の改正によって成年後見制度が利用者が納得して利用できる制度、運用となるように、質疑によって確認をさせていただきたいと思っております。
それでは、まず一問目をお伺いいたします。
本人と親族の面会の機会の確保について、補助人が、本人の意向に反して、かつ、合理的な理由なく本人と親族の面会を制限している場合は、補助人の解任事由に該当するとの民事局の御答弁を前回いただきました。
虐待があったケースなどが合理的な理由に当たるというふうに考えられますけれども、虐待の認定は非常に難しいものがあると思います。もし仮に虐待があったと判断されたケースでも、一生親族が本人と会えない、本人と死ぬまで会えないというのは行き過ぎた処置ではないかというふうに思います。
そういった見解もございますので、そういうケースでも、時機を見て、補助人や第三者の立会いの下、面会はさせるべきじゃないかというふうに考えるんですけれども、厚生労働省のお考えをお伺いいたします。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
市町村が高齢者に虐待があったというふうに判断をして高齢者虐待防止法に基づく措置を行いますが、その上で、市町村が高齢者虐待防止法に基づいて面会制限を行うに当たりましては、虐待の内容や経過、当該高齢者の御意思、心身の状況、虐待を行った家族や親族などの養護者の態度といった個別の事案における要素を踏まえまして、養護者と面会することによる高齢者の心身への危険性や弊害などを考慮し、総合的に判断して実施しているものと承知しております。
その上で、面会制限が実施された後、面会をどのようにしてしていくかということにつきましては、やはりまずは本人の御意向や置かれた状況というのをしっかりと踏まえることが重要と考えております。
その上で、まずは自治体や施設の職員等や成年後見人などの同席の下、面会を実施する、あるいは、場所についても、入所されている施設とは別の場所で面会を実施するなどといった手法も含めまして、市町村において、複数の職員による支援方針の検討を通じて、また必要に応じて医療、法律等の専門家の協力も受けるなどして、どのように面会を認めていくかということについては適切に判断していくことが重要と考えております。
厚生労働省といたしましては、こうした面会制限の実務に関する内容につきまして、自治体向けに発出しているマニュアルに盛り込んでおりますが、引き続き適切な判断、運用がされるよう促してまいりたいと考えております。
○三木委員 ありがとうございます。
やはり一番問題になっているのは、虐待があって、御本人が認知症にかかっていらっしゃる場合でしたら、本当に忘れてしまっていたりとか、記憶が曖昧になっていたりとか、思い込みがあったりとかということで、親族の方も、介護している方も非常につらい立場になることが考えられますし、少しのことで本人が虐待されたと思い込むようなケースも多々あると思いますので、そこら辺は、親族の御意見もお伺いしながら、是非とも面会をしていけるような措置を取っていただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。今御答弁の中でそういったことを答えていただきましたので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、記録の閲覧についてお伺いします。
前回の確認でございます。親族が家事事件の閲覧を求めるときに、本人の生活の静穏を害するおそれがあるような事案については、これは先ほども申し上げているような虐待の事案ということだと思うんですけれども、本人の住所や居所などは閲覧が許可されないけれども、それ以外の記録は閲覧できるということでよろしいでしょうか。法務省と最高裁から御答弁をいただきたいと思います。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
閲覧が許可されるかどうかについては、個々の事案において家庭裁判所が判断するものであるため一概にお答えすることは困難ですが、一般論として申し上げると、例えば、補助に係る審判の取消しや補助人の解任の申立て権を有する親族は、利害関係を有する第三者として、これらの申立てをするかどうかの検討に必要な記録全般について閲覧をすることができると考えられます。
お尋ねのように、記録の閲覧により本人の生活の平穏を害するおそれがある事案においては、個別具体的な事情を踏まえ、本人の住所、居所など家庭裁判所が不相当と認める範囲で閲覧が許可されないこともあり、許可された範囲で閲覧が可能になると考えられます。
○馬渡最高裁判所長官代理者 まずは、個別の事案において家事審判事件記録の閲覧を許可するかどうかは、家事事件手続法四十七条の規定に基づいて、個別具体的な事情を踏まえて個々の裁判官により判断されるものでありますことから、事務当局としてお答えすることは困難でございますが、最高裁判所といたしましては、各家庭裁判所において、ただいま法務省から御説明があったところも含めまして、家事事件手続法四十七条の規定の趣旨や内容を踏まえた適切な運用が行われるよう、情報提供等、家庭裁判所に対する必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○三木委員 必要な書類が、親族が記録が閲覧できないということになりますと、後見人が、補助人ということになっていくんだと思うんですけれども、適正な仕事をしてくれているのかどうかということも分からなくなってしまいますので、これは閲覧が許可されるようによろしくお願いをしたいと思います。
次に、親族が補助人に不満がある場合、親族は即時抗告ができるということになっておりますけれども、不服申立てが却下されてしまうことが問題になっていることを踏まえて、不服申立てを受けた裁判所における運用を見直す必要があるのではないでしょうか。例えば、どういった場合に却下されるのかなどを運用で規定する必要があるのではないでしょうか。
○馬渡最高裁判所長官代理者 まず、委員御指摘のことは補助開始の審判に対する即時抗告ということだと思いますが、この即時抗告についての審理、判断が適切にされるということは重要であると考えておりますが、即時抗告に対していかなる判断を行うかは、あくまで個別の事案に基づく各裁判体の判断でございまして、最高裁判所においてその判断の在り方の見直し等を促すことは、裁判官の職権行使の独立に抵触するおそれがあり、すべきでないと考えております。
その上で、最高裁判所といたしましては、各裁判所において改正法の趣旨、内容を踏まえた審理運営が適切になされるよう、必要な支援をしてまいりたいと考えております。
○三木委員 この後見人制度でやはり悲痛な声が届いておりますので、最高裁の方にもそういった指導助言を是非よろしくお願いをいたします。
そして、前回の質問の確認でございますけれども、これは非常に大事なことなので改めて確認をさせてください。三年後の見直し検討条項がつけられておりますけれども、三年後の検討に向けた調査についてはどのような取組をされますか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
成年後見制度に関しては、附則第十条を踏まえ、改正後の規定の施行の状況について検討を加えるに当たり、改正後の制度の利用状況等に関する調査を実施していきたいと考えております。
その調査を実施するに当たり、本人だけでなく親族も対象とする場合には、その親族の範囲、親族の把握の方法、調査の内容及び方法など、検討すべき点もございますが、効果的に調査を実施し、改正後の制度の利用状況等を適切に把握することができるよう、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
○三木委員 やはり、今るる質問させていただいている内容は、家族の声が届いていないんじゃないかということが一番問題になっている課題ではないかと思いますので、こういった調査によって、家族の声、親族の声を、御本人の声ももちろんでございますけれども、そういった声を拾っていただきますように是非よろしくお願いをいたします。
次に、相談窓口についてでございます。
法テラスということでお伺いをしているんですけれども、三年後の見直しにおいて法テラスだけでは十分ではないという結果が出た場合は、更なる検討を行っていただくということで間違いありませんか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
相談については、その内容次第ではございますが、例えば、弁護士の補助人が親族を本人に会わせないため、補助人と親族の間で法的紛争になっているなどの事案については、各弁護士会などの法律相談を御利用いただくほか、法テラスの情報提供窓口に相談いただくことも考えられ、このような方法を適切に周知することが重要であると考えております。
成年後見制度に関し、附則第十条に基づき改正後の規定の施行の状況について検討を加えるに当たっては、このような点も含め、改正後の制度の利用状況等を踏まえ、必要な検討をしてまいります。
○三木委員 法テラスは非常に弁護士の方も頑張っていただいているとは思うんですけれども、やはり一般の、普通の方からすると使いづらいということもあるかのように聞いておりますので、是非、市町村における相談窓口などを設置していただくということを御検討いただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。
今までいろいろな、様々な苦情のお声が来ていると思うんですけれども、一例として、本人が負担して子や孫を連れて家族旅行に行っていたのに、成年後見制度を利用した後は後見人が認めない事案があるというふうに聞いております。改正によってこういう事案は改善されるのでしょうか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの点につきましては、個別の事案において具体的な事情に即して判断されるものでありますので、一概にお答えすることは困難でございます。
その上で、一般論として申し上げると、民法等改正法案においては、補助人は補助の事務をするに当たって本人の意向を把握するようにしなければならないとしていることから、本人の預貯金の管理などの財産を管理し、必要な支払いをする代理権を付与されている補助人は、その事務をするに当たって本人の意向を把握するようにし、その本人の意向を踏まえて必要な支払いをする事務を行うことが期待されていると言えます。
したがって、お尋ねのような子や孫の家族旅行の費用を支出することができるかどうかについては、そのようにして把握された本人の意向や旅行の費用の額、本人や子らの財産の状況等に即して適切に判断される必要がございます。
法務省としては、改正法が成立した場合には、その内容や趣旨が正しく理解されるように周知、広報に努めてまいります。
○三木委員 後見人をつけているから後見人には報酬を払わなければならない、報酬を払わなければならないからその分から差し引いたら家族旅行はちょっと無理なんじゃないかと後見人が判断をする、こういった事例がないように是非注意をしていただきたいと思います。
ちょっと順番を入れ替えまして、八番目の質問通告をお伺いしたいと思います。
低所得でも安心して制度を利用できるように、家庭裁判所への審判の申立て等の手続に関する費用や後見人等の報酬について、市町村による補助を行っていない市町村があり、補助を行っていても市町村によって内容にばらつきがあることが指摘されておりますが、充実を図っていく必要があるのではないでしょうか。厚生労働省にお伺いいたします。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、厚生労働省では、低所得の知的障害者、精神障害者、認知症の高齢者に対して成年後見制度の申立て費用、後見人等への報酬の助成を行う成年後見制度利用支援事業を実施しております。
この報酬助成等につきましては、第二期成年後見制度利用促進基本計画を踏まえまして、自治体に対して、事業の対象として広く低所得者を含めることなどの留意事項、先進自治体における好事例を示すなど、利用支援に向けた取組を進めているところでございます。
一方で、事業の実施状況に地域差があるなどの指摘があることは、御指摘のとおり、承知してございます。
今後、これまでの取組状況やより詳細な事業の運用実態を把握しながら、全国どの地域に住まわれても成年後見制度の利用を必要とする人が適切に制度が利用できるよう、取組を進めてまいります。
○三木委員 時間が来ましたので、質問を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、小竹凱君。
○小竹委員 国民民主党の小竹凱です。
本日も質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
先日残った質問から入りたいと思います。
まず、厚労省に順次お伺いをさせていただきます。
成年後見制度について伺いますけれども、近年、成年後見関係事件において、市区町村長申立て、いわゆる首長申立てが増加しております。
厚労省の資料では、この首長申立ては、二〇一九年七千八百四十件から二〇二四年には九千九百八十件に右肩上がりに増えておりまして、全申立ての中に占める割合も二三・九%と、申立ての中で最も多い数というふうに受け取られます。最高裁の資料でも二〇二四年の首長申立ては前年から増えておりまして、どのグラフを見ても過去から増加傾向というふうにありますが、厚労省に、現状の増加傾向をどのように認識されているのか、お伺いしたいと思います。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
成年後見制度に係る市町村長申立ては、身寄りのない方や親族による申立てが期待できない方の成年後見制度の利用を可能とする仕組みというふうに認識しております。
御指摘のとおり、市町村長申立て件数は増加傾向にあり、都市部や地方を問わず、身寄りのない独居高齢者やセルフネグレクトの方への支援なども含めて、その必要性が高まっているものと認識しております。
今後とも、成年後見制度を必要とされる方が全国どの地域においても適切に制度を利用できるよう、市町村長申立てが適切に実施されるよう取り組んでまいります。
○小竹委員 ありがとうございます。
成年後見制度の利用促進法であったりとか関連する利用促進計画の下で、この成年後見の首長申立てというのが増えております。そもそも昨今の高齢化もありますので、一概にそれだけが影響しているとは言いませんし、成年後見制度だったり利用促進法というのはそもそも増加をするための制度ではありませんので、こういったことが関連しているとは断言はできませんが、結果としてそうなっていることも事実でございまして、適切な申立ての実施が求められています。
しかし、制度の趣旨というのはあくまでも、今言ったように、増加させるためではなくて、権利擁護であったり意思決定支援であるというふうに思います。件数を増やすこと自体が目的となってはなりません。
実際に、自治体の資料、各自治体を見てみますと、例えば、熊本市の例を挙げさせてもらいますけれども、後見人申立てのうち市長申立てですね、首長申立てについて、二〇一八年度から二〇二四年度にかけて成果指標というのが置かれています。首長申立てそのものが行政上の到達目標のように扱われているようにも見えます。
厚労省は、こうした首長申立て件数を成果指標や目標として設定している自治体の存在を把握されているのか、また、申立て件数を単純な数値目標にすること自体の適否をどういうふうに考えていらっしゃるのか、お答えをお願いいたします。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
政府の第二期成年後見制度利用促進基本計画においては、成年後見制度の利用促進は単に成年後見制度の利用者の増加を目的とするものではないことを明記しておりまして、単に申立て件数の増加のみで計画の進捗を評価するのは適切とは言えないと考えております。
政府の基本計画におきましては、市町村長申立てに関しては、申立て件数ではなく、都道府県による研修の実施を計画のKPIと定めておりまして、令和七年四月一日現在で全都道府県が研修を実施しているところでございます。
政府として、全国の市町村が具体的にどのような目標を設定するか、その実態などは、申し訳ありません、把握しておりませんが、今御指摘いただきました熊本市のケースにおきましても、二〇二五年度から開始された今の計画においては、御指摘のような件数を目標とする取扱いは見直したというふうに承知をしております。
いずれにいたしましても、今般の民法改正案を踏まえまして、今後予定されます第三期成年後見制度利用促進基本計画の策定に向けた議論の中におきましても、市町村長申立ての制度趣旨を改めて確認するとともに、単に申立て件数の増加のみで計画の進捗を評価することのないように、自治体に対して周知してまいります。
○小竹委員 ありがとうございます。
二〇二四年には成果指標が置かれているのに、二〇二五年、これが撤回というか廃止された理由は分かりますでしょうか。お答えください。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
個別具体的にそこまで把握はしてございません。
○小竹委員 ありがとうございます。
問取りというか、やり取りをさせていただいたときには、こういった目標自体が、数値目標が単純に件数目標となってしまうこと自体が、ある種、ゴール設定を間違えてしまって適切な運用がなされないという声がやはりあったことから、こういった成果指標というのは取り下げたというふうに伺いました。
次の質問に行く前に基本認識を改めて伺いたいと思いますけれども、今回の改正によって、首長申立てであったりとか、先ほどから質疑の中でもありますように、ある日突然会えなくなったりとか、こういったある種適切と言えないような運用は改善されるというふうに厚労省は考えているのか、そこはまた運用なので全く別のお話と考えているのか、基本的な認識をお願いいたします。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の趣旨は市町村長申立てについてということかと思います、についてお答え申し上げますと、市町村長申立てについての制度の趣旨自体は今回の法改正によって大きく変わるものではないというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、今般の法改正を踏まえまして第三期成年後見制度利用促進基本計画の議論を進めていくことになりますので、そういった中で、現在の運用状況も含めまして、市町村長申立ての実態も踏まえつつ、この制度の趣旨の徹底等を行っていきたいというふうに考えてございます。
○小竹委員 ありがとうございます。適切に運用されるようにお願いいたします。
各自治体ごとに温度差というか、いろいろ差はありまして、例えば大阪の堺市なんかは、事務事業評価シートの中で、本事業は性質上数値目標の設定になじまないというように記載されているところもございます。本当に自治体差がありまして、これがある種、自治体ガチャのようにならないように、適切な運用を国としてもかじを取っていただきたいというふうに思います。
では、先ほどから言っているとおり、この制度は本人保護のための制度であって、行政の件数管理の対象という、単純にそういう目標にするべきではないと思います。そのことを確認することも含めて、改めて、本人意思の確認などについて適正な運用がなされているか、全国の実態を調査するお考えがありますか。厚労省にお伺いしたいと思います。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
市町村長申立ての進め方につきましては、令和二年度に開催いたしました成年後見制度における市町村長申立に関する実務者協議の取りまとめに基づきまして、親族調査の基本的な考え方等を整理し、令和三年十一月に自治体宛て通知をいたしております。
これを踏まえました市町村長申立ての運用実態につきましては、毎年実施しております取組状況調査等により申立て件数等を把握しておりますが、今般の民法改正案における成年後見制度の議論も踏まえまして、今後、第三期成年後見制度利用促進基本計画の議論が予定される中で、市町村長申立てにつきましても関係者から様々な御意見をいただくことを予定しております。
また、こうした議論に当たりまして、必要なデータを提供するといった観点も含めまして、今年度の調査研究事業におきまして、市町村長申立ての実施状況等につきまして詳細を把握することとしておりまして、これらも踏まえて必要な対応について検討してまいります。
○小竹委員 ありがとうございます。
今年度その調査をしていただけるということを伺いましたので、その結果を受けて、改めて適切な運用が、不断に検討が改善されるように是非お願いしたいと思います。
次に、保管証書遺言についても伺いたいと思います。
私は地元が石川県でございまして、令和六年の能登半島地震がありまして、所有者不明土地であったり、元々空き家、特定危険空き家も含めて大変多かった場所ですので、震災を受けて、境界の再登記であったり、いろいろなことを戻すときに、実はその土地が江戸時代から変わっていなかったりとか、そういった大きな問題もたくさんございました。特に、先日の答弁もいただいたとおり、所有者不明土地の根幹にもなるこの遺言ですけれども、こういうことが復旧復興のときに更に遅れを生じているというふうに思います。
先日の参考人質疑の際に、山野目参考人から、これまでの遺言の歴史であったり変遷というものを伺いました。そして、その中で、我が党の井戸議員とのやり取りの中で、遺言の生命は、改ざんを防ぎ、本人の真意を確保するところにある、それから、今求められているのは、遺言の制度を実質化する、現代化するというような観点からの改正が求められているというようなことを伺いました。
大臣に一問お伺いしたいというふうに思いますけれども、今回の改正は、これまでの課題を十分に解決した遺言制度の現代化、それを体現したと言えるのか、大臣の見解をお願いいたします。
○平口国務大臣 遺言制度につきましては、近年のデジタル技術の進展、普及という社会状況に対応したものとする必要があるとの指摘や、自筆証書遺言の全文を手書きしなければならない負担があるとの指摘がされていたところでございます。
そこで、本法律案では、パソコン等により電子データ等をもって作成し、法務局において保管する方式の保管証書遺言を創設しております。また、特殊な状況下でのみ作成できる死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言について、多くの国民が利用するスマートフォン等の機能を踏まえ、遺言の作成過程を録音、録画することなどを要件に取り込んだ新たな方式を追加しているところでございます。
このように、本法律案は、遺言制度について指摘されていた問題を、課題を解決するものになっていると考えております。
○小竹委員 課題解決は前進している部分はあると思いますが、まだ、これは途上というか、通過点だというふうに思います。
技術基盤についても伺いたいと思いますが、法務省のデジタル技術を活用した遺言制度の在り方に関する研究会報告書を読ませていただきました。ブロックチェーンの活用であったり、マイナンバーカードの電子署名、録音、録画の活用、さらには、保管主体を公的機関にするのか、民間も含めるのか、こういった幅広い議論が検討されています。
しかし、この報告書の結論は多くが引き続き検討でありまして、つまり、真正性、オーセンティシティーの方ですね、真正性確保と利便性のバランスという肝腎の論点はまだまだ詰め切れていない。各国もいろいろと進めておりますが、検討の中で慎重にこれからも改善されていくものかなというふうに受け取りました。
今回の改正は、真にデジタル化、また、よく言われるDX化ということとはほど遠く、デジタルの技術を使いながらも、いろいろなコストも同時に増えているというふうに思います。
政府として、この研究会報告書も踏まえて、今後の遺言制度はどのようになっていくことが望ましいと考えているでしょうか。お答えください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の研究会報告書を踏まえ、法制審議会の部会では、普通の方式の遺言に関して、電子データをもって作成された遺言書について、ブロックチェーン技術やマイナンバーカードの電子署名を活用して改ざんを防止することなども検討されました。
もっとも、ブロックチェーン技術を活用することについては、高齢者等の様々な遺言者が自らブロックチェーン技術を活用することは必ずしも容易とは言えないとの指摘や、管理のコストが高くなり得るためメリットが必ずしも高くないとの指摘等があり、採用されませんでした。
また、公的機関の関与なくマイナンバーカードの電子署名を活用することについては、遺言をした後、遺言者の死亡により効力を生ずるまでに相当期間が経過することも多いところ、電子署名の電子証明書は有効期間があるほか、本人の死亡によっても効力が失われるため、遺言の効力が生じた際に電子証明書の有効性を検証することができないなどの指摘があり、採用されませんでした。
法務省としては、遺言制度は、デジタル技術の進展、普及の状況を踏まえ、利便性を確保しつつ、遺言者の真意に基づくことを担保できるものである必要があると考えており、改正法の施行後の保管証書遺言の利用状況等も勘案し、制度の在り方について今後も必要な検討をしてまいりたいと考えております。
○小竹委員 ブロックチェーンの活用に関しては、まさに、よく司法書士の方がやられている遺言の検認の方について、ハッシュ値というか、書き換えられたら更新されていくわけですから、そういったところは、コストの面で認められなかった部分もありますけれども、しっかり最終版とか、遺言が一番新たなところが確保されることが重要である、その制度とすごく親和性が高いというふうに思いますので、これは各国でいろいろ検討されておりますから、日本でもこのブロックチェーンの活用というのはデジタル遺言にも使っていただきたいと思います。
高齢者が必ずしもこれを使えるか分からないということがございましたけれども、必ずしも全員にそういったことをしろというわけではなくて、やはり利便性の高い方式もあって、そもそもこの遺言制度というのが、やはり活用率自体が一桁%、ほとんど使われていないということが一番の課題だというふうに思いますので、使いやすい制度のためにも、引き続き、デジタル技術を活用した、真にデジタル化と言える遺言の制度の検討に努めていただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
〔委員長退席、三木委員長代理着席〕
○三木委員長代理 次に、井戸まさえ君。
○井戸委員 国民民主党の井戸まさえです。
私は、先日の質疑で、今回の制度改正について、現在制度を利用していらっしゃる方々にどう周知をしていくのかということを取り上げました。
その際に、家庭裁判所への年一回の定期報告の機会を利用して、改正内容について御本人や家族に説明を行ったのか、現行制度を継続する意向なのか、それとも、事項ごとの契約など新制度へ移行する意向があるのか、御本人や御家族、そして支援者の皆様の間でどのような話合いをしたのかということを報告事項に含めてはどうかということを提案をさせていただきました。
これに対して、最高裁からは、制度利用に関する本人意思を尊重することは重要であり、改正法の趣旨にかなった合理的運用がなされるように後押しをしたいとの御答弁をいただきました。また、参考人質疑の方でも、小澤参考人、根本参考人から前向きな御意見をいただき、山野目参考人からはグッドアイデアという評価をいただきました。
私は、この提案の利点というのは、ほとんどコストをかけずに実施ができる点にあると思っています。新たな通知システムや大量の郵送物、これを必要とせず、既存の定期報告の仕組みを活用することで、制度改正の周知と本人意思の確認、そして、加えて、今日もお話がありましたけれども、統計データというところもこれで確保することができるのではないかということです。
単なる説明責任ではないというところも含めてですけれども、本人が新制度を理解した上で、また現行制度を継続したいのか、あるいは、より本人の意思尊重に沿った仕組みに移行したいかというのを、家族も含めてですけれども、話し合う機会にもなっていくと思います。
改めて、このような制度運用の在り方について最高裁としてどのようにお考えか、御答弁をいただけたらと思います。
○馬渡最高裁判所長官代理者 まず、お尋ねの改正法案に関する裁判所の運用の在り方について、現時点で確たるお答えをすることは困難でございますが、委員御指摘のような、御本人の意思の尊重、意向の尊重というのは重要であるというのは前回申し上げたとおりでございまして、その上で、どのような方法で運用していくかというのは裁判事項にも関わるものでございますので、今後、仮に改正法が成立した場合には、施行に向けた運用検討の中で、委員御指摘のような方法も含めて全国的な検討をしていって、しっかりとした運用につなげていきたいというふうに考えております。
○井戸委員 実は、制度の中の手続で周知を組み込んでいくというような発想には前例があります。
二〇一一年の民法の一部改正、そしてこれは二〇一二年に施行されるんですけれども、養育費や面会交流の取決めが明文化された際に、私は、この法務委員会のところで、離婚届に養育費等や面会交流について取決めをしたかということを確認するチェック欄を設けたらどうかということを提案をいたしました。その後、それが民事局長通達によって実際に離婚届の様式変更というのがされて、チェック欄が設けられました。今年ちょうど、離婚後の共同親権制度もこのチェック欄というのが新たに設けられたという形で、利活用がされているわけです。
前回、ちょっと前ですね、前々回でしょうか、私が、無戸籍に関してのパンフレットだとか、あと動画だとかといったところで、この周知、広報の活動についてどうかとちょっと厳しめに御指摘もさせていただいたんですけれども、それはなぜかというと、やはりパンフレットを配るだけではなかなか周知徹底というのはできないんですね。やはり、制度を利用する際に、その場面そのものに周知とか意思確認ということを組み込むということが最も効果的な周知の方法であると思っています。今回も、定期報告の機会を活用しということなので、これも非常に有効に作用するのではないかと思っております。
このことについて、遺言の部分も含めてなんですけれども、周知、広報というところについて大臣がどのようにお考えかということをお答えをいただきたいと思います。
○平口国務大臣 民法等改正法案は、成年後見制度について、本人にとって必要な範囲でその利用を可能とすることや、遺言制度について、電子データ等で作成して法務局において保管する保管証書遺言を創設することなどを内容とするものでございます。これらによりまして、成年後見及び遺言の制度がより使いやすくなるものとなると認識しております。
法務省といたしましては、改正法が成立した場合には、その趣旨、内容が正しく理解されるよう、十分な周知、広報や遺言保管の丁寧な手続案内等に努めるとともに、改正法が円滑に施行されるよう、しっかりと準備を進めていきたいと考えております。
○井戸委員 ありがとうございます。
是非準備を本当にしっかりやっていただけたらと思っております。
次に、任意後見制度の拡充について伺いたいと思っています。
信頼する家族がいたとしても、その家族自身も年を重ねますし、病気や介護、あるいは生活環境の変化によって、これまでどおりに支え続けることが難しくなるなんてことは誰にでも起こり得ます。だからこそ、自分自身が将来判断できなくなることへの備え、また、障害のある子の親亡き後、さらには、その子を支える親自身の高齢化などについても元気なうちから周囲と相談をして、事前に備えておくことが重要だと思います。
そのための仕組みとして、ほかの委員の皆さんからも、この任意後見制度というのは本当に重要である、そんな制度であるということの御指摘もありましたけれども、私もそう思っております。
ただ、これから変わっていくというところで考えていくと、新しい制度であるために、実際にはどんな場面でこれを使うことが想定されているのか、国民にとってはちょっと分かりにくい部分というのもあるのではないかと思います。今回の改正で可能になる補助制度と任意後見制度の併用と言われても、ちょっと理解が至らないというところもあると思います。こうして制度が並走していくというところに関して言ったならば、もう少し分かりやすく説明をしていくということも必要になってくると思います。
こうした任意後見制度の課題についてどのように認識をされているのか、そしてまた制度運用の中でこういった課題を克服をしていくというのか、お伺いをしたいと思っています。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
現行の任意後見契約法上は、任意後見契約の発効に任意後見監督人の選任を要しますが、任意後見監督人による監督の負担が重過ぎる事案があるとの指摘を踏まえ、民法等改正法案では、家庭裁判所が明らかに任意後見監督人による監督の必要がないと認めるときは、例外的に任意後見監督人を選任しないことを許容することとしております。
また、先ほど御指摘のように、任意後見契約と補助の制度の併存を認めることといたしました。そのため、任意後見契約の発効後に補助の制度の利用を開始したときでも任意後見契約は終了しないこととしています。
これをもう少し具体的に申し上げますと、具体的には、例えば、任意後見契約の効力が生じた後に、任意後見契約締結時点では想定していなかった法律行為をする必要が生じたために補助の制度の利用を開始することになる、その場合でも、補助の制度の利用をする部分以外の事務に関しては任意後見契約を利用し続けることができるんだ、そのような説明をしてまいりたいと思っておりますし、委員御指摘のように、法改正の内容をより分かりやすく国民の皆様、利用者の皆様にお伝えすることができるよう努力してまいりたいと考えております。
○井戸委員 何で任意後見制度がなかなか進まないのかといったときには、やはり、早めに契約しておかなければいけないという、自分の状況を知る以前に予測しながらやらなければいけなかったりだとか、逆に、実際に使うときには重い、報酬も含めてですね、というようなことで、元気なうちにはまだ必要ない、自分は大丈夫と感じてしまってなかなか契約に至らないということもあると思います。
是非、今お話もいただきましたけれども、こういったところをしっかりと多くの方々に認識が広がっていくような取組というものをよろしくお願いしたいと思っています。
次に、障害者のアクセシビリティーについて伺いたいと思っています。遺言制度についてです。遺言制度において、障害者だとか高齢者への配慮について伺います。
デジタル化によって利用しやすくなる方がいる一方で、視覚障害だとか聴覚障害、身体障害、IT機器の利用困難などによって、かえって制度が利用しにくくなるというような方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も、両親と夫の両親、義父母をこの数年の間に亡くしました。その四人を考えて、今回の例えばデジタル化された遺言のシステムで遺言できるかなと考えると、一人一人思っていくとちょっと難しいなと思うんですね。
例えば夫の父は、耳も聞こえない、そして目も見えないという状態になったときに、じゃ、これでどの形で遺言をするのかといったらば、非常に大変な状況で、それを支える例えば人員も必要になってくるとなると、本当に大変なことなんだなということを実感をいたしております。そんな状態でパソコンの入力だとか読み上げ方式による遺言というのが果たして本当にできるのかというところに問題意識を持っています。便利になったけれども、使える人だけが使える制度になってはいけないと思っています。
そこで、伺いたいと思います。
障害者が、新たに設けられた方式である保管証書遺言だとか死亡危急時遺言、そして船舶遭難者遺言などによって遺言を行えるようにするためには、どのような手当てというものが想定されていますでしょうか。是非お答えをいただきたいと思います。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
民法等改正法案では、新たな方式の遺言として、電子データ等をもって作成し、遺言者による遺言の全文の口述等を要件とした上で法務局において保管する保管証書遺言を創設することとしております。
この電子データ等の作成というものは、遺言者本人がする必要は必ずしもございません。そして、口述に関しましては、口が利けない方については遺言の全文の口述に代わる特則を設けておりまして、遺言書保管官の前で遺言の全文を通訳人の通訳によって申述し又は自書することによって、口述に代えることができるものとしております。
視覚障害者、聴覚障害者の方につきましては特則は設けておりませんが、例えば、視覚障害者が遺言の全文の口述をする際には、遺言の点字翻訳をあらかじめ用意していただくなど、個別の事案に応じた運用等により対応することができると考えております。
次に、死亡危急時遺言における新たな方式については、遺言者が遺言の趣旨を口授すること及び証人が遺言者に読み聞かせることが方式要件となっているため、これらに対応して、口が利けない方の口授に代わる通訳人の通訳、そして、耳が聞こえない方に対する読み聞かせに代わる通訳人の通訳による伝達の特則がそれぞれ定められております。
また、船舶遭難者等遺言における新たな方式については、遺言者が口頭で遺言をすることが方式要件となっているため、これに対応して、口が利けない方の口頭での遺言に代わる通訳の特則が定められております。
このような形で障害をお持ちの方について必要な特則が設けられ、あるいは個別の事案に応じた運用等によって遺言をすることができるものとなってはおりますが、様々な御負担があろうかと考えますので、法務局における対応などについてはしっかりとその点を考慮してまいりたいと考えております。
○井戸委員 ありがとうございます。
今、点字のお話もあったんですけれども、うちの義父の方も八十を超えて目が見えなくなって、点字を学びたいということを言ったんですけれども、点字は八十歳ではもう難しいんですね。本当に幼い頃からやっていなかったらそれは駄目なので、そういう意味でも、様々障害を抱えていらっしゃる方のニーズは違うと思うんですけれども、これからまたこういったことをやっていくといろいろな事象が積み重なってくると思うので、その中でまた対応ができるような工夫というものもしていっていただきたいと思っています。
ちょっと順番を変えるんですけれども、本人確認ですね、そういった中で遺言に対しての本人確認のところなんですけれども、例えば、そういった意味では、障害をお持ちの方々というのは、家族が例えば誘導してしまうということも一方ではある意味できてしまうのではないかというようなことも想定されますけれども、ここら辺についてはいかがでしょうか。本人確認のところということです。
〔三木委員長代理退席、委員長着席〕
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
今回創設する保管証書遺言書の保管申請において、ウェブ会議を利用して本人確認及び全文の口述を行うには、遺言者の利便性の確保を図りつつ、遺言が遺言者の真意に基づくものであることを担保する観点から、遺言書保管官が遺言者からの申出を相当と認めることが要件とされております。
遺言が遺言者の真意に基づくものであることを担保するために、遺言者が遺言の全文を口述する際には、介助者等を要するなどの場合を除いて、遺言者の周囲に他人がいない状況を確保する必要があり、例えば、遺言者が使用する端末のカメラを動かして周囲の全方位を撮影し、第三者がいないことを確認する方法等を取ることも考えられます。
そして、通信環境が十分でないことなどによって本人確認や遺言の全文の口述の状況の確認をすることが困難である場合、また、遺言者の周囲に介助者、機器の操作補助者以外の他人が存在しないことの確認が困難である場合には、ウェブ会議の利用が相当と認められないこともあり、その利用を中止することになると考えられます。
本人確認の方法の具体的な内容につきましては、デジタル技術の進展等の状況を踏まえ、法務省令で定めることとしており、周囲に他人がいない状況の確保、また不当な影響を受けないことの確保、そのための具体的な在り方も含め、改正法の円滑な施行に向け、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
○井戸委員 時間の関係で、ちょっと順番を変えます。
制度の名称について伺います。
ずっとこのことを議論しながら何となくもやもやしていたのは、成年後見制度という名称についてです。
今回、改正によって後見、保佐がなくなり、補助に統一をされるということですけれども、そうなると、成年後見制度という名称を使い続けるのかという問題も出てくるのではないか。制度名はその制度がどのようなものかを端的に表すものでありますので、そういう意味でもこの名称は大きな役割を担っていると思います。
成年後見制度という名称は改正後も使い続けるということでよろしいのでしょうか。その場合、なぜその名称を維持するのか。また、成年補助制度でいいのではないか、分かりやすいのではないかといった名称に関する議論はあったのでしょうか。お伺いをいたします。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
現行民法の規定においては、成年後見制度との用語は用いられておりません。民法上は用いられておりません。
もっとも、一般的には、未成年後見の制度との対比で、精神上の理由により判断能力が不十分な方についての制度として、現行民法の後見、保佐、補助の制度と現行任意後見契約法の任意後見の制度を総称するものと理解をされております。
他方、他省庁が所管する法律においては、成年後見制度との用語をそのような意味で用いている例がございまして、今回の民法等改正法の施行に伴う整備法案では、補助及び任意後見の制度を総称するように改めているところでございます。
このように、未成年後見の制度との対比で、補助及び任意後見の制度を総称するものとして成年後見制度という用語を残しているものでございまして、政府の中で検討した上でそのような総称を残しているということでございます。
○井戸委員 一方で、今回の改正では、被後見人とか被補助人という言葉はなくなって、補助開始の審判を受けた者というように規定されることになります。
被という文字が消えるということ自体に、本人を客体化しないというような思想が表れているというふうにも解されているとは思うんですけれども、補助制度に統一する中で、被補助人という名前、名称を変更する理由は何だったのでしょうか。その趣旨についてお伺いをいたします。
例えば、四半世紀前の前回の改正では、禁治産から禁という字が消えて、さらに、今回は被という文字も消えていくということなんですけれども、これは、本人を管理対象としてではなくて、社会の参加の主体として捉え直すという意味があるのでしょうか。そこもお伺いをしたいと思います。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
民法等改正法案では、本人の自己決定をより尊重することを基本として制度の見直しを行っています。
本人の自己決定をより尊重するという観点からは、委員御指摘のように、受動的なニュアンスがある被補助人との文言も改めることが適切であると考えられます。
また、民法等改正法案では、後見及び保佐の制度を廃止し、補助の制度に一元化しており、新しい補助の制度の対象者の範囲は現行法の被補助人と異なることとなるため、文言を改めることでこの点の誤解を防ぐことができると考えております。
さらに、法制審議会の部会では、特定の制度を利用する方について特定の用語で定義づけをすること自体がラベリングにつながるとの御意見もあったところです。
そこで、民法等改正法案では、引き続き被補助人との文言を用いることとはせずに、補助開始の審判を受け補助の制度を利用する方を、新たに、補助開始の審判を受けた者と言うこととしております。
○井戸委員 補助開始の審判を受けた者というのはちょっとやはり長いので、なかなか、ぱっとこれも分かるような名前にしていくというのが大事なのかなと思うんですけれども、この改正をしていくという御趣旨については理解をするところでもありますので、ありがとうございます。
それでは次に、家事事件の手続法について伺いたいと思います。首長申立てについてです。
先ほどからお話が出ているんですけれども、やはり、私は、ずっとこの二十年間、無料の電話相談をいろいろ受けていて、その中には御高齢者の方もいらして、この方たちというのが、認知が進まれたらとか、いろいろなパターンがあるんですけれども、その中で、やはり自治体でなければこの方の生命をしっかり守ることができないというようなケースも中にはあります。
近年、認知症の高齢者の方々の孤立化というのが急速に進んでいるという実態も明らかになっている中で、その財産管理や生活保護のために市町村長が家庭裁判所に成年後見開始の申立てを行ういわゆる首長申立て、これというのは必要なことであると私は思っています。
二〇二五年、制度開始以来初めて一万件を超えたということですけれども、最初は、二〇〇〇年には、首長申立てというのは僅か二十三件だったんですね。そこからどんどんと増えてということは、やはりそれは、全体の申立ての件数、先ほども御説明もありましたけれども、四万二千八百二十九件、そのうちの首長申立てというのは一万百三十九件、全体の四分の一ということになっています。
先ほど有田委員からは危惧の声というのも伺ったわけなんですけれども、先ほども言いましたように、一方では、やはり、虐待の事案だとか、家族による支援が期待できないというような事案など、首長申立てでなければ本人保護につながらないケースが多くあることも事実だと思っています。だからこそ、必要な人に適切に支援が届くよう、本人意思の尊重だとか権利擁護が丁寧に行われる必要があると思います。その両立が重要であると思います。
法務省として、この首長申立てが真に必要なケースに対して適切に行われるよう、今後どのような運用改善、自治体支援、関係、関連のところの連携というものを進めていくお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
ごめんなさい、法務省と言いましたけれども、厚生労働省です。済みません。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
成年後見制度に係る市町村長申立ては、御指摘のとおり、判断能力が十分でない認知症高齢者、精神障害者、知的障害者のうち、身寄りのない方、親族などによる申立てが期待できない方の成年後見制度の利用を可能とするものでありまして、市町村の重要な役割と認識しております。
その申立てを行う基準につきましては、老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法など各福祉法に規定されておりますが、法律上はその福祉を図るために特に必要があると認めるときに申立てを行うことができるとされておりますが、この具体的なケースとして、厚生労働省としましては、本人に親族がいない場合のほか、親族がいても重病や音信不通などにより申立てが期待できない場合、虐待などの緊急事案で市町村長が本人の保護を図るために申立てを行うことが必要な状況にある場合などがこれに該当する旨を通知でお示ししているところでございます。
現在、市町村ではこの通知に基づきまして申立てが行われているものと考えておりますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、今年度、申立ての実施状況につきましては調査研究を行うことにしておりまして、この調査研究の結果なども踏まえまして、改めて周知を行うことも含めまして、必要な対応について検討してまいります。
○井戸委員 やはり、個人情報保護とか虐待の対応の上で慎重な配慮が必要な場面というのが非常にこのケースにはあると思っています。
ただ、やはりなぜそこの判断に至ったのかというところをしっかりお伝えをしていかないと、要らない臆測だとか不信感というのがあったならば、この制度というのは成り立たないと思うんですね。なので、そうしたことについて可能な限り丁寧な説明をして情報共有を図っていくことが重要だと思いますけれども、そうした制度への信頼性を確保していくためにはどのようにお考えになっているのか、厚生労働省にもう一度お伺いをしたいと思います。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
市町村長申立てがどういった場合に必要になるか、個別ケースごとでございますけれども、やはり、できる限りその経過なり判断の根拠というものは本人にきちんとお伝えすることが重要だと考えておりますので、そのように我々も留意して運用してまいりたいと考えております。
○井戸委員 時間がやってまいりましたけれども、今回の成年後見人制度というのは、都市部だけではなくて、やはり地方の過疎の地域も含めて、その恩恵がひとしく届かなければいけないと思っています。弁護士会の皆さんや、また司法書士会の皆さん、本当に最前線で地道な活動をしてくださっている方々の連携、また、場合によっては、今検討課題として上がっている司法書士法の改正というものも検討課題に上がってくるのではないかというようなことも思っています。
参考人質疑で山野目参考人がおっしゃった、この法律案というのは、高齢者だとか障害者のみならず、その家族、あるいは同僚、知人、周囲にあるこの国の全ての人々が気概、活力を持って二十一世紀後半の更なる高齢化の到来に備えて、また、ハンディキャップのある人もそうでない人もひとしく社会に包み込まれて、それらの人々のいずれもが社会に参加をすることを実現するべく、これはまさに、この時代に臨もうとする展望をにらむものというふうに思っているということをおっしゃっていました。まさにこの法律がそのような役割を担うことを願いながら、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、鈴木美香君。
○鈴木(美)委員 参政党の鈴木美香でございます。
本日もお時間をいただき、ありがとうございます。
本日も引き続き成年後見についてお伺いさせていただきます。
前回の質疑では、成年後見を廃止することによる、個別手続が必要となるため負担が増える可能性、契約の有効性をめぐる紛争や訴訟が増える可能性、新たな権利擁護支援制度に伴う国費負担の問題といった弊害が生じるのではないか、安易に国連の勧告に従うべきではないという観点から質問させていただきました。
本日の質疑では、成年後見を実際に利用されている方が感じている制度のデメリットが解消されていないのではないかという観点から御質問させていただきます。
先日、五月十七日の朝日新聞、「どうする成年後見制度」という記事におきまして、成年後見を利用するメリットとデメリットについてアンケートが掲載されておりました。
メリットで一番多かった意見は、本人の財産を詐欺などから守ることができるという点でありました。ここが一番のメリットであるために、現状におきまして成年後見、保佐、補助の利用のうち七〇%の方が成年後見を利用されているという、それだけニーズが高いということでございます。ですから、私は、これだけニーズの高い成年後見を廃止する必要はないと考えております。
そして、デメリットでございますが、一番多かった御意見は、専門職後見人に報酬を払い続ける必要があるということでした。
そこで、後見人制度の報酬に関してお尋ねいたします。
現行の後見制度では、本人の資産や後見等の事務内容によって後見人等の報酬が決定されて支払われております。
まず、お配りした資料を御覧くださいませ。令和八年五月十日の朝日新聞の「「合法的ぼったくり」九カ月で報酬八百一万円が弁護士に」という記事がございます。ここで紹介されておりますのは、認知症になった方の成年後見人になった弁護士が、本人に代わって訴訟を提起して、和解によって九百六十七万円の財産を取り戻す事務を行ったことですが、家庭裁判所は、この後見人に、報酬を九か月間で八百一万円に決定したということでした。
どうしてこのような高額報酬になるのでしょうか。最高裁判所としては調査はされているのでしょうか。お尋ねいたします。
○馬渡最高裁判所長官代理者 後見人に対する報酬の付与は、個別の事案における裁判官の判断によるものでありますところ、最高裁判所が特定の事案における報酬の付与の判断についてその当否を問題とする観点から理由等の調査をすることは、裁判官の職権行使の独立に抵触するおそれがあり困難であると考えており、現に調査はしておりません。
○鈴木(美)委員 調査できないということでございましたが、御本人や親族のお立場からは、報酬が高いと思われる場合には、その報酬の額に合理性があるのかどうか、相当と言えるかどうかについて確認したいというお声を聞いております。
通常の裁判は三審制であり、判断に不服があれば上級審に対して不服申立てができるのが通常でございます。しかし、後見人の報酬を決める裁判については、現行法では不服申立て手段がないと承知していますが、改正法でも不服申立て手段が新設されておりません。それはどうしてでしょうか、お尋ねいたします。法務省にお尋ねします。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
法制審議会の部会では、報酬付与の審判に対する不服申立ての規定を設けるかについて検討がされました。
しかし、判断能力が低下した御本人にとっては適切に不服申立てをすることが困難であるため補助人との間で均衡を失すること、一方で、本人の親族に不服申立てを認めることは、本人の親族は本人の財産について権利を有するものではないことから相当でないことなどから、報酬の付与の審判に対して不服申立てを認めない現行法の規律を維持することとされました。
このような部会での議論を踏まえ、民法等改正法案では、報酬の付与の審判に対して不服申立てをすることができないとする現行法の規律を維持することとしたものでございます。
○鈴木(美)委員 ありがとうございました。
今御説明いただいたように、双方の不均衡という問題があるということと思います。
しかし、上級審に対して不服申立てをするということは、その不服申立てによって望ましい結果が得られるというメリットだけではないと思います。たとえ不服申立てされなくても、上級審による審査を受ける可能性があるということ自体が、裁判官に対して一定の緊張感や抑制に働き、判断が慎重になったり理由づけが丁寧になったりするという意味で、裁判の公平さを担保する機能を持っているのではないかと考えます。
しかし、先ほどの御答弁にもあったとおり、個別の報酬の合理性は裁判官の独立の観点から調査できず、また、上級審による審査も受けないということです。そうすると、不服のある方の不満だけが蓄積され、家庭裁判所に対する不信感にもつながりかねないと懸念します。
また、報酬額が余りにも不合理であると考えるのであれば、補助人側からの不服申立てについても認められてもいいのではないかと思います。もちろん不合理な不服申立てまで認めるべきではないと思いますし、そのような場合は上級審で退けられることもできるでしょう。場合によっては、改正法で追加された、本人の利益のために特に必要があるときという解任事由によって対応することも可能ではないかと思います。
ですから、裁判官の不当な報酬決定を防ぎ、家庭裁判所に対する信頼を確保するためにも、双方に一定の不服申立てを認めることについて今後も検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。
今紹介したような特別高額な事例だけではなくて、一般的な後見人の方の報酬についても負担が重い、高額ではないかという声をたくさん聞いております。
親族以外の成年後見人の報酬については、各地の裁判所が公表している成年後見人等の報酬額の目安によれば、管理財産額に応じて、一千万円未満であれば月二万円、一千万から五千万円未満であれば月三万から四万円、五千万円以上の方は月五、六万円と、基本報酬の目安とされております。さらに、これに特別な業務があった場合は付加報酬も加算されるということです。
この基本報酬については、弁護士の方や司法書士の専門の方々が行う後見事務の手間を考えると決して高い報酬ではないのかなということも承知しております。しかしながら、御本人の家族から見れば、二十四万円から七十万円以上のお金が継続的に毎年毎年、もしかしてその付加報酬もつけば更にそれ以上というものが減っていく。それをお聞きしましたら、今回の改正法によって、親族以外の補助人の報酬について、不透明である、負担が重いといった問題は改善されるのでしょうか。今回の法律に関しては改善されるのでしょうか。最高裁の御見解をお伺いします。
○馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
お尋ねは、改正法案が成立、施行された後の裁判所の運用に関わるものでございまして、現時点で確たるお答えをすることは困難でございますが、その上で、一般論として申し上げれば、今般の改正法案におきまして、本人の具体的なニーズや課題に対応するための必要十分な権限が付与され、補助人等はその範囲で事務遂行を行うことが基本的に想定されているものと承知しております。
報酬算定の在り方は個別の事案に基づく裁判官の判断ではありますが、そのような改正法の趣旨や内容を踏まえますと、補助人等に対する報酬の在り方につきましても、包括代理権を有する現行法下の後見人に対するものとはおのずから異なるものになることが想定されるところです。
また、今般の改正法案で、本人の判断能力が回復していない場合であっても、必要がなくなったと認めるときには制度利用を終了することを可能としておりますことからすると、これにより補助人等に対して報酬を支払い続けるといった負担がなくなる場合もあるものと承知しております。
○鈴木(美)委員 ありがとうございます。
集計結果についてということを私も拝見しましたけれども、しかし、そこに記載されているのは、本人の流動資産額とか、後見人等が親族か否か、専門職であるか、後見、保佐、補助の違い、付加報酬の有無といった要素であり、例えば、具体的にどのような事務を行ったのか、どのような必要性があってその業務を生じたのかといった事情までは示されておりません。
そうしますと、結局この個別事情が分からない以上、本人や家族にとって報酬額の予想可能性が十分確保されているとは言い難いと思います。そして、基本報酬が毎年定額発生し、年間数十万円の負担が継続して続いていくということは、本人にとって非常に大きいものだと考えます。
もちろん、横領とか不正や法外な高額報酬であってはならないのは当然ですが、そもそも、一般的な報酬自体が重い負担になっているという問題について、今後も十分解消されていくように改正をお願いしたいと思います。
次に、親族の後見人の比率に関してお尋ねいたします。
「新注釈民法」によると、我が国における親族以外の後見人の数は、他国と比べて極めて顕著な違いがございます。他国においては、親族が選任されるのが一般的と記載されております。
主要な諸外国における親族と親族以外の後見人の比率を省庁にお尋ねしましたところ、数字を持ち合わせていないということなので、私が調べてみた範囲でお伝えしますと、例えば、フランスであれば、後で述べます親族授権という法制度を含めると、二〇二一年の数字ですが、家族の法的代理権となっている割合は五四%。ドイツには世話人制度というものがありますが、二〇二一年の数字で、親族の世話人は三五・一%。中国においては、上海になりますが、成年後見同様の制度として法定監護というものがあり、親族が監督人になる制度は、何と九九%以上となっております。
これに対して、我が国における親族後見人の比率を見てみますと、こちらにパネルを用意させていただいたんですけれども、制度が発足した平成十二年には、親族後見人の比率は、最初の頃は日本は九〇・九%でした。ところが、親族後見人の割合が年々年々減りまして、令和七年では一六・四%。たった二十五年の間にこんなにも少なくなっております。しかも、この一六・四%というのも、親族後見人のみの場合だけでなく、専門職の後見人も兼ねて、併せて選任されている場合も含まれていると聞いております。
ここで、最高裁に確認させていただきますが、この一六・四%には、親族のみでなく、親族以外の後見人も併せて選任されている数も含まれているのでしょうか。そうであれば、その実数をお示しいただけますでしょうか。お願いいたします。
○馬渡最高裁判所長官代理者 まず、最高裁におきまして公表している成年後見関係事件の概況におきまして、令和七年一月から十二月の一年間に後見等開始と同時に選任された成年後見人等のうち、本人の親族が選任された割合は約一六・四%となっております。
この中には、委員御指摘のとおり、親族と専門職とが後見人等として複数選任されている事案も含まれているものと承知しておりますが、その内訳につきましては、統計として取得しておらず、把握しておりません。
○鈴木(美)委員 ありがとうございます。
そうすると、家族のみが後見人になっている割合は、この一六・四%よりも更に低くなるということになります。
もう一度パネルを御覧いただきたいんですけれども、今度は、親族後見人が五〇%を切ったのはちょうど平成二十四年の頃なんですが、いわゆるこの年には福山事件という、親族後見人が本人の財産を使い込んだことについて、この親族後見人を選任した家庭裁判所の責任を認める国家賠償請求判決があった年でございます。つまり、この判決というのは、親族後見人の使い込みが、家庭裁判所の選任、監督に関する責任が問題とされた事件でございます。特にその後の二、三年の減少の割合が急速になっております。
専門知識のない親族でなく、専門家後見人がしっかりと財産の監督をすれば、親族による使い込みというのは起きないということは理解しますが、この事件があって、平成二十四年以降、専門職後見人の割合が増えているというのは、家庭裁判所が責任追及のリスクを意識して親族後見人の選任に慎重になった面があるのではないかとも見受けられますが、この点に関して最高裁の方はどう思われますでしょうか。
○馬渡最高裁判所長官代理者 まず、各家庭裁判所におきまして親族後見人等の不正防止のための方策を講じた端緒が御指摘の判決であったというところまでは認識しておりませんが、親族の後見人による不正防止の観点から弁護士、司法書士等の専門職を後見人等に選任する運用は、親族の後見人等による不正事例の大半が、後見人等の財産管理者としての法的地位や責任についての理解が不十分であったり、財産管理についての専門的な知識を有していなかったりすることが原因である場合が多いといったことを踏まえ、不正行為を事前に予防し、本人の財産を適切に保全するための有効な方策の一つとして、各家庭裁判所に定着してきたものと認識しているところでございます。
各家庭裁判所では、これとともに、監督の過程で後見人等による不正の兆候が見られた場合の対応も強化する取組をしてきておりまして、専門職を後見人等に選任することが家庭裁判所が自らの責任を回避するためのものであるという御指摘は当たらないというふうに考えております。
○鈴木(美)委員 ありがとうございました。
そもそも候補者が少ないということが、最高裁の調査によると、令和七年における親族後見人の候補がいる申立ての割合は約二〇%であります。専門後見人をつけること以外の方策によって親族後見人による不正が少なくなってきたということであれば、例えば、後見人となることへの理解を深めて、親族後見人候補者の数が増えるよう努力を行うべきではないかと私は思います。
一つ飛ばしまして、先ほどお伝えしましたフランスについて、親族授権についてお話ししますが、これは、親族間の共助の理念に基づく法律であります。背景には、高齢化などによる後見申立て件数の増加があったと言われております。実際、この制度導入前の二〇一五年には、フランスの親族後見人の割合は四六・五%でしたが、制度導入後の二〇二一年には、親族授権を含めた親族後見人の割合が五三・八%まで増加しております。
我が国では、かつては配偶者が後見人等になることが前提とされておりましたが、現行ではその規定がなくなりました。この流れから、親族後見を基本とするのは時代の流れに逆行しているのではないかという意見もあるかと思います。しかし、この規定がなくなった理由というのは、制度利用が必要となる場面で、配偶者自身も高齢であり、十分に役割を果たせない状況が起きるということに対してできた制度と認識しております。ですから、配偶者に限らず、親族全体を含めて支えていくという考え方まで否定されたわけではないと思います。
また、本人の生活歴や価値観、人間関係を最も理解しているのは、やはり家族や親族ではないでしょうか。本人にとっても、やはり知らない他人の方よりも家族の方が安心していられる。だからこそ、本人の意向も酌み取りやすいのではないかと思います。
フランスでも、申立て件数の増加を受けて親族授権という制度が導入されたわけですが、我が国においても、専門職後見人ありきで考えるのではなく、家族のことはまず家族で支えるという原点に立ち返り、もちろん、虐待があったり、放棄する家庭は、それはそれで対応しますけれども、原則として、流れが親族が後見人になるということを、努力義務という形でも位置づけるべきではないかと思います。
家族のつながり、そしてきずなを大切にするという観点から、法務大臣、どのようにお考えでしょうか、お考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。
○平口国務大臣 お答えいたします。
平成十一年の民法改正前までは、夫婦の一方が禁治産の宣告を受けたときは他方が後見人になるとの規定がございました。しかしながら、本人及び配偶者の具体的事情を考慮しないもので柔軟性に欠ける等と指摘され、規定が削除されました。
このような経緯に照らすと、具体的事情を考慮することなく親族を補助人に選任する旨の規律を設けることについては、慎重な検討が必要でございます。
もっとも、本人が親族を補助人に選任することを希望する場合には、このような意向を尊重すべきであると思います。
そこで、本法案では、選任の際の考慮要素の冒頭に本人の意見を規定いたしまして、本人の意見を尊重すべきことを明確にしたところでございます。これによって、親族を補助人に選任することを希望する本人の意向が尊重されるようにいたしております。
○鈴木(美)委員 ありがとうございます。
家族の在り方が多様化している、そしてまた、先日の参考人の質疑でも、いわゆるお一人様の高齢の方の増加、また御家族自身が専門職後見人を望むケースが増えているというお話もありました。しかし、そこだけを重視していくと、個人主義が行き過ぎ、家族や地域のつながりが更に弱くなっていってしまうのではないかと危惧しております。
災害時や国家的危機の際、最後に人を支えるのはやはり家族であり、地域の助け合いであると思います。専門職後見人中心の流れが行き過ぎますと、家族が支えるという意識そのものが薄れ、親族後見人の減少に更に拍車をかけ、将来的には家族の扶養の義務や相続の在り方そのものが弱まっていく方向に進みかねないということを私は大変強く危機感を感じております。家族のつながり、地域のつながりは、国家の力そのものだと私は思います。
本来、成年後見人制度は御本人を守るためにつくられた制度であり、人権を制限するための制度ではありません。国連障害者権利委員会では成年後見制度を人権問題として捉えておりますが、我が国としては、まずは御本人の保護、そして支える家族や現場が本当に使いやすい制度なのかということを、その視点を大切にすべきではないでしょうか。
今回、国連の勧告による、これはイデオロギーの要素が先行し過ぎている感が否めません。だからこそ、安易に国連の勧告に合わせて成年後見、保佐制度を廃止するのではなく、現行制度を生かしながら終了規定や解任規定を整備すること、あるいは、フランスの親族授権のように家族が柔軟に支えられる制度を新設するような選択肢もあってよいのではないでしょうか。
また、成年後見や保佐を廃止し、先ほど質疑にも出ておりましたが、出口が、その人材と予算の確保という質疑もされておりましたが、私は、この出口をつくることによって、公的資金による第三者サポートへ大きくかじを切ることで、新たな公費負担や利権構造が生まれる可能性、ひいてはそれが国民の負担につながるおそれを慎重に見ていかなければいけない、そして、それを同時に、蓋を開けてではなくて、丁寧に国民にそういう負担がかかる可能性もあるということ等も伝えていかなければいけないと思います。
国連の勧告に関しては、前回の質疑でも申し上げましたが、皇室典範や夫婦同姓を認めた民法についても出されております。だからこそ、日本の制度は、日本の歴史や文化、家族観、そして現場の実情を踏まえて、日本人自身が決めていかなければならないと私は考えております。
何のための制度なのか、それが未来の社会にどう影響するか、私たちが今決めたこの法案の未来がどう日本をつくっていくのか、いま一度家族のつながりやきずなの大切さを見直し、世界の潮流に迎合するのではなく、日本人として国民一人一人に寄り添う制度をつくっていくべきであると私の思いを込めまして、本日の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○井上委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、内閣提出、民法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○井上委員長 この際、ただいま議決いたしました民法等の一部を改正する法律案に対し、藤原崇君外四名から、自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。國重徹君。
○國重委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
民法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 本法施行後の成年後見制度の円滑な運用及び利用の促進のため、成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づき、その運用状況について公表するとともに、制度利用の申立てが適切に行われるよう、附則第十条を踏まえ不断に検証し、その支援をするための方策について検討を行い、必要に応じて、その結果に基づき所要の措置を講ずること。
二 改正後の成年後見制度の利用に当たっては、障害者の権利に関する条約第十二条の趣旨を踏まえ、従来以上にノーマライゼーション及び自己決定権の尊重等の基本理念を十分反映させるため、特定補助の仕組みが真に必要な人に適切に利用されるよう、成年後見制度の趣旨及び内容について、関係者をはじめ広く国民に理解されるよう周知・広報の徹底に努めること。また、地域における権利擁護支援を担う地方公共団体及び関係機関において必要な研修その他の取組を行うこと。
三 成年後見制度に係る事件の審理及び補助人等の監督が適切に行われるよう、裁判官、家庭裁判所調査官等の裁判所職員の必要な人的体制の整備、専門性の向上のための研修等の体制整備を行うこと。
四 家庭裁判所による補助人の選任に当たり、本人の意見が重要な考慮要素であることが明確化されたことに鑑み、本人の意思を最大限に尊重するとともに、家庭裁判所が適切に情報を取得するなど、柔軟かつ的確な運用ができるよう、一層の必要な体制整備を図ること。
五 成年後見制度の利用を終了することが可能となることに伴い、判断能力が不十分な者が成年後見制度の利用を終了した後においても、高齢者・障害者福祉及び金融包摂の観点から、地域において必要な支援を受けることができるよう、第二種社会福祉事業による支援など本人を支援する施策の充実を図るとともに、関係機関の連携強化を図ること。また、市町村において権利擁護支援に関する中核的な役割を果たす中核機関について、その目的及び業務の内容の周知を図るとともに、全市町村において設置され、十分な相談機能を発揮できるよう努めること。
六 成年後見人の包括的取消権の廃止に伴う消費者被害の拡大を防止するため、高齢の消費者や障害のある消費者の保護の強化などについて検討を行い、知識・経験・判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合などの対応について、法制上の措置も含めた検討を進め、必要な措置を講ずること。
七 家庭裁判所が市町村長その他適当な者に対して意見を求めることができる仕組みが設けられる趣旨に鑑み、中核機関をはじめ福祉関係者から意見聴取することなどを通じて、本人が地域において適切な支援を受けることに結びつくよう、適切な制度周知や研修その他の必要な取組に努めること。
八 家庭裁判所による補助人の選任については、新たな解任事由が設けられたことに伴い、専門職後見人が支援する必要がなくなった場合には親族、市民後見人等に引き継ぐなど、適切な役割分担が図られるよう制度の周知その他の環境整備に努めること。また、市民後見人等の人材確保及び継続的な支援の観点から、研修の充実、活動を支える相談体制の整備に努めること。
九 補助人等による不正の未然防止及び早期発見並びに被害発生時の適切な対応がより実効的なものとなるよう、家庭裁判所による適切な監督に向けた研修その他の取組の充実を図るとともに、専門職団体における不正防止の取組との間で連携強化に努めること。
十 補助人等の報酬について、補助人等が行った事務の内容等が報酬の考慮要素であることが規定上明確化されることに鑑み、報酬の額に事務の内容及び負担の実態を適切に反映し、利用者と補助人等の双方に過度な負担を生じさせることがないよう、裁判官等の裁判所職員に対する研修その他必要な取組に努めること。
十一 居住する地域や資力の有無にかかわらず成年後見制度を利用することができるよう、成年後見制度の利用に係る申立費用及び報酬に対する助成について、各市町村の要望を聴取しつつ必要な措置をとること。
十二 任意後見制度の利用が低調である要因について実態を把握し分析するとともに、精神上の理由により将来の財産管理や身上保護に不安を感じる様々な立場にある者が、任意後見制度を積極的に活用し、本人の意思を尊重した生活を営むことが可能となるよう、利用のための相談体制の充実、任意後見監督人の候補者に関する情報の提供の在り方を検討し、更なる改善に努めるとともに、本法による改正の趣旨も含めた任意後見制度の一層の周知・広報などを通じて、利用の促進を図ること。
十三 成年後見制度の利用の前又は利用と同時に備えることのできる財産の管理・承継のための将来設計として、高齢者、障害者等の生活を支援する福祉型信託を利用することが有効な手段であることに鑑み、国民がその機能、役割等を理解し、利用するためのあらゆる環境整備を進めることについて検討すること。
十四 任意後見制度の適正な利用の促進及び身寄りのない高齢者等の問題に関して、高齢者等終身サポート事業における預託金等の管理業務の信頼性を確保する観点から、信託会社、信託銀行等と高齢者等終身サポート事業との連携の在り方について検討すること。
十五 次期成年後見制度利用促進基本計画の策定に当たっては、本法の趣旨及び国会における議論を十分に踏まえ、改正後の制度が適正かつ円滑に運用されるよう検討すること。
十六 新設される保管証書遺言の信頼を高めるため、法務局の人的・物的体制の充実を図るとともに、保管証書遺言書の保管等の業務をつかさどる遺言書保管官の業務の適正な遂行及び利便性向上のため体制の整備等、必要な措置を講ずること。また、本制度の創設により、法務局において電子保管証書遺言書の保管等を行うことなどに鑑み、個人情報の保護の観点から、情報セキュリティ対策を着実に行うこと。
十七 本法による改正後の法定後見制度について、障害者の権利に関する条約第十二条の趣旨を踏まえ、本人の自己決定権を最大限尊重する観点から、特に特定補助人を付する制度の利用に当たって障害者の権利を不当に制約することとならないよう、附則第十条を踏まえ制度の利用状況について不断に検証すること。
十八 家庭裁判所による特定補助人の選任の要件として、「必要があると認めるとき」が定められているが、どのような場合に要件該当性が認められるのか、その判断に当たってどのような事項が考慮されるのかについて、例えば、本人があらかじめ特定補助人の選任を望まない意思を示していた場合その他本人の意思が汲み取れるような場合にはその意思を考慮するなど、その具体的な判断基準や考慮要素に関する国会における議論を十分に踏まえ、適切な制度利用がなされるよう、政府及び最高裁判所においてその周知等必要な取組に努めること。
十九 補助人による本人の意向把握義務及び意向尊重義務が明文化された趣旨に鑑み、本人の利益の最大化に一層資する観点から、補助人と親族その他日常的に本人の支援を行っている福祉関係者等との適切な連携が図られるよう、家庭裁判所を含む関係機関へその趣旨を十分に周知すること。
二十 成年後見制度の利用を終了することが可能となることに伴い、判断能力が不十分な者が制度の利用を終了した後においても地域において引き続き適切な支援を受けることができるよう、関係機関の連携を促進すること。また、市町村において権利擁護支援に関する中核的な役割を果たす中核機関について、その内容の周知を図るとともに、全市町村において設置されるよう努め、適切な相談機能を確保すること。
二十一 成年後見制度の利用者の多様化するニーズに応えるため、専門職後見人だけでなく、市民後見人の確保及び育成が十分に進むよう、人材育成のための研修の充実、活動を支える仕組みの整備及び関係機関との連携強化等、必要な施策に取り組むこと。
二十二 現行の成年後見制度でも、家庭裁判所の審判に対する不服申立てにおいて親族側の意見が採用されていないこと等が指摘されていること等を踏まえ、本法の施行から三年後の検討が実証的なものとなるよう、速やかに成年後見制度の利用者及びその親族から意見を聴取するなど必要な調査を行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平口法務大臣。
○平口国務大臣 ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。
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○井上委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○井上委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十七分散会

