衆議院

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第5号 平成30年12月5日(水曜日)

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平成三十年十二月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 若宮 健嗣君

   理事 小野寺五典君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 武井 俊輔君

   理事 堀井  学君 理事 寺田  学君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      小渕 優子君    木村 哲也君

      黄川田仁志君    高村 正大君

      佐々木 紀君    佐藤 明男君

      杉田 水脈君    鈴木 隼人君

      辻  清人君    中曽根康隆君

      中山 泰秀君    百武 公親君

      藤原  崇君    三浦  靖君

      山田 賢司君    櫻井  周君

      山川百合子君    青山 大人君

      高木 陽介君    岡田 克也君

      玄葉光一郎君    穀田 恵二君

      宮本  徹君    杉本 和巳君

      井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   外務大臣政務官      辻  清人君

   外務大臣政務官      山田 賢司君

   農林水産大臣政務官    高野光二郎君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           松林 博己君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       金子  修君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石川 浩司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 秀樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 赤松  武君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           倉重 泰彦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           富田 育稔君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部審議官)            太田 愼吾君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            平岡 成哲君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     佐藤 明男君

  鈴木 憲和君     三浦  靖君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     木村 哲也君

  三浦  靖君     藤原  崇君

  宮本  徹君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     高村 正大君

  藤原  崇君     小倉 將信君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     百武 公親君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     鈴木 憲和君

    ―――――――――――――

十一月三十日

 核兵器全面禁止に関する請願(笠井亮君紹介)(第二六二号)

十二月四日

 辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三一九号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七三号)

 同(志位和夫君紹介)(第四一七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四一八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四一九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四二〇号)

 沖縄県民の民意尊重と、基地の押しつけ撤回に関する請願(志位和夫君紹介)(第三七二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

若宮委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官石川浩司君、大臣官房審議官飯島俊郎君、大臣官房参事官安藤俊英君、大臣官房参事官船越健裕君、大臣官房参事官宇山秀樹君、大臣官房参事官赤松武君、内閣府北方対策本部審議官松林博己君、法務省大臣官房政策立案総括審議官金子修君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君、大臣官房審議官倉重泰彦君、生産局畜産部長富田育稔君、水産庁資源管理部審議官太田愼吾君、経済産業省大臣官房審議官松尾剛彦君、資源エネルギー庁資源・燃料部長南亮君、観光庁観光地域振興部長平岡成哲君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。

櫻井委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの櫻井周です。

 質問の機会をいただきましたので、早速質問をさせていただきます。

 まず最初、一点目、外務省及び関係機関における男女共同参画の推進についてお尋ねをいたします。前々回の質疑のときにちょっとここを予定をしておったんですが、質問できなかったものですから、今回改めて質問させていただきます。

 外務省及び関係機関の職員は、海外駐在、海外出張等あり、なかなか、共働きといいますか、それから子育てとの両立、大変難しいところがあろうかと思います。

 そういった中で、日経デュアルというインターネットの雑誌に「JICAのフェアな女性登用」という記事がございました。JICAは、ワーキングマザーが育児中にもモチベーションを維持しながら働き続けられるような人材マネジメントを実施しているということでございました。

 こうしたJICAのお取組、グッドプラクティスとして、ぜひ他の省庁や他の政府関係機関に紹介をして広めていくべきだというふうに考えるんですが、外務大臣の御所見をお伺いいたします。

河野国務大臣 外務省としても、女性の職員が男性の職員同様に活躍できる、それは非常に大切なことだと思っております。

 採用試験においても、平成三十年度に入省した職員に占める女性の割合は、総合職で三割、専門職が約五割でございまして、現在、外務省で勤務する職員全体でも三割が女性になっております。

 そういう女性職員が活躍してくれなければ外務省として総合力を発揮できませんので、産前産後の休暇、育児休業を取得した場合は、これはもう当然に復帰をする、そういう前提で人事の運用を今やっておりますし、共働き世帯が約二割になっておりますので、そうしたところへの人事上の配慮、あるいは、育児を抱えている職員への支援の拡充、そして、どちらかが転勤になったときに同行休業制度というのを活用する、このようなことを外務省としてもやりながら、女性職員が継続的に活躍できるように後押しをしているところでございます。

 外務省では、総合職、専門職を含め、言語研修を四十以上行ってきているところでありまして、こういう言語研修を経た職員が外務省でしっかりと活躍をしてもらうということが、これは外務省にとって必要不可欠でございます。言語研修は、そんなに、きょうやって、あしたから使えるようになるというわけではありません。それなりの時間をかけなければいけないわけですから。そういう言語研修を経た職員がしっかり活躍を続けてもらうということが大事でございますので、今後も、女性職員がしっかりと継続して活躍できるよう心を砕いてまいりたいと思います。

櫻井委員 外務省それからJICAでそういった取組をされているということは既に承知をしているところなんですが、ぜひほかの省庁にも、そういった取組、グッドプラクティスとして広めていただきたいなということをお願いさせていただきます。

 続きまして、ODAに関する有識者懇談会の提言について質問させていただきます。

 この提言、ちょうど一週間前の十一月二十八日に大臣のところに提出されたかというふうに思います。

 この有識者懇談会は、そもそも、大臣が有識者にお願いをして提言いただいたものというふうに聞いております。提言は有識者が作成したものであって、外務省が作成したものではないということですから、この内容について、これはどういう意味ですかと外務省に聞かれても困るという部分はあろうかと思いますが、一方で、外務省、大臣がお願いしてつくっていただいて提言を受けたというものですから、この提言について外務省としてどのように受けとめるのかという観点ではお答えいただけるものというふうに思いますので、そのような観点で質問をさせていただきます。

 まず、この中を拝読いたしますと、「ODAに関する国民・市民の理解・認知度の向上」ということが書いてございます。その中で、ほかの部分なんですけれども、「日本では現状、将来の世代への借金という負担のしわ寄せによって支えられているということを、忘れてはならない。日本の将来の子どもたちの負担の上で、世界の未来への投資を行っているのだとすれば、その活動はもっと効率的に行われるべき」というくだりも、別の、後ろの方でございます。

 日本が借金によって財政を賄っているという現実は、これは確かに事実でございます。ただ、これは別にODAについてのみでなく、政府の全ての予算についてこれは当てはまることだと思うんですが、ただ一方で、世間ではODAについて議論されるときに特にこういう言われ方をする傾向にあるように感じております。ODAだけ狙い撃ちにされるというのはちょっとフェアでないのではないのかというふうにも思いますが、一方で、それだけちょっとODAに対する国民の理解というのが進んでいないことの反映でもあるのかなというふうにも思います。

 ODAの理解ということを考えたときに、大臣の所信表明にも、人間の安全保障とかいうことがございました。また、TICADを来年開催します、アフリカ支援も力を入れていきますというふうに言っても、日本の国民の多くはアフリカに行ったこともない、なじみもない遠い国の話かと思います。

 こうしたODAの意義について、国民にどのように説明すれば理解が進むというふうにお考えでしょうか。

河野国務大臣 日本の財政の中からこのODAが支出されているということを考えれば、委員おっしゃるように、それはほかの支出と全く同じで変わるところはないんだ、そういうことは言えるんだろうと思いますが、他方、教育への支出とか公共事業とかさまざまな助成金と比べると、このODAというのは海外で使われる。ですから、国内の納税者からしてみると、自分の税金が海外に使われているという感覚を持たれるというのは、これはある面やむを得ないところなんだろうと思います。

 しかし、海外を支援するということは、情けは人のためならずという言葉もありますけれども、これは、例えば貧困対策というのは、結局、貧困が過激主義につながったりテロにつながったり、あるいは感染症対策というのは、もうジェット航空機の時代ですから、いつ日本に入ってくるかわからぬ。

 そうしたさまざまなことを考えれば、海外で貧困を撲滅する、あるいはSDGsが掲げている目標を達成するということは、直截的ではないかもしれませんけれども、これは日本に対しても当然に影響があって、日本に対してメリットがある。テロ、貧困、感染症、そうしたものに国際社会を挙げて取り組もうというときに、日本だけ、うちはやりませんというわけにはこれはいきませんし、そういうことを考えれば、やはり一定の御理解をいただくということは必要なんだろうというふうに思っております。

 外務省としても、さまざまな方法を使って、ODAのまず内容、何をやっているのか、どれぐらいの金額を使っているのか、それが現地でどう効果を上げているのか、そして最終的にそれが日本にとって、日本の国民にとってどうめぐりめぐってくるのかということを、さまざまな手法できちんと御説明をしていけるように取り組んでまいりたいと思っております。

櫻井委員 大臣の丁寧な御説明、ありがとうございます。

 まず一点目として、そうしたことをいかにわかりやすく国民の皆様にお伝えしていくかという点だと思います。余り難しい言葉を使ってしまうと、そこから先、なかなか聞いていただけないということもありますので。

 例えば、隣の国が貧しかったら、こちらも商売にならない、隣の国が豊かであればこそ、こちらも物を売ったりということで商売が成り立つんだ。実際、今から三十年前、四十年前、東南アジア諸国、非常に貧しかった。今は非常に発展をしていて、日本の貿易の相手国としても非常に重要になってきているという観点からもそうしたことが言えるかと思います。

 また一方で、隣国が貧しい、不安定であるということになると、日本もそれなりに、いろいろまた別な面でお金がかかってしまうかもしれない。だから、周りの国たち、世界じゅうの国が安定してもらうということが、ひいては日本の利益につながるんだと。

 今の大臣の御説明、かみ砕くとこんなことなのかなというふうにも思いますが、そうしたわかりやすいメッセージで伝えていただくようにお願いをいたしたいと思います。

 また、あと子供たち、小学校や中学校の児童生徒からしますと、遠い国の話ではありますけれども、好奇心も旺盛ということで、こうした話に結構食らいついてきてくれるのではないのか。そうした、若いうちからの、地理とかそういった学習の過程の中で、世界の国々という中で、こうした日本の活動、また、それによって何がどういうふうに変わっていくのか、よくなっていくのかということも学んでいく機会をより多く持っていただければなということをちょっとお願いさせていただきます。

 続きまして、NGOのかかわり方ということについても提言の中で言及されております。

 この中では、欧米のNGOに比べると組織として日本のNGOは規模が小さい、認知度や知名度においてもまだまだ成長途上という指摘がございました。

 ここだけ提言の中で極めて具体的なんですけれども、NGOが受託しているODA事業の一般管理費は五%、これではODA事業を実施すればするほど財務状況が悪化してしまうという構造にある、一般管理費を五%から一五%にアップするということを提言されています。

 非常に具体的な提言がここの部分だけあるわけですが、この五%から一五%へのアップ、大臣はこの提言をどのように受けとめられていますか。

河野国務大臣 今、一般管理費五%ということでお願いをすると、実際にはその事業をやるためのコストが赤字になってしまうということがあります。

 NGOとしてさまざまな事業をやっていきたい、だからODAを利用して事業をやる。しかし、そのときに認められている一般管理費は五%で、実際は一〇%以上コストがかかっている。しようがないから、その足らない分は自分の手持ちの資金を出す。しかし、なかなか財政基盤が確立されていないNGOからしてみると、手持ちの資金がそう裕福ではないので、やりたいんだけれども手を出せないという状況があって、なかなかNGOの事業の拡大につながってこなかったというところは、これは現実にあるんだろうと思います。

 外務省としては、一般管理費を一五%まで引き上げるということを目標に、財務当局としっかりと調整の上、できるところから着手していきたいというふうに思っております。

櫻井委員 私も、一般管理費が低くてなかなかNGOの皆さん、広げていけないという問題意識は共有するところですので、ぜひ大臣にも頑張っていただきたいというふうに思います。

 では、仮に一五%にして、少々利益といいますか、ちょっと黒字になったという場合に、それはけしからぬという意見がもしかしたらまた一方で出てくるかもしれませんが、NGOというのは別に、それで利益が上がって、ではその出資者に配当するとか役員報酬で上積みするとかいうことをするような団体ではなくて、それは、NGOが掲げている公益的なミッション、これにまた再投資をされるということになろうかと思いますので、そうすることによってNGOの実質強化にもなる、経験もODAの事業で積む、そしてまた財務的にもマイナスにならないということで、成長をどんどんしていけるのではないのかというふうにも期待するところですので、ぜひよろしくお願いします。

 続きまして、民間企業のかかわり方についても提言されておりますが、ちょっと時間も押してきましたのでこの部分は割愛をさせていただきますが、私の思いとしましては、それこそ、三十年ぐらい前でしょうか、「東アジアの奇跡」ということを世界銀行が本にして著しております。これは、ほかのアフリカや中南米それから南アジア等、開発途上の地域がたくさんあった中で、東南アジア、東アジアだけが成長している、何でだろう、すごく経済成長のパフォーマンスがいい、何でだろう、そういうことを分析された本でございました。

 いろいろな分析をされているんですけれども、私自身、受けとめとしましては、やはり、日本企業が出ていって、ODAと並んで、その中で日本企業も出ていく中で、いろいろ現地で人を雇って人材育成していく、それがまた周りに広がって、ある種未熟な市場経済を育てていったというところにあるのではないか。市場経済というのは、放っておいたら勝手に湧いて出てくるようなものではなくて、やはり手塩にかけて育てていく、こういうことが必要なのかなというふうにも受けとめておるところでございます。

 ですから、ODA、オフィシャルといいながらも、それ以外の部分というのも非常に大きいというふうに認識をしつつ、ちょっと次の質問に移らせていただきます。

 ODAの実施体制についてですが、ちょっとこれは驚いた記述なんですが、このようなことが提言の中にありました。現時点でJICAの機能を代替する機関が少ないためにJICAは国内において激しい競争にさらされていないことによって、JICAのレベルアップが図られにくいのではないのかとの意見があった、こんな記載がございました。

 ただ、私は、JICAは競争する主体ではなくて、NGOそれから民間企業、ほかに、最近では大学や地方自治体などが積極的にODAにもかかわってきていただいていると認識しております。こうした主体が効率的、効果的に活動を展開できるようにコーディネーションするのがJICAの役割ではないのかというふうに考えますと、ほかの主体と、それからJICAの位置づけというのが違うのではないのかというふうにも考えるところです。

 あとまた、かつては、無償資金協力は外務省、有償資金協力は海外経済協力基金、技術協力は国際協力事業団とばらばらにやっておった。したがって、各スキームごとの中で競争があったとも言えるんですが、逆に、この援助スキーム間での連携が必ずしもうまくいっていないという場合もあったということで、効率が悪かったのではないのか、こうしたこともあります。

 今は、JICAが、こうした無償資金協力、有償資金協力、技術協力、これを一元的に管理をして実施しているということで、これによって随分と改善されたのではないのかというふうに私は認識をしているところでございます。

 そういう意味で、このJICAの位置づけについて、提言はありますが、大臣はどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

河野国務大臣 JICAが果たしてきた役割は決して小さくないというふうに思っておりますが、残念ながら、JICAの中にも改善を要するところが多々ございます。

 やはり、JICAとしてどのように運営をしていくのかというところは改善をしていっていかなければなりませんし、あるいは、ODAにかかわっているコンサルティング業界というものがどれだけ世界の中で競争力があるかというと、必ずしも競争力があるとは言えない構造がそのまま温存されてきているというところはあろうかと思います。また、JICAとNGOとさまざまな事業を比べていて、コスト面で必ずしもJICAが全て優位にあるとは言えないんだと思います。

 そういう意味で、さまざまなODA事業について、どこが実施主体となるのか、もう少しきちんと見る、あるいはきちんと競争させる、そういうことはこれから必要になってくるというのが私の認識でもございます。

櫻井委員 ちょっと時間もなくなってきましたので、次の質問に移らせていただきます。

 次に、人材育成分野における国際貢献ということについてお尋ねをいたします。

 この臨時国会におきましては出入国管理法の改正案というのが審議をされておりまして、今は、参議院でまさに議論が進んでいるところでございます。人材育成に関する国際貢献ということに改めて注目が集まっておりますが、一方で、いわゆる失踪した外国人技能実習生の問題、そして、これに関してヒアリングした聴取票というのがあって、先週も、コピーをとらせてもらえないということですので、私も手書きで書き写す作業をしてまいりました。聴取票を見ますと、技能実習制度が国際貢献とはちょっと言えないのではないのか、こういうふうな非常に劣悪な実態も明らかになったというふうに思っています。

 ここでちょっと、人材育成分野における国際貢献で、これまで日本政府として、ODAの事業として、JICAなどが研修生受入れ事業を実施してまいりました。この研修生受入れ事業に当たっては、援助の対象国ごとに経済発展段階を把握し、研修ニーズを分析して、研修内容、研修の受講生の人数などきちっと計画をして、それから受入れをするというようなことを進めてきたというふうに理解しておりますが、こうした理解でよろしいでしょうか、大臣。

河野国務大臣 JICAの研修事業は、途上国から行政官や技術者などを受け入れて、専門知識や技術の移転を通じて途上国の社会経済開発に資することを目的としております。二〇一七年は、行政、農林水産、教育を始めとする約十七の分野において、合計で一万一千名の研修員を受け入れております。

櫻井委員 技能実習生についても当然、これは国際貢献だと言っているわけですから、援助国ごと、対象国ごとに計画をつくって、そして同じようにやっていくべきだと考えるんですが、これはどのように進めていらっしゃいますでしょうか。法務省にお伺いいたします。

金子政府参考人 お答えいたします。

 技能実習制度が技能等の移転による国際協力を目的とするものという点で、委員御指摘のとおりでございますが、一部の受入れ企業におきましてはこのような目的に反しまして安価な労働力の確保策として用いられていたという指摘があったため、昨年十一月に技能実習法が施行されまして、制度趣旨の徹底を含めたさまざまな取組を行っているところでございます。

 具体的には、外国人技能実習機構による受入れ企業等に対する実地検査等の機会に、改めて技能実習制度の趣旨、目的の周知に努めています。また、送り出し国に対しましては、二国間取決めの協議、それから作成後の定期協議の際に、送り出し国政府のほか、送り出し機関に対してもセミナーを開催するなど、改めて制度趣旨を踏まえた技能実習生の募集、送り出しを行うよう協力を求めているところでございます。

 法務省としましても、制度を共管する厚労省や外国人技能実習機構とともに、これらの取組を通じて、技能実習制度の本来の目的に沿った制度の適正化、それから人づくりを通じた国際貢献に努めてまいりたいと考えているところでございます。

櫻井委員 多分、JICAがやっているこの研修生の受入れ事業は、本当に相手国のニーズを、国全体としてどういうニーズがあってということから掘り起こしてやっていると思うんですけれども、この技能実習制度は必ずしもそうではなくて、個別のニーズはあるのかもしれませんけれども、その点、何か本当に国際貢献としてやっているのかどうかという部分、結局安い労働力を入れているだけというふうになっているのではないのか、やはりそういう疑念がどうしても拭えないんですね。

 もう一つ確認したいのは、外国人技能実習機構の運営に三十億円程度の国費が支出されているというふうに承知しておりますが、これは国際貢献というのであれば、当然、経済協力機構、OECDの開発援助委員会、DACへのODA実績として報告に含めているべきだと考えますが、済みません、これは外務省からOECDに提出されているものですから外務省にお尋ねをいたしますが、外国人技能実習機構の三十億円もODAとして勘定されているんでしょうか。

河野国務大臣 外国人技能実習機構に係る費用につきましては、DACの統計にODAとして登録しておりません。

櫻井委員 これは、今度、何で登録していないのかというのは法務省に聞かないとわからないと思うんですが、というのは、外務省は法務省から受けたものをそのままDACに提出しているだけということだと思います。

 何で法務省はDACへのODA実績として報告していないんでしょうか。国際貢献というんだったらちゃんと報告しないと、ただでさえ、日本のODA実績、一人当たりの実績で見ると諸外国に比べて少ないじゃないかという御批判もいただいているところなので、勘定できるものはどんどん勘定していくべきだと思うんですが、どうして報告していないんでしょうか。

金子政府参考人 申しわけございません。DACへの報告の仕組み等を承知しておりませんので、ちょっと検討させていただきたいと思います。

櫻井委員 結局のところ、一方で国際貢献といいながら、法務省も余り国際貢献と認識していないから、DACへの報告もしようという気にもならなかったのではないのか。結局のところ、こうした制度の矛盾といいますか、本音のところはこういうところにも出てきているのではないのかということもちょっと改めて指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、通告しておりました最後の項目ですが、ちょっと、もう時間終了ということですので、これはまたの機会にさせていただきます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございました。

若宮委員長 次に、山川百合子君。

山川委員 おはようございます。山川でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、三点伺っていきたいと思います。

 まず初めに、前々回の質問のときにちょっと時間が足りなくて伺えなかったことについて、大臣にお伺いをしていきたいというふうに思います。

 先月のAPEC首脳会議での首脳宣言の採択断念に見られるように、多国間での協調の枠組みの限界が指摘される中で、我が国の果たすべき役割について伺っていきたいと思います。

 この採択断念で、米中両国の対立が多国間の政策協調の枠組みに大きな影響を与えているという現実がかいま見られたというふうに思います。特に、日本にとって最重要の同盟関係にある米国、アメリカは、過去には多国間の政策協調において主導的な役割を果たしてきたというふうに思いますが、トランプ政権の発足以来、米国第一主義を掲げて、パリ協定から離脱、みずから主導したTPPからも脱退、また六月のG7首脳会合における首脳宣言の不承認など、多国間による枠組みへの関心を弱めて国際社会との協調を否定するかのような動きが目立ってきているというふうに思います。

 日本が米中ロやまたEUと肩を並べ、等距離外交を展開していくことによって、比較的小さな国々、特にアジアの諸国が日本との連携を通じて自国の国益を最大化させ、自国の主張を国際社会に発信できるとすれば、これは世界における日本の役割はとても重要なものになるというふうに思います。

 しかし一方で、やはりかつての超大国と言われる米中ロやまたEUが相互に利害が対立している場合、日本はどのようなスタンスで国際秩序の維持と国際協調の枠組みをリードしていかれるのかという問題意識があります。

 このような中で、経済連携協定の締結に向けた河野大臣のリーダーシップについては本当に心から評価するわけでございますが、経済連携協定については、日本以外の協定参加メンバーの間に意見や利害の対立が生じた場合、その影響を大きく受けること、また先日は、ちょっと答弁者としてお願いをしていなかったこともありまして失礼してしまったんですが、十分な御答弁をいただけませんでしたが、食料安全保障の観点から、自給率を引き上げていこうという政府の達成目標と経済連携による非関税枠の拡大がどのように整合性を保つことができるのかなど、国内農業へのケアを十分に、また慎重に考慮すべきことも国内にもあります。

 こういった複雑な要因が絡み合う中で、今後どのように省庁横断的に国内外の政治課題を整合させながら経済連携を進めていくのか、河野大臣の政治理念、また外交理念、そして基本的な外交スタンスについて御教示をいただければと思います。よろしくお願いします。

河野国務大臣 世界の中で保護主義が広がっている今こそ、自由で開かれた国際経済体制を日本を始めとする国際社会の中でしっかりと維持していかなければならない、そう考えております。

 そういう意味で、経済連携をこれからも日本は推進をしていきたいと思っております。また、その中で、農林漁業分野を含め、攻めるべきところはきちんと攻め、守るべきところは守り、国益の観点から最善の結果を得られるようにしてまいりたいと考えております。

 こういう国際化の時代でございますから、企業展開も非常に国際的になってまいりました。サプライチェーン一つとっても、一つの国の中では終わらない、非常にグローバルなサプライチェーンが形成される中、日本企業としてもその中にきちんと参画できるような後押しをしていく必要があろうかと思っております。

 我が国としては、年内に発効することになりましたTPP11、あるいは日・EU経済協定の早期発効、そしてRCEPの交渉の早期妥結などを通じて、今後とも自由で公正なルールに基づく貿易体制の強化に努めてまいりたいと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 来年は、我が国がG20の開催国として采配を振るう立場となります。こういう、自由貿易、そして保護主義、これが今衝突するような状況もある中、G20というものがその求心力を失いつつあるという指摘もまたあるのも事実であります。

 今御答弁もいただいたんですが、特に来年は、こうした状況下で我が国が議長国としてどのような采配を振るっていくおつもりなのかもあわせてお伺いできるとありがたいというふうに思います。

河野国務大臣 確かに、G20の意味合いが薄れているという声もあるというのは承知をしておりますが、そんな中だからこそ、自由で開かれた国際経済の体制をいかにして維持していくか。大阪のG20サミットを中心にさまざまな閣僚会議も日本で開かれることになりますので、日本としてしっかりとこうした動きをリーダーシップをとって前へ進められるように努力をしてまいりたいと思っております。

山川委員 ありがとうございます。

 では、続きまして、二つ目に移りたいと思いますが、我が国の自由で開かれたインド太平洋戦略と中国の一帯一路について伺っていきたいというふうに思います。

 自由で開かれたインド太平洋戦略というのは、この示された地域における航行の自由、また法の支配などの基本的価値の普及、定着が重要なポイントの一つであるというふうに認識をしております。

 このインド・パシフィック、インド太平洋という表現、言葉ですけれども、今や日米を中心とするアジア戦略というふうに位置づけられるのではないかというふうに思っております。この言葉がどう使われたかというのを見ていきますと、正式にはですが、二年ほど前に安倍総理がまずお使いになり、その後、いろいろありますが、ティラーソン国務長官がお使いになり、また、その後、米韓首脳会談の共同発表でしょうか、でも使われた。これに対しては、次の日、韓国が否定をするなどのことも報道されておりましたけれども、こういう経緯をたどっているように思います。

 一方、中国が展開する一帯一路は、AIIBなどの存在を含み、今や中国を中心とする多国間が協調するアジア戦略を指しているというふうに思います。

 一方で、今度は、日中の第三国民間経済協力に関して、河野大臣、私、前々回質問をいたしましたけれども、十一月二十一日の外務委員会で、私の質問に対しまして、一つ一つのプロジェクトの内容が透明性、開放性、経済性あるいは財政の健全性といった国際的なスタンダードに合っていることが大事であるというふうに答弁をされています。

 我が国は、米国との間で、インド太平洋戦略に基づき地域のインフラ整備などを推進しようとしておりますが、日中間の協力は米国との協力の間でも整合性をとらなければならないのではないかという問題意識、その中でも、特に中国の一帯一路に対しては、経済、軍事面でみずからの勢力圏を広げるための国家戦略であるとの懸念もあって、第三国民間経済協力の実施に当たっては、一帯一路への各国の批判をかわす根拠として利用される可能性も指摘をされています。こうした指摘に対して、我が国としてどのように応えていったらいいのか、このような問題意識を持っています。

 そこでお伺いをしたいんですけれども、我が国が展開する自由で開かれたインド太平洋戦略と、中国が国際的な協力を進め展開する一帯一路について、その相違点や競合点があるとすれば、それはどのようなことであるのか、また、自由で開かれたアジア太平洋戦略と一帯一路が共存できるのか、それらに同時にかかわり連携することにいわゆるそごといったようなものはないのか、河野大臣の御見解をお伺いしたいと存じます。

河野国務大臣 日本が掲げるインド太平洋に関する自由で開かれたインド太平洋構想というものは、航行の自由ですとか海上における法の支配、自由貿易、こうしたものを普及、定着させていこう、それから、質の高いインフラを整備して、接続性を高め、経済の繁栄を追求しよう、そして、海上法執行能力のいわばキャパシティービルディングをしっかりとやっていこう、そういうことをうたったものでございまして、これは特定の国を資するというものではありません。

 海上における法の支配、あるいは自由貿易、航行の自由、インフラの整備、海上法執行能力の向上、これはどの国にとっても大切なものでございますから、いわば国際公共財をみんなでつくろうということでございます。そして、ここで築かれた自由で開かれたインド太平洋のベースの上に、それぞれの国がさまざまなそれぞれの経済戦略を立てていくということになろうかと思っておりますので、この自由で開かれたインド太平洋構想と何かほかの国の経済戦略がぶつかったりとかというようなことはおよそ考えられないというふうに思っております。

 日本の第三国協力に関しては、質の高いインフラと、我々が訴えている透明性ですとか、あるいはインフラの全ての国への開放性、あるいはライフサイクルを通じた経済性があるかどうか、そして、受入れ国の債務の健全性はどうなのか、こうした基準をしっかりと満たすものについては日本企業が協力をすることもあり得るというふうに考えておりますので、そのことが何かを正当化するために使われるということではないんだろうというふうに思っております。

 全体として、何かをまとめて支援し、協力しようというものではない。一つ一つのプロジェクトをそういう視点からきちんと評価をして、協力できるものについては協力をやっていこう。これは日中だけでなく、さまざまな国との協力でも、こうしたスタンダードを満たすかどうかというのは大きなクライテリアであろうというふうに考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 そうしますと、そごを来すようなことではなくて、おっしゃられた国際公共財のそのような枠組みをそれぞれつくっていくというようなことで御答弁いただいたのかなというふうに思います。

 政府参考人の方にももう少しお伺いをしたいんですけれども、日中の第三国民間経済協力は具体的には五十二本あるということですけれども、これでの経済協力は、我が国の自由で開かれたインド太平洋戦略との関係でどのように位置づけられているのか、また、中国の一帯一路との関係はあるのか、もう少し細かいところをお伺いできればというふうに思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の第三国における日中民間経済協力につきましては、本年五月の李克強総理訪日の際に、両首脳間で、日中ハイレベル経済対話のもと、省庁横断、官民合同で議論する新たな委員会を設けて具体的な案件を議論していくこと、また、民間企業間の交流の場としてフォーラムを安倍総理の訪中の際に開催することで一致いたしました。

 これを受けまして、本年九月には委員会の第一回会合を開催いたしまして、十月の安倍総理訪中の際にはフォーラムを開催し、両首脳間で、国際スタンダードに合致し、第三国の利益となる企業間協力を推進することを確認しております。

 日本側として、こうした取組を一帯一路への協力として位置づけているわけではございません。本件取組は、第三国においても日中のビジネスを展開していくことが、両国の経済分野での協力の拡大、さらには対象国の発展にとっても有益であるとの認識に基づきまして、協力可能な具体的な案件の組成に向けて議論していくものでございます。あくまでも、国際スタンダードに合致する形で、第三国の利益となる企業間協力を推進していく考えでございます。

 それから、自由で開かれたインド太平洋につきましては、先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたとおり、我が国は、インド太平洋を自由で開かれた国際公共財とすることにより、地域全体の平和と繁栄を確保していく、自由で開かれたインド太平洋という構想を推進しております。こうした考え方に賛同してもらえるのであれば、中国を含め、いずれの国とも自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて協力していけるものと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 今の御答弁の中で、自由で開かれたインド太平洋戦略の方も少しお答え、中国とももし必要であればというような御答弁が入っていたんですけれども、では、この自由で開かれたインド太平洋戦略の日本の枠組みで、日米においては具体的にどのような協力を進めていくのか、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日米間におきましては、自由で開かれたインド太平洋の維持強化に向けて、海洋安全保障、インフラ、エネルギー、防災など、様々な分野で協力案件を進めているところでございます。

 こうした協力の例といたしましては、例えば、フィリピン、パラオにおける海洋安全保障に係る能力構築支援、さらには、マーシャル諸島、ミクロネシア等における違法、無報告、無規制の漁業対策、さらには、スリランカにおける防災対策や行政官能力構築支援など、様々な形で進めているところでございます。

 また、経済分野におきましては、日米では、本年の十一月、ペンス副大統領の訪日に際しまして共同声明を発表いたしまして、その中で、液化天然ガス供給プロジェクト等への投融資、さらには、質の高いインフラを生み出し、連結性を強化させ、持続可能な経済成長を促進するための投融資や能力構築支援等の面でも、両国のパートナーシップを深化、拡大することでも一致したところでございます。

 今後とも、アメリカ、さらには、豪州、インド、ASEAN各国等とも連携しつつ、自由で開かれたインド太平洋の維持強化に向けて取組を積極的に進めてまいりたいと存じます。

山川委員 ありがとうございます。

 それでは、ちょっと時間も迫ってきて、三つ目の中東和平についてお伺いをしていきたいと思います。

 中東問題については本当に河野大臣、熱心に取り組まれているというふうに思いますので、伺っていきたいと思います。

 我が国の外交がアメリカの顔色をうかがいながら行われているとの批判が一部ではあるものの、我が国の中東和平への取組は、我が国として独自の外交を進めている一つの例として私は高く評価する一人であります。特に、河野外務大臣は、中東政策の基本姿勢として河野四箇条を掲げるなど、中東政策には強い意欲を持って取り組まれておられます。

 少し個人的な話になりますが、私と夫はともにクリスチャンでありますので、中東の問題の根底にある歴史的な、あるいは宗教的バックグラウンドは理解をしているつもりでございます。

 私の夫は、ことしの六月、リブリン大統領が出席されたエルサレム朝さん祈祷会に招かれて、イスラエルに渡航いたしました。その際に、イスラエルだけを訪問するのではなくて、パレスチナも訪問すべきだというふうに考えまして、ジェリコ農産加工団地、JAIPを訪れて、パレスチナの方々とも親交を深めてまいりました。私たちは親イスラエルであると同時に親パレスチナである、そういう自覚を持って質問をさせていただいているわけでございます。

 我が国は中東地域を、いわゆるですが、支配した歴史もなければ、宗教的にも、そのバックグラウンドを考えますと、いわゆる歴史的、宗教的なかかわりが、言い方がいいか、薄い、欧米に比較すると非常に、偏っていない、そういう我が国のその立場、位置が中東和平にかかわる強みだというふうに思っています。

 だからこそ、我が国が果たすべき役割は大きく、パレスチナ国の国家承認のタイミングが重要だというふうに考えています。

 そこで、まず一般論としてお伺いしたいのですが、国家承認のプロセスにおいて、国家承認するために充足すべき要件というものがどのようなものがあるのか、お伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 JAIPを訪問していただいたそうで、まことにありがとうございます。

 国家承認の要件でございますが、国際法上、一般に、国家としての要件は、当該主体が一定の領域においてその領域にある住民を統治するための実効的政治権力を確立していることというふうにされております。

 ただ、その上で、ある主体が国家としての要件を満たしているかどうかという判断と、我が国として実際に当該主体を国家承認するかは、別個の問題でございます。

 すなわち、国家承認は一方的な行為でありまして、当該主体が国家としての要件を充足しているとしても、我が国はこれを国家として承認する法的義務を負っているわけではないということを申し添えておきます。

山川委員 ありがとうございます。

 要件を満たしていても、それでイコール承認するということではないということはわかりました。

 では、具体的にパレスチナ国を我が国が国家承認するタイミングと必要条件は何かということを伺っていきたいんですけれども、十一月二十日、参議院の方の委員会の御答弁で、パレスチナを国家承認すべきだという御質問に対する河野大臣の御答弁として、政府としていずれかのタイミングでパレスチナの国家を承認するというのが方針である、また、今我々が検討しているのはそのタイミングの問題でございまして、これは一度しか切れないカードであるから、和平を進展させるのに最も効果的なタイミングでこのカードを使いたいというふうに御答弁をされておられます。

 このタイミングというのは、我が国政府としては既にパレスチナを国家として承認するに十分な資格を有しているということが前提なのか。ちょっと先ほどの御答弁にもかぶさると思いますが、そうでないとすれば必要条件は何なのか。この大臣が述べられた、和平を進展させるための最も効果的なタイミングをはかる上で着目されている点はどのような点なのか。これは、例えば承認の機運がG7諸国の間に熟してきたということが要件なのか。

 私は、冒頭にちょっとお話ししたように、日本と中東の関係における地理的、歴史的また宗教的なバックグラウンドを考えますと、欧米とは異なるということで強みがあるというふうに思っています。日本がパレスチナの国家を承認するタイミングとは、国際社会の機が熟すかどうかということとは異なる日本独自のタイミングがあるのではないかというふうに思っているわけですが、河野大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 日本は、イスラエル、パレスチナ紛争の二国家解決というものをずっと支持してまいりました。そういう中で、日本もこの和平というものをしっかりと後押ししてまいりたいというふうに思っております。

 委員おっしゃいましたように、日本は中東の地域で独自の立場にございます。これは、さまざま、宗教的あるいは歴史的、そしてこれまで積み上げてきた支援の歴史というものがあって、日本は少し独自の立場があると同時に、この和平交渉の中で大きなプレーヤーであるアメリカとも同盟関係があって、日米で連携をさまざまな場面でできるという強みがあるだろうと思いますので、こうした日本の立場を最も効果的に活用できるような、そして和平を大きく進展させられるようなタイミングというものを総合的に見計らってまいりたいというふうに考えております。

山川委員 中東和平の実現に向けて、河野大臣にはぜひとも本当に日本の独自の立場を発揮していただいて、力を発揮していただければと思っております。よろしくお願いいたします。

 これで質問を終わります。

若宮委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。

 お時間をいただきまして、日本とロシアの交渉について、大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思っています。

 この間の質疑の中で、玄葉委員含めいろいろ質疑をさせていただく中で、大臣としてこの交渉に強い思い入れを持ち、及び責任をお持ちなのは十分承知しておりますけれども、御答弁いただいても差し支えないというか、いただくべき内容に対しても御答弁がないという、我々の解釈も含めて、与野党間及び委員長を含めて議論をさせていただきました。

 冒頭申し上げておきますけれども、交渉の内容、現にどのような交渉をされているのか、その交渉に際して政府が今どのように、まあ交渉事ですから、情報は持っているのかというような、機微に触れるようなことを伺うつもりはありません。

 いずれにせよ、大きな大きな交渉事でございますし、国民の多くの方々が関心を持たれていることですので、必要なことはしっかりと大臣から説明をしていただき、国民の関心及び意識というものが高まる中において交渉事が進められていくことを私は望んでおります。そういう前提でお伺いします。

 いろいろお伺いしようと思っているんですが、まず、この間のアルゼンチンでの総理とプーチン大統領との会談の中で、新たな枠組みについてのお話が出ました。報道ベース及び公式的な記者に対する発表を含めて聞いている限りですので、この新たな枠組みについて、ちょっと質問通告の順番的には一番お尻に置いていますけれども、そのことについてもお伺いしたいなと思っています。

 まず冒頭に、じゃ、この新たな枠組みとはどのような枠組みなのか、大臣からお話しいただければというふうに思います。

河野国務大臣 日ロ両首脳は、十二月の一日に、ブエノスアイレスのG20の際、首脳会談を実施いたしまして、先般のシンガポールでの、一九五六年共同宣言を基礎として平和条約を加速させるとの合意を踏まえ、日ロ双方はそれぞれ外相を交渉責任者とし、その下で外務審議官並びにロシア側の外務次官を交渉担当者とするということで一致をし、更に交渉を加速させることを確認をいたしました。具体的には、森外務審議官並びにモルグロフ外務次官をその担当者に充て、ロシア側はモルグロフ外務次官を大統領特別代表、日本側は森外務審議官を総理特別代表と位置づけるということといたしました。

 政府として、このシンガポールでの首脳間の合意及びブエノスアイレスでの首脳会談の結果を踏まえ、領土問題を解決し平和条約を締結するとの基本方針のもと、粘り強く交渉をしてまいりたいと思っております。

寺田(学)委員 概括的な御説明、ありがとうございます。

 具体的にどのような交渉の内容をするのかということじゃなくて、ここの新たな枠組みに授けられている議論対象、課題というものは何なのかということをもう一つ踏み込んでお伺いしたいんですが、今、領土問題と平和条約の締結に向けてというお話がありましたけれども、領土問題もこの新たな枠組みの中で議論されるという整理で両首脳が合意されたというような解釈でよろしいですか。

河野国務大臣 領土問題を解決し平和条約を締結するというのが日本の基本方針でございますので、それにのっとって平和条約の交渉をやってまいりたいというふうに考えております。

寺田(学)委員 御答弁に対しては丁寧に聞きながら解釈をして質問したいと思っていますけれども、今述べられたのは、大臣として及び日本政府としての姿勢を述べられておりました。

 もう一度質問しますけれども、今回の両首脳間で決められた新たな枠組みの中では、領土問題を議論するということの整理がされたのでしょうか。日本の政府の姿勢ではなくて、ブエノスアイレスで合意された新たな枠組みには、領土問題を議論するという整理がされたのでしょうか。

河野国務大臣 平和条約の要素の一つが、紛争後の、何というんでしょうか、戦争状態を終結させるということにございますので、平和条約といった場合に、それぞれの国がどう戦争状態を終結させるかというところは、これは当然に含まれる、そういうふうになると思います。

寺田(学)委員 ごめんなさい、もう一度お伺いしたいんですが、この両者間の合意、両首脳の合意の中において、領土問題を議論する、この新たな枠組みの中、そこも御説明があったらしていただきたいんですが、両首脳間、本当のトップ同士の話があって、そこである種、両大臣及び両実務者に、レイヤーが、私から見ると三レイヤーに分かれているんですが、どのレイヤーで何を議論するのかということの整理がされているんだと思います。

 私がお伺いしたいのは、今回決まった新たな枠組みの中では、領土問題を議論することも含まれる、そういう整理になったのかどうかということをお伺いしているんです。

河野国務大臣 首脳会談あるいは首脳の合意につきましては、双方で対外的に発表するということを合意したものを発表するということにしておりますので、そこのところは御理解をいただきたいと思いますが、平和条約というものについて、戦争状態を終結させる、それに伴うさまざまな賠償、補償の問題を解決する、そしてそれぞれの国の領土を画定する、そういうのが平和条約の、一般論として、要素でございます。

 ですから、ここで平和条約を締結するという以上、その三つの要素、しかも共同宣言が最初の二つは解決をしておりますから、残されたものというのは当然限定をされることに、限定されると言うとあれですが、残されたものは当然にこの平和条約の交渉で行うということになると思います。

寺田(学)委員 今大臣から、合意したものを発表するという話でしたので、質問をかえますけれども、領土問題を議論するということは合意された内容だということでよろしいですか。

河野国務大臣 五六年の共同宣言を基礎として平和条約の交渉を加速化するということを合意をし、それを対外的に発表しようということになっております。また、今回のブエノスアイレスでは、この交渉の枠組みを合意をして、それを対外的に発表しようということになったわけでございます。

 平和条約の交渉ということになれば、先ほど申し上げた三つの要素がこの平和条約に含まれるわけで、そのうち二つは共同宣言でいわば実施済みでございますので、残ることについてきちんと解決をし、平和条約を締結していこうということになろうかと思います。

寺田(学)委員 交渉を踏まえて、いろいろ慎重な表現の仕方でお話しされていることは十分承知しておりますけれども、御存じのとおり、この両首脳の会談の後に、ロシア側の補佐官ですか、ウシャコフ大統領補佐官が、新たな枠組みでは日本への島の引渡しが議論されるかとの問いに、島の引渡しは議論されないと考えるとお話をされました。

 その後、先々日ですか、日付が間違っていたら申しわけないですが、在日本のロシア大使のガルージン駐日大使が、先ほど述べた件のことに関して、ウシャコフ補佐官が言われたとおりであります、それははっきりしているでしょう、北方領土の引渡しという用語をどう解釈すればいいかということについて議論が必要ではないかと思いますとお話をされました。

 大臣が先週、この委員会、他の委員会でも、大臣のお言葉をかりると、場外乱闘というお言葉を使われていましたけれども、私も場外乱闘を起こすつもりはないですけれども、ある程度、この枠組み自体、中で実際どのような議論がされるのかということは、非常にお話しするのは難しいと思いますが、どのようなことが話されること、そういうステージとして設定されたのかということは、私は明らかにするべきだと思っています。

 そういう意味で、非常に重要な方々からのお話がありましたので、乱闘させるつもりはありませんけれども、この新たな枠組み自体に対して、島の引渡しというものが、新たな枠組みというステージの中では議論対象ではないのではないかなということを、報道を通じて我々も感じているところであります。

 ですので、当事者である大臣に対して、この島の引渡しに対して、この新たな枠組みでは議論対象なのかということを聞いております。もう一度御答弁いただけますか。

河野国務大臣 今委員もおっしゃいましたように、さまざまな発言が出ると、当然相手側がそれに反応するということになります。そこで反応したことがさまざま、後々に影響を及ぼすということは、これは十分に考えられるわけで、そうしたことをなるべく避けなければならないというふうに思っているところでございます。

 そして、現実の両国の国民の居住の実態を見れば、さまざまセンシティブな反応がいろいろなところから出てくるということは十分に考えられるわけでございまして、そうしたものをなるべく極小化したいと正直思っております。

 そのためには、日本側としても、ロシア側に、いい環境をつくって、交渉の妨げになるような要素をなるべく取り除くようにしたい、それがひいてはロシア側でも交渉を加速化するという後押しになる、後押しになるというか、向かい風にならない、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、そういうことなんだろうというふうに思っておりまして、ここで申し上げること、あるいは記者会見で申し上げること、さまざまな場で申し上げること、これは当然に、いろいろな経路を通じてロシア側に伝わり、ロシア側のプレスがキャリーをする、それに対する反応が当然に出る、そうすると、両国民の居住の現実を見れば、いろいろなところでいろいろな反応がある、それはこの交渉を、加速度をふやすことにならない可能性がある、そういうことを考慮しなければならぬというふうに思っているところでございます。

 そして、先ほど申し上げましたように、平和条約には三つの要素がございまして、そのうち二つは共同宣言で解決済みでございますので、平和条約を締結するためには、きちんと三つの要素をそろえて締結をすることになる、これが日本の基本方針でございますし、締結は両者が行うわけでございますから、それは当然にそういうことになると思っていただいてよろしいかと思います。

寺田(学)委員 平和条約を締結する上での三つの要素のうちの二つは終わっていて、残り一つだと。さまざま大臣としての御配慮の上でその言葉自体を明言しないのかもしれませんけれども、領土問題ということだと思います。

 先々日の沖縄北方の委員会で前原委員が質問されているところは非常に興味深く読ませていただきましたけれども、この北方領土の問題を議論することに加えて、まさしく、他の部分の領土に対する相手国の見解というものが議論の俎上に上ることは十二分にあるのではないかと。

 具体的に言えば、ロシア側としては、クリミアに対する日本側の認識をしっかりと、はっきりと求めてくる場合もあるでしょうし、日本側としても、尖閣のようなところをロシア側の方に認識を求めるような交渉のあり方もあるかもしれないということを推測で述べられておりました。

 これは、どのようにそこを判断するのかという議論を私はしたいのではなくて、今回のこの新たな枠組みの中で、北方領土の領土問題に加えて、このような相手国が抱える、そしてまた我が国が抱えることに、例えばクリミアのことに対してでも、議論の俎上に今回この新たな枠組みは上るのかどうか、その大臣の認識、整理、どう捉えられているのかということをお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 これはまた交渉事でございますので、どのような立場、方針で臨むかということについては差し控えさせていただきたいと思います。

寺田(学)委員 クリミアをどう日本として捉えるかという方針をお伺いしているのではなくて、まさしく今、平和条約を結ぶ上での三つの条件のうちの残された一つという話の中において、ロシア側が、クリミアの問題に対して日本側の見解を、ロシア側にとってふさわしい見解を求めてくることだってあり得るというような御指摘がありました。

 いずれにせよ、今回、大臣がお話をされている、この新たな枠組みの中で話される領土問題の中に、北方領土以外の部分も加えられることが前提と今なっているのかどうか、そういうことがはっきりわかるのであれば教えていただきたいということです。内容ではありません。

河野国務大臣 平和条約といったときに、その三つの要素というのは最低限必要で、これがなければ平和条約にならないんだろうと思いますが、平和条約といったときに、それじゃ、その三つに限るのかといった場合に、そこについては恐らくいろいろなことがあり得ると思いますので、何をテーブルの上にのせるのせないを含め、交渉事の対象になり得る可能性がなきにしもあらずということもございますので、公の場で今申し上げるのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

寺田(学)委員 かなり一般論になりますけれども、大臣にお伺いしたいのは、この間の委員会で、ここの場で、理事間協議、委員会、理事懇協議の方になった部分ですけれども、大臣にとって、この交渉に係る説明責任、国民に対する説明責任というのはどのような姿勢なのかというところが問われているんだと思います。

 この間の議論の中でやはり問題になったのは、今、既存の政府の立場、今まで政府として主張してきた立場というものはどういうものでしたかという、今後の新たな交渉に対する姿勢ではなくて、既存の姿勢に対する質問に対しても、交渉の場以外では申し上げられないというところに終始されていたところにいろいろ議論が生まれたんだと思います。

 一般論でまずお伺いしますけれども、今回の日ロの交渉、スケジュール的には一月、そしてまた六月という節目が見えていますけれども、この交渉事に対する、大臣としての国民に対する説明責任というのはどのように捉えられているのか、一般論ではありますけれども、お答えいただければと思います。

河野国務大臣 これは、しっかりと対外的に申し上げられるようになったときにきちんと御説明をするというのは当然のことだろうと思っております。

 ただ、そこへ至るまでのプロセスの中で我が方の手のうちを明かすということは、これは著しく不利になるわけでございますから、そこはお許しをいただきたいと思っております。

 また、もう一つ、先ほど申し上げましたように、交渉をするための良好な環境をつくって交渉をやりたいというふうに考えております。

 これは、先ほどから申し上げておりますように、直接的に影響を受ける可能性のある方もいらっしゃる、また、さまざまな方からの意見表明がある、それに対してさまざまな反応があり得て、それが何らかの形で交渉に影響を及ぼすことがあれば、これは交渉の加速化に資さないことになりますので、良好な交渉の場をつくることを維持するということもお願いをするところでございます。

 ですから、対外的に申し上げられるような段階になったときに、可能な限り丁寧に説明をさせていただきたいというふうに思っております。

寺田(学)委員 冒頭申し上げたとおり、交渉の中身を随時国民の皆さんに話してほしい、及び委員会で質問して答えてほしいとは思っていません。

 この間、この委員会で問題になったのは、既存の今までの立場に対する説明すらも大臣として御答弁されることを避けられたということが問題ではないかというふうになりました。

 まさしく、このように長年交渉をし続けて、徐々にではありますけれども前進しながら最終的な解決が迎えられていないということは、言われるとおり、非常にセンシティブな部分を抱えているからこそだと思うんですが、まさしく交渉が行われる大前提としては、両方の意見が違うからこそ、最終的な結論が今まで迎えられていないということだと思うんです。

 ですので、私自身は、日本政府が今まで言ってきた主張自体は、何もここの場で話すのを控える内容ではないと思うんです。まさしく相手側の主張があり、我々の主張があり、そこをどうやって新しい枠組みとアプローチの中で、総理の言葉をかりると、双方が受入れ可能な答えを出すのかということだと思うので、いずれにせよ、我々はどういう立場に立っているのか、今まで立ってきたのかということは、私は、大臣がしっかりと説明をし、その立場から、新しい協議の中で新しい答えを求めていくんだという姿勢があってしかるべきだと思うんです。

 日本固有の領土なのかということを聞いても、法的立場は変わりませんとお答えになられて、法的立場とは何かと言われると、今交渉中なので申し上げられませんという話が、きのうの参外防でも続けられていましたけれども、私は、今の立場自体はしっかりと話すべきだと思います。その立場を今までとってきたことをもって、新たな枠組みの中での議論というのがあると思いますし、お互いが受入れ可能な部分の答えが出てくるんだと思うので。

 私は、国民の皆さんも、我々は北方領土というものをどう捉えていたのか、どう捉えられる歴史的な背景があるのかということはしっかりと知るべきだと思いますし、それをしっかりと政府として説明するべきだと思います。それをもった上で新しい答えが出てくるのかもしれません。

 大臣がこの間の玄葉委員との質疑の中で御答弁されている、今度の交渉は原則的な立場が違う二カ国間の交渉でございますのでと御答弁、大臣がされています。原則的な立場が違う二カ国間、この原則的な立場というのは、日本とロシアはどのような立場なんですか。

河野国務大臣 交渉に臨む際に日本政府の法的な立場は何ら変わらないというのが、これまでも申し上げてきたところでございます。

 その中で、例えば、今までこうだった、ああだったということを具体的に申し上げると、それが一部分切り取られてまた反応を呼ぶということがある。これは、もう既に、ブエノスアイレス後、ロシアの誰々がこう言っている、ああ言っているということが、既に日本のメディアでも逆に取り上げられているわけでございます。

 ですから、法的立場に何ら変わりはございませんというのが日本の立場でございまして、それをさまざまな場面で繰り返すと、今委員がおっしゃったように、誰々があそこでこう言ったじゃないかということがまたいろいろなところでキャリーされて、それに対して反応すると、その反応が、あそこで誰々はこう言ったじゃないかということで、後々の交渉を拘束するようなことになりかねないということを我々は非常に避けたいというふうに思っているわけでございまして、日本政府の立場を変えているとかということではございません。法的立場は変わらずに交渉に臨むわけでございます。

 しかし、その説明自体がまたさまざまな反応を巻き起こすというようなことを避けたいというために、繰り返しこういうことをこの場で申し上げさせていただいているということを御理解をいただきたいと思います。

寺田(学)委員 御丁寧にいろいろ御説明いただきました。それは感謝しますけれども、私がお伺いしたかったのは、大臣みずから言われている、原則的な立場が違う二カ国と言われていますけれども、何が違うんですかということを、大臣の認識を聞きたいんです。

 これは今まで、この新たな交渉事の中身の話ではないです。大臣みずから言われているわけです、原則的な立場が違う二カ国と。何が違うのかわからないんです。教えてください。

河野国務大臣 この平和条約に含まれる要素に対する立場が違うということでございます。

寺田(学)委員 要素って何ですか。

河野国務大臣 先ほど、平和条約を締結するためには少なくとも三つの要素が必要だということを申し上げました。

 二つについては共同宣言で解決済みでございますが、残る要素に関する両国の原則的な立場が違うということでございます。

寺田(学)委員 要素は領土のお話だと思いますが、どのように違うんでしょうか。

河野国務大臣 最後の要素に対する考え方が違うということだと思います。

寺田(学)委員 それがどのように違うんでしょうか。

 僕は、これはちゃんと大臣の口から、違いがあるからこそ交渉が必要になっているわけですから、こういう違いがあるんだ、ただ我々としては新しい枠組みの中でしっかりこの違いというものを双方受入れ可能な形に持っていきたいんだということの説明はあってしかるべきだと思いますし、当然、ロシア側だって、日本側との違いがあることがわかっているからこそ交渉するわけですから。

 大臣として、このみずから言われた、原則的な立場が違う、要素が違う、三つのうちの一つの要素の捉え方が違うんだと。どのように違うんだというふうに大臣としてお考えになっているんですか。

河野国務大臣 領土の帰属に対する考え方が違うということでございます。

寺田(学)委員 帰属に対する考え方がどのように違うんですか。

河野国務大臣 領土に関する考え方がお互い相入れないということでございます。

寺田(学)委員 前回の委員会に比べて非常に御丁寧に向き合っていただいていることは、本当に感謝します。もちろん、そして、大臣自身が非常に重い交渉の責任者としてこれから交渉に臨まれるということ、そのお立場も十分理解しますけれども、質疑の途中でお話ししたとおり、これは、国民の皆さんも、そして、もちろんこの外務委員会も含めてですが、物すごく関心の高いこととして、大きな問題だと捉えています。

 場外乱闘をあえて起こそうとなんて思っていません。島を返せとか、そういうような感情的なことを言うような人たちも、地元の方々含めてだんだん考え方が変わってきているということも伺っています。交渉を邪魔しようなんという気持ちはさらさらありませんけれども、国民に対してしっかり説明をするということ自体は忘れないで、これからも向き合っていただきたいと思います。

 以上で終わります。

若宮委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 国民の小熊慎司です。

 IUU漁業についてお伺いをいたします。

 御承知のとおり、このIUU漁業というのは、違法、無報告、無規制に行われる漁業のことで、英語のイリーガル・アンリポーテッド・アンド・アンレギュレーテッドの頭文字を並べてIUU漁業と言いますけれども、御承知のとおり、日本は、水産物資源の輸入国、第二位の輸入国でもあり、日本食も世界遺産に数年前に認定されましたけれども、日本食ブームも相まって、日本の魚文化というのはもう世界に冠たるものではあるんですが、一方で、この取組、IUU漁業の規制に対する取組が甘いがゆえに、先進国の中では非常に、国際社会の中では日本が批判を浴びているところであります。

 この漁業、重要な産業であり、また持続可能にしていかなければならない。一方で、IUU漁業には、いろいろな人権問題、児童労働など、働き手の部分においても、これは非常に問題が深刻化をしているところでもあります。こうした違法な漁業に加担をしてしまっている状況が、今、日本の置かれている立場になっています。

 これはやはりしっかりと解消していかなければならないというふうに思いますが、まずは、対応が積極的でない、ちゃんと取り組んでいないという状況の中で国際的な批判を浴びている、こういう状況を外務省としてはどう認識をして、深刻に受けとめて、またどう対応していくのかというのをまずお聞きをいたします。

河野国務大臣 IUU漁業は、海洋生物資源の保存と持続可能な利用に対する大きな脅威であり、日本の漁業秩序の維持のためにも、IUU漁業の対策の重要性を強く認識をしているところでございます。

 また、IUU漁業と人権、労働問題については、ことし六月のG7シャルルボワ・サミットでも、成果文書において取り上げております。

 このため、海洋国家である我が国としても、国際社会において応分の責任を果たし、リーダーシップをとっていく必要があると考えており、政府を挙げてしっかりとIUU漁業に対応してまいりたいと考えております。

小熊委員 その心意気はそのとおりで大変よろしいんですけれども、じゃ、具体的にどうなのかというと、日本では、漁獲圧力とか資源状態というのは必ずしも今大臣の言ったとおりには展開をされていないというふうに思います。ちゃんと取り組んでいないというのが実態だと思います。

 以下、聞いていきますけれども、IUU漁業を防止していくということで協定が結ばれていますけれども、この協定の主な内容としては、IUU漁船の入港拒否、また二つ目に、IUU漁業等に従事したと信じるに足りる合理的な根拠がある場合の当該船舶に対する港での検査、三番目には、IUU漁業等に従事したことがあると疑うに足りる明白な根拠がある場合の当該船舶の検査などが定められています。

 この、一例、二例、三例と挙げましたけれども、それぞれ実態として、実際に何件こうした検査が行われたのか、それぞれお答えください。

太田政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、違法漁業防止寄港国措置協定、通称PSMAと申し上げますが、を遵守するため、外国人漁業の規制に関する法律に基づき、外国漁船が我が国に寄港する際には原則として農林水産大臣の許可を受けなければならないとされております。

 この許可に際しましては、申請書類を国際機関が持つIUU漁船リストと照らし合わせるなどにより、当該漁船がIUU漁業やこれを補助する活動に従事した船舶であるかどうかを確認しており、IUU漁船と認められた場合は、許可は発給されないこととなっております。

 これまで、IUU漁船と認められる漁船から許可の申請が上がってきた事例はなく、また、IUU漁船の入港拒否や船舶の検査に至った事例はございません。

小熊委員 事例がないということ。

 じゃ、これは、実態がそうだということでありますが、なぜ国際社会で日本はちゃんと適正にされていないというふうにずれが生じますか。実は輸入されているという指摘も受けていますけれども、この検査では事例がないということですが、このずれはなぜでしょうか。

太田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の水産物輸入量は、平成二十九年で約二百五十万トンでございまして、我が国においては、外国人漁業の規制に関する法律に基づき寄港許可を発出した漁船についても、PSMAにのっとって抜き打ちで検査をしているところでございます。

 この検査の件数につきましては、IUU漁業の取締りにかかわることになるのでお答えを差し控えさせていただきますけれども、この検査によってカバーされた水産物の量が水産物輸入量の二百五十万トンに比べてはわずかとなっている事実がございます。

小熊委員 ちょっと観点を変えてお聞きいたします。

 今まで言ったのはPSMAですけれども、国内への水産物輸入量のうち、このPSMAの検査対象となる水産物はどのくらいの割合が占められていますか。

太田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、PSMAの検査対象となる水産物の量というのは、輸入量二百五十万トンに比べるとわずかとなっております。

小熊委員 アメリカでは、ちょうど二〇一六年、ピュリッツァー賞をとったAP通信の記事をきっかけに、これはいろいろな強制労働、児童労働みたいなことがあったのが報道され、ピュリッツァー賞をとった後に、アメリカでは、輸入に関して、アメリカの国内市場に流入するのを防ぐために、輸入時の確認をしなければならないという制度が法制化をされました。

 EUにおいては二〇一〇年にこれがなされていますけれども、日本においては、こうしたEUやアメリカと同じような適正な法的措置、法律をつくるということで対応していくということの取組に関しては今検討されていますか。

太田政府参考人 お答えいたします。

 IUU漁業由来の水産物の輸入防止等のため、EUは、養殖魚等を除く海面漁業由来の全ての水産製品を対象に漁獲証明書等の提出を求める制度を、米国はマグロ等の指定された魚種やその水産製品を対象に自国の輸入業者に対して漁獲等の情報提供を求める制度を、それぞれ措置していると承知しております。

 我が国としても、IUU漁獲物に対する輸入規制の適切な実施が重要な課題と考えており、一つ目、ICCAT、大西洋まぐろ類保存国際委員会などの地域漁業管理機関における漁獲証明制度などの貿易管理措置を、二つ目、ロシア周辺水域におけるカニの密漁、我が国への密輸出を抑止するための措置を、いずれも外国為替及び外国貿易法に基づいて、違法漁獲物が輸入されないよう取り組んでおります。

 加えまして、WCPFC、中西部太平洋まぐろ類委員会におきましても、我が国が主導いたしまして、太平洋クロマグロの漁獲証明制度の導入に向けた検討を進めているところでございます。

 我が国といたしましては、引き続き、IUU漁業の撲滅を目指して、輸入規制を含め、魚種や漁獲国、貿易実態に応じた対応がとれるよう、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

小熊委員 ちょうど今、マグロの話が出されましたけれども。

 昨年、水産庁はこれをしっかりいろいろ指導していたんですが、北海道で、北海道庁が、いわゆるマグロ、商品にならないようなやつを洋上投棄をするという実態も漁業の中ではあって、これも適正な資源管理にはつながらないんですけれども、決められた漁獲量を守っていくために逆に商品にならないものを捨てているというこの洋上投棄について、逆に北海道庁ではそれを推進するようなちょっと間違った発信もされていて、水産庁が適正に指導されたと思いますけれども、この洋上投棄についてはどういうふうに、今、このマグロの件に関して北海道庁とのやりとりもあったと思いますけれども、その点も含めてお答えをいただきたいと思います。

太田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の件は、太平洋クロマグロに関する国内の管理の措置の問題であると理解しておりますけれども、クロマグロにつきましては、国際的に決まった枠がございますので、その枠におさまるよう、各県、漁業者といろいろ相談しながら管理措置の強化に努めているところでございます。

 その中で、もちろん投棄につきましては、できる限り避けるような指導を行っているところでありまして、引き続き、関係者と協議して適切な管理措置がとられるよう努めてまいりたいと考えております。

小熊委員 北海道庁とのやりとりは結局どうなりましたか。

太田政府参考人 北海道庁とも、その点に関しましては、基本的に死亡投棄は漁獲量としてカウントするということで指導しておりますけれども、基本的にできる限り生きて逃がすような指導も行うよう、道庁とは話しております。

小熊委員 できる限りになっちゃっているので、これは厳しくやらないと。

 それはそうですよ。今言ったように、商品にならないようなものをとったときにはカウントしたくないから黙って捨てちゃう部分があるわけですから、これが頻発しているわけで、できる限りじゃなくて、これをしっかり、いろいろな制度として明文化をして、規制を強化していくべきだと思います。

 できる限りでは多分ならないと思いますよ。だって、とる方はちゃんとしたものを市場に出したい、でも違うものも入ってきてしまう、それがカウントされるのであればそれはのかしておきたいということで、だって、全部の船に水産庁の人が乗って見ているわけじゃないですからね。

 これはしっかり対応しなきゃいけないと思いますけれども、もう一回お願いします。

太田政府参考人 クロマグロの管理につきましては、御指摘のとおり、まだいろいろと問題がございますけれども、よく関係者と相談して、しっかりと管理ができるように努めてまいりたいと思います。

小熊委員 そうしますと、洋上での、海上での確認又は陸揚げ時の確認というのが非常に重要になってくるわけでありますけれども、これは水産庁だけではやり切れない部分がありますから、いわゆる第三者機関みたいなものと連携をしてやっていくというような検討はされていますか。

太田政府参考人 お答えいたします。

 現時点でそのような検討は行っておりませんけれども、今後クロマグロの管理措置を検討していく上で、さまざまな選択肢も検討していきたいというふうに考えております。

小熊委員 さらに、あと流通段階でどう規制をかけていくか、取締りをしていくかということで、今般、漁業法が改正をされましたけれども、その点に、ちょっと我々はいろいろ意見がありますが、この漁業法改正のところにこういうものは盛り込まれていないというのは、結局、だから、IUU漁業に対して、それは心意気はいいんですけれども、実態としては伴っていないと言わざるを得ません。

 今後、この漁業法の改正において、こうした流通段階における規制の強化といったこと、改正の検討などをされているのか、また、されているのであれば、どのぐらいの段階でこれが法制化、改正を目指しているのか、お聞きいたします。

太田政府参考人 お答えいたします。

 まず、クロマグロに関しましては、先ほど御説明しましたように、漁獲証明制度の検討を開始しておりまして、その中で国内の流通のトレーサビリティーについても検討したいと思っております。

 一般論といたしましては、水産政策改革の一環として、まずはトレーサビリティーの出発点である漁獲証明に係る法制度の整備を進めるとともに、ICT等を最大限活用した取組を推進することとされております。

 漁獲証明制度については、適法に漁業を行う漁業者及びその漁獲物を扱う流通加工業者に対して新たな負担を強いるものともなり得るため、具体的な規制の内容等について、漁業者、流通加工業者等、幅広い関係者の意見を丁寧に聴取しているところでございます。

 また、ICTを活用したトレーサビリティーの導入については、EU又は米国に輸出される水産物について、これを支援する実証事業を予算措置によって実施しているところでございます。

小熊委員 今、ICTのお話も出ましたが、これはもう既に携帯等のアプリでも見られるんです。どんな船がどの辺で操業しているかというのが見られるんですけれども、今言った流通段階、洋上での規制、そしてまた陸揚げ時という話もさせていただきました。

 この洋上なんかでの監視も、さっき言ったとおり、一人一人が、監視員が船舶に乗るわけにはいきませんから、こうした洋上での状況把握、これもICTでしっかりモニタリングをしていく、技術を使ってやっていく、監視をしていくということが、これが合理的に把握をしていくという意味ではいいというふうに思うんです。

 洋上の部分についても、こうした技術を導入してしっかりモニタリングしていくということの検討、また、他国ではそういうのをしっかりやっているわけですけれども、日本においてはどうなっていますか。

太田政府参考人 お答えいたします。

 国際的には、オブザーバーのかわりとして漁船上にカメラを設置してモニターするというような取組が最近始まっているところでございますけれども、国内におきましてはそのような検討はまだ行っておりません。将来の課題として受けとめさせていただきます。

小熊委員 いろいろずっと今質疑してきましたけれども、日本としては精いっぱい対応している感じもありながら、先ほど言ったとおり、国際的には、日本、だめですよと。

 アメリカの基準やEUの基準に当てはめると、漁獲圧力が適正に管理をされていないという指摘をされているのも事実です、これは。もっともっと努力をして対応していかなければ、世界第二位の輸入量を誇る日本、また、魚でのさまざまな食文化として誇れる日本でありながら、一方で原材料が適正に輸入をされていない。先ほど言ったとおり、大臣にも言及をいただきましたけれども、人権問題に関して日本が後ろ向きである、逆にそれを支え、児童労働やそうした人権問題を逆に助長させている状況を生んでいるという批判も多々あるわけであります。

 そこで、お伺いしたいんです。

 来年、G20が日本の大阪で開催をされるわけでありますけれども、こうした国際会議において、やはり日本がこれは、ちょっとおくれをとっていますけれども、ある意味、更に進んで旗振り役となって、国際的なこうした誤解を理解に変えていくという意味においても、こうしたG20などの国際会議において、これを重要な議題の一つとして、日本が国際的に貢献をしているという姿を示すべきだというふうに思いますが、こうしたG20を始め国際会議での、こうした日本の取組をはっきりさせていく、積極的な姿勢を示していくということに関してはどうでしょうか。

太田政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、IUU漁業が水産資源の適切な管理を脅かすものとして、その撲滅に向けて積極的に取り組んできております。

 本年九月の国連総会に際し開催された、持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル会合に寄せた安倍総理のメッセージの中でも、IUU漁業対策への対応について言及をするなど、我が国としての姿勢を示しているところでございます。

 我が国としては、引き続き、IUU漁業の撲滅に向けて積極的に取り組むとともに、いかなる国際会議等の場で日本の積極的な国際貢献の姿を示していくことが適当かを含め、適切に検討してまいりたいと考えております。

小熊委員 大臣、どう思いますか、これは。

 いろいろな国際会議で、しっかり日本の立場を、取組を訴えていかなければ、実際、これは批判を浴びている案件です、国際的には。いろいろなほかの国の基準からいうと、日本は甘い、できていないというふうにも言われています。そうしたものをしっかり払拭をしていかなければならないと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 農水省を中心に、我が国としての対応をしっかりと確立をしていただいて、外務省としては、それを対外的にしっかりと発信をしてまいりたいと思います。

小熊委員 いずれ、これはいろいろな数字もあるのも水産庁もわかっているというふうに思いますけれども、この数字のとり方もいろいろですから、どれが正確でということが言い切れない部分もありますけれども、日本に厳しい数字が、これはいろいろな国際機関からも、NGOなんかからも指摘をされています。

 何度も申しますけれども、今、しっかり取り組んでいるというふうに答弁をいただいておりますが、国際社会の中ではそれがきちっと伝わっていませんし、いろいろな改善点を指摘されていますので、これはなるべく早急に、国際的に理解を得られる具体的な対応をしていく、それを、大臣が言っていただいたとおり、国際発信していくということが重要だと思います。

 その国際的な理解を得られる具体的取組というのを今後求めたいと思いますが、もう一度、水産庁、お願いします。

太田政府参考人 お答えいたします。

 若干繰り返しになりますけれども、先ほど、太平洋クロマグロの漁獲証明制度につきまして、我が国が主導して導入を進めているという話もございましたけれども、IUU漁業の撲滅を目指しまして、輸入規制を含めて、魚種や漁獲国、貿易実態に応じた対応がとれるよう、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

小熊委員 その適切さが第三者からも国際的にも評価をされる処置であることを望んで、質問を終わります。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 国民民主党の青山大人でございます。

 通告に従いまして、幾つか質問をさせていただきます。

 まず、先週もこの外務委員会で質問をさせていただきましたけれども、ILO、労働者の基本的権利の尊重を掲げた国際労働機関、先週は、その中でも、八つの最優先条約ということで、日本が、強制労働の廃止、百五号条約と、雇用と職業における差別待遇の禁止、百十一号の二つの条約の批准を求めました。

 きょうは、ちょっとそれとはまた別の点なんですけれども、ことしの六月、ILOの総会で、仕事の世界における暴力とハラスメントという議題で討議が行われたということでございます。セクハラなど働く場での暴力やハラスメントをなくすための条約をつくる方針が採択されて、法的拘束力のある条約と、それを補完する勧告を組み合わせた国際基準ができるような状況にあると認識をしております。

 ILOで初めて、ハラスメント対策の条約が来年に向けていろいろ決まっていくと思われますけれども、これに対して日本の立場はいかがでしょうか、まずはお伺いさせていただきます。

赤松政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本年のILO総会で、仕事の世界における暴力及びハラスメントの国際基準設定に関しさまざまな議論が行われ、その形式を条約及びそれを補完する勧告とすることが採択されました。その範囲、定義あるいはその中身につきまして、多岐にわたる論点についてさまざまな議論が行われたところでございます。

 政府といたしましては、仕事の世界における暴力及びハラスメントに関しまして新たな国際基準が設定されること自体は望ましいと考えており、各国の実情に応じた柔軟な対策を促進するような基準が策定されることが重要との立場から、ILOにおける議論に参加してまいりました。

 また、今後は、議員御案内のとおり、来年六月のILO総会で第二回目の議論が行われ、その上で条約及び勧告が採択されることが想定されておりますが、引き続きILOにおける議論に積極的に参加してまいりたい、このように考えております。

青山(大)委員 そうしますと、じゃ、来年六月、来年の総会においてもしこれが条約ということで出た場合は、日本はそれを批准するというような立場で理解してよろしいんでしょうか。

赤松政府参考人 お答え申し上げます。

 仮に条約及び勧告がILO総会で採択された場合、その批准につきましては、その採択された条約、勧告の内容等を踏まえた上で検討してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 先週も、その百五号条約とか百十一号条約で質疑した際に、まだまだ国内法で整備されていない部分があるので、国内の法律を変えていかなきゃいけないという答弁があったんですけれども、こういったハラスメントに関するものに関しては国内法は整備されているというような認識でよろしいんでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 職場におきますパワーハラスメントなどのハラスメントは、まず、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるものでございまして、あってはならないことと考えております。

 今、法整備の現状いかんというお尋ねでございましたが、現在、労働政策審議会の雇用環境・均等分科会におきましてパワーハラスメントなどの防止対策について議論を行っており、顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントへの対応についても御議論いただいているところでございます。

 年内をめどに一定の結論をいただいて、その結論を踏まえて、働く方の尊厳が尊重され、その個性と能力を十分に発揮できる職場環境の実現に向けて、ハラスメントのない職場づくりに力を向けてまいりたいと思っております。

青山(大)委員 本当に今、ハラスメントの中で、職場内だけじゃなく、第三者、顧客とか、いわゆるカスタマーハラスメントについても御答弁で言及をしていただきました。本当にこれは私も重要なことだと思っております。

 カスタマーハラスメント、悪質クレームなんというふうに言われますけれども、ある産業別の労働組合、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟という組織が全国で悪質クレーム、カスタマーハラスメントの実態調査をされたということで、その結果を伺いましたけれども、本当に私もその結果を見て驚愕をいたしました。特に、直接顧客と接する機会の多いサービス業、小売業、現場にとっては非常に大きな課題になっているなということを私も実感いたしました。

 ですから、今、その法整備の中でカスタマーハラスメントについても今検討中というふうにあったんですけれども、もう少し具体的に、カスタマーハラスメント対策についてどのように今の現段階でお考えなのでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、労働政策審議会の雇用環境・均等分科会で労使の入った構成で御議論いただいているところですが、顧客等からの著しい迷惑行為への対応につきましては、いろいろな意見をいただいております。ですので、そうした議論を踏まえて、年内をめどに結論を得たいと思っているところでございます。

青山(大)委員 企業にそういった対策の指針を促す中で、ぜひそこにカスタマーハラスメントの、例えば企業内でどういう対応をするとか、そういったことも明記されるような指針をつくってほしいなと、これは要望をさせていただきます。

 それでは、次の質問に伺います。

 まさにこの前の週末、G20ということでアルゼンチンで行われておりますけれども、まさに来年は日本が議長国ということで、最大規模のサミットが行われる中で、ちょうど、私の地元の茨城県つくば市では貿易・デジタル経済大臣の会合が開催される予定でございます。

 昨日も、経産省の方たち、参加国の大使館の方たちを連れてつくば市へ来てもらって、いろいろなところ、会場とか宿泊施設を案内してもらったというふうにも伺っております。

 まさに今、茨城県も、経産省出身の知事にかわって、県産品の海外展開や外資の誘致など、力を入れております。

 ちなみに、この茨城県つくば市では、二年前の二〇一六年にも、G7科学技術大臣会合も開催されております。

 そういった二年前のG7の反省や課題なども生かして、ぜひ政府としても、地域経済、もちろん国際会議ではあるんですけれども、地元つくば始め茨城県の地域経済への波及効果のあるような、そういったプログラムをぜひ現段階からしっかり議論してほしい、考えてほしいと思っているんですけれども、そういった地域経済への波及なんかについてはどのように考えていますでしょうか、お伺いします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合は、外務省、総務省及び私ども経済産業省の三省の共催によりまして、来年六月八日、九日に開催の予定でございます。

 開催に当たりましては、地元でございます茨城県やつくば市の活性化への貢献といった視点もしっかり踏まえて対応してまいりたいと思っております。

 既に、茨城県とつくば市が中心となりましてG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合推進協議会が設立されたところでございまして、本協議会とも連携をいたしまして、地域の魅力の積極的な発信に努めてまいりたいというふうに考えております。

 具体的には、まず、会場となりますつくばの国際会議場あるいはその周辺施設におきまして、茨城県やつくば市で研究開発が進みます最先端の科学技術あるいは物づくりに関連する展示を行い、大臣会合への出席者やあるいは海外メディアにPRすることを計画しております。

 また、あわせまして、会合の合間に地域を視察する機会を設けまして地元の魅力に直接触れられるようにするほか、関係行事等におきまして茨城県産の食材を用いた料理を提供すること等を計画中でございます。

 加えて、大臣会合に先立ちまして開催されます事務レベルのワーキンググループ会合、これもできれば茨城県の方で開催をいたしまして、各国の貿易あるいはデジタル政策の担当者も実際に茨城県を訪れる機会を設けたいというふうに考えております。

 こうした取組を通じまして、地元の魅力の発信にも貢献をしてまいりたいというふうに考えております。

青山(大)委員 まさにその推進協議会発足のときには、経産省さん、そして外務省、そして総務省の方も御出席いただきまして、本当にありがとうございました。

 ちょっと私、前回G7のときに、海外の閣僚の方とかが来るということで、当時、そのときに、いわゆる宿泊施設ということでスイートルームが足りないということで、急遽、民間の力と、県も支援してそういったスイートルームをつくったんですけれども、本当にそれっきりで、逆にそれ以降ほぼほぼ利用者がなくて、これは結構深刻な問題なんですね。本当だったらシングル五部屋あって、普通にシングルで稼働するようなところを五部屋ぶち抜いて、G7で、そうか、これから海外の方いっぱい来るんだということでやったら、もうそれっきりで、逆に地元のそういった宿泊施設が困っているという現状もありますね。

 そういった中で、こういったG20をやる中で本当につくばの魅力を発信してもらって、茨城と発信してもらって、今後もそういった国際会議の誘致なんかにもぜひ力を入れていってほしいと思います。

 やはり、当然、都心からも近いので、東京に宿泊されて会議だけ出て戻ってしまうような国の方たちもあると思いますけれども、できたら茨城に泊まってもらって、その前後で、本当につくば市は、JAXAですとか産総研、民間でも、サイバーダイン始め先端の企業もたくさんございます。今、つくば市も、インターネットの投票で実証実験とか、セグウェイの公道の走行なんか、本当に先進的な取組をやっていますので、ぜひそういった、茨城県そしてつくば、土浦始め地域の自治体としっかり連携をしてもらって、来年に向けて、もう時間がないので取り組んでほしい。

 これは要望として、じゃ、もし何かございましたら、御答弁あればお願いいたします。

松尾政府参考人 今先生おっしゃいましたように、宿泊施設の部屋数がなかなか難しいということでございまして、今回のG20となりますと二十大臣がお見えになりまして、しかも貿易とデジタル合わせますと四十カ国の大臣級が来るということで、ただ、なかなか今おっしゃいましたようにお部屋を大きくするのは難しいということで、今、二十五平米から三十五平米ぐらいの部屋を含めて御案内をするというようなことも考えております。

 いずれにしましても、今お話がありましたいろいろな研究施設ですとかを含めて、しっかりとごらんいただく機会もつくって、また、晩さん会もしっかりと開きまして、ぜひお泊まりいただけるような工夫もしてまいりたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

青山(大)委員 御答弁ありがとうございます。ぜひ特に宿泊の方を促してもらうように、つくばや土浦、石岡周辺にもたくさん施設はあるので、ぜひともしっかり検討の方をお願いいたします。

 では、次の質問に行きます。ちょっと国際連帯税について質問させていただきます。

 河野大臣も、最近御自身のブログ等で国際連帯税についての言及がございましたし、五月に開催されたG20の外務大臣会合でもそういった国際連帯税の必要性を述べていらっしゃいますけれども、大臣に、その国際連帯税の大臣のお考えですとか、具体的に、構想の段階で結構ですけれども、どういった制度設計、税の負担なんか考えていらっしゃるのか、ぜひお聞かせください。

河野国務大臣 冷戦が終わったときに、これで多くの国々が平和の果実を謳歌できるのではないかと思った一人でございました。ところが、残念ながら、昨年は、第二次世界大戦後、難民、避難民の数は七千万、戦後最高になり、ことしは恐らくその数はふえるんだろうという状況になっております。

 また、気候変動の影響で、台風ですとかハリケーンですとか、こういったものが強くなって、自然災害の影響で避難を余儀なくされる方という数もふえておりますし、これからますますそういうところはふえるだろうというふうに思います。

 そんな中で、じゃ、どう世界として対応するのか。

 これはSDGs一般ですからちょっと違うんですけれども、SDGs一般を、二〇三〇年、しっかり目標を達成しようとすると年間二兆五千億ドルずつ資金ギャップが生じているという、これは試算の一つでございますが、少なくとも相当な金額、お金が足らないというのが現実です。

 しかし、これは我が身を振り返ってみると、この財政状況の中で、じゃ、日本がODAをふやせるかというと、もう既に最盛期から半減をしていて、これをなかなか今後ふやすということは考えにくい。ドナー国の多くも財政問題を抱えていて、なかなかふやすというわけにはいかない。しかし、難民、避難民の数はふえ、人道的な支援というのはますます必要性が高まっている。

 そういう状況で、そろそろ革新的な資金供与の方法を考えなきゃいかぬというのがまず私の最初の問題提起でございます。

 その中で、一つの案として申し上げたのが、これだけグローバリゼーション、経済の国際化が進み、この経済のグローバリゼーションからメリットを得ている方、企業というのがたくさんいる中で、少しそういうメリットを還元をしてもらうということをその中で考えられないだろうか。

 更に具体的には、例えば、為替取引に極めて薄く広く国際連帯税というものをかけて、それを何がしかの国際機関に直接入れて、人道支援、緊急性の高い人道支援に対してその資金を使うというような枠組みを考えることができないだろうかという問題提起をこれまでずっとしてまいりました。

 国連総会の場、あるいはG20の外相会合、あるいは先般のAPEC、あるいはEUでの会合、いろいろな場でこういうことを申し上げますと、かなりポジティブなフィードバックがございます。

 そういう中で、少し、いろいろな国と連携をしながら、まず、いろいろなアイデアを出してもらう。我々が申し上げている国際連帯税だけでなくて、現にゲイツ財団なんかは、例えば炭素税のようなものもそういうのに使えるんではないかというアイデアもございましたし、さまざまな議論をテーブルの上にのせて、まず、こういう革新的な資金メカニズムが必要だよねという認識を共有し、そこから具体的な議論に入っていきたいというふうに思っているところでございます。

青山(大)委員 詳細な御答弁をありがとうございました。

 私も、この外務委員会で一番最初に質問したときに、難民の話を取り上げさせていただきました。日本は難民の認定が少ない、第三者の、今、制度をもっと拡充してほしいなどを質問しましたけれども、私も、そういった難民の対策なんかは本当にこれから必要ですし、ぜひ日本がそういったイニシアチブをとっていってほしい。

 どうしてかというと、前も話したように、私、子供たちに世界史の授業で教える中で、やはりそういった難民の問題とか中東の問題とか、ぜひ本当に子供たちもそういうことを今のうちからわかってほしいということをいつも強く思っています。

 そういった中、国際連帯税、今、具体的な河野大臣の思いももらいました。一部、何かフランスなんかが、十四カ国が航空券への課税なんかで国際連帯税みたいなのを導入しているケースもありますけれども、私はそこだけは、そういった航空券に上乗せるような制度だけはちょっとやってほしくないなというのが持論でございまして。

 というのも、ちょうどことしの一月に、国際観光旅客税というものが新しく導入されました。国際観光旅客税、言ってみれば、出国時に千円かかるので、それは航空券にプラス千円するのか、大して私は中身の性質は変わらないと思っているんですよね。

 国際観光旅客税、私も当時、そのときに財務委員会で質問させてもらう中で、答弁なんかで、極めて使途はきっちり決められているので無駄遣いはしないというような答弁も何度もあったんですけれども、普通に、冷静に考えてみて、一応、政府の方で二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人、訪日外国人の目標を掲げていますけれども、これが、じゃ、そこから八千万、一億と青天井にふえていくわけじゃないのは明白でございますし、もちろん、まずは二〇二〇年東京オリンピックまでにそういったストレスフリーで快適に旅行できるような環境の整備、環境のインフラ整備、これはすぐにやってもらいたいんですけれども、やがて六千万人ぐらいになったときに、当然日本人も海外に行くのもふえていく中で、この国際観光旅客税が、当初の使途では、ある意味、財源に対して使い切れなくなって水膨れしちゃうんじゃないか、私はそういった懸念も財務委員会で質問させていただきました。

 本当にこれは法律で使途も明記されているんですけれども、ぜひ、今後、国際観光旅客税の一部を今大臣がおっしゃったような目的に使うことも私は検討すべきじゃないか、そのように思っていますけれども、これは御担当、それとも大臣、御答弁の方をお願いいたします。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 訪日外国人旅行者数二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人等の目標の確実な達成のためには、今後更に増加する観光需要に対し、より高次元な観光施策を展開していくことが急務であることから、今般、国際観光旅客税を創設し、観光施策の充実に必要な財源の確保を図ったところであります。

 これを受けまして、国際観光旅客税の使途につきましては、昨年十二月に決定された基本方針におきまして、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備等、三つの分野に充当することが定められ、先般の国際観光振興法の改正により、法文上明記されたところでございます。

 こうした趣旨に鑑みれば、観光先進国の実現に向けた観光基盤の拡充強化を図るための施策以外に充当するのは難しいというふうに考えております。

青山(大)委員 もちろん、参考人の御答弁はそれで、おっしゃるとおり、今はまだ本当に、特にオリンピックに向けてストレスフリーの環境の整備、インフラに充てていって、ただ、私は、これは、インフラ整備して、そんなにインフラの費用ってかかっていないと思うので、だんだんだんだん、本当に目標の六千万人達成したらその財源が私はだぶつくようなおそれがあるというふうに思っていますし、当然、私も地元の人間として、そういった地方自治体にもどんどん、ぜひ観光施策、地方にもその財源を回してほしい思いは当然あります。

 ただ、同時に、考えようによっては、先ほど、たしか最初の櫻井委員の御質問で、大臣の答弁でも、世界においてテロとか貧困とか感染症が拡大していけば、結果的にそういったものが飛行機でいつ日本に入ってくるかわからない時代であると。そういったものも訪日外国人の数にも影響してくると思います。そういったテロとか貧困対策、感染症などにもいずれ国際観光旅客税の財源が充当できるような、そんなことを、ぜひ大臣、国土交通省、観光庁と連携しながら検討してほしいなと思いますけれども、特段、御答弁はありますか。じゃ、大臣、お願いします。

河野国務大臣 今我々が申し上げている国際連帯税は、一つは、政府が出すODAというのはもう限界に来ているんではないかという認識がありまして、何にどう課税するかというところはさまざまな議論があると思いますが、その収入を定められた国際機関に直接入れて、それはもう緊急性の高い人道支援にのみ使うというのが、今我々が提示をしている枠組みの案でございます。

 今委員がおっしゃったように、少し財源をこっちからそれに回したらいいのではないかというと、結局、政府のODAと同じような、政府の財政の枠組みの中から出すことになりますので、これはなかなか、財政状況が厳しい折に、なかなか財務省との話合いというのは難しいんだろうなというふうに思っております。

 それからもう一つは、我々が常々申し上げているのは、経済の国際化によってやはり利益を得ている人たちにその一部を還元をしてもらう。つまり、国際化の中には光と影の部分があって、光の当たっている人には少しその辺の考慮を、考えてもらいたいということで、そう考えたときに、何に課税をするのがその目的に一番沿っているかということをやはり考えていく必要があるのかなというふうに思っておりまして、今の段階で何がいいとか悪いとかという、否定をするつもりはありません。

 現にそういう、飛行機の切符に課税をするということが、これは政府への収入のためでございますが、行われている国もあるわけでございますから、今の段階は、もうとにかくどんどんいろいろな提案を出していただいて、委員の提案もテーブルの上にのせていただいて、国際社会みんなでこれからどうするという議論をする段階だと思っておりますので、どうぞ遠慮なく主張していただいて、議論に加わっていただけたらというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

青山(大)委員 丁寧な御答弁をありがとうございました。

 最後、一点だけ。

 先ほど来、いろいろな北方領土の質問が出ていますけれども、ちょっと一点だけ、私の方からは、北方領土の交渉で、日本として戦後一貫して四島一括返還の要求だと私は認識しておりますし、九三年の東京宣言や九七年のクラスノヤルスク合意等を踏まえて、今、そういった戦後七十年間の北方領土返還に対するこれまでの取組についてどのように総括というか、されているのかだけ、一点お伺いさせていただきます。

河野国務大臣 戦後、これまでのような取組があったからこそ今日につながっているわけでございまして、それを踏まえ、しっかりと交渉してまいりたいと思っております。

青山(大)委員 時間が来たので、以上で終わりにさせていただきます。

若宮委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 岡田克也です。

 北方領土問題についてやりとりをしたいと思っています。

 まず、北方領土問題の今までの経緯について少し確認をしたいと思います。確認ですので、事務方の答弁で結構です。

 冷戦時代に、ソ連は領土問題の存在をそもそも認めてこなかった。これに対して、日本としては、北方領土問題が存在すること、しかもそれが四島であるということを認めさせるというのが外交目標で交渉してきたというふうに私は理解をしております。

 一九九一年のゴルバチョフ大統領と海部総理との日ソ共同声明で四島の名前が具体的に記され、九三年の東京宣言において領土問題を北方四島の帰属に関する問題であると位置づけたことは、私は日本外交の一つの到達点、成果だったというふうに認識をしておりますが、外務省は同じような認識だということなんでしょうか。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 日ロ間では、これまで、一九九三年の東京宣言、二〇〇一年のイルクーツク声明を始め、多くの諸文書、諸合意が作成されてきております。

 御指摘の文書の評価も含めまして、政府の考え方について交渉以外の場で申し上げることは、今後の交渉に悪影響を与える可能性もございますので、お尋ねの件にコメントすることは差し控えさせていただきます。

岡田委員 ちょっと驚きですが、今申し上げた東京宣言で、領土問題は北方四島の帰属に関する問題であると位置づけたこと、そのことは事実としてお認めになりますね。

宇山政府参考人 委員御指摘の件は、事実関係として正しゅうございます。

岡田委員 その後も、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結するという考え方は、エリツィン大統領、クラスノヤルスク首脳会談や川奈首脳会談、それから、プーチン大統領、イルクーツク首脳会談、小泉総理の訪ロ時の日ロ行動計画などで何度も確認をされてきている。これは事実関係としてお認めになると思います。

 例えば、二〇〇三年の日ロ行動計画の中で、こういうふうに表現されていますよね。五六年日ソ共同宣言、九三年東京宣言、二〇〇一年イルクーツク声明及びその他の諸合意が、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結し、もって両国関係を完全に正常化することを目的とした交渉の基礎であるとの認識に立脚し、交渉を加速する。

 事実関係ですから、イエス、ノーでお答えください。

宇山政府参考人 二〇〇三年の日ロ行動計画につきましては、委員御指摘のとおり、ちょっと長いので途中省略しながら申し上げますが、一九五六年の日ソ共同宣言、一九九三年の東京宣言、二〇〇一年のイルクーツク声明及びその他の諸合意が交渉の基礎であるとの認識に立脚しということが記載されております。

岡田委員 安倍総理の二度目の登板後の、二〇一三年の訪ロ時の日ロパートナーシップの発展に関する共同声明においても、四島の具体的名前こそ書いていないものの、その中で、両首脳は、平和条約交渉を、二〇〇三年の共同声明及び日ロ行動計画を含む全ての諸文書及び諸合意に基づいて進めることで合意した、そういう項目が入っていることを確認します。

宇山政府参考人 二〇一三年四月、安倍総理のロシア訪問に際しまして、プーチン大統領との首脳会談後に、日ロパートナーシップの発展に関する日本国総理大臣とロシア連邦大統領の共同声明の採択が発表されております。

 この二〇一三年共同声明の第八項には、委員御指摘のとおり、「両首脳は、平和条約締結交渉を、二〇〇三年の日露行動計画の採択に関する日本国総理大臣及びロシア連邦大統領の共同声明及び日露行動計画を含むこれまでに採択された全ての諸文書及び諸合意に基づいて進めることで合意した。」と記載されております。

岡田委員 以上の事実関係について大臣に確認しますが、今私が申し上げたことは全て事実関係、文書にこう書いてあるということですから、大臣もお認めになりますね。

河野国務大臣 政府の法的な立場について変わりはございません。

岡田委員 それじゃ、もう一点ちょっと確認したいんですが、北方四島の帰属の問題というフレーズがよく出てくるわけですが、この意味について、従来、外務省の説明は、北方四島の我が国への帰属が確認されるのであれば、実際の返還時期、態様については柔軟に対応する考えであるというふうに説明をしております。

 日本の主張としてはそういうことだと私も思いますが、しかし、日ロ両国間で、例えば東京宣言などで具体的に合意されたのは北方四島の帰属の問題ということでありますので、別に北方四島全てが日本に帰属するということが両国間でもちろん合意されているわけではありません。

 そういう意味では、東京宣言を始め日ロ首脳間の合意文書では、返還の時期、態様だけではなくて、四島の間のどこかで国境線を引くことを排除していないというふうに読むのが普通だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 領土問題を解決し平和条約を締結するというのが我が国の立場でございます。

岡田委員 質問に答えてもらいたいんですが。

 領土問題を解決すると言いましたが、具体的には北方四島の帰属の問題、これは大臣も否定されていないわけですから、この北方四島の帰属の問題というときに、それは全て北方四島は日本の領土であるというのは日本の主張ですけれども、例えば東京宣言にその文言が出てくるときに、お互い合意した文書として出てくるわけですから、その解釈として、日本の解釈は解釈でわかりますけれども、しかし、文書を客観的に見ると、その主張がロシア側が納得してくれるわけではない。

 つまり、ある意味では、お互いの主張が違っているわけですが、その文書を読む限りは、国境線を北方四島のどこかで引くということは排除されていませんね、日本の主張は主張として、しかし、可能性として排除されていませんねということを確認しているわけです。

河野国務大臣 日本政府としては、領土問題を解決するというのが立場でございまして、領土問題を解決して平和条約を締結するための交渉を加速化していこうということでございます。

岡田委員 今まで確認したことの文書の確認をしているわけですから、同じようなことを繰り返されるというのは私は非常におかしな話だと思いますよ。違うなら違うと言ってください。いや、これは、例えば東京宣言は、四島は日本の帰属であるということをお互い認め合ったものだと。私はそういうことはあり得ないと思うんですね、ロシアの主張は違うわけですから。

 だから、双方の主張が違う中でこの文書があるということは、そこは決まっていないというふうに言わざるを得ない。それを決めるのがこれからの両国の交渉だというふうに考えざるを得ないと思うんですが、いかがですか。

河野国務大臣 日本の法的立場に変わりはないというのは、これまで繰り返し申し上げてまいりました。

 先ほどから申し上げておりますように、これから交渉をしていくわけでございまして、この両首脳が合意をした、交渉を加速化しようということを現実にするためには、その交渉のための良好な環境をつくっていくというのも必要だというふうに思っておりまして、これまでの立場を公の場で申し上げ合っても、これはなかなか良好な環境をつくるということになりませんし、こちら側が何か申し上げ、それに対して向こう側が反応をし、それがまた後々の交渉に影響が出るということを避けたいということを先ほどからるる申し上げているわけでございますので、我が国の法的立場に変わりはないというところで御理解をいただきたいと思います。

岡田委員 全く私は納得できないわけですが、ちょっと別の問題に行きたいと思います。

 先ほど何度も確認したように、日ロ間では、一九五六年日ソ共同宣言と並べて、東京宣言その他の文書を基礎とするということを何度も認めているわけですね。しかし、十一月の日ロ首脳会談では、一九五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることを合意したということで、五六年の共同宣言のみが記載されている。なぜほかの、東京宣言を始めとする諸合意はここから欠落したんでしょうか。

河野国務大臣 五六年の共同宣言は、両国の国会で承認され、批准された唯一の法的文書でございますので、これを基礎として交渉を加速化しようということで両首脳が合意したものでございます。

岡田委員 五六年の共同宣言がそういった性格のものであるということはプーチン大統領もかねがね主張していましたが、しかし、日ロの首脳間で合意した東京宣言以下の諸合意が、もちろん国会の承認は経ていないとしても、やはり首脳間で合意して文書化されているわけですから、極めて重要なものだ。今までの外交交渉の成果としてあるわけですから。それを書かなかったというのは何らか一定の意図があるというふうに言わざるを得ないんですが、それをちゃんとこの国会の場で国民に説明してくださいというふうに申し上げているわけです。

河野国務大臣 たびたび申し上げているように、この五六年の共同宣言が、両国の国会、議会が承認し、批准された唯一の法的文書であるから、両首脳がこれを交渉の基礎として条約交渉を加速化しようという合意をしたわけでございます。

岡田委員 では、今まで何回も何回も日ロの首脳が合意してきた東京宣言その他を基礎にするというのは何だったんですか。もしそんなに格段の違いがあるなら、なぜ今までは合意してきたんですか。

河野国務大臣 我が国の立場に変わりはないということはこれまでも繰り返し申し上げてきたわけでございます。

 平和条約の締結交渉というのは、先ほど寺田委員の御質問にもお答えをしましたように三つの要素があり、そのうちの二つは五六年の共同宣言でいわば解決済みでございます。この残された要素を解決するのが今度の条約の交渉でございます。

 先ほどの答弁の繰り返しで恐縮でございますが、両国の国民が現実に居住している実態を見れば、非常に機微な交渉にもなるわけでございますし、多くの方がそれに対してさまざまな意見をお持ちになる、さまざま御意見をおっしゃることになるだろうというふうに思っております。

 我々といたしましては、なるべくこの交渉を良好な環境の中で行いたいと思っておりますし、交渉をする中で、なるべくロシア側にもさまざまなことに拘束されないように交渉をしていただきたいと思っております。まあ、それは向こうからしてみればこちら側もそうなのかもしれませんが。

 そういうことでございますから、これまでの立場を申し上げ、それがさまざまな場面で引用され、それに対してさまざまな方が反応を求められるというようなことになるべくならないように交渉の環境をつくっていきたいというのが我々の考え方でございますので、どうぞ、その点、御理解をいただきたいと思います。

岡田委員 申しわけないけれども、理解できないですよ。

 先ほど言いましたように、二〇一三年の安倍総理とプーチン大統領との間の共同声明においても方針を確認されている、つまり、東京宣言その他、日ロ行動計画を含む全ての諸文書及び諸合意に基づいてと、まあ東京宣言は引用されていませんが、全ての文書及び諸合意に基づいてと書いてあるわけですね。それが今回、全く欠落してしまったということは、それは合意内容が変わったというふうに言われても仕方がないことだと思うんですよ。

 なぜ勝手にそこまで下がってしまったんですか。これはロシア側に、国後、択捉は交渉の対象外だということに根拠を与えることになっていますよ。なぜそこまで下がったのか、国民にきちんと説明してもらいたいと思います。

河野国務大臣 日本政府の立場に変わりはないというのは、これまでもたびたび繰り返し申し上げているところでございまして、また、交渉の場で我々はその立場で交渉に臨むということでございます。

 ただ、これは交渉事でございますから、双方が受け入れられる結論を導き出さなければならないわけでございます。

 そして、先ほどから申し上げておりますように、そういう交渉事でございますし、この両国民が現実にどこに住んでいるかということを考えたときに、我々として、ロシア側が、ロシア側の交渉者が良好な環境の中で交渉に出てこられるようにするというのは非常に大事なことだと思っております。そうしたことを御理解いただきたいと思います。

岡田委員 大臣の発言を聞いていると、歯舞だけでいい、ロシア人が住んでいないというふうにも聞こえてしまう、そういう答弁だと思うんですね。

 日本の主張は変わっていない、何回も繰り返されていますが、それはそのとおりです。日本の主張は変わっていないんだけれども、問題は、今回合意した日ロ両国首脳がどのような共通認識で合意したかが問題になっているのであって、その合意文書を見る限り従来とは変わっている、そこが問題だというふうに私は聞いているんですが、もう一回答えてください。

河野国務大臣 先ほども申し上げましたが、首脳会談の後、対外的に公表しようとお互い合意をしたものを公表しているわけでございます。この交渉に臨むに当たっての首脳の考え方というのは、首脳会談の中でも確認をしてきているところでございますので、差はないというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。

 日本が交渉に臨む立場というのは、これまでと法的に何の変わりもございませんし、岡田委員がおっしゃっておりますさまざまな経緯があって今日があるわけでございますから、私としては、そうした歴史の積み上げの上でしっかりと交渉に当たってまいりたいというふうに考えております。

岡田委員 今大臣おっしゃったことは、外交の常識には反していると思いますよ。やはり、合意した文書が交渉の出発点というか、それが基礎になるわけですから、その合意した文書が一つだけになってしまったわけですから、そこは明らかに変わっているというふうに言わざるを得ないというふうに思うんですね。

 例えば、竹内元外務事務次官は、十一月合意は、一九九一年以降の、今までの外交努力やその成果を後戻りさせるものだというふうにコメントしておられますね。私も同じ意見です。せっかく東京宣言で確保したものが、何かわけのわからないうちに後に戻ってしまったということです。

 では、安倍総理の十一月合意に関する国会答弁についてお聞きしたいと思いますが、安倍総理は、十一月二十六日の予算委員会で、我が会派の大串委員への答弁で、今回初めて五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるということで合意したという意味は大変大きいというふうに言っておられます。この言っている意味がよくわからないんですが、どういうふうに意味が大変大きいんでしょうか。

河野国務大臣 安倍総理は、領土問題を解決して平和条約を締結するという、この戦後七十年残されてきた課題を次の世代に先送りせず、安倍総理とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つという強い意思を大統領と共有をした、それを確認をしたということでございます。

 戦後残されてきた懸案であります平和条約交渉を、総理、プーチン大統領のリーダーシップのもとでしっかりと交渉をなし遂げようということで、双方の首脳の意思の確認ができたということが大変意味が大きいと評価しているのではないかと思います。

岡田委員 質問に答えてもらっていないんです。

 総理はこう言っているんですよ。今回初めて五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるということで合意したという意味は大変大きいと。別に、二人で必ず解決するとか、そういうフレーズに関して言っているんじゃないんですよ。

 五六年共同宣言以外のものも含めて、それを基礎として平和条約の交渉を加速させるということは何回も確認されていることだし、何が初めてなのか、しかも五六年共同宣言だけになってしまって、それがなぜ意味が大きいのか、私にはわからないので説明してください。

河野国務大臣 総理とプーチン大統領の手で、先送りをすることなく平和条約の締結交渉をしっかりと確認をしよう、しっかりと締結しようという意思の確認ができたことを、意味は非常に大きいとおっしゃっているんだろうと思います。

岡田委員 議事録を読む限り、そういうふうには読めないんですね。それは大臣の勝手な解釈であります。

 安倍総理は、もうちょっと言っておりますね。今まで全く、日ロ関係、主張する、議論するだけで七十年間全く動いてこなかったというのは事実です、このフレーズは時々安倍総理は使われるんですが、本当にそうなんですか。

 東京宣言とかいろいろな、お互い合意をして、そして北方領土問題が存在する、しかもそれは四島だというところまで持ってきたのは、私は我が国外交の大きな成果だと思いますよ。それを全部否定するような、全く動いてこなかったという一言で片づけてしまう。私は外務大臣として抗議すべきだと思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 戦後七十年にわたり平和条約が締結されてこなかったというのは、残念ながら厳然たる事実でございます。

 きょうまでさまざまな外交努力があって、そしてこういう交渉を加速化しようという合意が両首脳の間でなされた、それはこれまでの外交努力の積み上げの上にあるというのは委員おっしゃるとおり、これはもう紛れもない事実でございますが、他方、七十年にわたり、残念ながら平和条約が締結されなかったというのも現実でございます。

 今回は、平和条約を締結して、この現実も動かそうということでございます。

岡田委員 全く納得できないわけですが、最後に一言だけ申し上げますが、六月のG20大阪で交渉する、これは参議院選挙の直前ですね。そういうタイミングで交渉するというのは、私は決していい結果を生まないと。つまり、こちらとしては下がれない、それだと総理としては下がれない、そういう状況で交渉するわけですから。だから、もう少しタイミングについてもよくお考えになって、しかも国民に対してきちんと説明しつつ交渉されたらどうかということを申し上げておきたいと思います。

若宮委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、オスプレイの横田配備についてお伺いいたします。

 六月に飛来して以来、傍若無人に訓練を行っております。防衛省や自治体の調査でも、横田基地周辺の騒音が大変ひどくなっております。とりわけ、CVという特殊作戦機のタイプですから、低空飛行訓練、夜間飛行訓練、これが大変多いんですね。中には、無灯火で飛んできて、サーチライトで照らされ恐怖を感じた、こういう話まで私は聞いております。

 横田基地周辺五市一町以外からも、清瀬市、あきる野市や八王子市などからも、訓練や配備に対して抗議や強い憂慮が政府に対して示されておりますが、河野大臣は、住民や自治体からの批判、懸念に対してどう受けとめているのか、まずお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 CV22オスプレイの横田飛行場への配備に当たって、地元の方々から安全性や騒音などについて懸念が示されていることは承知をしておりまして、真摯に受けとめたいと思います。

 我が国における米軍の運用に際し、地元住民の方々の安全確保は大前提でございまして、政府としては、CV22オスプレイの日本国内における飛行運用に際しても、地元の皆様に十分に配慮し、最大限の安全対策をとるよう日米で協力していくとともに、地元の皆様の御理解と御協力をいただけるよう、今後とも誠意を持って丁寧に対応してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 住民に最大限配慮するという話ですけれども、そういう状態じゃないんですよね。

 例えば、瑞穂町では、住宅からわずか数十メートルのところでホバリング訓練を昼も夜も繰り返すというのがありました。このAさんのお宅、私も行ってお話を伺ってきましたけれども、撮りためた動画もたくさんいただきましたけれども、とにかく騒音でテレビも聞こえない、芝生や小石が飛んでくる、そして、振動でこういうテーブルの上のコップが動いていくわけですよ。

 防衛副大臣にもきょう来ていただいていますけれども、オスプレイの騒音というのは、数十メートルの距離だったら何デシベルですか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 CV22の騒音につきましては、現在、横田飛行場に配備されている航空機と比較すると、C12輸送機の騒音よりは大きいものの、現在の配備機種の大半を占めているC130輸送機やUH1ヘリコプターの騒音とほぼ同じである旨、米側から説明を受けているところでございます。

 防衛省といたしましては、横田飛行場周辺におけるCV22オスプレイ配備後の騒音状況につきましては、引き続き、騒音の実態の把握に努めるなど適切に対応してまいります。

宮本(徹)委員 私の質問は、数十メートルだったら何デシベルかというので通告しているんですよ。

原田副大臣 騒音値につきましては、防衛省としては把握はしておりません。

宮本(徹)委員 把握もせずに、何が住民への配慮ですか。ふざけたことを言わないでくださいよ。

 百デシベル以上の音をスマホで計測したというふうにおっしゃっていました。家の中でも九十五から百デシベルですよ。百デシベルといったら、電車が通るときのガード下の音ですよね。

 私も、この話を伺って、防衛省を通じて米軍に抗議させていただきました。そうしたら、そこから二百メートル離れたところでやるようになりましたけれども、本人によると、風は来なくなったけれども、音はそれでも相当な音がしているということであります。

 このAさん宅は、数年前に新築で引っ越してこられたわけですね。これは防音工事ができますか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 米軍は、日米安保条約の規定に基づいて我が国において施設・区域を使用することが認められておりまして、同条約上の目的達成のために、訓練等の軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提といたしております。

 一方、米軍は全く自由に訓練等をやっていいというわけではございません。我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであるということは言うまでもありません。米側もこの点には十分留意をしていまして、航空機の運用に当たっても、安全面や騒音面の配慮を払うとともに、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう努めていると承知をいたしております。

 いずれにせよ、防衛省としては、引き続き、米側に地元の御懸念や御要望について伝えるとともに、米軍機の運用に当たっては、安全面に最大の配慮を求め、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう対応してまいります。

宮本(徹)委員 聞いたことには答えずに、何か違うようなペーパーをべらべら読まれても、質問時間がなくなっちゃうわけですよ。

 防音工事はこのお宅の場合はできるんですか、どう対策をとるんですかということをお伺いしているんですよ。

原田副大臣 お答えをいたします。

 防衛省といたしましては、航空機騒音について大変重要な問題と認識しておりまして、今御指摘のような騒音を防止し、又は軽減するため、周辺環境整備法第四条の規定に基づいて、飛行場周辺の住宅に対して防音工事の助成を実施をいたしております。

 住宅防音工事の助成は、防衛大臣が航空機騒音が著しいと認めて指定する第一種区域に、当該区域の指定の際に現に存在している住宅に対して原則として実施をしております。また、第一種区域のうち、特に騒音の著しい区域に所在する一部の住宅については、第一種区域の指定日以降に建設された住宅であっても、予算措置により防音工事の助成を実施をいたしております。

 この場において、飛行場周辺住民の方に、個別具体的な御相談についてお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論を申し上げれば、第一種区域内に所在する住宅であっても、第一種区域の指定日以降に建設された住宅である場合や、騒音の著しい第一種区域に建設された住宅のうち、横田飛行場周辺であれば、最も新しいものでも平成六年四月以降に建設された住宅である場合に、現時点において住宅防音工事の助成の対象とはなっておりません。

宮本(徹)委員 この方は、防衛省に言っても、できませんと断られたというふうに言っているわけですよね。百デシベル以上といったら、もう相当な騒音ですよ。そういう騒音をまき散らしておきながら、防音工事もやらない。安全保障だとか何だとかと話をしますけれども、住民の暮らしも守れなくて何が安全保障なのかという事態になっているわけですよね。

 河野大臣、私は、こういうオスプレイのでたらめな訓練は中止させて、配備を撤回させるべきだと思いますよ。

 その上で、次の問題に移りたいと思います。

 F35の問題についてお伺いしたいと思いますが、まず、G20での日米首脳会談でトランプ大統領は、貿易赤字が巨大だが、それは減ってきたと評価し、日本がF35戦闘機を多く購入することについて感謝したいと表明しました。

 河野大臣、次の中期防も予算も決まっておりません。一体これはどういうことなんですか。

河野国務大臣 F35Aにつきましては、平成二十三年に四十二機の取得を決定をしておりまして、防衛省が来年度概算要求においても六機の取得を要求しておりまして、今後の取得が既に決定されているものと承知をしております。

 トランプ大統領がどのような趣旨で発言をされたか、こちら側からコメントするのは困難でございますが、そういうことを踏まえ、こういうコメントをされた可能性は十分にあろうかと思います。

宮本(徹)委員 済みませんけれども、次の予算案で六機というのは、六機が多くというふうにトランプさんが思っているんですかね、六機が。そんなことないでしょう。何らかの話合いを安倍さんとやっているんじゃないですか。

 月内に次の防衛大綱と中期防が発表される予定です。この間の報道では、F35を百機、新たに購入するというのが流れているわけですよね。百機も購入したら、その価格も膨大、その後の整備維持費も膨大にかかることになります。

 ちょっと確認したいんですが、今自衛隊が購入しているF35Aの一機当たりの価格と一機当たりの維持整備費というのは幾らですか。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 本年八月末時点のライフサイクルコストの見積りにおいては、F35Aの四十二機の機体取得に係る経費においては約五千九百六十五億円と見積もっております。量産による価格低減や為替の影響等により、取得時期によっては機体の価格は変動いたしますけれども、単純に四十二機で割れば一機当たり百四十二億円になります。

 また、四十二機を三十年にわたり運用することなどを前提とした場合の運用、維持段階に係る経費については、約一兆二千八百七十七億円と見積もっております。機体ごとの運用状況により、かかる経費は変動いたしますけれども、単純に四十二機で割れば一機当たり三百七億円となります。

宮本(徹)委員 維持費は一機当たり三百七億円。ちょっと単純計算していただきたいんですけれども、百機購入したら百機の維持整備費は幾らかかるのか。これまで三十二機購入していると思うんですけれども、百機購入したら合計で百三十二機となりますが、百三十二機の維持整備費は幾らかかるのか。単純計算ですけれども、出していただけますか。

原田副大臣 今後の我が国の防空体制につきましては、防衛大綱の見直し、また次期中期防策定の検討の一環として現在検討中でありまして、現時点においてF35Aを追加調達することが決定しているわけではございません。

 また、F35Aに関するライフサイクルコストは、四十二機の取得を前提として見積もっているものでございまして、前提となる機数をふやした場合、その運用構想や追加的な施設整備の要否等に応じて運用、維持段階に係る経費が変動するため、単純に算出することはできません。

宮本(徹)委員 普通に計算だけしていただいたらいいんです。百機と百三十二機、掛け算だけやっていただけますか。

原田副大臣 繰り返しになりますけれども、今後の我が国の防空体制につきましては、防衛大綱の見直し、次期中期防策定の検討の一環として現在検討中でございまして、現時点においてF35を追加調達することが決定しているわけではありません。

宮本(徹)委員 算数ができないんですか、計算してくれと言ったんですけれどもね。三百七掛ける百と、三百七掛ける百三十二は、それぞれ億をつけたら幾らですか。

原田副大臣 また、済みません、繰り返しになりますけれども、防衛大綱の見直し、次期中期防策定の検討の一環として現在検討中でありまして、現時点においてF35を追加調達をすることが決定しておるわけではありませんので、このような状況の中で、仮定に基づいて、単に単純計算であっても、政府から具体的な数値を申し上げることは適切でないと考えておりまして、その点、御理解いただければと思います。

宮本(徹)委員 単純計算もしないみたいですけれども、三百七掛ける百をしたら三兆七百億じゃないですか。百三十二機だと四兆を超えるわけですよね。べらぼうな維持費もかかっていくわけです。維持費だけで毎年一千三百五十億円かかる、こういう計算ですよ。こうなると、他の予算を圧迫することは明らかですよ。

 アメリカでは、アメリカの会計検査院が何度もF35の維持費について問題にしてきました。F15よりも維持費が六〇%高い。ことし三月にはもっと衝撃的なニュースがあったわけですね。維持費が捻出できなくて、世界に配備されているF35の半分が飛べない状態だ、こんな事態が起きているわけですよ。

 大体、この間、防衛省は、アメリカ製兵器の爆買いを進めてきて、後年度負担をふやしてきました。兵器のローンもどんどんどんどんふやしてきたわけですよね。

 先日、あるメディアの報道では、このローン地獄で、先月、国内企業六十二社に対して支払いの延期までお願いしている、こんな事態まで起きているわけですよ。

 こういう中でF35を爆買いしていったら、ほかのところまで含めて、国民の暮らしのための予算を圧迫することは明々白々だと思いますよ。特養ホームを待っている人もいる、保育園を待っている人もいる、消費税は増税だ、年金は削減だ、そういうときに、どうしてこういうアメリカ製兵器の爆買いに走るのか。税金の使い方の優先順位が根本的に間違っていると言わなきゃいけないというふうに思います。

 さらには、報道では、F35Aだけではなく、空母保有を念頭に、垂直離発着できるF35Bも購入するという話が出ております。F35Bというのは、F35Aよりも価格も維持費も高いんじゃないですか。これはアメリカではどうなっているのか、教えてください。

原田副大臣 お答えをいたします。

 米国防省によれば、本年九月二十八日のロッキード・マーチン社との契約において、機体及びエンジンの価格として、F35Aは八千九百二十万ドル、日本円にして約九十九・九億円、F35Bにつきましては一億一千五百五十万ドル、約百二十九億円と公表されております。

 なお、通常戦闘機の取得には、機体、エンジン以外に、ミサイルを搭載するためのランチャーなど、機体を運用するために必要な附属品が必要となりますことから、いわゆる取得価格には当たらないということでございます。

 また、米軍が運用するF35A及びF35Bの維持費については、防衛省としては承知をいたしておりません。

宮本(徹)委員 ランチャーなどを抜いた価格で、アメリカでは、F35Bというのは単純に割ればF35Aの約一・三倍かかる。大変高いわけですね。複雑な構造をしているから高いんですよ。複雑な構造だったら、当然、維持費も整備費も相当高くなるというのは、もう火を見るよりも明らかだというふうに思います。

 維持費については承知していないと。今報道では、きょうも朝、NHKで流れていましたよ、F35Bも防衛計画の大綱に盛り込もうと。月内に決めようとしているものについて、維持費も知らないで、買うことだけ決めちゃうんですか。考えられないですね。

 私、財務金融委員会でも、中期防の経費の問題を追及してまいりました。今期の中期防では、多くの兵器について、当初の計画単価より実際の単価が膨張しました。先日発表のあった財政制度審議会でも、建議で、この点を問題視して、次の中期防ではあらかじめ計画単価を明示することを求めております。

 これは、次の中期防では、計画単価はあらかじめ公表されるんですか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 平成三十一年度の財政制度等審議会の建議においては、多くの装備品について、委員おっしゃるとおり、二六中期防の計画単価が実際の予算単価を上回っておりまして、中期防総額との関係で維持整備費等の他の経費が圧縮され、合理的な運用に支障を来すことになりかねないことから、次期中期防については計画単価を明示すべきであるという指摘がなされておるところでございます。

 新たな中期防の内容については目下検討中でございまして、具体的な態様をお答えする段階ではありませんけれども、いずれにしましても、防衛装備品の単価を適切に見積もり、価格の低減を通じた調達改革に努めてまいります。

宮本(徹)委員 今期の費用の膨張から鑑みたら、財政審の指摘ぐらい、まともに検討して応える必要があると私は思いますよ。

 それから、次の防衛大綱でも、護衛艦「いずも」の空母化と、そこへのF35Bの搭載が検討されていると報道されております。岩屋大臣も、今研究しているところだとおっしゃっておられます。

 昨年度、防衛省は、F35Bを「いずも」に離発着させるために必要な改修の内容、期間、予算について調査を行いました。DDHの航空機運用能力向上に係る調査研究。ことし四月に公表されたその議事録では、米軍の後方支援実施を目的に、「いずも」の平成三十一年度定期検査での工事を目標に今回の調査研究を実施することとしたとあります。つまり、自衛隊として活用すると同時に、米軍の後方支援としても活用するというのが、今検討されていることだと思います。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、日米新ガイドラインと安保法制で、米軍の作戦行動に発進準備中の戦闘機に対して給油、整備が可能になりました。当時は、米軍のニーズを確認しているという答弁もありました。

 河野大臣にお伺いしますが、「いずも」級大型護衛艦での米軍機への給油、整備について、米側から具体的にどんなニーズが示されているんでしょうか。

河野国務大臣 政府としては、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態や国際社会の平和及び安全を脅かす事態に対処している外国の軍隊に対し、我が国として実施できる範囲で必要なあらゆる支援を行うことが重要であると認識をしております。

 ガイドライン見直し協議が進められた中においては、米側から、このような事態における米軍機に対する補給及び整備を含め、幅広い後方支援への期待が示されたと承知をしております。これは、平和安全法制制定に至る国会の議論の中でも、政府から繰り返し説明してきたものでございます。その際示された期待は、当時の自衛隊全体の能力を踏まえた一般的なものと認識をしております。

宮本(徹)委員 その後、こういう研究が始まったというわけですよね。

 F35も含めて、米側から、この間、いろいろいろいろ要求も来ているんじゃないかというふうに思いますが、しかし、自衛隊のF35を積むにしろ、ましてや米軍のF35を積むということになれば、ここから米軍が出撃するということになると、文字どおり、憲法上保有が禁止された攻撃型空母そのものということになるんじゃないですか。違いますか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 政府といたしましては、従来から、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器を保有することは、これにより直ちに自衛のための必要最小限の範囲を超えることになるため、憲法上許されないと考えてきております。

 したがって、このような兵器に該当する攻撃型空母を自衛隊が保持することは許されないと考えております。

宮本(徹)委員 ですから、F35B、米軍もこの間、実戦の運用を始めていますよ。ワスプ級の強襲揚陸艦からアフガニスタンの作戦に飛び立っています。

 文字どおり、米軍のF35Bを積む、あるいは自衛隊がF35Bを積んでいくというのは、これは憲法上保有が禁止されている攻撃型空母そのものに当たる。攻撃型空母が保有できないというのであれば、こういう防衛大綱をつくることも断じて認められないということを申し上げまして、質問を終わります。

若宮委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 本日は、資料で配付させていただいていますけれども、日本農業新聞の、和牛精液、これは、今はより深刻で、受精卵というふうに言われておりますが、その持ち出しについて質問をさせていただきます。

 この日本農業新聞、輸出禁止の和牛精液が日本国外へ不正に持ち出されていたという記事です。日本側の検査をすり抜け、中国入国時に見つかったため、流出は水際でとめられたという内容でありました。

 先日、農林水産省の方にこの記事についてお伺いをしたところ、和牛の精液ではなくて受精卵だったということでした。

 改めて、現時点でわかっている事実関係、これの御説明をお願いしたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 牛の精液、受精卵を海外に持ち出す際は、家畜伝染病予防法に基づき、動物検疫所の輸出検査を受ける必要がございます。先般、御指摘のとおり、この検査を受けずに海外へ持ち出し、中国当局に輸入をとめられた事案がございました。

 なお、御指摘のとおり、持ち出したものにつきましては、一部報道では精液とありますが、申告者は受精卵としておりまして、現在調査しているところでございます。

 以上でございます。

井上(一)委員 今調査はしているということだったんですけれども、この記事によると、今回、同所は厳重注意だけでこの男性を解放したというふうにあるんですが、何回ぐらい聴取して、この持ち出した動機、理由、これについては、この申告者の方は何とおっしゃっているんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 この受精卵を無断で持ち出した者でございますが、中国への持込みが認められなかったことから、これは、持ち出した者が日本に持ち帰り、日本に帰った際に、動物検疫所に申告をしてきたところでございます。その際に厳重注意を行っております。

 また、そのものにつきましては、輸入検査証明書がございませんので、当然日本への輸入は認められないということから、その申告された方から放棄をしていただいたところでございます。

井上(一)委員 これは、報道によると、ストローが数百本とか百本とかあるんですけれども、実際は何個の受精卵だったんですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 申告の際にお申出があったものは、ストロー、細い筒でございますね、それが三百七十本ということで申告をいただいたのでございますが、我々の方で容器、ふたをあけて数えてみたところ、約四百八十本のストローであったことを確認し、現在、その事案について更に調査を行っているところでございます。

井上(一)委員 いずれにしても、大量の受精卵を持ち出そうとしたということで、私は、どうも一人の行為ということではなくて、やはりこれは組織的にやっているのではないかという疑いが強いんですけれども、その辺についてはどういう御認識ですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 この無断で持ち出した者でございますけれども、動機につきましては、人から頼まれたということで説明を受けてございますけれども、この事案自体、更に調査を進めているところでございます。

井上(一)委員 ここは動物検疫所の聴取ということなので、やはり何というんですかね、知的財産を保護するという観点からの聴取ではないような気がするんです。

 だから、私は、やはりもうこういった事態を二度と起こさないということで、知的財産を保護するという観点からの徹底した事実関係の解明を行っていただきたいと思いますが、その点、政務官、いかがでしょうか。

高野大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 農林水産省としましては、本事例を踏まえ、当該の輸出者に対しまして厳重注意を行っております。

 再発防止策として、船舶会社、航空会社、生産者団体、税関等に注意喚起を行い、同様の貨物を輸出しようとした者がいた場合は動物検疫所に連絡をいただくよう要請を行っているところであります。

 また、本件につきましては、事実関係の調査を進めながら、今後、告発の手続を進めてまいりたいと考えております。

 また、お話にありました知的財産についてでございますが、和牛など家畜の場合、仮に親が同一であっても、精液や受精卵の段階では形質が未確定でございまして、同じ能力の牛を増殖することは困難であります。また、植物のような条約も存在せず、種苗法のような法律による保護は難しいと考えております。

 しかしながら、和牛は、国内の生産者、関係者が長い年月をかけて改良してきた我が国固有の重要な財産であり、生産者団体等は、精液や受精卵を含む和牛の遺伝資源の輸出自粛に取り組んでいるところでございます。

 国におきましても、全国の家畜人工授精所等に対して、和牛遺伝資源の保護に関する理解の醸成や精液等の適正な流通管理の徹底に取り組んでいるところであり、今後とも、生産者団体と連携をしながら、緊張感を持って適切に取り組んでまいります。

 以上です。

井上(一)委員 済みません、後半部分は後で聞こうと思っていたんですけれども。

 いずれにしても、この申告者に厳重注意をされたということだったんですけれども、これは法律違反をしている人にまだ事実もよくわからない段階で厳重注意をしたと。私は、もっとやはり事実関係を調べた上で、徹底した事実関係のもとに、どういう対応をするかというのがあってしかるべきだと思うんです。

 正直、私はやはり危機管理意識が甘いんじゃないかと思っているんですが、具体的に、これはどういうような厳重注意の内容だったんでしょうか。これは政務官じゃなくて参考人の方で結構ですので。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭申し上げましたとおり、受精卵、それから精液、卵子、さらに肉類につきましては、持ち出す際にはしっかりと動物検疫の検査を受けていただく必要がある、このことにつきまして厳重注意をさせていただいております。

井上(一)委員 それは単に、厳重注意というよりもお知らせみたいなもので、私、危機管理認識がやはり甘いと思うんですよね。もう一度、政務官、これは事実関係を徹底的に解明していただきたいですし、刑事告発も念頭に進めるということでしたが、これは具体的にどのようにお考えですか。

高野大臣政務官 お答え申し上げます。

 厳重注意の御指摘がございました、内容も踏まえての御指摘がございましたが、この内容を私もしっかりと理解をしまして、足らざるところはしっかりと指導していきたいというふうに思っております。

 また、告発につきましても、これもできるだけ速やかに、関係者が比較的多いようなお話も聞かせていただいておりますので、この辺も踏まえてしっかりと調査を厳密にしまして、対応してまいりたいと思っております。

 御指導、よろしくお願いします。

井上(一)委員 先ほど政務官の中でも話はしていただいたんですが、やはりこの和牛に関して、いろいろ植物の場合は種苗法で権利が保護されるということを伺っておりますけれども、畜産物については知的財産として保護するという仕組みがないような気がするんです。

 家畜伝染病予防法、そのような、伝染病を予防するという観点ではなくて、しっかり知的財産を保護するという観点から、しっかりした法整備をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

富田政府参考人 お答えいたします。

 植物との違いをまず説明させていただきたいと思います。

 植物につきましては、種苗法に基づきまして、育成者権を設定することが可能でございます。同一世代でその特性が十分均一であるという均一性、あるいは、何代増殖を繰り返しても特性が安定している安定性、そのような要件を満たしますれば、新品種として登録することが可能でございます。また、新品種を保護するための国際条約、UPOVと申しますが、そういった条約も存在しております。

 他方で、先ほど政務官から御答弁いただきましたが、和牛など家畜の場合、仮に親が同一であっても、精液や受精卵の段階では形質が未確定であり、同じ能力の牛を増殖することが困難でございます。また、植物のような条約も存在せず、種苗法のような法律による保護は難しいと考えてございます。

 ただ、しかしながらということで、生産者団体等含めて遺伝資源の輸出の自粛に取り組んでおりますので、政府としても、しっかりと関係団体と連携をとって対応してまいりたいと考えてございます。

井上(一)委員 じゃ、最後、コメントだけで終わりますけれども、やはり条約がないのであれば条約をつくるとか、そういった知的財産を保護する、やはり和牛ブランド、非常に重要ですので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わります。

若宮委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳です。

 最後の二十分、よろしくお願いします。皆さん、ちょっとおなかが減っていらっしゃるかもしれませんが、もう一頑張り、おつき合いをいただきたいと思います。

 先日、ヨルダン国王の国会での演説はいかがでしょうかというお話をさせていただきました。その話から入りたいんですけれども、きょうは、SDGsにかかわるというような切り口で、時間のある限り質問させていただきたいですし、私が一方的にまたお話しして、予定の質問が全部できないかもしれないので、その際はちょっと、あらかじめ関係者の皆さんに、次の機会にということで、おわびしておきたいと思います。

 大臣は今、隣の国というか、あるいは近所の国というか、きょうも厳しい質疑があったように私は拝見していましたけれども、徴用工の問題であれ、領土の問題であれ、平和条約の問題であれ、本当にお隣の国というのは大変難しゅうございます。

 それで、まあ隣の国といっても、オリンピックの入場行進での、ジャパン、ジョーダン、こういう順番で、東京オリンピック・パラリンピックの場合は残念ながら日本が最後の入場行進国になると思いますので、東京オリンピックではその機会はありませんけれども、通常、他国で開かれるオリンピック、パラリンピックにおいては、隣の国はヨルダンということでございます。

 ちょっと調べましたら、一九五四年、安倍総理が生まれられた年でございますけれども、来年でヨルダンとの国交というのが、一九五四年から六十五年という、これは節目に当たる年ではないかなと私は思っておりまして、そんな意味から、ヨルダン国王にぜひ国会で演説をしていただいて、これはSDGsでいくと十六番目の目標になる平和といったテーマのことにつながるかと思いますので、その関係で、冒頭、ブータンの国王の来日について、少し質問をさせていただきたいと思います。

 ブータンの国王の来日の経緯、衆議院事務局が、えっ、私たちに質問するんですかということで、そういう例は余りないのでというようなことで、結局、御答弁をいただくことは避けましたけれども、事務局に確認したところ、ブータンの国王の場合は国交二十五年というタイミングでいらしたかと私は記憶していますが、事務局、衆議院の国際部渉外課さんからの回答では、国会開会中、衆参合同の行事として、衆参本会議で交互に、基本的には、外国賓客の国会演説というのを行われていると。

 一義的には賓客側の意向を受けて実施ということで、きょうも、トランプ大統領の来日、来年の、二回いらっしゃるんじゃないかという新聞記事があって、そこに、来日した近年の主な要人というような書き方がありましたけれども、この中でも、二〇一四年のベトナム国家主席、それから二〇一五年のフィリピン大統領が、直近では、この後また質問できればと思いますが、カザフスタン、その前、二〇一六年二月にはエジプト大統領といった方々がいらしておられます。

 こういった方々が、まずは先方の意向から始まるようですけれども、担当する外務省が受入れを確認し、衆参国際部に内々の申入れを外務省がされて、そして、衆参国際部と外務省でその実施の可否というか、国会開会中でない場合はできないわけですから、そういった点の確認をして、国会演説に結びつくという協議を行うという段取りだそうです。

 あと、外務省は、この後答弁もいただくかもしれませんが、国際部渉外課からの報告として、衆参の議運の理事、それから国対の主要メンバー、それから関係国の議連の幹部の方々、それから外務委員会、委員長を始め、方々に、根回しというか、ということをし、両院で実施の受諾の見通しが立った段階で、外務省発の各院宛ての公文書を発行。そして、その上で、衆参議運理事会にて正式に演説実施の了承を得た後、各院発の外務省宛てに公文書にて回答というような段取りで行われるということです。

 それで、私がちょっと外務省さんから事前のレク的にいただいたペーパーでは、ブータンの国王の場合は、事前に先方から、そもそも訪日の意向が、当時の二〇〇九年の麻生総理、それからその次の総理である、二〇一〇年には鳩山総理に対して、日本に伺いたいよという御意向を示していただいたという中で、来日の一、二カ月前に国会演説もというお話があったやに伺っております。

 来年はトランプ大統領もいらっしゃって、二度もいらっしゃるということで、トランプ大統領もいかがかとは思いますけれども、それはまた別途考えていただく中で、SDGsに絡めて考えれば、アルファベット順でいくところの隣の国であるヨルダン国の国王に来ていただいて国会で演説いただくのは、大変、世界のSDGsの旗手として我が国が果たすべき役割の中で、中東からの和平、何かきょうはカタールがOPECから離脱するみたいな記事も拝見したりするし、あるいは、環境問題でマクロン大統領が窮地に立って、デモがあったりというように、地球は目まぐるしく動き、かつ、このSDGs的な問題が、平和であったり、あるいは地球温暖化、国連報告では、UNEPですね、国連環境計画が、産業革命前からの気温上昇二度未満の達成には各国が掲げる温室効果ガス削減量を約三倍にする必要があるという報告書を出したとか。こういう、もろもろ申し上げて恐縮ですけれども、そんな中で、本当に平和の構築という意味で、我が国がSDGsのリーダーとして、そしてヨルダンの国王に、中東和平というところに結びつく立場ということも踏まえて、中立的なと言ったら、言葉は難しいですけれども、正しいかどうかわかりませんが、我が国の国会においてお話をいただくことは、大変意義があると思うんです。

 これは事務方の方に問合せさせていただいて、長い質問になりましたけれども、ブータン国王の来日の経緯、今私が申し上げたようなことでよろしいかどうか。そして、もし、私が申し上げたことに対する事務方としての意気込みがあったら教えていただきたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 ブータン国王来日の経緯でございますが、委員御指摘のとおりというふうに理解しております。

杉本委員 ありがとうございます。

 先日も、河野外務大臣からは前向きな御答弁を、ヨルダン国王については言っていただいたという意識を私は持っていますので、委員長を始め各理事の方、あるいは各議院の委員の先生方、あるいは外務省の皆さん、そして事務局、衆議院の方、参議院の方に、改めて、僣越ですけれども、私の立場から、そういうSDGsにということも包含しつつ、ぜひヨルダン国王の来日国会演説というものをお願いさせていただきます。

 次に……(河野国務大臣「委員長」と呼ぶ)大臣、答弁いただいていいですか。予定していなかったですが。

河野国務大臣 大変な御熱意を持って、この問題、提起されているのはよくわかりました。

 ヨルダンとは、ジェリコのJAIPでも、イスラエル、パレスチナと一緒に、日本のプロジェクトを一緒にやっておりますし、この和平の中でも非常に大事なプレーヤーでありますし、日本との関係も非常に強い国でございまして、委員おっしゃるのも、なるほどなと思いました。

 ただ、この問題は、これまでもるる御説明がありましたように、まず先方の御意向というのが大事でございまして、こちらで幾ら盛り上がっても、先方の御意向が表明されなければというところもあろうかと思いますし、これは院の話でございますから、外務省が出しゃばるというわけにもいきませんので、どうぞ杉本委員におかれては、まずアブドラ国王を口説いていただいて、先方からの意思表明が院に対して行われるような御尽力をいただいて、これはもう、院の方で御理解をいただければ、外務省としてはしっかり対応してまいりたいというふうに思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 おっしゃっていただいて大変ありがたいですが、あうんの呼吸というか、私はヨルダンの国の外交官の方々もお目にかかったことがございますけれども、あうんの呼吸で、あるいは、外務省さんもお立場はあると思いますけれども、主体的には院ということでありますけれども、各関係者のあうんの呼吸というものに期待を申し上げたく存じます。

 答弁は、済みません、大臣にいただこうと思っていたのはIWCの問題でございまして、次にそのIWCの問題に移らせていただきます。

 SDGsの中でいきますと、気候変動に具体的な対策をというのが十三番で、海の豊かさを守ろうというのが十四番というようなことが関係するかと思いますが、このSDGsの関係でいくと、御案内だと思いますけれども、ニュージーランドで鯨の大量死がまたあって、海水温の上昇が関連しているんじゃないかと。

 きょうは、小熊代議士がIUUという問題について御指摘いただいていますけれども、鯨だとかイルカだとかというものに対する、国あるいはお一人お一人の価値観の違いみたいなのはあると思います。そんな中で、温暖化が原因で鯨が百四十頭ニュージーランドの浜辺に打ち上げられ、その一週間前にも、スチュワート島というところで、やはり鯨が残念ながら、エルニーニョが原因ではないかというような説もありますけれども、たくさん死んでしまっているということです。

 難しいんですけれども、食物連鎖というようなことの中で、我々は何を食べ、どう生きていけばいいかみたいな問題でもあると思いますけれども、この間、テレビでは、弱肉強食という意味では、ライオンがアフリカゾウを食べているというのをやって、わあ、すごいという印象でしたけれども、食物連鎖がうまく回れば、地球のサステーナブルという部分では持続可能性ができると思いますけれども、一つの、これまた、私、一方的にお話ししますが、BBCが先月末に報じておりましたけれども、牛肉を食べるのと植物性たんぱくを食べるのとで、CO2の排出量が、牛肉の飼料を結局つくっていかなきゃいけないというようなことの中で、そちらの方がCO2を出してしまっているというような提起がありました。

 あと、野菜なんかでも、地産地消で野菜を食べればいいんですけれども、空輸をわざわざして、運んできて野菜を食べるというような、安いからと思っても、総合的に考えるとCO2をやはり出してしまうというようなことで、BBCはなかなかいい視点で見ていると思いましたけれども。

 そのニュースのトップは、CO2 エミッション ライジング フォー ファースト タイム イン フォー イヤーズということで、ここ四年間で一番CO2の排出量が出ていますというようなニュースタイトルの中で、そういうことがございました。

 それで、御案内のことをまた更に続けますけれども、鯨のこと、捕鯨、反捕鯨について。

 ロシア、日本、ノルウェー、アイスランド、それからデンマーク自治領のフェロー諸島、こういった国々が捕鯨の歴史があって、食文化にもつながっている。一方で、そうではない国々が、オーストラリア、フランス、スペインなどのEU加盟国、ラ米諸国、アルゼンチン、ブラジルなどといった国々があるということがあります。

 ちょっとまた話が飛ぶかもしれないんですが、私、銀行員で融資をしていたときに、小さな商社にお金を貸していたんですけれども、実は、宮崎県のハマチの養殖にそのお金が回っていたということで、現場を見に行きました。残念ながら、そこの会社は、最終的にハマチの養殖の会社は潰れましたけれども。

 そこで、ハマチの養殖が今どうなっているかというのは正確に把握できませんが、当時の場合は、増肉係数というお言葉、御存じかどうかわからないんですが、肉をふやす係数ですね、これによって、ビタミンだとか、いろいろなホルモン剤的な餌が与えられて、ハマチが、成魚というか大きくなるまでの期間が通常は三年かかるものを二年で育ててしまうというようなことを目の当たりにして、それから、ハマチの養殖をやっている方々には御無礼かもしれませんが、養殖というのはやはり天然と違うんだなという意識を私は持ったという経緯がございます。

 さらに、ちょっと時間がなくなってきましたけれども、今、アメリカと、TAGだFTAだなんという議論をいろいろ、この委員会でもされていますけれども、成長ホルモン入りの牛乳を入れるか入れないかというのが、アメリカとその貿易の問題を話し合う中で、今後出てくるかと思います。

 カナダ政府や欧州委員会は、この成長ホルモン入りの牛乳を、輸入を拒否しているという事実がある中で、貿易自由化を標榜する我が国にあって、とはいいつつも、やはり健全な、適正なというか、そういった食料を食べていくべきではないかなというテーゼもあると思っております。

 るる申し上げましたけれども、そんな中で、和歌山県のイルカの漁の例があったり、いろいろありますけれども、賛否いろいろあるのも私も十分わかっておるつもりなんですけれども、鯨の捕鯨についての今の外務省の方向感の確認と、SDGsにかかわる大きな視点から見て、大臣はどんな所感をお持ちか、伺えればと思います。

河野国務大臣 捕鯨というのは、IWC、国際捕鯨委員会がいろいろとコントロールをしようとしているわけでございますが、このIWCでは、捕鯨を支持する国と反捕鯨国とが対立をし、二十年以上にわたり実質的に何も物事を決めることができない、そういう状況に陥ってきておりまして、ことしのIWC総会で、こういう事態を何とか打開したいということで、捕鯨に対する立場を超えて、IWCの機能を回復する、それを目指す改革案というのをIWCの総会へ提出しましたが、残念ながら、それすら否決されました。

 捕鯨に対する異なる立場、意見が共存することすら否定されてしまうというのは極めて遺憾でございまして、今、政府としては、IWC加盟国としての立場の根本的な見直しを行いながらあらゆるオプションを検討しているところでございまして、日本の立場について国際社会の理解を得るべく、反捕鯨国も含め、丁寧に説明をしていきたいというふうに考えているところでございます。

杉本委員 申し上げましたけれども、食物連鎖というか、持続可能性という観点から見ていくことが私は大切だと思いますので、外務省のお立場は確認させていただきましたけれども、そんな姿勢で私は臨んでいきたいというふうに思っています。

 あと、この間の日・EUの貿易の関係で質問できなかったことについて次に質問させていただき、ひょっとすると、中央アジア各国について聞こうと思っていたんですけれども、これはまた次回の一般質疑ということになるかと思いますけれども、まずは経済の状況。

 ちょっときのうの株価も七百九十九ドル下げて、アメリカの株も怪しいし、多分日本の株もきょうは下がっているんでしょうか、そういう状況の中ですけれども、EU内の経済状況、いっとき大変問題になったギリシャ、それからサイプロスというかキプロスの状況を、財政状況、経済全体の状況、この状況を、日・EUは、もう条約は締結、承認されたわけですけれども、改めて確認させていただければと思います。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 ギリシャとキプロスの財政状況を含む経済情勢でございます。

 ギリシャは二〇〇九年十月に財政危機に陥りまして、二〇一〇年五月以降、三次にわたり、EUと国際通貨基金、IMFから緊縮財政等の改革を条件として支援を受けてまいりました。その後、二〇一五年から三年連続で基礎的財政収支は黒字となっております。また、二〇一七年には実質GDP成長率が一・四%とプラスに転じておりまして、ことしの成長率も二%という予測が出ております。その他の経済指標の改善も踏まえまして、ことしの八月、EUも支援プログラムを終了したところでございまして、ギリシャの経済状況は改善していると認識しております。

 それから、キプロスにつきましては、ギリシャ債務危機の影響を受けて深刻な金融財政状況に陥りましたため、二〇一三年五月から二〇一六年三月にかけましてEUとIMFから支援を受けました。二〇一六年以降、基礎的財政収支は黒字となりまして、財政状況は改善しております。また、二〇一五年、実質GDP成長率がプラスに転じまして、二〇一七年は三・九%と、EU諸国の中でも平均を超える成長率を記録しております。このように、近年はキプロスは好調な経済を維持していると認識しております。

杉本委員 ありがとうございました。

 残余の質問なんですけれども、愛知万博で中央アジアの国々に初めて接することができましたけれども、次回の質問にさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

若宮委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十八分散会


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