衆議院

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第3号 令和4年3月9日(水曜日)

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令和四年三月九日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 城内  実君

   理事 あべ 俊子君 理事 辻  清人君

   理事 宮崎 政久君 理事 武藤 容治君

   理事 青山 大人君 理事 小熊 慎司君

   理事 杉本 和巳君 理事 吉田 宣弘君

      青山 周平君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    小渕 優子君

      尾身 朝子君    柿沢 未途君

      島尻安伊子君    新藤 義孝君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      武井 俊輔君    中谷 真一君

      平沢 勝栄君    本田 太郎君

      岡田 克也君    徳永 久志君

      太  栄志君    松原  仁君

      青柳 仁士君    和田有一朗君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      田中  健君    穀田 恵二君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   外務副大臣        小田原 潔君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   外務大臣政務官      上杉謙太郎君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  青柳  肇君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   村山  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       赤堀  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 和也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡田 恵子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 御巫 智洋君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   海部  篤君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    市川 恵一君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 山内 弘志君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 吉田 昭彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            白石 昌己君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 青木 健至君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     青山 周平君

  平沢 勝栄君     柿沢 未途君

  鈴木  敦君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     武井 俊輔君

  柿沢 未途君     平沢 勝栄君

  田中  健君     鈴木  敦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)


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     ――――◇―――――

城内委員長 これより会議を開きます。

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官赤堀毅君、大臣官房審議官遠藤和也君、大臣官房審議官徳田修一君、大臣官房審議官岡田恵子君、大臣官房審議官御巫智洋君、大臣官房参事官岩本桂一君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長海部篤君、北米局長市川恵一君、領事局長安藤俊英君、国際情報統括官山内弘志君、内閣官房内閣審議官青柳肇君、内閣府政策統括官村山裕君、財務省大臣官房審議官吉田昭彦君、経済産業省大臣官房審議官矢作友良君、海上保安庁警備救難部長白石昌己君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官川嶋貴樹君、大臣官房審議官町田一仁君、防衛政策局次長大和太郎君、整備計画局長土本英樹君、人事教育局長川崎方啓君、地方協力局次長青木健至君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君、技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

城内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

城内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。太栄志君。

太委員 おはようございます。太栄志でございます。

 昨年、衆議院議員に初めてなりまして、今回初めての外務委員会での質問となります。どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。

 林大臣始め政府関係者の皆さん、連日、ウクライナ情勢、目まぐるしく情勢が変わる中、我が国の外交を担っていただいておりますこと、また御尽力いただいておりますことに心より敬意と感謝を申し上げます。

 私は、外交、安全保障問題は、与党、野党関係なく、まさに我が国の平和と国民を守り抜く、そのことだけを見据えて、しっかりとオール・ジャパンで取り組んでいかなきゃならないというふうに思っております。そういった意味でも、本日も本当に貴重なお時間、しっかりと緊張感を持って臨みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 現状認識といたしまして、今回のロシアによる軍事侵攻を受けて、私たちは今、この世界は、力や軍事力、そういった、国際ルールを無視して領土を拡張したり、あるいは現状を変更したり、そういったことが認められる弱肉強食のパワーポリティクス、そういった世界へと逆戻りしてしまうのか、あるいは、ここでしっかりと踏ん張って、我々が目指してきた、まさに国際法をしっかりと守り抜いていく、そういった国際秩序を維持していけるのか、自由や民主主義を守っていけるのか、そのことが問われている、そういったまさに瀬戸際にあると思っております。

 大臣が本会議でこの前おっしゃっていましたリアリズム外交、私は、本当にこの危機的な状況において、我が国でも外交的なリアリズム、このことがまさに問われていると思っております。冷徹に、この国際情勢、しっかりと合理的な判断をしていくこと、そういうバランスを取りながら政策決定をしていく、そのことを引き続き外務大臣にはお願いしたいと思っておりますし、それはまさに、私たち野党も含めて、この国全体がそのことは問われていると思っておりますので、そういった視点で本日も問わせていただきます。

 まず最初に、ウクライナ情勢に入る前に、先日の大臣の御説明がありました在日米軍駐留経費負担に関して質問させていただきます。

 ウクライナ情勢が緊迫化し、また東アジア情勢も大変挑発行為が続いている中で、改めて私は、日米同盟をしっかりと強固にしていくこと、そのことこそが重要だと思っております。私、今回の特別協定も、だからこそ、徹底した審議を十分行った上で速やかに成立させること、そして、そういった視点と、また、私自身、米軍の基地を二つ抱える選挙区で、だからこそ、基地の周辺の方たち、また基地で働く日本人の声、同盟を支えていただいておりますそういった方たちの声も含めまして、本日問わせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 昨年二月に、日米両政府は、トランプ政権の退陣を受けて特別協定の期限を一年延長することに合意し、それを受けて当時の茂木外務大臣は、日米同盟の抑止力、そして対処力を高めていく、そのために引き続き米側と緊密に連携していきたいと発言されました。

 それであれば、この一年間、どのように日米間の安全保障分野における新たな役割分担をめぐる実質的な戦略協議が行われてきたのか。今回の特別協定において、どのような日米間の役割分担を含めた、想定した駐留経費負担なのでしょうか。その点に関して、まず大臣にお伺いいたします。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 昨年の三月に日米の2プラス2が行われまして、その際の共同発表に、日米同盟の役割、任務、能力について協議することによって、安全保障政策を整合させ、全ての領域を横断する防衛協力、これを深化させ、そして拡大抑止を強化するため緊密な連携を向上させることに改めてコミットしている旨を確認したとおりでございまして、日米間では、様々な機会を用いて、今委員からもお話のありました、日米の役割、そして任務、能力に関する協議を行ってきておるところでございます。そして、今年一月に日米2プラス2、これは残念ながらオンラインでございましたけれども、その共同発表にあるとおり、この協議の進展、これを歓迎したところでございます。

 その上で、こうした協議の日米間の個別具体的なやり取りにつきましては、米側との関係もあることから、お答えは差し控えたいというふうに思います。

太委員 ありがとうございます。

 大臣、今ありました、まさに日米の新たな役割分担、任務を含めて協議をやるということがあったということなんですが、その上で、また今回大きな変更として、これまで通称として思いやり予算と言われていたのが、同盟強靱化予算に名前も変更することになりましたが、その点を含めて、その背景、なぜなのか、そこを含めて御説明をいただけますでしょうか。再度お願いいたします。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、これまで、在日米軍の駐留経費負担については、思いやり予算との俗称が使用されることがしばしばあったわけでございますが、この思いやり予算との俗称、これは合意の性質を反映していないと考えております。政府としては、思いやり予算という名称は適切ではないということをこれまでも一貫して主張してきたところでございます。

 そうした上で、この度の交渉で、日米双方、真摯に交渉を行った結果、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるだけではなくて、自衛隊を含む日米同盟の抑止力、対処力、これをより一層効果的に強化していくことに資する、また、厳しい財政状況も踏まえ、めり張りをつけた経費負担の合意を得ることができた、こういうふうに考えておるところでございます。

 このように、これまでは在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でありましたが、今回の合意によりまして、本件経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤、これを構築することで一致したところでございます。

 このような経費負担の内容の変化を踏まえて、今回の合意に基づく在日米軍駐留経費負担の性質を端的に示すものとして、その通称を同盟強靱化予算とすることとしたところでございます。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 同盟強靱化予算、まさにそういった方向でのネーミングだったということですが、これは先般、徳永先生からも本会議で質問がありましたが、それであれば、この間政府は、特別協定について、一時的、暫定的、限定的な措置であると説明する中で、この予算も今回、特別協定という形なんですが、本来であれば、まさに同盟を強靱化、強化していくのであれば、やはり本予算に計上することが筋だと思いますが、そこをもう一度御説明をお願いいたします。

林国務大臣 今般の交渉に際しましては、日米両国を取り巻く諸情勢を総合的に勘案しまして、日米地位協定の第二十四条に定める経費負担の原則、これは原則として維持しながら、あくまでも暫定的、限定的、特例的な措置として、期間を五年間といたします地位協定の特則である特別協定、これを締結することが適当であるという判断を改めて行ったものでございます。政府としては、現時点において、これ以外の措置を取ることは検討しておらず、地位協定第二十四条に定める経費負担の原則それ自体を変更することは考えておらないわけでございます。

 このような枠組みの下で、今後とも、国民の理解を得られるように、我が国の厳しい財政状況、また我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素の推移に応じて、日本側の適切な負担の在り方について不断に検討してまいりたいと考えております。

太委員 どうか、引き続きこの件、本当に日米同盟をしっかり安定させるためにも大事だと思いますので、もちろん今回の交渉に際して、相当様々な努力をされてきた、光熱水費を削減する等あったと思いますが、もう一度、この点を含めて、本予算でというところを引き続き御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、大臣からも今ありました、まさに地位協定の本協定に関して、こちらで。

 やはり私は、日米同盟をしっかりと強固にしていく、そのためには、足下、この地位協定の部分で、まず、先ほども言いました、私の選挙区、米軍基地を二つ抱えています。そういった意味でも、基地の近隣の方たち、また中で働く人たち、やはり日米同盟が大事だと分かっている方は本当に多いです。だからこそ、そういった方たちにも本当に安心していただける、そういった環境をつくっていただかなきゃいけないと思っています。

 そこで、昨年末以降、新型コロナが基地から感染ということで、大臣のお地元の山口県でもそうでした。沖縄でもそうでした。まさにオミクロン株が拡大していく中で、地位協定の問題点というのがあぶり出されたと思っております。

 そういった意味でも、やはり地位協定改定に向けて、恐らく運用を改善しているからという返答になると思うんですが、大臣、ここでまず、地位協定に関して、大臣のリーダーシップで何とか、もちろん外務省さん、これまで相当様々な努力をされてきているとは思っておりますが、ここでもう一度、この危機的な様々な国際情勢、東アジア情勢だからこそ、私はそこをやっていただきたいと思います。その点に関して、まず御見解をお願いいたします。

林国務大臣 米軍関係者の新型コロナ感染については、日米地位協定や関連の日米合同委員会合意を踏まえまして、現地の保健当局間も含めて、米側からの緊密な協力を得ながらやり取りを行って対応してきておるところでございまして、政府として、日米地位協定を見直す必要はないものと考えております。

 この地位協定というのは大きな法的枠組みでございまして、政府としては、事案に応じて、効果的に、かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。引き続き、政府としては、新たに日米合同委員会の下に設立されました検疫・保健分科委員会、これも活用しながら、感染防止対策の徹底及び地元の皆様の不安解消に向けて、日米間での連携をより一層強化してまいりたいと考えております。

太委員 大臣の御見解、分かりました。

 ですが、もちろん、一九六〇年、もう六十年以上前に締結されてから、いまだに改正されていないです。簡単なことじゃないと思っております。しかし、先ほど来、私は大臣に聞いてきましたが、ここで更に同盟強靱化へ向けてやっていくという中で、任務を含めて日米の防衛協力を見直しをしていこう、そういった流れの中で、やはり私は、こちらからしっかりとアクションを起こして、というのも、やはりもう地元がもたなくなります、地位協定がいつまでもこの状況では。

 運用を改善していくと言いますけれども、やはり、まだこれから、コロナのこともそうですが、私の地元でも、基地の中で働いている人たち、先ほど言いました、日米同盟、何とか、これは大事なことだから、我々はやりがいを持ってやっているという人は多いですよ。ですけれども、残念ながら、労務問題とかあるいはパワハラとか、いろいろなことが起こっています。深刻です、これは。

 だからこそ、私は、もう一度、日本側がしっかりとコミットできる、あるいは、国内法をしっかりと、少しずつでも改善していくというところをしなきゃいけないと思っています。

 イタリアとドイツは、アメリカとの、もちろんNATOの枠組みがありますが、防衛協力の中で、そこを拡大しながら、地位協定改定ということもやっています。我が国も、やはり防衛協力の分野を増やしていく、明確にしていく。もちろん、我が国の防衛力や外交力をしっかり高めていくこととセットで、このことを何とか大臣のリーダーシップで、私は今こそやるべきだと思っております。

 少し先ほどお話しさせていただきましたが、私のアメリカ時代の恩師がエズラ・ボーゲル先生、大臣と深い関係があったということは重々承知しております。ボーゲル先生が何度も言われました。今の日本にとって大事なものは、やはり政治家のリーダーシップだと。そのリーダーシップを持っているのは、岡田先生のことも言っていましたが、林芳正さんということを何度も私、聞きました。

 是非とも大臣のリーダーシップで私は風穴を開けていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次へ移りたいと思います。ウクライナ情勢に関しまして。

 ウクライナ情勢、今回のロシアの暴挙を受けて、なぜこういったことになってしまったのか。先般、青山先生からもありましたブダペスト覚書というのもありました。たしか、ウクライナの安全保障というのは守られていたはずです、様々な国際的な取決めの中で。ですが、なぜこういった形で、軍事的にウクライナが攻められてしまったのか。そして、そこに我が国として何らかの責任があるのかないのか、そこを外務大臣に御見解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 エズラ・ボーゲル先生にお触れをいただきました。この間、追悼イベントもやらせていただきましたけれども、そこで、私も含めて関係者から出た声は、まさにこういう激動の時期に、一番先生のアドバイスをいただきたいときにいらっしゃらないのは本当に残念だなと。しかし、我々、もしいらっしゃったらこうおっしゃるだろうということを共有しながら前に進んでまいらなければならない、こういうことを申し上げたところでございますが、そういう気持ちでしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

 お尋ねの件でございますが、一九九二年に開催をされましたミュンヘン・サミットにおきまして、日本を含むG7の首脳が、旧ソ連の核兵器の安全な廃棄、核不拡散及び環境問題の解決に向けた協力、これを行うことを決定しております。

 日本も、G7諸国とも連携の上、ウクライナにおける非核化協力に積極的に取り組んで、旧ソ連時代の核兵器の安全な廃棄、核不拡散及び環境問題の解決に向けた協力を行ってまいりました。ウクライナが安全に非核化に至ったということを評価をしておるところでございます。

 なお、九四年の十二月ですが、ウクライナが非核兵器国として核不拡散条約、NPTに加入いたしまして、旧ソ連が配置した残存の核兵器を放棄する代わりに、米国、英国、そしてロシアがウクライナの領土の一体性や政治的独立を保障して既存の国境を尊重するということが確認され、いわゆる今お触れいただきましたブダペスト覚書が、当該の四か国、これはロシアが入っているわけでございまして、この四か国の間で取り交わされたと承知をしております。

 今回のロシアは、まさにこのブダペスト覚書に反してウクライナ侵略を行ったわけでございます。こうしたロシアの行いというのは、ウクライナの抑止力を問う以前の問題として、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、明白な国際法違反として厳しく非難をされるべきものであると考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 まさにロシアも含めた中でのブダペスト覚書でありました。ですが、もちろん、ウクライナでも非核化が進んでいったこと、このことは物すごい意義深いことだと思っておりますし、我が国としても、これは二億円近いでしょうか、しっかりと二億円近くの予算をつぎ込んで、ハリコフ物理技術研究所、まさにここは、先日ロシアが原発の攻撃のその次にこの核施設に攻撃をしたところなんですが、ハリコフ、そこに対して、我が国としてはずっと関わって核不拡散に取り組んできた、このことは大きいと思っております。

 だからこそ、改めて、今回ウクライナの安全が保障されなかったことに対して我々としてはもっともっと危機感を持って、私はこのウクライナの問題に当たっていかなきゃいけないと思っております。

 そして、このことと関連しまして、次に、東アジア情勢。

 今回、軽々に私はウクライナと台湾を比べることをしちゃいけないと思っておりますが、一方、これは台湾政府からも、ウクライナと台湾は違うと。政府からもしっかりと改めてそういった声明が出されたり、逆に言うと、いろいろな意味で、我が国としてはこの違いというのをどう見ているのか。ロシアとウクライナ、台湾と中国、同じ民族で同質性が高かったからこそ、この後どうなっていくのかというところを含めて、大臣、どのように見ていらっしゃるのか、そこを教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

林国務大臣 今回のロシアによるウクライナへの侵略が国際社会の個別の事案に及ぼし得る影響、これについても不断に分析をしておるわけでございますが、事柄の性質上、その具体的な内容についてはお答えをすることは差し控えたいというふうに思います。

 既に総理も、これはヨーロッパの方にとどまるものではなくて世界の秩序の根幹を揺るがすものであると、これは私も申し上げておりますし、そういった意味で、インド太平洋、さらには東アジアにも影響を及ぼす事態であるということは申し上げてきておるところでございます。

 そういった意味で、今年の二月にアメリカがインド太平洋戦略というのを公表しておりますが、ここには、台湾の自衛能力を支援することを含め、地域内外のパートナーと協力し、台湾海峡の平和と安定を維持する等、こういう記述がございまして、これはアメリカの台湾に関する立場を改めて示したものだと考えております。

 台湾有事という仮定の質問にお答えすることは難しいわけですが、日米間でも、首脳会談や日米2プラス2などにおいて、台湾海峡の平和と安定の重要性、これについての認識を共有しておるところでございます。

太委員 御指摘のとおりで、アメリカとしては、今、台湾国内に対しても、また国際社会、また中国に対しても、相当これを意識して様々な情報発信をしている。あるいは軍のOBの方も派遣して、そういったいろいろな形で、台湾とウクライナは違うということを私は示してくれていると思っております。

 しかし、一方で、台湾関係法、ウクライナではブダペスト覚書がありました。逆にそれは、残念ながらほごにされました。別にこれはアメリカだけのせいじゃないと思っておりますが、ですけれども、安全保障は国際社会がしっかりと確保していこうという約束でありましたけれども、それは結局は、アメリカは昨年の末の時点から、軍事的な関与をしないということを明言されていました。実際、しませんでした。

 今回、台湾関係法も、貿易額も、あるいは半導体を始め、そういったいろんなつながりも含めて、もちろん比較はできませんが、一方、台湾関係法に関しても、アメリカの国内法、台湾有事への軍事介入は確約しない、こういったことをもっとしっかりと我々も認識をして、どうアメリカをしっかりつなぎ止めていくのか、そこを引き続き大臣にも続けていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それと、続きまして、そこに追加してになります。

 今、国内的にも、ウクライナ情勢を受けて、週末、幾つかの世論調査も出ました。読売新聞でしたか、国民の八一%が、このウクライナ情勢を受けて、我が国の安全保障に対する懸念もやはり出てきているという、相当、私としては、これは重たい数字だと思っております。その点に関して、もう一度、大臣、どうか御見解をお願いいたします。

林国務大臣 国民の皆様の御心配がそうした世論調査にも表れているという御指摘でございますけれども、先ほど東アジアへの影響についてもお話ししたとおりでございまして、台湾有事という仮定の質問についてはお答えは差し控えたいと思いますが、台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障はもとよりでございますが、国際社会の安定にとっても重要でございます。

 台湾をめぐる問題、これは対話により平和的に解決されることを期待するというのが我々の、従来からの一貫した我が国の立場でございますが、そうした立場から、台湾をめぐる情勢について、引き続き関心を持って注視をしてまいります。

 あくまで一般論として申し上げますが、我が国を取り巻く安全保障環境、これが一層厳しさを増す中で、政府としては、いかなる事態に対しても対応できるように、平素から体制の整備を含めて万全を期していくということは当然である、これは申し上げておかなければならないと思います。

太委員 ありがとうございます。

 まさに台湾国内としても、自分たちの自助努力を相当しながら、退役軍人、予備役の戦力強化等も相当意識して行っておりますので、どうか引き続きの備えを我が国としてもお願いをいたします。

 そして次に、ちょっと順番が変わってしまいますが、我が国のインテリジェンス機能についてということで、先ほども言いました、今回のウクライナ情勢において、アメリカの動きというのは相当我々、もう一度慎重に見極めていかなきゃいけないと思っております。

 早い段階で、軍事介入はしない、そして同時に、今回行っていたのが、まさに機密情報を開示したり、あるいは公開するということをアメリカが相当積極的に行っていた、あとイギリスもそうだったと思いますが。そういった中で、特に米国のこういった動きに関して、外務省さんとしてどのように認識されているのか、御見解をお願いいたします。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 米国がウクライナ情勢をめぐり対外的に発信してきた情報がインテリジェンス情報に当たるか否かにつきましては、政府としてはコメントする立場にはございません。

 その上で申し上げれば、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をするものでございます。こうした暴挙には高い代償が伴うことを国際社会が連携して示していくことが重要と考えてございます。

 米国が、幅広く収集した情報も踏まえましてロシアの動向に関する見通しを積極的に発信し、国際社会に対して連帯を訴えてきたことによりまして、ウクライナ危機への対応に当たり、G7を始めとする国際社会において、非常に広範な連帯が生まれていると認識してございます。このことは、ウクライナ危機をめぐる国連総会緊急特別会合で、ロシア軍の完全撤退などを要求する決議案が百四十一か国の圧倒的多数で採択されたことにも端的に表れてございます。

 我が国といたしましては、まずは、これまでに発表した措置を速やかに実施すべく必要な手続を進めるとともに、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に取り組んでまいりたいと考えてございます。

太委員 ありがとうございます。

 ただ、今回そういった形で、アメリカが、これまで余りなかったことだと思っております。しかも大規模に機密情報を相当出している。それに対する御認識ということをもう一度。これまでないことだったと思うんですが、それともあったということですか。どういった認識なのかも含めて、そこを。

 あと、ごめんなさい、もう一つ追加で。

 では、外務省としては、これはもちろん言えないところは相当あると思います。ですけれども、どの程度独自の情報も、今回のロシアの、先月の二十四日の侵攻に対しての。そこも含めて、ちょっともう一度、申し訳ないですが。

 これは大きな私は転換があったんじゃないかと思っております。そこの御認識を。あるのかないか、どうか。お願いいたします。

市川政府参考人 先ほども申し上げましたが、この度のウクライナ情勢をめぐりましては、米国は、幅広く収集した情報も踏まえてロシアの動向に関する見通しを積極的に発信をしたということで、これは、国際社会に対して連帯を、そうしたことを通じて訴えてきたというところと認識しております。それによって、G7を始めとする国際社会において、非常に広範な連帯が生まれたというふうに考えてございます。

 日米間で、様々な緊密な連携の下でウクライナ情勢にも対応してきてございますけれども、その詳細につきましては、外交上のやり取りでもございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

山内政府参考人 インテリジェンス関係の部分についてお答え申し上げます。

 ウクライナをめぐる緊張の高まりを受け、政府として、ロシアによる侵攻の可能性も含め、重大な関心を持って、随時情報収集、分析に努めていたところでございます。

 外務省としても、在外公館等を通して、インテリジェンス情報を含め、鋭意情報収集、分析に努めているほか、内閣衛星情報センターを含めて、関係各省庁、関係国情報機関とも緊密に連携し、情報交換を行っているところでございます。

 その内容については、日本の情報収集、分析の実態に関わるものでございますから、具体的に申し上げることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、今後もこうした取組を進めつつ、引き続き情報の収集、分析に万全を期してまいりたい、そう思っております。

 以上でございます。

太委員 ありがとうございます。米国の様々な情報を受け取っていたということで認識いたしました。

 防衛省さんの方からも御見解、同じ質問です。

 今回、これまでどおりだという認識なのか、あるいは、何かこれまでと違う、そういった情報開示を米国がしていたのかと、あと、独自に防衛省としての情報、もちろんいろいろ制限はあると思いますが、その点に関して御返答をお願いいたします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカ政府は、今般のロシアによるウクライナ侵略に際して、様々な情報収集活動を行ってきていると考えられます。ただ、他国政府が実施しているとされる情報活動について、防衛省としてお答えする立場にはございません。

 いずれにせよ、防衛省としては、ウクライナ侵略に関連する軍事動向については、引き続き重大な懸念と関心を持って情報を、行ってまいります。

 それから、防衛省の情報収集活動でございますが、今般のロシアによるウクライナ侵略に際しては、様々な情報収集、分析を防衛省として行ってきているところであります。その細部についてはお答えを差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、防衛省においては、中央情報機関である情報本部を中心に、平素から、電波情報、画像情報、人的情報、公開情報などの各種情報を収集するとともに、同盟国である米国を始めとする様々な国々との情報交換を行い、国際軍事情勢の分析を行ってきているところであります。引き続き、情報収集、分析に努めてまいりたいと存じます。

 以上です。

太委員 ありがとうございます。

 残念ながら、政府の、あるいは両省庁の見解をちょっと聞けなかったんですが、私は、いろいろな意味で大きくアメリカの行動というのは変わってくるんじゃないか、そのきっかけなのかなというふうに考えております。

 というのも、二〇一三年、オバマ政権のときに、既にアメリカは、もちろん、世界の警察官ということはもうやめるとはっきり言っています。トランプ政権は終わりました。今、バイデン政権の中で、今回、また繰り返しになってしまいますが、ウクライナに関しては軍事的な介入はしないと明言して、先ほど来御説明あったように、様々な情報を公開、開示することによって、確かに、同盟国あるいは仲間内での連帯はできたと思います。それで、この抑止をしっかりしていこう、それぞれがちゃんと意識を持ってやってもらうということだったと思うんですが。

 そういった意味で、私は、これからアメリカの様々な国際紛争に対する対処の仕方として、今後、同じように、先ほども言いました、東アジア情勢でもこういったことになりかねないんじゃないかと思っておりますので、引き続きこの問題、私自身も相当関心を持ってやっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 いずれにしましても、今のウクライナ情勢は、外務省さんとしても、いろいろと政府関係者の皆さんが御尽力されて、何とか早期に停戦協定なり軍事的な行動を終わらせるという方向に向けて進んでいくことが大事だと思っております。

 その上で、ロシアに対して何らかのアプローチというのは、外務省としてなさっていますでしょうか。大臣にお伺いいたします。

林国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、特にG7各国や同志国と連携をしながら、制裁や外交努力を重ねてきておるところでございますが、それぞれの国とどういうふうなやり取りをしているかというのは、なかなかつまびらかにここでお答えできないところではあるわけでございます。

 ロシアとは領土問題を解決して平和条約を締結する、この基本的な立場は変わっておらないわけでございますが、これは総理も何度も答弁されておられるように、こういう状況の中で、今その見通しについて申し上げられる状況ではないというふうに私も総理も申し上げてきているところでございます。

太委員 その状況、よく分かりますし、私も、今こそしっかりとロシアに対しては厳しい措置をしていくべきだと思っております。

 ですが、一方で、ロシアに対しても、この状況が続くと一番何が問題かというと、やはり私は、ウクライナで本当に無辜の市民がどんどん亡くなってしまっていくこと、犠牲になることだと思っておりますので、これはやはり、どこでしっかりとこの落としどころというか収束させていくか、そこだと思っておりますので、それに向けて、あらゆるチャンネルを使って、是非とも、政府としても、外務省としても取組を進めていただきたい。

 といいつつも、既に、ロシアからすると我が国というのは非友好国ということで認定されておると昨日ですか、報道もされていましたが、一方、アメリカはこの状況の中でも、これは国防総省ですが、ちゃんとロシアの国防省とのホットラインの設置をしたり、様々やはり動いています。

 そういった意味で、我が国としても、あらゆるルートを使って、特に、この間の、安倍政権のときからのいろいろなつながりもあると思います。あと、岸田総理はまさにラブロフ外相とのウォッカの飲み仲間という、そういったのもありましたが、総理からも先方の外務大臣にアプローチしていく、そういったことを含めて、続けていただきたいと思っております。

 あと、もう一つ、今回のロシア制裁によって、特にSWIFTを通して、私は、もちろん、先ほども言いました、とにかく今は強硬に対処していくべきです。しかし、我が国としては、一方で、中長期的な視点というのも持っていなきゃいけないと思っております。

 今回、SWIFT排除を始め国際金融システムからのロシアの隔離を進めれば、必然的に中国との決済が増え、また、ドル離れ、米国の金融システムの覇権の低下につながるおそれがあると思っておりますが、まさに、安倍政権の中での外交の中では、どう中国とロシアを離していくかというのが主眼にあったと思っておりますが、そういった意味で、外務省として、大臣としては、中ロを今回相当結束させてしまうことに関してはどういった見解を持っているのか、お願いをいたします。

林国務大臣 制裁につきましては、先ほど委員も少しお触れになっていただいたような、SWIFTから排除されるロシアの七銀行に対する資産凍結、それからロシア中央銀行との取引制限、こういったことを含む対ロ制裁をやってきておるわけでございます。

 そして、中国とのロシアの連携ということですが、近年、大変緊密な関係を中ロは維持しておりまして、直近の首脳会談でも、NATOの拡大の反対、こういったことを盛り込んだ共同声明を採択しております。また、共同航行、共同飛行といった一連の動きを見ますと、日本周辺で軍事協力も緊密化をしているわけでございます。

 こういった両国の対外政策を含む動向、これは我が国として引き続きしっかりと注視をしていかなければならないと思っております。

太委員 ありがとうございます。引き続き、様々な働きかけをしていただきたく、お願いをいたします。

 そして、今度、インドに関して。

 今大臣からありましたように、中国を通してということも含めて、様々なアプローチをしていただきたい。これは岸田総理も言っていますので、様々な働きかけということを、本会議でも発言されていました、責任ある行動を呼びかけていくと。

 もう一つ、やはり私は、インド。元々伝統的に非同盟国ということで、長い歴史ある国で、ですけれども、大国です。

 我が国としては、クアッドの中で、自由で、フリーでオープンな、そういった国際秩序を一緒につくっていこうという、もちろんこれはインド太平洋地域においてですが、先ほど言いましたように、やはりこの問題というのは、インド太平洋だけではなくて、世界全体に直結する問題だと思っておりますので、そういった意味でのインドに対する働きかけ、大臣として。

 また、間もなく、今月中ですか、日印の首脳会談と聞いておりますが、まさにそれを前倒ししても、総理からもこの問題、ロシアへの働きかけということで、何らかの形で動かれているのかどうか、そちらを含めて御見解をお願いいたします。

林国務大臣 インドとの関係では、二月十一日に日米豪印の外相会合を行っております。また、三月三日には日米豪印の首脳テレビ会議を行っておりまして、様々な機会を通じて、現下のウクライナをめぐる情勢について意思疎通を図ってきておるところでございます。

 委員からお話がありましたように、インドは、基本的価値や戦略的利益を共有しておりまして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた重要なパートナーでございます。

 ウクライナ情勢の対応にかかわらず、日印二国間や日米豪印といった四か国で、地域情勢を含めて率直に意見交換をしながら、様々な形で協力を深めていくことに大きな意義がある、こういうふうに思っておりますので、引き続き緊密に連携していきたいと考えております。

太委員 ありがとうございます。引き続き、どうかお願いいたします。

 先ほど、ちょっと一つ質問し損ねてしまいまして、財務省の方に、今回のSWIFTからの排除に関して、このことが、これは外交的なというよりも、中ロの連携を強化していく方向に誘導してしまわないかという観点からの、この点に関して御見解をお聞かせいただけますでしょうか。お願いいたします。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のSWIFTからの排除が中国人民元への依存を高めることにつながるのではないかという方向からの御指摘かと思います。

 そのような御指摘、世の中でもあることは承知しておりますが、我々、経済制裁を行うに当たりましては、制裁の実効性を最大限に高めつつ、制裁が実施されていない国や機関、分野等に資金が流れる等の副次的な効果をどう最小にするかを考えていくことが重要だと考えております。

 こうした観点から、今般のロシアの七つの銀行をSWIFTから排除する措置については、日本といたしまして、SWIFTから排除される七行全てを資産凍結の対象とすることで、人民元を利用した取引を含めて、日本にある金融機関との取引を禁じたところでございます。

 引き続き、人民元の動向を含め、SWIFTからのロシアの特定銀行の排除が国際通貨システムに与える影響についても注視してまいります。

太委員 ありがとうございます。

 どうか、今はとにかくしっかりとロシアに対する制裁強化という観点だと思いますが、引き続き、そこは冷静に見ながら進めていただきたく、お願いいたします。

 あと僅かになりましたが、改めて、冒頭でも言いました、まさにここは、我が国のリアリズムというか、現実的にしっかりとどう対処していくかだと思っておりますし、国民の生命財産を守り抜く、そして平和を守り抜く、そして世界平和に貢献していく、様々な意味で外務大臣のリーダーシップが問われていると思っておりますので、この日米地位協定のことも含めて、何とか御尽力いただければと思っておりますので、どうか引き続きよろしくお願いいたします。

 時間になりましたので、これで終わります。どうもありがとうございます。

城内委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 おはようございます。立憲民主党の徳永久志です。

 それでは、在日米軍駐留経費負担に係る特別協定について質問をさせていただきます。

 日本の外交、安全保障の基軸はアメリカとの同盟関係であるということは言うまでもありません。そうした中で、在日米軍の駐留は日米安保体制の中核的要素になっているというふうに理解をしております。したがいまして、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するためには、駐留経費を日本側が一部又は全部負担をするということについては理解はするものであります。

 しかしながら、何でもかんでも日本が負担してもいいというわけにはならないということは当然の話であります。国民の大多数が日米同盟を支持しているからこそ、国民の理解と納得が得られる日本の負担というものを考えていかなくてはいけないということでありますので、そういった観点から、以下、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、何といっても、在日米軍駐留経費の日本の負担水準というものがやはり重要になってくると私は思っているんです。

 本特別協定による日本の負担割合、負担水準を数字で示すように先般の私の代表質問でもお尋ねをいたしましたが、林大臣からの答弁は、米軍の駐留に伴い必要となる経費の範囲について様々な捉え方があることから、一概に算定し得るものではないというお答えがございました。

 日本が負担する割合はどの程度がいいのかという問題というのは、同盟の全体像の中で議論すべき重要なテーマだと私は思います。まず、議論の出発点と言っても過言ではないんだろうと思います。

 もう一度お尋ねをいたします。なぜ数字で示すことができないのか、大臣、お答えください。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、在日米軍駐留経費の米側負担額及び日米負担割合については、米軍の駐留に伴って必要となる経費の範囲、これについて様々な捉え方があることから、一概に算定し得るものではないと考えております。

 具体的には、例えば、駐留する米軍人の給与など、展開される装備のメンテナンス費用、米軍人の家族に係る費用、在日米軍の施設・区域の借料、基地周辺対策費といった様々な費用のうち、どこまでが米軍の駐留に伴い必要となる経費に当たるのかについて確定的な定義があるわけでないことから、一概に算定することは困難であると考えております。

徳永委員 確認ですが、それでは、まず、数字を算定をすることに対して、私が先ほど来るる申し上げましたけれども、数字を算定することそのものに意味がないというふうにおっしゃっているのではないという理解でよろしいですか。

林国務大臣 申し上げましたように、米軍の駐留に伴い必要となる経費の範囲というのが、先ほど少し例を挙げましたけれども、これがどこまでなのかということについて定義があるわけでない、いわば分母がどこまでなのかということについて確定的な定義があるわけでないということから、一概に算定することが困難であるということでございます。

徳永委員 それでは、意味は認めるけれども、技術的に算出することが難しいのだということをおっしゃっていると理解してよろしいですか。

市川政府参考人 政府といたしましては、交渉の中で米側から提供される情報など、関連する情報を最大限収集した上で交渉に臨んでございます。ただ、その内容を明らかにすることは、相手方との関係、あるいは今後の交渉への影響もあり、差し控えたいと考えているところでございます。

 いずれにしましても、我が国の同盟強靱化予算の負担規模につきましては、米側の負担額を前提として一定の割合を日本側負担として導くという、単なる数字に着目したアプローチではございませんで、同盟強靱化予算の各項目について、どのような支出が適切かとの観点から主体的に判断しているところでございます。

徳永委員 国民の理解と納得を得るためには、一つ数字で示すということが大事でしょうということを、私、冒頭申し上げているんです。ですから、そこが基にならないというのならば、この数字を算出することが意味がないというふうに言っているのと同じですよ。これは本当にそういう形でいいんですか。

 私のさっきの質問は、意味は感じるけれども、技術的に算出することが困難なのだというふうにおっしゃっているのですかと。それについてお答えください。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず、どこまでが必要となる経費に当たるのかについて確定的な定義があるわけでない、難しいということを申し上げました。

 そして、今局長からも、交渉していく上でも、また考え方として、どのような支出が適切かという観点から主体的に判断をしていくということで、何割まで負担するのが適当かというよりかは、どれぐらいの額をこういう項目について支出するということが適切かということから判断をしているということでございまして、我々としては、アメリカの負担額がこういう額があって、その中の一定割合を日本が負担する、そういう計算ではなくて、同盟強靱化予算の各項目についてどれぐらいの支出が適切か、こういう観点で主体的に判断をしていく、そういう考えでございます。

徳永委員 何か数値目標を決めて、何%以下に抑えなければいけないという交渉をしないというのは、そのとおりだと思うんです。私はそういうことを言っているんじゃなくて、交渉の結果、こういうことになりました、それはトータルで見たら負担水準はこれぐらいでしたよという数字を出していただければ非常に分かりやすい議論になるのではないかな、そういう意味で申し上げているんです。

 ですから、意図は分かるけれども技術的に無理だとおっしゃるんだったら、そうおっしゃっていただいた方がまだちょっと先に進めるんですが、何か、なかなかおっしゃっていただけないので。

 それでは、二〇一五年に防衛省が試算していますよね。これはどういうことだったんですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 同盟強靱化予算の米側負担額及び日米の負担割合に関して、米軍の駐留に伴い必要となる経費の範囲については様々な捉え方があることなどから一概に算定し得るものではありませんということは、先ほど来御答弁させていただいていると思います。

 今御指摘の数字でございますけれども、これは、平成二十八年当時に、要求がありました議員のお考えに沿って、機械的に、在日米軍経費として日本側が負担している経費の項目のみを捉えて、日本側の負担割合を日本が把握している範囲で単に試算として数値化したものでございます。

 具体的に申し上げれば、その資料に記載されている数値は、防衛省で予算計上している在日米軍関係費の項目のみを基にその内訳を出したものでございまして、その他の米側のみが支払っている経費、こういうものを含めた、在日米軍の駐留に伴い必要となる経費全体の日米の負担割合や項目を示すものではございません。

徳永委員 二〇一五年段階では、二〇一五年のときには八六%でしたかね。まあ、いいです。

 日本側が把握をしている範囲という限定つきで算出された数字であるという御説明がありましたので、それはよく理解をさせていただきます。

 そうすると、今回の特別協定によっての日本側が把握している数字というのは、算出することはできますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 同盟強靱化予算のうち、防衛省が承知している負担項目ごとの令和二年度の米側支出額について申し上げますと、労務費のうちの基本給等については約百三十六億円、福利費等については米側支出額はなし、光熱水料等については約百十七億円、提供施設整備費と訓練移転費につきましては、米側も支出しているというふうに承知しておりますけれども、その額は明らかにしておりません。

 以上でございます。

徳永委員 私がお尋ねしているのは、二〇一五年と同様に、日本側が把握している範囲においてで結構ですから、それで負担率というものが今回の特別協定によってどうなるのかというのは算出できますかとお尋ねしているんです。

青木政府参考人 先生、繰り返しになって恐縮ですけれども、米軍の駐留に伴い必要となる経費、この範囲、それ自体がそもそも様々な捉え方があるということでございまして、一概に算定できないということでございます。

 先ほどの数字も、日本側が負担している経費項目のみを捉えておりますので、日本側が負担していないもの、そういったものを数値化するということはなかなか難しい状況でございますので、御理解いただければと思います。

徳永委員 二〇一五年で算出をしているわけですから、様々な条件付で。ですから、今回も、それをやはり判断材料の一つとして是非出していただきたいんです、算出していただきたいんです。

 これは、当時の議員の要求によって算出したんだという、冒頭、説明がありましたので、委員長、是非これは委員会として防衛省に算出をするように求めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

城内委員長 後刻、理事会で協議いたします。

徳永委員 それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

 次の方に移ります。

 次に、訓練資機材調達費が新たな費目として本特別協定に組み込まれたことについて伺います。

 今回導入しようとしている訓練システムなどが米軍のみならず自衛隊の能力向上に役立つということは、十分に理解をいたします。必要だと思います。しかしながら、なぜ特別協定に組み込まれてしまうのかという点について、私、まだ理解ができないんです。理解力が足らないことは十分に承知しておりますけれども、分からないんです。

 代表質問への答弁に対して、林大臣は、これまでは在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でしたが、今回の合意により、本件経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤を構築することで一致というふうに述べておられます。

 ということは、これまで累次にわたって行ってきたこの特別協定の、いわゆる立法趣旨というんですか、その中身を今回で変えたというふうに理解をさせていただいてよろしいですか。

林国務大臣 今回、アメリカとの間で、第一に、日米同盟の抑止力、対処力強化への貢献が直接的に見えにくい光熱水料等については、大幅に削減をすることで日米間で意見の一致を見たところでございます。第二に、在日米軍のみならず、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化にも資する、今触れていただきました訓練資機材調達費の項目を設ける。第三に、今後は、在日米軍の即応性及びその施設・区域の抗堪性強化に資する施設整備を重点的に推進をしていく。こういう合意を見ております。

 このように、これまでは在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でございましたが、今回の合意により、本件経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤を構築していこうということで一致をしたところでございます。

徳永委員 その御説明はよく理解しました。

 それをまとめますと、日米同盟を一層強化する基盤を構築という部分の方に重きを置くことになったという理解をさせていただいてよろしいですか。

林国務大臣 まさに、私、本会議でも申し上げましたように、日米同盟を一層強化する基盤を構築するというふうに重点が移った。おっしゃるとおりだと思います。

徳永委員 重点が移ったということでございますので、その重点というものについて、ちょっと具体的に見ていきたいと思います。

 今回、訓練資機材調達費の中で、具体的な訓練資機材については、LVCシステム、戦闘射撃訓練用標的装置、サイバー実践訓練装置を調達するとあります。令和四年度にはどれを調達して、大体、予算額はいかほどなんでしょうか。これは防衛省にお伺いします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 訓練資機材調達費は、新たな特別協定に基づき設けた新項目でございますが、令和四年度におきましては、戦闘射撃訓練用標的装置一式、これの調達に係る経費として十億円を計上しております。

徳永委員 戦闘射撃訓練用標的装置、十億円ということでございます。

 本特別協定第三条1(a)では、困難を増す安全保障環境において多様な運用上の所要に対応するために抑止力及び対処力を強化することに寄与する場合に限るとあります。

 これに限られているということでありますので、今回導入をする戦闘射撃訓練用標的装置がこの規定に沿ったものであるということの説明をお願いします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、今回の訓練資機材の調達というのは、在日米軍の即応性のみならず、自衛隊の即応性及び自衛隊と米軍の相互運用性の向上に資する、こういうものを調達するということであります。

 今回調達する戦闘射撃訓練用標的装置一式というのは、小銃などによる実弾射撃訓練に使用される、敵兵士あるいは敵兵器を模擬した再利用可能な標的のことであります。この装置を共同訓練などで使用することによって、より効果的な射撃訓練が実施可能となり、実践的な戦闘射撃能力の向上に資する、こういうものであるというふうに考えております。

徳永委員 この条文にありますように、抑止力、特に対処力の強化に効果的であるという理解をさせていただきます。

 それでは、戦闘射撃訓練用標的装置ですが、これを調達した後、この所属、所有権は日米どちらにあるんですか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 日本側の資金負担によって米側が調達する訓練資機材については、米側が所有することになっております。

 ただ、日米共同訓練の際などに活用されることにより、在日米軍の即応性のみならず、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化にも資するものと考えているところであります。

徳永委員 そういうことですよね。日本側がお金を払って、それで得られたシステムは米軍が所属をする、所有権を持つということです。実は、同じく本特別協定第三条1(a)にも、アメリカ合衆国が使用を許される施設及び区域に設置されるというふうに書いてありますので、これは米軍基地内に置かれるということですよね。

 ということは、令和四年度以降に調達をされる、残るLVCシステム、サイバー実践訓練装置も、これは所有権が米軍に行ってしまうんだという理解でよろしいですね。

大和政府参考人 はい、さようでございます。

徳永委員 それで、戦闘射撃訓練用標的装置に戻りますが、これは計上されている予算額は十億円ということでありますけれども、全体額のどれくらいを日本が負担したことになるんですか。全額なのか、あるいは何%を負担したということになるのか、その辺をお知らせください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな特別協定期間中、令和五年度から令和八年度まででございますけれども、この各年度における訓練資機材調達費の所要額につきましては、各年度において、米軍の具体的な調達計画等を踏まえて算定していくということにしておりますので、現時点でお答えすることは困難でございます。

徳永委員 そういう仕組みなので現時点では答えられないということですけれども、同じく特別協定第三条1(a)には、訓練資機材調達費は全部又は一部を負担するというふうにあります。だから、全部負担するのかあるいは一部の負担なのか、これは答えてもらわなきゃ困りますよ。

 全部なんですか、一部なんですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 その点につきましても、今後の調達計画を踏まえて算定をしていくということになってきますので、現時点で、この時点で具体的にお答えすることはちょっと困難であるということを御理解いただきたいと思います。

徳永委員 じゃ、全部ということもあり得るということですね。

青木政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、この時点で、全部であるとかあるいは一部であるとか具体的にお答えすることはできませんので、御理解をいただきたいと思います。

徳永委員 じゃ、ちょっと変えていきます。

 この戦闘射撃訓練用標的装置ですが、どの程度の頻度で自衛隊との共同訓練に使用されるというふうに見込んでおられますか。

大和政府参考人 本特別協定に基づき日本側の資金負担によって米側が調達する訓練資機材については、日米共同訓練の際にも活用されることにつき、日米双方の認識は一致しています。

 その上で申し上げますが、訓練資機材の自衛隊による使用の態様の詳細、委員御指摘の頻度を含めてでございますが、現時点では確定しておりませんが、日本側の負担によって米側が調達する機材を自衛隊としても適切な形で活用できるよう、引き続き、日米間の協議においてしっかりと議論をしてまいります。

徳永委員 自衛隊がどの程度共同訓練で使用できるかどうかというのはこれから協議をしていくんだろうということで理解をさせていただきますけれども、それは、あらかじめの合意事項の中で、それができるのだという担保はしっかりと取れている、米軍のみが使用して自衛隊は一切触れることもできないということはあり得ない、こういう理解でいいですね。

大和政府参考人 委員が今おっしゃったとおりであります。

 先ほど申し上げましたように、今回、日本側が負担をして調達する資機材を日米共同訓練などで使うということについて、認識は一致しております。

 また、特別協定の三条1の(a)においては、日米安保条約の目的を達成し、即応性を向上させ、並びに困難を増す安全保障環境において多様な運用上の所要に対応するために抑止力、対処力を強化すること、括弧、合衆国軍隊と日本国の自衛隊の相互運用性を強化することを含む、これに寄与する場合ということでありまして、これに限られるということであります。

徳永委員 そこで、ちょっとまとめに入らなきゃいけないんですが、その前に、これまでの間、防衛庁の時代から始まりまして今日まで、本予算で、防衛省の予算で米軍の武器とか装備品などに支出したことはありますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、今ちょっと手元に資料がございませんので、お答えできません。

徳永委員 多分そういうことはなかったんだろうと思います。これは多分、間違いなく、そういうことはなかったんだろうというふうに思います。

 となりますと、例として今までるるお聞きしてきました戦闘射撃訓練用標的装置は、日本が税金十億円をかけて、支払って調達し、これが全部か一部かは分からない、所有権は必ずアメリカに所属をしていく、そして、自衛隊は恐らく何らかの形では関与できるんだろう、使用できるんだろうということなんですね。

 これはそのまま、ある意味、米軍の軍事力向上に直結する費用を日本が新たに負担する仕組みをつくったというような理解がこの質疑を通すと帰結になってしまうんですけれども、この理解というのは間違いですか、林大臣。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の訓練資機材の調達というのは、在日米軍の即応性のみならず、自衛隊の即応性、それから自衛隊と米軍との相互運用性の向上に資するものということでございます。

徳永委員 それはよく分かりますよ。でも、結果的に、所有権までがアメリカ軍に行ってしまうとなると、これはそのまま、米軍の軍事力向上に直結をする費用を一部又は全部日本が負担をする仕組みが一つ組み込まれたという理解をするのが素直だと思うんですけれども、大臣、教えてください。

市川政府参考人 ただいま防衛省からも御説明がございましたが、今回の交渉の結果、自衛隊と米軍で、それぞれ即応性、あるいは両者の相互運用性の強化に取り組むということが極めて重要だということで交渉をしてきたわけでございます。その交渉に当たっては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、かつ、我が国の限られた予算を最大限効果的に活用しながら、日米同盟の抑止力、対処力を強化することに重点を置きまして、適切な負担の在り方について協議を行った結果、訓練資機材調達費ということで、このような項目を設けまして合意いたした次第でございます。

 したがいまして、このような交渉をたどった上で日米で合意をしまして、限られた予算を最大限効果的に活用する、その中で同盟の抑止力、対処力を強化する、こういう観点からこのような結論に至った、こういうことでございます。

徳永委員 それはるる、訓練資機材調達費という新たな費目を設けたことの理由として、何度も何度も今の御答弁はお聞きしてきました。

 私がお尋ねしているのは、今回の特別協定で立法趣旨が歩き、日米同盟の強化に重きを置くことにしたのだ、それを、訓練資機材調達費の今年度のやつを質疑で聞いていくと、結局は、米軍に所属するシステムを購入する、自衛隊は共同訓練で使えるかもしれないけれども、それはこれからの協議に委ねられるということであるならば、これは、アメリカの軍事力向上に直結する費用を日本が一部又は全部を負担する新たな仕組みというものが一つ組み込まれたのではないですかというお尋ねをしているんです。訓練資機材調達費の費目の説明を求めているわけではないんです。

 大臣、御見解を賜ります。

林国務大臣 ただいま両省から政府参考人が答弁したとおりでございますが、同盟の対処力、抑止力を強化する、よってもって同盟強靱化予算だ、こういうふうに言っておるわけでございますから、抑止力、対処力を強化するというふうに私は申し上げたいというふうに思っております。

徳永委員 それでは、もうここははっきりと、日米、日本では自衛隊、米軍、それぞれが能力向上に資する仕組みを今回取り入れたのだという、非常に好意的に解釈をさせていただきますが、そのような形でよろしいんですね。

林国務大臣 重ねてになりますが、日米同盟の対処力、抑止力を強化するということでございます。

徳永委員 日米同盟を強化する基盤構築というのは私も大賛成です。

 一方で、日本側の適切な負担の在り方、言い換えれば国民の理解と納得が得られる負担の在り方というものについて明快な説明ができるように、是非これからも取り組んでいただきたいんです。これから五年後がありますし、十年後もあります。その都度その都度、国民の理解と納得が得られる、分かりやすい、日米の負担水準の在り方を含めた形での御説明を是非お願いしたいと思うんです。

 ここの点について、是非、大臣、お約束をいただけませんでしょうか。

林国務大臣 もとより、国会で御審議をいただいて、そしてお認めいただくということも通じながら、国民の皆様からいただいた税金でこれは負担をしていくということでございますので、今までもそうでございますが、今後も、国民の理解を得られるような説明、これに注力をしてまいりたいと思っております。

徳永委員 特に、なぜそういうことを申し上げますかというと、日米同盟関係の強化、強靱化というんですかをうたい文句にしてしまうと、今回、訓練資機材調達費というのが新たに入ってしまいました、今度、五年後には訓練実施というのが入りました、十年後には訓練何とか何とかとやっていって、ここが際限がなくなるのではないかなという危惧を、私、代表質問でさせていただいたんです。

 ですから、その都度その都度、やはり明快な説明というものを、しっかりと国民の理解と納得が得られる形で行っていただきますように、それに留意した形で今後の日米交渉をやっていただければということをお願いをさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、駐留経費については以上で終わりまして、ウクライナ情勢について若干触れておきたいと思います。

 大変深刻な事態になりまして、ウクライナの一般の市民の方々、子供も含めて亡くなられているというような状況になって、本当に心を痛めています。

 そうした中で、国際社会の一部からは、ウクライナも妥協をしなければ、もっともっと被害が広まる一方じゃないかというような声があるやに聞いています。日本の中にも、そういった声が少しずつ増えているのかもしれません。

 しかしながら、私、これは違うんだろうと。やはり一方的に悪いのはロシアであって、ロシアが侵略行為をしたのであって、それに対して、国民の選挙で選ばれた大統領が徹底抗戦を呼びかけて、そして市民の多くがそれに応えて、今懸命に自由を守るために戦っている。そうならば、これは、ウクライナのことはウクライナの人たちが決めるんだ、その決められたことに対して我々国際社会は一致して応援をしていこう、できる範囲のことをお支えをしていこうということが今私たちができることなんだろうというふうに思っています。

 そういった私の思いについて、林大臣、共有していただけますか。

林国務大臣 今委員がおっしゃったように、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであって、国際秩序の根幹を揺るがす行為でございます。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をするところでございます。

 これはヨーロッパにとどまらず、世界全体の、今委員もお触れいただいた秩序、こういった根幹は、我々、自分事として守り抜いていかなければならない、こういうふうに私も思っておりますので、今委員がおっしゃったことに同感をしております。

徳永委員 そうした中で、我々として今できる限りのことをやっていくという中でいくと、やはり一番大きいのが、各種の経済制裁をぶれることなくきっちりとやっていくことだろうというふうに思います。

 ただ、制裁をやると、当然、いわゆる返り血も浴びることも覚悟しなければなりません。岸田首相も、その辺のところについては先般も国民に対して説明をされていました。その点については評価をさせていただきたいと思います。

 私が恐れますのは、もし事態が長引いていくと、この経済制裁によって被害を被る人、企業というのが拡大をしていって、もしかすると、もう経営が成り立たない、このままいったらうちの企業は倒産だ、何とか制裁を緩めてくれというような声が広がってくることなんです。こういった声が広がっていくと、当然、これはロシアから見れば思うつぼみたいな形になるし、もしかしたら、国論が分断化されていくことも考えられます。

 したがって、そういったことを避ける意味におきましても、しっかりと、経済制裁によって損害を受けた方々、特に企業については手厚い支援策というものが必要だと思うんですけれども、これは経済産業省、お考えをお聞かせください。

矢作政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が今御指摘ございましたように、今般のロシアへの経済制裁によりまして日本企業が受ける影響を最小限にとどめる、それから、影響を受ける企業をしっかりお支えしていくということが重要でございます。

 まず、喫緊の対策といたしまして、経済制裁や原油価格高騰の影響を受ける、こうした日本企業を支援する観点から、日本貿易振興機構、いわゆるジェトロ、それから日本貿易保険、ここに相談窓口を設置いたしました。

 また、中小企業支援策といたしまして、政府系金融機関、中小企業団体に、ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口、これを全国約千か所設置するとともに、日本公庫によるセーフティー貸付けの金利を引き下げる、こうした中小企業の資金繰り支援に万全を期しているところでございます。

 また、加えまして、燃料油の急激な価格高騰を抑えるために、ガソリン、軽油、灯油、重油、こうしたものを対象といたしました激変緩和事業につきまして、当面の間の緊急避難的措置として、急激な価格の上昇を抑制するよう、元売事業者に対する支給額の上限を五円から二十五円に大幅に引き上げる、こうした措置を講じたところでございます。

 経済産業省といたしましても、引き続き、今後の事態の推移を見極めながら、状況に応じまして適切な支援策を講じてまいりたい、このように考えてございます。

徳永委員 今の段階で相談窓口を設置をしていただいたり、あるいは融資制度についての充実もしていただいているということですので、ひとまずはということなんですが、こういうことがあってはいけないんですけれども、長期化した段階では、やはり、それではなかなか救い切れない人たち、企業が出てくるんだろう。このコロナ禍を見ていても、やはりそうですよね。

 コロナ禍と違って、今回は一方的にロシアが悪いんですが、ただ、経済制裁をすると判断をしたのは日本政府なので、日本政府の責任の下で、こうした企業が一社たりとも潰れないというような強い決意でもっての支援メニューというものを是非準備をしていってほしいんですけれども、その辺りについてもう一度お聞かせください。

矢作政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたように、影響を受ける企業をしっかりお支えしていくということが大変重要でございます。既に、先ほど申し上げましたような措置を取っているところでございますけれども、今後も、事態の推移に応じまして、状況に応じた適切な支援策を適切に講じてまいりたい、このように考えてございます。

徳永委員 是非よろしくお願いいたします。

 済みません、用意していた質問がちょっと時間でできなくなりました。細田経済産業副大臣、お忙しい中お越しをいただきましたが、来週必ずお聞きをいたしますので。財務省の方々も、お越しいただいてありがとうございました。来週必ずお聞きいたしますので、御勘弁をいただきたいと思います。

 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。

城内委員長 次に、松原仁君。

松原委員 この日米の特別協定は、今既に我が党の質問者が大分質問いたしました。用意していた質問の半分以上は既に議論されておりますので、残ったものを幾つか質問させてもらいます。

 同盟強靱化予算と日本側は称しているそうでありますが、これは先ほども話があったように、在留米軍の訓練資機材を買う、日本の税金でもって。この訓練資機材は、もちろん担保されている、日米の共同訓練で使うのみということであっても、実際は、米側のそういったものを買うということは、大きな転換であるというのは政府自体が認めているがゆえに同盟強靱化予算としているわけでありますが、アメリカ側にもこの呼称を浸透させるべきではないかということをまずお伺いします。大臣。

林国務大臣 今次の交渉では、日米双方が真摯に交渉を行った結果、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるだけではなく、自衛隊を含む日米同盟の抑止力、対処力をより一層効果的に強化していくことに資する、また、この厳しい財政状況も踏まえた、めり張りをつけた経費負担の合意、これを得ることができたところでございます。

 先ほど来の繰り返しになって恐縮ですが、これまでは駐留を支援することに重きを置いた経費負担だったわけですが、今回の合意によって、日米同盟を一層強化する基盤を構築するということで一致をしたところでございます。

 そうした意味で、この在日米軍駐留経費負担の性質を端的に示すものとして、その通称を同盟強靱化予算とすることとしたものであります。

 アメリカ側の認識でございますが、一月七日に行われた日米2プラス2の共同発表におきまして、今回の合意を、同盟の即応性と抗堪性を高めるための日本の米軍への支援、こういうふうに言及をしておりまして、日米で全く同じものでございます。

 我々としては、今回の合意も踏まえ、この通称の普及に尽力したいと考えております。

松原委員 アメリカ国内でもそういったメディアの論調がたくさん出ることを当然期待しております。

 日米は、今から七十年前に戦火を交えていた。その日米は、日本がアメリカ側の防衛の資機材を事実上買うということは大転換であると冒頭から大臣はおっしゃっているということを含めると、やはり日本は国連軍の敵国じゃないだろうと。既に敵国じゃないんだけれども、敵国とみなすには、相手の防衛資機材を買うんだから。

 私は、やはりこういう一つのターニングポイントで、従来から外務省の皆さんは努力をしてきたと思うが、国連における敵国条項、これの廃止という問題に関して、やはりどこかできっかけをつくって言わないと、永遠に何か、安保理で何もしなくたって日本だけは攻撃できますよ、こんなばかげた話はあり得ないので。

 ちょっと、これは、敵国条項をなくそうということの一つのきっかけにしたらどうですか、日米の強靱化まで言うんだったら。大臣、お答えいただきたい。

林国務大臣 いわゆる旧敵国条項につきましては、一九九五年の国連総会で、既に死文化しているとの認識を示す国連総会決議、これは圧倒的な多数の賛成により採択をされております。

 そして、二〇〇五年の国連首脳会合では、国連憲章から敵国への言及を削除するとの全加盟国首脳の決意を示す成果文書がコンセンサスで採択をされております。

 したがって、いかなる国も旧敵国条項を援用する余地はもはやないと考えております。

 その上で、我が国としては、今後も機会を捉えて旧敵国条項の削除を求めていく、こういう考えでございます。

松原委員 死文化したからいいという議論ではないし、こういったものが残っていること自体が、何か非常に、何なんだということですよ。

 日本も含めて、ドイツもイタリアもそうなんですが、我々のこの七十年の貢献は、死文化したからいいよというレベルのものじゃないだろうということは強く訴えておきたい。やはりこれは、長期にわたる自民党政権における、きちっと対応してこなかったことの一つだろうと私は思っております。

 今回、ウクライナの問題はずっと議論になっておりますが、私は、今回のウクライナの問題というのは大変に大きな問題だと思っております。いわゆる様々な警察権を行使する独裁的な行政手法を行っている国家、それに対して、自由を尊重する、自由と人権と法の支配の平等、こういうことを私は前から言っておりますが。

 この観点で、昨日のバイデンの発言で、報道で私は見たのでありますが、自由を守るためにはそれなりの代償が必要だとバイデンは言っていたと私は記憶しております。そのときに、同時に、ロシアからの様々な、石油とかガスに関しては、アメリカはこれを断固として阻止するという強い表明をしたわけでありますが、大変にこれは、先ほどの徳永議員の話とも絡みますが、極めて重要である。

 自由を守る、自由を守るならばそれなりの代償というものが必要になる、このことに関しては、これは質問通告をしておりませんが、当然の発想だと思っております。ただ、その代償をどういうレベルでするかという議論は、これはいろいろとあると思います。

 ただ、バイデンさんがそう言ったことと林さんは認識が同じかどうか、この場で開陳していただきたい。

林国務大臣 総理も御答弁されておるとおり、今回の事態を受けて、国民の皆様や日本企業等に様々な影響が及ぶことは避けられないと考えますが、この大きな目的、今おっしゃったように、自由を守る、また普遍的な価値を守る、国際秩序の根幹を守る、この目的のために、ウクライナ国民への連帯を示すべく行動することの重要性、これは国民の皆様からの御理解を賜りたいと考えております。

 そして、先ほど来、経産省からもありましたように、国民の皆様への影響、これは、政府としてはできる限り抑えるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。

松原委員 私の質問の趣旨は、ちょっと理念的ではありますが、自由を守るためには代償が必要だというバイデン大統領の発言に対して、日本の国の外交の主たる大臣として、その認識は共有するかということを質問したわけであります。そのことに対して、一言だけお答えいただきたい。一言でいいです。

林国務大臣 先ほどるる申し上げたことを一言で申し上げれば、バイデン大統領の認識を共有しておるということでございます。

松原委員 バイデン大統領の発言と認識を一にしている、こういうことでよろしいですね。分かりました。

 次に、ロシアに対する経済制裁の効果についてお伺いします。

 現在、ムーディーズが四段階引き下げた、中国もですね、これを。それからまた、SPグローバル・レーティングも八段階、六段階か、引き下げた。こういった状況にあるということについて、事務方から御説明いただきます。

村山政府参考人 お尋ねでございます。

 先般より経済制裁等を行っておりまして、ロシアの外貨準備の凍結、ロシアの銀行七行のSWIFTからの排除につきましては、ロシアによる輸出入支払い能力、クロスボーダーの金融取引を行う能力を著しく低下させると見られております。これらの制裁措置の影響の包括的な予想は困難でございますが、既にロシアの株価、通貨ルーブルの為替レートには急激な下落が見られている状況でございます。

 こうした中で、ロシア中央銀行は、二月二十八日に、主要政策金利につきまして、二〇%への大幅な利上げを実施、また、三月二日には、外国人投資家に対するロシア国債の利払い停止等の措置を発表しております。

 これらを受けまして、大手格付機関は、ロシア国債への格付を相次いで引き下げている状況でございます。

松原委員 これは大変に議論があって、日本のメディアでも、これは後で大臣にお伺いしようと思っているんですが、ロシアが日本を非友好国として扱うことを決めたと。ちょっとこれは昨日、今日の話なので質問通告しておりませんが、恐縮ですが、その際に、非友好国の債務者に対して、ロシアが自国、ルーブルでの債務返済を受け入れるように迫っているというふうな議論もあります。これは事実上デフォルトではないかという議論すら一部では出ているということを聞いておりまして、私は、デフォルトの可能性というのが、存外、可能性としてはゼロではないと思っております。

 そこで、ちょっと大臣には、これも質問通告をしておりませんが、昨日、今日の動きですが、ロシアが日本を非友好国としたということに関しての大臣の所見をお伺いしたい。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、ちょっと御通告はございませんでしたけれども、まさに、我々がG7と連携して制裁をやる中で、ロシア側からは報復についての言及が既にあったところでございます。

 今回の措置は、日本のみならず、欧米、韓国等も一緒の扱いということで、中身についても、向こうの言っていることを見ますと、今委員がおっしゃったようなことも入っている、こういうことでございますが、先ほど申し上げましたように、我々はG7等と、同志国と連携して、普遍的価値を守るためにしっかり対応していくという姿勢は変わらないというふうに考えております。

松原委員 我々の共通の価値観を目指して行動する上で、ロシアが日本やG7の国々を非友好国としたということは、逆に言えば、考えようによっては、ロシアの価値観が我々の価値観と異なるということになろうかと思っておりまして、私は、このことは、よくよく我々は、これからの様々な経済活動をする場合にも記憶をしていかなければいけない、強く記憶する必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 ズベルバンクについて、日本政府はSWIFTからの除外を要請をしないのか。そういう文脈の中で、大臣、お伺いします。

林国務大臣 今回のロシアによるウクライナ侵略、これは、先ほど来申し上げておりますように、力による一方的な現状変更の試みでありまして、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をします。こうした暴挙に高い代償が伴うことを示してまいらなければならないと思っております。

 こうした考え方の下で、我々は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、非常に迅速に厳しい措置を打ち出してきております。今、政府参考人からございましたように、通貨ルーブルの暴落、株式市場の取引停止、外国企業の撤退や操業停止の動きといった様々なロシア経済への影響、既に出始めておると認識をしております。

 今後の具体的な対応、これを予断することは差し控えますが、引き続き、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携して、有効と考えられる取組を適切に検討、対応してまいりたいと考えております。

松原委員 今、有効と考えることは適切にやっていく、こういうことであります。

 ズベルバンクのSWIFTからの除外というのは極めて有効で、決定的なものになる可能性がある。もちろん返り血を浴びることになる。

 ただ、この文脈をどう理解するかですね。日本が、こういったG7の国々において一つの存在感を出す。スピード感と規模感ということを前回の外務委員会でも私は申し上げましたが、最終的にズベルバンクに対してSWIFT除外が行われるならば、それを最初に言うことのメリット、もちろんデメリットもあるかもしれない、そこをどう判断して行動するか。

 私は、日本は自由と人権と法の下での平等を尊重する国家として一定の地位を占めることが、日本のこれからの矜持というか立場で極めて重要だということを申し上げておきたい。

 そうした文脈の中でお伺いしますが、ロシア機の飛行禁止、今、三十か国以上が禁止をしていると言われている。ANA、JALもロシア上空を通らない迂回便を使い始めている。ある一部には、これはロシアより日本が受ける損害が大きいので効果的な制裁とは言えないという議論もありますが。

 私はこの質問の二から四を一括して問うているわけですが、これはやはり、そうであっても、自民党も佐藤議員なんかはこれはやるべきだと言っているわけですが、日本の上空を飛ばないようにするというのは、最低限G7の行動と一致することで、必要だと私は思っておりますが、このことについての外務大臣の答弁をお伺いしたい。

林国務大臣 ロシア機の領空通過禁止を発表した国については、網羅的に全ての国の措置、これを把握しているわけではありませんけれども、イギリス、カナダ、EU、米国が既に発表をしていると承知をしております。

 本邦の航空会社の欧州便については、各社の判断によって、既に全日空が南回りルートによりフランクフルト便、ブリュッセル便を運航しておりまして、日本航空が北極経由ルートによってロンドン便を運航しておるところでございます。

 まさに、こうした更なる措置については、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に取り組んでまいりたいと思っております。

松原委員 今の大臣の議論は、G7の国々がこういった措置を取るならば日本も一緒にやる、そういう意味でおっしゃっているんですか。確認をさせてもらいます。

林国務大臣 まさに、国際社会、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

松原委員 踏み込みがちょっと足りないわけでありますが、G7がそういうことをするならば、既にやっているのかもしれないけれども、この段階で。それは、日本もそういったことをやるという私は御認識が示されたというふうに期待をいたしております。

 その上で、サハリン1、政府が出資している、これは前の松野官房長官の質疑もありましたが、これに関しては、政府の判断が入ると海外は見ています。日本の政府がロシアとのつき合いをどうするのかというのを海外のG7は見ている、どこまで本腰を入れるのかと。

 みんな、返り血を浴びていますよ。もうこれはデータは今細かく言いませんが、ヨーロッパの金融機関では五〇%ダウンするところもあると言われている。それでも歯を食いしばって、自由を守るために行動している。

 日本の場合は、二〇一四年にクリミア半島をロシアが占領した後、どういう経緯か分からないけれども、その後、八つぐらいのプロジェクトをロシアとの間でやっている。ロシアに対して誤ったメッセージを送ったというふうな議論もあるんですが、いずれにしても、サハリン1に関しては、これは国が、経済産業所管でありますが、出している以上、経済産業大臣ではなくて、日本の国の外交のシンボルである、外国の人が日本の外交の一つのシンボルとして見ている大臣としては、このサハリン1、どうすることが適切とお考えか、お伺いします。

林国務大臣 このサハリン1については、国際的な対ロシア制裁の強化の動きの中で、我が国のエネルギーの安定供給等の観点を十分考慮しながら、G7とも歩調を合わせて、適切に対応してまいりたいと考えております。

松原委員 G7がこういったものに関して、アメリカが今回やったような強烈な対応を共に行った場合、ヨーロッパの、日本はそれに追随をする、こういった御認識が示されたんだろうと私は思っております。これ以上は問いません。

 それで、私は、こういったことを含めて、先ほどから議論にあるんですが、G7の国と一致して動くということの中で、前回のこの外務委員会でも御質問させていただきましたが、G7で日本以外の国が持っている様々な人権侵害制裁法案、俗称マグニツキー法、それからいわゆる人権デューデリ、こういったものを日本が持っていないというのは、今、G7との連携の中でと、これは大臣、常に枕言葉として言っていて、その枕言葉にすっと入るためには、やはりこれは必要じゃないかと思いますが、外務大臣としての思いを聞かせていただきたい。

林国務大臣 日本は、人権を普遍的な価値であって、人権擁護は全ての国の基本的な責務というふうに考えてきております。そうした意味で、普遍的な価値である人権を擁護するとの基本的な考え方、これはG7の各国で完全に一致をしております。

 人権侵害に対してどのような対応が適切かについては、この一貫した立場に沿って各国が適切と考える対応を取ってきておりまして、そういう意味で連携を取ってきているというふうに考えております。

松原委員 外務大臣も思い切ってどこかで総理と相談して発言してもらいたいわけですが、外形的に人権侵害制裁法を持っていない、外形的に人権デューデリがない。これは、我々は気合が入っているんだ、やるんですよ、G7と一緒に、いや、外形的にないじゃないかと言われてしまうわけであって、ここで質問を繰り返しませんが、これ、毎回、私、外務委員会で立つ限り質問させてもらいますから。どこかで明快にやりますと言ってもらわなかったら、外務大臣としての矜持に、僕はいささかどうなんだろう、こう思うわけなんですよ。これはやってほしい。

 次に、ロシア、中国の報道規制、これなんですが、アメリカのNSCのホーン報道官は、ウクライナ侵攻をめぐるロシア政府の報道規制、すさまじい報道規制が出されました、非難している。

 当然日本も非難していると思いますが、どういう形で非難しているのか、政府及び政府のスポークスマンが。非難していないとすれば、なぜ。大臣の御所見をお伺いします。

林国務大臣 今回のロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、明白な国際法違反であり、厳しく非難をしております。

 そのような中で、ロシアにおいて、報道の自由、これを制約する法律が成立したこと、また、それを受け、外国メディアがロシアでの活動を停止せざるを得ない状況となっていること、これを強く懸念をしております。

 三月四日に発出したG7外相声明でも、ロシア政府や政府系メディア等がウクライナに対する軍事侵略を支援するために偽情報、これを広範に使用していることを非難したところでございます。

松原委員 懸念しているということと同時に非難した、こういうことでいいんですか。その部分だけ、一言だけ。大臣。

林国務大臣 先ほどの後段で申し上げましたように、G7の外相声明でも非難をしたところでございます。

松原委員 ロシアの原発攻撃に対しても、同じく非難はされていますでしょうか。

林国務大臣 三月の四日に行われましたザポリッジャ原子力発電所に対する攻撃、これは決して許されない暴挙でありまして、東電福島第一原子力発電所事故を経験した我が国として、強く非難をしております。

松原委員 次に、国際パラリンピックが行われているわけでありますが、アンドルー・パーソンズ会長の事実上のロシア非難のスピーチが中国で一時通訳されなかった。このことに関してはどういう御認識か。コメントするに値しないというのであれば、そうおっしゃっていただいて結構です。

林国務大臣 今委員からお話のありました、北京冬季パラリンピック開会式におけるパーソンズIPC会長によるスピーチ、これは承知しておりますが、他国における放送ぶりの一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと思います。

松原委員 コメントをしてもいいんですけれどもね、本当は。他国によるものであっても、パラリンピックに日本は参加しているんだから。

 もうちょっと主体的に外務大臣も御発言をいただけると、非常に国際社会に対する日本のアピールもできると思っております。その辺の議論は、更に、時間があれば、この後続けていきたいと思います。

 次に、中国の台湾統合の可能性というのが様々なメディアでも言われているわけでありますが、中国が軍事予算を七・一%増やしていることについての大臣の御感想。

 随分軍事大国になったな、これはちょっと、何のためにこんなに増やすんだと。増やす理由というのは中国しか分かりませんが、やはり七・一%も軍事予算を増やしていることに関して何らかの懸念を僕は示すべきだと思うけれども、大臣の御所見をお伺いしたい。

林国務大臣 政府といたしまして、五日から中国で開催されている全国人民代表大会、これを含めて、中国国内の動向について、関心を持って注視をしております。

 この中国の国防予算でございますが、長きにわたって高い伸び率での増加を継続しておりまして、こうした国防費を含む中国の国防政策や軍事力については、その透明性を一層高めていくことが望まれるわけでございます。

 政府としては、引き続き、重大な関心を持ちながら関連の動向を注視していくとともに、中国側に対して、国防政策の透明性向上、これを働きかけていきたいと考えております。

松原委員 ここでお伺いしたいのは、政府参考人にお伺いしますが、台湾周辺における中国側の軍事的な活動はどうなっているか、簡潔にお答えください。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、中国が軍事力の強化を急速に進める中、中国と台湾の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化し、その差は年々拡大する傾向が見られます。

 また、中国軍機による台湾南西空域への度重なる進入を含め、中国は、台湾周辺における活動を更に活発化させるとともに、新型の航空機を投入するなど、その態様も多様化、高度化させています。

 こうした中国の軍事動向などは、国防政策や軍事力に関する透明性の不足と相まって、我が国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっております。

 防衛省としては、今後とも強い関心を持って注視してまいります。

松原委員 防衛省の政府参考人さんが、今、我が国のまさに様々な国防を考える上での強い懸念となっていると。当然、この強い懸念となっているという防衛省の方の認識は、内閣一致でありますから、林大臣も同じ認識を持っているだろうというふうに思っております。

 王毅外相は、ウクライナ問題と台湾問題は本質が違う、ウクライナ問題は国対国の話だが、台湾問題は国内問題であるというふうに言ったわけであります。これは、今言った、台湾の問題は国内問題であるがゆえに、ウクライナにロシアが侵攻するのとは全く違う次元の議論だというふうに王毅外務大臣が言っているように聞こえるわけでありますが、これについての大臣の御所見をお伺いしたい。

林国務大臣 両岸関係につきましては、経済分野を中心に深い結びつきを有している一方で、その軍事バランス、先ほど防衛省からもありましたように、中国側に有利に変化しており、その差が年々拡大する傾向が見られるわけでございます。

 中国による台湾への武力侵攻の可能性については、事柄の性質上、お答えを差し控えたいと思いますけれども、台湾海峡の平和と安定、これは、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要だと考えております。

 台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した我が国の立場でございまして、そのような立場から、台湾をめぐる情勢について、引き続き、関心を持って注視をしてまいります。

松原委員 リスクがあるということを十分認識していただきたいと思います。

 今回のウクライナ侵攻が、最終的に、国際世論の圧倒的な批判を浴びながらも、プーチンが所期の目的を達成すれば、力は言論より強いという認識を持つ国家はたくさんあると思います。そのことは我々は本気で注意しないと、次は我が国に火の粉が降りかかってくると思っております。

 同じように、大変に非常識なならず者国家である北朝鮮、三月五日に九回目のミサイルを発射した。前の外務委員会の質問でも言っておりますが、ここまでやって、金正恩の資産凍結をしない。プーチンの資産凍結はしているけれども、金正恩の資産凍結はしない。アメリカはやっているけれども、しない。なぜしないんですか。大臣、お答えください。

林国務大臣 これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含めて、一連の北朝鮮の行動、これは、日本や地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できるものではないと考えております。

 この政府の対応の詳細を御説明することは控えますが、政府として、北朝鮮に対する対応については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、何が最も効果的かという観点から不断に検討を行ってきておりますし、今後も行ってまいりたいと考えております。

松原委員 全然お答えになっていないんですよ。

 つまり、なぜ、金正恩という、プーチンよりもはるかに日本にとっては問題のあるこの人物の個人制裁、いまだにやらないんだ。アメリカですらやっている。大臣のお隣にいる平沢さんも、そうだそうだという感じでうなずいているわけでありますが。

 これはやはり、やらなかったら、拉致問題を本気で解決するなんという声は世界に届きませんよ。あんたの国はやることをやっていないじゃないか、こういう話になるわけで、これも、これから外務委員会で質問するごとに、深掘りをしながら聞いていきます。

 今日は時間がありませんから、次へ行きます。

 これもちょっと、あと六分なので、できるかどうか。中国大使館、日本のですね、前回も質問があったんですが、このことで私は、昨日も様々事前レクをやりましたが、どうも釈然としない。どうなっているのかということであります。

 従来、どういうふうな日本人の大使館員の拘束があったか。3でありますが、お伺いします。

岩本政府参考人 お答えいたします。

 中国においては、一九九六年及び二〇〇二年に、それぞれ、在中国日本大使館の館員が、公務中にいわゆる軍事立入禁止区域に意図せず立ち入り、中国側当局による拘束を受けたとの例がございます。これは、いずれも外交関係に関するウィーン条約違反であり、中国側に対して抗議を行いました。

 このほか、二〇〇八年に、在中国日本大使館の館員が北京市内において中国側当局から事情聴取を受けた例があり、中国側に対して申入れを行っております。

 なお、二〇一一年には、在瀋陽日本総領事館の館員が公務中に一時的に拘束された例がありまして、領事関係に関するウィーン条約違反であるとして、中国側に対して抗議を行いました。

 以上が過去の事案の事実関係でございますが、その上で申し上げますと、中国側によるそれぞれの措置の中国側の理由については、我が方からは説明する立場にはないという考えでございます。

松原委員 これはもう四回、五回やっているんですよ。二度あることは三度ある、三度あることは四度ある、四度あることは五度ある、五度あることは六度ある。

 これは、日本からけしからぬと言っているんですか。日本側の対応をお伺いします。

岩本政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、それぞれの事案を受けまして、中国側に対して抗議又は申入れを行っているところでございます。

松原委員 この申入れは全く有効に機能していないということを、この五回にわたる同様事件の発生で我々は認識しております。

 大臣は、こういった日本側の抗議は有効だったと思っていますか。

林国務大臣 政府参考人から今お答えをしたところでございますが、今回も、直ちに中国側に対して厳重な抗議を行うとともに、謝罪と再発防止を強く求めております。

 それぞれの事案について、中国側の意図等を説明する立場にはございませんけれども、我々は、ウィーン条約違反でもある、外交官の身体の不可侵に明白に違反するものであるということで、引き続き、厳重な抗議を行って、謝罪、再発防止を強く求めたということでございますので、この認識に沿って対応してまいらなければならないと思っております。

松原委員 毎回、再発防止を言っているんですよ。再発防止を言っているんだけれども、平気で再発はする。日本政府はメンツ丸潰れ。日本政府の再発防止の声というのは、こういう表現は使いたくはないけれども、ばかにされているんじゃないかな、こう思うんですよ。とんでもない話ですよ。再発防止を申し入れる以外の手法というのは全くないのか。

 私は、外交官の身分というのは日本の主権が化体されている、こう思っているんですが、これはどうなんですか。事務的に答えてください。

岩本政府参考人 お答えいたします。

 一般に、国際法上、主権とは、国家が自国の領域において有する他の権力に従属することのない最高の統治権のことをいうと解されております。この主権が他国により侵害されれば、それは主権侵害に当たり、例えばですが、中国公船の我が国尖閣諸島周辺の領海への累次にわたる侵入は、我が国主権の侵害でございます。

 今般、在中国日本大使館員が、その意に反して中国側当局により一時拘束されました。外交官は、派遣国を代表しておりますが、国家そのものではないため、この中国側の行為を国家の主権侵害と同一視することは必ずしも正確ではございませんが、ただ、外交関係に関するウィーン条約の極めて重要な規定である外交官の身体の不可侵に明白に違反するものでありますので、この点については到底看過できず、断じて受け入れられないというのが日本政府の立場でございます。

松原委員 ハーグ裁判所に、この手のやつは、扱えというふうに言うなり、日本大使を召還するなりという、もう六回ぐらいやっているんですよ、一回、二回じゃないんですよ、それぐらいの厳しい態度を出すべきじゃないかと思いますが、大臣、御所見をお伺いしたい。

林国務大臣 先ほども述べましたとおり、今回の事案は外交関係に関するウィーン条約の明白な違反であり、到底看過できず、断じて受け入れられないと考えております。直ちに中国側に対して厳重な抗議を行うとともに、謝罪と再発防止を強く求めたわけでございます。

 今後の対応について、現時点で予断することは差し控えたいと思いますが、中国側に対しては、本件について今後適切な措置を取る権利、これを留保する旨を明確に伝えておるところでございまして、中国に対して、引き続き厳しく対応を求めてまいりたいと思っております。

松原委員 今回、実は、質疑に至るやり取りで、一体何があったんだと。中国は、いけしゃあしゃあと日本に対してこう言っているんですよ。外交関係に関するウィーン条約は、外交官の行為に対する制限について、外交官は駐在国の法律、法規を尊重する義務を有していると言っている。日本に対して強く強く、再びこういったことが起こらないよう再発防止を要求していると中国は言っているんですよ。再発防止を中国が、するなと言っているんですよ、これは。非常に水かけ論みたいな話ですね。

 問題は、じゃ、何をやったのか。外務省は何をやったかは言いませんと言う。中国も、その質問に対しては、身分にふさわしくない事情があった、やったことがある、その内容は日本大使館に聞けばいいだろうと。こんな人をばかにした話がありますか。

 相手と同じ土俵に乗らないというのは、それは結構ですよ。でも、相手と同じ土俵に乗らないで、相手がどんどんずかずかと家の中に入ってくるような、こんなことを許していて、日本人のプライドはどうなるんだ。日本人のまさに主権の思いはどうなるのか。

 私は、今日、この質問はここまでにしますが、まだ継続してやっていきますよ。明確に、日本は相手と同じ土俵でも言うべきですよ。相手と同じ土俵で言って、余りそんな下品なけんかをやりたくなくたって、やるべきですよ。もう六回やっているんですよ、六回、相手は。相手がこういうことを言って、日本には再発防止を申し入れている。そんなことをやったのか。僕はやっていないと思う。言うべきですよ。

 今日は、その他にも、いわゆる尖閣諸島の上陸のリスク、日本側のEEZ内における中国の地下資源探査リスクについて質問する予定でしたが、これも筆頭理事に頼んでまた次の機会を是非いただきたいと思っているわけであります。

 いずれにしても、これは中国におもねっているというふうに総括されてしまっても、そうみんな思ってしまう内容なんですよ。本当に残念無念でありますが、この場では、これ以上大臣に答弁は求めません。次回にまた繰り越しますが、私は、日本の外務省は日本の国益を本当に守る気があるのかと。今回、ウクライナではそれなりに踏ん張った。当然、それは、金正恩の個人資産の凍結も含めて、そして今みたいなことも、あえて泥仕合やるべしということを強く申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 会津出身の小熊慎司が、長州の林大臣にお聞きをいたします。

 また、大臣におかれましては、私が、新井将敬先生の秘書の後に、元外務大臣の伊東正義先生の後継の斎藤先生の秘書になったときに、衆と参と違いがありましたが、同期扱いということで、そうしたことでいろいろな御指導をいただいていたわけであり、私も初当選が参議院でありましたから、参議院のときも党派を超えていろいろ御指導いただき、また、今GNPからGNIに指標が変わっているのも、これは超党派の議連をつくってそれを実現したということで、様々、いろいろな結果も出してきているところであります。

 林大臣の人格、能力については、太さんからも言ったとおり、将来の総理候補の最右翼ということでもありますが、外務大臣、非常に重要な役割を担っていく上で、今課題も多い中で、しっかりとその能力を発揮してこの課題解決に努めていただきたいということを冒頭申し上げ、質問に入ります。

 在日米軍駐留経費、松原委員は、この強靱化というのもきちっとアメリカにも伝えるようにしようと。今まで、思いやり予算は俗称、ホスト・ネーション・サポート、いろんな言い方がありましたけれども、これは個人の感覚です、同盟強靱化予算というのは、今風に言うと、いきっているなという感じがして、昭和っぽいというか、しょっぱいというか。この手のものって、政治家の発想として言えば、こういう略称をつけるときには、本質を表すために分かりやすく言う場合と、ごまかす場合に、オブラートに包むためにこういう略称を使う場合と、いろいろあると思うんですね。

 僕は、在日米軍駐留経費というのは非常に大事な、これは国民に理解を求めなきゃいけないと先ほど徳永さんも言っていましたけれども、ある意味では、在日米軍駐留経費強化予算とかで素直にやっていた方がいいと思うし、大事なことは、これは本質の問題です。いろんな問題を含んでいます。

 本質の問題を一問だけ私は通告していますけれども、これは一方で、外形的には片務性とか非対称性なので、だから、前大統領のトランプは、不公平だ、増額しろとやっていたわけですよ。

 日米同盟というのは、外形的には非対称性ですけれども、日本に在日米軍がなければ、沖縄の基地負担は問題ですよ、だけれども、米軍が日本にあること、また、日本が、価値と様々な法体系を共有している国が東アジアにあるということでどれだけアメリカが助かっているかということも、これは、多くの方が理解しているけれども、理解していない人もいる。だから、外形的なものだけ見て、不公平だ、日本は金だけで血を流さないじゃないかみたいな単純な議論に陥ってしまうんです。これは、日本が日本でなければ、違う国体であれば、アメリカが東アジアに投じなきゃいけない犠牲というのはもっとあったはずなんです。アメリカも得をしているんです。

 この日米同盟というのは、いろいろな問題、地位協定や沖縄の問題もありますけれども、総枠的にはお互いの国にとって合理的な利益をもたらしているんです、地域の安定ももたらしているんです。でも、これがちゃんと理解をされていない。だから、そういう、不公平、又は余計な負担が必要だというようなことにもなりかねないんです。

 だから、外形的には非対称性なんですけれども、意味的には非常にお互いの国にとっていい、地域にとっていいということをもっと理解を、政治家の人たちも含め、我が国においてもそういうふうに考えてしまう人がいるわけです、両国共にこの理解を深めなきゃいけない。そうでなければ、この経費負担が正しいのか、その意味に合っているのかということが判断できないんです、それは、だから、徳永先生が細かくやりましたけれども。

 ですから、外形的には違うもの、ただ、意味的にはお互いのウィン・ウィンになっているということをもっと強く打ち出さなければならないというふうに思いますが、それについて、そうした本質的な説明をしっかり打ち出していくこと、これは国民を含めてです、両国民含め、どうしていくのか、お伺いいたします。

林国務大臣 小熊委員には、長らくいろんな活動を御一緒させていただきまして、またこうして御質問をいただける、大変ありがたく思っておるところでございます。

 そして、大変本質的な御質問を賜りました。我々、こういう場で専門家の皆様から御質問を賜ると、どうしてもそこの当たり前の部分が当然の前提として抜かされてしまうということを、改めて思いを今いたしておるところでございますが、やはり、この基本的な認識の部分をいろんな方にしっかりと、分かっていると思われますけれども、改めてという形も含めてやっていくことは大変大事なことだと思っております。

 まさにそういった意味で、安保条約ですが、第五条で、我が国への武力攻撃に対して日米が共同で対処することを定めております。そして、第六条で、米国に対して、我が国の安全に寄与し、及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与するため、我が国の施設・区域、これを使用することを認めておるわけでございます。

 まさに今、小熊委員がおっしゃっていただいたように、日米両国の義務というのは、形として一緒というわけではありませんけれども、全体として見て日米双方の義務のバランスは取られておるわけでございまして、片務的ではないということでございます。

 この日米安保体制の下で米軍の前方展開を維持することによって同盟の抑止力、対処力を高めるということが、日本の平和と安全の確保にとって不可欠であります。

 同時に、在日米軍の施設・区域は、極東のみならず地域への米軍の前方展開を支えて、インド太平洋地域全体における米国の利益の確保にも大きく貢献をしているわけでございます。

 今年一月の日米2プラス2においても、岸防衛大臣とともに、ブリンケン、オースティン両長官との間で日米同盟の意義についてじっくりと意見を交わしまして、会合後に発出した共同発表で、地域の平和、安全及び繁栄の礎としての日米同盟の不可欠な役割を認識した、この旨を世界に向けて力強く発信をさせていただいたところでございます。

 引き続き、アメリカとも緊密に連携の上で、日米双方の国内関係者への理解の増進、これに一層努めていきたいと考えております。

小熊委員 今の、大臣が語られた本質というのがしっかり国民の皆さんにも伝わっていかなきゃいけない。アメリカの国民もそうです。

 これをやっていかないと、先ほど徳永委員が指摘されたとおり、トランプさん、むちゃくちゃなことは言っていたんですけれども、金額だけの話だったので分かりやすいといえば分かりやすいんですけれども、今回のこの駐留経費は質の変化です。

 資機材の話も、これは質の変化ですから、質が変化するときには、それが相応の負担なのか、両国にとっていいことなのかということをきちっと判断するためには、この本質というのを毎回確認をしていかなきゃいけないわけです。我々も、国民に説明するときに、こういう本質があるからこれは合致しているんですと説明しなきゃいけないんですけれども、ただ、この質疑の中でも、また、我が党でも部会をやりましたけれども、この訓練資機材調達費に関してはまだちょっと曖昧さが残ります。

 今後も、日米同盟、永続的に続くと思いますけれども、東アジアの地域のパワーバランスによってはいろいろまた変化をしていかなきゃいけない。そのときに、逆に不公平が出る、日本の負担増になる、適正な、合理的な負担ではなくて、アメリカの無理な要求での負担が増えないようにするためにも、しっかりとした基準というのがなければならないんですね。もちろん明確に言い切れないものもありますけれども、そうした意味で、今回、あえて本質的な質問をさせていただきました。

 今回の訓練資機材調達費は、おおむね分かるんですけれども、やはり曖昧さが残っているという点については、これは今後もしっかり検証していかなければなりませんし、バイデン政権においては、多分、量より質の話を今後もしてくると思うので、徳永議員が懸念したとおり、今後また新たな質の変化があったときに、しっかりこれも我々はチェックをしていかなければいけないという点においては、本質的な議論をしっかり国民の皆さんに伝わるようにしていかなければなりませんし、アメリカの方で吹っかけでくるのかもしれないけれども、本質から外れた、単に外形的な話で不公平だろうと言ってくるものに関してはしっかり押し返しをして、お互いの合理的な利益のために議論していただきたいなということを指摘して、次の質問に移ります。

 ロシアによるウクライナ侵攻を考えれば、これは数年前のことから起きているわけでありますけれども、松原議員が聞いたロシア航空機の飛行禁止措置、これは僕は即座にやるべきだというふうに思っています。

 というのは、G7の話もありましたけれども、これはやはり、ロシアも日本の出方を見ているのは大臣御承知のとおりで、ある意味では、直接対決しているわけではないですけれども、けんかと一緒ですから、足下を見られたら駄目なんですよ、なめられたら駄目なんですね。

 これは、日本は即座にやるべきだったというふうに思いますが、また重ねてお聞きします。この飛行禁止措置を早急に講じるべきだと思いますけれども、大臣のお考えをお聞きします。

林国務大臣 ロシア航空機の領空内飛行を禁止する措置を含む更なる措置については、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

小熊委員 早急な判断が必要だというふうに思います、巧遅は拙速にしかずという言葉もありますので。

 大事なことは、先ほど、返り血を浴びるという話、徳永先生がしましたけれども、確かにそうなんです。これは、経済制裁、制裁物というのは、相手の国に打撃を与える部分もあるけれども、我が国の経済活動にも影響が出てくる、だからそれをしっかり支援を保証しなきゃいけない。

 でも、実はこの航空機関係でいうと、これは禁止措置はしていないんですけれども、相手もしていないんですが、これはもう既に実はいろいろな影響が出ているんです。もう既に、航空会社が自主的な判断で迂回しているんですね。そうすると、人的な部分で負担もある。あと、今、燃料価格が高騰している中で、燃料のもちろん負担も生じているんです。

 実は、経済制裁をしていないんだけれども、禁止措置をしていないんだけれども、自主的なことで、またいろいろな経済の動きの中で、既に返り血というか打撃を受けている企業や分野があるんです。これに対しては支援しなきゃいけないと思うんです。

 飛行禁止はしていないけれども、もう既に、民間が勝手にやっているから、それはそれだよといったって、これは、こういう状況の中で、それはやらざるを得ないですよ。そういうものに対する支援はどうですか。もう既に、直接的な経済制裁での返り血は浴びていないんだけれども、この緊急的な事態で、民間会社だってこれは命を預かっていたりしますから、安全のために余計にお金がかかっている、負担がかかっている、対する支援まで含めてやらなければいけないと思いますけれども、それについての見解はどうですか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事態を受けまして、我が国を含めて、各国様々な措置を講じております。これによりまして、ロシア経済への影響、委員御指摘のとおり、既に出始めているということでございます。

 同時に、今回の事態を受けまして、国民の皆様、日本企業等に様々な影響が及ぶということは避けられないということでございますけれども、今回のロシアによるウクライナ侵略、断じて許すことはできない。この大きな目的のために、また、ウクライナ国民への連帯を示すために、国民の皆様からの御理解は賜りつつ、外務省といたしましても、関係省庁と連帯をして、国民の皆様への影響をできる限り抑えるように取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

小熊委員 早急なロシア航空機の飛行禁止措置を求めるとともに、今、やっていなくても既にいろいろな損害が、損害というか負担が生じているということに対する支援は、これは即座に決めてください。禁止措置はまだちょっと判断まで時間がかかるということでありますが、今起きていることに対する支援措置はすぐ決めていただきたいというふうに申し上げて、次に移ります。

 これは、参議院の予算委員会の中でも、大臣、聞かれていて、答えていますけれども、いわゆる日ロの中での八項目の協力プランですけれども、これはもう既に二百以上のプロジェクトが動いていて、大臣は、新たな経済案件は進めないと。じゃ、今のやつはどうするのかという話で、衆議院の各委員会でも、外務省に予算はついていませんけれども、ほかの省庁ではいろいろ予算がついているんですね。これを停止するのかどうかです。

 すぐお金を停止できるものもあれば、人的交流なんというのは、行っちゃっている人は帰さなきゃいけないし、こっちにいる人はどうするんだという話もあって、これは方向性を決めなきゃいけないんです。

 大臣は、新たなものはやらないというのは、そこは明確ですけれども、今あるものをどうするというのは、参議院の予算委員会の議事録を見ると、個々のことなので個々に検討すると言っているけれども、それじゃ遅いんですよ。方向性としてやめる、個々には調整するということじゃないですか。今から検討なんですか。

 だから、経済制裁をしますといっても足下を見られるし、ウクライナの人に、言葉はいいけれども、日本、覚悟が決まっていないよねと言われちゃいますよ。ロシアだってそう見る。

 今、この八項目で、各省庁で、概要としては、どのぐらい、どんなものが予算がついて進んでいるんですか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 各省庁にどれだけ予算がついているかということにつきまして外務省の方から今お答えすることはできませんけれども、少なくとも、外務省において、この八項目の協力プランの下で実施される個別の民間プロジェクトのための予算として計上しているものはございません。

 いずれにしても、各事業、各省庁、様々やっておりますけれども、今後、それぞれの事業ごとに検討がなされていくというふうに理解しております。

小熊委員 最後に大臣にお聞きしますけれども、もう時間がないので、この後また質疑の機会でやりたいと思いますが、これは来年度の予算にだって入っているんですよ。これをどうするかということです。それをやらなければ、本当にロシアに対するメッセージにはならないし、国際的連帯にはならないと思います。

 この八項目の協力プラン、それは個々によっていろいろ違うんですけれども、詳細にわたって検討して、これも停止の方向に向かっていくということについては、大臣、取り組んでいただけますか。

林国務大臣 既に、今、小熊委員から御紹介いただいたような答弁をしております。新たなものについてはやらないということでございますし、こういう状況で、総理も、我が国の基本的な立場、すなわち領土問題を解決して平和条約を締結するという立場は変わりませんけれども、今これについて申し上げる状況にはないと申されておりますので、基本的な考え方としては、新しいものをやらない。では、今のそれぞれの事業はどうかといえば、進捗状況はまちまちでありますけれども、その事業ごとの、必要に応じて検討がなされるわけですが、今私が申し上げた基本的な考え方に沿ってこの検討はやるべきだというふうに考えております。

小熊委員 二百もあるので、続けるものがあったとしたらいろいろな問題が生じますから、これはまた引き続き議論させてください。停止するという方向で検討していくということで受け止めたいと思います。二百もありますから、しっかりやってください、停止の方向に向けて。

 以上で終わります。ありがとうございました。

城内委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 本日、質疑に立たせていただきまして、誠に感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、在日米軍駐留経費負担に係る特別協定について質問をさせていただきます。

 国際社会の状況は、これはもう常に常に変化の連続でございます。今国会の開会日に林外務大臣は、外交演説の中で、国際社会のパワーバランスの変化が加速化、複雑化し、日本を取り巻く安全保障環境も厳しさと不確実性を増していますと述べられました。ウクライナの情勢など国際社会の現実を直視すれば、公明党は、この林大臣の御認識、これは正しい御認識であるというふうに理解をしております。

 そうしますれば、日本の外交政策もそのような厳しさや不確実性に的確に対応していかなければならないことは、もうこれは言うまでもないことであると思います。

 その上で、やはり重要なことは、日本の外交、安全保障の基軸である日米同盟の強化でございます。基軸である以上、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す現実が存在するのであれば、そのような状況に的確に対応すべく、日米同盟の抑止力、対処力が強化をされなければならないと思います。

 事実、日本の固有の領土である尖閣諸島に対する隣国の不適切な行いや、ミサイルを連発する北朝鮮、また、先般はロシアのヘリと推定される一機が北海道根室半島沖の領海上で領空侵犯を犯しております。このように、日本を取り巻く安全保障環境は、事実、厳しさを増している。日本の主権と国民の安全を確保するためには、日米同盟の抑止力、対処力が強化されるべきは論理必然であると思います。

 以上を前提に、質問に入らせていただきます。

 林外務大臣は、三月一日、本会議で私が、HNS協定に関する代表質問、公明党を代表して質疑に立たせていただきましたけれども、この協定に関する意義に関連しての質問に対して、インド太平洋地域の安全保障が一層厳しさを増す中、日米同盟及び在日米軍は、我が国の防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためになくてはならない存在です、その中で、在日米軍駐留経費負担、すなわち同盟強靱化予算は、在日米軍の円滑かつ効果的な活動、米軍の地域への前方展開を確保する上で重要な役割を果たしておりますと答弁をされております。

 この点について、私、今から質問申し上げますが、これまでも質問がございましたけれども、公明党からも質問申し上げたいと思います。それは、この答弁の中で用いられた同盟強靱化予算という用語でございます。

 これまで、在日米軍駐留経費負担、予算という名前はついていませんでしたけれども、という用語であったり、マスコミ的には思いやり予算という用語も用いられてきました。在日米軍駐留経費負担という用語も思いやり予算という用語も、私は、この予算の本質を適切に表現してこなかったのではないかというふうに感じております。

 そこで、まず初めの質問として、同盟強靱化予算という用語を用いることとした意義について、改めて確認をしておきたいと思います。答弁をお願いします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としては、厳しい財政状況を踏まえつつ、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、在日米軍の安定的なプレゼンスを支えるとともに、日米同盟の抑止力、対処力をより一層効果的に強化していくことが必要であるという認識の下、主張すべきは主張しつつ、協議を重ねてまいりました。

 日米双方が真摯に交渉を行った結果、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるだけではなく、自衛隊を含む日米同盟の抑止力、対処力をより一層効果的に強化していくことに資する、また、厳しい財政状況を踏まえ、めり張りをつけた経費負担の合意を得ることができたと考えております。

 このように、これまでは在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でありましたが、今回の合意により、本件経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤を構築することで一致したことを踏まえまして、今回の合意に基づく在日米軍駐留経費負担の性質を端的に示すものとして、その通称を同盟強靱化予算とすることとしたものでございます。

吉田(宣)委員 在日米軍と自衛隊が、法の支配の下、機能的連携を強化する内容であると。今般の予算の内容は、厳しさを増す日本の安全保障環境に的確に対応すべく、強靱化という表現がより適切であるというふうに、名称が適切に変更されたというふうに理解をしたところでございます。

 次に進みます。

 先ほど私が申し上げた林大臣の公明党の代表質問における答弁の中で、繰り返しでございますけれども、米軍の地域への前方展開を確保すると答弁がされているところでございます。インド太平洋地域の平和と安定のためとの文脈での答弁でございますから、私はその文脈で理解をしているつもりでございますが、改めて、この米軍の地域への前方展開を確保するという答弁内容について、できますれば、具体的に分かりやすく説明をいただけたら幸いでございます。答弁をお願いいたします。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 インド太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟及び在日米軍は、我が国の防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためになくてはならない存在でございます。

 その上で、在日米軍の施設・区域は、米軍の地域への前方展開を支えております。具体的には、横須賀に空母ロナルド・レーガンを含む第七艦隊がプレゼンスを維持していることや、嘉手納飛行場を拠点に第五空軍が警戒監視などを実施していること等は、地域の平和と安定に貢献するものでありまして、自由で開かれたインド太平洋の維持強化において重要な役割を果たしている、こういうことと考えてございます。

吉田(宣)委員 日本の安全保障というのは、私は、日本の周辺国だけの環境認識だけでは十分でないというふうに思っています。地域地域、近い地域が複雑かつ密接に関係性を有しながらも、私は、それが広域に関連している構造というものがあると思っています。それを正確に認識することが大切だと思っております。

 個別具体的な地域を挙げるとちょっと差し障りがありますので、非常に抽象的な表現にとどめたいというふうに思っておりますけれども、そのような、日本から例えば離れた地域での構造変化みたいなものが、離れているから日本に無関係ということでは決してないというふうに考えなければいけないと思っています。その意味では、インド太平洋の平和と安定というものは、私は、そのまま日本の平和と安定に直結していると考えなければいけないのではないかと感じております。

 そういった意味におきましても、この同盟強靱化予算が在日米軍の役割を通じてインド太平洋地域の平和と安定に寄与しているというこの意義は極めて大きいというふうに私は思っているところでございます。

 次の質問に進ませていただきます。

 次に、特別協定改定において、この同盟強靱化予算に新たに追加された項目として、先ほど来質問もございますけれども、訓練資機材調達費というものがございます。

 三月一日の、改めて、私の公明党を代表する質問において、岸防衛大臣は御答弁の中で、訓練資機材を日米共同訓練にも活用することにより、自衛隊と米軍との相互運用性を強化し、日米共同対処能力の向上につながると考えていますとお述べになられました。

 私は、同盟強靱化予算という表現を使う上で、この点は大変に大きな意義があると理解をしているつもりです。すなわち、自衛隊が米軍と共同訓練を行うという点でございます。日本が自国予算を活用するわけですから、日本の自衛隊の能力向上に資することになる点に私は大きな意義があると思っています。

 このことを前提に、二点質問いたしたいと思います。

 岸防衛大臣の答弁で、本協定に基づいて調達する訓練資機材として、現時点では、ネットワークを介して複雑かつ大規模な訓練を実施するためのシステム機材を挙げておられます。そこで、このシステム機材について、もう少し分かりやすく説明をいただければと存じます。答弁をお願いします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の訓練資機材、LVCシステムと呼んでおりますが、これは、ネットワークを活用して複雑かつ大規模な訓練を実施することを可能にするシステムであります。具体的には、実動演習とシミュレーターでの演習をネットワーク上で統合し、さらに、人工知能を活用して生成される仮想の敵を当該のネットワーク上に出現させるというものであります。

 日本国内では、訓練場所が各地に分散している上、演習場や空域の広さが十分でないなど、米本土と比較して大規模な訓練を十分に行えない状況にありますが、このLVCシステムを活用することで、実動とシミュレーションのネットワーク上での統合によって、多種多様な部隊の参加を得た大規模な訓練を特定の訓練区域に集結させることなく実施ができる、また、AIが生成する仮想敵を活用することで、実際の対処の場面により近い環境を模擬した訓練が可能になる、こういったことなど、より実践的な訓練を柔軟に実施することが可能になり、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化に大きく資するものと考えてございます。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 自衛隊と米軍が、離れていても、近くでリアルに行うかのごとく共同訓練を実施できる機材であるというふうに私は理解をいたしました。大変に有意義であると私は思っております。

 これは、リアルに複雑かつ大規模な訓練を実施するためには、恐らく、財政的にも物理的にも、また危険度の大きさにおいても大変な負担を生じるという観点からは、このシステム機材を用いることにより、それらの負担を負うことなく訓練を実施できるという意味合いは大きいと思います。是非とも、同盟強靱化予算を活用し、これは参議院でまだ審議中でございますけれども、早期導入に努力していただきたいと存じます。

 次に、岸防衛大臣の答弁で、実践的なサイバー対処訓練を行うための機材を想定していますとも御答弁をいただきました。

 昨今、サイバー攻撃が国際社会を悩ませておりますが、このサイバー攻撃に備えておくことは、私は大変に重要なことだというふうに思っております。特に、国防を担う上で、通信機能に障害を来す事態というものは、国民の安全を確保するためにも、私は絶対的に回避されなければならないというふうに思っております。

 そこで、ここに言うサイバー対処訓練を行うための機材の活用について、説明できる範囲で結構でございますから、分かりやすく御説明いただきたく存じます。あわせて、サイバーに関する御認識もお聞かせいただければと思います。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の訓練資機材、サイバー実践訓練装置は、過去のサイバー攻撃事案等に関して得られた情報を基に実際のサイバー攻撃対処を模擬した訓練を行う機器でありまして、米本土の訓練環境にも接続することが可能なものであります。この装置は、より実践的なサイバー攻撃対処訓練を日本国内で実施する機会を増加させることに資するものであります。

 サイバー領域においては、情報通信ネットワークに対するサイバー攻撃により自衛隊の組織的な活動に重大な支障が生じる事態を防止しつつ、情報通信ネットワークのより安定的な利用を確保することが必要であります。

 防衛省・自衛隊としては、日々高度化、巧妙化するサイバー攻撃の脅威を踏まえ、サイバー防衛能力の抜本的な強化が必要と考えておりまして、訓練の実施など各種取組により、更なるサイバー領域の能力強化を引き続き図ってまいります。

吉田(宣)委員 是非とも、この点に関しても御努力いただいて、これは国民を守るためでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ところで、先般衆議院を通過した、今、参議院で審議中の令和四年度予算案、この中で、防衛省予算案において、防衛分野での技術的優越の確保のため、必要な体制及びゲームチェンジャーとなり得る技術等の研究開発や防衛産業基盤を強化する目的の予算が盛り込まれているというふうにお聞きをしております。

 そこで、二点お伺いしたいと思います。

 私は、自衛隊は防衛に本当に徹底的に徹するわけでございますから、物理的な優位性において多少劣っていたとしても、技術的な優位性は確保していかなければならない、その必要性は非常に高いと考えております。そのためにも、研究開発、これは大変に重要であるというふうに思っています。そのための十分な予算はこれからも確保していかなければならないと思いますが、この点に関する防衛省の御認識を、令和四年度防衛省予算案に触れながら御説明いただきたく存じます。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国における防衛技術の研究開発費につきましては、防衛力の構築に資するよう、これまでも必要な経費を確保してきたところでございますが、令和四年度予算案では、契約ベースで、過去最高となります約二千九百十一億円を計上してございます。

 将来においても我が国防衛を全うするためには、五年先、十年先、二十年先の脅威もしっかりと見据え、必要な能力の獲得に向けまして、研究開発を着実に、そして速やかに推進していくことが必要不可欠でございます。

 また、こうした防衛省としての重点的な投資に加えまして、政府において推進する研究開発事業の成果も含め、我が国の技術力を結集できるよう、関係府省庁や企業等と緊密に連携することも重要でございます。

 防衛省といたしましては、今後、新たな国家安全保障戦略や防衛大綱、中期防の策定の中で、研究開発の強化についても、防衛力を抜本的に強化する観点からしっかりと検討していく考えでございます。

吉田(宣)委員 御説明ありがとうございます。

 この研究開発、極めて重要でございますが、これに併せて、これは私は要望なんですけれども、その高い技術というものをちゃんと操作できるというか使えるような人材育成、これも極めて重要であるというふうに存じますので、この人材育成にもしっかり努めていただきたく、要望したいと思います。

 次に、今申し上げた防衛省予算の説明の中で、防衛産業基盤を強化するということも重要であろうかと思っております。防衛省としてどのように防衛基盤を強化されようとされておられるのか、令和四年度予算案に触れながら御説明をいただきたいと思います。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、防衛産業は我が国防衛力の一部でございますので、基盤の強化が急務であると考えてございます。

 他方、近年、複数の企業が防衛事業から撤退するなど、防衛産業基盤の現状につきましては、非常に厳しい状況がございます。

 防衛省といたしましては、令和四年度の予算案におきまして、防衛産業支援などの中核的機能を果たす防衛産業政策室というものの新設、あるいは防衛産業のサイバーセキュリティーの向上や製造工程の効率化など、必要な措置を促進していくための経費を三十二億円計上というところをいたしたところでございます。

 今後、新たな国家安全保障戦略等の策定に際しましても、防衛生産、技術基盤の在り方について議論いたしまして、防衛産業活性化のための抜本的な対策を検討していきたいと考えてございます。

吉田(宣)委員 防衛産業というのは、まさに日本の防衛力そのものであるというふうに存じます。

 例えはちょっと変ですけれども、災害が起きたときに災害現場にいち早く駆けつけてくださる方は、実は建設業の皆様でございます。民間の方が先に駆けつけて、そこを復旧して、その後に自衛隊であったり警察であったりという方々が、いわゆる行政が入っていく、これが現実なわけです。

 それと私は構図は似ていると思っておりまして、この防衛産業というものが存在しなければ、そもそも日本の防衛というものは成り立たないと言っても過言ではないと思いますので、しっかり取組を進めていただきたく存じます。よろしくお願いいたします。

 次に、ロシアのウクライナ侵略について質問をさせていただきたいと思います。

 ロシアのウクライナへの侵略は、これはもう言うまでもなく国際法違反であり、日本を含む国際社会は断じて許してはならない行為だと存じます。日本を含むウクライナを支援する国々による制裁措置も開始をされて、今実施をされております。

 ただ、そうした応酬が世界の多くの人々に悪影響を与え、国際社会の秩序に混乱を生じさせるという副作用も予想されます。しかし、これもひとえにロシアが招いたことであるということを断じていかなければいけないというふうに私は考えておりますし、公明党もそのように考えています。このことをはっきりと国際社会の中で示し切っていく、全ての悪影響、全ての元凶がロシアであるということを示し切っていく、これは大切なことだというふうに私は思っています。

 そして、あわせて、日本は、国際社会と連携し、結束してルールを示し、それに反すれば制裁を受けることをロシアに示し切る、思い知らせる、ちょっと言い方は厳しいですけれども、乱暴ですけれども、そのぐらいのやはり気持ちを持って対応していかなければいけないと思っております。

 そして、このロシアの行為は、ウクライナという局地的な問題でないことは、もう言うまでもありません。国際社会で力を使った国が優位となって国際法が意味を成さないものになるという事態は断じてあってはいけないわけであって、国際社会が結束をして、このような法の支配と言われるものをやはりしっかり示し切っていくことは私は重要であると存じます。

 林外務大臣は、先月二十五日に行われた衆議院外務委員会における国際情勢に関する報告において、政府として、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しつつ、金融分野や輸出管理等において、米国及び欧米諸国と足並みをそろえて速やかに同様の措置を取ることといたしましたとお述べになりました。

 国際社会が一致団結する意味でも、米国及び欧米諸国と足並みをそろえ、速やかに対応したことは、日本が国際社会においても主体的な役割を果たしていることの表れであり、このことについては公明党としても強く支持申し上げたいと思います。

 そして、二月二十五日には、資産凍結と査証発給停止、金融分野での制裁、半導体など輸出管理の厳格化の三分野において、対ロ制裁措置を速やかに実施する方針が林外務大臣自らから示されました。

 その後、さらに、二月の二十七日には、プーチン大統領を含むロシア政府関係者に対する資産凍結等の措置、そして、このときは、SWIFTからロシアを排除するという国際的な取組についても、日本がしっかり歩調を合わせるということも示されました。また、二月二十八日に、ロシア中央銀行との取引を制限する制裁措置も追加をされました。

 重ねて、この取組に対して公明党は支持をしているということを申し上げたいと思います。

 また、岸田総理は、二月二十七日に、今こそ国際秩序の根幹を守り抜くため、結束して毅然と行動しなければならない、我が国として、このことを示すべく断固として行動していきます、こうした暴挙には高い代償が伴うことを示していきますとお述べになられておられます。

 この総理の言葉を実効あらしめていくことが、ロシアに今やっているこの侵略を諦めさせる、そういった意味合いにつながることからも、極めて重要であるというふうに思っております。

 そこで、今申し上げた、二月二十五日以降に追加された対ロ制裁措置、これは様々な、多くの所管官庁にまたがった取組でございます。その上で、総理が言われる高い代償を伴うほど実効あらしめていくために、外務省の取組、これも極めて私は重要であると思っております。外務省にはその先導的役割を果たしていただきたいと存じますが、ここは、小田原外務副大臣からお受け止めをお聞かせいただければと存じます。よろしくお願いします。

小田原副大臣 吉田委員にお答え申し上げます。

 今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難するものであります。

 今こそ国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会が結束して毅然と行動しなければなりません。我が国として、このことを示すべく断固として行動してまいります。こうした暴挙には高い代償が伴うことを示してまいります。

 こうした考えの下、我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、迅速に厳しい措置を打ち出しています。

 具体的には、プーチン大統領を含むロシア関係者、団体に対する資産凍結等、そして、ロシア中央銀行との取引制限や、SWIFTから排除されるロシアの七銀行に対する資産凍結等を含む金融分野での制裁、そして、ロシア向け輸出管理の厳格化など、三つの分野における対ロ制裁措置を速やかに実施しているところであります。

 政府としては、こうした措置を欧米と足並みをそろえて、最大限の対応として、主体的に、適時適切に実行しているところであります。我が国としては、引き続き、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(宣)委員 外務省に、しっかりその先導的役割、今御答弁いただきましたその役割をしっかり果たしていっていただきたいとお願いしたく存じます。

 次に、ロシアのプーチン大統領は、抑止力の緊急態勢のレベルをアップするというふうなことを、もう、少し経過しましたが、表明をしています。とんでもない話だと思っております。ロシアが核兵器を保有していることを前提に発信したものだと私は考えておりますが、ロシアはそもそも国連の常任理事国であって、また、NPT、核兵器不拡散条約体制の一員であるともお聞きをしています。自国が保有する核兵器の存在を使って威嚇や牽制をほのめかすことなどは、断じてあってはいけないというふうに私は思っています。

 そこで、やはり、我が国日本は唯一の被爆国であり、非核三原則を堅持している立場であると私は存じております。この立場からは、プーチン大統領あるいはロシアの姿勢に対しては厳しく非難すべきであって、国連を始めとする国際社会の中でも、それを強く戒める発信をすべきであると思いますが、小田原外務副大臣からお受け止めを頂戴いたしたく存じます。

小田原副大臣 吉田委員にお答え申し上げます。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であることは先ほど言及したとおりでございます。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難するものであります。

 その上で、ロシアが核抑止力部隊の態勢を引き上げたことについては、情勢の更なる不安定化につながりかねない危険な行為であると認識しています。唯一の戦争被爆国であり、核兵器による威嚇も、ましてや使用もあってはならないということを私どもは国際場裏において強く訴えてまいりたいと存じます。

吉田(宣)委員 全くもって腹立たしくて、私はもう怒りが収まらないのですけれども、核を力が劣る国に対して振りかざすということはこれからも断じてあってはいけないことであるというふうに、私は強くロシアに対しては抗議したい思いでいっぱいでございますけれども、すべとしては、外務省を通じてやはりその旨をお願いするしかありません。どうかしっかり取り組んでいただきたく、お願いしたく存じます。

 次に進みます。

 報道によると、ウクライナ周辺の国に避難した方は百五十万人を超えたと。今はもう既に、更にもっと多くなっているんだとお聞きをしました。この中には、私は恐らく日本国民も含まれているのであろうと推察をしております。先日、日本は八人のウクライナからの難民の方を受け入れたというふうな報道にも接しました。このウクライナから人々が逃げ惑う状況というものは、国際社会を挙げて、日本を含めて人道的に支援していく必要があると思います。

 そこで、外務省が取り組まれようとしておられる人道支援、既に取り組んでおられるかと思いますけれども、その人道支援について説明を願いたく存じます。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナから周辺国に避難している方々への人道支援が重要なことは委員御指摘のとおりでございます。

 今回のウクライナの情勢を受けまして、国連から、主に保健医療、食料、難民、避難民の保護といった分野で、ウクライナの国内向け及び周辺国向けの支援要請が出されております。

 この国連の支援要請も踏まえまして、ウクライナ周辺国向けの支援も含め、一億ドルの緊急人道支援に関し、UNHCR、ユニセフ等の人道関係国際機関等と具体的な支援内容を調整しているところでございます。

吉田(宣)委員 この点に関しましては、非常に状況も変化しますし、進捗していくと思いますので、改めて私からも、確認の意味で、機会をいただきますれば質問にも取り上げさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、ウクライナに在住する邦人とその御家族の状況についてお尋ねいたします。

 まず、様々な御事情でいまだウクライナ国内にとどまっておられる邦人の方がおられるというふうにお聞きをしています。私は、外務省として重要なことは、その安否を継続的に正確に把握することであるというふうに思います。その姿勢が国民に安心を与えて、外務省への国民の信頼が高まることにもつながってくると思います。

 現地の電力供給状況や通信状況の、設備状況など、物理的な限界はあるかもしれませんけれども、できる限り努力を継続していただいて、ウクライナにとどまらざるを得ない邦人の安否確認、これに取り組んでいただきたく存じますが、その点について御説明を願いたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 在ウクライナ大使館は、これまで全在留邦人に対しまして、館員総出で個別の電話により何度も出国を働きかけるなど、退避の呼びかけを行ってまいりました。

 加えまして、連日領事メールを在留邦人の方々に発出しまして、出国先の入国要件等の情報を含む様々な情報提供を行いまして退避を支援してきましたほか、在留邦人の方々の安否確認を行い、また、個別の電話での相談あるいは問合せに応じてまいりました。

 ウクライナ在留邦人の陸路でのポーランドへの出国を支援するべく、リビウ市に臨時の連絡事務所を開設するとともに、ウクライナから退避してきた邦人の受入れを支援するため、ポーランドのジェシュフ市に臨時の連絡事務所を開設いたしました。さらに、ポーランドから他の国へ移動するためのチャーター機の手配等、様々な準備を行ってございます。

 ウクライナ情勢が一層緊迫しまして、リビウ市におきましてもリスクが著しく高まったことから、七日ですが、リビウ連絡事務所にて勤務する在ウクライナ大使館員を一時的に国外に移転させました。ただし、同事務所は閉鎖せずに、安全を確認しつつ機動的に運用することとして、情勢が落ち着き次第、リビウにおける執務を再開する予定でございます。

 リビウ連絡事務所に大使館員が不在の間は、近隣の在ポーランド日本国大使館及びジェシュフ連絡事務所等を拠点といたしまして、ウクライナの在留邦人の安全確保、出国支援に最大限取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 是非、お取組を全力で継続していただきたいと存じます。

 さて、ウクライナでは、松田大使を始め数名の大使館職員が、引き続き、ウクライナ政府と連絡を維持しつつ、邦人保護業務に従事されておられるとお聞きしております。

 先日、ウクライナからポーランドに移動されたとお聞きいたしましたが、まさにこれまで、自らを危険にさらしながらも邦人保護のために業務を継続しておられる大使と大使館職員の皆様には、私は衷心から深く感謝と敬意を表するものでございます。尊いことです。大使を始め大使館の職員の皆様の無事を祈らずにはおれません。

 このように、各国大使館の外務省職員の皆様は、邦人保護のために時には命懸けの任務になることもあるということを、私は国民の皆様には事あるごとに発信していきたいな、そのように思います。

 しかし、このように尊い取組をされる大使館職員が、先ほど松原先生からも御質問ありましたけれども、中国で、その意に反して一時拘束されるという事態が生じました。この中国の行為は、外交関係に関するウィーン条約の明白な違反であるとお聞きをいたしました。としますれば、ルールを犯したのは中国です。中国には国際法違反であることを明確に示し、強く抗議すべきだと考えます。

 公明党からもこの点を触れさせていただきたく、質問に加えさせていただきましたが、改めて、この国際法違反を犯した中国に対する外務省の対応についてお聞かせいただければと存じます。

岩本政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘のありましたとおり、本件は、外交関係に関するウィーン条約の明白な違反でありまして、到底看過できず、断じて受け入れることはできないと考えております。

 二月二十二日、森外務次官が楊宇駐日中国臨時代理大使を外務省に招致しまして、厳重な抗議を行うとともに、謝罪と再発防止を強く求めたところでございます。また、同日、垂駐中国大使から呉江浩中国外交部部長助理に対しても同様の申入れを行ったところでございます。

吉田(宣)委員 度々繰り返されておられるというお話もありました。この件に関しては、本当に強く、抗議の姿勢、これをはっきり示していくことをお願いしたく存じます。

 最後に、新型コロナウイルス感染症に対する外務省の取組についてお聞きをいたします。

 林外務大臣は、所信表明の中で、新型コロナの収束に向け、ワクチン、診断薬、治療薬への公平なアクセスの確保の支援に引き続き取り組むとお述べになられました。

 そこで、ここに言う公平なアクセスの確保の支援、これは極めて私は重要だと思いますけれども、この支援に対する外務省の取組について、その概要をお聞きしたく存じます。よろしくお願いします。

赤堀政府参考人 お答えいたします。

 国内で新型コロナが収束したとしても、世界のどこかにウイルスが残っていれば再拡大の可能性が残りますので、世界的な感染拡大防止に取り組むことが不可欠であると考えております。日本は、新型コロナ対策として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成も念頭に、総合的な支援を行っております。

 特に、ワクチンに関しましては、あらゆる国、地域において安全性、有効性、品質が保証されたワクチンへの公平なアクセスが確保されることが重要であるとの考えの下、COVAXファシリティーへの合計十億ドルの財政支援に加え、約四千二百万回分のワクチン供与を実施してきておるところでございます。また、ワクチンを一人一人に届けるためのラストワンマイル支援につきましても、昨年三月以降、七十七か国・地域に対し、約百八十億円の支援を決定しており、引き続き実施を進めてまいる所存でございます。

吉田(宣)委員 この国際的なワクチン供給体制、様々な取組ですけれども、グローバルヘルスというふうな観点から取組は進めていかなければいけないというふうに思っております。

 コロナウイルス感染症というのは、パンデミックになって全世界で生じている、全人類が立ち向かうべき疫病でございました。今継続中でございますけれども、これを契機に、しっかりこのグローバルヘルス、取り組んでいきたいというふうに私も決意をしているところでございますので、引き続き、この点については、機会をいただきますれば質疑をさせていただきたく存じます。

 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

城内委員長 次に、宮崎政久君。

宮崎委員 自由民主党の宮崎政久です。

 質問の機会、ありがとうございます。

 今日は、令和四年、二〇二二年の三月九日であります。ウクライナ情勢は非常に緊迫の度を深めておりまして、時々刻々変化をしているという状況であります。

 我が国として、G7を始めとする国際社会と連携して、平和をしっかりと取り戻し、構築するため、やるべきことをしっかりやる、ロシアへの制裁はもちろんやる、できる限りのウクライナへの貢献も恐れずに実行していく、こういったことが必要であります。

 私は、ウクライナの皆さんと連帯をするという意味で、避難民の支援については特に踏み込んで日本政府は実行するべきだと考えています。岸田総理からも、避難民の支援について積極的な御発言がございました。この点は、政府を挙げて継続的に強く取り組んでいく必要があると思っています。

 冒頭、今日の日を申し上げたのは、二〇二二年三月九日という日を申し上げたのは、今日という日をしっかり心に刻んで、一日も早く平和を取り戻すように、私たち、ここに集う者はもちろんであります、政府を挙げてしっかり取り組んでいただきたい。私も、一人の人間として、できることに尽くしていきたい、そういう誓いの思いでありますので、今日は、そんな思いも胸にしながら質疑に立たせていただいているところでございます。

 それでは、今日議題となっております在日米軍駐留経費負担に関する特別協定についての質疑に入らせていただきます。

 まず、通称の話を最初にしたいと思います。

 既に幾つか質疑が出ておりますけれども、この通称の問題、同盟強靱化予算とするところであります。この点は、皆様も御承知のとおり、日米地位協定において米側に負担義務のある経費について、その一部を日本側で負担するため、地位協定の特則として締結をされております。

 昭和五十三年に、当時の金丸防衛庁長官の思いやりのある配慮をするという発言を契機として、この通称が思いやり予算などと呼称されておりましたけれども、駐留経費は、米軍が駐留している国々のうち、日本だけが思いやりから負担しているというものではもちろんないわけであります。更に言えば、施設整備費などにも充てられていることから、在日米軍との連携強化にも不可欠なもので、単なる思いやりではなくて、我が国にとってもメリットがあるものであります。

 我が国を取り巻く安全保障の環境は厳しさを一層増している、この委員会でも何度も何度も出てくる言葉であります。日米安全保障体制の実効性の一層の向上であったり、より多面的な日米同盟の実現であったり、幅広い分野での日米間での安全保障、防衛協力の更なる強化が必要なことは論をまたないわけでありまして、私は、この通称を同盟を強靱化するためなんだというふうに言うことは賛成です。

 この協定の中身について質問するに当たって、この名称変更の意義とか趣旨とか、よく答弁が出ております。米国との交渉の中で、どういったことに尽力をしていって今回の合意に至っているのか、こういったところについて御答弁いただきたいと思っています。

小田原副大臣 宮崎委員にお答え申し上げます。

 米国との間では、昨年二月、現行特別協定の有効期間を今年三月末まで一年間延長する改正議定書を締結することで合意をした後に、今年四月一日以降の新たな特別協定の合意に向けて、交渉を更に重ねてまいりました。

 交渉に際して、政府としては、厳しい財政状況を踏まえつつ、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、在日米軍の安定的なプレゼンスを支えるとともに、日米同盟の抑止力、対処力をより一層効果的に強化していくことが必要であるという認識の下、主張すべきは主張しつつ、協議を重ねてまいりました。

 その結果、昨年十二月、今年四月一日から五年間有効な特別協定を締結することで米国政府との間で合意し、一月に本特別協定の署名に至ったものであります。

 日米双方が真摯に交渉を行った結果、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるだけではなく、自衛隊を含む日米同盟の抑止力、対処力をより一層効果的に強化していくことに資する、また、厳しい財政状況を踏まえ、めり張りをつけた経費負担の合意を得ることができたと考えています。

 このように、これまでは在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でありましたが、今回の合意により、本件経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤を構築することで一致をいたしました。このような経費負担の内容の変化を踏まえ、今回の合意に基づく在日米軍駐留経費負担の性質を端的に示すものとして、その通称を同盟強靱化予算とするものにしたものであります。

宮崎委員 今の御答弁の中で、主張するべきは主張し、日米両国が真摯に交渉した、こういう御説明がございました。

 そこで、予算規模についてお尋ねをしたいと思います。

 この協定の対象期間を見ますと、予算規模は年平均で二千百十億円ということで、令和三年の負担分である二千十七億円に比べてみると、年平均で大体百億円ぐらい増額になっているという計算になるわけです。この増額分というのは、トランプ政権のときにいろいろありましたけれども、バイデン政権になっても、日本に対して、同盟国としての役割分担だとか、いろんな意味での期待が表れている面もあると思っています。

 一方で、我が国では、国内の厳しい財政状況などもございますので、安全保障環境を配慮しながらも、国民の皆さんの意見、世論みたいなものもしっかり耳を傾けなければいけないというわけで、さっきの、主張するべきは主張しというところもあるかと思います。

 この年平均百億円の増額について、どういう考えが背景にあるのか、御説明いただきたいと思います。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど小田原副大臣からも御答弁申し上げたところでございますが、政府としましては、厳しい財政状況を踏まえつつ、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、在日米軍の安定的なプレゼンスを支えるとともに、日米同盟の抑止力、対処力をより一層効果的に強化していくことが必要であるとの認識の下、主張すべきは主張しつつ、協議を重ねてきました。

 その結果、第一に、日米同盟の抑止力、対処力強化への貢献が直接的に見えにくい光熱水料などについては、大幅に削減することで日米間で意見の一致を見ました。第二に、在日米軍のみならず、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化にも資する訓練資機材調達費の項目を設けるとともに、第三に、今後は、在日米軍の即応性及び施設・区域の抗堪性強化に資する施設整備を重点的に推進していくことといたした次第でございます。その結果、委員御指摘の増額となったものでございます。

 政府としては、我が国の厳しい財政状況にも十分配慮しながら、国民の皆様の理解を得られる内容にするとの観点から、米国と真剣に協議を重ねた結果、めり張りをつけた経費負担の合意に至ったものであり、同盟強靱化予算、これは適切な水準であると考えております。

宮崎委員 交渉の中から決まってくる話ということもありますので、ちょっと具体的な中身を一つ一つ意見交換させていただければと思っています。

 労務費についてお聞きしたいと思います。

 先ほどお答えいただいたとおり、この協定で、在日米軍の安定的なプレゼンスを支えるとともに、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化する、そういうこともあって、同盟強靱化だということであります。

 今お話がありましたとおり、光熱水料、この負担割合は、従前の六一%ぐらいのところから、約三五%に削減されるということになったとあるわけです。一方、労務費について見ると、日本側が負担する労働者の数につきましては、従前と変わらず二万三千百七十八人、現状維持だというふうになっております。

 今の、めり張りをつけた経費負担の合意というところで、めり張りを仮に徹底していくとした場合には、いわゆる軍事的な経費の方について増大が進んでいって、例えば、見えにくいなどとよく言われている光熱水料と同じように、労務費も削減される方向に向かっていくのではないかというふうにも考えられるわけでありますけれども、労務費を現状維持としたことの理由、また、労務費というものをどういうふうに位置づけているのかについての政府の見解を御説明ください。

鬼木副大臣 労務費につきましては、雇用の安定の確保という観点に加えまして、在日米軍従業員の方々が装備品の維持、整備や施設・区域の管理といった日々の業務を通じ、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支える上で必要だと判断いたしまして、本特別協定期間中においても、現行特別協定で定める、日本側が負担する在日米軍従業員数である二万三千百七十八人を維持することといたしました。

宮崎委員 今御答弁いただきましたように、基地内で働いていただいている従業員の皆さんは、在日米軍の運用や装備品の整備を担当する方々はもちろんいらっしゃるし、また、コロナで外出自粛中の皆さんに対し、米軍人もそうですけれども、こういった皆さんに対して日用品を提供する、スーパーマーケットで従業員として働いている方など、様々いらっしゃるわけでありまして、仕事の形は変わっても、様々な意味で、在日米軍の運用はもとより、広く我が国の安全保障にも貢献をしていただいている部分があるというふうに私は評価をしております。

 仕事の形態を問わず、米軍基地で働く皆さんの貢献を積極的に評価していただいている。今の御答弁、なかなかその貢献が見えにくいという部分があるわけでありますけれども、こういったことも考えて現状の維持をしていただいたことについては、私は積極的に評価をさせていただきたいと思っております。

 次に、本協定で新たに設けられた訓練資機材調達費についてお伺いいたします。

 まず、率直に言うと、新たな予算項目を加えるということになれば、負担が増えるんじゃないかということで反対の声が上がってくるということも予想できたと思いますけれども、あえて訓練資機材調達費というものを新設をした背景や意図などについて御説明いただきたいと思います。

鬼木副大臣 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力、対処力を高めるためには、自衛隊と在日米軍の双方が、日米共同訓練を含む各種の高度な訓練の実施等を通じ、即応性を向上させていく必要があります。

 かかる観点から、日米間で協議を行った結果、本特別協定において、新たに訓練資機材調達費の項目を設け、在日米軍の即応性のみならず、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化にも資する訓練資機材を在日米軍が調達するための経費の全部又は一部について、本協定期間中において、五年間で最大二百億円を負担することといたしました。

宮崎委員 今の御答弁の中で、自衛隊の即応性の向上、在日米軍の即応性の向上、こういったことから相互運用性の強化に資する、こういう御説明があったかと思います。質問したいのは、これは具体的にどういうことを想定されているのかということをお聞きしたいんですね。

 先ほど小熊筆頭の質問の中で、アメリカの無理な要求に応じたものではない、本質に合致をする、不公平でないための一定の合理的な基準や質の基準というのがあるべきじゃないかという、誠に正鵠を射た御指摘があったというふうに私もお聞きして思っておりました。

 日本国民のお金で米軍の装備を購入するのかみたいな、こういったことではなくて、相互運用性の強化が図れる、これが例えば日本国自衛隊にとってどういうようなメリットがあるのか、こういったこともしっかり示していくことが必要じゃないかなと思っております。

 この点、いかがでしょうか。

大和政府参考人 日米間の相互運用性の向上というものは、例えば緊急事態に際して、自衛隊と米軍が円滑に共に行動できることができるようになるということであります。

 さらに、こういった相互運用性の向上にも資する事業として、先ほども御紹介いたしましたが、LVCシステムといったものに対する経費の負担というものを考えていることであります。

宮崎委員 ちょっとよく分からなかったんですけれども、やはり、ここで、交渉の中で決まってくるところが多いですから、必ずしもストリクトな基準というのがあるわけではない部分もあるかと思います。ただ、例えば、本質に合致するような一定の合理的な基準、指針というか、こういうものは私もあっていいのではないかなと。

 そのためには、先ほど鬼木副大臣からの御答弁の中にあったような、相互運用性の強化が図られているということをやはり国民の皆さんにしっかり示していくということは、説明としては非常に重要ではないかと思っておりますので、こういったこともこれから、我々も地域で地元の皆さんに御説明申し上げないといけない立場でありますから、しっかりこういったところは一つの分かりやすい指針として示していきたいと思っています。

 提供施設整備費についてお聞きをしたいと思っております。

 提供施設整備費も増額ということになっております。これは、在日米軍の即応性、抗堪性強化に資する事業に重点的に使われるというふうに御説明がありますけれども、まず、この在日米軍の即応性、抗堪性強化に資する事業というものはどういうものなのか、もう少し具体的に御説明をお願いいたします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の同盟強靱化予算においては、提供施設整備についても、在日米軍の即応性の向上それから施設・区域の抗堪性強化に資する事業を重点的に推進していくことにしました。

 こういったものの例といたしましては、例えば、在日米軍の機動的運用あるいは緊急事態等における継続的な運用に直結する施設、例えば整備用格納庫であるとかあるいは航空機の掩体、こういったものが抗堪性に資する事業に該当するというふうに考えております。

宮崎委員 ありがとうございます。

 例えばでいいんですけれども、私の地元には、私は、二市三町三村、浦添市、宜野湾市、中頭郡の六町村、北谷町、嘉手納町、読谷村、西原町、中城村、北中城村というところが地元でありまして、様々、全国の皆さんがお名前を承知していただいているものだけでも、普天間飛行場、嘉手納基地もあるわけでありまして、多くの米軍基地が所在をしております。

 もし答えられればなんですけれども、例えば、私の地元の今のところを例にして、施設提供整備費ではどういう施設が構築されているかということを御説明いただくとしたら、どうなりますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 提供施設整備は、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するとの観点から、沖縄におきましても様々な施設・区域で整備を実施しております。

 最近の整備実績につきまして、嘉手納飛行場を例に挙げて申し上げますと、平成二十七年度に航空部品用の倉庫、また平成二十九年度に航空貨物のための管理棟、また令和元年度に家族用の住宅の整備、こういったものが完了をしているところでございます。

宮崎委員 ありがとうございました。

 こういう米軍に関連する施設等の整備、建設などは、もちろん、先ほどからお話が出たとおり、日本の安全保障、周辺地域の安全保障、また日米のアライアンスの強化というところで貢献をしていることはもちろんでありますけれども、ちょっと地元目線で考えますと、地域での産業の、なりわいになっていたり、雇用の創出であったり、こういった観点もあるわけでありまして、こういった点からも評価をしてもらう面は当然あってしかるべきだと思います。

 この提供施設整備費については、引き続き有効に活用していただくとともに、今申し上げたように、例えば地域に仕事をつくる、地域で雇用の場をしっかりつくるという観点も踏まえた運用は是非ともお願いしたいところだと思っておりますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 提供施設整備を始めとする建設工事につきましては、地域の特性に応じまして地域評価型を適用するなど地元企業の受注機会の拡大に努めておりまして、これらの取組を通じ、地域における雇用の創出等にも貢献しているものと考えているところでございます。

 ちなみに、令和二年度における沖縄県内の提供施設整備費を用いた建設工事を例といたしますと、件数十一件、受注総額約三十億円の工事を地元企業が受注されているというところでございます。

 また、工事の発注に当たりましては、地元企業の受注機会を拡大するため、工事種別の分離又は工事範囲を分割するなど、競争性を確保しつつも適切な発注規模を設定しているところでございます。

 さらに、地元の企業の皆様に入札契約制度等を理解していただくため説明会を開催するなど、情報提供にも努めているところでございます。

 委員の御指摘の点をしっかり踏まえまして、当省といたしましては、このような取組、重要であると考えておりますので、今後とも引き続きしっかり取り組んでいく所存でございます。

宮崎委員 提供施設の整備は、地域の産業を担う側面があることは事実であります。そして、在日米軍基地で働いている方々は、日本全国で約二万七千名、沖縄では九千名、ですから、実は、沖縄県以外で働いていらっしゃる方は約一万八千名いらっしゃるというようなことでございます。

 こういった形で、同盟強靱化の予算というのは、我が国の領土、領空、領海の防衛に貢献をして日米の同盟の強化に資しているというだけではなくて、基地所在市町村の地域の人々の産業であったり生活であったり雇用であったり、様々な面で密接に関連をしている、こういった点についても私は積極的に評価いただきたいと思っています。批判的な報道がややもすると多いような気がしますけれども、こういった現実にも我々はしっかり目を向けていただきたいと思っているところであります。

 次の問題に移りたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症対策について質問をさせていただきます。

 政府は、現在、世界的に見ても厳しい入国措置をしております。これによって、新型コロナウイルスの蔓延防止に努めているというところであります。

 国内の感染拡大の防止の観点から、日本に入国する米国人に対しても、ほかの外国の方に対する水際対策と同水準の対応を求める必要があります。そうでなければ、我が国でどんなに厳しい水際対策を講じたとしても、在日米軍が同様の水準の対策を取らなければ、そこから水際が崩れていくというふうなことになっていくからであります。そして、入国した後も、感染流行時には我が日本人と同様に外出を控えるなど、国民と同様の国内の感染防止に積極的に協力してもらう必要があるわけであります。

 ところが、第六波が生じた際には、在日米軍のコロナ対策について、米軍人の入国手続については日米が合意した内容に反する運用がされているということも報道されておりましたし、入国した後の取扱いについても、我々、一般的にはステイ・イン・ザ・ルームかステイホームかというふうな形できちんと隔離措置を取ると思っていたら、要するに、基地の中でいればいいというような取扱いがされていて、その中では自由な移動ができているというようなことが分かったわけであります。

 外出禁止措置はしっかりやってもらいたいというふうに思って、私も、これが問題になった当時、党の部会でも相当強く、はっきり言えば文句を言いました。この思いの中心はどこにあったかといえば、やはり、基地の中で働いている同じ日本人の人がたくさんいるわけです。この人たちの命を守ってほしい、健康をしっかりと管理してほしい。雇用主は日本政府なんです。政府が雇用主としての責務を働いている人に対して果たしてほしい。これがなかったら、働いている人はやっていられないですよ。そういったことをしっかりと政府が果たしてもらいたいというのが一番大きな思いです。

 そしてまた、地元としても、アリの一穴になって、そこからがあんと感染が広がっていくというふうなことになれば、それは様々なことへの信頼が失われてしまう。

 安全保障というのは、軍事的な合理性だけでは成り立たない。持続可能性がそこになければ安全の保障をすることはやはりできないわけでありまして、この持続可能性の一番大きいところは、例えば、基地が所在している市町村の住民がこれを支えられるという思いがなければ、これは持続しないわけです。

 ですから、こういったことに、一つ一つ地域のことに配慮をしてもらう。また、そこで働いている人は、働いて、家に帰るんですよ、夜になれば、車に乗って。地域の人なんです。こういった人たちの健康や命にしっかり配慮をしているんだということを一つ一つ示してくれなければ、安全保障をしっかり維持するための軍事的合理性と、もう一つある持続可能性が維持できない、私は強くそう思っているから、この持続可能性の観点から政府にも強く取り組んでもらわないといけない。言うべきことは、さっき、この条約の交渉のときにも言っていたけれども、主張するべきは主張し、しっかり言わぬと駄目ですよ、これは。そういった思いであります。

 今現在での在日米軍のコロナ対策はどうなっているのか、御説明をお願いいたします。

小田原副大臣 宮崎委員にお答え申し上げます。

 昨年十二月二十三日の自民党外交部会、私も同席をしておりました。宮崎委員から、在日米軍従業員を含めた地元の方々の不安解消が最も重要であると強い情熱で御発言をいただいたこと、今でもよく覚えております。

 これも踏まえ、これまで林外務大臣からも、一月六日の日米外相電話会談や一月七日の日米2プラス2の機会を含め、米側ハイレベルに対して、感染防止対策の徹底及び在日米軍従業員を含めた地元の方々の不安解消に向けた対応を強く申し入れてまいりました。

 この結果、一月九日、日米両国は、新型ウイルス感染症の拡大に対処するための措置に関する日米合同委員会声明を発出し、米国は、一月三十一日までの三週間、必要不可欠な場合以外の外出を認めない、夜間の外出を禁止するなど、厳しい感染拡大防止策を実施し、当該措置の解除後も、在日米軍施設・区域の周辺自治体が講じている措置に従うといった措置を取っています。

 政府としては、新たに日米合同委員会の下に設立された検疫・保健分科委員会も活用しつつ、日米当局間における建設的な協議を通じ、今後の感染状況も注視しながら、感染防止対策の徹底及び在日米軍従業員を含めた地元の方々の不安解消に向けて、日米間での連携をより一層強化してまいります。

宮崎委員 もう一点、日本人の基地従業員の皆さんに対する三回目のワクチン接種を含めた対策がどうなっているかについても、御説明をお願いいたします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍の様々な活動を支える在日米軍従業員に対する新型コロナ感染症の拡大防止は、在日米軍の即応性維持や我が国の安全保障上極めて重要な課題と認識しており、日米両政府で緊密に連携し、取り組んできております。

 米側においては様々な感染症拡大防止のための措置が取られていると承知しておりますが、防衛省としては、在日米軍従業員の雇用主の立場から、米側に対し、在日米軍従業員に対する感染症拡大防止のための措置や安全対策の徹底を累次にわたり申し入れております。米側も、これらの要請を十分理解した上で各種措置を実施していると認識しております。

 また、昨年六月より、在日米軍が、希望する従業員に対しまして保有するワクチンの接種を実施してきておりまして、一万二千名以上の従業員が接種を受けております。また、今年、本年一月以降でございますが、今先生の御質問ありました三回目以降の接種につきましても実施をしておりまして、現在、五千名以上の従業員が接種を受けているという状況でございます。

 引き続き、日米間で緊密に連携し、我が国の安全保障に重要な役割を果たしている在日米軍従業員の方々の安全対策に全力を尽くしてまいります。

宮崎委員 是非、引き続き十分な対策をよろしくお願いいたします。

 この点、ちょっとあと一個追加する形でお聞きしたいのが、検疫とか公衆衛生に関する地位協定での取扱いについて伺いたいと思います。

 例えば、ドイツでは、NATO軍の地位協定のボン補足協定の五十四条一項において、駐留軍もドイツ国内法による感染症防止のための手続に服するという旨が明文規定されている。オーストラリアでも、米豪地位協定の十三条で、検疫に関してはオーストラリアの内国検疫法が適用されると明記されているわけであります。

 私は、地位協定に関しては、もちろん運用で改善できるところは速やかに運用改善をして対応する、ただ、それで足りないところがあるのであれば、ためらわず、日本の国益、日米双方の同盟の強化のためにも、改正も要するにためらうべきではないというふうな考えに立っています。

 その上で、公衆衛生、感染症予防やこういう検疫に関しては、要するに、所在国の国民、日米でいえば私たち日本国民でありますけれども、国民の生命に関わることでありまして、水際対策を取るに当たっても、穴がないように、国内において一律の基準を適用すべきだと思っていますから、私は、運用の改善がうまく進まないのであれば、地位協定を改定してでも、検疫に関しては、所在国、領域国である我が国の検疫法を適用することを明記するのが妥当ではないかというふうに個人的には思っております。ずっとそう思っています。

 今回、新型コロナウイルス感染症の発生そして拡大という新しい事象が発生した。ウクライナを含めた国際情勢の緊迫化をすぐここにストレートに持ってくるというわけではありませんけれども、こういったことが起きて、国民の皆様の意識や政府がやるべきことへの期待に変化があることは事実でありまして、地位協定に向けられる目線にも変化があると思っています。私の地元の沖縄では、特に第六波の感染拡大の一件を踏まえて、その視線に対しては、非常に厳しいものがあることは事実なんです。

 先ほどちょっと、検疫に関する分科委員会についての言及がありましたけれども、検疫に関する取組、また日米間の約束事について、どういうふうに今取り組んでいて、これからどうするか、政府の考えをお聞かせいただきたいと思っています。

小田原副大臣 宮崎委員にお答え申し上げます。

 在日米軍の新型コロナ感染については、日米地位協定や関連の日米合同委員会合意を踏まえ、現地の保健当局間を含め、米側からの緊密な協力を得ながらやり取りを行って対応してきています。政府として、日米地位協定を見直す必要はないものと考えています。

 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府としては、事案に応じて、効果的に、かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきています。

 引き続き、政府としては、検疫・保健分科委員会も活用しつつ、感染防止対策の徹底及び地元の方々の不安解消に向けて、日米間での連携をより一層強化してまいります。

宮崎委員 地位協定についての考え方については、御答弁、趣旨は、政府の立場は理解しております。

 ただ、やはり、さっき申し上げましたけれども、安全保障には持続可能性が絶対に必要であります。地域の支える思い、こういったことがないと日本の国の安全保障を守ることはできない、そういう思いで、私は今日質問で、あえてこの点について触れさせていただきました。この検討がまた進展するように、私自身も、一人の議員として、国民として、政府との間でしっかりと話合いをしていきたいと思っております。

 では、最後の質問になりますけれども、米軍基地内で働く日本人労働者の方の労働条件の改善について質問させていただきたいと思います。

 在日米軍基地で働く日本人の皆さんは、これまで国家公務員に準じた処遇ということで労働条件が設定されていると聞いています。

 国家公務員の処遇ということになりますと、例えば高齢者雇用安定法の改正を受けて定年が延長されたり、育児・介護休業法が改正されて有給休暇の取得の仕方が変わるなど、国家公務員の労働条件は改善をされているという状況です。米軍基地で働く方々の労働条件についても、これまで国家公務員に準じるとしてきたわけでありますので、働いている皆さんが、自分たちの労働条件も変えてくれよといって要求してくることは、これは至極当然な話だと思います。

 基地従業員の皆さんの雇用主は日本政府です。政府には、雇用主として、労働条件の改善を求める声にはしっかりと取り組んでもらわないといけないと思います。この点、基地従業員の労働条件の改善について、政府はどういうふうに取り組んでおり、これからどうするつもりか、お考えを聞かせてください。

鬼木副大臣 在日米軍従業員が適切な勤務条件の下で雇用面において不安なく勤務できる状態を確保していくことは、在日米軍の駐留を円滑に行う面からも重要なことであります。

 このような考えの下、防衛省としては、従来から、在日米軍従業員の権利保護や雇用の安定を図るため、雇用主としての立場から勤務条件の改善に努めてきているところであります。

 今後とも、防衛省としては、使用者である米側の考え方も踏まえつつ、労働情勢の変化にも対応して適切な勤務条件を確保していく所存であり、委員御指摘の点についても、引き続き米側と協議して対応してまいります。

宮崎委員 鬼木副大臣、ありがとうございました。

 今御指摘があったとおり、雇用主と使用者が異なっているというところがこの問題の一つ難しい側面があるわけでありまして、これは古典的な課題でありますので、政府を挙げてしっかり取り組んでいただきたいと思っています。

 私は、今日、再三触れさせていただきましたけれども、同盟強靱化予算、この名称をこういうふうにすることは賛成という立場で質問させていただきましたし、様々な交渉の中から決まっていくものについて、きちんと検証して評価をしていく面があるんだということを改めてお伝えしたいと思いました。

 そして、多くの課題がある。これは、課題というのは必ず出てくるわけであります。その中で、やはり安全保障というのは、軍事的合理性だけを突っ走っていったって、これは維持ができません。持続可能性が絶対に必要でありますので、どうやって地域の持続可能性をつくっていくのか、どうやって国全体としてこの国の安全保障を守るための持続可能性をつくる必要があるのか、こういったことを皆さんと、今日、意見交換させていただいたり、思いをお伝えさせていただくことができれば、大変ありがたい機会であったというふうに思っております。

 これからも、こういった思いで、この外務委員会でも、国会の場でもしっかりと取り組んでいくことをお約束をいたしまして、質疑を終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

城内委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

城内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 在日米軍駐留経費について、その負担割合、交渉時の基準及び予算額と米軍活動の相関関係についてお伺いをいたします。

 まず、在日米軍駐留経費、これが非常に極めて重要な予算であるということは認識をしておりますけれども、これは毎年金額としては変わっていくものです。そういった中で、その交渉の経過等々は国民に知らされない中で外務省の方でやっているということですけれども、実際に交渉に当たる際に、今年度の予算額を決めるための基準、あるいはそういったもの、外国の基準等を参照しているのであれば、そういった外部の参照している事例等を教えていただけますでしょうか。

林国務大臣 我が国の適切な負担規模、これを考えるに当たっては、日米の負担割合を論じる前に、まずは、我が国の平和と安全を確保する上で日米でいかなる役割、任務の分担を行っていくか、また、その下で我が国の負担規模が適切か否かを考えるということが重要であると考えております。

 そうした発想に立ちまして、我が国の負担規模については、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるとともに、日米同盟の抑止力、対処力を強化する同盟強靱化予算が引き続き重要であるという点を踏まえて、我が国の厳しい財政状況や我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素、これを総合的に考慮して、主体的に判断したものでございます。

青柳(仁)委員 そのような様々な日本の安全保障を総合的に検討した上で毎年の交渉をされているということですので、是非、十分な内容になるように、また、予算も無限にあるわけではもちろんありませんから、きちんと精査した上で、必要最小限の予算、国民の税金の投入ということになりますから、その点をしっかりと踏まえた上での交渉を引き続きよろしくお願いいたします。

 また、もう一つ関連して質問ですけれども、そうした交渉に当たる際に、毎年、米軍の活動というのは同じではないわけですけれども、その活動内容が変わった場合には、この負担経費というものの割合に反映されるようなものなんでしょうか。

林国務大臣 この特別協定でございますが、政府として、厳しい財政状況を踏まえつつ、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、在日米軍の安定的なプレゼンスを支えるとともに、日米同盟の抑止力、対処力を一層効果的に強化していくことが必要である、こういう認識の下で、主張すべきは主張しつつ、今回の合意に至ったところでございます。

 その際、我が国の負担規模については、厳しい財政状況、安全保障環境、こういった各種要素を総合的に考慮し判断する必要がありますが、その意味で、在日米軍の活動内容、これは、委員がおっしゃったように、駐留経費負担の在り方に影響を及ぼし得るということは当然であると考えております。

 例えばでございますが、在日米軍が、我が国の訓練環境を踏まえつつ、現在の厳しい安全保障環境に対応した実践的な訓練を可能とするための高度な訓練資機材を確保するということが必要であることから、在日米軍のニーズも踏まえて協議を行った結果、在日米軍による訓練資機材の調達のための経費を負担することといたしました。

 具体的には、訓練資機材の調達において、過去のサイバー攻撃事案等に関する情報を基に実際のサイバー攻撃対処を模擬した訓練を行う機器、こういった資機材を調達することを想定しておるところでございます。

青柳(仁)委員 活動の内容に応じて予算が変わり得るということだと理解させていただきましたが、そういった中で、これから、今、ウクライナの情勢を受けまして、日本としても防衛力の強化ということは非常に重要でありますから、抜本的な防衛力強化ということがこれから行われる可能性があると考えております。

 そういった中で、その場合には、当然、この米軍の駐留経費にも反映されてくるものと思いますが、そのような文脈の中で、先日、大臣の方に所見をお伺いいたしました、我が党がお出しさせていただきましたロシアによるウクライナ侵略に関する緊急提言。申し上げたとおり、たくさんの項目がございます。包括的な提案をさせていただいたつもりでございます。

 しかしながら、残念ながら、ある一か所だけが切り取られて非常に注目を受けているというところでありますが、今日は、一応その部分について少しだけ触れさせていただきたいと思っています。

 我が党の方は、三つある大きな提言、短期的な提言として、人道支援から、そして経済制裁、さらには停戦の仲介といったようなことから、中期的には、ロシアあるいは危険な様々な日本の敵対国家を切り離した形での新しい経済システムの構築、新しい、国連を中心とした、安保理改革を始めとした、そうした新しい国際秩序の形成等を申し上げておりまして、最後に経済政策として、エネルギー、原発の再稼働等を申し上げているところですが、その二つ目の中長期的な対策、国際秩序の形成という中に、日本自身の、我が国自身の防衛力の強化ということを申し上げております。

 今回のウクライナ危機が私たちに教えていることというのは二つあるというふうに申し上げております。それは、有事の際に同盟国及びパートナー国による軍事協力が得られるのは、独自の防衛力が一定程度機能した後であるということ、それから、今まで我々は安心し切っておりましたが、現在の国際情勢下、非常に平和だった国際情勢下、これは平和かどうかは様々な議論がありますけれども、少なくとも第三次世界大戦というような兆しを感じないような、そういった世界情勢下であっても核保有国による侵略のリスクが現実に存在する、こういうことが我々は分かったわけなんです。

 そうしたウクライナ危機の教訓を踏まえて、従来の枠組みにとらわれない防衛費の増額を図り、また、自衛力を抜本的に見直すことを提言しています。そして、その中に、さらに、今回ロシアが核による威嚇という暴挙に出てきた深刻な事態を直視し、核共有による防衛力強化等に関する議論を開始するということを提言させていただいております。

 この最後の部分に出てくる核共有というものなんですが、これは、二月二十七日に元総理大臣だった安倍議員がテレビ番組の中で様々な話をされていたということで、広く国民に伝わったものだというふうに理解しておりますが、こうしたもの、我々は、核共有を始めるべきだということは提言してございません。こうした議論を、核共有といったことを含めた議論ということを我が国の防衛力強化のためにすべきではないかということを提言しています。そうした議論を始めるべきではないかということを申し上げております。

 それはなぜかといいますと、今の日本の自衛力、防衛力に関しては二つのうそがあると思っております。

 一つ目は、国民の多くが信じていると思われます、我が国の現在の自衛力、防衛力で大国の侵略行為を防ぎ得るといううそです。現状の装備、体制等を考えたら、これは不可能だと我々は考えておりまして、そうした状況であるにもかかわらず、核共有といった、こういったことをあたかも頭の片隅にも全くないような形で防衛力の議論をするというのは、これはいかがなものか、このように考えております。

 もう一つのうそについては、これから今日の質疑の中で取り上げていきたいと思いますが、これは非核三原則をめぐるうそでございます。これは、この後取り上げたいと思います。

 まずお伺いしたいのは、核共有という言葉の定義、これは日本政府としてどのように考えておられますでしょうか。

林国務大臣 NATOで行われているニュークリアシェアリングでございますが、米国の管理下にある核兵器を非核兵器国である一部のNATO加盟国の領土内に配備をし、同盟の核抑止ミッションとそれに関連する政治的責任及び意思決定を共有する仕組みでございまして、核兵器そのものの共有ではないとされているというふうに承知をしております。

青柳(仁)委員 実際に、これは今六か国が行っておりまして、核兵器を提供しているのはアメリカ一国のみですけれども、イギリス、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコといった国々にアメリカの核兵器が実際に共有されている状況にあります。

 こうした状況について、様々な情報が、報道等でも情報を得ることができますが、日本政府としては、現在のNATOの中での、あるいはこの六か国における核共有の現状、どのような核兵器がどのような形で共有されているのかということについて、どういった情報を持ち、また、どういった認識を持っておられるでしょうか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 NATOのニュークリアシェアリングにおきまして、その詳細あるいは具体的運用につきましては外部に明らかにされておりませんで、加盟国ではありません我が国が確たることを申し上げる立場にはございませんけれども、その上で申し上げれば、NATOのニュークリアシェアリングにおいて、核ミッションを実施するに当たっては、NATO内で核問題を議論する主要な場である核計画グループによる承認に加えて、米国大統領及び英国首相からの認可を前提に実施されることがNATOの公表文書で記されてございます。

青柳(仁)委員 先ほど私が申し上げた現在核共有を行っている国々というのは、ほとんどがNPT、核拡散防止条約の加盟国なわけですけれども、日本政府としては、核拡散防止条約、NPT加盟国がなぜ核共有をできるというふうに考えておられますでしょうか。

海部政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のニュークリアシェアリングにつきましては、先ほど同僚政府委員から述べたとおりの内容でございまして、そのような枠組みと考えられますけれども、その上で、一般的にNPT上の整理を申し上げれば、核兵器国が同盟関係にある非核兵器国の領域内に核兵器を配備しても、当該非核兵器国が核兵器国の同意なしに核兵器を発射する権能を譲り渡されたのでなければ、核兵器の所有権又はその管理権が移譲されたことにはならないので、このような状況はこの条約で禁止されていないということになるかと思います。

 以上でございます。

青柳(仁)委員 念のため確認させていただきたいんですが、核共有というのはNPT違反ではないという御認識だということでよろしいですか。

海部政府参考人 お答え申し上げます。

 NPT条約の条文に沿った考え方の整理として、先ほど申し上げたことに尽きていると思っております。

青柳(仁)委員 もう一つ関連してお伺いします。

 今御説明があった内容によりますと、核兵器の管理権、所有権を移転しない限りは、これはNPT違反にはならないということでしたが、では、仮に、日本にアメリカの核兵器を、これを共有という形で、所有権とそれから制御権というものを持たないまま渡された場合は、これはNPT違反にはならないということでよろしいですか。

海部政府参考人 お答え申し上げます。

 条約上の整理は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、御質問の趣旨は、仮定の状況でございますので、どのような形でそれを判断するかというのはこの場では差し控えさせていただきたいというふうに思います。

青柳(仁)委員 分かりました。

 いずれにしましても、日本政府としては核共有というのはNPT違反ではないという御認識だということを御回答いただきましたので、そのように理解をさせていただきます。

 それから、非核三原則との関係においてなんですけれども、その前に、NPTについてもう少し、もう一つだけお伺いしたいんですが、核共有自体はいつ頃始まったかという情報は、私が調べた限り、ちょっとよく分かりませんでした。ところが、NPT条約ができ上がるときには、既に知っている国があったというような情報があります。

 日本はNPTには遅れて加盟したわけですけれども、日本がNPT条約に加盟したときにこの核共有ということが世界でなされていたわけですが、それについての事実は知っていたんでしょうか、それとも知らなかったんでしょうか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 NATOのニュークリアシェアリングにつきまして、これが一九六〇年代には開始されたこと、それから一九六六年には核計画グループが設立されたこと、これらにつきましては、NATOの公表文書等で記されていることを私どもも確認してございます。

 ただし、日本政府としてこのNATOのニュークリアシェアリングについて認識した具体的な時期、これにつきましてはちょっと明らかではございませんで、お答えすることは困難でございます。

青柳(仁)委員 分かりました。

 非核三原則を定めたのは一九七一年だと思いますけれども、今お答えの中に、核共有が始まっていたのは一九六〇年頃だということですが、非核三原則を定めたときには、この核共有ということの存在について日本政府は知っていたのか、あるいは知らなかったんでしょうか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お答え申し上げましたとおり、NATOのニュークリアシェアリングについて日本政府として認識した具体的な時期をお答えすることは困難でございますけれども、非核三原則を打ち出す前から、米国の核兵器がNATO諸国へ持ち込まれていること、このことについては政府として認識していたところでございます。

青柳(仁)委員 今の御答弁はちょっと驚きましたね。非核三原則を定めたときにこれを知っていたか知らなかったか、分からないということはあるんですかね、それはあり得ないと思うんですけれども。

 いずれにしましても、今のお話を伺った中で、全ての、NPTと、そして非核三原則と、それから核共有というものを、法的な整合性を取ろうと思えば、最初の定義のお話になりますけれども、まず、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず、これを、三つの要素があるとした場合に、非核三原則はこの三つを禁じています、これは誰でも知っていることだと思いますが。そして、NPTは最初の二つだけを禁止しているというふうに理解できると思います、実際に明らかに持ち込んでいますから。しかし、保有はしないし、作るということは明示していない。あるいは、NPT第一条、二条でそれも禁止されていますからということだと思うんです。

 ということは、現在、NPT加盟国で行われている、また、今、政府の御答弁で、それは違反ではないということで行われている核共有という言葉の定義というのは、非核三原則の三つでいえば、持ち込ませずという、ここだけに限定されたものである、そういう理解でよろしいですか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 NATOの核共有との関係で申し上げますと、最近の委員会等でも、御答弁、様々な形でございましたとおりに、少なくとも、持ち込ませずとの関係で相入れないというふうに認識しておるというところでございます。

青柳(仁)委員 もう一つ、では、明確にするためにお伺いしますが、つまり、日本政府の考え方としては、あるいは一般的なNPTの理解として、NPTは、持ち込ませずというところは禁止していないという理解でよろしいですか。

海部政府参考人 お答え申し上げます。

 条約に書いてあることの一般的な理解ということで申し上げるとすれば、先ほど申し上げましたとおり、非核兵器国の領域内に核兵器を配備しても、当該非核兵器国が核兵器国の同意なしに発射する権能を譲り渡されたのでなければ、所有権又はその管理権が移譲されたことにはならないので、そのような状況は条約では禁止されていない。これは、あくまで一般的な条約上の整理として申し上げているということでございます。

青柳(仁)委員 NPT加盟国ですから、一般的な条約の理解というのは、それを加盟したときに理解した上で、承認した上で加盟しているわけですから、当然それは日本政府の理解ということだと思うんですけれども、いずれにしましても、今の理解を全部まとめますと、結局、先ほど申し上げたとおりなんですが、持たず、作らず、持ち込ませず、この三つのうち、非核三原則は全部を禁止しています。NPTは最初の二つを禁止していて、そして、核共有という話は、持ったり作ったりする話というのは元々念頭にないんです。持ち込むかどうかという話だけが議論の対象になり得るということですねというものであるというふうに理解しております。我が党もそのように理解しております。

 核共有というものは、日本が核を保有するようなことではありませんし、日本が核を作ろうというような話でもない、それはまずあり得ない。また、我が党で話をしているのは、さらには、欧州のように地上に配備をしたりすることも考えておりません。そういったことがいわゆる核共有というものだというふうに理解しておるんです。

 そういった定義に関しては、また、核共有という言葉は、ニュークリアシェアリングという英語をただ日本語に訳しただけですから、元々そんな言葉はありません。ですが、ニュークリアシェアリングという言葉は、現在、NATOで行われているもの以外にこの世に存在しないわけですから、つまり、それ以外の定義はあり得ないということだと思っております。

 そういう理解で、政府側の理解と我々の理解というのは同じだと思うんですが、ですから、過度にこれによって騒ぐということは、これはやはり問題がある。我々は、何か非常に大きなこと、核の保有について提言したりしているわけではなくて、極めて冷静に、極めて限定された中で、我が国の防衛力をいかに上げて、高めていくかということについて議論を開始してはどうかということをお話をしているということでございます。

 そういった中で、なぜその議論が必要なのかということなんです。それは、先ほど申し上げたとおり、二つうそがあるからなんです。

 一つ目のうそは、さっき申し上げたとおりです。本当に守れるような防衛力を持っていないということ。

 もう一つは、実は、非核三原則の持ち込ませずということはうそだということなんですね。現状、実際には行われていないのではないかということです。これはうそだと言い切ってしまうと、ここは国会の場ですから、よろしくないと思うんですが、非常に疑義があるというふうに考えております。

 なぜそのようなことを申し上げるかといいますと、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会というものが二〇一〇年にありました。これは公開されている報告書です。当時、鳩山政権だったと思いますが、このときに、アメリカの核搭載船、これの一時寄港に関して、様々な当時の事実が書かれております。

 それによりますと、日米間の核搭載船の寄港を事前協議の対象とすることについて、安保改定時の日本側の交渉者というのは意図的に明確化を回避していた、核搭載艦は、事前協議なしに日本に寄港しても、日本政府は表向きは否定しても互いに抗議はしないという暗黙の合意が安保改定時にでき上がりつつあったということを報告書の中にまとめています。

 また、一九六三年四月三日の大平・ライシャワー会談において、日本はアメリカ側の立場を明確に知り、また、実際に核搭載艦が事前協議なく寄港する可能性が高いことを承知していた、しかし、異議を唱えなかった。その後も、事前協議がない限り核搭載はしないといった極めて不正直な答弁を国会で継続していた、これは日本側の責任をアメリカに転嫁するものであるということを言っております。政府は、こうした討議の記録が存在するにもかかわらず、事前協議に関しては交換公文と藤山・マッカーサー口頭了解しかないという明確なうそをつき続けたというふうに書かれています。

 そして、そういったことが、今申し上げたものなんですけれども、いずれにしましても、アメリカ、米軍が核兵器を搭載した何らかの船であるとか飛行機、今回の場合は船を日本に寄港させる場合には事前協議が必要であるということがあるんですが、実際には事前協議がなされないまま寄港している事例が、実際に、少なくとも二〇一〇年の段階ではあったということなんですね。当時、民主党政権でしたから、その後はしなかったかもしれませんが、今は自民党政権ですから、また元に戻っている可能性があると思うわけなんです。

 現在において、この核の持込みというのはどのような状況にあるのか。いわゆる、米軍が核を搭載した核搭載艦の給油あるいは寄港といった行為は、事前協議なしに現在も行われている状況なんでしょうか。

林国務大臣 冷戦終結後、これまで公にされた米国の核政策に加えまして、米国は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解していることから、核兵器を搭載する米艦船及び航空機の我が国への寄港、飛来、通過、これは現状において想定されないわけでございます。

 また、我が国は一貫して、事前協議の対象である持込みには、米艦船及び航空機の寄港、飛来、通過が含まれると述べてきております。この日本政府の立場は、現在も同様でございます。

青柳(仁)委員 核を搭載した船あるいは飛行機が日本に立ち寄ることは想定していないと今おっしゃいましたが、現在において、ないということでよろしいですか。

林国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおり、想定されておらない。

 その上で、一貫して、事前協議の対象である持込みには、米艦船及び航空機の寄港、飛来、通過、これは含まれると述べてきておるところでございます。

青柳(仁)委員 想定されていないのと、ないのとでは大分違うんですけれども、もし、ないということであれば、二〇一〇年のときにはあったわけですから、二〇一〇年のときにあったものが現在はない、そういう御認識だということでよろしいですか。

市川政府参考人 米国は、二〇一八年の「核態勢の見直し」、いわゆるNPRでございますが、ここにおきまして、冷戦後、アジア配備の全ての核を撤去したということを表明してございます。

 その過程におきましては、一九九一年に、ブッシュ・イニシアチブというのがあるんですが、そこにおきまして、水上艦艇、攻撃型潜水艦及び陸上配備航空機から戦術核兵器を撤去する旨の表明をいたしました。また、一九九四年NPRにおきまして、水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力を撤去するということを決定いたしました。また、二〇一〇年NPRにおいて、水上艦艇及び通常型潜水艦から核兵器を撤去することを含め、太平洋地域から前方配備の核兵器を撤去させたことを表明しているところでございます。

 このような米国の核政策を踏まえれば、我が国周辺地域において、米軍の水上艦艇、空母艦載機及び通常型潜水艦は核兵器を搭載していないこととなる、このように承知しております。

青柳(仁)委員 今の御答弁は、米国側の発表を読み上げただけですね。ですから、それについて日本政府が御存じなのかどうかということを聞きたかったんですが、恐らく、今聞いても同じ答弁しか返ってこないと思いますので。要するに、今もそうした核搭載艦等の立ち寄りがされている可能性が否定できないわけであります。

 あるいは、この密約の二〇一〇年の調査を見れば、恐らく今もあるということだと私は予想しておるんですけれども、もし私のこの予想が正しかったとしたら、もうそれは核共有そのものではないかと思うわけです、つまり、地上配備を想定していないわけですから。そもそも、日本にドイツみたいな戦術核を装備しても何の意味もないわけです、防衛力的には。であれば、原子力潜水艦であるとか、あるいはそういった船ということになるわけですけれども、ですから、そうした立ち寄り、寄港が既にもし行われているのであれば、それは日本は核共有を今行っているということに、ほぼほぼ同じ意味だと思いますので。

 ですから、我々は、そういったことを水面下で政府の中だけで議論するのではなくて、こうしたウクライナやロシアの状況を受けて、本当の意味で国民の生命と財産を守れるような外交、防衛というものをつくっていくために、きちんとテーブルの上に上げて議論すべきではないかということを今回の提言書の中で提案をさせていただいております。

 そのことをちょっと確認させていただきつつ、日米同盟における米軍の日本防衛について、これも関連として教えていただきたいと思うんですけれども、今回、ウクライナを見ていますと、NATOは、周辺国に派兵をしたりとか、あるいは後ろから武器を送ったりといったことはしていますが、実際には、ウクライナと一緒に戦ったりはしていないわけです。そこには様々な判断があるというふうに承知しておりますけれども、いずれにしても、日米同盟があるから、何か日本有事の際に、日本人が一人も血を流すことなく、アメリカ人が駆けつけてくれる、こういうふうに思うのは極めて危険だと思っているわけなんです。

 なぜならば、合衆国憲法によりますと、こうした派兵あるいは戦争、これは開戦かどうかということも、どういうふうにアメリカが理解するかによりますが、いずれにしても、日米同盟の第五条に基づいて、日本の固有の領土に対する攻撃を受けたときは日米両国でそれに対して防衛を行うということが書かれているんですが、これに対して、実際にアメリカ政府が米軍を動かすためには、これは連邦議会の承認が必要になります。又は、戦争権限法という中で処理するにしても、一定のそうした時間、タイムラグといいますか、時間がかかります。

 あるいはまた、その意思決定が必ずしも日本が求めるような意思決定になるかどうかは不明だというふうに思っておりますけれども、こうした日本有事の際の日米同盟における米軍の意思決定過程、プロセスというものを日本政府としてはどのように把握しているんでしょうか。

林国務大臣 我が国及び米国は、日米安保条約の第五条に基づきまして、我が国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合に、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処することになるわけでございます。

 アメリカは、累次の機会に、日米安保条約の下での自国の対日防衛義務を確認してきておりまして、このことは、本年一月の日米首脳テレビ会談においても、バイデン大統領から改めて表明をされたところでございます。また、同じく一月の日米2プラス2においても、アメリカ側から、核を含むあらゆる種類の能力を用いた、日米安保条約の下での日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントが改めて表明されております。

 日本政府として、米国が条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いているところでございます。

 また、この日米安保条約の締結ですが、アメリカにおいては、当然、米国議会によって承認されたものでございまして、米国は、行政府のみならず、議会を含めて日米安保条約上の義務を負っているということになります。

 したがって、日米安保条約第五条に規定する米国の対日防衛義務について、この義務を承認した同じ議会がこの義務の履行を妨げるかのごとき措置を取るようなことは考えられないというふうに理解しております。

青柳(仁)委員 今大臣がおっしゃったとおりで、連邦議会の承認が必要であるという場合には、これは議会の承認をした上で作った日米安保条約ですから、有事の際には、そこは自動的に承認をされる、また、かつスピーディーに承認をされるということは、これは是非、駐留経費のことだけじゃないですけれども、日米の協議の際には、繰り返し繰り返し、強く我が国から申し上げることではないかと思っております。

 また、万が一、実際に意思決定自体が変わらなかったとしても、意思決定にかかる時間が、これは半日かもしれません、一日かもしれません、そういったことがかかる可能性というのは当然あるわけなんですが、その間は、今のウクライナのように、当然、自国の防衛力で自分の国を守らなきゃいけないわけなんですが、そういったタイムラグに対処するための自衛力というのは現在どのような状況なんでしょうか。これは防衛省にお伺いします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 米国による日本防衛の義務は日米安保条約第五条に明確に示されており、また、米国とは累次の機会に日米安保条約の下での米国の義務へのコミットメントを確認してきており、日本政府として、米国が条約上の義務を果たすことに信頼を置いています。

 その上で申し上げれば、各種事態における自衛隊と米軍の具体的な連携は個々の状況に応じて行われることになるため、一概にお答えすることは困難でありますが、日米間においては、平時から緊急事態までのいかなる状況においても、切れ目のない形で日本の平和及び安全を確保するための措置を取るということにしておりまして、自衛隊と米軍の間でも緊密に連携し、万全の対応を取ってきております。

 日米による対処の実効性を高めるためにも、防衛省としては、我が国自身による防衛力を抜本的に強化するとともに、宇宙、サイバーを含む様々な分野での日米防衛協力の強化や各種共同訓練の着実な実施など様々な取組を通じて、引き続き、日米同盟の抑止力、対処力を不断に強化してまいります。

青柳(仁)委員 質問時間が少なくなってまいりましたので、最後の質問にさせていただきたいと思いますが、これは、今実際に、冒頭申し上げたとおり、ロシアという核保有国がウクライナに対して侵略行為を行っているという最中なのでありますけれども、全くその真っただ中なのでありますけれども、そういった中で、外務大臣として、日本についても核保有国による侵略のリスクというものは現状存在していると思われますでしょうか。

林国務大臣 仮定の質問にお答えすることは差し控えたいと思いますが、我が国を取り巻く安全保障環境について、一般論として申し上げますと、北朝鮮による核・ミサイル開発、また、東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試み、軍事バランスの変化による緊張の高まり等々、厳しさと不確実性を増しているところでございます。

 今回のウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更を、インド太平洋地域、とりわけ東アジアで許してはならないというふうに考えております。これが、今後、日本の外交、安全保障を考えていく上で最も重要な点であると考えております。

 政府として、いかなる事態に対しても対応できるよう、万全を期してまいりたいと思います。

城内委員長 青柳仁士君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

青柳(仁)委員 これで、以上にさせていただきますが、今御答弁いただいたとおり、日本政府としても、極めて重要な局面に我が国の防衛そして安全保障というものが来ているということの御認識ですので、是非、今回の在日米軍の駐留経費も含め、より抜本的な、国民の生命と財産を守れる外交ということを総合的につくっていくためにも、しっかりと米軍との連携強化というものをお願いしたいと思います。

 以上で私からの質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

城内委員長 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 質問を始めていくわけですけれども、今の青柳先生の話もありますし、午前中からいろいろな議論がございました。一点、言えること、私、感じることなんですが、今ウクライナで大変なことになっておりますが、非常に申し上げにくいことですけれども、ウクライナの皆さんは、幾ら待っても誰も助けに来ないんです。援軍は来ないんですよ。アメリカだって、軍隊は入れないと、これはアメリカが入れたら米ロの直接の戦争が始まってしまうから入れないと言っている。

 でも、日本は、ある程度まで頑張れば、踏ん張れば援軍は来るんですね。アメリカが来てくれるはずなんですよ。そのためにやはり私たちはその状況というものをしっかりとつくっていくという必要があって、そのために今回の特別協定の更なる深化というんでしょうか、そういったところもあるんだと思います。

 時間がないのでどうしようかと思ったんですが、最初にやはり私、ちょっと読み上げたいものがありまして、今、ウクライナの皆さん、幾ら待っても来ないと私は言いました。ウクライナの国歌という歌詞はこうだそうです。ウクライナの栄光と自由は滅びない、運命は再び我らにほほ笑む、敵は露のように消えうせるだろう、自由のために魂と体をささげよう。こういう思いで、今皆さんは、誰も来ないのに頑張っていらっしゃる。

 それは、経済的な支援とかいろんなことで、制裁とかで我々はやりますけれども、恐らくというか、幾ら待ってもNATOからは一兵も入らないでしょうし、アメリカの兵隊さんも来ないでしょう。でも、我々は、来るんです。それまで頑張る努力を私たち一人一人、国民がしなきゃいけないし、自衛隊の皆さんにも頑張ってもらわなければならないんだなと思います。

 そんな中で、この特別協定のことをお伺いしていくわけですけれども、まず最初に、何度も御議論になりました訓練資機材調達費について、もう一度確認しておきたいと思います。

 これまであった三つの経費に加えて、新たにこういうものが設定されたということになるわけですけれども、何度も今日御議論がありました。ただ、これを新たに作る中で、野方図に、じゃ、何でもかんでも認めりゃいいよになってもいけませんし、きちっと基準を決めておいて、その基準が守られているかどうかというのも担保する必要があると思うんですね。

 その点について、いかがでありましょうか。

林国務大臣 特別協定の第三条の1でございますが、日本国は在日米軍の施設・区域に設置される訓練能力に関連する資機材及び関連する役務を調達するための経費を負担する旨、規定をしております。

 ただし、本経費の負担を行うのは、当該訓練能力が、日米安全保障条約の目的を達成し、即応性を向上させ、自衛隊と米軍の相互運用性を強化することを含め、抑止力及び対処力を強化することに寄与する場合に限るということとしております。

 さらに、この経費の負担を行うのは、日本国政府が、相互に適当と判断する経費を日本国が負担する、こういう通告を米側に対して行う場合に限るというふうにしております。

 その上で、上で規定している訓練能力に関連する資機材とは、在日米軍が各種技能の維持向上を通じて即応態勢という軍隊の機能を維持するために必要な訓練を実施する能力を向上させることを目的とした資機材を意味しておりまして、我が国として、例えば実際の戦闘に用いるようなことを目的とした銃器や戦車等の調達のための経費を負担することはないということでございます。

和田(有)委員 そのとおりのことなんですけれども、それをきっちり、そうはならないですよ、銃器やそんなものを買うものにならないんですよということを担保する必要がある。何かで担保していかなければ、野方図に広がっていく場合はやはり世の中ってあるわけでして、そこら辺、何をもって担保するか、もう一度お伺いします。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、この経費の負担を行うのは、日本国政府が、相互に適当と判断する経費を日本国が負担するという通告を米側に対して行う場合に限るということでございますので、その通告がなければ、当然、負担は生じないということでございます。

和田(有)委員 そのとおりなんですけれども、しっかりと歯止めがかかるようにしておく必要があると思います。

 次に移るんですが、実は、この新しい項目立てをする中で、これは必要だという御判断で、質的な変化というんでしょうか、一歩、この特別協定というのは、日米安保条約の一つの進化を遂げるために、こういう時代的背景でこういうものが出てきていると思うんですけれども、じゃ、そういうことをしようと思ったときに、予算をどうするか、皆さん、考えたと思うんですね。

 その中で、新たに作って大きな予算を取るのも難しいということだと私から忖度しまして、恐らく、光熱水道費あたりを何とか抑え込んだら、このお金、出るんじゃないかというような感じでこの予算立てをしたように私は感じるわけですね。うがった見方かも分かりません。でも、光熱水道費を一生懸命削ってお金を浮かせたもので新しいところを何とか作ったというような感じを受けるんですが、そこら辺についてはいかがでありましょうか。

林国務大臣 この交渉でございますが、日米両国を取り巻く諸情勢、これを総合的に勘案して、まず、日米地位協定の二十四条に定める経費負担の原則、これは原則として維持しながら、暫定的、限定的、特例的な措置として、五年間を期間とする地位協定の特則である特別協定、これを締結することが適当との判断を改めて行ったものでございます。

 したがって、先ほど委員がおっしゃられたような交渉ということではなくて、あくまで、先ほど申し上げたように、諸情勢を総合的に勘案して、この原則は維持しながら交渉を行ったということでございます。

和田(有)委員 私がこれを、何を言わんとしてお聞きしたかというと、必要なお金は必要なんです、変な言い方ですけれども。この特別協定に係るいろいろな作業というものも、私は日本国にとって必要経費だと思うんです。必要経費はきちっとお金を取って手当てをしていく必要が私はあると思います。ですから、何を言わんとしているかというと、やはり、きっちりと議論した上で、つけるべき予算はきっちり確保していくというふうにしていただきたいなと私は思います。そのことを述べたくて、こういう質問をいたしました。

 次に、それと併せて、関わる話になってくるんですけれども、これは特別協定ですね、五年の期限で、こういう言葉が出てくるわけですが、結果的にはもうこれは恒久化してしまっていると私は思うんです。なおかつ、私、この予算のことも随分、今回、初めて勉強させていただいたら、非常に複雑な、在日米軍の関係経費というのは複雑なでき方をしています。いろいろなところからいろいろな形で予算を入れながら枠組みをつくっている。非常に複雑極まりないです。

 私、思うんですけれども、以前、我が党の参議院の浅田先生も御指摘なさったときがあるんですけれども、やはり、これはもう恒久化して、そして、もっと予算にしてもシンプルなものにして、運用しやすいものにした方がいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほども述べさせていただきましたように、まず、地位協定二十四条というのがございまして、ここに原則が書いてあるわけでございます。そして、この原則を原則として維持しながら、期間を五年間とする暫定的、限定的、特例的な措置として、地位協定の特則として特別協定を締結するということが適当であるという判断を改めて行ったものでございます。

 委員がおっしゃることは、ある意味では、原則と、そして五年ごとの特別な取決めということで、余り違ったことを言っていないのかなと思いながら聞いておりましたけれども、まさに地位協定二十四条に定める経費負担の原則、これは変更することは考えておらないところでございます。

和田(有)委員 その原則を、やはりもう、こういう時代背景がありますから、考え直していく、視点そのものの原点を変えていくということも私は必要ではないかと思います。これは、ここでもうこれ以上議論させていただきません。

 次に、今回の中に、見ておりましたら、サイバー実践訓練装置というのも計上されるというのが出てまいりました。

 午前中からもこの点について議論もありましたけれども、まず、このサイバー実践訓練装置について、計上されているものはどんなものか、お伺いします。

鬼木副大臣 お答えします。

 現在、訓練資機材調達費による調達を想定しているサイバー実践訓練装置は、過去のサイバー攻撃事案等に関する情報を基に、実際のサイバー攻撃対処を模擬した訓練を行う機器であり、米本土の訓練環境にも接続することが可能なものであります。

 当該装置は、より実践的なサイバー攻撃対処訓練を日本国内で実施する機会を増加させること等に資するものであります。

 以上です。

和田(有)委員 日本国内で実践的なことを、まあいわゆるVRですかね、できるんだと。

 こういうものを入れていく時代になっている中で、実は、前のときの、私、この委員会でもサイバーのことを聞こうと思ったんですが、なかなかうまく聞けなくて、今日、ちょうどこういう話になってきましたから、お聞きしていきたいんですね。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻を見ていても、これはサイバー戦をやったわけです、やっているわけです、今だって。これは、いわゆる情報戦であったり、世論操作であったり、いろいろなことをやるわけです。いわゆるハイブリッド戦争です、ハイブリッド攻撃です。こういうことが行われていく中で、我々はサイバー戦に対してしっかりと備えをしていかなければなりません。

 そういう中でお伺いしたいんですが、日本が主催をして、陸上自衛隊が主催なんですかね、アメリカ、オーストラリア、フランス、インドネシア、フィリピン、ベトナム、六か国と多国間演習としてサイバー防護競技会というのを開催したと。このサイバー攻撃に特化した多国間演習というのを日本が開催するに至った経緯、理由等をお伺いします。

鬼木副大臣 防衛省・自衛隊においては、サイバー能力の抜本的強化を目的に、様々な取組を進めております。その一環として、サイバー攻撃対処能力の向上や諸外国との連携強化を目的に、陸上自衛隊は、三月一日に、防衛省・自衛隊及び数か国のサイバー関連部隊等が様々な場所からリモートで参加する多国間サイバー防護競技会を開催いたしました。

 本競技会の参加国については、諸外国との連携強化の観点から複数国を招待し、結果、同盟国であるアメリカを始め、オーストラリア、フランス、インドネシア、フィリピン及びベトナムが参加することとなりました。

和田(有)委員 まさに、こういったものの一つの訓練としても、今回のこういう特別協定の予算措置というのは活用できていくんでしょうけれども、ベースになって。

 その上で、これは日本が主催したものでした。ほかの国でもやはり主催しているものがあると思うんですね、私は。そういうものに参加しているのか。その際、これは実利的な話ですから、台湾なんかもそういうところへ出てきて、一緒に訓練というんでしょうか、同じ場でそういう作業に当たっていることもあるんでしょうか。

鬼木副大臣 防衛省としては、安全保障上の極めて重大な課題であるサイバー攻撃に対して迅速かつ的確に対応するためには、我が国自身の体制強化のみならず、同盟国であるアメリカを始めとする諸外国と効果的に連携することが必要と考えております。

 このため、これまでも、例えば、NATOサイバー防衛協力センター主催のサイバー防衛演習ロックドシールズ二〇二一、また、タイとアメリカが主催する多国間共同訓練コブラゴールド中に行われたサイバー攻撃対処等に係る訓練など、他国等が主催するサイバー演習やサイバー関連の訓練を含む多国間訓練に参加をしております。

 他国等が主催する各演習の参加国等については、各演習の主催者の判断で公表されるものであるため、主催者でない防衛省からお答えをする立場にございません。

和田(有)委員 我が防衛省からは、どこが出てきたものに行ったかというのはなかなか言いづらいと。

 実は、前の外務委員会で私が質問したときに、こういう御答弁がありました。台湾と米国が締結をしたグローバル協力訓練枠組み、GCTFといいますが、これに基づいて実施しているワークショップには日本も参加するようになって、そこには、台湾の外交部、米国在台湾協会、日本台湾交流協会の三者でサイバーセキュリティーリスクに対応する議論を重ねていっておりますという、既に実は御答弁があったわけでございます。

 ここでお伺いしたいんですけれども、このグローバル協力訓練枠組みにおける成果というものはどんなものなのか、そして、その議論の内容については自衛隊も共有しているのかということについてお伺いします。

岩本政府参考人 お答え申し上げます。

 先般もこの場で御説明申し上げたとおり、台湾との関係でいきますと、グローバル協力訓練枠組み、これは元々、米台間で二〇一五年に立ち上げられまして、二〇一九年からは我が国の民間窓口機関である日本台湾交流協会も参加している人材育成の枠組みでございます。

 二〇二一年には、このGCTFの枠組みの中で、日本台湾交流協会が台湾、米国を含む関係者と、国土強靱化、サプライチェーン、ワクチン、科学技術、サイバー犯罪対策等に関するオンラインセミナーを共催しております。

 この枠組みは、台湾が自らの知見を活用して国際社会に貢献する上で効果的に機能していると考えておりまして、我が国としましても、これまでのセミナーの結果も踏まえつつ、協力と交流の更なる深化を図っているところでございます。

 こうしたGCTFの結果につきましては、日本台湾交流協会のホームページで公開しております。また、その内容に応じて日本政府の部内でも適切に共有をしてきているところでございます。

和田(有)委員 私、自衛隊とも共有しているかということを具体的に聞いたんですが、いかがですか。自衛隊との成果の共有。

岩本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおりでございますが、内容に応じて日本政府部内でそれぞれ共有をしておりますが、一つ一つ、どのテーマについてどの政府部門と共有したかということは、ちょっと、済みません、この場では資料がございませんので、はっきりしておりません。

和田(有)委員 共有しているというふうに受け取りますけれども、よほどそういうことについては言葉をはっきりと言いたくないんだなというふうに私は受け止めます。それで、もうちょっと、何とか時間内に収まる中で、このことはもう一度戻って申し上げたいんですが。

 じゃ、もう一つ。次、この特別協定の中でお伺いしておきたいことがありまして、訓練が、アラスカに移転するものが出てまいりました。アラスカに行くということの戦略的意義をお伺いします。

鬼木副大臣 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化する観点から、日米間では実践的な訓練の必要性等を確認してきております。また、沖縄の負担軽減は政府の最重要課題の一つであり、嘉手納飛行場等に所属する航空機の訓練移転等に取り組んできたところであり、引き続き地元の負担軽減に取り組んでいく必要があります。

 かかる観点から協議を行った結果、本特別協定において、航空機の訓練移転について、米軍による訓練の日本国外への移転を拡充し、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転の対象とすることについて日米間で合意したところであります。これにより、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担軽減を図るための訓練移転を更に促進することが可能になると考えております。

和田(有)委員 一点確認しておきたいんですが、アラスカに行くということは、地球儀を見れば、上から行けばすぐ隣なんですけれども、何となく、一般的な素人の感覚でいうと、どうもアメリカに後ずさりしていっているんじゃないかというイメージを受け取るんですね、私みたいなごく素人の人間からいくと。それはないということですよね。

鬼木副大臣 これは訓練の移転でございますので、その実施する訓練を、嘉手納で行っていたものを、アラスカに行ってアラスカで訓練を行って。ですから、本拠は嘉手納のままでございますので、そこに空白が生まれるということにはならない。よりよい環境で訓練をして、また戻ってくるということでございます。

和田(有)委員 はい、理解しました。

 次にお伺いするんですが、大臣は所信の中で、今回、三つの覚悟という言葉を使われているんですよ。覚悟を持って臨むんだと。覚悟という言葉は、私は本当に重い言葉だと思うんです。覚悟を示すというためにはそれなりのものを示さなきゃいけないと私は思っているんです。

 その中で、私、一つお伺いしたいのは、昨日も随分と本会議でも議論になりましたし、我が党の美延先生もお伺いになりました。台湾有事における邦人保護についての自衛隊法八十四条三についてです。

 これでも、要は、当該国が一体どこなのか、これをお聞きしたら、何か、先ほどの答弁のような曖昧模糊とした答弁になるわけです。中国に聞くんですか、台湾に聞くんですかと言うと、日中何とかかんとか、うにゃうにゃうにゃというような感じで。こういうときにやはりはっきりと、ぴしゃっと物を言う、台湾に聞くんですとか。これが覚悟になってくると思うんです、私は。

 そこら辺をちょっと、覚悟という点も含めて実はお伺いしようと思っておりまして、時間が限られてきていますので、まず、この邦人保護の自衛隊法八十四条の三についてお伺いします。

林国務大臣 海外に渡航、滞在する邦人の保護、これは外務省の最も重要な責務の一つでありまして、平素から在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っており、邦人保護の強化を図っているところであります。

 その上で、一般論として、邦人の退避が必要となる事態が発生する場合には、まずは極力、商用定期便が利用可能なうちに、在外邦人の出国、出境又は安全な場所への移動の確保に努めることになります。

 有事における我が国の個々の対応につきましては、個別具体的な国、地域名を挙げてつまびらかにすることは事柄の性質上差し控えますが、いずれにせよ、邦人の安全確保に万全を期するべく、政府として全力を尽くす考えでございます。

和田(有)委員 いつものとおり、事柄の性質上、こういう言葉になるわけです。私はやはりそこが、そろそろこの時点においては、覚悟を示すというのなら、事柄の性質上、やはりはっきりしたことを言っていくことが必要じゃないか。

 これを言いますと、例えば、不用意に緊張を高めてしまうとか、こういうふうな答えが返ってくるときがあるわけです。でも、そういうことを続けてきた結果、今、日本の周りはこうなっている。尖閣の周りだってああなっている。こういうことを考えると、そろそろ、そこら辺、本当の意味で覚悟を示すべきではないかと思うんですね。

 もう一点、私、お伺いしたいのは、事態対処法三条七項に出てくる、関係する外国という文言について伺いたいんです。

 これは、関係する外国とはどこなんでしょうか。もう時間がありませんから先に聞きますが、台湾は関係する外国なんでしょうか。

青柳政府参考人 事態対処法第三条は、武力攻撃事態等及び存立危機事態への対処におきまして基本的な理念を明らかにする規定でございまして、そのうちの第七項、これにつきましては、米国等との関係や国際協調に係る基本理念を定めたものでございます。

 その第七項にあります、関係する外国との協力を緊密に協力しつつという部分につきましては、日米安保条約に基づく米国との緊密な協力が我が国の安全保障の基軸となるものである、こういう認識の下、米国以外の外国との協力も当然重要であるということから規定されているものでございます。

 したがいまして、関係する外国につきましては、特定の国を念頭に置いたものではなく、武力攻撃事態等や存立危機事態への対処における外国との協力が重要であるということの基本理念を示したものでございます。

和田(有)委員 そういうことを聞いているのではないんでして、ここまで来ると、一般論的に、一般論ですよ、なぜここまで中国の顔色をうかがうのかな、こう私みたいな人間は思ってしまうわけですよ。

 要は、一つの中国というのは中国が主張していることです。中華人民共和国が一つの中国ということを言って、それを我々は、言っていることは言っていますよねと、おっしゃることは尊重しましょう、こう言っているだけで、何もそれを我々は丸のみしているわけでも何でもないわけですよ。でも、こういうふうな皆さんのお答え方をしているのを見ていると、どう見ても、何か忖度をしているようにしか思えないんです、中華人民共和国、北京政府に対して。それが、翻って、今まで私たちの国益をプラスに転じてきていたらいいですよ。今となってみればマイナスに作用してきたんじゃないかと思ってしまうわけです。

 今日はやりませんけれども、領土問題を私、いずれ聞きます。私、尖閣諸島にも上陸したことがあります。そのときの経験をもってしても、今の現状というものは目を覆うばかりですよ。まだ私が行った七、八年前というのはそこまでひどくはなかったと私は思います。

 そういう意味で、やはり、中国に対してなぜここまで顔色をうかがうんですかねと聞きたいんですけれども、聞いたって、そんなことありませんと答えるでしょうけれども、そこが、やはり覚悟の示し方があるんじゃないかと私は思うんですが、もう一度、大臣、御覚悟とはどういうものか、御意見をいただけませんか。

林国務大臣 大臣所信におきまして、三つの覚悟を持って外交を切り開いていくと述べさせていただきましたが、まさに、今回のロシアによるウクライナ侵略や緊張する米中関係に見られるとおり、厳しさと複雑さを増す国際情勢の中で、とりわけ、一番目に申し上げました普遍的価値を守り抜く覚悟、そして二番目に申し上げました日本の平和と安定を守り抜く覚悟、これを持って、対応力の高い、低重心の姿勢で外交を展開していかなければならないと改めて考えたところでございます。

和田(有)委員 そのとおりでございますが、そのとおりなんですが、覚悟というのは示すものがないと駄目ですよね、やはり。私はそう思います。

 もうこれ以上やり取りしても、お聞きしても、そこら辺は今日は出ないと思いますので、また別の形でお伺いしてまいりますけれども、覚悟を示すというのは大変なことです。我々政治家にとってみたら、例えばの話、このバッジを外すから、そういうふうなことに類するようなものになってくると思います。それはやはり重いです。そういうことをもって書き込まれ、書き込まれたならば、それをするために何が今できるかというのを真剣に考えていただきたいと思います。

 まだ一分、二分ありますから、もう一点、通告に基づいて、最後にもう一つ聞きます。

 北朝鮮のミサイルです。これも、今日、松原さんが中国の大使館の館員の話をしたのと一緒で、北朝鮮も、ミサイルを次から次に、幾ら抗議したって撃っています。抗議するのは、それは口では言えますけれども、実質的に、本当にそれも覚悟を示して、止めるという一つの姿勢が必要です。そのために、はっきり言って何にもやっていないようにしか私には思えないんです。

 確かに、こういう制裁をしました、こういうのはしましたと言うけれども、じゃ、金何とかさんというあっちの一番トップにある人の資産を凍結したのか、あるいはその人の何とかを何とかしたのかとか、ないわけです。

 一体これはどのようになさるのか、お伺いします。

城内委員長 簡潔に御答弁をお願いします。

林国務大臣 これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含めて、一連の北朝鮮の行動は、日本、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できるものではございません。

 厳重な抗議に加えまして、安保理決議に基づく特定品目の輸出入禁止措置、資金移転防止措置等に加えて、我が国自身の措置として、北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止等の措置を取っており、北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置を実施してきておるところでございます。

和田(有)委員 まだまだ足りないと思っています。このことも、引き続き次の機会でしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、島尻安伊子君。

島尻委員 自由民主党、島尻安伊子でございます。

 今般のロシアによるウクライナへの侵略は、決して人ごとではありません。この対応を誤ると、今後、アジアを含む他の地域でも同様の暴挙を許すことになる。

 このような状況下で、G7を含めた国際社会と連携しながら、ロシアへの制裁措置を含めて、我が国が取り得る最大級の対応を取るという必要があるというふうに考えているところでございます。

 各質疑者からも出ていることではありますけれども、改めて、ウクライナ情勢、現状、どのように見ていて、どういった対応を検討しているのかということ、政府の見解をお伺いいたします。

小田原副大臣 島尻委員にお答え申し上げます。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻は、力による一方的な現状変更の試みでありますし、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反でありまして、断じて許容できず、厳しく非難するものであります。

 今回のウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更を、インド太平洋、とりわけ東アジアで許してはなりません。今こそ、国際秩序の根幹を守り抜くため、結束して、毅然として行動しなければなりません。我が国として、このことを示すべく断固として行動していく、こうした暴挙には高い代償が伴うことを示してまいります。

 そうした考えの下、我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携をいたしまして、迅速に厳しい措置を打ち出しています。

 具体的には、プーチン大統領を含むロシア関係者、団体に対する資産凍結など、そして、ロシア中央銀行との取引制限や、SWIFTから排除されるロシアの七銀行に対する資産凍結等を含む金融分野での制裁、そしてロシア向け輸出管理の厳格化など、三つの分野における対ロ制裁措置を速やかに実施をしています。

 政府としては、こうした措置を、欧米と足並みをそろえて、最大限の対応として、主体的に、適時適切に実行してきているものであります。

 また、日本の外交努力として、直近では、総理が、二月二十八日と三月四日にウクライナのゼレンスキー大統領、三月一日にフランスのマクロン大統領と電話会談を実施し、三月一日には米国主催の多国間首脳電話会議、三月三日に日米豪印首脳テレビ会談に参加いたしました。また、三月の二日にドイツのシュタインマイヤー大統領、ポーランドのモラビエツキ首相ともそれぞれ電話会議を実施したほか、八日にはジョコ・インドネシア大統領とも電話会談を行いました。

 林大臣も、二月二十五日にウクライナのクレーバ外相と電話会談、二月二十六日に米国のブリンケン国務長官と電話会談、二月二十七日と三月四日にG7外相会合に参加し、七日にはスロベニア外務大臣と電話会談を行うなど、事態の改善に向けて、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して外交努力を続けてきているものであります。

島尻委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 今、答弁の中にもございましたけれども、やはり、ウクライナから東アジアに目を転じていくというのは大変大事なことだろうというふうに考えております。

 台湾有事の可能性も含めて、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさとそれから不確実性を増す中で、米国による核抑止を含む拡大抑止の提供を含めて、同盟の重要性というもの、これまでになく高まっているというふうに考えております。

 日米同盟は、今や、インド太平洋地域と国際社会の平和と安定の礎の役割を果たしていると思っておりますし、また、地域そして国際社会にとっても不可欠な存在だと思っております。

 今回のこの在日米軍駐留経費の負担に係る特別協定は、在日米軍を支えるためにも大変重要であるというふうに認識をしております。

 ここで改めて、在日米軍の駐留の重要性についてお聞かせいただきたいと思います。

小田原副大臣 島尻委員にお答え申し上げます。

 日米安全保障条約に基づく日米安保体制は、我が国の安全保障の基軸であります。また、米国の前方展開維持による同盟の抑止力、対処力の強化は、日本の平和と安全の確保に不可欠であります。

 インド太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟及び在日米軍は、我が国の防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためになくてはならない存在であります。

 その上で、在日米軍の施設・区域は、米軍の地域への前方展開を支えているものであります。具体的には、横須賀に空母ロナルド・レーガンを含む第七艦隊がプレゼンスを維持していることや、嘉手納飛行場を拠点に第五空軍が警戒監視等を実施していることなどは、地域の平和と安全に貢献するものでありますし、自由で開かれたインド太平洋の維持強化において重要な役割を果たしていると考えています。

島尻委員 日米地位協定においては、日本側が施設・区域の提供とそれに関する経費を負担をし、他方、米側が、今申し上げたような日本の負担を除いて、日本に合衆国軍隊を維持することに伴う全ての経費を負担するということになっていると承知をしております。

 その一方で、我が国は、一九八七年以降、日米地位協定において米側に負担義務がある経費の一部について、同協定の特則を定める特別協定を締結した上で負担をしてきたというふうに承知をしておりますが、今回、今後五年間の新たな協定を締結しようとしているわけでございますけれども、今回合意された在日米軍駐留経費のポイントと評価を改めてお聞かせいただきたいと思います。

小田原副大臣 お答え申し上げます。

 本特別協定の対象期間である二〇二二年度から二〇二六年度までの五年間の在日米軍駐留経費負担は、平均で約二千百十億円になります。

 主なポイントとして、第一に、日米同盟の抑止力、対処力強化への貢献が直接見えにくい光熱水料等については、大幅に削減することで日米間で意見の一致を見ました。第二に、在日米軍のみならず、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化にも資する訓練資機材調達費の項目を設けるとともに、第三に、今後は、在日米軍の即応性及びその施設・区域の抗堪性強化に資する施設整備を重点的に推進していくことにいたしました。

 日米双方が真摯に交渉を行った結果、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるだけでなく、自衛隊を含む日米同盟の抑止力、対処力をより一層効果的に強化していくことに資する、また、厳しい財政環境を踏まえ、めり張りをつけた経費負担の合意を得ることができたと考えています。

島尻委員 水光熱費のお話があったわけでありますけれども、地元沖縄におりますと、これまで、基地内での軍人軍属の皆さんの各宿舎とか各家庭とかでクーラーがつけっ放しになっているとか、そういう何かお話は耳に入ってはきていたんですけれども、そこをしっかりと今回のこの改正で米軍の負担ということをきちっと求めていくというのは、私は大変いいことだというふうに考えて、評価できることだというふうに思っております。

 我が国を取り巻く厳しい安全保障環境に鑑みまして、地元、在沖米軍を含む在日米軍全体を支えることの重要性というのは十分に理解をするところでございます。一方で、日本の一義的な防衛というのは我が国自衛隊にかかっていると、これは強く思っておりますし、改めてお話をさせていただきたいと思いますけれども、自衛隊の予算というものもしっかりと増やすべきだというふうに考えております。

 また、加えて、鈴木外務副大臣がこれまで汗をかいてきた女性自衛官に対してのしかるべき対応ということがあると思いますけれども、今後、やはりそういったところ、女性自衛官に対しての配慮というのもされるべきだというふうに思っております。是非、こういった点も含めて御答弁いただきたいと思います。

鬼木副大臣 まず、予算をしっかりと増やすべきではないかという御質問をいただきました。

 周辺各国が軍事費の大幅な増額等により軍事力の強化を図り、我が国周辺での軍事活動を急速に活発化させるなど、我が国を取り巻く安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増す中、我が国自身の防衛力を抜本的に強化していく考えであります。こうした中で、国民の命や暮らしを守るために必要となる予算をしっかりと確保してまいります。

 また、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防を策定することとしておりまして、厳しさを増す安全保障環境の中、防衛力の強化には一刻の猶予も許されないとの認識の下、スピード感を持って検討を進めてまいります。

 続いて、防衛省における女性の活躍でございますが、防衛省・自衛隊では女性自衛官の活躍の推進が重要であると考えております。

 このため、平成二十七年一月に、防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画を策定し、平成三十年十二月には、海上自衛隊の潜水艦への女性自衛官の配置を開放し、女性自衛官の配置について、制限しなければならない一部を除き全面的に解除するなど、女性自衛官の活躍の推進に努めております。

 さらに、令和三年三月には、更なる改革を推進するため、新たな取組計画を策定し、全自衛官に占める女性自衛官の割合について令和十二年度に一二%以上とするなどの目標の下、取組を進めております。

 これらの継続的な取組の結果、女性自衛官の採用者数は十年前との比較で約二・二倍に拡大し、在職者数は約一・五倍となっております。

 また、女性自衛官の増加に伴い環境整備も進めており、各駐屯地等における女性用トイレ、浴場や女性用区画の整備、職業生活と家庭生活の両立支援を図れるよう、庁内託児施設の整備等にも取り組んでおります。

 防衛省女性職員活躍・ワークライフバランス推進本部を置きまして、私、その本部長も務めさせていただいております。これらの施策を推進し、女性自衛官の活躍を拡大してまいります。

 以上です。

島尻委員 女性自衛官が増えているということ、大変喜ばしく聞かせていただきました。

 今後、在り方として、例えば日米同盟、米軍の女性隊員の皆さんと女性自衛官との交流とか、そういうことが活発に行われると、また一段と違う意味での同盟の強化ということにもなっていくのではないかというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 今回、日米で厳しい交渉を経て、日本政府としては、めり張りをつける形で、今回の在日米軍駐留経費負担に係る特別協定の改定、ここでの合意ができたということでございますけれども、その一方で、日本の財政状況は引き続き非常に厳しいところでございます。

 安全保障を金銭に置き換えるということはできないというふうには思いますけれども、在日米軍の駐留経費の費用負担について、分担について、日本側の負担規模は適正と言えるのか。これまでも野党の皆さんの質問にもございましたけれども、この負担規模についての適正かどうかということをまずお聞きしたいのと、もう一つ、また、以前から、日本は諸外国と比べて米軍の駐留経費を負担し過ぎじゃないかという批判も聞こえてきたというのは否めないところでございまして、例えば、日本と同じく厳しい安全保障環境に位置する韓国との比較で、この負担規模についての御答弁をいただければと思います。

小田原副大臣 お答えいたします。

 我が国の負担規模については、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるとともに、日米同盟の抑止力、対処力を強化する同盟強靱化予算が引き続き重要である点を踏まえ、我が国の厳しい財政状況や我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を総合的に考慮し、主体的に判断したものであります。

 政府としては、我が国の厳しい財政状況にも十分配慮しながら、国民の理解を得られる内容にするとの観点から、同盟強靱化予算の各項目についてどのような支出が適切かについて米側と協議を重ねてきた結果、今般、日米両政府で合意に至ったものであります。

 同盟強靱化予算は、適切な水準であると考えております。

 各国が負担している米軍駐留経費の内容や規模については、各国を取り巻く安全保障環境や、その中での駐留米軍の役割等の種々の要因を反映していると考えられますし、また、国によって経費の範囲をどのように捉えるかに違いがありますので、単純な比較及び評価は困難であると考えます。

 その上で申し上げれば、御指摘の韓国については、米国に対して土地等を提供するとともに、労務費や光熱水料等の一部を負担しているものと承知しています。また、韓国国防部が公表している資料によれば、韓国は、米国との防衛費負担特別協定に基づき、二〇二一年度において、前年度比一三・九%増となる年間約一兆一千八百三十三億ウォン、日本円にして約一千百十二億円を負担しているものと承知しています。

島尻委員 適正ということでございます。

 やはり、限られた予算の中で実効性のある使い方というか、これは防衛、外務にかかわらず、我が国の予算ということではベースのベースだとは思いますけれども、是非、これが有効にというか効果的に、そして、これは適正なんだと国民が支持していただけるような、そんな使い方というか、これを御要望させていただきたいと思っております。

 では、少し具体的な中身について伺っていきたいと思います。

 今回、新たに負担項目として加わったのが訓練資機材調達費でございます。中で、LVCと言われるシミュレーション訓練用の機材を導入するということを想定していると伺いました。

 日米同盟の抑止力と対処力を最大化するためには、在日米軍と自衛隊の即応性そして相互運用性を高めるために、可能な限り実践的でハイレベルな訓練を実施するということが不可欠であると考えておりますが、このLVCという機材の導入には具体的にどのような利点があるのか、お聞かせいただきたいと思います。

鬼木副大臣 御指摘の訓練資機材、LVCシステムは、ネットワークを活用して、複雑かつ大規模な訓練を実施することを可能にするシステムであります。具体的には、実動演習とシミュレーターでの演習をネットワーク上で統合し、さらに、AIを活用して生成される仮想の敵を当該ネットワーク上に出現させるというものであります。

 日本国内では、訓練場所が各地に分散している上、演習場や空域の広さが十分でないなど、米本土と比較して大規模な訓練を十分には行えない状況にありますが、LVCシステムを活用することで、実動とシミュレーションのネットワーク上での統合により、多種多様な部隊の参加を得た大規模な訓練を特定の訓練区域に集結させることなく実施できる、また、AIが生成する仮想敵を活用することで、実際の対処の場面により近い環境を模擬した訓練が可能になるなど、より実践的な訓練を柔軟に実施することが可能になり、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化に大きく資すると考えております。

 以上です。

島尻委員 シミュレーション訓練ということで大変にすばらしいものだというふうにも感じるわけでありますけれども、他方、少し前から、自衛隊陸海空のIT環境といいますか、システムの環境がばらばらであるということも耳にするわけですね。

 せっかくなので、やはり相互運用性というのは不可欠だというふうに思いますので、今回のこのLVCの導入をきっかけに、我が国自衛隊の相互運用性ということもしっかりと議論にのっけて、それこそ効果的、実践的なものにしていっていただきたいということも要望をしておきたいというふうに思います。

 次に参ります。

 今回の特別協定では、訓練移転に係る費用として、今年度と同水準の費用を五年間負担するということで合意したとのことでございますけれども、在日米軍の訓練移転は、沖縄も含んで、地元の負担軽減のために必要な措置であるというふうに思っております。

 訓練移転による具体的な負担軽減効果について、また、今回、新たにアラスカが訓練移転先の対象になったということについての経緯も一緒に御答弁いただければと思います。

鬼木副大臣 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化する観点から、日米間では、実践的な訓練の必要性を確認してきております。

 また、沖縄の負担軽減は政府の最重要課題の一つであり、二国間の相互運用性の向上と在日米軍飛行場周辺における訓練活動の影響を軽減するため、嘉手納飛行場等に所属する航空機の訓練移転等に取り組むことにより、嘉手納飛行場等周辺の住民に対する騒音の影響が一定程度軽減されているものとの認識の下、引き続き、地元の負担軽減に取り組んでいく必要があります。

 かかる観点から協議を行った結果、本特別協定において、航空機の訓練移転について、米軍による訓練の日本国外への移転を拡充し、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転の対象とすることについて日米間で合意したところであります。

 これにより、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担軽減を図るための訓練移転を更に促進することが可能になると考えております。

島尻委員 先ほどの質疑の中でも嘉手納基地というワードも出てきておりましたが、やはり地元沖縄では、この訓練移転、もうどんどん外に出していただくということは県民の総意としてあります。ですので、また今後も、そういったところでの負担軽減、目に見える形での負担軽減、是非ともお願いをしたいと思っております。

 それでは、一つ飛ばしまして、在日米軍のコロナ対応について質問させていただきたいと思います。

 コロナ対応、今年に入ってから、オミクロン株の拡大では、いろいろ率直に言って不備もあったわけでございます。最もやはり重要なことは、基地の隊員、基地で働く従業員の皆さん、そして基地周辺の住民が安心できることである。そのためにも、日米が連携して速やかに対応する体制を整備するということが不可欠であると思っております。

 在日米軍における新型コロナ発生事案を受けた政府の取組を紹介していただければというふうに思っております。

 加えてといいますか、これまでも、基地から発生する事件、事故、今回は感染症の拡大だったわけでありますけれども、やはりこのような問題が発生したときに直ちに招集できるような会議体を、むしろ地元に、県とかそれから市町村と、自治体の皆さんと、それから米軍のしかるべき方々で構成する会議体をつくっておくべきで、ふだんから顔を合わせて意見交換をしたりとか、連携を取れるものが必要なんじゃないかというふうに思っておりますけれども、併せて御答弁いただければと思います。

小田原副大臣 お答え申し上げます。

 在日米軍における新型コロナ感染状況への対応については、これまで林外務大臣からも、一月六日の日米外相電話会談や一月七日の日米2プラス2の機会を含め、米側ハイレベルに対して、感染防止対策の徹底及び在日米軍従業員を含めた地元の方々の不安解消に向けた対応を強く申し入れてまいりました。

 この結果、米国は、一月三十一日までの三週間、必要不可欠な場合以外の外出を認めない、夜間の外出を禁止するなど、厳しい感染拡大防止策を取りました。

 また、一月二十一日の日米首脳テレビ会談においても、両首脳間で、本件に関して日米が緊密に連携することの重要性を改めて認識されているところであります。

 一月二十八日には、日米合同委員会の下に検疫・保健分科委員会を設立し、日米双方の保健当局も参加する形で、新型コロナウイルス感染症拡大への対処のため、協議を集中的に行っているところであります。

 何よりも重要なことは、感染拡大を防ぐため、あらゆる関係者が協力し合うことでありましょうし、在日米軍従業員を含めた地元の方々の不安解消に向けて、日米間での連携をより一層強化してまいります。

島尻委員 もう時間も来ておりますので終わりますけれども、今回、同盟強靱化予算というこのワードが、大変私は力強く感じているところでございます。

 他方、同盟の在り方で、何も軍事だけではなくて、軍事以外の同盟の在り方というのが議論されていいんじゃないかな、もっと活発にあっていいんじゃないかなと思います。それは、医療だとか教育だとか、いわゆるソフトパワーアライアンスと言えるんじゃないかと思いますけれども、そういった同盟の在り方でもって、また更に深化した同盟関係が強靱化されるということを御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

城内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時五十分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十一分開議

城内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 今日は、私は十番目のバッターというか質問者でございますので、関係各位、皆さん、お疲れだと思いますが、しばしおつき合いをお願いしたいと思います。

 私の質問は、当初、予定が休憩前であって、前の方で大臣に御答弁いただいて、後段は政府参考人の方々にお答えをいただくというたてつけでございますので、大臣におかれましては、冒頭、質問させていただいた後、ちょっと御退席というとあれなので、恐縮なんですけれども、聞いておいていただければありがたく存じます。

 それで、皆さんも御存じである、ニュースはもう入っているかと思うんですが、ウクライナの侵略については、国連が、民間人四百七十四人、ウクライナで亡くなっているという発表をしていますし、一方で、ちょっと期待するニュースとしては、リビウ発の共同の配信で、ウクライナの与党、ゼレンスキー大統領の与党は国民の奉仕者というところのようですけれども、中立化に対して柔軟で、米欧ロの安全保障が確約された条件の下、中立化というのを考え、かつ、NATOの早期加盟は断念するつもりもあるということを八日の声明で言っているということでございます。

 ロシア側の大統領の要望というか狙いというのが中立化と非軍事化ということですが、中立というところで何とか接点を見出して、非軍事化というのはなかなか現実的に難しいと思いますが、どこかで妥結をしていただきたいというふうに、一議員でありますけれども、私は感じているということです。

 また、御案内のとおり、韓国大統領選が行われ、我が国にとっても、シャトル外交がまた復活できるかどうかということかとも思いますので、地球はぐるぐる回っている中で、我々はいつもと同じ形で構えていてはいけないということが言えるかと思っています。

 さて、そこで、いろいろ賛否があるんですが、私は北方領土に入ったときに、島民の生の声を複数聞きました。そのときに、正直、ゴルバチョフ元大統領に対する評価というのが大変厳しくて、通訳を介してだったですけれども、彼は領土を売ったんだというような言葉を聞きました。たしか、国後だったか色丹だったか、我が国の固有の領土でありますけれども、ロシアの島民の声というのを聞きました。

 しかしながら、私は、初当選の前の、大分前の話なんですが、林大臣は参議院に早く当選されていますが、参議院でいらっしゃったタイミング、二〇〇五年に、ゴルバチョフ元大統領が名古屋にいらして、それで講演をされて、その後、神戸に向かう間のかばん持ちを三十分ぐらいさせていただいたことがあります。

 それで、ゴルバチョフ大統領がどんなことを言われたかというと、印象に残っているのが、君のような民間人と一緒にいることはまずなくて、三十人ぐらいの取り巻きの人間で、いつも同じ顔しか見ていなくてという状況にあった、それは何でか、君は分かるか、それは、私は核のボタンを常に持っているんだ、だから、知らない人間なんかに会わないんだよ、だから、君のような人に会うことはなかったということを言われましたけれども、君、核のボタンを持っている人間の緊張感というのが分かるかいというお言葉が大変重たく残っております。

 それで、ゴルバチョフさんは、今回も、ゴルバチョフ財団というのがあって、そこからも声明が出ていますが、似たようなことを言われているんですが、とにかく平和には、ロングダイアログという英語の訳が途中に入ったかと思いますが、長い対話がとにかく要るんだということで、ベルリンの壁が崩壊するような流れの中で、ロシアの北方四島の島民の声とは違いますけれども、私の認識では、二十世紀の本当に平和に貢献した人物であられるという認識を私は持っています。いろいろな意見があることも十分存じ上げていますけれども。

 それで、あえて申し上げたいのは、そのゴルバチョフ財団は声明を出していて、二月二十四日に始まったウクライナでのロシアの軍事作戦に関連し、一刻も早い戦闘行為の停止と早急な平和交渉の開始が必要だと我々は声明する、世界には人間の命より大切なものはなく、あるはずもない、相互の尊重と双方の利益の考慮に基づいた交渉と対話のみが、最も深刻な対立や問題を解決できる唯一の方法だ、我々は、交渉プロセスの再開に向けたあらゆる努力を支持する、こういう、相互の尊重、双方の利益ということが言われました。

 なかなか妥協を許さないような状況の中で続いていますけれども、何とか中立というところで、後段質疑しますけれども、中立国の在り方みたいなものは難しいと思いますけれども、そういったところで、一刻も早く、四百七十四という数字が、今申し上げましたけれども、そういう数字が出てこないようにしていただきたいというふうに思っています。

 それで、今日、うちの青柳代議士も、党の政調会長の代行でもあるんですけれども、非核三原則のところをまず質問をさせていただきたいと思います。

 維新としては、とにかく、議論はしないのではなくて開始していきましょうということでございます。それで、非核三原則の議論について、そしてまたその議論の自由度について、大臣の御所見を伺おうと思っているんです。

 憲法二十一条に、当然、表現の自由というのがありますし、国会議員の発言の責任の問題等の観点が五十一条にあるということで、議論すら封印する風潮や論調がちょっと見られたりすることは、極めて私どもとしては残念に思っています。

 そして、維新としては、この非核三原則に加えて、語らせず、考えさせずというふうになってしまって、非核五原則だという言い方まで、党代表、共同代表の馬場代表を始め、言わせていただいているということで、とにかく議論することを封印しないでほしいなというふうに私自身も感じております。

 外務大臣としての所見を伺うとすると、なかなか、国是だとかいろいろなお答えが出てくると思うので、もし、お答えいただけるのが一議員として、あるいは一国民としてこういった憲法二十一条とか五十一条ということを踏まえて御発言いただければありがたいですし、外務大臣としての答弁であれば、それもまた言っていただければと思います。

林国務大臣 外務大臣としてここに立っておりますので、政府として、政策上の方針として、非核三原則を堅持していくとの考えに変わりはないというのは述べさせてもらいたいと思います。

 その上で、総理もおっしゃっておられますように、党の内外でというのは、自民党の議員の方の発言についての御質疑だったと思いますので、いろいろな議論があることは承知をしておるということも併せて答弁をしておりますので、政府としてはこれを堅持するということですが、今委員がお触れになった憲法二十一条、五十一条、これはもう当然の原則でございまして、我々政府としては憲法尊重擁護義務があると承知をしておりますので、委員がおっしゃっていることと余り違わない立場かなというふうに思っております。

杉本委員 それで、単語がいろいろあって、ニュークリアシェアリングだとか核共有とか、あるいは核共有も、ちゃんと言うと核兵器共有のことを意味しているというふうに思いますが。

 ちょっと遡って、私は、本会議場でお隣で確認もさせていただきましたが、岡田元外務大臣が、平成二十二年三月十七日、衆議院外務委員会で、岩屋元防衛大臣、まだ大臣になられる前のときに、自民党が質問時間が野党で一時間もあって、それで岩屋代議士が質問されたという中での大事な答弁が引き出されているということで、この点について、先般の参議院の予算委員会でも岸田総理は御答弁されておられますけれども、改めて、ちょっと当時の岡田外務大臣の言葉を引用させていただいて、現政権でそのことを踏襲するという答えなんですけれども、その中に、決断することとか国民の皆さんに説明するとかそういうフレーズが出てきますので、そこも、現段階、政権が、まあ続くと思っていますけれども、続く中で、そういう状況下になったらあり得るということも確認させていただきたいということで。

 岡田元外務大臣は、余り仮定の議論をすべきでないと思いますが、緊急事態ということが発生して、しかし、核の一時的寄港ということを認めないと日本の安全が守れないという事態が発生したとすれば、それはそのときの政権が政権の命運を懸けて決断し、国民の皆さんに説明する、そういうことだと思っております、こういう答弁をされておられます。

 ちょっとくどいかもしれませんが、決断をするということとか、国民の皆さんに説明するということ、これは現政権でも当然踏襲するということは、もしそういった事態になった場合には、その決断であり、国民の皆さんに説明するということも踏襲しているという理解でいいかどうか、大臣の御答弁をいただければと思います。

林国務大臣 これは、そこにいらっしゃいますけれども、岡田元外務大臣のこの御指摘の答弁、岸田内閣においても引き継いでおるわけでございます。

 このことは、二〇一四年の二月の衆議院の予算委員会で当時の岸田外務大臣も御答弁をされておられまして、この御答弁は、「国民の安全が危機的状況になったときに原理原則をあくまで守るのか、それとも例外をつくるのか、それはそのときの政権の判断すべきことで、将来にわたって縛ることはできないと思うと答弁されておりますし、重要なことは、国民に対してきちんと説明することだとも答弁されております。 現政権もこの答弁を引き継いでおります。」こういうふうに述べられております。

 私も、岸田内閣にもこの答弁は引き継いでおるということを重ねて申し上げたいと思います。

杉本委員 二〇一四年、平成二十六年の二月十四日の衆議院予算委員会での当時の岸田外務大臣の御答弁ということを今言及され、そして、昨日、おとといだったか、予算委員会でもそういう発言があられたということを改めて確認しつつ、今、外務大臣からも確認させていただいたということかと思います。

 政権交代、私も岡田代表でいらっしゃったときぐらいに民主党に入れていただいて、それで、本当に末端係員で、お支えできなかったような感じになって申し訳なく思っていますけれども、岡田外務大臣が核の密約の問題の調査をされ、そしてこういった踏み込んだ発言をされたということは、まさしく政権交代の意義であったというふうに、私は今、あれから十二年たっておりますけれども、感じております。本音を言わせていただいています。

 そんな意味で、どこの党が政権交代するかは分かりませんけれども、そういう緊張感というものが非常に大事ですし、まさしく今ここにある危機の中で、我々は、判断を変えていくとか解釈を変えていくということは本当にしていかなければならないということなので、なかなか踏み込んだ発言というのは国会質疑では難しいとは思いますけれども、政府内で十分御検討を重ねていただく上で、そういった踏み込んだ発言が出てくることを私は期待しています。

 それで、もう一つだけ。自民党の中の発言で、前外務大臣と言いたいですが、元外務大臣という形になると思いますが、茂木敏充幹事長がやはり発言されて、核共有のことで、ちょっとこれは私の一方的な発言になると思いますけれども、この核抑止力及びそれに関連する意思決定、そしてそこから起こり得る政治的責任、これを共有する仕組みでありまして、核兵器そのものを物理的に各国が共有するということではない云々、こう述べられている。

 私の理解としては、核兵器の共有という問題においても、ソフトなシェアとハードなシェアがやはりあって、もう一つ申し上げたいのは、冒頭申し上げたとおり、核も平和利用というのがありますので、そういった意味では、核といっても、核兵器の共有というような、核と核兵器というものをしっかりと我々は言葉として認識した上でこの議論を開始していきましょうということを申し上げたく存じます。

 それで、次に、核密約。これも青柳我が党議員が質問されましたけれども、先ほど外務省の方からの答弁で、一九九〇年代のいろいろな変更があったみたいな御答弁を伺いました。

 それで、一方で、その後になると思いますが、私、授業を受けたことがあって、東アジア太平洋の大変な知識を持っている方ということだったんですが、私が受けた授業はEUについてという授業で、幅広く知識をお持ちだというカート・キャンベル元米国東アジア太平洋担当国務次官補が、二〇一二年の九月十八日に共同通信配信になっていますけれども、核持込みに関する密約は事実存在し、非核三原則は有名無実である旨言明したということがあったようなんです。

 それで、その前に、岡田元外務大臣が調査を依頼し報告書が出てきた核密約についての外務省の報告が、二〇一〇年、平成二十二年の三月五日、これは外務省から、いわゆる密約問題に関する外務省報告書として、そして、四日後の三月九日、今日は三月九日でございますけれども、いわゆる密約の問題に関する有識者委員会報告というものが出されました。北岡先生がリーダーだったと思いますけれども。

 この報告書の現在での御評価とか位置づけを含めた、いかに外務省として認識し、受け止め、今日に至っているかという点を確認させていただきたいと思います。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の御指摘になりました外務省の調査チームによる報告書は、いわゆる密約問題について、外務省内に存在する原資料を調査するよう求められました当時の外務大臣、当時岡田外務大臣でいらっしゃいますが、の命に基づき、同調査チームとして把握するに至った事実関係につき報告したものでありまして、報告を作成するに当たって、推論を行うことは控えられております。

 一方、有識者委員会の報告書は、外務省の調査チームによる報告書の内容を検証するとともに、米側資料や関係者からの聞き取りを含む調査に基づき、当時の時代背景を踏まえた歴史的評価を加えたものであると承知しております。また、同報告書にあるとおり、決定的な証拠がなくても歴史研究者として推定できるということについては踏み込んで判断を行われたものと承知しております。

 このように、外務省の調査チーム及び有識者委員会は、異なる役割の下、それぞれの手法によって調査を行ったものでございます。性格が異なる二つの報告書が作られたことによりまして、この問題の解明を重層的に進めることができたというふうに考えてございます。

 以上でございます。

杉本委員 市川北米局長の御答弁、二種類あって、それぞれ立場が違って、国会事故調と、またもう一つのというような、福島のF1の問題とちょっとダブって今聞いちゃったんですけれども。

 いずれにしろ、冒頭、踏み込んだ発言について踏襲されているということ、それから、いざというときに備えているということとこの密約問題というのは、やはりある意味で併せてどうしても考えざるを得ないというのが、邪推なのか分かりませんけれども、一般の、一市民としての私の感じるところでありますので。

 やはり、我が党としては、テーブルの上に出せるものは出して、公明正大、言えないものは言えない、これは皆さんを守るために言えないというような、ちゃんとした区分けをきちっとした説明でしていただく中で、こういった問題も、必要なものは明らかにしていかないと、ゼレンスキー政権ではないですが、信頼される政府と、信頼されない政府がどこだとかは申し上げにくいですけれども、そういったものもあるような気もいたしますので、本当に国民から信頼される外交をしていただきたい。言えること、言えないこと、あると思いますけれども、そこはしっかりと区分けして、お願いをしておきたいというふうに申し上げます。

 次に、若干、時間があったらまた聞くということで、アラスカの訓練の移転先の問題は飛ばさせていただいて、また時間があれば戻ってきたいと思います、別の機会にと思いますが、ウクライナ問題に絡んで、同盟強靱化予算に関わるところでちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 規模、五年平均、さっきも質疑がありましたけれども、防衛副大臣からありましたけれども、年平均二千百十億円、累計一兆五千億強の規模の、ある意味大きい額というのか小さい額というのか、同盟強化に資するのか、選択、集中という意味で十分なのか、あるいはそもそも規模が十分なのかというような問題意識を持っています。

 これは重なる質問になっちゃうような感じで恐縮ですけれども、私が一番感じるのは、ウクライナが二十四日に開戦当初、私の意識としては、サイバー攻撃が継続的にあったと思いますけれども、極端にサイバー攻撃をされて、重要な拠点がサイバー的に押さえられ、しかも、思ったより被害を受けていなかったのかもしれないんですけれども、重要な基地のところだとか、そういったところが空爆されて、かなりへこまされたというような印象を持ちました。

 ロシアの二月二十四日の、急襲という言い方を私はしたいと思うんですけれども、そういうことがあった中で、いわゆる宇宙、サイバー、電磁波と言われるようなもののハイブリッド的な領域での攻撃があり、そしてまた、重要な基地に対しての攻撃、爆撃みたいなものがあって、今回の日米の思いやり予算、HNSの中でも共有する話かもしれませんけれども、米軍の沖縄の基地であれ、あるいは岩国の基地であれ、あるいは自衛隊の各地の基地であれ、急な攻撃に対して我々は耐え得る設備を持っているのかどうかというのは非常に心配になりました。

 007の話をして恥ずかしいですけれども、F35Bが垂直に離陸できるような、極端な話、湖か何かがあって、水が引いて、割れて、そこからわあっとロケット弾が打たれるみたいな、「ゴールデンアイ」という映画だったかどうか忘れましたけれども、そんなような、007じゃないですけれども、そのくらい基地というものはしっかりと強固な要塞化をしておかないと、今回のウクライナが受けたケースを日本に援用すると、今の基地の体制で十分なのかという思いが率直にあります。

 そんな意味で、ちょっと質問を幾つか順番にやっていこうかと思ったんですが、いわゆる急襲、急激に攻撃してくることに対する対処として、二つ分けて伺いたいと思います。

 まず、サイバーに対して十分備えられているのか。

 今回も、サイバー実践訓練装置を買うというような、それでアメリカの所有になるという質疑がありましたけれども、一方で米国は、今回、ウクライナには軍事顧問団を派遣して、サイバーの分野についても米国がいろいろ顧問として指導してきたということなので、日本はそれ以上、十分やっていただいていると類推していますけれども、米国からの連携協力、先方からの指導、そういったものは、このサイバー分野について、我が国の対処力向上、対処力よりも抗堪力という、抗堪性ですか、そういう言葉が出てきていますし、また、更に言えば、反撃力まで踏み込んでいく必要があるかと思いますが。

 そういった意味で、まずサイバーのところについて、我が国の米国との連携、あるいは米国からの指導なり、そういったところはうまくできているかどうか。ちょっと質問が変わってしまったかもしれないんですが、御答弁できる範囲でいただければと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバー領域におきましては、情報通信ネットワークに対するサイバー攻撃によりまして自衛隊の組織的な活動に重大な支障が生じる事態を防止しつつ、情報通信ネットワークのより安定的な利用を確保することが必要であるということでございます。

 このことを踏まえまして、防衛省・自衛隊におきましては、サイバー防衛能力の抜本的強化が必要であると考えておりまして、具体的には、サイバー部隊の体制強化、サイバー人材の確保、育成、システムネットワークの充実強化といった施策によりまして、サイバー領域の能力強化を図っているところでございます。

 こうした各種取組によりまして、サイバー防衛能力の抜本的強化に加えて、日々高度化、巧妙化するサイバー攻撃に対しましては、サイバー防衛隊等が二十四時間体制で情報通信ネットワークを監視し、サイバー攻撃への対処を行っています。

 また、委員から御質問ございました日米協力の関係でございますが、サイバー空間における日米協力につきましては、日米防衛協力のための指針に明示されているとおり、日本に対するサイバー事案が発生した場合には、日本は主体的に対処し、緊密な二国間調整に基づきまして、米国は日本に対し適切な支援を行うほか、日米両政府間におきまして、関連情報を迅速かつ適切に共有することとなっております。

 いずれにいたしましても、米国とも引き続き緊密に連携しつつ、防衛省・自衛隊におけるサイバー能力の抜本的強化に万全を期してまいる所存でございます。

杉本委員 それで、今度は逆に、ハードウェアというか、基地ですね、あるいは、電力、水道、今回原子力発電所も狙われたというようなことですが、なかなか原子力発電所を要塞化するというのは難しいかと思いますが、そもそも分厚いコンクリートに囲まれていますけれども、自衛隊、米軍の基地を、本当に要塞化していく必要はないのか。

 我が国の抑止力を高める、あるいは対処力を高める、あるいは抗堪性を高める、そういった観点から、問題意識として、今次予算じゃ足りないということもあるかもしれないですが、財政的な問題もあります。そんな中で、今回のロシアのウクライナへの急襲によるところの学ぶべきこと、備えるべき教訓といったものはどんな御認識か、教えてください。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、後方分野も含めた防衛力の持続性、強靱性というものを強化することが防衛省としては重要だと認識しているところでございます。

 防衛省といたしましては、日本全国の自衛隊の基地、駐屯地の各施設に関しまして、運用の基盤となるものという認識の下に、任務に応じた機能が確保できるような基準を定め、適切に整備を進めてきているところでございます。

 それで、具体的には、ハード面の整備ということでございますが、幾つか例を挙げさせていただきますと、まず、重要施設は地下化するということ、それと、掩体なんかに見られますように、建物の壁を厚くすることなどによります構造強化を図るということ、あと、航空機の分散配置に必要な分散パッドをしっかり整備するということ、あと、迷彩塗装、覆土、植栽などによりまして施設を隠蔽するといったようなこと、あと、施設内におきます電力や水道などのライフラインの多重化などの整備計画をしっかり進めているところでございます。

杉本委員 やっていますよということを伺いましたけれども、今回のやはりウクライナの事案というか、まだ続いていて残念ですけれども、そこから逆に見直し、点検するべき点がないかどうかも改めて防衛省にはお願いしておきたいというふうに思います。

 もう時間がなくなってきたんですが、ウクライナ語で首都のことはキーウと言うらしいですね。キエフという言い方はロシア語なのかもしれないですが、ウクライナの言葉を使うとキーウというのが広まってきているというふうにも伺っています。

 ロシアによるウクライナの侵略について、ホロドモールという、片側から見ると虐殺であり、ホロコーストのような大量虐殺であり、片側から見ると飢饉だという言い方があるようですけれども、ちょっとこのこととか、あるいは、ミンスク2が結ばれたけれども、実質は、あの二〇一四年のクリミア半島の事案以降、内戦状態がドネツクだけではなくて、私は、BSなんかの番組でもやっていましたけれども、いわゆるキーウでも内戦の萌芽のような火種がずっとくすぶっていたという認識を持っています。そういった意味で、ミンスク2というのが極めて脆弱であったし、今次、レッドラインを越えたのでロシア側が動いたという認識を持っています。

 ちょっとこれは、あえてこういう状況の中で言うことは批判を受けるかもしれませんが、やはり、アメリカのイラク戦争、大量破壊兵器があるというたてつけで入って、後で、なかったということがあった記憶がありますが、あのとき、我々はイラクの側に立って発信はしなかったと思います。そういう思いを持たなかった立場でありますけれども、やはり戦争の悲惨さみたいなところは、イギリスが後で反省したみたいなのがブレア政権のときにありましたけれども、そういったところも、過去を忘れることなく、今次事案も見ていく必要があるし、是非、停戦に至ってほしいですけれども、火種がくすぶっていくという状況が続くリスクが十分想定されますので、まだ激戦を今やっているわけですけれども、できる限りこの火種も消すような、きちっとした停戦合意がなされることを期待したいと思います。

 ちょっと最後、数分だけなんですけれども、今、まさしく停戦のために中立ということがテーマになりつつあるかなという意識があります。

 一方で、もう皆さん御案内だと思いますが、スイスが資産凍結の絡みでいろいろ動くとか、あるいはオーストリアが、永世中立でありますけれども、ロシアに対する対外債権を相当持っているという国の事情とかあるし、フィンランド、スウェーデンは安全保障協力をするということを両首相が話し合ったみたいなことがあるし、また世論調査でも、五〇%以上の、NATO加盟を支持するというのがフィンランドもスウェーデンも出てきているというふうには知っておるんですけれども、今、外務省として、中立といわれる国々の動向というのが将来のウクライナを読み解く鍵でもあるかもしれないので、そういった意味で、まずスイスについてどういう御認識をお持ちか、確認させてください。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 スイスにつきましては、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、二月二十八日、EUが課した対ロシア制裁をスイス国内でも全面的に適用する旨、発表したと承知しております。

杉本委員 もう時間がなくなってきたので、ちょっとオーストリアは飛ばしまして、フィンランドとスウェーデンについてまとめてお答えいただければありがたいです。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 フィンランド、スウェーデン、いずれもEU加盟国でございますので、制裁に関しましてはEUの一員としての対ロ制裁に加わっているということでございます。

 加えて、フィンランドとスウェーデンはNATO加盟国ではございませんけれども、まさに委員御指摘のございましたとおり、国内の世論調査でNATO加盟を支持する世論が高まっている、そういう結果が出ておりまして、それぞれの国内で議論が活発になされている状態というふうに認識してございます。

杉本委員 時間となりましたが、政府参考人の方、済みません、質問できなかったんですが、また別の機会に是非質問させていただきたいと思います。申し訳ありませんでした。

 ありがとうございました。

城内委員長 次回は、来る十一日金曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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