衆議院

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第11号 令和元年6月5日(水曜日)

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令和元年六月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 若宮 健嗣君

   理事 小野寺五典君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 武井 俊輔君

   理事 堀井  学君 理事 寺田  学君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      小田原 潔君    小渕 優子君

      大西 宏幸君    神谷  昇君

      木村 哲也君    黄川田仁志君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      杉田 水脈君    鈴木 隼人君

      中曽根康隆君    中山 泰秀君

      百武 公親君    藤井比早之君

      三浦  靖君    三ッ林裕巳君

      宮崎 政久君    山田 賢司君

      岡田 克也君    櫻井  周君

      山川百合子君    緑川 貴士君

      高木 陽介君    穀田 恵二君

      杉本 和巳君    玄葉光一郎君

      井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   外務大臣政務官      山田 賢司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  清水 茂夫君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   東出 浩一君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 齊藤  純君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 森野 泰成君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    垂  秀夫君

   政府参考人

   (財務省主税局国際租税総括官)          安居 孝啓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           成田 達治君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中  聡君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            土本 英樹君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     宮崎 政久君

  高村 正大君     木村 哲也君

  鈴木 憲和君     三浦  靖君

  辻  清人君     大西 宏幸君

  中曽根康隆君     百武 公親君

  中山 泰秀君     三ッ林裕巳君

  青山 大人君     緑川 貴士君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     藤井比早之君

  木村 哲也君     高村 正大君

  百武 公親君     中曽根康隆君

  三浦  靖君     鈴木 憲和君

  三ッ林裕巳君     神谷  昇君

  宮崎 政久君     小渕 優子君

  緑川 貴士君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     中山 泰秀君

  藤井比早之君     辻  清人君

    ―――――――――――――

五月二十二日

 東京・横田基地へのオスプレイ配備撤回とすべての飛行・訓練の中止に関する請願(笠井亮君紹介)(第一一五九号)

同月三十一日

 辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(志位和夫君紹介)(第一二一一号)

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(大河原雅子君紹介)(第一三二八号)

 核兵器廃絶に関する請願(日吉雄太君紹介)(第一三四九号)

六月四日

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(高木美智代君紹介)(第一三八二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一四八二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

若宮委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官齊藤純君、大臣官房参事官森野泰成君、北米局長鈴木量博君、領事局長垂秀夫君、内閣官房内閣審議官清水茂夫君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長東出浩一君、出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君、在留管理支援部長丸山秀治君、財務省主税局国際租税総括官安居孝啓君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、経済産業省大臣官房審議官成田達治君、防衛省地方協力局次長田中聡君、防衛装備庁装備政策部長土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 質疑の申出がございますので、順次これを許します。木原誠二君。

木原(誠)委員 おはようございます。自民党の木原誠二です。

 大臣には、連日、外交、お疲れさまでございます。

 十五分と短い時間ですので手短に質問していきたいと思いますが、まず冒頭、外務省の本当に宝物である、ミャンマーの専門家でありました小山智史さんが大変痛ましい事故でお亡くなりになりました。心から御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、本当に私も政務官、副大臣時代と出張等で大変お世話になりました。国益にとっても非常に大きな損失だというふうに思いますが、ぜひ外務省の皆さんには、小山さんの遺志を継いで、引き続き、日・ミャンマーの関係、充実強化に努めていただければ大変ありがたいな、このように思います。

 きょうは十五分ということでありますので、大きく分けて三つほどのことをお伺いしていきたいというふうに思います。

 日米首脳会談が先週ございました。多分同僚の委員の方々からもそれぞれ質問があるだろうというふうに思いますので、私はもう総括的に二つだけお伺いしたいというふうに思います。

 まず、この三日間の間に十時間以上、両首脳が顔を合わせて意見交換をした、それだけで大変重要な意義があったのかなと私は思っておりますが、大臣として、傍らでごらんになって、今回の成果について総括をしていただければと思います。

河野国務大臣 大変長い間、両首脳が一緒に時間を過ごすことができて、そういう意味では非常によかったのではないかと思います。

 長い時間を使って、日米の二国間の話、それから北朝鮮を始めとするさまざまな地域情勢についてじっくり意見交換ができたというのは非常によかったと思いますし、また、この日米の同盟関係の揺るぎない力強さというのを発信をすることができたというのは意味のあることだったというふうに思っております。

 特に北朝鮮情勢についてさまざますり合わせをいたしました。また、トランプ大統領から拉致問題について大きな支持の表明をいただいたということは、拉致被害者の御家族にも心強いものであったのではないかというふうに思っております。

 この首脳会談、そしてまたG20でトランプ大統領は大阪へいらっしゃいますので、そういう場を通じて日米の同盟関係を更に強固にしてまいりたいと思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 今、北朝鮮の問題についてトランプ大統領から支持をいただいたということでありました。

 総理は、条件をつけずに金正恩と会談をする意向があるということを再三お話しになっておられます。他方で、やはり協力していただける国がなければ実現をしないんだというふうに思います。そういう意味では、アメリカが明確に協力の意思表示をしたということは大変ありがたいことだというふうに思います。

 これを受けて、外務省として、実際に日朝の会談に向けて、どんなプロセスというか、どんな絵姿を描いていらっしゃるか、もう一度ちょっと踏み込んでお答えいただければというふうに思います。

河野国務大臣 日朝関係で申せば、大きな課題となっております拉致問題については、もう被害者の御家族が大変高齢になっていらっしゃるということから、一日も早い問題解決が必要だというふうに思っております。そのためには、あらゆるチャンスを捉える努力をしていかなければならないというふうに思っているところでございます。

 今、さまざまなルートでやりとりをしているところでございますが、今の段階で、まだ首脳会談については何も決まっておりません。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、大臣からもお話ありましたとおり、またG20で首脳会談があるというふうに思いますので、ぜひ、今回ストックテーキングしていただきながら、次に更に結びつけていただければというふうに思います。

 ちょっと質問をかえまして、五月、改めて大臣の外国訪問の日程を見ましたら、知らないうちに結構いろいろなところに行かれていたなということで、やはり空飛ぶ外務大臣だなということを改めて実感をいたしました。その中で、十連休の間に、後半、アフリカに、アンゴラ、南スーダン、そしてエチオピアと行かれていたというふうに承知をしております。

 アンゴラは、御案内のとおり、資源大国、まさに資源のアフリカを象徴する国でありますし、南スーダンは、やはり紛争、しかし、そこから立ち直る、平和に向けてのアフリカを象徴する国だというふうに思います。エチオピアは、もう言うまでもありません、AUの、アフリカ連合の本拠地でありますから、政治の拠点としてのアフリカを象徴するのであろうというふうに思います。

 そういう意味で、このアフリカ訪問は非常に有意義な訪問ではなかったのかな、こう思いますが、大臣の中で、アフリカ外交というものをどういうふうに位置づけて、そして、どういう力点を置き、今後どのように進めていく御所存か、まずお伺いをしておきたいと思います。

河野国務大臣 アフリカ五十四カ国というのは国連の中でも大変大きなブロックでございます。安保理改革を始め、さまざま国際場裏でアフリカの支援をいただくということは日本にとって極めて大事でございます。また、内戦を始め、国連の安保理の議題に上るものはアフリカ絡みのことが非常に多いという中でも、このアフリカ外交というのは今の国際外交の中で大きな重点を占める。そういう部分であるにもかかわらず、例えば、安保理の常任理事国にはアフリカは一つも入っていない。それは、国連ができたときに、アフリカには、エチオピアのような国を除けば、独立国がほとんどなかった、そういう状況があるわけで、この二十一世紀の現実を反映をする国連あるいは国際機関というものを日本はアフリカと一緒になってつくっていかなければならないというふうに思っております。

 日本は、先駆けてTICADというプロセスをつくり、アフリカの開発に寄り添うということを示してまいりましたが、このTICAD7は、もちろん日本からの支援もありがたいけれども、もはや重点は民間の投資に移りつつあるというか、完全に移ってきている。

 そういう現状の中で、民間企業にしっかりとアフリカへ出ていっていただいて、このアフリカの人口が急増しているマーケットに日本企業がどう入っていき、そこでアフリカとどう連携ができるのかというのがこれから非常に大きなアフリカ外交のキーポイントだと思いますので、政府としても、民間の進出をきちんと支え、後押しできる、そういうアフリカ外交をやってまいりたいというふうに思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 これは通告をしていませんのでお伺いしませんが、今まさに大臣からおっしゃっていただいたとおり、国連の安保理改革というのも、G4がいま一つ勢いがないという中で、そして、国連発足の六十周年、七十周年という機会を逃した中で、やはり五十四カ国というアフリカとどう連携をしていくかというのは非常に重要なテーマであろうというふうに思いますので、ぜひ大臣の在任中に少しでも前進するように、アフリカとともに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 その上で、今おっしゃっていただいたように、投資環境をしっかり整備をしながら、民間の活力をアフリカに導入をしていく、希望とそして機会の大陸を捉えていく、非常に重要な外交テーマだろうというふうに思いますが、その中で常に議論になりますのがやはり中国の存在かな、こう思います。金とともに人も物も輸出してしまう中国の存在によって、かなりアフリカも、一帯一路の中に組み込まれながら、同時に債務のわなにはまっている国々もあります。

 この中国のプレゼンスを横目に見ながら、もう一言、日本がどんな分野で、もちろん民間投資も重要でありますが、政府としてどのような取組をアフリカに向けていくか、そしてTICAD7にも同様に向けていくか、お答えいただければと思います。

河野国務大臣 お話しになりました国連改革については、残念ながら、国連改革を阻止しようという勢力がかなり広範囲にいろいろ動いている、その結果、このIGNのプロセスがやや失速ぎみであるというのが現実だろうと思います。日本としては、アフリカと、エズルウィニ合意をベースに、力を合わせられるところは力を合わせる、そういう戦略もしっかり検討していきたいというふうに思っております。

 アフリカは、今、非常にインフラ需要が大きい中、日本の今の財政の現状を考えれば、日本がやれることにはおのずと限界があるのも事実でございますが、中国のインフラ投資については、おっしゃったように、お金も出すけれども、働く労働力も中国から連れていって、現地の雇用あるいは技術移転につながっていないという批判があるのも現実ですし、債務のわなということも現実に起きているわけでございます。

 日本としては、質の高いインフラということをきちんと訴え、だからこそ、先般の一帯一路フォーラムで習近平主席がそのようなことを発言され始めた。意味はあったのではないかと思います。

 日本は、今のアフリカの現実を見ると、司法ですとか、議会ですとか、税関、税、徴収その他、国家の制度がまだ成り立たない、機能していないアフリカの国が多い中で、まず国家の制度をどうきちんと確立することができるか、そして、それを運用する人材をどう育成することができるか、あるいは教育、あるいは保健衛生の分野、そういうところでアフリカの発展のための基盤づくりにしっかりと貢献をしていく必要があるのではないかと思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 法の支配、あるいはさまざまなガバナンスの改革等々もやはり日本ができる非常に重要な支援だというふうに思いますし、また、外務省には科学技術顧問もおられますので、ぜひ、技術、イノベーションの世界でもアフリカを、中国とは違った意味で、支援をしていただければというふうに思います。

 同時に、今度のG20では、開発と投資の新しい原則を中国も含めて合意できるのではないか、そんな見通しもあるようでありますから、ぜひ、そこら辺も外務省として押し上げていただければというふうに思います。

 質問はいたしませんが、DACの統計も、日本がかなり頑張ったんじゃないかなというふうに思いますが、かつての支援の純額から贈与相当額に変更されるということで、日本のODAが世界でもう一度見直されるいい機会だというふうに思いますので、ぜひ、このODAについて、これから予算編成等にも入ります、なかなか財政は厳しいですが、ぜひ前向きな、積極的な要望をしていただければ大変ありがたいな、こう思っております。

 時間がもう本当に限られてきましたので、あと一問かな、こう思いますが、いよいよ六月末にG20ということで、三週間強ということになってまいりました。外務省も日々準備にお忙しいかな、こう思いますが、私自身、ぜひ、環境についてこのG20でしっかりとメッセージを出していただきたい。外務省も事務方に入った長期戦略の有識者懇の提言もまとまって、先般、いよいよ閣議決定で長期戦略がまとまってきている、こういうふうに理解をしております。

 私は、パリ協定が締結された二〇一五年、日本の首席代表として参加をいたしましたが、そのときは本当に日本はリーダーシップがとれなくて、フランスやアメリカ、はたまた中国にまでおくれをとるような、そういう状況だったというふうに思いますが、環境問題、エネルギー問題に取り組んでこられた大臣として、このG20に向かって、あるいはG20後も含めて、環境問題をどういうふうに外交の中で生かしていかれるか、御所見をいただければと思います。

河野国務大臣 もう最近の台風あるいは集中豪雨などを経験すれば、気候変動というのがいかに人類にとって大きな災いになり得るかということは多くの方が感じていただいているのではないか、そういう中で、このパリ協定、そして一・五度というものを確実にやっていく、それが必要なんだろうと思います。

 そういう中でリーダーシップをとっていくためには、ただ単に目標を積み上げたものだけではリーダーシップはとれない、きちんと必要な目標を掲げ、それをどう達成するかというところを知恵とイノベーションで達成する、そういう取組が必要なんだろうと思います。

 残念ながら、国内でもまだまだ議論が分かれていて、未来を見ている人たちと過去に引きずられている人たちといるわけでございますが、せっかくのG20でございますから、今まだ最終調整中ではございますが、世界の中でこの問題のリーダーシップをとれるような、しっかりとした長期戦略を打ち出して、議論を引っ張っていける、それを目指していきたいというふうに思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 来週には多分大臣もイランに行かれるのかな、こう思います。実は、私は、一九七八年、七九年、テヘランに住んでおりまして、四十一年前に福田赳夫さんがイランを訪問されたのが多分最後だと思いますが、四十一年ぶりということになりますので、充実した成果が上げられるよう期待をしながら、質問を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 私も冒頭、木原先生と同じように、先日の川崎の事件で、小学校六年生の栗林さんという女子生徒さんとともに、外務省職員の小山智史さんがお亡くなりになったことに対しまして、心より哀悼の意を表したいと思います。御遺族の心情を思いますと、深い心痛と怒りを禁じ得ないわけでございますが、外務省として、小山さんの御遺族、御一家に対して、できる限りの御支援をお願いをしたいと思います。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 本年五月二十日、私は、ウクライナの首都キエフに総理特使として派遣をされまして、四十一歳、俳優出身のゼレンスキー新大統領の就任式典に参列をさせていただきました。短時間でございますが、同大統領とも立ち話をさせていただきまして、安倍総理からの祝意、並びに、さまざまな困難に直面をしておりますウクライナに対して日本としての支援を継続する旨を伝えたところ、大統領夫妻、お二人から、ありがとうと日本語で応じていただくなど、非常によい会話ができたと思っております。

 まずは、特使としての活動を支えていただいた外務省の職員、また、特に在ウクライナ全権大使の倉井大使を始め現地の日本大使館の職員の奮闘ぶりを自分の目で拝見をいたしまして、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。河野外務大臣の主張されている足腰予算の強化、これはぜひともやらなければならないと、今回のウクライナ訪問を通じても痛感した次第でございます。

 さて、私自身、四年ぶりにウクライナを訪問させていただきまして、二つの所感を持ちました。大臣と共有した上で、大臣の御見解も伺いたいと思います。

 一つは、ウクライナは、実はロシアを挟んで日本にとっては隣の隣の国、まあ、ちょっと遠いんですけれどもね。隣の国ロシアを挟んで隣の隣の国であるということでございまして、日本外交にとりまして非常に有益な情報を豊富に有しているなと改めて実感をいたしました。そこで、この日本とウクライナの二国間の戦略的な関係を更に強化すべきではないかという感想を持ちました。

 二つ目は、ゼレンスキー新大統領の就任演説で、実は、具体的な名前が出た国は四つだけでありました。

 一つはアイスランド。これは、我々日本人はよくわかりませんが、サッカーの模範はアイスランドだとおっしゃったんですね。それからイスラエル。これは、国防についてはイスラエルだと大統領がおっしゃった。三つ目がスイス。これは、分断された社会の中で人々が幸せに生きる国としての模範はスイスだと。大臣御承知のとおり、スイスは、エリアによってはドイツ語圏とかイタリア語圏、フランス語圏と言語が違うということで、ウクライナもそういう面が少しありますので、そうおっしゃった。最後に四つ目、日本。これは、テクノロジー、技術では我々ウクライナ人は日本人にならなければいけない、こういう表現で取り上げられたわけでございます。

 実は、ウクライナ自体が、旧ソ連時代から、例えば世界で最も優秀な輸送機と言われているアントノフを生産するなど、エンジン分野、こういう特定分野の工業技術では相当高いものがございます。それから、最近は、IT、ブロックチェーン、サイバーセキュリティーなどの先進分野でも質の高い人材を輩出していると認識をいたしております。

 こういった点に着目をした上で、ウクライナと日本の協力関係を更に強化すべきではないかと私は感じておりますが、この二つの点につきまして外務大臣の御見解を伺いたいと思います。

河野国務大臣 きょう、お誕生日だそうで、おめでとうございます。

 大統領就任式、総理特使として行っていただきまして、まことにありがとうございます。

 今、日本とウクライナは、安保協議ですとかあるいはサイバー協議というものを始めて、少し両国間の交流というのを新たな分野でもスタートさせていこうということで、私も先方のクリムキン外務大臣とはもう何度もお目にかかっておりますが、さまざまな分野で協力関係を築いていきたいというふうに思っているところでございます。

 また、委員おっしゃいましたように、ウクライナのさまざまな分野での高い技術と日本の技術というのを重ね合わせていく、そして新しいものをつくり上げるということもできるんだろうと思いますので、そこは日本の民間企業にしっかりウクライナを認識していただいて、さまざまな経済交流をやっていただきたいというふうに思っております。

 おっしゃるように、言葉の問題があってスイスということをおっしゃった。あるいは、アイスランドのように人口三十万人ぐらいでもワールドカップに出れるというなら、ウクライナがワールドカップに出てもおかしくないわけでございますから、日本もそうやって大統領に国名を挙げていただいた以上、我々としても、更に技術を磨いて、しっかりとそういう分野での民間交流というのができるように頑張っていただきたいというふうに思っております。

遠山委員 大臣、ありがとうございます。

 若宮委員長からも先ほど理事会で御指摘いただいて、本日、五十歳になりましたが、まだ若輩でございますので、皆様の御指導をいただきながらしっかり頑張っていきたいと思います。

 私、日本・ウクライナ友好議連の副会長をさせていただいておりまして、会長が自民党の森英介先生でございますけれども、今大臣がおっしゃったように、実は、ウクライナはいろいろな意味で大事な国でございますし、日本に対する理解また期待が非常に大きい国だと私自身感じておりますので、ぜひさまざまな分野で二国間の協力関係を強化していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 さて、次に、そのウクライナと日本の間にあるロシアについて少しお伺いをいたしたいと思います。

 五月三十日、第四回日ロ2プラス2が開催をされました。報道を見ておりますと、日本側はロシアとの安全保障協力を領土問題の解決へ向けた信頼醸成と位置づけているけれども、ロシア側には日米同盟を揺さぶる目的があるのではないかとの指摘が専門家からございました。

 前の質問で言及をさせていただいたウクライナのクリミア併合後に、G7諸国でロシアと2プラス2を開催し続けているのは日本だけだと私は認識をいたしておりますが、外務大臣として、このロシアとの2プラス2を維持している意義をどう評価されているのか伺いたいと思いますし、また、あわせて、つい先日、トランプ大統領がアメリカ合衆国から来日をされたわけですが、アメリカ政府が日本の対ロ外交をどういうふうに評価をしているのか、外務大臣や総理の方針というのを御理解いただいているのか、この点もあわせて御見解をいただければと思います。

河野国務大臣 今、ロシアと2プラス2を行っているのは日本、エジプトもやっているのかもしれません。日本の2プラス2というのは、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアなど、どちらかというと有志国、同盟国が多い中で、ロシアとの2プラス2というのは少し雰囲気の違うものではありますが、そういう中で、相互の信頼醸成という観点から見ると非常に有益だろうというふうに思っております。

 両国が直面をしている安保情勢について率直な意見交換をする。あるいは、北朝鮮情勢のような地域情勢について、お互いの見方をすり合わせる。また、現実にそれぞれの軍のハイレベルの往来ということもあるわけでございますし、あるいは、救難訓練のようなものを一緒にやっていこうということで一致をして、新たにそうしたことに踏み出す。あるいは、非伝統的対応といいますか、例えばアフガニスタン近辺での麻薬対策のような、一緒に日ロでやってきているものというのもあります。そういうものをしっかりと積み上げていくことで、お互いの信頼関係というのをつくることができるのではないかというふうに考えているわけでございます。

 今、米ロは非常に難しい状況にありますが、お互い話をすると、やはりそういう中でも話合いをして、核軍縮を始め、米ロでやらなければいけないことがあるという共通認識が、それぞれと話をしているとそれぞれあるようでございますので、その米ロの中で、日本が若干対話の手助けをする、あるいはそれぞれの意思を伝える、そういうことはあり得るのかなというふうに考えております。

遠山委員 ありがとうございます。

 いろいろな意見が国会でも政府内でもメディアでもあろうかと思いますが、私は個人的には、日本がロシアとの2プラス2を維持していることは積極的に評価されるべきだというふうに思っております。

 安倍政権の前までは、2プラス2というと、同盟国、あるいはオーストラリアのような、表現が適切かどうかは別にして、準同盟国のような国としかやらないという印象があったかと思いますが、私は、相手方があることですから相手方の意向もあるわけですけれども、相手方が合意するならば、2プラス2のような対話というものを、やはり一見すれば同盟国ではない国であっても、日本にとっては重要な国とはやっていくということが大事なのではないかと思っておりまして、こういう点で申し上げれば、ロシアだけではなくて、中国ですとかさまざまな、日本の国益、安全保障上重要な国々とこういった枠組みでも対話を続けるということは私は大事だと思いますので、ぜひ外務大臣のリーダーシップを期待をしたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、最後の質問になろうかと思いますが、先日、五月十四日に、外務大臣におきましては、御多忙な日程の中、私の友人であります、中国の経営者向けビジネススクール、長江商学院の項兵院長と御面会をいただき、非常に有意義な会談を英語で行っていただいたことに心から感謝を申し上げたいと思います。

 あの会談の中で、長江商学院の一期生の中にアリババをつくったジャック・マー氏がいるわけでありまして、この長江商学院はグローバル企業経営者を多数輩出してきているわけでございます。項兵院長が言うには、二十一世紀に入ってから、アメリカや中国と比べると、日本からグローバル企業がなかなか生まれていないという指摘がありまして、河野外務大臣も大きく同意をされていたように記憶をしております。

 今、項兵院長は、今後、中国だけではなくて、日本人とか韓国人とか、あるいはやる気のあるというか先進的な東南アジアの経営者も対象に、民間の人材育成、交流をベースにしたビジネススクールの展開等の構想を持っているわけでございますが、このような、民間の話ではありますけれども、やはりアジアのグローバルな企業経営者を育てていくような交流、育成事業というものを外務省としても後押しをしていくべきではないかと私は思っておりますが、大臣の御見解を簡潔に伺いたいと思います。

河野国務大臣 項兵さんを御紹介いただきまして、大変有意義な話をすることができました。改めて感謝を申し上げたいと思いますし、日本の民間企業はもっともっと頑張ってもらわなければいかぬと思います。

 若手の起業家、経営者を育てていくというのは非常にこれから日本にとって大事だと思いますが、若手の起業家、経営者であるならば、自分を磨くのは自分の金でやれというのが正しいんだろうと思います。外務省が金を出してくれるなら参加するけれども、そうじゃなければ参加しないというようなやつに将来は多分ないだろうと思いますので、非常に大事なことだと思いますが、それだけ自分を磨くのに金を使ってほしいというふうに思います。

遠山委員 率直な御意見、ありがとうございました。

 終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、山川百合子君。

山川委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの山川百合子でございます。

 きょうも質問の機会をありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、私からも、川崎の事件におきまして、栗林華子さん、そして小山智史さん、お二人のとうとい命が犠牲になりましたこと、本当に強い憤りを覚えるとともに、心から哀悼の意を表させていただきたいと思います。

 それでは、きょうの質問は三つでございます。日米首脳会談とその後の記者会見での言葉など、それを引用しつつ、大きく三項目、質問をしていきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 まずは、日米貿易交渉についてでございます。

 トランプ大統領のツイッターで、日米貿易交渉の合意について、七月の選挙、これがエレクションズとなって複数形でしたが、の後というふうに発言をされていらっしゃいます。

 もともと四月二十六日の会談時には、五月の訪日時の署名を示唆するなどされていたというふうに思います。早期の交渉妥結を目指していたというふうに思いますが、トランプ大統領が選挙の日程に配慮するということはちょっと考えにくいのかなという気もしているんですね。このツイッターへの書き込みが安倍総理とのゴルフの後というふうに報じられていたこともありまして、選挙に影響を及ぼすことを懸念された安倍総理が合意延期を要請したのではないかという見方もございます。

 そこで、念のために確認をさせていただきたいんですけれども、まず、トランプ大統領と安倍総理との間で合意の時期について話し合ったという事実はあるのかという点、そして二番目には、合意を七月の選挙の後とすることは日米両政府の間で共有されている認識かということ、そして三点目としましては、トランプ大統領のこの七月の選挙の後という発言が、現在進行中の茂木大臣とライトハイザー通商代表との間の交渉に期限が切られたような形になったようにも見えるわけですけれども、この現在進行中の交渉に与える影響についてどのようにお考えになっているのか。以上三点、お願いいたします。

河野国務大臣 トランプ大統領はかねてから、なるべく早く合意をしたいという期待感を述べてこられましたが、現在、茂木大臣とライトハイザー通商代表の間で交渉が行われているわけでございまして、これの期限について何ら決まっているものはございません。

 しかし、日米がウイン・ウインとなるよい成果を早く出す、そのために議論を加速化するというのは、これは両国にとって望ましいことでございますし、日米の首脳間でも交渉をなるべく早く加速化していこうということで合意をしたというふうに思っております。

山川委員 ありがとうございます。できるだけ早くということで合意をしたということがわかりました。

 あわせてなんですが、今度は、また選挙のことで恐縮ですが、アメリカの大統領選挙とこのスケジュールとの関係についてちょっと御見解を伺いたいんです。

 貿易赤字の是正を公約に掲げているトランプ大統領が、選挙戦が本格化する前にアメリカにとって有利となる結果を求めてくることは当然想定をされることだというふうに思います。

 この貿易交渉のスケジュールとアメリカの大統領選挙のスケジュールとの関係についてどのようにお考えになっているかということと、また、日米ウイン・ウインの関係、これはもちろん日米両国の国益にかなうということであるわけだと思いますけれども、このウイン・ウインの関係ということが、両首脳の選挙戦への配慮も外交戦略上含まれるというふうに考えられるのか、大臣のお考えをお伺いできればと思います。

河野国務大臣 ウイン・ウインという言葉は、英語で、広くお互いにとって利益になることという意味で使われているわけで、選挙と関係のない方もこういう言葉を使われていると承知しております。

山川委員 ありがとうございます。

 では、もう少し進めていきたいんですが、この貿易交渉について、TPPの水準が最大限であるという日本側の立場についてなんですが、トランプ大統領がそのように、同じように本当に考えているのかという点についてでございます。

 安倍総理は、日米共同声明を大前提に日米双方にとってウイン・ウインとなる合意とする考えであるというふうに記者会見で答えたわけであります。これは、記者の質問としては、農産品の関税についてはTPPの水準が最大限であるという日本の立場に変わりはないかという質問に対してのお答えです。

 これに総理がお答えになっているところに、トランプ大統領が割り込むような形で、私はTPPとは関係がありませんというお答えがありました。

 日本側はTPPの水準が最大限であると説明をし、昨年の共同声明では、「日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限である」という日本の立場を尊重することが明記はされています。しかし、その共同声明にはどこにもTPPという言葉はありません。

 それで、では、安倍総理とそしてトランプ大統領の間で、そのTPPの水準が最大限であるという点について、本当に共通のところに立っているのかというところが懸念をされるわけであります。むしろ、トランプ大統領が共同記者会見でおっしゃったことというのは、アメリカ側は貿易交渉においてTPPの水準に縛られないという主張と捉えるのが自然ではないかというふうに思われるわけであります。

 そこで、確認というか質問したいわけですが、TPPの水準が最大限であるという日本の立場はしっかりと米国にも理解をされているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 昨年九月の日米共同声明では、今お話がありましたとおり、「農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限である」というふうに明記されているところでございます。

 そして、過去の経済連携協定で最大水準のものはTPPと日本としては考えており、その旨をアメリカ側に説明しているというところでございます。さらに、今後の交渉でもこの立場は変わらないとアメリカ側に伝えております。

山川委員 ありがとうございます。

 そうしますと、アメリカ側にはちゃんと伝えているので、ちゃんと理解はされているということだと思います。ありがとうございます。

 それで、もう少し伺いたいのは、アメリカのTPP12協定への復帰の見通しと、そして、11協定におけるいわゆるTPP枠の見直しを行う必要性について伺っておきたいんです。

 11協定では、農林水産分野に関する市場アクセスについてはアメリカも署名した12と同じ内容とされていて、牛肉の輸入に関するセーフガードに関しては米国からの輸入量を考慮した基準である、また、バターや脱脂粉乳等TPP枠についても米国からの輸入量を含めて設定された数量のままになっています。

 また、TPP11協定第六条には、米国が復帰した場合あるいは復帰しないことが確定した場合などを念頭に、協定を見直す規定が盛り込まれています。

 それで、会談の前、五月八日の衆議院の農林水産委員会においては、アメリカがTPPに戻る可能性があり、日米貿易交渉と並行して協議を進めている状況である、そういう御答弁もございます。ただ、トランプ大統領の訪日と会談があって、事態は変化しているのではないかなというふうに思います。

 そこで伺いたいんですけれども、政府は、現段階においてもアメリカがTPPに戻る可能性があるという認識をお持ちかということ、そして、アメリカがTPPに戻る可能性がないと判断されるのはどういうケース、どういうふうになったらTPPに戻る可能性がないというふうになるのか、どういうケースを具体的に想定しているのかということ、そして、物品貿易協定が署名された場合は、アメリカがTPPに戻る可能性がないという場合に相当するのか、さらに四点目として、物品協定が発効した場合において、TPP11協定が見直されないまま両者が併存するということもあるのか。この四点についてお伺いをしたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 まず、アメリカの復帰の見込みでございますけれども、現時点で、政府といたしましては、アメリカがTPPに復帰する見込みがなくなったわけではないと考えているところでございます。我が国といたしましては、最終的にアメリカがTPPに復帰することが日米両国にとっても最善であると考えておりまして、その旨を伝えているところでございます。

 それから、今後の日米の貿易交渉につきましては、具体的な交渉はこれからまさに始まるところでございます。現時点では、貿易交渉の個別の事柄について何も決まっていない段階でございまして、御理解を賜りたいと思います。

山川委員 では、どういうときに協定の見直しを行うか、どのタイミングで見直しをするのかしないのかということを決めることもまだ、どうするかも、こういうときにこういうという想定もされていないというようなお答えになるんじゃないかなと思います。

 もちろん、一番のポイントというか関心事というか懸念は、TPP11で妥結した輸入枠の範囲を超えるようなことがないというところが一番大事なことでありまして、私も昨年、本会議質問をする機会もいただいたんですけれども、アメリカにはまた特別枠を設けるということがないように、TPPの水準が最大限だということはおっしゃっていますが、全体としてというようなお言葉も入ったりして非常に曖昧で、関係者の方々も非常に不安に思われているというふうに思います。

 河野大臣は、首脳会談の後に行われた参議院の外交防衛委員会の中で、日米共同声明ではTPPの枠組みの中で合意をする、それを目指して交渉することになりますというふうにも御答弁をされているんですが、TPP11でのTPP枠の範囲を逸脱した輸入枠の拡大はしないという御答弁がぜひあるといいなというふうに思うわけですが、今後の交渉に臨むに当たっての我が国の姿勢というものについて大臣からお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 共同声明に基づいて、今、茂木大臣とライトハイザー通商代表が交渉をしているところでございます。国益に沿った形でしっかりとした交渉が行われ、なるべく早期に合意が行われることが望ましいと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 それでは、二つ目の項目として、北朝鮮問題に移らせていただきたいというふうに思います。

 まず、五月に北朝鮮が発射した飛翔体についてでございます。これについてはこれまでも質問も出ておりましたが、私の方でも質問させていただいて、確認したいというふうに思います。

 まず、この飛翔体についての日米の認識にそごがあるのではないかという点についてであります。

 今回の首脳会談では、両首脳は、北朝鮮問題について、最新の北朝鮮情勢を踏まえ、十分な時間をかけて方針の綿密なすり合わせを行った上で、国連安保理決議の完全な履行の重要性を含め、日米の立場が完全に一致していることを改めて確認したとされています。

 しかし、トランプ大統領のこれまでの御発言の中で、短距離弾道ミサイルについては気にしないという御発言があったり、共同記者会見の場では、アメリカ国民はもしかしたら北朝鮮が国連決議に違反しているかもしれないと思っている人もいるかもしれません、しかし、私はそうは思っていませんというふうな御発言がありました。

 そこで伺いたいんですけれども、五月の北朝鮮によるミサイル発射について、このことが短距離弾道ミサイルであるという点、そして二つ目としては安保理決議違反であるという点、この二点において日米の立場は本当に完全に一致しているのか、そして、我が国政府として完全に一致しているというふうにいうのであれば、なぜ共同記者会見で大統領から我が国の評価と異なる内容が発せられているのか。この二点についてお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 短距離弾道ミサイルが発射され、安保理決議に違反しているということで日米の認識は全く一致をしております。これは、あらゆるレベルで日米とやりとりをする中で確認され、アメリカ側も、ボルトン大統領補佐官あるいはシャナハン国防長官代行が明確にそう発言をしております。

 他方、トランプ大統領は、現在の米朝プロセスを続けていくという意味で、北朝鮮向けにさまざまな発言をされているというふうに認識をしております。

山川委員 ありがとうございます。

 米朝の交渉なり、米朝の関係においてそういう発信をされているというふうに理解をされているということでありました。

 そこで、更に伺っておきたいんですけれども、今おっしゃられたように、また、きのうのレクでもいろいろとお話を伺ったんですけれども、トランプ大統領のその発信の背景に、大統領と金正恩氏との駆け引きと言えるようなものが背景にあろうかとは想像する部分、察する部分ももちろんあるんですけれども、このことが、我が国が国連決議を主軸とする外交上とるべき行動を抑制するようなことになってはいけないなというふうに思っているわけであります。

 日本は、河野大臣が安保理議長として二〇一七年に非常に強いメッセージも発せられていますし、ぜひ、日本の立場、しっかりと貫いていっていただきたいと思うんですが、その点についてお伺いをしたいというふうに思います。

河野国務大臣 今、国際社会は、北朝鮮が核並びにミサイルのCVIDを実現するまで安保理決議をしっかり履行しなければならぬという認識で一致をしているわけでございまして、それはこの時点で何ら変わりはないというふうに認識をしております。

山川委員 ありがとうございます。

 では、例えば国連への働きかけとか、何か国際社会への具体的な働きかけというのを行っていく御予定についてはいかがでしょうか。

河野国務大臣 今、国際社会の中で、安保理決議をしっかりと履行していこうということで足並みがそろっているところでございますので、日米を始め、この安保理決議の抜け穴となっている瀬取り、あるいは仮想通貨、最近は暗号資産というんでしたっけ、暗号資産の奪取、あるいは北朝鮮の労働者、まだ海外にいる労働者の本国への送還、こういったものをしっかりと進めるべく、国際社会の中で連携をしているところでございます。

山川委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、北朝鮮問題についての日朝首脳会談に臨む姿勢として、条件をつけずにということについてなんですけれども、もちろん、トランプ大統領からもこの問題に対して、先ほど一番最初の先生の質問の中での御答弁で、協力の表明も得られて非常に心強いということは、私もそのように思いますけれども、しかし、条件をつけずに日朝首脳会談に臨むことにもリスクもあるんじゃないかなというふうに思います。

 北朝鮮側は開催に応じる気配はありませんし、仮に開催が実現したとしても、交渉が決裂した場合には、まだ完全な決裂に至っていない米朝の非核化交渉にも影響を与えかねないという見方もあるわけですが、この条件をつけずに首脳会談に臨むことのリスクについてどのようにお考えなのか、お伺いをしておきたいと思います。

河野国務大臣 拉致被害者の御家族が御高齢になる中で、やはり拉致問題の一日も早い解決を目指して、政府としては、あらゆるチャンスを逃さず、しっかり対応していきたいというふうに考えているところでございます。

山川委員 ありがとうございます。では、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。

 それから、北朝鮮問題で一つ、共同記者会見の中で、トランプ大統領の発言の中であった言葉で、ちょっと気になることがございました。それについて伺っておきたいと思います。

 このような御発言がありました。安倍首相と私は、朝鮮半島の平和と安全を追求するため、緊密な協議を継続していく、我々のアプローチの本質は力による平和だというところがありました。これを読んで、この力による平和、これはどういうことかなと改めて確認したいというふうに思いました。

 私は、この外務委員会で質問させていただいた一番最初のときだったと思います、河野大臣に、平和をつくり出すということの私の姿勢についてお話をさせていただきました。武力によらない平和をつくるというキャッチフレーズでやっているんですけれども、安倍政権の集団的自衛権の行使を前提とする積極的平和主義、プロアクティブ・コントリビューション・ツー・ピースではなく、私の積極的平和、これは平和学で言うところのポジティブピース、平和創造のあり方を推進していきたいというふうに私は思っているんです。

 そういう私の姿勢から、共同記者会見で言われた、我々のアプローチの本質は力による平和だというこの言葉、これはトランプ大統領の言葉でありますが、この力による平和という考え方は日米両政府で共有されているのか、共有されているとすれば、具体的にこの力というのはどういうことを言っているのかということについて御説明をいただきたいと存じます。

河野国務大臣 トランプ大統領のこの発言は、盤石な日米同盟のもとで、日米が緊密に連携し、地域の平和と安定に向けてともに取り組んでいこうという考えを示された言葉というふうに理解しております。

山川委員 ありがとうございます。

 そうすると、具体的に、その力というものが何か具体的なことを指しているということではないということの御答弁だったというふうに理解をいたします。

 それで、もう時間になってしまいましたので最後の質問でございますが、最後は、安倍総理のイラン訪問についてでございます。

 やはり首脳会談で、トランプ大統領は冒頭に、安倍総理のイラン訪問に期待を示されたというふうに報じられているわけであります。また、イラン側も、外務省のムサビ報道官が、安倍総理が仲介の意欲を示していることについては、まだ仲介の段階ではないという御指摘もありつつも、日本の意見を聞くとお話しになって、イラン訪問について歓迎する意向であります。

 私たち日本は、中東において民族的、宗教的にも中立の立場でありますし、独自の立場を生かすことでいい役割を果たせる、そして、膠着状態にある核合意をめぐる問題に何らかの変化をもたらすことが期待されているわけでありますが、片側で、アメリカの同盟国であるということで、トランプ大統領の代弁者としてもし意見を伝えるだけでは、イラン側からの反発も招くのではないかなというふうに思います。

 中東外交に非常に本当に熱心に取り組まれ、成果を上げておられる河野大臣であられますが、この安倍首相のイラン訪問において、米・イラン情勢の緊張緩和と核合意をめぐる問題の解決に向けて我が国はどのような働きかけを行っていくおつもりなのか、御見解を最後にお伺いしたいというふうに思います。

河野国務大臣 まだ安倍総理のイラン訪問は決まっているものではございませんが、日本はイランと伝統的な友好関係がございますので、そうしたこれまでの伝統的な関係を活用し、対話を通じてこの地域の緊張の緩和に貢献できる、そう考えているところでございます。

 先般はイランの外務大臣が東京へお越しになりましたが、さまざまな対話を通じて、この地域の緊張の緩和に向けて日本も努力をしてまいりたいと思います。

山川委員 ありがとうございます。

 ぜひ、日本だからこそ、そして河野大臣のもとだからこそ果たせる役割を発揮していただければなと思います。

 ありがとうございます。終わります。

若宮委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日も貴重な質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、価値観外交についてお尋ねをさせていただきます。

 安倍政権、発足して六年以上もたつわけですけれども、発足以来、価値観外交というのを高らかに掲げておられます。価値観外交は今も引き続き進められているというふうに理解をしておりますが、この価値観外交というものがどういうものなのか、改めて大臣から御説明をお願いいたします。

河野国務大臣 自由とか民主主義、基本的人権、法の支配、国際法の尊重といった基本的な価値観に基づく国際秩序を維持していくということは極めて重要だと思っております。

 他方、力を背景とした一方的な現状変更の試み、あるいはテロ、暴力的過激主義の拡大、保護主義の台頭といったことによって、この基本的な価値をベースに戦後つくられてきた国際秩序が今挑戦を受けているのも残念ながら現実でございます。

 この戦後の安定と繁栄を支えてきた基本的な価値観をシェアする中でつくられてきた国際秩序をしっかりと守っていくために、日本は、アメリカを始めさまざまな国と緊密に連携をし、従来以上に大きな責任と役割というものを果たしていく、そういう所存でございます。

櫻井委員 大変すばらしい外交姿勢だというふうに考えております。

 そこで、いきなりですけれども、個別具体的な話に移らせていただきます。

 実は、香港の方では、香港政府は犯罪容疑者の中国本土への移送を可能にする条約改正を推進しているところであります。

 中国の裁判所は共産党の支配下にあるように見えますし、恣意的に容疑をかけられたり、理由が曖昧なままに逮捕されたり、そして、外部との連絡を絶たれた状態で何カ月も拘束されるというようなことが散見されているところでございます。まさに、今大臣がおっしゃった法の支配とか基本的人権の尊重、そういったことからはほど遠い状況があるのではないのか、このようにも感じているところでございます。

 香港政府の逃亡犯条例の案については、香港のビジネス界も反対をしているというふうに聞いております。自由で公正な司法が脅かされることによって国際的ビジネス拠点としての香港の地位が危うくなるのではないのか、そういった懸念があるようです。また、アメリカの議会においても、報告書を出して、香港でのアメリカの安全保障、経済面での権益が深刻なリスクに直面しているというふうに指摘をし、懸念を表明をしているところでございます。

 こうした中で、各方面から声が上がっているわけでございますが、日本からは声が上がっていないことについて、おかしいんじゃないか、こういった指摘もあるところでございます。

 やはり、価値観外交を掲げる日本としまして、香港の逃亡犯条例案を進めているというところについて、何らかの形で声を上げていくべきだというふうに考えるところではございますが、大臣の御所見をお願いいたします。

河野国務大臣 日本と香港は緊密な経済関係があり、また頻繁な人的な往来もある、日本にとって重要なパートナーというふうに考えております。

 その中で、香港の一国二制度というのは、香港の司法が非常に高い独立性を維持している、それがこの一国二制度の根本の一つであろうというふうに考えておりまして、その中で、この逃亡犯罪人条例の改正をめぐる動きということについて、日本も懸念を持って注視をしております。

 このことにつきましては、もう先方の行政長官を始めさまざまなレベルで日本と香港はやりとりをしてきているところでございまして、大声で叫べばいいというものではないというふうに思っております。

櫻井委員 大臣の御答弁、ありがとうございます。

 これまでの大臣の答弁からすると、ちょっとそっけない答弁が来るのかなというふうにも思っておったんですが、かなり踏み込んだ御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 香港でこういった逃亡犯の条例がもしできてしまうとなると、香港でこれまで自由に活動してきた方々、それこそ、ちょっと前には、雨傘運動とかいって、民主化されている香港を守るんだ、香港の民主主義を守るんだといって活動されていた方々も、なかなか香港にいづらくなるというような可能性もございます。そうした方々が香港から出国するというようなことがふえてくるのではないのか、こういうふうにも考えるところでございます。

 一方で、価値観外交を掲げている安倍政権ではございますが、難民認定という観点からしますと、日本は非常に少ない。ほかに価値観を共有しているというアメリカやヨーロッパ諸国に比べて日本は随分少ないわけでございます。

 そうした観点から、こうした政治的にもなかなか難しいという状況で国を出られた方に対して我が国がしっかりと受け入れていく、こうした可能性についてどのようにお考えでしょうか。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、仮定の質問にはお答えを差し控えさせていただきますが、あくまでも一般論で申し上げさせていただきますと、入管法における難民とは、難民条約及び難民議定書に規定する難民と同じでございまして、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又は望まないものを難民と言っております。

 我が国において難民認定申請が行われた場合は、申請者がこの難民条約上の難民に該当するか否かについて個別に審査の上、難民と認定するかどうかを判断することになります。

櫻井委員 せっかくですので大臣にも一言お答えいただきたいんですけれども、価値観外交といいながら、やはりなかなか日本は難民の認定が非常に数が少ないという現状がございます。

 迫害を受けたという場合においても、身体的な迫害を受けた、生命の危機がある、そういった場合については、ある種、外形的にもわかりやすいということもあって、ああ、難民だなということを認定しやすいと思うんですが、一方で、政治的意見を異にしていて、そういうことでなかなかいづらいという部分については、なかなか認定がしにくいといいますか、判別が難しいという観点があろうかと思います。

 しかしながら、現実に、言論の自由というか、こうしたところが脅かされているということもあるわけですから、やはり価値観外交を掲げている日本として、こうしたところについてもしっかりとやっていくんだ、日本というのは言論の自由を大切にするんだ、そういったことをされている方もしっかり受け入れていくんだということを進めていくべきだというふうに考えるんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

河野国務大臣 自由とか民主主義、法の支配、基本的人権という共通の価値観というものがあるわけで、それを国際的にしっかりと守っていこうというのは、それは価値観外交と言うか言わぬかは別として、共通の理念というふうに考えております。

櫻井委員 この香港の問題については、その背景にはやはり中国というものがあるわけでございます。中国は国家主導の経済運営で経済規模がどんどん膨張しておりまして、大分前に日本もGDP規模で抜かれてしまいまして、今やもう二倍以上、もうすぐ三倍ぐらいの差になってしまうのではないのか、こういう状況でございます。

 一方で、普通は、経済が発展していくと自然に民主化が進んでいくとか基本的人権とかそういったもの、経済的にも物的な充足があると今度はやはり精神的な自由も求めていくということで、自然と民主化が起こっていくのではないのか、こんなふうにも以前は考えられておったんですけれども、そして、アジア諸国においても経済発展とともに民主化が進んでいくという傾向は見られたわけですが、事中国については全然そういう傾向が見られない。

 確かに、ちょうど三十年前、きのうで三十年前になりますけれども、中国でも天安門事件というものがございました。そして、逆に、最近の中国に関する論評の中では、それで中国政府は人民の統治の仕方、コントロールの仕方を覚えたんだ、免疫ができたんだということで、むしろ逆に厳しく統制するようになっているということで、経済がどんどん成長しているにもかかわらず、こうした基本的人権とか法の支配とかいうことがなかなか浸透しないといいますか根づかない、そういう社会になっているのではないのか。

 そういう社会であるにもかかわらず、経済規模がどんどんどんどん膨らんでいって、そして、周りの国、日本も含めて、周辺諸国もそこにのみ込まれてしまうのではないのか、日本も基本的人権や法の支配がないがしろにされるような、そんな社会になってしまうのではないのか、こういう恐怖感も私も覚えるところでございます。

 中国では、ちょうど四年ぐらい前に、人権派と言われる弁護士の方々が多数、三百人ぐらいというふうにも言われておりますが、一斉に拘束をされるというようなこともございました。

 こうした中で、こういう中国の国家資本主義が膨張していく、こういうことに対して、我が国はどういった対策を講じていくのか、これは本当に大きな話ではございますが、大変大きな課題ではございますが、しっかりと取り組んでいかなきゃいけない課題だというふうに思っております。その点について、大臣の御所見をお願いいたします。

河野国務大臣 中国は、例えば産業の補助金ですとか強制的な技術移転、あるいは知的財産権の保護、こうしたさまざまな観点で、今、中国の産業構造といいますか、経済構造の問題点というのが国際的に指摘され、大きな懸念になっているわけでございます。

 中国が改革・開放を進めていく中で、こういう問題にみずから積極的に取り組んで、国際社会が納得する形で結果を出していくというのが非常に大事なんだろうと思います。

 今、日中間では、ハイレベル経済対話を始めさまざまな協議の場を設けておりますが、その累次の場の中で、中国の抱えている経済構造の問題点、あるいは国際ルールに沿った形で経済を発展させていく必要性、あるいは普遍的な価値観を守る、そうしたことについて日本側からも問題提起をしてきているところでございます。

 中国側が経済を発展させていく中で、国際社会の重要なプレーヤーの一員として、国際ルールに沿った形で経済行動が行われるようになる、それを期待したいと思いますし、日本側としては、あるいは国際社会として、しっかりと問題意識というのを伝え続けていきたいというふうに思っております。

櫻井委員 私もまさにそうした取組について大変賛同するところでございます。

 国家が発展をしていくというのは、それはその国に住む人々が幸せになるために国家が発展していかなきゃいけないわけでございまして、国を発展させるために人々が犠牲になっていい、人々の幸せを踏みにじって国が発展するというのは、これは本末転倒だというふうに思いますし、そうしたことは長続きするはずがないというふうにも考えております。

 そうした観点から、中国の国内、さまざまな国内の課題があろうかというふうに認識をしております。少子化、高齢化というのは中国の社会の中でもどんどん進んでいる。また、貧富の格差は日本以上に大きく開いている。そうしたことに、本来的には、他国のことなので、私があれこれ口を挟むべきものではないかもしれませんが、しかし、こうした普遍的な価値から見ると、余りにもひどいのではないのか、こうしたところにも中国政府が目を向ければ、自然とこうした我々の恐怖感といいますか、周りの緊張感というのもほぐれていくのではないのか、このようにも考えているところでございます。

 一方で、我々、中国の周りにある国からすると、中国というのは、四千年の歴史の中で中華思想があって、ある種、周りの国々をつき従えてみたいなイメージもございますけれども、他方で、中国の側から見ると、ある種、オープンな国境線といいますか、脆弱な国境線を、周りをぐるりと囲まれていて、四千年の歴史の中でも、あちこちから攻め込まれるというような歴史もあった。場合によっては、周りの国から攻め込まれて、国が全部占領されて乗っ取られるような時代もあったというような認識の中では、むしろ自己防衛のために周りをしっかりと固めていこうという認識もあるのかもしれないなというふうにも思います。お互いの恐怖心が相まって、それがぶつかり合って誤った方向に行かないように気をつけなければいけないな、このようにも考えるところでございます。

 庶民のレベルでは、多分こうした中華思想とかいうものは余りないんだろうなというふうにも感じるところでございますが、こうした中国の動向についてしっかりと目を向けて、今後も外務委員会で私も活動させていただきたいと思います。

 引き続きまして、二点目の質問に移らせていただきます。北朝鮮との関係についてでございます。先ほど同僚の山川委員からも質問がございましたので、重複するところは避けて質問をさせていただきます。

 北朝鮮に対する外交ですが、これまで安倍総理は、対話のための対話は意味がない、圧力を最大限まで高めていく、こうした姿勢で臨んでいました。しかし、ここに来て、条件をつけずに金委員長と会って、率直に、虚心坦懐に話をしたいというようなことも言われるようになりました。これは、いい悪いは別にしまして、圧力から対話へということで、百八十度、ころっといきなり変わっちゃったわけですね。

 一体何でこんな百八十度の方針転換があったのかと素直に疑問に思うんですが、これは一体何でなんでしょうか。何があったんでしょうか。

河野国務大臣 核、ミサイルは、今、米朝プロセスで議論が行われておりますが、拉致問題については日本が北朝鮮と直接向き合わなければならない問題であって、これまでも安倍総理はみずから金委員長と向き合って話をするということを述べてきたわけで、今回のこの発言は、そのことをより明確な形で言っているということでございます。

櫻井委員 世間といいますか、マスコミ報道などでは、六者協議の当事国、六カ国ある中で、日本だけが金委員長と会っていないというところで、そうした出おくれているんじゃないかという批判を避けるためではないのかとか、日ロ交渉も行き詰まっているから北朝鮮問題に目を移すためじゃないのかとか、参議院選挙も近いからそれに向けてのアピールなんじゃないかとか、いろいろなことが言われておりますけれども、しかし、これまで圧力ということで経済制裁もしっかりやってきた。この経済制裁については、それなりに効果を上げているというふうにも認識をしております。

 そういう観点からすると、対話をしたいのは北朝鮮側の方、むしろあちらの方が対話をしたくてしようがないというふうにも考えられるんです。ですから、向こうが対話をしたいと言ってきたときに、では、こういう問題についてちゃんと考えてきてねと条件をつけて、それで対話に応じるというような交渉のやり方もあったかと思うんですけれども、むしろこちらの方が対話したいと言っちゃったら、今、北朝鮮の側は、では、対話したいんだったら何か土産を持ってこいみたいな話になっちゃって、本来こっちが持っているはずの交渉カードが、何かいつの間にか向こうに行っちゃっている状態になっている。

 対話するというのも一つ外交交渉のカードだと思うんですが、何も得ないまま、むしろそのカードを相手に渡しちゃったような状態になっていて非常にもったいないと思うんですが、これは交渉のやり方としても余りよろしくないんじゃないんでしょうか。大臣、どのようにお考えでしょうか。

河野国務大臣 先ほどから御答弁申し上げているように、拉致被害者の御家族が御高齢になっている今日、一日も早い拉致問題の解決、そのためにはあらゆるチャンスを逃さない努力をしてまいりたいというのが政府の方針でございまして、何ら問題はないと思っております。

櫻井委員 拉致問題の一刻も早い解決、これは私も同じように望んでおります。

 ただ、交渉事というのは、こちらが焦れば焦るほど、これが欲しいんだと言えば言うほど足元を見られてしまうというのも、これもまた交渉の現実かと思います。こちらが欲しい欲しいと言わないでどうやってその欲しいものを手に入れるかというのが交渉だと思いますので、こうした観点からもしっかり交渉していただきたいな、上手にやっていただきたいなと。

 特に大臣は、外務委員会でも、交渉の過程については余り説明をしないというか、交渉中だから説明しませんみたいなことを言っておられるわけですから、そういう意味では、こうした場合においても、全部が全部正直に言えないというのはこういうことだと思いますので、その点も勘案しながら外交に努めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、日米間における貿易に関する交渉についても最後に質問をさせていただきます。

 先ほどこれも山川委員から質問させていただいているところでございますが、アメリカのTPP復帰、先ほどの答弁では、あり得るからTPP11の再交渉をしないんだ、こういう御答弁でございました。

 トランプ大統領は記者会見であれほどTPPは関係ないと言っているわけですから、もう復帰の可能性はない、少なくともトランプ政権の間はTPPに復帰することはないと考えるのが普通だと思うんです。しかも、TPPは今のままで、更にアメリカとの貿易交渉がまとまって、セーフガードとか、TPPでアメリカの分を積んであるのに、更にそれとは別に積み増しちゃうと、もうその時点で、ちょっとでも積んだらTPP以上になっちゃうんですけれども、これはおかしいじゃないですか。アメリカ分が二重計上になっちゃうじゃないですか。

 こういう観点からしても、やはりちゃんと、もうアメリカはTPP復帰はないんだという前提のもとでいろいろな交渉を進めていくべきだと考えるんですが、いかがでしょうか。

田中副大臣 今の御質問にありました日米のTPP、米国がまたTPPに戻る戻らない、そういったお話であろうかと思います。

 しかし、まず米国との協議、この具体的な中身についてはまだこれからということでありまして、まして、実務者協議がいよいよ来週から行われる、こういう状況にあります。まさに協議はこれからということになって、何ら決まっていないということであります。

 したがって、現在、我が国として、TPP11の協定、第六条の見直しが可能となるという部分に関しては、TPP12協定の効力の発生が差し迫っている場合ですとか、また、効力を生ずる見込みがない場合のいずれの場合にも当たらない、そのように認識をしております。

 いずれにしても、農林漁業者に懸念がないように対応していきたい、そのように考えております。

櫻井委員 まさに、もうこれだけトランプ大統領がはっきりと、TPPは関係ない、アメリカは縛られないとはっきり言っているわけですから、まさに再交渉の理由に当たると思うんですね。

 また、再交渉しないからアメリカ分が二重計上されるんじゃないのか、そういうことで、それこそ牛肉や乳製品関連の方を中心に、酪農の方を中心に大変懸念をしているわけですから、まず、こうした懸念を払拭するためにも、少なくとも二重計上はなく、ちゃんと日本の市場がTPPレベルでは守られるんだということをしっかりと示していくべきだと考えるんですけれども、やはり、もう二重計上になっちゃってもいいんだ、こういうお考えなんでしょうか。再度答弁をお願いいたします。

田中副大臣 まず、日米首脳会談にもありましたが、これは昨年九月の日米の共同声明においては、農林水産品について、これは何度も繰り返しになりますが、過去の経済連携協定で約束した譲許内容が最大限である、この日本の立場は明記されて、しっかりとこの部分も確認しているところであります。

 具体的な項目について、先ほど申し述べましたが、いよいよ来週から実務者協議が始まるという状況であります。この場で申し上げることは今後の交渉にも予断を与えるおそれがあるということで御理解をいただきたい、そのように考えております。

櫻井委員 もう時間になりましたので質問はいたしませんけれども、最後に一言申し上げます。

 日米首脳会議に前後しまして、トランプ大統領はツイッターでもいろいろ発信をされております。その中で、七月の選挙が終わった後にビッグナンバーを期待しているんだ、こういう発言もツイートしているわけでございます。

 これは、選挙が終わるまで黙っておくから、そのかわりに、選挙の後には大きなものを、譲歩を期待しているぞ、こういうふうにもとれるわけでございまして、これは自民党の党利党略のために日本の国益、特に農林水産業を売ってしまっているんじゃないのか、このようにも見えるわけで、本当に、外交を党利党略に使うなんて決してあってはならないことだと思っておりますので、その点、問題提起をさせていただいて、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

若宮委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、午前中の審議、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士です。

 先週、日本とロシアの外務・防衛閣僚協議、2プラス2が行われました。河野大臣、六月の日ロ首脳会談を念頭に、プロジェクトの実施に向けて、双方が柔軟性を発揮し、建設的に作業を進めていくということを確認したというふうにしていますけれども、北方領土でのミサイル訓練、そして戦闘機の配備、こうしたロシアによる軍備強化の動きに対して、大臣は受け入れられないというふうにお答えしましたけれども、ラブロフ外相は、ロシアの主権、領土の中での軍の活動であるというふうに反論をされています。

 一方で、日本はイージス・アショアの配備についてロシア側から懸念されているところですが、岩屋防衛大臣は、これは純粋的に防御的なものですから、ロシアにとっての脅威ではないというふうに説明をしております。

 いずれにしても、課題の輪郭が明確になったというふうに河野大臣はおっしゃっていますけれども、両国で結局接点を見出せたという内容ではないというふうに思います。

 我が国としてはどのように今後柔軟性を発揮していくのか、伺います。

    〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕

河野国務大臣 ちょっと質問の意図がよくわからないんですけれども、2プラス2の中で柔軟性の議論というのは特に行っておりません。

緑川委員 大臣、柔軟性を発揮していくということを確認したというふうにお答えされているということで私も伺っておりますので、この2プラス2協議を終えて、日ロ首脳会談に向けた今後の方針を伺いたいと思います。

河野国務大臣 日ロの2プラス2というのは、先ほど答弁をしたように、日本とロシアの間の相互の信頼醸成をやっていこうということでございますので、これは今後も、年に一度、モスクワ、東京、それぞれで行っていこうということでございます。

 特に2プラス2で何か首脳会談に向けてということではなくて、これは今後も定期的に、信頼醸成の一環として、あるいは非伝統的な分野での協力とか、あるいは軍のハイレベルの相互訪問といったことが行われるわけでございます。

緑川委員 親密さを深める目的の中に、互いに本当に懸念を示す部分が、これは互いとしてやはり主張があるわけです。そういう中で、ロシア側の思惑は、これは確かにあります。

 ただ、この数年、幾度も懸念を示され続けているイージス・アショアの配備の方針を含めて、ロシアから見れば、少なくとも、これは柔軟性というふうに言われますが、結局、日本は硬直的な姿勢にロシアから見ると映っているというふうに私は思います。これは交渉の活発化とは別にです。

 このイージス・アショアが搭載するレーダーは、これは開発に時間がかかっています。まだこれは実機がありません。製造されていないレーダーを、これはSSRで、今までのSPY6とはまた違うものですから、この新しいレーダーを二〇二四年の配備、早くても二〇二四年です、これは想定が二〇二三年というふうに言われていたのが更におくれたわけですね。この想定した時期よりもやはりおくれている、誤算が出てきている。ということは、それだけ長期にわたって、ロシアが今後も親睦を深めるような協議の場で幾度も懸念を言い続ける材料を与えることになります。

 日本側の安全保障の観点からの主張とは別に、イージス・アショアの配備計画が、戦後外交の重要な課題の解決を図る上では私は影を落としているんじゃないか。ここ数年進まない交渉の障壁になっているという認識はおありでしょうか。

    〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕

河野国務大臣 イージス・アショアの配備についてお答えする立場にございません。

緑川委員 それは外務大臣としての責任の御自覚というものに対する認識を疑ってしまいます。

 安全保障というのは、やはりこれは外交の中においても重要な課題の一つであるはずです。

 これはロシアも、中国もそうですけれども、音速の五倍以上のスピードで飛ぶと言われる、音速を超えるミサイルというものが開発されています。現状では、弾道ミサイル防衛を念頭に置いた装備にするというこのイージス・アショアですが、これは昨年の小野寺前防衛大臣も、巡航ミサイルそしてさまざまなミサイル防衛に総合的に役立つ基礎的なインフラに今後発展させたいと発言をしています。

 これは外交の面でどうですか。互いにもう譲り合わないところですよ。折り合いを外交でつけていくという観点からは、平行線というよりは、これは交渉の回数を重ねていながらも、むしろ互いの距離はますます遠ざかっているというふうに思いますよ。

 この観点から、大臣として、いかがごらんになりますか。

河野国務大臣 繰り返しになりますが、イージス・アショアの配備についてお答えする立場にございません。

緑川委員 これが結果として互いの信頼関係、ますます溝を深めていく、外交としての外務大臣の務めをどのように果たしていくのか、大変大きな岐路に立っている重要課題であります。今の御発言は大変残念ですけれども、時間がないので次に行きたいと思っております。

 ロシアとの関連で、別の話に移ります。

 私の地元、秋田県の大館市は秋田犬の発祥の地です。秋田犬保存会の本部がありますが、昨年の五月に、その保存会から、雌の秋田犬のマサルが、平昌オリンピック、フィギュアスケート女子金メダリストのロシアのアリーナ・ザギトワ選手に贈られたということは記憶に新しいところでございます。雌でありながらマサルというふうに名づけられているのは、まさる、勝つ、これは勝利の意味が込められているそうです。

 ことしの二月に一歳を迎えて、ザギトワ選手のインスタグラムには、これは日本語で書いていますが、あなたがいてくれて私は本当に幸せで、あなたは私の支えであり、私を鼓舞してくれる存在ですというふうに書き込んでおります。マサルと一緒にスケートリンク上でトレーニングする様子も動画で紹介されて、ロシアではもう知名度もどんどん上がって人気者になっているところです。

 モスクワでことし三月に行われた、日本各地の魅力を紹介するサクラフェスティバルというのが日本の外務省の主催で行われていますが、このイベントにザギトワ選手とマサルがペアで登場しております。贈呈されたときには生後三カ月の小さな子犬であったということですが、すっかり大きくなって元気な姿を見せて会場を沸かせた、存在感はますます大きくなっているということです。

 また、先月の十一日には、同じくモスクワで開かれた秋田犬の展覧会、生後十カ月から十八カ月の部門でマサルが何と優勝しております。審査員からは表現力のよさが抜けているというふうに高い評価がありました。

 この日本古来の犬種である秋田犬によって日本文化の一端が伝わって、海外の友好のかけ橋の役割を担っている、そうした印象を、大臣、どのようにごらんになっているでしょうか。

河野国務大臣 私も、雌なのに何でマサルかなと常々疑問に思っておりました。

 日本古来の秋田犬が日本の文化交流の先頭に立ってくれているというのは非常にうれしいものがあるというふうに思っております。

 この秋田というのは、アメリカでもアキタと言われて、結構人気が、今でもあるのかもしれませんが、結構人気だったという記憶がありますので、ぜひこの古来の秋田犬をしっかりと日本でも守り育て、発展させていただきたいというふうに思います。

緑川委員 ありがとうございます。

 私の地元の秋田からロシアに渡った子犬が、成長しながら、そうした本当に日本人からも大きく今後期待されるスターとしての秋田犬、ますますの活躍を私も期待したいというふうに思っています。

 この秋田犬はやはり大きくなるんですね。古くから狩猟犬として飼われていました。またぎ犬とも言われていまして、熊の狩猟のときに一緒について回る犬なんですけれども、これは柴犬また北海道犬のように、ほかには日本固有の六の犬種の日本犬がいるんですが、唯一の大型犬なんです。大きくて骨太な体、また忠誠心が強く、また温和な性格と言われています。ザギトワ選手、これは大きくなったらなかなかちょっと手間がかかる大きな犬というようにも見えるんですが、結局、温和なので、非常に安心して育てられるのじゃないかなというふうには思っています。

 このマサルについては、ザギトワ選手は、やはりおとなしい、よく言うことを聞くというふうにも言っていまして、一方で、マサルの生まれ故郷の秋田にも行ってみたいというふうに語っています。マサルの飼い主になってちょうど先月で一年になったわけですから、ザギトワ選手とマサルのペアの来日、ますますこの機運、期待感が高まるところだと思います。

 この間、日本政府が調整役になって準備が進んでいたという話も一部で聞きましたが、今、外務省で検討していることがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような計画が報道されていることは承知しております。しかしながら、御指摘のような計画は、まずザギトワ選手や秋田犬保存会等の当事者の方々がお決めになるべきものと考えているところでございます。

 外務省といたしましては、まずはその計画の推移を見守りつつ、今後、ザギトワ選手やマサルが来日することとなり、政府としてできることがあれば、必要な支援を行っていくことを検討してまいりたいと考えております。

緑川委員 きょう大臣からもいただきました、かけ橋として大いにやはり期待をしたいというお言葉でしたので、参考人の皆様もぜひ耳を傾けていただきたいというふうに思っています。

 いずれ日ロが歩み寄る機運を高める存在としても、やはり期待の声は大きいと思います。ことし三月にさいたま市で行われたフィギュアスケートの世界選手権で、これもザギトワ選手が優勝していますが、その出場のために日本に来るときにはマサルを連れていきたいということを関係者を通じて話が、これは秋田犬本部にも伝わったということですね。ただ、これはマサルの検疫が間に合わなくて延期されてしまいました。

 検疫についてはまた少し触れたいと思っているんですけれども、秋田に行ってみたい、ザギトワ選手の切なる意向を関係者はやはり本当にしっかり真摯に声を受けとめて、秋田県にある秋田犬保存会の本部、また、マサルを育てた私の地元のブリーダーのおうちに里帰りをするという計画もやはり水面下ではあるそうですので、この里帰りの実現に向けて、大臣、意気込みをちょっとここで伺いたいというふうに思っています。

河野国務大臣 それは御本人がお決めになることだろうと思います。

緑川委員 参考人からも一言お願いします。

齊藤政府参考人 ただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、いろいろな形で政府としてできることがございますれば、今後も引き続き協力してまいりたいと考えております。

緑川委員 やはり、人ではない、ペットとして、要は動物を日本に持ち込むということは、輸入をするということです。これはやはり検疫ですね。個体を識別するために一旦マイクロチップを埋め込んだり、また、狂犬病予防のための複数回のワクチン接種、またさらには、このワクチンによって免疫が確かに獲得されているかを証明するためのまず血液検査、こうした一連の流れがありますし、この採血をしてからが実は相当な長い期間を要します。採血の前に、万が一、狂犬病に感染し、潜伏しているケースがあった場合に備えて、採血から百八十日以上は、血液検査を行った後も、待機する期間が必要になります。国内にすぐに入国できないんですね。

 この待機以外にも実は手続がまた必要になっています。日本に到着する四十日前までの間に、到着する予定の日本の動物検疫所に届出書を提出する。また、出国直前、海外から出てくるときにも獣医師の最終チェックが必要になっている。輸出国の政府機関発行のマイクロチップ番号、これも厳重に管理されている。その証明書も取得をして、日本に到着した後も、また動物の検疫所で検査があって、全ての問題がないということで判断されれば、ようやくこの犬が日本に入国を許されるという流れになっています。本当に煩雑かつ長期的な作業また手続が必要になってきます。

 マサルの入国に際しても、やはりこういう入念な予防措置が求められているところですけれども、ここは聞き及んでいるところまでで構いませんので、現在の準備の状況はいかがでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになってまことに恐縮でございますが、マサルの秋田県訪問については、まずはザギトワ選手や秋田犬保存会等の当事者の方々がお決めになるべきものと考えております。

 その上で申し上げますれば、御指摘の検疫等に関する諸手続については、それが必要となる場合には、当事者及び検疫等を所管する政府関係機関との間で、法令に従って調整されるべきものと考えておるところでございます。

緑川委員 やはり、安全性、国内の水際対策としての検疫、極めて重要ですから、本当にそのとおりなんです。厳重で時間を要する検疫、それに加えて、やはり日本から帰るとき、同じ手続を踏むことになりますので、日本に入るときも出るときも、海外で生活する犬を日本に呼ぶこと、これはもちろん大変です。

 ましてや、現役の多忙な選手生活を送っているアスリート、ザギトワ選手とのペアで来日を実現するというのはなかなか難しさがある。いや、だからこそ、ここで質疑をしています。やはり、しっかりそのお声を受けとめて、御本人からの意向もあるということを受けとめて、大会の前から、半年あるいは一年前からのスパンで、準備期間をしっかり設けて対応していかなければならない問題だからこそ、私はお尋ねをしております。

 海外の犬の検疫で最も重視されているのが、やはり狂犬病予防であります。一旦国内に目を向けてお尋ねをしたいんですが、厚生労働省に、きょうは参考人にお越しをいただいております。予防接種を受けている今の国内の飼い犬の割合は直近の数字でどのくらいになりますでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では衛生行政報告例という形で調査をしてございますけれども、直近の平成二十九年度におきまして、狂犬病予防法に基づきます登録された犬の狂犬病予防注射率は七一・四%となってございます。

緑川委員 七一・四%ですね。

 これは一九九三年ごろのデータから私は確認をしたんですが、九九%の予防接種率で推移をしておりました、その年代。そして、一九九六年には九〇%を下回って、二〇〇〇年代に入ってどんどん低下をしております。今、七一・四%というお答えがありました。

 この狂犬病、ウイルスに感染した動物にかまれたりひっかかれたりすることで体内にウイルスが入り込んで感染をする。人が発症すれば間違いなく死に至ってしまうと言われる病気です。この狂犬病は、国内では半世紀以上、一九五七年以降、発症が確認されておりませんが、世界的に見れば、毎年五万人以上が狂犬病で亡くなっております。中国やインドでは、毎年数千から数万人単位で感染者が出ています。亡くなる方がふえている。二〇〇六年には、フィリピンで実は日本人旅行客も犬にかまれて、二人が帰国後に発症して亡くなっています。国内の狂犬病ではないんですが、海外渡航者も日本人も十分気をつけなければならない、そういう感染症です。

 狂犬病への認識が近年薄れていることに加えて、小型犬を室内で飼う世帯もふえております。外に出さないから予防接種は必要ないだろうというふうに、必要性を感じにくい声も聞かれますが、現代においてもやはり本当に警戒するべき感染症です。グローバル化の中で、常に感染のリスクにさらされているというふうに考えておりますが、現状の御認識と対策、いかがでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、狂犬病は、人が発症するとほぼ一〇〇%死に至り、いまだ治療法が存在しない人獣共通の感染症でございます。

 我が国では、先ほども御指摘ありましたフィリピンでの輸入症例を除きまして、昭和三十二年を最後に、約六十年間、発生はしておりません。

 一方、海外に目を向けますと、アジア、アフリカ地域を中心に、年間約五万九千人の方が狂犬病で亡くなっているという状況でございます。こういう中で、狂犬病の発生が確認されていない国は日本も含めてごくわずかになってございます。

 WHOによりますと、狂犬病に感染する人の九割以上は犬からの感染が原因であるということで、人の狂犬病を予防する最も効果的な方法は犬での流行を防止することでございます。

 このことを踏まえまして、我が国の狂犬病対策といたしましては、まず、狂犬病が国外から侵入することを防ぐ水際対策といたしまして、犬を始めといたします狂犬病を媒介する動物の検疫等を実施するとともに、万が一、国内に狂犬病に感染した動物が侵入した場合に備えまして、犬の飼い主に対しまして、市区町村への犬の登録や犬への狂犬病予防注射の義務づけ、また、狂犬病にかかった犬やかかった疑いのある犬を診断した獣医師に対しまして、直ちに保健所に届け出ることの義務づけなどを行っているところでございます。

緑川委員 これは狂犬病予防法という法律でも定められているんですが、これはやはり統計上のデータとは乖離している飼い犬の実態があります。犬を飼う際には、そもそも市区町村への登録が義務づけられているところですが、いわゆる未登録犬という犬の存在が問題をやはり更に深刻化させているというふうに思います。

 ペットフード協会というところがあるんですが、その調査によれば、二〇一四年度の国内の犬の飼育数は推計で一千三十四万頭余り。最近のデータだと九百万頭近くまで減っている、減少傾向にございますけれども、自治体に登録されている頭数よりは三百七十二万頭も多いんですね。登録されていない犬が三百七十万頭もいるということです。つまり、これだけ多くの未登録犬が国内に存在をしている。

 こういう犬を含めれば、接種率は、さっき七一・四%というふうにおっしゃいましたが、もっと下がるんじゃないかというふうに考えております。この数字も含めて、今後の対策、どのように強化を図っていくでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 狂犬病予防法におきましては、先ほど申しましたとおり、犬の飼い主に犬の市区町村への登録と毎年の予防注射等を義務づけているところでございますが、必ずしも飼育されている犬の全てが市区町村に登録されている状況にないことは認識してございます。

 正確に飼育数を把握しているわけではございませんが、委員御指摘の一般社団法人ペットフード協会の平成三十年の数字ですと約八百九十万頭ということになってございますので、現在の登録数が六百三十三万頭でございますので、乖離があるというふうな状況がございます。

 厚生労働省といたしましては、犬の飼い主が所有した犬を市区町村に登録し、毎年予防接種を受けさせることが重要であると考えてございます。

 そのために、自治体や獣医師会等関係者へのポスター、ハンドブックの配付によります周知の徹底でございますとか、また、自治体担当者会議を通じまして普及啓発を推進するように依頼を行う、また、厚生労働省におきましても狂犬病に関するホームページを設けておりまして、これにつきまして情報提供を行っているという状況でございます。こうしたさまざまな方法を通じまして犬の飼い主への呼びかけを行っているところでございます。

 引き続き、このような取組を通じまして、犬の飼い主に対しまして、狂犬病予防法に基づきます犬の飼い主の義務につきまして周知を図っていきたいと思っております。

緑川委員 市区町村への登録、やはり義務づけられているとはいっても、これは結局実費で登録料がかかる、また、何十年も狂犬病が発生していないというやはり認識の薄れていること、また、役所に登録していなくても、おっしゃるような取締りなどについては、これは特別厳しい取締りというのはありませんので、それがやはり未登録の数をふやしている。一種、抜本的な取組が必要なところが多分出てきているというふうに私は思っております。

 時間が来たので、これで質問を終わりにいたしますけれども、水際対策としての検疫が何より私は大事だというふうに思っています。ペットブームによる動物の輸入の増加を受けて、確かに日本は二〇〇四年に検疫を一層強化をして、現在のような、狂犬病を持ち込ませない、その細かな決まり、今紹介したような手順が踏まれています。

 狂犬病のないとされるいわゆる清浄地域は、これは本当に世界でわずかしかありません。アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、こういう六つの国や地域は、全て日本のような島国なんですね。こういう国を除いて、野生動物の狂犬病感染がやはりたびたび確認されているロシア、こういう国を含めて、ほとんどの国や地域からの犬の持込みに対しては、やはり日本は世界で最も厳しい手続を求める国の一つになっております。

 本当に大臣からは、今回のペア、ザギトワ選手とマサル君の来日、コンビでの来日、私からは期待を込めてお尋ねをしたところですけれども、外務省を含め関係団体との連携を図って、ぜひ、マサルそしてザギトワ選手の来日を実現をしていただくことを強く求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 国民民主党の小熊慎司です。

 本日は、けさほどの理事会で委員長からも御紹介がありましたけれども、同僚の公明党の遠山委員が誕生日ということで、肝心の本人がいませんけれども。

 また、今週の土曜日、六月八日は、日系アメリカ移民百五十周年という記念すべき日でありまして、不肖私も、ちゃんと手続をとった上でですけれども、渡米をしてフェスティバルに参加をしてきますが、外務大臣始め久島総括審にもお世話になり、北米一課、また、現地のサンフランシスコ総領事の皆様、総領事は特に、この行った一団は会津の一団なんですけれども、総領事は長州の方でありますが、特段いろいろ現地で御尽力をいただいておりますので、いたく感激をしている次第であります。

 こうしたまた節目を通じて、日米のきずなのみならず、やはり先人の思いを大切にしながら国際交流の進展に努めてまいりたいというふうに思っております。

 そうしたことで質問に移っていきますけれども、昨年もちょっとやりましたが、いわゆるインバウンド、アウトバウンド、非常にふえているというところであります。インバウンドとアウトバウンドを合わせると六千万人以上、そして、インバウンドにおいては、政府目標として、来年はもう四千万人、十年後の二〇三〇年には六千万人までインバウンドだけでしていくという、これも目標どおりに今堅調に推移をしているところであります。

 来年、東京オリンピック・パラリンピックが開催をされ、更に多くの訪日外国人が増加をすると見られていますけれども、過去の例でいうと、他国においては、オリンピックに合わせて、期限付ではありますけれども、ビザの緩和を実施をして対応してきました。

 そういう意味では、短期的には、このオリンピック、パラリンピックに向けて、こうした訪日外国人のために、ビザの緩和といったものの考え方についてはどう今あるのか、取り組んでいるのか、まずお聞きをいたします。

垂政府参考人 お答えさせていただきます。

 政府は、二〇一六年に策定された明日の日本を支える観光ビジョンの中で、訪日外国人観光客の増大を目指しております。

 外務省としましても、我が国の観光立国実現に寄与するよう、ビザが必要な国に対し、積極的なビザ緩和を実施してきております。

 先ほど委員の方から、来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会について言及がございました。

 我が方としましても、とても重要な機会であるというふうに考えております。多数の訪日外国人観光客を迎えて、同大会を盛り上げていきたいと考えております。

 今後、外務省としましては、同大会開催に際して、訪日外国人の観光客の増加と水際対策のバランスの観点から、どのようなビザ緩和が可能なのか、関係省庁としっかりと議論していきたいと考えております。

小熊委員 もう既にチケットの抽せんの受け付けがありましたし、海外の情報発信にしても、呼び込むためにはなるべく早くこれをどうするのか結論を出していただいて、海外の方に、来やすいですよというようなお知らせをしていかなければいけないと思いますので、ぜひスピード感を持って対応していただきたいというふうに思います。

 これは来年だけの話になってきますけれども、更にインバウンドの高い目標を掲げていますから、これは更に中長期的な対策もあわせて考えていかなければなりません。今あった、ただ野方図に開いていくということではなくて、さまざまなリスクに対する対応、水際対策もしていかなければならないところでもあります。

 また、人口減少の中で、日本人そのものの国内観光がどうしても減っていくという意味では、まさにインバウンドが地域の観光の起爆剤にもなっていますし、今堅調に推移をしていますが、残念ながら、ちょっと被災地の方はまだまだほかの地域よりはおくれている部分もありますけれども、いずれにしても、地方においての、地方経済を支える上においても、このインバウンドを取り込むということは非常に大事なことであります。

 今は短期的な話を聞きましたが、中長期的にビザの緩和については必要だというふうに思いますけれども、この中長期的な緩和についてのお考え、また対応についてお伺いしたいと思います。

垂政府参考人 お答えさせていただきます。

 外務省では、人的交流の促進や二国間関係の強化、また我が国の観光立国実現の観点から、ビザが必要な国に対してビザ緩和を実施してきております。その中には、訪日外国人観光客の増加を図るとともに、先ほど委員が御指摘されました地方振興、あるいは青少年の交流の拡大、これらに寄与するようなビザ緩和も含まれております。

 具体的には、地域振興に寄与するビザ緩和として、沖縄や東北六県を訪問する中国人に対して数次ビザを導入し、これまで累計で約四十七万件のビザを発給してきました。

 今後とも、地方の振興あるいは我が国の将来を担う世代間の交流拡大に寄与するビザ緩和としてどのようなものがあり得るのかをしっかりと検討していきたいと考えております。

小熊委員 そうした入り口の部分が狭まってくると、物理的に処理できなくなれば、日本に来たいという人たちの数もそこでブレーキがかかってしまいますので、ぜひこの点についてもしっかりした対応をしていただきたいというふうに思います。

 あわせて、今度は逆にアウトバウンドの方ですけれども、ここもやはり増加をしています。

 さはさりながら、全ての国が日本のように安全な国ということだけでもないですし、今や、テロもグローバル化して、どこで起きるかわからない。まして、テロが今までなかった、少なかった、安全と言われていた、外務省もそこは危険な国ではない、地域ではないですよというようなところでさえテロが起きたり、また、自然災害なども、日本も最近多いですけれども、世界的な異常気象の中でこうした自然災害もあり、邦人保護の業務も多くなっているところであります。

 そこで、このアウトバウンドの際の、まさに邦人保護も含め、多様化しているものについて在外公館などがどのように対応していくのか、お伺いをいたします。

河野国務大臣 在外邦人の数がふえると、おっしゃるように、安全対策というのが非常に大事になっております。

 今、たびレジへの登録を始め、さまざま情報発信をやることによって、まず自分の身は自分でしっかり守っていただくということに重きを置いておりますが、そうはいっても、何か起きたときには領事対応をしなければなりません。

 さらに、公館によっては、ビザの発給業務が非常にふえ、その対応も同時にやらなければいかぬということになっておりますので、まず一義的には、ビザの発給についてはIT化を推し進めて、この分野での省力化をしっかりやっていきたいというふうに思っております。

 それから、中長期的には、これまでは、なるべく在外公館の数をふやしていこうということで、公館の数をふやすことに重きを置いてまいりましたけれども、少しそれを抑えぎみにして、それぞれの公館の中の人を充足していく、充実させていく、まずそういうことに重きを置いてやっていく、そういう方向にしていきたいと思います。

 在外公館の設置を全部やめてしまうわけではありませんが、少しそのペースを抑えて、中には、ミニマムマイナスといって四人しかいないというような公館もあって、休みもとれませんというような状況になっているのを私も自分の目で見てまいりましたので、少し在外公館、きっちり体制を整える、そこへかじを切りたいというふうに思っております。

小熊委員 限られた予算の中でやっていくわけでありますけれども、今言ったとおり、アウトバウンドもふえ、また多様化しているということであれば、これはスクラップ・アンド・ビルドだけでは対応できませんし、今、体制強化をしっかりしていくということで、それも加速度的にやっていただきたいというふうには思いますし、予算の獲得もしっかり大臣始め外務省の皆様には対応していただきたい。我々もそこは応援をしていきたいというふうに思います。

 次の質問に大臣もちょっと踏み込んでいただきましたが、領事業務の中にビザの発給があるんですけれども、お手元に配付した資料、昨年も同じような資料を出したんですが、昨年の資料と実は変わりました。発給数、処理数が、処理しなければならない件数が予測以上にふえているから、配付資料、新しいものというふうになっています。大臣が言ったとおり、IT化を進めて合理化を図っていく上で対応していけるものもありますけれども、やはりそれだけではできていかないものもあるというのは、昨年の委員会でも議論をさせていただいたところでもあります。

 また、新たなAI技術を導入していくということでもカバーできる部分も出てこようかと思いますけれども、それにしても、やはり人がやらなければならないところも、逆に、減るのではなくて、多様化またアウトバウンドの増加とともに、減るどころかふえていってしまいますので、どう合理化をするというか効率化を図っていくということをやっていきながら、やはり人的な増員は目指さざるを得ないというふうに思います。

 またあえて聞きます。この増加また推測値が更に見込みを上回っている現状において、やはり人員の増加に真剣に取り組まなければいけないというふうに思いますが、見解をお伺いいたします。

垂政府参考人 委員御指摘のとおり、ビザ発給数はもう極めて急増しております。昨年、ビザ発給数は約七百万件となり、過去最高となっております。

 外務省としては、これらの要請に応えるべく、ビザ業務の合理化を図るとともに、可能な範囲で領事関係の職員の増員、臨時職員の採用を行っております。

 ビザ業務の合理化につきましては、査証手数料の銀行振り込み化、訪日ビザ相談の専用電話回線の開設、これは行ったところでございます。また、明年四月からは、オンライン化、電子ビザの導入を予定しているところでございます。

 ただ、委員御指摘のように、業務合理化のみでは対応が難しい部分もございます。特に、審査につきましては本官が対応せざるを得ない部分が多々ありますので、そうした部分につきましては、可能な範囲で外務省としても体制整備に努めていきたいと考えております。

小熊委員 さらに、この四月から施行もされました外国人の労働者受入れのやつも、あわせて留学生なんかも受け入れる場合に、在留資格の審査については、さきの委員会でも大臣からも答弁がありましたけれども、訪日目的の確認に直接面接を外務省、在外公館がしているということになっています。

 こうやって業務がふえていく中で、まさに人がやる面接もふえているという状況の中で、これは本来的には、きょう法務省にも来ていただいていますけれども、在留資格認定証明書を交付するのは法務省ですよね、法務省の責任というのがどうなっているのか。この証明書に関して、法務省の立場として、その取組についてお伺いをしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 近時、新規入国者数の増加に伴い、在留資格認定証明書交付申請の件数も増加しているところ、特に留学生に係る審査については、入学時期に応じて申請件数に偏りが大きく、大量の申請件数を短期間に処理しなければならないという状況にございます。

 一方で、在留資格認定証明書交付申請に係る審査におきましては、経費の支弁能力でございますとか日本語能力、あるいは不適切な仲介業者が関与していないかどうかということについて審査を進めているところでございます。

 このため、地方出入国在留管理局におきましては、繁忙期には応援体制を構築するなど限られた人員の中で適切な審査に努めているところでございますが、引き続き、今後、入国者数のさらなる増加が見込まれることも踏まえまして、より一層迅速かつ適正な業務を推進していくよう努めてまいりたいと考えております。

小熊委員 この件に関して、前回、副大臣にお越しいただいて答弁いただいていますけれども、また、この改正された入管法によって、この特定技能とかのやつで、日本語学校なんかの悪質業者もいるのも残念ながら事実で、それで日本語をしゃべれないのに入ってきてしまっている、これは取締りはどうするんだという話も聞いて、これはやっていますという話がありましたけれども、実際、今やっていますでこの間は議論が終わっちゃったんですが、具体的に数としてどのぐらいそれに対応しているのか、今回はお聞きいたしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、日本語教育機関に対する実地調査の状況でございます。

 現在集計しておりますのは、昨年七月から本年三月までの間に、日本語教育機関に実地調査を行ったとしてこれまで地方出入国在留管理局から報告があった件数は約七十件でございます。

 また、留学生を受け入れる日本語教育機関につきましては法務省が告示をするというルールになっておりまして、問題があればそこから抹消するというルールがございます。これにつきましては、現在の基準につきましては二十九年八月以降適用してございますが、こちらについては、同基準の二条一項各号に該当するとして、日本語教育機関としての適格性が認められないものとして告示から抹消された日本語教育機関は、現在のところはございません。

 ただ、今後の取組でございますが、昨年末に関係閣僚会議で了承されております総合的対策の中で、日本語教育機関の質の向上等、厳格化に取り組むということになってございまして、告示基準の抹消の厳格化であるとか定期的な基準適合の確認などを進めるべく、現在、告示基準の改正作業を進めているところでございます。

小熊委員 ここであえて比べはしませんけれども、今数も出ましたが、こうしたことに関して、いろいろ対応している外務省の件数と今述べられた法務省の件数では段違いがあります。その分、外務省にしわ寄せが来ています。

 本来責任を、一義的に実行すべきは法務省の部分が多いです。でも、それが外務省に回ってきている。外務省は、本来業務も増加している中にもかかわらずそこをカバーしている、逆に法務省のカバーに回っている。この現状を考えれば、今、取り組んできた数も言っていただきました、努力していないとは言いませんけれども、足りていません。足りていない分が、外務省にしわ寄せが来ています。

 そういう意味において、そういった考え方に立って、今後更に厳格に審査をするというなら、しっかりと数もこなせるような体制を早急にとるべきだというふうに思いますよ。やらないことによって外務省に業務がふえていますから。

 もう一度答弁をお願いします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 在留資格認定証明書は法務省が責任を持って審査をしなければならない、御指摘のとおりでございますので、法務省としましても、より体制の強化に努めるなどしまして、適正な審査に努めてまいりたいと思います。

小熊委員 これは、しっかり対応をとってください。外務省としっかり連携をした上で取り組むことをお願い申し上げます。

 次に移ります。

 今度のG20の会合でも議題になるというふうにも言われていますけれども、いわゆるIT社会の進展、またビッグデータの活用などについて、これはもう世界じゅうが大きく変わっていっています。

 日本においては、アメリカ、中国系を中心とするデジタルプラットフォーマー、いわゆるGAFAと言われます、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンなどに代表されるグループというか法人ですけれども、この進展において、いろいろな規制や、逆に、彼らのいろいろな共同しての連携した取組などに対して、どのように日本としてはこの議論をリードしていくのか、どのようなところにゴールを目指しているのか、お伺いいたします。

 あわせて聞いておきますけれども、本年の一月の世界経済フォーラム、ダボス会議において、総理自身が、参加したのは五年ぶりですかね、そこで、信頼ある自由な流通の考え方を述べられました。その中で、国際的な、逆に、自由な流通と、一方で、あわせてどう規制をかけていかなければならないのか。これは独禁法なんかにもかかわってくる部分もありますし、ビッグデータに関しても、とられたデータが、とられた側の人間の意思とは関係なく横流しされたり活用されたりしてしまっているということもあります。

 自由な流通、デジタルの情報をやっていく部分と規制をどうやって両立させるのかもあわせてお聞きいたします。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、デジタルプラットフォーマーに関する御質問でございますけれども、その点につきましては、デジタル市場における競争であったり課税の問題など、国際的にもさまざまな議論が各国ベースで、あるいはさまざまな場、フォーラで行われているものと承知しております。

 そうした中で、我が国におきましては、例えばデジタル市場の競争ルール整備、デジタルプラットフォーマーに対する競争ルール整備について申し上げますと、例えば取引慣行の透明性や公平性確保に向けたルール整備、あるいはデータ等の独占による競争阻害の防止などにつきまして、ことしの夏の成長戦略の実行計画におきまして方針を決定すべく、政府として検討を進めているところでございます。

 この際、デジタルプラットフォーマー自身の活動が、ビジネス展開がグローバルに行われているということでございますので、こういった競争ルールの整備に当たりましては、国際的なハーモナイゼーションが重要であるというふうに考えております。

 この点につきましては、昨年十二月に公表されましたルール整備の基本原則におきましても、この旨が盛り込まれているところであります。

 いずれにしましても、デジタルプラットフォーマーというのは、イノベーションを生み出すということで、イノベーションを過度に阻害しないような形で、一方で、そういう市場の支配力、これによる弊害を排除するといったようなことを、国際的なハーモナイゼーションもあわせて、各国と協力しながらやっていくことが重要だと考えております。

 続きまして、データフリーフローの問題と、それから今のデジタルプラットフォーマーの規制の問題の関係でございます。

 まず、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラストと言っておりますけれども、御存じのように、安倍総理が、ダボス会議におきまして、この基本的なコンセプトにつきまして提唱されました。これは、個人情報であったり重要産業データを適切に保護し、プライバシーやセキュリティーに関する信頼を確保していきながら、自由なデータ流通を促進していく、こういう考え方でございます。

 この考え方を踏まえながら、当然ながら、デジタルプラットフォーマーにおきましても、こうした基本的な考え方に立ってビジネス展開がなされていくべきだという、このベースになるものだと思っております。

 その上で、デジタルプラットフォーマーにつきましては、先ほど申し上げましたような、寡占、独占を通じた支配力を強める傾向というのがあるということで、競争の問題を始め、そういうビジネス特性に応じた問題があるというふうに考えております。

 したがって、いわゆるフリーフローというベースのもとで、固有の問題についてもあわせてやっていくという形で両立を果たしながら、ルールづくりをしっかりやっていきたいというふうに考えております。

小熊委員 これはぜひ、各国とも連携していくということですから、今回、G20の議長国として、まさに規制と競争性と、また、逆に、エンドユーザーの利益といったものを両立させていかなければいけませんし、また、一部では、こうしたグローバル企業は、デジタル課税、租税回避とも言われていますから、デジタル課税についても議論がなされるというふうになっています。ただ、これは賛否が国際社会の中でもありますから、日本が議長国としてしっかりとした議論をしていただきたいというふうに思っています。

 時間が来ました。デジタル課税についてはどのようにやるのか、端的に、一言だけお願いします。

安居政府参考人 お答えいたします。

 今週末に福岡でG20の財務大臣・中央銀行総裁会議が予定されておりますけれども、国際課税もそのテーマの一つとされておりまして、その中で、今議員の御指摘にありました、経済の電子化に伴う課税上の課題についても議論される予定でございます。

 この経済の電子化に伴う課税上の課題につきましては、以前申し上げたことがありますけれども、二〇二〇年までにグローバルな長期的解決策を取りまとめるというふうになってございまして、現在、OECDを中心として国際的な議論が進められてきております。

 先日ですけれども、今週末のG20の会合を見据えまして、作業計画というものが百二十を超えるBEPSプロジェクトの参加国によって合意されたところでございまして、今週末の福岡でのG20におきましては、この作業計画も踏まえまして、グローバルな長期的課題の策定に向けた、長期的な課題を加速していこうということを促すような議論がされることを期待しているところでございます。

小熊委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 初めに、陸上自衛隊が参加した海外での共同訓練に関する日報問題について質問します。

 この問題をめぐって、私は、三月十三日と四月三日の二度にわたって、本委員会で原田防衛副大臣に質問してまいりました。その際に、原田副大臣は、私が調査を求めた安保法制成立以降の二〇一五年十月から昨年三月までの間に陸上自衛隊が海外で実施した共同訓練は三十件で、そのうち日報を含む定時報告の保有が確認できたのは三件のみと答弁されてきました。そして、この三件以外の日報の保有状況については、岩屋防衛大臣の指示、三月二十九日で、現在調査中と繰り返し、答弁を避けてこられました。

 ところが、防衛省は、先月の五月十七日、我が党のしんぶん赤旗の記者の情報公開請求に対して、これまで三件のみとしてきた日報のほかにも複数の日報が存在することを認める開示決定を岩屋大臣の名前で行っています。いずれの日報も、これですが、複数の日報が存在することを認める開示決定を岩屋大臣の名前で行っています。

 いずれの日報も、防衛省が存在の有無について調査中として明らかにしていなかったものだと、この間、私の質問に対して答えてきているわけですよね。

 そこで、原田副大臣、防衛省が情報公開請求に対して日報の開示決定を行った共同訓練は、これまで判明した三件のほかに何件あるのか、端的にお答えください。

原田副大臣 お答えをいたします。

 昨年十二月二十五日付で穀田委員に対して提出した三件以外の訓練における定時報告の実施の有無やその理由等につきましては、現在調査中でありまして、作業が完了次第、その結果について速やかに御報告をさせていただきたいと思います。

穀田委員 四月、前回質問したときに、その調査中という言葉を何回使ったか。十一回使っているんですよ、私の質問に対して。今回も調査中と。そんな話をしているんじゃないんですよ。それはそれで、調査中という話、何回聞いたと。あなた方は、日報を、情報公開請求、これですよ、これを開示する、あるということを開示するということを述べているんですよ。それは何件やと聞いているんです。やっていないんですか。そんなことも知らないでどうするんですか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 御指摘をいただきました情報公開開示請求につきましては、平成三十一年三月十九日付で当方の情報公開窓口が受け付けました、陸上自衛隊の平成二十八年度米国における米海兵隊との実動訓練、アイアンフィスト、平成二十九年一月三十日から三月十日に係る日報を含む全ての定時報告文書など、合計十五件の訓練についての定時報告文書の情報公開の開示を請求いただいたものでありまして、この情報公開開示請求においては、全ての定時報告文書として、昨年十二月二十五日、先ほども申し上げました、穀田委員に対しまして防衛省が提出した、上級部隊に報告した文書だけではなく、みずからが所属する部隊、連隊あるいは大隊等に報告した文書も開示請求の対象とされておるものでございます。

 この情報公開開示請求を受けて、省内で該当する文書を検索した結果、十五件のうち六件の訓練については保有を確認することができなかったことから、五月二十日に、文書不存在につき不開示との決定を行いました。

 残る九件の訓練につきましては、それぞれ該当する文書を特定しておりますが、開示、不開示の判断等に時間を要するため、情報公開法上の規定にのっとり、開示決定の期限をそれぞれ延長し、所要の作業を実施しておるところでございます。

穀田委員 そうすると、一回目の答弁というのは全く無駄だったということじゃないですか。これ、そう書いているんですよ。九月十八日までに開示決定をする予定だと、あるということを言っているわけですよ。そんな、あれやこれやの話を、前段をあれこれしたって、それはわかっているんですよ、前から。そういう時間を無駄にすることはやめましょうや。

 そこの中に、四月三日の質疑で原田副大臣が調査中と答弁を避けた二〇一七年度のアークティックオーロラも含まれているのか。これも、あるのかないのか、簡単にお答えください。

原田副大臣 情報公開請求の中には入っておりません。

穀田委員 いや、含まれていますよ、これには。含まれていないということを、本当にそれで責任を持って言えるんですか。私は含まれていると思いますが、この開示請求の日付とあれは一致していますよ。本当にそれでいいんだね。

 私は、そういうことを含めて、きのう質問で、防衛省が情報公開請求に対して決定した訓練の件数を含めて、きちんと質問通告しているわけですから、きちっと答えてくださいよ。

 それで、これまで三件のみとされていた日報が、新たに、引き算すると九つの訓練で保有されていたと。そのうち六件は、私が調査要求した昨年三月までの期間に、先ほど報告があったように、実施された共同訓練であります。

 結局、国会には、岩屋大臣の指示で、先ほど一番最初に言いましたように、現在調査中と副大臣はお答えになる。回避して、いまだに何の報告もない。その一方で、情報公開請求に対しては、同じ岩屋大臣の名前で新たな日報の保有を認める開示決定を行う。まさに国会を愚弄するやり方だと言わなければならないと思います。

 加えて重大なのは、今回、情報公開請求で判明した日報は、防衛省が昨年五月から十一月の間に行った日報の保有状況調査で、いずれも、探索の結果発見されなかったと報告されたものであります。それが今回どうして次々と見つかっているのか、余りに不可解であります。昨年の調査の際に、結局のところ、意図的な隠蔽が行われたとしか考えようがないではありませんか。そのことについて、どうお答えになりますか。

原田副大臣 済みません、先ほど私が答弁をいたしましたアークティックオーロラにつきましては、今確認をいたしましたら、委員おっしゃるとおり、入っておりました。訂正をさせていただきます。

 そして、昨年十二月二十五日付で穀田委員へ提出した資料にも、今お尋ねの件につきましては明記してあるとおりでございまして、御指摘の情報公開開示請求は、陸上自衛隊の平成二十八年度米国における米海兵隊との実動訓練、アイアンフィストのほか合計十五件の訓練に関し、全ての定時報告文書の開示請求をする内容となっておりまして、穀田委員からの資料請求のような条件は付されておりません。

 このため、当該情報公開開示請求につきましては、訓練に参加した隊員が現地にて部隊内で上官に報告した文書や、現地連絡調整要員として派遣されていた連絡員が自身の上官に報告した文書なども含まれ得るものとして、九件の訓練について文書を特定しておりまして、うち六件の訓練につきましては、穀田委員からの資料請求において対象となった期間内のものとなっております。

 特定された文書の中には、作成者や報告先の詳細についての記録が残っていないために細部を確認中のものもありますが、いずれにせよ、開示請求の内容に合致するものとして特定し、作業を実施しており、その一部につきましては請求者に通知をしているところでございます。

穀田委員 聞いている人がわかりやすく言うと、私が質問をして、これ以外ないのか、三十件あるやろ、こう言った。そうしたら、ほかのところから同じところの開示請求があった。私に対しては調査中と言っている。こっちには報告して、あると言っている。これがええのかと言っているんですよ。こんなばかな話はないと私は言っているんですよ。

 大体、しっかり対応するとかなんとか何回も言うんだけれども、ここで、岩屋大臣の指示で三月二十九日に出された現在の調査内容を見ると、今お話がぐるぐるありましたけれども、日報の保有を認めた部隊に対して、昨年の調査で保有していた事実をなぜ報告しなかったか、それから、その理由をただすことは全く想定されていないんですよ、この三月二十九日付の文書。だから、こういうことが平気で起こっているわけですよね。

 まさに、これでは意図的な隠蔽について調べようがないじゃないかということを言っているわけです。それをどうお答えになりますか。

原田副大臣 繰り返しになりますけれども、穀田委員からの資料要求を受けて文書の保存状況を確認するに当たっては、穀田委員の事務所との調整を踏まえて、先ほども申し上げました、訓練に参加した云々ということで、条件がございました。

 そこで、そのこととは別に、今御指摘の情報公開開示請求というのは、条件は一切なくて、陸上自衛隊の二十八年度米国における米海兵隊との実動訓練のほか合計十五件の訓練に関して、全ての定時報告文書の開示を請求するものとなっておりまして、穀田委員からの資料要求のような条件は付されておりませんでした。

 このために、情報公開開示請求につきましては、訓練に参加した隊員が現地にて部隊内で上官に報告した文書や、現地連絡調整要員として派遣されていた連絡員が自身の上官に報告した文書なども含まれているものとして、九件の訓練について文書を特定しておりまして、うち六件の訓練につきましては、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、穀田委員からの資料要求において対象となった期間内のものと重なっておるということでございます。

穀田委員 あれこれ対象の話が違うというんじゃなくて、同じ対象、どういう事実が出ているかと。どんな調べを要求されているか、違うからわかっていない、そんな理屈がありますかいな。だったら、それを調べて、これとこれが違うねんと出してもらおうじゃありませんか。

 私は、改めて要求したいと思うんです。

 四月十二日の本委員会で我が党の宮本徹議員が指摘したように、防衛省が日報の保有状況の調査を開始した昨年の五月というのは、国会でイラク日報が大問題になっていた時期であります。そんなさなかに、共同訓練日報という新たな問題が発覚しないよう意図的な隠蔽が行われた可能性は濃厚だと私は思います。

 そこで、委員長、やはり今の話で、要請が違うとか合うとかいって、出している文書が違うとか、同じ日付と同じ内容のものが出されていることは確かなんですよ。それはみんな聞いていておわかりでしょう。したがって、徹底調査はもとより、調査結果の国会開会中の速やかな公表、発見された全ての日報の早期提出を求めたいと思います。

若宮委員長 後刻、理事会で協議したいと思います。

穀田委員 次に、話をかえまして、イージス・アショアの問題について聞きます。

 河野大臣に一言お聞きします。

 私は、ちょうど一年前、昨年でいいますと六月六日、本委員会で河野大臣に質問しています。そのときに河野大臣は、「イージス・アショアの導入に向けた取組を引き続き進めていく」と表明されていました。

 この間の日米首脳会談の記者会見でトランプ氏は、日本は米国の防衛装備の最大の買い手になったと述べています。日本に対して米国製の高額兵器の購入を一層求める意思を表明しました。イージス・アショアの導入は、トランプ大統領が重視するバイ・アメリカンに呼応する政府の姿勢を示す最たるものであります。防衛省の発表によれば、二基の取得費だけで約二千四百億円、維持運用費を含めると約四千億円もの巨額に上る。これは、レーダーの実験施設の建設費などがこれに加われば、総額が更に膨らむことは明らかであります。

 先ほど述べた外務大臣の言明によると、安倍政権が言うところの日米のきずなというのは、こうした米国の高額兵器の購入を取り持つ関係なのか、端的にお聞きしたい。

河野国務大臣 日本を取り巻く厳しい安全保障環境を受けて、高性能な装備品について早期導入が求められる傾向にあるため、その結果として、近年、アメリカからの装備品調達が増加傾向にあるわけでございます。

穀田委員 見解は明らかに違いますが。

 そこで、念のために言っておきますと、飯島勲現内閣官房参与は昨年六月のBS番組で、イージス・アショアについて、トランプ大統領に押しつけられて購入する状態だと語っています。

 さらに、昨年七月三日付の産経電子版は、トランプ大統領は対日貿易赤字を埋める手段として米国装備の購入を強く求めている、米国製のイージス・アショアもその一例だと報じています。イージス・アショアの購入が、まさに同盟のコストとして受け入れるものであることは明らかであります。

 そこで、このトランプ大統領の来日と期を同じくして、原田副大臣は秋田、山口両県を訪れ、イージス・アショアの配備地として新屋、むつみ両演習場を適地とする調査結果を明らかにしています。その際、原田副大臣は、今回の調査結果のみで施設建設工事を強行したり配備先を決定したりするものではない、住民の皆さんの不安や懸念を払拭できるよう引き続き丁寧に説明していきたいと述べています。

 ところが、きょうの秋田魁新報、地元紙ですね。防衛省の報告書、これですね、これが報告書です。これに、五十七ページ、秋田県の男鹿市、ここに、遮蔽となる山の角度、十五度と書いています。ところが四度だったという、いわば事実と異なるずさんなデータを記載していた。きょうの県議会全員協議会で謝罪をするという事態になっているということであります。(発言する者あり)そういうやじが飛ぶほど、まさにずさんきわまりないやり方だと。

 副大臣、これまでの防衛省の説明で、イージス・アショアの導入に対する関係自治体や議会、住民の理解は得られたと考えているのか。こんなずさんなやり方までしてやっているということに対しての反省を含めて、一度はっきりさせてほしい。

原田副大臣 今、穀田委員から、他の国有地検討において誤りがあったという御指摘がございました。そこのところは、きょうの県議会の全員協でもおわびを申し上げ、説明をさせていただくと聞いております。

 そこで、私は、委員御指摘のように、二十七日と二十八日、秋田、山口両県を訪問をさせていただきまして、自治体や議会、知事そして市長、町長の皆さん、議会の代表の皆さんとお会いをさせていただきまして、調査結果を、今までは何も調査に基づいた説明ができませんでしたので、説明をさせていただきました。レーダーの影響はないのかとか、あるいはほかの影響につきましても説明をさせていただいたところでございます。結果として、調査の結果が出ましたのでということで説明をさせていただいたところでございます。

 このことによりまして、ここを決定したからよろしくお願いをしますという報告はさせていただいておりません。繰り返しになりますけれども、地元の皆さんから御理解をいただくまで具体的な造成工事等には入らないということで御了解をいただいたところでございます。

穀田委員 私は、そんなことで済む話じゃないと思うんですよね。今お話あったように、その説明が、もととなっていたデータがでたらめだった、それで平気でやっていたわけですから、まさにこれはやり直しであり、全部やめるべきだというのがはっきりしていると思うんですね。

 これほど県民をばかにした話はないですよ。説明文書の中に、違っていた箇所が七カ所も八カ所も九カ所もあるなんということがあってええのかということが問われています。そういう点では、何か、すぐ工事を行わないからというような話をしていますが、そういう問題じゃないんですよ。

 秋田市の地元町内会でつくる新屋勝平地区振興会は、昨年七月に、住宅密集地にミサイル基地は必要ないと配備反対の決議を行っており、十一月には、計画撤回の決議を求める請願を出しています。山口県阿武町の花田町長も配備反対の立場を鮮明にしており、町議会も昨年九月、配備反対の、撤回を求める請願書を全会一致で採択しています。このように、地元の理解を得られたとか不安や懸念を払拭できたなどとは到底言えないことは明らかであります。

 その原因、新たに加わったデータのいわば誤り、意図的なそういうやり方。大体、斜度を、十五度と四度を間違える、そんなばかな話がありますかいな。そういうことからいっても、何らまともな調査をしていないということもはっきりしたのが一つ。

 それから、情報を包み隠さず公表する姿勢が全くないということが問題だと思うんです。

 そこで、皆さんにお配りしている資料、これは半分に若干していますので御了解いただきたいんですが、配付資料の一枚目、防衛省が昨年つくった第二回住民説明会での配付資料であります。

 これを見ると、両候補地の分析を行い、結果、多くの地域を防護するため日本海側に設置する必要がある、最も広く効果的に防護できるのは秋田県付近と山口県付近であったと説明されています。

 また、配備候補地の絞り込みとして、山口県付近と秋田県付近の日本海側に所在する自衛隊施設を中心に詳細に検討した結果、平成三十年五月二十八日の省内の委員会で、陸自むつみ演習場と陸自新屋演習場を配備候補地として選定し、さらなる調査を進めていくことを確認した上で、六月一日に対外公表を実施したとあります。

 問題は、このときの防衛省内の委員会で実際にどのような候補地選定が行われたかということであり、そこで、配付資料の二枚目、三枚目、真っ赤なものを見ていただくとわかります。防衛省が昨年五月に開いた統合機動防衛力構築委員会で使用された、真っ赤な表紙の秘指定の原議資料であります。戦略企画課が作成したもので、私の資料要求に対して防衛省が持参したものであります。

 これを見ると、当日の委員会では、イージス・アショアの候補地について、防護範囲の観点と速やかに導入する観点、二点からの検討を行い、新屋、むつみ両演習場を候補地として選定したことが記されています。おわかりですね。

 ところが、日本海側に配置する必要があるとか、秋田県付近及び山口県付近との結果が出たなど、第二回住民説明会で配付された資料と同じ記述が見られるものの、その前後の文章は全て黒塗りに隠されている。

 原田副大臣、この箇所をどうして隠す必要があるんですか。

原田副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘の黒塗りの箇所につきましては、情報公開法上の不開示情報に該当すると考えていることから、個別具体的な記載内容について申し上げることは差し控えさせていただきますが、その上で申し上げれば、二ページのイージス・アショアの候補地につきましては、配備候補地の選定について記していますが、黒塗りの箇所につきましては、公にすることで他国との信頼関係が損なわれるおそれや、自衛隊の能力等を推察され、国の安全を害するおそれがあること等から、不開示としております。

 四ページの今後の進め方については、平成三十年五月時点で配備候補地を選定して以降に想定していた進め方を明記しておりますが、黒塗りの箇所につきましては、先ほども申し上げました、公にすることで自衛隊の能力等を推察され、国の安全を害するおそれがあること等から、不開示とさせていただいたところでございます。

穀田委員 二つまで言っていただいて、ありがとうございます。一つずつ言おうと思っていたんですけれども。

 結局のところ、この黒塗りの箇所には、他国との信頼関係が損なわれるおそれがあるというようなことを検討したことが書かれているということですな。どうぞ。

原田副大臣 その点につきましても、お答えは控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 答えは控えさせていただくじゃなくて、そう言ったから聞いているわけじゃないですか。だって、今、副大臣は、公にすることにより他国との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、その上に、これはこうやったんだ、こう言ったわけでしょう。だから、それを素直に聞けば、そういう立場で議論したんやなということを聞いただけですやんか。この議論がなければそういう理屈はないじゃないですか。はっきりしてください。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 配備候補地の選定について記してはおりますけれども、黒塗りの箇所につきましては、繰り返しになりますけれども、公にすることで他国との信頼関係が損なわれるおそれや、自衛隊の能力等を推察され、国の安全を害するおそれがあること等から、不開示としておるということを御理解をいただきたいと思います。

穀田委員 御理解って、それは、そっちはそういう理解をしてくれと言っているんじゃなくて、そういう議論をしたということから閉じてんねやなということを確認しているだけですやんか。

 きのういただいた資料によりますと、さらに、今言った四ページ目のもの、今後の進め方というものによりますと、それは何ででけへんねんと聞いたら、国民の間に混乱を生じさせるおそれがあるとまで言っていたんですよね。そういう回答までありました。

 要するに、この黒塗りの箇所というのは、公にすれば国民の間に混乱をもたらすとか、さらには、今言ったように、他国との関係で、簡単に言えば、信頼関係を損なうというようなことまで議論をしていたということが書かれているということじゃありませんか。

 新屋やむつみ両演習場を選定するに当たり、他国との信頼関係が損なわれるおそれがあるような検討、それから、国の安全を害するおそれがあるような、そういう問題があるという調査、それを防衛省は秘密裏に行っていたということになりますよね。そういうことを言わないで何でそういう調査をしてんねんと言ったら、こういう調査だ、そういう調査の概要というのは明らかにできない、その理屈は何だという。こうなりますと、こんな肝心かなめの問題を秘匿し、データはでたらめを使い、やっている、それで説明してきたということになる。

 だから、まさに、この間の社説を見ますと、魁新報は、安全対策の根拠を含めて情報を包み隠さず説明する必要がある、こう言っているわけです。包み隠さず、必要があるという上に、でたらめなこともやっている。これは一から出直しだというのは当たり前じゃないですか。そういうことを言っておきたい。

 だから、せめて、最低限、情報を包み隠さず明らかにすべきではないですか、原田さん。

原田副大臣 繰り返しになりますけれども、先ほど御答弁させていただいたとおりのことでございまして、私からは、この場で答弁は控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 国会でそういう答弁を行う。そして、現地では報告もしない、でたらめな数字を使う。そして、その根拠は何かといったら、他国の信頼を損なう可能性があることだ、そして国の安全について害するおそれがあるんだというんだったら、それを明らかにするのが当たり前じゃないですか。

 どういうのが明らかなんだということもしないで、住民の安心、安全といいながら、今言ったように、防衛機密を盾に肝心な問題は一切公表しない。こうした防衛省の情報隠しの姿勢というのは、住民生活の安全について考えるよりも、イージス・アショアの配備を最優先する、まさに配備ありきの姿勢を端的に示していると言っていいと思います。

 今回、防衛省が行った各種調査の結果について、また引用しますけれども、五月二十八日付の秋田魁新報は、新屋勝平地区振興会の佐々木会長が、結論ありきの意味のない調査だと批判したことを紹介しています。あわせて、三月十八日の東京新聞も、防衛省関係者が、電波の実測調査は地元への配慮の姿勢を見せるためのもので、実は余り意味がないと漏らしたと報じています。こういう点でも、防衛省の配備ありきの姿勢が際立っていると指摘しています。

 防衛省は、こうした配備ありきの姿勢をきっぱり改め、データをきっちり、それを謝罪するだけじゃなくて、改め、一から出直し、もともとこんなことについて、イージス・アショアの配備について直ちに撤回すべきだということを申し述べて、質問を終わります。

若宮委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳でございます。

 冒頭、やはり、外務省職員の小山智史さん、三十九歳、そして、栗林華子さん、十一歳ですが、罪もない方々の命が失われたということ、まことに残念きわまりない状況というふうに認識しております。御冥福をお祈りし、また、けがをされた方々にお見舞いを申し上げたく存じます。

 さて、きょうは、ここのところの外交の中で、中東問題等を中心に伺いたいと思っていますが、積極的平和主義というものの対義語って何だったかなというような感じがするぐらい、一国平和主義だったかもしれないんですけれども、我が国の外交の立ち位置というのが変わってきたのではないかというのが、イランに安倍総理が行ってくださいという言葉が米国大統領から来るというような状況というのは大きな変化だと思っています。

 今までそういう役割というのは英国が担ってきたような気が私はいたしますけれども、英国の方は、逆に、メイ首相が辞任を表明し、保守党の党首選並びに首相を決める選挙があり、ブレグジットが合意なき離脱になるというようなことで、イギリスが内向きになっている状況の中で、日本が、今までイギリスが担ってきたような国際政治、あるいは外交の中での役割というのが本当に大きくなってきているというのを、今回のイランの訪問日程ということの中で私は感じております。

 そんな中で、まずお伺いしたいのは、直近にありました、シャナハン米国国防長官代行と総理、防衛大臣との面談もありましたけれども、それに相前後して河野外務大臣もお会いになっておられるということでございます。

 2プラス2等でもう既に何度かお会いになっていると思いますけれども、立場上は防衛と外交という、仕事がちょっと違うと思うんですけれども、その中で、今回の面談、一部報道されておりますけれども、開示できる範囲で、いかなる情報交換をシャナハン米国国防長官代行とされたかを確認させてください。

河野国務大臣 今回の会談の中では、インド太平洋の平和と繁栄、そして安全の礎である日米同盟を一層強化するためにともに取り組んでいく、そういう必要のあるものについてさまざま議論をいたしました。

 自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力、あるいは宇宙、サイバー、そういった分野での協力、沖縄米軍再編、あるいは北朝鮮情勢についてもやりとりをいたしました。

 また、六月一日にアメリカの国防省がインド太平洋戦略レポートを発表しておりまして、これを歓迎すると同時に、引き続き連携を強化をしてまいりたい。

 また、今委員がお話ありました中東に関してでは、イランに関して少しやりとりをいたしました。

杉本委員 ありがとうございます。

 冒頭申し上げた中東情勢について次に質問をさせていただきたいと思います。

 中東というと、今までのイメージが、パレスチナとイスラエルというか、中東和平という言葉がどちらかというと私の認識としては先行していたんですけれども、イランを中心とする緊張という意味で、広義の中東という認識を私はしなきゃいけないのかなというふうに昨今は感じております。

 そんな中で、中東の今の認識としては、緊張状況にあるという感触を私は持っているんですけれども、外務大臣として、冒頭申し上げた中東和平の中東も含めて、広義の意味での、イランを含めた広い意味での中東の認識を確認させていただければと思います。

河野国務大臣 広い意味での中東の情勢は、極めて緊迫を増していると言わざるを得ないと思います。

 特に、アメリカ、イランの関係、あるいは、イエメンのフーシー派がサウジアラビアのパイプラインを攻撃したということをみずから表明をした。日本にとってのエネルギー供給の主要な源でもありますし、スエズ運河のような国際的な通商路の主要な海上ルート、そうしたものがあるわけでございまして、さらに、今の状況を見ると、テロ、暴力的過激主義というのがまだまだはびこっているという状況の中にあると思います。

 そういう中で、この地域の平和、安定というのは日本だけでなく世界の平和と安定に大きくかかわってくるというふうに考えております。

 日本は中東地域の宗教からは中立的な状況にございますし、過去の歴史を振り返ってみても、ネガティブなかかわりというのがないわけでございますし、また、イランとは極めて伝統的に友好的な関係がある。ことし、外交関係樹立九十周年でございますけれども、さかのぼれば、それはシルクロードの時代から、正倉院にイランのものがあるというような関係もあるわけで、非常に伝統的な友好関係というのも築いてきた。

 そういう中で、どのプレーヤーとも日本は今率直に話合いをすることができる、そういう立場でございますから、対話を通じたこの地域の緊張緩和に日本としても注力してまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 対話というお言葉をいただきましたけれども、ゴルバチョフ元大統領が、やはり長い対話が平和を導くというお言葉をちょっと聞いたことがありますけれども、冒頭申し上げた、日本の外交の立ち位置というのが世界の中で本当に高まってきていると思いますので、更に御尽力いただきたいということなんです。

 ちょっと、イランということでは、日程的にも、何か報道が既にありましたけれども、安倍総理が六月十二、十三と、私はもっと六月中下旬になるのかなと思っていたんですが、意外と直近に行かれるというような日程が入ってきたようでございまして、ロウハニ氏とは十二日、ハメネイ師とは十三日にというような日程で、私は、河野外務大臣に先に行っていただいて、状況を地ならししてきていただくのがいいかなと正直実は思っていたんですが、そういうタイミングも、ひょっとすると、むしろ後から補完的にというか、また対話を続けるという意味で、総理が行かれた成果の後にまた何度も行っていただかなければいけないのかなというふうに拝察しています。

 その前に、さきの日付で、先日、イランの外務大臣が日本にいらっしゃったということでしたけれども、この面談での主な内容を開陳いただける範囲で教えていただければと思います。

河野国務大臣 イランのザリーフ外務大臣が訪日されて会談をやりましたが、中東での緊張の高まりを日本は懸念しているということ、また、JCPOAを日本は一貫して支持してきた、また、この時点でのイランのさまざまなアクティビティーは核合意の範疇にとどまっているものと理解をし、今イランが核合意からすぐさま離脱するという意図ではないというのが日本の理解であるということを申し上げた上で、この地域の安定にはイランの前向きな行動が不可欠であって、核合意を履行継続するということと地域の緊張がエスカレートしないような自制を求めるということを申し上げた次第でございます。

 それに対しまして、ザリーフ外務大臣からは、イラン側の核合意及び地域の問題に関する立場について、あるいは理解について説明をいただいた、そういうことでございます。

杉本委員 わかりやすい説明をありがとうございます。

 それで、今ちょっと枕で申し上げた、総理が十二、十三と行かれるということでございますけれども、ちょっと先の日付のことをお伺いするのは何かと思いますが、心意気というか御意思というかを伺っておきたいんですが、総理が行かれた後、またイラン訪問の可能性等あられるかどうかを確認させてください。

河野国務大臣 総理のイラン訪問並びに私のイラン訪問について、まだ何ら確定したものはございません。

杉本委員 私もちょっと報道をうのみにしたというか、まだ日程は決まっていないようでございますが、いずれ、アメリカ大統領との約束ということでございますので、総理は六月中には行かれるであろうし、私のお願いとしては、ダイアログというものは長く継続的に続けなければならないという意味では、外務大臣の役割というのは、総理の役割もそれは大きいわけでございますけれども、外務大臣の継続的な外交ということをお願いしておきたいと思います。

 次に、今ちらっとおっしゃられた周辺国のことについて幾つか伺っておきたいと思います。

 防衛とか軍事とかそういう見方ではなくて、外交的にという点でちょっと伺いたいんですけれども、イエメンがみずから表明したとおっしゃられましたけれども、サウジの石油パイプラインの施設を攻撃したといった、これは通常兵器というよりは無人機で、あるいはドローンと言われるものかもしれません。

 これは五月末の報道で、現地時間で三十日の情報として、アルジャジーラのニュースで、サウジほか周辺国の強硬派の方々が、アメリカの高価な軍事機材を買ったけれども、いわゆるドローンのようなもので攻撃されると、迎撃効果がなく攻撃されてしまった、こういった意味では、アメリカに別の形で相応のコンペンセーションというか代償というかを求めていきたいみたいなことを言ったというような、正確かどうかわかりませんが、アルジャジーラの報道がありました。

 そんな意味で、無人機を使われたというような部分と、イエメン、サウジ、あるいはイエメンとの、イランとの関係とかいろいろあるかもしれないんですけれども、こういったことにおける外務省としての公式のお立場での、このパイプライン等への攻撃の事実認識とその評価を確認させていただければと思います。

河野国務大臣 五月の十四日に、サウジアラビア国内を東西に走る原油パイプラインの関連施設が無人機によって攻撃され、フーシー派がこの攻撃を行ったことを認めたと承知をしております。

 中東の平和と安定は、先ほど申し上げましたように、国際的な平和と安定あるいは経済の繁栄に直結するものであり、日本政府としては、このような攻撃を強く非難する旨の報道官談話を発出をしているところでございます。

 御指摘のように、今回は無人機、ドローンなのかもしれませんが、今国際的にも広く議論が行われているAIを搭載をしたロボット兵器、その中には、本当に極小のドローンにAIを設置した、しかも非常にコストが安く大量に生産できる、そういうものが想定をされております。

 それに対抗するのに一発何億円というミサイルで対抗していたのでは、財政的にも疲弊をいたしますし、とても太刀打ちができないということから、今後どのような展開になっていくのかというのは、これは国際的にも今、戦争のやり方が変わる、火薬、核兵器に次いで第三の戦争における革命が起きる、あるいはもう既に起き始めている、そう言われているところでございますので、今回の三十日付ですか、そういうメディアの報道というのは、やはりそういう時代に入り込んできているということを如実にあらわすものではないかと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 あくまでも武力というか軍事力を背景にしなきゃいけないんですけれども、外交が平和を導くというふうに私は認識しておりますので、そういった意味では、G20も十一月二十二、二十三に外相会合が名古屋でという予定も伺っておりますので、いろいろなテーマの一つになるのかどうかわかりませんけれども、外交で平和を導くということをお願いしておきたいと思います。

 次に、カタールについて伺いたいんですが、サッカーのワールドカップが開かれる。参加国をふやすというような話があった中で、周辺国の協力が得られないということで、参加チーム数をふやすことがサッカー協会の方でできなくなったみたいな報道もございました。

 その背景として、中東周辺国とカタールが断交状態にあって、カタールというのは、御一緒させていただきましたが、LNGの大変な基地を持っていたりということで、資金、資源ともに、特段の支障は、断交があっても当座は問題ないのかもしれないなとは拝察しているんですけれども、そうはいっても、周辺国とはやはり仲よくしていただくというのが、単純な言い方かもしれませんが、それが平和を導くことかと思います。

 現在のカタールの状況を日本国としてどう見ておられて、周辺国と改善の兆しや見通しがあるのか、あるいは我が国が周辺国との仲介役的な役割をすることによって改善ができるのか、こういった点を日本の外交姿勢として確認させていただければと思います。

河野国務大臣 カタールの断交問題が発生しまして、きょうでちょうど丸二年ということになるんだろうと思います。

 中東の安定には、湾岸協力理事会、GCCの結束というのが大事だというふうに認識をしておりまして、我が国もこの断交問題の緩和あるいは解決に向けて働きかけをしてきたところでございますし、これは日本だけでなくさまざまな国が仲介の努力をしてきているところでございますけれども、残念ながら、この状況はまだ続いているわけでございまして、我々としては、情勢を注意深くフォローすると同時に、何らかの機会を捉えて、緩和に向けて具体的な行動を促していきたいというふうに思っているところでございます。

 それでも、例えば天然ガスの供給が、カタールからアブダビでしたか、に行われているとか、ぎりぎりのところで一線は守られている状況にはありますが、そうは申しましても、さまざまな場面でこの断交問題がリビアを始めいろいろなところで影響を及ぼしているという認識もございますので、この問題について引き続き注意深くフォローしてまいりたいと思います。

杉本委員 ありがとうございます。カタールの状況はわかりました。

 次に、ヨルダンなんですが、ヨルダン国王に国会で演説をと、お話が、今までの中東和平に加えて、広義のお話もヨルダン国王にはしていただかなきゃいけないかもしれない緊迫した状況にあるかもしれませんが、この全体の緊迫、緊張、あるいは従来からの中東和平、この両面において、やはりヨルダンと日本の連携というのは極めて大切なパートナーシップを持っている国であると思っております。

 この連携をすることによって、積極的平和主義を展開する上で何らかの可能性ということは考えられないのかどうか、改めて確認をさせてください。

河野国務大臣 ヨルダンは我が国の中東外交における重要なパートナーでございまして、ヨルダンのサファディ外務大臣とは、私、外務大臣就任以来、既に八回お目にかかって会談をしております。

 また、ヨルダンとは、UNRWAに関する会合の共同議長を務め、あるいは国王陛下が主催をされるアカバ・プロセスを共催をしたり、あるいは西岸におけるジェリコの工業団地について、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、日本と四カ国でプロジェクトを推進してきたという、さまざまな協力をしてきておりますので、これからもヨルダンは日本の中東外交において重要なポジションを占める重要なパートナーというふうに認識をしているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 時間となりました。もう一つだけ申し上げますが、ベネズエラの状況、人道的に極めて厳しいことがよく報道されますので、ちょっと国際政治でありますけれども、人道的な面は御認識いただきたい、十分いただいていると思いますが、引き続きフォローをお願いしておきます。

 以上です。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 きょうは、まず日米の貿易交渉について、国会においてくぎを刺しておかなければならない、そういう局面かなというふうに思いますので、まずこのことを取り上げたいというふうに思います。

 何人かの方が取り上げておられましたけれども、どうも日本の選挙後に日本側の大きな譲歩が発表されるのではないかという懸念が現在広がっているというふうに思いますけれども、副大臣、今、何がどこまで日米貿易交渉では話し合われているのでしょうか。

田中副大臣 お答えいたします。

 まず、日米の物品貿易協定であります。日米の首脳会談もございました。この中でも、昨年九月の共同声明に発表されたとおり、日米の信頼関係に基づいて、ここにのっとって、双方がウイン・ウインの形での締結を早期に目指していこうということが確認をされた、そういう状況であります。

玄葉委員 具体的にどんな話合いが行われているのですか。

田中副大臣 具体的にはということでありますが、これは昨年の共同声明であったとおり、過去の経済連携協定で約束した譲許内容が最大限であるという日本の立場、こうしたものもしっかりと双方で確認がされている、こういう状況にあります。

 具体的な内容でありますが、これに関しては、いよいよ来週から実務者協議が行われるということでありまして、具体的な中身についての協議はまさにこれからという状況にあります。

玄葉委員 今、田中副大臣は、ウイン・ウインになるように交渉する、こういうふうに言っているわけですけれども、安倍首相の言うウイン・ウイン、あるいはあなたの言うウイン・ウイン、これはどういう意味ですか。

田中副大臣 これは交渉の中で、例えば農産品に関しては、先ほどもお答えさせていただきましたが、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容、これが最大限、これをしっかりと守っていきたい。また、工業製品、そういうような形に関しては、しっかりと攻めるべきものは攻める。

 こういった意味で、日米ウイン・ウインの形となる、これの早期成果達成に向けて、日米の信頼関係に基づいて、議論を加速させていきたい、こういうことで日米の首脳会談では一致をしたということであります。

玄葉委員 では、今のは、ウイン・ウインというのは、簡単に言えば、車と農産物の、両方とも関税の問題ということになろうかと思いますけれども、代表的なものは、そういうものについて、TPPをいわばなぞるような形で合意をする。

 つまりは、農産物の関税に関しては、TPPが最大限の日本にとっての譲歩内容ですよ、あわせて、車の関税について二・五%の関税をきちっと下げてもらう、あるいはトラックの二五%の関税をきちっと下げてもらう等々のことをパッケージで合意しましょう、こういうことだと考えてよろしいですか。

田中副大臣 先ほどお答えさせていただいたことでありますが、これは車も含めた工業製品全般ということであります。当然、農産品もある。この中で総合的にパッケージとして締結を目指していくという状況にあります。

 具体的な項目については、まさに先ほどもお話しさせていただきましたが、実務者協議、これは来週、月火と初めての実務者協議が行われるということであります。具体的な項目については、この場で申し上げることは、今後の交渉に予断を与えるおそれがあるということで、差し控えさせていただきたいと思います。

玄葉委員 TPPは、御承知のとおり、簡単に申し上げれば、車と農業のパッケージ合意だというふうに言えると思います。

 牛肉の関税が三八・五%から十六年目には九%になる、チーズ製品の関税撤廃、豚肉四・三%の関税が十年目に撤廃、米国産の米が十三年目に七万トン入る。そのかわり、日本からの自動車二・五%関税は二十五年かけて撤廃、トラックへの二五%関税は三十年目に撤廃ということでございます。私は、これ自体、かなり日本が譲っているというふうに思います。

 ただ、今心配だなと思うのは、どうも選挙後に、日本側がかち取ろうとしているものが得られないまま、日本の農産物の関税だけが下げられるのではないかというふうに私自身も懸念をしているところでありまして、そのことは絶対ないというふうに約束していただけますか。

田中副大臣 特に、今、農林漁業者の方々におかれては、いろいろな不安があるということも承知している状況にあります。こうした皆さんに懸念がないようにしっかりと交渉を進めていきたい、そのように考えております。

玄葉委員 私が聞いたのは、日本側が特に工業製品等で得られるものが得られないまま、農産物の関税だけが一方的に下げられる、そういうことは絶対ないというふうに言っていただけますかと聞きました。

田中副大臣 いずれにいたしましても、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意は行うつもりはございません。

玄葉委員 どうもはっきり答えないということ自体が大変心配になるわけです。

 何度も聞いているわけでありますけれども、一方的に譲歩するなどということは絶対にないと私だったら答えますけれども、そう答えられないということは、どうも怪しいなというふうに感じて、更に懸念が広がるのではないかというふうに、私は機会を差し上げているつもりなのですけれども、私だったら一方的に譲歩することはないと答えますよ、私があなたの立場だったら。どうですか。

田中副大臣 何度も繰り返しますが、今はまだ具体的な項目についてもこの場で申し上げることはできない、今後の交渉にやはり予断を与えるおそれがある。

 しかし、農林漁業者に懸念がないようにしっかりとしていきたい。そして、当然のことながら、これは日米の信頼関係に基づいて、日米の共同声明にあるように、ここにのっとって、しっかりと、我が国の国益に反することがないように交渉を進めていきたい、そのように考えております。

玄葉委員 やはり、ますます怪しくなったなという感じがこの質疑でいたします、残念なんですけれども。

 TPP11が発効して、例えば牛肉などは、豪州産は余りふえていないのですけれども、資料を見ましたらば、カナダ産とニュージーランド産は、去年の一月から四月と比べると、一・八倍入ってきているんですね。それだけ関税が下がっている効果が出ているということだと思います。メキシコ産は一・五倍入ってきています。

 これは当然、アメリカは焦りますよね。アメリカは焦るというのは、米国の畜産団体は焦ると思います。農業団体は焦ると思います。それはトランプ大統領をつっついているはずです。ですから、大統領選を前にして、トランプ大統領は、自分はTPPを脱退しておきながら、農産物の関税をTPP並みに下げたい、そういう思いがあるわけですよね。そのことは恐らく安倍さんにトランプさんは伝えていると思います。

 想像ですけれども、安倍さんは、いやいや、ちょっと待ってくれ、あなたの顔は大統領選の前にはいずれ立てるから、自分にだって選挙がある、それはお互い選挙している身だからわかるだろうということで、では、選挙後にしような、どうもそんな感じじゃないのとみんな心配するわけですよ、やはり。多くの人はそうじゃないかなと思うんですよね。そんなことはないですか。

田中副大臣 お答えいたします。

 今の御質問は、両首脳間で、七月の選挙後、八月の合意が確認されたのではないか、そういう推測ではないかなと思っておりますが、このような私的なる約束を日米の首脳間でしたという事実は全くないものと私は承知をしております。

玄葉委員 トランプ大統領は、ツイッターで、大きな進展が起きつつある、農業や牛肉は特にそうだ、選挙後の八月によい内容の発表ができる、また会見で、我々はTPP水準に縛られていない、こういうふうに言っているわけです。

 でも、両首脳間の表での合意ではない、確かにそうかもしれません。だけれども、少なくとも合意を選挙後に先送りしたことは間違いない。恐らく、大統領選挙の前のある時期には合意しようというふうにお互い確認していることもほぼ間違いないのではないかというふうに思いますので、さっきのような推測、あるいは、ある人に言わせればそれは邪推かもしれませんけれども、そういうものが生まれて、結果として懸念が広がっているということだと思うんですね。それを打ち消すだけの答弁に残念ながらなっていないというふうに私は思うんです。

 ですから、一方的に我が国が譲歩することは絶対にないのだ、選挙後にそんな一方的な譲歩が行われることは絶対ないとここで明言してください。

田中副大臣 この前の日米首脳会談で確認されたということは、やはり日米のウイン・ウインとなる形で早期の成果を達成、これに向けて、日米の信頼関係に基づいて、議論を更に加速をさせていこう、これは一致をしたところであります。

 その中で、内容についてでありますが、これは、来週の実務者協議、ここからまさにスタートするということであります。

 しかし、申し上げることは、やはりこれは、攻めるべきものはしっかりと攻めて、守るべきものはしっかりと守る。そして、特に農産品についての御懸念があるということでありますが、これは九月の共同声明に基づいて、譲許内容が過去の経済連携協定で約束したもの、これが最大限である、この確認もお互いにされているという状況にあります。

 しっかりと交渉を進めて、農林漁業者には懸念がないようにしていきたいと思っています。

玄葉委員 ウイン・ウインの早期の成果達成というのは、一致したというよりは、これは安倍総理の発言だと私は思いますので、やはりそういう意味で、どうも、必ずしもこの問題について順調に進展しているとは言いがたいのではないかと思います。

 もともと安倍さんは、米国抜きのTPPは意味がないと言っていたんですね。その後、トランプ大統領はTPPを脱退して、TPP11を発効していくわけですけれども、TPP11に米国が入ってくるのを待つという戦略だったはずなんですよ。だけれども、今は結局、バイの交渉にある意味追い込まれているわけです。

 その交渉の今真っ最中というところなので、私は、やはりこの一連の経過を見ると、非常に押し込まれ感が強いなというふうに思っていますから、ぜひ、選挙後に一方的な譲歩が発表されるなどということが絶対にないように、この国会の外務委員会という場で私から注文をしておきたいというふうに思います。

 時間がありませんが、日ロの外相会談、四回、北方領土問題で行われたということでございます。せんだっても行われて、結果についての発表がございました。

 一体、領土問題について進展があったのかなかったのか、そして、日本側の立場を河野大臣は明確に、日ロの立場が異なる部分については伝えたというふうに報道されておりますけれども、どう伝えたのか、G20では北方領土問題についての大枠合意というものはあり得るのか、お答えをいただければと思います。

河野国務大臣 交渉の内容についてはつまびらかにするのはしないというのが両者の合意でございますので差し控えますが、G20で大枠の合意をする、しない、何も決まっているものはございません。

玄葉委員 これまで、日ロ外相会談で、河野外務大臣は手応えを感じるということを言ってきているのでありますけれども、三回目、四回目の会談があったわけでありますけれども、そのときの手応えはいかがだったのでしょうか。

河野国務大臣 ラブロフ外務大臣とは、しっかりと両国が受入れ可能な合意をしようということで合意をして交渉をしているわけでございますので、粘り強く両国が受入れ可能な合意をできるように取り組んでまいりたいと思います。

玄葉委員 なかなか立場が異なる部分について進展しているという印象が、残念ながら、現時点ではないのです。もちろん、交渉の中身はつまびらかにしないということですから、そもそも伝わってきていないのかもしれませんけれども、ただ、G20で大枠を合意をするというのがもともとの目標だったのではないか、これは想像と報道でありますけれども、そういうことではなかったのでしょうか。

河野国務大臣 そういうことではございません。

玄葉委員 少なくともそういう報道があったことは間違いないのでありますが、改めて申し上げますと、G20で日ロ首脳会談が行われる、その場で北方領土交渉について何らかの大枠合意がなされるという見通しは立っていないというふうに考えてよろしいですか。

河野国務大臣 日ロの首脳会談を今調整をしているところでございまして、その議題についてまだ確定しているものはございません。

玄葉委員 もう時間なので終わりますけれども、改めて確認ですけれども、日ロの外相会談で北方領土問題についてそれぞれの見解を述べ合うときには、基本的に、日ソ共同宣言に基づいて交渉を加速する、その日ソ共同宣言というものをベースに議論されているというふうに認識をしてよろしいですか。

河野国務大臣 日ロのこれまでのさまざまな経緯に基づき交渉しているわけで、首脳間は五六年の共同宣言に基づいて交渉を加速化させようということでございますから、それに基づいて交渉を加速化すべく努力をしているところでございます。

玄葉委員 これまでの日本とロシアの間の交わされた諸合意、諸文書全て踏まえて交渉している、最後にもう一回確認ですけれども、それでよろしいですね。

河野国務大臣 総理は、日ロ間ではこれまで多くの諸文書や諸合意が作成されてきており、これら全ての諸文書や諸合意に基づいて交渉を行ってきています、その中でも、一九五六年の日ソ共同宣言は、両国の立法府が承認し、両国が批准した唯一の文書であり、現在も効力を有していることから、昨年十一月の日ロ首脳会談では、五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで一致をいたしましたという答弁をされております。

 私も総理と同じ考えでございます。

玄葉委員 わかりました。

 終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 最後の質問になりますが、よろしくお願いします。

 最初に、日韓関係について御質問をしたいと思います。

 徴用工の問題、これについては、私もいろいろ勉強しましたけれども、日韓請求権交渉の際に、日本側の方から個人に対する支払いを申し出たにもかかわらず、韓国側の方から、これは韓国側で国内措置として対応しますというような経緯とか、こういうことを踏まえると、私は、今、日本政府がとっている対応というのは理解しております。やはりこれは日本側に非があるとは私は思っておりませんので、こういう姿勢でやっていただきたいというふうに思っています。

 それから、自衛隊機へのレーダー照射事案、これについても、防衛省から聞きまして、私も全く防衛省側の説明に納得していますし、これはやはり韓国側に非があった、韓国側に強く抗議をし、再発防止を求める、この姿勢は私も理解しております。

 こういった日本側の考え方を、私は、大事なのは、やはり国際社会にしっかり日本の立場を明確に示しておく、こういうことが大事だというふうに思います。

 その点で一点、これは新聞報道なんですけれども、河野外務大臣は、G20に合わせて日韓首脳会談を行うことについては困難である、こういうのを河野氏が認識を示したということではあるんですが、やはり私は、首脳会談は行った上で、平行線になったとしても日本側の考え方をしっかり伝え、それを国際社会にアピールする、そういう機会にもなると思いますので、この首脳会談はやった方がいいのではないかと思っておりますが、大臣のお考えをちょっとお聞きしたいと思います。

河野国務大臣 G20におけるバイの首脳会談については、まだ何ら決まったものはございません。

井上(一)委員 そういう回答ではあると思いますけれども、国際社会に日本側の考え方をしっかり示すという上でも、ぜひこの首脳会談については前向きに取り組んでいただきたいというのが私の考え方でございます。

 それでは、次は、資料でお配りしておりますけれども、米軍が公道で銃を携行させるというのがありました。これについては、非常に、新聞報道でも地位協定違反等とありますけれども、まず、この事案の事実関係について、簡単に御説明していただきたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 本年五月一日から九日までの間、佐世保海軍施設におきまして、駐留軍等労働者警備員に拳銃等を携帯させたまま同施設の間を横断する公道を通行させていたという事案がございました。

 防衛省といたしまして、外務省とも連携しつつ、在日米軍に対しまして累次申入れを行ったところ、在日米軍内で改めて内部規則を確認した結果、同月十日、佐世保海軍施設としてこのような運用を中止するに至ったところでございます。

井上(一)委員 ここでちょっと幾つか確認をしたいと思うんです。

 まず、日本人警備員に銃を携行させることができる根拠なんですが、そもそも、この施設・区域、これはいわゆる租借地ではないわけですので我が国の法令が全面的に適用される、そういう理解が前提だと思うんですけれども、まず、その点について、ちょっと確認をしておきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍の施設・区域は、まさに日本の領域でございまして、当然、我が国の法令が属地的に適用されるわけでございます。

井上(一)委員 よく、一般国際法上、この施設・区域というのは日本の法令が適用されないんだというふうに誤解をされる方が多いんですけれども、まず日本の法令が適用されるというのが前提です。

 その上で、銃砲刀剣類所持等取締法、これも適用されるということになるわけですが、そもそも銃砲刀剣類所持等取締法には日本人警備員に銃を携行させるというような規定はないわけですけれども、なぜ日本人警備員が施設内で拳銃を携行できるのか、その根拠を教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍は、日米地位協定第三条一に基づき、在日米軍の施設・区域内において警護のための必要な全ての措置をとることができるというふうにされております。

 在日米軍が、この規定に基づきまして、警護のために必要な措置の一つとして、駐留軍等労働者警備員に拳銃等を携帯させて在日米軍の施設・区域内において警護に当たらせることは、同協定上認められることでございます。

 さらに、駐留軍等労働者警備員による拳銃等の所持は、銃砲刀剣類所持取締法、いわゆる銃刀法第三条第一項第一号に基づく、法令に基づき職務のために所持する場合、これに該当いたしまして、同法上も問題ないものと解されていると承知しております。

井上(一)委員 ここは、ちょっと余り時間がないので、これ以上聞きませんけれども、政府内でも、銃の携行については部内でいろいろ議論があったということは聞いております。

 いずれにしても、区域内でも日本人警備員が銃を携行することについて議論があるところ、区域外であれば、当然のことながら、根拠は全くないということになるわけです。

 そういうことで、この事案が起こったことというのは非常に遺憾で問題だと思っておるんですけれども、こういう事案がたびたび起こるということは、米軍も認識がやはり不足しているんじゃないかと思うんですが、二度とこういうことが起こらないようにするために再発防止策が非常に重要だと思うんですが、この点について今どういうふうな協議をしているか、外務省の方から教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍は、日本人警備員が施設・区域外で銃砲等を携行することを厳に禁じております。現場においてこれに反する指示が一時的にも出されたことにつきましては、私どもも大変遺憾だと思っておりまして、このために、米側に対し、在日米軍の日本人警備員の施設・区域外での銃砲等の携行禁止を徹底するよう改めて申し入れたところでございます。

 これに対しまして、在日米軍司令部からも、日本人警備員による銃砲等の携行については、施設・区域外では厳に禁じられており、今回、米側部内においてこの点について誤解があったとの明確な説明がございました。また、在日米軍司令部からの指示によりまして、佐世保海軍施設における誤った運用は是正されたというふうに承知しております。

 加えまして、在日米軍司令部から、本件に関し、隷下にある全ての軍種の司令部に対し、米軍内部の規定及び日本の法令を厳格に遵守すべく、銃砲等の扱いを再確認するよう指示を出されたというふうに承知しております。

井上(一)委員 米側とは引き続きしっかり協議をしていただきたいと思います。

 最後に、これも資料につけておりますけれども、サイバー防衛の関係で、防衛企業に情報保全をしっかりするようにということで、米基準を採用するというような記事がありました。

 私自身も、高度な技術情報が流出しないためにも、こういった取組は非常に重要だと思います。ただ、企業にこういったサイバー防衛を求めているだけでは、なかなかやはり実効性は上がらないと思いますので、官民一緒になってやるということが重要ですし、特に中小企業にはやはり負担が大きいと思います。

 そういった意味で、防衛省としてもしっかり支援するということも必要だと思いますし、さらには、これから防衛省側でこの契約の履行についてチェックするということも必要になってくるわけですが、その場合には、非常に高度な専門家がやる必要があると思います。そういった専門人材の確保や育成についても、あわせてお聞きしたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、第一点目の件でございますが、防衛省といたしましては、委員御指摘のとおり、保護すべき情報を取り扱う契約企業に義務づける情報セキュリティー基準につきまして、今年度のできるだけ早い段階で、アメリカの国防省が採用しておりますサイバーセキュリティーなどの新たな基準であるNIST・SP800―171と同程度まで強化する改正を行うことを検討しているところでございます。

 この改正によりまして、特に情報システムに関連するセキュリティーを充実強化することが必要となると見込まれるところでございますが、防衛省といたしましては、中小企業を含む防衛関連企業が円滑に対応できるように、民間企業等も参加する検討会におきまして引き続き議論、調整を行うとともに、その結果を踏まえて、実際の改正から施行までの間に十分な準備期間を設けることを考えております。

 その上で、当該準備期間におきまして、特に委員御指摘の中小企業における対応を支援する観点から、部外専門家も活用しつつ、防衛省から関連企業に対しまして、専門的、技術的な知見を提供するための支援体制というものを構築することと考えておるところでございます。

 第二点目の、いわゆる防衛省、装備庁の中で高度な知識を有する人材が必要なのではないかという観点でございますが、防衛省におきましては、今後、特に民間企業に対して監査をいたします情報セキュリティ監査官に対する講習におきまして、情報システムのセキュリティーに関する教育時間数というものをふやすといったことを考えております。

 また、この監査官が防衛関連企業の新基準への適合状況を確認する業務を行う際には、部外専門家から専門的、技術的知見の提供や監査マニュアルの作成に係る協力などの業務支援を得ることとしておりまして、これらの講習や業務支援を通じまして、情報セキュリティ監査官の専門的、技術的知見の蓄積、向上を図っていきたいと考えているところでございます。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

若宮委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十四分散会


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