衆議院

メインへスキップ



第2号 令和4年10月21日(金曜日)

会議録本文へ
令和四年十月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君 理事 吉田 宣弘君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    城内  実君

      熊田 裕通君    島尻安伊子君

      鈴木 貴子君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    辻  清人君

      平沢 勝栄君    青山 大人君

      篠原  豪君    松原  仁君

      青柳 仁士君    杉本 和巳君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      穀田 恵二君    吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   外務副大臣        武井 俊輔君

   外務副大臣        山田 賢司君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   外務大臣政務官      吉川ゆうみ君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 この際、林外務大臣、山田外務副大臣、武井外務副大臣、秋本外務大臣政務官、高木外務大臣政務官及び吉川外務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。外務大臣林芳正君。

林国務大臣 引き続き外務大臣を務めさせていただきます林芳正でございます。

 外務委員会の開催に当たりまして、黄川田委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶申し上げ、外交政策の所信を申し述べます。

 今、国際社会はポスト冷戦時代の終えんとでもいうべき秩序の動揺の中にあり、我々は歴史の岐路に立っております。

 いまだに続くロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を脅かすものです。先般のロシアによるウクライナの一部地域の違法な併合や、ウクライナ各地における民間人や民間施設へのミサイル攻撃を含め、一連の行為は国際法違反であり、決して認められません。日本は、力による一方的な現状変更の試みはいかなる場所でも許さないという強い決意を持って、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推し進めます。

 北朝鮮による核・ミサイル活動も活発化しています。九月末以降に過去に例を見ない頻度での発射が続き、四日には日本上空を越える発射がありました。また、核実験に向けた動きもあります。これらの一連の行為は、日本の安全保障への脅威のみならず、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦です。北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射等は断じて許されず、今後とも、日米、日米韓で緊密に連携して対応していきます。

 中国は、政治、経済、軍事等、様々な面で国際社会への影響力を増し、それに伴い、様々な難しい諸課題を提起しています。そのような中国に対し、日本は、国際社会のルールにのっとり大国としての責任を果たすよう働きかけていきます。

 このような挑戦に対して、引き続き、普遍的価値を守り抜く覚悟、日本の平和と安全を守り抜く覚悟、そして、地球規模の課題に向き合い国際社会を主導する覚悟、これら三つの覚悟を持って、対応力の高い、低重心の姿勢で外交を展開します。

 まず、来年のG7議長国及び安保理非常任理事国入りも見据え、新たな時代のグローバルガバナンスの基盤として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現に向けた取組を更に推進します。

 国連が試練にある中、国連憲章の理念と原則に立ち戻り、国連の信頼を回復するため、国連自身の機能強化が必要です。

 安保理改革に向けては、議論のための議論ではなく、行動が必要です。これまでも多くの国々が安保理改革の必要性を認識してきたにもかかわらず、各国の立場の違いの大きさから、大きな進展が得られていません。九月の一般討論演説でバイデン大統領が安保理改革の必要性に言及した米国に加え、G4、アフリカなど関係国とよく意思疎通しつつ、早期の進展のため引き続き努力します。

 国連の外の枠組みを機動的に組み合わせることが重要です。

 その枠組みとして、今回のウクライナ危機に最も効果的に対応してきたのがG7です。私自身、本年二月以降、九回にわたってG7外相会合に参加し、緊密に連携してきました。来年、日本はG7議長国となりますが、引き続き、ウクライナやインド太平洋を含む地域情勢やグローバルな課題への対応において協力を強化していきます。また、広島サミットでは、侵略も、核兵器による脅しも、国際秩序の転覆の試みも断固として拒否するというG7の意思を歴史に残る重みを持って示していきます。

 日米豪印での連携も格段に強化してきました。五月の首脳会合の成果を踏まえ、力による一方的な現状変更の試みをいかなる地域においても許さないとの決意を示しながら、自由で開かれたインド太平洋、FOIPの実現に向けた幅広い分野の実践的協力を進めていきます。

 法の支配に基づくFOIPの重要性は一層高まっています。日本は、FOIP実現に向けた取組を強化する新たなプランの策定を進めるとともに、日米豪印に加え、ASEANや欧州、大洋州、中南米などのパートナーとの間でFOIPの実現に向けた連携を強化します。

 国際秩序の動揺がもたらす危機は、世界のいずれの国、地域にとっても対岸の火事ではありません。ロシアの暴挙は、食料、エネルギー価格の高騰などにより、中東、アフリカ等にも深刻な影響を与えています。一方で、ディスインフォメーションによる分断の試みという課題にも目を向けねばなりません。日本として、あらゆる地域の国々との間で築き上げてきたきめ細やかな地域外交を礎に、地域、国際社会の安定化のため、法の支配に基づく秩序の重要性を共有し、共に維持強化していくための努力を継続します。

 ルールに基づく自由で公正な経済秩序は、日本はもちろん、世界の成長と繁栄の基盤です。引き続き、自由貿易の旗振り役としてのリーダーシップを発揮し、CPTPPのハイスタンダードの維持やRCEP協定の完全な履行の確保に取り組むとともに、WTO改革を主導します。インド太平洋地域の経済秩序の維持強化のための重要な枠組みであるIPEFの取組等においても具体的な成果を目指します。デジタル分野でも、信頼性のある自由なデータ流通の実現に向け、国際的なルールづくりで中心的な役割を果たします。

 日本企業の海外展開支援にも積極的に取り組むとともに、日本産食品に対する輸入規制措置の全廃に向け、政府一丸となって働きかけていきます。また、二〇二五年大阪・関西万博の成功に向け、引き続き力強く取り組みます。

 日本を取り巻く安全保障環境への対処もまた急務です。

 日本の平和と安全を確保するには、まず日本自身の防衛力を強化せねばなりません。新たな国家安全保障戦略等の策定、防衛力の抜本的強化の議論に引き続き貢献していきます。

 また、経済領域における安全保障リスクの拡大に対しても、経済安全保障を推進するため、同志国の制度との調和を図りつつ、同志国との一層の連携強化や新たな課題に対応する国際規範の形成に積極的に取り組んでいきます。

 同時に、日本の外交、安全保障政策の基軸である日米同盟も更に深化させていきます。

 米国とは、累次の会談機会を通じ、いかなる地域でも力による一方的な現状変更は決して受け入れられないことを確認してきました。日米にとって戦略的に最も重要なインド太平洋地域のポテンシャルを安定と繁栄につなげていかねばなりません。

 そのため、日米同盟の抑止力、対処力の強化に日米で共に取り組んでいきます。第一に、二国間の役割及び任務を進化させ、共同の能力を強化していきます。第二に、日米同盟の優位性を将来にわたって維持するため、宇宙、サイバー、電磁波を含めた領域横断的な能力の強化、そして新興技術への共同の投資を促進していきます。第三に、米国による拡大抑止の信頼性、強靱性を更に強化していくための努力も続けていきます。同時に、普天間飛行場の一日も早い辺野古移設を始め、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。

 また、新たに立ち上げた経済版2プラス2を通じて、外交、安全保障と経済を一体として議論し、経済安全保障、ルールに基づく経済秩序の維持強化といった日米共通の課題について一層連携を強化していきます。

 NATOでも、近年、インド太平洋の安全保障環境への関心が高まっています。四月には、日本の外務大臣として初めてNATO外相会合に出席し、六月には岸田総理がNATO首脳会合に出席しました。NATOによるインド太平洋への更なる関与に向けた具体的協力を進めていきます。

 核軍縮・不拡散については、八月のNPT運用検討会議において、ロシア一か国の反対で成果文書が採択されなかったことは極めて遺憾です。一方で、核軍縮に向けた今後の議論の土台が示されるとともに、NPT体制の維持強化の重要性が改めて確認されました。ヒロシマ・アクション・プランに沿って取組を進め、核兵器のない世界に向けた現実的かつ実践的な取組を進めていきます。

 日本及び地域の平和と安全を維持する上で、近隣国等との間の難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いていきます。

 日中両国間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中国による台湾周辺での一連の軍事行動、特に、日本の排他的経済水域を含む日本近海への弾道ミサイルの着弾を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。さらに、香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権状況についても深刻に懸念しています。同時に、日中両国は地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。中国とは、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案を含め対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという建設的かつ安定的な日中関係を日中双方の努力で構築していくことが重要です。

 韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国です。国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な関係に戻し、更に発展させていく必要があり、私と朴振長官との間を含め、韓国政府と緊密に意思疎通していきます。また、竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も日本固有の領土です。この基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。

 日ロ関係は、ウクライナ情勢によって厳しい状況ではありますが、日本として、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。しかし、今、この状況を鑑みれば、平和条約交渉の展望を語れる状況にはありません。

 北朝鮮との間では、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。最重要課題である拉致問題については、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆる機会を逃すことなく全力で取り組みます。

 我々の擁護する国際秩序が世界の人々の信頼に足るものであるために、人類共通の課題への対応を主導していかねばなりません。国際社会の多数を占める開発途上国は、複雑化する国際情勢と地球規模課題の深刻化の中で、安定的な発展を見通すことが困難な状況に陥っています。こうした中で、新たな時代における人間の安全保障の理念に立脚しつつ、ODAをより一層拡充し、戦略的、効果的な活用を通じて、SDGsの達成やFOIPの理念の実現に向けた取組を加速します。そのために、開発協力大綱を来年前半をめどに改定します。

 ロシアのウクライナ侵略による食料価格の高騰に対しては、国際機関や同志国との連携に加え、TICADプロセス等を通じて、脆弱性を抱える国々の支援に取り組んでいきます。

 気候変動問題では、引き続き、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取組を強力に推進します。ウクライナ情勢を受けて、エネルギー安全保障の強化との両立が重要な課題となっていますが、パリ協定の着実な実施を通じ、脱炭素社会の実現に向けて国際社会を主導していきます。

 新型コロナの収束に向けた取組に加え、来年のG7サミットも見据え、将来のパンデミックに対する予防、備え、対応の強化に資する国際的な枠組み強化に取り組みます。また、新型コロナで後退した国際保健課題への対応を強化し、より強靱、より公平、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向け、リーダーシップを発揮していきます。

 海洋プラスチックごみ、生物多様性の保全、難民・避難民、テロ、暴力的過激主義など、SDGs達成に向けた諸課題にも積極的に取り組みます。十二月には国際女性会議WAW!二〇二二を開催し、ジェンダー平等の実現と女性のエンパワーメントの促進に取り組んでいきます。

 普遍的な価値である人権の擁護のため、深刻な人権侵害に対してしっかり声を上げるとともに、努力をしている国に対しては対話と協力によりその取組を促す日本らしい人権外交を進めていきます。

 以上の諸課題について、着実に具体的な成果を上げるため、人的体制、ODAの一層の拡充を含む財政基盤、DX推進を含めた外交実施体制の抜本的強化と戦略的な対外発信に取り組むとともに、日本人国際機関職員の増加、親日派、知日派育成、日系社会との連携強化に努めます。また、佐渡島の金山の世界遺産登録に向け、外務省としてもしっかり役割を果たしていきます。水際措置緩和に伴い国際的な交流が一層活性化することを見据え、在外邦人の安全確保にも引き続き万全を期します。

 黄川田委員長を始め、理事、委員各位の御指導と御理解を心からお願いを申し上げます。

黄川田委員長 次に、外務副大臣山田賢司君。

山田(賢)副大臣 外務副大臣を拝命いたしました山田賢司でございます。

 様々な外交課題に直面する中、副大臣としての職責を果たしてまいります。

 特に、担当である北米、欧州、中東、アフリカ諸国との関係強化に努めます。また、安全保障、国連外交、沖縄の基地負担軽減、経済外交、法の支配の強化、在留邦人の安全確保に取り組んでまいります。

 なお、二人の副大臣の中で、私が特に本委員会を担当いたします。

 黄川田委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

黄川田委員長 次に、外務副大臣武井俊輔君。

武井副大臣 同じく外務副大臣を拝命いたしました武井俊輔でございます。

 様々な外交課題に直面する中、副大臣としての職責を果たしてまいります。

 特に、担当でございますアジア大洋州、東南アジア、南西アジア、中南米諸国との関係強化に努めてまいります。また、戦略的対外発信や文化外交、軍縮・不拡散、科学技術外交、ODAの戦略的活用、地球規模の課題、そして省内の働き方改革に取り組んでまいります。

 黄川田委員長を始め、理事、委員各位の皆様の御支援、御協力を心からお願い申し上げます。ありがとうございます。

黄川田委員長 次に、外務大臣政務官秋本真利君。

秋本大臣政務官 外務大臣政務官を拝命しました秋本真利です。

 様々な外交課題に直面する中、政務官としての職責を果たしてまいります。

 特に、担当であるアジア大洋州、中南米諸国との関係強化に努めます。また、地球規模の課題、在留邦人の安全確保、法の支配の強化に取り組んでまいります。

 黄川田委員長を始め、理事、委員各位の御協力を心からお願い申し上げます。

黄川田委員長 次に、外務大臣政務官高木啓君。

高木大臣政務官 外務大臣政務官を拝命いたしました高木啓でございます。

 様々な外交課題に直面する中、政務官としての職責を果たしてまいります。

 特に、担当である東南アジア、南西アジア、中東、アフリカ諸国との関係強化に努めます。また、安全保障、国連外交、経済外交に取り組んでまいります。

 黄川田委員長を始め、理事、委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。

黄川田委員長 次に、外務大臣政務官吉川ゆうみ君。

吉川大臣政務官 外務大臣政務官を拝命いたしました吉川ゆうみでございます。

 様々な外交課題に直面する中、政務官としての職責を果たしてまいります。

 特に、担当であります北米、欧州諸国との関係強化に努めます。また、軍縮・不拡散、科学技術外交、戦略的対外発信や文化外交、ODAの戦略的活用に取り組んでまいります。

 黄川田委員長を始め、理事、委員各位の御支援と御協力を心よりお願い申し上げます。

黄川田委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.