衆議院

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第16号 平成29年5月31日(水曜日)

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平成二十九年五月三十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ矢憲生君

   理事 黄川田仁志君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 長尾  敬君 理事 小熊 慎司君

   理事 寺田  学君 理事 岡本 三成君

      今津  寛君    小田原 潔君

      小渕 優子君    大野敬太郎君

      鬼木  誠君    加藤 寛治君

      熊田 裕通君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    島田 佳和君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      辻  清人君    松島みどり君

      山田 美樹君    和田 義明君

      石関 貴史君    吉良 州司君

      中川 正春君    原口 一博君

      渡辺  周君    浜地 雅一君

      笠井  亮君    足立 康史君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  市川 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  田中 勝也君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局長)        甲斐 正彰君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      山田 昭典君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 菊池  浩君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    杉山 治樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 森 美樹夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岡田 健一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小泉  勉君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       渡辺 哲也君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    花角 英世君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任

  玉城デニー君

同日

            補欠選任

             鬼木  誠君

同月三十一日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     國場幸之助君

  山田 美樹君     和田 義明君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     加藤 寛治君

  和田 義明君     山田 美樹君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

五月二十三日

 沖縄県民の民意尊重と、基地の押しつけ撤回に関する請願(畑野君枝君紹介)(第一一六六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一二六四号)

 日印原子力協定を承認・批准しないことに関する請願(笠井亮君紹介)(第一二四八号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一二四九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一二六五号)

同月三十日

 日印原子力協定を承認・批准しないことに関する請願(逢坂誠二君紹介)(第一三三八号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一三三九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

三ッ矢委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官宇山智哉君、大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房審議官森美樹夫君、大臣官房参事官岡田健一君、大臣官房参事官大鷹正人君、大臣官房参事官飯島俊郎君、大臣官房参事官志水史雄君、大臣官房参事官小泉勉君、北米局長森健良君、内閣官房内閣審議官市川正樹君、内閣審議官田中勝也君、内閣府総合海洋政策推進事務局長甲斐正彰君、公正取引委員会事務総局経済取引局長山田昭典君、法務省大臣官房審議官菊池浩君、大臣官房審議官佐々木聖子君、公安調査庁次長杉山治樹君、経済産業省通商政策局通商機構部長渡辺哲也君、海上保安庁次長花角英世君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛政策局次長岡真臣君、統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 皆さん、おはようございます。自民党の新藤義孝でございます。

 きょうは、同僚の理解を得てこの機会をいただいたことを、まず感謝を申し上げたいと思います。

 そして、私は、昨年に続きまして、この外務委員会の筆頭理事を務めさせていただきました。昨年は、法律が一本に条約が十本だったんです。今国会は、法律一本、そして条約は二十本付託をされておりました。ですから倍の付託を得たわけでありますが、与党の理事また委員のメンバーに御協力をいただきながら、野党の寺田筆頭を初め皆さん理事会メンバーと本当にいろいろな協議をしました。対立もございましたし、さまざまな話し合いを行ったわけであります。しかし、結果として、全ての案件を可決、参議院に送ることができたということでございまして、これは外務委員会の歴史に残る大きな成果ではなかったか、このように私は思うわけでございまして、まず、皆さんと喜び合いたいと思います。(拍手)

 それから、何よりも、私たちはこの委員会の責任を果たす。それは、条約審議を行っていく、付託された案件を審議する、これにあわせて、外務委員会の質疑を通して外交の質を深めていく、高めていく、さまざまな観点からいろいろな議論をやって、政府に影響を行使し、また参考にしてもらう。その意味において、私は、この委員会はことしすごくいい仕事をしたと、みんなで一緒に胸を張っていいと思うんです。

 それは、一般質疑の質疑時間、過去三年間で最長です。それから、一回当たりの平均時間は、過去五年間で最も多くとった。これは結果ではなくて、そういうことをするから条約をきちんと審議していこうじゃないかという、与野党の協議の中でその目標が達成できたという意味において喜びとしたわけであります。

 やはり、ずっと質問を拝聴していて、各党、与党も含めて質問の質がどんどん深まっていった。与党側はもう二回りしていますから。野党の皆さんもかなり何度もやっていただくようになった。これは、ぜひこのよき伝統といいますか前例をこれまた次の委員会にも踏襲していきたいものだ、このように思うわけであります。

 その意味で、まず冒頭に、これまでの岸田外交、安倍外交、こういったものについて、総括を一度してみたらどうかと思うのであります。

 安倍総理の在職日数は、第一次政権を含めると千九百八十日を超えました。これは、明治からも含めて歴代の五位、そして戦後の首相では三位です。このまま続けていけば我が国の歴代最長政権になる可能性も視野に入ってきている、こういう中でございます。

 では、こんなことを、私たち、最初に自民党が政権に復帰して安倍内閣ができたときに予想したんだろうか、また狙ったんだろうか。とんでもない話でございまして、物すごい緊張感の中で、あのとき私たちが、自民党が再び政権に戻って、そして、ここでしっかり国を立て直すことができなければ、もうこの国、国民はばらばらになってしまう、そういう危機感のもとで始めたことをよく覚えています。私も閣僚の中に入れていただきましたし、岸田大臣とともに、本当に緊張感を持って仕事をした。そのことは今でも強烈に、そう思っていますし、記憶しています。

 そして、岸田大臣も、何と、外務大臣としては、専任外務大臣としては戦後最長を更新中ということでございまして、これはまことにすばらしい仕事をされている、私はそのように敬意を表したいと思うんです。(拍手)

 そういう中で、日本を取り巻く環境、日本自身が変わってということもありますが、世界はもっと変わっている。アメリカも、もう既に世界の警察ではないと宣言をし、アメリカ・ファーストなどというような言葉、これが国民の共感を得るようになってしまった。そして、ロシアのクリミアの併合、これは戦後の秩序を乱すものです。しかし、そういう現実がございます。中国の台頭、また、中国がどのようにこの世界の中で処していくのか、こういった問題もあれば、何よりもテロの問題、地域的な、限定的ではあるが、さまざまな紛争がやはりとどまらない。

 こういう中で、私たちはどういう国をつくっていかなくてはいけないのか。そして、世界の中でどんな外交をしていくべきなのか。ぜひこれは、岸田大臣が描く日本の外交のミッションとビジョン、こういったものを少し御披瀝いただきたいかなというふうに思うわけであります。

 経済を成長させる、それから平和構築を行う、最近のSDGsというのは、これはとても重要な提案だと思っておりますけれども、そして、国としての基本問題である領土問題、こういったものも解決していかなくてはいけないと思います。ぜひ、岸田外交のミッションとビジョン、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず冒頭、新藤委員の方から、この国会における外務委員会での御審議について触れていただきました。この通常国会には、本数としましては、法案一本、条約二十本の御審議をお願いしているわけですが、これは本数からいいますと、外務委員会としては過去最高タイ記録であると思います。

 数だけではなくして、ACSAですとか日印原子力協定ですとか、大変重要な条約等も含まれておりました。大変重たい、そして充実した御審議をいただいたこと、改めて、与野党の理事の皆様方、また委員会の委員の皆様方に心から感謝を申し上げます。

 ただ、国会はまだ続いておりますので、最後までひとつよろしくお願いを申し上げます。

 その上で、御質問にお答えさせていただきます。

 私は、今日まで、たびたび申し上げておりますが、外交を進めるに当たって、三本柱、日米同盟の強化、そして近隣諸国との関係の強化、そして経済外交の推進、この三本柱を重視して外交を進め、それに加えて、グローバルな課題にもしっかり汗をかいていかなければならない、こういったことで外交を進めてきたわけですが、今日、委員が御指摘になられましたように、国際的にも、一方的な現状変更の試みが各地で行われています。また、保護主義ですとか内向き志向ですとか、あるいは自国第一主義、こういったことも言われるような状況であります。国際的にも大変不透明な時代を迎えているというのを改めて強く感じます。

 こういった不透明な時代だからこそ、やはり、外交を進めるに当たって一つの羅針盤というものが必要なのではないか、こんなことを最近強く感じています。そして、羅針盤として一つ挙げるとしたならば、やはり、自由ですとか民主主義ですとか法の支配ですとか人権ですとか、こうした国際社会がこれまでも大事にしてきた基本的な価値観、こうした基本的な価値観を大事にするということが求められるのではないかと感じています。

 先日のG7タオルミーナ・サミットにおいても、改めて基本的な価値を重視しながら結束することが確認をされたわけですが、こうした基本的な価値を羅針盤にすることをこれから考えていかなければならないのではないか。

 さらに言うと、こうした時代だからこそ、バランス感覚というものが大事なのではないか。地域におけるバランス、国と国とのバランス、さらには、我が国の国益を大事にするという政策と国際的なグローバルな課題に汗をかくということのバランス、さらには北朝鮮問題においても、外交をしっかり進め、我が国の防衛体制をしっかり整え、そして日米同盟の抑止力、対処力を強める、こういったバランスが大事なのではないか。

 こうした基本的な価値とバランスを重視することによって、国際社会において日本の発言力や存在感を高める、そして国民の外交に対する理解や安心を高めていく、これがあるべき姿なのではないかと思います。

 そして、それに加えて、委員が平素から強調されております、日本の正しい姿を国際社会に発信をしていく、戦略的な対外発信、日本の姿を理解していただくためにも大事なのではないか。こういった点を大事にしながら、ぜひ外交を進めていきたい、このように考えます。

新藤委員 このバランス、安定、そして革新、そういうものを備えながらお仕事されていることが、やはり歴代最長の外務大臣としてお続けになっていることだと思いますし、大いにこれからも活躍を期待しながら、私たちもバックアップをさせていただきたい、このように思います。

 そして、つまるところ、我々、国の目標、それは国民を幸せにするということ。だとするならば、この外交において、経済を発展させ、世界と交わる中で、国力を増し国を発展させる、それによって国民の幸せがつくっていける。あわせて、この国を守り、安全保障体制を確立させることで国民の幸せをつくることができる。そういう意味において、やはり私たちが取り組まざるを得ないのは、経済の関係、貿易の関係、いろいろやってきましたけれども、ここのところで、安全保障のことは真剣にさらに取り組まなければいけない、こういう状況が生まれているということでございます。

 とりもなおさず、北朝鮮のミサイルの挑発、核実験も含めて、これがとまらない、深刻な脅威になりつつある。こういう中で、さあ、どのように圧力を高め、北朝鮮を私たちが求める正しい姿にさせていくか、こういう取り組みが必要だと思います。

 外交的な圧力を高める努力、これはマックスパワーでやっていると思います。特に日本は、安倍総理また岸田大臣が中心となりまして、G7サミットにおいても、北朝鮮が国際的な課題における最優先事項に位置づけられた。北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射を最も強い言葉で非難し措置を強化する、こういう首脳コミュニケが出されているわけですから、外交成果は最大限発揮されているわけです。

 しかし、その最大限発揮された外交の舞台が終わった直後に、ミサイルを平然と撃ってくる。こういうことですから、肝心の北朝鮮に対して功を奏していない、こういう状態と言わざるを得ない。ですから、国連と我が国独自の経済制裁が功を奏していないとするならば、さらなる制裁強化を、しかも実効性ある制裁強化をしなければいけない。

 そのためにどうするかということで、大臣からも、今お話しできる範囲で、しかし、やはりきちんとそれが委員会や国民に対して伝わるようなお答えをいただきたいと思うんですが。

 まず、岸田大臣、五月二十九日、ティラーソン米国務長官と日米外相電話会談を行った際に、日米の防衛能力の向上へ具体的な行動をとる、こういったことが申し合わされたわけであります。日米の枠組みによる弾道ミサイル防衛強化のためのイージス・アショアの導入であるとか、新たな装備を整備することも視野にあるのではないか、私はそう推測いたしますが、今後の検討の方向性、日米の防衛能力の向上、具体的な行動をとる、そういった中で、検討の方向性また必要な要素について、今お答えできることで結構ですが、お話しいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、二十九日の日米外相電話会談における御指摘の発言等の具体的な中身については控えますが、ただ、現実、北朝鮮が弾道ミサイル開発を着々と進めている、こういった状況を考えるならば、我が国として、まずは我が国の防衛力をしっかり強化し、あわせて日米同盟の抑止力、対処力を向上させていく、こういった取り組みは重要であると考えます。

 そして、現時点では、御指摘のイージス・アショアといった新たな装備品について、導入に向けた具体的な検討を行っているわけではありませんが、ただ、防衛大綱におきまして「我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図る。」、このようにされておりますし、現在、防衛省において、こうした新規装備品を含めた将来の弾道ミサイル迎撃体制の調査研究を行う、こういった種々の検討を行っている、このように承知をしております。

 ぜひ今後とも、日米の適切な役割分担に基づいて弾道ミサイル防衛、これは万全を期していくことが重要であると認識をいたします。

新藤委員 そして、ティラソン国務長官との間では、中国の役割が重要だ、中国にしっかり働きかけをしていこう、こういう点で一致した、こういうお話も聞いておりますが、きのうは中国のヨウケツチ国務委員と会談をされた、このように承知をしております。北朝鮮に最も大きな影響力を持つのは中国です。貿易額の九割を依存し、原油の供給も中国に依存、北朝鮮労働者の受け入れが北の外貨の獲得の要因にもなっている。

 そういう中で、今後、中国が北朝鮮に対してどういうふうに役割を果たしていってくれるのか、圧力強化の可能性についてどのような期待と見通しがあるのか。これもお答えがなかなか難しいのを承知の上で聞いているわけでありますから、しっかりとお答えをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 北朝鮮問題に対処するに当たって、国連安保理の常任理事国であり、そして六者会合の議長であり、そして北朝鮮の貿易の九割を占めている中国の存在は大変重要であるということは言うまでもありません。こうした認識に基づいて、国際社会と連携しながら、中国に責任ある役割を果たすことを求めてきているわけです。

 私も二月、四月に日中外相会談を行い、王毅外交部長に対して責任ある対応を求めたわけでありますし、御指摘の昨日のヨウケツチ国務委員との会談においても、今は北朝鮮への圧力を強化することが重要である、中国の役割は極めて重要であり、建設的な役割を果たしてほしい、こうした強い働きかけを行いました。

 安倍総理も先日のG7タオルミーナ・サミットにおいて、中国の役割の重要性を指摘し、北朝鮮に圧力をかける上でさらなる役割を果たすよう促していきたい、こうした指摘を行った次第です。

 その一方で、中国は、五十万トンの石油を北朝鮮に供給しているほか、北朝鮮から派遣された海外労働者を受け入れている、こうした情報も承知をしております。

 政府としては、こうした情報も踏まえながら、引き続き、米国を初め国際社会とともに中国に働きかけを行い、そして、北朝鮮制裁委員会等、国連や国際社会の場におけるこうした安保理決議の履行状況を把握する仕組みに貢献しながら、中国の動向を注視していきたい、このように考えます。

新藤委員 ありがとうございます。

 大いに期待をしたい、このように思います。

 そして三つ目には、我が国の制裁をどうやって強化していくか、こういうことだと思います。

 今いろいろと議論されている中では、セカンダリーサンクションの実施ですとかキャッチオール規制を導入しようではないか、こういうような検討がなされているわけでありますが、我が国独自の制裁を厳格化する、そして強化する、絶対にやっていかなきゃいけないと思います。

 ちなみに、対話と圧力という言葉、これは川口順子大臣のときに始まったんですけれども、私、ちょうど外務政務官でございまして、実は、幹部会議の中で、いろいろ外務省から、こんなようなことができる、硬軟取りまぜたこういったことができるといったときに、たまたまですが、これは対話と圧力だということで、その名称を宣言したのは私でございまして、これは使われるとうれしいんですけれども、でも誰も知らない、こういうことなんですが、とにかくしっかりとやっていかなきゃいけない。

 これは、今お答えを聞いても、答えようのない、検討していると。最も一番重要なところだと思いますから、しっかりやってほしい、こういうことで要望して、きょうは終わりにしたいと思います。

 その上で、国の成立三要素。国民を幸せにするために国はある。であるならば、国はどうやって成り立つか。これは、国民意識の統合、それから領土の保全、そしてそこに主権を確立させる、これが国家成立の三要素と言われているし、私はそう思っているんです。

 その意味において、外交が領土を保全したり主権を確立すること、これは国を形成する基本的な問題だ。そういう意味において、今、私たちの国に対して北朝鮮のミサイルの脅威が増して、そちらに皆さんが目を向けている、大事なことです。なんですが、一方で、実は、日本の領海やそれを取り巻く排他的経済水域に対して、韓国、中国、台湾の動きが活発化している。これをきょうはきちんと取り上げたいと思うんです。

 お手元の資料をごらんいただきますと、これは韓国の例でございますけれども、五月の十七日に韓国の海洋調査船が、我が国の事前同意を得ることなく、竹島周辺の排他的経済水域内で海中にワイヤを投入した。我が国領海に侵入、漂泊し、これはこの二年間で四回発生している、こういうことでございます。

 実は、韓国がこういうことを起こしたのは、二〇〇六年、十一年前です。去年からまたこういった海洋調査が始まりました。十年間動いていなかったことが、ここで立て続けに起こっている。この意味というものをしっかりチェックしていかなければいけない、このように私は思っているんです。

 この十七日に入ってきたヘヤン二〇〇〇という韓国の国立海洋調査院の船は、海底地形を調査して、それを国連に、韓国独自の地形名を、日本の名前の上にかぶせて申請しようとしている。私たちは絶対受け入れられない。であるならば、我々も同様の調査をやるぞというので、双方が巡視船を出すぞという、物すごい厳しい状態にまで陥ったんです。

 当時、麻生外務大臣、そして安倍官房長官、韓国は潘基文外交通商部長官。こういうときに、平成十八年の五月三十一日というんですから、実は、ちょうど十一年前のきょう、私はこの外務委員会で質問して、この問題を取り上げているんです。また、何と、そのとき土屋品子さんが理事だったという、すごい御縁なんですけれども。

 いわくつきの船が十年ぶりに入ってきて、同じ海域で調査をしている。韓国は一体何の意図を持って入ってきたのか、今のところわからない。こういう状態です。

 それから、尖閣諸島の周辺海域、中国海洋調査船の活動は、中国公船が入ってきて、今接続にいますとか領海に入ってきたというのが報道でなされるんですけれども、実は、国連海洋法条約に基づく事前同意申請を行わなかったり、同意と異なる地域で活動する特異行動と呼ばれる件数、昨年が十一回、おととしが二十二回、そういうふうに行われているわけなんです。そして、五月の十八日、韓国の調査船が入ってきた十七日の翌日ですよ、十八日には、尖閣の領海で、領海侵入した中国公船の甲板からドローンが初めて飛行された、こういう動き。示し合わせているわけではないが、そういうことが起きるんです。

 そして、与那国島付近の我が国EEZでは、台湾の海洋調査船が昨年八回入っている。そして何と、今も入っていると思いますよ、直近のきのうの夜までの情報ではまだ抜けていないんだから。土曜日に入ってきて、出たり入ったりしながら、今まだ我が国EEZの中で、我々が受け入れられない調査をやっている。

 まず、海上保安庁。こういう現場海域でこれは厳正な対処をしていると思いますが、この各国調査船が行っている活動、それから船が使用している観測機器などから、一体各国は何の目的を持って調査しているのか、状況を把握している範囲で答えてもらいたいと思います。

花角政府参考人 お答えいたします。

 我が国排他的経済水域において、外国海洋調査船による我が国の同意を得ない調査活動が確認された場合、海上保安庁では、直ちに関係機関と連携しつつ、現場において巡視船による中止要求あるいは継続的に監視するなど、適切に対応を行っております。

 こうした状況から申し上げますと、各国の海洋調査目的について確たることを申し上げることは困難でありますけれども、地殻構造の調査、それから海底地質の調査、水質の調査といった海洋調査を実施している可能性があると考えております。

新藤委員 はっきり相手が言わないものだから不明と言わざるを得ないんですが、でも、想定とすれば、例えば韓国の調査の狙いは、国連海底地形名小委員会、SCUFNですね、ここに竹島周辺の海底地形名の提案を行うのではないかという可能性がある。中国の調査の狙いは大陸棚の延伸、既にこれは申請を出しているわけですから、これは日本が同意していないので審査は行われておりませんが、韓国側はそういう野心を持って、中国の大陸棚の延伸を沖縄トラフまで持っていこう、こういうための基礎調査をやっている。であるならば、私たちは私たちで、しっかりとした対抗をしていかなければいけない、対応していかなければいけない、このように思うんです。

 ちょっと時間の関係で質問は飛ばしますけれども、まず、海上保安庁は、入ってくると広報しているんです。そして、私もそれをいただいています。ですから、手にとるようにわかるんです。では、それに対して外務省は、入ってくれば必ず抗議するなり何らかの対応はしているんですが、外務省広報はどうなっているんだ。

 これは私が確認すると、外務省は、聞かれれば答えるが積極的な国民に対する広報は行っていないということなわけなんですけれども。これはさまざまな理由、ゼロ、一〇〇で、広報する、しないということではないんですよ。だけれども、状況に応じてやはり、今どんなことが国に起きているのか、そういったことを、外務省としても広報の充実を検討してはいかがと私は思うんですけれども、外務省、どうですか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 外国による我が国の排他的経済水域におきまして、我が国の同意のない調査を行うことは認められず、また、そのような調査が行われる場合には、調査の中止を求めるなど必要な措置をとるとともに、厳重な抗議などを行ってきております。それを対外的に広報するかどうかということに関しましては、外務省としても、委員の御指摘のとおり、外部からの照会に応じて、政府の対応ぶりにつき随時対外説明してきているところでございます。

 他方、今後どうするかということに関しましては、委員の御指摘も踏まえ、個別事案の状況などを踏まえつつ、具体的に判断していく必要があると考えております。

新藤委員 これはしっかり充実させた方がいいと思いますし、新たなメカニズムをつくった方がいい。やはり、外交ルートを通じて、何をやっているんだと聞くのが一番わかるんですから。このことを含めて、今検討するということですから、これ以上は今申しませんが、これはきちんとウオッチをしていきたい、このように思っています。

 それから、次に海上保安庁ですが、これも私は自分で調べた結果があるので。結局、竹島周辺の調査、我が国がやっている調査というのは、放射能の影響調査、これは平成二十四年からやっていないんです。中断したままになっている。海流だとか海水温だとかのいわゆる海象調査、これは平成十八年からやっていない。ましてや、船舶の安全航行に必要な海図をつくるという意味でもやらなければいけない海底地形調査、昭和五十一年以来、この竹島周辺はやっていないということじゃないですか。これはやはりきちんとやるべきだと思いますよ。

 それから、尖閣の周辺についても、海象調査はやっているが、海底地形調査は平成二十一年以来やっていない。もう八年たちますね。

 ですから、こういう、対抗措置ではなくて、私たちの国が行政上必要なものは粛々とやっていかなければいけないという意味において、これはぜひ検討をして、さらに、足りないところ、やっていないことは穴を埋めるように要望したいというふうに思うんです。

 その意味で、大臣、ちょっとぜひこれは御協力いただきたいんですが、実は、この海洋調査というのは、海上保安庁だけではなくて、文科省もやっている、エネ庁もやっている、水産庁もやっている、政府でいろいろなところでやっているわけなんです。だけれども、今現状で全てを把握して、一体どこの海域で何の調査がいつ行われているのか、これを全体把握する状況にないわけです、政府は。

 ですから、何かやるときに、船を出すときに、もしかしたら共同でできることもあるかもしれない。それから、場合によると、政治的に外交的に問題があると思われて、ある省は調査を行っていないが、そういったことを全然承知していない省庁は平然と、そこで実は目をかいくぐってやっている、こういうことも起きる可能性があります。起きている可能性があります。

 ですから、私は、こういう海洋調査に関する総合調整の場、関係省庁の会議というのをきちんとつくったらいいんじゃないかと。去年は、海図の関係で関係省庁の会議を設けるべきだ、このように言ったんですけれども。これは海洋政策担当大臣がおりますよ、だけれども、外交にかかわることが、その調査にいろいろな影響を与えていることは事実なんです。

 ですから、これは、主要閣僚であって、外務大臣として、ぜひ閣僚間で連携をとって、こういう全体的な連絡調整の場を設ける、これはぜひ検討いただきたいと思うんですが、お考えはどうですか。

岸田国務大臣 我が国は、広大な排他的経済水域を持ち、長い海岸線を持つ海洋国家であり、海上貿易とそして海洋資源を通じて経済発展をしてきた。こうした開かれて安定した海洋を追求してきた国ですので、委員の御指摘、これは大変重要であると思います。

 法とルールに基づいて取り組みを進めなければならない。その際に、省庁の連携はまことに重要だと思います。

 御指摘を踏まえて、まず、現状を一度確認させていただきたいと思います。その上で、足りないものは何なのか、必要なのは何なのか、こういったことについてぜひ検討をさせたいと思います。

新藤委員 よろしくお願いします。

 こういう話は、やはり大臣間で話をするのが一番早いと思いますので、一度、松本大臣ともよくお話をいただきたい、あと、また石井国交大臣ともお話をいただきたい、このようにお願いをしておきます。

 そして、では、次に行きます。

 先ほど、国家を形成する三要素、領土の保全と主権の確立、こういう意味において、領土、主権問題をきちんと取り上げる、それから国民に啓発する。だとすれば、その前提としての資料の収集だとか分析、そして研究成果の発表、こういったものが必要だと。

 これは、昨年のこの外務委員会で御提案をさせていただいて、そして、大臣にはしっかり受けとめていただきながら、今年度の予算で、外務省が、領土、主権、歴史に係る調査研究事業、こういったものを予算措置して、今、これがいよいよ始まるわけであります。この成果を大いに期待したいと思います。

 私たちは、安倍内閣は、領土に関する三策というものを持っています。これは、まず、領土担当大臣を設置する。それから、領土問題に関係する所管組織をつくる。そして、調査研究の第三者研究を行う。この三つをもって領土問題をきちんと整理していこう、また解決に向けてのエンジンにしていこう、こういうふうにしたわけでございます。

 その意味において、時間がなくなってきていますので、これから新しい調査を行うのに対して、まず、これは、シンクタンクに委託を出しているんですけれども、その出した仕事が、そこにとどまらず、そこが事務局的な機能を持って、国内のさまざまな研究者、地方でまた現場でフィールドワークをやっている人たちも含めて、いろいろな方が入ってこられるような、そういう調査をするようにぜひ心がけてもらいたい、このように思います。

 それから、きょうは領土・主権対策企画調整室に来てもらっていますけれども、一方で、一次資料の収集という意味においては、政府は既にもう始めたわけです。これも、私たちの内閣、安倍内閣になってから始めたわけですけれども、すごく貴重な資料が、特に、新しい資料がことしも、三十点を含めた六百七十点の資料というのができました。ですから、こういうものを活用して、外務省が行っている調査事業と、それから内閣官房が行っているもの、これがきちんと連携するように要望をしておきたいというふうに思います。

 そして、これらの研究成果を、やはり、きちんとした論文を出して、そして位置づけを高めていかなきゃいけないんですね。その意味において、学会だとか、それから国際ジャーナルの雑誌だとか、そういうものに投稿するところまで、国際発信もきちんとしていく、こういったこともぜひやっていただきたい、このことをお願いしておきます。

 一つ一つこれをみんなやりたいんですが、ちょっと、いただいた時間の中でございますので、これはもう、この方向性を私の方から御要望して、それを捉まえてやっていただきたいというふうに思います。

 きょうは、せっかくですので、皆さんにもちょっと、歴史研究がなぜ必要かということを、ちょっとだけお示ししたいと思います。

 最初に、資料の二枚目、これは外務省のホームページです。ここに出ているのは、改正日本輿地路程という、長久保赤水という人がつくった図面で、日本で初めて竹島を入れた日本全図をつくった図面です。これは一八四六年製なんです。

 ところが、この問題で何が起きたと思いますか。

 先週、韓国のテレビ局が、長久保赤水というのは茨城の高萩市が地元なんですけれども、そこの関係者の方々のところにテレビ局が取材に行ったそうです。一枚めくってください、これが輿地路程の、赤水の一七七九年の初版版なんです。これはちっちゃくてわかりにくいので、もう一枚めくってください。すると、ここに、右上、上の方に松島と書いてありますが、これが竹島です。当時は松島と呼ばれていました。実は、韓国側は、ここに色がついていないので、これは、日本は竹島を日本領として認識していなかった、朝鮮領として考えたあかしだと言っているんです。

 だけれども、見てください。下にある、長門だとか大臣の地元だとか、あ、安芸はさすがに色がついているね、備後だとか、日本国内も色がついていないんですよ。これは単なる便宜上の問題なのに、色がついていないから日本ではないと主張しているんです。

 ところが、何と、この外務省のホームページに出ている一八四六年版には色がついているんですよ。これは、赤水が亡くなった後ずっと、江戸の幕末に出た図面で、たまたまわかりやすく外務省が使ったのかもしれないけれども、これは、韓国のテレビは、本当は色がついていないのに、色がついている図面を使っている、だから、本当は日本は、やはり、色のことを意識していて、竹島を朝鮮領として思っていたんだ、この証拠だというテレビ番組をつくっていったんですよ。

 ですから、こういうことは学術研究をきちっと積み込んでいかないと。同じ地図でも、初版本であるか、赤水が生きていて監修したのは五版までなんです。全然これは関係ない、後からつくった、コピーしたようなものなんです。ですから、こういうことをきちんと調査しなきゃいけないということなんです。

 それから、もうあと本当に時間がなくなったので、申しわけありません、最後のページ。

 これは、ネクタイ、文在寅大統領ですよ。先日、文在寅大統領が、あちらではトクトアシカというんだそうですけれども、そんなものはいません、この世の中には。ニホンアシカです。だけれども、ニホンアシカは、韓国は、日本が侵略したときにアシカを乱獲して絶滅させた、だから、その気の毒なアシカは私たちのアシカよと言ってネクタイをつくっているんです。だけれども、全くでたらめ。

 これは、戦後の調査で、彼らが、韓国側の守備隊が、このアシカが五百頭いたと言っているんです。一九七〇年代まで目撃されているんですが、二〇一〇年に韓国政府が絶滅宣言をしているんです。だけれども、いつの間にか、日本は帝国時代に侵略をしてアシカを全部殺していった、かわいそうなアシカよ、これが我々の守るシンボルだとか言って、大統領がこういうネクタイをしているんです。だけれども、今度、岸田大臣、大統領と会ったときに、もしあちらがネクタイをしてきて、これは竹島のアシカですなんて言われて、ああそうですかと、知らなければ対応できないじゃないですか。

 ですから、あちらは緻密にこういう、何とも言えないんだけれども、でも、こういうことを一つ一つきちんと学術的に積み上げていかなきゃいけない。その意味においても、こういう歴史調査研究をしっかりやっていかなきゃいけないんだということをお訴えいたしまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 私も二十分時間をいただきましたので、早速質問に入りたいと思います。

 まずは、TOC条約、テロ等準備罪等々について、一問お聞きをしたいと思っています。

 私も法務委員会に一時所属をいたしまして、このテロ等準備罪の審議に当たりまして、五月の十九日に衆議院の法務委員会を通過し、二十三日に衆議院で通過をしたわけでございますが、私は、その法務委員会の中で、一つ、岸田大臣が五月二日に国連薬物犯罪事務所、UNODCを訪れた話を引用させていただきました。大臣はそのときは委員会には出席をなされておりませんでしたけれども、まさにこのときは、法務委員会では、このTOC条約がそもそもテロ対策なのかどうかということが争われておりまして、二〇〇〇年当時の採択のときの状況であるとか、さまざま議論があったわけでございます。

 その五月二日という、本当に大臣、お忙しい外交日程の中、そういった国会の審議も捉まえて、実際にこのUNODCというTOC条約を管轄する事務局のフェドートフ事務局長にお会いをされて、改めて、この条約というのはテロ犯罪についての条約である、誰もテロの脅威から逃れることができない中において非常に重要であり、日本の取り組みを評価する、そういったコメントを大臣との間で確認されたこと、これを御紹介させていただきました。

 五月二日というのは、法務委員会で法務委員長の解任決議が出まして、日本では、法務委員会、大事なテロ等準備罪の審議が進まない中、外務大臣におかれましては、外交において、しっかり、国際社会において、TOC条約またテロ等準備罪の重要性を確認されたこと、これを御紹介させていただいたところでございます。

 さらに、今回、五月の二十九日、フェドートフ事務局長、UNODCの事務局長よりステートメントが発信をされたと聞いておりますが、我が国のTOC条約締結に向けた取り組みについて、五月二十九日のステートメントというのはどういった内容であったのか、御紹介いただければと思います。

岸田国務大臣 委員御指摘のように、国連の中において、国際組織犯罪防止条約の事務局を務めるのが国連薬物犯罪事務所、UNODCです。この条約の事務局であるUNODCのフェドートフ事務局長から、一昨日、五月二十九日、声明が発出されました。事務局長は、この声明の中で、テロ等準備罪処罰法案について、担保法案が衆議院を可決したことは、日本が既にTOC条約の締約国となっている百八十七の政府に加わることに向けた前向きな一歩であるとして、その衆議院通過を歓迎するとともに、本条約の締結に向けた我が国の取り組みへの支持、こうしたものを示した次第であります。

浜地委員 ありがとうございます。

 五月二日に行かれたときには、TOC条約にしっかり日本が入ってほしいという、そういった会談の内容であったと思っていますが、改めて、衆議院で国内担保法、いわゆるテロ等準備罪が通過をしたことを受けての五月二十九日のフェドートフ事務局長の声明であります。

 その中で、国内担保法が衆議院を通過したことを大変評価されているわけでございまして、まさに国際社会においてはテロ等準備罪というものがTOC条約締結には必要であり、また、よく言われておりますとおり、国連の特別報告者と言われる方々が懸念を示されておりますけれども、そういったことというのは一切触れられずに評価をしているということは私は大事なことだろうと思っております。

 私も、岸田外務大臣にお仕えをした一昨年、政務官の時代に、ジュネーブでの国連人権理事会等にも出席をさせていただきました。ここにおきましても、国連特別報告者と言われる方とも会話をしたことはございますが、その雰囲気というものは私自身は感じております。それ以上は当然申し上げませんけれども。やはり一番大事なのは、グテーレス事務総長も、安倍総理との間で、国連報告者のそういった報告というものは、これは、国連の総意ではないんだ、あくまでも個人の資格で行動しているものだというところが非常に私は大事だろうと思っております。

 何といっても、TOC条約を採択しました二〇〇〇年の国連の総会におきまして、テロ対策であるということを明確に述べているわけでございます。国連総会というのはコンセンサスで決まるわけでございますので、まさにこれが国連の総意であろうというふうに思っています。

 加えまして、ただいま岸田外務大臣より御紹介いただきましたフェドートフUNODCの事務局長自身が国内担保法の衆議院通過を評価しているということを、まず冒頭、御紹介させていただきました。

 続きまして、テーマをかえます。テーマとしましては、日本企業の海外進出の支援というテーマで、さまざま御質問をしていきたいと思っています。

 先日、五月の十八日の日経新聞に、日本としては、今度の骨太の方針で、政府としましては国際商事仲裁を専門に扱う施設の設置に向けて官民を挙げて乗り出すというふうに記事にございました。

 我々公明党としても、やはり、企業が海外に進出する中で、進出した後の紛争であるとか、また安心して進出できるためには、国際仲裁機能というものを強化しなければいけないということで、公明党の成長戦略の提案の中にもこれをまとめております。先日、菅官房長官の方に手交をさせていただいたところでございます。

 きょう、資料一の一というふうにありますけれども、では、なぜこの国際仲裁というものが、裁判ではなくて、メリットがあるのかといったものの資料でございます。主に、二国間、また多国間の取引におきまして、こういった国際取引におきましては、合意管轄という、いわゆる裁判をどこでやるかという裁判を前提にした合意ではなくて、やはり当事者が、合意によって、裁判ではない制度によって、つまり仲裁というものを一般的に使われているというのが国際取引の今常識となっております。

 私の持っている資料の括弧書きのところでございますが、では、なぜ仲裁が選ばれるのかといいますと、まず非公開の手続である、裁判は公開が原則でございます、ですので、やはり、その中での、さまざまな契約の内容であるとか、また企業の機密というものが漏れないというところがございます。

 それと、執行可能性、これはニューヨーク条約に現在百五十六カ国が加盟をしておりますので、この国際仲裁で出た判断については執行力がある、まさに国際通用力があるということが一つの大きな点でございます。裁判の判決でございますと、国によっては、外国にはこの裁判の効力が及ばないというような国のたてつけもございます。

 それと、このポツの下から二番目ですが、当事者、いわゆる仲裁を行う人間が専門家を任意に選定できるというところでございます。裁判になりますと、裁判長は選ぶことはできません。しかし、仲裁となりますと、仲裁人を選ぶことができますので、紛争の具体的な内容に応じた専門的な人間を選べるというところが非常に大きなメリットになっております。

 しかし、その後、現状はということでございますけれども、日本にも実際、国際仲裁機関はあるんですけれども、これは最近十年間、平均して十一件から二十七件しか日本ではこの国際仲裁が行われていないという現状がございます。

 右に行きまして、その問題点というところで、先ほど御紹介した施設というところでございますけれども、やはり施設、ハードの部分が大変不十分であるというふうに指摘をされております。

 今現在、この日本の仲裁機能をやっております一般社団法人日本商事仲裁協会というところは、大体百十坪ぐらいの会議室を借りて今運営をされているそうでございます。我々の国会の事務所が大体三十坪ぐらいでございますので、我々の部屋三つ分ぐらいでさまざまな国際仲裁の案件を処理しているということでございます。

 ですので、部屋が当然足りませんので、大きな国際商事仲裁案件になりますと、ホテルを借りて、そこで行っている状況だそうでございます。しかし、ホテルでは当然、英語で行われる場合の通訳ブースもございませんし、何しろ盗聴や機密性を確保するための建物のそういったシールドがかかっていないということでございますので、やはり外国から来る方々が日本でこの仲裁を選ぶということにはちゅうちょをするというハード面の困難さがございます。

 それと、ソフトの面につきましては、やはりこの国際仲裁の専門家、実務家が、実際に弁護士会も含めて育っていないというのが状況でございます。特に、我々は母国語が日本語でございますので、外国語を不得手にする、そういった代理人も多いということでございます。

 そして、こういった二つのハードの不足、またソフトの不足が相まって、周知不足、知名度不足、ブランド力がないということで、日本ではこういった国際仲裁がなかなか行われていないということでございます。

 次のページは、日本を紛争解決地とするメリットを書いたわけでございますけれども、やはり私、思いますのは、一番は日本の仲裁法が適用できるということでございます、上から二つ目のポツなんですけれども。

 やはり、ヨーロッパ、またシンガポールもそうなんですけれども、大臣も御案内のとおり、あちらは英米法の国で、習慣法の国でございます。しかし、日本のような、またアジアの諸国というのは、大陸法系の成文法の国でございまして、これはどういうことかといいますと、やはり訴訟手続の違いとか、または証拠のそういった開示の仕方でありますとか、事実認定の仕方というものが実は微妙に違ってくるという制度があります。ですので、やはり日本に持ってきて、日本人の法解釈の感覚に合った仲裁をしてもらうというのは非常に大事でございます。

 特に、日本は今、ASEAN諸国に対して法の能力支援をやっております。ベトナムやカンボジアでは民法の改正のお手伝いもしたり、さまざま、日本法的な、大陸法的な考えをASEANで今能力構築しているわけでございますので、日本の企業が海外、特にASEAN諸国に出たときに、紛争を英米法的に解決するのではなくて、やはり日本法的といいますか、大陸法的に解決させるためにも、この仲裁の場所を日本に持ってくるということは大変大きいであろうと思っております。

 それと、一番下の、オリンピック・パラリンピックに関連するスポーツ紛争の解決需要が日本でも起こってまいります。御案内のとおり、二〇二〇年、東京でオリンピック・パラリンピックが開かれますけれども、このときによくあるドーピングの判断についても仲裁が使われます。

 ドーピングというと、大会が終わった後に、何か大物の選手ですと後で失格とかなるんですが、実はかなり頻繁に行われておりまして、大会中に例えばドーピング検査をする、その人が実際に仲裁等々申し立てて、すぐに判断を出して、東京オリンピックの大会中にちゃんと競技に出られるというのが大事だろうと思っています。

 これが、仲裁機能が非常に脆弱だということで、日本でやったら、本当は海外でやればすぐに仲裁判断で自分は出場できたのに、日本のこういった仲裁機能が非常に不十分なので、結果的に時間がかかってオリンピックに出られなかったといったようなことになれば、まさにこれは日本の恥だろうというふうに私は思っております。

 ちょっと質問が長くなっておりますけれども、逆にシンガポールは国策で、一の三の資料なんですが、マックスウェルチェンバースという大きな施設を官民主導、特に政府主導で官民連携してつくっております。非常に立派な建物でございまして、一の四になりますと、見取り図がございますが、十の法廷と十二の準備室、通訳ブース、翻訳サービスも行います。そして、当然、機密性の確保ということで、盗聴でありますとかそういった書類の管理というのが厳格に行われている施設がございます。一の五は、その結果を受けての日本での仲裁の受理件数でございますが、一番下が日本、二〇一五年の資料でございますけれども、二十一件、しかしシンガポールは、その十倍以上の二百二十八件を計上しているということでございます。

 長々とお話をさせていただきましたが、そこで質問でございます。

 私は、骨太の方針に恐らくこの国際商事仲裁を専門に扱う施設が盛り込まれるだろうと思っています。そのときに、法務省、そして経産省、外務省において、それぞれ現在の問題点と、こういったものが骨太方針に盛り込まれた場合にどういった取り組みをすべきか、それをそれぞれお聞かせいただきたいと思います。まずは法務省にお聞きをいたします。

菊池政府参考人 お答えいたします。

 経済社会の国際化が進展し、日本企業の海外取引や海外投資案件が増加するのに伴い、国際的な紛争解決の手段として国際仲裁手続が国際的に広く利用され、重要な役割を果たしているものと認識しております。

 法務省といたしましては、司法制度を所管する立場から、国際仲裁の担い手となる人材の養成支援を初め、必要な基盤整備のための取り組みを進めることが重要であると考えておりまして、本年三月には、省内の関係部局で構成される検討チームを立ち上げたところでございます。

 今後とも、国際仲裁の活性化に向けて、経済産業省を初めとする関係省庁や関係機関と十分に連携協力を図りながら、必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。

浜地委員 次に、では経産省、お願いします。

 時間がないので、順番に御答弁願います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国企業の海外進出の拡大、それから投資の拡大、こういう中で我が国企業が海外企業との紛争に直面した際に国際商事仲裁を利用しやすい環境をつくる、大変重要な課題だと思っております。

 特に、委員御指摘のブランド力、それから知名度の向上という観点でございますけれども、これまで、ジェトロなど関係機関におきまして普及のための企業向けのセミナーなどを行ってきております。

 今後も、関係省庁、それから関係機関と協力のもと、我が国企業の海外展開の後押しとなるような取り組みをしっかりと進めてまいりたいと思います。

小泉政府参考人 必要な場合の国際商事仲裁を利用しやすい環境の整備、この重要性につきましては、経済産業省と全く同じ考えでございます。

 我が国におけます国際仲裁施設の創設に関しましては、現在種々検討が行われているところでございまして、外務省といたしましても、法務省、経済産業省を初めとする関係の省庁、関係機関と連携協力をいたしまして、主に外務省としましては、恐らく在外公館のネットワークを通じた広報といったところが中心になるかと存じますが、必要な取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

浜地委員 各省庁、済みません、コメントをいただきましたけれども、非常に私は、まだ制度が骨太に書かれていないのでそういったコメントしかできませんけれども、実際に骨太の方針に書かれて、この国際商事仲裁センターの設立に向けて政府一体で動かすときには、そういったコメントではなくてもう少し具体的に、詳細な検討を加えて、二〇二〇年オリンピックに間に合うようにやっていかなきゃいけませんので、骨太の方針に書かれましたら、改めてそういった皆様方の認識をお聞きしたいというふうに思います。

 最後の質問にいたします。

 資料二の一でございますけれども、これは、アジア地域における法律市場の規制の概要でございます。一番上が日本でありまして、日本では外国の法律事務所を設置することもできます。そして、外国の弁護士資格を有する者が日本で法律相談等することもできます。しかし、この赤になっている部分が、非常に、これは今度、日本の弁護士が海外に進出する企業の相談を受けるときに弊害のある部分でございます。

 やはり、海外に進出する日本の企業は、現地で、日本法だけじゃなくて現地の法律の両方について、できれば日本の弁護士に日本語で相談をしたい、それが安心につながるという声があります。

 少し話は違いますが、医師の世界でも日本は、外国人が日本にやってこられるように、安心して外国の医師が日本において診断をできるというような特区もございます。

 しかし、御案内のとおり、中国、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インドというASEAN諸国等々におきましては、非常に、日本の弁護士の法律事務所の設置自体も不可のところがインドネシア、インドでございますし、また、中国におきましては、日本の弁護士事務所を設置できても、現地での中国法をアドバイスすることができません。これは、中国人の弁護士を雇用しても、その中国の弁護士資格を有する中国の弁護士も、日本の法律事務所では中国法を扱うことができないという現状でございます。

 ですので、最後のお願いになりますけれども、資料二の二で、各国のEPAの状況がございます。具体的にここに挙げましたのは、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシアでございますけれども、これを見ますと、総括委員会であるとか合同委員会であるとかこういったものが数年に一回行われまして、協定の見直しという点におきますと、大体五年ごとに見直しを行うという規定が置いてあります。

 ぜひ、外務省におかれましては、こういった企業の進出を後押しする法律家も含めて海外でしっかりと活動ができることが私は企業の海外進出にとって不可欠だと思っておりますので、そういったEPA等の見直しの期間にあわせて、こういった法律の市場開放も含めて交渉のプライオリティーを上げていただきたいというふうに私はお願いをいたしますが、外務省の見解をお伺いします。

小泉政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のございましたとおり、まだ、東南アジアを含めまして一部、種々の制限がかかっている国がございます。一方で、タイですとかベトナム、あるいはマレーシア、あるいは中国といった国におきましては、国によって若干、程度の差はございますけれども、法律サービスの自由化がなされているところでございます。

 外務省といたしましては、今現在交渉中であります日中韓のFTAあるいはRCEPの交渉、また先生から御指摘のありました既存のEPA等の改正交渉を通じまして、進出企業、業界からの御意見、ニーズも踏まえつつ、適切に対応していきたいというふうに考えております。

浜地委員 済みません。長くなりました。ありがとうございます。

三ッ矢委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。民進党の中川です。

 質問の時間を与えていただいたこと、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 きょうは、難民の問題を中心に質問をしていきたいというふうに思います。

 安倍政権になって積極的な平和外交ということがうたわれていますが、本来、人間の安全保障であるとか、あるいはソフトパワーという意味でも、日本の外交の特色というか、私たちの意思というのを海外に対して示してきたということがあると思います。

 そういう意味で、難民の問題というのはコアというか中心になる課題だと思いますし、今、世界の情勢を見ていると、この難民をどういうふうに再定住させていくか、あるいはこれ以上ふやさない、そういう対応をしていくか、これは世界にとって非常に大きな課題であろうかというふうに思います。そうした意味で、足元の、私たちの国のあり方も含めて、きょうは一つ一つ確認をしていきたいというふうに思っています。

 まず、今の世界の状況、国として、この難民の状況をどう認識しているか、どういう世界観の中で難民というのをつかんでいるかということを確認しておきたいと思います。

森(美)政府参考人 お答えいたします。

 委員お尋ねの難民をめぐる状況でございますけれども、現在、難民をめぐっては、国際的に非常に厳しい状況にございまして、二〇一五年十二月のこの時点で避難を余儀なくされている人は、世界で約六千五百三百万人に達しており、これは、第二次世界大戦後最多の数となっております。(中川(正)委員「六千五百三十万人」と呼ぶ)六千五百三十万人でございます。失礼いたしました。

中川(正)委員 いや、人数だけということじゃなくて、こういう問題に対して、どのように日本が対応しているか、していこうとしているか、あるいはどういうふうにこれを把握していくか、日本の役割というのは何なのかということを、総合的にどのように考えているかということなんですが、これは大臣からでも結構です。

岸田国務大臣 難民問題につきましては、G7を初め国際的な会議におきましても必ず主要テーマとして取り上げられる重要な課題であると認識をしています。そして、難民問題については、難民の受け入れ等が大変注目を集めますが、やはり難民の背景には、紛争ですとか格差ですとか貧困ですとか、大変社会的な大きな背景があるということをしっかり認識しておくことが重要であると思います。

 よって、難民問題に対応するに当たって、難民の受け入れ、もちろんこれも大変重要な課題でありますが、そもそも難民が発生している、こういった背景に対して的確に国際社会が対応していく、こういった問題意識が大変重要なのではないかと思います。

 その中で、我が国がどのような役割を果たしていくかということでありますが、我が国は、我が国の強み、こうした難民が発生する地域に対する人道支援ですとか、社会の安定に資するさまざまな取り組み、あるいはインフラ整備、人材育成、こういった部分にしっかり取り組んでいくのが我が国の果たすべき役割ではないか、それが我が国の強みを生かす難民対策ではないか、こういった認識で取り組んでいると承知をしております。

中川(正)委員 そのとおりだと思うんですね。そこの部分というのは非常に大切なことでありまして、特に資金的に、ここにありますが、一・六億ドルUNHCRに拠出をして、これは第五位だということ。あるいは、邦人職員もかなりUNHCRでは多いんですね、国連機関の中では第四位だというふうな資料が私にも届けられています。

 紛争国に対して社会基盤をどう整えていくか、これは一つですが、難民が逃げていく先、その受け入れをしている各国に対して、これをどう定着させ、あるいはまた、しばらくの間、この人たちの保護に対して日本も関与をしながら援助していくというような政策、これは一つ、日本のあり方としては正しいやり方だというふうに思います。

 ただし、先ほど大臣から出ましたが、では、日本の国内として、この難民に対して、具体的にこれを受け入れる、あるいは受け入れてほしいというUNHCRを中心にした世界のコミュニティーの期待に対して、では何もしなくていいかというと、そうではないんだと思います。

 現状は、以前話が出ましたが、シリアから百五十人、五年間で留学生を受け入れますよという枠組みぐらいで、今、対応策というのはある意味では皆無、ないというような状況が続いているんですが、私は決してそういうことではないというふうに思っています。

 そういう意味合いで、ちょっともう少しこの問題点を深掘りしていきたいというふうに思うんです。

 その中で、日本が具体的に国を開くということで、身近なところで難民問題を考える、あるいは身近なところで難民を受け入れるということで、どういう社会的な構造を変えていかなきゃいけないか、あるいは私たちの意識そのものも変えていかなきゃいけないかという、そんな観点で尋ねていきたいと思います。

 まず、現実からですが、日本の難民の受け入れ体制と、あるいは受け入れの実態というのはどういうことになっていますか。

佐々木政府参考人 御報告いたします。

 平成二十八年の我が国における難民認定申請の状況につきましては、難民認定申請者が一万九百一人、そのうち過去に難民認定申請を行ったことがある申請者は千四百九十七人となっております。

 また、平成二十八年の我が国における受け入れ状況につきましては、難民認定手続により難民と認定した数が二十八人、難民認定手続では難民とは認定しなかったものの、人道上の配慮により在留を認めた数が九十七人となっておりまして、我が国において実質的に庇護を与えた外国人は百二十五人となっております。

 このほか、第三国定住により受け入れた人が十八人となっております。

中川(正)委員 難民認定が二十八人で、人道的配慮を入れても百二十八人ですか、こういう数字なんですが、これはよく世界で、日本に難民問題に対して対応を期待するコミュニティーからは、余りにも閉鎖的じゃないか、日本の今の現状を見たときになぜこういう結果になるのかということがよく疑問視されます。尋ねられます。そこのところをどのように分析をしているか、答えてください。

佐々木政府参考人 お答えします。

 難民認定は、国際的な取り決めであります難民条約等に規定されている難民の定義にのっとり、申請者が難民に該当するか否かを判断するものでありまして、政策的に受け入れ数を増減させるというような性質の手続ではありません。

 現状といたしまして、我が国におきまして、今、国際問題化しております欧州の状況とは異なり、シリア、アフガニスタン、イラクのような大量の難民認定申請者を生じさせる国の出身者からの難民認定申請は極めて少ない状況にございます。

 これに対しまして、難民認定申請によって庇護を求めることが主眼ではなく、我が国での就労機会を得ることや、退去強制による送還を回避することが本来の目的と思われる申請も少なからず見受けられます。

 私ども入国管理局といたしましては、引き続き、難民条約上の難民への該当性の判断、また人道配慮による在留の判断を適正に行い、真に庇護を求める方の迅速かつ確実な保護を図ってまいりたいと考えています。

中川(正)委員 入管で説明させるとこのような説明になるんです。

 ところが、難民の受け入れというのは二つの類型があるんですね。一つは、先ほどのような、自然体で、日本に難民申請を出す人たちに対して審査をしていくという形。もう一つは、先ほどちょっと話が出ました第三国定住のように、こちらから現地に行って、受け入れ枠というのを決めて、その中で日本に再定住の枠をつくっていく、いわゆる積極的難民受け入れ政策といいますか、これは外務省が実は窓口を担当しているんですよね。この二つの類型があります。

 だから、意思を持って日本で受け入れようということであれば、意思を持ってということは国の政策としてこれを受け入れようということであれば、ミャンマーの少数民族でその枠組みをつくったように、第三国定住という形で日本への再定住を進めることができるということ、このことについて、外務省はひとつ、入管のいわゆる申し開きだけを世界に対しての申し開きだということでおさめないで、やはり意思を持って、この問題について日本が国を開く政策というのをつくっていくべきだというふうに私は思っています。

 その上で、実は、こうした枠でつくったものというのは第三国定住だけじゃなくて、インドシナ難民のときも、特別法をつくって一万人からの難民というのを受け入れました。あのときの意思というのは、日本がそうした枠組みをつくったということなんですが。

 私は、今、その第三国定住の状況を見ていて、このままその枠をつくっても、なかなかそれが消化し切れないというか、どうもいわゆる仕組み自体に限界があるというふうに思っているんです。その上で、この第三国定住は拡大をすべきだと私は思っているんです。

 これは、今の内閣の枠組みでいけば、ミャンマーの少数民族を対象にした第三国定住なんです。これを、例えばシリアで、今、学生という形で入ってきています、これは難民の受け入れじゃなくて留学生の枠の拡大なんですよね、そういう形でなくて、第三国定住のような枠組みでやろうと思ったら、一つは、国というものをミャンマーに限らずに、限定せずに、他の国に対してもこの第三国定住が適用できるというような拡大をやろうと思ったらできるということ、これに対して、そういう意思はないかどうか、これをまず確認をしたいということ。

 それからもう一つは、これは、今、RHQ、これはインドシナ難民を受け入れたときにつくった、いわば外務省の天下り法人みたいな形になっているんですが、ここが全て委託をされて、そこの事業としてやっているんですね。

 私も具体的にこの事業に携わった経験からいうと、本来は、地方公共団体、地方自治体が具体的に直接関与していくことによって、難民問題に対する意識、それから、海外のいわゆる情勢に対する意識というのは国民の間にも非常に大きな広がりを持っていくということ。こんなことも考えていくと、必ずしもRHQに丸投げをしてそれを運営するということをしなくとも、あるいは、それをすることによって、そこが邪魔になって地域へ向いての広がりが限られたものになっているという、いわゆる逆の効果になっているような気がするんです。

 そういう思いを持ってこれを見ているんですけれども、具体的にそうした改革も含めて、この第三国定住の枠を広げていく意思はないかどうかということを大臣に改めて質問をしていきたいと思います。

 こっちから、内閣府からいくか。これはどこの担当になるんですか。外務省……(岸田国務大臣「外務省です」と呼ぶ)外務省ですよね。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 シリアの件でございますけれども、第三国定住での受け入れ対象をシリア難民などにも拡大すべきとの点につきましては、まず、委員御指摘になられたとおり、シリア人留学生の受け入れ、これを着実に実施していくことが重要と考えております。

 これを拡大していくか否かにつきましては、国際情勢やそれから人道的な視点等も考えて、あるいは我が国の社会への影響も考慮しながら、国内関係省庁間でしっかりと議論していきたいと考えております。(中川(正)委員「やはり大臣ですね」と呼ぶ)

岸田国務大臣 もう一点、地方とのかかわりについて御質問をいただきました。

 やはり、こうした制度に対する、広く国民の理解を得、そして協力を得るという意味から、幅広く地方の関与ということは重要なのではないかとは、今委員のお話を聞いておりまして感じました。

 ただ、済みません、私自身、今、現状について、地方との関係について、今手元で承知しておりませんので、ちょっと確認した上で、具体的にどうあるべきなのか、改めて考えたいと思います。

中川(正)委員 ぜひ確認をしていただきたいというふうに思います。

 これはUNHCRからもそういう指摘があるし、私自身もこの事業に携わってつくづくそう思いました。外そうと思っていたんですよ、RHQを。

 まず、海外から入ってきた難民に対して日本語の研修だとかあるいはオリエンテーションをRHQがやるんですけれども、このことを東京のど真ん中でやって、その印象を海外から入ってきた難民の人たちが持って、それでそれぞれ就職先を見つけてもらって行く。それはRHQがやっているんだけれども。

 本来は、じかに地方自治体が最初から研修もやって、その地域で定着するという前提でそれぞれ職業を選択していくという形が一番望ましいし、とれるんだけれども、RHQはなかなかこれを手放さない。なぜかというと、予算の関係があるんだと思うんです。これを外して、それぞれのところへ向いて、RHQを通さないで、直でそれぞれの自治体に資金を渡せば、自治体はそれをもって組み立てることができるということ、これは私の実感としてあるので、そういう目で見て、今のRHQというのはどういう状況にあるのかということを一つ確認していただきたいというふうに思います。これが一つです。

 それから、もう一つ確認したい。第三国定住の国の対象ですけれども、今、ミャンマーだけになっています。これを他の国々に、いわゆる汎用的にというか、一つの国ということじゃなくて、どの国でもそうしたニーズを把握しながらコミットをしていくというような、そういう枠組みに変える意思はありませんか。ぜひ変えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 第三国定住による受け入れの対象を拡大するということについては、現在までの受け入れ経験等を踏まえて、関係省庁とも連携しながら適切に判断していきたいと思います。

 ただ、その背景としまして、やはり難民のさらなる受け入れに対する国民的な理解の醸成、これもあわせて不可欠なのではないかと思います。こうした国民の理解の状況も見ながら、ぜひ、どこまで拡大することができるのか、関係省庁で引き続き適切に判断をしていきたい、このように考えます。

中川(正)委員 最後にそこのところを言っておきますが、第三国定住がモデル事業で五年間やった、その後モデル事業が外れて、一般的な事業にしましょうよというときに、その国民的理解ということも含めて、この事業を通じて、それを各地域に醸成していくということ、そのことも大事だねということになってこの事業が延長された、延長というよりも、本格的なものになったという経緯があります。

 同時に、今言ったように、ミャンマーだけに限られているので、これを使い勝手をよくして、そして、それぞれ外交的な戦略も含めてこれを使っていくということ、これは、両方にとって、国民の意識をそこへ向けて持っていくということと、同時に、外務省の海外戦略としてもこれは使えるツールだというふうに思いますので、もう一つしっかりこれに目を向けていただきたいというふうに思います。

 それから、もともと、日本で難民として申請を上げてくる人たち、これが今、一万九百一人ですか、申請者としてあるんですね。再申請ということになると、その分、在留の許可がおりて、申請している間は、そのまま、いわゆる援護費というんですか、手当も出るし、あと、六カ月以降では働けるという枠組みに今なっています。これは国際基準で、そのように日本の中でも国際基準に当てはめた形の対応をしているということ、これは評価をしたいというふうに思うんですが。

 中身を見ていると、再申請あるいは申請をしてきている人たちのもともとのステータスというのが、留学生で日本にやってきて留学生から難民申請で千三百九十九人、技能実習でやってきて技能実習から難民申請をするという形になっていった人たちが千百六人、それから、短期滞在で日本にやってきているということは、観光やなんかでやってきてこの申請をするというのが五千三百九十五人というようなところが重立ったところで申請者としてあるということなんですが、この背景に何があるかということをそろそろ日本のいわゆる入管政策としても考えていかなきゃいけないというふうに思います。

 これは、基本的には、みんな働きに来たいんですよ、日本に。働きに行きたい、だけれども、単純労働では、日本の今の制度としてはこれを受け入れることはしていないということですから、必然的に技能実習でということ、あるいは留学で。留学で来て、大学に行きたい、あるいは日本で本当に勉強したいという人たちもいます、しかしその中には、アルバイトで働けるということであるとすれば、それでもって働きたいんだという人たちも多く見受けられるということ。

 それで、あとは、実は、日系というその枠組みの中で来る人たちもいます。これは、本来は、いわゆる身内に会いに来るとか、あるいは日本に少し滞在して、もともと日本がもとだからというので来る人たちなんですが、その人たちは、しかし目的は出稼ぎということで来る。しかし、出稼ぎということからだんだん滞在が長くなって、恐らく、日本へは定住をしていく人たちが今ふえてきている。その子供たちが次どうするかという課題としてある、そういう日本の国内の現状があるんですね。

 これを見ていると、申請をして来る人たちの人数というのが年々大きく増加をしてきています。恐らく、これからも、さっきのような趣旨というか、日本で難民申請をしていくという人たちの意図といいますか思いというのをしんしゃくすれば、恐らくこれからもふえていくんだろうというふうに思うんです。平成二十四年から平成二十八年まで、例えば二十四年時点では二千五百四十五人だったんですが、それが三千二百六十、五千、七千五百八十六、今一万人を超えてきました。まだまだふえてくるだろうというふうに思います。

 そうした問題点を指摘した上で、海外からこういう日本の状況を見ても、難民だけではなくて、海外の人たちを受け入れる仕組みといいますか、包括的な戦略、それから包括的な政策が、必ずしも正しく理解をされていない。そのもとをつくっているのは、本音と建前が違う、本当は働きに来たいんだけれども、違った名目でみんな受けるというような形になっているというところが、一つ大きな問題点として指摘ができるんだろうというふうに思うんです。

 そういうことを少し考えていただいた上で、外務省が、これをいわゆる国際標準化するというか、改めて、この日本の国の開き方、海外に対する足元の国の開き方を考えていく上で、大臣としては、今の現状を、私が説明したその現状というのを、どのように受けとめていただいて、国際的に見ても、どの方向に持っていくというのが国の形としていいだろうかという考え方を、ひとつ披瀝をしていただければありがたいというふうに思います。

岸田国務大臣 今後の我が国のありようを考える際に、やはり何といっても国民の意識の醸成というものが大事だと考えます。

 そもそも、外国の方々を受け入れるに当たって研修制度というものがあるわけですが、それ以外に、難民もあれば、さらに言うと、さまざまな受け入れの形としては移民というようなものもあるわけですし、そういった、国際的に見ても、外国の方を受け入れる制度というのはいろいろな段階があるわけですが、日本の現状は、今委員の方からも御指摘があったような状況にあります。これを、さまざまなレベル、段階に広げる、あるいは引き上げていく、こういったことを考える際に、やはり何といっても重要なのは国民の意識であり、我が国の社会として、こういった外国の方々をどれだけ自分たちの社会に受け入れる覚悟があるか、そういった意識を持てるか、こういったことが大変重要なのではないかと思います。

 こうした国民の意識の醸成を見ながら、我が国として、外国の方々を受け入れる制度について具体的に考えていく。こうした二つは、やはり並行して考えていくべき課題ではないか、このように考えます。

中川(正)委員 それが政府の公式見解に近いものなんだろうというふうに思います。だから、移民という言葉も使わないし、真っ向からこの問題に対してどう議論するかというのを表に出してこないということだと思うんですね。国民の気持ちがちゃんとした形で醸成されなきゃいけないということが前提にあるよということだと思うんです。

 ところが、現実は、海外から人は入ってきています。恐らく、今の日本の人口構造、あるいは、特に日本が豊かであるということ等々を含めると、これは好き嫌いにかかわらず海外から入ってきます。いろいろな、いわば言いわけみたいな名目はつけていますけれども、実質的には、単純労働も含めて、もう既に日本には二百万人以上の人たちが入ってきている。これはまたまたふえていくという、なし崩し的移民状態に入ってきているということだと思います。

 そのことに対して、私たちはもっとしっかりした意識を持って、この国をどのように開いていくかという議論は、やはり表でしなきゃいけないときに来ているんだというふうに思います。そのことをちょっと指摘をさせていただいて、時間が来たので、終わります。

 一遍注目をしてみてください、この分野。よろしくお願いします。

三ッ矢委員長 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。

 質問の機会をいただきまして、委員長、理事並びに委員の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。

 きょうも、外務大臣と主権の問題について議論をしていきたいと思います。

 まず、拉致問題ですけれども、G7タオルミーナ首脳コミュニケにおいても、北朝鮮に対して、拉致問題の即時解決を求め、人道及び人権に関する国際社会の懸念に対処するように求める旨がG7の総意として盛り込まれました。これは、極めて重いことだと思います。

 この間、おとといか、横田早紀江さんにお会いをしました。本当に申しわけなくて、言葉を失います。四十年以上、拉致をされて時間がたっている。そして、御高齢になられて、この間の国民大集会では、横田滋さんが声を振り絞って皆さんに訴えられました。私たちは、拉致被害者の家族の皆さんがああやって先頭に立って頑張ってくださっている、それにどれぐらい応えられただろうかということを強く反省します。

 五人の方が帰っていただきましたけれども、その後はそのままになっているわけです。元気なお姿をぜひ、早く会わせてほしい、全員の帰還を目指したい、このことをまず申し上げて、資料を、委員長にお許しいただいたので、ごらんください。

 さっき対話と圧力という話がありましたけれども、本当に圧力がきいているのか。前回は資金の面から朝銀について触れました。今回は少しエネルギーの面から触れてみたいと思います。お許しをいただいた資料、お手元にございますでしょうか。

 先ほど新藤先生の質問に対して、五十万トンの石油を中国から北朝鮮に輸入しているんじゃないか、そういう情報に接していると外務大臣はお話しになりましたけれども、きのうの夜中に私に来た資料が今のお手元の資料です。北朝鮮の対外貿易、原油、石炭関連、ごらんになってください。中国、二〇一四年から二〇一六年までゼロ、それから、ロシアも一四年から一六年までゼロ、これは、それぞれ出典が書いてありますけれども、こういう認識で本当にいいのか。違うでしょう。エネルギーのところを、やはり公開をちゃんとして、そして、国際社会が効果ある制裁、エネルギーをとめれば彼らが使っているミサイルのトラックも動かせないわけですから。これほど多くの脅威になっているということについて、私はこういう資料しか出てこなかったということが非常に残念でならないんです。

 ちょっと大臣の御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 北朝鮮に対する物資の輸出については、さまざまな情報があるということを承知しています。

 まずもって、現在の国連の安保理決議によって制限をされているものということで、厳密に申し上げるならば、原油に関しては、航空燃料は制限の中にしっかり入っていたと思いますが、原油そのものは安保理決議の制限には入っていないというのが実情ではあります。

 ですから、今の安保理決議等をしっかり厳格に履行する、これは当然のことですが、それに加えて、さらに圧力を加える上で何が必要なのかということを考えた際に、原油の北朝鮮への輸出というのは大変重要なポイントではないかということで、原油についてさまざまな議論が行われているということであると承知をしています。

 おっしゃるように、実情につきまして、さまざまな情報があり、実態が十分把握できていないという部分については、これは北朝鮮に対して効果的な制裁を行う上でも大変問題であるということは認識を共有いたします。

 ぜひ、国連における北朝鮮制裁委員会等の努力にも貢献していかなければならないと思いますし、我が国独自の措置の実施という点からも、さまざまな情報収集、分析については努力を続けなければならない、このように考えます。

原口委員 今お話のあったような認識は、私、共有するわけですけれども、しかし、私たち国会議員に出される資料がこれでは。これを見たら、ロシアも中国もゼロだと思いますよ。五十万トンはすごい量ですよね、さっき答弁された。

 金正男氏殺害事案に対して、マレーシア政府は、死亡した男性が金正男氏であるということを確認したと発表しています。また、同政府は、遺体からVXが検出されたと発表しています。これは、金正恩総書記の指示がなければできない。まさに、そのVXガスというのは、戦争のときでさえ使ってはならないようなものが、こういうテロに使われた。

 私は、国際社会の中で、厳しくこういったことをマレーシア政府とともに訴えて、やはり、この原油のところをとめないと、幾らTHAADだ何だと守りを固めてみても、もうこれは固体燃料ですからね、固体燃料で動くわけですよ。動いているものから発射されるものをこちらでとめる、莫大なお金をかけてやる、その前に、こういう、原油、エネルギーのことについても、国際社会と共同して強い圧力をかけていく、このことをしっかりと求めたいというふうに思います。

 さて、お手元の次の資料をごらんになってください。これが次のテーマの北方領土の問題です。

 これは、新しいアプローチとおっしゃっていますけれども、この五年間の要人の発言を外務省にまとめていただいたのが、資料の一と、一の二です。これはむちゃくちゃなことを言っていますよ。何と言っているか。

 日本は第二次世界大戦の結果に疑義を呈している唯一の国である、ラブロフ外相。それから、その次のページをごらんになってください。平和条約の後に、二つの南にある島々の、返還ではなく善意のあらわれとしてソ連から日本への引き渡しがあり得ると書かれている、これも同じラブロフ外相。それから、プーチン大統領に至っては、領土問題も全く抱えていないと考えていると。

 こんなむちゃくちゃなことを、今までのロシアのトップは言っていないですよ。イルクーツク宣言あるいは東京宣言に基づいて、領土問題を認めさせた。

 この間、十七回目の、総理がプーチン大統領とお会いになったときの外務省の資料の中に、もう領土問題という言葉自体が消えているんですよ。もうとんでもないことだと。彼らは消したいんですよ、領土問題を認めたから。その認めた歴史を消して、さもなかったかのような発言をずっとしていることに対しては、強く抗議してください。あなたのカウンターパートです、このラブロフという人は。とんでもない発言をこの五年間繰り返していて、それを許しているのが安倍政権であるというふうに私は思いたくない。だから、しっかりと打ち返しをしてほしい。

 また、これは同盟国についても言えます。私、信じられないのは、F35が日本のレーダーに探知されないで日本に飛来をした、それを同盟国の大統領が三十五機と言っている。三十五機も本当に来ているのかどうかわからないけれども、これはGSOMIA違反じゃないですか。日米はお互いに、防衛情報、軍事情報を、包括保護協定を結んで、GSOMIAですね、そういったことは言っちゃいけないと。我が国の空の防衛網がステルスには全く無力であるということを同盟国の大統領が、あれはタイム誌のインタビューだったと思いますけれども、言っている。

 これは抗議したんですか。これは本当に同盟国ですか、この国。私は、今までのアメリカではあり得ないことが起きている。

 では、それに対して我が政府は何をしたのか、お答えください。

岸田国務大臣 まず、二つ御指摘いただきました。

 前半のロシアの部分につきましては、私も、ラブロフ外相と最初に日ロ外相会談を行いましたのは、二〇一三年四月、ロンドンでのことでありました。御指摘のような主張を当時からラブロフ外相は行い、我が国の立場として絶対に受け入れられないという大激論を延々と行ったのを覚えております。

 それ以後も、それぞれの立場を主張し合う大変激しい議論が続いたわけですが、その中にあって、昨年、両国においては、こうした法的な立場、歴史的な解釈においては確かにそれぞれ違いはある、しかしながら、これを続けていては、北方領土問題、平和条約問題、これは解決することはできない、ぜひ未来に向けて新しいアプローチを行おうではないかということになり、その後の議論が進んできたと承知をしております。

 基本的に、平和条約締結問題の中核、これはもう北方領土問題であり、これは領土問題そのものだと認識をしています。平和条約問題、すなわち領土問題を進めることによって、ぜひこうした戦後最大の我が国の外交課題、解決していきたいと思います。

 そして、二点目のアメリカの問題でありますが、これは米国の雑誌のインタビューにおいての発言だと承知をしております。そして、雑誌のインタビューでの発言、雑誌の記事について、さらには米国の運用について、政府としてコメントする立場にはないというのが基本的な対応であります。

 いずれにしましても、米国との間においては、GSOMIAを初め基本的な取り決めに従って、こうした国内法令に従ってしっかり対応をしてもらわなければなりませんし、米国としてそうした対応をしていると我々は認識をしています。そのためにも、引き続きしっかりと両国の間における意思疎通を図っていきたい、このように考えます。

原口委員 いや、驚きましたね。抗議もしていないということがわかりました。アメリカ様には何も言えないのか。とんでもない。ステルスを飛ばして、ほら見ろ、ディテクトもできなかったと。傲慢そのものじゃないですか。私は絶対に許せないということを、この公の場で言っておきます。

 さて、もう一つ、普天間移設問題に関するアメリカ側からの説明ということについて、ずっとこの委員会でも、あるいは予算委員会でも追及をしてきました。六十五海里問題ということを言う人もいますが、きょうも資料をお手元に配付させていただいています。

 内閣府、それから外務省、これは事務方で結構ですから、総理あるいは外務大臣、そういった人に説明をした文書、これは行政文書ですね。

三ッ矢委員長 内閣府……(原口委員「外務省です」と呼ぶ)

 誰が答えますか。

 森北米局長。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、御指摘のような文書がすべからく行政文書に当たるかどうかということについては、まずその行政文書の定義に照らして、個別の文書を検討する必要があるというふうに考えております。

原口委員 いや、驚きました。冗談じゃないでしょう。

 だって、こうやって、例えば岸田外務大臣に皆さんが説明した文書が、それぞれの定義に照らして個別に当たらないとわからぬということですか。それは本当に公式の答弁ですか。後で答弁修正とか言いなさんなよ。

 それで、この資料の二、これは結局なかった文書だということですから。きょうは特定秘密保護法の担当にも来てもらっています。これは特定秘密ですか。

田中政府参考人 お尋ねの文書につきましては、外務省及び防衛省におきまして、特定秘密を記録する文書として取り扱われているとは承知しておりません。

原口委員 ありがとうございます。

 これだけが懸念だったんです。これが特定秘密であったり、あるいは先ほどのGSOMIAの対象であったら、ここで取り上げるということをやめようと思っていました。

 ただ、何でこうやって取り上げるかというと、大臣、外務省がこの問題については当時の鳩山総理にうその説明をしていたのではないか。告訴状も出ています。そして、受理をされています。その問題について、外務省は監察をするんだということを私は承知している。では、外務省が監察をしているのであれば、私たち国会としても、政権を揺るがすようなうそをついた人が誰なのか、あるいは、ここに書いてあることが事実でないということを証明しなきゃいけないと思って、ここで質問しているわけです。

 監察、どうなりましたか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省が昨年二月に行いました確認作業は、いわゆる外務省内の訓令に基づく監察や調査ではないものでございます。

原口委員 ちょっとよく聞こえなかったんですが、訓令何とかに基づく監察ではない、つまり、監察はやっていないということですか。

 あなた方、官房長が監察官でしょう。官房長が監察をやると私たちに言ったじゃないですか。やっていないんですか。恐ろしいですね。

 ということは、あなた方のまたうそに基づいて、僕は国会でこの二年間質問してきたということになるんですか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほどの訓令でございますが、これは監察及び査察に関する訓令でございまして、外務省の訓令でございますが、これは、本省の事務あるいは在外公館の事務が適切かつ効率的に行われているかどうかをチェックする監察査察の一環ですが、その中に調査というものがあります。

 今回のお尋ねの件につきましては、監察査察官組織を含めて外務省として既に必要な確認作業は行いましたけれども、当時の関係者の職務遂行について不適切な行為があったとは認識をしておらず、監察そのものを行う必要はないと考えているところでございます。

原口委員 外務大臣、僕は本当に恐ろしいわ。監察をやりますと監察官が言って、そして監察がどうなったか。それは私も、この間病気をしていますから、けがをしているから、しょっちゅう国会には来られなかった。だけれども、こうやって復帰して、いつの間にか、監察をやると言っていたのが確認作業、そしてうやむやになっている。本当にこんなのでいいんですか、外務大臣。

岸田国務大臣 監察を行うということについての外務省の発言につきましては、いま一度確認をしてみたいと思います。

 そして、実際行っているのは、今答弁させていただいたとおりであります。

 過去の答弁と実際に行っていたことが整合的であるのかどうか、これはいま一度確認したいと思います。

原口委員 私もそれを確認するために質問しているんです。

 それで、ない文書、ちょっと二の資料、これもなかったと言っていますから、特定秘密でも何でもないので、二の文書の指定期間、これは平成二十七年四月十八日、つまり五年間の指定期間を、このなかった文書では指定しているんですね。

 指定事由の五―3がありますね。これは一般論で結構ですから、五―3は、外務省が整理をするときのいわゆる指定事由は、これは何を意味するんですか。一般論で結構です。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますれば、外務省の旧秘密保全に関する規則の運用細則においては、文書の秘密区分の根拠を示すため、指定事由欄に、根拠となる不開示情報のいずれかを明記することとされております。

 そして、今申し上げました不開示情報とは、情報公開法第五条各号に規定されております不開示情報を指しており、五―3は、同法第五条第三号の、国の安全等に関する情報を意味しておるところでございます。

原口委員 そうですね。

 資料三をごらんになってください。普天間移設問題に関する米側からの説明ということで、極秘のスタンプがあって、一5部のうち一号、指定期間が平成二十七年四月十九日まで、指定事由が五―3、つまり国家の安全に関する極めて重要な情報。この国家の安全に対する極めて重要な情報を、うそを言って総理を惑わしているのではないかという疑惑なんです。

 そこで、さらに聞きますけれども、資料二をごらんください。二の中身に入っていきます。

 きょう私はこの理事会に、船越外務省日米安保条約課長、芹沢防衛省日米防衛協力課長。前回の委員会で、答弁で、このお二人がそのときの文書管理責任者であるということがわかりました。ですから、この文書がまさに行政文書でなかったのか、文書管理責任者がこの出席者そのものだったから、それぞれの人に確認をするために参考人としてお越しくださいということになっていますけれども、まだこの委員会には合意がとれていない。

 その前提のもとで聞きます。

 具体的な中身です。(1)のところ、「「六十五海里」は、回転翼航空部隊の拠点と同部隊が恒常的に訓練を行うための拠点との間の距離に関する基準であり、米軍のマニュアルに明記されている。念のためこの基準を超える例があるか調べたが、全世界的になく、最も距離のある例でも三十五海里(約六十五キロメートル)である。」

 これ、うそでしょう。アメリカのカリフォルニアには、九十五海里離れている、そういう訓練施設があるじゃないですか。ここでもやはりうそを言っているんですね。

 この文書とは離れて、六十五海里以上離れては訓練というのはできないのか、そのように認識して今沖縄の負担軽減をしているのか、事実についてお答えください。

森(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、文書の存在とは切り離して一般論として申し上げますけれども、海兵隊の航空部隊が、支援、連携する陸上部隊から一定の距離以上に離れると運用に支障を来すということについて、私どもも米側から説明を受けているところでございます。

 他方、その一定の距離というのがどの程度なのかといったことを含めまして、それ以上の詳細については、米政府は、米軍の運用に関するものであるということで対外的に明らかにしていないというふうに承知しております。

原口委員 いや、本当に全く答えていないですね。

 アメリカには九十五海里以上離れた拠点がある、それは明らかになっています。だから、ここで言っているこの中身も、うそをついているではないかと、私は疑問です。

 では、聞き方を変えます。

 今、安倍政権は、米軍普天間基地、特に沖縄の米軍施設の負担軽減のために訓練移転についても積極的にやっていますね。それは、本土、九州、あるいは四国、そういったところにも訓練移転ということを考えていますか。そういう訓練移転は今やっていますか。

森(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、沖縄の負担軽減という観点から、訓練移転に政府としても米側とともに取り組んでおりまして、回転翼航空部隊につきましても、訓練を本土の訓練場にて行うということについて協力をいたしているところでございます。(原口委員「済みません、委員長、聞こえませんでした」と呼ぶ)

三ッ矢委員長 もう一度、はっきり答弁してください。

森(健)政府参考人 はい、恐縮です。

 御指摘のとおり、沖縄の負担軽減という観点から、日本政府といたしまして、米側と連携しつつ、特に回転翼機、オスプレイなどの訓練を本土の訓練場で行うということについて協力をしているところでございます。

原口委員 外務大臣、今お聞きになりましたでしょう。これは平成二十二年ですから、オスプレイ云々の時期でないというふうに逃げることはできないんですよ。

 ここに何て書いてあるかというと、(6)のところをごらんください。仮に「オスプレイに代替された場合でも、ヘリ部隊は、通常の場合、」云々と。つまり、最も速度の遅いヘリに合わせる必要があるので、オスプレイが導入されたところでこの距離の制限というのは変わらない、そういう説明をして、鳩山総理は徳之島等への移転を断念するわけです。これの状況は変わっていないんです。だって、もう当時も米軍はオスプレイを持っていますから。だから、完璧に矛盾していますよね。

 大臣、これは監察を本気でやってくださいませんか。

 僕は、この文書が、鳩山総理から疑問が投げかけられたときに、こう答えていたら追及しません。これはGSOMIAの対象であり、あるいは極秘のことであるから、確かにこういう説明はしたんだけれども、それは極秘ということで理解をしてくださいと言うんだったらわかる。

 だけれども、あなたが持っているこの文書はありません、確認できません、だからこんな事実もありません、そう言われてしまえば、私たちは、それぞれの時の政策判断を、これは自民党さんであろうが、私たち民主党のときであろうが、検証できないんですよ。これは、国家の安全の極めて大事な部分について、こういううそを総理に言って、そして惑わしたんじゃないのかとさえ思うわけです。

 私は、むしろ逆じゃないかとも思っているんです。本当は訓練移転とか言いながら、ここに書いてあることが本当であって、そんな遠くまで移転できないんですよ。それはそうでしょう、地上部隊と一体とならなきゃいけないから。地上部隊がそんな遠くまで行けば、ここに書いてあるように、海の上、陸地のないところを飛ぶストレスとか、そういったもので嫌がるというのは想像できます。

 だから、外務大臣、さっき、確認していると。私、きのう、もう腰を抜かしたんですよ。この二年間、監察をやっているだろうと思って聞いてきたことが、単なる確認作業だった、そして誰に当たったかも言わぬ。監察をやっていただけませんか。

岸田国務大臣 まず、ちょっと整理をしておかなければならないと思いますのは、米海兵隊が機動性、即応性といった特性を維持していくためには、陸上部隊、航空部隊、後方支援部隊等が相互に近傍に配備され、平素から合同で効率的、効果的に訓練を実施する、こういった必要があるということは指摘をされています。

 こういった配備についてのありようについての指摘はあるわけですが、このことは、航空部隊が一時的に沖縄県外で各種の訓練等に参加する、このことを否定するものではないということです。

 ですから、基本的な配備の問題と、一時的な部隊の県外での訓練を行う、このことはまず整理して議論しなければならないと思います。

 その上で、この文書については、従来から申し上げているように確認をできなかったわけですが、委員の先ほど御指摘になられました、監察に関する過去の外務省の答弁と外務省の対応が整合的なのかどうかについてはいま一度確認をしたいと思います。

原口委員 これは答弁でやったわけじゃないんですよ。監察をしますと私たちに答えた監察官、監察官は官房長です、外務大臣。官房長に確認をしていただけませんでしょうか。そして、その結果を当委員会に御報告いただけませんでしょうか。

 ぜひそのことをお願いし、また、南スーダンの自衛隊の日報についての特別防衛監察、これはまだ、国会がもう閉じようとしているにもかかわらず出てきていないというふうに考えます。

 今回、国連人権理事会特別報告書についても触れる予定でしたけれども、その監察のところについての、官房長と調査をして、委員長並びにこの理事会に御報告いただけるかどうか、それだけ聞いて質問を終わります。

岸田国務大臣 まず、確認ですが、監察を行うのは外務省の監察査察官であります。これは官房長とは別の存在であります。そういった制度でありますが、いずれにせよ、先ほど申し上げました過去の外務省の説明と対応について整合的なのかどうかについては確認をしたいと思います。

原口委員 終わります。ありがとうございます。

三ッ矢委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 引き続き質問をいたします。

 まず冒頭に、南スーダン派遣の際の日報の問題でございます。

 昨日と一昨日、フジテレビの「FNNスピーク」という番組の中で、実は、この日報の問題、新たな事実がわかりましたという報道が二日続けてなされました。

 見ていない方のために申し上げますと、南スーダン、昨年の七月に首都ジュバでの状況が極めて悪化したときに、その直後に日報の情報公開請求があった、この情報公開請求を受けていろいろとCRFと現地の間で調整をした、CRFというのは中央即応集団でございますけれども、その結果、これは公開すべきでないということで、いろいろと組織的な隠蔽が行われたのだということが報じられました。

 その点については後ほどちょっと申し上げますけれども、この報道について事実かどうか、まず防衛省に伺います。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道については承知しておりますが、今回私どもが行っております特別監察につきましては、三月十五日に陸上自衛隊が日報を保管していたとのNHKの報道を受けまして、防衛大臣の責任のもと、陸上自衛隊から離れた、独立性の高い立場から徹底した調査を行うことが重要であるということから、防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示し、三月十七日から監察を実施しているところでございます。

 この特別防衛監察の計画におきましては、本件日報の開示決定に至るまでの一連の経緯についての事実関係についての調査を行うこととなっておるところでございます。

 現在、防衛監察本部が、多くの関係者の聞き取り、さまざまな書類の確認等を行いまして、徹底的な事実関係の解明に向けて調査を行っているところでございますが、委員御指摘の点も含め、各種報道を受けた形での、その逐一の過程について調査の状況を申し上げることは差し控えたいというふうに考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、大臣の指示のもとで監察本部が今回の日報に関する事実関係について徹底的に調査を行いまして、その結果、改善すべき点があれば徹底して取り組むこととしている次第でございます。

渡辺(周)委員 大体予想どおりの答えなんですね。これはもう、多分そう言うだろうと思っておりました。

 では、ちょっと個別具体的に伺います。

 七月に請求があったというのは、これは事実ですね。

豊田政府参考人 ただいま御説明申し上げましたように、特別防衛監察計画におきましては、本件日報の開示決定に至るまでの一連の経緯についての事実関係について調査することとしております。

 現在、防衛監察本部による特別防衛監察が行われておりますので、報道を受けた形でその内容の逐一について申し上げることは差し控えたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 防衛監察が行われているからといって、そうやってこのままずっと答弁を繰り返されるつもりなんですか。

 七月に請求があったのは事実かということを聞いているんです。といいますのは、この情報公開請求をした方は、その旨について、これはあるジャーナリストですけれども、ツイッターで言っているんですよね。だから、それはもう答えていいんじゃないですか。ありましたか、なかったですかという話。

 つまり、この議論というのは、十月以降の話じゃなくて、その前の、出された段階で、そこから議論をスタートしないと、今度の組織的隠蔽という話についてはその土台が変わってきてしまうんですね。ですから、それは七月にあった、事実ですね。いかがですか。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 この特別防衛監察につきましては、繰り返しになりますが、本件日報の開示決定に至るまでの一連の経緯についての事実関係について調査をすることとしているわけでございます。そのために必要な調査の範囲につきましては、防衛監察本部において適切に判断されるものと考えている次第でございます。

渡辺(周)委員 報道では、中央即応集団の担当者が情報公開請求を受理した、それによって手続を進める中で、報道も含めて私に寄せられた情報も含めて今申し上げますが、中央即応集団の幹部が、日報は行政文書ではないから確認しろと指導した。担当者が、この担当者というのは情報公開の担当者と思いますけれども、そう言われました。中央即応集団の幹部に聞いたら、行政文書じゃないから確認しろと言われて、相談したら、日報は、当初は開示すべき文書だと。日報を含めた幾つかの文書を公開するための決裁を改めてこの担当者がCRFの幹部に申し出たということなんです。

 結果的にこの担当者は板挟みに遭っているわけですけれども、その際、ここは報道もされておりますけれども、八月になりまして、そもそも日報は行政文書の体をなしていないから出す必要はないだろう、ばか正直に出せばいいというものじゃないというようなことで、叱責をされたと報道された。

 多分お答えは同じかと思いますけれども、私の言っていることがそうなのかそうでないのか、イエスかノーか。

 もう一つ。もしこのことが否定されるのであれば、フジテレビに対して、れっきとした報道機関に対して、このような事実があるかないかということについて何らかの抗議なりはすべきだと思いますね、報道が間違っていたならば。抗議をしていないということならば、否定はできないということだと思いますけれども、いかがですか。

豊田政府参考人 繰り返しになりますが、現在、防衛監察本部が徹底的な事実関係の解明に向けて調査をしている状況にございます。このため、報道の逐一についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 報道機関等に対する対応につきましても、防衛監察本部の監察に支障のないよう、適切に対応してまいりたいというふうに思います。

渡辺(周)委員 もうそういう答えで通されるんでしょうけれども、私は知っている限りのことをあえて申し上げまして、議事録に残しますよ。

 ばか正直に出せばいいというものじゃないと言われて、また板挟みに遭ったCRFの担当者の方は、今度は陸幕に対して、日報は個人資料として保有しているんだけれども行政文書ではないので開示の対象外だということを説明したら、陸幕側も、そういうことならしようがないなということで、要はあうんの呼吸なのか、当初は開示の対象と判断をしていた日報を、最終的にはCRFとそして陸幕の間で、開示しなくていいということが決まったわけでございます。

 当然、ばか正直に出してしまえば南スーダンの状況が悪化したということを認めることになるから隠蔽したのだろうというふうに判断をされるわけでございます。

 CRF側の、非公開にすべきという説明を受け入れて非公開としたわけなんですが、フジテレビの報道によりますと、実は、日報は、その後、これが決定してから、用済み後に破棄をする、注意、閲覧者限定、注記を明記するように指示が出されたということでございます。それまでは破棄の対象ではなかったんではないかということでございます。

 そうすると、今まで、三月の安全保障委員会で、我が党の議員も重ねて稲田防衛大臣に対して、当時のわかり得る限りのことで、NHKの報道があった、それを受けて質問が行われました。私も議事録を読みましたけれども。そうしますと、実は、もう前提から変わってくるんじゃないかということでございますけれども、その点についていかがですか。

 同じ答えでしょうが、辰己さん、あなた、本当は知っていたんじゃないですか。あなたも一員じゃないんですか。あなたもその意思決定をする間にいらっしゃったんじゃないんですか。そして、当然、上司にも相談をして、このような決定になったということを御判断されたうちのお一人ではないんですか。いかがですか。

辰己政府参考人 現在、この問題については、今、官房長から申し上げたとおり、防衛監察本部で調査をしている、一連のことについて調査をしております。

 一方で、統幕のことについて申し上げれば、統幕について十二月の開示請求、これの決定の段階において、十一月の段階において、統幕の方に意見照会が来ていたということは公表しておりまして、その段階においては、意見なしということで、担当者の判断として公表しているということでございます。

 いずれにせよ、この開示決定に至るまでの一連の経緯については、今、監察本部において監察が行われていることで、その逐一について申し上げることは差し控えたいと思っています。

渡辺(周)委員 うんざりするほど同じ答弁ばかりなんですけれども。

 それでは、今の監察、いつ答えが出るんですか。三月の安保委員会の中で、稲田大臣は、我が党の今井議員の指摘に対して、「中間報告等、そういった形での報告も含め、」「検討しつつ、できるだけ早く結果の報告を求めたい」。今、逐次、進捗状況については、大臣初め三役に上がっているんですか。あるいは何合目まで来ているんですか。その点についてはいかがですか。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 国会に対して責任を持って説明を行うことは、国民から防衛省・自衛隊への信頼という観点からも当然でございまして、極めて重要な点というふうに認識しております。

 他方、調査の過程でその断片的な内容等を対外的に明らかにすることは、監察そのものに支障を来すおそれがあると考えております。

 また、防衛監察本部が独立した立場から厳正かつ公正な調査を行うことが重要でございまして、現時点で監察結果の公表時期を設定するといったことは、監察そのものに支障を来すおそれがあるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、国会での御議論も踏まえまして、大臣から防衛監察本部に対しまして、できるだけ早く監察結果を報告するよう、指示をしているところでございます。

 正確かつ公平な調査の実施の観点も重要でございますので、それらの点も踏まえ、報告のあり方を適宜適切に検討しているところでございます。

渡辺(周)委員 いや、大臣が、中間報告も含めて検討したいと言ったんですね、三月の時点で。ですから、これは、大臣に対して、今、状況はこうです、あるいは三役に対して、こうです、今、何合目ですかと聞いたら、数量的に六合目とか七合目とか、なかなかこれは言えないまでも、大体これぐらいまで来ているというような話は政務には伝わっているんですか。いかがですか。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 特別防衛監察につきましては、先ほど申し上げましたように、三月十七日に大臣が計画を承認し、監察が実施されているところでございます。

 政務三役のお立場としましては、防衛監察本部からしかるべくその状況などについて報告を受ける立場にあるわけでございますけれども、特別防衛監察を実施している途中でございますので、その具体的な内容についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 いや、内容を聞いているんじゃないですよ。進捗状況を聞いているんです。

 何でこれを言うかといいますと、ある程度、今回のフジテレビでも、その前の三月のNHKもそうですけれども、相当な情報が寄せられているし、私も含めまして、内部の話を情報として聞くこともある。ということは、ある程度もう聞き取りはできるわけですね、時間をかけなくても。

 これは、国会が終わるまで待っているんじゃないですか。つまり、この監察結果が国会開会中に出てしまうと、あるいは中間報告でも出されてしまうと、また国会で追及される。だから、国会が終わった時期あたりを狙って出してくるのかというふうに思いもするわけなんです。

 ですから、その中間報告も含めて、この辺まで今進んでいますということは、政務に伝えているんですか。それとも、政務から要求はされていますか。大臣なり、ところで今どうなっているんだということについて問い合わせが来て、答えているのか。中身なんか聞いていないです。そこはどうなんですか。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、国会での御議論も踏まえまして、大臣から防衛監察本部に対しまして、できるだけ早く監察結果を報告するよう、既に指示が出ているところでございます。

 また、政務三役のお立場からしますと、防衛監察本部からしかるべく監察の状況などについて報告を受ける立場にありますが、その進捗状況等も含めまして、具体的なことについてこの場でお答えすることは差し控えたいと考えております。

渡辺(周)委員 中身を聞いていないし、我々に答えろと言っているんじゃなくて、シビリアンコントロールの問題ですからね。このまさに報道が最後締めているように、こうした経緯は大臣などに報告されず陸自の一部が独断で行っていた、防衛省ではこれが日報隠しの発端になったと見て全容解明を急いでいるというわけでございます。

 ですから、今、監察のさなかだから、ここでしゃべれとは言っていません。つまり、大臣などにこれまで報告されなかったことが、今回は、進捗状況について、あるいは、これぐらいまでいっていますということだけは、もう一回再度聞きますよ、報告しているのか、もしくは、求めに応じて答えているのか、それはあるかないかと聞いているんです。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、政務三役は、防衛監察本部からしかるべくその状況などについて報告を受ける立場にございますけれども、特別防衛監察についての実施状況等々、その具体的な内容についてお答えすることは差し控えたいと思います。

渡辺(周)委員 もう時間がもったいないので、このことはまた改めての、どこかの委員会か何か公の場でもう一回、私のみならず同僚議員も含めてこの防衛省の。

 私も副大臣をしていましたから、何よりも南スーダンにPKOを派遣したときの政権、私、羽田空港まで見送りに行った人間ですから、今回の一連のことについては大変ほっとしているわけですよ、帰ってこられた、無事で帰ってきた。しかし、今回の日報のことを含めて、不信感を持たれるようなことが、あるいはシビリアンコントロールが損ねられるようなことがあったら、今後の防衛省の国際協力という場において国民の理解が得られないのではないかと思うからこそ、あえて聞いているわけでございます。一緒に仕事をしている方々に対して、あえてきついことを申し上げたのはそういう意味なんです。

 ちょっと、このことはまた改めてやります。残りの十分の時間の中で別の質問をしなきゃいけませんから、大変残念ですが。

 さっきのような答弁を繰り返して、これは三月も同じ答弁しているんですよ、安保委員会で。それで、結局今も同じ答弁。つまり、監察を隠れみのにして、同じことを繰り返して、ずっと時間切れを待っている。しまいには国会が閉じてしまう。国会が閉じてしまえば、忘れたころに、何かこの監察結果が出てくるんじゃないか。

 ですから、中間報告を出せ、出すべきだということについては、私、大臣にもどこかで申し上げますので、ぜひその点についてはシビリアンコントロールを徹底するように、省内で共有していただきたいと思うんです。

 さて、もう時間がありません。ちょっと大事な質問をします。

 外務省にちょっと伺います。ロシアにおける北朝鮮の労働者の実態についてなんですけれども。G7で、イタリアのサミットで、圧力強化ということを我が国が主導した。北朝鮮は新たな脅威、国際的な協調で圧力強化をしていくために連携するべきだと言っています。

 そこで懸念するのは、北朝鮮とロシアが今大変密接な関係、北朝鮮の外貨の獲得手段というのは、これはいろいろございますけれども、労働者の輸出なんです。労働者を世界に輸出して、そしてそこで、出稼ぎ労働者から、要は本国にお金を送金させている。これが外貨の獲得の有力な手段になっているんですけれども、今ロシアに北朝鮮の労働者はどれぐらいいるのか、外務省は把握していますでしょうか。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 ロシア連邦国家統計局によりますと、ロシア全土におきまして、労働許可を受けて働く北朝鮮労働者の数は、二〇一六年第二・四半期の時点で、約一万一千人であったというふうに承知をしております。

渡辺(周)委員 ロシア全土で、労働ビザをとって働いている人間が一万一千人いると。そのことをひとつデータとして、今、最初、ベースで話を始めますけれども、それでは、北方四島に北朝鮮の労働者がいるということは、外務省は把握していますか。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 北方四島につきましては我が国固有の領土でございまして、ロシアが北方四島において外国人の就労を認めることなどは我が国の立場と相入れないところでございますけれども、その上で申し上げれば、一定数の北朝鮮労働者が北方四島に滞在しているとの公開情報などはあるというふうに承知をしております。

渡辺(周)委員 これは、「北方領土の謎」という本を出されている名越さんという大学の先生が本の中でも書かれていますし、地元紙、北方四島で出されている新聞があるんですけれども、それの中から引用して、北朝鮮の労働者が北方四島にもいると。

 まさに、我が国の立場としては、北方領土における外国人就労は、日本としては認めていません。ロシアの就労ビザが発行されて、実効支配をそれは追認することになる。この政府の方針は変わりないと思いますけれども、外国人労働者が北方四島で働いていることは、これは認められない。

 その点については、今後の日ロ経済協力、新たなアプローチによって今後北方問題を解決しようという昨年の十二月の安倍・プーチン合意によって、今後、外国人労働者がいるということについて、経済協力、これは行ってはならないと思うんですけれども、その認識はいかがなんでしょう、大臣。

岸田国務大臣 言うまでもなく、北方四島は我が国固有の領土であります。したがって、外国人がロシアの査証を取得して北方四島に入域すること、あるいはロシアが北方四島における外国人に就労査証を発行したり、これを得て外国人が北方四島で就労することは、北方領土問題に関する我が国の立場と相入れるものではありません。

 そして、四島における共同経済活動ですが、これは、確認されているとおり、我が国の法的立場を害さない、これが大前提でありますので、共同経済活動において、労働者等の問題において我が国の法的な立場を害することは決してあってはならないと考えます。

渡辺(周)委員 いや、そのとおりなんですよね。考えているけれども、先ほど原口委員もおっしゃいましたけれども、北方四島の認識というのはむちゃくちゃだ、とても返すような気があるとは思えない、新たなアプローチと言って、日本だけが結果的には夢を見て協力をして、でも結果的には向こうは実効支配をこれまで強めてきた、この現実の中で、実際、我が国は今後、日ロの経済協力を官民において進めていくということがこれから進んでいくわけなんです。

 ですから、まず北方四島における外国人労働者、北朝鮮のみならず、中国であろうと韓国であろうとこれは許されない、その点については、まず申し上げたいのは、ロシア側には伝えているんでしょうか。

 もっと言いますと、ロシア全土において就労ビザを、公的な統計によると先ほど一万一千人という話がありました。今後、北方四島以外の極東でも、極東地域あるいはウラジオストク含めて、都市計画等々、経済協力していくことは合意していますけれども、その条件として北朝鮮の労働者を排除するということは、これは最低限というよりも、まずやらなければいけないことだと思いますけれども、いかがですか。

 なぜなら、これはサミットで、一層の圧力強化で連携すると言ったわけですね、この北朝鮮の新たな脅威、もうこれは新しい段階なんだ、国際的に最優先事項だと言っているわけです。

 ここで、片っ方で経済制裁も含めて圧力強化をすると言いながら、日本がロシアと官民共同で経済協力をすればするほど、そこに派遣されている北朝鮮の労働者の懐が潤って、イコール外貨獲得のために、もっと言えばミサイル開発や核開発のために日本が実は間接的にお金を出していることになってしまいませんか。二重基準になってしまいますけれども。

 この日ロの官民における経済協力において北朝鮮の労働力を排除する、それはロシア側に、今後経済協力を進めていく上で確約させるべきだと思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 昨年十二月の日ロ首脳会談後の声明において、四島における共同経済活動については、我が国の法的立場を害さないということ、これは明記をされています。我が国の法的立場を害さないというのが大前提としてあり、その上で共同経済活動を行うということであります。我が国の法的立場を害さない、これは、北朝鮮を初め第三国の労働者の扱いにおいても当然のことであると認識をいたします。

 そして、こうした考え方に基づいて、たしかきょうから、官民の調査団がサハリンに出発をいたしました。そしてその後、現地での調査団も派遣されることになります。

 こうした実態をしっかり確認した上で、我が国の法的立場を害さないというこの我が国の立場をしっかり確保するべく努力をしていきたい、このように考えます。

渡辺(周)委員 いや、議論をイタリアでリードして、それで北朝鮮に対して圧力を強化すると言っている。だから、きょうこれから官民の共同のチームが行くというから、あえて質問しているんですよ。

 つまり、法的立場を害さないということは、北朝鮮の制裁の抜け穴になることはない、つまり彼らに外貨を稼がせることはないということを共有しているのかどうか。進出しようとしている邦人企業あるいはロシアの州政府というのが、北朝鮮側とそれぞれ交渉して協定を結んで、外国人労働者を受け入れる、いわゆる北朝鮮労働者を受け入れるということでございます。それを外交ルートだけで徹底させるのですか。それを確認とってください。

 二〇一三年、ロシアの極東と北朝鮮が鉄道でつながったんです。今度、羅先というところとウラジオストクというところで万景峰号が航路を開設して、ますます結びつきが強くなる。つまり、今、中国は、国際社会の圧力を受けて、北朝鮮に対してやや距離を置くのかどうなのか。そうすると、北朝鮮は今度はロシアに頼るわけなんです。そのロシアと日本が密接に経済協力をして、官民で経済協力をすればするほど、実は、国際社会で包囲すべき北朝鮮、日本が主導してそこまで言ったのに、結果的には、ロシアの経済協力を通して、事業を通して北朝鮮に外貨が入ることになってしまう。

 繰り返しますが、今後官民の経済協力を進めていく上で、日本政府として、とにかくそれは約束するよ、担保する、北朝鮮の外貨獲得に利するようなことはないということは徹底しますか。

岸田国務大臣 まず、整理しますと、北方四島の共同経済活動において、我が国の法的な立場は絶対に害することはあってはならない、こういった観点から、北朝鮮の労働者のありようについてもしっかり対応いたします。

 一方で、北朝鮮に対する圧力ということにおいて、北朝鮮から派遣される労働者が本国に送る外貨に制限を加えるというのは大変重要な課題であると認識をされ、議論が行われています。

 安保理決議の中においては、北朝鮮が核及び弾道ミサイルの計画のために使用する外貨を得る目的で、北朝鮮籍の労働者が他国で働くために派遣されていることに懸念を表明するとともに、国連加盟国にこのような情勢に対する監視を要請している。

 これが国連安保理決議の内容でありますが、これとの関係において、北朝鮮の労働者についてしっかりと注視していくことがまず第一でありますが、それに加えて、北朝鮮に対する圧力を考える際に、北朝鮮の労働者のありようについては、国際社会と連携しながらしっかりと注視をしていきたい、このように考えます。

渡辺(周)委員 もう最後にしますけれども、注視じゃないんですよ、努力でもないんですよ。

 とにかく、これは北方領土に限らず、樺太、サハリンでも、あるいはウラジオストクでも、ロシア全土の中で、日本が官民挙げて経済協力をする。例えばウラジオストクにおける都市開発も、日ロの協力事項の一つになっています。

 だから、そこでやる以上は、日本のお金を使って、あるいは民間のお金もそうですけれども、出してやる以上は、相手国に対して、北朝鮮の労働者を使うような企業とは一緒にやらない、あるいは北朝鮮の労働者に外貨を稼がせるようなことに我々は協力できない、そもそもそれが条件だと言うことをできますかと言っているんです。

 北方領土はもちろんです。それ以外についてはどうなんですか。やりますか、やりませんか。そうしなければ整合性がとれないじゃないですか。いかがですか、大臣。そこだけ答えて、終わりにします。

岸田国務大臣 四島の経済共同活動については、先ほど申し上げたとおりであります。

 そして、国際社会全体における北朝鮮の労働者に関しては、安保理決議は先ほど申し上げたとおりの内容になっています、これは間違いなく遵守しなければならないわけですが、それに加えて、北朝鮮に対する圧力ということでどうあるべきなのか、こういった議論が続いています。その中にあって、北朝鮮に対する圧力を強化するということを考えた際に、労働者のありようというのは大変重要な課題であると認識をいたします。

 具体的にどう圧力を強めるかということについては引き続き国際社会としても検討しなければなりませんし、我が国の措置としてどうあるべきかということについても検討を続けていきたいと思います。

渡辺(周)委員 終わります。

三ッ矢委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 民進党の小熊慎司です。

 今国会のこの外務委員会の議論の深まりは先ほど新藤筆頭理事の質問の中でもありました。我々議員が外交に果たすべき役割といったものも、過日も議員外交について質問させていただき、委員長から大変いい答弁をいただいたところでありますけれども。過去にもこの外務委員会での提案があったということを委員長からもお聞きして、全会派が提案しているのに衆議院で、国会で決まらなかった、なぜなんだろうというところがありますが、ちょっと時間がないので。

 委員会での海外とのかかわり、また政党間、また有志、あと個人でも議員外交というのがあって、この間の外務委員会でもそこは外務省においても評価をいただいたところでありますので。ただ、いろいろな委員会や政党における議員外交もいろいろありますけれども、個人で行った場合、さはさりながら在外公館の外務省の皆さんにも大変お世話になるわけでありますけれども、とはいえ、やはり公私混同は避けなければなりません。

 議員外交はより柔軟に活発に行われるべきだというふうには思っています。ただ、公私混同を避けるためにも、個人で行った場合、どの程度在外公館において便宜供与が図られるのか、どの辺がラインなのかということを、改めてちょっと確認したいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 在外公館は、公共性を有する用務で海外に渡航される方々に対し、かかる用務との関係で便宜供与を行っております。

 国際情勢の急激な変化及びグローバル化の進展などにより我が国が直面する外交上の課題及び関係性が多様化する中で、我が国の外交の一翼を担われる議員外交が果たされる役割は一層高まってきておられます。このような状況でございますので、政府としても、在外公館による便宜供与を通じて、戦略的な議員外交を展開されようとされます国会議員の皆様をできる限りお手伝いしていきたいと考えております。

小熊委員 昨年、この国会では、衆議院で二十二回、参議院では九回、海外へ行っていますが、他国と安直に比べられるわけはないんですけれども、アメリカでは百八十回です、議会では。英国では六十三回です。それに比べて我が国はやはり少ないということで、これは公式にしっかりと委員会においても海外調査をもっと活発にやっていかなければいけませんが、限られた予算ですから、一朝一夕には変わらないんですけれども、そういう意味では個人で、個人もいろいろありますからカバーしていかなければなりませんが、そこはお支えをいただきたい。

 ということであれば、例えば、要人と会うときの、私も言語がたけているわけじゃないので通訳であるとか、要人に会うところの送り迎え、どこかお土産物屋に寄るというのはそんなのはやることはないんですけれども、そういったことは可能であるということで、確認で、よろしいでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、在外公館は、公共性を有する用務で海外に渡航される方々に対し、用務との関係で便宜供与を行わせていただいております。具体的には、送迎、宿舎の手配のほか、訪問先への同行、案内、通訳の手配等をさせていただいております。

 また、実際に、具体的にどのような便宜供与がその場所場所で行われますかにつきましては、現地の情勢や個々の状況によって具体的に検討させていただいております。

小熊委員 幅広く、やはり、我々議員外交をやっていくには、本当は武井さんに答弁を求めればよかったんだけれども、武井さんとも有志の議員団で訪中をしていますけれども、これは成果があるということでありますので、ぜひ今後とも御支援をいただきたい。

 日本の外交のためには、これはやはり、市民レベル、地域間レベルでの国際交流というのも大事になっているところであります。外務省、JICA、あと国際交流基金等を通じて、こうした国際交流の進展が図られていますけれども、市民団体が海外に行く際には、いろいろな助成がありますが、逆に、お呼びするときにはないんですね。

 ASEANはあります、ASEANだけはあるんですね。これはいろいろな理由があるとは思いますけれども、ASEANだけに絞っているということは、私は余り、これはもっと、国にこだわらず、地域にこだわらず、もちろん、外交上の戦略とかはありますけれども、市民交流、地域間交流ですから、絞らずにやはりやっていかなきゃいけないなというふうに思っています。

 そういう意味で、今やっている送り出しだけの助成ではなくて、国を限定することなく、地域を限定することなく、しっかりと受け入れに対しても助成をして、そうした国民レベルでの国際交流の進展に寄与すべきだというふうに思いますが、この点について見解を求めます。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の件は、主に文化人の方が念頭におられるのかなと思いますけれども、国際交流基金におきましては、御指摘のとおり、さまざまな助成制度を通じまして、主に海外における文化芸術活動に参加する日本国内の団体、個人を支援しているということでございます。

 ASEAN諸国等に対しては、アジアセンター事業という形でございますけれども、多様な文化や伝統を互いに尊重しながら、双方向の交流を図ることも重要との認識のもとで、海外から文化人等を招聘して日本の文化等との共同制作を行うなど、双方向の文化交流事業に対する助成事業も実施しているという状況でございまして、まさに委員の御指摘のとおりでございます。

 他方、地域を限定することなく、広く文化人等を招聘するための助成事業というのは、現在、実施はしていないということです。

 国際交流基金におきましては、限られた予算の中で、文化芸術交流その他日本語教育などを実施しておりますけれども、ASEAN諸国以外から文化人等を招聘するための助成など、さらなる双方向の交流事業につきましては、コスト対効果あるいは予算上の制約などいろいろな点を踏まえながら、引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

小熊委員 効果といっても抽象的な世界にも入ったりするので、それはなかなか定量的にはかれない部分もありますが。

 例えば、だから、今回、私、三月に一泊四日でドイツに行きましたけれども、これは、鳴門を中心とする第九の団体が、来年、第九初演から百周年ということで、百年前の捕虜とのかかわりでしたか、プレ公演でドイツに行って、来年、本公演が鳴門で行われますが、ドイツの人を、捕虜の子孫とかを連れてくるのには、お金がないわけですよね。

 やはりこれは双方向でやっていくということが重要でありますし、いや、相手の国も金はあるだろうということではなくて、それは日本の戦略として、しっかり地域間交流を国民レベルでやっていくという意味では、しっかり相互方向でやっていかなきゃいけないというのが私の主張です。

 これはしっかり検討していただきたいと思いますし、限られた予算とちょうど言っていただきました、国際交流基金は二百数十億で回しています。でも、御承知のとおり、基金ですから、一定程度の原資で、運用益もありますが、これはいろいろな経済情勢によって変わります。過去のデータを見ると、基金の総予算の中の運用益が三割、四割を占めたときもありますが、現在は厳しいので、五%です。これだけ振れ幅が大きくて、安定的にこうした国際交流事業ができるかといえば、これはできません。

 国の施策として、それは確かに、基金という、国直接の機関ではないわけでありますけれども、この国際交流基金が果たしている役割は大変大きいものがありますので、この原資、その予算といったもの、限られた予算といってもそれだけ振れ幅があって、年によって交流事業が左右されるということなく、目的がちゃんとしていて永続的にやっていくということも大事ですから、毎年毎年ころころメニューが変わったのでは、国際交流というのは人のつながりです、単発ではやはり途絶えてしまうし、育たないです。

 一定程度やはり長期的に、永続的に、安定的に事業を継続していくという意味では、この予算に対してしっかりと手当てをしていかなきゃいけないんじゃないですか。これだけ振れ幅があるんですよ。三割、四割から、今五パーですよ。この点についてはどう思いますか。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、国際交流基金の事業は、日本の外交にとって、日本の発信ということにおいて非常に重要な位置を占める、それは言うまでもございません。

 他方、御指摘のとおり、基金をもとに、その運用益で予算を捻出している部分もございますので、そして、近年の低金利のもと、この運用益がどんどん小さくなっていくという構図もございますので、そのことについては、財務当局を含めまして、国際交流基金の財政基盤の安定という観点からるる相談しながら、いろいろ私どもも努力させていただいているところでございます。

小熊委員 大臣、これだけの振れ幅があって、これは今までどおりやれとか、事業がいろいろな形で目まぐるしく変わるということはよくないことでありますので、しっかりこれは外務省内でも検討して、安定的な国際交流事業ができるように、早急に検討していただきたいというふうに思いますし、残念ながら日本は人口が縮小していく国ですから、今まで以上に、内向きじゃない、外向きの目を、今まで以上の努力をしなければ、これはよくないことでありますので、ぜひ大臣のもとで検討をお願いしたいというふうに思います。

 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックが行われるわけでありますけれども、海外での情報発信が必要です。私の選挙区内でもさまざまな自治体がホストタウンとなっていますが、これも、ホストタウンに決まったときに相手の国に行っていろいろ交流しようと思っても、町の、自治体の財源によってはなかなか行けないというところがあります。現時点ではまだ三年後ですから時間があるんですけれども、国内的にはいろいろな情報が発信されていますけれども、世界における東京オリンピック・パラリンピックの情報はやはりまだまだ発信されていません。

 世界に向けたこれは一つの大きなビッグイベントですから、国内での情報発信、これはもうオリンピック委員会がやっていますけれども、やはり海外における東京オリンピック・パラリンピックの情報発信をちゃんとしていかなければなりませんし、そのときに、世界から皆さん来てくださいと言っても、その情報がなければ、来ようという気にもならないわけですね。

 なおかつ、あとはやはり、先進国は別として、放映権の問題もありますけれども。日本に実際来る人というのは、全世界何十億という中では限られた人です。これは映像としてしっかりそれぞれの国で見ていただける仕組みというのも今後考えなければいけないというふうに思っていますので、そういう意味では、海外のそれぞれの現地での事前の情報発信と、実際開催中のテレビ放映等が脆弱な国に対してどれだけ支援をして、日本で開催するすばらしいオリンピックが多くの人に見てもらえるかということもあわせて今後検討していただきたいというふうに思います。時間がないので、ここは答弁は要らないんですが。

 映像の果たす役割というのは非常に大きいんです。よく、海外の人としゃべると、「おしん」というのはすばらしいねと。世界百何十カ国で放映して、評価を得ている。あと、アニメなんかも行っていますけれども。

 では、「おしん」をこれだけ世界に広めたというのは、あのコンテンツのすばらしさ、ドラマのすばらしさもありましたが、これは国際交流基金が買って、自分たちでお金を、その予算の中でやって、相手の国には無償でやっているんですね。これによって日本人のイメージのアップ、また親日家がふえたというのは、これは皆さん御承知のとおりです。その後、そういうことがあったかといえば、ないんですね。

 何回かこの委員会でやりましたけれども、四年前の委員会派遣でブータンに行ったときに、親日的な国でしたけれども、韓国のドラマのコンテンツが入っていて、日本語教室で学んでいた小学生の文房具のほとんどに韓流スターのシールが張ってあったというのを見て、愕然としたんです。

 これは、やはり日本の情報発信、予算の使い方として、こうした映像ビジネスに結びつける前に、出だしは、そうしたかつて「おしん」でやったような形で、日本のいいドラマコンテンツを、まずはその基金を通して相手の国に無償で見てもらった上で、その後でビジネスにつなげていく。これは経産省あたりがやる話ですけれども。まず我々が、外務省がやるべきというところは、そういったことをもう一度やっていかなきゃいけないんじゃないですか。

 「おしん」以外ないんですよ。やはり新たな「おしん」、第二、第三の「おしん」をつくるべきじゃないですか。どうでしょうか。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、日本の映像コンテンツ、非常に重要な意味を持っていると思いますし、今後とも日本を発信する上でどんどん活用をしていく、あるいは活用してもらえるようにしなければいけないというふうに考えております。

 そういう中で、平成二十六年から補正予算等をいただきまして、外務省としては、国際交流基金を通じまして、商業ベースでの販売が困難な途上国等の現地テレビ局に対して、日本のドラマですとか、アニメ、ドキュメンタリー等の番組を無償で提供しまして、海外の一般市民に向けて日本のコンテンツを発信するということに取り組んでおります。

 その結果、この二年間におきまして、全体で百二十の国及び地域において、延べ千七百ほどの番組を提供するということに至っております。

 対日理解の醸成、親日派の形成、インバウンド形成の促進という観点から、日本の放送コンテンツの強みを生かしたこの事業の意義は非常に大きいというふうに考えておりまして、引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

小熊委員 そこは実は、だから結果が出ていないんですね。さっきのASEAN地域の文化事業交流は、ASEANに限ってやっているというのは、やはり中国、韓国の進出に対してというのが狙いで、もう公に言っているわけですよ。でも、そういう地域でさえ、映像コンテンツで負けているわけです。

 これはもっと積極的にやらなきゃいけない。でも、そういう意味では、その原資が足りない、それは運用益が出ていないというところでありますから、これは本当にそういう意味でも、この国際交流基金を通じていかに日本の外交力を高めていくかということはもう一度見直してほしいです。

 今やっていますというのは、足りていません。それは予算にもかかわってくる話でもあります。まして、東京オリンピック・パラリンピックを通じて日本のすばらしさを伝えようと言っていながら、実は足りていないんです、これは。これは大事なところですから、ぜひ大臣、本当に具体的に検討していただいて、来年の事業にはしっかり反映できるようにしていただきたいというふうに思っています。

 では、時間がないので、次へ移ります。

 残念ながら、先月、前復興大臣の失言がありました。私も大変残念だったなというふうに思っています。その今村前大臣の個人的な話だけではなくて、これは安倍政権における復興に対する姿勢というものが問われた発言だったというふうに思っています。ただ、そのとき総理は、安倍政権は全閣僚が復興大臣であるというつもりでやっていますというお言葉を発していただきました。

 それについて、岸田大臣におかれては、そうした認識のもとに、この復興についてどう思われるのか、まずお伺いいたします。

岸田国務大臣 東日本大震災発災から既に六年の月日が流れているわけですが、今現在においても、引き続き安倍政権の最重要課題として、東日本大震災からの復興を掲げ続けているわけであり、そして、今委員が御指摘になられましたように、全ての大臣が復興担当大臣の認識を持って取り組んでいかなければならないと思います。

 その中にあって、外務大臣としても、国際的な風評被害など、しっかり取り組まなければならない重要な課題がたくさんあると存じます。引き続き全力で取り組んでいきたいと考えます。

小熊委員 岸田大臣は優秀な方ですから、失言がない、すばらしい能力を持った大臣であると思いますが、言葉だけではだめなんですよ。

 今大臣が言ったことは、別に姿勢として、心構えとしては全然非の打ちどころもないんですけれども、今村大臣の発言があり、総理が、全ての大臣が復興大臣という当事者意識を持つということを言っていた。

 では、具体的にどうなんだということを、私も改めて、まさかなと思って、外務省はちゃんとやっているだろうなと。飯倉公館等でいろいろなレセプションをやっていただくときに、被災地の農水産物を使ってもらっていました、お酒とかも使ってもらっていました。それが最近はどうと確認したんですね。みんな当事者意識を持ってやっている、今も大臣が言ったとおり、六年たったけれども、ちゃんとそういう意識でやっていると言ったけれども、では、どうなんだと。

 ゼロですよ、ゼロ。これはもちろんケータリングですから、いろいろな業者さんに入札で、これをパーティーでやってくださいというときに、オーダーを出していないんですよ、被災地のものを使ってくれと。ゼロ。言葉はいいけれども、実際行っていないんですよ。これが風化だなとも思いますし、だからこそ、言葉だけだから、この間の本会議場でも私は指摘させていただきましたけれども、安倍政権の支持率、全国的には五割いっています。だけれども、福島県では五割近い不支持率ですよ。それは県民がそういうところを感じているからです、言葉だけだなと。政治が前面に立つ。立っていない。第二原発だって停止もしない。第二原発は事業者の判断と逃げる。

 今大臣が、ちゃんと復興に思いを寄せてと言っていても、そういうことですよ。ゼロですよ、ゼロ。一件もなかった。いや、その納入業者がありますからと。いやいや、客は外務省側でしょう。被災地のものを使わないいろいろなケータリングの会社なんて、そんなのは排除すればいいんですよ。

 もし百パーティーをやったとして、全部被災地のものを使えとは言わない、いろいろな目的がありますから。でも、ゼロはないですよね。どうですか、大臣。

岸田国務大臣 まず、基本的に、御指摘を大変重く受けとめて、外務省として、被災地の産品を極力使うべく努力をしなければならないと思います。実態についていま一度確認をしたいと思いますし、ぜひそういった被災地の産品を使うよう、しっかり督励をいたします。

 外務省の行事につきましても、いろいろな種類の行事があります。その行事の特色に応じて、最大限外務省としても、東日本大震災復興のために努力を続けたいと思います。

小熊委員 今、戦略的にと言いましたから、そういう意味では、外務省の努力で、科学的根拠のない輸入規制というのは撤廃されてきていますけれども、まだ残っている国があるわけですよ。そういう国のときには必ず使ってほしいと思いますし、オリンピック・パラリンピックも、総理は復興の姿を示すオリンピックにしたいと言っていますから、こうしたオリンピック・パラリンピックの情報発信についても、しっかり被災地のことを踏まえて、言葉はいいです、具体的に行動で示していただきたい。お願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三ッ矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 沖縄県の辺野古新基地建設をめぐる問題について質問いたします。

 まず、沖縄防衛局が米軍キャンプ・シュワブ沿岸部で護岸工事に着手をして一カ月余りが過ぎました。新基地建設反対の圧倒的な世論があるわけですが、それを無視して二〇一四年に工事を開始して以降、埋立本体工事の着手については、これはまさに初めてのことであります。

 米軍統治下の沖縄で、銃剣とブルドーザーによる反対住民の強制排除ということがありました。そして、新たな米軍基地を建設していったというやり方をほうふつとさせる強権的な発動にほかならないというふうに強く言いたいと思いますが、現時点での状況について、岸田大臣の認識を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 普天間飛行場代替施設建設事業については、四月二十五日の護岸工事着手後、石材を海底に投入する作業など、進められていると承知をしております。

 普天間飛行場の辺野古移設によって、学校や住宅に囲まれ、市街地の中央にあり、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が返還されることになります。

 安倍政権としては、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない、こういった方針のもと、約二十年越しの懸案であります普天間飛行場の全面返還を実現するため、引き続き全力で取り組んでいきたいと考えております。

笠井委員 沖縄の地元紙が実施をした県民の世論調査を見ましても、新基地建設に反対ということの世論が七割を超えております。安倍政権が沖縄の声を聞いていないという回答も七〇%に達している。

 大臣、こうした民意を一顧だにせずに、辺野古移設が唯一の選択肢だとして新基地建設をごり押しするやり方というのは、私は、およそ民主主義とは相入れないやり方だと思うんですけれども、大臣はそういうふうには認識されませんか。

岸田国務大臣 沖縄の負担軽減につきましては、やはり地元県民の皆様方の心に寄り添いながら丁寧に進めていくべき課題であると思います。

 その中にありまして、普天間飛行場の危険を一日も早く除去しなければならない、こういった思いや目標については共有ができていると認識をいたします。

 その中にあって、政府として、具体的にこうした危険除去の結果を出すためにしっかり取り組んでいかなければならない、そういった思いでさまざまな作業を進めております。

 そうした思いを持ちながら、先ほど申し上げたような思いで努力を続けていきたい、そのように考えます。

笠井委員 基地のたらい回しということになりますと、新たな危険を生んでくる。既成事実を積み上げれば諦め感が広がると考えているとすれば、それは私は大きな間違いだと思います。

 先週二十七日には、キャンプ・シュワブのゲート前で行われた県民集会でも、新基地建設に反対する県民の揺るぎない意思が示されたということをあわせて申し上げて、強く指摘をしておきたいと思います。

 そこで、その上で、防衛省、若宮副大臣にお越しいただいておりますが、具体的に幾つか伺ってまいりたいと思います。

 沖縄防衛局のホームページに掲載をされております、二〇一五年九月十一日の入札監視委員会の議事概要というのがございますが、これを見ますと、談合疑義案件として、対象工事六件というふうに記されております。ホームページには、これが何の工事なのかは一切公表されていないというか、明らかになっていないわけですが、六件の工事というのは、いつからいつに発注された何という工事なのか、紹介をいただけるでしょうか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員が御指摘になりました、沖縄防衛局に設置をされております入札監視委員会の議事概要におきまして談合の疑義がある工事として挙げられる六件の、発注の時期と工事件名を申し上げます。

 一つ目が、シュワブの平成二十六年中仕切り岸壁新設工事。これが、公示日が平成二十六年十月二十四日。入札日が平成二十七年一月の二十三日。そして、契約日が、同じく平成二十七年の二月の十日でございます。

 それから二つ目でございますが、やはりシュワブの平成二十六年二重締め切り護岸新設工事。こちらが、公告日が平成二十六年の十月の二十四日。入札日が平成二十七年の一月の二十三日。そして、契約日が、同じく平成二十七年の二月の十日でございます。

 それから三番目でございますが、やはりシュワブの平成二十六年傾斜堤の護岸新設の工事。これが、公告日が平成二十六年の十月二十四日。入札日が平成二十七年の二月の十七日。契約日が、同じく平成二十七年の三月の五日でございます。

 それから四番目が、やはり同じくシュワブの平成二十六年汚濁防止膜等の工事。これは、公告日が平成二十六年の十月の三十一日。入札日が平成二十七年の二月の二十日。契約日が平成二十七年の三月の五日でございます。

 それから五番目が、同じくシュワブの平成二十六年のケーソンの新設の工事、第一工区でございます。これが、公告日が平成二十六年の十月の二十四日。入札日が平成二十七年の一月の九日。契約日が平成二十七年の一月の二十七日でございます。

 それから最後の六番目でございますが、シュワブの平成二十六年のケーソンの新設工事、これは第二工区になりますが、公告日が平成二十六年の十月の三十一日。入札日が平成二十七年の二月の六日。そして、契約日が平成二十七年の二月の二十五日。

 以上の六件でございます。

笠井委員 今報告がありましたが、談合疑惑の対象となった六件の工事というのは全て辺野古新基地建設の本体工事ということでありますけれども、その中には、現在沖縄防衛局が進めている埋立区域の北側に位置するK9護岸と呼ばれる工事も含まれているでしょうか。

若宮副大臣 現在実施をいたしております代替施設建設予定地の大浦湾側の一部の護岸、委員が今御指摘になりますK9護岸でございますが、この工事は、先ほど答弁申し上げた六件の工事のうちの、シュワブの平成二十六年の傾斜堤護岸新設工事に含まれてございます。

笠井委員 続いて伺いますが、六件の工事の当初契約額の合計というのは幾らになるでしょうか。合わせた額。合計で結構です。

若宮副大臣 合計金額は、およそ四百十五億円、これは税込みでございますが、そんなふうになります。

笠井委員 当初契約額だけで合計四百十五億円ということで、四千五百万円というふうに私が計算したらなりますが。しかも、契約後、すぐに契約変更が行われて、防衛省の提出資料によれば、うち五件で、約百六十八億九千万円もの追加発注が入札なしで行われた案件であります。

 そこで、沖縄防衛局作成の二〇一五年五月十五日の談合情報報告書というのがあります。それを見ますと、「情報の詳細」とある段には、この六件の工事に絡んで沖縄防衛局が把握した談合情報の内容が記されていると思うんですけれども、どのように記されているでしょうか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりました当該の談合情報というのは、御党の新聞の赤旗平成二十七年の五月の十七日号によるものでございます。

 この掲載内容を受けまして、平成二十七年の五月十五日付の沖縄防衛局の談合情報報告書におきまして、「情報の詳細」といたしまして、平成二十六年の年度末に発注をしましたシュワブ平成二十六年中仕切り岸璧新設工事ほか五件のシュワブの関連工事において、入札価格と調査基準価格が極めて近似しているということから、予定価格の漏えいとの報道があったという記載をしてございます。また、当該記事の記述をそのまま引用する形で、調査基準価格は予定価格を基準に設定されており予定価格は非公表である、調査基準価格ぎりぎりで落札をするということは予定価格が事前に業者側に漏れていた可能性もあるというような記載をされているところでございます。

 このような、今ちょっと読み上げさせていただきました談合情報報告書の「情報の詳細」というのは、沖縄防衛局としての評価ではございませんで、御党で出しておられますしんぶん赤旗の平成二十七年五月十七日号に掲載された内容を記載させていただいた、このようなことでございます。

笠井委員 沖縄防衛局は、六件の工事で入札価格と調査基準価格が極めて近似しているとの指摘、今、それを受けて内部調査を実施していたということであります。沖縄防衛局では、そうした談合情報を受けて、局内に設置された公正入札調査委員会で審議をしているというふうに思うんですけれども、いつからいつにかけて、何回、この委員会は開催されたでしょうか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりました公正入札調査委員会でございますが、沖縄防衛局におきまして、平成二十七年の五月の二十一日から平成二十七年の九月の七日にかけまして、三回行ってございます。なお、第一回目は平成二十七年の五月の二十一日、二回目は同じく同年七月二十七日、三回目は同年の九月の七日にそれぞれ行ってございます。

笠井委員 配付資料をごらんいただければと思うんですけれども、これは、防衛省から提出をしていただいたものであります。公正入札調査委員会が審議の際に使った六件の工事の入札参加者の入札金額のプロット図であります。これを見ますと、沖縄防衛局が不当な低価格入札を防ぐために設定をした調査基準価格と落札額の比率が、六件の全てで一%未満となっております。

 資料一枚目の中仕切り岸壁新設工事を見ますと、応札者Bの大成建設JVが、税抜き金額で約百四十五億九千五百万円で落札をしておりますが、基準価格をわずか四万二千四百十三円上回っただけ。百五十億円もの巨額工事で、落札金額と基準価格の差がわずか四万円程度というのは、私は極めて異常だと思います。

 資料二枚目をごらんいただきたいんですが、二重締め切り護岸新設工事でも、応札者Dの前田建設工業のJV、ここが約七十三億七千万円で落札をしておりますが、基準価格を七万二千七百五十九円上回っただけであります。

 この基準価格は、予定価格を基準に設定されていて、予定価格と同じく非公表だと思うんです。このように、基準価格ぎりぎりで、その差一%未満で落札をするというのは極めて不自然だ、入札談合が行われた可能性を排除できないのではないかと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になっておられます工事六件に関してというのは、先ほど申し上げました平成二十七年五月のしんぶん赤旗の報道におきまして、この予定価格が事前に業者側に漏れていた可能性があるなどという、あたかも談合を疑わせるような御指摘があったということを沖縄防衛局といたしましては重く受けとめまして、先ほど申し上げました五月から九月までの間に所要の調査等を行ったところでございます。

 この入札監視委員会におきましては、さまざま、いろいろな、公正、第三者的なところの目でも見ていただいているところでもございますので、最終的な入札価格と調査基準価格、確かに近似をしておりましたのですが、この近似をしていた理由が、必ずしも価格の漏えいであるとは言い切れないという調査結果と、それからまた、各外部の先生方、委員からの、調査結果に問題がないという御意見を得たところも御報告させていただきまして、その内容についてもこの議事概要で明記をさせていただいているかと思っております。

笠井委員 私ども、報道でということで、しんぶん赤旗の紹介を繰り返しいただいておりますが、「価格漏えいか」ということで報道しているわけです。

 三回、委員会が開かれておりますが、三回目で結論的にということで、「「価格の漏えい」とは言い切れない」といったときに、公正入札調査委員会の第三回の審議の中で、資料を私もいただきましたが、資料三のところで、言い切れない理由について書かれていると思うんですね。シュワブ関連事業の落札額についてと、三項目めですが、どのようにその言い切れないという理由について述べているんでしょうか。

若宮副大臣 先ほど来の、この六件の工事の積算につきましてでございますが、各種価格の算定基準あるいは労務単価等が、国土交通省あるいは防衛省において公表されるとともに、また、各防衛局が採用いたしております積算システム、これは一般的な市販品でもございます。入札をされました参加者においては、この防衛局と同様の積算情報等を入手できるというのが現状でございます。

 また、入札に実際に参加をされておられます大手のゼネコンにつきましては、積算担当部署を、それぞれ専門的な知見を持っているものを持っておりますし、かなり精度の高い積算が可能であるというふうにも思われております。

 さらに、入札の参加者からは、質問の数が全体的に非常に多くて、質問への回答につきましては、電子入札システムを通じまして、各社がある意味情報共有ができていたものというのもこれは事実かと思っております。

 こういったことから、港湾工事の積算の特徴から、この積算の価格や調査基準価格というのが大体、おおむね類推されるのが可能ではないかなというふうに考えているところでございます。

 また、一般論といたしましてですが、この沖縄防衛局以外の港湾工事におきましても、落札の価格が調査基準価格と比較的近い金額になるという傾向があるものというふうにも、私どもでも承知をいたしているところでもございます。

笠井委員 今、幾つか理由、根拠を挙げておられましたけれども、確認しますが、工事費の積算基準などは公表されている、また、入札に参加している大手ゼネコンは積算担当部署も設置しているから、精度の高い積算を行うことは可能であって、その点から見ると問題ない、そういうことが言えるということをおっしゃったわけですね。

若宮副大臣 はい、委員がおっしゃられたとおりでございます。

笠井委員 先ほど、沖縄防衛局以外の防衛省や沖縄総合事務局が発注した港湾関係工事でも、調査基準価格と落札額が極めて近い事象が発生していると言われましたが、しかし、この公正入札調査委員会の審議資料を拝見しますと、六件の工事のように、一件で税込み最低八億円に上る工事で落札金額と基準価格の比率が一%未満しかないというのは、防衛省発注の三十件のうち三件と、沖縄総合事務局発注の五十七件のうち六件だけだというふうに書いてあります。

 まさにそういう点でいいますと、ところが、辺野古の六件の工事では全てで一%未満になっているというのは、この点を見たら非常に明らかに異常じゃないかと思うんですが、いかがですか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になったのも、恐らく、委員がいつも正確なデータに基づいてお調べの上で御質問いただいておりますので、正しいものだというふうに感じておるところでございますけれども、私どもの防衛省におきます港湾工事の実績、これは、平成二十年度から二十五年度につきまして調べましたところ、落札価格と調査基準価格との比率が一%未満という工事は十件ございました。このうち、もちろん三件が〇・一%未満でございました。

 また、近隣の他の発注機関におけます港湾工事につきましても、やはり同様の事例というのが散見をされました。

 こういった状況で、これらの事実だけをもって、価格の漏えいとか談合の疑いがあるというふうに結論づけるというのはちょっと難しいのではないかなというふうに考えております。

笠井委員 散見されると言われましたけれども、沖縄辺野古の六件については全て一%未満ですからね。そういう問題で、非常に極めて異常だと私は言わざるを得ないと思います。

 資料三枚目をごらんいただきたいんですが、傾斜堤護岸新設工事なんですけれども、落札者は応札者Eの東洋建設JVですけれども、応札者Dの安藤・間JVの入札を見ますと、基準価格よりも約三億一千八百万円も多く額を出して入札して、予定価格の超過となっております。

 それから、資料の五枚目、ケーソン新設工事の一工区ですけれども、ここでも予定価格超過となった若築建設JVですけれども、基準価格よりも約十九億円も多く入札しているということになっていて、入札参加者が発注者の積算価格や調査基準価格を推察することは十分に可能というふうに防衛省は言っているわけですけれども、そうだというなら、なぜ基準価格をこれほど大きく外して入札するJVがあるのか。

 これは非常におかしいと思うんですけれども。ですよね、だって、そういうことで、推察するのが十分に可能だったら、こんな極端に多くなるようなものが出てくるということ自体がおかしいと思うんですけれども、これはおかしいと思いませんか、副大臣。

若宮副大臣 これはやはり個別具体のお話という、これは一般論として申し上げさせていただければと思うんですが、工事の積算というもの自体、やはり入札に参加をされておられます企業によって、資材の調達先ですとか、あるいは当該会社の労務者の手配先に応じて積み上げる経費というのはおのずと異なってくるというのは現状かと思っております。

 また、各社がおのおの想定しておられる工事ごとの利益率というのもやはり積算価格に加えていくということを鑑みますと、さまざまな積算価格で入札されているということは、多少近いものもあれば、やはりちょっと遠いものもあるということで、これは逆に、競争の原理が働いているのではないかなというふうに考えているところでございます。

笠井委員 いや、近いものもある、遠いものもあるじゃないんですよね。先ほど副大臣自身が、価格の漏えいとは言い切れないというふうに言われたところで、各種の算定基準等が公表されている、または防衛局と同様の見積情報等を入手できる、入札に参加している大手ゼネコンは積算担当部署を持ち精度の高い積算が可能である、それから、入札参加者からの質問数が全体に多くてこれを各社が情報共有できるなどにより防衛局積算に近い積算が可能と考えられるので、漏れていないというふうに言われたんだけれども、私は、漏れていると言っているんじゃないですよ、ただ、おかしいじゃないかと。だって、そういうふうにみんな近くなると言っているのに、近くないという、極端なものが出てくるというのはおかしいでしょうということを言っているんです。

 おかしいと思いませんか。

若宮副大臣 もし私が業者で、その入札をとろうと思いましたら、やはり委員のおっしゃるとおり、できるだけ自分のところの利益が確保できる範囲で、必ず低い価格で頑張ろうというふうに思っておりますが、やはりどう考えても、各社個別の状況を私の方から申し上げる立場にはございませんのと、それぞれ高い金額をお示しになられたお会社がどういう考えのもとでやられたかというのは、この場では、ちょっと私の方からは、どういった形かははかり知れないというふうにお答え申し上げるしかないかと思っております。

笠井委員 ですから、各社がとろうと思えばと今、若宮副大臣がおっしゃったみたいに、一生懸命になってとにかくやるわけですよね、そこに落札するようにということで努力するわけですから。そういう努力するはずなのに極端に違うところが出るというのは、これはおかしいよねという話になると思いますよ。

 では、さらに聞きますけれども、先ほど指摘しました資料一枚目の中仕切り岸壁新設工事の入札では、基準額未満で無効になったJVが三つあります。複数あります。CとEとGでありますが、このうち応札者のCの戸田建設のJVを見ますと、基準価格を約六億三千六百万円も下回って入札をしています。

 さらに、資料二枚目をごらんいただきたいんですが、二重締め切りの護岸新設工事で無効になった応札者のHの熊谷組のJVも、基準価格を約一億五千万円下回って入札をしているわけですね。

 大手ゼネコンは積算担当部署を持って精度の高い積算が可能だと、先ほども、防衛省の側で、委員会の話としても言われたし、副大臣も言われたわけですが、そういうふうに言うんだったら、なぜ基準価格をこれほど大きく下回って無効になる業者が出るのかということが出てくると思うんです、逆に。

 これは理屈に合わないと思うんですけれども、いかがですか。

若宮副大臣 委員が御指摘のように、金額が近いところ、それからまた少し離れたところの入札の札を入れられたお会社があるというのは、確かにお示しになった表のとおりであろうというふうに思っております。

 そもそものこの全体的な流れをちょっともう一度整理をさせていただきたいなと思っておりますのが、御指摘のこの談合情報というのが、まず、平成二十七年五月の御党のしんぶん赤旗の報道によるものでございました。そしてまた、それをもって沖縄防衛局で、局長を委員長といたします公正入札の調査委員会におきまして、情報の内容の把握あるいは信憑性の調査を行ってまいりました。この公正入札調査委員会におきましては、積算基準等が公表されていることにより、入札の参加者が発注者の積算価格及び調査基準価格を類推することは十分可能であり、必ずしも価格の漏えいとは言い切れないことから、本件については信憑性があるとの結論を得なかったところというのが現状でございます。

 そしてまた、当該情報の信憑性の調査につきましてはさらに、先ほどもちょっと触れましたが、大学教授等の第三者で構成をされます沖縄防衛局の入札監視委員会の委員への意見聴取、これを行いまして、必ずしもやはり価格の漏えいがあったとは言い切れない旨の御意見をいただいたところでもございます。

 平成二十七年九月十一日の入札監視委員会での報告に際しては、各委員の方々から特段の意見や御質問というのは特にございませんでした。

 さらに、この一連の件につきまして、私ども、防衛本省にも設置をいたしました部外有識者で構成をされます公正入札調査会議、こちらでも、談合疑義案件の処理状況といたしまして、平成二十八年の三月の九日に開催をしておりますが、このときにも報告をしているところでもございまして、その旨は議事概要においても記載をさせていただいているところでございます。

 また、この公正入札調査会議におきましては、この談合疑義案件の処理に対しての異議は示されなかったものの、委員からの意見としては、確かに、大規模な工事で総合評価落札方式を採用していながら技術的な評価点というのはほとんどの企業が満点を取得していた、もう少し違う観点で業者を評価しなければ、価格そのものが類推しやすいものということであれば、価格漏えいというあらぬ疑いを持たれてしまうこともあり得るというような御指摘もいただいたところでございます。

 この総合評価落札方式の問題の設定あるいは評価のポイントというのはもう少し幅広に、業者に緊張感を持たせることで、入札に対します応札者への対応の変化を生じさせた方がいい、こういった御指摘もいただきながら、これらの委員の意見を踏まえまして、私ども防衛省といたしまして改善策を試みているところでございます。

笠井委員 明らかにいろいろな、極端に大きく上回ったとか下回って無効になったということがあるわけですが、ゼネコン側が積算価格や調査基準価格を推察することは十分に可能というんだったらば、超過したり無効になった入札というのは、参加者が故意に大きく外して入札したことになるんじゃないかということも出てくるわけですよね。

 副大臣に質問しますが、では、そういう業者から、大きく上回ったり無効になったところから直接事情は委員会として聞いたんですか。聞いたのかどうか、それだけでいいです。

若宮副大臣 今回の本件につきましては、平成二十七年の二月に契約をいたしました工事について、平成二十七年の五月に御党のしんぶん赤旗の平成二十七年五月十七日号におきまして、予定価格が事前に業者側に漏れていた可能性がある等の、談合を疑わせる指摘があったということから、沖縄防衛局において重く受けとめ、所要の調査を行ったものでございますが、談合情報として信憑性があるとの結論を得なかったという見解が示されたところでございます。

 この談合情報等の対応マニュアルにおきます、信憑性確定後のプロセスであります入札参加者への事情聴取やこれを踏まえた誓約書というのは受け取っておりませんが、沖縄防衛局においては公正入札調査委員会それから入札監視委員会、それから本省におきましても公正入札調査会議での手続を経ておりまして、適切に処理されたものというふうに認識をいたしているところでございます。

笠井委員 業者から直接聞いたかどうかと、それを聞いているんですよ。答えを一つもしていないじゃないですか。手短に、聞いたか聞かないかだけ。

若宮副大臣 各事業者の方からは直接はお話は伺っておりません。

笠井委員 聞いていないんですよ。

 ゼネコン一社に焦点を当ててみますと、さらに不自然さが目立ちます。

 例えば大成建設ですが、中仕切り岸壁新設工事や汚濁防止膜等工事を基準価格ぎりぎりで落札しておりますが、しかし、資料五枚目をごらんください。ケーソン新設工事の一工区の入札では、基準価格より約十九億円も多く入札しているんですね。大本組も、二重締め切り護岸新設工事で基準価格ぎりぎりで落札しているのに、資料六枚目のケーソン新設工事二工区では、基準価格を約四億五千万円も上回って入札し、予定価格超過をしているわけですよ。

 だから、精度をもって、部署をもって積算が可能だというゼネコンがなぜこんなに極端な入札をやっているのか、おかしいじゃないかと。あらかじめ故意に外したんじゃないかということが出てくるわけで、そこは入札談合防止マニュアルということがあると思うんですけれども、これは徹底的に検証するべきだし、調べるとおかしい、不自然だと、やるべきじゃないんですか。やらないというのはなぜですか。やるかどうか。ちゃんとやってくださいよ。

若宮副大臣 沖縄防衛局におけます公正入札調査委員会では、談合情報の信憑性に係る検証といたしまして、先ほど来委員が御指摘になっておられますけれども、入札参加者の入札金額のプロット図を作成いたしまして、隔たり等の有無を確認することによる入札参加者の入札の動向の把握をいたしてございます。また、入札参加者の工事内訳明細書の再確認によります不自然な動向の把握、これもいたしておるところでございます。またさらに、積算内訳書、それから予定価格、調査基準価格データのパスワード管理の有無及び管理方法の確認によります官側の方のセキュリティーの把握についても努めてございます。

 また、積算内訳書、それから予定価格、調査基準価格の作成者及び決裁者の平成二十七年一月、二月におけます部外者との接触状況などの把握もいたしているところでございますので、今委員が御指摘になっておられますような価格の漏えいとかあるいは談合ですとかそういったものには当たらないというふうに認識をいたしているところでございます。

笠井委員 沖縄防衛局の内部調査というのは、まさに問題なしの結論ありきというべきものだと思うんですよ。不自然なところもちゃんと調べていない、業者にも聞いていない。副大臣の説明を聞けば聞くほど、問題なしどころか、反対に入札談合があったのではないかという疑念が膨らむばかりであります。

 そもそも、入札監視委員会の各委員への意見聴取の概要を見ますと、ある委員からは、職員からの、部外者からの不自然な働きかけはないとの報告だけで内部からの価格漏えいはないとは言いがたいという意見もあったということであります。

 私、伺いますけれども、そもそも、今回の談合疑義案件を調査した沖縄防衛局の公正入札調査委員会ですけれども、一体どういうメンバーで構成されているのか、委員長と委員を務める者の役職はどうなっているか、端的に答えてください。

若宮副大臣 今委員がおっしゃられました沖縄防衛局におきまして開催されました公正入札調査委員会の構成でございますが、委員長は、支出負担行為担当官であります沖縄防衛局長でございます。委員は、局次長、それから総務部長、調達部長、総務課長、会計課長、契約課長、地方調整課長、調達計画課長、業務課長及び土木課長というふうになっております。

笠井委員 全部内輪じゃないですか。防衛局長以下、委員会のメンバー全員が発注者側の職員で占められているわけですよね。これでは自分で自分の不正の有無を調べているようなもので、そんなメンバーで入札談合に対する公正な調査はできるわけがないと思うんですよ。できますか。できるかどうか、どう思いますか、副大臣。全部内輪でしょう。

若宮副大臣 この公正入札調査委員会と申しますものは、建設工事や建設コンサルタント業務等に関しまして、入札や契約の公正を期し、談合の疑いに関する情報があった場合には、入札手続等の過程において、あるいは疑義の疑いが生じた場合、より的確な対応を行うために沖縄防衛局に設置をされた委員会でございます。

 こうしたために、沖縄防衛局としては、こういった談合の情報や内容の把握、信憑性の調査、こういったものを行うに当たり、委員長として沖縄防衛局長が当たっているということは公正性に欠くということはないのではないかなというふうに考えているところでもございます。

 また、さらに、公正入札調査委員会での検証結果につきまして、「価格漏えいか」というのは御党の新聞の赤旗での掲載ではございましたけれども、これを重く見まして、現地の方でもやはりしっかりとした調査を、意見聴取も行いまして、問題がないということを取りまとめて入札監視委員会に報告をしたものでございますので、委員の御指摘は当たらないのではないかなというふうに考えております。

笠井委員 報道を重く見て調査するといってやった、だからいいでしょうじゃなくて、やった結果が不自然なものをそのままやって、なしとやっている問題なんですよ。

 最後、一問聞きますけれども、入札監視委員会についても問題があると思うんです。監視委員会もやっています、委員会だけじゃないんです、身内だけじゃないんですと言われるけれども。

 例えば委員長を務める琉球大学の名誉教授ですけれども、この方は、二〇一一年九月に土木学会西部支部沖縄会という団体を沖縄防衛局や土木関係企業らと一緒に設立をして、その団体の会長、副会長を歴任しております。団体の役員名簿を見ますと、沖縄県の建設業協会や港湾空港建設協会など、業界団体がずらりと名を連ねている。ここには、問題の工事を大成建設とともに受注した國場組とか、東洋建設とともに受注した丸政工務店などが加盟しているわけであります。

 このように、常日ごろから受注した業者と密接な関係にある者が委員長を務める入札監視委員会で、どれだけ中立公正の立場で客観的な審査が行えるというふうに言えるんですか、副大臣。最後に聞きます。(発言する者あり)

 全部一緒じゃないですか。内輪で調べて、それで監視委員会だってそういう人たちで一緒じゃないですか。それで問題なしなんと言ったってだめでしょう。

若宮副大臣 防衛省といたしましては、この代替施設の建設事業に係る工事等の契約も含めまして、関連法令にのっとって適正な契約等、手続がとり行われているものと考えておりますが、一方で、疑いの御指摘があれば、そのような御指摘の根拠などもきちっと把握した上で、必要とあれば客観的な事実関係の確認を行うなど、しっかりとした調査によって疑いの真偽を調査されるべきだというふうに考えているところでもございます。

 今委員の御指摘のあった疑いにつきましては、そのようなプロセスを経ずに、防衛省を経ずとしての見解を述べることはちょっと差し控えさせていただければというふうに思っております。

笠井委員 要するに、今どっちなんですか。ちゃんと調べるということで、疑いのあることについてもやるということですか。端的に答えてください。

若宮副大臣 先ほど来ちょっと御答弁申し上げましたように、現状では、そういった真偽を調査されたものとして、また外部の方の意見もお聞きをいたしておりますので、現状では御党の新聞にあったような状況ではないというふうな認識を持ってございます。

笠井委員 何のために質問したかと思うんですけれども、問題提起してこれだけ言っているのに、おかしいじゃないかということも調べない、とんでもないと思います。これだけ重大な問題を、沖縄防衛局が問題なしという結論ありきの内部調査で処理している、国民の血税で行われる巨額工事でこんなことは断じて許されないと私は申し上げて、きょうは終わります。

三ッ矢委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 短い時間ですので、早速質疑に入りたいと思います。

 まず、きょう、小熊委員から福島産の話が出ました。質問ではありませんが、これは大変大切な問題だと思います。全員が復興大臣という言い方に小熊委員は大変こだわっていらっしゃいましたが、ぜひそれ自体はしっかり取り組んでいただくべきである、こう思います。

 ただ、結局、風評の問題というのは結構深刻でありまして、私個人から見るとこの風評の問題というのは大きく、私が今取り組んでいるテーマは三つあります。個人的にですよ。

 地元でダイオキシンの問題があるんですね。もう十何年もあるんです。これはまだ解決していないんです。要は、ダイオキシンはもう安全なんだけれども、ダイオキシン特措法という法律上これはもう問題ないんだが、風評で、最終処分する場所が設定できない。それで、もう十年、二十年たっているわけです。

 それから、豊洲の問題ですね。これも土壌汚染対策法上全く問題ない、東京都の環境確保条例上全く問題ない問題が、共産党は移転反対、それから民進党と生活者ネットだったかな、ちょっと名前は忘れましたが、そういう政党はとにかく立場を言わないというひどい対応が続いています。

 福島の問題、豊洲の問題。それからダイオキシンの問題、私の地元の豊能郡というところなんですけれども。大変風光明媚なすばらしい場所なんだけれども、全く問題ないのに風評が続いている。

 だから、私は、やはり民進党におかれては、しっかりこういうところで、外務大臣に対して、ちゃんと福島産を使えよ、全員が復興大臣だろうと、上から目線で言う暇があったら、私の地元の問題も含めて、地元に民進党はいませんが、あるいは豊洲の問題についてはしっかりとポジションを、移転促進当たり前です、これを決めていただきたい、こう思うわけであります。

 やはりそういう一貫した立場を各政党がとっていくことが、本当の意味で風評を乗り越えていく、日本がしっかりと風評を乗り越えていく、これが大事であるということを一言申し上げて、質疑に入りたいと思います。

 さて、南スーダンの派遣施設隊が見事に任務を果たされ、無事帰国をされました。きのうになるのかな、総理も訓示を述べられたと報道で拝見をしておりますが、この自衛隊の活動については、ちょうどきのうの読売新聞の中でのインタビューで、元統幕長の斎藤隆さんという方が書いていらっしゃいます。特に自衛隊そして憲法九条について書いていらっしゃるわけですが、いろいろあります。

 「自衛隊を動かしているのは「家族もいる生身の人間」で「ロボット」ではない」、「「違憲」と指摘されるような状態を何とかしてほしい」、安倍首相・自民党総裁は、「まずは不毛な自衛隊の「違憲」論に終止符を打つという判断ではないか。」、「断腸の決断だったと推測している。」と。いろいろなそういう議論があります。それから、「現場の士気を高めるのは、高邁な安全保障論でもなければ、「自衛隊の皆さんご苦労さま」というリップサービスでもない。」、今回の改憲提案のような具体的なイニシアチブこそ現場の士気を高めるんだ、そういうことを書いていらっしゃって、まず合憲と整理をした後に、軍事法廷の問題とか戦死者の問題、集団的自衛権の問題を議論したらいいじゃないか、こういうことを書いていらっしゃって、本当にそうだなと私は思いました。

 ちょうどこの南スーダンの派遣施設隊が戻られたこのときに、改めて外務大臣にこの憲法九条の話を伺いたい、こう思います。

 ただ、普通に聞いてもなかなか、いや、外務大臣としては答えられないということになると思いますので、今、憲法九条に、あるいは憲法に自衛隊が明記されていないこと等を背景に、共産党が、違憲だ、こうおっしゃるような状況が続いていることは、私は、これは外交上のデメリットが大きい、こう思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 まず、我が国の現行憲法上、自衛のための必要最小限の実力組織というものは認められており、自衛隊は現行憲法においても合憲であるというのが基本的な政府の理解、解釈であります。

 そして、この解釈のもとに我が国は、かつての大戦における大きな反省に基づいて、戦後不戦の誓いを立て、戦後一貫して、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、平和国家として歩んできたわけですし、そして自衛隊も、南スーダンを初め各地でのPKO活動などを通じて国際社会の平和や安定に貢献をしてきた、そして高い評価を得てきたということであります。

 基本的に今の憲法のもとにおいて自衛隊は合憲であると理解していますし、外交において憲法の解釈のありようが何か不都合等が生じることがないように、政府としてこれまでも取り組んできた次第であります。これからもそういった努力は続けたいと思います。

 その上で、具体的な憲法の改正については、国会の憲法審査会等において、各党においてしっかりと議論をされていかれるものであると考えます。

足立委員 デメリットがないように取り組んでいくということですが、メリットもない、デメリットもないのか。私は両方あると思います。

 要は、現行解釈で乗り越えてきているわけですけれども、そういう状況にある。国内では、共産党さんが違憲だと言う状況、あるいは憲法学者の多くも違憲だと言う、そういう状況が国内では起こっている。

 私は、外交上もこういう状況を維持しておくことのメリットもあればデメリットもあって、それを比較考量する中で、やはりここは、先ほどの元統幕長の言葉をかりれば、断腸の決断としての九条改憲ということに踏み出そうじゃないかという議論が今ある、少なくとも自民党の中にはある、こう承知をしているわけですが、大臣は、デメリットがないようにしていくんだと。

 それは、それこそ統幕長が言うところのリップ、リップはいいんです、でも、確認したいことは、メリットもあればデメリットもありますよね、これは当たり前のことだと思うんですけれども、認めていただけませんか。

岸田国務大臣 メリット、デメリットですが、まず、憲法上、自衛隊は合憲だと政府として理解しています。そして、国際的な取り扱いとして、例えば今、思いますのは、国際的な条約において、自衛隊の取り扱いに関しまして、軍隊としての取り扱いとの関係においてどのように解釈するのか等において議論があるということは承知をしております。ただ、それとて何か不都合が生じないように努力を続けている、これが現状ではないかと理解をいたします。

 メリット、デメリットというのはどういうふうに解釈するかということなのかもしれませんが、現状においては今申し上げたような取り組みが行われていると理解しております。

足立委員 きょうのところはこれで。きょういただいた御答弁を踏まえて、私もよく整理をしながら、また別の機会にこのテーマの続きをやりたいと思います。

 次に、北朝鮮のミサイルであります。

 G7の声明を受けて北朝鮮が二十九日にミサイルを発射し、四度目になるんですか、EEZに着弾をした。それに合わせて北朝鮮は、北朝鮮の外務省の報道官が、これまでは日本の地にある米国の諸侵略的軍事対象のみを照準に入れていたが、このままなら我が方の標的は変わるしかなくなる、こういう談話を発表しています。

 これはちょっと、事実関係は間違いがあれば正確に正していただくとともに、政府の受けとめ、受けとめというのも変ですね、認識を御紹介いただければと思います。

志水政府参考人 それでは、まず事実関係について申し上げたいと思います。

 私どもが承知する範囲では、五月二十九日、委員御指摘の、北朝鮮外務省報道官談話というものが出されていると承知しております。

 その中におきましては、これまでは日本の地にある米国の諸侵略的軍事対象のみが我が戦略軍の照準鏡内に入っていたが、日本が現実を直視することができず、あくまで米国に追従しつつ我が方に対して敵対的な行動に出るなら、我が方の標的は変わるしかなくなるであろうというふうな談話が出されたと承知しております。

岸田国務大臣 五月二十九日の北朝鮮外務省報道官談話については今申し上げたとおりであります。

 そして、それに対する我が国の受けとめ方でありますが、今回の談話に限らず、弾道ミサイルの発射、すなわち挑発行動につきましては、日米両国を含む地域及び国際社会の安全保障に対する明らかな挑発行動であり、容認することは決してできない、これが基本的な我が国の考え方であり、これは、従来、在日米軍基地を目標としていた旨のこれまでの言動も含めて、容認することができない、これが基本的な考え方であります。

 引き続き、国際社会と連携しながら、挑発行動の自制と累次の安保理決議等の遵守、しっかり求めていかなければならない、このように考えます。

足立委員 これも短時間で取り扱うにはちょっと重たいテーマですのでまたやりたいと思いますが、大変大きな、何といいますか、まあ、けんかを売ってきているわけですから、しかるべき対応をやはりしていかなあかんと思います。ただ、深刻なテーマですから、ちょっと別途また、これも別途時間をいただいてやりたいと思います。

 G7のことだけちょっと、終わったばかりですから、G7のことだけやっておきたいと思います。

 G7が始まるに当たってトランプ大統領が、ロシアと中国がいないじゃないか、こんなの意味があるのかという、ちょっと語弊がありますが割り引いて聞いてください、そういう、ツイッターかな、何かで発信をされたと承知しています。

 ロシアと中国、まあ、ロシアについては過去にG8、経緯があるわけですが、ロシア、中国は、実は、理事会で諮っていませんので出しませんが、日本の情報機関がいろいろな冊子を出しています。ここにあるのは公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」、これは毎年出ています。

 これはいわゆる内外情勢ですから、外の情勢については、特に、北朝鮮に加えて中国、ロシア、中東が特記されて、少なくとも公表をされています。

 そういう中で、ロシアと中国の扱い、特に中国の扱い、これについてはまた議論をしたいと思います。もう時間がなくなってきたのでちょっと問いを飛ばしますが、実は、G7のあり方、それはG8、G9、どうあるべきかという議論も、ロシア、中国も絡めてちょっと聞こうと思いましたが、ちょっと飛ばします。

 その上で、この「内外情勢の回顧と展望」を拝見すると、共産党というのが出てくるんですね。当たり前です、これは。破防法の調査対象団体ですから共産党が出てくるんですが、共産党が政権につくまでは、共産党と過激派等が並んで書いてあります。「共産党・過激派等」です。でも、民主党政権にかわってからは、共産党をさすがにすぐ消すのはまずいということで、過激派等と共産党を分けて節立てをされています。これは何か意味があるんでしょうか。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のような章立ての違いというのは確かにございますけれども、その検討過程の記録が残っていないため、その理由についてお答えすることは困難でございますが、いずれにせよ、章立ては変わっても、公安調査庁の調査活動に特段の変更はなかったところでございます。

足立委員 今おっしゃったように、民主党政権三年三カ月の間も共産党さんが、さんづけします、共産党さんが破防法の調査対象団体であったことは変わりがないし、情報当局、公安調査庁等においてもその取り扱いは、民主党政権下においても変わっていなかったということを、ちょっと改めて、変わっていないですね、民主党政権下においても共産党の扱いは変わっていない。ちょっと確認だけです。

杉山政府参考人 ただいま申し上げましたように、特段変わっておりません。

足立委員 時間がもう参りますので、あと一言申し上げて終わりたいと思います。

 そうした共産党と民進党は、選挙で協力をしようという議論をしています。かつて政権の座にあった政党としては、私は理解に苦しみますが、こうした形で、公安の、あるいはその他情報機関の調査対象になっている共産党と選挙協力をする。共産党から、場合によっては政権をともにすることを提案されている民進党。私は、日本の情報機関は、この見出し、かつて「共産党・過激派等」となっていたのが、今「過激派等」と「共産党」になっています、ぜひ、今後、共産党等という見出しに変えていただいて民進党も必要な調査の対象にしていただくようお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

三ッ矢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二分散会


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