衆議院

メインへスキップ



第2号 令和5年3月10日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年三月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君 理事 吉田 宣弘君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    城内  実君

      島尻安伊子君    鈴木 貴子君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      辻  清人君    寺田  稔君

      平沢 勝栄君    青山 大人君

      篠原  豪君    松原  仁君

      米山 隆一君    浅川 義治君

      杉本 和巳君    掘井 健智君

      守島  正君    金城 泰邦君

      鈴木  敦君    穀田 恵二君

      吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   外務副大臣        武井 俊輔君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   外務大臣政務官      吉川ゆうみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中田 昌和君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          柳   淳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 植村  哲君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       赤堀  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           大槻耕太郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ部長)       齋田 伸一君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  遠藤 和也君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   御巫 智洋君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     猪狩 克朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 松本 啓朗君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  篠原  豪君     米山 隆一君

  青柳 仁士君     掘井 健智君

同日

 辞任         補欠選任

  米山 隆一君     篠原  豪君

  掘井 健智君     守島  正君

同日

 辞任         補欠選任

  守島  正君     浅川 義治君

同日

 辞任         補欠選任

  浅川 義治君     青柳 仁士君

    ―――――――――――――

三月九日

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

同月十日

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一六五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一六九号)

 辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(志位和夫君紹介)(第二二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 国際情勢に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長志水史雄君、大臣官房地球規模課題審議官赤堀毅君、大臣官房審議官岩本桂一君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官大槻耕太郎君、大臣官房参事官今福孝男君、大臣官房参事官池上正喜君、欧州局長中込正志君、中東アフリカ局アフリカ部長齋田伸一君、経済局長鯰博行君、国際協力局長遠藤和也君、国際法局長御巫智洋君、領事局長安藤俊英君、内閣官房内閣審議官小柳誠二君、内閣審議官中田昌和君、内閣情報調査室次長柳淳君、内閣審議官吉川徹志君、総務省大臣官房審議官植村哲君、総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長猪狩克朗君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、環境省大臣官房審議官松本啓朗君、防衛省防衛政策局次長安藤敦史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 改めまして、皆さん、おはようございます。

 大臣に対して所信の質疑をさせていただく機会をいただきましたことを、感謝を申し上げさせていただきます。

 限られた時間でありますので、早速質問をさせていただきたいと思うんですけれども、まずは、トルコ、シリアの地震であります。

 発災から一か月が経過したところでありますが、依然として現地では厳しい状況が続いております。そういった中で、トルコも、例えば、まさに明日は三・一一でありますけれども、東日本大震災のときにはいち早く日本に対して温かな支援を行ってくださった国でもあります。日本としてもしかるべき支援というものが必要だと思っておりますが、改めて、トルコ及びシリアにおける地震の被害に対しての日本の支援の現状について教えてください。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 トルコ南東部を震源とする今回の地震に関しましては、東日本大震災を含めて大きな自然災害を経験してきた日本といたしまして、援助隊、物資、資金面、各方面の支援を行ってきておるところでございます。

 発生直後から、国際緊急援助隊の救助チーム、医療チーム及び専門家チームの派遣や、緊急援助物資の供与などを行うとともに、国際緊急援助隊の医療チームには、必要な資機材を迅速かつ確実に届けるため、自衛隊機での輸送を行う等を行ってきておるところでございます。

 現在も医療チームが活動を続けているところでございますし、三月六日からは、専門家チームを派遣いたしまして、建物やインフラの状況の確認、復旧復興に向けた技術的な援助を行っているとともに、二月十六日には、資金面での支援といたしまして、WFPやIFRCなどの国際機関、日本のNGO等を通じて、トルコ、シリア両国に対しまして合計約二千七百万ドルの緊急人道支援を実施することを発表した次第でございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 発災直後から国緊隊が出て活動しているということ、そしてまた、現地に着いてその足で現場に向かって、まさに不眠不休の活動、援助に当たってくださっていること、改めて、この場をかりて私からも感謝と御礼をお伝えをさせていただきたいと思います。

 そして、この地震は、まさに、いみじくも遠藤局長もおっしゃられたわけでありますけれども、我々はある意味災害大国であります。東日本大震災だけでなく、様々な自然災害というものを経験し、そしてまた乗り越えてきた、命を我々はつないできた、そういった自負もあると思っております。

 そういったものをしっかりと、まさに大臣のお言葉の中にもある人間の安全保障の理念、まさに、この人間の安全保障というのは、歴史的にも日本が国際社会に対して働きかけてきた、主導してきた非常に大事な考え方である、このように思っておりますし、また、大変ありがたいことに、国際社会の中からも、日本が人間の安全保障ということを訴えることに対して大変温かく好意的に受け止めていただいている、信頼を寄せていただいていると思っております。

 ますます不透明で複雑化が増していくこれからの世の中において、日本が国際社会の中でしかるべき立場を、そしてまた発言力というものをしっかりと築き上げていく中でも、こういったときに、日本の第三国に対しての支援の在り方、動き方というものは非常に見られていると思っています。

 その上で、今も、緊急無償資金等々、また民間のNGO等への支援も含めて、様々やっていただいているということは承知しておりますが、具体的に改めてお願い、提起をさせていただきたいと思っております。それは、段ボールベッドであります。

 実際にトルコに入られた方からも、現場で、間違いなく、避難所生活、避難生活の長期化というものに対しての懸念が表明されています。私も報道などで見ると、いまだにいわゆる雑魚寝状態で、衛生管理、衛生面においてもまだまだ大きな課題があるなというところを危惧しているところであります。

 日本では、災害が発生すると、段ボールベッドがだんだんと定着してきたと思っております。それはやはり、効果があるから。エコノミー症候群であるとか、もちろん感染症対策、衛生管理の問題でも効果があるということ、そういった意味で、日本の知見というものをしっかりと打ち出しながら段ボールベッドの支援をするべきだと思っております。

 ただ、これは、日本から持っていくというのでは、お金もかかりますし、時間もかかります。既に、日本の段ボールベッドを進めていらっしゃる日本避難所・避難生活学会の先生方は、設計図、段ボールベッドをどうやったら作れるのかというのを現地に置いてこられている。現地の企業いわく、一日一万台のベッドが生産できる、かつ、その一台のベッドは日本円にして大体三千円程度であると。安い、早い、大量生産が現地でできるということも確認されております。

 是非ともここは、現地の要請に基づいて我々は支援をするということをこれまでもおっしゃられてきておりますが、二〇一六年熊本地震のときにも二百七十三名の方が亡くなられました。そのうちの八割の方が災害関連死です。本災、本震では命をつなぐことができたのに、避難所で命を落とされたということは、我々は、この痛ましいことを経験して、ここから学ばないといけないと思っております。

 この段ボールベッドを一日も早く、一人でも多くの方にお渡しする上でも、現地の生産体制を日本が支援していく、日本の顔の見える支援の在り方を是非ともやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 トルコ南東部を震源とする地震被害に対しまして、トルコに対しては、同国政府からの要請に基づいて、テント、毛布、スリーピングパッド、発電機を供与しております。また、国際機関を通じて、先方のニーズの高い住居用のプレハブや冬用テント、暖房器具等を供与することを決定しておりまして、迅速に現場のニーズに合った支援を行っているところでございます。また、現在、専門家チームを派遣して、被災地の現地調査とともに、復旧復興に向けた技術的な助言等を行っているところでございます。

 今、鈴木委員のお話がありました段ボールベッドですが、現時点ではトルコ政府からの要請は受けていないところでございますが、復旧復興に向けて、専門家チームの調査結果を踏まえつつ、また、開発協力大綱の改定の議論におきまして、日本の強みを生かした支援メニューを積極的に提示していくべき、こういう意見もいただいております。これも念頭に置いて、トルコ政府と意見交換を行いながら、必要な支援の内容を引き続き検討してまいりたいと思っております。

鈴木(貴)委員 大臣、ありがとうございます。

 多分、トルコ政府においても、段ボールベッドがどういうものか、若しくはどういう意義があるのかということは、なかなかに分からないのではないのかな。災害大国日本に住む我々でも、ある意味、ここ数年で定着してきたものだと思っております。是非、そういった必要性というものを、まさにプッシュ型支援と日本でも言いますが、その意義も含めて、トルコ政府にも提案型で人道的な支援、人間の安全保障を是非とも進めていただきたいと強くお願いをさせていただきます。

 続きまして、対アフリカ外交についての質問に移らせていただきます。

 このアフリカ外交の質問は、私自身、副大臣をさせていただいたときにアフリカ地域を担当しており、興味、関心、思いがあるというところももちろんでありますが、今、まさに二・二四以降、ロシアによるウクライナ侵攻以降、改めて、民主主義であるとか、普遍的価値観の共有であるとか、国際秩序、こういったキーワード、大臣のまさに国際情勢についての文脈の中でも度々出てきたキーワードでありますけれども、それを考えた上で、アフリカ、そしてTICADプロセスというものは非常に、なお一層重要である、このように思っております。

 また、かつて、それこそアフリカは、貧困の問題、そしてまた経済、政治、様々落ち着かないということで、絶望の大陸とも言われていた時代もありましたが、今では、可能性の大地であり、最後のフロンティアとも言われており、各国がある意味で熱視線を注いでいると思います。

 実際に、例えば、今年一月、今年からで見ても、アメリカは、財務長官がアフリカを訪問されている。中国などは、新年の外相訪問は三十三回目だと。そしてまた、ロシアのラブロフ外相もアフリカを外遊しているということも報道等にも出てきているところであります。

 一月に私もエチオピアを訪問していた際に、たまたま中国の外相といみじくもAU本部でばったり出くわしまして、そのときに、その際の中国の外務大臣の会談の挨拶などもその後聞いたところ、非常に面白いのは、アフリカに必要なのは連帯、協力で、競争ではないと中国の外務大臣が述べておられました。ただ、これは裏を返すと、競争というものを意識しているからこそのコメントであるということも言えるのではないのかなと思って私は聞いていたところであります。

 また、アメリカは八年ぶりに、いわゆる日本がやっているTICADのアメリカ版、これを開催いたしました。そして、毎月アフリカに政府高官を送るという方針を決定し、二月には、先月はファーストレディーがケニア、ナミビアを訪問されたところでもあります。

 こういった意味で、アメリカのアフリカ戦略を駆り立てている背景には、もちろん中国やロシアのこういった積極的な動きということもあると思っております。

 また、我々、日本政府は、FOIPの実現というところに大変重きを置いていると思います。

 ただ、一方で気をつけなくてはいけないのは、FOIPの実現は決して東アフリカまでということではない。つまり、西アフリカまで、全体のことを指しているんだというメッセージというものもしっかりと出していかなくてはいけないんだろうなと思っております。とりわけ、西アフリカは今まさにワグネルの活動拡大なども叫ばれており、日本としてもなお一層注視していかなくてはいけないと思っております。

 国際秩序を堅持するというコミットメントをG7の外相会合でも強調していただいておりますけれども、今年はTICADから三十年の節目でもあります。対アフリカ外交、支援する国、される国、支援、エードというよりも、どちらかというと投資、そしてまた共に歩むパートナーシップにだんだんとフェーズというものが変わってきていると思いますが、今後のTICADプロセス全体の性格、また方向性というものはどのように据えていらっしゃるか、中国、韓国、そしてまたアメリカ、EUなど、アフリカフォーラムというものが様々ある種乱立している中で、日本の存在意義というものはどう打ち出していくのか、是非とも教えていただきたいと思います。

林国務大臣 まず、西アフリカのお話がありました。まさに、対アフリカ外交において、インド洋沿岸諸国のみならず、西アフリカ諸国を含む全てのアフリカ諸国との関係が重要であり、今後もきめ細やかに外交を展開していきたいと思っております。

 また、TICADについてですが、一九九三年にTICADを立ち上げて以降、約三十年間にわたって、アフリカ自らが主導する開発を支援していく、この精神で取り組んできたわけです。

 私が総理特使として参加いたしました第八回のアフリカ開発会議においても、アフリカと共に成長するパートナーとしまして、人への投資、また成長の質、これを重視するという我が国らしい方針を打ち出したところです。また、三日間で計二十一か国の要人と二国間会談を行いまして、アフリカ諸国が抱える課題、また国際情勢についても意見交換を行いました。

 TICAD8後も、私は、モロッコ、エジプト、ブルンジ、南アフリカ、ガーナ、ケニア、セネガル、カーボベルデ及びコモロとの間で外相会談を実施いたしまして、ロシアによるウクライナ侵略への対応、また、安保理改革や、透明で公正な開発金融の重要性、こういったことについて議論を行い、アフリカ諸国と連携して対応していくということを確認したところでございます。

 アフリカの首脳や閣僚、そしてさらにビジネス関係者は、TICADのプロセスを通じたこうした日本の姿勢や取組に理解と賛同を示していると認識しております。

 今お話があったように、他国による対アフリカフォーラムが多数存在する中で、TICADはまさに先駆的かつ主導的な役割を果たしてきたわけです。TICADは持続的にプロセスとして取り組むということが重要だと考えておりまして、応援いただいている先生方の御意見もいただきながら、関係省庁と連携して今後もTICADのプロセスを推進して、これまで培われてきた日・アフリカ関係を一層深化させてまいりたいと考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 自民党の中にもTICAD・PTというものを立ち上げさせていただいております。この三十年の節目に当たって、やはり見直すべきは見直しながら、共にウィン・ウィンな形にしてまいりたい、このように思っております。また、夏までに我々の考えというものも取りまとめさせていただきたいと思っておりますので、その際には是非、大臣、直接我々の提言、申入れ、また意見交換に御対応いただきますようにお願いをいたしたいと思います。

 そして、今日は働き方改革について質問をさせていただきたいと思っております。

 外交を進めていく上で、様々な技術が進歩していく中でありますけれども、やはり人だからこそできる外交、人でしかできない外交というものがあると思っております。

 そういった意味で、昨今、学生の官僚離れ、昔は、もしかしたら霞が関で働くというのは一つのステータスであったり夢であったかもしれませんが、今、それがだんだんと影を潜めていっているというようなこともよく聞こえてきます。また、若い層の離職率が高まっている傾向にあるとされておりますが、外務省としては、早期又は若い世代の離職者の理由、どのようなものがあると認識されていらっしゃるのか、教えてください。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 若手職員の中途退職につきましては、それぞれ事情が異なり、複合的な理由による場合も多いと承知しております。

 その上で申し上げますと、特に、最近の若手職員の中途退職におきましては、長時間労働により家庭との両立が難しいなどといった、働き方やワーク・ライフ・バランスに起因するものが主な理由の一つとなっております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 まさに、長時間労働、ワーク・ライフ・バランス、いわゆる、よくブラック霞が関という言葉を何度となく我々も耳にしたことがあると思いますが、非常にそこの部分を外務省としても危機感を感じていただいていることと思っております。

 私自身、副大臣のときに、若手の職員をグループにして、全二年目の職員と意見交換をさせていただきました。日々の業務で感じていること、不条理に思っていることを闊達に意見交換できたと思っておりますが、そのときに私が強く印象に残っているのは、やりがいが感じられないという言葉なんです。私は、ここは、周りにいる者、つまり、先輩、そしてまた官房長、もちろん大臣、今日は政務官もいらっしゃいますけれども、の努力というかアイデア等々で何とかなる部分もあるんじゃないかと思っております。

 これは是非、今日は大臣と秋本政務官もいらっしゃいますし、高木政務官もいらっしゃいますが、あえてお願いをしたいと思います。是非とも、政務官等々が表敬だとか会談を行われるとき、若い職員を同席させていただきたい。大臣も是非お願いを。例えば、レクの際なんかも、そこにいてやり取りを聞かせる、携わらせる、こういったことだけでも、ああ、自分は外務省に入ったんだということを感じるだけでも、若い人たちというのは、小さなきっかけかもしれないけれども、大きなやりがいにつながっていくことと私は信じています。

 そして、私も副大臣時代に、自分でできることはそれなりに努力もさせていただいたと思いますが、もう一つ、是非、大臣は難しいと思いますが、政務官はできると思うんです。

 相模大野の研修所に私は足を運びまして、そこでもやり取りをさせていただきました。そのときに、例えば、初めて私は、実は終電がなくなっても十二時てっぺんを回らないとタクシー券が使えないんだ、これは何のために待たなきゃいけないんだという声を聞いて、それはおかしいということで、善処していただきました。今は、個々の省員の使う終電がなくなったタイミングでちゃんとタクシー券が使える。つまり、できることはまだまだあるんです。

 リーダーシップが問われているということで、大臣、答弁を求めませんけれども、是非ともこの部分をお含みいただき、できることから取り組んでいただきたいと思います。

 質問でありますけれども、危機感を感じていただいている、二〇二一年の二月には業務合理化推進室、二〇二二年四月にはデジタル化推進室が立ち上がりました。箱はできました。しかしながら、それだけでは十分ではない。働き方改革であるとかワーク・ライフ・バランス、この目的を果たすためには、例えば専門人材の活用などもあると思うんですけれども、何が必要と考えられるか、現場の意見をどのように捉えていらっしゃるか、教えてください。

志水政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、当省におきまして、業務合理化推進室、デジタル化推進室を設置するなどの改革を推進しているところでございます。

 この改革を更に推進するために必要なことと考えているものとして、この改革を進めていく中心となる官房課室を更に体制強化を図っていくこと、それとともに、職員の意識の変化を進めることが重要であると考えており、特に、幹部、管理職員が改革の推進は自らの職責であることを強く認識すること、また、不要となった業務の廃止や業務プロセスの見直しを不断に行うことについて全省員が問題意識を持つことなどを徹底していくことが必要であると考えております。

鈴木(貴)委員 大臣、是非一言いただきたいんですけれども、やはり人が足りないんだと思います。

 海外で、今、私は、WPSといって、ウーマン・ピース・アンド・セキュリティーということで、アメリカなどと、国防省とも定期的に意見交換などをさせていただいているんですが、そのときに教えていただいたのが、国務省、そしてまた軍においては、抗堪性であるとか組織力の維持のためには、不眠不休ということはさせないんだ、逆に、交代制、シフト制をしいて、それぞれの人間が最大限の能力を発揮できる環境というものを整えていくということが組織だ、組織力なんだということをおっしゃっておられました。やはり、コンピューターではありませんから、チャットGPTではありませんから、人間、省員は休まないといけないと思うんですね。

 そこで、大臣、シフト制なんというのは、まさに日本だとマンパワー、数がおりませんのでできないと思いますが、これまでの枠組みにとらわれない大胆な働き方改革といったものが必要だと思います。省員が、若手が辞めたくないと思うような前向きなメッセージを是非お願いいたします。

林国務大臣 今のお話を聞いておりまして、たしか、ライスさんが大統領補佐官のときに、大統領に対して、あなたはぎりぎりまで寝ていてください、その間にできることを私がやります、あなたには私がやったことを見て決断を下すという大事な仕事がありますから、その決断がベストなものであるように十分休んでください、こういうことが何かの本に書いてございました。まさに、チャットGPTとは違って、人間は休まなきゃいけない、こういうことであろうというのを端的に表した事例だと思いますが、我々が山積する外交課題に対応するために、やはり、人的体制を含めて、外交・領事実施体制の抜本的強化は大事でございます。鈴木先生がいらっしゃった頃から、いろいろな予算の要求も含めて、そういう足腰予算ということで頑張ってきたところでございます。

 同時に、先ほど、若手の職員を陪席させる。俺たちはやらせてもらえなかったといって中二階ぐらいの人が少し嫉妬するかもしれませんけれども、しかし、いろいろなことがそんなにハードルなくできることを追求していくということは大変大事だろうというふうに思います。

 入省式のときに、大変目を輝かせてみんな入省してきている、その姿を我々は見ているわけですから、これがいい方向にどんどんどんどん伸びていくようにするということは、外交力を最大化する上で大変大事だと思っておりますので、前例、固定観念にとらわれることなく、業務状況に応じた柔軟な人員配置、それから徹底した業務の合理化、効率化、さらに業務分担の見直しをしっかり進めていきたいと思っております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 是非とも大臣のリーダーシップで、今のような抜本的な大胆な改革、そしてまた、若い省員が、志を持って入ってきた省員がやりがいを感じられる、大きな外交ですから一朝一夕とは言いませんが、しかしながら、日々の業務の中で、ああ、自分は貢献できているんだ、自分は感謝されているんだということがにじみ出るような外務省であってほしいなと強く思います。

 最後に一問、これは邦人保護であります。

 外務省と孤独対策でありますが、実は、海外の邦人援護統計によりますと、二〇一九年、直近の在外邦人の死亡理由は、傷病に次いで自殺が二番目に多くなっております。これは何も二〇一九年だけでなく、全体的な長期の傾向として二番目の理由として自殺が出てきております。これはゆゆしき事態であると思っています。

 国内において、今、自殺対策推進、そしてまた孤独政策が進められております。在外にいる日本人に対しても同じような支援、また目配り、気配りの政策というものが私は必要だと強く思っております。

 おかげさまで、外務省の方から、チャット等々による二十四時間相談窓口など、連携をしていただいております。実際にこの取組は月平均で三百件ほど相談が寄せられている、そしてまた、自殺念慮が高い人も一定程度いるということも聞こえてきております。

 この取組をまずどう評価されているのか、そして、この取組を単発ではなくて持続的にやっていくという意味では予算化ということも非常に重要だと思っております。あわせて、是非とも大臣から、これについても前向きな答弁のみよろしくお願いいたします。

林国務大臣 在外邦人の保護、支援は外務省の最も重要な責務の一つでありまして、各在外公館の領事自身が在外邦人からの個別の悩みや相談に応じるなど、問題の解決に向けて取り組んでおります。

 今お話のありました、SNS等で在外邦人からの相談を受け付けている国内五つのNPO、これを外務省また在外公館のホームページ等で紹介して在外邦人の間で周知を図るとともに、これらNPOとの間で緊急連絡体制を確立するなど、NPOと連携した取組を進めてきております。

 こうしたNPOとの連携の取組が在外邦人の孤独、孤立を予防して、また、在外邦人から寄せられる様々な相談へのきめ細やかな対応につながっていると評価をしておりまして、引き続き、これらのNPOと緊密に連携しながら、在外邦人の保護、支援に努めてまいりたいというふうに思っております。

 また、予算対応ということでございましたが、外務省として、在外邦人から寄せられる相談にきめ細やかに対応していくために、在外公館職員による対応に加えて、相談対応の最前線に立つNPOの活動にしっかりと寄り添うことが重要だと考えておりまして、必要な施策を不断に検討してまいりたいと思っております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 この取組を副大臣時代に強くお願いをして、安藤局長も今日来ていただいていますが、大変な御尽力をいただきました。

 これをやって初めて在外で暮らす日本人の虐待の事案が見つかった、そしてまた関係各所と連携ができたという実績もあります。まだまだ見えない課題、聞こえてこない課題、こういったことにも全力を挙げていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 本日も質疑の機会を賜りましたこと、感謝を申し上げます。

 早速ですが、質疑に入らせていただきます。

 さて、ロシアによるウクライナ侵略は、一年以上経過したにもかかわらず、いまだに続いております。世界はこの事実を対岸の火事とはみなしてはおりません。日本もこの事実について将来への戒めとして備えていかなければならないこと、これは言うまでもないことだと思っております。

 この点、ロシアは、ウクライナ侵略の一年以上前からウクライナの政府機関や重要インフラなどの情報システムやネットワークに侵入をして、破壊的サイバー攻撃の準備を進めてきたと見られます。加えて、昨年二月二十四日の侵略開始の一か月程度前からは、破壊的なサイバー攻撃や大規模なDDoS攻撃を開始していたということを聞いております。

 ここに、DDoS攻撃とは、複数のコンピューターから標的のサーバーにネットワークを介した大量の処理要求を送ることで、サービスを停止してしまう攻撃と聞いております。DDoS攻撃を受けると、サーバーやネットワーク機器などが、サーバーに大きな負担がかかるため、ウェブサイトへのアクセスができなくなったり、ネットワークの遅延が起きたりするというふうにお聞きしています。

 特に、ウクライナ侵略の前日には約三千のシステムを対象とした大規模な破壊的サイバー攻撃を実施したほか、侵略の当日には、ウクライナを含む欧州地域をカバーする衛星通信を使用不能としたとのことでございます。侵略開始後も、同一地域、セクターを対象とした物理的攻撃とサイバー攻撃とが近接した時期に発生するなど、物理とサイバー攻撃の手段の組合せにより、対象の機能低下や社会の混乱を起こそうとしている可能性が高いと思われます。

 現代の軍事行動は非軍事の手段を伴ったハイブリッド戦であることを直視し、備えを構築することは政府の責任であると思います。この点、今申し上げたウクライナの例から分かるのは、サイバー攻撃というものは、この対象は国家ばかりではないということです。電気、ガス、公共交通機関などの重要インフラ、国民の生命を直接預かる医療機関などの民間も攻撃の対象になっています。

 例えば、二〇二一年五月、米国コロニアル・パイプラインのシステムに侵入をし、データが暗号化され、身の代金が要求された事件、この事件では、パイプラインが一週間にわたって操業が停止した。石油製品の流通が東海岸でほぼ停止し、一時、混乱状態が発生をしたとお聞きをしました。

 また、昨年二月、国内でも、大手自動車メーカーに関連する企業のネットワークに侵入を許してしまい、データが暗号化された。この関連企業と大手自動車メーカーとの間で納品する部品の数や時期といったデータのやり取りができなくなって、昨年の三月一日は、大手自動車メーカーの車を製造している全ての工場が停止をしたとのことでございます。

 さらに、昨年九月に、デジタル庁や地下鉄事業者にDDoS攻撃が行われ、一時的にサイトの閲覧ができないような障害も発生しています。

 加えて、記憶に新しいのが、昨年十月、ランサムウェアの攻撃により医療機関の電子カルテシステムに障害が発生し、一時、急患以外の診療を停止するとともに、新規外来患者の受入れを停止せざるを得なかった事態も発生しています。

 このランサムウェアとは、主にメールやウェブサイト経由で感染し、パソコン内のデータやファイルを暗号化させ、パソコンやスマートフォンをブロックするといった被害を及ぼすコンピューターウイルスで、暗号化を解除するために、パスワードと引換えに身の代金を要求するために使われるとお聞きしています。

 このような状況の下、サイバーセキュリティーに対する体制強化、体制整備というのは私は喫緊の課題であろうと思っております。政府にはこの体制整備への対応をしっかり図っていただきたい、求めたいと存じますが、この点、政府は、本年一月三十一日、内閣官房にサイバー安全保障体制整備準備室を設置したとお聞きをいたしました。

 国のサイバーセキュリティーに対する司令塔機能の大幅な強化を目指す第一歩であると推察いたしますが、政府として、強化された司令塔機能をどのようにイメージしておられるかについて、お答えできる範囲で結構でございますので、国民の皆様の安心につながるような、分かりやすい答弁をお願いしたいと思います。

小柳政府参考人 お答えいたします。

 近年のサイバー空間における厳しい情勢を踏まえますと、我が国の政府機関や重要インフラ等に対し、安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃が行われるおそれがございます。

 こうした重大なサイバー攻撃は、国民の安全と安定した経済社会活動を確保するために可能な限り未然に排除するとともに、発生してしまった場合には、被害の拡大を防止する必要がございます。

 このような観点から、昨年十二月に国家安全保障戦略を閣議決定し、政府機関等のシステムのセキュリティー強化、能動的サイバー防御の導入、これらに必要となる組織や法制度を含む体制の整備等に取り組み、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させていくことといたしました。

 政府としては、これらの取組を実現、促進するために、内閣サイバーセキュリティセンターを発展的に改組し、サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織を設置することといたしております。

 本年一月三十一日付で内閣官房に設置したサイバー安全保障体制整備準備室におきまして、国家安全保障戦略の具体化についてしっかりと検討を進めてまいります。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 しっかりとした体制整備、力強く進めていただきたく存じます。

 次に、外務省や在外公館に対するサイバー攻撃、このようなものが行われたら、単純に業務に支障を来すのみならず、重要な外交情報を盗まれたり、緊急事態において情報伝達に支障を来し、国内外の国民の生命が危険にさらされることもあり得るかもしれません。外務省におかれましては、サイバー防御にも徹底して備えていただきたく存じます。

 そこで、外務省におけるサイバーセキュリティーについて、説明できる範囲で結構でございますので、御答弁をお願いしたく存じます。

大槻政府参考人 お答えいたします。

 サイバー攻撃により我が国の重要な外交情報が窃取されれば、国民の生命や財産が危険にさらされるのみならず、他国や国際機関との信頼関係が損なわれるおそれもあることから、当省では、サイバーセキュリティー対策に特に万全を期してございます。

 外務省では、政府の統一基準に基づき策定いたしました外務省サイバーセキュリティーポリシーにのっとりまして、所要の対策を講じております。

吉田(宣)委員 技術的なことはなかなか、相手に手のうちを知られてしまうのでこれ以上答弁は求めませんけれども、しっかり体制を整え、サイバーセキュリティー、頑張っていただきたいと思います。

 次に、ハイブリッド戦における非軍事の方法として、認知戦という概念も登場をしております。

 ロシアによる偽旗作戦という言葉は、もう既に多くの国民が耳にしたことがあるのではないかと思います。攻撃対象国の心理に影響を与え、軍事目的の達成を促進する作戦であると認識をしております。極めてこそくな手段であると憤りも覚えますが、軍事目的達成のためのオペレーションの一つである以上、冷静にそのような戦略を講じてくることについて理解しておくことも安全保障の一つの重要な観点であろうと思っております。

 さらに、例えば、この認知戦と言われるものの中で、私、防衛研究所が発行している中国安全保障レポート二〇二三というものを、文献をちょっと見させていただいたんですけれども、この中に、中国では世論戦、心理戦、法律戦の三つの、三戦を軍事オペレーションに取り入れていると拝見いたしました。これらの戦略は、今から十年以上前の二〇〇五年の八月に既に人民解放軍の中で発表され、研究が進められているようでございます。

 さきの偽旗作戦は、この三戦における心理戦に含まれていると思われますが、こういったこともしっかり政府として認識をしておくことは非常に重要だと思っております。

 その上で、大切なことは、インテリジェンス機能の強化であると私は考えます。認知戦に対抗する重要な方法がインテリジェンスにあるのではないでしょうか。このことは、外交情報を扱う外務省において、より重要であると考えます。

 加えて、昨年末に閣議決定した国家安全保障戦略には、「偽情報等の拡散を含め、認知領域における情報戦への対応能力を強化する。その観点から、外国による偽情報等に関する情報の集約・分析、対外発信の強化、政府外の機関との連携の強化等のための新たな体制を政府内に整備する。さらに、戦略的コミュニケーションを関係省庁の連携を図った形で積極的に実施する。」とございました。ここにおいては、外務省の果たす役割も極めて重要である、多いと思われます。

 そこで、外務省にはこのインテリジェンス機能を強化していただきたく存じますが、林外務大臣からお受け止めをお聞きさせていただければと思います。

林国務大臣 昨年末に決定をされました国家安全保障戦略におきまして、情報機能の強化について、人的情報、公開情報等、多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化する、こういうふうにされておりますことも踏まえまして、外務省としても、情報機能強化のための予算、人員の充実強化に鋭意努めてきております。

 少し具体的に申し上げますと、令和五年度の政府予算案において、国際情報統括官組織については、前年度の約七億五千二百五十四万円から増額をして八億四千百八十五万円計上しております。

 加えまして、外務省は、世界全体に実館ベースで百五十四の大使館と六十七の総領事館、さらには十の政府代表部を設置しておりまして、ここにおける幅広い情報源、人脈を有しております。外務省の強みであるこれらの在外公館等を通じて、日頃から情報収集、分析の強化に取り組んでおります。

 さらに、インテリジェンスにおける公開情報の活用、これは情報戦への対応の観点からも極めて重要だと認識しておりまして、令和四年度補正予算及び五年度政府予算案において、AIを活用した公開情報収集、分析のための新たな予算、これを合計約三億三千万円計上しておるところでございます。

 国際情勢に関する情報収集、分析能力の重要性、これはますます高まっていくと思っておりまして、外務省としても、引き続き様々な形で情報機能の一層の強化を図ってまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 大臣、ありがとうございます。

 AIなどの最新技術を駆使した形でのインテリジェンス機能の強化について、改めて私もうれしく存じますし、しっかり進めていただければと思います。

 次に、話題は変わりますけれども、元徴用工問題について質問をさせていただきます。

 まず、先日韓国政府から発表された解決策についてですが、日本の政府の立場は一貫して揺るぎがないということがはっきり分かります。その上で、韓国政府から示された未来志向の日韓関係に進むための一つの方向性であり、今後の日韓関係においてプラスになると予想されることから、評価していいのではないかと私は思っております。

 私も、昨年の臨時国会における予算委員会において、ASEANが行われたカンボジアのプノンペンにて岸田総理が韓国の尹錫悦大統領と会談に臨まれた成果について質問したところ、岸田総理から、旧朝鮮半島出身労働者問題に関しては、私と尹大統領からそれぞれの外交当局に対し、協議の加速を、今年九月、今から言うと昨年の話です、昨年指示を出しました、この指示を受けて進められている協議の進展を踏まえつつ、懸案の早期解決を図ることで改めて一致をした、会談の中でこういった一致を見たということであります、なお、これを受けて、昨年の十一月二十四日ですが、日韓局長協議が実施されたところです、引き続き、我が国の一貫した立場に基づき、韓国側と緊密に意思疎通を図っていきたいと考えていますとの答弁がありました。

 日韓両政府の努力がこの度結実したものだと敬意を表するものであります。

 ただ、日韓関係は、過去に、韓国の政権交代により国家間の約束事がほごにされた経緯があります。今後、韓国政権に交代が起きようとも、国家間の約束事が遵守される、このことはある意味当然のことであるにもかかわらず、これを担保するようなことが必要であるのではないかというふうに思いますが、林外務大臣に答弁をお願いしたいと存じます。

林国務大臣 政権交代があった場合という他国の内政に関する事項については、政府としてお答えすることは適切でなく、差し控えたいと思います。

 その上で申し上げれば、韓国政府は、今後、国内のプロセスを行いつつ、原告の理解を得るべく最大限努力するとしております。

 今後、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流、これが力強く拡大していくこと、これを期待しておりまして、そうした観点から、引き続き意思疎通をしてまいります。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 次に、北朝鮮によるミサイル発射は相変わらず頻繁に行われています。暴走する北朝鮮に対して、日本の安全保障の基軸である日米同盟に加えて、日韓の協力関係の側面からも対峙することにより、北朝鮮への抑止力はより高まると思われます。

 そこで、これを契機に、日韓のみならず、日米韓、この三か国の協力関係をより強固なものへと発展させていただきたく存じますが、林外務大臣に決意をお聞かせいただければと思います。

林国務大臣 北朝鮮が前例のない頻度と態様で弾道ミサイル等の発射を繰り返していること、これは我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であります。

 こうした北朝鮮によるミサイル発射を含めて、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米韓三か国の間では、首脳会合、外相会合を始めとして、重層的に連携を深めてきております。

 直近では、先月十八日の北朝鮮によるICBM級弾道ミサイル発射を受けて日米韓外相会合を行いまして、私とブリンケン米国国務長官及び朴振韓国外交部長官との間で、北朝鮮への対応に関し一層緊密に連携していくことを確認をいたしました。

 日米韓三か国の連携、これは北朝鮮への対応を超えて地域の平和と安定にとっても不可欠であり、今後とも連携を強化してまいります。

吉田(宣)委員 大臣、答弁ありがとうございます。

 また改めてロシアのウクライナへの侵略についてちょっと話を戻し、質問いたします。

 先月の二十四日で侵略から一年が経過したことは先ほども申し上げました。これまでの戦火の拡大により、人口密集地やインフラ施設での被害が広がり、子供たちや女性を含む大勢の市民の生命が絶えず脅かされている現状、今でもそうですが、このことに胸が痛んでなりません。停戦の兆しすら見えず、むしろ戦争が激化しているような印象を受けております。このまま戦闘が継続すれば、戦闘員のみならず、一般住民の犠牲者が急増することにもなりかねないと思います。

 人命を救うためにも、一刻も早く停戦を実現しなければならないのではないか、私はそのように思います。歴史的に、戦争が永遠に続くことは、私は、これまでもなかったし、これからもないだろうと思います。確かな停戦への兆しは見えていない現状ですが、国際社会の努力で停戦の時期を早めることは可能ではないかと思います。

 では、その役割を誰が担っていくのか、誰が開始できるのか。日本は、米国を始め、普遍的価値を共有する西側諸国と歩調を合わせているところではございますが、ウクライナへの、殺傷能力を持つ武器を供与していないG7唯一の国です。ここは、ロシアとウクライナをつなぎ合わせる、そういった任に当たる重要な要素ではないかと私は思っております。

 ところで、先月二十四日には国連安全保障理事会が、そして、その前の二月十七日から十九日にかけてミュンヘン安保会議が開催をされております。ここには、各国の国防相、外相クラスが集合しました。議題が、ロシアに対する制裁とウクライナ支援が中心であったようでございます。他方、議題とはならなかったようでございますが、停戦に向けた取組も複数回話題になったとお聞きもしました。

 そこで、先ほど鈴木貴子先生からも人間の安全保障というお言葉がありましたけれども、非常に大切なことで、人間の安全保障というのは人間の命を守り切ることだと私は思っております。

 これからG7各国の国防相、外相が集合する機会を捉えて、国連が仲介する形でロシアとウクライナの外相を招き、停戦に向けた議論を開始すべきではないかと思います。そのために日本政府に主体的な役割を果たしていただきたい。これ以上、ウクライナやロシアの戦闘員のみならず、ウクライナの一般国民に犠牲を出さないために大切な取組だと私は思っておりますが、林外務大臣に答弁を求めたいと思います。

林国務大臣 ロシアのウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。この侵略は、主権、領土一体性の侵害であり、国連憲章を始めとする国際法の諸原則の違反であるとともに、法の支配に基づく国際秩序に対する明白な挑戦であります。

 ロシアは、引き続きウクライナに対する攻撃を続けているほか、プーチン大統領も、併合したウクライナの一部地域は交渉の対象ではないと述べるなど、歩み寄ろうとする兆しが一切見られないところでございます。

 ウクライナが懸命に祖国を守る努力を続ける中で、ウクライナの将来を決める交渉、これにいかに臨むべきかは、ウクライナの人々が決めるべき問題であると考えております。

 このような状況を踏まえて、侵略が長期化する中で、一刻も早くロシアの侵略を止めるため、G7議長国として、国際社会と緊密に連携しつつ、対ロ制裁とウクライナ支援、これを強力に推進していきたいと考えております。

吉田(宣)委員 いろいろな考え方があり、いろいろな方法論があると思います。大臣が答弁されたことも、私も十分理解しているし、大切な取組であるというふうに認識もしております。一方で、今もなお、もしかすると今この瞬間にも犠牲者が出ているかもしれないという現実もやはり直視していかなければならない、私はそのように思っております。

 できること、できないこと、様々あると承知もしております。しかし、平和の取組、平和構築への闘い、これは、私は、戦争というものが止まることによって始まるというふうに思っております。

 どうか大臣におかれましては、この点、人命を最大に尊重する、人命を守り切る、そういった思いで外交努力を行っていただきたいと思います。

 次の質問に進ませていただきます。核兵器の先制不使用について質問いたします。

 言うまでもなく、核兵器の存在意義は抑止力に集約されます。私自身は、たとえ防衛の目的のためであっても、核兵器の使用そのものは許されてはならないというふうに思っております。日本が唯一の被爆国として、核兵器の使用は絶対に許されないことを主張する権利があり、義務があると私は考えます。

 本年五月にはG7広島サミットが控えます。被爆地であり、岸田総理の地元広島です。核兵器が仮に防衛の目的でも許されないというような観点に立てば、もはや核兵器は抑止力以外には存在価値がなく、核兵器の先制不使用は、私は論理必然だろうというふうに思っております。

 この当たり前の考え方を全世界で共有できれば、もはや核兵器は抑止力としての存在価値も次第になくなり、核兵器禁止条約に全世界の国々が参画できる環境を整えることができるのではないか。ある意味、私自身、話していて、夢物語のようなこと、理想論を言っているのかもしれませんけれども、核兵器がない世界を構築するために、私は、核兵器の先制不使用の合意、これは非常に重要だというふうに思っております。

 そこで、G7広島サミットが広島で開催されるこの機を捉えて、核保有国に対して核兵器先制不使用の共有と合意を得るべきである、得る努力をしてほしい、私はそのように考えておりますけれども、G7広島サミットに向けて、核兵器先制不使用に対する林外務大臣の御認識をお答えいただければと思います。

林国務大臣 一般論として申し上げますと、核の先行不使用宣言は、全ての核兵器国が検証可能な形で同時に行う、そうでないと意義がないというふうに考えております。

 現在の足下の安全保障環境において、当事国の意図に関して、何ら検証方法がない形による核の先行不使用の考え方に依存し、日本の安全保障に十全を期すること、これはなかなか難しいことであろうというふうに思っております。

 今委員からもお話がありましたように、核兵器のない世界に向けて、現実的かつ実践的な取組、これを進めて国際的な機運を高めていく、このことが重要である、こういうふうに考えております。

 こうした観点から、G7首脳が被爆地広島に一堂に会する広島サミットでは、核兵器の惨禍は二度と起こさない、こうした力強いメッセージ、これを世界に発信したいと考えております。

吉田(宣)委員 大臣、答弁ありがとうございます。

 検証可能な状況で同時にというお話、御答弁がございました。検証可能な状況をつくる、同時に行える環境をつくる、このための努力、これを是非担っていただきたい、そういうふうに要望を申し上げたいと思っております。

 最後の質問になりますけれども、先ほど鈴木貴子議員からも質問がございましたけれども、トルコ、シリアにおける震災に対する日本政府の救援措置についてお聞きをしたいのですけれども、もう時間の関係で概略だけ答弁を求める形になってしまいますけれども、トルコ、シリアの被災者の方々は、先ほどの鈴木先生のお話にもあったとおり、いまだにつらい現実の中に置かれている。そういったつらい現実に置かれている方々に手を差し伸べるということは、私は、日本の外交の中では極めて重要なことであるというふうに思っております。

 是非これからも、まだ続いておりますので、別の機会を捉え、また質問の機会を賜ることができますればこのテーマを取り上げていきたいとも思っておりますので、まず本日は日本政府の取組について外務省に答弁を求めて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 トルコ南東部を震源とする今回の地震につきましては、先ほども申し上げましたけれども、東日本大震災を含めて大きな自然災害を経験してきた日本といたしまして、緊急援助隊、物資、資金面、様々な支援を行ってきておるというところでございます。

 発生直後から、国際緊急援助隊につきましても、まずは救助チーム、その後、医療チーム、さらには耐震等の専門家チームの派遣、緊急援助物資の供与などを行うとともに、医療チームに必要な資機材を迅速かつ確実に届けるために自衛隊機での輸送を行うなど、全力で取り組んできておるというところでございますし、資金面での支援といたしましても、国際機関、日本のNGOを通じた、両国合計二千七百万ドルの緊急人道支援を実施するということを発表してきているというところでございます。

 今後、これまでの緊急支援から復旧復興のフェーズとなる中で、引き続き、関係国、国際機関とも緊密に連携しつつ、被災されたトルコ、シリアの方々に寄り添い、必要とする被災者に支援が行き届くよう、現地のニーズを踏まえた支援を行ってまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

黄川田委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 立憲民主党の徳永久志です。

 まずは、私の方からも、トルコ、シリア大震災、発災して一か月がたちました。この間、両国において、命を落とされた方が五万二千人を超え、そして家を失われた方が一千四百万人を超えておられるという大変困難な状況が今も続いております。まずは、亡くなられた方にお見舞いを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げておきたいというふうに思います。

 さらには、昨日からですか、山田副大臣がトルコを訪問をされたと伺っております。トルコには、阪神・淡路大震災の折にも、また東日本大震災の折にも、大変心温まるお見舞いの言葉も頂戴をし、さらには大きな御支援もいただいているところでもあります。まさにそうした御恩返しの意味を込めて、また、トルコに対して、しっかりと寄り添っていきますよというような意味合いも込めての会談を是非やっていただきたいなというふうに思います。

 加えて、国際緊急援助隊の激励にも行かれるということでもあります。これは大変すばらしい活動だというふうに思います。国際緊急援助隊の方々におかれましては、本当に私たちが筆舌に尽くし難いぐらいの凄惨なシーンを何度も何度も目の当たりにされてこられております。まさに心のケアの部分も含めて、是非心のこもった激励を副大臣にはしていただきたいということをまずは要望させていただきたいと思います。

 それでは、質問の方に入らせていただきます。

 まずは、ちょっと大臣に、耳が痛いのかもしれませんけれども、大臣がG20外相会合を欠席をされたことについて伺ってまいります。

 三月の一日、二日、インドの首都ニューデリーで開催されたG20外相会合、林外務大臣は欠席をされたわけであります。欠席の直接的な理由は、参議院の予算委員会における基本的質疑に出席のためということであります。

 林大臣のG20欠席によって、我が国の国益が大いに損なわれたとする指摘が多々あります。そして、これは、硬直化した、時代遅れの国会の対応が悪いのだという指摘もあります。その一方で、外務省を始めとする政府サイドの努力不足、調整不足というものを指摘する向きもあります。

 ここで、国会が悪いのか、政府、外務省が悪いのかといった悪者捜し、犯人捜しをするつもりは毛頭ありません。しかしながら、もう終わってしまったことなのだといって片づけてしまうには、問題は決して小さいものではないということでもあります。

 林大臣のG20欠席によりまして、その結果、報道ベースではありますけれども、インド政府関係者は欠席は全く理解できないと不信感をあらわにしていますし、インドの主要なマスコミも、信じられない、驚きの決定だという、批判的であるということも報道をされているところでもあります。

 ここで、まず、副大臣が代わってG20の外相会合に出席をされました。成果が上がったものだとは思いますけれども、例えば、バイ、個別の会談というのはどの程度なされたんでしょうか。これは事務方で結構です。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 山田外務副大臣は、一日から二日にわたりましてニューデリーで行われましたG20外相会合の合間に、モーリシャスの外相との間で二国間会談を実施をいたしました。そのほか、多くのG20メンバーあるいは招待国の外相等と精力的に立ち話を行われたところでございます。

 なお、林外務大臣は、二日夜からニューデリーに出張され、三日に開催された日米豪印外相会談に参加された際には、米国、カナダ、インド、オマーン及びAUの議長国でありますコモロの各外相との二国間会談を行われたということでございます。

徳永委員 三日以降大臣も行かれて、精力的に行われたということでありますけれども、それはそれでいいことだと思います。ただ、本会合の一日、二日にいなかったという事実はやはり重たいんだろうというふうに思います。

 私も、外務大臣政務官をやらせていただいたときに、大臣が国際会議に出席をすることができずに、代わって何度も出席をいたしました。そのときに、会議の合間を縫って、バイの、個別の会談をやるわけですけれども、やはり、アメリカとか中国とか、そういった大国との会談というのはなかなかできない。当時のヒラリー・クリントン国務長官がヨウケツチさんと会談に向かわれる場面を見て、大変じくじたる思いをして見ていました。やはり、ここに大臣がいないということは大きな外交機会の損失につながるんだなということは、本当につくづく、今もなお記憶に鮮明に思っております。

 ここで、是非大臣、こうした現実、欠席をせざるを得なかったことによって起こされている今の状況を踏まえて、お考え、御所見を賜りたいと思います。

林国務大臣 今月一日から二日にかけてニューデリーで開催されましたG20外相会合ですが、外務大臣が出席するという可能性を追求したところでございますが、同会合や、国会を含む国内での公務の日程、内容等を総合的に勘案し、最終的に、政府、外務省として、山田外務副大臣が出席することが適切であると判断をいたしました。

 今事務方から御答弁させていただきましたように、G7議長国としての立場を含め、我が国の主張、これは山田外務副大臣が出席してしっかりと発信したところでございます。

 私は、二日夜からニューデリーに出張し、三日に開催されました日米豪印外相会合、これに参加をいたしまして、米国、カナダ、インド、オマーン及びアフリカ連合議長国であるコモロとのバイ会談を行ったところでございます。

徳永委員 淡々と御説明をされましたけれども、私、外務大臣政務官時代に、重要な国際会議に大臣に出席してもらうために、外務省の担当の方がタイトな国会日程を、カレンダー、四六時中にらめっこしながら、何とか大臣を出席させようということで、必死の思いで努力していたことを思い出します。

 実際、今回、鈴木財務大臣は、二月二十四日、二十五日と、祝日の合間の金曜と土曜を縫うような形でG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席をされておられるわけであります。

 繰り返しますが、悪者捜し、犯人捜しをするつもりはありません。ただ、こうしたことを二度と繰り返さないためにも、やはり総括というものが必要なんだろうというふうに思います。政府も、外務省の側も、もしかしたら我々国会の側も、しっかりとした教訓を得るべきではないか、そういう思いから、少々具体的な部分についてお尋ねしてまいります。

 まず、インドが本年、二〇二三年三月一日、二日にG20外相会合を開催する予定だと外務省が知り得たのはいつ頃なんでしょうか。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 G20外相会合の日程につきましては、昨年秋の早い段階で情報を得ました。これを受けまして、直ちにインド側に対し、我が国の事情をしかるべく伝えたところでございます。

 ただし、最終的に、昨年十一月下旬にインド政府から、三月一日、二日の日程でこの会合を実施する旨、外交ルートを通じて通知がございました。

徳永委員 昨年秋の段階では、内示といいますか、三月一日、二日に行われるという情報を知り得ていたということであります。

 例年の予算案の審議日程を見れば、衆議院で大体二月二十七ないし二十八に可決され、そして、参議院の予算委員会では、総理と全閣僚が出席する基本的質疑の実施が誰の目から見ても明らかであります。ここは重なってしまうということは、既に昨年秋の段階で分かったと思います。そうなると、G20の予定と全く重なることになりますから、ですから、議長国のインドに働きかけて、日程をずらしてもらうとか、変更してもらうとか、そうした努力というのは行われたんでしょうか。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 インド側が予定した開催日程の時期は、我が国では例年国会において予算の審議が行われる時期なので配慮いただきたいという趣旨の働きかけをインド側に行いましたけれども、最終的にインドが議長国としてこの日程を決定したということでございます。

徳永委員 インド側に懸命に働きかけられたと。しかしながら、インドはG20を三月一日、二日と決めたということです。

 正式に三月一日、二日と決めたのはいつ頃だったでしょうか。

鯰政府参考人 政府間のベースでは、昨年十一月の下旬に議長国であるインド政府から、この三月一日、二日の日程で開催するという旨を外交ルートを通じて通知をもらっております。

 インド政府が日程を対外的に公表いたしましたのは、本年の一月の十七日と承知しております。

徳永委員 外務省が正式決定として内々的に知り得たのが十一月の下旬、インド政府が正式に発表したのが一月の十七日ということです。ですから、正式に発表した一月十七日の段階でもまだ二か月半以上あるわけですよね。ですから、この段階で出席を諦めてしまうというのはいかにも早過ぎるというふうに思います。当然ながら、林大臣を出席させるための努力は引き続いて続けられたんだろうというふうに思います。

 特に、二月二十四日には、岸田総理がG7首脳テレビ会議で、法の支配に基づく国際秩序の維持強化にはインドとの連携が特に重要と表明したわけでありますから、なおのこと大臣の出席に向けての取組を強めていかなければいけないというふうに思いますけれども、どういう努力を具体的に行われたんでしょうか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 三月一日から二日にかけてニューデリーで開催されましたG20外相会合に向けて、外務大臣が出席する可能性を追求していたところでございます。

 他方におきまして、参議院での予算委員会の当初予算の審議の日程につきまして、大体この頃ということは推定されているところがあるところもございますけれども、具体的な日程ということがなかなか、確定するのは最終段階にかけてというところでございまして、具体的に申し上げますと、予算案が衆議院から参議院に送られる具体的日程が未確定の状況の中で、冒頭申し上げました、三月一日夜から二日に予定されていたG20外相会合と参議院の予算委員会基本的質疑の日程が重なるか否か、ぎりぎりまで見極める必要があり、まさにそれを努力をして情報収集及び関係方面との協議を重ねていたところでございます。

 衆議院から参議院に予算案が送付される日程が固まった、具体的には、三月の一日及び二日に参議院予算委員会での基本的質疑が行われることが固まったということをもちまして、最終的に、政府、外務省として、G20外相会合の重要性と、国会を含む国内での公務の日程、内容などを総合的に勘案し、山田賢司外務副大臣がG20外相会合に出席することが適切と判断し、通常の手続にのっとって国会関係者への説明を行ったところでございます。

徳永委員 関係の方々と緊密に連携を取って調整をしてきたんだということであります。本当にそうなんだろうとそこは信じて疑いません。

 しかしながら、実際、例えば、私たち立憲民主党のサイドからすれば、林大臣をどうしても出席させたいという相談は受けていないというのが、我が党の国対を中心とした幹部の共通した認識なんです。また、与党の自民党さんも、これは報道ベースではありますけれども、参議院の幹事長の方が、外務省からどうしても出たいとの説明はなかったと言っておられます。

 なぜこうしたことになったか。ここが伝わっていないから、結局は、欠席をせざるを得ないという悪い判断をしなければならなかったわけですよね。ここをどう総括をされていますか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、外務大臣がG20に出席できるよう可能性を追求していたところでございますけれども、その関係で、参議院での予算委員会の基本的質疑の日程がどうなるかということは非常に重要な考慮における要素ということで、それを含めて情報収集を行い、関係方面との協議を重ねてきたところでございます。

 その上で、国会の関係者の方々が様々に御発言されていることは承知しておりますけれども、その協議の内容の詳細について私どもとして詳細を申し上げることは差し控えたいというふうに存じますけれども、そのような協議も踏まえて、最終的には、政府、外務省として、G20には山田副大臣が出席することが適当と判断したところでございますけれども、まさに委員御指摘のとおり、様々な御発言があり、また、国会の中で様々な議論がされているというふうに承知しております。

 そのような中で、国会での審議、これも重要ですけれども、今回のようなG20を含めて、様々な国外での、外国での国際会議などがございまして、そういったものも非常に重要でございます。国会の御理解も得つつ、林大臣を含めて、積極的な外交活動が展開できるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。

徳永委員 協議の内容をつまびらかにせよとは一言も言っていないんです。協議をされたんでしょう、そしていろいろと調整もされたんでしょう。しかしながら、与野党幹部の受け止め方は、さっき申し上げたように、外務省から熱心な説明がなかったというふうに答えていると、当然、世間的には、何もやっていなかったんだなというふうになりますよ、そこはちゃんと反省してくださいねということを申し上げているんです。そこは御理解いただけますか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 様々な御指摘があることは重々承知しております。真摯に受け止めて、それも踏まえて、今後、積極的な外交活動ができるよう努めてまいりたいと存じます。

徳永委員 重要な外交日程と国会審議とが重なる場合はこれからも多々あると思うんです。その際、外務省は、その国際会議などの意義、あるいは重要性、そして、そこに大臣が出席することによって得られるであろう成果を真摯に、丁寧に我々立法府、国会の方に説明するというのが大原則だと思います。これは、外交というのは政府の専権事項なんですから、当然ですよね。ですから、これはしっかりとやっていただきたいということなんです。

 その説明に我々立法府として、国会として十分な理解、納得が得られるならば、何とか両立するように様々な知恵をみんなで出し合えばいいと思っているんです。そういう状況を是非つくっていただくのがやはり政府、外務省のまず第一義的な責任だということなんです。これをやっていただければ、今回のG20だって何らかの対応策というのが見出せたのではないかということを思うと、残念でならないんです。

 このことは是非御理解をいただきたいし、今までやり取りを聞いておられて、大臣、是非とも、ちょっと一言御発言をお願いします。

林国務大臣 徳永委員は外務省にもおられましたので、国際会議等の意義、また、それに向けて国会対応をどうするかということもよく御存じの上での叱咤激励をいただいたというふうに思っております。

 まさに国会対応、そして海外出張を含めた外交活動、これは共に重要でございますので、今後とも、国会の御理解を得ながら、積極的な外交活動をしっかりと展開していきたいと考えております。

徳永委員 是非、今後とも真摯に、丁寧に対応していただくことを強く求めておきたいというふうに思います。

 それでは、質問、話題を変えます。八日に行われました林大臣の大臣所信についてお伺いしてまいります。

 大臣は、就任以来、低重心の姿勢で外交を展開していくということをおっしゃってこられています。今までにもこれは聞こうとしていたんですけれども、なかなか機会がなくて、去年から言っているのに今更何だとおっしゃらずに、この低重心の姿勢での外交活動というのはどういう意味なのか、ちょっと御説明いただけますでしょうか。

林国務大臣 ありがとうございます。

 歴史の転換期にある国際社会の中で、我が国の平和と安全を守り抜き、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化を主導していくために、普遍的価値を守り抜く覚悟、日本の平和と安全を守り抜く覚悟、地球規模課題に向き合い主導する覚悟、この三つの覚悟に根差した対応を適時適切に取ることが求められます。

 低重心の姿勢というのは、私の体型のことではなくて、こう見えても、昔テニスをやっておりましたので、例えばサーブを受ける際に、非常に腰を落として、力をためて、速いサーブが来たときに素早く対応できるというちょっとイメージがありまして、低重心、腰を落としてやる姿勢の外交、こうした基本的な外交方針に基づく対応力の高い外交姿勢であると考えております。

 やはり変化が激しい今日の国際社会でございますから、様々な議題に対応するときに、適時適切、タイムリーに対応する必要がある、こう考えまして、この低重心の姿勢ということを申させていただきました。

徳永委員 ありがとうございます。

 重心を低くして、変化の激しい国際情勢、どのような問題が起きても機敏に、スピーディーに対応できる態勢を常時つくっていくのだということで理解をさせていただきます。非常にユニークな言葉をお使いになったというふうに思いますので、是非これからも様々な場面でこの言葉をお使いになりながら、日本の外交姿勢というものを御説明をいただきたいというふうに思います。

 それで、大臣も先ほどの答弁の中でおっしゃいました、三つの覚悟を持って外交をやるんだと。普遍的価値を守り抜く覚悟、日本の平和と安全を守り抜く覚悟、そして地球規模の課題に向き合い国際社会を主導する覚悟、この三つの覚悟というものを提示されております。私も、いずれも大いに賛同をしたいというふうに思います。

 そして、大臣所信全体を見渡してみて、感じたことが一つあるんです。それは、一番目の覚悟として挙げられた普遍的価値を守り抜くのところの普遍的価値という言葉が、ここの部分以外には見当たらないんです。もしかして見落としていたらごめんなさいですけれども、見当たりませんでした。代わって、頻繁に、繰り返しお使いになっておられるのが、法の支配に基づく国際秩序という言葉なんです。

 普遍的価値という言葉を余り使わずに、法の支配に基づく国際秩序を多用しておられる、これは何か意図がおありなんでしょうか。

林国務大臣 普遍的価値に立脚した国際的な規範や原則、これは、途上国を含む国際社会の平和と安定と経済発展の基礎となるものであり、この普遍的価値を守り抜くことは我が国の外交の重要な柱の一つでございます。法の支配というのも、まさに委員も御案内のように、普遍的価値の大きな一つであるわけでございます。

 今、ロシアによるウクライナ侵略、これが国際秩序の根幹を揺るがす中で、まさに法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化、この重要性が、三つの覚悟、これは従来から申し上げてきておりまして、ロシアによるウクライナ侵略よりも前から申し上げてきたわけですが、このウクライナ侵略によって、法の支配というもの、この重要性がより一層高まっている、こういう認識がございます。

 国家間の紛争が領域をめぐるものであれ、経済的利益をめぐるものであれ、力ではなく法やルールによって解決される、これは当たり前のことだと思いますけれども、この秩序によって国際社会に公平性、透明性、予見可能性が保証され、価値観の相違を超えた、全ての国にとって平和と繁栄の基盤になる、こういう考え方でございまして、今回の所信は、こうした認識の下で、G7議長国として、また安保理の非常任理事国として、国際社会が力ではなくルールに基づいて動かされていくべき、この原則の共有を図り、法の支配に基づく国際秩序を堅持していく、こういう決意を述べたところでございます。

徳永委員 なぜこういう質問をしたかといえば、大臣所信には余り普遍的価値云々という言葉は出てこないけれども、その対比の上において、いわゆる年末に政府がお決めになられました防衛三文書、特に国家安全保障戦略については頻繁に、例えば、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を共有する国云々かんぬんというのが本当に繰り返し繰り返し出てくるわけであります。それとの対比の上において、おやっと思いましたので、今の質問をさせていただいたということでもあります。

 ここに、ちょっと私、申し上げたいのは、普遍的価値の中身として、例えば、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配、これは私はすばらしい価値だと思いますし、ずっと守り育てていきたいというふうに思っています。しかし、これを普遍的価値と言い切ってしまうことはどうなのかということは、私にはいささかのためらいというか、ちゅうちょがあるんです。なぜなら、普遍的と言ってしまえば、何か世界にあまねく通用する絶対的な正義みたいな色合いが色濃く出てきてしまうということなんです。

 例えば、民主主義、崇高な価値だと思いますよ。でも、世界を見渡してみれば、スウェーデンの調査機関によりますと、民主主義国家とそうでない国とに分けると、民主主義国は八十七か国、そうでない国は九十二か国だということなんですね。じゃ、この九十二の国、民主主義ではないから国民は不幸のどん底にいるのかといえば、そうでないケースも間々あるわけであります。

 政治体制の在り方とかあるいは自由、人権の在り方などは、まさにその国なりの歴史的、文化的あるいは宗教的な背景が色濃く反映されたものであります。それなのに、我が国が我が国の感覚で普遍的と声高に主張すればするほど、価値観の一方的な押しつけ、あるいは、上から目線によって何か教え諭すみたいなふうに映ってしまうのではないか。

 そもそも、彼らからすれば、普遍的と誰が決めたんだ、勝手に決めるなというようなことにもなるのではないかなと。特に、最近よく耳にするようになりましたグローバルサウス、中間国といった国々はそういう感覚を持っている国というのが多いのではないかなというふうに思うんですけれども、その辺り、私のそういう思いについて、大臣にちょっと御所見をいただきます。

林国務大臣 普遍的価値を守り抜くということは我が国の外交の重要な柱の一つであると申し上げたとおりでございますが、同時に、今委員からもお話がありましたように、いろいろな国が多様性を持っておりまして、やはり、バイでいろいろ話をするときに、その国の持っている歴史とか文化的な背景、こういうものもしっかり虚心坦懐に理解し、各国の立場に寄り添いながら関与を深めていく。

 私、よく、日本も、江戸時代はどうだったかとか、明治時代はどうだったか、これは発展段階があるわけでございますね。ですから、今お相手がどの辺りかというのはちょっと僭越な話かもしれませんけれども、自分たちもそういう歴史を経て今があるよな、こういうことをしっかりと頭の中に入れながらお話をしていく、これが大事なことであろうというふうに思っております。

 まさに、対話をしながら、共通の課題は何だろうか、これを見つけて、相手の立場というのを尊重して、相手が真に何が必要と思っているかということを聞きながら、そういった支援を行う、この外交を先達が積み重ねてきていただいておるわけでございますので、ずっと、一年四か月になりますが、各国との対話を通じて再確認しましたのは、まさに日本らしい、こうしたきめ細やかな外交を主導すべきだということだと考えておるわけでございます。

徳永委員 今の大臣のお話、よく分かります。

 ちょっとくどいようですが、それに重ねますと、例えば、アメリカのバイデン大統領が民主主義サミットというものを主催しておられますよね。これは、世界の百十の国が招待をされるそうです。国連加盟国は百九十六ですから、残りの八十六の国は何か民主主義ではないみたいな形で排除されていってしまっている。

 例えば、サウジアラビアという国は、地域、中東の大国ですよね。様々な地政学的な意味で重要な国、日本も、そしてアメリカも、しっかりとした友好関係を築いていかなければいけない。でも、この民主主義サミットには招待をされていない。どういうふうに感じるんでしょうかねということなんです。

 アメリカはどうしても、冷戦時代の名残があるのかもしれないんですけれども、民主主義VS専制主義、権威主義という形で、何か二極対立にしてみたい、持ち込みたいというのがあるのかなというふうに思うんです。

 私はやはり、世界を、何か分断線を引いてしまって、こっち側とあっち側みたいにするのはどうなのかなと。特に、価値観を持ち出すと、どうしてもそうなってしまうのではないかなと。価値というのはとても重要です、重要ですけれども、それのみを強調するんじゃなくて、これからは、大臣が累次御説明をいただいております、法の支配に基づく国際秩序をみんなで維持強化をしていこうということを強調をしていく時代でいいのではないかなというふうに思うんです。これはまさに価値ではなくて原則でありますし、また実務でもあるわけですから、それならば、グローバルサウス、中間国といった国々とも幅広く協力、友好関係が保てるのではないかというふうに思っております。

 是非今後、余り、何かこっち側とあっち側というふうに分けるような言葉遣いよりも、法の支配に基づく国際秩序の維持強化をみんなでやっていこうという呼びかけの方に重きを置いていただきたいというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 まさに我が意を得たりでございまして、G7などでも、白黒とか、こちらとあちらと陣営を分けるのではなくて、法の支配と。力でもって現状変更をやるということはおかしいぞ、もっと平たく言うと、人に迷惑をかけない、こういう当たり前のことを共有していこうじゃないかということを常々申し上げてきておるわけでございます。

 そういった基本的な考え方で、G7議長国として、また国連安保理非常任理事国として、多様性と包摂性、これを重視するきめ細かい外交をやっていきたいと思っております。

徳永委員 基本的な部分が共有できてよかったと思います。

 それでは、私の質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、松原仁君。

松原委員 今、徳永議員の非常に重要な示唆があって、私も基本的にはそのとおりだというふうに思っております。

 それはそれとして、今、私としては……(発言する者あり)それは重要なんだよ。重要だけれども、今回、韓国の大統領が近く訪日をするということも報道されておりますけれども、韓国における徴用工問題、これについてまずお伺いしたいわけであります。

 私自身の認識としては、北東アジアの安全保障環境が極めて厳しい中において、やはり日米韓の連携というのは求められるので、その上では、まさに、時限的にこういったものが持つ意味というのは、私はそれはそれとして評価をいたしております。

 ただ、その上で、あえて質問したいわけでありますが、今回、このスキームの中で、原告十五人のうちの現在も生存している、ほかは御遺族の方ということになりますが、三人を含む何人かはこうした受取を拒否すると言われているが、その場合、財団が支払う金を供託できれば、現在差し押さえられている日本企業財産の現金化はできなくなると韓国政府は表明しておりますが、大臣はそのような御認識を持っておられるか、まずお伺いしたい。

林国務大臣 今般の発表によりまして、韓国政府が財団による判決金支給のために最大限努力していき、そうすることで、これは括弧つきでございます、被告企業に対する強制執行問題、これは解決されるものと承知をしております。

松原委員 本来は求償権の放棄をさせるべきだったのではないかというふうに多くの関係者が指摘をしているわけでありますが、これについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 今般韓国政府が発表した措置に関する韓国国内法上の位置づけについて、日本政府としてお答えする立場にないわけですが、その上で申し上げますと、本件措置の趣旨に鑑み、求償権の行使については想定されていないものと承知をしております。

松原委員 求償権の行使は想定されていないということは、今大臣はそういうふうな認識で状況を見守っているということでありますが、実際、この求償権の放棄というものがされていない状況において、これがまたどこかでぶり返す可能性があるのではないか、このように私は思っております。

 先般、反町さんという方がニュースキャスターをやっている番組を見ておりましたら、内閣参与の飯島さんが、一〇〇%ひっくり返る、こういったニュアンスのことを発言していたと私は承知をしております。別に内閣参与の方がおっしゃっているからということではありませんが、多くの方がそのように思っている状況の中において、一つ気がかりは、二〇一五年に日韓両政府が慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決と確認した合意が、最終的に、いろいろな経緯があったにしても、完全に韓国側によってひっくり返された。このことを大臣は、これは、これからの予測の話じゃないので、事実そうなったということに関してどういうふうな評価と御認識を持っているのか、お答えください。

林国務大臣 慰安婦問題に関する日韓合意でございますが、これは、日韓両政府が、多大なる外交努力の末に、七年前の二〇一五年十二月の日韓外相会談における合意によりまして、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認したものでございます。同外相会談の直後に首脳間においても確認をし、韓国政府としての確約を取り付けたわけでございます。韓国政府もこの合意が両国政府の公式合意と認めております。また、日韓合意は国際社会からも高い評価を受けております。

 日本は、日韓合意の下で約束した措置を全て実施してきており、引き続き、韓国側に日韓合意の実施を求めてまいります。

松原委員 要するに、ひっくり返されたことをどういうふうに考えるかということで、今の御答弁はそのことに直接向き合う答弁には聞こえないんですね。もう一回答弁してください。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、韓国政府はこの合意が両国政府の公式合意と認めておるわけでございます。

 引き続き、韓国側にこの日韓合意の実施を求めていきたいと考えております。

松原委員 これが非常に問題なんですよ。

 要するに、先ほどの徳永委員の議論にあった法の下でのきちっとした運営、秩序というものが今回の慰安婦合意なんかは完全に覆されてしまっている。極めて遺憾であると私は思っているわけでありますが、今大臣は、また求めていくと言うんだけれども、一回ひっくり返されているわけですよ。

 ひっくり返されたこと自体は遺憾であるというふうにおっしゃっていただけませんか。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、韓国政府もこの合意が両国政府の公式合意と認めておるところでございますし、この合意は国際社会からも高い評価を受けております。

 引き続き、韓国側に日韓合意の実施を求めてまいります。

松原委員 今の大臣の答弁を聞きますと、日本側としては、慰安婦合意を我々はひっくり返されたという怒りを持っているわけでありますが、怒りは持っていない、こういうふうな答弁に聞こえたということであります。

 怒りを持っていないということでよろしいですか。簡単に答えてください。

林国務大臣 政府として外交をやっておるわけでございますので、個人的な感情は控えるべきだというふうに思っております。

松原委員 今のは、言外に、個人的には怒っている、当たり前であります。これは怒るのは当たり前です。

 その上で、今後、韓国における、財団の求償権を行使して日本企業の財産を再び差押えする事態が起きる危険性はないというふうに明言できますか。簡単にお答えください。

林国務大臣 政権交代があった場合等々、他国の内政に関する事項について、政府としてお答えすることは適切ではなく、お答えを差し控えたいと思います。

 その上で申し上げますと、韓国政府は、今後、国内のプロセスを行いつつ、原告の理解を得るべく最大限努力するとしております。

 今後、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流が力強く拡大していくことを期待しておりまして、そうした観点から、引き続き意思疎通をしてまいりたいと考えております。

松原委員 慰安婦合意のときと同じようなことが起こらないようにしていただきたいし、こういうことは、冒頭に言ったように、今の大変厳しい安全保障環境の中で時限的に必要であるということは、それはそれで評価をしながら、同じような法の下でのきちっとした秩序というものが守れるのかということは、我々は常に疑念を持っているということであります。

 韓国に関する質問の最後に、林大臣が三月六日に、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継ぐということをおっしゃった、その内容は、我が国政府の立場は、日本の朝鮮統治は合法的なものだったので賠償責任はない、朝鮮人戦時動員や強制連行、強制動員はないという認識ということを引き継ぐ、こういうふうに考えておきたいわけでありますが、そのとおりでよろしいですか。

林国務大臣 歴史認識に関する日本政府のこれまでの立場、これは変更がないわけでございます。

松原委員 今の立場に変更はないということを重ねておっしゃったというふうに理解しております。うなずいているから、そういうことと理解しております。

 次に、北朝鮮のミサイルの威嚇で、我が国の排他的経済水域内に着弾した北朝鮮のICBM、火星15が、弾頭は大気圏再突入に成功したかどうか、時間もないので、簡単に、成功したかどうかだけ答えてください。

安藤(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 二月十八日に発射されたICBM級弾道ミサイル、火星15号につきましては、最高高度約五千七百キロメートル程度で約九百キロメートル飛翔したと推定しており、この飛翔軌道に基づいて計算すると、弾頭重量等によっては一万四千キロメートルを超える射程となり得ると見られ、その場合、米国全土が射程に含まれることになりますが、現在、御質問の点を含めまして、詳細については引き続き分析を行っているところでございまして、現時点で確定的にお答えすることは困難であることにつき御理解いただきたいと思います。

松原委員 いつ頃その確定的な答えが日米で共有されるのか、日本として確認できるのか。いつ頃ですか。

安藤(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 現在行っております分析につきましては、専門的な知見に基づきましてかなり詳細にやっているところでございまして、一定の時間がかかることは事実でございますが、いつそれが完了するのかという点について申し上げることはなかなか難しいところでございます。

松原委員 私は、日本人の危機意識というものは、これを明快にしないことによって増幅するケースもあるし、逆に言えば、非常に安直な方に行ってしまう可能性もある。やはり、こういうのは明確に、成功したかどうか、そのことによるリスクはどうなのかということを国民に知らせるべきだというふうなことを思って質問しているので、その趣旨を理解して、きちっとこのことに関しては明確に、判明した段階で報告をしていただきたいと思います。

 次に、北朝鮮問題をお伺いいたします。

 いわゆる国連の人権理事会の中にある国連調査委員会、COIですね、最終報告書が出まして、北朝鮮の問題に特化して書いてある部分があります。

 若干読みますが、「調査委員会は、北朝鮮において国家の最高レベルで制定された政策に基づく人道に対する犯罪が行われていたことを突き止めた。これらの人道に対する犯罪の根源である政策、制度、そして不処罰の傾向は依然として存在しており、故に北朝鮮の人道に対する犯罪は現在も続いている。」こういうふうに調査委員会は言っているわけであります。

 その上で、いろいろと文章が長いので全部は読みませんが、最後に言っているのが、「安全保障理事会による国際刑事裁判所への事態の付託や、国連による特別法廷の設置等の選択肢がある。」というところで、幾つかここにも書いてあるわけでありますが、こういったことを踏まえた上で、大臣は、北朝鮮における人権状況、これは人道に対する罪に相当する、人権侵害や人道に対する罪と考えるのか、お答えいただきたい。

林国務大臣 お尋ねについて断定的に申し上げることは困難でございますが、拉致問題は時間的制約のある人道問題でございます。我が国としては、累次にわたり、北朝鮮における人権状況の改善と拉致問題の即時解決を北朝鮮に強く求めてきておるところでございます。

松原委員 私が聞いているのは、拉致も含むわけでありますが、こういった国連の調査委員会の報告もある中で、これが出たのはちょっと前なんですけれども、こうした中で、日本は直接、拉致という問題で北朝鮮に人権上の問題それから主権の問題が侵されているわけですから、これはやはり、いわゆる人道に対する罪と考えるということを明確に言うべきだと思うのであって、じゃ、拉致問題を含むこれは人道に対する罪とは考えない、こういう理解ですか。

林国務大臣 今、松原委員から御紹介いただきました北朝鮮における人権に関する国連調査委員会は、平成二十六年に国連人権理事会に提出した最終報告書において、北朝鮮において行われている組織的で広範かつ深刻な人権侵害、これは、日本人拉致問題を含めて、多くの場合、人道に対する罪に相当するとして、北朝鮮に対して、拉致被害者に関する情報提供及び被害者本人及びその子孫を帰国させるよう勧告していると承知をしております。

 この最終報告書の個々の記載内容を前提としたお尋ねについて政府としてお答えする立場にはないわけでございますが、同報告書は、拉致問題を含む北朝鮮による人権侵害に対する国際社会の深刻な懸念を反映したものであると認識をしております。

 岸田内閣の最重要課題である拉致問題は時間的制約のある人道問題です。まさに、拉致被害者の御家族が高齢となる中、拉致問題の解決に一刻の猶予もない中で、我が国としては、引き続き、アメリカ等とも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて全力で取り組み、果断に行動してまいります。

松原委員 人道上の罪だということを強烈に、日本は拉致問題もあるので言うべきだと思います。

 今、林大臣は、問題意識はどういうふうな、そこまで言っているのかどうかというのを明確にされないわけでありますが、これは、人道に対する罪と日本が言って、そのことによって我が国が被るデメリットは私はないと思っています。これを言うことは極めて重要な部分だということを強く指摘しておきたいと思っております。

 こういった組織的かつ深刻な人権侵害の責任者は、前回私もこの委員会で質問したときに、当然それは、金正恩委員長は北朝鮮の最高指導者であり、最も重要な意思決定を行っているというふうに大臣は答えていますが、この北朝鮮の許し難い人権状況をつくっているのは金正恩であるという認識は変わりなく持っておられますか。

林国務大臣 金正恩委員長は朝鮮労働党の首班である総書記でありまして、同委員長は国務委員長や軍の最高司令官を兼ねているものと承知をしております。

 北朝鮮の内部の意思決定過程等について、我が国として確定的にお答えする立場にはございませんけれども、今申し上げたような点を踏まえますと、金正恩委員長は、北朝鮮の最高指導者であり、最も重要な意思決定を行っているものと考えられます。

松原委員 本当は、拉致問題の解決が長引く中で、北朝鮮のこうした所作は人道に対する罪だという四、五年前の調査報告書を含めて、我々はそれを言うメリットがあるということは、一回外務省の部内で考えていただきたい、検討していただきたい。この場で答えられなくても、それはやらなきゃいかぬと私は思いますよ。明確に御要請をしておきたいと思います。

 次に、国連安保理やG20などにおいて人権状況が改善が見込まれない場合に、G7がやらなきゃいけない。やはり、人権を侵害している者に関してはこれを何とかするというのは、これは近代の啓蒙主義の発想であります。人がいたぶられ、殺されている状況、そういった非常に厳しい環境にある状況を見たときに、それを助けようというのは、これは、ある種のヒューマニズムとして、これこそ普遍的な考え方としてあっていいと私は思っております。

 その上で、国連安保理やG20で、なかなか国際社会が動けないときには、G7で取り組むしかない。G7で取り組むときに、法的な様々な相手に対する行動というのは、人権侵害制裁法案、俗に言うマグニツキー法であったり、人権DDであったりするわけでありますが、G7のいわゆる多国籍の枠組みでそういったものを行おうとするときに、我が国においてはこのマグニツキー法等がないわけであります。同じG7の一翼として、前から言っておりますが、G7の一国として、これがないことによって、G7の国々がいわゆる多国籍の枠組みで人権問題を解決しようとするときに、日本は非常にデメリットを感ずるんじゃないかなと私は思っております。これはやはり作るべきだと思うし、このデメリットを大臣は感じないのか。感じないなら感じないと言えばいいですよ。感じないのかどうか、お伺いしたい。

林国務大臣 普遍的な価値というのは、この質問にお答えするという意味で使わせていただきますが、普遍的な価値である人権を擁護するという基本的な考え方はG7の各国で完全に一致しております。人権侵害に対してどのような対応が適切かについては、その一貫した立場に沿って各国が適切と考える対応を取っておりまして、連携を取っているわけでございます。

 日本は、人権は普遍的な価値であり、人権擁護は全ての国の基本的な責務である、こういう考えから、これまで、人権侵害に対してしっかり声を上げる一方で、対話と協力を基本とし、民主化や人権擁護に向けた努力を行っている国との間で、二国間対話や協力を積み重ねて、自主的な取組を促してきておるところでございます。

 今御指摘のあったような、人権侵害を認定して制裁を科すような制度を日本も導入すべきかについては、これまでの日本の人権外交を踏まえ、全体を見ながら、引き続き検討してまいります。

松原委員 この間、IPACというのが国会の中で行われまして、イギリスの前の首相だったトラスさんとか、その後、林さんにもお会いしたんじゃないかと思うんですが、オーストラリアの首相だった人、ベルギーの首相だった人も来られて、超党派でIPACをやりました。その中で、共同してこういったものに対して法的な取組をするという可能性を、議論として彼らの側から出たということであります。

 そのときに、我々は武器を持っていない。ということは、その後、G7の中で我々が非常に不利益を被るというか、こう言われたわけじゃないですが、G7の国の中で、日本が、あんただけが持っていないねということは、我が国のマイナスになると思っているんです。

 マイナスになるかどうか、その一点だけ、時間がないので簡単に答えてください。マイナスにならないかなるか、お伺いします。

林国務大臣 先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、人権を擁護するという基本的な考え方はG7の各国で完全に一致しております。どういう対応が適切かについては、各国が適切と考える対応を取っており、連携が取れていると申し上げたとおりでございます。

松原委員 IPACでは、連携を取りたい、そのときに、日本にはそういうものがないじゃないかという議論になっていることは深く肝に銘じて、議員立法で作るのか、閣法で作るのかは別にして、林大臣は問題意識を持っていると思いますから、強くそういったことを進めていただきたいと思っています。

 次に、いわゆる国連安保理の非常任理事国として、その立場を使って、二〇一四年において実現した北朝鮮の状況を議題設定することを求めたいと思っております。

 実際、従来はこれをやってきているわけですが、現在は、残念ながら、安保理非公式協議のその他の議題に落とされているというんですかね、これは議事録に残らないわけですから、様々な団体、ヒューマン・ライツ・ウォッチなんかも是非やってくれと言っていますが、これはやはりやるべきだと思うんですが、大臣の御所見をお伺いします。

林国務大臣 安保理におきまして、ある議題の下で会合を開催することの是非、これが手続投票となる場合は、十五か国のうち九票の賛成によって開催されまして、常任理事国に拒否権がないということでございます。

 安保理では、北朝鮮の核・ミサイル不拡散の議題とは別途、北朝鮮の状況という議題がございます。今後の対応について現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えますが、拉致問題を含む北朝鮮をめぐる問題について国際社会が高い関心を持って取り組むことは重要でありまして、安保理においても、この議題の下で拉致問題を含む北朝鮮の人権状況について議論を行う機会を模索していきたいと考えております。

 我が国は、米国を始めとした安保理理事国と緊密に意思疎通を行いながら、引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向け、全力を尽くしていく考えでございます。

松原委員 前向きな御答弁をいただきました。

 これは既にやっていたことでありますが、ここのところ扱われていませんから、是非お願いしたいと思います。

 次に、尖閣についてお伺いします。

 尖閣諸島に、昭和二十年六月二十四日、石垣島から台湾に向かって疎開をしている二隻の船があった、米軍に見つかって機銃掃射を受けて、一隻は沈没、一隻はいろいろと苦労しながらぎりぎり魚釣島に到着した、こういうことであります。

 ここにいろいろなペーパーがありますが、魚釣島に自分の父親が行って、そこで死んでしまったという人間の記録もあります。彼の中には、非常に生々しいわけでありますが、そこを見に行った琉球大学教授の高良鉄夫さんがその亡くなった方の息子さんに対して後日語ったわけでありますが、波に漂うように四つの遺骨がそこにさらされていた、そこにあったと。それが最終的に、埋めたか何かされたんでしょう、この方はその後、一度尖閣の魚釣島に行っているわけですが、父親の遺骨は見つからなかった。

 遺骨が幾つかあるということは言われておりまして、ただ、二回行政も行っているんですが、いわゆる台湾への疎開船がそこで沈没したのと、そこで大変に餓死者が出たということで、いわゆる石垣島の市長が尖閣に行って、そこで碑を建てたりしているわけですね。

 こういったことを踏まえてお伺いいたしますが、どれぐらいの遺骨が島にあると考えるのか、もしあるとする場合、遺骨収集に行くことを考えるのか、お伺いします。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事案につきましては、昭和二十年七月三日に、石垣港から台湾に向かっていた疎開船が尖閣諸島近海で米軍機の空襲を受け、魚釣島に漂着しました。同年八月十八日に救助されるまでの間に、衰弱などで亡くなられた方が発生したものと承知しております。

 これまで、厚生労働省といたしましては、石垣市から文献を取り寄せるなどして調査を行ってまいりましたが、同島に今も御遺骨が残っているかどうか、また残っているとすれば何柱なのか、確たる情報は得られていないところでございます。

 もし御遺骨があると考えている場合ということですが、戦没者の遺骨収集につきましては、確度の高い遺骨情報がある場合に実施しているところでございます。これまで文献を収集して調査を行ってまいりましたが、埋葬地点を特定できる確度の高い情報は確認できず、遺骨収集を実施する状況には至っていないところでございます。

 今後も、新たな文献等の情報があれば、引き続き調査を行って、確度の高い遺骨情報がないか、確認してまいりたいと思います。

松原委員 遺骨が何柱あるのか、今言った方のお父さんは明らかにそこで死んでいるわけでありますが、こういったことを含めてきちっと対応する。それは、尖閣に関して日本は当然領有権を持っているわけでありますから、それもしないのでは、遺骨を捜しに行くということをしないのであれば、全くもって言語道断であるというふうに私は思っているわけであります。

 今申し上げたように、昭和四十四年、五十二年の二回にわたって、石垣市長などが尖閣、魚釣島に上陸して慰霊碑を造ったりしているわけですね。前段の方はアメリカの統治下だったわけでありますが。いずれにしても、この二回に関して、今、尖閣に対していろいろと言ってきている中国、台湾は、この段階では何か反応があったのかどうか、外務省にお伺いします。

岩本政府参考人 御指摘の、当時の石垣市長等の上陸については、当時、中国そして台湾がどういった反応をしたかということについて、御通告を受けて確認作業をいたしましたが、恐縮ですが、現時点で、その有無も含め、確認できておりません。

松原委員 要するに、昭和四十四年、五十二年、前段はアメリカの統治下でありますが、日本人がこの遺骨等の問題を含めて尖閣、魚釣島に行ったときは中国も何も言っていなかった、この事実はきちっとテイクノートしておく必要があるし、そこに日本人の遺骨があるということも含めて、我々はきちっと頭に入れておくべきだろうと思っております。

 次に、東海大学の山田教授という方が、石垣市周辺海域実態調査に今年の一月三十一日に行きました。そこで彼がいろいろなことを石垣市側から促されてやったのが、その島々の把握等でありますが、具体的には、そこでやった調査というのは、景観調査と魚影調査と海洋調査。おびただしいごみが浜にたまっているということもそこで発見されたわけでありますが、従来から言われておりましたヤギによる被害が極めて深刻であり、尖閣、魚釣島の生態系に甚大なる被害を与えている。東海大の山田教授は、自然環境の問題を守るために一刻も早くヤギの駆除等をするべきだ、こういうようにおっしゃっているわけであります。

 これは僕はやるべきだと思うんだけれども、環境省、簡単に答えてください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、尖閣諸島における自然環境の把握を目的といたしまして、衛星画像を用いた調査を実施しております。衛星画像を基に、二〇二一年に、全国調査の一環として、この地の植生図を更新しております。こうした調査により、尖閣諸島の自然環境の状況について、必要な情報は一定程度収集できております。

 この植生図においては、その前の二〇一五年と二〇二一年の間で大きな変化は確認されていないので、現時点では上陸調査、ヤギの駆除等の対策を行う予定はございませんけれども、先生御指摘の最近の調査結果を含めて、引き続き関係者間での情報交換に努めまして、今後の追加的な対応の必要性について適切に判断してまいりたいと考えております。

松原委員 尖閣については、我が国固有の領土と言っているわけですから、きちっと対応していただきたいし、外務省もそのことをやはりきちっと担保していただきたいと思っております。

 続いて、ディスインフォメーション、先ほども若干質疑がありましたが、偽情報ですね、偽旗といいますか、ディスインフォメーションについてお伺いしますが、日本に対する海外からのディスインフォメーションについてどのような把握がされているか、簡潔に、内閣官房の政府参考人、お答えください。簡潔にお願いします。

柳政府参考人 お答えいたします。

 偽情報の拡散は、普遍的価値に対する脅威であるのみならず、安全保障上も悪影響をもたらし得るものであり、偽情報への対応は重要な課題であります。

 このような認識の下、内閣情報調査室では、内外の関係機関とも連携しつつ、偽情報等の収集、分析等を行っておりますが、その詳細については、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきます。

 内閣情報調査室といたしましても、偽情報等の拡散への対処能力を強化する観点から、必要な情報収集活動に取り組み、その充実強化に努めてまいります。

松原委員 これは、中身を言えないと言うんだけれども、本当は言った方がいいんだよね。なぜかというと、こういう偽情報が出ていますよということを一般の国民やまたプラットフォーマーの皆さんにも言わなかったら全然分からないわけだから、これぐらいの偽情報が出ていますよということをやはり公にするべきだと私は思っています。

 その上で、逆に、日本から、日本を使って海外でフェイクニュースが流された事例として、これは外務省は把握していると思いますが、岸信夫事務所の名前をかたったディスインフォメーションがありますよね。岸信夫さんの事務所が出したというツイートを在イギリス・ロシア大使館がツイートしてロシア国内に持っていった事例。

 また、もう一つは、これは、渋谷の一〇九において、そういった電光掲示板に出されたということですが、それ自体が完全に偽物を作ってやっているわけでありますが、ある会社のおすし屋さん、それが、言ってみれば、ウクライナの女性の手に口を当てて、すしを食べようみたいなニュアンスのディスインフォメーションを流した。これは、実際にそんなものは一〇九で流れていないんですよ。その直後に、そのおすし屋さんは、とんでもない、本件のインターネット上での画像等については当社は全く関係ありません、こういうふうに声明を出しているんですよ。

 これは何かというと、これは、ロシア国内でこのディスインフォメーションが流れて、日本もウクライナに対しての支援はもうそろそろ疲れてきているという印象をロシア国民に与えた。岸信夫さんのものも同じで、ロシア国内にそういったディスインフォメーションを与える。だから、日本国内における偽情報もあるし、日本を使った海外に対する偽情報もあるわけですね。

 こういったことに関して、やはり我々はきちっと対応していく必要があると思っておりますが、このすし屋さんのものや岸信夫事務所のものに関して外務省はどんなふうな行動をしたのか、それはそれぞれがやることで我々は関係ないと言って終わってしまっているのか、お伺いします。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年八月、SNS上で、あたかも岸総理補佐官がウクライナを非難するかのような内容を書き込んだように装う虚偽の投稿がございまして、在イギリス・ロシア大使館がそれを引用する形で投稿を行ったという経緯がございます。

 これを受けまして、在イギリス・ロシア大使館に対しまして、その投稿は明らかに虚偽のものであり、在イギリス・ロシア大使館自身が本投稿をSNSで拡散したことは不適切である、こういう旨を伝達しまして、至急、事実に即して訂正するなど、適切な対応を取るように申入れをしたところでございます。これを受けて、在イギリス・ロシア大使館のSNSからこの投稿は削除されたということになっております。

 また、爾後、外務省のSNSアカウントから、多言語、具体的に申し上げますと、日本語のほかに英語、ロシア語、ウクライナ語でございますけれども、そういった多言語にて、本投稿は事実ではないと、それから、日本側の申入れを受けて同投稿が削除されたという経緯を発信したところでございます。

 それから、もう一点、昨年八月、御指摘の企業のロゴを使用した形で、ウクライナに関する画像がインターネット上で流れたということがございましたが、本件につきましては、当該企業自身が、当該企業とその画像は一切関係がないという旨を対外的に明らかにしたものと承知しております。

 政府といたしましては、外国からの情報操作を含む偽情報に対して、引き続き、G7間及びパートナーとの間でも緊密に協調しつつ対応していく考えでございます。

松原委員 このおすし屋さんの方は、自分で反論したからいいよという話ですが、そういうことでいいのかなというのは率直に申し上げたいわけであります。

 時間も大分なくなってきたので、あとは短く終わりますが、アメリカの国務省内にグローバル・エンゲージメント・センターというディスインフォメーション等の対策の専門部署等がつくられて、偽情報対応をしているということであります。

 日本も現在、そういったものをつくろうということで動いているそうでありますが、こういったものの現状の出来具合というんですか、どこまでこれが進んでいるのか、そして、簡単に、これがどのぐらいで、いつの段階で、横断してですよ、総務省だ、内閣官房だ、どこどこだというのではなくて、横断的に対応できるようなものはいつ頃できるのか、お伺いしたい。

中田政府参考人 お答え申し上げます。

 偽情報の拡散は、普遍的価値に対する脅威であるのみならず、安全保障上も悪影響をもたらし得るものでございます。

 こうした偽情報等の拡散への対応能力を強化する観点から、昨年末に策定しました国家安全保障戦略に基づきまして、外国による偽情報等に関する情報の集約、分析、対外発信の強化、政府外の機関との連携の強化等のための新たな体制を政府内に整備する予定でございます。

 新たな体制下での具体的業務等については現在調整中でございますが、今後、政府全体で偽情報等に効果的に対応することを目指してまいります。

 以上です。

松原委員 各省庁が縦割りでやるんじゃなくて、全体でやって、先ほどの、入ってくる偽情報、出ていく偽情報、これに対してきちっと目を光らせて早期に発見して行動しないと、一回広まってしまうと、後で違いますといったって、違うという話は伝わらないわけだから、そういったものを機敏にできる組織をつくってもらいたいと思います。

 アメリカでは、対応策を怠ったプラットフォーマーに対して、いろいろな議論があるんですが、事実上のペナルティーを科するなどの対策を将来的に考えているという議論があります。プラットフォーマーも、その中においてこういった偽情報が蔓延するということは常にあり得るわけであって、それに対して日本はどのような、そういった言ってみればペナルティーというものまで考えることがあり得るかどうかをお伺いしたい。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 米国におきまして、委員御指摘のあった、ディスインフォメーションへの対応を怠った場合にペナルティーのようなものを科すというふうな対策があるかどうかにつきましては、済みません、総務省としては承知してございません。

 ただ、偽情報への対応策としまして、罰則などをもって対応すること、これは、表現の自由の確保、あるいは真偽の判別の困難さなどから、極めて慎重に検討すべきというふうに考えているところでございます。

 一方で、偽情報が社会問題化している、こういう実態を踏まえまして、総務省としましては、プラットフォーム事業者によります自主的な対応の推進とその透明性の確保だとか、ファクトチェックの推進、それからICTリテラシーの向上の推進、そういった偽情報対策に取り組んできているところでございます。

 偽情報対策を一層推進するために、有識者会議において引き続き検討を進めておりまして、海外の制度に関する動向も踏まえて取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

松原委員 アメリカでは、いわゆるゲーム理論や接種理論によって偽情報に対するリテラシーをメディアを含めて高めている。

 実際、今日の産経新聞には、中国がどこかの選挙に対して介入した、カナダですか、カナダに対して介入したということで、トルドー首相がこのことを指摘しているという話もあるし、アメリカでも、大統領選挙でロシアが介入したということはほぼアメリカでは確実視をしているわけであって、そういったときに、やはり、リテラシーを高めて、ゲーム理論で、あっ、これは偽情報だとあらかじめ分かるような、そういったトレーニングをするということは、今の答弁の中には十分になかったですが、これは是非お願いをしたいと思っております。

 最後に一問、大臣にお伺いして質問を終わりますが、日本はセネガルに対して政府開発援助を行っているわけであります。人権理事会におけるウイグル問題議論にセネガルは反対票を入れたわけでありますが、昨年十二月に大統領が訪日をし、林大臣はこのときにお会いしているわけでありますが、このことに対しての我が国の立場を伝えて懸念を表明したと私は確信しておりますが、この場でそのことについて御答弁いただきたい。

林国務大臣 昨年十二月の日・セネガル外相会談の詳細につきましては、外交上のやり取りであるため、お答えを差し控えたいと思いますが、私とタル・セネガル外相は、両国が民主主義、法の支配等の基本的な価値及び原則を共有する戦略的に重要なパートナーであるということを確認し、様々な分野で一層連携を強化していくことを確認したところであります。

 その上で、我が国としては、人権が普遍的な価値であり、人権擁護は全ての国の基本的な責務だと考えておりまして、そのような考えから、これまで、深刻な人権侵害に対してはしっかり声を上げる一方で、対話と協力を基本として、民主化や人権擁護に向けた努力を行っている国との間では、二国間対話や協力を積み重ねて、自主的な取組を促してきております。

 引き続き、日本らしい人権外交を積極的に進めていきたいと考えております。

松原委員 大臣に御要請したいことは、セネガルだけではなくてほかの国もあるんですが、日本がODA等で様々な援助をしている国に対して、極論は言いません、それでODAをどうだという話ではなくて、我々の持っている懸念と考え方というのは非公式であっても伝えなければ、全く空気のようなODAになってしまう。

 我々は我々の、少なくとも人権というのは普遍的概念として認められると思っております。これを敷衍するためには、様々な機会に、その機会を通して行っているんだということを、やはり懸念を表明したりすることが必要だということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 先月、二月二十三日の国連総会の林大臣の演説を、私も全文、その後拝見しましたけれども、本当に感銘を受けました。本当にすばらしい演説だと率直に思いました。なので、その後だったので、先ほど徳永委員の方からもあったんですけれども、先日インドで開かれたG20の外相会合を大臣が欠席されたのは本当に残念だったなと率直に思っています。恐らく、我々、与野党関係なく、ここにいる国会議員で、多分、G20のインドの外相会合に大臣が出席するのを絶対に駄目だとか、そういう反対をする国会議員は私はいないと思うんですよね。

 実は、去年も同じようなことがあったんですよ。去年四月一日の夜に外務大臣がウクライナからの避難民受入れのためにポーランドへ行かれて、四月四日の夜に日本に帰ってきました。四月六日、この外務委員会に大臣が出られて、またその日の夜にNATOの外相会議のためにベルギーへ行った、そんなことがあったんですよね。

 そのときは、ある自民党の発信力のある国会議員さんが、まるで我々野党が大臣を国会に縛りつけて、大臣がこんな窮屈な日程にせざるを得なかったとか、そんな偽情報を流した本当に許し難い自民党の国会議員がいたわけですけれども、全く事実無根でございまして、当時の外務委員会理事会、私も当時のメンバーだったんですけれども、私たちは、国益になるのであればどうぞ行ってくださいと。当時は委員会日程だってまだまだ余裕があったわけです。そんなことがちょうど去年の今頃にあったわけですよ。また今年もそういった国会日程で、まさに日本の国益が損なわれるようなことがあればということで、また同じようなことが出ているんだな、そう私は思った次第でございます。

 今後もこういった事象が出る可能性があるかもしれません。先ほど徳永委員が言ったように、しっかり今回の件は政府・与党内部でも総括をしてほしいなと思います。

 国連総会での林大臣の演説の件と、今回のG20外相会議欠席の件は、私は質問通告をしていなかったので答弁は求めませんけれども、もし何かあれば、この後の質問の答弁の際にコメントをください。

 それでは、通告に従って質問に行きます。

 まず、大臣所信で、ルールに基づく自由で公正な経済秩序は、日本はもちろん、世界の成長と繁栄の基盤です、そうおっしゃいました。日本が国際的なルール作りを主導することに長期的な視点で取り組むことは当然大切だと私も思っております。

 例えば、CPTPPのハイスタンダードを維持しながら、日本主導で加盟国を増やし、我が国の国益を求める中で、英国が、二年前、二〇二一年六月に加入手続の開始が決定され、加入作業部会の議長がこの日本でもございます。その後、英国の加入状況について、ちょうど一年前にこの外務委員会で質問した際、英国からの市場アクセスのオファーが提出され、ほかの締約国との間で協議、調整との答弁がございました。

 それから一年がたった今、その後の進捗はいかがでしょうか。英国の加入時期についての見通しも併せてお伺いします。

林国務大臣 英国は、我が国にとってグローバルな戦略的パートナーであるとともに、重要な貿易・投資相手国でもあります。

 英国のCPTPP加入については、協議が続いておりますので、その将来を予断するものではございませんけれども、英国のCPTPP加入が実現すれば、自由で公正な経済秩序を形成していく上で大きな意義があると考えております。

 この加入手続ですが、一昨年九月に加入作業部会会合が開始されて以降、英国による協定のルール遵守、また市場アクセスについて、様々なレベル、形式で継続的、精力的な議論が続いております。

 我が国は、CPTPPのハイスタンダードを維持しつつ、交渉を早期に妥結できるように、英国加入作業部会の議長を務める後藤経済再生担当大臣を中心に、関係省庁が連携して、引き続き全力で取り組む考えでございます。

青山(大)委員 まず英国が決まらないと、その後に加入申請している国がなかなか決まらない状況で、是非、毎回同じ質問になっちゃうんですけれども、しっかりそこは早く結果を出すべきだなと思いますし、その後の質問ですけれども、今、ほかにも、我が国の周辺でいいますと、台湾、中国からも加入申請が来ています。これは、余り政治的な思惑じゃなくて、まさに、現在のハイスタンダードを維持できるか、その基準でしっかりと加入交渉の見極めを行うべきだと私は思います。

 言うまでもなく、台湾とは、自由や民主主義、市場経済、法の支配といった同じ価値を有するわけで、私は可能だというふうに思います。

 この後、今日、時間があれば質問しますけれども、二〇一一年の東日本大震災以降、茨城県、福島、栃木、群馬、千葉の五つの県産の食品を全面輸入停止しておりましたが、昨年の二月、台湾が輸入停止措置を大幅に解除したというのも、まさに、こういったCPTPPに対する、我が国に対するメッセージではないでしょうか。

 ちょうど今年一月に我々立憲民主党の若手議員で台湾を訪問した際、CPTPP加盟に向けて日本への後押しを期待する声を、与党野党を問わず、様々な政党、また政府関係者からもいただきました。

 台湾のCPTPP加盟について、私もこの委員会で二回ほど質問したときの答弁で、台湾の加入申請は歓迎する、しかし、加入手続の開始の可否についてはほかの国の意思決定がされていない状況というなかなか寂しい答弁だったんですけれども、その後の状況はいかがでしょうか。

林国務大臣 余り変わったことが申し上げられないかもしれませんが、我が国にとって、台湾は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーであります。台湾は、かねてからCPTPPへの加入申請に向けた様々な取組を公にしてきていると承知をしております。そのような台湾が加入申請を提出したことを我が国として歓迎しております。

 現在は英国について加入手続が進められているところでございまして、台湾との加入手続の開始の可否について特段意思決定はなされておらず、台湾の加入手続に関する今後のプロセスの詳細は決まっていないところでございます。

 加入申請を提出したエコノミーの扱いについては、他のCPTPP参加国ともよく相談する必要がありますが、我が国としては、加入申請を提出した台湾が協定の高いレベルを完全に満たすことができるかどうかについて、まずはしっかりと見極めるとともに、戦略的な観点、また国民の理解も踏まえながら対応してまいります。

青山(大)委員 これは質問が前後しちゃうんですけれども、やはり、私は、アメリカのCPTPP復帰も引き続き粘り強く促すことも必要だと思いますし、また、この後質問しますけれども、韓国との関係が少し改善されそうな状況の中で、やはり、隣国韓国との、CPTPPまでもなく、まずはFTAも含めて二国間の貿易交渉なども始めるべきではないかと思いますけれども、最近の状況はいかがでしょうか、お伺いします。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、アメリカの関係でございます。

 我が国としては、米国によるインド太平洋地域の国際秩序への関与という戦略的な観点から、米国のTPP復帰が望ましいと考えており、こうした我が国の立場を一貫して米国に伝えてきております。

 具体的には、岸田総理からバイデン大統領に働きかけをしていただいているのに加えて、林外務大臣からも、ブリンケン国務長官、レモンド商務長官、タイ通商代表に対して働きかけを行っていただいております。さらには、アメリカの上下両院議員、有識者といった方々との面会の機会も活用していただいております。

 引き続き、様々なレベルで粘り強く働きかけていく所存でございます。

 そして、韓国についての御質問でございます。

 韓国とは、日韓の経済連携協定の交渉を二〇〇三年に開始した経緯がございますけれども、二〇〇四年の交渉を最後に中断しております。一方、日韓共に締約国となっております経済連携協定であるRCEP協定が、昨年、二〇二二年の一月に発効いたしております。

 我が国といたしましては、このRCEP協定を通じて、日韓を含む地域におけるルールに基づく経済秩序の形成に主導的役割を果たしていく考えでございます。

青山(大)委員 その韓国について、先ほども松原委員の方からもあったんですけれども、いわゆる徴用工の問題です。

 先ほどの松原委員の質問と少しかぶりますけれども、いわゆる元徴用工訴訟問題をめぐって、二〇一八年の大法院判決で賠償を命じられた日本企業に代わって、韓国政府傘下の財団が勝訴が確定した原告に賠償金を支払うという解決策でございますけれども、日本政府としては、二〇一八年の大法院判決について、日韓請求権協定第二条に明らかに反し、断じて受け入れることはできないとの立場であるはずだと思います。受け入れることができない判決を前提とした解決策であるという点についてはどういうふうに考えているでしょうか。

林国務大臣 今般韓国政府が発表した措置に関しまして、韓国国内法上の位置づけについては日本の政府としてお答えする立場にはないわけでございます。

 また、韓国政府が原告の理解を得るべく最大限努力をするとしております。

 なお、今回に至る経緯の中で、今先生からお話のあった我が国の基本的な立場、これは従来から一貫しておりまして、今後も一貫するものでございます。

青山(大)委員 今後も一貫するという答弁をいただきました。

 そして、韓国政府の解決策については、先ほど松原委員もあったように、求償権の問題が言われております。

 求償は、他人のために債務を弁済した者が、その他人に対して返済又は返還を求めることでありますけれども、韓国政府の発表では、原告に賠償金額を支払う韓国政府傘下の財団が、被告である日本企業へ求償権を行使する可能性については言及がございません。

 現在は求償権の行使を想定していないとしていても、韓国でも、政権交代があった際など、問題をまた蒸し返して求償権を行使するといった可能性は否定できないのではないでしょうか。求償権は行使しないということを両国間でしっかりと確認していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 韓国政府が発表した措置に関しましての韓国国内法上の位置づけにつきましては、日本政府としてお答えする立場にはないと申し上げたところでございます。

 その上で、本件措置の趣旨に鑑み、求償権の行使については想定されていないものと承知をしております。

青山(大)委員 そこはしっかりこれから詰めてほしいなと思いますし、また、ちょうど韓国政府が元徴用工の問題の解決策を発表したのと同じ日に、日韓間の輸出管理政策対話を近く開催するようなことも発表されましたけれども、このタイミングでこういった発表をすることになったのはなぜかということを政府にお伺いいたします。

中谷副大臣 先生御下問の部分でございますが、輸出管理の運用見直しにつきましては、軍事転用の可能性のある貨物の貿易や技術の移転を適切に管理するための措置であり、労働者問題とは別の議論であります。

 その前提で、我が国といたしましては、これまでも、政策対話の再開のためには、WTO紛争解決手続の取下げ又は中断が必要と考えてきたところであります。今月六日、韓国からWTO紛争解決手続を中断するという意思が示されたことを受けまして、政策対話を再開する環境が整ったと判断し、輸出管理政策の対話を近く開催することを発表したところであります。

 政策対話の開催時期や開催方法、また現時点で具体的なことは未定でありますが、今後できるだけ速やかに開催する予定としているところであります。

青山(大)委員 今後、その対話を通じて、いわゆる二〇一九年七月以前のような状態に戻していくような、そんな目的ということで、認識でよろしいんでしょうか。

中谷副大臣 現時点では、政策対話を再開することを決めたものでありまして、輸出管理の運用見直しについては、何ら方針を決定した事実はありません。

 政策対話を通じまして、韓国側の審査体制など、輸出管理の実効性を確認するとともに、韓国側の今後の姿勢を見極めた上で、我が国として判断していくというものであります。

青山(大)委員 日本と韓国は隣国同士でいろいろございますけれども、やはり当然、日本と韓国、そしてアメリカも含めて、日米韓でしっかり連携していくことが大切であることは言うまでもないと思っています。

 そこで、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定について今回取り上げさせていただきます。

 この協定は、一九七八年に発効され、また、これに関連する特別措置法も日本国内で制定されました。この大陸棚協定は、五十年後、二〇二八年に期限を迎えるということですけれども、継続するか終了するかに当たっては、期限の三年前、すなわち二〇二五年に予告通知を行うことというふうにされております。二〇二五年にはどうするかという判断が迫ってくる中で、これは時間をかけて議論していかなければならない問題かなと私は思っております。

 まずはお聞きしたいんですけれども、当該対象地域において、これまでどういった試掘、いわゆるこの地域には石油とか様々な天然資源がたくさん眠っているということで、当時こういった共同開発に関する協定が結ばれたと認識していますけれども、現在、そういった資源の存在が確認されたのか、それともどうなっているのか、その状況についてお伺いいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 日韓大陸棚南部共同開発協定の発効後、一九七〇年代から八〇年代にかけまして、物理探査、それから七本の試掘、また、二〇〇〇年代にも物理探査が行われました。しかしながら、商業化可能量の石油、天然ガスを発見するには至ってございません。

 その後も日韓間で同協定に基づき議論をしてきた経緯はございますけれども、現時点においては、この共同開発区域における開発行為は行われておりません。

青山(大)委員 韓国側の立場ですとか、韓国側から見ると、やはりこの地域を今も開発していきたいというような意図を感じるわけでございますけれども、この協定を見ますと、相手国から開催しましょうよというような要請があった際には委員会を開催することというふうに設置、運営の規定がなされているんですけれども、実際、韓国側から我が国に対して、そういった要請というのは今も、ここ数年の間もあるのでしょうか。それとも、ここ最近は特段ないんでしょうか。

定光政府参考人 韓国側とは、タイミングはつぶさには申し上げることができませんけれども、いろいろな非公式のやり取りはしてございます。ただし、正式な協議ということは、まだ至ってございません。

青山(大)委員 多分、当時も、大陸棚の北部に関してはしっかり境界が定められて、南部については、天然資源の関係もあって境界は曖昧だったけれども、一緒に開発しましょうよということでこういった協定がなされたというふうに認識しています。

 これは、多分、当時は、大陸棚に関しましてはいわゆる自然延長論というのが通説だったんですけれども、今は中間線で引くという議論になっています。

 ただ、この協定をよく見ますと、この協定の第二十八条に、「この協定のいかなる規定も、共同開発区域の全部若しくは一部に対する主権的権利の問題を決定し又は大陸棚の境界画定に関する各締約国の立場を害するものとみなしてはならない。」というふうにも規定されていて、境界の話とはまた別なのかなと私は思っていますけれども、今後この協定の扱いについてどういうふうに考えているのか、お伺いいたします。

岩本政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、この協定は、それぞれの法的立場を害することのないという前提の下で結ばれたものでございます。また、先ほど来説明がありましたとおり、現在においては、この協定に基づいた共同開発は行われておりません。そういったもろもろの諸般の事情を今後総合的に判断して、この協定の取扱いを適切に対応していきたいと思っております。

青山(大)委員 多分、これから韓国側でこの扱いをどうするかということを、非常にいろんな意味で出てくるのかなというふうに思いますし、日本としてもなかなか難しいとは思うんですけれども、これは中国もちょっとこの辺に接している部分もございます。そういう中で、私は、アジア太平洋をめぐる安全保障の観点も含めて、ちょうど今、韓国の今の政権になって、日韓関係も少し関係性も改善されるのかなという状況の中で、この協定を引き続き継続していくことも一つの方策なのかなと思います。

 先ほど話しましたように、今は中間線論というのが国際法で当然そうなんですけれども、そういったことを踏まえて柔軟な対応をしていくことも必要なのかなと考えておりますけれども、大臣の方で何かお考えがあれば答弁をお願いいたします。

林国務大臣 委員の御立論も傾聴に値するというふうに思っております。

 まさに、今答弁させましたように、案件は今のところないわけでございますが、そういったことも含めて、諸般の事情をよく総合的に判断しながら、適切に対応していきたいと思っております。

青山(大)委員 二〇二五年といっても、もうそんなに遠くはないので、五十年前の経緯もよく踏まえながら、私も、五十年前のいろいろな経緯を調べる中で、多分、日本としても当時大変な苦渋の決断だったのかなというふうに思います。そういう中で、考え方によっては、境界と開発を別に分けるというのも一個の手段かなとも思いますし、ここは前もって外務省としても政府としても議論してほしいなと思い、今回質問に取り上げさせていただきました。

 韓国に関しまして、最後に一問だけ質問します。

 日韓秘密軍事情報保護協定についてお伺いいたします。

 これについても、元徴用工の問題や輸出管理の厳格化などによって日韓関係が悪化する中で、二〇一九年八月に韓国政府から終了の通告があって、その後、その終了通告を停止するという旨の発表がされた状態だというふうに思っております。日韓秘密軍事情報保護協定が安定的に運用されることが安全保障上必要なことは言うまでもありません。

 現在に至るまで交渉は続いていますけれども、いつでも協定の効力を終了させることができる状況は今でも続いているのか、また、日韓秘密軍事情報保護協定の安定的な運用は確保されているのか、改めて政府の見解を伺います。

林国務大臣 二〇一九年十一月に、韓国政府から、日韓GSOMIAの終了通告を停止する旨の通告があり、我が国としては、本協定が効力を継続するとすることについて異議を唱えないことにいたしております。

 政府としては、これまで述べてきておりますように、日韓GSOMIAは、日韓間の安全保障分野における協力と連携を強化し、地域の平和と安定に寄与するものと認識をしております。

 その上で、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、現下の厳しい地域の安全保障環境を踏まえますと、本協定が引き続き安定的に運用されていくことが重要となってきております。

 政府として、本協定の下で、今後とも必要に応じて情報共有を行ってまいりたいと考えております。

青山(大)委員 この後、開発協力大綱の改定や日本産食品に対する輸入規制措置の全廃に向けて質問しようと思ったんですが、時間がないので次回にします。

 大臣、最後、時間がないので簡単で結構ですけれども、先ほどの冒頭の国連総会の演説について、何か思いとか委員会でもしお伝えしたいことがあれば、是非、私は感銘を受けたので、何かあればお聞きしたいと思います。

林国務大臣 お褒めにあずかって大変恐縮でございます。もとより、私一人が書き上げたわけではございません。内部でいろいろな検討をして、何が効果的なのかという観点からこういうスピーチを作らせていただきました。

 その後の状況も、いろいろな方とあそこで会って、どうだった、ああだったという話もいろいろいたしましたけれども、やはり、まずは主張すべきことをきちっと主張するということと、先ほどグローバルサウスのお話もありました、そういう聞き手を意識して、聞いている人はどういうふうに聞くかということをよく考えながら作っていく、そのことが大変大事である、このことを基本に考えてああいうスピーチをさせていただいたというふうに思っております。

青山(大)委員 ありがとうございました。

 本当に、外交日程を国会の方はしっかりとこれから対応してほしいなと思って、最後に要望し、質問に代えさせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 今日、鈴木委員から働き方改革の話が出て、人間は休まなければいけない、こういうふうに言われました。実は、先ほど来のいろいろな議論の中でも、大臣が非常に御苦労なさりながら海外に出張を繰り返されておられるということを見ておりまして、やはり体調管理に努めていただきたいな、大変だなと。今日見ていても、ちょっとお疲れかなという気がしまして、お顔が。思い過ぎかも分かりませんが、非常にハードな日程をこなされておられると思います。それに関しては、私、非常に敬意を持って見ておりますし、頑張っていただきたいというのをまず最初に申し上げて、スタートしたいと思います。

 まずは、もう何人の方もお聞きになりました徴用工の問題をお聞きしたいと思うんです。これはやはり大変大事な問題でありまして、私たちにとって、今後、日本が極東アジアでしっかりと生き抜いていくために必要なことですので、今またボタンをかけ違えることになれば、また大変なことになると私は思いますので、お聞きしたいと思うんです。

 まず最初にお聞きしたいことは、この問題というのはここまでこじれてきたわけですね、何度も何度も蒸し返されて。なぜこんなことになったんだ、本当の、真の解決をするためには一体何が必要なんだろうか、こう私は深く考えようと思うんです。そのときに、どのように、本当の解決のためには何が必要だとお考えになっておられるのか、お伺いします。

林国務大臣 私の体調に関して御心配いただきまして、ありがとうございました。元々こういう顔色でございますので、元気でやっております。

 これまで、懸案を解決して、日韓関係を健全な関係に戻すべく、外交当局間で継続的に意思疎通を実施してきております。

 その過程で、日本政府として、日韓間の財産請求権の問題、これは一九六五年の日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決済みである、この一貫した立場に基づき対応してきております。

 その上で、日本政府として、今般韓国政府により発表された措置、これを、二〇一八年の大法院判決により非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価しておるわけでございます。

 今般の発表を契機として、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流、これが力強く拡大していくことを期待するものでございます。

和田(有)委員 今御答弁なさいましたけれども、結局、何度言ってもそれが伝わらない、あるいは、伝わっているのかも分からない、国民性の観点から、受容の感覚というものが若干我々とは違うのかも分からない。

 そういう中で、やはりしっかりと、我々、今大臣が申されたけれども、そういうことを、くどいようでも言葉に出して言い続けなきゃいけないと思うんですね。それが、ややもすると、今まで、どうも奥歯にはまったような言い方になってきていたり、何か突っ込まれたら頭を下げていればいいやみたいなことになってきていたんじゃないかと私は思うんです。

 ですから、あえてもう一回、今日のこの時点において、かつての日本の朝鮮半島における統治というのは合法的でなされたことだ、あるいは、戦時動員というような言葉、強制連行とか強制労働、こういう言葉は歴史的事実ではない、これは合法的になされたことだと。これは当然、我々が海外において統治をしていたところもそうだし、日本国内においても、合法的にいろいろなことが戦時下においてはやられたわけです。

 そういうことをしっかりと声に出して、きちっと公の場で言うべきだと思うんです。過去の踏襲をいたしまして、そのとおりでございますとかいうんじゃなくて、これは合法であります、日本国の合法行為として戦時の労働がありましたとか、そういうことを言うべきだと思うんですが、そこら辺についてはいかがですか。

林国務大臣 今御質問がございました件でございますが、歴史認識に関する日本政府のこれまでの立場、これは変更はない、先ほど松原委員にお答えしたとおりでございます。

 日韓間には、隣国であるがゆえに様々な懸案や課題がありますけれども、政府としては、我が国の一貫した立場に基づいて、それぞれ適切に対応していきたいと考えております。

和田(有)委員 言っても、言葉として出てこないんですよね。何か不思議ですね。

 いずれにしても、こういうことを繰り返していくと、佐渡の金山の登録の話にしても、教科書のいろいろな問題にしても、やはり同じように蒸し返されてきた、そしてまた蒸し返されていくと思うんですね。ですから、そういったことも考えると、我が国の立場というのをきっちり声に出して、きちっと説明をする。過去を踏襲しますとかどうとかじゃなくて、何回も何回もしつこく言うという態度が必要だと思います。

 もう一回、そこら辺まで含め、ちょっと私も、質問取りのときの書き方とちょっと行き違いがあったのかな、何か、佐渡の金山の話や教科書問題も含めてしっかりと言わなきゃいけないですよねと聞こうと思っていたんですが、飛ばして続けたんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、佐渡の金山等々、隣国であるがゆえに様々な懸案、課題がございます。政府としては、我が国の一貫した立場に基づいて、それぞれ適切な対応をしてまいりたいと思っております。

和田(有)委員 私としては、林大臣がこういう場ではっきりと、こう言ってほしかったんですよ。労働に関しても、合法的な戦時労働動員であって、強制連行、強制労働ではない、ありませんよ、こういう言葉をはっきり言ってほしかったんですね。そういう言葉がぴたっと出ないんですよね、こういう場で。そこも不思議なんですが、次に参ります。

 今回のこの事象というのは、我々日本は被害者であると私は思うんです。それは、いきなり、一旦もう全て話が終わりましたよ、こういうふうに決まりましたよということを突然蒸し返して、そして、突然我々にああだこうだと言いがかりをつけてきている。これは、やはり我々は被害者なんですよ。

 そういうふうな考え方についてどう思われますか。

林国務大臣 日韓間の財産請求権の問題、これは、先ほども申し上げましたように、一九六五年の日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決済みである、この日本政府の一貫した立場に変更はないわけであります。

 日本政府としては、関係企業と緊密に連携を取りながら、まさに日本企業の正当な経済活動の保護の観点からも、この日本側の一貫した立場に基づいて適切に対応をしてまいったところでございます。

 その上で申し上げますと、日本政府は、一九六五年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づいて日韓関係を発展させていく必要がありまして、そのためにも、旧朝鮮半島出身労働者問題の解決、これが必要であるとの考え方の下で、尹錫悦政権の発足以降、韓国政府と緊密に協議をしてまいりました。

 日本政府としては、韓国政府により発表された措置を、二〇一八年の大法院判決により非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価をしておるところでございます。

和田(有)委員 このことに関して、前の松原委員も青山委員も、皆さんが申し上げていることを繰り返すことになりますけれども、韓国が史実をゆがめて日本を糾弾して、日本が頭を下げる、そうすれば何とか物は穏便になるだろうというような感覚で物事が今までずっときた。今後、過去をおわびをしますとか、そういうふうなことを言って物事が続く話ではないはずなんです。きちっとここで線を引くということが必要だと思いますので、その点をまず申し上げておきます。

 次に、今回の一連の中で、経済団体が若者の交流拡大に基金をつくって、何か資するようなことをしていきましょうというような話が出てきている。これは今回の流れとは関係ありませんと言うかも分かりませんが、誰が見たって、軌を一にして、この一つの一連の流れの中にあるやにどうも考えてしまう。

 そこら辺について、こういった基金拠出のそういう動きとかに関してはいかがお考えでございますか。

林国務大臣 我々として、民間の経済団体の今後の活動内容について、政府としてコメントする立場にはないわけでございます。

 いずれにしても、今回の発表を契機として、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流が力強く拡大していく、これを期待するところでございます。

和田(有)委員 経済界がやることだから構わぬのですよ、我々は関係ありませんよということでは、私はやはり違うと思うんです。

 それは、もちろん、個々人がやっている、個人の私的な行動とかは、それはいろいろありますけれども、経済界がやることというのは、やはり国家としての一つの姿勢が反映される。そして、それを、やはり意図を酌んでやるということが多い。それをまた、そういうふうに受け取る人たちも多い。そういう中で、きちっと何か姿勢を示すべきだと思うんです。あれは勝手にやっていることですよ、今回の一連の動きがあろうがなかろうが、何か動きですよというのではないと私は思います。

 そういう意味で、やはりこれは、このことを始末をつけたから、それによって、この話で手打ちしましょうやみたいに取られるような出来事は今防ぐべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今般韓国政府が発表した措置でございますが、この措置は、日本企業による財団への拠出等、これは前提となっておらないところでございます。

 一般論になりますが、政府として、民間人又は民間企業による国内外での自発的な寄附活動等について特段の立場を取ることはないわけでございます。本件についても、特段の立場を取ることはございません。

和田(有)委員 本件に関して特段の立場を取るものではないとはっきり言われましたので、違う、これは、これをやったからこうなったんだじゃないということなわけです。

 それともう一点、ちょっと今、ちらっとやり取りの中で出たことなんですが、今日の新聞に出ていましたけれども、アメリカの韓国系の団体が今回の財団に対して寄附をするということが出ておりました。これが呼び水になってということをしたいということなんですけれども、この中で、韓国政府は日本企業の参加にも期待を示している、日本政府は、訴訟で被告とされた企業を除けば、日本企業の自発的な寄附は容認する姿勢を示している、こうあるんですが、この点、もう一度、どうなんでしょうか。

林国務大臣 必ずしも、先生がリファーされたものと同じものを私が見ているかどうか分かりませんが、そうした種類の報道があったということは承知をしております。

 繰り返しになって恐縮でございますが、我々政府として、本件について特段の立場を取ることはないと申し上げたとおりでございます。

和田(有)委員 特段の立場を取ることはないと申されましたけれども、これは私の私見ですよ、日本企業がここに、財団に寄附をするということは、私は余り好ましいことではないと思うんです。まるで日本は、何か言い張っていたけれども、どこかで落としどころをつくらなきゃいけないな、これぐらいすれば頭を下げたということになるんじゃないかみたいな捉え方をされてしまうんじゃないかと思うんですよ、私は。それがずっと積み重なってここまできたんだと思うんです。

 だから、やはりこれに関しては、私、慎重な姿勢を、いや、それは我が方が言うことじゃない、外務省が言うことじゃないとか、国家が言うことじゃないと言うかも分かりませんが、私は違うと思います。

 これは慎重に政府として対応をしていただきたいということを申し添えて、最後に、もう一回元に戻るわけですが、何度も皆さん方がお聞きになったことですけれども、要は、韓国は、政権交代が起こる、あるいは政権交代が起こる前に、例えば非常にその政権の求心力が下がったときに、大概は、日本に対していろいろな悪口を言い、反日的なムードを盛り上げることによって政権を浮揚させようとしてきた嫌いがある。大概の政権がそうです。今回は、今はいいですけれども、またそうなる可能性というのは、私はやはりあると思う。

 先ほど松原委員も、そういうことはあるんじゃないかということをお聞きになりました。そうしたら、もちろん、そういうことは我々から言うものじゃないとか、いろいろな答弁がありますけれども、しかし、やはりそういうことが今まであったということを私たちは受け止めて次に進まないと、これは結局また同じことになって、ああという話になると思うんです。

 もう一回そのことについて、まず大臣にお聞きします。

林国務大臣 今委員からございましたような、例えば政権交代があった場合といった他国の内政に関する事項について、政府としてお答えすることは適切ではなく、お答えは差し控えたいと思っております。

 いずれにせよ、日韓関係を健全な形で更に発展させていくために、尹政権と緊密に意思疎通をしてまいりたいと考えております。

和田(有)委員 これは、同じことを何度も、私も蒸し返して聞いているような話ですけれども、やはり今までいろいろなことをやってうまくいかなかった。じゃ、それは誰が責任を取ったんだということなんです。誰も責任を取れないわけですよ、これは。あえて責任といえば、これは誰に対する責任かということを考えていただきたいんです。それは、日本国であり、日本民族に対する責任なんです、これはきっと。

 日本人が、日本民族が、不当な誤ったぬれぎぬを着せられて、そしてそれを世界に流布される。そして、実害として、今回、民間企業は接収されたわけですよね、まさに。その責任を取れるのかということなんですよ。誰が、どう取るのという話です。私は、その観点が抜けているような気がするんです、この交渉の中には。

 今までいろいろなことをやって、我々はぬれぎぬを着せられて、日本人はああだこうだと、違う、誤った歴史を流布されて、そして今に至っている。それが、あるときには手打ちをする、しかし、また蒸し返される。ずっと私たちは、未来永劫、私たちの民族の子孫に対してその責任が取れるのかということですよ、これは。だから、安倍さんは、未来の子供たちにはもうそういうことはさせないんだということで、いろいろなことをやられましたよね。今回のことも、それと同じ話ですよ。

 その点について、林大臣のお気持ちをお聞かせいただければと思うんです。

林国務大臣 日韓関係、これを健全な形で発展させていく、これは二国間にとっても大変大事なことでございますが、さらに、緊迫化する安全保障環境の中で、日韓、そして日米韓が連携をする、この必要性については論をまたないわけでございます。

 そうした意味で、そういう要請と、そして、先ほど来委員がおっしゃっているような、我が国の一貫した立場があるわけでございますので、これをどうきちっと整合性を取れる形でやっていくのか、これが非常に大事なことであり、そこに我々も重きを置いて取り組んできたところでございます。

和田(有)委員 これ以上お聞きしても、答弁は変わらないわけでございますから、取りあえず、一旦この項は終わりますけれども、しっかりとやっていただきたいと思います。

 これとまさに、不即不離というんでしょうか、関わる話で、いわゆる慰安婦像の問題についてちょっとお聞きしたいと思います。

 私も、韓国にある大使館の近所のやつも見たことがありますし、ロサンゼルスの、グレンデールですか、あそこにあるやつも見たこともあります。いわゆる慰安婦像というものについて、我々は、あれは事実に反するものであって、どけるべきだという、いろいろな話をしてきているわけですが、現状はどうなっておりますか。

岩本政府参考人 現在、第三国に設置されている慰安婦像のうち、公有地に設置されている像は、米国に三体、そしてドイツに一体という具合に承知をしております。

 こうした慰安婦像の設置、これは、我が国政府の立場と、またこれまでの取組と相入れないものでありまして、極めて残念なものと考えております。

 政府としましては、現地の我が方在外公館を通じて重層的に情報収集を行い、像が設置された場合には、様々な関係者に対して我が国の立場について説明し、強い懸念を伝えてきております。また、個々のケースに応じて、あらゆる働きかけを行ってきているところでございます。

和田(有)委員 あらゆる働きかけをやっている割には、全く像はどかないわけですね、一ミリも動いていない。

 何でこれを私が今回お聞きするかというと、この間、ドイツからドイツ連邦議会のドイツ日本議員連盟の皆さんがお見えになったときに、前のベルリン市長をやっておられた連邦議会議員がお見えでございましたから、私、ミッテ区の、これはどうなっていますかねという話をお聞きしたわけですよ。非常によく理解はされておって、背景もよく分かっておられる。もちろん、その中で、政治的ないろいろな状況の中で動けていないということはお話を伺ったんですね。

 ただ、このドイツのやつにしたって、何と書いているかというと、いわゆる慰安婦像と言われるやつの台座に、第二次世界大戦中、日本軍は少女や女性を強制連行して性奴隷にしたと書いているわけです。これは事実に反するわけです。そんなものはあり得ないわけです。

 そういうことをやはりしっかりと、何度も何度も私たちは主張し、説明しなきゃいけないと思うんです。それが足りていない。やはり一つは足りていないからこういうことが起こってくるんだと思うんですが、いかがでしょうか。

岩本政府参考人 ただいま委員御指摘がありましたように、各地において状況は様々でございまして、確かに、いろいろと難しい状況も存在しております。

 ただ、先ほど申し上げましたとおり、これまで、我が方の働きかけ、続けてきておりまして、実際に関係者の理解を得て動きが収まった例も複数存在してきております。

 いずれにしましても、我が国としましては、国際社会から正当な評価を受けることができるように、こうした努力を引き続きしっかりと行っていきたいと考えております。

和田(有)委員 いわゆる慰安婦像というやつの問題と、日本の朝鮮統治時代のいわゆる強制連行とか強制労働ということの問題とは、底流は一緒だと思うんです、私は。それについてきちっと、そうではありません、そういうものはなかったんだ、合法的なものであった、これこれにおいて合法的なものだったんだということを公の場できちんときちんと、やはり責任ある方が答弁すべきなんだと思うんです。このいわゆる慰安婦問題に関しても、もうきっちり日本の間では整理がついて、そして教科書でもきちっと正されて、いや、正していないおかしな教科書もあるように私は受け止めますけれども、そういうふうになっている。

 そういうことで、もう一度、大臣、きちっとそういう御発言、いただけませんかね。どうでしょう。

林国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、我が国の立場は従来から一貫しておるものでございまして、一切変わりはございません。

和田(有)委員 しっかりと主張すべきことは主張しとおっしゃられたので、何を主張するかという中身の問題が大事になってきますから、しっかりとこういった歴史認識に関して、認識じゃありません、事実に関して、日本の歩んできた歴史の事実に関して、きちっと説明をしたり主張していただきたいということをつけ加えておきます。

 次に、最後、拉致の関係の話をさせていただきます。

 先ほど松原委員も触れられましたが、私は、何度か質問させていただいている映画「めぐみへの誓い」を海外で上映されておられる皆さんの努力についての質問でございます。

 これは、Mプロジェクトというグループがあって、その中で、皆さんが御努力をして、いろいろな国で映画「めぐみへの誓い」を上映なさっておられる。

 その中で、今回、チェコで、プラハで上映するということだそうです。そこには、今プラハに駐在している日本の外務省の大使もお招きをしたいということで御案内されているようですけれども、そういう場合に、やはり是非とも日本の在外公館は一生懸命応援をしていただいて、そして、日本の拉致問題というものが存在している、そのことの解決に国際世論は応援してほしいという、いろいろな手だてを取るべきだと思いますが、まず、そのことについてどうお考えでしょうか。

林国務大臣 映画「めぐみへの誓い」につきましては、昨年九月に米国ロサンゼルス及びドイツ・ミュンヘンで、現地日本総領事館後援の下で上映会が開催されたと承知しております。また、今お話があったように、この五月にはチェコで上映会が開催される予定と承知しております。民間主導でこうした活動が進んでいるということは、大変心強いと考えております。

 外務省としては、拉致問題解決に向けた国際世論の喚起のために在外公館を通じた取組等を行ってきており、私からも、一層の広報活動に努めるよう、在外公館に指示をしてきております。

 お尋ねのチェコでの上映会についても、今お話のあった点を含めて、外務省本省とそして在外公館の間で緊密に連携しつつ、引き続き、外務省として適切に対応したいと思っております。

和田(有)委員 御招待をプラハ駐在の大使にされるようでございます。もしお見えいただけるならば、やはり一言、御来賓として御挨拶を、祝辞、祝辞というのはおかしいですね。あるところで、ちょっと話が変に聞こえるかも分かりませんが、竹島の大会のときに電報を打った国会議員の方々がおられて、本日の御大会を、御盛会を祝しますと打ったそうです。普通、我々、大体大きな大会とかには祝辞という形で、本日の御盛会、お喜び申し上げますと打つんですが、大体、御盛会を祝う方がおかしいんじゃないかという方がおられて、それはそのとおりなんです。そもそも、そんな集会があることがもってのほかで、もってのほかというのは変な言い方ですけれども、ないことが本来あるべき姿であって、それをせざるを得ないということは悲しむべきことなんだが、その大会に対して御盛会をお祝いしますと言っちゃったと。余りよろしくない、それはそのとおりなんだと私も思います。

 これが祝電、祝辞の類いになるかは抜きにして、やはり大使がこういう会に行っていただいて、そしてそこで御挨拶をいただく、あるいは日本国としての決意を述べるというふうなことでもいいんだと思うんですが、そういうことはしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 チェコでの上映会には、鈴木秀生駐チェコ大使が出席予定だと承知をしております。今委員からお話のあった点も含めて、適切に対応したいと思います。

和田(有)委員 では、しっかりとやってください。

 もう一度、最後につけ加えますが、大臣が、大臣がというか、外務省が対外的になさることは、当然重いものを背負っているわけです。それは、誰が最後に責任を取るのかというのは、法的な話じゃないです、法律とかそういう意味じゃないです、やはり私たちの、この国にこの後に住まう子孫に対して、あるいはこの国で生まれ生きてきた先人に対しての重いものを担うことなんだということを認識して当たっていただきたい、このように思います。

 終わります。

黄川田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

黄川田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳でございます。

 今日は、結構大臣に対して評価をする言葉が続いているような気がいたしました。直近でも、青山さんが、たしか国連演説がすばらしかったということを言われました。ほかにもあったかと思いますが、党派を超えて、我が維新も、私個人もですが、いいものはいいし、駄目なものは駄目ということで言わせていただきたいと思っております。

 それで、御案内かと思うんですが、三月一日、過ぎちゃいましたけれども、三月一日は国際的に、世界褒め言葉の日という日だそうでございまして、正直、外交も、相手をけなすというよりも、むしろ、いいものはいいと言っていくし、言わなきゃいけないことは当然中国に対して毅然と言うとか、そういうことも大事だと思うんです。

 そういった意味で、徳永筆頭理事からもありましたけれども、価値観外交などについて質疑をさせていただきたいと思っています。

 それで、徳永さんが言われたことも確かにそうだなと。原理原則は言うけれども、余り価値を押しつけるのはどうなんだろうかということを言われました。しかし一方で、私がイギリスなどで勉強させていただいて学んできたことは、やはり価値観というものをしっかり学ばなきゃいけないというように思っております。

 ただ、徳永さんが一理あって、相手を見て法を説けという言葉がありますとおり、やはり相手を見て言葉も選ばないと、問題、外交もこじれてしまうのかなというふうに思っています。

 そういった意味で、大臣の所信のところにありました三つの覚悟の一番目、普遍的価値を守り抜く覚悟ということを言われています。

 それで、私は、世界褒め言葉の日から言うわけではないんですが、年末から申し上げていたとおり、一月の国連安保理での閣僚級公開討論というのは、すごく画期的な、日本国外交として一つエポックメイキングというか、いい意味でやってくださったというふうに思っております。法の支配のための結集という表現だったかと思います。それに続いてまた、所信の中にもありましたが、二月のミュンヘンのG7外相会合で、法の支配に基づく国際秩序を堅持するというコミットメントを強調できたというようなことがございました。

 そういった意味で、この普遍的価値というものを我々はしっかり外交の中心軸に据えていくということは、今、岸田政権はやっておられて、私は日本外交の一つの軸としてとても大切なことだと思っております。

 大臣は先ほど多様性、包摂性とも言われましたけれども、そういうソフトな部分も持ちながら、さっき、迷惑をかけないという表現だったかと思いますが、優しさというか包容力のある外交がやはり必要かと思っております。

 そんな意味で、恐縮なんですけれども、私があえて申し上げた、この間の公開討論で取り上げた意義はいかがなものなのか、そして、日本の外交の中でのこの価値観外交の位置づけ、世界をリードするとか、そういったところを、外務省の答弁も読んでいただきながらも、少し御自分の言葉でもつけ加えていただいてお話を伺えればと思います。

林国務大臣 三月一日は世界褒め言葉の日ということで、私も存じ上げませんでしたが、しっかり覚えていきたいと思いました。大変大事なことだと思います。

 今お話がありましたように、一月は、日本が安保理の議長でございましたので、私が、法の支配に関する安保理閣僚級公開討論を主催したところでございます。

 なぜこのテーマを選んだかということなんですが、今、いろいろな挑戦に世界が直面している、だからこそ、やはり今の世界にとって法の支配に基づく国際秩序の維持強化は必要であり、力による現状変更は地球上どこであっても許してはならないと考えたからでございます。

 当時の一月の時点でもう侵略から一年弱たっておりましたので、余りロシアや中国を、それこそ褒め言葉の反対で、非難するということよりも、原理原則で大事にすべきは何か、こういう議論が大事であろうということで、今御紹介いただきましたけれども、法の支配のための結集、ユナイティング・フォー・ルール・オブ・ローということで呼びかけをしたわけでございます。

 法の支配の要素ですけれども、第一に、合意を守る、それから第二に、力や威圧による国境の書換えを許さない、第三に、国連憲章の違反に協力して立ち向かう、この三点を強調させていただきました。結果として、四か国の外務大臣を含む十か国の閣僚級など、七十七か国という大変多くの国が参加していただきまして、時宜を得たテーマとして歓迎していただきました。

 法の支配の重要性について、各国とも基本的に異論はないわけでありますし、特に印象的でありましたのは、中小国の皆さんから、我々中小国にとってこそ法の支配が重要である、こういう指摘が多くあったわけでございまして、私が申し上げたことと軌を一にしていただいて、大変強く印象に残ったところでございます。

 こうした取組を通じて、力による支配ではなくて、法による支配の重要性に関する認識が国際社会に一層深く共有されるように、引き続き尽力してまいりたいと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 七十七か国の参加ということで、レクで伺った際は、ここ一年の公開討論では最多参加国数だったというふうにも承っております。

 それで、今も中小国が法の支配の重要性を改めて言ってくださったということは、いっときイギリスが外交のイギリスみたいな感じだったんですけれども、日本は何をやっているのかなというふうに私はまだ勤め人だったときに日本の外交を感じていたわけでありますけれども、今、イギリスがいろいろ悩みを抱えている状況の中で、日本もいろいろ内政的にはありますけれども、外交上リーダーシップを、世界をリードするという部分では、価値観外交というのを是非進めていただきたいと思っています。

 それで、念のためですけれども、私がイギリスで必修科目みたいな感じで、ポリティカルアイデアという科目なんですけれども、それで何をいきなり勉強させられるのかと思ったら、バリューとライトと、それからヒューマンライツと、あと、話は飛ぶかもしれないですけれども、トータリタリアンという言葉だったり、そういう言葉は、私は、かなり基本的な部分で、欧州の国々、特に英国なのかもしれないんですけれども、そういう意識を非常に皆さんお持ちだということを改めて自分も身をもって体感させられたという感じでございます。

 そんな中で、申し上げたような、相手を見て法を説けではないんですけれども、この討論の中で、賛成という立場というか、いろいろ言いたいことがあったと思われる、しかし、直接的な批判をあえてする必要があったかないかというような相手である、トータリタリアンと私は言いたいですけれども、ロシアであったり中国であったりという国々の反応なり発言なりはどんなことがあって、大臣としてどういう印象的な言葉があったかをちょっと開陳いただければと思います。

林国務大臣 安保理の公開討論でございますが、今まさに杉本委員がおっしゃったように、総論としては、中国とロシアは、法の支配自体について異論を唱えるというよりは、それぞれの独自の主張を述べていた、こういうことであったというふうに思っております。

 例えば、中国は、ルールに基づく国際秩序、これは、どのようなもので、誰がそのルールを作るか等、曖昧である、こういう指摘をしつつ、国連を中核とする国際的な秩序が唯一の秩序である、こういう言及をしておりました。

 また、ロシアは、ルールに基づく国際秩序は欧米諸国が作ったルールによるものであり、同意をしない。

 こういうことで、冒頭申し上げたように、総論としての法の支配に反対するというよりは、こういう形で独自の主張をしていたところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 二十一世紀になって、ウクライナの方々が一番感じているかもしれませんけれども、帝国主義の復活みたいな感じで私は受け止めているんです。また、ロシアにおいては、南下政策というのを帝国時代を踏襲するような感じで今展開されているのかなとも思っています。

 そのロシアと中国と、名前を言うのがいいかどうか分かりませんが、トータリタリアン的な、専制主義的な、あるいは欧米と価値観を異にする国々と、抽象論になってしまうと思うんですけれども、いかにうまくつき合っていくべきなのかというところだと思うんです。

 この辺り、大臣の思う接点の見出し方みたいなものはどんな感じでお持ちかどうか、その点も教えてください。

林国務大臣 今、安保理が、ロシアのウクライナ侵略、また北朝鮮の核・ミサイル活動等に対しても有効に機能できていない状況なわけでございます。基本的には、我々は、米英仏等と緊密に連携しながら、中ロを含めた安保理が国際の平和及び安全の維持という本来の責任を果たせるように引き続き尽力していく、こういうことになるというふうに思います。

 中国でございますが、隣国であるがゆえ、様々な可能性もあるんですが、数多くの課題や懸案が存在しております。同時に、地域と世界の平和と繁栄、こういう大きなことについても日中両国は責任を有しているということだろうと思います。

 昨年の十一月に日中首脳会談が行われましたが、ここで得られた前向きなモメンタムを維持しながら、まさに主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて首脳間を始めとする対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築していく、こういう考えでございます。

 ロシアでございますが、ウクライナ侵略は、言うまでもなく、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。我が国は、G7を始めとする国際社会と連携しながら、ロシアに対して引き続き強い制裁を行うなどの取組を進めているわけでございます。

 同時に、ロシアも隣国なのでありまして、例えば、漁業、こうした経済活動、それから海洋における安全に係る問題がございました。こういう問題のように、日ロが隣り合わせの国として対処する必要のある事項、こういうことについて、我が国外交の全体において何が我が国の国益に資するか、こういう観点もしっかりと考えながら、適切に対応していきたいというふうに思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 共通の課題を見出しつつ接点をつくっていくというような御答弁だったかと思います。是非、その方向感で、難しい相手でありますけれども、日本の平和と繁栄のためにも御尽力いただきたいと思います。

 ちょっと話がそれるので、黙って聞いていていただければありがたいんですけれども、今日たまたま、文科委員会でやれと言われちゃうかもしれないんですが、広島の中学生が寒い一月二十五日の日にジャンパーを着ていったら、学校の先生に着てくるなといって脱がされて帰された、その子が風邪を引いちゃいまして一週間寝込んだ、やはりそこは問題なんじゃないかみたいなことの中で、先生に手紙を渡した、そうしたら、先生から答えが余りなくて、ノーコメントみたいな、校則重視みたいな形があったんですけれども、NHK広島放送局が取り上げたことによるのか分かりませんが、話合いが行われ、校則が緩くなったというようなお話の紹介がありました。

 文科的なところでいくと、価値観教育というんですかね、先ほどちょっと申し上げましたけれども、そういった意味で、中学生が、権利の濫用であってはいけないんですけれども、生存権をきちっと主張するというような意味では、学校の校則がルール・オブ・ローとは思えないので、そういった意味では、子供たちに対する価値観の教育みたいなものも、広い意味で、文科大臣もされておられたという認識もありますが、価値観外交に加えて、国内の方も価値観というものを、相手を見て法を説くのも大事なんですけれども、そういった意味で、座標軸としてしっかり子供たちに持たせていく。その典型が、子供でしっかり手紙を先生に送ったというのはある意味立派な子供だなというふうに思っていますが、広島サミットもあり、広島の中学校、小学校の校則が大分厳しいみたいなので、そんな点も、ちょっと余談でありましたけれども、開陳させていただきたいと思います。

 次に、山田大臣が急遽御出張になっちゃったので、武井大臣にお伺いします。

 人権というか生存権というか、そういった意味で、難民の問題とか、あるいは、災害国、被災した国々への支援といったことのテーマで質問したいんです。

 鈴木議員であったりとか、あるいは公明党の吉田さんからも、トルコ、シリア地震に対する支援ということで質問があったのは分かっております。重複はできるだけ避けたいと思っているんですが、何か、グローバルサウスに対する五千万ドルのお金なのか目録なのか分からないんですけれども、それを山田大臣が、林大臣が行けなかった中で、インドの外務大臣に代表してお渡しするみたいな、グローバルサウスに対する対応みたいなものをニュースで拝見しました。

 今、グローバルサウスという言葉がだんだんだんだん中心になって動き出しているんですけれども、その定義は一体何なんだろうか、我々はきちっと認識しておくべきではないんだろうか。それは途上国なんだろうか、あるいはどこの国を具体的に指すんだろうか、一体窓口はどこの国なんだろうか、あるいは何か事務局とかはあるのかみたいな、そういう基本的な疑念が浮かんでしまいましたけれども、このグローバルサウスと言われるものの定義づけとか外交上の展望みたいなところを、概観を林大臣から伺えればと思います。

林国務大臣 いわゆるグローバルサウスでございますが、固まった定義はなく、様々な考え方がございますが、一般的に新興国や途上国を指すことが多いというふうに承知をしております。

 ロシアによるウクライナ侵略が国際秩序の根幹を揺るがす中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化するには、国際社会の幅広い支持と関与が不可欠でありまして、そうした観点から、グローバルサウスと呼ばれる国々との関係を強化することが重要であると考えております。

 こうした考えから、二〇二一年十一月の大臣就任以来、個別の会談また訪問に加えて、昨年八月のTICAD8、それから九月の国連総会ハイレベルウィーク、そして十一月のAPECやG20といった多国間会合の機会も捉えて、グローバルサウスへの関与に取り組んできたところでございます。

 こうした各国との対話を通じて再確認しましたのは、今のようなときだからこそ、日本は日本らしいきめ細やかな外交を主導すべきだということでございます。

 G7議長国として、先ほど徳永委員の御質問にもお答えして申し上げたところですが、多様性と包摂性を重視するきめ細やかな外交を通じて、法の支配に基づく国際秩序の維持強化が国際社会全体にとって極めて重要ですよ、この点を強く訴えていく。それと同時に、みんなで解決すべき問題、気候変動、エネルギー、食料、保健、開発等、グローバルな諸課題の解決に積極的に貢献していきます。

 今年は、御案内のように、友好協力五十周年をASEANと迎えるわけでございます。十二月をめどに東京で特別首脳会議を開催することにしておりますが、日・ASEAN関係の将来ビジョンを打ち出す、これもある意味ではグローバルサウスへの関与ということに沿った動きだ、こういうふうに考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 それでは、伺えるということだったんですが、武井大臣が代わりに答弁してくださるということなので、山田大臣に伺おうと思っていたんですが……(発言する者あり)副大臣ですね。大臣と言っちゃった。失礼しました、副大臣でいらっしゃいます。言葉を間違えました。御無礼しました。

 それで、インドに渡して、何かインドはグローバルサウスサミットみたいなのを開いたというようなお話もあるみたいなんですけれども、お話しいただける範囲で、今回の五千万ドルの具体的な手交先、それから使い道、それからそのお金の使われ方の検証なども、武井大臣、御答弁いただければ、あるいは政府の方でも結構ですが……(発言する者あり)副大臣、お願いします。ごめんなさい。

武井副大臣 私の方から答弁させていただきます。

 委員からお尋ねのございました五千万ドルについてでございますけれども、今月の二日にインドで開催されましたG20外相会合におきまして発表したものでございます。これは、ロシアによりますウクライナ侵略の影響を受けて一層悪化しているグローバルな食料安全保障の対応として行うものでございます。

 具体的に申しますと、緊急無償資金協力として、国連世界食糧計画、WFPでございますが、そして、国連パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAと申しますが、これを通じましたアジア、中東及びアフリカ地域における四千万ドルの食料支援、また、国連食糧農業機関、FAOを通じましたウクライナにおける五百万ドルの農業生産支援を実施するところであります。

 これらに加えまして、我が国のNGOを通じました中東及びアフリカ諸国における五百万ドルの食料支援も合計をいたしまして、緊急人道支援として総額五千万ドルの食料関連支援を実施するものでございます。

 これらの支援は、実施後に、所定の手続によりまして、各機関より完了報告書が提出されまして、フォローアップをすることといたしております。また、各機関との間で行う政策対話等の機会を通じまして、案件実施における改善点等につきましても協議を行うなどして、支援の質の向上に努めているところでございます。

 我が国といたしましては、昨年六月のG7首脳会合におきましてグローバルな食料安全保障への対応として約二億ドルの支援を表明し、これを実施してきたところであります。今般の五千万ドルの支援は、これに続くものとして行うものであります。

 引き続き、G7を始め、国際社会と連携しながら、世界の食料安全保障の確保のために取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

杉本委員 ありがとうございます。

 WFP等を通じてということかと思いますが、ありがとうございます。

 大分前なんですけれども、ヨルダンのザータリ・キャンプというんですかね、河野太郎さんとお邪魔をさせていただいたことがありますけれども、生存権というんですかね、生きる権利が地球上のどんな方にも私はあると思っているので、そういった意味で、普遍的価値を本当に標榜していくのであれば、是非ともそういった支援を、財政的には大変厳しい国家運営でありますけれども、その一方で、国際的な我々の地位というものを、しっかり役割を果たしていただくということをお願いしておきたいと思います。

 あわせて、御礼を申し上げておきたいのは、ウクライナに対してJICAを通じて無償資金協力を二百二十四億四千万ほどしていただいているというのが今日のニュースになっておりましたが、本当に大変なピンチにあるウクライナを物心両面でお支えいただくということを改めてこの場をかりてお願いしておきたいと思います。

 さて、質問は、トルコとシリアの地震に対するところは遠藤局長が答弁されたと思うので、そこは飛ばさせていただいて、シリアの中には、シリアに限らず、トルコ領内にも、あるいはイラク領内にもカーディッシュというクルド難民の方々がいらっしゃいます。難民は、ロヒンギャもあれば、あるいはイエメンの辺りにもいらっしゃるのかもしれないですが、私の勉強不足で知らないところも含めて、ウイグルもそうなのかもしれないですし、そういったことで、難民に対する姿勢というのも、普遍的価値、価値観外交という意味では私はとても大切ではないかなというふうに思っています。

 それで、十二月のASEANの友好協力五十周年というのはとても大切だと思うので、そこは大臣に頑張っていただきたいのはもちろんなんですけれども、同じ十二月で日にちがうまく重ならなければいいなと思いますが、御案内かと思うんですけれども、あるいはもう心に留めていらっしゃるというふうに伺っているんですけれども、十二月にジュネーブで開催される第二回グローバル難民フォーラムというのがあるようでございまして、UNHCRは、総理あるいは外務大臣に、ハイレベルなクラスの方々に御出席いただけないかということを要請しているようでございます。

 私も、価値観外交を進めていく上で、言行一致というか、そういう姿勢が我が国の、話がまた飛ぶかもしれませんが、サッカーでドイツやスペインを破り、今度は世界の野球の方で、ワールド・ベースボール・クラシックの方でまた大活躍しているという、何か、スポーツ選手は相当頑張っているんだけれども、日本の外交は頑張っているのかという感じで、今、本当に外交においては日本が出ていくチャンスじゃないか。

 林さんが頑張っておられるということの中で、フランスは非公式ながらマクロン大統領も出席されるというふうに聞いていますので、第二回に当たるグローバル難民フォーラムへの御出席を是非検討いただけないかと思うんですが、今、即答は難しいと思いますけれども、所信というか、どんな感じで思っていらっしゃるか、伺えればと思います。

林国務大臣 今お話のありましたグローバル難民フォーラムでございますが、これは、国連難民高等弁務官事務所とスイスの主催によりまして、難民問題の恒久的解決に向けた取組について、主要な難民受入れ国、ドナー国、国際機関、NGO等が協議をする場でありまして、日本は、本年の十二月に開催される第二回会合の共催国の一つになっているわけでございます。

 世界の難民、避難民が増加している背景には、紛争また気候変動等の影響による人道危機の長期化、複雑化、こうした背景があると考えられまして、国際社会が協力して難民問題の解決に当たる必要があるということでございます。

 こうした中で、第二回グローバル難民フォーラムが難民問題の取組の重要な機会である、こういう認識の下で、同会合の参加者についてしっかり検討を行っていきたいと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 国会の方が、先ほども質疑があって、去年の四月は野党が反対したんじゃないんですよというようなことを青山さんが言っておられまして、私も記憶にありますけれども、我々は本当にそういう外交を進めていただく上では大賛成ですから、是非、国会日程だとかあるいは予算編成だとかいろいろあるかもしれませんけれども、その中で日程をうまく調整して、総理ないし外務大臣にこのジュネーブの会合に御出席いただければというふうに思っております。

 時間がなくなってまいりましたが、中韓の外交というか、徴用工の問題は一つの方向感が出てきて、私は頑張っておられるというふうに思っていますが、党内でもいろいろな意見はあると思いますし、国会内でもいろいろな意見を議員の方々はお持ちだと思うんですけれども、私は、沖北の委員会だったかと思いますが、朴振さんとはケミストリーが合うのではないでしょうかというようなことを前に申し上げて、その後も何度もお会いいただいて、それで、今日の状況は韓国国内も大変厳しい状況もあるみたいでございますけれども、引き続き、朴振さんとの外交の対話というんですかね、そういうものを引き続き頑張っていただきたいと思うんですが、私の認識が合っているかどうか、この辺も教えていただければと思います。

林国務大臣 杉本委員が相性がいいんじゃないかと言っていただいたのは、本当に先見の明があったなと私も感謝をしておるところでございます。

 実は、御案内のように、この職に就くかなり前ですが、日韓の議員交流等でも面識があったということもございます。また、同じ音楽の趣味を持っているということも幸いして、仕事は是々非々、ちょうちょうはっしやらなきゃいけませんが、やはり、人間関係ということで、信頼関係を持ちながらお話ができるということができているのかなというふうに考えておるところでございます。

 まさに、韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国でございますので、今後も緊密な意思疎通をしっかり行っていきたいと思っております。

杉本委員 まだ一分ぐらいあるかと思うので、今度は、中国の方、秦剛外相。

 王毅さんは一つ上に上がられたというか、カウンターパートとしては、林外務大臣とは秦剛外相というか国務委員になられたかと思うんですけれども、ちょっと心配しているのは、朴振さんとはうまくいっていても、対中でいくと、緊張関係が高まりつつある中国とは外交ルートというのは本当に大事だと思っております。

 そういった意味で、ケミストリー云々というよりは、まず会って、顔を見て、お互いをよく知っていただくということが秦剛国務委員とは必要だと思っているんですが、これまでは電話会談というレベルにとどまっておられるというふうに聞いていますので、今後いろいろな機会を通じてできる限り会う、国会も賛成して外に出かける機会があったら是非会うぞ、バイで会ってくるぞ、しっかり話すぞというようなコメントをいただいておきたいなと思っているんですが、その点について最後に質問させてください。

林国務大臣 お話がありましたように、秦剛外交部長とは、二月二日でございますが、約五十分間にわたって電話会談を行いました。その会談でいろいろな話をしたわけですが、対話を着実に進めていくことで一致をしております。

 この電話会談においても、同部長から私の訪中について改めて招待があったところでございまして、様々な状況を踏まえながら、引き続き具体的な時期を調整していきたいと考えております。

杉本委員 終わります。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 大分暖かくなってまいりましたけれども、ウクライナではまだ戦闘が激化している状態であります。戦争、武力紛争を一年やっております。今、東部の要衝で戦闘が激化しておりますが、この町がどうなるかにかかわらず、まだ戦闘は続くであろうというのが大方の見込みでございます。

 これを見るにつけ、まだ戦争は終わっていないとはいえ、教訓があると思います。それは、外交はタイミングなんだろうと思います。これは、改めて我々は実感をしております。

 今地震が起きているトルコは、ロシアとウクライナを最後まで仲介してくださいました。それでも武力紛争を止めることはできなかった。タイミング、機を逸してしまったらこうなるということを改めて我々は認識をしなければならないと思います。したがって、外務委員会においては、これは生ものですので、新しい課題から一つずつ解決をさせていただきたいと思います。

 まず初めに中国について伺いたいと思いますが、これは昨年でございますが、スペインのNGOが報告書を出しまして、中国が海外において警察業務を行っている、海外警察サービスセンターというものを設置しているということが報告をされて、十一月には外務大臣も声明を発表されたと思います、我が国の主権を侵害しているのであれば断じて容認できないと。

 言うべきことは言うというのは大切なことだと思いますが、この実態について外務省はどのようにお考えなのでしょうか。

林国務大臣 今お話のありました、昨年のスペインの人権監視団体NGO、この公表内容の中には、五十三か国で少なくとも百二の中国海外警察サービスセンターが設置されているということが公表されているわけでございます。

 外務省としては、引き続き、国内関係省庁また関係国とも連携して、関連の動向をしっかりとフォローしていきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 仮に、やっているんだとしたら、重大な事件であります。なので、断じて容認できないのは当然そのとおりでありますが、その話があった数か月後、二月の十八日ですが、ミュンヘンの安保会議で、これは肩書が変わって、王毅中央外事工作委員会弁公室主任とお会いをしてお話をされたようでございますが、言うべきことはしっかり言っていただいているんだろうと思います、重大な懸念も表していただいたんですが、一方で、建設的な内容も幾つか話し合われているのも事実であります。

 このサービスセンターに対しての申入れをして、返答があったと思いますが、この返答が、外務大臣として、あるいは日本国として納得のいく説明があったからこそ、建設的なお話をされたんだろうと思います。外交の話ですから、つまびらかに全てお答えくださいとは申し上げませんが、納得のいく説明があったんでしょうか。

林国務大臣 まず、申し入れた際の中国側の反応等については、外交上のやり取りであり、お答えを差し控えますけれども、本件については、引き続き、国内関係省庁、関係国とも連携して適切に対応していくとともに、我が国における活動の実態解明の結果に応じて、適切な措置をしっかり講じてまいりたいと思います。

 二月十八日ですが、王毅主任との会談で、私から、日中関係は依然として多くの課題や懸案に直面しているといたしまして、特に、尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海、それからロシアとの連携を含む中国の軍事活動の活発化等について深刻な懸念を改めて表明するとともに、我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体、それから台湾海峡の平和と安定等について我が国の立場を改めて明確に伝達しつつ、引き続き首脳、外相を含むあらゆるレベルで緊密に意思疎通を行っていくということを確認したところでございます。

 中国警察の海外拠点については、先ほど申し上げたとおり、我が国における活動の実態解明の結果に応じて、適切な措置をしっかり講じてまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 結果に応じてということですから、まだ結論が出ていないのだろうと推察をいたします。分かった場合には毅然と対応していただきたいと思いますが、これを生ものとして扱った理由は、今、全人代で警察あるいは公安に関して非常に大きな議題が上っていると思います。

 大臣も当然御承知なんだろうと思いますが、昨年の四月から、外務省の中国・モンゴル第一課の中に調整班というものがつくられていると思います。中国に対しての専門的な分析をしている人たち、数名という報道ですけれども、アメリカにも国務省の中に同様の組織があります。六十人から七十人ぐらいの大世帯でやっております。

 情報収集をしていただくのは非常に重要なんですが、これが政務まで上がらないにしても、少なくとも外務省の中では共有をされていないと意味がないと思います。もちろん、今日、働き方改革のお話もありましたから、二十四時間監視せよとは申し上げませんが、その内容を省内あるいは局内で共有をして、上げるべきは政務に上げるという体制が整っていないと困るわけでありますが、本日お越しいただいている参考人の中で、この調整班から報告が上がってきた内容、全人代に関しての今ほど申し上げた公安や警察に関係する重要な部分、共有はなされておりますでしょうか。

岩本政府参考人 外務省におきましては、中国に関する業務は主に中国・モンゴル第一課、第二課の方で担当させていただいております。

 今委員御指摘のありました全人代における様々な動向、これについては、今申し上げた課の方でしっかりと情報収集、そして分析をした上で、当然私の方にも報告が上がってまいりますし、また、その重要性に応じて、大臣を始めとする政務の方々にも随時御報告をしているところでございます。

鈴木(敦)委員 ですから、今申し上げているのは、海外警察サービスセンターにも関連をするような、警察や公安に関する組織改革が全人代で行われているという分析は局長のところに上がっていらっしゃるのか、それとも審議官のところに上がっているのかということであります。

岩本政府参考人 今御指摘のありました、全人代で公安に関係する機構改革があるのではないか、これは一部報道等で報じられているのは承知しております。一方で、現在全人代に提出をされております中国の機構改革案、この中には、まだ公安に関係する部分は記載されておりません。

 一方で、今後また違った形でそういった改革がある可能性はありますので、この点については、先ほど申し上げました中国・モンゴル一課の方で、状況をフォローしつつ、また分析をしております。また、そういった報告は随時私の方も受けております。

鈴木(敦)委員 今ほど御説明をいただいたものを適切に運用していただくということ、そして適宜政務に伝えていただくということ、これは、海外警察サービスセンターの全容を解明する上でも非常に重要です。

 大臣にもう一つお願いしたいんですが、実態の把握がまだできておりませんので、どういうものなのか、調査中ですで終わらせては困ってしまうわけです。気球の話でもありましたけれども、これは防衛大臣にも申し上げましたが、三年も前に飛び去った気球をいまだに調査中だと言っているようでは困るんです。サービスセンターが開設をされていて、これは逃げないんです。今あるものは実態を解明できるまで調査を続けるんだと外務省としておっしゃっていただければと思います。

林国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、中国警察の海外拠点、これは引き続き、国内関係省庁また関係国とも連携して適切に対応していく、これは全く変更はないわけでございまして、我が国における活動の実態解明の結果に応じて、適切な措置をしっかりと講じていきたいと思っております。

鈴木(敦)委員 実態把握ができるまで続けていただきたいと思います。

 更に進めますが、中国は、昨今、台湾に対する影響力を非常に強めているということでもございますけれども、中国の台湾政策について、少しスピードを速めているというような分析がアメリカの方からも上がってきております。今回は武力に関してのお話はしませんけれども、あらゆる面で台湾に対する影響力を強める日程が早まっているのではないかという指摘は幾つかの部分から出ております。

 そうすると、日本が台湾に対して、あるいは中国に対して、アメリカに対してやっている外交政策だけではなくて、その先も考えなければいけません。台湾に対する影響力が中国はどんどん強まっていく。そうすると、その先にある、海を隔てたお隣の太平洋島嶼国あるいは東南アジアに対しても当然影響力は強まっていくわけであります。

 したがって、我が国も当然、これらの国々と連携をしているわけですから、彼らに対して行っている援助だとかあるいは議論だとか、これも、中国が台湾に対してやってくるスピードが速くなればなるほど、もっと早く、先回りして我が国が議論をしていかなければいけないと思いますが、外交を展開する日程感が早まっているという認識があるかどうかと、外務省として、こういった島嶼国や東南アジアに対しての影響力を強める必要があるという認識はおありでしょうか。

林国務大臣 中国の政策の中身につきましてコメントすることは差し控えたいと思いますが、情報をしっかり収集して、今委員がおっしゃったように、こちらが後手になるということがないようにしていく、これは当然のことだと考えております。

 島嶼国と東南アジア諸国でございますが、これらの地域は、自由で開かれたインド太平洋の実現の観点からも極めて重要な地域でございます。一方、近年、中国によるこれらの国への関与、これは増大しておりまして、強い関心を持ってフォローしております。

 太平洋島嶼国ですが、地域の一体性を含む太平洋島嶼国自身のブルーパシフィック大陸のための二〇五〇年戦略、これを強く支持していくということが必要だと考えております。このため、日本は、太平洋・島サミット、また二国間会談を通じて関係を深めるとともに、豪州、ニュージーランド、米国等の同志国との連携の強化、これにも努めておるところでございます。

 また、東南アジア諸国でございますが、各国との関係強化を着実に進めるとともに、インド太平洋に関するASEANアウトルック、AOIPというものをASEANが出しておりまして、これに関する協力を始めとしたASEANとの関係強化、これも大事なことだと思っております。

 特に、御案内のように、今年は日・ASEAN友好協力五十周年という歴史的な節目に当たるわけでございます。今年十二月をめどに東京で日・ASEAN特別首脳会議を開催して、日・ASEAN関係の将来の協力のビジョン、これを共同で打ち出す考えでございます。

 これらの地域とは、今後も、ODA等も活用しながら、各国のニーズに寄り添いながら、持続可能な発展に資する協力をしっかりと行っていきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 憂慮しておりますのは、ソロモン諸島のように、既に中国と安全保障条約を結んでいる国が出始めているということです。今の段階でこうですから、時間がたてばたつほど後手に回っていきますので、是非、このASEANの五十周年も踏まえて、積極的に外交を展開していただきたいと思います。

 中国との間で第十七回の安保対話も行われました。行われたんですが、その際の公式の発表の中には、確かに気球の話は入っておりました。気球は入っておりましたが、もう一つ忘れてはいけないのは、中国海軍の測量艦が我が国の領海に侵入しているということです。測量艦が単艦で他国の領海に侵入する理由など一つしかありません。測量です。ですが、これを調査中だとおっしゃっているわけですけれども、この日中安保対話の中でこれは議論になりましたでしょうか。

林国務大臣 二月の二十二日に開催いたしました日中安保対話では、今お話のあった案件も含めて、日本側から、拡大、活発化する中国の軍事動向、また中ロの両国による共同行動等について、改めて深刻な懸念を表明したと報告を受けております。

鈴木(敦)委員 測量艦は七回来ているんです。測量艦が一番最近入ってきたのは二月の十二日ですから、大臣が王毅さんとお会いしたとき、あるいは安保対話が行われる直前に領海に侵入をしているわけですから、これについては直接的な議題になるべきだと思いますし、予断を持って、測量していたでしょうと日本国が言うわけにいきませんので、そうは思って私はいますけれども、認めるわけにいかないとしても、ただ、この件に重大な関心を持っていることはお伝えをいただきたいと思います。

 また、この領海に侵入した際に外務省から出した抗議の文書の文言は、強い懸念でございます。これは、プロトコル上、そんなに高いものではありません。これは、非難とか懸念とか、かなり上のラインまで上げるべきだと私は思います。軍艦が領海に侵入しているわけですから、何をやっているか分からないと言っているのも悲しい話ですが、軍艦が入ってきたんですから、これはプロトコルを一つ、二つ上げるべきだと思いますけれども、大臣、どうでしょう。

林国務大臣 国連海洋法条約の二十五条の1というのがございまして、「沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる。」こういう規定がございます。

 この規定は、御指摘の測量艦を含む外国の軍艦にも適用されるということでございまして、沿岸国が、無害通航に当たらない航行を行っている外国の軍艦に対して、国連海洋法条約に基づいて必要な措置を取る場合、当該措置は外国の軍艦が有する免除を侵害しない範囲で行わなければならず、当該軍艦による侵害行為との比例性が確保されたものでなければならない、こう書いてあるわけでございます。

 沿岸国が国際法上いかなる措置を取り得るかについては、個別具体的な状況に応じて判断する必要があり、一概に申し上げることは困難でございますが、その上で、無害でない航行と判断される場合には、個別具体的な状況に即して、国際法を踏まえてしかるべく対応してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 無害であるかないかというところが重要なんです。もう既にこの船はここにはないんです。先ほどの海外警察サービスセンターは、まだ建物があるんですよ、実態としてはホテルに見えるんです。これはまだあるから調査できますけれども、気球にしても、測量艦にしても、もういないんですよ。だから、調査を続けるといったって写真を見て調査するしかないので、イエスかノーかしかないんです。これは早期に結論を出していただきたいと思います。やっているか、やっていないかというだけなんですよ、私はやっていると思いますけれども。やっている、やっていないは適切に公表していただきたいと思います。それこそが抑止力です。お願いしたいと思います。

 次に、北朝鮮についての話ですけれども、北朝鮮のミサイル発射を受けて安保理で行われた緊急会合、この中では、声明は出せませんでした。当然、拒否する国がありますので出せませんでしたけれども、その後の共同声明を出したときに、ブラジルとガボンとガーナは一緒に来てくれませんでした。韓国は来てくれました、安保理ではないにもかかわらず。これはどのように分析をされておられますか。

林国務大臣 二月十八日の北朝鮮によるICBM級弾道ミサイル発射等を受けまして、日米韓等の要請により開催をされました安保理会合、ここで、大多数の理事国が、我が国のEEZ内に落下したICBM級弾道ミサイルを含め、北朝鮮による度重なる挑発活動を非難し、安保理決議違反を指摘するとともに、核・ミサイル開発への懸念を表明したところでございます。

 今お話がありましたように、会合後に同志国が、北朝鮮による弾道ミサイル発射を強く非難し、安保理の行動の必要性を強調する趣旨の内容のプレス向けの共同発言を行ったところでございます。これには安保理十か国と韓国の計十一か国が参加をいたしました。

 今お話のあった一部の理事国がこれに参加しなかった原因については、様々な事情を踏まえて各国が独自に決めるものでありまして、我が国としてお答えする立場にないということでございます。

 いずれにいたしましても、北朝鮮がICBM級弾道ミサイルの発射を含めて安保理決議に違反する形で弾道ミサイル発射を繰り返している、このことは、地域及び国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて容認できないわけでございます。日本としては、これらの国も含めて、全ての理事国と緊密に意思疎通を行いつつ、安保理が国際の平和及び安全の維持という本来の責任を果たせるように尽力をしてまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 ここでは、この際ガボンとガーナについて、アフリカですから、申し上げたいと思います。

 アフリカを代表して安保理に入っている国は三つ。モザンビークは協力をしてくれました。ガーナとガボン、これはアフリカの西部でございます。中国とロシアの影響力が極めて強いという地域でもありますし、何より、これらの国々、特にアフリカ代表の国々は、これは外務省の説明でもありましたけれども、制裁そのものに反対をしているんだと。制裁を受けている国もアフリカの中に多数ありますので、なので、制裁そのものに反対なので、日本が何をしようと、それが自分の国であろうと、反対なんだという一部の考え方があるのはもちろん承知をしています。

 それはそれで尊重すべきだと思いますが、一方で、毎月定例でミサイルが落ちてくる国は日本くらいなんですよ。ウクライナもミサイルは落ちてきますけれども、弾道ミサイルが落ちてくるのは我が国ぐらいのものなんです。そして、今これは一部で議論になっていますけれども、一般的な保険、国民が入っている保険、これは、戦争だとかそういう場合は、免責条項が入っていますので、仮にミサイルが落ちてきて家が壊れた、それから車が壊れた、仮に海に落ちたとしても船に落ちてきた、これは保険の適用外になるわけですよ。こんな国は日本ぐらいです。

 なので、そういう状況も分かってくださいよというのが外交だと思います。これは、ガボンもガーナもしかりです。制裁に反対なのは分かります。とはいえ、こういうお国柄で、そういう国があるんだということは是非理解をしていただくための議論を外務大臣としてもしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員がおっしゃられたことも含めて、我が国が置かれた状況、これをしっかりと説明して理解を得る努力というのは不断にやってまいらなければならないと思っております。

 それをやった上で、最終的にどういう行動を取られるのかというのは、まさに今委員がおっしゃったような状況も含まれる中で、それぞれの国が独自に、主体的に決められるものであろうと思いますが、まずは、我々としては、やはり我々の状況をしっかりと理解してもらえるように努力をする、これは大事なことだと思っております。

鈴木(敦)委員 ロシアや中国に、あるいは北朝鮮本体に対して言わなければいけないことはもちろんですが、それ以外の周辺国、周りから外堀を攻めていくというのが重要なんだろうと思います。

 これはこの問題だけではなくて、我が国が抱える様々な問題、特定の国だけが反対をしていて、その特定の国だけを手当てするのではなくて、周辺国の理解も得ようとする、これが外交のあるべき姿であろうと思います。

 最後に、トルコとシリアの地震について、一つ提言を申し上げたいと思います。

 大変痛ましい地震であります。我が国の歴史の中でも、これだけの被害がある地震というのは数えるぐらいしかありません。ただし、今日議論にもあった、鈴木委員からもありました段ボールベッド、我が国では普及しているというお話です。なぜ普及したかといえば、我々が今までたくさんの震災を経て教訓として得てきたものなんですよ。避難所をどうしましょうか、あるいは、今、カーテンで仕切りを作りましょうとか、プライベートを確保しましょうとか、いろいろなことを自治体も含めてやっていますが、これは、阪神の震災があって、東日本の震災があって、それ以外の、中越の地震も、いろいろなものがあって、蓄積でこうなっているんです。

 復興庁が面白い文書を持っていまして、令和三年に取りまとめた東日本大震災復興の教訓とノウハウ、非常に分かりやすい文書でした。今度、私、トルコに持っていきますけれども、これは多言語化する必要があるんですよ。日本語しか作っていないんです。昨年、私も復興特で、多言語化してウクライナに供与しろという話をしたんです。ただ、どうしても、こういう言語だけとか、英語だけとかあるいは何語だけというのが、彼らにはなかなかやりづらい。

 それで、一つ提言なんですが、外務省が外交ツールとして、アジアには幾つか危機管理庁というようなものも、国が設置していて、気候変動や地震とか天災に対して対応する部署もあります。カウンターパートは当然復興大臣なのかもしれませんが、そういった国々に対して戦略的にアプローチをするための一つのツールとして、この東日本のノウハウ集というのは多言語化して使うべきだと思うんです。

 英語化する分にはできますが、英語だけを使っている国ではないですよね。今申し上げた東南アジアですとか島嶼国、津波の被害の可能性もあります。こういう国々に、戦略的に多言語化して、全部訳す必要はないんです、一部だけでも、瓦れきの撤去だとか、応急復旧住宅の手当てをどうするかとか、そういう部分だけでも構わないので、外務省としても、多言語化すべき言語、優先順位という面では協力をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 我が国は、東日本大震災を含めて様々な災害を経験し、防災・減災対策、復旧復興の取組を重ねてきた防災先進国でありまして、世界の強靱化に大いに貢献できる立場にあると考えております。

 私自身も、三・一一のときに野党の政調会長代理というのをやっておりまして、次から次へいろいろな要請が来るのを、どういうふうに整理をしながらやっていくかということをやった。今の委員の御質問を聞いて思い出しておりましたが、やはりそのときに役に立ったのは、阪神・淡路大震災のときの経験をよく知っていた人のアドバイスであったというふうに今思い出しておりました。

 そういう意味で、今の御提案、基本的には、復興庁の作成した資料に関することであり、復興庁にお尋ねいただきたいわけでございますけれども、外務省として、我が国の災害の経験により蓄積された防災、減災に関する知見を生かした国際協力を積極的に推進していきたい、こう考えておりまして、そういった意味で、復興庁を含む関係省庁と密接に意思疎通、連携していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 日本並みの建築基準法があればトルコはこんなことにならなかったと思いますので、是非お願いしたいと思います。

 終わります。

黄川田委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 政府は、新たに閣議決定した安保三文書に基づき、敵基地攻撃能力の行使で使用するスタンドオフミサイルとして、アメリカ製の長距離巡航ミサイル、トマホークを四百発取得する方針を明らかにしています。そこで、本日は、このトマホークの導入問題について質問したいと思います。

 初めに、外務大臣にお伺いしたいと思います。

 これまで政府は、憲法第九条第二項で保有が禁じられている戦力とは、自衛のための必要最小限度を超える実力をいうものと解した上で、性能上専ら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは、これにより直ちに自衛のための必要最小限度を超えることとなり、いかなる場合も許されないとしてまいりました。

 この憲法解釈に照らしても、トマホークの導入は、憲法が禁じた戦力そのものであり、自衛のための必要最小限度を超える攻撃的兵器を保有することになるのではないでしょうか。

林国務大臣 我が国が保持できる自衛力、これは自衛のための必要最小限度のものでなければならないわけでございますが、その具体的な限度は、その時々の国際情勢また科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有するものであります。

 一方、政府としては、今委員からお話がありましたように、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合にも許されない、こういうふうに考えておるところでございます。

 その上で、今般導入を決定したトマホークにつきましては、スタンドオフ防衛能力の一環として、相手の上陸部隊等に対処することを目的とした通常弾頭の精密誘導兵器でございまして、いわゆる攻撃的兵器とは異なるわけでございます。憲法そして専守防衛の基本方針の下で許容される自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものではないと考えております。

穀田委員 今の御答弁は、三月六日の参議院予算委員会における岸田総理大臣の答弁を踏まえている、そのものだと思うんですけれども、一九七八年二月十八日の衆議院予算委員会で、防衛庁の伊藤防衛局長は、我が党の寺前巖議員、私の前に国会対策委員長をやっていた議員ですけれども、その寺前巖議員の質問に対して、「攻撃的兵器というのは、相手に大きな被害を与えること、そのことをもってそれを抑止力とするようなもの、こういうものを攻撃的兵器という」と答えているんですね。

 林大臣、この答弁に照らせば、トマホークは、性能上相手に大きな被害を与えることで抑止力とする、そういう兵器ではありませんか。

林国務大臣 先ほどの答弁と重複するところがあるかもしれませんが、政府としては、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有すること、これは直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合にも許されないと考えております。

 今般導入を決定したトマホークでございますが、これは、スタンドオフ防衛能力の一環として、相手の上陸部隊等に対処することを目的とした通常弾頭の精密誘導兵器でございまして、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器に該当するとは考えていないところでございます。

穀田委員 後半の方は、先ほど述べたことをもう一遍繰り返しているんですよね。私、今の答弁というのは、はっきり言って、質問に答えていないと思うんですよね。

 私は、トマホークが性能上相手に大きな被害を与えることで抑止力とする兵器ではないのかというふうに聞いているんですね。だから、トマホークの性能上、相手に対して大きな打撃を与える、被害を与えるという兵器じゃないのかということについて、どう考えてはりますか。

林国務大臣 先ほど申し上げたように、我々としては、専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるもの、これを攻撃的兵器としておるわけでございます。その保有は、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合にも許されないと考えておるところでございます。

 今委員がおっしゃったものは防衛省の答弁というふうにお聞きをいたしましたけれども、我々といたしましては、先ほど申し上げましたように、攻撃的兵器はこういう理解をしておりまして、その理解に基づいて、先ほど申し上げましたように、攻撃的兵器とは異なるということを答弁さしあげたところでございます。

穀田委員 当時は、私、言いましたように、一九七八年は防衛庁ですのでね。

 そこで、専らと言っているわけですけれども、それは、先ほども答弁がありましたように、性能上専らと。だから、性能の話を私はしているわけですよね、そういう性能じゃないかと。相手に大きな被害を与える、そういうことの兵器じゃないのかと聞いているわけですよね。

 更に論を進めますと、伊藤防衛局長は寺前議員の質問に対して、巡航ミサイルには長距離を飛行するものと比較的短距離を飛行するものの二種類ある、このうち長距離を飛ぶものについては「壊滅的な破壊を与えるというふうに考えられます。」とはっきり述べているんですね。

 つまり、大臣、政府が導入するトマホークというのは千六百キロ以上飛行しますよね。まさに長射程の巡航ミサイルではありませんか。先ほどの私の、当時の説明によれば、そういうことになりますよね。いかがですか。

林国務大臣 私として、兵器のスペックや能力についてお答えするということはなかなか難しいわけでございますが、冒頭申し上げましたように、我が国が保持できる自衛力、これは自衛のための必要最小限度のものでなければなりませんが、その具体的な限度は、そのときの国際情勢また科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有するものである、そういうふうに考えております。

穀田委員 いつも、そのときの具体的、個別的と。そうすると運用の問題になってしまうんですが、そうじゃないんですよ、言っているのは。

 また、そのときの答弁で伊藤さんは、「いわゆる戦闘状態に入ったときに、防御するよりは攻撃的に相手に大きな損害を与えて戦意をくじくというような考え方」、こういうことを持っているわけだということで、そういう性格、分析をしているわけ、立場を。これは、私、質問項目で伝えたように、この間の政府の一連のそういうトマホークに関する政府答弁を踏まえてと、こういうふうに私はちゃんと言っております。ですから、私はそのことを言っているわけですね。

 そこで、浜田防衛大臣は、三月一日の参議院予算委員会でトマホークについて、米軍などによる運用を通じて性能が証明された長距離ミサイルと説明しています。先ほども、大臣も、性能の問題について若干そういうニュアンスのことを言っていますけれども、性能が証明された長距離ミサイルと説明しているわけですけれども、この点も、林大臣も同じような認識ですか。

林国務大臣 今、手元に防衛大臣の答弁そのものを持っておりませんわけでございますが、当然、防衛大臣が答弁したことでございますので、政府として共有しておるものと考えております。

穀田委員 では、性能が証明された長距離ミサイル、同様の認識を持っているということで言われました。

 トマホークは、米軍による大規模な軍事作戦の大半で主力兵器として使われてきたものです。一九九一年の湾岸戦争を始め、二〇〇一年のアフガニスタン報復戦争、二〇〇三年のイラク侵略戦争、二〇一一年のリビアへの攻撃、二〇一七年のシリア攻撃などであります。これまで二千三百発以上、戦争の火蓋を切る先制攻撃に使われてまいりました。しかも、精密誘導ミサイルというけれども、実際は精密でも何でもありません。誤爆や誤射によって民間地にも着弾し、多くの無辜の市民を殺傷してきました。イラク戦争では、トルコやサウジアラビアに落下する事故も起きています。トマホークとはそういう兵器なのであります。

 それを、米軍などの運用を通じて性能が証明された、同じ認識を持っているなどと評価するのは、私は、外務大臣としては極めて重大な認識ではないかと思うんですが、どう答弁されますか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、防衛大臣が答弁をされたということでございますので、私として、政府の一員として、それについて何か異議があるとか、それは違うと申し上げるということではないという趣旨で申し上げたところでございまして、それぞれ所管がございますので、防衛大臣が所管をしておる部分については防衛大臣にお尋ねいただければと思います。

穀田委員 所管の話ということでありますけれども、これは政府の大転換の話に基づいて、そして、これは安保三文書、閣議として決定している内容であります。その内容に基づいて、その性能や、それからトマホークの購入、これも政府として購入しているわけであります。ですから聞いているわけです。そういう答弁をし出しますと、全然関係ないし、私は知らぬ、そんな言葉は通用しないですよ。それは、私はそう思いますね。

 そこで、トマホークは低速の亜音速ミサイルです。それゆえに、攻撃の目標を、防御処理能力の限界を一気に突破するために、相手の迎撃能力を超える弾数で一斉攻撃を行う飽和攻撃に使われてきたわけであります。その結果、少なくない弾頭が目標を外れ、民間地を誤爆し、市民を殺傷するリスクが避けられない、これが米軍の運用を通じて証明された実態なわけであります。

 だから、そのような兵器を信頼が置けるものだというこの認識について、それは防衛大臣がやっていますからそうです、そういうことではないんですよ。こういう問題について、どうなんですか、同じ認識ですかと聞いているわけですから、私は、やはり責任を持って答弁してくれなくちゃ困る、それは逃げでしかないと思うんです。

 そこで、トマホークは攻撃的兵器でないとおっしゃいます。しかし、一九八四年六月二十九日の衆議院沖縄北方特別委員会で外務省が示した見解は全く違っています。

 当日の委員会で山下新太郎大臣官房審議官は、米国のトマホークには当時三種類あり、そのうち二つが通常弾頭の非核だと答弁しています。その上で、山下審議官は、「それじゃ日本の自衛隊は非核トマホークを装備できますか。」という質問に対して、「結局攻撃的兵器の場合に関しましては自衛隊は持てないということであると理解いたしております。」と答えております。

 つまり、こうなりますと、トマホークは攻撃的兵器でないという話と違いますし、林大臣の見解と明らかに違うのではありませんか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、我が国が保持できる自衛力は自衛のための必要最小限度のものでなければならないわけでございますが、その具体的限度は、その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有するものでございます。

 政府として、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えるということで、いかなる場合にも許されないと答弁申し上げたとおりでございます。

 トマホークにつきましては、スタンドオフ防衛能力の一環として、相手の上陸部隊等に対処することを目的とした通常弾頭の精密誘導兵器でございますので、いわゆる攻撃的兵器とは異なると申し上げたとおりでございます。

穀田委員 呪文のように、一番最初に答弁した三月六日のあれを、同じことを繰り返しても、質問は違う話をしているのだから、余り当たらないと思うんですよね。

 山下審議官は、これは議事録なんですけれども、社会党の川崎寛治議員から、「それじゃ日本の自衛隊は非核トマホークを装備できますか。」という極めてシンプルな質問を受けているんですね。これに対して山下審議官は、外務省の審議官は、自衛隊のことなので自分から答えるのが適当かどうかと前置きした上で、「従前来の国会等におきまして政府で申し上げておりましたのは、結局攻撃的兵器の場合に関しましては自衛隊は持てないということであると理解いたしております。」と答弁しているんですね。

 つまり、トマホークは攻撃的兵器というのが外務省の見解だったということではないんですか。

林国務大臣 お経を繰り返すようで恐縮でございますが、先ほど来申し上げておりますように、まず、自衛力について、自衛のための最小限度のものでなければならないわけでございます。その具体的な限度は、その時々の国際情勢そして科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有するものである、こういうことでございます。

穀田委員 これは、聞いている方といいますか、これを見ている方は、そちらは呪文を唱えている、こちらは過去の答弁を含めて一つ一つ丁寧にお聞きしているということなんですよね。

 しかも、これは、質問は明確なんですよね。あれこれ言っているんじゃないんですよ。日本の自衛隊は非核トマホークを装備できますかという端的な質問なんですよ。これに対して山下審議官は、できへんと言っていると言っているわけですやんか。それを、違うやないかと聞いているわけですやんか。明らかに違いますわな。

 だから、あれこれ言って、自衛のためのとか、いろいろ理屈をいっぱい並べて、その時々の態様や、それから国際情勢や、憲法に違反しないと、だあっと並べるんだけれども、当時は、外務省の見解として、トマホークは攻撃的兵器だ、せやから持てへん、こう言っているということなんですよね。

 そこで、トマホークのそういう配備に関するこれまでの政府答弁は、一貫して、保有する考えもなければ計画もない、答えを差し控えると、憲法上の判断を避けてきたわけです。

 しかし、今お話ししたように、山下審議官の答弁はそうではない。非核トマホークを自衛隊が装備できるのかと問われたことに対して、ストレートに答えている。それをはっきりしておきたいと思います。だから、そのような山下審議官の答弁があったという事実ははっきりしていますよね。

林国務大臣 信頼する穀田先生がおっしゃっておられるので、今手元に私はその答弁を持っておりません、御通告がありませんでしたから、ただ、穀田委員がおっしゃっておられるので、その議事録は存在するんだろうと信じております。

穀田委員 信じていただいてありがたいと思いますけれども、だけれども、ちゃんと私は全部歴史的なやつでいきますと言っているんだから、あきませんわな、それじゃ。

 じゃ、最後にちょっと井野防衛副大臣に伺いたいと思います。

 三月一日の参議院予算委員会で浜田防衛大臣は、トマホークの運用に関し、米国のように飽和攻撃ができる装備は今のところ持っていないと答弁された。しかし、酒井海上幕僚長は、昨年の十二月二十日の記者会見で、トマホークをイージス艦に搭載できるよう改修すると述べています。そうすれば、複数のトマホークを一斉に使うということも可能になる。

 敵基地攻撃能力の行使として飽和攻撃に使う可能性もあり得るのか、答えていただきたい。

井野副大臣 まず、飽和攻撃という定義自体がちょっと、穀田先生がおっしゃっている定義自体が我々の認識と合っているかどうか分かりませんけれども、反撃能力には、スタンドオフ防衛能力などの自衛隊の能力を活用することとしております。

 その上で、具体的な運用については、実際に発生した状況に即して、武力行使三要件に基づき、弾道ミサイルなどによる攻撃を防ぐため、他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の措置としていかなる措置を取るかという観点から個別具体的に判断をしていくものでございます。

 したがって、反撃能力の行使の態様については、実際に発生した武力攻撃の規模、態様などに即して判断されるべきものでありますので、一概に飽和攻撃云々かんぬんというのはちょっと判断ができかねるというところでございます。

穀田委員 判断ができかねるって、それはないでしょう。この間の浜田防衛大臣の答弁が、米国のように飽和攻撃ができる装備は今のところ持っていない、こう答えているんです。それを聞いているんじゃないですか。飽和攻撃の中身についてあれやこれや聞いているんじゃなくて、この答弁はこうなっているやろ、こう聞いているわけですやんか。

 だから、そうすると、論理の話ですやんか。今のところ持っていない、持てばやるということなんだなということなんですよね。

井野副大臣 ですので、先ほど御答弁申し上げたとおり、現時点において、反撃能力の行使態様について、具体的にどうするとか、直ちに我々から攻撃するとかいうことが、実際に発生した事象の中で武力攻撃の態様、規模を判断していくわけでございますので、現時点において、何をもって飽和攻撃だとかどうだということはお答えすることはできないということであります。

穀田委員 それはちょっと違うんじゃないですか。大臣の答弁に基づいて私は言っているんじゃないですか。

 ということは、個別具体的云々かんぬんということを言うんだったら、トマホークを飽和攻撃に使う可能性も排除されないということでいいんですね。

井野副大臣 そもそも飽和攻撃というもの自体が具体的にどういうものをおっしゃっているのかということも、ちょっとこちらとしては、穀田先生のおっしゃっている飽和攻撃がこれだというのか、それとも我々が考えているような飽和攻撃はこれだというのかが、そもそも一致しているかどうかということも分かりませんので、いずれにしても、武力攻撃の規模、態様等に即して判断されるべきものでございますので、一概にお答えすることは難しいということでございます。

穀田委員 ちょっと、それはないですよ。

 大臣が言っている答弁を私はそのまま聞いているわけで、私の概念を言っているんじゃないんですよ。大臣がそう言っているけれども、論理的に言えばそういうことだなと聞いているわけですやんか。

 あわせて、防衛省の予算文書によれば、トマホークの取得は二千百十三億円と書いています、イージス艦の垂直発射装置から発射可能な米国製の誘導弾を取得すると。そして、今度は発射プラットフォームの取得というところの中で、イージス艦に搭載する関連器材の取得等一千百四億円、トマホークとなっている。こういうことからすると、まさにそれは、大臣が言っている、飽和攻撃は今のところはないけれども、これでできちゃう、ということは、やるということだねと言っているんですよ。論理の話をしているんですよ。概念の話をしているんじゃないんですよ。

黄川田委員長 時間が参りましたので、答弁は簡潔に願います。

井野副大臣 大変恐縮ですけれども、どういう武力行使が行われたか、それに対してどういう反撃、はたまたどういう形で防衛、対処するのかということを、個別具体的な状況において判断されるべきものだというふうに考えております。

穀田委員 判断するべきものだということは、やるということは否定していないということじゃないですか。

 私は大臣の飽和攻撃について聞いているのに、私の概念をしゃべっているんじゃないんですよ。

黄川田委員長 申合せの時間が来ております。

穀田委員 はい、分かりました。

 最後、三月二日の東京新聞によれば、自衛隊の幹部は取材に対して、将来、米国と協力して飽和攻撃に使う可能性はあると認めているんですね。

 トマホークを飽和攻撃に用いることは、自衛のための必要最小限度の範囲を超えることになるのは明らかであります。憲法違反の敵基地攻撃能力として攻撃的兵器であるトマホークを導入することは認められない、そのことを改めて指摘し、ええかげんな答弁をするなということも改めて言っておきたいと思います。

黄川田委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 今日は、冒頭二問は、林大臣のG20の出席問題、そして価値観外交ということを、自分の時間の八割を使うつもりだったんですけれども、徳永委員を始め、ほぼ重複しますので、その二点についてはかなり絞って質問をしたいというふうに思っています。

 林外務大臣のG20出席問題については、先日、二月二十八日の予算委員会の締め総でも、私は、何が何でも参加してほしいということをお願いをしていました。結果的に参加できなかったことは極めて残念であります。

 これまでの議論でもありましたように、一つは、私が最近の外交で気になっているのは、今年はG7議長国なので多少仕方ないにしても、G7に余りにも偏り過ぎていて、日本外交の本来の、ある意味では強みである、途上国、新興国とのつなぎ役という部分がかなりおろそかになってしまうのではないか、今回のG20の参加見送りによってそういう受け取られ方をしても仕方ないんではないか、この辺、大きな危惧を抱いています。

 それから、もう一点は、先ほど鈴木貴子議員の質問の中で、有能な、また志を抱いて外務省に入ってくる、そういう外交官が辞めないように大事にしてほしいという趣旨の話がありましたけれども、私は、自分が外務省の職員の立場になったときには、そこの総大将である外務大臣が、国際社会の中では、平和を愛し、平和を追求する日本外交そして外務大臣であってほしいですけれども、国内にあっては、その日本外交の目的追求を阻害する勢力があれば、そこと思い切り戦って、蹴散らしてでもG20に参加する、それぐらいの姿勢を職員に見せなければ、外務省の総大将としての、また、外務省職員に対して士気を高ずることができない、私自身はこのように思っています。

 今までの論点と違うかもしれませんけれども、この二点について林外務大臣の見解を伺います。

林国務大臣 G7に傾斜をしているというお話がありました。

 私も、就任のときに最初に聞きましたのは、年に二回、G7の外務大臣会合というのが予定をされておる、こういう話であったわけですが、その後、ロシアのウクライナ侵攻に伴って、本来は、国連というものがあって、安保理というものがあって、そこが一義的に対応すべきものであったか、こういうふうに思いますが、御案内のような状況で、国連が若しくは安保理がリードするという状況ではない中で、代わりにと言ってはなんですが、G7が司令塔としての機能を果たさざるを得ない。

 こういう状況の中で、昨年一年を振り返ってみますと、G7の外務大臣会合を十一回行っております。それぐらいいろいろ話すべきことがあったということですが、そこでも議論になったように、グローバルサウスへの働きかけが重要であるということはG7の中でも議論されておるわけでございますので、G20そのものがG7も入ったG20ですし、G20の中に入っていない国の中にも先ほど申し上げたようにたくさんのグローバルサウスの国々がおられるわけですから、そういう意味で、いわゆるグローバルサウスというところに対する働きかけも含めてしっかりと意を用いてきたわけでございますが、今回の欠席ということがそういうふうに受け取られないように、今後もしっかりとやってまいりたいと思っております。

 また、職員のモラールの話でございますが、これは、職員一人一人に聞いてみるわけになかなかいきませんけれども、リーダーとしてといいますか、外務大臣として果たす役割の中で、職員が働きやすい環境、また、モラール、士気を高めていくというのは大事なことであると認識しております。

吉良委員 大臣がおっしゃったことは理解できるんですけれども、G7のほかの六か国から、日本は俺たちともっとつき合えよ、一緒になってやろうよ、少し途上国というかグローバルサウスの方に行き過ぎじゃないのと批判を受けるぐらいの外交を展開してほしいなというふうに思っています。

 それと、立憲民主さんも、G20については参加すべきだった、また、これからそういうルールを作っていきたいということでありますので、是非一緒にとは思っているんですが、今、国民民主党と維新の会とそれから有志の会で、是非、こういう重要国際会議については、国会としても、大臣の国際会議優先、そういうルール作りをしようじゃないか、そういう申入れをしようということで話をしておりますので、これは政府として答弁する立場にはないと思いますけれども、先ほど来、この外務委員会、外交に関わる議員でそれに反対する議員がいようとは思いませんので、是非今後は何が何でも参加していただきたいというふうに思っています。

 続いて、価値観外交、これについても先ほど来議論がありますけれども、私は、私自身の視点で幾つか話をしたいと思っているんです。

 共通しているのは、価値観外交を出し過ぎることによって国際社会の中である意味では分断を生じさせてしまう、これについての懸念がありました。私も同じような懸念を持っています。

 それから、二点目については、これは私は前回の外務委員会で申し上げたことなんですけれども、日本外交として、今でも国連改革を主導していきたい、G4と国連改革をやっていきたいという思いがある以上、国連の中において日本の支持を集める必要がある。そのときに、先ほど言っていますように、G7に偏ると、グローバルサウスと言われているような国々というのは、分かってはいるけれどもね、点々々々というのが必ずあるんですよね。

 ですから、日本が今後、国連改革を含めて、国際社会の中で外交的発言力を増していく、影響力を増していくという意味においても、価値観外交というような分断をあおってしまうような言葉は決して発しないようにしていただきたい、このように思っています。

 三番目については、その理由の一つは、やはりダブルスタンダードというレッテルを貼られると思っているんです。

 例えば、七年前までですか、ベトナムは日本のODA供与先ナンバーワンだったですよね。日本にとって極めて大事な国ですよね。特に、チャイナ・プラスワンという大事な日本の外交方針がある中で、ベトナムというのは極めて重要な国。けれども、ベトナムは民主主義国ですか。形上は中国と一緒の、やはり共産党一党独裁の国ですよね。けれども、ODA供与、ナンバーワン。

 それから、今、ミャンマーに対して、新規のODAは中止しているということではありますけれども、対ロシア制裁のような制裁を新たに科しているわけではない。それから、今回の国軍によるクーデター以前に実施していたプロジェクトについては継続している。これもある意味ダブルスタンダードではないのか。

 そして、私も外務副大臣、政務官をやっていた身なので、今は野党とはいえ、口に出していいのか分かりませんけれども、サウジアラビアという国も民主主義国ではないですよね。それから、タリバンではないにせよ、いろいろな意味で、イスラムの厳格な運用によって、我々が考える人権とは違う考え方を持った国ですよね。

 一方、アメリカもイランに対して制裁を科している。けれども、イランは、最高指導者は宗教の最高指導者ではありますけれども、大統領、議会については選挙がなされている国ですよね。一方、米国も同盟国だと言って大事にしている、我々も石油があるからサウジアラビアは大事ですけれども、民主主義国かどうかという点においては、イランですよね。こういうダブルスタンダードがもう見え見え。

 それから、これも、さっき言った私が元外務省に身を置いた人間として言っていいのか分かりませんが、時には、民主主義は、形上、民主主義だけれども、そこで生まれた大統領なりが長年にわたって独裁をしいていく、こういう例は、中央アジア、悪いけれども、ベラルーシも含めて、世界中至る所にあるわけです。

 これも本当は言葉を選ばなきゃいけないんですけれども、パキスタンにかつてブット女性首相がいました。そのときの御主人がいました。名前はあえて言いませんけれども、後に大統領になりました。林外務大臣も三井物産にいましたから、ブット首相の夫が当時ビジネスマンの間で何と言われていたか御存じですか。ミスター五%、ミスター一〇%ですよ。今のフィリピンのマルコス大統領のお父さんは、ミスター二〇%と言われていました。パーセントの意味が分かると思います。

 この余りにも腐敗した政権に対して、時のムシャラフ参謀総長がクーデターを起こした。クーデターは誰にも正当化できない、それは分かっています。けれども、当時のパキスタンに住んでいる人は、パキスタンとビジネスを私はやっていましたから、この腐敗し切った政権、それはムシャラフさんは怒るだろうなと。

 民主主義かどうかというのは、できれば民主主義がいいに決まっていますけれども、大事なことは、その国の人たちにとって、その国の人たちが幸せに暮らせる、その体制がどうかということではないのか。

 今私が申し上げたいろいろな例を見ても、形が民主主義かどうか。もう一つ言えば、一月六日、トランプ大統領はけしかけて、民主主義のまさに総本山であるキャピトルに乱入して死人まで出ている。悪いけれども、こういう国があちこちに行って民主主義だ、民主主義だと言って説得力が本当にあるのか。

 そういう意味で、私自身は、繰り返しになりますけれども、分断を助長しない、それから、日本がより多くの国から支援を受ける、そしてダブルスタンダードと見られない、このようなことから、価値観外交というのを前面に押し出すことはあってはならないと思っています。大臣の見解を伺います。

林国務大臣 委員から、民主主義に対する深い洞察に基づいて御質問いただいたところでございます。

 徳永先生とのやり取りと多少かぶるところもあると思いますけれども、普遍的価値に立脚した国際的な規範や原則は、途上国を含む国際社会の平和と安定、そして経済発展の基礎となるものでありまして、この普遍的価値を守り抜くことは我が国の外交の重要な柱の一つであります。

 同時に、今お話もありましたが、地政学的競争が激化する今日の国際社会におきまして、国境を越えて人類の存在そのものを脅かす地球課題に対応するためには、やはり価値観の相違とか利害の衝突を乗り越えて協力していかなきゃならぬということがある、しかも、かつてないほどそうなっているということであろう、こういうふうに思っております。

 まさに、先ほど人に迷惑をかけないと言いましたが、どんな人であっても一緒にみんなでいいことをやろう、こういうことではないかというふうに思っております。

 まさに、こういうときにあって、我々は日本らしいきめ細やかな外交を主導すべきだということでございまして、多様性と包摂性を重視するきめ細やかな外交を通じて、法の支配に基づく国際秩序の維持強化、これが国際社会全体にとって極めて重要だという点を強く訴えていくと同時に、気候変動、エネルギー、食料、保健、開発等のグローバルな諸課題の解決に積極的に貢献していきたいと考えております。

吉良委員 価値観外交ということで私は質問をしたんですけれども、今また普遍的という答弁があって、私にとっては価値観外交と普遍的というのは同じで、極論すれば、普遍的というのはあり得ないと私は思っているんです。

 あえて言います。熱帯雨林の気候下に住む人たちの生活上の価値観と、雨が全く降らない砂漠の人たちの生活の価値観、これは合うわけがないんですよ。

 前の外務委員会でも言いましたけれども、価値観外交だとか普遍的価値だと言っている人たちは、ほとんど温帯と寒冷帯に住んでいる人たちなんですよ。気候が違うと本当に生活が違う。当然、価値観が違うんですよ。

 前も言いましたが、私はあえて価値観が違うというので留学先にブラジルを選び、あちこち、みんなは飛行機で行くけれども、私はずっとバスで二万キロ、南米南部を冒険旅行しまくって、とにかく気候が違えばあらゆるものが変わってくるというのをずっと体験し続けて、その後の仕事でも途上国ばかり行き続けていますので、そういう砂漠の国、熱帯雨林の国、いろいろな気候条件が違う国で、温帯でぬくぬく、春夏秋冬がある国の価値観をある意味押しつける、おまえら、ここに到達できるのか、早く来いよ、これをやればやるほど分断が生じるということを強く訴えたいと思います。

 次に、大臣の所信の中でも、ウクライナに対する支援を継続、強化するというような趣旨の所信がありました。

 私も、ロシアの軍事侵攻、これは絶対悪であり、絶対許せないということと、ウクライナ支援そのものに異を唱えるものではありません。

 ただ、一方で、御承知のとおり、小麦の最大の輸入国であるエジプトは食料価格の高騰に苦しみ、そして、最貧国と言えるようなイエメン、それから、アフリカの角と言われるソマリアの人たちが今飢餓状態にある、餓死者も多く出ている、栄養失調の子供たちがたくさんいて、ちょっとした病気で亡くなってしまっている。ウクライナで起こっている紛争ではありますけれども、それが今言った何の罪もない地域の人たちの生活を、食料事情を苦しめてしまう。

 こういう中にあって、日本は、さっき言ったG7のほかの国から少々批判を受けようとも、ウクライナ頑張れ、頑張れといって武器だ何だ支援をするのではなくて、やはり、停戦を前提にして、ほかの六か国に対しても、どうやったら停戦できるのか、ここらで、日本の広島サミットを契機に、停戦に向けて、ロシア・ウクライナ間の戦争はもちろんのこと、今言った世界の飢餓にあえぐ国々を救う、そして、私たちも蚊帳の外ではなくて、日本の一般の庶民もこれだけ物価高騰、エネルギー高騰に苦しんでいるわけですから、早く今言った停戦に向けての体制を整えていこう、そういうリーダーシップを取るべきではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 ロシアのウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。この侵略は、主権、領土の一体性の侵害でございまして、国連憲章を始めとする国際法の諸原則の違反であるとともに、法の支配に基づく国際秩序に対する明白な挑戦でございます。

 ロシアは、引き続きウクライナに対する攻撃を続けているほか、プーチン大統領も、併合したウクライナの一部地域は交渉の対象ではないと述べるなど、歩み寄ろうとする兆しが一切見られないわけでございます。

 委員からお話がありましたように、グローバルサウスを始め、エネルギーや穀物で大変厳しい状況になっている国々は当然あるわけでございますが、今一番苦しい思いをしているのは何といってもウクライナの人々であろう、こういうふうに思っております。

 このウクライナの人々が懸命に祖国を守る努力を続ける中で、やはり、ウクライナの将来を決める交渉にいかに臨むべきかは、まずウクライナの人々が決める問題であろうというふうに考えております。

 こうした状況を踏まえて、侵略が長期化する中で、一刻も早くロシアの侵略を止めるために、G7議長国として、国際社会と緊密に連携しつつ、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進していきたいと考えております。

吉良委員 事が事なので、私も言葉を選ぶというか、これ以上突っ込みませんけれども、G7の国も、また多くの国も実は分かっている。分かっているというのはどういうことかというと、ウクライナは自分の領土を取り戻すまで絶対にやめない、これは気持ち的にも分かるし、周りも気持ち的に応援したいというのは分かります。

 ただ、あえて言えば、クリミアまで取り返すとなったときに、どれぐらい時間がかかるのか、どれぐらい影響が及ぶのか。割譲しろと言っているわけではありませんけれども、今、世界の中でも、クリミアについては一旦棚上げするということも含めて、とにかく停戦をすべきだという考え方も実はあるわけです。

 そういうことも含めて、今まではプランA、B、Cという中であるんだけれども、とても今の状況で言い出せない。それも含めて、やはり、今言った停戦に向けてのスタートを切るために、あえてそこに踏み込んでいただきたいなということを私自身は申し上げたいと思います。

 時間がないので最後は言いっ放しになるかもしれませんけれども、私が大臣所信の中で物すごく気になったことは、日米の経済版2プラス2を通じて、外交、安全保障と経済を一体として議論し、経済安全保障、ルールに基づく経済秩序の維持強化といった日米共通の課題について、一層連携を強化していきますと述べています。

 これも、気持ちは分かるんですけれども、大臣、対中国で、外交、安全保障上は我々にとって常に懸念、あえて言いますけれども。けれども、経済的には不可分の相互依存関係にある中国。そういうときに、この所信で述べているように、外交、安全保障と経済を一体に対処するということは正しい方向でしょうか。

 私は、正直、申し訳ないけれども、自民党の防衛の専門家と言われるある一人と話をしていて愕然としたことがあります。中国で車がどれぐらい年間売れているのかという話をしたときです。その人は言いました、五百万台ぐらいと。確かに日本は五百二十万台。コロナ以降というのは私は実力を反映していないと思っていますので、いろいろ指標を見るときは……

黄川田委員長 時間が経過していますので、御協力ください。

吉良委員 はい。

 一九年までですけれども、中国の国内販売台数というのは二〇一七年に二千七百万台、一九年も二千五百万台。本家本元のアメリカより一千万台多いんですよ。日本は五百二十万台です。自動車産業を経済のまさに推進産業としている日本で、この中国の車を買う力を無視した日本の経済が考えられますか。車だけじゃないです。

 私は、心情的には皆さん方と一緒です、対中国に対して。けれども、日本の経済を考えたときには、経済と外交、安全保障を一体にするという考え方には断固反対します。大臣、もう時間が来ているので一言で。

黄川田委員長 答弁は簡潔にお願いします。

林国務大臣 2プラス2についてお尋ねがありました。

 外交、安全保障と経済を一体として議論する、これは特定の国を対象としているわけではないわけであります。中国は日本にとって最大の貿易相手で、投資も非常に多い、これは委員がおっしゃるとおりでありまして、中国との経済関係についても、日本全体の国益に資するような形で、対話と実務協力を適切な形で進めていく必要がある、そういうふうに考えております。

吉良委員 ありがとうございました。終わります。

     ――――◇―――――

黄川田委員長 次に、内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣林芳正君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。

 改正の第一は、イタリアに在ローマ国際機関日本政府代表部を新設するとともに、同代表部に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めることであります。

 改正の第二は、在ウクライナ日本国大使館等の位置の地名を改めることであります。

 改正の第三は、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定することであります。

 改正の第四は、在外公館に勤務する外務公務員の子女教育手当の加算額の限度を改定することであります。

 改正の第五は、在外公館に勤務する外務公務員の子女教育手当の支給に係る例外規定を整備することであります。

 改正の第六は、外務公務員の研修員手当の支給額を改定することであります。

 以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額改定及び子女教育手当の加算額の限度の改定並びに研修員手当の支給額の改定については、令和五年度予算案に計上しているため、四月一日に実施する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。

黄川田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十五日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.