衆議院

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第14号 令和8年5月27日(水曜日)

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令和八年五月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 英孝君

   理事 阿部 弘樹君 理事 木原 誠二君

   理事 高見 康裕君 理事 谷川 とむ君

   理事 藤原  崇君 理事 西村智奈美君

   理事 三木 圭恵君 理事 小竹  凱君

      石坂  太君    井出 庸生君

      稲田 朋美君    尾身 朝子君

      門  寛子君    上川 陽子君

      神田 潤一君    小泉 龍司君

      坂本竜太郎君    世古万美子君

      武部  新君    辻  秀樹君

      辻 由布子君    寺田  稔君

      西山 尚利君    新田 章文君

      福原 淳嗣君    藤沢 忠盛君

      藤田ひかる君    古川 禎久君

      三ッ林裕巳君    村木  汀君

      森原紀代子君    保岡 宏武君

      山本 大地君    有田 芳生君

      國重  徹君    池畑浩太朗君

      一谷勇一郎君    金村 龍那君

      高見  亮君    萩原  佳君

      村上 智信君    井戸まさえ君

      鈴木 美香君    和田 政宗君

    …………………………………

   議員           有田 芳生君

   議員           西村智奈美君

   法務大臣         平口  洋君

   最高裁判所事務総局刑事局長            平城 文啓君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 遠藤  剛君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    佐藤  淳君

   政府参考人

   (法務省訟務局長)    坂本 三郎君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     石坂  太君

  藤沢 忠盛君     森原紀代子君

  三ッ林裕巳君     尾身 朝子君

  山本 大地君     村木  汀君

  池畑浩太朗君     村上 智信君

  金村 龍那君     一谷勇一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石坂  太君     新田 章文君

  尾身 朝子君     三ッ林裕巳君

  村木  汀君     坂本竜太郎君

  森原紀代子君     藤沢 忠盛君

  一谷勇一郎君     萩原  佳君

  村上 智信君     池畑浩太朗君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本竜太郎君     山本 大地君

  新田 章文君     門  寛子君

  萩原  佳君     高見  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  門  寛子君     河野 太郎君

  高見  亮君     金村 龍那君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)

 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外三名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

○井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外三名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官遠藤剛君、法務省刑事局長佐藤淳君及び法務省訟務局長坂本三郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

○井上委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局刑事局長平城文啓君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

○井上委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。

○稲田委員 おはようございます。自由民主党の稲田朋美です。

 袴田事件では事件から五十八年、福井事件では事件から三十九年を経て、ようやく袴田さんと前川さんの無実が証明されました。日野町事件では、事件から四十二年、無期懲役で服役中に阪原さんが亡くなった後に再審公判が開始されました。

 共通するのは、捜査機関による証拠の捏造、検察官の証拠隠し、再審開始決定に対する検察官の抗告の繰り返しにより、国家による重大な人権侵害が生じているというのが再審の実態です。非常救済手続である再審法が、内容も、その運用も機能していないということです。

 膨大な時間の経過は冤罪被害者の人生を葬り去ります。袴田さんは死刑囚として長い拘禁生活の弊害で精神を病み、前川さんも、その家族も被害者遺族も、取り返しのつかない失意と絶望の人生を送り、阪原さんは、無実を訴えながら、冤罪が晴れることなく獄中で亡くなりました。

 今日は六十年巌さんと闘ってきたお姉さんのひで子さんもお見えですが、袴田さんが、死刑囚として、世界で類のない、長時間かかってようやく雪冤を晴らしたのが一昨年。死刑囚の冤罪の救済にここまで長くかかったのはなぜなのか、どうすれば無辜を早く確実に救済できるのか、これが再審法改正の出発点であり、立法事実です。

 私は、再審法改正は、右も左もない、イデオロギーを超えた社会正義の実現であるという確信の下、取り組んでまいりました。

 自民党内における議員と法務省刑事局との激しい議論、そして法務省の三度の修正を経て、抗告の原則禁止を刑訴法本体に盛り込んだ改正案が政府案として審議入りしました。

 昭和三十七年、衆議院法務委員会再審制度調査小委員会で再審法改正が議論され、刑訴法の大家である松尾浩也参考人が、再審開始決定に対する検察官側からの不服申立てを禁止すべきであるとして、具体的には現行四百五十条の中から四百四十八条一項を削除すれば足ると述べられてから、何と六十三年を費やして、ようやくこの松尾案を盛り込んだ改正案が政府から提出されております。

 議論に参加してきた者として、この歴史的な再審法改正の質疑に立てることに、委員長、理事の皆様、同僚議員に感謝いたします。

 大臣に伺います。本改正の立法事実は何ですか。

○平口国務大臣 お答えをいたします。

 罪を犯していない人が処罰されることはあってはならず、仮に犯人でない人を有罪とする確定裁判があれば、速やかに救済されなければならないところでございます。

 しかしながら、近時、再審無罪判決の確定までに相当な長期間を要し、再審請求者等に大きな負担を生ずる事態となった事件があり、そうした事態の原因に関し、いわゆる証拠開示に多くの時間を要しているといった指摘や、再審開始決定に対する検察官の不服申立てが長期化の原因となっているといった指摘などがあるものと承知をしております。

 本法律案は、こうした事態や様々な指摘を真摯に受け止め、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするために、刑事訴訟法を改正して所要の法整備を行おうとするものでございます。

○稲田委員 私がなぜ立法事実にこだわってきたかというと、改正の立法事実が袴田さんや前川さんのような冤罪被害者の早期、確実な救済に資する法改正を行うことにあるということを確認することによって、今よりも悪くなることがあってはならない、そのことは法解釈、そしてその運用に通底する真理であるということを明確にする必要があるからです。

 法制審の議論において、弁護士の委員らは立法事実を明確にすべきと主張していましたが、明らかにはなっていなかった、立法事実に対する思い入れが余りにもなかった。これは本当に残念でした。

 今回の法改正及びその運用において、改正後、憲法の精神にのっとった再審法の法整備がない中で行われていた再審請求審の状況が後退することはない、本改正によって冤罪被害者の救済は前進する、冤罪被害者の利益に資する方向での法解釈、運用が行われるという確認をしたいと思います。大臣の答弁をお願いします。

○平口国務大臣 お答えをいたします。

 本法律案は、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、刑事訴訟法を改正して誤判からの確実な救済と手続の円滑、迅速化を図るものでありまして、再審制度を大きく前進させるものであると考えております。

 本法律案による改正後の規定の解釈、運用については、こうした改正の趣旨を踏まえて適切に行われることが重要であると考えております。

 本法律案が改正法として成立した場合には、裁判所や検察庁等の関係機関に対し制度の趣旨や内容を十分に周知し、適正な運用の確保に努めていきたいと考えております。

○稲田委員 福井事件の検証についてお伺いします。

 私は、何度も当委員会また予算委員会において福井事件を取り上げ、十二月の当委員会における質疑で福井事件の検証をお願いしておりました。なぜなら、福井事件は、袴田事件と並び、再審法改正の立法事実そのものだからです。

 ところが、法務省は完全に無視をし、福井事件の検証なしに政府案をまとめられました。法制審の議事録を読みますと、法制審の中で何度も複数の委員から福井事件の検証の必要性を訴えましたが、現職検察官の委員などから反対され、実現しませんでした。ここにある議事録の第八回二十七ページ、第十四回の議事録三十五ページにあります。

 私は、福井事件を始め、立法事実を軽視した法制審の議論の在り方に大いに疑問を感じていたところです。

 自民党法務部会長である藤原委員の指示で、ようやく先月、法務省の検証がまとめられ、自民党の部会に提出されました。

 さらに、名古屋高検で内部検証が行われています。これは刑事司法の信頼が懸かった検証ですよ。名古屋高検の検証はどこまで進んでいるのか、そしていつ取りまとめられる予定なのか、刑事局長にお伺いします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事件につきまして、検察当局は、五月一日でありますが、刑事再審手続に関する規律の在り方について国民的な議論や関心が高まりを見せる中、委員の御指摘を含め、本件における検察官の対応についても改めて様々な御指摘がなされていることなどに鑑みて、最高検の指示によりまして、名古屋高検において、本件に関与した検察官に対するヒアリングなどの調査を実施すること、それから、報告書に取りまとめた上で追って公表することを予定していることを公表したところでございます。

 名古屋高検におきましては、現在、御指摘の事件につきまして、主要関係者の供述の信用性であるとか、テレビ番組の放送日に係る捜査報告書、問題の捜査報告書につきまして、どのような検討、評価に基づきまして証拠開示や不服申立てを含む一連の訴訟手続に対応していたのか、それらの対応に反省すべき点はないかなどの観点から、この当該事件に関与した検察官のヒアリングを順次進めているところでありまして、これまでに相当数のヒアリングを実施したところでありまして、できる限り速やかに、御指摘の事件に係る調査を遂げてその結果を公表できるよう努めているものと承知しているところでございます。

○稲田委員 これは立法事実そのものですから、この委員会における質疑に資するものにしなければならないと思います。

 委員長に、名古屋高検の検証結果について、現時点の中間報告でもよろしいので、当委員会に提出されるよう求めます。

○井上委員長 ただいまの要求につきましては、理事会にて協議をさせていただきます。

○稲田委員 今回の改正案において、刑訴法四百五十条から四百四十八条一項が削除されました。そもそも、刑訴法四百二十条で、判決前の決定に対する抗告は刑訴法に規定がある場合に限られている。今回、例外的に抗告が認められている場合を列挙した四百五十条から再審開始決定が削除された。抗告は原則禁止になりました。

 この改正案は、法務省から、三度目の修正において、自民党部会の最終日、すなわち、その日にまとまらなければ今国会に提出することはできないというタイミングで出てきました。

 それまで、法務省は、抗告の原則禁止を刑訴法本体に入れると刑訴法全体のバランスを崩す、法体系上できないと言い続けてきた。松尾浩也先生の理論が分からないともおっしゃっていた。法制局長官が反対しておられたとも聞きます。

 その上で、抗告禁止を刑事訴訟法本体に入れた意義について、法務省にお伺いします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 本法律案の立法事実は先ほど大臣が申し上げたとおりでありまして、無罪判決の確定までに相当な長期間を要して、再審請求者等に大きな負担を生じる事態になった事件がある、その原因は検察官の抗告も一因であるといった御指摘を踏まえまして、検察官の不服申立てについてより慎重で抑制的な運用を確保するために、即時抗告の根拠規定である、委員御指摘のように、刑事訴訟法第四百五十条から再審開始決定に関する規定である四百四十八条第一項の決定を削除するということをしまして、再審開始決定については即時抗告をすることができないことをまずは明らかにした上で、別条で、例外的に、十分な根拠がある場合に限って即時抗告をすることができる旨を規定するというやり方で、即時抗告を原則として禁止することを明文化したものであります。

 その上で、当該規定を刑事訴訟法の本則の再審に関する一連の規定の中に設けることで、これは再審開始決定に対する検察官の不服申立てが原則として禁止されることが国民にとってより分かりやすく明確なものとなると考えているところでございます。

○稲田委員 今、立法事実をおっしゃいましたが、だとすると、より慎重に、より制約してと言われるけれども、それは持っている人の表現ですよ。今回、抗告は本体で禁止されているんですから、立法事実に従って解釈をいただきたいと思います。例外の解釈ですね。

 四百五十条の二について、私たちは、例外を認めなくても検察側の主張は公開の再審公判に移行してからすればよいと言ってきましたが、例外規定が入ったんです。ここに言う十分な根拠の具体的な内容について明確にする必要があります。刑事局長にお伺いします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 再審開始決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合、これが例外の部分ですけれども、この意味は、不服申立てにより再審開始決定等が取り消される蓋然性が高いことを裏づける合理的な根拠がある場合を意味するものでございまして、再審開始決定に重大な事実誤認や重大な法令適用の誤り、重大な手続違反等があると考える場合であって、なおかつ、これらの誤り等に関する主張が上級審において受け入れられて、再審開始決定が覆ることになる蓋然性が高い場合がこれに当たると考えられるところでございます。

○稲田委員 今までも、法制審の議論などを見ますと、検察の委員は、抗告は十分に慎重に検討して抗告していたとおっしゃっていたのですが、具体的にどこが変わるのかを明確にしていただきたいんです。

 今おっしゃった重大な事実誤認、重大な法適用違反、重大な手続違反であり、なおかつ、再審開始決定が棄却されると認められる高度な蓋然性がある場合、つまり、これは質も量も十分ということでよろしいでしょうか。さらに、この規定は、即時抗告も特別抗告も、両方とも、質も量も十分ということで縛るということでよろしいか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の質という意味が、再審開始決定にあると考える誤り等が当該決定の結論に影響を与える程度のことを指すことを意味し、かつ、御指摘の量が、当該誤り等に関する主張が上級審に受け入れられて、当該決定が覆ることとなる蓋然性の程度のことを意味するということであれば、御指摘のとおり、その双方が存在する必要があると考えているところでございます。

 また、改正後の刑事訴訟法第四百五十条の二第一項及び第二項につきましては、再審開始決定に対する即時抗告、それから再審開始決定に対する即時抗告を棄却する決定に対する特別抗告、さらには、再審請求棄却決定を取り消した上でなされた抗告裁判所による再審開始決定に対する特別抗告のいずれにつきましても、十分な根拠がある場合に限ってすることができると規定しているところでございます。

○稲田委員 それでは、具体的な当てはめについて、立法事実である福井事件における検察官抗告についてお伺いをいたします。

 女子中学生が殺害された福井事件では、事件から一年後に逮捕、起訴された冤罪被害者の前川さんは、自白もない、物証もない、犯行目撃証人もいないのに、犯行当日、血のついたトレーナーを着た前川さんを見たという複数の証言が証拠となり、高裁で有罪が確定していました。しかし、その血のついたトレーナーすら発見されていない。前川さんをかくまったという重要証人の証言に基づいて三回も血染めのトレーナーの大々的な捜索をしたのに発見されませんでした。

 福井事件の第一審、福井地裁は、前川さんは無罪です。検察官が控訴し、高裁で有罪が確定して、刑期を終えた前川さんは、二〇〇四年、第一次再審請求をし、二〇一一年に再審開始決定、つまり裁判のやり直しが決まりましたが、検察官が抗告して、再審開始決定は取り消されました。その後、第二次再審請求が認められ、昨年、再審無罪が確定しましたが、第一次再審開始決定から再審公判まで十二年もかかっています。

 問題なのは、確定審第一審の途中から、検察官が無実の証拠、つまり、犯行当日に血のついたトレーナーを着た前川さんを見たという最重要証言を根本から覆す証拠、犯行日に見たというテレビ番組が実は一週間後だったという捜査報告書を新たに取得したにもかかわらず、従前のうその証拠で立証活動をし、うその証拠で弁護側の立証活動を邪魔し、正しい証拠に基づく裁判所の判断をできなくし、それでもなお下された無罪判決に対して、証拠を隠したまま控訴をし、控訴審でも無罪の証拠を隠し、いわば有罪判決をだまし取ったんです。さらに、前川さんが刑期を終えてからの第一次再審開始決定に対しても、無罪の証拠を隠して抗告をしていたということなのです。

 このような検察官の訴訟活動については、再審開始決定においても、無罪判決においても、手続保障に反する、公益の代表者としてあるまじき不正の所為、刑事司法の信頼を揺らがせかねない深刻な事態などと厳しく批判されています。

 ところが、五月七日に法務省が法務部会に提出した、令和八年四月、法務省刑事局の「いわゆる福井女子中学生殺人事件における検察当局の対応について」と題する法務省の検証では、第一次再審開始決定に対する異議申立ては当時の判断として相応の理由があったとしています。無罪の証拠を隠しながら抗告することは相応ではなかったということを私は認めるべきだと思いますよ。

 公益の代表者とは何かということなのです。特に、再審請求審において、検察は、当事者ではなく、公益の代表者としてのみ振る舞うことを求められております。だとすれば、一般論として、無罪の証拠を持ったまま抗告することは、公益の代表者として許されますか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御質問の中で、無罪の証拠というものが何を指すかということになるかと思うんですけれども、それが無罪を示すものか、あるいは、推認力の程度というのはやはり個別事案に応じて判断されるということになると思うんですけれども、その上で、検察官が、再審請求審におきまして、例えば、犯人のDNA型が再審請求者以外の者と一致することを示すようなもの、はっきりしたものがあるのに、再審請求者が罪を犯していないことを明らかに示すという証拠があるのに、収集、把握したにもかかわらず、これを裁判所に顕出することなく再審開始に反対し、あるいは再審開始決定に対して不服申立てを行うことは、罪を犯していない人の処罰を求めるに等しいものでございまして、絶対にあってはならないことだと考えております。

○稲田委員 無罪の証拠が何であるかに関わるということなんですけれども、報告書の中で、確定審検察官がこの誤りを適切に是正していれば、そもそも再審請求以前に確定審において原審の無罪判決が確定した可能性も十分考えられるとの指摘を厳粛に受け止めていると言っているんです。

 要するに、一審で出していれば無罪になったし、控訴もできなかったと言われているような無罪の証拠なんですから、これを隠したことは、隠して抗告したことは私は相応ではないと思います。

 仮に、第一次再審開始決定当時、今回の法律が成立していたとして、検察官の抗告は十分な根拠がある場合に当たりますか。

○佐藤政府参考人 十分な根拠の有無といいますのは、再審開始決定が示した再審開始理由との関係で判断することとなると思います。

 御指摘の事件の第一次再審請求審におきましては、客観的証拠とその評価が主な争点となりまして、再審開始決定におきましては、当該客観証拠や主要な関係者の供述等を総合的に評価した結果、関係者供述の信用性に疑問が抱かれ、請求人が犯人であると認めるには合理的な疑いが生じたなどと判示されたものでございます。

 この点、御指摘の事件の第一次再審請求審の段階におきましては、主要関係者の一人の供述の裏づけとして位置づけられるテレビ番組の放送日に係る捜査報告書につきまして、従前の検察官の主張、立証の内容とそごしていたにもかかわらず、その開示等の適切な是正措置が取られていなかったことが明らかとなっております。

 これが仮に適切な是正措置が取られていれば、第二次再審請求審における再審開始決定と同様に、それを契機として主要関係者の供述の信用性が中心的な争点となり、ひいては有罪認定に動揺が生じたなどとして、再審開始決定がなされていた可能性もあると考えられるところであります。

 このような観点から見ますと、その再審請求審において、その供述内容が客観的事実とそごすることが判明したことなどによりまして、確定判決が前提とした関係者の供述の信用性判断、ひいては有罪認定に動揺が生じ、再審請求に理由があるとして再審開始決定があった場合、検察当局におきまして、当該再審開始理由を示した決定につきまして取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠があるかを慎重に検討し、その結果、十分な根拠がないとして不服申立てをしないこともあり得るのだろうというふうに考えているところでございます。

○稲田委員 長く答弁をされましたけれども、この法律があったら抗告はできないということなんですよ。つまり、この第一審、第一次再審開始決定当時にこの法律があったら前川さんの十三年は失われていなかった。無罪の証拠を握りながら抗告することはできないということなんです。今回の法改正でどこがどう変わるのかなんですけれども、質も量も十分な極めて例外的な場合、すなわち、実質的にはできないということなんです。

 再審請求審は、非公開の鍵のかかった法廷で行われます。袴田事件では第一次再審請求申立てから再審公判まで四十二年、福井事件では二十年、日野町事件では二十五年、この間、再審請求審は非公開です。密室でのやり取り、ブラックボックスなんです。従来の機械的に抗告を繰り返してきたことは、その結果、憲法三十七条の「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」という精神に反していた。その意味でも、抗告は原則やってはいけない。原則禁止というのはそういう意味でございます。

 刑事局長に聞きます。

 一般論として、起訴後に無罪を推定させる証拠が見つかったとき、その証拠は出すべきでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 無罪を推定する証拠というのが具体的にいろいろなことが考えられるわけでありますが、先生の御指摘の趣旨を捉えますと、それは当然、再審請求理由に関連するものでありまして、判断に資する証拠でございますので、それは一般に、開示されるべきものだというふうに考えております。

○稲田委員 今の刑事局長の答弁は再審の話なんですけれども、私が申し上げているのは、一般論として、起訴後に、確定審も含めてですね、起訴後に無罪を推定させる証拠が見つかったとき、その証拠を検察官は出すべきでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えします。

 申し訳ありませんでした。通常審も含めまして、そのような証拠が後で判明した場合も、当然、通常審の中でそういった証拠は開示されるべきものだと思っています。

 その上で、さらに、それが無罪、罪を犯していないことを明らかに示すような証拠であった場合には、その証拠を開示するにとどまらず、例えば、公訴の取消し、それから、公判が続いている段階に至っては無罪の論告、そういったことをするほかに、これが有罪判決が確定した後にそのようなことが判明した場合であれば、これは、検察官が自ら再審請求をしてそのような対応を取るようなことを考えなければいけないものというふうに考えております。

 いずれにしても、検察当局におきましては、積極、消極を問わず十分な証拠の収集、把握に努めることが重要であるというふうに考えているところでございます。

○稲田委員 証拠は誰のものかということだと思うんです。やはり、国家権力で税金を使って収集した証拠、それはしっかり、真実発見のためにも、国民の知る権利のためにも私は使うべきだというふうに思います。

 証拠の開示について、今回の改正案のように、関連性、必要性、相当性と制限がつけられることについて、今まで以上に開示範囲が狭くなることがあれば立法事実に反します。

 裁判所の提出命令が規定されたことは評価します。これにより、今までのように、検察官が証拠提出義務はありませんと言えなくなるということです。

 福井事件における第二次再審請求審において、裁判所は検察官に対し、証拠を任意で開示するように勧告しましたが、検察官は、高検の担当者全員の意向であると、任意開示を拒否しました。これに対して裁判所が、証拠や証拠一覧表の開示命令に踏み切る用意があると言明し、高検の担当者全体で再度協議されたいと強く促した結果、無実を示す捜査報告書ほか二百八十七点の証拠開示が実現したのです。

 袴田事件においては、無罪を示す五点の衣類の写真やネガを含む証拠が多数提出されたのは、何と事件から四十四年、死刑確定から三十年、弁護士が開示請求をしてから二十年です。死刑囚の再審がこのように長期間かかることは、もう既に、手続保障、迅速な裁判を受ける権利を侵害し、憲法違反ともいうべき状況にあります。日本には死刑があるということを忘れてはならないと思います。

 まずは、今回の改正が実現すれば、裁判所の命令に対し、検察官には早急に証拠を提出する義務があるということでよろしいですね。

 しかし、法四百四十五条の二の三項で、提出命令に対し即時抗告ができる規定も置かれたのですが、ここは、立法趣旨から、裁判所からの提出命令に対し、よほどの理由がない限り原則提出するという運用でよろしいですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、検察官は、裁判所から証拠の提出命令を受けた場合は当該証拠を提出する義務を負うというのが前提でございます。

 その上で、証拠の提出を命ずる決定につきましては、これについて検察官が証拠を提出した場合に、これは弁護人による閲覧、謄写の対象となりまして、その閲覧、謄写を介して被害者等の関係者の名誉、プライバシーの侵害等の問題は生じ得るということでありまして、仮にそれが生じた場合に事後的にそのような侵害がなかった状態に戻すことは不可能であるということでありまして、当該決定に違法、不当があるときは速やかに是正する場合があるというのは、それは事実であります。その上で、個別の証拠について提出を命ずることとした原決定の当否が判断されることになりますけれども、この判断については、その当否が審理の判断の対象になるにすぎないことから、これに長期間を要する事態は生じないものだと考えております。

 その上で、委員の御質問の趣旨は、幅広く開示がされるんだろうということでありますので、必要性、相当性も踏まえますけれども、今現に通常審では広く証拠開示、証拠提出が行われているところでありますので、今回の法改正の後もこの法律に従って幅広い証拠提出が行われると思っておりますので、そのような事態というのはそんなに数多くはないのだろうというふうなことは考えるところでございます。

○稲田委員 再審開始決定に関する抗告も、違法、不当な再審開始決定を是正するというので機械的にやってきたんですよ。なので、私はやはり、よほどの理由がない限りこの立法趣旨に従った運用をして、証拠をしっかり出していただきたいと思います。

 福井事件の第一次再審請求審において無罪の証拠、捜査報告書ですね、これを出さなかったことについて、法務省の検証では、現在の視点から見れば消極的とも取れる対応と言わざるを得ないというのみなんですよ。

 今回の改正法の下で福井事件の捜査報告書は出ていましたと自民党の部会の中でおっしゃり続けていたわけですけれども、なぜ出るのか、今回の法四百四十五条の二の要件に照らし、説明してください。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 証拠の提出命令の是非というのは裁判所が個別の事案ごとに判断していくということになりますけれども、今御指摘のような、再審請求者が自分が犯人ではないということを主張している事件において、犯人性に関わる目撃証言の信用性に疑念を抱かせる証拠を提出して、その信用性を否定しているような主張をしている場合には、その裏づけとなる目撃日時の特定に関する捜査報告書は、これは当然、再審請求理由に関連する証拠でございまして、証拠の提出の命令の対象となると考えているところでございます。

○稲田委員 何度も言いますが、再審請求審において、検察官は、当事者でなくて、公益の代表者なわけであります。したがいまして、福井事件のような、無実を示す重要な証拠を確定審で検察官が出していなかった、検察官の証拠の開示が確定審でも不十分だったというふうな場合は、再審請求の事由に関連するかどうかというあるなしではなくて、公益の代表をする検察官の職責として証拠は広く提出すべきだと思いますが、刑事局長、いかがですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほども答弁したところではありますが、繰り返しになったら恐縮ですけれども、罪を犯していない人が処罰されることはあってはならないことでありますので、検察官が、再審請求審において再審請求者が罪を犯していないことを明らかに示す証拠を収集、把握するに至った場合には、これは、再審請求者が主張する再審請求理由と関連性が必ずしも明らかでなくとも、当該証拠を裁判所に顕出するなどして対応すべきものだと考えるところでございます。

○稲田委員 今回の附則の四条で、再審請求に関連すると認める証拠の範囲が不当に狭くならないように留意とあります。これは当たり前ですよね。むしろ、これを附則に書かなければならないことが、日本の再審請求審における証拠の出し方、刑事司法の現状の問題点なんだということを私は肝に銘じてほしい、このように思います。

 また、関連性といっても、何があるか分からない状況で、しかも検察が故意に証拠を隠している場合も現にあるわけでございます。昨日、袴田ひで子さんは、よい証拠も悪い証拠も全部出すべきだ、このように言われております。私は、検察手持ち証拠の一覧表を提出できるようにすべきだと強く思います。

 次に、証拠開示の目的外使用ですが、目的外使用の規定が制定されたことによって弁護側の立証活動が制限されないか、懸念がございます。

 例えば、袴田事件において、五点の衣類の血痕の色の変化が捜査機関の捏造を立証し、無罪の重要な根拠となったわけですけれども、これは、支援者がみそ漬け実験をしたことによって無罪の証拠となったわけであります。

 立法事実からは、現状より後退してはならない、再審請求者の利益、被告人の防御権に必要であれば目的外使用ということも適法だと解釈をすべきなんです。

 今回の規定によっても、袴田事件の五点の衣類を公表し、支援者が実験することができるのでしょうか。ここは、立法事実に基づいて、刑事局長にお答えいただきます。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 本法律案におきましては、再審請求審で謄写した証拠の目的外使用の禁止に関する規律を設けることとしておりますが、謄写した証拠の複製等を再審手続やその準備に使用することはもとより許されるものでございます。

 今御指摘のような、袴田事件においての五点の衣類の写真に相当するような証拠を支援者に見せて、支援者が実験をするようなことはどうかというふうに問われれば、個別の事案によるとは思うんですけれども、少なくとも、再審請求者等が再審手続の準備に使用する目的で謄写した証拠の複製等を支援者に交付したと認められる場合には、そもそも目的外使用の禁止違反にはならないというふうに考えているところでございます。

○稲田委員 では、確認しますが、その実験の様子等を公表することも、立法事実に基づいてできるということでよろしいですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今、その実験の要旨を外に公表する場合はどうかという御指摘だと受け止めて答弁させていただきますと、そもそも、証拠の写し、複製などを交付したり公表したりすることが目的外使用の禁止のルールに当たっているものでありまして、その実験の要旨を公表するようなことは、この禁止の範囲外であるというふうに認識しているところでございます。

○稲田委員 私が質問しておりますのは、袴田事件の五点の衣類を訴訟準備として実験しているようなそういう様子、様子ですね、そういう状況を公表するということは、これは許されるのですかという趣旨です。

○佐藤政府参考人 済みません、確認させてください。

 実験の様子であるとか、それを議論している様子を写真に撮ってとか、動画に撮って公表するということでありますね。(稲田委員「はい」と呼ぶ)

 今、先ほど申し上げたように、証拠の複製、あるいはそういったものを交付したり公表したりするのでなければよいものでありますので、そういった実験の状況、議論の状況、そういったことを公表されることは、この禁止に当たらないということでございます。

○稲田委員 やはり、立法事実からいいますと、袴田事件などは、五点の衣類の実験の状況などを国民が広く知ることによって無罪の立証が進んでいったという状況もありますし、先ほど申しましたように、証拠というのはやはり国民のためのものだと思います。

 税金と国家権力と、そしてたくさんの人を使って集めたその証拠を、そういった意味で、国民の知る権利にも資する、そして無罪を立証するために訴訟準備として使う、それも公表することができるんですよねという、そういう趣旨です。

○佐藤政府参考人 先ほどの答弁で少し直接じゃない答えになっていたかもしれないと思って、今の話も含めて答弁を差し上げますと、そもそも弁護人側の実験というものは検察官から開示された証拠の写しではありませんので、弁護側が自ら収集した証拠であるとか裁判所にあったものとか、そういった、済みません、裁判所にあったものはちょっと、事案、個別になるんですが、自分たちが集めた証拠は当然、全くこの目的外使用の禁止に当たらないというものでございます。

 なぜなら、この目的外使用の禁止というのは、検察官、警察の手持ち証拠を、どうしても記録というのはプライバシーの塊なものですから、それを公表するに当たって目的外に使わないでくれという縛りをかけることによって、広く再審請求人側、あるいは、通常審であれば被疑者側、被告人側に開示することを担保しようとするものでございまして、その趣旨は、弁護人側が、被疑者、被告人側が自らやる実験等には全く縛りがかかっていないということでございます。

○稲田委員 では、最初の質問です。

 袴田事件の五点の衣類を公表して、取得したものはネガとかそれから写真ですよね、そしてそれを支援者が実験に供することは、ここは立法事実に基づいてできるんだということでよろしいですね。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 その事案がどのような具体的なものを指したのか、私も具体事例としてどのようなことがあったのかを全て把握しているわけではないのでお答えが難しいところもあるんですけれども、先ほどの五点の衣類の写真に相当するような証拠を支援者に公表して、支援者が実験をするような場合、こういった場合については、これは再審手続の準備に使用する目的にそもそも当たるということで、目的外に当たらないということで、目的外使用の禁止違反にはならない。一方で、証拠そのもの、提出命令あるいは開示を受けてそういったものが手元にあった場合にそれをそのまま表にするような形で公表することについては、目的外使用の禁止の規律がかかり得るということでございます。

○稲田委員 この点は、後の同僚議員の質問でも深めていただきたいと思います。

 国民の知る権利の問題でもありますし、国民の税金と圧倒的権力で収集した証拠は国民のものです。真実発見、そして国民の知る権利に資するために使うべきだと思います。

 それでは、附則五条についてお伺いをいたします。

 この附則五条では、再審手続に関する諸事情に鑑みて、抗告、不服申立てについて、受理された日から一年以内にその係属する裁判所の決定がなされるように努めなければならないとありますが、これは具体的には、主語は誰で、そしてどのようなことを指しているのでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、本法律案は、第五条におきまして、不服申立てが係属する裁判所の審理期間について努力義務を定めているところでございます。この規定は、裁判所のほか、再審請求手続に関与する再審請求者、弁護人及び検察官に対して努力義務を課すものでありまして、裁判所に対しては、事件が受理された日から一年以内に決定をするよう手続を進めること、それから再審請求者と検察官に対しましては、当該期間内に決定がされるように裁判所の審理運営に協力することをそれぞれ求める趣旨でございます。

○稲田委員 ということは、裁判所のみならず、弁護人、さらには検察官にも努力義務があるということでございます。

 次に、附則七条についてお伺いをいたします。

 この附則七条では、費用弁償について今回新たに規定がされたわけですけれども、この費用弁償については、袴田事件、それから福井事件には適用がない、そして、日野町事件には無罪判決が出れば適用があるということでよろしいのでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 基本的には委員の御指摘のとおりということになるかと思いますが、本法律案においては、現行の費用補償制度を拡充しまして、再審決定が確定した事件につきまして無罪判決が確定した場合に、その再審開始決定に結びついた再審請求をした者に対して手続に要した費用の補償をすることとしています。その上で、この費用補償の規定は、その施行日以降に無罪の判決が確定した事件について適用しているということでございます。

 そのため、その施行日以前に無罪判決が確定していた事件、例えば、御指摘の袴田事件であるとか福井女子中学生殺人事件ということになると思いますので、これについては適用されないということでございます。

 一方で、日野町事件は、まだ再審公判が係属中でございますのでお答えは難しいのでありますが、いずれにしても、その施行日以後に無罪判決が確定した事件について適用されるということでございます。

 ただ、もっとも、袴田事件、福井女子中学生事件につきましても、当該規定の施行日前に無罪判決が確定したものであっても、今回再審請求審の費用補償の部分を入れているわけでありますが、それ以外の通常審とか再審公判の手続に要した費用については現行の費用補償制度で補償されるということになっているということでございます。

○稲田委員 やはり、今回の立法趣旨に照らしますと、私は、少なくとも袴田事件、福井事件に再審請求審のこの新たに設けられた費用弁償が適用されないというのは、これはおかしいと思います。もちろん、いつから適用するんですかとか、いろいろなことを法務省から言われましたけれども、そういった立法事実からして、私はここは特別に費用弁償を遡及すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘の意味は重々理解した上で、過去に無罪の判決が確定した事件というのは様々ございまして、これについて遡及適用するとなりますと、費用補償の対象となる事件の範囲が際限なく広がってしまうという実情もございまして、現行の費用補償制度が創設されたときも、そのときも遡及適用はされないという形で整理がなされたというふうに聞いているところでございます。

○稲田委員 やはり、私は、立法事実に従って、その解釈で遡及をすべきだ、このように思います。

 次に、附則九条についてお伺いいたします。

 この附則九条の読み方について、やはりいろいろな懸念が出ております。第四百五十条及び四百五十条の二、すなわち抗告が原則できなくなるという規定ですね、これは、施行日前の再審請求であって現在係属中の事件については、なお従前の例によるとあって、現在進行中の事件についてこの抗告の原則禁止の規定が適用がないように読めるのですけれども、それはいかがですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 本法律案につきましては、この刑訴法四百五十条及び四百五十条の二につきまして二段階の改正をすることとしております。

 といいますのが、この本則、一般には二十日とか短期間で施行していくものがある一方で、今回の法案の中身になっています調査手続、いわゆるスクリーニングの規定につきましては、最高裁の規則などの制定の必要などもありまして、少し時間がかかるということで、調査手続が施行されるまでの規定と、調査手続ができた後から始まる規定というのが二つ分かれるような形、条文として起こしているところであります。

 そういう意味で、第一段階目の改正は、四百五十条から再審開始決定の根拠規定である四百四十八条一項を削るとともに、先ほどの不服申立てについて規定する四百五十条の二を新設することとしております。その上で、二段階目の改正では、再審請求審における調査手続を創設することに伴いまして、一段階目の改正による改正後の四百五十条及び四百五十条の二について更に所要の改正を行うということでございまして。

 済みません、いろいろ申し上げましたが、結論から申し上げますと、その条文の中身自体は、法技術的にはいろいろあるのでありますが、変わりないということでございます。

○稲田委員 いわば、このなお従前の例によるという従前が第一段階で改正をされたものを指していて、なので、現在再審請求中の事件についても、抗告の禁止、それからその例外の規定、これは適用がされるということでよろしいですね、確認です。

○佐藤政府参考人 済みません、答弁がはっきりしなくて恐縮です。

 お答えいたします。

 具体的に申し上げますと、二段階目の改正後の四百五十条及び四百五十条の二は、施行前の請求事件には適用しないこととした上で、なお従前の例による、すなわち、第一段階目の改正後の四百五十条と四百五十条の二を適用するというものでございます。

○稲田委員 適用されるというふうに伺いました。

 それでは、現在係属中の事件における証拠開示、そして目的外使用の規定の適用はどうなんでしょうか。

○井上委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

○井上委員長 速記を起こしてください。

 佐藤刑事局長。

○佐藤政府参考人 済みません、目的外使用の禁止においては、施行日後のものがかかるわけですけれども、その禁止の対象になるかと思うんですが、この目的外使用の禁止そのものは、施行前に、これは一年後でありますが、その施行前に提出、開示されたものも含むことになりますけれども、罰則の対象は施行日以後にされたものに限るというような整理がなされているという状況でございます。

○稲田委員 刑事局長、証拠開示については今御答弁がなかったんですが、私の理解では、証拠開示は施行日後のものに適用されて、目的外使用については施行日の前後で、謄写しているかどうか、罰則がかかるかどうかが違ってくるという理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 そのとおりでいいということでございます。

○稲田委員 ありがとうございます。

 やはりこの附則の解釈についても、今回施行日が二段階になっていることもあって、実務家の皆さんからは様々懸念がございますので、そういうところはしっかり明確にしていただけるようにお願いをいたします。

 あと、スクリーニングの規定も、結局は、法務省は、二回目の修正で、再審の請求が理由のないものであることが明らかであるということは、修正で削除をされたわけであります。これについては、法制審の第十三回において、それまで全く議論されていないのに突如出されて、結局、議員たちの意見を聞いて、そこは二回目の修正で削除をされたわけですけれども、何の立法事実もなく、誰も求めていない、明らかに改悪の規定だったわけですね。やはり私は、こういった経緯も、法制審が立法事実を踏まえない議論をしていたし、そして、それに基づく政府案であったということを指摘をしておきたいと思います。

 さて、今回の改正の立法事実は、大臣もおっしゃっていただいたように、冤罪被害者の早期救済ということですが、それにとどまらず、失われた刑事司法の信頼を回復するということだと思います。

 近時の再審無罪事件だけでなく、大阪地検特捜部の検事が証拠を改ざんし、同僚検事が犯人隠避をした村木事件、検察官の違法な取調べが認定されたプレサンス事件、検察官の不当な起訴が国賠訴訟で認定された大川原化工機事件など、検察組織に対する国民の信頼は失われていると思います。

 袴田事件では、再審無罪判決において、みそタンクから発見された犯行時に着用していたとされる五点の衣類は捜査機関による捏造、五点の衣類と被告人を結びつける端切れも捜査機関の捏造とし、検察官についても、検察、警察が一体となって捜査をして調書を作った、捏造も知っていたと推測もしているわけです。

 福井事件の再審無罪判決については、先ほど述べましたように、激しく検察批判を行い、刑事司法の信頼を揺らがす深刻な事態、そしてまた、公益の代表者としてあるまじき不正な所為とまで言っております。

 十人の犯人を逃がすとも一人の無辜を罰するなかれ。これは刑事司法の鉄則なんです。日本の刑事司法の有罪率は九九・九%、日本において十人の犯人は逃がしなどしていませんよ。むしろ、袴田、福井、日野町事件を見ると、検察は、一旦起訴をすれば証拠を隠してでも有罪にしなければならない、再審請求されれば、被告人の利益より確定判決の利益にと、何が何でも確定判決を維持するといった、九九・九%の無謬性にとらわれているのではないでしょうか。

 ここまで重大な冤罪事件による人権侵害が白日の下にさらされ、既に迅速な裁判、公開の裁判を受ける権利を侵害し、憲法の刑事司法の手続保障を空洞化させ、しかもその原因が捜査機関による証拠の捏造、検察の証拠の不開示、さらには、再審開始決定に対する機械的な検察官抗告にあることが明らかな状況において、冤罪被害者の救済との対比で法的安定性を語ることは許されないと思いますよ。

 さらに、今回、法制審の議論について、この議事録を通読することによって感じたことは、国民の意識と余りにもかけ離れているんですよ。国民不在の議論だったということです。なぜ学者の委員の中に抗告を禁止すべきと言う人が一人もいなかったんですか。これは、再審を研究している学者がこぞって抗告禁止を主張していることとの整合性が取れません。

 また、冤罪を生じさせた当事者組織にいる現職検察、警察官僚の委員が相当数いて、議決権を持っていたんですよ。なぜ、被告人席に座っているともいうべき検察エリートの集団である刑事局主導で議論が進められ、立法事実も冤罪被害者も置き去りにされたのか。多くの研究者、元裁判官、さらには現職の裁判官まで、法制審案に反対の意見表明があったということをどう捉えているのか。私は、今回の法制審のメンバー、議論の在り方に正当性があったのかもしっかり検証して、今後に生かすべきだと思います。

 大臣に最後に伺います。

 失われた日本の刑事司法の信頼回復のために何をするのか、法務省に問われているのはこの一点です。決意をお聞かせください。

○平口国務大臣 お答えをいたします。

 近時、刑事司法に対して様々な厳しい指摘がなされているということは承知をいたしております。御指摘いただいたような点も含めて、厳しい指摘がなされてございます。刑事司法制度がその機能を適切に発揮するためには、国民の皆様の信頼に支えられていることが極めて重要でありまして、委員の御指摘は重く受け止めたいと思っております。

 本法律案は、近時の再審請求事件に関する実情を踏まえ、再審制度が非常救済手段としてより適切に機能するように所要の法整備を行うものでございまして、刑事司法に対する信頼確保の観点からも重要な意義を有するものと考えております。

 また、刑事司法が、基本的人権の保障を全うしつつ、事案の真相を解明し、刑罰法令を適正に適用実現するという役割を適切に果たしていくためには、捜査段階や通常審に関しても、制度、運用の両面について不断の検討を行っていくことが重要であると考えております。

 引き続き、刑事司法への信頼確保のために全力を尽くしてまいりたいと考えております。

○稲田委員 今回の改正の議論が、刑事司法の信頼回復、そして、国民の手に刑事司法を取り戻すための大きな一歩になることを祈念し、私もこれからも議論を続けたいと思います。

 ありがとうございました。

○井上委員長 次に、西村智奈美君。

○西村(智)委員 やっと再審法の見直しについての議論が始まりました。この間、大変多くの方が裁判のやり直しについて議論をし、そして、意見を聞きながら、今日こうやってこの場に立たせていただいたこと、本当に感慨無量であります。

 しかし、今回の法改正で本当に冤罪の被害者を、また無辜を救うことができるのか、それが問われているというふうに思いますので、その内容になっているのかどうかということを、今日は、政府提出法案、閣法に対して、私は三十五分という時間をいただきましたので、質問したいというふうに思っております。

 まず、大臣、提案理由説明の中で、反省という言葉を口にされました。従来の再審制度やその運用の在り方に大きな反省を迫るということで、これを真摯に受け止めた上で、再審制度の趣旨に立ち返りつつ、反省、改善すべき点について云々ということでありましたけれども、まず、今回の法改正に当たって、何を反省し、そして何を改善すべきというふうに考えてこの閣法を提出されたのか、立法事実について伺いたいと思います。

○平口国務大臣 お答えをいたします。

 近時、一部の再審無罪事件におきまして、再審請求から再審無罪判決の確定までに相当な長期間を要するなどの事態が生じております。そうした事態やそのことに関してなされている様々な指摘は、従来の再審制度やその運用の在り方に大きな反省を迫るものであり、法務省としては、真摯に受け止めた上で、速やかな対応をする必要があると考えております。

 そこで、本法律案の提案理由説明においても、ただいま申し上げたような趣旨を盛り込んだところでございます。

○西村(智)委員 手短に、時間の節約ということで、短く答弁をしていただいたんだとは思うんですけれども、でも、やはり、今のようなお話で、しかも今回の閣法の内容ですと、本当に法務省は反省をしているのかということを疑わざるを得ないんです。迅速性、それから正確性、また冤罪の被害者に寄り添った法改正であるべきだというふうに私は思いますので、これから質問していきたいと思っております。

 私は、今日は、証拠開示とそれから目的外使用、主にここに絞って質問したいと思っています。

 まず、証拠の開示についてでありますけれども、やはり、証拠の開示を命じる際には、裁判所は、職権主義ということで主体的に判断するものであるというふうに思っておりますから、裁判所の手足が縛られるというようなことが万が一にもあってはいけないというふうに思っております。ですから、裁量による開示請求ができるということが重要だと思いますけれども、大臣はどう考えますか。

○平口国務大臣 委員御指摘のとおり、再審請求権におきましては、職権主義の下で、裁判所が必要な事実の取調べを主体的に行うこととなるわけでございます。そこで、本法律案における証拠の提出命令制度では、裁判所が一定の要件の下で、請求により又は職権で検察官に対し証拠の提出を命じなければならないということにしているところでございます。

 他方で、再審請求審は、裁判所が再審請求者の主張する再審請求理由について審理、判断する手続でございますため、本法律案では、再審の請求の理由に関連する証拠を提出命令の対象とすることとしております。この関連する証拠の範囲は相当の広がりを持つものでございまして、これにより、裁判所は必要かつ十分な証拠の提出を命ずることができると考えております。

 もっとも、証拠の提出命令制度の運用について御懸念が示されていることは承知をいたしておりまして、本法律案が改正法として成立した場合には、裁判所や検察庁の関係機関に対し、関連性判断の在り方についての附則の規定の趣旨等を含め、制度の趣旨や内容を十分に周知し、適正な運用の確保に努めてまいりたいと考えております。

○西村(智)委員 大臣の答弁について更に伺っていくんですけれども、必要性、相当性、関連性、この三つを判断するときに、附則にも書きましたということのようなんですが、改正法四百四十五条の二第一項、ここで、開示要件として、必要性の程度、弊害の内容、程度を考慮し、相当と認めるときは、検察官に対して提出を命じることができるとされているわけなんですけれども。

 新しい規定です。ですので、これまで、現状で実務で運用されていたものよりも本当に広くなるのか、それとも狭くなるのか、ここはやはり明確に答弁をしていただかなくてはなりません。大臣、どうですか。

○平口国務大臣 再審請求審における裁判所による証拠の提出、開示の勧告や、検察官による任意の証拠の提出、開示といった従来の実務運用については、明文の規定がなく、要件、効果も定まっていないことから、それらによって提出、開示される証拠の範囲と、本法律案における証拠の提出命令制度によって提出されることとなる証拠の範囲とを一概に比較することは困難でございます。

 もっとも、本法律案における証拠の提出命令制度は、従来の実務運用を否定するものではなく、これに加えて、一定の場合に、裁判所に対して、検察官に証拠の提出を命ずる義務を課するものでございます。したがいまして、これによって、従来の実務運用よりも提出される証拠の範囲が狭まるというようなことはないと考えております。

 他方で、証拠の提出命令制度の運用について御懸念が示されていることは承知をいたしておりまして、本法律案が改正法として成立した場合には、裁判所や検察庁等の関係機関に対し、関連性判断の在り方に関する附則の規定の趣旨等を含め、制度の趣旨や内容を十分に周知し、適正な運用の確保に努めてまいりたいと考えております。

○西村(智)委員 私は、ここの法務委員会で、この再審法以外についてもいろいろと議論をしてまいりました。法務省の答弁は、大体、こうなると考えております、そのようになっておりますというふうにはおっしゃるんだけれども、そしてまた、その趣旨をきちんと周知もしますというふうにおっしゃるんだけれども、できてきたためしがあったでしょうか。私は、今大臣がおっしゃっていただいたこと、本当に狭まらないとか幅広くなるんだということであれば、ちゃんと法律に書くべきだというふうに思うんです。

 先ほど大臣が述べておられた、従来の実務運用が否定されるものではないということなどについては、これは法制審の答申の附帯事項ということで記載はしてあるんですよね。もうちょっと述べましょうか。「従来の実務運用が否定されるものではないことから、その法整備が行われた後も、個別の事案に応じ、これらが適切に行われることを期待する。」というふうに附帯事項に書いてありましたり、また、「関連性・必要性が認められる証拠の範囲が不当に狭くならないよう、その判断が適切に行われることを期待する。」というふうに法制審答申の附帯事項ということで書いてあるわけなんです。

 これを読みましたときに、私は、ああ、法務省も、いや、法制審答申も、法改正によって、従来の実務の運用から証拠開示の範囲が狭まるということを自覚した上でこれを書いたんだというふうに思わざるを得なかったですよ。思わざるを得なかったです。

 実際、そうなんじゃないですか。縛りがかかるということをこの法制審の附帯事項は如実に示しているというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○平口国務大臣 本法律案で設けることとしている証拠の提出命令制度は、裁判所による証拠の提出、開示の勧告等の従来の実務運用を否定するものではなく、これに加えて、一定の場合に、裁判所に対して、検察官に証拠の提出を命ずる義務を課するものでございます。法制審議会の答申においては、そのことを前提として、従来の実務運用も引き続き適切に行われることを期する趣旨で、御指摘の附帯事項が盛り込まれたと承知をしております。

 また、この証拠の提出命令制度は再審請求理由に関連する証拠を対象としているところ、関連する証拠の範囲は相当な広がりを持つものでございまして、これにより、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えております。法制審議会の答申においては、そのことを前提として、証拠の提出命令制度の適切な運用を期する趣旨で、御指摘の附帯事項が盛り込まれたと承知しております。

 したがって、御指摘の附帯事項が、本法律案による改正により、いわゆる証拠開示に縛りがかかることを表しているとの御指摘は当たらないと思っております。

○西村(智)委員 相当な広がりになるというふうに法務省としては考えておりますということなんですけれども、私は、再審に関わってこられた多くの実務家の方が、これはやはり心配だ、これで本当に証拠開示の範囲が狭まるんじゃないかということで、多くの方が懸念を表明していらっしゃるということ、これは皆さんも御承知のとおりです。

 現に、再審などに関わってこられた実務家の方、元裁判官の方、あるいは再審の研究者の方、多くの方がこれはやはり問題だというふうに言っているということを踏まえて、大臣、先ほど冒頭でおっしゃいましたよね、反省をしていると。反省しているというふうにおっしゃったということであれば、ここはやはり、この証拠開示の範囲の在り方についていま一度見直す必要があるんじゃないかと私は思いますけれども、いかがですか。

○平口国務大臣 法務省の方としては、審議会の答申も踏まえた上でそれをやるつもりでございますので、それを信用していただきたい、このように思います。

○西村(智)委員 法制審でも、先ほど稲田委員も指摘しておられましたし、私もこの法案審議の前に質問いたしましたけれども、再審法の直接の研究者の方は、残念ながら法制審にはいらっしゃらなかったわけなんですよ。研究論文を書いている方がおられませんでした。そういった中での議論でまとめられた答申であり、今回の閣法だということ、言ってみれば、法制審の議論の段階から本当にあるべき議論が欠けていたんだというふうに私は申し上げざるを得ません。

 四百四十五条の二第一項について、更に質問したいと思います。

 これに関連してですけれども、附則の第四条にこういうふうに書いてあります。「再審の請求の理由に関連すると認める証拠の範囲が不当に狭くならないように留意されなければならない。」これは、自民党内の議論の結果、盛り込まれたものだというふうにお聞きしております。

 この文言、どこかで見た文言ではあるんですけれども、この留意されなければならないという文言、これは義務規定なんだと思うんですけれども、誰に対する義務なんでしょうか。

○平口国務大臣 この規定は、裁判所及び検察官の留意事項を定めるものでありまして、この両者に対して言うということでございます。

 附則第四条におきましては、証拠の範囲が不当に狭くならないように留意しなければならない旨を規定しているところでございまして、裁判所に対しては、提出命令の決定をするに当たって不当に狭くならないようにその判断を適切に行うことを留意するということ、そして、検察官に対しては、裁判所に意見を述べるなどをするに当たりまして再審請求理由と証拠の関連性を不当に狭く主張することのないように留意することをそれぞれ求める趣旨でございます。

○西村(智)委員 不当に狭くならないように留意されなければならないということは、不当でなければ狭くなってもいいということですか。

○平口国務大臣 それはその時々の解釈でございますが、不当に狭くならないようにということでございまして、一般的に広くなければならないというふうなことではございません。

○西村(智)委員 私の質問の趣旨は、広くなってほしいと思っているから質問しているんですが、これは不当でなければ狭くてもいいということなんですか。

 刑事局長が手を挙げています。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 不当でなければ狭くてもいい、そういう趣旨ではございませんで、そもそも、関連性のあるということは、再審請求理由について関連する証拠という意味なんですけれども、そもそも相当の広がりを持つという意味ですけれども、関連するという意味は再審請求理由についての判断に資するという意味であります。

 その一方、ここで言う証拠というのは、日常用語と違いまして、単に捜査書類であるとか物という意味であります。したがいまして、関連する証拠というのは、判断に資する書類とか物、それがそろって、本来は、普通、通常用語では証拠と呼ばれるようなものなんだと思っています。

 そういう意味で、日常用語で言う証拠、判断に資するような書類や物は、これは関連性があるとされるわけですから、基本的に提出されるということでありまして、通常審においてもそのような運用がなされた上に、更にそれが幅広く実務に定着して、そういうことを逐一、いろいろなことでなくても任意に開示する運用も極めて広く行われているという趣旨を指しているというのがまず現状です。

 その上で、再審請求審におきましても、その通常審の運用を準用といいましょうか、反映するといいましょうか、そのような運用が定着した中で、裁判官、検察官がそのような運用を行ってきた、さらに、それ以外のものについても広く開示したり、あるいは、今回の提出命令でいきますと、裁判所に提出するだけじゃなくて弁護人に直接開示してほしいという御要望もあるわけでありまして、現に今もそういうことが行われているわけでありますので、提出に限らず、同時に弁護人に写しを交付するといったことも、従来の運用として行われるだろう。

 こういったことを指して、不当に狭くなったりすることのないようにという趣旨で、そういう懸念が示されたことを踏まえて、そのような附則を作ったということでございます。

○西村(智)委員 狭くならないようにというのと広くなるようにというのでは、疎明する側の責任の重さというのがやはり変わってくると思うんですよね。狭くならないようにというと、これはなかなか大変ですよ。より広がりを持つようにというと、これは疎明の側の責任というか苦労も、まあまあ適切な範囲であるということなんです。

 私は、この第四百四十五条の二の第一項、ここの相当と認めるときという言葉についても同じ趣旨、同じスタンスで質問したいと思っているんですけれども、相当と認めるときということになりますと、やはり疎明する側に結構な責任が乗ってくる。これはなかなか、やはり今までの実務でもそうだった。

 今回、私は、法改正によっても、それほどたくさんの証拠ががっと出てくるというふうにはなかなか実は思えないんだけれども、仮に、相当と認めるときという疎明を弁護側があるいは再審請求人がするということになるときに、やはりこれはちょっと重たいんじゃないか。

 考えますのは、相当でないと認められるときを除き、相当であるじゃなくて相当でないというときを除きというふうにこれを変えるということは最低限必要なんじゃないか。これは、三つの要件ですか、関連性、必要性、それから相当性、これに限定しているという原則を逆の方に転換するという意味でもあると思うんですけれども、これについてはどうでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 通常審の証拠開示の手続におきましても、関連性と必要性、相当性という要件がありまして、そのように運用されて広く開示されているということなんですけれども。

 その必要性と相当性のそもそもの意味ということになりますが、今、通常審で扱う場合に、その主張に関連する、例えば、犯罪が成立しないとか、犯罪の有無についての関連する証拠、判断に資する証拠というものがまずあるとして、そうであれば、通常、必要性、相当性というのは、取り調べる必要はあるのが通常でありますし、かつ、相当性があるというのが通常であると思っています。

 その上で、相当性というのは何かといいますと、例えば、犯罪の有無に関連する証拠、判断に資する証拠として、例えば手帳があったときに、手帳そのものとしては関連する証拠なんですけれども、そこにはいろいろな、毎日の日記が書いてあって、被害者のかなりのプライバシーが書いてあるといった場合に、そこ以外の、関連する証拠であって必要性があるけれども、ここはプライバシーに関わりますよねということで、そこのマスキングを許すような、そういったイメージであったり。例えば性犯罪でいけば、例えば犯行状況を撮影した映像とか画像がある場合に、これは関連する証拠ではある、判断に資する証拠ではあるんだけれども、かつ、必要性もあるのかもしれないけれども、主張の内容によっては。しかしながら、そこまで調べなくても、全部、例えば裸体とか、部分をマスキングすることによっても目的を達することがあるだろうというようなことで、そこにマスキングを許すような形で、相当性の要件は使われているということだと理解しています。

 そういう意味で、相当と認めるときというのは、通常、関連する証拠として、判断に資する証拠だと認められれば、その取調べの必要は当然あることが通常ですし、相当であることも通常なんですが、そういったプライバシーの観点から、個人の秘密みたいな観点から、あるいは捜査の秘密である場合もあるんですが、その一部分のみを開示する、見せる、提供するといったことを可能にするような要件ということでありまして、これを相当と認めるときにするのか相当でないと認めるときにするのかは、そのような実情に対する見方、それをどれだけ重要視するかということとも関わるとは思うんですけれども。

 私どもとしては、通常審でそのように運用されておりまして、その運用は、例えばほかの人の、関係者のプライバシーとの関係で、あるいは防御の利益との関係で大きな影響を生じていない運用が行われていると思っておりますので、通常審に倣った規定を設けたということでございます。

○西村(智)委員 今局長は、私どもそのような運用をしておりましてというふうにおっしゃって、刑事局長として、法務省の方としてこの場で答弁しておられるので、今の答弁はちょっとどうかなと思います。

 ただ、プライバシーの侵害のおそれというふうにおっしゃるんですけれども、再審ですから、事件発生から一定の時間は経過しているというふうに思うんです。ですから、通常審と異なる取扱いをするとしても、それは私は、必要性や合理性というのはあるというふうに思っています。今みたいなお話をずっとされるんですけれども、そうすると、結局、じゃ、今までと何が変わるのかなというふうに、やはり元々のところに立ち戻っていかざるを得ないんです。

 そういったことを避けるために、再審請求人ですとか弁護人の側が主張を組み立てるためにも、やはり大事なのは証拠のリストである。このリストを見れば、何がどこにあって、何が足りないのか、そして何があるのかというのを知ることができる。だから、リスト開示を是非義務づけてほしいというようなお話は、私もたくさん伺っています。これについてはどうでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 再審請求審は、職権主義の下で、裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断する手続ということでございますので、再審請求者側への証拠の一覧表の開示を義務づけるということではなくて、裁判所が、証拠の提出命令に係る判断に当たりまして、検察官に対して、その保管する証拠であって、裁判所の指定する範囲に属するものの標目の一覧表の提示を命ずることとしています。

 これは、先ほどの関連する証拠かどうかを判断するための第一弾の話でありまして、先ほど申し上げたように、再審請求理由の判断に資さない証拠も含めて裁判官には示して、それが資するかどうかを裁判官に現物も示すことがあって、その上で判断してもらうという趣旨で設けたものでありまして、そのような観点からいきますと、このような制度が合理的だというふうに考えているところでございます。

 一方で、再審請求者等側が裁判所に証拠提出の命令の請求をする際の証拠の特定というのは概括的なもので足りるということでありまして、請求に係る証拠を識別できる程度のもので足りるということでありますので、証拠の一覧表がなくても十分可能ではないかというふうに考えているところであります。

 特に、再審請求人側からすると、そもそも確定判決においてどのような判決が書かれてどのような証拠で有罪が書かれたかということは全て基本把握しているというのが一つですし、そもそも、その方が、例えば自分が犯人でないということであれば、自分が犯人でないのに有罪とされた、例えば目撃者の証言がおかしい、この目撃者の証言は誤っているとか、この鑑定書が結論として誤っている、こういうことを再審請求人側は当然承知しているという状況でありますので、そのような争点、主張、請求理由に関連して、様々な識別できるような程度の請求に係る証拠を特定するようなことは、これは十分可能であるというふうに考えているところでございます。

○西村(智)委員 ただ、これまでも、無罪方向での証拠が開示されないということは、しばしば多くの再審無罪事件であったわけなんです。だから、私は、やはりリストの開示というのは必要だというふうに強く思っています。

 それに関連してなんですけれども、やはり、検察と警察の中での証拠の管理、保管、これが一体どうなっているのかという問題はあると思っております。

 袴田事件で、五点の衣類のカラー写真のネガフィルム、あるいは取調べの録音テープ、これが開示されるまでに非常に時間がかかりましたよね。だけれども、二〇一一年には、検察官は、カラー写真のネガフィルムは存在していないというふうに回答していたわけなんです。

 実際に、このネガフィルムと録音テープが開示されたというのは実際はいつですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 ネガフィルムと録音テープでよろしいですね。

 検察当局が令和六年十二月二十六日に公表したいわゆる袴田事件に関する検証結果報告書等によりますと、御指摘のネガフィルムについては、平成二十六年五月三十日になって警察庁舎にあった段ボール箱内から発見されたことを受けて、同年九月十日、検察官が裁判所に提出するとともに、その内容を弁護人にも開示したものと承知しております。

 また、先ほどの検証結果報告書によれば、御指摘の録音テープにつきましては、平成二十六年十月に再度録音テープの開示が申し立てられたことを受けまして、検察官が警察に対して未送致記録等について徹底した確認を依頼した結果、同月二十日、警察署においてオープンリール式の録音テープ二十四巻が発見され、平成二十七年一月三十日に当該テープを複製した電磁的記録媒体を裁判所に提出したものと承知しているところでございます。

○西村(智)委員 警察にある段ボールの箱の中からカラー写真のネガフィルムが発見をされたと。

 録音テープは二〇一〇年に一巻だけ開示をされて、その後、今二十四巻とおっしゃいましたね、二〇一五年に二十三巻が開示されて、それで合計の二十四巻だと思うんですよ。期間がばらばらなんです。

 一体何でこんなに時間がかかったのか、教えていただけますか。法務省と警察庁に伺います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のネガフィルムに関しては、先ほど申し上げました検証結果報告書におきまして、平成二年一月の時点で弁護人から開示を求められていたにもかかわらず、検察官が、本件解明にとって不可欠な重要写真は既に必要に応じて提出されているなどとして、証拠の提出に応じず、消極的とも言える姿勢を示しており、検察官において開示に向けてより積極的に行動していれば、より早期に探索が行われ、弁護人に開示することができた可能性があったこと、長期にわたって裁判所による審理が行われている場合における客観的な捜査資料の管理、把握が十分でなかったことなどが指摘されているものと承知しております。

 また、御指摘の録音テープに関しましては、同じく検証結果報告書におきまして、証拠物として適式に保管されていたものではなくて、検察官に送致されることのないまま、捜査資料として警察署で事実上保管されていたことがうかがわれ、先行して開示した録音テープ一巻以外の存在を把握しないまま回答したことの主たる原因は、この保管、把握の状況が十分でなかったことにあると言わざるを得ないなどと指摘されているものと承知しているところでございます。

○遠藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事案につきましては、静岡県警察において、再審無罪判決を踏まえての今後の一層の適正捜査の推進に資する教訓を得るべく、事実確認を行ったところでございます。

 静岡県警察による事実確認におきましては、ネガフィルムにつきましては、当時、その保管、管理に関する規定がなかったり、また、取調べの録音テープにつきましては、証拠物件として保管、管理すべき対象として捉えられていなかったりしておりまして、結果として、整理整頓されないまま、倉庫内で他の資料に紛れていたものと認められるとされております。

 これを受けまして、証拠物件や捜査資料等の管理につきましては、関係規定に基づいて厳格な保管、管理を徹底するなど、今後も適正化の取組を継続していくべきとの教訓が得られたところでございまして、この教訓を踏まえて、警察といたしましては、より一層緻密かつ適正な捜査を推進してまいりたいと考えております。

○西村(智)委員 時間になりましたので終わりますが、本当に不適切な管理や保管の状況があって、これだけ証拠の開示が遅れたということがあるわけなんです。私は、少なくとも、警察や検察における証拠の管理、保管というのは、今法案の射程には入っていないわけなんですけれども、やはりきちんと入れるべきだというふうにも思います。

 大変心残りですが、時間になりましたので、次の機会に譲りたいと思います。また次も質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

○井上委員長 次に、藤原崇君。

○藤原委員 藤原崇でございます。

 本日は、再審法改正案ということで、私も質疑の時間をいただきました。委員長、理事始め、委員の先生方に大変感謝をしております。

 それでは、私の方からも、今回は三十分という中なんですが、まずは条文のこと、それぞれ先生方がやると思うんですが、それと同時に、それを実際に運用するときにどういうふうに統制を図っていくか、そういう問題意識の下で質問させていただきたい、それから、若干、条文について明らかにすべき点を明らかにしていきたいと思います。

 まず、総論的に大臣にお伺いをいたします。

 今回の改正案については、証拠の提出命令制度の対象範囲は限定的ではないか、あるいは、再審開始決定に対する検察官の不服申立て、これも全面禁止ではなく不十分ではないかとの指摘もございます。本案について誤判からの速やかな救済に資するものとなっているのかどうなのか、これに関する見解をお伺いしたいと思います。

○平口国務大臣 お答えをいたします。

 本法律案においては、証拠の提出命令制度を創設し、裁判所は一定の要件の下で検察官に証拠の提出を命じなければならないこととし、再審請求者等に証拠の提出命令に係る請求権及び不服申立て権を付与することとしております。同制度の適切な運用を通じまして、必要十分な証拠が迅速に裁判所に提出されることとなるわけでございます。

 また、本法律案においては、再審開始決定に対する検察官の不服申立てのより慎重で抑制的な運用を確保するため、再審開始決定に対する不服申立てを原則として禁止するとともに、審理の不当な長期化を防止するため、再審開始決定に係る不服申立てについて、それぞれ一年以内に係属裁判所の決定がされるよう努めなければならないということとしております。

 加えまして、本法律案においては、再審請求者等の手続保障の充実を図るための諸規定の整備を行うこととしております。

 このように、本法律案は、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするために必要な法整備を行うものでございまして、誤判からの速やかな救済に資するものと考えております。

○藤原委員 ありがとうございます。

 今後、条文の抽象的な規定について、今までの質疑でもございましたけれども、実際にどういう場合を指すのかということ、これをしっかり明らかにしていっていただくことで、そこの、法務省の先ほどの答弁の趣旨をしっかり示していただきたいと思っております。

 それでは、私は、検察官抗告について若干お聞きをしていきたいと思います。

 若干技術的な話なんですが、検察官抗告の制限につきましては、当初は附則で記載がされておりました。検察官は、再審開始の決定に係る不服申立てについては、取り消すべき十分な理由があると認める場合でなければこれをしてはならない、これはいわゆる検察官に対する行為規範として当てられています。

 その一方で、四百五十条、今回削除すると同時に入れられた、四百五十条の二の規定においては、十分な根拠がある場合に限り、即時抗告をすることができるとあります。これは、検察官を名宛て人としては一見すると読めないわけでありますが、実体法上、抗告の事由をこの場合に限った、そういう理解でよろしいでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 改正後の刑事訴訟法第四百五十条の二第一項及び第二項は、修正案における附則に記載していたときと同様に、検察官が再審開始決定に対する不服申立てをするか否かを判断するに当たって遵守すべき行為規範を定める趣旨の規定であります。

 抗告裁判所としては、抗告に理由があるかどうかを判断するものでございまして、本法律案において、不服申立てにつきまして当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠を要することとしているのは、これを裁判所による判断事項とする趣旨ではございません。

○藤原委員 ありがとうございます。

 条文をぱっと見ると、これを検察官の行為規範としては読めないであろうと思いますし、同時に、私も説明を受けたんですが、抗告の理由というか、裁判所が破棄する理由と抗告の理由が必ずイコールなのかというと、そこは必ずしもそうではないのかなと思っておりまして、ある意味ドグマではないかということはお話ししたんですが、ただ、法務省としてそういう認識だということはしっかりと議事録に示しておくことが必要だと思っておりますので、お尋ねをしました。

 そしてもう一つ、四百五十条の二においては、附則の段階では十分な理由という文言でした。しかしながら、これが条文に、本則に上がった際に、十分な根拠というふうに変わりました。この趣旨についてお伺いをします。

○佐藤政府参考人 御指摘の条文の、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合というのは、不服申立てにより再審開始決定等が取り消される蓋然性が高いことを裏づける合理的な根拠がある場合を意味するものでございます。

 具体的な規定ぶりがこのような修正の経緯をたどり、これを十分な根拠というふうに記載するに至った理由でございますが、判断根拠として客観性のあるものを必要とするという趣旨を含めまして、ただいま申し上げたような趣旨を明確に表現する観点からは、理由よりも根拠という文言を用いる方がより適切ではないかと考えられたこと。

 それから、理由という文言を用いた場合に、抗告自体の理由、ほかの条文で使われているものでございますので、抗告自体の理由とは意味が違うものでございますので、これと混同されるおそれがあると考えられたことから、十分な根拠としたものでございます。

○藤原委員 ありがとうございます。なかなか用例として使われないところがありますので、そこはしっかりお話をいただきました。

 この抗告原則禁止、さはさりとて、抗告ができるではないかというふうなところがあります。十分な理由がある場合、しかしながら、やはりこれをしっかりコントロールをしていくということが大事なんだろうと思います。最終的には、十分な理由があると行為主体である検察官が判断をすれば抗告ができるというふうなたてつけになっております。じゃ、これをどういうふうにコントロールしていくかということが重要だと思います。

 それで、私が重要だと思うのは、附則の五条、いわゆる百日裁判の例に倣った規定でございます。この規定におきましては、いわゆる抗告審につきましては、一年以内に判断をすべきだというふうに規定がされています。これの前提として、いわゆる公選法の百日裁判、選挙の公選法違反なんかです、これが実際に百日以内に判決せよとされておりますけれども、実際の運用状況はどうなっているのか。一審において実際に守られている例、それから全体の平均審理期間、これはどちらも、いずれも一審においてどうなのかという状況をお示しください。

○平城最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令和元年から令和五年に終局したいわゆる百日裁判事件の第一審の審理期間について申し上げますと、受理から終局までが百日以内であった人員が七五%でございました。また、平均審理期間は百十七・三日でございました。

○藤原委員 ありがとうございました。おおむね百日裁判では、一審ということですけれども、それを遵守されているというふうに言っていいんだろうと思っています。

 逆に、今回、附則で一年というのを入れるに当たって、当然、法務省だけの判断ではなく、最高裁とも協議をした上で一年ということを入れたんだろうというふうに思っています。その意味では、この一年間、しっかりある程度守れる前提でこれは入れてきたんだと思うんですが、現在、再審開始決定に関する抗告審は平均でどれくらいかかっているでしょうか。

○平城最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、即時抗告審及び異議申立て審の審理期間について申し上げます。

 再審開始決定がされた事件のうち、平成十三年から令和七年までの間に即時抗告審又は異議申立て審が終局したもので、最高裁事務当局として把握している事例について申し上げますと、即時抗告又は異議申立ての提起から終局までの月数は平均二十二・六月でございました。

 次に、特別抗告審の審理期間について申し上げます。

 請求審第一審、即時抗告審又は異議申立て審において再審開始決定がされた事件のうち、先ほど申し上げました平成十三年から令和七年までの間に特別抗告審が終局したもので、最高裁事務当局として把握している事例について申し上げますと、特別抗告の提起から終局までの月数は平均十五・四月でございました。

○藤原委員 ありがとうございます。即時抗告が二十二か月、特別抗告が十五か月。

 これは少しでも短くするということが重要でありますし、それと同時に、常々議論がされているとおり、短いからやってもいいんだというわけではないということは当然なことでございますけれども、最高裁、法務省としては、この二十二か月の即時抗告審、あるいは特別抗告審の十五か月、これは十二か月の中で収める努力をするということでこの附則を入れたということであります。このことは非常に重要だと思っております。

 もし即時抗告をする場合には、即時抗告をする旨、そしてその理由を検察庁として公表しなければいけない、これも刑事訴訟法に入っている。そこで、ちゃんと世間に対して、こういう理由があるから我々は即時抗告をするんだ、覆る十分な理由があると思っているんだということをしっかりと明らかに説明責任を果たしていく。

 それと同時に、通常の運用であれば、今後は一年以内に結果が出るということになります。そうすると、一年前に十分な理由があるというふうにお話をしたこと、それがそのとおりだったかどうだったかということが一年後に結果が出るということになります。当然、場合によっては、そのときの担当者がそのまま一年後にも説明責任を問われるということになるわけであります。

 検察官が、十分な理由があるかどうかということは、これは内心の判断ですので、最終的にはコントロールが難しい。だからこそ、対外的にしっかりと説明責任を果たしていただく、民主的な目にさらされることによって抑制をしていくということが私は必要だろうと思っています。その意味では、即時抗告をするときにしっかり世間に理由を出すということは、非常に重要であります。

 しかし、同時に、もう一つ私の方から問題提起をしたいのは、万一、即時抗告をして、我々はこういう理由があって即時抗告ができるんだ、十分な理由があるんだといって抗告をして、そして一年後に、それが残念ながら、残念ながらというか、認められなかった。認められなかったときに、四百五十条の二の第三項二号によると、即時抗告が棄却されたことは公表するとしています。

 しかし、その場合に、特別抗告をするのであればその旨とその理由は公表するんですが、棄却されて再審開始決定が確定したときには、特に見解を公表するとかそういうことは条文上書いていません。しかしながら、一年前にこういう理由があって即時抗告するんだといって、それが一年後に敗れたのであれば、やはりそれに関する見解を、特別抗告をしなくても示すということは必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の公表につきましては、検察官の不服申立てのより慎重で抑制的な運用を確保する観点から設けているものでございまして、今御指摘の、検察官の即時抗告を棄却する決定があったのに検察官が特別抗告をしなかった場合におけるその理由については、検察官が不服申立てを行うという場面でないので、ここに、条文に言う公表の対象とはしていないところであります。

 もっとも、御指摘のように、検察当局においては、個別の事案ごとに、刑事訴訟法第四十七条の趣旨を踏まえて、公益上の必要性であるとか、関係者の名誉、プライバシーなどを考慮して対外公表などを行っているところでございまして、御指摘の事項についても、当然、社会の注目を浴びるということを想定して、個別の事案に応じて適切に対応していくことが必要ではないかと考えられるところでございます。

○藤原委員 抗告を繰り返している、無意味に繰り返しているのではないかという批判があります。それの是非はおいておいても、やはり非常に重いものです。再審請求をしている方々にとっては非常に重いもの。検察も、それは適正にやっているとか、法と証拠に基づいてという紋切り型ではなく、やはり常に説明責任が問われているんだ、逆にそういう目線にさらされているんだということを後ろに考えた上でこれは対応していく意味でも、万が一、抗告をしつつも棄却された場合、これの対応については説明責任という観点を是非ともお願いをしたいというふうに思います。

 次に、証拠の提出命令に参ります。

 総論的なお話から参ります。再審請求審で証拠の適正管理、目的外使用の禁止に関する規定、これを整備した趣旨についてお伺いをします。刑事局長に伺います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 現行法上、通常審や再審公判における検察官開示証拠につきましては、証拠の複製等の適正管理及び目的外使用の禁止に関する規律が設けられているのに対し、再審請求審における検察官提出証拠についてはそのような規律が設けられていないところでございます。通常審と再審請求審とでは関係者の名誉、プライバシーの保護等の必要性に違いはなく、現状の取扱いは不均衡であると考えられます。

 また、本法律案において新設する証拠の提出命令制度によって提出された証拠の複製などにつきまして、管理の適正を欠いたり本来の目的以外にも使用できるとなると、関係者の名誉、プライバシーの侵害等の弊害が生じるおそれがあって、その結果、そうした事態を懸念して提出命令が適切に広く活用されないことともなりかねないと考えているところでございます。

 そこで、本法律案においては、再審請求審において謄写した証拠の複製等が適正に管理され、本来の目的にのみ使用されることを担保するため、この適正管理、目的外使用の禁止に関する規定を整備しているところでございます。

○藤原委員 ありがとうございます。

 この目的外使用の禁止、これは今後、仮に成立すれば具体的なということになるんですが、今日お姉様がいらっしゃっていますけれども、例えば袴田事件の際には、いわゆる五点の着衣のカラー写真、これを弁護人において公表したということであります。このようなことを本改正案の下で行った場合、これは処罰をされるのかどうなのかということ、これについてお伺いしたいと思います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、罰則の関係でありますけれども、弁護人は対価を得る目的で複製等を交付しなければ処罰の対象になりませんので、そもそも罰則の対象に、先ほどの事例は、私は詳細は知りませんけれども、そういうことではないはずだと思われますので、そのように理解しております。

○藤原委員 そういう形で条文上はなっているということであります。

 もう一つ、これは質問をあえてしません。

 四百四十五条の五の第二項においては、前項の規定に違反した場合の措置というふうに規定をしておりますけれども、まさしく被告人あるいは再審請求者の防御権というもの、これをしっかり最大限尊重した上で運用していただきたいということですね。

 これは私の方からお願いをしておきますが、そこだけ承っていただければと思いますが、刑事局長、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 そのように対応するよう、関係機関に周知させていただきたいと思います。

○藤原委員 ありがとうございます。

 次に、条文に関しては最後のところなんですが、四百四十五条の二の第一項、証拠提出命令、これで相当と認めるときは提出命令を発出できると。これは相当と認める主体は誰なのか、お答えください。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 審判の開始を決定した裁判所でございます。

○藤原委員 ありがとうございます。

 稲田委員、西村委員からありましたとおり、条文上これが不当に狭くならないように解釈をしていかなければいけないということ、これは非常に重要であります。しかし、最後に判断をするのは裁判所なわけであります。いかに条文をどういうふうに解釈をしようとも、どさっと目の前にある事件記録を見て、それを全部読んで、弁護人、検察官のやり取りを全て見た上で相当と見るかどうか、非常に個別性の高いものになってしまう。

 そういう意味では、条文として広く広く取るということも必要でありますが、それと同時に、進行していく、弁護人、裁判官、検察官。特に抗告については、幾ら解釈で狭くやったとしても、実際に事件記録を見たときにどう判断するかということ、これは検察官です。そして、提出命令の発令は、これはやはり裁判官です。

 実際に、条文も大事ですが、それと同時に、目の前で、裁判官室で事件をどさっと見て、あるいは検察庁でどさっと事件がある中で判断をするときに、適切に判断をしなければいけない。そのためにはどのように準備を進めていくのか、裁判所、それから法務省、この順でお聞きします。

○平城最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 本法律案が提出されるに至った契機といたしまして、一部の再審請求事件について審理が長期化し、再審請求者等に大きな負担を生じているといった御指摘や、また、再審請求審の手続に関する規定が少なく、再審請求者等の手続保障が十分でないといった御指摘があったものと認識しています。

 裁判所といたしましては、このような御指摘を真摯に受け止め、手続の主宰者として、本法律案で新たに設けられることとなった諸制度を適切に運用していく必要があると考えております。

 最高裁事務当局といたしましては、本法律案が成立した場合には、その内容とともに、立法に至った経緯を踏まえた議論の内容を周知したいと考えております。また、裁判官同士が、新たに設けられることとなる諸制度に関する審理運営上の留意点を議論し、広く共有することのできる機会を設けてまいりたいと考えております。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから指摘されているとおり、再審開始決定に関する検察官の不服申立てについては原則禁止としたわけでございます。そのために、公表規定であるとか一年以内の規定であるとか様々なことを設けているわけでありますけれども、これを受けて、検察当局を始めとして関係機関に周知したいと思っております。

 検察当局におきましても、検察官の不服申立てについて、全ての事件で十分かつ慎重な検討が確実になされることを制度として明確化しなければならないと、いわゆる袴田事件を受けて検討し、全ての再審開始決定について、検事総長訓令によりまして、検事正はあらかじめ検事長の指揮を受けなければならないといった運用を始めているところであります。

 したがいまして、本法律案で、様々な形で、先ほど御指摘もあったように、抑制的、謙抑的な運用がなされるようにということが担保されてくるわけでありますけれども、それを受けて、運用におきましてもそれをしっかり行ってまいりたいと考えることになるかと思います。

○藤原委員 ありがとうございます。

 特に、裁判所の断固たる姿勢というのは非常に重要であります。先ほどの福井事件もありましたけれども、提出命令を出す。やはり裁判官がぐっといけば、ルールと同時に、裁判官任官直後は自分の判断の重さということをしっかり自覚しているはずですので、十年、二十年たってくるとちょっとあれなんですけれども、やはりそこをしっかり理解をしていただくということを引き続きお願いをしたいと思います。

 一問飛ばして、十三番に参りたいと思います。

 近年、検察に対する不信というのがあります。この中で、検察に対して外部の目を入れるということには意義があることでありますが、村木事件を契機に検察運営に関する参与会議が設置をされておりますが、近年ではおおむね年に一度しか開かれておりません。また、議事については要旨のみの公表となっております。

 開催頻度を考えると同時に、少なくとも議事については全文公開を原則とすべきではないでしょうか。刑事局長。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 検察運営全般に関する参与会は、御指摘のようにおおむね年に一回程度開催されておりまして、そのほか、最高検監察指導部におきまして、参与に対しまして監察結果等を定期的に報告して、必要な助言や意見を得るなどをしているところでございます。

 そのような中で、まず議事内容の掲載についてですけれども、現在は、忌憚のない率直な意見、助言を賜る観点から、発言者が特定されないように配慮して、議事の要旨を公開しているということでございます。その一方で、参与の発言は可能な限り具体的に引用しているということでございまして、参与の検察に対する意見、助言を正しく国民に伝えることを意識したものであるとは承知しております。

 ただ、検察当局におきましては、忌憚のない率直な意見、助言を確保しつつ、より一層参与の意見、助言を正しく国民に伝える観点から、議事公開の在り方、あるいはその運営の在り方についても不断の検討をしていくことになるだろうというふうに考えております。

○藤原委員 ありがとうございます。前向きに受け取らせていただきました。

 それから、監察指導部で助言、意見をしているということですけれども、これはどれくらいの頻度でやっているのかということは公表されておりますか。刑事局長に伺いたいです。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 監察結果等の報告はおおむね四半期に一回程度行っているという状況だと聞いております。

○藤原委員 これも四半期に一回やっているけれども、どういう話があって、それを検察がどう受け止めているかということ、やはりこれもオープンにしなければいけない。今回、法制審の議事録というものが非常にいろいろな意味で議論になりました。やはりオープンにして世間の目にさらしているということ自体が非常に大きな意味があるんだろうというふうに思っています。

 その意味では、監察指導部のコミュニケーションを含めて、できる範囲で公表していって世間の統制を受けていくということがこれからの検察にとって必ず必要なことだろうと私は思っています。

 今回、自民党の党内議論をしましたけれども、非常に様々な、時間をかけました。その根底には検察に対する大きな不信感があったんだろうと思っています。刑事局長は、法務省の実務責任者として党内議論への対応を行ってきました。今回感じた、検察に対して大きな不信感があるのではないかということ、これについてどう受け止めたかということ、また、今後それにどう対応していきたいかということについてお聞きしたいと思います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の党内議論による指摘などを含めまして、今回改めて検察不信が極めて厳しいということを私自身も痛感したところでございます。

 その上で、我々としては、刑事局といたしましては、そのような指摘を謙虚に誠実にちゃんと受け止めて、いろいろ考えていかなきゃいけないというふうに思ったことが一つと、あと、やはり検察の活動というのは国民の信頼の上に成り立っておりまして、国民の協力等がなければ捜査も公判も成り立たないものでございますので、そういった検察権の行使に適正さが、疑いが持たれるようなことがあれば、この活動の基盤を揺るがしかねないということも一方で思っている次第です。

 もう一つは、我々の世代と、今若い子たちが一生懸命、捜査、公判に頑張っているところでありまして、彼らが検察の活動をきちんとできるような環境整備を我々はつくらなきゃいけないということを改めて思ったものでございまして、我々の立場で、今回様々な御指摘いただいたことを糧にして、糧にしてというとちょっと言葉があれかもしれませんが、ちゃんと中身にして、今後、検察当局においても適正な検察権行使に努めていただきたいと思っていますし、法務省としても、その役割を果たしてまいりたいと考えたところでございます。

○藤原委員 ありがとうございました。

 まさしく、今回の法案と同時に、検察というものの在り方が問われているわけでございます。是非その点を重く受け止めて、法案審議、さらに、その先の法務行政の推進に取り組んでいただければと思います。

 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございます。

○井上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。金村龍那君。

○金村委員 日本維新の会の金村龍那でございます。

 昨日の本会議における代表質問に引き続きまして、本委員会においても再審制度に関する刑事訴訟法の改正案について質疑をさせていただきます。

 この再審制度は、確定有罪判決に重大な誤りがあった場合に救済するための最後のとりでであります。袴田事件を始めとする再審無罪事件を通じて、国民の間にも再審制度の在り方に対する関心が高まっており、今回の改正は極めて重要な意義を持つと認識しています。

 加えて、やはり冤罪はあってはならない。まして、冤罪、無実の罪で実際に例えば刑務所に入っている皆さんがその無実を晴らすために再審制度というのは極めて重要な制度であるということと同時に、やはり冤罪をなくすためには通常審の中でいかに精度を高めていくのか、担保していくのかという視点も重要です。一方で、やはり冤罪が起きてしまえば真犯人はどこかにいるということですから、それを許してはならない。加えて、被害者側、遺族だったりのいわゆるプライバシーの問題、様々な視点があると思っています。

 そういう意味では、今日の質疑を通して、幾つかこういった問題点を解消していければと思います。

 まず、証拠開示について質疑をさせていただきます。

 昨日の本会議では、大臣から、袴田事件における五点の衣類のカラー写真や、福井女子中学生殺人事件の音楽番組に関する捜査報告書のように、これまでの再審無罪事件において再審開始に極めて重要な役割を果たした証拠については、改正後の証拠の提出命令制度の下でも裁判所に提出されることについて答弁をいただきました。本委員会では、証拠の提出命令制度について掘り下げてまいりたいと思います。

 まず、前提として、本法律案において証拠の提出命令制度を設けることとした趣旨、目的について、当局、お答えください。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 再審請求審におきましては、裁判所が再審請求理由について判断するに当たりまして、検察官に対してその保管している裁判所不提出記録等の提出を求めることがございます。

 もっとも、そのような求めにつきましては、現行法に明文の規定がないところ、近時、再審無罪事件も契機といたしまして、再審請求者等に請求権がなく、要件、効果も定まっていないことから、再審請求者等の手続保障が必ずしも十分でないであるとか、提出をめぐる争いが生じて手続が遅延するなど裁判所による審理の運営に困難が生じているとの指摘がなされているところでございます。

 そこで、本法律案におきましては、再審請求者等の手続保障の充実や再審請求審における審理の円滑化、迅速化を図るため、再審請求審における証拠の提出命令制度を創設して、審判開始の決定をした裁判所は、一定の要件の下で、検察官に対し、再審請求の理由に関連すると認められる証拠の提出を命じなければならないこととしたところでございます。

○金村委員 今の御答弁ですと、いわゆる構造的な問題を正面から捉えたと受け止められるかなと思いますので、そこは評価したいなと思う反面、やはり私は、改めて冤罪というものを中心に置いたときに、どうしてもやはり問いたいのが、通常審の中の話です。今回の証拠の提出命令制度の意義や必要性を議論するには、通常審における証拠開示制度の整備状況を踏まえた検討が不可欠であると考えています。

 そこで、次の質問に移りたいと思います。

 平成十六年の刑事訴訟法改正によって、通常審における証拠開示制度が整備され、実務が大きく変わったと承知しています。その上で、この平成十六年改正で証拠開示制度が導入された経緯及び制度の概要について、法務当局からお示しください。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 平成の一桁あるいは十年代の当初のことでありますけれども、刑事裁判は様々な意味で問題を抱えておりました。とりわけ、裁判が十年たっても二十年たっても終わらないというようなことがございました。そういう中で、平成十五年に裁判の迅速化法ができたりするほかに、司法制度改革審議会などにおきまして、こういった刑事司法にまつわる様々な問題を解決するために議論が行われまして、その中で、この通常審における証拠開示の制度についても議論されることになったということであります。

 その刑訴法改正により証拠開示制度が導入される前ということでありますが、その時点では、検察官が取調べを請求する証拠につきましては、刑訴法の規定によりまして、あらかじめ被告人側に開示しなければならないというふうにされていたところではありましたけれども、それ以外の、証拠として請求しないものである、いわゆる検察官手持ち証拠につきましては、開示についての規定がございませんで、最高裁の決定で示された基準に従いまして、裁判所の訴訟指揮権によって証拠の開示を命じることがあり得るというところにとどまっておりました。

 このような状況につきましては、平成十三年の司法制度改革審議会意見書におきまして、最高裁の決定で示された基準の内容や開示のためのルールが必ずしも明確でなかったこともあって、開示の要否をめぐって紛糾することがあり、円滑な審理を阻害する要因の一つになっていたという指摘がなされたところでございました。

 そこで、平成十六年の刑訴法改正によりまして、公判前整理手続、公判の前の整理の手続における争点あるいは証拠の整理と関連づけた証拠開示制度が導入されました。それまでは、争点であるとか証拠の整理が行われないまま裁判がずっと続く、十何年も続くみたいなことが普通にあったということでございます。

 まず、その制度の内容ですけれども、検察官が証明しようとする事実を提示する、その証明に用いる証拠の取調べを請求するとともに被告人側に開示するというのが一段階であります。次に、被告人側が検察官請求証拠の証明力を判断するために必要な一定の類型の証拠、これはいわゆる類型証拠と呼んでおりますが、検察官が被告人側の請求により開示するという第二段階のパターンがありまして、その上で、被告人側が公判で予定している主張を明示する、その主張に関連する証拠、いわゆる主張関連証拠についても、検察官が被告人側の請求により開示することとされたということでございます。

○金村委員 ありがとうございました。

 その上で、改正後、いわゆる証拠開示制度の実際の運用状況について、法務当局から御説明をお願いいたします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、検察当局におきましては、弁護人からの類型証拠や主張関連証拠の開示請求に対しましては、法律の規定に従って請求や開示の要件の存否を適正に判断した上、それを踏まえて争点及び証拠を十分に整理するということとともに、被告人側が防御の準備を十分に整えることができるようにするという開示制度の趣旨にのっとりまして、審理の見通しなどの様々な事情を考慮しつつ対応しているということであると承知しています。

 この平成十六年の改正後、当初はそれまでの運用とかなり違ったことになったものですから、おっかなびっくりといいましょうか、徐々にということもあったと思いますけれども、少なくとも、現在までにかなり広く開示することが一般化しまして、制度は定着しているという状況にございます。

 それから、その結果として、検察当局におきましては、弁護人からの開示請求が類型証拠とか主張関連証拠の開示の法定の要件を満たすかについて疑義がある場合であっても、証拠開示の制度の趣旨、先ほどの審理の見通しなどの実情を勘案して任意の開示をしているところでありまして、そのような柔軟な証拠の任意開示が行われているのは公判前整理手続に付されていない事件についても同様であるというふうに認識しているところであります。

 御指摘の証拠開示の導入によりまして、一般的には、先ほど来申し上げたように、最初はおっかなびっくりであったかもしれませんが、徐々に、以前の運用による状況と対比して大幅に証拠開示が拡充されてきたというふうに評価しているところでございます。

○金村委員 テクノロジーの進化や時代背景、そういったもので人の営みは当然変化するわけですから、犯罪構成も変化していくわけですね。そういう意味では、制度は一定不完全であるという前提に立って、どうしたらこの制度がよくなるかというのを、日々、ある種、ある面でいえば研究し続けることが、より、無実の罪を着せられるみたいな、冤罪のようなことは私はなくなると思っていますので、しっかりそこは捉えていただきたいなと思います。

 その上で、この改正によって、重大事件や否認事件について争点と証拠を整理する公判前整理手続が導入され、段階的な証拠開示制度が整備されたことは、通常審における証拠開示の在り方を大きく前進させた改革であったと思っています。そして、平成十六年改正以降、運用の指針となる最高裁判例も出され、任意開示も柔軟に行われており、幅広い証拠開示の運用が浸透したと理解をいたしました。

 その上で、この改正後、通常審で審理が行われた事件についてこうした証拠開示制度が機能しているわけなので、再審請求審に至って初めて無罪につながる重要な証拠が明らかになるということは、十六年以降だと極めてまれなケースになってきているのかなと。とはいえ、実際にはまだ、平成十六年以降も、冤罪と思われる、まさに冤罪であったケースもありますので、そこは注意深く見ていく必要がありますが、大枠で捉えると例外的になってきているのかなと思っています。

 その上で、だからといって、十六年より以前の袴田事件や福井女子中学生殺人事件のような、まさに改正前の通常審で審理が行われた事件については、やはりしっかりと向き合っていく必要がある。だからこそ、今ここにこの再審法改正の議論が至っているということもしっかり御理解をいただきたいと思います。

 次に、本法律案の証拠の提出命令制度の制度設計について確認をしたいと思います。

 この証拠の提出命令制度は、通常審における証拠開示制度とは幾つかの点で異なる設計となっています。一つ目は、通常審では開示制度、本法律案では提出命令制度という形を取っています。二つ目は、通常審では一定の類型に属する証拠と被告人側の主張に関連する証拠という二段階の開示制度が設けられているのに対して、本法律案では、二段階に分けず、再審請求の理由と関連する証拠を対象としています。

 そこで、当局にお伺いいたしますが、証拠の提出命令の際、対象となる証拠を再審請求の理由と関連すると認められる証拠としているのはなぜでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 再審請求審は、裁判所が再審請求者の主張する再審請求理由について審理、判断する手続でございます。

 したがいまして、必要となる証拠というのは、提出命令の対象とする証拠としては、審理、判断に資する証拠、すなわち、再審請求理由と関連すると認められるものとすることが合理的ではないかというふうに考えられたということでございます。

 一方で、通常審と比べますと、再審請求審におきましては、通常審の場合は一から始まる、そもそも、どのような争点があるかというところから始まる、手続が行われるということでありまして、起訴状一本主義で、裁判所に予断を持たせないまま手続が進んで、証拠調べも進んでいくわけでありますが、再審請求については、既に確定審がありまして、有罪判決の根拠とされた証拠であるとかその裏づけとなった証拠の全体構造というのは、確定審の判決書とか確定記録において把握できる。それから、裁判所の判断のどの認定が誤っているかということについては、再審請求者側が分かっている、あるいはそれを主張すべきであるというような構造に立っています。

 したがいまして、類型証拠といったよりは、先ほどの、通常審で言うところの主張関連証拠に平仄といいましょうか合わせる形で、通常審ですと主張に関連すると認められる証拠なのですけれども、こちらは再審の請求の理由と関連すると認められる証拠というふうにするのが合理的であるというふうに考えられるところでございます。

 その上で、ここで言う関連する証拠というのは、証拠という言葉には実質的意味はありませんで、捜査書類や物という意味でございます。したがいまして、再審理由についての判断に資する書類や物という意味でありまして、言い方が変わりますと、日常用語でいきますとこれが証拠でありまして、逆に言うと、判断に資さない書類や物というのは一般には証拠と呼ばないのではないかというふうにも思われるところでございます。

 そのような意味で、関連しない証拠という議論もありますけれども、捜査機関が保有する証拠の中で、書類とか物で、関連しないものといいますと、その外延もかなり広くなる、その範囲も分からないということもありますけれども、いずれにしましても、関連する証拠というのは、判断するに資する証拠の範囲が相当に広く捉えられる文言であると考えておりまして、そのような、通常審とも合わせる形で、通常審でもそのような観点で広く証拠開示がなされておりますので、ここでも証拠提出命令制度の要件にもそのようなものを使ったということでございます。

○金村委員 お聞きしていると、私の捉え方ですけれども、やはり通常審の信頼というか信頼性があって初めて成り立つ再審法だと思いますので、ここはしっかりこれからも、こういう機会だけではなくて、しっかり質疑してまいりたいなと思っています。

 その上で、本法律案において、証拠開示制度ではなく証拠提出命令制度、すなわち、検察官が再審請求者や弁護人に直接開示するのではなく、裁判所に提出させる仕組みとしているのはなぜでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の論点に関しましては、法制審議会において議論が行われたところでございまして、再審請求審においては、職権主義の下で、裁判所が、再審請求理由について判断するために必要な事実の取調べを主体的に行うということとされていることからすると、裁判所が再審請求理由の存否を判断するに当たって必要と認めた証拠については、検察官に命じて裁判所に提出させる仕組みとすることが再審請求の構造と整合的である、そして、裁判所に証拠を提出させる仕組みとしたとしても、裁判所に提出された証拠は刑訴法四十条一項によりまして弁護人が閲覧、謄写することが可能であることからその活動に支障は生じないといった意見が大勢を占めまして、答申においては、裁判所が検察官に命じて裁判所に証拠を提出させる仕組みとされたところでございまして、本法律案におきましても、これを踏まえまして、裁判所が検察官に命じて裁判所に証拠を提出させる仕組みとしているところでございます。

 なお、一方で、証拠の提出命令制度が創設されても、個別の事案におきまして、例えば、検察官が裁判所に証拠を提出するのと併せてその写しを再審請求者側に交付するといった運用もあり得るところでございまして、その方が全体に手続が迅速に進むということであれば、そのような運用は否定されないものでありますので、その点も検討していきたいということであります。

○金村委員 今の御答弁、御説明を踏まえると、既に確定した有罪判決が存在することを前提に、裁判所が主体的に、再審請求者側が主張する再審請求理由があるかどうかを判断する職権主義なわけですね。手続構造が根本的に異なるということだと理解をいたしました。

 本法律案の証拠の提出命令制度は、そうした違いを踏まえた制度設計であると思います。その上で、そうした手続構造の違いを踏まえて制度設計がなされていることは理解をしましたが、本法律案における証拠の提出命令制度の下で再審請求者側は証拠を閲覧することができるのか、教えていただけますか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 証拠の提出命令により裁判所に提出された証拠につきまして、弁護人は、刑訴法四十条一項によりまして閲覧、謄写することが可能でございます。

 また、再審請求者については、この閲覧の権利というものはないわけでありますが、裁判所の判断によりまして閲覧をすることが可能でありまして、裁判所におきまして、個別の事案に応じて適切に判断されるものと考えているところでございます。

○金村委員 再審請求者本人が証拠を閲覧できるかどうか、裁判所において個別の事案に応じて適切に対応されるということだと思うんですけれども、これは制度の趣旨が実際の運用において適切に実現されることが重要だと思っておりますので、引き続き運用状況を注視していく必要があることは申し上げておきたいと思います。

 次に、目的外使用の禁止について質問をさせていただきます。

 本法律案が新設する証拠の複製等に関する適正管理義務、目的外使用禁止規定について伺います。

 この規定に対して、日本新聞協会が反対声明を出しているほか、冤罪の社会的救済や国民の知る権利の観点から、マスコミの報道等に支障を生じさせるものであり、罰則まで設けることは過剰な規制であるといった批判や指摘というのは、昨日の代表質問でもさせていただきました。

 こうした批判は、再審請求審が非公開の手続であることを根拠に、通常審とは異なる取扱いをすべきだという主張に基づくものだと理解はしておりますが、しかし、この規定には十分な合理性があるのではないかと考えています。

 本法律案において再審請求審で謄写した証拠の複製等について適正管理義務、目的外使用禁止規定を整備することとした趣旨及びその概要について、御説明をお願いいたします。あわせて、通常審における目的外使用禁止規定が実際に適用された事例があるかどうかも踏まえてお答えください。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 現行法上、通常審及び再審公判における検察官開示証拠につきましては、証拠の複製の適正管理及び目的外使用の禁止に関する規律が設けられておりますが、再審請求審に関してはそのような規律が設けられていないところでございます。もっとも、通常審と再審請求審とで関係者の名誉、プライバシーの保護等の必要性に違いはなく、現状の取扱いは不均衡であると考えられます。

 また、本法律案において新設する証拠の提出命令制度によって提出された証拠の複製等につきまして、管理の適正を欠いたり本来の目的以外にも使用できるとなりますと、関係者の名誉、プライバシーの侵害等の弊害が生じるおそれがあり、その結果、そうした事態を懸念して提出命令が適切に活用されないことにもなりかねないということでございます。

 一方で、被害者団体からは、例えば、犯罪被害者が捜査に被害を届けた後に、その後何度も警察の取調べを受けたり、あるいは公判に行って証言しなきゃいけなくなったり、様々な負担が生じることで、多くの被害者が泣き寝入りすることもあるわけでありますが、そういう心理的な負担でですね。しかしながら、例えば、自らが取られた供述調書であるとか、自らが提出したスマホのデータであるとか、そういったものが、場合によっては、裁判のためなら我慢するとは思うんですけれども、対外的に公表される、報道される、もしそういうことがあると思ったならば、やはり被害を届けられないという方もおられるというふうに聞いているところでございます。

 そういった全体のバランスの中での話になりますが、本法律案におきましては、再審請求審において謄写した証拠の複製等が適正に管理され、本来の目的にのみ使用されることを担保するために、検察官から提出を受けた証拠の複製等の適正管理を弁護人に義務づけるとともに、その複製等を再審請求者等が再審手続やその準備等の目的以外で使用することを禁止し、一定の違反行為に罰則を設けることとしております。

 その上で、今御質問にありました通常審における証拠の目的外使用禁止に係る罰則の適用例について、統計が存在しているわけではありませんので網羅的に把握しているわけではございませんが、例えば、強制わいせつ事件の被告人であった者がその犯罪に係る事件の捜査報告書等の内容をインターネットに掲載したことにつき有罪判決が確定した事案がありましたり、児童ポルノ法違反事件の被告人であった者がその犯罪に係る事件の供述調書の抄本に関する複製の一部が閲覧可能となるURLをインターネットサイトに掲載したことにつき有罪判決が確定した事案があるものと承知しているところでございます。

○金村委員 まさに時代の変化とともに、そういったインターネット上に証拠を開示してしまうという事件が実際に起きている、それで有罪が確定している。これは被害者側の立場に立てばあってはならないことなので、そこは強く注視していかなければならない点だなと思います。

 その上で、まさに犯罪被害者を、どうプライバシーを守っていくのかということと、まさに知る権利とのある種のバランスが必要であり、それを網羅的にどう担保していくのかという課題だと思いますので、そこはもう少し議論が必要なんじゃないかなと思っています。

 次いで、いわゆる検察官抗告の在り方について少しお尋ねさせてください。

 本法律案の内容については、昨日、大臣からも御答弁をいただいております。その上で、無罪判決が確定した後に元被告人が真犯人であることを示す新たな証拠が発見された場合などに、検察官は再審請求をこの法律案で請求することができるのか、法務当局からお答えください。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 憲法三十九条は、何人も、既に無罪とされた行為については刑事上の責任を問われないと規定しておりまして、その趣旨に基づいて、現行の刑訴法におきましては、再審請求は有罪判決を受けた者の利益のためにのみでき、その者の不利益となる再審請求はできないこととされております。

 したがいまして、本法案の後も、御指摘のような場合に検察官が再審請求をすることはできません。

○金村委員 分かりました。

 その上で、いわゆる不利益再審を認めていないのは諸外国でも同じなのか、お答えください。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 諸外国における再審制度を含む刑事手続の在り方は、それぞれの国の実情等に応じて極めて様々でございまして、単純な比較ができるものではございませんけれども、お尋ねの不利益再審について把握している範囲でお答えすると、例えばドイツやイギリスにおきましては、我が国と異なり、有罪の言渡しを受けた者に利益な再審請求だけでなく、不利益な再審請求も認められているものと承知しているところでございます。

○金村委員 そろそろ時間もありますので、少し飛ばしまして、再審請求手続の審理の迅速化についてお伺いさせてください。

 審理の迅速化がどのように担保されるかについて、附則第五条の規定の目的と効果について昨日答弁をいただいたところでありますが、本法律案全体を通じて審理の迅速化はどのように確保されるとお考えか、大臣、御答弁をお願いします。

○平口国務大臣 お答えをいたします。

 本法律案においては、再審請求手続の審理に必要かつ十分な証拠が迅速に提出されるようにするため、証拠の提出命令制度を設けることとしているほか、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて、より慎重で抑制的な運用を確保するために、検察官の不服申立てを原則として禁止するなどして、例外的にこれをした場合には基本的に一年以内に裁判所の決定がされるよう努力義務を定めることとしております。

 さらに、再審請求手続の迅速化を図るため、再審請求審の審理に関するルールを明確化するための諸規定の整備を行うほか、再審請求手続の適正かつ迅速な進行及び関係者の協力に関する規定を設けることとしております。

 これらの法整備とその適切な運用により、再審請求審における審理の迅速化が確保されるものと考えております。

○金村委員 ありがとうございました。

 最後、あえて法務当局にお伺いしたいんですが、冤罪をなくすために、まさにこれから、捜査や取調べや様々いろいろなことをやってきたと思うんですけれども、冤罪をなくすためにこれから何に力を入れていかなければいけないのか、それをどのようにお考えか、最後、お答えいただけますか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 刑事事件の証拠というのは様々あるわけですけれども、例えば自白、やはり犯罪の中身を一番知っているのは本人であるのは事実であります。その中で、自白の信用性をちゃんと確保して、取調べの適正をきっちり図っていくことというのも重要でありますし、共犯者の供述などを適正に確保していくというのも重要であります。

 この適正性を保つというのは一つ大きいところでありますが、一番もっと今現実的な課題としてありますのは、客観証拠であります。DNA型鑑定を始めとする鑑定の高度化を図らなければなりませんし、防犯カメラ等の、これを見るのも大変な手間でありますけれども、様々な手段を通じて平易化していかなきゃいけない。

 さらには、デジタル系でありますね。スマホであるとかネット系の犯罪に対して、正直、なかなかそれに近寄れていない、近くに至れていないというのが事実でありまして、そこのデジタルフォレンジックを始めといたしまして、そういったことを協力していくことによって、例えば冤罪を防ぐという観点からも、客観証拠があるような、そういう形で集めて、合理的な、疑いを入れないような証拠を収集することが重要なのだろうというふうに思っております。

○金村委員 時間となりました。終わります。

 ありがとうございました。

○井上委員長 次に、小竹凱君。

○小竹委員 国民民主党の小竹凱です。

 本日も質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 昨日からいよいよ再審法改正案の法務委員会での質疑が始まったということでありまして、これまで自民党部会の中で長い時間をかけて様々議論をいただきまして、私も外から報道等で伺わせていただきましたけれども、本当に皆様の御尽力に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、昨日、私、本会議の質問にも立たせていただきました。やはり、大臣の答弁を聞いていても、まだまだ、論点といいますか、詰め切れていない部分が多々ありますし、もう少し前向きな答弁をいただきたいというふうに思いますので、今日は、まず、昨日の本会議の答弁を踏まえて、改めて質問から入りたいと思います。

 冒頭、ちょっと大臣に一問お伺いしたいんですけれども、昨日の答弁の際に、再審開始決定に対する検察抗告を全面的に禁じることに対して、三審制の下で確定した有罪判決を一回限りで判断をやり直すことになると裁判の紛争解決機能が損なわれるということを複数回答弁をされておったように思います。しかし、通常審と同様に、再審も三審制の形でありまして、更に言うと、再審開始決定というのは、いわばゲートが開かれた状態であって、判決ではないというふうに思います。決定であって判決ではないというふうに思います。一回ということを何か度々言っておりましたけれども、再審も三審制であるということの認識というか、この点についてどういった理解をされているのか、お願いします。

○平口国務大臣 再審については、再審請求審と再審と二通りあるんですね。それで、それぞれの点をクリアして判決がされるわけですけれども、再審請求審で、第一審でもってはねるとすると、全て最終の再審そのものに関わるわけで、それこそ、第一審で不服があり控訴した場合に、第二審で非常に混乱した議論になるということで、再審請求審というものが認められているわけでございますので、やはり、再審請求審も第一審と第二審と第三審を経た上で、それで再審をしようということになれば、第一審ないし二審、第三審というふうに進むのが適切であろうということでございます。

○小竹委員 今、再審請求審と、公判といいますか、地裁、高裁、最高裁が混合していたように感じるんですけれども、再審請求審によって、その決定によって、控訴することはできますよね、その判決に対して控訴することはできますよね、地裁の。それはされていないので、多分、大臣の答弁としては、判決に対する控訴は検察側がこれまでされてこなかったことから、再審請求審で一回というふうに言っているんだと私は認識したんですが、そういうことではないということですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘があったように、今、現状においては、通常審が三審制で行われておりまして、再審請求審、その再審請求理由の有無を判断する再審請求審も三審制で行われているということでございます。

 これにつきまして、いろいろな御意見がありました。再審請求審については検察官の抗告を全面的に禁止すべきだというお話がありましたり、大臣が先日来答弁しているとおり、三審制で固まったものを一回限りの決定で覆すのであれば、例えばそれだと四審制になってしまうのではないかという危惧があるといったような様々な御意見がある中で、今般、思っていますのは、原則として禁止する、十分な根拠がある場合に限るとした上で、そこには裁判官の慎重な判断、こちらの側によれば一切不服がないというような形ではなくて、どちらにしても、十分な根拠がある場合にはチェックは受ける仕組みは残っている、慎重な判断を担保する枠組みは残っている一方で、審理の長期化にならないよう、それを原則禁止とした上で十分な根拠を求めるようにした、かなり謙抑的、抑制的な抗告、即時抗告、特別抗告をするようなパッケージをつくったということでございます。

○小竹委員 ちょっと刑事局長の答弁が、いろいろ言い回しがあれで分かりにくかったんですけれども、改めて問いたいのは、三審制の下で確定したものを一回限りでやり直すという言い方は、私は、これは正しくはないというふうに思うんですけれども、大臣、この点、どういうふうに思いますか。

○平口国務大臣 再審請求審と再審そのものと訴訟の対象が違っておりますから、再審請求審について、やはり三段階を踏むのが妥当であろうという趣旨でございます。それを抜けて、第一審だけ、再審請求審でけりをつけて、あと全部、再審そのものでやろうとするとかえって混乱するということでございます。

○小竹委員 今言われているのは、再審請求審はほとんど非公開で行われていますよね、その上で、何で再審の方で、法廷で、公判で行うことが困難が生じるのか、ここをちょっと答弁いただけますでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 一つに、いろいろな御意見があることは承知した上で申し上げますと、今まで、再審請求審が三回あって、再審公判も三回お互いにできるよう、再審公判も三審制で行われたわけでありますが、一つには、今までは、再審請求審を三回やることによって争点をかなり絞りまして、要するに、最高裁の決定まで出たということを踏まえまして、その後、再審公判が行われるということでありますので、再審公判は実は一回で終わる場面が多い、ほぼ全てだと私は理解しています。

 それに対して、じゃ、今回は原則禁止ですけれども、十分な根拠がある場合は、これを取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合は抗告を許しているわけでありますけれども、このときに、大臣がおっしゃったような混乱が生じ得る、これがなくなったとすると混乱が生じ得るということにつきまして、例えばということで申し上げますと、例えば、再審事由の解釈などについては公判で正せない、再審公判では正せないのでありまして、再審をどのように始めるか、どのような解釈で始めるか、最高裁判例と矛盾していないか、そういったことについて、これを再審開始決定の方向で一審が出てしまいますと、これが確定してしまいます。これが各地の裁判所でいろいろな確定判決が出ることによって、結局のところ、最高裁で再審開始事由に関する争点の統一が行われないまま、その後の再審請求審が行われるという意味において、混乱が生じ得るというようなことがあるということであると理解しております。

○小竹委員 何か、いろいろ踏まえると、検察抗告はこれからも存在するというふうに、原則禁止なんですよね、何かすごく、これからもあるような、これがなくなると困難が生じるようなことをずっと聞いているんですけれども、そこを答弁をもらえますか。

○佐藤政府参考人 お答えします。

 そのような誤解を与えたとすれば申し訳ございません。私どもが申し上げているのは原則禁止にするということでありまして、例えばという例で申し上げたのは、例えば、再審開始事由に関する法令解釈について明らかな誤りがあって、それが各地で出ちゃった場合には、これは、その後、再審請求審をどのような解釈で始めていいのかが分からなくなってしまいますので、そういった場合には、十分な根拠となり得るという例外事由、そういうことを踏まえて検察官が抗告することもあり得るだろう。それは程度にもよるのだと思います。それがちゃんと取り消されるべきものと認めるに足りるかどうかということがまずは最優先になりますけれども、全面禁止してしまうとそういう混乱が生じ得るというのは一方で指摘されているところではあるということでございます。

○小竹委員 検察抗告を全て禁止してしまうといろいろな問題があるというふうに意見として承りましたが、そもそも、再審開始の要件自体が相当ハードルが高いというふうに思いますし、無罪を言い渡すべき明らかな新たな証拠という部分で、再審請求したものが全て始まっているわけじゃないですよね。年間で何百とあるものの、一件、二件しか始まっていないということが前提の上で、今回、原則禁止と書かれたということは、問題がある場合には公判で争うべきというふうに法務省も認識をされたというふうに私は受け止めているんですが、そうではなく、今の意見陳述を聞いていますと、やはりこれからもある程度の運用はあるのかなというふうに受け止めました。

 ちょっとこれだけで質問が終わっちゃいそうなので行きますけれども、その上で、昨日の質問の答弁に関して順次伺っていきます。

 五月二十四日の共同通信の報道を受けて一問取り上げました。法務省が、違法な取調べをめぐる国家賠償請求訴訟においての録音、録画データを裁判所へ提出する際の閲覧制限の申立てであったりとか、こういったものを裁判所に求めることを推奨する通知を発出したということで、高市総理は、その事実については認められまして、その趣旨を、第三者のプライバシー配慮というような答弁であったと思います。

 しかし、真にプライバシー保護が目的なのであれば、検察官側の違法な取調べ、違法と問われる請求訴訟が増加している、このタイミングでこの通知を発出する必要があったのかというふうに思います。取調べの録音、録画データには、検察官自身の人格否定とか、いろいろな問題が過去も取り上げられております。相次いで明らかになっております。

 この閲覧制限や非公開手続を推奨する運用は、結果として、不都合な証拠を国民の目から遮断することにつながりかねず、捜査の検証と国民の知る権利を損なうものと考えますが、いかがでしょうか。この通知を発出された具体的な立法事実であったりとか、検察官自身の言動の秘匿につながる懸念、これについてどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。

○坂本政府参考人 お答えいたします。

 法務省訟務局におきましては、先ほど御指摘があった日付、本年の二月二十四日付で、検察国賠訴訟における基本的な方針と題する文書、これを各法務局に通知いたしました。

 その中では、取調べの録音、録画記録媒体を証拠として提出する必要がある場合には、閲覧制限等の申立てや弁論準備手続での証拠調べをするよう裁判所に求めることも検討する必要があるという旨の記載がございます。

 その趣旨ではございますけれども、先ほど御紹介があった先日の総理の御答弁のとおりでございますけれども、近時、検察官の行為に対する国家賠償請求訴訟の提起が続いているということでございます。このような訴訟では、第三者のプライバシー情報を含む刑事事件記録であっても、証拠として提出する必要がある場合がございます。この文書では、まずそのことを述べさせていただいております。その上でということでございますけれども、そのような証拠を提出する場合には、第三者のプライバシー情報、これを適切に配慮する必要があるということでございます。そこで、閲覧制限の申立てや弁論準備手続での証拠調べをするよう裁判所に求めることも検討する必要があるということを通知したというのがこの文書の趣旨でございます。

 その上で、国民の知る権利等を害するのではないかという御指摘でございますけれども、まさに通知した内容というのは、今御説明したとおり、第三者のプライバシー情報を適切に配慮するため、民事訴訟法等の法令に従った必要な対応をするよう求めるというものでございまして、御指摘のような問題は生じないものというふうに考えております。

○小竹委員 ちょっと、いろいろな方向からこれを聞いていて、どういった通知を出されたのか分からない部分がありますので、是非、この議論を深めていきたいので、本委員会へ提出を、どういった通知を出されたのか、そのものを提出を求めたいというふうに思いますが、これはいかがでしょうか。

○坂本政府参考人 理事会などの御協議の結果に従いまして、真摯に対応させていただきたいと考えております。

○小竹委員 委員長、是非、理事会で協議いただきたいというふうに思います。

○井上委員長 ただいまの要求につきまして、理事会にて協議をいたします。

○小竹委員 ありがとうございます。

 その上で、目的外使用禁止の部分について質問したいと思います。

 高市総理の答弁では、弁護人が利益目的以外であれば罰則規定とならないことに対して、私が、違反というか、この罰則規定をそもそも利益目的とした場合に限定、もっと分かりやすく読めるように限定した方がいいのではないかというような質問に対し、高市総理は、そもそも今回の罰則対象となるのは対価として利益を得る目的であった場合に限るとしていますという、ちょっとこれは私としても言葉足らずでかみ合わなかったなというふうに思うんですけれども、大事なところなので、ここについて質問をしたいというふうに思っています。

 改正案における目的外使用禁止規定は、違法性の評価と罰則の適用と、二つ切り分けて、二層構造といいますか、そういうふうになっていると私は解釈をしておりまして、罰則には当たらないが違法に当たるケースというのは存在するという理解でよろしいでしょうか。

○佐藤政府参考人 目的外使用の違反した場合の措置につきましては、まず、目的外使用は禁止するという形で違法という観点が一つありまして、その上で、違反した場合の措置についての留意規定がございまして、それから、一定の場合に罰則がついているという状況にございます。

○小竹委員 そうなれば、弁護人側に利益目的がなく刑事罰の対象とならない場合、また、プライバシーのケアもされて悪質性が低いという場合であっても、違法行為である以上は懲戒請求の根拠となり得るというふうに理解されますでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 様々な事案が想定されますので、どの事例を指して違法なのか、それは罰則に当たらないのかという論点があるかと思います。

 その上で、今、そのようにざっくり言われてしまいますと何と答えていいやら分からないのですが、少なくとも罰則に関しては、対価を得る目的で複製等を交付したりするのでなければ処罰されないというのがまず一点であります。

 一方で、違法性ということについては、ここに留意規定がございまして、防御の利益とか、そういったことも考慮してやる、それから目的、態様、実害を及ぼしたかどうかを含めてやるということなんですけれども、今日いろいろな御質問をいただく予定ですけれども、例えば弁護のためにやった、そういう中での想定されることならば、いろいろな評価が個別事案にあるんですけれども、じゃ、対価を得る目的でない弁護人の行為がどういうものがあるかということで、違法だなと思うことを挙げるとすれば、例えば、トクリュウの弁護士さんが様々な情報を、記録を流すという事例もあるということでありまして、そういったものは罰則には当たらない、直接の対価目的はなかったとしても違法に当たり得ることはあるのであろうというふうに思うところであります。

○小竹委員 一言で言い切れないというところはすごく分かりました。

 しかし、そこをまさに明確に明記してほしいというところが私のこの次の問いでありまして、罰則が科されないにもかかわらず違法のレッテルが付されるということになりまして、懲戒請求の根拠を残す部分はあります。結果として、これが、正当に弁護活動していても萎縮させる効果になるということは、昨日も質問させていただきました。

 それから、やはり、過去に懲戒請求される事案を伺いますと、請求されて、調査中には様々な制限があったりとか、精神的な負担が大きかったりとか、結果として萎縮効果につながるというふうに私は懸念をしております。

 ここでちょっと大臣に一問提案をしたいと思いますが、不安定な形が存在する現状ではなくて、条文上に、再審手続、そのための準備に加えて、その他、再審請求人の防御権の行使であったり、再審請求事件に関する社会的検証や報道、取材への協力であったり、国賠その他の権利救済に資する目的、こういった正当性目的を、範囲を事例で列挙をしておくことによって、条文上に明確にすれば、この萎縮もないというふうに考えられますが、大臣、見解はいかがでしょうか。

○平口国務大臣 証拠の目的外使用による弊害としては、被害者を含む関係者の名誉、プライバシーの侵害のほか、罪証隠滅や証人威迫、捜査への協力確保の困難化などがございます。そうした弊害については、弁護人による目的外使用が対価として利益を得る目的で行われる場合とそうでない場合とで異なるものではないわけでございます。

 そして、現行法上、通常審においては、弁護人についても、利益を得る目的かどうかを問わず、証拠の複製等の目的外使用が一般的に禁止されているところ、通常審と再審請求審とで関係者の名誉、プライバシーの保護の必要性において違いはないわけでございます。

 そのため、本法律案においては、再審請求審についても、弁護人による証拠の目的外使用を一般的に禁止した上で、罰則の対象は対価として利益を得る目的であった場合に限定するということにしております。

○小竹委員 改めて聞きたいと思いますが、その認識の上で、今言ったような再審請求人の防御権の行使とか、社会的検証や報道、取材への協力、その他権利救済に資する目的という部分を条文に明確に明記することは、検討の余地はありますでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、目的外使用による弊害が特に大きい場合に限って禁止の対象とする場合には、例えば、個々の証拠の内容とか行為の目的であるとか、弊害が生じるおそれの有無、程度を個別に判断することとなりますけれども、この条文の書き方というのが大変難しゅうございますので、むしろ刑罰の明確性という観点から問題が生じ得るというふうなことであって、規制としての実効性が確保できないおそれがあるのではないかという指摘もあるところでございます。

 そのような意味で、先ほど大臣から答弁申し上げたとおり、目的外使用による、例えば犯罪被害者のプライバシー、これは、犯罪被害者にとっては、被害を届け出た時点、あるいは捜査に協力していた時点では予見し得ないような類いのものでありまして、そのようなことが後に起きるというのでは今後捜査協力をしてもらうことが難しくなるということもございまして、禁止はした上で、一方で、再審手続のためであったり、その準備であったり、そういった弁護活動そのものである場合には、そもそも禁止規定にも当たらないわけでありますので。加えて、違反した場合の措置についても様々留意規定を作って、なかなかなバランスなわけですけれども、弁護活動、それから被害者等のプライバシー、そういったものを全体として調整を図っているところでありますが、少なくとも罰則はかかりませんし、かつ、懲戒請求ということがあるのかもしれませんけれども、これまた弁護士会の御判断でございますし、あとは、もう一つあるのは、犯罪被害者等が、自分のプライバシー等が外に出ていったというときに、それを、目的外使用で外にまいた人を民事訴訟で提起するということが想定されるわけなんですけれども、その民事訴訟の提起についても、目的外使用に関する防御の利益とか、そういった行為目的、態様といった調整規定が適用されるというふうに考えているところでありまして、そういったもろもろのステークホルダーあるいは利益の調整を図った全体としての規定であるということでございます。

○小竹委員 何か、私の認識と刑事局長の認識は、ある種、一致しているところがあって、私、それを踏まえた上で、昨日の質問の中にも、弁護士職務基本規程でもう既に規律されていますので、それで十分なのではないかということであったりとか、そういう質問をさせていただいたわけであります。

 それから、目的外使用禁止に関しては、通常審でも弊害がありますし、ここが、均衡をすごい言われますけれども、必ずしも通常審と再審の方が同等レベルというかイーブンではない上に、クローズドな再審請求審の方をより、よりというか、クローズドな方に同等のルールを設けるというのは、これは不均衡ではないかというふうに考えます。ちょっと今日の質問が全然行けていないので、これはまた後日やりたいと思います。

 この委員会でも質問の機会を多くいただきますし、毎回、少ない人数で一時間ほど質問の機会をいただいていますから、一歩ずつ質問をしていきたいというふうに思います。

 それで、今日は、目的外使用の禁止の様々なケースについて一概に言えないということでありましたので、そこについて伺いたいと思います。

 まずは、証拠獲得活動であったり、支援者、専門家への提示の部分について、非常に大事になってきますので、伺いたいと思います。

 この新証拠を獲得する活動の場面についてですけれども、再審制度の本質はやはり新証拠の発見にあると思いまして、この新証拠というのは、専門家が分析することなどによって新たに見出されてきたという構造が過去にもございます。仮に本改正案の目的外使用禁止規定が袴田事件の再審請求審の当時に存在していたとしまして、その場合、弁護団が五点の衣類の写真を専門家であったり法医学者に提示していて、鑑定を依頼した場合は、これは違反に当たるのか、これが一問。

 それからまた、弁護団が、五点の衣類の血痕についてDNA鑑定を依頼するに当たり、複数の専門家に鑑定受任前の段階で資料を提示し、可能性を打診していたということは知られております。鑑定が正式に始まる、開始されるまでの打診段階での専門家への提示というのは再審請求の準備に含まれているのか、御答弁をお願いします。

○佐藤政府参考人 お尋ねの事例、事例を短い文字でまとめるのは大変難しくて、それが当たるか当たらないかというのは難しいことは御理解いただきたいと思うんですけれども、例えば、今御指摘のあった、鑑定人に提示するとか、あるいは鑑定を引き受けてくれるかどうかを確認するために提示する、開示された証拠を、提出された証拠を。それをお示しすることは再審手続の準備に使用する目的でというふうに当たると通常は考えられますので、目的外使用の禁止違反ではないというふうに考えているところでございます。

○小竹委員 ありがとうございます。

 また、少し一般論についても、いろいろなケースについて積み上げたいというふうに思いますので、是非前向きな答弁をお願いします。

 弁護団側が、開示された写真等を用いて目撃証言の検証を行うために、当時の近隣住民であったり、こういった関係し得る可能性がある方に写真を見せて記憶喚起を試みたというケースがあるとするときに、その場合、仮に、第三者である地域住民等への提示というのは本規定の罰則対象になるのか、お答えください。

○佐藤政府参考人 お答えします。

 繰り返しになりますが、個別の事案ごとに具体的な事実関係によるということにはなりますけれども、再審請求者等が再審手続の準備に使用する目的で謄写した証拠の複製等を事件当時の近隣住民に目撃の有無等を確認するために提示したと認められる場合には、これは目的外使用の禁止違反には当たらないというふうに考えているところでございます。

○小竹委員 済みません、ちょっと一問一答みたいなのが続きますけれども、お願いします。

 弁護団側が、DNA鑑定や筆跡鑑定などの分野で、過去の事案でも、海外の専門家に英訳の上で証拠を送付して依頼したというケースは複数回確認できます。実際に存在しています。この国外への提供というときに、目的外となるリスク、これをどういうふうに評価されているでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどと同じ前提をつけた上で、これは国外、国内を問わない話でありまして、弁護人が再審手続の準備に使用する目的で謄写した証拠の複製等を海外の専門家に交付したというふうに認められるのであれば、それは再審手続の準備に使用する目的であって、目的外使用の禁止違反ではないということでございます。

○小竹委員 再審請求人本人の御家族であったり支援団体の事務員である方が弁護団の活動を補助するために証拠の整理やコピー作業を行う、こういった行為は、こうした事務補助者への交付ですね、本規定上どこまで許されるのか、お答えください。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどと同じ前提をつけた上でお答えいたしますが、再審請求者等が再審手続の準備に使用する目的で謄写した証拠の複製等をその整理であったりコピー作業の補助をしてくれる本人の家族や支援団体の職員に交付したと認められるということであれば、目的外使用の禁止違反とはならないと考えられるところでございます。

○小竹委員 ありがとうございます。

 これらのいろいろな具体的なケースを踏まえまして、一問、問いたいと思いますが、再審請求手続やこの準備に使用するときの準備の範囲というのは、一体、誰が、いかなる基準で判断をされるのかということでありまして、事後的に検察官や裁判所が目的外と認定するリスクは弁護人があらかじめ予測できるような形になっているのか、この範囲の基準であったり、誰が認定するか、こういったところに関しての政府の見解を答弁をお願いします。

○佐藤政府参考人 この目的外使用禁止につきましては、罰則があったり、禁止の規定があったり、それに調整規定がついているということで、では、その範囲を誰が判断するかということになりますと、四百四十五条の五第二項の措置を取るべき者、すなわち、違反した場合の措置を取るべき者がありまして、これだとすると、例えば弁護人でいえば弁護士会ということでありまして、弁護士会が最終的にはそのような要件の有無、処分の有無を判断するというのがまず一点でございます。

 それから、今の場合でも、調整規定、違反した場合の措置について、例えば、開示された証拠が、被害者のプライバシーに関するものが公にされたとして、被害者がその公にした者を訴えるといった訴訟が行われた場合には、民事裁判官が、民事訴訟の裁判官がこの定義、要件の該当性を判断するということになるかと思います。

 それから、目的外使用の罪に係る事件を担当する捜査機関や裁判官においても、先ほどの罰則の適用の有無について判断するということになりますけれども、最終的には、このような者がこの規定の解釈を最終判断するということでございます。

 我々としては、本法律案が改正法として成立した場合には、検察、裁判所、警察、そういった関係機関に、この適切な運用を確保するために周知を徹底してまいりたいと思っているところでございます。

○小竹委員 適切な運用をしていただくのはどの規定であってもそのとおりかなというふうに思いますけれども、今のところを踏まえると、ちょっと線引きがいろいろ曖昧であって、萎縮効果というのは、言われているようなものというのはやはり生じるかなというふうに思います。

 昨日、私、本会議質疑の中に、これまでの事件も含めて、報道機関への提供であったりとか、こういった外部からの意見が、世論形成を含めて、再審事件を解決に導いてきた関係について質問させていただきました。日本新聞協会が報道機関への情報提供を禁止対象から除外すべきというふうに求めていたり、過去の冤罪事件についても報道の社会的役割がいろいろあったかなというふうに思います。

 昨日、高市総理に尋ねたところ、総理も、再審請求事件における支援活動や報道の意義を否定するものではありませんというふうに御答弁をいただいており、この報道の必要性というところに関しては理解をいただいているのかなというふうに思っています。

 報道機関への提供の場合についても幾つかケースを挙げて質問したいというふうに思いますが、弁護団側が、記者会見において、開示された陳述調書の一部を読み上げ、また、捜査の問題点を説明したとします。物理的な交付であったり物理的な提示ではない口頭による引用もまた規定の禁止対象となりますでしょうか。お答えください。

○佐藤政府参考人 目的外使用として禁止される行為は、謄写した証拠の複製等の交付、提示等に限られるところでございます。

 その上で、お尋ねにつきまして、個別の事案ごとに具体的な事実関係を踏まえてやはり判断しなきゃいけないものですので、例えば口頭で引用は全てオーケーかと言われてしまいますと、全て読んで、交付したのと全く同じ効果をもたらす場合にどのように考えるのかというのはいろいろ議論があり得る、最後に残るかとは思いますけれども、少なくとも、その一部を読み上げたり概要を口頭で伝達するという行為は、そもそも目的外の使用に当たらないというふうに理解されるということでございます。

○小竹委員 一部を切り取って読み上げる分には使用には当たらないということなんですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 例えば、謄写した供述調書の一部を読み上げたり概要を要約して読み上げたりするような行為は、そもそも証拠の複製等の交付や提示には当たらないということでございます。

○小竹委員 この場合、じゃ、全部読み上げる、そのまま読み上げることは禁止に当たる、禁止というか違反に当たるという理解でよろしいですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 再審請求者等が証拠の概要を口頭で伝達するにとどまらずに、開示された供述調書の複製等の全文を読み上げるなどすることは、他人が証拠の複製等の内容を認識することとなり、提示に該当する余地があり得るということのために、それが再審手続やその準備等の目的で行われていればそもそも目的外使用に当たりませんけれども、それ以外の目的で行われた場合には目的外使用の禁止違反に当たり得るということだと思います。

○小竹委員 私の理解だと、読み上げは何か大丈夫なのかなというふうに思っていましたし、この読み上げを準備というか手続以外、もっと言うと、利益目的で取り扱うことがまず前提としてあり得ないように感じるんですが、全文の読み上げは禁止に当たるという理解で、もう一度よろしいですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 対価を得る目的でこういうことをやることが想定し得るかどうかという論点はまたちょっとさておきまして、少なくとも、口頭で伝達したり、通常、供述調書の一部を読み上げたり概要を伝達することは交付や提示に当たらないということは、まず一つ大前提であります。

 その上で、じゃ、どのぐらいまで言ったら、全部読み上げれば、全てを読み上げれば、これは提示に当たらないんだから、それでやればいいんだと言われてしまいますと、そういう場合も、それが再審手続とか準備等の目的以外で行われた場合においては、これは目的外使用の禁止違反になる余地はあるのではないかというふうに申し上げているということでございます。

○小竹委員 私、やはり報道の部分で今お尋ねをしておりまして、読み上げというか、記事を、口に出して、口頭で説明することが禁止となれば、報道が規制されていくというふうに感じますし、これに関連して一問お伺いしますと、こういった、記者が聞き取ったりとか取材したものを記事化する場合、これは大丈夫というか禁止に当たらないという理解でよろしいんでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、これの目的外使用の禁止がかかっているのは再審請求人と弁護人でございまして、そもそも記者等には全く、禁止の名宛て人になっていないというのがまず一点であります。

 今、報道というふうにおっしゃっていまして、報道の自由が極めて重要なものであることはもう疑いのないところでございますが、一方で、済みません、ここでバランスの対象として起きるのは、捜査協力をしていただいた被害者を始めとする人たちでございまして、例えば犯罪被害者が、自分の供述した内容が報道に全て流れる、自分の知らないうちに、例えば再審の準備じゃないのにという形で行われるということ、これは違法でないとしていいのかどうかということについては様々な論点があり得るかと思いますけれども、我々としては、それは、再審準備のためならそれは一つでしょうし、報道の目的だとはいっても、では、それを全部読み上げるような形で、写しを渡したのと同じような形で報道に交付するとなれば、犯罪被害者等が捜査に協力して自分の個人情報を捜査機関に与えた趣旨を超えていますので、民事訴訟も含めて様々な争点があり得るのではないかということを感じているということでございます。

○小竹委員 今、記者は目的外使用の禁止にならないということでありましたので、じゃ、弁護人側が記者に証拠の一部を伝えて、見せたというふうにします。記事化を前提じゃなくて、いろいろ背景理解のために説明したりとか、報道の前段階の部分で整理のためにお伝えしたりとか、読み上げでの報道を目的とした場合であって、こういった場合には違反ではないという理解でよろしいですか。

○佐藤政府参考人 繰り返しになりますけれども、まず、弁護人は、対価を得る目的でなければ罰則はかからないということが一点。それから、目的外使用、その違反した場合の措置についてはいろいろありますが、記者に対して口頭であったり一部を伝えたりといったことは、これは当然許されることであります。それから、報道であったとしても、場合によっては再審準備ということもあり得るのかもしれません、これは当てはめの話でありますので、そうであります。あと、記者がすることについては何の制約もございません。

 その上で、先ほど申し上げたのは、例えば、コピー、証拠の複製等を交付したり提示したりしてはいけない、ということを禁止しているものでございまして、先ほどちょっと限界事例で、全文読み上げたらどうかという話になるわけでありますが、それがもう提示に当たるといったような評価がなされる場合があり得ることは否定できないというふうに思っているということでございます。

○小竹委員 やはり委員会なので、議事録に残す形でいろいろ答弁を積み上げたいと思います。

 袴田事件に象徴されますように、無罪確定後に袴田弁護団等が証拠を公表するということがあるとします。そのときに、既に再審手続が終結している場合においてもなお目的外使用禁止規定の効力は及ぶのか、答弁をお願いします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 本法律案による改正後の刑訴法四百四十五条の五第一項の目的外使用の禁止の主体には弁護人であった者が含まれておりまして、再審無罪判決の確定後においても、弁護人であった者による目的外使用の禁止の論点は問題にはなり得るということでございます。

 もっとも、再審請求審で謄写した証拠の複製等を再審手続等に使用することはもちろん当たり前でありますし、無罪判決確定後であったとしても、例えば、弁護人であった者が刑事補償法の規定による補償の請求の手続のために証拠の複製を使用することは当然許されるということでございます。

 その上で、今のお尋ねにつきましては、やはり個別の事案ごとに具体的な事実関係を踏まえて判断されるべき事柄でありますので、例えば、弁護人であった者が再審無罪判決確定後に証拠を公表する行為については、刑事補償請求等の手続又はその準備に使用する目的によるものと認められない場合には、目的外使用の禁止違反になり得るというふうに考えられるところでございます。

 しかしながら、その禁止に違反した場合の措置は、罰則はもちろんありませんし、違反した場合の措置については、複製等の内容、その行為の目的、態様等の個別の事情を考慮することとしておりまして、当該措置を取るべき者、これはすなわち弁護士会あるいは民事訴訟の裁判官ということになりますが、こういった者において適切に判断されるべきものと考えているところでございます。

○小竹委員 今挙げている例というのは罰則にはほとんど当たらないけれども違反になり得るということは、可能性として残っていることは改めて分かりました。

 ちょっと時間もなくなってきたので飛ばしますけれども、書籍だったり論文、SNSなども、昨今の、近時の事件解決、世論形成には非常に重要であり、不可欠だと考えます。

 例えば、十五番のところに行きますね、刑事法の研究者である方が関係者の名前を匿名化した上で判例評釈であったり学術論文に開示証拠の内容を引用するというのは、よくよくあることだというふうに思います。こういった研究であったり学術目的の際には今回の本規定は当たるのか、お答えください。

○佐藤政府参考人 先ほどから申し上げているとおり、謄写した証拠の複製等を再審手続やその準備に使用することはもとより許されるわけでありますけれども、これを学術目的だから使用してもいいということにはなっていないというのが大前提であります。

 その上で、お尋ねの場合における刑事法研究者は、一般的には、裁判所に提出された証拠を謄写した弁護人や再審請求者に該当しないのが通常でございますので、禁止規定の主体には当たりませんし、目的外使用の禁止の問題は生じないと考えられるところでございます。

○小竹委員 そうすると、支援者の方であったりがブログやSNSなどにおいて弁護団側から説明を受けた証拠内容を要約して発信した場合、いわゆる又聞きによる発信というのは、責任は問われないという理解でよろしいでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの場合における支援者は、一般的には弁護人や再審請求者等に該当しないわけでありますので、禁止規定の主体には当たりませんので、こういった問題は生じないということでございます。

○小竹委員 ありがとうございます。

 次に、またちょっと飛ばしまして、幾つか聞きたいと思います。十九番のところをお願いします。支援者であったり、集会、講演会、市民活動などについてもお伺いをしたいというふうに思います。

 昨日も質問させてもらいましたが、支援団体であったり外部からの応援というのは再審事件において本当に不可欠であり、この支援なくしては成立し得なかった事実というのが過去あるというふうに思います。再審請求の支援集会において、開示された実況見分調書をスクリーンへ投影して説明を行った場合、こういった場合は禁止の規定に当たるのでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 再審支援者集会の関係で、例えば、弁護人がやるのか、それは支援者がやるのか、様々でありまして、いろいろな関係が出てくると思うんですけれども、例えば、再審請求者等が再審請求審で謄写した証拠の複製等をそのままスクリーンで再審支援者集会の参加者に提示する行為については、再審手続の準備に使用する目的によるものと認められない場合には、目的外使用の禁止違反となり得るものと考えられるところでございます。

 もっとも、この措置については、違反した場合の措置につきましては、複製等の内容、行為の目的、態様等の個別事情を考慮することとしておりまして、これまた当該措置を取るべき者において適切な判断がなされるべきものと考えているところでございます。

○小竹委員 ありがとうございます。

 先ほどの学術の部分と少し重なりますけれども、弁護人側が、弁護士の方で教授をされている方が、大学などのゼミにおいて、教育目的で開示証拠を、またこれは匿名化したり、いろいろプライバシーにもケアをされた状態で教材化したりする場合もあるかと思いますけれども、こういった教育目的の場合に、本規定は当たるのでしょうか。お答えください。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 目的外使用が禁止される証拠に係る複製等とは、当該証拠の全部又は一部につきまして、加工等をすることなく、そのまま記録した書面等を意味するところでありまして、加工等によりまして複製等に該当しなくなったものについては、これを目的外に使用することも許容されるところでございます。

 したがいまして、今御指摘のような事案におきまして、匿名化などに伴って複製等に該当しなくなったと認められるものを提示したと認められる場合には、目的外使用の禁止には当たらないということでございます。

○小竹委員 ありがとうございます。

 加えて、国会議員がまさに対象となる事案なんですけれども、いろいろな、当委員会でも、今後の議論の中で、立法事実の説明として開示証拠の一部を資料配付として示して配りたいという場合があるとします。その場合に、憲法六十二条の国政調査権やまた立法活動との関係で、本規定が当たるのか当たらないのか、もし当たるとすれば、こういった国政調査権との関係をいかに整理しておられるのか、答弁をお願いします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 あくまで一般論として申し上げますと、再審請求者やその弁護人が、国会議員に対して、再審請求審で謄写された検察官提出証拠の複製等を再審事件の手続等やその準備に使用する目的以外の目的で交付するなどの行為は、改正後の刑訴法四百四十五条の五、一項の目的外使用に該当し得るとは考えます。

 他方で、そのような場合に、同条二項の措置を取るかにつきましては、当該措置を取るべき者、先ほどから申し上げているような弁護士会を含めた方々におきまして、その複製等の内容や行為の目的及び態様、関係人の名誉、その私生活若しくは業務の平穏が害されているかどうかなどの事情を考慮して判断することになるだろうというふうに考えられます。

 その上で、今、国政調査権として行使された場合はどうかという話なんですが、済みません、国政調査権の行使について、法務当局がそこまでは、という話を申し上げるのはちょっと、今直ちに答弁するのは困難であることは御理解いただきたいと思いますけれども、国政調査権といえば、この禁止規定とはまた別の配慮が働いてくるのだろうというふうに思われるところでございます。

○小竹委員 国政調査権との整合性というか整理については御答弁いただけませんでしたが、今の場合は違反になり得る、可能性があると。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今答弁申し上げたのは、国会議員だから、職業がそれだから、その人に渡しても目的外使用の禁止に直ちに当たらないわけではないということを申し上げたものでありまして、それはそういうことなんですが、それが例えば委員会、国政調査権などとして行われたときの擬律については、済みません、私、今、法務当局の立場でお答えすることは困難だというふうにお答えさせていただきたいと思います。

○小竹委員 じゃ、この問いについては、また次回質問をさせていただきたいというふうに思います。

 あと一分ほどになりましたので、最後に、違反した場合の効果についてお聞きしたいと思いますが、本規定の違反があった場合、当該証拠、違反に係った証拠は再審請求審等において使用できなくなるのでしょうか。証拠能力への影響について、見解をお願いいたします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 本法律案につきましては、通常審と同様に、再審請求審で謄写した証拠の目的外使用の禁止に違反した場合の効果として、再審手続における使用を禁止したり制限したりすることとはしておりません。

 そのため、一般に、再審請求審で謄写した証拠の目的外使用の禁止に違反した場合であっても、そのことのみをもって証拠能力が否定されるなど、再審手続における使用が妨げられるものではございません。

○小竹委員 いろいろなケースについて御答弁いただき、ありがとうございました。ちょっとまだ質問が残っておりますが、時間が来ましたので、また次回以降、頑張りたいと思います。

 ありがとうございました。

○井上委員長 次に、和田政宗君。

○和田(政)委員 参政党の和田政宗でございます。

 まず申し述べたいのは、この改正法ですけれども、法文を読んでも、この改正法、相当難解なんですよね。これは解釈を問わないといけないということで、こういう質疑になっているんですけれども、法改正というのは、そもそも、解釈面で分かりにくいだとか不十分なところを直すのが改正法であるのに、この改正法の法文自体が解釈がどうなんだというようなことが、法文を読んでもずばりと分からないんですよね。ですので、この委員会の中で質問をしていきますけれども、真摯にお答えをいただきたいというふうに思います。

 議員立法提出者に対しては、次回以降、聞いてまいります。

 我々は、ニュートラルな立場でこの質疑をさせていただいて、その答弁を聞いて賛否を決めていきたいというふうに思っております。そういった観点で質問をしていきたい、今日は入口でありますので、様々な、解釈も含めて事実確認というような趣旨で質問していきたいというふうに思っております。

 まず、法案の提出理由なんですが、昨日の審議におきまして、政府より、反省の下に必要な改善を行っていく必要があるとの答弁がありましたけれども、何を反省しているのか、何を改善しなければならないと考えているのか、法務大臣にお聞きします。

○平口国務大臣 お答えをいたします。

 例えば、再審請求審における捜査機関が保管する裁判所不提出記録の提出に関して言えば、その点に関する明文の規定を欠いていることが、その提出をめぐる争いや手続の遅延を招いているのではないかといった形で、現行の制度、運用についての改善すべき点を振り返り、法整備の在り方について検討を行うことが強く求められているところでございます。

 また、再審開始決定に対する不服申立てについて言えば、その不服申立てにより手続が長期化している面があるのではないかといった形で、現行の制度、運用についての改善すべき点について検討を行うことが強く求められているところでございます。

 従来の再審制度やその運用の在り方に大きな反省を迫るというのは、このように、近時の事態や様々な指摘を契機として、従来の再審制度やその運用の在り方について、いま一度、再審制度の趣旨に立ち返りつつ、改善すべき点についての制度上、運用上の手当ての在り方を考えることが強く求められている状況を指すものでありまして、そのような手当てとして、本法律案においては、まず第一に再審請求審における証拠の提出命令制度の創設、そして再審開始決定に対する検察官の不服申立ての原則禁止など、所要の法整備を行うこととしているところでございます。

○和田(政)委員 つまりということでいいますと、これも再審制度の答弁の中にもありましたけれども、再審制度の原点というか、再審制度がしっかりと生かされるように法改正をしていくということであるんだというふうに思いますけれども、再審と冤罪ということを考えたときに、なぜ冤罪が起きるのかといえば、これは捜査機関が証拠を隠したり捏造したりするからとの指摘がございます。

 福井事件では、検察官は、確定審の段階で、検察官の主張及び確定判決の事実認定と矛盾する証拠である「夜のヒットスタジオ」の放映日に関する捜査報告書が存在することを知りながら、これを開示していませんでした。第一次再審請求では再審開始決定がなされたのに、証拠を隠して即時抗告を行った結果、再審開始決定が取り消されてしまいました。第二次再審請求の再審開始決定では、不誠実で罪深い不正の所為と認定されました。

 また、袴田事件では、有罪認定の根拠となった五点の衣類や共布は捏造されたものだと認定されました。

 このような証拠隠し、証拠の捏造は絶対にあってはならないことであるという認識について、法務大臣に改めてお聞きします。

○平口国務大臣 個別の再審事件における検察官の活動内容や裁判所の判断に関わる事項については、法務大臣としてお答えすることは差し控えるところでございます。

 当然のことながら、証拠を改ざん、捏造したりすることはあってはならず、また、裁判に顕出すべき証拠は適切に顕出されるべきであるというふうに認識をいたしております。「検察の理念」にあるとおり、検察当局においては、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を自覚し、法令を遵守し、厳正公平、不偏不党を旨として公正誠実に職務を行うということが肝要であると考えております。

○和田(政)委員 昨日の本会議、そして今も質問をしましたけれども、捏造は絶対にあってはならないというのは当然のことであって、それはまさに法務省としても当然のことであるわけでありますけれども、冤罪被害を起こさないようにするためには、やはり過去のものの徹底究明というのを行うべきだというふうに思うんですね。

 昨日の総理答弁の中で司法権云々というようなことを言及されていましたけれども、やはりこれは、まず検察当局、これは最高検の報告書などがあるわけでありますが、そういうことではなく、私は第三者機関を設置してやるべきだというふうに思っております。法務省に任せるのではなく、第三者機関を設置して冤罪の原因究明を行うべきではないか。

 今回の法改正の前提として、法務大臣は法制審議会に諮問いたしましたけれども、いろいろ調べますと、事務当局は刑事局に置かれていました。刑事局長及び刑事局、すなわち検察官、検事が法制審議会刑事法(再審関係)部会の委員、幹事の人選を行い、たたき台を作成したわけでございます。これで抜本的な改善案が出てくるのかというのは、正直、疑問を持たざるを得ません。

 なぜ法務大臣は法制審議会に諮問したのか、また、なぜ第三者機関による検証を行った上で臨まなかったのか、法務大臣にお聞きします。

○平口国務大臣 お答えいたします。

 第三者機関を設置して個別の刑事事件の検証を行うということにつきましては、まず、検察官の活動やそれに対する裁判所の評価なども検証の対象とならざるを得ない点で、司法権の独立の問題が生じ得るということ、また、秘匿性の高い刑事事件に関する情報が第三者に開示され、関係者の名誉、プライバシーを侵害するなどのおそれもあることから、慎重な検討を要するものと考えております。

 他方、再審制度の改正は、基本法である刑事訴訟法の改正に関わるものであり、刑事裁判実務に大きな影響を及ぼすものでございますから、法務省といたしましては、刑事法に関する基本的な事項に係る調査審議をつかさどる法制審議会に諮問したところでございます。

○和田(政)委員 できない理由をとうとうと述べる答弁が昨日の本会議から続いておりますけれども、冤罪を絶対起こしちゃならないということの中で、やはりこれは徹底検証しないといけないわけですよ。けれども、結局やらない、この法改正で説明させてくれというようなことの中で、ですので、みんながもやもやを持って、与党審査でこれだけもめるというのも私は聞いたことがないですし。みんなが、じゃ、冤罪をなくして、しっかり再審制度というものが機能するようにやっていこうということで、みんなで徹底的に考えてやることになれば、刑事局長もずっとさっきから一生懸命この解釈について答弁をなさるわけでありますけれども、これはみんながしっかりと、目的は一緒じゃないですか、冤罪をなくすということ、ですので、それに向かって徹底的なものというのはやはりやらないといけないわけですね。

 今回、法改正の審議が進んでいって、最終的にこの法改正がどうなるのかというのは分からないですけれども、法改正云々を超えても、別のところに置いたとしても、やはりこれをやらないと、国民からは、またやらない理由を法務当局が言っている、検察が言っているということで、これは検察に対する信頼というものにも関わってくると思うんですよね。だから、徹底的にこれはやはり検証をすべきだということを提起をしたいというふうに思います。これは繰り返しまた聞いていきます。

 次に、証拠の提出命令、いわゆる証拠開示関係についてお聞きをしていきます。

 先ほども申し述べましたけれども、冤罪の原因は証拠隠し、証拠の捏造との指摘、強いものがございます。

 袴田事件では、五点の衣類のカラー写真、ネガフィルムが開示されたことにより、みそ漬け実験が行われ、五点の衣類が捏造されたものであることが明らかになりました。

 福井事件では、「夜のヒットスタジオ」の放映日に関する捜査報告書が開示されたことにより、関係者の証言が信用できないことが明らかになりました。

 足利事件では、DNAの鑑定が実施されたことにより、菅家さんが真犯人でないことが明らかになりました。

 このように、証拠開示が再審開始及び再審無罪の決め手となった事件は枚挙にいとまがないというような状況になってまいりました。

 本来、このような証拠は、通常審、確定審において開示されていなければなりませんけれども、平成十六年の刑事訴訟法改正以前は証拠開示の制度がなかったために、検察官が任意に証拠を提出しない限り、証拠を隠すということも可能でした。また、証拠の捏造があったとしても、それを見抜くことが困難でした。

 冤罪被害者を救済するためには証拠開示がまず重要であるという認識について問います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 再審請求審において、冤罪被害者、済みません、我々、冤罪という言葉をどうするかは別なんですけれども、無実の人が、無罪をもらうべき人が無罪にならない問題を解決するためには、証拠開示の問題というのは極めて重要であります。

 加えて、通常審においても、これは先ほど来答弁しているところですけれども、平成十六年の改正以来、極めて幅広い証拠開示が実務に定着しているところでありまして、これはもう我が国の刑事司法の基本的な制度になっているというところでありまして、今後とも、再審請求審も含めて、必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることが重要であると考えているところでございます。

○和田(政)委員 まさにそのとおりであるわけでありますが、内閣提出法案は証拠の提出命令の制度を設けるとしておりますけれども、これはいわゆる証拠開示と言えるのかどうか、異なるものではないかとの指摘もあります。

 再審請求手続は職権主義の手続でありますから、裁判所が必要と認めた証拠を取り寄せることができるのは当然のことです。法制審議会刑事法(再審関係)部会でも、研究者の委員、幹事は、証拠の提出命令は事実の取調べの一態様であると発言していました。そうであれば、当然、裁判所は、必要があれば検察官に対し証拠の提出を命じることができるはずです。

 なぜ、関連性、必要性、相当性などの要件を設けて、これを満たさない限り証拠の提出を命じることができないという制度にしなければならないのか。元裁判官も、関連性、必要性、相当性などの要件を設けると開示されるべき証拠が開示されなくなってしまうという批判もしていますけれども、これについてはどのように考えるんでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 証拠の提出命令制度における関連性、必要性、相当性の意味でございますけれども、まず、関連性という意味は、再審請求理由に関連する証拠という文脈の中で使われるものでありまして、再審請求理由についての判断に資する、証拠というのは書類や物、判断に資する書類や物を指しているものでございます。

 ここで、関連するというものを要求していますのは、再審請求審というのが再審請求理由の有無を判断するということであるので、再審請求理由の有無の判断に資さない書類や物を取り調べたりすることになるとかえっておかしな方向に行きかねないであったり、それを提出させることの意味などが問われることになるということだと思っています。

 再審請求理由の判断に資するという意味は、これは、再審請求理由の有無を判断する裁判官が取り調べる必要があるというふうに考えているということでございます。したがいまして、取調べをする必要性がある証拠は、関連する証拠であります、判断に資する証拠であります。

 その上で、ちょっといろいろな議論がありますので錯綜してはいるんですけれども、我々として申し上げますと、再審請求理由の判断に資さない書類や物というのは、警察、検察にたくさん、これは私的なものも含むものですから、メモなんかも含むものですから、もう外延が分からないぐらいにあるわけでありまして、とはいえ、その中で、裁判官が取り調べる必要があると考えれば、関連性は通常はあるわけです。

 相当性というのは何かといいますと、ちょっとさっき申し上げましたけれども、証拠物として手帳、被害者が持っていた手帳は、中身に犯罪のことが、被害のことが書いてあれば、関連する、判断に資する証拠ではありますけれども、その全部が被害に関連するかというと、そうではない。日頃の全くプライベートなことも書いてあったりしますし、例えば、性犯罪の被害者が被害に遭った状況が証拠とされているのであれば、裸体そのものはマスキングしたり黒くしたりしても、同意の有無とかそういったことを判断するのにそこまでする必要はないでしょうというのが相当性の判断であります。

 したがいまして、必要性があれば関連性がある、関連性があるけれども、例えば、二つ、謄本と原本があるとかいう理由で、原本を調べているんだから謄本は調べなくてもいいですよねという意味においては、関連性はあるけれども必要性がない場合もある、けれども、相当性はまた別の判断で判断するというのが、関連性と必要性と相当性の判断でございまして、我々から申し上げますと、再審請求理由の有無を判断するには、関連する証拠について必要性、相当性があると認める場合に裁判所が判断するというのが合理的であると考えているということでございます。

○和田(政)委員 質問の最後に、開示されるべき証拠が開示されなくなってしまうという批判をいろいろな法曹関係者に意見交換すると聞くわけでありますけれども、それについては、これはないということで答弁いただいて大丈夫なんでしょうか。

○佐藤政府参考人 再審請求理由に関連する証拠というのは相当に広がりのあるものでございまして、審議会の中でも様々議論が行われたんですけれども、そういう中で、例えば、狭いのではないかと心配されている委員の先生方が出した事例についても、それは関連性があるというような形で、相当の広がりを持つことは確認されたということでございまして、相当の部分、相当の部分といいましょうか、これまで再審無罪事件で問題になったような証拠については、当然、関連性のある、必要性、相当性のある証拠として提出命令の対象になると考えているということでございます。

○和田(政)委員 相当な広がりということも含めて、これも更に次回以降、質問をしていきたいというふうに思います。

 これは昨日の本会議でも近似、類似の質問をいたしましたけれども、仮に、弊害のある証拠が開示されてしまうと被害者の名誉、プライバシーが害されるというのであれば、裁判所には提出させるものの、再審請求者、弁護人には閲覧、謄写させないという規定を設ければ足りるのではないでしょうか。なぜ裁判所に提出することすら拒否できるような状況なのか。

 旧刑事訴訟法では、通常審、確定審の手続は職権主義の手続であり、全ての証拠が裁判所に提出されていました。現在でも、少年審判事件では全ての証拠が裁判所に提出されています。その上で、少年審判事件では、少年審判規則第七条により、裁判所が閲覧、謄写の許可を判断することとしています。

 このように、被害者の名誉、プライバシーが害されるなどの弊害がある場合には、裁判所が閲覧、謄写を認めないこととすれば足りるのであり、裁判所にすら証拠を隠す必要性はないのではないでしょうか。被害者は、真実を明らかにし、真犯人を逮捕してもらうことを望んでおります。

 検察官は、裁判所に証拠を見せると再審開始決定になると困るから証拠を隠しているのではないかという指摘があります。この指摘については、どのように考えますでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の中にあったように、証拠を裁判所に提出させた上で、当該証拠についての弁護人の閲覧、謄写を認めつつ、これを制限するという仕組みとすることができるのではないか、これは少年関係の規則にあるわけですけれども、そういった場合にそういったことができるのではないかということが法制審議会で議論されましたけれども、要するに、裁判所が再審請求についての判断に用いる証拠であるのに、これを弁護人が閲覧、謄写できないという事態が結果として生じるということであります。これについては、弁護人が当該証拠の内容が検討できないということであったり、裁判所による認定が弁護人に想定外なものになるということがあり得ることとなってしまいまして、手続保障の問題があるというふうにされたところであります。

 これに対しまして、少年事件の場合には、これは全ての証拠が関係記録一体として家裁に送られる前提になっておりますので、その中で、プライバシーとかそういうことを考慮して、その中で見せる証拠を、家裁が全て主体として見せないことができる仕組みとなっておりますけれども、これはやはり再審請求審とはやや性質が異なるのではないかというふうに考えているところでございます。

○和田(政)委員 答弁を受けて、これも更に聞いていきますね。更に進めていきますと、再審請求理由との関連性を要求しますと、これまで開示されてきた証拠が開示されなくなるのではないかという疑問がございます。

 法務省の説明によりますと、過去の再審無罪事件において、再審請求理由との関連性がない証拠が開示された実例は承知しないとされていますが、袴田事件の六百点の証拠開示、福井事件の二百八十七点の証拠開示は、再審請求理由との関連性が認められるということでよろしいでしょうか。過去の運用を後退させるものではないという認識でよいか、再審請求者や弁護人が再審請求理由との関連性を具体的に説明しなくても、およそ関連性がないと認められるものを除き、まとめて開示されることになるのか、お聞きをします。

○佐藤政府参考人 幾つかの質問が入っているかと思いますので、ちょっと御説明いたしますと、まず、再審請求理由に関連するというのは、先ほど来申し上げているとおり、相当の広がりを持つものでございまして、これにより必要十分な証拠が出るというふうに我々は理解しているということがまず第一点であります。

 その上で、過去に提出された、開示された、各種の事件で、申し上げられた証拠について、これが関連性があったのかどうかということについてですが、これを、済みません、私どもの立場、法務当局の立場で、あれが関連性があった、なかったというのを個別に言うのは大変難しゅうございますというのがまず大前提でありまして、その上で、法制審議会に出てこられた裁判官の委員であるとか、そういった方々に言わせますと、我々は必要性、相当性、関連性のあるものについて開示するよう検察官に勧告してきたものであるから、そういうものが開示されてきたのであるというふうな、検察官としては裁判所から勧告を受けたものについて開示してきたという関係がございますので、まずはそのような事実関係がある。したがって、関連性がある証拠が開示されてきたというのは、そのような裁判官の判断によれば、そのようなことになるだろうというのが一つであります。

 その上で、任意の証拠の提出、開示、そこまで言わなくても、関連性を厳密に問わなくても開示するというパターンは当然にあり得るところでありまして、広く開示する、あるいは提出命令じゃなくて、弁護側に直接、それと同時に、裁判所と同時に開示するという運用の話は多々ありますので、これが、じゃ、関連性、厳密に絞られるかというと、必ずしもそうではないのではないか、今の通常審の運用が現にそうではないように思われるということでありまして、それが守られれば、再審請求審でも広く開示がされるのではないかというふうに考えているということでございます。

○和田(政)委員 確認ですけれども、これは過去の運用を後退させるものではないということでよろしいですね。

○佐藤政府参考人 申し訳ございませんでした。

 過去の運用の開示の範囲より後退することはないと考えているところでございます。

○和田(政)委員 DNA鑑定のことについてお聞きをいたします。

 東京電力女性社員殺人事件では、検察官は、弁護人がDNA鑑定のための現場遺留物の証拠開示を求めたのに対し、再審請求理由との関連性がないという理由で現場遺留物の存在を明らかにすることを拒否していましたが、裁判所から勧告を受けて、最終的に開示に応じました。その結果、現場遺留物についてDNAの鑑定が実施され、再審開始決定及び再審無罪判決につながりました。

 今後は、再審請求理由との関連性がないという理由でDNAの鑑定のための現場遺留物の開示を拒否することはないということでよろしいでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 個別の再審請求事件についての検察当局の活動に関する事柄について法務当局としてお答えしづらいことはあるのですけれども、御指摘の事件について申し上げますと、その事件の確定後の過程で、我が国におけるDNA型鑑定の精度が極めて上がったということがございまして、そういう中で、例えば、その当時は単なる被害者のプライバシー情報でしかない被害者の自宅にあった遺留物が、単なるプライバシー情報だと思われていたものが、それが時間が経過するに伴って、そこからDNA型鑑定ができるかもしれないという時代が来るということも当然に想定されるわけでございます。

 その上で、今の御質問にお答えしますと、証拠の提出命令制度を新設することとしておりますが、今のような、例えば、証拠物で、DNA型鑑定の対象となり得るものであって、それが関連性があり得る、被害者の例えば自宅に何かが残っている可能性のあるものということであれば、当然、関連性、再審請求審の判断に資する証拠であり得る場合がございますので、そういった場合には対象になりますし、命令は拒否することはないであろうというふうに考えているところでございます。

○和田(政)委員 時間の関係でこれが恐らく今日最後の質問になると思いますが、これも昨日の本会議、また各委員からも質問として出ておりますが、内閣提出法案では、裁判所は再審請求者等の請求により又は職権で証拠の提出命令を出すことができるとしていますけれども、そもそも再審請求者や弁護人は検察官がどのような証拠を持っているかが分かりませんので、これは当てずっぽうに近いような形で請求せざるを得ないという状況が生じます。

 通常審では、平成二十八年改正により、刑事訴訟法第三百十六条の十四第二項の検察官保管証拠の一覧表交付制度ができたことにより、被告人や弁護人は、検察官の保管証拠の標目、作成年月日、作成者等を知ることができるため、証拠開示請求の手がかりとすることができます。

 なぜ、再審請求審には同様の検察官保管証拠の一覧表の交付制度、いわゆるリスト開示を設けないのでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 刑事訴訟法三百十六条の十四、二項の証拠の一覧表の交付手続という制度がございます。これは、当事者主義構造の下で、そもそも、公判が始まるに当たって証拠の整理をするために設けられた制度であります。

 いざ裁判が、刑事裁判が、通常審が始まるときと再審請求審の段階で何が違うかと申し上げれば、再審請求審の場合には、確定審の判決があって、そこで開示された記録とか証拠があって、その証拠をどのように判断して確定審の判決が確定したのか、どの証拠を大事だと思って、あるいは、その証拠を重ねてどういう心証の過程、連なりを経て、どのような論理の過程を経て有罪という結論に至ったのかということがそもそもはっきりしているというのが、まずそこであります。

 問題は、再審請求をする者にとって、そのどこを争うのかということにもよりますが、その者は、これは通常審でも同様ですけれども、通常審であれば、検察官から開示された証拠のどこがうそで、どこが本当か、どこに鑑定が誤りがあるか、こういったことを、一定程度の区切りはつくわけで、区切りというか、見立てはつくわけでありますが、再審請求審においてはとりわけそれが可能であるというのが、まず一般の場合にはそういうことが多いということでありまして、そういう中で、今回の制度におきましては、裁判所への提出という、関連する証拠かどうかを判断するための裁判所への一覧表の提示という制度の枠組みはございますけれども、そういった弁護人への提出、提出というか、リストの開示という制度は設けていないということでございます。

○和田(政)委員 時間が参りましたので、更に突っ込んで聞きたいんですけれども、これは次回以降に聞きますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

○井上委員長 次に、國重徹君。

○國重委員 中道改革連合の國重徹です。

 再審の生命線、これは証拠開示です。ですので、今日はこれを中心にお伺いしていきたいと思います。

 また、質問通告させていただいておりますけれども、今日も様々やり取りがされて、今日は大臣が参議院の方に行かないといけないということで私の順番が一番最後になりましたので、このやり取りも踏まえてちょっと一部組み立ててやりたいと思いますので、臨機応変に対応いただければと思います。

 過去の再審無罪事件では、通常審で捜査機関が裁判所に提出しなかった証拠、これが決め手となって再審開始決定、再審無罪判決に至った事例が数多くあります。また、その証拠が開示されるまで何十年もの歳月がかかった事件もあります。

 例えば袴田事件、ないと言われていた、みそ漬けになっていた衣類が発見されたときのカラー写真とネガフィルム、これが後になって開示されたことが再審開始決定、無罪判決に寄与しました。

 また、日野町事件では、引き当て捜査の報告書に添付されていた写真が実際に撮影した順番から入れ替えられていた、あたかも本人が捜査員を案内しているかのように並び替えられていたことが、開示されたネガフィルムから分かりました。これは、証拠改ざん、捏造と言えます。

 さらに、福井事件、主要な証拠というのは六人の供述だったわけでありますが、関係者の供述と決定的に矛盾をするテレビ番組の放映日時に関する捜査報告書の存在を検察は通常第一審の段階で把握していたんですけれども、これを開示することなく、しれっと裁判を続けて、有罪の立証活動を続けました。そして、第一審で無罪となると検察は控訴。控訴審で有罪とされ、最高裁でそのまま確定し、服役されることになりました。服役後の第一次再審請求では、再審開始決定が出たのに検察が不服申立てをして、棄却が確定しました。第二次再審請求審で、ようやくその捜査報告書が開示をされました。これは、意図的な証拠隠しともいうべき事案であって、相当悪質であります。

 これらの袴田事件、日野町事件、福井事件の三事件について、いずれも、捜査機関が持っていた証拠が開示されたことによって再審開始、無罪に至ったとの私は認識ですけれども、大臣、この点についての認識は共有しているということでよろしいでしょうか。

○平口国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の三つの事件のうち、いわゆる袴田事件においては、検察官が弁護人に開示した五点の衣類のカラー写真や、弁護人が提出したみそ漬け実験報告書等を新証拠の一部として、また、いわゆる福井女子中学生殺人事件においては、検察官が弁護人に開示したテレビ番組の放送日に関する捜査報告書を新証拠の一つとして、そして、いわゆる日野町事件においては、検察官が弁護人に開示した死体発見現場への引き当たり捜査の過程で撮影された写真のネガフィルムを基に弁護人が作成したネガの調査報告書を新証拠の一部として、それぞれ新旧証拠を総合して評価した結果、再審開始決定がなされたものと承知しております。

 その後、いわゆる袴田事件及び福井女子中学生殺人事件については再審無罪判決が確定し、いわゆる日野町事件については、今後、再審公判が予定されているというふうに承知をいたしております。

○國重委員 捜査機関が持っていた証拠が開示されたことによって再審開始決定等がされるようになったという共通の基盤があるわけです。だからこそ、今回の法改正による証拠開示制度、これが実効的なものでなければならない。もちろん、検察官抗告を禁止していく、控えていく、こういうことも重要ですけれども、そもそも、証拠が開示をされて再審開始に至らなければ抗告の話にもならないわけです。

 この証拠開示は重要ですので、質問を続けていきますけれども、まず、通常審では、平成十六年の刑訴法改正によって、公判前整理手続、これに伴う証拠開示制度が導入をされました。その結果、現在の通常審の実務においては、証拠開示が広く認められるようになった、よく機能している、このように法務省としては評価しているかどうか、お伺いします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の平成十六年の刑事訴訟法改正によりまして、公判前整理手続それから期日間整理手続における争点及び証拠の整理と関連づけた証拠開示制度が導入されました。検察官請求証拠、類型証拠及び主張関連証拠の三種類の証拠の開示に関する規定が整備されたところでございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、検察当局におきましては、弁護人からの類型証拠や主張関連証拠の開示請求に対しては、法律の規定に従って請求及び開示の要件の存否を適正に判断した上で、それを踏まえて、証拠開示制度の趣旨にのっとりまして、審理の見通し等の事情を勘案しつつ誠実に対応しているものと聞いているところでございます。

 また、検察当局におきましては、弁護人からの開示請求が類型証拠や主張関連証拠の開示の法定の要件を満たすかについて疑義がある場合においても、証拠開示の趣旨に沿いまして任意の開示をしているというふうに聞いておりまして、そのような柔軟な証拠の任意開示が行われているのは公判前整理手続に付されていない事件についても同様であると聞いているところでございます。

 御指摘の証拠開示制度の導入によりまして、一般的には、それ以前の運用による状況と対比して大幅に証拠開示が拡充したというふうに評価されているものと我々としても認識しているところでございます。

○國重委員 私も、実務を担っている弁護士に聞くと、平成十六年の刑訴法改正によって、今刑事局長が答弁されたとおり、実務においては証拠開示がそれまでよりも拡充されているというふうに聞いております。

 その上で、平成十六年改正では、裁判所が、証拠開示の是非を判断するために、検察官に対して、裁判所の指定する範囲に属するものの標目を記載した一覧表、いわゆる標目の一覧表の提示を命ずることができる仕組みが新設されました。条文でいうと三百十六条の二十七になります。この一覧表は、あくまで裁判所が判断するために提示されるものであって、弁護人には非公開とされていました。その後、平成二十八年の刑訴法改正によりまして、三百十六条の十四が新設をされました。検察官が被告人又は弁護人に対して検察官が保管している証拠の一覧表を直接開示する規定、これが導入されたわけです。

 この三百十六条の十四が導入された趣旨、つまり、弁護人が直接証拠の一覧表を見られるようにした理由について伺います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 証拠の一覧表の交付手続が導入された趣旨は、公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件におきまして、被告人側が証拠開示請求をするための手がかりといたしまして検察官が保管している証拠の一覧表を交付することにより、証拠開示請求を円滑、迅速ならしめ、充実した公判審理を行うための公判前整理手続等がより円滑、迅速に行われるようにすることにあると承知しているところでございます。

○國重委員 ちょっと私もメモを全部書き切れなかったんですけれども、これを導入したことによって、証拠開示をより円滑、迅速、また充実あらしめるものになったというようなことだったと思います。

 弁護人に対して証拠の一覧表を開示したことによって、平成十六年改正で導入された裁判所だけがこの標目の一覧表を見る三百十六条の二十七というのは、ほとんど実務で使われなくなったと聞いておりますけれども、この点について認識を共有しているかどうか、事実かどうか、お伺いします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 裁判所が刑訴法三百十六条の二十七第二項により検察官に対して証拠の一覧表の提示を命じた事案につきまして、法務当局としては、網羅的に把握しているものでないことから、こっちが使われたとか使われなくなったとか、そういうことを申し上げることは困難だということを答弁させていただきたいと思います。

○國重委員 私は、日弁連の方にちょっと確認させていただいたところ、日弁連の刑事弁護センターによりますと、平成二十八年改正で三百十六条の十四の証拠の一覧表の開示が導入されて以降、三百十六条の二十七、裁判所の指定する標目の一覧表はほとんど使われなくなったというふうに聞いています。

 この三百十六条の二十七が今現在ほとんど使われなくなった理由、これはなぜですか。

○佐藤政府参考人 済みません、先ほど申し上げたとおり、どちらが増えているとか現在使われなくなったということについて法務当局として今お答えすることができませんので、それがなぜかということについてもお答えできないというのが今現状でございますが、いずれにしましても、その三百十六条の十四と三百十六条の二十七は、場合によって、事案によって、個別の事案に応じて使われているのではないかなというのが私自身の印象でありますが、済みません、それが多いか少ないかについて述べるような統計等は持っていないということでございます。

○國重委員 ここでこういうやり取りになると思っていなかったので、当然ここは認識が共有された上で次に進むと思っていましたが、また刑事局長も是非現場の御確認をいただければと思います。私も確認をさせていただきたいと思いますが、二十七の方はもうほとんど使われていないというのが実態だと思います。

 今回の政府案では、これまで明文規定がなかった再審における証拠開示について、新たに証拠提出命令制度が新設をされています。具体的には、四百四十五条の三、これによりますと、裁判所が、証拠提出命令を出すかどうかを判断するために、検察官に対して、指定する範囲に属するものの標目の一覧表の提示を命じることができるとなっています。

 これは、先ほど確認しました、今、実務では、私の認識、日弁連の認識としてはほとんど使われなくなっている通常審の三百十六条の二十七と同じ構造ですけれども、この四百四十五条の三は、通常審の三百十六条の二十七を参考にして新設されたというふうに理解していいでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございまして、本法律案による改正後の刑事訴訟法四百四十五条の三は、通常審における証拠又はその一覧表の提示命令について規定する刑訴法三百十六条の二十七を参考としたものでございます。

○國重委員 ちょっと前提の認識が食い違っているのであれなんですけれども、そもそも、今、実務ではほとんど、私の認識、日弁連の認識としては使われなくなったという三百十六条の二十七を参考にして、弁護人への直接開示を規定した三百十六条の十四は参考にしていない、なぜ三百十六条の二十七をわざわざ再審に持ち込んだのか、その理由についてお伺いします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 わざわざというかどうかはちょっと私も、済みません、今、その前提ではないことで、参考にした理由について申し上げさせていただきますと、通常審における証拠やその一覧表の提示命令について規定する刑事訴訟法三百十六条の二十七は、裁判所が、開示請求に係る証拠として検察官が実際にどのようなものを保管しているかを把握できるようにすることによりまして、証拠開示に関する裁定を適正に行うことができるようにするものでございます。本法律案については、証拠の提出命令制度を設けることとしておりますけれども、裁判所が検察官に対して証拠の提出を命ずるか否かを判断するに当たりまして、判断対象となる証拠を直接確認したり、検察官がどのような証拠を保管しているかを把握したりすることは、その判断を適切に行うことに資するということでございますので、そのためには、通常審における証拠やその一覧表の提示命令と同様の制度を設けることが有用であると考えたということでございます。

○國重委員 済みません、これから、やり取りをするときに、今日はもう少しだけゆっくりめに言っていただければ、私、ちょっとメモしながら、聞きながらまた質問とかも考えていきたいと思いますので。

 要は、弁護人への直接開示ではなく、裁判所への標目の一覧表の開示としているもの、これは、今までの法務省、また何かやり取りを聞いていると、職権主義的な構造もあるんだみたいなところがあったかと思うんですけれども、そういうものも背景にあるということでよろしいんでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 証拠の提出命令をするに当たりまして、三百十六条の二十七の規定を参考にするというのは、裁判所が検察官に命じて証拠の一覧表を提出させるというような観点でいいますと、やはり再審請求審における職権主義的構造と整合的であるということは考えられるというふうに思っております。

○國重委員 私どもが部会を開いたときにも、法務省の方に御説明をいただいて、そういうような御説明もいただいたというふうに受け取っています。

 再審制度というのは、再審請求人又はその弁護人が新証拠を準備して請求して初めて始まる、入口は当事者に依存していることになりますよね。入口のところまで裁判所がやっているわけではなくて、入口はやはり当事者がやっている、請求人、弁護人がしている、弁護人に依存しているというのであって、再審制度は純然たる職権主義ではないというふうに私は考えています。

 再審制度は、当事者主義的な入口と職権主義的な審理の二重構造があると思いますけれども、これについての法務省の見解を伺います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 再審請求審は、職権主義の下で裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断する手続でありまして、裁判所が手続進行について主導権を持つという意味におきまして、やはり職権主義的な構造にあるというふうに思っております。

 もっとも、再審請求審につきましては、審理の開始が再審請求者等の請求によるものでございまして、そういうこととされるなど、再審請求者等にも手続進行などにおきまして一定の権利が与えられておりますし、本法案でも様々な手続保障、権利保障を付与したいと考えているところでありまして、それは当然一定の権利が与えられているということでございます。

○國重委員 先ほど申し上げましたとおり、再審制度は、その入口については請求人、弁護人に依存している、請求人、弁護人が動かなければ始まらない制度になっています。にもかかわらず、証拠の一覧表が請求人らには開示をされない。その結果、証拠の全体像が分からない。

 確かに、先ほどのやり取りを聞いていますと、通常審において様々な証拠が出ているので、その範囲では当然分かると思いますけれども、ただ、自分が無罪と主張する請求人にとっての有利な証拠がどこまであるのかというのは分からないというのもあると思います。そういう、全体像が分からない中で、どう適切に証拠提出の請求をしていくのか。

 そもそも、再審というのは、無辜の人を救済するというのが一番の目的であって、本法案の大目的であると思います。その本来目的を横に置いて、構造論とかそういうものを出してくるというのは、私はちょっと違うんじゃないかというふうに思っております。

 そこで、議連案提出者にお伺いします。

 議連案では、証拠提出命令の規定を設けて、検察官から再審請求人等に対して証拠を直接開示する制度設計としています。そして、その開示対象として送致書類等目録を含めるとしていますけれども、このような規定とした趣旨について伺います。

○西村(智)議員 お答えいたします。

 御指摘のとおり、再審請求人側にとって、通常審の段階で裁判所に提出されなかった証拠を含めて、証拠の全体像を把握することは極めて困難であります。しかし、再審請求人側が再審請求理由について的確に主張を組み立てた上で円滑に証拠開示の手続を進めるためには、その開示を求める証拠が証拠の全体像においてどのような位置づけでどの程度の重要性を有しているのかというのを適切に把握することが極めて重要だと考えております。

 この点を踏まえて、超党派の議連では、通常審における証拠開示制度と同様に、保管証拠の一覧表の作成と交付についての規定を設けることも検討されたんですけれども、通常審から相当の年月を経ていることが多い再審請求事件においては膨大な数に上るということもある、保管証拠全ての一覧表を新たに作成させることについては、検察官に過大な負担を課すものであって、相当ではないと考えられました。

 そこで、議連案では、検察官に過度な負担を課すことなく、保管証拠の一覧表の作成や交付と同様の目的を達成するため、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される証拠物や書類の目録の存在に着目をして、これを送致書類等目録として開示命令の対象に加えることといたしました。

○國重委員 私は、再審制度をやはり適切にワークさせていくためには、今答弁でありましたとおり、再審請求人、弁護人への送致書類等目録あるいは証拠の一覧表の開示というのは不可欠で、ここが肝なんじゃないかなというふうに考えております。

 法務省にお尋ねしますが、なぜ今回の政府案では、議連案が規定する送致書類等目録の再審請求人等への開示、あるいは三百十六条の十四に規定する弁護人への証拠の一覧表の開示のような規定を設けなかったのか、この理由について伺います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 刑事訴訟法三百十六条の十四の第二項の証拠の一覧表の交付手続といいますのは、検察官が公訴事実を立証し、被告人、弁護人がそれに反証を行うという当事者主義的構造の下で、公判前整理手続あるいは期日間整理手続に付された事件におきまして、被告人が証拠開示請求をするための手がかりといたしまして検察官が保管している証拠の一覧表を交付することによりまして、証拠開示請求を円滑、迅速ならしめ、公判前整理手続等がより円滑、迅速に行われようとするためのものでございます。

 その上で、これに対しまして、再審請求審というのはちょっとジャンルとか時期が違いまして、既に有罪判決が確定して、その根拠となった証拠群が判決書や確定記録によって把握できる、その論理構造、全体構造が把握できる中で、どの証拠の認定や証拠評価が誤っているかを自ら把握して主張する立場にある再審請求人の側から見て、その検察官の手持ち証拠がどのような証拠であるのかということを、自分が間違っていると考える事実認定、あるいは、その証拠がそもそも信用性がない証拠であるのに、それによった裁判所の判断が誤っているというふうに主張するためのことをまず念頭に置いて、それに関連する証拠を開示させていくということを狙った手続になるかと思うんですけれども、そういう意味で、再審請求人、再審請求者が再審請求事由の存在を主張して、裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断する手続ということもあって、職権主義と当事者主義で前提が少し異なるというのは事実ではあろうというふうに思います。

 その上で、審理の在り方とか、その時期、そもそも確定審の判決がある後なのか、そもそも裁判が始まる時点で証拠開示の手がかりをつくるべきなのかどうかという意味において、三百十六条の十四と二十七というのも、少しジャンルが違う、何といいましょうか、証拠の開示を迅速化するための一種の仕組みの、ちょっと違う視点から行われているものだということでありまして、今回、再審請求審において証拠提出命令のための制度をつくるに当たりましては、三百十六条の二十七ですか、こちらの方がより実態に即している制度なのかなというふうに私は理解しているところでございます。

○國重委員 今日、私、一回目の質問なので、また今日を踏まえてやりますので、また議事録を精査した上で質問を重ねたいと思いますけれども、ちょっといろいろ、一つ一つ潰していきたいというか、やっていきたいと思いますので。今おっしゃったのは構造のところですよね、構造論についてお話をされました。これについては、そもそも何が一番の目的かというところのぶつかり合いがあると思いますので、またこれは改めて述べたいと思いますが。

 以前、法務省の方から御説明を受けたときに、被害者のプライバシーと、この証拠の一覧表の開示のとき等に言われていたような気がするんですけれども、これは入らないということでいいですか。こういうところもあるから、三百十六条の十四では導入しないんだ、それが趣旨であれば、そのやり取りを今させていただきたいと思います。それがなければ、もうここはパスしたいと思いますので。

○佐藤政府参考人 申し訳ございません、質問がよく聞き取れずにおりまして、三百十六条の十四の証拠の一覧表の交付に関するトラブルなのかどうかということで……(國重委員「もう一度聞きましょうか」と呼ぶ)はい。

○國重委員 今回、再審請求審においての証拠提出命令、ここにおいて、通常審における三百十六条の十四、つまり弁護人に対する証拠の一覧表の開示のようなものを再審に導入した場合に、これらは名誉とかプライバシーに関わるもの、捜査手法に関わるもの、捜査に支障が生じる場合もあるからここは控えるというようなことがかつて部会等のやり取りであったように認識しているんですが、ここは含まれるということでよろしいんでしょうか、どうなんでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 必ずしもそういう趣旨ではありませんけれども、やはり構造論というのは一つ大きい話なのかなというふうには理解しております。済みません、ちょっと今、答弁としてどのように答えるべきか、済みません、このぐらいでお許しください。

○國重委員 では、ちょっと先に潰すところを潰しておこうと思いますので。

 まず、三百十六条の十四の運用において、つまり現行の通常審における弁護人への証拠の一覧表の開示、この運用において、被害者のプライバシーが侵害されてトラブルになったような事例はあるのかないのか、もし把握しているのであればどのような事例なのか、お伺いします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の三百十六条の十四第二項に定める証拠の一覧表には、いわゆる供述調書のような証拠書類の標目、作成年月日、供述者又は作成者を記載するとされているところでありますが、これらの記載から御指摘のような被害者のプライバシーが侵害されてトラブルになった事例としては、法務省としては、済みません、網羅的、統計的に把握していないものですから、具体的な事例についても承知していないという状況にございます。

○國重委員 仮に、これを再審で導入したときにそういうような問題があるんじゃないかというふうに言ってきた場合に、この証拠の一覧表はあくまでリストであって、証拠そのものではありません、その一覧表を開示することで、プライバシーとか名誉とか、侵害されることはないのではないかと。プライバシーの侵害が仮に問題となるのであれば、それは証拠そのものの開示の段階ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 本法律案におきましては、証拠の一覧表の提示命令に関する規定を設けているところでございます。この証拠の一覧表については、再審請求理由との関連性が認められる可能性のある証拠を裁判所において把握することができるようにするためのものでございまして、証拠の表題とか作成の年月日であるとか供述者の氏名等にとどまらず、例えば供述調書における供述事項なども記載され得るものと考えているところでございます。そのため、再審請求者側に一覧表の閲覧、謄写を認めることとした場合には、証拠の開示ではないものの、供述者や供述事項に表れた関係者等の名誉、プライバシー等の保護が問題となるというふうには考えているところでございます。

○國重委員 済みません、ちょっと今、かみ合ったかどうかなんですけれども、今の話は、通常審であれ、再審に導入するであれ、三百十六条の十四の話ですね、あくまで。標目の一覧表ではなくて、証拠の一覧表ですね。これは証拠そのものではない、要旨も書いていないものですね。三百十六条の十四。十四ですから証拠の一覧表。別にこれを開示したって、プライバシー等は問題ないんじゃないですかということを今聞いています。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 三百十六条の十四の証拠の一覧表につきましても、供述内容の話などは触れてきませんけれども、これでトラブルになったことも私ども承知していないとは申し上げましたけれども、当然、供述者が分かるわけでありますので、組織犯罪等については誰が協力したかが分かるわけでありまして、プライバシーとか捜査の秘密の問題は生じ得るとは考えております。

○國重委員 可能性的には、今言われたような事例ではあり得るかもしれませんね。であるのであれば、確かに、そういうものを守るというようなことも正当な理由だとは思います。

 一方で、プライバシーに関わる部分については、例えば黒塗りにしたり、また閲覧制限の仕組みを設けたらいいんじゃないか。例えば少年審判規則第七条、ここには、家庭裁判所が事件記録や証拠物を閲覧、謄写を許可する際、プライバシー保護などのために個別に条件を付すことができる仕組みを定めています。

 こうしたものも参考にしながら、より制限的でないやり方を検討すればいいのであって、こういう場合、全面不開示の理由にならないと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今、私どもが本法案の内容として入れている証拠の一覧表ということについてあくまで申し上げますと、それでは答えになっていないというイメージですかね。(國重委員「そうですね。もし仮に入れた場合ですね。入れたというか、三百十六条の十四の方ですね」と呼ぶ)

 十四の方ですか。ちょっと済みません、先ほど来私が申し上げたように、例えば、公判前整理手続、あるいは証拠開示請求の手がかりとして公判前の段階でやるリストの話と、その後に、証拠がどのようなものがあるのかということを全て把握するために行う手続、とりわけ再審請求審において、全ての確定審が決まった後で、判決内容も分かっていて、それを裁判所が主宰する手続の中で、裁判所が関連性のある証拠を全て把握するために行う手続との関連でいきますと、我々としては、今、我々の法案に設けている証拠提出命令制度における証拠の一覧表の提示を求める手続あるいは証拠そのものの提示を求める手続が、全体の証拠を把握するために、正しい証拠を開示させる、請求をさせて弁護人に見せるために適切ではないかと我々は考えているということでございます。

 済みません、答えになっていないかもしれませんが。

○國重委員 先ほど申し上げた構造論のところはまたじっくりとやり取りさせていただきたいと思うんですが、仮に十四を導入した場合にも、プライバシーとかの問題が仮にあるとか、捜査に支障があるとか、先ほど言ったように暴力団関係者であるというようなことがあれば、より制限的でない方法はあるんじゃないの、黒塗り等にすればいいんじゃないのということをまず、ちょっと時間の関係で、時間に限りがありますので、今日の段階でここをちょっと明らかにしておきたかったという意図がございます。

 大臣、今のところはずらっと、大臣に聞くために通告もしていましたので、そろそろ大臣にもお出ましいただきたいと思うんですが。

 何があるか分からない中で、請求人は明白な新証拠を発見しなきゃいけない。冒頭に指摘しましたとおり、過去には、証拠隠し、証拠捏造という許されない、そういった事案もあったわけです。再審無罪事件の反省の下に本法案があります。無辜の救済のために制度の改正を目指すのであれば、やはり再審請求人や弁護人に一覧表を開示する仕組みを設けるのが私は筋だと思いますけれども、大臣はどのようにお考えですか。

○平口国務大臣 再審請求審は、職権主義の下で、裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断する手続でございます。そのため、本法律案においては、証拠の一覧表を再審請求者側に開示する制度ではなく、裁判所が、提出命令に係る判断に当たり必要があると認める場合に、検察官に対し、その保管する証拠であって、裁判所の指定する範囲に属するものの標目の一覧表の提示を命ずることができる制度としております。

 他方、再審請求者側が裁判所に証拠の提出命令の請求をする際の証拠の特定は、請求に係る証拠を識別できる程度のもので足りるため、証拠の一覧表がなくても十分に可能でございます。

 その上で、本法律案においては、証拠の提出を命ずるか否かの判断の対象となる証拠自体の提示を命ずる制度も設けることとしておりまして、これらの制度を活用することで、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることになると考えております。

 本法律案が改正法として成立した場合には、裁判所や検察庁等の関係機関に対し制度の趣旨や内容を十分に周知し、適正な運用の確保に努めてまいりたいと考えております。

○國重委員 政府案の証拠提出命令の対象になるには、何を開示したいのかということを特定しないといけない。これについては、今大臣が、請求に係る証拠を識別できる程度のものだからできるんだみたいなことをおっしゃっていましたけれども、一覧表の開示がなくてどうやって特定するんですか。かばんの中に何が入っているのか分からないのに、かばんの中から何か出せと言っているようなものであって、大臣、一覧表なしでどうやって識別要件を満たすようにできるんですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 他の証拠と識別するに足りればいいのでありまして、例えばということでありますと、既に確定審の判決があるわけでありまして、どのような証拠がどのように用いられて、その目撃者、例えば目撃者の供述がポイントになったとするならば、その供述が虚偽であるということを主張するのが再審請求理由の一番メインだとした場合に、そうした場合には、今の識別の方法としては、例えば、犯行状況に関する他の目撃者の供述調書であるとか、あるいは目撃状況に関する実況見分調書その他の再現に関する捜査報告書であるとか、その他もろもろの、いつ幾日とかではなくて、かつ内容も特定するわけじゃなくて、そういった関係する目撃供述に関するといった形で特定していくことが考えられるというふうに思われます。

○國重委員 自分は犯人ではないと言っている再審請求人は、自分が無罪ということは分かっているけれども、ただ、それを立証する証拠について、検察官が、検察が何を持っているか分からない、捜査機関がどういう見立てで、どういう証拠を集めていたのかも分からない。じゃ、請求人は、例えば犯人性の判断の根拠となった捜査報告書全部という特定の仕方をすれば、これは提出命令が認められるんですか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今の実務上の主張関連証拠などの中でもいろいろな実務が積み重ねられてきているんですけれども、恐らく、犯人性に関わる全ての捜査報告書という形で今の実務が行われているとは思っておりません。すなわち、裁判所から、もう少し特定するように、どの捜査報告書がそれに当たり、それに当たらないのかをもう少し特定するようにというような運用が行われているやに聞いています。

 したがいまして、先ほど、例えば、自分が犯人でない、目撃者が唯一の証拠であった、確定審の判決がそういうことを根拠に有罪判決を下したということなのであれば、例えば、その人、その供述人の供述に関する捜査報告書、メモ、それから全ての供述調書、検察官面前調書、警察官面前調書といったこともあり得るでしょうし、その供述の信用性に関わる、その裏づけに関わるその他の関係人の供述調書などという言い方もできますでしょうし、例えば、その供述状況、物的な環境等に鑑みるのであれば、目撃状況とかがおかしいというような、そんなところから見えるわけがないという主張をされているのであれば、そのときの警察官の再現状況とか実況見分したもの全てであるとか、そういった形であるならば、捜査報告書とか捜査書類の中身が一定程度特定できて、例えば、検察が持っていなくても警察にそういうものがありますかと聞けるようになりますので、そういう形になれば、特定して、開示されていくということが考えられるのではないかというふうに思っております。

○國重委員 また議事録をしっかり見させていただきたいと思いますけれども、再審請求人は、いずれにしても、漠として請求するしかなくて、裁判所がそれをインカメラで見て関連すると判断した場合にだけ出てくるということですよね。請求人、弁護人が見たいと思っているかもしれない証拠が裁判所の判断でフィルタリングされていく、関連性のところですね、これで実効的な証拠開示と言えるのか。その証拠の持つ意味というのが当事者にしか分からないという場合もあるかと思います。

 証拠開示というと、段ボールがどんと出てきて、一枚一枚めくる中で重要な証拠が出てくる。当事者は必死ですから、本当に一枚一枚めくって、その中の一文とかの中に鉱脈があるということで、そういうふうな目で見ていくわけですけれども、裁判官としては温度差がある。その中で、表紙とかいろいろなものを見て、これは関連性ないねとなったり、裁判所だけでは、フィルタリングから漏れる場合もあると思います。一枚一枚見ていくか、ファイルの表紙を見て関係ないと見るか、そういうことは必ずあると思います。証拠の一覧表を開示しないと、これは実効的な証拠開示にならないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 再審請求理由に関連する証拠であれば、先ほど来、別のときに答弁したんですけれども、一定の特定ができるわけであります。再審請求理由についての判断に資する証拠ということでありまして、そういう形の特定ができるわけですけれども、ここで言う証拠というのは、何かを立証するための証拠という意味ではなくて、捜査書類とか物全般を意味するものですから、今おっしゃっている意味が全ての捜査書類、物であるということになると、極論を言えば、警察署にある捜査書類は全部、その事件かどうかにかかわらずというようなことにもなりかねないわけでありまして、一定の特定をしなきゃいけないということだと理解しています。ほかの事件の証拠がこっちの証拠になることもありますので、A事件に関わるからといってB事件に関わらないわけではないのであります。捜査二課がやっていても捜査一課が関わることもあるかもしれないのであります。

 したがいまして、どういう特定をしてどういう証拠を探していくかというのが重要でありまして、今回の法案におきましては、関連する証拠については一定程度特定されればまず提出しますと。私が申し上げているのは、争点ははっきりしているわけでありますので、争いどころは確定している、判決書は出ているわけであります。それをどうやって崩していくかというのは、再審請求人側にとってはいろいろな方策があるということだとは思いますけれども、そのときに、ただ、その再審請求に関連する証拠を全部提出させられるように、それ以外の証拠の一定の範囲を検察官から裁判所に提出するという枠組みを今設けている、一覧表の提出の枠組みを設けているということでございまして、それも一定の範囲を定めて裁判官が検察官に命じることとされています。

 そういう意味で、特定の範囲がやはり重要ではないかというふうに考えられるところでございます。

○國重委員 済みません、私は、全ての証拠を開示しろとかと言っているのでは全くなくて、特定とかをしていくための手がかりとして、今、暗い中を、何も分からない中を請求していくのは難しいので、証拠の一覧表を、リストを開示してはどうですかとあくまで聞いているわけです。

 ちょっと一旦ここで、これについては区切りたいと思います。議事録を読んだ上で、整理をしてまたやり取りをさせていただきたいと思います。また、事前のやり取りもした上で、できれば質疑を迎えたいと思いますが。

 次は、裁判所の裁量による証拠提出命令についてお伺いしていきたいと思います。ちょっと時間の関係がありますので、本当はストーリーでゴールまで行きたいんですけれども、ちょっとこれは難しいと思います。少し、次回以降のために、土台設定のための質問をさせていただきたいと思います。

 政府案の証拠提出命令では、再審請求理由との関連性、必要性、相当性の要件を満たす必要があるとされています。一方、これまでは、証拠開示に関する明文規定がなかったことから、再審請求理由との関連性には関わりなく、裁判所自らの裁量によって証拠開示が行われてきたという実態があります。

 冒頭、袴田事件における五点の衣類のカラー写真やそのネガフィルム、日野町事件のネガフィルムに関する証拠収集も、そういった請求理由との関連性にとらわれない裁判所の裁量によって行われてきた、確認ですけれども、そういう認識でよろしいでしょうか。

○佐藤政府参考人 お尋ねが個別の再審事件における裁判所の判断とか弁護人の活動に関する評価にわたり得る事柄ではございますが、結論から申し上げて、今の二つの再審事件における証拠については、いずれも、弁護人において再審請求の理由に関連するとして証拠開示命令を申し立てるなどしていたものについて、裁判所の意向を踏まえて検察官において提出、開示したものであると私どもは理解しているところでございます。

○國重委員 それは、これまで条文はなかったわけですよね。関連性とか、そういうようなことはなくて、裁判所は裁量でやってきたし、検察官も任意で応じてきたところはあるわけですよね。

 その上で、今回、関連性の要件を盛り込んだ規定を設けていますけれども、今までは、裁量による証拠開示命令ですか、こういうようなことも、勧告ですね、できていたけれども、今回、条文を規定して、関連性等を要件に入れましたけれども、この趣旨について伺います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。

 関連性を要求している趣旨というのではなくて、この提出命令制度をつくった趣旨ということでしょうか、それとも、関連性を要求している趣旨……(國重委員「関連性」と呼ぶ)はい。

 お答え申し上げます。

 今回の本法律案においては、一定の要件の下で、再審請求者の請求又は職権で検察官に証拠の提出を命じなければならないこととしているところでありまして、裁判所の職権による提出命令も規定しているところでございます。その上で、四百四十五条の二におきましては、再審請求の理由に関連すると認められる証拠についてというまず前提を立てて、関連性の程度、必要性の程度、弊害の程度などを考慮して相当と認めるときは、請求がなくても職権により証拠の提出を命じなければならないものとされているところであります。

 関連性を要件としているのは、先ほど来申し上げているとおり、再審請求理由の有無を判断するというのが再審請求審であるところ、関連するという意味は、その再審請求理由についての判断に資する書類又は物という意味でありまして、関連するというのがまさに取調べの必要性を表すものであるというふうに考えているということでありまして、それによって、現に、再審請求理由、請求審で争われるような、裁判所が、調べるべき証拠が必要十分に提供されて、判断の基礎となるというふうに考えているということでございます。

○國重委員 一つ一つ整理していきたいと思いますけれども、今回明文化されたということで、ただ、これによって、今までの質疑でもあったと思いますけれども、これまでできていたことが後退するようなことがあってはならないと思います。本末転倒になります。

 次、大臣ですね、ちょっとこれまで大臣のところも刑事局長が答えたりしていましたので次は大臣に行きますけれども、例えば、冒頭に述べました福井事件、これにつきまして、検察が隠していたテレビ番組の放映日時に関する捜査報告書、「夜のヒットスタジオ」の放映日に関する捜査報告書は、政府案で言う関連性の要件を満たすのかどうなのか、伺います。

○平口国務大臣 お尋ねは、裁判所が個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係等を踏まえて判断すべき事柄でございますことから、一概にお答えすることは困難でありますが、例えば、再審請求者が、自分は犯人ではない旨を主張している事件において、犯人性に関わる目撃証言の信用性に疑念を抱かせる証拠を提出し、その信用性を否定する主張をしているような場合には、その裏づけとなる目撃日時の特定に関する捜査報告書は、再審請求理由と関連する証拠として証拠の提出命令の対象となり得ると考えております。

○國重委員 またこれについても、法制審でのやり取りがこの辺りはあったと思いますので、ちょっと、次回以降、ここについても確認をしていきたいと思います。

 それで、この規定ですけれども、実際、裁判所が何々と関連性のある証拠を出しなさいと検察官に、検察に命じるわけですね。それを聞いて、関連性があるのはこれこれだと判断するのは検察になるわけです。あくまでも、これは検察のさじ加減でどこまで出すのかが決められる。じゃ、それで出てきた証拠とか標目の一覧表、これが十分なのかどうなのか、欠落しているのかどうなのか、証拠の全貌を知らない裁判所や弁護人はこれをどうチェックできるんでしょうか。関連性の要件があることで、検察官のさじ加減でそもそもフィルタリングがされてしまうというようなことがあれば、これは重大な問題だと思います。

 検察官がこれは関連性がないと判断をしてリストから除外した場合、元の全証拠を知り得ない裁判所又は弁護人はその欠落をチェックするすべがないんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○平口国務大臣 本法律案においては、証拠の一覧表の提示命令に関する規定を設けることとしております。

 裁判所が検察官に対して証拠の一覧表の提示を命じた場合、検察官は、裁判所が指定した範囲に属する証拠を一覧表に記載しなければならないのであって、検察官が再審請求理由との関連性がない証拠であると判断して一覧表に記載しないといったことは許されないわけでございます。

 結局、御指摘のような問題が生じないようにするためには、検察官において、証拠の提出命令の趣旨を踏まえ、引き続き誠実かつ適正に職務に当たることが極めて重要であると考えておりまして、法務省としては、本法案が成立した場合には、裁判所や検察庁などの関係機関に対し制度の趣旨、内容を十分に周知し、適切な運用の確保に努めてまいりたいと考えております。検察当局においても、制度の趣旨を踏まえつつ、誠実かつ適正に職務に当たるものと承知しておりまして、私としても関心を持って注視してまいりたいと考えております。

○國重委員 今大臣は、そういう関連性があるものを検察官が出すときに、例えば、過去にもあったわけですよね、証拠隠しとか証拠捏造とか、関連性がない、そういうことを言う、意図的にそういうことを言う検察官は許されないということは言われましたけれども、私が聞いているのは、裁判所とか弁護人がチェックするすべはないんじゃないですかと。

 せめて証拠の一覧表等があれば分かる、何らかの取っかかりがあるかもしれないですけれども、関連性というようなことで、今のようなケースの場合、裁判所、弁護人はチェックするすべはないということでよろしいですか。

○平口国務大臣 仮に検察官が裁判所の指定した範囲に属する証拠を一覧表に正確に記載しなかった場合に、裁判所や弁護人においてその欠落をチェックすることができないということは、御指摘のとおりでございます。

 結局、御指摘のような問題が生じないようにするためには、先ほど言いましたような、検察官において、証拠の提示命令の趣旨を踏まえ、引き続き誠実かつ適正に職務に当たることが重要であると考えております。

 法務省としては、本法律案が成立した場合には、裁判所や検察庁などの関係機関に対し制度の趣旨や内容を十分に周知し、適切な運用の確保に努めてまいりたいと考えておりますし、検察当局においても、制度の趣旨を踏まえつつ、誠実かつ適正に職務に当たるものと承知しておりまして、私としても関心を持ってそのことを注視してまいりたいと考えております。

○國重委員 今日のやり取りを踏まえて、ちょっと議事録を精査して、整理した上でまた次回以降質疑させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

○井上委員長 次回は、来る二十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十七分散会


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