衆議院

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第6号 令和4年11月11日(金曜日)

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令和四年十一月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君 理事 吉田 宣弘君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    城内  実君

      熊田 裕通君    島尻安伊子君

      新藤 義孝君    鈴木 貴子君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      辻  清人君    平沢 勝栄君

      青山 大人君    篠原  豪君

      松原  仁君    青柳 仁士君

      伊東 信久君    金城 泰邦君

      鈴木  敦君    穀田 恵二君

      吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  下田 隆文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            新発田龍史君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 原  圭一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ部長)       齋田 伸一君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   御巫 智洋君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 内野洋次郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           笹路  健君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           五十嵐徹人君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部長)  勝山  潔君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   芹澤  清君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十一日

 辞任         補欠選任

  杉本 和巳君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  伊東 信久君     杉本 和巳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長志水史雄君、大臣官房審議官石月英雄君、大臣官房審議官實生泰介君、大臣官房審議官日下部英紀君、大臣官房審議官原圭一君、大臣官房参事官池上正喜君、大臣官房参事官大河内昭博君、中東アフリカ局アフリカ部長齋田伸一君、国際法局長御巫智洋君、内閣官房内閣審議官下田隆文君、内閣審議官齋藤秀生君、金融庁総合政策局参事官新発田龍史君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、財務省大臣官房審議官内野洋次郎君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、経済産業省大臣官房審議官笹路健君、国土交通省大臣官房審議官五十嵐徹人君、海上保安庁総務部長勝山潔君、防衛省大臣官房長芹澤清君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、防衛政策局次長安藤敦史君、人事教育局長町田一仁君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木隼人君。

鈴木(隼)委員 おはようございます。自民党の鈴木隼人でございます。

 本日、このような質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、日韓関係について質疑をさせていただきたいと思います。

 韓国といいますと、まずは、先日、十月の二十九日、梨泰院で事故がございました。犠牲になられた方々に対して謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。

 我が国でも、近年はハロウィーンが過熱をしておりまして、場合によっては事件や事故が起こるようなケースもありますので、この梨泰院の事件を我が国の教訓にしていかなければならないのかなというふうに思っております。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 まず、朝鮮半島出身労働者問題についての質疑をさせていただきたいと思います。

 先日、十一月の二日から三日にかけて、自民党の麻生副総裁が韓国を訪問されました。これは、韓国の裁判所が差し押さえている日本企業の資産の現金化の問題が大詰めを迎えているということかと思います。一部の報道によりますと、何らかの財団が賠償を肩代わりをするという案が有力になっているということであります。

 ただ、賠償の必要性を認めると、もしその報道が正しいとすればですけれども、賠償の必要性を認めるということは、そもそも日韓請求権協定に反することにならないかということを私は大変危惧しております。日韓請求権協定の趣旨に反するような合意は、これは厳に慎まなければならないというふうに考えております。

 そこで、外務省、朝鮮半島出身労働者問題への対応におきまして、日韓請求権協定を骨抜きにしない、こういう決意を聞かせていただきたいと思います。

實生政府参考人 お答えいたします。

 まず、旧朝鮮半島出身労働者問題、これについて、協議の現状につき様々な報道がございますけれども、そうした報道の一つ一つにコメントするということは差し控えたいというふうに思います。

 その上で、国連総会の際には、日韓の首脳が、懸案を解決し、日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、外交当局間の協議の加速化を指示したということを受けて、現在、韓国政府との緊密な意思疎通を行っているところでございます。今後とも、日本側の一貫した立場に基づき、適切に対応していきたいと考えています。

 従来から、我が方より、仮に現金化に至ることになれば、それは日韓関係にとって深刻な状況を招くので避けなければならないということを繰り返し韓国側に対して指摘をしました。

 その上で、御指摘の日韓請求権協定を含む一九六五年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な形に戻し、更に発展させていくため、韓国政府と緊密に意思疎通していく、そういう立場で我が方は協議に臨んでいるということでございます。

鈴木(隼)委員 今、外務省の答弁を聞かせていただいて、最後の方に、日韓請求権協定に基づいて意思疎通を行っていくという御発言がありましたので、私は、今、今後外務省として日韓請求権協定をしっかりと堅持していくという意思表示をいただいたものと理解いたします。是非そのような方向で頑張っていただきたいと思います。

 それでは、次の質疑に移らせていただきます。

 先日、報道を見ていて、オランダですとかアルゼンチンに、少女像、慰安婦問題の象徴になっているあの少女像が設置をされることが決定したというような報道がございました。そういった報道もありましたので、この問題に触れさせていただきたいと思いますが、まず、外務省、少女像の設置の状況と、それから、それに対する政府の対応の状況を聞かせていただきたいと思います。

實生政府参考人 お答えいたします。

 米国であるとか北米大陸、それから欧州等、第三国に設置されている慰安婦像のうち、公有地に設置されている像として、現在、我が方としては、米国に三体、ドイツに二体があるというふうに承知をしてございます。

 こうした慰安婦像の設置というのは、累次我が方の政府からも表明してきていますように、我が国政府の立場であるとかこれまでの取組と相入れない、極めて残念なものであるという認識であります。

 政府として、現地公館を通じて重層的に情報収集を行うとともに、像の設置に関連して、様々な関係者に対して我が国の立場に関して説明し、強い懸念を伝えるとともに、個々のケースに応じてあらゆる働きかけを行っているというふうに御理解いただければというふうに思います。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 今、外務省からは、公有地に設置された像への対応について御説明をいただきました。

 公有地に設置されたものに対しては引き続き対応をお願いしたいと思いますが、今回この質疑を行うに当たって調べていて驚いたんですけれども、日本にも、国内にも四か所、慰安婦の記念碑のようなものがあります。大阪に一か所、千葉に一か所、沖縄に二か所。外国に設置をされるのがけしからぬと言っているその一方で、実は我が国の中にもありましたというのはゆゆしき事態ではないかなというふうに私は感じました。

 ただ、この問題、政府で何かできるかというと、私有地への設置であれば、なかなか政府として口は挟みにくいということだと思います。

 ただ、私有地といっても、例えば美術館ですとか博物館ですとか、不特定多数の方がたくさん集まる場所というのはいろいろありますよね。こういうところにどんどんどんどん設置が進んでいても、現に二〇一一年か二年か、設置が初めてされてからどんどんどんどんすごい勢いで設置が進んでいますから、この勢いでどんどん進んでも手をこまねいて見るしかないといった、そんな状況は私はあり得ないというふうに思っております。

 ですから、相手が民間であれば、こちらも民間団体をつくって、国内外を問わずに、慰安婦関連の像ですとか碑ですとか、こういったものを設置している土地の所有者に対して硬軟織り交ぜた交渉を行っていくべきではないかというふうに考えています。

 ただ、民間団体をつくるといいましても、極めて公益性が高い上に、収益性が低い事業になりますので、国の肝煎りでやらなければ実現はできないと思います。

 そこで、外務省、慰安婦問題に限らずだと思いますし、また、韓国との関係に限るものでもないと思いますけれども、我が国の国益を守るための実行部隊、しかも、政府肝煎りの民間組織、こういったものが必要だと思いますが、政府としてどうお考えになるか、お願いします。

實生政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論としてでございますけれども、いわゆる非政府組織であるとかその活動というのは、政府がつくった組織ではなく、政府の影響を受けない立場であるからこそ強みがあるということは言えるのではないかと思います。

 したがって、そのような非政府組織の設立の是非等について政府として申し上げるということはむしろ適当ではないのではないかと考えられますが、御指摘の点を参考にしつつ、国際社会において我が国の立場が適切に理解されるよう、関係省庁とも連携の上、今後も効果的な働きかけや手法につき検討を重ねてまいりたいと思います。

 なお、具体的に明らかにすることは相手との関係もあって差し控えたいと思いますけれども、非政府関係者への働きかけであるとか非政府組織との連携というのは、国の内外を問わず、状況に応じて実施してきているところではございます。

鈴木(隼)委員 今の答弁の中で、やるにはやっていますというような趣旨だったと思うんですけれども、ただ、やはり組織的にしっかりやるからこそ効果を最大限発揮できるんだと思いますし、また、民間でやるからこそ効果が得られる、そこに政府が関与すべきでないというお話がありましたけれども、先ほど私が申し上げたとおり、民間に委ねっ放しだと事業として成り立たないから、政府の肝煎りでやる必要があるんじゃないかというお話をさせていただいております。

 ちなみに、今御答弁いただいた實生審議官、私が慰安婦問題の文脈で質問をさせていただいたので、實生審議官はこの地域を担当する審議官として答弁をしていただいたわけでありますけれども、実際に、こういった実行部隊の創設の是非を検討する権限ですとか責務、これは外務省の中にそういう権限を持った部署は存在をしていません。また、もっと言えば、外務省以外の省庁にもそういった検討を行える部署というのは存在しないわけですね。私はここが問題だと思うんです。

 つまり、国益を守るというのは簡単なことではありません。政府間協議のような表の世界だけで解決することというのは限られております。裏で相当どろどろした手法も駆使しながら、真に国益を守っていくということが必要だというふうに考えます。にもかかわらず、そういった全体的な戦略を考える部署が政府の中に存在していないということだと思います。

 これからは外交の時代であります。しかも、相当不安定な時代でありますので、相手はいろいろな手を打ってくると思います。我が方としてもあらゆる手を尽くすべきだということを指摘したいというふうに思っております。

 これまでの経緯を振り返りますと、一九六五年に日韓請求権協定を締結したわけでありますが、にもかかわらず、二〇〇五年、韓国政府は、日韓請求権協定に慰安婦等は含まれないといった見解を公表いたしました。また、二〇一五年には日韓合意で不可逆的解決を約束したにもかかわらず、文在寅政権になってからは、合意内容を履行しないどころか、二〇一七年には、あろうことか、慰安婦の日といったものを法定化しています。

 こういった、相手は国家間の合意をほごにするというあり得ない行為を繰り返す国ですから、正直言って、どこまで相手をすべきなのかなというような思いもありますけれども、隣国でありますので、つき合わないわけにもいかないというところかと思います。

 そこで、最後に、これは質問ではなくて期待でありますけれども、今後の日韓外交におきまして、外務省には、第一に、徹底して国益を守り抜くこと、そして第二に、毅然とした対応をすること、第三に、辛抱強くつき合う、こういったことを期待いたしまして、私の質疑とさせていただきます。

 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘です。

 本日も、質疑に立たせていただき、感謝申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 先月二十一日の外務委員会において林外務大臣は、人類の課題への対応を主導する中で、人間の安全保障の理念に立脚し、ODAをより一層拡充し、戦略的、効果的な取組を加速させると外交政策の所信にて披瀝されました。

 公明党は、日本外交の柱の一つである人間の安全保障を推進するためには、国際保健、すなわちグローバルヘルスへの貢献が重要であると考えております。その決意表明として、今年の夏の参議院選挙においては、保健ODA倍増をマニフェストの重点事項の一つとして掲げ、オール・ジャパンでグローバルヘルスに貢献することを強く訴えてきたところでございます。

 具体的にも、本年二月に党内に国際保健(グローバルヘルス)推進委員会を設置し、JICAや国立研究開発法人国立国際医療研究センター、この二つの政府が所管する法人はもとより、これまで八回にわたって学識者や国際機関の関係者などと意見交換をしてまいりました。そこから得た情報を基に、国際支援の必要性や関係各所からの要望を取りまとめ、政府に対しても三回提言をお出しさせていただいております。

 政府も積極的にこの国際保健関係の予算を計上していただくなど、国際保健分野への貢献に対しては国際社会から高く評価されているものと確信をしておりますし、我が党も強く支持申し上げたいと思っております。

 さて、この点、これまでの我が国のODA予算、政策の特徴として、インフラやエネルギーを中心とした円借款が大きな割合を占めているように、私の感想かもしれませんが、感じております。一方で、同じ地球規模課題である国際保健分野の割合は、コロナ禍を除けば、例年、ODA予算全体のおよそ五%から六%にとどまっているとお聞きをしました。これはG7の中でも比較的低い水準であるとお聞きしました。

 そこで、質問に入らせていただきますが、現在政府は、開発協力大綱、ODA大綱の改定を検討し、進めておられるとお聞きしております。外交課題の観点からも、グローバルヘルスをこの大綱の一つの柱として位置づける必要があるのではないかと思っております。来年のG7広島サミット議長国として、我が国が人類の地球的課題に対して特に国際的なリーダーシップを取るべきであると考えております。

 明年のODA大綱改定を見据え、国際保健分野における国際貢献の在り方、またその決意について、林外務大臣に御見解を伺いたいと思います。

林国務大臣 今御指摘がございましたように、国際保健は、人の健康に直接関わるのみならず、経済、社会、安全保障上の大きなリスクを含む重要な課題であると認識しております。特に、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成、これは人間の安全保障の推進に当たって不可欠な要素の一つでございます。

 そのような考えの下で、我が国は国際保健を外交の柱の一つとして据え、これまでUHCの達成を国際社会で主導してまいりました。政府として、本年五月に策定したグローバルヘルス戦略でも、新しい時代に即したUHCの達成を重要な政策課題の一つと位置づけるなど、国際保健に積極的に取り組んでおります。

 特に、今般の新型コロナ感染症対応では、途上国を含むワクチンへの公平なアクセスの確保のためのCOVAXファシリティーへの合計最大十五億ドルの財政貢献を始め、総額約五十億ドルの途上国支援を力強く実施してきております。

 また、エイズ、結核、マラリアの三大感染症対策や保健システム強化のため、岸田総理が、グローバルファンドへの最大十・八億ドルの貢献、これは八月のTICAD8及び九月の増資会合で表明したところでございます。

 来年前半を目途に行う開発協力大綱の改定におきましても、国際保健を含む地球規模課題への対応を柱の一つとしてしっかり位置づけるとともに、G7広島サミットも念頭に、将来のパンデミックに対する予防、備え、対応の強化に資する国際的枠組み強化、また、新型コロナで後退した国際保健課題への対応に取り組み、国際社会におけるUHCの達成に向けた取組を主導してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 林大臣、誠に力強い御答弁を賜ったと思っております。感謝を申し上げます。

 ところで、林外務大臣が人類共通の課題への対応を主導していかなければならないとお述べになった、その目的です。これは、実はそのときの所信にも、その前段でお話をされております。「我々の擁護する国際秩序が世界の人々の信頼に足るものであるため」とお述べになっておられるわけでございます。極めて重要な視点であり、私は、この内容については外務省それから林外務大臣の誠に崇高な思いを見る思いがして、感動したところでございます。

 そこで、非常に基礎的なことを聞いて誠に申し訳ないのですけれども、改めて確認させていただきたいことは、ここに言う我が国の擁護する国際秩序とは何か、外務省の方から分かりやすく御説明を賜れれば幸いです。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のありました、我々の擁護する国際秩序とは、一言で言うと、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序のことを指します。この秩序は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきたものでございます。それにもかかわらず、ロシアによるウクライナ侵略など、これを真っ向から否定するような動きが横行し、世界の分断が深まってきております。

 こうした状況の中で、この秩序を維持強化していくことがかつてなく重要となっております。委員御指摘の国際保健を含む人類共通の課題の解決にしっかりと取り組むことも、国際社会の多数を占める開発途上国によるこの秩序への信頼と支持につながるものと考えております。

吉田(宣)委員 非常に分かりやすく、国民に届く御答弁、ありがとうございます。

 我々、法の支配というのは、これは西欧諸国の歴史でございますけれども、血を流してかち取ってきた歴史である、そのように思っております。それだけ重い。そして、その法の支配の目的というのは、まさに国際保健から導かれる、また一つの人権と言われるものを目的としていると思います。

 是非、歴史的な経緯も含めて、人類が、先人たちが努力をしてかち取ってきた法の支配、これをしっかり国際秩序の中に、採用していただける国々を多く導けるように、日本の国際的な評価というものを高めていければいいなと思っております。

 次に、話は変わりまして、エジプトのシャルムエルシェイクで今月六日に開幕した国連気候変動枠組み条約第二十七回締約国会議、COP27で、日本政府は、地球温暖化の影響で深刻な災害被害を受ける途上国への新たな支援プランを発表する、災害大国として培った日本の防災技術やノウハウを提供し、世界の気候変動対策をリードしたい考えだとの報道に触れました。

 記事にあるとおり、日本が災害大国であることは言うまでもありません。大地震、津波、豪雨による浸水被害を繰り返し経験をしております。そのたびに、災害復旧復興、国土強靱化、防災・減災の取組を実施し、多くの知見を積んでおります。

 この知見を災害に苦しむ発展途上国及びその国民に役立てることは、国際貢献の観点から重要であると考えております。災害に弱い立場の国と国民に寄り添い、国際的に高い評価を受けるような取組を期待しております。

 さて、報道によると、今年の夏にパキスタンで起こった大洪水被害は、日本の二倍ある国土の三分の一が浸水し、パキスタン災害当局によると、千七百人以上が亡くなって、被災者は三千三百万人以上に達するということでございます。また、約二万七千校の学校が損壊し、二百万人以上の子供たちが依然として全く学校に通えない状況であるとのことでございます。

 私は福岡県久留米市に住んでおりますが、久留米市は、昨年まで五年連続、六回の浸水被害に遭遇をしております。パキスタンとは規模が違いますが、繰り返された浸水被害に苦しむ市民の悲痛な心の叫びに触れてまいりました。洪水被害からいまだ立ち直れないパキスタン国民に思いを致すと、いたたまれない気持ちになります。

 政府として、パキスタンの大洪水被害に対し復旧復興の支援を実施していると思いますが、どのような支援策を実施しているかについて御説明賜りたいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました今般の洪水被害を受けたパキスタンに対しましては、我が国からは、国際機関を通じまして、食料、シェルター、非食料援助物資、保健医療、水、衛生等の分野において七百万ドルの緊急無償資金協力を行っているほか、緊急援助物資としてテント及びプラスチックシートの供与を行ったところでございます。

 また、現在、総合経済対策に基づきまして、現地の支援ニーズも踏まえて、保健医療、水、衛生、食料、栄養等の分野において、支援策を補正予算案に計上させていただいているところでございます。国会の御承認が得られれば、これらの支援も速やかに実施してまいりたいと考えております。

 今後、パキスタンが洪水からの復興を果たし、更なる経済発展を実現するための支援につきましても、パキスタンの人々に寄り添った形で実施していく考えでございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 子供たちがいまだに学校に通えていないという状況は、本当に心を痛めることでございます。この間の子供たちの成長が失われているということを考えれば、やはりこれを補う支援策というものを取ってあげることによって、未来のパキスタンを担う子供たちの将来、そういったものに対する応援になる、必ず感謝される、そのような思いでございます。どうかよろしく取り組んでいただければと思います。

 最後に、地球温暖化の影響で、世界各国で豪雨災害が生じるのではないのかなと私は感じております。

 日本の国際貢献の大きな柱の一つであるODA、先ほどは国際保健をその柱と位置づけるべきと申し上げましたけれども、災害に対して日本の知見を生かした防災・減災などの災害対策や技術支援もODA大綱に向けて位置づけたらいかがでしょうか。林外務大臣のお受け止めをお聞かせいただければと思います。

林国務大臣 委員からお話がありましたように、我が国は、様々な災害を経験して、防災・減災対策、また復旧復興の取組を重ねてきたいわば防災先進国であり、世界の強靱化、これに大いに貢献できる立場にあります。

 これまでも、例えば、フィリピンでは台風による浸水被害の抑制につながる洪水対策を支援したり、トンガでは災害に強い風力発電設備を整備したりするなど、我が国の災害の経験によって蓄積されました防災・減災に関する知見、これを生かした国際協力を積極的に推進しております。

 また、二〇一五年に我が国が中心となって国連において取りまとめました仙台防災枠組では、あらゆる分野に防災の視点を反映させることの重要性がうたわれておりまして、我が国としては、G20サミットやTICAD等の場で防災を議題として扱うなど、防災の主流化に向けて指導力を発揮してきております。

 さらに、同枠組の内容も踏まえて、国連防災機関等と連携して、防災対策の重要性に関する普及啓発活動なども実施してきております。

 新しい開発協力大綱においても、有識者懇談会での議論、また幅広い関係者の意見を踏まえながら、日本の強みであり、また気候変動とも密接に関連する重要な防災分野の支援の位置づけについて、しっかりと検討していきたいと考えております。

吉田(宣)委員 どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 おはようございます。立憲民主党の徳永久志です。

 先般、海外で赴任をしているビジネスマンの方々のお話を聞くことがありました。彼らが一様に言うのは、昨今の円安によって大変生活が苦しくなった、ラーメン一杯食べようとしても、日本円で二千円、それぐらいする、ちょっとしゃれたレストランでランチを食べても四、五千円は軽くいく、これはちょっと生活がたまらないというようなお声を聞きました。

 翻って、在外公館に勤務する外務省の職員の皆さんも同じような状況に今あるのではないかなというふうに思います。暮らしぶりが困って、それが外交活動に悪い影響を与えるということであってはならないというふうに思いますので、ここは大臣、大きな心で、何らかの、この円安で苦しんでいるであろう彼らに対して、何か特別手当みたいなものは考えられないでしょうか。

林国務大臣 大変温かい御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 まさにおっしゃるとおり、国際的な物価高騰に加えて、最近の為替相場での急速な円安の進行の影響は甚大でありまして、まさに在外職員がこうした影響を直接的に被っているわけでございます。厳しい勤務環境下においても在外職員がその職責に応じて能力を十分発揮することができるように、適切な水準の手当を支給することは重要であると考えます。

 この在外職員の手当でございますが、急速な円安や現地の物価高騰の影響を反映した手当額を支給するために、本年八月に為替変動が特に激しい公館の増額改定を先行して行うとともに、さらに、十一月一日付でも多数の公館の増額改定を実施をいたしました。足下の為替変動の状況を踏まえながら、必要に応じて、今後、更なる増額改定を調整していきたいと思っております。

 また、今回の補正予算案においても、必要な手当額を計上しておるところでございます。

 今委員から御指摘のあった趣旨を踏まえて、為替変動を踏まえた手当の支給の在り方を不断に検討してまいりたいと思っております。

徳永委員 私、外務大臣政務官をやらせていただいたときに、多くの在外公館を訪れました。本当に現地で職員の方々は懸命な活動を展開をされておられまして、本当に頭が下がる思いであります。

 一方で、在外公館に勤務が決まったら、借金をしてそちらに伺うというような話も耳にしました。そうした本当に大変な思いをして頑張っておられる方々は日本外交の礎だと思いますので、是非十分な措置を講じていただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 それでは次に、ミャンマーの問題に移りたいと思います。

 去る十月二十三日に、少数民族の式典で、歌手や演奏家を招いてコンサートが行われていた会場にミャンマーの国軍戦闘機三機が飛来をして空爆を行った。死者が八十人にも上り、多くが民間人だったとされています。

 まず、外務省として、この暴挙についてどのように対応されているのか、大臣、御説明願います。

林国務大臣 十月二十三日でございますが、ミャンマー北部カチン州パーカンにおきまして、少数民族組織のカチン独立機構が周年行事を行っている際にミャンマー国軍が空爆を行いまして多数の民間人が死傷した、こういう報道に接して、心を大変痛めております。

 日本は、昨年のクーデター発生以来、暴力の停止を一貫して求めてきている中、今般、多数の市民が犠牲となる事案が発生したことを極めて深刻に受け止めており、こうした攻撃を非難をいたします。

 十月二十五日の私自身の記者会見の冒頭で、こうした考え方を表明し、日本政府として、ミャンマー国軍に対して暴力の即時停止等を改めて強く求めたところでございます。

徳永委員 昨年の軍事クーデターで国軍が政権を強奪して以来、こうした空爆が頻発をしています。集落ごと焼き払うというような事例もあります。

 また、さらには、各地で民主派活動家や市民、ジャーナリスト、これは日本人ジャーナリストも含みますが、身柄を拘束をされているというような事案もあります。国連難民高等弁務官事務所によりますと、この一年間で四十四万人もの避難民が発生をしたという指摘もあるわけであります。

 今、林大臣からも、重大な懸念がある、軍事的な活動の即時停止を求めるというような強い表明がございましたけれども、日本としても新たなODAの措置というものもストップをしている状況であります。

 また、国際社会におきましても、国連総会におきましての決議や、人権理事会などで決議を採択をして、ミャンマー国軍に対して事態の改善を求めるとともに、欧米各国は、国軍関係者の資産凍結といった制裁措置も科しているところでもあります。

 そうした内外の状況にあるにもかかわらず、日本は、ミャンマー国軍から士官候補生らを留学生として防衛大学校などに受け入れておりました。

 私は、これはおかしいのではないか、日本で、日本の税金を使って、ミャンマーの国軍から留学生を受け入れて、そして防衛大学校や自衛隊で立派な訓練や教育を受けた、そういった人たちが、仮に、国に帰ったときに、上官から命じられれば、そのまま市民に対して銃口を向ける可能性があるだろう、ヘリから市民を空爆する可能性があるんだろう、そういう可能性が否定できない以上は留学生の受入れは停止すべきだということを、本年四月二十六日、安全保障委員会でるる訴えたわけでありますが、当時の岸防衛大臣は、民主主義や文民統制について正しい認識を持った人材として成長してもらうんだという、ちょっと分からない、理解不能な答弁を繰り返されたわけであります。

 ところが、九月二十日、防衛省は、ミャンマー国軍の留学生の受入れを来年度から停止すると発表をされました。

 まず、その経緯、理由について、今日は木村防衛大臣政務官にお越しをいただいておりますので、御説明願います。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 ミャンマーの情勢については、七月二十五日にミャンマー国営メディアで、民主化活動家等四名に対する死刑執行が行われたと報じられました。

 これに先立つ六月二十二日の日・ASEAN防衛担当大臣会合においても、当時の岸防衛大臣からミャンマー国軍に対し、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復について、具体的な行動を取るように強く求めました。また、その時点で既にミャンマー側から発表されていた民主化活動家を含む被拘束者の死刑執行の承認に関しても、強い懸念を表明しました。

 これらの表明が顧みられなかったことを重視し、ミャンマーとの防衛協力、交流を現状のまま継続することは適切ではないと判断しました。

 このため、八月上旬に、ミャンマー人留学生の新規の受入れ停止等について方針を固めたところです。

徳永委員 るる申し上げてきたことを御理解をいただいたのかななんという、うぬぼれたことは言いません。今回の防衛省が取られた措置については高く評価を申し上げたいと、生意気ですけれども申し上げておきたいと思います。

 さはさりながら、何点かお聞きします。

 それでは、現在日本国内にいるミャンマー国軍留学生にはどのような対応をされるんでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 現在在学中のミャンマー人留学生については、クーデター発生時に既に日本に留学していた者、クーデター発生後から来日までの時期に軍の教育機関に入校していた者でございます。さらに、軍の教育機関に入校していた者に対しましては、現地における暴力に関与していないことを個別に確認させていただきました。

 また、防衛省・自衛隊としては、祖国の未来を担うことになるミャンマー人留学生が厳格な文民統制の下で運用される自衛隊の中に身を置くことで、民主主義国家の実力組織の在り方などについて在学期間を通じて体得していくことが重要と考えております。

 さらに、留学生が日本人学生と在学期間を通じて共に教育を受けることにより、強固な人間関係が形成され、卒業後、当該留学生が我が国との関係において有意義な役割を果たし得ることを期待しています。

 こうした点を踏まえまして、現在、既に日本人学生と同様の学生生活を送っているミャンマー人留学生につきましては、所定の期間を終えるまでの間、引き続き受入れを継続することとしたものでございます。

徳永委員 それでは、ちょっと事実確認です。

 現在、国内におられるミャンマー国軍からの留学生は何人いて、そのうち、最も長く日本にいる人でどれぐらいになるんでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 現在、防衛省・自衛隊においては、十一名のミャンマー人留学生を受け入れております。このうち、本年度に受け入れた防衛大学校の留学生二名は、一年間の日本語教育を経て、その後四年間、日本人学生と同様の防衛大学校での学生生活を送る予定でございます。

徳永委員 今、十一人おられるということであります。この方々は、例えば、クーデター発生前からの方もおられるし、あるいは、日本が受け入れるときに、そういった人権侵害的な行為をやっていないことが確認されているということであります。

 そういった基準を設けて受け入れられているということについては一定の理解はいたしますけれども、私が申し上げているのは、日本で教育や訓練を受けた人が、ミャンマーに戻って、国軍に戻って、上官から、市民に銃口を向ける、あるいはヘリに乗って空爆といった命令を受けた場合、従わざるを得ないでしょうということです。その人たちがいかに、あなたがおっしゃったように、文民統制とか民主主義下における軍の在り方云々ということを教育を受けたとしても、上官から命令されればやるでしょう、そういった人たちを日本が税金を払ってずっと育てていくということは一体どうなんですかということを私は問題提起として申し上げているんです。

 ですから、今私の申し上げたことは御理解いただいていると思うけれども、そういった理由があるから、もう受入れは停止するという措置を取られたわけなので、だから、今おられる方々も一度国へ戻っていただくというのが、これが全体の筋としては通っているというふうに言わざるを得ないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛大学校、防衛省・自衛隊の中で行われている教育につきましては、士官候補生として基礎的な教育訓練、それから士官候補生としての教養を身につけるためのものでございます。

 繰り返しまして恐縮でございますが、今、防衛省・自衛隊として考えておりますのは、祖国の未来を担うこの方々が、文民統制の下で運用される自衛隊の防衛大学校、自衛隊の学校の組織の中で、民主主義国家の実力組織としての軍の在り方を学んでいただくということを考えております。

 そして、先ほど答弁申し上げましたように、卒業後、留学生が国、ミャンマーの将来の中で、我々と、日本と有意義な役割を果たしてくれる、そういう関係性を考えての措置でございます。

 したがいまして、今、私どもとしましては、在学期間中、五年間だけは、これはきちんと責任を持ってやっていこうというふうに考えたものでございます。

徳永委員 日本としては、彼ら留学生に対して文民統制の在り方とか様々な教養を授ける、あと、国に帰ったら知らないよというふうに聞こえますよ、今。私にはそう聞こえました。それでは無責任でしょうということを申し上げているんです。

 ですから、もう一度繰り返しますけれども、私は、そういう教育制度を設けることをおかしいと言っているのではありません。それはそれで非常に重要な制度だと思います。しかしながら、それでもって国へ帰ったときに、上官の命令に従って、全く真逆の、市民に銃口を向ける状況がある国に対しては、やはりここはしっかりと慎重にも慎重を期して、一時停止を含めてやっていくべきだろうということをるる申し上げているんです。

 ですから、是非、木村政務官におかれましても、大臣を含めて、そういった御検討をこれからもしていただきますようお願いを申し上げておきたいと思います。答弁は結構です。

 もう一点、今回、国軍の留学生停止の措置を決めた一つの大きなポイントとしては、民主活動家二人を含む四人の死刑執行というのがあったという答弁が政務官からございました。これが行われたのが七月二十五日ですよね。ミャンマー国軍の報道官が四人の死刑を執行すると宣言したのが今年の六月三日でした。

 この六月三日以降に日本が留学生として国軍関係者を受け入れたという事実はありますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 本年六月三日以降に入国した防衛省・自衛隊へのミャンマー人留学生は四名でございます。

徳永委員 四名おられるということですよね。死刑執行をやりますよと宣言をしているにもかかわらず受け入れて、そして、死刑が執行されたら新規受入れ停止ですというのは、何かちぐはぐじゃないですか。

 死刑執行宣言がなされたんだったら、その段階で一時的でも入国は待ってもらう、あるいは一時的に保留をするといった措置をして、その死刑執行をちょっとでも抑止をするという考え方もあってしかるべきだと思うんですけれども、そこらあたりはどうだったんでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 本年六月二十二日の日・ASEAN防衛担当大臣会合においても、その時点で既にミャンマー側から発表されていた民主化活動家を含む被拘束者の死刑執行の承認に関しても、強い懸念を表明したところでございます。

 一方で、防衛省・自衛隊としては、繰り返しになって恐縮でございますが、祖国の未来を担うこととなるミャンマー人留学生が厳格な文民統制下で運用される自衛隊の中に身を置くことで、その在学期間を通じて実力組織の在り方を体得していただくことが重要であると考えました。

 また、留学生が日本人学生と在学期間を通じての教育を受けることによっての人間関係、先ほど申し上げました、卒業後、我が国との関係において……(徳永委員「もう結構です。さっきから同じことを繰り返しておられるので、結構です」と呼ぶ)はい、申し訳ございません。

 以上でございます。

徳永委員 さっきから同じ紙を読んでいるだけじゃないですか。

 もう繰り返しませんが、じゃ、今回の留学生受入れ停止の措置は、ミャンマー国軍による数々の暴挙、そして日本及び国際社会が非難している状況が改善されない限り、この停止措置は続くというふうに理解をしてよろしいですか、防衛大臣政務官。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 ミャンマー人留学生の新規受入れ停止をいつまで継続するかに関して予断することはできませんが、いずれにしましても、ミャンマー国内の情勢等を慎重に見極めつつ、適切に対応してまいります。

徳永委員 何で、状況が改善されない限りは受け入れることはできないぐらいは言えないんですかね。是非これも、大臣を含めて、御検討を引き続きお願いしたいというふうに思います。

 もう、あと、木村政務官におかれましては、答弁を求めませんので、委員長の許可を得られた後、御退席いただいて結構です。

黄川田委員長 では、御退室ください。

徳永委員 続きまして、日本は、二〇一六年九月に締結をした五億円の無償資金協力、経済社会開発計画の下、旅客船三隻を二〇一七年から一九年にかけてミャンマーに供与しています。その目的を、事務方で結構です、お願いします。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました旅客船三隻は、平成二十八年度の対ミャンマー無償資金協力、経済社会開発計画にて供与したものでございまして、ミャンマー内陸水運公社に対しまして、少数民族地域でありますラカイン州において活用される中古及び新造の旅客船等を供与することによりまして、ミャンマーの水上交通輸送の能力向上を図ることを目的としたものでございます。

徳永委員 ミャンマーの水上交通輸送の効率化、改善に向けての供与だというお答えでございました。

 しかしながら、日本が二〇一七年から一九年に供与した旅客船三隻のうち二隻を、ミャンマー国軍が百人以上の軍人、軍事物資を移送していたという報道がなされています。具体的には、十月十四日、NHKの報道にもありました。

 まさにこれは、本来ならば水上交通輸送の改善という立派な目的があるにもかかわらず、これを軍事目的に使用したということになるわけですけれども、この事実関係については確認がなされていますか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました報道については承知しております。

 報道後、直ちに在ミャンマー日本国大使館からミャンマー当局に対しまして事実確認を行うとともに、仮に事実であった場合の対応、すなわち、即時利用停止、再発防止の申入れを行ったところでございます。

徳永委員 申入れを行ったのは理解しましたが、事実だったんですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 事実関係を確認をする作業をしておりますけれども、今の段階で、まだ事実確認を継続中という状況でございます。事実確認を継続しているところでございます。

徳永委員 じゃ、返事がないということでいいんですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 現地におきまして、在ミャンマー大使から運輸・通信省、投資・対外経済関係省、外務省等のハイレベルに対して申入れを行っておりまして、やり取りはございますが、今、事実関係を確認をする作業を行っている最中でございますので、個々のやり取りについて御紹介させていただくのは差し控えさせていただければと思います。

徳永委員 個々のやり取りも何もないでしょう。事実ですかという問合せをして、それが事実かどうかという返答を得るだけの話なんですから。

 大臣、ODAによって日本が施設や物資を供与する場合、それが軍事目的には使用されてはならないということはいろいろな大綱等で定められていることですよね。ミャンマーも、受入れに当たっては、そのことは十分に理解をしているはずです。

 しかしながら、これが、この協定に反して、取決めに反して軍事目的に使用されているのではないかという疑いがかけられているわけですから、これに対してミャンマー政府に対してしっかりと事実確認をする、どうだと聞く、それに対して答えがない、いまだに答えがないといったら、これはもう正常な外交関係ではないですよね。大臣、いかがですか。

林国務大臣 先ほど、丸山駐ミャンマー大使から運輸・通信省、投資・対外経済関係省、外務省等のハイレベルに対して申入れを行ったということは答弁したとおりでございますが、時間がかかり過ぎではないか、こういう御指摘、我々としてもそういうふうに認識をしておりまして、できる限り早期の事実確認をしっかりやってまいりたいと思っております。

徳永委員 時間ですから終わりますけれども、引き続き、この問題につきましても質問をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、松原仁君。

松原委員 今日は一般質疑ということで、北朝鮮のミサイルの問題、そして、朝鮮総連、破産宣告をするべきだという議論、さらには、マグニツキー法の問題、共同してマグニツキー法を適用するようなことも必要だろう、こういったことについてお伺いします。

 まず、北朝鮮のミサイル発射は今年に入ってどれぐらい行われましたか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今年に入ってから、防衛省といたしましてこれまでお知らせをいたしました弾道ミサイルの発射は、弾道ミサイルであった可能性があるものを含め二十六回、少なくとも五十一発に及びます。また、北朝鮮による巡航ミサイルの発射発表等も含めれば、二〇二二年に入ってからの北朝鮮によるミサイル発射は三十二回、少なくとも六十五発に及びます。

松原委員 この北朝鮮による弾道ミサイル発射は安保理決議違反でありますか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 安保理決議第二三九七号主文二を含む一連の安保理決議の関連規定は、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も実施しないよう求めております。

 北朝鮮による大陸間弾道ミサイルの発射は、安保理決議に明白に違反すると考えられます。

松原委員 通常、安保理決議違反であれば国際法違反となりますが、このことはどうですか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 国連憲章第二十五条は、国連加盟国は、安保理の決定をこの憲章に従って受諾し、かつ履行する旨規定しております。

 いわゆる安保理決議違反とは、安保理決議に示された安保理の決定の国連加盟国による不履行を意味しており、それは国連憲章に違反する問題でございまして、国際法違反に当たると考えられます。

松原委員 北朝鮮は国際法違反をやっている、こういうことでありますが、頻繁なミサイル発射は何を意味すると考えるか、林大臣、お願いします。

林国務大臣 北朝鮮が前例のない頻度、態様で挑発行為を行っているということは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であり、断じて容認できないと考えております。

 政府としては、引き続き、必要な情報の収集及び分析に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向けて、今後とも、日米、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進めてまいりたいと考えております。

松原委員 時間がないので更問いはいたしませんが、私の質問の趣旨は、なぜ北朝鮮がこういうふうに異常なスピードで発射しているのかと。けしからぬことは分かっているんですが、北朝鮮側の意向というのは一体何なんだと。

 ある有識者は、ロシアが北朝鮮にこういったことをせよと言っているのではないかというふうな臆測を言っている学者もいます。

 つまり、ウクライナから目をそらすということでやっているのか、違う要素なのか、本来、そういうところの分析を大臣にはお答えいただきたかったわけでありますが、とんでもないというのはもちろんとんでもないわけでありますが、時間がないので、ここはこれ以上は追及いたしません。

 次に、五番、六番の質問は同時に行います。

 ミサイルが日本上空を通過する場合、一定空間を超えると、これはいわゆる領空を外れるというふうな議論がありますが、しかし、日本が日本の国内法において、上空を例えば二百キロ、三百キロまで領空であると決めてしまえば、それは領空侵犯になるのではないかという仮定の質問でありますが、時間がないので簡潔にお答えください。

御巫政府参考人 お答え申し上げます。

 宇宙空間の下限の問題を審議している国連の委員会ではまだ結論が得られておりませんで、領空と宇宙空間の境界は明確になっておりません。

 航空機が通常飛行している高度までの空間を領空と呼ぶことについて、各国に異論があるとは承知しておりません。また、人工衛星が他国の上空を通過するということについても、基本的には領空侵犯とは考えられていないというふうに承知しておりますので、したがって、空気力学上の浮揚力、浮く力がなくなる高度、あるいは人工衛星軌道の一番低いところの高度を超える場合に、領空を外れる可能性が高くなってくるというふうに考えております。

 空気力学上の浮揚力がなくなるのは高度九十キロメートルと言われていると承知しております。また、人工衛星軌道の一番低いところの高さというのは高度八十キロから百六十キロと言われていると承知しておりますので、これらの高度を超える場合には領空を外れる可能性が高いと思います。

 したがって、これらの高度よりもはるかに高い高度、二百キロ、三百キロというところまでを領空とすることについては、他国から受け入れられるかどうか、疑問なしといたしません。

 また、我が国の宇宙活動との関係でも、適当かどうかについて、政府全体でよく検討する必要があると考えております。

松原委員 これは、特に北朝鮮のような非常識な国が近くにある場合、抑止力としてそういう議論も必要だろうということで、あえて提起をいたしました。

 時間の都合で、次に参ります。

 今回、日本の上空を北朝鮮からのミサイルが七回飛んだということを聞いておりますが、韓国の上空は飛んだことがありますか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、北朝鮮の発射した弾道ミサイルが我が国領域の上空を通過したのは、これまで七回でございます。

 その上で、北朝鮮の発射したミサイルがこれまで韓国領域の上空を通過したことがあるかというお尋ねでございますが、他国領域の上空のミサイルの通過につきまして、防衛省として確定的にお答えすることが困難であることにつき御理解をいただきたいと思います。

松原委員 木で鼻をくくったような答弁ですが、防衛省さんからいただいたこの資料は、飛んでいないんですよ。飛んでいないというか、ほぼ飛んでいない。飛んでいないということは、皆さんも立場上認めないのかもしれないけれども、みんな、韓国を、飛ばす必要がないのか飛ばさないのか、飛んでいない。

 ポイントは、日本の上空は飛んでいるんですよ、七回。韓国の上空は一回も飛んでいない、これを見る限り。つまり、韓国の上空を飛ぶことは極めてリスクが高いと北朝鮮は考えているのではないかというのが私の結論であります。

 やはり、拉致の問題のときにも、北朝鮮側と接触したときに言うのは、韓国にスパイで入るときは水杯、日本に行くときはちょっとそこまで行ってくるよ、これぐらいの緊張感の違いがあるということを北朝鮮側のエージェントから私は聞いたことがあるんですが、これは同じですよ。韓国の上をミサイルを飛ばせるということになると、これはやはりやばいぞということではないかと思うんですね、彼らは、撃ち落とされることも含めて。日本の方は、遺憾ですとか、怒ったりする、言葉で言うだけだと。

 こういうことでは、私は、日本は軽く見られているんじゃないか、こう思うんですよね、残念ながら。これは、林大臣、いかがお考えですか。

林国務大臣 北朝鮮の意図についてお答えする立場にはございませんが、いずれにしても、北朝鮮が、我が国上空を通過するものも含めて、前例のない頻度と態様でミサイル発射を継続しているということは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かす暴挙でありまして、断じて容認できないと考えております。

松原委員 容認できないといっても、七回飛んでいて、これからも飛ぶかもしれない。韓国の上空はどうも飛ばないようだ。

 やはりこれは、日本の外交力が、実効性を伴う、後でマグニツキー法も話しますけれども、そういう怖さがないというところに原因があるんじゃないかと思っておりまして、大変に残念であると思っております。

 次に、国民保護の観点から、核シェルターのようなものは考えるべきかどうか、お伺いします。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 弾道ミサイル攻撃に対し、避難施設の確保を進めていくことは、国民の安全、安心を確保する観点で重要な課題であると考えております。

 武力攻撃を想定した避難施設につきまして、弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するためには、コンクリート造りの堅牢な建物や地下施設へ避難することが有効でありますことから、こうした施設を都道府県知事等が緊急一時避難施設として指定することとなっております。

 こうした指定が早期に行われるよう、政府におきましては、令和三年度からの五年間を集中的な取組期間として、より安全性が高いと考えられる地下施設の指定の促進を重点的な取組事項の一つとして、都道府県等に働きかけを強めているところであります。こうした取組により、地下駅舎、地下街、大規模地下道等の地下施設や学校の校舎等の堅牢な建物の指定が着実に進んでいるところであります。

 その上で、政府におきましては、武力攻撃を想定した避難施設の在り方に関し、核攻撃等のより過酷な攻撃を想定し、一定期間滞在可能な施設とする場合に必要な機能や課題等について、諸外国の調査も行うなどして検討を進めてきております。

 今後につきましては、こうした施設に求められる仕様や設備に要求される性能等について、様々な視点から調査及び検討を行うことを考えており、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

松原委員 ちょっと、まあ、そういった答弁ですね。

 北朝鮮のミサイル発射に対して、抑止力、対抗措置として、米国なんかは北朝鮮政府及び朝鮮労働党の資産凍結をしたということでありますが、日本はそういうことは考えないんでしょうか。大臣、お答えください。

林国務大臣 北朝鮮に対しましては、度重なる核実験、弾道ミサイル発射等を受けまして、安保理が国連憲章第七章の下で行動し、国連憲章第四十一条に基づく措置を取るとして、累次の安保理決議が採択され、特定品目の輸出入禁止、資金移転防止措置等、極めて厳しい措置が課されてきております。

 これに加えて、我が国自身の措置として、北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止等の措置を取ってきておりまして、北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置を実施してきております。

 政府といたしましては、こうした状況も踏まえつつ、北朝鮮に対する対応について、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、今後も検討してまいる所存でございます。

松原委員 まだまだ制裁の余地があるというのは前回も質問で言いましたし、これからも、今日、この場で更問いでしてまいります。

 金融庁、朝鮮総連の債権回収はどうなっていますか。

新発田政府参考人 お答え申し上げます。

 整理回収機構によります債権回収の状況でございますけれども、朝鮮総連向けの債権約六百二十八億円のうち、これまで約六十二億円の債権回収を行っておりまして、現在、足下、令和四年の九月末時点での残債権は約五百六十六億円ということでございます。

松原委員 令和三年は幾ら回収しましたか。

新発田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度における回収実績というのはございません。

松原委員 回収できていないんですよ。回収できていなくて、仮に一億円ずつ回収しても五百年かかる。

 これはもう破産宣告をするべきだと思うんですが、破産宣告をする意識はありますか。確認です。

新発田政府参考人 お答え申し上げます。

 朝鮮総連に対して破産申立てを検討するかにつきましては、個別具体的な債権回収に関わる事柄でございますので、整理回収機構における今後の債権回収業務に支障が生じ得ることから、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

松原委員 そもそも、令和三年、回収実績ゼロ、これは破産宣告するべきですよ。やはり一つのペナルティーをかけるべきですよ。それは一般論としてもそうだし、朝鮮総連は、宋日昊氏に言わせれば、北朝鮮の代理機関である、完全な、国と一体である、こう言っているわけですから、破産宣告をするというのは制裁的な効果からも重要であるということは重ねて強く申し上げておきたいと思っております。

 次に、アメリカは、北朝鮮の高麗航空をアメリカ財務省SDNリストに載せております。二〇一七年の国連安保理専門家パネルの報告書では、この航空会社がスカッドミサイル部品を平壌から密輸したと明記されている。

 このいわゆる高麗航空、日本はどのように対応しているのか、そういったことをお伺いしたい、大臣。

林国務大臣 今、松原委員から御指摘のありました専門家パネルによる報告書においてそうした指摘がなされていると承知をしておりまして、米国政府が二〇一六年十二月、高麗航空を含む十六団体、七個人を新たに制裁対象に指定したと承知しております。

 政府といたしましては、現時点において高麗航空を資産凍結等の措置の対象として指定しておりませんけれども、北朝鮮に関する対応について、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、今後も、米国を始めとする関係国及び関係国際機関とも緊密に連携しつつ、検討してまいります。

 また、関連安保理決議の実効性を確保するとともに、我が国として取っている措置の実施、これを徹底しておりまして、今後もこうした取組を継続してまいりたいと考えております。

松原委員 財務省にお伺いしますが、この高麗航空、どのようなプロセスで制裁リストに載ることができるのか、お伺いします。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 外為法におきましては、一定の要件に基づきまして居住者と非居住者間の取引等を規制することは可能とされており、財務省告示において、その規制の対象となる取引等を具体的に定めております。

 その上で、資産凍結措置の対象となる個別の個人、団体につきましては、まず、財務省告示におきまして、制裁対象となっている各国を含め、御指摘の北朝鮮に関しましても、北朝鮮の核その他の大量破壊兵器、以下中略いたしますが、に関与する者として外務大臣が定める者と記述しました上で、これを受ける形で、当該個人、団体の具体名は外務省告示において指定する、こういう仕組みになっております。

松原委員 外務大臣林さん、林大臣、これは外務大臣が決めれば告示でできるということですが、御決断はやはりできませんか、できますか。

林国務大臣 御指摘の点に関しまして、今後の対応については予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、政府として、現時点において高麗航空は資産凍結等の措置の対象として指定しておりませんけれども、北朝鮮に関する対応については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、今後も、米国を始めとする関係国や関係国際機関とも緊密に連携しつつ、検討してまいります。

松原委員 これは、要するに、制裁を十分にかけていないということなんです、日本は。今言ったことで北朝鮮に対してはもっともっと制裁がかけられるが、十分かけていない。それを見たら、ほかの、アメリカ等も、日本は本気でやっていないな、こう思うということは明確に指摘しておきたいと思います。

 次に、中国及び北朝鮮による軍事行動等を抑止する策として、彼らの国の高官等が日本等に持っている様々な不動産資産等を含めて、その実質的支配者に対しての圧を加えるというのは大事だと思っております。

 イギリスは、八月に、不動産担保を保有する外国法人の実質的支配者を申告させる制度をつくり、基本的には、これを守らない不動産は売却をできない、最大で懲役二年、一日、日本円で四十万円、二千五百ポンドのペナルティーを科す、こういったことであります。

 私は、この点について質問主意書を既に発しております。法務省から前向きな答弁をいただいておりますが、是非具体的にこれを検討していただきたいと思いますが、法務省、お願いします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 法人の実質的支配者を把握、管理する制度の構築については、FATFの勧告等においても各国に対して取組が求められているところであり、重要な課題であると認識をしております。

 本年五月に、関係省庁で構成されるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議において策定されたマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の推進に関する基本方針においては、「法人の実質的支配者情報の一元的かつ継続的・正確な把握を可能とする枠組みに関する制度整備に向けた検討を進める。」こととされており、具体的な制度の在り方については、御指摘のような諸外国の状況も踏まえつつ、法人の透明性向上等の観点から、今後、政府において検討すべき課題と認識しております。

 法務省としても、関係省庁と連携しつつ、必要な検討を進めてまいります。

松原委員 大臣にお伺いしますが、やはり、いろいろなことをやって、ミサイル発射や、中国も含めて抑止力を高めることはできる、しかも、まだまだ北朝鮮を含む制裁というのはやれることはたくさんある、これは今の議論で明らかになったと思っております。こういったものを大臣としてやはりやって、それを駆使して日本の国益を追求するべきだと思います。御意見をいただきたい。

林国務大臣 今後の対応について予断を持ってお答えすることは差し控えたい、先ほど御答弁させていただいたとおりでございますが、まさに、北朝鮮にどう対峙をしていくかというのは、委員が今るるおっしゃったように大変大事な課題でございますので、今委員から賜った御意見も拳々服膺しながら対応してまいりたいと思っております。

松原委員 是非、深く拳々服膺して、実行していただきたいと思っております。

 時間が大分なくなってまいりましたが、マグニツキー法についてお伺いしたいと思っております。

 とりわけ最初に質問したいのは、重要なことでありますが、マグニツキー法を日本は持っていない、そして他のG7の国は持っている、こういったことであります。

 いわゆるサプライチェーンの人権の侵害を抑止するためのマグニツキー法を考えるときに、G7の国々が共同してある者に対してマグニツキー法を行うという事例があります。ベラルーシに対するアメリカ、イギリス、カナダの制裁の連携、グアテマラの政府関係者への米国、イギリスの連携、サウジアラビアの殺害されたことを受けての米国、イギリス、カナダの制裁連携、こういった連携があるわけでありますが、この法律がないとこういう連携自体ができないということになってくるわけでありまして、それは、G7の中において、極めて日本の存在感、人権大国としての矜持に関わると思っておりますが、質問番号としては二十三番目、二十四番目になるわけでありますが、外務大臣、御所見をお伺いしたい。

林国務大臣 普遍的な価値でございます人権を擁護するという基本的な考え方、これは、G7の各国で完全に一致をしております。人権侵害に対してどのような対応が適切かについては、その一貫した立場に沿って、各国が適切と考える対応を取っており、連携を取ってきております。

 G7の国の中で、マイナスというようなことはないというふうに考えております。

松原委員 大臣も本当は分かっているんだと思うんですよ。これはもうどうしようもないな、外務大臣としてはもうちょっと、マグニツキー法も作っていきたいし、人権DDもあった方がいいと。役所の方は、協力と対話でできると。できないですよ。そういった武器がなければ、やはりそれはなめられてしまう、ばかにされてしまう、当たり前だと思う。

 例えば、韓国の上空をミサイルが飛ばない、日本の上空は飛ぶ、同じですよ。場合によったら撃ち落とす、そういったすごみがない。これは、別にやれというんじゃなくて、そうなめられてしまっているというところに今の日本の外交の最大の問題があるんだと思っているんです。

 北朝鮮に対しては、申し上げたように、まだまだ制裁をする項目はある。大臣が岸田総理大臣に直談判して、これをやらなかったら我々の国のG7の中の矜持が崩れる、したがって、北朝鮮に対する制裁をアメリカ並みにやっていこう、こういうふうにおっしゃっていただきたい。

 そして、さらには、今申し上げたように……

黄川田委員長 既に持ち時間の時間が過ぎております。

松原委員 もう終わりますから。

 今申し上げたような、こういったマグニツキー法についても、持たなかったら格好がつかない、外務大臣として国際会議に行ったときに格好がつかない、これぐらいの思いでやっていただきたいということを強く申し上げて、今日は時間がないので十分質問ができませんでしたが、私からの質問にいたします。

 よろしくお願いします。

黄川田委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 今日は、国家安全保障戦略を始めとする、いわゆる安保三文書の改定について質問させていただきます。

 十月六日の本会議の場において、岸田総理から我が党の馬場伸幸代表に対して、新たな国家安全保障戦略等について閣議決定前に議論を行いたいという我が党の提案に対して、公党党首間でのやり取りも含め、建設的なものとして受け止め、検討させていただきたい、こういう御答弁をいただきました。

 このお話に沿って、今我が党の方では、国家安全保障戦略タスクフォースというものをつくりまして、我が党としての安保三文書に対する対案というものを作っております。私が座長を務めておりまして、今日は、その中から、まだ最終化はされておりませんが、ポイントとなるような点について幾つか、時間の許す範囲でお伺いできればと思っております。

 まず一つ目が、専守防衛における必要最小限ということと抑止力との関係性についてです。

 今、反撃能力、いわゆる敵基地攻撃能力が、安保三文書の改定の中で極めて重要な論点になっているというふうに承知しております。しかしながら、我々、国民の多くは、特に反撃をしてほしいと思っている人は少ないと思っております。

 先ほど、松原委員からの質問にもありましたが、ミサイルが飛んできて、被害が出て、国民の命が失われて、それから反撃してほしいと思っている人は誰もいないんじゃないかと思うんです。そうではなくて、そういった能力を持つことによって、侵略をしにくくなる、ミサイルを飛ばしにくくなるような環境をつくる、すなわち、抑止力を高めるということにこそ反撃力の最も重要な点があるというふうに考えております。

 その観点から、我が党の提案の骨子は、安全保障環境が、ウクライナ危機を含め、中国を含め、深刻化する中にあって、将来世代を二度と戦争の惨禍に遭わせないための絶対的な抑止力を保持することが目的だということを言っております。そのために、他国の侵略を未然に防ぐに足る十分な抑止力を実現可能にする軍事、非軍事の防衛能力、それから平和をつくる国際秩序を形成、維持する外交能力、これを積極防衛能力というふうに銘打ちまして、こういったものをしっかり持っていくべきではないかということを申し上げております。

 その観点から、専守防衛という言葉の意味が非常に重要性を持ってくるわけでありますが、専守防衛の定義というのは何かと改めて確認をさせていただきますと、現在の政府の見解では、例えば、防衛白書に書いてある定義でいいますと、「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう。」というふうに書いてあります。

 ここで問題になってくるのが、この必要最小限ということなんです。

 憲法九条は、日本に武力の保持、あるいはその行使を認めておりません。戦力の行使、又はその戦力を持つ組織の保有というものを認めておりません。

 戦力ではなく自衛力であるということ、つまり、憲法の持つ、国民の生命や幸福、自由を追求する権利ということを考えたときに、自衛力というものを持つということは憲法上許されているという解釈の下で、必要最小限の武力、これを自衛力というふうに呼びまして、それについては、その実力組織を保有すること、あるいはその実力を行使することを認めている、これが憲法上の解釈であるというふうに認識しております。

 その際の、この必要最小限というのは一体どこにあるか、これが戦力とそれから自衛力との境目になるものだということなんですが、これについて、現在、先ほど申し上げた反撃力がもし抑止力を高めるものであるとするならば、必要最小限の武力、実力しか持たない、必要最小限の装備しかしないということを他国に対して表明するということは、これは、我が国はとても侵略がしやすいですよ、そちらが攻められたときに必要最小限の対応しかしませんよということは、これは抑止力とは全く真逆に働くのではないかというふうに考えております。

 また、政府の公式の、これも答弁の中にあったんですけれども、必要最小限というのは一体何なのかといったときに、これは、その時々の国際情勢やそれから技術開発の状況に応じて変化するものであるということを言っております。

 ですから、現在の状況において必要最小限というのは判断していくべきではあるんですが、反撃力が議論されている現在において、この必要最小限ということについて今の政府はどのように考えているのか、また、これを強調することによって抑止力を損なうのではないかと考えているわけですけれども、この点について御所見をいただければと思います。

芹澤政府参考人 お答えいたします。

 専守防衛というのは、先ほど先生がおっしゃったとおり、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものでございまして、我が国の防衛の基本的な方針でございます。

 その上で、憲法第九条の下で認められている武力の行使につきましては、武力の行使の三要件に該当する場合の自衛の措置としての武力の行使に限られるというふうに解されておりまして、この第三要件で言う必要最小限度の実力行使にとどまるべきことというのは、第一要件と第二要件を備えた場合における実際の実力行使の手段、態様及び程度、この要件でございます。

 したがいまして、ここで言う必要最小限度と申しますのは、我が国に対する武力攻撃、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、我が国の存立を脅かし、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険をつくり出しているような、こういったものを排除し、我が国の存立を全うして、国民を守る、このための必要最小限ということでございます。

 以上でございます。

青柳(仁)委員 ほとんど何も答えていないということなんですが、要するに、これまでの議論の中で、いわゆる集団的自衛権の議論の中で出てきた新三要件ですかね、これを繰り返されたということだと思います。

 我が党として問題意識を持っているのは、今、反撃力あるいは敵基地攻撃能力ということを議論している現在においての必要最小限の定義は変わってきてしかるべきであるし、また、そこに関して新しい定義を考えていかなきゃいけないのではないかと考えているわけです。

 これは、何も新しいことを言っているわけではなくて、先ほど来から言っているとおり、そもそも政府の過去の答弁の中で、自衛のための必要最小限度の実力の具体的な限度はその時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって変化する、こういうことを、これは令和二年七月八日の衆議院安全保障委員会の近藤内閣法制局長の答弁で言っておられます。

 つまり、変わり得るものであるわけですから、現在、一歩踏み込んだ防衛を行うのであれば、現時点での必要最小限というものはどういうものであるか、ここの議論から逃げて防衛費であるとか防衛装備の話だけをするのは、これは国民に対してやはり不誠実であるし、また、そういうことを繰り返していると、国民の方も、安全はただではない、国防というのは福祉である、そういった意識がいつまでも生まれないんじゃないかと思うんです。国民の理解がやはり足りないんじゃないか、そういったところの政府の努力をしっかりと行っていく必要がある、このように考えております。

 今の御答弁に対しては、こちらとしては様々な疑問、質問はあるんですが、ちょっと今日は質問の数もありますので、次に進ませていただきます。

 また、それに関連しまして、保有できる武器、憲法九条下で認められる、保有できる武器についてなんですけれども、ここは、過去の答弁の中で、政府は、ICBM、攻撃型空母、長距離爆撃機等ということは保有ができない、これは主に攻撃を目的とする武器であるからだ、こういう見解を示したことがあります。

 しかしながら、何度も繰り返して申し訳ありませんが、自衛のための必要最小限度の具体的な限度というのはその時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって変化するということですから、これは、そのとき、御答弁されたときの見解を言われているというふうに考えております。

 現在においてどうなのかということ、これは今日はお聞きしませんが、ただ、我が党として考えているのは、そもそも、変化し得るものであるのであれば、わざわざその時々に、我が国はこういった装備を持てないということを対外的にこのような公開の場で言う必要があるのかというところを非常に疑問視しております。

 この点、抑止力の観点から考えて、こういった武器、保有できない武器というのを、仮にこの現時点、ある一つの特定の時期においてであっても言うことの是非について御見解をお伺いできればと思います。

井野副大臣 委員御指摘のとおり、政府としては、憲法上、我が国が保有し得る防衛力については、やはり自衛のための必要最小限度でなければならないというふうに考えており、また、具体的な限度については、その時々の国際情勢や科学技術などの諸条件によって左右される相対的な面があるというのは御指摘のとおりでございます。

 その上で、政府としては、この一貫した見解を現時点においては変更する考えはありませんけれども、委員御指摘の抑止力強化については、政府としても、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための最優先の使命と考えており、様々な御意見を踏まえつつ、年末に向けて新たな国家安全保障戦略などの検討を加速してまいりたいというふうに考えております。

青柳(仁)委員 余り会話が成立していないと思うんですけれども。私が聞いたことは全く答えていないというのと、それから、私、こういう武器を例示する、名指しすることについての是非を聞いているんですけれども、今おっしゃったのは、私が説明したことをただ繰り返しただけなので、ほとんど答弁になっていないです。外務委員会はこういう答弁が多いので、本当に私、事前に通告しているわけですから、しっかり答えていただきたいなと。

 今日、この問題は我が党の中でも様々な賛否がある中で話した問題ですから、当然、政府の中でも様々な賛否があると思います。ですから、この場で、ここに来られた方が急に答えられるような問題ではないというふうに思っていますから、これ以上聞いても恐らく答えは返ってこないということで、次に進めさせていただきますが、全く今、会話が成立していませんので、是非これは注意していただきたいと思っております。

 それから、それに関連しまして、武器の使用、これは、武器自体も名指しすべきじゃないと我々は思うんですが、武器の使用についても、これをやっちゃいけないとか、これはやっていい、こういう使い方しかしませんというようなことを明示するというのは、これは、抑止力の観点で、やはり真逆に進む話ではないかと思っております。

 そういった観点から、現在の自衛隊の活動に関しては、必要最小限という考え方の下、ポジティブリストになっているわけです。つまりは、これはやっていい、これはやっていい、その要件に該当するものはやっていい、それ以外は全部駄目ということなんですけれども、そうではなくて、ネガティブリスト化すべきじゃないか。これはやってはいけない、これはやってはいけない、それ以外は全部やっていいという形にして、一体、有事の際に、あるいは反撃の際に自衛隊が何をするのかというのを相手にとって曖昧にしていくことが抑止力につながるのではないかと考えておりますが、この点についてのお考えをお聞かせいただければと思います。

井野副大臣 先生御指摘のとおり、自衛隊の行動や権限について、現在のポジティブリストではなく、ネガティブリストにすべきという御意見は承知をしております。

 他方、現行の自衛隊法における自衛隊の行動、権限などの規定の在り方については、安全保障環境の変化に応じて適宜改正が行われてきたというふうに認識しておりまして、これまでの国会などにおける議論の積み重ねを経たものであるというふうに認識をしているところでもあります。

 その上で、防衛省としては、法律上、自衛隊の行動とそのために必要な権限が規定されていることは当然必要であるというふうに考えておりまして、自衛隊が現実に起こり得るあらゆる事態に迅速かつ的確に対応するためには、何ができるのかだけではなくて、何ができないかをあらかじめ明確に議論しておくことが重要であるというふうに考えております。

 現場において、隊員が判断に迷うことなく国民から負託された役割をしっかりと果たすことができるよう、隊員の行動基準などを策定するといった措置を講じることも重要であるというふうに考えております。

青柳(仁)委員 私が指摘させていただいたのは、隊員が迷うことのないようにポジティブもネガティブもとにかく定めてくれということではなくて、ネガティブリストだけあればいいんじゃないかということを言っているわけなんです。それはなぜかというと、先ほど来から申し上げているとおり、抑止力という観点で考えれば、こちらが何ができるのか、何をし得るのかは曖昧にしておくべきだろうということを考えているということです。

 同じくなんですけれども、今、反撃力という話がありましたが、反撃の対象も、これもやはり曖昧にしておくべきだと思うんです。ここしか撃つことができない、ここを狙ってくると分かれば、それは、今、一部の自民党、与党内の協議の中で、反撃の対象はミサイルの発射台等の物理的な軍事施設のみに限るべきというような、そこまで極端ではないかもしれませんが、一定、こことここだけに限るべきみたいな議論があるやに聞いておりますけれども、そんなことをしたら簡単にミサイルを撃ち落とされちゃいますよね。一千発のスタンドオフミサイルといっても、そこしか狙ってこないことが分かっていれば、こんな簡単な防衛はありませんよね。

 ですから、どこに撃たれるか分からない、しかもそれは、ミサイルを発射せよと言ったその司令官の居場所、最高司令官の居場所も含む司令部、通信基地、通信施設、レーダー等の幅広い指揮統制能力、あるいはサイバー空間における軍事システムやデータ等、こういったものを、ミサイルの発射台といった物理的な軍事施設だけではなくて、きちんと含めるべきであるし、また、どこが含まれているのかということをわざわざ明記する必要もない。それが結局のところ、反撃力、抑止力につながるのではないかというふうに考えております。

 こういった観点で、反撃対象を最小化するということで抑止力に対して影響があるというふうに考えておりますけれども、この点について政府の見解をお伺いしたいと思います。

井野副大臣 対象を限定するのかどうかということでありますけれども、政府としては、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところでありますので、いわゆる反撃能力について、現在検討中であり、具体的に現時点でお答えする段階にはないというふうに考えております。

 その上で、抑止力の強化については、政府としても最優先の使命と考えており、様々な御意見を踏まえつつ、年末に向けた新たな国家安全保障戦略などの検討を加速してまいりたいというふうに思っております。

青柳(仁)委員 最後に、対中認識についてお伺いしたいと思います。

 今、議論の中で、よく外交か軍事かと二者択一のような議論をされることがありますけれども、我々はそのようにはまず考えておりませんで、軍事というのは外交努力を尽くした最後の最後に必要となってしまうものであって、そしてまた一方で、軍事の裏づけのない外交というのはそもそも成立しない、このように考えております。

 その意味で両者は表裏一体なわけでありまして、どちらかが先でどちらかが後ということでもなければ、どちらかが重要であるという話でもないというふうにまずは考えておるんですが、その観点で、中国という国はお隣の国で、歴史的、経済的に深い関係を持つ隣国でありまして、平和かつ互恵的な未来志向の関係を築いていくべきだというふうには考えております、外交的には。

 ただ、一方で、有事と平時の垣根なく、我が国固有の領土である尖閣諸島を含む地域で力による一方的な現状変更の試みを続ける姿勢は、これは軍事的、防衛的な観点から見たら脅威であることに疑いの余地はないと考えますが、この点について政府の御見解をお聞かせください。

井野副大臣 中国は、御指摘のとおり、国防費の高い伸びを背景に、核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に、軍事力を広範かつ急速に強化しつつ、宇宙、サイバー、電磁波領域といった新たな領域に関する能力の強化や、ゲームチェンジャー技術の開発にも注力しているというふうに見ております。

 また、東シナ海、太平洋、南シナ海などにおける活動も引き続き拡大、活発化させているというふうに認識しております。

 こうした中国の軍事動向などは、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっているというふうには認識をしております。

青柳(仁)委員 時間が参りましたので、以上で終了とさせていただきます。残りの質問については、次回の質疑の機会にお聞きさせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 何回か私、こういう場でお話ししたことがあるんですが、かつて、アメリカの米国国務省の招聘プログラムでインターナショナルビジティングプログラムというのがあって、これでアメリカにお招きをいただいて勉強させてもらったことがありますが、ちょうどそれが実は九・一一の直後でございました。九・一一があって、年は越えていましたけれども、アメリカ国内は大混乱のときでございまして、果たしてプログラムが実施できるのかどうかということも随分危惧されたんですが、やりますよということで、行かせていただいたんです。

 そのときに、セキュリティーが非常に強化されたときでありまして、変な言い方ですが、笑い話があって、私が空港に行って、いろいろなところを回りますから、飛行機に乗ろうと思うとかなりの時間待たされるわけです。そのときに、笑い話で、同行していた向こうの国務省の方が言われたのは、今アメリカ人はみんな我慢していますよ、どう言うか知っていますかと。これは本当の話かどうかは抜きにして、笑い話ですから、ジョークですから。

 アメリカで、あるところで、アメリカ上院外交委員会の委員長が急いで乗ろうとした。俺は今からキャピトルヒルに急いで行かなきゃいけないんだ、早く乗せてくれと言ったら、閣下、失礼いたしました、ただいま我が国は戦時中であります、失礼しますと言って、その場でパンツを下げちゃったと。それで終わりの話じゃなくて、みんなが言ったのは、上院の外交委員長ですらパンツを下げられるんだから、我々はみんな我慢しなきゃね、こう言ったというんですね。

 要は、アメリカの、米国の上院の外交委員会というのはそれだけ重い席である。翻って言えば、私たちで言えば衆議院外務委員会でありまして、その委員長たるや大変なものでありますが、私がその場で質問させていただく、外務大臣に対して質問させていただくというのは大変名誉なことだなと改めて思った次第でございます。

 なぜ思ったかというと、昨日、中間選挙がアメリカでございました。通告をしておりませんでしたが、やはり我々にとって大変大切な同盟関係にある米国の政治の枠組みが変わるというか、変化があったわけでありまして、それについてどうお感じになり、また、どうこれからアメリカと向き合うかということを先にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 米国の国内の選挙でございますが、それに関わる事項の一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、我が国としても関心を持って注視をしております。

 十一日の十時現在の開票状況ということですが、上院は民主党四十八、共和党四十九、未確定三、下院は民主党百九十五、共和党二百九、未確定三十一、こういうふうに承知をしております。

 この選挙結果にかかわらず、日米同盟は揺るぎがなく、我が国としては、引き続き、日米同盟に基づき、米国との連携を進めていきたいというふうに考えております。

和田(有)委員 揺るぎない同盟関係を進めていっていただきたい、このように申し述べておきます。

 本来の通告に基づいて質問に入りたいと思います。

 せんだって、私、WFP議員連盟というものでラオスに行ってまいりました。ラオスに行って感じたことがありまして、これまで積み上げてきた我が国のODAであったりいろいろな支援がだんだん希薄になってきているんじゃないかと。それは、一つは、やはり、中華人民共和国が相当な勢いで支援をしたりしている中で、どうも、我々がやってきた支援であったり、ODAとか、そういうものの成果というものが薄まってきているんじゃないか。

 例えば、いろいろな橋を造った、何を造ったというところに行きましても、プレートが貼ってあるんですが、さびついていて読めない。最近中国の支援でできたものは、金ぴかでよく見える。こんなのは一つの単純な話ですが、しかし、それ一つ取ってみても、何かだんだん支援が希薄になってきている。さらに、その維持管理というものがやはり必要になるんですが、そういったものもなかなか行き届かない状況に現場ではなっている。

 そういったこともしっかりとやっていかなきゃいけないんじゃないのかな、こういうふうに思ってきた次第なんですが、そこら辺についてどうお考えでしょうか。

林国務大臣 和田委員が現地で視察をされたのは、我が国のODAで改修を行って、二〇二〇年三月に引渡しを行いましたタゴンの農業かんがい施設というふうに承っております。

 今お話のあった箇所ですが、これは少し崩れたところがあったというふうに聞いておりますけれども、そこの箇所は、ODAによる整備箇所ではなくて、先方の政府の負担で補修されていた箇所だと聞いております。農産物の増産や農業生産性の向上という機能面では支障は生じておらず、現在も有効活用されていると認識しております。その箇所の補修は遅れているものの、委員の御指摘も踏まえて、我が国から先方政府への働きかけを随時行ってまいりたいと思っております。

 ラオスのこの案件に限らず、ODAによって供与した施設、機材の適切な維持管理というのは、開発効果を確保し、また、今委員から御指摘があったように、日本の支援のプレゼンスを示すために重要であると考えております。

 今後も、現地のニーズや各案件に応じた管理能力の向上に資する技術協力や、定期的なモニタリング等を行いまして、先方の政府とともに施設や機材が適切に維持管理されるように努めてまいりたいと思っております。

和田(有)委員 私が申し上げたのは一例であって、ラオスのこれこれをというわけで言っているわけではありませんので、全体的に、日本がこれまで行ってきたODAあるいは支援、そういったものの今後の息長い継続というものを求めておきたいと思います。

 今回私はたまたまラオスにWFPの議員連盟で行ったんですけれども、今、世界では、危機にある人々を緊急的に助けなければならないということを手がけているWFPのような国連機関もあれば、今、ウクライナの状況の中で食料生産が滞り始めて流通が滞り始める、そういう中で、きっちり、生産者という表現がこういう場合にいいかどうか分かりませんが、生産する人々を息長く支援していくということを一つの使命としている国連の機関、例えばFAOなんかがあります、そういったものもあるわけで、そういったところに日本はやはりしっかりと支援をしていくことによって日本のプレゼンスを高めていく、そういうことが必要だと私は思うんですね。

 WFPなんかは非常に積極的にああいった国でやっておられますが、非常に予算は限られている。それは、しっかりと予算が確保されていても、より必要だ。それだけではなしに、例えばFAOなんかでも、今、このウクライナの状況の中でしっかりと予算を確保して活動してもらう、そういう必要があると思うんですが、そこら辺についての御見解をいただきたいと思います。

林国務大臣 深刻化する世界の食料安全保障をめぐる課題への対処におきましては、今御指摘のありましたように、喫緊の食料危機に対処するための食料支援、これは主に今お話のあったようにWFPが担当するということだと思いますが、それに加えて、中長期的な観点から、食料生産を強化するための支援を両輪として実施していく必要があると思っております。

 こうした観点で、我が国は、国連世界食糧計画、WFPや国連食糧農業機関、FAO、こうした食料関連の国際機関と連携しながら、支援が必要な国に対して、各国のニーズに即した支援を行ってきているところでございます。

 七月五日に発表いたしました、ウクライナ情勢の影響を受けて悪化したグローバルな食料安全保障への対応としての約二億ドルの支援におきましても、WFPを含む国連機関を通じた食料支援のみならず、FAOを通じた食料生産能力強化支援、これを含めているところでございます。

 さらに、日本は、アジア、アフリカ等の様々な国で、現地の事情に即した農業生産性の向上支援や、農家の市場へのアクセスの改善、こうしたものをJICAを通じた世界の食料安全保障の強化に資する取組として行っているところでございます。

 日本といたしましては、世界の食料安全保障の確保のため、引き続き、支援が必要な国に寄り添った短期とそれから中長期を見据えた必要な支援、これを実施して、世界の食料問題の解決に向けて貢献をしてまいりたいと思っております。

和田(有)委員 今日、最初の質疑にもありましたように、円が非常に今弱いですから、我々は、当然日本は、円でもって予算を立て、円でもって支援をするわけであって、原資は我々が日常使う円という通貨ですから、非常に苦しいとは思うんです。ただ、向こうで通貨を両替してしまうと向こうの価値になりますから、何だ、日本は少なくなったな、こういうふうに思われてしまうことがあるかも分かりません。

 そんな中で、これは質問ではありませんけれども、今日の産経新聞にも書いておりましたが、インドネシアでの高速鉄道の関係で、結局、中国は、受注をして、やろうとしているけれども、うまくいっていない、片や、首都の地下鉄か都市鉄道では日本がきっちりとやって存在感を発揮している、こういう記事もあります。私は見に行ったわけではありませんので、本当のことはどうか分かりませんが、恐らく、記事になるんですから、正しいことだと思います。こういうところの強みを発揮してやっていかなければいけないだろうなというふうに思います。

 片や、今日、もう一つ別の記事を見ますと、中国はカンボジアに四十億円相当の支援をすることになったと。やはり、これは債務のわなにどんどん周りの国が入っていく、その中で中国のプレゼンスが高まっているということになりがちですから、そういったこともしっかりとよく見極めながらやっていただきたいと思います。

 それと、今申しましたように、WFPもそうですが、FAOもしっかりと応援して、果たしていただければな、こういうふうに思います。

 次の質問に移ります。

 次は、国連、国際機関、あるいは国際会議に関する話です。

 もう間もなく、G20であったり、あるいはASEANであったり、様々な会議が東南アジアでも今あって、林大臣ももう東奔西走の毎日なわけですけれども、来年、G7の議長国に日本はなります。国連の安保理の非常任理事国にもまたなろうとしている。そういうことが、我々は今までこういうことを一生懸命やってきたわけですけれども、果たして、こういったところで非常任理事国になったり議長国を務めたりすることが本当に我が国の国益に資するものなのか。

 要は、こういうものは当然責任を負うわけですね。いろいろな形で責任を負います。責任を負う分、こういう言い方はよくないかも分かりませんが、義務を果たす分の、言葉はよくないかな、やはり外交ですから、そこに返ってくるものが応分にあるのかということを考えなきゃいけないと私は思うんです。

 存在感が本当に上がるのか、そして我々の国益に資するものがあるのかということはやはり考えるべきだと思うんですけれども、いかがでありましょうか。

林国務大臣 現在、ロシアのウクライナ侵略等によりまして、これまで国際社会が依拠してきた国際秩序が挑戦を受けている中で、我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して対応してきました。また、アジア唯一のG7のメンバーとして、インド太平洋の情勢を踏まえた独自の視点で欧米各国との協議や協力を実施してきております。こうした取組を通じて国際社会から期待される責任をしっかり果たすということが我が国の国益の増進に資するというふうに考えております。

 そして、来年は、G7議長国として、日本が主導してG7の議題を設定いたしまして議論の流れをつくっていくということが期待をされます。ウクライナやインド太平洋を含む地域情勢や経済安全保障など、世界が直面する様々な課題をめぐるG7の議論、これを議長国として主導していきたいと思っております。

 また、国連安保理は、常任理事国であるロシアのウクライナ侵略や、北朝鮮の核・ミサイル活動、こうしたものに対して有効に機能できていない現状にあるわけでございまして、いわば試練のときとも言えるわけでございますが、多くの国が、引き続き国連そして安保理が適切な役割を果たすということを期待しておるわけでございます。

 こうした中で、我が国は、来年から安保理理事国として、各国との緊密な意思疎通と丁寧な対話を通じて、安保理が本来の役割を果たすように協力し、法の支配に基づく国際秩序の維持強化、これを目指してまいりたいと思っております。

和田(有)委員 当然、議長国としての果たすべき役割を果たしていけば、日本にとっての大きな国益がある、あるいは常任理事国、非常任理事国ですけれども、ある、こういうことなんですが。

 ところで、私が思うのは、何度かいろいろな議論でも出ていましたけれども、国連なるものが、これは、さきの大戦、私の表現では大東亜戦争が終わって、その勝ったグループがつくったグループであって、そこで常任理事国になるということ自体が、そもそもその条項に規定があるわけであって、敵国条項という表現かどうか今分かりませんが、そういう中で我々が目指していくということがやはり無理があるんではないかと。

 もっと言えば、我が国は非核保有国なわけですね。核を持っていないわけです。今の常任理事国は核保有国です。やはり、核を持っているがゆえに、いろいろな発言を強くしてみたり、いろいろな外交カードを切ることができるわけであって、私は、何も今そのことを、日本が持つか持たないかとか、そういう議論をしているわけじゃないんです。非核保有国たる日本が常任理事国を目指して、果たしてそのときに役割を果たせるのかということを、まず私は疑問に思うわけです。

 もしなったとして、たまさかなったとして、その責務を負えるのか、それによって国益を増進させられるのかということについて、私は少し考えるところがあるんですが、いかがでありましょう。

林国務大臣 一九四五年に国連が創設されて以来、七十五年以上が経過をいたしまして、加盟国の数が約四倍に増えております。こうした国際社会の構図が大きく変化をしたということだと思います。しかし、安保理の構成が全く変化していないということで、安保理の正統性と代表性、これを向上させて、増大する国際社会の諸課題に効果的に対処できるように改革すべきだということだと思います。

 そのために特に重要なのは、安保理の構成が現在の国際社会の現実を反映するように、常任及び非常任の双方の議席を拡大するということでございまして、アメリカのバイデン大統領も今年の一般討論演説でこれを支持をされました。

 これまで加盟国中最多の十一回非常任理事国を務めた我が国として、常任理事国入りすることにより、国際の平和と安全の維持という安保理の責任を十分に果たせるよう、貢献できると考えております。

 また、我が国が常任理事国となることができますと、安保理で取り上げられる国際の平和及び安全の維持に関する問題、これに関わる枢要な意思決定に恒常的に参画をする、また、それによって我が国の主張を適切に反映させやすくなるということ、さらには、こうした問題に係る情報の入手が容易になる、そういう意義があると考えております。

 各国の利害も複雑に絡み合う安保理改革、これは決して簡単ではございませんけれども、引き続き、関係国と連携しながら、我が国の常任理事国入りを含む安保理改革の実現に向けて粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

和田(有)委員 最後にちょっと申し述べるというか、できたら聞こうと思うんですけれども、すぐ終わりますから。

 非常任理事国に日本はずっと交互でなっているわけですよね、二年休んで二年入ってみたいな感じで。十一回と言われたのはそういうことです。結構入っている。要は、もう指定席なんですよ。日本は、非常任理事国はある意味では指定席だと思っていいと私は思います。

 しかし、じゃ、それがそんなに我々にとって大きな意味を持っているかというと、そんなにあるようには私には思えないんです。

 以前、国連改革の議論の中で、その中で、準常任理事国制というのを考えてもいいんじゃないかという議論がありました。要は、常任理事国と非常任理事国の間のものをつくってやってはどうかというのがあったんですが、そこら辺について、どなたかもしお分かりになる方がおられたら。どうでしょうか、国連改革の一環の話で。

黄川田委員長 林外務大臣、答弁は簡潔に願います。

林国務大臣 はい。

 そういう御指摘は、委員会等でもいろいろなものを引用されて、いただいているところでございますが、我々としては、先ほど申し上げたように、常任理事国を増やしてそこに入っていく、こういう姿勢で臨んでおるところでございます。

和田(有)委員 いずれにいたしましても、しっかりと国益を守るべくやっていただきたいと思います。

 終わります。

黄川田委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦です。

 一週間前になりますか、大臣のドイツ外遊、お疲れさまでございました。まずその御報告をいただきたいのと、あと、先日の所信に対する質疑の中でも私は申し上げましたが、台湾との通商関係を何とかすべきではないかとお話をしましたが、アメリカは、二十一世紀の貿易に関する米台イニシアチブということで、アメリカと台湾の間では生産的な通商協議ができたというようなことでございます。先にやられてしまいましたねということで、これは通告しておりませんが、もし何かお考えがあれば併せてお願いいたします。

林国務大臣 先週十一月三日から四日にかけて、本年十回目となるG7外相会合に出席をいたしました。

 ウクライナ情勢について、オンラインで参加したウクライナのクレーバ外相から、G7の支援に対する謝意と高い期待が示されたところでございます。

 私からは、ロシアの侵略を改めて非難するとともに、ロシアによる核の脅し、これを深刻に懸念しておって、断じて受け入れることができないということ、ましてやその使用はあってはならないことなどを強調させていただきました。

 また、汚い爆弾に関するロシアの虚偽の主張は認めることはできないという旨、述べたところでございます。

 さらに、日本として、これまで行ってきた支援に加えて、これから厳しい冬を迎えるウクライナの越冬支援を含む支援、これを行っていくということを述べたところでございます。

 また、インド太平洋地域に関する議論の中では、私から、中国には主張すべきことは主張し、大国としての責任を果たすよう求めていく必要があるというふうに述べたところでございます。

 また、国際社会をめぐる状況が一層厳しさを増す中で、北朝鮮によるミサイル発射への対応などについても、G7外相の間で率直な議論を行うことができたところでございます。

 来年は我が国がG7議長国を務めるわけでございますので、ドイツからバトンを引き継ぎ、国際社会の諸課題にG7として結束して取り組むべく、議論をリードしていきたいというふうに思っております。

 後段のお答えについては、ちょっと持ち合わせのものがございませんので、改めてにさせていただければと思います。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 ドイツとはいろいろと関係も深いと思いますので、引き続きやっていただきたいということと、特にドイツに関して申し上げれば、ドイツの人権・人道支援委員会の面々が我が国にも訪日をされまして、議会としても意見交換をさせていただきましたし、先週になりますか、先々週ですね、日本・EU議員会議の中でもドイツの議員とは意見交換をしたところなんですが、その中で、ドイツは結構我が国にも理解の深い方が多くいらっしゃいまして、拉致問題に関するお話になったときに、ロシアがウクライナで拉致を行っているというゆゆしき報告を受けました。

 それは私も大変気になりまして、ウクライナ大使館に行きましてコルスンスキー大使とお話をして、どういう状況か、御報告をいただいたところでありますが、まず、我が国の外務省としては、ロシアがウクライナで行っているとされる拉致についてどの程度把握をされておられますでしょうか。

林国務大臣 政府といたしましては、ロシアによるウクライナ侵略によって、ウクライナにおいて子供を含む多数の市民が犠牲になっているということを極めて深刻に受け止めております。

 今委員から御指摘がありましたように、ウクライナ側は、ロシアによるウクライナ国民の強制的な移送について様々な発信を行っておられます。例えば、十月六日に、ゼレンスキー大統領は、既に百六十万人以上のウクライナ人が強制的にロシアに移送されているというふうに発言をされておると承知をしております。

 こうした行為の真相は国連を含む関連機関等により徹底的に明らかにされなければならず、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 十月六日の時点で百六十万人ということでしたが、先週末、コルスンスキー大使からお話を伺ったら、二百五十万人とおっしゃっていましたよ。百万人も増えております。かつ、数千人は子供であると。子供は、拉致をされた後でロシア人の家庭に引き取られて、ロシア人として生活をしていくんだと。完全な人権侵害でありまして、我が国も拉致の被害者が多数いる中で、これは決して座視するわけにはいかない課題であります。

 ここは、今国会はまだ拉致特を開いていませんから、これは拉致特でもしっかり議論させていただきたいと思いますし、もはや我が国だけの問題ではなくて、人類共通の課題と言っても過言ではないと思います。これは、政権の最重要課題どころか、国際社会の最重要課題であるというふうに世界に発信をしていただきたい。この点は改めて拉致問題の特別委員会で申し上げたいと思います。

 今日は趣向をちょっと変えまして、私はいつも外交の話ばかりしていますが、今日は軍事の話をちょっとさせていただきたいと思います。

 まず、今日、松原委員の話からもありましたけれども、北朝鮮のミサイルの発射は前例を見ないレベルでございますが、まず、北朝鮮のミサイル開発、核開発はもう昔からある話でありますが、特殊兵器の開発状況、特に、電磁パルスを発生させるようなEMPと呼ばれる破壊兵器についてどういう分析をされているか、防衛副大臣からお願いします。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 北朝鮮は、核・ミサイル開発を継続的に進めているのに加え、生物化学兵器といった核兵器以外の大量破壊兵器についても開発、保有していると見られます。

 化学兵器については、化学剤を生産できる複数の施設を維持し、既に相当量の化学剤などを保有していると見られるほか、生物兵器についても一定の生産基盤を有していると見られます。

 また、御指摘の電磁パルス、EMP兵器については、一般的に、核爆発などにより瞬時に強力な電磁波を発生させ、電子機器に過負荷をかけて誤作動させたり破壊させたりするものと承知していますが、北朝鮮は、二〇一七年に、広大な地域に対する超強力EMP、電磁パルス攻撃を加えることができる旨、発表したことがあると承知しております。

 こうした兵器の具体的な開発状況については、事柄の性質上、お答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思いますが、いずれにしましても、防衛省としては、各種兵器の開発状況を含む北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国、韓国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集、分析に全力を挙げてまいります。

鈴木(敦)委員 ここ十年ぐらい、このEMP兵器については、度々、数年に一度ぐらいの確率で議論に上っています。

 どういうものかといいますと、これは、一九六二年にアメリカが核実験をした際に、遠く離れた場所でも電線に高負荷がかかったとか、そういったものが確認をされたものであって、決して近未来の兵器ではないということはまず申し上げておきたいと思います。

 アメリカの議会には、このEMPに対する特別なタスクフォースというのがあります。そのタスクフォースによれば、ロシアは既に開発をしていたし、中国と北朝鮮についても、更に強力なHEMP兵器の開発が完了したというような分析をしているわけですね。

 なので、今政務官からお答えをいただきましたが、化学兵器、生物兵器についてはある程度の生産基盤があるとお答えいただいたにもかかわらず、EMPについては事柄の性質上お答えできないというのは、これは同じ兵器である話でありますし、核兵器についても全く同じでありますから、これは、お答えできないというよりは、分かっていないんじゃありませんか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮の軍事動向につきましては、私ども、必要な情報の収集、分析に全力を挙げているところでございますが、先ほど政務官の方からも御答弁申し上げましたとおり、御指摘のところについては、インテリジェンスにも関わる部分でございますので、お答えを差し控えたいと思います。

鈴木(敦)委員 では、十一月三日に発射をされたミサイルの発射は、敵の指揮系統体系を麻痺させる特殊弾頭の動作確認だったと北朝鮮は発表しておりますけれども、これを受けてもまだ何もお答えいただけないということなんでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきましては、私どもにおきましても非常に注視しているところでございますが、重ねての御答弁で恐縮でございますが、お答えすることはできないことにつき御理解をいただきたいと思います。

鈴木(敦)委員 分かっていたら、普通は抑止力のためにも発言されると私は思います。生物兵器と化学兵器は言えて、しかも核兵器についても言えて、EMPについては言えないというのは、ちょっとそれは理解できないと思います。

 なぜEMPのことを私がこんなに言うかといいますと、今のミサイル防衛システムというか体制では、これから我が国を防護することは非常に困難なわけです。これは、迎撃すれば済む話ではなくて、我が国の上空で爆発した場合に我が国に電磁パルスが降り注いでくるという性質のものですから、今我が国がスタンダードミサイルだとかPAC3とかを配備していますけれども、それがあったとしても、破壊する前に自爆されて電磁パルスが発生したら意味がないというものであるわけですね。

 松原委員の質疑でもありましたけれども、百五十発以上のミサイルをこれまで北朝鮮は撃ってきているわけです。今年も大変多い数ですけれども、これだけやってきたら、大体、知見というのは積み上がってきているわけですよ。それはどういう知見かといえば、我が国のEEZではないけれども我が国の近海にミサイルが弾着した場合、これは我が国への急迫不正の侵害ではなかった。もう一つは、我が国のEEZに入っているけれども、弾着をしたとしても、国家安全保障会議を開いたり開かなかったりした、でも反撃はしなかった。我が国の上空を通過したのは七件という先ほど議論がありましたけれども、そのときにも、特に、遺憾の意を表明する以外は何もしなかった。

 我が国が、じゃ、何をするのか、何ができるのかといえば、我が国に弾着することが明らかな場合は弾道ミサイルを迎撃するんだというのが今までの、一九九三年にミサイルを撃ち始めてからの我が国が今までやってきたことの総括です。

 一番難しいのは、我が国の上空を通過しているときに、勝手に爆発して破片が降り注いできたり、あるいは電磁パルスだけが落ちてきた場合に、それが我が国に対する攻撃であるか否か。彼らは、もしかしたら、それは事故で爆発したと言うかもしれませんね。衛星が積んであって、そこにある原子力電池からパルスが発生した、済みませんでしたと言われるかもしれませんけれども、それがうそかまことか、どう見分けますか。

 だからこそ、今このEMPの話を詰めておいて、最悪の事態に備えなきゃいけないんですよ。これが兵器化されているかどうかにかかわらず、この技術が既にあるという前提の下で、どういうふうに対応するかが分かっていなきゃいけない。だから、北朝鮮が持っているか持っていないかということははっきり言った方がいいんです。

 それでもまだ言わないですか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮の情勢につきましては、私ども、先ほども申し上げましたように、全力を挙げて分析、情報収集に努めているところでございまして、また、その内容につきましては、私どもの得られている情報や、また、その必要性なども勘案いたしまして、その時々、必要な内容を皆様方の方に御説明しているところでございますが、御指摘のところにつきましては、先ほどの答弁で恐縮でございますが、お答えを差し控えたいと思います。

鈴木(敦)委員 じゃ、別の方向から言いましょうか。

 EMPというのは近未来の兵器じゃありませんよと先ほど言いました。なぜそれが言えるか。

 これは、過去に我が国も開発を試みたことがありますね。平成三十年に予算化して、令和二年に事業が中止になりました。中止になった理由が非常にお粗末で、カタログ品だった民生品が手に入らなかったから造れなかったという話でございますが、これは後継事業があるということでございますので、まずそれは御紹介いただきたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のEMP弾構成システムの研究につきましては、平成三十年度から着手した研究事業でございますが、これも委員御指摘のように、試作品の製造に必須となる部品の入手が困難であると判明したことから、令和二年九月に事業の継続を断念したところでございます。

 しかしながら、その後、防衛装備庁におきましては、直ちに研究計画を見直しまして、EMP装備の実現に向けた研究を再開しております。

 令和二年度からは、EMP弾の実現に必要な要素技術に関する研究を実施しておりまして、それまで研究対象としてきました電源エネルギー式に加えまして、爆薬発電方式に取り組んでいるところでございます。

 令和五年度におきましても、EMP装備の実現に必要な要素技術に関する研究を引き続き実施する計画でございます。

鈴木(敦)委員 我が国だって造っているし、研究もしているんですよ。

 この研究を始めた大本の理由は、EMP弾を開発することによってそれを防護する技術も手に入るからだということで、平成三十年から始めたにもかかわらず、まだ基礎研究の段階にしか入っていないんですよね、我が国は。これが進捗がこういう状況です。民生品が手に入らないという非常に残念な話でもあったんですけれども。

 じゃ、これまでの十年間何もなかったのかといえばそうではなくて、自衛隊もこのEMPに対しての防護というのはいろいろ考えていたわけでございますが、これは一点確認をさせてください。

 米軍は、EMP兵器に対して五十キロボルト・メートルという基準を設けて、硬化基準というのを設けています。自衛隊も同じ基準で装備されておりますでしょうか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、米国においては、EMP電磁パルス防護に関し、様々な兵器システムに適用可能な一般的規格を、いわゆるMIL規格として国防省が定めているものと承知しております。

 他方、我が国においては、EMP防護の重要性が高まっていることを踏まえ、令和元年度から自衛隊の装備品に対するEMP防護に関する研究に着手しております。本研究は、電磁パルスによる破壊効果のメカニズムを解明するとともに、電磁パルス耐性の効果を検証するものです。

 現在、こうした研究成果を基に、米国の規格も踏まえながら、自衛隊の装備品改修や将来の装備品の研究開発を行う際に適用可能なものとなるよう、EMP防護の手法に関するガイドラインを取りまとめているところです。

鈴木(敦)委員 であれば、政務官、今段階では、この防護はアメリカ基準に満たないということでよろしいんですか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、政務官から御答弁申し上げましたとおり、我々の方といたしましても、EMP防護に関して、公開されているアメリカのMIL規格、具体的には、MILスタンダード464というものとMILスタンダード461というものがございます。これらをしっかり踏まえながら、今まさに、政務官から御答弁しましたように、ガイドラインをまさに策定中でございまして、可及的速やかにこれを策定したい、完成したいと考えているところでございます。

鈴木(敦)委員 だから、ないんですよね、今は。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 元々、委員御指摘のEMP防護に関する研究につきましては、令和元年、二年と実際にその研究をしまして、三年度、四年度にその取りまとめをやるという予定でございまして、まさに現在取りまとめの最終段階でございますので、我々としては、可及的速やかにガイドラインを取りまとめたいと考えているところでございます。

鈴木(敦)委員 だから、現段階で自衛隊はEMPに対する防護は米軍に満たないということです。ガイドラインがないんですから。そういうことですね。

 これは、アメリカの基準でも足りないという報告が出ているわけです。アメリカの議会の先ほど申し上げたタスクフォースによれば、HEMPというものを使うと百キロボルト・メートルなので、アメリカの硬化基準の倍ぐらいの威力が出せると分析をしておりますし、ロシアのソースによれば、二百キロボルトまで出力を高出力化できるという報告もあるくらいなので、アメリカの基準ですら満たないという状況に今来ている。その中で、まだ我が国はガイドラインがないという状況でございます。

 北朝鮮が開発したかどうかに疑義があるのであれば、その開発の云々が事実かどうかは別として、アメリカ軍、若しくはアメリカ軍が想定している以上のもので防護しないと我が国は守れないと思いますよ、基準も何もないままでやっていると。

 今日お配りした資料、二ページありますけれども、ロシアと中国、北朝鮮、こういった国々がHEMPを開発してきたという話がありました。先ほど申し上げたアメリカ議会のタスクフォースが発表した資料ですけれども、これは、中国が台湾に対して発射した場合こうなりますよということ。二ページ目は、北朝鮮が我が国に対してEMPを発射した場合どうなるか。

 この円の中は、高出力の電磁パルスによって通信が一時的に麻痺若しくは破壊される可能性がありますというエリアです。台湾の図を見てください。沖縄が入っているんですよ。この範囲については、爆弾の、核兵器の強さではなくて、爆発させる高度によって調整可能なわけですよ。

 だから、先ほど松原委員からありましたけれども、私はずっと言っていますけれども、ミサイルの高度、宇宙空間なのか領空なのかが非常に大切なのはこういうことなんです。百キロで爆発させるのと五十キロで爆発させるのとで、範囲が違うし、取扱いも変わってきますよね。宇宙でやっているのか、領空でやっているのかによって。

 こういうところからも我が国は検討しなきゃいけないことがたくさんあるのに、それをお答えできないの一言で今まで封じてきたというのが現在のところですよ。

 もし仮に、これは二ページ目にありますけれども、我が国の直上でこれが仮に起爆した場合、しかもそれが高出力であった場合は、我が国は通信も何もかも遮断をされて、十九世紀の状態で生活しなきゃならなくなりますよ。

 次に、公共インフラについて聞きます。自衛隊だけではありませんからね。

 公共インフラについてですけれども、今日は経産、国交、総務、厚労の各事務方の方に来ていただいています。それぞれ、電力、交通、通信、その他の水道などのインフラについて、EMPに対する抗堪性があるかどうか、御確認をお願いします。

笹路政府参考人 電力インフラについてお答え申し上げます。

 我が国に対するEMP攻撃が行われるといった万が一の事態への備えといたしまして、そうした場合の国民生活への影響を最小限とするため、政府全体で必要な対策について検討しているところでございます。

 そのときの電力インフラ対策につきまして、具体的な内容につきましては、事柄の性質上、大変恐縮ではございますが、お答えは差し控えさせていただきたいと考えております。

五十嵐政府参考人 交通インフラ分野のEMP対応についてお尋ねがありました。

 EMP対応については、政府全体で必要な対策について検討を行っているところであり、事柄の性質上、具体的な内容についてお答えすることは控えさせていただきたく思います。

木村政府参考人 通信インフラのEMP対応についてお答え申し上げます。

 政府全体で必要な対策について検討しているところではございますけれども、その具体的な内容につきましては、事柄の性質上、お答えは差し控えさせていただければと思います。

佐々木政府参考人 水道分野についてお答えいたします。

 繰り返しで恐縮ですが、同様に、事柄の性質上、お答えは控えたいと思います。

鈴木(敦)委員 分かっていましたけれどもね。そうお答えになると思いましたよ。

 ただ、総務省に関しては一言申し上げますが、通信に関しては、ITUから勧告Kの七十八という形で、対EMPに対する防護の要望というか要件が、既に勧告を受けているはずです。にもかかわらず、事柄の性質上お答えできないはずはない。国際機関から勧告を受けているわけですから。

 もう一度お願いします。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の勧告が存在することは承知しておりますけれども、その適用状況等々、具体の内容についてはお答えは差し控えたいというふうに考えているところでございます。

 なお、事実関係としまして、この国際標準、基準は、法的拘束力のない、強制力のない勧告であるというふうに承知しているところでございます。

鈴木(敦)委員 法的拘束力がないからといってやらなくていいという話じゃないですよ。

 かつ、NTTは、EMP攻撃にどう対応するかということで、しっかりレポートをまとめて出しています。NTTがやっているのに総務省がやらないというわけがないじゃないですか。ただ単に、確認していないか、やっていないか、どっちかじゃないですか。

 公共インフラだって全部一緒ですよ、電気を使っているんですから。真空管でも使っていない限り、EMPから完全に防護するなんて無理ですよ。真空管を使ったって無理かもしれない。ちょっと見通しが甘いと思いますね。

 アメリカに関しては、重要インフラ防護法という法律を立てているんですよ、二〇一五年に。法律を作ってしっかりやっている人たちと、我が国は、この前、経済安全保障法を出しましたよね。経済安全保障法が成立して、その中で重要インフラと重要物資を確定させたじゃないですか。それらに対して、我が国が、政府で勧告できるといったって、そもそも論として、防護されたものを納入してもらわなきゃ困るじゃないですか。

 そのための基準としていろいろなガイドラインを諸外国が出しているときに、防衛省さんは今取りまとめ中だと言っていますから、これは速やかにやっていただきたいと思いますし、それは各省庁である程度共有した方がいいと思いますよ。これは未知の兵器でも何でもないんですから。宇宙人の侵略でもないんです。実際に隣にあるところから撃ってくる可能性がある、アメリカの議会のタスクフォースがそういう分析をしているんですから、しっかりやらなきゃいけないと思います。

 時間がないので一つ飛ばしますけれども、これは官房副長官にお願いをしておるところですが、二〇一七年に菅官房長官がこのEMP対策について記者会見で発表されています。そのときから今にかけていろいろ社会状況は変わっておりますけれども、対応方針は変わっておられますでしょうか。

木原内閣官房副長官 まず、先ほど来、委員のEMPに関する御議論を拝聴させていただきました。まさに、これが使用されれば国民生活にも影響が生じる可能性は否定できない、このように認識を新たにしているところであります。

 そして、各省からも答弁がありましたけれども、実際にこのEMP攻撃が行われるといった万が一の事態への備えとして、国民生活への影響を最小限とするための努力も重要である、このように認識をしております。

 したがいまして、政府全体で必要な対策について引き続き検討しているところであり、そして、今御質問いただいた二〇一七年九月七日の菅当時の官房長官の答弁についてでありますが、国民の皆様への情報提供につきましても、引き続き、国民保護ポータルサイトでの情報提供も含めて、適切な手法について検討している、こういうことでございます。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 以前お考えいただいていたのと同じなんですが、実は、これは一つ大きな問題がありまして、EMPというのは、電磁パルスを使って主として通信網を遮断するために使用される兵器であります。我が国も孤立をいたしますし、軍事的にも非常に困るということなんですが、その状況下において、国民保護のポータルサイト、つまりインターネットが閲覧可能であるという想定が私はちょっと甘いんじゃないかと思います。

 インターネットが使えない可能性もありますし、また、電気も使えなければ、通信も使えないので、自治体との連絡も、これは電波法で短波を使うことになっておりますけれども、そこから先、どうやって伝達していくか、国民に対してどうやって知らせていくかという部分も併せて議論しなくてはならないと思います。これは、インフラは今確認しただけでもほとんど未整備の状態だと思いますから、これから先も積極的に議論をしていただきたいと思います。

 最後に、これは大臣にお伺いをしたいんですが、今申し上げた対EMPというものに関しては、戦闘機の開発ではないですけれども、我が国だけでは到底対応できないものだと思います。様々な国の知見を合わせて、アメリカの議会にはそういうタスクフォースがあって、韓国は特に隣が北朝鮮ですから、韓国もインフラ整備にお金をかけていますし、スイスだとかアメリカだとか韓国で製造されている幾つかの通信のものについてはそもそもEMPに対する対応の基準が設けられているという前提もありますので、我が国だけでやったってちょっと難しいと思いますから、2プラス2も含めて、同盟国、同志国とこの内容を共有していただいて、積極的に議題として上げていただいて、各国で対応していくという体制を取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今鈴木委員がおっしゃったように、国際連携の観点というのは非常に重要になってくると考えておりまして、必要に応じて、諸外国における対策の現状を調査したり、また、関連情報の収集、分析等に努めてまいりたいと思っております。

 その上で、我が国としての対応について、外務省としても、関係省庁と協力しながら、しっかり検討してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 今日はちょっと申し上げませんでしたけれども、このHEMP、高高度で爆発させる電磁パルスの兵器については、これは核爆発を伴いますが、人も殺さなければ、構造物を破壊することもありません。放射線も我が国には落ちてきません。これを核兵器の使用とみなすかどうかも非常に問題だと思いますし、何も壊さない、人も殺さない、そういうものが我が国の上空で爆発したとして、どういう対応をするのか、そのときになってから判断をしたのではもう遅いんです。今のうちにこの点について整理をしていただいた方がいいですね。

 我が国に落ちてくるものは撃墜して結構です。ただ、落ちてこないけれども上空で爆発したら問題になるようなもの、それも検討の一つとして加えていただきたい。最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣林芳正君。

林国務大臣 十月二十六日の本委員会において、穀田委員から、モザンビーク太陽中学校、高校への外務大臣表彰を取り消すということが筋である、関連の調査結果を公表すべきである、そういう旨、御指摘をいただいたことを踏まえまして、当省として、関係者からの聴取や関連資料の確認を行った上で、十一月四日に取消しを行った旨、報道発表を行うことにより、本件対応につき広く周知したところでございます。

 その上で、当該発表に際して、十月二十六日の質疑を踏まえ、本件発表につき外務省から穀田委員に対して直接連絡をしなかったということに関する御指摘は真摯に受け止めて、今後このようなことがないように対応してまいりたいと思っております。

黄川田委員長 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 私は、今お話がありました十月二十六日の質疑に続き、外務省と統一協会の海外宣教問題について質問します。

 私は、前回の質疑で、統一協会の関連団体、世界平和女性連合がモザンビークで運営する太陽中学校、高校の理事長に対して、二〇一九年度に当時の河野太郎外務大臣が大臣表彰を授与していた問題を指摘し、表彰の取消しと事実関係の徹底調査を求めました。今の報告の概要はそのとおりです。

 問題は、この大臣表彰を取り消すと発表したわけですが、取消しに至った経緯について、後の報告の経緯は今お話があったとおりですけれども、改めて大臣に伺いたいと思います。

林国務大臣 令和元年度の宝山晶子モザンビーク太陽中学校、高等学校理事長に対する外務大臣表彰に関しましては、十月二十六日の衆議院外務委員会におきまして、私から事実関係の確認をする旨を述べて以降、直ちに、改めて関係者からの聴取や関連資料の確認を行いました。その結果、宝山氏が、表彰の対象となったモザンビーク太陽中学、高校におきまして、通常の教育活動に加えて、社会的に問題が指摘されている旧統一教会の布教を強く意識した学校活動を実施していたということが確認をされました。

 また、宝山氏が派遣員を務める世界平和女性連合が、本件表彰後に、本件表彰を同団体の活動の正当性の裏づけとして利用しているということも確認をされております。

 本件表彰が、社会的に問題が指摘されている旧統一教会の活動を促進するものであるかのような無用な誤解を与えることは適切ではないとの点を踏まえまして、先週四日、金曜日でございますが、宝山氏に授与した令和元年度外務大臣表彰を取り消したところでございます。

穀田委員 表彰の対象となった学校では、統一協会の布教を強く意識した学校活動を実施していたとのことでしたね、今の報告は。

 外務省、実際にどのような活動が行われておったのか、報告ください。

齋田政府参考人 お答え申し上げます。

 モザンビーク太陽中学、高校関係者より、当時の状況について聴取をいたしまして、事実関係の確認を行いました結果、過去に、同校関係者への旧統一教会関係者の著作の配布や、旧統一教会関連施設での礼拝への参加勧誘等を行っていたことが確認されたところでございます。

 また、生徒の中に、最終的に入信した者がいるという指摘も確認をされました。

 以上でございます。

穀田委員 今ありましたように、著作配布、礼拝への参加、入信。私は前回の質疑で、現地の学校では、教育と称し、統一協会の開祖文鮮明や韓鶴子の自叙伝を大量配布するなど、宣教活動が行われ、その結果、統一協会に入信した生徒もいることを指摘しました。まさに、そうした海外宣教の実態が確認されたということであります。その意味で、表彰の取消しは当然だと思います。外務省としても、私の指摘を受けて、大臣表彰に反社会的団体を表彰したという歴史的汚点を残さずに済んだということだと思うんですね。まあ、私が表彰されてもいいんじゃないかな。それは冗談はさておいて。

 外務省は前回の答弁で、大臣表彰を授与するか否かの判断に当たり、当時、モザンビークの大使館では、女性連合が統一協会の関連団体と認識していたが、本省としては認識していなかったと説明しました。事実関係はどうでしたか。

齋田政府参考人 お答え申し上げます。

 モザンビークの日本大使館は、二〇一九年三月、推薦調書を本省に対して提出いたしまして、外務省内での審査を経て同年七月に授賞が決定されたわけでございますけれども、その際、モザンビークの日本大使館におきましては、宝山氏が旧統一教会関係者であることは認識していたものの、当時の学校訪問等を通じても、同校において、旧統一教会の布教活動の実施は当時は確認をされなかったところでございます。

 また、外務本省及び在モザンビーク大使館共に、旧統一教会の関連団体に対して社会的に問題が指摘されているということを十分認識しておりませんでした。

 こうした中、在モザンビーク大使館から外務本省へ報告がされるに至らなかったということでございます。

穀田委員 先日説明に来た外務省の担当者は、現地の大使館から、今ありましたように、本省に上がった推薦調書には、表彰対象者が女性連合の派遣員と明記されていたと説明しているんですね。

 私は、前回の質疑でも指摘しましたけれども、女性連合の派遣員に大臣表彰を授与する以上、女性連合が一体どういう団体なのかということを本省としても確認しなければならないはずだと思うんですね。

 説明に来た外務省の担当者は、アフリカ地域では大臣表彰の推薦者を発掘するのに苦労していると説明していました。今回の問題も、そうした役所の都合を優先したことが背景にあったのではないか。つまり、アフリカ地域での大臣表彰の実績を増やすため、現地大使館は、女性連合が統一協会の関連団体と知りながら、それを意図的に隠して推薦した、本省も、女性連合の派遣員と知りながら黙認した、それが事の真相だ、そうとしか私は思えないと言っておきます。

 林大臣に伺いたい。

 統一協会やその関連団体が行っている活動について、外務省としてそれを称賛したような事例はモザンビーク以外にありませんか。

林国務大臣 称賛したという先生のお尋ねの意味がなかなか把握しにくいところもございますが、後ほどお尋ねになるというふうにお伺いしておりますけれども、そのことについては承知をしておるところでございます。

穀田委員 先の方の話をされたんじゃ、話が前に行きませんわな。

 要するに、私は、この間言ったように、モザンビーク以外にそういうことはないのかと。次からそれはあるわけだけれども、大臣表彰を授与した事例は、この間、余り分からないということしか言っていないわけですが、河野外務大臣当時、外務省として統一協会の関連団体を称賛した事例は、モザンビークのほかにもあります。

 資料一を見ていただきます。アフリカのルワンダ日本大使館の公表資料です。

 これを見ると、二〇一八年十月十九日、世界平和女性連合がキガリ市で開校、運営する職業訓練校、ニューホープ技術専門学校で創立二十周年記念式典が行われ、当時の宮下孝之大使が出席し、祝辞を述べています。

 外務省、これは事実ですか。

齋田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、これは事実でございまして、宮下大使本人にも確認をいたしましたところ、同ニューホープ技術専門学校より、現地で教育活動に従事している日本人がいる、是非活動を視察してほしい、一言述べてほしいという要請がございまして、出席することに至ったというふうに承知しております。

穀田委員 じゃ、確認するけれども、この職業訓練校は女性連合が開校、運営しているということで間違いありませんね。

齋田政府参考人 間違いございません。

穀田委員 だから、世界平和女性連合、同日本支部、同ルワンダ支部、これが開校、運営しているということなんですよね。

 資料を見ると、宮下大使は、当日の式典に女性連合の堀守子日本会長とともに出席し、「皆さんと一緒に二十周年の節目を祝うことができ、光栄に思う。」「今後も多くのルワンダ人の生徒達がここで技術を習得し、ルワンダの発展に貢献することを期待している。」などと述べ、活動を称賛しています。

 日本の大使が、女性連合が開校、運営する職業訓練校の式典に出席し、活動を称賛する祝辞まで行っている。この間は表彰状、今度は祝辞。重大問題だと私は思います。

 私は前回の質疑で、統一協会の雑誌、トゥルーピース、二〇一四年八月号、これですね、示したわけですよね。そこには、韓鶴子が韓国の拠点施設で行った女性連合の海外派遣二十周年記念特別集会の内容が掲載されていることを指摘しました。

 この集会には、モザンビークの学校の理事長とともに、ルワンダの職業訓練校を開校、運営した人物も出席しており、現地の活動を報告しています。それが皆さんにお渡ししている資料の二枚目です。ルワンダ作業訓練学校、野崎真理恵さんという、これですね。そこには、こう述べています。「現地で指揮をとってくださった国家的メシヤの方々、WFWP本部を始め、支援連合会の皆様、千六百名として派遣された十名の派遣員、家庭連合の宣教師、」「すべての方々が支えてくださいました。真の父母様の大きな愛に包まれた中で、プロジェクトを継続してくることができたことを心から感謝しております。」こう述べて報告しているんですよね。

 この発言からも明らかなように、ルワンダの職業訓練校では、モザンビークの学校と同じく、統一協会の海外宣教が行われているわけであります。

 林大臣、このような訓練校の式典に日本の大使が出席し、祝辞を述べるなど、外務省が統一協会の活動を称賛したのも同じことになるのではありませんか。

林国務大臣 宮下大使が御指摘の式典に参加したことは事実であるというふうに認識をしております。同大使は、当時、NGOの世界平和女性連合がいわゆる旧統一教会の関連団体であるとは認識をしていなかった、こういうふうに事務方から報告を受けております。

 今後、社会的に問題が指摘されているということを十分認識した上で、旧統一教会の関連団体に対して適切に対応してまいりたいと考えております。

穀田委員 大臣、お互いにそうなんだけれども、認識していなかったということで済むのかという問題なんですよね。しかも、世界平和女性連合という形で、それは、二〇〇一年以来、外務省に対しても警告が全国弁連からなされている、そういう問題の中身なんですね。

 しかも、大使として祝辞を述べに行くときに、どういう団体だなんて調べないはずがないじゃないですか。ですから、同じ女性団体でも、いろいろなところ、行かないとか行くとか、全部あるじゃないですか。そんなもの、みんな調べるに決まってますやんか。

 それで、問題は更にひどいんですよ。

 女性連合の岐阜県連合会は、昨年四月、ルワンダの職業訓練校を開校、運営した同じ人物、この人物ですね、が講師になって集会を開いています。それが資料三枚目です。そのときの様子を伝えるブログに掲載された写真です、これですね。これを見ますと、会場では、宮下大使が式典で祝辞を述べる映像がスクリーンに大きく映し出して使われています。これを見ますと、口を開けていますから、これは多分動画かもしれないなと思うんですよね。そう思いませんか。まあ、いいんですけれども。

 このように、女性連合は、外務省の関与を自らの活動の喧伝に最大限利用しているんですね。一番最初に大臣が答弁なさったように、大臣表彰を自らの活動に使うということと同じやり方をしているんですよね。こういうやり方なんですよ。

 そこで、外務省にお聞きします。

 世界平和女性連合の報告書によれば、アフリカのセネガルで女性連合が開校、運営する職業訓練校に関し、二〇一八年一月、「日本政府の支援により、ダカール市の郊外に二号校の建設が完成した」、こうあります。これは事実ですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありました案件は、セネガルのダカール州において、職業訓練校を建設し、女性の社会進出を支援するために、職業訓練を行う環境を改善することを目的としまして、セネガルの現地NGOに対しまして、草の根・人間の安全保障無償資金協力による支援を実施したものでございます。二〇一五年二月に供与を決定をいたしまして、供与額は……(穀田委員「そこは後で聞きますから。事実かと聞いてんねや」と呼ぶ)はい。

 以上でございます。

穀田委員 資料を渡しているから、先に行こうと思ってはるのやろうけれども、話を聞いてからにしてや。昨日来た方も、一生懸命先へ先へと行こうとするんだよな。話を聞いてから。それで、肝腎なところは聞かんと、金を出していたり、称賛したり、大使が行っている。私の話は、すぐ前へ行こうとする。それはあかんで。

 それで、資料四枚目です。

 そこでですやんか、これはセネガルの日本大使館の公表資料です。これを見ると、草の根・人間の安全保障無償資金協力、通称草の根無償と呼ばれるODA資金を供与したとある。金額は幾らか。ここで聞いていますねや。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 大変失礼いたしました。

 御指摘いただきました草の根・人間の安全保障無償資金協力、供与額は、細かくなりますけれども、九百五十五万三千七百九十二円でございます。

穀田委員 草の根無償、これは、原則一千万以下を限度額に定めていますよね。確かですね。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 原則として一千万円を目安として実施しているものでございます。

穀田委員 となりますと、この草の根無償の、原則一千万以下を限度額に定めているが、外務省は、その限度額いっぱいに近い九百五十五万三千七百九十二円を女性連合が運営する職業訓練校の建設資金として供与したということになる。セネガルで九百五十五万円といえば、日本との関係で言いますと、大体数億円に匹敵する。だから、とんでもない事実ですね。

 先ほど二〇一五年と言いましたけれども、その資金供与を決定した日にちはいつか、もう一遍、正確に言ってください。

原政府参考人 何日かというのは確認をさせていただければと思いますけれども、二〇一五年二月に供与を決定いたしております。

穀田委員 事前に聞いたことによると、締約したのは二〇一五年三月二十日と聞いています。決裁は本省だと。

 林大臣、二〇一五年三月といえば、岸田総理が外務大臣のときなんですよね。林大臣、統一協会の関連団体に国民の血税である政府資金まで供与している、こんなことが許されるかということについてお聞きします。

林国務大臣 御指摘のありました草の根・人間の安全保障無償資金協力につきましては、セネガルの女性が質の高い職業訓練等を受けられるようになり、同国の女性の社会進出に貢献するものと考えて、二〇一五年二月に供与を決定したものと承知をしております。

 この案件の実施を決定した当時は、当該女性平和団体というものが旧統一教会の関連団体とは認識していなかったというふうに承知をしております。

穀田委員 状況説明はあるわけですけれども、私が最後に聞いたのは、こういう国民の血税である政府資金まで供与している、許されるかと。

 先ほどセネガルの前にいろいろな話を聞きましたけれども、同じ理屈なんですね、全部。認識していなかったと。それほどええかげんな話で金を出すのかということになるじゃないですか。

 もう一遍、外務省に聞きましょう。

 それじゃ、統一協会の団体と供与した時点では知らなかったということですね。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 この案件の要請がございましたのは、セネガルで活動している現地のNGOでございまして、日本語訳いたしますと、女性平和団体という名称のNGOでございました。この案件を決定した当時、このNGO、女性平和団体という団体が旧統一教会の関連団体だという認識はございませんでした。

穀田委員 当時、認識はなかったと。

 しかし、団体のそういう一連の報告書には必ずそれを書いているんですよ。職業訓練学校運営。しかも、今お話がありましたけれども、女性平和団体だと。女性平和団体という名前でオーケーしたわけでしょう。そのときに、あれっと思わへんの。大体、ずっとやられて、だまされているということにしちゃうわけ。というよりも、何できちんと調べへんかったかという問題じゃないですか。

 しかも、外務省は、二〇〇一年に全国弁連から度々この問題について、ボランティアと称してやっているということについて警告を受けているわけじゃないですか。それを全く調べもせんとやっている。

 大臣に聞きますけれども、状況説明は、認識していなかったということで同じ理屈で来ているわけだけれども、しかし、その結果、国民の血税である政府資金まで供与している、これが許されるかと聞いているんですよ。

林国務大臣 本案件でございますが、女性の社会進出を支援するために基礎教育や職業訓練を行う環境を改善することを目的に、草の根・人間の安全保障無償資金協力による支援を実施したものでございまして、セネガル側も、職業訓練校の実績を評価して、土地の提供、それから資金の一部提供、セネガル政府公認の卒業証書の交付といった形で協力があったところでございます。

 また、職業訓練校自体は違法な活動を行ったものではない、こういうことは承知をしておるところでございます。

穀田委員 何回も同じことを、更に概況説明をいろいろしている。それは、最初にモザンビークを取り上げたときにも同じ説明をしているんです。こういう団体だ、立派なことをやっていると。しかし、その実態はこういうことだったということを私は指摘したわけですよね。しかも、こういう形でほかのところもやっていて、それを自らの団体の正当性を得るために喧伝している、こういうやり方までやっているということを私は指摘しているわけであります。

 ですから、私は、この際、大臣に要求したいんです。

 こういう形で海外に対してODAのお金で統一協会に関わるような事態、そういう団体に金を送った例はほかにないのかということを調べて、経緯を明らかにする必要があると思いますが、いかがですか。

林国務大臣 御指摘を踏まえて、現在、過去の草の根・人間の安全保障無償資金協力案件については、既に確認を行うように指示をしたところでございます。

穀田委員 そういう指示をしたと。

 じゃ、聞きます。

 女性連合は、先月の初め、外務省、JICA、国際協力NGOセンターの共催で行われたODAイベント、グローバルフェスタJAPANにルワンダファミリーなる団体名で参加し、現地の職業訓練の活動を喧伝する出展まで行っています。ルワンダファミリーのホームページを見ると、グローバルフェスタに出展を始めたのは二〇一三年十月からです。つまり、第二次安倍政権が発足し、岸田総理が外務大臣に就任して以降、出展が始まっているんです。

 しかも、出展はグローバルフェスタだけではありません。そのほかにも、外務省が横浜市と共催したアフリカン・フェスタ、外務省が協力したワン・ワールド・フェスティバルにも出展しています。全て、第二次安倍政権が発足して以降、一気にこれが始まっているんですね。

 林大臣、外務省として、先ほど述べたのはODAのことも始めた、始めたからには報告してもらわなあかんわけだけれども、統一協会や関連団体に活動の場を与えることは、被害の拡大にお墨つきを与えるのと同じことだと思うんですね。大臣も、一番最初の答弁でありましたように、それを宣伝しているということに対して憤りを隠していないですわな、怒っていますわな、はっきり言って。それはそのとおりなんですよ。だけれども、そういうことと同じことをやっていって、また、その理屈を全部踏襲して断固として貫かなあきませんよ。そこが私は大事だと思うんですね。

 したがって、外務大臣、林大臣の責任で、外務省と統一協会との関わりを徹底調査し、その結果を公表すべきではありませんか。

林国務大臣 今御指摘がありましたように、まず、この草の根・人間の安全保障無償資金協力案件については、確認を行うように指示を既にしたところでございますが、それ以外のことにつきましても、先ほど冒頭の発言で申し上げましたように、このモザンビークの件は、先ほど委員から御指摘があったように、そのこと自体が宣伝に使われているという事実が確認をできたということで、そういうことも含めて取り消したわけでございますので、そういう事例がないかということは広くしっかりと確認をしたいと思います。

穀田委員 私がこの間取り上げてきたのは、モザンビークの件でいえば表彰、今度は祝辞、今度は国民の血税を使う。ここまで来ると、何をかいわんやだと私は思うんですよね。

 政治家が統一協会との接点を持つべきでないということは、自明の理として、今多くの方々が共有している見解ですよね。女性連合は、ボランティア活動と称して世界各地で活動しているわけですよ。このような団体と行政機関たる大使館が接触し、団体の活動を称賛し、あまつさえ、国民の血税を使って供与し、そのお先棒を担いでいる。

 だから、この点では、先ほどありましたように、改めて在外公館職員の接触実態についても調査し、まずは団体との接触を禁止するという措置を講ずるべきではありませんか。

林国務大臣 総理から、これは特に閣僚等に対してでございますが、接点を確認して、分かったことは報告すること、また、今後一切関係を持たないことというのは、我々閣僚等には指示が出ておりますので、それと同様の考え方でしっかり臨んでまいりたいと思います。

 また、在留邦人の保護という、一方でそういう業務もございますので、そういうことも踏まえながらしっかり対応してまいりたいと思います。

穀田委員 私が今日言ったのは、先ほど述べたように、宣伝に使われているというだけじゃなくて、もはや政府がODAの金で供与しているということまで起きている。これは重大問題なんですね。

 だから、要するに、そんな軽い話、別に外務省の答弁している方が軽々しいとは思わんけれども、極めて重大な問題だということで、これを一掃するということをしないと、政治家個人が接点を持っているという話じゃないわけですよ、政府が国民の税金を使ってそれを推奨するというようなことになるわけで、断じて許されないという立場で臨むことを改めて要求し、質問を終わります。

黄川田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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