衆議院

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第7号 平成29年3月29日(水曜日)

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平成二十九年三月二十九日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 三ッ矢憲生君

   理事 黄川田仁志君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 長尾  敬君 理事 小熊 慎司君

   理事 寺田  学君 理事 岡本 三成君

      今津  寛君    小田原 潔君

      小渕 優子君    大野敬太郎君

      熊田 裕通君    佐々木 紀君

      島田 佳和君    鈴木 隼人君

      武井 俊輔君    辻  清人君

      松島みどり君    山田 美樹君

      石関 貴史君    吉良 州司君

      中川 正春君    原口 一博君

      渡辺  周君    浜地 雅一君

      宮本  徹君    足立 康史君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   外務副大臣        岸  信夫君

   財務副大臣        木原  稔君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   外務大臣政務官      滝沢  求君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 吉田 眞人君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 川崎 方啓君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宮川  学君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 四方 敬之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小野 啓一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岡田 誠司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 牛尾  滋君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中尾  睦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中井川 誠君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

同月二十三日

 辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(清水忠史君紹介)(第四八二号)

 沖縄県民の民意尊重と、基地の押しつけ撤回に関する請願(畠山和也君紹介)(第五四六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第五六二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五八九号)

 同(池内さおり君紹介)(第五九〇号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第五九一号)

 同(大平喜信君紹介)(第五九二号)

 同(笠井亮君紹介)(第五九三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五九四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第五九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第五九六号)

 同(清水忠史君紹介)(第五九七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五九八号)

 同(島津幸広君紹介)(第五九九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六〇〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六〇一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第六〇二号)

 同(畠山和也君紹介)(第六〇三号)

 同(藤野保史君紹介)(第六〇四号)

 同(堀内照文君紹介)(第六〇五号)

 同(真島省三君紹介)(第六〇六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六〇七号)

 同(宮本徹君紹介)(第六〇八号)

 同(本村伸子君紹介)(第六〇九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

三ッ矢委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官川崎方啓君、大臣官房審議官宇山智哉君、大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房審議官宮川学君、大臣官房参事官大鷹正人君、大臣官房参事官飯島俊郎君、大臣官房参事官四方敬之君、大臣官房参事官小野啓一君、大臣官房参事官岡田誠司君、大臣官房参事官牛尾滋君、中東アフリカ局長上村司君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房審議官堀江宏之君、大臣官房審議官吉田眞人君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、財務省理財局次長中尾睦君、厚生労働省大臣官房審議官中井川誠君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛政策局次長岡真臣君、統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田美樹君。

山田(美)委員 自由民主党東京一区選出の山田美樹でございます。

 貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。

 限られた時間ですが、日米の通商問題、テロ対策、中東情勢、質の高いインフラ輸出、文化外交と地方創生について御質問を申し上げます。

 最初に、トランプ政権の通商政策についてお伺いします。

 先般発表されたUSTRの通商政策課題の中では、WTOへの懐疑的な見解や、通商法三〇一条の発動の可能性が言及されていました。また、二年に一度のWTOの対日貿易審査では、米国は日本に対して、自動車と農業分野でさらなる市場開放を求めています。

 WTOというと、かつては日米欧の貿易摩擦が中心でしたが、二〇一〇年のレアアース以降、対中国案件がふえました。WTOの紛争処理手続を最も利用している国は米国で、今現在も米国から中国へ八件の申し立てが係争中です。米国がWTO体制によって一定の利益を受けていることは確かです。

 一方で、トランプ新政権が打ち出している通商のスタンスは、明らかにWTOを中心とする自由貿易体制に反するものです。通商法三〇一条は、一九九八年にECが提訴してWTO違反が確定をしておりますし、そもそも、WTOの紛争解決手続は三〇一条のような一方的措置を禁止しています。

 新たに導入が取り沙汰されている国境税は、制度の中身はいまだ明らかではありませんが、ガットの大原則である内国民待遇や補助金協定に抵触する可能性があり、これを推し進めたら、WTOとの整合性の問題が必ず出てきます。

 先般のG20財務相・中央銀行総裁会議の声明では、保護主義に対抗するという文言がなくなったと聞きました。

 そこで、極論ですが、もし仮に、トランプ政権がWTO体制そのものを否定したらどうなるのでしょうか。EU各国の政治の動きも見据えながら、自由貿易体制の維持のために日本は諸外国とどのように協力していくのでしょうか。もしも巨大な米国市場がWTO体制から外れるような最悪の事態になったときに、日本企業、特にアメリカに直接投資する体力のない中小企業をどうやって守るのでしょうか。日本がとるべき対抗策について、外務省の見解をお伺いします。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 WTOを中心とする多角的貿易体制は、かつてのガット時代から我が国の通商政策の主要な柱でございまして、自由で公正な共通ルールに基づく自由貿易体制こそが世界経済の成長の源泉である、このように考えております。

 アメリカは、戦後一貫して、このガット、WTOを中心とする多角的貿易体制の構築と発展に寄与しており、また、その経済や貿易の規模に鑑み、WTOにおいて重要な存在でございます。

 我が国としても、自由貿易を推進する立場から、さまざまな機会を捉えてアメリカとの間でWTOの重要性の認識を共有し、引き続き多角的貿易体制の維持強化を図っていきたいというふうに考えております。

 また、今後、米国との間で行われる日米経済対話の中でも、日米両国間及び地域における経済関係を強化するという日米共通の目標のもと、WTO体制のもとでの協力を含む貿易・投資に関するルールについて建設的な議論をしてまいりたいというふうに考えております。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。ぜひ粘り強い御努力を続けていただきますようお願いいたします。

 続きまして、国際情勢が大きく変化する中で、外務省の情報収集力強化についてお伺いします。

 二年半後に東京オリンピック・パラリンピックを控えて、テロ対策が喫緊の課題であり、今国会においてテロ防止のための法整備について議論がされる予定です。私自身、二〇〇一年九月十一日にニューヨークでテロの惨事に直面した経験から、東京のテロ対策には強い危機感を持っております。

 当時、私は学生で、事件現場とは歩いて数十分と離れていない場所に住んでいて、テロの瞬間は大学の構内におりました。かつて世界貿易センタービルの金融機関で働いていた同級生たちが、両手で顔を覆って、わあっと悲鳴を上げました。職員が献血を呼びかけて走り回っていました。学校の図書館から一歩も出ないように言われ、電話回線がつながらず、インターネットで家族に安否を連絡しました。翌日から平常どおり学校が再開しましたけれども、テロはその日で終わったわけではありませんでした。観光客の姿が消えてしまって、追い打ちをかけるように起こったのが、郵便物への炭疽菌混入事件でした。一カ月、二カ月たつうちに、町中の飲食店や雑貨屋が次々と閉店して、まさに目に見えるように景気が悪くなっていきました。翌年、同級生の多くは就職先が決まらないまま卒業をしていきました。

 近年、再びテロの脅威が高まっています。つい先日も、ロンドンの国会議事堂周辺で痛ましいテロがありました。東京は、ニューヨークやロンドン、パリ、イスタンブールよりもはるかに規模の大きい大都市ですし、世界最大のターミナル駅である新宿駅は、一日に三百六十万人もの人が利用します。経済的なダメージもはかり知れません。首都東京のテロを未然に防ぐために、国際的な情報収集の観点からどのような措置がとられているのでしょうか。

 また一方で、世界各地で働く日本人の方々もテロの脅威にさらされています。昨年夏のバングラデシュのテロ事件で犠牲になられた方々の御葬儀に参列しましたが、突然御家族を失った御遺族のお気持ちを思うといたたまれない思いでした。海外で活躍する日本人をテロの恐怖から守るために、邦人の安全確保や情報収集についてどのような措置を行っているのでしょうか。お伺いします。

岸田国務大臣 ただいま委員の方から、大変生々しい、貴重な体験についてお話がありましたが、現下の国際テロ情勢、まことに厳しいものがあり、我が国にとってもテロの脅威というものは現実のものであるということ、これをしっかり認識しなければならないと考えます。

 その中で、テロを未然に防止する対策の要諦は、まさに情報であると考えます。政府全体としてインテリジェンスの強化を進めていくこと、委員御指摘のように大変重要であると認識をしています。

 そして、その中にあって、バングラデシュでの事件を受けて、我が国としましては、在外邦人全般の安全対策としましては、企業の海外進出に関係する組織、機関が参加する中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク、これを立ち上げ、さらにはたびレジの一層の利用促進、また海外安全対策セミナーの一層積極的な実施、こういった取り組みを進めています。

 一方、ダッカの事件は、国際協力事業に協力してくださっていた方々が事件に巻き込まれたということでありますので、こうした国際協力事業関係者の安全対策としましては、昨年七月、外務大臣のもとに設置した国際協力事業安全対策会議の常設化、あるいは、安全対策及びテロ対策に関する研修の実施、また事業関係者等が外務省及びJICAに対し情報提供を円滑に行える体制の整備、こういったものにも取り組んでいるところです。

 そして、先ほどの情報ということで申し上げるならば、情報収集については、国際テロ情報の収集体制の強化のため、昨年九月、外務省本省で勤務する国際テロ情報収集ユニット員と在外公館の国際テロ情報収集担当官、この数を約倍増いたしました。八十名程度とすることを決定した次第であります。

 引き続き、今紹介させていただきましたような対策、情報収集にしっかりと取り組んでいきたいと思いますし、さらに申し上げるならば、こうしたテロ対策、国際社会と協力して未然にテロを防止する、こういった取り組みも重要であると考えます。

 ぜひ、TOC条約、国際組織犯罪防止条約の国内担保法、この国会において御審議をいただくことになっておりますが、この担保法を整備することによって、既に百八十七の国と地域が締結しているこの条約を我が国も締結することによって、国際的な協力体制もしっかりと育んでいきたいと考えております。

山田(美)委員 岸田大臣、ありがとうございます。

 その情報収集のために非常に地道な努力が外務省の方でもなされているかと思いますし、また、今回、日本も国際協力の中でしっかりとした役割を果たしていくということで、ぜひ引き続きの御尽力をお願いしたいと思います。

 テロの抑止には、中東地域の安定が不可欠かと思います。我が国の経済の安定にとっても密接な関係にある中東の情勢についてお伺いいたします。

 先般、サウジアラビアのサルマン国王が来日されました。我が国の石油輸入の三割以上を依存するサウジアラビアと、石油を超えた関係強化が実現したのは喜ばしいことです。

 近年のサウジアラビア経済は、財政赤字が拡大して、付加価値税の導入も検討されていると聞きます。日本との経済協力が産業育成や雇用創出につながることが期待されますが、一方で、サウジの国内消費にも大きな開拓の余地があるのではないかと感じています。

 昨年の今ごろサウジを訪問しましたが、驚いたのは女性の力でした。サウジでは女性の社会生活にさまざまな制約がありますが、現地に工場進出した日本の生活用品メーカーによると、女性専用の作業エリアを設けたら男性の三倍の業務効率にびっくりしたというお話を伺いました。人前で顔を出すことができないため、インスタグラムで写真が数秒たったら消えてしまうというアプリが女性の間に大流行していて、口コミマーケティングが広がっているというお話も聞きました。

 四年前に初めて女性が国会議員に、向こうの言葉では諮問評議会議員と言うそうですけれども、なることを許されたそうですが、来日されたサウジの女性議員の方々に、日本の何が一番よかったかと聞いてみましたら、皆さん口をそろえて、日本の文房具がすごいとおっしゃるのです。どっさりお土産に買われたそうです。重厚長大産業ではありませんが、日本ならではのファッションや生活雑貨にも中東における将来の可能性を感じました。

 一方で、湾岸地域でサウジアラビアと相対峙するもう一つの大国がイランです。

 昨年一月の制裁解除で、日本企業にもイランに新しいビジネスチャンスを求める機運が高まりました。昨年の二月にイランのナショナルデーの祝賀会に出席しましたが、南麻布の、ふだんは静かなところですけれども、イラン大使公邸に大勢の日本企業関係者が集まって、物すごい熱気でした。

 ちょうどおととい、日本とイランの投資協定について、イランから国内手続完了の通告があって、来月には協定が発効することが確実になったそうですが、残念なことに状況は変わってしまいまして、トランプ政権発足以降、イランをめぐる情勢は一転してしまい、再び先行き不透明な状況となりました。

 中東地域の平和と安定には、地域大国であるサウジとイランの安定的な関係が不可欠です。トランプ政権によって米国の湾岸諸国に対するスタンスが変化していく中で、サウジとイラン、二つの大国と良好な関係にある日本が、それぞれとの二国間関係を通じてどのように湾岸地域の安定に貢献していくのでしょうか、お伺いをします。

小田原大臣政務官 中東地域における大国であるサウジアラビアそしてイランの安定と、両国間の安定した関係は、中東地域全体の安定を実現する上で非常に重要なものであります。

 両国との伝統的友好関係を有する我が国としては、両国との二国間関係を多様な分野において強化していくとともに、サウジ、イラン間で安定的な関係が築かれるよう双方に働きかけているところであります。

 例えば、安倍総理からも、二〇一六年九月の日・イラン首脳会談においてロウハニ大統領に対し、また、今月実施されました日・サウジ首脳会談においてサルマン国王に対し、両国間での対話を働きかけたところであります。

山田(美)委員 ありがとうございます。ぜひ日本が積極的な役割を果たしていただければと思います。

 続きまして、日本のすぐれた技術の海外への輸出についてお伺いします。

 新興国へのインフラ輸出の中で、従来型の公共事業では中国や韓国の進出が目覚ましい一方で、近年の日本からの海外支援は、例えば、地方自治体による上下水道や清掃事業などの協力ですとか、フードバリューチェーンの構築、医療分野での病院輸出、測量技術、司法分野での協力など、物量作戦からオンリーワン技術へ、専門知識へと分野を広げています。

 日本はかつてのような潤沢なODA予算はありませんし、資金力や軍事力、天然資源を背景としたパワーポリティクスでは日本は世界で一番にはなれません。日本外交を支えているのはこうした技術の力、人材の力にほかならないと思います。

 昨年の春に中央アジアのキルギスを訪問し、日本からの草の根無償資金協力による医療機器の供与式に出席しました。それまで四十年も前の超音波の診断機器が一台、たった一台しかなかったそうです。病院の玄関に百人を超えるお医者様や看護師さん、患者さんが出てこられて、割れんばかりの拍手で出迎えてくださいました。私はそれを見たとき思ったんです。日本にはほかにもたくさん喜ばれる技術がある、例えば日本の歯の治療、新興国に日本の歯科の器材や材料を提供できたらどれだけ喜ばれるか、どれほど日本を好きになってくれるだろうか。

 実際に、草の根支援による歯科医療機器供与の実績を調べてみますと、過去三年間に五件、チリ、ブラジル、エクアドルなど、中南米を中心に実績があります。ただし、問題なのは、器材のメンテナンスや修理を現地で対応することがこの支援の条件なので、残念ながら、供与した器材は外国製、日本製ではないんです。

 日本政府の支援で、今年度初めてインドネシアに対して、日本の歯学部と医療法人、企業が協力して、人材支援も含めて日本製の歯科器材を普及させるプロジェクトがことしから始まったと聞いております。

 これは一つの例にすぎませんけれども、ぜひ、外務省の在外公館で働く方々に、世界各国での日本の成功事例を情報共有していただいて、JICAや自治体、民間企業の方々と情報交換しながら、相手国のニーズ調査、日本の技術のPR、さらなる案件の発掘、新たな分野の開拓へとつなげていただければと願っております。

 在外公館と各分野のスペシャリストとの連携をどのように強化していくのか、人事政策も含めて外務省の方針をお聞かせください。

小田原大臣政務官 企業の海外展開を支援し、最先端のインフラシステム輸出を後押しすることは、成長戦略の重要な柱であります。

 日本政府は、インフラ輸出の受注実績を、二〇一〇年時点の約十兆円から二〇二〇年に約三十兆円とすることを目指して取り組んでいるところであります。二〇一四年時点で約十九兆円の受注を達成しています。

 外務省では、七十カ国、九十一の在外公館においてインフラプロジェクト専門官を指名しています。外務省職員に加え、経済産業省、国土交通省、総務省、厚生労働省などの関係省庁からの出向者も同専門官に任命されています。各分野の知見を生かした案件発掘に取り組んでいるところであります。

 また、平成二十五年から、一部の在外公館において、現地事情に精通した外部コンサルタントなどをインフラアドバイザーとして活用し、インフラに関する在外公館の情報収集体制を強化しているところであります。

 今後も、外部の知見を活用しながら、我が国企業のインフラ案件受注に向けた取り組みを強化してまいる所存であります。

山田(美)委員 小田原政務官、御答弁ありがとうございます。

 省庁を超えた協力、それから官民を超えた協力は非常に重要だと思いますし、本当に、日本人の私たちが日本だったら当たり前だと思っていることが、海外に行くと、特に途上国、新興国に行くと、びっくりするぐらい喜ばれるということがたくさんあるかと思いますので、ぜひ、そういった新しい分野を開拓していただけるように頑張っていただければと思います。

 さて、最後になりますが、地方創生と商業振興、それから国際教育における外務省のさらなる可能性についてお尋ねをいたします。

 来年、二〇一八年は、日本外交にとって大きな節目の年かと思います。さまざまな出来事が重なると申しますか、日仏、日本とフランスの友好百六十周年、これを記念してパリでジャポニスム展が開催される、今まさにその準備が行われていると伺っておりますし、それから、日本とロシアの交流をさらに深めるために、ロシアにおける日本年、日本におけるロシア年が企画されていると伺っております。そしてまた、隣国、中国との間に、日中平和友好条約締結からちょうど四十周年ということで、多くの文化交流行事が控えていると伺います。

 フランスやロシア、中国といいますと、ゆかりの場所というのは全国に数多くあるかと思います。身近なところで、私の地元でも、例えば、飯田橋や神楽坂はフランスゆかりの町ですし、これまでも百貨店とコラボしてフランス・フェアということを何回か開催されていたことがあります。また、かつて周恩来が居住していた神田神保町では、ちょうど来日百周年ということで、今大きな話題になっています。その近くなんですけれども、学区域内にニコライ堂があるお茶の水小学校では、ロシアのソチ市の学校と交流が進んでいるそうです。

 こういった例は全国各地に数多くあるかと思いますし、国が行う周年行事はこうした地域にとって大きなきっかけとなりますし、国の取り組みと地域の取り組みを連携させるべきではないかと思います。

 外務省の文化交流行事は、それ自体は二国間の外交ですけれども、知る人ぞ知る的なイベントで終わってしまってはもったいないですから、地方自治体が行う地域振興や民間の小売業、飲食業、観光業などのビジネスチャンスの拡大、初等中等教育における国際的な視野の育成にも活用できるように、ぜひ、外務省から国内に対しても積極的に、情報を集約して、わかりやすく発信していただければと思います。

 外交と地方創生について、岸田大臣のお考えをお伺いします。

岸田国務大臣 ただいまの委員の御指摘は、要は、外務省の文化交流を、地方自治体とも連携しながら、地方創生ですとか商業振興ですとか、あるいは国際教育、こういったものに生かしていったらどうかという御提言かと聞きました。

 文化交流というもの、そもそも、日本の多様な魅力を海外に発信し、そして対日理解を促進する、こうした大きな意義があるわけですが、その文化交流、そもそも、そういった意義とあわせて、従来から、関係省庁ですとか地方自治体との連携のもとに、地方の魅力の発信ですとか日本産品の海外展開、さらにはインバウンド観光促進、こういった側面も持っているというのは間違いないと思います。

 そして、今、外務省としましても、日本の魅力を発信する際に、地方にこそ日本のすばらしい魅力がたくさんあるんだということを考え、地方から世界へというプロジェクト、これを進めております。

 私自身、在京の各国大使の皆さんとともに地方を訪問させていただいて、地方の関係者の皆さんと意見交換等もさせていただき、地方の魅力を我々も実感し、いろいろ教えていただき、そしてそれを海外に発信する、こういった道筋をつくっていこう、こういったプロジェクトも進めているところです。

 こうした地方の魅力の発信、これは地方創生や商業振興に資するということ、これも言うまでもないことであると思います。

 ぜひ、今言った考え方に基づき、従来の取り組み等もさらに発展させながら、おっしゃるように、文化交流というものをより大いに利用していく、意義を広めていく、こうした取り組みを続けていかなければならないと思います。文化交流の重みに思いをめぐらしながら、ぜひ大きな成果につなげていくべく、引き続き努力をしていきたい、このように考えます。

山田(美)委員 岸田大臣、ありがとうございます。地方を世界への取り組みを今後もさらに強力に展開していただければと思います。

 あわせて、総務省にお伺いしますが、地方自治体による海外との交流事業や行事について、総務省はどのような連絡体制で各自治体の情報を把握し、また、国の取り組みを各自治体へとつないでいるのでしょうか、お伺いします。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体レベルにおきます国際交流につきましては、国レベルのさまざまな交流を補完いたしますとともに、地方創生等の観点からも重要な取り組みであるものと考えております。

 こうした中で、地方自治体が行います交流事業や行事につきましては、基本的にそれぞれの地域の実情に応じた独自の取り組みとして実施されるものでございますけれども、総務省におきましては、一般財団法人自治体国際化協会と連携いたしまして、地域の国際化を推進いたしております。そうした中で、全国六ブロックごとに開催いたしております自治体との意見交換でございますとか、さまざまな分野における地域間交流の実態調査、こうしたことなども通じまして、自治体の取り組みの状況把握に努めているところでございます。

 また、例えば、ただいま御指摘ございましたジャポニスム二〇一八でございますとか、ロシアにおける日本年、こうした政府として推進する海外との交流につきましては、外務省等の関係省庁とも連携いたしまして、それぞれの姉妹都市提携等の交流を行っております自治体などを中心といたしまして、さまざまな機会を活用しながら、関係情報の提供、関連行事への参加の呼びかけ、あるいは掘り起こし、こういったことを行っているところでございます。

 地方の国際交流につきましても、このような国の動きと歩調を合わせながら取り組むことを通じましてさらなる効果が期待されるものでございますので、今後とも、外務省等関係省庁とより一層連携を図りながら、さらなる交流の拡大に向けて自治体の取り組みを支援してまいりたい、このように考えております。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 外交の仕事と地方行政の仕事をより強力に結びつけることができれば、外交にも地方創生にも大きな成果をもたらせると思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民進党の原口一博でございます。

 質問を始めるに当たり、一言、委員長を初め皆様にお礼を申し上げたいと思います。

 難病を公表して、闘病しておりました。本委員会の皆様には大変多くのお励ましをいただきました。とりわけ安倍総理におかれましては、難病を公表したときに、わざわざメッセージをいただきました。医療に携わる皆さんだけではなくて、全国の難病で闘う皆さんに大きなメッセージをいただきました。この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

 実は、十七年前にアメリカで、難病ではないかということを言われました。しかし、結局、認定まで十七年かかったわけです。難病は、レアだから難病、それに至るまでがやはり厳しいんですね。ぜひ国際的な連携の中で、ビッグデータを活用すれば多くの救われる人がいるんだということを思いました。また、公表をしましたら、いや、私もそうなんだ、私もそうなんだと。なかなか言えないんですね。国会議員の中にもそういうお声をいただきましたので、そのことは、あわせてこの場で、外交的にも、外務省としても、他国との連携ということでお願いをしておきたいと思います。

 ちょっと順番を変えて、領土問題についてまず御質問をしたいと思います。

 資料一をごらんになってください。これが領土議連の、ここにいらっしゃいます新藤会長を初め皆様で決議をしたものであります。

 昨年の夏に、韓国最大野党の「共に民主党」の文在寅前代表が竹島に上陸をいたしました。極めて遺憾だということで、領土議連は外務省に対して、竹島問題に毅然と対応するようにこの決議文を提出したわけです。

 あわせて、私たちは、日本文と韓国文、それから英文で質問書を出しました。やはり話し合おうじゃないかと。あなた方はどういう根拠で我が国固有の領土である竹島に上陸をするのか、国会議員や政府要人がどうしてこういうことをするのかということを公表、皆さんにわかる形で質問をしました。しかし、今に至るまで返事がない状況でございます。

 外務大臣はそのときも大変大きな対応をしていただきましたけれども、御所見をまず伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず冒頭、私からも、原口委員が難病の治療に取り組まれ、そしてお元気になられ、こうして国会の現場に復帰されましたこと、心からお喜びを申し上げたいと思います。原口委員が難病と闘う姿は多くの皆さんに勇気を与えたものと思います。今後ますますの御活躍をお祈り申し上げます。

 その上で、御質問ですが、まず御指摘の議連のこの決議ですが、これはたしか、会長の新藤先生と御一緒に原口委員も外務省にお越しいただきまして、この決議を外務省にお示しいただいたと記憶をしております。重く受けとめた次第でございます。

 私としましても、機会を捉えて、この竹島問題、韓国側に提起をしているわけですが、領土議連が公開質問状を韓国の国政関係者に送付したことについては説明をいただきましたが、韓国側が本件質問状に回答をしたということは承知をしておりません。このことについては残念に思っております。

 いずれにしましても、この竹島、国際法上も、あるいは歴史的な観点からも、我が国固有の領土であるということ、これは明らかであると考えております。ぜひ、引き続き、外務省としましても、こうした立場に立って、この問題、国際法にのっとって、冷静かつ平和的に解決するべく努力を続けていきたい、このように考えます。

原口委員 外務大臣、お言葉をいただきまして本当にありがとうございます。頑張っていきたいと思います。

 今名前が出た文在寅さん、この方は今、大統領選の筆頭の候補に上がっている、大変大きなリードをしている。慰安婦像の撤去に関しては厳しい発言をしています。この文在寅氏が仮に大統領になった場合には、我が国と韓国との間で交わした日韓合意、このことも大変厳しくなってしまうのではないか。やはり、両国で合意をした、そういったことはそれぞれの国に不満が残るんですよ。しかし、その中であえてお互いの主張をひとつそこは譲り合って、そして合意をしたものを決してほごにすることはあってはならない。

 韓国の皆さんに申し上げたいと思いますが、やはり両国間で合意をしたことについては誠実に履行をする、また、この場をかりて、韓国の議員の皆さんに、私たちは、何もけんかを吹っかけようというわけじゃないんですよ、話し合って、そして、皆さんがどのようなお気持ちで、どのような論理で竹島に上陸をされているかということを聞いているわけでありまして、ぜひ、これをごらんになっている韓国の国会議員の皆さん、私たちと話し合いを、私たちの質問にまず答えていただいて、そして日韓の友好を深めたい、このことを申し上げたいと思います。

 今、駐韓大使を日本に一時帰国させておられます。朝鮮民族、これは朝鮮半島にいるだけじゃないですね。中国にも百八十三万人、韓国に五千五十万人、北朝鮮に二千五百二十八万人、日本に三十七万人、所在されています。

 ここで、仮に朝鮮半島が統一して、今の核を北朝鮮がまた実験するというような情報もありますけれども、強大な核保有国が隣国に生まれるということについて、私たちは厳しい危機意識を持ってこれに対処しておかなきゃいかぬというふうに思うんですが、外務大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

岸田国務大臣 まず、朝鮮半島の平和と安定、これは、我が国はもとより国際社会全体にとって大きな利益であります。南北間で相互の信頼関係が構築され、朝鮮半島の平和的統一につながる環境が醸成されるよう、対話と協力が推進されることが重要だと考えておりますし、我が国としては、南北間で相互の信頼関係が構築され、対話と協力が推進されることによって、朝鮮半島の平和的統一、そして自由で民主的な統一国家が実現することを期待している、これが我が国の立場であります。

 そして、その統一後に大きな核保有国ができるのではないか、こういった御指摘がありました。

 もちろん、これは仮定に基づいて何か申し上げるのは控えなければならないと思いますが、朝鮮半島については非核化が実現することがまず不可欠であると思っていますし、このことは、六者会合の共同声明においても、平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化を目標としていること、これを確認しています。

 朝鮮半島の統一についての我が国の立場は先ほど申し上げたとおりでありますが、その際に、やはり非核化というものは不可欠であると考え、朝鮮半島の非核化の実現に向けて、北朝鮮に対して、累次の安保理決議の遵守などをしっかりと働きかけていく、このことがまず何よりも重要であると認識をいたします。

原口委員 まさに、朝鮮半島の非核化、これは我が国の安全にとって必須のことであるということを申し上げておきたい。そこは外務大臣と同じであります。

 ただ、二〇〇八年に、これは私たち強く反対したんですが、アメリカが北朝鮮に対するテロ支援国家の指定を解除しました。我が国はそのときに反対をしたというふうに承知していますが、これは事務方で結構ですから、事実関係を教えてください。

四方政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員から御指摘がございました、米国の北朝鮮の対テロ支援国家指定につきましては、二〇〇八年当時、我が国からの働きかけにもかかわらず、米国が独自の判断として北朝鮮のテロ支援国家指定を解除したということは事実でございます。

原口委員 我が国は強く反対したんですよね。つまり、北朝鮮に対して、核を開発する余裕を与えてしまっているんじゃないかと。

 脅威というのは、意思と能力、これの掛け算ですから、その意思をなくすということが一番大事だと思いますけれども、少なくともこの能力はどこから来ているのか。経済的な能力、北朝鮮はどこに輸出をしていますか。例えば石炭、一番最大の国を教えてください。事務方で結構です。

四方政府参考人 お答え申し上げます。

 最近の例で見ますと、北朝鮮からの特に石炭の輸出という意味では、中国に対して輸出している量が最も多いと承知しております。

原口委員 つまり、外貨を稼ぐ手段について、やはりこれは一定の、それを塞がなきゃいけない。中国はどうやっていますか。中国側から見た北朝鮮からの石炭の輸入、それをとめますか。

四方政府参考人 中国による北朝鮮からの石炭輸入の問題につきましては、二月十八日に、中国は安保理決議二三二一号の履行のため、本年末までの間、北朝鮮産石炭の輸入を暫定的に停止する旨発表したと承知しております。

 政府としましては、引き続き、中国による安保理決議の履行状況を注視するとともに、アメリカ、韓国などの関係国や国連と緊密に連携しつつ、安保理決議が厳格にそして全面的に履行されるよう中国に働きかけてまいりたいと思います。

原口委員 外務大臣としても強く働きかけていただきたい。

 金正日政権と金正恩政権の、中国に向き合う向き合い方というのは随分違いますね。私たちも中南海を何回か訪れて、彼らと北朝鮮の核の問題について議論しましたけれども、むしろ今は中国というよりもロシア。今、ロシアについてちょっと外務大臣と議論したいんですけれども。

 リビア。カダフィ大佐がいなくなって、その後、親米の政権ができるかなと思いましたけれども、今ロシアですね。

 シリア。シリアは、今週ですか、イスラエルがもう空を飛ぶことができないですね、これもロシア。

 それからトルコ。トルコにはアメリカの核があったんじゃないかと思うんですけれども、これは答えられなくて結構です、今やS400をロシアから買うなんていう話が入ってくるような状況になっています。クリミア、ウクライナ。

 時間軸を持って世界的にみずからのパワーを広げている国、今、世界を、地球儀を見ると、ロシアではないかと思うんですね。

 そのロシアについても、安倍総理が五月にまた行かれるということでありますけれども、新しいアプローチという形で経済協力や領土の問題について議論をされました。私も病院にいたので正確な情報がわかりませんけれども、党派を超えて応援をしたいということを総理にも直接申し上げました。

 これは事務方で結構ですから、昨年の暮れに総理とプーチン大統領が会われて、その後、ロシアから領土問題について、我が国固有の北方領土について、プーチン大統領は何と言っているのか、ポジティブな発言があったら教えてください。事務方で結構です。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 プーチン大統領、昨年十二月の訪日以降ということでございますけれども、プーチン大統領がその後領土問題について発言したという点について、今ちょっと持ち合わせているものはございません。

原口委員 言っていないですね。

 彼は、イルクーツク宣言、東京宣言を踏まえたものに自分で署名をしていますね。今の大統領任期の前にやっているはずです。

 それはまさに、私たちの先輩たちが長い時間をかけて、ロシアとの間には、我が国固有の北方領土、この領土問題があるんだということを認めさせてきたわけです。これについて、今のロシアの態度はどうですか、教えてください。

岸田国務大臣 ロシアの領土問題そして平和条約交渉に対する基本的な考え方ですが、日本とロシアにおいては、特に北方領土問題について、戦後長きにわたって、法的立場あるいは歴史的な経緯について大変な議論を行ってきました。

 その上で、昨年四月の日ロ外相会談において、こうした法的な立場あるいは歴史的な立場について、私とラブロフ外相との間において、それぞれの立場をしっかりと議論すること、これは重要なことではありますが、それぞれの立場は絶対に譲ることはできないと。私もラブロフ外相から幾ら説得されても歴史的な解釈あるいは法的な立場は絶対に譲ることはできないですし、あなたも私が幾ら説得してもそれは譲れる立場にはないでしょう、このまま続けていたのではこの問題は一向に前進しない、ぜひ、法的な立場、歴史的な解釈はそれぞれあるけれども、その上に立って、未来に向けて双方受け入れ可能な解決策を見出すことを考えてはどうか、こういった議論を四月に行い、それに引き続いて五月に行われました首脳会談で新しいアプローチというものを両首脳間で確認した次第であります。

 ですので、こうした北方領土に関する歴史的な経緯ですとか法的な解釈については、今言ったような考え方に基づいて両国間で取り扱っていくということで一致をしていると考えています。

 そういった考え方に基づいて、昨年十二月は山口で日ロ首脳会談が行われて、両首脳間の真摯な決意が確認をされ、共同経済活動等が確認されたということであります。

 北方領土問題の法的な解釈あるいは歴史的な解釈については、以上申し上げたような整理になっていると認識をしております。

原口委員 私と外務大臣との間の差はないんですよ。同じ方向を向いて、私も、ユジノサハリンスクや、あるいは、モスクワはもちろんですけれども、サンクトでも議論をしてきました、日ロ賢人会議の中でも。でも、その中で、やはり聞き捨てならぬことがロシア側から言われているわけですよね、領土問題は存在しないと。そんなことは絶対にあり得ないと、私はここで確認をしたくて質問しているわけです。

 領土問題を認めさせたわけです。だから、イルクーツク宣言についても東京宣言についても、四島の帰属の問題を解決して平和条約、これはプーチンさんも署名をしているわけです。まさか、自分が署名をしたことに対して、それを後ろに下げるようなことはないですね、これは確認していいですかということを質問しています。どうぞ。

岸田国務大臣 日本とロシアの間においては、過去さまざまな文書が取り交わされています。そして、二〇一三年にプーチン大統領自身と安倍総理自身が直接会談を行って、その際の共同声明において、過去両国の間で取り交わした文書、それを全て認める、確認する、こういったことを改めて行っております。そういった共同声明を両者の間で確認をしております。

 よって、過去のさまざまな文書、これは安倍総理とプーチン大統領の間においてもしっかり確認されていると思っています。

 そして、平和条約交渉の中核は間違いなく北方領土問題であるということ、これは確信をしております。こうした確信に基づいて、引き続きロシアとしっかりと議論を行っていきたい、このように思います。

原口委員 ということは、領土問題はないなんということは絶対に、そういう声は聞こえてはならないということだけ確認をしておきます。これはロシアに対して言っているんです。

 世界の中で、今ロシアはちょっと違いますね。中国が出している軍事費についても、本当に日本円にして十六兆なのか。トランプさんの本を読むと、その三倍ぐらいじゃないかと書いてあります。J20ですか、そういったものもつくり、空母もつくっている。我が国の周辺の環境というのは極めて厳しい、私はそのように思います。

 そこで、さっきの飛ばした一番目の質問、核の問題についてです。

 私は、この核の問題については、リアルな問題として、やはりしっかり取り組むべきだと思っています。核保有の危険性というのを、私たちは核を持っていませんから、核を持っている国と持っていない国との利害は真反対だと思います。

 核を持っている国は、核を持つということのリスク、例えばソ連、今ロシアの話をしましたけれども、ソ連が崩壊してどうなったか。ウラジオストクの原潜の解体作業、あれは日本がお金と技術を出して支援しましたね。国家という枠がなくなって、国家が崩壊して核を持っている。その核はテロリストに渡る危険性だってある。

 北朝鮮が開発しているあの核あるいはミサイル、あれは何製ですか。あれは彼らが開発したものですか。事務方で結構ですから、教えてください。

三ッ矢委員長 誰が答えますか。

 四方大臣官房参事官。

四方政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮が核・ミサイル開発をするに当たって、他国から技術を導入している例が多々あるというふうに承知しておりますけれども、詳細につきましては、ここでは控えさせていただきたいと思います。

原口委員 結構ですよ、答えなくて。

 恐らく、ソ連が崩壊したときにいろいろな技術が拡散した、これは紛れもない事実だと思います。あのミサイルだって、彼らが独自に開発したものではないだろう。

 事ほどさように、核を持つということは、その一国だけではなくて、我が国にも大変大きな脅威となるんだということを確認するために質問しました。

 そこで、外務大臣、伺いますが、オバマ政権は核なき世界、これは去年広島に来られて、外相の御地元で被爆者とも会っていただきました。トランプ政権は、この核なき世界の政策の見直しをしようとしている。

 「メーク・アメリカ・グレート・アゲイン」というあの本をお読みになりましたか。あれはすごいですね。湾岸戦争のときに、米国はクウェートを助けるために戦争をしたわけですけれども、そのときに、クウェートの人たちがパリに逃げて王様のような暮らしをしていた、そのためになぜアメリカの若い人たちの命がささげられなきゃいけないんだと、非常に率直に書いてありました。それはクウェートだけではありません。そういったことがございました。

 核兵器のない世界に向けた取り組みを放棄するということは日本としては絶対ない、このことはまず外務大臣に確認をしておきたいというふうに思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、米国においては、核政策の見直しについて指示が出され、今後作業が行われていくと承知をしており、注視をしておりますが、いずれにせよ、我が国として、核兵器のない世界を目指すという大きな目標、これは全く変わることがないと確信をしております。

原口委員 そこで、核保有国と非核保有国との間で共同歩調をとるとかいうそういう理由で核兵器禁止条約の交渉に参加しない、これは外務大臣も胸のうちはじくじたる思いがあったと思いますよ。私はそのことはやはりいかぬと思う。あくまで我が国の事情に即して核廃絶の先頭に立つべきだ、そのことを申し上げておきたいと思います。

 とはいっても、政権にいましたから。私も、二十代のころに、ある大使の方が、彼我の差は、アメリカと日本の差は一〇〇対一なんだと。その方がおっしゃるには、一の間はじっと我慢をして、そして、一〇〇対五〇、一〇〇対七五、一〇〇対一〇〇になるのを待てとその方はおっしゃいました。もう三十年も前です。

 私たちはやはり日本の国益を追求しなきゃいかぬということだけ申し上げて、これは中川先生も質問されるということで、核兵器の有する危険性や脆弱性といった側面に焦点を当てて、核軍縮の先頭に立つべきだということを申し上げて、テロについて申し上げたいと思います。

 これは昨年九月でしたか、アメリカでテロ支援者制裁法というのが成立しています。事務方で結構です、これはどういうものですか。通告しています。

三ッ矢委員長 誰が答弁しますか。

 飯島大臣官房参事官。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のテロ支援者に対する正義法は、米国内で発生した国際テロ行為等の結果として生じた損害について、外国国家に対する民事上の請求が米国の国内裁判所に提起された場合、当該外国政府は米国裁判所の管轄から免除されないとの主権免除の例外を定めた法律であると承知しております。

原口委員 特定の国はそこで挙げられていますか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 法律の全文が手元にございませんので確認はできませんが、報道等では、念頭にあるのは、サウジアラビアが念頭に置いてあるというふうに承知しております。

原口委員 外務大臣、そうなんですよ。サウジアラビアが九・一一テロの支援に当たったのではないかということで、それはアメリカでは確定をしているということで、これはオバマ大統領は拒否権を発動しました。しかし、上院で五十四対一でしたか、その拒否権が覆ってこの法律ができて、九・一一のテロの被害者の皆さんは、サウジに対して訴追をする、損害賠償を請求するということができるような法律なんです。

 ちょうどあの九・一一の直前に、私たちは、衆議院の予算委員会で、イラクにいました。それから、ジェッダにおりました。テヘランにもいました。そこで、来年は日本が世界一になるだろうということをイラクのサダム政権の外務委員長が言いましたから、あるいはほかの国でも不穏な動きがありましたから、逐一それをレポートにして、そして、テロの危険性があるということを日米の両政府に国会として、国会の予算委員会、委員長は野呂田委員長でしたけれども、報告を上げたはずです。

 外務省にそれは残っていますか。事務方で結構です。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、委員から質問の御通告をいただいた後、過去の記録について調べましたけれども、御指摘のような報告そのものを確認することはできませんでした。

原口委員 さっき同僚議員の質問で、情報が大事だと大臣はお答えになっていましたね。

 今から十五年前の話ですけれども、検証するということができない。これほど大事なことを、これは国会として、私も何回か質問をしました、やはり情報をきっちり残しておくということが大事だというふうに思います。

 時間が過ぎてきましたので、少し南スーダンの日報の問題について質問をしたいと思います。

 その前提として、南スーダン情勢、これはある意味、民族対立、民族紛争あるいは民族浄化といったことが行われているんじゃないか、こう考えるわけですから、これも事務方で結構です、教えてください。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 南スーダンにおきましては、地方を中心に、武力衝突、一般市民の殺傷行為などがたびたび生じております。その原因は、さまざまあると考えられます。特定することは困難でございますが、民族間の問題を指摘する見方があることは承知しております。

 そのような情勢の中で、キール大統領は、民族融和等のために国民対話に向けた準備を進めておりまして、また、規律のとれていない一部兵士の問題を認識し、軍隊の規律強化にも取り組んでいると承知しております。

 国際社会と南スーダンも、南スーダンの安定に向けた取り組みを進めてきており、三月八日、グテーレス国連事務総長は、ジェノサイドの危険性は相当低くなったと承知しております。

 南スーダン情勢の改善のためには、敵対行為の停止を初めとする衝突解決合意の着実な履行、包摂的な国民対話の実施に真剣に取り組むことが重要であります。この点については、日本政府として、これまでも累次の機会に南スーダン政府に働きかけをしており、今後とも国際社会と連携しつつ、働きかけ等を行っていきたいと存じます。

原口委員 少し認識がやわらかい、甘いのではないかというふうに思います。

 そこで、法務省、来ていただいていますけれども、刑法第二百五十八条の公用文書等毀棄罪、これはどのような場合に成立しますか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの刑法第二百五十八条の公用文書等毀棄罪につきましては、故意に公務所の用に供する文書または電磁的記録を毀棄した場合に成立するものと承知しております。

原口委員 ありがとうございます。

 そこで、内閣府副大臣、きょうはありがとうございます。

 公文書管理法の趣旨に照らせば、南スーダンPKOの日報のような文書については、基本的には、保存期間を一年未満とせずに残しておくべきであり、必要があれば公文書管理法を改正すべきじゃないかというふうに思っています。

 先日、足立議員が非常にいい質問をされて、防衛省の規則によっては、日報は一年未満、廃棄すべきものだということで認識していいでしょうか。

 まず副大臣、それから防衛省。

松本副大臣 まず、公文書管理法の趣旨という観点で答弁をさせていただきたいと思います。

 公文書管理法でありますけれども、公文書が、国民共有の知的資源といたしまして、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑みまして、現在と将来の国民への説明責任を全うすることなどを目的といたしまして、行政文書の適切な、適正な管理に関するルールを定めているところであります。

 行政文書の保存期間につきましては、例えば法令の制定など、全行政機関で共通した保存期間を適用すべきもの以外は、行政機関の事務及び事業の性質、内容などに応じて各行政機関が定めることとしているところであります。

 また、公文書管理法施行令におきまして、歴史資料として重要な公文書などにつきましては、一年以上の保存期間を設定することとされておりまして、内閣総理大臣決定による行政文書の管理に関するガイドラインにおきまして、その判断の考え方や指針を示させていただいております。

 内閣府といたしましては、まずはこのガイドラインにつきまして、各行政機関の職員が歴史資料としての重要性をより判断しやすくなるよう改正するべく、早急に検討を進め、改正後は、その内容について各府省への徹底を図ってまいりたいと考えております。

原口委員 そうですよね。ガイドラインもつくっていただいているんですね。その内閣府がつくったガイドラインに対して、防衛省の保存、皆さんのお手元の資料で法律を挙げています、公文書管理法の四条、五条。四条が作成、五条が整理、六条が保存という形で、基本はやはり作成なんですよね。

 この間の足立先生の質問に対して防衛大臣は、一次資料は残しておいた方がいいと。私はそのとおりだと思うんです。ところが、今の防衛省規則では廃棄するということで、廃棄しなければならないんでしょう、これは。ちょっと確認です、辰己さん。

辰己政府参考人 お答えします。

 さきの三月二十二日の衆議院外務委員会で申し上げましたが、防衛省の中の文書管理規則、今回の日報につきましては、陸上自衛隊の文書管理規則には、「随時発生し、短期に目的を終えるもの」ということで、保存期間が一年未満と整理されております。この保存期間一年未満の文書につきましては、用済み後廃棄という整理でございますので、利用目的が達した時点においてこれは廃棄するのが基本であるということを説明いたしました。

原口委員 前回のおさらいです。確認しました。

 そうすると、特別防衛監察、これは何のためにやっているんですか。

若宮副大臣 お答えします。

 まず、委員の冒頭の御挨拶に対しまして、私からもお喜びを申し上げたいと思っておりますので、これからの御活躍、お祈り申し上げます。

 その上で、お答えさせていただきます。

 この特別防衛監察につきましてですが、これはまず、昨年の七月の武力衝突事案の期間中の陸上自衛隊の派遣施設隊が作成した日報、この中で、同隊及び中央即応集団司令部において捜しましたところ、陸上幕僚長から防衛大臣に対しまして、廃棄済みのため、まず、不存在という上申がなされましたわけで、一旦は日報について不開示という決定がなされたところでございます。

 その後、防衛大臣の御指示のもと、私どもみずからが再度捜そうということで、当初の探索範囲ではございませんでした統合幕僚監部において発見をいたしまして、私どもの方から公開をしているところでございます。

 この情報公開の対応につきましては適切であったというふうに考えているところではございますが、先般の、今月中旬以降の報道等いろいろございますので、報道されている内容がもしも事実であるとするならば、これは非常に、防衛省・自衛隊に対する、今まで国民からの高い信頼があったものを大きく損ないかねないなという判断がございまして、防衛大臣の責任のもと、陸上自衛隊から離れた、独立性の高い立場から徹底した調査を行うことが望ましいのではないかというふうに考えたところでございます。

 そこで、元検事長を長といたします、現役の検事も含めましたところの防衛大臣直轄の防衛監察本部に対しまして、特別防衛監察の実施を指示し、十七日には大臣が特別防衛監察計画を承認して、今開始しているところでございます。

 以上でございます。

原口委員 副大臣、お言葉ありがとうございます。

 しかし、今の御答弁は、私はなかなか納得できないなと思いますね。

 私たち、予算委員会の質問も、報道をもとに質問なんかしませんよ。今、何かそういう傾向もあるのかもわからないけれども。

 報道でこうだったから特別防衛監察をする、それは士気が落ちませんか。本来報告しなきゃいけないことを大臣に報告していなかったとか、あるいは隠蔽を指示したという疑いがあるのであれば、私はやるべきだと思います。

 また、私が総理大臣であれば、総務省に命じて、よその省からのインスペクションも入れますよ。あるいは、国会に対してしっかりと調査をするわけですけれども。

 今の理由であれば、私は特別防衛監察を行う理由にはなっていないんじゃないかと思うんですが、もう一回御答弁お願いします。

若宮副大臣 私ども防衛省・自衛隊は、日本の平和と安全を確保するという崇高な任務を果たしていく、こういった目的のために、職員、隊員一人一人が自分の仕事に対するやりがい、またあるいは、実際に崇高な任務に携わっているということに対する誇り、そしてまた、自分自身が我が国の平和と安全の確保のために仕事をしているんだという強い責任感、こうした高い遵法意識を持つことも最も大切なことだというふうに認識をいたしているところでございます。

 今委員が御指摘の、その士気が下がるのではないかという御指摘がございましたけれども、職員あるいは隊員の職務の遂行におけます法令の遵守、それから、その他の職務執行の適正さを確保するための防衛監察を行うということで、さらなる国民の皆様からの防衛省・自衛隊に対する信頼、これを揺るぎないものとしたいというふうに考えているところでございます。

原口委員 副大臣、これは大臣と今度議論しますからこれ以上あれしませんが、例えば竹島に上陸をした、そのことだって、外務大臣、外務大臣に報告が行くまでやはり時間がかかったりするんですよ。それはやはりいかぬ。

 それから、いろいろな日報のことも、私は、稲田さんがおっしゃるように、一次資料を残しておくという、これはガイドラインを書き直さないかぬと思っています。内閣府が持っているガイドラインに対して、防衛省が持っている文書管理のガイドラインは、少し逆転しているんじゃないかと思っているわけです。それでも足りなければ、私たちは、公文書管理法、これは党派を超えて議論してつくったんですよね、だから、公文書管理法の改正についても言わないかぬ。

 今、大阪のあの森友学園の国有地売却に対しても、これも、一次資料を残しておくということは、自分たちを守る、アカウンタビリティーをしっかりと、後から見ても、誰が見ても、これは正しかったんだと。

 国有地の問題でいうと、近財はこういう警告を発しているんですね。絶対に随意契約することはありません、何かそういう詐欺話があるから皆さん気をつけてください、随意契約で国有地が安く払い下げられるから私に融資してくださいみたいな話があるんだったら気をつけてくださいねという警告まで出しているんです。しかし、現実に起きていることは随意契約だ。だから、与野党問わず、これはどうなっているんだという話になって。

 きょう財務省も来てもらっていますが、しかし、文書も残しているでしょう。何を残していて、何を捨てたか、教えてください。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 財務省においては、公文書管理法の規定に基づき制定されている財務省行政文書管理規則にのっとり、文書管理を行っております。

 同規則に基づき、本件国有地処分に関する文書については、例えば、売買契約書、貸付契約書、森友学園の公的取得等要望の文書や、国有財産近畿地方審議会への提出資料及び議事録などの文書を保存しております。一方、本件に係る面会の記録については、その保存期間は一年未満とされ、保存期間満了時期については事案の終了後とする扱いをいたしております。

 このように、保存すべき文書は保存しておるところでございまして、財務省においては、公文書管理法に基づく規則にのっとり対応しているところでございます。

原口委員 そういう規則にのっとってやったということだけれども、後から検証はなかなかできにくい。だから、役所やあるいは国会に対する信頼を確保するためにも、公文書管理法についてはやはりこれは議論が必要だというふうに思います。

 もうこれで時間が来ましたから最後に申し上げますが、やはり国益優先でやらぬといかぬと思っています。種子や水道や、あるいはFMSについても、きょう時間がないので言いませんけれども、約十倍にしていますよね。そうしたら、日本で、みずからの国で、みずからの技術、みずからの装備をつくる。それ、減りませんか。やはり他国に依存をするということをできるだけ減らしていくべきだということを申し上げて、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 中川正春です。

 先ほどの原口委員の質問に続けていきたいというふうに思います。

 ちょっと順番を変えまして、核兵器の禁止条約について、先ほど原口委員も触れられた課題からやっていきたいというふうに思います。

 非常に私も、今回は日本は腹をくくるんだろうということを期待していたんですけれども、交渉に入らないということ、参加をしないという決定に対しては憤りを覚えていますし、これはやはりどう考えても間違っているというふうに思います。

 まず最初に聞いていきたいのは、岸田大臣、地元の広島へ、いわゆる核兵器のない世界を実現しようというオバマ大統領を招聘して、そしてあれだけ世界に対してメッセージを発信した、それこそ功労者なんだと私は思うんです。非常に大きく評価をしたいと思うんです。

 その後の記者会見で、これはちょっと報道ベースで、あのときにも確認をしていたんですけれども、だから期待していたんですが、昨年の十月の記者会見だということなんですが、条約制定に向けた交渉に対して、積極的に参加して主張していきたいということをおっしゃられた。

 それが今回、こうして間際になって参加をしないという決断になってしまったわけでありますが、それだけに国民全体が失望しているし、恐らく、広島の、地元の皆さんというのは大きな憤りを持ってこれを見ているんだろうというふうに思うんです。

 どういうことがあって考え方を変えられたのか。まず、そこから聞いていきたいというふうに思います。

岸田国務大臣 まず冒頭申し上げたいことは、考え方は全く変わっておりません。

 私は、核軍縮・不拡散における取り組み、従来からも一貫しておりますし、これからも一貫させていきたいと強く思っております。

 そして、御指摘の発言の後も、ことしの外交演説においても、核兵器禁止条約交渉会議においては主張すべきことは主張すべきだということを言い続けてきました。

 ですので、今回、二十七日から国連におきまして核兵器禁止条約交渉会議が開催されるに当たりまして、高見沢軍縮大使そして相川軍縮部長を出席させ、主張すべきことをしっかりと主張してもらいました。

 この主張の中身は、従来から一貫して申し上げていますように、核兵器の非人道性に対する正確な認識と厳しい安全保障環境に対する冷静な認識、この二つの認識のもとに、核兵器国と非核兵器国の協力を得た上で現実的、実践的な取り組みを積み重ねる、こういったものでありますし、そのために、従来から申し上げていた五つの原則についてしっかり主張をさせていただきました。

 会議初日にそれを行ったわけですが、会議初日の現状を確認したところ、核兵器国一国も出席をしていない、また、我々とともに核軍縮・不拡散に取り組んできた中道国も、ドイツやオーストラリアを初めほとんど出席をしていない、こういった状況が確認をされました。我々の主張が取り入れられる環境にないと判断をし、それ以後の参加の取りやめを指示したところであります。

 これからも我が国の立場はぶれてはならないと思います。唯一の戦争被爆国としての立場の信頼性を得るためにも、これからもぶれることなく我々の主張をしっかりと訴えていき、核兵器のない世界に向けて結果を出していきたい、このように思っております。

中川(正)委員 私は、本当は大臣は、一つここでステップアップして、この交渉に参加をしていきたかったと内心思っておられる、しかし、どうも、安倍政権の体質と、もう一つはトランプさんの方針が変わったということに対する、何というか腰が引けている日本の姿、それを反映した形で、やむにやまれぬ気持ちで退いた、今回、参加をしなかったというふうに解釈したいですね。

 もう一つは、ぶれていると言うけれども、これはぶれるぶれないの話じゃないんですよ。私は、基本的に、核軍縮ということと核廃絶というのは手法が違うんだろうと思うんですよ。大臣の言われる、それぞれ核保有国も関与させて、そしてトータルでやっていく形というのは核軍縮。これを、ずっと日本もその中に入り込んで、何とか橋渡しをしたい、そういう思いの中でやってきたんだというふうに私は理解をしています。

 しかし、今回出てきた話というのは、核軍縮じゃないんですよ、核廃絶なんですよ。これは、これまでの手法でやっても実現はしない。そうじゃなくて、違った切り口で今回はやってみようじゃないかと。

 これまでのやり方というのは、それこそ、ちんたらちんたらやっていただけで、何も基本的な意味での核の脅威というものが排除されているわけじゃないという、恐らく、世界のいわゆる核廃絶へ向けて運動している人たち、そして私たちの気持ちがそこに反映されたものが新しい切り口で出てきたんだと私は解釈しています。だから、それだけに、違った見方でこれは見ないと。ぶれるぶれないじゃないんですよ。

 ちょうど、我々の法律をつくっていく中で、プログラム法とか理念法とかとありますけれども、ここの法律というのは、私の解釈では、廃絶へ向けてそうした方向性を示していくということをみんなが確認しようじゃないか、その中のプロセスとして核軍縮があるんだよという位置づけをすれば、両方が両立するんですよ。そうじゃなくて、いや、あっちかこっちか、私たちは仲間がつくれないからこっちには入らないんだと。これは、基本的には、日本がこれまで言い続けてきた唯一の被爆国としての矜持、誇りというのがここで完全に打ち消されたような、そんな思いでおります。そこのところをもう一回基本的に考えて、日本の核戦略、核に向けての世界に対する主張というのを考えていくべきだというふうに思います。

 そういう意味で、あなたは間違っているというふうに思うんです。反論があったら言ってください。

岸田国務大臣 委員の御指摘をお聞かせいただきましたが、私とは考え方が違うようであります。

 まず、アメリカとの関係を御指摘がありましたが、我々はアメリカとは一線を画し、この交渉において、出席をし、みずからの考え方をしっかり述べさせていただきました。

 そして、基本的な考え方として、私も外務大臣を四年やってきましたが、一昨年のNPT運用検討会議のありようなどを見ても、現実に核兵器を減らすためには、核兵器国が参加することなくしては結果につながらないということ、これを強く感じてきました。

 現実問題、核兵器を持っているのは核兵器国でありますので、この核兵器国が動かなければ結果につながらない、これは当然のことであります。ですからして、核兵器国と非核兵器国の協力が重要だということを申し上げてきました。

 そして、核軍縮と核廃絶の関係について御指摘がありましたが、我々の訴えている取り組み、先ほど基本的な考え方を申し上げさせていただきましたが、この究極の目的は、核兵器のない世界を目指す、要は核廃絶であります。

 その道筋については、今回、二十七日の国連での核兵器禁止条約交渉会議の初日に、高見沢軍縮大使からも発言の中に盛り込ませていただきましたが、大変重要な考え方として、最小限ポイントという考え方を我が国政府としては重視しております。

 要は、現実的な、実践的な取り組みを続けることによって国際社会、世界全体の核兵器のレベルを少しずつ下げていき、そして、ある時点、最小限ポイントという部分まで下げたところで、法的な枠組み等を活用して一気に核廃絶に持っていく、これが我が国の基本的な考え方です。

 こうした核兵器禁止条約等の法的な枠組みの使い方を間違えると、結果につながらない。今現在、今の状況で、なおかつ核兵器国が全く参加しない形でこうした法的な枠組みを活用してしまっては今のこのシナリオが成立しないということを念頭に、今はこの条約においてやることが結果につながらないということを申し上げてきたわけであります。この基本的な考え方をしっかりと説明した上で、今現在何をするべきなのか、しっかり説明していかなければなりません。

 核兵器国に対しましては、透明性を上げていくこと、しっかりとしたひな形まで提出して、定期的な報告を求めています。また、マルチの軍縮会議、核軍縮会議を行うよう働きかけ、NPDIを通じて行ってきています。

 こうした具体的な取り組みをまず行って全体の核のレベルを下げた上で、最小限ポイントまで持っていき、そして法的な枠組みに基づいて核廃絶に持っていく、こうした我が国の基本的な考え方、これをしっかり説明した上で、今何をやるべきなのかしっかり訴えていくべきだと考えています。

中川(正)委員 そうした手法というのを否定しているわけじゃないんです。それも一つだろう。しかし、それしかないという考え方が余りにも狭過ぎるということなんです。それで、ほかを排除しようと。それは、基本的にはアメリカに遠慮しているんだというような話では情けないということです。私は、これは両立する話だというふうに改めて思い、それをお話ししておきたいというふうに思います。

 次に、TPPあるいは通商貿易の関係に入っていきたいというふうに思います。これもアメリカが方針を変えて、脱退するということなんですが。

 内閣府の方からちょっと聞きたいと思うんですが、この間、アメリカ抜きで、チリで、TPPをこれからどうするかという話し合いをしようということがありました。そのときに日本はどのような主張をしたのか、どのような考え方をそこで述べたのか、まず答えてください。

越智副大臣 先日、三月の十五日の日にチリでTPPの閣僚会合が開かれました。これはTPP米国離脱表明後初の閣僚会合でございましたが、ここには、石原大臣のかわりに、代理としまして私の方で出席をさせていただきました。

 この場で日本として主張したことは、まずは、TPPが持つ戦略的、経済的意義は変わりがないということ、そしてもう一つが、今後のTPPの進め方については各国が緊密に意思疎通をしていくことが重要であるということ、そして、我が国としては、あらゆる選択肢を排除せずに、各国と議論する中で何がベストか主導的に考えていきたいという旨、発言をしたところでございます。

 その上で、この会議の中では、結果的に十一カ国が今後も結束して対応することを確認する意味で共同声明を発表しようということになりまして、発表させていただいて、その中では、先ほど申し上げたTPPの意義を再確認したこと、また、TPPに関するそれぞれの国内の手続について意見交換して、アジア太平洋地域における経済統合を進める可能性のある方法について見解を議論したこと、そして、加えまして、次の大臣会合、五月のAPECの貿易大臣会合、ハノイで行われますけれども、このときに次のTPP閣僚会合を開くということを決めまして、そのために、その前段で政府高官による準備会を開くということもそこに明記をしたということでございます。

 今後とも、我が国が持つ求心力を生かしながら、各国と緊密に連携して、何がベストか、主導的に議論を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

中川(正)委員 ぜひ日本がリードをしていただきたいというふうに思うんですが。

 その上で、実は、アメリカ国内の報道、ファイナンシャル・タイムズなんかはしきりに、トランプ政権の中で議論が再燃してくる可能性が出てきていると。

 もっと具体的に言うと、ナバロ国家通商会議、NTCの議長だとか、それからバノン首席戦略官、こちらはTPPから脱退派だそうですが、もう一方の、ゲーリー・コーン国家経済会議委員長、NECの委員長ですが、あるいはスティーブ・ムニューチン、これは財務長官ですよね、この辺はどうも、もう一回いわゆる多国間交渉の中でやっていくべきだという主張をしているようでありまして、その議論の中で一つの可能性としては、また方針が変わるということもあり得るんじゃないかというような報道がしきりに出てきているんです。

 そういうことも踏まえて、大臣、これから先の多国間交渉枠組みの持っていき方ですが、大臣としてはどういう戦略を日本として出していくべきかというふうに考えていますか。

岸田国務大臣 まず、日米間においては、二月十日の首脳会談において、自由で公正な経済圏をつくる必要性、これについては一致をしております。また、米国は、日本が既存のイニシアチブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進すること、このことについても了解をしています。

 米国との間においては、こうした首脳会談での基本的な認識に基づいて新しい経済対話の枠組みをつくることで合意をいたしました。ペンス副大統領と麻生副総理との間において新しい経済対話をこれから行っていくわけですので、その中で、ぜひ、両国において、こうしたアジア太平洋地域を初め国際社会においてどんな経済圏をつくるのか、この二国間の経済関係とあわせて、これはしっかり議論していかなければならないと思います。

 そして、あわせて、TPPの枠組みを考えた場合に、先ほど、三月十五日のTPP閣僚会合の様子、答弁の中に出てきましたが、五月にはベトナムでAPEC貿易担当大臣会合が予定されていますが、その際に関係閣僚が再び集まって関連の議論を行う、こういった予定になっているということも承知しております。こうした議論の枠組みもしっかり活用しながら、TPPのありようについても引き続き議論を行っていくということがあるべき姿なのではないかと思います。

 引き続き、米国内での議論もにらみながら、日米での経済対話の枠組み、そしてTPPの議論の枠組み、これを並行してリードしていくことを行いながら、一つの結論を見出すべく努力を続けていきたい、このように考えます。

中川(正)委員 そのときに、一つ確認をしていかなきゃいけないのは、オーストラリアの主張でもあるんですが、中国や韓国をこの中に入れ込んで、それこそTPPとRCEPを合体させたような形でアジア圏を考えていくというその可能性といいますか、その方が本格的なものになるのではないかという、そういう選択肢が一つあるわけですね。

 これに対して、私は、それはしっかりその選択肢も含めた議論をすべきだというふうに思っていますし、チリにも、そういう意味では、中国や韓国の代表も招待をされて、そこでこの話を聞いていたということらしいんですけれども、そこのところは大臣自身はどのように判断されていますか。

岸田国務大臣 もともとTPPは、二十一世紀型の経済連携のモデルになる、これからの経済連携のスタンダードであるという認識のもとに議論が行われてきました。ですから、将来に向けて加盟国がふえていくということ、アジア太平洋地域に参加国あるいは地域が広がっていく、こういったことはもともと想定はしていたと思います。

 そういったTPPのありようも念頭に置き、一方で、逆に、TPPから特定の国が外れるということになりますと、従来の議論は、大変さまざまな合意が複雑に絡み合っている、ガラス細工のような存在だと言われているわけですが、一部だけ取り外すということになりますと全体のバランスが崩れてしまう、こういった点も念頭に置かなければなりません。

 よって、アメリカのありよう、そして新たに入ってくる国のありよう、これを、今申し上げた点も念頭に置きながら、引き続き注視しながら、あるべき姿を先ほど申し上げました議論の枠組みを通じて考えていく、こういったことを行っていかなければならない、このように考えます。

中川(正)委員 そうした柔軟な姿勢というのは大いに歓迎したいというふうに思いますし、この際、アメリカを牽制する意味でも、やはりRCEPを念頭に置いて、中国や韓国、あるいはインドなども含めた広域な貿易交渉へ向けて踏み出していくべきだというふうに私は思います。ぜひ、そうした意味でも頑張っていただきたいというふうに思います。

 あと、二国間の交渉がこれから始まるわけですが、これはまた次の機会にさせていただきたいと思います。質問は準備をしてきたんですが、時間の割り当てからいくとちょっと足りないようなので、次に移りますが、国際連帯税なんですね。

 これは財務省、国際連帯税について外務省の委託調査というのが出されていまして、その結果が出てきているんですが、これはまずは財務省の話を聞いてみないといけないと思うんですけれども、来ていただいていますよね。今、どういう取り組みと、同時に、国際連帯税に対してどういう見解を持っているか、話をしてください。

木原副大臣 国際連帯税につきましては、平成二十四年だったと思いますが、税制抜本改革法というものができまして、その中において「国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討すること。」というふうにされております。

 税制を所管いたします財務省といたしましては、この法律を受けまして、毎年度の税制改正プロセスの中で、外務省から国際連帯税に係る税制改正要望の提出を受けてきたところではありますが、具体的な制度設計の提案には至っていないというところであります。

 外務省において、諸外国の事例等も参考にしつつ具体的な制度設計の案を検討していただいて、その上で、財務省としても検討してまいりたいと思っております。

中川(正)委員 財務省としては、具体的な制度設計を外務省から出してもらうということを期待していますよ、こういう話なんですね。そういうこともあって、委託調査という形で外務省がそれを出しているんだろうというふうに思うんですが、大臣はどういう取り組みをすべきだというふうに考えておられますか。

 私はこれは、積極的にこの制度を活用しながら、いわゆる地球規模の問題あるいはまた私たちが直面をしているさまざまな、それこそ国連を中心にした課題に対しての財源の持っていき方ということを考えていくと、非常に有効な制度だというふうに私は思っておりまして、日本も、それこそ外務省が率先して進めていくべきだというふうに思っているんですが、大臣、どうですか。

岸田国務大臣 まず、飢餓や感染症などの国際的な課題、地球規模の課題については莫大な開発資金が必要になっている、こうした現状については強く認識をしております。こうした世界の開発需要に対応するためには、伝統的なODAのみでは十分ではないということで、幅広い開発資金の動員が必要であると認識をいたします。

 そして、御指摘の国際連帯税、それはそのための手段の一つだと認識しておりますし、外務省としましても、平成二十二年度税制改正要望以降、毎年、国際連帯税の導入要望を提出しております。国際連帯税というものの意義については強く認識をしておるところでございます。

中川(正)委員 さっき、財務省の話のように、具体的な設計が要りますねということだと思うんですよね。既に隣の韓国でもあるいはフランスでも、航空券に上乗せをしてそれで連帯税を徴収しているというようなところから始めている国々があるんですけれども、もう一つ切り込んで、具体的に日本で始めるとすれば、外務大臣としてはどの辺からいわゆる設計をしていくのがいいというふうに考えておられるか。

 これは、設計といっても二つあると思うんですよ。どこからどういう形で取るかということと同時に、その資金を何に使うかということ、この二つの設計だと思うんですが、目的税化するということだと思うんですけれども、そこは、大臣、どうお考えですか。

岸田国務大臣 国際連帯税、他国においては航空券連帯税ですとかあるいは金融取引税、炭素税、あるいは旅券手数料への課税、こういった導入例があるとは承知しております。

 ただ、今現在、外務省として具体的な有力な課税方法を特定したことはないと承知をしております。外務省としましても、具体的な方式についてはまだ議論が整理できていないと考えます。

中川(正)委員 これはぜひ進めていただきたいということと、それからもう一つ、今導入されている連帯税というのは、その国独自で判断して、いわゆる徴税権を国家が使ってそこで徴税をする、しかし、徴税する範囲というのは、それこそ国境を越えて、グローバル企業なりあるいは人なりというところで展開をしていくんだろうと思うんですけれども、そういうことが前提になっているんです。

 最終的には、これは各国間が話し合って、例えばOECDの中にこの話を持ち込んでいく、あるいは国連の中にその話を持ち込んでいって、そして、各国が共通して税の仕組みをいわゆるグローバルに設計していく。その中で、例えば国連であれば、各国の国としての負担でもって、それぞれ国の拠出でもって財源を賄っていたわけですけれども、そういうことではなくて、ある意味、各国の持っている徴税権を一部、条約の形で国連へ向いて付加していく、あるいはOECDへ向いて付加していく、そういう構造というのをこの際つくり出していいんじゃないか。

 そういう意味で、私は、この連帯税に非常に注目をしていますし、将来、国際機関というものがそうした徴税権を一部自分たちのものにすることによって、いわゆる世界の共通した課題への対応というのがまた主体的に活力を得てくるというふうに思っているんです。そうした枠組みについて、日本の方からやはり提起をしてみるべきだというふうに思うんです。

 そうした意味での選択肢も含めて、これは、いわゆるネーションステートと言われる国家というのは、徴税権をそこへ向いて渡してしまうというのは非常に嫌がることですけれども、ある意味、国が法律で決めていくように、条約という手段の中でその制度設計ができるということであるとすれば、これはもう一つの選択肢であるし、世界が一つ前向きに動く選択肢でもあるというふうに思うんです。

 そういう思いを持って大臣に訴えていきたいというふうに思うんですが、大臣の見解はどうですか。

岸田国務大臣 今、条約を通じて国際機関が徴税権を持つというお話、大変興味深く聞かせていただきました。

 ただ、私自身、その実現性について検討したこともないので、それに対する評価は、ちょっと今すぐには申し上げることは控えたいと思いますが。

 いずれにしましても、国際連帯税については外務省としましても前向きに考えているわけでありますし、具体的な方式等について、今委員の御指摘になった点も含めてまた議論を行うことは大変重要であると考えます。また引き続き、国際的なこうした議論にも積極的に参加するなど、この問題についてしっかり取り組んでいきたい、このように考えます。

中川(正)委員 次に、再び日本語の世界へ向いて議論を移していきたいというふうに思います。

 皆さんの手元に、こういう、これはカンボジアの紙幣なんですけれども、五百リエルの紙幣を配付させていただきました。これは、橋が二つ写っているのと同時に、このシンボルの中に、日の丸と向こうの国旗とが並行してあります。これはカンボジアの五百リエルの紙幣の裏側なんです、表の方は王様が写っているんですが。

 実は、この橋が大事でして、日本のODAでつくった有名な橋でして、きずなとつばさという橋がこうして紙幣になっています。日本の援助姿勢にこうした形で感謝と評価が出てきているというのは、日本のODAが生きている証左だというふうに思っています。

 問題は、こうした部分での評価というのは非常に高いんですけれども、政治的に、あるいは、それこそ経済的にもということになってきますが、特に東南アジアについては中国の影響力が色濃く出てきておりまして、カンボジアについても具体的にはそうですね、南シナ海の領有権の問題を、ASEANでトータルで物を言おうといったときに、やはりカンボジアというのは中国に遠慮をしたというような過去がありました。

 これは、中国の様子を見ていると、ASEANを中心に、孔子学院というような、本当にベースになる、言葉とそれから文化を戦略的に広げていこうというような、そういうところ。これは世界展開しているんですよね、孔子学院、よく御存じのように。というようなものであるとか、あるいは、それぞれの援助政策の中で、中国理解を進めていけるような、その文化を中心にしたいわゆるソフトパワー的なものですね。これは、中国は軍事力をぐうっと伸ばしていますけれども、それ以上に、実はこのソフトパワーに対する金の使い方というのは非常に大きいんですね。

 アメリカは、どっちかというと、今回はソフトパワーをぐっと縮めてしまって、それで軍事力を見てもっといこうということなんですが。これは、全く過去とは逆さまな状況になってきているということも、私は一番気になるところなんです。

 そういう意味で、日本が非常に、これまで東南アジアに広げてきた我々の努力というのが中国に置きかえられているという現実があるということを、実は、現地の人たちが私のところへ来て説明をしてくれて、そのときに持ってきてくれたのがこの五百リエルのお札なんですよ。こういうことがあるにもかかわらず、日本は何しているんですかと、こういうことなんですね。

 実は、そのベースになるのが言葉ということ、これはもう言うまでもないことだと思うんですが、いろいろな形で、今、日本語というのが改めてブームになっているというか、広がってきております。特に、中国の北東部の各省、三省ぐらいでは、高等学校、中学校で、第一外国語として日本語が勉強されている。それから、あと、ベトナムも第一外国語を日本語にするということで、最近決めて、そして、それが、各中学校、高等学校へ向いて広がっている。第二外国語に至っては、七十二カ国が、世界で、第二外国語は日本語をやっている、こういうことなんです。

 こういう状況であるにもかかわらず、恐らくほかの国でもさまざまに日本語というのを子供に教えていきたいというところがあるんですが、さっき言ったように、これが中国語に置きかわってきているということですね。これに対して、日本としてやはり戦略を持たなきゃいけないということだと思うんですが、一番足りていないのは何かといったら、ネイティブ、私たち日本語をしゃべる人たちが海外に出ていって日本語を教えていくという、要は、量と質というのが完全に欠落している。

 国際交流基金は、現地の人たちを日本語の教師に仕立てようということで大学で日本語を教えているんですけれども、これは点です、点でしかない。だから、そうじゃなくて、面的に、戦略的に海外へ向いて日本語をしっかり教えていくそのベースをつくっていかなきゃいけない。これは国家戦略だと私は思うんです。

 そういう意味で問題点を指摘したんですけれども、大臣、共有していただけませんか。

岸田国務大臣 まず、委員のおっしゃること、大変重要な点だと思いますし、思いを共有させていただいています。

 日本語の普及あるいは日本文化の紹介、これは、我が国に対する理解を深め、そして友好関係を強化する上で大変重要であると考えます。在外公館や国際交流基金を通じて伝統文化やポップカルチャーを初め多様な日本文化を紹介するほか、海外における日本語の普及、積極的に従来からもこの取り組みを続けているわけでありますが、今中国の例も御指摘になられました、各国の取り組みを考えますときに、日本も、日本語や日本文化の普及や紹介にもっと力を入れていかなければならない、このソフトパワーの活用は我が国にとりまして大変重要な課題であるということを認識いたします。

 中川委員も会長代行を務めておられます日本語教育推進議員連盟においては、国内外の日本語教育が直面する課題に対処するため、基本法の制定を検討されているということも承知をしております。外務省としましては、こうした国会における議論も踏まえながら一層努力をしていきたい、このように考えます。

中川(正)委員 ありがとうございます。終わります。

三ッ矢委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず初めに、三月二十二日に続きまして、PKO日報問題についてお伺いします。

 報道によれば、日報の電子データは、昨年十二月の不開示決定後も、陸上自衛隊の研究本部が管理する教訓センターデータベースに保存されていたとされております。

 この問題について、稲田防衛大臣は、三月十七日の当委員会で、我が党の笠井議員に対してこう言っています。日報は教訓に係る資料を掲載するのが目的の当該データベースには保存されていないという報告を受けている、こう答弁されたわけですね。この答弁に間違いないですか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 陸上自衛隊の研究本部が管理をいたします内部サイトにおきまして日報は、ごめんなさい、失礼しました、今、稲田大臣の答弁でございますね。失礼しました。

 間違いございません。そういう答弁をさせていただいております。

宮本(徹)委員 それで、この報告を受けているというのは、どこから受けた報告ですか。

若宮副大臣 まず、二月十四日に笠井議員から御質問いただきました教訓データベースにつきましては、これはまず、統合幕僚監部が陸上幕僚監部を通じまして陸上自衛隊の研究本部に確認をしました結果、研究本部の教訓データベースには南スーダン派遣施設隊の日報は保存されていないことが確認をされまして、その旨をまず防衛大臣に報告してございます。

宮本(徹)委員 統幕を通じて確認したというお話ですけれども、その報告内容というのは、稲田大臣なり、あるいは若宮副大臣なり、あるいは政務三役できちんと調査、確認というのはされたんでしょうか。報告をただ受けただけですか。

若宮副大臣 はい、委員が御指摘のとおりでございまして、統合幕僚監部が陸上幕僚監部を通じまして研究本部に確認をしました結果、研究本部の教訓データベースにはこの南スーダン派遣施設隊の日報は保存されていないことが確認をされまして、その旨を大臣に報告しているということでございます。

宮本(徹)委員 つまり、統幕から報告を聞いたというだけで、大臣あるいは若宮副大臣あるいは政務官は直接はこれを確認はしていないということなわけですね。

 私、これはちゃんと確認しなきゃまずいと思うんですね。だって、この間、こういう報道が出ているわけですよね。陸上自衛隊の中に、ない、ないと言ったものがあったんじゃないかと報道されて、特別防衛監察も始まっているわけですが、統幕を通じての報告というだけの話で、政務三役としてきちんと確認していないということになっているわけですよ。

 これはちゃんと政務三役としてしっかり調査をして報告していただきたいと思うんですが、いかがですか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になられております件につきましては、統合幕僚監部の方で大臣に報告した内容ということで、これは、実際に教訓データベースを管理いたしております研究本部の方に確認をした結果でございますので、このような形での確認や報告で十分ではなかろうかというふうに考えているところであります。

宮本(徹)委員 私は、それが不十分だから特別防衛監察が始まっているんじゃないかというふうに思いますが。全く私はそれで十分じゃないと思いますよ。

 ちょっと角度を変えてお伺いします。

 ここに、防衛省から提出いただきました南スーダン派遣施設隊の二〇一五年十二月三日の日報があります。日々報告、一千四百十八号。この日報の五十二ページ、五十三ページに、絆橋付近で受けたハラスメントについてということで、発生日時、内容だとか図面だとかいうものが出ております。ジュバ市内ゴンゴロキ地区で起きたと出ておりますが、これは間違いないですね。このとおりですね。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりました日報の内容と申しますのが、南スーダンの派遣施設隊の第八次要員が活動しておりました二〇一五年、平成二十七年になりますが、十二月の三日に、第八次要員の隊員が、既に先発隊が到着をしておりました第九次要員への業務の引き継ぎを行うために施設隊車両でジュバ市内を走行していたところ、絆橋付近でバイクに乗っていた現地二名からハラスメントを受けたということについての記述になろうかと思っております。

宮本(徹)委員 それで、これはきのう私に提出していただいた日報です。これは統幕のところに残っていたものだということだと思います。実はこれと同じものがあるんですね。これは陸自研究本部が作成した教訓要報、八次隊の分です。この教訓要報の四十ページを見ますと、同じものがあるんですね。絆橋付近ハラスメントで、これは黒塗りになっている、に関する八次要員日報。これは統幕から出てきたものじゃないんですよ。陸上自衛隊研究本部が作成したものというふうになります。

 先ほど若宮副大臣は、陸自研究本部の教訓センターデータベースには日報はない、保存されていないと報告を受けているというふうに言われましたけれども、そのデータベースを管理している陸上自衛隊研究本部のまとめた教訓要報には、日報が資料として添付されているわけですね。私、研究本部に日報データがなかったら、こういう資料は絶対つくれないというふうに思いますよ。これまで国会で答弁してきたこととは実際は違うんじゃないですか。陸上自衛隊研究本部にもデータがちゃんとあるということなんじゃないですか、若宮副大臣。どうですか。

若宮副大臣 今委員が二つの書類について御指摘がございましたが、まず、教訓要報というものでございますけれども、これは陸上自衛隊の研究本部が、陸上自衛隊の運用、それから防衛力整備、それから研究開発、教育訓練等の進展に寄与することを目的といたしまして、それまでの部隊等の活動の実績に基づき作成した教訓をまとめたものとなります。これは専ら実務者レベルでの共有を目的とした文書でございます。

 また、南スーダン派遣施設隊の教訓要報の作成に当たりましては、研究本部が、現地部隊の教訓の担当者から共有された教訓の資料やあるいは交換情報に加えまして、中央即応集団の司令官に報告をされた派遣施設部隊の成果の報告、それからまた帰国後の隊員からの聞き取り等をもとに取りまとめているところでございます。

 御指摘のそのハラスメントの事案につきましては、中央即応集団の司令官に報告する日報に記述すべき内容であると同時に、これは現地の教訓担当者が、教訓となり得る事例としまして研究本部と情報共有すべき内容であったことから、結果といたしまして、当該事案に係る日報と、それからまた今委員が御指摘になりましたこの教訓要報との内容がほぼ同じようなものになったということでございまして、教訓データベースに日報が保存されていて、それをもとに作成をしたということではないということで御理解をいただければと思っております。

宮本(徹)委員 教訓データベースではなくても、陸上自衛隊研究本部にはデータは保存されていたということなんじゃないですか。

 これは紙でもらっているという話じゃないんですよね。これを見ましたら、ほぼそっくり、九十数%同じなんですけれども、若干違うんですよ。このガナー手というところが機関銃手というふうに書きかえられたりしています。電子データじゃなければこういう書きかえはできないと思うんですよね。ですから、電子データとして、陸上自衛隊の研究本部に保存されていたんじゃないですか。

若宮副大臣 確かに委員が御指摘になるように、今私からも御答弁申し上げましたが、似たような内容ということになってございますが、これは現実にあった事象といたしまして、どちらがもとにあったかということではなくて、これはやはり、ハラスメントがあったというこの事案そのものが上級部隊に報告すべきものであったということと、そしてまたその後の部隊の教訓にもなり得るものであるということの考え方から、日報それからまた教訓要報の双方に記述があったということでございますので、そういった御理解をいただければと思っております。

宮本(徹)委員 いや、ですから、双方の記述があるのに、電子データで日報がなければ、これはつくりようがないんじゃないですか、陸上自衛隊研究本部になければ。電子データをいじってつくっているわけですよ。陸上自衛隊研究本部にデータなしで、どうやってこれを一からつくるんですか。

若宮副大臣 この教訓の作成に当たりましては、研究本部が、現地部隊の教訓担当者から、先ほど申しましたように、共有されたその教訓の資料ですとか、それからまたほかの情報に加えまして、中央即応集団の司令官に報告されました最終的な成果報告、それからまた実際に出向きました、部隊に行った隊員からの聞き取り等々を行っておりまして、それを取りまとめてつくり上げているものでございますので、日報を絶対的に必要としているというわけではないというふうに御理解をいただければと思っております。

 また、この派遣施設隊は、特にその教訓の収集のための教訓担当者というのが中におります。中におりますので、この派遣施設隊におきまして生起をいたしました、その将来的に教訓となり得る事案につきましては教訓担当者が教訓収集レポートというものとして集めておりますことから、その研究本部におきまして、その日報そのものがなくても十分に教訓要報というのをつくることが可能であるというふうに申し上げられるかと思います。

宮本(徹)委員 ですから、その教訓収集者が日報を集めて保存していたからこれをつくれたんじゃないですか。これは作成日を見ると、二〇一六年の三月三十日ですよ。派遣部隊が戻ってきて三カ月以上たった後ですかね。ですから、一番初めに派遣された部隊から考えれば、九カ月間は少なくとも電子データを保存していないとつくりようがないものですよ。陸上自衛隊の研究本部で保存していたんじゃないですか。その可能性は、私は排除されないと思いますよ。だから、これだけ、特別防衛監察もやらなきゃいけないような事態になっているということなんじゃないですか。違いますか。

若宮副大臣 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、この日報と教訓要報というのが、作成されるその流れといいますか、そういったもののルートが違うということを御理解いただければと思っておりますので。教訓というのは、まさに隊員が、今現在いる隊員がその後の展開をするときにどうあるべきか、あるいは、累次、次の部隊にちょうど引き継ぐときでもございますので、その次の隊員に、前あったことを生かしながら次にどういった対応をしていけばよろしいのかということでございますので、そのルートが違うということを御理解いただければと思います。

宮本(徹)委員 それはルートが違うんじゃないんですよ。日報は日報で上がってきて、日報を陸自の研究本部でダウンロードして保存して、それで教訓要報にまとめたということなんじゃないんですか。これは電子データがなければできないですよ。これはちょっと、両方ごらんになっていますか、若宮副大臣も、双方、日報を。(若宮副大臣「はい」と呼ぶ)ごらんになっているわけですよね。そうしたら、これは電子データがなければできないというのはわかりますよね。同じですよ。ほんの少しだけ変えているんですよ。電子データを保存していなければできようがない仕事を陸自の研究本部はやっていたということになるわけですよ。

 ですから、私は、これ一つを見ても、陸自の研究本部には、昨年七月の、あの問題になった日報以外も含めて、これは第一次部隊から全部データとして日報が保存されていたんじゃないか、こういうふうに疑いがますます強まっているというふうに思います。そして、それが実際にあって、メディアで報道されているように、国会答弁とつじつまを合わせるために隠蔽、消去したということだったら極めて重大な問題だということを重ねて指摘しておきたいというふうに思います。

 公文書を意図して不当に廃棄した場合は、公用文書等毀棄罪、懲役三カ月以上七年以下、非常に重い刑になります。隠蔽を指示した者も教唆犯になります。徹底して調査を行って、その結果を本委員会にも報告すべきだと思いますが、いかがですか。

三ッ矢委員長 答弁できますか。

 若宮防衛副大臣。

若宮副大臣 現在、防衛大臣のもとで、独立性の高い立場から徹底した調査を行わせるために、直轄の、元検事長を長といたします防衛監察本部で特別防衛監察の実施を指示されているところでございまして、十七日に承認して既に開始をされているところでございます。この調査には、実際の関係者の聞き取りですとか、あるいは必要な場所への立ち入り、また書類の確認等が含まれ、かなりの時間がかかろうかというふうに考えているところでございます。その間の調査というのは、これは独立した立場の専門家に委ねることが必要だろうというふうにも考えております。

 また、今回のこの本件につきましても、国会においてやはり責任ある答弁を行うためにも、断片的な聞き取りを御説明申し上げますよりも、全体を全部調査し終わったところで、整合性と、その防衛監察本部によります特別防衛監察によって検証された上での正確かつ誠実な内容を御説明申し上げることが重要ではなかろうかなというふうに考えておりますので、その点につきまして御理解いただければ幸いでございます。

宮本(徹)委員 何カ月ものんびりやっているというわけにはいかないんですよね。国民のほとぼりが冷めるところまで待っていましょうみたいな監察じゃまずいわけですよ。随時国会に判明したことから報告することを求めて、次の質問に移ります。

 核兵器禁止条約交渉についてお伺いいたします。

 ニューヨーク時間の二十七日から核兵器禁止条約の締結を目指す歴史的な交渉が国連本部で始まりました。

 ところが、日本政府は、高見沢軍縮大使が会場で演説を行って、これからの交渉に参加しないということを表明しました。きのうのメディアでも、被爆者の皆さんからの怒りと失望の声が上がっている状況がたくさん報道されていますが、岸田大臣、被爆地選出の大臣として胸が痛まないですか。

岸田国務大臣 被爆者の方々のこの思い、これは大変とうといものがあり、重たいものがあると思います。これはしっかり受けとめなければなりません。そして、こうした被爆者の方々と政府との間においても、核兵器のない世界を実現するという大きな目的においては、この目的を共有していると考えます。

 その中にあって、政府の立場として、今回のこの会議において、具体的にどう行動するのか、対応するのが適切なのか、これにつきまして、慎重に、十分に検討をいたしました。その結果として、今回のこの会議において、まず、出席をした上で、我が国の基本的な考え方をしっかり訴えた上で、その後の交渉には参加するのを控えるという態度をとった次第であります。

 核兵器のない世界を実現するためには具体的な結果を出していかなければなりません。具体的な結果を出すために、核兵器国と非核兵器国の協力、これはなくてはなりません。今回の会議においてはその協力はなかなか難しいと判断いたしましたが、引き続きまして、核兵器国と非核兵器国がともに参加する枠組み、NPTですとかCTBTですとかFMCTですとかG7ですとか、こうした核兵器国と非核兵器国がともに参加する枠組みを通じて、我が国の思いをしっかりと実現していきたい、このように考えます。

宮本(徹)委員 先ほど中川委員からも指摘ありましたけれども、昨年十月の段階では、大臣は記者会見で、私としては現段階では交渉に積極的に参加をし唯一の被爆国として主張すべきことはしっかりと主張していきたいと考えておりますと。積極的に参加するというのは、交渉の冒頭に出て核兵器禁止条約に悪罵を投げつけて、もう参加しませんと、これが積極的に交渉に参加するという、当時思い描いていた岸田大臣の考えだったんですか。

岸田国務大臣 これも従来から申し上げていますが、この会議において主張すべきことは主張すべきであると申し上げてきました。そして、その主張すべきことを主張することができる環境なのか、議論のありようなのか、議論の方式等についてもしっかり確認した上で、最終的な対応を判断いたしますということを申し続けてきました。しっかりとした発言を行う、これはどうしてもやらなければならないということで出席をし、発言をいたしました。

 しかしながら、ふたをあけたところ、核兵器国は一国も参加をしない、そして、我々とともに中道国として協力をしてきた国々、ドイツもオーストラリアもみんな出席をしておりません。この中で、核兵器国と非核兵器国の協力というこの思い、こういったものを実現することはなかなか難しいと判断をし、御指摘のような対応に至ったという次第であります。

宮本(徹)委員 いや、核保有国が参加しないなんて初めからわかっていることじゃないですか、はっきり言って。核保有国の理解が得られていなかったのは、あの条約の、反対、賛成のあれを見てもわかっていたことです。当然それは、核保有国の参加は追求しなきゃいけないことですけれども、核保有国が参加しなかったら、では日本は参加しないというんだったら、今まで橋渡し役と言っていたのが、結局核保有国と同じ立場に今度は身を置いておくということになりますよ。そういうふうにみんな見られているじゃないですか。きょうの各紙の社説だってそう書いてあるじゃないですか。

 それで、私は、やはり岸田大臣は、国連総会、昨年、核兵器禁止条約の締結交渉を開始しよう、なぜこの決議が採択されたのか、ここの理解が私は足りないんだと思いますよ。なぜこの決議が上がって交渉が始まることになったと理解されていますか。

岸田国務大臣 経緯については、これは昨年二月から八月にかけて三回にわたってジュネーブにおいて開催されました多国間核軍縮交渉の前進に関する作業部会、OEWGにおいて行われました勧告に基づいて、核兵器を禁止する法的規範を作成するための交渉の開始が求められたものであると承知をしております。

 その背景には、その前の年のNPT運用検討会議、五年に一度のこの会議において結局最終文書が採択できなかった非核兵器国の不満、あるいは早急に実質的な前進を得たいという願いがあるということは理解しております。

宮本(徹)委員 つまり、NPTのこれまでの枠組みでは核軍縮すら遅々として進まない、核保有国の態度が変わるのを待っていたらいつまでたっても核兵器は廃絶できない、だったら、まず核兵器禁止条約をつくって、核兵器を国際的に認められない存在にしようじゃないか、こういうことでこの核兵器禁止条約の交渉が始まったということですよ。

 岸田大臣の立場からいえば、今の日本政府の立場からいえば、核保有国の態度が変わるまで核保有国の協力は得られないから、核兵器廃絶、こういうことはやっていけません、さっきの何か難しい言葉でおっしゃっていましたけれども、最小限ポイントというお話もさっきされていましたけれども、最小限ポイントまでたどり着くどころか、今トランプ政権は核兵器をさらに増強しようという話になっているわけじゃないですか。そういうことで、核保有国が核兵器をさらに増強しようと言っているもとで、核保有国の協力をいつまでもいつまでも待っていたら、いつまでたっても核兵器はなくならないんじゃないですか。

 どうやって核保有国の態度を変えようというんですか。

岸田国務大臣 いや、逆に、核兵器を持っているのは核兵器国です、核兵器国が動かなければ核兵器は減らない、これは当たり前のことだと思います。核兵器国を巻き込んで行動してこそ結果につながる、逆に、核兵器国を巻き込まなければ結果につながらない、これを私は四年間、痛感してきました。いろいろな議論の場でこうした大変残念な思いをずっと感じてきました。だからこそ、核兵器国と非核兵器国の協力が大事である、唯一の戦争被爆国である我が国はその間の橋渡し役をやらなければならない、こういったことを強く訴えてきました。

 そして、今回、先ほど申し上げた非核兵器国のこうした思いに基づいてこうした核兵器禁止条約交渉会議が開かれたわけでありますが、そうした真摯な思いについては大変とうといものであると思いますが、こうした、核兵器国を巻き込まずにどんどんと進んでしまうということは、従来、核兵器国と非核兵器国が協力してつくってきた枠組み自体をまた危うくしてしまう、こういったことにもなりかねない、逆効果になってしまう、こういったことを申し上げているわけであります。

 従来から、戦後長きにわたって、核兵器国と非核兵器国を巻き込んだ上でさまざまな枠組みをつくってきたわけです。この努力を損ねてしまってはならない、こういった思いから今回の我が国の主張に至った次第であります。そして、この我が国の考え方はこれからもぶれてはならないと私は思っています。

宮本(徹)委員 やはり国際社会が圧力をかけない限り今の核保有国の姿勢は変わらない、だから核兵器禁止条約をつくろうじゃないかということに私はなっているんだと思いますよ。核保有国と非核保有国の協力といったって、核保有国の側が変わらない限り、だめなわけですよ。

 どうやって変えるのか。どうやったら核保有国が変わるのか。これはもう国際社会全体が、核兵器はだめだという法的な規範をつくるしかない。それをつくれば、核兵器を持っている国というのは、国際的に核を持っちゃいけないという禁止条約ができれば、それこそ、今まで生物兵器や化学兵器やクラスター爆弾が禁止されていったと同じように、持っていたらまずいということで、これは核保有国の姿勢を変えさせていく力になっていくわけですよ。

 どこから手をつけるのかといったら、今は核保有国の変化を待っていてもしようがない。核保有国に対して当然核兵器禁止の呼びかけをやりつつも、やはり世界が、非核保有国が先頭になって、核兵器は持っちゃいけないんだ、この国際規範をつくらなきゃいけない。それこそ核兵器を世界からなくす一番の道だというふうに思いますが、そうじゃないんですか。

岸田国務大臣 まず、核兵器国も、また多くの中道国も参加しない形での取り組みが圧力になるかどうかということは考えなければならないと思います。そして、具体的な取り組みを進めていく上で、単なる圧力とか働きかけではなくして、やはり核兵器のない世界を目指すという大きな目標を共有した上で、それへの具体的な道筋を示すことが我々は重要であると考えています。

 先ほども申し上げましたが、核兵器国と非核兵器国の協力のもとにさまざまな現実的な実践的な取り組み、これをずっと積み重ねてきました。そして、そういったさまざまな具体的な取り組みによって全体の核兵器のレベルを下げることによって、先ほど委員の方からも触れていただきました最小限ポイントというところを目指していく、そしてそのポイントまでたどり着いたところで、法的な枠組みを使うことによって核廃絶の道をつくっていく、こうした大きな全体の流れをしっかり示すことも大変重要だと思います。

 少なくとも、こうした核兵器禁止条約、法的な枠組みの使い方を間違えてしまうと現実は動かないという大変残念なことになってしまう、こういったことはしっかり指摘をしておかなければならない、このように考えます。

三ッ矢委員長 宮本君、時間が経過しておりますので。

宮本(徹)委員 もうこれで終わりますけれども、現実が動いていないからこそ新しい取り組みを国際社会は始めたんだ、そのことを強く指摘しまして、質問を終わります。

三ッ矢委員長 次に、足立康史君。

足立委員 ありがとうございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 大臣、きょう私は、核兵器の話はやらないつもりで、通告をしておりませんが、今、共産党の宮本委員初め一部野党の皆様の議論を聞いていて、ちょっと考え方が違うものですから、ちょっと大臣にも、もし可能であればコメントをいただければと思います。

 先ほど、中道国も参加していない中で核兵器禁止条約に参加することが結果につながるのかという議論があって、私も、政府の判断に最終的には余り違和感を持っていません。ああ、そういう考え方もあり得ると思っています。

 逆に、先ほど宮本委員がこういう資料を配られて、これは赤旗の写しですね。被爆者の皆様がとか国際社会がということをおっしゃっていましたが、決して共産党が被爆者を代表できるとも思っていませんし、国際社会の動きが共産党と同じなわけがないわけで、何といいますか、共産党の委員の方が、何か被爆者と国際社会を俺たちが代弁しているんだというようなトーンで意見を言われることについては、これは国民に対してミスリードする、そう思っています。

 そういう論調の中で、アメリカに遠慮をしているんじゃないか、こういう批判をされていましたが、私は逆に、トランプ政権が今のような動きをしている中で、決して日本はアメリカ追随ではだめだということは、ますますそれは高まっていると思うんですね。当然、独立国ですから、より自立した動きをしていく。

 特にトランプさんの動きを見ていると、私なんか心配になるのは、結構、中国との関係なんかを見ていると、二つの中国と言ったのもすぐ撤回して、場合によっては米中蜜月なんということも将来的にはあり得るのかと思うぐらいの急旋回をトランプ政権もしていますので、トランプ政権を信用していいとは私は思っていないわけでありまして。そういう、アメリカと一線を画する観点も含めて、冷徹に核兵器のない世界へ向けて結果を出していくという大臣の御決意の中で、核兵器禁止条約の議論には参加を控えたというのは、私はありだと思います。

 先ほど大臣は、たびたび、再三おっしゃっていますので、もうつけ加えることはないと思いますが、もしちょっと。もういいですね。やめておきましょうか。

 むしろ、私は、敵基地攻撃能力の議論が今、党でもされていると聞いています。私ども日本維新の会は、片山代表が、本会議だったかな、どこかでも、この敵基地攻撃能力の議論をした方がいいということを再三申し上げています。

 決して私たちは何か好戦的なことを申し上げているのではなくて、現下の安全保障環境の中で、あるいはアメリカ、ロシア、中国、いろいろな北朝鮮の動きを見た中で、冷徹にリアリズムを持って今の日本の安全保障環境を見れば、しっかりそこは議論はしていった方がいい、こういうことを申し上げているわけでありまして、そういう議論と、それから核兵器禁止条約の議論というのは別々にやるわけじゃなくて、全てを目くばせしながら最終的な判断をしたのが政府でありまして、与党になったことがない、私もないですが、共産党にはわからない、こう思いますが、大臣、ちょっと一言。

岸田国務大臣 我が国の基本的な立場は、核兵器の非人道性に対する正確な認識と厳しい安全保障に関する冷静な認識、この二つをしっかり持たなければならない、その上で、核兵器国と非核兵器国の協力のもとに現実的、実践的な取り組みを重ねていくことが大事だというものであります。

 そして、それをさらに具体的に進める方策としまして、我が国は従来から核軍縮・不拡散における五つの原則を表明しております。

 五つの原則、すなわち一つは核兵器国の透明性を高めるということ、二つ目としまして、米ロのみならず核軍縮・不拡散交渉をマルチ化していくということ、そして三つ目として、核兵器の非人道性についてしっかりとした認識を持つということ、四つ目として、広島、長崎、こうした被爆地を訪問することによって被爆の実相を世界の政治指導者を初め幅広く認識してもらうということ、そして五つ目として、北朝鮮問題を含む地域の安全保障問題についてもしっかり対応するということ、この五つの原則を打ち出しておりますし、今回の核兵器禁止条約交渉会議の冒頭においてもこうした考え方を明らかにした次第であります。

 現実において、厳しい安全保障環境、北朝鮮問題等、こういったものについてもしっかりと考えを深め、そして対応していく、こうしたことも含めて、現実的、実践的な取り組みが具体的な前進に重要だということを申し上げています。

 そうした取り組みを進めながら、先ほども申し上げました最小限ポイントを初めとする大きな核廃絶、核兵器のない世界に向けての前進を図っていきたい、このように考えます。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、民進党の一部の議員やあるいは共産党の皆さんがお花畑のような議論をすることは仕方がない、これは諦めていますが、ただ、政治利用はしたらあかんと思うんですね、政治利用。今回のこの問題を取り上げて、何かねじ曲げて政治運動にこれを、例えば共産党の政治運動にこれを使うのは到底容認できないというのが私の立場であります。

 我が党の前代表であります、今法律政策顧問を務めております橋下徹さんが、あるメールマガジンでこういうことを書いていらっしゃいます。ちょっと御紹介をします。

 広島の原爆被害者のある一人は、オバマ氏の演説、広島の演説ですね、これに拍手を送ったらしい、ところが、後日その演説の和訳を見ると、原爆を落としたのはアメリカであることは厳然たる事実なのに、そこには全く触れずに、空から死が降ってきたという文学的表現の演説であったことが判明した、そのことで被害者のその方はオバマ氏の演説を評価したことを後悔した、こういう御紹介があります。

 オバマ政権は比較的そういうお花畑的な傾向が強い政権であったと思いますが、トランプ政権になって、トランプ大統領が現実の中で非常に実利的な判断をしていく中で、中国との関係もわからない中で、日本が真面目に真剣に新しい事態に対処していく、真剣な議論をこの外務委員会でも取り組んでいきたい、こう思っております。

 さて、あと、共産党の宮本委員が日報問題を取り上げました。

 きょう、辰己総括官、おいでいただいていますが、私、まだやるのかなと思って、この日報の問題。もう終わったと思っていたらまだやっているので。もう余り聞いてほしくないですね。

 あれは掲示板にあるんでしょう、データが。あったんでしょう、掲示板に。辰己さん、ちょっと隠れないで。

 掲示板にあったんだったら、その掲示板を見られる人はみんなダウンロードした可能性があるんじゃないの、そもそも。イエスかノーか。

辰己政府参考人 日報につきましては、南スーダンの施設派遣隊が作成をして、それを今委員おっしゃったように掲示板というものに載せることによって、中央即応集団司令部に報告をしている、これが基本でございます。

 一方で、その基本の中で、統幕においては、中央指揮システムからダウンロードをして、これも執務の参考として使用しておりました。それが残っていたので、今回統幕の方から出させていただいたので、それはダウンロードできる部署があるということは事実でございます。

足立委員 ちょっと私も失念しました、先ほどおっしゃった、研究所でしたっけ。何か、宮本委員がおっしゃった陸自の。そこは、宮本委員が指摘したところは、そこにアクセスできる機関ですか、できない機関ですか。わかりますか。

辰己政府参考人 この中央指揮システムというのは、陸上自衛隊において、指揮官の迅速な、的確な指揮統制という、判断している極めて戦術的に重要なものでございまして、どのような部隊や機関がアクセスできるか、これを網羅的に明らかにすることは、部隊等の活動内容が推察され、自衛隊の活動や任務の遂行に支障が出るおそれもございますので、差し控えさせていただきたいと思っています。

足立委員 ありがとうございます。

 いずれにせよ、余り外務委員会を使って議論しても詮ないという、これは私見ですが、申し上げておきたいと思います。

 さて、私、実は外務委員会とともに総務委員会にも参加をさせていただいています。NHKワールドという国際放送がありますね。NHKワールドというのは、皆さん、見ていますか。見ていますかというのは変だけれども。私は余り見ていないんですが。チャンネルをひねると、すぐに地上波で見ることはできませんね、多分。インターネットなら見ることができると思いますが。

 だから、実は、世界に衛星を経て電波で発信をしているわけですけれども、国内の電波には乗っていないんですね。だから私は、実は総務委員会で、いや、世界にどういう対外発信をしているのかについては、国内の電波にも乗せるべきだという主張をしています。

 別に電波は余っているんだから、いや、余っていると言ったら怒られるけれども、アナログ停波して電波はあるんだから、もっと有効利用して、ちゃんと世界の皆様が日本のNHKワールドを、どういう番組を見ているのか、どういう情報を世界の皆さんがごらんになっているのかを、国内の僕らは一切知らないというのはいかがなものかということを総務委員会で議論していますが。

 そもそも、NHKワールドが世界に向かってどういう情報を流しているかというのは、外務省は把握しているんですか。誰かいなかったっけ。大臣でもいいけれども、申しわけないので。あ、大臣に通告していたんだな。済みません。

岸田国務大臣 NHKワールドの中身を外務省として把握しているかという質問ですが、その把握の意味合いがちょっと、意味合いをどうとるかという部分はあるかと思いますが、もちろん、私自身も、NHKワールドはスマホにおいても見ることができますので、これはよく見ておりますし、外務省関係者、さまざまなアクセスはできる立場にあるわけです。

 ただ、その把握ということでいいますと、基本的に、NHKを初めとする放送事業者、放送法上、みずからの責任において番組を編集し放送を行う、こういったこととされておりますので、政府の立場から、これを何か把握してどうこうということは控えなければならない、これが基本的な立場であります。

 ただ、ぜひ外務省としては、NHKワールドに、しっかりと取り上げてもらえるような、日本を正確に理解する上で重要な情報についてはしっかり提供し続けていってもらいたいと願っております。そうした貴重な情報を取り上げて海外に発信してくれることをNHKワールドにも期待をしたいなとは考えます。

足立委員 私もそう思いますし、総務省、来ていただいていますね、さらに言うと、国内は、限られた公共の電波ですから、これを公正公平にというのは放送法に書いてありますから、これは、国内放送について、そういうある種政治が介入しない、あるいは総務大臣も介入しないと。介入していないのか、ちょっとよくわかりませんが。

 そういういろいろな放送法の枠組みがあるのはよくわかりますが、国際放送は一体何のために、国際放送というのは、そのNHKワールドは何のために、誰に、まあ世界の人々に向けて、何のために放送しているんですか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法では、NHKに対しまして、外国人向け、それから在外の邦人向けに対しましてラジオ国際放送、テレビ国際放送を行うように、業務として定めておるところでございます。

 基本的には、日本のさまざまな情報を対外的に幅広く発信をするということは一つの公共放送の役割であるという考えのもとにこのような規定が置かれているというふうに認識をしております。

足立委員 要は日本を発信するんですけれども、日本というのは日本ですから、森羅万象日本ですから。日本というのは日本ですよ、どうやってその日本を世界に発信するんですか。誰が何を考えて発信しているんですか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど外務大臣からも御答弁されましたように、放送法では、自主自律の考えのもとに放送事業者がみずから責任を持って編集するという考えに立っておりまして、これは国際放送においても基本的には同様でございます。

 NHKは、そういう形で、みずからの判断基準を持って放送されているというところでございますけれども、例えば、NHKは、国際放送に対しましては国際番組基準というものを、これはみずから放送法に基づきまして定めを設けまして、これに沿って放送を行われているというふうに承知をしております。

 一例でございますけれども、今、例えばこれはかなりの分量があるものでございますけれども、一般的な考えの一つといたしまして、例えば、「内外のニュースを迅速かつ客観的に報道するとともに、わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解ならびにわが国の世論の動向を正しく伝える。」といったような条項が盛り込まれておりまして、このようなものを自主的に定めまして、その基準にのっとってNHKがみずからの責任でもって放送を行っているもの、かように認識しております。

足立委員 今おっしゃった、政策とか、何でしたか、ちょっとわかりませんが、いろいろそういうものを発信していくということは規定があるということですが。

 例えば、外務省が、国益の観点からこういうふうに放送してほしいという意見を、国際放送ですよ、国内放送じゃないですよ、NHKワールドの放送について、いや、私は、現行法体系の話をちょっとおいておいて抽象的な話をしているんですよ、外務省がNHKワールドに対して、例えば慰安婦問題でこういう誤解がある、それを徹底的に特集を組んで、正しいある種の理解というものを世界に発信していこうというときに、それを、ではNHKワールドに乗せてやろうじゃないか、それは国策としてやろうじゃないかと。これは、NHK、あるいは、まあ総務省は放送法というか持っていますが、何か弊害がありますか。抽象論ですよ。現行法にひっかかりますじゃなくて、一般論として、一般論じゃないな、抽象的な議論として、どういう弊害がありますか。

吉田政府参考人 あくまでも現行法に則したお答えになりまして大変恐縮でございますけれども、NHKを含めまして放送事業者といいますのは、自主自律のもとで、みずから責任を持って番組を制作、編集するということでございます。

 それで、いわば、個々の番組を制作する過程で、どのような形で制作をされ、またそれをどのような編成をされ、どのような放送をされるのかということにつきましては、それはまさに放送番組の自主自律に関するものでございますので、そういう形で放送事業者がみずから責任を持って取り組むべきものというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 続きは総務委員会でやります。ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 外交の基本施策に関する件、質問をさせていただきたいと思います。

 さて、まず、日ロ外相会談及び閣僚協議に関する件から質問を進めていきたいと思います。

 三月二十日、岸田外務大臣は、日ロ閣僚級2プラス2のため来日したラブロフ外務大臣との間で会談を行っております。その概要が届いておりますが、日ロ関係、平和条約締結交渉、国際情勢等々の意見を交わした、会談を行ったということですが、その中で、平和条約の締結交渉について、特にこの進捗をまず大臣の方からお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、まず二月十七日、G20の外相会合の際にロシアのラブロフ外相と日ロ外相会談を行ったのに続きまして、三月二十日、ラブロフ外相と本年二回目の日ロ外相会談を行いました。約三時間、議論を行いました。

 そして、その中で、平和条約締結問題につきましては、昨年十二月の山口における日ロ首脳会談において、この問題を解決するとの両首脳の真摯な決意が表明されたことを受けて、緊密な話し合いを通じ、成果を上げていくことを確認いたしました。

 具体的には、この三月二十日の外相会談の直前、三月十八日に次官級協議を行っております。その協議のやりとりを踏まえて、共同経済活動に関して、今後、優先して作業するプロジェクトの絞り込み、また必要となる法的基盤の検討も含めて議論を深めていく、こういったことを確認した次第です。

 あわせて、元島民の墓参についても、出入域地点の複数化に向けて調整を進めること、あるいは航空機による四島への訪問の可能性について実務的な検討を進めること、こういったことを確認した次第であります。

玉城委員 きょう、私たちの手元に、「国際情勢の動き」という外務調査室からの資料の中にも、この間の日本とロシアとの北方領土をめぐる、最近の主な日ロ間の動きということで出ております。

 この一連を見ると、昨年十二月の山口県及び東京においての会談で、北方四島における共同経済活動に向けた協議と、そして元島民の四島への自由訪問に向けた取り組みということで、このような実務的、実利的な協議が進んでいくというのは私は非常に歓迎すべきことだと思います。

 その代表的な取り組みとして、二〇一八年のロシアにおける日本年、日本におけるロシア年の実施ということもこの会談の報告として上がっています。この取り組みについて現在どのように進めていらっしゃるか、お伺いいたします。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアにおける日本年及び日本におけるロシア年でございますけれども、両国国民間の友好及び相互理解の強化を目指しまして、昨年十二月の日ロ首脳会談の際に二〇一八年における開催を発表いたしまして、その開催に関する覚書に岸田大臣とラブロフ外相が署名をしたものでございます。二十日に行われました日ロ外相会談でも、我が国はロシアにおける日本年の実施、ロシアは日本におけるロシア年の実施に向けまして調整を加速していくことで一致をしたところでございます。

 二〇一八年のロシアにおける日本年に際しましては、政治、経済、文化、科学、教育、青年交流、スポーツ交流、自治体間交流、その他の分野におきます日本紹介行事を幅広く開催する方針でございまして、現在我が国で鋭意調整を進めているところでございます。ロシア側におきましても、日本におけるロシア年に際しましてロシアの紹介行事を開催すべく準備が進められているものと承知をしております。

玉城委員 ありがとうございます。

 こういう取り組みが、政治分野はもちろんですけれども、特に、経済分野、文化、科学、青年間の交流、スポーツの交流、さまざま、この民間の交流を通してお互いの距離感が近くなっていくということは、非常に私は歓迎すべきことであるというふうに思います。

 さて、もう一点、今度は2プラス2の、外務・防衛閣僚協議の点について一点お伺いいたします。

 これも既に報告がなされておりますが、アジア太平洋地域における安全保障情勢の中で、ミサイル防衛について、ロシア側は、米国のMDシステムの展開が地域の不安定化のリスクをもたらしており、その規模は北朝鮮のミサイルの脅威に見合ったものではないという旨発言しています。稲田防衛大臣は、北朝鮮からの重大かつ差し迫った脅威に対応するためにMDを配備していくがロシアの脅威となるものではないということの、この説明があります。

 このMDシステムに関する件、あるいは地対艦ミサイル配備に関する件について、日ロ双方の、お互いの意見はこういうふうに出ていますが、それによる理解の度合いといいますか、その状況というものはどういうふうになっているのか、防衛省にお伺いしたいと思います。

小林大臣政務官 委員御指摘のとおり、今月の二十日、三年四カ月ぶりに、日ロ防衛相会談そして日ロ2プラス2を開催いたしました。

 これらの会談におきましては、まず、ロシア側から、米軍のBMDシステムにつきましては地域の戦略バランスを崩すおそれがあるとして懸念が表明されたのに対しまして、日本側からは、我が国が整備しているBMDシステムは純粋に防御的な手段でありまして、ロシアなど周辺諸国に脅威を与えるものではない旨説明をさせていただきました。

 また、日本側からは、北方四島におけるロシア軍の軍備の強化に関しまして、北方四島は我が国固有の領土であるとの我が国の立場を改めて申し入れをさせていただきました。

 重要な隣国であるロシアとの間では、不必要な摩擦を招かないためにも、このように、お互いの関心事項ですとか防衛政策につきまして率直に述べ合っていくことが極めて重要なことであると考えております。

 防衛省としましては、今回の会談におけるやりとりも踏まえまして、引き続き、防衛交流、協力を継続していくことによって両国の相互関係、相互理解をさらに深めて、信頼関係を一層強化していきたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございました。

 そうですね、信頼関係の構築。これは、まさにアメリカの新大統領が、非常に、今までの政治的なパターンではない、独自の、交渉といいますかディール、取引ですね、そういう関係の中で政治バランスをとろうとしているということが、ロシアに対しても中国に対してもそのようにうかがえるというところから、日本としても、お互いの意見を述べ合いながらも、しっかりとそこでまた協力関係を築いていくということについては毀損なく続けていっていただきたいという意味で質問させていただいた次第です。ありがとうございます。

 では、残りの質問は厚労省にお伺いしたいと思います。

 実は先日、一九四四年八月にアメリカ潜水艦の魚雷攻撃によって沈没した疎開船対馬丸の慰霊碑の除幕式が、鹿児島県奄美大島の宇検村船越海岸に慰霊碑が建立されて除幕式が行われています。沖縄県内からも遺族や生存者ら二十人余りを含め関係者が出席をしたということです。

 この対馬丸は、戦況が悪化する中、軍事徴用船で、往路は軍事物資を運び復路で沖縄から九州へ疎開させる、そういう住民や学童を乗せた船なんですが、一九四四年八月に、集団疎開の学童ら千六百六十一人を含む合計一千七百人余りを乗せ那覇から九州へ出港したこの対馬丸が、トカラ列島の悪石島近海でアメリカの潜水艦ボーフィン号の魚雷攻撃で撃沈して、約一千五百人が亡くなっています。

 実は、慰霊祭は行われるものの、対馬丸の遺族、関係者の方々がこの間、慰霊碑がないということで、どこを向いて、あるいはどういうふうにして行えばいいのかというふうな声がある中で、今回この慰霊碑の建立が行われたというふうに記事も報じております。

 厚労省にお伺いいたします。

 まず、奄美大島の対馬丸の慰霊碑の建立については、厚労省の方も把握しておりましたでしょうか。

中井川政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美大島の宇検村に建立されました對馬丸慰霊之碑でございますが、平成二十九年一月に対馬丸遭難犠牲者の遺骨調査のため厚生労働省職員が村役場を訪問いたしました際に、村長から、同慰霊碑が建立され三月十九日に除幕式が行われるという予定の説明をお受けしたところでございまして、設置された旨は、後に新聞報道で確認した次第でございます。

玉城委員 対馬丸の遭難者の慰霊塔は、沖縄本島の那覇市若狭にあります小桜の塔という場所と、それから、この沈んだ近くの島であります悪石島にも慰霊碑がありまして、やはり、戦争が終わってもう何年たったという表現よりも、その遺族やさまざまな関係者の方々が犠牲になったみたまを弔うとともに、二度と犠牲者を出さないということも誓う、不戦の誓いを込めて建立していらっしゃると思います。

 第二次大戦関係の全国における慰霊碑、慰霊塔の実態調査等の実施及びその把握についてはどのようになっていますでしょうか。

中井川政府参考人 お答え申し上げます。

 国内におけます民間の建立慰霊碑につきましては、平成二十六年に、都道府県に対して把握している慰霊碑の管理状況等について調査を実施したところでございます。

 調査の結果でございますけれども、都道府県から報告のありました民間建立慰霊碑は、全国で一万三千百七十四基でございます。そのうち、報告の時点で管理良好な状態にあるものが七千五十四、管理不良な状態にあるものが七百三十四、管理状況不明なものが五千三百八十六基となっているところでございます。

玉城委員 もう時間が来ましたので、あと一問のみにさせていただきたいと思います。

 沖縄では、正式名称、公益財団法人沖縄県平和祈念財団が、いわゆる各都道府県及び民間団体が建立した慰霊塔の管理業務を行っております。補助金や、慰霊塔、慰霊碑等の清掃管理の受託費、それから指定管理料、それから寄附金などによって、平和祈念公園内あるいはそれ以外の場所にある、ホームページから見ますと約八十八基が登載されています。

 しかし、その中には、例えば各都道府県が設置し管理をしている団体もあれば、例えば、埼玉の塔管理委員会、あるいは兵庫県遺族会、それから警察関係、県庁職員者のみたまを祭る島守の塔は島守の会というふうに、それぞれ民間団体が管理をし、あるいは、遺族会もまた高齢化が深刻なために、その管理を今後どうしていくのかということが大きな問題になっています。

 最後にお伺いいたします。

 この慰霊碑や慰霊塔の管理に関する問題について、厚労省は、どのように今後進めていく、取り組んでいくという方針でしょうか。

中井川政府参考人 委員御指摘のとおり、遺族の高齢化が進む中で、慰霊碑の管理をどのようにするかというのは大きな課題でございます。

 ただ、民間団体等が建立した戦没者慰霊碑につきましては、基本的には建立者等がその維持管理を行っていくべきだというふうに考えておるところでございますが、やはり管理状況が不良の慰霊碑が放置されているということは、戦没者のみたまをお慰めするということや、あとそれから、現実問題といたしまして、倒壊の危険性があり、住民安全の観点から好ましくないというふうに考えているところでございます。

 そのため、平成二十八年度から、自治体が独自に当該慰霊碑の移設等を行う場合には、国として一定の補助金額、これは二十五万円を上限として二分の一でございますが、補助事業を行うこととしております。

 厚労省といたしましては、こうした事業を通じまして、管理状況不良の慰霊碑に対する自治体の取り組みを支援してまいりたい、かように考えているところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 高齢化された遺族の皆さんは、やはりできれば残しておきたい、しかしもう私たちにはできないかもしれないという、高齢であるがゆえの気力、体力、財力のさまざまな問題を抱えています。ぜひ、都道府県や各自治体と協力をしていただいて、そういう方々の声もしっかり、聞き取り調査などを行って、丹念に、その皆さんのお気持ちを受けとる、そういう政策を進めていっていただければと思います。

 以上です。終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

三ッ矢委員長 次に、本日付託になりました千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件、北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件、違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件、生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件、バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件、万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件及び郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

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 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件

 北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件

 違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件

 生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件

 バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件

 万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

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岸田国務大臣 ただいま議題となりました千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この確認書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の我が国の譲許表に関し、情報技術製品の関税撤廃の対象産品の見直しに伴う修正を確認するものであります。

 我が国がこの確認書を締結することは、国際貿易を促進するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この確認書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約に基づいて設立された北太平洋漁業委員会の事務局を東京に誘致しました。

 この協定は、法人格の享有、訴訟手続からの免除、課税の免除といった北太平洋漁業委員会及びその事務局の職員が享有する特権及び免除等を規定するものであります。

 この協定の締結により、同委員会の事務局の設置国として、我が国が、その任務を側面支援し、同委員会において積極的な役割を果たしていくことを内外に示すことが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この協定は、違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除すること並びにこれにより海洋生物資源及び海洋生態系の長期的な保存及び持続可能な利用を確保することを目的として、このような漁業に対する効果的な寄港国措置の実施等について定めるものであります。

 我が国がこの協定を締結することは、責任ある漁業国としてこのような目的に積極的に協力するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この議定書は、遺伝資源の利用並びにその後の応用及び商業化から生ずる利益が公正かつ衡平に配分されるよう、遺伝資源の提供国及び利用国がとるべき措置等について定めるものであります。

 我が国がこの議定書を締結することは、国際社会における遺伝資源の取得及び利用の円滑化並びに生物の多様性の保全及びその構成要素の持続可能な利用に資するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この補足議定書は、改変された生物の国境を越える移動から生ずる損害についての責任及び救済に関する国際的な規則及び手続について定めるものであります。

 我が国がこの補足議定書を締結することは、改変された生物の安全な利用のための国際協力を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この補足議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 これらの文書は、万国郵便連合の運営等及び国際郵便業務に関する事項についての所要の変更を加えるため、万国郵便連合憲章及び万国郵便連合一般規則を改正し、並びに現行の万国郵便条約を更新するものであります。

 我が国がこれらの文書を締結することは、引き続き万国郵便連合の加盟国として活動し、及び国際郵便業務を適切に実施するために極めて重要であります。

 よって、ここに、これらの文書の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この約定は、郵便送金業務に関する事項についての所要の変更を加えるため、現行の郵便送金業務に関する約定を更新するものであります。

 我が国がこの約定を締結することは、我が国と他の締約国との間の郵便送金業務を適切に実施するために極めて重要であります。

 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上七件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

三ッ矢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十六分散会


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