衆議院

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第6号 令和4年3月23日(水曜日)

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令和四年三月二十三日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 城内  実君

   理事 あべ 俊子君 理事 辻  清人君

   理事 宮崎 政久君 理事 武藤 容治君

   理事 青山 大人君 理事 小熊 慎司君

   理事 杉本 和巳君 理事 吉田 宣弘君

      伊藤信太郎君    石井  拓君

      上杉謙太郎君    小渕 優子君

      尾身 朝子君    島尻安伊子君

      新藤 義孝君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      中谷 真一君    平沢 勝栄君

      本田 太郎君    岡田 克也君

      徳永 久志君    太  栄志君

      松原  仁君    青柳 仁士君

      和田有一朗君    金城 泰邦君

      鈴木  敦君    穀田 恵二君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   外務副大臣        鈴木 貴子君

   外務大臣政務官      上杉謙太郎君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            堀本 善雄君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            福原 道雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   石川 浩司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 渡邊  健君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 股野 元貞君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金井 正彰君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 西永 知史君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 内野洋次郎君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           山中  修君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大澤 一夫君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            白石 昌己君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 森光 敬子君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 田中 利則君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     石井  拓君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     尾身 朝子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

城内委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長石川浩司君、大臣官房審議官徳田修一君、大臣官房審議官渡邊健君、大臣官房参事官股野元貞君、大臣官房参事官實生泰介君、大臣官房参事官金井正彰君、大臣官房参事官西永知史君、国際法局長鯰博行君、領事局長安藤俊英君、金融庁総合政策局審議官堀本善雄君、出入国在留管理庁審議官福原道雄君、財務省大臣官房審議官内野洋次郎君、文化庁審議官中原裕彦君、経済産業省大臣官房審議官山中修君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、国土交通省大臣官房審議官大澤一夫君、海上保安庁警備救難部長白石昌己君、環境省大臣官房審議官森光敬子君、防衛省大臣官房審議官田中利則君、大臣官房審議官町田一仁君、防衛政策局次長大和太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

城内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

城内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。辻清人君。

辻委員 自民党の辻清人でございます。

 このタイミングで、この場で、外務委員会で質疑をさせていただくこと、心から感謝申し上げます。

 十五分しかないので、単刀直入に、一般質疑でございますので、ウクライナのロシアによる侵略から一か月がたとうとしておりますが、そこを中心に今日は質疑をさせていただきます。

 関係省庁の皆様、この一か月、外務省を中心に本当にお疲れさまでございます。

 御案内のように、今日、この後、午後六時から、ウクライナのゼレンスキー大統領が演説をオンラインでされます。聞くところによると、その後、日本時間の午後十一時からフランスでも同じことをするということで、これで、本日をもって、G7の全ての国々での演説が終了して、明日以降、ベルギーでのG7につながるわけでございますが、これは本当に、国際秩序に対するロシアの挑戦、また力による現状変更、これは決して許されないことでございます。

 それはそれとして、ちょっと気になることがあるので外務省に質問させていただきたいのが、去る先週十六日に、今お話ししたように、ゼレンスキー大統領、米国議会での演説をされましたが、その際に、真珠湾を例に取って、リメンバー・パールハーバーと。九・一一と真珠湾、その二つの例を出して米国議会で演説をされましたが、この件につきまして、外務省は、事前にこの発言については知っていたのでしょうか。また、知らなかったとしたら、その後、何らかの形で先方にはその件についてはお話しされたのでしょうか。質問させていただきます。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 第三国の議会におけます大統領の演説ということもございまして、その内容につきましては事前に承知しておりませんでした。

 他方、いずれにしても、この演説でございますが、ゼレンスキー大統領は世界各国に向けて協力を求めており、こうした思いを私どもしっかりと受け止める、そういう話はしているところでございます。

 いずれにしても、日本を含め国際社会が協力してウクライナを支援する必要があると考えております。

辻委員 それはそうだと思います。私も全く同感ですが、一方で、今回ゼレンスキー大統領がアメリカの議会でこうした発言をしたことに、私も、二つ理由があると思うんですね。一つは、アメリカ人の琴線に触れる出来事を話して共感を得ること、そしてもう一つは、この問題を世界史的な流れにおいて多くの国々に共感をしていただくというか、問題は本当に今回深刻だということをやはり各それぞれの国の議会で、今日もこの後の演説で、我々の、日本に対する様々な要請があると思いますが、ただ、それはそれとして、真珠湾攻撃、それは今ロシアがやっているような完全な無差別な爆撃等々ではなくて、あくまで軍事施設に対する、奇襲ではあったかもしれませんが、攻撃であったので、それはもちろんこのタイミングでどうこうということではないのかもしれませんが、しっかり機会を捉まえて正していくべきだと私は思っております。

 今日、この後、限られた時間なんですが、邦人保護、また難民支援についてちょっと質問させていただきたいと思います。

 今、ウクライナにおける邦人の退避の現状、何人ぐらい残っていて、どういう状況なのか、まずお聞かせください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 在ウクライナ大使館は、在留邦人の方々に対し、自身の身の安全を最優先とした行動を取るよう呼びかけながら、出国先の入国要件等の情報提供を含む様々な形で情報提供を行っており、退避を支援しているほか、在留邦人からの個別の相談や問合せに応じてきているところでございます。

 その結果、一月時点で在留届ベースで約二百五十人の在留邦人の方がおられましたけれども、三月二十一日時点で確認されている在留邦人数は約五十人となってございます。在留邦人の方々とは連絡を取り合ってございまして、現時点までに邦人の生命身体に被害が及んでいるとの情報には接しておりません。

 政府といたしましては、在ポーランド日本国大使館及びジェシュフ連絡事務所等を拠点といたしまして、引き続き、ウクライナ在留邦人に対する情報提供、安全確保、出国支援に最大限取り組んでまいりたいと考えております。

辻委員 ありがとうございます。

 お残りになられている邦人の方々、それぞれ様々な、家族等々含めた事情で残られていると思いますが、引き続き徹底した邦人保護に尽力していただきますよう、よろしくお願いします。

 ちなみに、ロシアにおける邦人についてはいかがでしょうか。この間、外務省における様々な勧告もされておりますが、今減少傾向にあるやに聞いておりますが、また数字も含めてよろしくお願いします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナ情勢を受けまして、政府といたしましては、三月七日にロシア全土の危険情報をレベル3に引き上げるとともに、在留邦人の方々に対して商用便による出国について検討するよう呼びかけてきているところでございます。

 現時点におきましては、中東諸国あるいは中央アジア諸国等の航空会社がございまして、ロシア国内の各都市から通常運航を続けているところでございます。大使館及び総領事館では、こうしたロシアからの商用便、あるいは陸路での出国といった選択肢につきまして在ロシア日本国大使館のホームページに掲載するとともに、領事メールを発出して在留邦人の方々に情報提供を行っているところでございます。

 状況は流動的でございまして、我が国としては、引き続き、ロシアの状況について細心の注意を払い、機敏に対応して、在留邦人の安全確保に万全を期す考えでございます。

 御質問ありましたロシアの在留邦人数につきましては、三月六日時点での在留届ベースで約二千四百人でございましたけれども、最近の出国状況を踏まえて確認できた人数は、三月十七日時点で約千五百人となってございます。

辻委員 ありがとうございます。

 こちらについても、航空機の運航状況等々も日々変わっておりますので、大変だとは思いますが、こちらについても同様お願いします。

 さて、難民支援についてでございます。

 先週三月十六日に総理が難民受入れを表明されてから、官房長官をトップとしたチームが編成されて、現状、これから、またこれもそうですが、今までどれだけの、いわゆる難民、また家族の方で我が国に誰かウクライナにゆかりのある方々がいる方々で、我が国に入国をされた方々の人数を教えていただけますでしょうか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がございましたとおり、先週十八日、官房長官の下でウクライナ避難民対策連絡調整会議を開催しました。ウクライナから避難を余儀なくされ、日本への避難を希望するウクライナの方々について、同日以降いつでも受け入れ、政府一体となり、国民の理解を得ながら必要な支援を行っていくということを確認したところでございます。

 この会議を受けまして、関係省庁によるタスクフォースを新たに設置することとなりました。政府内の体制を強化し、連絡調整会議の場で確認された支援の運用の在り方を議論、調整していくこととしております。ウクライナ情勢や避難民の方々のニーズを踏まえながら、必要な支援を迅速かつ的確に行うことができるよう対応してまいります。

 外務省といたしましては、円滑な査証発給に加えまして、周辺国において、訪日希望者からの照会対応や連絡調整といった訪日に向けた支援及び国内関係機関への情報提供、訪日希望者へのフィードバックを行い、関係省庁と協力してまいります。

 お尋ねの訪日者でございますけれども、現在まで避難を目的として本邦に入国したウクライナの方でございます。総理がウクライナ避難民の受入れを表明された三月二日以降で、三月二十一日までの時点で百六十人となってございます。

辻委員 ありがとうございます。

 その百六十名のうち一人は、私、二週間ぐらい前、地元の方から連絡がありまして、ウクライナ人の奥様がいらっしゃって、介護のためにキエフに戻られた際にこういう状況になったからどうにかしてくれということで、ポーランドまでその御高齢のお母様と一緒に避難をされた後、我が国に無事に帰国されたということで、涙を流して私に連絡がありました。これも、外務省の皆様、また関係省庁が迅速に対応していただいた一つの例として紹介させていただきます。

 ただ、御案内のように、UNHCRによると、ウクライナを出国した避難民はおととい時点で三百五十六万人でございます。国内避難を含めると人口の四分の一の一千万人が今何らかの形で避難をされているという状況で、その多くが女性や子供、高齢者でございます。

 それで、一つ、これは提案というか質問なんですが、もちろん我が国に受け入れることもそうなんですが、その多くの避難民の方々がポーランド、また近隣諸国のモルドバ等に今身を寄せておりますが、我が国において何らかの形で、例えば、自衛隊機を飛ばす、医官を送る。若しくは、私のところにも多くのそういった質問があるんですが、民間の、例えば、我が国における震災等々では、医師で構成するDMATとか、そういった方々で、ウクライナ国内に行けなくても近隣のポーランドやその国々で、被災している方々、今、病院に行けない、様々な状況の中で、そういった方々に対する応援をしたいという声があるんですが、例えば、自衛隊機を飛ばす、国内は無理でも近隣諸国に飛ばすということは可能でしょうか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のロシアによるウクライナ侵略に対しては、国際社会が結束して対応することが重要であり、我が国としても、G7を始めとする国際社会と連携しながら、ウクライナ及び避難民を受け入れる近隣国に寄り添った支援を引き続き実施していく考えです。

 防衛省・自衛隊としても、先日、ウクライナ政府からの要請を踏まえ、装備品などをウクライナに提供することとし、自衛隊機によるポーランドへの輸送を実施いたしました。

 お尋ねの点は、対ウクライナ支援の検討の現況に関わることでありますので、お答えを差し控えますが、今後とも、防衛省・自衛隊としては、関係省庁と連携しながら、できる限りの支援を行っていく所存であります。

辻委員 これは本当にスピードが大事なので、今いろいろな形で物資を送っていただいていることも十分承知をしておりますが、ここで日本人が実際現地に行って、日の丸を背負って、現地にいる避難民たちに救いの手を差し伸べる、これがどれだけ彼ら、彼女らにとっての救いの手になるか。絶対にウクライナはそのことは忘れないと思います。なので、我々立法府の側でもできることがあったらそれを応援していきたいと思うと同時に、様々な困難もあると思いますが、よろしくお願い申し上げます。

 最後の質問になりますが、総理は、この週末にインドとカンボジアを訪問されました。そしてまた、今夜ですか、ベルギーにまたG7で出立しますが、こういうタイミングでございますので、特に、我が国がこの十年間尽力をしてきた自由で開かれたインド太平洋構想という考え方がありますが、そのフレームワークの中で、今のウクライナ情勢を含めて、例えばインド、ASEANの議長国であるカンボジア、訪問されたその意義について教えていただけますでしょうか。

股野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のロシアによりますウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みでありまして、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為、明白な国際違反でありまして、厳しく非難するところでございます。今回のウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更を、インド太平洋、とりわけ東アジアで許してはならないという考えでございます。

 その観点から、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性が一層高まっておりまして、委員御指摘のとおり、特に、インド太平洋地域は、世界の人口の半数を擁する世界の活力の中核である地域でございます。この関連で、今年、今月の十九日から二十一日にかけまして、岸田総理はインド及びカンボジアを訪問しまして、その際、岸田総理は、両国との間で、力による一方的な現状変更をいかなる地域においても許してはならないということを確認し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を一層促進していく重要性をしっかりと確認したところでございます。

辻委員 これで質問を終わりますが、今日の、この後行われる予定であるゼレンスキー大統領の演説も含めて、私は、これは私見ですが、地政学的な要因も含めて、我が国の安全保障、また、我が国のみならず世界史的な大きなインパクトが今起こりつつあるこの一月、我が国にとっても、また国民にとっても、今後の我が国の進路、安全保障上も、どういう形でこの国を運営して、何を守って何をすべきかという大きな問いが、今、我が国に投げかけられているというふうに思っています。

 そういった緊張感の中で、これからしっかりと我が国を支えてまいりたいと思うと同時に、政府に対するエールを送らせていただきます。

 ありがとうございます。

城内委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 質疑の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 ウクライナ人道支援と避難民の受入れについて質問いたします。

 まず、人道支援の観点から質問いたします。

 UNHCR、国連難民高等弁務官事務所によると、ウクライナからの避難民は、先ほどの辻先生のお話にも出てまいりましたが、おとといの時点で三百五十六万人を超えました。国連人道問題調整事務所、OCHAによると、人身売買や性的搾取の危険が飛躍的に高まっているとのことでございます。UNHCRのグランディ難民高等弁務官が、第二次世界大戦後のヨーロッパで最速のペースで増加する難民危機と指摘するように、今世紀最大とも言える人道危機に直面しています。

 このような事態に対し、日本としても、各国や国際関係機関等と連携し、必要な人道支援に努めていかなければならないと存じます。

 こうした中、日本として、一億ドルの緊急人道支援や第三国に避難したウクライナ避難民の受入れを表明したことは、国際社会や日本国民からも高く評価されていることと確信いたします。公明党も、この政府の取組を強く支持いたします。

 しかし、ロシア軍によるウクライナへの侵略は、いまだやむことなく続いています。

 そこで、まず質問をさせていただきます。

 国難に直面するウクライナ人の生命と安全を確保するためには、住まいや食料、医療品などの生活必需品の確保は言をまたず、精神的ケアを含めた医療体制の整備など、国際機関を通じたウクライナ国内や受入れ周辺国での人道支援を財政面も含めて更に強化する必要があると考えますが、鈴木副大臣の受け止めをお聞かせください。

 また、性暴力から女性を守るための対策や、妊婦が安全に出産できる環境を整備するとともに、子供の健康支援などにも留意する必要があると考えますが、併せて御答弁願いたいと思います。

鈴木副大臣 三月十一日に決定をいたしました一億ドルの緊急人道支援は、現地で活動するユニセフ、UNHCR、ICRC、WFP等の国際機関及び日本のNGOを通じて、ウクライナ国内で影響を受けている全ての人々、そしてまた周辺国に避難をしているウクライナの人々に対して、緊急性の高い分野で人道支援を実施するものとなっております。

 また、支援の内容は、国際機関からのアピール、いわゆる支援要請を基に、国際機関と調整をした結果を踏まえたものとなっております。具体的には、精神的ケアのためのカウンセリング、生理用品やミルクを始めとする女性、乳幼児向けの援助物資の配布、乳幼児健診、性的及びジェンダーに基づく暴力の予防等が含まれております。

 また、日本のNGOも同様の支援を検討しております。

 ロシアによる侵略が継続する中、現地の状況悪化を受け、ウクライナにおける人道支援ニーズが高まっていること、また、ウクライナからの避難民を受け入れている周辺諸国が困難な状況に直面をしていることを踏まえまして、三月の十九日、岸田総理から、ウクライナ及び周辺国に対する人道支援を更に追加していくことを表明をいたしたところであります。

 追加的な支援の具体的な内容について、まさに今調整中でありますが、引き続き、女性や子供に寄り添った支援となるように対応してまいります。

 また、委員から具体的に言及のありました、妊婦が安全に出産できる環境の整備、非常に重要な点だと思っております。しっかりと対応するように、国際機関、そしてまたNGOとの間でしっかりと調整をしてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 よろしくお願いします。

 次に進みます。

 国外に避難したウクライナ避難民の多くは、近隣諸国や同じヨーロッパ内にとどまる可能性が高いことから、避難民支援については、周辺国政府と連携を図るとともに、必要に応じて周辺国への支援を行うべきと考えます。

 特に、EUに加盟していないモルドバは、経済的に決して裕福でないとお聞きしましたが、モルドバも含めて、周辺国への支援について、鈴木副大臣から御答弁願いたく存じます。

鈴木副大臣 一億ドルの緊急人道支援でありますが、委員御指摘のとおり、周辺国、特にモルドバほかポーランド、ハンガリー、スロバキア、そしてまたルーマニアに避難をした人々に対する支援を含むものであります。

 モルドバについてでありますが、十六日には、日本、モルドバ、電話で外務大臣レベルの会談も行ったところでありますし、また、三月の十七日に行われましたG7の緊急外相会談におきましても、モルドバ支援の強化の必要性について一致をしたところであります。

 また、モルドバへの緊急人道支援、保健医療分野の支援ニーズ調査のほかに、人道危機に対応する医療データの管理システムというものの立ち上げ支援をWHOと連携して行うべく、JICAが三月の十九日に、医療専門家等から成る調査ミッションをモルドバにも派遣をいたしました。

 十九日に、先ほども述べさせていただきましたように、岸田総理が追加の緊急人道支援の表明、これもさせていただいたところであります。この追加支援においても、まさにこのモルドバを含む周辺国との連携というものを図ってまいりたいと思います。

 また、モルドバ自体に対する支援についてでありますが、JICAの調査ミッションの活動も踏まえて、迅速に検討してまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 よろしくお願いいたします。

 次に進みます。

 次に、日本国内からは、日本のNGOが既にウクライナ近隣諸国で避難民支援の準備に当たっておられます。尊い取組に感謝と敬意を表するものであります。

 そこで、今後の政府の人道支援についても、国際機関のみならず、ジャパン・プラットフォームなどのNGO経由の支援も引き続き行っていただきたく存じますが、鈴木外務副大臣から御答弁を願います。

鈴木副大臣 先般から出ておりますこの一億ドルの緊急人道支援、その中の約十五億円分が、ジャパン・プラットフォーム経由で、日本のNGOを通じて実施予定であります。

 これまで、難民を助ける会を始めとする十を超える日本のNGOより、ウクライナ及び周辺国における避難民支援についての計画があるとの情報が寄せられておりまして、このJPF、ジャパン・プラットフォームを通じて速やかに支援を実施すべく、準備を進めさせていただいております。

 NGOを通じての支援というものは、まさに現地のニーズというものをつぶさに把握してくださる、きめ細かく対応していただけるほか、まさに日本の顔が見える支援というものに直結するものだ、このように思っております。

 このNGOを通じる支援のメリットを最大限に生かしながら、引き続き、ウクライナ及び周辺国に対する支援において、日本とNGO、緊密に連携をしてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 NGO団体との緊密な連携、本当に是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、避難民の受入れの観点から質問をいたします。

 その前に、まず、日本に在留するウクライナ人についてお聞きしたく存じます。

 現在、日本には二千人弱のウクライナ人がおられるとお聞きをいたしました。在留資格が切れるからといって形式的に送還手続に入るようなことがあっては断じてならないと思っております。

 そこで、日本に在留するウクライナ人については、その安全と安心を確保するために、在留資格の適切な延長などを実施していただきたく存じます。特に、本人の意思に反して決して送還しないような取組を努めていただきたく存じますが、法務省から答弁を願いたいと思います。

福原政府参考人 お答え申し上げます。

 現下のウクライナ情勢を踏まえ、帰国に不安を抱く在留ウクライナ人の方々について、引き続き日本国内にとどまることができるよう在留期間の更新を認めるなどの措置を講じており、そのことについて入管庁のホームページでも御案内しております。また、退去強制命令書の発付がされている方についても、本人の意思に反して送還は行わないこととしております。

 今申し上げた対応は、ウクライナにおける情勢が改善していないと認められる間は同様に行うこととしております。

 在留ウクライナ人の方々の置かれている状況に十分配慮しながら、在留許可の判断を適切に行ってまいります。

吉田(宣)委員 母国が大変なことになっている思いを、ウクライナの方、日本におられて安全ではございますが、大変な思いをされていることは、思いを致すと本当に心が痛くなるところでございます。是非適切な運用に努めていただきたいと思います。

 次に進みます。

 今後、難民の数は更に拡大する可能性が高いと考えられます。日本に親族や知人がいなくても、日本への入国を希望する避難民も出てくるのではないのかなというふうに思っております。そこで、日本における避難民の受入れについては、迅速かつ更なる対応が求められてくるのではないかと思います。

 そこで、ウクライナから日本に入国を希望する避難民に対しては、その者への個別対応とはせずに、日本に親族や知人がいない避難民であっても受入れや保護が迅速かつ円滑に進むよう、既に実はその方針も示されていますが、日本国内での身元保証人を不要としたり長期滞在可能な在留資格を付与するなど新たな制度を構築すべきと考えますが、法務省のお受け止めをお聞かせいただければと思います。

福原政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナからの避難民の方々を迅速かつ円滑に保護することは重要と考えております。

 こうした避難民の方々の我が国への受入れを進めるため、先週十八日、官房長官の下で、ウクライナ避難民対策連絡調整会議第一回会合が開催されました。この会議を司令塔として、その下に設置されたタスクフォースで詳細を詰めつつ、政府一体となってウクライナ避難民の円滑な受入れと生活支援を行ってまいります。

 まずは日本に知人や親族がおられる方の受入れを進めていきますが、それにとどまらず、日本に親族や知人がおられない方についても、人道上の観点から対応していきます。

 また、入管庁におきましては、ウクライナから我が国に避難してきたウクライナの方々が就労を希望する場合に、特定活動の在留資格への変更を認める措置を講じることといたしました。ウクライナ情勢が改善していないと認められる間は、申請があれば在留期間の更新を認める方針であります。

 入管庁としては、関係各省庁と緊密に連携しながら、しっかりと取組を進めてまいります。

 なお、こうした実務上の新しい取組以外に、委員御指摘の、ウクライナからの避難民の受入れに関し改めて新たな制度を構築するかについては、その要否も含め、関係省庁と連携して適切に検討してまいります。

 以上です。

吉田(宣)委員 新たな制度というのを私が申し上げるのは、やはり、日本の入国管理審査というのは非常に厳格で厳しいというふうに私は思っておりますので、こういった、世界が本当に一致団結をして協力をしなければいけない、そういったさなかでございます、是非、円滑で迅速な対応が可能となるような、また、関係各所、省庁間の連携もお願いしたく存じます。

 最後に、受け入れたウクライナ難民の方の立場に立って質問をさせていただきます。

 日本に長期滞在する可能性が非常に高いのではないのかなというふうに思っています。ウクライナの避難民が地域に溶け込める体制づくりも非常に私は重要であるというふうに思います。そして、身寄りや知人、そういった方がおられなく、心細く日本に入国されてこられる。しかし、日本を希望されてこられる、そういう方であれば、私の私見で、推測でございますけれども、日本に来たときに一生懸命日本語を勉強したいというふうに望まれるのではないのかというふうな気がしております。

 そこで、日本語を積極的に学びたいと考えるウクライナからの避難民の方に対しては、日本語の無料レッスンとかそういったものを無償で日本語を学ぶ機会として提供すべきではないのかと考えますけれども、文部科学省の御答弁をお願いしたく存じます。

中原政府参考人 我が国への在留が認められたウクライナからの避難民の方が円滑に社会生活を送るためには、委員御指摘のとおり、日本語の学習を希望される方々に日本語教育の機会が提供されることが重要というふうに考えてございます。

 ウクライナからの避難民については、十八日に開催されたウクライナ避難民対策連絡調整会議におきまして、法務大臣より、日本に一定期間在住を希望する者に対し、半年程度の日本語研修等を行った上で生活を始めていただく事業を実施するとの方針が示されたものというふうに承知をしております。

 文部科学省としては、これまでのノウハウを生かしまして、今般法務大臣より表明された事業において、必要に応じて法務省と連携を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

吉田(宣)委員 避難民の苦難はまさに始まったばかりだというふうに思います。これから、まだウクライナ情勢、流動性が非常に高いわけでございますけれども、一定程度、かなり長い期間、この避難民の皆様のための施策というものを講じていく必要があるというふうに思っております。

 事態をしっかり政府として注視をしていただきたく存じますし、私自身も、人道的支援の立場から、しっかりこのウクライナの人たち、苦しんでおられる方々の身になって取組を進めさせていただきたくお話を申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、松原仁君。

松原委員 今日は、夕刻にゼレンスキー大統領の国会におけるズーム演説もあるということであります。

 私、今回のウクライナにおける戦争というものは、一つの大きな衝撃であるだけではなく、やはりそういったことを権威主義の国家はやるんだな、こういうふうに、強い怒り、憤りを感じているわけであります。

 今回のこのウクライナ問題をもちろんこれから扱うわけですけれども、それが、じゃ、我が国の場合はどうなんだろうか。同じようなことが起こらないとは全く言えないわけであって、今回のプーチンのやっていることを見ると、あり得ないことを彼はやっているわけでありますから、同じようなことを権威主義の国家というのはやる可能性がある、このように思っております。

 私の今日の質問の本質的な部分は、今回のウクライナ危機を見て、G7の国々を中心として、法の支配、そして自由、人権を尊重する、その共有の価値観を持つ国家が団結をして、経済制裁をしたり、犯罪者の個人資産の凍結、あえてプーチンを含めて犯罪者である、このように断じておきたいと思っておりますが、犯罪者の資産の凍結を行っているわけであります。

 私は、これから、そういった権威主義の国家というのは世界に幾つかしかないわけでありまして、そういった国家がほかの国に対して、もちろん日本に対しても、日本の様々な領土、領海に侵入をし、そういったウクライナ的な、ウクライナにおけるような状況を現出する場合に、我々は、事前に彼らに対して、ロシアがやったことと同じような犯罪者に対しては資産凍結等をするぞというコンセンサスをつくっておく。これが我々の、自由と人権と法の下の平等を共通の価値観とする国家における、ある種、権威主義国家の横暴、暴走、独裁に対する安全保障だろうと私は思っております。これをつくるということを是非とも今日は皆様に提言をしたいということで質問に入っていきたいと思います。

 まず、米中会談についてでありますが、アメリカは中国がロシアに対して経済支援するときには制裁の対象とするというふうに考えているかどうか、これについてお伺いいたします。

實生政府参考人 お答えいたします。

 先般行われた米中首脳オンライン会談においては、バイデン大統領から習近平主席に対して、ウクライナの都市や市民に対して残忍な攻撃を行っているロシアに、仮に中国が物的支援を提供した場合の影響と代償について説明したというふうに我々承知しております。

松原委員 この物的な支援というのは、これは具体的にどういうものと想起されるか、お伺いしたい。

實生政府参考人 お答えいたします。

 米側が明らかにしているところはまさに今申し上げたような言いぶりによってでありまして、これは米国と中国という第三国間の会談であって、そこで意味するところ、背景等について我が方としてコメントするということは差し控えたいと思います。

松原委員 これは、中国とロシアというのは、今私が申し上げたように、極めて独裁色の強い国家だろうと。後でこれも、文脈の中で、我々はそれを当然そのように考える理由も説明をさせてもらいますが、この中国とロシアの関係に関して、バイデン氏は、物的な支援をする場合、この中身が分からないけれども、代償を払わすことがある、こういう警告を発したというふうに承知をしております。

 アメリカが中国に代償を払わせるとした場合、その代償の中身にもよりますが、ここまで来ると外務省はお答えにならないかもしれないが、日本は日米同盟の国家として当然米国とともにその代償を払わせることがあるかどうか、お伺いしたい。

實生政府参考人 お答えいたします。

 仮定の質問にお答えするということは差し控えますけれども、いずれにせよ、ロシアによるウクライナ侵略については、今こそ、国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会が結束して毅然と対応することが必要であり、米国を始めとする同志国と連携して、中国に対しても責任ある行動を求める、そういう所存でございます。

松原委員 要するに、アメリカと一緒にやりますよ、こういうことを今おっしゃったわけであります。

 さて、今回のウクライナ戦争についてでありますが、国連安保理常任理事国、大体、核保有国ですね、全て。ロシアが侵略行為を行った今回のウクライナ戦争を見ると、いわゆる、これは実際もう一か月近く続いているわけでありまして、安保理の常任理事国がこういった犯罪的行為をした場合に安保理は機能していない、このように考えているわけでありますが、このような国連でこれからの世界の平和を維持できるとお考えなのか。やはり、これは少し国連の中の改革をする必要があるのではないか。

 漠然とした思いでも結構ですが、当然、日本の立場から、大臣、御答弁をいただきたい。

林国務大臣 国連でございますが、さきの大戦後に、二度と戦争を起こさないための組織として創設されたわけでございますが、常任理事国には拒否権があり、特に、米ソ冷戦時代には、国連が国際の平和と安全の維持の機能、これを果たすことができなかったわけでございます。

 国際社会の平和と安全に大きな責任を持つ国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアの暴挙、これは、こうした国連が抱える問題を改めて提起するものでありまして、新たな国際秩序の枠組みの必要性、これを示していると考えております。

 安保理改革については、我が国は長年安保理改革の必要性を訴え、積極的に活動してまいったわけでございます。今般、トルコとUAEを訪問してまいりましたけれども、それぞれの外相会談においても、この安保理の問題点については提起をしてきたところでございます。

 各国の複雑な利害が絡み合う安保理改革、これは簡単ではありませんが、岸田政権の下で、引き続き、多くの国々と協力し、日本の常任理事国入りを含む安保理改革の実現、これに全力を挙げてまいりたいと考えております。

松原委員 現実には、常任理事国、五つの大国が責任を全うできませんでしたといって、なかなか荒唐無稽だというふうに言われるかもしれないが、安保理が一定のいわゆる問題解決能力を示すには、五大国が拒否権を持っているということが完全にネックになっている、多数決でやるというのは、どこまでリアリティーを持つかどうか分からないけれども、やはり五つの常任理事国が、こんな犯罪的な行為をしているわけですから、これははっきり言って、そこが拒否権を持たなくなるということが最大の安保理改革だと思っております。

 次の質問。

 バイデン大統領は、第三次世界大戦を招来させたくない、こう言って直接介入はしないわけであります。これだけの悲惨な状況で、まさに国連のそういった本来の使命を十分に果たし切れない部分があって、第三次世界大戦は怖い、これは具体的にどういうイメージでしょうか、外務省。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国としまして、バイデン大統領が述べます第三次世界大戦について御説明することは、そういう立場にはございませんけれども、その上で申し上げれば、バイデン大統領は、アメリカがウクライナをめぐってロシアと武力衝突に至ることを指して第三次世界大戦という表現を使っているものと承知しております。

松原委員 そこまで全部ぼやかしてしまうと、この委員会の意味が私は非常に薄れてしまうので、もうちょっと言ってもらわなきゃいかぬわけですよ。

 大体、第一次世界大戦、第二次世界大戦というのがあって第三次と言っているんだから。第一次、第二次の世界大戦を一つの、こういったものだというのがあれば、その延長線上で第三次と言っているのであって、それを、そんな木で鼻をくくったような答弁をしていたら、この外務委員会での質疑は意味があるのかという話になってしまうので、そういうことはおっしゃらないようにしてもらいたいと思います。

 さて、アメリカは、国連安保常任理事国であり、かつ核保有であるロシアに対して抑制的な対応しかできていない。今言ったように、第三次世界大戦は困るということであります。

 今後、常任理事国の中からならず者国家が現れた場合、アメリカは抑制的な対応しか取らないのであれば、ならず者国家が自分の目的を達成することが阻止できなくなる。こういったリスクに対してどうお考えか、大臣の御所見をお伺いしたい。

林国務大臣 必ずしも、仮定の御質問のような感じもいたしますが、ならず者国家というものが何をするかという中で、我々の方から考えますと、日本の領土が侵略をされるような場合というふうに仮置きした上でお答えをいたしますと、アメリカは累次の機会に、日米安保条約の下での自国の対日防衛義務を確認してきております。本年一月の日米首脳テレビ会談においても、バイデン大統領はこの点を改めて表明をされております。また、今年の一月に行いました日米2プラス2においても、米側から、核を含むあらゆる種類の能力を用いた日米安保条約の下での日本の防衛、これに対する揺るぎないコミットメントが改めて表明されておりまして、日本政府として、米国が条約上の義務を果たすということに全幅の信頼を置いておるところでございます。

松原委員 そうなんですが、もっと一般の国民に分かりやすい言語でちょっとお答えいただきたい。今のお話はもっと分かりやすくかみ砕いて言ってもらいたいわけでありますが、日本の領土が国連安保常任理事国から侵略された場合、アメリカは、ウクライナにおける対応と異なって、戦闘に参加する、こういうふうに大臣は考えているということを確認したい。

林国務大臣 我が国を侵略するということが国連安保理常任理事国によって行われる場合であろうとなかろうと、米国は、先ほど申し上げましたような、安保条約の下での対日防衛義務というものを持っておりますので、そうした意味で、先ほど申し上げましたように、核を含むあらゆる種類の能力を用いた日米安保条約の下での日本の防衛、これに対する揺るぎないコミットメントが表明をされておるということでございます。

松原委員 次の質問ですが、今回、ロシアによる市民の攻撃で、避難場所である学校等が破壊され、多くの死傷者が発生していると言われております。これはジェノサイドに当たるかどうか、お伺いしたい。

林国務大臣 我が国として、ウクライナにおいて多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めております。

 国際刑事裁判所、ICCに関するローマ規程上、ジェノサイド、集団殺害犯罪とは、国民的、民族的、人種的又は宗教的な集団の全部又は一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う殺害などの行為とされておりまして、そうしたジェノサイドがあったかどうかについては、現地の状況等を把握する必要があり、確定的なことは申し上げられませんが、国際刑事裁判所、ICCの検察官による捜査や今後の事態の展開を注視していく考えでございます。

 我が国としても、三月二日の国連総会決議及び三月四日のG7外相会合共同声明、また、並びにその後の更なる戦争犯罪の懸念の高まりを踏まえて、ICCの捜査への支持を明確化する観点から、今次事態をICCに付託をしたところでございます。

松原委員 ICCが判断するということですが、ジェノサイドのおそれがあるということは私は日本の政府はやはり言うべきだと思うので、やはり、それぐらいのことを言っていかなければG7の中においての我々の立ち位置というものは維持できないと思っております。

 答弁はそれ以上の答弁がないかもしれませんが、外務省の事務方から何か答弁ある、大臣が答弁されたから答弁できない、これ以上。確認。首を横に振っているけれども、手を挙げてこっちに来て答弁して。

徳田政府参考人 今、大臣からお答えをしたとおりでございます。

松原委員 これが一番日本の駄目なところなんですね。やはり、日本の国としての主体的な意見表明がないというところが最も問題だと思っております。

 次に、今回のウクライナ侵略を踏まえれば、今後、インド太平洋地域や東アジアにおいて、日本は当然入っています、同様の事態が発生する、日本において発生することは否定できない。あり得ないことが今起こっていますから。

 その上で、我が国は専守防衛を掲げているが、今回のような他国からの攻撃に際して防衛省・自衛隊はしっかり対応できるかということをお伺いしたい。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国に対して武力攻撃が発生し、武力行使の三要件が満たされる場合、我が国は、当該の武力攻撃を排除するため、自衛権の行使として武力を行使して対処することになります。

 御指摘の専守防衛については、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢でありまして、このような我が国の防衛のための武力の行使は、専守防衛の考え方とも整合するものです。

 その上で申し上げますが、我が国の領土、領海、領空、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは政府の最も重大な責務であります。

 今回のウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更を、インド太平洋、とりわけ東アジアで許すわけにはまいりません。今回のウクライナ侵略をしっかりと分析し、新たな国家安全保障戦略等を策定し、国民の命や暮らしを守り抜くため、我が国の防衛力を抜本的に強化してまいります。

松原委員 ウクライナのように自国の領域に他国の軍隊が一方的に侵入してきた場合、今おっしゃったように、その排除のためには当然実力行使を行う、こういうことであります、できるということであります。この場合、武力攻撃の発生を認定するための、組織的、計画的な攻撃が行われているということを判断するのは一体誰であるか、お伺いしたい。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のウクライナ侵略と同様の事案が日本に発生するという仮定の質問にお答えすることは困難でありますが、その上で、一般論として申し上げれば、我が国に対して武力攻撃が発生し、武力行使の三要件が満たされる場合、自衛隊は当該の武力攻撃を排除するため武力を行使して対処することになります。我が国に対する武力攻撃とは、基本的には、我が国の領土、領海、領空に対する組織的、計画的な武力の行使をいうものです。

 武力攻撃事態に至ったときは、事態対処法第九条などに基づき、政府は、事態の経緯、事態の認定及び当該認定の前提となった事実などを明記した対処基本方針案を作成し、国家安全保障会議の審議を経て閣議決定をすることとなります。さらに、その後、これについては直ちに国会の承認を求めることになります。

松原委員 この部分で、どこかの国が、どこかの国連安保理常任理事国が日本に対して攻撃をするということが事前にインテリジェンスで分かっているときには、そのインテリジェンスを用いて、当然これに対してあらかじめ対処するような即応態勢が取れるかどうか、また同時に、サイバー攻撃というものが当然想定されますが、もし今お答えできる範囲であれば、この部分についても答弁いただきたい。

大和政府参考人 これも一般論になりますけれども、あらゆる事態に準備をして、かつ、どのようなことが起こっても対処できるように準備をするということは当然のことであります。

 それから、サイバー攻撃の御質問がございましたが、もし御質問がサイバー攻撃だけで武力攻撃になり得るのかということであるとすると、一般論として申し上げれば、物理的な攻撃と同様な大きな被害が生ずるような場合であるとか、そういった場合には、そのサイバー攻撃が我が国の武力行使の前提となる相手による武力攻撃を構成することもあり得るというのが、一般論でございますが、政府の立場であります。

松原委員 今回、ウクライナ攻略で、ロシア兵の戦死者は千人単位であります。日本国内に侵入してきた敵部隊をせん滅、そして殺傷、排除するということは、専守防衛の範囲内で行うことができるという認識でよろしいということだろうと思っております。

 その上で、我が国の自衛隊等の反撃によって撤退中の敵部隊、ただ、この状況は、敵が日本に対しての攻撃をまだ継続しているということでありますが、当然、その攻撃というのは可能である、この認識で間違いありませんか。

大和政府参考人 これも一般論になりますけれども、我が国に対して武力攻撃が発生し、武力の行使の三要件が満たされる場合、そして、当該の武力攻撃が継続しておれば、自衛隊はこれを排除するため武力を行使して対処することが可能であります。

松原委員 つまり、今のウクライナで起こっているウクライナ軍の反撃に関しては、同様のことが日本でできるということを私は今の議論から確信をしているわけでありまして、その上で、実際に日本においてこのようなことが起こる可能性に関しては、これは未知数でありますが、こういったことを含めて、我々は、ミサイルやサイバー攻撃等が行われる可能性があると。

 また、今、テクノロジーの進化によって戦争の形態というのは大きく変わってきている。テクノロジーの進化によって、従来と違って、はるか遠方から日本に対するミサイル攻撃もできるようになる。一発目のミサイルが来て、二発目、三発目のミサイルに対して何もしないで日本における様々な被害を受けるのを甘んずることもできないだろうということ、あえて言うならば、先制攻撃ではない部分において敵基地攻撃能力も議論をしていくべき時期に来ているということを申し上げ、次の質問に移ってまいりたいと思います。

 次は、尖閣諸島についてお伺いしたい。

 尖閣諸島については、極めて、国連安保理常任理事国である大国である中国が、我々に対して様々な行動を取ってくる可能性がある、日本の領地、領海を侵す可能性があると私は思っております。

 この尖閣諸島の歴史的経緯について、江戸時代から、一九四五年、日本が敗戦をして米国が統治下に置くまでのプロセスを簡単に御説明いただきたい。

實生政府参考人 お答えいたします。

 尖閣諸島については、一八八五年以降、日本政府が沖縄県当局などを通じて再三にわたり現地調査を行った結果、単に無人島であるだけでなく、清国を始め、どの国の支配も及ばないことを慎重に確認したものです。その上で、日本政府は、一八九五年一月十四日に閣議決定を行い、正式にこれを日本の領土に編入しました。この行為は、国際法上、正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています。

 一八九六年には、民間の実業家が明治政府の許可を得て尖閣諸島の本格的な開拓を開始しました。これによって多くの日本人が尖閣諸島に居住し、漁業を中心に、かつおぶし工場や羽毛の採取などに従事することになりました。このように、明治政府が尖閣諸島の利用について個人に許可を与え、許可を受けた者がこれに基づいて同諸島において公然と事業活動を行うことができたという事実は、同諸島に対する日本の有効な支配を示すものです。

 第二次世界大戦後、日本の領土を法的に確定した一九五一年のサンフランシスコ平和条約において、尖閣諸島は、同条約第二条に基づいて日本が放棄した領土には含まれず、同条約第三条に基づいて南西諸島の一部として米国の施政権に置かれました。

 一九七二年発効の沖縄返還協定によって日本に施政権が返還された地域に尖閣諸島が含まれており、尖閣諸島は、戦後秩序と国際法の体系の中で一貫して日本の領土として扱われてきたものです。

 以上です。

松原委員 そうなんですよ。中国は一貫して、アメリカの統治下のときに、どうも、これはどうだこうだという話はしていない。

 非常に問題なのは、何で、沖縄返還と同時に尖閣が日本に移管されたときに、ここに対して適切な管理をしてこなかったのか。この瞬間に適切な管理をしてくれば、中国がこんなふうないちゃもんをつけることはなかったと私は思っております。

 何で適切な管理をしてこなかったのか。そのときの担当大臣は林さんじゃないけれども、外務省という流れの中では一体性を持っているという認識の中で、なぜ適切な管理をしてこなかったのか、大臣、お答えいただきたい。

林国務大臣 尖閣諸島及び周辺海域、これを安定的に維持管理するための具体的な方策につきましては、様々な対応がありますが、尖閣諸島が我が国固有の領土であるということは歴史的にも国際法上も疑いがなく、現に我が国はこれを有効に支配をしております。このことは、御指摘今ありましたような対応があったか否かにより変わるものではないというふうに考えております。

松原委員 答えになっていないんですよ。適切な管理をしてこなかったので。そのときの担当大臣はそのときの大臣でしょうから、これ以上林さんに言ってもなかなか答えられないと思いますが、この間の外務省、外務省も今の外務省の皆さんは世代が替わっていると思うけれども、こういうときに、本当は最初に、初動で何らかの行動をするべきだったと僕は思うんですよ。非常に残念でありますが。

 尖閣のリスクに関してでありますが、これは海上保安庁にお伺いしますが、中国海警局に所属する船舶の活動及び海上保安庁の対応、簡潔にお願いします。

白石政府参考人 お答えします。

 尖閣諸島周辺海域においては、ほぼ毎日、中国海警局に所属する船舶が確認されています。海上保安庁では、常に尖閣諸島周辺海域に巡視船を配備して領海警備に当たっており、中国海警局に所属する船舶への対応については、相手勢力を上回る巡視船で対応するなど、万全の領海警備体制を確保しております。

 また、我が国領海に接近する中国海警局に所属する船舶に対し、領海に侵入しないよう警告を実施するとともに、領海に侵入する中国海警局に所属する船舶に対しては、領海からの退去要求や進路規制を繰り返し実施し、領海外へ退去させております。

 尖閣諸島周辺海域における情勢は依然として予断を許さない厳しい状況にありますが、海上保安庁では、引き続き、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と緊密に連携し、冷静に、かつ毅然として対応を続け、領海警備に万全を期してまいります。

松原委員 ちょっと、時間が大分なくなってきたので、尖閣の他の質問は次回の質疑に移したいと思います。

 ここで、いわゆる国連海洋法条約についてでありますが、この国連海洋法条約については、後でまた内容は別の機会に議論できると思うんですが、日本側のいわゆる排他的経済水域二百海里にある海底地下資源はどのぐらいあるのか。量的な分野に関して、経産省、お願いします、資源エネルギー庁。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の排他的経済水域を含む、いわゆる日本近海におきます石油、天然ガスの埋蔵量についてでございますけれども、これまでのところ、原油に関しましては二十六万キロリットル、これは日本の消費量の約半日分でございます、天然ガスは約二億立方メートル、これは消費量の約一日分でございますけれども、の埋蔵が確認されてございます。また、今後の資源探査活動を通じまして更に埋蔵量が増加することも見込まれてございます。

 さらに、非在来型の天然ガス資源の一種でありますメタンハイドレート、これも、太平洋側に賦存している砂層型と言われるものに関しましては、日本の消費量の約十年分の存在が確認されております。

 加えて、レアメタル等の海洋鉱物資源についても、現在、資源埋蔵量の把握を進めているところでございますけれども、例えば、レアアース泥に関しましては、南鳥島沖周辺に相当量の存在を確認して、現在、更に追加の調査を内閣府において進めているところでございます。

 以上です。

松原委員 ちょっと答弁としては不十分なんですが、要するに、すさまじい量の海洋地下資源がある、エネルギー源もあれば、また、様々なメタンハイドレート以外のレアメタルの場所もあると。

 これがどれぐらいあるか分からないという、これはまた問題でして、もっとちゃんと調べてほしい、もっと早く調べろということですよね。やはりそれは政府がやっていかなきゃいけない。そこを逆に、先に何か、中国の何かが日本の地下資源を調べるようなことがあってはいけないと私は思っておりまして、これは、メタンハイドレートを含むレアメタル資源等に関しても、もっと徹底的に日本政府は調べる努力をするべきだろうと思っております。

 その上で、日本側の主張と中国側の主張、排他的経済水域、どうなっているか、簡潔にお答えください。

實生政府参考人 お答えいたします。

 東シナ海における排他的経済水域についての主張の違いということだということで、お答えいたします。

 我が国は、国連海洋法条約の関連規定に基づき、領海基線から二百海里までの排他的経済水域及び大陸棚の権原、これはある行為を正当化する根拠みたいなものだと思っていただければと思います、この権原を有している。東シナ海を挟んで向かい合っている日中それぞれの領海基線の間の距離は四百海里未満であるので、双方の二百海里までの排他的経済水域及び大陸棚が重なり合う部分について、日中間の合意により境界を画定する必要があります。

 国連海洋法条約の関連規定及び国際判例に照らせば、このような水域において境界を画定するに当たっては、中間線を基に境界を画定することが衡平な解決になるというふうにされている。

 これに対して、中国側は、東シナ海における境界画定について、大陸棚の自然延長、大陸と島の対比などの東シナ海の特性を踏まえて行うべきであるというふうにしており、中間線による境界画定は認められないとした上で、中国側が想定する具体的な境界線を示すことなく、大陸棚について沖縄トラフまで自然延長している旨主張しています。

 しかし、国連海洋法条約の関連規定及び国際判例に基づけば、大陸棚を沖縄トラフまで主張できるとの中国の考えは根拠に欠けると我が方としては考えております。

 このような前提に立って、これまで我が国は、境界が未画定の海域では少なくとも中間線から日本側の水域において我が国が主権的権利及び管轄権を行使できるとの立場を取ってきています。これは、中間線以遠、そこより遠い部分の権原を放棄したということでは全くなく、あくまでも境界が画定されるまでの間は取りあえず中間線までの水域で主権的権利及び管轄権を国際法に従って行使するということであります。

 以上です。

松原委員 一般的にはそうなんですよ。ただ、常識的には、従来の慣例的なものでいくと、中間線が画定していない排他的経済水域における資源開発というのはなかなかできない、こういうふうな認識であります。

 私がこの外務委員会で、二十年ぐらい前ですかね、質問したときに、ちょうど白樺の、中国が採掘をしていた、このことに関して外務委員会で私は質問したわけでありますが、どうなっているんだ、こういう話をしたら、中国側は中国側の認識で、常識的には中間線が画定していないところは資源開発はしないんだけれども、やっているようですという答弁があったわけでありますが、ちょっと確認しますが、二十年前の中国のガス田開発、これに関しては中国側からどのような説明が日本にあったんでしょうか。

實生政府参考人 お答えいたします。

 済みません、御質問のその部分につきまして、当時、中国がどういった説明、合理的なことを言ったのかどうなのかということについて、ちょっと手元に情報がございませんので、済みません、ちょっとこの場でお答えが難しゅうございます。

松原委員 このガス田開発が中国によって行われた、やはりこれは、一方的にガス田開発を日本側の主張と中国側の主張が妥結をしていない段階でやったということは、当時においては非常に納得できないものだと私は主張した記憶がありますが、そういう中において、今後、中国が日本側のEEZの中でそういう採掘はしないというのが常識的なことでありますが、仮にそれが行われた場合、どういうことになるのかということをお伺いしたいわけであります。

 日本の排他的経済水域において、中国が一方的な資源開発を行う事態が生じた場合、我が国の領海外であるものの、我が国の平和安全維持、国際平和のための努力への寄与といった現行外為法上の要件を満たすと評価し、当該国に経済制裁を発動できるようにすべきと考えるが、こういったことに関して大臣の御所見をお伺いしたい。

林国務大臣 近年、中国は東シナ海において資源開発を活発化させておりまして、日中の地理的中間線の中国側で、これまでに計十六基の構造物、これを確認しております。

 我が国としては、いまだ東シナ海の排他的経済水域及び大陸棚の境界が画定していない状況において、中国が一方的な開発行為やその既成事実化の試みを進めていることは極めて遺憾であり、これまでも累次にわたり、一方的な開発行為やその既成事実化の試みを中止するように求めております。

 その上で申し上げますと、今、松原委員からお話のありました外為法に基づく措置等を含めて、今後、日本としていかなる事態に具体的にどう行動するかについては、個別具体的な状況を踏まえて検討されるべきであり、予断を持ってお答えすることは控えたいと思います。

 いずれにいたしましても、その時々の国際情勢、これを考慮するとともに、G7を始めとする国際社会と連携しながら総合的に判断していくことになると考えております。

松原委員 ここが重要な議論でして、尖閣についてもしかり、また日本側のEEZにしてもしかり、国連安保理常任理事国である中国がそこに、まさにある種のならず者的な行動をしてきた場合には、きちっとこれに対応していかなければいけないと私は思っております。

 ちょっと、質問を大分用意して、時間が迫ってきたのでかなりはしょって、あとは次回に質問を移しますけれども、私は、こうした状況の中で、冒頭申し上げたように、G7の共通の価値観を持つ国が事前にそういった犯罪的行為が行われる可能性があるというふうに考えた場合は、その犯罪的行為を行う国の経済制裁はもちろんでありますが、犯罪者に対して資産凍結をするということを、予防的というか予防的措置として言うことは極めて重要であるというふうに考えているわけであります。

 これは、どういうことをもってそういった犯罪が行われる可能性がある国家とみなすかということが大きなポイントになってくるわけであります。私は、その国家における情報統制等が強く行われた場合は極めて独裁的な権力を持つ、独裁的な権力を持つ場合にはそういったことがやりやすくなる。今回のプーチンもそうであります。かつてヒトラーもそうでありますし、プーチンもそうでありますし、またルカシェンコですか、このベラルーシの大統領も、民主的な形によって、これは政権を取り大統領になっているわけでありますが、一定の期間を過ぎて極めて独裁的な状況になってきて、それが、こういったプーチンのような、暴発的な、野蛮な、犯罪者的な行為をする、許す国家になってしまったということであります。

 したがって、我々は、そういった芽を摘むということを含めて、一定の独裁的な状況に権威主義の国家がなったときには、あらかじめG7の国々を中心にして、一朝事あったときには即座に犯罪者に対する個人資産の凍結を行うというふうな連携をしていく必要があるだろう、このように思っているわけであります。

 その上で、今回お話をしたいことは、中国のいわゆる反外国制裁法やロシアの情報に関しての統制、これに関してどういうものなのか、時間も大分なくなってきたので、簡単に御説明ください。

實生政府参考人 まず、中国の方について御説明いたします。

 中国の反外国制裁法というのは、外国からの制裁への対抗措置を規定するものとして、二〇二一年六月に中国側において採択されたものというふうに承知しております。

 中国側は、この法律に基づいて、これまで、米国の、新疆ウイグル自治区であるとか香港、台湾をめぐる制裁や措置に対して対抗措置を行う旨発表してきているというふうに承知しております。

徳田政府参考人 ロシアの情報統制について簡潔にお答え申し上げます。

 三月四日でございますけれども、ロシア軍の使用に関して、故意に虚偽の情報を公に拡散した者に対しては刑事罰及び行政罰を科す法律がロシア連邦議会で採択され、大統領の署名を経て発効されたと承知しております。この法律に違反した場合、違反の内容、形態等に応じて、最大で三百から五百万ルーブルの罰金、五年から十年の自由剥奪刑が科され、さらに重大な結果をもたらした場合は十年から十五年の自由剥奪刑が科されます。

 この法律は、ロシア国民のみならず外国人をも対象としております。この法律成立を受けて、外国メディアがロシアでの活動を停止せざるを得ない状況となっていることを懸念してございます。

松原委員 結局、中国のこの法律もロシアの法律も、極めて、報道規制をし、報道規制だけではなくて個人の発言に対しても大変に抑圧的であります。

 ロシアのプーチン政権が、極めて、報道規制をし、個人の発言を抑制し、すぐに何だったら刑務所へ入れるぞ、こういう話になってくる。プラカードを出しただけで捕まってしまう映像は、テレビでも報道されているとおりであります。

 中国の場合も、これは、新疆ウイグル自治区の問題だけに限らず、全てのそういったことに対して、中国政府に対してネガティブな行動をした場合は、極めて人為的に、例えば、一般的なマグニツキー法を作ろうというふうなことをやったグループや個人が入国を拒否される、更には資産が凍結されるというふうなことまで行われる。

 つまり、中国以外、ロシア以外の人間に対しても、これを貫徹をし、権威主義に従わない者は許さないぞということが、中国、ロシアにおける今の状況になっているというふうに思っております。

 そうなってくると、私は、林大臣、ちょっと質問が、大分時間がないのではしょりにはしょっているのでありますけれども、こういったいわゆる独裁的なレベル、言論統制も含めて、そういう国家に対しては、あらかじめG7の国々は団結をして、犯罪者になり得る可能性、申し訳ないけれどもこれはやはり想定しなきゃいけない、今回のプーチンも同じであります、ということであれば、それの個人資産の凍結を含む、国際社会、同じ価値観を共有するG7の社会がこれに対して団結をし、事前に取り組む必要があると私ははっきり思っております。ロシアの事例はロシアだけでとどまるものではない可能性が私はあると思っている。

 このことについて、林大臣は、きちっと対応する、連携をして対応する意思を、やはりG7の一翼を担う日本の外務大臣として、この場でお示しをいただきたい。答弁をお願いします。

林国務大臣 なかなか深くて難しい課題でございますけれども、まず、経済制裁、一般的にこの原因となる行為や経済制裁の種類、程度、また、そうした制裁措置を受ける可能性のある国などの受け止め方は様々でございますから、今、松原先生がおっしゃった予防的な効果というのは一概に申し上げることは困難でございますが、今回もそうでありますけれども、G7を始めとした国際社会、これがやはり協調して取り組むということで実効性を高めていくことが重要であるわけでございます。

 個別具体的なことは申し上げませんけれども、今先生がおっしゃったようなその時々の国際情勢をしっかりと考慮しながら、G7、これは価値観を共有するG7でございますから、G7を始めとする国際社会、同志国と連携しながら総合的にしっかりと判断をして対処してまいらなければならないと思っております。

松原委員 時間が参りましたから、残余、たくさんの質問を用意したんですが、これはまた次回に積み残しとなります。関係者には申し訳ないと思っておりますが。

 いずれにしても、肝の部分は今申し上げたところでありまして、やはりそれをあらかじめ団結をしておいて、国連安保理のある常任理事国が日本に攻め込んでくる、日本の領海、領空を侵す、きちっとした、彼らが意思を持ってやってきたというときに初めて気がついて動くのではないと。あらかじめ、独裁的な水準というのは言論統制を見れば明らかですから、ここまで来たときにはそういったことがある、返り血が大きいからどうしようとか、その場でいろいろと考えるのではなくて、そのときに向かっての順序立てをやはり政治はしていかなければ、これはやはり我々の貴い価値観を守ることはできないと思っておりますので、外務当局の方々も、当然、防衛当局の方々も、経済産業関係の方々も、このことは肝に銘じていただいて、とりわけ林大臣にはこのことを強く要請して、残余の質問は次回に繰延べをさせてもらいます。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、太栄志君。

太委員 神奈川十三区の太栄志でございます。

 大臣を始め政府の皆さん、今本当にウクライナ情勢、大変緊迫する中での連日の御尽力、また御奮闘に心より敬意と感謝を申し上げます。

 私は、本日、三つのこと、三つのテーマで御質問したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず一つ目は、やはりウクライナ情勢。

 先日発表されました、ウクライナ国内外で既に一千万人以上避難されている方が出ている、国民の四人に一人がこういった情勢。本当に今無辜の市民が、命が奪われているこの状況、何とか我が国としてもしっかりと、まずは休戦、そして停戦合意へとしっかりと向き合って、向かっていく、そのための我が国の貢献の在り方、そのことがまず一つ目。

 そして二番目は、ウクライナ情勢がある中でも、この東アジア、我が国周辺の国際情勢、大変緊迫をしております。様々挑発行為も行われております。

 そういった中で、三月の九日でした。韓国で尹錫悦新大統領が、五月からですが、誕生いたしました。未来志向で、日本との関係を、また、包括的に様々な課題がこれまでありますが、解決をしていこうという、そういった前向きな新しい大統領が誕生する中での我が国の安全保障あるいは外交政策というものを、大臣の御見解も問いたいと思っています。

 そして三番目は、やはり日米同盟。

 ウクライナ情勢、また様々、我が国の平和をしっかりと守っていく中では、やはり、日米の関係をしっかりと深化させていくこと、私、そのことはやはり基本だと思っております。

 しかし残念ながら、前回も質問いたしましたが、この日米地位協定であったり、あるいはその関連での環境補足協定ですね、できましたが、私の地元は米軍基地を二つ抱えております。そういった中で、残念ながら足下で、本来であればしっかりと、日米がしっかりと団結をしていなきゃいけないときに、足下を揺るがしかねないこういった事案がありますので、そこを何とか改善していきたい。前向きな意味での議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど来ありますが、本日、ゼレンスキー大統領が我が国の国会でのスピーチ、演説ということで、本日八回目ということで、まさに今、世界から様々な形で、我が国のウクライナ情勢に対する、紛争に対する関わりというのが私は今見られておりますし、問われていると思っております。

 そういった意味でも、やはり日本の国家意思をいかに示していくのか、そこを是非とも外務大臣、先頭に立って進めていただきたい。特に、この数日で大きく、特に日ロの関係の局面がというか、フェーズが大きく変わりました。そういった意味でも、やはり国家意思を明確に示す、その視点から本日も問わせていただきたいと思います。

 まず、ウクライナ情勢。

 二十一日、ロシア外務省が、北方領土問題を含む日ロの平和条約締結に向けた交渉を打ち切る、中断するというふうに発表しました。この問題、一九五六年の日ソの共同宣言からずっと平和条約締結に向けて日ロで様々積み重ねてきたことが、ここで一方的にロシアの方から中断、打切りと言われましたが、まず、その点に関して大臣の御見解をお願いいたします。

林国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて容認できず、厳しく非難をいたします。

 今回、今、太委員からお話のありました事態、これは全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものでありまして、それにもかかわらず日本側に責任を転嫁しようとする今般のロシア側の対応は極めて不当であり、断じて受け入れられず、強く抗議をいたします。昨二十二日ですが、こうした日本政府の立場をロシア側に伝達し、強く抗議をしたところでございます。

 今般のウクライナ侵略については、我が国としては、国際秩序の根幹、これを守り抜くために、国際社会と結束して、引き続き毅然と行動していく考えでございます。

太委員 昨日総理も、これは参議院でしょうか、強く抗議をしていく、ロシアに対してですね、そういった声明もありましたし、今大臣からもありました。また、外務省の方から駐日ロシア大使に対しても既に抗議をしたということなんですが、これは抗議をして終わりですか。

 何か具体的な、この後具体的に聞いていきたいと思っておりますが、大臣の御見解、どういった対処をしていくのか、リアクションをしていくのか、その点に関して御見解をお願いいたします。

林国務大臣 今回のことにつきましては、先ほど申し上げたように、断じて受け入れられず、強く抗議をすると申し上げたとおりでございます。

 まさに、この今後の対応ということですが、今委員が冒頭おっしゃっていただいたように、ロシアによるウクライナ侵略、まだ続いておるわけでございます。これは、国際秩序の根幹を揺るがす許し難い行為でございますので、国際社会、G7を始めとする普遍的価値を共有する各国とも結束して、引き続き毅然と行動してまいりたいと考えております。

太委員 大臣、是非とも、私、冒頭でも言いましたが、やはりもう局面が変わったと思っております。向こうから一方的に打切りということを言われました。本来、我が国からそういった、本来であれば様々な外交的なやり取りがあってしかるべきだったと思っているんですが。

 こういった状況の中で、やはり私は、先ほど言いました強い国家意思を示すためにも、ちょっと具体的にお話をさせていただきたいと思っておりますが、ロシアの方から、もちろん人道的にも本当にこれは大きな問題です、元島民の方たちの三十年間以上ずっと当たってきた交流事業、ビザなし交流も含めて、これも中断、こういったことも言っています。もう一つは、北方領土でのということは言っていますが、共同経済活動に関する対話からの離脱も表明しているということです。

 一方で、我が国としては、これもさんざん議論を様々この場でもされてきたと思っております、我が国としてはいまだにロシアとの経済協力担当大臣がいるということ。いいかげん、大臣、このポストを廃止していただきたい。もちろんこれは管轄外なのかもしれません。ですけれども、これはまさにロシアとの外交交渉の一つとして大臣から総理なりにしっかりと助言していただきたいと思っておりますが、大臣の御見解、もし可能でしたらお願いいたします。

林国務大臣 委員からおっしゃっていただきましたように、これは総理の専権事項であろうか、こういうふうに思っておりますので、私から何か申し上げることは差し控えますが、委員からこの委員会の場でそうしたお話があったということは、しっかり総理にお伝えしたいと思います。

太委員 これは是非とも、本当に何とか廃止できないんでしょうか、担当の方。こちらはどなたでしたかね。なぜ廃止できないのか。この担当大臣、ポスト廃止、これは是非とも。なぜかというところ、本当に私も分からないですし、国民の方も多くの方がなぜかと思うところだと思いますので。

 これはどなたかいらっしゃいましたかね。お願いいたします。

山中政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問ございましたロシア経済分野協力担当大臣の件ですけれども、これをどのように設置するかに関しましては、政府全体として判断すべき問題であり、経済産業としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

太委員 まさによく聞こえなかったんですが、それと、あと、よく理由も分からないんですが、よかったらもう一度教えていただけますか。なぜ、これは廃止できないんでしょうか。もう一度お願いいたします。

山中政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、ロシア経済分野協力担当大臣をどのように設置するかにいたしましては、これは政府全体として判断すべき問題でございまして、経済産業としてお答えする立場にはございませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

太委員 大臣がおっしゃっていただきましたように、何とかこれは総理にも御助言いただいて、これはやはり、まず我が国として明確な意思を示さなきゃいけない。逆に、ロシアの方から経済協力できませんと言われているんじゃ、本当に後手後手に回っていると思いますので、本来であれば我が方からしっかりとやらなきゃいけない。

 それで、もう一つ、もうこれも徳永先生も聞いていましたが、八項目の経済協力プランですね。昨日予算成立しましたけれども、この予算の執行停止、これからもできるはずです。

 ですけれども、私、これはやはり大前提があると思っています。様々、民間同士でもいろいろと事業が進んでいます。中小企業の方も絡んでいます。そういった意味で、やはりこの十分な補償、特に、二十一億円ですよね、予算規模が。これは、日本側のこれまでの企業にしっかりと回していく、補償していく。プラスアルファをしながら、私としては、この予算、何とか今からでも廃止していただきたい。

 大臣、この点どうか、本当に明確に示さないことには全て後手後手で、こちらは本当にお願いいたします。この点、御見解を。

山中政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ございました八項目の協力プラン、現下のウクライナ情勢を踏まえれば、国際社会は、ロシアの侵略により、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないと考えており、我が国としても、八項目の協力プランを含め、ロシアとの関係で新たな経済分野の協力を進めていく状況にはないと考えております。

 その上で、八項目の協力プランを含むロシアとの経済分野の協力に関する政府事業につきましては、当面見合わせることを基本に、ウクライナ情勢の進展や国際的な議論も踏まえて、エネルギー安定供給や人道上の配慮に留意しつつ適切に対応してまいる所存です。

 予算の執行につきましては、この考え方に基づき、今後、個々の執行において、その時点での最新の情報を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。

 他方、今回の経済制裁やロシア国内のビジネス環境の悪化、さらには、ロシア政府による対抗措置などによって、ロシアに進出している日本企業やロシアと取引のある日本企業に対して様々な影響を及ぼすことが十分想定されます。

 経済産業省といたしましては、事業者への影響を最小限にとどめるため、ジェトロやNEXI、日本貿易保険ですね、政府系金融機関などに相談窓口を設け、影響を受ける事業者に寄り添った対応を行うとともに、財務体質が弱い中小企業の資金繰りを支えるため、低利融資などを実施してまいります。

 引き続き、産業界とも連携し、日本企業に与える影響をしっかりと注視しながら、その影響を最小限にとどめていくよう全力で取り組んでまいりたいと思います。

太委員 結局、分からないんですよ、本当に、なぜかというところは。

 もう本当に分かりやすく、まさに今、ゼレンスキー大統領のスピーチもあります。我が国が今こそ、これは局面が変わっています、いつまでも同じことじゃ本当に駄目だと思っておりますので、引き続き、何とか、私としては、もう大臣に御決断いただいて、総理にしっかり助言していただきたいと思っております。

 もう一つ、絡んで質問させていただきます。

 今回、ロシアのウクライナへの侵略行為で、まさに国連の機能不全になりました、先ほど松原先生がずっと議論された件なんですが。そういった中で、簡単なことじゃないと思います、ですけれども、私はやはり、今のプーチンのロシアのいる国連というのは、今後何か想定できないと思うんですね。そういった意味で、総理もおっしゃっています、新たな国際秩序が必要だと。まさに国連改革をしていこうと。

 そういった中で、やはり、これは具体的に、まずロシアを、私は、安全保障理事会から除名していく、そこを我が国として明確に国連の方に発議できないのか。大臣、御見解をお願いいたします。

林国務大臣 今委員がおっしゃられたこと、これは、ウクライナも、ロシアを安保理常任理事国から追放すべき、こういう指摘をしておるわけでございます。他方、米英等からはそうした発言は現時点では出されておらず、その困難さへの言及もなされていると承知をしているわけでございます。

 国連憲章の手続上、常任理事国であるロシアの同意がなくしてはロシアの権利及び特権の停止や国連憲章の改正ができないということを念頭に置いて、この困難さの指摘があるところでございまして、今回のロシアの暴挙は、国連が抱えるこうした問題、これを改めて提起をしたものであると考えております。

 国際社会の平和と安全に大きな責任を持つ安保理の常任理事国であるロシアの暴挙という今回のことは、新たな国際秩序の枠組みの必要性を示しているわけでございます。我が国は長年、国連改革、安保理改革を訴えてきておりますので、岸田政権の下でその実現に全力を挙げていくという考えには変わりはないところでございます。

太委員 大臣、この問題というのは、東アジアでも私は同じことが起きかねないと思っております。まさに様々な東アジア有事が起こりかねない中で、同じように常任理事国がこういった形で、全く非難決議すらない、また、もちろん制裁すらない、制裁もない。全く、平和の番人というか、世界の平和を守るということが、国連が機能を果たさない状況だと思いますし、何とかここは前例、ここで一回しっかりとロシアに対して代償を払ってもらうということを私はしなきゃいけないと思っています。

 先ほど言いましたが、本当にこれはなかなか大変なことだと思っておりますが、一方、一九九一年、ソ連邦が崩壊したときに、ソ連からロシアに自動的に移行手続が、これは不備があったんじゃないかということは様々言われていると思います。そういった意味で、そういったところを含めて、何とかこれ、私としては、もちろんこういった状況の中でなかなか国連が機能しないというのはずっと課題だったと思いますが、ですから、ここでやはり、我が国としての国家意思を示すためには、私は何らかアクションで、断固として行動しなきゃいけないと思っております。

 あるいは、常任理事国の拒否権に一定の制限、先ほども議論がありました、そういったことを設けた上で、どう常任理事国のメンバーを拡大していくのか。我が国もそうです。韓国とか、あるいはインド、ドイツ、イタリア、東南アジア枠とかアフリカ枠とか、そういったことを含めて、先ほど御見解をいただきましたが、様々な工夫をしながら、やはり我々がしっかりと見据えなきゃいけないのは東アジアだと思っておりますので、そういった意味でも、この点、引き続き御検討いただきたい。何とかくさびを入れていただきたいと思っておりますので、お願いいたします。

 次に、こちら、確認させていただきたいんですが、今、中国の動きというのがまさにキーになってくると思います、これから、いろいろな意味で。そういった中で、中国がロシアに軍事的な支援を行った場合の対中制裁措置に関して、今、外務省としてどういった形でそこを見据えているのか、備えているのか、その点をお願いいたします。

林国務大臣 今回のロシアによるウクライナへの侵略、これは欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であると考えております。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をするところでございます。

 この国際秩序の根幹を守り抜くために、国際社会が結束して毅然と対応するということが必要でありまして、米国を始めとする同志国、G7等の同志国と連携して、中国に対しても責任ある行動を求めていく考えでございます。

 制裁の実効性、これを確保していく上でも、関係国と連携して、適切に対応してまいります。

 その上で申し上げれば、いかなる事態に具体的にどう行動するかについては、個別具体的な状況を踏まえて検討されるべきであることから、予断を持ってお答えすることは控えたいと思います。

 いずれにしても、その時々の国際情勢、これを考慮するとともに、G7を始めとする国際社会と連携しつつ、総合的に判断をしていくことになると考えております。

太委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。

 いずれにしましても、中国の動き、しっかりと我々は見据えながら、もちろん中国とどう共存していくのか、最大の貿易相手国でもあります。そこを、共存を見据えながらも、やはり今の軍拡の動きを我々としてはしっかりと頭に入れながら、特に中ロの間に、離間していく、くさびを入れていく、そういったことを我々は常に意識しなきゃいけないと思っておりますので、引き続きの御対応をお願いいたします。

 次、韓国の問題に移ります。

 まず、先ほども言いました、新しい尹錫悦次期大統領、いよいよ五月からスタートなんですが、その中で、大臣の韓国の外交戦略上の重要性についての御見解、お聞かせください。

林国務大臣 韓国でございますが、北朝鮮への対応を始め、この地域の安定にとって、日韓、また、日米韓の連携は不可欠であると考えております。

 日韓関係は、旧朝鮮半島出身労働者問題、また、慰安婦問題などによって、非常に厳しい状況にありますけれども、このまま放置することはできないと考えております。

 国と国との約束を守ること、これは国家間の関係の基本であります。日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づきまして、尹錫悦韓国次期大統領を始め、新政権と緊密に意思疎通をしていく考えでございます。

太委員 先日、大臣が、ホノルルで日米韓外相会談がありました、その中では日米韓三国による安保協力を進めていくというふうに約束されたと思いますが、では、どういった形で今安保協力が進んでいるのか、その点に関して教えてください。お願いします。

林国務大臣 二月の十二日でございますが、ハワイで開催された日米韓の外相会合で様々な議論を行いまして、三か国の連携を一層強化する上で大変有意義な意見交換となったところでございます。

 こうした中で、北朝鮮への対応につきまして、地域の抑止力、これを一層強化していくことで一致をするとともに、日米韓の安全保障協力、これを強化していく必要があるという点で一致し、同日に発出いたしました共同声明にもその旨記載をしておるところでございます。

 これ以上のやり取りや政府の検討状況、これは詳細を明らかにすることは差し控えますけれども、二月の日米韓外相会合でのこうした成果を踏まえつつ、日米韓で一層緊密に連携していきたいと考えております。

    〔委員長退席、あべ委員長代理着席〕

太委員 ありがとうございます。

 もう一つお伺いさせてください。

 韓国の尹次期大統領は、クアッドへの参加意向を表明されております。そのことに関して、大臣、どのような御見解なのか。

 あと、GSOMIAも拡充していこうと。GSOMIA、私はこれは大変重要な、運用をどう拡充していくかというのが大事だと思っているんですが、その点に関して、大臣、御見解、お願いいたします。

林国務大臣 この日米豪印、いわゆるクアッドでございますが、これは自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、ワクチン、インフラ、重要・新興技術、こうした幅広い分野で実践的な協力を進める、こうした取組でございまして、四か国の間では、地域に前向きな形で貢献していくことの重要性で一致してきております。

 その上で、これまで日米豪印の間では、参加国の拡大に向けた具体的な議論、これは行われていないところでございます。

 我が国としては、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、引き続き、様々な取組を通じて、ビジョンを共有するより多くの国々と一層連携を深めていきたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 まず、クアッドに関して議論させていただきたいんですが、参加国で、もちろんインドも、あとオーストラリアも入ってくると思うんですが、これはまさに、私は、様々、これまで日韓関係がなかなかうまくいっていない、この後またいろいろとお尋ねさせていただきたいと思っていますが、そういった中で、やはりクアッドに何とか韓国を私は入れていただきたいというふうに思っております。

 一方、残念ながら、これは韓国国内でも、日本がクアッドへの韓国参加に消極的だ、そういった認識が広がっていると思っていますし、今朝の日経新聞にも出ていました木村先生、韓国問題専門家の方も、やはり日本はこれまでどうしてもクアッドの拡大による韓国参加に消極な姿勢を見せてきた、これというのは結構大きな批判を浴びかねないという指摘もされております。

 クアッド、もう少し、大臣、踏み込んで、是非ともこれ、私、障害は何もないと思います。是非とも日本の方からクアッドに韓国を引き込んでいこうということを、まさにインド太平洋の自由で開かれた国際秩序をしっかりとつくって、中国の拡張にしっかりと対処していくということを含めて、そこはいい流れだと思っておりますので、もう一度御見解をお願いいたします。何とか進めていただきたいと思っていますので。

    〔あべ委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 クアッドはそもそも四という意味でございますので、なかなかクアッドのままでというわけにいかないのかもしれませんが。

 現時点で、韓国政府から我が国政府に対して、この日米豪印、クアッドへの参加の申入れはないわけでございますけれども、いずれにしても、我が国としては、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、引き続き、様々な取組を通じて、ビジョンを共有するより多くの国々と一層連携を深めていきたいと考えております。

太委員 大臣、もう一度確認です。

 そういった形で前向きにお話しいただきましたので、是非とも、私は尹次期大統領は参加したいという意向を表明していただけると思っていますが、そのときは、今まではなかった、ですけれども、あった場合には、それじゃ、一緒にやっていけると。大臣の御見解をお聞かせいただきたい。お願いいたします。

林国務大臣 まだ仮定の御質問でございますから、あった場合にどうこうということを申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、日米豪印の間で参加国の拡大に向けた具体的な議論は行われていないわけでございますが、一方で、引き続き、様々な取組を通じて、ビジョンを共有するより多くの国々と一層連携を深めていきたいと考えております。

太委員 大臣、ほかの国のいろいろと意向はあるかもしれませんが、是非とも、我が国の方からも巻き込んでいく。名前はもちろん変えて進めていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 GSOMIAに関して、運用拡充に関して、これはどなたか、防衛省の方でしょうか。これも大変重要だと思っておりますので、御見解、お願いします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 GSOMIAの拡充というものが一体具体的にどういう提案になるのかというのはちょっと私ども承知しておりませんので、コメントは差し控えたいと存じます。

 GSOMIAは、二〇一六年十一月に署名されて、その後、二〇一九年八月に韓国政府から終了通告があり、また、同じ年の十一月に韓国政府から同通告を停止する旨の発表があったところであります。これも含めて、日韓の防衛当局間にはいろいろな課題がありまして、日本と韓国の間の防衛協力、交流には影響が及んでいるところで、全般的な関係は非常に厳しいものがあります。

 ただ、北朝鮮の核、ミサイルをめぐる状況を含めまして、我が国及び地域の安全保障環境が引き続き厳しさと不確実性を増す中にあって、日本と韓国の間、それから、日本とアメリカ、韓国の連携は重要なものであると考えています。

 防衛省・自衛隊としては、韓国の新政権発足後も、引き続き、こうした諸課題への韓国側による適切な対応も含め、韓国側と意思疎通をしていく考えであります。

太委員 ありがとうございます。

 まさに、私は、防衛分野での信頼構築というのは物すごい、今、日韓では重要だと思っております。特に、二〇一八年、レーダーの照射事件がありました。それ以後、大分防衛当局間の信頼が揺らいでしまっているという、だからこそ、もう一度このGSOMIAで、私としては、様々拡充してやっていただきたい。こちらは、まさにいろいろと情報を、機微情報を含めて扱うところでなかなか内容は言いづらいかもしれないんですが、いずれにしましても、防衛同士の協力関係をもう一度築いていく、そういった信頼構築に向けて、様々な取組を進めていただきたい。

 これは民主党政権のときでした、二〇一〇年、一一年頃、日米の統合演習に韓国軍が参加している、米韓の合同演習に自衛隊がオブザーバーとして参加するなど、安保協力がいい方向に向かっていった、そんな時期もありましたので、是非ともこちら、もちろんこれはアメリカの方からの招待があった、そういった流れもあったかもしれませんが、様々また工夫をしながら、今、北朝鮮情勢、今年九回もいろいろな形でミサイルを撃ち込んでいます、そういったところも見据えながら取組を進めていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 もう一度大臣に、また別の話です。

 駐日韓国大使との総理あるいは外務大臣の面会がずっと行われていないと思います、二〇二〇年十一月以降、おととし以降。この点に関して、なぜこういった状況なのか、御意見を教えてください。お願いいたします。

林国務大臣 日韓関係は、旧朝鮮半島出身労働者問題、また慰安婦問題などにより非常に厳しい状況にあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、政府としては、このまま放置することはできないと考えております。

 日韓関係を健全な関係に戻すべく、適時適切なレベルで意思疎通を図ってきておりまして、今後もそのようにしてまいりたいと考えております。

太委員 是非とも適切なレベルでの面会を進めて、強化していただきたい。

 また、これからいい未来志向で、もちろん様々な障害があるのは分かりますが、やはり何を今優先するかだと思っております。今、安全保障環境、大変厳しいです。そういった意味でも、もちろん、大臣先ほどおっしゃっていたように、歴史問題、あるいは、この間の国同士の約束を、やはりここはこだわらなきゃいけないところだと思いますが、一方で、やはり向こうの方も、韓国側も、包括的に様々な問題を解決していこうというふうに今言っておりますので。

 やはり、この数年間で大きく日韓の取り巻く環境は変わったと思います。それはもちろん、北朝鮮の状況、ミサイル技術の発達を含めて、ありますし、中国のこれだけの軍事大国化がありますので、やはりそこは、我が国として、こちらから、もちろん歴史問題は大事ですけれども、それぞれに個別にしっかりと対応しながら、国の平和を守っていく、その点で、特に日米韓から始めていただいて、クアッドを拡大していただく、そのことを進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ここはまた確認になりますが、新政権、間もなく誕生の中で、過去の韓国の政権交代に際して、引継ぎ期間に、双方、日韓が特使を派遣していたと承知しておりますが、実際、文政権のとき、二〇一七年、自民党の二階幹事長が特使として韓国を訪れています。そういった意味で、この特使派遣に関してはどういった今準備をされているのか、外務大臣からお願いいたします。

林国務大臣 特使でございますが、今、文在寅政権誕生のときは、御披露していただきましたけれども、その前の朴槿恵政権のときは額賀日韓議連幹事長、そして、その前の李明博政権の誕生のときは森元総理がそれぞれ特使として訪韓されておるわけでございます。

 我が国から韓国へのこうした特使の派遣を含めて、今後の日韓間の往来、会談等について、現時点では具体的に決まっていることはないわけでございますが、先日の岸田総理と尹錫悦韓国次期大統領との電話会談でのやり取りも踏まえつつ、新政権とも適時適切なレベルで意思疎通をしていきたいと考えております。

太委員 どうか引き続き、前へと進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 あと、ハイレベルの協議が、しっかりとこれを進めていただきたい。今まで、この間、局長級の会議だった、これを次官級あるいは閣僚級に、こちらも、是非とも、大臣の方のリーダーシップで、新しい、未来志向で今こそやるべきだと思っておりますので、先ほどそれぞれとおっしゃったのでこちらだと思いますが、是非とも進めていただきますようお願いいたします。

 次へ移ります。

 次、日米地位協定の話なんですが、先ほど来申し上げておりますように、ウクライナ情勢を受け、改めて、我が国の平和の問題、国民的な意識も、相当皆さん不安も高まっていると思っております。そういった意味で、もう一度日米関係というのを、私は足下からしっかりと固め直しをしていかなきゃいけないと思っております。

 そのときに、残念ながら、日米の地位協定の環境補足協定の実効性について、様々問題があるというふうに思っております。

 二〇一五年に補足協定が締結されました。それによって、残念ながら具体的な事件が起こったり事故があったときには、しっかりと米軍も対応していただいております。一方、これまで、一年間に一回、例えば環境の汚染なんかの問題があったときに、毎年のように環境省の方で立入検査ができておりました、そういったこともなかなかやりづらくなってしまっている。

 特に、有害物質の流出などが、今、在日米軍の、起因しているんじゃないかという様々な疑念が持たれている中で、特にPFOSとかPFOAとか、これは今沖縄では相当深刻な問題だと聞いております。私の地元の神奈川県の県央地域の厚木基地あるいはキャンプ座間等がありますが、そこでも、私もこの前地元の方たちから、この問題、相当今深刻です、やはり不安ですというお声を聞きながら、また、市役所でも、あるいは環境省さんからもこの地域の検査状況を聞きましたら、去年と、また一昨年と続いて、ほかの地域よりも二桁ぐらい違うんですね。私の地元の綾瀬市では二十六倍でした。このPFOSの検査、暫定目標値の二十六倍に当たる、こんな状況。

 そこに関して、是非とも、まずこちらも外務大臣にも、まさにそういった意味では、環境補足協定の実効性について大臣の御見解をお聞かせいただきたく。

 私としては、問題意識としては、環境補足協定を新しく設けたこと、私はこのことは物すごい評価されることだと思っております。なかなか、地位協定というのは、これは変えられないです。そういった意味で、前進して、岡田先生が外務大臣のときも様々御尽力いただいて、そこからの流れの中でできた大切な協定だと私は思っておりますが、残念ながら幾つか現場では問題が起こっている、それに対して何らかのまた措置をしていかなきゃいけないと思っております。

 そういった視点から、今、この実効性に関して、大臣の御見解、お願いいたします。

林国務大臣 このPFOSをめぐる問題なども含めまして、在日米軍による環境問題への対応に関しては、国民の皆様の不安、これを払拭すべく、関係自治体や米側と連携しながら、政府全体として取組を進めてきておるところでございます。

 二〇一五年に締結されました環境補足協定でございますが、環境基準や立入りについて、法的拘束力を有する協定という形式で規定を設けたものでありまして、従来の運用改善とは質的に異なるものでございます。

 二〇二〇年四月の普天間飛行場における泡消火剤の漏出事故や、昨年六月の沖縄の陸軍貯油施設における水の漏出事故の際、これは政府、関係自治体及び米側で緊密に連携して、環境補足協定に基づき、施設に立ち入り、現場確認や水のサンプリング調査等を実施したところでございます。

 政府としては、地元の方々の関心に応えられるようにこうした枠組みが運用されていくことが重要であると考えておりまして、施設・区域内外の環境対策、これが実効的なものになりますように、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

太委員 こちらは環境省あるいは防衛省の方からも、どうでしょうか。私から質問してもよろしいですか。御見解を。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたように、令和元年度それから令和二年度、環境省が調査をしておりますが、米軍厚木飛行場の近傍等の河川などから、水環境中の暫定目標値を超えるPFOS等が検出をされているということでございます。

 他方、この調査につきましては、暫定目標値を超過した原因であるとか、PFOS等の排出源を特定したものではないというふうに承知をしております。

 防衛省といたしましては、引き続き、関係省庁、それから関係自治体と連携をしながら、必要な対応を取ってまいりたいと思っております。

森光政府参考人 お答えさせていただきます。

 環境省は、先ほど先生の方から御紹介ありましたように、令和元年度及び令和二年度に有機フッ素化合物の排出源となり得る施設周辺の河川や地下水等を対象として調査を行いました。

 その結果、令和元年度は百七十一地点のうち十三都府県の三十七地点、令和二年度は百四十三地点のうちの十二都府県の二十一地点がその超過が認められているというところでございます。神奈川県も、先生がおっしゃるとおり超えている地点がございました。

 環境省では、このPFOS、PFOA、暫定的な目標値を超えて検出された場合には、地方公共団体が対策を講じる場合の参考となります対応の手引、これを策定し、通知をしております。

 神奈川県も、この通知に従いまして、追加的な調査、それから継続的な調査、そして人への暴露を防止するための、飲用に使わないといったようなことを指導して進めておるところでございます。環境省としても、それを後押ししていきたいというふうに思っておるところでございます。

太委員 どうもありがとうございます。

 大臣からも御説明ありました。ですけれども、やはり、事故がないと、事故があったら迅速に対応していただける、これは物すごい大事なことだと思うんですよ。そういった意味では前進だと思っております。

 ですけれども、防衛省の方からも、特定できないと。それだったら、基地内を私はちゃんと調査すべきだと思いますし、明らかに基地から、私も現場を見ました、本当に百メートル、二百メートルないですね。しかも、誰でも行けるところですよ、その川も。

 やはり何かあってからでは遅いです、これは。オミクロン株のときもそうでした。やはり、この基地の方たちあるいは基地の周辺住民の方たちの理解を得ることは物すごい大事ですので、もう一度ここを。ずっと放置していて、これは誰が責任を取るのか。何とかこれは改善していただかなきゃいけませんし、私が言いたいのは、上位の機関、2プラス2で、オミクロン株のときもそうでした、大臣、関わって、その中でしっかりと明文化規定する。立入り要請しても対応してくれなかったときのためのそういった新しい規定を入れていただく。そのことに向けてどうか御検討いただきますようお願いいたしまして、過ぎてしまいました、時間ですので、これで終わります。

 どうもありがとうございました。失礼いたします。

城内委員長 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 まず、大臣に、UAE、トルコを回って帰ってこられたと。大変お疲れさまでございました。

 その前、実は、先ほど答弁もありましたが、ハワイへ行って、それから、あれはキャンベラですか、メルボルンでしたか、も行かれた、それからミュンヘンも行かれた。非常にたくさんのところに今実務的に行っておられて、大変御苦労なさっておられる。非常に敬意を表したいと思います。

 それだけのことを大臣がやらなきゃいけないということは、今まさに、いろいろな先生方から御質問もありましたけれども、パラダイムシフトが起こっている。今、地球規模のパラダイムシフトが起こっているということを我々は認識しておかなければならないな、こう思います。

 時間がもし取れるならば、最後に、せっかくUAE、トルコを回ってこられたんですから、そこの成果というものをお聞きしたいと思いますが、先に、私のまず最初の質問から入っていきたいと思います。

 先週、私は、この外務委員会で、ウラジオストクにおられる日本人の方が、日本に帰るためにはどうしようかという非常にお困りがある、そういう中で政府はどうするんだということをお聞きしたときに、実はこういう予算があるじゃないかと。去年の補正予算の中で、八億円、在外公館における邦人保護体制強化のための緊急対策費用というのが取ってあるじゃないか、これが使えないのかということをお伺いしたら、どうも答弁がしっくり聞き取ることができませんでした。

 もう一度、一体、この予算というのは、費目というのか、目的というのか、明細というのか、これがどうなっていたのかを改めて先に聞きます。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 本件補正予算の事業は、テロ発生地域や政情不安地域における邦人保護業務の拠点となる在外公館を対象としまして、外周壁の工事や自家発電機の改修など、在外公館の機能維持に不可欠な緊急性の高い修繕を行うとともに、館員移動時の生命、安全確保のために必要な防弾車を配備するというものでございます。

和田(有)委員 これは確かに、実は私も後からゆっくりと予算の説明資料を見たんです。そうしたら、この横に米印が打ってあって、ずっとその米印を探して見ると、確かにそういうふうに書いているんですよ。在外公館における緊急対策で警備強化が何だかんだと。

 ただ、これは、普通にこの文言を、表の費目のところを見ると、誰が考えてもこうは取れないわけですよ。こういう事態が起こると、恐らくこのお金を使ってチャーター便を飛ばしたり、いろいろな形で邦人保護に努めてくれるんじゃないかと普通は思うと思うんです、一般的な感覚でいうと。それをこういうふうに書いているから余計に、一般的には、あれっ、政府は何をしているんだろう、お金をちゃんと使っていないんじゃないかとか、そういう誤解を招くことにもなりかねないと私は思うんですが、その点についてどうお感じになりますか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省としては、これまでも、予算につきましては、できるだけ分かりやすい表現でお示しするということに努めてまいったつもりでございますが、今あった御指摘のようなことも踏まえまして、引き続き、更にそういった点で工夫し、分かりやすい表現に努めてまいりたいと思います。

和田(有)委員 分かりやすい、それは当然していただきたいんですが。

 では、しからば、これは、アフガンのときのいろいろな経験とかを基にこの予算もできたりしていると思うんですけれども、今現実に、先ほどパラダイムシフトが起こっているんじゃないか、その中でいろいろな対応しなきゃいけないことが出てきているんじゃないかと私は言っているわけですけれども、そういう中で、邦人の人たちが海外から急遽引き揚げなければならない、そういうときの予算というものが、やはり分かる形で、もっときちっとこの予算に、本予算で入れ込むべきではないかと思うんです。

 それがないから、誤解を招いたり、いろいろな違う角度から議論が起こったりするんだと思うんですが、その点についていかがでしょうか。

林国務大臣 海外に渡航、滞在する邦人の保護、これは外務省の最も重要な責務の一つでありまして、平素から、在外邦人の保護が必要となる様々な状況を想定し、予算措置も含めて必要な準備、検討を行っておりまして、邦人保護の強化を図っているところでございます。

 昨日成立をさせていただきました令和四年度の当初予算では、海外邦人退避関連の予算等が計上されておるところでございます。

 政府といたしましては、こうした予算を持続的に活用しながら、ウクライナ、またロシア等の在留邦人も含めて、邦人の安全確保に万全を期するべく全力を尽くしてまいる考えでございます。

和田(有)委員 いずれにいたしても、しっかりやっていただきたいと思うんです。

 ただ、これは、実は先週、私が質問をすると通告をした後にチャーター便が飛ぶという話が入ってきて、それに使ってほしい、しっかりやってほしいと思っていたら、そのチャーター便は実は飛ばないということになったんですね、私の質問が終わったら。一体これは何なんだと。何か、そのときの体裁のためにこんな話が流れたのかぐらい思ってしまうんですね、私は。そうではないと思うし、そう祈りますけれども、しっかりと今回の、ウクライナもそうですけれども、ロシアとか近隣諸国で、邦人の方がもういよいよ引き揚げた方がいいということになったときも、ロシアではなっているわけです。しっかりとやっていただきたい、このように思います。

 次に、こういう状況の中で、やはり多くの国民が、先ほど来ほかの委員の方からも質問がありましたけれども、これは他人事ではない、対岸の火事ではないんだ、これは極東アジアに飛び火する可能性がいっぱいある、こう思っている方がたくさん、国民の方、世論調査を見たって出ているわけですね。

 そういう中で、私たちが取り組めることは何かということは、やはり、我が国の一つの意思として、力による現状変更は認めないんだというメッセージを出すこと。そのメッセージを出すためには、やはり一つは、台湾と我々はしっかり連携しているよというような意思表示をすることだと思うんですね。それは、もう私、予算委員会でも申し上げましたし、この外務委員会でも何回かさせていただきました。

 その中で、やはり一つのメッセージとして大事なのが、台湾を国際社会に迎え入れをする。そういう中で、現実には例えばTPPの加盟の問題があります。このことをお聞きしようと思うんですね。

 台湾の蔡英文総統は、しっかりとルールをクリアして、我々はCPTPPに加盟をしていくんだ、そういう申請をしていくんだというふうな意思表示もなさっておられます。実際、輸入禁止措置を全面撤廃もされました。片や、大陸中国、中華人民共和国は、同様に申請をしていますけれども、いまだもって日本の禁輸をしているわけですね。

 そういった流れの中で、じゃ、台湾が加入をしていくために今後乗り越えなければいけない課題というのは何なんだろうか、どうお考えかをお伺いします。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、このTPP11への加入申請、既に台湾からあったわけでございまして、我が国として歓迎をしておるわけでございます。そして、蔡英文総統が、全てのルールを受け入れる用意があるとの決意を指導者として自ら示していることにつきまして、肯定的に受け止めております。

 我が国としては、台湾がTPP11の高いレベルを完全に満たす用意ができているかどうかについて、まずはしっかりと見極めていく考えでございます。

 この加入申請を提出したエコノミーの扱いについてでございますが、これはほかの参加国ともよく相談する必要がございますけれども、我が国としては、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていく、こうしたTPP11の意義を参加国と共有しながら、戦略的な観点や国民の理解、こうしたものも踏まえながら、引き続きTPPの議論を主導していきたいと考えております。

和田(有)委員 様々なハイスタンダードな要件を満たし、国民の理解も大体整ってきていると私は思うんですね。専門的なことに関しては分からないことはありますが、国民の理解だって、特にこのウクライナ危機の中にあっては、恐らく多くの国民は目を転じたときに理解があるだろうと思います。

 他の批准国と台湾はもう二国間協議に入っているというふうに報道等では聞くんですけれども、日本とはどうなっておりますか。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 台湾との間では、双方の民間窓口機関の間で経済貿易分野についても幅広く対話が行われてきていると承知しております。本年一月及び二月に開催されました日台貿易経済会議におきましても、TPPを含め、日台それぞれが関心を有する経済課題について意見交換を行ったと承知しております。

 我が国といたしましては、引き続き日台経済関係の強化に向けて台湾側と意見交換を行っていく考えでございます。

和田(有)委員 この批准国とする二国間協議に日本は入っているというふうに私は今の御答弁で感じるわけですね。しっかりと、では進めていただきたいと思うんです。やはり同じ理念を持つ、経済ベースを持つ両国でありますから、しっかりとこのTPP11、今のCPTPPに入っていただけるように進めていただきたいと思うんですが、この点について、大臣、何かお考えはありますでしょうか。

林国務大臣 台湾、TPPについて先ほど具体的な話を政府参考人から答弁いたしましたけれども、まさに台湾は我々と、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーであると考えております。先ほど申し上げましたように、こうした台湾の加入申請を歓迎しておるわけでございます。

 したがいまして、具体的なプロセスは、これは我々だけではなくて、先ほど申し上げたように、参加国と議論しながら進めてまいらなければならないわけでございますけれども、引き続き日台経済関係の強化に向けて台湾側と意見交換、これを行っていきたいと考えております。

和田(有)委員 しっかりお願いします。

 そこで、先ほど政府参考人からも、日台両国の貿易を大いに促進すべしという言葉があったように、ここでFTAの、台湾とのFTA締結についてお伺いしたいと思うんですね。これも随分と国民的に議論が出る中でなかなか進んでいるように私には思えないんですが、ここに課題があるとしたら何なんでしょうか。

林国務大臣 我が国と台湾との間ではこれまでも、例えば投資や二重課税防止、知財など様々な分野において、双方の民間窓口機関の話で対話や民間取決めを積み上げることによって具体的課題に対応して経済関係の強化、これを進めてきております。

 事柄の性質上、御指摘の点について予断を持ってお答えすることは差し控えますけれども、いずれにしても、日台間の経済分野における具体的課題への対応を含めて日台の経済関係強化の在り方につきましては、我が国の台湾との関係に関する基本的な立場、これを踏まえつつ、幅広い経済関係を視野に入れながら検討を進めていきたいと考えております。

和田(有)委員 分かりました。しっかりと進めていただきたいと思います。

 ここからは、あと残り時間を若干使いながら、どうしても、今まで私が林大臣にいろいろなことを台湾の関係でお聞きしたら、基本的な日台間の立場を云々とか、どうも奥歯にはまったような御答弁になる。特に外務省の政府参考人の方は、そのことを先ほど松原委員が聞いたときに、木で鼻をくくったような答弁になる、こういうふうになるんですが、私に対しても、このことを聞くと、必ず日中共同声明の下に何とかかんとかという木で鼻をくくったような答弁になるわけですね。

 改めて、私、ここでもう一回この日中共同声明についてお伺いしたい、こう思うんです。

 この日中共同声明なるもの、これはいろいろな文章があるわけですけれども、その中に、結局皆さんが言われるのは、要は、結んだときのこの声明に、この中に、「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、」という言葉が出てくる。これは、確かにこういう言葉はありますけれども、これについてはいろいろな物の見方が出てくるわけですよ、やはり。これは何も相手の言っていることを全く認めたわけではないんじゃないんですかね。そう私はやはり思う。

 その点について、一遍きちっと、もう一度、木で鼻をくくった答弁ではなく、しっかりとお聞きしたいと思うんです。

 十分理解、尊重するということは、台湾が中華人民共和国の領土、不可分の領土であるということを承認したこととおっしゃっているんですか、皆さんは。いかがでしょうか。

林国務大臣 台湾に関する我が国政府の立場でございますが、今委員からお話があった一九七二年の日中共同声明第三項にありますように、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するものでありまして、こうした我が国の立場は変わっていないわけでございます。

 そして、この一九七二年の声明にあるとおり、さらに、「尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」と規定をしておるわけでございます。

 我が国は、日本国との平和条約第二条に従って、台湾に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しており、台湾の領土的な位置づけに関しての独自の認定を行う立場にはないというのが立場でございます。

和田(有)委員 幾ら聞いてもこういう御答弁になるわけですね。

 尊重するんだという言葉は承認するということではないというふうに、私は、今おっしゃられた答弁から受け取るんですね、そうなると。そうならば、いわゆる一つの中国という原則に我々は従う必要はないと私は思うんです。尊重はするけれども従う必要はないんですと私は理解します。今の私と大臣との質問と答弁を聞いている限り、私はそう思うんです。

 その点について、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員からお話がありましたけれども、私が先ほど御説明したとおり、我が国政府の立場というのは申し上げたとおりでございまして、これは変わっていないわけでございます。

 台湾海峡の平和と安定というのは、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要でございます。台湾をめぐる問題、これが対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来から一貫した我が国の立場でありまして、そのような立場から、台湾をめぐる情勢について、引き続き関心を持って注視をしてまいりたいと考えております。

和田(有)委員 これは幾ら繰り返しても同じ言葉と同じ言葉になる可能性がある。だから、ちょっと時間が今日はもうまた来ちゃったのであれですが、じゃ、その中で、こういうのもあるんですね。第六項というのがあるんですね。お互いに威嚇しないというようなことを言っている。

 じゃ、どうでしょうかね。例えば、去年の十月ですかね、中国の海軍は、ロシアの海軍と一緒に、対馬海峡を通ったりしていますね。まさに威嚇しているんです、日本を。既にそのこと自体で、この日中共同声明について、中国自らが、何というんでしょうか、乗り越えてしまっている部分があるように私は思うんですが、その点について、いかがお考えになりますか。

林国務大臣 今先生からお話のありました日中共同声明第六項でございますが、「日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」こういう旨を規定をしております。

 先ほどはちょっと場所を聞き漏らしましたけれども、例えば尖閣諸島について申し上げますと、これは歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であって、同諸島をめぐり解決すべき問題はそもそも存在しておらないわけですが、その上で、中国海警船舶が累次にわたって尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入して日本漁船に接近しようとする動きを見せていることは、断じて容認できないわけでございます。

 尖閣諸島周辺の我が国領海内で中国海警船舶が尖閣諸島に関する独自の主張や我が国の主権と相入れない活動をすることは、国際法上認められた無害通航に当たらず、国際法違反である、こういうふうに考えております。

和田(有)委員 もう時間が来たから終わりますけれども、今大臣もはっきりと、国際法上違反をしている行為である、そういうことを言われるということは、やはり、外務省の皆さんは余りにも中国に今まで気を遣い過ぎているんじゃないか。そういう言葉すら発しない状況で来た、それがやはり国益を損ねてきたんじゃないかと私は思うんです。

 やはり、断固として言うべきことは言うし、態度で示すべきものは示さなきゃいけない。何か奥歯にはまったようなことを言って、何か言うと相手を刺激をして緊張感を高めてしまうというふうな何か感覚に陥っている。それでは、やはり私は、パラダイムシフトが起こってこれから新しい時代に入っていく世界の国際情勢の中で、極東アジアの平和と安全を我々が守り切ることは難しいんじゃないかと思いますので、しっかりと、中国に対しては断固として向き合っていただくという姿勢を取っていただきたい。

 今日はこういうことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 今日は、夜は総理も林外務大臣も御出席されるゼレンスキー大統領の国会演説を拝聴するという日でございますが、とにかくこの声届けと申し上げたいのは、シーズファイア、撃ち方やめということを是非プーチン大統領に聞いていただきたいと、一国会議員として、あるいは一コスモポリタンとして申し上げさせていただきたいという思いでございます。

 そんな中で、今日、時間はないかもしれないんですが、人道的な見地、それと情報発信、収集、それから外務大臣の外交といったような切り口で、切り口という言い方がいいかどうか、ポイントで質問させていただきたいと思います。

 まず、今日、辻議員が非常にいい質疑をされたというふうに思っております。そんな中で、在留邦人の安否について……(発言する者あり)与野党を超えて外務委員会はあると思っていますので。それで、政府側の答弁で、ウクライナの在留邦人の安否確認について、きちっと連絡が取れていますという答弁がございました。

 ただ、私が聞く限りは、申し訳ないんですが、キエフに六十人ほどいて、そのうちの日本人の奥様になっている立場の人が、何かそういう確認があったというような認識をしていないような方もいらっしゃるみたいなことが聞こえてきていまして、そんなことが聞こえている中での辻議員への答弁だったもので、特に答弁は通告しておりませんので求めませんが、本当にきちっと安否確認というのはしていただく、これが林大臣もさっき答弁されたような在留邦人に対する姿勢ではないかというふうに冒頭述べさせていただきます。

 次に、ゼレンスキー大統領の演説がありますけれども、何度か映像を見る中でディープフェイクが出てきて、戦争をやめるんだみたいなようなディープフェイクがありましたけれども、日本国というものの姿勢として、日本が発信する情報というのは常に正しい、フェイクなんてないんだというような、やはり国柄というんですかね、そういう日本でありたいと思っていますので、是非とも有言実行であったり誠を貫いていただくということを冒頭申し上げさせていただきたく存じます。

 そこで、ウクライナ避難民のことについて次は伺っていきますけれども、チャーター機等を派遣できないのかなということで考えております。

 先ほどの辻さんの質疑の中でも、百六十人が日本に入ってきているという御答弁がございました。

 それと、三月十六日、直近で、岸田総理から、三百二十万人を超えるウクライナの人々が避難を強いられていることに心を痛めた、多くの自治体や企業、そして民間団体の方々から避難民の受入れに協力したいとの心強い声が上がっています、中略、ウクライナからの避難民を積極的に受け入れてまいります、こういう記者会見がありました。(発言する者あり)そうなんですね。ちょっと済みません、合いの手がよ過ぎちゃって、余計なことを申し上げますが。

 そんな中で、林大臣が副議長をされているウクライナ避難民対策連絡調整会議が構成され、中谷先生が内閣総理大臣補佐官で国際人権問題担当としても参画されているというような中で、第一回会合が、設置が十六日、会合開催は十八日に行われている。実施する支援として挙がっているのが、査証の迅速な審査、発給、水際対策上の配慮、入国後の支援という三つになってしまっていて、えっという感じで。

 この間、私が、地元の愛知県のたしか大府のところに住んでいるウクライナ人の奥さん、日本人の旦那さんだと思いますけれども、その親類、家族を数名呼び寄せるのに百万円かかってしまったということを、今、NHK予算も審議しておりますけれども、いい点では、こういったことをきちっとNHKが報道してくださっていて、公共放送としての意義をしているんですけれども。

 そんな意味で、事実確認で、林大臣が言ったコメントをまた言わせていただきますが、二月二十八日参議院予算委員会、与野党を超えて、佐藤正久委員に対する答弁、チャーター機について、ポーランド政府からは邦人の円滑な受入れについて御協力いただける予定でございまして、同国からほかの国へと移動するチャーター機、既に手配済みでございます、ラウ・ポーランド外相に対して、このウクライナの在留邦人がポーランドに陸路退避する場合の円滑な入国等について協力を要請したのに対し、同大臣から、引き続き我が国と連携を密にしつつ最大限の支援を提供する旨の発言がありました、こういうふうに言及されておられます。

 こういった一連の流れの中で、是非とも、有言実行というよりは、きちっともっと積極的にやっていきましょうよという意味で私は申し上げさせていただいているんですが。

 ちょっと逐次質問する形になってしまって大臣には恐縮ですが、まず、先ほども、タシケントからチャーター便が飛ばないロシアの在留邦人のケースがありましたけれども、ポーランドからのチャーター機等、どこからでも結構なんですけれども、実際実行されたのか、あるいはされていないのか等を確認させていただければと思います。

林国務大臣 先ほどお話のありましたタシケントの話につきましては、恐らく、政府として我々がやっているものではないのではないかというふうに考えております。民間等でおやりになっているものかというふうに承知をしておりますが。

 政府として、今お尋ねのありましたチャーター便、ウクライナから退避する在留邦人のために、ポーランドから他の国へ移動するためのチャーター機の手配、これは既に済ませておるわけでございます。このチャーター機は、不測の事態に迅速に対応するということで待機をしておるところでございますが、まだこれまで運航はされていないところでございます。

杉本委員 まだ運航をされていないということで、退避はしているということで、実質、いろいろな事情があると思います、向こう側の本当に出発準備ができていないとか、いろいろな事情があって、あるいは、ある程度の人数が固まらないと動かせないとかあると思いますが、是非とも、日の丸をしょって日本の人行ってくださいという話も辻さんは言っていましたけれども、日の丸ここにありということで、やはり、在留邦人も、あるいはウクライナの方々に対しても、あるいはロシアにいる在留邦人に対しても、是非、本当に、実行するということをお願いしておきたいと思います。(発言する者あり)それはこれから聞きますので、済みません。

 時間がなくなってくるかもしれないので、では、ちょっとまとめてお答えいただいてもいいかもしれないですが。

 ウクライナ人難民に力点を置いたチャーター機の今後、まだ実際実行されていないということでございますけれども、私の提案として、これを飛ばしますが、ワルシャワ発中東経由とか、あるいは、更にドイツまで行きたいというような方々は、ヨーロッパに残りたいということかもしれないですが、ベルリン発の中東経由みたいな路線も考えられるのではないかと思います。

 さらに、ちょっと答えをいただく前に続けますが、今外しちゃいましたけれども、和田我が党委員が、国民の安全、安心の確保、在外公館における邦人保護体制強化のための緊急対策の八億円、これには注意書きがいろいろあってという答弁を先ほどされておられましたけれども、その予算が使えないんだろうか、多分使えないんだなという理解をしました。

 そんな中で、やはり予備費を、もう与野党を超えた委員会ですから、野党筆頭が、まあ、委員長もうなずいてくださっていますが、そういう委員会だと思っておりますので、是非とも予備費の活用というのをお願いしたいと思います。

 思い起こせば、武漢のコロナウイルス対策では、茂木元外務大臣は何度もチャーター機を飛ばされたということで、この便については、費用負担については、一部は本人負担、一部は政府負担というような形で、武漢のコロナウイルスのときは、一部本人負担もありましたけれども、サポートしたという実績がございました。

 そんな意味から、これはもう最後の質問になっちゃうかもしれないので、五番目、五で聞こうとしていた質問ですけれども、チャーター機が、余り、杉本さん、人数集まらないんだよ、あるいは、なかなか実際運航にまで至らないというような感じのお答えになるかと思うので、そういったお答えも含めてで結構なんですけれども。

 チャーター機よりチャーター席というか、実費弁償あるいは半額補助でも何でもいいんですけれども、とにかく、ウクライナで着のみ着のままで出てくる人たちってお金なんか持っていないし、ひょっとするとルーブルを持っていて価値ゼロかもしれないですけれども、ルーブルじゃないですね、ウクライナは通貨が違ったかもしれないですが。

 いずれにしろ、そういう着のみ着のままの方々あるいはそれを迎え入れる家族が、まあ、裕福な方もいなくはないと思いますけれども、そういったところの実費弁償、実費補助、こういった形で予備費を活用いただく、それこそが天下の日本国の日の丸の意味ではないかというふうに、今日はウクライナのネクタイをさせていただきながら、やはり世界平和を希求し人道を希求する一コスモポリタンとして御答弁いただければと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 まず、杉本委員には、まさに最後におっしゃったように、ウクライナの国旗の色のネクタイを今日は締めていただきまして、私もネクタイと背広で着てカラーをしたつもりでございましたが、そちらの方がやはり明快だな、こう思ったわけでございますが。

 まず、連絡調整会議、これは十八日に官房長官の下で開催いたしました。避難を余儀なくされ、日本への退避を希望するウクライナの方々について、同日以降いつでも受け入れ、政府一体となって、国民の理解も得ながら、必要な支援を行っていくということを確認したわけでございます。

 この下にタスクフォースをつくりまして、この連絡調整会議の場で確認された支援の運用について議論、調整していくということで、ウクライナ情勢や避難民の皆様のニーズを踏まえながら、必要な支援を迅速かつ的確に行うことができるように対応してまいりたいと思います。

 今委員からございましたチャーター機ですとか、それからワルシャワ発中東経由、ベルリン発中東経由、こういったものにつきましても、まだ具体的なものは決まっておりませんけれども、避難民移送のための措置の必要性も含めて、何ができるのか、迅速に検討を行っていきたいというふうに考えております。

 そして、八億円については、先ほど和田委員との、答弁で政府委員から話があったとおりでございまして、項として使用目的が異なるということでなかなか利用が難しいということでございますが、費用については避難民支援に要する経費面も含めてこの調整会議において検討される、こういうふうに認識をしておるわけでございます。

 また、チャーター機の手配が困難な場合に民間機による移動費の実費支弁ということについても、具体的な方策として、人道的見地を含めて、今後の対応を考える中で、政府全体としてしっかりと検討してまいりたいと考えております。

杉本委員 参議院選挙が近いわけで、敵に塩を送るわけじゃないんですけれども、やはり岸田内閣ってそういう人道支援すごいなとか、やはりそういうのが、林大臣が一言言っていただくと、議席がいろいろ動いてしまうということ、怖いわけでありますけれども、一方で、やはり、そういう次元で政治をしていては、いけないとは言えないけれども、もっと高い次元で我々は人道支援ということを考えていく必要があると思いますので、是非とも、タスクフォースとかに任せるんじゃなくて、陣頭指揮で、副議長でいらっしゃるので、是非、岸田総理とよく話し合っていただいて、実費弁償じゃないですけれども、そういう形で、日本は受け入れる姿勢を本当に持っているんだということをお示ししていただきたいと思います。

 さて、もう時間がなくなってきたんですが、次に、新時代のリアリズム外交を標榜する岸田内閣ということで、情報収集は欠かせない、不測の事態、万が一に備えるという観点が必要だと思います。

 それで、今回のウクライナ侵略については、本当に、防衛省あるいは外務省が、ある意味、ケースとして本当に学ばなければならない、まだ途中で、シーズファイアになっていませんけれども。過去、日露戦争で我が国がロシアに勝ったときに、秋山好古の弟の真之氏が、天井を見ながら、四国の村上御大が先祖の村上水軍の戦法を考え学び、そしてまた、米西戦争、アメリカとスペインの戦争の開戦、サンチャゴ港の封鎖作戦が旅順港の封鎖作戦につながっていったというような、過去のケースというか、現実にあるケースから我々は今学ばなければならない。それが、パラダイムシフトという話もありましたけれども、新時代のリアリズムではないかなと思います。

 そんな意味で、非常に聞きにくいですが、現実問題として、日本国政府は臨時代理の仕組みを持っていて、日本国の第一順位は松野官房長官であり、林外務大臣は第三位の順番の臨時代理としての決まりがあるかと認識しておりますが、今回、残念ながら戦争というような状況に至って、ロシアでは戦争という表現を使っちゃいけなくて、特別軍事作戦だか何か、そんな言い方だったかと思いますけれども、いずれにしろ、両当事国の臨時態勢というのはいかになっているのかというのを認識しておく必要があると思います。

 そういった意味で、質問しにくいんですけれども、それぞれの国について、両国の臨時の第一順位の方の固有名詞の確認並びに人物像を、経歴等で結構なので、教えていただきたいと思います。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ウクライナについてでございます。

 ウクライナ憲法第百十二条によれば、政府臨時代理の序列第一位は、ルスラン・ステファンチューク最高会議議長でございます。同最高会議議長は、ゼレンスキー大統領からの信頼も厚く、安定した議会運営の実績もあり、ウクライナ国内で評価を得ている人物と承知してございます。

 続いて、ロシアでございます。

 ロシア連邦憲法第九十二条によれば、大統領がその義務を遂行する状態にない全ての場合において、首相が暫定的にその義務を遂行することとなっております。現在、ミハイル・ミシュスチン氏が首相を務めております。ミシュスチン首相は、二〇一〇年から二〇二〇年まで連邦税務庁長官を務め、二〇二〇年一月から首相を務めている人物でございます。

杉本委員 時間となりましたけれども、行政権のトップがけがをして行政権を執行できないということだってあり得ると思います。そんなことで、我々は客観的に物事を認識し、我が国の安全、安心、防衛、外交を進めていかなきゃならないということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 在日米軍の新型コロナの感染拡大問題について今日は質問します。

 政府は、昨年十二月二十二日、沖縄県の米軍キャンプ・ハンセンで新型コロナのクラスターが発生したことに関し、日本側からの要請で米側がオミクロン株の検査を行い、結果を共有する、米国に検体を送り、ゲノム解析を実施することを明らかにしました。それから三か月が経過しましたが、ゲノムの解析は依然として示されていない。

 林大臣、その理由は何でしょう。

林国務大臣 このゲノム解析の結果判明の時期につきましては、今のところ確定的な見通しを申し上げる段階にはございませんけれども、昨年十二月末の時点で、キャンプ・ハンセンにおける変異株PCR検査の結果が変異株陰性であった検体については、オミクロン株であるものとみなして、その前提で対応していくことで既に日米で一致をしております。

 政府としては、引き続き、二月八日以降継続的に開催されております検疫・保健分科委員会の場も含め、新型コロナを含む感染症対策について日米で連携していけるように、保健当局を交えて議論を深めてまいりたいと考えております。

穀田委員 既に三か月も経過しているのに、今のところ確定的な見通しを得る段階にはないと。そんな、いつ結果が判明するのかも、見通しも立たないというのは非常に重大じゃないでしょうかね。ゲノム解析なんかどうでもいいと言わぬばかりの話になっては私はいけないと思うんですよね。

 林大臣はこの間の答弁で、ゲノム解析の結果が得られたとしても、それだけで在日米軍基地が感染拡大の由来と推定するのは困難だとも述べています。ですから、さっき私が言いましたように、どうでもいいとは言わぬけれども、ゲノム解析の結果など得ても得られなくてもどちらでもいいという姿勢じゃないかと思うんですね。そうした政府の姿勢が米軍から見透かされているとしか考えられない。

 これまで政府は、オミクロン株の感染拡大で、在日米軍施設・区域内の感染状況がその原因の一つだった可能性は否定できないとしてきました。その上で、岸田総理は二月十七日の記者会見で、ゲノム解析が原因究明に必要なもちろん一つのポイントだと答えています。そうであるならば、結果判明の見通しも立たない現状をこれ以上放置することは許されないのではないでしょうか。その辺の御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 私の答弁で、在日米軍のゲノム解析の結果が得られたとしても、ゲノム情報のみをもってその由来を推定することは困難であると承知をしておりますが、これは、二月一日の衆議院の予算委員会で厚生労働大臣からこのお答えがあったものを、私としても同様の御答弁を差し上げたところでございます。

 この意味は、まさにこの結果とそれから由来を推定するということが難しいということでございまして、これをもってゲノムの結果を、何といいますか、遅くてもいいというニュアンスで申し上げたわけではないことは申し上げておきたいというふうに思います。

 先ほど申し上げましたように、検疫・保健分科委員会というのが今回新しく設置をされましたので、しっかり、この場を含めて、保健当局を交えて日米で連携をしてまいりたいと考えております。

穀田委員 大臣は、必ずこの例の、日米合同委員会に新設した検疫・保健分科委員会のという話をされまして、それで、緊密に米側と連携していきたい、こう必ず言われるんですよね。

 しかし、日米合同委員会は、中身は全て非公開、議事録一つ公表されない、いわば秘密会議ではないかと。だから、自分としてはそれはきちんとやるつもりだと言うんだけれども、そこに振ってしまうということは、結局、国民に対する説明責任に背を向けることになる、結果としては。だって、そっちに行っちゃえば話にならないんだもの。

 だから、大臣の口でどうなっているかということを直接やはりお話しいただくことが大事かなと私は思います。

 林大臣は、これまで、在日米軍が昨年九月三日から出国前検査を免除していたことを確認したのは昨年十二月二十四日で、在日米軍が九月の時点で日本政府に出国前検査の免除を通知していたとの認識は誤りだと説明してきました。

 それでは、在日米軍は外務省に対してどのような形で出国前検査の免除を通知したと説明しているのか、お答えいただきたいと思います。

林国務大臣 この新型コロナ感染症の発生以来、日米合同委員会を含む様々な機会を捉えて、日米間で、日本側の措置の説明をし、同感染症への対応について緊密に連携してきたところでございます。

 この出国前検査の免除につきまして、二月二日に報道がございまして、在日米軍からは、新型コロナ対策に関して日本側と緊密に連携する中、出国前検査の免除について外務省に通知していたとの認識であるとの説明がありましたが、日本側としてそのような認識は持っておらず、その旨を米側に明確にしたところでございます。

 その上で、両者の認識にそごがあったことを踏まえて、今後はこうした状況が生じないよう、より一層緊密に連携していくことで米側と一致したところでございます。

 こうした状況が発生しましたのは、米側の水際措置が日本側の措置と整合的に実施され続けているかといった点を外務省の側から確認する努力、ここに不十分な点があったためであるということは否定できないところでございます。

 大事なことは、今後はそうした状況が生じないようにすることでございまして、日米合同委員会の下の検疫・保健分科委員会の場を含めて、より一層緊密に米側と連携してまいりたいと考えております。

穀田委員 外務省の努力が不十分だったということはお認めになった、それは何回も言っているんですけれども、私が聞いているのは、どのような形で通知したかということを聞いているんですよね。

 既に在日米軍司令部は、メディアの取材に対して、「責任の所在を明らかにすることは利益をもたらさない」との立場を示しているんですね。こんな責任逃れの立場に立つ米側と幾ら緊密に連携していくといったところで、真相は何も明らかにならないと思います。

 そこで問題は、外務省が在日米軍による出国前検査の免除を確認したのは本当に十二月二十四日なのかということなんですね。

 在日米軍司令部が出した「軍公衆衛生保護令」と題する命令書があります。この後ろの方のページには、この命令は、二〇二一年九月三日に発効し、取り消されるまで有効とするとあります。在日米軍司令官のラップ空軍中将の名前が書かれています。つまり、この命令書は、問題の昨年の九月三日にラップ司令官によって出されたものだということなんですね。

 命令書では、日米地位協定が適用される米軍関係者に対して出国前検査も入国直後の検査も義務づけておらず、ワクチン接種者については到着から十四日間は行動が米軍施設内に制限され、五日以降、抗原又はPCR検査を実施するとしているだけであります。しかも、ワクチン接種者の場合、米軍施設の屋外でのマスク着用は不要と定めており、十四日間の行動制限中も施設内の全ての施設を利用できるとあります。このように、命令書には問題になった米側の行動が記されています。

 林大臣、外務省では、この昨年九月三日の時点でラップ司令官がこの命令書を出していたことを把握していたのではありませんか。

林国務大臣 九月三日に、在日米軍は、米軍のワクチン接種が進んだことや世界的な感染状況の緩和を受け、米国防省の方針に基づき、ワクチン接種済みを条件として出国前検査を免除した、これは今委員がお示しになった文書のことであろう、こういうふうに思っておりますが、一方で、我々は、感染の拡大に伴いまして、十二月二十四日に確認作業をいたしました結果、出国前検査が行われていなかったのは、キャンプ・ハンセンのみではなく、全ての施設・区域についてであったということが確認されたことから、松野官房長官と私の記者会見でその旨を発表するとともに、在日米軍が日本の水際措置を踏まえて措置を変更することとした旨、発表をしたところでございます。

穀田委員 経過は何回も、大臣、おっしゃっているんですよ。私が聞いたのは、命令書を出していたことを知っていたんじゃないかと聞いているんですね。

 つまり、この文書ですよね、昨年九月三日の命令書は、在日米軍司令部が公式ホームページでアップし、公表しているものなんです。つまり、誰でも入手可能な文書ということ、私が突然何か引っ張り出してきたというものじゃないんですよ。これはちゃんと公式ホームページに載っているわけですよね。

 だから、その存在を、何回も言うように、すぐ、その文書のことであろうというようなことを言っているんじゃなくて、大臣は見はったかと。その存在を外務省が昨年十二月二十四日まで知らなかったということはあり得ないんじゃないのかと思うんですが、いかがですか。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますけれども、九月三日に米国防省の方針に基づき、ワクチン接種済みを条件として出国前検査を免除されたということは、そういう文書が出たということで、経緯として、先ほど申し上げたとおりでございますが、我々が確認をしたというものは十二月二十四日であったということでございます。

穀田委員 もう一言だけ聞きます。

 この文書を公式ホームページで見られるわけですよね。誰でも見られるんです。だから、じゃ、外務省が全くこの文書は知らなかったということでいいんですか。

林国務大臣 何度も繰り返しになって恐縮でございますが、我々として把握したのは十二月二十四日ということでございます。

穀田委員 そうすると、誰もが見られる公式のホームページで、コロナ対策の問題をめぐる出入国管理に関わる問題で、一般の方々よりも、外務省は十二月二十四日に初めて知ったということでいいんですね。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、二十四日にこの確認作業を行いまして、出国前検査が行われていなかったのは全ての施設・区域であったということが確認をされたということでございますので、この時点で我々としてはこのことを承知をしたということでございます。

穀田委員 ちょっと、違う話を一生懸命この十二月二十四日説に持ってこようとしているんだけれども、私が言っているのは、相手の米国はこういう文書を出してやっているじゃないかと。さっき、具体的な中身についても言っているわけで、それを見たのか、知っていたのか、知らないのかと言うと、いろいろな状況を十二月二十四日に発しましたって、そんなずれた話をしたらあきませんで。

 林大臣は、結局、先ほど言っていましたが、米軍のワクチン接種が進んだことや世界的な感染状況の緩和を受けたという説明をしていたわけです。さっき述べていましたよね。しかし、この命令書には、日米地位協定入国許可書と題する附属書があるんですね。文書の上段に英文、下の段には日本語訳が記されており、ここには次のとおり記載されています。そのまま読み上げます。

 関係各位

  本邦への上陸の申請日前十四日以内に指定された国における滞在歴がある外国人の本邦への上陸を拒否するという日本政府の措置にかかわらず、米軍関係者(この書簡の所持者を含む。)は、在日米軍が当該者を本邦に上陸した空港又は港から在日米軍の施設及び区域に移動させる手段を提供するとともに、在日米軍の施設及び区域に到着後直ちに、当該者を十四日間隔離するという理解の下、日米地位協定第九条の規定に基づき、本邦への上陸を認められる。

 令和二年四月一日

       外務省北米局日米地位協定室長

       川埜 周

 直筆のサインもあります。

 このように、川埜地位協定室長の二〇二〇年四月一日の書簡は、地位協定第九条に基づく入国許可の条件として、あえて、一つは公共交通機関の使用禁止と、二つは十四日間の行動制限の二つを挙げていたのであります。

 昨年九月三日の命令書は、この川埜室長の書簡を入国許可書として附属していたわけで、米側は、入国に当たりこの二つさえ遵守すればよいと理解していたのではないですか。

林国務大臣 先ほど申し上げたように、我々が確認をしたというのは二十四日であったわけでございますが、米側がどういう理解を、今先生がおっしゃったように、その時点でおっしゃっていたかというのは、我々はお答えするものを持ち合わせていないわけでございますけれども、二〇二〇年の七月二十九日に日米で共同プレスリリースを発出しておりまして、九月一日に、日本側の水際措置として、上陸拒否対象地域からの全ての外国人入国者に対し、出国前七十二時間以内のPCR又は抗原定量検査を義務づけ、こういうことになっておるところでございます。

穀田委員 一方的に自分のところの行政がやったことだけ述べたのでは困るんですよね。私が言っているのは、相手の側がそういうことを言っているよ、公式にホームページにも出しているよ、それを知らなかったのかと。十二月二十四日だ、こう来るから、そうすると、その文書全体の中にまた附属書というのがありますね、その文書の中にこうしたら行けるよということまで書いている、そのことをずっと引き継いでいるんじゃないかということを私は言っているわけですよね。

 だから、川埜室長の書簡を、政府の、今言いましたよね、入国禁止の措置の下でも、あえて、公共交通機関の使用禁止と十四日間の行動制限の二つを入国許可の条件にしていたわけですよ。昨年九月三日のラップ司令官の命令書は、その川埜室長の書簡を、これをちゃんと全部附属させているんですよ。だから、附属していたわけで、これが出国前検査を免除した根拠になった可能性があるんじゃないかということを、事の流れから、発行している文書から、ついている附属書から、公式に発表されているホームページから引き出して、私は聞いているわけですよね。

 だとしたら、今、すれ違いの話、いろいろしてはるけれども、私が言っている内容についていいましたら、そういう関係の事実関係を調査してはどうでしょうか。

林国務大臣 今、先生から御提示のあった文書についてはちょっと、御通告もありませんでしたので、つまびらかに今、答えられるものは持っておりませんけれども、そうした文書について、今、御提示があったわけでございますから、どういう文書であったかというのは確認をさせていただきたいと思います。

穀田委員 そうしますと、確認していただくということはありがたいと思います。

 そこで、じゃ、一言だけ聞きますと、通告がなかったからと言っているんだけれども、私は、この問題は、九月三日の関わり合いで非常に重要な文書として、これ、九月三日と十二月という。九月三日というのはあっちが言っていることじゃないですか。そのときに出ている文書ということで、しかも、十二月二十四日まで全然知らなかったというのが、大体、そういうことで聞きますと、余り知らへんなんだというような感じだから、要するに、突然の通告だからということでいいますと、記憶にあれば、この文書を和訳したものでもいいんですよ、見たら、誰だってそれは見たよというふうに言えるわけで、ちょっとそれは、私は解せないと思うんですね。

 だから、調べていただくということは結構かと思います。

 事は、日本の国民の命と健康に関わる重大問題で、先ほど答弁の中にあった、そごがあったの一言で片づけられる問題ではないということを述べておきたいと思います。

 外務委員長、先ほどありましたように、事実を、経過を調査され、そして、本委員会に報告するように求めたいと思います。

城内委員長 後刻、理事会で協議いたします。

穀田委員 最後に、ウクライナの問題について、私、一言述べておきたいと思うんです。

 前回も私、質問しましたけれども、ロシアによるウクライナ侵略をめぐって、今、何が問題かということで、世界的な働きかけを私は大臣に提起しました。棄権の国、それから退席した国、四十七か国ある、そこに対しての努力をすべきだということについて訴えました。

 私ども日本共産党としては、独自にベトナムの大使をお招きして、そういう意見交換も行っているところであります。

 問題は、そのときに、ずばり正確に何が問題かということを明らかにすることが大事だということについて、私たちの意見を述べておきたいと思います。

 それは、三つのやはり無法な行為がある。この前も言いましたけれども、一つは、国連憲章をじゅうりんした侵略であるということ。二つは、原発や病院や民間人への攻撃は、国際人道法に背く戦争犯罪だ。三つに、核兵器大国を誇示し、核の先制使用で世界を威嚇する、こういうものが鮮明になっていると思うんですね。

 したがって、これらに対して、きちんとした的確な批判を行いつつ、国際世論でプーチン政権を包囲する取組こそ大事だと思っています。

 その点について、最後に所感をお伺いしておきたいと思います。

林国務大臣 この度のロシアのウクライナに対する侵略、これは国際法違反で、明白な違反であり、許容できないことであり、強く非難するということは度重ねて申してまいったところでございます。

 まさに委員から御指摘のあったような民間人への攻撃、軍事目標でないわけでございますから、これは人道法違反でございます。

 したがって、最後の三つ目でおっしゃいましたように、G7を始めとして、普遍的な価値を共有する国々、多くの国々と連携しながら、しっかりとこれには対応してまいらなければならないと考えております。

穀田委員 今ありましたように、私どもとしては、既にベラルーシの大使館ともお話合いをして、意見交換をしています。なかなかかみ合わへんというのはあるんだけれども、やっています。

 ですから、大臣自身がこの間外遊されたところでどういう話合いがあったか、また、インドにおける総理大臣の話合いがどうだったかということをつまびらかにしていただく必要があろうかと思いますけれども、時間がありませんので、またそれは個別にもお聞きするとして、そういう努力が今大切だと。

 その意味で、政党としての、私たちとしては独自の努力も続けたいということを述べて、終わります。

城内委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦です。いつもありがとうございます。

 今日、ほかの委員会ですけれども、議論の中で私も発言をしたんですが、今現在、世界が向き合っている状況というのは戦時です。我が国が直接攻撃を受けたわけではありません。ただ、我が国と国境を接している国が反対側で起こした侵略によって、世界中が今混乱に陥っている。

 すなわち、正直に申し上げますが、私も、戦争というものの中で、武器を持って撃ち合いをする、そして他国に侵略をするという武力侵攻の部分だけをもって戦争だとずっと思い込んできましたが、実際のところ、戦争というのは、それに付随して、エネルギーだったり、資源だったり、あるいは金融だったりという部分で様々な戦いが起こっている。これが戦争であって、世界が陥っているのは今そういった戦時であるということを改めて認識をした上で、本日六時からのゼレンスキー大統領の演説は極めて大きなものであるし、また、今日、議論の冒頭で御発言もありましたけれども、本日、我が国、そして十一時にフランスの議会において演説をされるとG7全てで発言をしたことになるということですので、これがどのような意味を持つのかはしっかりと注視をして、私たち外務委員として、日本の国会の、これからの外交方針を議論をさせていただければというふうに思います。

 そして、本日は、今までずっと委員会の中で私もロシアの話ばかりしてきました、エネルギーとか資源の問題でかなりロシア側の話をしましたが、今日はちょっと視点を変えまして、別の国の切り口からお話をさせていただきたいと思います。

 なぜこう申し上げるかといいますと、今ロシアがこういう状況です。様々な制裁を受けています。あるいは、アメリカはこうするべきだ、いや、EUはこうするべきだ、いろんな考え方があります。これから先の外交は、三つのブロックに分かれた新しい冷戦のような形になってしまう可能性があります。

 その一つは、アメリカを中心としたグループ。もう一つは、ヨーロッパを中心としたグループ。これは、エネルギーの部分から完全にロシアと切り離すことができない人たちの集まりです。そしてもう一つは、ロシア、そして今急速に距離を縮めてきている中国を始めとしたグループの三つに分かれてしまうことが想定をされますので、私はそのうちの一つ、中国について本日はお話をしたいと思います。

 我が国と中国は、御承知のとおり、これだけ広い海を共有しておりますので、様々問題が発生してはいるんですが、本日の松原委員の御発言にもありましたけれども、十六基の海洋構造物を造って、中国は東シナ海で開発をしています。そして、我が国とは二〇〇八年合意という形で、協調して東シナ海資源開発をしていこうということになりまして、二〇一九年、もう三年前になっちゃいましたけれども、首脳会談で、推進していく、実施をしていくというふうに御発言があったかと思いますけれども、これの進捗状況をお伺いできますでしょうか。

林国務大臣 この二〇〇八年合意に基づく国際約束締結交渉については、二〇一〇年の第一回会合以降行われておりません。

 政府としては、二〇一九年六月に開催されました日中首脳会談におきまして、両首脳間で、同合意を推進、実施し、東シナ海を平和、協力、友好の海とするとの目標を実現することで一致したことを踏まえまして、中国側に対し、同合意を早期に実施するように引き続き強く求めてまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 二〇一〇年に何があったかを思い出しますと、我が国の海上保安庁の船と漁船が衝突をしたり、あるいはレアアースの輸出規制を行ったり、そして、それから、その輸出規制がWTOから撤廃の命令を受けるまでの五年間、我が国は辛酸をなめ続けた、こういうことがあった年でした。つまり、私たちと中国と交渉の窓口すら今ないというのが現実です。資源開発だけでもそうなります。

 それを申し上げた上で次の質問ですが、偶発的な衝突を回避するために海空連絡メカニズムというものを日中間でつくっておりますけれども、あくまでこれは防衛当局の話でございます。あるいは、防衛当局のホットラインをつくりましょうというお話も今あるかと思いますけれども、これも我が国の防衛省と中国の軍隊との間の話です。

 なので、一つ疑問点が浮かびます。我が国の固有の領土である尖閣諸島の周辺には中国海軍がいるんでしょうか。いるのは海警局なんです。これは、海空連絡メカニズムの範囲で直接お話ができる状態になっているんでしょうか。どうでしょうか。

實生政府参考人 お答え申し上げます。

 中国の海警局との関係ということについて申し上げれば、そうしたメカニズムということでは必ずしもございませんけれども、これまでも、両国の関係政府機関が幅広く参加する日中高級事務レベル海洋協議を含め様々な機会を通じて我が国の立場、懸念を申し上げる等、必要なやり取りを直接行ってきており、今後も適切に対応していく考えでございます。

鈴木(敦)委員 そういった御作法は分かります。当たり前のことですから、そこまではお伺いしていません。

 ブレーンストーミングしてみてください。例えば、今、尖閣諸島周辺に海警局と海上保安庁が同時にいます。そして、海警局の船が仮に座礁したとして、その座礁したという報告をではどこに上げるか。海上保安庁にしてくると思いますか。一一八なんか絶対押さないです。するのは、中国の海警局の本部にするに決まっています。そして、そこから応援が来て、救助をされます。中国が中国の領土だと主張しているところで行使するわけですね。

 ということは、これは、直接我が国から連絡の方法がなければ、彼らがそれをやったとき、お得意のサラミスライス戦法でやられますよ。ここで、我が国の固有の領土の周辺だから我が国の海警局がそこの乗組員を救助したんだと言われたら、ああ、そうですかになってしまいますよ。遺憾ですで済む話じゃないと思いますが、この辺、御認識はいかがなんですか。

實生政府参考人 お答えいたします。

 尖閣諸島周辺の日本の領海内で独自の主張をするといったそうした中国海警局に所属する船舶の活動、それはそもそも国際法違反であって、これは断じて容認できず、これは我々として累次にわたり厳重に抗議し、その都度速やかに日本の領海から退去するように強く求めてきているということでありまして、これについてはハイレベルでの申入れ、やり取りというのをやっていまして、例えば、昨年十月、日中首脳電話会談においては、岸田総理から習近平国家主席に対して我が国の懸念について直接提起をして、また、昨年十一月の電話会談においては、外務大臣の方からも王毅国務委員に対して直接尖閣諸島をめぐる情報について懸念を伝えたというようなことがございます。

鈴木(敦)委員 ですから、御作法は分かっていますから。国と国のやり取りは、どういうふうにやるのか分かっています。

 ただ、では聞きますよ。一点、では確認させてください。もし仮にそういった事態が発生をして、偶発的にしろ海警局がその場で行政権を行使しようとした場合に、日本がそれを察知したら、どういうルートで中国に抗議するんですか。

實生政府参考人 御指摘の点については、一種の仮定の質問でございますので、それについてこのようなことをするということがあらかじめ決まっていることではないと思います。外交ルートによるものも含めて、そのときの個別具体的な状況に応じて最も適切なコミュニケーションの方法、こちらの抗議なら抗議という意思の伝達ということをやっていくということになると思われます。

鈴木(敦)委員 ですから、これは大事な話だと思いますよ。

 仮に何かあったときに、現場の海上保安庁が、海警局が勝手に救助をしていますよと日本政府に話が入ってきたとしても、政府からどういうルートで抗議するとか定まっていないというのは、仮にやられた場合のことを何も考えていないということになります。

 これは本当に考えていらっしゃらないんですか。答えられないなら、答えられない理由をおっしゃっていただきたいと思います。

實生政府参考人 御指摘のような場合も含めて、我が国として、いろいろな事態を想定しながら、その都度、どういった対応の仕方をするかということについては関係省庁も一緒になりながら検討はしておりますけれども、それは、あらかじめ、この場で、こういうときにはこうするということについては、個別具体的な状況にもよることなので、ある種、事前に、網羅的に申し上げるということは困難であるということについて御理解いただければと思います。

鈴木(敦)委員 これが仮に中国海軍の行動であれば、防衛省とやり取りはいいんですよ。ただ、今、仮にそこで、じゃ、勝手に行政権を行使していることを海上保安庁が見つけました、海上保安庁から政府に話が来て、外務省に上がって、外交レベルで抗議をするといった場合に、時間がかかり過ぎて、中国に言った頃にはもう帰っていますよ。だから、今のうちに、どういうルートでやるのか整備をしていかなくちゃいけないんです。

 前々から、私、何度も何度も申し上げていますが、今、あり得ないということはあり得ませんから。ロシアがウクライナに侵略するなんて誰も想像していなかった。一部の人たちだけがそれを主張していて、やるわけないだろうという答えが一般的だったにもかかわらず、実際に起きてしまったわけですから、中国に関してだって、それがあり得ないなんということは私はあり得ないと思いますよ。

 ですから、今御説明いただきましたけれども、今そういうことであればそれで結構です。ただ、早急にいろいろな計画を立てていただかないと、この後の質問にも出てきますけれども、様々なことを考え始めなきゃいけない時期にもう来ているんだという認識を是非持っていただきたい、このように思います。

 次の質問に移りますが、今度はエネルギーの話です。私の専門ですが、今、様々なエネルギーをどんどんどんどんアメリカやEUはロシアからの輸入を止めています。止めたLNGですとか石油、ロシアでだぶついたものを、じゃ、どこが消費するかといったら、パイプラインがつながっているもう一方の出口である中国ですね。

 仮に、これはもう何度も何度も言っていますし、仮の質問はという話を大臣もされるかもしれないんですが、サハリンあるいはヤマルですとか北極LNGというところ、日本が資源開発に投資をしているようなところから我が国が撤退した場合、どう考えても中国が入ってきますよね。その権益は中国が持っていこうとするはずです。と私は考えますが、今、どのぐらいその危険性があるとお考えですか。

林国務大臣 欧米がロシアからエネルギー資源の輸入を停止しても中国が輸入することになるという御指摘、いわゆるバックフィルということでございますが、国際秩序の根幹を守り抜くために国際社会が結束して毅然と対応することが必要でありまして、米国を始めとする同志国と連携して、中国に対しても責任ある行動を求めていく、こう考えております。

 制裁の実効性、これを確保していく上で、関係国と連携して適切に対応してまいらなければならないと思っております。

鈴木(敦)委員 なぜ中国の話を、今そこでエネルギーの話をさせていただいたかといいますと、尖閣諸島の話がそもそも話に出てきたのは、あの周辺の海洋資源が見つかったからですよね。私も、一番今年とかここ数年で問題になりそうなのは、今、アラスカでメタンハイドレートの試掘をしようとしています。技術的な部分で検証をします。仮に陸上でそれが可能になった場合、海洋資源の開発に一歩近づくことになりますね。そうしたら、中国はどう思うんでしょうか。メタンハイドレートがあると思って、その島周辺が欲しいんだといって、大量の人員と船と燃料を使ってあそこにわざわざやってきているわけです。これはこれでけなげなことだと思いますが、ただ、その海洋資源を手に入れるためにそれだけのことをする人たちが、日本が新技術を持ったと知った瞬間に、相当の嫌がらせをされると思いますよ。

 例えば、今、一番最初に海洋構築物の話をしましたけれども、中国はあれを三か月で建てるんだそうです。それを掘るかどうかは別としてです。島を造ってしまう国なので、実際にはもっと早く造っちゃうかもしれません。仮にそんなものを造られてしまったら、いや遺憾ですとか、そういうことを言っている場合ではないんですね。

 大臣はいかがお考えですか、そういうことも想定されると思いますが。

林国務大臣 中国は、東シナ海において、石油や天然ガスの採掘に関連する一方的な開発行為や、その既成事実化の試みを継続しております。日本側の累次の申入れにもかかわらず、日中間の境界未画定海域において一方的な開発行為を継続しているということは、極めて遺憾でございます。

 政府として、これまでも、首脳会談、それから外相会談等のハイレベルの機会を活用して中国側に申し入れるとともに、新たな構築物の建設等、中国側による関連の動向を把握するたびに、一方的な開発行為を中止するよう強く求める等、厳しく対応してきておるところでございます。

 引き続き、今委員からのお話のありましたような新しい技術、こういったものの関連の動向も注視しながら、ハイレベルを含めた様々なレベルで我が国の立場、しかるべく主張してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 前回でしたかね、前々回でしたか、ちょっとうろ覚えですけれども、私、申し上げたのは、これから数年間はエネルギー外交ですよと申し上げました。中国だって当然エネルギーは欲しいわけで、様々な部分に手を出して一帯一路構想なんというのをつくっている国家ですから、彼らもそうやって影響力をどんどん高めていこうというふうにしています。

 それから、実際に、スリランカのように港の運営権を取られちゃったりとか、債務のわなに陥っている国も多数ある中で、じゃ、中国が本当にしたいことは何なのかと私は思うんです。スリランカの港が欲しいわけじゃないと思うんです。ただ、彼らが本当に欲しいものとは実際何なんだろうというのは、私、中国人じゃないので分かりませんが、ただ、中国が何を意図してそういうことをやってきているのか、戦略的に考えていくことも可能だと思うんですね。

 大臣、どのようにお考えですか、この飛び石をやっているというのは。

林国務大臣 中国は、既に世界第二位の経済大国であり、地域及び国際社会の諸課題にふさわしい貢献、これを行う責務を有しておると考えております。

 中国は、一帯一路に関する取組も含めて、途上国に対するインフラ投資等を進めておるところでありますが、一部のプロジェクトにおける遅延や建設コストの増大、債務の持続可能性、こうした課題が指摘されておるわけでございます。

 こうした中国の、冒頭申し上げました、ふさわしい責務、貢献を行う責務を有している中国が実際に行っている取組というのが、インフラの開放性ですとか、透明性、ライフサイクルコストを考慮した経済性、さらには債務の持続可能性など、国際スタンダードに合致した形でちゃんと実施されているのか、今からいくのかということを注視をする必要がある、こういうふうに思っております。

 このことについても、同志国、G7を始めとする普遍的な価値を同じくするメンバーと共有をする必要があるというふうに考えておりまして、いずれにしても、中国が大国としての責任を果たしていくよう働きかけていくことが重要であると考えております。

鈴木(敦)委員 私、もうかなりタイミングというか、時機はそろそろ逸してしまったんじゃないかと思うぐらいなんですね。

 今、中国は様々な部分に、大臣今おっしゃっていただいたとおり、様々なインフラを整備したりとか、お金を貸していろいろなことをやっているわけです。そういう国は中国には盾突けませんよね。自分の国の鉄道を敷いてもらいました、あるいは道路をきれいにしてもらいました、上下水道もちゃんと分離しました、こういうことを様々な国でやっているわけで、今そこで、いや、中国、ちょっと、いいかげんにこれ、例えば、サメを取り過ぎるのをやめてくださいとか、フカヒレを取り過ぎるのをやめてくださいなんということをアフリカ諸国が言えるかといったら、それを言ったら資本を引き揚げられちゃうので言えなくなってしまいますね。

 そして、今、ロシアがウクライナに侵略して、経済制裁を受けている段階で、世界で最も国土の広い国を味方につけたんです、中国は。ということは、これから中国がやろうとしていること、そして、今直面しているものというのは、私たち日本のように民主主義を重んじる国と、ある意味で専制国家のような国との事実上の主義主張の戦いに、今、もう局面としては入っていると私は考えます。冒頭申し上げたとおり、三つのブロックに分かれるとしてもです。

 大臣、御認識はいかがですか。

林国務大臣 今回のウクライナ侵略を契機に、いろんな識者の方が新しい冷戦の時代に入ったというようなことを指摘されておるということは、私も承知をしておるところでございます。

 御指摘があったように、日中両国、これは政治制度が異なっておりまして、また隣国であるということで様々な懸念が存在しておるところでございます。

 中国との間では、普遍的価値を共有する国々としっかり連携しながら、主張すべきは毅然として主張し、責任ある行動を強く求めつつ、例えば環境問題といった共通の課題については協力をするという建設的かつ安定的な日中関係、これは双方の努力で構築していくことが重要だと考えております。

鈴木(敦)委員 おっしゃるとおり、政治体制が異なりますから、あの国とやり取りをするというのは非常に大変で、今までと同じように相手の見方を見てから次の行動をしましょうと言っていると、もう間に合わないと思います。

 なぜなら、もう彼らは中国だけでは来ません。ロシアと一緒にやって来ます。これが資源の開発にしろ、あるいは領土問題にしろ、一緒にやって来ます。そうなると、もう今までと同じ論理では、とてもじゃないけれどもスピードが私は間に合わないと思いますので、少し、やはりあらゆる可能性を検討していただいた上で、スピード感を持って対応していただくところは不断の決断をしていただければというふうに思います。

 さて、もう時間の都合上、最後の方になりましたので、今日もロシアについてさせていただきたいと思いますが、十六日の日ですが、ロシア軍の艦艇が津軽海峡を横断いたしました。太平洋に出ていきました。この船には車両を搭載していたと。写真を見ましたけれども、軍用トラックを搭載して海に出ていった。専門家の話では、行き先は一つしかないということでした。これはもうクリミア半島の港に行くんだろうということです。軍艦なのでマリントラフィックを使えませんから、どこに行ったか詳細は分かりませんが、恐らくそれ以外の場所はないだろうというのが専門家の見解です。

 ちょっと私、歴史が好きなもので、いろいろ話を見ていますと、恐らく行ったであろうという港、クリミア半島のセバストポリという港ですけれども、ここはかつてはバルチック艦隊の母港でして、日露戦争のときには、日本海海戦のためにわざわざぐるっとロシア艦隊が回ってきたところです。今回、百年たって、ロシアは逆ルートでセバストポリに戻っていったんです。非常に感慨深い彼らの旅で、かつての歌にうたわれたように、寄せ来し敵こそけなげなれというようなものなんですが。

 明らかに戦争に使うものを積んでいるわけですね。これがコンテナ船だったりとかあるいは物資を積んでいるだけだったら、何を使っているか分かりませんからいいんですが、明らかに兵員を輸送するようなものを、これから紛争の地域に向かうというのを我が国のすぐ近くでやったときに、国際社会から見たらどう思うかということなんです。どう考えても、これは戦争に行って人権をじゅうりんするための兵器を運んでいる。

 この船を、例えばなんですが、津軽海峡、あそこは公海ですけれども、我が国周辺国に対して海峡を封鎖するというようなことは、国際法上あるいは日本の国内法上、恐らく協定もそうだし条約もそうでしょうが、そういったもので可能なのでしょうか、これは。

林国務大臣 国際法上、一般に、領海外の海域におきましては、公海自由の原則に基づく航行の自由が認められております。

 今お話のありました津軽海峡についても、こうした国際法上の航行の権利が認められておりまして、ロシア海軍艦艇もその行使を妨げられるものではないわけでございます。

 他方、我が国としては、三月十五日から十六日にかけて津軽海峡を通過した四隻の艦艇を含むロシア海軍が我が国周辺において軍の活動を活発化させていることについて、ロシア側に対して、重大な懸念を持って注視しており、現下の状況に鑑み、殊更にこの地域で緊張を高めるような行動は慎むべきである、そうした旨、申入れをしておるところでございます。

鈴木(敦)委員 公海自由の原則はもちろんなんですが、戦に向かうものを何か手当てができたらいいんだろうなと私は思いますし、恐らくゼレンスキー大統領はそういった部分も含めて我が国に助けを求めてきた。一国の大統領が他国にこれだけお願いします、お願いします、こう言ってきて、議会での演説まではみんな聞いたんですが、もう何度も私も発言していますし、皆さんからも御発言があったように、核保有国であるロシアを止める手だてが、軍事的手段がないということは、非常に今、核保有国、そして安全保障理事会の常任理事国が暴走した場合に誰も止められないという非常に難しい問題の中で、国連改革は一つの方法なんでしょうけれども、それ以前に、そういう軍事的な行動を取るんだったら通航させない。

 撃沈すると言っているんじゃないですよ。通航をさせないというところまでは各国共通して対応できることだと思いますし、是非G7でこういった話も先導されたらいかがかなと思うんですが、どうでしょうか。これは提案です。いかがでしょうか。

林国務大臣 G7で連携を取って、私ももう何回やったか覚えていないぐらい、今年に入ってからG7の外相会合というのを行って、また首脳レベルでの会合も行って連携を強めているところでございます。

 今お話がありましたように、ロシアという、核保有国でありそして安保理の常任理事国である国がこうした明白な国際法違反を行っているという状態、状況に対してしっかり連携して対応していくという意味で、今委員がおっしゃったこと、これは何ができるか、私も今すぐにこれができるというものが浮かぶわけではございませんが、あらゆる選択肢を排除せずに、連携を深めるために検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

鈴木(敦)委員 今、津軽海峡の話をしましたが、これは南の方に行けば奄美諸島とかその周辺も含まれる話だと思いますので、是非いろいろと検討していただければと思います。

 終わります。

城内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十七分散会


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