衆議院

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第3号 令和5年3月15日(水曜日)

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令和五年三月十五日(水曜日)

    午前九時八分開議

 出席委員

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君 理事 吉田 宣弘君

      秋本 真利君    上杉謙太郎君

      城内  実君    島尻安伊子君

      新藤 義孝君    鈴木 貴子君

      鈴木 隼人君    高階恵美子君

      高木  啓君    辻  清人君

      寺田  稔君    平沢 勝栄君

      青山 大人君    篠原  豪君

      松原  仁君    奥下 剛光君

      空本 誠喜君    金城 泰邦君

      長友 慎治君    穀田 恵二君

      吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   外務副大臣        山田 賢司君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   外務大臣政務官      吉川ゆうみ君

   衆議院庶務部長      梶田  秀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 伊藤 茂樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 原  圭一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 中村 仁威君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         間 隆一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     高階恵美子君

  青柳 仁士君     奥下 剛光君

  杉本 和巳君     空本 誠喜君

  鈴木  敦君     長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  高階恵美子君     伊藤信太郎君

  奥下 剛光君     青柳 仁士君

  空本 誠喜君     杉本 和巳君

  長友 慎治君     鈴木  敦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長志水史雄君、大臣官房審議官伊藤茂樹君、大臣官房審議官中村和彦君、大臣官房審議官原圭一君、大臣官房参事官今福孝男君、大臣官房参事官林誠君、大臣官房参事官中村仁威君、大臣官房参事官西永知史君、内閣官房内閣審議官平井康夫君、厚生労働省大臣官房総括審議官間隆一郎君、経済産業省大臣官房審議官藤本武士君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。辻清人君。

辻委員 おはようございます。自民党の辻清人でございます。

 いわゆる名称位置給与法について質問させていただきます。十五分という限られた時間ですので、特に名称位置給与法の給与法の部分に焦点を当てて、事務的なことも含めてぽんぽんと、特に志水官房長とやり取りをさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 私の心情として、外務省には、特に外務省の職員には本当に頑張ってもらいたいという気持ちでございますが、やはり先立つものがないとなかなかいい外交も行えないということで、特にこの一年、月並みな言い方ですが、我が国のみならず、世界的なインフレ傾向で非常に物価も上がっていて、国際的に活躍する外交官の方々も非常に苦労されているという話を聞いております。

 それで、今回の名称位置給与法の改定について、在勤基本手当の基準額を改定するとのことですが、基準額改定の背景と、また実際の在外職員に十分な手当額が支給されるようになるのかということについて、まずは質問させていただきたいと思います。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 在勤基本手当は、在外職員が本邦に勤務するときと同等の購買力を補償するために支給される手当であり、為替変動や物価上昇が進む中でも、在外職員がその職責に応じて能力を十分に発揮することができるように、適切な水準とすることが重要であります。

 在勤基本手当の基準額の改定に当たりましては、民間調査会社による生計費調査の結果を基に、為替変動及び物価上昇の影響も反映させたところでありまして、今回の改正におきましては、多くの在外公館で増額となっております。

辻委員 それで、今回の物価高も含めてなんですが、円安が一時期に比べて少しは今落ち着いてはいるんですが、現行の制度では、在勤手当予算を含めて円建てで組み立てているというふうに理解しているんですが、在外職員に為替リスクを負わせるべきではないと思うんですよね。

 今後、外貨建てで在勤手当を支給すべきだと私は思っているんですが、そういった今後の可能性、方針等々について言及していただけますでしょうか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年、急速な円安の進行により、円貨建てで支給される在勤基本手当の受給額が大幅に目減りする事例が発生いたしました。このため、昨年におきましては、複数回にわたり手当額の増額改定を行うことで対応したところでございます。

 在外職員がその職責に応じて能力を十分に発揮することができるように、適切な水準の手当を支給することは非常に重要でございまして、今委員の御指摘のあった外貨建てとすべきとの御指摘の点を含めて、為替変動を踏まえた手当の支給の在り方について不断に検討しておりまして、外貨建てに関しても現在真剣に検討しているところでございます。

辻委員 ありがとうございます。

 真剣に検討しているということで、心強い限りでございますが、是非そういう方向で進めていただいて、一刻も早く職員の方々の日々の生活も含めてサポートしていただけるように、よろしくお願いします。

 次の質問で、今国会といいますか、今の岸田政権の目玉政策の一つは、子育て、特に、四月にこども家庭庁が発足するということもあって、外交官職員の方々も実際に海外に御家族で一緒に出向する方が非常に多い中で、今回の法律で、在外子女、特に子女教育の手当に関する改正、これについての概要をまず説明していただけますか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 在外職員には、子女の就学に必要な経費に充当するため、子女教育手当を支給しておりますけれども、近年の授業料の上昇などにより、特に幼稚園就学子女を持つ在外職員の経済的負担が増大しております。

 この状況を踏まえまして、子女教育手当における幼稚園に関する加算上限額を、今回の改正案におきまして、四万三千円から五万一千円に改定することをお願いしているところでございます。

 また、子女教育手当は月額支給されますが、職員の離任の日以降は、離任の理由や経緯にかかわらず支給が停止されることとなっております。

 今回の改正におきましては、任国政府による離任要請、戦争や災害などの影響による帰朝、転勤のような真にやむを得ない場合には救済を可能にするため、納付済みの学費に関する子女教育手当を一括支給することができるよう例外規定を整備することをお願いしているものでございます。

辻委員 それで、官房長、実際の職員の方で、海外に赴任されている方で、教育を子女に受けさせている方の話を聞くと、例えば、インターナショナルスクールに御自身のお子さんを通わせている、例えばそれをA国としましょう。そこのA国からB国に移る。B国は、インターナショナルスクールもあるけれども、日本の駐在の方々が非常に多い地域なので、日本語の補習校を含めて、そういう学校に行かせるオプションもある。しかし、その駐在のA国からB国に移った方は、自分のお子さんがインターナショナルスクールに行っていたので、継続してインターナショナルスクールにB国でも行かせたい。ただ、そこの教育費の算定の基準で、結局、インターナショナルスクールにB国ではなかなか行かせられないという話をよく聞くんですね。

 そこの部分での柔軟性、そこについて選択の自由という幅をもう少し広げてあげてもいいんじゃないか。もちろんこれは考え方があるというふうには理解しているんですが、そこについて言及していただけますか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 在外職員の子女が現地におきまして小中高に通う場合には、各在勤地において、学校の種別ごとに邦人子女が就学するのに適する学校の中で最も低廉な学校を基準校として設定し、その学費のうち、日本国内の公務員の教育費支出に相当する自己負担額である二万二千円を差し引いた額が支給されることになっております。

 他方におきまして、委員の御指摘がありましたけれども、日本人学校が所在する在勤地におきましては、子女が合理的な理由なしにインターナショナルスクールに就学する場合には、月額十五万円を上限としております。

 この合理的な理由ということに関しましては、今までは日本語の学校にいたんだけれども、今回はいい機会だからインターナショナルスクールに行こうということであれば、これは合理的な理由があってインターナショナルスクールに就学した場合ということには認定されないんですけれども、委員が御指摘のあった例のように、今までずっと英語ないしはフランス語などで教育を受けてきて、今回新しいところでもそのように継続したいというようなこと、ないしは、今の例と重なりますけれども、配偶者の方が日本ではない英語圏の方、フランス語圏の方などなどの出身の方であるということで、御家庭でもそういう言葉を使っておられるといった合理的な理由がある場合には、先ほどの月額十五万円上限というのを外すというような形で、可能な限りの範囲でございますけれども、柔軟な対応をするように心がけているところでございます。

辻委員 ありがとうございます。

 ケース・バイ・ケースですけれども、この前提にあるのが、世界にある日本語学校の実際の教育水準の底上げというものが一つ前提としてやらなければいけないこともあるんですが、正直に申し上げまして、いろいろなケースが各国の日本語学校であると思うんですね。自分たちのお子さんをインターナショナルスクールに通わせたい、そういう選択肢でかなり持ち出しをしている職員の方が多いと聞いているので、合理的な範囲でいろいろと頑張っていらっしゃることは分かっているんですが、今後、より多くの職員が海外で子育てをする中で、臨機応変に対応していただくことを望む次第でございます。

 今日は配付資料を用意させていただきましたが、これは何かというと、女性の国家公務員の採用状況について令和四年度付で内閣人事局が調査したものですが、女性の国家公務員の採用は伸びています。令和四年度で国家公務員全体に占める割合は三七・二%ですが、二枚目は公務員の採用状況における各省庁の割合でございまして、外務省を見ていただくと、令和四年四月一日付で全職員の五七・七%が女性。これはほぼトップです。内閣法制局が六六・七%ですけれども、総人数が三人なので、外務省はそういう意味では非常に女性の採用比率が高いわけでございます。

 これは私は非常にすばらしいことだと思っていて、是非トップランナーとしてこれからも頑張っていただきたいと思うと同様に、これから各国にそれこそ外交官として赴任する方々、男女共になんですが、いろいろと、例えば、さっきお話しした教育の問題もそうですが、出産なども海外で行ったり、また一時帰国したりする職員の方は増えていくと思うんですね。

 その際に、今度政府でも出産の一時金を増やすという方針が決定しておりますが、外国で出産をされるというふうに職員が決められた場合の金額はどうなるのか、加えて、日本に帰国して出産したいという場合の費用についてはどうするのかということをお聞かせください。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省におきまして、外務省共済組合におきまして、在外職員又はその被扶養者が海外で出産する場合、在外出産費を支給しているところでございます。

 この額につきましては、海外で職員又は職員の被扶養者が出産した場合の費用の実績額に基づき、外務省共済組合定款によりまして、現在はその額を四十七万五千円ということに定めているところでございます。

 それから、国内での出産の場合につきましては、これも政令におきまして定めておりますけれども、申し訳ございません、今手元に数字がございませんので、確認させていただければと思います。

辻委員 済みません、よろしくお願いします。

 最後の質問になると思います。(志水政府参考人「数字がありました」と呼ぶ)では、官房長、答えてください。

志水政府参考人 失礼いたしました。

 国内におきましては、国内の出産一時金は現在四十二万円ということになっておりますけれども、関連法令が四月一日から改定されることに伴いまして、五十万円に増額される予定になっております。

辻委員 ありがとうございます。

 今日は細かい数字も含めて官房長とやり取りさせていただきましたが、こうやって外務省を選んでいただく職員の方々が恐らく日本の外交のこれからの足腰であることは、これは紛れもない事実だと思いますので、是非とも、公務員全体に言えることですが、非常に厳しい経済状況の中でございますが、そういった後顧の憂いなく外交現場でつかさつかさで仕事をしていただきたいというのが私個人の心情でもあって、それが国家の繁栄につながると私は思っていますので、残余の質問については時間の関係上質問できませんが、是非この法律が速やかに成立することを祈念しまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

黄川田委員長 次に、金城泰邦君。

金城委員 おはようございます。公明党会派、金城泰邦でございます。

 それでは、本日の名称位置給与法の一部改正案につきまして、通告に従い質問させていただきます。初めてですので、基本的事項の確認も含めて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 初めに、在ローマ国際機関日本政府代表部の新設について伺います。

 一点目。イタリア・ローマに本部を置き、農林水産業を専門とする国連専門機関である国連食糧農業機関、FAO、国連世界食糧計画、WFP、国際農業開発基金、IFADに対応する日本政府代表部の設置と伺いました。これまでは、それら国際機関には在イタリア日本大使館の専門班が対応していたとのことです。

 今回、公館を新設することについて、どのような目的がありますでしょうか。御説明をお願いいたします。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 ローマには、国連食糧農業機関、FAO、国連世界食糧計画、WFP、国際農業開発基金、IFADという食料、農業関連の国際機関が所在いたします。これら国際機関とも連携しつつ、我が国の食料安全保障を確保するとともに、グローバルな食料市場の安定化を確保していくことは、我が国の外交を進める上で不可欠と考えます。

 これまで我が国は、在イタリア大使館員がさきに申し上げたローマの三機関についてフォローしている状況でございましたけれども、代表部設置により、更なるプレゼンス強化及び代表部間での緊密なネットワークの形成、連携に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

金城委員 ありがとうございます。

 次に、二点目。現在、世界の食料、農業問題は、紛争、経済情勢、気候変動、肥料、飼料の価格高騰などにより、危機的状況と言われています。日本でも、食料安全保障に対する議論が高まってきております。今後、食料、農業問題に、日本政府を挙げて全面的、積極的に対応しなければいけないと思います。

 そこで、お伺いいたします。

 同代表部の体制は十分な体制を取り、世界をリードするような存在になっていただきたいと思います。そこで、職員は何人で、どのような組織となるのか、また、同代表部事務所はどこに置くのか、在イタリア日本大使館とは別に設置されますでしょうか、また、どのような活動を展開されますでしょうか、そして最後に、世界をリードするために、野心的にFAOやWFPやIFADの事務局長や次長への日本人就任を目指すべきと考えますが、外務大臣の御決意をお伺いいたします。

林国務大臣 在ローマ国際機関の日本政府代表部でございますが、在イタリア日本大使館の兼轄公館として新設をする予定でございまして、同大使館のうち複数名が在ローマ国際機関日本政府代表部を併任する予定でございます。

 代表部設置によるプレゼンス強化に加えて、代表部間での密なネットワーク形成及び連携に向けた体制づくりが必要でございまして、そういったことから今回の新設の要求に至ったところでございます。

 具体的には、今回の新設を踏まえまして、国際的な食料問題に対応すべく、FAO、WFP及びIFADという在ローマの三国際機関との連携を一層強化するとともに、在ローマの各国の代表部とともに、密接に情報交換、意見交換をしてまいりたいと思っております。

 また、国際機関職員、これは中立的な存在であることが求められる一方で、やはり日本人幹部が世界で活躍すること、こういうことで国際機関との連携がしやすくなりまして、また、そうした職員が日本の顔ということになっていきますので、政府としても、国際機関の幹部ポストの獲得、これを重視をしております。

 引き続き、外務省として、関係省庁と緊密に連携しながら、FAO、WFP及びIFADを含めた国際機関の幹部ポストの獲得、これに向けまして一層強力に取り組んでまいりたいと考えております。

金城委員 大臣、ありがとうございます。

 日本はこういった機関にも拠出金等を多く出しておりますし、今後は、そういったポジションをしっかり取っていただいて、日本が世界の外交をリードしていく、そういうPRを是非やっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、令和四年七月の外務人事審議会の激動の世界における力強い外交・領事活動の積極的展開に向けた勧告によりますと、二百五十公館体制を目指すとありますが、外務省として、目標とする二百五十公館体制の進捗は現在どのような状況でしょうか、お伺いいたします。また、これまでに在外公館を拡充してきたことによる外交成果について、御答弁をいただきたいと思います。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の令和四年七月の外務人事審議会の勧告におきましては、「引き続き二百五十公館の目標の達成を戦略的に目指しつつ、その「数」のみならず、真に外交・領事実施体制の抜本的な強化につながる「質」の拡充を図ることが重要」と指摘されていると承知いたします。

 これまでも在外公館の新設等の体制の強化に努めてきているところでありますけれども、在外公館数につきましては、現在、具体的には令和五年一月現在では、二百三十一公館まで実館数が増加しております。また、質に関しましては、定員の増強や職員の待遇の改善、公館施設の整備にも努めているところでございます。

 成果ということでございますけれども、これらの在外公館は、外交の最前線での情報収集、戦略的な対外発信、邦人保護などの分野で重要な役割を果たしているところでございます。

 在外公館の新設に当たりましては、その時々の国際情勢や各国、各地域の動きを注視しながら、二国間関係の重要性に鑑み、総合的に判断してきているところでございまして、引き続き、既存の公館の機能強化も図りつつ、今後とも適切に判断してまいりたいと考えているところでございます。

金城委員 ありがとうございます。

 是非、今後またますます外交成果を高めていただく、そういう取組を推進していただきたいと思います。

 続きまして、在外公館職員の各種手当の改正について伺います。

 一点目。在勤基本手当について、急激な為替相場の変動に対応するため、今回、基準額を改定するとのことですが、今後、円高になった場合は手当額を引き下げるのでしょうか。為替の変動相場制に対応したシステムを検討する必要はありませんか。また、先ほど紹介しました外務人事審議会勧告には、ドル建て、外貨建て支給についても言及されております。先ほど辻先生の質疑にもありましたとおり、複数回検討、改定してきたという作業の報告も伺いました。

 このような形で、今後に向けて制度改正の検討が必要ではないかと私も思っておりますが、改めて御答弁を伺いたいと思います。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 在勤基本手当の支給額は円貨建てで設定されておりまして、為替相場の影響を受けるため、足下の為替変動の状況を踏まえながら、必要に応じて手当額の改定を行うことで、適切な水準の手当を支給しているところでございます。

 昨年、急速な円安の進行により在勤基本手当の受給額が大幅に目減りする事例が発生し、手当額の増額改定を行うことで対応しましたけれども、逆に、委員御指摘のあった円高が進む場合には、今度は支給額の減額改定を行うことになるところでございます。

 こうした支給額の改定の仕組みにつきましては、これも委員御指摘のとおりですけれども、外務人事審議会より、在勤基本手当などの外貨建て支給に向けた制度改正やそのために必要な予算の手当てを雇用者たる国の責任で早急に実現すべきとの緊急提言をいただいたところでございます。

 在外職員がその職責に応じて能力を十分に発揮することができるよう、適切な水準の手当を支給することが重要でございまして、先ほど辻委員の御質問にもお答え申し上げましたように、御指摘の外貨建て支給の点も含めて、手当の支給の在り方は不断に検討しておりますし、外貨建て支給に関しましては真剣に検討しているところでございます。

金城委員 ありがとうございます。

 続きまして、アメリカ等の大学等における学費の高騰により、研修員手当の支給上限額でも授業料等を全て賄うことができず、自己負担を強いられている方もいるとお伺いをしました。これではかわいそうではないかと思います。

 研修員手当のうち、授業料等に充当される部分については実費で支払うように改正すべきと考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 在外研修員に対しましては、名称位置給与法に基づき、学費や生計費に充当するために、在勤手当と言われるものの中で研修員手当を支給しているところでございます。他方、近年の学費の高騰などによりまして、学費が研修員手当の上限額に収まらず、一部を自己負担せざるを得ない研修員が発生しておりました。

 このような状況を解消すべく、今般の名称位置給与法改正案におきまして、現行の上限額より高い支給額の号を設置するようお願いしておりまして、これにより、学費を自己負担する状況は基本的には生じないものと考えております。

 在外研修員が、学費を自己負担するようなことなく、外務公務員として必要な基礎的な知識、能力及び教養を増進することができるよう、適切な水準の額を支給することは重要でございまして、委員から実費支払いの御指摘もございましたけれども、支給の在り方を不断に検討していきたいと考えております。

金城委員 是非しっかりと検討を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、今の日本にとって外交は最重要の課題であります。在外職員、外交官等は重要なマンパワーであります。今後、外交官を目指す若者が魅力を感じる職種にふさわしい処遇の考え方が必要だと思います。

 国内にいるより負担が重くならないよう配慮するべく、不断の改正が必要と考えますが、外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 委員がまさにおっしゃっていただきましたように、外務省の省員一人一人が海外での様々な勤務環境の中で能力を十分に発揮できるように適切に処遇すること、これは外交実施体制の強化のために大変重要だと考えております。

 在勤手当、今御指摘があったように、本邦勤務時より過度な負担が生じないよう配慮するということも含めまして、在外職員がその職責に応じて能力を十分に発揮する上で適切な水準の手当を支給できるように、不断に検討を行ってまいります。

 こうしたことを通じて、現職の外交官の姿を若い人に見てもらって、また新たな若い人たちがこういった仕事を志していけるように、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 本当に、外交の大切さというのは、今ほどその重要性を感じる世界情勢はないんじゃないでしょうか。

 先日、三月六日から十日にかけてということで、三月十日、海外におきましては、サウジアラビア、イランが、中国の仲介によって外交関係を回復させたというニュースが出ておりました。

 これにつきまして、サウジアラビアとイランというのは、双方の外交関係を回復させ、二か月以内に双方が大使館、代表機関を再開させ、相互に大使を派遣、そして双方の関係強化について討議することが決まった。中国が仲介に入ったサウジアラビアとイラン、中国の三か国は、地域の平和と安全を強化するよう自ら進んで尽力すると表明しております。

 やはり外交の取組というのは非常に重要だと思っておりますし、これからますます重要と思っておりますし、政府としても、しっかりと戦略を持って、外交に力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。よろしくお願いいたします。

 在外公館法の改正についてですが、こういった中身のものなので、さきの質疑者といろいろ重複するところが多いかと思いますが、御容赦いただきたいと思います。

 まず初めに、在ローマ国際機関日本政府代表部についてですけれども、最初は兼館といっても、こうした代表部をつくっていくということは、将来的には実館化も目指していたりとか、人員の補充なんかというのも視野には入っていると思うんですが、今後、そういったことをどういうスケジュールでやっていく御予定なのか、分かる範囲で大臣の御見解を伺いたいと思います。

林国務大臣 ローマにFAO、WFP、IFADという食料、農業関連の国際機関が所在しておりまして、こうしたこれら国際機関と連携しながら、我が国の食料安全保障、これを確保するために、グローバルな食料市場の安定化を確保していく、これは我が国の外交を進める上で不可欠です。

 在イタリア大使館員がローマ三機関についてフォローしている状況でしたわけですが、代表部設置により、更なるプレゼンス強化及び代表部間での密なネットワーク形成、連携に取り組んでまいりたいと思っております。

 なお、今お話がありましたように、兼館として新設することを予定しておりまして、人員の増強、それから、独立した公館とする実館化につきましては、まず、今後の業務状況等をよく見極めてまいりたいというふうに思っております。

源馬委員 ありがとうございます。

 次に、在勤基本手当について伺いたいと思います。

 これは、基準額の七五%から一二五%の範囲で政令で定められるということになっていると思いますが、今回のような急激な為替変動などでこの範囲を超えてしまう場合というのはどういうふうに対応するのか。実際に、シンガポール大使の基準額は六十九万円でしたけれども、令和四年の政令で在勤基本手当の支給額は八十六万円、一二四・六%で、まさにぎりぎりだったわけでございます。

 それを考えれば、今国会じゃなくて臨時国会でこの法改正をするということも考えられたと思うんですが、この辺りについての経緯と御見解をお願いいたします。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 在勤基本手当の支給額は、在外公館名称位置給与法の規定によりまして、委員御指摘のとおり、法律で定める基準額の上下二五%以内で政令で定める額とされております。

 したがいまして、為替の変動等を受けて基準額の上下二五%の範囲を超える調整が必要な場合には、名称位置給与法を改正し、基準額の改定を行う必要があるところでございます。他方で、基準額の上下二五%の範囲内であれば、政令改正による調整が可能でございます。

 その上で、昨年の臨時国会時点では、基準額の二五%を超える改定が必要となる公館が見込まれなかったため、改正法案を提出しなかったところでございます。

源馬委員 ありがとうございます。

 そう考えると、先ほども質疑に出ていましたけれども、やはり私も外貨建ての支給というのを本当に真剣に検討していくべきではないかというふうに思います。ほかの国ではほとんどが外貨建てで支給をされているということですし、外務省に事前に聞いたら、昨年から本格的に議論し始めた、こういうことだと思いますが、ちょっとそれも遅過ぎるなというふうに思いますが、外貨建てでの支給についての大臣の御見解というか、御意思をちょっと確認させていただきたいと思います。

林国務大臣 在勤基本手当の支給額は、今お話がありましたように円貨建てで設定されておりまして、為替相場の影響を受けるわけでございますので、足下の為替の状況を踏まえて、必要に応じて手当額の改定を行うということで対応しているところでございます。昨年、急速な円安がございましたので、この手当額の増額改定を行うことで対応したところでございます。

 職責に応じて能力を十分に在外職員が発揮できる、これは大事なことでございまして、その意味で、適切な水準の手当の支給、これは重要であります。外貨建てにすべきという今御指摘の点も含めて、為替変動を踏まえた手当の支給の在り方、これは不断に検討してまいりたいと思っております。

源馬委員 是非前向きに検討していただきたいと思います。

 私もそんなにハードルが高い話じゃないんじゃないかなと思うんですけれども、何か考えられる課題とか、クリアしていかなくてはいけないことというのはどんなことがあるのか、教えていただきたいと思います。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 在勤基本手当を外貨建てで支給するということにする場合に、現在、在外公館で勤務している職員に関しましては、給与であるとか手当に関しまして、例えばですけれども、共済組合の掛金をそこから差し引くというような作業が必要でございまして、現在は円貨建てでございますのでその部分は円滑にできるんですけれども、これをドルなどなどで支給するということにしますと、法律の別表に外貨で記載されるということでありますけれども、では、外貨で建てられた手当の額から必要な共済の掛金などなどを差し引く場合にどういう計算をするのかというのは、簡単なように見えて、実はいろいろと技術的には考えなければいけないというようなことがございますので、そのような技術的な問題について現在検討しているところということでございます。

源馬委員 ありがとうございます。

 次に、子女教育手当の例外規定について伺いたいと思います。

 今回、学費を先に払っていて、例えば相手国から離任の要請があったりとか、あるいは戦争、災害があったときに、先に支払っちゃっているんだけれども帰らなきゃいけないとき、その学費分を手当てしよう、そういうお話だと思いますが、これはもちろん結構だというふうに思います。

 一方で、普通の離着任のとき、それも学期の区切りと必ずしも重なるわけじゃなくて、学期の途中、もう既にセメスター分、学費を払ってしまっているというケースは、むしろ戦争とか相手国の要請よりも実際に存在している例も多いと思うんですね。

 このときも、やはり外交官の方に何の瑕疵もないわけですから、その分の払ってしまった学費分については例外的に手当てした方がいいのではないかと思いますが、そういった検討をされているのか、あるいは今後していくつもりがあるのか、教えていただきたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 まず、子女教育手当につきましては、在外公館名称位置給与法等の規定に照らし、原則として、就学した機関の経費に関して月ごとに支給をしているところでございます。

 通常の人事異動等につきましては、まずは、人事政策上、運用で問題発生を回避できる余地を検討する必要があることから、今回の例外規定の対象としてはおりませんが、いずれにいたしましても、子女教育手当等の支給の在り方につきましても、委員御指摘の点を含め、不断に検討を行ってまいります。

源馬委員 ありがとうございます。

 次に、ちょっと秋本政務官に伺っていきたいと思います。

 この度、いろいろな週刊誌報道もありまして、衆議院そして参議院の予算委員会などでも度々疑惑を追及されていると思います。週刊誌にも本当に何週も連続で出られるようになって、大変疑惑を皆さんに持たれているというふうに思いますね。

 秋本政務官が雇用している政策秘書のB氏が別のCさんという方に業務委託契約をして、そのBさんの公設秘書の給与からCさんにお金を払い、そのCさんを秋本政務官は実際秘書として使用をしていた、これは秘書給与法違反ではないか、こういう疑惑があるわけですね。

 秋本政務官は、C氏はあくまでもBが業務委託をしていた人であって、自分の秘書ではないということを言い張っていますが、名刺も持っている、メールアドレスも持っている、そして実際に業務の指示も秋本政務官が直接しているということです。

 C氏がもし日常的に秋本政務官の秘書として働いていたならば、公設秘書のBの給与でCの給与も賄っていたということなので、これは秘書給与法違反であると思います。

 ですから、どれだけCさんが直接秋本政務官の指示を受けて秘書として業務をしていたかということと、それから、政策秘書のBにどれだけ勤務実態があったのか、これが問題になると思います。仮に、Bがほとんど勤務していなくて、BがCに業務を頼むのではなく、Cが日常的に秋本政務官の直接の指示の下で秘書業務をしていたら、これはもう明らかに秘書給与法の違反だというふうに思います。

 そこで、いろいろ伺いたいと思います。

 参議院の予算委員会で塩村議員が質問しておりまして、その場では答えられないという御答弁でした。私も通告しています。秋本政務官からCさんに直接、電話で、あるいはLINE、それからショートメール、あるいはアプリ、ファクス、メール、直接口頭、分かりませんが、それぞれ何回ぐらい、直接仕事の指示を出していましたか。

秋本大臣政務官 御質問のC氏は、政策秘書であるB氏の政策秘書業務を補完するために、B氏が過去に業務委託をしていた者でございます。

 政策秘書がその業務のサポートを受けるために自費で第三者に業務委託をするということについては、違法性はないというふうに思っております。

 また、B氏からは、必要があるときに直接C氏に指示することを事前に了解を得ていました。ですから、直接指示したことがあると、もう既に二月の予算委員会でもお答えをしているということでございます。

源馬委員 私が質問しているのは、何回指示したんですかというのを聞いています。参議院の予算委員会でもこのやり取りでした。何回指示したんですかと言っても、違法性がないとか、全然関係ないことを答えられる。何回指示されたんですか。

秋本大臣政務官 先ほども申し上げたとおり、政策秘書が自らの業務のサポートを受けるために第三者に自費で業務委託をするということについては、違法性がないというふうに思っています。

 その上で、これらの記録は、日常的なやり取りも含む私信でございまして、回数も含めて、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

源馬委員 回数を聞いているんです。何回指示したんですか、直接。参議院の予算委員会でも、それは確認しますという答弁だったんじゃないですか。

 それぞれ、何が、メールで、Eメールなんですか、ショートメールなんですかみたいに、質問者に逆に質問していたじゃないですか、それが分からないと回数も分からないと。それを今示しましたから、事前に通告もしていますから、何回指示されたんですか。

秋本大臣政務官 繰り返しになり申し訳ございませんけれども、日常的なやり取りも含む私信でございます。回数も含めて、お答えは差し控えたいというふうに思います。

源馬委員 全く不誠実ですね。

 私信だから回数も控えるって、私信の中身を全部明らかにしろみたいなことを言っているわけじゃないんですよ。しかも、秘書給与法違反の疑いがある案件だからこれを聞いているわけです、政務官として。そういうふうに回数も含めて答えない、それでは国会の質問の意味がないじゃないですか。

 だから私は、事前にその一部を、政務官が直接指示をしている一部のやり取りを、Cさん御本人の携帯をある方が写したものをいただきまして、今日資料提出しようと思いましたが、自民党の筆頭理事から、認められないという御返答でした。その理由もしっかり、国対が駄目と言ったということですが、なぜこの資料配付ができないのか、理事会にちゃんと報告していただきたいと思います。

黄川田委員長 理事会で協議いたします。

源馬委員 ここにたくさんあるんですよ、直接指示しているのが。もう本当に、数え切れないから答えられないというなら何か分かる気がするほど、たくさんあります。

 例えば、ほかの秘書さんの名前を挙げて、誰々は不正確だし私と違うことを言いそうなので指示は受けなくてよいです、私に確認してください、ほかからの指示は無視してよい、これは週刊誌でも報道された内容です。

 これは、本当にこういうことなんですか。例えば、Bさんからの指示も無視してよい、私だけの指示を聞いていればよい、これは秋本政務官の御意思なんでしょうか。

秋本大臣政務官 それはメール全体を見てもらいたいというふうに思いますけれども、そのメールは、C氏に対し、ほかからの指示は無視してもいいよねというような内容だというふうに今委員がおっしゃいましたが、C氏から助言を求められた際、私以外の地元のスタッフが各々異なるメールあるいは指示をすれば、C氏は混乱をしてしまうわけであります。ですから、私に確認をするようにといったこと、そういった内容でございます。(発言する者あり)

源馬委員 本当にそうです。全体を読まなきゃ分からないというんだったら、ちゃんと資料を出してください、秋本政務官が。回数すら言わないのに。

 でも、実際に、ほかからの指示は無視してよい、そういうふうに言っているんですよ。それから、例えば、じゃ、あしたは会館へ来てくださいと。まさに直接指示じゃないですか、これは。本当にいろいろあります。

 こういったことを、事前にB氏の許可を得ていたというふうにおっしゃいますが、それはその都度、こういった指示を出すその都度、Bさんから許可を得ていたんですか、それとも、最初に包括的に、今後、Bさんを通さなくてCさんに指示していいですよという許可を一括で取っていたということなんですか。

秋本大臣政務官 都度都度の許可は取っておりません。B氏を通じて指示をすることもあれば、B氏の了解の下でC氏に直接指示をするということもございました。

 いずれにしても、B氏の包括的な許可、承諾、了解の下でC氏に直接指示をしていたということでございます。

源馬委員 何かそれは書面で残っているんですか。

秋本大臣政務官 私とB氏がしっかりと確認をしているということでございます。

源馬委員 書面は残っていないということですね。

秋本大臣政務官 都度都度の許可は取っていないということでございます。

源馬委員 都度都度も取っていないし、そうした許可をするというような書面も残っていないということなんですね。それはそうだろうなというふうに思います。

 それで、政策秘書の名義であるこのBさんは、議員会館で週にどのぐらい働いているんですか。

秋本大臣政務官 B氏は弁護士業務も行っていることから、兼業届も出しまして、フレックス形態、ましてや、二〇二一年でございましたので、コロナ禍ど真ん中ということもありまして、リモート対応をしております。業務の必要に応じた勤務場所の選択を許可しておりますので、週に何回と決めておりません。

源馬委員 では、Cさんは、その二一年、コロナ禍ど真ん中、議員会館で週に何回働いていましたか。

秋本大臣政務官 先ほども申し上げましたとおり、業務の必要性に応じた勤務場所の選択を私の事務所は許可をしております。ですから、週に何回というふうに決めておりません。

 国会でもいろいろ議論していますけれども、多様な働き方を認めるという中で、先ほども申し上げたとおり、私の事務所は業務の必要性に応じた勤務場所の選択を許可しております。

源馬委員 聞いていないことを答えないでいただきたいと思います。

 Bさんにはそういうふうにフレックスで、私が聞いたところ、月に一回ぐらいということでしたけれども、Cさんには直接、あした会館に来いとか指示しているじゃないですか。多様な働き方とかいいながら、Cさんには会館に来いと言っているじゃないですか。

 私、Cさんとも直接お話をしました。月曜から金曜、九時から六時で大体勤務していた、週に二日は半日勤務のことがあるが、その分、国会見学の早朝の受入れとか、選挙のときは八時から八時まで働いているので、その分を埋め合わせとしてくれと言われたと。毎日働いていたんじゃないですか。

 一方で、Bさんは、本当の政策秘書のはずであるBさんは、月に一回しか働いていなかったと。しかも、Cさんは、自分がした業務の報告をBさんにしたことはない、全て秋本政務官に報告していると。もう実質的な秘書じゃないですか。

 ところで、参議院の予算委員会で、塩村議員への答弁で、Cさんの名刺は、秋本事務所の秘書の名刺ですね、Cさんが自らBさんに頼んで作ったというふうに答弁していますが、これは本当ですか。もう一回確認してくださいと通告していますが、本当ですか。

秋本大臣政務官 Bからそのように聞いております。

源馬委員 Cさんは違うと言っています。Bさんの名刺も持っていったときに、あれ、私にも名刺があるのとBさんは驚いていた、政策秘書がですよと言っていました。

 衆議院事務局に伺いたいんですが、こうやって公設秘書を雇い、その人が勝手に業務委託をしてほかの人を雇って、その人を直接的に議員が秘書として使う、こういうことは秘書給与法で認められていることなんですか。

梶田参事 お尋ねのような事例につきましては、秘書給与関連の法規の想定するところではなく、直接の定めがありませんので、お答えする立場にございません。

源馬委員 この答弁も事前にやり取りさせていただきましたが、つまり、想定されていないことなんですよ。違法性がないと威張っていますけれども、そういうことじゃなくて、本来、そんなことは普通しないだろう、そういう法律なんですよ。それを悪意を持って利用している。ただ、規定がないから、法には触れていない、違反ではないと言い張っているだけだと思います。

 Cさんを知ったのは、Bさんを雇った後、Bさんから秋本政務官は紹介されたんですか。

秋本大臣政務官 Bの前任者がBを会館に連れてきた際に、その際に同行してきたということでございます。

源馬委員 つまり、Bさんを採用する際の面接、Cさんも一緒だったわけですね。だから、セットで採用の面接をした、そういうことでよろしいですね。

秋本大臣政務官 前任の政策秘書も弁護士資格を有する者でございました。この前任者が辞めるということになりまして、紹介されたのがB氏でございます。B氏からは事前に、弁護士業務の兼業やフレックスやテレワーク勤務の希望があるとともに、秘書業務を補完するための者を使用したいとの申出がございましたので、これを承諾いたしました。そして、前任者がB氏を会館に連れてきた際に、B氏が業務委託をするC氏も同行してきて、B氏からC氏の紹介を受けたということでございます。

源馬委員 だから、最初から確信犯的じゃないですか。政策秘書に雇うBも、そして実際に業務をするCも一緒に面接をして、その二人で、一人の公設秘書の給与で仕事を賄う、最初からそのつもりで面接もしているんじゃないですか。違いますか。

秋本大臣政務官 政策秘書がその業務のサポートを受けるために自費で第三者に業務委託をするということにつきましては、違法性はないものではないかというふうに思っております。

源馬委員 だから、違法性がないんじゃなくて、そういうことを想定していないんですよ、普通の議員はそんなことはやらないだろうということで。

 最初から確信犯的に、BとCを合わせて公設秘書というふうにしようとその場で一緒に面接して、しかも、私はC氏に聞きましたが、秋本政務官から、僕はあれだから二人でうまく給与を分けて、こういうふうに指示があったというふうに言っています。それで、Bさんは、自分の毎月の給料を現金で持ってこさせて、そしてそこから二十五万をCさんに振り込む。一方で、ボーナスは一〇〇、ゼロでお願いねとBさんに言われ、ボーナスは一回ももらわなかったということです。実際に業務をしているのはCさんですよ。

 ちなみに、BさんとCさんは業務委託契約を結んでいたとずっと言いますが、いつ結んだんですか。これは通告も、Bさんに確認してくださいということで通告してありますが、いつ結んだんですか。

秋本大臣政務官 今委員がおっしゃったとおり、BがCにいろいろと支払ったりしているわけで、私が直接しているわけではありませんので。

 また、お尋ねの件ですけれども、詳細については、当事者ではありませんので、承知はしておりません。

源馬委員 事前に通告しています。今もBさんは政策秘書ですよね。Bさんに、政策秘書に確認してくれと事前に言っています。答弁してください。

秋本大臣政務官 この業務委託契約には守秘義務がかかっているというふうに本人が申しております。守秘義務がかかっている以上、第三者に漏えいすることはならぬというふうになっておるということでございますので、私も、契約の当事者ではありませんので、内容については承知をしていないということでございます。

源馬委員 時間稼ぎをしないでください。守秘義務って、中身を明らかにしろなんて言っているんじゃないんですよ。いつ業務委託契約を結んだのか、それが、だから、政務官の生命線なわけですから。

 これは、BさんがCさんと業務委託契約をしていたんだから自分は関係ない、二人をまとめて公設秘書で、給与を分けてとやったけれども、これはあくまでも業務委託契約なんだと言うから、業務委託契約の日時を、いつ結んだのかを教えてくださいと言っています。

秋本大臣政務官 まず、繰り返しになりますけれども、政策秘書がその業務のサポートを受けるために自費で第三者に業務委託をするということについては、違法性はないというふうに私は思っています。

 その上で、業務委託契約を結ぶという判断をしたのはB氏本人でございます。そのB氏がC氏と契約を結ぶに当たって、その契約の内容が守秘義務がかかっているということでございまして、B氏はその守秘義務に従い守秘義務を守るということでございまして、私も、契約の当事者ではありませんので、詳細については承知をしていないということでございます。(発言する者あり)

黄川田委員長 もう一回言ってください。もう一度。

源馬委員 いつ業務委託契約を結んだんですか。確認して答弁してくださいと言っています。

秋本大臣政務官 委員からのお求めでございますのでB氏本人にも確認をいたしましたが、それも含めて守秘義務だというふうに申しております。

源馬委員 これはもう表に、これも出ていますが、業務委託契約書を結んだ日時というのは二〇二一年六月一日というふうになっているんですね。これはCさんが本当に働き出したときなんですが、Cさんに聞いたら、全然最初は契約を結んでくれなくて、宙ぶらりんの状態で困っている、そういうふうに言っているんですよ。働くのが終わった後、秋本事務所を辞めた後、その後に契約書を結んだと、後づけで。これは違法じゃないですか。

 だから、その証拠も、今日配付資料として出そうとしたんですよ。CさんがBさんに、政策秘書のBに、契約書、いつになったら結んでくれるんですかと。これは二〇二二年六月ですよ、二〇二一年から働いているのに、五月いっぱいで辞めたのに。そうしたら、B氏から、今週中に郵送しますと。郵送して、サインして、もう一回郵送したんでしょうね、二〇二二年の六月。ありがとう、契約書が届きました、そろそろ私物の引取りをよろしくお願いしますみたいな。

 これは、だから、公設秘書である、しかも弁護士であるB氏が虚偽の契約書を結んだか、弁護士資格にもこれは関わりがあると思いますよ、それプラス、秋本政務官もこれまでずっと虚偽の答弁をこの国会でやってきたことになりませんか、業務委託契約をしていなかったわけですから。いかがですか。

秋本大臣政務官 その業務委託契約は、相手方というか、BとCの間の業務委託契約でございまして、私はその当事者ではありません。ですから、現在も、そして今も、契約書については見たことがございません。

源馬委員 そうやってBさんのせいにして大丈夫ですか。実際、Bさんは、本当に弁護士として、こういう業務委託契約を後づけで作ったということになったら、弁護士資格にも関わる重大な問題、Bさんにも降りかかります。そのことを、政務官は突き放して、Bさんのことだから知らないと言っている。いずれいろいろ出てくるんじゃないですか。

 Bさんも、実際に今、公設秘書の給与を満額もらっていますか。いろいろな話を聞いていますが、そういうことも、余りBさんのせいにすると出てくるんじゃないですか、満額もらっていないような話も聞いていますが。

秋本大臣政務官 そんなことは全くないというふうに思います。

 また、先ほど申し上げましたけれども、業務委託契約はBとCの間で結んだものでございまして、当時も、そして今も、私は見たことがございません。これは、Bが契約書の中に守秘義務がかかっているというふうにおっしゃっていますので、委員はお持ちのようでございますけれども、そうすると、誰かがその守秘義務を破って漏えいしているということでございますので、それはBとCの間の問題ではないかというふうに思います。

源馬委員 見たこともなく中身も知らない、それを根拠に、国会の答弁でずっと論拠にしていたわけですか。業務委託契約をしているんだから問題ないと言ったが、実際にはしていなかったということじゃないですか。そこは問題だと思いますよ。業務委託契約書を偽造した公設秘書、弁護士である公設秘書のBさんの立場にも関わる重大な問題だと思います。

 大臣、そろそろこの政務官は辞めさせた方がいいんじゃないですか。こういう問題をずっと起こしていて、アサヒ芸能で今度女性スキャンダルも出るんですか。もう本当に、しかも、秘書給与法が想定していないやり方で、最初から確信犯で、二人を一人の公設秘書の枠で雇おうと一緒に面接をして、さらに、業務委託契約をしていたといいながら、それが実は後づけで、終わった後に後づけで契約書を偽造して作った、こういう政務官ですから、大臣、辞めさせた方がいいと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 事実関係につきましては、これまでの国会での質疑を通じまして秋本政務官が説明してきているものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、政治家としての責任において引き続き適切に説明すること、これが重要であるというふうに考えております。

源馬委員 今日も全然適切に説明していなかったと思います。日付すら言わない。やましいことがあるから言わないんでしょう、分かっていたから。しっかり説明責任を果たしていただきたいというふうに思います。

 終わります。

黄川田委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 篠原豪でございます。

 質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 在外公館の職員の皆様の管理に関する考え方について、基本的なところから少しお伺いさせていただきたいと思います。

 外交力を測る目安として外務省の職員数がありますけれども、定員の縛りがある中で、最近では日本はその数を増やして、在外公館に勤務する職員数では、英国の二千百六十七人、ドイツの三千百七十八人を上回る三千六百五十五人にまでなっていますので、日本の在外公館に勤務する職員は、実は英国とドイツを上回っているということでございます。これは長年の御尽力があったと思いますので、敬意を表させていただきたいと思います。

 今、その結果、在外公館には、プロパーの外務省の方々二千四百六十八人、それ以外にも、約三割の方なんですけれども、他省庁や地方自治体、独立行政法人、民間等からの出向者千四十四人も勤務しているということだと思います。

 外交官ですが、こうした在外公館に勤務する正規職員を指す概念と考えていいのか、それとも、それ以外、在外公館以外にもいらっしゃるのかということも含めて教えていただければと思います。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 外交関係に関するウィーン条約におきまして、外交官とは、使節団の長又は使節団の外交職員と規定されており、一般に、出向者を含めまして、在外公館で勤務する外務公務員を指すものでございます。

 他方、今、外交職員と申し上げましたけれども、使節団の職員、外交を取って使節団の職員とする場合には、このウィーン条約においては、使節団の外交職員、それから事務及び技術職員並びに役務職員をいうというふうにございますので、この中で外交職員と言われるものがいわゆる外交官ということになりまして、それは、先ほど申し上げたように、出向者を含め、在外公館で勤務する外務公務員を指すということでございます。

篠原(豪)委員 いろんな人がサポートしていると思いまして、それ以外のカテゴリーに属する人というのはいらっしゃるのか。例えば料理人とか現地職員とか、あとは交流サービスの派遣員とか、そういった外交官をサポートする方々もいると思うんですけれども、こういう方々というのは何人ぐらいいらっしゃるんですか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 外交官をサポートする職員としては、主に、派遣職員として在外公館で勤務する在外公館派遣員及び在外公館専門調査員、それから、それぞれの任地で在外公館長により採用される現地職員、在外公館長の公邸などにおける公的会食業務に従事する公邸料理人、そのほか、草の根・人間の安全保障無償資金協力に関わる業務に携わる草の根外部委嘱員などがございます。

 人数に関しましてでございますが、在外公館派遣員は約三百名、在外公館専門調査員は約二百名、現地職員は約五千五百名、公邸料理人は約二百名、草の根外部委嘱員は約二百名でございます。

篠原(豪)委員 そうすると、全部合わせると何人ですか。

志水政府参考人 今申し上げた方以外でも何名か、幾つか、例えば警備関係での専門員というような方もおりますので、こういったものを足し合わせると、今手元に計算した紙がございませんけれども、六千名強になるかと思います。

篠原(豪)委員 それは外交官以外ということですね。

志水政府参考人 外交官以外でございます。

黄川田委員長 指名してからお互いに質問してください。

 志水大臣官房長。

志水政府参考人 そのとおりでございまして、いわゆる外交官以外の、サポートする職員の数でございます。

篠原(豪)委員 そういった方々の給与レベルとか勤務内容については、誰がどういうふうに管理しているのでしょうか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、外交課題が山積する中で能率的かつ効果的に業務を遂行するとの観点から、必ずしも外交官自ら行う必要がない補助的業務や調理などなどといった分野での専門性を有する者が遂行することが望ましい業務について、外交官以外の派遣職員や委嘱職員などがその一部を担っているところでございます。

 このような基本的な考え方を踏まえつつ、これらの職員の人数、給与水準、業務内容については、各在外公館におけるニーズ、現地の物価水準などを踏まえて、個別に決められているところでございます。

篠原(豪)委員 今の方々が給料をいただいていて管理している人数だということで、実態は我々が考えている外交官数よりもずっと多いということだと思います。

 給料をお支払いしていなくて外交的に大事な役割をされているのが、外交官に同行される配偶者の方、御夫人の方という方々がいらっしゃると思っていまして、大使館の行事をやるときに、例えば、天皇陛下のお誕生日というのは、大使館にとってみればパーティーとしては一番大きいもので、その準備も、奥様がまずいらっしゃって、今度は公使の奥様とか、いろいろなものがあって、生け花をしつらえたり、実際にはいろいろな外交に携わっているというふうに聞いております。

 この外交官の給料をお支払いしないで一緒についていかれていてそういったことをされている、大使館の行事の重要なマンパワーだというふうに思っています。こういった方々というのは、外務省さんはどのぐらいマンパワーとして期待しているのかということと、どのぐらいの方々がそういうふうにふだん仕事をされていると考えていらっしゃるのかということを教えていただければと思います。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、人数ということでございますけれども、令和五年三月時点で、配偶者が同行して在外公館に赴任している外交官は、全体の約四割ということになっております。

 それから、配偶者に関しての位置づけということでございますけれども、外交官の配偶者は国家公務員ではなく、外務省や大使館における指揮命令系統に属するものではございません。

 他方、在外において、館員配偶者が、館員とともにあるいは配偶者同士で行っている各種行事への参加、社交ないし交際などは、職員が幅広い人間関係を構築するための外交活動の重要な一部となっております。

 かかる観点から、外務省としては、可能な限り配偶者が館員とともに任地へ赴き、これら活動へ自発的に参加することを慫慂しているところでございます。

篠原(豪)委員 三千六百五十五名のうちの四割ですから、多くの方が実は日本の外交のために働いていらっしゃるということだと思います。

 同行の有無は完全に御本人の自由であるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、大使館のパーティーでは非常に大きな力を使って、今御答弁もありましたように、外務省の皆さんとしても、日本の外交の非常に重要なキーパーソンの方々だと思っていらっしゃるということだと思うんですけれども、在外公館は大体三年ですよね、今。その三年間で、大使で赴任される場合、大使が一番分かりやすいので話をしますけれども、日本に戻ってくることはできないわけですよね、特別な事情がない限り。御家族が亡くなっても戻ってくるのは難しいという状況だというふうに聞いていますけれども、そういった中で、一緒についていって、給料はないですけれどもいろいろと仕事はされている。

 三年間海外で過ごしてやるということは、同行されるとなると、結婚後も自分の仕事を持っている方々も多分いらっしゃると思いますので、そういうことで赴任ということになって四割の方々が一緒に行かれるということになれば、三年後戻ってきて以前のキャリアを続けるということができるかといえば、それは難しいことも多いんだろうと思います。

 もちろん、その女性が公務員であれば配偶者同行休業制度というのがありますけれども、こういった事例は少数だと聞いています。

 岸田総理も、外務大臣のときに、こういった方々に対して最大限サポートするためには何ができるのかということについては、検討することは重要なことではないか、これは平成二十九年三月の外務委員会で御答弁されているんです。

 ですので、その後、このことについて何か検討したのか。外務省だけが専業主婦をモデルとしていつまでも成り立つのは難しいと思いますので、このことについては、こういう時代遅れの省というふうに言う人もいますので、なので、そういう評価も避けられないと思いますので、まず、岸田さんが答弁されてその後検討した状況があるのかどうかということ、外務大臣はこのことについてどう思われているかということを教えていただければと思います。

林国務大臣 配偶者の社交行事等への参加は、職員が幅広い人間関係を構築するための外交活動の重要な一部となっておりまして、配偶者ができる限り同行しやすいよう配慮するとともに、任地における活動を支援するということが重要であると考えております。

 こうした観点から、任地に配偶者を伴うことにより増加する衣食等の経費に充当するため、配偶者手当を支給しておりますほか、赴任予定の配偶者に対する研修等を行っております。

 また、夫婦共に職員である場合は、今ちょっとお触れになっていただきましたけれども、夫婦で同一又は近隣の勤務地となるように配慮する、また、今お話のあった配偶者同行休業制度の活用を促したりする、こういうことによって、できる限り配偶者が共に赴任できるように意を用いてきておるところでございます。

 こうした支援の在り方については不断に検討を行っているところでありますが、今、篠原委員からは時代遅れだというふうなお話もありましたけれども、職員の家族形態は多様化しておりますので、こういうことに十分留意をしながら今後も検討を進めていきたいと考えております。

篠原(豪)委員 例えばの話ですけれども、これはできるのか分かりませんが、例えば、履歴書に記載できるように、キャリアを公的に認める何らかの制度をつくるとか、そういうアイデアというのは考えられるのかどうかなんですけれども、どうですかね。

林国務大臣 履歴書というのは、配偶者の方の履歴書に、その相手方、パートナーの配偶者として海外に赴任したということ、これは制度として何かあるかと言われれば承知しておりませんが、当然いろいろなレジュメには自由に書いていいことではないかというふうには思います。

 どういう御質問の趣旨か正確に把握をしておりませんが、大いにそれは、ビルドアップと言うと言葉がいけませんけれども、レジュメ等に書いていただいて差し支えないことではないかというふうに思います。

篠原(豪)委員 外交官夫人としてのキャリアを公的に認定するとか、そういう何か一つあれば書ける、公的に、これだけいろいろなことをされていますよ、外交官夫人というのはこういう仕事をしているんですよ、こういうことを十分やってこられたんですよみたいなことをお墨つきを与えて、それが一つ、書面を渡すなりして、新しいキャリアを踏み出すときにサポートしてあげればいいんじゃないかなということを御検討いただければということをお話しさせていただきました。以上です。

 今度は、ウクライナの戦争についてお話をさせていただきたいと思います。

 ウクライナにも在外公館がありまして、戦争が始まって退避をされて、だから、海外に行くと本当にいろいろ危険も伴うということでありますので、そのことについても大変な職業なんだなというふうに思いますけれども、ロシアのウクライナ侵攻から一年間で、戦闘の長期化が今どんどんどんどんその様相を帯びている。

 欧米諸国は、昨年の二月に、ロシアに最大限の圧力をかけて侵攻を断念させようと制裁措置を検討し、日本も欧米と足並みをそろえる形で制裁にいち早く加わって、半導体などの輸出規制やロシア国債の日本での発行禁止などを打ち出して、その後も、先進七か国、G7の一角として制裁強化を支持してきました。しかし、残念ながら、ロシアの侵攻を食い止めるには現時点では得られていないということです。

 この日米欧が主導した対ロ制裁は、軍事、金融、エネルギーの広範囲にわたり、ロシア経済の先行きに影を落としています。例えば、軍事兵器に使う部品や技術の輸出管理によって、ロシアでは戦車や航空機の部品不足が深刻化している。また、ロシアが二〇二二年に計上した財政赤字は、旧ソ連時代以降で二番目の規模となる四百七十億ドル、六・四兆円に上ったとされ、また同年、百万人近いロシア人が祖国を出たと推計されています。

 その一方で、IMFが、昨年の四月時点でロシアの二〇二二年の経済成長率はマイナス八・五%と見込んでいましたけれども、実際にはマイナス二・一%で、その背景は、対ロ制裁に加わらない中国やインドなどが貿易を拡大させてロシア経済を下支えさせているということがあります。

 ニュース映像でも、モスクワ市内の商店では、トルコなどを経由して輸入された西側諸国の商品が侵攻以前と変わらず並んでいるということです。

 また、今もロシアの富裕層は、制裁に加わらないトルコや中東のリゾート、テレビではバリ島とかタイみたいなところのリゾートに行っていて、そういったところにも押し寄せている。

 さらに、ハイテク分野の輸出禁止は効果を発揮しているとされておりますけれども、ロシアでは今何が起きているかというと、輸入家電などに使われている半導体を取って、それを使ってミサイルを造っていたり武器に転用するといった制裁逃れも行われているということです。

 したがって、対ロシア制裁の効果を薄めようとさせるこうした抜け穴を塞ぎ切ることが喫緊の課題であると考えます。

 この点について、侵攻一年となる二月二十四日に、日本はG7首脳テレビ会議を主催して、第三国が制裁を迂回してロシアを支援することを防ぐ実施調整メカニズムの設立を盛り込んだ首脳声明をまとめました。私は、今回、G7が輸出管理の実施調整メカニズムをつくって履行の監視に踏み出した意義は大きいと考えています。

 ただ、具体的にそのメカニズムがいつ頃までに構築され、完成したときにはどの程度の効果が期待されるかというのが見ていても分からなかったので、そのことについて、まず、どうなるかということを教えていただければと思います。

林国務大臣 先般のG7首脳声明で発表いたしましたとおり、G7として、制裁の遵守そして実施を強化すべく、制裁の実施調整メカニズムを設立することにいたしました。

 このメカニズムについてですが、その立ち上げの時期を含めて、今詳細をまさに関係国と調整中でございます。

 我が国を含む各国の制裁を今お話があったように一層効果的なものにするために、この制裁の回避、迂回対策が重要でありまして、我が国としても同メカニズムの下でしっかり対応していきたいと考えております。

篠原(豪)委員 できれば、おおよその時期ぐらいは、めどを教えていただければありがたいということ。

 それと、先ほども申し上げました、輸入家電に使われている半導体を取ってミサイルみたいな兵器を造っているということがありますので、この軍事転用が可能な民生品が第三国経由でロシアに入るのを阻止することは、ロシアの武器製造に直接的な影響があるので、とりわけ重要だと考えています。これについても、どのように輸出管理を強化していこうと考えているのか、これは日本でどう考えているのかでも結構ですし、教えていただければと思います。

林国務大臣 時期につきまして、先ほど申し上げましたように調整中でございますが、戦争は進行しておりますので、なるべく早く調整をしていければ、こういうふうに思っております。

 後段のお尋ねでございますが、我が国を含むG7メンバーが、ロシアの軍事能力等の強化に資すると考えられます汎用品等の幅広い輸出禁止措置を導入してきているところでございます。

 今御指摘があったように、各国の制裁を一層効果的なものにするためにも、そうした物品が第三国経由でロシアに輸出されることを防ぐことが重要です。先般のG7首脳声明でも、第三国等に対してロシアへの物的支援を停止するよう求めるとともに、制裁の迂回、回避対策の更なる取組を進めることで一致をいたしております。

 我が国として、G7を始めとする関係国と緊密に連携して、第三国経由での制裁の回避、迂回のまずは実態把握をいたしまして、そして、実際にその第三国への働きかけ等を行って、制裁の実効性を確保すべく適切に対応してまいりたいと思っております。

篠原(豪)委員 今、半導体が一番問題なんじゃないかなというふうに思っていますけれども、先日の安保委員会でも、日本製の車がどうやら走っているんじゃないかみたいな映像があるので、これは問題じゃないかみたいなことも議論されていました。

 そのほかに、もし分かればでいいんですけれども、どのような民生品が今問題になっていると、お考えがあれば教えていただければと思うんですが。

林国務大臣 今委員がおっしゃったように、軍事転用が可能な民生品ということで、まさに半導体というのは、その中で民生品に含まれているものとして重要性があるというのは大きな共通認識だと思っておりますが、そうであれば、これとこれとこれと余り言ってしまいますと相手側に間違ったメッセージを送ってしまいかねないということでございますし、今まさに冒頭申し上げましたように調整をしておるところでございますので、具体的に何か品名を挙げるということは差し控えさせていただきたいと思います。

篠原(豪)委員 幅広いと思いますので、しっかり管理をするためには、実際どういうものがどういうふうに使われてしまっているのか、あるいは、今後どういうものが必要になっていて、それは実際こういうところにあるんだみたいなことは、国際間でもしっかりと話をしてきちっと形をはめていかないと、また迂回や抜け道になってイタチごっこみたいになると思いますので、つくっていただくということなので、しっかりとやっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 あともう一つ大事なのが、やはり各国の、G7もそうですけれども、結束の維持ということが大事だというふうに思っています。

 アメリカの情報機関トップのヘインズ国家情報長官が、三月八日に米上院の公聴会で、ウクライナの戦況について、プーチン大統領は時間が自分に有利に働くと計算している可能性が高いと語ったとされています。その根拠は、経済制裁は制裁を科す側も打撃を受けるということです。

 現に、制裁でエネルギーや食料の需給が世界的に逼迫して価格が高騰し、これは日本もそうですけれども、生活を圧迫しています。したがって、侵略が長期化すれば、ウクライナを支援する先進諸国の支援疲れ、制裁疲れが顕著になり、侵略の事実を認めたまま停戦に応じざるを得ないと見ているのではないかと思います。

 もちろん、これは、戦争を違法化したはずの戦後の国際秩序、それを支える国連体制の敗北になりますので、こんなことは絶対に避けなければいけないし、認めてはいけない。したがって、今回G7議長国となる日本の責任は極めて大きいんだろうというふうに考えています。

 G7諸国の結束維持にどのような見通しを持っているのかについてお伺いしたいんですが、また、結束を強化するためにどのような方策を考えているかをお聞かせいただきたいんです。

 EUも、全会一致ですので、EUの中でももう既に、対ロシア制裁、ハンガリーとか、これはちょっとどうかなというようなところも出てきたりしていますし、アメリカだって、共和党の一部を見れば、今は夏までに何兆円という支援はしていますけれども、秋以降についてはまだ出ていないわけですよ。だから、どうなるか分からないという状態がある。ドイツも、エネルギーの価格が二倍、三倍になっていて、もう耐えられないみたいなことも実際には経済界からは来ているということ。

 なので、夏頃にG7の結束が一つ山場を迎えるといったことがこれから想定されますので、このことについてどのように林外相はお考えか、お聞かせください。

林国務大臣 侵略が長期化をしておりますので、今委員からお話があったように、いろいろなことが起きてくるということであろうと思っておりますが、まさに、そういった状況であるからこそ、一刻も早くロシアの侵略を止めるために、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に一致してやっていく、これが大事である、おっしゃったとおりだと思います。

 二月のミュンヘン安全保障会議の機会に私が議長として主催いたしましたG7外相会合で、G7外相として、法の支配に基づく国際秩序を堅持するというコミットメントを強調するとともに、ウクライナの公正かつ永続的な平和のためにウクライナと積極的に協力していくということで一致をするなど、G7の結束を確認したところでございます。

 また、首脳レベルでも、二月二十四日に岸田総理がG7首脳テレビ会議を主催しまして、ロシアによるウクライナ侵略開始からの一年の節目に当たって、G7としての揺るぎない結束を改めて確認したところでございます。

 今後、G7の長野県軽井沢外相会合、さらにはG7広島サミットがございます。こうしたところで我が国としてリーダーシップを発揮しながら、力による一方的な現状変更の試みや、ロシアが行っているような核兵器による威嚇、使用を断固として拒否して、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くG7の強い意思を力強く世界に示していきたいと考えております。

篠原(豪)委員 先進国でもこのような状況が今言われているので、しっかりと議長国として頑張っていただきたいと思いますし、道筋をつけていただきたいと思います。

 発展途上国とか新興国を中心とするグローバルサウスは、食料やエネルギー価格の高騰に苦しんでいまして、一部の国は対ロ制裁に批判的な態度を取ってきているという現実があります。また、ロシアからの軍事的な、経済的な支援に頼る国も多いので、ウクライナ支援に加わろうともしていません。

 他方で、そうはいっても、グローバルサウスは結束が強くないんですよ。さほど強くないので、だからこそ、G7、そしてG20会合に行かれなかったのはすごい機会の損失だと思いますけれども、このグローバルサウスの文脈で、今度岸田さんがG7でインドに行きますので、外相としてもその重要性をどのように認識しているのかを最後にお伺いして、今日のところは終わらせていただきます。

林国務大臣 国際社会が大きな危機に立て続けに直面する中で、日本は、本年のG7議長国として、G20議長国であるインドとの協力も極めて重視しております。私も、今月三日にインドを訪問した際にジャイシャンカル外相と会談をいたしまして、お互いにG7議長国とG20議長国として緊密に連携していくことを確認いたしました。

 また、今お話のあったグローバルサウスと呼ばれる国々との関係もG7議長国としても重視しておりまして、今年一月にインドはグローバルサウスサミットというのを主催しております。そうしたリーダーシップを発揮しているインドとの連携はそうした意味でも大変重要でありますので、今回の岸田総理の訪印において、そうした点を踏まえて議論を深めていきたいと考えております。

篠原(豪)委員 是非頑張っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 では、まず、この提出されております法案に関しての質疑をさせていただきたいと思います。既に各党から、各会派からいろいろな御質問もありましたし、議論も深まっていたと思うんですが、重なる部分もあろうかと思いますが、お伺いしたいと思います。

 まず、今回のこの外務省職員の在外勤務の給与の関係の法案なんですけれども、外務省職員は、今までもいろいろな方がお聞きになったように、在外勤務となりますと、国内給与と賞与が全額出た上に、その倍額程度の在勤基本手当、例えば米国の書記官では月六十万ぐらい、こういうことが言われておりますが、追加で受け取って、そのほかに、住居手当、上限はありますが、基本的には住居に係る費用の全額が出て、先ほどいろいろな議論もございましたが、配偶者手当は在勤基本手当の二割ぐらい出て、さらに、子女教育手当、これも議論もありましたけれども、例えば幼稚園では月四万三千円を受け取るということになります。ちなみに、手当は所得税が免除されるということです。

 今回は、円安のために、それを更にきっちり上げていこうという話なんですけれども、じゃ、円高のときは、今後円高のときはどうするという議論はありましたけれども、これまで円高のときがあったわけでして、そのときはどうしていたのか。下げていたのか、下げていたとしたら、下げ率は今回の上げ率との関係で合理的に説明がつくような比率になっていたのかということなんです。

 円安を理由にして、言葉は悪いですけれども、お手盛りをしているんじゃないか、こういうふうな見方も出てくるわけでして、それがきっちり否定できるかどうか、そしてまた、合理的な回答ができて、客観的な事実と数字をもって今回の増額の妥当性を説明することができているだろうかということをお伺いしたいんです。

 税金によって予算を手当てしていくわけですから、外務省はしっかりとした説明責任を果たさなきゃいけないと思うんですが、その点についてお伺いをいたします。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 在勤基本手当は、在外職員が在外公館で勤務するために必要な経費に充当するために支給される手当でございます。

 その手当額の基本となる考え方は、我々が日本で働いているときと同じ購買力を在外で働いているときにも補償されるようなやり方というのが基本ということでございまして、委員御指摘がございましたけれども、我々公務員が日本で、東京で働いているときにはいただいている幾つかの給与、手当の中で、一部は在外に行くといただけないものもございます。

 そういう中で、今度は生計費ですね、実際に食料などなどを購入する場合に、これが、日本、東京において購入するときと同じ水準かというと、必ずしもそうではないということですので、日本、東京にいるときと同じような水準の購買力を補償するということが在勤基本手当の額の算定の基本となっております。

 この手当額の算定におきましては、外務人事審議会の勧告に基づきまして、民間企業の手法に準拠し、民間調査会社が毎年行う生計費調査の結果を基に、為替変動及び物価上昇の影響を反映し、客観性を確保した上で、適正な基準額を定めているところでございます。

 今回の改正におきましても同様の手法で算定した結果、多くの在外公館では増額となっておりますけれども、円高が仮に進むような場合は、委員御指摘のとおり、支給額を減額調整することになります。

 具体的には、例えばですけれども、令和三年度四月におきましては、これは円高ということでございましたので、その影響を手当額に反映するため、二百四十公館で減額調整を行ったところでございます。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

和田(有)委員 今まで円高になったときはどうだったか、それはどう計算したのかということをお伺いしているわけですよね。そこをもう一度お願いできますか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 在勤基本手当に関しましては、通常ですと例年四月一日に新しい額を法律で改正することが多いんですけれども、そうでない年もございますけれども、基本的な額がまず定まっておりまして、そこから期間を定めて、何か月間の間に為替がどう変動したかということを計算して、その上で、財務省と協議をいたしまして、円安の場合には円建ての額を少し上げる、逆の場合は、円高になった場合にはそれを下げるというようなことを、これは、お手盛りではなくて、財務省と綿密に協議をいたしまして、その結果として、こういう額が適正であるというものに改正するということで、通常は、法律というよりも、政令で改正をさせていただいているというものでございます。

和田(有)委員 その適正であるということが、客観的ないろいろな基準であったり計算方式がつまびらかになっていて、こうこうこういう計算に基づいて当てはめるとこういう額になったから、こうなりましたというのはあるんですよね。その点をお聞きしているんです。

志水政府参考人 申し訳ございません。今、手元に正確な計算式のようなものを持っておりませんけれども、これは、まさに為替の変動を常に見ておりまして、その中で、一定の円高ないしは円安といったことが観察された場合に、自動的に、財務省と協議を行って、円建てであります在勤基本手当の額を上げる、ないしは下げるということをしておりまして、先ほど申し上げましたけれども、お手盛りという形ではなくて、これはほぼ自動的に行っているというものでございます。

和田(有)委員 もう一回聞きますけれども、その適正の出し方というのは、例えば役所の給料なんかでは、何号俸の、何歳ならどうという表があったりするわけじゃないですか。そういうふうな、表かどうか分かりませんけれども、計算方式なり、そういうものがあるんですよね。

 というのは、我が会派、我が党におきまして随分そこら辺が議論になりまして、そういう資料が出てきていないじゃないか、そういうものをちゃんと我々に説明がないじゃないか、そういう客観的な判断ができる資料なしに、適正ですよと書いた紙だけでは、それは駄目だよね、こういう議論が結構ありまして、それを今改めて、再度御確認をしているわけです。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 為替による調整については先ほど申し上げたとおりでございますけれども、今回、新しい在勤基本手当の額について御提案しているところは、為替の影響もございますけれども、基本的には、冒頭申し上げた生計費調査の結果に基づいて、生計費が新たにどれぐらい増えたか、ないしは減ったかというものを基準にして、ですから、これは客観的な調査に基づいて、お手盛りではなく、我々が決めているというものでございます。

 この調査というものは、一般競争入札にて選定いたしました民間の調査会社に対して、民間企業の海外駐在員の給与制度や諸外国生計費指数の調査を委嘱したものでございます。

 この一般競争で入札した民間の調査会社が提供してくる諸外国の生計費指数、これは、その会社が世界各国の都市で物価調査を実施した上で、日本を一〇〇とした場合の生計費の指数を都市ごとに計算したもの、これを基に在勤基本手当の改定額を御提案しているというものでございます。

 この中身につきましての詳細は、民間会社がまさに調査をして権利を留保している知的財産ということでございますので、誠に申し訳ございませんけれども、このデータを公表することはできないという契約になっております。

 ですので、この国については生計費指数が幾らであるということをお示しすることが難しいというのが契約上の、そういうことになるということでございますけれども、一例として、国を特定せずに申し上げれば、例えばですけれども、日本を一〇〇とした場合に、アジアであれば生計費指数は一二一・六であるとか、大洋州であれば一二〇・八、北米であれば一四四・三、中南米であれば一一三・四、欧州であれば一二三・三ということで、あと、中東であれば一七一・一、アフリカであれば一二九・四というように、生計費の指数を、これは地域ごとに丸めたものでございますけれども、各国ごとにこれをきちんと調べて結果をいただいた上で、それを基に計算しているというものでございます。

和田(有)委員 それを当初から、そういったふうにして決めていますよということを資料として出せる範囲で出して、説明責任というのがやはり問われる時代ですから、していただければと思います。了解しました。

 あと、もう時間が少なくなっちゃったので、どこまで行けるか分かりませんが、次のことですが、WHOの日本人職員の解任についてお聞きしたいと思います。

 WHOは、葛西西太平洋地域事務局長を先般解任をいたしました。日本人の幹部職員です。日本人として行っているというか、どう表現すればいいんですかね。職員らへの差別発言があったということなんですが、本人は否定しているという報道もございます。

 この葛西氏の処遇を決める地域委員会の投票でも、解任に賛成する票と反対する票が拮抗していたというふうに報道がございました。松野官房長官も、この調査や事実認定については公正公平に行われるべきだという発言もされておられます。葛西氏は、テドロス事務局長の後任という声もあったというふうにも伺っています。

 この点について、この解任について、どのように日本政府は考えておられますか。

間政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘がございましたように、葛西健WHO西太平洋地域事務局長につきましては、告発がございまして、事務局による調査結果を踏まえた西太平洋地域委員会とWHO執行理事会の特別会合での協議の結果、解任が決定され、三月八日に公表されたところでございます。

 この特別会合は秘密会となっているために、申し上げられることに限りがあることについては御容赦賜りたいと思います。

 その上で、我が国は、人種差別やハラスメントを容認しない立場であると同時に、本件に関しましては、地域委員会の選挙によって選ばれた地域事務局長に対して本部のテドロス事務局長が処分を行うという事例であるものですから、調査、事実認定は公正公平に行われて、地域委員会加盟国がちゃんとコミットをして慎重に行われる必要があるというふうに一貫して主張してまいりました。

 今回の特別会合に先立つWHO西太平洋地域委員会やWHO事務局によるブリーフィングには加藤厚生労働大臣もオンライン出席をいたしまして、こうしたデュープロセスの主張を行うとともに、外務省とも連携をいたしまして加盟各国にも働きかけてまいりまして、一定以上の理解を得てきたというふうに考えているところでございます。

 最初の方に申し上げましたように、会合の秘密性もございますものですから、お答えは以上とさせていただきたいというふうに思います。

和田(有)委員 努力はしたということです。外務省ともいろいろと協力しながらという表現がありました。

 国際機関で日本のプレゼンスを高めていかなければいけない、そのためには、日本人の職員を幹部として送り込んでいくということが大事だと思います。

 今回のような事柄が起こってしまうと、非常に我々としては、どうかなと。もっとやはりバックアップして、幹部職員がしっかり働けるポストを取れるという状況をつくっていくべきだと思うんですが、外務大臣の御所見を伺います。

林国務大臣 我が国が国際機関との連携を強化して国際秩序やルール形成に影響力を発揮するためにも、邦人職員がトップを含む重要な幹部ポストを獲得する、これは大変重要だと考えております。こうしたポストを獲得するためにも、優秀な人材を積極的に輩出できるように、外務省としても、長期的な視野に立った取組を行ってきております。

 邦人幹部職員への支援の在り方については、個々のケースに応じて様々な状況が考えられますが、国際機関での日本のプレゼンスや発言力を高めるという観点からも、今後も、日本政府として、適切な支援また主張、これをしっかりと行っていきたいと思っております。

和田(有)委員 時間がなくなりましたので、もう一問用意しておりましたが次回に送ることにさせていただきまして、最後に、やはり、今大臣も言われましたように、こういった問題がまず起こらないように、起こっても、しっかりとバックアップしていく。政府が進める日本人の国際機関トップ就任に向けた活動がしっかりできるように、バックアップをしっかりやっていただきたい。主張することは主張して、正すところは正していただきたい、このように申し上げておきます。

 これで本日は終わります。

黄川田委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。

 私、外務委員会、十年前、鈴木宗男委員長のときに質問させていただきまして、それ以来にさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど、和田議員の方からの質問に対して、為替の変動に対して財務省と相談しながら、一定の円安、円高に対して財務省と相談して政令で決めるというようなこともございました。そういったものもしっかりと外務省から提示いただきまして、お手盛りではないということをしっかり国民の皆さんに示していただきたいと思います。

 その中で、今日は、外交官、外務員、外交職員、皆さんがどういう仕事、働きぶりをするか、そういった中で、北朝鮮の拉致問題、そして新興国における対策、また原子力協定、こういったいろんな仕事を外務省はされていらっしゃいます。それぞれについていろいろお聞きしたいと思っております。

 まず、北朝鮮による拉致問題は、現在、暗礁に乗り上げていると感じております。我が国政府が、今、どのような打開策を持っているのか、どのように考えているのか、また、北朝鮮との窓口というのはあるのかどうか、どのような国が友好国として考えられるか、まずは外務大臣から今の動きについて御説明をお願いいたします。

林国務大臣 岸田内閣の最重要課題であります拉致問題について、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で果断に取り組んできております。

 拉致問題の解決に向けては、我が国自身の主体的な取組に加え、今お触れいただきましたけれども、例えば米国を始めとする関係国と緊密に連携するということも重要だと考えております。

 私自身、あらゆる機会を捉えまして、各国外相に対して拉致問題に関する日本の立場を説明して、多くの国から理解と支持を得てきております。例えば、今月三日、インド・ニューデリーで日米豪印外相会合を行いましたけれども、私から拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を求めまして、米豪印各国から支持を改めて得たところでございます。

 こうした国際世論を味方にしながら、引き続き、米国等と緊密に連携して、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

空本委員 では、官房長官が拉致問題の御担当でございますので、拉致担当として内閣官房担当の副大臣の方から、今の対策、取組について御説明をお願いします。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 拉致問題は、重大な人権侵害であり、岸田内閣の最重要課題でございます。今月一日に岸田総理が家族会、救う会の皆様と官邸でお会いした際には、私も同席し、拉致問題の解決を願う皆様の強い思いを直接お伺いしたところでございます。

 拉致問題は、時間的制約のある人道問題であります。御家族や救う会の皆様の思いを重く受け止めながら、政府として、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向け、あらゆるチャンスを逃すことなく、引き続き果断に行動してまいります。

空本委員 この拉致問題は、二〇〇二年の日朝の首脳会談で、また日朝の平壌宣言で動きが始まっている、そこでゴールを決めようじゃないかと。その中で、北朝鮮との政府間協議、こういったものが行われてきたわけでございますが、しかし、それから十年ぐらい動きがなかった。

 そして、二〇一四年のストックホルムでの合意、これで一つまた動き出したんじゃないかなと家族会の皆様、国民の皆さんも期待した。けれども、それもまた頓挫してしまっている。

 さらに、二〇一八年、これは、トランプ大統領がアメリカ側から米朝の首脳会談を金委員長と行いまして、そのときにも何らか動きがあった。

 けれども、やはり、ある程度の大国、そういった国々が動いたときに北朝鮮側も動く。やはり対話の窓口というのが一番重要であって、これからどこを対話の窓口にするか、しっかりとこれは考えていただきたいと思います。

 時間が余りありませんので、次の質問に入らせていただきます。

 今日は配付資料を表裏で一枚お配りさせていただいております。横書きになっているのが、石炭火力におけるCO2の排出、国際比較でございます。また、もう一枚、裏側にありますが、原子力に関わる関連条約、こういったものをまとめております。

 まずは、新興国における温室効果ガス排出、これをどういうふうに我が国は捉え、そして、新興国に対して協力しているか、技術供与、技術支援をしているか、質問させていただきたいと思います。

 この問題につきましては、二月十三日の予算委員会一般質疑でも、また、昨年の十二月二十二日、環境委員会でも質問しておりますが、外務省として、新興国の温室効果ガス排出をどのように捉えて、そして、この排出抑制に対してどのように国際貢献しようとされているのか、外務省からお答えをお願いいたします。

林国務大臣 パリ協定の一・五度目標の達成は、日本のみならず、途上国も含めた世界全体で取り組むべき課題でございまして、G20に含まれる大排出国や、今後排出が大幅に増加することが見込まれるアジア諸国、こうしたところを始め、世界全体を巻き込んでいくことが重要であると考えております。そのためには、新興国を含む全ての主体が、二〇三〇年までの勝負の十年において脱炭素化を即時かつ加速的に進める必要があると考えております。

 外務省といたしましても、例えば、パリ協定の実施の一端を担う二国間クレジット制度、これはJCMですが、に関して、その一層の拡大と実施の強化に取り組んでおりまして、二〇二五年を目途にパートナー国を世界全体で三十か国程度とすることを目指して、関係国との協議を加速しているところでございます。

 今年は、我が国が議長国を務めるG7等の機会を生かしながら、新興国を巻き込みながら、世界全体の脱炭素化の実現に向けて引き続き国際社会をリードしていきたいと考えております。

空本委員 アジア・ゼロエミッション共同体、こういった構想もありますし、しっかり新興国をバックアップする体制をつくることが大事であります。

 その中で、資料に示しておりますが、インドのCO2排出というのは、我が国の火力発電の中でも、例えば石炭火力でもその二倍とか一・七倍とか、かなりCO2を排出している。やはり新興国のCO2排出の抑制が国際的なCO2抑制、温暖化対策になるんですよね。

 インドは十四億の人口を抱えています。また、中国も多くの人口を抱えています。こういった国々に対して、我が国のCO2を抑えた例えば石炭ガス化燃料電池複合発電、これは、経済産業省とNEDOが一緒に開発して、今、実用化されています。売電もされています。こういったものをしっかり売り込むとか、逆に、技術供与する。先ほど大臣からインドとの連携とおっしゃっておりますので、是非ともインドにこういった技術供与をしていただきまして、世界全体でのCO2削減を行う。

 我が国が頑張っても、一部ですよ。我が国はCO2削減の本当にエリートなんですよ。EUも本当はそうなんですよ。やるべきは新興国でありますので、新興国のCO2削減。

 だけれども、実は、昨日の毎日新聞の夕方の配信におきましては、今、G7の気候・エネルギー・環境相会議、これが四月に行われますが、この中で共同声明原案を我が国から出して、しかしながら、EUから、やはり石炭火力自身が駄目だと。

 そうではなくて、低排出かつ高効率な石炭火力というのは我が国の場合はすごく進んでいる、こういったものをまず技術供与する。ソーラーパネルをたくさん置いたっていいけれども、それは限りがございます。

 そういった意味で、環境省だけではなく、経済産業省だけではなくて、外務省から、それを理解いただいた上で、新興国に対して技術供与する、さらには、EUとか先進国に対してはしっかりとした説明を行う、これが重要でありますので、一言大臣の方からいかがでしょうか。

林国務大臣 JCMは、我が国の優れた脱炭素技術のパートナー国への普及また対策の実施等を通じて、地球規模での温暖化対策に貢献するとともに、温室効果ガス排出の削減、吸収に対する日本の貢献を定量的に評価して、日本の削減目標の達成に活用する仕組みでありまして、新興国を含めて既に二十五か国との間で構築されております。

 今お話のありました高効率石炭火力発電ですが、二〇二一年の英コーンウォール・サミットにおきまして、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を二〇二一年までに終了することにコミットしておりますので、政府が実施するJCM資金支援事業の対象とはならないものと承知をしておるところでございます。

 まさに、こうした状況を踏まえて、しっかり我が国からできる限りの説明をしてまいりたいと思っております。

空本委員 是非、大臣、お願いいたします。

 続きまして、原子力協定について少し話を進めたいと思います。

 原子力協定、お配りの資料に一枚紙にまとめております。多国間条約もございますが、二国間の原子力協定を、平和協定を結んでおります。

 まずは、アメリカとの協定。我が国が原子力を何の制限もなく今使えているのは、この米国との二国間協定、一九五五年に結んだもの、これで私たちは原子力のエネルギーを享受しているということでございますが、各国と、例えば、オーストラリア、カナダからはウラン燃料をもらっていかなきゃいけない。また、カザフスタンもウラン埋蔵が多いので、カザフスタンとも最近結んだ。

 しかしながら、ロシアとも結んでいますし、中国とも結んでいる。いろいろ協定の意味合いは違う。けれども、我が国は、これから小型炉若しくは新型炉を開発するという中で、この協定の大切さというものがあろうかと思います。

 最後に、こういう新しい開発を進めるに当たってこの協定の重要性をどのように把握されているか、外務省からお願いいたします。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、我が国がこれまで締結している各原子力協定の交渉の背景、経緯は様々でございますけれども、いずれの原子力協定も、移転される原子力関連資機材等の平和的利用、あと不拡散などを法的に確保するための枠組みでございます。

 このような原子力協定の締結によって、相手国との間で長期間にわたって安定的に原子力関連資機材等の移転をすることが可能となりまして、また、これらの平和的利用が法的に確保されるということから、意義があるものというふうに考えております。

空本委員 是非、協定の大切さを皆さん理解いただきまして、また、外交官の皆さん、外務省の職員の皆さんがしっかり働ける環境づくりをよろしくお願いいたします。

 終わります。

黄川田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

黄川田委員長 速記を起こしてください。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 私どもは、今回の改正案については賛成です。

 幾つかの点について質問します。

 食料、農業関連の国際機関、国連食糧農業機関、国連世界食糧計画、国際農業開発基金のいわゆるローマ三機関の果たしている役割について外務大臣はどのように認識しておられるか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

林国務大臣 イタリア・ローマには、国連の枠組みに基づく代表的な食料、農業関係の国際機関である国連食糧農業機関、FAO、国連世界食糧計画、WFP及び国際農業開発基金、IFADの三機関の本部が設置されております。

 まずFAOでございますが、これは、食料、農業に関する国際的ルールの策定、また開発途上国への技術的助言、また技術協力など、そしてWFPは、食料危機に直面する人々に対しての緊急の食料支援等、そしてIFADは、開発途上国への融資また無償資金供与を通じた持続可能な農業開発の促進支援をそれぞれ実施しておるところでございます。

穀田委員 大事な意味合いを持って世界で活動している。

 現在、ローマ三機関と言っていいと思うんですけれども、政府代表部を置いているのは、アメリカ、イギリス、ドイツなど、いわゆるG7の国、カナダを除いてですが、さらに、中国、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、ロシアなどが置いていますが、既に米、英、仏、独、伊は二〇〇三年から代表部を置いています。

 今まで日本が政府代表部を置いてこなかったのはなぜか、また、正式に日本が政府代表部を置くことの意義、本法案で何がどのように変わるのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

林国務大臣 FAO、WFP及びIFADといったローマを拠点とする国際機関との関係につきましては、在イタリア日本国大使館から関連する国際会議へ参加するとともに、我が国の途上国向け支援の調整等も行い、関係強化に努めてきたところでございます。

 しかしながら、世界的な食料需要増大の継続、さらには、ロシアによるウクライナ侵略を受けましてグローバルな食料供給の安定化への関心が高まる中で、我が国及びグローバルな食料安全保障を確保していくためには、これらの国際機関との連携をより一層強化することが求められてきたところでございます。

 こうした認識の下で、今般、ローマに我が国代表部の設置を行うこととしたものでございます。

 代表部設置により、我が国のプレゼンスを強化するとともに、在ローマの国際機関及び各国代表部との間での密接なネットワーク形成、連携に取り組んでまいりたいと思っております。

穀田委員 関係強化について言うならば、別に今までだって必要性があったわけで、突然グローバルな役割が出てきたとは私は余り思っていないんですね。つまり、食料の事態が起こったからということだけではないと私は思っています。

 つまり、そうすると、今重要な意義を持っているローマ機関に代表部を置くのに当たり、この間所信表明が大臣、副大臣ありましたけれども、その中で、副大臣の予算説明で外務省職員百名増員の計画がありました。その増員計画の中にこれは入っているんですか。

中村(和)政府参考人 先生の御質問にお答えいたします。

 通告をいただいておりませんので、確認をさせていただきたいと思います。

穀田委員 いや、副大臣が言った内容を聞いている。百人増やすと言っているのに、あるのかないのか、そんなことを分からへんで、どないしますねんな。何か特別な話をしているんじゃなくて、増員計画百人やな、そして、今度イタリアに、そういうローマ機関を強化すると言っているんだから、そこに入るのかと言っているだけですよ。

中村(和)政府参考人 済みません。新設されるローマ国際機関代表部の体制という意味では、当面は、現在イタリア大使館の館員となっております定員の者が併任ということで発足するということでございます。

穀田委員 そう言えばいいので、最初の話は何であんなことを言わなあかんの。分かっていることやんか、そんなこと。ちょっと時間を費やして、もうちょっと真面目にやろうな、そんなことは分かってんのやから。

 私は何でこんなことを言っているかというと、従来の大使館職員を看板だけつけ替えて責任が果たせるのかという思いがあるからなんですよね。

 だから、先ほど大臣はプレゼンスと言いますけれども、ほんまに関係国が日本に対して、政府代表部を新しく置いたのにふさわしい、めり張りの利いたローマ三機関への貢献並びに発展途上国に対する食料支援活動での努力、それが本質的に求められている。存在感を示すという意味が、単に、先ほど言ったように、結局同じ方がやるわけでしょう。その意味でいいますと、やはり、プレゼンスというよりも、何のプレゼンスかという問題が問われるわけですよね。そこがないというのがどうも気になるなと思うんですね。

 そこで、この二月、いわゆるFAOのチーフエコノミスト、マッシモ・トレロ氏が日本を訪問しています。そのトレロ氏は、二月八日のNHKインタビューで、ロシアの軍事侵攻の長期化によって、ウクライナやロシアの農産物や肥料の生産、流通が停滞し、世界的な食料価格の高騰を引き起こしているとした上で、今年は多くの国が食料を入手できなかったり供給が滞ったりする問題に直面する、この危機感を示しています。

 紛争や災害に見舞われた国や地域に食料支援を行っているWFPによると、昨年、世界で差し迫った食料不足に直面した人は、これまでで最も多いおよそ三億五千万人と言われています。地域別では、アフリカ大陸がおよそ一億四千万人と、前の年から三割近く増えています。このうち、ウクライナとロシアから小麦の九割を輸入していたアフリカ東部のソマリアの状況は極めて深刻で、百四十万人の子供たちが急性の栄養失調に陥り、うち三十三万人以上が命の危険にさらされている。

 林大臣は、こういう実態をどのように認識しておられますか。

林国務大臣 今御指摘がありましたように、二〇二三年二月二十四日付のWFPの発表によりますと、現在、世界では、過去最高水準の約三億四千五百万人が深刻な飢餓に直面しており、特に中東及びアフリカ等の途上国が深刻な影響を受けているとされております。

 こうした状況の中で、国際社会が協調して緊急的な食料支援を実施していくことが重要である、こうした考えの下で、三月三日に我が国は、ロシアによるウクライナ侵略の影響を受けて悪化しているグローバルな食料安全保障への対応として、WFP等国際機関を通じた四千五百万ドルの緊急無償資金協力と、そして、日本のNGOを通じた五百万ドルの食料支援から成る総額約五千万ドルの食料関連支援を実施することを決定したところでございます。

 また、中長期的観点から、食料生産を強化するための支援も重要であると考えておりまして、我が国は、アジア、中東及びアフリカ等の国、地域で二国間またFAOを始めとした国際機関等を通じまして、現地の事情に即した農業生産性向上支援、また、農家の市場へのアクセス改善などなど、世界の食料安全保障の強化に資する取組も行っておるところでございます。

 政府として、引き続き、支援が必要な国に寄り添った、短期と中長期の両方を見据えた必要な支援を実施しまして、世界の食料問題の解決に向けて貢献してまいりたいと考えております。

穀田委員 今ありましたように、そういう支援を行うということが一つありますよね。同時に、私は、それぞれの国が、ロシアのウクライナ侵略によって、農業生産を高める、そういうことについてもやっていると思うんですね。

 ですから、飼料、肥料の高騰に伴う各国の国内生産者への支援はどのように実施されているか、簡潔に事実をお答えください。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、ロシアのウクライナ侵略に起因する肥料、飼料の価格高騰は、途上国だけでなく、先進国の農畜産業にも深刻な打撃を与えております。

 各国内の対策について二つ例を御紹介いたしますと、例えば肥料につきましては、米国において、昨年九月、肥料その他の投入材のコスト増加が国内農家の収益を圧迫していること、こうしたことを踏まえまして、アメリカ国内の肥料生産能力を拡大することを目的としました最大五億ドルの支援プログラムを開始しておるところでございます。

 また、飼料の例になりますけれども、バルバドス、カリブの島嶼国ですが、昨年十月、各穀物価格の高騰を受けまして、バルバドスの唯一の家畜、家禽飼料メーカーが価格の値上げの方針を打ち出しましたのに対して、畜産、養鶏農家が適正な価格で調達できるように、約二百万ドルの補助金を投入するというふうなことをやっている例がございます。

穀田委員 つまり、肥料、飼料の高騰に伴う援助を各国がやっている、始めているということですよね、今、例を二つ出していただきましたけれども。

 私どものこの国で、やはり我が国でも肥料や飼料が高騰する中で、どうすれば農業、酪農で暮らせるかということで、切実な声が上がっています。

 私ども共産党も、今月九日、食料・農業・農村基本法検証・政策提言プロジェクトチームを発足させました。我が党は、昨年六月に農水大臣に、飼料、肥料の高騰分の直接支援、直接補填を行うことを提案しています。そして、十二月にも、酪農、畜産に関わる直接補償を農水大臣に要請するなど、この間、燃油の価格、肥料、飼料価格、各種資材の高騰分など、酪農、農林漁業者に直接補填する緊急対策を求めてまいりました。

 大臣は農水大臣も歴任されており、食料、農業を現時点では所管するものではありませんけれども、世界的な食料危機が懸念される中、今こそ、輸入に依存する従来の対策の延長ではなくて、国内の酪農、農林漁業者への抜本的な支援策に政府として取り組む必要があるのではないでしょうか。

林国務大臣 今お話がありましたように、ただいまは直接の所管ということではないかもしれませんが、やはり、食料安全保障という意味でも、自給率を高めていくということは大変重要なことではないかというふうに思います。

 なお、古い記憶で恐縮でございますが、いわゆるカロリーベースの自給率と、それから売上げベースの自給率、さらには自給力といったものも農水省ではつくっておられると承知をしておりまして、こういうものもしっかり見ながら、食料安全保障の議論を更に進めてまいらなければならないと思っております。

穀田委員 食料安全保障の一つが確かに自給率の問題、そのとおりだ。

 私がもう一つ言ったのは、やはり、飼料価格安定制度を高騰前の価格との差額を農家に直接補填するという仕組みに改める必要があると思うんですね。

 つまり、今大事なのは、食料自給率という問題の土台をしっかり据えるということと同時に、今直面している危機に対して、それを補填する仕組みが十分かということを私は聞いているわけです。そこはどうですか。

林国務大臣 今、穀田先生から御指摘のあった点は、よく農水大臣に伝えておきたいというふうに思います。

穀田委員 伝えるというよりも、農林水産大臣を経験しておられるわけやから、この事態がかつてない深刻な事態だということは分かっていると思うんですよね。その点での抜本的な対策と同時に、今必要なことについて手を打たなあかん、そこの危機意識が若干不足している、笑っている場合じゃないと私は思っているんですね。

 だから、FAOは、現在の食料と農業のシステムがどれほど脆弱かを浮き彫りにしたという話をしているんですね。一つの国や地域からの輸入に依存するのを改める一方、持続可能な食料生産を推進していく必要があると述べています。

 ですから、今必要なことは、土台を強めるということと併せて、緊急の対策を、そこをしっかりやっていくということが改めて必要だということを述べて、質問を終わります。

黄川田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

黄川田委員長 次回は、来る十七日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十分散会


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