衆議院

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第4号 令和2年4月3日(金曜日)

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令和二年四月三日(金曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 松本 剛明君

   理事 岩屋  毅君 理事 木原 誠二君

   理事 鈴木 憲和君 理事 中山 泰秀君

   理事 山田 賢司君 理事 大西 健介君

   理事 山内 康一君 理事 竹内  譲君

      尾身 朝子君    金子 俊平君

      城内  実君    黄川田仁志君

      新藤 義孝君    杉田 水脈君

      鈴木 貴子君    鈴木 隼人君

      武井 俊輔君    中曽根康隆君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      百武 公親君    阿久津幸彦君

      小熊 慎司君    岡田 克也君

      玄葉光一郎君    森山 浩行君

      岡本 三成君    穀田 恵二君

      青山 雅幸君    杉本 和巳君

      井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         茂木 敏充君

   総務副大臣        寺田  稔君

   法務副大臣        義家 弘介君

   外務副大臣        鈴木 馨祐君

   外務副大臣        若宮 健嗣君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   内閣府大臣政務官     青山 周平君

   法務大臣政務官      宮崎 政久君

   外務大臣政務官      尾身 朝子君

   外務大臣政務官      中谷 真一君

   外務大臣政務官      中山 展宏君

   文部科学大臣政務官   佐々木さやか君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   防衛大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   垂  秀夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小林 賢一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 吉田 泰彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河津 邦彦君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            高橋 克彦君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    水嶋 光一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (国土交通省航空局交通管制部長)         河原畑 徹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     金子 俊平君

  鈴木 貴子君     百武 公親君

  杉本 和巳君     青山 雅幸君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     小野寺五典君

  百武 公親君     鈴木 貴子君

  青山 雅幸君     杉本 和巳君

    ―――――――――――――

四月二日

 投資の促進及び保護に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とヨルダン・ハシェミット王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定を改正する第一議定書の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とモロッコ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国政府とコートジボワール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 投資の促進及び保護に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とヨルダン・ハシェミット王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定を改正する第一議定書の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とモロッコ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国政府とコートジボワール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長垂秀夫君、大臣官房審議官小林賢一君、大臣官房審議官吉田泰彦君、大臣官房参事官有馬裕君、大臣官房参事官河津邦彦君、中東アフリカ局長高橋克彦君、領事局長水嶋光一君、出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、大臣官房審議官吉永和生君、国土交通省航空局交通管制部長河原畑徹君、防衛省大臣官房審議官土本英樹君、大臣官房審議官町田一仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。立国社の大西健介でございます。

 きょうは、委員長の御配慮で、できるだけ広い部屋をということで、いつもの部屋とは違う委員室での開催ということになります。また、私もマスクをつけて発言をさせていただきます。ちょっとお聞き苦しいかもしれませんけれども、お許しをいただきたいというふうに思います。

 まず最初に、新型コロナウイルスの関連の質問から始めたいというふうに思いますけれども、けさの理事会でも、外務省の感染症危険情報の発出状況ということで御説明をいただきました。

 三月三十一日の日に、新たに七十三カ国にレベル3を発出したと。そして、その他の全世界に向けてレベル2ということで、これは過去に例がない、大変厳しい状況だというふうに思いますけれども、このように感染症危険情報のレベルを引き上げたその理由を、まず大臣にお伺いをしたいと思います。

茂木国務大臣 おはようございます。

 新型コロナウイルス感染症の感染者数とこれによります死亡者数については、世界的に急激な増加が見られ、WHOは三月十一日、この感染症の拡大がパンデミックと形容されると評価をいたしております。

 その後も感染は世界的な広がりを見せて、本日の朝時点でいいますと、新型コロナウイルス感染症によります感染者、累計で百七十八カ国・地域、九十八万七千人以上になっております。ジョンズ・ホプキンス大学の推計では、百万人を超えている、死者の方も五万人を超えている、このような発表がなされているところであります。

 また、感染拡大のスピード、これが加速をしておりまして、世界全体の感染者が最初の十万人に達するまで六十日、二カ月以上かかったわけでありますが、それが二十万人に達するまでは十一日、三十万人に達するのは四日と加速をして、それ以降、直近ではわずか二日余りで十万人ずつ増加をしている。さらに申し上げると、おととい、きのうあたりは七万人以上一日で増加をする、こういうスピードであります。

 また、幾つかの国では連日数百人規模で死者が増加をしておりまして、重症者に対する十分な医療体制が追いつかない事態も発生をしております。

 日本においては、海外において感染をし、国内に移入したと疑われる感染者が連日十名を超えて確認をされておりまして、これら帰国・入国者が国内で陽性と確認された事例に占める割合も、三月下旬では四人に一人という形になっております。

 こういった状況を総合的に勘案して、先手先手を打っていく、こういう観点から、一万当たりの感染者数、また海外からの移入例等を考慮して、一部の国、地域の感染症危険情報レベルを御指摘のように新たにレベル3、渡航中止勧告に引き上げ、レベル3の国、地域を除きます世界の感染症危険情報レベルをレベル2、不要不急の渡航はやめてください、これに引き上げたものであります。

 七十カ国を超えるという形でありまして、世界の三分の一についてこういった引上げを行わせていただいた。人口でいいますと世界人口の四八%、GDPで申し上げると八割をカバーする、こういう地域になるわけであります。

 既に先月の中旬、三月十八日に全世界に対しまして一律に感染症危険情報レベル1を発出しておりまして、今回の措置は、全世界に対します感染症危険レベルを更に引き上げたものであります。

 なお、全世界に対してこういった形で一律に感染症危険情報を発出する、これは今回の新型コロナウイルス感染症に関するものが初めてであります。

大西(健)委員 今大臣から大変詳しく、いかに過去に例のない、本当に厳しい措置かということが御答弁ありました。その理由として、急激な感染の拡大と、それから、海外からウイルスを移入することを防ぐというお話がありました。

 この点について、今、空港での検疫状況についていろいろな情報があるんですけれども、実際にその現場を経験した人や見た人からは、本来、レベル2以上の帰国者は二週間の待機、それから公共交通機関を使わないで帰ってくださいということになっていますし、レベル3以上になりますとPCR検査を受けなきゃいけないということなんですけれども、これは空港でどんな感じになっているかというと、入国の際に検疫官が対象の国の人はいませんかと言って呼びかけて声がけするだけで、どこの国から来たのか、どの便に乗ってきたのか、こういうのももう全て自己申告、検疫官へのパスポートの提示も求められない、あるいは自分で風邪の症状があるとか言わなければ検温もない、こういうような話があります。

 あるいは、例えば具体的に言うと、欧州の各国から帰国者が多く乗っていると思われるモスクワ便に乗ってきた人が、ほとんどの人は申告せずにそのまま通過してしまっているというような話もあります。あるいは、ほかの国の空港では検疫を待つ人が間をあけて、間隔をあけて並んでいるけれども、日本では詰めて並んでくださいと言って、詰めて並んでいる、こういうような状況も言われております。

 また、公共交通機関以外の迎え等があるのかどうなのか、家族の迎え等が来ているのかどうなのか、こういうことの確認もほとんど行われていない、あるいは公共交通機関を使ってもう帰ってしまう人も多いんじゃないか、そして、空港付近のホテルに泊まろうとしても、海外からの帰国者とわかると宿泊を拒否される事例もある、一方ではそういうことも言われています。

 せっかくこれはレベルを引き上げても、検疫体制がもうざるになっているんじゃないか、こういう指摘が多くなされていますけれども、今後、レベル引上げによって海外からの帰国者もふえるというふうに思いますけれども、今の自己申告をベースにしたやり方では検疫をすり抜ける人が続出するんじゃないか、こういうことが言われておりますけれども、この点について厚労省から御答弁をいただきたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 検疫所では、海外からの入国者のうち、新型コロナウイルス感染症が特に流行している地域、これは外務省の感染症危険情報のレベル3と考えていただいて結構です、に滞在歴のある方には、症状の有無を問わず、検疫法第十三条に基づき全員に対してPCR検査を行うこととしており、PCR検査を拒んだ場合は同法三十六条第四号に基づき罰則を科すことができるようになってございます。

 加えまして、このPCR検査の結果が陰性だった方や、不要不急の渡航を自粛するよう求めている地域、これは外務省感染症危険情報のレベル2のエリアでございますが、から入国した方につきましては、国内において公共交通機関を使用しないこと、検疫所長が指定する場所で十四日間待機を行うことを要請しているところでございます。

 議員御指摘のとおり、直行便の場合は我々検疫所の方でしっかりこういった対象者の方を押さえられるのですが、他国を経由して入ってくる入国者の方々につきましては、検疫所で、ポスター等あるいはお声がけで入国者に対して呼びかけを行うとともに、検疫官による十分な質問を行って、対象地域に滞在していた者の申告漏れがないようにできる限り図っているところでございます。

 公共機関の不使用及び指定場所での待機につきましては、流行地域における空港でのポスターの掲示、航空機内のアナウンスや厚生労働省のホームページのQアンドA、また、在外公館からも御案内をいただいているところでございます。

 こうしたことで事前周知を図り、また、要請の具体的な内容を記載しました健康カードという紙がございます、これを帰国者全員に配付することを通じまして、対象者の方々に、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するための要請である趣旨を御理解いただいた上で、御不便をかけながらも、こうした措置を要請していることにつきまして御協力をいただけるよう努めてまいります。

大西(健)委員 結局、今の話でいうと、ポスターで呼びかけるとか健康カードに書いてくださいとか全て自己申告ベースで、それでは、面倒くさいからと、そのまま帰っちゃう人が続出するんじゃないかということを私は恐れているんです。

 また、例えばPCR検査も、結果が出るまで一日以上かかるということですから、じゃ、その間どこで待機するんだという話もあるので、これは何か本当にちゃんとやらないと、どんどんどんどん海外から帰ってきた人が地方にウイルスを、言い方は悪いですけれども、ばらまくということが起こり得るんじゃないかということを懸念します。これは、ほかの国の状況もよく見ながら、しっかりやっていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。

 それから、先ほどのように、レベルが引き上げられる、あるいは、ほかの国でも厳しいことをやっていて、国境封鎖だとか、あるいは国際便の発着をとめるというようなことが行われています。

 そういう中で、先日は、ペルーから出国できずに足どめされていた約二百六十人の旅行者等の短期滞在の日本人の方々、百四人が旅行会社が手配したチャーター機でメキシコに出国した、それから、二十九名の方は台湾が手配したチャーター機に乗せてもらったということです。台湾政府には本当に心から感謝を申し上げたいと思いますし、大臣からも、ぜひ謝意を伝えていただきたいというふうに思います。

 日本政府として、今回、このペルーの案件について、チャーター機を飛ばすことを検討しなかったのか、また、まだ百二十人残っているということでありますけれども、この人たちのケアはどうするのか。地方にいる人もいて、なかなか首都だとかにまでたどり着けない人もいるというふうに聞いていますけれども、このペルーの案件について、大臣から御答弁いただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 ペルー政府は、現地時間三月十五日に新型コロナウイルスに関する国家緊急事態宣言を発出し、三月十七日以降の国境閉鎖及び国内移動制限を発表いたしました。三月二十二日以降はリマの国際空港も閉鎖をされたため、邦人旅行者がペルー国内各地にとめ置かれる状況になりました。

 これを受けまして、在ペルーの日本国大使館では、帰国を希望する邦人の出国のためのさまざまな選択肢を模索しました。

 旅行会社手配のチャーター機の運航に当たっては、在ペルー日本国大使館が、出発スロットの確保のためにペルー政府との調整に当たりましたし、また、とめ置かれた邦人等の希望の取りまとめ、また、搭乗者が空港まで安全に移動するための協力など、全面的な支援を行った次第であります。これによりまして、先ほど委員御指摘のとおり、邦人百四名が日本時間三月二十九日に出国をいたしました。

 また、並行して、現地においてさまざまな国、地域によるチャーター機手配の動きがある中で、在ペルー日本国大使館が駐ペルー台北経済文化事務所が手配したチャーター機への邦人の搭乗について調整した結果、邦人二十九名の搭乗が実現をし、三月二十九日に出国をいたしました。これに対しましては、台湾側に対し深い謝意の念を伝達したところであります。

 国内移動制限によって地方にとめ置かれた邦人を含めまして、まだペルーから出国していない邦人がいらっしゃいます。今後も、必要な帰国手段確保に向けた支援を行ってまいりたいというふうに思っております。

茂木国務大臣 若干補足をさせていただきますと、クスコそしてリマにいる邦人につきましては、希望する方はほとんど、今言ったような形で、チャーター便によりましてペルーを出国できたわけでありますが、かなり、例えば一名二名という単位で地方にいらっしゃる方がいて、一番重要なのは、リマなりクスコにどうやって移動してくるかということになってまいります。

 今回のチャーター機におきまして、自力でかなり地方からリマまで来られた方がいらっしゃいますので、そういった方がどうやっていろいろな規制を回避して来たか、こういったお話も聞きながら、まずは、どこかに集めなくちゃなりませんから、集まってもらう、この手段を確保していくということが必要になってくると考えております。

 同時に、これはペルーだけではなくて、例えば、日本人が数名とめ置かれている、こういう国もあるわけでありまして、ちょうどきのう、夕方、シンガポールの外務大臣と話もさせてもらったんですが、シンガポールも、これはシンガポールだけじゃなくてほかの国もそうなんですが、そういった状況があると。

 今後は、例えば、台湾がチャーター機を派遣してそれに日本人も乗せてもらう、同じような形で日本とシンガポールが共同したり、御案内のとおり、ポーランドの場合は、ポーランドのチャーター機が空で日本に来るということなので、その飛行機にポーランドで帰国を希望している日本人を乗せてもらって、帰りの便で日本にいるポーランドの人に帰国をしてもらう。さまざまなオペレーションというのを検討していきたいと思っております。

大西(健)委員 大臣、大変詳細な答弁、ありがとうございます。ただ、参考人が答弁して大臣が答弁すると時間がなくなっちゃうので、できれば簡潔にお願いしたいというふうに思います。

 それから、今、ほかの国もというお話がありましたけれども、既に、少し前にはフィリピンのセブ島でも日本人が足どめを食らっていたという話もありましたし、けさの新聞を見ると、きのう、ポーランド政府の手配したチャーター機で日本人が百六十人帰ってきたという話も出ていました。

 そこで、今後、ほかにもそういうところがあるのか。例えば、医療体制が十分でないアフリカ諸国では、既に国境封鎖をしている国も多くありますし、国際便の発着がストップしているというような国も多く見られます。ほかにもそういう、邦人がまとまって、特に、短期滞在者の旅行者等の邦人がまとまっていて、出国できないような状況になっているところ、あるいは、なるおそれがあるところというのが現在あるならば、明らかにしていただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今の御質問にお答えする前に、申しわけございません、先ほど、私、答弁の中で、ペルーから旅行会社手配でチャーター機で帰ってきた時間、日本時間三月二十九日と申し上げましたが、三月三十日でございました。大変失礼を申し上げます。

 今の、そのほか出国が困難となっている国があるのかということについてでございますが、これにつきましては、今、大使館の方で、さまざまな、在留邦人等と連絡をとりながら、その状況等を把握しているところでございます。

 例えば、今委員の御指摘のありましたアフリカ等も、現地の医療事情等が厳しいところもございますし、国境が封鎖されているところもございます。そういうところにおきましても、先ほど来申し上げていますさまざまな手段を追求しながら、各国の事情を考慮しつつ、帰国を希望される邦人の帰国手段の確保に向けて、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 ぜひ、その辺の情報も、逐次国民の皆さんにしっかり公開をしていただきたいと思います。

 次に、オリンピックが来年七月に延期になったということなんですが、先日成立した予算の中には、オリパラで訪日する外国人の要人の接遇のための予算というのが確保されています。これは、四十三・四億円という結構な額になっています。また、省内からも人を集めて、この外国要人の接遇のための組織も立ち上がっているということですけれども、延期になったことで、この予算やそういう組織はどうなるのか、この点について簡潔に御説明いただきたいと思います。

茂木国務大臣 基本は不用として国庫に返納するということになるわけですが、オリンピックは来年開催をされるということになるわけでありまして、外務省東京オリンピック・パラリンピック要人接遇事務局、この運営はこれからも続けてまいりますので、その経費につきましては執行予定であります。

大西(健)委員 しっかり不要不急の部分については国庫返納するということですので、確認をさせていただきました。

 あと、コロナウイルスの関係で緊急経済対策というのが現在議論されていますけれども、一時期、与党の中でお魚券とかお肉券というのが検討されていましたけれども、これは族議員批判というのがあって、結局最終的な案には盛り込まれなかったということなんですが、WTOの協定の中には補助金協定というのがあって、国産品の優遇補助金というのは原則禁止されているということであります。

 一般論としてで結構なんですけれども、こういうお肉券とかお魚券のようなものは、まさに国産品優遇補助金とみなされてWTOルールに違反するとされる、そういうおそれがあるというふうに思いますが、そういうことで間違いないか、御答弁いただきたいと思います。

茂木国務大臣 ちょっと私、今、立場上、与党、自民党の部会等に参加をしておりませんので、この和牛券なるもの、御指摘のものが議論されたのか、また、どんな制度としてつくるのか、こういったことについて承知しておりませんので、WTO協定に違反になるかどうか、確たる答弁をすることは難しいわけでありますが、いずれにしても、政府としては、いかなる施策や措置をとるにせよ、WTO協定と整合的なものとなることを引き続きしっかりと確保していきたいと考えております。

大西(健)委員 与党の制度の具体的な話じゃなくて、一般論として、国産品のお魚やお肉を食べる場合にはクーポン券を出しますよみたいなことは、まさにこれは国産品優遇補助金というのに当たってWTO違反になるおそれがあるということの理解で間違いないか、大臣でなくても参考人でも結構ですので、明確な御答弁をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 参考人を呼ばれていないようですから、私の方から。

 制度をどう設計するかということにもよると思いますが、それは抵触する可能性はあると思っております。その一方で、そういう抵触するような制度を採用することはないということは、先ほど答弁で申し上げたとおりです。

大西(健)委員 もちろん、具体的な制度設計次第ですけれども、基本的にはなるということなので、そういうことは本当に、陳腐だなというふうに言われても仕方がないのかなというふうに思います。

 次に、北朝鮮における新型コロナウイルスの感染状況ということなんですけれども、三月に入ってから、二日、九日、二十一日、二十九日とミサイルの発射がありました。

 河野防衛大臣は、二十一日と二十九日のミサイル発射に際して、記者団に対して、北朝鮮国内で新型コロナウイルスが発生していることと関係があるのではないか、体制引締めの意図でミサイル発射を行ったのではないかという見解を繰り返し示されています。

 また、中朝国境付近に展開する北朝鮮の部隊の中で、二月末以降、感染が拡大し、死者が百人以上出ているんじゃないかというような報道も出ております。

 先ほど、河野防衛大臣はそう言っておられるということですけれども、茂木大臣は北朝鮮国内での新型コロナウイルスの感染状況をどう見ておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

茂木国務大臣 北朝鮮はメディアに対しまして、現在までコロナウイルスの感染者は一人も発生していない、その旨繰り返して発言をしている一方で、少なくとも五百人の医学的監視対象者がいる、こういう報道もあるわけであります。

 北朝鮮の状況について確定的なことを申し上げるのは難しいわけでありますが、北朝鮮と地続きであります中国や韓国でも感染者が多数確認をされている、また、北朝鮮の場合、海外での労働者、中国等から帰国もしている、そして、必ずしも今さまざまな形で食料事情等々がいいという状況ではないわけでありまして、北朝鮮で感染者が出ているという可能性は排除されないと思いますし、一般的に見たら出ている可能性が極めて高い、私はそのように考えているところであります。

大西(健)委員 一人も出ていないなんというのは常識的には考えられないというふうに思います。

 続けて北朝鮮の問題について聞きたいんですけれども、昨年の十二月に、金日成主席の息子である金平一駐チェコ大使が三十年ぶりに本国に呼び戻された。続けて、二十七年間にわたって駐オーストリア大使を務めてきた、同じく金日成主席の娘婿の金光燮氏も本国に呼び戻されることとなりました。長年海外に追いやられていた金ファミリーを本国に呼び戻した背景を外務省としてどのように分析をしているのか、政府参考人から御答弁いただきたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の金平一駐チェコ大使及び金光燮駐オーストリア大使が平壌に帰任したとの報道は承知しております。また、最近、北朝鮮の外務省がチェコ及びオーストリアの新任大使を任命したとウエブサイトに記事を掲載したことも承知をしております。

 その上で申し上げますと、こうした報道などに基づく北朝鮮外務省の人事につきまして政府としてお答えする立場にはないということ、御理解いただければと存じます。

 いずれにしましても、政府としては、引き続き、アメリカなどとも緊密に連携しながら、必要な情報の収集、分析に全力を挙げていく考えでございます。

大西(健)委員 韓国の国会なんかではこういう議論は結構頻繁に行われていて、政府としてどういうふうな分析をしているのかというのは発言があって、そういうものが日本での報道に上ってきたりするんですね。ですから、言えることと言えないことはあると思いますけれども、全く答えないというのは私は不誠実だと思いますし、国会で審議しているんですから、これをどう見ているのかというのはちゃんと外務省も答えるべきだというふうに思います。きょうはここにとどめておきますけれども。

 時間がありませんので、最後に、今回の新型コロナウイルスの対応をめぐって、世界保健機関、WHOのテドロス事務局長が中国寄りじゃないかみたいな、こういう批判もありました。そういう中で、国連の専門機関のトップのポストというのに注目が集まったわけですけれども、かつて日本はこういう国連専門機関のトップに複数の日本人を送り込んでいたんですけれども、現在はゼロになっています。一方で、中国は十五の専門機関のうち四つでトップを占めている。先日、この委員会でもそういう議論がありました。

 実は、ことしの八月にコートジボワールで実施が予定されている万国郵便連合、UPUの国際事務局長の選挙に日本郵便の執行役員の目時政彦氏が立候補しています。皆さんのお手元に資料をお配りしております。もちろん、ちょっと八月に本当にUPUの選挙ができるのかという話もありますけれども、この目時さん、現在も郵便業務理事会、POC、ポックというんですか、の議長で、海外での認知度も高い。当選すれば、アジア地域出身の初めてのUPU国際事務局長になるということであります。これは裏面にありますけれども、他の候補者というのは西欧出身ということもあって、アジア票を固めて取りこぼしのないように、必勝の態勢で私は臨むべきだというふうに思います。

 まず、きょうは総務省の寺田副大臣に来ていただいていますので、選挙の情勢と必勝に向けた強い決意をお示しいただきたいんです。

寺田副大臣 お答えを申し上げます。

 UPU、委員御指摘のとおり、国際郵便のルールメーキングなどを行う国連の専門機関でございます。ちょうど一年半前、二〇一八年の十月に、我が国として正式に事務局長候補として日本郵便株式会社執行役員目時政彦氏を擁立することを表明し、今、外務省を始め関係府省、また関係業界団体等と緊密に協力をしつつ、支援要請を行っております。

 御指摘のとおり、当選すれば、アジア地域初の事務局長となるわけであります。これまで、各国への訪問、また国際会議の場を通じた機会、またバイラテラルの会合、また各国に所在をいたします日本国大使館、在外公館等地域局の御支援もいただきまして支援要請を行い、総務省挙げて、政務三役、また事務方含め、当選に向けた活動、選挙活動、支援活動を行っております。

 私自身も、関係各国の要人とお会いをし直接要請を行うとともに、マルチの会合にも出させていただき、これは国内外を問わずですね、目時氏をよろしくということで活動しております。

 御承知のとおり、目時氏は、委員御指摘のとおり、今、UPUの郵便業務理事会議長として、いわゆる到着料問題の解決に尽力をされ、大変高い評価を得ております。特に、アジア諸国、そしてまたアフリカ諸国、そうした国から積極的に支持をする御発言もいただいております。

 一方、御指摘のスイス、ベルギーの対立候補も積極的に選挙活動を行っており、予断を許さない情勢であり、引き続き、選挙が行われます八月まで積極的に、気を引き締めて選挙活動に取り組んでまいります。

 現在も、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、テレビ会議、ウエブ会議、またインターネットを通じた選挙活動に取り組んでおります。目時PRウエブサイトも立ち上がっております。

 電子商取引を支える重要インフラとしての郵便ネットワークの重要性は高まっており、ぜひとも我が国のリーダーシップ発揮のため、目時氏の当選に向けて政府一丸となり、また総務省としても全力で取り組んでまいります。

大西(健)委員 時間ですけれども、今こうやって国境封鎖とかで人の移動が制限されているときに、郵便だとか小包とかの重要性も増しているというふうに思いますので、ぜひ、これは本当に、必ず勝っていただきたいというふうに思います。

 最後に、外務省としても、目時氏当選のために在外公館を通じた働きかけ、もうなりふり構わず私はやるべきだというふうに思っております。また、我々議員も、例えば、ターゲットにするような地域があるなら、そこの議連の代表から関係する国の方に、こういう選挙に出ているのでぜひ頼むというようなことの書簡を送ってもらうとか、もう何でもやるべきだと思いますけれども、外務大臣からも強い御決意を最後にいただいて、終わりたいと思います。

茂木国務大臣 国際機関のトップを日本として確保していく、極めて重要だと思っております。

 目時氏を含めて、全力でそれぞれの選挙に取り組んでいきたいと思います。

大西(健)委員 終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 共同会派、立国社の小熊慎司です。

 新型コロナウイルスによってお亡くなりになられた方、また、今罹患されている方にお見舞い申し上げますとともに、この終息のために尽力をしている全ての皆様方に感謝と敬意を申し上げる次第であります。

 これは未曽有の国難と位置づけられておりますし、盤石と思われた安倍政権でもマスク二枚を配るという迷走ぶりも出るぐらいの大変さであろうかというふうにも思いますし、支持率の高い与党の中でも、先ほど大西委員の言われたとおり、お魚券やお肉券という、悪乗りなのか迷走なのか、そうした発言も出るぐらいの混乱ぶりでありますけれども。

 そうした中で、残念ながら、東京オリンピック・パラリンピックが来年に延期となりました。御承知のとおり、先月の末、聖火が福島県からスタートする、これは復興五輪とも位置づけられているので、そうした形でスタートする予定でしたが、その直前に来年の延期が決まったわけであります。

 さはさりながら、一年後に開く予定でありますし、この復興五輪という位置づけは揺らがないというふうにも思っておりますけれども、この聖火のスタート地点となる予定でありましたJヴィレッジ、トレーニング施設でありますけれども、これについては、ことしの安倍総理の施政方針演説の中にも、我が国最大のサッカーの聖地であり、今では子供たちの笑顔であふれていますという言葉もあったんですが、その後、このJヴィレッジは、東電が原発事故災害のための施設で使っていましたが、それを財団に返還する際に、放射性物質で汚染された土壌を国が決めたルールどおりに返していないということが明らかになりました。復興のシンボルでもあるこの施設が、こうしたことで、東電の不手際によって汚されてしまった。せっかく復興五輪でこの福島の明るい姿を世界に発信をしなければならないときに、それにさお差したような形になっています。

 悪いのは東電でありますけれども、まずは、こうした事態において、復興五輪で世界に情報発信をしようとしている中でこのような不祥事が起きましたこと、大変遺憾に思うわけでありますけれども、国としての見解をまずお伺いいたします。

青山大臣政務官 お答えをいたします。

 Jヴィレッジでは、現在、聖火の展示が行われており、また、Jヴィレッジのある楢葉町、広野町を含む三町は、アルゼンチンを相手国とする復興ありがとうホストタウンにも登録をされており、復興オリンピック・パラリンピックにとって大変重要な場所であると認識をいたしております。

 御指摘のJヴィレッジ周辺駐車場外の空間線量率が高い箇所については、除染が実施されていませんでしたが、昨年十二月に線量低減措置を行うとともに、Jヴィレッジ全体のモニタリングを実施したと環境省から聞いております。

 本件については、環境省を始めとする関係機関が適切な対応を引き続き実施すると伺っておりますので、状況をしっかりと注視してまいりたいと思っております。

小熊委員 この後、一年の猶予、一年後にどうなるかというのはまだ予断を許しませんけれども、こうした中で、しっかり福島の明るい姿を世界に情報発信をしていくということを意識しながらも、こうした悪いニュースが一方であるというのもまた、復興半ばでありますし、原発事故災害は継続中の災害ですから、これとの戦いを我々福島県民はしているわけでありますけれども、こうした東電のいいかげんなことで、たびたびいろいろなバッドニュースが報道されます。こうしたことをしっかり国として、国が前面に、政治が前面に立つと言っているわけですから、こうした不祥事が二度と起きないようにしっかり国としての責務を果たす中で、さはさりながら、直前まで聖火ランナーが、聖火が走り出す直前まで行っていたんですが、本当にこの復興五輪という位置づけが世界に発信されているのかなというのが、まだまだ足りなかった部分であります。

 これから一年間ありますから、ぜひ強く意識していただいて、この復興の明るい姿を世界に発信していく、そしていまだに残っている国際的な風評被害についても、これを払拭していく、そうしたことをあわせて努力をしていただきたいというふうに思いますが、今言ったとおり、まだ足りていなかったという認識が、県民も含め、丸九年たった中でのいろいろな声が県内新聞にも載っていました。オリンピックどころでないとか、まだまだ情報発信が足りないとかありましたから、今後一年間、こうした、しっかり復興の姿を、明るい情報発信をしていくということに対してどう対応していくのか、お伺いいたします。

青山大臣政務官 お答えいたします。

 東京大会の重要な柱は、復興オリンピック・パラリンピックです。このため、政府としては、復興五輪として、被災地と連携したさまざまな取組を進めております。

 東京大会については来年夏に延期されることとなりましたが、世界の注目が集まる大会であることには変わりありません。福島を始め、東日本大震災における被災地の復興を世界にアピールする復興五輪としての絶好の機会だと思っております。

 ギリシャから日本に届いた聖火が四月一日より、復興の象徴であるJヴィレッジで展示されております。被災地を駆け抜ける聖火リレーなどを通じて、被災地の地域性豊かな魅力を世界に発信してまいります。

 引き続き、復興オリンピック・パラリンピックの実現に向けて、福島県など被災地はもとより、IOCや組織委員会、関係省庁などと連携しつつ、大会の準備を着実に進めてまいりたいと考えております。

小熊委員 九年前の災害被災地は広範囲に広がっていますが、ぜひ意識していただきたいのは、原発事故災害はまだ継続中の災害だということでありますから、そこはしっかりその点を注視をしていただきながら、情報発信、取組をしていただきたいというふうに思います。

 オリンピックについては、後は聞く予定がありませんので、委員長、よろしければ。

松本委員長 それでは、青山大臣政務官、どうぞ。

小熊委員 次に、またコロナウイルス対策の対応についてでありますけれども、これは国内の終息が大変重要であり、全精力を傾けて行っていかなければなりませんが、これは世界に広がっているわけであります。しっかり地球を俯瞰する外交として、日本も人道支援をこれまでやってきた経緯もありますから、世界がしっかり協力をし合いながら、この未知のウイルスと戦っていかなければなりません。

 そうした中で、一部の国で、このコロナウイルスの人道支援と称して、どうしても覇権を伸ばそうとする側面が見られています。

 具体的に言えば、皆さん御承知のとおり、中国がそうした傾向がある。もちろん、中国が本当の意味で人道支援ということで医療支援をしていくのならばいいんですけれども、さまざまな国際支援のあり方も、今まで中国の問題点はこの委員会でも議論されてきました。よくない点を指摘もされてきました。今回のこのコロナウイルスショックにおいてでも、そうした傾向が見られています。

 国内の対策を万全にするということも大事ですが、こうした点においても、医療後進国などへの人道的支援としてこのコロナ対策の支援を日本も、これは国内も大変ですけれども、やはり国際的にもそうした真っ当な支援のあり方をリードしていくべき。日本がそうしたことをやることによって、そうした中国のやり方についても是正をされていくのではないかと思いますが、この対応について見解をお伺いいたします。

中山大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現在、我が国国内において新型コロナウイルス感染症が急速に拡大している状況を踏まえれば、国内でのさらなる感染拡大を防ぐことが最重要課題であります。

 ただ、同時に、グローバルな人の往来が経済活動を支えている現状においては、それぞれの国や地域の取組だけでは不十分であり、情報や知見の共有、技術協力、物資支援、水際対策など、感染拡大防止対策を国際的に連携して行うことが極めて重要となっております。

 かかる認識のもと、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第二弾の一環として、医療、保健従事者等への技術協力や医療施設への物資支援等の緊急支援を行っている世界保健機関、WHO、それから、国連児童基金、ユニセフ、国連難民高等弁務官事務所、UNHCR等の国際機関に対し、ODAとして総額約百五十億円を拠出したところであります。

 保健システムが脆弱な途上国を含む国際社会に感染が拡大している状況は、我が国、そして国際社会にとっても大きな懸念であります。我が国としては、人道的観点からも、新型コロナウイルス感染症の一日も早い鎮静化に向けて、引き続き国際社会や各国の支援ニーズを踏まえながら、二国間や国際機関を通じた支援を効果的に実施し、国際社会の先頭に立って、保健システムが脆弱な国々を支援してまいる所存であります。

 以上です。

小熊委員 国際機関にやってくれというのは、この後もちょっとあるんですけれども、中国にそんたくをしていると言われているテドロス事務局長が日本の支援金に対してもちょっと異例のリップサービスを行っているのがニュースで流れていますから、それは知っているんですが、今言ったとおり、二国間の部分をしっかりやはりやっていかなきゃいけない。

 きょうは委員会があるので私は行けていませんけれども、超党派の島嶼国議連で、委員長も先日一緒に財務省主計局長に言ってきましたが、とりわけ経済的にも医療体制も脆弱な島嶼国への支援をしていくべきだということを申入れを、またきょうも財務大臣にするところでありますけれども、その中で、我々の中でも議論が出ていたとおり、中国がこうした国々にもちょっかいを出している。今回も、それらの国々は外国人の今受入れをしていませんけれども、しかしながら、人道支援と称して乗り込もうとしているところがあります。ですから、もちろん国際機関を通じてやることもさはさりながら、そうした個別の対応で、日本がそうしたよからぬ動きを封じ込めていくということをしていかなければいけないという点で、今回の質問をさせていただいているわけであります。

 答弁の中にも、国際機関、また二国間もやっていくということでありますから、とりわけそうした中国の動きをしっかり見きわめながら、中国自身もよくないことだと思うんです、そういうことで国際的な評価を下げていく、イメージを損なっていくわけでありますから。そうした点をしっかり意識しながら、一般論として二国間やっていきますという話じゃなくて、中国のこうした動きに対してしっかり対応していけるように、日本の真っ当な国際支援をしていくことによって間違った支援を排除していくということを意識していただきたいということで質問しておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に移りますが、このコロナ騒ぎの中でありますけれども、昨年、外国人労働者の受入れ拡大を目的に特定技能の枠を拡大しました。しかしながら、これは年度がかわりますけれども、初年度、今のところ、想定された、目標とされた数字の十分の一にとどまっているところであります。

 人手不足の中で、コロナ騒ぎでいろいろな海外との行き来も制約をされている中ではありますが、これは想定されていませんでした、コロナショックは。日本の労働人口が足りなくなってくる。その一環として、この特定技能者の枠を拡大して、外国人の有用な人材を活用して、その労働力不足を補おうともしていたんですが、これが、そもそもコロナがなくても想定された十分の一にとどまってしまっている。更にこのコロナショックでまた鈍化をしてしまっている。コロナがおさまるかどうかも先行き不透明な中で、ただでさえ自粛ムードで、人手がどうなっていくか、労働人口の問題も、新たな問題も抱えながらも、こうした問題が存在してしまっていますが、この件についてどういうふうにやっていくのか。

 予定していて準備をしていた、技能者を受け入れようとしていた職場では、それを当て込んでいたのに、今度は制約をされて来られない場合も出てきている。これについてお伺いいたします。

宮崎大臣政務官 委員御指摘のとおり、特定技能の資格で在留をしている外国人の数は、本年二月末日現在の速報値で二千九百九十四名というふうになっている状況でございます。また、既に特定技能の許可に係る手続をとられた方につきましては、三月二十七日時点の速報値で九千百八十一人、そのうち特定技能の許可を受けた方が五千五百七十六人となっております。

 技能試験につきましては、十四分野のうち十三分野の試験を国内及び海外の六カ国で実施済みでございまして、合格された方の数は、これも三月二十七日時点で一万一千四百九十九人に上っておりまして、今後、特定技能の許可を受けられる外国人の方の数は着実にふえていくものというふうに見込んでいるところでございます。

 ただ、御指摘ありましたとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、外国にいる技能実習生や特定技能外国人などの来日がこの事情によっておくれているというような報告は既に受けております。

 現在、こういう事情も含めまして、三月九日からでありますけれども、特定技能を含む全ての在留資格を対象としまして、入国手続などで用いる在留資格認定証明書の有効期間を、通常三カ月間としているところを、六カ月間有効にするというふうに取扱いをする措置を講じております。

 また、これは本日からでございますが、本日、四月三日から、帰国困難な技能実習生に対して、技能実習生としての就労継続を認めた上で、特定活動、期間は三カ月間への在留資格の変更を可能とするという措置をとることとして公表させていただいたところでございます。

 これまでも法務省としましては、関係省庁とともに、引き続き、試験実施国の拡大の推進や送り出し国に対する送り出し手続の整備に向けた働きかけ、制度のきめ細やかな周知などに努めているところでございますが、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を踏まえて、さらなる措置の実施であるとか、さまざま、いろいろな、ウエブの使い方なども含めて、柔軟な対応をして、しっかりと特定技能制度を運用してまいりたいと考えているところでございます。

小熊委員 水際対策もやりながらこれもまた対応していかなければいけないということで、大変な中でありますけれども、しっかり対応していっていただきたいというふうにも思います。

 また、新型コロナウイルスによって、言うなれば、在留邦人も、在外邦人もいますが、とりわけその子供たち、日本人学校などでの在外教育施設でのコロナ対策がどういうふうになっているのか、これは、国によっていろいろなことも違いますが、日本人学校の対応がどういうふうになっているのかと、また、東京都を始め、学校の再開がゴールデンウイーク以後ともなっています。それは、子供の健康を守っていかなきゃいけない、また、子供が介在してスプレッダーにならないようにするという点もあるかと思いますが、一方で、子供たちの教育を受ける機会が失われているということも問題となっています。

 在外のこうした日本人学校等でも日本の国籍を持つ子供たちの教育の機会が失われてはいけませんし、まず、健康を守っていかなければいけないというふうに思います。

 それぞれの国々で対応は違うのかもしれませんが、今現状どうなっているのかお伺いいたします。

佐々木(さ)大臣政務官 先生お尋ねの在外教育施設の状況でございますけれども、四月二日時点におきまして、日本人学校につきましては、全九十五校が現地政府の指示等により臨時休業中となっております。そうした臨時休業中の日本人学校では、子供たちは登校していないわけでございますけれども、在籍する児童生徒に対しまして、学校のホームページなどを通じまして担任から学習課題を提供したり、また、電話で学習状況を把握するなどといった形で学習の支援を行っているというふうに承知をしております。

 また、文部科学省といたしましても、児童生徒及び保護者等が自宅で活用できる教材などを紹介をする子供の学び応援サイトの活用を呼びかけさせていただいております。

 今後、これらの在外教育施設が教育活動を再開するという場合に当たって参考としていただけるように、三月二十六日に文部科学省より各日本人学校及び補習授業校に対しまして、新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドラインを送付させていただきました。

 そこでは、所在国、地域における状況を踏まえまして、日本大使館、総領事館等や現地の行政機関等の関係機関と緊密に連携をとり、それぞれの状況に応じた適切な対応に努めるよう依頼をしております。また、手洗いやせきエチケットなど、感染症対策について定めているところでございます。

 今後とも、外務省とも連携をしながら、各在外教育施設の状況、現地の状況をきめ細かく注視をいたしまして、感染症対策、そして子供たちの学習のために必要な支援に努めてまいりたい、このように思っております。

小熊委員 今言われたとおり、国によって違いますから、相当期間学校を閉鎖するという国もあるということも私も承知しています。そうした点においては、そうした国々、長期に休校してしまう指示が出ている国のとりわけ支援といったものはしっかり文科省が支えていくべきだと思いますので、その点、注意しながら対応していただきたいということをお願い申し上げて、次の質問に移ります。

 残り五分ですから、海上自衛隊護衛艦の中国漁船の衝突についてお伺いします。

 今、事故原因の究明をしているところでありますが、この原因は今聞いても明確な答弁はないと思いますが、この中で、副大臣がSNSで発信をして、まあ、すぐ削除はしましたけれども、昨年も、副大臣におかれましては、佐賀県に謝罪に行った際に、ヘリの隊員が亡くなっている、そうしたことについての対応であったにもかかわらず、焼き鳥、まあ、おもんぱかって言えば、それは地元の佐賀のものを何か宣伝したいという思いがあったんでしょうけれども、そのときにやるべきだったのかという話があり、そこで反省したのかと思いきや今回もあった。

 これは我々、私も含め政治家、公人のSNS発信というのは、しっかりこれは注意をしながら慎重にやらなければならないところでありますし、まして副大臣という要職を務めていて、昨年もそうした点についていろいろ問題を起こしている副大臣であります。

 これは適当な言葉かどうかわかりませんが、横文字ですけれども、ポリティカルコレクトネスというこれがあります。その線が副大臣は緩いんじゃないかなと思いますが、二度あることは三度あるともいいますけれども、これは大臣、本当に反省して、自分の情報発信のあり方というのは見直していかなければならないというふうに思いますし、重要な国家機密にも触れる瞬間もあるわけでありますから、この点についてどう反省しているのか、何でやってしまったのかも含め、お答えいただきたい。

山本副大臣 小熊委員にお答えをいたします。

 先ほど、委員の中からも国家機密に触れる場合もあるだろうというお話がございましたが、今回の私のSNS上での情報発信の事柄に関しては、いわゆる国家機密あるいは特定秘密、いわゆる機密情報というのはないということはお伝えをしておきたいと思います。

 その上で、私の情報発信の仕方に関しましては、今回の件に関しては、事故のことに関して、人命にかかわることでありましたのでなるべく速やかにという思いはありましたけれども、海上保安庁あるいは外務省などと、公表する、公表しない、そういった調整がまだついていない段階で私がSNS上で情報発信をしたということは不適切であった、これは私自身、猛省をしております。

 とはいえ、調整は済んでおりますので、私が出した発信内容は今は公表をされております。

 どういった形でこういうことが起きたのかということでありますけれども、私が受けた連絡の中で、公表が調整が済んでいるものと済んでいないものと混在をしておりました。これは、今後、再発防止策として、公表が確定しているものと確定していないものとをしっかり分けて連絡をするというふうに改めましたので、こういったことが今後ないように、情報管理の徹底と、この再発防止策を徹底して、しっかりと職務に精励をしてまいりたいと思っております。

小熊委員 今の答弁で、これは与野党を含めどういうふうに印象を持たれたのか、それぞれであると思いますが、私、印象ですけれども、今の答弁では、心底、事の重大さというか、反省をしていない、また同じことを今後やってしまうんじゃないかということを、懸念を抱かざるを得ませんでした。

 もちろん、副大臣が誰よりも早く情報発信をしなきゃいけない事案も今後出てくるとは思いますが、大臣が一秒でも早く何か情報を発信することで国益に資することはそんなに多くないと思いますから、逆に、どう情報発信をするかというより、そこを我慢して発信しないということをしていった方が副大臣のためにもなるし、問題を起こさないということにもなりますから、重々気をつけていただきたいのと、今の答弁では、心底本当に反省しているかどうかは疑わしいわけでありますので、ぜひ、今後、情報発信に気をつけながら務めるのではなくて、情報発信を控えていくぐらいのことでやっていくことが正しいというふうに私は思うということを指摘をさせていただいて、質問を終わります。

 以上です。ありがとうございました。

松本委員長 次に、阿久津幸彦君。

阿久津委員 立国社、立憲民主党の阿久津幸彦でございます。

 まず初めに、新型コロナウイルス感染拡大により東京オリンピック・パラリンピックの延期を余儀なくされたわけでございますが、外務大臣としてのこの受けとめを、本当に一言で結構です、お答えいただければと思います。

茂木国務大臣 二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック競技大会、来年の夏に延期ということでありまして、アスリート、そして、国内、海外からの観客の皆さんにとって何が一番大切かを考えた上での判断であったと思っております。

 全世界がコロナウイルス、これに打ちかっていかなければならない、この打ちかったあかしとして、必ず完全な形で実施することが大切だと思っております。

阿久津委員 ともに頑張らせていただきたいと考えております。

 政治家の役割の一つとしては、やはり、国民に向かって元気を見せて、国民と一緒に元気になるということが大事だと思いますので、くれぐれもよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 日米関係、日米同盟に関連して、羽田空港新飛行ルートの運用開始に伴う横田空域の返還の必要性について伺いたいと存じます。

 羽田新飛行ルートの運用が三月二十九日から開始されました。新ルートでは、原則、着陸角度を通常の三・〇度から三・四五度に引き上げました。

 三月二十八日付の東京新聞によれば、二月に航空会社が実際に客を乗せて実施した実機飛行確認では、原則どおりの急角度三・四五度で着陸した旅客機は五〇%程度、五〇%台後半で、半数近い機長が安全性への考慮などから降下途中で着陸角度を変更、急角度への機長からの警戒感が明らかになりました。国交省は、ルート下の住民のための騒音軽減を急角度着陸の理由としていますが、同じ国交省の実態確認での騒音は、十九カ所の測定所の平均で〇・一から一・一デシベル小さかっただけで、誤差の範囲と話す専門家もいます。

 やはり、横田空域での米軍機との接触を避けることが三・四五度の急角度着陸にこだわる理由ではないのか。

 そこで、質問します。

 新飛行ルートは横田空域を通過するのか、横田空域を通過する場合、どの地域上空で、何キロ、何分にわたってか、お答えください。

河原畑政府参考人 お答え申し上げます。

 都心上空を飛行する羽田新経路は、いわゆる横田空域の一部を通過するものであります。羽田新経路により羽田空港に到着する航空機は、横田空域の通過に当たりまして、埼玉県ではさいたま市、蕨市、戸田市、朝霞市、和光市、東京都では板橋区、練馬区、中野区の上空を飛行いたします。

 横田空域内の飛行距離及び飛行時間につきましては、使用する経路により異なりますが、おおよそ飛行距離は二十キロメートル程度、飛行時間は二、三分程度と見込んでおります。

阿久津委員 続いて伺います。

 横田空域内での航空管制について、米軍機については米軍が行い、羽田新飛行ルートを使う民間機については日本の国土交通省航空管制官が行うという理解でよろしいんでしょうか。

河原畑政府参考人 お答え申し上げます。

 羽田新経路により横田空域を通過する航空機につきましては、日本側が一元的に管制を行います。

阿久津委員 今のは、米軍機がその同じ空域内を飛ぶ場合に、管制は国交省がやるということですか。

河原畑政府参考人 お答え申し上げます。

 羽田新経路の運用時におきまして、横田空域内を民間航空機が飛行している間は日本側が一元的に管制を行っておりますが、羽田新経路の周辺空域では米軍機は飛行しないこととなっております。

阿久津委員 ちょっとここのところが私わからないんですけれども、周辺域といいましても、横田空域はかなり広いわけですよね。それから非常時もある。そういう中で、できるだけ分けたんだと思うんですね。民間機については国交省の航空管制官がやるということになったと思うんですけれども、一方で、米軍機については国交省がやっているわけじゃないですよね。近くあるいは少し離れていたとしても、米軍機についてはもちろん米軍が航空管制を行っているということをもう一回確認したいと思います。

河原畑政府参考人 お答え申し上げます。

 横田空域内で羽田新経路と離れたエリアで米軍機が飛んでおる場合には、その航空管制については米軍が行うことになります。

阿久津委員 更に伺いたいというふうに思います。

 横田空域内で米軍機と日本の羽田へ行き来する民間機がいわば共有する空域帯が私は存在しているんだと思うんですけれども、その法律適用について、民間機については航空機の安全運航を定めた航空法第六章が適用されると思いますが、米軍機についても航空法第六章は適用されるんでしょうか。

河原畑政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機につきましては、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例法によりまして、航空法第六章の適用が除外されておりますが、航空交通の安全確保の観点から、第六章の規定のうち、第九十六条の航空交通の指示や第九十七条の飛行計画の承認等の一部の規定については適用されることとなっております。

阿久津委員 大枠においては、航空法特例法第三項、米軍機については航空法第六章の規定は適用しないということだったというふうに思うんですけれども、これらは、日米地位協定に基づく日米合同委員会、すなわち、外務省の北米局長と在日米軍の副司令官をトップとする枠組みで、地位協定の具体的な解釈や運用について協議する機関ですけれども、原則非公開なんですね。

 そこで、外務大臣にお尋ねしたいと思います。

 羽田新飛行ルートへの三・四五度という急角度着陸が本当に一〇〇%安全なものなのか、ルート下の住民を始め国民の不安が高まっています。私は、日本政府がこの横田空域の返還をもっと強く米国に迫るべきときだと考えております。外務大臣の横田空域縮小、撤廃への決意を伺いたいと思います。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 横田空域の問題につきましては、米軍のプレゼンスに伴う地元への影響を軽減するため、これまで計八回にわたりいわゆる横田空域の返還を順次受けるなど、米軍の部隊運用上の所要を満たしつつ、国民生活の向上を図る努力を行ってまいりました。

 一方、横田飛行場は、在日米軍司令部や第五空軍司令部が置かれており、また、有事においては、極東地域全体の兵たん基地となる在日米軍の中枢基地であります。このため、米側からは、今後ともこうした機能の維持が必要であるとの説明を受けてきているところでございます。

 政府としては、日米安全保障条約に基づく米軍の存在と国民生活の調和を図る取組を行ってきております。今後とも、いわゆる横田空域の返還については、我が国の空域を一元的に管制する観点から、関係省庁と協力しながら米軍と調整してまいりたいと考えております。

阿久津委員 私も、別に、米国と敵対せよというふうに言っているつもりは全くありません。

 そうではなくて、大臣、日本の首都圏をすっぽり覆うように横田空域が広大な地域で存在していますよね。この横田空域の存在は、日本と同じように第二次世界大戦で敗戦国となったドイツとイタリアと比較しても極めて異常で、特別な存在であるということを常に忘れないでいただきたいというふうに考えておりますけれども、一言何かございますか。

茂木国務大臣 日米安保条約に基づきます米軍の存在、それと国民生活の調和をどう図っていくか、極めて重要であると考えておりまして、我が国の空域を一元的に管制をしていくということが極めて重要だ、こういう観点から取組を進めたいと思っております。

阿久津委員 今回、東京オリンピック・パラリンピックが行われるということで世界も注目している中で、横田空域が日本の首都東京にはあるんだ、まだ米軍がコントロールしているところがあるんだということを、世界に知っていただく、世界の世論にも緩やかに訴えていくということは、私は大事な、ある意味でビッグチャンスなんだと考えております。

 今回、私は、この航空路を通すために、国交省も外務省も相当頑張られたと思うんですよ。でも、ぜひ、引き続き、この交渉に向けて、横田空域返還という交渉に向けて粘り強い努力を続けていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 ちょっと一つ順番を入れかえまして、中東情勢に関連して、海外派遣をした自衛隊の現状について伺いたいというふうに思います。

 前回、二〇一九年十月二十三日の私の質疑の確認をさせてください。前回の私の外務委員会質疑で、次の四点が確認されたと理解しております。

 一、現時点で、米国を始めとする有志連合構想に参加することは想定していない。

 二、防衛省設置法に定める調査及び研究を目的とする情報収集活動を行う。現時点において、中東地域における船舶の防護は含まれていない。

 三、中東に派遣されている自衛隊が日本船舶の防護を行うためには海上警備行動の発令が必要で、総理が閣議決定を行い、防衛大臣が命令を下さなければならない。

 四、防衛省設置法による調査研究活動には、地理的な要件や安全性といった要件は法律上規定されていない。一方、情報収集の目的として武器の使用は認められていない。

 ここまで確認したいと思うんですが、以上の理解でよろしいでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点目の、日本独自の取組かという点につきましては、委員御指摘のとおりでございます。

 二点目の、防衛省設置法第四条第一項第十八号に基づく情報収集活動というものを実施しているというところも、御指摘のとおりでございます。

 三点目の、更に不測の事態の発生など、状況が変化する場合におきまして、自衛隊のさらなる措置が必要と認められる場合には、自衛隊法第八十二条に基づき、内閣総理大臣の承認を得まして、防衛大臣が海上警備行動を発令して対応することとなっており、承認に当たっては閣議決定が必要となるという点も、御指摘のとおりでございます。

 第四点目の、防衛省設置法第四条第一項第十八号に基づきまして武器を使用することは認められているかという点につきましても、同号に基づいて武器を使用することは認められていないというところでございまして、委員御指摘のとおりでございます。

阿久津委員 ありがとうございます。

 ここからが少し曖昧だった答弁の確認になるんですが、私の、法的には調査研究であっても危険地域へ行けるというふうに考えてよいのかとの問いに対して、前回の質疑のときに、情報収集を行うという場合において、情報収集の目的として武器を使用するということは認められておりませんので、情報収集を命じるに当たりましては、そうしたことも勘案しながら、その活動の範囲とか任務の内容について防衛大臣から御命令をいただくということになろうかと思いますと、政府参考人が答えられていました。

 これ、いいですか、非常に微妙な言い方をされているんですけれども、自衛官の方々は、背広組も制服組も、シビリアンコントロールのもと、任務に忠実ですから、上官から行けと言われれば、どこへでも行くんですよね。しかし、私には、先ほどのあの答弁の中からにじみ出た言葉を私なりに捉えれば、よもや丸腰で危険地域に行けとは言わないですよねという自衛官たちの心の声が聞こえたような気がいたしました。

 私は、防衛省設置法による調査研究を拡大解釈して、一歩間違えば戦闘に巻き込まれる可能性が極めて高い危険な地域に自衛隊を出すことには反対です。防衛大臣がここにいらっしゃらないのでお尋ねはしませんが、それなら、国会で議論を積み重ねた上で、事前の国会承認と事後の国会報告を厳密に定めて、自衛隊法の中にきちんと警戒監視規定を設けるべきだと私は考えております。

 もう一点。中東派遣されている自衛隊について、私の思いを述べれば、隊員も交代がありますから、日本との往来の過程で、船内でのコロナウイルス感染も心配しています。クルーズ船と同じ密閉状況にあるわけですから。一つの選択肢としては、一年の任期ではありますけれども、一時撤退も視野に入れて検討するべきではないかというふうに私は考えております。

 外務大臣には、ちょっとこれとは別に、視点を少し変えて伺いたいと思います。

 新型コロナウイルス感染者が中東で最も多いイランのラフマーニ駐日大使が、米国の経済制裁の影響で医療物資の輸入が困難になっているとして、日本政府に仲裁を求めています。

 大臣に伺います。

 米国によるイランに対する経済制裁について、イランにおける新型コロナウイルス感染拡大を抑えるための人道的措置として、当面の間、イランへの経済制裁の一部解除を米国に働きかける考えはあるか、お尋ねしたいと思います。

茂木国務大臣 米国の対イラン制裁でありますが、この中で食料、医療品そして医療機器等の人道上必要な物資は対象外、対象にされておらず、イラン国内におけます新型コロナウイルス感染症拡大後も、米国政府はその旨明確に対外的に言及している、このように承知をしておりまして、この点、日米は認識を共有しております。

 そして、先週、G7の外相のテレビ会談が開かれましたが、そこでもこの点は私からも確認させていただいたところであります。

 今、新型コロナウイルスの感染が世界的な広がりを見せている、こういった中で、イランは現地時間の二日時点で感染者数が五万人に及んでおりまして、イランそしてその周辺地域での感染拡大、これは国際社会全体にとっても深刻な問題だと考えておりまして、かかる認識のもと、我が国は先般、イランに対します約二十五億円規模の支援を含みます百五十億の国際機関への拠出を行ったところであります。

 先ほど、小熊委員の方からも質問が出たところでありますけれども、国際機関に出しましても、WHOであったりとかユニセフであったりとか、ある程度の額というのは想定できますから、イランにはこれぐらい回る、こういう話をさせていただきまして、先日の日・イラン外相電話会談の際にもザリーフ外相から深い謝意、こういったものも示されたところであります。

 我が国は、御案内のとおり、イランとは長年の友好関係も持っている。今後も、コロナウイルスは人道上の問題として、またイランとの関係も生かしながら、この地域の平和と安定、さらには感染症の拡大防止、日本としてもできることをやっていきたいと思っています。

阿久津委員 茂木大臣は大臣所信の中でも、米国と日米同盟の関係にあり、イラン始め中東諸国とも伝統的な友好関係にあると述べておられまして、非常に気にされながら、バランスをとりながら外交をやられている姿勢はよくわかります。

 恐らく、イランのラフマーニ大使が本当に言いたかったのは、イランと米国のかけ橋に日本がなってほしいという意味だと思いますので、引き続き期待をしておりますので、この点はよろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 一つ戻りまして、近隣諸国との外交に関連して、東日本大震災及び福島第一原発事故に伴う各国の輸入制限について伺いたいと思います。

 今なお、輸入制限が実は続いているんですね。東日本大震災以降、現在も日本から食料品等の輸入を制限している国はどこか、お答えいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災後に日本産食品等に対する輸入規制措置を導入したのは五十四カ国・地域ございました。我が国による働きかけの結果、これまでに三十四カ国・地域で完全撤廃が実現しました。他方、いまだ二十カ国・地域が何らかの規制を維持しております。

 その中でも近隣の国、中国、韓国、香港、マカオ、台湾、こういった国、地域が輸入停止を含む規制を維持しており、その他、欧州、中東、アフリカの一部の国、地域でも限定的な規制が維持されていることは大変残念な問題であると考えております。

 これらの日本産食品に対して残る規制を一刻も早く完全撤廃することは、政府の最重要課題の一つと認識しております。外務省としても、引き続き、農林水産省その他関係省庁と緊密に連携しつつ、あらゆる外交機会を捉え、規制撤廃の働きかけ及び風評被害を払拭するための情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。

阿久津委員 ありがとうございます。

 大変残念なことに、今の輸入が規制されている国の多く、特に激しい国がアジア大洋州地域に集中しているんですね。我が国食料品の輸入制限を続けている各国に対して、風評被害払拭のため、外務省としてどのような働きかけ、説明を行っているのか。それに対して、各国は何というふうに、どこが気になるというふうに言っているのか。今なお輸入制限を解かれない国がまだ、特にアジアに残っていることについてお尋ねしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 外務省としては、規制を維持する国、地域に対し、あらゆる外交機会を活用し、我が国の食品安全性確保の取組等を科学的根拠に基づき丁寧に説明し、早期の規制撤廃に向けた働きかけを農林水産省その他関係省庁と連携しつつ、粘り強く行っております。

 各国・地域との会談及び国際会議等、マルチの機会を活用しつつ、総理、大臣といったハイレベルからの働きかけを鋭意行っております。

 また、各国首都で、大使から働きかけや情報発信を継続的に行っております。加えて、昨年は国際貿易担当大使を各国へ派遣し、現地での働きかけも実施いたしました。さらに、東京でも各国の大使を外務省に招致し、外務省及び農林水産省幹部から規制撤廃を強く要請してきたところでございます。

 また、各国・地域に対して、我が国が国際的にも厳しい基準値を設定し、その上で食品モニタリング及び出荷制限等の適切な措置を講じている点を丁寧に説明し、先方からの要請に応じモニタリングデータを提供する等、きめ細かい対応を行っております。この関連で、WTO衛生植物検疫委員会の場において、加盟国に対し定期的に我が国の立場を丁寧に説明し、関係国・地域の理解促進に努めております。

 こうした中で、御質問ございましたけれども、各国・地域の個別の主張については、先方との関係もございますので具体的にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、我が国としては、我が国の食品の安全性について正しい理解を得るべく、モニタリングデータ等も活用しつつ、科学的根拠に基づく丁寧な説明を行い、早期撤廃、これを強く要請しているところでございまして、全体として、これに加えて風評被害払拭のためのPR事業等も実施をし、引き続き、関係省庁とも密接に連携しつつ、努力を続け、取り組んでまいりたいと考えております。

阿久津委員 外務省以外の省庁は、風評被害のところで処理水という言い方で表現をすることが多いんですけれども、外務省は、汚染水問題の対応というふうに割とはっきりおっしゃっているところがあるんです。私は、そこのところは評価しているんです。

 その上で外務大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、東京電力福島第一原発事故後、九年を経てなお輸入停止を含む規制を行う国々が存在する現状をどのように捉えているのか。また、風評被害の払拭に向けて内外でどのような努力が必要とされるのか。お尋ねします。

茂木国務大臣 まず、震災から九年を経過してもなお規制をいまだ維持している国、地域があることは大変残念な問題である、特に被災地の皆さんにとっては、せっかくおいしいもの、いいものをつくってもそれを海外に売り出すことができない、苦渋の思いをされていると思っておりまして、一日も早い解除に努めていきたい、そんな思いで、G20であったりTICAD、国連総会、ASEAN関連会合等あらゆる機会を捉えて、また、バイの会談におきましても規制撤廃の働きかけ、重層的に実施をしているところであります。

 昨年、G20、日本が議長国でありましたが、その締めくくり、名古屋の外相会談がございました。前日の夕食会のときに、被災地の食品を私は提供させてもらいまして、ちゃんとその場で、これは被災地のものです、安全なものですというお話をして、お箸をつけない方は誰もいませんでした。ちゃんと食べていただけるという形でありますし、また、二月には飯倉公館で、岩手県と共催で、在京の外交団を対象にして県の食材を含めた魅力発信のレセプションを開催をしまして、多くの国の大使であったりとか外交団の方に集まっていただいたところであります。

 一月にフィリピンに行ってきました。そこでも、外相会談におきまして、我が国からの輸入についての、完全撤廃、こういったものもやってきたわけであります。

 もちろん、それぞれの国を見ていますと、外交当局と規制をやっている当局の間をどうつないでいくかとか、そういう幾つかの課題は残っておりますが、これからも引き続き、こういった輸入規制の撤廃に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。

阿久津委員 科学的なデータも引き続き丁寧に説明していただいて、我が国産品の安全確保の措置の情報を伝えて、輸入規制の撤廃に向けて粘り強く働き続けていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、中曽根康隆君。

中曽根委員 自由民主党の中曽根康隆でございます。本日は質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 時間が十五分しかありませんので、早速質疑に入らせていただきます。

 先日、韓国から驚くべきニュースが入ってまいりました。韓国で製造されたコロナウイルスの診断キットの名称を独島にしようとする請願が韓国大統領府のホームページに寄せられまして、先月三十日時点で三十二万人を超える賛同の声が寄せられております。このキットは百カ国以上から輸入や支援の要請があるようでありまして、この請願者は、この診断キットが独島という名称で輸出されれば独島のステータスを大きく高めることができると主張しております。

 この独島は、言うまでもなく、韓国が不法占拠している日本固有の領土、島根県竹島の韓国名でありまして、この一連の動きというのは日本としては当然看過できないものでございます。

 このことについて大臣がどのように受けとめられているか、また対応される予定か、教えていただきたいと思います。

茂木国務大臣 御指摘の件につきまして承知をいたしております。

 個人的には独島という名前は余り私は好きじゃありません。ただ、他国の民間人によります意見表明であります請願の動き一つ一つについて、政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、政府としては、竹島が歴史的事実に照らしても国際法上も明らかに我が国固有の領土であることを踏まえて、冷静に、かつ毅然と対応していく方針でありまして、韓国政府に対して、外交ルートを通じて本件についての適切な対応を申し入れたところであります。

 引き続き、今後の動向を注視をしていきたいと思いますが、今、国際社会が連携をしてコロナウイルス感染症に打ちかたなきゃならない、こういう状況の中で、ほかの案件というものをこのコロナウイルスの国際的な連携に持ち込んで亀裂を起こすようなことがあっては私はいけないと思っております。

中曽根委員 まさに大臣が今おっしゃったとおりだと思います。世界じゅうが一致団結して目の前の脅威に立ち向かっているこの最中に、領土問題を絡めて政治利用する動きというのは到底理解ができないですし、許せるものではないというふうに思っております。韓国政府がこれからこの要請に対して回答する予定になっておりますけれども、日本国としてもしっかりと注視をしていただきまして、毅然とした態度、そして必要であれば行動もとっていただきたいというふうに思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、新型コロナウイルスに伴う日本のODAの支援について質問させていただきます。

 昨年、私、予算委員会の分科会におきまして、当時の河野太郎外務大臣にODAの意義について質問させていただきました。その際、河野大臣より、最近は、国際化などによって、人間の感染症というものがかつてとは比べ物にならないほど危険性を持っている、日本としてさまざまな国の開発、発展を支援するということも大切であるという趣旨の答弁をいただきました。まさにそれが今、現実の脅威として起きているわけであります。

 先日行われたG20テレビ首脳会議においても、グローバルな協力を向上させるという共同声明が出されましたし、国連のグテーレス事務総長は、途上国で数百万人がコロナウイルスに感染すれば、ウイルスが突然変異して、ワクチンが開発されても効かなくなる可能性があるとも述べられております。

 もちろん国内の感染拡大防止が最優先の課題でありますけれども、同時に、こういう危機のときだからこそ国際的なリーダーシップを日本がとれると私は思っております。日本としても、この新型コロナウイルスにより打撃を受けている新興国とか発展途上国に対する支援、ここに力を入れていくという認識をしております。

 政府としてどのような支援を行っていくのか、具体的な策を教えていただきたいと思います。

中山大臣政務官 お答え申し上げます。

 中曽根委員におかれましては、ユニセフでの議員活動に大変汗をかかれておられると承知をしておりますので、心強く思っております。

 今御質問いただいたODAに関してですが、現在、新型コロナウイルスの感染が世界各国に急激に拡大し、更にそのスピードが加速しておりますが、グローバルな人の往来が経済活動を支えている現代においては、それぞれの国や地域の取組だけでは不十分であり、情報や知見の共有、技術協力、物資支援、水際対策など、感染拡大防止対策を国際的に連携して行うことが極めて重要となっております。

 このような認識のもと、先般、新型コロナウイルス感染症に係る緊急対応策第二弾の一環として、途上国において、医療、保健従事者等への技術協力や医療施設への物資支援等の緊急支援を行っている世界保健機関、WHO、国連児童基金、先ほど申し上げましたユニセフ、国連難民高等弁務官事務所、UNHCR等の国際機関に対し、ODAとして総額約百五十億円を拠出したところであります。

 我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い鎮静化に向けて、国際社会や各国の支援ニーズを踏まえながら、二国間や国際機関を通じた支援を効果的に実施し、国際社会の先頭に立って、保健システムが脆弱な国々へ支援をしてまいりたいと思っております。

 引き続き、現在調整中の令和二年度補正予算における経済対策での対応も含め、積極的に検討してまいりたいと思っております。

中曽根委員 ありがとうございます。

 既に百五十億円をODAとして拠出しているというのは大変心強い話であります。途上国が自国の医療体制とか技術では解決できない問題に対して日本が支援をするというのは、当然、すばらしいことだというふうに思います。

 ただ、このODAの予算というのも当然国民の税金であることを踏まえて、この支援がしっかりと国益につながるということを前提としなくてはいけませんし、また、今回の支援が自己満足で終わることなく、しっかりと国際社会における日本のプレゼンスを上げる、そういったものにならなきゃいけないですし、そのためにも、国内外への発信とかPRも同時にしっかりと行っていただきたいというふうに思います。

 また、今回の支援もそうですけれども、ODA全般として、やはり支援に対する効果測定、なかなか難しいものもあるかもしれませんけれども、その支援が果たしてちゃんとした結果を残しているのかどうか、そういった効果測定、検証をしっかりとしながら、今後も積極的に日本としてODAを進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、次の質問に移ります。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大によって、日本を支える製造業、観光業を始め多くの産業が多大なダメージを受けております。特に今回明らかになったのは、中国依存であります。

 サプライチェーンが混乱に陥って、マスクを始めさまざまなものが不足をする。そして、日本を訪れるインバウンドが激減し、さらには、技能実習生が入れなくて農家が困る。そして、和牛始めさまざまな食材が、消費ががたんと落ち込んでいる。つまり、人だったり、物だったり、さらには胃袋までもがやはり深い中国依存になっていた、こういった現状が事態の悪化に拍車をかけているとも言えると思います。

 そんな中、現在、政府は、TPPのアジア各国への拡大を急いで、中国に依存する日本企業のサプライチェーンを見直す方向であるというふうに認識をしております。また、産業界の、東南アジアなどに調達先を分散させる、いわゆるチャイナ・プラスワン、これを加速させる動きもあります。今回のTPPのアジア拡大が、中国以外のアジア諸国との経済関係を強化する契機になるというふうに考えております。

 ここで質問ですけれども、政府として、サプライチェーンの見直しや多角化を含む、海外日本企業を支援し、補助金を出すなどを考えているようですけれども、具体的にどのくらいの規模で支援をするのか、また、補助金以外にも何か支援策はあるのか、さらには、現在の中国依存をどれくらいまで下げて他国に分散していくのか。具体的なことはわからないかもしれませんけれども、イメージだけでもあれば教えていただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回の新型コロナウイルス感染症による影響として、一国への依存度が高い製品のサプライチェーンの脆弱性が新たに認識されたところであります。例えばマスクについて、その供給の多くを占める中国からの輸入が滞ってしまったため、国内でマスクが不足する事態を招いてしまったと承知をしております。

 このため、政府全体として、第二弾の緊急対応策において、サプライチェーンの再編等を支援することとしていると承知をしております。

 外務省としても、サプライチェーンの毀損に対応するため、日中間でのハイレベルでの意思疎通を活用しながら、中国国内等における日系企業の活動を支援していくとともに、サプライチェーンの安定化に向けて、関係省庁及び関係機関と緊密に連携をしていく考えでございます。

中曽根委員 世界の工場と言われる中国においても人件費はどんどん上がっておりますし、いつまで中国が工場としての役割を果たせるかは非常に不透明な状況であります。これを機に、今のうちに、リスク分散の意味も込めて、他国へ目を向けることというのは非常に大事であると思いますし、ぜひとも政府としてもこれを後押しをしていただきたいというふうに思います。

 また、サプライチェーンの依存だけでなく、先ほど申し上げた観光業の中国依存についても、今回のコロナウイルスの件で危うさが露呈をいたしました。単に訪日客数をふやせばいいというものではなくて、今回のような想定外のリスクも考えた上で、中国以外の幅広い国の観光客をどうやって日本に呼んでくるか、こういったところも戦略的に考えていかないといけないというふうに思います。

 それでは、時間もなくなってきましたので、最後の質問に移りたいと思います。

 令和三年度から中学校で使われる一部の歴史教科書において、従軍慰安婦の呼称が復活することとなりました。しばらく、長年にわたり使われていなかったこの呼称が、なぜ今回復活をしたのか。また、さきの大戦で日本軍が沖縄を捨て石にする作戦だったとする記述であったり、また、南京事件について日本の近代史を自虐的に書く記述が見られております。

 もちろん、この問題は文科省の管轄であることは重々承知をしておりますけれども、しかし、やはり外務省としてこの問題をどのように受けとめているのか、お聞かせいただきたいと思います。

小林政府参考人 御指摘の中学校歴史教科書の記述につきましては、文部科学省の教科用図書検定調査審議会の学術的、専門的な調査審議の結果であると承知しております。

 日本政府の立場は、慰安婦問題につきましては、二〇一五年の内閣総理大臣談話に述べられているとおり、我が国としては、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻み続け、二十一世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、リードしていく決意でございます。

 また、南京事件に関する日本政府の立場は、日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害又は略奪行為があったことは否定できないと考えておりますが、その具体的な数につきましては、さまざまな議論があることもあり、政府として断定することは困難であるとの立場でございます。

 いずれにしましても、これらの教科書の記述により政府の考え方や取組が変わるものではございません。政府としては、慰安婦問題や南京事件などにつきましての政府の考え方やこれまでの取組を、さまざまな形で国際社会に対し説明してきております。今後とも、国際社会から正当な評価を受けるよう、そうした努力を引き続き行っていく考えでございます。

中曽根委員 自虐色が強まって、歴史事実と反する記述が教科書に載ることによって、中学生たちに誤った歴史認識を植え付けることにもなりますし、同時に日本の国際的な立場を揺るがすことにもなりかねませんので、外務省としても、他人事ではなく、政府内でしっかりと連携をとって、誤った情報が海外に出ていかないように注視をしていただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、今はこの全世界的な危機に立ち向かわなきゃいけないときでありまして、外務省そして政府としても、国内における感染症拡大に全力を尽くしていただきたいと同時に、やはり外務省ですから、対外的な支援等を通して、国際的な社会においてのリーダーシップをぜひともしっかりととっていただくということをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 公明党、岡本三成です。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、新型コロナウイルス対策についてお伺いをしたいと思います。

 米国のジョンズ・ホプキンス大学の集計によりますと、昨日時点で、感染者、全世界で百万人を超えたそうであります。これは、同じ集計ですと、三月二十六日に五十万人でしたので、何と一週間で倍増したことになります。死者も残念ながら五万人を超えておりまして。ただ、倍増したその原因を考えますと、各国で検査体制がより整備をされて、多く網をかけたことによって、より全体像がつかめたという側面もあると思います。

 日本でも感染者が急増している状況にありますけれども、どういう人が感染しているかというと、一番ふえているのは感染元が不明、そして二番目にふえているのは海外に渡航を経験された方ということになっておりますので、更にこの海外から帰国される日本人の方々にどのように対応していくかが非常に重要だと思います。

 外務省、きょうから、日本に帰国をされる全ての日本人の方にPCR検査をされることになっています。加えまして、仮にそれが陰性であっても二週間の自宅待機等を要請されることにしています。私、ちょっと遅過ぎたと思いますけれども、適切な対応だと思いますが。

 まず初めに、これまで三月いっぱいで多くの日本人の方が帰国されたわけですけれども、今後、大体一日どれぐらい、又は今後一週間でどれぐらいの方が日本に帰国をされるかということを、予想されたり数字をとっていらっしゃいますでしょうか、お伺いしたいと思います。

松本委員長 ちょっと、答弁者は。

岡本(三)委員 済みません、ちょっと、じゃ、違う角度で。きのう、通告のときにお伝えしたつもりでしたけれども。

 多くの方がもう既に帰国されていますけれども、私の親友でも、これから帰国されるという方もいらっしゃいます。それで、要は、よくテレビでも報道されているように、帰国をされたら、その方は公共交通機関を、陰性であっても今後一切使えないんですね。この公共交通機関というのはタクシーも含まれます。

 ということは、可能性として高いのは、家族や知り合いに空港まで迎えに来てもらう、だめであれば会社の方とかにお願いをする、又は、もし免許を持っていらっしゃればレンタカーを借りる等あるわけですけれども、現実には、その要請を無視をして、帰国をされた方、沖縄県の女性は、そのまま公共交通機関を使って帰宅をされて、その後陽性だったということも判明をしておりまして、その個々人に全て自分の力でやってくださいって、かなり私は無理があると思っているんです。

 それで、例えば工夫として、地域ごとに分けて、バスを政府で借り上げて、その地域に行って送ってあげるぐらいのことまでしないと、結果的に、その方に、個人に責任を負わせることによって、その方ができずに公共交通を使ってしまって爆発的な感染拡大の火種になってしまってはいけないので、帰国された方々に対する対応をもうちょっと丁寧にやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 公共交通機関を使用しなければ自宅等に移動することができない方につきましては、現時点におきまして、御自身で宿泊施設を手配していただくという形になってございます。

 この際につきましては、近隣の宿泊施設に関する情報の提供でございますとか、宿泊施設への送迎などを検疫所において支援を行っているところでございます。

 現在、新型コロナウイルス感染症対策は正念場を迎えている状況でございまして、感染症拡大防止の観点から、健康状態の毎日のチェックや手洗いなどの感染予防の徹底を検疫官からもお願いしているところでございます。

 御不便をおかけしながらも、こうした措置を要請していることにつきまして御理解、御協力をいただけるよう、改めて努めてまいりたいと考えているところでございます。

岡本(三)委員 もしそうであれば、ホテルを貸し切ってあげて、それで、空港の近くのホテルは一泊二万円ぐらいしますから、二週間滞在してもらうと約三十万円です。今政府が行おうとしている現金給付、お一人十万円か一世帯二十万円か、いろいろなことを議論されていて、そういう状況のときに帰国者に三十万円自腹で払ってくれというのは、かなりその方々の適切な行動を阻害してしまう大きな要因になると思うんです。金銭的な負担、ホテルの借り上げ、さまざまなことをして、その帰国された方々を守るのと同時に、その方々が感染源になって日本の爆発的な感染が広がるということを防ぐという意味からも、さらなる御考慮をいただきたいと思います。

 続きまして、日本政府の最大の仕事は日本人の命を守ることですので、海外に今なお住んでいらっしゃる日本人にどのような支援をしているか、そして今後していくかということに関してお伺いをしたいんです。

 まず、海外に現在在留している方は百三十九万人となっておりますけれども、私は多くの方が帰国をされていると思います。それで、これは問題提起ですけれども、確かに、海外に在留されている方々の数字を把握するときに、そこの国で大使館に登録をしてくれたり、又はたびレジ、いろいろありますけれども、少なくともパスポートコントロールをして日本を出国しているわけなので、どこの国に何人いるかはわからないけれども、この時点で、全世界に、パスポートコントロール、出てまだ帰国していない方がいらっしゃるかというのは、システム上簡単に調べられると思うんですね。そういうシステムをぜひ確立をして、この新型コロナの撲滅ができたとしても、今後また新たな感染症が起こるようなこともありますので、常に日本国外に日本人の方が何人いらっしゃるかということをタイムリーに把握できるような仕組みづくりをお願いしたいと思います。

 今、海外に日本人の方がお住まいですけれども、特にアメリカやイタリア等の感染が爆発的に広がっている地域において、この日本人の方々に対して、在外公館を通してどのような情報提供であったり支援をされているかということを教えてください。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 海外に渡航、滞在します邦人の保護、これは外務省の最も重要な責務の一つでございます。

 新型コロナウイルス感染症の感染が世界的な広がりを見せております。また、拡大のスピードも加速をしております。連日、数百人規模で死者も発生しております。重症者に対する十分な医療体制が追いつかない事態、これも発生しているというふうに承知しております。

 また、世界各地では、国境の閉鎖、外出禁止措置などにより邦人旅行者、在留邦人が行動の制約を受けるといった事例、また、航空便の突然の運航停止により影響を受ける事例も起きてございます。

 こうした中で、外務本省また在外公館は、領事メール等の発出によりまして、適時適切な情報提供、また、出国困難な状況の邦人の方々の出国に向けて必要な支援を行ってきております。

 情報提供の具体例といたしまして、例えば米国でございます。一番日本人の在留邦人が多く滞在しているところでございますが、米国におきましては、新型コロナウイルスの感染者が確認をされた一月二十二日から四月二日までの間に、米国に所在いたします十五の在外公館から合計二百件以上の領事メールを発出しておりまして、その中には、感染症が確認された場所や人数、それから、非常事態宣言や自宅待機命令などの行政命令の内容、あるいは欠航、遅延に関する最新のフライト情報などについてきめ細かい情報提供を行ってきております。

 引き続き、外務本省、在外公館といたしましては、このような領事メール等の発出等により、適時適切な情報提供、また、現地当局への働きかけ等を通じて、邦人に対します保護、支援に万全を期してまいりたいと思っております。

岡本(三)委員 在外公館にお勤めの外務省の職員の方も日本人です。この方々の命を守るのも日本政府の仕事です、責任です。

 現在、三千四百名ほどの方が在外で働いていらっしゃいますけれども、例えば感染が爆発的に広がっているような地域で、査証の業務ですとか不要不急の業務に従事していらっしゃった方々もたくさんいらっしゃるはずです。この方々を帰国させているんでしょうか。選択肢を与えているんでしょうか。ぜひ、まだできることがあればこれからでも行っていただきたいと思います。

 加えまして、移動がある程度制限されますと、生活費が高くついてきます。在外手当の上乗せですとか一時的な貸出しですとか、十分にさまざまな、比較的収入の低い在外で働いていらっしゃる方々に関しても全面的な生活支援をしていただきたいと思っていますけれども、いかがでしょうか。

垂政府参考人 お答えいたします。

 現在、在外公館においては、新型コロナウイルスに関する邦人保護を最優先の課題として取り組んでおります。

 同時に、委員御指摘のように、在外公館の館員や家族のケアも極めて重要であると考えております。委員御指摘の館員や家族の帰国につきましては、これまでも本省と在外公館の間で密接に相談してきているところでございます。

 実際のところ、基礎疾患のある一部の館員や家族につきましては、既に帰国を促しているケースもございます。現地の感染事情が更に悪化するような場合には、邦人保護にしっかり対応することを前提として、さらなる館員の帰国についても視野に入れながら検討していきたいと考えております。

 また、手当につきましても言及をいただきました。

 現在、在外勤務職員に対しては、俸給に在外勤務手当を付加する形で対応してきております。委員御指摘の特別な手当の追加は必ずしも容易ではございませんが、休暇帰国や健康管理休暇など、制度の中でできるだけの対応をしていきたいと考えております。

岡本(三)委員 ぜひ、使える金は全部使って、一人一人の生活を守っていただきたいと思います。

 最後に、マスクの確保についてぜひ大臣にお願いしたいことがありまして、コロナが起きる前は、日本でのマスクの消費量の約七割は中国からの輸入でした。こういうことになって中国国内も動けていないので、いまだに、現場の方から一番来る依頼というのは、マスクをどうにかしてほしいということです。布マスクを送付されるということもありましたけれども、やはり普通に店頭に並ぶような状況をつくっていただきたいと思うんです。

 国内で、シャープですとかアイリスオーヤマですとか、新しくつくっていただいていますけれども、全然足りません。

 実は、中国国内では、ネット販売で普通に定価で、コロナウイルスの前と同じ状況でマスクが販売されています。中国はこのマスクを外交戦に使っておりまして、ヨーロッパですとかに大量に持ち込んでいます。スペックが、クオリティーが低いので返品されたりもしていますけれども、もともとコロナの前に日本が中国から輸入していたものというのはウイルスを九九・九%カットできるようなスペックが高いものでして、ぜひ、トップ、トップの合意で大量に、そんな、中国の国内でネットで普通に買えるんだったら、日本の民間業者がちょこちょこやっていますけれども、トップ、トップで大量に輸入できる合意をしてほしいんですね。

 こういうときにそういうのをお願いをすると、相手に借りをつくって嫌だなという気持ちはわかります。けれども、これは総理みずからが見えない敵と戦争しているというふうにおっしゃっていますので、戦争であれば、国民を守るために、こういうときであれば、借りをつくってでも、五億枚、毎月、トップクオリティーのものを日本に輸出してくださいというような合意を取り付けていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 まず、岡本先生には、著書「逆転の創造力」、早速重版になったということで、おめでとうございます。

 不足しているマスクについても逆転が必要でありまして、政府として生産設備への投資を支援するなど取組を進めて、国内でも月七億枚を超える供給を確保する見込みでありますが、御指摘の中国からの調達についても、外務省として、関係省庁、関係機関と緊密に連携しつつ、日本企業の中国におけるマスク生産の再開、そして、マスクの原材料の輸出であったり製品の輸入の円滑化についてさまざまなレベルで中国側に働きかけを行ってきておりまして、中国側からも基本的に前向きな回答を得ているところであります。

 そして、ハイレベルでの要請ということでありますが、先日、日中韓の外相テレビ会談、週末でありましたが、行わせていただきまして、そのテレビ会談におきましても、私の方から、医療物資であったりとか医薬品、そして、そういったものの円滑な輸出入であったりとか緊急融通をお互いに進めていこうということで、王毅国務委員との間でも一致をしたところでありまして、しっかり、不足しているマスク、医療品、これが国内で確保できるように万全を期していきたいと思います。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 終わります。

松本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 新型コロナウイルスの感染拡大と自衛隊の中東派遣について質問します。

 海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が二月二日に日本を出航してから、二カ月が経過しました。こうした中、中東における新型コロナの感染者数は、昨日時点で、イランの四万七千五百九十三人を始め、UAEでは六百六十四名、オマーンでも二百十名となっています。

 三月四日の本委員会で茂木大臣は、自衛隊の中東派遣について、情報収集態勢の強化のための自衛隊の艦艇及び航空機の活用に取り組んでいくと表明されましたが、今や中東でも多くの感染者が出ています。こうした海域で自衛隊部隊が活動していることについて大臣はどう受けとめておられるのか、率直にお聞きしたいと思います。

茂木国務大臣 中東においても新型コロナウイルス感染が拡大をしております。イランにおいては五万人を超えると。ただ、オマーン、一番新しい数字ですと二百三十一人になると思います。それからジブチは三十四人という状況でありますが、その中東において日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動を行っている自衛隊の部隊、隊員の健康を守るために、さまざまな対策を講じているものと承知をいたしておりまして、現時点で感染者を出すことなく情報収集活動を継続しているものと理解をいたしております。

 先日のダイヤモンド・プリンセス号、ここにおける自衛隊の支援活動においても感染者の方は出なかった。恐らく、さまざまな人と比べても、ふだんからそういった防疫上の訓練等も積まれているんだろうと思っておりまして、しっかりこれからも健康な状態で情報収集活動に当たっていただきたいと思っております。

穀田委員 茂木大臣とは、二月十日にこの問題について、中東情勢について議論しました。

 重要なことは、今私が言った数字が更に大きくなっているという数字を出されましたように、刻々と変化しているというのが現状であります。その意味で、新型コロナの感染が世界的規模で広がっていて、中東地域でも多くの感染者が出るという、事態が大きく変わっているということだと思うんです。

 そうした中で、自衛隊の部隊が、今、健康を守るための対策という話はありましたけれども、そういったことを含めて、活動しているということについて直視する必要がある、しっかりそれを踏まえて私は見る必要があると思っています。

 そこで、米国防総省の発表によれば、四月一日の午前の時点で、米軍で八百十四人の感染者が確認され、死亡者も出ています。そうしたもとで、太平洋に展開中の米海軍の原子力空母セオドア・ルーズベルトで新型コロナの感染が急速に拡大し、大きな問題になっています。

 国防総省は当初、同空母の乗組員三人が感染したと発表していましたけれども、少し、更に日時を縮めて、四月二日現在でいいますと、百十四人が感染したと。米国のメディアは、感染者は更にふえる見通しだと伝えています。

 クロージャー艦長は、米軍幹部に充てた四ページの文書で、軍艦の空間的制約や感染者の多さから、感染者を隔離するなどの措置ができず、乗組員は階級にかかわらず濃厚接触を余儀なくされていると指摘しています。感染拡大が進行し、加速していると訴えています。まさに制御不能の状態にあるということがうかがえます。

 本日は防衛政務官にお越しいただいているので、具体的にきょうは尋ねていきたいと思います。

 中東に派遣されている護衛艦「たかなみ」では、現在、新型コロナウイルス感染者は出ていないんでしょうか。お答えください。

渡辺大臣政務官 護衛艦「たかなみ」は、乗組員に関しましては、今のところ感染者あるいは感染の疑いの方は出ておりません。

 その中で、いわゆる「たかなみ」の乗務員につきましては、平素から手洗いやせきエチケットといった標準的な感染予防策を徹底するとともに、遠洋航海派遣時におきましては、事前に臨時の健康診断を行うことで、感染症に罹患した隊員あるいは感染症に罹患しやすい基礎的疾患がある隊員等につきましては、乗船することをまずスタートから防止をしております。この対策の効果もありまして、本当に、先ほど冒頭で申し上げましたように、今のところ感染者も疑い者も一人もおりません。

 今後も、ぜひ、防衛省・自衛隊といたしましては、引き続き隊員の健康管理に努め、適切な感染予防を行うことで、艦船内における感染者の蔓延の防止に努めてまいります。

穀田委員 事前の健康診断というのは、どこの国の軍や実力組織でもやっていることです。

 そこで、米海軍の空母では、艦内で新型コロナの検査を実施していると言われています。「たかなみ」には二百人余りの乗組員がおられますけれども、艦内でPCR検査を受けられる体制は整備されていますか。

渡辺大臣政務官 護衛艦「たかなみ」の艦内には、新型コロナウイルス感染症の診断を実施するためのPCR検査に必要な装備等は搭載されておらず、PCR検査を実施できる体制にはございません。

穀田委員 体制がないということを明言されたと。

 先ほど、今のところと言いましたよね、出ていないというふうに政務官はおっしゃいました。

 先ほど触れたセオドア・ルーズベルトでは、艦内にPCR検査の体制を整備していたことで乗組員の感染が判明しています。米海軍の場合、検査体制を整えているのはこの空母だけではありません。米海軍の場合、水陸両用強襲艦、さらには第七艦隊のブルーリッジなど、検査体制もあると聞いています。だから、「たかなみ」にはそういう検査体制がないというのは重大ではないかと思っています。

 そこで、先ほど政務官からお話があった、今のところ出ていない、大丈夫だ、健康だと言っていますけれども、「たかなみ」にPCR検査を受ける体制がないにもかかわらず、なぜ感染者がいないと言えるのか、お聞きしたいと思います。

渡辺大臣政務官 現在、そのような症状を訴える方もいませんし、実際、スタートの時点からそういう対策をとっておりますので、今のところ、ゼロという報告に私は信頼を持っていいのかなと思っております。

 また、洋上での業務の際にも、例えば物資の補給等々も、寄港し、当然、外部の方と接する、少しの部分ですけれども、あろうかと思います。しかし、物資の補給の際に関しましても、いわゆる自衛隊・防衛省が認めた方、そして限定した方というふうに、しっかりと他国とも話合いをしておりますし、当然、感染予防の対応をして物資の補給にも当たっているということで、私としては、今の現段階では感染する危険性は少ないのではないかというふうに思います。

穀田委員 感染する危険性は少ないんじゃないかって、少ないんじゃないかと私聞いているんじゃないんですよ。問題は、検査ができないのに、なぜ感染者がいないと言えるのかということを聞いているんですよね。それは極めて科学的でないと思うんですね。つまり、検査もせずに全部健康だというふうな話は、科学的根拠はないと私は思うんです。

 なぜこんなことを言っているかといいますと、統合幕僚監部は、三月に海上自衛隊の幹部が新型コロナに感染したことを発表しました。報道発表資料によれば、フランスから帰国後、無症状であったものの、羽田空港から医療機関まで自衛隊車両により搬送し、PCR検査を実施した結果、陽性反応が確認されたということであります。つまり、無症状でも感染している可能性があるということなわけですよね。だから、PCR検査が大事なんです。

 一部報道によると、防衛省関係者が、軍隊の艦船というのは、極論すれば全てがダイヤモンド・プリンセス号のようなものだ、艦内にたった一人感染者が出ただけで、艦船全体が修羅場となると発言しています。まさに、米空母の状況が示しているように、艦内で感染症が起きるということは惨状を引き起こすということになります。

 しかし、「たかなみ」では、感染の疑いがある隊員が仮に出たとしても、艦内では調べようがない。そういうことは重大なことだと言わなければならない。それはやはり、私たちはこの問題を考える際に、隊員の命を、安全をどう考えているのかということに帰着すると思うんですね。

 では、実際に艦内で感染が疑われる者が出た場合、どうするのか。

 河野大臣は、三月十七日の会見で、万が一感染が疑われる者を隔離するためのスペースが設けられており、そこへ隔離することになると述べています。

 防衛省が私に提出した資料によれば、感染者発生時の対応として医務室などに隔離するとなっていますが、「たかなみ」の隔離スペースというのは医務室のことですか。

渡辺大臣政務官 隔離室とは医務室のことでございます。

穀田委員 海上自衛隊のホームページを見ると、これなんですけれども、「たかなみ」の医務室の写真が掲載されています。診療台が、診察台というんですかね、これ、わずか一つしかないように、非常に狭い空間です。

 巨大な米空母のルーズベルトでさえ、構造上の問題もあり、隔離措置をとることができない状態になっていると言っています。しかし、「たかなみ」ではこのような狭小の空間で乗組員の隔離措置に対応できると考えているのなら、私は驚くべきことだと思います。

 河野大臣は、十七日の会見で、艦内で一時隔離した後、必要な場合には陸上の病院にヘリ等で輸送することになると説明しております。さらに、三月十日の会見では、ジブチのフランス軍の病院等とも連携がとれるように打合せをしていると述べられています。

 その後、フランス軍の病院などとの調整はどうなっているのか、御報告ください。

渡辺大臣政務官 先ほどの質問で個室の話をしておりませんでしたけれども、当然、まずは医務室に収容するかと思いますけれども、その際、船医による指導のもと、医務室に個室を、医務室内等にしっかり隔離することで……(穀田委員「医務室内の」と呼ぶ)医務室等に隔離することによりまして他の隊員に対しての感染拡大を防止するということは、しっかりと検討材料にも入っております。

 今、各国との、いろいろ、連携と質問ございましたけれども、これは他国とのいわゆる連携調整というのが非常に大事でございますけれども、相手国側との関係もありまして、今の段階ではお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、フランス軍とは日ごろより適切な協議をさせていただいております。

穀田委員 だから、私は言ったわけですやん。巨大なルーズベルトでさえ、構造上の問題もあって、なかなか隔離措置をとることができない。

 香田さんは、例の、そういう日本の船、つまり自衛隊の船の中でやるという問題について言えば、この間のクルーズ船なんかは個室があった、そういう個室というところでも大変なのに、自衛隊の場合はそういうふうになっていないと、わざわざそういう指摘をしているわけで。

 そういう問題も、日本の方もそういう指摘をし、米国のルーズベルト、でかいんですよ、あれは、すさまじく、あそこだって隔離措置ができないと言っているのに、そんな楽観的なことを言っていたらだめですよ。

 それで、今質問した件については、他国との連携は知らされないと。それはおかしいんじゃないですかね。大体、二月二日に「たかなみ」が出航してから、もう二カ月もたっているわけですね。そして、出航した時期というのは、一月三十日の、WHOが緊急事態宣言を発表した直後なんですね。そもそも、出航の段階でウイルス感染などへの対応の手だての調整が済んでいない。

 つまり、大臣は何回も会見をしていますけれども、話合い中だという話をずっとしているわけですよね。完結したとかは言っていないんですよ。それは御承知かと思う。何回も記者会見してそれは問われているんですけれども、調整中です、話合い中ですと言っている。今はどないなっていますねんと言ったら、今、他国との関係でできない。

 そんなことを言ったら、国民の皆さんは、どういう形で自衛隊の方が、仮にそういう感染をされた場合にどのようになるのかということについて、全く知らずに平気でいるというわけにはいかないと思うんですね。国民が、それはどうなっているんだということになって、私は、そういう意味での対応の手だての調整が明らかにできない、ないしは済んでいないということも推察される。もうとんでもない話だと私は思います。

 そこで、全国防衛協会連合会のホームページを見ますと、海賊対処行動支援隊で衛生業務を担当する一等空尉が手記を掲載しています。それによると、自衛隊員がジブチにあるフランス軍の病院やアメリカ軍の医務室で治療を受けるときというのは、自衛隊拠点内の医務室で十分な治療が行えない場合と書いています。

 護衛艦「たかなみ」から移送された自衛隊、仮にそういう方がおられた場合で、自衛隊の感染者がジブチのフランス軍の病院に搬送されるというのは、自衛隊では十分な治療が行えない場合を想定しているということにほかなりませんけれども、それでいいんですね。

渡辺大臣政務官 先生の言われるとおりでよろしいかと思います。今ほど先生の言われたとおりでよろしいかと思います。

穀田委員 私、これだと問題だと思うんですよ。

 要するに、この手記が事実だったとすれば、結局考えてはらへんように思うねんけれども、結局、「たかなみ」の部隊は艦内でPCR検査を受けられない。ないわけだから。そして、搬送先のジブチでも、自衛隊みずからの施設では十分な治療を受けられる保証がないということになるわけですね、これは、結論としては。

 角度を変えて聞きますけれども、河野大臣は、二月二十八日の会見で、新型コロナの感染者が出た場合の対応策として、コンティンジェンシープランをつくれという指示を出しています、そういうふうに述べています。「たかなみ」におけるコンティンジェンシープランとは一体何なんですか。お答えいただけますか。

渡辺大臣政務官 コンティンジェンシープランというのは、先生も御承知のとおり、災害や事故など、想定外の事態が起きたときのために事前に定めておく対応策や行動手順であると承知しております。

 護衛艦「たかなみ」の艦内におきまして新型コロナウイルス感染症患者が発生した際には、医務室等に隔離することで、他の隊員へ感染することのないように対応することとしております。

 隔離の際は、患者に接触する隊員を最小限にし、防護服を使用する、接触感染の原因となりそうな場所の消毒を行う、標準的な感染予防策を徹底するといった対応を行う予定でございます。

 さらに、必要に応じて外務省や周辺各国政府と必要な協議を行い、感染した隊員の帰国を含めた検討を行うことも想定しております。

穀田委員 そこで、配付資料をごらんいただきたいと思います。

 私が三月二十五日に、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」のコンティンジェンシープランの全文を資料要求しました。翌二十六日に出てきたものです。わずかA4判一枚きりで、これ以外には成文化したものはなく、これが全文だと説明を受けました。

 しかし、河野大臣は三月三十一日の会見で、「たかなみ」のコンティンジェンシープランは一般公開できるのかという記者の質問があった際に、相手国からの了解を得ていないために公開していないと答えています。

 私に対してはこれが全文だとしてきていますが、一方、公開していないと答える。これでは、この文書というのは一体何なんですか。おかしくありませんか。

渡辺大臣政務官 先ほども申し上げましたように、相手国との関係もございますので、今の段階では差し控えているということでございます。

 当然、具体的な内容につきましては、先ほどの質問の答弁に答えましたように、いろいろと、感染予防対策も含め、さらには感染拡大の対策も含めて、しっかりとした手順等々については、先ほど述べたように、このプランに書かれていないという御指摘でありますけれども、しっかりとした指示系統はできているというふうに思います。

穀田委員 今お話ししたように、私に対してはこれが全文だと答えているわけですよ。たった数行の、これがコンティンジェンシープランの全文であるということを言ったわけですね。私は、概要を提出することを求めたんじゃなくて、先ほど言いましたように、全文を求めたわけです。その際に、これ以外のことについては、今お話があったように、他国との関係があってと。他国との関係を言っているんじゃないんですよ。

 そういう意味でいいますと、ここにありますように、医務室の問題や隔離の問題とかを含めて、これが感染者発生時の対応という全文かということが問題になるわけですよね。私は、突き詰めれば、もしこれだけのものだとするとなりますと、そもそも、コンティンジェンシープランなるものは本当に作成されているのかという問題になってきます。

 先ほど政務官がお話しになった内容は、それに基づく通知というのが出ていまして、それは一般論をずっと書いているのは私は見ていますよ。それは、感染症対策に関するさまざまな取扱いについて、それぞれの文書を発出しています。そういう内容について、簡単に言うと、少しつまんでしゃべって、この内容を少しお話ししているだけなんですよね。

 だから、そうすると、ほんまにこれは作成されているのかということなんですけれども、それはどうなんですか。

渡辺大臣政務官 先ほどから申し上げているとおり、このプランにつきましては、あくまでも、コロナウイルスの感染を防ぐ、あるいは拡大を防ぐという視点の中で計画が立てられております。ですから、事細かくの計画は私も報告は受けておりませんけれども、先ほどの答弁で申したように、しっかりとその感染拡大あるいは感染予防のためのプランになっているというふうに報告を受けております。

穀田委員 今の話を聞いてわかる人って余りいないと思いますよ。報告は聞いていないけれども、そういう確かなものだと報告を受けていると。そんなね、今、茂木大臣も笑っていますけれども、いやいや、お互いに、誰かて笑ってしまいますやんか。

 いや、私、何でこんなことを言っているかというと、いわば防衛省のトップスリーの方でしょう。その方が、報告を受けていないけれども、大丈夫だと報告を受けている、どういう内容だと知らぬけれども、大丈夫だと。そんなことを信じてもしやっているとしたら、自衛隊員はかわいそうだと思いませんか。そうか、我々のトップスリーというのは、そんなふうな話しか聞いてんと我々を送っているのかということになるじゃないですか。

 ですから、事は、私は、中東に派遣されている自衛隊部隊の命にかかわる問題だと思うんですね。だから、乗組員の家族だって心配しているわけです。したがって、一月十日に河野大臣が発出した自衛隊の中東派遣に関する一般命令を見ますと、派遣部隊の健康管理及び現地における医療態勢に万全を期すとしています。まさにそのための対応計画として本来具体化したものがコンティンジェンシープランであるはずなのに、そういう答弁をしたのでは、それは許されないと思うんです。

 私は、もう一度はっきりしていただいて、もう一度答弁をいただいて、はっきりせえへんのやったら、委員長に事実関係の報告を委員会として求めていただくようにしたいと思います。

渡辺大臣政務官 このプランにつきましては、「たかなみ」に限定したもので作成したものではございません。あくまでも、防衛省内でコロナ対策、感染予防、感染対策についてつくったプランであることを御理解いただきたいというふうに思います。

穀田委員 それは違うでしょう。質問を受けて防衛大臣は述べているわけですよ。三月の十七日とか三十一日とか、ずっとやっていますよ。それで、コンティンジェンシープランは各基地、駐屯地でつくってもらっています、だけれども、その前についてはこれをやってもらっていますということで、質問を受けて、公開できない、こう言ったわけですよ。これは、派遣されている問題との関係を、質問を受けてこうやっているんですよ。

 だから、今、政務官すら報告を受けていない内容がある、しかし、政務官は大丈夫だと聞いている、こうなんでしょう。そうおっしゃったよね。ということは、報告を受けていないけれども、あると、それは。それは確かだと事務方が言っている、だから信用している。こういう仕掛けですよね、政務官の発言は。

 だとすると、その事実がどういうものであるかということについては、事実関係としてはっきりさせることが必要だというので、そこは事実関係についての報告を求めたいと思います。

松本委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。

穀田委員 海上自衛隊の艦艇では、かつて感染症が拡大するという深刻な事態を経験しています。二月の日経ビジネスのインタビューで、海上自衛隊の自衛隊司令官を務めた方、香田さんも発言をされています。

 一九八一年の冬、護衛艦「ゆうだち」が母港である京都舞鶴で次の航海に出る準備をしていたときに、たった二週間で、乗船していた二百五十人の八割がインフルエンザに感染するという事態が起きた。最初の感染者があらわれたと思ったら、あれよあれよという間に十人、二十人とふえていった。さらに、香田氏は、護衛艦勤務において最も留意すべきことは感染症と食中毒だとしています。

 この点のことをよく御存じかと思うんですが、そういう点を政務官は御存じかと思いますが、そういうことを踏まえて、どういう教訓を学んでいるか。事実関係、御存じかということと、どういう教訓を今生かしておるか、お聞きしたい。

渡辺大臣政務官 今御指摘のあった過去の前例というのは、過去にあった前例というのをしっかりと踏襲しているということは理解はしております。

 今回のこのプランにつきましては、先ほど私が答弁したところでちょっと間違ったのかもしれませんけれども、これは部隊運用の全般にかかわることでございますので、全文の公開はしていないということでございます。

 それは御理解をいただきたいと思いますが、あくまでもこのコロナに対してのしっかりとした対応はなされているということを、改めて繰り返し言わせていただきます。

穀田委員 まあ、わかるんですよ。

 私らは京都に住んでいるさかい、ほんまにこれは、当時、そういううわさがずっと流れたわけですよ、ひそかにね。それぐらい重大問題だったんですよ。

 今おっしゃったように、自分も報告を受けていないのに、大丈夫だという報告を受けて安心だなんて言える人がいたとしたら、それは、隊員の皆さんに言ってごらんなさい、そんなこと、笑われまっせ。わしらの命、どない考えてんねんと言われますよ。私はそう思います。

 しかも、香田さんが言っているのは、やはり、当時の「ゆうだち」、海上自衛隊の船ですよね、その「ゆうだち」で起きたケースと比較しても、深刻度が異なると述べているんですね。ですから、舞鶴での護衛艦「ゆうだち」や米空母セオドア・ルーズベルトで起きた集団感染の事例からも明らかなように、狭い空間に人が集まっている船舶では、新型コロナが急速に拡散するおそれがある。とりわけ、個人当たりの専有スペースが少なく、他の乗員との接触機会が多い自衛隊の艦船では、ひとたび感染が発生すれば、艦船全体が修羅場になると言わざるを得ません。

 しかも、そういう意味でいいますと、それにもかかわらず、今まともな新型コロナ対策が、はっきり言って、大体、政務官自身が、そういう対応策についての具体的な内容については個別につくったものじゃないといったようなことを言いながら、だから全文はと、こう言うわけだけれども、全文も報告を聞いていないし、報告を聞いているのは、安全だと聞いているから安全だ、こういう程度の話では、本当にこの自衛隊部隊を中東に送り出した政府の責任は極めて重大だし、許されないということを指摘して、質問を終わります。

松本委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸です。

 本日は、貴重な質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 今回の新型肺炎、これは日本にとっても非常に大きな問題であるとともに、これは外国から来ている、外国に発生源があり、そして、パンデミックという、世界じゅうで伝染病が発生しているという意味から、外務省のあり方、それから入国管理のあり方が非常に重要になっている。そういう意味で、きょう、この新型肺炎に関してお伺いをさせていただきます。

 私は、この数週間、ずっと海外のニュース、あるいはネットでの情報、そういったことも含めて細かくチェックをしております。そんな中で、諸外国の変化というのが、これが物すごく激しくあった。感染拡大状況ですね。御承知のとおり、ヨーロッパで起き、そして後を追うようにアメリカで本当に激しく起きた。たしか三月の二十日前後には三千人くらいの一日のふえ方だったものが、きのうはもう二万九千人も一日でふえているという状況です。

 そういったことに対する各国の対応や首脳の発言、あるいはドイツのように上手に対処している国について、そういった情報がきちんと外務省によって調査され、そして政府あるいは官庁に伝えられているか、そういったことについてお伺いをしたいと思っております。

 まず、外務省の関係でお伺いしたいと思いますけれども、今一番燃え盛っているのは、御承知のとおりアメリカ、特にニューヨーク州ですね。あと六日で医療崩壊が起きるとクオモ州知事が伝えられたようです。日ごとの感染者数も、先ほど言ったように、私のチェックしているところだと、きのうが一日で二万九千八百七十四人、これはアメリカの数字ですけれども、ふえている。一日二千人から三千人ずつくらい、ふえる数がふえています。こういった状況をきちんとお伝えになっているのか。ニューヨーク州、アメリカ全体、それぞれで感染者数が三週間前の三月十一日には何人であったのか、そして今何人になっているのか。まずはその点について外務省にお尋ねいたします。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 米国時間三月十一日時点のアメリカ全体の感染者数は、米国の疾病対策センター、CDCの統計によりますと、千六百二十九人でございました。そのうちニューヨーク州の感染者数は、ニューヨーク州の統計によりますと、二百十六人でございました。

 また、日本時間のけさのアメリカ全体の感染者数は、各州の統計を合算いたしますと、二十三万七千百十九名でございます。そのうちニューヨーク州の感染者数は、ニューヨーク州の統計によりますと、九万二千三百八十一名でございます。

青山(雅)委員 今の数字でおわかりのとおり、三月十一日、ほんの二十日ほど前です、この時点では日本とほとんど変わらないような数字、ニューヨーク州に限ってみれば、東京よりもまだ少ないくらいの数字だったわけですね。それがこの二十日で、アメリカ全体では二十三万七千人、ニューヨークだけで九万人という物すごい拡大が起きているわけです。

 そういった急激な上昇によって今ニューヨーク州でどういったことが、特に医療について起きているのか、その辺についてどういう情報をつかんでおられるのか、外務省にお答えいただきたいと思います。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 ニューヨーク州におきましては、感染拡大防止のため、州政府により、全ての事業者は原則的に在宅勤務が命じられているところでございます。

 医療事情について申し上げれば、新型コロナ感染者を受入れ可能な指定病院の一部、例えばクイーンズ地区のエルムハースト病院などでは、ベッド、人工呼吸器、医療関係者等の不足が報じられております。

 また、ニューヨーク州及び市当局は、既存の大型施設、会議施設、大きなコンベンションセンターなどを病院に転換したり、セントラルパークに野営病院を設置するなど、状況の改善のため最大限の努力を行っていると承知しております。

青山(雅)委員 トランプ大統領が、それまで、どちらかというと過小評価していたものが、きのうですか、おとといですか、この二週間は地獄の二週間になると。感染者数、うまくいっても八万人の死亡者が出る、その二週間後には。そういう状況です。

 今のニューヨーク州の状況をきちんと厚労省にもお伝えいただいて、ちょっと早目早目の手段を打っていただかないと、日本でもとんでもないことになる。緊急事態宣言も絡めて、外務省の情報が非常に重要だと思っています。ぜひきちんとお仕事をしていただいて、もちろんやっているとは思いますけれども、お伝えいただけるようお願いいたします。

 次に、イタリア、スペイン、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、簡単で結構です、感染者数が百人に達したのはいつか、千人に達したのはいつか、それぞれお答えください。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症につきまして、御指摘いただきました各国における感染者数が百人以上となった日につきまして、それぞれの国の政府が公表しております数値に基づき答弁を差し上げます。

 まず、イタリアでございますけれども二月二十三日、スペインにつきましては三月二日、ドイツにつきましては二月二十九日、フランスにつきましては二月二十九日、英国につきましては三月五日、米国につきましては三月四日でございます。

 同じように、千人以上となった日について答弁申し上げます。

 イタリアにつきましては二月二十九日、スペインにつきましては三月十日、ドイツにつきましては三月九日、フランスにつきましては三月八日、英国につきましては三月十四日、米国につきましては三月十日でございます。

青山(雅)委員 今お答えになったように、三月の十日前後に千人に達したものが、今もうこの状況です。各国とも一万人を超えている。多いところは、アメリカなどは、先ほど言ったように二十万人を超えている数字です。ですから、日本は全然油断できないということをここでもう一度強調申し上げます。

 そして、その原因として考えられるのが、GISAIDという、ドイツの、こういったインフルエンザウイルスなどのパンデミック、こういったものに関してデータベースなどを共有している、そういうドイツ政府が主催している組織があるわけですけれども、ここで公表されている遺伝子配列の解析によれば、中国、韓国、日本で発生したとは別の変異型ウイルスがこういった各国では蔓延している、そういうふうに公表されているというふうに私は承知しておりますけれども、こういった情報を外務省は承知しているのか、そして、もし承知しているとしたら、それを関係省庁に流しているのか、お答えください。

水嶋政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスにつきましては、さまざまな研究や報道がなされていることは承知をいたしております。

 外務省といたしましては、世界各地で感染拡大のスピードが加速する中、在外公館等を通じて、新型コロナウイルスに関するさまざまな動向について、極めて重大な関心を持って情報収集、分析を行ってきております。

 委員御指摘の点も含めまして、引き続き、各国政府やWHOなども含めた関係機関等と連携して情報収集を行い、国内関係省庁等と連携しながら、必要に応じて国民の安全確保のために活用すること等を通じて、対応に万全を期していきたいと考えております。

青山(雅)委員 欧米で東アジアで見られなかったような感染の急拡大が見られているのは、必ず理由があるわけですね。その理由はまだ確証ではありませんけれども、一つのある根拠を持った考え方として、変異型のウイルスが、変異型としての特徴を持った、例えば若年層にも重症化しやすいとか、あるいは味覚、嗅覚ですか、が麻痺するとか、そういったようなことも言われております。こういったことは欧米ではやっているわけですから、欧米でいち早く解析されるでしょうから、外務省、ここは本当にきちんと情報を収集していただいて、厚労省などにもお伝えください。

 次に、一般に入国制限と言われているんですけれども、その措置と内容、法的根拠、これをお答えください。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点でございますが、まず、十四日以内に、入国拒否対象地域、具体的には外務省の感染症危険情報レベル3の国が該当いたしますが、この地域に滞在歴のある入国者全員に対しましてPCR検査を行うこと、また、二点目といたしまして、新型コロナウイルス感染症が流行している地域、これはレベル2に該当する地域を想定しておりますけれども、この地域からの入国者に対しまして、国内で公共交通機関を使用しないこと及び検疫所長が指定する場所で十四日間待機することの要請をすること、この二つの措置を講じているところでございます。

 一つ目のPCR検査につきましては、検疫法第十三条に基づく病原体の有無に関する検査でございます。第二点目につきましての、公共交通機関の不使用や待機等の要請につきましては、閣議了解に基づきます要請でございますが、対象となる方々には、感染拡大防止の趣旨で御理解いただき、適切に対応していただきたいというふうに考えているところでございます。

青山(雅)委員 簡単で結構です。法務省にお伺いします。

 イタリア、スペイン、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカについて入国禁止措置をとっているかどうか、とっている場合に、それがいつなのかということをお答えください。

松本委員長 発言者にお願い申し上げます。

 マスクを対策上お願いしていますが、少し大き目な声で御発言をいただくようにお願いします。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の六カ国については、上陸拒否措置をとっておるところでございます。

 法務省では、新型コロナウイルス感染症の感染者の流入防止等を目的としまして、外国の一定の地域に滞在歴のある外国人等について、特段の事情のない限り、入管法第五条第一項第十四号に基づき上陸拒否の措置を講じてきました。

 入管法に基づく上陸拒否の措置につきましては、二月一日に中国湖北省を対象地域とした後、感染者数等の状況を総合的に判断して対象地域を順次拡大しておりまして、現在、上陸拒否の対象となっている国は七十三の国・地域となっております。

 お尋ねの六カ国について上陸拒否の措置の開始時期について申しますと、イタリアにつきましては、三月十一日に五つの州、三月十九日に四つの州をそれぞれ対象地域とした後、三月二十七日に全域を対象地域としています。スペインにつきましては、三月十九日に四つの州を対象地域とし、三月二十七日に全域を対象地域にしています。ドイツ及びフランスにつきましては三月二十七日に全域を、そして、イギリス及びアメリカにつきましては、本日、四月三日に全域をそれぞれ対象地域にしておるところでございます。

青山(雅)委員 時間がなくなってきました。急いでやります。

 法務副大臣、きょうはお見えいただきましてありがとうございます。

 今、特に私は問題だと思うのがアメリカなんですね。アメリカは、先ほども言ったように、感染者数の増大、急拡大です。イタリアなどを結構前から、一週間くらい前からだと思いますけれども、抜いております。

 なぜアメリカの入国拒否がおくれたのか。これは速やかにやっていただかないと、事はナショナルセキュリティーです。その辺について、どうしてなのかをお伺いしたいと思います。

義家副大臣 感染拡大の状況が刻々と変化している中、どこの地域を上陸拒否の対象地域にするかについては、当該地域及び新型コロナウイルス感染症の感染者数及び感染者率が高くなっていること等の事情を総合的に考慮し、政府全体としてさまざまな情報や知見に基づく検討を踏まえて判断されてまいりました。

 お尋ねのアメリカにつきましては、三月三十一日に外務省による感染症危険情報がレベル3、渡航中止勧告となり、四月の一日、新型コロナウイルス感染症対策本部において、アメリカを含む四十九の国・地域が上陸拒否対象に追加すべきことが報告、公表されました。

 これを受けて、法務省において、本日、四月三日の午前零時からアメリカについても上陸拒否の対象地域としたところでございます。

青山(雅)委員 時間になりましたが、最後に外務大臣に一つだけ。

 ドイツでは、週に五十万件のPCR検査とか、あるいは死亡者数が感染者数の一%程度と、非常にうまく対策がいっているように見えます。こういったことについてどのように情報収集されているのか、あるいは外務大臣としての御決意、これを最後にお聞かせください。

茂木国務大臣 確かに、ヨーロッパでこれだけ拡大している中で、ドイツの死者数、際立って少ないという部分もあります。要するに、医療体制がしっかりと対応できているというのが極めて大きいのではないかな、そんなふうに感じております。

 感染の拡大状況、例えばアメリカでいいますと、最初にワシントン州から始まってカリフォルニアだったんですが、急に東海岸に移って、ニューヨーク、コネティカットと、こういった日々の状況、さらには、各国がどういう移動制限の措置であったりとか感染症対策をとっているか、しっかり外務省としても在外公館も含めて情報収集して、厚生労働省を始め関係の省庁としっかり共有してまいります。

青山(雅)委員 外務大臣、御答弁ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

松本委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 井上一徳です。

 きょうは、新型コロナウイルス感染の拡大によって帰国困難になっている在外邦人、これについて質問をさせていただきたいと思います。

 国境封鎖等を行う国がふえてきていて、日本に帰国したくても帰国できないという人が発生しております。それで、これは参議院の外交防衛委員会でも質疑がありまして、三月二十六日時点では六十以上の国、地域で邦人が出国困難な状況にあるということでありました。それで、四月一日に私は今この状況がどうなっていますかというふうに聞いたところ、資料をお配りしておりますが、今、四十八カ国ということです。

 今時点で、出国ができない、困難となっている国、地域の数、それと邦人のおおよその数を教えてください。

茂木国務大臣 海外に渡航、滞在します邦人の保護、これは外務省にとって最も重要な責務の一つでありまして、海外で今、移動が困難になっている、帰国ができない方、日々変わってきております。委員の方にも資料をお渡ししたかと思いますが、その時点からも今変わっておりまして、現時点におきまして、出国を希望しているにもかかわらず邦人が出国できない国、約五十カ国あると承知をいたしております。

 そういった中で、帰国を希望されている方、この調査も行って、例えば、状況によって、帰国を希望するとか、やはり十四日間とめ置かれるんじゃ困るから帰国は取りやめよう、いろいろ数字は変わりますが、大体四千名を超える方が今帰国を、暫定的に申し上げると、希望している、このように承知をいたしております。

 このうち、臨時商用便であったりとか民間のチャーター便によります運航、在外公館の支援によって出国日が確定している邦人がこの四千数百名の中で約千名、具体的な出国日は調整中でありますが、ある程度チャーター便等の手配であったりとか臨時便に乗れる、そのチケットもある、こういった方が二千名、また、出国手段について検討を進めている邦人、これが千名程度いる、このように承知をいたしておりまして、国別につかんでおります、基本的には。そういった中で、どういった手段がその国で最もふさわしいか、また、いらっしゃる邦人の方がどういったことを希望しているか、こういったことも踏まえて、丁寧にしっかりと対応してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 今の大臣の説明でよくわかりました。

 イギリスは、三十日の日にラーブ外相が、この新型コロナウイルスで滞在先の外国から出国できなくなった英国籍の帰国困難者を支援するためにチャーター機を手配するということで、予算にして約百億円を拠出するという報道がありました。

 私は、日本も、武漢にもチャーター機を派遣しましたけれども、こういった帰国困難者に対してチャーター機を派遣することを政府としてやるべきだと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するために、多くの国が出入国を制限するなどの措置をとっております。それぞれの措置は国によってさまざまではございますが、いずれの国、地域におきましても、出国を希望する邦人の方々が円滑に出国できるように、外務省、在外公館は支援を行っているところでございます。

 先ほど来御議論あります、例えば民間チャーター機の運航、これで出国された例では、在外公館が、出発スロットの確保のための現地政府との調整、あるいは、帰国希望の取りまとめ、空港まで安全に移動するための支援なども行っておりますし、在外公館は現地政府に働きかけて、その国が自国民を日本から帰国させるために手配するチャーター便の往路に日本人の方を搭乗させる、そういった例も起こっております。また、政府が、在外公館が働きかける結果によって、臨時商用便が運航された、こういうケースもございます。

 外務省としましては、今後とも、出国を希望します邦人の方々への支援のために、現地当局に移動制限の緩和に向けた働きかけをいたします。また、邦人保護の観点から、必要に応じて関係省庁等とも協力しながら、各国の事情を考慮しながら、帰国を希望される邦人の帰国手段の確保に向けてさまざまな保護、支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

井上(一)委員 先ほどもありましたペルーのケースでは、台湾政府もチャーター機を派遣して、それを利用させていただいたということで、私としても、台湾政府に対して感謝の意を表したいと思います。

 今、チャーター機の話がありましたけれども、日本には政府専用機もあるわけです。これは邦人輸送にも使えるということで、私はこの政府専用機の活用についても検討したらいいのではないかと思いますけれども、防衛省、いかがでしょうか。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、自衛隊法第八十四条の四により、防衛大臣は、外務大臣から外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があった場合におきまして、外務大臣と協議の上、政府専用機によりこれらの邦人の輸送を行うことができることとされています。

 これを踏まえまして、防衛省・自衛隊では、防衛大臣が在外邦人等の輸送を命じた場合に速やかに派遣できるよう、日ごろから、航空自衛隊の千歳基地でございますが、こちらに政府専用機及びこれらの運用に必要な要員を待機させているところでございます。

 現時点で具体的な計画は承知しておりませんが、防衛省・自衛隊といたしましては、帰国困難者の帰国について外務大臣からの依頼があった場合には、必要な調整を行いつつ、最大限貢献をしてまいりたい、そのように考えるところでございます。

井上(一)委員 外務省でチャーター機の派遣とか検討をこれからされるということだと思いますけれども、民間機はなかなか飛ぶようなことができないところもあると思いますので、ぜひ、政府専用機の派遣についてもあわせて検討していただきたいというふうに思います。

 報道では、外務省で、緊急時の在留邦人保護に対応するチームを創設して対応するというような記事もありました。私は、そういうチームをつくるのであれば、さっきの政府専用機みたいな話もありますので、内閣官房につくったらいいのではないかというふうに思いますけれども、いずれにせよ、今、外務省でこういうチームの創設について検討をされているというふうに思いますので、今どういう検討状況になっているか、教えていただきたいと思います。

垂政府参考人 お答えいたします。

 現在、在外公館においては、新型コロナウイルスに関する邦人保護を最優先の課題として取り組んでおります。

 一方、今後、在外公館から遠く離れた場所や孤立した場所等において邦人保護事案が発生し、既存の在外公館のみではきめ細やかな対応が難しいケースも考えられます。武漢での邦人帰国オペレーションの経験も踏まえれば、機動性や専門性を持ったユニットを現地で速やかに立ち上げるためのリソースを確保していくことが必要であると認識しており、現在具体的な検討を進めているところであります。

 委員御指摘の、こうしたチームあるいはユニットは内閣官房で創設されるべきではないかという御指摘につきましては、邦人保護につきましては、領事業務の専門家や当該地域の専門家を有する外務省が主体的に実施してきているところでございます。したがいまして、本チームについても外務省が創設することが望ましいと考えておりますが、内閣官房を始めとする関係省庁ともよく連携していきたいと存じます。

井上(一)委員 最後の質問は、岡本先生も言っておられましたけれども、検疫の強化ということで、検疫所長の指定する場所で十四日間待機して、国内において公共交通機関を使用しないよう要請していますというふうにありますけれども、これだとやはり水際対策は徹底できないと思いますので、ぜひ、国が責任を持って十四日間なりホテルを借り上げて、ホテルに滞在してもらう、公共機関については国が責任を持って準備する、そういうような水際対策を徹底していただきたいということを要望して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

松本委員長 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とヨルダン・ハシェミット王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定を改正する第一議定書の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とモロッコ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び投資の相互促進及び相互保護に関する日本国政府とコートジボワール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣茂木敏充君。

    ―――――――――――――

 投資の促進及び保護に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件

 投資の促進及び保護に関する日本国とヨルダン・ハシェミット王国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定を改正する第一議定書の締結について承認を求めるの件

 投資の促進及び保護に関する日本国とモロッコ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国政府とコートジボワール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 ただいま議題となりました五件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 まず、投資の促進及び保護に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件ですが、政府は、平成二十六年一月以来、アラブ首長国連邦政府との間でこの協定の交渉を進めました。その結果、平成三十年四月三十日にアブダビにおいて、我が方在アラブ首長国連邦大使と先方財務担当国務大臣との間で、この協定の署名が行われました。

 この協定は、投資に関する内国民待遇及び最恵国待遇等、投資の促進及び保護に関する法的枠組みについて定めております。この協定の締結によって、我が国とアラブ首長国連邦との間の経済関係のさらなる緊密化が図られると期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とヨルダン・ハシェミット王国との間の協定の締結について承認を求めるの件ですが、政府は、平成二十九年十月以来、ヨルダン政府との間でこの協定の交渉を進めました。その結果、平成三十年十一月二十七日に東京において、我が方外務大臣と先方計画国際協力大臣との間で、この協定の署名が行われました。

 この協定は、投資に関する内国民待遇及び最恵国待遇等、投資の促進及び保護に関する法的枠組みについて定めています。この協定の締結によって、我が国とヨルダンとの間の経済関係のさらなる緊密化が図られるものと期待をされます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定を改正する第一議定書の締結について承認を求めるの件ですが、政府は、平成二十二年十月以来、東南アジア諸国連合構成国政府との間でこの議定書の交渉を進めました。その結果、平成三十一年二月二十七日に東京において我が方外務大臣により、東南アジア諸国連合構成国側は、同四月二十四日までにシェムリアップ及びハノイにおいて各国代表者により、この議定書の署名が行われました。

 この議定書は、我が国及び東南アジア諸国連合構成国の間の現行の協定にサービスの貿易、自然人の移動及び投資に関する規定の追加等を行うものであります。この議定書の締結によって、我が国と東南アジア諸国連合構成国との間で、幅広い分野において経済連携が更に強化されることを通じ、関係全般が一層緊密化されることが期待されます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第です。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とモロッコ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件ですが、政府は、平成二十六年七月以来、モロッコ政府との間でこの協定の交渉を進めました。その結果、令和二年一月八日にラバトにおいて、我が方外務副大臣と先方外務大臣付特命大臣との間で、この協定の署名が行われました。

 この協定は、投資に関する内国民待遇及び最恵国待遇等、投資の促進及び保護に関する法的枠組みについて定めています。この協定の締結によって、我が国とモロッコとの間の経済関係のさらなる緊密化が図られるものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国政府とコートジボワール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件ですが、政府は、平成二十九年一月以来、コートジボワール政府との間でこの協定の交渉を進めました。その結果、令和二年一月十三日にアビジャンにおいて、我が方在コートジボワール大使と先方外務大臣との間で、この協定の署名が行われました。

 この協定は、投資に関する内国民待遇及び最恵国待遇等、投資の自由化、促進及び保護に関する法的枠組みについて定めています。この協定の締結によって、我が国とコートジボワールとの間の経済関係のさらなる緊密化が図られるものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上五件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

松本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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