衆議院

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第4号 令和4年3月11日(金曜日)

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令和四年三月十一日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 城内  実君

   理事 あべ 俊子君 理事 辻  清人君

   理事 宮崎 政久君 理事 武藤 容治君

   理事 青山 大人君 理事 小熊 慎司君

   理事 杉本 和巳君 理事 吉田 宣弘君

      青山 周平君    五十嵐 清君

      伊藤信太郎君    上杉謙太郎君

      小渕 優子君    尾身 朝子君

      島尻安伊子君    高木  啓君

      武井 俊輔君    中谷 真一君

      西野 太亮君    平沢 勝栄君

      本田 太郎君    岡田 克也君

      徳永 久志君    藤岡 隆雄君

      太  栄志君    松原  仁君

      青柳 仁士君    和田有一朗君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   内閣府副大臣       務台 俊介君

   外務副大臣        鈴木 貴子君

   経済産業副大臣      石井 正弘君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   外務大臣政務官      上杉謙太郎君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   外務大臣政務官      三宅 伸吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 御巫 智洋君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北川 克郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    市川 恵一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     青山 周平君

  新藤 義孝君     五十嵐 清君

  鈴木 隼人君     西野 太亮君

  松原  仁君     藤岡 隆雄君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     上杉謙太郎君

  五十嵐 清君     新藤 義孝君

  西野 太亮君     鈴木 隼人君

  藤岡 隆雄君     松原  仁君

    ―――――――――――――

三月十日

 二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案(内閣提出第二四号)


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     ――――◇―――――

城内委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 本日で東日本大震災から十一年を迎えます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 皆様、御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

城内委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

城内委員長 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官有馬裕君、大臣官房審議官御巫智洋君、大臣官房参事官實生泰介君、大臣官房参事官北川克郎君、北米局長市川恵一君、防衛省防衛政策局次長大和太郎君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

城内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

城内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 おはようございます。国民民主党の鈴木敦です。

 本日で十一年目の三月十一日となりました。まず冒頭、震災に関連してお亡くなりになられた皆様に深く哀悼の意を表すとともに、いまだ三万八千人を超える皆様が避難生活を余儀なくされている、この現実を私たちも受け止めなければならない、このように思います。

 そして、この三月十一日という日は、私の人生においても非常に大きな意味を持っておりました。私、三月十一日、二〇一一年は朝霞駐屯地におりました。御存じの方も多いかもしれませんが、私は予備自衛官を十四年間やっておりましたので、その日も招集訓練が折しもありました。私は、朝霞駐屯地で、その日自衛隊が何をしたか、そして、それから自衛隊と在日米軍が一体何をしたのか、あの柵の中から見てまいりました。

 本日、そして先日来議論を行っておりますこのHNS協定、この大前提としてある在日米軍の動き、そしてあるいは自衛隊の即応性あるいは抗堪性という言葉、後ほど議論の中で御紹介をさせていただきますけれども、東日本の震災の際、自衛隊と在日米軍がいかなる行動を取ったのか、これは、我が国の防衛に資するとされているHNS協定、そして在日米軍の在り方に非常に大きな役割を持っているものだと思います。

 そのため、後ほどHNS協定についての在日米軍の動きを御紹介いたしますが、まず、その前提として、なぜ日本に在日米軍があるかということを考えなければなりません。

 本年、二〇二二年という年は、東日本の震災から十一年目であると同時に、我が国があの破滅的な戦争で敗戦を喫してから七十七年目の節目でもあり、我が国は、負けてから駐留軍を受け入れることになり、そして現在に至る。我が国に在日米軍があるのはあの戦争に負けたからだということをまず最初に申し上げたいと思います。

 それを申し上げた上で、現在ウクライナで、ロシアという国がウクライナを侵略をしている。この戦争、紛争は、今まで世界各国で行われてきた紛争とは全く性格の違うものであると私は思います。それは、核保有国が核を保有していない国に攻め込んだ、一方的な侵略を行ったという意味で、今まで世界で行われてきた戦争とはまるで性格の違うものであるとまず認識をしなければならないと思います。

 そして、日本政府も、あるいは米国も含めて、抑止力という言葉をよくお使いになっておられますけれども、今回、抑止力が機能したのか。そして、防衛力だけではなくて、外交に関しても、抑止という言葉が果たして意味を成していたのか。これは、外交分野のこの外務委員会としてしっかりと認識をいたさなければならない、このように思います。

 これを申し上げた上で、今回、ロシア連邦がウクライナに一方的に侵略を行った、その大規模な侵略がなぜ起こり得たか。侵略の前には、当然、外交において戦いがあったはずです。しかし、実際に侵攻は起こってしまった。であれば、この侵攻を許してしまった原因は外交の失策にあると私は断言してもいいと思います。この点、日本国として外務省はどのように分析をされているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 まず、申し上げなければならないのは、ウクライナがNATOの加盟国ではないということでございます。したがって、米国を含むNATOの集団防衛の対象ではないというふうに承知をしております。

 また、今回のロシアによるウクライナ侵略の原因、これをブダペスト覚書によるウクライナの非核化等に求める議論、こういう議論があることは承知をしておりますが、今回のロシアによるウクライナ侵略の問題の本質、これは、プーチン大統領が、平和的解決に向けた各国からの働きかけ、これを聞き入れずに、ウクライナのいわゆる非武装化と中立化と非ナチ化と称するゼレンスキー政権の転覆を実現すべく武力行使に及んだことであると考えております。

 いずれにしても、ロシアの行いは、ウクライナ、NATO、米国の抑止力を問う以前の問題として、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、明白な国際法違反として厳しく非難されるべきものであると考えております。

鈴木(敦)委員 今、ブダペスト覚書という言葉がありましたが、その中には、非核化と交換条件でアメリカ、イギリス、ロシアがウクライナを防衛すると書いてあったはずですが、全く機能しなかった。この点は、外務省はどのように考えていらっしゃるんですか。

林国務大臣 このブダペスト覚書でございますが、当事者としてロシアが入っているわけでございます。まさに、そうした意味で、先ほどの繰り返しになりますけれども、ブダペスト覚書で、ロシア連邦と英国と米国とウクライナ、これが、非核兵器国としてのウクライナの核拡散防止条約への加盟を歓迎し云々というふうに書いてございます。

 まさにそうした状況の中で、今回、プーチン大統領が、先ほど申し上げたように、いろいろな各国からの働きかけ、まさに外交、これを聞き入れずにウクライナに対する侵略を行ったということでございまして、これは明白な国際法違反として厳しく非難されるべきものであると考えております。

鈴木(敦)委員 ですから、非核保有国であるウクライナを防衛するといって覚書を交わした人が非核保有国を攻め込んだということがどれだけ重要な意味を持っているのかということをお伺いしたいんですが、大臣はどのようにお考えなんですか。

林国務大臣 まさに、先ほど申し上げましたとおり、ブダペスト合意の当事者であったロシア、これがブダペスト合意を、違反したというほどの軽度なものではないと思いますけれども、まさにそれ、ブダペスト合意、また各国からの働きかけ等々をですね。

 また、ロシアは国連の安保常任理事国であるわけでございますから、そういうロシアが今回こういう行為に至ったということは、まさに国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、明白な国際法違反として厳しく非難されるべきものであると考えております。

鈴木(敦)委員 当事者がという御発言ですが、その当事者、他人事に私は聞こえます。対岸の火事ではないですよ。日本とウクライナ、国境線でいえば全く同じですよ。そういう国家と私たちは外交のやり取りをして、あるいは資源をある程度輸入をしてということをやっているわけです。

 そして、国連の安保理のメンバーだということがありましたけれども、国連安全保障理事会の常任理事国は全て核保有国ですということをまず申し上げたい。

 ロシアという国に対してどのような認識を持っていらっしゃるか。これははっきりと外務省としても認識をしていただかなければならないと思いますし、今大臣からるる御説明をいただきましたけれども、それであれば、今私も申し上げました、ウクライナは陸続きで国境を接しています。そして、日本は海続きで接しています。

 こういう地政学上の問題を踏まえて、あるいは、在日米軍がいるから云々、そこも含めて、我が国の防衛外交というものをどのように認識されていらっしゃいますか。

林国務大臣 我が国周辺の安全保障環境がより一層厳しさを増す中で、我が国は、自らの安全と地域の平和と安定を確保する観点から、日米同盟を基軸とした上で、主体的に外交、安全保障政策を展開していく必要があると考えております。

 具体的には、日米間で、先般の日米2プラス2の機会を含めて、中国及び北朝鮮を含む地域情勢について認識のすり合わせを行って、米国の拡大抑止を含む対日防衛コミットメントを不断に確認をしております。さらに、領域横断的な能力の強化や即応性、抗堪性及び相互運用性の向上、宇宙、サイバー分野での協力強化など、様々な分野で日米同盟の強化に取り組んでいるところでございます。同時に、日米間では、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けたコミットメントを確認し、さらに、日米豪印の枠組みを通じた連携や、ASEAN、大洋州諸国、欧州等との連携強化に取り組んでおります。

 その上で、現在、岸田総理の指示の下で、我が国は新たな国家安全保障戦略などの策定に取り組んでおるところでございまして、我が国の防衛力の抜本的な強化、これに取り組むことで、様々な事態に対応する能力を向上させ、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えでございます。

鈴木(敦)委員 今回のウクライナ侵略ではっきりしたのは、どんな取組をしても、多国間の取決めをしても、核保有国が一方的な侵略をした場合、もう一方の核保有国は何もできないことが分かったんです。

 つまり、これは皮肉ですけれども、核兵器は抑止力として役に立ちます、核兵器を持っている国に対してはです。ただ、核兵器を持っている国と国が戦うと世界大戦になる、この指摘は正しいと思いますが、それを恐れて、一方的な侵略を核保有国は止めることができない、これが現実だということが分かったんです。ウクライナがロシアに攻められた、でも、アメリカは助けてしまうと核戦争になるから助けられない、これが現実なんです。

 これはほかの国もそうです。我が国周辺を見てください。一方的に侵略した国があります。もう片方は、勝手に海を埋め立てて軍事基地にしている国もあります。あるいは、国連決議に違反してミサイルをどんどん撃ってという国もあります。そして、その全ての国が核保有国なんです。我が国周辺の現状というのはそういうものです。

 ですから、周辺状況を鑑みとおっしゃって、多国間の取決めをするのは結構なんですが、実際に抑止力が役に立つのかというお話をしているんです。大臣はどのようにお考えなんですか。

林国務大臣 まず、先ほど冒頭に申し上げましたように、ウクライナはNATOの加盟国ではないために、米国を含むNATOの集団防衛の対象ではないと申し上げました。

 その上で、今ほど日米同盟というお話をさせていただいたところでございます。我が国の安全保障、これは言わずもがなでございますが、我々の安全と地域の平和と安定を確保する観点から、日米同盟を基軸とした上で、主体的に外交、安全保障政策を展開していく必要があるとまさに申し上げたところでございまして、まさに、そういった中で、アメリカは累次の機会に日米安保条約の下での米国の対日防衛義務、これを確認してきておりまして、これは本年一月の日米首脳テレビ会談においても、バイデン大統領がこの点を改めて表明をしたところでございます。

鈴木(敦)委員 では、質問を入れ替えますよ。

 今、NATOの加盟国ではないというお話がありました。であれば、私、以前もこの質問をしたことがあると思いますけれども、台湾だって、同盟を結んでいません、そして駐留もしていません。今、アメリカという国は、実際に、CIAのバーンズ長官ですとかラトナー国防次官補といった高官が、ウクライナ有事を教訓として台湾の防衛力強化が必要、そういうことを下院の軍事委員会の公聴会で発言をしている。アメリカは既に視野に入れて検討を開始している。我が国だけが、それはあり得ない、こう言い続けることはもはやできないわけで。

 これは、台湾に対して何かがあれば、もちろん日本にだって影響が出るわけですから、通り一遍の、日米同盟を基軸に、もちろんそれは大事なことです。日米豪も大事です。ただ、我が国はどうするんですか、このように申し上げているんです。

林国務大臣 日米首脳会談や2プラス2等で、台湾海峡の平和と安定については明記をされておるところでございます。

 そして、先ほども申し上げましたように、我々としても、我が国の防衛力の抜本的な強化に取り組むことで、様々な事態に対応する能力を向上させ、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えであるというふうに申し上げたところでございます。

鈴木(敦)委員 アメリカは、さらに、情報特別委員会という場所で、今回の各国の対応については、米欧の結束力だけでなく制裁の影響も中国にとって重要だ、このようにヘインズ国家情報長官が発言をしています。既に、制裁が効いているかどうか、それが抑止力となり得るかどうかの査定に入っているんです。これは次の質問にも関わりますけれども、我々だけが、独自の検討をしないで、全てアメリカを基軸にします、あるいはG7を基軸にしますと言い続けることはもはやできないわけです。

 次に質問しますのは、独自性という意味で、アメリカあるいはイギリスを始めとした禁輸、油を輸入しないという動きについてです。

 アメリカは即日禁輸しました。そして、イギリスは年内に禁輸すると発表しています。我が国はこれをすぐにできるとは私は思っていません。なぜなら、アメリカもイギリスも、忘れがちですが、産油国だからです。アメリカにはシェールオイル、シェールガスがあります。そしてイギリスには北海油田があります。ノルウェーともパイプでつながっていますから、アメリカやイギリスと同じことは我々はできません。ただ、これは実際に、アメリカのエネルギー安保担当のホクスタイン上級顧問が、資源を産出していない日本は一緒にやらなくていい、このように言っているわけですね。

 常々、私、前回の委員会でも申し上げましたけれども、G7がやると言ったとき、日本はどうするのか、これは外務省としても判断をしておかなくちゃいけないことですが、今、現段階で多分考えは変わっていらっしゃると思いますが、御意見を伺えたらと思います。

林国務大臣 アメリカがロシア産の原油等の輸入禁止措置を決定したこと、また、イギリスがロシア産原油の輸入を二〇二二年末までに段階的に廃止するということを発表したこと、またさらに、EUがロシアへの天然ガス供給依存から二〇三〇年までに脱却するという方針を発表したことは承知をしております。

 米国、英国、EU、これらの有志国等とは、日頃から様々なやり取りを行ってきております。我々としては、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携し、有効と考えられる取組を適切に検討、対応してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 アメリカという国に、この七十七年間ずっと、その動向を探って我々はやってきたんじゃないですか。そのアメリカが、今回、日本には求めないと言っているんです。だから、独自にやらなきゃいけないと私は思います。

 少なくとも我々国会議員は、我々日本人の、そして日本の文化の優秀性を確信しなければならないと思います。だからこそ、アメリカがやっているからこうする、イギリスがやっているからこうするではなくて、日本はどうするんだということをはっきりと、そろそろ発言してもいいと私は思います。

 特に、アメリカが、日本は別にいいですよと言ってくれているわけですから、日本として、じゃ、サハリンから取りませんとか、はっきりとした政治的メッセージを送るべきと思いますが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 サハリンについてお尋ねがありましたが、サハリン1については、国際的な対ロシア制裁強化の動きの中で、我が国のエネルギーの安定供給等の観点、これも十分考慮しながら、G7とも歩調を合わせて適切に対応してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 私がなぜエネルギーにこだわって今回の外務委員会で質問させていただいているか。これから二〇二七年までの間、確実にエネルギー外交になるから申し上げているんです。

 理由を申し上げます。

 二〇二二年、今年ですけれども、もし仮にヨーロッパがロシアからの禁輸に踏み切った場合に、およそ四千万トンの液化天然ガスが不足するという試算が出ています。そして、今、アメリカや中東、様々な部分でガスの増産が始まっていますので、二〇二七年には追いつくだろう、こういう試算をされているんですね。

 特に、アメリカのシェールガスに関して言えば、二〇二一年、去年は七千万トン弱でしたが、二〇二二年、今年は八千八百万トン、来年は九千三百万トン、それぞれ輸出することができる。増産に踏み切っているわけです。

 アメリカ産の天然ガス、あるいはシェールガス、シェールオイル、これを増産して輸出する体制がアメリカは既に整った。そして、中東においても、OPECプラスが増産しまして、UAEが増産を決定しました。それで原油価格が下落をした、事実としてあるわけですから。今後、エネルギーの取り合いになるということです、ロシア産を禁輸するということは。

 そして、そのとき一番何が問題になるか。増産することはたくさんできます。そして、ガスは、掘ればアメリカは出てくるわけですが、実際に輸出しようと思えば、冷却して船に積む必要があります。その設備を建てるのに大体三年から五年かかると言われていますので、二〇二七年まで解決に時間がかかってしまう、こういう試算をしているわけです。

 更に申し上げれば、船にも限りがありますね。ああいう船というのは、運航計画をしっかり年単位で立てて、そしてまとまった金額で契約をしていますから、スポットで買うといっても、ガスはあっても船がない、こういうことも起こり得るわけですから、今考えておりませんではなくて、将来的にどうするかの計画まで見通して、こういった禁輸政策ですとか外交政策というものを考えていかなくちゃいけないんです。

 これは、長期的な見通しを大臣は何かお持ちでしたら御紹介いただきたいんですが。

林国務大臣 委員が今お触れになっていただきましたように、今回の一連の事象、これは、情勢が変化する中にあっても、安定的なエネルギー供給が維持可能な体制を構築する、このことの重要性を改めて再認識をさせるものだというふうに考えております。

 こうした観点から、海外からのエネルギーの調達先につきましては、特定国、地域に依存せずに、様々な国からの輸入となるよう、これはこれまでもやってきたと考えておりますが、これまで以上に取り組んでまいらなければならない、こういうふうに思っております。

 そういった意味では、産油国や産ガス国への増産の働きかけ、そして、調達先の多様化につながる開発への積極的な投資、緊急時における安全な代替輸送路の確保、こういったようなあらゆる手段を通じて、エネルギーの安定供給を維持していかなければならないと考えております。

鈴木(敦)委員 これは経産省の範疇ですけれども、経産省が出しているエネルギー白書には、二〇四〇年にロシアの割合一〇%と計算しているんです。これを支えているのは、サハリン1、2ですとかヤマルですとか、あるいは今開発中の北極LNGと言われるものですね。この一〇%、今八%ですから、これからちょっとずつロシアへの依存度を高めるという計画をずっと政府はしてきたわけです。ですから、これから先はこれを転換していかなくちゃいけない。

 あるいは、今、アメリカやヨーロッパの大手の企業やブランドが次々とロシア国内での操業を停止しています。具体的な名前は申し上げませんが、日本の企業も操業停止、工場停止をしているわけです。これは、国家が云々ではなくて、結局のところ、世論が制裁以上の対応を企業に求めた、ブランドイメージが下がるということを懸念してのことなわけです。

 特にサハリン1、日本が資本比率、一五%持っているわけです。日本のブランドイメージを下げるようなものです。この点、外務大臣はいかがでしょうか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、サハリン1については、国際的な対ロシア制裁の強化の動きの中で、我が国のエネルギー安定供給等の観点を十分考慮しながら、G7とも歩調を合わせて適切に対応してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 G7で一番力のあるであろうアメリカが、日本は勝手にせいと言っているわけです。だから、七十七年たっているんですよ、もうそろそろ自由にしたらいかがでしょうかというふうに、私はこのエネルギー関連については思います。是非、動きのあることですから、政治の御判断はあるんでしょうけれども、そろそろもう日本は独自の政策を打ち出して、世界で先導していくという考え方をお持ちになった方がよろしいんじゃないかなと思います。

 次の質問も、関連してですが、今、我が国からウクライナにヘルメットや防弾チョッキを送っていらっしゃるということです。結構なことだと思います。大切なことでもあると思いますが、これをやったらロシアがどう考えるか、こういう計算はされたんでしょうか。これは防衛省に伺います。

鬼木副大臣 お答えします。

 今般のロシア連邦によるウクライナへの侵略は、明らかにウクライナの主権及び領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であるとともに、国連憲章の重大な違反であります。この断じて認められない、力による一方的な現状変更は、国際秩序の根幹を揺るがすものであります。

 このような国際社会の平和と安全、安定を著しく損なう事態において、国際社会はウクライナ支援のために結束し、前例のない対応を行っています。欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為に対し、国際社会と結束して毅然と行動することは、我が国の今後の安全保障の観点からも極めて重要であると考えております。

 政府内での議論の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきますが、今般の装備品等の提供に当たっては、御指摘の点も含め、様々な観点から関係省庁で議論を行った結果、提供することとしたものでございます。

 以上です。

鈴木(敦)委員 さすが防衛副大臣ということで、挙手がグーというのは自衛隊のやり方ですから。よくやっていただきました。

 それを申し上げた上で、私が聞いているのは、これをやったらロシアがどういうふうに捉えるかということを聞いているんです。ヘルメットや防弾チョッキ、実際に敵を倒すものではありませんけれども、身を守るものを送ったら、そこに侵略をしている人がどう考えるか、大体想像は皆さんつくと思いますけれども、そこまで計算に入れた上で防衛省はそれをやると言ったのか、そして、それが先ほど私が申し上げたエネルギー政策にどれだけ影響を及ぼすかということなんです。

 先ほど申し上げましたけれども、今、日本のLNGはロシアから八%を輸入しています。サハリンからがほとんどです。船を止められたらどうしますか。今、我が国は非友好国とされているんです。そのガスの代替を決める前に船を止められたら、二、三週間備蓄があるとはいえ、ガスについてはその備蓄の規制がありませんから、止められたらほかから融通して取るしかないわけです。スポット価格で高いものを買ってくる、それしか方法がないというところまで防衛省は考えて今回の決断に至ったのか、その認識があるかどうかです。

鬼木副大臣 鈴木先生におかれましては、予備自衛官を十四年お務めいただきまして、ありがとうございます。先ほどの評価もありがとうございます。

 ロシアからの報復行為について予断を持ってお答えすることは差し控えますが、先ほどどういう考え方で至ったかという経緯をお話ししました。今回のロシアによるウクライナ侵略に対し、国際秩序の根幹を守り抜くため、G7始め国際社会と結束して毅然と行動する必要があると考えております。

鈴木(敦)委員 報復等については別に特に、この場でそれを言うと本当にやられちゃいますから、言わないでください。

 ただ、今、これは自衛隊の話ですけれども、自衛隊というのは数年前まで、静的防衛といいまして、とどまって防衛をするのが基本でした。これが変わりまして、今は、有事があったら部隊を移動させて集結をさせる、こういう戦い方に変更してきているわけですけれども、現段階で、特定の国の名前は挙げませんが、日本の南方あるいは北方に敵国が上陸をしてくるということも想定をされ得る中で、自衛隊と在日米軍が我が国を防衛するために演習を行った例はあるんでしょうか。

鬼木副大臣 自衛隊と米軍は、日米同盟の抑止力、対処力を強化すべく、平素より日米共同方面隊指揮所演習、通称ヤマサクラといった指揮所演習だけでなく、北方や南西方面に部隊を展開しての実動訓練も精力的に実施してきております。

 例えば令和二年十月から十一月にかけて実施した日米共同統合演習、通称キーンソード21では、全国の陸海空自衛隊の部隊等から人員約三万七千人と在日米軍等の部隊等から人員約九千人が参加し、鹿児島県十島村の臥蛇島などに展開して日米共同での着上陸訓練を実施する等、大規模な統合演習を実施いたしました。

 また、各軍種においても積極的に日米共同の実動訓練を実施しており、例えば昨年六月から七月にかけて実施した日米の陸軍種間の共同訓練オリエントシールド21では、北海道の矢臼別演習場や鹿児島県の奄美大島に日米の部隊と装備品が展開し、共同での射撃訓練や展開訓練を実施しました。一つの訓練で北海道、鹿児島で同時に実動訓練をしたということであります。

 防衛省・自衛隊としては、引き続き、各種共同訓練を着実に積み重ね、日米同盟の抑止力、対処力を不断に強化するとともに、日米が共に行動している姿を示していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 私、ヤマサクラ二〇一九、行っていましたので、よく知っています。そして、キーンソードについても知っていますよ。上陸の訓練なんですね、あくまでも。離島防衛が昨今言われているので、そういった訓練は主にやっています。ただ、我が国の国民を防衛するため、あるいは避難させるための訓練を在日米軍と自衛隊が共同でやらない限り意味はないんじゃないか、このように申し上げているんです。それこそが我が国を防衛するという意味での共同実動訓練になると私は思います。

 一つ、実例を申し上げましょう。

 東日本の大震災のときですね。三月十一日に発災をして、三月十二日、この日に米軍から、仙台空港を復旧して救援物資のハブにしましょう、こういう打診がありました。実際に十三日に嘉手納基地の第三五三特殊作戦群が投入をされて、十六日には滑走路が半分復旧をして、三十一日には航空管制を日本側に引き渡した。既に、在日米軍の即応性というのはこういうことで出ているわけです。これは復旧に関してです。

 ただ、我が国を防衛するために一緒にやったか、防衛の訓練をやったかやらなかったか、その有無だけ、お答えいただけますか。

鬼木副大臣 済みません、先ほどの答弁でどこが不十分だったか。北方、南方からの訓練ということで、防衛の訓練をどうやっているかという御質問と思ったんですが、先ほどの答弁と、どういう今回の御質問、趣旨でしょうか。

鈴木(敦)委員 ですから、防衛するための、そして我が国の国民を守るための避難誘導の訓練をやったんですか。道路をどうやって規制したんですか。作戦線を展開して、そして背後連絡線を確保して、戦うための訓練はやったんでしょうけれども、国民を保護するための訓練、共同でされましたか。自衛隊はやっていますね。日米の両軍でやったことがあるのかどうか、避難誘導とかですよ。国民を直接守るための訓練をやったことはありますか、このように申し上げています。

大和政府参考人 特定の訓練項目について、これまでの実績にどんなものがあったかということをちょっと申し述べることは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、指揮所演習にせよ実動演習にせよ、今おっしゃったような点も含めてシナリオの中に組み込むとか、そういうことには努めるようにしております。

鈴木(敦)委員 実動演習をやらないのであれば、訓練の意味がないわけです。

 そして、自衛隊の中の話ですけれども、警衛所、検問の訓練をするだけで三か月かかりますからね。普通に在日米軍と自衛隊が何日か訓練しただけじゃ、大して役に立たないと私は思います。

 質問を飛ばしますけれども、このHNS協定全般について御質問したいんですが、この質疑、審査の中でも何度も何度も大臣からも御答弁をいただきましたが、日米の負担割合ですね。経費の範囲の捉え方について様々な考え方があるということをいつもいつもおっしゃっていただくんですけれども、これは、今のままずっとその御答弁を繰り返されると、五年に一度、大臣に同じことを御発言いただくことになるわけです、この質問は絶対に尽きませんので。

 ただ、質問の中であった、必要なものを買っているのであって、割合で買っているわけじゃありません、これは正しい考え方だと私は思うんですね。であれば、日本政府が必要だと認めた範囲を定義されればいいじゃないですか。定義がないと大臣もおっしゃいましたが、定義されればそれで済むと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員からもおっしゃっていただきましたように、負担規模を考えるに当たって、全体を算出した上で、そのうちの一定の割合を日本側負担として導くというアプローチではない。労務費、光熱水料等、訓練資機材調達費、訓練移転費、提供施設整備費といったこの同盟強化予算の各項目について、どのような規模が適切かとの観点から主体的に判断して、その考え方自体は同意していただいているというふうにお聞きしました。

 その上で、我々としては、我が国の厳しい財政状況にも十分配慮しながら、国民の理解を得られる内容にするという観点で、この同盟強靱化予算の各項目についてどのような規模が適切かということについて米側と協議を重ねてきた結果、今般は日米両政府で合意に至ったということでありまして、そうした考え方で、我々はこの予算が適切な水準であると考えておるところでございます。

鈴木(敦)委員 適切な水準だということは、いろいろ検討をされて、アメリカ側ともやり取りをされたんでしょうから、それはそうなんでしょう。

 ただ、国民の理解をより得ようと思うのであれば、政府が定義をして、こうこうこういうわけで幾ら幾らなんだと言えばいい話で、これを隠さなければならない理由があるんだったら、隠さなきゃいけない理由を説明しないと、国民も議員も理解ができないということになるわけです。一切合切何にも出さないで、いや、適切なんですと言われても、はい、そうですかとなかなか言い切れないんですよね。

 ですから、政府が、必要なものです、これはこういう定義で使っているんです、そう力強く言っていただければ、はい、そうですか、で、その品目については議論はさせていただこうと思いますけれども、これじゃ、議論の入口にも立つことができないということで、いつもいつも、皆さんから批判をしているということなんです。だから、政府が定義されればいいじゃないですか。検討されませんか、大臣。

林国務大臣 これは、地位協定に原則が定められているもの、五年ごとに特別協定ということで決めていくということでございますので、まさに、その都度その都度、日米同盟が置かれた状況、我が国を取り巻く安全保障環境というものを考慮しながら米側と協議を重ねてきたということでございますので、委員が今おっしゃったような定義というと難しゅうございますが、我々が説明するときにどういったような説明をするのかということについては、どういう説明が適切なのかという観点で知恵を絞っていくということは必要であろうと考えております。

鈴木(敦)委員 五年に一度改定をするこの協定の中に詳細が書かれずに、後に書簡でやり取りをするというのは、そういうときに柔軟に対応するからじゃないですか。だから、協定そのものにこれは幾らと書かないで、書簡でやり取りをして決めているわけじゃないですか。だから、五年に一度の書簡で、今回の我が国の定義はこうです、だからこれを支出しますとアメリカ側に言えばいいんじゃないですか、大臣。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、まさに特別協定という性格上、一定の何か定義というか物差しというかを置いて、常にそれに照らしてというものを作れるかどうかはなかなか難しい問題だ、こういうふうに思いますけれども、国民の理解を得るということは大事なことでございますので、説明の仕方については不断の工夫をしてまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 ですから、国民に説明するときに、これはこうですよと言えなければ到底納得をさせることはできなくて、私が言っているんだから信じてくださいということをうのみにすることはほとんどの方にはできないんじゃないかなと私は思いますし、割合を出せないんだったら、割合を出せない理由を丁寧に説明をしていただかないと、この議論は恐らく、五年に一度でも、何年に一度でも、何度も何度も、もしかしたら五年後、林大臣かもしれませんけれども、言っていただくかもしれませんよ。だから、もしそういうことであれば、後任の方の負担も考えて、定義をされた方が私はいいんじゃないかなというふうに思いますので、今回これが通れば五年後に改定ですから、五年間考えていただきたい、このように思います。

 時間の都合上、質問を飛ばして、一番最後の、鬼木副大臣にお伺いをしたいと思います。

 米側の即応性、抗堪性の向上のために、米軍採用の物資を入れるということですね。F35のシミュレーターについては分かります。そして、統合の運用のできることということも分かります。

 実際に訓練をすれば事故も発生するわけで、つい先日も、大変痛ましいですが、F15のアグレッサーの二名のイーグルドライバーがお亡くなりになりました。これは大変痛ましいことです。ただ、訓練をすればそういう事故が起こるわけで、これをサイバーでできればこれにこしたことはないと私も思いますが、今回説明の中にあった戦闘射撃訓練用標的装置、なぜこれを米軍に入れるんですか。

 鬼木副大臣、よく御存じですね、自衛隊の射場。二百メートル先の砂の山に的を投影して、それを撃っている。なのに、自衛隊は使わずに、米軍所属でこの移動標的装置を買うというのは、自衛隊に買ってあげればいいじゃないですか。なぜ、自衛隊が本来保有していないものをアメリカ軍だけに渡して、自衛隊も使わせていただく形を取る必要があったんですか。これを是非全国に配備すべきだと私は思いますよ。朝霞訓練場だっていいじゃないですか。あそこでオリンピックの射撃をやったんですから、射撃ができる場所なんですから。

 移動標的装置、自衛隊も配備するべきと思いますけれども、いかがですか。

鬼木副大臣 本特別協定に基づき、日本側の資金負担によって米側が調達する訓練資機材については、日米共同訓練においてのみ使われるものではございませんが、日米共同訓練の際にも活用されることにつき、双方の認識は一致しております。このことは特別協定においても明確になっております。

 この訓練資機材を自衛隊としても適切な形で活用できるよう、訓練資機材の具体的な活用方法について、今後、日米間の協議においてしっかりと議論していく所存であります。

 また、自衛隊においても、訓練のために必要な資機材を自ら整備していくことは当然でありますが、その上で、本経費により米側が調達する訓練資機材についても日米共同訓練の際などに活用することにより、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化が更に図られると考えております。

鈴木(敦)委員 先ほど林大臣からもありましたね、我が国の防衛力を抜本的に強化すると。我が国の防衛力を抜本的に強化するためには、我が国の自衛隊に訓練資機材を用意しなければならないんです。この認識は、是非、副大臣、これもお持ち帰りいただいて、今年はもう予算があれですから、来年の予算にでも入れて、自衛隊にもしっかり訓練をさせるということは、政府として考えていただかないといけないと私は思います。

 なぜなら、今、装備品を様々共通化をしていますね。今でいうと、小銃の弾と弾倉ですとか、一部のものに限られますけれども。装備品や訓練資機材をどんどん共通化していって、私たち自衛隊と在日米軍と、何が違うんですかと一緒くたにされちゃ困っちゃうんです。

 我が国を守るのは自衛隊です。そして、それをカバーするのが在日米軍です。このやり方をしっかりと明確に変えていっていただかないと、抜本的な我が国の防衛力強化なんて望めないと私は思いますよ。副大臣、どうですか。

鬼木副大臣 本当に急速に安全保障環境が急変していく中で、自衛隊自身の防衛力、日本を守る力を高めていく、そのための訓練資機材等も充実させなければならないという議員の御指摘、しっかり受け止めさせていただきます。

 今年、防衛計画三文書の見直しもございますので、そうした中で、広くこれからの防衛の在り方を議論し、また、予算獲得に向けた取組、しっかり努めてまいります。ありがとうございます。

鈴木(敦)委員 もう時間ですのでそろそろ終わりますけれども、我が国の防衛力、まず自分の国は自分で守るという姿勢、そして、アメリカがそれをほぼほぼ許可しているわけですよ。エネルギー政策に関して言えば、独自性を持ってやってくれと言っているわけですから、そろそろ日本として考えを表明する立場にある。責任ある発言を求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 本日は、三月十一日、東日本大震災、原発事故災害、継続中ではありますけれども、から丸十一年。十一年たったこの今日に当たって、同じ原発事故を経験し、いまだにその大変な思いを背負っているウクライナが、こういう現状になっているとは夢にも思わない今の状況でありますが、様々な犠牲者に対して、また、いろんな意味で二度と同じような過ちを起こさないという思いの下に質問していきたいというふうに思います。

 まず最初に、今回の駐留経費の中でも、日米同盟そのものをこれからどうしていくんだという根幹の問題があります。過日はその日米同盟の意義についていろいろお伺いしましたけれども、今回、ちょっと鈴木議員と重なってしまうんですが、まさに核の傘の問題、これはしっかりやはり議論をしていかなければならないというふうに思います。

 核シェアリングについても、政府は検討はしない、ただ、昨日の参議院で総理は、民間やほかの政党がいろいろ議論することは妨げないと。それは、思想信条の自由です、いろんな議論があってもいいとは思いますが、日本は、非核三原則を堅持をしていく、これまでも堅持をしてきた、これからも堅持をしていく、そして、核不拡散、核廃絶に向けて地道な努力をしていく、しかし、核兵器禁止条約には入らない、現実路線を取っていくという今の選択の状況であるというふうに思います。

 ただ、これは、核は否定をして、そして現実路線で核のない世界に向かっていきながら、核の傘には入っているという現状です。

 ただ、この核の傘については、今、先ほどの鈴木委員の質疑のとおり、いろいろな意味で我々が持っていた概念が揺らいでいるのも事実です。今回、ロシアは、ある意味、侍の時代でいうのであれば、刀のつばに手をかけたのみならず、鯉口を切ったぐらいの状況であります。核抑止というのは、抜くかもしれないということで核抑止になっているので、それを一歩ちょっと踏み出した、踏み出した結果、各国の反応、それは先ほどの鈴木委員の質疑のとおりであります。

 時代とともに、核の傘のいろいろな概念や定義というか、それぞれの受け止め、思い、また、パワーバランスの中でどう作用してきたかというのは多少変異はしていきますけれども、今回、大きく変異をしたというふうに思っています。

 また、かつてのアメリカ政府高官の何人かが言っていますけれども、同盟国が核兵器を使用され、攻撃を受けたとしても、アメリカが即座に必ず反応するものでもないという発言も、政府高官の何人かがしているところでもあります。

 この核の傘、今回のロシアの行為によっても大きくその概念がゆがめられたと思いますが、改めて、端的に、核抑止論、核の傘といった概念についてどうお受け止めか、お聞きいたします。

林国務大臣 一般的に、抑止力というときには、侵略をもし行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより侵略を思いとどまらせる、こういう機能を果たすものであって、核抑止力は、核兵器の存在によりもたらされるような、このような抑止力のことを指す、こういうふうに認識をしております。

 その上で申し上げますと、我が国の周辺には質、量共に強大な軍事力が集中をしておりまして、軍事力の更なる強化や軍事活動の活発化の傾向が顕著となっております。現実に核兵器などの我が国に対する安全保障上の脅威が存在する以上、日米安保体制の下で、核抑止力を含む米国の拡大抑止、これが不可欠であると考えてきております。

小熊委員 もちろん、空想平和主義によるものではありませんが、核抑止が万全ではないということも私は主張したいというふうに思いますし、今回のロシアの行為によって、それがまさにあらわになった。いわゆる核の傘が万全だと思っているのは非常に危うい。ある意味、幻影、幻想だったのかもしれない部分も多分にある。

 そういうことをこれからしっかり考えた上で、地域の平和、日本の安全保障、そして世界平和について考えていかなければ、単純な核の抑止論に寄りかかってあぐらをかくわけにもいかないし、また、核抑止論を声高に叫んで、核兵器の拡大につなげてもいけないというふうに思います。

 これは非常に難しい課題でありますし、これまでも、時代とともにいろいろな、この概念については変容をしてきたというふうに思いますが、これはしっかりこれからも、ロシアの動きもあるし、今後の動きの中でしっかり捉える中で、冷静な安全保障の議論をしていかなきゃいけないというふうに思っています。

 あとはもう鈴木委員がほとんどやってしまったので、次に移ります。

 一昨日、おとといの衆議院の経産委員会の中で、我が党の山崎代議士が質疑をいたしました。日本の原発、テロなどの対策はしているということではありますけれども、戦争などの武力攻撃に対応しているのかという質問をしたところ、それは想定していないというんですね。

 だけれども、我々、過去、安倍政権の下でやった衆議院選挙で、ちょうど北朝鮮が許し難いミサイル実験とかして、ミサイルが飛んでくる、危ない、日本の国を守れるのは与党だけですよと選挙をやったんですよ。ミサイルが飛んでくる、飛んでくると言って、危ない、これはちゃんとしなきゃいけないと言っていた、選挙のとき。だけれども、原発施設はそれに対応していないということは言わない。

 私は福島県民ですから、原発施設、いざ、どういうふうになったらといろいろなことを考えて、これはどうなっているんだというのは常々思っていたし、言ってもきました。日本の安全保障は大切にしなきゃいけない、北朝鮮にミサイルを撃ち込まれたら駄目だ、ちゃんとしようと言っていながら、これはおろそかにしてきたんです。

 今回のこのウクライナへの侵攻によって、これは明確な国際法違反と言いながら、なすすべもない、実態は。原発施設が攻撃をされた、事故の起きているチェルノブイリも制圧をされてしまった。これは、今後、日本の防衛も考えたときに、原発は、特に日本海側にあるわけですよ、いっぱい。戦争による武力攻撃には対応していないということが明らかになっています。

 であるならば、もう今あるわけですから、原発が。これをミサイル攻撃にも耐え得るものに強靱化していくのか、それこそ。それか、この危険性を排除するために、原発というものの在り方を大きく変えていくのか、エネルギー基本計画の中で反映していくのか。さらには、今のその地域住民の安全避難計画が、これも戦争を前提としたものとして一つ入れていかなきゃいけないんじゃないか。

 これまで、安倍政権以来、北朝鮮の危機をあおってきたんです。でも、ここは手つかずだ、あおるだけあおってここは何もしていない。それは本当の安全保障をうたっていることじゃないです、訴えていることじゃないですよ。同じ長州人の林大臣、どう思いますか。

林国務大臣 この間も、経済産業委員会ではございませんでしたが、私は、たしか参議院の予算委員会だったと思いますけれども、ミサイル防衛でというようなやり取りは聞かせていただきました。

 まさに今日は三月十一日でありまして、委員におかれては、黒ですかね、ネクタイをちゃんと着けられておられるということを先ほど気づかせていただきましたけれども、やはり二度とああいうことを繰り返してはならないという思いの下で、必要な策というのは、これはいろいろなケースを想定してやってまいらなきゃならないという認識は共有をしておるところでございます。

 その上で、今委員も選択肢をいろいろ示されて、エネルギー基本計画でもこういうものをというお話をしましたが、これはあくまで私の個人的な思いでございますけれども、チェルノブイリがロシアに支配されている、その中で、結果としては、国連の機関から、水が十分あるのでということが後で表明されましたけれども、一時は四十八時間というニュースも出たわけでございます。

 したがって、エネルギー基本計画で、もしここはやめるということになっても、残った、使用済みの燃料という問題が残るわけでございますので、そういった問題も踏まえて、やはり全体としてどうしていくのかということは考えなくてはならない、常に頭に置いておかなければいけない、そういう課題であるというふうに思っております。

小熊委員 いや、頭に置いておくだけでは駄目なんですよ。地域住民の安全計画、ふだんのものだってちゃんとしていないんですから。

 そもそも、あのアメリカの九・一一の後、アメリカは原発施設とかは軍隊が守ったんです。日本もテロ対策と言ったけれども、県警がやっているだけだった。僕は、福島県、二回、当地にそれを視察したんですけれども。そもそも、だから甘いんですよ、見込みが。

 原発施設を攻撃するというのは明確な国際法違反です。だけれども、いざこういう戦争状態になってしまえば、こんなルールなんて無視されるんですよ。ロシアの言い分は、ウクライナが原発施設でいろいろなことをやっていたと正義を語るんです。正義の反対は悪ではなくて、もう一つの正義という一つの考え方もあります。そうやって正義を盾にロシアは大義を立てて侵攻しているんですよ。

 これはかつてのドイツのやり方と一緒だというけれども、戦争ってこういうものですよ。いろいろ仕掛けをして、こっちに正義があると。それを大義名分に侵攻していくものですよ。百五十四年前、長州に会津もそれでやられたの。難癖つけられて、こっちはやりませんよと言ったのに。戦争ってそういうものです。別に、かつてのドイツがやったのが特殊な事例じゃなくて、戦争ってそういうものですよ。

 であるならば、国際法にこうやって明確に規定したって、それをやったら戦争犯罪人ですよと言ったって、やるときはやるんです。そうしたら、潜在的に非常に危険な施設が日本海側にあって、北朝鮮の危機を常にあおってきた安倍政権の下で、でもそこはなおざりにされてきた。これは、これからまた考えていきます、頭に置いておきますでは駄目なんです。どうやって実行に移すかということですよ。実際、今、ロシアにこうやって占領されちゃったんですから。原発施設が攻撃されたんですから。決してフィクションじゃないんですよ。SFの世界の話を、頭の体操をしましょうねという段階じゃない。そういう世界に入ってしまった。

 これはしっかり、外務大臣だけじゃ駄目です、政府を挙げて、安全保障を語るのであれば、戦争状態になったときに原発がどうあるのか、具体的に対応を検討しなければなりません。

 自然災害で多くの苦しみを、そうやって今でも苦しんでいるこの福島県民の思い、二度とこんなことは世界中で起きてほしくない。これから安全保障を語るのであれば、日本の防衛を語るのであれば、原発が攻撃されないように、されたときにどうするのか考えなければ、本当の日本の防衛は成り立たないと思います。そこをしっかり考えていくことを求めて、次の質問に移ります。

 ロシアは、これはやっちゃいけない学校施設も攻撃しているんですよ。我々も非難している。子供の病院までやっている。だけれども、今、国際的には学校保護宣言というのがあります。これ、日本は署名していません。

 僕は、核兵器禁止条約もそうなんですけれども、現実性がないといって参加していませんが、この手のものというのは、アドボカシーということもありますから。この学校保護宣言もそうです。実態としてどう守らせるかはいろいろあるんだけれども、こういうことはいけないですよという概念を世界で共有していくという意味のアドボカシー、実効性は薄いかもしれないけれども、概念をしっかりピン打ちしていくという意味では大事なものだと思っています。

 核兵器禁止条約も含め、この学校保護宣言を含め、今後の対応についてお伺いします。

林国務大臣 先ほど、頭に置いておかなければならないと申し上げたのは、ちょっとあるいは誤解をお招きしたかもしれませんが、具体的に、エネルギー基本計画と、また防護等、それぞれ経産副大臣、防衛副大臣お見えでございましたので、私からは余りこの中身に入ったことを申し上げてはならないという思いでございましたので、誤解を招かないように補足をさせていただきたいと思います。

 その上で、今の学校施設のお話がございました。

 我が国は、全ての紛争当事者による国際人道法の遵守、これを重視しております。その観点から、国連、G7等の国際的な取組に積極的に貢献しておりまして、武力紛争下においても紛争当事者は学生の安全と教育を保護すべきであるという安全な学校宣言、この目的自体は、基本的に評価をしております。

 他方で、この安全な学校宣言、これが支持するとしている武力紛争下で学校や大学を軍事目的利用から守るためのガイドライン、これは、既存の国際人道法の義務を超える内容について言及があるわけでございます。

 例えば、当該ガイドラインでは、武力紛争の当事者は、開校中の学校や大学を軍事上の努力を支援するためにいかなる形でも使用してはならないとしておりますが、国際人道法上は、かかる義務は一般的に課されていないところでございまして、自衛隊の部隊運用への影響等も踏まえれば、同ガイドラインには必ずしも我が国の実態にそぐわない内容も含まれているというふうに考えております。

 それで、こうした理由から、基本的に我が国として同宣言への支持は表明しないということにしております。

小熊委員 せっかく務台さんが来ているのに、済みません、林大臣に答えてもらって。答えますか、何か。いいですか。分かりました。

 これは、今までも学校保護宣言というのはこの委員会でずっとやってきていて、その答弁を一歩も出ていないんだけれども、じゃ、それは、不備があるけれども、しからばどうするというのがないから日本の外交は弱いんです。学校保護宣言では足りないけれども、学校が攻撃されたらよくないよね、だから、これは今のガイドラインじゃ駄目だから、こういうのでやれば日本は署名するし、イニシアチブを取ってやっていくよ、これが日本の積極的外交、平和に貢献する外交じゃないですか。

 今の保護宣言、こういう不備があるからやりませんよと。でも、それは学校が攻撃されていることの解決につながらないんですよ。林さんは能力があるんだから、もうそういうふうに日本の外交を変えていきましょうよ。今ある海外でのいろいろな提案が不備があって、それは日本は参加しませんよというんだったら、今、現状起きている課題について、何も、ノータッチになっちゃうんです。

 これは、この保護宣言が不備があるのであれば、不備のない、こうした学校教育施設が攻撃されない、子供たちの命を守るというルール作り、是非、提案していってください。

 次に移ります。

 過日行われた韓国の大統領選挙で、尹氏が当選をしました。尹氏は、言われているところによれば、今までの日韓関係を改善しようとしていますというふうに報道されています。しかし、国会はねじれていますから、そんな簡単ではないとは思います。

 そこで、今、韓国は、ほかの国も残っていますけれども、科学的根拠のない輸入制限措置を取っています。先日は、台湾がこれを外してくれました。これは地道な政府の努力であり、私も、もう退任はされましたけれども、日本台湾友好協会台北事務所代表の沼田幹夫代表が、いわゆる実質上の大使ですけれども、在任しているときに、三回ほど行って、いろいろ御協力をいただいてきましたし、また、かつての沼田代表の努力というのは相当のものでありました。

 これは、日本政府が通り一遍に言っている、いろいろな科学的根拠を示して情報を発信して頑張っていきます、そういうことじゃないですよ。政治問題だったんですよ、台湾の与党と野党の。それを、福島のことを材料にされちゃった。韓国も、この間、福島県内の番組でありましたけれども、韓国のメディアの人がこれは政治問題だと言っていましたから、通り一遍に、科学的根拠を示して理解を示していきますというこれまでの表向きのあれでは変わらないんです。

 今回、大統領も替わって、少し政治的に前に進むと思いますので、この風評被害対策、どうやっていくのか、お聞きいたします。

林国務大臣 三月九日に行われた韓国大統領選挙におきまして、尹錫悦韓国次期大統領が選出され、総理、また私からも祝意を示すメッセージを発出したところでございます。

 一九六五年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づいて日韓関係を発展させていく必要があり、尹次期大統領のリーダーシップに期待をするところでございます。日韓関係改善のため、尹次期大統領と緊密に協力していく考えでございます。

 本日でちょうど東日本大震災から十一年でございますが、今、小熊委員からあったように、日本産食品の輸入規制撤廃、これは引き続き政府の最重要課題の一つでございます。震災後から韓国が日本産食品に課している輸入規制については、様々な機会を捉えて、韓国側に対し、早期の規制撤廃を働きかけてきておりますので、引き続き粘り強く対応していきたいと考えております。

小熊委員 多少時間はかかりましたけれども、台湾の規制、これは政治問題として決着を沼田代表にはしてもらいました。韓国のも、これも科学的な話じゃない、政治問題として韓国も認識していますから、日韓関係の改善の中でこの獲得も是非していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

城内委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 今日は、三月十一日、東日本大震災十一年に当たります。改めて、お亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、同時に、被災者と被災地の復興、とりわけ生活となりわいの再建に向けて、憲法十三条に基づく幸福追求権の立場で努力することを改めてお誓いしておきたいと思います。

 今日は、日本が在日米軍駐留経費を負担する、いわゆる思いやり予算の特別協定について聞きます。

 今回の協定では、訓練移転費として、今後五年間に毎年度百十四億円を日本が負担することに加えて、米軍機の訓練移転先として、新たにアラスカを対象にすることを定めています。

 そこで、林外務大臣、一つ一つお聞きしますし、一つ一つお答えいただきたいんですけれども、新たにアラスカを訓練移転先の対象にする理由は一体何かということを端的にお答えいただければと思います。

林国務大臣 日米間では、日米2プラス2の機会や日米ガイドラインを含めて、実践的な演習及び訓練の重要性を確認してきております。

 また、沖縄の負担軽減、これは政府の最重要課題の一つでありまして、嘉手納飛行場等に所属する航空機の訓練移転等に取り組んできたところでありまして、引き続き地元の負担軽減に取り組んでいく必要があります。

 こうした観点から協議を行った結果、航空機の訓練移転について、米軍による訓練の日本国外への移転を拡充し、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転先の対象とすることについて日米間で一致をしたところでございます。

 これにより、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担軽減を図るための訓練移転を更に促進することが可能になると考えております。

穀田委員 アラスカを訓練移転先に加えることが沖縄の負担軽減を図るためだと言われました。

 しかし、米軍機の日本国外への訓練移転をめぐっては、これまでグアムが対象でした。一体、どれだけ負担が軽減されたというのでありましょうか。お答えいただきたいと思います。

林国務大臣 航空機の訓練移転は、在日米軍の抑止力の維持向上と在日米軍飛行場周辺における訓練活動の影響を軽減する観点から大きな意義を有しておりまして、政府としても積極的に取り組んできております。

 特に、沖縄の負担軽減、先ほど申し上げましたように、政府の最重要課題でございまして、嘉手納飛行場等に所属をする航空機の訓練移転等に取り組むことによりまして、嘉手納飛行場等周辺の住民に対する騒音の影響は一定程度軽減されるものと認識をしております。

 そうした認識の下で米側と協議を行った結果、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転先の対象とすることで、米軍による訓練の日本国外への移転を更に拡充することで一致をしたところでございます。

 これによりまして、米軍の抑止力を維持しながら、沖縄等の地元の負担軽減を図るための訓練移転が更に促進されることになると考えております。

穀田委員 一昨日もこの問題は議論がされました。

 沖縄県の嘉手納町議会は、今年二月九日と三月三日の二度にわたって、米軍機の騒音激化と相次ぐ外来機に抗議する意見書と決議を全会一致で可決しています。外来機の飛来の禁止などを総理や外務大臣、防衛大臣、在日米軍に要請しています。このことは大臣も御存じかと思います。

 日本政府宛ての意見書は、嘉手納基地では、今年一月中旬から米軍機の騒音が激化し、MC130特殊作戦機など、エンジン調整音が昼夜を問わず鳴り響き、連日の戦闘機による離発着や基地上空での旋回飛行に加えて、ヘリコプターが居住地の上空を低空飛行するなど、米軍の傍若無人な基地運用及び騒音などの基地被害は我慢に我慢を重ねてきた町民の受忍限度をはるかに超えており、怒りは頂点に達しつつあると強調しています。

 こうした中、沖縄防衛局から、嘉手納飛行場で実施予定だった航空機訓練をグアムのアンダーセン基地へ移転する、一月三十一日から二月十八日にかけて、嘉手納基地配備のF15戦闘機十二機などが参加予定との計画が発表されました。一時的とはいえ、騒音が軽減すると期待したとあります。

 ところが、一月二十七日から二月三日にかけて、横田基地のCV22オスプレイや岩国基地のF35戦闘機など計十六機が相次いで飛来し、九十四・一デシベルの激しい騒音を記録しました。このような事態を受けて、意見書は、嘉手納における負担軽減のための訓練移転期間中に外来機が相次いで飛来し騒音を増大させている実態に対し、激しい憤りを禁じ得ないと記しています。

 林大臣、訓練移転は抑止力の話と沖縄の負担軽減を図るためだ、そして嘉手納基地所属の米軍機の訓練移転に取り組んでいると何度も言いますけれども、これが実態ではないですか。嘉手納の町議会のそういう意見書、決議、どんなふうに思われますか。

林国務大臣 今お話がありましたように、防衛省からお答えすべきところではあろうかと思いますけれども、日米両国が、嘉手納飛行場における一層の騒音軽減を図るため、航空機の訓練移転を行う期間中に嘉手納飛行場における米軍の訓練活動の影響について配慮するということとしておりまして、グアム等への訓練移転について、防衛省からも、移転期間中における嘉手納飛行場周辺の騒音軽減が図られるように、米側に対し配慮要請を行っているというふうに承知をしております。

 いずれにしても、今後とも、米側に対して、嘉手納飛行場周辺における騒音の軽減、これが図られるように一層の協力を求めるとともに、訓練移転を積み重ねるなど、可能な限り地元の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

穀田委員 防衛省が答えるという話じゃないんですよね。外務大臣にも要請は行っているはずなんです。していますやろ。しているんですよ。だから、政府は、こういうことを言うと必ず、地元からの要請は伝える、協力を求める、こういうふうに言うんだけれども、米側は運用上の自由を損なわれると難色を示して、結局、こうした外来機の飛来は常態化しているのが実情だと私は思うんですね。

 意見書は、二月十九日と二十一日の両日、アラスカのアイルソン空軍基地から計十二機のF35Aステルス戦闘機が飛来、基地周辺では九十から百デシベルの騒音が確認されたと指摘しています。百デシベルというのは電車が通るときのガード下の騒音に匹敵し、会話などがほぼ不可能なレベルであります。

 林大臣、嘉手納町では、所属機の通常訓練に加えて早朝から鳴り響く外来機の爆音に、まさに住民は普通の生活ができないと悲鳴を上げているわけであります。負担軽減というんだったら、何よりも、こうした外来機の飛来については規制するということこそ行うべきではありませんか。

林国務大臣 今委員が御指摘になったように、防衛省のみならず、我々にも御要望書をいただいているということでございます。そうしたことを受けて、先ほど申し上げましたように、グアム等への訓練移転について、移転期間中における嘉手納飛行場周辺の騒音軽減が図られるように、米側に対して配慮要請を行っております。

 いずれにしても、今後とも、この嘉手納飛行場周辺における騒音の軽減が図られるよう一層の協力を求めるとともに、元々の御質問でありました訓練移転、これも積み重ねてまいらなければならない、こういうふうに考えております。

穀田委員 何回言っても配慮要請と言うんですよね。せめて、外来機については規制するというぐらいのことをしたらどうだと私は思うんですね。

 嘉手納町の意見書は、嘉手納基地では二月二十八日から三月十二日にかけて、サイレン音や拡声器放送、模擬爆発装置や発煙筒を使用する即応訓練が行われ、空が白む早朝から夜遅くまでエンジン調整音を鳴り響かせ、町じゅうに排気ガスの悪臭を漂わせるとともに、轟音を立てて戦闘機が離発着及び飛行訓練を繰り返している、しかも、この当該期間内には県立高校の入試、町立中学校の卒業式が執り行われる、ここまで強調しているわけですね。そして、平常な日常生活に大きな悪影響を与えていると訴えています。

 私は、今、配慮要請とかそんなのを言って、周辺住民に与える影響とかを本当に考えるんだったら、外務大臣として実際に直接視察して、周辺住民の切実な訴えを聞いたらどうですか。

林国務大臣 沖北特で同様の御質問をいただきまして、私も防衛大臣のときに、実は普天間周辺等々、視察に行ったわけでございます。普天間のすぐ近くに小学校がございまして、私は非常に、臭いについて、強い臭いがするなという思いがあったわけでございますが、小学校にいらっしゃるお子さん方は余り気にしておられない、普通に走り回っておられるということで、もう慣れてしまったのかなという思いを、少し前になりますが、持ったことがございます。

 そういった経験から持っております思いというものはしっかりと生かしていかなければならないと思っておりますので、しっかり米側に対しては配慮要請等々を行ってまいらなければならないというふうに思っております。

穀田委員 臭いの話もありましたし、私も普天間、宜野湾には何回も行っています。本当に爆音はすさまじいもので、小学校にも保育園にも幼稚園にもいろいろなものがおっこちるようなというとんでもないことが起こっている。だから、配慮要請と、結果としてどうなったんだということについてきちんと責任を持っていくということがお互いの立場ではないかなと私は思います。

 しかも、ウクライナ情勢が緊迫する中で、嘉手納基地では外来機の飛来が一層増大しています。私は、外来機の規制というのは、主権国家の最低限の要求だと思います。私は、今度の米軍の行動の自由勝手なやり方には、断固たる姿勢で臨むのが日本政府の本来の役割ではないかと思います。それもせずに、外来機の飛来を事実上、要請、要請と称して容認し続ける。そればかりか、今回の協定では、グアムに加えて、新たにアラスカでの訓練にまで国民の血税を投入する。対米従属極まれりとの批判が上がるのも当然だと思います。私は、訓練移転先の拡大を基地負担の軽減の名で合理化することは、今の議論を通じてもおよそ通用しないということを言っておきたいと思います。

 次に、アラスカでの問題について聞きます。

 林大臣は、アラスカを新たに訓練移転先に入れる理由の第一に、日米間では、日米2プラス2の機会を含め、実践的な演習及び訓練の重要性を確認してきていることを挙げられました。

 昨年三月の日米2プラス2の共同発表では、同盟の運用の即応性及び抑止態勢を維持し、将来的な課題へ対処するための実践的な二国間及び多国間の演習及び訓練が必要と改めて表明したとあります。

 アラスカでは一体どのような実践的な演習、訓練を行うのか、明らかにされたい。

林国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力、対処力を強化するためには、より高度な、また、より実際の対処の場面に近い形での訓練、演習を通じ、自衛隊と米軍双方が即応性や相互運用性を更に向上させていく必要があると考えております。

 二〇二一年三月の日米2プラス2におきまして、同盟の運用の即応性及び抑止態勢を維持し、将来的な課題に対処するための実践的な演習及び訓練の必要性を確認し、二〇二二年一月の2プラス2においても、実践的な訓練、演習の深化について歓迎をしております。

 その上で、ここで言う実践的な訓練、演習については、特定の訓練や場所、これを前提としたものではございませんが、引き続き、各種訓練等を積み重ねて、日米同盟の抑止力、対処力を不断に強化していく考えでございます。

穀田委員 じゃ、防衛省に聞きます。

 今お話がありましたけれども、昨年三月の2プラス2の当日に行った記者会見で、岸防衛大臣は、中国や北朝鮮、特に中国と強調し、日米同盟の諸課題として、日米同盟の抑止力、対処力を高めるためには、より高度な訓練等を通じて、自衛隊と米軍の双方が即応性を強化していくことが重要だと述べています。

 その上で、岸大臣は、東シナ海での航空自衛隊と米空軍の共同訓練を挙げ、自衛隊と米軍はこれまで尖閣諸島周辺を含む南西方面において共同訓練を多数実施してきている、このような取組を今後も着実に積み重ねて、日米が共に行動している姿を示していきたいと述べておられます。

 つまり、昨年三月の2プラス2で確認された、将来的な課題に対処するための実践的な二国間、多国間の演習、訓練とは、こうした訓練のことを指しているのですね。

鬼木副大臣 お答えします。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力、対処力を強化するためには、より高度な、また、より実際の対処の場面に近い形での訓練、演習を通じ、自衛隊と米軍双方が即応性や相互運用性を更に向上させていく必要があります。

 こうした認識の下、昨年三月及び本年一月の日米2プラス2において、実践的な訓練、演習の必要性や関連する協力の深化を確認してきております。

 ここで言う実践的な訓練、演習については、特定の訓練や場所を前提としたものではございません。

 引き続き、各種訓練等を積み重ね、日米同盟の抑止力、対処力を不断に強化していく考えでございます。

穀田委員 今聞いていて、分かりますやろ、外務大臣が言っていることと防衛副大臣が言っていることは大体同じで、同じフレーズを使っているだけなんだよね。もうちょっと、そして、しかも、2プラス2の声明を簡単に言うと読み上げて、最後何を言っているかというと、特定していないとだけ言っているだけなんですよね。それは、二人とも同じことを言っているわけですわな。情けないことにならへんか。

 岸大臣は、当日の記者会見で、その前の日の十五日に行った、那覇北西の東シナ海海上の空域で実施した航空自衛隊と米空軍との共同訓練を例に挙げています。

 これまで航空自衛隊と米空軍は東シナ海の空域で度々の共同訓練を行っており、その中には、核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機との訓練も繰り返しています。

 昨年三月の2プラス2の開催以降、東シナ海の空域でB52戦略爆撃機との共同訓練はどのぐらい行っていますか。

鬼木副大臣 航空自衛隊は、航空自衛隊の戦術技量の向上や日米空軍種の連携強化等を図るため、米空軍の戦略爆撃機が我が国周辺に飛来する機会を捉えて共同訓練を実施しています。

 これらのうち、昨年三月十六日の日米2プラス2以降、米空軍のB52爆撃機と航空自衛隊の戦闘機が東シナ海を含む空域において実施した共同訓練は、公表した範囲で申し上げますと、令和三年四月二十七日、令和三年八月三十一日、令和三年九月二十一日、令和三年九月二十四日の合計四回でございます。

穀田委員 四回だと。

 私は、核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機と航空自衛隊との共同訓練について、本委員会で二〇一七年十二月六日と二〇一八年三月二十三日の二度にわたり質問してきました。今やこれが常態化しているということが分かる。しかも、これまでアラスカではB52爆撃機による爆撃を航空自衛隊が援護するといった共同演習が行われていたことが明らかになり、集団的自衛権の行使を先取りした訓練だと国会では問題になった経緯があります。

 林大臣、協定に基づくアラスカへの訓練移転では、こうした核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機との訓練も対象になるのですか。

林国務大臣 今、具体的な内容についてのお尋ねがございましたけれども、先ほど既にお答えしたかもしれませんけれども、この訓練の具体的な内容については、詳細は差し控えさせていただきたいと思っております。

穀田委員 特定はしていないと言っているので、まあ、差し控えると言っているんだけれども、このB52がずっと一緒にやっていることは、東シナ海でやっているわけですよね、何回も私、これは指摘しているわけですわね。

 それで、林大臣は、アラスカを訓練移転の対象に加えることについて、先ほどありましたように、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するからだと答弁されました。安保法制の下、今後は、アラスカの空域で、集団的自衛権の行使を想定した実践的な訓練が米軍との間で大っぴらに行われるということになると思います。

 そこで、鬼木さんに聞きます。

 アラスカでは、米空軍が実施するレッドフラッグ・アラスカと呼ばれる大規模演習が毎年行われています。嘉手納や三沢などの在日米軍の航空機が参加している。このレッドフラッグ・アラスカをめぐっては、二〇一四年七月十四日の衆議院予算委員会で、当時の小野寺防衛大臣が次のように説明している。読み上げたいと思うんです。

 「アラスカで行われますレッドフラッグ・アラスカというのは、実は航空機の訓練というのは、大変広い空域と、それから大変広い、例えば地上が必要になります。日本国内ではそのような場所がありません。ということで、同じような環境を持つ国がアメリカに行って訓練をするということであります。 航空自衛隊だけではなくて、例えば我が国の防衛をするミサイル防衛のさまざまな部隊も、実は、日本国内で発射する、そういう広いレンジがありません。それをアメリカのところで活用させていただく、そういうことがございます。」このように答弁しております。

 そこで、防衛省、航空自衛隊はこのレッドフラッグ・アラスカでどのような訓練を行っていますか。

鬼木副大臣 航空自衛隊は、平成八年度から、アラスカにおいて米空軍が実施する演習、レッドフラッグ・アラスカに参加してきており、昨年参加した分を含め、これまでに二十四回参加してきております。

 昨年六月の本演習は、アラスカ州アイルソン空軍基地及びエレメンドルフ・リチャードソン統合基地並びに同周辺空域等で行われ、航空自衛隊から、例年と同様に、戦闘機と早期警戒管制機が参加いたしました。具体的には、那覇基地に所在する第九航空群のF15DJ戦闘機六機、浜松基地に所在する警戒航空団のE767早期警戒機一機が参加いたしました。

 航空自衛隊は、本演習のうち日米共同訓練の部分に参加し、例年と同様に、防空戦闘訓練、戦術攻撃訓練、対戦闘機戦闘訓練及び空中給油訓練を行っております。

 本演習への参加は、広大で良好な訓練空域を有するアラスカにおいてより実践的な訓練を行うことができる点で、航空自衛隊の戦術技量の向上にとって大変有意義なものであり、また、米空軍と共同訓練を行うことにより、日米の連携の強化に資するものであります。

穀田委員 在日米軍司令部が二〇一七年六月に発表した文書があります。これを見ると、レッドフラッグ・アラスカは、「空軍力を統合し、共同攻勢対航空訓練を行い、擬似戦闘環境における近接航空支援を実践するように設計された太平洋空軍の実動演習」とあります。

 攻勢対航空とはどういうものですか。

鬼木副大臣 米空軍は、レッドフラッグ・アラスカについて、米太平洋空軍司令官が主催する米軍のための実動訓練であり、戦闘を模した環境下での統合攻勢対航空、航空阻止、近接航空支援及び大規模部隊訓練を提供するものである旨、公表しているものと承知しております。

 他方、航空自衛隊は本演習の全てに参加しているわけではなく、その一部において日米共同訓練を実施しているにすぎません。したがって、お尋ねの点についてお答えすることは困難でございます。

穀田委員 私が聞いているのは、攻勢対航空というのはどういうものか。もう一度言ってください。

鬼木副大臣 防衛省・自衛隊として攻勢対航空の定義を定めたものはございませんで、お答えすることは困難であります。

穀田委員 定めていないという発言ですよね。それはないんじゃないですか。

 私は、航空自衛隊基本ドクトリンというのを持ってきました。そこにはどう書いているかということですよね。「航空優勢を獲得するためには、二種類の方法がある。一つは、敵の航空戦力をその根拠地周辺で撃破する「攻勢対航空」であり、」こうちゃんと書いているんですよ。

 先ほど私は言いましたけれども、二〇一七年に発表した文書がある、ここにはそう書いているということを言いましたけれども、問題は、航空幕僚監部は、一九七三年当時、米空軍作成のベーシックドクトリンと題する教範を翻訳し、航空自衛隊の訓練資料にしていたことがあります。

 我が党の松本善明議員は、一九七六年二月二十七日の衆議院予算委員会で、国会に提出されたこの航空幕僚監部が翻訳した訓練資料に、攻勢対航空について次のように記されていると指摘しました。今述べましたけれども、若干触れましたが、「攻勢対航空作戦は、通常、敵国領土内の空地における敵航空機、ミサイル及び高射砲陣地、航空基地、指揮統制組織、燃料貯蔵施設、並びに敵国の航空戦力組織を構成するか、又は支援するその他の目標を捜索し、これらを撃破するために、実施される。」と書いているんですね。

 航空自衛隊では、攻勢対航空をこのように翻訳してありました。だから、先ほども、何かもごもご言って、それは公式にはないみたいな話をしましたけれども、攻勢対航空とはそういうものですね。

鬼木副大臣 平成三十年六月に作成された航空自衛隊基本ドクトリンでは、第一章第三節、航空戦力と航空作戦において、航空作戦の要諦として、主として空において、大きな被害を受けることなく諸作戦を遂行できる状態である航空優勢について記述をしておりますが、その中で、御指摘の攻勢対航空については次のとおり記述しております。

 すなわち、航空優勢を獲得するためには二種類の方法がある、一つは、敵の航空戦力を自ら求めて撃破する攻勢対航空であり、もう一つは、侵攻する敵航空戦力を撃破する防御対航空である、以下略いたしまして……(穀田委員「分かりました。言わなくていい、もう」と呼ぶ)済みません、まだ続きを言わせてください。

 航空自衛隊基本ドクトリンは、航空自衛隊の隊員が任務を遂行するに際して準拠すべき事項や考え方を共有するために、航空幕僚監部が部内向けに作成した文書でありまして、防衛省の見解をまとめたものではありません。

穀田委員 よくそういうことが言えるね。さっきはないと言って、今度は説明して、これは準拠するという、そんなあほなこと言ったらあきまへんで、あなた。

 ちゃんとそれは国会に提出された資料の中にあるんですよ。それを最初から言えばいいじゃないですか、それだったら、国会に提出された資料はこう言っていますと。何でそう言わへんの。情けないと思わへんか。あきませんよ、そんなこと。

 今お話があったように、攻勢対航空というのは、敵国の領域内で、敵の航空機やミサイル、基地、航空戦力などを撃破するということを示しているんですね。これはつまり、政府が言う敵基地攻撃と同じじゃないかと。いかがですか。

鬼木副大臣 先ほどと同じ答弁になるんですが、航空自衛隊基本ドクトリンは、航空自衛隊の隊員が任務を遂行するに際しての考え方を共有するための部内の作成文書でありまして、防衛省の見解ではないということでございます。

穀田委員 見解ではないって、準拠する指針なんでしょう。そんなこと、やるに決まっているやないの。要らぬのやったら、そんなこと、作る必要ないわけで、問題は、私が言ったのは、要するに、これらを撃破するということを書いている、これは敵基地攻撃と同じことじゃないかと言ったわけですよ。全然答えていないと思いませんか。

 そこで、もう時間がないから行きますけれども、じゃ、指摘しましょう、航空自衛隊の幹部学校が二〇〇六年三月にまとめた航空自衛隊ドクトリン等に関する調査研究と題する文書があります。これです。我が党の資料要求に対して防衛省が提出したものですけれども、そこには、攻勢対航空を敵基地攻撃と記しています。そうじゃないんですか。

鬼木副大臣 航空自衛隊ドクトリン等に関する調査研究については、最終的に航空自衛隊ドクトリンとして結実していることから、その記述内容の一つ一つについてコメントすることは差し控えさせていただきます。

 いずれにしろ、あくまで調査研究の目的で作成されたものであり、特段問題があるものではございません。

穀田委員 特段問題があるものではありませんというようなことにならぬよ。調査研究しているということは、今後そういうことについて考えるということじゃないですか。

 先ほどは、そういう文書については分からぬとか言って、今度は、言われたら、持ってきて、それは準拠するものだ、防衛省の見解じゃないと。見解でないものが出回って、これは作戦をする人たちが言っているんですよ。読みましょうか。

 「攻勢対航空・戦略攻撃 敵基地攻撃については、これまでの国会答弁等において、完全に否定はしていないこと、与党国防部会において検討すべきことを提言されていること等から、研究は実施すべきと判断する。」研究しているんじゃないですか。「ただし、平成十六年七月二十七日の防衛庁長官会見において、敵基地攻撃については現時点で考えていないとの発言があることから、現時点での文書化は相応しくないと判断した。」えらい御丁寧に書いていますやんか。

 そういうことを知っているんでしょう。だから、準拠する文書じゃないなんていろいろなことを言っているけれども、差し控えたいとか言っているけれども、そうはいかぬわけですよ。

 しかも、鬼木さん、この文書は、じゃ、どういう文書かということで、誰がそういう問題について答弁したか、覚えてはりますか。覚えていないなら覚えていないと言ってくれたらいいですよ。知らぬなら知らぬでええし。

鬼木副大臣 済みません、どなたの発言か存じません。

穀田委員 この文書は、安保法制を審議した二〇一五年六月一日の衆議院特別委員会で私が取り上げ、当時の中谷防衛大臣が、「航空自衛隊が職務を遂行する上で必要に応じて作成した資料である」と、航空自衛隊が職務を遂行する上で必要に応じて作成した資料だと認めているんですよ。

 先ほど言いましたよね。ドクトリン等に関する調査研究、説明しましたね、読みましたよね。ここには、攻勢対航空というのを敵基地攻撃のことだと説明し、その上で、「敵基地攻撃については、これまでの国会答弁等において、完全に否定はしていないこと、与党国防部会において検討すべきことを提言されていること等から、研究は実施すべきと判断する。 ただし、平成十六年七月二十七日の防衛庁長官会見において、敵基地攻撃については現時点で考えていないとの発言があることから、現時点での文書化は相応しくないと判断した。」と。そこに書いた、さっき言いましたよね。それが、今日、岸田政権になって、敵基地攻撃能力の保有の検討を進めるに至ったということなんですね。ずっと内部で検討して、それを表に出してはまずいなとやっていたということじゃないですか。

 そこで、聞きますけれども、防衛省は、敵基地攻撃に必要な一般的なオペレーションについてどう答弁してきたのか、お答えください。

鬼木副大臣 敵基地攻撃についての、どのようなオペレーションかという御質問にお答えします。

 政府としては、これまで、いわゆる敵基地攻撃のためには、あくまで一般論として、他国の領域において移動式ミサイル発射機の位置をリアルタイムに把握するとともに、地下に隠蔽されたミサイル基地の正確な位置を把握し、まず防空用のレーダーや対空ミサイルを攻撃して無力化し、相手国の領空における制空権を一時的に確保した上で、移動式ミサイル発射機や堅固な地下施設となっているミサイル基地を破壊してミサイル発射能力を無力化し、攻撃の効果を把握した上で更なる攻撃を行うといった一連のオペレーションを行うことが必要である旨、答弁しております。

 他方で……(穀田委員「それでいいです」と呼ぶ)よろしいですか。

穀田委員 相手国の領域で対空ミサイルを攻撃して制空権を一時的に確保し、ミサイル基地を破壊してミサイル発射能力を無力化する、攻撃効果を確認して更に攻撃を行う、これはまさにレッドフラッグ・アラスカで行われている攻勢対航空そのものではありませんか。

 岸防衛大臣は、二月十六日の衆議院予算委員会分科会で、政府が保有を検討する敵基地攻撃能力について、自衛隊機が相手国の領空内に進入し、爆撃することも排除しないと明言しました。レッドフラッグ・アラスカで行われている攻勢対航空訓練は、まさにそうした攻撃を行うための実践的な訓練ということだと言えます。

 林大臣、今回の協定でアラスカを訓練移転先に加えたのも、敵基地攻撃能力の保有を見越したからではないんですか。

林国務大臣 アラスカにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、同盟の対処力、抑止力の強化と、それからもう一つは沖縄の負担軽減、こういうことから考えたところでございます。

穀田委員 結論を言ってくれな困りますがな。

 要するに、私が言っているのは、こういう事実をずっと積み重ねていくと、しかも、岸さんもそう言うてはる、それで、攻勢対航空というのはこういうものやないか、文書にもこう書いている、そして、これ自身は敵基地攻撃能力というところからきていると順序立てて言ってきたわけじゃないですか。

 せやから、そういう意味でいうと、この訓練先に加えたというのも、さっきから言っているように、対処力それから負担軽減、その二つのキーワードを使わぬと、そうじゃない話を聞いているわけですやんか。それは関係ないというんだったら関係ないと言ってくれたらいいし、それが議論というものとちゃいますか。

林国務大臣 アラスカを航空機訓練移転の対象とする理由については、先ほど申し上げたとおりでございます。

 一方で、いわゆる敵基地攻撃能力の検討につきましては、総理の指示もございましたので、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的な強化に取り組んできておるところでございます。外務省としても、議論に積極的に参画をしております。

 背景は、もちろん委員も御承知のとおりでございますが、我が国周辺において相当数の弾道ミサイルが開発、配備されておりまして、それらは、一たび発射されれば極めて短時間で我が国に到達し、国民の生命財産に甚大な被害を与えるおそれがございます。

 また、極超音速滑空兵器、変則軌道で飛翔するミサイル、こうしたものなど、ミサイルに関する技術が急速なスピードで変化、進化しており、迎撃が困難になってきている、これは事実でございますので、まさに総理の指示の下であらゆる選択肢を検討している、こういう状況でございます。

穀田委員 それも一連の答弁パターンの中の一つですよね。それは分かっているんです。

 私が言っているのは、やはりこの間ずっと見てきたように、一連の流れの中で、ほんまにこれは重大な事態に立ち至っているんじゃないのか、敵基地攻撃能力の保有というのはそういう意味でずっと考えられてきて、やってきているということになるんじゃないかということを指摘したわけですよね。

 今年の一月七日の2プラス2で、林大臣、日本は、ミサイルの脅威に対抗するための能力、今お話があったように、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討すると表明しています。そのときに、林大臣は同日の記者会見で、この表現には敵基地攻撃能力も含まれると説明されています。つまり、敵基地攻撃能力の保有の検討を対米公約したというところに大きなポイントがある。

 そうした日本政府の態度表明の下で今回の協定は署名が行われたことを見れば、協定に基づく実践的な訓練、演習というのが敵基地攻撃能力の保有を踏まえたものになるというのではないか、それは明らかじゃないかと思うんですが、いかがですか、林外務大臣。

林国務大臣 突然のお尋ねで、私がそのとき申し上げたものがございませんので、前後の文脈等もちょっと記憶が、最近年を取って記憶力が落ちてきたものですからあれでございますが、2プラス2で実践的な訓練、演習というものを強調しておりますが、同盟の運用の即応性及び抑止態勢を維持して、将来的な課題に対処するための実践的な演習及び訓練の必要性を確認し、二〇二二年、先ほどのは二〇二一年三月の日米2プラス2ですが、この一月の2プラス2においても、実践的な訓練、演習の深化について歓迎をしております。

 その上で、ここで言う実践的な訓練、演習については、特定の訓練や場所を前提としたものではございませんが、引き続き、各種訓練等を積み重ねて、日米同盟の抑止力、対処力を不断に強化していく考えでございます。

穀田委員 頭脳明晰な林大臣が忘れるとはとても思えません。一番、敵基地攻撃の問題、今ホットな話題になっている、その問題について私は質問しているわけであります。

 今大臣はるる答弁されましたけれども、私の指摘を否定しなかっただけではありません。実践的な二国間、多国間の演習、訓練を二度にわたる日米2プラス2の共同発表文に記載しているわけですよね。この演習、訓練が敵基地攻撃能力の保有を見越したものであることが、この審議を通じて、こういうことがあったのかということが明らかになったことは重大と言わなければなりません。

 岸防衛大臣は、昨年十二月の記者会見で、今回の協定に係る合意に関し、中国や北朝鮮の軍事力強化を挙げ、日米両政府が厳しい安全保障環境に肩を並べて立ち向かっていく決意を示すことができたと強調しています。アラスカを訓練移転先の対象にする今回の協定は、まさに自衛隊と米軍が肩を並べて戦争するための体制づくりの一環にほかならない、そのことを指摘して、質問を終わります。

城内委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

城内委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費負担特別協定、いわゆる思いやり予算特別協定に反対の立場から討論を行います。

 日米地位協定第二十四条は、在日米軍の維持経費は日本国に負担をかけずに合衆国が負担すると定め、日本に負担義務はありません。にもかかわらず、政府は、一九七八年に思いやりと称して基地労働者の福利費などの負担に踏み切り、一九八七年には特別協定を締結しました。

 それ以来、暫定的、特例的、限定的な措置としながら負担を継続するとともに、負担対象を隊舎や家族住宅等の施設整備、給与本体、光熱水料、訓練移転費へと拡大させてきました。本特別協定では、新たに、訓練資機材調達費として、米軍が訓練で使う最新鋭の資機材の調達を支援するという費目が設けられています。

 政府は、駐留経費負担の通称を同盟強靱化予算にするとしていますが、日米地位協定上、米側が負担すべき経費を日本側が肩代わりするという思いやり予算の本質に変わりはありません。こうした道理のない負担を更に続けることは断じて認められません。

 日米両政府は、昨年十二月の本特別協定に係る合意で、二〇二二年度から五年間の日本側負担を総額一兆五百五十一億円とすることで一致しましたが、この額は、現行の一六年度から五年間の負担総額九千四百六十五億円に比べて一一%もの増額となっています。

 このうち、提供施設整備費では、抗堪性の強化を名目に、米軍機用の掩体整備など米軍施設の改修事業費を計上し、訓練資機材調達費では、米軍が本土で行う訓練に自衛隊が日本から参加するためのシステム整備費を、また、米軍機の訓練移転先として、従来のグアムに加えてアラスカを対象に広げる訓練移転費を負担することとしています。

 これらは、昨年の三月の日米2プラス2で、実践的な二国間、多国間の演習、訓練が必要としたことを受けたものであり、米本土の広大な訓練空域を活用し、実践的な大規模訓練を行うためのものです。とりわけ、質疑を通じて、この訓練が敵基地攻撃能力の保有を見越したものであることが明らかになったことは重大です。

 岸防衛大臣は、本特別協定に係る合意に関し、中国や北朝鮮の軍事力強化を挙げ、日米両国が厳しい安全保障環境に肩を並べて立ち向かっていく決意を示すことができたと強調しました。本特別協定は、まさに自衛隊と米軍が肩を並べて戦争するための体制づくりの一環であり、到底認められません。

 以上を述べて、反対討論とします。

城内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

城内委員長 これより採決に入ります。

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

城内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

城内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

城内委員長 次に、内閣提出、二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣林芳正君。

    ―――――――――――――

 二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 ただいま議題となりました二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案につきまして、提案理由を御説明いたします。

 二千二十五年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を開催するに当たり、我が国は、国際博覧会条約上の義務として、我が国政府を代表する博覧会政府代表を任命する必要があります。

 この法案は、博覧会政府代表の任務の重大性等に鑑み、これまでに我が国で開催された国際博覧会の場合と同様に、政府代表の設置及びその任務、給与等について定めるものです。

 この法案では、外務省に、特別職の国家公務員である二千二十五年日本国際博覧会政府代表一人を置き、政府代表は、二千二十五年日本国際博覧会に関する全ての事項について日本国政府を代表することを任務として定めています。

 また、関係府省の長は、政府代表の任務の円滑な遂行を図るため、必要な措置を取ることを規定しています。

 加えて、この法案では、政府代表の任免手続、俸給月額等について定めているほか、二千二十五年日本国際博覧会の終了の日から起算して一年を経過した日に効力を失う旨を定めています。

 政府代表の給与等については、令和四年度予算案に計上しているため、また、大阪・関西万博に向けた準備に遺漏なきを期すため、本法案は四月一日から施行する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いをいたします。

城内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十六日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十三分散会


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