第13号 令和8年5月26日(火曜日)
令和八年五月二十六日(火曜日)午前九時四分開議
出席委員
委員長 井上 英孝君
理事 阿部 弘樹君 理事 木原 誠二君
理事 高見 康裕君 理事 谷川 とむ君
理事 藤原 崇君 理事 西村智奈美君
理事 三木 圭恵君 理事 小竹 凱君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上川 陽子君 神田 潤一君
小泉 龍司君 河野 太郎君
世古万美子君 武部 新君
辻 秀樹君 辻 由布子君
寺田 稔君 中曽根康隆君
西山 尚利君 福原 淳嗣君
藤沢 忠盛君 藤田ひかる君
古川 禎久君 三ッ林裕巳君
保岡 宏武君 山本 大地君
渡辺 勝幸君 有田 芳生君
國重 徹君 池畑浩太朗君
金村 龍那君 横田 光弘君
井戸まさえ君 鈴木 美香君
和田 政宗君
…………………………………
議員 有田 芳生君
議員 西村智奈美君
議員 高山 聡史君
議員 畑野 君枝君
法務大臣 平口 洋君
法務副大臣 三谷 英弘君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 中嶋 護君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 服部 準君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 鈴木 敏夫君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 源河真規子君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 堤 良行君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 内野 宗揮君
政府参考人
(法務省民事局長) 松井 信憲君
政府参考人
(法務省刑事局長) 佐藤 淳君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 杉浦 直紀君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 内藤惣一郎君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 三宅 史人君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 貝原健太郎君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 上田 肇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 大窪 雅彦君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
五月二十六日
辞任 補欠選任
神田 潤一君 渡辺 勝幸君
武部 新君 中曽根康隆君
金村 龍那君 横田 光弘君
同日
辞任 補欠選任
中曽根康隆君 武部 新君
渡辺 勝幸君 神田 潤一君
横田 光弘君 金村 龍那君
―――――――――――――
五月二十六日
刑事訴訟法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外三名提出、衆法第九号)
刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
刑事訴訟法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外三名提出、衆法第九号)
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
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○井上委員長 これより会議を開きます。
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府大臣官房審議官中嶋護君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武部新君。
○武部委員 自由民主党の武部新です。
本日は、来年四月からスタートします育成就労制度について質問をさせていただきたいと思います。
令和六年六月二十一日、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律が公布をされました。技能移転による国際貢献を目的とするこれまでの技能実習制度を発展的に解消し、我が国の人手不足分野における人材の育成、確保を目的とする育成就労制度が創設され、先ほど申し上げましたけれども、令和九年四月一日から運用が開始されます。
私の地元北海道でも、人手不足が深刻化する中、技能実習制度に代わって、新しい枠組みである育成就労制度の導入に対して期待と不安の声をよく聞かせていただいています。特に、転籍も認められるようになったので、人材が都市部に集中するのではないか、地方に育成就労外国人が来てくれるのか、そういった懸念も聞かされているところであります。
来年度からの運用開始に当たりまして、現在の準備状況等について質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、改めて、技能実習制度を廃止して、新たに育成就労制度を創設した目的と意義についてお聞かせいただきたいと思います。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度につきましては、人材育成を通じた国際貢献という制度目的と運用実態の乖離や、特定技能制度との分野の不一致といった課題に加え、本人の意向による転籍ができないことや、一部の不適正な受入れ機関や監理団体の存在等、人権保護等の観点からの課題が指摘されておりました。
そこで、技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を見直しまして、我が国における人手不足分野における人材の育成、確保を目的とする育成就労制度を創設し、令和九年四月から運用を開始することとしております。
この育成就労制度におきましては、人材育成と人材確保を目的としまして、特定技能一号水準の人材を育成するための制度として、受入れ対象分野を特定技能制度と原則一致させるなどした上、転籍の制限を緩和するとともに、受入れや送り出しを適正化するための方策を講じることとしております。
これらによって、見直し後の制度が外国人にとって魅力あるものとなり、長期にわたり産業を支える人材が適正な形で確保されることが期待される、このように理解しております。
○武部委員 ありがとうございます。
今答弁にもありましたけれども、制度の見直しの背景の一つに、やはり外国人にとって魅力を感じにくいものであったのが技能実習制度だったというふうに思います。それを、外国人に魅力ある制度で、選ばれる国に変える必要があったというふうに思います。そのためには、待遇面だけじゃなくて、地域で安心して働いて暮らしていただけるよう、育成就労外国人を支援する体制の充実が不可欠だというふうに思います。
育成就労制度においては、技能実習制度のときの監理団体、これが監理支援機構へと再編されます。監理支援機構においては中立性、独立性等を高めて、支援能力を強化するよう改正したと承知をしております。不適切な監理団体を排除することは、育成就労外国人の保護の観点からも大変重要であるというふうに思っております。
具体的に、監理支援機構が求められる能力や要件がどのようなものであるか。また、本年四月十五日から許可制になりましたので、許可申請が始まっていると承知をしております。その申請状況、進捗状況についてもお聞きしたいと思います。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度におきましては、一部の監理団体につきまして監査を適正に実施していないなど、その役割を適切に果たしていないとの指摘があったことを踏まえまして、育成就労制度における監理支援機関につきましては、その独立性、適正性を確保すべく、許可要件を厳格化することとしております。
具体的には、弁護士等の資格を有するなど一定の要件を満たした外部監査人の設置を義務化することで監理支援機関自体の適正性を担保する、また、受入れ機関と密接な関係を有する監理支援機関の役職員が、入国後講習等の一部の業務を除いて監理支援等の業務に関与することを禁止することで受入れ機関からの独立性を担保することなどとしております。
これらの要件等につきましては、本年四月十五日から開始されております監理支援機関の許可に係る施行日前申請、今現在行っておりますが、更新の申請時に確認するほか、外国人育成就労機構が行う監理支援機関に対する実地検査等を通じて適切な運用を図ってまいりたい、このように考えております。
○武部委員 ありがとうございます。
監理支援機構が中立性、独立性、支援能力を高めていただいて、しっかりと外国人材を、育成就労外国人を守っていく、支えていくという体制を取っていただくことは非常に大事だというふうに思っております。しっかりと審査していただきたいというふうに思います。
一方で、受入れ側も大事なんですけれども、送り出し側も非常にしっかりとしていただかなければならないと思っています。
技能実習制度の下では、送り出し国によっては、送り出し機関やそれ以外の仲介業者に支払う手数料あるいは渡航費等を、制度を活用する外国人材が自己負担するケースもありました。そのために、外国人材が就労開始前に多額の借金を抱える状況に陥ってしまうことが問題視されていたと思います。
育成就労制度におきましては、外国人材の負担を軽減するために、今お話にもありました、冒頭の質問にもありましたけれども、受入れ側の責務や費用負担だけではなくて、送り出し機関に対する規制が大幅に強化されていると思います。そのために、二国間取決め、MOCを結んだ国からの受入れを原則とされているというふうに承知しております。
そこで、二国間取決めなんですけれども、取決めの中では、送り出し機関への手数料の制限や、適正な認定された送り出し機関のリストを提出してくださいということを求めていると承知しております。二国間取決めを締結した国に育成就労外国人を限定した理由と、その取決めの締結状況についても教えていただければというふうに思います。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、技能実習制度では、技能実習生になろうとする外国人からの不当に高額な費用の徴収や、監理団体へのキックバックを行う悪質な送り出し機関の存在が指摘されてきたところでございます。
育成就労制度では、悪質な送り出し機関を排除し適正な送り出しを確保する、こういう目的のために、送り出し機関又はその役員が、過去五年以内に、育成就労外国人が受け取る報酬の二か月分を超える額の費用を当該外国人等から徴収していないこと、監理支援機関等に対して、社会通念上相当と認められる程度を超えた利益供与若しくは供応接待、又はその申込み若しくは約束を行っていないことなどを育成就労計画の認定基準として設けているところでございます。
また、育成就労制度では、悪質な送り出し機関の排除の実効性を高めるために、送り出し機関からの取次ぎを受ける監理型育成就労につきましては、原則としてMOCを作成した国からのみ受入れを行うこととしております。
MOCを作成した国においては、送り出し国政府が送り出し機関の基準を満たすことを確認した認定送り出し機関リストを日本政府に提出することとしておりまして、原則として、当該リストに記載された送り出し機関からのみ受入れを認めることとしております。
政府間のやり取りであるため、MOC作成に係る協議を行っている個別の国あるいはその協議の状況についてお答えすることは差し控えさせていただきますが、技能実習制度における受入れ実績や送り出し国におけるニーズを踏まえ、複数の国と早期の署名を目指して協議を鋭意進めているところでございます。
悪質な送り出し機関の排除及び育成就労制度の円滑な施行のために、引き続きMOCの早期署名のために努めてまいりたい、このように考えております。
○武部委員 ありがとうございます。
次の質問なんですが、国内で就労できる外国人の中には、日本の職場におけるコミュニケーション能力の不足あるいは我が国の雇用慣行に不案内であること等から、雇用状況が不安定になりがちだと思います。
育成就労制度の導入に当たっては、育成就労外国人がキャリアアップをしながら意欲を持って働いてもらうため、技術取得だけではなくて日本語の取得をしていただく、その環境整備を行う必要性がこの制度の設立のときに議論がされたというふうに思って、記憶しております。地域に根差して安心、安全に働いてもらう上でも、日本語取得というのは大変重要だと考えます。
本制度においては、日本語要件はどの程度必要とされているのか、また、育成就労外国人の日本語能力向上に向けてどのような措置を講じているのか、お伺いします。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
新たな試験の導入及び受験機会の確保の方策につきまして、育成就労制度におきましては、基本的に、育成就労外国人に対し、就労開始までに日本語能力A1相当以上の試験合格又はそれに相当する日本語講習の受講を求めるとともに、本人の意向による転籍をする場合には、新たな試験として導入する日本語能力A2・1、A1とA2の中間でございますね、相当以上の試験の合格を求めることとしております。
さらに、育成就労終了時に特定技能一号に移行するには、日本語能力A2・2、A2のことでございます、相当以上の合格が必要となります。
これらの状況を踏まえ、国際交流基金日本語基礎テスト、JFT―Basicにおきましては、育成就労制度の開始を見据えまして、令和八年八月から、現在のA2・2に加えて、A1及びA2・1につきましても判定が可能な仕組みになるものと承知しております。
また、JFT―Basicは、CBT方式の試験により、国内外におきまして原則毎月複数回実施され、各地のニーズに即して実施日数が設定されており、受験希望者の動向を踏まえて比較的柔軟に調整、設定ができるものと承知しております。
日本語学習機会の提供の促進につきましては、育成就労実施者は、就労開始前にA1相当の日本語講習を受講させる義務があるほか、育成就労外国人がA2・2相当の日本語能力試験に合格している場合を除き、就労期間中にA2・2相当の日本語講習を受講する機会を提供する義務が定められております。これらは育成就労計画の認定基準となっておりまして、日本語講習を提供しない場合には育成就労計画の認定が受けられない、こういうふうな仕組みになっております。
また、育成就労制度におきましては、一定の基準を満たす優良な育成就労実施者につきましては、育成就労外国人の受入れ人数枠の拡大、これを認めることとしております。同基準の詳細については現在検討中でございますが、育成就労実施者による日本語学習機会の提供が促進されるように、日本語能力の習得に係る実績も考慮して検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○武部委員 日本に行って働きたいという方々の声でよく、日本語の試験の機会を十分確保してほしい、そういう声も聞かせていただいているところです。是非、そういった機会も増やしていただけるという答弁でございましたので、お願いしたいと思います。
最後に、外食業分野における特定技能での外国人労働者の受入れが上限五万人に達して、四月十三日から原則停止となっています。これは二〇二九年三月までの措置となっていまして、一方、育成就労制度の受入れ上限は、二〇二九年三月までに五千三百人となっています。
育成就労制度は、三年間で特定技能一号水準の技能を有する人材に育成し、人材を確保することを目的としているので、育成就労後は特定技能一号への移行を希望される外国人が多いだろうというふうに推測されますし、受入れ企業側も、優秀な人材に残ってほしいというふうに望むと思っています。
もうこれは質問じゃなくて、お願いといいますか、意見を述べさせていただきますが、受入れ人数の見直しをする際には、育成就労から特定技能への移行をしっかりと考慮した上で上限設定をしていただきたいというふうに思います。
育成就労制度がスムーズにスタートできるよう準備され、制度の目的に沿って適正に運営されますことを要望して、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、辻秀樹君。
○辻(秀)委員 自由民主党の辻秀樹でございます。
本日は、質問の機会を賜り、感謝を申し上げます。
早速ですが、交通事故等により被害を受けた胎児に係る法整備等について、通告に従い、順次質問いたします。
昨年五月、愛知県一宮市におきまして、交通事故により妊婦の方の貴い命が失われ、緊急帝王切開で出生した女児には重篤な障害が残る大変痛ましい事故が発生いたしました。被害者の方々にとりましては、最愛の家族を失った深い悲しみと女児の将来への不安を抱える、二重の苦しみを抱えることとなりました。
刑法上、胎児は人ではなく母体の一部とされるため、胎児は被害者としては認められず、加害者に対する自動車運転死傷行為処罰法の適用は困難であるという現状は、被害者の方々による、言葉では言い尽くすことのできない悲痛な思いや処罰の感情の気持ちに寄り添えば、余りにも納得できるものではないと思っております。
その被害者家族の方々が、生まれた女児も被害者として扱ってほしいと切実に訴えていることを背景に、本年三月二十五日、愛知県議会では交通事故等による被害を受けた胎児に係る法整備についての意見書が全会一致により採択され、交通事故等による母体への加害行為によって胎児が出生後に死傷した場合における自動車運転処罰法等の処罰規定について、刑法上の見直しも含め議論を行うことなどを国に求めており、まさに昨日、二十五日、この意見書が本委員会へ参考送付されたところであります。
本件につきましては、本年四月十五日の本委員会における和田政宗委員による質疑におきまして、様々な論点や課題が示されたところであります。
刑法上の一般論としては、刑法犯の客体は人、自然人であり、人の始期は出生であり、刑法上の出生は、判例上、胎児の一部が母体から露出した時点とされ、母体からまだ露出していない胎児は、刑法犯の客体である人には含まれないと解釈されております。したがって、昨年五月の交通事故では、事故当時の胎児は交通事故の被害者としては認められませんでした。
しかし、遺族による加害者に対する処罰を求める思いに賛同するオンライン署名は十三万筆を超え、現行制度の改善を求める多くの国民の声が司法に届き、訴因変更が行われ、事故当時に胎児であった女児に出生後事故に起因する障害が残ったことが起訴状に追記されました。
交通事故により被害を受けた胎児に係る過去の判決では、例えば、二〇〇三年、鹿児島地裁の判決では、妊娠七か月の妊婦が交通事故により入院治療を要する常位胎盤早期剥離等の傷害を負い、その傷害を原因として早期に出生した子供に全治不明の脳の傷害などを負わせたものとして、事故当時に胎児であった子供を被害者とする業務上過失傷害罪を認めたものなど、胎児の被害者認定の判決が幾つかあります。
そこで、法務省にお尋ねいたします。
刑法犯において、胎児は犯罪の客体である人には含まれないと解される一方で、胎児を人として被害者の認定を行ったように見える裁判例が存在しますが、なぜこのように判断が異なるのか、法務当局にお伺いをいたします。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
胎児が人であるか否かに関する刑法の解釈は、委員の御指摘のとおりでございます。
その上で、法務当局においては、関連する裁判例を必ずしも網羅的に把握しているものではございませんが、例えば、いわゆる水俣病事件に関する最高裁決定は、母体に対する行為によって胎児に病変が発生し、胎児が出生して人となった後、それに起因して死亡したという事案におきまして、胎児は母体の一部を構成するものと取り扱われていることを前提といたしまして、胎児に病変を発生させることは、人である母体の一部に対するものとして、人に病変を発生させることにほかならず、胎児が出生して人となった後、右病変に起因して死亡するに至った場合は、結局、人に病変を発生させて人に死の結果をもたらしたことに帰するなどと判示して、業務上過失致死罪の成立を認めたところでございます。
その後も、業務上過失致傷罪も、傷害の罪も含めまして、これと同様の立場に立つ裁判例が存在しておりまして、これは、人となった後に傷害の結果が発生する、あるいは増悪した、こういった事実が認められる場合に、これと同様の立場に立って業務上過失致傷罪の成立を認めた裁判例があるということでありますけれども、胎児そのものが人に含まれると解した裁判例については承知していないところであります。
その上で、ただいま申し上げたような裁判例は、個別の事件における裁判所の判断でございまして、それについて法務当局として所感を述べることは困難であることは御理解いただきたいと思います。
○辻(秀)委員 では、刑法一般ではなくて、特に自動車運転死傷行為処罰法における解釈によって、胎児を犯罪の客体である人に含めることはできないのか、法務当局にお伺いをいたします。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
自動車運転死傷処罰法も刑事法体系の一部を成すものでございまして、その基本法である刑法の解釈に即して、母体からいまだ露出していない胎児について、犯罪の客体である人に含まれていないと解されているものと承知しているところでございます。
○辻(秀)委員 では、自動車事故によって胎児が傷害を負って出生し、出生後に傷害が増悪していない場合であっても、人に対する傷害として自動車運転死傷行為処罰法において処罰するためには新たな法整備を要するのか、法務当局にお伺いをいたします。
○佐藤政府参考人 自動車運転死傷処罰法におきましても、母体に対する有形力の行使によって胎児に傷害結果が生じた場合には母体に被害が生じたものと捉えられておりまして、御指摘のような場合、すなわち、自動車事故によりまして胎児が傷害を負って出生して、出生後に傷害が増悪していない場合において、人に傷害結果が生じたものとして自動車運転死傷処罰法で処罰するために新たな法整備が必要かということでありますが、今後の裁判例や学説の動向なども見極める必要がありまして、現時点で一概に申し上げることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
○辻(秀)委員 ここまでを改めて確認させていただきまして、立法府である国会としては、やはり裁判所や検察の司法にその判断の全てを委ねるべきではないと考えております。
そこで、まずは自動車運転死傷行為処罰法に規定する犯罪に限って胎児を犯罪の客体として人に位置づけて、自動車事故によって胎児が死傷した場合においても過失運転致死傷罪等を適用できるように法改正を行うべきではないかと考えておりますが、法務当局の見解をお伺いをいたします。
○佐藤政府参考人 委員御指摘のように、自動車運転死傷処罰法に限って、あるいは刑法も含めまして、いろいろな考え方はあるかと思うんですけれども、胎児を人そのものとして位置づけるかということにつきましては、人の生命観や倫理観に深く関わる事柄でありまして、胎児をどの段階から人として扱うべきか、あるいは、現行法の下では不可罰となっている過失により胎児を死亡させる行為等が処罰の対象となるのではないかといった課題があるほかに、自動車運転死傷処罰法においてのみ胎児を人そのものと位置づける場合には、刑法その他の刑罰法令との整合性の問題も生じることになりますので、慎重かつ丁寧な検討が必要であると考えているところであります。
この問題につきましては、幅広い観点からの議論が十分に積み重ねられることが重要であると思っておりまして、法務当局としても、その動向を注意深く見守ってまいりたいと考えているところでございます。
○辻(秀)委員 そうした慎重な、かつ幅広い意見を鑑みながら今後検討いただかなければいけないわけですけれども。
ここで、本当に仮にということになりますけれども、自動車運転死傷行為処罰法において胎児を犯罪の被害者、客体である人とみなした場合、例えば、考えなければいけないだろうケースとして、妊婦の夫であり胎児の父親である者が運転する自動車による交通事故に起因して、胎児が傷害を負ったとします。このとき、胎児の父親を処罰してほしくないと胎児の母親が求める場合が当然にあるんだろうと考えられますけれども、これは本当に例えばになりますけれども、そのような胎児の母親の意見、要望は検察の起訴、不起訴の判断に影響を与え得るのか、法務当局にお伺いをいたします。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
お尋ねは仮定の質問でございまして、一概に申し上げることは困難であることは御理解いただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、個別の事案ごとに、法と証拠に基づいて、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を総合的に考慮して起訴、不起訴を判断しているところでございまして、被害者等の処罰感情につきましても、犯罪後の情況として、起訴、不起訴の判断に当たって考慮しているものでございまして、結論として申し上げますと、与え得るということでございます。
○辻(秀)委員 今もお話がありましたように、この自動車運転死傷行為処罰法の改正に当たってはまだまだ様々な論点があろうかと思っています。刑法全体の整合性や世論の動向なども踏まえて今後慎重に検討していかなければいけないことは重々承知しておりますけれども、昨年の五月の愛知県一宮におきます交通事故の被害者の処罰感情を考えると、是非前向きに考えていただきたいと切に切にお願いを申し上げる次第でございます。
質疑の制限時間も迫ってまいりまして、最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、最後に平口法務大臣にお伺いをいたします。
交通事故によって死傷した胎児についても、刑法や自動車運転死傷行為処罰法により適切に保護されるよう、法務・検察において適切に対応していただくべきではないかと考えておりますが、法務大臣の所見をお伺いをいたします。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
お尋ねについては、母体に対する行為によって胎児に病変が発生し、出生後にそれに起因して死亡したり傷害が増悪したりした場合に、被害者として認定された例があるほか、検察当局においては、個別の事案ごとに、法と証拠に基づいて、母体に対する行為によって胎児が死傷したとの事実を、量刑事情の一つである被害結果の重大性において考慮されるべきものとして求刑を決しているものと承知をしております。
検察当局においては、これらも踏まえ、引き続き、被害者や御遺族の方々の心情にできる限り寄り添いながらこの種事案に厳正に対処していくものと承知しておりまして、私としても、このような活動を注意深く見守っていく所存でございます。
○辻(秀)委員 本件につきましては引き続き議論を行ってまいりたいと思いますけれども、時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、有田芳生君。
○有田委員 有田芳生です。
今日は一時間の質疑ということで、早口にならずに、じっくりとお聞きをしていきます。
実は、今年二〇二六年は、いわゆるヘイトスピーチ解消法の成立から十年になりました。私たちは昨日、国会内で院内集会を開きました。十年前に参議院の法務委員会でこの問題に取り組んできた自民党の西田昌司議員、そして公明党の矢倉克夫議員、そして共産党の仁比聡平議員も含めまして来ていただきまして、専門家のお話を伺うことができました。
あれから十年たったんですけれども、問題は、前進した部分もあれば、まだまだ解決しなければいけないという課題がありますので、今日は、その点についてじっくりお話を伺いたいと思います。
昨日の議連の集会については、今日の東京新聞が特報面で二面使って詳しく報道してくださっております。そこにも出ておりますけれども、自民党の西田昌司議員は東京新聞の取材に対して、ヘイトスピーチに対する対策は必要なんだけれども、この十年の経過を見ていくと、平和の問題であるとか格差の問題、そういった問題も同時に取り組んでいかないと、ヘイトスピーチ問題というのは解決していかないだろうと発言されました。まさしくそのとおりだと思います。
後で簡潔に指摘をしたいと思いますけれども、十年前ならば、東京の新大久保、大阪の鶴橋、あるいは京都、神戸、福岡、広島、岡山などでヘイトスピーチのデモが行われておりました。確かに、そういうことは解消法の結果減ったんだけれども、まだまだ課題があるということについてお話を伺いたいと思います。
最初に、基礎的な問題ですけれども、ヘイトスピーチ解消法は、今から十年前の二〇一六年の五月十二日に参議院の法務委員会で全会一致で可決をいたしました。全会一致で可決をしたときに、当時、公明党の魚住裕一郎委員長は、全会一致で可決と決まったときには委員長席から大きな拍手をされて、それだけ感動的な経験をされたんだと、私たちも含めて、そういうことがありました。
五月十二日に参議院法務委員会を全会一致で通過をして、十三日の本会議で成立をし、さらには、衆議院では、五月二十日にこの法務委員会で可決がされて、五月二十四日に本会議で成立、そして、すかさず六月三日にいわゆるヘイトスピーチ解消法は公布、施行されました。そういう経過があるんです。後で詳しくお話を伺いますけれども。
当時、私も、人種差別撤廃委員会日本審査でスイスのジュネーブに二〇一四年、一八年に行きましたけれども、特に、二〇一四年に人種差別撤廃委員会の日本審査で問題になったのは、ヘイトスピーチデモ、とんでもない内容だったんだけれども、後でお示しをしますけれども、同時に、警察の警備が余りにもちょっと行き過ぎじゃないかというような批判があったんですよね。当時、人種差別撤廃委員会の日本審査の各国の委員の方々に、日本でどんなことが起きているのかということを映像で見ていただいたんですよ。そうしたら、彼らが一様に言ったのは、日本では差別をする人たちを警察官が守るんですかという発言が多かったんですよ。
この映像については、私は、当時の安倍晋三総理それから菅義偉官房長官にも見ていただいて、菅さんからは何度も電話をいただきまして、ひどいですねという、そのぐらいひどいデモの内容であると同時に、やはり、警察の警備の在り方というのはもう少しスマートになされたらいいんじゃないかということを、私はこれまでも、参議院の法務委員会でも、あるいは質問主意書なんかでも取り上げてきました。
そういうことが今改善されたんだろうかということで、ちょっとヘイトスピーチとは離れるんですけれども、私がつい先日経験したことについて警察庁の御見解をお聞きをしたいと思うんです。
これは自民党政権でも短かった民主党政権でもそうですけれども、やはり国民の皆様、政治に対する監視あるいは批判などがあるときにはいろいろな集会を開かれますよね。今でいえば、例えば、四月十九日の国会正門前の高市さんの政治に対する批判の集会があった、一か月後の五月十九日にもそういう集会がありました。
私は両方行っているんですけれども、警察庁の方はもう御存じのとおりだと思いますけれども、その集会に出るために、私は衆議院第一議員会館の十二階におりますから、時間ぎりぎりになって一階に降りて、出口を右に行って官邸の方を歩いて、あそこに横断歩道がありますから、横断歩道を渡って、そして国会正門前に向かって歩いていったんですよ。ほとんど人がいなかった。警察官の人たちはいっぱいいらっしゃった、いっぱいといっても、そうびっくりするようなものじゃないんだけれども。
そのとき、警察官の方に止められたんですよ。止められたから、いや、国会正門前で今から集会があって、六時半から、そこでスピーチを求められているので行かなければいけないんだと。いや、ここは通れません、向こうを歩いてくれと。右の方の横断歩道を渡って、左に行って、国会正門前に、かなり遠回りになるんですよね。だから、とにかく、六時半からの集会でスピーチを求められたものですから、いや、国会議員で、秘書二人おりましたけれども、行かなきゃいけないんだと。いや、駄目ですと言うんですよ。
それは法的根拠はあるんですかと聞いたら、いや、お願いですと言うんですよね。お願いですと言うから、お願いだったらちょっとそれは聞くわけにはいかぬな、もうとにかく時間が迫っているんだと。身元不明人でもないし、スピーチの時間もありましたから、お願いだったらもう行きますよと言って、警察官、何人もいらっしゃったんだけれども、警視庁第三機動隊の方、お名前も聞きましたけれども、いや、行きますよ、もう時間がないんですと言ったら、体で止めてくるんですよ、体で。行かせないんですよ。
そういうことがずっとしばらくの時間ありまして、結果的には、警視庁第三機動隊のその現場の責任者の方が上司の方に連絡を取って、いいですよということで通っていくことができたんだけれども、お願いだと言うんです。
まず聞きたいのは、そういう国会正門前に行くときに、法的根拠があって止めていたんでしょうか。国会正門前に行くためには、参議院の議員会館を出て、国会図書館を真っすぐ行って、憲政記念館から右の方にずっと行くと国会正門前に出るんですけれども、そこでも同じようなことが起きているんですよね。だから、そういう国会議員あるいは集会に参加される方々を止める法的根拠というのが警察庁はあるんでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。
警察では、警察法第二条に定められました、個人の生命、身体、財産の保護と公共の安全と秩序の維持といった警察の責務を果たすため、国会周辺におきまして多数の方々による取組が行われる際には、車両や人の通行、参加者の安全確保、雑踏事故防止の観点から、通行人や参加者の方の御協力をいただきながら、必要な警備上の措置を講じております。
御指摘の国会側歩道の一時的な迂回のお願いにつきましても、こうした観点から、警視庁におきまして必要な措置を講じていたものと承知をいたしております。御理解、御協力を賜れればと存じます。
○有田委員 おかしいでしょう。そういうことだったら、何で私を体でもって止めて、上司と相談したら通すんですか。何の根拠があってそういうことをやったんですか。
昨日、警察庁の方が私の部屋に来てくださって、おわびしますと言いましたよ。違うんですか。どんな根拠で、体でもって止めたんですか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
今御答弁申し上げましたように、迂回のお願いを申し上げていたところでございまして、国会議員の方につきましては、国会直近でもございますので、国会議員の方と分かった段階で速やかに通行いただくよう、お尋ねの五月十九日当日の警備に従事する警察官には指示をしていたところでございましたが、その指示が徹底されておらず、委員に御迷惑をおかけすることになったものであると承知をしているところでございます。
○有田委員 おかしいんですよ。だって、ずっとそういう言い方をしているんですよ、十年前から。何か指摘をされると、警察法第二条に規定する警察の責務を達成するための業務を適切に行っている、いつもこれをおっしゃっているんです、ずっと。今もそうじゃないですか。だけれども、現場で起きていることは御存じですか。
例えば私は二〇一五年に、参議院に、警視庁による過剰警備に関する質問主意書というのを出したんですよ。二〇一五年十二月二十日の午後三時半ぐらい、東京新宿区にある柏木公園を出発点にして、在特会、在日特権を許さない市民の会、在日特権なんてないのに、あると言って、ずっと主張してきた団体がデモをやった。そのとき、私はそこに行きましたよ。すごい警察官がいらっしゃったというのはよく分かる、それは警備しなければいけないから、トラブルがないようにというのは分かる。だけれども、私は、この質問主意書を久しぶりに思い出したんだけれども、デモには関係のないような一般の人たちも止めちゃうんですよ。だから、集会に行く人たちでもない、デモに抗議する人たちでもない、一般の市民が普通に買物に行こうとしていたり、歯医者に行こうとしていて、警察官が止めるんですよ。こういうことがあった。
そのときに、ある人は私にこう言った。歯医者に行けない。ある人はこう言った。目の前のスーパー、すぐ目の前にスーパーがあるのに買物に行けないのはなぜだと警察官に聞いていた。物理的に阻止するんですよ、体でもって。こんなことがずっと続いていた。時間にして、当時、私はその現場にいましたから、測っていたら、二十分、三十分ですよ。
これは、当時の東京の新宿だけじゃないんですよ。京都の河原町だってそうだった。大阪の鶴橋だってそうだった。岡山だってそうだった。福岡だってそうだった。どう見たって、過剰なんですよ、やり過ぎなんですよ。そういうことを指摘すると、先ほどおっしゃったように、必要な警備活動だ、警察法第二条に規定する警察の責務を達成するための業務を適切に行っていたと。
更に聞きますけれども、私は体で止められたけれども、国会議員だと分かっていたら通していましたとおっしゃいましたよね。では、一般の人は何で通れないんですか、一般の人は。集会に出る自由はないんですか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のほかの多数の参加者の方々につきましては、雑踏による事故の発生を防止したり、交通の安全を確保したりするため、一時的な迂回の御協力をお願いしていたというところでございます。
○有田委員 現場にいないからそんな答弁ができるんですよ。行かれましたか、四月十九日、五月十九日。私は現場に行きましたよ。一般の人と一緒に、四月十九日は国会正門前へ行きましたよ。
先ほども言いましたけれども、本来ならば、あそこの参議院の前の歩道を渡って、真っすぐ行って右に行けば、一番近いルートなんですよね。だけれども、それを止めていらっしゃるんですよ、警察は。だから、どう行けばいいのかというと、参議院の前の歩道を渡って、左の方にまた歩道を渡って、国会図書館の方を歩いて、憲政記念館に向かって、そして国会正門前に行くんだけれども、だけれども、警察の方々というのは道を半分ぐらいにしてしまっている。だから、行けば分かるけれども、参加者によってすごい混乱が起きているんですよ、歩くのが止まるようなほど。
だけれども、四月十九日、私は現場、丸ノ内線の駅の構内にも見に行きましたよ。今日は写真は持ってこなかったですけれども、大きな看板で、ここは通れませんと。それで、警察官がいらっしゃる。横の方から、官邸の前から行けるところならば開いているのかなと思ったら、そこでも大きな看板があって、ここは駄目です、だから、三番、四番だったかな、そこから行ってくださいと。これは何ですかと聞いたら、お願いですと言うんです。お願いと言うけれども、警察官、こんな屈強な人たちがいるわけだから、一般市民なんかそこは通れないですよ。
だから、言いたいのは、現場にいれば、例えば四月十九日にしても、警察の警備によって実は混乱が起きちゃっているんですよ、人が殺到していて。もっとひどいのは、正門前に渡ろうとしたら、やはり警察官が止めているんですよ。映像があります、御関心がある方は見てください。国会正門前集会なのに、参加したい人が行けないわけ、警察官が止めて。そこでまたもめているわけ。これはよくないと思うんですよ。
五月十九日について言えば、駅で止めているものだから、皆さん、遠回りして国会正門前に行かれました。だけれども、私が通った道は、警察官はいらっしゃるけれども、当然、止めているから、市民なんかいないですよ。でも、あそこを開放していたらもっとスムーズに行けるわけです。
つまり、何が言いたいかというと、後でヘイトスピーチのデモの現場についてもお聞きをしたいんですけれども、やはり警察官は一生懸命やっていらっしゃるんですよ。五月十九日だって、国会正門前の演壇があるところで、国会図書館の方から来る方々がスムーズに来られるように、横断歩道の両側に、ひもというんですか、ちゃんと通行できるようにして。だから、そこは物すごくうまくいっている。現場の方は一生懸命やっているんだけれども、そんな要らぬところで、警察官何なのなんて思われない方がいいと思うんですよ。だから、そういう意味でスマートな警備をやっていただきたいということをこの場でお願いしておきたいなというふうに思ったんです。
ヘイトスピーチ解消法十年で、ヘイトスピーチデモが特に二〇一三年、一四年は全国各地で吹き荒れましたけれども、やはり行き過ぎなところがあって、それはトラブルが起きている、一般市民の方ともトラブルが起きていた。だから、私は、さっきも言いましたように、東京、大阪、全国各地、その現場に行きましたけれども、やはり工夫をしていらっしゃるところもあって、当時でいえば岡山県警なんかは物すごくスマートでした。物すごく整然としていながら、市民との間の関係もうまく取っていらして。だから、全国各地で、例えば抗議する人が激しくなったときには警察官とのトラブルなんかがあったりするんだけれども、だけれども、岡山県警は当時は、女性の抗議者に対しては女性の警察官が対応されていたりして、これはうまくやっていらっしゃるなと思って。
私は参議院の法務委員会でも警察の過剰警備とその改善の方向性ということを何度か質問したことがあるんですけれども、とにかく現場で一生懸命やっていらっしゃる方々が、トラブルがないようにという前提なんだけれども、誤解がないようなスマート警備というのを、これからもあるでしょうから、国会前の集会については検討していただきたいということをお願いしたいというのがこの質問の趣旨です。
それで、ついでですからお話を伺いたいんですけれども、今日、残念ながら、写真資料は認められなかったので委員の皆さんにはお示しすることはできないんですけれども、岡山の集会、ヘイトスピーチデモなんかは、その写真もあるんですけれども、数人のヘイトスピーチのデモをやっている人たちの周りに二百人ぐらいが取り囲んでいて行進しているから、何か警察官がデモをしているように見えたんですよ。
例えば、今日は残念ながら資料配付を認めていただけませんでしたけれども、二〇一六年の六月五日に川崎市で行われたデモ、これは中止になったんだけれども、やはり写真を見れば一目瞭然。少ない、ヘイトスピーチ解消法なんか粉砕せよという方々の周りに、警備の警察官がすごい人数なんですよね。
だから、それは警備だというのは分かるんだけれども、外から見たらちょっと行き過ぎじゃないかと見られてしまうんですよ。そういう指摘、これまでもあったでしょう。だから、先ほども言いましたけれども、人種差別撤廃委員会の日本審査では、各国の委員の方々が、日本では差別する人を警察官が守っているんですかなんというのは何人もの方が言われましたから、そういう声は当時届いていますよね、そういう批判があったというのは。いかがですか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
委員お尋ねの点、過去にも御質問いただいているところでございますけれども、警察におきましては、デモの状況や時々の情勢を踏まえまして、現場における混乱、交通の危険の防止などのため、必要な警備体制を構築いたしまして、中立性、公平性を念頭に置いて警備活動を実施しております。
今後とも、警察が特定のデモ隊を守っているとの誤解を受けることのないよう、適切な警備措置を講じてまいりたい、このように存じます。
○有田委員 本当に繰り返しそういうことが起きてしまっているので、是非スマートな警備体制というのをこれからは工夫していただきたいとお願いをいたします。
それで、次の質問ですけれども、二のところで解消法前とその後、三のところでヘイトスピーチとは何かで質問の順番をお渡ししているんだけれども、ちょっと番号を替えて、三のヘイトスピーチとは何かの方から先にやった方が流れがいいかなと思いましたので、ヘイトスピーチについてまず法務省にお伺いをしますけれども、いわゆるヘイトスピーチ解消法の法律の定義というのはどういうものになっておりますでしょうか。
○杉浦政府参考人 お答えいたします。
いわゆるヘイトスピーチ解消法第二条におきましては、本邦外出身者に対する不当な差別的言動について定義が定められておりまして、同条では、本邦外出身者に対する不当な差別的言動とは、専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの、すなわち本邦外出身者に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動をいうとされているところでございます。
○有田委員 このいわゆるヘイトスピーチ解消法は日本で初めての反差別法なんですけれども、今御説明いただいたとおりなんですけれども、大事なことは、前文のところで立法事実が明記されているんですよね。マイノリティーの被害と社会の分断の両者というヘイトスピーチの害悪を前文で指摘している。
具体的に言うと、「地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動が行われ、その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるとともに、」、大事なのは次なんだけれども、「当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせている。」。地域で深刻な亀裂が起きている。
当時は特に在日コリアンの方々への攻撃が激しかったんだけれども、それが十年たったんだけれども、今、例えば川口市のクルドの人たちへの、単に言葉だけではない、実際に暴力が行使されている問題とか、あるいは、藤沢でムスリムの方々への攻撃があって、それに対して、後でお聞きをしますけれども、ヘイトスピーチ解消法の定義からいってもゆゆしい事態が十年たっても起きているということも指摘をしなければいけません。
人権擁護局長などのプロの皆さんですから、やはりもう理解されているところですけれども、解消法ができたときに衆議院、参議院の附帯決議、あるいは私たちが作った参議院法務委員会決議では、このいわゆるヘイトスピーチ解消法が人種差別撤廃条約の義務の履行の一部として明確化された。だから、日本国内の法律なんだけれども、人種差別撤廃条約の義務の履行の一部だと位置づけられているところが国際的にも非常に重要な位置づけだと思うんですが、そういう理解でよろしいですか。
○杉浦政府参考人 委員御指摘のとおりだと認識しております。
○有田委員 もう一点つけ加えておけば、両院の附帯決議では、インターネット上のヘイトスピーチ問題にも取り組まなければいけないというのは、これはもう十年たったけれども、今、与党も野党も同時に、この問題、SNSのことも含めて取り組んでいかないとという意味においては、十年前の指摘をもっと充実させていかなければいけないというふうに思っております。
同時に、附則一項に見直し条項が入っていて、参議院の決議などでは、終着点ではなく、ヘイトスピーチ解消及び被害者の真の救済に向け、差別のない社会を目指して不断の努力を積み重ねていく、そういう決意を述べたという。
だから、非常に包括的なんだけれども、同時に、擁護局長に伺いたいのは、これは国際的に位置づけた場合、例えば二〇一二年の国連人権高等弁務官事務所が作成したラバト行動計画あるいは二〇一九年の国連ヘイトスピーチ戦略などの理解と、共通するというのは行き過ぎかも分からないけれども、そういうものといわば接点があるものと理解してよろしいですか。国際的なこれまでの達成と日本でのこの法律の中身というものは。どう理解すればいいんでしょうか。
○杉浦政府参考人 まず、ヘイトスピーチに関しましては、国連の見解としましては、国連広報センターのホームページには「国際人権法では、ヘイトスピーチの普遍的な定義はまだ存在していません。」との記載があるものと承知しておりますが、ヘイトスピーチを解消すべきという考え方、方向性については御指摘のとおりかと思います。
○有田委員 人権擁護局長ともあろうお方が、昨日、質問レクに来ていただいた方も今のことを指摘されたんですよ、国連では明確な定義がありません、確かに書いてある。「国際人権法では、ヘイトスピーチの普遍的な定義はまだ存在していません。」、それはそのとおりですよ。普遍的な定義は存在していないんだけれども、だけれども、この国連のホームページの上に何と書いてありますか、今語ってくださった言葉の上に。
○杉浦政府参考人 国連広報センターのホームページの記載でございますが、「いわゆる「ヘイトスピーチ」とは、人の内的属性(人種、宗教、ジェンダーなど)に基づいて、ある集団や個人を標的とし、社会の平和をも脅かす可能性のある攻撃的言説を指します。」と記載されております。
○有田委員 そうでしょう。国連のホームページを見れば、まずそう書いてあるんですよ。物事には順番があるわけでしょう。今語ってくださったことが記述をされていて、大事なのはその次ですよ。今話してくださったのは二行です。一番最初に。「国際人権法では、ヘイトスピーチの普遍的な定義はまだ存在していません。」。それもホームページでは二行です。二行、二行、四行。
だけれども、その真ん中に大事なことが書いてあるじゃないですか。「国連がこの問題に世界規模で対処するための統一的な枠組みを提供するために、「ヘイトスピーチに関する国連戦略・行動計画」は、ヘイトスピーチを次のように定義しています。「ある個人や集団について、その人が何者であるか、すなわち宗教、民族、国籍、人種、肌の色、血統、ジェンダー、または他のアイデンティティー要素を基に、それらを攻撃する、または軽蔑的もしくは差別的な言葉を使用する、発話、」」しゃべること、「「発話、文章、または行動上のあらゆる種類のコミュニケーション」」。一番詳しく書いてあるわけですよ。その下に、「一方、国際人権法では、ヘイトスピーチの普遍的な定義はまだ存在していません。」。
普遍的な定義は存在していないんだけれども、ラバト行動計画を始めとしていろいろな人権規範の中で、ヘイトスピーチについての定義については一般的理解があるんじゃないですか。あるから、このヘイトスピーチ解消法もできたんじゃないですか。だから、ありませんというのは、やはりちょっと誤解を生んでしまうと思うんです。
そこは解釈の違いかも分からないけれども、だから、国連広報センターの「ヘイトスピーチを理解する ヘイトスピーチとは何か」というところでも一番力点を置いている真ん中の四行を、やはり多くの人に理解していただいて、日本でも具体化をしていって、それで、国際的にももっともっと議論を深めて、国連がおっしゃるように、普遍的な定義をこれからも模索をしていく、そういう位置づけだと私は理解しているので。まあ、この問題についてはここでいいんだけれども。
次にお聞きをしたいのは、ヘイトスピーチ解消法ができてから、本当に法務省の方々は努力してくださっているんですよ。多くの人が目に見えないような形で努力をしてくださっている。
解消法ができたときには、法務省が「ヘイトスピーチ、許さない。」という黄色いポスターを作っていただいて、あれが本当に、法務省の前だけではなくて、全国の駅にも貼られて、非常に役割を果たしていると思います。いろいろな努力をされて、例えば東武鉄道のデジタルサイネージへのポスター画像の掲出とかネット上での努力とか。
今でも忘れないのは、ヘイトスピーチ解消法ができて、それを粉砕するみたいなことで、先ほど紹介しましたけれども、二〇一六年の六月五日に川崎でデモが行われたときに、御存じですか、あのとき、法務省人権擁護局は車を出したのを知っていらっしゃいますか。御存じないか。済みません、時代が違うのね。車が出たんですよ。アドカーというんですか、何カーというのか分からないけれども、人権擁護局の車が出て広報したんですよ、ヘイトスピーチ許さないと。
警察も頑張ってくださったんですよ。警察も、解消法ができてから、それでも全国でヘイトスピーチのデモがありましたから、そのときに、警察官が車両の上からマイクを持って、ヘイトスピーチ解消法に基づきヘイトスピーチは許されませんみたいなことを、少なくとも私は東京でも見たし、関西の方でも目撃しているんだけれども、そういう努力はあったんですよ。
だから、それをこの十年の段階でもう一度評価もしなければいけないし、そういう取組があったということについても多くの方に知っていただきたい。
人権擁護局長、あのときの、十年前の擁護局長は現場にも行かれていた、仕事のない日に。それから、自民党、公明党、共産党も含めて、私たちも、川崎の桜本という集住地域で、ふれあい館というところが今もありますけれども、そこに視察に行ったときも、当時の人権擁護局長は来てくださっていて、在日の一世の女性の話を聞いて泣いていらっしゃいましたよ。
だから、それだけの努力を、擁護局の皆さんも警察庁の皆さんも現場の警察官の皆さんもやっていてこの解消法が今も成り立っているということは、やはり多くの方に知っていただきたいと思います。
次に、質問ですけれども、解消法ができて、法務省の努力の中で参考情報というのが発せられましたよね、三回。その中身はどういうものだったんでしょうか。
○杉浦政府参考人 お答えいたします。
御指摘の参考情報とは、法務省ホームページに、「「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」に係る参考情報」との表題の下で、ヘイトスピーチ解消法の解釈など、地方公共団体がヘイトスピーチの解消に向けた施策を行うに当たって参考となる情報を、法務省人権擁護局において取りまとめて掲載しているものでございます。
具体的には、参考情報一として、ヘイトスピーチ解消法制定の経緯等について、また、参考情報二として、ヘイトスピーチ解消法第二条の解釈について、参考情報三として、集団等に向けられた不当な差別的言動につき、法務省の人権擁護機関において人権侵犯事件として処理するに当たっての判断の枠組みについての情報を法務省ホームページに掲載しているところでございます。
○有田委員 今教えてくださいましたその三つの参考情報の二番目の解釈について、これはヘイトスピーチのいわゆる三類型ということになると思うんですけれども、この解釈についてはどういうことが書かれているんでしょうか。
○杉浦政府参考人 参考情報二としまして、ヘイトスピーチ解消法の第二条に言う本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解釈に関する情報を掲載しておりますところ、ヘイトスピーチには大きく分けて三つの類型、すなわち、地域社会から排除することを扇動するもの、本邦外出身者の生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加える旨を告知するもの、三つ目としまして、本邦外出身者を著しく侮蔑するものがあるものと考えております。
○有田委員 十年たってこの三類型でいいかどうかというのはまた議論を私たちも含めてしなければいけないと思っているんですけれども、それを具体的な現場に当てはめた場合どう解釈ができるのかというのは、現実的には大きな問題になっていると思うんですよね。
今日は残念ながら資料配付できませんでしたけれども、例えば、二〇一三年の二月七日、新大久保。当時は、二〇一三年、一四年が全国でヘイトスピーチデモが吹き荒れたんだけれども、毎週土曜日になると、新大久保では、二百人から三百人の人たちがのぼりを掲げてデモ行進をやっていた。あそこは、新大久保ですから、皆さん御承知のとおりに、韓国料理屋さんとかそういう、大阪の鶴橋は古くからの方が当時も今もお住まいですけれども、ニューカマーという人たちが今も御商売されている。その横の大久保の通りを、例えばプラカードで、よい韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せというプラカードを白昼堂々と持って叫んでいた。
あるいは、二〇一三年の二月十七日、これも新大久保。あだなす敵は皆殺し、朝鮮人は皆殺し。白昼堂々。あるいは、同じ日、二〇一三年二月十七日、新大久保。朝鮮人、首つれ、毒飲め、飛び降りろ。こういうものがあった。東京の江戸川区なんかでは、違う日ですけれども、ナチス・ドイツのハーケンクロイツの旗を振ってデモ行進をしている。
こういうことが十年前は当たり前のように毎週あったんですよね。
私は、二日前、大阪の鶴橋の駅を降りて、鶴橋の駅は、改札を出ると道路があって、向かい側に回転ずしがあるんです、当時もあるんですけれども。二〇一三年は、そこにヘイトスピーチのデモの人たちが来て、そして、駅前でハンドマイクを持って、当時十四歳の少女がマイクを持って、こう言った。駅の前というのは、今行ってもそうですけれども、路地裏を歩けば、キムチとか、いろいろな食材を在日の二世、三世の方が今でも売っていらっしゃるんだけれども、そこでマイクを持って、在日の皆さん、日本から出ていってください、出ていかなければ、あなたたちは南京大虐殺を知っているでしょう、鶴橋大虐殺をやりますよと、マイクで。その周りを、デモ行進の男たちが、おおっと盛り上げた。それを在日の方々がじっと黙って我慢して聞いていらしたのが二〇一三年のことだった。十四歳の少女がそういうことを言ったから、それはもう映像として撮られているから、国際的に放送された。アフリカの方まで放送された。
当時は、皆さん御承知のように、東京でオリンピックがあるというときだから、東京でオリンピックをやる日本で、こんな、首つれとか、皆殺しとか、飛び降りろとか、どちらも殺せとか、鶴橋大虐殺やりますよとか、そういうことがまかり通っていたから、自民党の皆さんの中にも、先ほども言いましたけれども、菅官房長官なんかは私のところに何度も連絡をくれて、何とかしなきゃ駄目ですねということで、自民党も、当時与党の公明党の皆さんも、あるいは、全国各地でいえば、大韓民国民団の方々、あるいは創価学会、公明党の地方議員の方々、全国から、地方議会で、これを何とかしなければいけないという決議が上がってきて、それを受け止めて、国会で私たちはやらなければならないことをやってきた。
お聞きをしたいのは、参考情報の二番目の、解釈のところで、排除とか、生命、身体に対する危険だとか、あるいは侮蔑だとか。侮蔑ということでいえば、ゴキブリみたいなことを言ったり。今、川口市で起きているのは、クルドの人たちにゴキブリだと言って、ハンドマイクで堂々と語っている一般市民の女性たちが映像でも残っていますけれども、こういうことが今でも起きているので。お聞きしたいのは、殺せとか、皆殺しだとか、首つれ、毒飲めとか、飛び降りろ、これはヘイトスピーチじゃないんですか。
○杉浦政府参考人 お答えいたします。
どのような言動がヘイトスピーチ解消法に定める不当な差別的言動に該当するのかにつきましては、諸事情を総合的に考慮して判断されるべきものでございますが、先ほど御答弁申し上げた各類型の一例として、法務省のホームページにも、例えば、○○人は出ていけ、○○人は殺せ、差別的意味合いで昆虫や動物に例えるものなどを類型の一例として挙げているところでございます。
○有田委員 つまり、今語ってくださったような一例から見て、十年前になりますけれども、新大久保で行われていたデモのプラカードの文言というのはヘイトスピーチに当たると理解してよろしいんですね。理解するも何も、とんでもない話ですけれども。
○杉浦政府参考人 繰り返しになりますが、どのような言動がヘイトスピーチ解消法第二条に定める不当な差別的言動に該当するのかにつきましては、発言の背景や前後の文脈などの諸事情を総合的に考慮して判断されるべきものでありまして、個別の事案について、不当な差別的言動に該当するか否かを一概にお答えすることは困難であると考えております。
○有田委員 いつもこういう議論なんですよね。個別の問題には答えられません。だけれども、私が聞いているのは、殺せとか、死ねとか、首つれとか、皆殺しだという、こういう個別のことをヘイトスピーチと言い切れないというところにやはり限界があるんですよ。
私は参議院の法務委員会でも何度も何度も質問しましたけれども、あのときに、森まさこ法務大臣のときですけれども、法務大臣の立場として、一般論としてお答えいただいた。だけれども、その後に、個人として、やはりおかしいということを語ってくださったことがあるんですよ。
だから、いつもいつも、個別の問題には答えられません、ほかのテーマもそうなってしまうんだけれども、やはり、そこはもう少し前向きな答弁の在り方ということもこれからは考えていっていただきたいというふうにお願いをしておきます。明らかにヘイトスピーチですよ、これは。だって、そう捉えない人の方がおかしいと思いますよ。個人的にはそう思っております。
文脈、文脈、文脈と言うんだけれども、さっきも言いましたラバト行動計画の中では、文脈についても物すごく細かく指定がされていて、そういうものに基づいて、最後に、じゃ、これはヘイトスピーチなのかヘイトスピーチじゃないのか、差別なのか差別でないのかということは、やはり確定していかなければ対策にならないじゃないですか。
だから、そういうことについても、当時、警察の方々も、ヘイトスピーチ解消法ができてから、やはり、警察官に対する告知とか、警察官の皆さんに対する教育とか、そういうのをやってくださっていたんですよ。そういうものが現場に浸透することによって、現場のプラカードなんかを見て、これは駄目だなという理解もできるわけです。
例えば、私、今思い出したけれども、岡山のヘイトスピーチのデモがあったときに、在特会、在日特権を許さない市民の会の責任者の桜井誠さんが先頭に立ってデモをやっていたとき、プラカードがおかしいから、それを、車で一緒に横を走りながら、ヘイトスピーチを許さないとずっとしゃべっていたんだけれども、あのときも、横田めぐみさんの写真を使って、全然関係ないことをしゃべっていて、それがあたかも在日の方々の拉致問題との関わりであるかのようにずっと言っていたから、横田早紀江さんから、ああいうのはやめさせてくださいと聞いていたので、注意をしていた。そうしたら、ちゃんと聞きましたよ、プラカードを下げるというような。
だから、人権擁護局、それから警察庁の皆さん、やはり、こういう問題をちゃんと知っていただくことによって現場の態度というのも変わってくると思うんですよね。
例えば、新宿なんかでヘイトスピーチのデモがあったとき、私は、抗議に行っていたら、警察官にそこでも止められたことがあって、あんたたちが来るからこんな迷惑がかかるんだと警察官に言われたことがある。
だから、ちゃんと、ヘイトスピーチ解消法がなぜ必要なのか、自民党の皆さんも含めて作った法律をやはり生かすためには、その成果を現場の皆さんにも、これからでも徹底していただきたいというふうに思っております。
一時間質問がもつかなと思ったけれども、ちょっと時間が少なくなってきたので、まだ半分しかいっていないから、困ったものだな。大事なところに、ちょっと成果については飛ばします、外務省にも来ていただいていますから、外務省にもお聞きをしなければいけないので。
そういうことを受けて、あれから十年たって、法務省がこれから、実態調査を今してくださっていると聞きましたけれども、ちょっとその概要を教えていただけますか。
○杉浦政府参考人 お答えいたします。
現在準備をしております実態調査でございますが、平成二十七年度に実施した調査から約十年が経過し、また、ヘイトスピーチ解消法の施行から約十年が経過したことから、その間に社会状況やヘイトスピーチの手段、方法が変化していることを踏まえまして、インターネット上のヘイトスピーチに関する情報収集など、ヘイトスピーチの解消に向けた取組を推進するために、改めて調査を実施することとしているものでございます。
○有田委員 二〇一六年、十年前にも調査をしてくださって、そのときは予算が三百万円だったんだけれども、今度は七千万円予算がついていて、相当の内容が期待されるというふうに思っております。
警察庁にお聞きをしたいんですけれども、解消法ができて、デモとか集会というのは減ったという認識でよろしいでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
デモにつきましては、ヘイトスピーチに該当するような言動があったか否かにかかわらず、右派系市民グループによるデモとして警察が把握している件数は、いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行された平成二十八年は約四十件、平成二十九年は約五十件、平成三十年は約三十件となり、令和元年以降は約十件から二十件で推移しているところでございます。なお、同法施行前の平成二十六年は約百二十件、平成二十七年は約七十件となっております。
○有田委員 ありがとうございます。
法務省も、ヘイトスピーチに関する実態調査についての文書の中で、これは出入国管理庁が調べたことですけれども、デモとか集会は減っているんだけれども、インターネット上のヘイトスピーチが増えている、ヘイトスピーチを受けた場所については、インターネットが、令和四年は三四・四%だったんだけれども、令和六年の入管庁の調査だと六五・五%になっている。
だから、特徴的なことは、今でも川崎なんかでは駅前で集会なんかが行われておりますけれども、だけれども、インターネット上がやはり甚だしい状況にあるということで調査をされるということですよね。
○杉浦政府参考人 御指摘の在留外国人に関する基礎調査におきまして、一定数の在留外国人がヘイトスピーチを受けたと回答したとの調査結果があるところでございます。当該調査におきましては、御指摘のとおり、ヘイトスピーチを受けた又は見聞きした場所として、インターネットと回答した者の割合が増加したことが示されております。
私どもとしましても、SNSや電子掲示板等のインターネット上のヘイトスピーチが増加しているものと認識しておりまして、そういったことも踏まえて、今般、実態調査を実施することとしているところでございます。
○有田委員 実施するんですか、今しているんですか。
○杉浦政府参考人 実態調査につきましては、既に準備はしているところでございますけれども、これから実施する部分のアンケート調査などもございますので、今実施しつつあるというところでございます。
○有田委員 その場合、必ず被害当事者の声を聞いていただきたいんですよ。私もこの問題にずっと取り組んできて、外から見ていて、ヘイトスピーチのデモというのはひどいなということを感じていたんだけれども、やはり当事者の意見を聞くと全然受け止めが違うし、それを本当に受け止められているかどうかというのは自信がない、当事者じゃないから。だから、絶対に当事者を入れていただきたいということをお願いをしておきます。
最後に外務省、大臣にも最後にお聞きしますが、外務省に、人種差別撤廃委員会の日本審査の現状についてお答えください。
○三宅政府参考人 お答え申し上げます。
現状というお尋ねでしたけれども、まず、直近の対日審査でございますけれども、もう委員が重々御案内と思いますけれども、直近では二〇一八年に行われまして、その際には、日本政府の取組といたしまして、ヘイトスピーチ解消法の制定、それから同法に基づく取組、それから全国規模の反ヘイトスピーチキャンペーンの実施などを含むヘイトスピーチに関する啓発活動、こういったものについて報告を提出をいたしました。これに対しまして、人種差別撤廃委員会の方からは、ヘイトスピーチ解消法の適用対象の拡大、それからヘイトスピーチの加害者に対する制裁の確保等について勧告が出されたということでございます。
それを踏まえまして、また次回の審査に向けてでございますけれども、昨年十二月に人種差別撤廃委員会の方から送付されました事前の質問票、これには、ヘイトスピーチの事例や統計、それからヘイトスピーチを防止するための国内措置についての情報提供を求める内容が含まれております。事前質問票に対する回答につきましては、現在、提出に向けて、関係省庁と連携して鋭意取組を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、人種それから国籍などによって差別が行われるということ、これはいかなる社会にあっても許容されることではないというふうに考えておりまして、外国人等に対する偏見それから差別の解消に向けまして、外務省といたしましても、関係省庁と協力の上、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○有田委員 日本政府は、人種差別撤廃条約の四条二項をずっと留保されている。つまり、日本には差別がないという認識になっているので、だから、そこは本当にそうなのかという批判がありますので、やはりそこも具体的な事実に基づいてこれから議論がなされればいいなというふうに思っております。
最後に、大臣にやはり締めの言葉を聞かなきゃまとまらないので、大臣にお聞きをしたいんですけれども。
今、ヘイトスピーチ解消法から十年がたって、在日の方々に対する差別もある、それだけではなくて、いろいろな差別、特に、最初に言いましたけれども、川口、蕨でのクルド人差別、すさまじいものがある。今日の東京新聞を是非お読みいただきたいんですけれども、尋常じゃない事態が進行している。それから、モスク建設に対する暴力的な排除が今でも続いているということを含めて、日本というのはこのままで大丈夫なのかなという思いが私はあるので、実感として。
実は、参議院の法務委員会に所属をしていたときに、上川陽子さんが大臣のときに、私は今でも忘れないんだけれども、上川大臣のときには人権大国日本という方針だった。人権大国日本。でも、それから時間がたって、ちょっとこの状況で本当に国際的に認められていくのかな、もっともっと考えなきゃいけないんじゃないかなということを、このヘイトスピーチ関連だけではなくて思うところが大きいんですよ。
だから、人権大国日本を今こそつくるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか、最後に。
○平口国務大臣 お答えいたします。
特定の民族や国籍の人々を排斥しようとする不当な差別的言動はあってはならないというふうに認識しております。法務省の人権擁護機関では、ヘイトスピーチに焦点を当てた人権啓発活動に取り組むとともに、人権相談及び人権侵犯事件の調査処理を通じて被害の救済を図っているところでございます。
今後とも、ヘイトスピーチ解消法の趣旨を踏まえ、全ての人々が互いに違いを認め、尊重し、助け合うことのできる共生社会の実現を目指し、これらの人権擁護活動にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○有田委員 まさしくそのとおり、実態をもって進めていただきたいんですけれども、私が大臣に最後にお聞きをしたいと思ったのは、先ほど言いましたように、人権大国にならなきゃ駄目なんじゃないですか、そのことについていかがお考えでしょうか。
○平口国務大臣 その人権大国についての勉強がいま一つ足らないものですから、正確にお答えできないかもしれませんけれども、人権擁護を旗印に掲げて前向きに進んでいくという意味では、そのとおりだと思います。
○有田委員 終わります。
○井上委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。兵庫県の西播磨、中播磨というところから参りました。今回も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
法務委員会では、再審法など、国民にとって関心の高い事項もたくさんあります。そして、それ以外にも大切な法案審議等がございますが、本日は一般質問ということで機会をいただきましたので、有意義な質問時間とさせていただきたいので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ゼロプランについて、まずお聞かせいただきたいというふうに思います。
ゼロプランの質疑に入る前段での質疑とさせていただきたいと思いますが、まず、入国審査、在留審査においては、日本に入ってこられる方の最初の窓口であるというふうに認識をしております。
先ほど申し上げましたけれども、入管の職員というのは、時にして当然厳しい対応をしなければいけないということは理解をしておりますけれども、外国人の方からすれば、受入れにとって一番の窓口でありますから、審査等を取っても、もう少し優しく接してほしいという声もあるということは、私のところにも声を聞かせていただきます。また、接遇対応ですね。初年度の研修でもしっかり取り組まれているというふうに思いますし、中間研修でもしっかり取り組まれているというふうに思います。
そこで、ベテランになればなるほど思いやりを持った接遇対応が必要だというふうに思いますけれども、でも、元々ベテランの方は笑顔で接している方もおられるというふうに思いますし、業務にしっかり取り組んでいる方も大半おられるというふうに思いますが、ベテランの域に達している職員の方がどのように指導をされて、更なる高みを目指して努力をされているか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○三谷副大臣 お答えいたします。
出入国在留管理庁におきましては、日頃から職員に対する各種研修を行いまして、その職務の遂行に必要な知識等を習得させているところでございます。職員への研修、教育は、適切な業務を行っていく上で大変重要なことであるというふうに考えております。
御指摘のとおり、出入国在留管理庁職員は、もちろん、ようこそ日本へという最初の窓口でもありますから、そういった気持ちを表に出すということも必要ではありますけれども、一方で、時として毅然とした態度で対応しなければならない場面もございます。
令和四年一月に策定いたしました出入国在留管理庁職員の使命と心得には、人権と尊厳を尊重し礼節を保つことが明記されております。この出入国在留管理庁職員の使命と心得については、職制に応じた各種研修や各官署において、新規採用職員から管理職に至るまでその浸透を図っております。
また、新規採用や採用後数年の職員のみならず、中堅職員や管理職任用者に対しても接遇に関係する講義を行い、人と接するあらゆる場面において状況に応じた適切な接し方ができるように図っているところでございます。
引き続き、職員研修の一層の充実に努め、職員の質の向上を図っていきたいと考えています。
○池畑委員 副大臣、ありがとうございました。
現場では、やはり私のところに聞かせていただく声は、何度も同じことを聞かれるとか、やはり厳しくやらなきゃいけない部分も当然あります。毎回、給料体制のことなどを何遍も同じく聞かれるということであります。これは用途はちょっと違うというふうに思いますが、JESTAなど、事前に提供された情報を基にスクリーニングなんかをしていこうというふうに、法務省の皆さんは取り組んでおられるというふうに思います。用途は違うと思うんですけれどもね。
法務省の皆さんも、入管で増員もしてほしいということもあるというふうに思いますので、どうかこれからも、今法務副大臣がお話をしていただきましたこともしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
それでは、本題の、外国人との秩序ある共生社会を実現するための不法滞在者対策に関しても、様々な取組が必要だというふうに私も考えております。
我が国には、いまだに七万人にも近い不法の残留者がいるというふうに考えております。こうした状況に対応していくために、先週、法務省は「不法滞在者ゼロプラン 強力推進パッケージ」を公表したというふうに承知をしておりますが、これまでの不法滞在者対策の成果をどのように考え、今後どのように進めていかれるか、答弁をいただきたいと思います。
○三谷副大臣 お答えいたします。
お尋ねのありました不法滞在者対策に関しましては、令和七年五月に発表いたしました国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランで掲げた取組を進めているところでございます。
これまで、取組の成果について、具体的には、難民認定申請案件の処理を迅速化したことによりまして、未処理数が、令和七年五月から同年末までに約四千件、約二一%減少をしたところでございます。
また、護送官付国費送還は、令和七年は過去最高の三百十八人と、前年に比べ約二八%増加をいたしました。
また、このゼロプラン公表後の令和七年下半期の送還者数は四千百四十人であるが、これは前年に比べ約二百六十五人、約六・八%増加しただけではなく、こういった取組を含めて、精緻な数値があるものではございませんけれども、これまで長期間にわたって仮放免となり送還を拒んでいた者の中で、自発的に帰国の意思を示す者が出てきているというふうに報告も受けているところでございます。
こうした取組を踏まえまして、令和八年一月の不法残留者数は前年同月比で約六千四百人、約八・五%減少しておりまして、各施策を着実に実施することで一定の効果が表れているものというふうに評価をすることができると考えております。
他方で、令和八年一月一日時点における不法残留者数はなお約六万八千人ございまして、依然として対策が必要な状況であるというふうには考えています。この点、本年一月に決定された外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策において、昨年五月に公表した不法滞在者ゼロプランについて強力な推進が掲げられました。
先日、平口法務大臣からも、ゼロプランを強力に推進するために重点的に取り組むべき施策を検討するよう指示を受けたところでもございまして、今般、「不法滞在者ゼロプラン 強力推進パッケージ」として取りまとめさせていただいたところでございます。
その内容は対策を三つに分けまして、不法滞在者、不法残留者が増える要因というものをどう減らしていくのか、それから不法残留者を減らしていくためにどういうふうに対策を進めていくのか、そういった大きく二つに分けております。
まずは増加要因を減らすという観点から、今、国会で審議をいただいております、参議院の方で入管法の改正についての議論を行っているところでございますけれども、JESTAの導入というのを新たに導入させていただくところでもございますし、また、査証が必要な国に関しましても、しっかりと入管庁と外務省で情報連携をさせていただいて、審査を適切に行っていただくということにつなげていくことで、何とか不法残留の人を増やすための要因を減らしていくという取組を進めているところでございます。
また、一方で、減らしていくための取組といたしましては、不法残留者の数を抜本的に減らしていくために、摘発の強化、あるいは不法就労対策パッケージを始めとする不法就労対策の強化というものを新たに盛り込むなどしたところでございます。
不法就労対策については、各業法の下においても厳正に対応していただけるよう関係省庁との連携を深めていくほか、今後、不法就労助長罪を各業法の欠格事由に盛り込むことなどを検討いたしまして、関係省庁に提案していくということも盛り込ませていただいておりまして、何とか不法残留者を減らしていくという取組を進めていく。
それから、もう一つだけ加えさせていただくと、実は、この六万八千人の不法残留者に加えて、難民認定申請中の者が一万九千人いるというところでございます。この難民認定に関しても審査の迅速化というものをしっかりと進めていくということによって、総合的に対策をする。
不法残留の方を減らしていくためのパッケージ、これを推進をしていくために入国在留管理庁に指示を出しまして、秩序ある共生社会の実現に向けて尽力してまいりたいと考えています。
○池畑委員 ありがとうございました。
副大臣、調べると数値目標がありました、今たくさん答弁もいただきました。副大臣が、今いろいろな資料も見ながら、答弁をしていただいたのは、大臣から御指示があって、一番先頭に立って、この問題、この法案について一生懸命に取り組んできたからだというふうに思います。
今も意気込みや数字も全部いただきましたけれども、改めて、数値設定の経緯とか、数値を達成するための意気込みや思い、お言葉を端的にいただきたいというふうに思います、最後に。
○三谷副大臣 端的にということでございます。
もちろん、国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランと銘打っておりますから、理念としてはゼロを目指すということでございますから、それに向けて具体的な様々な目標設定はさせていただいているところでもあり、全力で取り組んでまいります。
○池畑委員 是非ゼロを目指しながらも、当然、こういった環境をつくっていくためには、法務省の皆さんとも連帯をしていかなきゃいけないですし、しっかり意見を聞いていただきながら先に進めていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。
次の質問に移らせていただきます。
司法外交ということについて質問させていただきたいと思います。
法務省は、これまで司法外交に取り組んでこられました。その例として、アジアを中心とする多数の国に対する法制度整備支援や、令和五年に開催されました司法外交閣僚フォーラム等の国際会議の開催などがあるものというふうに承知をしています。
元々司法外交とは上川法務大臣の頃にできた言葉として認識をしておりますけれども、このような法務省が展開している司法外交、具体的にちょっと教えていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○堤政府参考人 お答えいたします。
司法外交とは、法の支配や基本的人権の尊重といった価値を世界各国に浸透させていくための取組でございます。法の支配は、全ての人がルールの下で安全、安心に暮らせる社会を実現するためにも重要であり、司法外交を推進することには大きな意義があると考えております。
司法外交の主な施策といたしましては、委員が御指摘になりました、令和五年に日・ASEAN特別法務大臣会合、G7司法大臣会合及びASEAN・G7法務大臣特別対話を同時開催した司法外交閣僚フォーラムなどの国際会議の開催、法の支配等の価値を共有するパートナーとの対話を通じた連携強化、積極的な法制度整備支援の推進などがございます。
法務省としましては、これらの施策を通じて、全ての人がルールの下で安全、安心に暮らせる社会の実現に取り組んでまいりたいと考えております。
○池畑委員 ありがとうございました。
私は中央アジアに大変興味を持っておりまして、キルギスもそうですし、ウズベキスタンの大使ともいろいろ意見交換をさせていただくことが多々ありました。
その中で、昨年十二月に開催された中央アジアプラス日本対話・首脳会合におかれて採択された共同宣言というものがあります。東京宣言において、中央アジアプラス日本の法務大臣会合の開催が取り上げられたと聞いております。
外務省に新しいユニットができました、和平調停部門でありますね。先週、私も和平調停議連に入りまして、意義などについてお聞きさせていただいたり、勉強させていただいたりということを学んできました。現職の外務大臣が会長でして、従来のODAのような橋や空港建設とは違う形で国際貢献をしていこうという趣旨もあるというふうに思います。
ここを踏まえまして、今御説明もいただきました、その中で、今法務省がこの会合を開催する意義について、改めて法務省にお聞きさせていただきたいと思います。
○堤政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの中央アジアプラス日本法務大臣会合は、中央アジア五か国、すなわち、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン及びウズベキスタンの法務大臣と我が国の法務大臣との会合でありまして、先ほど申し上げました司法外交を推進するため、本年東京で開催することを予定しております。本会合の具体的なテーマ等につきましては、現在、中央アジア五か国との間で調整を行っております。
法務省としましては、本会合を機に、法務、司法分野における中央アジア五か国と我が国との協力関係が進展することを期待しております。本会合が、中央アジアにおいて法の支配の促進及び安全、安心な社会の実現に寄与するものとなるよう、本会合の開催に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
○池畑委員 今、堤大臣官房審議官からも御説明がありましたとおり、アジアにとどまらず、いろいろな形で進めていければいいというふうに思っております。
これは法務省の皆さんともレクのときにお話もさせていただきましたけれども、世界的な価値観の共有だとか、あとは、日本独特の価値観や考え方を押しつけていくのではなくて、やはりしっかり伴走しつつ、共に考えていこうという流れであるというのはよい取組だなというふうに考えております。
これからも、地域を、枠を超えていくというのは今の段階では考えていないというお話もありましたけれども、是非、地域の枠組みを広げて、法務省独特の国際感覚を研ぎ澄ませていただければいいんじゃないかなというふうに思いますし、今、上川元法務大臣もおられますけれども、いろいろな意図があって今活動されているというふうに思いますが、是非、違った意味での国際協力をさせていただきながら、こういったよい取組をしているんだという広報も必要だというふうに思いますので、法務省独特の広報を含めて、ほかの省庁をまたいで一生懸命取り組んでおられることは広報していただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、最後の質問になりますが、法務大臣に質問させていただきたいと思います。
ちょっと時間がありますので、いわゆる谷間世代に関する問題について質問させていただきたいと思います。
皆さん、自民党の皆さんも含めてほかの政党の皆さんも、大体日弁連の皆さんから説明を受けて、いろいろなお話も聞かせていただきながら、今、谷間世代のお話というのは、ぴんとこられている方も多々おられるというふうに思います。
これは、司法試験に合格をして、弁護士、裁判官、検察官になるためには司法修習生として約一年間研修を受けるわけでありますけれども、かつては、司法修習生は、国から月額約二十万円の給費を受けて司法修習を行っておりました。ところが、平成十六年の裁判所法の改正によって制度が改められまして、平成二十三年度に採用された新六十五期生から、六十五期から、平成二十八年度に採用された七十期までの司法修習生は、国からの給費の制度が廃止をされまして、貸与制度となりました。
その後、法曹志望者数の減少を受けて、法曹人材の確保の充実強化の推進を図る必要があるというふうに考えられたと思います。制度が見直されて、平成二十九年度に採用された七十一期以降の司法修習生は、再び国から月額約十三万五千円程度の給費を受けることができるようになりました。
このような国からの給費も受けられなかった世代の方々は、弁護士等になって既に十年以上経過している方もおられるわけです。我々の世代だというふうに思いますけれども、この方々のことをいわゆる谷間世代というふうに呼んでいるわけであります。
国会議員の皆さんの支援のお話もよく冊子にまとめられて書かれておりますが、いわゆる谷間世代の方々は、修習の期間中、貸与制の下、希望する者について国から月額約二十三万円の貸与を受けられるという制度になっていました。この制度で貸与を受けた方々は、司法修習を終了してから五年後から、毎年約三十万円ずつ、分割して返済していかなければなりません。その結果、一部の谷間世代の弁護士の方々は、このような貸与金の返済による経済的な負担から、弁護士が担うべき公益的な活動に従事することが困難であるといった声も聞かれます。
谷間世代の方々は現在では約一万一千人ぐらいに上っておりますけれども、全法曹の約四分の一を占めておられます。これからの司法を担う中心的な世代と言えますが、日本弁護士連合会を中心に、国民の期待に応える力強い司法をつくるためにも、この谷間世代の法曹の方々に対する事後的な救済措置や支援を行うべきではないかという声も上がっております。
そこで、法務大臣にお聞かせいただきたいというふうに思いますが、いわゆる谷間世代について、先ほど述べたような意見もありますが、法務省として谷間問題をどのように考えておられるか、また、法務大臣のお考えとしてお聞かせいただきたいと思います。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
司法修習六十五期から七十期までのいわゆる谷間世代の司法修習生につきましては、当時の裁判所法上、司法修習に際し、給与や給付金の制度は設けられておらず、修習資金を希望者に貸与する貸与制が採用されていたものと承知をしております。
谷間世代の司法修習生に対して一律に金銭給付等の事後的な救済措置を講ずることにつきましては、既に法曹となっている方に国が相当の財政負担を伴う金銭的な給付等を行うことを意味しておりまして、国民的理解が得られるかという面からも慎重な検討を要すると考えております。
○池畑委員 今、平口大臣が御指摘をいただいたとおり、いわゆる谷間世代の司法修習生に対して金銭を給付するなど救済措置を講じるということについては、これからの、司法修習生が既に法曹として稼働しておる、働いておりますし、今しっかり頑張っておられるということでございますから、現在、我が国の財政状況からしてもという話がありました。
国民的理解を得るのもなかなか難しいという答弁もありましたが、いわゆる谷間世代のような若手そして中堅法曹の皆さんが日本全国で広く活躍することは、今後の法曹界の展開を、また発展を考えた上でも、法の支配を全国に広げていく、国民の権利利益を広く保護するためにも極めて重要だというふうに考えます。
そこで、もう一回法務大臣にお聞かせいただきたいと思いますが、このような谷間世代、今結構厳しいよというお話もありましたけれども、若手、中堅の方々が日本全国で幅広い分野で活躍することについて、法務省としてどのように取組を進めるつもりなのか、法務大臣のお考えも併せて聞かせていただきたいと思います。
○平口国務大臣 まず、先ほどの答弁のうちで、給与というふうに申し上げましたけれども、給費の間違いでございます。
我が国においては、例えば、少子高齢化の進行や、地域における人口偏在等を含む人口動態、社会構造の変化が進行しているところでございます。委員御指摘のとおり、このような状況を踏まえますと、あらゆる地域、あらゆる方に司法アクセスを確保するためには、将来の担い手不足が懸念される分野を中心に、次世代を担う若手、中堅法曹を育成し、その方々に活躍していただくことは重要なことでございます。
法務省としましては、引き続き、日弁連等の関係機関、団体と連携しながら、若手、中堅法曹に幅広い分野で活躍していただけるよう、必要な情報発信を行うなど、環境整備を行ってまいりたいと考えております。
○池畑委員 法務大臣、今、環境整備を整えていきたいというお話もいただきました。是非、各団体の意見だけではなくて、いろいろな方々の御意見もあるというふうに思います。法務省の皆さんの中にも弁護士の資格を持った方もたくさんおられますし、今後も、これからどのように体制を整えていこうかということは大変大事なことだというふうに思います。
今、法務大臣もお答えでしたけれども、若手、中堅の方々がどういったところでまた弁護士等の資格を持って活躍をしていくかというと、私が考えますのは、これからやはり社会、各会社、企業ですね、企業さんに向けてどのような対応をこれから法務弁護士の立場でやっていかなきゃいけないか、そういったことをすごく提案していくことも大事だというふうに思います。
法務大臣が今々環境整備というふうにお話でありましたけれども、是非、どういったことを具体的に示して環境整備と考えておられるか。これから、今申し上げましたように、各会社に、いろいろな法務組織を持っておられる会社もたくさんありますけれども、いろいろな意味で弁護士が活躍する場面というのは、これからももっともっと広げていかなければいけないというふうに思っておりますので、具体的に法務大臣が考えられる、これからの環境整備、そして具体的な内容というのをひとつ答弁いただきたいというふうに思います。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
まさに先生がおっしゃるとおり、具体的なニーズに対応いたしまして弁護士の方々が活躍していくのは重要でございます。
事務当局といたしましては、関係団体と連携しながら、やはりニーズベースの活躍分野をしっかりと調べることは重要だと思っておりまして、こういったことを基礎といたしまして、先ほど申し上げましたとおり、それと合わせた周知、広報を併せてやっていって、やはり具体的ニーズに対応、裏打ちされたところでの活躍分野を具体的にこれから検討していきたいと考えております。
○池畑委員 今、法務省の方からも説明がありました。私たちも、各団体そして各皆さんが考える内容というのは、これからも吸い上げながら、自分たちも理解をしていかなければいけないというふうに思っていますので、これからも、大臣を始め法曹界の皆様とも建設的な意見の場面をつくっていただきたいというふうに思います。
やはり、今、日弁連との話合いの中で、具体的にこういったことに対して要望があるということは皆さんよく分かっておられるというふうに思いますが、応援をされる皆さんも含めて、これから、法曹界のみならずいろいろな場面で活躍をしていただかなければいけないというふうに思っております。今具体的な例もいただきましたけれども、これから更にそういった場面をつくるかどうかということも、ちょっと答弁をいただきたいというふうに思います。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
やはり日弁連を中心といたします関係の団体、また、先ほど地域のお話も御指摘いただきましたとおり、様々な地域の方々からのニーズを直接我々は受け止めながら、具体的な業務活動の範囲を考えることは重要だと思っております。
今ここで具体的にこういう方法でというのを直ちに申し上げることは難しいと思っておりますけれども、やはり具体的にニーズを感得するための様々な方策はいろいろあると思うんですね。もちろん、日弁連の方々との適切な協議も重要かと思っておりますが、この辺りは柔軟に、やはりアンテナを高くしてニーズを取ることが重要かなと思っておりますので、柔軟な対応を心がけていきたいと考えております。
○池畑委員 ありがとうございました。
何度も申し上げますが、まだ活躍できる場面というのはたくさんあるというふうに思います。ですから、皆さんも、広報も広げながらと今答弁もいただきましたが、是非周知徹底していただきながら、こういった方々もおられる、でも、法曹界の皆さんも独自に活躍する場面を見つけていただく、そして、法務省の皆さんからも、是非こういった場面で活躍されてはどうかという提案もしていくという場面をどんどんつくっていただきたいというふうに思います。
今日は一般質問でありまして、初めて法務委員会では質問させていただきました。農林水産委員会から急遽異動してまいりましたけれども、是非法務省の皆さんともしっかりと課題意識を共有しながら頑張っていきたいというふうに思いますので、今後とも御指導よろしくお願いいたします。
これで質問を終わらせていただきたいと思います。
○井上委員長 次に、和田政宗君。
○和田(政)委員 参政党の和田政宗でございます。
早速質問に入ってまいります。
昨年五月の愛知県一宮市の妊婦交通死亡事故に関連し、胎児を人として扱うべきとの観点で質問をしてまいります。
本日、愛知県に選挙区がある自民党の辻秀樹さんが質問をなさいまして、また、保岡宏武さんも四月の質問時に言及するなど、この課題については、被害者御家族の声に加え、国民の声、そして、国会においても与野党を問わず課題意識を持つ議員の輪が広がっております。我々立法府の人間が、国民の声とともに法務当局ともやり取りを重ね、この課題を解決をしていかなくてはならないと考えます。
昨年五月の事故は、愛知県一宮市で、妊娠九か月の研谷沙也香さんが散歩中に後方から突っ込んできた車にはねられ重体となったもので、緊急帝王切開手術で女の子が生まれました。沙也香さんは事故の二日後に死亡し、誕生した女の子、日七未ちゃんは今も意識不明の重体が続いています。このような状況にもかかわらず、日七未ちゃんが事故時に胎児であったため、刑事法上、交通事故の被害者と認められないという現実があります。刑事法においては、胎児への加害は母体の一部への傷害とみなされ、胎児が人として扱われないためです。
そこで、質問をいたします。
本日、本会議で刑事訴訟法改正案が審議入りしますが、刑事訴訟法第四百三十九条の再審請求権者において、有罪の言渡しを受けた人物の子が含まれますが、この子には、親が有罪の言渡しを受けた当時胎児であり、その後出生した場合の子も含まれるのでしょうか。質問いたします。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
刑事訴訟法第四百三十九条第一項第四号におきましては、有罪の言渡しを受けた者が死亡し、又は心神喪失の状態にある場合に再審請求をすることができる者として、有罪の言渡しを受けた者の配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹が規定されているところでございます。
ここに言う直系の親族に該当するかどうかは、有罪の言渡しの時点ではなく、再審請求の時点を基準として判断されることになります。したがいまして、有罪の言渡しの後にその言渡しを受けた者の子が出生した場合には、その子は直系の親族に該当することとなりまして、再審請求をすることができる者に当たるということでございます。
○和田(政)委員 確認をさせていただきましたけれども、すなわち、刑事法においては、子として出生すると権利能力を持つということであるわけでありますけれども、刑事法が制定されたのは明治時代なんですね。人の位置づけはこうだと考えた明治時代当時に比べて、医学の飛躍的な進歩によって、胎児も人だと分かってきたわけです。四か月、五か月になってきますと、手の指がしっかりと分かれて、そして、おなかの中でも活発に活動いたします。成長過程での人間性というものは証明されております。
そこで、お聞きをいたします。
胎児の定義はどうなっているか、こども家庭庁に聞きます。
○源河政府参考人 お答えいたします。
胎児の定義につきましては、政府として一律にお示ししているものではなく、必要に応じて、個々の法令の規定や判例などにより明らかにされていると承知してございます。
○和田(政)委員 私は、政府として胎児の定義を定めるべきだというふうに思っております。こども家庭庁所管の様々な給付金などについても、心拍が確認をされた場合にはいわゆる給付の対象になるだとか、そういったようなこともあるわけでありますけれども、やはり胎児とは何なのかということをまずしっかりと定めるべきであるというふうに思っております。
そして、私は、母体に宿ったときから胎児は人だと考えますけれども、刑事法上、胎児をいつから人として扱うのかについては、医学的見地とともに、国民の声と理解を基に定めていくことができるのではないかというふうに考えております。
そこで、お聞きをいたします。
母体保護法に「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」との文言がありますが、その期間は妊娠何週まででしょうか。
○源河政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの母体保護法第二条第二項の「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」につきましては、平成八年厚生事務次官通知におきまして、「通常妊娠満二十二週未満であること。」とお示ししております。
○和田(政)委員 すなわち、妊娠満二十二週以降の胎児は母体外で生命を維持できると解されるわけですね。これを基に、刑事法上、胎児をいつから人として扱うのかについて考えることもできると思います。
四月の当委員会の法務大臣答弁では、胎児を刑法等において人そのものとして位置づけるかどうかについては、胎児をどの段階から人として扱うべきかとの課題があると述べられましたが、刑事法上、胎児を人そのものと位置づける上で、妊娠何週からとするかで一定の線引きも可能だと考えます。
これについて、法務大臣、どのように考えますでしょうか。
○平口国務大臣 お答えいたします。
刑法等におきましては、一般に胎児は人そのものではなく、母体の一部を構成するものと解されておりまして、母体に対する有形力の行使によって胎児に傷害結果が生じた場合には、母体に被害が生じたものと捉えられております。
その上で、一定の妊娠期間の経過後の胎児を刑法等において人そのものとして位置づけるかどうかは、人の倫理観や人生観に深く関わる事柄である上、人かどうかを当該妊娠期間の前後で一律に区別することの合理性や、現行法の下では不可罰となっている過失により当該妊娠期間経過後の胎児を死亡させる行為等が処罰の対象となり得るのではないか、なるのではないかなどの課題がございまして、慎重かつ丁寧な検討が必要であると考えております。
この問題については、幅広い観点からの議論が十分に積み重ねられることが重要でありまして、その動向を見守ってまいりたいと考えております。
○和田(政)委員 法務大臣、ありがとうございます。
私は、母体に宿ったときから胎児は人であるというふうに考えておりますけれども、一方で、刑事法上、刑法上、胎児をいつから人とするのかということ、これを定めていかなければ、この昨年五月の愛知県一宮市の交通事故のように、胎児、お生まれになっているわけでありますけれども重い傷害を負っている、しかしながら、この胎児に対して、お生まれになっているわけですけれども被害者として胎児当時のことは扱われないということ、こういった問題が繰り返されてはならないというふうに私は思っております。
法務省も課題意識は持っていらっしゃるんだというふうに思います。まさに大臣答弁も、現状ではということでのこういった答弁になるんだというふうに思っています。
今日、自民の辻さんも質問なさいました。私もこのように質問させていただいております。与野党共に、国民の声とともに、改正に向けた議論を深めていかなくてはならないというふうに考えております。これを改めて提起をし、私も行動していきたいというふうに考えます。
次に、旧氏の使用法案についてお聞きをいたします。
この法案は、今国会提出検討中の法案となっておりますけれども、提出しないのでしょうか。
○中嶋政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの法案につきましては、現在検討中の段階でございまして、提出の予定について現時点でお答えすることは困難でございます。
○和田(政)委員 公式な答弁はそういうふうになるわけでございますけれども、報道等によりますと、なかなか難しいのではないか、今国会は見送るのではないかということが伝わってきております。
私は、選択的夫婦別姓については、子供への影響についてしっかり調査をすべきというふうに考えます。
夫婦が別姓、別氏となった場合に、子供が望んでいなくても、父親ないし母親どちらかと強制的に違う氏になってしまいます。NHK放送文化研究所が令和四年に行った中学生・高校生の生活と意識調査では、中高生の九一%が将来同姓を名のりたいと答えています。九一%です。また、令和七年の産経の小中学生二千人アンケートでは、家族が違う姓、違う氏になることについて、四九・四%の小中学生が反対をしております。これは賛成を大きく上回っております。
この選択的夫婦別姓について、政府は子供への世論調査などの調査を行っているのか、確認をいたします。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
法務省としては、これまでに、お尋ねの小中高生を対象とするような調査等を行ったことはないものの、年齢を問わず幅広い層の国民の意見を注視していくことは重要と考えております。
御指摘のような調査を含め、国民意識の動向等を適切に把握するための調査の在り方について検討してまいりたいと考えております。
○和田(政)委員 子供への影響の議論ですとか調査が抜け落ちているんですよね。これはしっかりとやるべきだというふうに私は思いますので、政府におかれては、しっかりと検討を進め、実施をしていただきたいというふうに思います。
一方、選択的夫婦別姓でなく、旧氏を社会で使いやすくするような施策は進んできております。
そこで、お聞きをいたします。
国家資格や免許において、旧氏使用が可能なものの割合はどれくらいでしょうか。
○中嶋政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの各省庁の所管する各種国家資格等について、内閣府が昨年調査したところでは、調査対象となりました三百三十二の国家資格、免許につきまして、その全てにおいて旧氏の使用が可能となっております。
なお、その中には、旧氏単記が可能なもののほか、併記が必要なものもあり、政府としましては、婚姻に伴って氏を改める方の不便や不利益を減らせるよう、旧氏使用の法制化の検討を含め、引き続き所要の取組を進めてまいります。
○和田(政)委員 今答弁にありましたように、国家資格ですとか免許においては全て旧氏の使用が可能だということなんですね。これは、まさにそういう課題意識を持った政府、また当時、今も与党の方々が、こういう法案実施に当たって、与党内の検討も含めてされているわけでありますけれども、私も当時与党におりましたので、そういったときに、これを進めなくてはならないということで進めてまいりました。そして、今、このように国家資格や免許においては全て旧氏使用が可能となっているわけですね。
更にお聞きをいたしますけれども、選択的夫婦別姓導入をと述べられている方の中には、パスポートが旧氏併記では外国入国の際に様々なトラブルが発生する可能性があるということを指摘されておられます。
外務省にお聞きをいたしますけれども、パスポートの旧氏併記によって諸外国において入国できなかった事例はあるのでしょうか。
○上田政府参考人 お答えいたします。
旅券の旧姓併記につきましては、外国の入管当局に理解されやすいよう、二〇二一年、令和三年四月から、括弧書きで記載された旧姓の上に、「旧姓/Former surname」との記載をつけ加えました。また、旧姓併記の旅券を所持された方が出入国の現場で説明を求められた際に御活用いただけるように、英文つきの別名併記リーフレットを配付してございます。
これらの取組を開始してから、旧姓併記をした旅券が原因で入国できなかったというトラブル等について、少なくとも、在外公館に対し支援要請があった事例はないと承知しております。
○和田(政)委員 ごめんなさい、関連ですので、この問いについては通告しておりませんけれども。
入国できなかった事例はないということで今答弁をいただきましたけれども、トラブル自体も、いわゆる外務省に対しての報告というものは、確認できているところで、二〇二一年以降、私はこれはないというふうに認識をしておりますけれども、そのようなことでよろしかったでしょうか。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございます。
○和田(政)委員 そうなんですよね。先ほどの免許ですとか国家資格も含めて、旧氏が使いやすくなるような社会や制度の構築というのはずっと進んできているんですね。
そこで、法務大臣にお聞きをしたいというふうに思います。
この検討中であるという旧氏の使用法案について、旧氏の単記も可能とする基盤整備の検討を進めるようにとの指示が高市総理より法務大臣に出ているということでありますけれども、運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどの身分証明書も単記にするんでしょうか。また、併記の検討とは何でしょうか。最終的にこれらを単記にすることもあり得るのか、お聞きをいたします。
○平口国務大臣 お答えいたします。
法務省としましては、総理指示及び第六次男女共同参画基本計画の記載等を踏まえまして、内閣府など関係省庁と連携し、旧氏使用の法制化について必要な検討を進めているところでございます。
その具体的内容について、法務省として、現時点でこれ以上お答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
○和田(政)委員 これは、今国会に入ってから私は繰り返し聞いてまいりましたけれども、法案が出てこないとその制度設計に対しては答えられないという状況なので、これは何が併記になって何が単記とするのかというところが全く見えないので、はてさて、どうしたものかというところがあるわけなんですね、旧氏の単記の基盤整備とする一方で、併記も検討というようなことで。やはり速やかに法案というものを提出をいただかないと、我々の議論が、また国民の理解というものも進まないのではないかというふうに思っているんです。
私もこの課題にずっと携わってまいりましたけれども、政府におかれては、何を旧氏の併記とし、何を単記を可能とするのかというところの制度設計が相当大変だと思うんですね。ただ、私は、そこにとらわれることなく、もっとシンプルに制度設計ができるというふうに思っております。
参政党ですけれども、選択的夫婦別姓導入ではなく、戸籍を守った上で旧氏が社会で使いやすくなる法案を準備しております。これは、今申し上げましたけれども、かなりシンプルに制度設計ができる法案を我々は準備しておりますので、また改めてこれを、法案提出、また、この法務委員会等の質疑の中で明らかにしていきたいというふうに思います。
私の質問は以上でございます。
○井上委員長 次に、井戸まさえ君。
○井戸委員 国民民主党の井戸まさえです。
高市総理は、繁華街における売春目的の客待ち行為などを受けて、昨年の十一月の衆議院予算委員会において、売買春に係る規制の在り方について必要な検討を行うよう、法務大臣に指示をされました。これを受けて、本年の三月には、売買春に係る規制の在り方検討会が設置をされて、売春勧誘行為への規制、買う側への処罰の要否、そして法定刑の在り方などについて議論が進められていると承知をいたしております。
本日は、この売防法、売春防止法について、風営法、そして刑法とのそご、不整合が売春防止法の限界を示しているのではないかという視点から質問をさせていただきます。
一九五六年に制定された日本の売春防止法は、周知のとおり、不特定の相手方と対価を伴う性交、いわゆる売春と、その相手方となること、つまり買春者となることを禁止し、業者の売春を助長する行為等を処罰の対象としております。それらを禁止あるいは処罰する違法性の根拠というものを、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗を乱すものであることとして、第一条に規定をしております。
しかし、その一方で、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営法では、実態として、それに極めて近い営業形態は制度として存在をしている。この売春防止法と風営法の間に存在する構造的矛盾が、売春防止法をざる法と言わしめて、また、売春を防止できない一つの原因になっているのではないかと指摘もされるところです。
その典型例がいわゆるソープランド、正式には個室付浴場業です。一般に本番系とも言われて、客との性交が行われていることは広く知られていますけれども、風営法上は店舗型性風俗特殊営業の一類型として位置づけられ、届出営業として存在しています。一九六六年に個室付浴場の規定が風営法に加えられた際には、公娼制度の復活ではないかというふうな批判もありました。
また、旧遊郭跡地などにある接待付料理店についても、実態として性交営業が行われているという指摘もあるにもかかわらず、風営法上の料理店として営業許可を受けて営業が継続されているというふうにもこちらも指摘をされている。性接待をする女性がライトアップをされて店先に座っている様子というのは、女性を性的商品として陳列しているかのように見える。性の平等や人間の尊厳の観点からも重要な課題があるとも言われております。これは議論のあるところで、報道等で認識なさっていらっしゃる方も多いのではないかと思います。
そこで、お尋ねをいたします。
このように、風営法では売春行為を前提とする営業が事実上認められているのではないかという指摘について、どのように対処をしているのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○服部政府参考人 お答えいたします。
売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良な風俗を乱すものであることは論をまたず、警察としても、売春防止法に基づく取締り等を行っているところでございます。
いわゆるソープランド営業についてでございますが、風営適正化法において店舗型性風俗特殊営業として届出の対象とされておりますところ、店舗型性風俗特殊営業は、性を売り物とする本質的に不健全な営業であり、届出制によりその実態を把握し、規制を課して、取り締まる対象としているところであります。
したがいまして、風営適正化法は売春を容認するものではなく、仮に店舗型性風俗特殊営業を始めとする風営適正化法に基づく届出等を行っている事業者の営業所においてこうした違法な行為があった場合には、売春防止法に基づく取締りに加え、風営適正化法に基づく行政処分を実施することとなります。
警察といたしましては、引き続き、店舗型性風俗特殊営業を始めとする風営適正化法に基づく届出等を行っている事業者の営業所において違法な行為があれば、厳正に対処してまいりたいと考えております。
○井戸委員 それでは、売春防止法では、先ほども言いました対価を伴う性交、これが禁止行為、違反行為とされているわけですけれども、風営法で認められている風俗店で、金銭を介して、性交ではなくて性交類似行為を行った場合、刑法の第百七十七条の不同意性交罪等に問われることはあるのか、お尋ねをいたします。
○服部政府参考人 お答えいたします。
風営適正化法は、違法な行為を容認するものではなく、一般論として、仮に店舗型性風俗特殊営業を始めとする風営適正化法に基づく届出等を行っている事業者の営業所において不同意性交等を含む違法な行為があった場合には、法と証拠に基づき厳正に対処することとなると考えております。
○井戸委員 もう一度ちょっとお願いしたいんですけれども、性交類似行為があった場合でも、それが処罰される可能性もあるということでよろしいでしょうか。
○服部政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のそういった違法な行為があった場合には、法と証拠に基づき厳正に対処するということでございます。
○井戸委員 風俗店を利用される方の中には、性交さえしなければ違法ではないというように理解している方も少なくないと言われています。しかし、実際には、その線引きというのは非常に難しくて明確ではない。また、実態としては、現在の性風俗産業というのは、性交類似行為と言われるサービスの範囲が非常に広がっていて、何が性交で何が類似行為なのか、一般の利用者にとっては分かりにくい状況になっています。つまり、法律上の区分と現実のサービス実態との間に相当の乖離が生じている。売春防止法と風営法、そして刑法の間に存在する構造的矛盾そのものがあるのではないかと言われています。
現在の日本の刑法では、性交、口腔性交、肛門性交、手指や物による性交類似行為も含めて、これは重大な性的侵害として処罰対象ともされています。また、不同意性交罪においては、暴行、脅迫のみならず、アルコールや薬物の影響、睡眠その他意識が明瞭でない状況、恐怖や驚愕による心理的な支配、経済的又は社会的地位に基づく影響力などによって、同意しない意思を形成し、表明し又は全うすることが困難な状態にさせ、また、その状態に乗じて性交等を行うことも処罰対象とされています。つまり、現在の性犯罪法制というのは、挿入の有無だけではなくて、人格的な尊厳や性的自己決定権の侵害そのものを重視する方向へと転換しているということだと思います。
ところが、その一方で、売春防止法というのは対価を伴う性交のみが売春として問題化されていて、それ以外の性的サービスについては風営法の下で今広く制度化されているというような状況です。先ほど御答弁もあったように、性交類似行為を風俗店で行った場合、性交していないからといって、不同意であった場合は罪に問われるということがあるにもかかわらず、やはりそうした認識というのは広がっている、定着しているというふうには思えないところもあります。
日本の性風俗は、長年、性交というのを異性間の性器の挿入に極めて狭く定義をして、挿入さえしなければ違法ではない、先ほども言いましたけれども、そうした方向で営業形態を拡大してきました。そのため、性交、つまり挿入以外の性交類似行為は風営法で認められるというふうにされて、野放し状態です。ファッションヘルス、デリバリーヘルス、性感マッサージ、テレホンクラブ、ツーショットダイヤル、さらには近年の悪質スカウト問題が社会問題化するなど、それぞれ、その時々で新たな業態が生まれて、犯罪、搾取との結びつきが社会問題化してまいりました。
そこで、また御質問させていただきます。
現代の人権理念や性犯罪法制との整合性という観点から見たとき、性交のみを問題視する現在の売春防止法をどう捉えたらよいのでしょうか。二〇一七年に刑法が改正された際に、なぜ売春法も併せて改正しなかったのでしょうか。御所見を伺います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
まず、前提として申し上げますと、個別の法律におきましていかなる行為を処罰対象にするかにつきましては、それぞれの法律の趣旨、目的を踏まえて、法律ごとに個別に判断されるべき事柄であるというふうに考えております。
その上で申し上げますと、平成二十九年の刑法改正、これは強姦罪を強制性交等罪に改めることなどを内容とするものでございました。それから、令和五年の刑法改正、これは強制性交等罪を不同意性交等罪に改めることを内容とするものでありまして、性交等類似の概念も徐々に広がっているという状況にございますけれども、これは、いずれも、性的自由、性的自己決定権を保護法益とする性犯罪につきまして、この種の犯罪をめぐる状況に鑑み、事案の実態に即した対処を可能とするとの観点からなされたものでございます。それまで、例えば口腔性交などについても強制わいせつ、わいせつの罪で問擬されていたわけですけれども、これを不同意性交等で処罰できるようにしたということでございます。
これに対しまして、売春防止法の規制は、先ほどから御指摘がありますように、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良な風俗を乱すものであることから、売春を助長する行為等を処罰することによって売春の防止を図ろうとするもので、主に社会的法益を保護法益とするものでございまして、刑法による性犯罪の処罰とはその趣旨、目的等を異にするものであることなどから、検討の対象とはならなかったものと考えられるところでございます。
○井戸委員 売春防止法だと性交のみで、類似行為というのが当たらないということなんですけれども、今なぜそれを同じように、売春だけが、結局、性行為だけが社会のそうした風紀を乱すとかというわけではなくて、類似行為も同じだと思うんですね。
更に言えば、売春防止法が禁止する売春をあえて性交に限定しなければいけない理由というのはあるのだろうかと思って、調べてみました。これは法律の制定過程から読み取ることができると思うんですけれども、一九五六年、衆議院の法務委員会での議事録を見ますと、売春防止法の法案、国会審議において、法務省の政府委員というのは、次のように説明しているんですね。いわゆる性交類似行為はここに言う売春には含まれていません、その実態は必ずしも明らかではありませんし、我が国ではその数も少なく、害毒も非常に大きいとは考えられません、また、定義にも困難な面がありますというふうにこの法務委員会で答えている。
つまり、当時は、性交類似行為を除外した理由というのは、性交以外は健全だからとかいう趣旨ではなくて、実態が少なく、定義も難しかったという極めて限定的な理由であった。さらには、法務省の刑事局参事官であった勝尾鐐三さんが、「実務中心 売春防止法逐条解説」、これは警察時報社というところから出ているんですけれども、その著書の中で、性交類似行為とは男娼行為その他の類似行為を指していたと説明しています。つまりは、当時の議論、この売春防止法ができたときの議論では、男性同士の売買春などが主に性交類似行為として捉えられていた。
一方で、日本の売春市場というのは、戦前から戦後にかけて、いわゆる赤線などに見られるように、性交を伴う営業が中心だった。つまりは、性交類似行為のみを行う営業というのは市場としてほとんど存在しなく、独立した形で成り立つ余地も乏しかったというふうに考えられます。
つまりは、性交類似行為を売春防止法の対象外としたのは、今日のような多様な性産業を前提にしていた整理ではなくて、当時の実態を踏まえた極めて限定的な判断だったのではないでしょうか。そもそも、売春防止法で売春を性交に限定した際、立法者にはそれ以外の性的行為を積極的に除外するという明確な意図があったわけではないというのが、この逐条解説等で明らかだと思うんです。
そこで、法務大臣に伺いたいと思います。
売春防止法と刑法の基準が違うことに対して、先ほど、風紀を乱すという意味で目的が違うんだということを御答弁いただいたんですけれども、そこは性交も性交類似行為も同じではないでしょうか。性交類似行為を入れないままであることが、売春防止法が掲げる人間としての尊厳を守るという理念と整合しているのでしょうか。建前としては禁止をされている、しかし、現実には制度として並立をして一定程度黙認をされてきた、法務大臣はこうした状況をどのように受け止めていらっしゃるのか、伺います。
○平口国務大臣 お答えいたします。
現在、法務省においては、近時の社会情勢等を踏まえた売買春に係る規制の在り方について、有識者の幅広い知見等に基づいて御議論いただくため、売買春に係る規制の在り方検討会を開催しているところでございます。
ですから、御指摘の点を含めて、売買春に係る規制の在り方に対していかなる事項について検討を行うかについては、本検討会の趣旨を踏まえつつ御議論いただくべき事柄でございますため、法務大臣としてお答えすることは現時点では差し控えたいと思います。
法務省としては、引き続き、本検討会において幅広い知見等に基づいて充実した議論が行われるよう努めてまいりたいと考えております。
○井戸委員 有識者会議の検討の状況も踏まえてというのはよくよく分かるんですけれども、高市総理があのような答弁をされて、危機感を持っていらっしゃるということについても、それをやはり具体化していくために法務大臣のリーダーシップというのを期待したいところであります。
次に、国連総会で採択をされた、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約についてお尋ねをしたいと思っています。
そもそも、戦前の国際社会は、売春制度の廃止というのを基本原則にしてまいりました。その考え方は、今申した一九四九年に国連総会で採択をされたこの条約に明確に示されていると思います。この条約では、売春や人身売買は人間の尊厳と価値に反すること、本人の同意があっても、他人の売春から利益を得る業者は処分対象となること、売春や人身売買の被害者については社会復帰や生活支援を行うことなどが定められています。
日本も、この条約を踏まえて、売春防止法を一九五六年に制定をしたわけですけれども、一方で、日本を含む多くの国では、その後、売る側のみに適用される公然勧誘罪などが設けられて、買う側というところには処罰がなかなかいかないというところもありました。
しかし、この国際条約をしっかり見ていきますと、売る側を保護、支援の対象、あるいは被害者として位置づけているんですね。その一方で、売春防止法は、売る側のみを処罰をするという構造になっています。長年、買う側が処罰をされてこなかったというのは、今回の有識者会議での検討の課題にも上っているところではあるんですけれども、この一九四九年の条約の理念に立つのであれば、本来問われるべきというのは、もちろん買う側の規制とか処罰というのも大事なんですけれども、売る側を処罰対象として維持し続けるのか、それとも、保護、支援の対象として再整理をするかという点ではないかと思います。
まず、外務省の方に、一九四九年の国際条約について伺います。この国際条約は、売る側の処罰についてどのように規定をしているのでしょうか。
○貝原政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約には、売春を行う者本人を処罰の対象とする規定は置かれておりません。
○井戸委員 今おっしゃったように、条約では売る側を処罰する規定は置かれていないということです。ここは本当に大事なところだと思うんですね。
次に、大臣にお伺いをさせていただくんですけれども、この条約の趣旨を踏まえれば、先ほども言いました、売る側に対して処罰対象にするということは書いてはいないですし、本来、困難女性支援法の成立で改善されたところはあるとはいっても、売る側の処罰の見直し、今処罰されるところにありますけれども、その見直しは必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○平口国務大臣 御指摘の人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約は、売春目的での勧誘行為等を処罰対象とすることを禁止する規定は置かれていないわけでございます。
一方、売春防止法五条は、こうしたことや我が国における売春をめぐる社会情勢を踏まえまして、売春をする目的での勧誘行為等について、社会の風紀を乱し、公衆に迷惑を及ぼすことから、処罰対象としたものと承知をしております。
その上で、御指摘の点を含めて、売買春に係る規制の在り方に関しましていかなる事項について検討を行うかについては、先ほど申し上げました在り方検討会において御議論いただくべき事柄であるため、現在、国務大臣としてお答えすることは差し控えたいと思います。
引き続き、本検討会において幅広い知見に基づいた充実した議論が行われるよう努めてまいりたいと考えております。
○井戸委員 売春を行う者が社会に害悪をもたらすというふうな存在として捉えるのか、若しくは、売春を行っている者は被害者であって、社会復帰とか生活支援をしていかなければいけない、こういった対象者なのかというところの立ち位置は非常に大きく異なると思います。
今回の議論の中で是非ここのところは見直しをして、いろいろ昨日も支援をしていらっしゃる方たちにお話を聞きました。売春をしている方たちが何とかそこから抜けようと思っている、ただ、借金をしていて、それを返すためには売春じゃないと稼げないんだというふうに思うんだけれども、悪質なスカウトの業者にある種搾取をされて、どんなに働いても結局は借金漬けからは抜けられないというような現状も伺いました。
こういったところ、しっかり、現実のこうした方たちを見て支援の体制というものをつくっていかなければいけないし、そもそも処罰対象に買春をする者を加えるか加えないかというところも含めて、しっかりとした見直しをしていただきたいと思っています。
続きまして、今、SNSでは、日本が非常に、セックスツーリズム、そういった売買春をするのに、性風俗に簡単にアクセスができて、しかも安い国とされています。
私も以前、私はジャーナリストでもあるので、取材で、デリヘルの経営者に取材する機会があって、そこの事務所を見させてもらったことがあります。デリヘルといっても普通の一般企業と変わらない、机があって、そして非常に立派な椅子がばあっと並んでいて、IT企業かと思うようなところでこういったことが行われているんですね。広い、そうしたところでアポインターというのが並んでいて、ブッキングをして、今は、コロナ以降は、AIなどを駆使して、もっと効率的にいろいろなことが行われているんだと思います。
そのデリヘルの主たる顧客は、外国の企業や機関、富裕層でした。ところが、今、円安が進んだこともあって更にその層が広がっていることは、繁華街なんかを歩いていると皆さんも実感するところだと思うんです。
さて、こうした、諸外国から日本はセックスツーリズム可能な国と言われていることについて、どのような感想を大臣はお持ちでしょうか。
○平口国務大臣 御指摘の点は、昨年の参議院本会議における高市総理大臣に対する質疑でも指摘されたところでありまして、大変重い御指摘として受け止めております。
その上で、法務省においては、先ほど来申し上げておりますような売買春に係る規制の在り方検討会を開催しているところでございまして、引き続き、本検討会において幅広い知見に基づいて充実した議論が行われるように、そしてまた、委員がおっしゃったような議論もよく考えて、充実した議論が行われるように努めてまいりたいと考えております。
○井戸委員 今、日本だけじゃなくていろいろな国が、こうしたセックスツーリズムも含めてだけれども、対応に苦慮しているというところではありますけれども、本当に非常にアクセスしやすいという意味でいったならば、日本がその行き先になっているということを重々自覚しないといけないと思っています。
では、海外でどうなっているのかというふうなことを見ていきますと、かつて海外では、北欧モデルと呼ばれていた考え方、例えば売る側を処罰をしないですとか、そういったところで合法化するところもあるんですけれども、そうではなくて、しっかりとこういったことを禁止をしていく、ただ、売る側に対しては処罰をしないという考え方なんですけれども、現在では、こういった考え方は特殊な政策ではなくなってきていると言われています。
なぜかというと、その背景には、性産業が巨大化して、外国人マフィアだとか国際的人身売買組織、移民女性や社会的弱者への性的搾取という結びつきが問題化してきたという現実があると指摘をされています。つまり、性産業を、単なる自由な産業だとか、あるいは個人の選択の問題として放置した結果、暴力組織、人身売買組織、搾取ビジネスなどを肥大化させてしまった、それにつながってしまったという強烈な反省があるからです。
日本においても、外国人女性の性的搾取、毎日のようにニュースになっているような、そういった外国人女性を性的に搾取をしていく事件、若年層に対して、児童に対してというのもありましたけれども、あとは在留資格をめぐる問題、悪質スカウト組織、匿名・流動型犯罪グループ、ホストクラブの問題など、そうしたところとの接点が指摘をされています。
昨年、毎日新聞では、東京台東区の奥浅草と呼ばれる一帯にある吉原のケースというのが報道されていました。江戸時代の吉原の遊郭とほぼ同じエリアが当時の区画のまま残って、今は百四十四店のソープランドがある吉原、そこも約六割がいわゆるスカウトから紹介を受け、女性が働いているということでした。
女性の売上げの一五%は紹介したスカウトグループにバックをしていく、そして、紹介を受けた女性が働く限り、店舗は永続的にその女性の売上げの一五%をスカウトグループに払い続ける。ソープランドを経営する経営者の証言として、売春店に入っている女性の七割から八割が、ここの場合、そのお店の場合はトクリュウ経由であっせんをされていたということも紹介をされています。
一方で、警視庁の取締りも厳しくなって、風俗店に女性をあっせんしたスカウトグループ、そのメンバーを職業安定法違反容疑で摘発する事例も相次いでいます。吉原で摘発されたこのスカウトグループは年商五十億円とか、五年間で七十億に達している、そういったスカウトグループの話もここでは出ています。そうなると、これは単なる風俗営業の問題ではなくて、人身売買、組織犯罪、社会的弱者の搾取という観点からやはり捉え直す必要があると思います。
そこで、伺います。
日本の性産業と犯罪組織、人身売買との関係について、どのように把握をし、どのような課題認識を持っていらっしゃるでしょうか。先ほど大臣からも御指摘があった、高市総理は、売買春の根絶、そしてトクリュウの撲滅に向けて政府一体となって取組を進めてまいりますと答弁をされています。この決意をどう具現化していくのでしょうか。
○服部政府参考人 お答えいたします。
近年、匿名・流動型犯罪グループが関与するスカウトグループが、女性を全国の性風俗店に紹介し、いわゆるスカウトバックにより収益を得ていた事案が相次いでいたことなどを踏まえ、昨年、風営適正化法が改正され、性風俗店によるいわゆるスカウトバックの支払いが禁止されたところであります。
警察におきましては、これまでも風営適正化法に基づく立入調査等を通じ性風俗店の実態を把握してきたところでありますけれども、引き続き、違法な行為に対しては、改正風営適正化法を始め、あらゆる法令を駆使した取締りを行うとともに、風営適正化法に基づく行政処分を実施してまいりたいと考えております。
引き続き、警察では、このような違法なビジネスモデルの解体、最終的に利益を得ている実質的な責任者やグループ全体の取締り、排除等に向けて対策を推進してまいりたいと考えております。
○井戸委員 ありがとうございます。
しっかり、やはり取締りというのが、吉原は今、そういった意味ではスカウトグループからの脱却ということをやっているんですね。なぜかというと、やはり取締りが厳しくなったので、営業を続けていくためにはそうしたところとのつながりを絶たなきゃいけないということで、このきっかけはやはりそうした意味では捜査なわけですので、取締りなわけなので、しっかりやっていただきたいと思います。
続いて、先ほどから何度も出ている売買春に係る規制の在り方検討会、これというものの位置づけを教えていただきたいんです。この検討自体は重要だと思うんですけれども、そして歓迎したいとも思うんですけれども、例えば、ここで法改正が必要と言われたら法改正する、法改正が必要ないとなればしない、この位置づけというのを改めてお伺いをしたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの検討会における検討結果を踏まえてどのように対応するかにつきましては、今後の議論状況などにもよりますので、現時点で確たることをお答えすることは困難であるということであります。それは、法整備を含むのかどうかという点についても同様でございます。
法務省としては、引き続き、本検討会において幅広い知見等に基づいて充実した議論が行われるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
○井戸委員 となると、やはり有識者会議は非常に重要な会議だと思うんです。この有識者会議に対して資料なんかもいろいろ出ているのも見ています。そうすると、ただ、海外の事例だとかというのはあるんですけれども、日本の現状というところについて言えば、非常に、いろいろな団体からヒアリングしているのはあると思うんですけれども、データという意味では、ちょっと薄いなというところを感じました。
我が党の小林さやか参議院議員も指摘したとおりに、二〇二二年に東京大学などの研究チームが行った調査というものがあります。そこでは、日本国内の二十歳から四十九歳までの男性、約四八%が、生涯に一度は性風俗産業を利用したことがあると回答されています。また、その背景として、性産業へのアクセスの容易さ、多様なサービス形態、法的な位置づけの曖昧さ、そして利用に対する性的スティグマの低さなどが指摘をされています。
私は、有識者を開くだけではなくて、というか、この有識者会議も、本来だったらば、こうした売春防止法違反や風営法違反などの摘発の件数のみならず、買う側の実態だとか、こういったところについても法務省が主体で実態調査を行って、その分析結果を踏まえて制度設計をする、検討をする必要があるのではないかと思っています。いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
本検討会におきましては、売買春に関わる実情等を把握するために、これまで二回にわたりまして様々なお立場の方からのヒアリングを実施しているということでございます。
具体的には、第二回会議におきましては、東京都内で売買春が深刻化しているエリアで女性へのアウトリーチ活動等を実施している団体であるとか、セックスワーカーに対する性感染症等の予防啓発やアウトリーチ活動等を実施している団体の方々に御出席いただきまして、売春や性風俗産業に関わる女性の実情等についての御知見や規制の在り方についての御意見を伺いました。
また、第三回会議におきましては、女性支援に関わる公的機関の方々であるとか、性風俗産業の実情等に詳しい弁護士に御出席いただきまして、女性支援の実情等を伺うとともに、性風俗の実情や売買春に係る規制の在り方の見直しが性風俗産業に与える影響等についての御意見を伺ったところでございます。
これらのヒアリングでは、委員御指摘の、例えば、いわゆる買う側と売る側の関係性など、買う側の実情に関する言及もあったというふうに認識しているところであります。
本検討会では、今後、これまでの委員の御意見とかヒアリングの出席者からの御意見を踏まえて、検討すべき論点が整理されて議論が行われていくことが想定されるところでございまして、引き続き、法務省としても、その議論が十全になされるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
○井戸委員 売春防止法、現在の名前はこの売春防止法なんですけれども、しかし、その名称自体が売る側の行為を防止対象としている構造になっていて、買う側や売買そのものに対する視点が極めて弱いと思います。実際、現行法では、ある意味、売春の法の処罰規定というのは、あくまでも主として売る側の勧誘行為になっている。こうしたところで、私はこの名称自体を変える必要があると思っています。
今後は、例えば、売る側だけではなくて、売買そのものをどのように位置づけるのか、性的搾取をどのように防止をするのか、人身売買や犯罪組織にどう向き合うのか、女性支援をどう行うのかという観点からもう一回再整理をして、名称も売春防止法ではなくて売買春防止法とか、少なくとも買う側を含めた構造を明確にする名称にしなければいけないと思っていますけれども、平口法務大臣の見解を伺います。
○平口国務大臣 お答えいたします。
御指摘の名称の点も含めて、売買春に係る規制の在り方に関していかなる事項について検討を行うかについては、検討会において本検討会の趣旨を踏まえつつ御議論いただくべき事柄であるため、法務大臣としてお答えすることは差し控えたいと思います。
いずれにしても、法務省としては、本検討会において有識者の幅広い知見等に基づく充実した議論が行われるよう努めてまいりたいと考えております。
○井戸委員 もう少し、本当に、課題は認識をされていると思うので、是非、有識者会議の報告が出たときには、指摘したところも含めて、大臣のしっかりとしたリーダーシップで前向きな法律に変えていくということをやっていただきたいと思うんですけれども。
先ほど言いましたいわゆる北欧モデルというのは、買う側を処罰をする、売る側は処罰をしない、生活支援や就業支援を行うということが取られています。
一方で、合法化路線を取った国々というのもあるんですけれども、例えばオーストラリアなんかもそうなんですけれども、そうなると、過激なサービス競争が行われて、外国人の違法就労の問題など、様々に社会問題が広がっていっているということも指摘をされています。厳罰化をすると必ずそれによって地下化するだとかということが言われるところもあるんですけれども、現実は、例えば合法化を取ったとしても、そのような社会問題が逆に湧いて出ているような状況でもあるので、そうしたところもしっかり検討していかなければいけないと思います。
そもそも、性的人身売買を含むあらゆる性売買というのは、需要があるからこそ、すなわち、多くの買手がいるからこそ存在するものであって、需要を抑制することなく、その結果だけに対処するのは限界があるというふうにも言われておりますので、是非、性産業全体がまた女性の貧困化を深刻にさせている状況というのを鑑みて、法律に実効性を持たせること、これを担保していかなければいけないと思っています。引き続き、このことも問うていきたいと思っています。
今日はありがとうございました。終わります。
○井上委員長 この際、暫時休憩いたします。
正午休憩
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午後四時三分開議
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいま付託になりました内閣提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外三名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。平口法務大臣。
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刑事訴訟法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○平口国務大臣 刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
罪を犯していない人が処罰されることはあってはならず、仮に犯人でない人を有罪とする確定裁判があれば、速やかに救済されなければなりません。再審制度は、そのための非常救済手続であり、重要な意義を有するものです。
しかし、近時、一部の再審無罪事件において、再審の請求から再審無罪判決の確定までに相当な長期間を要し、再審請求者等に大きな負担を生じる事態となっています。
そして、こうした事態の原因に関し、捜査機関が保管する裁判所不提出記録の提出までに多くの時間を要しているといった指摘や、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てにより再審の手続が長期化しているといった指摘がなされているほか、刑事訴訟法上、再審請求審の手続に関する規定が少なく、裁判所の裁量に委ねられている部分が多いことなどを理由に、再審請求者等の手続保障が十分でないといった指摘がなされています。
こうした事態や様々な指摘は、従来の再審制度やその運用の在り方に大きな反省を迫るものであり、これを真摯に受け止めた上で、再審制度の趣旨に立ち返りつつ、反省、改善すべき点について速やかに手当てを講ずる必要があります。
そこで、この法律案は、こうしたことを踏まえ、再審請求者等の手続保障の充実や再審請求審の手続の円滑化、迅速化を図りつつ、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
第一は、再審請求審における証拠の提出命令に関する規定の整備であります。すなわち、審判開始の決定をした裁判所は、一定の要件の下で、検察官に対し、再審の請求の理由に関連すると認められる証拠の提出を命じなければならないこととするとともに、再審の請求の手続において謄写された検察官提出証拠の複製等の適正管理及び目的外使用の禁止に関する規定を整備するなどの措置を講ずるものであります。
第二は、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てに関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定等に対しては、当該決定等が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、即時抗告等をすることができることとするとともに、政府は、再審開始の決定等があったときは、遅滞なく、その旨並びに検察官が当該決定等に対する即時抗告等をしたかどうか及び当該即時抗告等をした場合におけるその理由を公表することとするものであります。
第三は、再審の手続における裁判官の除斥に関する規定の整備であります。すなわち、通常審における判決等に関与した裁判官を一定の範囲で再審の請求の手続及び再審公判から除斥するとともに、再審の請求についての決定に関与した裁判官を一定の範囲で再審公判から除斥することとするものであります。
第四は、再審請求審において審理を要する事件を選別するための調査手続及び審理を要すると判断された事件についての審判手続に関する規定等の整備であります。すなわち、再審の請求を受けた裁判所は、遅滞なく、その請求について調査しなければならないこととし、当該裁判所は、調査の結果に基づいて、審判開始の決定又は再審開始の決定若しくは再審の請求を棄却する決定をしなければならないこととするとともに、再審請求者等は、審判開始の決定をした裁判所に対し、事実の取調べを請求することができることとし、当該裁判所は、審理終結日及び決定日を定めた上、それらの日を再審請求者等に通知しなければならないこととするほか、再審の請求に係る一定の決定に対する即時抗告等の提起期間を延長するなどの措置を講ずるものであります。
第五は、再審請求審に要した費用の補償に関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定が確定した事件について、無罪の判決が確定したときは、一定の範囲で、その再審の請求の手続に要した費用の補償をすることとするものであります。
このほか、近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、再審開始の決定等に対する不服申立てについて、その係属する裁判所の決定が事件の受理日から一年以内にされるよう努めなければならないこととすることを含め、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。
○井上委員長 次に、西村智奈美君。
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刑事訴訟法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○西村(智)議員 ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
巌だけが助かればいいという問題ではありません、冤罪被害で苦しんでいる方が大勢いらっしゃいます、抜け道をつくらないで。元死刑囚である冤罪被害者の袴田巌さんの姉、袴田ひで子さんは、再審法改正の議論に際して度々そう訴えてこられました。袴田巌さんの事件では、逮捕から無罪が確定するまでに五十八年もの年数がかかっています。この事件のほかにも、近年、再審無罪事件が相次いでいますが、いずれも長期間にわたる再審手続を要しており、刑事司法に対する信頼も大きく揺らいでいる状況です。
このような中で、刑事訴訟法の第四編、いわゆる再審法については、様々な制度的不備があることが指摘されています。本法律案は、刑事訴訟法を改正して再審及び再審請求手続に関する規定を整備することにより、冤罪被害者の適正かつ迅速な救済を図ろうとするものです。
次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、再審又は再審請求手続について、当該再審等に係る被告事件の裁判等に関与した裁判官を、除斥及び忌避の対象に追加することとしています。
第二に、再審請求手続に関し、期日の指定、裁判長の手続指揮権等の規定を整備することとしています。
第三に、再審請求手続における証拠開示について、より広範な証拠開示を可能とする観点から、まず、開示請求があった場合には、開示の必要性や開示による弊害などを考慮して相当でないと認めるときを除き、再審請求人等に対し直接開示する制度を設けることとし、また、その対象は、検察官等が保管する証拠だけに限られず、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される証拠物や書類のリストにも及ぶこととしています。加えて、裁判所が証拠開示の必要性を認めた場合には、その証拠の再審請求理由との関連性を問うことなく、職権によりその開示を命じることができることとしています。なお、本法律案では、開示された証拠の目的外使用については、証拠の公表による支援活動の拡充や報道機関による報道がこれまでの再審無罪事件で大きな役割を果たしてきたことを踏まえ、禁止規定及び罰則規定は設けていません。
第四に、検察官は、再審開始の決定に対しては、即時抗告、異議の申立て及び特別抗告をすることはできないこととしています。
第五に、附則において、政府は、この法律の施行後三年を目途として、捜査段階における書類や証拠物の目録作成及び保存の在り方、再審の請求をしようとする者への検察官保管証拠等の開示の在り方について検討を加え、必要な法制上の措置等を講ずる旨の検討条項を設けています。あわせて、新法の規定は、この法律の施行の際現に係属している再審及び再審請求手続についても適用する旨の経過措置を設けることとしています。
最後に、本法律案の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としています。
以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要です。
何とぞ、十分に御審議の上、本法律案に御賛同いただけますようお願い申し上げます。
○井上委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
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○井上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
両案審査のため、来る二十九日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、明二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時十五分散会

