衆議院

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第4号 令和5年3月17日(金曜日)

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令和五年三月十七日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君 理事 吉田 宣弘君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    城内  実君

      小寺 裕雄君    島尻安伊子君

      新藤 義孝君    鈴木 貴子君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      辻  清人君    寺田  稔君

      平沢 勝栄君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    青山 大人君

      篠原  豪君    松原  仁君

      青柳 仁士君    杉本 和巳君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      穀田 恵二君    吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   外務副大臣        武井 俊輔君

   外務副大臣        山田 賢司君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   外務大臣政務官      吉川ゆうみ君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  望月 明雄君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 原  圭一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 中村 仁威君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 西永 知史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       山口  靖君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長)佐々木正士郎君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局審議官)          岡野まさ子君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 小杉 裕一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     平沼正二郎君

  鈴木 貴子君     深澤 陽一君

  高木  啓君     小寺 裕雄君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     高木  啓君

  平沼正二郎君     城内  実君

  深澤 陽一君     鈴木 貴子君

    ―――――――――――――

三月十六日

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官日下部英紀君、大臣官房審議官原圭一君、大臣官房参事官今福孝男君、大臣官房参事官林誠君、大臣官房参事官宮本新吾君、大臣官房参事官中村仁威君、大臣官房参事官西永知史君、大臣官房参事官松尾裕敬君、経済局長鯰博行君、領事局長安藤俊英君、内閣官房内閣審議官平井康夫君、内閣審議官吉川徹志君、内閣府沖縄振興局長望月明雄君、警察庁長官官房審議官小林豊君、総務省総合通信基盤局電波部長豊嶋基暢君、農林水産省大臣官房輸出促進審議官山口靖君、経済産業省大臣官房審議官藤本武士君、国土交通省道路局次長佐々木正士郎君、運輸安全委員会事務局審議官岡野まさ子君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、大臣官房審議官小杉裕一君、防衛政策局次長安藤敦史君、防衛装備庁長官土本英樹君、技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。島尻安伊子君。

島尻委員 自由民主党、島尻安伊子でございます。

 昨日より尹錫悦大統領が来日をしております。テレビをつけると、ニュースはその話題がかなり関心の高さを表しているんじゃないかなというふうにも思っておりますけれども、来日日程としては、本日までの二日間ということでございます。

 韓国の大統領の訪日は、二〇一一年十二月の李明博大統領以来、約十二年ぶりということでございまして、国内外からそれこそ関心が高いものになっております。

 これに先立って、岸田総理は記者に対して、両国関係の強化に向けて取り組む機会としたいと、かなり前向きな決意を述べられました。他方、官邸のウェブサイトを見てみますと、松野官房長官は、今回の訪日を通じて、国交正常化以来の友好協力関係に基づき、日韓関係が更に発展することを期待しますと発言しております。

 今まさに日程が進んでいるところではございますけれども、この日韓の首脳会談をテーマに今日は質疑をさせていただきたいと思っております。

 今日のこの質疑は、主に山田外務副大臣に御答弁をいただけるということでございます。よろしくお願いいたします。

 まず、昨日の会談の内容についてお聞かせいただきたいと思います。

 一つ一つはまた追って質問させていただくということで、まず、昨日、夕食会等、かなり盛り上がったふうな報道がございますけれども、まずは、その夕食会も含めてどんな感じだったのかなということを、印象を中心に自由にお聞かせいただきたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 昨日十六日は、日韓首脳夫妻の非公式の夕食会、それから、それに引き続きまして、その後、首脳のみでの懇談を実施したところでございます。

 今回は、委員も御指摘のとおり、約十二年ぶりとなる韓国大統領との二国間訪問としての訪日の機会でもありまして、尹大統領との間で個人的な信頼関係を確立することに主眼を置き、リラックスした雰囲気の中で、今後の日韓関係の重層的な再構築について親しく語らうことができたのではないかと考えております。

島尻委員 ありがとうございます。

 かなりリラックスした雰囲気ということで、お二人の会話も弾んだのかなというふうに思っておりますけれども、いわゆるシャトル外交の再開の調整というものも加速度的に具体的に進んでいくだろうと期待が聞かれるわけでございます。

 尹大統領も、訪日前の新聞インタビューで、両国関係を正常化するということは、両国共通の利益に合致するだけではなく、国際社会に非常に肯定的なシグナルになると期待していると述べられています。

 関係改善の象徴として、対外的にも大いにシャトル外交の再開というものを発信していくべきだと私も思っておりますけれども、今後どのようなタイミングでの再開を考えているのか、お聞かせいただきたいと思っております。

山田(賢)副大臣 今般の首脳会談におきまして、両国の首脳が形式にとらわれず頻繁に訪問する、いわゆるシャトル外交の再開で一致したところでございます。

 他方で、今後、適切な時期の岸田総理の訪韓を検討することになりますが、現時点におきましては、具体的にはまだ何も決まっておらないところでございます。

島尻委員 具体的には決まっていないということですが、どこの新聞だったか、夏にもという見出しを見たわけでありますけれども、それも大変気になるところでありますけれども、副大臣、御存じかどうかあれなんですが、国民の中でもかなり関心が高いのは、次のG7に向けて尹大統領を御招待するか否かみたいなところはあちらこちらで聞くところであるんですけれども、この件についてはいかがでしょうか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 その件につきましても、様々な御意見があるということは承知しておりますが、まだ現時点においては決定をしていないところでございます。

島尻委員 決定はしていないということでございますが、やはり、日韓の関係が前向きに、シャトル外交等々を再開していくんだということを対外的に発信していくこと、これは、何もこの二国間だけではなくて、ほかの国にとっても有効にこの後進んでいくのではないかというふうに思っておりますので、是非とも、発表のタイミング等々、実効性のある、戦略的に考えていただければというふうに思います。

 昨今の安全保障環境、特に北朝鮮の情勢あるいは台湾有事を念頭に、日韓あるいは日米韓の協力を強化していくということは待ったなしであると考えます。これまでストップしていた外務、防衛の実務としての日韓安全保障対話を再開させるということも極めて重要だと考えております。

 もちろん、そのほかあらゆるチャンネルでの対話を進めていくということについても重要であるというふうに考えておりますが、副大臣、御意見いかがでしょうか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 まず、韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国であります。特に、北朝鮮への対応を含め、現下の戦略環境を踏まえれば、日韓、日米韓で緊密に連携していくことの重要性は論をまちません。

 昨日の首脳会談におきましても、両首脳は、両国が共に裨益するような協力を進めるべく、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくことで一致しております。

 具体的に、安保対話や次官戦略対話の再開、新たな経済安全保障に関する協議の立ち上げなどを進めていくことになりました。また、日本政府といたしましても、対日理解促進交流プログラム、いわゆるJENESYS等により、未来を担う若者の交流も引き続き支援してまいります。

 今後とも、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流が力強く拡大していくことを期待しております。

島尻委員 今日の朝の新聞でございますが、日中韓の協議も再開という記事が出ておりました。日中韓三か国の首脳や外相の協議も再び開くと確認をした、日中韓が持ち回りで開催する首脳による日中韓サミットは二〇一九年以降開いていない、東アジアの安定に向け三か国での意思疎通が欠かせないと判断したという記事でございまして、昨日通告は出していないものですから分かる範囲で構いませんけれども、日中韓のサミットの再開というところも各方面からの期待が寄せられているかというふうにも思います。

 ちょっと見てみたら、平成二十七年の第六回の日中韓サミット、ここで当時の安倍総理の御発言というものがありまして、ちょっと御披露させていただこうかなと思って持ってきました。

 会議の中で歴史問題についても言及され、安倍総理からは、本年は戦後七十年であり、本年八月に談話を発出し、歴史から教訓を酌み取り、歴代内閣の立場は揺るぎないものとした上で、戦後七十年間の平和国家としての歩みを基礎に、国際社会の平和と繁栄に一層貢献することを約束した旨発言した。そして、歴史を直視すると同時に未来に向かって協力することも必要である。特定の過去にばかり焦点を当てる姿勢は生産的でない。日韓及び日中の間には協力と発展の歴史がある。日中韓協力の前向きな歴史を更に紡いでいきたいという発言があったということでございます。

 しっかりと、我が国の主張、それから他国の主張も、胸襟を開いた中での会議の中で机上にのるというのは大変重要だというふうに思っております。これは通告をしていないので、御披露させていただくということにとどめておきたいというふうに思います。

 もう一つなんですが、経済的交流に移らせていただきます。

 軍事的な安全保障について進めていくということは大事でありますけれども、同時に、経済的交流をこれまでになく強化していくということが重要だと思います。今回は韓国の大手財閥のトップも同行していると聞いております。尹大統領は新聞インタビューで、半導体や宇宙関連、先端バイオ産業を挙げて、日本との経済交流に期待を示しているというふうに言っておりますけれども、日本としてはどのようなビジョンを描いてこれから進んでいくのか、お聞かせいただきたいと思います。

山田(賢)副大臣 今委員から御指摘いただいたような報道があることを承知しております。

 まず、インタビューの中で、尹錫悦大統領は、両国関係を正常化することは、両国共通の利益に合致するだけでなく、国際社会に非常に肯定的なシグナルになると期待していると述べたと承知しております。

 そのような中で実施されました昨日の日韓首脳会談で、両首脳は、両国が共に裨益するような協力を進めるべく、政治、経済、文化など多岐にわたる分野での政府間の意思疎通を活性化していくことでも一致し、具体的に、安保対話や次官戦略対話の再開、新たな経済安全保障に関する協議の立ち上げなどを進めていくこととなりました。

島尻委員 ありがとうございます。

 経済の交流というところは大変重要だと思っておりますので、是非ともよろしくお願いしたいというふうに思います。

 それらを一つ一つ、これまでにあった問題を解決していくというのが大前提だと思います。

 いわゆる徴用工の問題は、解決への一歩を踏み出しております。それから、GSOMIAの正常化への調整ということも必要になっていくと思いますが、時間も迫っておりますので、最後、GSOMIAの正常化への調整、これがどうなっていくのかということをお聞きしたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、これまでも述べてきているとおり、日韓GSOMIAは、日韓の安全保障分野における協力と連携を強化し、地域の平和と安定に寄与するものと認識しております。

 その上で、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、現下の厳しい地域の安全保障環境を踏まえれば、本協定が引き続き安定的に運用されていくことが重要となっており、政府といたしましては、本協定の下、今後とも必要に応じて情報共有を行ってまいります。

島尻委員 一歩一歩進んでいくということが重要だというふうに考えております。

 それから、この交流の中で、若い人たちの、あるいは学生の交流ということで、今後、留学の機会も、二国間の間で頻繁に行き来することができるようになるといいなというふうに思っております。

 最後、ちょっと地元のトピックを御披露させていただければと思うんですけれども、沖縄県の本島北部の金武町というところがございます。そこにBTSが来て動画を撮ったということで、金武町が、巡礼地というんですか、ファンの皆さんが回っていく巡礼地があるんですが、金武町が巡礼地の一つになっているということで、ますます世界中のBTSファンが沖縄県金武町に来てくれるといいなという感想を最後にお話をさせていただきまして、私の質問をこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

黄川田委員長 次に、金城泰邦君。

金城委員 こんにちは。公明党の金城泰邦でございます。

 私の方からは、日本が今最も重要である外交力の取組の強化、そういった視点から質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、日本政府は、有事への備えとして、防衛力の強化の方針を打ち出しました。しかし、有事が起こる前に、他国との紛争を未然に防止することが最重要だと考えております。有事に至らしめない諸外国との友好関係の強化をどのように進めていけるのか。先日も条約の質問のときに言いましたが、中国がイランとサウジアラビアの外交正常化の交渉に成功したというような報道もありました。

 そこで、日本の取組でございますが、本日お越しの外務副大臣にお伺いをいたします。

 日本政府は、国際社会の平和構築のためにどのように取り組んできておられますでしょうか。また、世界が抱える課題への取組として、地域紛争における和平交渉や災害復興支援に日本はどのように関わってきたのでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、国家安全保障の基本は、法の支配に基づき、平和で安定し、かつ予見可能性が高い国際環境を能動的に創出し、脅威の出現を未然に防ぐことにあります。

 こうした中、まず優先されるべきは、積極的な外交の展開。外相級の訪問、会談を始め、多層的、多面的な外交を各国、各レベルとの間でしっかりと展開していくことを考えております。

 我が国は、これまでも、平和国家として戦後一貫して世界の平和と繁栄のために尽力し、途上国の開発にも貢献してまいりました。この観点から、国際社会の中で、地域紛争の和平交渉の促進も含めた平和構築の事業に積極的に取り組んでまいりました。具体的には、国連平和維持活動への貢献や、平和構築分野における人材育成などに取り組んできております。また、ODAにおきましても、紛争の予防や緊急人道支援、さらには平和の定着や国づくりの支援など、継ぎ目のない取組を行ってまいりました。

 災害復興につきましては、我が国は、東日本大震災を含め様々な災害を経験した防災先進国であり、我が国の経験や技術、ノウハウを活用した国際協力に取り組んでおります。例えば、二〇一八年のインドネシア中部の地震におきましては、復興計画の策定や復興事業を支援し、よりよい復興、いわゆるビルド・バック・ベターの実現、災害に強い社会の形成に貢献しているところでございます。

金城委員 ありがとうございました。

 これまでも、日本が国連を通じて国連平和維持活動などに貢献し、また、世界各国で起きている災害等にもしっかりと復旧に向けて対応してきていただいております。これからも、公的な機関である国連を通じた平和維持活動をしっかりとやっていただいて、また、これから先は、日本の顔がしっかり見えていくような外交にも力を入れていただきたいと思っております。

 次に移ります。

 日本にとって重要な関係性があるにもかかわらず、両国間の関係について課題や問題がある周辺の国々があります、また地域があります。それらの国と地域との関係をそのまま放置することは、日本にとってマイナスとなります。関係改善のために、外交力強化に取り組んでいかなければならないと考えます。

 そこで、副大臣にお伺いいたします。

 日ロ関係、日韓関係、日中関係、日朝関係、そして日台関係の改善に、具体的にどのように取り組まれておりますでしょうか。先ほど、島尻安伊子先生の質問にもありましたように、昨日、日韓の首脳会談が行われた、十年ぶりとなる非常にすばらしい取組である、このような日韓関係もありましたし、また、三月の十三日から昨日まで行われていた日台漁業交渉というのも開かれておりますが、そういった状況についても含めて御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 まず、ロシアにつきましては、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがすものであり、引き続き毅然として対応をしていく必要があります。

 同時に、漁業などの経済活動といった日ロが隣国として対処する必要のある事項につきましては、我が国外交全体において、何が我が国の国益に資するかという観点もしっかり考えつつ、適切に対応してまいります。

 韓国につきましては、昨十六日、岸田総理が訪日中の尹錫悦韓国大統領と日韓首脳会談を行いました。

 現下の戦略環境の中で日韓関係の強化は急務であり、一九六五年の国交正常化以来の友好関係の基盤に基づき、日韓関係を更に発展させていくことで両首脳は一致しており、今回、シャトル外交を再開することとなりました。

 また、今次首脳会談におきまして、両首脳は、両国が共に裨益するような協力を進めるべく、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくこととし、日韓安全保障対話についても早期に再開することで一致いたしました。

 中国につきましては、日中両国間には様々な可能性とともに数多くの課題や懸念が存在しております。同時に、日中両国は地域と世界の繁栄に対して大きな責任を有しています。

 昨年十一月の日中首脳会談で得られた前向きなモメンタムを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築してまいります。

 北朝鮮につきましては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を目指す考えであります。

 台湾は、日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であります。日本と台湾の関係は、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持されてきており、この立場を踏まえ、日台間の協力と交流の更なる深化を図ってまいります。

 漁業につきましても、日台民間漁業取決めに基づき、委員御指摘のとおり、本年も三月十三日から十五日にかけて日台漁業委員会第九回会合が開催され、操業ルール等について意見交換が行われました。引き続き、操業秩序の構築のため、台湾との協力を進めてまいります。

金城委員 副大臣、御答弁ありがとうございます。

 おっしゃられたように、私、地元は島尻先生と同じ沖縄ですが、隣は台湾ですので、そことやはり仲よくやっていく、友人としてしっかりとつき合っていくことは大事ですので、そういった意味でも、日台漁業交渉、しっかりと連携を取りながら、いい方向に行ければいいなと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 世界各国に、在外公館の長である特命全権大使が赴任しています。国内においては関西担当と沖縄担当の特命全権大使がおります。関西大使、沖縄大使の任務について、政府は、関西担当大使については、関西方面における国賓、公賓、その他外国要人の接遇等の事務に従事している、沖縄担当大使については、沖縄に駐留するアメリカ合衆国軍隊に関わる事項等についての沖縄県民の意見及び要望を聴取し、これを外務省本省に伝えるとともに、必要に応じ、合衆国軍隊等との連絡調整を行う等の事務に従事していると答弁しています。

 国内駐在大使については、以前より、不必要ではないかとか、見直しをするべきではないかとの御意見を表明されている方もおられると承知しておりますが、しかし、地元が沖縄である私は、沖縄特命大使は必要な存在と考えております。

 沖縄大使には、政府答弁に加えて、平和構築に関わる事務を付加すべきと考えております。沖縄大使には、日本に駐在する各国大使を始めアジアや世界の要人を沖縄に招いての平和構築に向けた会議など、そういったものを定期的に開催していただきたいと考えます。また、官民連携した平和イベントなども企画してはどうかと思います。

 外務副大臣の御所見をお伺いいたします。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 沖縄担当大使は、多数の米軍関係者が駐留する沖縄で、地元の方々の意見や御要望をお伺いするとともに、米軍関係者による事件、事故等の具体的事案の処理等に関する地元と在沖米軍等との対話の維持、促進を支援するために任命されており、在沖縄米軍や、沖縄県等、地元自治体のハイレベルの方々と直接連絡を取り合える立場を活用し、米軍の駐留に伴う諸問題の解決に努めております。また、様々な機会を通じて外務省の考え方を地元に御説明するとともに、地元の方々の御意見、御要望を外務大臣に報告しております。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、沖縄担当大使としては、引き続き、我が国の外交政策を丁寧に地元に御説明していくとともに、地元の御要望も踏まえ、地元と在沖縄米軍等との対話の維持、促進に努めることが重要であると考えております。

 同時に、外務省といたしましては、沖縄において、対日理解の促進、国際交流、グローバル人材の育成等を目的とした様々な人的交流、人材育成事業を実施しており、引き続き着実に取り組んでいく考えであります。

 昨年の沖縄復帰五十周年記念式典における岸田総理の式辞におきましても、島嶼地域に共通する課題の解決に貢献できる国際的な人材の育成や人材交流等を推進し、平和創造の拠点としての沖縄の発展、国際的なネットワークの形成を目指す旨を述べられているところでございます。

 このようなことから、外務省として、沖縄の中高生を対象にした米側との交流プログラムや、沖縄の高校生、大学生を対象にした米国派遣プログラムなど、沖縄の国際化に貢献する取組も推進していく考えであり、沖縄担当大使にも引き続きその職務に邁進していただきたいと考えております。

金城委員 ありがとうございます。しっかりとまた取り組んでいただきたいと思います。

 次に、外務省として、日本唯一の地上戦があった沖縄に国の平和展示室を設けたり、あとは、沖縄戦など日本が受けた戦禍を紹介し、戦争の悲惨さを世界中に、また後世に伝えることを実行していただきたいと思います。

 また、沖縄県内には、県や市町村、そして民間による様々な戦争と平和に関する資料館、記念館があります。例えば、対馬丸記念館や沖縄県営の平和祈念公園、そういった平和資料館、ひめゆりの塔、ひめゆり平和祈念資料館などを始めとする多くの施設があります。

 この施設は、まだ多言語化ができていないものも多くあります。世界中に平和の尊さを発信するために、外務省がリードしてこれらの施設の多言語化を推進していただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 沖縄は、さきの大戦において悲惨な地上戦を経験し、また、一九五二年のサンフランシスコ平和条約の発効以降も二十年間の長きにわたり我が国の施政権の外に置かれるという苦難の歴史を刻んでまいりました。

 外務省といたしましては、委員の御指摘も踏まえ、このような沖縄の歴史と苦難を耐え抜かれた沖縄の方々の心情に思いを致し、また、沖縄県の持つ固有かつ多様な魅力を認識し、外務省沖縄事務所を最大限活用しつつ、関係府省庁の取組を可能な範囲で支援してまいる所存でございます。

 また、外務省は、沖縄に関連する、対日理解の促進、国際交流、グローバル人材等の育成等を目的とした様々な人的交流、人材育成事業を実施しており、引き続き着実に取り組んでまいる考えでございます。

金城委員 ありがとうございます。

 沖縄の平和発信、これは、しっかりと政府としても、また、担当は外務省以外にも、沖縄は内閣府の方とかいろいろ関係すると思いますので、そういった方々とも連携して対応していただきたいと思いますが、これについてはお答えできますでしょうか。

望月政府参考人 委員から例示のありました施設の多言語化、こちらにつきまして御答弁を申し上げます。

 運営者が様々でございますので、一概にお答えすることはちょっと難しいところもございますが、内閣府で運営の支援を行っております対馬丸記念館、こちらにつきましては、リーフレットとかデジタルサイネージ、これにつきましては三か国語での多言語化を行っております。英語、また台湾を念頭に置いた中国語、さらに韓国語でございます。そのほかに、通訳ガイドを設置するといったことも行っております。

 こういった状況でございますが、一般論として申し上げますと、まさに委員がおっしゃるように、沖縄戦の戦禍につきまして、多言語の展示で発信をして、海外の方に平和の尊さを伝えていくということは非常に意義のあることだというふうに考えておりまして、例示のありました施設を管理する沖縄県などにも、委員の御指摘、これをしっかりと伝えさせていただければと思っております。

金城委員 質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、松原仁君。

松原委員 昨日から尹錫悦韓国大統領が、久しぶりというか、十年以上の間が空いておりましたが、日本に来日をされ、総理大臣、また外務大臣も、様々な大統領との行事をこなしている中の委員会ということで、お忙しい中、そのことについては敬意を表するところであります。

 この韓国大統領の訪日が、それが長期に及ぶことを期待しながらも、仮に時限的なものであったとしても、目下の厳しい北東アジアの安全保障環境等を考えたときに、日米韓の連携をつくり出そうという、極めて意欲的な、それ自体、評価されるべきことであるということは冒頭申し上げておきたいと思います。

 その上で、そうではあるものの、やはりここは言うべきことを言わなきゃいけないということを後で述べさせていただきます。

 最初の質問としては、中国との向き合いであります。

 中国の習近平が名実共に三期目の主席となって、ある意味で、メディア的な報道用語を使うならば、独裁的な中国の指導者になった、こういうふうに言われているわけであります。その前の段階から既にこの流れは着実でありまして、そうした中で、中国政府が日本に対し、新時代の要求にふさわしい中日関係ということを何回も主張している。例えば、日中国交正常化五十周年の折にも、またAPECの折にもこういった発言がされていると思っているわけでありますが、これは、従来の中国の対日政策とどこがどう変わったと外務省において分析をしているのか、お伺いしたい。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の発言につきましては承知しておりますが、中国側の意図につきまして、政府として有権的に説明する立場にないということは御理解いただければと思います。

 その上で申し上げれば、例えば、昨年十一月の日中首脳会談におきましては、岸田総理から、電話会談では建設的かつ安定的な日中関係の構築との大きな方向性で一致したこと、また、建設的かつ安定的な日中関係の構築という共通の方向性を双方の努力で加速していくことが重要である旨述べたのに対しまして、習近平国家主席は、日中関係には幅広い共通利益や協力の可能性がある、日中関係の重要性は変わらない、岸田総理とともに新しい時代の要求にふさわしい日中関係を構築していきたい旨述べたところでございます。

 したがいまして、中国との間におきましては、首脳間において建設的かつ安定的な日中関係の構築との大きな方向性で一致しており、その実現に向けて日中双方で努力していく所存でございます。

松原委員 それは通り一遍のお題目みたいな話でして、私が言っているのは、中国側がこういう表現を新たにし始めたということの、やはり言葉というのは重いですから、分析を我々がするものではないというふうな話ではないと思うんだよね。相手がどういうふうな意図を持って、向こうに言わせれば中日外交、これをやろうとしているのかというのをやはり我々は分析をしなきゃいけない。ある中国の関係者がいわく、完全に中国が上で日本が下という状況を日本側に徹底させるんだというふうなことを言っている人もいるというふうに聞いているわけであります。

 大臣、お伺いしますが、大臣は、この中国側の、日中の、新時代の要求にふさわしい中日関係というのはどんなことなのかというのが、もし感想でもあればおっしゃっていただきたい。

林国務大臣 この発言、今政府委員から答弁があったとおりでございますが、中国側の意図について、我々として、ああだこうだということではないというふうに思いますが、今、松原委員からお話があったように、言葉は大事であります。

 新時代というのがどういう意味なのかということ、これはいろいろ分析をしながら、どういう背景で言っているのか、そういうことはよくよく踏まえながら、考えながら、日中関係、対応していかなければいけないと思っております。

松原委員 そうした中で、次の質問というのは、最終的に、中国の強烈な反発があって、アジア版NATOを呼び込むつもりかということにつながるわけでありますが、その文脈の中で御質問をさせてもらいます。

 NATOのマドリード会合において、日本と韓国、ニュージーランド、オーストラリアの全ての首脳が集まった。総理大臣というか、首脳が集まった。これはかつてなかったことだと思うのでありますが、このこと自体、まず冒頭、四国の首脳が同時に集まるということはあったんでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月にスペインのマドリードで開かれましたNATOの首脳会合、これに、岸田総理ほか各国の、域外国の首脳が参加をしたわけでございますが、このような形で日本の総理大臣がNATOの首脳会合に参加をしたのは初めてのことでございました。

松原委員 日本の総理大臣が参加したのは初めてだということも含めて、日本、韓国、ニュージーランド、オーストラリアの首脳が集まったというのは、恐らく、NATOが始まって以来の会合だったと思うんですよ。

 この意図に関しては最後に大臣に聞きますが、このとき、どういう議論が行われましたか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 昨年のNATOの首脳会合におきましては、ロシアのウクライナ侵略や厳しさを増すインド太平洋地域の安全保障情勢を踏まえまして、NATOと我が国のようなパートナー国や機関との間での今後の協力などについての議論が行われたところでございます。

松原委員 議論の中で、台湾問題は扱われましたか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 同会合におきましては、岸田総理から、東アジアの安全保障情勢について説明はいたしました。

 それ以上の詳細については、外交上のやり取りであり、差し控えさせていただきます。

松原委員 全て外交上の秘密とされてしまうと困るわけでありますが、今の答弁だと、台湾の問題も扱われた可能性がある、こういうふうに私は受け止めさせていただきました。

 そこで、大臣にお伺いしますが、このNATOマドリード会合で、日本、韓国、ニュージーランド、オーストラリアの全ての首脳が集まった、この会合というのは、人口に膾炙すれば、その後の質問とも絡みますが、一つの政治的な意味を持つだろうと私は思っております。大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。

林国務大臣 国際社会が歴史の岐路に立つ中で、NATO首脳会合に我が国を含むアジア太平洋のパートナーが参加したこと、これは、欧州とインド太平洋の安全保障が切り離せないという各国の認識の表れであると考えております。

 そして、会合では、岸田総理から、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分である、そして、国際秩序を守り抜くため、基本的価値を共有する同志国間での連携を強化すること、これが不可欠である、これを強調させていただいたところでございます。

 各国との議論の結果、NATOと我が国を含むパートナー国、機関との間での連携、これを強化するということで一致することができました。

 我が国とNATOとの関係について言えば、この機会に、NATO側との間で、日本とNATOの関係を新たなレベルに引き上げることを目指し、両者間の新たな共同文書の合意に向けて作業を加速することで一致をしたところでございます。

松原委員 今の大臣の御答弁は非常に分かりやすいし、そのとおりだと思うんですね。政府参考人はもうちょっと踏み込んでディテールを言ってもらわないと、大臣の方が踏み込んでいるような感じですよ、これじゃ。しっかりお願いしますよ。

 その上で、私は、やはりNATO側の思惑としてアジア版NATOという認識があるのではないかと思っているし、今の大臣の御発言の、アジア太平洋地域の安全保障と不可分であるというのはそういうことを示唆している、こういう理解をさせてもらいたいと思っております。

 その上で、今年、NATOの事務総長、ストルテンベルグが訪日をした。この訪日をした経緯、まず、ちょっと質問通告にないんですが、当たり前で答えられると思うので、事務総長が日本に来た経緯は一体どういう経緯で来たのか、お答えください。

中村政府参考人 ストルテンベルグ、NATOの事務総長さんでございますが、かねてからアジア太平洋地域の安全保障環境については、この方自身、大変強い関心を持っておられて、これまでも、例えば、先ほど話題になりました昨年六月のNATO首脳会合の際に岸田総理がスペインを訪問されたときも、会合などをされておられます。

 そういう意味で、先方が非常に強い関心を持っておられたことから、私どもの方から別に招待をしたということではないわけですけれども、先方の実務的な訪問ということで日本を訪問した次第であります。

松原委員 そのときの会談の中身を簡単に教えてください。

中村政府参考人 お答えいたします。

 岸田総理とストルテンベルグ事務総長との会談、これは一月の三十一日に東京において行われました。

 そこでは、まず、ウクライナ情勢やインド太平洋情勢を踏まえまして、自由で開かれたインド太平洋、これの実現を含む法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化のため、日・NATO協力を更なる高みに引き上げていくことを確認をいたしました。具体的には、サイバーなどでの協力を一層進展させること、さらに、安全保障の裾野が広がる中、重要・新興技術、宇宙、偽情報などの分野でも今後協力していく重要性を再確認いたしました。

 国際情勢につきましては、両首脳は、ウクライナ情勢に加えて東アジア情勢についても意見を交換し、東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みへの反対を表明し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調いたしました。

 また、林外務大臣との間でもこのとき会談が行われまして、そこでは、ウクライナ情勢に関して、引き続き同志国が結束して対ロ制裁とウクライナ支援を継続することが重要である、こういう点で一致いただくとともに、インド太平洋地域の地域情勢についても意見交換を行い、日・NATO間で緊密に連携していくことで一致した次第であります。

松原委員 ストルテンベルグの意図というのは、今のことで明快だと思うんですよ。先ほどの大臣答弁にもあったように、NATOと日本の更なる一層の連携の強化、これをやっていきたい。そして、今の政府参考人の御答弁にあったように、言ってみれば、アジア太平洋まで世界は一つなんだ、こちらからこちらはNATOの領域というふうな話じゃなくて、全部が一緒なんだという、全部に対する、安全保障は同じような概念で全ていかなきゃいけないんだということだろうというふうに私は思っているわけであります。

 話題が若干それますが、先般、IPACというものが議員会館の方で行われました。IPACというのは、インターナショナル・パーラメント・アライアンス・オン・チャイナということで、その頭文字でIPAC。中国のまさに増大する権威主義的な覇権主義に対してどう連携するかということで、イギリスのトラス前首相も来られて、ニュージーランドやオーストラリアの前首相も来られて議論しました。

 そこの議論というのは、基本的にはいわゆる人権侵害、ウイグルの人権侵害なんかは有名でありますが、こういったものに対して共通して闘おうと。トラスさんの演説の中で、経済版NATOをつくろうということを、後で文書を外務省にお渡しすることもできますが、そういったことも言われているわけであります。この経済版NATOで何をするのかというと、共通して人権侵害と闘おう、こういうふうなことを言っているわけであります。

 つまり、一つ一つのIPACに参加している国でやると、これは相手が巨大だからびくともしない、全体で、ある案件、ウイグルだったらウイグルの人権侵害に対して、誰かに対して外為法の規制をかけるみたいな、こういう人権侵害に制裁を使うことによって我々の人権主義というものを考えていこう、こういうことでありますが、このことは当然必要だと思うんですが、大臣の御所見をまずお伺いしたい。

林国務大臣 二月の十七日に東京で開催をされました対中政策に関する列国議会連盟、IPAC、この人権フォーラムにおいてトラス前英国首相が、今ちょっとお触れになっていただきましたけれども、G7に豪州を加えると世界の名目GDPの半分以上であり影響力がある、このレバレッジをまさに利用して、G7と同盟国が経済版NATOとして機能するようにする必要がある、こういうふうにおっしゃられたと承知をしております。

 トラス前首相の述べられた経済版NATOですが、具体的にどのようなものを想定しているのか定かではありませんけれども、いずれにしても、人権、これは普遍的価値でありまして、その擁護、これは全ての国家の最も基本的な責務であります。

 日本政府としても、深刻な人権侵害について、米国などの同盟国、同志国と緊密に連携してしっかり声を上げるとともに、努力をしている国に対しては対話と協力によってその取組を促す、日本らしい人権外交を進めていきたいと考えております。

松原委員 これは実務的な話でまず聞いておきたいんですが、今発言もありました、マグニツキー法、人権侵害制裁法案、人権DD、こういう武器がなくて、果たして、トラスさんが言う共同で人権侵害と闘うということが同じ水準でできるんだろうか。お伺いします。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 日本は、人権侵害を認定して制裁を科すような制度は、御指摘のとおり、有しておりません。

 普遍的な価値である人権を擁護するとの基本的な考え方、これはG7の各国の間で完全に一致しております。人権侵害に対してどのような対応が適切かにつきましては、その一貫した立場に沿って、各国が適切と考える対応を取ってきております。連携を取っております。

 日本は、人権は普遍的な価値であり、人権擁護は全ての国の基本的な責務であるとの考えから、これまで人権侵害に対しては、今大臣から御答弁申し上げたとおり、しっかり声を上げる一方、対話と協力を基本とし、民主化、人権擁護に向けた努力を行っている国との間では、二国間対話や協力を積み重ねて、自主的な取組を促してきております。

 御指摘の、人権侵害を認定して制裁を科すような制度、これを日本も導入すべきかにつきましては、これまでの日本の人権外交を踏まえ、全体を見ながら引き続き検討していきたいと考えております。

松原委員 今、大臣にこれを問わないで政府参考人に問うた理由は、林大臣はこれは絶対必要だと思っていると私は思っているんですよ。林さんの、大臣の思いはあるから、もう分かっているから、事務方にこれを言ったんですね。

 大臣、人権侵害制裁法案、これは議法でやるか閣法でやるか分かりませんが、きちっと早く作らないと、やはり日本の立場がなくなると思います。明快に申し上げておきたい。

 ここで私が強く言いたいのは、一方において、トラスさんが経済版NATOという言葉を使っている。NATOなんです、全部。NATOの事務総長もNATO、NATOのマドリード会合もNATO、トラスさんが言っているのもNATO。

 そこで、外務省にお伺いしますが、中国は、アジアにNATOを呼び込むつもりかと批判している、どんなことを批判していますか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点につきましては我々も承知しておりますが、具体的に例を申し上げれば、例えば、中国外交部報道官の会見での発言によれば、日本側はNATOによるインド太平洋地域への進出の強化を歓迎しており、NATOのアジア太平洋化の急先鋒となる意向があるとの発言をしたという点につきまして、具体的な例として承知しております。

松原委員 そこで、大臣の御所見をお伺いしたいんですが、質問者である私の立場は、この状況であれば、アジア版NATOというのは歴史の必然になりつつあると私は思っている。その上で、大臣は、こうした動きを総括しながら、既にマドリード会合もこれあり、また、NATO事務総長も来たり、トラスさんも経済版NATOという言葉であえてNATOということを強調している。アジア版NATOの可能性も含めて、今の言える範囲の中で精いっぱい御所見をお伺いしたい。

林国務大臣 御指摘の中国側の発言については承知しておりますが、政府として一つ一つコメントは差し控えたいと思いますが、私自身も、実は、去年ブラッセルで行われましたNATOの外務大臣会合、これに出席したところでございます。これも日本の外務大臣としては初めて参加をしたということになっておるところでございますが、NATOが新たな戦略概念において中国の挑戦について史上初めて言及したということも含めて、NATOが近年インド太平洋地域の安全保障環境に関心を高めているということを我々としても歓迎をしているところでございます。

 私も、先ほどお触れになっていただいたように、ストルテンベルグ事務総長との間で意見交換を行いまして、インド太平洋地域の地域情勢について日・NATO間で緊密に連携していくということで一致をしたところでございます。

松原委員 今の大臣の発言は、時代の必然に当然向かうということにおいて、私は評価していきたいと思っています。

 具体的にこれを一歩一歩高めていくことをしていくことは、それも存外時間は限られていると思っておりますので、是非とも、外務省、そこは努力をしていただきたい。大臣にもアクティブに行動していただきたいと思います。

 次に、ちょっと質問を飛ばしまして、拉致、北朝鮮問題に入りたいと思います。

 北朝鮮に関する拉致の、拉致被害者家族会が金正恩総書記に対するメッセージを発出しましたが、救う会の運動方針とも連携するこのメッセージについて、家族会、救う会と寄り添う立場の拉致対ですか、コメントを求めたい。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 二月二十六日に拉致被害者家族会、救う会の合同会議で今後の運動方針が決定されるとともに、北朝鮮指導者への三回目のメッセージが決定され、今月一日に岸田総理自ら手交を受けたところであります。政府として、拉致問題の解決に向けた御家族や救う会の方々の強い思いの表れと厳粛な思いで受け止めているところであります。

 拉致問題は時間的制約のある人道問題であります。全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向け、引き続き全力で果断に行動してまいります。

松原委員 このメッセージ、大臣もお読みになったと思いますが、二つぐらいあるんですけれども、親の世代の家族が存命のうちと時間的制約を設定しています。

 横田滋さんは亡くなってしまいましたが、早紀江さんが生きている間にめぐみさんは戻ってきてもらいたい、それぞれそういうことを主張しているわけでありまして、この文書を読むと、私たちは帰還した被害者やその家族に秘密の公開を求めるつもりはありません、また、国交正常化に反対する意思もありません、二つ目のパラグラフは、同じように、親の世代の家族が存命のうちに戻ってくるならば、我が国が北朝鮮に人道支援を行うことに反対しませんと。

 実は、私が拉致問題担当大臣のときに、これは同じように、内々においてはこういった主張をしていたわけでありますが、家族会、救う会までがこの主張をし始めたというのは、極めて時間的制約が来ているからだろう、こう思っております。

 このメッセージはメディアも報道したし、岸田さんにも、総理大臣にも手交していると思うんですが、当事者である、これを見ると、最後に、金正恩国務委員長殿、横田拓也、西岡力となっているんですよ。この文書は、しかし、金正恩さんに届いているとは到底思えないんですが、そこで、北朝鮮の中国における大使館等があるわけで、そういったところにこのメッセージを託すというか、金正恩氏に届くように家族会、救う会をアシストする意思があるかどうか、お伺いしたい。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 拉致被害者家族会、救う会での運動方針、さらには北朝鮮指導者へのメッセージにつきましては、御家族や救う会の方々の強い思いの表れであり、厳粛に受け止めているところでございます。

 御指摘の点も含めまして、北朝鮮への対応につきましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けまして、あらゆる選択肢を排除せず、引き続き果断に行動していく所存でございます。

松原委員 アシストしてほしいと思うんです。

 実は、我が党の拉致対策本部で横田拓也さん、哲也さん、西岡さんが来られたときに、事務局次長の哲也さんから、こういったことは現実には可能ではないかというふうな話を聞いて、あえてこの場で明確に申し上げているので、そういったことも含めて、大臣、今のことも含めて、このメッセージをどう評価するのか。外務省としてはやはりきちっとアシストするべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、北朝鮮指導者への三回目のメッセージ、これが決定されました。併せて今後の運動方針が決定されたわけでございますが、やはり、今委員がおっしゃったように、人道支援をしてもいい、この思いというのは、おもんぱかると、非常に大事な決定であって、強い思いの表れであり、大変そこは厳粛な思いで受け止めておるところでございます。

 まさに拉致問題は時間的制約のある人道問題でございますので、我々、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて政府として全力で取り組んでいきたいと思っておりますし、当然、被害者の皆様、家族会、救う会に寄り添って、しっかりと活動してまいりたいと思っております。

松原委員 是非、全てのアシストを、可能なことはしていただいて、金正恩総書記がこのメッセージを受け取る、その上で彼らが何もしなければ、それはそれで我々は別の判断をしなければいけないわけですが、それを大臣には動いていただきたい。

 他方において、韓国が、北朝鮮のサイバー資金略奪行為に関わる案件として、四個人、七団体に対して制裁を発動した。その具体的な中身を簡潔にこの場でお伝えください。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国政府が二月十日に対北朝鮮制裁措置を発表いたしました。パク・ジンヒョク、チョ・ミョンレ、ソン・リム、オ・チュンソンの四個人及び朝鮮エキスポ合弁会社、ラザルス・グループ、ブルーノロフ、アンダリエル、技術偵察局、百十号研究所、指揮自動化大学の七団体を制裁対象として指定したものと承知しております。

松原委員 この四個人、七団体が日本において活動しているかどうかの確認はまだ取れていないと思いますが、これが日本で同じように活動しているとしたら、私は韓国同様の制裁を科すべきだと思いますが、御所見をお伺いしたい。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国といたしましても、引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決のために何が最も効果的かという観点から不断に対応を検討していく所存でございます。

松原委員 少なくとも、韓国が制裁を発動したということは、同じことが、ラザルス・グループとか、日本ではこれは既に制裁を発していると思うけれども、そういったことはきちっとやってもらいたいと思っております。

 次に、北朝鮮がミサイルを度々撃っています。昨日も撃ったのかな。これに対して、外務省としては都度どのような抗議をしているのか、お伺いしたい。簡単にお願いします。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射に対しましては、北京の大使館ルートを通じ、そのたびごとに厳重に抗議しているところでございます。

 十六日の発射につきましても、直ちに北朝鮮に対して厳重に抗議をし、強く非難したところでございます。

松原委員 ちまたではこれを何と言っているかというと、外務省の遺憾砲と言っているんですよ。遺憾です、遺憾ですというのを、大砲の砲をくっつけて、遺憾砲と。これは、そういうふうに言われてしまうというのは、つまり、口で言っているだけじゃないかという話になってくる。

 本来は先に質問する予定だった、日本の中国における大使館員の拘束事件もそうですよ、遺憾ですと。こういったものを、ウィーン条約に抵触して遺憾ですと。遺憾だと言うだけでは、全くもって話は進まないわけであります。

 そこで、私が御提案申し上げたいのは、高麗航空に対して制裁を発動するべきではないか。

 高麗航空に関しては、国連安保理、理事会の決議千八百七十四号に基づいて設置された専門家パネルによって、過去、スカッドミサイル部品の密輸に関与したと断定的に書かれているわけであります。先回の、昨年十一月のこの委員会でも、私の質問に対して、アメリカ政府は高麗航空を制裁対象に指定しているというのを林大臣御本人から御答弁いただきました。

 やはりこういうことに対して、少なくとも何らかの制裁を行うということをしなければ、遺憾です、遺憾ですという遺憾砲を撃っているだけでは、全然もって、遺憾であるということ自体の言葉の重さがなくなってしまう。遺憾ですと二十回も三十回も言ったら、遺憾ですの重さがなくなってしまいますよ。

 大臣にお伺いしますが、やはり高麗航空を制裁対象に検討するぐらいのことを思い切って言えませんか。

林国務大臣 政府として、現時点において、御指摘の団体を資産凍結等の措置の対象として指定していないわけでございますが、北朝鮮に関する対応について、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、今後も、米国を始めとする関係国及び関係国際機関とも緊密に連携しつつ検討していきたいと思っております。

 また、関連安保理決議の実効性、これを確保するとともに、我が国として取っている措置の実施、これを徹底しておりまして、今後もこうした取組を継続してまいりたいと思っております。

松原委員 この場で即座に即答できるというふうには思っていませんが、アメリカもそれは制裁をかけているわけです、とっくに。やはり北朝鮮がそういうふうにミサイルを国連の決議に違反してどんどん撃っているのに対して、遺憾ですと二十回、三十回言えば言うだけ、我々の重みがなくなってしまうということは明確に御認識をいただいて、さすがにアメリカもやっているんだから、高麗航空、大臣、是非とも制裁をかけていただきたいと思います。

 もう一つ、北朝鮮による人道に対する罪というのを前にも、前回の質疑でも行いましたが、この中で私も主張しておきたいことは、結論からいえば、金正恩総書記をいわゆる国際刑事裁判所に出廷させるべしというのが結論であります。

 実は、安倍総理がおられたときに、安倍総理も随分このことで骨を折ったと私は仄聞をしておりますが、第二十五回人権理事会において、平成二十六年三月二十八日、最終報告書の内容に、朝鮮民主主義人民共和国における状況の適切な国際刑事司法制度への付託の審議及び人道に対する罪に最も責任を有すると見られる者、これは当然金正恩ですね、への効果的で対象を特定した制裁に向けた実現可能性の審議を求めた北朝鮮人権状況決議案を共同提出し、これが採択されている。これは安倍総理が随分やったと聞いています。

 もう一つ、これは国連総会においてでありますが、朝鮮民主主義人民共和国における状況の国際刑事裁判所への付託の審議及び調査委員会が人道に対する罪を構成し得るとした行為に最も責任を有すると見られる者、これも金正恩ですね、への効果的で対象を特定した制裁に向けた実現可能性の審議、この両方とも可決されているんですよ。

 これは安保理ではないんですが、総会で可決されて、一方はいわゆる人権理事会ですね。安倍総理が大分やったというふうに私も聞いております。

 やはり日本としては、日本が提出国の一つなんだから、取り組むべきじゃないですか、北朝鮮の金正恩総書記に対して。大臣、力強い御所見をいただきたい。

林国務大臣 政府として、現時点で、ICCへの付託、これを具体的に検討しているわけではありませんけれども、北朝鮮に関する対応については、まさに、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、今後も、米国を始めとする関係国や関係の国際機関とも緊密に連携しながら検討していきたいと思っております。

松原委員 次は北朝鮮のミサイルでありますが、ミサイルは非常に頻繁に発射されております。

 簡潔に、状況だけ説明してください。

安藤(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省として発表した昨年一年間の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について申し上げますと、弾道ミサイルであった可能性があるものを含め三十一回、少なくとも五十九発に及びます。

 また、防衛省として発表しました本年に入ってからの北朝鮮による弾道ミサイルの発射は四回、五発となってございます。

松原委員 北朝鮮の頻繁なるミサイル発射に対して韓国の世論がどうなっているか、お伺いしたい。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国世論について網羅的に把握しているわけではございませんけれども、様々な意見があると承知しております。強い懸念が多く表明されているとも承知しております。

松原委員 聯合ニュースでは、回答者一千人のうち七六%は韓国独自の核開発が必要である、こう言っているんですよ。

 だから、これは何でこういうふうになるかというと、非常に複雑な議論になりますが、北朝鮮の弾道ミサイルが大気圏再突入が可能になった場合はアメリカを射程にする、アメリカを射程にするときに、アメリカは韓国を核の傘で守ってくれるのか疑問である、であるがゆえに、韓国は自らそういった核の力というものを持つべきだ、こういうふうな世論がほうふつとして起こっているということは世論調査で明らかになっていて、これは外務省からもらったデータですからね。

 私が申し上げたいのは、そういう状況の中で、時間ももう来ておりますから簡単に言いますが、北朝鮮のミサイルの大気圏再突入、この間、火星15号を聞いたときに、ちょっとまだ分析中ですということでしたが、どういうふうな今分析というか、どうなっているのか、どう判断しているのか、お伺いしたい。

安藤(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御質問のございました、実際に北朝鮮がICBM級弾道ミサイルについて大気圏再突入技術を確立したかどうかについては、慎重な分析が必要であると考えてございまして、今お尋ねのございました、昨年十一月十八日に発射されましたICBM級弾道ミサイル、火星17型も含めまして、確定的にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

 この点についてちょっと補足をいたしますと、現在までに北朝鮮が行ってきましたICBM級弾道ミサイルやその可能性があるものの発射につきましては、昨年十一月の発射を含めまして、いずれも、通常よりも高い角度で高い高度まで打ち上げる、いわゆるロフテッド軌道で行われたものでございます。

 この場合には、通常の軌道で弾道ミサイルを発射した場合と比較しまして、空気抵抗を受ける時間が短く、弾頭にかかる負荷が小さいことから、北朝鮮がICBM級弾道ミサイルの大気圏再突入技術を検証できていないといった指摘もございます。

 このため、実際に北朝鮮がこのような技術を確立したかにつきましては、先ほど御質問のございました昨年十一月の火星17型の発射、昨日のICBM級の発射などを含む一連の状況も踏まえつつ、引き続き慎重な分析を行っていく必要があると考えております。

松原委員 レーダーの照射の件とか、ほかの質問も用意をしたんですが、次回にそれはつなげていきたいと思っております。

 以上で終わります。

黄川田委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 まずは、開発協力大綱の改定についてお伺いいたします。

 昨年九月、国際情勢の変化を理由に、開発協力大綱の改定が政府から発表されております。そもそも、私が思うに、改定するには、現在の大綱の重点課題に沿った実施状況、こういったものを定期的に見た上で、見直しが必要だから大綱を改正する判断が行われるべきであると思いますが、今回は改定ありきで進んではいないでしょうか。

 まずは、現在の開発協力大綱について、これまで定期的なレビューを行ってきたのか、お伺いいたします。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の大綱の改定に当たりましては、現行大綱が策定されました二〇一五年度以降のODA評価に関する第三者レビューを行いまして、現大綱の下でのODA実施を振り返るとともに、新たな大綱に盛り込むべき視点についてのコメントも得られた次第でございます。

 こうした第三者レビューの評価結果につきましては、昨年の林大臣の下に設けられました開発協力大綱の改定に関する有識者懇談会において、有識者の皆様にも直接御報告した上で御議論をいただいたところでございます。

 今後とも、第三者レビューの評価結果に基づく提言や有識者報告書を踏まえて、引き続き丁寧なプロセスを進めてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 今御答弁いただいた第三者評価レビューというのは、多分、大野泉先生が行ったものですね。確かにおっしゃるとおりで、この大野泉先生の二〇一五年から二〇二一年度の七年間のレビューは私は本当にすばらしいと思うんです。本当に、この大野先生のレビューについては、評価結果に基づく提言が幾つかございますけれども、是非新しい大綱に入れてほしい、そこは私もそう思います。

 ただし、私が今質問したのは、そもそも、このレビューが行われたのが昨年の八月から十一月、すなわち、新しく大綱を見直そうということで、こういったこれまでの現在の大綱の評価を行ったというふうに私は感じるんですけれども、私が今質問したのは、やはり、大綱を作るわけですから、毎年は大変だったら、せめて二年に一遍とか三年に一遍とか、そういうふうに、しっかり大綱に沿って行われているかどうか、そういったことの評価をしてほしいという考えでございます。

 実際、これまではそういったことはされていなかったというような認識でよろしいでしょうか。

日下部政府参考人 現行の大綱におきましても、事業の実施段階では、柔軟な運用に努めるとともに、評価をして、その評価段階で政策や事業のレベルでの評価を行い、その結果を政策決定過程等に適切にフィードバックされるということになっております。また、事業の実施状況につきましては、毎年閣議決定される開発協力白書において明らかにすることとされております。

 また、ODA評価レビュー、先ほど先生も御指摘されました大野泉先生のレビューでございますけれども、そこにおいてODA評価手法に関する御提言などもいただいたところでありまして、ただいまの先生の御指摘も含めまして、更なる改善の余地がないか、不断に検討を進めてまいりたいと思います。

青山(大)委員 まさにその大野先生のレビューの方にも、評価手法に関する提言がおっしゃるとおり幾つか載っていました。大綱の見直しの是非や検討項目を洗い出せるよう、ODA評価レビューの実施のタイミングを考慮すること。ですから、私は、これからは是非定期的に、何年に一度は、大綱と現場が合っているか、そういうことをするような、そういったことを今後やってほしいなということを提案させていただきます。

 より精度を高め、効果的なODA戦略を展開していくには、大綱を作った後の実施について、アクションプラン、モニタリング、レビュー体制をセットで機能させていくことが必要であります。例えば、成果指標の設定、達成状況の可視化、また、モニタリングやレビューの手法等を具体的に明確にしていくべきです。

 改めて、改定に当たり、政府の検討状況をお伺いいたします。

日下部政府参考人 現在、ODA大綱の改定の準備をしているところでございます。

 大野泉先生の行われましたODA評価レビューも、それから、林大臣の下に設置されました有識者懇談会、そういった方々の御意見も踏まえまして、評価のところも含めて、大綱の中でどう変えていこうか、今検討しているところでございます。

青山(大)委員 まさに今御答弁の中にあった有識者懇談会、ちょうど昨年の十二月に報告書が一度出たんですけれども、この中において、「資金的・人的資源の拡充」のところで、新しい大綱においては、「「今後十年でGNI比〇・七%を達成する」など達成年限を明確に設定するとともに、」というように報告されております。

 一九七〇年代からその意義が叫ばれながらも多くの先進国でなかなか達成できないODAをGNI比〇・七%とする目標を、今後十年以内に達成する旨を是非私は新しい大綱に明記してほしいなというふうに思っております。もちろん、非常に野心的な目標であるかもしれませんけれども、私は、やはりしっかり明記してほしいなと。本年、G7の議長国である日本として、国際社会への貢献の更なる拡大を約束する意味でも、私は明記してほしいなというふうに思っております。

 とはいえ、やはり、これは予算が伴うことですので、日本がODAを行う意義や目的を国民の皆様に理解を深めていただき、国民的合意を形成し、国民の皆様に支持されなければいけません。

 現に、ODAについて、日本国内でも経済的に困っている人がいるのに、なぜ海外に多額の援助をするのか、そういった批判も生じています。こういった批判は理解不足から生じている可能性も否めません。ODAを通じて海外支援をすることは日本を守ることにつながっている、こうした理解を広めていく必要がございます。

 例えば、途上国での衛生面の向上や医療体制充実につながる支援を行うことは、感染症発生のリスクを抑え、パンデミック防止策として機能します。他国で発生した感染症が日本に流入するのを水際で食い止めることがいかに大変かは記憶に新しいところです。まして、今後も世界的な感染症拡大リスクは決してゼロではありません。

 現地の人々のウェルビーイングへの支援は、我が国の生活を守ることにつながる、日本の国益につながっている、このようにODAと国益の密接関連性に気づき、大局的視点に基づく理解の促進が今後一層求められます。

 ODAと国益の密接関連性への国民の理解の促進、合意形成に向けて、政府の取組状況と今後を伺います。また、GNI比〇・七%の明記についても重ねてお伺いいたします。

林国務大臣 ODA実績の対国民総所得、GNI比〇・七%、この国際目標に関しまして、現在の我が国の厳しい財政状況を鑑みますと、直ちに達成の見通しを示すことは困難ではございますけれども、新興ドナーが存在感を高めてきている中で、ODAの戦略的活用を一層進めるとともに、引き続き様々な形でODAを拡充して、外交的取組の強化に努めてまいりたいと思っております。

 同時に、民間企業ですとかODA以外の公的資金を扱う国内機関との連携を強化しまして、同志国を含む開発協力の様々な主体と連携することを通じて、より効果的な開発協力を追求していきたいと思っております。

 また、国民理解についてのお尋ねがありましたけれども、まさにODAは、国民の税金、また財政投融資、こういうものを原資としておりますので、その意義や取組の中身を分かりやすく丁寧に発信いたしまして、国内の幅広い国民の理解と支持を得ることは不可欠だと思っております。

 今、青山委員からもお話がありましたように、情けは人のためならずという言葉がございますけれども、やはり、ただODAをやっておしまいということではなくて、そのことが我が国の国益につながってくる、そういうことをしっかりと御説明をしていかなければならないと思っております。

 また、特に、国際保健、パンデミック対応ということであれば、これは一つの分かりやすい例だと思いますけれども、全ての人が安全になるまで誰も安全ではない、こういう言葉がございます。まさにこういうこと一つ一つのケースも使いながら、ODA広報の一層効果的な実施に努めていきたいと考えております。

青山(大)委員 この質問はこれで終わりにしますけれども、一応、今後十年間ということで新たな大綱が作られますけれども、とはいえ、十年以内に大きく社会状況が変化することも考えられますし、やはり定期的なレビューをしてほしい。そして、今大臣がおっしゃったように予算的な面も含めて、あとは、様々な分野の方たちを巻き込んでいく、そういったことを踏まえながら、間もなく新しい大綱のたたき台もできるというふうに聞いていますけれども、そういった視点も是非織り込んでほしいということを最後に提案し、この質問はこれで終わりにいたします。

 次の質問に移ります。

 東日本大震災の発災から十二年が経過しましたが、いまだに、原発事故の影響で、私の地元茨城県を含む幾つかの県の農産物の輸入停止という厳しい措置を含む規制が行われているのが現実でございます。特に、韓国、中国は広範な規制を行っており、台湾も、一部大幅に規制は緩和されたんですけれども、まだまだ完全とは言えません。日本産農林水産物、食品の輸出の拡大を図る上で、中国、韓国、台湾の輸入規制の緩和、撤廃は重要な課題であるというふうに考えております。

 そういう中で、昨日、韓国の大統領が来日され、日韓首脳会談が行われました。昨日の日韓首脳会談において日本産食品の輸入規制の撤廃についての協議は行われたのか、協議が行われたのであればどういった議論がなされたのか、お伺いいたします。

林国務大臣 昨十六日の日韓首脳会談におきましては、日韓間の諸懸案を含め、日韓関係全般について議論したところでございます。

 総理から、日韓間では隣国であるからこそ困難な問題もあるが、日韓間の諸懸案について適切にマネージし、尹大統領との間で順次取り組みたいという趣旨を述べたところでございます。

 これ以上の詳細については、外交上のやり取りであり、差し控えたいと思いますが、東日本大震災後の日本産食品等に対する輸入規制の撤廃は政府の重要課題でございまして、韓国に対しても様々な機会を捉えて早期の規制撤廃を働きかけているところでございます。

青山(大)委員 大臣、もし昨日の首脳会談でこの話題が出ていなければ、次回以降、林外務大臣も含めて、この話題を必ず取り上げてほしいなというふうに思います。特に、韓国は、この十二年間、規制の一部緩和も全く進んでいないところでございまして、ここはしっかり、大臣、そして、大臣から総理に対してもこの話題の重要性については是非提言の方をお願いいたします。

 撤廃に向けた取組の一つとして、RCEP協定に基づくSPS措置に関する協議の要請も考えられます。

 RCEP協定では、SPS措置、すなわち衛生植物検疫措置について、自国と他国の締約国との間の貿易に影響を及ぼしていると認める場合には技術的協議を要請することができ、要請が行われた場合には、原則として三十日以内に協議を行う義務が定められております。

 二〇二一年四月の外務委員会で、私が、RCEP協定に関連して、中国と韓国の輸入規制の撤廃に向けた対策について質問した際、本協定が発効されれば、放射性物質に関する食品の輸入規制などSPS措置に関する協議について、本協定に基づく協議の場を活用することができるといった答弁が政府からなされました。

 そして、RCEP協定発効後の二〇二二年、昨年三月三十日の外務委員会で、我が国からの食品の輸入規制について、中国及び韓国に対しRCEP協定に基づくSPS措置に関する協議の要請を行ったのかと質問した際、RCEP協定が発効したばかりという状況もあって、現時点ではRCEP協定に基づく協議の要請は行っていない、ただ、政府としては、必要に応じてRCEP協議の場の活用を含めて検討し、輸入規制の撤廃について働きかけを行っていきたい、そういった旨の答弁がありました。

 RCEP協定発効から一年以上が過ぎ、我が国の食品の輸入規制について、韓国に対し、RCEP協定に基づくSPS措置に関する協議の要請を行ったのか、行っていないのであればその理由についてお伺いいたします。また、今後行う予定があるのか、お伺いします。

日下部政府参考人 日本産食品の輸入規制の撤廃につきましては、日本政府の最重要課題の一つであり、様々な機会を捉えて働きかけを行うこととしております。

 こうした観点から、二〇二二年十二月に、RCEP締約国である中国及び韓国に対し、両国が維持する日本産食品に対する輸入規制措置について、御指摘のRCEP協定のSPS章に基づく技術的協議を要請したところでございます。

 引き続き、こうした枠組みも活用しつつ、日本産食品に対する輸入規制措置の早期撤廃に向けて働きかけを行ってまいりたいと考えております。

青山(大)委員 韓国と同様、中国もRCEP協定の締約国でありますけれども、中国に対してもこういった同じような協議要請を行ったのか、それとも行っていないのであればその理由についてもお伺いいたします。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 中国に対しても、輸入規制措置につきまして、御指摘のRCEP協定のSPS章に基づく技術的協議は要請しております。

青山(大)委員 その辺の今後の見通しというのはどのような感じなんでしょうか。それ以上はあれですかね。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 協議に関しましては、外交上のやり取りであるため、お答えを差し控えさせていただければと思います。

青山(大)委員 そう答えられてしまうとこれ以上質問できませんけれども、是非、大臣始め、改めて、この問題が一歩でも前に進むように、重ねての取組を要請いたします。

 台湾についてなんですけれども、台湾は昨年二月に、福島、群馬、栃木、千葉、そして茨城で生産、加工された農水産物、食品に対する輸入停止措置を含め、規制が大幅に緩和をされたんですけれども、ちょうど先月ですか、茨城県も知事が先頭に台湾で大きな見本市を行ったんですけれども、緩和したんですけれども、やはり現場レベルで厳しい通達がなされておって、本来は茨城産で出そうと思っていた農産物が出せなかったとか、そういった現状がございます。

 現場レベルでは引き続き厳しい規制が続いているというふうにも伺っております。台湾の規制全廃に向けての政府の取組について伺います。

林国務大臣 日本産食品に対する台湾の輸入規制措置につきまして、昨年二月の台湾による輸入規制の見直し、これは規制撤廃に向けた大きな一歩だと認識しております。

 他方、現在においても、今お話ししていただきましたように、日本産食品等に対する水際検査のほか、五つの県の一部品目に対する輸入停止措置、輸入可能な品目に対する放射性物質検査報告書及び産地証明書の添付要求など、いまだに科学的根拠のない規制が行われていると承知しております。

 日本産食品の安全性は科学的に証明されておりまして、台湾の日本産食品に対する輸入規制措置については、科学的見地に基づいて早期に撤廃されるべきものであると考えております。

 台湾側に対しては、これまでも、日本台湾交流協会等を通じて、規制の早期撤廃に向けた各種の働きかけを行うとともに、日本産食品の魅力と安全性を伝えるためのイベント、広報活動等を行ってきたところでございますが、こうした活動を継続するとともに、残された規制の早期撤廃に向けて、今後とも台湾側に対して粘り強く働きかけてまいりたいと思っております。

青山(大)委員 こうやって定期的に国会の場で取り上げないと忘れられてしまうんですね。私は、本当に地元の大きな課題ですし、引き続き取り上げていきますし、引き続きの御努力の方を重ねてお願いいたします。

 次の質問に行きます。

 北方墓参の早期再開に向けて伺います。

 これは、参議院の予算委員会ですとか、林大臣も参議院の外交防衛委員会でも同様の質問があって御答弁されていますけれども、実際、私も令和元年に国後島に交流事業で元島民の皆様と一緒に行かせてもらって、それからいまだにその方たちと交流が続いている者として、もちろん、今ロシアがウクライナに侵略している状況で、なかなか難しいことは分かりますし、日本があらぬ誤解をほかの国々から受けるおそれもございますけれども、G7諸国を含む各国にどのように映るのかを配慮されているかもしれません。当然だと思います。また、安全上のリスクも懸念していると思います。

 しかし、ウクライナ戦争が長期化の様相を見せる中で、本当に終わってほしいんですけれども、再開に向けて、安全に墓参が行えるようにロシアに打診していくことも必要なのかなというふうに思います。

 これは少し議論がずれるかもしれませんけれども、私が国後島に行ったときに、国後島ではなかなか病院がないんですよね。ですから、我が国の領土である国後島ですけれども、現在そこに住まわれているロシア人のお子さんたちが大病を患った際に、「えとぴりか」号で北海道の病院に来て診ておったとか、そういうこともあるので、もちろん戦争という許し難い行為ですけれども、そことは切り離して、北方領土に住んでいるロシアのお子さんたちでそういった病院で困っている方なんかがいた場合に、墓参とそういう交渉というのが、それが正しいかどうかは分かりませんけれども、含めて、人道的な配慮ができないかということを今回質問をさせていただきます。元島民の平均年齢は八十七歳となっておって、一刻も早い墓参再開に向けた政府の考えについてお伺いいたします。

林国務大臣 現時点で、北方墓参を始めとする四島交流等事業の今後の具体的な展望について申し上げる状況にないと残念ながら言わざるを得ないわけでございますが、しかし、今お話がありましたように、政府として、大変御高齢となられた元島民の方々の思いに何とか応えたいという考えに変わりはなく、北方墓参を始めとする事業の再開は、今後の日ロ関係の中でも最優先事項の一つであると考えております。

 ロシアによるウクライナ侵略を受けた日ロ関係の悪化や新型コロナの影響によってこの三年間実施できていないわけでございますが、一日も早く再開できるような状況となることを強く期待しておりまして、北方墓参を始めとした事業については、ロシア側と相互の大使館等を通じて外交上のやり取りを行っておるところでございます。

 引き続き、特に北方墓参に重点を置きまして適切に対応してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 この質問はこれで終わりにいたします。

 最後に、高速道路に関する訪日外国人旅行者向け周遊定額パスに関して質問いたします。

 昨年十一月も当委員会で質疑しました。これは、是非問題意識をみんなで共有できればということで、また今回も取り上げます。

 これは、訪日外国人旅行者向けのサービスで、レンタカー利用者を対象に高速道路が定額で乗り放題になるという大幅割引でございます。二〇〇八年に始まり、二〇一七年には、ジャパン・エクスプレスウェー・パスとして、訪日外国人旅行者向けに全国を対象とする高速道路乗り放題パスの販売も始まりました。その後、新型コロナ感染症が拡大し、新規申込みを一時停止し、その後、状況緩和に伴い、昨年秋から徐々に再開が進んでいるものでございます。

 実際、コロナ前は外国人によるレンタカー利用者が増えたわけですが、それに伴い、事故件数も増えております。

 まずは、訪日外国人旅行者のレンタカー事故件数の推移についてお伺いいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 訪日外国人旅行者によるレンタカー交通事故件数についてお尋ねですが、交通事故統計において訪日外国人旅行者という区分はしておりませんので、日本国籍以外で国際免許又は外国免許を所持していた方がレンタカーを運転し、第一当事者となった交通事故件数を過去十年間並びに令和五年二月末現在についてお答えいたします。

 平成二十五年五十三件、平成二十六年六十八件、平成二十七年百六件、平成二十八年百三十四件、平成二十九年百八十八件、平成三十年百五十八件、令和元年二百八件、令和二年四十七件、令和三年四件、令和四年十四件、令和五年は二月末までで十九件となっております。

 このうち、令和四年一月から令和五年二月末までの月別の事故件数につきましては、令和四年については、四月、五月、六月、八月にそれぞれ一件ずつ、十一月及び十二月にそれぞれ五件ずつ発生しております。また、令和五年につきましては、一月に十二件、二月に七件発生しているという状況でございます。

青山(大)委員 そうしますと、ちょうど、昨年に関しては、いわゆるコロナの入国の緩和をした十一月と十二月で十件増えていて、今年も、もう既に一月、二月で十二件、七件と大幅に増えているわけでございます。要は、何が言いたいかといいますと、昨年十一月から再び増加しました。

 確かに、二〇二〇年、コロナの前、東京オリンピックに向けて訪日外国人を増やそうということで取り組んだと思うんですけれども、そこからもう状況は変わっています。

 なぜ日本人は高い高速道路料金を払う。一方、外国人は安くて済む。でも、それで事故が増える。事故が増えて困るのは日本人。私は、この訪日外国人向けのパスについては、もう社会状況は変わったんだから、これは見直すべき、そう思って昨年も提案したわけでございますけれども、西田政務官、済みません、時間が来てしまったので、続きは次回の当委員会でしますので、今日は申し訳ございません。

 いずれにしましても、このパスについては私は一旦見直すべきだと思って、次回の質問に代えさせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。(発言する者あり)

黄川田委員長 終わると言ったので、これで終わります。

 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 今日は、胸に日本・ASEAN友好五十年のピンバッジをしてまいりました。大臣もしているかと思いましたら、されておられませんでした。

 昨日は、実は、このデザインをされた方にレセプションで大臣が表彰状を渡した。表彰状というか、感謝状ですか。私、あの場におりまして、引っ込み思案なもので、前に出ていかないもので分からなかったと思うんですが。

 というのは、私、実は、大臣の御挨拶のときにも、はるか昔のようなことのくだりがありましたけれども、私も学生のときに、当時、中曽根さんが提唱されてやった日本・ASEAN二十一世紀のための友情計画というプロジェクトがあって、あれでASEANから随分とたくさんの若者が、日本にやってきた方を私は学生として受け入れて、一緒にホームステイをしたり、いろいろなところでセッションをしたりした思い出がございまして、それで、久しぶりにASEANと聞いて行かせていただいたんですね、大臣もお見えだということで。

 もう一つ、余談ですけれども、あの隣の部屋は何をやっていたかというと、あそこのホテルの隣の部屋は、昨日、韓国から来られた記者のプレスセンターだったんです。それもまた不思議な話だな、不思議と言ったら変ですけれども、これは質問ではございません。

 質問に入ります。

 まず一つ目は、せんだって、サウジアラビアとイランが国交正常化をするということになりました。その仲介を中国、中華人民共和国が行ったというふうに報道がなされております。中華人民共和国が主導をして、新たな国際秩序をつくろうとしているのではないかという指摘があります。

 その点について、まず、どのように受け止められておられますか、あるいは、どうお感じになられますか。

林国務大臣 まずは、昨晩、ASEANの会議に参加をいただきましたこと、御礼を申し上げたいと思います。和田先生がいらっしゃったのに気づかずに、大変失礼をいたしました。

 お問合せの件でございますが、近年、中国は、いわゆるグローバルサウスを含む各国に対しまして、二国間それから多国間、この双方において幅広い分野で活発な活動を展開していると承知をしております。

 第三国間のやり取りについて私からコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、関連の動きについては、日本としても高い関心を持って注視をしておるところでございます。

和田(有)委員 注視をしている、こういう表現なんですが、やはりこれは、中華人民共和国が主導をして自ら、自らというか、中国が新しい国際秩序をつくろうとしているのではないかと私は思います。そういう認識を持つべきだと私はこの場で大臣に申し上げたいんです。

 次の質問に入っていくんですが、ウクライナの戦争が引き金となって、新たな国際秩序が生まれつつあると言う方がいらっしゃいます。もちろん、力による現状変更は絶対に許しちゃいけません。できませんけれども、現実としては、新たな国際秩序が生まれてきているんじゃないか。

 それは何かというと、ウクライナで行われている戦争の中で、いわゆるドローンを使っていることによって生まれ始めているというんですね。戦場の姿が劇的に変わり始めている、戦争の姿が変わり始めている。これが引き金となって、実は国際秩序まで変わり始めているんだというんです。

 何かというと、今のドローンは、膨大な量を使われています、今、ウクライナの戦場で。これはどこから調達をされているか。ロシアのものは、中国製のドローンを、イランで造って、ロシアに持っていって、運んでいって、戦場で使っている。それを今度は、戦場で使ってみて、どういうふうに使われたか、どういうふうな状況にあるかというのを、データを中国に送っているというんです。要するに、中国、イラン、そしてロシアという三つの国で、一つのサイクルというか、そういうものが自然に生まれてしまった。そういう中で、これを人は、私が言うんじゃありませんよ、悪の新たな枢軸国が生まれている、こう言う人もいるんです。

 今日、後段でずっとドローンの話をお聞きしていきますけれども、戦争の姿を劇的に変えつつある。それは、今まで私たちが考えていたようなものではなくなっている。それを支える一つのサイクルが国際秩序まで変え始めた。

 恐らく、意図として、初めはそんなことを思ってやっていたのではないと思うんです。中国が、あるいは、北朝鮮にこれは関わるかも分かりません、イランが、いろいろな制裁がかかる、それを抜けて物を造ったりしていく中で、分業体制のようなものができてくる。なおかつ、一番戦場において大切なものは何かといったら、データなんですね、今。どう使ったらどういう変化が起こったとか、どういう状況でどう使えるかというのを、細かなデータを取るわけです。それが筒抜けに全部、直送して、中国に行っているというんです。その中ででき上がった秩序が今新たな国際秩序までつながっていくのではないかという、恐らく、アメリカは、この新たな国際秩序をつくってはならないという意思を明確に持っているんじゃないかと私は思うんです。

 そこら辺について、この考え方をどう受け止められますか。

林国務大臣 日本政府として、第三国間の関係について一つ一つコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、イラン製ドローンによるとされるロシアの攻撃によりまして、ウクライナ各地において多くの市民が犠牲になっているということを極めて深刻に受け止めております。民間人や民間施設への攻撃、これは国際法違反であり、断じて正当化できないものであり、強く非難をいたします。

 また、ドローンの製造に関する今いろいろなお話がございましたが、我が国の情報収集能力、分析能力等を明らかにするおそれがございますので、お答えを差し控えたいと思います。

 その上で申し上げますと、米国政府は、本年三月九日に、イランがロシアに輸出しているドローンの製造及び調達に関与した中国企業等に対して制裁を発動したというふうに承知しております。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

和田(有)委員 大臣が、第三国間に関してはと言いましたけれども、恐らく、こういうことが積み重なって新たな国際秩序が生まれていく。それが力による現状変更を、認めるとは言いませんけれども、そういうことがまかり通る秩序が生み出される。そういうことまで見ているから、アメリカはこのことについて非常に丁寧に今対応しようとしているんだと思うんですよ。

 外務省で、そういう物の見方がある、あるいは、そういうふうにアメリカは見ているかも分からないというふうな認識の仕方というのはないんですか。もう一度聞きますけれども、そういうふうな見方もありますよねという筋立てというのは持っていないんでしょうか。いかがですか。

林国務大臣 大前提としては先ほど申し上げたとおりでございますが、あらゆる事態を想定して、いろいろな頭の体操をしておくということは大変大事なことだというふうに思っております。

 こういうシナリオ、こういうフレームワークがありますとここで私が申し上げると、またいろいろな、先ほど申し上げたようなことも考慮に入れなければいけませんので、一つ一つ申し上げることはいたしませんが、様々な情報、いろいろな主張というか意見というか、こういうものは一つ一つ丁寧に受け止めていかなければならない、それは大切なことだと思っております。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

和田(有)委員 これは、新たな冷戦が始まったというふうには私は言いません。私も思わないんです。新たな国際秩序が生まれつつある可能性がある、これができてくると、今まで我々がイメージしていた国際秩序や、それに対応する組織やシステムではもう成り立たないということなんですね。

 これは、次の質問に移っていくんですが、戦場の在り方が劇的に変わっているというんです。それは何かというと、今までは、制空権を取れば、その戦争は勝てる、制海権を取れば勝てる。そのために、高高度を飛べるステルス戦闘機を、非常に高額なものを買って、あるいは、巨大な原子力潜水艦や原子力空母を持って、それで制海権を取ったり制空権を取ればいいと思った。

 ところが、もうそうはならないというんですね。新しい戦闘領域ができてしまった。それは、ほとんど地上に近いところを、隠密の忍者のように、膨大な数のドローンが低コストで安価で飛び回っている。そのやっている戦場というのは、ほとんど中世の、日本でいえば戦国時代の戦争のようなものになっちゃっている。それは、高高度を飛んでいる衛星からも捕捉できなかったり、戦闘機で撃ち落とすこともできない、こういう話なんですね。

 もうちょっとこれを深掘りしたことは次の次ぐらいでお聞きしますが、軍事用ドローンの進歩というのは非常に著しい、それに関して日本は蚊帳の外だ、はるかに何か古ぼけた、置いてきぼりを食ったような状況だと言う人がいますが、そこら辺についていかがお感じになっておられますか。

小野田大臣政務官 各国において無人機の研究開発が急速に進展している中で、防衛省においても、無人アセットの研究開発を推進していくことは重要と考えておりまして、そのための事業を進めております。

 例えば、令和四年度にはAI技術を適用した無人機の研究に本格的に着手しておりまして、令和五年度からは、多数の無人機を少人数で運用するスウォーム技術の研究にも着手予定です。

 防衛省として、無人アセット防衛能力の強化を実現するための研究開発を強力に推進してまいりたいと思っております。

和田(有)委員 今、強力に推進していきたい、こういうふうに言われたんですね。ところが、ここからはまた別で、その延長線上でお聞きしたいんですね、ここには課題がいっぱいあるというんです。それは何かというと、電波法の話なんです。日本は、全ての根底は電波法に行き着く、そのことを今からお聞きするんですね。

 海外では、大体二・四から五・八ギガヘルツという周波帯を使ってドローンが運用されているといいます。ところが、日本は、総務省が割当てをやっていまして、これが二・四八から二・四九ギガヘルツと、非常に薄いものでしかない。この中にいろいろなものが詰め込まれている。要は、家で我々がテレビをつけるときにぴゅっとつける無線機から、何から何まで混線しそうな状況にあるというんですね。

 そういう中で、例えば、アメリカ軍が運用する米国製ドローン、スカイディオ2プラスというんですかね、これの通信距離というのは、最大六キロメートルぐらい通信距離があるというんです。ところが、日本の仕様でやっちゃうと、三百メートルぐらいしか運用できない。こんなのを使うよりも、人が走っていって何かした方が早いというわけです。それなら走った方がいいと、みんな、現場の人は言うというんですね、こんなものを使うならと。

 今なら、ドローンも、実は自動で周波数を変えながら、何でかというと、ドローンを使えなくするために妨害電波を出すというんです。ドローンは自分で自律的に、周波数を出しながら、いろいろなものを探りながら行きますから、それが、同じものを当てて妨害されると困るから、自動的に、ホッピングといって、自分で電波を変えながら飛んだり運動するというわけです。そういうことをする中においては、全く日本ではもうお話にならない、日本の状況ではそんなことができないというふうに言われている。

 ある世界有数のドローンメーカーの方が言ったというんですけれども、日本仕様で入れようと思ったって、こんなの、わざわざコストをかけて使い物にならないものを造って売る必要はない、そんなものを日本にわざわざ高い金をかけて造ってあげるよとは言えないよねと言ったというんです。本当の話かどうか分かりませんよ。しかし、それぐらいの逸話があるようなことになっている。我々が立派なものを造っているのに、なぜわざわざ高いコストを払って性能を落とす必要があろうかというぐらいのものだというんです。

 それは、ドローンの性能を落とすことなく、フルスペックで使えるようにする必要がある。しかし、なのに日本は、日本で使おうと思ったら、総務省がチェックをして、実際に運用する際にその都度許可をもらわないと飛ばせられないというんです。こんなことでは、ドローンを日本で使おうと思ったって使えない。攻めてくる側は、わざわざ総務省にお伺いを立てて、この周波数はよろしゅうございますかと聞いてから攻めてこないというわけですよ。当たり前のことですよ。

 そんな状況ではもう話にならぬ、こういう話があるわけでございまして、全てのこういう話の原点は総務省の電波法に行き着く。

 よく、昔、今はどうなっているか知りませんけれども、都市伝説の笑い話みたいなもので、いざ有事が起こって戦車を出動させようと思ったら、まず一一〇番してパトカーを呼んで、前を走ってもらうんだというような話がありましたよね、道路交通法がどうだとかといって。今はどうなっているか、私は知りませんよ。申し訳ない。こんなところで、公の場でお聞きする中で、知りませんよというのはいけないかも分からないけれども、私は今日はドローンの電波法のことを聞いているから。

 それとよく似たような話で、どこかの国が日本を攻めてくるときに、わざわざ総務省に電話して、ただいまから何ギガヘルツ、オーケーですかといって、了解をもらって、判こをもらって、役所を回って攻めてくるわけがないわけです。そういうふうな状況にあるんですと言われているが、その点について、総務省、いかがですか。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 総務省としては、自衛隊の活動に必要な周波数の確保は非常に重要であるというふうに認識をしております。

 現状、日本で無人機の利用可能な周波数帯につきましては、二・四ギガヘルツというのは委員御指摘がございましたが、そのほかに五・七ギガヘルツなど、既に複数の周波数帯を確保しておりまして、極めて狭いという状態にはないと認識しております。

 さらに、自衛隊が使用する無人機に関しましては、これは自衛隊法百十二条の規定に基づきまして、防衛省から申請を受けまして総務大臣が周波数の承認をするという手続を取っております。この承認に当たりましては、平素から連携体制を取っておりまして、引き続き、防衛省の要望を踏まえ、自衛隊の活動に必要な周波数の確保に努めてまいりたいと考えております。

和田(有)委員 そういうふうに言われるんですが、いざ有事のときに、緊急にそれは可能なことなんですかね。

 もう一回、総務省の方にお聞きしますが、緊急の、いわゆる事態法がかかるようなときに、そういうことは緊急の出来事として自動的にできることなんですか。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁申し上げたことは、日頃から自衛隊において使用を要望されているものに対する承認としての手続のことでございます。

 更に申し上げれば、有事の場合におきましては、特定公共施設等利用法というのがございまして、これに基づきまして、自衛隊の活動などのための無線通信はほかの無線通信に優先させることができるという規定がございまして、これに従って運用することが可能だというふうに考えております。

和田(有)委員 今そういうふうに総務省から御答弁があったんですが、防衛省としてはそこら辺についてどうお考えになっておられますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員最初に御指摘いただきましたように、まさにウクライナの教訓の例から分かりますように、ドローン、無人機、こういったものが今の新たな戦いの中で非常に多く使われており、戦い方が変わってきている。そういったことを踏まえまして、国家防衛戦略におきましても、我々、無人アセット防衛能力の強化というのを防衛力の抜本的強化の重視分野の一つとしております。

 そういった中で、ドローンあるいは無人機、これを、我々、今後多数整備していきたいと考えておりますけれども、防衛省・自衛隊といたしまして、その任務や活動の目的に応じて適切な能力を発揮するために必要な周波数、これを、民間の電波と干渉することのないように、確実に運用ができますように、総務省と調整しております。

 こういった必要な周波数を確保しておるところでございまして、現在、周波数が原因で無人機の性能が適切に発揮されないといったことはございません。

和田(有)委員 本当にそうであるようにお祈りをしたい。お祈りするのはおかしいですね、私、こんなところで。そうであるようにお願いしたいと思います。

 これはまた次のときに、日豪、日英の今度の協定のところでも申し上げます。というのは、共同で演習をしたりするときに、向こうは持ってくるわけですよね、恐らくは、これからの時代は。それが本当に運用できるのかということにもなると思うんです。現実に、今、米軍とはなっているのかなと私は不思議に思うんです、こんな状況の中で。

 そういうことも含めながら次の質問に行くんですが、元に戻りますけれども、まさに、従来のような戦闘ではもうない姿が生まれ始めている。

 それも、私、ウクライナのある映像を見たんですけれども、どういうことかというと、ドローンがずっと人を追っかけていって見つける、その瞬間に、ドローンに見つけられたと分かった兵士は何をするかというと、十字を切ってひざまずくんですよ、もうそれで駄目だ、自分は終わってしまったと。どういうことかというと、それが飛んできて見つけたら、AIが自動で判断して、識別して、無線をはるかはるか後ろにあるところに送って、そこから自動的に大砲を撃ってくるわけですよ、正確にその人に向かって。そういう戦場になっちゃっている。

 我々が考えた、トマホークを飛ばすよりも、そんな高価なものを飛ばすよりもはるかに安価で、それを造っているのは、イラン製、中国製のものをイランとかで、それこそ、昔の表現をしたら、トランジスタラジオを買ってきて、ばらしてつないだようなもので造るわけですよ。

 この勝敗は何が決めるかというと、どれだけたくさんのドローンを持ったかの勝負なんです。それをどこから融通できるかという勝負なんですよ。

 そういう戦闘領域、地上すれすれのところを、もう一つ見てびっくりしたのは、竹やぶとか草むらを何十というドローンがしゅうっとそれに当たらずに飛んでいって人を見つけるという、もう忍者と一緒ですよね。そんな戦争に変わり始めている。

 そんな中で、日本は今後どう対応しようとしているのか、もう一度、防衛省に今度は聞かせていただきます。

小野田大臣政務官 先生御指摘のとおり、無人アセットを駆使した新たな戦い方への対応というのは急務となっております。

 このため、防衛省・自衛隊として、無人アセット防衛能力を強化することにより、隊員に対する危険や負担を局限しつつ、万一抑止が破られた場合に、空中、水上、海中等における非対称な優勢の確保に資する能力を獲得する必要があると思っております。

 この観点から、今後五年間で計約一兆円の経費を計上し、陸海空自衛隊において、情報収集、警戒監視、攻撃といった様々な任務に効果的に活用し得る各種無人アセットを早期に整備し、二〇二七年度までに無人アセットの実践的な運用能力を強化することとしております。

 防衛省・自衛隊としては、隊員に対する危険や負担の局限と効果的な任務遂行を両立しつつ、既存の装備体系、人員配置の見直しも考慮しながら、最適な形で無人アセット防衛能力の強化を実現できるよう、可及的速やかに必要な取組を進めてまいります。

和田(有)委員 きっちりドローンが運用できて初めての話ですから、総務省とよく調整をしていただきたい、こう思います。

 最後に、次は外務大臣にお聞きしたいんです。この間、所信で本来聞こうと思ったんですが、時間がなくて終わってしまいました。

 大臣は、低重心の外交ということを言われた。徳永先生が、一体これはどういう意味ですかねとお聞きになったときに、腰を低くして何にでも対応できることなんだ、こういうふうにおっしゃったんですが、一体これは具体的にはどういうことを示しているんだろう、具体例としては何があるんだろう。やはりイメージが湧かないんですね、何となく言葉では分かりますが。

 これは、まず、具体的にはどういうことを言っていると思えばいいんでしょうか。

林国務大臣 もとより、姿勢でございますので、こういうケースの場合はこういう姿勢でということを特に何か頭に置いて申し上げているわけではないわけでございます。

 例えばということで、テニスの例はサーブを受けるときというふうに申し上げただけでございまして、例えば、今のドローンの例でいえば、テニスの場合は、ちゃんとしたルールに基づいて、ラケット、ボール、全部決まっておるわけでございますが、戦場においては、先ほどのドローンの話にあるように、ルールがございませんから、何が来るか、後ろから弾が来るかもしれない、こういう状況だというふうに思いますので、テニスの例は余り参考にならないかもしれませんけれども、そういういろいろなことがあり得る中で、しっかりと腰を落として、腰を落とすということは、低くなるということに加えて、力がたまるわけでございまして、動き出すときの瞬発力が増す、こういう意味も含めて申し上げておるところでございます。

和田(有)委員 何となく、曖昧模糊として抽象的な、抽象的という表現でないかも分からないですけれども、具体的に何かなとやはり思ってしまうんですね。

 私が思ったのは、いろいろなシミュレーションをして、何にでも対応できる能力を持っていることだ、こうじゃないかと思ったんです、私は。

 ならば、台湾有事が起こるということも可能性としてはあるわけで、私たちはそう思っているわけで、ならば、そのときにはどう対応するかというシミュレーションだって、重心が低い外交の中では持っているんじゃないか、何か。ならば、それはどうなんですか。あるいは、それともう一つは、台湾有事が起こったときに、じゃ、私たちは何ができるんですか、どう考えていらっしゃいますかというのをお聞きしようと思っていたので、お聞きします。

林国務大臣 台湾有事という仮定の質問にお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会の全体の安定にとっても重要でございます。我が国の従来からの一貫した立場、これは、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというものでございます。

 この点、これまでも、一月の日米首脳会談を含めて、米国やG7との間で、台湾海峡の平和と安定の重要性について一致をしてきておるところでございます。先般ミュンヘンで行われた会談においても、私から王毅外事工作委員会弁公室主任に対しまして、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調をしたところでございます。

 まさに、この台湾海峡の平和と安定を確保するために、我が国として、こうした立場を中国側に首脳レベルを含めて直接しっかりと伝えるとともに、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら、各国共通の立場として明確に発信していく、これが重要であるというふうに思っております。

和田(有)委員 もう一つできることがあると思うんです、私は。そのことをお聞きします。

 ホンジュラスが、今日の時点、このたった今の時点においては、恐らくまだ今そうでしょう、台湾と国交を結んでおります。国と国との外交関係を持っています。これをやめる、断交をするのではないかという報道が出ました。今のホンジュラスの大統領がそうするとツイッターに書いたそうでございます。

 台湾と国交のある、正式に外交関係を結んでいる、国家と国家として外交関係を結んでいる国は幾つか少なからずあります、世界には。そういう国が今中国から猛烈な外交攻勢を受けて、断交せよ、台湾と断交したら、中華人民共和国と国交を結んだら、こういうことをしてあげようとか、いろいろな外交工作をやるんでしょう。そういう中で、そういう危険にさらされている。これは、恐らく今の国際秩序を乱す一つの姿だと私は思います。

 それに対して、日本政府は、今日の時点、今においては、ホンジュラスにおいて日本国大使館と中華民国大使館は存在しているんです、お互い、大使館として国家を代表して。例えば、ホンジュラスに対して、そういう国際秩序を、今ある現状の姿を変えるということはやめるべきではないかと、いろいろな働きかけをすべきだと思うんです。一般論的に、世界にある台湾の、正式名称は中華民国ですね、中華民国の大使館がある国に対して、そういう働きかけをすべきではないか。それで、どうなっているのか。

 そしてもう一点、あわせて、ホンジュラスに関しては、ホンジュラスの現状がどうこうじゃなくて、台湾との断交、外交関係を断交しようとしている状況において、日本国政府はどのように、何がしかの作業はしているのか。そういう点をお伺いします。

林国務大臣 現地時間の十四日午後五時半頃でございますが、ホンジュラスのカストロ大統領が自身のツイッターで、中国との国交開設、これをレイナ外相に指示した旨発表したということでございます。

 本件については、両岸関係及び地域の平和と安定の観点から、今後の影響を含めて、大きな関心を持って注視しております。

 台湾は、日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有して、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーでありまして、大切な友人であるわけであります。平素から、このような日本政府の立場に基づいて、関係国とも意見交換をしてきておるところでございます。

 また、後段のお尋ねでございますが、ホンジュラス政府に対しては、累次にわたって様々なレベルでこうした我が国の考えを伝達してきているところでございます。

和田(有)委員 このことに関して、もう一度お伺いしませんけれども、我が国政府の考えを伝達してきたと今申された。日本国政府は、ホンジュラス政府に対して、台湾と断交することはよしとしないという意図を伝えたんだと私は解しました。

 これについて、もう一度お聞きはいたしません。して、また曖昧模糊とした答弁になったり、違う議論になってしまうと、これまたあれですから。でも、私はそう今感じながら、もう一つ最後に申し上げたいんですが、今度、その次に出てきたのが、ミクロネシアが今度は台湾と国交を結ぶかもしれないという報道が出てまいりました。

 しからば、是非とも、しっかりと安定した太平洋の姿をつくるために、ミクロネシアに対して、台湾と国交を結べばいいじゃないかという外交工作を私はすべきだと思いますが、御感想があれば。

林国務大臣 先ほど申し上げたような我が国の立場、これは関係国とも意見交換をしてきております。それはカリブであっても、その以外の地域であっても同様でございます。

和田(有)委員 是非ともしっかりとやっていただきたいと思います。

 今日はこれで終わります。

黄川田委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会、杉本和巳であります。

 昨日、朴振外相とも夜お食事をされて、その前には首脳会談に同席されてということで、本当にお忙しく活躍していただいていることに敬意と感謝を申し上げたく存じます。

 大分先になりますけれども、G7広島、予定されていますけれども、ちょっと遡って、亡くなられた外交官の書籍によりますと、G7の始まりは、一九七五年のパリで、ランブイエ城で、ジスカールデスタン大統領の提唱によって六か国で行われて、まだカナダは加わっていなかったということが始まりだそうであります。

 それで、その外交官のまた尊敬する牛場さんという方がいらっしゃいましたけれども、牛場さんが、その外交官同士の会話の中で、各国首脳がお会いになって、お話を胸襟を開いてされるということなんですが、当時の話かもしれないんですけれども、日本とアメリカはおまめさんです、それ以外の国が胸襟を開いて、ヨーロッパの国だけが、どちらかというと自由に、自分たちのつらい国内のことであったり、あるいは基本的価値のことであったり、そういうことを胸襟を開いて話し合う、自由な討議をする場であったというふうに聞いております。

 そんな意味で、日本の総理大臣が、ファーストスピーチというか、最初の原稿を読むときには、それを読み始めたときに、ちょっと御無礼ですけれども、当時のジスカールデスタンさんは、大統領は、大統領閣下と言った方がいいかもしれないんですが、新聞を読み始められたというようなことがあったと聞いております。

 総理という人間になったときに、後から勉強しても間に合わないということで、林さんについては私は全く心配しておりませんけれども、やはり総合力が日本の首脳というものは本当にG7の場で試されるということが、岸田総理も現在そうかもしれないし、将来の可能性も含めて、そういった意味で、日本の政治家という、それぞれの、私が総理になることはないと思いますけれども、教養を深め、本当に価値観外交を標榜されるのであれば、あるいは、総合的に本当に各国から信頼される政治家であらねばならないということを、自分も含めてちょっと考えさせていただいたというのを冒頭申し上げたく存じます。

 それで、もう時間が、まあ、和田さんがたくさん質問してくださっているので、役割分担として私はプラスアルファということで今日は登板させていただいていますけれども、和田さんはASEANのバッジをされてお話をされました。私は今日は万博のバッジをしてまいりました。ということで、日本維新の会が一生懸命力を入れている万博につきまして、現状と大臣の意思確認というようなことをさせていただきたいんですけれども、もうちょっとだけ言うと、昨日のWBCではありませんが、国際的なイベントというものは、本当に日本人を元気づけて、勇気づけてくださるものであると改めて昨日のイタリア戦を見て感じましたけれども、現在、万博の成功に向けてどんな招致状況になっているのかを確認させてください。

鯰政府参考人 万博への各国、地域への参加招請の状況でございます。

 既に百四十二の国・地域から参加表明をいただいております。目標の百五十か国・地域が見えてきたかなという状況でございますけれども、目標を達成できるよう、引き続きしっかりと招請活動を進めていく所存でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 現在百四十二、目標百五十ということでございますが、国と地域が百九十幾つあるわけですから、目標をもっと高くして、本当に国際的なイベントであると。関西圏をまた元気づけていただきたいし、日本全体を元気づけていただきたいというふうにお願いします。

 やはり、外務大臣というお立場であられると、本当に、外務大臣のバイの面談であるとか、あるいは国際会議とか、機会が多いと思いますので、日本の課題はたくさんありますが、前向きに取り組めるものということでこの万博があると思いますので、もう十分喧伝していただいているとは思っておるんですけれども、改めて、大臣のお気持ちの確認というか、また更に頑張るぞというようなコメントをいただければありがたく存じます。いかがでしょうか。

林国務大臣 大阪・関西万博の成功に向けまして、多くの国、国際機関からの出展を目指して、私からも、二国間会談の機会、また国際会議の場等々、様々な機会を活用して、各国、国際機関に大阪・関西万博への出展を精力的に働きかけているところでございます。

 今後も引き続き、万博への参加、誘客など、積極的にPRしていきたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。

 さて、うちの和田議員からは、ドローンの、新しい、異次元のと言った方がいいかもしれませんが、戦争の在り方みたいなお話がありましたけれども、一方で、在来型なのかもしれないし、異次元なのかもしれませんが、AUKUSのサンディエゴでの共同声明がございました。

 この点について大臣にお伺いを、時間がもうないんですけれども、二つまとめて伺っていいでしょうかね。

 一つは、原子力潜水艦の三段階での導入というのが一応声明で入っておりますが、この導入についての受け止めを、どう見ておられるかというのと、日本国として、AUKUSというこの組織体というか、それぞれの国とは2プラス2をたくさんやっていますけれども、このAUKUSという組織体との日本国の連携という点ではどう捉えたらいいか、この二点を時間がないのでまとめてお答えいただいて、終了したいと思います。お願いします。

黄川田委員長 林外務大臣、答弁は簡潔に願います。

林国務大臣 はい。

 現地時間の十三日、米国にて、豪州、英国及び米国首脳がAUKUS首脳共同声明を発出いたしまして、今お話のあったような発表がございました。国際秩序の根幹が揺らいで地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、このAUKUSの取組、これはインド太平洋地域の平和と安定に資するものでありまして、日本は一貫して支持をしております。

 十四日に、三か国首脳による発表の直後に行われた日豪首脳会談でも、岸田総理からアルバニージー豪州首相にこのことを伝達をしたところでございます。

 AUKUSは、御案内のように、インド太平洋の平和と安定に資するものであり、日本は一貫して支持をしております。そして、日米豪印は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、保健、インフラ、気候変動等の幅広い分野での実践的な協力を進める取組であります。

 この日米豪印と、ほかの国や他の取組との連携の在り方については、何か決まっているものはございませんが、米豪印英それぞれとの間で、地域に前向きな形で貢献していくことの重要性、これで一致しているところでございます。

杉本委員 時間となりました。

 どうも御回答をありがとうございます。終わります。

黄川田委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 最初に、ロシアへの制裁について伺いたいと思います。

 自動車の様々な制裁が加わったのが四月五日でしたから、間もなく一年になろうとしていますけれども、あのときも外務委員会の中ではいろいろと議論がありました。与野党を問わず、ある程度の返り血を覚悟せよというような話もあったかと思いますが、一年かけてみて、いろいろな影響が出てきているようでございます。

 例えば、ロシアに対して、今、六百万円以上の自動車は、あるいはトラックなどは禁輸になっておりますけれども、それ以下の自動車は輸出が可能です。中古車が主に増えておりまして、昨年十月でも、ロシア向けの中古車は二万五千台余り。二位のUAEに対しては一万五千台程度ですから、かなりの数の中古車がロシアに渡っている状態になっております。

 まず、大前提として、我々、ロシアに対して制裁を加えている四十余りの国々は、ロシアの指導者あるいは財閥の方々に対して侵略を思いとどまらせる、そういう圧力をかけるという意味で制裁を加えているのであって、ロシアの国民に対していたずらに困窮を強いるために制裁を加えているわけではありませんけれども、一方で、ロシアに対して例えば半導体を輸出しないことにした、その結果、ロシア国内で新車が造れなくなって、我が国の中古車の輸出が増えた。まさにバタフライエフェクトに近いものが起こっていまして、自戒も兼ねて申し上げますが、当時私が考えていた返り血というのは直接的なものでした。原油が高くなるとか小麦が高くなるとか、そういうものでした。ところが、今は、日本の中古車が海を渡ってしまう、こういう状態になりつつあるわけでございます。

 国内でも、半導体不足ですとか、あるいはアメリカの二十五年ルール、これは二十五年たつと右ハンドルでも輸入できるというルールで、今から二十五年前のスーパーカーがアメリカで大人気で、価格が高騰して海を渡っているわけですけれども、それを含めても、ロシアに対して日本の車両が多数輸出されているという現状、これを見て、そろそろ一年たちますから、制裁というものについて、外務大臣、何かお考えが変わったりはしておりますでしょうか。

林国務大臣 我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携いたしまして、ロシアの個人、団体等に対する制裁、資産凍結等の金融分野での制裁、また輸出入禁止措置などの厳しい措置を迅速に実施しております。

 その中で、今お話のありましたロシアへの乗用車の輸出規制につきましては、G7首脳声明において奢侈品の輸出を禁止するとされたことを受けて、欧州と足並みをそろえて、一定額以上の乗用車の輸出禁止を実施しております。

 ロシアへの中古車の輸出でございますが、為替の影響等もあって対前年度比で増加している、こういう事実は承知しておるところでございます。この点に関する今後の対応については、G7を始めとする関係国と緊密に連携しながら、引き続き適切に対応していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 これがロシアに対してどう影響するかということよりも、制裁を加え続けることによって日本の市場から日本の中古車がなくなっていくということで、今、これだけ物価上昇だとか賃金を上げましょうと与野党を問わずやっているときに、新車が買える方々はいいですけれども、乗換えで中古車を買いたいという方々に対しては、日本の中古車が足りなくなるというのは非常に迷惑な話でありますので、考え方を改めるのであれば、今年はちょうどG7の議長国ですから、自動車に関しては、我が国の基幹産業であることも考えて、いろいろと議論をしていただきたいと思います。

 ここで、経産省さんを今日お呼びしておりますが、ロシアに対して中古車の売上げがどんどん増えております。日本の市場から日本向けあるいは諸外国向けの車両も少なくなっていると思いますが、どのような影響がありますでしょうか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国内の中古車販売台数につきましては、二〇一九年から二〇二二年までの四年間の実績でお答えしますと、六百九十九万台、六百八十七万台、六百七十三万台、六百三十万台と推移しております。

 一方で、ロシア向けの中古車の輸出台数は、同じく二〇二二年までの四年間では、十二万台、十三万台、十六万台、二十一万台となっております。

 ロシア向け中古車輸出と国内自動車市場の関係につきましては、一概に評価することは難しいですけれども、事実関係としましては、ロシアへの中古車の輸出台数は、国内中古車市場の二%から四%弱に相当する規模であります。また、二〇二一年と二〇二二年の実績を比較しますと、国内の中古車販売台数が約四十三万台減少したのに対しまして、ロシアへの輸出台数は約五万台の増加となっております。

 なお、中古車業界からは、約四十三万台の販売減につきましては、新車の納期の長期化ですとか販売減に伴う影響によるところが大きく、ロシアへの輸出による影響とは考えていないというふうに聞いております。

鈴木(敦)委員 今はそれでいいかもしれませんけれども、お答えいただいたロシア向けの輸出台数は年々増加しているわけであります。ですから、これ以降どういう状況になるかということを考えなければいけません。

 今は影響はないのかもしれません。これは、この後質問させていただくこともそうですが、今は関係なくても、これから先の影響を踏まえて考えなければならないと思いますので、今は問題提起だけさせていただきますが、引き続き注視していただいて、ロシア向けの輸出が増えることによる影響も考慮していただきたいと思います。

 次は、防衛省さんにお願いしたいと思いますが、これは安全保障委員会で我が党の斎藤アレックス議員からも質問させていただきましたが、ロシア国内で整備中とされる軍用車両の中に我が国の陸上自衛隊の高機動車が写っているという問題について改めて御説明をいただきたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の情報については承知しております。

 用途廃止いたしました高機動車は、鉄くずとして処分するため、一つは、機微性のある部分をまず取り外すということ、その上で、防衛省・自衛隊と特定できる銘板、これは組織名等が書いてある板みたいなものでございますが、こういうものを取り外して業者に分解、破砕させているのが今の現状でございます。

 このため、高機動車と指摘される車両につきましては、防衛省におきましても画像を確認いたしましたが、外観上の類似性は認められるものの、画像だけでは自衛隊で売払いした車両と同一か否かは判断できないということでございます。

 しかしながら、過去にも自衛隊専用車の類似品が転売される旨の情報があったことから、転売防止策としまして、関連規則の改正を平成三十年及び令和四年に行ってきたところでございます。

 防衛省といたしましては、自衛隊専用車の売払いにつきまして、適切に実施されるよう努めてまいる所存でございます。

鈴木(敦)委員 長官、ですから、画像を見ていらっしゃるわけですね。斎藤アレックス議員はそれで煙に巻いたのかもしれませんけれども、私は予備自衛官をやっていましたから、あの車両に乗っていました。ヘッドライトの横についている管制灯火ランプの穴を見ても、どう考えても高機動車です。メガクルーザーではありません。それを確認できないんですか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、外観上の類似性というものは先ほど申し上げましたとおり認められるところでございますが、防衛省・自衛隊と特定できるものは全て取り外して業者の方に分解、破砕させておりますので、その意味において確認できないということでございます。

鈴木(敦)委員 では、自衛隊のものであるという証拠が一切なくなってしまったものであれば諸外国で運用されても構わないということなんですか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 これも繰り返しになって恐縮でございますが、まさに、そういう転売というものを防止するために、我々の方といたしましては、関連規則の改正を平成三十年及び令和四年に行い、確実に転売がないようにという措置を取っているところでございます。

 我々といたしまして、転売が望ましいということは、当然そんなことはないということでございます。

鈴木(敦)委員 今この段階において、ロシア国内に最近廃棄された高機動車が渡っていたら大問題ですよ。そんなことはあり得ないんですよ。

 そうではなくて、今まで防衛装備品であった、しかも、一度も敵に対して攻撃したわけではない、我が国の国民を守るために災害派遣等で使った車両が海を渡って軍事行動に使われている可能性についてどう考えていらっしゃるんですかということなんです。

土本政府参考人 まず一つ申し上げたいのは、戦車、火砲等の車両につきましては、装甲板の板厚とか材質等の機微情報の漏えい防止のため、確実に溶解による処分をしているところでございます。

 繰り返しになりますが、先ほど申しました車両、高機動車等につきましては、機微性のある部分をしっかり取り除いた上で、特定できる部分を取り除いた上で業者に分解、破砕させておるところでございますが、先ほど申しましたように、そういう類似品の転売というお話がございましたので、我々の方といたしましては、そういうことが二度とないようにということで、しっかり対処させていただいているところでございます。

鈴木(敦)委員 ですから、今はそれでいいんですけれども、今まで海を渡ったものに対する対応はそれで本当によろしいんですかということですよ。

 今まで海を渡ったものが多数ありますね。そして、インターネットでちょっと調べれば出てきますよ。部隊名まで残った車両が海外で再度組み立てられて、それも車両マニアだからいいですよ。海外に渡って、インドネシアとかタイとかあるいはカナダ、こういった国々で多数見つかっているのは防衛省も分かっているはずです。ちょっと調べれば出てくるんですから。それに対してどう考えていらっしゃるんですかということなんです。我が国の防衛装備品でしょう。どう考えていらっしゃるんですか。

土本政府参考人 万が一そのような転売ということがあれば、それは本当に適切でないということだと考えております。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、我々としましては、繰り返しになって恐縮でございますが、それがないようにということで現時点では措置をさせていただいているところでございますが、過去にそういうことがもし仮にあったとすれば、それは本当に適切でないということだと考えております。

鈴木(敦)委員 仮にあったのであればではなくて、だから、そういう姿勢がよくないんですよ。仮にあったのであればと。

 じゃ、どうやって確認するんですか。この映像で残っているものに対しても、本当にロシア国内で撮られたかどうか分からないから判断できないと。防衛省の方々は、気球にしろ、あるいは中国の測量艦にしろ、確認できない、調査中ですで終わらせてきたじゃないですか。我が国の防衛装備品が外国で、しかも軍用に使われて、ウクライナの侵攻に使われている可能性があるというのはどうやって確認するんですか。そこはちゃんと落とし前をつけなきゃいけませんよ。

土本政府参考人 失礼いたしました。

 令和五年二月末までに廃棄した高機動車の数量は、全部で千八百両でございます。現在保有しているのは二千五百両でございます。

 売払いした車両がその後どう利用されるか、その全てを一〇〇%把握することは困難でございますが、我々といたしまして、可能な限り業者の方に調査をかけ、必要な措置を講じていきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 これ以上言っても押し問答ですね。

 ただ、取りあえず、千八百両が廃棄車両にされて、それが適切に処理されていたかどうか確認できないというのが今の防衛省の体制ですよ。この状態では、とてもじゃないけれども、それよりも高性能な装備品なんて造れないと思いますよ。もし外国に渡ったらどうするんですか。ロシアが持っているということは、中国だって北朝鮮だって持っている可能性があるんですよ。非常に問題だと思います。

 次に行きますけれども、和田委員からもありましたように、サウジとイランの国交正常化がありました。外交関係が正常化するのはいいことです。代理戦争をずっとやっておりましたので、あの周辺がよくなるのはいいことなんですが、一方で、中国が仲介して彼らが手を組んでということが我が国の外交に与える影響は様々あると思います。

 特にくくりませんけれども、安全保障という面で、エネルギーも含めて様々日本の外交に影響を与えると思いますけれども、大臣の御見解をお願いします。

林国務大臣 三月十日にイランとサウジアラビアが、今後二か月以内に外交関係を再開し、大使館及び代表部を再開することで合意したと承知しております。

 第三国間のやり取りでありまして、詳細についてコメントすることは控えますけれども、今委員もお触れになっていただきましたように、両国が関係正常化に合意したことは、我が国としても、中東地域の平和と安定化に向けた前向きな動きとして歓迎するとともに、両国間の関係正常化に向けた今後の具体的な動きを注視してまいります。

 また、今般発表されたイランとサウジアラビアの外交関係正常化に向けて様々な国による外交努力が行われてきておりまして、こうした国際社会の外交努力の積み重ねの結果、合意が実現したことは評価するところでございます。

 近年、中国は、中東、アフリカ地域で二国間それから多国間の双方で幅広い分野で活発な活動を展開しておりまして、日本としても高い関心を持って注視しております。

 日本としても、今お話のあったエネルギー安全保障の観点からも大変重要な中東諸国との良好な関係、また、TICADプロセス等を通じて培われてきた日・アフリカ関係、こういうものを生かしながら、これらの地域との関係の一層の強化に努めまして、地域の平和と安定に貢献してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 地域の安定とか一層の強化ということなんですけれども、一方で、中国が今回サウジアラビアとイランに対して、あるいは中東の地域の一部で提案しているのは、原油取引に人民元を使うべきだという提案をしていることです。これは非常にゆゆしき事態だと思います。

 人民元の取引システムであるCIPS、そしてロシアを排除したSWIFTというものがありましたけれども、財政金融委員会的な考えでいうと、CIPSというのはSWIFTに比べればかなり取引額が少ないので今すぐ直ちに脅威ではないという考え方に至るんでしょうけれども、今までドルが世界の基軸通貨であり続けられたのは、石油取引に使っていたからです。

 これがもし仮に人民元に替わったり、あるいは半導体に使う取引が人民元に替わってCIPSで取引されたりということになると、我が国に入ってくるエネルギーあるいは戦略物資、重要物資とこの前経済安保法で決めましたけれども、そういったものが全て人民元取引になるということなんです。

 これは非常に大きな問題です。経済の取引の規模だけではなくて、彼らとの取引に全て人民元を使わなければいけなくなる。行く行くは、我が国でこれだけ歓迎していた爆買いにすら人民元を使うことになる。これは通貨を使った侵略行為です。こんなことは許されないんです。

 だから、関係を強化するのは非常に重要なんですけれども、人民元で取引をするという提案をして、それを受け入れている国も幾つかぽろぽろ出てきておりますから、これから先の数年間をかけて、外務大臣には汗をかいていただいて、中東地域での我が国のプレゼンスを高めていただく必要があるんです。

 これは石油取引だけではないです。中国には購買力ではかないませんから、石油を買いますからこうしてくださいというお願いはできませんので、それ以外のレベルで我が国のプレゼンスを示していただく。これは非常に重要なことになってきますが、何か方策はお考えでしょうか。

林国務大臣 まず前段でございますが、中国は、国際通貨システムにおける人民元の役割の拡大等に取り組んでいると承知しております。

 今お話のあった石油取引を含めて、特定の通貨が国際決済において広く利用されていくためには、流動性、安全性の観点から通貨としての高い利便性を有する必要がございます。今後の人民元の国際化ということについて申し上げますと、中国政府による資本規制がその利便性に及ぼす影響等も踏まえて注視していかなければならないと考えております。

 そして、後段のお話でございますが、まさにエネルギーを通じて中東諸国とは長い友好関係を築いてきたわけでございますが、私も、UAEにお邪魔したりとか、いろいろなところで中東の皆さんとお話をする機会がありますが、CO2の気候変動対策という観点も含めて、脱エネルギーというのを中東諸国はどこも考えておられるということでございまして、当然今までのエネルギーの関係というのをしっかりと維持しながら、その先を目指していく姿、これは、日本の今まで来た、ここに至る過程というのを彼らもよく知っておりまして、そういうことについていろいろ協力を強化したい、こういうところもありますので、そういうところもてこにしながら、今後、未来に向けてこの地域との関係を強化していく、これが大事なことではないかと思っております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございました。

 終わります。

黄川田委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 統一協会をめぐる問題について質問します。

 自民党は、先月二十六日、定期大会を開き、運動方針を決定しました。その運動方針を見ると、あれだけ国民的批判を招いた統一協会との癒着について一切言及していません。岸田総理も大会の挨拶で一言も触れませんでした。統一協会との関わりで閣僚の辞任が相次いだことへの反省が全くないと言わなければなりません。統一協会の問題は今も被害が続いており、幕引きは断じて許されない。

 そこで、本日は、統一協会の関連団体に対する政府開発援助、ODAの無償資金協力について聞きます。

 この問題をめぐっては、私は、昨年十一月十一日の本委員会で質問を行い、岸田総理が外務大臣だった二〇一五年、統一協会の関連団体、世界平和女性連合がアフリカのセネガルで運営する職業訓練校の新校舎建設に九百五十五万円余りを供与していたことを明らかにしました。

 この問題について、岸田総理は、十一月二十八日の衆議院予算委員会で、我が党の田村貴昭議員に、「当該職業訓練校において布教活動等目的外の活動が行われていないかを確認する」、「本件支援で得られた信用を利用するなど、社会的に問題が指摘されている旧統一教会の活動を促進するものであるかのような無用な誤解を与えていることがないか、」「いま一度確認をしていきたい」と答弁された。

 それから四か月が経過したが、その結果はいまだ明らかにされていない。林大臣、調査の結果はどうだったか、御説明いただきたい。

林国務大臣 昨年十一月の衆議院予算委員会におけるやり取りを受けまして、在セネガル大使館を通じて確認したところ、結果は以下のとおりでございました。

 大使館員が当該職業訓練校を訪問し、同校においてカリキュラムや教科書を通じて布教活動等の目的外の活動が行われていないということを確認したところでございます。

 また、同被供与団体、女性平和団体ですが、ここから在セネガル大使館に対しましては、同団体は独立したNGO団体であり、世界平和女性連合の下の傘下団体ではない、世界平和女性連合は同校の運営に関係していない、同団体として世界平和女性連合の活動を促進する意図はなく、そのような活動も行っていない、世界平和女性連合の報告書に職業訓練校の活動が記載されていることは承知していなかった、こういう説明があったところでございます。

穀田委員 林大臣、事務方から今答弁されたような報告を受けたということでいいですね。要するに、事務方からそういう報告を受けたんですな。

林国務大臣 もとより、私が直接やったわけではございませんので、そういうことでございます。

穀田委員 それでは、具体的に外務省に聞きます。

 外務省の調査では、今あったように、ODA資金を供与した女性平和団体の代表から聞いたということになっているんですね。女性平和団体は、統一協会の関連団体、世界平和女性連合とは全く関係がなかった、そのことを確認したということですね。簡単に、原さん。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 確認をしたということでございます。

穀田委員 いつ、どこでですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十一月の衆議院予算委員会におけるやり取りを受けまして、本省とセネガル大使館との間で打合せを行い、十二月でございますけれども、大使館員がこの職業訓練校を訪れまして、その校長をしている女性平和団体、NGOの代表を務める人間と面談をし、確認をいたしました。

穀田委員 世界平和女性連合がホームページで公開している報告書などを見ると、現地の職業訓練校は自分たちが運営する学校だとしているわけだけれども、そうではないということですね。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、この団体の長、職業訓練校の校長と面談をし、確認をしたということでございます。その確認の中身では、世界平和女性連合は、この職業訓練校の運営に関係していないという確認があったということでございます。

穀田委員 今説明があった女性平和団体の代表との現地大使館のやり取りは、当然、記録として残されているはずですね。お答えください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 大使館とのやり取りは電話等で行いましたので、そういう意味で、公式の記録ということは作ってございません。

穀田委員 それはないでしょう。総理大臣が発言した内容について確かめる問題について、そのやり取りについて電話で確認した。それは電話でもいいですよ。しかし、その内容はこういう確認をしたという文書はあるんですね。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 大使館員が面談を終えた後に、こういうことであったという報告は受けておりますけれども、それを、何と申しますか、やり取りがあったということで報告を受けてございます。

穀田委員 聞いているのは、報告を受けたことの、やり取りの報告は記録にしているねと。

 総理大臣が調べると言った内容を調べた内容を、報告も聞いて、やり取りも聞いて、それを記録にしていない、そんなあほなことがありますかいな。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、団体代表とのやり取り、電話で報告を受けてございます。そういう意味で、文書という形で報告書を作っているということはございません。

穀田委員 そんな、よくやるよと思いませんか、皆さん。総理大臣が確かめると言った内容を確かめた。その内容が文書として記録もない。それで役所が務まりますかいな。

 報告に基づいて文書はできるんでしょう。簡潔に答えてくださいよ。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 メールでそのやり取りを報告を受けたということでございます。

穀田委員 電話だ、メールだと、次から次へと返すんじゃないよ。そんないいかげんなことをしたらあきませんよ、あなた。だから、それやったら、はっきりさせましょう。

 委員長、この内容について、この委員会に提出していただくということを要求します。理事会で諮ってください。

黄川田委員長 理事会で協議いたします。

穀田委員 配付資料の二枚目は、セネガルの日本大使館がホームページに掲載した、ODA資金の贈与契約の署名式を伝えたものです。

 これを見ると、女性平和団体の代表はジョップという名前があります。これは確認できますね、一言。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 ジョップという女性でございます。

穀田委員 私は、この女性平和団体の代表について調べてみました。

 統一協会が運営するホームページに掲載された今年一月二十七日付の記事がある。これを見ると、セネガルの統一協会と関連団体、天宙平和連合は、一月十九日、まことのお母様、つまり韓鶴子総裁がセネガルのゴレ島を訪問したことを記念する五周年記念式典を行っています。記事には、そのときの写真と式典に参加したメンバーが列記されており、その中にはODA資金を供与した女性団体の代表も登場します。しかも、その肩書は、セネガルの世界平和女性連合の副会長となっています。

 世界平和女性連合とは関係ないどころか、女性平和団体の代表はセネガルの世界平和女性連合の幹部ではありませんか。どう説明しますか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、昨年十一月以降、このジョップ代表とも大使館を通じてやり取りしておりましたけれども、今御指摘いただいた話はございませんでした。逆に、ジョップ代表からは、統一教会とは関係がないという確認がございました。

穀田委員 今私が指摘したのは一月です。あなた方が調べたのは十二月なんですよ。それ以降、本省を含めて調べる期間はあったわけですよ。そして、そのときにそういう話を聞いたと。そんなことを簡単に信用する方が間違ってますやんか。私が調べただけでもこういう事態がある。

 更に言いましょう。

 この記事は、運営するホームページに掲載されているものなんです。その中で、女性平和団体の代表は、セネガルの平和女性連合の副会長とさっき言いましたように紹介されている。関係がないどころか、関係は大ありだ。しかも、韓鶴子総裁の記念式典に参加していることからも、セネガルの統一協会メンバーの疑いさえある。

 実際、統一協会の関連団体、天宙平和連合が公式ホームページに掲載した、今度はこっちのホームページですよ、二〇一七年一月二日の記事がある。これを見ると、セネガルの天宙平和連合の代表団が同国の政府高官と会談した内容が報じられている。女性平和団体はその代表団のメンバーとして参加している。外務省はこの実態もつかんでいないということですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいた事実は把握しておりませんでした。

穀田委員 天宙平和連合といえば、安倍元総理がビデオメッセージを送ったことで知られる統一協会の中核組織です。女性平和団体の代表は、世界平和女性連合だけでなく、天宙平和連合でも幹部として活動しているということなんですよ。

 もう一つ言いましょうか。問題はそれだけじゃないんです。現地の職業訓練校の実態です。

 世界平和女性連合がホームページに掲載している職業訓練校の実態、写真ですよ。それと、ユーチューブにアップされたセネガル・スタディーツアーという動画がある。それを見ると、校舎内には統一協会の韓鶴子総裁の肖像写真が飾られている。このことからも、職業訓練校では統一協会の宣教活動が行われている可能性が高い。

 もう一つ言いましょう。

 職業訓練校は、アメリカの世界平和女性連合から一万四千ドルの資金提供を受けている。女性平和団体の代表は、二〇一七年と二〇一八年に職業訓練校の学校長として感謝状を送っている。皆さん、一万四千ドルといったら二百万近いですよ、日本円にして。ということは、今、我々のセネガルとの関係でいえば二、三千万近い金ですよ。それをもらった人を忘れるか。政治家の方々かて、皆、もらった人を忘れませんで。こんな金をもらっているところなんでっせ。

 まさに学校長として今言ったように感謝状を送っている、資金的つながりもはっきりしている、こういう事実を確認していないんですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいたような事実は、これまでのやり取りの中では出てきておりませんでしたので、把握しておりませんでした。

穀田委員 何から何までずさん。ホームページを見れば発見できる。そして、やり取りをしたときにも、そういう金の問題についてはないのかと聞けば分かる。全く調べることがずさんだということがはっきりした。しかも、外務省が、こういう写真なんですよ。これをちゃんと貼ってんねん、こういうふうに。そういうものさえも見ない。もちろんそれは、行くといったときには外してんのやろうけれども。だから、全部あるわけですよ、感謝状だって。そういうものさえ分からないと。

 ですから、外務省の調査というのは、こういう公開されている資料を訪問前にしっかり把握した上で臨んでいないということなんですよ。これが総理大臣が発言した内容を点検するということの態度かと私は思います。

 林大臣、このような現地大使館の女性平和団体に対する調査は、一事が万事、ずさん極まりないものだ。それを外務省本省として是認し、外務大臣に問題はなかったと報告を上げる。こんなことが許されますかいな。国民の血税であるODA資金を統一協会の関連団体に供与した責任は逃れたい、そして資金の返還要求は回避したいという姿勢が外務省は見え見えじゃありませんか。これでは統一協会側を利するだけだ。林大臣の責任で、至急調査をやり直し、その結果を改めて報告すべきだと思いますが、どうですか。

林国務大臣 今やり取りを聞かせていただきました。

 今委員から御指摘のあったことも含めて、我々がこうやって聞き取りでやったことと、聞き取りでしたことそのものと相反するようなことも今御指摘を受けたところがございますので、先生のいろいろな資料等もできる限りいただきながら、そういう御指摘を受けないようにしっかりと対応していかなければならないと思っております。

穀田委員 大臣、指摘を受けないようにということは、指摘したわけだから、ということは、そういう内容が事実であるか、どっちがほんまかいなと。しかも、大臣も発言し、総理大臣が一切を調べると言った。それで、電話でやり取りをしたということがある。私は、ホームページに載っているでと、そして本人たちも感謝状を送っているでと、いろいろな証拠を全部示して具体的事実を明らかにしてやっているわけですやんか。

 そういう意味では、今大臣が、資料も頂戴し、どうのこうの言うてはりましたし、どちらかといえば言いにくいことやから分かりますけれども、もう一遍調査せなあかんなと思いましたやろ。それは大体確認できるということですな。

林国務大臣 客観的な、ホームページ等という御指摘もありましたので、我々で確認できること、また委員がいろいろと今御指摘があったこと、そういうことをしっかり含めて、再確認をしなければならないと思っております。

穀田委員 私は、大臣、大臣に報告を上げている内容がおかしいと言っているんです。大臣の報告がおかしいとは言っていないんですよ。そこはくっきり分けているんですよ。

 といいますのは、皆さん、岸田総理は、「少なくとも、問題があるような行動があれば、あるいは信用を利用するというような事態があれば、政府として対応は考えていかなければならない」と答えたんですよね。この答弁に関わる問題なんですね。

 だから、先ほど言ったように、私は、ほんまかいなと、いろいろなホームページを全部調べると、世界平和女性連合、天宙の関係、そして現地、それから写真、動画、さらには感謝状、ありとあらゆるものを調べたわけですよ。そんなことは私より外務省の方ができるんですよ。それをほっぽらかして頬かむりして、会うたとか電話でやったとかというような話をして平気でいるということ自体が許されぬということを、私は、総理大臣に対する責任からいっても駄目だということを述べて、終わります。

     ――――◇―――――

黄川田委員長 次に、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件及び日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣林芳正君。

    ―――――――――――――

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件

 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 ただいま議題となりました二件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 まず、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件は、令和四年一月六日に協定の署名が行われました。

 この協定は、一方の締約国の部隊が他方の締約国を訪問して協力活動を行う際の手続及び同部隊の地位等を定めるものです。

 この協定の締結により、両国間の安全保障、防衛協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることとなります。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件は、令和五年一月十一日に協定の署名が行われました。

 この協定は、一方の締約国の部隊が他方の締約国を訪問して協力活動を行う際の手続及び同部隊の地位等を定めるものです。

 この協定の締結により、両国間の安全保障、防衛協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることとなります。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

黄川田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時九分散会


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