衆議院

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第5号 令和4年11月9日(水曜日)

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令和四年十一月九日(水曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君 理事 吉田 宣弘君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    城内  実君

      島尻安伊子君    新藤 義孝君

      鈴木 貴子君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    辻  清人君

      平沢 勝栄君    青山 大人君

      篠原  豪君    松原  仁君

      青柳 仁士君    杉本 和巳君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      穀田 恵二君    吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   外務副大臣        武井 俊輔君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          柳   淳君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房外務報道官)           小野 日子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           大槻耕太郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   海部  篤君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           久保田 誉君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房外務報道官小野日子君、大臣官房審議官岩本桂一君、大臣官房審議官中村和彦君、大臣官房審議官日下部英紀君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官大槻耕太郎君、大臣官房参事官今福孝男君、大臣官房参事官池上正喜君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長海部篤君、領事局長安藤俊英君、内閣官房内閣情報調査室次長柳淳君、警察庁長官官房審議官小林豊君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、国土交通省大臣官房審議官久保田誉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。よろしくお願いいたします。

 今日も、前回に引き続き、主に台湾の関係とカンボジアについて聞いていきたいと思います。

 ロシアによるウクライナへの侵攻があって、それがまだまだ収束をしない中で、台湾海峡での緊張感はますます増すばかりで、そうでなくても、台湾というのは日本にとって非常に重要な友人である。先日、大臣の御答弁にもありました。更にそれに輪をかけて武力衝突の、台湾有事の可能性が高まってきたんじゃないか、こういうような状況で、これからも台湾との関係、そして中国との関係というのは非常に大切になってくるというふうに認識をしております。

 国の方針として、台湾とどうつき合っていくかとか、中国との関係性をどう整理していくかということは、これは当然あると思いますし、そこに私は異論を挟むつもりは全くありません。恐らくアメリカでも同じような対応をしているというふうに思います。

 そうはいっても、やはり、台湾に暮らし、台湾の人というアイデンティティーを持った台湾の方たちへの扱いというか、それはそれで別途考えていかなくてはいけない大事な問題だと思います。

 私は、国が台湾をどう見るかとか、中国とどう関係を整理するかということはおいておいて、それでもやはりアメリカの台湾関係法のようなものをこれから作っていく必要があるのではないかと思いますが、そういった点の認識について、大臣の御所見はこの前伺いましたので、武井副大臣に今日はお越しいただきましたので、お答えいただきたいと思います。

武井副大臣 今委員より、台湾に対する熱い思いというものをお伺いをしたところでございますが、私どもも委員と同じく、台湾は、基本的な価値を共有し、また、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であると考えております。

 台湾との間は、我が国の民間窓口機関であります日本台湾交流協会を通じまして平素より様々なやり取りを行っているところでございまして、そしてまた、経済、文化、人的往来等の様々な分野で日台の実務協力、交流は着実に深まっているところでございます。

 そしてまた、東日本大震災の折には台湾より大変心温まる支援をいただくなど、日台は大規模災害の間でもお互いに助け合いをしてきた、また深まっているところであります。

 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の困難に直面する中におきましても、我が国より台湾への四百二十万回分のワクチン供与、台湾より日本へのマスクまた酸素濃縮器などの供与も行われたところでございます。

 引き続き、台湾に関する我が国の基本的な立場を踏まえながら、日台間の協力と更なる交流の深化を図っていきたいと考えております。

 以上です。

源馬委員 今御答弁いただいた内容には全く異存はありません。おっしゃるとおりだと思います。

 その上で、でもやはりまだ十分じゃないんじゃないかと私は思うんです。さっきも質問したんですが、米国がやっているような台湾関係法のようなものを整備したりする必要はあるとお考えですか、ないとお考えですか。

武井副大臣 これにつきましては、日台は、当然、政府間の交流という形ではない形でございますので、それぞれの議員、政党、様々な考え方があるというふうには考えておりますけれども、現在のところ、様々な御意見があるということはよく承りたいと思います。

源馬委員 様々なお考えがあるかどうかではなく、副大臣は今どうお考えなのか、お伺いさせていただきたいんですよ。

 政府間交流の話じゃなくて、やはり、例えば台湾から日本に来ている方たちをどう接するかとか、そういったことも含めて、台湾関係法というものではなくてもいいかもしれないけれども、今の状況で十分だと武井副大臣はお考えなのか。いろいろと副大臣の御発信で、もっと台湾政策に積極的にやっていかなきゃいけないような御発言もされていると思いますが、政府に入られて今はもう、この状況で十分、そういうお考えに変わったのか、伺いたいと思います。

武井副大臣 実務的なところで様々なことを改善していく、一つ一つ、様々な分野において課題に向き合っていく必要はあるかというふうに考えております。

 ただし、台湾関係法という話になりますと、これは、まさに日台の在り方というもの、根本的な在り方、位置づけということになりますので、慎重な議論が必要だというふうに考えております。

源馬委員 かしこまりました。今のところ台湾関係法のようなものには消極的というお話でした。

 様々な改善が必要なことはあると今御答弁されましたけれども、どういうところを改善していくといいと思われますか。自民党の中での台湾政策プロジェクトチームにも積極的に関与されていた副大臣だと思いますので、どこをどう改善するのが今必要と、求められていると思うか、お答えいただきたい。

武井副大臣 先ほど御指摘がございましたとおり、私も、昨年まで、党の政策調査会の下にありました台湾政策プロジェクトチーム、私は副座長という立場で参加させていただいておりましたが、こういったようなものの中で、様々な課題について、これは令和三年二月にキックオフをして、令和四年六月まで、十八回、様々な官民の方のお立場をお迎えして議論をしてきたところでございます。

 そういった中で、具体的な課題、一つ一つあるわけですけれども、ここで一つ一つこれがこうだということを政府の立場においてつまびらかにするというのは適切ではないというふうに考えますが、様々な課題を、当然、私どもも、台湾の関係機関とも様々な御意見を伺いながら、改善できるものは改善していく、必要があるものは対応していくということに取り組んでいるということでございます。

源馬委員 私は、最初から申し上げているとおり、国の立場を変えたりする必要はないというふうに思っています。

 そうではなくて、でもやはり、今副大臣もおっしゃったみたいに、改善していかなきゃいけない課題があるなら、それはやはりそれとは別に改善していかなくてはいけないと思うんです。

 台湾政策に一生懸命取り組まれてきた副大臣がせっかく政府に入ったわけですから、是非、そこで何か、政府になったからもうやめますみたいな感じではなくて、国の立場とかこれまで積み重ねてきたものを別に変える必要はないけれども、それでもやはり、改善していくというところには積極的に関与していただきたいなというふうに思います。期待していますので、是非しっかりやっていただきたいと思います。

 ところで、武井副大臣は、以前、台湾とは外交関係がないので、実質的には自民党が台湾との外交を担ってきたという御発言をされていますが、それはもう今はそういう立場じゃないですよね。

武井副大臣 この件ですけれども、前回私は不在にしておりまして、それは大変おわびを申し上げますが、前回の委員会で委員が資料としてこのツイートを提示されたということを伺っております。

 この中で、私は、台湾とは国交がなく、外交を政府が担うことが難しく、実質的に自民党がそれを担ってきましたということを確かに書いたところでございますが、これについて若干補足をさせていただくことで御質問にお答えしたいというふうに思います。

 前提として、このツイートを上げたのは去年の四月でございまして、私が外務副大臣を務める一年以上前のことでございます。

 その上で、このとき私は自民党の青年局の国際部長というのを務めておりまして、ここにも自民党青年局の現役またOBの方もおられますけれども、青年局のミッションというのは、都道府県連等の青年組織との連携と並んで極めて重要なのが、台湾との窓口をするということであります。

 私も、外務政務官退任後、局長代理も含めて三年間台湾の担当をしまして、コロナ前には年に十回以上訪台もしておりまして、しかも、決して自民党だけが、我々が台湾の窓口と言っているわけではなくて、これは自民党のホームページでございますけれども、ここにもありますが、「自民党では外交の窓口として国際局がありますが、「台湾」だけは唯一、青年局が歴史的に交流を続けています。 これは昭和四十年代、日中国交正常化の機運が高まる中、台湾との関係維持を模索する当時の海部俊樹青年局長、小渕恵三青年部長が中国国民党内の青年組織「中国青年反共救国団」の蒋経国主任」、後の総統ですが、「と会談し、自民党青年局と救国団を窓口として青年交流を活発化することで合意した」ということが書いてあります。

 ですから、青年局が事業として訪台をしますと、歴代の、現在でしたら蔡英文総統がお出ましになりますし、私もお会いをしたところでございます。ですから、先方も自民党青年局というのをそういう役割として捉えていただいているということでございます。

 そして、このツイートをした去年の四月三十日ですが、このときは、台湾のパイナップルが中国の輸出停止措置で大量に販路を失うということがございまして、その支援を兼ねたイベントの日でありました。その中で、蒋経国元総統が国防部長として来日をされたときに青年局の窓口として交流の仲立ちをされた元自民党の職員で松本あや彦さんという方、もう八十歳を超えておられる方ですが、この方に講演をしていただいて、改めてそこにいた一同でその歴史やそのときの先人の努力というものを感じたという中で、御指摘のツイートをさせていただいたところでございます。

 もちろん、超党派の議員連盟、私もメンバーの一人です、委員もメンバーの一人だと伺っておりますが、日華懇などが重要な役割を果たしていることもそのとおりだというふうに思っておりますし、政府としても、台湾との関係を非政府間の実務関係として位置づけておりますわけですから、政党と議員連盟がその役割を補完していくということは重要なことだと認識をしております。

 その上で、先ほどのツイートについては、そのような事実関係に基づくものであります。

 最後に、このツイートは、そういう意味で、先ほど来の事実関係の上で、副大臣就任以前に台湾の窓口をしていたときに発言したものでございまして、現在は、当然、外務副大臣でございますので、政府の対応に沿って対応しているところでございまして、御指摘は当たらないと考えております。

 以上です。

源馬委員 全く話がすり替わっていますね。日本と台湾の外交関係はないので、実質的に自民党が担ってきた、そういう内容じゃないですか。でも、今御答弁したのは、自民党の中で台湾は青年局が担ってきたという御答弁じゃないですか。その説明をされただけですよ。それはそれで別にいいんですけれども、それをもってよしとやじをする自民党席とか、こんな長い答弁をいただくとは思っていなかった。

 それだったら、自民党が実質的にやってきているという認識だったら、もっと積極的に取り組んでください、さっき言った課題についても。

 じゃ、そのままで聞きますけれども、積極的に取り組んでいる、台湾に自民党が。たくさん御要望も聞いていますよね。外交官ナンバー、外交官ナンバーに準ずるものでもいいですよ、なぜそれができないんですか、副大臣。

武井副大臣 政府間の関係がない中での非公式な実務関係というものの中で、これは、委員が所属をされている日華懇の方々もそうですし、今私がお話をしました自民党、なかんずく青年局もそうですし、様々な努力をしているということはまさに委員も御理解をいただけているのではないかと思いますが、その中で、一つ一つのことをどういうふうに前向きに取り組んでいくかということは、今でも現場の青年局のメンバーも必死に考えているのではないかというふうに私は思います。

 そういった中で、今、例えばお話がございましたナンバーの問題につきましては、これも、外交関係に関するウィーン条約及び領事関係に関するウィーン条約を始め、国際約束、また国際礼譲等を踏まえまして、外務省設置法に基づいて、我が国が接受をする外交使節団、領事機関に対し発給をしているものでありまして、民間の窓口機関である駐日経済文化代表処には、外交ナンバープレートの発給を確かに現在していないところであります。

 その上で、駐日文化代表処の車両が業務遂行する上で個別具体的な問題があるかを把握しつつ、また、我が国の基本的立場を踏まえ、引き続き適切に対応していきたいと考えております。

源馬委員 パレスチナには外交官ナンバーに準ずるものを供与していますよね。それとの違いはどこにありますか。

武井副大臣 我が国はパレスチナは国家承認していないところでありますが、イスラエル、パレスチナ間の紛争につきましては、我が国は二国家の、国家としての二つのイスラエル、パレスチナという形での解決をそもそも支持をしているところでございまして、その意味で、パレスチナの国家承認につきましては、和平プロセスの進展に資するかどうかという観点から引き続き検討をしているところでございますが、その状況を踏まえまして、外交儀礼の観点から、駐日パレスチナ常駐総代表部に対して外交ナンバープレートの発給を行うというふうに判断をしているところであります。

 台湾につきましては、一九七二年の日中共同声明を踏まえまして、日台間の非政府の実務関係を維持していくというのが現在の我が国の立場でございまして、その上で、先ほどの繰り返しになりますが、駐日経済文化代表処の車両が業務遂行する上で今どのような問題を抱えておられるのかということをよく伺って、その上で、我が国の基本的立場を踏まえ、引き続き適切な対応を検討していきたいと考えております。

源馬委員 我が国の基本的な立場は別に変える必要はないんですよ。別にそこを私は求めているわけじゃないんです。

 パレスチナのときは、台湾に対してやっているように、何か実務的に弊害があるならそこを解消しましょうということをせずに、外交官ナンバーでオーケーでしょうという判断をしたのに、台湾については、それは無理だけれども、実務的に何か問題があれば解決していきますという、なぜそのダブルスタンダードが起こるんですか。

 さっき、外務省設置法によるとというお話でしたけれども、それによれば、外交関係があるかないかだけじゃないですか。そこで例外をつくるんだったら、別にほかだってつくれるんじゃないですか。

武井副大臣 繰り返しになりますけれども、イスラエルとパレスチナについては、我が国が、二国家解決であるということを、二国家解決として解決をするということを支持をしているという立場がございます。その観点からこういった対応に至っているところでございまして、先ほどもお話し申し上げましたけれども、台湾につきましても、個別的な、具体的な問題を把握しつつ、我が国として引き続き適切な対応をしていきたいと考えております。

源馬委員 せっかく武井副大臣が副大臣になられたんですから、是非積極的にお願いしますよ。副大臣をやられている間に少しでも前進できるように、大臣を支えて。

 これは、だって、台湾との関係を実質的に担ってきたという自民党の、さっきも城内先生たちも含めてやじを飛ばされましたが、そういうふうに皆さんが強く思っていらっしゃるんだったら、是非実現していただきたいと思います。何も反対しているわけじゃなく、むしろ早くやってくださいという立場ですから、是非お願いしたいと思います。

 同時に、戸籍の問題もあります。こっちの方はもっとハードルが低いんじゃないかと思います。

 例えば、台湾の方が日本人と結婚した際に、今は戸籍の国籍のところに中国と記されることになっておりますが、これも改善することができるんじゃないかと思いますが、副大臣、いかがですか。

武井副大臣 御指摘の点につきましては、戸籍事務は法務省が所掌しておりますので、法務省から説明を受けていただきたいと思います。

源馬委員 じゃ、法務省に伺います。

 レクでもいろいろお話を伺いましたが、なぜ戸籍に国籍を書く必要が今あるんですか。なぜ法でそういうふうに定められているんですか、戸籍法で。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 戸籍に配偶者の国籍を記載する趣旨は、夫婦の一方が外国人の場合には、外国人について戸籍が作成されないことから、国籍に関する事項を戸籍に記載しておかないと、その外国人の人定事項が特定されないのみならず、その夫婦の出生子の嫡出性や国籍の認定等についても疑義が生じてくるからというふうに承知しております。

源馬委員 その国籍の欄が例えば在留カードと同じように国籍、地域となっていたとすると何か実害的な弊害が起きるんですか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました在留カードにつきましては、外国人の基本的な身分事項としまして、国又は地域を記載するとなっているところでございます。

 他方、戸籍につきましては、夫婦の間に出生した子が嫡出であるかどうかや、その子の国籍の判断ということから制度が趣旨が異なっている、そのために国籍を記載しているというふうに承知をしております。

源馬委員 だから、それがもし国籍、地域となっていた場合、分からなくなっちゃうんですか。子供の国籍がどうのこうのという今の御説明が、国籍、地域という欄になっていて、そこに記入した場合、何か問題が起こるんですか。戸籍上、何か変な、おかしくなっちゃうとか、そういうことが起き得るんですか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度といたしましては、戸籍法また戸籍法施行規則に国籍を記載すると記載してございまして、今申し上げたような、子供の国籍を認定する、その観点から重要であるというふうに判断がされているものと承知をしております。

源馬委員 レクのときから聞いていても、結局、困ることはないはずなんですよ。それが国籍、地域になっていても困ることはないと思うんですよ。ただ、それには法改正が必要ということで、法改正が国籍、地域を記入するというふうになっていれば、それは問題ないわけですよね。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 法律を改正して、国籍とある部分を国籍又は地域と改正するかどうかにつきましては、現在は、台湾に関しましては、我が国が国家として承認しているところの中国というふうに記載しているところでございまして、先ほどからお話のあるとおり、非政府間の交流ということでやっておりますので、慎重な検討が必要だというふうに考えているところでございます。

源馬委員 そうじゃなくて、国籍となっているところに台湾と書いていいかどうかというのは国の立場があるから慎重にというのは分かりますけれども、戸籍法を国籍又は地域を記載することに法改正することには何も問題ないわけですよね。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員のおっしゃった、地域というのを加える、その立法事実として何を捉えるかという議論になろうかと思いますけれども、今まさに先生がおっしゃったような、台湾について台湾と記載できるようにする、それが恐らく立法趣旨になろうかと思いますので、この点に関する議論を抜きには話せないと考えております。

源馬委員 ですから、台湾と書いていいかどうかじゃなくて、国籍、地域になっていても問題ないわけですね、戸籍上。そう記入することになっていれば、何か、子供の国籍が分からなくなっちゃうとか、実害的な弊害が生じるわけじゃないですよねという確認をさせていただいています。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 戸籍の記載というものは、やはり分かりやすさという点が重要だろうと思います。

 地域というところも様々な地域がございますけれども、様々な地域が書かれていくということと、基本的に、承認されている国家、これを記載するということでは、やはり分かりやすさという観点では差があるということは考えております。

源馬委員 全然差はないですよ、普通に考えたら。

 だから、要するに、我が国の立場を気にしてということじゃないですか。それは別に変更する必要はないんですよ。むしろ、これからの日本の外交、安全保障を考えても、そこに手を加えるような議論を別に誰もするつもりはありません。

 そうじゃなくて、でもやはり、日本にいる台湾から来た方が、自分たちのアイデンティティーのためにつらい思いをされていたり、それで、もし、台湾の方の国籍を中国とどうしても書かなきゃいけない日本としての例えば戸籍上の何か問題があるなら、それは仕方ないかもしれないけれども、別に国籍、地域でもいいじゃないですかということを確認させていただいていたんです。多分それは分かっていらっしゃると思います。

 武井副大臣、是非、今お聞きいただいたと思いますが、別に問題ないわけじゃないですか。日本の国の立場に何か変更を加えるわけでもなく、台湾の方たちが今困っていることを少しでも改善していく。その上で、我が国は、もちろん中国やアメリカもそうだし、台湾もそうだし、大切な隣人たちとつき合っていく必要はもちろんあるわけで、でも、副大臣もおっしゃった、一つずつ改善していくことがあるならということですから、是非前向きに進めていただけませんか、副大臣。

武井副大臣 ただいまの件につきましては、今法務省から答弁があったとおりかというふうに思いますけれども、確かに様々な課題があるということはよく承りたいと存じます。

 ただ、実際に、それぞれの運用、そしてまたそれぞれの経緯というものがあることはよく踏まえていかなければいけないと思いますので、そういったようなこともよく踏まえまして、慎重な対応が必要だと考えております。

 以上です。

源馬委員 これで終わりますが、慎重な対応ではなく、実質的に取り組んでこられた方ですから、是非よろしくお願いしたいと思います。

 日本にとって不利益が生じるんじゃ駄目ですよ。でも、そういうことじゃないものもあると思うんですよ、今取り上げた二つも含めて。なぜ駄目なのか、本当によく分からないので、是非前向きにお願いします。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 私たち立憲民主党は、さきの通常国会で、議員立法、特定人権侵害行為への対処に関する法律案、いわゆる日本版マグニツキー法案を提出しました。

 これは、国際人権規約等の国際人権法に定める人権を著しく侵害する行為で、当該国では状況改善が見込まれないものを特定人権侵害行為とし、その事案調査の報告要求、対処措置の整備などを規定するものです。具体的には、外為法や入管法を一部改正し、特定人権侵害行為がある場合に資産凍結や入国拒否が対処措置として発動できるものとなっております。

 しかし、残念なことに、我が立憲民主党が取り組んで提出したこの議員立法は、成立には至りません。

 言うまでもなく、世界各国では、人権侵害問題に対して大変意識が高まっております。二〇一六年以降、アメリカ、イギリス、カナダなどでいわゆるマグニツキー法案が次々と成立し、EUでも規制が制定されました。人権侵害に対する断固とした手段として制裁を取り得るよう、法制度整備が進んでおります。

 日本国内でも、全国の市町村議会から、ウイグル自治区での中国人による人権侵害行為をやめさせるよう、日本政府に行動を求める意見書が続々と上がってきています。私の地元も、土浦市、つくば市、小美玉市が昨年から今年にかけ意見書を提出しています。

 土浦市議会からは、人権状況について懸念を持って注視しているという趣旨の発言にとどまる日本政府の対応は到底容認できないとし、調査を求める意見書が提出をされました。

 つくば市議会からは、昨年の通常国会が中国に対する非難決議を採決せず閉会したことを指摘し、日本は世界中の国とともに中国政府に対して抗議を行うべきだとの意見書が提出をされました。

 小美玉市議会からは、人権侵害を終わらせるための有効な手段を取るよう、国連諸機関への働きかけを日本政府に求める意見書が出されています。

 その他、全国の市町村から同様の意見書が数多く提出をされています。市議会から政府へ、他国における人権侵害に対し日本は何をしているのかと対応を求める意見書が出される、このように人権問題への関心が非常に高まっている状況でございます。にもかかわらず、日本版マグニツキー法案、特定人権侵害行為への対処に関する法律案のようなものを政府が作りたがらないのはいかがなものでしょうか。

 欧米とは異なるアプローチで中国を相手にする人権外交を展開したいのだろうかとも推測されますが、確かに、日本は欧米諸国とは違い、中国と文化を共有するアジアの一国であり、安全保障上の懸念もある一方、貿易相手国として中国と経済的に密接な状況にあることはもはや誰も否定はしません。だからこそ、いわば中国にとって微妙な立ち位置にある日本があえて欧米的なマグニツキー法も手段として保持していくことは、中国にとっても人権侵害を続けることは自国に不利になり得ると認識させる、日本しか出せない重大なメッセージになるかと思います。

 日本版マグニツキー法を有することは、日本の人権外交における手段の幅を広げることにつながり、また、対話の道を断つことを直ちに意味するものではないと私は考えます。また、そもそも中国のみを対象とする法律ではありませんし、制裁を発動させるか否かは政治判断に委ねられることからも、人権外交の手段の一つとして法整備をしておくことは有用だと思います。

 今年九月に、政府は、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを策定しました。ここでは、国家による人権侵害が疑われる場合、取引先との取引停止等の手段可能性についても論じられております。

 ガイドラインの冒頭では、「国家等の関与の下で人権侵害が行われている場合には、日本政府に期待される役割を果たしていく。企業の取組を後押しする更なる方策についても検討を進めていく。」とあります。

 我が党、立憲民主党提出の議員立法は通常国会で成立しませんでしたが、大臣、日本版マグニツキー法の制定の必要性についてどう考えておられるのか、所見をお伺いします。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、我が国は、人権は普遍的な価値であり、人権擁護は全ての国の基本的な責務である、こういうふうに考えておるわけでございます。

 そういった考え方に基づいて、今委員から御紹介いただきましたようなガイドライン等を制定、また、岸田内閣においては、中谷先生をこの担当の補佐官ということで任命して取り組んでまいっておるところでございます。

 これまで、人権侵害に対してしっかり声を上げる一方で、対話と協力を基本として、民主化や人権擁護に向けて努力を行っているような国との間で、二国間対話や協力を積み重ねて、自主的な取組を促してきているわけでございます。

 今先生から御指摘のありましたような、人権侵害を認定して制裁を科す、こういうような制度を日本も導入すべきかについては、これまでの日本の人権外交を踏まえて、全体を見ながら引き続き検討してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 私も、この外務委員会、衆議院議員にならせてもらって六年のうち、今年、四回目なんですけれども、やはり毎年、政党を問わずいろいろな委員の皆さんからも、いわゆる日本版マグニツキー法の制定を進めるべきだ、そのような主張がされていますし、林大臣以前の茂木大臣もその必要性について認めているともおっしゃっていましたけれども、実際、どうなんでしょう、私もここの席に、衆議院議員にならせてもらってまだ六年ですけれども、外務省、政府で考えるとか、そういった答弁も一時期あったんですけれども、今現在、具体的にそのような法整備をいろいろ考えたり、研究したり、そのようなことは今行っているんでしょうか。

林国務大臣 まさに、先ほど来委員からお話があるように、いろいろな取組が、議員立法の形等も含めて検討が行われているというふうに承知をしておるところでございます。

 また、G7においては、先ほどちょっとお話がございましたけれども、イギリス、米国、カナダ、またEU、こういうところがそういう仕組みをつくっておるということも承知をしております。

 普遍的な価値である人権を擁護するという基本的な考え方、これは、先ほどの三か国と一地域を含むG7の各国で完全に一致をしております。人権侵害に対してどういう対応が適切かについては、その一致した、一貫した立場に沿って、各国が適切と考える対応を取っておりまして、連携を取ってきておるところでございます。

 例えば、日本はカンボジアに対しまして、長年にわたって、基本法令の起草、司法制度の整備や運用、そして司法関係者の人材育成等、法制度整備支援、こういうことを実施してまいりました。そして、そうしたカンボジアと人権対話というのを実施して、人権分野における課題や国際場裏での協力等について意見交換を行ってきております。

 さらに、アジアを中心に世界各国で、民主主義の屋台骨である人材の育成やメディアの自由の強化、さらには選挙、司法を含む各種制度の構築、整備支援ということを行ってきております。

 同時に、日本は、譲ってはならない基本的な価値の部分では決して譲らずに、深刻な人権侵害に対しては直接、また、有志国と共同ステートメントといった形も取りつつ、しっかり声を上げて、強いメッセージを発出してきているところでございます。

青山(大)委員 ですから、日本もそういった様々な人権外交をやっているわけですから、私は、もちろんそういった取組はこれからもしっかり続けてほしい、同じ考えでございます。

 だからこそ、先ほど言いましたように、日本版マグニツキー法を作るということは、まさにそういった人権外交の我が国の幅を広げることにつながって、そういう意味で私は考えているんですよね。別に、それを作ったからといって発動を乱発するわけではもちろんありませんし、そこはもちろんまた別の話ですけれども、そういう中で、先ほども大臣も、議員立法とか、いろいろな議員連盟でもそういった議論が出ているということは認識だというふうにおっしゃいましたけれども、なので、政府としてもそういった検討会みたいなのを私はそろそろつくるべきじゃないかと思うんですけれども、その辺、どうでしょうか。

林国務大臣 どういうふうな検討の仕方かどうかはともかくといたしましても、先ほど申し上げましたように、日本は今まで、対話と協力ということを基本として、先ほどのカンボジアの例のように、二国間対話や協力を積み重ねて、自主的な取組を促してきておりますので、こうした今までの人権外交を踏まえて、全体を見ながら引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。

青山(大)委員 大臣、茂木大臣のときよりもちょっと後退しているような答弁だというふうに私は今思いました。茂木大臣の方がもう少し前向きな御答弁があったというふうに私は記憶をしております。

 人権外交は大事だと。もちろん、今、ロシアによるウクライナ侵略のまだ続いている状況の中、必ずG7と歩調を合わせていくということを日本政府が話しているわけですから、私は、この部分も他国と歩調を合わせる必要があるのかなと思います。

 多分、この話をしてもあれですので、繰り返し、重ねて要望といいますか、検討を促して、一旦この質問は終わりにさせていただきます。是非前向きにお願いいたします。

 次に、人権デューデリジェンスについても伺います。

 先ほど申し上げたとおり、今年九月に政府により、サプライチェーンにおける人権ガイドラインが策定されました。人権デューデリジェンスについて、EUを中心に法制化、義務化の動きがあり、日本がビジネスを展開し、経営リスクを避けるには、この要求に応えていかなければいけません。

 例えば、労働組合でもビジネスと人権についていち早く取り組んでこられました。UAゼンセンに加盟するイオンの労働組合はグローバル枠組み協定を導入し成果を上げていますし、先日も、十月二十八日に参議院議員会館で、連合さんの主催により、国内の外国人労働者への人権侵害について事例報告や改善の取組、課題検討を行う集会が開催されました。

 人権デューデリジェンスへの政府の対応、取組は遅れているとの指摘がございますが、政府の見解や今後の動向について伺います。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 サプライチェーンにおける人権尊重は、今日、各国が取り組むべき共通の課題だと考えております。企業に人権尊重を求める国際的な動きも加速しております。

 企業のサプライチェーンにおける人権尊重については、九月に日本政府として業種横断的な人権デューデリジェンスガイドラインを、先ほど御紹介がありましたように、決定、公表したところでございます。

 外務省といたしましても、関係府省庁とステークホルダーとの対話の場を設けたり、あと、国際機関への拠出を通じた日本企業及びそのサプライヤーに対する人権デューデリジェンスの研修実施等を通じた、途上国における責任ある企業行動の促進の支援といった取組を進めてまいります。

青山(大)委員 引き続き取り組んでほしいと思います。

 次の質問に移ります。

 高速道路に関する訪日外国人旅行者向け周遊定額パスについて伺います。

 これは、訪日外国人旅行者向けのサービスとして、レンタカー利用者を対象に高速道路が定額で乗り放題になるものでございます。二〇〇八年、北海道で最初に始まり、二〇一七年には、ジャパン・エクスプレスウェー・パスと称して、訪日外国人旅行者向けに全国を対象とする高速道路乗り放題パスの販売も始まりました。その後、新型コロナウイルス感染症が拡大し、現在、新規の申込み受付は一時停止中とのことでございます。

 今後、水際対策の緩和と円安により、訪日外国人旅行者が増えるのは明白でございます。そんな状況にあって、今、果たしてこのような外国人旅行客向け割引制度が今後も必要なのか、私は疑問に感じます。

 まず、一点目として、日本人向けにも似たような高速道路周遊定額パスがありますが、外国人向けと比べて割引率が異なって、日本人向けの方が割引率は低くなっています。すなわち、日本人の方が損をする、おかしくないですか。

 さらに、この制度導入によって、実際、コロナ前は訪日外国人旅行者によるレンタカー利用者が増えたわけでございますが、それに伴い、交通事故の件数も増えたと伺っています。

 訪日外国人旅行者のレンタカー事故件数の推移について、まずは伺います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 訪日外国人旅行者によるレンタカー交通事故件数についてお尋ねですが、交通事故統計において訪日外国人旅行者という区分はしていないことから、日本国籍以外で国際免許又は外国免許を所持していた方がレンタカーを運転し、第一当事者となった交通事故件数を過去十年間についてお答えいたします。

 平成二十四年三十六件、平成二十五年五十三件、平成二十六年六十八件、平成二十七年百六件、平成二十八年百三十四件、平成二十九年百八十八件、平成三十年百五十八件、令和元年二百八件、令和二年四十七件、令和三年四件となっております。

青山(大)委員 まさに、平成二十九年、二〇一七年にジャパン・エクスプレスウェー・パスが発売されて、爆発的に外国人の旅行者によるレンタカーの事故が増えた。もちろん、令和二年、三年はコロナで、なかなかね、観光客が減ったのは当然だと思うんですけれども、このように、コロナで入国が止まる直前まで、外国人旅行者によるレンタカーの事故件数が利用者増に伴って爆発的に増えているわけでございます。

 また、交通事故分析総合センターの資料によれば、二〇一四年から二〇一八年において、レンタカー相対事故率、つまり事故リスクを比較すると、日本人は二・五に対し訪日外国人は一三・八と、五倍以上の事故リスクがあります。これは、日本の左側通行や、横断歩道は歩行者優先といった交通ルールを理解しないことなどが主な原因に挙げられるかもしれません。

 しかし、特に沖縄とか北海道などが外国人旅行者によるレンタカー事故のワースト一位、二位だそうです。こうした観光地は、当然、私たち日本人にも人気なわけでございます。このように、訪日外国人旅行者によるレンタカー事故の増加によって、逆に、日本人の旅行者が事故を恐れて遠のいてしまうのではないでしょうか。

 外国人旅行者によるレンタカー事故が起きないような対策をすることも当然必要ですけれども、利用者増に伴う事故件数の急増を踏まえますと、そもそも、全国を対象とする高速道路乗り放題パスという制度をつくって訪日外国人旅行者にレンタカーを利用させ、そのような需要をわざわざ掘り起こす必要がないんじゃないかと私は思います。

 平成二十七年六月に策定された観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一五の中で、「高速道路会社が、国、自治体、レンタカー事業者等と連携して、地方の高速道路において、定額で何回でも利用できる外国人旅行者向け周遊ドライブパスなどの企画割引を展開する。【新規】」と明記されていますが、当時と今では状況が大きく異なっております。さらに、現在は円安の状況でもございます。

 このような背景を踏まえて、現在停止中の高速道路に関する訪日外国人旅行者向け周遊定額パス、北海道、東北、中日本、山陰・瀬戸内・四国、九州、そして全国と六種類ございますけれども、私は、このまま停止するか、又はこの制度そもそもを廃止すべきと考えますが、いかがでしょうか。

西田大臣政務官 お答えいたします。

 高速道路の訪日外国人向けの観光周遊パスは、外国人旅行者による観光促進のため、レンタカーを利用する外国人を対象として高速道路会社が販売しているものでございます。観光周遊パスの御利用により、訪日外国人が国内の対象エリア内を周遊しながら観光することが可能なことから、国内各地に広く経済効果が生まれるものと認識をしているところでございます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、令和二年四月から販売を停止をしておりましたが、現下の感染状況を踏まえて今月から販売が再開される商品もあり、国土交通省としましても、観光周遊パスの活用を通じて、観光振興や地域活性化が図られることを期待をしております。

 以上です。

青山(大)委員 政務官、どこの国の政務官でしょうか。私は、もちろん、このコロナで日本人もなかなか旅行もできなかった。まあ、今はいろいろな、GoToトラベルとか、また支援策が出ていますけれども、まずは日本人がしっかり国内旅行をできる喚起を。

 今おっしゃったような周遊パスの目的というのは、コロナ以前、まさに政府として、訪日外国人四千万、六千万人という、その目標があったときの話だと思うんですよ。あれから、コロナが発生しました、そしてこの円安の状況、当時と状況はがらっと変わっているんです。恐らく、政務官の地元の石川県でも言われませんか、高速道路料金、高くないですか、私たちは旅行したいんだけれども、何で外国人ばかりこんなに安くするんですかと。

 ここは、私は、もう一回考えて、別に、今だんだん日本人も国内観光をしてきますよ、今の円安ですから、海外に行こうと思った人は国内。まずはそっちを、日本人の方をしっかりと需要を喚起する、そこを見て、外国人訪日旅行者向けの方のパスの方は当分停止しておく、そういうことを私はしっかり考えるべきじゃないかと思いますけれども、政務官の考えを伺います。

久保田政府参考人 御質問に対して御答弁申し上げます。

 外国人向け周遊パスでございますけれども、国土交通省としましては、単に外国人観光客を日本に呼び込むということだけではなくて、さらに、各地域地域、国内の地域地域に足を運んでいただく、そういった目的がございますので、そういった意味でドライブ観光を推進していくというものでございます。

 これにつきましては、経済状況の変化はございますけれども、やはりインバウンドを促進していく、ゴールデンルートだけではなくて、広くあまねく外国人に行っていただく、そういった目的でやっているものでございまして、御理解いただきたいと思っております。

 以上でございます。

青山(大)委員 これは多分、政治家同士の方がいいと思うんですよ。多分、政務官も分かると思うんですよね。

 だって、この二年間、本当に観光業も非常に厳しかった中で、実際、今、コロナが明けてお客さんが増えていますけれども、従業員の数が足りないという問題もあるじゃないですか。今、円安の中にあって、やはり日本人も、海外へ行かないで国内で観光しようとか。黙っていても来ますよ、外国人の方たちは、こんな割引をつくらなくても、と思うんですよね。

 だって、大臣だって、自分の石川三区、広いじゃないですか。言われませんか、高速道路、早く建設費を償還してもらって下げてほしいとか。そこは、やはりまずは日本人のためを、第一に考えた政策を講じる。

 これは、当初つくられたのは、コロナとかが発生する前、東京オリンピック前の話なんですよ。だから、ここは私は、一回冷静になって、たしかあれは十一月十一日に東北が始まるんでしたっけ、ですけれども、ほかの五つについては、もう一度、国交省もNEXCOと話し合って少し検討した方がいいと思いますけれども、今、再開とか停止とか廃止の状況なんかは、ほかの五つに関してはどうなっているんでしょうか。

久保田政府参考人 周遊パスの再開の状況でございますが、委員の御指摘のとおり、東北地方につきましては、東北エクスプレスウェーパスについて十一月十一日より申込みの受付を再開するということをNEXCO東日本より案内をしてございます。

 他の周遊パスの取扱いにつきましては、現在、高速道路会社におきまして、地元地域ですとか、連携するレンタカー会社、こういったところの意見も踏まえながら検討中というふうに承知してございます。

 以上でございます。

青山(大)委員 ですから、ほかの五つについては本当に、ちょっと国会でこういう議論もあったということを踏まえて、もう一度よく考えてほしいと思うんですよ。これで、今、コロナが明けてたくさん来たら、これは逆に観光地もパンクしちゃうと思いますよ、本当に。また事故が増えて、何で日本人の財産で造った高速道路で事故が起きて、リスクも大きくて、しかも、日本人は外国人の旅行者よりも高いお金を払っているというのは、これはちょっと私は、このアクションプランを作った当時とは社会状況が変わっているので、そこは見直してほしいというふうに思っています。

 先ほども、高速道路に関する訪日外国人旅行者向け周遊定額パスは経済効果を目的というふうな話もございました。でも、私は、繰り返しですけれども、まずは日本人のために、国内の需要を掘り起こすことが大切だと思います。

 そもそも、多分、政務官も地元から聞いていると思いますけれども、高速道路料金はやはり高いんですよね。そもそも、高速道路料金が高いからこういった割引サービスを生むのであって、人を移動させて地域経済を活性化させたい、経済効果を生み出したいのであれば、やはり現在の高速道路における距離制の利用料金制度を改めるということも私は一つの考え方というふうに思うんです。もちろん、高速道路無料化が望ましいですが、せめて定額化を進めるべきだと私は考えます。

 高速道路の建設に係る債務の返済を理由に、いまだ高速道路料金を我々日本人は支払わされていますが、少なくとも、訪日外国人旅行者向け周遊定額パスによって外国人に恩恵を与え、正規料金を取ればよいところを取らずして、高速道路の建設等に係る債務の返済を遅らせるべきではないと考えますけれども、政務官、最後に一言お願いいたします。

西田大臣政務官 お答えいたします。

 高速道路の料金については、社会資本整備審議会の部会の意見を踏まえ、高速道路の利用促進の観点から、平日朝夕割引、休日割引、大口・多頻度割引等の料金割引の実施などに取り組んでいるところでございます。

 また、昨年八月に取りまとめられた部会の中間答申においては、割引を適用するために料金所の周辺などで車両が滞留するといった課題を解消できるよう深夜割引を見直すことや、繁忙期等における渋滞を緩和し、より効果的に観光需要を喚起するため休日割引を見直すことなどについて意見をいただいており、引き続き、高速道路を利用しやすい料金体系となるよう検討を進めてまいります。

 一方、高速道路の料金定額制については、その料金の水準等をどのように設定するかによって、激しい渋滞の発生やほかの交通機関に与える悪影響、高速道路の建設等に係る債務の確実な返済への支障等が懸念されるため、慎重に検討をする必要があると認識をしているところでございます。

青山(大)委員 いずれにしましても、日本人がより利用しやすいような、そんな制度設計をしてほしいと思います。立場が変われば、西田政務官も多分同じ考えだと思います。是非とも、重ねて要望させていただきます。まずは、日本人が国内を観光すべき、しやすいような割引をつくるべきだと私は思います。

 最後に、台湾のCPTPP加盟状況を伺います。

 私も過去にこちらの委員会で何度か質問しましたけれども、我が国と普遍的価値を有する台湾がCPTPPに加盟し、共通ルールに基づいた緊密な経済関係を我が国や加盟国と構築することは大変有益だと思っています。ただ、同じくCPTPP加盟を希望する中国によって、台湾が加盟を妨げられるのではないかという懸念もあります。

 現在はイギリスの加盟交渉が優先され、加盟国の多くは、中国、台湾の加盟交渉については様子見をしているとも伺っていますけれども、台湾の加盟交渉について現状を伺います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 台湾は、我が国にとりまして、先生御指摘のとおり、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有しておりまして、緊密な経済関係を有しております極めて重要なパートナーでございます。また、台湾はかねてから、CPTPPへの加入申請に向け、様々な取組を公にしてきております。こうしたことを踏まえて、そうした台湾が加入申請を提出したことを我が国として歓迎してきているということでございます。

 それを受けたCPTPPの加入手続でございますが、これは、加入を希望するエコノミーが加入申請を提出した後、協定の締約国で構成されますTPP委員会におきまして、そのエコノミーの加入手続の開始の可否をコンセンサスで決定する、こういうこととされております。

 現在は、先生御指摘のとおり、イギリス、英国につきまして加入手続が進められているところでございまして、台湾の加入手続の開始の可否につきましては特段意思決定はなされておらず、台湾の加入手続に関する今後のプロセスの詳細は何ら決まっていないという状況でございます。

 加入申請を提出したエコノミーの扱いにつきましては、ほかのCPTPP参加国ともよく相談していく必要がございますが、我が国といたしましては、台湾が協定の高いレベルを完全に満たすことができるかどうか、この点についてまずしっかりと見極めますとともに、戦略的な観点や国民の理解、こういったものを踏まえながら対応してまいる方針でございます。

青山(大)委員 以上で質問を終わりにしますけれども、武井副大臣も台湾については非常に取り組んでおられますので、是非、武井副大臣を先頭にお願いいたします。

 以上です。

黄川田委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 外務委員会での質問の機会をいただいて、ありがとうございます。外務大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、ウクライナの戦争が日本に突きつけている課題について質問をしようかと考えておりまして、ロシアのウクライナ侵攻は、日本に三つ、今課題があるんじゃないかということ、いっぱいあるんですけれども、今日は主に三つを伺いたいと思います。一つは国連の危機の問題、もう一つはインド太平洋地域への影響、あともう一つは対ロ制裁、こういった課題があるんだと思います。

 国連の危機については、二〇一四年のクリミア併合に始まったロシアのウクライナ侵攻が、戦後の国際平和維持機構としての国連の根幹を脅かしました。これを放置すれば国際社会の秩序を崩壊させてしまう、そういった重大な危機に直面をしているということは、皆さん御承知のとおりで、共通の理解だと思います。

 その中で、安保理の改革をどうしていくのかということをまずしばらくお伺いしたいと思っています。

 拒否権もどんどんどんどん濫用して、本当に何だかよく分からないような状態で、どうやって機能しているんだということで、じゃ、防止することができるのかどうかということは、これは根本的な話ですけれども、やはり今、このウクライナがあった状況で、もう一度見なければいけないというふうに考えているところです。

 安保理事会は、国連憲章で、国際の平和と安全の維持に主要な責任を負うと定められていて、武力行使に関わる国連の中核機関であるにもかかわらず、常任理事国であるロシアが拒否権を持っているため、ウクライナ戦争に関して、法的拘束力のある決議を一度も、当然ですが出せていません。

 さらに、北朝鮮の核・ミサイル開発についても、安保理事会はこれまで毎回制裁決議を出してきています。しかし、これについても、今年の五月、二〇二二年の五月、北朝鮮のミサイル発射への制裁決議案が初めて否決されたということになるんだろうと思います。

 スウェーデンやフィンランドも、今、NATOに加盟申請をしたというのも、これまでは中立政策を取ってきたわけですから、これを放棄したということになりますし、国連の抑止機能がこのままではどんどん有名無実になってしまったという事態の深刻さを示している、一つのこれは表れではないかというふうにも思います。

 林外務大臣は、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐって、報道を見させていただきましたけれども、十月二十二日の都内の講演で、法の支配に基づく国際秩序を守り抜けるのか、強者が弱者を圧倒し、力の論理に基づく現状変更が横行する国際社会のジャングル化を許してしまうのか、その岐路に立っていると指摘されております。

 国連安保理改革に、特に先ほど申し上げました拒否権の濫用防止というのは、一丁目一番地であるというふうに考えています。

 この課題について、元国連大使の神余教授が、これは質問通告もさせていただいていますけれども、十月二十五日の日経新聞に、今次国連総会で、今年の総会ですね、拒否権の抑制的な行使を求める総会決議案、つまり、ジェノサイドには拒否権を行使しないなどを米英仏や有志国と組んで提出するなど、拒否権改革に積極的に取り組むべきであると。こういった問題は比較的話しやすいんだと。元国連大使の神余先生の話ですから。

 こういったことを今述べているんですが、まず最初に、こうした指摘を林外務大臣としてはどのように評価するのか、その評価について教えてください。

林国務大臣 政府といたしましては、従来から、常任理事国による拒否権の行使は一般に抑制されるべき、こういう考え方を持ってきております。

 こうした観点から、我が国は、大規模な残虐行為について常任理事国五か国が自主的に拒否権行使を抑制すべきだ、こういうフランスとメキシコによる提案などを支持しております。

 また、本年四月に採択されました、安保理常任理事国が拒否権を行使する場合に、その説明を求める国連総会の会合を開催すること等を主な内容とする国連総会決議、これはリヒテンシュタインがリーダーシップを取ったわけですが、これにも共同提案国入りをしております。

 やはり、国連憲章の改正が必要となるような拒否権の扱いの変更、これは、国連憲章を読んでもなかなか、常任理事国の全ての同意が要る、こういうことで大変ハードルが高いとは思っておりますが、そのことは承知はしておりますが、我が国としては、拒否権行使の抑制の方途等について、引き続き、多くの国々と議論、協力しながら、何ができるか、不断の検討をしてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 今のお話を聞いていましても、実は、九月に行われた国連総会の一般討論演説、これは前回もお話ししましたけれども、ここでも、ロシアのウクライナ侵攻で機能不全を露呈している安保理事会の改革について、約七十か国・地域がこれを支持を表明していますし、その七十か国・地域のうち約五十か国・地域が理事国の拡大にも賛意を示したというふうに報じられていました。

 我が国は、長年、常任理事国の拡大を支持して、その一角を占めたいと考えて国連改革を進めてきたわけですが、今回のウクライナの事変を受けて、今これはそういったチャンスだというふうに考えていらっしゃるのかどうか、お願いいたします。

林国務大臣 今、篠原委員からございましたように、安保理改革は国連においてずっと長い間議論が積み重ねられてきておるところでございます。

 岸田総理が先般の国連総会の一般討論演説でも述べたとおり、議論のための議論ではなくて、改革実現に向けた行動を開始すべきだ、こういう考えでございまして、私自身も、先般の国連総会の際に、G4、これは日本、ドイツ、インド、ブラジルですが、この外相会合において、そのために文言ベースの交渉開始に向けて連携ということをこのG4の場で再確認をさせていただきました。

 また、今委員から御指摘いただいたように、各国の一般討論でも、多くの国が安保理改革など国連強化に前向きな演説を行っております。アメリカのバイデン大統領も、安保理改革の推進について積極的な呼びかけがございまして、また、国連総会の議長であるクールシ議長も、交渉を進めるという旨を述べました。私も、バイでクールシ議長とお会いして、その話をバイでもさせていただいたところでございます。

 こうした各国の利害も複雑に絡み合う安保理改革、これは決して簡単ではないというのは申し上げたとおりですが、引き続き、こういったG4や米国、さらに、アフリカを含む多くの国々と連携しながら、粘り強く取り組んでいきたいと考えております。

篠原(豪)委員 各国、思惑が違うから大変だということは、そのとおりだと思います。常任理事国の拡大は、まさに米中ロの間で思惑が異なる、ロシアや中国は、日本とドイツを常任理事国にする案には反対をし、そして、憲章の改正案の批准も、まあしないだろうなというふうに神余国連大使は言っています。

 その上で、新しく、さっきのG4の話もそうでしたし、文書を作っていただくという話もありましたし、そうしたお話をされているという話もありましたけれども、そもそも、日本としては、その戦術、どういう点をその中に書き込んでいくのかというのが多分大事だというふうに思っていて、それが、例えば、任期を変える、四年から八年と長くて連続再選も可能な準常任理事国化、これも任期の長い非常任理事国ですから拒否権はないんですけれども、そういったものの創設もしっかりと拡大とともにやっていくべきじゃないかというふうに言っていますが、こういった具体的なプランについて、例えば今の話、どのように今私が申し上げていて感じておられるかということをちょっと教えていただければと思います。

林国務大臣 国連が一九四五年に創設されて以来、七十五年が経過しておりまして、加盟国の数が当時より四倍になっておる、こういうことで、数だけではなくて、経済力等々を見ても国際社会の構造は大きく変化してきておりますが、安保理の構成が全く変化していない、こういうことでありますので、安保理の正統性と代表性というのを向上させて、増大する国際社会の諸課題により効果的に対処できるようにするというのが、この改革の基本的な考え方であろうかと思っております。

 そのために、安保理の構成が現在の国際社会の現実を反映するように、常任及び非常任の双方の議席を拡大するということが重要であると考えておりまして、アメリカのバイデン大統領も今年の一般討論演説でこれを支持をされたわけでございます。

 今委員がちょっとお触れになった、いわゆる準常任理事国というような案があるということは承知をしておりますが、現時点で我々が持っているのはそういう案ではなくて、G4の案というものでございます。

 各国の利害、複雑に今絡み合うということもお触れいただきましたけれども、関係国と連携しながら、この実現に向けて粘り強く取り組んでいきたいというふうに思っております。

篠原(豪)委員 今の外務大臣のお話を伺っていますと、常任理事国入りを目指すというプランについては今のところ変更はないんだという今理解だと思いましたので、それでいいかということと、もう一つ、フットパス、どういうふうにやっていくのかということは、例えば、改革を、神余さんなんかは、さっきの話、仮にやったとした場合に、二段階で進めるべきだと。第一段階として、二五年頃までに、日本とかドイツとかトルコとか韓国というところが、ミドルパワーが選挙を経て就任をして、国際平和と安全への貢献を通じて安保理の信頼性と機能を回復をする、させる、そして、第二段階として、国連創設の百周年の四五年頃までに常任理事国の改革を行うと、かなり具体的なステップが書いてあって、これは最近の話なんですよね。

 こういうふうにやっていくのがいいんじゃないかということでありますが、これは、今ここで国連改革について伺うのはこれが最後ですので、このことについて、そこをしっかりと教えていただければと思います。

林国務大臣 現時点で準常任理事国という案を検討していないというのは先ほど申し上げたとおりでございますが、一方、実はG4の案というのは、四か国か五か国、非常任理事国を増やす、それから常任理事国はプラス六、プラス六のところはアフリカと一緒なわけでございますが、拒否権について、新常任は現常任と同じ責任と義務を有するべきだが、拒否権は十五年後のレビューまで行使しない、一方でこういうところもつけておりますので、そういった意味では、今お話のあった案とその部分においては似通ったところもあるのかなと思って今御意見を聞いておりました。

 いずれにしても、ずっとG4で、この案でやり、かつ、アフリカとも、アフリカの共通ポジションを支持するということで取り組んできていますので、先ほどちょっとございましたように、モメンタムが出てきておると思っておりますので、このモメンタムを生かしながら、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

篠原(豪)委員 そのモメンタムを起こすために、どういうふうに更によくしていくのかということについて国際社会の声などを結集していくために、国連も含めてどうしたらいいかという議論を少しさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 直近の、十月十二日ですけれども、国連総会の緊急特別会合は、ロシアと親ロシア派がウクライナ東・南部の四州で住民投票を強行した、そして一方的に併合を宣言して、これは我が国もけしからぬという話をしているわけですけれども、これを違法と非難して、無効だと宣言する決議を圧倒的な賛成多数で採決をしています。

 どのぐらいかというと、今回の国連決議は、九月の安保理、安全保障理事会では、これはどういう案かというと、廃案になったんですけれども、ロシアの拒否権発動によって廃案になった決議案を下地にしたものです。これを賛成が、全加盟国・地域百九十三の約四分の三に相当する百四十三に上るんです。二〇一四年のときのクリミアの併合を無効とした決議から約一・五倍、あのときは百ぐらいですから、どんどんどんどんとロシアはよくないという声が国際社会で上がってきているということ、当然だと思いますけれどもね。

 侵略直後の本年の三月二日の緊急特別会合で採択した侵略非難決議も上回っているんです。この間、それだけ、始めたときからでも少し上がっているということになります。これはまさに、プーチンによる、力こそ正義だということが通用しないんだということを明示する出来事として、大きな意味を持つと思っているんです。

 ただしかし、他方で、棄権はインドや中国を含む三十五か国、無投票は十か国、反対の五か国を加えれば、反対はロシアとかベラルーシとか北朝鮮とか、そういうところだと思いますけれども、五か国を加えれば五十か国が不賛成だったことになりますし、これは決して取るに足らない数とはまだ言えない。したがって、この五十をいかに少なくしていくことに日本も貢献できるのかということが、今後の趨勢には、国際的には大きな意味合いを持っていくんだろうと思っています。

 ですので、この賛成国でも、本格的なロシア制裁に、残念なことに、日本とかアメリカとか欧州も大分制裁に踏み切っていますけれども、ただ、制裁をやって、踏み切った国は実際は二十か国程度にすぎないんですよ、賛成は百四十一あっても。なので、このことについて、三月のロシアの非難決議で反対、棄権した四十か国のうち八割は、ロシア製の兵器の輸入国だったんじゃないかというふうに言われていますが、こういった中で日本は、軍事じゃなくて、今申し上げましたように、不賛成国を減らす外交分野でこそ貢献すべきだと。

 この観点から、大臣がどこかの地域で、あるいは国でそういった努力をされてきたのか、私が考えていることと同じことを考えていらっしゃるのか、あるいは、もう既にそういった行動をされているのかどうかということを教えていただければと思います。

林国務大臣 誠に重要なポイントをおっしゃっていただいたと思っておりまして、G7等で集まっても、これは全部公表されていますから、賛成、反対、棄権、不投票、それを皆さん頭に入れた上で、じゃ、どうしていこうか、こういう話を投げかけてみんなでやる、こういうことになっているわけでございまして、特に、今回の住民投票と称する行為やロシアによるこれら地域の違法な併合、これはウクライナの主権と領土一体性を侵害して国際法に違反する行為であって、決して認められてはならず、強く非難する、こういう立場でございますので、多くの国にこうした立場を説明し、同志国等と連携しながら、働きかけを行ったところでございます。

 例えばということですが、アフリカ諸国ですけれども、八月のTICAD8に合わせて実施をいたしましたアフリカ各国との個別の会談、さらには、これに先立って閣僚会合というのをオンラインでしたけれども実施をしましたが、そこでもいろんな会談がございました。

 それから、東南アジアですが、ここは、八月のASEAN関連外相会議といった機会、また個別の会談、バイの会談を通じて、世界各国に対して、ロシアによるウクライナ侵略に対する我が国の立場ということをずっと重ねて説明をしてきたところでございます。

 先ほど委員がおっしゃったように、いろんな背景がそれぞれの国によってあるということもあるわけでございますので、立場としては同じことを言いながら、相手の国のいろんな推察される事情等を加味しながら働きかけをやってまいらなければならないし、そうしてきたつもりでございますが、近く、今度はASEAN関連首脳会議、それからG20バリ・サミット、さらにAPECの首脳・閣僚会議、こうした場も含めて、あらゆる機会を捉えて、G7を始めとする国際社会と連携しながら、ロシアが即時に侵略を停止して部隊を撤収するように、外交努力を積み重ねていきたいと考えております。

篠原(豪)委員 質問通告でもお伝えしていますけれども、私が注目しているのは、もちろん、今おっしゃられた、日本の既に力が及ぶ、あるいは力が及ぶであろうそういった国々に対してまずアプローチするのも大切ですし、今回見てみると、CISの加盟国、これは旧ソ連の構成国でつくる独立国家共同体、現在九か国が加盟していますけれども、ロシアの非難決議に反対したのはロシアとベラルーシだけなんですよね。あとは、けしからぬという話をしているという、身内だってこういう状態ですから、またこういうところにも、日本の力がどこまで及ぶか分かりませんけれども、ここをしっかり固めていくというのも大事なんだろうというふうに思っています。

 次の質問に参ります。

 一つ、やはり、NPT体制の危機というのも考えなきゃいけないんじゃないかということで、国際社会は、ウクライナの侵攻の当初から、プーチンによる核使用の脅しに向き合ってきていますけれども、ロシアが通常戦力で劣勢を挽回することが最近では困難になっていて、使うんじゃないかということが心配されているわけですね。

 プーチンによる核の使用を懸念して、ロシアが撤収しないまま例えば停戦に入るとかいうことが、もし仮に、考えていただいた場合に、多分、そういう核の脅しということで、それを、使用を懸念して、ロシア軍が撤収しないんだけれども停戦に応じてしまうということになれば、今後、プーチンは、この成功体験を糧に、再びウクライナ全土の支配を、立て直してやってくるんだろうというふうに思います、プーチンがいればですよ、今の考え方でいえば。

 画策をすると思いますし、クリミアもそうなんですけれども、こういうことを許してしまうと、北朝鮮とか中国もそれを見ていますから、そういうやり方があるんじゃないかというような、戦略の一つのケーススタディーになるということなので、そうすると、核が全世界に拡散して、NPT体制がまた崩壊していくみたいなところの流れができていくんだと思うんですよね。

 ただ、中国とかインドは、そうはいっても、核の拡散に今反対だと言っていますので、逆に、実際に核が使用された場合、ロシアが、プーチンが使った場合には、非難する側に回る可能性が私は高いんだと思っていますので、そういったときに、その意味で、ロシアの核使用に反対するように、これは日本も含めて、今この状況できちっとやっていかなければいけないんだと思っています。

 そこで、NPT体制の護持を目的に中国やインドの支持を取り付けて、ロシアがウクライナ戦争で核を使用しないというような、呼びかける国連決議のイニシアチブを取ることも、日本は唯一の被爆国で、非核平和主義を取る我が国でありますので、こういったことをしていただくのがふさわしいんじゃないかと。

 これは提案です。御提案させていただきますけれども、こういうふうに考えて今お話しさせていただいたんですが、外務大臣としてはいかがでございましょうか。

林国務大臣 今お話があったように、ロシアのウクライナ侵略等によって、核軍縮をめぐる状況というのが一層厳しさを増しております。そういうときだからこそ、まさに今御指摘をいただいたように、NPTの維持強化というのは今こそ非常に極めて重要だと考えております。ロシアが行っているような核兵器による威嚇、ましてや使用、そして、今ちょっと議員がお触れになりましたが、それが何か目的を達成することになってしまうというようなことがあっては決してならないというふうに思っておるところでございます。

 国連の場で、一九九四年以降、日本は毎年国連総会に核兵器廃絶決議というのを提出しておりまして、多数の支持を得て採択されてきております。今年の決議案ですが、核軍縮をめぐる現下の厳しい情勢認識と問題意識を踏まえて、NPTが国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石であるということを書いた上で、特に、核兵器が二度と使用されてはならないということと、それから、核兵器使用に関する扇動的な表現の使用を自制すること、こういったことなどを各国に要請する内容となっております。

 この決議案は、まず国連総会第一委員会でこの間採決がございましたが、誠に残念ながら、中国が反対ということでした。また、NPTに加盟していないインドは棄権ということですが、核兵器国である英米仏や、核禁条約に入っている様々な立場の国からも多くの支持を得て採択をされたところでございます。

 この委員会の採決の後、十二月上旬に今度は国連総会の本会議で採決が予定されておりまして、ここへ向けて、一か国でも多くの国の支持が得られるように、中国やインドも含めて、各国に働きかけを続けていきたいと考えております。

篠原(豪)委員 是非お願いします。

 ちょっと、インド太平洋地域への影響は、安全保障委員会でも同じく私、外務大臣に質問させていただく機会がありますので、そちらの方に、次回ということでやらせていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 対ロ制裁の問題で、時間がないので、お伺いしたい問題が一点。

 林外務大臣が、ロシアによるウクライナ侵略が明らかに失敗であったということを歴史に刻まなければならない、国際社会で力による一方的な現状変更はどの地域であれ断じて許してはならないというコンセンサスを広めていくと。今のような話もそういうことにつながっていくんだと思いますけれども、まさにそのとおりだと思いますし、日本は、これまでの対ロ外交はどっちかというと融和な感じでしたので、こうなってくると逆になってきているのかなというふうに思いますね、当然のことといえばそうなんですけれども。

 例えば、二〇一四年二月のロシア・ソチ五輪の閉会式に、欧米の主要国がロシアの人権問題に抗議して首脳の参加を拒む中、安倍さんは当時は参加しました、当時の安倍首相は。さらに、その直後の三月にロシアがクリミア編入を宣言した後も、日本の制裁は欧米に比して実効性に欠けるものだったと、これはこの間も指摘されてきていますけれども、言われていることでありまして、その上で、二〇一六年にはプーチン大統領を安倍首相の地元の、大分遅刻しましたけれども、山口県に招いたということがあったと思います。

 もちろん北方領土の解決のためではありますが、二島先行返還さえ受け入れてもらえず、ちなみに、余談ですけれども、私、あのとき、実は北方領土にひげの隊長と一緒に行かせていただいて、そのときに、たしかプーチンさんが来る前だったと思うんですけれども、ある日本から行った方が出国できなくなっちゃったりしていて、そういった問題があったということも直前にあったんですよね。出国じゃない、国じゃないので、あそこは日本ですけれども、北方領土から、ロシアの警備兵がいるので、出してもらえなかったということがありました。もちろん日本ですよ。

 そういった中で、逆に、ロシアは二〇二〇年に憲法を改正して、領土の割譲禁止を盛り込んで、日本の国益が損なわれたというふうに評価されているところです。

 この間、ロシアが国際社会のルールを無視して、むき出しの力で現状を変更することを許したことによって、結果的に今のロシアのウクライナ侵略を後押しした。つまり……

黄川田委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

篠原(豪)委員 じゃ、最後に質問します。短く質問させていただきます。

黄川田委員長 短くまとめてください。

篠原(豪)委員 つまり、林外務大臣の講演の内容が事実なら、これまでの対ロ融和政策を転換したことになりますが、これまでの政策をどのように評価しているのか、そしてどのように変わっていくのかといったことをどう考えているかということを最後に教えていただければと思います。

林国務大臣 今御指摘のあった二〇一四年以降ですが、ロシアによるクリミア併合、その後のウクライナ情勢を受けて、G7の連帯を重視してロシアに対する一連の制裁措置を講じてきました。ロシア・ウクライナ間の紛争の更なる拡大を防止して事態を平和的に解決することを目指して、我が国を含む国際社会がロシア、ウクライナの双方に対して平和的解決を働きかけてきたところでございます。

 その中で、ロシアとの間に領土問題を有する我が国として、幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するように発展させるべく、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下で粘り強く平和条約交渉を進めてきたわけでございまして、こうした日本政府の対応は適切であったと考えております。

 今般のロシアによるウクライナ侵略に際しては、G7を始めとする国際社会と連携して、これが力による一方的な現状変更の試みであって、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙である、そういう認識の下で、厳しい対ロ制裁等、断固として行動しております。そうした断固とした行動がなければ、委員からも御指摘がありました、力による現状変更を試みる国がほかにも出てくることは必至でありますので、御指摘のあった講演での発言はこうした認識について申し上げました。

 領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針を日本政府としては堅持していく考えですが、今般のロシアによるウクライナ侵略を踏まえれば、ロシアとの関係を侵略以前と変わらず進めていくということはもはやできないと判断して、対ロ外交を大きく転換する決断を行ったところでございます。

 引き続き、我が国としては、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、ロシアへの外交的、経済的圧力、これを一層強めるべく、しかるべく対応してまいります。

篠原(豪)委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳です。

 今日のラストバッターです。皆さん大分お疲れで、うつむき加減の方が多いので、恐縮ですが、おつき合い、三十分、お願いしたいと思います。

 ちょっと漫談風にいつもなるかもしれないんですが、大臣、十月三十一日と十一月一日にかけて、第四十回日・EU議員の議員会議というのが久しぶりに、コロナがまだ明けてはいませんけれども、コロナが大分収束に近づく中で日本で開催され、船田元代議士が議長で、向こう側の議長さんもいらっしゃいましたけれども、活発な交流をさせていただいたということの中で、一つ申し上げたいなと思ったのは、たしかフィンランドのEU議会の方で、フィンランド議会十一年、それからEU議会に入って五、六年というところだったかな、私よりも政治の先輩という感じの方とお話をして、まず日本の為替をどう見ているかという話を聞いたんですよ。そうしたらば、日本の為替はよく知らぬ、ただ、旅行するのに安いんじゃないかと。

 私が説明したのは、ほかのアジアの国に比較しても、日本は、ディプリシエーションというか、安くなっちゃっているんですよ、これは御存じないですかと。知りません、私どもが意識するのはユーロなので、ユーロのパリティーが、今日はユーロの方が強くなっていますけれども、ここのところちょっとユーロが弱まっていたというようなことの中で、ユーロの貨幣価値というものをやはりEU議員なので意識しているというお話をされていました。

 あと、財政赤字について日本をどう見ているかという話を聞いたところ、残念ながら、EUの財政についての意識は高いんですけれども、日本の非常に突出した財政赤字の二〇〇%以上というようなことについては知らなかったみたいなことを言われまして、その方がたまたま御存じなかったのかなというふうに思いましたけれども、意外と知られていないのは今のところありがたいと思っていますが、余り知られ渡ってしまわないうちに財政健全化も、たしか船田元先生も健全化だと、この間のEUの議会のパーティーのお見送りのときにそんなことをちらっとおっしゃっていたのが聞こえたので、ちょっとここでお伝えしておきたいなと思いますが。

 それで、あともう一つは、いつも沖縄北方委員会とかで私は羅臼岳に登ったことをお話しするんですけれども、天気がよかったんです、たまたま私が登ったときは。大分昔ですけれどもね。そうしたら、オホーツクの海がばあっときれいに見えまして、それで、もっときれいに見えるのは国後島なんです。国後島は目の下に見えるんですよ。これが我が国の領土なんですね。

 この国の領土についてもオランダの党の事務局の方とお話ししましたけれども、北方領土のことは知っています、ロシアの侵攻、侵略があるので当然存じ上げていますとおっしゃっていました。しかし、我が国の領土なので殊更に言う必要はないんですが、韓国と若干、竹島について何か不法占拠されている事実を知っているかと言ったら、オランダの議会事務局、党事務局の人は、知らないと。こんな感じだったですね。尖閣については触れませんでしたけれども。

 そんなことをちょっと御報告しながら、今日は時間が多分なくなるんですけれども、先に結論を言っておきたいと思います。

 一つ目。まず、盗聴の問題ですね。総理、外務大臣始め、主要閣僚の盗聴の問題。あそこに座っておられる鈴木貴子議員が質問主意書を出しておられることなんですけれども。

 結論から先に言っちゃうと、メルケルさんがオバマ政権のときにやられていましたけれども、メルケルさんは電話では決して重要な話はしなかった、月並みな話しかしなかったというのが彼女の賢さであるみたいな話があったので、御用心をしていただきたいというのが一つ目の提言。

 二つ目の提言は、これもまた鈴木貴子さんが、我が党の副代表の鈴木宗男先生のさすがに血を引いていらっしゃるんだと思うんですが、質問主意書をやはり出している原爆投下の問題等についてです。

 広島の来年のG7等がありますので、是非、これは大分先の話になるかもしれませんが、マンハッタン計画というのがあって、ちょっと事前に当局とやり取りをしたところ、余り研究されていない、民間研究になっちゃっているということなので、我が国が原爆の被爆国として発信をどんどん高めていくには、やはり、発信していくことも大事なんですけれども、過去をきちっと認識しておくことが必要ではないかということの中で、マンハッタン計画、オッペンハイマーとか、ルーズベルト大統領が、秘密予算じゃないんだけれども、どこまで真実か分かりませんが、相当な額の予算を投下して、実証実験じゃないんですけれども、こういう言葉が適切じゃないかもしれないですが、そんな事態があったというような民間研究もあるので、このマンハッタン計画について国を挙げてやはり研究していく必要があるのではないかという提案をさせていただきたい。

 あと、三つ目は、時間があればですが、為替について、今、介入して百四十五円ぐらいに戻っている、また介入しているのかなと思っていますけれども、やはり、長い目で見ると、政府の外貨準備というか外貨資産というか、あるいは、政府だけではなくて個人も含めて、外貨資産、外貨準備というか、国際分散投資という言い方が適切かもしれませんが、そういう形で、何とかこの危機事態をソフトランディングさせていくためには外貨の蓄えが国も個人も必要であるということを、麻生財務大臣とはかなりやり取りさせていただいて十分御認識だと思っているんですが、自民党の中には広まっていないような気もするので、是非そんなことも御認識いただきたいということで、もう十分近く、結論から言って先に過ぎちゃったんですが。

 それで、今ずっと質疑を聞いていますと、林大臣は、かなりロシアの問題について毅然とやってくださっているし、中国に対しても言うべきは言うということだと思っていますし、その中で、やはり対話のチャネルだけは、この間もお話ししましたけれども、持っていていただきたいということでありますが、ちょっと確認ですけれども、大臣になられて一年近くになるということの中で、あるいは岸田政権として、私から言うと、G7外相会合もこの間ミュンヘンであって、非常によくやってくださっているということが結論かと思っているんですが、大臣の側から、こういうことが一年間で頑張れたよというようなことがあれば御開陳いただければと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 ちょうどあしたで一年目ということになるんでしょうか、あっという間だったというふうに思っておりますが、今おっしゃっていただきましたように、やはり、昨年の十一月の今頃というのは、まだロシアのウクライナ侵略というものがこうした現実のものになるという認識をみんなが持っていたというわけでは多分なかっただろうというふうに思っております。

 最初に訪れましたリバプールでのG7においても、どうやってそういうことを防いでいけるのか、そういうぐらいの認識であったと私も拙い記憶をたどっておりますけれども、そういう意味で、まさに、実際にこうした国際秩序の根幹を揺るがすことが起きて、これに対して、先ほど篠原委員と少しやり取りさせていただきましたが、なかなか国連安保理が、ああした状況で、決議等、法的拘束力のあるものを出せない中でどうするかという中で、やはりG7の重要性というものが非常に高まってきたということを感じてきております。

 実際、イギリスの去年の議長国の前までは、G7の外務大臣会合というのは年に一度でございました。サミットに先立っていわば前さばきをするというような形で、サミットに先立って一度というのを、イギリスの当時のトラス外相のリーダーシップで二度やろうということで、その二度目が実はリバプールであったわけでございます。

 ところが、今年は、ロシアのウクライナ侵略に対応するということで、レギュラーの二度目がこの間のミュンスターということだったわけですが、それ以外に八回、いろいろな形でG7を開いてきて、厳しい経済制裁を取ると一言で言っても、それに至る調整というのがございます。また、ウクライナに対するいろいろな支援、周辺国を含めた支援をするにも、しっかり調整して、なるべく効率的に、ダブりがないようにというような観点からも、ずっとすり合わせというのをさせていただいてきておりました。

 その間隙を狙っていろいろなことをしてこられないように、北朝鮮対応等々で日米、日米韓で連携する、こういうことも意を用いてきたわけでございます。

 これはよくやったというのはなかなか、歴史が後で評価をすることであろうと思っておりますので、まだたった十一か月とちょっとで、これはこうだったということを言うのは早過ぎるというふうに思っていますが、私のざっとした印象で申し上げると、就任当初は思いもしなかったようないろいろなことがあって、それに何とか対応している、こういうことではないかというふうに思っております。

杉本委員 頑張っていただきたいというか、評論家で保阪正康さんといったのかな、宏池会の岸田さんについて大変厳しい評価があって、大平さんだとか伊東正義さんだとか、歴代の本当に立派な先輩方をちゃんと引き継いでほしいなというような多分気持ちの中でそういう論評になっていたと思うので、保守本流の宏池会の林さんには、是非そういう思いも酌んで、先輩方の活躍を御存じだと思うので、あるいは一緒に働かれていた宮沢先生とかあるわけなので、そういった意味で、歴史に名が残るように頑張っていただきたいと激励させていただきます。

 ちょっと確認ですけれども、所信質疑みたいになって恐縮ですけれども、臨時国会に入って岸田総理は一回だけ新時代のリアリズム外交と言ったんですね、所信のところで。林大臣の所信ではそれの言葉がなくて、三つの覚悟を持って、対応力の高い、低重心の姿勢で外交を展開しますと十月二十一日に挨拶されました。この整合性というか、内容、変化等はないんだろうなと思いますけれども、念のため、この新時代のリアリズム外交と今次所信にあった表現との関係性等を御説明いただければと思います。

林国務大臣 岸田内閣におきましては、普遍的価値を重視しながら、未来への理想の旗をしっかり掲げつつ、しかし、時にしたたかに、果断に対応する、こうした徹底的な現実主義を貫く新時代リアリズム外交というのを外交の基本方針として掲げております。

 総理が所信表明演説の中でこれをおっしゃっているというのは今おっしゃったとおりでございまして、私も、岸田内閣の外務大臣として、三つの覚悟というものを総理が述べられておりますが、それは、普遍的価値を守り抜く覚悟、そして、国民の命と暮らしを断固として守り抜く覚悟、そして、地球規模課題に世界に率先して取り組んでいく覚悟、この三つの覚悟を申されておられますが、その三つの覚悟に沿って外交を進めてきたこと、そしてこれからも進めていくということは申し上げるまでもないことでございまして、一貫してそういう外交の姿勢でやってまいりたいと思っております。

杉本委員 済みません、次に、ウクライナの侵略で、今日も私はウクライナ激励でそういう色の着用物をしておりますが、それ以外の地域でも紛争があったりとか、渡航危険地域とか、あると思うんですが、この質問はまた次の機会にさせていただくか、時間があれば後段でさせていただきたいと思います。

 もう一点だけ、これも質問できればですが、直近で日本が承認したのがニウエという国で、東側はクック諸島、西側はトンガに位置するニウエという国を直近、二〇一五年に国家承認しているということを伺いましたけれども、この国についてもまた追って伺います。

 メルケル首相の盗聴問題について次に行かせていただきたいんですが、メルケル首相の盗聴問題は、二〇一三年にスノーデンがロシアに亡命しましたけれども、ワシントン・ポスト並びにイギリスのガーディアンに記事が載るような形でメルケル氏の盗聴問題を明らかにしたということがありました。

 大臣、これはうなずくぐらいで結構なんですが、映画「スノーデン」は御覧になられましたでしょうか。御存じないですか。

 私の政治的支援者が必ず杉本見ろよと言って、それで、要は、パソコンの端末があって、電源を切ってこうやって開けていても、電源が入っていなくても、実際はカメラがあなたを撮っていますよみたいなのが出てきましたし、もろもろ、あなたは実際は盗聴されているし、見張られているよみたいなのが事実ではないかなと思わせるような映画で、これは二〇一六年の秋にアメリカで、オリバー・ストーン監督で、今、範疇ではスリラー、ドラマ部門になっちゃっていましたけれども、ネット上は。

 ただ、かなり真実に近いのではないかということなので、もうDVDになっていますが、かなり見ている方がいて、擦り切れているようなDVDになっちゃったりしていますけれども、是非見ていただいて、セキュリティーということを考えていただきたいと今更申し上げておきます。

 それで、これは内閣情報調査室さんに御答弁いただきたいんですが、一応、大丈夫ですよという答えになると思いますが、今、政府の盗聴リスクに対する対策は万全なのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

柳政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、我が国に対する諸外国等による各種の情報収集活動が行われているとの認識に立って必要な対策を講じており、御指摘の点も含め、特に機密性の高い情報の保全の徹底について取り組んできております。

 これまで、政府の機密性の高い情報が通信の過程で漏えいした事実は承知しておりませんが、今後とも情報の保全に万全を期してまいりたいと考えております。

杉本委員 万全を期していただきたいんですけれども、当時のスノーデンの連続性の中では、ウィキリークスで、米政府、日本も盗聴という記事が二〇一五年の八月一日の産経東京朝刊に書かれていたりして、政府、日銀など三十五標的が対象になっていたというような、ウィキリークスなので真実かどうかは定かではありませんけれども、ただ、そんな指摘の記事があったということは申し上げさせていただきます。

 次に、G7外相会合のトラスさんの話なんですけれども、御存じのとおり、今は総理を降りられましたけれども、外務大臣当時のトラスさんが私有携帯電話を何者かにハッキングされ大量の情報を盗まれたというのが、読売の記事を私は持ってきましたけれども、一年分ハッキング被害ということ。いろいろ犯人の類推がされていますけれども、ハッキングは今年の七月から九月に行われた党首選中に発覚した。内容は、主要な国際パートナーとのやり取り。これは林外務大臣かもしれないんですが。最大一年分のメッセージがダウンロードされたと。トラス氏は党首選に立候補していたので、当時のボリス・ジョンソン首相の判断で公表を見送っていたというような記事がございました。

 念のためあえて伺いますけれども、大臣は携帯電話は私用、公用を分けておられるのかどうか。その上で、分けていても、盗聴されているかもしれないので、本当に大事な話は、密室で顔を合わせてひそひそというのか、盗聴されていないのを確認してしっかりしゃべるのか、分からないんですが、第三者なりを入れずに、あるいは機械を使わずにということをお願いしておきたいんですが、ちょっと事実関係を確認させてください。

林国務大臣 当然のことですが、私用、公用の携帯電話については、内容に応じて適切に使い分けておるところでございます。

 また、外務省においては、秘密を含む会話については、一般回線による通話を原則禁止をしまして、秘匿通話が可能な専用の電話を利用するということにしております。

 さらに、今杉本委員もおっしゃったように、携帯機器については、それ自体が、本人がその意思があってもなくても、盗聴器として働く可能性があるという現実に鑑みて、幹部の部屋への持込みを原則禁止しております。

 私も、この会議はそういうことが含まれているという場合、あらかじめ携帯を秘書官にお渡しして外に出しているということを随時やっているところでございますので、引き続き情報保全対策に努めてまいりたいと思います。

 なお、トラスさんのお話がありましたが、これまでに把握している限りにおいては、漏えいの事実というのは確認されていないところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 参考までに、トラスさんじゃなくてメルケルさんの話をしておきたいんですが、一部、本の引用で恐縮なんですけれども、御許可いただいていないから読みますけれども、「メルケルの通話記録を読んだ。「その盗聴から得たものは何もなかった。メルケルはひじょうに賢く、問題になるようなことは何ひとつ電話では話さなかった。会話の内容といえば、「夕食はどこで?」とか「明日の予定は?」といったことだけだった」」というような、「メルケル」という本の引用を、済みません、理事会で許可を得ていないけれども、本を提示していないので、そういう資料を読んだということでお許しいただきたいと思いますが、そんなことを参考にしていただいて、やはり万全を期していただきたいとお願いを申し上げます。

 もう時間も大分押してきておりますが、次に、原爆投下問題について確認しておきたいんです。

 広義の核共有論とか、維新が突出しているみたいに思われても困るんですけれども、ただ、我々は、議論はしていこうじゃないかというような、積極的な、タブー視しない考え方というのは持っているということを御確認いただきたいんですが。

 この拡大抑止という議論の中で、いろいろ話がまとまるというような感じになっていますけれども、来年のG7サミットに向けて、やはり被爆国としての問題や核の脅威についていろいろ考えることが必要だというふうに思っております。

 そんな中で、確認ですけれども、アメリカのマンハッタン計画についていかなる認識を政府当局として持っていられるか、事務方で結構なので、御答弁いただきたいと思います。

海部政府参考人 お答えいたします。

 通称マンハッタン計画とは、一九四二年に開始され、原子爆弾を完成させたアメリカの計画であるというふうに承知をしております。

 この計画により製造された原子爆弾が広島、長崎に投下され、極めて広い範囲にその害が及ぶ人道上極めて遺憾な事態が生じたというふうに認識してございます。

 以上でございます。

杉本委員 おっしゃっていただいた一般的な認識というのは分かったんですけれども、やはり当局として、岸田総理が広島で、林外務大臣が山口県というような状況の中で、もう少しこのマンハッタン計画というものをしっかりと研究して認識していただけないかな。むしろ、専門家の方を省内に置いて、しっかり過去を振り返って、なぜ日本は、リトルボーイ、元々はシンマンといったのが広島に投下され、ファットマンが長崎に投下されたわけですけれども、私のおぼろげな記憶ですけれども、当時のルーズベルト大統領は、予算的には一年分の国家予算だったか二倍の国家予算だったか分ぐらいの金額、とにかく巨額な投資をこのマンハッタン計画にしたということ、それを極秘裏に行ったということ。やはり、そのお金がただ雲散霧消してしまってもいけないので、何らかの成果を得なければならない中で、いわゆるウラン型のリトルボーイとプルトニウム型のファットマンと、二種類、一つでよかったじゃないですか、なぜ二つやったんだということも含めて、しっかりとこのマンハッタン計画というものを振り返っていただきたいというふうにお願いを申し上げておきます。

 次に、原爆投下された事実ということについては結構質問主意書で答えをいただいているかと思いますけれども、念のため確認をさせてください。これも政府委員の方で結構です。

海部政府参考人 お答えいたします。

 日本に原爆投下されたことについての認識ということでございますが、先ほども少し述べさせていただきましたが、政府としては、広島及び長崎に対する原子爆弾の投下は、極めて広い範囲にその害が及ぶ人道上極めて遺憾な事態を生じさせたものと認識をしてございます。

 また、政府としては、かねてから明らかにしてきたとおり、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないというふうに考えてございます。

杉本委員 首尾一貫で、これは、平成二十七年、岸田総理が外務大臣当時、参議院予算委員会で和田政宗さんの質問に対して答えられたお話と全く同じことを今言われたなということで、首尾一貫しているという点ではよいと思いますけれども、ちょっと重なるかもしれないですが、引き続き、マンハッタン計画を含め、過去のことをしっかり研究をお願いしておきたいということを重ねて申し上げます。

 次に、大臣に、最後の質問になるかもしれませんが、さっきから出ているG7で、ロシアによる核使用リスクというのがウクライナだけで済むのか、だけで済むという言い方も失礼かもしれないですが、もっと広い意味でロシアが考えているのか、本当に予断を持てないような国家運営をされているというふうに私は感じます。

 テレビを皆さん御覧になったかもしれないですが、ある専門家の発言だと、ロシアの核の使い方については三つのパターンが考えられるというか、一つは、脅しとして、全然影響がないようなところに撃つ。戦術核なんでしょうか。それから二つ目が、対軍に対して撃つ。三つ目が、対市民に対して撃つ。こういうスリーステップが考えられるというような専門家の発言が、BSフジか何かであったか、あるいはBS―TBSだったかもしれないですが、あったやに記憶していますけれども、なかなか言えない話ではあると思いますが、しっかりとそういったことも情報交換はいろいろしているし議論もしているよ、詳細は杉本に言えないよということで結構なんですが、きちっとG7等でこの核使用問題についても含めて幅広く議論されているかどうか、確認させてください。

林国務大臣 ロシアがウクライナにおける核兵器の使用を示唆しているということは極めて憂慮すべき事態であって、広島と長崎に原爆が投下されて七十七年間核兵器が使用されていないという歴史そのものをないがしろにすることがあってはならないと思っております。

 唯一の戦争被爆国である日本として、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや使用もあってはならない、この点について、岸田総理も、NPT運用検討会議、国連総会、各国首脳との会談の機会を通じて累次訴えてきております。

 私もこの間のドイツのG7外相会合でこの点につき強く訴えるとともに、G7の外相声明が出ましたけれども、G7として、ロシアによる無責任な核のレトリックは受け入れられないということを明確にしていただいたところでございます。

 我が国としては、今月の先ほど申し上げました一連のハイレベルの会合、外交日程を活用しながら、引き続き、様々な国際場裏において、この日本の立場を強く訴えていきたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 ちょっとヒロシマ・アクション・プランについてお伺いしようかと思ったんですが、時間がなくなったので、事務方の方、最後、残っている時間がもったいないので、ニウエについてなぜ国家承認したのか、ニウエというのはどういう国なのかというのをお話しいただければありがたいんですけれども、お願いします。

岩本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員御指摘のとおり、このニウエは太平洋の島国でございます。

 元々ニウエはニュージーランドの属領でございましたが、一九七四年にニュージーランドとの自由連合に移行いたしました。その中で、内政については自治を達成しつつ、外交に関する権限、能力も独立国家と同等に伸長、伸ばしてきた経緯がございます。

 そうした中で、当時、我が国といたしましては、二〇一五年ですけれども、国際場裏でのニウエとの協力が重要になってきたということ、それを踏まえて、二〇一五年の五月、ニウエが国家としての要件を満たしていると判断し、承認を決定したところでございます。

杉本委員 ありがとうございました。

 時間となりました。また引き続き残余の質問をさせていただきます。ありがとうございました。

黄川田委員長 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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