衆議院

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第7号 令和4年3月30日(水曜日)

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令和四年三月三十日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 城内  実君

   理事 あべ 俊子君 理事 辻  清人君

   理事 宮崎 政久君 理事 武藤 容治君

   理事 青山 大人君 理事 小熊 慎司君

   理事 杉本 和巳君 理事 吉田 宣弘君

      伊藤信太郎君    上杉謙太郎君

      小渕 優子君    尾身 朝子君

      加藤 竜祥君    島尻安伊子君

      新藤 義孝君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      中谷 真一君    平沢 勝栄君

      本田 太郎君    岡田 克也君

      徳永 久志君    太  栄志君

      松原  仁君    青柳 仁士君

      伊東 信久君    和田有一朗君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   法務副大臣        津島  淳君

   外務副大臣        小田原 潔君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   法務大臣政務官      加田 裕之君

   外務大臣政務官      上杉謙太郎君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   外務大臣政務官      三宅 伸吾君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  小玉 大輔君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部企画・推進審議官) 道井緑一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 野村  裕君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            堀本 善雄君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 花村 博文君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   石川 浩司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 股野 元貞君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 中村 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北川 克郎君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            船越 健裕君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  植野 篤志君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 山内 弘志君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 内野洋次郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           原  克彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道野 英司君

   政府参考人

   (農林水産省農林水産政策研究所次長)       松本 雅夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大澤 一夫君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           加藤  進君

   政府参考人

   (観光庁国際観光部長)  金子 知裕君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     加藤 竜祥君

  青柳 仁士君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     尾身 朝子君

  伊東 信久君     青柳 仁士君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

 東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律を廃止する法律案(内閣提出第三〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

 東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律を廃止する法律案(内閣提出第三〇号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

城内委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長石川浩司君、大臣官房審議官徳田修一君、大臣官房参事官股野元貞君、大臣官房参事官石月英雄君、大臣官房参事官中村和彦君、大臣官房参事官北川克郎君、アジア大洋州局長船越健裕君、国際協力局長植野篤志君、領事局長安藤俊英君、国際情報統括官山内弘志君、内閣官房内閣参事官小玉大輔君、TPP等政府対策本部企画・推進審議官道井緑一郎君、内閣府大臣官房審議官野村裕君、金融庁総合政策局審議官堀本善雄君、法務省大臣官房審議官保坂和人君、大臣官房審議官花村博文君、出入国在留管理庁在留管理支援部長君塚宏君、財務省大臣官房審議官内野洋次郎君、文部科学省大臣官房審議官原克彦君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、農林水産省大臣官房審議官道野英司君、農林水産政策研究所次長松本雅夫君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、国土交通省大臣官房審議官大澤一夫君、総合政策局次長加藤進君、観光庁国際観光部長金子知裕君、防衛省防衛政策局次長大和太郎君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

城内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

城内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木隼人君。

鈴木(隼)委員 自民党の鈴木隼人でございます。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、質疑に入らせていただきます。

 先週、ゼレンスキー大統領が日本に向けて演説をされました。本日の外務委員会は、それを受けての、その後初の開催となりますので、まず、政府の、演説を受けての受け止めをお聞きしたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 二十三日のゼレンスキー・ウクライナ大統領の国会におけるオンライン演説では、大統領の国を守る気概、そして国を思う気持ちを改めて強く感じました。

 日本政府として、この大統領のメッセージをしっかりと受け止め、今後ともウクライナをできる限り支援してまいる所存です。

鈴木(隼)委員 淡泊な答弁でありました。日本として精いっぱいウクライナに対して支援をしていきたいという意気込みだけは感じられる答弁であったと思います。

 それでは、現状、政府としてウクライナに対してどういった支援をしているのか、これは外務省と防衛省それぞれ御答弁をいただくことになっていますので、よろしくお願いします。続けてお願いします。

植野政府参考人 外務省分についてお答え申し上げます。

 まず、ウクライナへの支援として、まずは二月十五日の日・ウクライナ電話首脳会談において、岸田総理から、少なくとも一億ドル規模の借款を供与する用意があるということをゼレンスキー大統領に表明されました。

 また、二月二十七日には、同じく岸田総理が、他国に先駆けて、ウクライナ及び周辺国に対する一億ドルの緊急人道支援を行うということを表明され、これは、UNHCR、ユニセフ、WFP等の国際機関や日本のNGOを通じて避難民向けに保健医療サービスの提供あるいは食料の配布等を行うものでございますけれども、その後、三月十一日の閣議でこの緊急人道支援の具体的な内容を決定して、既に実行に移しております。

 さらに、三月二十四日に開催されたG7の首脳会合において、岸田総理から、人道状況についての深刻な懸念をG7首脳と共有した上で、ウクライナ及び周辺国に対して、前回同様に、保健医療、食料等の分野において、追加で一億ドルの緊急人道支援を行うということを表明されました。この追加の緊急人道支援の具体的内容については現在調整中でございますけれども、モルドバへの支援あるいは食料安全保障、こういったものにも配慮しつつ、今、内容を詰めているところでございます。

 それから、岸田総理はまた、同じG7の首脳会合において、周辺国に滞在する避難民支援のため、物資協力や医療保健等の分野での人的貢献を行うということも検討しているということを説明をされました。

 さらに、これらに加えて、JICA、国際協力機構が、三月十九日に日本を出発する日程で、人道支援・保健医療分野協力調査団というのをモルドバに派遣しております。これは、モルドバの保健医療分野のニーズの調査を行うとともに、WHOと連携した形で医療支援の調整あるいは医療データ管理等の分野で活動を行っております。今後、この調査団の結果も踏まえて、既に表明済みの合計二億ドルの緊急人道支援とは別に、モルドバのニーズに応える具体的な二国間支援についてもつなげていきたいというふうに考えております。

 一方、避難民の方々の我が国への受入れのための取組も進めております。官房長官を長とするウクライナ避難民対策連絡調整会議というものが設置されました。この会議を司令塔として、その下に設置されたタスクフォースで詳細を早急に詰めつつ、政府一体となってウクライナからの避難民の円滑な受入れ等を行っていくということにしております。

 さらに、在ポーランド大使館及びジェシュフの連絡事務所の体制を強化して、ウクライナ避難民支援チームというものを設けました。

 さらに、古川法務大臣が総理特使として近くポーランドを訪問され、避難民の受入れのための作業を加速するというふうに承知をしております。

 いずれにしろ、政府としては、今後とも、G7を始めとする国際社会と連携しながら、適切にニーズを把握しつつ、困難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援、あるいはその避難民の受入れ等を検討、実施してまいりたいと思います。

萬浪政府参考人 続きまして、防衛省からお答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、ウクライナ政府からの要請を踏まえまして、自衛隊法に基づいてでございますけれども、非殺傷の装備品等を防衛装備移転三原則の範囲内で提供するべく、三月上旬、具体的には三月八日からでございますけれども、自衛隊機等により輸送し、ウクライナ近隣国において引渡しをしているところです。

 これまでに、実績としまして、防弾チョッキ約千九百着、鉄帽、ヘルメットでございますが、六千九百個、天幕、テントでございますが、約二百四十式、カメラ約五十台を同国政府に引渡済みであるほか、防寒服、非常用糧食、衛生資材、医療用資器材、双眼鏡、照明器具、個人装具の輸送を調整中でございます。

 引き続き、防衛省・自衛隊として、ウクライナに対して支援を行ってまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 今お話のあった防衛装備品の供与については、かなり難しい調整があったというふうに聞いております。知恵を出していただいて、何とか実現をしていただいて本当にありがとうございます。

 また、外務省からもお話のありました、人も派遣をしているということでありまして、これはやはり、ただ物やお金を送るだけじゃなくて、人が出向いて、そして寄り添った形で支援をするというのは我が国としてのスタンスを示すものになると思いますので、大変すばらしい支援をしていただいていることに感謝を申し上げます。

 また、政府だけではなくて、民間ベースでも、物資やお金の寄附に加えまして、医師や看護師を派遣をしている団体があったり、また、日本に避難をしてくるウクライナの方に無料で日本語の教育支援を行うことを計画をしている団体もあったりします。

 こういった、本当にそれぞれのお立場でいろいろな形でウクライナへの支援、検討していただいている皆様に頭が下がる思いであります。

 一方で、ロシアへの制裁、これは極めて重要でありますが、我が国の現状、対ロ制裁の内容、どういったものになっているのか、答弁をお願いします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、一刻も早くロシアのウクライナ侵略をやめさせ、ロシア軍を撤退させるために、G7各国、国際社会とともにロシアに対して強力な制裁措置を取っていくことが必要だと考え、迅速に厳しい措置を打ち出してまいりました。

 具体的には、まず一つ目に、プーチン大統領を含むロシアの関係者、団体に対する資産凍結と、二つ目に、ロシア中央銀行との取引制限やSWIFTから排除されるロシアの七つの銀行に対する資産凍結等を含む金融分野での制裁、三つ目としまして、ロシア向けの半導体など汎用品を含む輸出禁止措置等の三つの分野における対ロ制裁措置を速やかに実施しております。

 また、岸田総理から、先般のG7首脳会合等の場で、我が国が追加の制裁措置を行っていくことを説明し、高く評価されております。

 具体的には、第一に、ロシアの最恵国待遇を撤回するための法改正案を今国会提出に向けて準備を進めること、第二に、輸出禁止対象に八十一の軍事関連団体を追加すること、第三に、オリガルヒ等を制裁対象に追加すること、第四に、ぜいたく品の輸出禁止措置を今週初めに導入すること、第五に、デジタル資産を用いたロシアの制裁回避に対応するための法改正案を今国会提出に向け準備を進めること等を表明いたしております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 極めて厳しい制裁を科す、科し続けていくこと、これは極めて重要なことだと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 同様の文脈で考えますと、今、我が国にロシア経済分野協力担当大臣というのが引き続き置かれ続けているわけであります。これはこれまでにもこの委員会で他の同僚委員から指摘があったところでありますけれども、この経済分野協力担当大臣がいまだにいるというのは私は問題ではないかと思いますが、この点について、政府の見解、お願いいたします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも申し上げておりますとおり、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為で、明白な国際法違反、断じて許容できず、厳しく非難するものであります。

 国際社会は、ロシアの侵略により、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないと考えておりまして、我が国としても、ロシアとの関係で、新たな経済分野の協力を進めていく状況にはございません。

 お尋ねの、ロシア経済分野協力担当大臣を廃止すべきではないかという点につきましては、林外務大臣からもお答えしておりますとおり、外務省として、閣僚のポストの存続の是非につき申し上げる立場にございません。

 ただし、今回の事態を受け、日本企業には様々な影響が及ぶことになると考えられますので、日本企業の利益を守るための業務というものは種々存在すると考えております。

 いずれにいたしましても、繰り返しになりますが、外務省として、閣僚ポストの存続の是非について申し上げる立場にはございません。

鈴木(隼)委員 外務省として閣僚のポストについてコメントする立場にないというのは分かりますけれども、私は、昨日通告をしたときに、役人の方に対して、外務省が答弁をしてくださいというお願いはしませんよ、政府として責任を持った答弁をしてくださいというお願いをしているわけであります。このことについてこれ以上言いませんけれども、協力を担当する大臣が今でも存在をしているということ自体が国際社会に対して誤ったメッセージを発信することになると私は考えています。

 このことについて、じゃ、外務省はどういうふうに考えているんですか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになり恐縮ですが、閣僚の職務の分担やその名称につきまして、外務省として申し上げる立場にございません。

鈴木(隼)委員 我が国の取っている政策が諸外国に対してどういうメッセージを発することになるのか、これは当然政府として考えている、考えるべきことであって、それは私たちの答えることじゃないという答弁は極めて不誠実だと思います。

 もう一回答弁をお願いします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも、外務省としてお答えする立場にないと申しましたのは、閣僚の職務の分担やその名称についてでございまして、委員のおっしゃる日本のロシアに対する協力姿勢の云々につきましては、先ほど申しましたとおり、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないという国際的な認識の下で、我が国としても、ロシアとの関係で新たな経済分野の協力を進めていく状況にはないと考えております。

 それを踏まえて、我々として職務を遂行してまいる所存です。(発言する者あり)

鈴木(隼)委員 はい。もっと言いたいところではありますけれども、私も与党の議員でありますから、武士の情けを持って質疑をさせていただきたいと思います。

 ただ、お立場が苦しいのは分かりますけれども、私だけではない、与党の議員も野党の議員も、複数の議員がこういう指摘を委員会の場で公式にしているわけでありますから、こういった議論が与野党を超えて起きているんだということは、少なくとも、外務省として、これは総理がお決めになることですとおっしゃるのであれば、総理にきちんとその情勢を伝えていただくということは極めて重要だと思いますが、その点は伝えていただけますか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘を踏まえまして、総理大臣、外務大臣等に報告させていただきます。

鈴木(隼)委員 じゃ、よろしくお願いします。

 ほかにも一問、物価対策等について質疑をさせていただく予定でありましたけれども、残念ながら、時間になってしまいましたので、以上といたします。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、金城泰邦君。

金城委員 おはようございます。公明党、金城泰邦でございます。

 初めに、今、ウクライナの深刻な状況、被害に遭われた方々へのお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々にお悔やみを申し上げたいと思います。

 先週、ちょうど一週間前、ゼレンスキー大統領の国会演説を聞き、更なる支援が必要であるという思いに改めて至りました。その後、三月二十六日、先週末、私は地元の沖縄に戻りまして、現在沖縄にいる、ウクライナからの在留者の方が十八人いるということでございますが、そのうちのお一人の方に直接お会いし、その方の要望することについて様々意見を聞きました。家族が命の危機にさらされているという切実な訴えを聞きまして、今まさに、相手の思いに立った行動が必要だと痛感いたしました。その思いに立って今日は質問をさせていただきたいと思います。御答弁よろしくお願いします。

 先ほどもありましたけれども、現地にいて避難ができない何千万人という方々への救援策、現在どのようなことを実施しているか、また、今後、更なる支援策をどのように考えているのかについてお伺いいたします。

 また、日本航空や全日空を利用した航空運賃の負担軽減策を考えてほしいとありました。避難のためのウクライナ人の日本への航空運賃を人道的支援として何らかの形で助成してほしい、助成が難しいのであれば、渡航費がネックとなって日本に避難できないことがないよう、渡航費の貸付けを外務省が責任を持って行うなど、日本政府として人道的支援をしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。

 沖縄県でのウクライナからの避難者の住居支援では、現在空き室となっている外務省所管の国際協力機構、JICAや国立大学法人琉球大学の留学生専用の寮を活用できないか、そうすれば食堂も併設しているので食事支援も工夫すれば展開できるのではないかと考えます。

 以上の質問に対し、御答弁をいただきたいと思います。

 また、日本在住のウクライナ人は、ウクライナ本国にいる家族、親族、友人、知人の日本避難を願っていますが、様々な壁が立ちはだかっていると感じております。避難したウクライナ人の日本での受入れ体制はどのようになっていますか。入国の手続や入国した後の支援体制を、外務省と法務省が緊密な連携をしてワンストップで窓口を設け、対応するべきと考えますが、内閣官房のウクライナ避難民対策連絡調整会議、そのタスクフォースに中心的な役割を果たしている外務省の副大臣に御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

小田原副大臣 金城委員にお答え申し上げます。

 その前に、少し個人的なことが入るかもしれませんけれども、先週、私は、パリで国際エネルギー機関閣僚理事会に出席を、外務省を代表して行ってまいりました。その際、ウクライナのデムチェンコフ・エネルギー次官と会談をいたしました。記念撮影では笑顔でしたけれども、終始苦悩に満ちた御一行の表情は忘れることができません。御自分の命も危ないのを覚悟の上で、キエフからパリまで、国際社会に刻一刻と同胞が殺されているという訴えをされて、その勇気と尊厳に対する執念に胸が詰まって、言葉が出ませんでした。翌日の別の会議では、全体会議では、ウェブで参加をされたエネルギー大臣が、出席者の皆さんのうち一人でも、どうして私たちがこんな目に遭わなきゃいけないのか説明できる人はいるでしょうかと訴えられ、胸が潰れるような思いで聞いてまいりました。恐らくその思いは委員と軌を一にするものであろうと思います。

 その上で、お答えを申し上げます。

 先般、二十四日のG7首脳会合におきまして、岸田総理から、人道状況についての深刻な懸念をG7首脳と共有した上で、我が国は、ウクライナ及び周辺国に対して、これまで表明した一億ドルの緊急人道支援に加え、医療保健、食料などの分野において、追加で一億ドルの緊急人道支援を行うことを表明をいたしました。これらの支援を迅速かつ確実に実施をいたします。

 また、避難民の方々の我が国への受入れも始まっております。受入れを進めるに当たっては、現地の避難民の方々の支援のニーズを的確に把握することが極めて重要であります。在ポーランド大使館及びジェシュフ連絡事務所の体制を強化してウクライナ避難民支援チームを新たに設置をし、避難民の方々への、日本への渡航支援のニーズについて調査と把握を進めていくことにしています。

 さらに、古川法務大臣が総理特使として近くポーランドを訪問し、同国政府要人との会談や現地の避難民受入れ状況の視察などを行う予定です。避難民の受入れのための作業を促進をしてまいります。

 また、委員御指摘の渡航支援や生活支援の論点も含めまして、我が国に避難してこられる方々への必要な支援等について、日本ができることを政府全体としてスピード感を持ってしっかりと検討してまいります。

 また、議員御指摘のJICAの沖縄センターでありますけれども、JICA研修員などの短期滞在を目的として、主に単身者向けの宿泊施設があると承知をしております。避難民を受け入れる自治体からの要望に応じて、いかなる支援が可能か検討するという立場であるというふうに承知しています。外務省も、JICAの取組を支援をしてまいります。

金城委員 御答弁ありがとうございました。副大臣におかれまして御答弁いただきました。

 避難するウクライナ人の日本への受入れは、日本の国に入国するまでは外務省、入国した後は法務省と担当が分かれているとのことです。入国した後の国の支援内容は誠に幅広く、大変課題も多いと考えます。

 先ほど外務副大臣からも御答弁いただきましたが、JICAや琉球大学の留学生専用の寮、これを活用した当面の宿泊場所、食事、その後の住居、また医療支援、日本語通訳、就労支援、就学支援、生活支援、ウクライナ本国への生活資金等支援金の送金、様々な問題があります。

 法務省は、避難したウクライナ人が困ることのないように、生活面の様々な相談に対しワンストップで支援するべきだと考えますが、法務大臣政務官の御答弁をいただきたいと思います。

加田大臣政務官 金城委員の質問にお答え申し上げます。

 我が国は、ウクライナの国民と共にあります。ウクライナとの更なる連携を示すために、ウクライナから第三国に避難された方々の我が国への受入れを積極的に進めてまいります。

 そのため、官房長官を長とするウクライナ避難民対策連絡調整会議が設置されました。この会議を司令塔としまして、その下に設置されたタスクフォースで詳細を詰めつつ、政府一体となって、避難民の方々と、自治体や企業、NGO等、支援を申し出てくださる方々とのマッチング、日本語教育、就労、就学、定住等の生活支援を行っていきます。

 支援の運用の在り方につきまして、関係省庁間でも今後議論、調整していくこととなりますが、出入国在留管理庁においては、避難民の方々が自治体等の支援を受けることとなった後も、避難民の方々から相談を受けまして、適切に対応していく予定でございます。

 金城委員の御指摘のとおり、そうした観点もしっかりと含めまして、避難民の方々に安心して生活していただけますよう、その希望、ニーズに寄り添った支援に努めてまいりたいと思います。

 どうぞまた、いろいろ御指導のほど、よろしくお願いいたします。

金城委員 ありがとうございました。

 現地にいるウクライナ人がスピード感を持ってスムーズにビザを取得するためには、通常の手続ではウクライナ人のニーズに対応できないと考えます。

 ウクライナ人へのビザ発給手続について担当者の御説明を伺うと、通常の手続より相当簡素化されたビザ発給であると伺いました。しかし、戦場となったウクライナ国内の日本大使館やウクライナ周辺国の日本大使館にビザ申請に訪問すること自体、平和な国にいる私たち日本人には想像もできない苦難があると思います。

 現在の簡素化されたビザ発給手続よりも更に簡素化した特例措置を、当分の間、ウクライナ人の日本への避難のために決断すべきと考えます。例えば、ウクライナ周辺国の空港にビザ発給の大使館職員を配置して、日本在住のウクライナ人の電子身元保証書を提出すれば、空港でビザを受け、そのまま日本に避難できるなど、あらゆる方策を検討していただきたいと思います。

 過去においては、日本の外務省外交官である杉原千畝氏は、第二次世界大戦時に、リトアニア領事館でユダヤ人に対し六千人の命のビザを発給しました。世界的に有名な話です。

 ウクライナ人の救済のために更なる人道的配慮を決断すべきと考えますが、外務副大臣の御決意をお伺いいたします。

小田原副大臣 お答え申し上げます。

 我が国は、ウクライナ国民と共にあります。同国との更なる連帯を示すために、避難民の方々の我が国への受入れを開始をしているところであります。

 避難民の方々に対する査証について申し上げますと、日本に親族、知人がいらっしゃる方々については、ウクライナ近隣の第三国、具体的にはポーランド、ルーマニア、モルドバ、ハンガリーなどでありますが、日本大使館において、申請書類を可能な限り簡素化することに加えまして、複数人の査証申請を代表者が行うことなどを認めまして、迅速に審査、発給を行ってきています。また、日本に親族、知人がおられない方々についても、日本国内での受入れ体制が整っている場合には、身元保証書の提出がなくても査証を発給することになります。

 ウクライナ避難民の方々の受入れに関しまして人道的配慮を行ってきているところでありますが、さらに、いかなる対応ができるかについて、引き続き検討をしてまいります。

金城委員 副大臣、ありがとうございます。

 ウクライナ周辺国から日本への渡航費がネックとなって、日本の家族、親族、友人、知人の元に来られないことが考えられます。

 そこで、これまで質問してきた内容と別の角度から提案いたしますが、アメリカの人道的支援として、在沖縄米軍基地から米軍用機でウクライナに日本への避難を希望するウクライナ人を迎えに行って、在沖縄米軍基地内の空き住宅に避難、入居していただくよう、外務省はアメリカと交渉していただきたいと思いますが、外務副大臣の御所見をお伺いいたします。

小田原副大臣 お答え申し上げます。

 ウクライナ避難民の方々への支援に当たっても、日米が緊密に連携して対応していくことが重要と存じます。日米間では、先般ベルギーで行われたG7首脳会合の機会を含め、様々な機会に日米間の連携を確認をしているところであります。

 連携といたしましては、例えば、三月十六日には、自衛隊の防弾チョッキやヘルメット、防寒服といった装備品を在日米軍の横田飛行場から米軍機で輸送することで、ウクライナの人々に対して日米が連携して支援していく意思と能力を示しました。

 委員御指摘の渡航支援や生活支援の論点も含めまして、ウクライナ避難民の方々を始めとする同国への支援をいかなる形で進めていくことが適切かについて、我が国として主体的な支援を中心としながらも、委員の御指摘を踏まえ、日米間でいかなる形で連携していくことが適切か、引き続き検討をしてまいります。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 今、我が国政府も日米の同盟強化ということで取り組んでいるところでございます。世界の平和に向けても、日米の同盟が強化される、その取組がまた世界へ発信されることで世界の平和に貢献できると思っておりますので、是非ともまた頑張っていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

城内委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 先ほど、ほかの委員の方からも、ウクライナからの避難民の方々への人道支援について幾つか御質問がございました。

 立憲民主党では、三月の二十五日に、ウクライナ避難民支援に関する緊急提言をまとめ、申し入れました。その項目の一つに、政府と自治体との連携体制の整備を求めたところでございます。

 また、昨日、三月二十九日には、立憲民主党は、議員立法、戦争等避難者に係る出入国管理及び難民認定法の特例等に関する法律案を提出いたしました。これは、ウクライナ避難民に限らず、シリアやアフガニスタンなど戦争避難民全体を対象にした法律案でございます。

 そのような中、全国の地方自治体の若手市長による全国青年市長会が、茨城県つくば市始め約七十の自治体がウクライナ避難民受入れの意思を示しましたが、具体的な費用負担等の条件が整っていない、国の財政措置が不明確として、受入れをしたい自治体があるにもかかわらず、最大限に応じることが難しい状況である、そういった提言もいただきました。

 そこで、戦争避難民を救いたいという多くの自治体の善意に国が応え、受入れを速やかに実現できるよう、自治体への財政措置の検討を政府はすべきじゃないか、そのように思っております。

 自治体に対するウクライナ難民受入れ体制の財政措置について、また、それ以外の支援措置があるのかも含め、まずは政府の検討状況を伺います。

林国務大臣 日本への避難民受入れを進めるために、官房長官の下でウクライナ避難民対策連絡調整会議を開催いたしまして、その会議の下で関係省庁によるタスクフォースを設置し、政府内の体制を強化をいたしました。

 さらに、現地の避難民の方々の支援のニーズを的確に把握することが極めて重要であることから、在ポーランド大使館及びジェシュフ連絡事務所の体制を強化して、ウクライナ避難民支援チームを新たに設置し、避難民の方々の日本への渡航支援のニーズについて調査、把握を進めていくことにいたしました。

 また、古川法務大臣が総理特使として近くポーランドを訪問し、ポーランド政府要人との会談や現地の避難民受入れ状況の視察等を行う予定でありまして、避難民の受入れのための作業を促進をいたします。

 その中で、今委員からもお話がありましたように、ウクライナ避難民の状況に心を痛めた日本の多くの自治体や民間企業、団体の方々から避難民の受入れに協力したいとの声が多く上がっておりますことは、大変心強く思っております。

 入国後の避難民の方々の支援については、出入国在留管理庁が主体となりまして、自治体や企業、NGOなど、支援を申し出てくださる方々とのマッチング等を行っていくものと承知をしておりますが、今お話のありました避難民受入れに際する自治体への財政援助については、現段階ではまだ何も決まっておらないところでございまして、自治体や民間企業、団体の方々とともに、政府全体として、ウクライナ避難民への支援、これをしっかりと検討してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 大臣、当然、地方自治体の協力が必要不可欠なことは言うまでもありませんし、これからということですが、しっかりと財政措置を含めて検討してほしいなと思っています。

 この全国青年市長会からの提言、受け入れる意思ありという自治体の中には、山口県の宇部市も入っていますし、一応、山口県の下関市も入っていますし、そういった自治体の声を踏まえて、是非早急に対応の方を重ねてお願いいたします。

 また、これは、ウクライナの避難民はもちろんですけれども、先ほど私も言いましたように、我が立憲民主党では、アフガニスタンですとかシリアですとか、ほかにも戦争の避難民というのはいるわけでございまして、そちらの方も併せてしっかり対象に含めるように検討のほどをお願いいたします。

 では、次の質問に行きます。

 今回、今も、現在も、ウクライナの日本国大使館の方たちが本当に献身的に様々な御尽力をされていると思っていますし、ウクライナに限らず、各国の在外公館の方たちがいろいろなことを取組をされているふうに伺っております。

 今回、こういったロシアによるウクライナ侵略といういわゆる戦争が起きて、改めて在外公館の重要性ですとか必要性を私は感じております。

 よく、在外公館の必要性、重要性というときは、安全保障、戦略的対外発信、資源獲得を含む経済上の利益、日本企業の支援、テロ対策及び邦人保護、国際社会における日本への支持獲得などというふうな目的が挙げられていますけれども、本当に改めてその重要性を実感しているところでございます。

 ちょっと確認なんですけれども、昨年、当委員会で、ベトナムのダナンに総領事館を新設する法案が提出され、当委員会でも可決したわけでございますけれども、その後、コロナ禍の中でいろいろな御苦労もあると思うんですけれども、ダナンの総領事館の開設について、どうなっているんでしょうか、お伺いします。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 ベトナム中部に位置するダナンは、経済成長が著しく、二〇一六年から二〇二一年の過去五年で、在留邦人が約一三〇%、日系企業数が約三〇%増加しております。新型コロナウイルス感染症を受けた世界的なサプライチェーンの多角化の中で一層の投資増加が見込まれる中、邦人保護、日系企業支援体制を整備することが急務でございます。

 また、ダナンは、委員御指摘のとおり、南シナ海に面した安全保障上の要衝でございまして、自由で開かれたインド太平洋の推進に向けて、東西経済回廊の起点として重要な戦略拠点の一つとされており、ダナンに安全保障及び経済の情報収集拠点を設けることが我が国にとって重要でございます。

 こうした目的に資するべく、二〇二〇年一月に領事事務所を設置し、昨年お認めいただきまして、二〇二二年、本年一月に総領事館に格上げいたしました。

 現在、在ダナン総領事館は、ベトナム当局と緊密に連携しながら、在留邦人、進出日系企業への支援等を行っており、引き続き重層的な二国間関係の強化に努めてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 予算の編成等に関する建議の中に、在外公館を新設する場合は、設置目的を明確にして、開設後にはこれが達成されているか定量的に評価すべきであるというふうに毎年毎年書かれております。なかなか、在外公館に関して、すぐに結果が出るわけじゃないですし、長い目が必要かと思うんですけれども、毎回毎回これが書かれているというのは何かちょっと気になりますので、しっかり目的を持って、開設後には、その当初の目的が達成されているか、定量的な評価を重ねてお願いいたします。

 そして、私も、これは昨年もちょうどこの委員会で質問したんですけれども、太平洋島嶼国・地域は、日本と今連携を深めているオーストラリアをつなぐシーレーン、そしてインド洋から南シナ海を抜けて太平洋に抜けるシーレーンが交わる戦略的に重要な地域であるということで、やはり、どんどん、公館の未設置の国や地域がまだ幾つかあるので、しっかり設置すべきじゃないかというような話を当委員会でさせていただきました。

 その中で、昨年、フランス領のニューカレドニアのヌメアに領事事務所を開設しようとしたけれども財務当局から認められなかったり、昨年は断念したという経緯があったわけですけれども、その後、ニューカレドニアのヌメアの領事事務所の設置についてはどうなっているでしょうか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度予算編成におきまして、ニューカレドニアのヌメアに領事事務所を設置することを要求し、本年の通常国会で同予算が承認されたことで、在ヌメア領事事務所の新設が認められるに至ったところでございます。令和五年一月一日の開館に向けて調整を進めているところでございます。

 フランスの海外領土でございますニューカレドニアは、約三百人の在留邦人を擁するほか、約一万人の日系人が現地に根づいております。また、インド太平洋地域における地政学上の要衝でございまして、自由で開かれたインド太平洋の実現のために日・フランス協力をするに当たって、戦略的に重要な拠点でございます。

 在ヌメア領事事務所の設置を機に、ニューカレドニア及びフランス本国との関係を更に重層的に深化させてまいりたい、このように考えているところでございます。

青山(大)委員 ここは昨年も、いわゆるフランスから独立を、是非を問う住民投票があったわけでございまして、たしか昨年、三回目でしたか、あったわけでございまして、これは一部には、フランスからの独立運動を後ろから支援しているのが中国じゃないか、そういったことも聞きますし、今後、ここは非常に大切なのかなと思っておりますけれども、まさにニューカレドニア、フランスの海外領土から今後独立するような動きとか今後の住民投票の流れとか、現在の状況をもう少し詳しく教えてください。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、独立に向けた住民投票ですとか様々な動きがあるということは承知しておりますけれども、現時点、今日におきまして、その運動が極めて激しくなっているといった情報には接しているところではございません。

青山(大)委員 自由で開かれたインド太平洋のためには本当に大事な拠点だと思っていますので、引き続き、領事事務所設置に伴って、日本の影響力、日本もしっかり現地と信頼関係をより強固にできるように、重ねてお願いいたします。

 そしてもう一点、太平洋島嶼国で、国、地域で、日本は五つの国で大使館がまだ未設置でございますけれども、その残り五つの今後の予定等、考えているのか、併せてお伺いいたします。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、太平洋島嶼国のうち、現在、我が国の在外公館が設置されていないのは、キリバス、クック諸島、ツバル、ナウル及びニウエの五か国でございます。

 このうち、キリバスについては、先般御承認いただきました令和四年度予算におきまして、現地に大使館を新設することが認められました。

 太平洋島嶼国の残りの四か国を含め、在外公館の新設については、安全保障上の観点、戦略的対外発信の観点、資源獲得、日本企業支援といった経済上の観点、さらには、邦人保護、国際社会での我が国への支援獲得、ほかの主要国の公館設置状況、相手国の在京大使館の有無等々を総合的に勘案して検討してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 そこで、ちょっとこれも昨年も提案させてもらったんですけれども、まさに今後の在外公館の整備方針というのが、一番新しいもので平成二十六年なんですよね。その頃は百五十大使館体制の実現なんかがうたわれていますけれども、もうとっくに実現しちゃったわけでございます。コロナもそうですし、今回のロシアによるウクライナの侵略もそうですし、世界情勢も変わりつつあります。

 やはりここは、昨年、茂木大臣のときはいい返事をもらえなかったんですけれども、是非、新たな林大臣になったことですし、改めて、日本として在外公館の整備方針、中期的な整備方針というものをしっかりと定めて、むしろそれを私は対外的に発信していくことも必要なんじゃないのかなというふうに思うんですよね。毎年毎年、ここをつくりたいといって財務当局と、もちろん際どい折衝があると思うんですけれども、私もこうやって毎回毎回委員会で聞くんじゃなくて、日本としては五年、十年でこういうところをやっていくんだよというのを、新しい整備方針を示すべきじゃないかな、作るべきじゃないかなと思いますけれども、大臣の見解を伺います。

林国務大臣 外交の実施体制の強化に向けまして、在外公館の新設や人員の拡充など、体制の強化には常に努めてきておるところでございます。

 今お触れいただきました、令和四年度に認められた在キリバス大使館の新設もこれに含まれておりまして、令和四年度末までに在外公館数は二百三十一となるわけでございまして、引き続き体制の強化に努めてまいりたいというふうに思います。

 新設の整備方針ということでございましたが、これは、既に公表済みの在外公館の整備方針、平成二十六年度のものがございますけれども、ここに、従来、安全保障上の観点や戦略的対外発信、日本企業支援といった経済上の観点、邦人保護、国際社会における我が国との協力強化、他の主要国の公館設置状況、相手国の在京大使館の有無等を含めて、その時々の国際情勢や各国、各地域の動きを注視しながら、二国間関係の重要性に鑑み、総合的に判断してきております。今後とも、適切に判断をしてまいりたいというふうに思っております。

 この今申し上げた整備方針、新設の基準等については、今お触れいただいた公表済みの在外公館の整備方針から大きく変わるものではないというふうに考えております。引き続き、外交実施体制の強化に取り組んで、戦略的な外交を展開していきたいというふうに考えております。

青山(大)委員 大臣、新たに大臣として整備方針を作ることも、改定するのも、私は、林大臣の独自色を出してほしいという思いも含めて質問したわけでございまして、もちろん、既存のもので対応できるとおっしゃいましたけれども、あえて、平成二十六年、もう相当前ですので、私は更新してもいいのかなと思っていますので、そこは大臣のお考えですのでこれ以上質問しませんけれども、私からは提案をさせていただきます。

 同時に、これも言われていますけれども、在外公館を新設することで人員が手薄になるんじゃないかとか、そういったことも言われていますけれども、その辺の人員の補充なんかもしっかりやってほしいですし、大使館員の人材育成にもしっかり取り組んでほしいというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 英国と台湾のTPP11への加入についてお伺いいたします。

 英国については、加入承認に向けて手続が前進しているとも聞いています。我が国と英国との間には既に日英EPAが発効していますが、これに加え、英国がTPP11に加入することについて我が国にとってどういった意義があると考えるか、改めて大臣の考えを伺います。

林国務大臣 英国は、我が国にとってグローバルな戦略的パートナーであるとともに、昨年、今お触れいただいたように、日英のEPAが発効するということで、重要な貿易・投資相手国であります。

 今後の英国との交渉を予断するものではありませんが、このTPP11、これは、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていく、こういう意義を有しておりますので、基本的価値を共有する英国がTPP11のハイスタンダードを完全に満たす形で加入するということは、そういった意味で大変有意義なことであるというふうに考えております。

青山(大)委員 具体的に、今回、英国は初めて新規加入申請を行った国であるわけでございまして、今後のTPP11の加入の先例にもなると思われます。英国の加入手続についての現状と今後の具体的なスケジュール、見通しについてお伺いいたします。

道井政府参考人 お答え申し上げます。

 英国のTPP11加入手続でございますけれども、これは、TPP発効直後につくられました加入手続に従って進められておりまして、英国の手続に即して申し上げますと、昨年六月、英国の手続の開始が、TPP11の全締約国で構成されるTPP委員会というのがございますが、そこで決定されました。その際、加入作業部会というものが設置されまして、我が国がその議長を務めることとなりました。

 その後、我が国は、英国及びTPP参加国と連携しまして、この加入手続が協定のハイレベルを維持して進むように、必要な取組、調整を進めてまいったところでございます。

 具体的には、英国がTPP11協定の義務を遵守するための同国の取組などにつきまして英国から聴取しまして、英国がこうした義務を遵守できるかどうか等について関係国間で議論、検討をしてまいったところでございます。

 そういったことを受けまして、先月、二月十八日になりますけれども、TPP11の高級実務者による協議が行われまして、その場におきまして締約国間で合意を行いまして、英国に対して、所定の手続に従いまして、市場アクセスのオファー等を提出するよう伝達したところでございます。

 したがいまして、現在、実際に英国からこの市場アクセスのオファー等が提出されたところでございまして、まさに、これを受けまして、今後これをどう扱っていくか、段取り等につきまして、他の締約国との間で、今現在、協議、調整を行っているという現状でございます。

青山(大)委員 さらに、今、台湾もTPP11への加入申請をされているというふうに思いますけれども、我が国と普遍的価値を共有できる台湾がTPP11へ加入申請をしたということは、私は非常に評価すべきだなと思っているんですけれども、大臣の見解を伺います。

林国務大臣 台湾は、我が国にとりまして、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーでございます。また、台湾は、TPP11への加入申請に向けて、具体的かつ様々な取組をかねてから公にしてきております。そのような台湾がTPP11への加入申請を提出したということを我が国として歓迎をしておるところでございます。

 これに関連して、蔡英文総統が、全てのルールを受け入れる用意がある、そういう決意を指導者として自ら示していることについて、肯定的に受け止めております。

 我が国としては、台湾がTPP11の高いレベルを完全に満たす用意ができているかどうかについて、まずはしっかりと見極めていく考えであります。

 加入申請を提出したエコノミーの扱いについては、ほかの参加国ともよく相談する必要がありますが、我が国としては、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくというTPP11の意義を参加国と共有しながら、戦略的な観点や国民の理解も踏まえながら対応してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 一方、台湾に先立ち加入申請を行った中国は、中華人民共和国は、一つの中国の原則に反するとして、台湾の加入申請に反発をしているようでございます。台湾は中国も加盟している世界貿易機関にも加盟していることからも、中国の姿勢には全く一貫性がないものというふうに私は考えます。

 そういった、まだ加盟もしていないのに、中国の主張によって台湾のTPP11への加入手続が妨げられないように、まずは、現在の締約国の間で、台湾によるTPP11への加盟が協定上可能であることをしっかり共有しておくべきと今のうちから考えますが、御見解を伺います。

林国務大臣 TPP11協定は、新規加入の対象を国又は独立の関税地域と規定しておりまして、台湾によるTPP11への加入は協定上可能だというふうに認識をしております。

 台湾によるTPP11の加入申請、これは、昨年の九月二十二日に寄託者であるニュージーランドに提出をされまして、TPP11参加国に共有をされたところでございます。その後、台湾がTPP11協定上の新規加入の対象に該当しない、こういった見解がTPP参加国から示されたということは承知をしておらず、台湾によるTPP11への加入は協定上可能との認識はTPP参加国間で共有をされているということでございます。

 加入申請を提出したエコノミーの扱いにつきましては、他の参加国ともよく相談する必要がございますけれども、我々として、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルール、これを世界に広めていくというTPP11の意義を参加国と共有しながら、議論を主導してまいりたいと思っております。

青山(大)委員 是非積極的に、林大臣主導で行っていってほしいというふうに思います。

 一方、台湾は最近まで、東日本大震災の東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、茨城とか福島、千葉、栃木、群馬の五県産の食品の輸入規制をしていたわけでございまして、ようやくその輸入の規制の措置が緩和をされました。これは歓迎すべきことなんですけれども、しかし、輸入停止措置が解除されたといっても、輸出のときに放射性物質検査報告書の添付が義務づけられるほか、台湾側の水際検査を毎回受ける必要があり、また、五県のキノコは引き続き輸入停止になっているなど、一部の規制はまだ残っているのが現状でございます。

 引き続き規制の撤廃に向けて働きかけてほしいと思っていますし、一方、今回、台湾側から見ますと、日本の五つの県からの輸入規制の緩和については、二〇一八年に台湾の中の住民投票で輸入禁止の継続が決まって、二年間解除できなくなってしまったというような先方の理由もあるというふうに聞いています。

 二月に、予算委員会第三分科会で立憲民主党の渡辺周議員の質問に対する答弁で、政府は、台湾側が公表した緩和案について、台湾側が消費者や関係団体の意見なども踏まえて総合的に判断した結果という説明を受けているというふうに述べられました。

 台湾の消費者の意見によって輸入が規制されてきたことを踏まえると、輸入規制の緩和のためには、当局への働きかけだけではなくて、台湾の消費者の理解が得られるような情報発信も必要と考えますが、取組について伺います。

林国務大臣 日本産食品の輸入規制撤廃、これは政府の最重要課題の一つであります。

 先般の台湾による規制の見直しは、この輸入規制の撤廃に向けた大きな一歩でありまして、残された輸入規制の早期撤廃に向けて、今委員からも御指摘がありましたように、引き続き台湾側に粘り強く働きかけていきたいと思っております。

 我が国としては、こうした台湾の取組、これを認識しつつ、台湾がTPP11の高いレベルを完全に満たす用意ができているかどうかについてまずはしっかりと見極めるとともに、戦略的な観点や国民の理解も踏まえながら対応をしていくということでございます。

 この台湾の輸入規制の見直しは大きな一歩だ、こういうふうに認識をしておるわけでございますが、委員からお話がありましたように、台湾の方々、消費者も含めた皆さんに対して、これまでも日本台湾交流協会等を通じて、規制の早期緩和や撤廃に向けた各種の働きかけを行うとともに、日本産食品の魅力、また安全性、これを伝えるためのイベントや広報活動等を行ってきたところでございます。

 今後も、台湾の方々に日本産食品の安全性を正確に理解をしていただき、残された規制の早期撤廃につながっていきますように粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 あわせて、今、まだ台湾以外にも、中国や韓国など十三の国や地域がいまだに輸入規制を継続していますけれども、今の状況並びに政府の取組について重ねて伺います。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 日本産食品の輸入規制撤廃は政府の最重要課題の一つでございますが、委員御指摘のとおり、中国、韓国につきましては、引き続き規制が残っている現状でございます。

 中国に対しては、これまでもあらゆる機会を通じて働きかけを行ってきており、二〇二一年十一月十八日の日中外相電話会談におきましても、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を強く求めたところでございます。

 韓国に対しても同様に、様々な機会を捉え、早期の規制撤廃を働きかけております。

 外務省としましては、中国及び韓国による輸入規制措置の撤廃に向け、政府一丸となって、引き続き強く働きかけてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 まさに、輸入規制を継続している国、地域の中でも、中国と韓国は今年発効したRCEP協定にも参加をしております。

 ちょうど昨年の四月、この外務委員会で、私の方からRCEP協定に関連して中国と韓国の輸入規制の撤廃に向けた対策について質問した際に、その際、政府からの答弁で、RCEP協定が発効すれば、放射性物質に関する食品の輸入規制など、SPS措置、衛生植物検疫措置ですかね、に関する協議について、RCEP協定に基づく協議の場を活用することができるようになる、そういった答弁をいただきました。

 RCEP協定では、SPS措置について、自国と他国の締約国との間の貿易に影響を及ぼしていると認める場合には技術的協議を要請することができ、同要請が行われた場合には、原則として三十日以内に協議を行う義務を定めてあります。

 RCEP協定発効後、我が国からの食品等の輸入規制について、中国及び韓国に対しSPS措置に関する協議の要請を行ったのか、また、今後行う予定はあるのか、お伺いします。

中村政府参考人 お答えいたします。

 食品の輸入規制撤廃、緩和に向けて様々な協議の場、様々なレベルで取り組んできていることは、ただいま政府参考人から御答弁申し上げたとおりでございます。

 RCEP協定につきましては、御指摘の規定がございまして、私どもとしても認識をしております。

 他方、RCEP協定は、まず、今年一月に発効したところでございまして、更に申し上げますと、韓国につきましては、韓国の国内手続が遅れた関係で、韓国との関係では二月から発効したというところでございます。

 こういう状況もございまして、現時点で御指摘のRCEP協定に基づく協議の要請というのは行ってはいない、こういう現状でございます。

 ただ、もちろん、政府としましては、必要に応じて、そういうRCEPの協議の場、これの活用も含めて検討してまいって、引き続き、各国の日本産食品に対するSPS措置の輸入規制の早期撤廃、これに向けて働きかけを行ってまいりたい、このように考えてございます。

青山(大)委員 力強い御答弁を頂戴しましたので、是非今後、確実に行っていただきたいというふうに重ねて要請をさせていただきます。

 最後、日本とオーストラリアの関係についてお伺いをしたかったんですけれども、ちょっと時間が来てしまったので次回にしますけれども、今のオーストラリア大使が、以前、外務省から茨城県警の方に出向されていて、ちょうど私はそのとき、茨城の県会議員になったときだったものでございまして、当時、外務省から来られた方が部長をやっていて、その方が今オーストラリアの大使をやっていて、本当に、先般もある雑誌で大使の寄稿文を拝見しましたけれども、非常に心強いなと思った次第でございます。

 なので、オーストラリアとの関係については次回質問させてもらい、私の質問を終わりにします。ありがとうございました。

城内委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 ロシアの暴挙によるウクライナでの戦争で避難民が大量に生じている中で、日本政府もこれを支援しなきゃいけないというところであり、これは与野党共に質問が続いているわけであります。

 その中で、ニーズを把握して早急に対応します、ワンストップでと言っていますけれども、この後ずっと聞いていきますけれども、渡航費支援は、二十二日の参議院の予算委員会で我が党の福山さんが聞いて、総理が検討すると言っていながら、もう一週間以上たちました。この委員会でも、先週、渡航費、チャーター機の提案、意見が各党からも出て、今日も出ています。何もまだ決まっていない。

 しかし、民間団体、日本財団はもう既に、五十億出して、渡航費も三十万円、生活費も、一人当たり年間百万円、三年間にわたって、一世帯当たりの上限は三百万と決めているようでありますが。さらには、NPOや民間団体の支援する活動にもお金を出すと決めているわけですよ。

 この岸田内閣において、外務省始め法務省、関係省庁が、優秀な職員がいながら決められない。政治が決めていないからです。出すと決めれば、日本財団で五十億という予算規模を出しているんですよ、このぐらいは支援策をまとめられる能力はあるはずなんです。やるか、やらないかなんですよ。

 ましてこれは、質問に入っていきますけれども、支援チームはポーランドなんですけれども、ポーランドももちろん一番避難民が多いわけでありますが、モルドバとか、ほかの国にも数十万人単位の避難民ですよ。そこにも窓口をちゃんと設置しなければ、対応していくのが、在外公館だけでやるといったって、じゃ、一日何百人も来たり、通常業務の範囲を超えるわけですよ。幅広く避難民を日本は支援しますと言っていて、言葉だけで、具体としては全然オーバーワークになっちゃうということはあってはならない。

 ですから、ポーランドだけではなくて、ほかのところにもしっかり窓口をつくり、避難民支援を強化できる体制をつくるべきだというふうに思いますけれども、その点についてまずお伺いします。

徳田政府参考人 お答えを申し上げます。

 日本への避難民受入れを進めるに当たりましては、現地の避難民の方々の支援のニーズを的確に把握することが極めて重要でございますので、先ほど委員が御指摘されましたとおり、最も多くのウクライナ避難民を率先して受け入れているポーランドにおきまして、大使館及びジェシュフ連絡事務所の体制を強化して、追加の人員も派遣するといったことを行いまして、ウクライナ避難民支援チームを新たに設置したところでございます。避難民の方々の日本への渡航支援ニーズについて調査、把握を進めております。

 引き続き、我が国に支援してこられる方々への必要な支援について、委員御指摘のほかの国への展開、そういった論点も含めて、政府全体として検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

小熊委員 検討が遅いというのと、あと、これは我が党の部会でもやって、どうやってインフォメーションしているんだと言ったら、ホームページ等でという話だったけれども、そんなのでいいのかなと思いましたよ。やはり、避難民が一時避難しているところに行って、日本政府ですけれども、受け入れますよぐらいやらなきゃいけないんじゃないんですか。やっていることが通常業務の範囲内でしかない。これは緊急的な事態であり、通常あり得ない状況であり、また、いろいろな意味で切迫しています、避難民たちも。日本政府はホームページで、避難民受入れをやっていますよって、そんな状況ですかね。着のみ着のまま逃げてくる人の中には、そういうモバイルを持っていない人も、通信機器を持っていない人もいるかもしれない。

 そういう意味で、しっかり、体制の強化と言うけれども、想像以上にやらなきゃいけないと思いますよ、今もっと。

 ちょっと順番を飛ばすけれども、そうすると、さっき在外公館の重要性を我が党の青山議員がしっかり主張しましたけれども、今、この東欧地域における人員というのは全然足りていないと思います、外務省として。

 十一年前の東日本大震災のときも、被災地、また福島県や宮城や岩手にも、各都道府県から人員を派遣してもらい、各市町村からそれぞれの市町村に人員を派遣してお手伝いいただきました。全国の警察からも来ていただいた、消防署からも来ていただいた、そういう状況でありました。

 今、ウクライナで起きて、東欧に避難民が多く発生している中で、人員は今どうなっていますか、外務省として。もっともっと、これはきっちり予算をつけて、臨時も含め、あと、今、本国からも、各国からもここに集めなきゃいけないんじゃないですか。この一の六のやつですね、飛ばしてやっていますから、今。人員増加についてお伺いします。

林国務大臣 外交実施体制の整備は内閣の重要課題として掲げられておりまして、在外公館を含めて、外務省の定員につきましては、これまでも重点的な措置が講じられてきております。

 今御指摘があったような目下のウクライナ避難民支援も含めて、安全保障環境、一層厳しさを増してきております。国際社会でリーダーシップを発揮し、在留邦人の安全確保、こういった重要課題にも対応するために、外交実施体制は一層強化する必要があると思っております。

 徹底した業務の合理化や効率化、人員配置や業務分担の見直し等を行って、在外公館を含めて、できる限りの人員の増強、これを引き続きお願いしてまいりたいというふうに思っております。

小熊委員 ちょっと政府参考人、昨日、ちゃんと質問取りしているから、これは。一般論じゃないですから、大臣。ウクライナ情勢を踏まえて、東欧の避難民をしっかりやっていく。

 あと、過日、大臣のところに届いているかどうか分からないけれども、ロシアのバレエ留学生十八人が日本に帰りたいということでウラジオストクまで来たんだけれども、ウラジオ―日本が飛ばないから、在外公館の人が頑張って、いろいろ経由して日本に帰ってこられました。その代表の人が林大臣にお礼の手紙を出しています。これは本当にウラジオストクの外務省の人たちは頑張った、相当大変だったみたいですけれども。

 今、周辺国だってこういうことが起きているんですよ。そこに、じゃ、どうやって人員を、僕は人員を増やすべきだと。はっきり言えば二倍だって足りないぐらいになってくると思いますよ、避難民をちゃんと受け入れるということであれば。そこをどうするんだという話を、今の一般論で人員をどうしますという話じゃない、そこをちゃんと答えて。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど来申し上げていますとおり、ウクライナ避難民支援のための支援チームというものを在ポーランド大及びジェシュフ連絡事務所を中心につくりまして、ここはポーランド大使とウクライナ大使をダブルヘッドとしておりますが、今そこに追加派遣ということで人員を派遣しまして、明日までに、大体、全体で十九名の体制をつくるという方向でやっております。

 その上で、議員御指摘の、それ以外の東欧諸国はどうかという御指摘でございますが、今後、必要性に応じて、またさらに、関係省庁とも連携しながら、必要な知見を有する更なる追加的な人員が必要であれば、そういった派遣も考えていくということかと思っております。

小熊委員 これはもう、だから、既に避難民が発生しているので、ジェシュフだけでなく、ほかのところもやれというのは今答えていただいたから結構だけれども、しっかり先へ検討して。大変だと思います。本省だって大変じゃないですか。外務大臣だって、肝腎のゼレンスキー大統領の演説のときは大あくびしちゃうぐらい疲れているんだから。

 皆さんも、もっと、だから、どんどんどんどん、臨時も含め、ちゃんと体制強化をして、避難民支援、受入れに穴が起きないように、人員の確保というのはしっかりやっていっていただきたい。もちろん、臨時の民間の方を雇う、又は、ウクライナの現地の人を雇っていろいろ、避難者支援にウクライナ人自身が手伝いたいという人にしっかり給料を払ってお手伝いをしてもらうということも含め、人員の増加についてはしっかり対応していかないと、この避難民支援が達成されません。

 次に移りますけれども、また、NGOの活躍もあります。これは別に外務省ということじゃなく、間々あることですけれども、行政と、民間団体、NGOやNPO、行政というか公が支援するというのと、支援金だけ与えて、はい、あと何もしていないということがあって。やはりこれは、情報のやり取りというか、ウクライナの避難民からすれば、日本人に何かお願いをしたときに、それはNGOであろうと、政府の人間だろうと、何であろうと、関係ないですね。

 ワンストップと言ったんですよね。ワンストップが大事だということは、これまでの質疑の中でも、外務省が認識しているというのは確認ができています。ワンストップという意味では、単に公だけじゃなくて、こうしたNGOとも連携してワンストップを図っていかなければなりません。

 この受入れの部分と、また、受け入れた後の様々な民間団体、また自治体との連携が必要となってきますけれども、こうした連携についてはどうなっていくでしょうか。

植野政府参考人 お答え申し上げます。

 この部分は今の小熊委員の御質問の核心ではないと思いますけれども、既に、総理が表明した一億ドルの緊急人道支援の実施に当たって、国際機関を通じて実施する分に加えて、日本のNGOを通じた支援というのも考えておりまして、具体的には、約十五億円分をジャパン・プラットフォームを経由して日本のNGOを通じて実施する。

 それから、三月二十四日のG7首脳会合で岸田総理が表明された追加の一億ドル分の緊急人道支援についても、これも、まだ中身は調整中ですけれども、かなりの部分を日本のNGOを通じて実施していただこうと思っていまして、既に十を超える日本のNGOから、ジャパン・プラットフォームに加盟しているNGOだけでも、ウクライナあるいはその周辺国でいろいろな活動を予定しているということで、JPF、ジャパン・プラットフォームに申請が来ておりますし、ジャパン・プラットフォームに加盟していないNGOでも、既に、例えばハンガリーで医療活動を開始されているNGOの方がいらっしゃって、こういうところとも、もう既に現地の大使館が連絡を取って、もし側面的にお手伝いできることがあればやりますよということで話をしております。

 したがって、今の小熊委員の御質問にお答えすると、今後のウクライナからの避難民の方の日本への退避の中でも、大使館あるいはジェシュフの連絡事務所だけで、おっしゃったように、全部ニーズが把握できるとは限りませんので、現地で活動しておられるNGOの方から、こういう避難民の方がいらっしゃいますよ、日本に来たいと言っていますよというような話があれば、在外公館できちんとそれをお受けして我々のチームの方につなぐというような形で、しっかり連携を取っていきたいと思っております。

小熊委員 立派な答弁をありがとうございました。

 そのとおりで、それでも、人員増といっても限られて、多分人員増もなかなか難しいところもあると思います。今言ったように、しっかり現地でのNGOとのそうした連携でお互い補完し合っていく、しっかり避難民を支援していける体制を取るという意味では、そこをしっかりやっていっていただきたいというふうに思います。

 国内の方ですね、今、やはり青山議員が紹介した全国青年市長会からも、七十を超える自治体から、受け入れますよというのがあります。これもしっかり対応していかなきゃいけない。

 我が党の部会でも、取りあえず全部受けちゃうのと言ったら、まだ決まっていませんと言ったけれども、また十一年前のことを考えると、避難した人たちが、長期にわたるかもしれないので、どういう避難生活を送るかということを考えれば、日本の方々、多くの方々も、大変優しい気持ちで、ウクライナの人を受け入れてもいいよと言っていただいているんですけれども、日本にウクライナの人が来たときを想像すると、車もまあまあ乗れないから、車でしか生活できないような地方の方はなかなか、受け入れても、その後の避難生活が大変だろうなというのは想像に難くありません。

 十一年前も、まとまって避難したいという要望がやはりあったんですね、町は町で。一つには、やはりコミュニティーが大事ですし、ウクライナの方々も、日本がいいと来ていただいても、言語の問題もありますから、例えば、いろいろな自治体、いろいろな企業が、うちは受け入れてもいいよ、うちは十家族分だよと言っても、それで果たしていいのかという議論はちゃんとしなきゃいけないと思う。一定程度の規模数になって、コミュニティーが発生することによって、お互いウクライナ人同士が支え合うということも必要だと思うんですね。

 今、窓口を設置して、避難民受入れ、募集していますけれども、これはちゃんと整理しておかないと混乱を起こすし、善意で申し込んでいる方も、準備したんだけれども、あんたのところは合致しないと後から言われても、何だよとなっちゃうから、そうした避難所の規模感、今後の長期も含め、必要だというふうに思うんですけれども、そこはどういうふうに検討していますか。

君塚政府参考人 現在、出入国在留管理庁では、ウクライナから日本への避難民に対して住居や就労機会の提供等の支援を検討されている自治体、それから企業、団体等から情報を一元的に把握するための窓口を設置いたしまして、ウクライナ避難民の受入れに関するヘルプデスクと併せまして、入管庁ホームページに掲載したところでございます。

 今御指摘のございましたコミュニティーの関係でございますけれども、やはり私どもとしては、避難民を円滑に受け入れるというためには、御本人からのニーズを的確に把握するということが極めて大事であるというふうに認識をしているところでございます。

 先ほど申し上げたとおり、この窓口におきましては、地方自治体から住居の提供、就労機会の提供、日本語教育機会の提供などの支援情報が既に寄せられているところでございまして、その中にはウクライナのコミュニティーが集まっている自治体からも情報をいただいているところでございます。こういった支援情報を十分に活用しながら、期待に応えられる受入れ支援というものを実施していきたいと考えているところでございます。

 規模感というようなことも念頭に置くべきとの今の委員の御指摘も踏まえつつ、避難民の方々の御希望やニーズに応えるための支援に今後努めてまいりたいと考えているところでございます。

小熊委員 避難者のニーズをちゃんと把握するというのは大事だと思いますけれども、ウクライナの人も、避難するというのは実は初めての経験になりますから、彼らが想像できないこともあるわけです。

 我々は十一年前に東日本大震災で大規模の避難生活、大人数の避難生活の経験があるわけです。そのときの失敗もあるし、時間がかかって課題整理したものもあるわけです。全くイコールにはならないけれども、この知見をしっかり生かすということが大事じゃないですか。

 そうすると、ニーズ把握、ニーズ把握だけでもできない。だって、避難して初めてその人も気づくことだってあるんだもの、経験していないんだから、今まで。だから、単なるニーズ把握を、鬼の首を取ったようにそれを一丁目一番地に掲げているだけでは足りませんよ。我々は経験者なんですよ。彼らは経験者じゃない。

 そういうことを踏まえて、聞いてこういうことをやりますじゃなくて、我々日本の経験を踏まえて、こうじゃないかということを、逆に、彼らにその方がいいんじゃないかということをまた提案していくということもあっていいと思いますよ。そうでしょう。何万人という人が避難したんだもの、十一年前。全国各地で受け入れたんだ。失敗というか、いろいろありましたよ。それを踏まえた方がいいじゃないですか。どうですか。

君塚政府参考人 御指摘の点、大変重要でございます。東日本大震災における経験というものも各自治体、特に東北の各県は十分に有していることというふうに承知しておりまして、今回、実はウクライナ避難民の受入れに関しても、手を挙げてくださっている東北の自治体もあるものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、私どもとしては、今回、タスクフォース、関係省庁連携しながら、様々なこれまでの経験を生かしながら、ウクライナ避難民の方々が安全に日本で暮らしていただくための様々な工夫というものを図っていきたいと思っておりまして、そのためにも関係自治体等の知見というものを十分生かせるような、そういう体制づくりに努めてまいりたいと考えております。

小熊委員 しっかりやっていただきたい。最近、優秀な官僚たちなんだけれども、想像力、洞察力に欠けていると思う部分がいっぱい散見されるので、しっかりやっていくようにしていただきたいというふうに思います。

 そもそも、ワンストップになっていないんですよ、今まだ。でき上がったばかりだけれども、この支援は。だって、先ほど我が党の緊急提言が紹介されましたけれども、先週の金曜日、対策連絡会議が、官房長官ですよね、答弁であったとおり。官房長官に官邸に持っていくと言ったら、受けられないんですよ。秘書官でもいいから渡すと言ったら、秘書官すらも受けないというんです。後で官房長官は、何か時間が合わなくてと。いや、時間なんか、我々は幅を持って行きますよと言ったんだ。

 じゃ、副議長、この会議体の副議長、林大臣はその一人ですよね。外務省に持っていくと言ったら、外務省に持ってこられても困ると言うんだ。法務省は受けてくれたんですよ。秘書官でいいからと言ったら、じゃ、どうぞ来てくださいといって。法務省には届いていると思うけれども、我が党の緊急提言。

 だって、政府一丸でやるというなら、うち、どこでもいいよと言わなきゃ駄目じゃない。俺のところじゃないです、たてつけが違います。緊急事態に避難民を受け入れると言っているんだから、何をそんな縦割りのことを言っているのかな。

 政府一丸となってやる。ワンストップでやる。たった我が党の提言書一枚を受け取るにも、こんななんですよ。質問取りのときもそんな感じはした。外務省と法務省がいろいろ、俺じゃない、こっちじゃない、それはこっちですとかとやっていた。

 今度、法務大臣が行くわけでしょう。政府専用機、空で戻ってくるのがもったいないから、そこに入れるかもしれないと。これは通告していないけれども、これはどうなっているの。

加田大臣政務官 小熊委員の質問にお答え申し上げます。

 十二月一日に政府専用機、羽田から飛び立ちまして、そして週明けに、済みません、四月一日に羽田から飛び立ちまして、そしてポーランドの方へ参ります。そこで、現地の方で、向こうの政府要人とも、そして現地のニーズ把握、それにも努めていきまして、そして、避難民のことにつきましても、今調整中でございますけれども、ニーズに応えられるように、帰国予定にしております。

小熊委員 これは百五十人ぐらいなんですよね。ただ大臣だけ帰ってくる、スタッフだけ帰ってくる、空気を運ぶだけじゃもったいないから利活用というのはいいんだけれども、この後起きること、そのとき起きることは、何でその百五十人なんだということの整理と、あとは、僕、ほかの人も、同僚議員とかも部会でも説明を受けてしゃべったら、それでまた何回も行き来するんじゃないのと言ったら、いや、その一回きりなんですよね。これは、国内に対しても、ウクライナの人に対しても、えっ、あの百五十人、一回で終わりとなってくるんですよ。

 だから、これまで、自民党の方々もいろいろ、公明党の方々も我々野党も言っているけれども、渡航支援、やるということをやらないと。一週間以上たっても方針も決まっていないんですよ。渡航費の支援、チャーター機でもいい、渡航費、お金の支援でもいいから、日本に来る支援金、支援を形として、支援を強化しますといっても、お金の話が出てこないんだもの。決めなきゃいけない。

 だから、さっき言ったように、日本財団は簡単に決めちゃっているんですよ、五十億という規模。五十億で相当な人に関われると思いますよ。予備費、いっぱいあるんだもの、五十億、百億ぐらいつけられるじゃないですか。

 それはいいよ、今回、法務大臣が行って百五十人連れてきても。その後のことを示さないと、これはすごく逆に文句が出るし、日本は何をやっているんだとなると思いませんか。

 副大臣、どうですか。これは永続的な支援として、百五十人連れてくるのは、それは空気だけ運ぶよりはいいよ、百五十人でも連れてくるのは。でも、その後のことが決まっていなくてやってくると、逆にいろいろな不満とか出るから、そこは考慮していますか。

加田大臣政務官 現在、やはりこれは今までなかった事態であります。先ほど小熊委員の方から、東日本大震災の経験の、十一年前の経験がありました。私も阪神・淡路大震災を経験しまして政治を志しましたので、先ほど言われました寄り添う姿勢というのは大変重要であると考えております。

 そうした中において、今回、どういう形でできていくか。現地のニーズ、一回こっきりの百五十人という話もあるんですけれども、現地ニーズの把握のために古川法務大臣が総理の特使として参ります。そこへ行きまして、また、そこの中でどのようにして向こうの対応ができるのか。現地の方と、またいろいろ視察もさせていただきますし、現地の皆さんとも意見交換をさせていただきます。そうしたものについては、しっかりと現状を把握しまして対応していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

小熊委員 加田さんはほかの委員会、あるんでしょう。もういいです、移動して。

 外務大臣、だから、この渡航費をどうするかというのは大きいし、時間をかけられないんですよ。だって、着のみ着のまま逃げてきて、この後どうしようとしている人たちに、ちょっと検討の時間を下さいなんて言ったら、ふざけるなという話ですよ。支援すると日本は表明しているんだもの。取りあえず、どこに行くか決まっていない、日本に来たい人この指止まれで、どうぞとやるぐらい、やっていいんじゃないのかなとみんな言っているんですよ。結局、官僚はそれは計算できますよ。日本財団が言った三十万という、それが筋だと思うんだけれども。

 渡航費、どうですか。そこが始めですよ。受入れ体制します、何します、渡航費がないから行けない。先ほど杉原千畝さんの話も出た。あのときは、杉原さんだけが頑張ったんじゃなくて、根井三郎さんも頑張った、JTBの前身の民間の人たちも一生懸命連れてきたんですよ、長い距離を。

 やはりあのときも、ビザが必要だったけれども、渡航費の問題もあったんです。ビザをもらったって、渡航の費用がなかったら来られなかったし、日本を経由してアメリカにも行けなかった。あの命のリレーをつないだのは、まさに渡航の費用をどうみんなが面倒を見たかということなんです。取っかかりは杉原さんのビザだった、根井三郎さんのビザだった。まあ、杉原千畝さんに関しては、外務省はいろいろな評価があるけれども。でも、大事なこの渡航するという、渡航費がなくて行けないという人もいる。ここは非常に重要な決定ですよ。大臣、お答えください。

林国務大臣 まずは、法務大臣が行かれて、そして現地の視察等も含めて、ニーズや課題を的確に把握してくるというふうに先ほども法務省から答弁があったとおりでございます。

 今お話のあった渡航費支援については、先ほどもお答えしたと思いますが、現段階で何ら決まっていることはないわけでございますけれども、日本ができること、政府全体としてしっかりと検討してまいりたいと考えております。

小熊委員 二十二日の参議院の予算委員会、岸田総理が答えて以来、時間がたっています。先ほど、スピード感を持ってやる、ワンストップでやるということが実現されていない。まして、僕が懸念することは、法務大臣が行って乗せてくることはよしとしたい、乗せるべきだと思う。だけれども、そのときまでに渡航費の問題が決まっていなければ、その一回の百五十人で決まる、連れてくるということは、ある意味不平等にもなるし、日本の支援の根幹が問われることになるから、まだ今決まっていないというのはよくないことです。

 法務大臣が行って百五十人連れてくるまでに方向性を示さなければ、間違った受け止めを国際社会に出すということを指摘をしたいので、是非、早急に決めていただきたい。

 このウクライナのこともそうなんですけれども、今、フェイクニュースが飛び交っていて、情報戦になっています。その中で、我々は部会も開くけれども、きちっと外務省なり関係省庁がいろいろな資料を用意してくれるんだけれども、どうやって情報を取っているのかなと考えたら、対外情報機関、日本はないんですね。そうすると、いろいろなところから聞いたり、真面目な外務省の人が、そんなジェームズ・ボンドみたいなことをできるのかなと思うと、よくやっているなと。徒手空拳で戦場に行っているのと一緒ですもの。

 今回のこのウクライナでの戦争を考えると、より情報が必要だ、重要だということが認識をされました。という意味では、もうここで、これまでもそれぞれ頑張ってきたけれども、外務省なり、国内においては警察関係とか頑張ってきたけれども、自衛隊も頑張ってきたけれども、これは専門的な対外情報機関をつくっていかないと、今後の様々目まぐるしい世界情勢の変化についていけないし、正しい情報なくして正しい判断もできませんから。

 これは、正式な対外情報機関をつくって、そして予算をちゃんと確保して、そしてそうした人員を育てていく、そして日本の外交をしっかりしたものにしていくということが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 ウクライナをめぐる情勢が緊迫する中で、今委員からもお話があったように、外務省として全力で情報収集に当たってきておるところでございますが、私としても、政府全体としての情報収集機能の強化、これは極めて重要であるというふうに認識をしております。

 御指摘の、機関の設置でございます。

 これは、実は私も、町村大臣が大臣を辞められて党に戻ってこられたときですから、もうかなり前になりますが、その頃から自民党内でもいろいろな議論をしてきたところでございます。たしか、あのときは町村さんが団長になってイギリスまで視察に行ったということもございました。そういう議論をずっとやってきておるわけでございます。

 重要なことは、外交、安全保障政策を支える有益な情報、これを政府一体となって収集をしていくということだ、こういうふうに思っておりまして、こうした考え方に基づいて、政府全体の情報機能の更なる強化に向けて、在外公館のネットワーク、これが構築してきました人脈や国際情勢分析に関する知見を活用しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

小熊委員 私も外務委員会が長いので、あちこちの在外公館も行かせてもらいましたけれども、外務省の能力、高いものはあるけれども、やはりこの分野の世界はまた一段と違うところがあるので、そういう意味で、それは今でも頑張っているけれども、これ以上にこれから頑張っていかなきゃいけないということだから、あえてこの質問をしたので、これはしっかり検討していっていただきたい。

 最後に、急ぎですけれども、三月二十三日に知事会でテレビ会議が行われて、インバウンドの再開について議論されて、提言も出ています。というのは、今すぐ再開しろということではなく、再開に当たっての条件とそのロードマップがなければ不安も取り除けないし、今後どうしたらいいのか先行きが見えないから、そこを提言されていますが、その点について見解、このインバウンドの再開についての条件やロードマップ、ある程度の方向性を示せますか。

泉田大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘の全国知事会の提言のほかに、観光業界などの皆様からも、インバウンドの再開、これについて要望をいただいております。観光は成長戦略の柱でございますし、そして地方創生の切り札でもあります。今後もインバウンドの重要性は変わりはないという認識を持っております。

 インバウンドの再開に備えまして、これまでの観光状況、それからコロナによる旅行者の意識の変化、こういったものも踏まえた上で、しっかりと準備を進めてまいりたいと思います。御質問の中にもありましたように、不透明な部分というのがありますので、こういったことも前提として準備を進めていくということになります。

 水際対策につきましては、段階的な緩和が行われております。今後についても、国内外の感染状況、主要国の水際対策の状況、検疫体制等を踏まえまして政府全体で検討されるものと承知をいたしております。

 今後のインバウンド再開につきましても、段階的な緩和の中で適切なタイミングで政府全体として検討されるものと承知をいたしております。

 国交省といたしましては、業界等の声、これを水際関係省庁に伝えつつ、相談をしてまいりたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

小熊委員 今の答弁の中にいろいろにじみ出ているんですけれども、これも、政府一丸となってというのはすごくいい言葉なんだけれども、政府一丸となってという案件は誰が責任を取るかというと、明確じゃなくて、今日の答弁も、泉田さんになるか副長官になるかでいろいろ私の前で質問担当者がもめていて、最終的にこの決定は、インバウンド再開は観光庁が決めるとか、いやいや、全体で決めるんだから誰が決めると。そういうことなんですよ。

 だから、これは泉田さん、気をつけて、政府一丸となってというのは、いいようでいて、誰も責任を取れないし、誰もリーダーシップを発揮しないことに陥る。今回も、泉田さん、政府一丸となって考えるけれどもと、いろいろ最後の方もあったから、それがにじみ出ていたので、是非そこを注意して、意識して、ちゃんと決定することは決定する。政府一丸となって無責任にならないように是非していただくことを御指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、松原仁君。

松原委員 先ほどの我が党の青山議員と小熊議員からの指摘というのは極めて重要であるということを、質問に入る前に指摘をしておきたい。

 私は、一回、ブラジルのアマゾン下流にあるベレンという都市に行ったことがあります。そこに日本の総領事館があった。外務省がその領事館を閉めると、十年ぐらい前か、言っていたんですね。

 それに対しては、アマゾン下流のベレンの近くには昔から日本人の入植者がたくさんいて、日系ですね、三世の方は日本語を片言にしゃべりましたよ、私の前で。みんなが、日本の総領事館がベレンから撤退するのは何とかやめてくれと。これは、関係していた方もいると思うんですよ、十年ぐらい前の話ですから。予算がないから撤退するみたいな話で、地元日系社会の大反対で事務所的に残った。総領事館という名称がどうなったか分かりませんが、事務所的に残った。

 ああいう、日本人コミュニティーがブラジルの中にきっちりあるところで、その人たちが地域に根差しているところで、そこにおける、日本の外務省が総領事館を撤退しようとした。こういったことが世界的に起こっているとしたら、日本の外交力は逆にどんどんと没落をしていく。

 先ほどの青山さんの議論はその意味で極めて重要なので、私も、時間のあるときにこれは是非やっていきたいと思っています。

 二つ目に、小熊さんからの話があった。私は、最初にこの外務委員会で、スピード感と規模感が大事だ、こう言いました。

 G7の国の中で我々が存在感を出す、リーダーシップを出す。サハリン1、2なんかは、日本の国益があるからどうするかという議論がありますよ。こういう議論があるがゆえに、逆に、できるところは早くやる、より早く。できるところは、より規模も大きくやる。それによって、G7の中で、我々はこれをやっているんだと。我々の国益に対して守ることをするためにもこれはやらなければいけないということで、今の小熊さんのウクライナからの避難民の話もスピード感が大事ですから、このことは、この二つ、冒頭、私の質問に入る前に林さんに強く肝に銘じていただきたい、こう思います。

 ウクライナが今大変悲惨な状況にあります。我々が、一般のたくさんの方々、主婦も含め、私の女房だって、ひどいわと怒りを持っている。何で、こうやってみんなが怒りを持つのか。私は、この怒りを分解すると、二つぐらいの要素になるだろうと。

 一つは、発言をさせない、人権はじゅうりんする、そうした許し難い行動が行われている。すぐに牢屋に入れてしまう。これは後で質問していきますが、これは大きな怒りですよ。一人一人の幸せや一人一人の人権がじゅうりんされている、これが怒りの一つ目。

 もう一つは何かといえば、力による現状変更の試みという、国際社会がそれはやっちゃいかぬと一九四五年、昭和二十年に決めたこの取決めを、やっている、ロシアは。しかも、あのときの主導的な立場の、国連安保理常任理事国ですよ。本当に何なんだ、これはと。悪い冗談みたいな話ですよ。

 この間、話をしていて、ロシアは大きな北朝鮮になったとある人は言っていましたよ。北朝鮮というのは、今回もこれも質問しますが、ならず者国家ですよ、明らかに。その大きなならず者国家北朝鮮にロシアがなったという指摘が出てきている。非常に、その大きなならず者国家が国連のイニシアチブを取っているということの課題、これも大きな問題だと思っております。

 その上で、我々は、基本的な人権、そして自由、法の下での平等を大事にする国家であります。

 さて、お伺いいたします。

 こういった独裁的な国家というのは、今言った二つの要素から、とんでもないことをやる。一つ目の要素、報道統制についてお伺いいたします。ロシアの軍事情報に関して虚偽の情報を広げた場合の刑事罰を科す改正案、どういう内容か、お示しいただきたい。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 三月四日、ロシア軍の使用に関して故意に虚偽の情報を公に拡散した者に対して刑事罰及び行政罰を科す法律がロシア連邦議会で採択され、大統領の署名を経て発効したと承知しております。

 この法律に違反した場合、違反の内容、形態等に応じて、最大で三百から五百万ルーブルの罰金、五年から十年の自由剥奪刑、すなわち禁錮刑が科されまして、さらに、より深刻な結果をもたらした場合には、十年から十五年の自由剥奪刑、禁錮刑が科されるということになっております。

 この法律はロシア国民のみならず外国人をも対象にしてございまして、この法律の成立を受けて、外国メディアがロシアでの活動を停止せざるを得ない状況となっていることも強く懸念されるところでございます。

松原委員 とんでもない法律ですよ。これはウクライナ戦争の途中でできた、まさに人権じゅうりんの法律であります、自由と人権を否定する法律であります。捕まっちゃうわけですから、牢屋に入れられて、どこかへ連れていかれる、こういうことです。

 同じように、極めて非民主主義的に我々には見える国家である中国。中国の国家安全維持法と反外国制裁法についてお伺いします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 香港の国家安全維持法につきましては、香港における国家安全に深刻な危害を与える行為及び海外勢力が香港に干渉する活動を阻止、処罰すること等を規定しておりまして、二〇二〇年六月に採択されたものと承知しております。

 本法律に基づきまして、委員御指摘のとおり、メディア関係者や民主活動家等の逮捕、起訴、メディアの停刊等が行われているところでございます。

 また、中国の反外国制裁法につきましては、外国から中国国民及び組織に対する制裁への対抗措置を規定するものでございまして、二〇二一年六月に採択されたものと承知しております。

 中国側は、この法律に基づきまして、これまで、新疆ウイグル自治区、香港、台湾をめぐる米国による制裁や措置に対して対抗措置を取ってきているところでございます。

松原委員 ひどい法律なんですよ、これは。だから、例えば、私とか、ウイグルの人権問題でマグニツキー法を作るぞ、人権侵害制裁法案を作るぞと言われると、入国を今後拒否されたり、私は豊かではありませんが、もし中国に資産があれば資産凍結をされる、これが反外国制裁法でありますし、国家安全維持法は香港を見れば明らかであって、これはむちゃくちゃであります。

 こういった報道統制は、怒りの一つ目である人権じゅうりん、ウクライナでやっていることの前哨戦が既にウイグルや香港で行われているというふうにも言えるわけであります。

 次に、力による現状変更の試み、南沙諸島における中国の人工島建設、簡単にお答えください。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 中国は、南シナ海で、南沙区や西沙区と呼ばれる新たな行政区の設置を発表し、また、埋められた地形の一層の軍事化など、法の支配や開放性とは逆行する、力を背景とした一方的な現状変更及びその既成事実化の試みを一段と進めております。

 我が国としましては、こうした力を背景とした一方的な現状変更の試みを深刻に懸念するとともに、南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも強く反対しているところでございます。

松原委員 一つ質問を、時間がないので飛ばします。

 ロシアのクリミア併合については、同じように、力による変更の試みである、こういう認識でよろしいか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアによる二〇一四年のクリミア併合及び今般のウクライナ侵略は、明白な国際法違反であり、力による現状の変更の試みであると考えます。

松原委員 中国とロシアで似たことをやっているわけですわな。報道統制、人権じゅうりん、ウイグルにおける人権じゅうりん、ウクライナに対する、あれも人権じゅうりんですよ、こういったことをやっている。しかも、同時に、力による現状を変更しようとする試みを、中国は南沙諸島でやっていて、ロシアはクリミアで既にやった、こういうことであります。

 ここで私が申し上げたいのは、中国による現状を変更する試みは、これから日本に対して行われる可能性が大きい。いきなり日本の領土、領海に入るというよりは、前回のこの委員会質問で申し上げたように、日本の排他的経済水域、EEZ内における地下資源を、これを一方的に詐取するということが行われるだろうと私は思っております。

 中国がここまで国力がない約二十年前で、あの日中中間線の外側で、白樺というガス田の開拓を行ったわけであります。本来であれば、国連海洋法条約に基づき、我々は主権的な権利の行使ができるわけでありますが、領海でもない場所における中国のこういった一方的な現状変更の試みにも似たような行動が行われる可能性が私はあると前回の質問で明確にそのことは申し上げ、そのような御答弁をいただいたわけであります。

 ここで重要なことは、こうしたことに関して、我々が様々な防衛をするということ以前に、EEZの中の場合、どういう対応ができるのか。私は、その中心にある中国のメンバーに対して、G7の国々とあらかじめ連携をしながら、いわゆる個人資産の凍結等を行っていく必要があると考えております。

 このことに関しては、当然前回も質問をしたわけでありまして、ちょっと大臣が手持ち無沙汰ではいけないので、一言、林さん、答えてください、簡単でいいから。

林国務大臣 今回のウクライナ侵略に対応する措置として、累次制裁措置を取ってきておるわけでございまして、まさにその中には、今委員が触れていただいた個人資産の凍結というのも含まれておるわけでございます。これを行っていくに際しては、G7各国を始めとする同志国とも緊密に連携を取りながらやってきておるということでございます。

松原委員 大事なことは、これは、相手に対して新しい抑止力としてあるだろうと。いわゆる完全な侵略、侵攻ではない、しかしながら、日本の排他的経済水域のEEZの地下資源を中国が詐取する、そのときにどういうふうな対抗策を作るかということを考えたときに、我々は、こうした、中国首脳部に対する資産凍結を有効に行うというのを、あらかじめ中国に対して、いや、世界に対して、そのことをG7と連携して言っていく必要があるだろう、このことを強く申し上げます。

 その上で、マネロン対策。ちょっと時間がなくなってきたので、簡単にいきます。

 このマネロン対策に関して、疑わしい取引の届出は何件あったか。何件かだけ、お答えください。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産取引の中では、宅建業者が媒介に入る場合には、顧客の本人確認、疑わしい取引に関する届出等の義務がございます。

 お尋ねの令和三年の届出件数でございますが、四件でございます。

松原委員 我が国の資産凍結の対象となっているロシアのラブロフ外務大臣、彼が渋谷区のビルを利用していると週刊新潮に載っておりますが、ここには、大変なロシアの財界人であります、いわゆるデリパスカさんが事実上所有するバージン諸島の法人から多額の資金が流入していると書かれている。

 このデリパスカは個人制裁の対象になっていますか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御質問のございましたデリパスカ氏でございますけれども、制裁対象には指定されてございません。

松原委員 私、申し上げたいのは、アムテックソリューションズという、ここに登記簿を上げているんですけれども、ここでくどい説明はしません。このような外国法人が日本の不動産を購入する場合、取得名義人について、外為法による報告義務はどうなっているか、簡単に答えてください。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、非居住者が本邦にある不動産又は当該不動産に関する賃借権等を取得した場合、当該非居住者は、外為法上、居住目的や事務所目的に該当する場合を除きまして、事後的に報告を行う義務が課されてございます。

松原委員 これはざるなんですよ、大臣、ざる。財務大臣の担当なんですが、ざるですね。

 つまり、自分が住みますよと言えばいいんです。自分が住んでいるかどうか、その人間が住んでいるかどうかなんて全然分からない。私が住みますと言えばオーケーなんですよ。そういうことですね。ちょっともう一回、確認。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、居住目的の場合ですと、報告義務はございません。

松原委員 確認のしようがないので、確認までしないんですよ。こういうことをやっていると、全然、日本というのはスパイ天国であり、ざるざる国家だ、こうなってしまうわけですね。

 その上で申し上げたいことは、こういった場合に、実質的な支配者、この場合はデリパスカですよ、アムテックソリューションズ、この実質的支配者に関して、私は、きちっと、それも制度上、今言ったところもきちっとやらなきゃ駄目ですよ、居住目的だと言えばオーケーだ、そんなばかな話はないんだから、やらなきゃ駄目ですよ。その上で、私は、この場合に、実質的な支配者に関しても報告をする義務を課せるべきだ、このように思っておりますが、簡単に答えて。今無理だったら無理でいいから、答えて、時間がない。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 外為法上の、実質的支配者に係る報告というものは求められてございませんが、これは、対外取引が自由に行われることを基本として、必要最小限の管理、調整を行うことで、我が国経済の健全な発展に寄与することを目的としつつ、国際収支統計の作成を含め、内外の投資資金の流れを把握する観点から、最低限の報告義務を課すという考え方に立ったものでございます。

 他方で、いわゆる犯収法におきましては、犯罪による収益の移転防止等の観点から、宅建業者が不動産取引の媒介等を行う場合、その事業者に対して、顧客が法人の場合には、実質的支配者の確認を行うことを求めていると承知してございます。

松原委員 要するに、ざるということですよ。いいですか、本当はここは深掘りしてやりたいんですが、与えられた時間が来てしまうので、これ以上はやりません。

 はっきり言って、完全にスパイ天国であり、マネロン天国に日本はなっている。実質的な支配者も言わない、こんなことではどうしようもないということを申し上げ、そのことが、結果として日本の様々な、今言った排他的経済水域における中国の活動等に関して、それを抑制するような手法も奪っているんだと強く申し上げたい。

 最後に、金正恩に対する議論。

 今回、北朝鮮が大陸間弾道弾を発射した。細かくディテールを深掘りしたかったんですが、最後に大臣に申し上げます。

 先ほど、昨日もおとといも様々議論しましたら、金正恩の個人制裁もするべき段階に来ている、大陸間弾道弾も発射して、日本のEEZの中へ落ちて。この金正恩に対する個人資産の、これはアメリカがやっているというのは前に言いました。これを日本で主導的に判断できるのは誰かというと、これは外務大臣である、昨日そういった、それも質問に入っているんですが、もう省略します、外務大臣なんですよ。

 その林さんが、林外務大臣がこの問題に関して、金正恩氏に対し、その日本における個人資産を凍結する、あるかないか別にして、凍結する、アメリカだってやっているんだから。その姿勢を示すことは、日本の立場、日本が自ら主体的に物を判断するということを海外に鮮明にするために是非ともやるべきだと思っておりますが、このことに対して、これはこれからも質問を続けてまいりますが、今日は林さんの思いだけちゃんと教えてもらいたい。しっかりと答弁ください。

林国務大臣 北朝鮮、相次ぐICBMの発射ということは、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であり、また、国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中で、この間隙を狙ったものとも見られまして、到底看過できない暴挙であります。

 時間の関係で、余り、こういうことをやりました、こういうことをやりましたというのは申し上げませんけれども、今後とも、日米、日米韓で緊密に連携して、国際社会と協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進めて、北朝鮮の非核化を目指していきたいと考えております。

松原委員 質問は終わりますが、私は、金正恩氏に対する個人制裁をするべきだ、資産凍結するべきだと。答弁、答えていません。次のときにもう一回確認します。

城内委員長 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 今日は、大変すばらしい、今日もですけれども、すばらしい質問が続いておりまして、非常に議論がだんだん煮詰まってきているなというふうに実は私は感じながら、ほかの先生方の質問を聞いておりました。私も幾つかしようと思っていることと全く同じ質問がありまして、どうしようかなと思いながら今ここへ立っておるんですが、今、松原先生が、ざるざるだ、日本はざるだ、こう言われました。

 私、思うのは、ここしばらく、質問の調整をさせていただいたりしている中でも、霞が関の皆さんを見ていて、非常に何か壁があるなというふうに思っているんです。それは、今まさに松原さんがざる国家だと言いましたが、見ざる聞かざる言わざる、とにかく、耳を塞いで、目を塞いで、何も言わずにじっと下を見ているだけじゃないのかなというふうに私は実は感じていまして、ああ、なるほど、ざるだ、これもざるだ、こういうふうに私は実は感じました。

 その中で、それでも私たちは前を向いて進まなければならないわけでありまして、質問をさせていただくんですが、ちょっとウクライナから一旦離れまして、司法の話に関わることをしてみたいと思うんです。

 先ほどの質問の中でも、随分、今日はもう、司法というんでしょうか、法務に関係する話が出てくるわけですね。その中で、今、犯罪が非常に国際化をしています。犯罪というのは、もう国境のない時代になっている。ネットの犯罪、そういった、サイバーテロ、そんなのもそうかも分かりませんし。

 そういった中で、例えば、日本と台湾を見たときに、台湾で犯罪を犯した日本人がいる。そうしたら、向こうで裁きを受けます。日本で犯罪を犯した台湾の人たちは日本で裁きを受ける。そして、捜査をしながら、そして裁判に持っていってということをやっていくんですが、これが非常に複雑な流れになるというふうに聞いているんですね。

 例えば、アメリカと日本の間では、そういったことに対する条約があって、捜査に関してもスムーズにできる。ところが、正式な国交を持っていない日本と台湾においては、外交関係を持っていない国では、非常にスムーズにいかない。

 一般的に、そういう国際的な捜査をしたり司法的な手続をしていく中では、その捜査をやる司法関係のところから上がって法務省に行って、そして外務省に来て、外務省から日本の在外公館に行って、そこから向こうの外務省を経て、そこから捜査当局とか司法関係に話が行く。これを繰り返すわけですね。

 特に、台湾の場合は正式な国交関係がありません。民間と民間という話にどうしてもなってしまいますので、よりこれがスムーズにはいかないということになると思うんですが、現在の司法の、これは共助というそうですけれども、司法であったり捜査というんでしょうか、その行き来というのはどんな状況になっているのか、お伺いします。

保坂政府参考人 捜査共助についてお答えいたしますと、我が国と外交関係がない台湾との間で捜査共助を行うことは困難であると承知をいたしております。

和田(有)委員 今、困難であると。実際、困難なんですね。ですから、今、実は、例えば麻薬の密輸なんかでも、現場で捕まえてみても後ろに、密輸というのは、単に、運び屋さんがいて、日本に来た、それを捕まえた、それだけを罰したって、結局、大本にあるギャングの親玉を捕まえるわけにもならないし、そのための捜査というのも、司法的なやり取りというのも困難であるということなんですね。

 これではやはりいかがかと思うわけでありまして、そこら辺、例えば、漁業に関しても、経済的なものに関しても、いろいろな取決めを台湾当局とは我々はやっています。現実にこの国際社会で生き抜くためにやっているわけです。司法に関しても、そういった台湾との間で取決めをやはりすべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 我が国の法令上、外交関係を有しない地域との間で捜査共助等を行うことは困難であるというふうに承知をしております。

 その上で、台湾と捜査協力を行う必要がある場合には、ICPOルートを通じまして、台湾当局との間で情報や資料の交換、これが行われているものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、台湾との各種の実務的な協力については、引き続き、我が国の法令の範囲内で適切にしっかりと対応してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 ICPOルートといっても、たしか正式に台湾はICPOには入っていなかったように思うんですが、ちょっと確認できますか、その点。

保坂政府参考人 恐縮でございますが、ICPOとなりますと警察庁の所管になりますので、私の方から確たることを申し上げることは困難でございます。

 失礼いたしました。

和田(有)委員 いずれにいたしましても、しっかりと、漁業やそういったものでは日本は台湾と取決めというものをやっているわけですから、そういうものを取り決めていくべきだと私は思います。そういう方向に向けてやはりかじを切っていくべきではないか。

 これは別に、私は、今まで何回も質問をしている中で、私たちがこの極東アジアにおいて台湾と連帯をするんだというメッセージを、緊張を高めるのではなく、抑止をするためにメッセージを出すんだという意味でもありますけれども、それ以上に、実務的に現場の皆さんは大変お困りだと私は承知していますので、申し上げた次第でございます。

 あわせてもう一つお聞きしたいんですけれども、裁判が終わって刑を受けるということになりますと、収監されます。これは、先ほど言いましたように、裁判が日本で行われて、台湾の人が日本で刑に服することになったら、まずは、一旦、日本の刑務所とかそういうところに入るわけですね、矯正される施設に。日本人が台湾でそういうことになると、やはり同じように台湾のそういう施設に収監されるわけです。

 これが、アメリカとかそういうところで、そういう条約を持っているそれぞれの国では、お互いの国に送致をする。アメリカで収監された日本人も、日本に来て、日本で刑に服するということになるんですが、それが台湾と日本ではできないわけです。

 これは矯正の共助というんですかね、そういう言葉が専門的にあるようですけれども、それもやはりしっかり、私は、いろいろな人権的な概念、あるいは文化とか言葉とかそういうことを含めて、やはり非常に、刑に服する方、矯正される方にとってみてもハードルがあると思いますので、しっかりとそういうこともすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

津島副大臣 御質問ありがとうございます。和田有一朗委員にお答え申し上げます。

 国際受刑者移送の現状についてのお尋ねでございます。

 国際受刑者移送は、国際的な協力の下に、外国において自由刑の確定裁判を受けて受刑している者を外国からその受刑者の本国に移送して、当該確定判決を執行するものでございます。国際受刑者移送を実施した場合には、その執行が終了するまで両国間の法的関係が継続するため、執行終了までの間はその手続の適正を確保する必要がございます。また、相手国との間で相互に同種の共助が行われることを確実にする必要性が高うございます。

 このように、国際受刑者移送には適正かつ慎重な法的手続が求められることから、我が国では、その実施に当たっては相手国との間であらかじめ条約を締結しておくこと、これをすなわち条約前置主義と言っておりますが、それを取ってございます。

 現在、我が国では、欧州評議会の刑を言い渡された者の移送に関する条約に加盟してございまして、この加盟国六十七か国のほか、二国間条約を締結しているタイ、ブラジル、イラン及びベトナムの四か国、合わせて七十一か国との間で相互に受刑者移送が可能となってございます。

 しかしながら、我が国と台湾との間には受刑者移送条約が締結されないため、国際受刑者移送は実施されてございません。

 以上でございます。

和田(有)委員 ですから、そういう条約は結べないにしても、取決め、それに代わるものを私はやはり結ぶべきではないか、本当に私たちにとって大切なパートナーであり友人であると思うならば、そういったことをすべきではないかということを申し上げておきたいわけです。

 漁業や経済分野でいろいろな形で、法的にはできないにしても、取決めという形ではやっているわけですから、私は是非とも、これは政治的な判断になってくるものだと思いますから、そういうことをひとつ前向きにしていただきたいということを申し添えておきます。

 これ以上はこのことは触れませんけれども、大臣、お疲れのようで、随分お疲れのようですけれども、しっかりとお願いいたします。

 次に、これも、戻ってこられました、青山先生が今日非常に丁寧にTPPの台湾の加盟に関してお聞きになったので、私、もういいかなと思ったんですが、やはり一応確認のためにお聞きしたいと思って。

 前回、私、TPP11の関係、CPTPPに台湾が加入することについて、どうだ、是非とも後押しをという質問をさせていただきましたけれども、そこでちょっと私も聞き逃したというか思ったことがありまして、もちろん、台湾側の努力というものはもっと必要だし、課題もあるのは分かるんですけれども、五つの県における農産品を台湾側はいろいろなハードルを越えて緩和、解禁をしたわけです。緩和という表現がいいのかどうか分かりません。

 これは、台湾が今申請しているTPP加入に向けた一つの判断材料としては、私は大きな、先ほど大臣も大きな一歩という表現を使ったと思うんですが、だと思うんです。それがやはりかなりのハードルを越えて向こうも前に向かったわけでして、そこら辺について、TPP加入に向けたこの事象というものがどういった効果を及ぼすのかということについて、もう一度確認をさせていただきたいと思います。

林国務大臣 今委員がおっしゃっていただきましたように、台湾は我が国にとって基本的価値を共有する極めて重要なパートナーでありまして、また、かねてからTPP11への加入申請に向けた様々な取組を公にしてきております台湾がTPP11への加入申請を提出したこと、これは我が国は一貫して歓迎をしておるところでございます。

 また、日本産食品の輸入規制撤廃は政府の最重要課題の一つでありまして、先般の台湾による規制の見直しは輸入規制の撤廃に向けた大きな一歩であると考えておりまして、残された輸入規制の早期撤廃に向けて、引き続き台湾側に粘り強く働きかけていきたいと考えております。

 我々といたしましては、こうした台湾の取組、これを認識しつつ、台湾がTPP11の高いレベルを完全に満たす用意ができているかどうかについてまずはしっかりと見極めるとともに、戦略的な観点や国民の理解も踏まえながら対応してまいりたいと思っております。

和田(有)委員 分かりました。

 日本側の国民の理解は整いつつあると私は思っていますので、しっかりお願いします。

 次に、これも前回お聞きした中でもう一点確認したいと思ったことがあって、日中共同声明の件なんです。

 日中共同声明の中に第六項というのがあって、お互いに威嚇をしない、武力解決はしないという項目があるんですが、この中で、既に、中国当局という表現をするんですかね、台湾に関しては武力を用いても解決をするんだという表現がなされております。これは、既にこの日中共同声明の中の第六項に反している表現ではないか、反してしまっているのではないかと思うんですが、まず、台湾有事そのものがこの日中共同声明の第六項の範囲に私はあると思うんですね。そういう中で、そうとすれば、この第六項に、中国当局が台湾を武力解決する、自分たちの思いを遂げるために武力解決するという表現は反しているように思うんですが、いかがお考えになりますか。

林国務大臣 日中共同声明第六項でございますが、「日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」こういうふうに規定しております。

 一方、台湾海峡の平和と安定、これは、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要でございます。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの我々の一貫した立場でございます。こうした立場については、中国側に直接伝えるとともに、各国の共通の立場として明確に発信をしてきております。

 引き続き、両岸関係の推移を注視しつつ、両岸の関係者を含む国際社会にしっかりと主張してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 これは、前にも質問して答弁があったように、南西諸島域というのは航空管制においてもオーバーラップをしている部分があったりして、我が国と中国という範囲を、もうかぶっているというふうに言ってもいいんですね。ですから、我が国と中国の間での話にこれはやはり私はなると思うんですね。そういう意味でお聞きしました。

 これは、これ以上やってもやはり神学論争みたいになってしまうところがありますのでこれで終わりますけれども、しっかりと両岸関係が平和に進むように日本は努めていただきたい。台湾の現状維持というものを武力によって変えることはあってはならない、そのために様々な手を打つべきだということを改めてもう一度添えておきます。

 次に、ウクライナに話が参ります。

 せんだって、ゼレンスキー大統領の国会でのすばらしい演説も私たちは聞かせていただきました。その中で、時期的にまだ早いかも分かりませんが、ゼレンスキー大統領は復興支援ということを実は述べられました。

 見ておりますと、ウクライナというのは大変な、私も、またこれは自作の、ウクライナ支援のための、ブルーリボンと北方領土返還バッジをひっつけてウクライナの国旗をあしらったものをつけてまいりましたが、一つは大地、小麦であります。小麦の大変な輸出国で、なおかつ、あの辺りというのは、映画の「ひまわり」でも撮影されたように、ヒマワリが取れる。そういうヒマワリの種、小麦、大麦、それと肥料、農業で使う肥料というものも大変たくさん生産されていて、これがこの後、物流が止まったりしていくと大変な状況になっていくというふうに言われています。

 ただ、今戦闘が続いている地域はありますけれども、そうでない、農業がなされている地域だって現実には今あって、農家の方はこれから作付をして、農業が始まっていくわけですね。そういったことを承知しているんですが、この農業に対する状況というものについてお伺いいたします。

林国務大臣 今、和田委員からお話がありましたように、ウクライナは世界有数の穀倉地帯でもございます。このウクライナの農業生産の回復というのは、ウクライナの人々にとってはもちろんでございますが、世界の食料安全保障にとっても極めて重要だと考えております。

 そうした観点から、ゼレンスキー大統領が述べられました復興段階の支援においても、ウクライナ国内の食料・農業生産、これを早期に回復するための支援を優先的に検討していく必要があると考えておるところでございます。

 我が国といたしましては、食料・農業生産分野の専門機関でございます国連食糧農業機関、FAO等の国際機関とも連携しつつ、ウクライナにおける具体的なニーズも踏まえながら、ウクライナの豊かな穀倉地帯の復興につながる支援を実施してまいりたいと考えております。

 なお、先般、我が国が新たに表明いたしましたウクライナとその周辺国に対する一億ドルの追加的な人道支援では、国際社会が懸念している食料安全保障も念頭に、国際機関などと急ぎその具体的内容の調整を行っておるところでございます。

和田(有)委員 時間がもうないので、本当だったら、これは実は農林省から答弁もあったような気がしたんですが、面白いですね、こういうパターンもあるんですね。是非ともしっかりやってください。

 最後に一点、通告を急遽入れたんですが、これも青山先生と全く一緒でございまして、全く、これは全くの一緒でございまして、全国青年市長会の皆さんが随分とウクライナからの避難民の方の受入れに前向きな姿勢を下さっているんですけれども、財政的な支援やいろいろな条件、支援ということで、まだまだ国からの状況が見えないというお声がございました。そういうことで、もう一回そこら辺に対する決意を聞かせていただければ。お願いします。

津島副大臣 ウクライナからの避難民受入れについてのお尋ねでございました。

 まず、避難民の方々の我が国への受入れを進めるため、官房長官を議長とするウクライナ避難民対策連絡調整会議が設置されてございます。この会議を司令塔として、その下に設置されたタスクフォースで詳細を早急に詰めつつ、政府一体となってウクライナ避難民の円滑な受入れと生活支援を行ってまいります。

 法務省としては、これまでに、避難民の方々の在留資格について柔軟な対応を行うこと、自治体や企業等からの支援申出を一元的に把握するための窓口を設置することなどの取組を開始しているところでございます。

 今後は、関係省庁と連携して、宿泊先の提供、自治体や企業、NGOなどによる支援とのマッチング等を行っていく方針でございます。

 また、これらの事業に係る経費でございます。三月二十五日の閣議において、まずは、困難に直面するウクライナ避難民の方々が本邦で生活していく上で必要となる当面の宿泊費、食費を始めとした日々の生活に困らないようにするための経費として、五億二千万円の予備費の活用が決定されたところでございます。

 引き続き、政府全体として、我が国に避難してこられる方への必要な支援等に速やかに対応できるように、早急に検討を進めてまいります。

和田(有)委員 本当の意味で、責任を持って、政府一体となって是非ともやってください。細かいことは、もう時間がないので聞きません。是非ともお願いします。

 これで終わります。

城内委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 私は、今三期目でございまして、二期目まで我が党の国際局長をやっておりましたので、その立場から、今、国際秩序は新たな段階を迎えています。コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ戦争によって、これによって我が国はその対応する能力を持たなければいけないですし、後半、国会では経済安全保障推進法案も審議されますので、本日はよろしくお願いいたします。

 私、大阪の第十九区、貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市、田尻町、熊取町、岬町までの、いわゆる関西国際空港のお膝元が地元でございます。

 まずは、空の話というより海の話からさせていただきたいんですけれども、海も、とりわけ北極圏です。北極圏を取り巻く経済環境について、海上交通路、シーレーンとして、我が国を含むアジアと欧州とを結ぶ北極海航路の展開について、まずはお尋ねします。

 東アジアと欧州を最短でつなぐこの北極海航路、重要性が増しているのは間違いないとは思うんですけれども、ロシア・ウクライナ戦争における影響というのは多大なるものだと思います。まずは、今後政府としてどのように取り組むべきか、この課題をどのように考えているのか、お答えいただければと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 北極海航路につきましては、欧州―アジア間を結ぶ航路として新たな選択肢となる可能性があり、第三期海洋基本計画において、我が国海運企業などの北極海航路の利活用に向けた環境整備を進めることとされております。

 また、現在の北極海航路につきましてですが、ロシア北極圏のヤマルLNGプロジェクトのLNG輸送に我が国海運企業が参画し、北極海航路を経由したLNG輸送を行っています。

 他方、定期コンテナ輸送に関しましては、北極海航路は海氷が減退する夏季、夏の季節の利用が主であり、また、航路の特性上、通航可能な船舶に制約があるなどの課題があり、現在は、我が国を発着し北極海航路を通航する定期コンテナ輸送は行われていないものと承知しております。

 国土交通省では、関係行政機関や研究機関、あるいは民間事業者などの参画を得て北極海航路に係る産学官連携協議会を定期的に開催するとともに、北極海航路の利用動向や航行制度などに関する情報の収集を行うなど、北極海航路の利活用に向けた環境整備に取り組んできたところでございます。

伊東(信)委員 今後の資源確保の推進を図っていく上でも重要だと思っております。

 課題についてお尋ねしたくて、どういった課題があり、どのように考えておられるかということをお聞きしたいんですけれども、それでは、いわゆる北極域の研究船、令和八年度以降の航行計画について、これは文科省の範囲になるとは思うんですけれども、お尋ねしたいんです。

 欧州の、ヨーロッパの検討では、北極海航路の利用関連で、年間三百億円ぐらいの経済効果があるという試算もあります。建造計画、期間を五年、建造費の総額を三百三十五億円投じる、そういったすごい計画です。

 私、実は、元々医師でもありまして、研究者でもあるんですけれども、なかなか、三百三十五億円の建造費、デバイスになりますけれども、それだけの計画というのはすごいものだと思うんですけれども、しかしながら、このロシア、ウクライナの戦争の影響で、運用は四年後の航路というのは、ちょっと不透明になったのではないかなと思います。

 こういった昨今の情勢に鑑みまして、運用の在り方の再検討があるのかないのか、どのような情勢の中、どのように情報収集を行うのか、そして、どこのセクションでやっていくのかということを教えてください。

原政府参考人 お答えいたします。

 北極域につきましては、温暖化を始めとする地球規模課題への対応という観点のみならず、北極海航路の利活用を始めとする経済安全保障の観点からも重要度を増しているというふうに考えているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、文部科学省といたしましては、今年度、すなわち令和三年度から北極域研究船の建造に着手してございまして、令和八年度の就航を予定しているところでございます。就航後の具体的な運用計画につきましては、今後の社会情勢あるいは研究ニーズを踏まえ検討していくこととしているところでございます。

 なお、ロシア、ウクライナでの情勢を踏まえたといたしましても、例えば中央北極海あるいはアラスカ等での観測が可能でございまして、また、今後ロシアからのデータ取得が困難になるといったような場合には、北極域研究船などを活用して我が国自らがデータを取得するということの重要性は今後一層高まっていくというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

伊東(信)委員 事前の通告の問取りのときにお聞きしたときは、国立研究開発法人海洋研究開発機構、JAMSTECというところだったと思うんですけれども、今の答弁の中で、たとえこのロシア・ウクライナ情勢があって、そっちからのルートが途絶えたとしても、反対側からも含めて、研究も含めるし、そういった意味でも重要だということを答弁いただいたと思っております。

 それでは、この航路に関してなんですけれども、北極海航路を通過する際の通航手続なんですけれども、これの簡素化及び通航料の確定についてお尋ねしたいんです。

 事前にロシア連邦の北極海航路局に申請して許可を得なければいけない、七つの海域に分けて海域ごとの海氷の状態について通航の可否やエスコート料を設定する、すなわち、最終的な通航料というのは航海が終わるまで確定しないということですよね。

 令和三年二月二日に政府は質問主意書に対する答弁で、我が国からロシア連邦に対して砕氷船のサービス料金の情報開示等を求め、同国からは、当該料金の上限を国内法に対して設定している等の回答を得ていると。等、等なんですけれども、しっかりと回答をいただいたのに具体的な中身がなかったので、ちょっと具体的な中身をお聞きしたい。また、設定している等の等とはどのような意味か、教えてください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 北極海航路の通航の手続でございますが、委員御指摘のとおり、ロシア国内法令に基づき、北極海航路局に対し、北極海航路に入域する予定日の百二十日前から十五営業日前までに申請を行い、許可を得る必要があると承知しております。このような変更は、二〇二〇年に改正があって今申し上げた手続になったというふうに承知しております。

 また、この際、航行船舶の耐氷能力や海氷の状況等に応じて、航行許可の条件として砕氷船による支援を受けることを求められる場合があるものと承知しており、この場合において、当該砕氷船支援に係る料金については、ロシア国内法令に基づいて上限額が設定されているものと承知しているところでございます。

伊東(信)委員 なかなか、更なる具体的な、上限がどれぐらいに設定されているとか、そういったところまでお聞きしたかったんですけれども、可能な範囲で、後ほどでいいです、時間もあれなので、教えていただけたらと思います。

 やはり、分かっていることはしっかりと、決まっていることは情報開示をしていただきたい。明らかにしない展開というのは、どうも国民にも、不安を感じると思いますので、よろしくお願いいたします。

 じゃ、目的である天然資源の話なんですけれども、やはり天然ガス、LNG及び原油の話になるとは思うんですけれども、このLNGに関して、ロシアのプーチン大統領は、米国や欧州、日本などいわゆる非友好国に販売する天然ガスについては、通貨ルーブルでの支払いを求める考え方を明らかにして、ロシア中央銀行と政府に対して、日米欧の天然ガス輸入業者がルーブルを調達する手順を一週間以内に決めると指示しました。それが三月二十三日なので、本日、ちょうど一週間後になっております。

 天然ガス、日本が輸入しているのは約八・八%にすぎないんですけれども、安定供給をする上で重要な調達先になっています。ロシア依存度を引き下げるにしても、代わりの調達先というのは見通しがあるんですけれども、又はロシアの依存度割合についてどう考えているか、お答えください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国は、石油、天然ガスなどのエネルギーの大宗を海外からの輸入に依存してございます。ロシアからは、原油につきましては輸入量の約四%、天然ガス、LNGに関しましては約九%を輸入してございます。

 LNGに関しますロシアからの輸入は、現状ですと、サハリン2というプロジェクトから、日本のLNG輸入の、先ほどの全量、約九%を輸入してございまして、これは、我が国の電力、ガスの安定供給のために不可欠なエネルギー源ということでございます。

 今後、中長期的にロシアからのエネルギーの依存を低減させていくということがG7の合意でございますので、我々といたしましては、ロシア以外の天然ガスの供給源、これは恐らく、オーストラリア、アメリカ、それから中東のような地域が念頭にございますけれども、そういうところからの調達の確保、加えまして、エネルギー構成全体、天然ガスのみに頼らない形で、再生エネルギーですとか原子力を含めたエネルギー構成全体の中で、ロシアからの依存度の低減ということを図っていきたいというふうに考えてございます。

伊東(信)委員 サハリン2における決済通貨の情報収集のこともお聞きしたいですし、JOGMECを通じて資源エネルギーの安定供給を目指していると思うんですけれども、サハリン2については、三井物産が一二・五パー、三菱さんが一〇%を出しています。ところが、大手の、イギリスの石油大手シェルが撤退を表明しております。

 そうすると、大きなところが抜けますと出資比率が変わりまして、日本に対する負担が大きくなってくると思います。アークティック、北極LNG2も同じような事例になっておるんですけれども、こういったところに関して、日本は撤退も含めてどのように考えているか、日本の企業への影響はどのようになっているか、これこそ本当に、ちょっと外務大臣にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

林国務大臣 我が国といたしましては、これまで一貫して、エネルギーの安定供給また安全保障、これを最大限守るべき国益の一つとして、G7を始めとした国際社会と協調しながら適切に対応していく、こういう方針を述べてきたところでございます。

 経産省からも今答弁がありましたように、三月十一日のG7首脳声明、ここで、秩序立った形で、世界が持続可能な代替供給のための時間を確保しつつ、ロシアのエネルギーへの依存を削減するため、更なる取組を進めていくことで一致をいたしております。

 また、三月二十四日のG7首脳表明で、今の申し上げた方針を踏まえつつ、代替となる持続可能な供給源を確保し、供給途絶の可能性がある場合には連携して行動する、そういう旨を確認してきておるところでございます。

 今御指摘のあったサハリン1、2、そして北極LNG2についても、このG7首脳声明の方針に沿って、我が国のエネルギーの安定供給等の観点を十分考慮しつつ、経済産業省とも連携し、適切な対応を考えてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間もなくなってきたので、私、医者であるという話をしましたけれども、PLDD、NKTという先進医療ばかりやっているんですけれども、実は研究の方、学位の方はウイルス学であって、私、ウイルス学の医学博士であります。

 そういった意味で、この今のコロナ禍をやはり収束させるために経口治療薬が必要であるということで、こういった医薬の経済安全保障に対して最後、御質問させていただきたいと思うんです。

 ちょっと、テクニカルにならないように簡単に説明させていただきますけれども、例えばインフルエンザのタミフル、オセルタミビルというんですけれども、これ自体、原薬として来るんですね、シキミ酸という。それを十回ぐらい化学合成するんですけれども、元々はトウシキミという、八角という植物です。

 こういったところというのは、中国やインドで栽培されています。日本で作るとなったら、出発物質というんですけれども、土壌のこととか十年とかかかるし、たくさん薬があるから、日本でも一からサプライチェーンをつくることというのは不可能な話なんですね。

 ところが、例えば、ロシア、ウクライナの情勢が中国にどう影響するかというのはなかなか仮の話になりますけれども、コロナウイルスのことでロックダウンが実際に起こったじゃないですか。中国のところからインドに、出発物質から中間物質を作るまた輸送路が途絶えたりとかすると、この医薬品のサプライチェーンというのは非常に脅かされる状況になっています。

 このような医薬品の安定事業のために国内で医薬品を製造するには、全ての製造過程を国策として手を打っていかなければならない形になるとしますけれども、政府としては、本当に、最終的にはどのような形を目指しているか、明確にお答えいただきたいのと、実態把握には、出発物質や中間体などいわゆる上流工程に含まれるところのものを対象にしていまして、令和三年度の補正予算で七十億円、令和四年度の本予算でも五千万円がつけられているんですけれども、この出発物質、植物の段階や中間体などのいわゆる上流工程に含まれているものを対象にしているのか、もう本当に近々の課題なので、どのように今後展開してくるか、最後、お答えいただければ幸いです。

佐藤副大臣 国内で流通する医薬品のうち海外で生産された原薬により製造された医薬品が約七割を占める中、厚生労働省では、医薬品の安定供給を確保するために、海外依存度の高い抗菌薬について、原薬を国産化するための支援を行うとともに、製薬企業に対して原薬の供給元を複数確保するよう要請するなどの取組を進めているところであります。

 また、医療関係者の御意見も伺いつつ、医療上特に安定確保が求められる医薬品を選定した上で、対象疾患の重篤性や代替薬の有無などの要素を勘案し、優先度の高い医薬品から順次、製造拠点や原薬の供給元などサプライチェーンに関する調査を行っているところであります。

 今後、医薬品の安定供給の確保を図るため、サプライチェーンに関する調査結果を踏まえ、製薬業界の御意見も伺いながら、特に積極的な対応を講ずべき医薬品の範囲や具体的な方策について検討してまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 時間なので、終わります。厚労省、外務省、しっかりとこういった医薬の経済安全保障に対して連携、お願いいたします。

 ありがとうございました。

城内委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦です。

 皆さん、桜が咲いてまいりました。当たり前のように毎年毎年桜は咲きますが、私たち日本人は、この桜を、咲いたものを眺めるというのは、特別なものとしていつもしてまいりました。

 昨今は、コロナウイルスの感染症もありまして、ござを敷いてやるわけにはいかないんですが、私たちがこうして毎年当たり前のように桜を見ることができるのも、実は、たまたまミサイルが落ちてこない、たまたま人工島が建造されない、たまたま侵略を受けていないからでありまして、今までの当たり前が既に当たり前ではなくなった、そして、あるとき突然侵略を受けて国を追われる可能性がある、そういうことが、今、私たちの直面する事態です。

 そして、今、ウクライナから避難された方々、国外に脱出される方々を我が国で受け入れるという議論がありまして、既に進行中ですが、質問の順番を変えまして、まず、我が国で国外に脱出した方々を難民として受け入れる、難民を受け入れたという例はかなり昔にあっただけで、久しぶりのことですが、外務省としての見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 現在、ロシアによるウクライナ侵略が発生いたしまして、ウクライナ避難民の人道状況についての深刻な懸念、これもG7首脳会合でも共有されたところでございます。こうした未曽有の人道危機に直面しているウクライナとの更なる連帯を示すために、我が国はウクライナから第三国に避難された方々の受入れを進めておりまして、政府一体となり、国民の理解も得ながら、関係省庁において必要な支援を行っていく方針でございます。

 すなわち、現在の我が国の対応は、一国が他国の領土を侵略するという国際社会でまれに見る暴挙が行われているというウクライナが瀕する危機的状況を踏まえた緊急措置として、避難される方々にまずもって安心できる避難生活の場を提供すべく、政府全体として取り組んでいるものでございます。

 こうした歴史上まれに見る事態の非人道性に鑑みて、今回、ウクライナの避難民を身寄りのない人々も含めて受け入れるなどの例外的な政治判断を行って、官房長官の下にウクライナ避難民対策連絡調整会議を設置して、関係省庁が連携して避難民の円滑な受入れと生活支援を行っていくこととしております。

 具体的には、避難民の円滑な受入れについては、外務省としては、今回のウクライナが直面する危機的状況を踏まえ、シリアやアフガニスタンの場合と異なって、査証申請書類を可能な限り簡素化して、より迅速に審査、発給を行ってきておるところでございます。

 いずれにしても、海外から我が国に避難してきた方々に対しては、本国情勢等を踏まえ、個々の置かれた状況等にも配慮しながら、政府全体として適時適切に対応してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 久しぶりのことで、しかも例外的なことだという御答弁が今ありました。

 これが例外的なものだからかどうかは知りませんけれども、先ほど小熊委員からもお話ありましたけれども、所管が非常に入り組んでいて、この質問を作るときですら、レクチャーを受けるときも、それは法務省さんです、それは外務省さんです、やり取りが非常にあったわけですね。政府一丸とおっしゃるのであれば、どちらかが答えるということよりも、誰かが答えるというのを一方的につくっていただくのが当然だと思うんですが、そのうちの一つとして、冒頭、我が国の桜の話をしましたけれども、美しいと思うのは桜だけではなくて、日本語も私は美しいと思います。ただ、今回はこの美しい日本語が非常にネックになっています。

 先ほど大臣もおっしゃいましたが、避難民とおっしゃいました。なぜ難民とおっしゃらないのか、これは法務省さんですかね、お答えいただきたいと思います。

君塚政府参考人 岸田総理が受入れを表明された今月二日以降、二十八日までに、速報値でございますけれども、三百十二人のウクライナからの避難民が我が国に入国しております。

 お尋ねの避難民の関係でございますが、一般的な意味合いとしての難民といいますのは、本国政府からの迫害にとどまらず、戦災あるいは自然災害等から逃れてきた場合も含まれる多義的な用語とされております。

 その一方で、入管法上の難民といいますのは、難民条約で定義される難民を指すものとされておりまして、迫害を受けるおそれがある理由が、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、それから政治的意見のいずれかの事由に該当する場合に限られております。

 そのため、今般のロシアによる国際法違反の軍事侵略行為により無差別攻撃を受けてウクライナから第三国に避難された方々につきましては、今申し述べたこの五つの迫害事由に必ずしも当てはまるものではなく、入管法上の難民に該当するとは限らないということになります。

 この点、我が国といたしましては、近年において未曽有の人道危機に際し、難民条約の難民に該当するか否かにかかわらず、ウクライナから逃れてきた方々を人道的な観点から幅広くかつ柔軟に受け入れて、避難生活の場を提供する方針としているところでございます。

 そこで、こうした方針の下、我が国がウクライナから避難した方々を積極的に受け入れることを的確に表現するものとして、難民ではなく、避難民と呼称することとしているものでございます。

鈴木(敦)委員 難民条約の第一条を引用していただきましたけれども、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であることという条文について、じゃ、お聞きしますけれども、ウクライナはなぜ攻撃されているんですか。ウクライナの方々はなぜ亡くなるんですか。ウクライナ人だからです。そして、ウクライナという国家を攻撃されているからです。

 にもかかわらず、これに当たらないというのを、これは誰が判断されたんですか。法務省が判断されたんですか。それとも外務省が判断されたんですか。どちらの判断で、これは難民ではないという判断になったんでしょうか。

君塚政府参考人 難民条約に言う先ほどの五つの事由につきましては、我が国に来られた方が個々に申請の上で個々の事情を述べていただいて、難民該当性の有無を判断するというのが原則になっているところでございます。

 今般につきましては、もちろん、今回ウクライナから逃れた方々の中には、難民条約に該当する方もおられるかもしれないし、そうじゃない、判断が難しい方もおられるかもしれない。しかしながら、こういう形で一遍に大量の方々が隣国に逃れてきたということで、彼らをとにかく保護するんだということを前提に、難民条約の有無にかかわらず、今回、我が国として受け入れようということで、先ほど申し上げたような避難民という言葉で受入れを図っていこう、こういうことになったということでございます。

鈴木(敦)委員 誰がそれを判断したんですか。我が国に遊びに来るんじゃないんですよ。万博は随分先ですから。花博もずっと先ですよ。それに来るんじゃないんです、ウクライナの人たちは。

 じゃ、その言い方の話をされるのであれば、今幾つか、海外で何を言っているか御紹介しますけれども、これは三月二日のフランスの大統領の演説の原稿です。読めるかどうかについてはお答えしませんが、この中では、ウクライナからの数十万の難民の受入れを歓迎する、マクロン大統領。

 それから、UNHCRのプレスリリース。これは、三月二十一日、ウクライナの国境を越えるために待機している難民に対して毛布を提供した、こういうプレスリリース。

 次に、これは欧州評議会のプレスリリースですけれども、おとといです、二十八日。これは、二十四日から二十五日にかけて、欧州評議会としては、継続的な連携をして、ウクライナ難民の受入れを継続的に支援する、このように書いてあります。

 そして、じゃ、日本は何を言っているか。岸田総理が受入れを表明されたときの通信社の、英字です、この中に書いてあるのは、ロシアの侵略を逃れて日本に到着したウクライナ人は、難民の地位を与えられず、政府によって避難者と呼ばれている。

 外国にはそういうふうに伝わっているんですよ。我が国は難民として受け入れない。避難される方として受け入れる。そして、これから先、言いますけれども、どういうビザで入ってくるかについても、我が国は随分当たり前の、普通の対応をされますよね。

 誰が決めたのかということです、これを。今、どうして決めたのかはお答えいただきました。誰が決定されたんでしょうか。

君塚政府参考人 この避難民という言葉につきましては、政府において決められたということでございます。

鈴木(敦)委員 それは、その呼称については国会で審査していませんから、当然政府がされたものと思います。

 じゃ、次、聞きますよ。質問を飛ばします。

 ウクライナ避難民対策連絡調整会議、その中で決まったんでしょうけれども、この内容について、ホームページには議事次第しか載っていません。内容が全く分からない。そして、その後で官房長官がこの内容についてプレスの前で発言をしたものだけが今、世の中に出回っていますけれども、この呼称の話があったのかどうかも含めて、その中で話が出た基本方針についてお答えいただけますか。

小玉政府参考人 お答えいたします。

 政府としましては、ウクライナの人々との連帯を示すべく、ウクライナ避難民の方々の受入れを今後も進めていく考えでございまして、まずは親族や知人が日本におられる方々について受け入れることを想定しておりますが、それにとどまらず、人道的な観点から対応していくこととしております。

 過酷な状況の下、我が国を頼ってウクライナから避難してきた方々に対し必要な支援が行き届くよう、政府一体となって、国民の皆様の御理解も得ながら、関係省庁において必要な支援を行っていきますが、今後のウクライナ情勢により本邦滞在が長期化する場合には、避難民の方々のニーズに応じた支援を更に検討してまいる所存でございます。

 いずれにしても、関係省庁が連携し、我が国に避難してこられる方への必要な支援等に速やかに対応ができるよう、政府としてしっかりと対応してまいる所存でございますが、御指摘の三月十八日、ウクライナ避難民対策連絡調整会議においては、ウクライナから避難を余儀なくされ、日本への避難を希望するウクライナの方々について、いつでも受け入れ、必要な支援を行っていくことを確認したところでございます。

鈴木(敦)委員 我が国に来る人たちは難民ではないですよ、外国ではもうそういう伝わり方をしているんですから、正直、私、ほとんど来ないと思いますよ、難民として保護されないんですから。

 じゃ、何の保護も日本はしないのかといったら、そうじゃないんですね。ここから先、私の質問の中で申し上げますが、実態としては難民としての扱いをするにもかかわらず言葉遊びを続けるのは、もういいかげんにやめていただきたいと思います。

 そこから先にお話ししますが、この避難された方について、先日の委員会の中で、長期、ある程度一定の期間在留される方に対しては日本語教育を行うというような文化庁の御答弁がありました。語学教育を行っているのは、条約難民あるいは第三国定住の方々だけですよね。半年間若しくは十二か月間かけて日本語教育、基本的な読み書きができるようになるまで教育をするということになっていますけれども、ウクライナから来る方々は、一体何のビザで入ってこられるのか。難民じゃないんでしたら、どういう査証で外務省は受け入れるつもりなのか、まずそこをお答えいただけますか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナから日本に来られる方については、基本的に短期査証で来られるものと理解しております。

鈴木(敦)委員 短期査証で入ってくるということは、普通に、旅行客と同じビザですよね。それで入ってきて、でも、この人たちは難民じゃないんです。難民じゃないけれども、ウクライナから来たということで、一定期間、長期の滞在が必要だということであれば条約難民に準じた対応をするということです。であれば、これは避難民なんて言う必要、全然ないんですよ。避難されてきた方でも、難民は難民なんです。

 そして、UNHCRははっきり言っていますよ、難民というのは、発生したから難民なのであって、難民認定というものは法的な、儀式的なものだと言っているんですよ。避難してきたんだから、難民は難民なんです。

 なのに、避難民ですね、短期ビザで入ってきてください、その後で、じゃ、難民に準じた対応はしますよということをおっしゃっています。

 そして、日本語教育については、それは文科省の所管ですとおっしゃるかもしれない。でも、ここではっきりと申し上げますけれども、外務省の予算でこれはやっていますよね、条約難民と第三国定住に対する日本語教育に関しては。今回も、外務省の所管でやるはずですよ。そこは確認されていますか、外務。

股野政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの事業につきましては、委員御指摘のとおり、難民、特にインドシナ難民事業を含めて難民事業本部の方でそういった事業に対応してきておりますが、今後の対応につきましては、今まさに政府の中で検討しているところでございます。

鈴木(敦)委員 今まで、ありとあらゆる制度をつくってきたときに、前の制度を準用して使ってきましたよね。当然ながらそうなるに決まっているじゃないですか。新しい制度なんか、これからつくりようがない。だって、もう来ちゃうんですから。法務大臣をポーランドに飛ばしちゃったら動き出しちゃいますよ。

 走りながら考えるというのは、税金の使い方としてはいかがなものかと私は思いますよ。もう既に決まっているはずです。そして、ある程度の方針は定められているはずです。

 もう一つ申し上げます。

 一定期間日本に在留する方、そして日本語教育をする方、その先にあるのは何ですか。就労ですよ。お仕事されるということです。我が国に短期ビザで入ってきた人は、基本的に仕事なんかできるわけがありません。じゃ、この人たちは何をもってお仕事をされるんでしょう。

 特定活動という制度がありますね。特定活動の四十九種類の中には、短期ビザで入った方が仕事をするなんという規定は入っていません。一体何で仕事をさせるというつもりなんでしょう。

君塚政府参考人 今御質問がございました特定活動の在留資格は、入管法の別表におきまして、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と定められておりまして、そのうち、例えば、ワーキングホリデーとか、EPAによる看護師、介護福祉士など、法務大臣が個々に告示で定めたものにつきましては、特定活動の在留資格による入国が認められることになります。

 また、我が国に在留する外国人につきまして、難民認定申請中であるとか本国事情に起因する人道上の配慮により在留の継続が必要である、こう判断される場合につきましては、告示に定めがない場合であっても、特定活動の在留資格への変更許可を行いまして就労を認めることがございます。

 今般のウクライナ避難民に限らず、ミャンマーでの軍事クーデターによって帰国が困難となった在留ミャンマー人、あるいは、難民と認められなかったものの、人道的な配慮によりまして在留が認められた者などにつきましても、本人の希望や在留状況に応じまして特定活動の在留資格を付与することにより、本国情勢が改善するまでの間、我が国での在留及び就労を認める取扱いとしているところでございます。

鈴木(敦)委員 ですから、ミャンマーは難民だったじゃないですか。今回もそれに準ずる対応をするんですから、難民でいいじゃないですかということを申し上げているんです。

 言葉の使い方を変にいじくり回して、これは先ほどの松原委員の発言じゃないですけれども、ざるというのはどうして発生すると思いますか。一つの柱で物を止めれば全部止まります。でも、日本の場合は、いろいろなところから糸を引っ張ってきて、布を編むように紡ぐんです。だから、網になって、ざるになるんです。

 だったら、最初から、一本ぽんとつくればいい話です。難民だと言えばいいんです。そうすれば、難民としての扱いができるし、しっかりとした対応も各省が連携して取れる。

 そして、それは前回実績があるんですから。前にやったことをもう一回やるということにすればいいんです。今回、ウクライナだから新しい事例ですといって新しいことをどんどんどんどん始めていく必要は全くないし、今までと同じ対応を取れればもっと迅速に決定できるはずです。

 そして、ここまでウクライナの話をして、じゃ、ウクライナの方々だけをこういうふうに取り上げますけれども、今、入管の施設ですとか、難民申請中の方々も多数おられますよね。その方々が全員、全て該当するとは申し上げませんけれども、そういう方々の中には、何でウクライナだけ、うちだって戦争していたから逃げてきたのに、あるいは、武力紛争だったり民族浄化だったりで逃げてきたのに日本の難民申請が受けられなかった、にもかかわらず、ウクライナの人だけは、難民ではないけれども難民に準じた対応をしてもらっているじゃないかと。ここに対して整合性の取れる説明ができなければならないんです。これは御説明いただけますか。

君塚政府参考人 先ほど外務大臣から御答弁がございましたが、今回のロシアによるウクライナへの軍事侵略は、法の支配、基本的人権の尊重といった普遍的原理に基づく国際秩序を破壊する行為でございまして、断じて容認することはできないわけでございます。

 あわせて、UNHCRの発表によれば、国外に脱出したウクライナからの方々は三百八十二万人以上ということでございまして、ウクライナ人口の四分の一が国内外に避難を強いられていると承知しているところでございます。

 このような、近年において未曽有の人道危機に直面しているウクライナとの更なる連帯を示すために、ウクライナから第三国に避難された方々の受入れを進めているものでございますが、こうした我が国の対応は、まさしく、ウクライナが瀕している危機的状況を踏まえた緊急措置として、難民条約上の難民に該当するか否かにかかわらず、ウクライナから避難された方々にまずもって安心できる避難生活の場を提供すべく、政府全体として取り組んでいるものでございます。

 いずれにいたしましても、脅威的な存在によって危機的かつ緊迫した状況に直面し、窮地に陥ったことにより海外から我が国に避難した方々に対しましては、本国情勢を踏まえ、個々の置かれた状況等にも配慮しながら、政府全体として適時適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(敦)委員 難民条約に該当するか否かにかかわらずとおっしゃいましたね。そして、ウクライナの方々に対する連帯を表するともおっしゃいましたね。だったら、難民でいいじゃないですか。難民として扱っていただきたい。そうすればできることはたくさんあるのに、今、中途半端な方法で入れてしまって、短期ビザで取りあえず入ってもらいますねとか、そういうことをおっしゃるんだったら、我が国への入国の、まず入口の段階からつまずいているじゃないですか。

 例えば、さっき質問の中にありましたけれども、帰りの飛行機、政府専用機、あれはトリプルセブンですから、結構な人数が入りますよ。百五十人どころか、いっぱい入ると思いますよ。もっと入れてきちゃって、入ってきた後で、受入れの体制、どうなっているかも分かりません、語学もどうするか分かりません、就労もこうする、措置を取ります。中途半端なことをやっていないで、これを難民だと言えば一言で終わる話を、どうしてこうやってこねくり回すのか、私には分からない。

 そして、ここまでなぜこれにこだわるかと申し上げたら、台湾だとか、あるいは朝鮮半島、もし紛争が発生したときには、これは、どこか別の国から我が国が受け入れるじゃありませんよ、直接来ますよ。何千何百、何万かもしれません。これを受け入れたときにどうするか。その先例が今回のことだと私は思います。

 だからこそ、今ここで体系的にこうするんだということが決まっていないと、そして、こういう事態のときにこそ、ミサイルを撃ったり、人工島を造ったり、あと、他国を侵略したりするようなアジアにあって、しっかり法律で統治された国があるんだと世界に認めさせる、そして、それが日本なんだということをはっきりと世界に表明するためにも、これは枠組みをしっかりつくらないと私はいけないと思います。

 一例を申し上げますけれども、ポーランド、あれだけの人数を受け入れておりますが、ポーランドにはしっかりとしたスキームがあるんですよ。しっかりとした身分証明を持ってくれば、十八か月滞在することができます、その身分証明はどこで取ってくださいとか、何日までに出してください、これは、ポーランド政府のホームページにしっかり載っています。でも、日本にはそういうものがないんですよね。

 だから、これは大臣に申し上げたいんですが、こういうことは外務省としてやっていただきたい、政府一丸ではなくて。ちょっと、受け止め、お願いします。

林国務大臣 法務省からも御答弁がありましたけれども、我が国ではこれまでも、出入国在留管理庁において、難民条約の定義に基づいて、難民と認定すべき者は適切に認定し、受け入れてきたと承知をしております。

 また、難民条約上の難民に該当しない場合であっても、今回のウクライナ避難民のように、人道的な配慮から必要と認められるときには、本邦での在留を特別に許可することとしております。

 その上で、外国からの難民や避難民の我が国への受入れの方針、また、受入れに際しての具体的な対応について、これは、個別の状況を踏まえつつ、外交的側面のみならず、政府全体として、様々な観点からの判断が必要な問題だと考えております。

 今回、今いろいろ御指摘がありましたけれども、ウクライナのケースにおいて得られる知見、こういうものを踏まえて、国際社会と緊密に連携しながら、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 時間ですので終わりますが、適切にではなく厳格に運用してきたのが我が国の方針でした。なので、これから先のことを考えて、使い方、もう少し使い勝手がいいように検討していただきたいと思います。

 終わります。

城内委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 国連総会は、先週二十四日、ロシアのウクライナ侵略に関する緊急特別会合で、ロシア軍による民間人や民間施設への無差別攻撃を非難し、即時停止を求める決議案を百四十か国の圧倒的賛成多数で採択しました。

 決議は、ロシア軍の即時、完全、無条件の撤退を迫った三月二日の総会決議の完全履行を求めるとともに、敵対行為の即時停止、ジュネーブ諸条約等の国際人道法の尊重、民間人保護、病院等民間施設の保護、ロシア軍による都市包囲の解除など、深刻な人道危機を打開することを強く求めています。

 フランスとメキシコが推進し、五大陸全てにわたる九十か国が共同提案国に加わって採択された今回の決議は、ロシアによる侵略と戦争犯罪を非難し、その中止を求める国際社会の揺るがぬ意思を示したものと考えますが、林大臣の所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 現地時間の三月二十四日でございます、国連総会の緊急特別会合におきまして、ウクライナ及びEU等が主導する、ウクライナに対する侵略の人道上の影響、この総会決議が、我が国を含む九十か国が共同提案国となりまして、百四十票の賛成を得て採択をされました。

 この決議と、これに先立ち、今委員からもお触れいただきました、現地時間三月二日に採択されたウクライナへの侵略を非難する決議は、共に百四十か国以上の賛成票を得て採択をされたところでございます。

 このことは、ロシアのウクライナ侵略を非難し、また、それによる悪化するウクライナ人道状況への迅速な対処の重要性に関する国際社会の大多数の強い意思、これを重ねて示したものとして重く受け止めておるところでございます。

 我が国は、これらの決議の採択に向けて各国へ積極的に働きかけてきたところであり、この決議が速やかに実施されることが重要であると考えております。

 政府としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携していく考えであり、国連においても、我が国の基本的立場を踏まえ、積極的に貢献してまいりたいと考えております。

穀田委員 我が党は、今回の決議の採択を心から歓迎するとともに、ロシアが国際社会の総意に従うことを強く求めます。

 今回の決議は、第一項といいますか第一番目に、先ほど大臣もお話ありましたけれども、三月二日の国連総会の決議の完全履行を求めています。これは非常に重要なことだと私は思います。

 また、オーストリアは、次のように国連の代表が述べています。我々はどんな軍事同盟にも属していない中立国だ、中立とは、国際法違反に直面し、何らの立場も取らないということではない、被害者と侵略者をはっきり区別する決議案を私たちは支持すると述べ、中立とは侵略の傍観者になることではないと強調しています。私も、この意見に強く共感するものであります。

 決議採択の過程で、ロシアによる侵略という事態の性格を曖昧にし、ロシアを名指しせずに、全ての当事者による敵対行為の即時停止だけを求める動きも浮上しましたが、ロシア提出の安保理決議案はロシア、中国のみの賛成で否決され、ロシアが支持する南アフリカ提出の総会決議案は、多数の反対で、採択にかけられないまま廃案となりました。ロシアによる侵略という事態の本質に目をつぶるこの種の議論が国連総会の場で通用しなかったことは、国際社会でのロシアの孤立ぶりを明確に示すものとして、私は極めて重要な到達点だと考えています。

 ロシアによる侵略から一か月。ウクライナのゼレンスキー大統領は二十四日、世界に向けて反戦デモを呼びかけました。こうした中、今、世界各地で、ロシアの侵略を非難し、ウクライナに連帯する集会、デモが広がりを見せています。

 お配りした資料、ちょっと縮小していますのでなかなか見にくいかと思いますけれども、これにもありますけれども、ロンドンでは数万人が反戦デモに参加し、ウクライナと共にあると訴えました。

 ベルリンでは、十万人がデモ行進を行いました。

 スペインのマドリードで行われた反戦デモでは、参加者が、交渉によって平和を目指す外交努力を強化すべきだと訴えました。

 バンコクやニューヨークでは、犠牲者を追悼し、ロシア軍の無差別攻撃に怒りの声が上がっています。

 同時に、ロシア国内でも大きな動きがありまして、反戦デモが行われています。

 プラハでは、チェコ在住の数千人のロシア人が、私たちがロシア人であるからといって自動的に戦争を支持するわけではない、私たちは戦争に反対だとデモ行進を行っています。

 翻って日本を見ますと、日本でも、全国各地で平和を求める取組が続いています。渋谷区で行われた反戦デモには数千人が参加し、また、港区のロシア大使館前では、中学、高校の生徒たちが抗議集会を開き、なぜウクライナの人たちが悲しまなければならないのか、私たちは抗議するとの声を上げています。

 林大臣、今最も大事なことは、世界の多くの国々と市民が、侵略やめよ、国連憲章を守れ、この一点で声を上げ、力を合わせて、そうした国際世論でロシアのプーチン政権を包囲し、孤立させることではないでしょうか。御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 今回のロシアによるウクライナ侵略、これは、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をいたします。

 各国がロシアの動向に関する見通しや立場を積極的に発信し、国際社会に対して連帯を訴えてきたことにより、ウクライナ危機への対応に当たって、G7を始めとする国際社会において、今委員からも御紹介もいただきましたけれども、非常に広範な連帯が生まれていると考えております。

 我が国は、一刻も早くロシアのウクライナ侵略を止めさせ、ロシア軍を撤退させるために、G7各国、国際社会とともにロシアに対して強力な制裁措置を取っていくことが必要だと考え、迅速に厳しい措置を打ち出してきているところでございます。

 また、岸田総理からは、G7首脳会合等の場で、我が国が追加の制裁措置を行っていくことを説明をいたしまして、高く評価をされたところでございます。

 我が国としては、今後とも、様々な機会、手段を通じて我が国の立場を明確に発信するとともに、国際社会と緊密に連携して、一層の国際世論の喚起、これを行ってまいりたいと考えております。

穀田委員 大臣が最後にお話あったように、国際世論を喚起していく、やはり国際世論で包囲していくということ以外に道はない、そのために私たちも力を尽くしたい。

 前回、前々回でしたか、大臣に、あわせて、各国に対する働きかけが重要だということを私は申しました。

 私たち日本共産党として独自に、この間も述べましたように、働きかけを行い、さらに、この間はロシア駐日大使と話合いをし、この暴挙をやめよということを申し伝え、とりわけ、いわば今日の国連憲章違反の事態に対する厳しい批判を堂々と訴えてきたところであります。

 そこで、鬼木防衛副大臣に聞きますが、今、何よりも大事なことは、ウクライナ侵略やめよの一点で国際社会が力を合わせ、先ほど言いましたように、世論でプーチン政権を包囲し、孤立させることが大事だと思います。ところが、問題は、こうした市民の平和を求める行動を防衛省がどのように捉えているかということであります。

 それを示す資料が三枚目ですね。これを見ていただくと分かります。

 この資料、陸上幕僚監部が作成した「陸上自衛隊の今後の取組み」、本体はこれですけれども、今、三枚目に示したのはこの一部であります。二〇二〇年二月四日に防衛省で行われた記者勉強会で使われたもので、私の資料要求に対し、先日、防衛省が提出したものであります。資料には、「予想される新たな戦いの様相」として、グレーゾーンの事態に関する記述があります。そこには、「武力攻撃に至らない様々な手段により、自らの主張を受け入れるよう相手に強要」するものとして、六つの事例が挙げられています。

 鬼木副大臣、その六つの事例とは何か、簡単にお答えいただきたいと思います。

鬼木副大臣 お答えします。

 いわゆるグレーゾーンの事態とは、純然たる平時でも有事でもない幅広い状況を端的に表現したものであります。例えば、国家間において、領土、主権、海洋を含む経済権益などについて主張の対立があり、少なくとも一方の当事者が、武力攻撃に当たらない範囲で、実力組織などを用いて、問題に関わる地域において頻繁にプレゼンスを示すことなどにより、現状の変更を試み、自国の主張、要求の受入れを強要しようとする行為が行われる状況を言います。

 その上で、御指摘の六つの記述について申し上げますと、このような行為に該当する可能性がある例として、一、事実に反する事柄を意図的に報道する行為、二、テロリストによる破壊活動、三、暴徒化した暴力を伴う非合法なデモ、四、サイバーの領域において自衛隊の活動を妨げる行為、五、領空侵犯や領海侵入といった我が国の主権を侵害する行為、六、民間の重要インフラ施設などの破壊や人員に対する襲撃、要人暗殺などの特殊部隊等による攻撃といったものを念頭に列挙したものであります。

穀田委員 配付した資料には、グレーゾーンの事態として、今述べた六つの事例が列記されています。しかし、その中に報道が挙げられていることについては看過できません。

 更に重大なのは、暴徒化したデモとある箇所であります。私が入手した資料では、こちらの資料では、暴徒化したデモとある箇所には反戦デモと書いてあります。これですね。ここに反戦デモと書いています。暴徒化したデモと反戦デモでは趣旨が大きく異なることは明らかでありますし、違ってくると思います。

 鬼木副大臣、この配付した防衛省提出の資料は、反戦デモとあった箇所を暴徒化したデモに書き換えたのではありませんか。

鬼木副大臣 経緯を御説明いたします。

 令和二年二月四日に陸上幕僚監部が記者を対象に行った勉強会において、「陸上自衛隊の今後の取組み」と題する資料を配付しました。当初配付した資料には、グレーゾーン事態の例として、テロやサイバー攻撃のほか、反戦デモという記述がありましたが、参加者から、用語が不適切ではないかとの御指摘を受けました。このため、資料を一度回収して、誤解を招かないよう、暴徒化したデモと修正した上で、翌二月五日に記者に対して再度配付したと承知しております。

 修正前の資料については既に廃棄しているため、今般の穀田議員からの資料要求においては、二月五日に再配付した修正後の資料を、修正箇所を、何をどう修正したと明示した上で提出させていただいたところです。

 以上です。

穀田委員 いずれにしても、そういうことを書き換えたことは認めた。だから、要するに、配付した防衛省の提出の資料は、当初、反戦デモとあった箇所を暴徒化したデモに書き換えたものだということを確認してよろしいですね。

鬼木副大臣 ただいま御説明したとおりでございます。

穀田委員 私が入手した書換え前の資料では、市民が平和裏に行う反戦デモを、自らの主張を受け入れるよう相手に強要する事例の一つに挙げていたことは事実だと。しかも、配付資料の下の部分にあるように、敵企図、敵の企図ですね、「グレーゾーンの事態における対応」というところに、一番上に書いていますわな、敵企図の解明と書いていますように、敵の企てとして敵視していることは明らかであります。

 私が得た情報では、記者勉強会の当日、陸幕防衛課の防衛班長は、反戦デモと記した理由について次のように述べています。二〇一四年のウクライナの状況を踏まえれば、反戦デモがどのような組織の組成になっているのかということはなかなか分かりかねるところがあると説明していると私は聞いています。

 鬼木副大臣、防衛省にとっては、反戦デモとは、どのような組織の組成になっているか分からない、いつ暴徒化するか分からないというものだという認識で臨んでいるわけですね。

鬼木副大臣 そのときの発言やお考えというものについては私は承知するものでなくて、防衛省がそうした考えを持っているということではないと。

 御指摘の資料に記載された反戦デモという表記については、合法的に行われている場合も含めて、一様にグレーゾーン事態の例として記述したことは誤解を招く表現であったと考え、修正をさせていただいたということであります。

穀田委員 修正の経過を知っているということは、どういう説明を当時したか、先ほどありましたように、記者からの意見があってということを言っておられるんでしょう、言っていましたね、ということは、記者からこういう意見が出たということについて知っておられるということは、何をしゃべったかということも、当然、つかんでこなあきませんわな、普通。記者から要望が出た、だから変えた。そのときにどういう説明をしていたんやということを知らずに、のほほんとしているわけにはいかぬでしょう。

 そこには、さらに、何が起こるか分からない事態、他国の諜報員などに扇動されたデモがエスカレートすることで我が国の主権が脅かされる可能性があるという意図で使用している、ここまで言っているわけですよね。だから、結局のところ、陸幕の防衛班長は、反戦デモをグレーゾーンの事態の対象に挙げたのは、さっき説明したように、反戦デモがどのような組織の組成になっているか分からないからだと説明しているわけですね。

 つまり、幾ら反戦デモを暴徒化したデモと書き換えても、防衛省にとっては、今述べたように、反戦デモは、二〇一四年のウクライナ情勢のように、いつ暴徒化するか分からない、テロと同じく、主権、領土、国民を脅かす対象という認識は変わりがないということになるではありませんか。

 反戦デモというのは、憲法に保障された表現の自由でありますし、それをテロと同じく、自らの主張を受け入れるよう相手に強要するものだと敵視する、極めてこれは重要だと言わなければなりません。

 ですから、いつも鬼木さん、私、質問する内容を伝えていて、しかも、ちゃんとどういう記者から要望があったかまで言っているわけじゃないですか。そうしたら、どういう発言をしたかぐらい、それを知らないというのは、それは余りにも無責任と言わなければなりません。

 そこで、問題はまだあります。

 陸上幕僚監部は、書換え前の反戦デモと記した資料を既に廃棄したようだけれども、それはいつ、どういう理由で廃棄したんですか。

鬼木副大臣 お尋ねの、修正前の資料の保存期間については、陸上幕僚監部において修正後の資料の保存期間を一年としており、修正前の資料も同様に一年の保存期間とするべきものであったと考えております。

 また、修正前の資料を廃棄した日については、令和二年二月五日に陸上幕僚監部において当該資料を回収しており、同日中に廃棄したものと推定しております。

 修正前の資料を廃棄した理由についてでありますが、当該資料が一年未満の保存期間とすることができる条件に該当すると当時の担当者が誤った認識を持ち、その認識に基づき廃棄したものであります。

 いずれにせよ、行政文書の誤廃棄が発生したことは大変申し訳なく、真摯に反省して、再発防止に努めてまいります。

穀田委員 今時間がかかったけれども、私、ちゃんと事前の質問レクで言ってんのやから、さっさと出てきてくれなあかんわね。

 今お話しされましたように、同日中に廃棄したものと推定しているって、大事なものをいつ廃棄したかも分からない。要するに、後から見ると、このときと推定している。二月四日に出したものを二月五日に廃棄している、しかもそれを推定している。はっきり言って、こんなむちゃくちゃなことはありますか。

 本来、副大臣が答弁されたように、一年間の保存義務がある行政文書を過って廃棄した。しかも、修正後の書類はまだ残っているわけですよね、今、我々、もらっているんだから。本当にふざけた話なんですよ。あってはならないことなんですね。

 何回も言うように、回収したその日に即日廃棄するなど、反戦デモと記した資料が情報公開などで国民に知られることがないように故意に廃棄した、隠蔽したとしか考えられません。まさに、私、これはずっと前に質問しましたけれども、自衛隊の日報廃棄の問題と全く同じだと言わなければなりません。

 先ほどお話があったように、こういう既に廃棄した資料が私のところには、少なくとも防衛省として、修正後の資料は、同じ一年間ではあるんだけれども、あって、届けている、その前のものについて言えば推定、こういう訳の分からぬことを平気でやっていること自体に、訳の分からぬことといっているよりも、まさにこれを意図的に隠すというところに根本があったということは、これは明らかだと言わなければなりません。

 ですから、私、言いましたように、反戦デモを敵視し、これを指摘されたから直したというけれども、考え方は変わっていない、それは廃棄したと。二重の私は誤りがあるし、極めて重大と言わなければなりません。

 ですから、私は、世界中で、今、ウクライナ侵略やめよという一点で声を上げ、平和を求める行動が広がっている。しかも、先ほど、私、最初に述べたように、大統領自身が反戦デモの訴えを呼びかけている。こういうことが広く国際世論を起こす上で重要なことだというふうな点が今起こっているさなかに、こういうことが明らかになる。

 ですから、そうした市民の抗議行動をグレーゾーンの事態と位置づけて敵視することなど絶対許されない、この根本的な誤りについて指摘し、今日の質問は終わります。

     ――――◇―――――

城内委員長 次に、内閣提出、旅券法の一部を改正する法律案及び東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣林芳正君。

    ―――――――――――――

 旅券法の一部を改正する法律案

 東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律を廃止する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 ただいま議題となりました二件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 まず、旅券法の一部を改正する法律案につきましては、主として次の点を改正するものであります。

 改正の第一は、旅券の発給申請手続等の電子化を進めるため、必要な事項等を定める規定を整備することであります。

 改正の第二は、旅券の信頼性の維持のため、旅券の査証欄の増補を廃止し、旅券の査証欄に余白がなくなったときに、より低額な費用で新たに一般旅券を発行できるようにすることであります。

 改正の第三は、旅券の発行後、申請者が六か月以内に当該旅券を受領せず、当該旅券がその効力を失った場合において、申請者が失効後五年以内に再度一般旅券の発給を申請した場合に、効力を失った一般旅券の発行経費を徴収することとすることであります。

 改正の第四は、国外において発行された一般旅券については、外務大臣又は領事官がやむを得ない事情があると認めるとき、当該一般旅券の発給を申請した者が発行後六か月以内に当該旅券を受領しない場合においてもその効力を失わないこととすることができるようにすることであります。

 改正の第五は、大規模な災害に際して申請者の経済的負担の軽減を図るために特に必要があると外務大臣が認める場合において、手数料を減額し、又は免除することができることとすることであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 次に、東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律を廃止する法律案につきまして御説明いたします。

 本法律案は、東日本大震災から十年が経過し、令和三年三月十二日以降、東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律に基づき震災特例旅券の発給の申請が行われることは想定されないため、同法を廃止するものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いをいたします。

城内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る四月六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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