衆議院

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第2号 平成28年9月14日(水曜日)

会議録本文へ
八月五日

 岸信夫君が委員長を辞任した。

平成二十八年九月十四日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長代理理事 新藤 義孝君

   理事 島田 佳和君 理事 土屋 品子君

   理事 中山 泰秀君 理事 小熊 慎司君

   理事 武正 公一君 理事 岡本 三成君

      井上 貴博君    小渕 優子君

      大野敬太郎君    神山 佐市君

      木原 誠二君    城内  実君

      佐々木 紀君    斎藤 洋明君

      助田 重義君    鈴木 隼人君

      辻  清人君    丹羽 秀樹君

      松島みどり君    三ッ矢憲生君

      武藤 容治君    山田 美樹君

      大島  敦君    吉良 州司君

      寺田  学君    長島 昭久君

      升田世喜男君    浜地 雅一君

      笠井  亮君    吉田 豊史君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   内閣府副大臣       石原 宏高君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡本  宰君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 川崎 方啓君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月五日

 辞任         補欠選任

  岸  信夫君     丹羽 秀樹君

  小林 鷹之君     井上 貴博君

  薗浦健太郎君     武藤 容治君

  橋本  岳君     木原 誠二君

九月十三日

 辞任         補欠選任

  丸山 穂高君     吉田 豊史君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     斎藤 洋明君

  黄川田仁志君     神山 佐市君

  佐々木 紀君     助田 重義君

  篠原  豪君     升田世喜男君

  吉田 豊史君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     黄川田仁志君

  斎藤 洋明君     井上 貴博君

  助田 重義君     佐々木 紀君

  升田世喜男君     篠原  豪君

    ―――――――――――――

八月三日

 一、国際情勢に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件

 北朝鮮による五度目の核実験に対する抗議決議の件


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     ――――◇―――――

新藤委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官水嶋光一君、大臣官房審議官川崎方啓君、大臣官房審議官大菅岳史君、内閣官房内閣審議官岡本宰君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君、地方協力局長深山延暁君、統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新藤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

新藤委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山泰秀君。

中山(泰)委員 自由民主党の中山泰秀でございます。

 時間の関係で、早速質問に入らせていただきます。

 北朝鮮がとうとう五回目となる核実験を行いました。これは、二二七〇号等一連の国連安保理決議、また六者会合の共同声明、それから日朝平壌宣言に明確に違反しているというふうに言えると思います。また、本年に入って、弾道ミサイルの発射を二十一発実施しています。

 そこで、まず防衛省にお伺いをいたします。

 北朝鮮が核技術を進歩させ、核の小型化を行い、それをミサイルに搭載させ発射を行った場合、日本列島の北から南まで全ての地域に約十分以内に着弾すると言われていますが、それは事実でしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 弾道ミサイルの発射から着弾までの時間につきましては、発射の形態によって差があり得るところではございますけれども、一般論として申し上げますと、北朝鮮は日本の大半を射程に入れる数百発もの弾道ミサイルを配備しておりまして、発射されれば、おおよそ千キロメートルを約十分で到達できる状況となっております。

中山(泰)委員 もしそうであるとするならば、実際、我が国の、特に人口が密集している大都市等に向けてミサイル発射が行われた場合、我が国は国民の生命と財産を守り抜くことができるのかどうか、教えていただきたいと思います。

岡政府参考人 防衛省・自衛隊といたしましては、いかなる事態にも対応することができるように、平素から米国等とも連携をしつつ情報の収集、分析及び警戒監視等に努めておりまして、引き続き国民の生命財産を守るべく万全を期してまいりたいと思っております。

 防衛大綱におきましては、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上も踏まえまして、弾道ミサイル防衛システムについて、我が国全域を防護し得る能力を強化するため、即応態勢、同時対処能力及び継続的に対処できる能力を強化することとしておりまして、防衛省といたしましては、弾道ミサイルの脅威から国民の生命財産を守るべく、これらの取り組みを着実に進めているところであります。

 具体的には、中期防衛力整備計画に基づきまして、イージスシステムを搭載しております護衛艦の増勢を着実に進めております。さらに、我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制の強化に向けまして、能力向上型のPAC3ミサイル、あるいは能力向上型の迎撃ミサイル、いわゆるSM3ブロック2A、こうしたものの導入に向けた取り組みや、将来の弾道ミサイル防衛体制の調査研究を着実に進めていく考えであります。

中山(泰)委員 現場で頑張っておられます第一線の自衛官の皆様方の、現場に憂いのなきようにしっかりと整備を、整えていただきたいと思いますし、また補給も含めて、福利厚生、また、銃後の守りをしておられる御家族の皆様に対する配慮もぜひこの機会に申し述べておきたいと思います。よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、外務省に御質問を申し上げたいと思います。

 報道等で知り得るところによりますと、南シナ海をめぐる問題や北朝鮮の核実験に対して国際的な批判が強まっている中、中国とロシアが連携を強めているように思っています。

 中国とロシアの海軍は、十二日、中国の広東省沖の南シナ海北西部で合同演習を開始いたしました。これは十九日まで行われる予定でございます。中ロ海軍は、二〇一二年以降、合同演習を毎年実施しておりますが、南シナ海での演習は初めてと聞いております。中国は、軍事大国ロシアを利用して、南シナ海での主権を全面否定したハーグの仲裁裁判所の裁定に従うよう求める米国に実力で対抗する意思を示す狙いがあるというふうにも思われていると思います。

 ロシアのプーチン大統領は、五日、南シナ海問題への第三者の介入は問題の解決を阻害するとして、対中批判を強める日米を牽制しつつ、仲裁の裁定を受け入れない中国の立場を支持する意向を示しております。

 こうした中、十二日には、中国の王毅外相とロシアのラブロフ外相が電話会談を行ったと聞いておりますが、北朝鮮の核実験に対する対応についても共同歩調をとるということで一致をしたと報道されています。その上で、今後も主要な国際問題で連携していく方針を確認したということであります。

 国連では、今後、アメリカなどが主導して、北朝鮮への新たな制裁の採択に向け協議をされると聞いておりますけれども、中国とロシアは北朝鮮への圧力を強化することに慎重な姿勢を示していて、協議は難航するものと見られるということが報道等でも出ていますが、他方で、現在、日ロ外交が活発化してきているという現実もございます。

 外務省のホームページでもその紹介がされています。国際情勢に関するロシアとの会談で、北朝鮮に関し、安倍総理から、北朝鮮で弾道ミサイル発射等の挑発行動が継続していることを深刻に受けとめており、各国に安保理決議の履行の徹底が必要である、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けて圧力を強化すべき、決議違反に対しては安保理が一致して明確かつ迅速なメッセージを送ることが重要であると首脳会談で申し述べたとホームページに書いてありました。

 そして、プーチン大統領からの回答は、北朝鮮について日ロの立場は一致しており、北朝鮮による核保有、冒険的行為は認められないとの反応があり、両首脳は、北朝鮮がさらなる挑発行動を行わないよう、引き続き日ロで連携していくことで一致したと報告をされていますが、ロシアと、南シナ海、朝鮮半島問題など、どのように向き合って外交力を発揮していかれるのかをお伺いさせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 日ロの間における交渉ですが、九月二日に日ロ首脳会談が行われました。また、一昨日、私もロシア・ラブロフ外相と電話会談を行いました。こうしたさまざまなレベルで意思疎通を行っているわけですが、日ロ関係全体を底上げする中で、北方領土問題あるいは北朝鮮問題など、さまざまな課題について両国の間で解決に向けて努力をしていく、こうした方針で臨んできています。

 これから国連総会も行われるわけですが、さまざまな国際場裏の場で引き続きロシアともしっかり意思疎通を図っていきたい、このように考えています。そして、その中で、ロシアに対しましては、責任ある安保理常任理事国としての役割をしっかり果たしてもらいたい、こういったことを働きかけています。

 国連安保理におきましても、九月九日、北朝鮮の核実験が実施された直後に緊急会合が開催され、既にステートメントが公表されています。そして今、適切な制裁を含む新たな決議採択に向けて議論を開始することで一致をしています。

 ぜひ、こうした議論の中で、ロシアも責任ある安保理常任理事国としての役割を果たしてもらうべく、引き続き日本としてもしっかり働きかけを行っていきたい、このように思っています。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 冷戦構造の時代、米ソの対立、そしてまた、我々、アメリカと一緒に西側諸国でいた、現在の日米同盟までに至る非常に充実した関係を思いますと、やはりアメリカ、ロシア、対ロシア外交であってもアメリカを驚かせない配慮というのが非常に重要ではないかなというふうに考えておりますので、岸田外務大臣のさらなる御尽力に敬意を表しつつ、対ロ外交を含めて、私どもの日本の主体的な外交に有利なようにぜひお導きを、御指導を賜りたい、かように思います。

 さて、きょうは委員の皆様方に二枚の資料を配付させていただいておりますので、ごらんいただければと思います。これは、一つは日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約、いわゆる日韓基本条約であります。もう一枚は国連総会決議第百九十五号、この二つを配らせていただきました。

 一九四八年の十二月十二日の国連総会決議第百九十五号3及び一九六五年六月二十二日署名、同年十二月十八日発効の日韓基本条約第三条では、「大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(3)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。」としております。

 しかし、現実的には、金大中韓国大統領による訪朝、それから当時発出された南北共同宣言、小泉純一郎総理の訪朝といった、その後の北朝鮮に対する外交的な取り組み、こういったものを見ておりますと、今申し上げたこの一九五の(3)、それから日韓条約の第三条、ここに書いてあるものを読むと、現実とこの解釈との整合性というのがどのように認識をするべきなのか、この解釈と整合的ではないとも思える側面もあると思いますが、政府の見解はいかがでありますでしょうか。

大菅政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘のございました一九四八年の国連総会決議百九十五の3でございますが、関係の部分を要約して御説明させていただきたいと思います。国連朝鮮臨時委員会が監視及び協議を行うことができ、かつ全朝鮮の人民の大部分が居住する部分に対して有効な支配及び管轄権を及ぼしている合法的な政府(大韓民国政府)が樹立されたことを宣言する、こういった内容でございます。

 一九六五年の日韓基本条約第三条はこの部分を引用しておるわけでございますが、日韓基本関係条約におきましては、北朝鮮については何ら触れておりません。言いかえますと、一切を北朝鮮につきましては白紙のまま残しているということでございまして、今後我が国として北朝鮮とどのような関係を構築するか、こういった点につきましては今後の問題として残されているという考え方でございます。

中山(泰)委員 日本というのは、国連加盟国の、北朝鮮を除く全ての国と国交があるわけであります、外交関係が確立されているわけですけれども、そういった意味からすると、日本の外交というのは、国交のあることを前提とする外交が非常に基本で、ある意味なれてはいるけれども、国交がない国との外交というところに関して、国交のある国との外交以上のさらなる戦略論というものが必要なんじゃないかなというふうにすごく思います。

 現実的に、小泉総理が訪朝されたときは拉致被害者の方も帰ってくるという成果もございましたし、この間、北朝鮮のいわゆる拉致特の方で、宮崎県、鹿児島県に視察に行ってまいりました。そのときにも、拉致被害者の御家族の方から、首脳会談の実現を望む声が私どもの方に寄せられております。

 国交がない、ある意味ルールがないからこそ、しっかりと、いろいろな角度から北朝鮮に対する外交というものを前へ前へと力強く進めていっていただきたいと思います。

 それから、ソウルの聯合ニュースの報道によりますと、韓国セヌリ党内のグループ、北核問題解決に向けた議員の集いに所属する元裕哲前院内代表も声明を発表しているという報道がございます。どういう声明かといいますと、今回の核実験は、これ以上国連安全保障理事会や国際社会の制裁、韓国国会の糾弾決議だけでは北の核実験やミサイルによる挑発を抑止できないことを証明したと言っています。

 核兵器不拡散条約、NPTは、五カ国のみ核兵器国と定めておりますが、実際には核兵器国ではない北朝鮮が核を保有しているという現実に対して、日本の外交というのはどのような対応を考えているんでしょうか。

岸田国務大臣 北朝鮮によるたび重なる挑発行動は、先ほど委員の方からも御紹介ありましたように、国連安保理決議、日朝平壌宣言、六者会合共同声明、こういったものに違反するものであり、そして、NPTを中心とする国際的な軍縮・不拡散体制そのものに対する重大な挑戦であると考えています。

 NPTと北朝鮮との関係、厳密に言うならば、二〇〇三年に北朝鮮はNPT脱退通告をしているわけです。ただ、NPTの規定を見ますと、三カ月前の脱退通告など、細かくその進め方が規定されているわけですが、それを参照する中で、日本としては、このNPTの脱退通告が適正に行われたのかどうか、このことについては疑義を持っているというのが基本的な立場であります。

 しかしながら、国際的な軍縮・不拡散の取り組みに対して挑戦するものであるということについては全く変わりがないと考えます。

 ぜひこれからも、北朝鮮に対して、挑発行動の代償をしっかりと感じてもらわなければならないということで、国際社会と連携しながら圧力を強化していく、こういった取り組みをまずはしっかり進めていかなければならない、このように考えています。

中山(泰)委員 冷戦構造を色濃く残している地球上最後の半島だと思いますので、しっかりとした対応を、日本外交、役目を果たしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

新藤委員長代理 次に、武正公一君。

武正委員 民進党の武正公一でございます。

 質疑を行わせていただきたいと思います。

 今回の北朝鮮の核実験五度目に対する質疑、そしてまた、この後は委員会決議も予定をされて、閉中審査ということでの対応になったわけでございます。満身の怒りをもって、今回の北朝鮮による核実験、そしてまた累次の、二十一発の弾道ミサイルの発射、そして拉致被害者、特定失踪者への対応についてはストックホルム合意の破棄など、こうした一連の北朝鮮に対する毅然たる対応を政府に求め、また、本委員会を初め国会としても毅然たる対応を示す必要があろうかというふうに思うわけでございます。

 そこで、資料の方も配らせていただきました。

 今回、北朝鮮による核実験、五度目ということで、これは防衛省の資料でございますが、規模はマグニチュード五、推定出力は約九キロトンということで、韓国では十キロトンというようなことも報じられております。一月の四回目の核実験のときには、水爆ということを北朝鮮が称したようであり、そうではないだろうというふうに言われていたわけですが、今回については、原爆と水爆の間のブースター型ではないかということがこの推定出力からも指摘をされているところでもあります。

 また、二ページにあります、二十一発の弾道ミサイルのことし一年の経緯、短距離発射体についても書かれておりますが、特にこの中では、ことし八月三日、ノドンと推定される弾道ミサイル二発を発射、うち一発が日本の排他的経済水域内に着弾。そしてまた、九月五日については弾道ミサイル三発を発射、これはスカッドまたはノドンと見られておりますが、千キロを飛翔し、ほぼ同位置にこれまた着弾ということなどを見ますと、やはり北朝鮮のミサイル、核の開発についての進捗というものをあらわすものというふうに受けとめざるを得ないのかなと思うんです。

 大変じくじたる思いが私もありますし、外務大臣もお感じだと思うんですが、こうした事象についての御認識を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 今回の北朝鮮による核実験ですが、我が国として、これは断じて容認することはできません。

 今回、五回目の核実験ですが、従来はほぼ三年おきに核実験を行っていたわけですが、ことしに入りまして、四回目、ことしの一月、核実験を強行しました。そして九月。ですので、四回目と五回目、一年の間に二回核実験を行う。そして加えて、SLBMを初めとする大量破壊兵器の運搬能力を持つ弾道ミサイルの発射、先ほど委員からも御指摘がありましたように、ことしだけで二十一発発射をされています。

 こういった事態を考えますときに、北朝鮮の挑発行動は新たなレベルに入ってきている、エスカレートしている、こうした認識は強く持っております。

 こうした北朝鮮の挑発行動、これは国連決議にも日朝平壌宣言にも六者会合共同声明にも反するものであります。ぜひ国際社会とともにしっかりとしたメッセージを発しなければならないと考えますし、挑発行動に対する代償をしっかりと感じてもらわなければならないということで、圧力を一層強めていかなければならない、このように思います。

武正委員 新たな段階という御認識が示されたわけでありますが、そうした中、間もなく国連総会も開かれ、一月六日でしたでしょうか四度目の核実験、それから国連決議二二七〇号ということですが、採択されたのは三月二日ということで、前回は二カ月を要したわけでありまして、やはり速やかな国連決議の採択ということで、当然、前回の、ある面反省というか経験をもとに取り組むということになろうかと思います。

 まずは、今回の核実験に対して、同盟国米国、ソン・キム特別代表も来日をされております、とのやりとりについて御紹介を、あるいはどういうことを今進めておられるのか、また、アメリカの同盟国でもある韓国の動向、そしてまた、今言った国連制裁決議に向けての取り組みについて、お答えをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、米国の反応ですが、オバマ大統領の声明の中で、九月九日の核実験について、地域の平和と安定に対する脅威であるとして、最も強い表現で非難をしています。

 また、韓国ですが、政府の声明としまして、核実験を到底見過ごすことのできない重大な挑発として強力に糾弾をしている、こうしたことであります。

 そして、国連の安保理におきましては、九日、核実験が強行された直後、我が国も非常任理事国の一人として緊急会合の開催を働きかけ、緊急会合が開催され、そして早速、報道ステートメントが発出されました。あわせて、安保理の常任理事国、非常任理事国、各国が強い口調で非難を行い、新たな制裁を含む新しい安保理決議の採択に向けて議論を開始する、こういった点では一致をした、これが現状であります。

 ぜひ安保理での議論をしっかりと進めていかなければならないと考えていますし、あわせて、我が国としましては、核、ミサイルそして拉致、こうした諸懸案解決のために最も効果的な対応はどうあるべきなのかという観点から、国際的な動きも見ながら、独自の制裁、独自の対応についても検討を行っている、こうした状況にあります。

武正委員 今、独自の対応ということを言われたわけです。

 今、米国、韓国の御紹介がありましたが、中国はどういう対応を示したでしょうか。

岸田国務大臣 中国の対応ですが、中国外交部も、北朝鮮による核実験に断固反対の意を表明するとともに、在中国北朝鮮大使に対して、朝鮮による核開発は半島の緊張状態をエスカレートさせるものとして抗議を行った、こうした対応が報じられています。

 中国も、国連安保理の常任理事国の一国として、断固反対の意、さらには抗議、こうした対応を北朝鮮に対して行っていると承知をしています。

武正委員 先ほど触れましたように、前回の決議が二カ月要したということですから、やはり速やかな決議の採択とともに、前回の決議については後ほど触れますが、例えば石油については民生用の部分を除いているというようなことも含めて、まだまだ制裁の有効性が十分担保されていないのではないのかといったところが指摘されておりますので、やはり国連決議の制裁要件についてはさらに厳しく取り組みをいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 ことし一月、北朝鮮が核実験を行った後、国連安保理で採択されました決議二二七〇号、これは従来の決議と比較しましても大変内容的に厳しいものであると認識をしています。ただ、大切なのは、この厳しい決議が実際に履行されるかどうかという点であり、この履行をしっかり確認することが重要であると考えます。

 そして、この国連安保理の下には北朝鮮制裁委員会、一七一八委員会と言われている委員会が存在し、そしてあわせて専門家パネルも設置されています。ここに各国が二二七〇決議の履行状況等を報告する、こういった仕掛けになっておりますので、我が国も、こうした北朝鮮制裁委員会等に協力する形で、この二二七〇の履行状況をしっかり確認し、そして履行を確保する、こうした努力を続けていかなければならないと考えます。

 ぜひ、引き続き、こうした形で二二七〇の履行をしっかりと確認していきたいと考えます。

武正委員 非難を表明した中国でありますが、北朝鮮貿易の九割が中国ということで、例えば石炭の輸出なども、先ほど触れたような民生用ということでは除外をされているのではないか。

 そしてまた、ことし一月については、原油の供給停止の米国提案にも中国は賛成しなかったといったこともありますので、中国の制裁決議への今言った履行の担保、そしてまた、ある面検証、ここら辺がやはり鍵を握ってくると思うんです。米国、韓国の高官は、この決議については中国の協力も得られると発言をしているんですが、やはり制裁決議に関する中国の影響、動向は極めて大きいものがあると思うんです。

 過日、日中外相会談、八月二十四日、王毅外交部長が来日をした。中国外交部長の単独訪日は二〇一一年三月以来五年半ぶりということで、ようやく日中間のパイプも通り出したというような感もありますし、九月五日には日中首脳会談も杭州で行われておりますので、そういう中で中国との、今言った決議を含めて、あるいは制裁の履行についてどのように求めていくのか、御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、中国は、北朝鮮の貿易の九割を占め、歴史的にも長い関係があり、国連安保理の常任理事国でもあり、六者会合の議長も務めています。北朝鮮問題に関しまして、中国の役割は大変大きいものがあると認識をしています。

 こうした中国が、例えば安保理決議二二七〇にどれだけ関与し、そしてこの内容を履行するか、これも大きな関心を持って見ているところでありますが、既に中国は、国連安保理の下にあります北朝鮮制裁委員会に履行状況については報告を行っております。その報告の内容等もしっかりと注視しながら、いずれにしましても、結果として中国が決議二二七〇の履行に積極的に役割を果たすことを期待していきたいと考えています。

 中国との対話、九月五日の首脳会談、八月二十四日の外相会談、そして昨日は、外務省のアジア大洋州局長と中国の北朝鮮問題の武大偉代表との電話会談が行われました。ぜひ、さまざまなレベルで意思疎通を図りながら、中国に、責任ある安保理常任理事国としての役割を果たしてもらうべく働きかけを続けていきたい、そのように考えます。

武正委員 中国は、ことしに入っても、尖閣周辺接続水域あるいは日本領海を含めて、そうした海洋進出が顕著に見られるわけでありまして、極めて遺憾なことというふうに思うわけでありますが、一方、今お話のあった、政府そしてまた議会も含めてさまざまなレベルで対話のそうしたステージはしっかりとつくっていくということもやはり必要なのかなというふうに思うところであります。

 そこで、資料では三ページに、我が国独自の主な対北朝鮮措置、概要をお配りしております。

 これはことしの二月十日、そのときの制裁の中身でありますが、黒字は前回の措置について継続的に実施してきた措置。青字は今回導入する措置。「過去に実施したことのあるもの」というふうに書いてあるのは、御承知の平成二十六年七月四日に、平成二十六年五月の日朝合意、ストックホルム合意に基づいて我が国の対北朝鮮措置の一部を解除したものなどを復活したということで、赤字については今回導入したと。これは、ことしの二月十日です。ですから、かなりやれることはやってきたなというのが、この北朝鮮措置ということであります。

 先ほど外相は、さらなる制裁措置というふうに言われたので、具体的に、では何をしていくのかということをぜひお伺いしたいというふうに思います。

岸田国務大臣 ことし二月に発表しました我が国の独自措置ですが、今委員の方から資料を御紹介いただきましたこの中にもありますように、まず、第一としまして、人的往来を規制するということから、在日外国人の核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先とした再入国禁止を含め、従来より人的往来の規制の対象者をふやしました。また、金の動きということで、支払い手段等の携帯輸出届け出の下限金額を引き下げるとともに、北朝鮮向けの送金を原則として禁止する。さらには、船舶の入港制限を強める。あるいは、資産凍結の対象を拡充する。こういった措置を行ったわけであります。

 既に、人そして金、物、こうした流れに対しまして厳しい措置を課しているわけですが、今後の取り組みということについては、これらの措置をさらに拡充強化する可能性も含めて、あらゆる可能性を今検討しています。ぜひこうした考え方に基づいて、我が国独自の対応についても検討を進めていきたいと考えます。

武正委員 ぜひ、実効性のあるさらなる制裁の検討、そしてその実行をお願いしたいというふうに思います。

 先ほど、韓国のお話が出ました。

 資料四ページでございますが、GSOMIA、これは平成二十四年六月二十九日日韓外相会談で、ほぼGSOMIA締結直前まで行ったわけですが、やはり韓国側の国内状況でそれが実現できなかったということが極めて残念であります。自来四年を経過する中で、改めて、今回の北朝鮮の核、ミサイル、あるいは拉致も含めて、やはり日韓の情報共有、軍事に関する情報包括保護協定、この必要性を痛感するところであります。

 お手元は、三カ国、米日韓で二十六年の十二月二十九日に防衛当局間の取り決めはされたということですから、今、二にありますように、現下の安全保障環境においては北朝鮮の核、ミサイルの脅威に関する情報を共有することが日米韓三カ国の喫緊の課題と防衛省も書いておりまして、今は、米国を介して日本と韓国が情報を共有しているということであります。

 防衛省に聞いても、今、三カ国による取り決めについては、やはり日韓二国間協議で北朝鮮の核、ミサイルについて議論をする場合に活用できない、また、米国を経由するいとまがないこともあり得る、早期に日韓GSOMIAを締結することが重要だというのが防衛省の見解でもあるんです。

 かねてよりこの委員会でも求めてまいりましたが、改めてその必要性について、そしてその取り組みについて御見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 北朝鮮の核・ミサイル問題の対応のためにも、日韓の協力が大変重要であると認識をしています。

 そして、日韓の間においては、昨年十二月、慰安婦問題に関しまして最終的、不可逆的な解決を確認する、こうした日韓合意を確認したところであります。このことによって、未来志向の日韓関係、さらには日韓あるいは日米韓の安保協力も前進させる、こうした素地ができたと認識をしています。

 そういったことから、年が明けまして、ことし一月の北朝鮮の核実験の直後においても、また九月九日の今回の北朝鮮の核実験の直後においても、迅速に日韓の首脳電話会談、日韓の外相電話会談、こうした意思疎通が図られた、こういったことにつながったと考えています。

 御指摘の日韓GSOMIAですが、この早期の締結を進めていきたいと考えております。こういったことによって、安全保障分野での日韓協力を一層進めていきたいと考えています。ぜひ引き続き韓国側と協議を進めてまいります。

武正委員 ぜひ日韓の軍事情報の共有、これを進めていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。

 当委員会も、五月末に国会が閉じられて、六、七、八、ほぼ九、三カ月半開かれないまま推移をして、今回閉中審査が開かれたことは極めて有意義であるというふうに評価をしたいと思います。

 というのは、この外務委員会で何度かやりとりをいたしましたが、四月、五月、G7サミット開催に向けての取り組み、またオバマ大統領の広島訪問、そしてその後、先ほど触れました中国の海洋進出のさまざまな事象など、外交、安全保障案件が山積みでありましたので、参議院選挙を挟んではいますけれども、やはり閉中審査というのを野党として政府・与党には求めてきたからでございます。

 そこで、もうかなり、四カ月ですか、経過をいたしますが、このG7サミットについて、また特にオバマ大統領広島訪問について、外相の所見を改めて伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、G7サミットですが、今、国際社会がシリア、あるいは難民問題、あるいは北朝鮮問題などさまざまな大きな課題、リスクを抱える中にあって、自由や民主主義あるいは資本主義といった基本的な価値観を共有するG7の首脳が率直な意見交換を行い、そして世界に向けてメッセージを発出することができたと考えますし、それを日本が議長としてリードすることができたこと、これは大きな成果であったと考えています。

 また、それに続きまして実現しましたオバマ米国大統領の広島訪問ですが、戦後七十一年目にして、現職の米国大統領の被爆地訪問という歴史的な訪問が実現をいたしました。この訪問は、原爆で亡くなられた方々を追悼するとともに、核兵器のない世界を目指す、こうした国際的な機運を盛り上げる貴重な機会になったと考えております。また、あわせてこれは日米同盟の強さを象徴する、こうした出来事でもあったと認識をしています。

 ぜひ、こうした成果を踏まえて、引き続き我が国としまして国際社会におけるさまざまな議論をしっかりとリードするよう努力をしていきたい、このように考えます。

武正委員 二〇〇九年プラハ演説に始まって二期八年のオバマ政権がここで交代をするタイミングという中で、このオバマ大統領広島訪問を成果として今外相は挙げられました。外相会談も含めて、岸田外相がこのオバマ大統領広島訪問に大変な御尽力を果たされたことについては、心から敬意と感謝と評価を申し上げたいと思います。

 ただ、今、大統領選挙で何が言われているか。今回の北朝鮮の核実験について、トランプ候補は、クリントン氏が国務長官になってから四回目の核実験だ、だめな国務長官による大失敗の一例と言える、これは報道ベースです。それから一方、クリントン氏は、脅威が増している、戦略の再考が必要だということ。

 一見、この二人の発言を見ますと、今までのオバマ大統領の核なき世界への取り組みが否定されるかのような報道になるわけでありますが、私は、北朝鮮への今回のこういう対応については、毅然たる対応、日本そして国際社会、あるいは国連決議の有効性を担保していくさまざまな取り組み、一方、同時に、この八年間の核なき世界への取り組みについては、これは唯一の戦争被爆国である日本としてやはり堅持をしていくべきであり、また核抑止については、やはり日米、同盟国としてしっかりとそれを堅持していくべきではないかというふうに思うわけでございます。

 そうしたことについて、今のこの二人の発言、一方、トランプ候補が韓国や日本に核を持てばよいかのような発言があったり、あるいは韓国でも、今回の事象を受けてやはり韓国も核保有をというような議論があったりということは、いたずらに北朝鮮の核拡散に乗ってしまって、それこそ北東アジアの核軍拡の競争につながりかねない、それはやはり乗るべきではないというふうに思うわけです。

 この核抑止についての考え方の堅持を含めて、これまでの大統領の核なき世界への取り組みについての考え方。加えて、何度かこの場で申し上げておりますが、NPDI、これも日本が主導して八回開催してきたんですが、二〇一四年の四月から、もう二年半開かれておりません。そしてまたオーストラリア外相会談も二月十五日にやっておられますので、日本、オーストラリア、西ドイツ、主導してのこれまでの取り組みですから、これはこれでしっかりとやりながら、片や毅然たる対応をやはり求めたいというように思いますが、御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 我が国が唯一の戦争被爆国として国際社会の軍縮・不拡散の議論をリードするに当たりまして、私が従来から申し上げているのは二つの認識、すなわち、厳しい国際安全保障環境に対する冷静な認識と、核兵器の非人道性に対する正確な認識、この二つの認識が重要であるということを申し上げてきました。この二つの認識をしっかりと重視する中にあって、核兵器国と非核兵器国が協力することによって具体的な結果を出すことができる、こうした現実的な具体的な対応が必要だということを申し上げてきました。この方針はこれからも変わるものではないと考えています。

 ぜひこうした方針のもとに、まずはNPTを中心とする国際的な核軍縮・不拡散体制、これをしっかりと守っていかなければならないと思いますし、その体制に貢献する日本の取り組みとして、御指摘のNPDIの枠組み、これは大変重要であると考えます。

 御指摘のように、第八回のNPDI外相会談、広島での外相会談を最後に、その後、外相会談自体は開かれていませんが、昨年のNPT運用検討会議にもNPDIとして十九本の成果文書を提出いたしましたし、先日行われましたジュネーブの軍縮会議におきましても、NPDIとして共同ステートメントを発出しています。高級事務レベルでのこのやりとり、協力はずっと続いているわけですので、こうした枠組みはぜひこれからも大事にしていきたい、このように考えております。

武正委員 お昼のニュースで、NHKですか、キム・ウォンス軍縮担当上級代表、国連ですが、アメリカが先月、核実験の自制を各国に求める決議案を提出、九月二十一日にも採決、採択されるなどのチャンスはかなり高いという報道がありました。これも、先ほど言った、核なき世界への取り組みということでありますので、オバマ政権が次の政権にかわっても、日本としてこの姿勢をしっかりと堅持しつつ臨んでいくということも求め、私の質疑にかえさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

新藤委員長代理 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今回の北朝鮮による核実験の強行は五回目ということでありますが、この間繰り返された弾道ミサイルの発射とともに、世界の平和と安定にとってこれは重大な脅威であり、北朝鮮の核・ミサイル開発の放棄を求めた累次の国連安保理決議、それから六者会合、六カ国協議の共同声明、さらに日朝平壌宣言に反する暴挙であるというふうに強く言いたいと思います。我が党は、この無法な暴挙を厳しく糾弾するものであります。

 そこで、まず冒頭、改めてですが、この問題に対する岸田大臣の所見を伺っておきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、北朝鮮が核実験を強行したこと、これは断じて容認することはできません。

 先ほども答弁させていただきましたが、五回目の核実験の強行となりました。その中で、従来三年ほどの間隔をあけていた核実験が、今回は一年のうちに二回も強行されるということ、さらには、ことしに入って二十一発の弾道ミサイルが発射されているということ、またそのレベルも上がっていると評価されていること等を考えますときに、こうした北朝鮮の挑発行動は新たな段階に入っているという認識も持っています。

 我が国の、そして地域の、そして国際社会の平和と安定を損なうものであると考えます。そして、今委員からも御指摘がありました、累次の国連安保理決議、日朝平壌宣言、六者会合共同声明、これに反するものであります。NPTを中心とする国際的な核軍縮・不拡散体制に対しても重大な挑戦であるという認識を強く持っております。

笠井委員 北朝鮮は、みずからの核兵器開発を、自衛のための核抑止力というふうに正当化を図ってきました。そして、今回は核弾頭の威力を評価する実験ということまで言ってきているわけですが、こうした核武装強化の道を進むことは国際的な批判と孤立を北朝鮮がさらに深めて、そして、彼ら自身にとっても未来のない道であることは、これは明白だと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 我が国政府としましても、これまで何度か申し上げていますが、挑発行動は必ず代償を伴うものであり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決しない限り北朝鮮は明るい未来を描くことはできない、こうしたことをしっかりと北朝鮮に認識させることが重要であると考えます。

笠井委員 この問題で、軍事対軍事の悪循環ということに陥ることなく、やはり、解決するためには対話による解決に徹するということが何よりも重要だと思います。

 北朝鮮はことし一月にも核実験を強行したばかりであります。先ほどから議論がありました。国際社会には、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させる一致結束した対応がまさに求められております。

 そこで、岸田大臣、国連安保理がことし三月に全会一致で採択をした決議二二七〇号でありますが、これは、北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射を最も強い言葉で非難し、制裁措置の強化を決定するとともに、六者会合、六カ国協議への支持を再確認し、その再開を呼びかけ、二〇〇五年九月の共同声明での誓約への支持を再表明するというふうに述べております。

 核・ミサイル開発の放棄を迫るために、北朝鮮を六カ国協議の対話のテーブルに何としても着かせるということはいよいよ急務だと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 平和的な方法によって北朝鮮の非核化を実現するために、対話というのは必要であるとは考えます。

 ただ、これは、対話のための対話であってはならないわけでありまして、六者会合を初め、北朝鮮との意味ある対話を行うためには、北朝鮮が非核化に向けた真剣な意思あるいは具体的な行動、これを示すことが何よりも重要であると考えます。そういったことから、当面は、北朝鮮から前向きな動きを引き出すためにも、関係国と連携しながら北朝鮮に対する圧力を強化していく、このことは不可欠であると考えます。

 いずれにしましても、我が国は従来から、諸懸案を包括的に解決するために、対話と圧力、行動対行動、この原則のもとに北朝鮮に対応をしてまいりました。引き続き、今の内閣にとりましても最重要課題の一つであります北朝鮮問題、ぜひしっかりと取り組んでいきたいと考えます。

笠井委員 今お話ありましたそれと関連しますが、二〇〇五年の九月の共同声明、これは、北朝鮮の非核化、米朝、日朝の国交正常化、北東アジアの平和、安全保障体制づくりなど、北朝鮮自身も合意した包括的な問題解決へのロードマップとなっている。北朝鮮が六カ国協議の枠組みに復帰をして合意を誠実に履行するということは、アジアの平和と安定に寄与するだけではなくて、そういう意味では北朝鮮自身にとっても安全と利益にかなうはずだということになってくると思うんですね。

 そこで、北朝鮮を六者会合、六カ国協議という対話のテーブルに着かせる、そのために、中国を含む国際社会が一致して制裁の厳格な実施と強化を図るなど、政治的、外交的努力を抜本的に強めることが極めて重要になっているというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。

岸田国務大臣 おっしゃるように、これまで、安保理決議二二七〇を初め累次の安保理決議が採択されてきました。これを履行することが何よりも重要であります。

 そして、履行するのは、まずは北朝鮮自身が決議の内容を履行する、これが重要であります。そして、関係国が決議の中身をそれぞれ責任を持って履行する、これもまた大事であります。それぞれ、累次の安保理決議に盛り込まれた内容につきまして厳格にしっかりと履行していく努力を続けていくことがまずは何よりも重要だと認識をし、我が国自身も努力をすると同時に、各国に働きかけを続けていきたい、このように考えます。

笠井委員 私も、まさに二二七〇を初めとした安保理決議の履行というのは極めて重要だというふうに思います。

 ことし五月十二日に、衆議院の拉致問題特別委員会で、岸田大臣は、私の質問に対して、我が国政府として、日本政府として、国連安保理のもとに設けられた北朝鮮制裁委員会や専門家パネルに積極的に関与をして、そして制裁の厳格な履行が確保されるように努力していきたいというふうに述べられました。

 そして、まさに今、その努力が必要だということも改めて強調されたわけです。

 そこで、これは外務省で結構ですが、伺います。

 ことしの三月三日の安保理決議、二二七〇号決議以降ということで結構ですが、制裁の履行に関する報告書を提出した国連加盟国というのは、全体百九十三カ国中どのぐらいあるかということについて、数字をまず伺いたいんですが。

大菅政府参考人 お答え申し上げます。

 安保理決議第二二七〇号のパラグラフ四十でございますけれども、全ての国に対して、決議採択から九十日以内に、決議を履行するためにとった具体的な措置について安保理に報告するよう要請しております。

 これに基づきまして安保理に提出され、かつ、国連事務局によって対外公表された各国の履行状況に係る報告の数は、昨日十三日までに四十九カ国にとどまっております。

笠井委員 加盟国全体が百九十三ということで、もちろん、関係国、あるいはいろいろな国々があるとは思うんですが、そのうち四十九カ国ということでありますが、現在の報告書提出状況については外務省としてはどういうふうに評価していますか。

大菅政府参考人 北朝鮮に対して実効的な圧力を制裁を通じてかけていく、このためには、まさに、各国による安保理決議の履行状況を監視し、その厳格な履行を確保していくということが非常に重要だと思っております。引き続き、未報告の国に対して、決議の履行をするためにとった措置、これをきちんと安保理に遅滞なく報告するよう働きかけていくことが重要、そのように考えております。

笠井委員 報道によれば、別所国連大使はもっと多くていいはずだということも言われているようですが、まさにそういう点では多くの国がきちっとやるようにということで今の答弁があったと思います。

 それでは、関連してもう一問ですが、北朝鮮の貿易相手国のうち上位の国々、先ほど、九〇%を占めるのが中国だという話がありました。中国あるいはロシアについては、制裁措置の履行状況についてどのような報告を出しているでしょうか。

大菅政府参考人 中国につきましては、中国の報告書において、軍事用品に加えて、核、生物、化学、弾道ミサイル関連の品目、技術も対象とする包括的な輸出管理関連法令の制定等、安保理決議を履行するために実施している国内措置について記載されております。

 ロシアが提出しました報告書におきましては、決議履行のための大統領令案を作成し、関係省庁による審査が行われているところといった内容が報告されております。

笠井委員 まさに厳格な履行という点で国際社会が一致してということが大事な点になっていると思うんです。

 大臣、北朝鮮による、例えば九月五日のミサイル発射を非難した国連安保理の報道声明がありました。そこでは、全ての国連加盟国に対して、制裁措置を十分に実施するため努力を倍加する、それから、実施した具体的な措置を速やかに報告するということを求めて、制裁委員会に対しても、実施を強化するために活動を強めるように指示をしたということが書かれておりますが、こういう呼びかけに応えた各国の行動というのが一層大事になっている、不可欠ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、安保理のプレスステートメントは、安保理理事国が全ての加盟国に対して、安保理決議で北朝鮮に課した措置、特に決議第二二七〇号に含まれる包括的な措置を完全に実施する努力を倍加する、こうした要請を行っています。

 こうした、強い内容の二二七〇をしっかりと履行することの重要性を改めて指摘したわけでありますが、我が国も、非常任理事国の一国として責任を担っています。ぜひ、こうしたステートメントに基づいて、各国の履行状況、履行の実施、しっかりと働きかけを行っていきたい、このように思います。

笠井委員 北朝鮮の核・ミサイル開発が世界と北東アジアの平和と安全を脅かしている、まさにそういう今日、これらを放棄させるために北朝鮮を六者会合、六カ国協議という対話のテーブルに着かせる、そして、そのために国際社会が一致して制裁を厳格に実施して強化を図る必要があるということだと思うんです。

 日本政府には、今、大臣もその点の重要性を言われたと思うんですが、そのための政治的、外交的なイニシアチブ、一層発揮を求めたいと思うんですが、その点での決意と、どうしていくという話についていかがでしょうか。

岸田国務大臣 北朝鮮のたび重なる挑発行動は、我が国の国民の命や暮らしにかかわる大変重大な脅威であるというふうに思いますし、地域や国際社会の平和と安全にもかかわる大変重要な問題であります。

 こうした認識をしっかり各国と共有しながら、日本として、国連安保理の非常任理事国の一国として、また唯一の戦争被爆国として、しっかりと国際世論をリードしていく大きな責任を担っていると考えます。ぜひ、具体的に、しっかりと努力、働きかけを続けていきたい、このように思います。

笠井委員 北朝鮮の無法な暴挙に対して、大臣は、冒頭にも、そして今また、我が国にとってのみならず地域そして国際社会の平和と安定を損なうものである、したがって、それを本当にやめさせていくということで、放棄させるために力を尽くすというふうに言われたので、私は、その点が非常に大事だと思います。

 もう一つだけ最後に伺っておきたいんですが、同時に、北朝鮮の核問題で、より根本的には、やはり国際社会がまさに本気になって核兵器のない世界への具体的な行動に取り組む、いよいよ重要になっているということだと思うんですが、その点での決意と、それから方針といいますか、どういう取り組みをなさるか、伺いたいと思います。

岸田国務大臣 先ほども少し触れさせていただきましたが、我が国としましては、核兵器のない世界を実現するために、唯一の戦争被爆国として、二つの認識を重視し、そして核兵器国と非核兵器国の協力を実現することによって具体的な成果につなげていく、こうした現実的、実践的な取り組みを進めていきたいと考えています。

 そして、その具体的な取り組みとしましては、まずはCTBTの早期発効に努めなければならないと思いますし、そしてFMCTの早期交渉開始、これも重要な取り組みであると思いますし、また、核兵器国の透明性を向上させる、これは軍縮・不拡散の議論の基本であると思います。こうした基礎となる核兵器国の透明性の向上についてもしっかり汗をかいていかなければならないと思います。

 こうした具体的な取り組みを通じて我が国としての責任をしっかり果たしていきたい、このように考えます。

笠井委員 昨日から第七十一回国連総会も始まったと思うんですが、国連加盟国の大多数、そして市民社会の運動が求めるように、やはり核兵器のない世界ということに向けて、核兵器禁止・廃絶条約の国際交渉の開始という方向に進むことが北朝鮮に核開発の口実を失わせて核兵器の放棄を迫る上で私は一番強い立場に立つことになるというふうに思います。

 その点で、日本が被爆国として、そして日本政府が被爆国政府として、そういう取り組みの先頭にこそ立つべきことを強く求めて、そしてそのことを強調して質問を終わります。

新藤委員長代理 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会の吉田豊史です。

 この場で質問できますことを、委員長初め委員の皆様に心から感謝申し上げます。

 日本維新の会は、もちろん、北朝鮮のこの暴挙を改めて強く非難させていただきます。そして、この後予定されています抗議の決議、この文面、内容にも、もちろん賛同いたしております。

 けれども、我が党とすれば、五回目になるこの核実験に対して決議を行う、ここまでは私は当たり前だと思うんですけれども、そこで私たちのやることは一通り終わった、こういう話になっては絶対いけないだろう、こう思うわけです。国民を代表する国会で私たちが決議を行う、この意味をもう一度考えてみたい、こう思うわけです。

 この五回目の核実験が行われたとき、私は地元富山の方におりまして、たまたまテレビを見ておりました。うちに小学生の子供がおるんですけれども、小学生の子供も同じようにテレビを見ていて、私の感じたことは、ああ、またやったか、こういうのが率直な私の感想だったんですけれども、子供は黙ってテレビをずっと見ていまして、そして、お父さん、何が起こっているのと。そのニュースの後には、我が国そしてアメリカがさまざまな訓練を行っているその映像も流れました。そして私に、お父さん、戦争が起こるの、こう聞きました。いや、そうではない。では、この怖い映像は何か。それは、我が国をもしかしたら攻めてくる悪い人たちに対して、きちっと日本を守るために毎日訓練している、その映像だよ、安心しなさい、こう私は言ったんです。

 けれども、この五回目という、そして、北朝鮮という国は着実に、先ほどから挑発、挑発という言葉が出ていますが、これは本当に挑発なのかということも考えなくてはいけないと思うわけです。あちらが実験、実験を繰り返してきて、そして何らかの力を持とうとしている、それは単なる挑発ではないということも私たちは感じなくちゃいけない、改めてそう思わなくちゃいけない、これが五回目の実験の意味ではないかと思うわけです。

 結論を申し上げますと、我が党としては、私は、今私たちとしてこの決議にもちろん賛成するものの、そこで終わってはいけない、何が必要かというと、このことが本当に我が国にとっての危機感を持たなくてはいけない問題だ、国民全体がこれを共有しなくてはいけない問題だ、このことを私たちはこの後どうやって共有していくのか、そのことに努力していかなくちゃいけないんじゃないかな、こういうふうに感じておるところでございます。

 それでは具体的な質問に入りますが、国際社会がとるべき対応、そして我が国がとるべき外交努力というところでお聞きしたいと思います。

 一回目の実験からすると十年になるんですね、二〇〇六年、そして今二〇一六年ですから。そういう十年という時間が流れていく中にあって、いろいろな、それぞれそれぞれのときに真剣な努力をしてきた、これは間違いないことだと思います。そして、日本政府の努力、そしてもちろん岸田外務大臣初め政府の皆様の努力、こういうことがあっての今があるわけですけれども、その中に、例えば戦略的忍耐という言葉も出てきます。でも、忍耐というところが戦略的であるならば、忍耐をすることについてはどんなリスクがあるのか、こういうこともやはり考えなくてはいけない、それが本当の、五回目の今の今、考えるべき問題ではないかなと思うわけです。あちらがそういう力を手にするかもしれないというところに来ている以上、私たちはもう一度ここは覚悟を持って、自分たちがどういう態度をとるかということを示していくときに来ている。

 そういう意味で、まず防衛副大臣にお聞きしたいと思います。米韓、これは私たちと同じように、あるいはそれ以上にだと思いますけれども、距離的な問題もあって、今回の問題を真剣に捉えているだろう、こう感じるんですが、米韓が具体的に軍事的な対応をとるという可能性が今回はあるのかどうなのか、それをどう御判断いただいているか、これをまずお聞きしたいと思います。

若宮副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 アメリカと韓国の具体的な内容、どういった対応をおとりになるかという御質問でございますが、私どもといたしましては、米国及び韓国の新たな軍事対応の可能性につきましては、これは私ども日本でございますので、外国の立場から、どういう形をとるかということについては私どもとしてはお答えする立場にないということは御理解をいただければと思っております。

 その上で、アメリカのオバマ大統領は、韓国へのTHAAD部隊の配備、それからまた全局面にまたがります米国の防衛能力に基づきます拡大抑止の提供など、必要な措置をとるというふうに話されておられますし、また、米国が地域の同盟国を防衛するとのコミットには揺るぎがないということを改めて確認しておられるところは御承知のところだと思います。

 また、昨日、十三日でございますけれども、アメリカ軍によって行われましたB1Bの爆撃機二機の韓国上空におけます低空飛行はこうした拡大抑止の提供の一例であろうかというふうにも考えているところでございます。

 また、アメリカと韓国の間におきましては、平素より米韓同盟の対応、体制の強化ということで合同訓練等を実施しているものというふうに承知をいたしているところでもございます。

 いずれにいたしましても、私ども日本の防衛省・自衛隊といたしましても、引き続きアメリカや韓国と緊密な連携を持ちまして、重大な関心を持って情報の収集、分析に当たってまいることはもちろんのこと、我が国の平和と安全に全力を尽くしてまいる所存でございます。

吉田(豊)委員 ありがとうございます。

 続いて岸田外務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、こういう状況の中にあって、国際社会がどういうふうにして効果的な対策を打っていくのか、また、我が国としてやはりまずどうやってこの状況を改善していくのかという根本的な考え方、そして今打てる対策についてのお考えをお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、北朝鮮の行動は、我が国の国民の命や暮らしにかかわる大変大きな脅威であるというふうに思いますし、地域や国際社会全体にとっても平和と安定を損なう重大な問題であると考えます。こうした認識のもとに我が国としてしっかり取り組まなければいけませんし、こうした認識のもとに国際社会全体として取り組んでいかなければならない課題であると認識をします。

 まずは、安保理における取り組みをしっかりと進めていかなければなりません。新たな制裁を含む新たな決議採択に向けて議論を開始することで安保理において一致をしておりますので、この議論を進めていかなければならないというふうに思います。

 そして、我が国自身も、核、ミサイルそして拉致といった諸課題を包括的に解決する、こうしたことのために何が最も効果的なのか、こういった観点からしっかりと検討を続けていかなければなりません。そういったことから、我が国独自の措置についても検討していかなければならない、このように思います。

 そして、国際社会全体としても、北朝鮮に対しまして、挑発行動の代償を理解させるべく、挑発行動の自制や、安保理決議等をしっかり遵守させる、こうしたことを強く求めていかなければならないと考えます。

 このように、さまざまな場面において、国際社会と連携しながら、北朝鮮に対して強いメッセージを送り、そして圧力を強化していく、これがまず重要であると認識をいたします。

吉田(豊)委員 今ほど外務大臣の方から、特に北朝鮮に対しては大きく三つの問題があると。そして、当然、拉致の問題も我が国とすれば最重要の問題の一つだということだと思いますけれども。近年の外交努力の中に、北朝鮮への制裁について一部解除を行う、こういう具体的な行動も我が国としては行いました。

 まず、外務大臣にお聞きいたしますけれども、こういう制裁解除を行った最大の理由というのは、やはり拉致問題を一日も早く解決したい、そういう考えの中に解除したと私は理解しておりますが、それにもかかわらず、北朝鮮は、今度はミサイルの問題については続けている、これが現実だったわけです。

 そうなりますと、この制裁の解除という我が国のとった政策については、それが正しかったのか正しくなかったのか、これについてのお考えをお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 我が国は、北朝鮮との問題において、今申し上げたように、核、ミサイル、拉致、こうした諸懸案を包括的に解決していく、そのために対話と圧力、行動対行動の原則に基づいて臨んでいく、こういった方針で今日までやってきました。

 その中で、一昨年五月のストックホルム合意において、独自の措置を一部解除するかわりに、拉致問題は解決済みとしていた北朝鮮に全ての日本人に関する調査を約束させる、こういったことを行いました。

 問題の中に拉致問題という問題がある、拉致被害者全員を無事帰国させる、こういった大きな課題があります。これを実現するためには、どうしても対話という要素抜きにこの目的を実現することはできない、これが現実であります。そういったことから対話と圧力の方針で臨んできたわけでありますし、そういった意味から、一昨年このストックホルム合意を結んだわけですが、一昨年、一年四カ月ぶりに北朝鮮との対話の道を開いたということは意味があったというふうに思っています。

 こうしたストックホルム合意自体は重要であると考えていますが、ただ、残念ながら、合意後二年以上たって、まだこの調査の結果が出ていない。加えて、ことしになって二十一発の弾道ミサイルが発射される、核実験が二回も強行される、こういったことを考えますときに、北朝鮮に対してはこうした行動の代償をしっかり認識させる必要があるということで、まずはしっかりとした圧力をかけていかなければならない、このように考えます。

 いずれにしましても、今後とも、この諸懸案を包括的に解決するために何が効果的なのかということをしっかり考えていかなければならないと思いますし、その際に、対話と圧力、そして行動対行動、この原則は大事にしていきたい、このように考えます。

吉田(豊)委員 同様に、ストックホルム合意についてですけれども、石原内閣府副大臣にも、このことについて、やはり今本当に必要な政策が、緊急度が高まっているというふうに私は感じるんですけれども、お考えをお聞きしたいと思います。

石原副大臣 お答え申し上げます。

 岸田大臣と重なるところもございますけれども、北朝鮮は、ストックホルム合意に基づいて、特別委員会を設置して調査するということを約束したわけですけれども、現実には、二年以上拉致被害者の帰国も実現しておりませんし、帰国に向けた道筋さえ見えていない現状であります。

 それどころか、北朝鮮は、我が国の独自の制裁措置をまた再度復活させ追加を行ったことに対して、我が国がストックホルム合意の破棄を公言したといった一方的な主張をして、特別委員会の調査の全面禁止及び同委員会の解体を宣言しております。これは極めて遺憾なことであり、受け入れることができないわけであります。

 拉致問題は、言うまでもなく、安倍政権の最重要課題であります。その立場には変わりはありません。我が国としては、ストックホルム合意を破棄する考えは全くなくて、拉致問題担当副大臣として、御家族に寄り添いつつ、北朝鮮のたび重なる暴挙を受けて北朝鮮に対する圧力を最大限に高めようとしている国際社会と連携しながら、対話と圧力、行動対行動の原則のもと、一刻も早く拉致被害者の帰国に向けて具体的な対応ができるように全力を尽くしてまいります。

吉田(豊)委員 ありがとうございます。

 今、何よりも大切なことは、最初に申し上げましたけれども、やはりこの国家の安全にかかわる問題、国民の皆様にきちっとした危機感の共有をしていただいて、そして、その世論のもとに、大臣初め皆様にさまざまなところで闘ってきていただく、そのための世論の醸成のためにまず決議を行っていく、そこからがスタートだろう、こういうふうに感ずるところでございます。今後ともの御尽力をよろしくお願いいたします。

 終わらせていただきます。

新藤委員長代理 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 きょうは北朝鮮の五度目の核実験に対する閉中審査ということもありまして、岸田外務大臣には各党からさまざまな質問があります。重複するところがあるやに思いますが、その点は御了解いただき、御答弁を賜りたいと思います。

 さて、早速ですが、今般、九月九日に行われましたこの五度目の核実験に対して、九日に衆議院議長談話がまず発出されております。「関連する国連安保理決議の明白な違反行為であるばかりではなく、国際社会への重大な挑戦であり、唯一の被爆国の我が国として断じて容認できるものではない。」という談話が先に発表されております。

 そして、九日には岸田外務大臣からもコメントが出されております。北朝鮮によるたび重なる挑発的な行為は明白な国際法違反であり、地域の安定にとっての脅威であるということ、米国の同盟国に対する揺るぎない防衛コミットメント、日本を初めとする関係国と安保理でも緊密に連携し、北朝鮮に強い圧力をかけ、北朝鮮がみずからの行動の結果を甘受せざるを得ないようにすべきであるということ、こういう内容について、岸田外務大臣からの会見では、この日米及び日米韓での連携協力が確認されたと発表されています。

 一方、北朝鮮があらゆる点で強く依拠をしているとされる中国についてなんですが、中国については、今後、連携、対話を進めていくと述べられています。このコメントから私がまず思ったのは、現在、本邦政府と対話の機会が非常に少ないというか、限られている機会の中での対話の中で、あるいは日中両国間の政治的関係がやや冷えていると見られている現状の中で、中国への働きかけをどのように進めていくかについて、大臣の見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 中国との連携、対話ですが、九月五日に日中首脳会談を行いました。そして、八月二十四日に日中外相会談を行いました。そして昨日、十三日に、金杉アジア大洋州局長と中国外交部の武大偉朝鮮半島事務特別代表との間で電話会談を行いました。

 こうしたさまざまなレベルでの意思疎通を通じまして、北朝鮮問題においても、中国は責任ある国連常任理事国としてしっかり役割を果たしてもらいたい、こうした対応を求めたところであります。

 そして、今回の核実験を受けて、中国との間においては、今言ったさまざまな意思疎通に加えまして、中国の王毅外交部長ともきょうあすじゅうに電話会談を行いたいと、今調整を行っております。

 ぜひ、引き続き、しっかりと中国側と意思疎通を図ることによって、国連の場においても、あるいは国際社会、さまざまな国際場裏の議論の場においても、中国と連携しながら中国の建設的な役割を促していきたい、このように考えます。

玉城委員 ありがとうございます。

 続けて質問いたします。

 本年三月、全会一致で採択された国連安保理決議第二二七〇号は、これまでの決議より強力な措置を含む非常に重要な決議と報告されております。

 そこで、まずお尋ねいたしますが、北朝鮮に対してこれまで採択された一七一八、一八七四、二〇八七、二〇九四の各号の措置に関して、その後の北朝鮮の対応の推移などを見て、どのようにこの措置が効果的に功を奏しているかということについてお尋ねしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘いただきました一連の国連決議ですが、一七一八号というのは第一回目の北朝鮮の核実験が行われた後に採択された決議、一八七四は二回目の核実験の後に採択された決議、そして二〇八七号は、北朝鮮が人工衛星と称する飛翔体を打ち上げた、あの後に採択された決議、そして二〇九四号が三回目の核実験後の決議であります。そして、四回目の核実験がことし一月に行われて二二七〇号が採択された、こうした経緯であります。

 その間さまざまな動きがありましたので、一つ一つの決議の効果について具体的に評価するということ、これは困難なものがあるとは思っています。ただ、その中にあっても、今回の二二七〇号は、従来の決議と比較しましても、内容において大変具体的であり、そして大変重たい厳重な内容になっていると認識をしています。この決議が実際に履行されるかどうか、これが大変重要な点ではないかと思います。

 先ほど来答弁させていただいておりますが、ぜひ、この決議の具体的な履行に向けて、国連の北朝鮮制裁委員会を初めさまざまな場において、我が国としましてもしっかりと貢献をしていきたい、このように考えます。

玉城委員 今、各決議の推移についてお尋ねしたんですが、二二七〇号の我が国における実施に関する理事会への報告が六月一日になされております。これは外務省のホームページに掲載されておりますが、今安保理決議第二二七〇号でなされる主な措置に加えて本邦が独自にとることとしている、人の移動、金融面の措置及び海上輸送の制限などが、これまでの措置よりなお強い効力を発するものであるとする、その根拠についての御説明をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 我が国の独自措置、本年二月の措置ですが、人そして金そして物、こうした動きについて制限をするものであります。

 例えば、人的往来については、二月の措置によって、在日の北朝鮮当局職員及びその補佐の再入国が禁止されることによって、その対象者も従来と比べ拡大されました。また、新たに、我が国に在留する外国人の核・ミサイル技術者が北朝鮮へ渡航した後に我が国に再入国すること、これを認めない、こういった内容になっています。

 送金については、従来、報告義務のみが課せられていましたが、二月の措置によって、報告義務にとどまらず、北朝鮮向けの支払いを原則禁止する、このような内容になっています。

 さらに、北朝鮮籍の船舶の入港禁止に加えて、北朝鮮に寄港したことが確認される第三国籍船舶についても入港禁止の対象にする、こういった内容になっております。

 こうした内容は、従来の我が国の対応と比べましても大変厳重なものになっていると思います。ぜひ、こうした措置の実効性を確保すべく努力をしていきたい、このように思っています。

玉城委員 制裁と対話、それから行動と行動、そういう原則があると思いますが、対話という要素という観点から、最後に一問、質問をさせていただきたいと思います。これまでのいわゆる安保理決議による制裁とはやや異なる質問になるかと思います。

 それは、実は、北朝鮮の北東部地域では、記録的な豪雨による洪水により深刻な被害が出ているとの報道があります。

 国際機関の報道によりますと、国連人道問題調整事務所の十一日付の声明は、北朝鮮政府の発表として、豆満江沿いの地域で十万七千人が避難を余儀なくされている、住宅三万五千五百棟が被害を受け、六九%が全壊、それから農地一万六千ヘクタールが冠水し、少なくとも十四万人が緊急支援を必要としていると発表しています。このことに関しては、北朝鮮政府は公式の支援要請にも踏み切っています。

 最後に、このことについてお尋ねいたします。

 五回目の核実験の強行により国際社会からは強い非難と制裁を受けることと、緊急災害対応を要する国際救助的判断との整合性をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、我が国は、北朝鮮に対しまして、諸懸案を包括的に解決するために、さらには北朝鮮から建設的な、前向きな対応を引き出すために何が最も効果的か、こういった観点から対応を不断に検討してきております。

 そしてさらに、ストックホルム合意の中には、人道的観点から適切な時期に北朝鮮に対する人道支援を実施することを検討する、こういった一文も含まれています。

 しかしながら、今の北朝鮮の状況、ことしに入りまして二回の核実験、二十一発の弾道ミサイルの発射、こうした従来とは異なるレベルの脅威になっていると考えています。

 このような状況を踏まえれば、政府として、現時点で北朝鮮に対する御指摘のような支援を行う、こういった考えはないというのが現状でございます。

玉城委員 人道支援は世界的見地からの協力要請があればぜひ応えていただきたい、そのように思います。

 防衛省の皆さんには、質問を用意しておりましたが、後刻また改めてお伺いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

新藤委員長代理 この際、中山泰秀君外五名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び生活の党と山本太郎となかまたちの六派共同提案による北朝鮮による五度目の核実験に対する抗議決議を行うべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。武正公一君。

武正委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま議題となりました動議につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読をもちまして趣旨の説明にかえさせていただきます。

    北朝鮮による五度目の核実験に対する抗議決議(案)

  去る九月九日、北朝鮮は、核弾頭爆発実験を実施した旨発表した。これは、決議第二二七〇号等の一連の国連安保理決議や六者会合共同声明、日朝平壌宣言に明確に違反し、実に五回目となる核実験である。

  今般の核実験は、これらの国際社会の声を無視して強行されたものであり、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であるばかりでなく、唯一の被爆国の我が国として断じて容認できない暴挙である。さらに、本年に入って運搬手段である弾道ミサイルの発射を、我が国の排他的経済水域に落下したものや、潜水艦から発射したものを含め、既に二十一発実施したことに加え、核実験を一月に引き続き再度強行したことは、我が国の安全に対する直接的脅威であり、極めて強く非難する。

  本委員会は日本国民を代表して、今般の核実験に対し重ねて厳重に抗議するとともに、北朝鮮が、これまでの諸合意に従って速やかに全ての核を放棄し、IAEAの査察を受け入れ、朝鮮半島の非核化に取り組むことを強く要求する。

  さらに、国連安保理決議等を踏まえ、国際社会は結束した外交努力を展開し、平和的な解決を模索すべきである。その際、北朝鮮が現在の行動を改めない限り、国際的な批判と孤立を招くだけであり、将来に活路を見いだすことはできないことを認識させるべきである。そのためにも政府は、非常任理事国として、新たな決議の採択を始め、国連安保理における議論を主導するとともに、各国との連携を強化し、国連安保理での取組や我が国独自の措置を通じて圧力の強化を追求すべきである。さらに北朝鮮の核・ミサイル問題のみならず、拉致問題は我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題である。国際社会が結束して北朝鮮による核・ミサイル・拉致問題の包括的かつ早急な解決を図るとともに、今後も十分な警戒監視と国民への迅速な情報提供に政府は総力を挙げ、もって国民の負託に応えるべきである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

新藤委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

新藤委員長代理 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣岸田文雄君。

岸田国務大臣 政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を体しまして、北朝鮮に対して、全ての核兵器及び既存の核計画を放棄することを含め、関連する国連安保理決議等の即時かつ完全な履行を強く求めてまいります。

 また、この機会に改めて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向け、具体的な行動をとるよう強く求めてまいります。

新藤委員長代理 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新藤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十八分散会


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