衆議院

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第10号 令和4年4月20日(水曜日)

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令和四年四月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 城内  実君

   理事 あべ 俊子君 理事 辻  清人君

   理事 宮崎 政久君 理事 武藤 容治君

   理事 青山 大人君 理事 小熊 慎司君

   理事 杉本 和巳君 理事 吉田 宣弘君

      伊藤信太郎君    石井  拓君

      上杉謙太郎君    小渕 優子君

      尾身 朝子君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      中谷 真一君    平沢 勝栄君

      古川 直季君    本田 太郎君

      山口  晋君    岡田 克也君

      櫻井  周君    徳永 久志君

      太  栄志君    松原  仁君

      青柳 仁士君    和田有一朗君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   外務副大臣        小田原 潔君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   法務大臣政務官      加田 裕之君

   外務大臣政務官      上杉謙太郎君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   外務大臣政務官      三宅 伸吾君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   防衛大臣政務官      中曽根康隆君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局次長)       伊藤 茂樹君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        丸山 秀治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金井 正彰君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            船越 健裕君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  植野 篤志君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 内野洋次郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           黒川 淳一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  島尻安伊子君     山口  晋君

  本田 太郎君     石井  拓君

  松原  仁君     櫻井  周君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     本田 太郎君

  山口  晋君     古川 直季君

  櫻井  周君     松原  仁君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     島尻安伊子君

    ―――――――――――――

四月十九日

 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 二千二十五年日本国際博覧会に関する特権及び免除に関する日本国政府と博覧会国際事務局との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 万国郵便連合憲章の第十追加議定書、万国郵便連合憲章の第十一追加議定書、万国郵便連合一般規則の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則の第三追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 二千二十五年日本国際博覧会に関する特権及び免除に関する日本国政府と博覧会国際事務局との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 万国郵便連合憲章の第十追加議定書、万国郵便連合憲章の第十一追加議定書、万国郵便連合一般規則の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則の第三追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 国際情勢に関する件(ウクライナ情勢)


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     ――――◇―――――

城内委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件、特にウクライナ情勢について調査を進めます。

 この際、去る十三日、ウクライナ避難民を受け入れているルーマニア、モルドバ共和国及びポーランド共和国の駐日大使等と意見交換を行いましたので、参加委員を代表して、私からその概要を御報告申し上げます。

 今般のロシアによるウクライナ侵略は、明らかにウクライナの主権及び領土の一体性を侵害する重大な国際法違反であり、欧州のみならず、アジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがす極めて深刻な事態です。

 このような中、ウクライナからは四百五十万人以上が避難民として、周辺国のほか世界各地に逃れております。我が国におきましても、今般の危機的な状況を踏まえた緊急措置として、避難民の受入れを進めるとともに、住宅提供など官民支援が本格化しているところであります。

 そこで、本委員会として、多数のウクライナ避難民を受け入れている周辺国の駐日大使等をお招きし、避難民受入れや支援の状況を伺い、意見交換を行うことにより、実情等の把握に努めた次第であります。

 意見交換会では、まず、約七十二万人の避難民を受け入れているルーマニアの大使から、政府の取組は大きく分けて、国境を越えてくる避難民を緊急的に受け入れて一時滞在施設に送り届けること、そして、ルーマニアに残りたいと考える避難民のために構造的メカニズムを策定していくことの二つであるとのお話がありました。

 次に、パンデミックとそれによる経済不況下においてなお四十一万人以上の避難民を受け入れているモルドバの大使からは、限られた政策資源の中、国境管理の簡略化、食事や医療の提供を行っているとのお話がありました。このほか、ロシア軍が駐留している領土内のトランスニストリア地域についての説明がございました。

 次に、約二百七十万人の避難民を受け入れているポーランドの首席参事官からは、国内四十一か所に設置されたサポートセンターで避難民へ対応を行っていること、避難民にはIDが付与され、就労や教育を受けることが可能であること、また、避難民受入れに当たって、ポーランド国民の連帯と好感の表れには目をみはるものがあるとのお話がありました。

 どの大使等も、我が国がロシアとの間で領土問題を有している中、ウクライナに対する支援を行っていることに対する感謝と敬意を表してくださいました。

 本委員会といたしましては、ここに改めて、自由や民主主義を守るために戦うウクライナ国民への連帯を示すべく、多くの避難民を率先して受け入れているルーマニア、モルドバ、ポーランドの政府、国民に対し、心から敬意を表します。

 大使等との意見交換を踏まえ、我が国における避難民受入れが円滑に実施されるよう、また、一日も早くウクライナに平和で安全な日々が戻りますよう、委員会活動を通じて最大限の支援をするべく精力的に取り組む必要があると改めて認識した次第であります。

 以上が意見交換の概要であります。

 最後に、今回御協力いただきました皆様に対しまして心から御礼を申し上げまして、御報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

城内委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官有馬裕君、大臣官房審議官徳田修一君、大臣官房参事官岩本桂一君、大臣官房参事官金井正彰君、アジア大洋州局長船越健裕君、国際協力局長植野篤志君、国際法局長鯰博行君、領事局長安藤俊英君、内閣府国際平和協力本部事務局次長伊藤茂樹君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、出入国在留管理庁出入国管理部長丸山秀治君、財務省大臣官房審議官内野洋次郎君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官茂里毅君、大臣官房審議官里見朋香君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君、国土交通省大臣官房審議官黒川淳一君、防衛省大臣官房審議官町田一仁君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

城内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

城内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。徳永久志君。

徳永委員 おはようございます。立憲民主党の徳永久志です。

 まずは、ウクライナ情勢についてお伺いをしていきたいと思います。

 戦況はかなり緊迫化をして、激しさを増している状況だと思います。テレビの報道等で流れてくる映像を見ると、本当に目を覆いたくなるような惨状が映し出され、本当にありとあらゆる国際法違反を犯し、非人道的な行為を行うロシア軍に対して本当に怒りを禁じ得ないものであります。

 しかしながら、ここに来て、識者の間から、あるいは一般の方々もそうですけれども、こういう状況になると、ウクライナの市民の一人でも多くの命を救っていくために、ウクライナもある程度妥協をして、そして停戦を図っていくべきだというような意見がかいま見られるようになりました。

 私、そういう意見を聞くにして、それも一理あるのかなと思いつつも、やはり、圧倒的に悪いのはロシアであって、責められるべきものはロシアであるということをまず前提として把握をしなければいけないということであります。

 そして、加えて、やはりこの戦争をどうやって終えるのか、どういう終わり方をするのかということは、これはもうウクライナの未来に関わる問題でありますから、ウクライナの未来はやはりウクライナの人たちが決めるということが一番重要なことだというふうに思います。

 そして、今現在、選挙によって正当に選ばれたゼレンスキー大統領が国民に対して徹底抗戦を呼びかけ、そして、ウクライナ国民の九〇%以上がその政策を支持をし、断固戦っているわけですから、私たちはそれにしっかりと寄り添っていくということが大事だと思います。

 決して、大国のエゴによって、この戦争の終わり方がウクライナの人々が望まない形で、望まない未来がつながっていくような、そういう結果であってはならないというふうに思っているものでもあります。

 通告をしておりませんけれども、大臣、この考え方に共有していただけますでしょうか。

林国務大臣 今、徳永委員からお話がありましたように、ゼレンスキー大統領を始めウクライナの皆さんがこの困難な状況に立ち向かうという意向を示されて戦っておられるという状況、大変に、いろいろな中継を見ますと、見たくないものを見ているということは本当に同感をいたすところでございます。

 そういうことでありますから、我々は、やはり、G7を始めとした国際社会と連携しながら、強い制裁措置、これを続けていくことによって何とかウクライナの皆様の意思というものが貫徹をされるということが大事であろうというふうに思っておりますし、それはウクライナのためであるということはもちろんでございますが、こうした力による現状変更を試みるという、国際秩序の根幹を揺るがすということは世界中どこであっても許されてはならない、高い代償がこれは伴うんだということをしっかり示していくという意味でも大変大事なことだ、こういうふうに思っておりまして、そういった意味で、今委員がおっしゃったことに私も同感をしているところでございます。

徳永委員 力強くお答えをいただきました。ありがとうございます。

 繰り返しますけれども、やはりこれは、ウクライナの未来に関わることはもちろんのこと、国際社会の未来にも関わるということでございますので、決して大国のエゴによってねじ曲げられることのないよう、大臣も是非、G7を始めとする様々な国際会合の中でリーダーシップを発揮していただきたいと強くお願いをするものであります。

 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 まず、一つ確認をしたいことが、ロシアはこれまで一貫して、今回のウクライナ侵略に対して、戦争と言わずに、戦争という言葉を使わずに、特別軍事作戦というふうに言ってきました。あえてロシアが戦争という言葉を使わずに特別軍事作戦と呼んでいる、その真意はどこにあるのかということですけれども、大臣に御見解を賜ります。

林国務大臣 二月二十四日の国民向けのテレビ演説というのをプーチン大統領がやっておられまして、ドネツク及びルハンスクのいわゆる人民共和国、これは括弧つきでございますが、これがロシアに支援を要請してきた、議会が本年二月二十二日に批准したいわゆる括弧つきの両人民共和国との友好協力相互支援条約の履行において、これも括弧つきですが、特別軍事作戦を実施する決定を採択したと述べたと承知しております。

 政府として、ロシア側がいわゆる特別軍事作戦という呼称を使用していることの意図についてお答えする立場にはないわけでございますが、どういう呼称を使用するにせよ、今回のロシアによるウクライナ侵略、これは、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。

 また、残虐で非人道的な行為が、先ほど委員からもお話があったように、ウクライナ各地で次々と明らかになってきておるわけでございます。無辜の民間人の殺害、これは重大な国際人道法違反であり、断じて許されない戦争犯罪であります。

 ロシアがいかなる呼称を用いるにせよ、今般のウクライナ侵略を正当化することはできず、ロシアによる非道な行為の責任は厳しく問われなければならないと考えております。

徳永委員 大臣おっしゃるとおり、どのような呼称を用いるにせよ、やっていることは許されることではないということは共有をさせていただきます。

 ただ、これはうがった見方かもしれませんけれども、ロシアは、あえて戦争という言葉を使わずに、特別軍事作戦ということを使い分けているのではないかと、これは邪推だったらいいんですけれども、そう思われるところがあります。

 今、識者の間でもかなりそういった面が議論をされておりまして、私も何度かそういった方々と意見交換をさせていただく中で、一つ、今節目として注目をされておるのが五月九日であります。いわゆる、第二次世界大戦で、対ドイツ戦勝記念日にロシアにとっては当たるという節目の日ということでもあります。

 この五月九日、対ドイツ戦勝記念日のときに、いわゆる、ウクライナはこういうことをずっとやってきたんだということを羅列をしていく。

 例えば、ロシア系住民を虐殺をしていったじゃないか、あるいは、こうこうこういう被害がロシアに及んだ、その最たるものは、モスクワという、首都の名を冠した黒海艦隊最大の巡洋艦が沈められたではないかと。ちなみに、ロシアの巡洋艦が沈められたのは、日露戦争での日本海海戦、バルチック艦隊以来のことだということでもあります。したがって、こんな屈辱はないんだと。

 こうした形で虐殺も行われているということをざあっと羅列をしまして、まさにロシアにとっての存立危機事態である、そして、これをやったのはネオナチ政権のゼレンスキー政権である、このネオナチを打倒するために新たにウクライナに宣戦布告するのだということが言われているということであります。

 実際、ロシア国内においては、予備役の招集などそういった戦時体制は取られておりませんし、そういった意味では、兵力増強も行われるのかもしれません。

 また、これも仮定の話なんですが、宣戦布告をして、そして実際にこれは戦争だということになれば、ロシアと軍事同盟を結んでいるベラルーシはもちろんのこと、カザフスタンやアルメニアにも参戦要請がなされて、参戦が可能となるというような状況になるかもしれないということであります。そうなれば、戦況は一段と激しさを増すものというふうに思いますけれども。

 お答えにくいかもしれませんが、こうした識者等が予測をしている状況というものを大臣はどうお感じになられるかということをお聞かせください。

林国務大臣 今委員がおっしゃったように、いろいろな報道や識者の皆様がこの五月九日についていろいろな見立てをされておられるということは承知をしております。

 ロシア大統領府が、モスクワの赤の広場におきまして、今年の五月九日に、戦勝七十七周年記念軍事パレード、これを実施予定であるという旨公表しております。政府として、ロシア側の軍事行動の今後の方針については、なかなかお答えする立場にはないと申し上げざるを得ないというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、引き続き、ロシアの動向を注視するとともに、一刻も早くロシアが国際社会の声に耳を傾けて侵略をやめるように、G7を始めとする関係国と連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

徳永委員 いずれにせよ、戦況は今後一層激しさを増すのではないかという予測も立つわけですし、さらには、アメリカなども長期化の兆しがあるのではないかということも見ているわけであります。そうしてくると、いわゆる難民の方々、避難民の方々の置かれている状況も厳しくなってくるんだろうということは容易に予測をされるわけであります。

 我々日本として、ウクライナに対する支援は大きくまとめると三つになるんだろう。一つは、何といっても、先ほど大臣がおっしゃった、経済制裁を厳しくロシアにかけていくこと。二つ目は、ウクライナ政府に対する様々な財政支援を行っていくこと。三つ目が、難民、避難民の方々への支援を手厚くしていくこと。この三つに集約をされるのだろうというふうに思います。そうした中で、この難民の方々への支援というものをしっかりと我々日本としても構築をしていかなければいけないということであります。

 そこで、私たちはずっと、避難されている方々が、日本へ来たいと言われる方々についての渡航費の支援というものを強く求めてまいりましたが、今般、政府におかれましても、日本への直行便の座席を政府が確保したという報道がありました。こうした取組に対しては高く評価をさせていただきたいというふうに思いますし、感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、民間機になるんでしょうけれども、直行便の座席数というのはどれぐらい確保されていて、予算はどのくらいを見込んでいて、そこの予算はどこから支出をされているのかということについてお伺いをいたします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアによるウクライナ侵略という暴挙が行われる中、ウクライナが瀕する危機的状況を踏まえた緊急措置として、避難される方々にまずもって安心できる避難生活の場を提供すべく、政府全体として取り組んでいるところでございます。

 こうした中、日本への避難を切に希望しているものの、現在、自力で渡航手段を確保することが困難なウクライナ避難民の方々に対し、人道的観点から、商用機の座席を一定数確保する形で政府全体として渡航支援を行うこととしたものでございます。

 具体的には、当面の間、LOTポーランド航空が週一回運航しているワルシャワ―成田便の座席を一定数確保することとしております。なお、座席数につきましては、ニーズに応じて必要な座席を確保することとしております。

 このような渡航支援費を始めとしましたウクライナ避難民の受入れ支援に係る経費につきましては、先月、五億二千万円の予備費使用が決定されているところであり、引き続き、困難に直面したウクライナ避難民に必要な支援を行っていきたいと存じます。

徳永委員 済みません、ちょっと聞き取りにくかったので確認をさせてください。

 座席数は民間機の一定数、それはニーズに応じて。何席というふうに決めているものではない。それから、予算については五億二千万円確保した。これは政府の予備費を使うのだということですね。

 それでいいか、議事録に残したいので、しっかりとお答えください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から御確認いただいたとおりでございます。

徳永委員 それでは、今申し上げた座席数、座席の確保の措置に基づいて、これまで何人それを利用されたのか、そして、今後どれぐらいの数が来日していただけると見越しておられるのかについて、その見通しをお示しください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの実績でございますが、四月九日に六人、十六日に十四人、計二十人の方々が本邦に到着されております。

 ウクライナ情勢は引き続き極めて不透明な状況でございますが、こうした渡航支援のニーズは、状況の変化に伴い、また避難民の方々の状況が異なり得るため、その適宜適切な把握に努め、避難民の方々に寄り添った支援に努めてまいりたいと存じます。

 具体的な数字を今申し上げることは困難でございます。

徳永委員 六人と十四人、合計二十人。何か、二十人という数字、好きですね。こんなことを言っちゃいけません。果たして、これがそのニーズの全てなのか。

 次の直行便まで待っておられる方というのがどれぐらいおられるのかという、この辺りの数字も出せませんか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 在ポーランド大使館あるいは在ウクライナ大使館におきまして、ウクライナ避難民の方々と様々な相談をいただいているところでございますけれども、現時点で何名の方が来られる予定かということにつきましては、具体的な数字は今ございません。

徳永委員 じゃ、何人次の便をお待ちなのかということも、答えることができないのか、把握ができていないのか、どちらですか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げました在ポーランド日本大使館、それから、ジェシュフにある連絡事務所に館員が勤務してございます。こういった避難民支援チームがウクライナ避難民の方々から聞き取りを行っているところでございますけれども、現在、その状況について、確たる希望者の数ですとか現状についてお答えすることは困難でございます。

徳永委員 じゃ、現地で、日本政府としてこういう措置を持っていますよ、日本に避難して、そして心身共に休みたいとおっしゃる方は、日本政府としてこういう座席を確保してこういうふうにしますよというような告知、周知は、どのようにされているんですか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの避難民の方々とのやり取りあるいは周辺国とのやり取り、これらを通じまして、避難民の方々の多くは、事情が許せば、できるだけ速やかにウクライナに帰国することを希望されているということが判明してございます。

 在ポーランド大使館や在ウクライナ大使館におきまして、先ほど委員から御質問のございました渡航支援、これにつきまして告知などを行っているわけではございませんが、これら大使館に対して日本への渡航を相談してこられた避難民の方々のうち、在ポーランド日本大使館、それからジェシュフの連絡事務所に設置されたウクライナ避難民支援チームが丁寧に聞き取りを行いまして、相談をしてこられた方で、日本への避難を切に希望されているものの自力で渡航手段を確保することが困難な方々に対しましては、日本として渡航支援を行っている、このことを御説明差し上げているところでございます。

徳永委員 ということは、相談をしてこられた方々にお話をお聞きをして、そして、その方を、ある一定の何かの条件とか環境が整えばその民間機にお乗せをする、そういう状況だというふうに理解をさせていただきましたので。

 それらは、立憲民主党の小熊筆頭理事の方から教えていただいたんですが、そういった部分についてはホームページ等では周知はしているんですよね。そういうのを御覧になられて現地の連絡事務所や大使館の方に足を運ばれた方から、そういった状況を整えていくという理解でよろしいですか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 毎週、政府は、ポーランドの直行便の座席を借り上げて確保しているところでございますけれども、このことにつきまして、在ポーランド大使館あるいは在ウクライナ大使館において、例えばホームページを通じてなどして告知などを行っているわけではございません。

 先ほど御説明申し上げたとおり、御相談に来られた方、これらの方々との間で、丁寧に、相談、それから聞き取りを行い、日本への避難を切に希望されているものの自力で渡航手段を確保することが困難な方々に対しましては、日本政府として渡航支援を行っている、このことを御説明差し上げているということでございます。

徳永委員 ホームページ等で告知をしているわけではない、何らかの手段、方法で日本政府あるいは大使館、連絡事務所に足を運ばれて、そしてお話をされた上でということで、これは間違いないということで理解をさせていただきます。

 私、こういうせっかくいい措置を取られたのだから、もっと広く、PRというのはおかしいですね、周知、告知をして、日本で心身共に休めたいというような方々を募った方がいいのではないかと思うんですね。

 やはり、ウクライナの方々からすれば、いずれ自分の国へ帰りたい、家に帰りたいというのは当然ですし、その間、心身共に休める場所として外国に行かざるを得なかった、その心身を休める場所として日本もありますよといって、こういう選択肢の幅を広げていくことは、その避難された方々に対しても非常に大きなことだというふうに思うんです。

 もちろん、国民民主党の鈴木先生がこの間おっしゃいましたけれども、日本は難民認定は非常にしないというような国でもありますから、なかなか希望がないのかもしれませんけれども、告知、周知というものはもっと幅広に、積極的にやっていくべきではないのかということを思うんですが、これは大臣、いかがですか。

林国務大臣 私がポーランドに参りましたときに、実は、いろいろな国際機関の方々と意見交換を、ワルシャワとそれからジェシュフと両方でやらせていただきました。

 そのときに、サンプルは少し少なかったのでございますが、ポーランド等に避難されてきておられる方々にアンケートを取っておられて、やはり八割を超える方は、事情が許せばウクライナに戻りたいという方がほとんどであった。その方の分析は、ですから、近くで、戻りやすいところにということをおっしゃっておられましたけれども。

 そういった意味で、そういう御意向はあるということでございますが、我々も、こうして、いろいろなことで皆さんを迎え入れようということをやっておりますので、適切な情報提供の在り方というのはしっかりと政府全体で検討してまいりたいと思っております。

徳永委員 大臣から前向きな御答弁をいただきましたので、是非もう少し幅広に、日本の、こういった措置をやっているんですよということを避難民の方々に伝わるようなことを是非工夫をしていただきたいというふうに思います。恐らく、こんな、十何人とか二十人とかいう話ではないんだろうと思うんです。ですから、是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、次の項目に入らさせていただきます。

 対ロシア平和条約交渉についてお伺いをいたします。

 三月二十二日ですが、ロシア外務省は、日本との北方領土問題を含む平和条約交渉について、継続する意思はないとする声明を発表しました。日本側の我が国に損害をもたらそうとするあからさまな態度から、国家間の基本に関わる文書について協議することは不可能だというふうに言っています。

 このいわば交渉停止通告に対しまして、岸田総理も、国会答弁において、断じて受け入れられないとして、今回の事態は全てロシアのウクライナ侵略に起因している、日ロ関係に転嫁しようとする対応は極めて不当としています。

 林大臣も、当然、同様のお考えだと思うんですが、改めて、その御見解を賜ります。

林国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をいたします。

 今回の事態は全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものでありまして、それにもかかわらず日本側に責任を転嫁しようとする今般のロシア側の対応、これは極めて不当であり、断じて受け入れられず、強く抗議をいたします。

 三月二十二日ですが、こうした日本政府の立場をロシア側に伝達し、強く抗議をしたところでございます。

 今般のウクライナ侵略については、我が国としては、国際秩序の根幹を守り抜くために、国際社会と結束して、引き続き毅然と行動していく考えでございます。

徳永委員 断じて受け入れられないという強い言葉があったわけなんですが、私、ちょっとだけ違和感を持ってこれを聞いていたんです。

 受け入れられないという言葉で表現をしているということは、もしかしたら、ウクライナのこの事態がどういう形か分かりませんけれども収束をした後、万が一プーチンが大統領職にとどまっていたならば、これは引き続いてプーチンを相手に交渉を続けるおつもりがあったのかということなんですけれども、その辺りはいかがですか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本政府として、領土問題を解決して平和条約を締結する、この対ロ外交の基本は不変でございます。

 他方、本件に関する今後の対応につきましては、この時点で申し上げるべき状況にはないと言わざるを得ないと思います。

徳永委員 私としては、断じて、向こうから交渉停止を通告してきたんですから、こちらとしても、我、プーチンを相手にせずぐらいの強い言葉を言ってほしかったなという思いがいたします。どこかで聞いた言葉ですけれども。それが無理としても、ここはしっかりと事実に基づいて反論した方がいいと思う、事実というか、客観的な部分で反論した方がいいと思うんですね。

 一九五六年、日ソ共同宣言には、「日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。」とあります。

 日ソ共同宣言は、宣言とは言っていますけれども、両国の国会において批准をされた法的拘束力を持つものでもあります。こうした今回のロシアの交渉停止宣言というのは、この共同宣言に明確に違反するとしっかりと言ってのけるぐらいのことがあってよかったんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、全てロシア側のウクライナ侵略に起因して発生しているものでございますので、断じて受け入れられず、強く抗議をする、こういうふうに申し上げました。

 この後、このウクライナの事態がどういうふうに進展をして、先ほど徳永委員からもございましたように、どういう形で収束というか決着というか推移をするのか、このことが今の時点で大変見通しがしにくい、その結果、ロシアの方も、どういう体制といいますか状況になるのかということも、これもまた非常に見通しがつきにくい、そういうところでございますので、今の時点で今後の対応等について申し上げるというのは困難であろうというふうに思っておりますが、当然、今委員からございましたような、過去、先輩方が積み上げてきたこと、これはしっかりと積み上げが残っているわけでございますので、そういうことを踏まえてしっかり対応してまいらなければならないと思っております。

徳永委員 今回のこの交渉停止通告を、契機と言ったらおかしいんですけれども、是非この時期に、外務省には、プーチンを相手にした一連の領土問題交渉の総括を聞きたいと思っているんです。

 二〇一二年、当時の安倍首相は、領土問題を解決し平和条約を締結する、戦後七十年以上残されてきた課題を次の世代へ先送りすることなく、私とプーチン大統領の手で必ず終止符を打つというふうに大見えを切ったわけなんです。

 私は、林大臣に、ウラジミールと同じ未来を見ていたのかなんというのは聞きませんが、ただ、ここで確認をしておきたいのは、安倍首相は、プーチン大統領と個人的な人間関係を強く築いて、そして、ロシアへの経済協力をてこに領土交渉を進めるという大きな方針で進められたんだというふうに理解をしています。そういう理解でいいんでしょうか。まずは、その安倍政権一連の交渉の総括、プーチンを相手とした総括を大臣に問いたいと思います。

林国務大臣 ロシアとは、平和条約締結問題を含む政治、経済、文化など幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するように発展させるべく、領土問題を解決して平和条約を締結する、この方針の下で、これまで粘り強く平和条約交渉を進めてきたと承知しております。こうした取組は適切であったというふうに考えております。

 しかしながら、現下のウクライナ情勢を踏まえますと、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないということ、それは先ほど申し上げたとおりでございます。

徳永委員 私も実は、民主党政権のときに外務大臣政務官をやらせていただいて、ロシアも担当をいたしました。そのときに、政務官ですから大臣の後ろに座ってじっとやり取りを聞いておったりする中で、私なりの肌感覚で感じていることがあります。

 これはやはり、私もそうだったんですけれども、プーチンが首相から大統領に返り咲いたときに、プーチンに対して大きな幻想というか大きな期待というか、そういったものをかけ過ぎたのではないかなというふうに思うんです。

 外相会談とかにも陪席をさせていただいて、日本側は物すごく、領土をしっかりと交渉するんだという非常に高いテンションで臨むんですが、ロシア側は、何となくしらっとした、テンションが低い感じで臨んでくる。そこの温度差をいかに埋めるかということで、このプーチンという特異なキャラクターに期待をしたという部分があるのではないかと思うんです。

 前任のメドベージェフ大統領は領土問題なんかになってくると事務方が用意した紙を読み上げるだけだったのに対して、プーチン大統領は何も見ずにすらすらと身ぶり手ぶりで語ってくるということからすれば、しかもこの人は国内の権力基盤も強固だということであれば、プーチンの間にしっかりとこの条約交渉を進めるのだ、解決をするのだという思いを抱いてしまうのは当然だと思いますし、私も実際そういうふうに思いました。しかしながら、やはり、これまでの経緯を見てみると、どうもこのプーチンへの幻想がやはり失敗だったのかなというような思いがするんですね。

 やはり、プーチンの頭の中というのは明確に二つあって、一つは、北方領土は、四島はもちろんのこと、二島ですら返す意思はない、二つ目は、しかしながら日本からお金と技術は欲しい、これに集約をされているのではないかなというふうに思うんですね。

 ですから、今回のウクライナへの侵略を機に、もうプーチンの呪縛から解放されて、そして新たな指導者の下、新たな政権を相手に領土交渉の仕切り直しを是非するための準備にこれから充ててほしいなということを指摘をさせていただいておきます。

 そうした中で、どうしても整理しておかなければならない問題があります。それは、二〇二〇年にロシアで改正されたロシア憲法に、領土の割譲禁止が明記をされています。領土の割譲に向けた行為をテロや人種間の憎悪の扇動などと同列に位置づけて、最大十年の禁錮刑が科せられるということであります。

 となってくると、憲法で領土を割譲してはいけないのだというようなことが記されていると、これは大変、今後の条約交渉についてどうするのだという話なんですが、このロシア改正憲法に明記をされた領土の割譲に北方領土は該当するのかどうか、まずはこの見解を伺います。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアを含め、他国の憲法につきまして、我が国として解釈する立場にはございませんけれども、その上で申し上げれば、北方四島の帰属の問題は平和条約交渉の中で議論すべき事柄であり、また、そもそも北方四島は我が国が主権を有する島々であり我が国固有の領土でございますので、ロシア憲法の改正により、その法的地位が変わるものではございません。

徳永委員 それは日本政府の立場、見解であって、私も、それはそれで、それを強く支持をしますよ。でも、交渉のテーブルにロシアを着かせようとしたときに、ロシア側は、いやいや、そういう交渉は我が国の憲法に違反するからテーブルに着けませんと言われれば、これはもう未来永劫、一ミリも進まないじゃないですか。違いますか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、ロシアを含め、他国の憲法につきまして、我が国として解釈する立場にはございませんけれども、日ロ間のやり取りについて事実関係を申し上げれば、先ほど委員から御指摘のございましたロシア憲法の改正の後、累次の会談におきまして、プーチン大統領は、平和条約交渉を継続していく意向を表明していたところでございます。

徳永委員 しかし、この改正ロシア憲法がネックになるんじゃないですか。何もロシア憲法についての解釈を求めているわけじゃないんです。これは、逆の立場で聞いたら、今回のウクライナの関係で、ゼレンスキー大統領から日本の自衛隊の戦車を是非よこしてほしいと言われたとしたら、それは我が国の憲法によってできませんという答えをするしかないですよね。そういう話が起こってくるのではないですかということを申し上げているんです。

 ですから、ウクライナのこともそうなんですけれども、今、プーチンは領土交渉を進めるのだと言っていますけれども、それ以外の高官からすれば、これで終わりだ、改正憲法でこういう条項が入った以上は、もうこれで終わりなんだという発言は散見されますよね。ですから、ここを整理しないと、相手方は交渉のテーブルにすら着かないのではないですかということを申し上げているんです。

 それで、例えば、領土の割譲禁止は改正憲法で盛り込まれているけれども、この領土の割譲禁止の例外として、国境線の画定は例外ですよということが改正憲法の中に入っているわけですよね。入っていますよね。ここをまず確認です。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 改正されたロシア憲法の領土譲渡関連行為の禁止に関する条項の中では、ロシア連邦は自国の主権及び領土の一体性の保護を保障している、隣接国家とのロシア連邦の国境画定、国境線設定及び国境線再設定以外の、ロシア連邦領土の一部譲渡に向けられた行為及び当該行為への呼びかけは容認されないと記載されてございます。

徳永委員 そうですよね。ですから、国境線画定の行為は領土の割譲には当たらないという解釈ができるわけですから。

 ですから、これからは是非、北方領土の交渉はまさしく国境線を画定をすることになるので、おたくの国の憲法違反には当たりませんよといったところからじゃないと、交渉のテーブルに彼らは着かないのではないですか。ここら辺り、いかがですか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 改正ロシア憲法の条項につきましては先ほど御答弁差し上げたとおりでございまして、この内容につきまして、我が国として解釈する立場にはないということも御答弁差し上げたところでございますけれども、いずれにしましても、領土問題を解決して平和条約を締結する、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、こうした日本政府の立場は不変でございます。

徳永委員 日本政府の立場が変わらないのはいいんです。いいんですけれども、それで進みますかということなんです。

 私、これは、ある意味、事務方ベースを通じて、北方領土というのは国境線の画定に当たるのだということを合意をしないと、これは前に進まないんじゃないですか。少なくとも、外相会談でこの問題を持ち出しても、我が国の憲法で禁じられていますみたいなことを言われたら、もうこの後、二の句が継げられなくなりますよね。

 ですから、今後の交渉の一つの突破口、突破口じゃないですね、交渉の前提として、国境線の画定が領土の割譲には当たらないということを両国事務方でしっかりと合意をまずはしていただくことが、その第一歩ではないかというふうに思うんです。

 我が国の主張は分かっています。我が国の主張をあくまでも貫徹するのだというのも分かっています。貫徹をするためには交渉をしなきゃいけないわけですから、交渉のテーブルに着くという前提として、まずは国境線の画定が北方領土なんだということを、是非交渉の第一歩にしていただきたいなと思うんですが、もう一度お願いします。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げたところでございますけれども、ロシア憲法の改正が行われた後、累次の会談で、プーチン大統領自ら、平和条約交渉を継続していく、そのような意向を大統領自ら表明しているところでございます。

徳永委員 ということは、プーチン大統領が継続していくと発言しているということは、これはもう、ロシア側と日本との間で、国境線の画定に当たるので、北方領土は領土の割譲には当たらないという両国の一致した認識がある、その上に立ってプーチン大統領は発言したのだ、そういう理解でよろしいですか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 これ以上の外交上のやり取りの内容につきまして、交渉の中身に関わる話でございますので、お答えすることは困難でございます。

徳永委員 こうした点も踏まえまして、ある意味、憲法でそういうことをやられてしまうと、にっちもさっちもいかなくなるという状況でもあります。

 恐らく何らかの合意があるのかもしれませんし、ないのかもしれませんし。もしないとするならば、やはりここらの、事務方を含めた合意をしっかりと図っていった上で、領土交渉に更に進んでいただきたいなと思うんです。

 ロシアは、今後、経済制裁の影響が長期間にわたって長引いて、経済が低迷時期に入るんだろうと思います。過去の状況を見てみると、ロシア側の経済状況が悪くなると交渉の場に出てくる傾向が強くなりますから、そういったときに障害となるものは今から取り除いていく作業を着々と進めていくということが必要だというふうに思います。

 そうした上で、いずれ訪れる可能性のある好機に備えていくということが、今、領土問題についての取れるべきことなのかなということを思わせていただきますが、大臣、最後に御見解を賜ります。

林国務大臣 己を知り相手を知れば百戦危うからずという言葉がございます。交渉事も、相手が全く得るものがなければ、相手が乗ってくるということはないということでございましょうから、相手がどういうニーズがあって、こちらはどういうニーズがあって、それはぎりぎりどこでこの一致を見出せるのか、こういうことであろう、こういうふうに思っております。

 これとこれとこれを使ってこうするということをあらかじめ明らかにするというのはできないということは、外務政務官を御経験された先生ですから申し上げるまでもないことでございますが、まさにしっかりといろいろな材料をそろえて準備をしておくということは常に怠ってはならないと思っております。

徳永委員 時間が来ましたので、これで終わります。

 済みません、国連安保理改革についてお尋ねする時間がありませんでした。次回必ずお伺いしますので、答弁はそのまま残しておいてください。

 それでは、以上で終わります。ありがとうございました。

城内委員長 次に、太栄志君。

太委員 神奈川十三区の太栄志でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 二月の二十四日にロシア・ウクライナ戦争が始まりました。それから間もなく二か月になりますが、やはり、大臣始め政府の皆さん、本当に連日、大きく情勢も刻々と変わっていく中での御尽力に心からの敬意を表します。

 冒頭、委員長からも報告がありました、ウクライナ周辺の大使館への働きかけ。私も先日インド大使館のレセプションに参加しました。ロシア大使もいましたが、改めて、できる限りのことを進めていくこと、私からも、まさにインドのユニークな立ち位置をしっかりと活用していきたい、中長期的な視点を持ちながらも、ロシアへの働きかけをしっかりとということをお願いさせていただきましたが、また、私自身も、地元でも様々ウクライナへの支援をできないかということも進めております。

 私の地元の大和市は、一九七〇年代後半以降、インドシナ難民を二千人規模で受け入れてきた、そういった実績があります。そういった意味でも、今回も、本当にこのウクライナの方たちへの人道支援を何とか進めていきたい、地域におけるそういった機運も高まっております。

 そういった意味でも、是非とも政府の方には、外務省でも、難民を政府としてしっかりと受入れを拡大していく、そういったことをどうか続けていただきたいと思っておりますので、この点をまずお願いを申し上げます。

 本日は、前回、前々回と、日米地位協定の中での環境補足協定、私の地元も米軍基地を二つ抱えておりますが、そこでも関わっております地位協定に関してまずお伺いし、その後、拉致問題。

 先日も拉致特別委員会で少しお伺いしましたが、今年はいろいろな意味で拉致問題が節目の年となっていると思っております。横田めぐみさん始め最初の拉致被害者、拉致事件から四十五年、そして小泉訪朝、五名の方しか戻ってきませんでしたが、小泉訪朝から二十年。この二十年間なかなか、一人もそれ以降日本人を取り戻せていない、こういった中でどう局面を打開していくのか、そういったこと。

 また、ロシアの核問題、核戦略を見据えながら、我が国としていかに核攻撃への備え、今、国民的な関心も相当高まっていると思っています。米国の核の傘、この拡大抑止、もう一度この確認をさせていただき、そして最後に、我が国のソフトパワーとしてのODAに関して問いたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初、日米地位協定における環境補足協定に関して、大臣にお伺いしたいと思っております。

 私の地元、神奈川県綾瀬市、厚木基地を抱える市ですが、環境省が定める暫定目標値を、綾瀬市内で五十倍以上に、二桁、この暫定目標値を超えている、そういったPFOS、PFOA、これは沖縄で相当深刻な問題になっております、泡消火剤などで使われる高濃度の有機フッ素化合物が検出されております。この泡消火剤というのは発がん性などが指摘されており、日本国内では原則として製造も使用も今禁止されている物質であります。

 さらに、私の地元、もう一つ、キャンプ座間もありまして、座間市では豊富な地下水を水道事業に使っておりまして、この座間市でも、最近同じような形で、米軍基地からではないかという不安が高まっておりまして、この点に関してお伺いしたいと思っております。

 この問題は私は繰り返しお伺いしているんですが、やはり、昨年末から今年にかけて、年始にかけて、コロナのオミクロン株の米軍基地からの拡散が相当大きな深刻な問題になりました。これは私は同じことだと思っております、この環境汚染も。国民の健康とか命に直結する問題です。

 だからこそ、今本当に我が国の平和とか国防、外交問題が大変重要な中で、何とか足下からしっかりと、崩れる日米関係が、おかしくなることをしっかりと食い止めていただきたいと思っていますので、そういった視点からも、二〇一五年に環境補足協定が成立しました。しかし、この環境補足協定でより運用面で改善されると思っておりましたが、残念ながら、これまで年一回行われていた環境省の立入検査もうまくできていない、こんな状況が続いています。

 そこでお伺いしたいのが、立入り許可申請を自治体また日本側から申出をして、それを拒否された場合、更に上位の機関で協議を行うなど、我が国政府としてしっかりとした対応をしていただきたいと思っておりますが、この点に関して、大臣の御見解をお聞かせください。

林国務大臣 環境補足協定第五条におきまして、協定の実施に関連して紛争が生じた場合には、日米合同委員会の設置について規定しております日米地位協定の第二十五条に定める手続に従ってその紛争を解決する、こう規定をしておるところでございます。

 したがいまして、仮に環境補足協定に基づく立入り申請をめぐって日米間で意見が一致しない場合、具体的には、まずは日米合同委員会の枠組みにおいて協議を行いまして、これが問題を解決することができない場合には、まさに両政府間で協議をされることになるわけでございます。

 また、環境補足協定に基づく立入り申請ができない場合であっても、日本側として、米軍施設・区域に源を発する環境汚染が発生し、地域社会の福祉に影響を与えていると信ずる合理的理由のある場合には、別途、既存の日米合同委員会合意に従って、米側に調査要請や立入り許可申請等を行うことが可能であります。

 政府としては、地元の皆様の関心に応えられるように、こうした枠組みがしっかりと運用されていくということが重要であると考えておりまして、今年一月に行いました日米2プラス2において、私から、有機フッ素化合物である、今お話のありましたPFOS等をめぐる課題について、この2プラス2の場で協力を要請して、引き続き緊密に連携することを確認をしたところでございます。

 この施設・区域内外の環境対策、これが実効的なものになりますように、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 もちろん、もろもろ取組をされて、また、2プラス2でも今年も協議されたということは承知しておりますが、一方で、私は、明文的にしっかりとした規定を設けるべきだと。これはやはり国民の健康、あと命に関わることですので、何とかもう一歩進んで取組を進めていただきたいと思っておりますので、どうかお願いいたします。

 あと、この点に関して、では、どれだけ今在日米軍基地の中にPFOS等を始め環境汚染の物質や物資が保有されているのか、このことも私は個別に防衛省にも確認しているんですが、なかなか教えていただけないんです。大事な軍事的な機密情報であればなかなか言えないと思うんですが、これは別に関係ないですよね。

 ですので、ここは、私がお伺いして一か月ぐらいたってようやく自衛隊の基地の保有量を教えていただいたんですが、在日米軍のことはまだ教えていただいていないです。そういった意味で、国民的な、この地域の住民にも安心していただくためには、まずここを何とか改善していただきたい。

 またこの問題は私は様々な形で取り上げさせていただきたいと思っておりますので、足下から日米関係をしっかりと強化していきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてお伺いしたいと思います。

 先ほど言いましたように、この二十年間、一人も我が国としては日本人を取り戻すことができておりません。それどころか、今政府として認定している、警察庁も含めて認定している拉致被害者は八百九十名以上ですね。そのうち僅か五名しか帰国していない、八百八十五名以上がいまだに帰国できていない。

 ずっと歴代政権では拉致問題というのは最重要課題と言っておりますが、ですけれども、この二十年間、北朝鮮の周辺国で、北朝鮮との首脳会談ができていないのは我が国だけです。アメリカもやりました。もちろん、南北もやっています。中国、ロシアは当然です。そういった中で、やはり何か打開していくためには、様々、私は、この対話と圧力の中でも特にまだまだ圧力が我が国は足りていないと思っております。

 そこでまずお伺いしたいのが、我が国と北朝鮮との間では、小泉訪朝を受けての平壌宣言、そして二〇一五年ですか、ストックホルム合意がありますが、現在、北朝鮮は拉致問題はもう解決済みと言っている上に、一方的に、ストックホルム合意でなされた北朝鮮側の調査を中止したり、あるいは特別調査委員会の解体、これも宣言して、今この合意はほごにされている状況です。これを放置しているというのは、やはり我が国として相当深刻な問題、この北朝鮮の不誠実な対応を怒ることなく、了解していると誤解されかねないと私は思っております。

 そういった意味でも、政権として最重要課題として本気で取り組んでいくのであれば、まず、我々日本国としての怒りを北朝鮮にしっかりと伝えなきゃ、意思表示だと思っておりますので、そういった意味で、まずは平壌宣言とストックホルム合意、この無効を宣言していく、そういった積極的な外交的な判断が必要だと思っておりますが、外務大臣の御見解をお願いいたします。

林国務大臣 二〇〇二年九月の日朝平壌宣言、これは日朝双方の首脳の議論の結果として、日朝関係の今後の在り方を記しました両首脳により署名された文書でございまして、現在に至るまで北朝鮮側も否定をしておらないわけでございます。

 一方、二〇一四年五月のストックホルム合意でございますが、それまで拉致問題は解決済みとしていた北朝鮮との間で固く閉ざされていた交渉の扉を開き、北朝鮮に拉致被害者を始めとする日本人に関する全ての問題を解決する意思、これを表明させた点で有意義であったと考えております。我が国としては、引き続きストックホルム合意は有効であると考えております。

 北朝鮮が、我が国がストックホルム合意の破棄を公言したことになると一方的に主張し、全ての日本人に関する包括的調査を全面中止し、今委員からございましたように特別調査委員会の解体を宣言した、これは極めて遺憾であります。このことは累次にわたって申し上げてきておるところでございます。

 我が国としては、日朝平壌宣言において確認された事項が誠実に実行される、このことが何より重要であると考えておりまして、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現すべく、あらゆる努力を傾注してまいりたいと考えております。

太委員 大臣、分かりました。

 ですけれども、北朝鮮としては、これはまさに特別調査委員会も解体と言っています。そういった中で、我が国として本当に遺憾だと言い続けても全くこれは進展がありません。

 この後、私はお伝えしたいと思っておりますが、我が国として、やはり国家意思が全く示されていないと思っております。それを示すのが、北朝鮮に対して、核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画に関与した可能性のある団体と個人に対して、我が国としては制裁措置を行っております。アメリカも同じように制裁措置を行っております。

 我が国としては百二十九団体、百二十個人。一方、アメリカは二百二十団体、百九十個人に対して。核とミサイル、アメリカも日本も一緒です。しかし、我が国は九百人近い日本人が今拉致されている状況、それなのに、なぜか我が国の方が北朝鮮に対する制裁が緩やかになっている、生ぬるい状況になっているというふうに思っておりまして、そういった意味でも、ずっとこの二十年間、全く進展がないです。

 さらには、先月、家族会からも、拉致問題に関して、もちろん日朝首脳会談を早期にやってくれというふうにリクエストが来ていますし、さらには、今後どういうふうに政府として考えているのか、ロードマップと、あと期限を示してほしいというふうに家族会からもリクエストが出ています。

 そこにも全く応えられていない、政権としての最重要課題であるにもかかわらず。やはり、そういった意味でも、私は本当にまだまだ生ぬるいと思っております。だからこそ、今回、ロシアに対しては厳しい、プーチン氏個人を含む資産凍結措置を講じております、家族も含めて。だけれども、なぜか北朝鮮に対しては余りにも緩過ぎると思っております。

 そこでお伺いしたいのが、北朝鮮に対する外為法に基づく資産凍結措置の対象を、北朝鮮との密接な関係を有する個人、団体に拡大するべきだと考えておりますが、大臣の御見解をお願いいたします。教えてください。

林国務大臣 北朝鮮に対しては、度重なる核実験や弾道ミサイル発射等を受けまして、安保理が国連憲章第七章の下で行動して、国連憲章第四十一条に基づく措置を取るということで、累次の安保理決議が採択をされておりまして、特定品目の輸出入禁止や資金移転防止措置等、極めて厳しい措置が課されてきております。

 この国連の措置に加えて、我が国自身の措置として、北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止等の措置を取ってきておりまして、北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置、これを実施してきております。

 そして、四月一日でございますが、我が国の更なる対北朝鮮措置として、北朝鮮関連の安保理決議で禁止されている核・ミサイル開発に関与した四団体、九個人、これを外為法に基づく資産凍結等の対象として追加指定することにいたしました。

 こうした状況を踏まえつつ、政府といたしましては、北朝鮮に対する対応について、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきております。今後もしっかりと対応してまいりたいと思っております。

太委員 アメリカと比べても、我が国は相当、まだまだ及び腰だと思っておりますし、ぬるいです。そういった意味では、大臣、これはまだまだ足りないです、本当に。そこを更に強化していただかないことには、対話と圧力、やはりまだまだ圧力が足りないと思っておりますので、そこを進めながら、何とか日朝首脳会談、これは家族会の思いであると思っておりますので、どうか、これは国家のまさに存在意義自体が問われておりますので、引き続きの対応をよろしくお願いいたします。

 次に移りたいと思います。

 またこれは北朝鮮とも関係するんですが、在外邦人の保護、救出についてお伺いしたいと思います。

 まず、一般論として、これは北朝鮮の拉致被害者の奪還というわけではないです、それとは別です、自衛隊に人質奪還作戦を遂行する実力があるのかどうか。また、追加で、そういった演習などを実施したことがあるのかどうか。そこを政府参考人の方でどうかお願いいたします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 海外で日本人が危機にさらされたとき、その救出について対応できるようにすることは、国として当然の責務であると考えており、政府としては、平素から、様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っているところです。

 その上で、御指摘のような在外邦人等の保護に関しては、個別具体的に様々なケースがあり得ることに加え、自衛隊の具体的な能力は我が方の手のうちに関わるため、お答えを差し控えますが、いずれにしても、防衛省・自衛隊としては、在外邦人等保護措置を含め、必要な体制を取るとともに、各種訓練についても順次実施しているところであり、引き続き、関係省庁間で緊密な連携を保持しながら、在外邦人等の安全確保に万全を期していく所存でございます。

太委員 分かりました。

 これは、もちろん自衛隊法等あると思うんですが、政府のどういった規定の中でそういった在外邦人の保護措置が取られているのか教えていただけますでしょうか。あと、政府としての国家安全保障の中でどのようにこのことが位置づけられているのか、あるいは位置づけられていないのかどうか。この点、もし教えていただけるのであれば、この点は事前通告していなかったのですが、可能な範囲でお答えください。

町田政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊が在外邦人等の保護措置を行うに当たりましては、自衛隊法八十四条の三に規定がございます。

 ここで、実施するに当たっては、当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、戦闘行為が行われるようなことがないと認められること、そして、当該外国の同意があること、そして、外国の権限ある当局の間と我が国の自衛隊の部隊の連携協力が確保されている、それが見込まれるときに実施できる、このように自衛隊法に規定されております。

太委員 では、現在の国家安全保障戦略の中には規定はないということで、そういった認識でよろしいでしょうか。特段そういう規定はないということですね。分かりました。もしお答えいただけるのであれば、教えていただけますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 大変申し訳ございません。ちょっとそこの部分、手元に資料がないもので、大変申し訳ございませんが、お答えを差し控えさせていただきます。申し訳ございません。

太委員 失礼いたしました。ありがとうございます、お答えいただきまして。

 それでは、ここでお伺いしたいと思っております。

 在外において被害に遭った際に、その被害者を救出するのはまさに国としての責務だと思っております。先ほどお話ありました、冒頭で。北朝鮮に拉致された被害者を救出するのは我が国しかないと思っております。

 これは仮定の話でできないかもしれませんが、朝鮮半島有事や現政権が崩壊して体制に変化が生じ、拉致被害者の位置情報など奪還のインテリジェンスが整った場合など、拉致被害者全員を救出できる機会が到来した際に自衛隊を活用できる体制、法整備を行うということは国家の責務であると思っておりますが、こういった在外邦人の救出、奪還作戦、拉致被害者を奪還するため、自衛隊を実行可能にするために必要な措置を講ずるべきだと考えますが、この点に関しての御見解。ちょっとこれは物すごい過激な見解じゃないかと思われるかもしれないんですが、この後、各国の在り方というのをちょっとまた説明したいと思いますが、まず冒頭、ここで、我が国の自衛隊の方に関して教えてください。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、海外におられる邦人の命をどのように守るかということにつきましては、国家にとって極めて重要な課題でございまして、また、御指摘いただきましたように、拉致問題は内閣の最重要課題でございます。

 平和安全法制により、海外の邦人を守るための制度の充実を図ってきたところではございますが、一方で、在外自国民の保護、救出は、一般的には領域国の同意又は要請で行われるものであると考えております。

 また、こうした国際法上の観点に加えまして、我が国憲法上の制約もございまして、自衛隊の活用には限界があるということはこれまでも御答弁申し上げているところでございます。

 いずれにいたしましても、拉致問題は内閣の最重要課題でありますとともに、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重要な、重大な問題であるということでございまして、今後とも、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現のため何ができるか、不断の検討を継続してまいりたいと存じます。

太委員 ありがとうございます。

 私は、まさに国際法上、また国内法上いろいろ考えなきゃいけないと思っております。

 まず、国際法上は、海外における自国民保護について、自衛権の適用をうたっている国も幾つもあると思っております。そういった中で、領域国の同意を得られずとも動かざるを得ない、そういった局面は起こり得ると思います。

 国際法上は、事態が切迫しており、ほかに手段がないなどの要件を満たせば、領域国の同意がない場合でも在外邦人を保護するために必要最小限度の武力を行使することは、諸外国において自衛権の行使として容認される場合がありますが、この点に関して、よろしくお願いいたします。

鯰政府参考人 御質問は、先ほども議論になりました自衛隊法第八十四条の三の在外邦人の救出等保護措置について、すなわち、緊急事態に際して在外邦人の生命又は身体に危害が加えられるおそれがあるケースについてのものと理解されますけれども、このようなケースにおいても、在外邦人の保護は、一般には領域国の同意を得て行うものであると考えております。

 他方、純粋な国際法上の議論といたしましては、極めて例外的な場合には、また慎重に考えるべきことではありますけれども、在外自国民を保護、救出するために必要最小限度の実力を行使することが自衛の措置として認められることもあり得るということを従来答弁しておりますけれども、自衛隊の活動ということにつきましては、国際法上の観点に加え、先ほども同僚が答弁しましたが、我が国憲法上及び国内法上の制約があり、まさに自衛隊法八十四条の三では領域国の同意が要件となっているのであって、御指摘のようなケースにおいて、自衛隊の活用には限界があると承知をいたしております。

太委員 どうもありがとうございます。

 国内法よりも、まず国際法の観点からということで、例外的にはそういった可能性も出てくるということで、御見解をいただきました。ありがとうございました。

 まず、ちょっと戻ってしまいますが、アメリカと比べるのはどうかという部分はあるかもしれませんが、やはり、自国民をしっかりと海外でも守っていくという意思を示すという意味では、私、しっかりと学ぶべき点も多いと思っております。

 アメリカでは、国家安全保障戦略において、我々の基本的な責任は、アメリカの人民、国土及びアメリカの生活様式を保護することであると述べている中で、在外自国民についても同様でありということで明言をして、国内外の所在を問わずに国民の生命、自由及び財産を保護することが政府の偉大な目標と義務であるというふうに明言をしております。

 これは、我が国と同じように、様々な海外での武力行使に関して制約が慎重であるドイツでは、非戦闘員退避活動に対応するのは、在外自国民の退避に関して、二〇一一年、防衛政策方針の中でも、ドイツ国民は、外国における直接の危険に対して、軍隊の出動によって、また国家の責任においても、最大限にこれを救出し、又は退避させることができなければならないというふうに明確に述べているんですね。これは、アメリカにしても、先ほど言いました、まさに自衛権の行使として、強行的に在外自国民保護が国際法上容認されると。

 これは国際法上いろいろと議論が分かれているというのは承知しております。しかし、そういった形でアメリカは、一九七四年のカンボジア以降九回にわたって、二〇〇六年、レバノンでも行っていますね。ドイツも五回。ドイツは、一九九七年、アルバニアで自国民保護を行ったときに、実は、ドイツ国民は二十一名、外国人九十五名救出したんですが、その中に日本人も十四名含まれていたという中で、ドイツの軍人が三百二十三人このオペレーションに加わった中で、そういった活動を行っております。

 そういった意味で、我が国としても、もちろん国際法上様々あります、あと国内法上もあるというのは重々承知しておりますが、やはりここは国家としての、どう自国民を守っていくのか、そこをもう一度最優先して、私は、この他国の様々な例を学びながら、参考にしながら、拉致されている少なくとも八百九十名以上の方たちをどう取り戻していくかということに知恵を出して乗り越えていかなきゃいけないと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それと関連しまして、これは拉致だけじゃなく、まさに朝鮮半島、台湾海峡有事においても、やはり今の日本の現行の法制下では邦人救出は不可能に近いという状況だと思っております。ですけれども、本当にこれでいいんでしょうか。これは相当様々な形で、近い将来のこういった有事が懸念が高まっていく中で、様々シミュレーションしようと思いますが、外務大臣にお伺いしたいのが、例えば、それじゃ、台湾海峡で大規模な武力衝突が発生した場合、台湾での邦人保護には当該国の許可が必要だと思いますが、その場合は中国政府の同意を得る、同意が必要かどうか。もう様々これは国会でも聞かれていると思いますが、この点を教えてください。

林国務大臣 海外に渡航、滞在する邦人の保護、これは外務省の最も重要な責務の一つでございまして、平素から、在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っておりまして、邦人保護の強化を図っているところでございます。

 有事における我が国の個々の対応について、個別具体的な国、地域名を挙げてつまびらかにすることは事柄の性質上差し控えますけれども、いずれにいたしましても、邦人の安全確保、これに万全を期する考えでございます。

太委員 もちろん、これはなかなか厳しい問題で、簡単に答えられないとは思いますが、ですけれども、大臣、一番大事なのは、本当に有事の際にどう国民を守っていくのか、そういった意味で迅速に対応していただけるのかというのが一番の課題だと思っております。

 台湾には今約二万五千人の在外邦人、台湾有事のときには、沖縄本島を始め南西諸島を含めて数万規模の離島住民、これは国民保護もしなきゃいけないんです。ですけれども、私は安全保障委員会で先日も質問しましたが、台湾有事の際あるいは存立危機事態や重要影響事態のときに、国民保護法が適用されるというふうになっていないんですよ。そういった意味では、本当に迅速に対応できるかどうか、国民を本当に守れるかどうかというところを、もう一度政府としてしっかりと、特に、そういった意味でいろいろシミュレーションされてやっているとは思うんですが、有事になってからどこに対応するのかとかではなく、しっかりと対応していただきたいと思っておりますので、どうぞこの点、よろしくお願いいたします。

 続きまして、拡大抑止に関してお伺いしたいと思っております。

 今回のウクライナ戦争を受けて、様々、ロシアが核兵器の使用等もほのめかしながら、また、ロシアという国は、核保有国の中で唯一、核の先制使用をドクトリンの中にしっかりと明記している国です。そういった意味で、この隣国に対して我々としてはどう対処していくのか。

 また、今回のウクライナ戦争を受けて、国民の中でも相当不安が高まっておりまして、これは毎日新聞の調査でした。ニュークリアシェアリング、核共有に関して、これに対しては賛成している方は少ないです。ですが、一方で、核共有に関しての議論はしていくべきだという方が五割を超えています。そういった意味で、やはりいろいろな意味で、また各種調査でも、八割から九割の国民が今我が国の平和とか安全保障に対して不安を抱いているという状況です。

 そういった意味で、これは前回もお伺いしました。ですが、改めて私は、米国の核の傘、やはり我が国としては核なき世界というのをしっかりと掲げながら、ニュークリアシェアリングで、国内に核を配備していく、そんなことではなく、そこはしっかりと歯止めをかけながら、いかに今の日米関係の中で米国拡大抑止を担保していくのか、確保していくのか、そのことが重要だと思っておりまして、改めてお伺いしたいんですが、二〇一〇年以降、民主党政権時代以降にスタートした審議官級での日米拡大抑止協議、これを事務レベルから閣僚級に上げていただきたい。あえてこれは上げていただきたいと思っているんですが、この点に関する大臣の御見解、再度お願いいたします。

林国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境や、現実に核兵器が存在していることを踏まえれば、核抑止力を含む米国の拡大抑止、これは不可欠でございまして、米国と緊密に協議、協力していくことが重要であると考えるわけでございます。

 日米間では、そうした文脈において、御指摘いただきました日米拡大抑止協議の場を含め、様々なやり取りを行っております。

 私自身、今年一月の日米2プラス2におきまして、閣僚レベルで、日米両国が、米国の拡大抑止が信頼に基づき、強靱なものであり続けることを確保することの決定的な重要性、これを両国で確認をしたところでございます。

 まさにそういった意味では、この拡大抑止協議、審議官級で、双方の、両国の外務、国防当局ということでやっておりますので、それを閣僚級に引き上げますと2プラス2ということになるわけでございまして、ただ形としてなるだけではなくて、しっかりそこでやったことを踏まえて、閣僚級の2プラス2でこの議論を確認するという意味で、大変大事なことであるというふうに思っております。

 今の先生の御指摘も踏まえながら、引き続き、米国の拡大抑止の信頼性の維持強化に向けて、日米間でしっかりと協議を行ってまいりたいと考えております。

太委員 大臣、前回同様のお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 まさに今そういった現状だということはよく分かりました。ですけれども、一方で、やはり今国民的に、先ほど言いました、本当に様々不安が高まっています。我が国としても、アメリカに対して、この拡大抑止においては、見捨てられる恐怖と、あと巻き込まれる恐怖、二つあると思っています。

 そういった意味で、やはり一番大事なのは、我が国はどう、これは相当難しいと思います、まだニュークリアシェアリングをやっているNATOでもこれを実現できていないと思っておりますが、ですけれども、NATOは、ニュークリア・プランニング・グループの中で、運用から計画、そして意思決定まで何とか米軍と一緒にやっていこうという様々試みがあります。

 我が国は、やはり一歩踏み込んでそこに行かなきゃいけないと思っておりますので、やはり米国が必要以上に核攻撃をしてしまう、そういったときに、しっかりと我が国の意思として、巻き込まれることに対して意思表示のできる、あるいは、本当に必要なときにちゃんとしっかりと対処していただける、そのことを担保するためには、私は今からでも遅いぐらいだと思っています。早急に、まさに拡大抑止の問題で、もう2プラス2といったら、いろんなことを広く扱うわけですよね。けれども、本当にお伺いしたいのが、じゃ、どれほど拡大抑止に関してこの2プラス2で協議されたのか。まだまだ足りないですよ、そんなものでは。

 そういった意味で、確認だけじゃなくて、具体的に、政治家が、閣僚が、この拡大抑止の運用と計画と、あと意思決定まで意識して、ちゃんとノーと言える、そこまで目指して私はやっていただかなきゃいけないと思いますので、あえて、大臣、これは本当に重要な点だと思っていますし、私は、NATOから学ぶニュークリアシェアリング、配備するのはやっちゃいけないと思っています、これは絶対に。ですが、一方で、やはりニュークリアシェアリングから学ぶべきは、運用と意思決定に何とか入っていく、そこを目指して何らかの工夫を、取組をしていただきたいと思っていますので、どうかこの点、よろしくお願いいたします。

 もう一度、大臣、何かコメントをいただけないでしょうか。何とかできないものでしょうか、林大臣のリーダーシップで。どうかお願いいたします。

林国務大臣 委員の熱いお気持ちはしっかり受け止めたところでございます。

 お気持ちだけではなくて、重要性ということは私も重々承知をしておるというふうに考えておるところでございまして、先ほども申し上げましたけれども、日米両国において、米国の拡大抑止というのが信頼に基づいている、ここが一つの大事なポイントであろうというふうに思っております。強靱なものというものもその後続いてくるわけですが、やはりそのことをしっかりと確認をするということ。

 2プラス2の場、通常でありますと年に一回強のペースで行うわけでございますから、しっかりと会ってこのことを確認して、そして更に協議を行っていくということで、委員の御指摘も踏まえながらしっかり対応してまいりたいと思っております。

太委員 大臣、引き続きこの問題、拡大抑止をしっかりと担保していくこと、そこだと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次に、これは確認させていただきたいと思っておりますが、非核三原則。

 岸内閣以降、国会で議論がなされ、七一年に、非核兵器並びに沖縄米軍基地縮小に関する衆議院の決議において、三原則が明文的に示されました。七八年に、「非核三原則を国是として堅持する我が国」という表現を含む国会決議が採択されましたが、では、特に非核三原則の三番目の持ち込ませずについて、法的な根拠、法的な拘束力というのはどういうふうに担保されているのかというところを教えてください。

林国務大臣 この非核三原則でございますが、唯一の戦争被爆国としての我が国の立場を踏まえまして、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの点を歴代内閣が政策として明らかにしたものでございます。

 政府といたしましては、非核三原則を政策上の方針として堅持してきておりまして、同原則が法的拘束力を有するというふうには認識をしておらないところでございます。

太委員 分かりました。ありがとうございます。

 それでは、申し訳ありません、通知したのをちょっと若干時間の関係で飛びますが、我が国のODAに関して教えていただけますでしょうか。

 外務大臣が各国を歴訪する中で、我が国のODAの成果を感じた機会及びODAの意義について教えていただきたいと思っております。

 冒頭も言いました。このODAというのは、外務省さんを中心に、我が国の戦後の本当の平和国家としての歩みの中でのソフトパワー、これからまさに、大変財政状況は厳しいですが、更に私はうまく展開していくべきだと思っておりますが、そういった視点で考えておりますが、この成果というもの、大臣の御見解を教えてください。お願いいたします。

林国務大臣 我が国が外交を行っていく中で、このODAの重要性というのは、今委員がおっしゃっていただいたとおりであろう、こういうふうに思っております。

 この成果を感じた機会ということですが、直近で申し上げますと、やはりウクライナに対する人道支援が挙げられると思います。

 二月末でございまして、他国に先駆けて、ウクライナ及び周辺国に対する一億ドルの緊急人道支援、これを行うことを表明いたしまして、それがほかの主要国からの支援表明につながったというふうに自負をしておるところでございます。我が国による迅速な支援に対して、G7各国やウクライナのクレーバ外相からも、直接、評価や謝意の表明がありまして、また、国連を始めとする国際機関からも高い評価を得ております。

 また、今月初旬にポーランドへ参りましたけれども、ワルシャワ市内の避難民の施設、それからウクライナとの国境地帯を訪問いたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、避難民支援に取り組む国際機関やNGOの皆様と意見交換を行いまして、こうしたところで、我が国の人道支援が、現地のニーズを踏まえて、女性や児童、家族の支援、そして医療分野等で有効に活用されているということを目の当たりにしてきたところでございます。

 また、アジアでございますけれども、外務大臣として二国間訪問という機会をまだ得ておりませんが、外務大臣になる前の国会議員時代も、また閣僚としてアジア諸国、これは外務大臣になる前の閣僚のことでございますが、そういった際に、それぞれの訪問先で我が国のODAが有効に活用されて、現地の人々から感謝をされている例というのをたくさん目にしてきております。

 また、外務大臣に就任した後も、対面や電話等で各国の外相等と会談する中で、特に昨今は新型コロナ対策支援、またインフラ整備を始めとする日本のODAに対する感謝の言葉を多くのカウンターパートから聞いておるところでございます。

 今後も、国際社会の要請、各国の支援ニーズ、こうしたものを踏まえて、戦略的かつ効果的なODAの実施に努めていきたいと考えております。

太委員 では、最後にさせていただきたいと思います。

 ミャンマー政府に対して、我が国のODAが、武器購入、国軍の経済利益の拡大など、クーデター後の市民弾圧に利用された事実はないか、そちらを教えてください。

植野政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも、ミャンマーに対する経済協力に関しては、昨年二月のクーデター以降、我が国は、国軍主導のいわゆる現政権との間で二国間の国際約束を伴う新たな案件を決定はしておりません。

 また、クーデター以前のNLD中心の政権との間で国際約束を締結して事業が始まっているいわゆる既存の案件につきましても、開発協力大綱にのっとり、軍事的用途への使用を回避するとともに、基本的人権の保障をめぐる状況に十分注意を払いつつ実施をしておりまして、御指摘のような、我が国ODAがクーデター後の市民弾圧に利用された事実はないというふうに考えております。

太委員 どうもありがとうございます。

 先ほど御指摘いただいた既存案件に関してはまだ中断には踏み切られていないという状況なので、そこはしっかりと引き続きやっていただきながら進めていただきたいと思っていますし、今本当にいろいろと広範囲になってしまいましたが、引き続き林大臣にはリアリズム外交をどうか続けていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間になりました。失礼いたしました。ありがとうございます。

城内委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦です。

 質疑に入る前に、冒頭、先日行われました各国大使との意見交換、実現していただきまして、誠にありがとうございます。そして、委員長、理事の皆さんにおかれましては、オブザーバーの私も出席をお認めいただきまして、大変ありがとうございました。

 やはり、外交についてを議論する私たち外務委員会においては、外国の方々から直接お話を伺うというのは非常に重要なことでして、林大臣はよく外国の方々と意見交換されると思いますが、私たちはなかなかそういう機会がないものですから、国内の議論だけをしているとどうしても内向きの議論になりがちで、外側の意見を聞いて、私たちもまた政策を見直すということも非常に重要ですし、また今、理事会でも協議中でございますけれども、この意見交換を踏まえた報告についてを政府の方にもさせていただくということは是非委員長にも御検討いただきたい、このように思っております。

 さて、それを踏まえまして、各国の大使からお話をいただいた中で、非常に興味深いことが幾つかございました。私はルーマニアの大使と意見交換をさせていただきましたが、ドランガ大使がおっしゃったのは、入国に際してのコロナウイルスの隔離期間についても免除されるというようなお話がございました。

 今、我が国でウクライナの方々、少数とはいえ入ってきておられますけれども、この方々に対するコロナ対策の隔離あるいは検疫、若しくはワクチンの接種等についてどのような状況になっているか、確認をさせてください。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 検疫、またワクチン接種についてのお問合せでございますが、ウクライナから避難された方々が日本に入国する際、新型コロナウイルスに関する水際対策として、我が国におきましては現在全ての入国者に求めております、入国時の検査あるいは入国後の自宅等での待機等の検疫措置については免除はいたしておりませんけれども、政府一体となってウクライナの方々について受け入れて必要な支援を行っていくという観点から、ウクライナから避難された方々につきましては様々な配慮を行っているところでございます。

 例えば、出国前の検査証明書を所持しない場合であっても水際対策上の入国拒否は行わないということですとか、日本に親族や知人のいない方については、通常ですと御自身で宿泊施設を確保いただく必要がございますが、ウクライナから避難されてきた方々につきましては、入国後、この検疫の待機期間中、検疫所が確保する宿泊施設で待機いただく形で受け入れるといった対応を行っているところでございます。

 また、新型コロナワクチンの接種につきましては、これは、住民基本台帳に記録されている方を対象に、住民票所在地の市町村において接種を受けるという枠組みで行っておりますけれども、ウクライナからの避難民の方々を含めまして、住民票のない在留外国人の方への対応が課題となります。

 この点につきましては、市町村において我が国での居住実態があると認められた場合は予防接種法に基づく予防接種を受けることが可能といたした上で、この居住実態の有無につきましては、滞在見込みの場合も含めまして柔軟に判断することが可能であるということを示しているところでございまして、必要な対応ができるような配慮を行っているところでございます。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 島国という関係上、我が国では水際対策が非常に重要だと、この二年間、コロナ対策でずっと言い続けてまいりました。

 しかしながら、少数でも入ってきた方々からコロナウイルスが国内に入ってきて、結果として蔓延を招いてきたというのが我が国の水際対策の非常に課題点でもあったと思いますし、今後のコロナ対策、あるいは新しい感染症に対する我が国の対策を取る上での非常に重要な場面なんだろう、このように思いますが、人道上の支援ということで、ウクライナから来た方々、この方々に陰性証明を持ってこいと言っても、命からがら逃げてきた方々で、私、委員会でも何度も言っていますけれども、パスポートを持っているかどうかも分からない方々が陰性証明を持っているはずがありませんので、これについて免除されているということはもちろんだと思います。

 そして、申し上げれば、今課題とおっしゃった、住民票のない外国人の方々に対するワクチン接種、事前にお話を伺いますと、様々確認することがあって、大体三週間ぐらいかかるというようなことを、お話を伺いましたけれども、実態、そのぐらいかかるというふうに見込まれているかどうか、今お話しできますか。三週間かかるというふうに事前に聞いているんですけれども。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 恐らくそれは、大分、市町村の対応によって異なってくると思いますので、私どもの方で、例えば平均としてどれぐらいかかるとか、そういう実態を把握しているわけではございません。

 居住実態があるという判断をするときに、今後そこの市町村で滞在するという判断を市町村がするに当たってどれぐらいかかるかということになりますけれども、そこは市町村によって異なってくるんだろうと思います。

鈴木(敦)委員 余裕のない自治体はウクライナの方々を受け入れていらっしゃらないでしょうから、できるだけ短期にやっていただかないと、これは我が国のコロナ対策ですから、これは人道支援と切り離して、我が国の対策としてやっていただかなければいけないことだと思います。

 加えて、外務省にお伺いしますけれども、それでは、ウクライナの方々に対しては、このコロナウイルス関連については特例を設けていないということが分かりましたが、外務省さん、出国する際、ウクライナ周辺国から我が国に出国する際に、ウクライナの方々に何か特例を設けていたりとかはされていますでしょうか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 避難民の方々が日本に出発されるに際してのコロナ対策等での特例につきましては、現状、特段講じられていないと承知してございます。

鈴木(敦)委員 いないんですか。

徳田政府参考人 特段講じられていないと承知してございます。

鈴木(敦)委員 では、ウクライナの方々に対して我が国がしている特例は一つだけということになります。

 つい先日も報道にありましたとおり、農水省が十五日から、狂犬病予防法に基づく係留期間を、御自宅等で様子を見るというふうに転換をされましたね。

 これも水際対策であって、島国である我が国が狂犬病の清浄国になるに当たってどれだけの苦労をなさったかということを考えれば、ここを軽々に変えることと人道支援ということは、これは切り離して考えなければならないものだと考えています。

 そして、これは農水省ですから、今日、農水省さんをお呼びしていませんので、申し上げたいのは、犬を外国から日本に連れてくるときには必ず出国時に手続があるはずです。その出国の手続、あるいは、出国カウンター、査証を取る際、様々な場面で、我が国に対して動物を入れる場合はこれぐらい係留期間が必要ですと事前に説明をしているはずです。なのにもかかわらず、日本に来て係留期間があって、その期間面倒が見られないからということで農水省が様々な手を講じて省令の解釈を変更したということですね。

 ですから、外務省さん、何も特例を設けていらっしゃらないのではなくて、この説明をされていらっしゃらなかったんじゃないですか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のございました農水省の対応については、ちょっと承知してございませんでした。申し訳ございません。

鈴木(敦)委員 なぜか御存じですか。政治家が絡んでいないんです、これには。省令の判断を変更した、つまり、担当課と動物検疫所長だけで判断をされているんです。だから、皆さんが御承知でないのは当然なんです。

 ただ、外務省さんが、この国に入ってくる際ではなくて、まず外国から出ていく際に動物がどういう状態になっているのか、あるいは飛行機に載せられる犬種であるかどうかを確認しているはずです。

 私、航空会社におりましたからよく知っています。鼻が短い犬は飛行機に載せられませんから、必ず確認をしていますし、その際に、日本では狂犬病予防法に基づいて係留期間がありますよという御説明もされているはずなんです。にもかかわらず日本に入れてしまったから、いよいよ困って、動物検疫所から農水省に相談があって、農水省で判断をすることになった。

 外務省は何もされていないんですか、現地で。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの件につきまして、現地でいかなる対応があったのか、詳細は把握してございませんので、ちょっと現時点ではお答え申しかねます。

鈴木(敦)委員 犬を入れることが悪いと言っているんじゃありません。手続がしっかりその手順を踏んでいないから、玉突きで農水省が責任を取っているということです。

 ですから、輸入するとかそういう場合の特例について、あるならある、ないならないということをしっかり判断していかないと、こういうことが発生するんです。特にこういう非常時においてはです。

 これからもたくさんの避難民の方々が入ってくるかもしれません。そして私、前回もずっと委員会で何度も申し上げていますけれども、日本周辺で避難民が多く発生する地域、発生するであろうと見当される地域は二か所もありますよね。台湾もそうですし、朝鮮半島もそうです。逃げてこられる際に犬を連れてこないという保証はどこにもない。この点をしっかり踏まえて、今回の件は、ウクライナから来られる方々については林大臣も先例にするとおっしゃっているんですから、しっかり検討して、段階を踏んで法的な手続が取れるようにお願いします。

 さて、次の質問に参りますけれども、何度も何度もウクライナの難民という話を私はさせていただいていますけれども、御説明では難民条約に該当するということでした。

 今ここでもう一度申し上げはしませんけれども、であれば、これは一つ考え方ですけれども、今、ロシア国内で反戦デモで数千人が逮捕されるという事態になっています。明らかに思想を理由として迫害を受けている方々です。この方々が仮に日本に来た場合、難民として受け入れるその基準には当たるということでよろしいですね。例として申し上げます。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 入管法第二条第三号の二におきまして、難民とは、「難民の地位に関する条約第一条の規定又は難民の地位に関する議定書第一条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいう。」とされております。

 一般論として申し上げますが、お尋ねの方々から我が国で難民認定申請がなされた場合には、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき難民と認定すべき者を適切に認定することとなります。

 もっとも、難民とは認められない方であっても、本国情勢等を踏まえ人道上の配慮が必要と認められる者には、入管法の規定に基づき、我が国への在留を認めることとなります。

鈴木(敦)委員 個別の基準とかではなくて、明らかにその条文に該当する方々については保護するという方針でいかないと、ウクライナの方々だって何が何で入ってきているのか分からないわけですよ。

 私はずっと言っていますけれども、入れるなと言っているんじゃなくて、法的に入れていただきたいと言っているんです、しっかりと整備をした上で。そうでないと、その時々の政権と大臣の判断で入れることになるんです。その責任はその方々が負うことになるわけですから、それを回避するために法律を作っているわけですから、しっかり規定にのっとってやっていただきたい、そういう趣旨で私は申し上げているんです。

 次の質問に参ります。

 G20ですけれども、財務相・中央銀行会合ですが、これに今、一時アメリカが出ないような話がありましたけれども、一部は出席をするということになりました。我が国も鈴木財務大臣が行かれていますけれども、ここに出て、G20あるいはG7の中で財務省としてどのようなスタンスで他国に対して働きかけをするのか、まずここで確認させていただきたいんです。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 働きかけというのは、ロシアに関してという認識でよろしゅうございましょうか。その前提でございますが、今回のG20財務大臣・中央銀行総裁会議は、鈴木大臣も申し上げておりますとおり、ロシアのウクライナ侵略に対して国際社会としてどのように協調するかを含めまして、世界経済の重要課題について主要国間で議論する大変重要な会議と認識しております。

 G20での具体的な議論の内容について予断を持って申し上げることは差し控えますが、スタンスということでございますので申し上げますならば、我が国として、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、断じて許容できないとして厳しく非難いたしますとともに、G7を始めとする国際社会と一致団結いたしまして、ロシアに圧力をかけるよう、しっかりと訴えてまいる所存でございます。

鈴木(敦)委員 団結の部分が非常に重要なんですね。前回の委員会でも大臣に申し上げました、ちょっと趣旨が違うということでお話しいただけませんでしたけれども。国連の決議の中では、棄権していた方々が反対に回ったりですとか、様々出ています。そして、人権理事会の採決の前には、ロシアから脅しを受けたというような報道も、報道ベースなのでどこまで本当か分かりませんけれども、脅しのような書簡が送られてきたというような報道もありました。

 そういうことをされた上でG20とかに出たとしても、彼らも内心おっかなびっくりで出ていますから、我が国としては、それをしっかりサポートして、リーダーシップを取っていくということが非常に重要だと思います。

 そして、次の質問にも絡みますけれども、大使の中からも、G7の中で唯一のアジアの国で、ロシアに対して直接非難の声を上げている国だという評価をいただいています。我が国はG7の中でそういう目で見られています、世界からは。

 それを申し上げた上で、これは大臣に申し上げたいんですが、アジアという中では確かに日本だけですね、それを踏まえて、アジア諸国との我が国の対ロシア政策の在り方についてどのように連携されていくか、ここをお願いします。

林国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略への対応について、これまでアジア諸国とも連携を図ってきておるところでございます。

 ロシアによる侵略後すぐの二月二十八日でありましたが、東南アジア諸国の駐日大使の皆様をお招きして、この件についての意見交換をいたしまして、緊密に連携していくことで一致をいたしました。

 これを皮切りに、様々なレベルでの東南アジア各国への働きかけを行いまして、ウクライナに対する侵略決議、これは国連でございますが、三月二日でございましたけれども、ここでも東南アジア各国からの賛成や共同提案国入りを得たところでございます。

 また、四月九日でございますが、日本とフィリピンとの間で初めて2プラス2を開催をいたしました。ここで、武力行使の即時停止及び部隊のウクライナ領域からの撤退、これを求める強いメッセージを含みます共同声明を発出をいたしました。

 また、御案内のとおりですが、岸田総理におかれましては、先月、インドそしてカンボジアの訪問をされまして、このときに、力による一方的な現状変更はいかなる地域においても許してはならないということ等確認をしたところでございます。

 今申し上げた機会以外にも、アジア各国と電話会談等行ってきておりまして、今後も様々な機会を活用してアジア各国との連携を強化してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 ゴールデンウィーク中にはまた中央アジアに行かれるということもお聞きしておりますけれども、その国々も旧ソ連圏ですから、是非有効に我が国のリソースをお使いいただいて対ロシア外交に生かしていただきたい、このように思っております。

 さらに、次の質問に移らせていただきますが、スウェーデンとフィンランドがNATOの加盟を検討しているということです。これは、今後どのように動くか、数週間という幅があって、まだ詳細は分かりませんけれども、ここまで来ると、また新しい局面ですね。ロシアのすぐ横がNATOになる。ウクライナが攻撃を受けたのは、NATOに入ろうとしたからとかEUに入ろうとしたからと彼らは言い訳をしておりますけれども、今度、北欧でそれが発生しようとしているということです。当然、ロシアは難色を示しておるわけですが。

 その前に、これはモルドバの大使からお話ありましたけれども、EU加盟を目指しているということでした。EUに加盟をするということも含めて、中長期的な見通し、転換というか、見通しをお教えいただければと思います。

林国務大臣 今、鈴木委員からお話がありましたように、スウェーデンとフィンランドの両国、このNATO加盟については、四月十三日でありましたが、まず、マリン・フィンランド首相が、今後数週間で結論を出す、こういう旨述べられております。また、アンデション・スウェーデン首相は、真剣に分析、議論することが重要と述べたと承知をしております。また、両国の世論調査等を見ても、かなり変わってきておるというのは報道で承知をしてきておるところでございます。

 この三月三日に、モルドバがEU加盟を正式に申請をしております。私、実はモルドバ議員連盟の会長というのをやっておりまして、ここに来る前からですね、議員のコミュニケーションは取っておったわけでございますが、まさかこういうことになるとは思っておらなかったわけですが、EU加盟を正式に申請をしておられます。

 今回のロシアによるウクライナ侵略によって、欧州の安全保障環境は大きく変化をしております。モルドバのEU加盟申請やスウェーデン、フィンランドの動向はこうした変化に対応したものである、こういう認識をしております。ロシアによるウクライナ侵略は、結果としては、基本的価値を共有する同志国間の連携強化、これを促す結果となっていると考えております。

 ロシアの方ですが、このスウェーデン、フィンランド両国首相の発言をめぐって、前大統領のメドベージェフ現安全保障会議副議長ですが、両国がNATOに加盟した場合につきまして、バルト海周辺への核配備の可能性を示唆した、こう承知しておりまして、こうしたNATO加盟に向けた動き等に対するロシアの対応、これはしっかり注視をしていかなければならないと思っております。

 我々として、国際秩序の根幹がロシアのウクライナ侵略によって脅かされている今こそ、基本的価値を共有する国々の結束を強めるということが重要であると考えております。欧州とインド太平洋地域の安全保障を切り離して論じることはできない、こうした認識の下で、G7やNATOを始めとする同志国との連携を強化してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 私もその議連に是非入れていただきたいと思っております。

 なぜかと申し上げれば、もう既にお忘れかもしれませんが、ドンバス周辺のウクライナ東部が、向こうの分離派と言われる、実態はどうか知りませんけれども、その方々が、あそこをドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国と言い始めた頃に、二〇一四年ですが、その頃に、一番最初に構想として描いていたもの、それは、ノボロシア人民共和国連邦というものでした。これは、ウクライナ東部だけではなくて、あのルガンスクとドネツク以外のウクライナの六州を含めた新しい国家をつくるということで彼らは構想を練ってきたわけです。

 そして、今回、東部を始めとする、今マリウポリで攻撃が激化していますけれども、攻撃があって、その試みに一つずつ近づいていっているということですから、私としては、この紛争は非常に、これからも長続きしてしまうんじゃないかな、警戒心を持って見なければならない上で、その先にあるものがモルドバですし、その横にある、沿ドニエストル共和国といって、勝手にロシア軍が駐留をしている地域ですから、非常に注視をしていかなければならないと思っていますが、注視をしなければならない場所は、もちろんヨーロッパもそうなんですが、これはアジアにおいても同じことでございます。

 対ロシア外交ということを考えると、どうしても切っても切り離せないのは、国境を接していて、そしてアジアで同じように好き勝手なことをやっている中国です。そして、もう一つ申し上げれば、ロシアと中国の関係が密になることが一番嫌な国はどこかといったら、インドですね。この三か国の関係を踏まえて、対ロシア外交をどのようにやっていくか、大臣からお話しいただきたいと思います。

林国務大臣 このロシアによるウクライナ侵略は、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為であると思っております。そうした意味でも、こうした力による一方的な現状変更をいかなる地域においても許してはならないということであると考えております。

 こうした観点で、国際社会が結束して毅然と対応することが必要でありまして、中国やインドに対してもしっかりと働きかけを行っていくということが重要であると考えております。

 中国に対しては、我々として様々な機会に責任ある行動を呼びかけてきております。具体的には、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、中国を含む国際社会が結束して毅然と対応することが重要である、こういう説明をするとともに、中国も国際社会とともにロシアに対して軍の即時撤収、国際法の遵守、これを強く働きかけるように求めてきております。

 また、インドでございますが、委員御案内のように、ロシアとは伝統的に友好的な関係にあるわけでございます。岸田総理がインドを先月訪問されまして、首脳間で、ウクライナ情勢に関して、戦闘の即時停止と対話による事態の打開に向けた働きかけを行う、この重要性で一致をしまして、岸田総理からモディ首相に対しては、プーチン大統領に対する更なる働きかけを含めて協力を要請をしたところでございます。

 引き続き、ロシアをめぐる中国とインドの動き、しっかりと注視しながら、G7を始めとした関係国と緊密に連携して適切に対応してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 中印関係も非常に重要だと思いますので、是非今後も注視していただきたいと思います。

 ちょっと時間もあれですので、簡単で結構ですが、アメリカは中国の新疆ウイグル自治区での行動についてジェノサイドだと認定をしていて、そこからの輸入を禁止する法律も作ったりしていますけれども、明らかに人権を侵害しているのはロシアも同じでございます。我が国としては人権侵害をしている国からの輸入や輸出等々に関してどのように対処されるか、簡単で結構ですので、お願いします。

林国務大臣 新疆ウイグル自治区に関しては、重大な人権侵害が行われているという報告が数多く出されておりまして、日本としても同自治区の人権状況については深刻に懸念しております。

 こうした立場を踏まえて、これまでも中国政府に対して直接働きかけをしているほか、人権理事会や国連総会第三委員会における関連の共同ステートメントにアジア唯一の参加国として参加をしてきておるところでございます。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 では、外交問題についてはここまでにいたしまして、今度、防衛省にお伺いしたいんですが、今後、空自機を使ってまた人道物資、派遣するということでしたけれども、空自機を使ったり民間機を使ったり、使い分けをされていますけれども、これはどのような基準でされているんでしょうか。そもそも民間機を使うといっても、貨物機ではなくて、旅客機の貨物部分を使っていらっしゃいますけれども、どのように使い分けてやっているのか、お願いします。

中曽根大臣政務官 お答え申し上げます。

 ウクライナに対し、要請のあった装備品等を可能な限り迅速に提供するために、防衛省としては、自衛隊機、米軍機、民航機といった利用可能な各種輸送手段を広く活用してまいりました。

 その際、準備が整った手段から随時輸送を開始したことから、当初は自衛隊機、続いて米軍機や民航機による輸送を行いました。

鈴木(敦)委員 準備が整った飛行機ということであれば、ちょっと気になったので教えていただきたいんですが、ジブチにはC130が配備されていますが、ジブチからの方が近いと思いますけれども、なぜこれを運用されないんでしょうか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 ジブチにもC130展開等々ございますけれども、それぞれの任務がございまして、各種任務の兼ね合いを踏まえながら、今回ウクライナ近隣国への輸送の手段を決めたというものでございます。

鈴木(敦)委員 空自のC2にも米軍のC17にもそれぞれ任務があるはずです。C130を使ったって問題ないと思います。

 もう時間がありませんので、最後の質問まで飛ばさせていただきます。大臣にお答えいただきたいところですので。

 ポーランド大使からの説明にもありました、資料にもありましたが、ポーランドには難民キャンプがほとんどありませんというようなお話がありました。もうほとんどの方々が個人宅に避難をされ、身を寄せられていて、ほとんど見当たりませんと。書類をそのまま読み上げますと、避難民の姿は辺りに見当たりません、避難民キャンプ等が存在しないのです、中略しまして、ウクライナの人々の大半がポーランドの一般家庭に迎えられています、このような状況だそうなんですが、実際に御覧になったと思いますので、重々お分かりと思いますが。

 今必要な、天幕やらテントなど、必要なものもあるとは思いますけれども、大臣も委員会の際に私ともお話をさせていただいたとおり、今後の復興のことも考えていかなくちゃいけません。映像を見る限り、どう考えても農機具はもう残っていません。農耕するための場所も全て廃墟になっている状況ですから、今後復旧するためには、我が国が誇る建設技術の粋を集めた、そういった農耕機具あるいは建設機具、こういったものも人道支援として支給することも検討していかなければいけないなと思いますが、長期的な感覚で結構ですので、どのような感覚で今お持ちなのか、大臣からお願いいたします。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、元々ウクライナというのは大変豊かな穀倉地帯でありまして、小麦、トウモロコシ等の主要な生産輸出国であります。

 そうした意味で、復興の段階になれば、農業大国としての同国を復活させる、これは重要だと考えております。既に実施中の緊急人道支援の一部にも、これはFAOだと思いましたが、農業生産の回復に向けた支援、これは含まれているところでございます。

 今後、国際社会におけるウクライナ復興に向けた支援を見通せる段階になった暁には、我が国として、今御指摘のあった農業分野への支援、これを念頭に置きつつ、カンボジアやイラク、アフガニスタン等において紛争による混乱からの復興を支援してきた、こういう経験も生かしながら、国際社会と連携して、ウクライナの復興のために積極的に役割を果たしていきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 ちょっと質問が何点か飛んでしまいましたけれども、申し訳ございませんでした。

 時間になりましたので、終わります。

城内委員長 次に、辻清人君。

辻委員 自民党の辻でございます。

 他の委員と同様、今日は、先週、ルーマニア、モルドバ、ポーランドの各大使館関係者の方々との意見交換、私も理事として参加をさせていただきまして、それを踏まえた質問とさせていただきます。

 連日、外務省、内閣府また法務省、入管の皆さん、本当にお疲れさまでございます。皆さんをここにお招きするのはちょっと忍びない部分もあるんです。皆さんは本当に忙しい立場でございまして、ただ、重要な審議でございますので、時間も限られていますので、少しおつき合いくださいますよう、よろしくお願いします。

 先週、三か国の方々と意見交換を、このウクライナの事案について話させていただいたところ、もう既にいろいろお話がありましたが、私が個人的に本当に感銘というか気づきがあった点は、この三か国の大使また大使関係者はもちろん日本にいるわけで、いる期間は人それぞれなんですけれども、自衛隊のことを非常に高く評価されているんですね。

 大使館に派遣されて初めて日本に住み始めた大使もいらっしゃったんですが、その間、例えば災害や震災のときに自衛隊が出動するのを日本にいながらテレビとか報道とかで見ていて感動したと。これだけ人道支援、災害支援を我々の国の軍隊じゃできない、だから自衛隊の方々に、私からは何が今日本からできることがありますかというふうにその方々に聞いたら、物はおかげさまでいろいろ来ている、お金が欲しい、加えて人が欲しい、特に自衛隊の方々はすばらしいということで、これは本当に私としても誇りに思うと同時に、そういった大使の方々は、日本に来ているからこそ自衛隊の活動を目の当たりにしている。

 それで、これから、閣議決定もまだですが、例えば、我が自民党の外交部会でも昨日了承しましたが、UNHCRから要請を受けて、我が国でもPKO法に基づいて物資を自衛隊が輸送することが報道もされていますが、答えられる範囲で結構なんですが、実際のところ、これだけ海外の方々から期待と評価がされている自衛隊について、今後、人、物、お金、その中でも人の部分で、何らかの形で、見通しといいますか、実際に派遣は難しいかもしれませんが、今世界を未曽有の危機にさらしているこの事案について検討することというのは可能でしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 法的な可能性ということで一般論として申し上げさせていただきますけれども、国際機関の要請ですとか派遣先国の受入れ同意、こういった一定の要件を満たせば、国際平和協力法の枠組みでウクライナの周辺国に自衛隊などを派遣するということは可能でございます。

 御指摘の自衛隊機の派遣による支援も含めまして、引き続き、関係省庁と連携しながら、様々な支援の可能性というものを検討してまいりたいというふうに考えております。

辻委員 そうですよね。実際、要請があって、法的に可能かどうかで初めて実現することは非常にハードルが高い部分もあるとは思うんですが、そういった意見があったということであえて質問させていただきました。

 経済支援、医療支援、また難民輸送など様々な支援の在り方があると思いますが、実際、そういったウクライナの近隣諸国で難民を多く受け入れている国々に対していろいろなことをやっていることは承知なんですが、私の中でもいろいろそれを一つ一つ列挙していくと、その場その場で総理が発言をしたり発表したりということがこの一か月半ずっと続いていますので、せっかくの機会ですので、そういった、例えばポーランド、モルドバ、ルーマニア、それぞれの国に対してそれぞれの支援があると思いますが、今現在そういった近隣諸国に対して我が国がどうサポートしているのかを一言、一答弁でまとめていただけますでしょうか。

植野政府参考人 お答え申し上げます。

 一通りということなので、ちょっと長くなりますがお許しいただければと思います。

 まず、二月二十七日に岸田総理が、先ほど大臣からもありましたけれども、他国に先駆けてウクライナ及び周辺国に対して一億ドルの緊急人道支援を行うことを表明されました。これは、UNHCR、ユニセフ、WFPといった国際機関、それから日本のNGOを通じて避難民向けに保健医療サービスの提供や食料の配布を行うということでありまして、その後、三月十一日の閣議で具体的な内容を決定して、今既に実行に移しております。

 それから、三月二十四日、G7の首脳会合において、また岸田総理から、人道状況についての深刻な懸念を他のG7首脳と共有するとした上で、ウクライナ及び周辺国に対して、保健医療、食料等の分野において追加で一億ドルの緊急人道支援を行うことを発表し、これは四月五日の閣議を経て具体的な内容が決まって、今実行に移しております。

 この追加の方の一億ドルの緊急人道支援においては、多くの避難民が押し寄せて、人口に対する比率で最大の避難民を受け入れておられるモルドバ、それから、避難民の総数の約六割と、絶対数において一番たくさん避難民を受け入れているポーランド、この二か国に対する支援を重視する内容となっておりまして、具体的には、モルドバにおいては、避難民の保護、食料や生活必需品の配布、それから保健医療分野の支援、それからポーランドにおいては、子供の保護、それから保健医療、人身取引対策、そして生活必需品の配布といった支援を実施しております。

 さらに、この前お話を聞いていただいたもう一か国でありますルーマニアにおきましても、保健医療分野を中心に、継続して支援を実施してきているところでございます。

 それから、先ほど話がありました人的貢献、物資の供与という観点では、岸田総理が、同じG7の首脳会合において、周辺国に滞在する避難民支援のために、物資協力や医療保健等の分野での人的貢献を行うことも検討しているということを説明されて、その後、四月十九日、UNHCRに対して毛布などの人道支援物資を供与したということでございます。

 最後に、モルドバについてでございますけれども、モルドバについては、緊急人道支援に加えて二国間の支援ということも検討しておりまして、具体的には、JICAが、人道支援、保健医療分野の協力ニーズを調査するための調査団を、三月十一日、日本発で第一次、それから四月五日、日本発で第二次と、二度にわたって派遣をしておりまして、この調査団は、WHOと連携した形で、避難民に対する国際医療支援の総合調整、それから現地での医療データの管理分野等で人的な貢献を行っているということでございます。

 これについては、モルドバの政府、それからWHOからも高く評価をされております。

 今後は、この調査団の結果も踏まえて、既に実施中の二億ドルの緊急人道支援とは別に、モルドバ自身のニーズに応える形で、具体的な二国間の支援につなげていきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、我が国としては、G7を始めとする国際社会と連携しながら、それぞれの周辺国の、それからウクライナのニーズを適切に把握して、困難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援、それから避難民の方々の受入れということを検討、実施してまいりたいと思います。

辻委員 済みません、ありがとうございます。

 本当に、ありがとうございますというのは、この三か国の方々からもありましたけれども、私からもありがとうございます。走りながら考えている部分も多々あると思うので、大変でしょうけれども、実際、実行するに当たってはもっと大変だと思いますので、限りなくサポートはさせていただきたいと思います。

 そういった事務的な負担のことで、ちょっと国内に目を転じさせていただきたいんですが、私、この間、党内でずっと、人権の観点から、避難民をどう受け入れるかということをいろいろ提言をさせていただいていまして、実際、政府でも、今日も、連日報道を見ていると、日本は避難民を受け入れろ受け入れろ、もっともっとという話があるんですが、実際、私もそう思うんです。

 ただ、冷静に考えたときに、実際、この受入れ方、それこそ、難民条約に基づいた第三国定住なのか、それを今後、新しい法的枠組みで、いわゆる緊急的な対応として避難民として受け入れるのか、これは本当に難しい部分もあって、もっと言えば、これは入管庁と私もその間ずっとやり取りさせていただいているんですけれども、人をやはり受け入れる、五百人以上の方々が今我が国に来ていますが、数さえ増えればいいということではないんです。

 例えば、我が国の第三国定住でいうと、今まで過去に、ほかにアフガニスタンとかいった過去の例があって、私は別に、今のことについてもっとやってほしいとは思いつつ、ウクライナは救って、中東、アフリカは見捨てるのかという感覚の、その論理的な整合性が合わなくなることをちょっと恐れていて、今回やるのであれば、未来永劫、我が国は普遍的な価値、我が国が今ウクライナで起こっていることに対して、本当に相手の立場に立って何かをしたいからできる限りのことはする、それはすばらしいことです。ただ、その感情や情の部分をしっかりと、過去、現在、未来において、他国で違う事案が起こったときに同じことができるのかということをやはり考えないといけないと思うんです。

 なので、よく、よくというか過去に聞いた話で、政治家と役者の違いは何ですかと聞かれたことがあるんですよ。役者は、舞台に立って演じて、幕が下りたらそれで仕事が終わり。政治家は、舞台で演じて、幕が下りてからが仕事。

 なので、私もここに立たせていただいて偉そうにお話をしていますけれども、やはり政治家の言葉というのは重いんです。なぜかというと、実際、言ったことをやらないといけないから。だから、今政府が慎重なのも分かるんです。言ったことをできなかったら困りますから。

 なので、特に今入管がそこの部分で、今多大なプレッシャーを受けながら、誰をどういう形で受け入れるかということをやっていると思うんですが、そういった事務的な、それこそ、ここは事務が大事なので、ロジが。事務的なところで、例えば、誰かが連絡してもつながらないとか、人が増えれば増えるほどそこの整合性が取れなくなるので、マニュアルを作って、実際に全国の自治体が今、私のところだったら受け入れられますよとか、手を挙げているけれども、ニーズをちゃんとマッチングをして、そういった事務的な作業というのは本当に大変だと思うんですよ。

 なので、外部の例えばコンサル会社とかいろいろなところを入れながら、自分たちで、今後、たかが五百人だったらいいけれども、将来、例えば、想像したくはないけれども、近隣諸国で桁が二つぐらい違うだけの規模の方々が入ってきたときに、今回と同じような対応を自治体の方々が取るのか、それとも、そのときになったら、いや、ちょっとうちじゃ受け入れられないとなるのか、そこの整合性というのはつけないと、これから国際社会の中での我が国のスタンスというのはやはり耐えられないと思うんですよ。

 今まで、いわゆる難民については受入れを積極的にやってきた国では我が国はないんですね。なので、今回のウクライナのことが特別だというふうにはしたくないんです。普遍的価値を持った国として、これから我が国は、G7諸国の中でもそうですし、世界の中でその整合性をつけるためには、事務的な負担を今軽減をして、将来に向けてある程度アジェンダをつくるということがすごく大事だと思って、このタイミングで私はそれをやってほしいんです。

 ということで、ちょっと私の思いが先行した質問になってしまいましたが、そういった事務的なところでの負担というのは今どうなっているのか、実際それをどうやっているのかをちょっとお聞かせください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の取組でございますが、避難民の方の受入れに当たりましては、その後の一時滞在施設の運営でございますとか、御希望等を聞き取って自治体とのマッチング等を今後やっていくことになります。それにつきまして、まずは入管庁でやっておりますけれども、ある部分は民間の方にも委託をしておりまして、そういった民間の力も活用しながら何とか適切にやっていきたいと思っております。

辻委員 差し出がましいようですけれども、本当に、他国を見ていても、コンサルティング会社とかいろいろなNGOとか、かりられる知見はもう全て活用して、それこそ先週、大使、各国、ポーランドやモルドバやルーマニアでも、見てみると、やはり外部の方々の意見をどんどん入れて緊急に対策しているので、是非それはよろしくお願いします。

 もう一問用意していたんですが、申し訳ございません、ちょっと時間が来てしまったので、これで終了させていただきます。頑張ってください。

 失礼します。

城内委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 私も、先日行われた東欧、在京の三大使との意見交換において、私の担当では、モルドバ共和国のドゥミトル・ソコラン大使と意見交換をさせていただきました。その際、大使からお聞きした意見を参考に質問をいたします。

 まず、日本は、モルドバへの緊急人道支援、保健医療分野の支援ニーズ調査のほかに、人道危機に対応する医療データの管理システムというものを立ち上げ、支援をWHOと連携して行うべく、JICAが医療専門家などから成る調査ミッションをモルドバに派遣していると承知をしております。大使も、助けられていると感謝をされておられました。そして、このミッションは継続されていると存じます。取組に感謝申し上げます。

 この点、モルドバ自体の支援について、三月二十三日の私の質問に対して、鈴木貴子副大臣が、JICAの調査ミッションの活動も踏まえて、迅速に検討してまいりたいと思いますと答弁をされておられます。

 そこで、まず、この調査ミッションから何らかのモルドバの現地情報が届いているのか、届いているとしてどのような現地情報なのかについてお聞きしたく存じます。

植野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のあったJICAの調査団ですけれども、先ほども申し上げましたけれども、三月十九日に本邦出発で第一次調査団、それから四月五日に本邦出発で第二次調査団と、二次に分けて派遣をしておりまして、人道支援や保健医療分野の協力のニーズを調査する。それから、このニーズ調査に加えて、WHOと連携した形で、避難民への国際医療支援の総合調整、あるいは現地での医療データ管理分野で貢献を行っているところでございます。

 第一次調査団は、帰国を前にした四月八日に現地からの報告というものを行われまして、その中で、医療物資の不足、それから、がんや糖尿病などで治療が必要な人たちへの支援、こういうことが重要だという指摘をされたと承知しております。

 それから、外務省としても、上記の内容に加えて、JICAから、当初は海外からの人的支援を必要とするほどの緊急医療のニーズがあったけれども、現在は、モルドバへの避難民の流入数がやや減少したということに伴って、人的支援そのもののニーズは減少している、人はある程度足りていると。一方で、モルドバ国内に今でも停留している約九万人のウクライナからの避難民の方々への高度な医療の提供、あるいは、モルドバ国内にある老朽化した既存の医療機材が故障しているとか、あるいは医療機材のメンテナンスをする人が足りないとか、こういう課題があるということを、調査団の調査の結果を聞いたJICAから私ども外務省も聞いているところでございます。

 さらに、我々も、在モルドバ大使館というのがございますので、現地の大使館から、モルドバの政府関係者あるいは現地で活動しておられるNGOの人たちから聞いた話というのをいろいろ聞いております。そして、片山在モルドバ大使からも、こういうような現地で聞いた情報を踏まえて我が国として取るべきモルドバの支援策というものについて意見が寄せられている、こういうことでございます。

吉田(宣)委員 御説明ありがとうございます。

 非常にリアルに分かりました。医療用の物資が不足をする、がんや糖尿病などの治療が必要な人たちへの支援が非常に重要である、また、医療用機材が老朽化していたりとかそういったこと、それからまたメンテナンスする人材、そういったふうな話もあったところでございます。

 現地におけるこのような状況は深刻に受け止めなければならないと私は思います。この状況から推察すると、避難民に対する対応がモルドバ共和国全体の負担となって国に重くのしかかっているのではないかと思われます。さらに、モルドバ国民に対する大きな負担となっていることが考えられます。

 事実、三月二十五日に我が党の山口那津男代表がドゥミトル・ソコラン大使から直接伺った状況として、大使は十三日の意見交換会のときにもこの点をお話しになりましたけれども、ウクライナ避難民の四分の三が一般家庭に受け入れられているとのことでした。これは、モルドバ国家として避難施設などで受け入れることの困難さを示していると私は思います。ただ、苦しい状況にも、大使は、ウクライナ避難民は生死が懸かっている、隣人であり友人だから助けなければならない旨のお話をされたことに私は感動いたしました。

 この点、日本は、医療物資などの支援をWHO等の国際機関を通じて行っています。国際社会の期待に応える取組として、公明党は強く支持をしております。ただ、この支援がモルドバに届くと認識していますが、一定程度の時間もやはり事務的にも様々かかるのではないかと思われます。

 そこで、調査ミッションからの報告を受けて、医療用物資の支援や人的支援が急がれなければならないと私は考えておりますが、外務省の答弁を求めたいと存じます。

植野政府参考人 お答え申し上げます。

 さっきも申し上げたとおり、JICAの調査団、まだ第二次調査団は現地に滞在中でございますけれども、第一次調査団の報告からだけでも様々な緊急のニーズがあるということが分かりましたし、それから、現地の大使館からの報告では、医療保健分野だけでなくて、例えばエネルギーがかなり逼迫している、それまでロシアから天然ガスは一〇〇%輸入していたというようなことで、今そういうことができないということで、エネルギーの支援も必要じゃないかというような意見も来ておりますので、私どもとしては、JICAの第二次調査団が帰ってくるのを待ってから初めて検討するということではなくて、もう既に得ている情報を基に、まずできることからどんどんやっていくという方針で、今JICAとも協議をしておりますし、私自身も在京のモルドバ大使とも意見交換をしておりますので、医療保健分野も含め、あるいはそれ以外の分野もそうですけれども、できる支援からできるだけ早くやっていくということで今後とも対応していきたいと思っております。

吉田(宣)委員 よろしくお願いいたします。

 次に、私は、ドゥミトル・ソコラン大使に対して、日本とモルドバが、お互いに人権が尊重され、法の支配の価値を共有し、その関係を強化していきたいと希望していますというふうに述べました。大使は、日本と価値を共有しているとお述べになられた上で、商業的な連携の支援などに期待している旨のお答えがありました。

 そこで、まさに大変なときではございますけれども、この機にモルドバ共和国との友好関係をこれまで以上に深めていければというふうに私は思うんですけれども、外務省のお受け止めをお聞かせいただきたく存じます。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさにモルドバの大変なときでございまして、人口比で見ますと最大のウクライナ避難民を受け入れているところでございます。林外務大臣も参加されました四月七日のG7外相会合でも、モルドバを含むウクライナの周辺国への国際的支援を強化する必要があること、特にモルドバについて特別な考慮が必要であること、これが確認されたところでございます。

 こうした状況を受けまして、我が国といたしましては、ウクライナ及びモルドバを含むウクライナの周辺国に対して合計二億ドルの緊急人道支援を速やかに実施している。これに加えまして、四月五日にドイツのベルリンで開催されましたモルドバ支援閣僚級会合にアジアから唯一の参加国として上杉外務大臣政務官が出席し、モルドバを力強く支えていく、こういうことを表明したところでございます。

 モルドバとの二国間関係につきましては、本年は日・モルドバ外交関係樹立三十周年でございまして、この三十年間、政治、経済、文化交流を始めとする幅広い分野での協力が着実に発展しているところでございます。日本といたしましては、モルドバの欧州統合の努力を支援し、国際社会が一丸となって、モルドバが進む道を自ら選択できるよう、モルドバの努力をあらゆる面で支援していくことが必要と考え、関係強化に努めております。

 最近の例を最後に申し上げれば、三月十六日の林外務大臣とポペスク・モルドバ外務・欧州統合大臣との間での電話会談において、モルドバが多くのウクライナ避難民を受け入れていることをたたえた上で、モルドバを含む避難民受入れ国に対する我が国の緊急人道支援についても説明が行われましたし、三月二十五日には、林外務大臣はソコラン駐日モルドバ大使の表敬を受けられました。

 ポペスク大臣、ソコラン大使、いずれからも、日本の支援に対する深い謝意を述べるとともに、我が国との更なる連携強化に対する期待の表明があったところでございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 次に、先ほど少し触れさせていただきましたが、三月二十五日に、我が党の山口那津男代表が、ウクライナからの避難民を受け入れているモルドバを含む東欧五か国の在京大使と意見交換をしています。

 そこで、五か国共通の日本への要望としてありましたのが、子供への教育支援と女性への支援でした。外務省からの説明でも避難民の九割は女性と子供であるとお聞きしておりますので、実情にまさに合っているというふうに思います。日本に避難してこられた避難民については法務省の方で十分に検討がなされているとは存じますが、東欧五か国に避難している子供や女性への支援も重要であると思います。

 そこで、東欧五か国に避難しているウクライナ避難民、特に子供に対する教育支援や女性に対する支援について、外務省から答弁を求めたいと思います。

植野政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで日本政府が決定した計二億ドルの、ウクライナ及び周辺国における避難民向けの緊急人道支援でございますけれども、今委員からもお話ありましたけれども、我々、国連等のアピールを基に国際機関やNGOと調整した結果、避難している方々の多くが女性と子供であるということを踏まえまして、その女性と子供に配慮した内容ということになっておりまして、周辺国に避難されたウクライナの避難民の子供さんに対する教育支援、それから女性に対する支援というのが含まれております。

 具体的には、国際機関が実施する教育支援には、かばんとか文房具といった教育用品をお子さんに配布する、あるいは避難民のお子さんが避難した先の現地の学校に編入する際のいろいろな手続をお手伝いする。そして、女性に対する支援という意味では、生理用品を始めとする女性向けの援助物資を避難民の方に配布する。それから、性的及びジェンダーに基づく暴力の予防の観点から、いろいろな施策が含まれております。

 さらに、国際機関が実施する支援以外に、日本のNGOが周辺国で実施されている活動の中にも、絵本とか鉛筆、あるいはノートといった教育用品をお子さんに配るとか、あるいは生理用品を配るといった、子供の教育や女性に対する支援が含まれていると承知しております。

 我が国としては、委員御指摘の点も念頭に置きながら、今後とも、G7を始めとする国際社会とも連携しながら、現地のニーズを的確に把握して、困難に直面するウクライナの人々、特に女性や子供さんに寄り添った支援というのを実施してまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 どうかよろしくお願いいたします。

 最後に、公明党は、ウクライナ避難民について、三月十四日に松野官房長官に対して、日本への留学生受入れなどの枠組みを創設することを提言をしております。

 この点、四月十四日の日経新聞によると、日本の大学が個別に受け入れとの記事が掲載されております。政府では、ウクライナを含め、戦争から避難してきた学生や研究者を支援する包括的枠組みというものが現時点ではございませんが、同紙によると、専門家からの体制整備を求める声が出ているとのことでございます。

 そこで、この点につき、大学を所管する文部科学省はどのように取り組まれようとしておられるのかについて答弁を求めたく存じます。

里見政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナからの学生に対し、自大学への受入れやオンライン授業の提供を通じて支援する動きが国内の大学で広がっており、既に複数の大学では学生を受け入れたと承知しております。

 日本学生支援機構におきましては、ウクライナ学生等の受入れを表明している大学とその支援の内容につきまして、情報をまとめて発信するウェブページを四月十一日に公開をしており、新たな情報が入り次第、迅速に更新しております。

 文部科学省といたしましては、既存の留学生の受入れ支援策の活用の可能性も含めまして、ウクライナからの学生の支援策について、受入れ等を表明された大学等と連携し、しっかりと検討をしてまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

城内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

城内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。和田有一朗君。

和田(有)委員 では、早速質問に入りたいと思います。

 政府のいろいろな機関は、国土を表す地図をホームページに載せたり資料に載せたりしているんですけれども、そのことをまずお聞きしたいと思うんですね。

 まず、本家本元の外務省は、各国の地図というものの中で、とりわけ台湾の辺りを含む地図というのはどのように表記をなさっておられますか。

岩本政府参考人 外務省のホームページにおきましては、台湾に関する一般事情、また日台関係等の基礎データを、ホームページ上の国・地域の中のアジアの項目に掲載して紹介をさせていただいております。

 紹介させていただくときに、いわゆる中華人民共和国と台湾とは別の項目になっておりまして、台湾は台湾そのものとして紹介をさせていただいておりまして、地図も別途載せさせていただいているところでございます。

和田(有)委員 見せていただきましたけれども、国・地域というふうな表現の中で、中華人民共和国は存在し、香港も存在し、そして台湾も存在している。極めて常識的な表現になっております。

 では、今日、資料でも皆様にもお配りもしているんですけれども、国土交通省は、各国の情勢というものを表すときの地図はどのように表記をされておられますか。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 委員から今御指摘のありました国土交通省国土政策局のホームページ上の地図でございますが、これは、各国の国土政策を紹介する中で、中華人民共和国、中国について、中国側が作成した資料などをまとめる形で掲載していたものであります。

 なお、今般、委員からの御指摘もありましたことから、既に修正はさせていただいているところであります。

 以上であります。

和田(有)委員 そうなんです。皆さんにお配りしたのは、おとつい私がチェックをした地図でございまして、昨日の夜、確認のため見ますと、若干修正がなされている。

 ところが、私、この場でどのように御答弁があるのかなと思ったんですが、これはどう修正されているかといいますと、後で皆さん、会館に戻ってホームページでも開けていただきたいんですが、この地図の台湾省を消しちゃっているんです。単に、この地図から台湾の島、フォルモサ島というんですかね、何というんですかね、正式名称、あれを消しているだけなんですよ。果たして、こういう向き合い方でいいんだろうか。

 いや、消していただいたことは、まず一ミリ前進ですから。一メートル、百メートルいってほしいわけですけれども、まあゼロよりは、ゼロから一にいくのは大変なことなので、大きな進歩だと私は思いますけれども、この地図から台湾省を消してしまった。この世から台湾が消えてしまったみたいな世界なんですよ。私、これも若干いかがかなと思います。

 さらに、きちっと各国の状況を示すために、中華人民共和国のものを見せるためにそういう地図が必要だというのならば、それはそれで物の捉え方はありますけれども、大きな誤解を、やはりこういうものは、表にぼおんと載っていると、出てくると思うんです、私は。

 そこで、外務省の方にちょっとお聞きしたいんですけれども、日本政府の中でいろいろな行政機関がホームページなんかでアジアの地理であったりそういうものを載せている、そういうことについて、やはり誤解を生むような、要は、中華人民共和国に対して誤解を生むんじゃなくて、世間一般に対して誤解を生むような地図を載せているかどうかというのはきっちりチェックをして、外務省の立場に立って修正を求める、修正を求めるって変ですね、外務省がほかの省に修正を求めるというのもおかしなことだと思うんですが、政府は、日本国政府は日本国政府で一つなんですから。でも、そういう作業をすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

岩本政府参考人 台湾に関する我が国の基本的立場は、一九七二年の日中共同声明第三項にあるとおりでございまして、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」というものでございます。

 したがいまして、台湾の表記の問題を含めて、この立場に基づいて適切に実施していくことが必要と考えております。

 その上で申し上げれば、各省庁のホームページ、これは現時点で外務省として網羅的に把握をしているわけではございませんけれども、ただいま申し上げました日本政府の立場を踏まえて、適切に表記されていくようにすべきであると外務省としても考えております。

和田(有)委員 私たちは、前もお聞きしましたけれども、日中共同声明の中で、中華人民共和国が言っていることは理解をしているし、尊重はすると。ただ、私たちの国のそれは政策ではないわけですよ。中華人民共和国の政策であって、私たちは私たちの、私たちは独立国であって、主権の存する独立国であって、私たちの意思があるわけですから、向こうの言うことをそのまま、そのとおり、地図ならそれを転載して、これは転載しているんですよ、中国の地図を、さっきの国土交通省は、そういうことであっては私はならないと思います。ですから、もう一度しっかりとそこら辺をよく考えていただきたい。

 この点に関しては、取りあえず一旦ここで終わりますけれども、ただ、一点言えることは、かつて日本が中華民国と国交を持っていた時代、台湾の地図であったり国土に関する表記、例えば面積の要件であったりそういうことを書いているもので日本の当時の検定を通った地理の教科書には、中華民国と、台湾は分けて書いてあります、あのときはちゃんと。

 ところが、今、一緒にしてしまっているんですよ。国土交通省のこの資料の中にも、この次のページには、中国の面積とかそういうのが出てくるわけです。それが、中華人民共和国の中に台湾省を含めた面積になっているんですよ、今。

 でも、昔は、中華人民共和国と我々が国交がなかった時代はちゃんと分けていたんですよ。なぜこんなことになってしまっているんでしょうか。

 このことを今日は触れるつもりで言っているんじゃないんですけれども、しかし、やはりどうも向いている先が違うんじゃないかと思います。日本国民を向いて日本の政府が存在しているのではなく、北京を向いている日本政府ではないかというふうに私はやはり思ってしまう。それがやはり今までの私たちの外交的なマイナス要因をつくっているのではないかと思いますので、このときに取りあえず触れておいて、次に行きますね。

 次にお聞きしたいのは、じゃ、今の教科書の地理で、台湾はどのように地図はなっているのかということをお伺いします。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 教科書の検定基準におきましては、外国の国名の表記は、原則として外務省公表資料など信頼性の高い資料によることとしてございます。また、外国の地名の表記につきましては、慣用を尊重するとしてございます。

 このような表記の基準を踏まえ、各発行者におきまして、先ほどもありましたけれども、外務省ホームページにおける表記などを基に、教科書における台湾についての表記を行っているものと認識してございます。

 令和四年度に使用されている地理の教科書や地図帳におきましては、台湾と表記しているところでございます。

和田(有)委員 信頼性に足る知識がどうのこうのという表現が出てくるんですけれども、実態に合わないものを載せたって駄目ですから。先ほどの国土交通省のだって、これは中国の国内の行政区画、ただ、日本から見れば、じゃ、行政区画だからといって、台湾でビジネスをしたい人が北京に行って何か許認可をもらうなんということは到底あり得ない話で、それは台北に行かないとできないんですよ。これが実態というものなんですね。

 ですから、やはり教科書検定の中で言われている信頼性ということは、台湾は台湾として、当然、別建てで書くべきだろうし、そういうことをきっちりとやっていただきたいと思うんです。

 教科書検定というのは、政治的、行政的意図が介入する余地のないものだ、こう言いますけれども、どう考えても、中国政府の言い分で書くとすれば、それは政治的な書き方になっているということに私は理屈でいくとなると思います。

 そういう意味でいうと、日本の、日本人が学ぶ、日本人が学ぶって、今の時代、ちょっと、きっちりした正確な表現じゃないかも分かりませんね。日本で勉強する日本の子供たちが使う教科書ですから、やはりそういう意味で、日本の中での政治的な中立性を求めるべきだろうと私は逆に思います。

 このことはこの程度にしておきまして、次に私はお聞きしたいことは何かというと、今回の教科書検定で、じゃ、そういうふうな中で何が起こっているかというと、領土教育についてお聞きしたいと思うんですが、領土教育についてお聞きしようと思っていますと、歴史の分野で政府の統一的な見解がどうも徹底されていなかったのではないかという報道があります。

 北方領土や竹島、尖閣諸島については、地理探求、政治・経済は全て、日本固有の領土と記述すべきところが、歴史分野においてはどうもそれが徹底されていない状況があるらしい。

 その辺について、どのようになっておられますか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 新学習指導要領では、高校の地理科目や公民科目におきまして、北方領土、竹島、尖閣諸島について固有の領土として取り上げることとされており、そのことを踏まえた記述が全教科書においてなされてございます。

 他方、ただいま御指摘のありました歴史科目につきましては、科目の特性もあり、固有の領土として取り上げることまで規定されておりませんので、教科書においてどのように記述するかにつきましては、発行者の判断に委ねられているところでございます。

 科目により学習指導要領上の扱いは異なりますが、小中高の学習指導要領を通じて領土に関する内容は充実されており、また、教科書における領土に関する記述も全体として充実しているものと認識してございます。

和田(有)委員 ここは外務委員会ですから、文科委員会ではありませんから深く議論するわけにはいきませんけれども、しかし、どうも私は合点がいきませんね。政府の統一見解があり、政府のはっきりとした方針があるのに、教科書は自由だみたいに聞こえてくるんですよ、おっしゃっていることが。

 それではやはり独立国としての日本の主権はどこにあるんだ、本当にこの国はきちっと独立国としての威厳があるのかと私は思うんですね。そんなことを言っているから、いろいろと、後で別の形でお聞きしますけれども、中国や韓国から、教科書を検定したことに関して非難をされたり申入れがされたりすることになってくるわけです。

 やはりそれは、今私が申しましたように、政府見解があるのに、あとは自由ですよみたいな表現になってくる。それはちょっといかがかと思うんですが、もう一回、そこら辺、いかがですか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、事実に基づきまして、学習指導要領においてしっかりと学校でどう教えるかということを定めるわけでございまして、教科書は、学習指導要領を踏まえて、それぞれの判断におきまして教科書を発行しているところでございます。

 いずれにいたしましても、領土問題につきましては、学習指導要領でしっかりと教える、そして、それを踏まえて教科書でしっかりと教えるというような構造になってございますので、御理解賜ればと思います。

和田(有)委員 領土教育に関してはそうだと。それをやはり歴史分野であろうが何であろうが一貫してやっていただけるように、学習指導要領を触ればいい話ですから。

 何度も言うように、ここは文科委員会じゃないので、そのことを議論するわけにはいきませんけれども、地図から派生して、私は申し上げておきたいと思います。

 次に、では、今申しましたように、先般、これは三月二十九日かな、韓国政府がソウルの日本の大使館に対して、日本で、東京で、我が方、外務省に対して、中国は、中華人民共和国外交部は三月三十日の定例会見で、そして三月三十日、やはり東京にある中国の大使館から我が方に対して、教科書検定制度の結果について抗議をしてきております。

 要は、これはもう既に、文科省の皆さんは、中立的だとか、これはどうだこうだと言っても、政治マターなんですよ。外交として言ってくるわけですよ、彼らは。

 そういうこともあるんですが、そういった検定結果になっているからこそ、私は今改めて、ウクライナ侵攻についてもしっかりと受け止めて、それを現場で教えていく必要があると。その中で、自国の危機というものを、危機感というものをあおるんじゃなくて、しっかりとそういうことを冷静に学ぶような教育をすべきだと思うんですが、そこら辺についてはいかがですか。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の件に関しましては、学習指導要領やその解説におきまして、領土と国家主権や、また、我が国の安全と防衛などに関する内容として取り扱われております。

 具体的には、少し長くなって恐縮でございますが、中学校の社会科におきまして、固有の領土を持ち、対外的に独立を守る権利を持つ国家は、国際社会において、原則的に平等の地位を与えられており、全ての国家の主権が相互に尊重されなければならないことを理解すること、また、戦争や地域紛争を防止し、世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育成すること、また、日本国民は、憲法の平和主義に基づいて、戦争や地域紛争を防止し平和を確立するために率先して努めなければならない使命を持っていることについて自覚すること、このようなことを学ぶことになっております。

 また、高等学校におきましては、今年度から新たに必修科目となった「公共」におきまして、領土が国民の基本的な生活を保障し資源を確保する領域であることを踏まえ、領土に関する国際的な取決めについて理解すること、また、領土問題については、国際平和の維持と安定のためにも、平和的な解決に向けて広い視野に立って継続的に努力する態度が必要であること、また、様々なレベルでの国際協力など我が国の安全保障に向けて多角的な努力といった、我が国の防衛や国際社会の平和と安全に関する基本事項について、広い視野に立って理解すること、このようなことを学ぶこととなっております。

 各学校におきまして、こうした学習指導要領等の内容を踏まえまして、児童生徒や地域の実情に応じて適切に取り扱われているものと認識をしております。

和田(有)委員 私、今答弁を聞いて分かりました。学習指導要領を変えなきゃいけないんですよ。

 適切に教えられていますと言いますが、ウクライナで一方的に軍事侵略を受けて戦争をしかけられている国があるということを、平和憲法があるからどうだとか、平和を学ばなきゃいけないというようなことを更に超えて、私たちは現実を直視をして、いかに自分たちの国が危機にさらされるか、いかに守るかということを学ぶべきだと私は思うし、そのためには、学習指導要領からと言われたから、学習指導要領を変えるべきだということに、今日の答弁で私は学びました。

 そういう方向でやっていただきたいと私は思いますが、ここで言ったって、何にも今、文科委員会でもないし、文部大臣が、末松先生が答えているわけでもないし、政策決定者がそのことを議論しているわけでもないから、これ以上聞きませんけれども、今のままでは、私は、ウクライナのことを他山の石として、私たちの独立を守る教育につながるとは余り思えない答弁だと思いました。

 ということで、そこで、じゃ、学習指導要領に触れたので、もう一回元に戻って、教科書検定についてお聞きしようと思うんです。何をくどい、あっち行きこっち行きと言われるかも分かりませんが、教科書検定のことをお聞きします。

 今回の検定で、現代の国語という検定だったんですね。ここには文学作品は載せないと文科省が言っていたにもかかわらず、文学作品を載せた教科書が通っちゃった。それをちゃんと守っていたほかの教科書会社は、おかしいんじゃないか、不公平じゃないか、こうおっしゃったんですね。

 そこら辺について、公平性を踏みにじるような、そういう状況が生まれたのではないかと思うんですが、そこについてはまずいかがお考えですか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありました、現代の国語の教科書に小説が盛り込まれることは本来想定されていなかったものでございますが、学習指導要領上では、読むこと以外の教材として小説を掲載することまで一切禁止しているものではなく、当該図書につきましても、教科書検定審議会における審議結果に基づき検定合格となったものでございます。

 文部科学省といたしましては、各学校において、どの教科書を用いるにしても、今般の学習指導要領改訂の趣旨や現代の国語の科目の特性を踏まえた適正な指導が行われるよう、指導助言をしてまいりたいと思います。

和田(有)委員 どういうお答えをしているのか私には余り理解できないんですけれども、どうとも取れるようなお答えなんですね。でも、現実には、ある社だけが、見た目からはどう考えたって常識から考えればおきて破りをやって、それでいいシェアを取っちゃって、何だ、こういうことになっている。そういう誤解を招かないようにやるべきだと思います。特に検定に関しては、いろいろな方面からいろいろな角度で批判は出ます、この制度に関しては。それだけ不都合なる制度だと私は思っていますから。私はそう思っています。

 次に、同様の、同様とは言いませんけれども、検定の中で、ある社の中学校歴史教科書が、やたらいろいろな細かい点について訂正申請が出てきて、最終的に、検定意見がいっぱいつけられて、普通ならその程度は事前の修正のやり取りの中で終えるものが全部一遍に出されて、一発不合格になったということがありました。

 これはやはり、どうも、これも公平性を欠いているんじゃないか、ほかの社とやるときとやり方が違うんじゃないか。何かもう、目の敵のようにそれをやっているように見える。そういうふうに見る節もあります。そこら辺についていかがでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年度の中学校歴史教科書の検定におきまして、四百五件の欠陥箇所を理由として検定審査不合格決定を行った件につきまして、これを違法とする訴訟が当事者より提起されているところでございます。

 教科書検定は、教科用図書検定調査審議会で学術的、専門的な観点から審査されるものでございまして、本件の不合格決定は、この教科書検定制度の下、審議会の答申に基づき文部科学大臣が適法かつ適正に行ったものであり、公平な、公正な取扱いがなされたものと文科省としては認識してございます。

和田(有)委員 私は公平であるとは受け取れません。そう思う方が結構たくさんいらっしゃる、だからこそ、いろいろな議論にもなっている。

 それはいろいろな背景があって、いろいろな角度からいろいろな議論は起こりますよ。でも、私が言ったような考え方でそのことを受け止め、議論される方は大変多いんです。そういうことも、公平性という観点からいうと、やはり受け止めておくべきだと私は思いますので、申し上げております。

 それで、次の質問なんですけれども、こういった中で、今回の教科書の検定がなされて新しい教科書に替わっていくわけですけれども、歴史教科書で政府の統一的な見解に基づいた記述がなされていないものが幾つかある。はっきり言えば、河野談話の部分です。いわゆる慰安婦問題という言葉の使用であったり、そういった部分です。

 果たして、この歴史教科書で政府の統一的な見解に基づいた記述がされていないということについて、どうお考えになっておられますか。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 昨年の四月に、質問主意書への答弁書という形で、従軍慰安婦、強制連行等の表現につきまして閣議決定がされているところでございます。

 教科書検定基準においては、従来より、閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていることが基準の一つとされております。この検定基準は、政府の統一見解とは異なる見解を一律に排除するという趣旨ではございません。例えば、政府の見解に触れた上で、それとは異なる見解を示すことまでは否定はしておりません。

 今委員御指摘の歴史教科書につきましては、教科書検定調査審議会におきまして、このような検定基準を踏まえて審議した結果、修正により、政府の統一的見解についての記述がなされたと判断されたものと承知をしております。

和田(有)委員 修正がなされたとしている、こういうことなんですが、果たしてそうなんですかね。

 それは、我々は、その審議会であったり、そういう教科書のどうこうにいて、ここで言っているんじゃないですけれども、私は、どうも修正なされているようにも感じられないし、大体、まずそもそも、政府の統一見解なんて関係ないみたいに聞こえてくるんですよ、おっしゃっていることは。それではやはり、この国の主体的な一体性というんですかね、そういうものが保たれないような気がいたします。

 これ以上聞いても、日中共同声明の議論と一緒で同じ答えしか返りませんから、ここでは今日はもうやめておきますけれども。

 そこで、こういったいろいろな議論がある中で、まさにウクライナの侵攻でも見られるいろいろな出来事がある中で、日本への重大な主権や人権侵害を続けるロシアや北朝鮮の強硬姿勢を踏まえた中で、自国の危機意識を醸成するような教育をつくらなければならないと私なんかは思う中で、韓国や中国から検定に関してもいろいろなことを批判をされる、あるいは台湾表記が曖昧に各省庁でなったりする、そういうことが隙を与えていくような気がするんですが、こういったことに関して外務大臣は何かお感じになることはありますでしょうか。

林国務大臣 台湾は、日本にとって、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であります。台湾との関係については、今いろいろ御議論いただきましたが、しっかり我が国の基本的立場を踏まえながら、引き続き、適切に対応していきたいと思います。

 また、御指摘のあった我が国の主権や領土をめぐる問題については、今後とも引き続き、我が国の領土、領海、領空、これを断固として守り抜く、そうした決意の下で、冷静かつ毅然と対応してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 冷静かつ毅然と対応をしていただきたいと思います。

 次に移ります。朝鮮半島情勢です。

 韓国に新大統領が生まれて、そして、もうじき、間もなく、韓国からも特使団というんでしょうか、皆さん来られるというふうにも伺っております。新大統領とどう向き合うのかということ。

 それともう一つ、ソウルにあるいわゆる慰安婦像なるものに対して、我々は、早く撤去をすべき、これは歴史的事実に基づかない、ちょっと違う角度から言っている。これはちょっと違うと思って、我々は、あれはどけるべきだ、こう言うわけですが、全然向こうは、動いたんですかね、あれは何メートルか、何か一回動いたときがあったんですかね、たしか、どうでしたか、ちょっと覚えていませんが、どける気配がない。まして言えば、韓国は日本の企業の資産を接収しようとしている。こういった大変な状況にあるわけです。

 そういう中で、全てウェルカムというわけにはいかないだろうと思うんですが、新しい大統領とどう向き合うのか、そしてこの慰安婦像についてどうなさるのか、お聞きします。

林国務大臣 国際社会が時代を画する変化に直面している中で、健全な日韓関係というのは、ルールに基づく国際秩序を実現し、地域及び世界の平和、安定及び繁栄、これを確保する上で不可欠であると考えております。

 また、一連のICBM級の弾道ミサイルの発射を含め、北朝鮮による核・ミサイル開発が一層活発化する中で、北朝鮮への対応を含めて、日韓米三か国の連携、これは大変重要であるわけでございます。

 一九六五年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づいて日韓関係を発展させていく必要がありまして、尹錫悦次期大統領のリーダーシップに期待をするところでございます。日韓関係改善のために、尹次期大統領を始め、新政権と適時適切なレベルで意思疎通をしていく考えでございます。

 そして、在韓国日本大使館前の慰安婦像についてでございます。

 二〇一五年の日韓合意によりまして、韓国政府として、日本政府が公館の安寧、威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、適切に解決されるよう努力するということを確認をしております。

 我が国としては、これまで累次にわたり韓国側に対して適切な対応を求めてきておりまして、今後も求めてまいりたいと思っております。

和田(有)委員 毅然とした態度で臨んでいただきたいんですけれども。私は、本気で日韓関係の改善を韓国が図ろうという意思があるならば、まず、慰安婦の問題、慰安婦像をどける、それから、徴用工の訴訟について、きちっと向こうが向き合う、何がしかの答えをきちっと出す、そういうことをしてからでないと、我々は、今のこの極東アジアの状況の中で、我々、日米韓の緊密な連携というのは必要だけれども、やはりこれがまず第一条件だというふうに臨んでいただきたいと思います。

 では、次に行きます。次は、竹島の話を聞きたいんです。

 これは、韓国が実効支配してしまっている。この竹島の対応に対して、例えば竹島の日であったり、いろいろな作業をやったりするのを島根県という都道府県はやっているんです。ところが、政府としてはなぜかできない、日本国家としてその対応ができていないと私は思うんです。これはなぜこういうことになるんでしょうか。

林国務大臣 竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も我が国固有の領土であり、韓国による竹島の占拠は不法占拠でございます。政府としては、引き続き、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下で毅然と対応してまいりたいと思っております。

 その上で、御指摘の点を含む竹島の日への対応については、諸般の情勢を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 諸般の情勢とは、あえて聞きますが、何でしょうか。

林国務大臣 具体的な検討内容を明らかにすることは、竹島問題に関する今後の対応に支障を来すおそれがあることから差し控えたいと思いますが、政府として、竹島問題について、引き続き、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下で毅然と対応してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 私がいつも質問することは、大体こういうことで最後同じことの繰り返し、リフレインになってしまいますので、これ以上は、今日、時間がもうちょっとしかないので、行きますけれども。

 じゃ、私は思うんですけれども、なぜこれは、外交カードとして、強い外交カードを持って交渉に臨めないのか。それはもちろん、外交カードなんかには軍事力というのもあるんですよ。しかし、それを外したとして何が足りていないのかと考えたときに、例えば、竹島もそうです、尖閣もそうです、いろいろな歴史的な事象に関して資料を集めて分析をし、きっちり研究をして、そしてその成果をアピールをしていく、そういうことをする機関を外務省が持っていないからそうなるんじゃないか。

 いろいろなところに委託をして研究してもらいました、いろいろな論文を書いてもらいましたというのはあるかも分からないですけれども、自らそういう研究機関なりそういうものを持っていないから、そういう、しっかりとした外交カードを切るような情報とか知識を出すことができないんじゃないかと私は思うんですが、その点についていかがお考えになりますでしょうか。

岩本政府参考人 外務省としましても、我が国の領土、主権に関する立場につきましては、内閣官房を始め関係省庁と緊密に連携し、歴史的資料等による客観的な事実に基づいて国際社会に働きかけること、これが重要だと認識をしております。

 その一環として、領土・主権・歴史調査研究支援事業補助金により、我が国の研究機関による自主的な領土、主権及び歴史に関する調査研究、研究成果の国内外への発信等を支援しております。

 また、世界各国にあります在外公館による対外発信に加えまして、有識者や報道関係者の招聘、派遣、竹島に関する動画やパンフレット等の作成といった取組も行っております。最近では、今年四月に竹島問題の啓発のためのスマートフォンアプリをアップデートするなど、国民世論の啓発や国際社会への広報を強めているところでございます。

 御指摘の点を含めまして、引き続き、我が国の領土、主権に関しまして戦略的に対応するための有効な方策を不断に検討していきたいと思っております。

和田(有)委員 有効な手だてを考えていくと。補助金を出して研究してもらったりしているというんじゃなしに、自らやはり外務省の中に資料編さん研究所とか何かそういうものをつくって、専門の専門官を置いて研究すべきだと私は思います。

 次の北朝鮮の制裁はちょっと次に回しまして、その次に行きます。

 ウクライナ侵攻で、今ロシアは戦争犯罪をしているんだ、こういうふうに言われ、岸田総理もそのように言われております。

 そういう中で、我が国は、じゃ、戦争犯罪をしているロシアに対してどう向き合うのか、そのことでどう私たちは取り組んでいくのかということについてお聞きをします。

加田大臣政務官 和田委員の質問にお答え申し上げます。

 まず、我が国といたしまして、ロシア軍の行為によりましてウクライナにおいて多くの市民が犠牲となっております。そのことは極めて深刻であり、本当に受け止めなければいけませんし、強い我々も衝撃を受けております。こうした残忍な行為は真相を明らかにされなければならないと考えております。ロシアの責任は厳しく問われなければいけないと考えております。

 我が国は、それにおいて、戦争犯罪が行われたと考えることを理由にいたしまして、ウクライナの事態を国際刑事裁判所、ICCに付託しております。既にICC検察官の方は捜査を開始しており、四月十三日にはキーウ近郊のブチャを訪問しておりました。引き続き、捜査の進展を期待しております。

 実際、このことにつきましては、まだまだ、我々につきましても、何ができるか、そしてどういうことをこれからやっていくか、和田先生の今の、先ほどの御指摘もそうなんですけれども、しっかりと受け止めていきまして、日本政府としましても、どのようなことができるのかということについて、さらにどのような支援ができるのか、あらゆる選択肢を検討させていただきたいと思っております。

和田(有)委員 報道では、検察官をICCに派遣をして調査をするというような報道も出ておりましたが、その点はどうですか。

加田大臣政務官 お答え申し上げます。

 お尋ねのICCへの検察官の派遣については、まだ決まっていることではありません。報道ベースではもちろん承知いたしております。

 先ほど申し上げましたように、これはまた付託をして、いろいろな準備というものはやはり我々もしっかりとしていきたいと考えております。

和田(有)委員 じゃ、しっかりやってください。

 時間が来てしまいましたので。あと、実は、国際宇宙ステーションの運用についてロシアとの関係をお聞きしようと思ったんですが、ちょっとさすがに時間がなくなりましたので、この辺で終わります。また次回聞かせていただきます。

 終わります。

城内委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 今日はウクライナ情勢についてということですので、このウクライナの危機をめぐって様々な各国からの発言があるんですが、その中には、これまでの日本外交がなめられていると思わざるを得ないような極めて深刻な発言というのが幾つか散見されます。今日は、そのうちの三つだけ取り上げて、日本政府の見解についてお伺いしたいと思います。

 一つ目は、薛剣在大阪総領事、中国の総領事ですね、この方、二〇二二年二月の二十四日にツイッターで御本人がこんなことを言っています。ウクライナ問題から銘記すべき一大教訓、弱い人は絶対に強い人にけんかを売るような愚かなことをしてはいけないこと、このことというのは何かよく分かりませんけれども、仮にどこかほかの強い人が後ろに立って応援すると約束してくれてもだ、こういうことを言っているわけですが、これについて外務省あるいは日本政府はどのように考えますでしょうか。

林国務大臣 個人の発信の一つ一つについてコメントはいたしませんが、ロシアによるウクライナ侵略に関しては、国際秩序の根幹を守り抜くために、国際社会が結束して毅然と対応することが重要でございます。

 これまで、我が国として、中国に対して責任ある行動を呼びかけてきており、引き続き、G7を始めとした関係国と緊密に連携して対応をしてまいります。

青柳(仁)委員 個人の発信について特に何も言わないということでしたけれども、私は、そういった態度がなめられるんじゃないかと思うんですね。

 今、このロシアの戦争、侵略の中では、情報戦というものが極めて重要になってきております。特に民主主義国家においては、国民の認識、認知というものが戦争の結果に大きく影響すると言われる中で、こうした一方的な、しかもかなり偏った発信をしている相手に対して毅然として言い返すこともしないということは、これは情報戦あるいは認知戦の中では極めて不利な状況にある、このように考えておりますので、そうした姿勢については正すべきではないかと思っております。

 また、この発言が問題があると思うのは、これは日本の中にもこういったことを言う論調が一部あります。例えば、戦争というのは両者が戦っているわけであるから、侵略された側も武器を手放すべきであるとか戦うべきでないだとか、あるいは、人命重視ですから、今すぐ戦争をやめるには両者が武器を手放さなければいけないから、ですから侵略されている側も武器を手放すべきだ、こういう議論がこの方だけではなく一定あるのは事実だと思うんです。

 そうした、ある意味で私はこれは誤った認識だと思うんですが、こういったものを広めていくことがまさに情報戦であり、認知戦であるという、現代のハイブリッド戦と言われる戦争ですから、こういったことにおいて、防衛省だけではなくて外務省も情報戦、認知戦の一端を担っているんだという意識で、しっかりとした情報発信、また、こうした偏った許されない発言に対しては毅然とした言い返しをしていくということは、これは極めて我が国の安全保障上重要なことである、このように考えております。

 二つ目ですけれども、これも非常に問題がある発言だと思うんですが、ドミトリー・メドベージェフ前首相、大統領ですね、ロシアの、この方がこんなことを三月の二十三日に言っておりました。クリル諸島、北方領土と千島列島をめぐる交渉は常に儀式的だった、日本は米国に従い、我々に制裁を科した、この交渉は今や何の意味もなくなったと言っています。常に儀式的だったということで、これは完全に日本とやってきた外交をばかにしているわけですけれども、これについてどのように思われますか。

林国務大臣 ロシア外務省は、ロシア時間の三月二十一日でございますが、ウクライナ情勢に関連して日本が行った措置が一方的な非友好的な措置であるとして、こうした措置を踏まえて、平和条約交渉を継続しない等の措置を発表しております。

 こうした中で、前ロシア大統領であるメドベージェフ・ロシア安保会議副議長が、今御紹介いただいたような対外発信を行っているということは承知をしております。

 日ロ間では、首脳レベルを含む様々なレベルで、累次の機会に平和条約交渉を進展させる意思を確認をしてきました。そのような中で、今回の事態は全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものでありまして、それにもかかわらず、日本側に責任を転嫁しようとするロシア側の対応は極めて不当であり、断じて受け入れられず、抗議をいたします。

 メドベージェフ副議長の発信も、これまでの日ロ間の交渉経緯を踏まえておらず、受け入れられないと考えております。

 いずれにせよ、今回のロシア外務省の発表に対する日本政府の立場は既にロシア側に対して重ねて伝達をしておるところでございます。

青柳(仁)委員 この発言に関しては認められるものではない、それから事実に基づいたものではないという明確な御答弁をいただきましたので、そういった形でしっかりと、誤った認識に対してはきちんと正していくということが極めて重要だと思っております。

 ただ、一方で、今お話ありましたが、進展させるべく確認をしてきた、そういう外交努力を続けてきたというお話がありましたが、これは先ほどの和田議員の質疑にもあったんですが、竹島に関してはどうですかというふうに聞いたところ、不法占拠であるということは確認をしながら、適宜適切な対処を行ってきたということなんですが、これは言ってみれば、不法占拠である、遺憾であると言いながら、特段、その状態をずっと続けてきたということでもあると思います。そういった状況は、相手から見れば儀式的であったと思われてもやむを得ないのではないかと思いますので、そういった儀式的な外交というのは私はやめるべきだと思います。

 そうではなくて、しっかりとした、竹島に関しても、千島列島、北方領土に関しても、きちんと事態が動くように能動的で積極的な外交をしっかり行っていく必要がある、それが現地の方々やあるいは解決を求める国民の期待だと思いますので、外務省の一層の努力を求めたいと思います。

 三番目に、セルゲイ・ミロノフ下院議員、これもロシアの下院議員ですね、こんな発言をされています、四月の七日ですけれども。どの国にも願望があれば、隣国に領土要求を提出することができる。専門家によれば、ロシアは北海道の権利を有している。日本の政治家たちが第二次世界大戦の教訓と関東軍の運命を完全に忘れていないことを願っている。さもなければ、我々は彼らにその記憶を新たに呼び覚まさなければならないだろう。

 こう言っているわけですが、これについてどのようにお考えですか。

林国務大臣 今御指摘がありましたミロノフ・ロシア下院議員の主張でございますが、これは一議員の個人的な見解にすぎず、根拠が全くないものであり、受け入れられないと考えております。

青柳(仁)委員 根拠が全くないとおっしゃいましたけれども、全くそのとおりだと思います。

 いずれにしましても、ここで重要なのは、どの国にも願望があれば、隣国に領土要求を提出することができる、これは何の法律にも何の決まりにも基づいていないことをひたすら言っているわけなんですが、ただ、忘れてはならないのは、この理屈でウクライナを侵略したということなんです。

 つまり、ウクライナを侵略したのと同じ理屈でこの日本を脅したという事実は、我々そして外務省もこれは覚えておかなければならないと思います。これは個人とおっしゃいましたけれども、上院議長を長く、十年ぐらい務められた方です。つまり、ロシアのある意味で民意で選ばれた国会議員をずっとやっていた方ですから、これが一個人の発言として許されるものではない、私はそのように思っております。

 それからもう一つ、これは今日通告していませんので、また今度改めて取り上げたいと思いますが、ガルージン大使が、どういうわけか、我が党の代表に対して、ウクライナ軍が今行っていることはジェノサイドで、ナチスの蛮行であってというような、よく分からない手紙を送られてきたわけなんですが、これについての見解も、また次回でもお伺いできればと思いますが。

 こういった、ある意味でロシアのプロパガンダというような情報があちこちにあふれている状況ですが、外務省はこれまでは、今の御答弁にもありましたが、個人の発言ですだとか、あるいはコメントは差し控えるというような態度を、一般的だと思いますが、やはり情報戦、認知戦と言われている中においては、そういった一つ一つのことをきちんと正していくこともこれは重要である、我が国の安全保障上重要なことであると思いますので、その点の対応をしっかりとお願いできればと思っています。

 それから、この点も通告していませんので、ちょっと一つ、言及だけになりますが、今ウクライナからたくさん、たくさんではないですが、難民がようやく少しずつ日本に来ております。これに関しては、様々な、入管ですとかあるいは外務省の現地での努力というのがあった上で、過去に比べると、こういった緊急事態のときの受入れというのは随分積極的になってきたという印象があるんですが、今、大阪にかなりそういったウクライナ難民の方がいらっしゃっています。

 今、大阪市が、大阪市民を頼って市内に避難されたウクライナの方々の当面の生活資金を支援するために、大阪市ウクライナ支援募金というものをつくっております。これで、彼らは本当に何も持たずに来ているのでなかなか生活ができないという中で、こういった、これはふるさと納税ですね、ふるさと寄附金を使って、本当に厳しい大阪市の財政状況の中で、よそから来るふるさと納税を使って何とか支援をしているという状況なんですね。

 ですが、そんなに大した大きなお金ではありませんので、本来はこういったところは国がやるべき仕事ではないかと思いますので、ビザの発給であるとか入管であるとかというところの措置は行われているというのはお伺いしていますけれども、是非、難民の方が到着された後の生活の支援というものに関しても、予算の手当てとしっかりとした対応をお願いできればと思っています。

 それから、ちょっと一つ議題を飛ばさせていただいて、核抑止力の強化についてということについてお伺いしたいと思います。

 今回、ウクライナのこの情勢の中で、ロシアが核を使った威嚇ということを行ってきております。こうした中において、我が国の核の傘というものは正常に機能しているのかということが疑問視されているわけですけれども、まず、少し前に核共有についての議論というのがありましたが、そういったことも含めて、今、拡大抑止の議論について、日本政府の認識をちょっとお伺いしたいと思っています。

 先日、これから日本の拡大抑止について、核を使った抑止力の強化の議論をするときに、防衛省の研究所の専門の方をお呼びしてお話を伺ったところ、基本的には、今、二つのタイプの核による抑止力という方法があると。一つは、NATOのように、米国の核兵器を実際に陸上に配備する、これは欧州型、いわゆる核共有と言われるようなやり方、それから、日本や韓国などのように、米国本土にある核兵器で抑止するアジア型というようなものが便宜的には存在しているというような認識だったんですが、こうした認識というのは、日本政府も同様のお考えなんでしょうか。

林国務大臣 御指摘の核共有でございますが、今お触れになっていただきましたように、平素から、自国の領土にアメリカの核兵器を置いて、有事には、自国の戦闘機等に核兵器を搭載、運用可能な体制を保持することによって、自国等の防衛のために米国の核抑止を共有するといった枠組みと承知をしております。

 御指摘の核の傘ですが、確立した定義があるとは承知しておりませんけれども、一般に、ある国が有する核抑止力が他国の安全保障のために提供されることをいうものと承知しております。

 その上で、我が国について申し上げますと、アメリカは、その核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、我が国に対して拡大抑止を提供する、こういうことになっていると承知しております。

青柳(仁)委員 最後におっしゃっていた、あらゆる手段を通じて核による抑止力を提供するというところは非常に重要なわけですが、これも、我が党の中での勉強会の中で言われていたのは、抑止力というのは、結局、相手がどう思うかだということなんですね。我々には相手を攻撃する能力があるとかないとかということを我々が考えていてもしようがなくて、それを相手がどう考えているか。何かやったらやり返されるんじゃないかという脅威として考えるか、あるいは、相当なそういった力を持っていても脅威だと感じないのか、これによって大分違ってくるということなんです。

 そういった観点から、日本政府として、今、日本の周辺海域に米国の原子力潜水艦があるわけなんですけれども、こういったところに核兵器を搭載して日本を核の傘の下で守るというようなことが検討をこれまでも繰り返しされてきたと思うんですが、そういったことはこれまでは余り表に立って出されていなかったと思うんです。

 そういった配備をした上で、そういったことを配備をしているということを対外的に公表することが、その周辺国にとって、これは非常に攻めにくい国になったということで、戦争を起きにくくするような、そういう環境づくりにつながるのではないかと思うんですが、そういったことはお考えにならないでしょうか。

林国務大臣 米軍が公表している情報によりますと、グアム又はハワイを母港とする原子力潜水艦が十五隻ございまして、いずれも米国の核政策上、核兵器を搭載しないものとされていると承知をしております。

 一方で、米国は核兵器搭載可能な核弾道ミサイル搭載型潜水艦、SSBNを保有、配備をしております。ただし、米国は、外国政府からの照会への対応などにおいて、NCND政策、すなわち、核弾道ミサイル搭載型潜水艦を含めて核兵器の所在を肯定も否定もしない政策を取っている、こういうふうに承知をしておりまして、これは隠匿性や残存性を確保するなど、核抑止力を有効に担保するために必要な戦略上の要請に基づくものであると理解をしております。

 我が国を取り巻く安全保障環境や現実に核兵器が存在しているということを踏まえますと、核抑止力を含む米国の拡大抑止は不可欠であり、その信頼性の維持強化のために米国と緊密に協議、協力していくことが重要であると考えておりまして、そうした文脈において、午前中にも御議論いただきましたように、日米拡大抑止協議の場を含めて様々なやり取りを行っているところでございます。

青柳(仁)委員 そういったやり取り、継続したやり取りの中でしっかりとした共通認識を米国側とつくっていくことが何よりも重要だと思いますが、我が国として必要であれば、やはり、米国として、どこに核兵器を搭載した潜水艦、SSBNが沈んでいるかということは言わない方針だ、政策だということだったとしても、我が国にとって必要なのであれば、そのうちの一部は開示してほしいと言うことも、これも外交交渉ではないかと思います。これまでの外交上のやり取りでは考えられなかったことかもしれませんが、でも、それは我が国の国民の生命と財産を守るため、あるいは、我が国が戦争に巻き込まれないための措置ですから、これは非常に重要なこととして検討する余地があるのではないかと思います。

 最後に、技術的なこととしてお伺いしたいんですけれども、今こういった核抑止力、何度も申し上げますが、我が党で議論している核の議論というのは、決して攻撃をしようとか、核兵器を作ろうとか持とうとか、そういったことを言っているわけではないんです。戦争を起こさない国にするために、戦争に巻き込まれないために、あの日本に対して戦争をしかけるのはやめようと思わせるだけの抑止力が必要だ、そういう議論をしているわけなんですが、そういった抑止力の議論の中で、日本海の周辺地域の、今申し上げたような、米国の原子力潜水艦に核兵器を搭載する、すなわちSSBNを配備するということと、現在もアメリカ本土のICBM、これは日本の周辺国にも届くわけなんですけれども、ここに核弾頭を搭載していることということに関して、技術的な意味で、抑止力上に違いはあるんでしょうか。

 というのは、もしアメリカ本土から飛ばした場合でも、日本海周辺の潜水艦から飛ばした場合でも、特段、着弾のスピードやあるいは相手に対する脅威として変わりがないということであれば、これは抑止力として議論する意味がないということなんですけれども、そういった点についてのお考えを教えていただければと思います。

林国務大臣 仮定の質問にお答えすることは差し控えたいと思いますが、あくまで一般論として申し上げますと、アメリカは、これまで累次の機会に、大陸弾道ミサイル、核弾道ミサイル搭載型潜水艦、そして戦略爆撃機、いわゆる核の三本柱の重要性を強調しておりまして、これは効果的な核抑止を確保する上で、この三本柱が多様性と柔軟性を提供するとの考え方に基づくものと承知をしております。

 日本政府として、米国が核を含むあらゆる種類の能力を用いて日米安保条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いており、拡大抑止は機能している、そういうふうに考えております。

青柳(仁)委員 多様性と柔軟性が一定抑止力の議論にとって重要であるという点は極めて大切なことだと思いますので、是非、こういった極めて外交上あるいは防衛上機微な内容に関しても、国民はみんな不安に思っておりますから、今回のこのウクライナ情勢を受けて、そういった不安を払拭するような、しっかりとした情報開示と、また、その開示された情報に基づく現実的な議論というのを今後も行っていければと思っております。

 以上で私からの質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

城内委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 四月十三日に開催されたウクライナ避難民に関する各国大使等と外務委員会理事会メンバーの意見交換会は有意義なものだったと私も思いました。各国がロシアの侵略を非難し、難民支援の取組の姿勢、各々財政的困難を抱えながらも、民間や市民の協力の下でなし得ている現状等々を学ぶ機会となりました。

 そこで、初めにウクライナ情勢について外務大臣に質問します。

 ロシアのプーチン大統領は十二日、ウクライナ侵略後初めてとなる記者会見を行い、野蛮な侵略を正当化する立場を鮮明にしました。プーチン氏は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシを三位一体の民族とし、ウクライナの極端な民族主義が分断を図っていると、大国主義、覇権主義の主張を展開しました。今回の侵略については、ウクライナの極端な民族主義から同国東部のロシア系住民を救うための特別軍事作戦と言い張り、親ロシア勢力支配地域の分離独立をロシアが承認した後はウクライナによる占領に等しいとすら述べている、とんでもない発言までしています。

 外務大臣、このプーチン氏の発言は国連憲章が定めた国際秩序の原則と全く相入れないのは明らかだと私は考えます。御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 国家の主権や領土一体性の尊重と武力の行使の禁止、こうした原則は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹でございます。

 ウクライナ国境で威嚇的な軍備増強を進める中で、ロシアが、「ドネツク人民共和国」及び「ルハンスク人民共和国」の「独立」、これはいずれも括弧つきでございますが、これを承認したことは、ウクライナの主権及び領土一体性を侵害し、国際法に違反するものであります。また、それに続くロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際社会の秩序を根底から揺るがす暴挙であり、国連憲章第二条四が禁じる違法な武力の行使でございます。断じて許容できず、厳しく非難をいたします。

 国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会が結束して毅然と行動しなければならないと考えます。我が国として、このことを示すべく、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して、断固として行動をしてまいります。こうした暴挙には高い代償が伴うことを示してまいりたいと思います。

穀田委員 国連憲章は、他国への侵略を禁じ、紛争の平和的解決を加盟国に義務づけています。他国の一部地域の、今大臣からありましたように、括弧つきの「独立」を一方的に承認し、その勢力を支援して派兵することには何の道理もないと私も思います。

 プーチン氏は、戦争犯罪と糾弾されているロシア軍によるおびただしい民間人虐殺について、フェイクと決めつけました。しかし、事実を示した反論は全くできていません。ウクライナでの行動は、敵の抑止だけが目標で、軍事インフラを破壊する攻撃だと述べています。そうであるならば、跡形もなくなった町や、一千万人を超える国内外の難民は何なのか。プーチン氏こそ偽情報の宣伝をやめるべきだと私は考えます。

 ジュネーブ条約は、交戦中であっても文民の保護を始め人道上のルールを定められている、このことは明らかです。国際刑事裁判所は既に捜査を始めています。国際人道法に反する犯罪行為は責任を厳しく追及されなければならない。先ほども、真相は明らかにされなきゃならないと法務政務官もおっしゃっていました。

 ロシアは国際機関の調査を受け入れるべきだ、前回も私、主張しましたけれども、改めて大臣の所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 ウクライナ政府の発表や各種報道により、ウクライナ各地において無辜の民間人が多数殺害されるなど、残虐な行為が繰り広げられていたことが明らかになったわけでございます。

 我が国として、ロシア軍の行為によりウクライナにおいて多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止め、強い衝撃を受けております。多数の無辜の民間人の殺害は、今御指摘がありましたようなジュネーブ諸条約を含む重大な国際人道法違反でありまして、戦争犯罪であります。断じて許されず、厳しく非難をいたします。

 ロシア側は、ロシア軍による民間人殺害を否定し、ウクライナと西側によるフェイクと主張しておりますが、こうしたロシア側のプロパガンダ、これは全く受け入れられないと考えます。

 ロシア軍による残虐な行為の真相は徹底的に明らかにされなければならず、ロシアは戦争犯罪の責任を厳しく問われなければならないと考えます。集団殺害犯罪、ジェノサイドを含む重大な犯罪を犯した者を訴追、処罰する国際刑事裁判所の検察官は、ウクライナ側と協力しつつ、既に捜査を始めております。

 我が国としては、ロシアはICC検察官による捜査を全面的に受け入れるべきと考えており、捜査の進展を期待しておるところでございます。

穀田委員 受け入れるべきだ、そう思います。

 プーチン氏は記者会見で、当初の目標を達成するまで軍事作戦を続けると、更なる攻撃を公言しています。これ以上、残虐非道な侵略戦争を続けさせるわけにはいかない。侵略を止めるためには、国連憲章と国際法に基づいて国際社会が結束し、侵略の停止と即時無条件完全撤退をロシアに迫ることが何よりも重要です。そのことを改めて主張しておきたいと思います。

 次に、陸上幕僚監部が、「陸上自衛隊の今後の取組み」と題する資料で、「予想される新たな戦いの様相」として、反戦デモや報道をテロやサイバー攻撃などと同列視し、グレーゾーンの事態に明示していた問題について質問します。

 私は前回十三日の質問で、二〇二〇年一月二十日に当時の湯浅陸幕長が部外講演で使用した資料の提出を求めました。今朝の理事会でようやく防衛省から提出されました。この二つがそれです。二つが理事会に提出されました。

 それで、一つ目は、当日の講演で湯浅陸幕長がスライド投影した資料のつづり、こっちの方ですね。二つ目は、スライド投影をした資料を湯浅氏が説明した際の原稿のつづりということで、こんなふうに原稿のつづりがなっています。それぞれ三十二ページずつあります。資料を見ると、問題になった二〇二〇年二月四日に記者勉強会で使用された資料と同じく、グレーゾーンの事態に反戦デモや報道が明示されています。

 そこで、鬼木防衛副大臣、二〇二〇年二月四日の記者勉強会で配付された反戦デモと記した修正前の資料は、今回新たに提出された、二〇二〇年一月の湯浅陸幕長の講演資料を参考に陸幕防衛班が作成したもので間違いありませんね。

鬼木副大臣 お答えします。

 令和二年二月四日の記者勉強会で用いられた修正前の資料が誤廃棄された件に関して、令和四年一月七日に防衛省から内閣府に対して実施した最終報告には、事案発覚の経緯として、令和二年二月四日の記者勉強会で配付された資料は、ここからかぎ括弧でございますが、「陸幕広報室が陸幕防衛班に資料作成及び説明を依頼したもので、陸幕防衛班は、令和二年一月に陸上幕僚長が部外講演をした際の資料を参考に作成」した旨を記載いたしております。

穀田委員 えらい長い話でしたけれども、簡単に言うと、陸幕防衛班が、当時、令和二年一月の陸上幕僚長が部外講演した際の資料を参考に作成したとあるということですね。

 つまり、湯浅氏の講演資料が記者勉強会資料の大本になったことは明らかであります。

 今回新たに提出された資料、これは、湯浅陸幕長が二〇二〇年一月二十日のホテルグランドヒル市ケ谷で開かれた新春防衛講演で使ったものです。関係団体のホームページによれば、この講演は、自衛隊東京地方協力本部ほか十団体が共催したもので、講演当日は二百名を超える参加者が湯浅氏の講演を聞いたとされています。

 鬼木副大臣、湯浅氏はこの資料を使って、「予想される新たな戦いの様相」についてどのように説明していたのか、資料に書かれてある説明箇所を読み上げてほしいと思います。

鬼木副大臣 御指摘の新春防衛講演の資料の予想される新しい戦いの様相というスライドの中で、発言の参考と思われる部分を引用いたします。

 「予想される新たな戦いの様相について説明します。 グレーゾーンの事態においては、武力攻撃に至らない様々な手段、報道、テロ、反戦デモ、サイバー攻撃、不法行動、特殊部隊等による破壊活動等により、自らの主張を受け入れ相手に強要し、我が国の主権、領土、国民に対する現状変更を試みると予測されます。 また、宇宙、電子戦、サイバー攻撃等、新たな領域や、ミサイル攻撃、航空攻撃、着上陸侵攻等、従来の領域を用いて、奇襲攻撃により侵略」、以上記載されております。

穀田委員 つまり、湯浅陸幕長は、当日の講演で、今お話あったように、報道、テロ、反戦デモというように、テロと反戦デモ、報道を同列視して、自らの主張を受け入れ相手に強要し、我が国の主権、領土、国民に対する現状変更を試みるものだ、こう説明していると。極めて重大と言わなければなりません。

 湯浅氏が反戦デモや報道を我が国の主権、領土、国民に対する現状変更を試みるものだと説明したことについて、防衛省としては是とするのかどうか、鬼木副大臣、お答えいただきたいと思います。

鬼木副大臣 これまでも再三申し上げておりますが、陸上自衛隊として、これまで、合法的に行われる反戦デモをグレーゾーンの事態の一つとして位置づけたことはございません。

 反戦デモについて、合法的に行われている場合も含めて、一様にグレーゾーンの事態の例として記述したことは、誤解を招く表現であり、その意味において不適切であったと考えております。

 防衛省としては、対外説明に際して、このような誤解を招く表現を使用せず、正確で分かりやすい情報提供に努めてまいります。

穀田委員 是としないということははっきりした。それで、今言ったように、こういう表現は不適切であり、使用せずとあった。

 そこで、二〇二〇年二月四日の記者勉強会で使われた資料の場合、参加者から反戦デモの記述が不適切だとの指摘を受け、翌五日に暴徒化したデモに修正していました。しかし、この湯浅陸幕長の講演資料では、反戦デモの記述が修正されていないのはなぜですか。

鬼木副大臣 御指摘を受けまして修正したのが二月五日、そのときの講演資料について修正をさせていただいた、そして、御指摘の湯浅陸幕長の講演は、その二月五日よりも前に、一月にされた講演である、そういうことだと思います。

穀田委員 今、時系列で、一月二十日に使われた、二月四日に使われたものは二月五日に修正したと。ということは、修正したのが二月五日ですよね。ということになると、一月二十日に使われた資料はその後に修正したということですか。

鬼木副大臣 一月二十日に使用した資料につきましては、そのときに使用した資料ということでそのまま保存をしているということでございますので、一月二十日の資料をその後修正したということはございません。

穀田委員 もう一度、よく聞いてくださいよ。一月二十日に使った資料、これを基にして作られたのが二月四日の資料なんです。それはあかんと言われて、不適切だという質問を受けて、不適切だといって五日に修正をした。そうしたらば、その後、ずっと私は前回お話ししましたように、その後もこの資料は使われている、一月二十日に使われた陸幕長の資料は使われているという話をしましたよね。覚えてはりますわな。ということは、その後使っているときには、それは修正していたということですか。

鬼木副大臣 一月二十日に使われた資料については、そのときに確かに使ったものとして修正はいたしておりません。そして、二月四日に使った資料について、不適切ではないかということを受けて修正をしたのは二月の五日ということであります。

穀田委員 何回も言うてんのやけど、聞いてはらへんのと違う。その後も使うてはるわけですやんか、この資料って。一月二十日に使うた資料をほかの講演その他でも使うてはるわけじゃないですか。間に二月四日と五日がありますのやろ。直したと言うのやったら、その後使ったやつには直してなあかんわね。理屈でしょう。直してはるかと聞いているんです。簡単でいいです、一言。

鬼木副大臣 二月五日に修正をしたわけであり、それは内容といいますか表現が適切でなかったということで修正をし、そして、本来それを、記載修正した旨をくまなく周知すべきであったんですが、それが、周知が十分にされていなくて、同じような引用がやはり起こった事例があるというふうに承知しております。

穀田委員 今初めて、訂正、修正されなければならないものを周知すべきであったと。これは今までなかったことですね。周知されなければならなかった、それをしていなかったと。

 つまり、それは、勉強会の資料と違い、ある意味、湯浅陸幕長の講演資料は、どこからも不適切だとの指摘を受けなかった、だからそのまましばらく実際は放置していたということがうかがえるということになりますわな。

 だって、二月五日に直したというのやったら、この資料がどこどこにあるかというのは分かっているわけですから、その分かっているところに、少なくとも陸幕監部のところで、これを直せということを指示したかということです。どうですか。

鬼木副大臣 過去の講演資料については、そのときのことですのでそのままにしておいて、遡って修正するという指示はいたしておりません。

穀田委員 そういうことを言っていないでしょう。五日に不適切だと直したというのやったら、今後使うときにはこれはすぐに直しなさいよという指示をしたのかと聞いているんです。

城内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

城内委員長 速記を起こしてください。

 鬼木防衛副大臣。

鬼木副大臣 そうした不適切な表現について、今後起こらないように、陸幕監部から部隊に対して、反戦デモという記載のあるスライドと同様のものを使用することのないよう、改めて周知をいたしているところでございます。

穀田委員 幾らこれをやっていても分かってはらへんから、どうしようもない。そんな、いつ指示したなんて、今まで言ったことないじゃないですか。二月四日に不適切な文書が出た、五日に修正したと。じゃ、いつその指示をしたんですか。

 そこで、もうやっていても分かってへんからあれなんだけれども、勉強会の資料と違って、そういうことで言うと、結局、さっき言ったとおりなんですよ。どこからも指摘を受けなかったから、実際に直すんだったら、二月五日に、全体にですよ、陸幕監部にも、それから各部隊にもこれは送達されたと聞いているから、一斉にそれは直すべきだという指示があってしかるべきですよね。その指示の文書があるのやったら出していただければ、はっきりするんじゃないですか。

 そこで、さらに、二〇〇九年四月施行の、大臣官房長による「部外に対する意見発表の際の手続の実施について」と題する通知があることはこの間も言いました。陸幕長が講演を行う場合、事前に大臣官房長に届出を行い、配付資料や原稿の提出が求められている。したがって、湯浅氏は、今回提出された資料一式を届け出ているはずであります。

 湯浅氏の講演内容を、先ほど鬼木副大臣は是としないとおっしゃいましたけれども、不適切だと。だとしたら、なぜ事前の届出の段階で是正を求めなかったんですか。

城内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

城内委員長 速記を起こしてください。

 鬼木防衛副大臣。

鬼木副大臣 一月の講演についてということでよろしいですかね。一月の講演でなぜそういう表現のまま出たかということですね。

 一月の講演に、事前に届けを出すことになっております。外部に講演するものについて事前に届出を行うというプロセスを行っておりまして、これによって、隊員が部外に意見を発表する際に、自覚を促す機会を与える、そして、意見が立場にふさわしいものになっているかを改めて自ら確認する機会とするという、そうしたプロセスを通しております。

 お尋ねの講演資料については、本手続の目的を踏まえ、陸上幕僚長の職務として行う講演のため、陸上幕僚監部において作成されたものと承知しております。

 その上で、事前に関係部局と調整を行った上で、大臣官房長に通報がなされ、大臣官房長がこれを確認したと承知をいたしております。

穀田委員 確認しているということは、見ているということじゃないですか。見ていて、何で是正しなかったんやって聞いているのを、事実経過を述べたって、質問していることが分かってへんのちゃう、ひょっとして。それはあきませんで。

 要するに、防衛省は、陸幕長の講演内容を事前に知っていたのに、結局、是正を求めなかった。そればかりか、とがめもせずにお墨つきを与えていた。しかも、反戦デモの記述がどこからも不適切だと指摘を受けなかったことをいいことに、修正もしなかったと。

 更に言えば、そこで、事前に届出を受けた当時の大臣官房長は誰か。現在の島田防衛事務次官であります。反戦デモを受けた当時の大臣官房長が事務次官。結局、反戦デモを敵視するということは、まさに、二重三重の意味で、防衛省の認識であることが示されているということですよね、これは。

 そこでです。今回提出された湯浅陸幕長の講演資料だが、電子データとして陸上自衛隊内の共有システムにアップロードされ、システムの利用者が閲覧、ダウンロードできる状態にあったんじゃないんですか。端的に言ってください。

鬼木副大臣 御指摘の新春防衛講演の資料については、陸上自衛隊において広く共有された可能性があるものと承知をいたしております。

穀田委員 結局、一つところじゃなくて、広く共有されていた可能性があるということですやんか。

 前回の質問でも指摘しましたけれども、二〇二〇年二月の記者勉強会以降も、反戦デモと記した資料が陸上自衛隊の幹部による様々な講演で使用されている実態があるということはこれで明らかになった。湯浅氏の講演資料の電子データが広く共有されていたということになるではありませんか。

 防衛省は、反戦デモの資料が湯浅氏の講演資料として修正されずに保存されていることを知っていた。にもかかわらず、私が最初にこの問題を取り上げた三月三十日の質問から今日に至るまで、鬼木副大臣は、修正前の反戦デモの資料は廃棄済みで存在しないと述べて、提出しなかった。これは明らかな隠蔽ではありませんか。

鬼木副大臣 いろいろな出来事が起こっていますので、どの時点のことを聞かれているかということでちょっとそごが生じているだけでありまして、二月四日提出のものを修正した後、これを誤廃棄した後の反戦デモと書いたものは残っていないということでありまして、今日の質疑でも明らかなとおり、一月二十日のものはそのままの状態で残っております。虚偽、隠蔽の意図は全くないということで御理解ください。

穀田委員 それはないでしょう。みんな、多分分かりにくいと思っておられても、そんな、誰も知っていますって。

 一月二十日に大本はあるんですよ。それをずっと、資料として今も残っているんですよ。二月四日に記者勉強会をやって、そこであかんのちゃうかと言われて、直した、修正した、それは廃棄したと言っているだけなんですよ。だから、ここの部分だけなくなって、一月二十日から出されている資料はずっと残っているんですよ、そちらに。あるんでしょう、今だって。

 そういうことでいいますと、新たに提出された今回の湯浅陸幕長の講演資料を作成したのは、どこの部署ですか。簡単に、一言でいいです。

鬼木副大臣 一月の新春防衛講演で使用された資料につきましては、陸上幕僚監部防衛課において作成をいたしました。

穀田委員 最後、もう終わりますから。

 要するに、記者勉強会の資料を作成していたのも、湯浅陸幕長の講演資料を作成していたのも、全く同じ部署、陸幕防衛課なんですよ。同じ部署で扱っていながら、湯浅氏の講演資料の存在を知らないはずがないわけですよ。だったら、四月四日の、五日も含めて、資料がないとかああとか言っているときに、いや、原本はありますねんと答えたらよろしいがな。そういうことを含めて、隠蔽しているということは明らかだということなんですよ。

 しかも、先ほど鬼木副大臣は、それを直すべく周知をしたと言いましたよね。いつ周知をして、どういう文書なのか。それを出していただく、よろしいね。

城内委員長 鬼木防衛副大臣、答弁は簡潔に願います。

鬼木副大臣 二〇二二年四月六日に、陸上幕僚監部から陸上総隊、各方面隊、教育訓練研究本部及び補給統制本部に周知するとともに、それぞれの隷下部隊に徹底するように依頼しております。

穀田委員 最後にします。

 出してください。

 これまで防衛省は、記者勉強会で配付した修正前の資料を、廃棄済みで存在しないと私に言ってきたわけですよ。しかし、全く同じ資料が湯浅陸幕長の講演資料として保存されていた。これは極めて重大と言わなければなりません。

 つまり、防衛省は、この事実を知っていたにもかかわらず、私の調査要求を拒んで、資料の存在を別の方にある話として隠していた。まさに陸上自衛隊の日報問題と構図は全く同じと言わなければなりません。

 私は、改めて、この間の議論を通じまして、今回新たに判明した湯浅陸幕長の講演資料は、防衛省・自衛隊が憲法で保障された市民の権利行使を敵対視するというゆがんだ認識を保持していることを示していると言わなければなりませんし、断じて許すことはできない。そのことを改めて厳しく指摘し、質問を終わります。

     ――――◇―――――

城内委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、二千二十五年日本国際博覧会に関する特権及び免除に関する日本国政府と博覧会国際事務局との間の協定の締結について承認を求めるの件及び万国郵便連合憲章の第十追加議定書、万国郵便連合憲章の第十一追加議定書、万国郵便連合一般規則の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則の第三追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣林芳正君。

    ―――――――――――――

 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 二千二十五年日本国際博覧会に関する特権及び免除に関する日本国政府と博覧会国際事務局との間の協定の締結について承認を求めるの件

 万国郵便連合憲章の第十追加議定書、万国郵便連合憲章の第十一追加議定書、万国郵便連合一般規則の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則の第三追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 ただいま議題となりました三件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件は、令和三年七月十六日に議定書の署名が行われました。

 この議定書は、現行の租税条約を改正するものであり、支店等の恒久的施設に帰属する事業利得の算定において本支店間の内部取引をより厳格に認識する規定への改正、投資所得に対する源泉地国における課税の更なる減免、税務当局間の相互協議に係る仲裁手続の新設等の措置を講ずるための規定等を盛り込んでおります。

 この議定書の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、我が国とスイスとの間での課税権の調整がより効果的に行われることとなり、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、二千二十五年日本国際博覧会に関する特権及び免除に関する日本国政府と博覧会国際事務局との間の協定の締結について承認を求めるの件は、令和四年二月十五日に協定の署名が行われました。

 この協定は、二千二十五年日本国際博覧会、いわゆる大阪・関西万博に関して、我が国と博覧会国際事務局との間で、公式参加者の陳列区域代表事務所、博覧会国際事務局等が享有する特権及び免除等について定めるものです。

 この協定の締結により、公式参加者及び博覧会国際事務局等の関係者による活動が円滑化され、大阪・関西万博の開催及びその準備に向けた環境の整備に資することとなります。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、万国郵便連合憲章の第十追加議定書、万国郵便連合憲章の第十一追加議定書、万国郵便連合一般規則の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則の第三追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件は、平成三十年九月七日及び令和三年八月二十六日にこれらの文書が採択されました。

 これらの文書は、万国郵便連合の運営等及び国際郵便業務に関する事項についての所要の変更を加えるため、万国郵便連合憲章及び万国郵便連合一般規則を改正し、並びに現行の万国郵便条約を更新するものです。

 我が国がこれらの文書を締結することは、引き続き万国郵便連合の加盟国として活動し、及び国際郵便業務を適切に実施するために極めて重要であると考えます。

 よって、ここに、これらの文書の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いをいたします。

城内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十七分散会


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