衆議院

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第5号 令和4年3月16日(水曜日)

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令和四年三月十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 城内  実君

   理事 あべ 俊子君 理事 辻  清人君

   理事 宮崎 政久君 理事 武藤 容治君

   理事 青山 大人君 理事 小熊 慎司君

   理事 杉本 和巳君 理事 吉田 宣弘君

      伊藤信太郎君    小渕 優子君

      尾身 朝子君    島尻安伊子君

      新藤 義孝君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      武井 俊輔君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    平沢 勝栄君

      本田 太郎君    柳本  顕君

      岡田 克也君    徳永 久志君

      太  栄志君    松原  仁君

      青柳 仁士君    和田有一朗君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   外務副大臣        小田原 潔君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   国土交通副大臣      渡辺 猛之君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   外務大臣政務官      三宅 伸吾君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   経済産業大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    吉川ゆうみ君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     高科  淳君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            井上 諭一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       赤堀  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    市川 恵一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ部長)       米谷 光司君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    小野 啓一君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           川又 竹男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           澤井  俊君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         渡邉 浩司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         遠藤 仁彦君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     杉田 水脈君

  武井 俊輔君     柳本  顕君

  中谷 真一君     谷川 とむ君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     上杉謙太郎君

  谷川 とむ君     中谷 真一君

  柳本  顕君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案(内閣提出第二四号)


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     ――――◇―――――

城内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官赤堀毅君、大臣官房審議官徳田修一君、北米局長市川恵一君、中東アフリカ局アフリカ部長米谷光司君、経済局長小野啓一君、領事局長安藤俊英君、内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長高科淳君、内閣府地方創生推進事務局審議官黒田昌義君、科学技術・イノベーション推進事務局審議官井上諭一君、厚生労働省大臣官房審議官川又竹男君、経済産業省大臣官房審議官矢作友良君、大臣官房審議官澤井俊君、国土交通省大臣官房技術審議官渡邉浩司君、大臣官房技術参事官遠藤仁彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

城内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

城内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柳本顕君。

柳本委員 自民党の大阪の柳本顕でございます。

 二〇一八年十一月二十四日に招致が決定をいたしました二〇二五年の大阪・関西万博については、言うまでもなく国家プロジェクトではありますけれども、地元大阪の開催のゆえをもちまして、御配慮をいただき、質問の機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げる次第でございます。

 先ほど申し上げましたように、二〇一八年の十一月末に招致が決定したわけでありますけれども、その過程においては、大阪選出の国会議員の皆さんのみならず、与党、とりわけ自民党、公明党の各議員において諸外国にアプローチをかけていただいたというふうに聞いておりますし、何よりも、政府において、外交ルートを通じて精力的、戦略的な活動をしていただいたからこそ今現在があるというふうに思っております。今まさに、「いのち輝く未来社会のデザイン」ということで、スピードを上げて準備が進められているところであります。

 その一方で、今現在もアラブ首長国連邦・ドバイの方で、三月の末までということで万博が開催されておりますけれども、これについては、二〇二〇年の開催が予定されておりましたけれども、世界的なパンデミックということで延期を余儀なくされたわけでございます。

 それについては、二〇二〇年開催予定であった東京オリパラも同じくということであるんですけれども、今現在、つい先日終えられたところであります冬季の北京のオリンピック・パラリンピックについては、その前段において、ウイグル問題に端を発して、外交的なボイコットという事象がありました。また、先日閉幕となりましたパラリンピックについては、急遽、ロシアによるウクライナ侵略に伴いまして、ロシアそしてベラルーシの選手の方々に対して出場を停止するという異例の状況の中での十日間の開催となったわけであります。

 今後も、万博開催に向けては、デリケートな内外情勢を注視しながら準備を進めていくことになると思いますけれども、不測の事態に対して、備え、心構えをしておかなければなりません。

 あわせて、オリパラは平和の祭典とも言われております。スポーツのようにピュアな、爽やかな意義ということにならないかもしれませんけれども、万博についても、国際万国博覧会として開催意義を世界に向けて発信できるように努めていかなければならないというふうに考えております。

 この間、私自身も、内在する万博の意義として、日本における産業の振興であるとか、あるいは世界に向けて技術を発信していく、さらには未来に向けてのライフスタイルを提案する、そういったことを考えておりまして、まさにこういったことは経済であるとか産業ということになろうかというふうに思うんですけれども、ロシアのウクライナ侵略の現実を目の当たりにしまして、国際万国博覧会というものの外交的意義というものを、我々は、開催国として改めて認識をし、そしてその上で、外向けに対しても発信していく必要があるのではないかと感じております。

 世界平和に対してのメッセージ、あるいは、地球規模での気候変動、カーボンニュートラルに対して日本としてどのように対応していくのか、技術革新が進む中での日本の立ち位置、あるいは、経済安全保障の議論も進められておりますけれども、技術覇権の競争時代にあって、日本としてどのように対峙していくのか、二〇二五年の大阪・関西万博を通じてどのようなメッセージを発するのか、どこに力点を置くのか、注目されるところであるというふうに思いますし、逆に、注目されるような、そんな万博にしてこそ日本開催の意義があるというふうに感じます。

 そこで、国家プロジェクトとしての国際博覧会を開催する外交的意義をどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。

小田原副大臣 柳本委員にお答えいたします。

 大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマ、未来社会の実験場をコンセプトとしています。

 我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すとともに、海洋プラスチックごみ対策に向けた大阪ブルー・オーシャン・ビジョンといった環境分野の取組を国際社会とともに推進することにしています。また、AIやIoT、ロボット、ビッグデータを始めとするデジタル技術を活用して様々な社会的課題の解決と経済発展を両立させる、持続可能で包括的なソサエティー五・〇の実現に向けて取組を進めているところであります。

 大阪・関西万博の機会を活用しつつ、こうした課題解決先進国としての貢献を国際社会にアピールするとともに、持続可能な社会の現実に向けた取組を国際社会とともに加速させる機会としたいと思います。また、大阪・関西万博に合わせた外国要人の訪日の機会を捉え、可能な限り二国間会談を行い、外交、安全保障、経済を始めとする国際社会の諸課題について連携を強化する機会にしたいと存じます。

柳本委員 ありがとうございます。

 ただいま御答弁をいただいた意義というものを、改めて、大阪、関西のみならず全国に向けて、機運醸成に伴いまして広げていけるように我々も努力をしていきたいと考えております。

 本外務委員会に上程と相なっております二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案については、これが、本日といいますか、可決されれば、政府代表というものが置かれることとなります。国際博覧会条約に基づく政府代表ということになるわけでありますけれども、この政府代表はどのような業務を担うことになるんでしょうか。政府代表の担う役目についてお伺いをいたします。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 この政府代表は、国際博覧会条約に基づき、博覧会に関する全ての事項について対外的に自国政府を代表することを任務としております。

 具体的には、参加に向けた働きかけ、各国政府代表や博覧会国際事務局との会場、展示物等に関する調整、国内関係者との連絡調整、博覧会に関するルールの履行の確保、紛争の仲裁といった実務的、技術的な業務を担う予定でございます。

柳本委員 外務省の方でも更に力を注いでいただきますようにお願いをいたします。

 政府代表が置かれることに先んじまして、既にもう参加国の招請活動というのは進められているわけでございまして、私も、せんだって予算委員会の分科会で数などを確認させていただいたところであります。一定、遅れているんじゃないかという言葉もある中ではありますけれども、そのときには、比較的順調に進められているというような御答弁もありました。ただ、二〇二五年の四月十三日の開会というのはもう決まっているわけでございますので、あと三年、そこから逆算する形でスケジュールを組んで進めていかなければならないわけであります。

 百五十か国、二十五国際機関の参加を目指すとされている招請活動について、現状を改めてお聞きするとともに、あわせて、目標数に向けてどのようなスケジュールで取り組んでいくのか、お聞かせください。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 参加招請につきましては、多くの国、国際機関の参加を得るべく、二国間会談や国際会議におけるハイレベルの働きかけを行ってきております。これまでに、ほぼ全てのG20メンバー国を含む九十以上の国、国際機関から参加表明を得ております。

 独自のパビリオンで出展する場合には二〇二三年四月に敷地を引き渡す計画であり、共同館の場合には二〇二四年七月に区画を引き渡す計画でございます。

 今月末のドバイ万博の閉幕をもって各国の大阪・関西万博に向けた準備が一層加速すると見込まれている中、目標の百五十か国、二十五国際機関の達成に向けまして、多くの国、国際機関の参加表明を早期に得られるよう、政府代表による各国政府ハイレベルへの働きかけを始め、招請活動を一層加速していく考えでございます。

柳本委員 G20始め順調に進んでいるということではあるものの、いつぐらいまでにという答えに対しては、早期ということでありました。なかなか明確にできない。参加国の在り方についても、直前まで、パビリオンを出展するわけではないけれども参加するよというようなやり方もあるということなので、引き続き継続的な取組が必要なんだというふうには思いますけれども、ある程度めどをつけながら、ある程度計画性を持って対応していただくように要望しておきます。

 その上で、G20も参加表明いただいているということなんですけれども、個別事象としてちょっと議事録に載せておきたいと思うんですが、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ、それから、近隣諸国ということで、中国、台湾、韓国、北朝鮮の招請の状況、参加の表明の状況についてお伺いをいたします。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の国、地域につきまして、ウクライナ、ロシア、中国、韓国に対しましては、二〇二〇年十二月以降、大阪・関西万博への参加招請を行っておりまして、このうちロシア、中国、韓国からは既に参加が表明されております。ウクライナにつきましても積極的に働きかけを行ってきておりますが、現時点で参加表明はなされておりません。

 国際博覧会条約は、参加招請につきましては招請国政府が被招請国の政府に対して外交上の経路を通じて行う旨規定しておりまして、台湾につきましては、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係を維持するというのが我が国の基本的立場でございますので、こうした点を考慮し、参加招請は行っておりません。

 また、先ほど述べました国際博覧会条約の規定を踏まえまして、我が国と外交関係のない北朝鮮への招請も行っておりません。

 最後に、ベラルーシにつきまして、二〇二〇年のベラルーシ大統領選後の同国をめぐる情勢、これを総合的に勘案しまして、参加招請は行っておりません。

柳本委員 ロシアについては後ほど触れます。

 ちょっと台湾について。

 政府としての対応ということはそういうことでありますけれども、ただ、改めて、参加国が決まったり、あるいはパビリオンの出展が決まった後に、そこにいろいろな企業体が資金的に援助をするなんということもありますので、民民の状況の中で、是非、近隣の関係あるエリアとして、台湾企業などに対しての積極的な参加というかアプローチも進めていただくように求めておきたいというふうに思います。

 その上で、招請活動は、やみくもに百五十か国、二十五国際機関だということで数をそろえるというようなことではなくて、むしろパビリオンのコンセプトの調整であるとか全体としての一体性、まさに外交的意義を最大限に引き出せるように戦略的に進めていく必要があるというふうに思います。

 せんだって、ドバイ万博に行かれた方々の報告を聞かせていただく機会があったんですけれども、例えば、途上国への支援であるとか、あるいはアラブ諸国にスポットを当てた開催となっているということでありました。日本における万博開催に向けても、メッセージ性をしっかりと想定して、例えばアジアを重視するとか、そういった形での招請活動を進め、万博の目玉の一つとなる海外パビリオン群のつくり上げを進めていただきたいというふうに思うわけでありますが、招請活動に向けての戦略をどのようにお考えなのか、お聞かせください。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博への参加招請活動の戦略についてという御質問でございます。

 先ほども申し上げましたが、現在、多くの国、国際機関による参加を得るべく、様々な形で、様々なレベルで取り組んでいるところでございます。

 参加国の拡大のためには、要人の往来のみならず、マルチの国際会議の機会を含めてあらゆる機会を使って働きかけることが重要と考えておりまして、博覧会推進本部事務局、経産省を始めとする関係省庁、日本国際博覧会協会、さらには経済界とも連携をして、オール・ジャパンで着実に進めていく考えでございます。

 また、各国の出展につきましては、全体のテーマ、「いのち輝く未来社会のデザイン」という大阪・関西万博のテーマ、未来社会の実験場というコンセプトに従いまして、半年間の一過性のイベントに終わらせることなく、三十年先、五十年先を見据え、価値観や生活スタイルを変化させるきっかけとなるような、各国ならではの展示をしていただくよう取り組んでまいりたいと考えております。

柳本委員 お聞きしますと、参加を表明された国々ともまだ具体的な契約は結んでおられないということなんです。国や機関によって参加表明されるタイミングとかあるいは関係性も違うと思いますので、一斉にというわけにはいかないと思いますが、どのような時期にどのような契約を結ぶことになるのか、お聞かせください。

澤井政府参考人 参加契約についてお答え申し上げます。

 参加契約につきましては、国際博覧会条約に基づいて定められました大阪・関西万博における特別規則によりまして、参加国は開催者との間で参加契約書を締結するということになってございます。その参加契約書には、参加者が行います展示とかあるいは商業活動について遵守していただく事項が定められている、それから参加者に与えられる便宜、こういったものが規定されているということでございます。

 したがいまして、このような内容でございます参加契約書でございますので、遅くても、参加国に土地や展示スペース、こういったものを引き渡すまでに締結するということになってございます。

 参加国と契約を締結しますのは直接的には万博協会でございますけれども、経産省としても、指導監督官庁として、今般の世界情勢を踏まえつつ、関係各省と協議の上、適切に対応してまいりたい、このように考えてございます。

柳本委員 契約、ばくっとしたひな形があるようなんですね。ですから、それに基づいて各々、期間とか貸出しされる平米数とかが規定されるものと思います。開催者、すなわち万博協会と参加国ということなんですが。

 一つ、ちょっと注意しておきたいのが、まさに「いのち輝く未来社会のデザイン」ということで、かなりいろいろ技術的なものが出展されるというか、世界にお披露目されるようなことになったときに、知的財産についてどのような管理の仕方をするのか。パテントの問題とかも出てこようかと思いますので、その辺り、しっかり注視をしておいていただきたいというふうに思いますし、そこで締結された契約というものが、またそれも一つの、万博の一環として今後の社会の一つの秩序になるような、そんな方向性も見出していただけたらと思います。

 その上ででありますが、参加表明した後あるいは契約を結んだ後にも不測の事態というものが起こり得るということを、我々は今このときにあって見てきているわけであります。

 先日、三月の四日の日、閣議後に万博担当の若宮大臣は、現在参加表明されているロシアについて、ロシアの参加は、情勢を注視し、関係機関ともしっかり協議をしながら政府として適切に対応していきたいとおっしゃっておられます。

 今現在、どうしろ、どうこうということがなかなか判断できないのは理解しますが、判断が必要となるケースも想定しておかなければなりません。

 そして、冒頭に述べましたドバイ万博に関しては、世界的なパンデミックに伴って、結果として、これはまさに不測の事態ですよね、一年延期ということを決めたわけであります。

 また、日本においては自然災害がいつ起こるか分からない。もちろん、起こらないことを祈るばかりではありますけれども、本当に我々の力でどうしようもない自然災害なわけですよね。

 そしてまた、紛争やテロなどについては、予兆があるかもしれませんけれども、これは基本的に想定できるものではないというふうに思います。しかしながら、まあ、想定してもいけないのかもしれませんけれども、一〇〇%起こらないとは限らないわけであります。

 そうした状況を考えたときに、一般論としてで結構ですが、紛争、テロや自然災害又は感染症といった不測の事態が発生したときに、こういった参加国との関係、どのような対応が可能なんでしょうか。お聞かせください。

澤井政府参考人 不測の事態への対応についてお答え申し上げます。

 国内における自然災害の発生、それから世界的な感染症の流行があった場合には、国際博覧会条約に基づきまして、BIE総会において開催時期変更の承認を得ることで延期等をすることができるということでございます。なお、ドバイはまさにこの措置が適用されたということでございます。

 また、開催時期の変更では対応できないというような事態の場合におきましては、これもやはり、BIE執行委員会の勧告を得て開催を中止することが大阪・関西万博規則の一般規則で規定されているというところでございます。

 一方、国際的な紛争といった場合につきましては、これにつきましては我が国の基本的な立場を踏まえまして適切に判断していく、こういうことになると考えてございます。

柳本委員 まさに不測の事態であるからこそ規定されていない部分はあるかと思うんですけれども、そういったこともあり得るということは念頭に置いて心構えをしていただきますようにお願いをいたします。

 万博開催の国際的意義、外交的意義を共有し、危機対応にも強い日本の国家力を二〇二五年大阪・関西万博において示していただくようにお願いをいたします。

 以上で私の質疑を終えます。ありがとうございました。

城内委員長 次に、谷川とむ君。

谷川(と)委員 自由民主党の谷川とむです。

 本日は、二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案の審議ということで、外務委員会で質問の機会をいただきまして、城内委員長を始め、理事、委員の皆様に心から感謝を申し上げます。

 質問に入る前に、本日の午前中に北朝鮮が弾道ミサイルの可能性があるものを発射したとの報道がありました。報道によれば、発射直後に失敗したとのことですが、政府としても、情報を収集し、それが事実であれば、失敗したとはいえ、発射したことには変わりはないわけであります。今年に入って、たしか十回目となると思います。我が国と地域の平和と安全を脅かすもので、決して容認できるものではなく、政府としても、北朝鮮に抗議すると同時に、あらゆる対策を講じていただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 それでは、大阪・関西万博の成功に向け、大阪の現状を踏まえながら質問に入らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 本法案は国際博覧会条約第十二条の規定に基づくもので、本法案の条文等を読み込みましたが、私自身、異議はありません。

 本法案が成立すれば、四月一日より政府代表の任務が開始されることとなります。政府代表の任務の内容など本法案に対して私が聞きたかったことは、先ほどトップバッターで柳本議員が質問されましたので割愛をさせていただき、また、できるだけ質問が重複しないようにしたいと思いますので、まず、私からは、政府代表に就かれる方はその任務をしっかりと果たしていただきますようにお願いをいたしたいとだけ申し上げておきたいと思います。

 さて、大阪・関西万博まで残り三年余りとなりました。我々自由民主党は、誘致の際から、大阪・関西万博の開催を実現するべく、議員団で各国大使館を訪れたり、また、個別に関係のある大使に直接働きかけをするなど、党を挙げて積極的に取り組んでまいりました。我々自由民主党が一生懸命に汗をかき、そして実現にこぎ着けたナショナルプロジェクト、国家事業であります。まだ三年あるではなくて、もう三年しかないという認識の下、これまで以上に政府を始め関係者各位が一丸となって準備、運営に取り組んでいく必要があると考えております。

 長引くコロナの影響もあり、財政面、ハード面、そしてソフト面の課題、そして、先ほどもお話があったとおり、ロシアによるウクライナ侵略など昨今の国際情勢を勘案すると、外交面など複雑な課題もあります。しかし、それらを乗り越えて、成功裏に収めるために努力を積み重ねていかなければならないと考えています。

 大阪・関西万博を成功裏に収めるためには、まず、会場そして会場周辺のインフラがしっかりと整備をされること、そして、日本全国で機運の醸成を図りオール・ジャパンで盛り上げていくこと、大阪・関西万博の魅力、日本の魅力を国外にも発信し、できるだけ多くの国々に参加していただくこと、そして、訪れていただいた方々に満足していただけるようにソフト面や中身を充実させること、そして、何より安全に開催されることが重要であると考えております。

 しかし、残念なことに、会場そして会場周辺のインフラ整備に問題が生じています。

 会場へのアクセスをよくするために、会場となる夢洲へ地下鉄を延伸する事業があります。その新駅の予定地、軟弱地盤で想定より地盤沈下が進んでいる影響や、地中障害物の撤去工事など、整備費が当初の予定より約百二十九億円の追加費用が必要となっています。

 また、大阪市の中心部と万博会場となる夢洲を結ぶシャトルバスの専用道路としても活用される予定の阪神高速淀川左岸線の二期工事が、土壌汚染が広範囲に確認された影響などで、一昨年の段階で約七百五十六億円の追加費用が必要と判明し、さらに、今月に入り、軟弱な地盤改良のための工事を行っていた際に近隣への影響が確認され、整備に追加費用として約一千億円が必要となる可能性があると大阪市は見解を示しております。

 事業費は、当初一千百六十二億円、それが約二・五倍の約二千九百億円に膨らむ可能性があり、さらに、工事が万博開催までに間に合わないおそれもあるようで、大阪市は代替路を整備する案も検討しているとのことです。その場合、更に追加費用が必要になることは容易に想像ができます。

 これらのインフラ整備は万博開催のためだけに行う事業ではありませんが、大阪・関西万博に関連するインフラ整備計画に盛り込まれており、このような状況で関西万博のスケジュールに影響はないのか、また、国の負担が大幅に増えることとなると思いますが、いかがお考えでしょうか。答弁を求めます。

遠藤政府参考人 地下鉄を延伸する事業に関してお答えを申し上げたいと思います。

 北港テクノポート線につきましては、事前の想定が困難でありました地盤条件の違いなどへの対応が必要となりまして、事業費の増嵩が生じると大阪市から伺っております。

 これに伴う工事の内容の変更につきましては、本年一月に、大阪市の第三者から構成される大阪市建設事業評価有識者会議にお諮りをし、事業継続は妥当との評価を受けたというふうに承知をしてございます。

 御指摘の万博開催のスケジュールへの影響につきましては、万博開催に影響がない工事の一部後ろ倒しによりまして、鉄道開業時期には問題がないことを確認してございます。

 国土交通省といたしましては、有識者会議の結果を踏まえまして、補助事業による支援について検討するとともに、大阪市の事業の進捗状況や予算管理について内容をしっかりと確認してまいります。

渡邉政府参考人 お答え申し上げます。

 淀川左岸線二期事業について、今般、大阪市からは、地盤改良の工法の見直しや地中障害物の撤去等により、約千億円程度整備費が増加する可能性があり、市において施工方法の見直しを含めた対応策を検討中と伺っております。

 なお、元々、万博開催時には淀川左岸線の工事中の区間をシャトルバスのアクセスルートとして暫定的に通行させることとしており、当初の予定どおり利用ができるよう準備を進めていると伺っております。

 国土交通省としては、事業主体である大阪市より工法の変更や増加する整備費について報告があった際には、内容をしっかり確認した上で、必要な支援について検討してまいります。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 ちょっと余りにも追加費用が多くなってきていると思います。是非国交省としても、大阪市とまたしっかりと協議をしながら、万博開催に影響がないように、そしてアクセスルートをしっかりと確保できるように、インフラ整備についてもいろいろと御支援をいただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 次に、万博の開催前後は、大阪を始め関西地域、そして日本の各地に国内外から多くの皆様が訪れていただけると思います。また、各国から多くの要人も訪れていただけると思いますし、そうなるように取組が必要であると考えます。

 革新的なイノベーションを用いたカーボンニュートラルの実現に資する技術の実証や、自動走行ロボットを用いた配送サービス等の会場運営での実証、陸海空における最先端のモビリティー技術の導入を通じ、空飛ぶ車の新たな移動体験などをしていただくなど、万博を大いに楽しんでいただき、そして日本を楽しんでいただくためには、その方々に対して決して危害が生じないようにしなければなりません。

 会場のセキュリティー対策、またテロ対策のための具体的な対策はいかがお考えでしょうか。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二五年大阪・関西万博の成功のため、各国要人を始めとする全ての関係者、来場者、それから国民の皆様が安心して万博を楽しむことができるよう、安全、安心の確保は極めて重要だと認識してございます。

 このため、政府といたしましては、世界一安全な万博の実現に向けて総合的な取組を進めるために、これまで、国際博覧会推進本部の下に、関係府省庁、地元関係機関、それから博覧会協会が連携して、万博のテロ対策、警備対策について検討する分科会と、サイバーセキュリティー対策について検討する分科会とを設置して、不測の事態に備えた検討を進めているところでございます。

 今後も、これらの分科会におきまして、関係府省庁や博覧会協会が実施する各種取組をチェックしつつ、情報の共有を行って、また、地元関係機関とも緊密に連携いたしまして、会場のセキュリティー強化やテロ対策への対応を深め、安全、安心の確保に努めてまいりたいと考えてございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 多くの人が集まるところ、ましてや各国の要人が訪れる万博は、狙われるリスクも非常に多くなると考えられます。また、サイバー攻撃も増えるかもしれません。東京オリンピック・パラリンピックのときには、サイバー攻撃がかなり増えたというふうにも聞いております。また他方、開催中に自然災害が起きるかもしれません。会場となる夢洲は大阪湾の人工島であり、四方を海に囲まれています。そこに、国内外を問わず、本当に多くの人々が来場されることが考えられます。

 セキュリティー対策、テロ対策はもちろんのこと、防災・減災対策、そして安心と安全を確保できるように、引き続き対策をよろしくお願い申し上げます。

 分科会を立ち上げていただいたりとか、いろいろ対策を講じていただいているのは理解しましたが、もっと具体的に、これからこういう場合にはどういうふうにしていくというようなことも考えて、着実に進めていただきますように心からお願いを申し上げます。

 また、先ほども申したとおり、大阪・関西万博には、各国から多くの要人が日本を訪れていただけると思います。せっかくの機会ですから、日本政府としても、各国との外交、安全保障や経済、気候変動など、そういう問題を、国際社会を取り巻く様々な諸課題について意見交換すべきであると考えています。

 大阪・関西万博は、その絶好のチャンスであります。例えば、各国の要人が万博に訪れた際には、総理や大臣や副大臣、そして、今審議をされている政府代表に就かれる方、そして政府高官との会談をセットするなど、このような機会を積極的につくるべきだと考えております。

 外務省としても何か具体的なお考えはあるのでしょうか。お聞かせください。

小田原副大臣 谷川委員にお答え申し上げます。

 大阪・関西万博は、我が国の魅力を国際社会に広く発信する絶好の機会であります。世界中から多くの方に参加いただき、日本の魅力にじかに触れていただく機会としたいと考えています。

 特に、大阪・関西万博開催中には、各国ごとにナショナルデーなどが設定されます。そのような機会に多くの外国要人に訪日をいただきまして、二国間会談を通じ、外交、安全保障、経済を始めとする国際社会の諸課題について連携を強化する機会にしたいと存じます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 小田原副大臣、これからいろいろと、また各国の要人と面談をされたりとか、いろいろと協議をされると思います。そのような中で、ナショナルデーがいついつ開催されると決まる前にも、是非、そのときには、大阪に来てください、万博に来てくださいというように働きかけをしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。

 先ほど柳本議員からも少しお話がありましたが、ロシアから既に参加表明を受けております。今回のロシアによるウクライナ侵略は決して許されることではなく、私自身も強く非難いたします。

 ロシアによるウクライナ侵略から約三週間がたちましたが、状況は悪化する一方で、いまだ停戦の合意はされていません。このような状況下で、三年後の開催とはいえ、今後どのように対応をするのか、林外務大臣のお考えをお聞かせください。

林国務大臣 今回のロシアによるウクライナへの侵略は、力による一方的な現状変更の試み、かつ、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、明白な国際法違反でございます。国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会と結束して、日本としても毅然と行動してまいります。

 ロシアの大阪・関西万博への参加については、今後の情勢、これをよく踏まえた上で、政府として適切に対応してまいります。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 現段階でどうするかという判断をするのは非常に難しいと思いますけれども、しっかりと注視しながら対応していただきますようによろしくお願いします。

 そしてまた、これが教訓として、今後三年間の間に、今参加表明されている国も、国の事情で参加を取りやめたり、また、参加ができなくなる可能性もあります。そしてまた一方で、主催国である日本が参加にふさわしくないと判断せざるを得ないような国も、もしかしたら出てくるかもしれません。そのようなときに様々なケースに対応できるように、今から既に対策を講じていただきますようにお願いを申し上げます。

 そして最後に、先日、三つの公式キャラクターデザイン案が発表されました。

 ロゴマーク、今私もここにつけていますけれども、このロゴマークが二年前に発表されたときも、何と個性的なというふうに私自身も感じました。これは五千八百九十四作品の中から選ばれたんですけれども、二年がたって、このようにバッジをつけたり、いろいろ目にすることが多くなれば、だんだんと愛着が深まってきました。

 今回の三つのキャラクターデザイン案、国民の皆さんもどういうふうに思っているのかなというふうに思って、SNSを通じて、私もこの三つのキャラクターデザインを投稿させていただきました。私の元へ寄せられた意見は、正直、余り反応がよくなかったです。

 これも千八百九十八の作品から選ばれて、今、三つが選考されております。だんだんと、選ばれたやつが、またこのロゴマークのように愛着が湧いてくるようになればいいなというふうに思っていますけれども、この三つの公式キャラクターデザインについて、林大臣は率直にどのように思っているのか、そして最後に、大阪・関西万博に向けた意気込みをお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いします。

林国務大臣 公式のキャラクターデザインでございますが、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを表現しながら、人々の印象に残りやすいデザインとともに、大阪・関西万博の魅力や親しみやすさを感じられるものがよいと考えております。

 この三つの候補でございますが、そういう特性を有しておるものだと考えておりまして、国民の皆様の意見を踏まえながら、専門家の視点で厳正に選定をしていただくものと承知をしておりまして、結果を楽しみにしております。

 世代ごとにいろいろ印象があると思いますが、私のような年代の者には、昔見たいろいろなアニメや特撮というのがございまして、そういうものを少し思い出させるようなデザインかなと個人的には思っております。

 大阪・関西万博は、日本の魅力を発信する絶好の機会であるとともに、地球規模課題における日本の取組を国際社会にアピールする機会として極めて重要だと考えておりまして、この大阪・関西万博について、こうした我が国の外交戦略上の意義も踏まえつつ、準備を進めていきたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 この大阪・関西万博がアフターコロナの象徴となれるように、そして、一過性のイベントで終わることなく、恒久的に日本の成長、発展につながるように、私も一生懸命頑張ってまいりますので、引き続きの政府の御尽力を賜りますように心からお願い申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、金城泰邦君。

金城委員 公明党の金城泰邦でございます。

 昨年十月三十一日の初当選後、本日は初めて外務委員会での質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 まず冒頭、ロシアのウクライナへの軍事侵攻は国際法違反であり、直ちに停戦をすべきと申し上げます。この軍事侵攻で亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方、ふるさとを追われ避難している方々に心よりお見舞いを申し上げます。一日も早く停戦となることを切望いたします。

 質問に入りますが、先ほど、柳本先生、谷川先生の質問で、ロシアの参加に対する御見解だとか進捗状況のやり取りがありましたので、そこはちょっと省略させていただきたいと思います。

 今後の参加国拡大に向けた具体的な取組について、まずお尋ねしたいと思います。

 これまでに参加表明していない国については、聞くところによりますと、途上国においては、パビリオン建設等、多額の予算が必要な万博参加に消極的な国も少なくないと伺っております。そういった参加を希望する国に対しまして、パビリオン建設等、予算の支援を行ってはいかがかと思っております。

 また、合同パビリオンを日本が建設し割り当てるとか、各国の参加に対しまして積極的な支援を行うべきと考えますが、これにつきましては、経済産業副大臣、御答弁をいただきたいと思います。

吉川大臣政務官 お答え申し上げます。

 二〇二五年の大阪・関西万博では、誘致の段階から、途上国の幅広い参画に向けて充実した支援を行うことを日本政府としても約束をしているところでございます。

 具体的には、途上国に対するパビリオンの展示参画、また、広報、渡航、宿泊費などの支援に加え、開催者である博覧会協会が建築して、参加国が単独又は合同で展示や内装等を行うパビリオン等への出展を希望する、そのような途上国に対する賃料相当の支援を行っていくということといたしております。

 こうした包括的な支援を通じ、途上国が有意義な出展を行っていけるよう努めてまいりたいというふうに思っております。

金城委員 ありがとうございます。

 困難な状況に対しまして、そういった賃料の支援を行っていただくと御答弁いただきました。しっかりとそういったことも含めて参加国拡大に取り組んでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 この参加国拡大に向けての取組、戦略について、今、林大臣もいらっしゃいましたけれども、この取組につきましてどのような戦略をお持ちになっているのか、具体的な戦略や取組と決意について、是非外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 大阪・関西万博への参加招請につきましては、多くの国や国際機関の参加を得るべく、二国間会談や国際会議の場におけるハイレベルの働きかけ、また、在外公館からも累次の情報提供等を行ってきておりまして、これまでに九十以上の国、国際機関から参加表明を既に得ているところでございます。

 参加国を更に拡大していくためには、要人の往来のみならず、マルチの国際会議の機会を含めてあらゆる機会を使って働きかけることが重要であると考えておりまして、博覧会の推進本部、また、経産省を始めとする関係省庁、そして公益社団法人二〇二五年日本国際博覧会協会、さらには経済界とも連携しながら、オール・ジャパンで着実に進めてまいりたいと考えております。

金城委員 ありがとうございました。

 次に、博覧会政府代表の権限、責任、俸給について質問をいたしたいと思います。

 この法案は、大阪・関西万博政府代表を設置する法案であります。法案条文には、日本国政府を代表することを任務とする、また、関係府省は、代表の任務の円滑な遂行を図るため、必要な措置を取るとあります。博覧会政府代表の任務とは何なのか。また、関係府省とはどこを指すのか。博覧会政府代表の権限と責任はどのように規定されるのでしょうか。国民の皆様に御説明が必要と考えております。

 また、この法案は代表の俸給を規定するものであります。代表の俸給は外務公務員の大使級の俸給とのことです。このような俸給としたことについて、その理由も説明することが必要と思われます。

 外務大臣の御答弁をお願いいたします。

林国務大臣 本代表でございますが、国際博覧会条約に基づいて、二〇二五年日本国際博覧会に関する全ての事項につきまして対外的に日本政府を代表する、そのことを任務といたします。

 具体的には、参加に向けた働きかけ、そして各国政府代表や博覧会国際事務局との会場、展示物等に関する調整、国内関係者との連絡調整、博覧会に関するルールの履行の確保、紛争の仲裁といった実務的、技術的な業務を担うこととなるところでございます。

 そして、この政府代表は、申し上げましたように、対外的に日本政府を代表することになりますので、国内外において多岐にわたる業務を担うことになります。このため、関係府省には、政府代表が遂行する任務に関係する全ての府省が含まれるということになります。

 そして、この政府代表の権限及び責任といたしましては、参加に向けた働きかけ等、先ほど御答弁いたしましたような事柄が二〇二五年日本国際博覧会一般規則において規定をされております。

 また、政府代表は、本法案において、国家公務員であり、かつ外務公務員であるという旨規定されておるところ、国家公務員法、外務公務員法のその他の服務規定に服するということになっております。

 そして、政府代表は、国家の重要政策を担う点において常勤の内閣総理大臣補佐官に類似し、その任免は外務大臣の申出により内閣が行うこととされていることから、任免方法の点では常勤の大臣補佐官に類似をしております。また、政府を代表し外国との対応に当たる点では、大使の任務の性質に類似をしております。

 こうした点から、その俸給月額は、常勤の内閣総理大臣補佐官及び常勤の大臣補佐官に相当する額、かつ、職責の重要性から、大使三号俸の俸給月額に相当する額とすることが妥当であると判断し、本法案に規定したとおりとしたところでございます。

金城委員 御答弁ありがとうございます。

 次に、万博の危機対応についてお伺いするつもりでございました。

 先ほど危機対応の質疑等々がありましたけれども、テロなどが起こった場合には日程の変更も含めて検討されているということが理解できました。

 開催のときになって、あるいはデモやヘイトスピーチなどの、そういったことも不測の事態として想定しなければいけないのではないかと思っておりまして、そういったことに対しての対応、これはまた、内閣官房、副大臣でしょうか、御答弁いただければと思います。

吉川大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、多くの国の参加を得て開催されるこの二〇二五年の大阪・関西万博におきましては、国際情勢等もしっかりと注視をしながら、全ての関係者、また来場者及び国民の安全、安心を確保していくことは大変重要であると認識をいたしております。

 このため、政府といたしましては、世界一安全な万博の実現に向けた総合的な取組を進めるため、これまで、国際博覧会推進本部の下に、関係府省庁、また地元関係機関及び博覧会協会が連携して、万博のテロ対策、また警備対策などについて議論をする分科会、及び、サイバーセキュリティー対策、こちらにつきまして議論する分科会を設置し、不測の事態に備えた検討を進めているところでございます。

 今後も、これらの分科会におきまして、関係府省庁や博覧会協会が実施する各種取組、これらをチェックしつつ、情報の共有をしっかりと行いながら、地元関係機関と緊密に連携をいたしまして、各種危機管理対応を深めてまいりたいというふうに思っております。しっかりと安全、安心の確保に努めてまいります。

金城委員 ありがとうございました。

 次に、万博の外交についてなんですが、先ほど来、参加国拡大に向けた戦略等々につきまして、連携をしっかりと取っていくというような御答弁のやり取りもありました。

 今後、この万博を生かして、万博を外交の一つの材料として、日本として外交を展開していかなければならないと思っておりますが、この万博開催で我が国日本は外交的に何を目指していくのか、そのために日本の外交戦略をどのように展開されようとしているのか、外務大臣の御見解をいただければと思います。

林国務大臣 大阪・関西万博は、日本の魅力を国際社会に広く発信する絶好の機会でありまして、世界中から多くの方々に参加をいただいて、まずは日本の魅力にじかに触れていただく機会としたいと考えております。

 このテーマでございますが、「いのち輝く未来社会のデザイン」ということでございますので、これは、二〇二五年、国連が掲げるSDGsの達成期限である二〇三〇年の五年前に当たりますので、この機会に、SDGs達成に向けたこれまでの取組を確認し、その達成に向けた取組を更に加速する、こうした機会にいたしたいと考えております。

 特に、大阪・関西万博開催中には、各国ごとにナショナルデー等が設定されておりますので、そうした機会に多くの外国要人に訪日をいただいて、二国間会談等を通じて、外交や安全保障、さらには経済を始めとする国際社会の諸課題について連携を強化する、こうした機会にもしたいと考えております。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 SDGsの加速を目指していくという御答弁でございました。やはり、SDGsにも、誰も取り残さないという概念がある、これは非常に大事なことと思っておりまして、最後に、大阪・関西万博の計画の中身についてもちょっと何点かお伺いしたいんですけれども、一点目は、万博会場のバリアフリー化でございます。

 やはり、SDGsにもあるような、誰一人取り残さないという観点から、障害者の団体から要望が来ておりますが、障害者の方々が、万博を全ての人が見学できるようにバリアフリー化、またユニバーサルデザインの設計で会場全体を造っていただいて、全ての人がこれを楽しんでいただく、見学していただく、そういった場にしていただきたいという御要望をいただいております。

 二点目は、万博会場内のスマートモビリティーの導入でございます。

 アクションプランには、未来社会の実験場、モビリティーとあります。一点目の質問にも関連いたしますが、会場全体を、障害者、高齢者、子供連れの親子など、誰でもが気軽に見学できるスマートモビリティーを未来社会の実験場として是非導入していただきたいと思っております。

 三点目に、平和を強調した企画の追加でございます。

 この度のロシアのウクライナへの軍事侵攻で、多くの方々の命が失われました。そして、ロシアの軍事侵攻はいまだに続いております。

 私は沖縄出身でございますけれども、沖縄には命どぅ宝という言葉がありまして、命こそ宝という意味でございます。これは、沖縄が平和を求める、そういった言葉でございまして、大阪・関西万博のテーマも、「いのち輝く未来社会のデザイン」です。このテーマを実現するためには、やはり平和な社会が基本であります。平和を強調した企画の追加を是非要望いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

吉川大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、ユニバーサルデザインにつきましては、博覧会協会におきまして、ユニバーサルデザイン検討会というものを立ち上げ、障害者団体の皆様にも御参画をいただきながら、昨年末から、ユニバーサルデザインガイドライン、こちらの改定に向けた検討を進めているところでございます。また、今年度末を目標に、検討会での意見を取りまとめ、本ガイドラインを改定する予定でございまして、博覧会協会としっかりと連携をしながら、来場者の皆様の視点に立った会場整備、こちらをしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

 続きまして、スマートモビリティーにつきましては、委員御指摘のとおり、会場全体を、障害者あるいは高齢者、子供連れの親子など、誰でも気軽に見学できるようにするための移動手段を導入すべく、具体的な検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 そして、平和を強調した企画の追加につきましては、委員御指摘のとおり、今回の万博のテーマであります「いのち輝く未来社会のデザイン」、この実現のためにも、平和な社会は基本理念であると私ども政府も考えております。大阪・関西万博が、平和な社会を国際社会とともにつくる、このような契機となるよう、企画をしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

金城委員 御答弁ありがとうございました。しっかりと平和を発信する、そういった万博にしていただきたいと思いますので、頑張っていただきたいと思います。

 最後でございますが、私、今日、胸にバッジをつけてきているのは、首里城の復元に向けたバッジということで地元の経済団体の方々が作成しているものでございまして、SDGsと首里城復元、これを一緒にしたバッジでございます。

 沖縄の文化を私も是非世界に発信していただきたいというふうに思っておりまして、万博の開催計画は二〇二五年でございますね。沖縄で焼失した首里城正殿の復元が二〇二六年の予定となっております。ちょうどこの一年前に万博が開催されるということになっておりまして、沖縄の文化の象徴ともいうべき首里城正殿の復元を是非世界に発信していただければと思っておりまして、これにつきましても、関係者の皆様の御理解また御協力をいただきたいと思っております。

 これにつきまして、また担当、副大臣でしょうか、御答弁をいただければと思います。よろしくお願いします。

吉川大臣政務官 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博は、日本の多様な文化、歴史そして伝統を世界に発信する絶好の機会であると私どもは考えております。

 委員の御地元でございます沖縄文化の象徴ともいうべき首里城正殿の復元につきましても、翌年ということもございます、是非とも、大阪・関西万博、こちらの場を活用していただきながら、委員始め皆様で是非更なる発信を進めていただければというふうに思っております。

金城委員 副大臣、御答弁ありがとうございました。

 この万博を通じて、日本の平和へ向けた思い、そして私の地元の沖縄の平和に向けた思い、こういったものも一緒になって取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 本日はありがとうございました。

城内委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。

 私からは、法案に関しては一問だけ。

 政府代表について、二〇二五年日本国際博覧会に関する全ての事項について日本国政府を代表するということになっておりますが、担当大臣もおられます。担当大臣とこの全ての事項について日本政府を代表することになっている代表との関係について御説明いただきたいと思います。

林国務大臣 国際博覧会担当大臣でございますが、国際博覧会推進副本部長として、博覧会の円滑な準備及び運営に関し、本部長たる内閣総理大臣を助け、政府の取組を総括をいたします。また、主要国を中心とする働きかけ、メディアを通じた重要な発信を担うほか、関連する重要行事に出席をいたします。

 政府代表は、国際博覧会条約に基づいて、博覧会に関する全ての事項について対外的に自国政府を代表するということでございます。具体的には、中小国を中心とする働きかけ、各国政府代表や博覧会国際事務局との会場、展示物等に関する調整、これらを始めとする実務的、技術的な業務を担うということでございます。

 両者の任務は相互に関連しておりますが、それぞれ異なる立場から適切に役割を分担することとなると考えております。

岡田委員 ありがとうございました。

 今日は、日米合同委員会に関して、大臣と少し議論したいと思っております。

 まず、在日米軍の出国前検査について、日米間で食い違いがあるということになりました。

 そもそも、この出国前検査というのは、基本的に考えると、これは米兵がアメリカを出るときの検査の話ですから、基本的にはアメリカが決めることかなというふうにも思いますが、日米間で協議して合意をするということだったのか、それとも、アメリカが決めたものを通知を受けるということだったのか、いずれなんでしょうか。二〇二〇年十二月以降は、在日米軍は出国前七十二時間以内の検査を実施することとなっていたというふうに外務省は説明しているわけですけれども、これは協議の結果そうなったのか、それとも通知を受けたということなのか、まず確認したいと思います。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、我が国への入国者に対してはいかなる入国条件を課すかは、我が国が主体的に決定する事項でございます。

 その上で、在日米軍に対する水際対策に関して申し上げれば、米軍関係者による我が国への入国については、水際対策を含む日本政府の方針に整合的な措置を取る旨、累次にわたり説明を受けてきたところでございます。

 若干、時系列的に申し上げますと、ただいま申し上げましたように、米側には日本側の措置が変更されるたびにその措置を詳細に説明しまして、米側の措置がこれと整合的なものとなるよう連携を図ってきたところでございます。

 二〇二〇年七月に、日米で共同プレスリリースというのを出させていただいております。その発出後の二〇二〇年九月に、我が国として出国前検査というのを導入してございます。在日米軍は、二〇二〇年十二月以降、国防省の方針に基づき、出国前七十二時間以内の検査を義務づけたというふうに承知しております。

 その後、米側からは、米軍のワクチン接種が進んだこと、あるいは世界的な感染状況の緩和を受けまして、全世界を対象とした米国防省の方針に基づきまして、在日米軍は昨年九月三日にワクチン接種者については出国前検査を免除した、こういう説明を受けてございます。

 その後、日本からの強い申入れを踏まえまして、在日米軍は昨年十二月以降、出国前検査を改めて導入した、こういうことでございます。

岡田委員 聞いていないことを余り答えてもらいたくないんですけれども、まず、入口の確認なんですが、この出国前検査というのは、基本的にはこれはアメリカが行う出国前検査、それについて入国側の、入国後の手続はいいですよ、だけれども、入国を受ける側の日本がこういう出国前検査をしなさいと言うのは、私はちょっと理解が十分できないんですが。例えば、日本から出国する場合にほかの国が、日本はこういう出国前検査をしなさいということをほかの国が日本に対して言うというのは余り考えられないんですが。

 だから、単なる通知じゃなくて、本当に協議していたんですか。

市川政府参考人 委員御指摘の点でございますけれども、これは、我が国への入国者に対してはいかなる入国条件を課すかということは我が国が主体的に決定する事項だということで、在日米軍に対する水際対策については、ある一定のときから、入国に当たりまして、日本に来る前の、アメリカなどの出発地を出る前に、出国前の検査というのを実施するようにということを要請してきたところでございます。

岡田委員 そういう御説明ですから、それを前提に話を進めたいと思いますが、先ほど局長も言われたように、日米間で認識の違いがあったということですね。アメリカ側の出国前検査が免除されましたということを日本政府が確認したのは昨年の十二月二十四日。ところが、在日米軍からは、九月三日に国防省方針に基づいて解除しました、日本国政府にも通知しましたと。

 そういう認識の違いがあるわけですが、これは、何が原因でこういう認識の違いが生まれたんですか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、日米の両者の認識にそごが生じたというところでございます。

 これは、本年二月二日の報道を受けまして連絡を取ったところ、在日米軍からは、コロナ対策に対して日本側と緊密に連携する中で、出国前検査の免除について外務省に通知していたとの認識であるという説明があり、日本側としては、そのような認識を持っていないという旨を米側に明確にしたところでございます。

 両者の認識にそごがあったことを踏まえまして、今後はそうした状況が生じないように一層緊密に連携していくことで米側と一致しているところでございますが、こうした状況が生じたのは、米側の水際措置が日本側の措置と整合的に実施されているか、され続けているかといった点を外務省の側から確認する努力に不十分な点があったためであるということは否定できない、このように考えております。

岡田委員 在日米軍からは、日本政府に通知したというふうに、九月三日に国防省方針に基づいて解除したことを日本政府に通知したというふうに言っているわけですね。この事実関係はどうなんですか。そういう通知はあったんですか。

市川政府参考人 私どもとしましては、米側が出国前検査を免除したということを確認したのは、あくまで十二月二十四日でございます。

岡田委員 ですから、通知したとする在日米軍と、確認したというのは十二月二十四日であるという日本側で、ここにそごが生じているわけですね。このそごは、私は非常に重要なそごだというふうに思うんですね。この話と、それからもう一つあった、入国後の十四日間の移動制限が、一旦十日になって、十四日に戻ったのに、十日のままだったという。

 これはなぜ重要かというと、やはり、オミクロン株の拡大が沖縄とか山口とか広島でまず始まった。日本国政府は全力を挙げて厳しい入国規制をやって、そしてオミクロン株が日本に入ってくることを何とか遅らせようとした。総理もそういうふうに何回も答弁されていますよね。そのことによって、新薬ができる、あるいはワクチンが打てる。しかし、そういうことが、大きな抜け穴ができてしまったわけですから、これは責任重大だと私は思うんですね。

 だから、別に責めているわけじゃないんですが、やはり、なぜそういうことが起こったかということをきちんと説明する責任は私は外務省にあると思うんですね。林大臣、いかがですか。

林国務大臣 この経緯について、今局長からも答弁させていただいたところでございます。

 まさに先方が言っていること、これも実は、我々としては二月二日の報道を受けて分かったということでございまして、今先生がおっしゃったようにそごがあったということで、今後はこうした状況が生じないように一層緊密に連携していくというところで一致をしたところでございます。そうしたこともありまして、日米合同委員会の下で、検疫・保健分科委員会の場を含めて、より一層緊密に連携をしていかなければならないというふうに思っております。

 これ以上の詳細でございますが、外交上のやり取りでございますからお答えを差し控えたいと思いますが、大事なことは、今後そうした状況が生じないようにすることでありますので、新しくつくりました検疫・保健分科委員会の場を含めて、より一層緊密に米側と連携してまいりたいと考えております。

岡田委員 今後緊密に連携していくのは結構なんですが、なぜこういうことが起こったかということの説明をきちんとしないと、国民の不安というのは、それはなくならないと思うんですよ。

 大臣も御答弁になっているように、昨年の九月三日以降、十二月末までの間に四回の日米合同委員会が開催されている。当然、この間のどこかで議論が出ているはずだと私は思うんです。少なくとも、食い違いが判明した後は当然議論されているはずですね。日米合同委員会でどういう議論になったんですか。

市川政府参考人 昨年八月から十二月までの間に、日米合同委員会は五回開催されております。

 日米間では、新型コロナ感染症の発生以降、この日米合同委員会の場を含め、様々な機会を捉えて、日本側の措置の説明と、同感染症への対応について連携をしてきたところでございます。

 合同委員会の具体的な協議内容につきましては、外交上のやり取りであり、差し控えたいと思いますが、いずれにしましても、出国前検査が免除されたことを日本政府が確認したのは昨年十二月二十四日であったということでございます。

岡田委員 議事録、公開してください。どうですか。

市川政府参考人 日米合同委員会の議事録でございますが、日米双方の同意がなければ公表されないということになってございます。これは、日米間の忌憚のない意見交換や協議を確保するためでございます。

 他方、日米地位協定の運用を含む日米間の様々な外交上のやり取りについては、国民の皆様に丁寧に御説明する観点からも、最終的に日米間で一致するに至った合意のうち、公表できるものは公表するように努めてきてございます。

 日米合同委員会の議事録に含まれている合同委員会合意の中には、既に公表しているものもございます。新型コロナ対策に関しましては、一月九日付の日米合同委員会声明、あるいは一月二十八日の外出制限措置解除の際の報道発表の発出等々、可能な限り日米間のやり取りの結果について説明してきているところでございます。

岡田委員 私は議事録について議論しているわけですね。双方の合意がない限り公表されない、確かに、一九六〇年六月二十三日の日米合同委員会第一回で確認されています。

 逆に言うと、双方の合意があれば、これは公開できるわけですね。外務省は、公開するということを働きかけはしたんですか。合意がなければ公表できないと言われるけれども、外務省自身がブロックしているのか、外務省はやはりこの責任の重大さから見て説明責任を果たしたいと思ったけれどもアメリカ側が拒んだのか、どちらなんですか。

市川政府参考人 本件に係ります日米間のやり取りの詳細については、米側としても、外交上のやり取りであるということからお答えを差し控えたいということでございました。

 そういうわけでございまして、やり取りについては差し控えさせていただきたいと思います。

岡田委員 日本側はどうだったんですか。日本側は積極的に公開したいというふうに働きかけたんですか。どうなんですか。

市川政府参考人 これは、日米でやり取りをした結果、外交上のやり取りであるということでお答えを差し控えたいということでございます。

岡田委員 外交上のやり取りなら表に出せない、公開できないというのは、それは間違いですよね。外交上のやり取りの中で特に秘密を保たなければならないこと、そういうものがあれば別ですけれども、全てが公開されないというのは、それは基本的に私は間違っていると思いますが、大臣、いかがですか。

 余りにもこれは消極的過ぎますよ。やったことが、非常に大きなことをやらかしているんですよ、外務省は。そのことによってオミクロン株が広がったんですよ。その可能性が高いわけでしょう。そのことに対して何も説明せずに、これからちゃんとやりますからで済むんですか、これ。少なくとも、政治家として、そこは国民に対して一定の責任を果たすということが必要じゃないですか。いかがですか。

林国務大臣 今局長から答弁をいたしましたように、この議事録の公開、これは双方の同意がなければ公表されないということでございます。忌憚のない意見交換、協議、これを確保するためということは先ほど申し上げたとおりでございます。

 したがって、先ほど申し上げたとおり、引き続き丁寧に国民の皆様に御説明をする、これは努めてまいらなければならないと思っておりますが、この議事録の公開については、先ほど申し上げたとおり、日米双方の同意がなければ公表できないということでございます。

岡田委員 大臣、じゃ、確認しますが、米側が拒んだということでよろしいんですね。

林国務大臣 これは、先ほど来局長から答弁しておりますように、双方のやり取りの結果ということでございますので、そういうふうに御答弁をさせていただいたところでございます。

岡田委員 被害を受けたのは、これは日本側ですよ、オミクロン株が広がって。だから、日本側としては、国民に対して日本政府としては説明する責任がある、だからアメリカ側の了解を得て議事録の公開をする。

 お互いやり取りして、外交上のやり取りだからって、私にはどちらが拒んだのかはっきり分かりませんよ。少なくとも日本側は、これを公開したいと思うがどうかという聞き方をアメリカ側にすべきなんじゃないですか。それはなされたんですか。

林国務大臣 参議院でございますが、参議院の外交委員会での御質問もあり、米側にも確認をさせていただきましたところ、このやり取りについては差し控えたい、こういう意向が表明されたことは、既に参議院の外交委員会では御答弁をしたところでございます。

岡田委員 日本側が積極的に働きかけたけれどもアメリカ側が断ったのかと私は聞いているんですよ。

 お互いに、これはやめましょうね、そうですね、そういう話じゃなくて、やはりきちっと公開したい、日本側としてはそういうことでアメリカ側と協議したんですか。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、いろいろなやり取りをする中で、先ほど申し上げたことを局長から主に答弁させていただきました。

 まさに、ここのやり取りについて、米側としても、外交上のやり取りであることからお答えを差し控えたいということでございますが、我々としても、丁寧に説明することは続けてまいりたいと思っております。

岡田委員 丁寧には全く説明していないですよね。

 じゃ、この日米合同委員会の議事録について、一般論としてお聞きをしたいと思いますが、これは当然公文書であります。この議事録の保存期間は何年になっていますか。それから、一九五二年の日米行政協定時代も含めて、日米合同委員会の議事録は全て保存されている状態ですか。

市川政府参考人 日米合同委員会の議事録は、法令に従いまして全て適切に保存されてございます。

 議事録の保存期間は三十年でございます。同期間の満了後も、行政機関の職務上、行政機関で保存し、利用することが必要であるということに鑑みまして、法令に基づいて、必要な限度において延長されているところでございます。

岡田委員 私が外務大臣のときに、密約の調査を外務省全省を挙げて行ったときに、原義がないということが非常に多かったんですね。コピーは見つかっても原義はない。

 そういうことを踏まえて、外交記録公開に関する規則、省令ですね、これを制定をいたしました。現在もこれは有効だというふうに理解をしております。

 この規則の第一条では、外交記録が国民共有の知的資源として主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑みて、三十年以上経過した行政文書は原則公開するというふうにしているわけですね。

 今、三十年というふうに言われました。しかし、三十年たってもそれ以降も保存している。どうして三十年たったものを公開しないんですか。

林国務大臣 この日米合同委員会の議事録は、公文書管理法及び外交記録公開に関する原則の適用を受けます。日米合同委員会の議事録は、作成、取得から三十年が経過したものについても、行政機関の職務の遂行上、行政機関で保存し、利用することが必要であることに鑑み、法令に基づき、必要な限度において延長をされておるところでございます。

 外交記録公開推進委員会による公開審査というのがございますが、保存期間が満了したときの措置において移管するとされた行政文書ファイル等のうち、多くの利用請求が見込まれる重要な事案に関するものを選定することとされております。日米合同委員会の議事録は、これまで外交記録公開推進委員会による審査対象にはなっておらないところでございます。

 他方で、日米地位協定の運用を含む日米間の様々な外交上のやり取りについては、国民の皆様に丁寧に御説明する観点からも、最終的に日米間で一致するに至った合意のうち、公表できるものは公表するように努めてきておりまして、日米合同委員会の議事録に含まれている、合同委員会の中には、先ほど触れましたように既に公表しているものもあるわけでございます。

岡田委員 最初の日米合同委員会が開催されてから、恐らく六十年以上たっていますよね。だから、三十年という原則の倍以上の時間がたっている。

 これはどうして、今大臣言われましたが、外交記録公開推進委員会、これは先ほど言った、私が大臣のときに作った規則に基づいて設けられたものです、これにかけないんですか。この判断を仰いで、そしてやはりまだ公開は早いというものは、それは先送りするというのは分かりますけれども、今のお話だと、全く、この六十数年間の議事録全てが委員会にかけられることなく、そのまま積んである。もちろん一部は使っているわけですけれども、それはおかしくないですか。

 この規則あるいは法律の、公文書管理法の趣旨からいえば、原則は三十年で公開するということなんですから、公開すべきかどうかという判断をこの公開推進委員会できちんと行うべきじゃないですか。いかがですか。

市川政府参考人 外交記録公開推進委員会による公開審査でございますけれども、日米合同委員会の議事録につきましては、現在の職務の遂行上必要であるため、保存期間が必要な限度において延長されているため、同議事録が移管され、国民の利用に供される時期はしばらく先であることに鑑みて、これまで外交記録公開推進委員会の審査対象にはなっていない、こういうことでございます。

岡田委員 六十年以上にわたる膨大な議事録があって、その中にはもちろんまだ公開できないというものもあるでしょう。だけれども、そうじゃないものがほとんどじゃないですか。どうしてそれを推進委員会にかけずに置いておくんですか。これは、公文書管理法やあるいは私のときに作った規則のその趣旨に完全に反していますよ。何か治外法権みたいになっていますよ。そういう運用はおかしくありませんか、大臣。

林国務大臣 今局長から答弁させていただきましたように、日米合同委員会の議事録、これは現在の職務の遂行上必要であるため、保存期間が必要な限度において延長されているということでございます。

 先ほども申し上げましたように、この議事録について、既に公開をされているものもあるということは先ほど申し上げたとおりでございます。

岡田委員 公開された議事録というのはどのぐらいあるんですか。

市川政府参考人 日米合同委員会の合意でございますけれども、公開しているものはウェブサイト上に掲載してございますが、合計六十七案件、八十四文書でございます。

岡田委員 今局長おっしゃったのは、日米合同委員会で合意して発表した文書のことではないですね。議事録の話でよろしいですね。

 今、数をおっしゃったのは、よく分からないですけれども、六十数年分の中でいうと、ボリューム的には何割ぐらいになるんですか。

市川政府参考人 ただいま申し上げたのは、日米合同委員会合意について申し上げたところでございます。

 今、確認の御質問がありましたので、先ほど合計六十七案件、八十四文書と申し上げましたのは、公開されている日米合同委員会合意のことでございます。

 これが全体のうちのどれぐらいのボリュームかというのは、ちょっと手元にデータがございませんので、お答えを差し控えさせていただければと思います。

岡田委員 私が外務大臣のときに、もう既にアメリカ側がアメリカの国立公文書館で秘密解除されているものが出てきまして、当時の野党、自民党から大分責められて、私は、アメリカと協議した上でこれを公表したということもあります。

 だけれども、合意した文書の話を今しているんじゃないですよ。議事録の話をしているんです。六十数年間の膨大な議事録、その中には、もちろん、今使っていて、すぐには公表できないというものもあるでしょうけれども、大部分のものはもう公表してもいいものなんじゃないですか。そして、そういうものを積極的に公表していくということが公文書管理法の趣旨じゃないんですか。非常に私はおかしいと思いますよ。いかがですか。

市川政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、日米合同委員会の議事録について、現在の職務の遂行上必要であるため、保存期間が必要な限度において延長されている、同委員会が、移管され、国民の利用に供される時期がしばらく先であることに鑑みて、これまで外交記録公開推進委員会の審査対象にはなっていないということでございます。

岡田委員 ですから、それはおかしいでしょうというふうに言っているわけです。大臣、これはよく考えられた方がいいですよ。

 それから、情報公開法の適用だって、当然、この議事録、ありますよね。もちろん、今の情報公開法が定める、国の安全が害されるとか、他国との信頼関係が損なわれるおそれがあるとか、交渉上不利になるとか、そういう要件に該当すれば、それは公表できないことはあるでしょうけれども、今回の出入国手続のところなんかは、私、これに余り該当しないんじゃないかと思いますが、いずれにしても、一般論として言うと、この議事録は情報公開法の対象になるということはよろしいですね。

林国務大臣 委員がおっしゃられましたように、合意があって公表というもの、先ほどちょっと数が、いろいろやり取りさせていただきましたが、その原則は委員がおっしゃるとおりであろうかというふうに思っておりますし、更に申し上げますと、やはり、今、差し支えのあるものであっても、何十年かたった後できちっと歴史として検証するという意味でこういう制度があるわけでございますので、そういう意味においても、いろいろな仕組みに従って必要なことはやっていくというのは、一般論として必要なことだと考えております。

岡田委員 私は合意文書の話をしているんじゃないですからね。議事録の話をしているわけです。

 時間がたってと大臣もおっしゃいましたが、もう六十年前のものもあるんです。それが全部、恐らく手つかずになっている。一部公開されたものはあると思いますが、それは非常に例外的で、ほとんど手つかずになっているというのは私は異常なことだというふうに思いますよ。

 日米合同委員会というものは、何かちょっとほかとは違う特別なもののような扱いを受けているというふうに私には思われてならないんですね。そこはやはり違うんじゃないかと。

 そもそも、六十年以上前の、一九六〇年ですよね、外務省の北米局長と、その当時のカウンターパートが誰だったか、私、分からないんですが、今でいえば在日米軍副司令官との間で、合意がない限りは公表しないということを決めた。

 だけれども、そのときの、一九六〇年の日本国政府の状況と、その後、二〇〇一年に情報公開法ができた、二〇〇九年には公文書管理法ができた、そして、例えば、国民に対する説明責任、国民の理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進、こういうことが情報公開法には書いてありますね。そういう考え方で今の政府が運営されているときに、六十年以上前の、一九六〇年の、失礼ですけれども、外務省の局長と在日米軍の副司令官レベルの人とが合意したことが優先してしまっているというのは、私は極めておかしなことだと思いますよ。

 国会で、法律を作って、成立させているんですよ、与野党で、情報公開法にしても公文書管理法にしても。それよりも六十年前の局長合意が優先しているということは異常だと思いませんか。

林国務大臣 制度論ということに関わるところである、こういうふうに思っておりますが、御指摘の一九六〇年の後にできました情報公開法、公文書管理法、外務省が必ずしも所管するものではないと承知しておりますが、こうした公益による除外のようなものはそれぞれ入っておるというふうに認識をしておるところでございますので、その中には、外交案件というようなものも該当を一般的にするということはあるんだろう、こういうふうには思っておるところでございます。

 一方で、沖縄に関する特別行動委員会最終報告において、日米合同委員会合意を一層公表することを追求するとされていることも踏まえて、合意の中には既に公表しているものもあるということは先ほど御答弁させていただいたとおりでございます。

 政府として、日米の合同委員会声明や報道発表等、又は国会におけます答弁という方法を通じまして、可能な限り日米間のやり取りについて説明していきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

岡田委員 日米間でどういう議論をかつて行ってきたのかというのは、これは国民だけではなくて多くの人が知りたいところだというふうに思います。どういう議論を経て今こうなっているのか、そのための情報公開でもあるわけですね。

 にもかかわらず、何度も繰り返しますが、六十年以上の分がほとんど、議事録について言えば、公開されないまま特別扱いを受けているというのは、私はそれはおかしいというふうに思いますし、局長レベルでの合意が国会を通った法律に優先しているという状況も私は健全じゃないというふうに思います。

 ですから、全て非公開ということではなくて、原則は公開、例外として期限を設けて非公開、これは普通の文書は、政府関係の文書はそうなっているわけですから、そういう普通の扱いにする。それから、日米合同会議を開いた後は、せめて議事概要を発表する。今回はこういうことを議論しましたということでなければ、何か極めて秘密裏に、しかも政府の一部で物事を進めているという印象を与えて、私は、国民の外交に対する理解にとっても極めて問題がある、そういうふうに思っております。

 ここはかなり力仕事になると思いますが、大臣、この問題に取り組んでいただけませんか。

林国務大臣 国民に対する御説明、さらには、先ほどちょっと私も、ある意味個人的見解かもしれませんが、歴史をきちっと検証するということを申し上げましたので、これは岡田先生が大臣のときにつくられた仕組みということでございますが、その仕組み、その趣旨がしっかりと生かされるように私も取り組んでまいりたいというふうに思っております。

岡田委員 ありがとうございます。

 私も、密約の調査を四つに限定して、調査を外務省を挙げてやったわけですね。そこからこの合同委員会の議事録というのは抜け落ちていた、そういう反省もあるんですよ。ですから、それを是非、林大臣にやっていただきたいというふうに申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 以上です。

城内委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 立憲民主党の徳永久志です。

 通告しておりました質問に入る前に、一点確認をさせてください。

 昨夜あたりから入ってきた報道によりますと、ウクライナのゼレンスキー大統領が、日本政府に対し、ロシアに抗議するオンライン演説を日本の国会で行いたいと打診をしてきたということでありますけれども、まず、これは通告しておりませんけれども、大臣、事実でしょうか。

林国務大臣 そうしたことについては、そうした動きがあるということ、報道について承知をしておるところでございますが、これは立法府における事項でございますので、我々としてコメントは差し控えたいというふうに思います。

徳永委員 打診があったということでよろしいんですよね。打診があったかということ。国会でやるかどうかというのは聞いていないです。打診があったか。

林国務大臣 そういう打診があったということは承知をしております。

徳永委員 ありがとうございます。

 そういう打診を受けまして、あとは立法府で、国会で決めることということでもありますので、ここはやはり外務委員会として、ゼレンスキー大統領の演説を国会議員全部が聞くことによって、ウクライナの連帯、あるいは寄り添うという意味を是非世界に発信をしていきたいという場にしたいというふうに思いますので、是非、委員長、外務委員会として前向きに取り組んでいただきますようお願いいたします。

城内委員長 ただいまの件につきましては、後刻、理事会で協議いたします。

徳永委員 ありがとうございます。委員長、是非よろしくお願いをいたします。

 それでは、通告しておりました質問に入ります。

 まず、ウクライナの問題についてであります。

 プーチン大統領が、誰も予測をしていなかった今回の軍事侵攻、侵略に移ったことはどういう目算があったのだろうか、あるいはどういうことでそういうことに踏み切ったのだろうかということについては諸説あるわけなんです。

 そういった中で、私が一番目を引きましたのは、三月八日に、アメリカのCIAのバーンズ長官が議会で、公聴会で発言をしました。このバーンズ長官というのは元ロシア大使でもありますし、また、バイデン政権きってのロシア通とも言われている方であります。

 このバーンズ長官が、公聴会におきまして、侵攻前のプーチン大統領の四つの想定があったというふうに言っています。一つ目は、ウクライナは弱く、脅しやすい、二つ目が、フランスは大統領選挙、ドイツは首相交代に気を取られ、リスクを避けるだろう、三つ目が、経済制裁への対策は万全だ、四つ目が、近代化したロシア軍は最小限のコストで迅速な勝利が可能だということをバーンズ長官はプーチンの想定として述べておったので、私、なかなかこれはもしかしたら的を得ているのかもしれないなと思いながら聞いておったんですが、大臣、どのように受け止められたかというのを御披露ください。

林国務大臣 今委員から御紹介のありました四つの想定等を含む、バーンズCIA長官が連邦議会の下院の情報特別委員会の公聴会で出席をされてこういう発言を行われた、これは承知をしております。

 今回のウクライナ侵略に関するロシア側の考え、それに関するまた米国政府要人の発言について、我々としてコメントする立場にはないというふうに申し上げさせていただきたいと思います。

 プーチン大統領にどのような判断があったにせよ、今回のロシアによるウクライナ侵略、これは、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為でございます。いかなる理由であっても正当化することはできず、明白な国際法違反であり、厳しく非難をいたすところでございます。

徳永委員 もう少し踏み込んで御感想をお聞きできればなと思ったんですが、まあ、分かりました。

 私は、このバーンズ長官の四つの想定の中でやはり気にかかるのは、三つ目の経済制裁への対策は万全であるという点なんですね。

 経済制裁としては、我々日本も、G7各国と協調をしながら一連の経済制裁をやっておるところなんですが、例えば、ロシアの銀行七行をSWIFTから排除、それから、制裁対象にロシアの中央銀行を加えたということがあります。この二つは、かなり大きな打撃をロシアに与えているというふうに言われているわけなんです。

 是非、引き続きぶれることなくやっていただきたいと思いますが、一方で、相手方のロシアも、そうした事態には事前から備えていた節があるんですね。特に、二〇一四年のクリミア侵攻以降、こうした制裁措置が取られるであろう、何かやったときに取られるだろうということで、対抗措置を取っているというのが十分に推察をされるんです。まさに、バーンズ長官が言ったプーチンの想定、経済制裁対策は万全であるということと符合をいたします。

 例えば、SWIFTから排除されることを想定して、SPFSというルーブル建ての決済システムを、二〇一四年、クリミア併合後に立ち上げています。加えて、CIPS、シップスというそうですが、人民元建て決済のシステムを二〇一五年に中国人民銀行が立ち上げていて、今、ロシアのSPFSと接続をするという計画もあるやに伺っております。まさに、こうした対抗を取っておるんです。

 現状は、この二つとも実力的にはSWIFTには遠く及ばないので、それほど打ち返している力にはならないだろうとは言われておりますけれども、そのうち中国が力をもっともっとつけていくと、CIPSとSPFSとの接続によって力を持ってくるのではないか。このことについては、しっかりと我々は認識をしておかなければいけないというふうに思っています。

 それから次に、お手元にお配りした配付資料一を是非御覧をいただきたいんです。

 ロシア中央銀行の外貨準備に占める主要通貨のシェアを、二〇一六年から二〇二一年まで、シェアをグラフにしたんですけれども、林大臣、これをぱっと見て何かお感じになられませんか。

林国務大臣 先ほどの委員の御発言の中でクリミア以降ということがございましたので、二〇一四年から、このグラフで、二〇一六、一八、二一と顕著に、一番左の青ですからドルが下がってきていて、その分、ほとんどなかった、二〇一六、一八となかった、赤ですかね、これが多分人民元ということだと思いますし、人民元が二〇二一年には増えてきているということ、さらには、金のシェアもじわりじわりと増えてきているというようなことではないでしょうか。

徳永委員 今大臣がおっしゃっていただきましたように、まさにクリミア以降、こういったことを想定をして、ドルは半分以下になって、その分というか、人民元はずっと二〇一八年前後までは微々たるものだったんですが、それが一挙に二一年には十倍以上になって一三ポイントになっている、こういったことをやってきているというわけなんですね。

 ちなみに、その他通貨のシルバーのところで、円は六%ということのようであります。

 まさに、我々が何とか経済制裁によってロシアを思いとどまらせよう、撤兵をさせようと言っているところではありますけれども、そこは相手もこうして研究をしてきて、対抗措置を取ってくるということが分かったわけであります。

 したがいまして、大臣、この事態が収束したとき、何をもってこの事態が収束したとするのかというのはいろいろと難しいとは思いますけれども、是非、こうして国際社会と一致してやってきた制裁措置が、こうした対抗措置を超えてどういう効果を得てきたのかということはしっかりとやはり検証していただかないと、相手はその上、その上を来ようとしますし、それについてこちらが旧態依然たる制裁を取っていたら、あるときはもう全く制裁になっていないというような事態も想定をされますので、その辺りについて、しっかりとこの制裁措置に対する検証というものを事態が収束した後にやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 委員がおっしゃるとおり、検証ということは大事だ、こういうふうに思っておりますし、既にルーブルのドルに対する価値というのはかなり下落をしてきておりまして、私もこの間驚きましたけれども、ほぼ円と同じぐらいの価値まで、およそ、この事態の前から比べますと一・五倍ということだと思いますが、それを受けて、ロシアの中央銀行も金利を上げざるを得ない状況になっている。既にそういう現象が起こってきておるわけでございます。

 したがいまして、事態の収束というとなかなか定義も難しい、委員がおっしゃったとおりでございまして、我々がG7を始めとする国際社会と連携して厳しい措置を打ち出しておりますが、事態の収束を待つことなく、先ほど少し申し上げましたけれども、既に導入した措置の効果、影響、これはもう既に、今から不断の検証、今でもやっておりますし、これからも不断にやってまいらなければならないと感じております。

徳永委員 今からでもということ、力強いお言葉をいただきましたので、是非御努力をいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 国際社会で一致した制裁措置を取る一方で、やはり日本独自の制裁措置というのも必要になると思います。

 私の代表質問でも取り上げさせていただきましたが、前回も小熊委員が触れられましたけれども、二〇一六年五月の日ロ首脳会談において、対ロシア経済協力として八項目の協力プランが合意をされて、今日までずっと実施をされてきております。そして、過日、衆議院で可決された令和四年度予算案におきましても、二十一億円の予算が計上をされているところでもあります。

 これはどういうものか。配付資料二を御覧をいただきたいんです。これは出典が、実はロシアの日本大使館がこれを作っているんです。こうやって日本と協力をやっていますよということを大々的にアピールをしているわけですよね。

 こういったところというのは、やはり私たちはどう考えればいいのかということなんです。こういうのを見てみると、例えば、一、医療水準を高め、ロシア国民の健康寿命の伸長に役立つ協力。非常に結構なことですけれども、ウクライナの医療をめちゃくちゃにして、ウクライナ国民の命を奪っている国に対して、こういう協力をやるんですかということが問われているんだろうというふうに思うんです。

 三月一日に行った私の代表質問での答弁では、林大臣は、ロシアとの関係で新たな経済分野の協力を進めていく状況にはないと述べられました。これは、私には、今までやってきたことは進めますよというふうに聞こえたんです。

 その後、本委員会でも、この間も、先週も小熊委員が取り上げられましたし、他の委員会でも多く取り上げられています。

 そして、十一日の内閣委員会では、松野官房長官は、当面見合わせることを基本に、国際的な議論を踏まえて、エネルギーの安定供給や人道上の配慮に留意しつつ対応していくと答弁をされました。

 ああ、当面は見合わせるんだな、だからちょっと進歩したのかなと思って、そして、十四日、参議院予算委員会におきまして、この予算は削除すべきだという質問に対して、岸田首相は、状況が不透明であること、また、我が国のエネルギー安全保障、あるいは人道的な支援、そして日本企業に対する情報提供を始めとする支援、こうしたものが入っているから、たちまちこれを修正することはできないというふうに述べられました。

 三月一日の林大臣の答弁から、十一日の官房長官、そして十四日の首相答弁、何か、進歩したのか元に戻ったのか、ちょっとよく分からないんですね。もう一度、現状の政府の見解というものを、岸田総理の答弁を踏まえて、今日は、内閣官房副長官、木原副長官にお越しをいただいておりますので、御説明をいただきます。

木原内閣官房副長官 答弁を申し上げます。

 今委員の方から丁寧にこれまでの答弁を御紹介をいただきましたので、繰り返しになるところもあって恐縮ではありますが、改めて答弁をさせていただきます。

 まず、まさに現下のロシアによるウクライナ侵略、これを踏まえますと、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできない、これはもう基本的な認識でございます。先ほど、林大臣の御答弁ということで御紹介もいただきましたが、まさにロシアとの関係で新たな経済分野の協力を進めていくという状況にはない、こういうことでございます。

 したがって、ロシアとの経済分野の協力に関する政府事業につきましては、当面見合わせることを基本に、国際的な議論も踏まえて、エネルギー安全保障や人道上の配慮に留意しつつ対応していく、こういうことでございます。

 他方で、今後のウクライナ情勢や国際的な議論の展望を正確に見通すということは困難であります。これらの事業を具体的にどう今後取り扱っていくかということにつきましては、今後の状況を踏まえて政府として適切に判断してまいりたい、このように思っております。

 そうしたことも踏まえて、総理の方から、予算を修正する必要があるとは考えていない、このような答弁をさせていただいたというふうに承知をしております。

徳永委員 今の副長官のお答えによりますと、まずは、新しい経済協力はやらないのだ、この八項目の協力プランについては、実行は見合わせるとおっしゃいましたか、ということは、これは、予算が参議院で通っても執行はしないという理解でよろしいですか。

矢作政府参考人 お答え申し上げます。

 今副長官から答弁したとおりでございますけれども、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできない。一方で、エネルギー安全保障とか人道上の配慮など、深く考えていかなきゃいけないことはあるわけでございますけれども、当面見合わせることを基本とするということでございます。すなわち、この協力を前に進めていくことはしないということでございます。

 今、個々のその予算の執行についてお尋ねがございましたけれども、今後のウクライナ情勢がどうなっていくか、あるいは国際的な議論がどうなっていくか、これは現時点で今後を正確に見通すということはなかなか難しいわけでございます。

 したがって、先ほど申し上げたとおり、基本的な考え方、つまり、見合わせることを基本にということをしっかり持った上で、個々のその予算の執行におきましては、その時点での最新の情報、状況を踏まえて適切に判断していきたい、こういうことでございます。

徳永委員 当面は見合わせる、しかし、ウクライナ情勢等々は先行きが不透明なのでと。

 先行き、先のことを言っているんじゃないんです。今こういうことを、執行を止めて、制裁措置をして、そしてロシアを撤兵させようという圧力をかけましょうという話で、先がどうなるか分からないからやめないのだというのは、議論ではないですよね。

 これは、副長官、予算を執行しないということでいいんですかということをもう一度確認をさせてください。

木原内閣官房副長官 先ほども申し上げましたが、ロシアとの経済分野の協力に関する政府事業につきましては、繰り返しになりますけれども、当面見合わせるということを基本にしてございます。

 その上で、予算の執行につきましては、この考え方に基づいて、その事業の個々の執行段階それぞれにおいて、その時点でのウクライナの情勢、また国際的な議論の展望、こういったことを適切に判断しながら、その時点その時点で判断してまいりたい、このように理解をしております。

徳永委員 それでは、今のお答えによりますと、それぞれの個々の事業の状況に応じて対応が違ってくるというふうに、私、理解をしました。

 となりますと、これは、参議院で可決されれば、執行される事業が出てくるということですね。それでよろしいですね。

木原内閣官房副長官 私、先ほど、個々の事業と申し上げたつもりはございませんで、その事業が執行される段階において、その時点でのウクライナ情勢や、そして国際的議論の展望を踏まえて、その時点その時点で判断をさせていただくということを申し上げた次第であります。

徳永委員 それでは、逆に、事業を執行する時点におけるウクライナ情勢がどうなっていたら、事業が執行できるという判断をされるんですか。

木原内閣官房副長官 大変繰り返しになって恐縮でありますが、現下のロシアによるウクライナ侵略、こういう状況を踏まえますと、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできない。したがって、ロシアとの関係で新たな経済分野の協力を進めていく状況にはないというふうに今は認識をしております。

 したがって、先ほども申し上げておりますが、当面見合わせるということを基本にするということであります。

 他方で、これも繰り返しになって恐縮ですが、今後のウクライナ情勢、あるいは国際的議論の展望、これを正確に現時点で見通すことは困難でありますから、それらの事業を具体的にどうしていくかというのは、その時点その時点、適切に判断をさせていただきたい、このように申し上げております。

徳永委員 だから、どういう状況になったら適切な判断として執行することになるんですかということを教えてくださいと言っているんです。

木原内閣官房副長官 今まさに、我が国を含めて、国際社会として、ロシアに対して制裁を科している状況でございます。

 どういう状態になればそれを解除し、あるいはこの予算を執行できるのかということを今この時点で申し上げることは、誤ったメッセージを送ることになりますので、私は控えたいというふうに思います。

徳永委員 これはまた、次の質問に参りますのでここでやめますけれども、是非、例えばエネルギーとか人道支援とか、どうしても予算をつけなきゃいけないところもあるんでしょう。そうしたら、その部分だけ別建ての予算にすればいいじゃないですか。協力プランとうたうから、国際社会から見ると、何をやっているのという話になるんだろうと思うんです。

 特に、私、強く自分自身のこととしても思うんですが、衆議院においては、ロシアの侵略を強く抗議をして、非難をして、そして制裁を科すんだということを決議を上げているんです。衆議院として決議を上げているんです。一方で、ロシアと経済協力しますよという予算の入った予算案を衆議院で可決させてしまっているんです。

 これが国会で通ってしまったら、右手でロシアを非難をし、そして制裁を科すんだと言いつつ、左手では、経済協力はやれるところはやろうねというふうに受け取るのではないか、国際社会が。こうなってくると、これは日本の国会、立法府の見識が問われる事態になるのではないかというような思いがいたしておるわけで、こうした質問をるるしていることは是非とも理解をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、木原副長官、この後質問はございませんので、委員長の許可を得られて、御退席いただいて結構です。

城内委員長 御退席ください。

徳永委員 それでは、次です。GPIF、いわゆる年金積立金管理運用独立行政法人の話です。

 これは、総額で百九十九兆二千五百億円の運用をしていて、このうち、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式をそれぞれ大体約二五%ずつやっているということをお聞きしております。

 そこで、このGPIFが運用する外国債券と外国株式のうち、ロシア関連のものはあるんでしょうか。あるとするならば、それぞれどれくらいかを教えてください。

古賀副大臣 徳永委員お尋ねのGPIFが保有するロシア関連の資産でございますが、令和三年三月末の時点で、債券が約五百億円、そして株式が約千七百億円となっておりまして、合計約二千二百億円、資産総額の約〇・一%であると承知しているところでございます。

徳永委員 ロシアの債券と株式を合わせて、ロシア関連の資産二千二百億円があるわけですよね。

 これは、大体、ざくっとした仕組みは分かっています。個々の株を買っているわけじゃない。どこかのファンドに任せて、トータルで買っているんだということはよく分かっています。しかしながら、所有していることには間違いないというと、ロシアの企業の株式を保有すること、あるいは債券を保有することということは、これは、ロシアを支えること、一旦、ロシアの応援をしていることにつながるのではないかというようなやはり国際的な批判というものが当然出てくるんだろう、そういう見方はあるんだろうと思うんです。

 その点はどうお考えになっておられるのか、副大臣、お願いします。

古賀副大臣 GPIFの年金の積立金につきましては、法令に基づいて、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から行うとともに、金融市場や企業経営に直接の影響を与えないように、株式投資につきましては、投資判断の全部を、今御指摘があったように、運用受託機関に一任しているというようなルールで運用させていただいているところでございます。

 ですので、特定の企業を投資対象としたり、あるいは逆に投資対象から外すということを政府やGPIFが指示することができないというような仕組みになっているところでございます。

徳永委員 今の仕組みの御説明はそれはそれで分かりますが、例えばGPIFの経営委員会の投資原則というのがございますよね。これによると、財務的な要素に加えて、非財務的な要素であるいわゆるESG、環境、社会、ガバナンスを考慮した投資を推進をするというふうにうたっていますよね。それに基づいて、実際、二〇一八年には、ESG投資として、炭素効率が高く、情報開示を進める企業への投資比重を高めている。ということは、大体こういう企業に投資しましょうということは定めているわけですよね。

 だったら、その逆もできるんじゃないんですか。こういう企業には投資はちょっとやめておこうよということはできるんじゃないんですか。その辺、ちょっと説明をお願いします。

古賀副大臣 今、ESGの御説明をいただきましたが、今回のウクライナ情勢について御質問いただいているものと承知をいたしております。

 GPIFの投資対象となる企業につきましては先ほど申し上げたとおりなんですが、今回のウクライナ情勢につきまして関連して申し上げますと、大体、世界全域に、このロシア・ウクライナ問題といった、現在発生しているように、外交とか安全保障とか人権等々、こういった諸問題が間断なく発生し得るというふうにも考えるところでございます。

 ですので、仮に、GPIFの投資対象をめぐって、年金財政上の収益とは別にそのような諸問題との関係で投資の是非を逐一判断する、こういったことになりますと、年金積立金の運用を、こうした是非について判断が分かれる様々な問題に巻き込むことになるのではないかということも考えるところであります。

 ですので、国民の貴重な財産である年金積立金をこうしたリスクにさらすことのないように、先ほど申し上げたルールが大変大事だというふうに考えておりまして、特定の企業を投資対象から外すということを政府やGPIFが指示することができない仕組みは今後も堅持するべきであるというふうに考えるところでございます。

徳永委員 私も、外すということはかなり無理筋だということは分かりつつも、お聞きをしているんです。

 というのは、ノルウェーの政府系年金ファンドも、これは侵略への制裁措置として、ロシアの関連資産を全て売却する方針で進んでいるという報道があるんです。同じような形で外部に委託をして、多分、被保険者の利益を第一に運用しているノルウェーのファンドにおいても、そういう個別の政策目的によって個別の企業を、企業分を排除するということをやっているということを考えれば、我が国のGPIFも、もうちょっとこの辺の運用の幅というか、余りがちがちにするんじゃなくて、ノルウェーも、その辺のところは弾力的に運用できる取決めか何かが多分あるのではないかなと推測するんです。

 ですから、そういった部分の、うまく幅というかを持てるような契約とか方針について是非今後検討していただきたいなということで、要望をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 古賀副大臣におかれましては、この後質問はございませんので、御退席いただいて。委員長の許可をいただいて。

城内委員長 どうぞ御退席ください。

徳永委員 それでは、済みません、本題であります二〇二五年万博政府代表の設置に関する臨時措置法案についてであります。

 もうるる自民党さん、公明党さんの方から質問がありましたので、私の方からは、まず一つは、歴代の日本で万博とかが行われてきたときの政府代表が外交官出身の方ばかりですよね。今回、せっかく大阪を中心に行われて、ある意味大阪はあきんどの町と言われ、経済が非常に熱心にみんな頑張っているところでもありますので、逆に言えば、そういったところでやるんだから、その特徴を生かして、関西財界の民間人の方とかそういった方にお願いをするという発想は取れないものでしょうか。これは、大臣、お願いします。

林国務大臣 この政府代表でございますが、国際博覧会条約に基づいて、博覧会に関する全ての事項について対外的に自国政府を代表するということでございます。参加に向けた働きかけや、各国政府代表そして博覧会国際事務局、こういったところとの会場、展示物等に関する調整、国内関係者との連絡調整、また、博覧会に関するルールの履行の確保、紛争の仲裁、こういった実務的また技術的な業務を担うことになります。

 こうした任務は、過去に我が国で開催されたいずれの国際博覧会においても同様でございまして、こうした任務を果たすに当たり、必要な知見や能力を有する方をその都度選定し、適材適所で任命してきた結果、これまで我が国で開催された国際博覧会においては、外務省の大使経験者等が政府代表に任命されてきたと承知をしております。

 大阪・関西万博の政府代表についても、引き続き、適材適所で任命すべく、適切に検討してまいりたいと考えております。

徳永委員 適材適所で選任をしていくのだという御答弁がありました。

 逆に言えば、外国の大使に民間の方を任命をしたことも今までありますし、そうやって十分にこなせると私は思っておりますので、是非、適材適所で、こだわることなく選任をしていただきたいというふうに思います。

 次に、こちらの方から行きます。いわゆるお呼びする国ですね。

 ウクライナには招請状は発出をしたけれども、いまだ返事が来ないという答弁でございました。私、是非ここは、三年後ですから、今の情勢がどのようになっているのかは、先ほどの話ではありませんが不透明ですが、事態が落ち着いているのならば、是非ウクライナには出展をしていただいて、そして、共に、命輝くというテーマに基づいて、そういった、万博の成功に向けて、ウクライナの人たちとも一緒にやっていきたいなという思いがあるんです。

 ただ、恐らく、もし来られたとしても、復興の途上で、なかなか予算的にしんどい、つらいという場面もあろうかと思いますので、ここはウクライナの出展しやすいような支援というか、そういったプランというものはお持ちになっているのかどうか。その辺、お聞きします。

澤井政府参考人 ウクライナへの支援についてお答え申し上げます。

 二〇二五年の大阪・関西万博では、誘致の段階から、途上国の幅広い参画をいただくために、充実した支援を行うことを日本政府としてお約束をいたしております。したがいまして、ウクライナにつきましても、途上国支援プログラムというものがございまして、その中で支援を行うことは可能でございます。

 このプログラムの内容、詳細はこれから具体的に詰めていくんですが、例えば、博覧会協会が建築をして参加国が展示や内装を行う場合、こういう場合のパビリオンの賃料、それからパビリオン内での展示企画の費用、人とかの運営費用、広報費用、それから渡航、宿泊費、こういうものまで幅広く支援をさせていただく予定でございます。

 こうした包括的な支援を通じまして、支援を希望する途上国が有意義な出展を行えるように努めてまいりたい、このように考えてございます。

徳永委員 途上国支援の中でずぼっと入れ込むのではなくて、ウクライナ特別の何か支援枠というものがあっていいのかなと思うんです。これをつくったからといって、ほかの途上国が、何だ、ずるいじゃないかとどこも言わないですから、そこはちょっと気に留めていただければというふうに思います。

 そこで、ロシアへは招請状を送られて、そして参加表明がなされているということです。ここは難しい判断だと思います。こちらから来てくださいと言っておいて、行きますと言われて、やはり来るなとはなかなか言えないというのは、一般論としてはよく分かるんですけれども、さはさりながら、命輝く云々という全体のフレーズを使っている万博に、現状で、大歓迎ですよということはなかなか言えないというふうに思うんですが、ロシアに対する扱いというか、もう一度、大臣、どのように今考えておられるでしょうか。

林国務大臣 先ほども御答弁をしたところでございますが、今回のロシアによるウクライナへの侵略、これは、力による一方的な現状変更の試み、かつ、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、明白な国際法違反であります。この国際秩序の根幹を守り抜くために、国際社会と結束して、日本としても毅然と行動してまいる所存でございます。

 ロシアの大阪・関西万博への参加については、今後の情勢、これをよく踏まえた上で、政府として適切に対応してまいりたいと考えております。

徳永委員 林流の答弁術でございますので、適切に対応するということでございますので、非常に難しいんですけれども、現状は、一度お断りをされた方がいいのかなという思いはしますということだけ申し上げて、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

城内委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 先ほど、徳永委員からの御質問で御答弁もありましたが、通告に入る前に、我が党からも一言、ゼレンスキー・ウクライナ大統領からの申出について申し述べさせていただきたいと思います。

 先ほど、昼間に役員会が行われまして、我が党といたしましては、ゼレンスキー大統領の国会に対する要望に対して全力でお応えすべきであるという結論を出させていただいておりますので、どうか、委員長を始め、国会の方で実現がかないますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、我が党の副代表であります吉村洋文大阪府知事の方から、ロシアの非難決議を可決した地方議会にも是非同時配信をしてほしい、こういうことが言われておりますので、この点も是非御考慮いただきたいということと、また、国会で実現しないのであれば大阪府議会の方で是非やらせていただきたいということですので、この点も、こういった地方に負けない国会を是非我々の方でも頑張っていきたいというふうに思っておりますので、是非力を合わせて、実現に向けて努力を続けられれば、このように考えております。

 それでは、日本国際博覧会における今回の政府代表の設置に関連しまして、外務省の役割についてまずはお伺いいたしたいと思います。

 日本維新の会は、これまで大阪でも様々な行政改革を行ってくる中で、やはり、公務員の身分そして待遇については極めて厳しく見させて、また改革を行ってまいりました。

 そういった中で、今回の政府代表は、通常の外務省の職員としての待遇以上の何か手当あるいは給与の増額等というものはあるんでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 この政府代表は、国家公務員であり、かつ外務公務員である旨を本法案において規定しておりまして、国家公務員、外務公務員法、それぞれのその他の服務規定に服することとなります。その上で、この政府代表は、博覧会に関する全ての事項について対外的に自国政府を代表すること等をその任務とし、その役割、判断の責任から特別職としてございます。

 この政府代表は、国家の重要政策を担う点において常勤の内閣総理大臣補佐官に類似をし、その任免は外務大臣の申出により内閣が行うこととされております。また、任免方法の点では、常勤の大臣補佐官に類似していると言えるかと思います。加えて、政府を代表し外国との対応に当たる点では、大使の任務の性質に類似をしております。

 こうした点から、その俸給月額は、常勤の内閣総理大臣補佐官及び常勤の大臣補佐官に相当する額、かつ、職責の重要性から、大使三号俸の俸給月額に相当する額とすることが妥当であると判断し、本法案に規定したとおりとしております。

青柳(仁)委員 今日は余りこの点については深くは入り込みませんけれども、適切な報酬であるかどうか、その身分であるかどうかというところは、過剰な手当等が行われないように、また、不必要な身分等が与えられることがないように、この点は我が党としても厳しく今後も見させていただきますので、是非政府の方でもしっかりと御対応いただければと思います。

 また、今回、日本国際博覧会、万博、大阪万博に関しましては、やはり我が党といたしましては、大阪府、大阪市を挙げて招致に関しても政府と一緒に進めてきたという立場から、今回の法案も含め、一緒になって盛り上げていくという立場で応援をさせていただいております。

 そのような中で、今回、政府代表を置くということですが、外務省が置く政府代表というのは大体お飾り的な方になってしまうことが多いと認識しているんですが、ただ、海外からの要人に表敬訪問を受けるとか、あるいは、ある種の象徴的な存在として、下の方々が作られた原稿を決まり切った場に出てきてしゃべっている、それだけの政府代表だったら、我々は要らないんじゃないかと思っております。

 そうではなくて、今回の大阪万博を盛り上げるに当たりまして、出展であるとか、あるいは集客プロモーションというようなことも含めて、様々な要人に会う、そういったポストでありますから、是非、ただ、初めまして、お互いに頑張りましょうという通り一遍の会話をするだけではなく、様々な海外の要人に会った際には、例えばこういうことを考えている、空飛ぶ車というのを考えているんだけれどもどうだろうか、あるいは、こういうところに投資というのは回せないだろうか、そういった実のある会話というものをしっかりしていただきたいと思っておりますけれども、この点について外務大臣からの御見解を伺います。

林国務大臣 大阪・関西万博でございますが、世界に向けて日本の魅力を発信する絶好の機会であるとともに、コロナ禍を乗り越えた先の新たな社会像、これを世界に示すものであり、極めて大きな意義を持っていると考えております。

 政府代表は、まさに今委員が御指摘がありましたように、各国に対する大阪・関西万博への参加の働きかけ、また、参加国等との国際会議、出展内容の調整、こういうものを行うこととしておりまして、また、各国のコロナウイルスに対する水際措置が緩和される中で、今後、各国要人等と接触する機会が増えていくことが考えられるところでございます。

 そうした機会を着実に捉えながら、大阪・関西万博の意義、重要性、また魅力、こうしたものについても積極的に発信をし、多くの集客を目指して、万博の成功に貢献していく考えでございます。

青柳(仁)委員 上司になります林外務大臣におかれましては、是非そういった実のある仕事をしていただくよう適宜適切な御指導をいただければ、このように考えております。

 また、そもそも、この集客プロモーション、出展というものは内閣府が全般的には対応していると承知しておりますが、こちらについて、内閣府の方からも、政府代表に対するこういった新たな役割の可能性についてちょっと御所見をいただければと思っております。

吉川大臣政務官 お答えを申し上げます。

 大阪・関西万博では、百五十か国、二十五国際機関の参加を目指しているところでございまして、現在、八十七か国、六国際機関から実際に参加表明をいただいているところでございます。

 現在、新型コロナウイルスの影響など、厳しい制約もある中ではございますけれども、私ども内閣府といたしましては、若宮国際博覧会担当大臣を中心として駐日大使への働きかけなどを積極的に行うとともに、総理、また、先ほど林大臣の方からもございましたけれども、外務大臣などからも各国との会談の際に積極的に働きかけを行ってもらっているところでございます。

 今後も、在外公館による働きかけも含め、あらゆるチャンネルを駆使してオール・ジャパンで引き続き積極的に進めることで、各国の出展、こちらを拡大していくことにつなげてまいりたいというふうに思っております。

 また、昨年末に政府の国際博覧会推進本部で決定をいたしました、未来社会の実験場の具体化に向けた、二〇二五年大阪・関西万博アクションプラン・バージョン1におきまして、大阪・関西万博の機会を活用した訪日プロモーションにも取り組もうというところとしております。

 大阪・関西万博は、日本の魅力を世界に発信していく絶好の機会であるというふうに捉えておりまして、関係府省庁や地元の自治体、あるいは経済界ともしっかりと連携をしながら、世界中から多様な国、地域、主体の参加の促進に引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。

青柳(仁)委員 政府を挙げて、是非、内閣府、外務省、また大阪府、大阪市含め一緒に盛り上げていければ、このように考えております。

 今ちょっと御答弁の中にもあったんですけれども、今、日本にある各国の大使館に対して様々な働きかけを行っているということでしたけれども、やはり海外の要人、これは官民両方の面で来ていただくことが非常に重要なことであると思っているんですが、なかなか、こういったコロナの状況もあって、どちらかというと難しい状況の方が強いのではないかと思っているんですが、そういった中で、例えば、今、外務省が元々、あるいは日本政府が元々計画している様々な国際会合、日本で行われる国際会合みたいなものを同時期に大阪で行うことによって、これで、そこに参加する各国の人たちをある意味で自動的に万博の方に来ていただくということも可能性としてはあるのではないかと思っておるんです。

 ちょうど、TICAD、アフリカ開発会議の、今、これからチュニジアでやるところだと思うんですが、二年後の9がこの同じ時期に当たるということで、毎回手挙げ式ですから横浜で連続で行われているわけですが、これを大阪、まだ、大阪府、大阪市等の当然自治体の意向というのはあるとは思うんですけれども、そういったところで行うことによって、そこに来ていただく各国の要人であるとかあるいは経済界のリーダーという方々に是非万博にお越しいただくという手もあるのではないかと思うんですけれども、そういったTICADを含む国際会合の同時期の開催について、林外務大臣の御見解をお伺いします。

林国務大臣 アフリカ開発会議でございますが、二〇一六年のTICAD6、これがナイロビ、ケニアで行われておりますが、これ以降三年ごとに日本とアフリカで交互に開催をしてきておりますので、予定どおりでございますと、今回の二〇二二年の後は二〇二五年という予定になるわけでございますが、具体的な開催時期及び開催地についてはまだ何も決まっていないところでございます。

 本年八月に開催されますTICAD8、これが終了した後に、地方自治体の御要望も含めて様々な要素を勘案した上でしっかりと検討を行っていきたい、こういうふうに思っております。

 また、その上で、大阪・関西万博について、ほかの国際会議等の開催状況を勘案しながら、日本魅力発信の機会とできるように取り組んでまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 ありがとうございます。

 まだ何も決まっていないという御答弁でしたけれども、まあ、そのとおりだと思いますので、そういったアイデアについても念頭に置きつつ、是非、様々な、これ以外のテーマも様々あるかと思いますので、大阪万博を何とか盛り上げて、たくさんの海外の方々から来ていただけるような、そういったイベントに一緒につくり上げていけたら、このように考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間の関係上、通告していた質問を最後まで聞き切ることができませんでしたけれども、また引き続き、この大阪万博に関しましては、今回、エキスポ・フォー・SDGsということで、持続可能な開発目標の達成に向けた、二〇三〇年までの達成のちょうど五年前ということで、ここで出したメッセージが最後の五年間の世界の努力を決めていくというところもあろうかと思います。

 特に、このウクライナの状況、それから、こういったコロナの状況で非常に達成は難しい状況かと思いますが、そういった中でも世界に勇気を発信していく、そんな万博にもできると思いますし、また、達成年五年前ということで、その次の世界の目標をどうしていくのか、誰もが非常に暗い感じを受けがちな昨今の国際状況の中で、新しい世界の構想を示していく、そういった機会にもなろうかと思いますので、是非、そのような視点も踏まえた上で、世界へメッセージを発信できるような万博をつくり上げていっていただけたらと。

 また、その役割は、今回、この政府代表というのは、外務省が、そこが窓口であり、冒頭申し上げたとおり、そこが象徴ということにもなっていきますし、しかし、林外務大臣始め、そういった表舞台に出る皆様には、是非そのような役割をしっかりと仕事として行っていただきたい、このように申し上げまして、ちょっと通告していた質問が全部聞き切れなくて大変恐縮ですけれども、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 通告をしておりましたのに急遽一項目つけ加えまして、急遽つけ加えましたものからスタートしたいと思います。午前中、通告はさせていただきました。

 ウラジオストクの総領事が三月十一日に、在留邦人の方に対して、ネットでお集めになってというか会議をやって、現状報告といろいろな御案内をされたということなんです。

 その中で、現場でいろいろなことをお聞きになっていた方々から、どうも冷たいんじゃないかと。どういうことかというと、この状況で出国をしたいけれどもどうしたらいいかということをお伺いしたりすると、各人でやってくださいと。じゃ、お金が、今ルーブルが足りないから何とかならないかと言うと、それはなかなか難しいというようなお答えがあったりしたやに聞きました。

 そういう中で、もう既に飛行機も飛ばなくなってきている、クレジットカードも使えない、ATMに行っても、現金を下ろそうとしてもなかなか十分なお金が下ろせない、どうしようかというふうに皆さん非常にお困りになっているというんですね。

 そこら辺についてどのように対応なさるのかということをお伺いしようということで、急遽、午前中通告しましたら、先ほど、その後追いのお話があって、どうもチャーター便が飛ぶようだと。チャーター便が飛ぶのはどこからかというと、タシケントから飛びそうだ。タシケントまでは御自身で、もちろん、タシケントからチャーター便が飛んだとしても、それに乗るのも、それは当然、個人でいろいろと申し込んでやるんでしょうけれども、そこまでは定期便なりなんなりで行ってくださいと。今のところ、三月の二十日にタシケントから飛ぶ予定が立ちそうだということなんですね。

 でも、これは全く曖昧模糊としていて、じゃ、代金はどうなるの、決済はどうなるの、予約はどうなるのというのも、全然まだ現地では分からない状況らしいんですね。

 そこら辺について、在留邦人の方の安心、安全を考えたときに、どのように対応なさっておられるのか、お伺いします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、ロシア国内では、中東諸国あるいは中央アジア諸国等の航空会社がロシア国内の各都市から通常運航を続けているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、大使館それから総領事館におきましては、ロシアからの商用便あるいは陸路での出国といった幅広い選択肢について、在ロシア日本国大使館等のホームページに掲載するとともに、領事メール等を発出して情報提供を行っているところでございます。

 また、カタール航空につきましては、外務省からの要請を受けまして、ロシアからの邦人帰国者向けの予約窓口、これを設置して、予約を受け付けることといたしております。

 状況は引き続き流動的でございまして、我が国といたしましては、引き続き、ロシアの状況について細心の注意を払いまして、機敏に対応して在留邦人の安全確保に万全を期す考えでございます。

和田(有)委員 そうやっていろいろと間に入っていただくのは分かるんですけれども、決済がそれぞれの方、できない状況に陥り始めているというふうに聞くんです。

 要は、先ほど言ったように、クレジットカードは使えない。ルーブルで払ってくれと言われても、ATMに行ってもそんなお金はもうない。今日、それこそデフォルトにでもなっちゃったら、紙くずとは言いませんけれども、今持っているお金だってどこまで価値があるのか分からない。じゃ、日本からお金を送金してくれと言っても、どうなるのと。例えば、領事館に送金して、領事館が両替してくれるのとこの間のとき、日曜日も聞いたら、いや、そういうのはちょっと領事館としてはできませんしと言う。

 だから、飛行機は飛ぶにしても、まず予約がちゃんとできるのか。大体、定期便ですから、タシケントまで行くのは。それはどうやってするのと。それが取れなかったら、タシケントからの航空券を手配できたとしても乗れないわけですよね。そこら辺、丁寧にやっていただきたいと思うんです。

 そこら辺について、実務的なことをどのようにお考えですか。もう一度お願いします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、商用便というのが運航されている中で、大使館、それから総領事館からは、在留邦人の方々に情報を提供してございます。これは、商用便の状況であったり、あるいはその他の関連情報についても情報提供をしていることでございます。

 決済の問題につきましては、例えば、日本で航空券を購入して、eチケットでメールを送付するという形でやっているということもございますし、基本的に、現在、現地におきましては、商用便で在留邦人の方々は帰国できているという状況にあるというふうに承知しているところでございます。

和田(有)委員 それで、去年の十二月に通った補正予算で、実は、外務省の予算で在外公館における邦人保護体制強化のための緊急対策というので八億円というのがついているんですよ。こういうのを使って、もうこっちで段取りをして、何らかの手続をすれば、そういう不確かな、不安な状況の中で物事を進めるよりもできるんじゃないかと思うんですね。

 チャーター便だって、これは人数割りでお金を割って支払ってもらってでないと飛ばないというような話も聞いているんですけれども、そこら辺、この在外公館における邦人保護体制強化のための緊急対策八億円というものをお使いになってはと思うんですが、これがどういう性格のものなのか、そして、これを使えるのかということについて質問をいたします。

安藤政府参考人 済みません、今の御指摘の点について、ちょっと、ただいま手元に資料がございませんので、失礼させていただきたいと思います。

 チャーター便というお話がございましたけれども、我々が承知している限りでは、航空会社、旅行会社の方が、ロシアからタシケントまで定期便を利用いただいた後で、タシケントから日本の間に臨時チャーター便を出すというふうに承知してございます。

 大使館あるいは総領事館といたしましては、引き続き、在留邦人の方々に対して情報提供を行って、安全な形で帰国できるようにしっかり対応してまいりたいというふうに思ってございます。

和田(有)委員 とにかく、もう刻一刻と状況は変わっている話ですので、しっかりとやっていただきたい。

 この八億円に関して、やはりしっかりと使っていただきたいと思うんです、こういうことについて。それについて、大臣、何かお思いになることはありませんか。

林国務大臣 この八億円につきましては、補正予算でございましたので、その予算、どういう名目で取ってあるのかということをよく、今御通告が多分なかったと思いますので、しっかり精査をして、これが活用できるというものであればしっかりと、ロシアからの方だけではなくて、いろいろなところでこういうことが起きておりますので、そういうことも踏まえながらやってまいりたいというふうに思っております。

和田(有)委員 時間がないのでこれ以上言いませんけれども、これは実は、極東からの人たちだけじゃないんですよ。モスクワの皆さんもタシケントまで行ってくれという話にどうやらなっているみたいで、そうでなかったらヨーロッパ経由で、向こうへ回って帰ってくれという話だった、最初は。そんなこと、極東のロシアからヨーロッパ・ロシアを通って帰ろうと思ったら大変なことでして、今ヨーロッパの方を回ろうと思っても。大体にして、飛行機もまず飛べなくなってきていますから、しっかりとそこら辺、邦人保護の観点から、使える予算は使ってやっていただきたい、このように要望しておきます。

 では、次に万博の話です。

 もうるる多くの皆さんがお聞きになっておられますので重なる部分もありますが、万博の担当の政府代表というものが決まるわけで、そうなりますと、担当大臣との関係もありますし、それともう一点、私は神戸から来ておりますので、今回は大阪万博じゃないんですね、大阪・関西万博でありまして、関西挙げて、これをきっかけににぎやかにしたいという思いがありまして、地元自治体との関係というものも出てまいります。この点、上手に整理をしておかないと、役割が重複したり、いろいろと不便が出たりすることがあろうかと思います。

 その点、地元自治体、あるいは地元自治体の首長も含めた、そこら辺との連携なり役割分担についてお伺いします。

本田大臣政務官 お答えいたします。

 大阪・関西万博は国を挙げた一大行事でありまして、その成功に向けては、大阪を始めとし、関西圏の自治体と緊密に連携しつつ準備を進め、全国において開催に向けた機運を醸成し、企業を始め様々な関係者に参加していただくことが重要であると考えています。

 こうした観点から、国はもちろんでありますけれども、自治体、また経済界で一体となり、オール・ジャパンで準備を着実に進めなければならない、そういう観点で自治体と連携を密にして進めていくという考えでございます。

和田(有)委員 その点でしっかりと連携を取りながら、役割分担でそごがないようにしっかりとやっていただきたい、このように思います。

 次に移るんですが、今、パブリックコメントをかけている段階だと思うんですけれども、政府出展事業としての日本館の基本計画がだんだんまとまってきていると思います。

 この点について、コンセプトなり重要なポイントということについてまずお伺いいたします。

吉川大臣政務官 お答え申し上げます。

 日本館の基本計画につきましては、本年二月、経済界、文化界等の有識者により構成される二〇二五年大阪・関西万博政府出展事業検討会議において案を策定したところでございます。これを受けまして、現在パブリックコメントで広く意見を募集しており、いただいた意見を踏まえて三月中をめどに取りまとめをする予定でございます。

 日本館は、「いのちと、いのちの、あいだに Between Lives」をテーマとし、日本文化や技術、日本的な発想を足がかりに、一人一人がほかの命とのつながりや循環の中で生かされている存在であり、地球という命の束の一部であるということに気づくことにより持続可能性の問題を自分たちのこととして認識し、未来に向けたアクションの必要性に気づく機会となることを目指しているところでございます。

 この日本館基本計画の内容を踏まえながら、多くの方に御来場いただける魅力的な日本館としていきたい、このように思っているところでございます。

和田(有)委員 今るるテーマについてお伺いいたしました。

 もちろん、今パブリックコメントをかけている段階ですから、この先いろいろな紆余曲折があるかも分かりません。その中でやはり私が非常に注目をしたのは、命という言葉を使われているということなんですね、命と命の間にと。要は、命のリレーであったり、我々がいただいている命は次につないでいくリレーのバトンみたいなものだというようなものだと思うんです。大変すばらしいテーマの設定だと私は思うんです。

 その中で、ちょっと気になる事柄がありまして、今、日本で生まれている出生数というのは、二〇二〇年で八十四万人。まあ、少子化だといろいろな議論を我々はやっているわけですけれども、八十四万人とか、八十万人ぐらいですよ。

 その中で、この世に出ずして終わっていく命が、届出されているものだけでも十五万ぐらい。要は、流れている、中絶をされている命というものが十五万ぐらいあると言われています。これは統計上表に出ているだけで、もっと多いだろうと言われています。中には、その倍ぐらいはあるんじゃないかとおっしゃる方もおられます。倍として三十万人。実際にこの世に生をうけて人生を全うできる胎児の三分の一や四分の一は、実は、本来この世に生をうけるべく受精しているのに生まれていない状況がありますと言う方がおられます。数字は、統計上は十五万ですけれども。

 研究者の方の中には、もう受精をした段階でこれは命として始まっている、要は、胎児として命が始まっているんだ、こう言う研究者の方もおられます。受精した段階からお母さんとのコミュニケーションが始まり、命を育み始めているんだ、これが人の出発点であるというふうに言われる方も研究者でおられるんですね。恐らくそうだと思います、私も。

 ところが、今、そういう中で、経口中絶薬というものの承認に向けて進んでいると伺っています。これは母体に対しても実は大変大きな影響があるということは余り知られていません。それから、この経口中絶薬というのは、実は、口から飲んで簡単にできるように思われますが、余り言葉は私は使いたくないですけれども、中絶というものが物理的に赤ちゃんを潰して殺してしまうということに対して、これは、やはり、受精した胎児を窒息死させてしまう、殺すんです。殺して出すという薬なんです。劇薬なんです、はっきり言えば。それを承認しようという方向に進んでいる。

 いろいろな考え方があります。もちろん、いろいろな方々の立場に立って、必要だという議論もある。しかし、私は、どうも、命を貴ぼうと言っている中で、安易に、自分の都合でもって胎児の命を殺してしまうという風潮、命を軽んじる風潮に拍車をかけることになるのではないか。

 もちろん、何度も言います、いろいろな方々がおられて、必要だという方もおられて物事はあるんですけれども、しかし、せっかくこの万博で命のことを取り上げ、そして命の貴さを喜び、そうしている中で、片や、この社会においてこういう状況が生まれているということ。すなわち、胎児の生命権を奪うような状況が、私の表現で言えば、私の表現ですよ、胎児の生命権を奪うような風潮を助長するような状況が起こっていることについて、私は合点がいかないところがあるんです。

 その点についていかがお考えになりますでしょうか。

島村大臣政務官 まずは、声がかれているのは申し訳ございません。

 今委員から御質問ありましたように、まずは、経口中絶薬につきましては、御案内のとおり、昨年の十二月に薬事申請がなされ、現在、PMDAにおいて有効性、安全性の審査を行っております。

 人工妊娠中絶は、母性の生命健康を保護することを目的とした母体保護法に基づき、妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するもの等に限られて、この薬は承認されるものでございます。

 人工妊娠中絶の在り方については、委員御指摘のように、胎児の生命の尊重や女性の自己決定権等に関する様々な御意見が国民の間で存在し、また、個々、人々の倫理観、道徳観とも深く関係する難しい問題点でございます。

 いずれにせよ、人工中絶に限らず、予期せぬ妊娠に悩む女性への相談、支援も重要であると考えております。引き続き、支援を進めてまいりたいと思っております。

 以上です。

和田(有)委員 大変、花粉症でいらっしゃるんでしょうか、おつらい中での答弁、分かりました。

 自己決定権のことも触れていただいて、大いに議論があるんです。胎児の生命権というものは厳然としてこれはあるわけでありまして、それを、産む自由、産まない自由というような下で奪うことは、私はいかがなものかと思う。私が思うということは、そういう人もいて、議論になっているということを理解の上に、私はこの薬に関しては進めていただきたいと思います。

 もし、大臣、この点について何かお感じになることがあったら。ありませんでしょうか。

林国務大臣 所管外では必ずしもないかとは存じますが、留学時代でございます、プロライフとプロチョイスということで、たしかアメリカで判例も幾つか出ておって、また、このことが現在にもつながっておるかもしれませんが、たしかアメリカでは、共和党は主にプロライフ、そして民主党はプロチョイスということで激しい論争が行われていたということは承知をしておりますので、なかなかこれは一概に白黒というふうに決まらない、そういった問題であるというふうには承知をしております。

和田(有)委員 議論があるので、議論があるという前提で物事は考えていただき、その上で、万博が明るい万博になり、命を貴ぶ万博になって、地域経済が発展する、地域が前に進むという状況が生まれることを祈りまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦でございます。

 この度の二〇二五年日本国際博覧会の開催が決まりまして、大変うれしく思っております。今回の博覧会は、日本にとっては二十年ぶり三回目、大阪にとっては五十五年ぶり二回目ということで、私のおやじから大阪万博のお話を聞いていましたけれども、おやじは行けなかったそうですが、私は幸運にも、前回の愛・地球博に行かせていただきました。話を聞いていただけに、よもや、この世に生をうけて二度の万博に行くことができる可能性が出てきたということは大変うれしく思っておりまして、まずもって、二〇二五年の博覧会の誘致、そして開催の決定に御尽力をいただいた皆様に感謝を申し上げさせていただきます。

 そして、国会においても、議員連盟をつくっていただいて、関西圏、また特に大阪府選出の議員の皆さんにもこの誘致活動に積極的に取り組んでいただきましたことに感謝を申し上げるとともに敬意を表したい、このように思っております。

 この誘致活動、短い中でも日本がこの博覧会を誘致することができ、そして、二〇二五年の二年後には、私、神奈川県ですけれども、横浜では園芸博覧会も開催が予定されております。この園芸博覧会と国際博覧会、実は違いがございまして、国際博覧会というのは五年に一度開かれるもの、そして園芸博覧会については、その五年間の間に一度だけ開くことができる、こういう規定がございます。

 それを申し上げた上で、近現代において、国際博覧会と認定の園芸博覧会を連続して開催することができた、こんな幸運な国は我が国しかありません。是非、この両方の博覧会、成功させていきたいと私も思っております。

 博覧会というのは、国威啓発という面も大きくございますが、我が国の外交力を内外に示す、そして、我が国の抑止力に結びつけていくという意味で、大変重要な役割を持っていると私は思っております。

 先ほど、冒頭申し上げましたとおり、我が国は博覧会を誘致するのは三回目ですが、今後も、こういった博覧会を積極的に誘致をして、そして、我が国の技術力ですとか、我が国が描く未来のビジョンというものをどんどんと世界に対してアピールをしていくべきと考えております。

 国としてもそういう方針を持っていらっしゃるとは思いますけれども、今回議題となっておりますものも、臨時措置法で政府代表を決めておられます。是非ここは、毎度毎度臨時措置法をするのではなくて、それで、しかも、実際、中身を確認してみますと、これは外務大臣の推薦で内閣が任命をすることになっているものを措置する法律ですので、恒久法で次々に設置をできるようにされるべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 国際博覧会の開催に当たりまして、新規立法を含めていかなる措置が必要であるか、これは開催国次第でございまして、画一的に述べるのは難しいと思っておりますが、例えば、二〇一五年のミラノ万博でございますが、イタリア政府が予算、準備に係る組織を担保するために法改正を行ったものの、政府代表の任命については、新規立法の必要がなく、既存法令に基づき対応したと承知しております。

 我々の二〇二五年の日本国際博覧会政府代表につきましては、国際博覧会条約の規定に基づいて、大阪・関西万博に関する全ての事項につきまして日本政府を代表することを任務としておりますこと、答弁をしてきたところでございまして、既存の法律で規定されている政府代表、これは、国内的な業務を所掌するということが想定されていないため、臨時措置法による政府代表を新たに設置することが必要であると考えております。

 委員が今お話しになりました恒久法ということでございますが、この法案についても、大阪・関西万博の終了の日から一年で効力を失うこととしておるとおりでございまして、現時点では、博覧会政府代表、これをある意味では恒久的な機構として置くことを想定しているわけでないわけでございますので、現時点では、恒久法を必要とするとは考えておらないところでございます。

鈴木(敦)委員 国内的な業務を行うことを想定されていないということですが、実際には、閣議で非常勤の万博政府代表を任命されておられますが、これとは、どういった性格のもので、違いがあるんでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 現在置いております外務公務員の政府代表、これは外務公務員法に基づくものでございます。外務公務員法におきまして政府代表といいますのは、「日本国政府を代表して、特定の目的をもつて外国政府と交渉し、又は国際会議若しくは国際機関に参加し、若しくはこれにおいて行動する権限を付与された者をいう。」ということになっております。

 今般の法案におきまして任ずる政府代表につきましては、先ほど外務大臣から答弁申し上げましたとおりでございまして、対外的な事務のみならず、国内的な業務を行う必要もありまして、そのような任務を想定してございます。

鈴木(敦)委員 では、せんだって閣議で決定された非常勤の政府代表については廃止をされるということでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 現在任命をしております政府代表につきましては、その必要性がなくなった時点で免ずることになると想定しております。

鈴木(敦)委員 任命される方にすごくかわいそうな発言だと思いますが、どういうタイミングでどこまでの仕事をするのかということについてを外務公務員法に規定をされれば、この国際博覧会一般規則に基づく政府代表の任を全うし得ると私は考えますけれども、役所ではそういうふうに考えていらっしゃらないということでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 過去の日本で開催をされました国際博覧会におきましても、臨時特別措置法ということで御審議をいただき、また、法案を策定いただいております。

 今回につきましても同様のことを想定しておりますが、外務公務員法において現在想定されている政府代表の所掌を超えるということで、政府といたしましては臨時特別措置法ということを考えてきているところでございます。

    〔委員長退席、あべ委員長代理着席〕

鈴木(敦)委員 今後、外務公務員にどこまでの業務を担っていただくかというところについては政府内でも御議論がいただけると思いますけれども、今後、こういった博覧会ですとか、あるいは様々な国際的な行事を誘致する上でも必要な措置だと私は考えておりますので、是非御検討いただければと思います。

 さて、先ほどの徳永委員の質問の中にも関連いたしますけれども、この国際博覧会に対して、ロシアが参加を表明をしています。この博覧会の主なテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」でございますが、今、ロシアがやっていることは命を奪う現在でありまして、この整合性が取れない国を我が国に招聘して、そして自国のPRをしていただくということなわけです。

 先ほど愛・地球博のお話をしました。私、すごくよく覚えていますが、愛・地球博の際は、メインの展示物はマンモスでした。私、すごく感動しました。冷凍のマンモスが出てきた。そして、昔の話を考えれば、大阪万博のとき、月の石が来ていました。それぞれ大きなテーマがあって、それぞれの世代の子供たちにずっと残っているものがあるわけです。

 今回のこの二〇二五年の博覧会で何がメインの展示物になるか分かりませんけれども、それもまた、今を生きる若者が年を取ったときに、あのときこれがあったな、思い出すものになるはずです。その中に、侵略を行った国家が自国のPRをしたと心に残ってしまうことになるわけです。このPRすることに対して、大臣はどのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 今回のロシアによるウクライナへの侵略、これは力による一方的な現状変更の試みで、かつ国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、明白な国際法違反であります。国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会と結束して、日本としても毅然と行動をしていきます。

 現在行われているロシアによるウクライナ侵略、これは、大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」、この理念とは相入れないというふうに考えております。

 ロシアの大阪・関西万博への参加については、今後の情勢をよく踏まえた上で、政府として適切に対応いたします。

鈴木(敦)委員 これはほかの競技会とかと違いまして、性格が異なることだというのは重々よく承知しておりますので、万博に出席しない、参加しないということが制裁になるかどうか、そういった議論を私はするつもりはありませんけれども、この博覧会を開催をして、どんな国に来ていただくか、来ていただけたか、そしてどういう結びつきを取れたかというのは今後の日本の外交の資産になるわけです。

 我が国は今までヨーロッパのいろんな国と外交関係があります。これは外交青書にも載っていますけれども、様々な国と関係性の結びつきは確かにあるんです。しかし、それを形にして、我が国の外交の力として今後生かしていこうと思えば、特定の目的を持って固まりごとに来ていただく、そしてそれが政治的なメッセージに私はなると考えています。

 具体的な国名を申し上げれば、前回の愛・地球博には来なかったモルドバですとか、あるいはポーランド、ハンガリー、スロバキアといったV4と言われるような組合、あるいは西バルカン諸国と言われるような、アルバニアやモンテネグロといったEU加盟を目指している諸国、こういった国々に関しては、個別に話をするのではなくて、一つの枠組みとして、我が国の外交の資産として、是非招請をしていただく。これは各国ごとにやっていただくんじゃなくて、固まりとして、我が国と一緒にやりましょう、こういうふうに提案すべきと考えますが、いかがでしょうか。

    〔あべ委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 我が国は、二〇二〇年の十二月以降でございますが、各国政府に対して大阪・関西万博の参加招請を行ってきております。これには、GUAMのジョージア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバ、そしてV4のチェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、バルカン半島諸国も含まれておるところでございます。このうちアゼルバイジャン及びバルカン半島の一部の国、スロベニア、ルーマニア、セルビア、ここからは既に参加表明をいただいているところでございます。

 これらの国々は人権や民主主義といった普遍的価値を共有する重要なパートナーでありまして、「いのち輝く未来社会のデザイン」、これをテーマとする大阪・関西万博の機会を活用しつつ、連携を一層強化していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 今、パートナーという御発言がありましたが、今ウクライナで行われているこういった軍事侵攻、侵略というものに対して、私、以前の委員会の中でも、抑止力は働きませんでしたよと申し上げました。

 私の持論は、外交というのは武力紛争に至る前の戦いだというふうに思っております。したがいまして、私たちが根本的に抑止力を持とうと思えば、それは外交資産を活用した抑止力だと私は思います。自衛隊の抜本的な強化や在日米軍の活用ももちろん必要なんですが、それ以前に外交力で勝負できないと戦争になって、そして戦争になってまたやられてしまうということになるわけです。

 二十世紀まではそれでよかったと私も思います。武力を用いて、強大な武力で抑止力を持ち続ける、そして双方共に軍事力を持っていれば、なるほど、それはある意味でうまくいっていたのかもしれませんが、人類は二十一世紀になって進歩をして、人権ですとか命の貴さというものを学んで、二度とそういうことをしないようにしましょうと私たちは進歩したんです。

 にもかかわらず、今回、国際社会に挑戦をして、今までと同じ枠組みに戻ろうとする国家が出てきた。こういうときに、私たち日本人として、この紛争にも、あるいはこれから起こるであろう、起こってしまうであろうそういった紛争に対して対応していくためにも、私たちからのメッセージ、次の世代に対するメッセージとして、今おっしゃった国々も含めて、あるいは、この中には特に、ロシアが今、欧州評議会から脱退を表明していたりとか、あるいはジョージアに関しては独立国家共同体から抜けたりしています。そういった国々に対しては、EUだけではもはや生きていけない可能性もあります。我が国としてそういう国を博覧会の場で支援していく、こういった表明をされるというのも一考だと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 まさに先ほどパートナーと申し上げさせていただきましたが、人権や民主主義といった普遍的価値を共有する重要なパートナーでございます。まさに、基本的な、外交に臨むに当たっての三つの覚悟ということを常々申し上げておりますが、普遍的価値、これを守り抜く覚悟ということを第一に掲げさせていただいております。

 そういった意味でも、先ほど申し上げましたように、お呼びかけをし、また普遍的価値を共有するパートナー、なるべく多くの国にこの万博に参加をいただいて同じテーマを共有できるということは、外交的に大変重要なことであると考えております。

鈴木(敦)委員 大臣からもそういったお言葉をいただけまして、今回の博覧会を、言い方は悪いですが、そのように活用していただいて、我が国の防衛力も含めて、外交力も含めて強化をしていく、そういった場にしていただきたいと思います。

 更に申し上げれば、徳永委員の質問の中にもありました、ウクライナに関しては特に、仮にいらっしゃるとしても、恐らく資金的には何もできない状況になっていると思います。途上国支援プログラムというものももちろんありますけれども、この支援プログラム以外に、これは博覧会条約の一般規則の二十一条に書いてありますが、公益事業の業務の効率的な機能を確保するため、あらゆる可能な措置を取る、このように書いてあります。

 あらゆる可能な措置が取れるのであれば、途上国支援プログラム以外にも、招請して、是非やってくださいと、もっと強力な支援ができると思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 ジョージア及びウクライナに対しましては、先ほど申し上げましたように、二〇二〇年の十二月に大阪・関西万博への参加招請状を発出し、参加に向けた働きかけを行ってきております。

 現時点で参加表明はなされていないわけでございますし、特にウクライナはそれどころではないという状況は承知をしておりますが、これらの国も、先ほど申し上げましたように、我が国と普遍的価値を共有する重要なパートナーでありまして、是非御参加をこの万博にいただいて、「いのち輝く未来社会のデザイン」について、これらの国の思い、魅力が発信できるように取り組んでいけたらというふうに思っております。

 我が国が万博の開催国に立候補するに当たりまして、発展途上国向けの支援を行う旨を表明しておりまして、その精神に沿って対応していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 ウクライナは、おっしゃったとおり、今は紛争中ですからそれどころじゃありませんが、是非、招請される際には、ウクライナに対しては、我が国と一緒にやりましょうと。そして、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。ウクライナは今、命を燃やして国を守っている国です。是非、今一番輝いていただきたい人たちだと私は思います。

 そこは強力に推進をしていただいて実現をさせていただきたい、このように思いますが、先ほどまでの質疑の中でもありましたけれども、来年から引渡し自体は始まってしまうわけですね。用地、ウクライナに関しては、恐らくパビリオンは建てられないでしょうから、皆さんと同じようなパビリオンの中で展示をしていただくということになると思いますけれども。

 これは内閣府から伺いたいと思いますが、準備自体に時間がかかるわけです。ウクライナに関しては、もはや今、設計もしておりませんし、テーマも何にも決まっていないという状況下で、これから日本でやっていきましょうと考えたときに、ウクライナがもしやる気になっていただいたとしても、我が国が受け入れられないというぎりぎりのタイミングになる可能性もこれはあるんですね。

 私は、この質問で聞きたいのは、政治的に締切りを決めてください、こう申し上げているのではないんです。あくまで日本として開催に受け入れられるリミットはどれぐらいなのか、ちょっと伺いたいと思います。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 参加に関するスケジュール感でございますけれども、大阪・関西万博のパビリオンには、各参加者に所定の敷地を提供して、その中で自由に建物を建築するタイプA、開催者が建築した建物を提供して、参加者が内外装をデザインするタイプB、同じく開催者が建築した建物を提供して、複数の国が出展するタイプCがございます。

 ウクライナにつきましては、まだ参加表明しておりませんので、参加の表明があった場合にどのタイプのパビリオンを申請してくるのか予断できませんけれども、タイプAパビリオンにつきましては、建物の建築に加えて内装や展示にかかる期間を考慮して、原則として二〇二三年四月から参加国に敷地を引き渡すこととしております。

 また、タイプBパビリオン、それからタイプCパビリオンにつきましては、それぞれのタイプに応じた内装や展示にかかる期間の関係から、原則として二〇二四年七月までに参加国に建物を引き渡すこととしております。

 これによりまして、一定の準備期間を確保して、充実した展示を検討していただくこととしているところでございます。

 その上で、これらの敷地又は建物の引渡しまでには、開催者と参加国との間で参加契約を締結する必要がありますので、余裕を持って契約手続やその後の準備作業を進めていただくためには、参加表明はできるだけ早期であることが望ましいと考えておるところでございます。

鈴木(敦)委員 それはそうでしょうね。ウクライナが仮にやると言っている場合にこちらが受け入れられなかったらどうにもなりませんので、そこは柔軟に対応されるものと私は受け止めました。

 是非、博覧会については成功させたいと思いますし、私も含めて、子供世代でこれをもし仮に見たら、未来ずっと覚えている、すごく大切な資産になりますので、是非とも実現させたいと思います。

 以上です。終わります。

城内委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略は、国連憲章に反するだけでなく、民間人に対する攻撃など、どんな戦争でも遵守すべき国際人道法に反する戦争犯罪の様相を色濃くしています。原発への攻撃はジュネーブ条約の追加議定書で禁じられており、病院への攻撃はジュネーブ文民法で禁じられています。いかなる理由であれ、絶対に許してはならないと考えますけれども、この辺の大臣の考え方をお聞きしたいと思います。

林国務大臣 委員がおっしゃられたとおりでございまして、この度のロシアのウクライナに対する侵略、明らかな国際法違反であり、また、国際秩序の根幹を揺るがす行為でございまして、断じて許容することはできない行為でございまして、厳しく非難をするところでございます。

穀田委員 ロシアの攻撃によってウクライナから国外退去を余儀なくされた人々は三百万人を超え、そのほとんどが女性や子供たちであります。今こそ、人道支援が急がれると考えます。我が党も独自に募金活動を行い、第一次分をUNHCRとユニセフに届けました。政府としても、非軍事の人道支援に手だてを尽くしていただきたいと思います。

 そこで、ロシアのウクライナ侵略に、国連総会において、即時無条件撤退を求める決議が百四十一か国の賛成で採択をされました。この意義については、三月四日の本委員会で大臣と議論しました。侵略を止める上で最も重要なのは、国際世論による包囲だと考えます。世界各地で、ロシアはウクライナへの侵略やめよ、軍事行動を直ちに中止せよの声が上げられています。残念ながら、国連決議の採択に棄権が三十五か国、退席が十二か国ありました。日本政府として、この合計四十七か国に対して、侵略を非難し、軍事行動の中止を求める立場に立つよう働きかけるべきではないか、そういう外交活動こそ憲法九条を持つ国の政府がやるべきことではないか、その点の大臣の考えをお聞きします。

林国務大臣 委員からお話がありましたように、国連総会の緊急特別会合、ロシアによるウクライナへの侵略を最も強い言葉で遺憾とし、ロシア軍の即時、完全、無条件の撤退を求めること等を内容とする決議を百四十一か国という多数の賛成によって採択をしたところでございます。

 我が国は決議案に賛成し、共同提案国入りをしたわけでございますし、更に多くの国々が賛成し共同提案国入りするよう働きかけてきたところでございます。

 今委員からお話がありましたように、反対が五か国、これは、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、エリトリア、こういう国でございます。そして、棄権が三十五、これが、中国、インド、ベトナム、ラオス、モンゴル等、そういうことでございますので、こういった国々にも粘り強い外交努力を続けてまいらなければならないというのは当然のことでございますが、我が国がそれぞれの国とどういう関係にあるのかということ等も踏まえて、粘り強い外交努力、いわばこれでそれぞれの国のこの時点におけるスタンスというものが示されたわけでございますので、それにしっかり対応してまいらなければならないと思っております。

穀田委員 努力をしていただきたいと思います。総理も今度インドに出かけたり、また、大臣も関係の国に出かけますから、そういう意味合いをしっかり強めていただければと思います。

 この私たちの提案は、私たちだけではありません。日本国際ボランティアセンター、JVCの代表理事の今井高樹氏は、憲法九条を持つ日本政府は、国連総会でロシア非難決議の採択に棄権した国々、特に中国やインドに声をかけ、ロシアによる戦争をどう食い止めるかを協議するなどの外交努力を強めるべきですと述べておられます。

 今ありましたように、様々な働きかけを是非していただきたいと思います。

 次に、この万博法案についての関係を質問します。

 大臣に一言だけ。この大阪・関西万博の政府代表設置法案、提出された本法案は、二〇二五年に大阪の夢洲での開催が決定した国際博覧会に関し、政府代表を設置して、その任務や給与を定めたものであります。

 まず、大臣に一つだけ。大阪万博の総予算額は幾らですか。端的に。

林国務大臣 二〇二五年日本国際博覧会協会が作成しております二〇二五年日本国際博覧会基本計画では、大阪・関西万博の開催に必要となる資金、二千六百五十九億円と見込んでいると承知をしております。

穀田委員 それらを含めて、全部合わせますと総額は大体三千百億円というのが公式見解だったと思います、若干のずれはあるんでしょうけれども。

 政府は、昨年八月二十七日、第二回国際博覧会推進本部において、夢洲を開催地とする大阪・関西万博に向けてインフラ整備計画を決定しています。この整備計画に盛り込まれると、工期の前倒しなど国の支援が認められるとしています。

 インフラ整備計画は、大阪府、大阪市などの要望を受けて作成したもので、大阪市は、要望した夢洲のインフラ整備などの事業費は約四千五百億円だと明らかにしています。当時の菅首相は、推進本部会議に出席し、大阪、関西全体の成長基盤にもなるよう、必要な予算措置を含め、計画の実現に取り組んでいくと述べ、事業費を国としても負担することを明言してきました。

 皆さんにお配りしている資料一、これにありますように、インフラ整備計画は、会場へのアクセス向上として、淀川左岸線二期整備が含まれています。淀川左岸線二期工事とは、大阪市の一級河川の淀川左岸沿いにトンネルを埋め込んで、堤防の中に高速道路を造るという前例のない構造物であります。一九九六年に都市計画決定されたもので、元々は阪神高速道路公団の事業だったものが、民営化の際、会社だけでは負担できないということになり、二〇〇六年から大阪市の街路事業と阪神高速道路株式会社の有料道路事業との合併施行で事業化されています。高速道路会社が管理運営する有料の道路を国と自治体が一部を税金で負担して建設するものであります。

 そこで、国交省に聞きます。

 この淀川左岸線二期工事にこれまで国として幾ら負担してきたのか、また、今後、国の負担として幾らかかると見積もっているのか、端的にお答えください。

渡辺副大臣 淀川左岸線は、近畿圏の広域ネットワークの強化を担う重要な路線であり、平成十八年度より、大阪都心北部地域の交通混雑の緩和と市街地環境の改善を図ることを目的に事業が開始され、大阪市の要望を受けて予算の範囲内で補助を行っております。

 そこで、現時点における全体事業費約千九百十八億円のうち、平成十八年度から令和三年度補正予算までに国が大阪市に措置した補助金等の総額は約四百四十八億円となっております。

 また、今後、更に事業費が増額する可能性があるが、今後の国の見込みをお尋ねいただきましたけれども、淀川左岸線事業につきましては、事業主体であります大阪市からは、地盤改良の工法の見直しや地中障害物の撤去等が必要となり、施工方法の見直しを含めた対応策を今検討中と伺っております。

 国としては、大阪市より工法の変更や増加する事業費について報告があった際には、内容をしっかりと確認した上で、必要な支援について検討してまいります。

穀田委員 内容を精査した上で、今後は必要な議論を行うということですけれども、先ほども自民党の委員からも指摘がありましたが、この淀川左岸線二期工事は、計画が進むにつれて工事費がどんどん拡大していくということになっています。当初の総事業費は千百六十二億円だったものが、土壌汚染対策や地中障害物の撤去費用がかかるとして、二〇二〇年十一月には、七百五十六億円増の、今あった千九百十八億円になりました。

 さらに、二一年九月、地盤沈下や液状化対策のために地中にくいを打つ工事で周辺の民家の地盤に異常が発生。軟弱地盤が原因と見られ、周辺自治体への影響を防ぐための地盤改良工事の変更によって、更に追加で一千億円増がある、総事業費が二千九百億円になることを、今年既に、三月に入って大阪市が明らかにしているわけですね。それを言わなあきまへんで。見込みというのは、だから、こういう見込みもありまっせと言ってくれな、何か少なめ少なめと言っていたらあきまへんで。

 そこで、二〇二一年一月十四日に開かれた大阪市建設事業評価有識者会議の議論で、土壌汚染対策等の費用増について、大阪市は計画のずさんさを次のように述べています。

 そこで、資料二を見てほしいんですね。これを見たらよく分かる。読み上げます。

 「計画時点で既存のデータだけではなく、もう少し積極的にデータを集めることによって、この事業にどれぐらいの費用がかかるかということを早めに掴み、それを計画に反映させていくといったことが、実際にはあまりできておらず、非常に粗かったというところは真摯に反省しているところでございます。 土壌汚染に関しましては、自然界にもともとあったもので、これにつきましても、文献等でわかってる範囲については反映をしておりましたが、現地での調査を、早い段階で進めていれば、わかったものにもなるかと思います。」こう発言しているんですね。

 これを見て、ほんまひどいなと思いませんか。こんな常識外れな、工事をやるときにこんなこともやってへんのか、何やというのが普通の考えちゃいますか。

 こうした説明を、政府は大阪市から聞いているはずですよね。こんなでたらめな計画に国として税金をつぎ込んできたということなわけです。余りにもひどい計画だと思いませんか。答弁をお願いします。

渡辺副大臣 まず、多額の事業費増についてでございますけれども、大阪市においては、地盤改良の変更や地中障害物の撤去などについては、工事が進捗するにつれて詳細な現場の状況が明らかになってきたものであるが、計画の段階でより詳細な調査を行っていくことで一定程度事業費として見込むことができたと認識しており、真摯に反省していると伺っております。

 国土交通省といたしましては、この淀川左岸線は、近畿圏の広域ネットワークの強化を担う重要な路線であると認識をしております。大阪市から、今後、工法の変更や増加する事業費について報告があった際には、内容をしっかりと確認した上で、必要な支援について検討してまいります。

穀田委員 内容を確認した上でと言っているわけだけれども、今私が言ったのは、そちらにも配られておるんだが、こういう話が通用するかと。通用しますか、こんな話が。副大臣、どう思わはる。通用する、こんな話。

渡辺副大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、大阪市においては、見通しについては真摯に反省していると伺っております。

 国交省としては、引き続き、大阪市より工法の変更や増加する事業費等について報告があった際には、内容をしっかりと確認した上で、検討してまいりたいと思っております。

穀田委員 今後はそういうことについて、こんなことがあったからやるなんて、それは当たり前の話。そんなこと何回も言うたってあきませんで、そんな、二回も同じことを答弁して。問題は、こういうことをやっているということに対して何のおとがめもないのかと。そう思えへんか、あんた。あんたと言ったら怒られちゃうけれども。

 ほんま、しかも、大事なことは、有識者会議で大阪市はさらに、今後は増額は考えにくいと発言しているんですよね。それにもかかわらず、今年に入って一千億円もの増額という事態を招いている。ずさん極まりない計画を更にずさんな計画にしている。何が真摯に検討するだ、何がそっちも正しくそれを精査するだ。そんなことをやってこんなことが通るのやったら、役人もどれも要らぬわな。まさに青天井じゃないですか。

 左岸線のそういう工事について、私は二〇〇四年の四月二十一日の国土交通委員会で実は質問しているんですよね。そのときに、高速道路建設の大本で、採算性が無視され計画した路線は採算が合わなければ税金で造る、国も地方も採算性のない道路に税金をつぎ込む、こうしたやり方をやめるべき時期に来ているということを私は指摘しているんです。二〇〇四年でっせ。まさにそのとおりになっていて、青天井になっていて、しかも、今度は増額までせえへんといって、またやる。こんなふらちなやり方について、そのとおりになっているじゃないですか。だから、やめるべきだと思いませんか。

渡辺副大臣 本件につきましては、まずは事業主体である大阪市において適切に判断すべきものと考えております。

穀田委員 この調子やから、注意もして、どないするかというようなことも、国が金を出さへんのやったらええよ。国民の税金を使ってやっているんでしょう。俺のところの税金はそれやったら出さへんでぐらい言ったらどないやねんと私は思いますわ。せやから、やめるべきだぐらい言って、やっていただきたい。

 最後に、ちょっと時間がないから急ぎます。カジノの問題について聞きます。

 この淀川左岸線の二期工事というのは、万博のためのアクセスルートとして万博開催に間に合わせるために前倒しで工事が行われているけれども、先ほど述べたように、全通がこのままでいくと困難になっておって、自民党の委員も質問されたように、仮設の代替路線整備を検討している。ずさん極まりない計画に大量の税金をつぎ込み、しかも、万博のためと言いながら万博に間に合わない。整備するのは、まさに万博開催後に開業が狙われているカジノのための整備だからじゃないのかというふうに思うんですが、一言。

渡辺副大臣 淀川左岸線につきましては、万博開催時には元々シャトルバスのアクセスルートとして暫定的に通行させることとしており、当初の予定どおり利用ができるよう準備を進めていると大阪市から伺っております。

穀田委員 そんなことを現地で言ったら、そんなこと言うているかいなと言うで、みんな。それはあきませんで、本当。そんなことをやっていたんじゃ、点検もできへんということになりますやんな。

 大体、カジノは賭博ですよ。簡単に言えば、ばくちですやんか。日本共産党はこの問題について一貫して反対の立場を明らかにしています。整備法、実施法にも反対してきました。地方議会においても、大阪府、大阪市議会はもちろんのこと、申請予定とされる和歌山県、長崎県でも反対の態度を貫いています。

 カジノ誘致を言い始めて以来、松井市長はカジノに税金は一切使わないと何度も明言してきました。しかし、この言葉をほごにし、大阪市は夢洲の土壌汚染、液状化対策に七百九十億円を投入するとした予算案をこの二月議会に提出しています。

 我が党の寺戸月美市議は、七百九十億円もの積算根拠も不明で、更に工事費が膨れ上がり、市の負担が際限なく増えるおそれもあると警告し、これまで大阪市が埋立地で液状化対策費を出したことはない、カジノ業者に言われるままに負担するものであり、土地の問題点が明らかになった今、夢洲へのIR建設そのものの是非を含めて問い直すべきだと主張しています。

 更に整備費が膨らむことも指摘されており、自民党の大阪市議団からも異論の声が上がって、IR誘致についていろいろな疑義があり、会派として賛否を決することができない、住民に情報公開して信を問うべきだとして、二月十日にIR、カジノ誘致についての住民投票条例案が提出されました。我が党は、経費が次々と膨らんでいく以上、市民に是非を問うのは当然だとして賛成しましたが、大阪維新の会と公明党会派の反対で否決されました。

 しかし、カジノに関しては、これまで住民アンケートでも反対の声が強く、ギャンブル依存症などの心配の声も上がっています。カジノ、IRの契約は三十五年契約。契約延長も可能で、最大六十五年の契約となる。一旦契約すれば、幾らギャンブル依存症が増えようが、犯罪が増えようが、大阪府、市の負担が増えようが、やめられるものではない。長年にわたり自治体を縛り、住民の暮らしに大きな影響を与える巨大事業だ。したがって、住民の意思をしっかり確認するのは当然のことではないですか。

渡辺副大臣 国は、各自治体から申請されましたIRの計画について認定の可否を判断する立場にありますので、御指摘のような申請を予定している個別自治体をめぐる状況についてコメントすることは、今後の計画の公正かつ中立的な審査に影響を与えるおそれがありますので、差し控えさせていただきますが、その上で、一般論として申し上げれば、IRの整備に当たっては、その必要性について地域の理解を得ることは重要であります。

 このため、IR整備法においては、都道府県等は区域整備計画を作成し国に申請するに当たり、地域の理解を得るための手続が定められています。具体的には、都道府県等は、区域整備計画を作成する際には公聴会の開催その他の住民の意見を反映させる措置、国に申請する際には議会の議決が義務づけられております。

 都道府県等から区域整備計画の申請がされた場合には、こうした地域における手続が適正に行われたかどうかについてしっかりと確認してまいりたいと考えております。

穀田委員 今、後半の方はそのとおりです。ただ、行われている公聴会は極めてずさんなものだという、これまた明らかになっていることも見ておく必要があると思います。公聴会の形式でやられただけではあきません。

 先ほども述べたように、警告しておきますよ。公聴会の数だけではありません。そこの中での反対の数だけ、賛成の数だけではありません。内容的にもしっかり盛られたのかということも含めて、どれほど住民の意見が反映されたのか。そういう意味で、私は、住民投票というのは大きな内容だと思います。

 そういうことについて、きちんとした内容を踏まえて今後やるべきだということを申し上げて、終わります。

城内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

城内委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表して、日本国際博覧会の政府代表設置法案に反対の立場から討論を行います。

 本法案は、二〇二五年に開催される大阪・関西万博に関し、開催国である日本の政府代表を外務省に置くことなどを定めるものであります。

 しかし、大阪万博をめぐっては、政府及び大阪府、大阪市が、カジノを核とした統合型リゾート、IRとセットで夢洲に誘致し、これを大阪の成長戦略の切り札としてきたものであります。

 夢洲では、既に市民が反対するカジノ誘致を前提とした巨大開発が進められています。開催期間がたった半年の大阪万博のためのインフラ整備計画として、大阪メトロ延伸や、なにわ筋線の整備、近畿圏全域での高速道路網整備など、まさに万博を口実としたカジノのための整備費用そのものであります。

 質疑でも明らかなように、淀川左岸線二期工事の整備費用は、当初予定の二・五倍にも膨れ上がっています。

 万博会場の建設費用は、当初の計画の一・五倍の千八百五十億円になるなど、当初計画よりコストが増大し、計画が進むにつれ公費負担は増しています。

 このことからも、大阪万博の夢洲開催は中止し、カジノ誘致のための関連整備計画を抜本的に見直すべきです。したがって、この大阪・関西万博に日本の政府代表を置くための本法案には反対であることを述べ、討論とします。

城内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

城内委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

城内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

城内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

城内委員長 次回は、来る二十三日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十一分散会


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