衆議院

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第5号 令和5年3月29日(水曜日)

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令和五年三月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君 理事 吉田 宣弘君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    城内  実君

      島尻安伊子君    新藤 義孝君

      鈴木 貴子君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    辻  清人君

      寺田  稔君    平沢 勝栄君

      本田 太郎君    務台 俊介君

      青山 大人君    篠原  豪君

      松原  仁君    青柳 仁士君

      杉本 和巳君    金城 泰邦君

      鈴木  敦君    穀田 恵二君

      吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   総務副大臣        柘植 芳文君

   外務副大臣        山田 賢司君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   外務大臣政務官      吉川ゆうみ君

   国土交通大臣政務官    清水 真人君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 原  圭一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房政策立案参事官)         岡野結城子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北村 俊博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片平  聡君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            船越 健裕君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           住友 一仁君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長)佐々木正士郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 田部井貞明君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 三浦  潤君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     務台 俊介君

  高木  啓君     本田 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     高木  啓君

  務台 俊介君     伊藤信太郎君

    ―――――――――――――

三月二十八日

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件及び日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長志水史雄君、大臣官房審議官石月英雄君、大臣官房審議官實生泰介君、大臣官房審議官日下部英紀君、大臣官房審議官原圭一君、大臣官房政策立案参事官岡野結城子君、大臣官房参事官宮本新吾君、大臣官房参事官北村俊博君、大臣官房参事官片平聡君、アジア大洋州局長船越健裕君、欧州局長中込正志君、領事局長安藤俊英君、総務省総合通信基盤局電波部長豊嶋基暢君、国土交通省大臣官房審議官住友一仁君、道路局次長佐々木正士郎君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、大臣官房審議官田部井貞明君、防衛政策局次長三浦潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。城内実君。

城内委員 自由民主党の城内実でございます。

 通告した質問に入る前に、林大臣はこれまで、大臣就任以来、総訪問回数二十四回、そして総訪問国数二十八か国と、本当に精力的に海外に出張されております。アメリカは五回、そして、私が議連の幹事長を務めているドイツには既に四回訪問されております。そして、先般、ソロモン諸島及びクック諸島を訪問されました。昨年五月のフィジーとパラオ訪問に続く太平洋島嶼国への訪問でありますが、米英独といった主要国のみならず、こういった太平洋島嶼国に大臣自ら訪問されていることに対しまして、改めて敬意と感謝を表したいと思います。

 それでは、通告した質問に入りますが、岸田総理のウクライナ訪問についてであります。

 二十一日、岸田総理はウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領との首脳会談を実施し、特別なグローバルパートナーシップに関する共同声明を発出したところであります。

 現地の情勢を岸田総理御自身の目と耳で直接体感されたことはよかったのではないかと思います。また、力による一方的な現状変更の試みや核兵器による威嚇を断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くとのG7議長国としての強い意思を国際社会に示すことができたわけであります。このままG7広島サミットにつなげていただければというふうに思います。

 本件については、既に、先週二十四日金曜日の衆議院本会議で辻清人議員、そして立憲民主党の徳永久志議員等による質疑がなされたところでありますが、改めて、岸田総理のウクライナ訪問の意義と成果についてお尋ねしたいと思います。

中込政府参考人 お答えいたします。

 三月二十一日、岸田総理はウクライナを訪問いたしまして、ロシアによるウクライナ侵略による被害などの状況を直接視察されるとともに、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行い、ウクライナ国民に対する日本の揺るぎない連帯を伝えさせていただきました。

 その際に、両首脳は、ウクライナはもちろん、世界のいかなる場所においても力による一方的な現状変更を許してはならないということを改めて確認したところでございます。

 それから、広島サミットの関係でございますけれども、岸田総理の方からゼレンスキー大統領に対して、今回のウクライナ訪問も踏まえ、広島サミットにおいては、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を改めて明確にするとともに、G7の結束を維持してウクライナを力強く支えること、また、国際社会が直面する食料問題などにもしっかり取り組むことを示していくということを伝達したところでございます。

 また、総理の方からゼレンスキー大統領に対しまして、これまで、日本は合計七十一億ドルの支援を着実に実施していくということ、それから、新たにエネルギー分野などへの二国間無償支援等を四・七億ドル、それから、NATOの信託基金を通じた殺傷能力のない装備品支援に三千万ドルを拠出するということをお伝えして、ゼレンスキー大統領から、日本からの支援に対して深甚なる謝意が示されたところでございまして、二国間では、先ほど委員の方から御説明がありましたとおり、特別なグローバルパートナーシップにするという声明を発出したということでございます。

 以上でございます。

城内委員 分かりました。

 それで、まさに岸田総理がウクライナを電撃訪問しているさなかに、中国の習近平国家主席がロシアを訪問して中ロ首脳会談が行われたわけであります。これはかなり衝撃的なことだと思いますが、いわゆるグローバルサウスと言われる国々は別として、欧米の有志国あるいは我が国にどのような影響を及ぼし、あるいは各国はどういう反応をしたのか、外務省はどう捉えているのかについてお尋ねしたいと思います。

中込政府参考人 お答えいたします。

 習近平国家主席でございますけれども、三月二十日から二十二日にかけてロシアを訪問しまして、二十日にプーチン大統領とのテタテ会談及び夕食会、二十一日に首脳会談等を実施したというふうに承知しているところでございます。

 この訪問のときにウクライナ情勢についても議論されたということでございまして、プーチン大統領は共同記者発表におきまして、中国によって提示された和平案の条項の多くがロシアのアプローチと一致しており、西側及びキーウが平和的解決の準備ができたとき、その土台となり得るなどと発言したというふうに承知しているところでございますが、一方で、両首脳から、ロシアのウクライナ領土からの即時撤兵等について何らの言及はなかったというふうに承知しているところでございます。

 中ロの首脳会談が国際社会に与える影響等について予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、我が国としましては、中ロの連携を注視しながら、グローバルサウスを含めた国際社会に対して、法の支配に基づく国際秩序の維持強化の重要性を引き続き訴えていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

城内委員 中ロというと、歴史的にはどちらかというと仲が悪い国でありますけれども、こういう状況になっているわけですから、今局長がおっしゃったように、中ロの結びつきを是非注意深くフォローしていただきたいというふうに思います。

 そして、昨日、自民党の外交部会がございましたけれども、そこで説明資料が配られました。そこで、中ロの共同声明の中で、全ての核兵器国は、自国領土外に核兵器を配備すべきではなく、国外に配備された全ての核兵器を撤去しなければならないというふうに書かれている。ところが、報道によりますと、ロシアはベラルーシに戦術核兵器の配備を計画している。言っていることとやっていることが全く真逆という、本当に驚いたわけであります。

 そしてまた、共同声明では、中国側の文書に、ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場というのに記載された建設的な考慮をロシアが歓迎するみたいなことが書いてあるんですね。多分、中国がウクライナ問題を仲介して解決するみたいなことを言っているようですけれども、私はこれはとんでもないと思っていまして、むしろ、中国ではなくて、G7の議長国である我が国こそがロシア及びウクライナに対話と停戦を呼びかけ、唯一の被爆国として、ロシアに対して核兵器による威嚇をやめるようもっと強く働きかけるべきだというふうに私自身は考えております。

 これについての答弁は結構ですけれども、是非、そういったことを念頭に置いて外交政策を企画立案していただきたいと思います。

 次の質問に入りますが、報道によりますと、アステラスの社員が中国当局によってスパイ容疑で拘束されている。またかという感じがいたしました。

 実は、二月十七日に、私も入っている議連で、中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟というのがございまして、そこに元日中青年交流協会の理事長の鈴木さんという方が来られまして、それで、拘束されていたような話をされて、もう驚くべき話だったんですね。弁護士は全く役に立たずに、早く罪を認めたら刑期が短くなるよとか、あらぬ嫌疑で拘束されたという話を聞きまして、また同じことが繰り返されるんじゃないかというふうに思うんですが、こういうことが度々起こるということは、本当に断固たる対応をしなきゃいけないと思っておりますが、まず、本拘束事案の事実関係について御説明いただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今月、中国当局から在中国日本国大使館に対し、北京市で五十代の邦人男性一名が中国の国内法違反があったとして中国当局に拘束された旨の通報がございました。

 政府といたしましては、本件拘束事案が判明して以降、中国側に対して当該邦人の早期解放を強く求めてきているところでございます。また、邦人保護の観点から、中国側に対し領事面会の実施を強く申し入れるとともに、関係者との連絡等、できる限りの支援を行っているところでございます。

城内委員 事柄の性質上、それ以上の詳細については説明できないというのは分かりますが、同様の拘束事件、いわゆる不当なスパイ容疑によるもの、これについて、過去、大体十年ぐらいでいいんですけれども、件数及び人数、そして、いまだ拘束中の事案の件数及び人数について御説明いただきたいんですが、よろしいでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 中国での一連の邦人拘束事案につきましては、二〇一五年五月以降、今回拘束された一名を含めまして、合計十七名の邦人が拘束されたことを確認してございます。

 その中で、現在も拘束されておりますのは、今回拘束されました一名を含め五名で、その五名のうち、二名については刑が確定し、一名は公判中、二名が逮捕又は拘禁中でございます。

城内委員 その五名の方については、とにかくあらゆる手段を使って早期解放をやっていただきたいと思いますし、また、報道等によりますと、林大臣の訪中というのも報道されておりますけれども、訪中されたら、是非この件についても相当強く中国側に早期解放を迫っていただきたいというふうに思います。このような事案が再び発生しないために、再発防止をしっかりやっていただきたいと思います。答弁は結構であります。

 次の質問に入りたいと思います。

 先般、十八日ですが、ドイツのショルツ首相が訪日いたしました。日独首脳会談のみならず、日独政府間協議ということで、首相、総理を除いて六名の日本及びドイツの閣僚が政府間協議をしたわけであります。

 ドイツは、こういった政府間協議は、隣国のフランス、あるいは中国、インド等とやってきたわけであります。どちらかというと、メルケル政権時代後半はさておき、メルケル政権前半は、ドイツというと、アジアは中国、日本はその他という感じだったんですが、ここに来てようやく、遅ればせながら、ドイツとの間でも2プラス2の閣僚協議が実施され、そしてまた、今回初めて日独政府間協議が開催されたわけであります。

 この日独首脳会談及び日独政府間協議の成果について御説明いただきたいと思います。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 日独政府間協議でございますけれども、今お話がありましたとおり、幅広いテーマに関する日独間の協力を推進することを目的に、首脳と複数の閣僚が参加する日独間の新たな協議の枠組みとして、昨年四月の日独首脳会談の際に立ち上げが確認されたものでございます。

 その第一回目として、三月十八日に東京で会合が開催されまして、今回は経済安全保障が中心テーマということで実施をされました。経済安全保障及び関連するグローバルな課題における日独の役割、国際社会における協力等について、両国の首脳、関係閣僚間で幅広く議論が行われまして、連携を強化することで一致し、今回の首脳会談の成果として共同声明を発出しております。

 また、経済安全保障分野での取組を含めて、G7広島サミットに向けて緊密に連携していくことを確認したところでございまして、この際に、政府間の協議とともに日独の首脳会談も行われたということでございます。

 以上でございます。

城内委員 冒頭申しましたように、林大臣は、ドイツにはたしか四回ほど、G7の外相会合、2プラス2、そしてミュンヘン安保会議、そういった会合に出席されたわけでありますが、カウンターパートの緑の党のベアボック、女性の方ですけれども、外務大臣とは何度か会談をされていると思います。

 林外務大臣といいますと、実は、十一月二十三日、去年ですけれども、カタールのワールドカップ、日独サッカーの大会がございまして、その際、ドイツの文化会館に私も日独議連の代表として、どうせ負ける試合かなと思って参加したら、林外務大臣もいらして、負けるかなと思ったら勝ってしまって、隣に座っていたフォン・ゲッツェ大使に本当に申し訳なかったなという感じがしましたけれども、それだけ林大臣もドイツに対する思い入れが非常に強い方であるということが分かったわけであります。

 今般、林外務大臣も日独政府間協議に参加されました。その参加された大臣としての所感についてお尋ねしたいと思います。

林国務大臣 城内委員とドイツ戦を一緒に見ることができました。私も、たしか、後半でかなり点が入るまでは、外交的にもいい方向でというように思っておったわけでございますが、結果、ああいう結果になってびっくりすると同時に、大使には、くれぐれも気を落とさないようにという外交的配慮をしたわけでございます。

 まさに、ドイツとは、昨年は向こうがG7の議長国ということもあって、ミュンヘン等も含めてかなり緊密にお会いをしてきたところでございますが、そうした中で、今政府委員からありましたように、政府間協議の立ち上げが確認されました。やはり、基本的価値を共有する日独間の協力関係を拡充して更なる高みに引き上げたいという両国共通の思いがあったと思っております。

 三月十八日にショルツ首相と六名の閣僚を東京にお迎えして、当然、私のカウンターパートのベアボック大臣を含めて、第一回会合を非常に盛大な形で開催できたことをうれしく思っております。

 この全体会合に先立ちまして、ベアボック外相との間でバイ会談を実施しました。

 ベアボック外相との間では、緊密な意思疎通、また信頼関係に基づきまして、同じ頃に就任したということもあって、そういった意味でも非常に強い信頼関係を持たせていただいておりますが、今委員からも少し触れていただきましたけれども、特に安全保障の協力、そして経済安全保障の分野について日独間で連携を強化していくということを確認いたしました。

 さらに、ウクライナ情勢、インド太平洋情勢、それから安保理改革を含む国際場裏における幅広い協力、これは、御案内のように、日独はG4ということでそれも一緒にやっているわけでございます。こうしたことについて率直に意見交換を行いまして、来月の軽井沢におけるG7の外相会合、さらには五月のG7広島サミットに向けまして緊密に連携していこうということを確認いたしました。

 全体会合では、日独の首脳と関係閣僚とともに経済安全保障を中心テーマとして幅広い意見交換を行いました。会合の最後に、経済安全保障及び関連するグローバルな課題について日独間で協力を強化していくということを確認し、共同声明を発出するなど、内容面でも大変充実した成果を上げることができたと考えております。

城内委員 今大臣がおっしゃったように、グローバルな課題が多々あります。今回は安全保障あるいは経済安全保障を中心にということでありますけれども、日独間では、エネルギーあるいは環境といった分野について両国の英知を結集して技術開発、技術協力をするというようなことも大事なテーマでございますので、今後、日独政府間協議を続けていく際には、こういった分野についてもしっかり協力を推進すべきだというふうに考えております。

 また、ショルツ首相の訪日を契機に、政府間交流のみならず、議員間交流あるいは民間レベルでの交流、企業間交流や文化交流、人的交流、こういったものを私はもっと深化させるべきではないかというふうに思います。

 それでは、次の質問に入りたいと思います。

 二月のことでありますけれども、ラマ・アルバニア首相が訪日いたしました。

 アルバニアというと、余りなじみのない方も多いかと思いますけれども、実際、人口は二百七十九万人となっておりますが、実は、イタリアにもアルバニア系の方もいますし、コソボがまさに、コソボの人口のたしか九割はアルバニア系でありますし、また、隣の北マケドニアにもアルバニア人がおります。こういったアルバニアについて、私自身は、地政学的にも非常に重要ですし、西バルカンの平和と安定にとって非常に鍵となる国じゃないかと思います。

 私はたまたま、先ほど日独議連の役員をやっていると申しましたけれども、西バルカンについて言うと、西バルカン六か国のうち、アルバニアのみならず、セルビアとボスニア・ヘルツェゴビナの議連の事務局長をしておりまして、この地域については、日本も、特に歴史的にドイツと違って何の負の遺産もございませんので、かつ、西バルカン六か国はEU加盟を目指していますので、そういった点で、日本がいろいろな分野で、特に環境技術等で協力をして、EU加盟の背中を押すというようなこともできるかと思います。

 私が非常に驚いたのは、私自身、議連の会長に細田衆議院議長になっていただいて、事務局長として細田議長の代わりに非公式夕食会をさせていただきまして、ある居酒屋を借り切っていろいろ歓待させていただいたわけですけれども、ラマ首相がおっしゃったのは、中国の投資は受け付けませんと。何でですかと言うと、中国はリスクがあるからというようなことをおっしゃって、日本の投資は大歓迎です、もっと日本は投資をしてくださいと。これはリップサービスじゃなくて、本当にそういう方のようでありまして、岸田総理との会談でも大いに話が盛り上がったということであります。

 そしてまた、外務省の作った資料にもありますように、ラマ首相が岸田総理による歓迎に深く感謝を述べるとともに、近年、高田アルバニア大使の活躍を得て、二国間関係が飛躍的によくなったと。高田大使というのは三菱商事から来られている民間企業の大使ですが、私は、実は、ラマ首相の訪日については、高田大使と私が直接やり取りしながら相当日程を詰めて、細田議長にも夕食会をやっていただくとか、相当いろいろやらせていただきました。大変立派な大使が活躍されているということをここで紹介させていただきたいと思います。

 このアルバニアの訪日は大変成果があったと思いますが、今後の友好協力関係発展の可能性についてお尋ねしたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二月二十一日から二十五日、アルバニアのラマ首相が実務訪問賓客として訪日されました。

 訪日中、ラマ首相は、岸田総理との間で首脳会談を行ったほか、経済関係者との面談、城内委員が事務局長をお務めになられています日・アルバニア友好議員連盟のメンバーとの懇談を行い、さらには、広島を訪問、被爆の実情にも触れていただきました。

 岸田総理との首脳会談におきましては、アルバニアは我が国とともに本年の国連安保理非常任理事国を務めており、そのアルバニアとの間で国際場裏における協力をより一層強化していくことを確認し、国連安保理改革の重要性でも一致したところであります。

 また、ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みにほかならず、強く非難することでも一致し、同志国が引き続き結束、連携して対応していくことの重要性を改めて確認いたしました。

 アルバニアを含みます西バルカンは、歴史的にロシアを始めとする大国の利害が交錯する地域であり、地政学的にも重要であって、西バルカンの安定の鍵を握るアルバニアとの会談を通じて、ウクライナや東アジア情勢を含む地域情勢についての理解の一致を見たことは成果であります。

 また、今般の訪日では、農業大臣を始めとする経済閣僚も同行され、経済セミナーが行われ、同国産のワインやハーブ等の紹介や、観光資源の紹介が行われるなど、今後の二国間の経済分野の協力の拡大という観点でも大きな成果がございました。

 引き続き、西バルカン地域において重要な位置を占めるアルバニアとの間で幅広い分野での協力を推進するべく取り組んでまいります。

城内委員 こういったアルバニアは、西バルカン六か国の平和と安定にとって鍵となる国であります。

 私自身、ラマ首相に、実は私はセルビアの議連の事務局長もやっていますと。まさに、セルビアとコソボは、仲が悪いというか、国家承認していませんし、問題を抱えております。コソボのバックにはアルバニアがいます。こういう話もしましたところ、よく分かっている、ブチッチ大統領と上手にやっていくからみたいな話を非公式の夕食会でおっしゃっていまして、こういった観点から、西バルカン六か国、先ほど申しましたアルバニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ以外にも、モンテネグロ、北マケドニア、コソボと六か国ございまして、ちょうど安倍総理がこの地域を訪問した際に、西バルカン協力イニシアティブというのを立ち上げました。

 そういった西バルカンの平和と安定に対する我が国のこれまでの取組は非常に重要だと思いますけれども、これについてお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 我が国は、二〇一八年以降、西バルカン協力イニシアティブの下、バルカン半島の西側に位置するEU未加盟であるアルバニア、北マケドニア、コソボ、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロの六か国のEU加盟に向けた改革努力を支援してまいりました。

 具体的には、西バルカン地域における大使館の開設や西バルカン担当大使の任命を通じた対話の促進等の取組を通じ、西バルカン各国との関係強化や、ODA等を通じた西バルカン各国のEU加盟に資する経済社会改革支援を行っているほか、同地域への日本企業進出の後押しも行っております。

 また、防災や中小企業振興等の西バルカン地域の共通課題に関するセミナーの開催や、西バルカン諸国からの実務者招聘等を通じた日本の知見共有を行っているほか、西バルカン青年交流事業等を通じ、紛争の歴史から民族間の不信感が根強く残る西バルカン地域内の和解、協力及び域内協力の推進に取り組んできております。

 加えて、同イニシアティブの下、西バルカンの欧州統合を重視するEU諸国とも連携し、西バルカン諸国に対する協調支援の実施等、西バルカン協力イニシアティブを効果的に推進できるよう努めております。

 先般の日・アルバニア首脳会談におきましても、西バルカン協力イニシアティブを通じ、西バルカン諸国のEU加盟に向けた改革努力を支援する取組を更に強化すべく、西バルカン担当大使の派遣を発表したところでございます。

城内委員 今、山田副大臣から、日本の西バルカン諸国のEU加盟に向けての経済社会分野での支援、これは本当に大事だと思いますし、中国がよく、各国の大統領府とか首相官邸とか、政府の建物をばんと建ててというようなそういうあれじゃなくて、日本のノウハウ、技術、これを教えてあげる、技術を移転する。コストもそれほどかかりませんので、こういった支援をきめ細かく、中国流のやり方ではなくて、日本流のやり方、人道支援も含めて、環境支援、こういったものもしっかりやっていくと大変評価されると思います。

 是非、林大臣におかれましてはアルバニアを一度訪問していただきたいと思いますし、こういう場で言うのもなんですが、アルバニア議連のメンバーはまだ足りませんので、この中にいらっしゃる方は是非、超党派ですので、入っていただければというふうに思います。

 最後に、時間も余りありませんが、外交実施体制の強化について質問しようと思っております。

 実は、今日私がした質問は、ウクライナ、ドイツ、アルバニア、全て欧州局中・東欧課という課でやっていたわけであります。特に、岸田総理のウクライナ訪問とショルツ・ドイツ首相の訪日が、多少ずれていますけれども、ほぼ重なっていましたので、中・東欧課は相当大変だったかと思います。

 私は、中・東欧課の前身でもある、昔、西欧第一課というところの首席事務官をやっていた経験がありますが、いまだに、これだけ国もたくさん抱えていますし、どんどん仕事は増えていますよね、そういう中でなかなか定員が増えていないわけでございます。

 私も、今回、質問通告は、金曜日に大まかな通告をし、月曜日にはしたつもりでありますけれども、もっと早くやればよかったなと反省していますが、やはり相当課員に負担がありますので、外交実施体制については、大臣も是非率先して、定員そして足腰予算はまだまだ私は十分じゃないと思いますので、是非、小出し小出し、緊縮的な財務省にも働きかけていただきまして、しっかりとした外交実施体制ができるようにしていただきたいというふうに思います。

 以上で私の質問は終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 本日も質疑の機会を賜りまして、本当に感謝申し上げます。

 早速質疑に入りますが、私、先週金曜日に、本会議において岸田総理の帰朝報告に対する質問に立たせていただいたわけでございますが、その際に、昨年末に改定された国家安全保障戦略を改めて読み直してみました。

 その最後の部分には、次のように記載をされております。

  我々は今、希望の世界か、困難と不信の世界のいずれかに進む分岐点にあり、そのどちらを選び取るかは、今後の我が国を含む国際社会の行動にかかっている。我が国は、国際社会が対立する分野では、総合的な国力により、安全保障を確保する。国際社会が協力すべき分野では、諸課題の解決に向けて主導的かつ建設的な役割を果たし続けていく。我が国の国際社会におけるこのような行動は、我が国の国際的な存在感と信頼を更に高め、同志国等を増やし、我が国を取り巻く安全保障環境を改善することに繋がる。

  希望の世界か、困難と不信の世界かの分岐点に立ち、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下にあっても、安定した民主主義、確立した法の支配、成熟した経済、豊かな文化を擁する我が国は、普遍的価値に基づく政策を掲げ、国際秩序の強化に向けた取組を確固たる覚悟を持って主導していく。

とあります。

 本会議でも訴えましたが、安保戦略にあるとおり、今、日本はこの分岐点に立っているのではないかと思っております。そして、政府は、困難と不信の世界ではなく、希望の未来を手元に手繰り寄せるために、国際秩序の強化に向けた取組を主導する確固たる覚悟を決めた、私はこのように受け止めております。

 このことは、林外務大臣も共有をされていることだと存じます。普遍的価値を守り抜く覚悟、日本の平和と安全を守り抜く覚悟、論点は少し違うかもしれませんが、地球規模の課題に向き合い国際社会を主導する覚悟、この三つにしっかり表れているんじゃないかと思っております。

 安保戦略の改定に直接私も携わったこともありますが、私自身、同じ思いを共有して仕事に取り組みたいと改めて感じているところでございます。

 その上で、この日豪、日英協定について質問をさせていただきます。

 これらの協定は、日豪、日英、それぞれの一方国の部隊が相手国を訪問して協力活動を行う際の手続及び部隊の地位などを定めると説明を受けております。協定により、両国部隊の共同活動等における手続などが簡略化され、両国の安全保障への取組が強化されると認識をしております。

 この点、先ほど述べた国家安全保障戦略によると、同盟国、同志国間のネットワークを重層的に構築するとともに、それを拡大し、抑止力を強化していく、そのため、オーストラリア、中略いたしますけれども、NATO、このNATOには言うまでもなくイギリスが加盟しているわけでございますが、との安全保障上の協力を強化するとされているところでございます。

 そこで、まず確認の意味でもお聞きしたいのは、日豪、日英間における協定の締結により、国家安全保障戦略に述べられた安全保障上の協力関係がどのように強化されるかについて、林外務大臣から答弁をいただきたく存じます。

林国務大臣 我が国と豪州でございますが、厳しさを増す戦略環境の下で、情報、後方支援、運用面へと分野を拡大いたしまして、協力の枠組みを整えてきたところでございます。近年、東シナ海や南シナ海での共同訓練やアセット防護、こうした共同活動が拡大をしております。

 昨年十月には、岸田総理とアルバニージー首相との間で、長期的な協力の方向性を明確に示す新たな日豪安全保障協力共同宣言を発出いたしまして、間を置かず、昨年十二月に外務・防衛閣僚協議、2プラス2を開催をいたしまして、この共同宣言のフォローアップを行い、二国間や日米豪による安全保障、防衛協力の拡大、充実に取り組んできておるところでございます。

 また、我が国は、インド太平洋への関与の強化を進める英国との間でも、二〇二一年の空母クイーン・エリザベスの我が国への寄港、また、各種共同訓練の実施、次期戦闘機の共同開発に係る協力など、安全保障、防衛協力を一層深化させてきております。

 その上で、今お触れいただきました我が国の国家安全保障戦略ですが、安全保障上の協力を強化する具体策の一つとして、この円滑化協定の締結が挙げられているところでございます。

 日豪、日英部隊間協力円滑化協定は、日豪又は日英、この一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定めることや、同部隊の法的地位を明確にすること等を通じまして、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものであります。

 本協定の締結及び実施によりまして、我が国と豪州、また我が国と英国、それぞれとの間の安全保障、防衛協力が更に促進をされまして、ひいてはインド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられるということが期待されるところでございます。

吉田(宣)委員 大臣、ありがとうございます。

 次に進みます。

 協定の中身として、訪問部隊、その構成員などが接受国において接受国の法令を尊重する義務が課されております。

 しかし、例えば、オーストラリア国防軍の隊員が仮に日本に入国をして日本に滞在するというようなことのときに、日本国内法に従うことというのは当然のことだと素朴に思うわけでございますけれども、あえてこのような取決めを行う理由について、外務省から国民の皆様に分かりやすく御説明賜りたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定の第三条に、接受国において接受国の法令を尊重することは訪問部隊及びその構成員等の義務であり、また、そのために必要な措置を取ることは派遣国の義務である旨規定されております。

 これは、国際法上、一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員等は、個別の取決めがない限り、軍隊の性質に鑑みまして、その滞在目的の範囲内で行う公務につきましては、受入れ国の法令の執行や裁判権等から免除されると考えられております。

 同時に、当該外国軍隊及びその構成員等が受入れ国の法令を無視してよいということでは全くございませんで、国内法令を尊重することは一般国際法上の義務でございます。

 御指摘の規定は、そうした考えを踏まえて置かれたものでございます。

吉田(宣)委員 次に、両協定では、訪問部隊の構成員などの出入国の手続や武器の携帯などが取り決められています。

 ただ、例えば、二〇二二年十一月には、日本国内においてイギリス陸軍と陸上自衛隊との共同訓練が行われているところでございます。当時は、当然この協定はなかったわけでございます。それにもかかわらず、両国ではしっかり訓練が実施されている。

 そこで、お聞きしたいのは、協定のないこれまでの訪問部隊の構成員などの出入国の手続や武器の携帯などはどのような手続で行われていたのか、また、あわせて、本協定によってどのようになるのかについて答弁をお願いします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、例えば、我が国における自衛隊と外国部隊との共同訓練等の実施に際しましては、その都度、相手国政府との協議の上、訪問部隊の入国や軍用機の領空通過等、所要の事項につきまして、個別の活動内容を踏まえまして、両国間で外交ルートを通じた口上書の交換等を通じてあらかじめ確認するなどの方法で対処してまいりました。

 共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にするための本協定は、御指摘のような出入国や武器の取扱いを含めた条件や手続を定め、これによりまして、協力活動の実施に際しての調整を容易にし、予見可能性を高め、ひいては部隊間の相互運用性の向上を図るものでございます。

 例えば、出入国に際しまして、本協定六条の規定に基づきまして、派遣国は、協定に従って入国する者を特定する事項について事前に接受国に通報し、また、出入国に関連して接受国が定める手続に従うこと等を条件といたしまして、査証を申請する要件を免除される、手続が簡素化されることになっております。

 また、武器の取扱いにつきましては、本協定第十二条の規定に基づきまして、訪問部隊に属する者は、協力活動の実施のために武器及び弾薬を所持し、又は携帯することができると規定されておりますとともに、また、本協定十四条の規定に基づきまして、接受国が決定する手続及び要件に従うことを条件といたしまして、派遣国の責任において訪問部隊が武器、弾薬、爆発物及び危険物を輸送し、保管し、及び取り扱うことができるとなっております。

吉田(宣)委員 御説明ありがとうございます。

 協定によって手続が明確になる、円滑になるということで、協力関係が強化され、また、緊急の対応が必要な災害対応、そういったものにも非常に資するということが分かったと思います。

 次に、岸田総理は、先日、電撃的にウクライナを訪問されました。その前にインドを訪問されておられます。インドにおいてはFOIPの新プランが発表されましたこと、深く感謝と敬意を表するところでございます。インドのモディ首相とも、実に充実した会談を実施できたと承知しております。

 岸田総理はこの場にはおられませんけれども、あえてこの場をかりて、その御努力に敬意を表するものでございます。

 これまで数問にわたり日豪、日英間の両協定について質問してまいりましたが、これにとどまらず、多くの同志国との間においてこのような協定が結ばれていくことは、国際社会の平和と安定、国際秩序の維持の観点から非常に有意義なことではないかと考えるところです。

 そこで、インドを始め、安全保障に関する協定を締結する相手国についての考え方、また今後の交渉予定及び方針、これはどのようなものになるのか、林外務大臣から答弁をお願いしたいと思います。

林国務大臣 昨年十二月に定めました国家安全保障戦略では、自由で開かれたインド太平洋を実現するとともに、同志国間のネットワークを重層的に構築、拡大し、抑止力を強化する取組の一つとして安全保障に関する協定を位置づけているところでございます。

 これまでも、我が国は、情報保護協定、また物品役務相互提供協定、いわゆるACSA等の安全保障に関する協定を各国との間で締結してきておりまして、これらの協定の締結は、各国との安保協力関係を強化するものになっております。

 安全保障に関する協定に関しましては、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係、また自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、そして相手国からの要望等を総合的に勘案しつつ、締結の要否を検討しておるところでございます。

 今後の交渉の見通しについて現時点で具体的に申し上げるということは困難でございますが、政府としては、同志国等との連携の強化の観点から、安全保障分野に関する必要な協定の締結に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。

吉田(宣)委員 大臣、答弁ありがとうございます。

 次に、近年、国際社会は、安全保障上の重要ポイントとして、情報収集能力、とりわけインテリジェンス機能に重点を置いていると承知をしております。

 今回の協定国でもあるイギリスもオーストラリアも、このインテリジェンス部門に対して、いわゆるファイブアイズと言われる英語圏の国々をメインに協定を結ぶアメリカ、カナダ、ニュージーランドとの間で、平時から緊密に情報分析、共有を行っているとお聞きをしております。

 そこで、このファイブアイズ間で共有されている機密情報に日本がアクセスできることは防衛協力の観点から極めて大事であると思われますけれども、防衛省から、回答可能な範囲で結構でございますので、御所見をお聞かせいただければと思います。

田部井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、米国、英国などのいわゆるファイブアイズと呼ばれる国々に含まれておらず、御指摘のようなインテリジェンス共有に関する枠組みの存在ですとか内容についてお答えする立場にないことをまずは御理解いただきたいと思います。

 その上で申し上げますと、同盟国、同志国等との防衛協力の強化に際しまして、相互の厳格な情報保全体制の下での適切な情報交換は必要不可欠なものであり、御指摘のように極めて重要なものであるというふうに認識しておるところでございます。

 防衛省といたしましては、この認識の下、我が国の防衛に必要な情報の収集、分析の一環として、引き続き、同盟国である米国や同志国等と必要な情報交換を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 では、次に進みます。

 次に、岸田総理がインドを訪問されている頃、林外務大臣はソロモン諸島、クック諸島を精力的に訪問をされました。先ほど城内先生の御質問にもあったところでございます。林外務大臣の外交努力と外務省のこれまでの取組には心から感謝をせずにはおれないと私は思っております。

 私、公明党の外交部会長代理を仰せつかって一年半ぐらいたっておりますけれども、この間の最大の出来事は、言うまでもなく、ロシアによるウクライナ侵略であった。世界は、目下、この問題に対し解決の糸口を模索している最中ですが、その最大のポイントは、破壊されようとしている国際秩序の維持であろうと思っております。

 この点、林外務大臣の御指示の下、外務省は、この観点から、押さえるべき多くの国々に、大臣のみならず副大臣、政務官を積極的に派遣をしているというふうに承知をしております。世界平和への道のりは遠いかもしれませんが、平和の前提は国際秩序の維持にあることを考えれば、これまでもそうであったように、日本が国際秩序の維持のために主導的役割を担うべきこと、これは何のちゅうちょもなく行うべきであると私は考えております。

 そこで、林外務大臣にまず率直にお聞きいたします。今般、南太平洋の島嶼地域二か国、ここを訪問された目的についてお聞かせください。

林国務大臣 今回、ソロモン諸島とクック諸島を日本の外務大臣として初めて訪問をいたしました。太平洋島嶼国は、我が国にとって長年の友好国でありまして、また、戦略的にも極めて重要であると考えております。

 昨年、幾つかの国による太平洋諸島フォーラムからの脱退などに見られるように、同地域内の一体性が弱まったわけですが、本年二月にキリバスの同フォーラムへの復帰、またクック諸島の議長国就任によりまして、新たなスタートを切ったところでございます。

 今回の訪問では、この両国の首脳に対して、こうした地域の動きを後押しする、また、この地域の安定と繁栄に対する我が国のコミットメント、これを直接お伝えをしたところでございます。

 また、PIFの議長のブラウン・クック諸島首相、外務大臣も兼務をされておられるわけですが、本年五月のG7広島サミットのアウトリーチ会合に招待をするという旨伝達をしたところでございます。

 さらに、ALPS処理水の海洋放出に関する我が国の立場を説明するとともに、来年開催予定の第十回太平洋・島サミット及び今年開催予定の中間閣僚会合に向けて協力していくということで一致をしたところでございます。

 これを契機に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、太平洋島嶼国との連携及び協力を更に強化していきたいと考えております。

吉田(宣)委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に御努力には感謝をせざるを得ないと思っております。極めて大切な取組でございます。これからの御予定も御紹介があったところでございますので、引き続き、関係国との協力関係、信頼関係というのを醸成していっていただきたいと存じます。

 繰り返しですけれども、国際秩序が破壊されようとしていることが今の国際社会の一番の問題であると私は痛感をしています。破壊しようとしている国は、言うまでもなくロシアです。ロシアは民主主義国家ですが、残念ながら、プーチン大統領による、人による支配の国です。法の支配の価値を認識している多くの国家の共通認識であろうというふうに私は思っております。

 本来、他国の模範となって国際法を遵守し、国際秩序の維持と国際平和のために国連の中で中心となって取り組むべき国連の安全保障理事会の常任理事国でありながら、人による支配というものは、今申し上げた真逆の行為を国家にいざなう危険というものを現実に証明したものだと私は思っております。たとえ民主主義国家であっても、人による支配がいかに恐ろしいか、私は、人間の内証に対する考察はこれからも続けていかなければならないというふうに思っております。

 ところで、人による支配の反対に存在している概念が法の支配です。これは国家の統治形態の変遷を見ると少し分かりやすいのですけれども、大ざっぱに歴史をたどれば、専制君主制、立憲君主制、立憲民主制と変遷してきたと私は理解をしております。

 専制君主制という制度は、国家君主に主権があって、人による支配の典型です。立憲君主制は、主権は国家君主にありますが、憲法の支配に従う統治形態で、法の支配が取り入れられていますが、民主主義ではない。そして、近代革命を経て主権が国民に移ると、憲法が民主化し、立憲民主制が始まる。日本も現行憲法でこの立憲民主制を採用しているということでございます。

 立憲民主制は、国家権力は無制限に人権を制約してはいけないという立憲主義はもとより、民主主義による多数決の結論であっても、人権を無制限に制約することを許さない制度です。ここに、立憲民主制、現行日本国憲法ですけれども、すなわち、立憲民主主義の究極の目的が私は存在するというふうに理解をしています。人権保障、とりわけ少数者の人権擁護の点に、立憲民主制を採用した現行憲法の究極の価値があると私は存じております。

 日本は、今申し上げた法の支配に基づく立憲民主制を獲得するまで、一度は国を滅ぼすような犠牲を払った歴史的事実というものを私は重く受け止めておかなければいけないというふうに思っております。

 前回の外務委員会で、価値観外交と言われる議論が行われました。この点は、この場におられる吉良先生が、昨年の年末の質疑から始まったというふうに私は承知をしておりまして、非常に感慨深くお聞きをしておりました。

 歴史的に、多くの人間の血を流すことによって獲得された法の支配というものは、私は、簡単に身につかないものなのかもしれないな、そのようにも思っております。ただし、この価値観は絶対に間違いでないことを私は断言したいと思いますし、まさに人類の普遍的価値であろうというふうに思っております。

 今、グローバルサウスという言葉が多く聞かれます。先ほど林外務大臣から御答弁いただいたソロモン諸島、クック諸島も含まれているのではないかと思います。昨日成立した来年度予算、昨年成立している今年度の第二次補正予算と併せて、これまでにないODA予算を獲得しておられますことに、私、外務省には本当に心から感謝を申し上げたいと思っております。法の支配の価値を有する日本がODAを効果的に活用し、グローバルサウスに対し、法の支配という普遍的価値の重要性を感じていただきたいな、そのように思うところでございます。決して押しつけであってはならないとは思いますけれども、今申し上げた観点から、ODAの活用について林外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 現在、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、これが、今委員からもお話がありましたように、重大な挑戦にさらされていると考えております。

 複雑化する国際情勢と地球規模課題の深刻化の中で、気候変動や感染症、そしてウクライナ支援等の大きな課題に対して国際社会が協力して対応していく、そのために、そして何よりも、我々の擁護する国際秩序、これが世界の人々の信頼に足るものであるために、まさに国際社会として、いわゆるグローバルサウスへの関与を強化しまして、諸課題への対応を主導していく、リードしていく必要があると考えております。

 そのために、ODAの戦略的活用を一層進めまして、外交的取組の強化に努めていきたいと考えております。同時に、民間企業、またODA以外の公的資金を扱う国内機関、こうしたところとの連携を強化いたしまして、同志国を含む開発協力の様々な主体と連携をすることを通じまして、より効果的な開発協力、これを追求していきたいと考えております。

吉田(宣)委員 開発大綱も改定を目前にしているというふうに承知をしております。本当に国際平和のための有効活用というものをしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、私も、微力ながら少しでもお役に立てるよう頑張っていきたい、そのように存じます。

 最後に、中国外交について質問いたします。

 言うまでもなく、中国は民主主義の国ではありません。したがって、中国という国はこれまでも、国家の正統性を、国家として自らの正統性を、中国共産党の正統性という形で常に中国国民に示し続ける宿命にあるわけでございます。そして、今の中国は、中国共産党の正統性を習近平国家主席というフィルターを通して示していかなければならない状況というものを自らつくり上げてしまったというふうに私は思っております。

 先週金曜日の本会議において、中国外交に対する私の質問に対して岸田総理は、我が国としては、ウクライナ情勢をめぐる中国の動向についても注視しており、様々な機会を通じ、引き続き責任ある対応を強く求めていく考えですと答弁をされたところでございます。

 先ほどの城内先生からの質問にも関連するのかもしれませんけれども、今申し上げた中国の状況、習近平国家主席の人の支配を中国国民というのは常に見ている、そして、恐らく、中国共産党は習近平主席の正統性を示し切ることに多分命懸けで取り組むんだろうというふうに思っているわけでございます。

 このような状況を冷静に日本は認識しつつ、その上で、中国外交を展開するに当たって、中国に対してはウクライナ情勢に対する責任ある対応を強く求めていかなければならないと私は思っておりますけれども、まずは林外務大臣に早期の訪中を求めたいと思いますけれども、大臣の御見解をお聞かせください。

林国務大臣 二月の日中の外相電話会談、またミュンヘンにおきましての私と王毅中国共産党中央外事弁公室主任との会談を含めて、中国側にはこれまでもウクライナ情勢に関して責任ある対応を求めてきておりまして、これは引き続き働きかけてまいりたいと思っております。

 私の訪中について、秦剛部長そして王毅主任から改めて招待があったところでありまして、引き続き、様々な状況を踏まえつつ、具体的な時期を調整していきたいと考えております。

吉田(宣)委員 間もなく時間が参りますし、質問を終わらせていただきますけれども、ロシアによるウクライナ侵略、これは国際秩序の根本を破壊している行為であるという意味で、全世界が無関係ではいられないというふうに思っております。

 しかし、この暴挙を拡大させないための鍵が日本と中国の外交関係にあるのではないかと私は思っております。

 先日、公明党の山口那津男党代表は、この度、駐日中国大使、新しい大使の方ですね、呉江浩大使とおっしゃるようでございますけれども、表敬訪問をお受けしまして、日中関係の強化について意見交換をされたところでございます。

 日中関係が良好であればあるほど、私は国際秩序が維持されるというふうに思っております。林外務大臣には日中友好のために今後も御努力いただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。

黄川田委員長 徳永久志君の前に、政府参考人の皆様に申し上げます。

 答弁が聞きづらいという意見もございますので、もしよければマスクを取って答弁していただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、徳永久志君。

徳永委員 おはようございます。立憲民主党の徳永久志です。

 まず冒頭、先ほど来お話が出ておりましたが、今朝、テレビのニュースを見ておりますと、林外務大臣がこの週末にも訪中をされる方向で調整をされているという報に接しました。非常に時宜を得た訪中かなと思うんですけれども、まず、これはもう決まったということでよろしいでしょうか。

林国務大臣 先ほども吉田委員にもお答えいたしましたが、私の訪中につきまして、秦剛外交部長及び王毅外事工作委員会弁公室主任から改めて招待があったところでありまして、調整してきておりますが、現時点で何ら決まっていないということでございます。

 引き続き、様々な状況を踏まえつつ、具体的な時期を調整していきたいと考えております。

徳永委員 まだ言えないんだろうというふうに思いますが、訪中をされたら、まずは、先ほど来お話が出ておりました、日本人ビジネスマンがスパイ容疑というおどろおどろしいことで身柄を拘束されているということでもありますので、早期解放を是非訴えていただきたいとともに、昨今の東アジアの海洋での中国軍の乱暴ろうぜきぶりや、あるいは、ウクライナ戦争において各国が経済制裁をしている中で、制裁の抜け穴的な存在になっているのではないか、あるいは、もっと言うと、これはちょっと断定はできないんですけれども、中国製の弾薬をロシア軍が使っているというような報にも接するわけでありますから、その辺りをきっちりと外務大臣として訴えていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。

 それから次に、岸田総理のウクライナ訪問について私も代表質問で取り上げましたが、例の、必勝と書かれた大きなしゃもじをお土産として持っていかれたということです。

 これは、いろいろと考え方はあろうかとは思うんですが、私は、センスがちょっとないなというふうに思うんですよ。ウクライナの人たちは、別にロシアに勝とうと思って武器を取っているわけではなくて、いわれなき侵略行為に対して、自分の愛するものを守る、美しい国土を守る、主権を守る、そういった思いでやっておられるのであって、必勝というのは非常に何か違うなということを思います。

 もちろん、地元の名産品をお持ちして交渉相手の大臣にお渡しをするというのは、これはこれで一つあるんだろうというふうに思いますので、是非、林大臣、訪中をされる際は、必勝しゃもじとかそういうおどろおどろしいものではなくて、大臣の地元の山口県に、月でひろった卵というのがありますよね。私、大好きなんですけれども、これをお持ちいただいて、会談をしている途中にコーヒーブレークとかであったらそれを両大臣が頬張るというのが非常におしゃれなんじゃないかなというふうに思うんです。

 もし御発言があれば、お願いします。

林国務大臣 委員におかれましては、山口県の銘菓につきましてよく御存じをいただいておりまして、ありがとうございます。

 この月でひろったというお菓子も大変おいしいんですが、山口県にはそれ以外にもたくさんのおいしいお菓子がございまして、こういうことで少し和んだ雰囲気をつくるというのも一つのやり方かと思いますし、また、外交儀礼上はお互いにお土産をやり取りするということですので、先方がどういう対応を取られるかということも踏まえながら、しっかり、なるべくセンスがいいと言われるようなお土産を必要なら用意をしたいと思っております。

徳永委員 是非、そういったセンスのいい外交活動を期待をしております。

 次に、前回質問に立たせていただいたときにお聞きできなかった点について改めて伺います。

 前回の質問において、政府が好んで使う普遍的価値観云々というものは、あくまでも私たち日本やあるいは欧米が慣れ親しんだものであって、グローバルサウスや中間国に至ってはいろいろと捉え方が違うんだ、だから、普遍的価値観を共有する国云々と言えば言うほど、こっち側とあっち側みたいな形で分断を図ることになるのではないか、あくまでもこの普遍的価値観というのはかぎ括弧つきなのだということを申し上げました。それよりも、法の支配に基づく国際秩序をしっかり守っていこうという原理原則を前面に打ち出した、これが必要なのではないかというふうに申し上げました。

 これは私の捉え方ですけれども、一定程度、大臣とはこの考えについては共有ができたと思っているんですが、共有できましたか。お願いします。

林国務大臣 前回もたしかやり取りをさせていただいたと思っておりますが、まさに一月の国連における公開討論会でも、法の支配ということを前面に出させていただいたところでございます。

 まさに、先ほどの御質問にもあったように、人の支配ではない、法の支配というものを打ち出すということによって、より多くの国、いろいろな体制が異なっていても、一緒に、このことは大事だと。特に、私は、法の支配は、強い国よりも弱い国、大きな国よりも小さい国にとって非常に大事なことであるということも考えたわけでございますが、そうした国にしっかりとアピールできるように、この法の支配というものを訴えていければと思っております。

徳永委員 それで、私、ちょっと性格的にくどいので、もう一つ指摘をしたいと思います。

 ここのところ同じく政府が好んで使う表現、文言に、同志国というのがあります。これはちょっと気にかかるんです。外務省から頂戴する資料や国家安全保障戦略など防衛三文書を始めとして、同志国との連携とかいうのが頻繁に使われているんです。

 これを御説明いただくために、例として、今年度予算にも、同志国の安全保障能力強化を支援するための経費というのが外務省予算として計上されています。まず、これを理解するために、この予算、経費はどのようなものなのか、事務方で結構です、お願いします。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれております。このような中、力による一方的な現状変更を抑止し、特にインド太平洋地域における平和と安定を確保し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、我が国自身の防衛力の抜本的強化に加え、同志国の安全保障上の能力、抑止力を向上させることが不可欠でございます。

 こうした観点から、軍等に対する資機材供与やインフラ整備等を通じて同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化に貢献することにより、我が国との安全保障協力関係の強化、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出及び国際的な平和と安全の維持強化に寄与することを目的として、ODAとは別に、新たな無償による資金協力の枠組みを導入するものでございます。

 本件協力に要する経費として、令和五年度外務省予算に二十億円を計上しているところでございます。

徳永委員 ですから、私、今の御説明でも、例えば、我が国と安全保障協力関係にある国を同志国と呼ぶという理解なんですか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 同志国という用語について申し上げますと、一般に、同志国という言葉につきましては、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知しております。その上で、いずれの国が同志国に当たるかについては、それぞれの外交課題について、日本と目的を共にするかという観点から個別に判断してございます。

 その上で、この支援との関係で申し上げますと、先ほど申し上げた趣旨、目的に照らして意義のある国に対して支援を行っていく、そういう考えでございます。

徳永委員 ある目的を我が国と同じくする国を同志国と呼ぶということであるならば、これは政府が好んでまた使っている普遍的価値観を共有する国と同志国とは、必ずしもイコールにならないという理解でいいですか。

林国務大臣 まさに同志国という用語は、一般に、ある外交課題において目的を共にする国を指す、こういうふうに言葉としては用いられる、こう承知をしておりまして、どの国が同志国に当たるかというのは、それぞれの外交課題によって、それぞれ目的を共有できているかという観点から個別に判断をしておりますので、そういう意味では、今委員がおっしゃったように、普遍的価値、例えば民主主義とか自由といったものとは、今申し上げたような意味で異なっているということだと思います。

徳永委員 ですから、そういう普遍的価値観を共有する国、あるいは同志国というような形で、やはり何か分けてしまうのが好きなのかなという思いがするんです。

 例えば、外交課題によって同じ目的を有する国というのであれば、○○について連携する国とか、○○について共に推進する友好国とか、そういう表現じゃなくて、あえて同志国という言葉を使わなければならない意味がちょっと理解に苦しむんですが、もう一度御説明をいただきます。

林国務大臣 まさにこの用語は一般的に使われている用語ということで、目的を共にする、先ほど御説明をしたとおりでございます。

 したがって、国際社会の分断を、ここで線を引いて、こちらとこちらという意味ではないわけでございますが、今お尋ねのあった支援においては、まさに我が国との安全保障協力関係の強化、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出、そして国際的な平和と安全の維持強化といった、この支援の枠組みの目的に照らして意義のある国に対して支援を行っていきたいと考えております。

徳永委員 私も、この同志国というのは、やはりさっきの普遍的価値観と同様にかぎ括弧つきなんだろうなということは思いますので、そのことだけは申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、本題に入ります。

 オーストラリアとの円滑化協定に際して思い起こしていることがあります。

 東日本大震災のときに、オーストラリアは、輸送機をたしか三機、日本に派遣をしてくれるなど、アメリカとともに強力な支援をしていただきました。

 そのとき、オーストラリア軍が日本で活動する根拠というものが朝鮮戦争のときにできた国連軍の地位協定しかなくて、これは人道支援やあるいは災害救援を想定したものではなかったので、その配備をめぐって非常に混乱をして、手間が物すごくかかったというような記憶があります。

 そうした経緯から、今回、こうして日豪の円滑化協定が締結という運びになりまして、非常に感慨深いものがあるなと思っております。

 まずは、この協定の内容が発表された際に、日本のマスコミの中には、例えば英国とに際しては百年ぶりの日英同盟とか、あるいは準同盟といった表現が見出しにぽんと載っていたわけであります。

 そこで、この協定というのは、これは英豪両国と同盟あるいは準同盟という関係を結ぶことになるのかということについて、ちょっと確認をさせてください。

林国務大臣 まさに先ほどの同志国と一緒で、これは括弧つきでございますが、括弧つきの準同盟という言葉について、確立された定義があるということは承知をしていないわけでございます。

 その上で、我が国としては、国家防衛戦略におきましても、自由で開かれた国際秩序の維持強化のために協力するいわゆる同志国等との連携を強化することとしておりまして、本協定は、この連携強化、これを効果的に進めるための取組の一つであると申し上げておきたいと思います。

徳永委員 同盟であれ、あるいは準同盟であれ、正式な文書を交わして締約国相互の軍事支援を法的に義務づけるものであって、場合によっては武力行使があるんだと。今回の両協定は、あくまでも共同訓練や災害対応などの協力活動の枠組みを整えたものであって、有事を対象としたものではない安全保障上の協定であるというふうに理解をしているんですが、それで間違いないですか。

林国務大臣 そのように考えております。

徳永委員 それでは、大臣の提案理由の説明の中にもありました、両協定とも、一方の締約国の部隊が他方の締約国を訪問して協力活動を行う際の手続及び同部隊の地位等を定めるものとしています。つまり、自衛隊とイギリス、オーストラリア軍隊の相手国における地位協定的なものなんだろうというふうに思います。

 条文のたてつけ、構成、これは日米地位協定とかなりの部分、そっくりなわけです。ならば、正式な名称を、円滑化協定ではなくて地位協定となぜならなかったのか、これは外務省に、事務方で結構です。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定は、御指摘のとおり、日豪又は日英の一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定めることや、同部隊の法的地位を明確にすること等を通じまして、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものでございます。

 このような協定の趣旨、また、対日防衛義務を負いまして我が国に駐留する米軍の円滑な行動の確保を目的とする日米地位協定と、一時的に接受国に滞在する際の共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にすること等を目的としております本協定とは異なる枠組みであることも踏まえつつ、相手国と交渉した結果に基づきまして、相互のアクセス及び協力の円滑化に関する協定との名称を用いることになったところでございます。

徳永委員 日米地位協定がアメリカ軍のみを対象としていて、日本を防衛する義務を負うアメリカ軍が駐留をするという前提なのに対して、この二つの協定は、共同訓練や災害支援などで一時的に滞在するという、前提が異なるんだというふうに理解をさせていただきます。

 その理解の上に立って、以下ちょっとお聞きをしてまいりますので、よろしくお願いいたします。これは、日豪も日英もほぼほぼ同じ協定のたてつけになっておりますので、両方に共通するというふうに捉えてください。

 まず、両協定第五条三項におきまして、接受国は、国内の移動に制限を課し、特定の区域、空間及び施設へのアクセス並びに通過を禁止することができるとあります。この条文の趣旨、目的の御説明を、外務省、お願いします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日豪、日英部隊間協力円滑化協定の第五条は、協力活動の実施を円滑にすることを目的といたしまして、訪問部隊の接受国の港や空港へのアクセス、また、協力活動の接受国内で利用に供される施設及び区域へのアクセスなどが定められております。こうしたアクセスにつきまして許可を迅速に与える、円滑に活動を行うためにそのような規定が置かれておるところでございます。

 その上で、同時に、お尋ねの協定の第五条3の規定は、訪問部隊による施設・区域への移動又は施設・区域間の移動に当たって公共の安全に妥当な考慮を払われるよう、接受国が当該移動の経路を定めたり制限を課したりするということができることを定めているところでございます。

徳永委員 逆に言えば、外国軍隊の移動については、それぞれ必要性とかそういったものを総合的に勘案をして判断されるべきものであって、無条件に移動することは許されないのだというふうに理解をさせていただきます。そのとおりだと思います。

 それでは、同様の趣旨の規定というのは日米地位協定では定められていますか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 日豪、日英部隊間協力円滑化協定第五条3と同趣旨の規定は、日米地位協定には含まれてございません。

 我が国における部隊の移動等々の関係では、日米地位協定第五条2において、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航される船舶及び航空機並びに合衆国政府所有の車両は、合衆国軍隊が使用している施設及び区域に出入りし、これらのものの間を移動し、及びこれらのものと日本国の港又は飛行場との間を移動することができると規定しております。

 ただし、米軍は全く自由に移動を行ってよいというわけではございませんで、米軍及びその構成員等は、日米地位協定第十六条の規定に基づき、我が国の国内法令を尊重する義務を負っております。また、米軍の運用に際しましては、公共の安全に妥当な考慮を払い、安全性が最大限確保されるべきであることは言うまでもございません。

 以上でございます。

徳永委員 軍隊の移動の制限をすることができるという規定は日米地位協定にはないけれども、様々な妥当な配慮といいますか、あるいは法律を尊重するということでやっているんだというような御答弁でありました。

 でも、やはり、例えばアメリカ軍が各地で超低空飛行で訓練を行っている現実もあるわけですし、一九九九年には、確かに、低空飛行訓練で原発や民間空港の上空は避けるというような規定、あるいは病院や学校にはアメリカ側が妥当な配慮を行うというような合意が結ばれたけれども、しっかりと禁止ができるという規定が日米地位協定にはないということでもあります。そういった部分については指摘をしておきたいと思います。

 次に、両協定第六条一項です。派遣国は、接受国に入国し、及び所在する者を特定する事項を通報するとあります。この条文の趣旨、目的、説明を外務省にお願いします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日豪、日英部隊間協力円滑化協定第六条は、協力活動の実施を円滑にすることを目的といたしまして、訪問部隊の構成員及び文民構成員は、入国及び出国に関連して接受国が定める手続に従うこと等を条件にいたしまして、接受国への入国に際し、査証を申請する要件を免除されるということが規定されてございます。

 同時に、お尋ねの第六条の1につきましては、接受国として訪問部隊の構成員等の出入国を適切に管理できるよう、派遣国が、この協定に従って接受国に入国し、及び所在する者を特定する事項を事前に接受国に通報することを規定しているものでございます。

徳永委員 軍というのは、ある意味、その国の主権というものを体現化した存在だという捉え方ができますので、その軍の入国に当たっては、誰が入国してくるのかという事実を事前に知っておくというのは、ある意味、主権国家として当然のことだろうというふうに思います。

 この趣旨の同様の規定は日米地位協定にはありますか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 日米地位協定第九条の規定に基づきまして、米国は米軍関係者を日本に入れることができることとなっております。したがいまして、日豪、日英部隊間協力円滑化協定第六条1に規定するような事前の通報制度は特段定められておりません。

 しかしながら、日米地位協定の規定に基づきまして在日米軍関係者が米軍施設・区域から入国する際の入国手続に関しましては、米国当局の責任の下、入国する在日米軍関係者の書類の確認が適切に行われております。また、日本政府は、米軍の入国者及び出国者の数及び種別につき定期的に通報を受けております。

徳永委員 繰り返しますけれども、軍というのは、ある意味、その国の主権を体現した存在でありますから、誰が入国するのか、どういう階級の人なのかということはあらかじめ知っておく必要性が当然あるということです。

 ちなみに、現在、日本国内にいるアメリカの軍人の人数は正確に把握されていますか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二一年三月、米国国務省は、日本に駐留する米軍人が約五万五千人である旨発表しているものと承知しております。

徳永委員 大分前の話ですね。

 やはり、これはしっかりと協定の中に書き込まないと、主権国家としての体面というのがないのかなという思いは非常にするものでありますので、これも指摘をしておきます。

 次に行きます。

 両協定第六条七項において、接受国への入国については、全ての場合において、バイオセキュリティー及び検疫に関する接受国の関係法令を適用するとあります。これは読んでそのものずばりなんですが、念のため、この条文の趣旨、目的を御説明ください。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日豪、日英部隊間協力円滑化協定第六条は、協力活動の実施を円滑化することを目的といたしまして、訪問部隊の構成員及び文民構成員の入国及び出国に関連する手続について規定をしておるところでございます。

 お尋ねの第六条7につきましては、御指摘のとおり、訪問部隊の構成員及び文民構成員の接受国への入国について、接受国の法令に従って適切な検疫措置が取られるよう、全ての場合において検疫に関する接受国の関係法令が適用されることを想定しております。

徳永委員 要は、日本に入国されるイギリス、オーストラリアの両国の軍人さんは、日本の法令に基づいて検疫を受けるのだ、受けなければならないのだということでよろしいですよね。

 これは、同様の趣旨の規定というのは日米地位協定にありますか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 日米地位協定の枠組みにおける検疫手続につきましては、日米地位協定に基づき設置されております日米合同委員会において一九九六年に作成された合意に規定されております。具体的には、米軍関係者が日本の民間港、空港から入国する場合には日本政府による検疫が行われ、米軍関係者が直接在日米軍施設・区域から入国する場合には米側が検疫手続を行うことになっております。

 この日米合同委員会合意では、米軍関係者が直接在日米軍施設・区域から入国する場合において、検疫伝染病の患者等が発見された際の米側から日本の検疫所長への通報など、日米間の連携についても定められてございます。

徳永委員 今答弁の中でおっしゃっていただきました、一九九六年に、米国の軍人軍属などの検疫は米軍が責任を持つというふうに取り決められたということです。

 でも、その結果、どうですか。二年前には、コロナ対策として、日本側の要請を無視する形で、米国本国を出国する際のPCR検査は行われず、沖縄の米軍基地内でコロナ感染が拡大し、市中感染に至ったということがあるわけですよね。

 ですから、やはりここも、ある意味、日本の法令に基づく検疫を受けてもらうということを地位協定にしっかりと書き込んでおくべきではないのかなということは思わさせていただきます。

 領土、領海、領空といった領域ではその国が主権を行使するということで、郷に入れば郷に従えじゃありませんけれども、こういう領域主権論、属地主義が現在の国際社会の基本的な考え方というふうに理解しています。今回の日豪、日英の協定は、その意味では領域主権をかなりの部分で実現できているということで、率直に評価をさせていただくものであります。

 そして、日米地位協定で私たちがかねがねから指摘をしていた問題、例えば、先ほどの軍隊の移動の制限とか、入国した軍人の詳細について通報を受けるように決めておくべきだ、あるいは検疫なども明記しておくべきだといった部分について、この両協定ではクリアされているわけであります。イギリス、オーストラリアとはできているんだから、日米地位協定についても、その趣旨に沿って改定ができないものでしょうかということを是非お聞きしたいと思っているんです。

 円滑化協定と日米地位協定ではその前提が違うということは、これは当然分かっています、分かっていますが、領域主権に基づく対応も必要だということも、これもまた一つ原則としてあるんだろうというふうに思います。ですから、この円滑化協定締結を契機に、日米地位協定の改定に着手をしていくというおつもりは、大臣、お持ちではございませんでしょうか。

林国務大臣 今委員がおっしゃっていただきましたように、日豪と日英の部隊間の協力円滑化協定、これは派遣国の部隊が一時的に接受国に滞在する際の共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にすること等を目的とするものでございまして、これに対しまして、日米地位協定は、対日防衛義務を負って我が国に駐留する米軍の円滑な活動を確保することを目的としておりまして、おのずと両者は前提が異なる、先生がおっしゃったとおりでございます。

 その上で、日米地位協定に関しましては、政府としてこれまでも、米側と様々なやり取りを行いながら、事案に応じて、効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じまして、一つ一つの具体的な問題に対応してきているところでございます。今後も、そのような取組を積み上げてまいりたいと考えております。

徳永委員 前提が両協定と地位協定とは異なるのだというのは十分理解をしている上で質問をしております。

 これは、たとえ一時的な滞在であれ、長期にわたる駐留であれ、例えば入出国の検疫部分については、前提が違うとはいえ、やらなきゃいけないことを先方にお任せをしておいて、そして、結果、コロナが蔓延をしたという事実があるわけですから、こうした部分のところからは、改定に向けての努力を行っていくということがあっていいのではないでしょうか。

 そこらあたりは、いわゆる属地主義ということで敷衍をしていくということが大事なんだと思うんですが、もう一度、お考えをお伺いしたい。

林国務大臣 日米地位協定に関しては、先ほど申し上げたとおり、これまでも米側と様々なやり取りを行ってきたところでございます。まさに、事案に応じて、効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じまして、一つ一つの具体的な問題に対応してまいりたいと考えております。

徳永委員 具体的に、個々の事例に基づきとおっしゃいましたけれども、それはある意味、合同委員会で協議をしていくということにもなるんだろうというふうに思いますが、これは、意地悪な見方をすると、合同委員会で決めて、それで実行していくから大丈夫だとおっしゃるのならば、なぜ、日豪、日英の円滑化協定の中で、こういう検疫とかを定めずに合同委員会で対応するという方法が取れなかったのかという言い方もできるので、是非、ここはもう一度、ちょっと真剣に検討をし直していただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 あと、この関連で気になっていることがあります。

 最近のコロナ禍でなかなか頻繁には行けていないんでしょうけれども、自衛隊が米国を訪問することがあると思います。例えば、共同訓練、あるいは留学とか、装備品のテストの実施とか、あるいは連絡調整、情報収集、部隊の視察など、様々あろうかと思います。こうした、米国を訪問した自衛隊の地位等を定めている協定的なものがあるんでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような、米国訪問時の自衛隊の地位を定めた協定は存在いたしません。

徳永委員 存在をしないということであります。

 平成三十一年四月十二日の本委員会において、当時の河野外務大臣は、米国で訓練を行う自衛隊の法的地位を定める、日米地位協定と同様の協定を締結すべきという考え方は、これは十分に検討していくべき、検討に値する、そういう課題だというふうに認識しておりますというふうに当時の外務大臣はおっしゃっています。

 それ以降、外務省として検討されてきたんでしょうか。また、アメリカで訓練を行う自衛隊の法的措置を定めることについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 自衛隊が外国で活動するに当たりましては、任務を円滑かつ適切に実施をするために、その任務の具体的な内容、また受入れ国の意向など様々な点を総合的に考慮した上で、派遣される自衛隊員の法的地位を受入れ国との間で適切な形で確認するように努めておるところでございます。

 今お話のあった点については、米国における自衛隊のこれまでの活動実績、そして、防衛省がどのようなニーズを有しているか、こうした点も勘案しながら、今後の検討課題としてしっかりと受け止めてまいりたいと思っております。

徳永委員 検討課題、平成三十一年もそうおっしゃっていたわけですから、ちょっとスピード感を持ってやっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 まず、通告の順番を変えまして、先日のニュースのお話から大臣に御見解を伺いたいと思います。

 三月二十六日に、ホンジュラスが台湾との国交を断交したというニュースがありました。ホンジュラスだけじゃなくて、中南米で例えばパナマとかドミニカ共和国、エルサルバドル、ソロモン、キリバス、ニカラグア、ホンジュラスと、中国と国交を結んで、台湾と国交を断交しているという国が幾つか出ております。

 私はこれはよくないことだと思いますが、先日の記者会見でも御発言されたと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

林国務大臣 日本時間三月二十六日でございますが、ホンジュラス及び台湾は、両者の間の外交関係を終了する旨発表し、中国とホンジュラスは、外交関係樹立の共同コミュニケを発表したと承知しております。両岸関係及び地域の平和と安定の観点から、今後の影響を含めて、大きな関心を持って注視しておるところでございます。

 台湾は、日本にとって、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーでございまして、大切な友人であります。

 平素から、このような日本政府の立場に基づいて、関係国に対しても様々なレベルで我が国の考え方を伝達してきております。

 本件を含めて、引き続き、台湾をめぐる情勢について関心を持って注視してまいりたいと考えております。

源馬委員 大臣の今の御発言のとおり、台湾は日本にとっても大事なパートナーであるので、こういう事態が進んでいって台湾と断交する国がまた増えていくということも問題だと思いますし、同時に、中国が仮に、戦略的に、アメリカの裏庭という書かれ方もしていましたが、そういった地域で中国の影響力を高め、同時に、台湾に対する分断を図っていく、こういう状況は大変ゆゆしきことだと思います。

 こういう状況で、今大臣から、様々な関係国に日本の立場を伝える努力をしているし、続けていくというお話でしたが、それ以外に我が国が何かできることはないんでしょうか。本当に日本にとって大事なパートナーで、近い隣人でもある台湾、そして、中国とも日本は関係を絶つわけにいかない、こういう中で日本が独自に果たせる役割、立場、こういったものがあれば大臣の御認識をお伺いいたします。

林国務大臣 先ほどお話を申し上げたように、日本政府の立場、大切な友人であり重要なパートナーである、こうした立場に基づいて、関係国に対しても様々なレベルで我が国の考え方を伝達しておるところでございますが、さらに、日本政府として、これまでも台湾のWHO総会へのオブザーバー参加を一貫して支持するなどしてきておりまして、台湾の国際機関への参加、こうしたことについて、それぞれの国際機関に台湾が参加することの意義等に照らして、総合的に対応してまいりたいと思っております。

源馬委員 国際機関への参加も是非促していただきたいと思いますし、同時に、この外務委員会でも度々質問してきましたが、やはり、日本国内で台湾の方の扱い、こういったこともより一歩踏み込んで検討していただきたいと思います。

 次に、今回の協定について伺っていきたいと思います。

 日豪の部隊間協力円滑化協定は、二〇一四年に交渉が開始され、二〇二〇年にようやく大枠合意に至ったというふうに聞いております。その間も日豪の共同訓練は行われておりまして、訪問部隊の地位などについてはその都度個別文書で決められていたということを聞いております。

 こういった積み重ねを反映させることで条文化がもうちょっとスムーズにできたのではないかと思いますが、なぜ六年の時間がかかったのか、参考人で結構ですので御答弁をお願いします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日豪部隊間協力円滑化協定は、御指摘のとおり、二〇一四年七月の日豪首脳会談において交渉開始が決定されまして、二〇二〇年十一月の日豪首脳会談において大枠合意に至り、二〇二二年一月の日豪首脳会談において署名に至ったところでございます。

 本協定は、まさに御指摘のとおり、日豪の一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定めることや、同部隊の法的地位を明確にすること等を通じ、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものでございます。

 協定の主な事項といたしまして、出入国の手続に関する事項のみならず、税に関する事項、さらには刑事裁判権に関する事項等が含まれておりまして、御案内のとおり、権利義務、主権に関する事項も多々含まれているところでございます。

 そのような中、この種の本協定が我が国が締結する同種の協定としては初めてのものでございまして、先ほど申し上げましたような多岐にわたる項目のそれぞれにつきまして、その内容を慎重に検討しつつ、日豪間で技術的な点も含めまして協議を重ね、結果として、大枠合意までこのような期間を要したところでございます。

源馬委員 今、いろいろな検討事項があったという中で、刑事罰についての中身もあったというふうに伺いましたが、我が国は、いいか悪いかは別として、まだ死刑制度があって、英国もオーストラリアも死刑制度はもうない中で、これも論点にもありましたけれども、例えば、訪問部隊の構成員が日本で死刑に当たる罪を犯したときにどう対応するかということに割と交渉が難航したということでした。

 その経緯と結果、どういうところで落ち着いたのかを伺いたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日豪、日英部隊間協力円滑化協定は、我が国が締結する同種の協定としては初めてのものでございまして、御指摘いただきましたとおり、多岐にわたる様々な項目のそれぞれについて慎重な検討を行いつつ、日豪、日英間で協議を重ね、合意に至ったところでございます。御指摘いただきましたような刑事裁判権に関する事項についても、当然、慎重な協議、検討が行われたところでございます。

 その上で、御指摘いただきました協定の内容につきまして、日本が死刑存置国、豪州及び英国が死刑廃止国であるというそれぞれの国の法制度の違いを前提といたしまして、被疑者の逮捕、引渡しや捜査に関する相互援助を行うことが規定されております。

 具体的には、両国の裁判権が競合する場合には、派遣国部隊の公務執行中の事案又は専ら派遣国部隊のみに対する事案につきましては派遣国が第一次裁判権を有し、それ以外の事案につきましては接受国が第一次裁判権を有すること、また、被疑者の逮捕、引渡しや捜査に関して相互に援助すること等が規定されております。

 その上で、豪州国防軍又は英国軍の構成員等である被疑者に死刑が科される十分な可能性がある場合につきましては、豪側又は英側が被疑者の逮捕、引渡しや捜査の実施等についての援助義務については免除されることとしつつも、日本国内においては、日本の警察が被疑者の逮捕等の警察権を行使するに当たり、豪側又は英側はそれを妨害してはならないという旨が附属書等で規定されているところでございます。

源馬委員 ありがとうございます。

 それでは、協定以外の質問をさせていただきます。

 まず大臣に伺いますが、先日、予算委員会で大臣ともやり取りさせていただきましたミャンマーのODAで、日本の税金であるODAがミャンマーの軍系企業、MECという企業に流れているのではないかという話題を取り上げました。そのときのやり取りで、総理も、そのやり取りを聞かれていて、これはしっかり調べた方がいいということをおっしゃって、大臣も、それは調べて対応するというお話でした。

 その後、Y社、主契約企業とMECとの契約書などを確認して事実をしっかり把握したのかどうか、伺いたいと思います。

林国務大臣 今委員お尋ねの件につきましては、外務省から主契約企業に対しまして、MECとの間で締結している下請契約に係る契約の提出を求めたところ、主契約企業からは、企業情報のため契約書の提出は困難としつつも、契約内容について一定の説明を受けたところでございます。

 契約書の内容の詳細については、企業情報のため、お答えを差し控えますが、いずれにしても、事業継続のため、既存の契約に基づき支払われる対価は、基本的に橋桁製作に関連する費用に充てられる、こういう説明を受けておるところでございます。

 また、違約金でございますが、主契約企業からは、下請契約上、違約金の金額が明示されているわけではない、こういう説明を受けておりまして、違約金の金額を一概にお答えすることは困難でございますが、主契約企業が一方的に契約解除を主張する場合は、MECが被る損失等を支払う義務がある、こういうふうに理解しておるところでございます。

源馬委員 ここからは細かいことになるので参考人で結構ですけれども、結局、今の大臣の御答弁では、外務省は契約書を見ていないということだと思うんですよね。契約書を見ていないのに、何で今大臣が御答弁されたようなことが分かるんでしょうか。

 例えば、契約書に違約金が本当に発生するかどうかが書いてあるのか。額は書いていないとおっしゃっていましたが、そもそも額がないのに違約金を払えなんという条文が成り立つんでしょうか。

 外務省は、大臣も含め、総理がいらっしゃるところでも、中身をしっかり把握するというお話でした。なぜ契約書を確認しないんですか。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 違約金についても、事業者の方に、主契約企業の方にいろいろヒアリングなどをしたわけでございますけれども、そのときに、企業情報についてはお答えは差し控えますけれども、また、契約書は見せていただけませんでしたけれども、契約内容については説明を受けたということでございますので、基本的には、契約書の提出は困難だけれども契約内容については説明を受けた、違約金についても同じように、契約書には金額が明示されているわけではないけれども、違約金の金額を一概にお答えするのは困難だけれども、一方的に契約解除を主張する場合にはMECが被る損失等を支払う義務があるというような話だったと聞いております。

源馬委員 それはY社が言っていることをただうのみにしているだけじゃないですか。確認しなかったらそれが真実かどうかも分からないじゃないですか。

 当然、Y社は、ここまでやってきた事業は、Y社の意向としては続けたいのは当然だと思いますよ。でも、そこで軍系企業にお金が回っているということが問題になったら続けられないかもしれない。だから、やめたら違約金がかかります、でも契約書は見せられません、いや、かかるんです、かかるんです、額は分かりません。これでは本当かどうか一切分からないじゃないですか。だから契約書を確認してくださいと言ったんですよ。企業の情報だからというのも、全然それは納得のいく説明だと思いません。

 例えば、日本で行っている公共事業も、建設業法等の規定によって、公共工事においては、建設工事の適正な施工を確保するため、落札企業は、これでいう主契約企業ですね、施工体制台帳を作成することとされており、その台帳に添付する書類として、下請契約に係る書面を日本政府は求めているわけですね。なぜ国内にそれを求めていて、ODAはそんな野放しにしてしまっていいんでしょうか。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に企業のやり取りでございますので、当該企業からのお話を申し上げたわけですけれども、たとえODA事業であっても、各民間企業が締結している個別の契約の扱いについては、実際に工事契約を締結している契約当事者である民間企業が最終的に判断するというふうに考えております。

 本件について、日本政府から主契約企業に対しては、国軍を利することがないように対応すべきだというのは再三伝達しているところでございます。

 実際の契約企業者である主契約企業は、その点も踏まえて、事業継続のための既存の契約に基づき支払われる対価は基本的に橋桁に関連する費用に充てられるんだ、下請契約を解除すれば違約金が生じて使途自由な資金がMEC側に流れるため、既存の下請契約に基づく支払いを行うこととしたと判断しており、日本政府としても、国軍への資金流入を防ぐという観点から、その企業の判断を尊重したということでございます。

源馬委員 だから、全く分からないですよ。だって、違約金がかかるかどうかは分からないじゃないですか、確認していないんだから。

 橋桁に係るお金は、普通、企業が幾ら軍系企業とはいえ、何の利益も乗せず、人件費とかも乗せずに、原価のまま橋桁をこっちから仕入れてY社に渡すなんてことをするわけないじゃないですか。それも調べていないわけですよね。

 今、インフレで資材も高くなっていますからと説明を受けましたけれども、じゃ、契約当時は幾らの資材の値段であって、利益はこれしかMEC社に出ていなかった。でも、今はインフレになって資材がこれだけ高くなって、そして、本当に二千円ぐらいしか例えば利益が出ていない状態だ。一方で、契約書によると違約金が幾ら幾らかかるから、それだったら続けた方がいいという説明をするならまだ分かりますよ。でも、今の説明じゃ全然分からないじゃないですか。企業に聞いただけで、違約金がかかると言われています、金額は教えてもらえませんでしたと。そんなのじゃ納得できませんよ。

 そもそも、大臣、ODAで主契約企業が下請契約を開示しなくていいという仕組みになっていることは問題がありませんか。

 今回の軍系企業もそうですし、例えば、ODAは外国の企業や組織を使うことが多いわけですから、例えば、反社会的な組織が下請契約として使われるケースだってあるでしょうし、犯罪をしているような会社がそこに入ってしまう可能性だってあるわけですよ。

 だから、どういう会社とどういう契約を結んでいるか、やはり税金を使う以上は開示をさせる仕組みが大事だと思いますが、そういうふうに見直すお考えはありませんか。

林国務大臣 ODA事業の実施に当たりましては、円借款事業における調達手続の公平性の観点から、政府としては、先方の政府と主契約企業の間の契約は把握しているわけでございます。

 一方、調達手続の結果落札いたしました主契約企業が下請を使うかどうか、また、下請を使う場合、どの企業を選んでどういう契約を結ぶかどうかは、どうやって工事を進めるのが最も適切かという観点で主契約企業が決めるものであります。

 その下請契約の内容を政府を含めた第三者に開示するかは、これは契約当事者の判断でございまして、今般のバゴー橋建設計画においても、企業情報のため契約書の政府への開示は困難と判断いたしました主契約企業の対応を尊重すべきものと考えております。

 いずれにしても、我が国としても、今委員の御指摘があった論点を含めまして、制度の在り方、それから実施方法については不断に検討を重ねて、ODAの適切な実施に努めてまいりたいと考えております。

源馬委員 是非検討し直していただきたいと思います。

 今回のバゴー橋は、恐らく、これは推測ですが、政府も進めたいんだと思うんですよ。私はそれは反対ですけれども、経済特区に結ぶ橋ということで大事だし、軍事政権に対するいろいろな意味でのプレッシャーなりいろいろ手法として、きっとこのバゴー橋は政府も進めたいんだろうなと思います。それをいいことに、Y社も進めたいということで、その辺、契約書の話とかはうやむやにして、懸念はしているけれどもしようがないんですみたいな体裁を取っているように感じます。

 私は、今回の件も止めるべきだと思いますが、やはり、さっきも申し上げたとおり、税金を使う公共工事では、日本の企業には下請企業との契約も添付するように指示しているわけですから、それが外国にはできないということはないと思います。

 同時に、これから政府は、サプライチェーンの経産省のガイドラインも出て、いろいろなサプライチェーンの人権侵害がないかというのも調べていくことになると理解しているので、是非、ODAは運用方法を見直して、しっかり下請企業との契約も見られるように、そういう状況にしてもらいたいと強くお願いをしたいと思います。

 それから、秋本政務官、もういいかげんにやめたいんですが、まず、この前、守秘義務、守秘義務とおっしゃっていました。守秘義務とは何ですか。

秋本大臣政務官 契約上の守秘義務の内容につきましては、契約当事者の合理的解釈によりその範囲が決せられるべき事項だというふうに思います。

源馬委員 マスクを取って答弁したらいかがですか。

黄川田委員長 もう一度、はっきりと分かるようにお願いいたします。

秋本大臣政務官 契約上の守秘義務の内容は、契約当事者の合理的解釈によりその範囲が決せられるべき事項だというふうに認識しております。

源馬委員 これは前回の委員会でもお伝えしましたし、今回の通告でもお伝えしています。

 公設秘書のBとCが業務委託契約書を結んだ、それが守秘義務があるということでしたけれども、どこに守秘義務がかかっていましたか。

秋本大臣政務官 繰り返しになり大変恐縮でございますけれども、契約上の守秘義務の内容は、契約当事者の合理的解釈によりその範囲が決せられるべき事項だというふうに認識しておりますので、契約の第三者である私がお答えする立場にはないというふうに思っております。

源馬委員 秋本政務官の現役の公設秘書が私文書を偽造したんじゃないかという疑いがあるわけですよ。そういう状況になって、私は通告でも、ちゃんとBさんに確認をして調べてくださいと言っています。

 これはもう出回っていますが、秘密保持というところに、これは一般的な秘密保持なんですよ。本業務の遂行に当たって知り得た情報を本契約期間中又は契約満了後を問わず第三者に開示又は漏えいしてはならない、これが一般的な秘密保持なんですね。これに当たらないじゃないですか、契約をいつ結んだかというのは。この業務委託契約によって知り得た業務の内容でもないし、いつ契約を結んだんですかというのは秘密保持には全く当たらない条項だと思います。

 いつBはCと業務委託契約を結んだんですか。

秋本大臣政務官 まず、その業務委託契約というのは政策秘書と中川の間で結んでいるものですよね。私は契約の当事者ではないわけであります。前回にもお答えしましたが、私はその契約書をいまだに見ておりません。委員お尋ねでございますから、私の方からも政策秘書に尋ねましたが、守秘義務がかかっているのでお答えできないという回答を得ています。

 その上で、先ほど来申し上げているとおり、契約上の守秘義務の内容は、委員ではなく、契約当事者の合理的解釈によりその範囲が決せられるべき事項だというふうに認識しております。

源馬委員 だから、通告でも、ちゃんとBに確認をして、今政務官が御答弁されたように、その業務委託契約を結んだ日が守秘義務がかかっているというのであれば、その契約書を結んだ日自体に守秘義務がかかっている根拠を示してくださいと通告でも言っています。見るか聞くしかないじゃないですか。

 その根拠、守秘義務がありますということと、契約を結んだ日が守秘義務にかかっていますということは全く違うことなんです。通告したとおりちゃんと答えてください。いつ業務委託契約を結んだのか、そして、その日付に守秘義務がかかっているというなら、その根拠を示してください。

秋本大臣政務官 繰り返しになり大変恐縮ですけれども、守秘義務がどこにかかっているのかということについては、先ほど来申し上げているとおり、契約当事者の合理的解釈によりその範囲が決まるわけであります。委員が決めるわけではございません。これは契約の当事者であるBとCの間で決めるものでございまして、私はBに何度も尋ねましたが、守秘義務がかかっているので答えられないというふうに言っているわけでございます。

 また、委員が今も、日付いかんによっては契約がおかしいのではないか、前回の委員会でも、これは違法じゃないですかというふうに発言をしております。私は違法ではないというふうに思っておるので、答弁を修正していただきたいぐらいな気持ちでございます。

源馬委員 秋本政務官が思っていないからぐらいで答弁の修正を何でする必要があるんですか。しかも、私は答弁していませんよ。

 政務官の言いぶりがおかしいのは、守秘義務というのは当事者間の合理的な判断とか言いますけれども、そうじゃないですよ。契約書に書くわけですから、どこに守秘義務がかかっているのか。合理的に当事者間が判断して、これは守秘義務だねなんて判断すればそれにかかるという話じゃありません。それだったら裁判とかで争えないわけじゃないですか、客観的なものがない限り。合理的な合意によって、判断によって守秘義務がどこにかかるかなんというのは全くおかしいですね。当然、契約書に書いてあるわけですから。

 政務官の現在の公設秘書が違法な行為をやって、しかも、最初から二人を一セットで雇うと決めて面談して、それで業務委託契約を、第三者の私は、資料からすると、契約が終わった後に遡及して結んでいる。それ自体は違法じゃないですよ。だけれども、そのときは、契約締結日にかかわらず、○月○日より遡及的に効力を発するとか、そういうことを書かなきゃいけないんですよ。

 政務官の今の公設秘書にはそういう疑いがあるわけですから、ちゃんと調べた方がいいし、調べなきゃいけないと思いますよ。まだ公設秘書として雇っているわけですから。

 ちゃんとその契約書も見せてもらって、そこに守秘義務がかかっている、これは双方の合理的な合意なんだ、そんな話は通りませんよ。ちゃんと、いつ契約書を結んだのか、そして、それが守秘義務にかかっているというんだったら、その根拠を示してください。通告もしていますから。

秋本大臣政務官 大変申し訳ありませんけれども、私は、今、委員が微妙に質問の内容を変えたというふうに思っています。前回の委員の議事録がここにございますが、前回の議事録をそのまま読みますが、秋本事務所を辞めた後、その後に契約書を結んだと、後づけでと、これは違法じゃないですかというふうに発言しています。今は、違法ではないですと、質問を微妙に修正したというふうに思います。

 私は、前回の委員会のこの違法だという部分については是非答弁を修正していただきたい気持ちでございますけれども、改めて委員の質問にお答えしますが、業務委託契約は両当事者の意思表示の合致により成立し、契約書の作成は成立要件ではありません。諾成契約であります。C氏がB氏の業務を補完し、B氏から委託料を受託していた客観的事実は、両者に契約関係があったことの証左であるというふうに思っております。

源馬委員 何か怪しくなると逆にいろいろ質問してきたりしますが、そもそも私が言っていることは今違いましたね。

 私は、遡って契約すること自体は違法ではないと言っているんですよ。だけれども、そのときには、遡及的に効力を何月何日から発する、そう書かなきゃいけないんです。それが書いていないんだったらこれは違法ですよ。私文書偽造ですよ。私は何にも質問を変えていません。

 その上で、政務官が問題ない、問題ないと言うのだったら、なおさら、いつ業務委託契約を結んだか明らかにしたらいいじゃないですか。これまでの答弁でずっとそれが防衛線だったわけですよ、政務官にとっては。

 私は、BがCと業務委託契約していた中で仕事を頼んでいたと言い張っていて、それが実は契約書を結んでいなかったということが明らかになったわけですから、そこはしっかり開示すべきだと思います。

秋本大臣政務官 私が委員の質問を修正していただきたい気持ちだと言っているのは、前回の委員会での委員の発言でございます。

 その上で、大前提として、政策秘書がその業務のサポートを受けるために、これは弁護士でありますから、自費で第三者に業務委託するということについては違法性はないというふうに思っています。

 その上で、委員が契約書を事後に結んではいないのかということにつきましては、政策秘書に確認いたしましたが、二〇二二年の五月か六月頃に中川からの求めに応じて書面化したものというふうに聞いております。

源馬委員 そう聞いていたのなら何で最初からそれを言わないんですか。それだったら、また次、これは今日でやめたかったですけれども、またやりますよ。そんな、私が持っている資料とは違うことを言うんだったら。また引き続きやりたいと思います。大臣もこの前おっしゃっていたとおり、ちゃんと説明責任を果たしてください。

 それから、最後にLGBTQ法整備について大臣の御見解をお伺いしたいんですが、先日、アメリカのエマニュエル大使始め、G7諸国大使及びEU駐日大使から書簡を政府が受けたという報道がありました。政府は、否定してというか、何も答えていませんが、何も答えないということは、多分受けたんだろうなと思います。

 今、間もなくサミットが始まるG7の中で、唯一、このLGBTQへの差別を禁じる法律がないという現状を、外交をつかさどる外務大臣としてどのようにお考えになっているか。G7を目前に控えて私は恥ずかしいと思いますが、恥ずかしいと思いませんか。

林国務大臣 各国の取組と我が国の現状につきましては、各国を取り巻く事情はそれぞれであることから、これらを一概に比較することは困難でございますが、日本以外のG7諸国は、何らかの形の性的指向、性自認に基づく差別を禁止する法令及び同性婚法又はパートナーシップ制度を有しているというふうに承知しております。

 政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて、引き続き、様々な国民の声を受け止めて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

源馬委員 今度、四月二十二日、二十三日に東京レインボープライド二〇二三というのが行われて、いろいろ、各国からの方たちもこれに参加するというようなことも聞いています。そのときに、分かりませんが、例えば、また、各国政府の関係者がレインボープライドに参加して、そのときに日本政府からは誰も参加しないみたいなことになったら、より孤立感が出ると思いますので、大臣も一緒に参加されたらいかがですか。どうですか。

林国務大臣 今お話のありました東京レインボープライドは、市民団体によりまして二〇一二年から開催されておられる行事と承知しておりますが、市民団体主催の行事に対する政府としての関与の在り方につきましては、日程など、個別具体的な事情も考慮した上で検討する必要があると考えております。

源馬委員 ありがとうございました。終わります。

黄川田委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 日豪、日英部隊間協力円滑化協定について、これまでも各委員が質問されていますけれども、重複しない範囲で改めて質問させていただきます。

 今回、こういった円滑化協定を締結するのは初めてのケースでもございますし、日本国民の皆様が不安ですとか新たな負担が生じないのかとか、そういったことを確認する意味でも、幾つか質問をさせていただきます。

 まずは、そもそも、日本とアメリカに関しましては、同盟関係にあり、自衛隊と米軍が我が国の国内で共同訓練を行っていることについてはよく知っていますけれども、アメリカ以外の国との間で、我が国の国内でどういった国の軍隊と共同訓練を重ねているのかというのは、案外、日本の皆様は知らないと思います。

 先般も、私の茨城県の百里基地でもインドと自衛隊の共同訓練があるということで、もちろん、事前にちゃんとお知らせがあったんですけれども、やはり市民の皆様からしますと、インドと一緒にやるんだとか、結構そういった心配の声なんかも上がっているのも事実でございます。

 そこで、直近の範囲で、我が国の国内において自衛隊と米軍以外の外国の軍隊との間でどの程度共同訓練が実施されてきているのか、実施された場所ですとか、どういった相手国があるのか、また回数などについてお伺いいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 本年度に日本国内で行った米軍以外の外国軍隊との共同訓練の実績につきましては、英国との訓練を一回、豪州との訓練を三回、インドとの訓練を四回及びドイツとの訓練を一回実施しております。

 具体的には、英軍とは昨年十一月に陸軍種間の共同訓練ヴィジラント・アイルズ22を実施したほか、豪軍とは、本年一月から三月にかけて空軍種間の共同訓練コープノース23を実施したほか、本年三月に日米豪共同訓練を実施しました。また、インド軍とは本年二月に陸軍種間の共同訓練ダルマ・ガーディアン22などを実施したほか、ドイツ軍とは昨年九月に空軍種間の共同訓練を行っております。

青山(大)委員 そういった訓練というのは、ここ数年、だんだん年々増加してきているのでしょうか。その辺の変遷についても併せてお伺いいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊は、これまで、戦技、戦術技量の向上や米軍を含む外国軍隊との連携の強化を目的として、共同訓練を多数実施しております。

 今年度に日本国内で行った共同訓練の公表実績について申し上げますと、計八回の共同訓練を実施しております。これは、昨年度の計二回を大幅に上回っております。

 防衛省・自衛隊としては、引き続き、各種共同訓練を着実に積み重ねまして、自衛隊の戦技、戦術技量の向上と各国との連携の向上を図っていく考えであります。

青山(大)委員 そうしますと、公表されていないそういった他国との共同訓練というのも、やはり実際、幾つかはあるのでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 公表していないものもございます。

青山(大)委員 そうやって他国の軍隊との共同の訓練が増える中で、日本国民の皆様の日常の生活へどういった影響が出てくるのかというところが心配の一つですけれども、そもそも、これまで、他国の軍隊との共同訓練、日本で行われた訓練で、事件とか事故、それも、軍隊、自衛隊以外の一般の日本人に対して危害が加えられたとか、そういった事件とか事故が発生したことというのはどのぐらいあるのか、その辺について、件数があれば件数、また概要についてお伺いいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきまして、米軍以外の外国軍隊の一般国民との間の事件、事故について網羅的に把握しているわけではございません。

 その上で、最近の例を申し上げますと、二〇一九年の日豪共同訓練、こちらでは約百五十名、二〇二二年の日英共同訓練では約八十名の軍隊の構成員が我が国を訪問したところです。ただ、防衛省がこれまで把握している限りにおきまして、その際、事件、事故は発生しておりません。

青山(大)委員 分かりました。現時点では、そういった日本国民を巻き込むような事件や事故は発生していないというような認識でよろしいですね。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

青山(大)委員 ありがとうございます。

 また、今回、先ほどもほかの委員からも質問があったように、これまでは、それぞれ訓練ごとにいろいろな必要な手続等が取られて、大変な手続だったと。そういう中で、こういった、今回、円滑化協定をすることで、そういったやり取りが必要なくなるということなんですけれども、逆に、これまでは、派遣の都度、相手国との間で取決めをしたことによって、そのときの訓練の内容やその他の事情を考慮することが可能であったとも思いますし、逆に、これまでの手続の方法は、派遣について柔軟な対応ができる仕組みであったとも言えるのではないでしょうか。両協定の締結によって原則が決まることで、逆に、訓練の目的や内容など、派遣時における事情を踏まえた柔軟な対応が難しくなるようなおそれはあるのでしょうか。また、あると思われますが、政府はどのように考えておりますか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、個別の具体的手続につきましてですけれども、一般に、防衛省におきましては、自衛隊と米軍以外の外国軍隊が日本国内で訓練を実施するに当たっては、具体的な手続としては、相手方との間で、軍隊の構成員の民事、刑事の取扱い、検疫、税関などに関する各種措置を定める文書を必要に応じて作成しております。

 これまでの例で申し上げますと、我が国において、豪空軍との共同訓練、二〇一九年に行っておりますが、あと、英陸軍との共同訓練、二〇二二年などを実施するに当たって、相手方の国防当局との間で同様の文書を作成しまして、それに基づき、必要な手続を実施しております。

 そうしまして、実際、柔軟な対応ができなくなるのではないかという点につきましては、まず、円滑化協定により、一定の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続が定められます。また、同部隊の法的地位が明確化されることになります。したがって、部隊間の協力活動の実施が円滑化されることが期待されます。

 その上で、個別具体的な協力活動につきましては、両締約国が相互に決定することになりますので、全ての活動が円滑化協定の適用を受けるわけではありません。したがって、円滑化協定を適用せずに、個別の内容に応じて必要な手続を行った上で共同訓練等の活動を行うことは、必ずしも排除されておりません。

 いずれにしましても、円滑化協定発効後、自衛隊と豪軍、英軍が円滑に協力して活動できるよう、両国間で緊密に連携しながら、防衛交流、防衛協力を進めてまいりたいと思います。

青山(大)委員 あと、オーストラリア、英国ですけれども、円滑化協定を締結し、手続を簡素化するということは、やはり、今後、共同訓練の頻度、回数に影響を与えると考えられますけれども、そういった訓練は今後増えていくというような認識でよろしいんでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 円滑化協定の締結によりまして、例えば、訪問部隊の入国に際して査証の申請が不要になる、あるいは、派遣国が発給する運転免許証による公用車両の運転等が認められることになります。また、武器の輸送等の滞在中の活動に関連する事項や、訪問部隊の構成員等が関係した事件、事故発生時の対応等が事前に明確になる。そうしたことによりまして、多様な装備品等を活用したものなど、より高度で複雑な内容の共同訓練等の実施の際も含め、協力活動の実施に当たっての予見可能性を高めることができると期待しております。

 防衛省としましては、円滑化協定の締結によりまして、これまで以上に頻繁に多くの部隊要員を伴う協力活動の実施が可能になることも踏まえ、豪軍及び英軍との共同訓練等の機会を拡大してまいりたいと思っております。

青山(大)委員 次の質問に行きますけれども、もちろん海上とかでしたらあれですけれども、やはり国内でやるときは、しっかりと自治体の方ですとか、そこにはちゃんと事前に同意を得るように、そこはしっかりやってほしいなと。あとは、そういった自治体への、ある意味、多少は不安感も出ますし、そういった支援といいますか、対策も併せて今後は更に充実の方をお願いいたします。これは要望だけにしておきます。

 今回はオーストラリアと英国なんですけれども、現在、オーストラリアや英国と同様にACSA、防衛装備品・技術移転協定及び情報保護協定が締結されている国ということではフランスとかインドがあるんですけれども、じゃ、今後、そういったフランスやインドなんかともこういった円滑化協定を結ぶような流れになっていくのでしょうか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 豪州及び英国以外の国との交渉については現時点で何ら決まっておらず、同種の協定の交渉を行っている国はございません。

 なお、フランスとの間では、部隊間の共同運用、演習のための手続を改善するための恒常的な枠組みを構築する可能性について、また、フィリピンとの間では、両国の共同訓練等を強化、円滑にするための更なる枠組みを含む方途について、それぞれ検討を進めているところでございますが、今後、同種の協定を締結するための交渉を行うか否かを予断するところではございません。

青山(大)委員 分かりました。

 あと、先ほど徳永委員の方からもあったんですけれども、米国との間の、もちろん米国は同盟国なのでちょっとまた全く別のケースなんですけれども、自衛隊が米国に部隊を派遣して米国国内において米軍との共同訓練を行う際に関しての自衛隊の取決めなんですけれども、これはやはり毎回毎回、米国に部隊を派遣して訓練を行う際、その都度都度、今も地位とか手続を決めているような状態なのでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊が米国において訓練を実施する場合には、米国との間で必要な調整を事前に行うとともに、米国の法令事項を含む派遣前の教育を行うなどして、訓練を円滑に遂行できるよう、万全の措置を講じております。

青山(大)委員 これも徳永委員の質問とかぶってしまうのであれですけれども、やはりこれは是非、今回の日豪、日英円滑化協定のように、アメリカに関しましても、一時的に米国を訪問する自衛隊の部隊やその構成員等の地位や派遣の際の手続をしっかりこれも条約で締結できないかということで、先ほどもいろいろ検討しているという答弁もあったので、そこは本当に今後しっかり答弁してほしいなと重ねて伝えさせていただきます。

 そういう中で、具体的にちょっと条文に入っていきますけれども、これは第二条のところで、この協定は、両締約国間における互恵的な防衛協力を実施するための枠組みとあって、この互恵的というのはなかなかふだん使わない言葉でございまして、原文を見ますと、ベネフィシャル・ディフェンス・コオペレーションとあるんですけれども、ここで言う互恵的な防衛協力とはどんな意味で考えているのか、まずお伺いいたします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定の第二条は、本協定の目的について規定しております。

 互恵的な防衛協力と申しますと、具体的には、まさに、日豪又は日英の部隊がそれぞれ相互に訪問して実施する共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動を意味しているところでございます。

 まさに、共同訓練は相互の技量の向上にも資しますし、また、現下の安全保障環境の下での抑止力や対処力にも資すると思います。また、災害救助の際の協力というのは、双方の災害救助の際にお互い助け合うというところで、まさに互恵的な活動だと認識しております。

青山(大)委員 これも先ほども徳永委員からあったんですけれども、これはいわゆる同盟とか準同盟というのには当たらないということをあえて政府は考えているということでよろしいんですか。

船越政府参考人 日豪、日英につきましては、相互に防衛義務があるという意味におきまして、通常使われておる同盟関係ということでは、通常、当てはまらないと思います。

 また、先ほど御答弁申し上げましたとおり、準同盟という言葉については確立された定義がないと承知しておりますけれども、昨今、日豪、日英双方の防衛協力、このRAAの締結、さらには共同訓練の増加、またACSAや情報保護協定を含めて、格段に、安全保障、防衛協力の深化というのは進んでいるところでございます。

青山(大)委員 是非、ちょっとその辺のところはやはり丁寧に外部に説明してもらいたいなというふうに思います。そこをしっかり外部に伝えてもらわないと、何かちょっと別の意味で独り歩きしてしまうのかなと思うので、そこは指摘させていただきます。

 あと、条文の二十条なんですけれども、これも、「両締約国は、環境、文化遺産並びに人の健康及び安全の保護に適合する方法によりこの協定を実施する。」というふうに書かれてあるんですけれども、まず、この設けた背景とか趣旨についてお伺いいたします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定の第二十条は、両締約国は、環境、文化遺産並びに人の健康及び安全の保護に適合する方法によりこの協定を実施すること等を定めております。

 この規定は、まさに、協力活動が周辺地域の自然環境及び文化遺産等や近隣住民に影響を及ぼし得る可能性ということも踏まえまして、接受国におけるこのような影響を最小限にして、万が一必要な場合に対処のための措置が取られるようという観点から置かれたものでございます。

 例えば、我が国で協力活動を行う豪国防軍又は英軍が、そのようなことはあってはなりませんが、仮に環境等に対する損害が生じた場合等におきましても、本協定の第二十条3の規定に基づきまして、我が国の法令を考慮し、合同委員会を通じて協議の後、適切な措置を我が国と協力して速やかに取る、そのような観点から設けられた規定でございます。

青山(大)委員 こういうのは、今まで、我が国における外国軍隊の地位を定めた国際約束である日米地位協定や国連軍地位協定の本文にはなかったものでございますので、せっかく明記されたので、ここはしっかり遵守してほしいなというふうに思います。

 また、次の第二十一条なんですけれども、第二十一条に規定する刑事裁判権についてですけれども、接受国において罪を犯した訪問部隊の構成員又は文民構成員の刑事裁判権について、第二十一条4の(a)の(2)は、ここに、公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪については、派遣国の当局に裁判権を行使する第一次の権利があるとされていますけれども、この犯罪が公務執行中の作為又は不作為から生じたものか、公務執行中か否かにおいて争いがある場合はどのように決定をされるのか、その判断基準についてお伺いいたします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定の第二十一条4(a)(2)に言う公務執行中につきまして、訪問部隊の構成員又は文民構成員として、法令や規則、上官の命令又は軍の慣習によって要求され又は権限づけられる全ての任務又は役務を執行中であることを意味しております。

 こうした考え方におきましては、日豪、日英間でそれぞれ一致しているところでございまして、個別の事案ごとに緊密に協議の上、決定を行います。

 御質問いただきました、仮に双方の認識が早期に一致しない場合でございますけれども、それは、本協定に定めております合同委員会におきまして協議をして適切に対応していくことにつきまして、日豪及び日英両政府間で一致しているところでございます。

青山(大)委員 分かりました。

 次に、今度、第二十三条の民事請求権の関連ですけれども、通常、両協定に基づく訪問部隊は、基本的には一時的に接受国に訪問しており、その滞在は短期間であることが想定をされるわけですけれども、このため、事案が国内で発生した場合を例にすると、請求権が生じる事案が発生してから日を置かずにオーストラリアや英国の訪問部隊がそれぞれの国に帰ってしまった場合、その結果、損害を受けた一般の日本国民は十分な補償を得られないようなケースが生ずるおそれがあると考えますが、事案が我が国で発生した場合、迅速な解決が必要になると思われますが、被害を受けた日本国民を政府として支援していくことはできるでしょうか。お伺いいたします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定第二十三条7におきまして、訪問部隊の構成員又は文民構成員の公務執行中以外の作為又は不作為から生じた請求権につきまして、関係当事者間で解決に至らない場合を想定しまして、まさに両締約国間で協議するということが規定されているところでございます。

 これは、公務執行中以外の作為又は不作為から生じた請求権であっても、まさにこのように関係当事者間で速やかに解決に至らないような場合に、被害者を救済して政府として支援していくという観点から、両政府、両締約国間の間で協議するとの趣旨でこういう規定を設けたものでございまして、こうした場合における当該国民の求償について、政府として、適切な対応がなされるよう努めていくということでございます。

青山(大)委員 以上でオーストラリア、英国との円滑化協定に関する質問はもう終わりにいたしますけれども、本当に、今回、こういった円滑化協定、初めての締結ということで幾つか細かく質問をさせてもらいましたけれども、答弁を聞く中でも、今後こういった共同訓練が国内でも増えていくことが想定されるという中で、やはり国民の皆様に過度な不安ですとか、又は事件とか事故があっては本当にいけませんので、その辺はきっちり更に御配慮をお願い申し上げ、この円滑化協定に関する質問は終わりにさせていただきます。

 次の質問に行きます。

 これは前回の当委員会でも質問をさせてもらったその続きなんですけれども、高速道路に関する訪日外国人旅行者向けの周遊定額パスについて伺います。

 まず、この周遊定額パスは、新型コロナの感染拡大に伴い、ここ数年は申込みを停止していたんですけれども、今、徐々に、状況緩和に伴って昨年の秋から再開が進んでいるんですけれども、改めて再開の状況について伺います。

清水大臣政務官 お答えいたします。

 周遊パスにつきましては、レンタカーを利用する外国人を対象として、高速道路会社が販売をしているものであります。

 委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、令和二年四月から新規の販売を停止しておりましたが、令和四年十一月以降、北海道エリア、東北エリア、中部、北陸エリアの三地域で順次再開をしております。このほか、中国、四国エリアと九州エリアの二地域につきましても、四月上旬に再開を予定していると高速道路会社より聞いているところであります。

青山(大)委員 前回とかぶってしまうんですけれども、やはり、これは交通事故分析総合センターの資料によれば、二〇一四年から一八年において、レンタカー利用者で第一当事者となる事故リスクを比較しますと、日本人は二・五に対し訪日外国人は一三・八と、五倍以上の事故リスクがあるわけでございます。

 前回は警察の方にも来てもらって、改めて事故の件数を確認したんですけれども、やはり、訪日外国人旅行者向け周遊定額パスが発売されてから非常に外国人による高速道路の事故が急増している、コロナ禍になってこの周遊パスが販売停止になった途端、当然、もちろん、外国人はなかなか日本に来られなかったので事故はほぼなくなったんですけれども、昨年の秋に再開したと同時に、また訪日外国人によるレンタカーの事故が急増しているという状況が明らかに数字に出ているわけでございますし、今、本当に円安の状況でもございますし、こういった外国人向けの割引サービスをしなくても、訪日の外国人の方は増えてくると思うんですよね。

 そういう中で、まさに四月からまた残りの二区間もこの周遊パスの販売を再開するというふうに答弁がありましたけれども、連休中、我々日本人が国内を旅する中で、わざわざそこに外国人を、事故のリスクが高い方たちを引き寄せるこのパスを販売して増やす必要があるのか、私は甚だ疑問でございます。

 こうした外国籍者によるレンタカー事故の件数を考えると、果たして高速道路を安く乗れる周遊定額パスの販売を促進することが妥当なのか、疑問に思います。

 周遊定額パスが高速道路を利用させ、各地での経済効果を目的とするのであれば、まずは日本人のための高速道路料金を見直すべきだと思います。まずは日本人の高速道路料金を見直して、国内の需要を掘り起こすべきが、私は優先順位が高いと思います。

 レンタカー事故発生の高いリスクを日本人に知らずのうちに引き受けさせて、訪日外国人向けの高速道路利用の需要を掘り起こすのは無責任ではないでしょうか。そもそも、高速道路の建設等に係る債務の返済を理由に、いつまでも高速道路料金が高いことが問題ではないでしょうか。

 外国人向け周遊定額パスによって、訪日外国人から正規料金を取ればよいところを、正規の料金を取らずに、さらに、事故の被害者になり得る日本人が増えるリスクはあり、さらには高速道路の建設等に係る債務の返済をより遅らせてしまうような、こういった訪日外国人旅行者向け周遊定額パスについて、私は再度見直す検討をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

清水大臣政務官 お答えをいたします。

 国土交通省としましては、訪日外国人向け周遊パスの利用によりまして、訪日外国人が国内の対象エリア内を周遊する観光を促進することから、国内各地に広く経済効果が生まれるものと認識をしているところであります。周遊パスの活用を通じて、観光振興や地域活性化が図られるということを期待をしているところであります。

 なお、指摘がございました、外国人の方々によります高速道路の事故についてでありますが、その安全対策といたしまして、高速道路会社におきまして、高速道路のナンバリングや標識の多言語表示など外国人にも分かりやすい道路案内、逆走や誤進入に関する警告標識の多言語表示など外国人にも分かりやすい安全啓発などの対策を進めているところでありまして、今後とも、警察と連携しながら安全を図っていくものと認識をしているところであります。

 以上です。

青山(大)委員 これは答弁は参考人の方でもいいんですけれども、それでまた標識を外国人向けにお金をかけて作るとか安全対策をするのであれば、私はわざわざ促進することはないと思っていますし、むしろ、例えばバスですとか地域のなかなか維持困難な鉄道とかそういったものを維持するために、そういった公共交通機関に訪日外国人が利用しやすいような、レンタカーじゃなくて既存の公共交通機関、なかなか、地方では乗客が少なくて維持困難な路線がたくさんございます、そういった鉄道とかバスとか、むしろそっちの方に、訪日外国人向けの周遊パスの割引、そういうのをむしろ促進するように政策を変えるべきではないでしょうか。

清水大臣政務官 ただいま委員より御指摘がありました、訪日外国人によります鉄道やバスなどの公共交通機関の利用を促進するために、フリーパスをつくるといった取組も有効であるというふうに考えております。

 全国の鉄道事業者やバス事業者等によりまして、訪日外国人旅行者向けの企画乗車券が発売をされているところでありまして、国土交通省も、その造成に支援を現在行っているところであります。

 今後も、訪日外国人旅行者も使いやすい公共交通機関となるよう、必要な支援をしてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 是非取り組んでください。

 以上で質問を終わりにします。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 通告に基づいて質問をしていくわけですが、その前に一言申し述べたいと思うんです。

 中国に、中華人民共和国に大臣が行かれそうだ、行くような空気があります。それで申し上げておきたいんですが、しっかりとした、毅然とした態度で臨んでいただきたい。

 それは何かといいましたら、まず、スパイ容疑で日本人が拘束をされています。ひょっとしたら、大臣が行くことによって解放されるかも分からない。これは、言葉は悪いですが、取引かも分からない。我々に対して、そういうポーズを今取っているのかも分からない。

 あるいは、間もなく、台湾の前の総統であった馬英九氏が中国を訪ねます。中華人民共和国政府のアレンジでいろいろなところを見て回るということだそうです。非常に日本の歴史を歪曲した、事実に基づいていないものをアピールするための施設をふんだんに回るそうです。そういうのはなぜか、この時点でなぜそういうことをするのか。それは、日台間あるいは日米台の関係にくさびを打ちたかったり、あるいは、そういったことに対するいろいろな彼らなりの物の発想があるのではないか、そう私は思います。

 そういったことも頭の片隅に置きながら、毅然とした態度で、我々が主張すべきことはきっちり主張するということは曲げてほしくない、こういうふうに申し上げて、質問に入りたいと思います。

 今回の協定なんですけれども、この説明の文書を見ておりましたら、同協定の目的は日英、日豪の防衛協力を円滑にすることであって、そのために関係省と共同請議の上に国会提出の決定を見た、こういうことなんですね。この関係省というのが、法務省、外務省、財務省、国交省、こうなっている。ところが、総務省が入っていないわけです。

 私、前回も、総務省が管轄をする電波が関係する、ドローンであったり、あるいは無人の機器であったり、そういったことに関して非常に危惧をしておりまして、その点からお伺いしようと思うんですけれども、まず、そもそも、円滑にこれからお互い協力をしていく、部隊運用をしたり訓練をしたりするためには、総務省が入っていないと私は駄目だと思うんですが、なぜ今回入っていないのでありましょうか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 日豪、日英円滑化協定実施法案は、それぞれの協定の実施を担保するための規定を設けるものであり、具体的には、道路運送法及び道路運送車両法の適用除外、刑事手続等の特例、国の賠償責任の特例等について規定を整備するものです。

 これらの規定に関係する法務省、財務省及び国土交通省並びに協定を主管する外務省と共同請議の上、国会に提出しているものであり、総務省は関係する規定がないことから、共同請議省庁とはなっていません。

和田(有)委員 関係する規定が総務省にない、こういうことなんですね。

 そうなると、外国の軍隊、はっきり言って英軍もオーストラリアも軍隊ですよね、軍隊がやってきて演習をしたりいろいろなことをするときに、日本とは規格の違うドローンであったりカウンタードローンの兵器であったり、あるいは無人のそういう機器であったり、そういうものを持ってきたときに、電波を使うわけですよね。これに関してはどう対応するつもりでおられるんでしょうか。

柘植副大臣 お答えいたします。

 外国軍隊が我が国での訓練、演習を行う際に電波を使用する場合には、電波法に基づき、総務大臣が無線局免許を与えることとなります。

 その際、我が国で通常使われているものと異なる仕様の無線設備を使用する場合には、当該無線設備の仕様や訓練地域、使用条件等を考慮し、電波法に基づき、周波数の使用が可能かの確認をいたしております。

和田(有)委員 ということは、これは電波法に基づいてやっていくということになるわけですよね。しかし、規格が全く違っていたり、最新の兵器を使ったりする中で、日本の電波法で果たしてそれは対応可能な状況にあるのかどうかというのは、防衛省としてはどうなんでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省・自衛隊におきましては、防衛省の方の装備に関しましては、例えば無線機やレーダー等電波を発する装備品、これを新たに導入する際に、総務省に対して周波数の申請を行い、総務大臣の承認を得ているところでございます。ですので、平素行われる訓練であれば、そのように承認を得ている周波数を使用することで対応が可能であれば、改めて承認を得る必要はない。

 他方、委員御指摘の他国との共同訓練におきまして、他国軍と情報共有を行うための周波数、こういったものが必要となる場合がございますが、そういった際には、共同訓練の開始前に必要な周波数を確保するようにいたしております。これを承認を得て実施しているということで、これまで、共同訓練の実施に支障が生じたということはございません。

黄川田委員長 政府参考人の皆様にもう一度お伝えしますが、ちょっと言葉がはっきりしない部分がマスクがあって出てくる場合がありますので、もしよかったら外して答弁いただければと思います。

和田(有)委員 承認をもらってという話だったんですね。これは前回もお聞きした話にはなってくる、かぶってくるんですけれども、果たして本当に性能をきっちり発揮できるような形で承認というものは得られているのか。

 前回お聞きしたときに、自衛隊が使用する無線関係に関しては、自衛隊法百十二条の規定に基づいて、防衛省から申請を受けて総務大臣が周波数の使用をするということを認めていくという手続を取っている、こういう話なんですけれども、これが本当にフルスペックで、ちゃんと無理なく使える状況にあるんだろうかということをもう一回確認させてもらいたいんです。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、防衛省で使います装備の電波、周波数につきましては総務大臣の承認を得ているところでございますが、例えば、今委員御指摘のドローン、無人機の利用におきまして、民間の利用される場合の周波数、こういったものがある程度決められておるところでございますが、他方、自衛隊におきましては、民間で使用されている無人機に割り当てられている周波数帯に、そこに限られることなく、任務や活動の目的に応じて、無人機、我が方が使います装備の能力を適切に発揮できるような必要な周波数、これを確保させていただいているところでございますので、現在のところ、使用する周波数、これが原因で無人機の性能を十分に発揮できないような、そういった制約を課しているといったことはございません。

和田(有)委員 無人機あるいはそういったもので支障が出ていることはない、こう言うんですけれども、しかし、じゃ、これは緊急のときに、災害時に出動したときに、そのときそのときに申請というものをしてやっているんでしょうか。それとも、これは今は一般的に、ずっと日常的にそうやって申請をして取っているからできるというふうに考えているんですか。どうなんでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のように、装備品、日常から承認を得ているものについては、新たに承認を取ることなく使用が可能でございます。

 さらに、緊急時、例えば災害派遣のような場合におきましては、通常使用する以外の周波数を使うような場合につきましては、総務省から迅速に承認を得られるような体制というのをこれまで取っておったところでございますが、現在は、もう既に、災害派遣で使われるような装備、例えば状況の把握に使うようなドローンにつきましては、あらかじめ情報の共有をいたしまして承認を得ているということでございますので、災害派遣におきましても、そういった緊急事態におきましても、自衛隊の迅速な運用に、この周波数の承認制度が元になって運用が支障を受けるといったことはございません。

和田(有)委員 これは、緊急時にはタイムラグがあってはならないんですよね。

 私が聞いた話では、南伊豆の土砂災害のときに、何かわざわざ総務省の許可を取らなきゃいけなかった、九十分ぐらいかかった、これでも早かった方だ、こういう話なんですね。そんなことでは、これは話にならないわけですよね。

 ちょっと、この南伊豆のときの状況というのをもう一回お聞きできますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の災害につきましては、令和三年七月、静岡県熱海市伊豆山地区で起きました土砂災害、これに対して自衛隊も災害派遣をいたしました。この件かと思います。

 個別にまさに申請して承認を得て使いましたけれども、実態を申し上げますと、元々、自衛隊のドローンも、災害派遣に最初から承認なく使えるものもございます。他方で、当時の天候ですとかそういった状況に応じて、これまで使っていないドローン、こういったものも使いたい、そういう申請が上がってまいりましたので、深夜でございましたけれども、速やかに承認を得て、実際の部隊が準備して運用を開始するまでには承認を得ておるというところでございます。

 そして、こういったことも踏まえまして、先ほど申し上げましたように、こういった災害派遣に活用する可能性がある装備につきましては、もう既に事前に承認を得ているということでございますので、今後、個別に承認を得ることなく運用が可能になっておるところでございます。

和田(有)委員 ということは、もう一回聞きますけれども、今、御答弁で、使っていないものを使いたいという声が出てきて承認を取ったということなんですね。そう言われましたよね。それは、そのときの経験があって、今後、そうではなくて、絶えずもう使えるようになっているというふうに考えていいんですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、あらかじめ、自衛隊が災害派遣に活用するであろうドローンにつきまして、事前に周波数等の情報を共有する、こういった形で承認を得ておりますので、今後、一つ一つの災害派遣におきまして承認を得るといったことはございません。

和田(有)委員 今、災害時の話で、そういう出動の話で聞きましたけれども、じゃ、これは本来の防衛省・自衛隊の本業である国防という観点に立ったとき、いわゆる防衛のためのそういう機材に関してはどうですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに自衛隊の本来任務であります防衛出動等の事態に対応する場合でございますけれども、これにつきましては、まさに武力攻撃事態が発生いたしました際には、特定公共施設等利用法というのがございまして、これに基づいて定められます電波の利用指針におきまして自衛隊による電波の優先利用が可能となっておりますので、そういった電波の利用に支障があるということはないと考えてございます。

和田(有)委員 これも、この間、有事のときには特定公共施設利用法で自衛隊が優先されるということにはなっているわけですけれども、じゃ、事態法の関係になったりするんですけれども、これはグレーゾーンというものがまずその前に生まれるわけですよね、事態が認定される前に。そのときには、どうしてもやらなきゃいけない作業というのは出てくると思うんです。そういうときは電波の関係はどう対応されることになっているんですか、まず。

柘植副大臣 お答えいたします。

 自衛隊の活動に必要な周波数については、自衛隊法第百十二条の規定により、防衛省が自衛隊の装備品の性能を適切に発揮するために必要な周波数の申請を行い、総務大臣が承認をいたしております。

 周波数の承認に当たっては、例えば周波数の利用可能な地域を非常時には拡大可能とするなど、あらかじめ非常時に想定される運用方法を考慮に入れた形で承認をすることとなり、事態認定前であっても迅速に周波数の利用を可能とするよう、運用を図っております。

和田(有)委員 事態対処法に基づいて事態認定後、有事において自衛隊が必要とする周波数帯の出力や周波数は使えるようにしている、こういうことでいいんですね。だから、優先的にそれは自衛隊は使えるようにすると。

 ただ、これはタイムラグは生まれないんですか。必要としたときに時間がかかってそれを承認していくとか、そういうことは大丈夫なんですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、緊急時において必要となる電波の確保は、あらかじめ承認を得ているものは速やかに使えますし、電波の利用指針におきまして優先利用が決まれば優先的に使える。やはり、こういった承認を得るためには、日頃から緊密に連携するということが重要かと思います。

 このために、先般閣議決定された国家防衛戦略におきましても、「自衛隊が安定的かつ柔軟な電波利用を確保できるよう、関係省庁と緊密に連携する。」と決定されたところでございますので、現在、総務省とも、様々な安全保障の環境の変化に応じた電波の利用、あるいは民生部門におきます電波の利用の拡大、こういったものを様々意見交換、情報共有をいたしまして、迅速な承認を得られるように努めておるところでございます。

和田(有)委員 迅速な承認という表現がありましたけれども、本当にタイムラグがあってはいかぬのですよ。例えばドローンが入ってきて、それをカウンタードローン兵器で対処しようとか、そういうことを考えたときに、タイムラグは絶対にあってはいけないわけで、そのときに、緊密な連携を取って、連絡を取り合っていますとか、それでは間に合わないわけですよね。

 私が何遍もこれを聞いているのは、本当に、事前に承認するという言葉が、元々オープンに使えるようにしているということなのか、やはり何段階か手続が必要になるのかということを私は聞きたいんですね。手続が必要になるのなら、例えば、お答えになったように、緊密に連携を取って手続を取っていきますという言い方になるのかも分からないけれども、そうではなく、やはりオープンにして、とにかく自衛隊に関しては、防衛省の使うドローンに関しては、電波はもうフルオープンですよというふうにできているのかということを聞きたいんですが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 お答えを申し上げます。

 重ねて繰り返しになりますけれども、まさに平素行われる自衛隊の活動、訓練等の活動であれば、既に承認をいただいている電波を使用することで対応が可能であれば、一つ一つ承認を得る必要はない。

 緊急時におきましても、先ほど申し上げました災害派遣の例のように、あらかじめ想定される装備、これに関しての周波数について共有して、事前に承認を得ているところでございます。

 さらに、有事になりましたら、武力攻撃事態法に基づきます電波の利用指針に基づいて優先に利用される。これも、日頃から緊密に情報共有をしておくことによって、自衛隊が運用するまでには全て承認を得られているという形で整えておりますので、極めて迅速な承認が得られる仕組みになっておるかと思っております。

和田(有)委員 本当に迅速に承認を取る、やはり承認を取らなきゃいけないんですかね。

 そういう中で、いろいろとお聞きしていますと、いろいろなところでやはり日本はこういうものでうまくできていないんじゃないかという声を聞いてしまうわけです。その中で、もうちょっとここら辺を聞きたいんですけれども、研究開発とかそういうことをやるときに、防衛省のいろいろなドローンの、いろいろな周波数を新たに使ったりしていく、それは、今日議題となっているあれにも関わるんですけれども、演習にも関わる話なんですけれども、そういうときにかなり制限を受けていて、研究開発が遅れているという言葉を聞くこともあるんです。

 そういうことの延長線上で、共同訓練をやるときにやはり制限を受けて、向こうが持ってきた武器がフルスペックで使えない、結局は力を、能力を落として使うことになるのではないかと危惧する方がいるんですが、そこに関してはいかがでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、通常自衛隊が使用する周波数以外の電波を利用する場合もございます。例えば、かなり大規模な、日本全域で訓練を行うような統合演習ですとか、あるいは、まさに今議題になりましたような米軍を始め各国軍との共同訓練、こういった場合には、日頃使わない周波数を使う、あるいは日頃使わない地域で電波を使う、こういったことがございますので、そういった際には、訓練ですので、計画段階から、どういった装備を使うか、どういった周波数を使うか、こういったものは、計画できるものはそういった早期の段階で情報共有をして、速やかな承認を得るように努めているところでございますし、仮に、そういった訓練が急にといいますか、かなり短いリードタイムで計画して行う場合も、総務省との間で事前に、こういった装備を使うことがあるということで早めの調整をすることによって、訓練までに実際には使えている。

 あと、委員御指摘がありました研究開発、これも、基本的には計画的に行ってまいりますものですから、そういった年間の計画の中で事前に総務省と調整を行って、実際の実施においては支障のないように行っておるところでございます。

和田(有)委員 ちょっと質問取りのときの順番とも入れ替えながらやっているのであれですけれども、申し訳ないんですが、もう一点、やはりもう一回聞いておきたいことがあります。

 自衛隊は、電波法の適用除外であるということには取りあえずなっている。ただ、現実には、ほかの民間の電波と混信してはいけないという理由で、極めてその範囲が自主的に狭められているというか、法律では確かに優先的だというけれども、どうも、電波法の定めた周波数帯で考えると、他の民間との電波はとにかく混信してはいけない、迷惑をかけないでくれみたいなことで縛られている部分が多いのではないか、こう言う人もいるんですが、そこら辺についていかがお考えになりますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに今ウクライナの事例でも見られますように、世界の戦闘様相の変化というのは、電磁波、電波、こういったものが非常にたくさん活用される無人機ですとかドローン、あるいは衛星通信など、様々使われるようになっております。そういったことも踏まえまして、まさに国家防衛戦略にありますように、そういった電波の拡大に対応して、関係省庁との連携を強化するというふうにしておるところでございます。

 私ども、今まで、自衛隊が訓練を行う、あるいは共同訓練を行う際に必要な電波というのは十分確保できていると考えておりますが、今後、更に電波利用が拡大されることが十分考えられますので、今、関係省庁との連携を強化して、更なる電波利用、活用を、自衛隊が十分に能力を発揮できるような電波利用の拡大に努めてまいりたいと考えております。

和田(有)委員 質問取りで話をしていた最後の質問に行く前に、今の話について、総務省としてはいかがですかね。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊の活動に当たりまして、電波の安定的な利用を確保することは不可欠であると強く認識をしているところでございます。

 一方、総務省としましては、電波は国民生活の様々な場面で利用されているということも、これも事実でございますので、自衛隊の周波数利用と一般の周波数利用の両立を図ることから、両者の間で混信を生じないよう、つまり、相互に通信が確保されるよう、しっかりと周波数の承認、無線局免許の手続によりまして、総務省において調整をさせていただいているところでございます。

 加えまして、先ほど防衛省から答弁がございましたけれども、今後、自衛隊の活動ということに伴いまして周波数の利用の拡大が十分想定されるところでございますので、今後の自衛隊法に基づく承認におきましても、防衛省からの申請に基づいて適切に承認ができますよう、日頃から連携を深めて周波数の調整を図ってまいりたいと考えております。

和田(有)委員 加えましてというところからの御答弁がありましたけれども、しっかりと総務省は、防衛省が今置かれている世界の中での新しい戦術であったり戦争であったり姿の中で、何をしなければならないかという大局観に立って電波については当たっていただきたいと改めてここで申し上げて、最後の質問に行きます。

 こうやって考えていきますと、総務省における電波法への対応というのは、やはりまだ無理があると私は思うんです。そんな中で、この協定を結んで、英国と豪州と連携をして訓練をしたりしていくということがあるわけですが、しっかりと連携を取っていくために、外務大臣としては何が必要か、お伺いいたします。

林国務大臣 豪州及び英国の部隊が我が国国内において運用する無線につきましては、電波法に規定された手続に従って電波利用を行うこととなっていると承知しております。

 この日豪、日英部隊間の協力円滑化協定は、共同訓練そして災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものでございまして、この趣旨に鑑みて、今御議論いただいた電波の利用を含めて、両国との部隊間の協力活動が円滑に進むように、関係省庁としっかり連携して対応してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 加えて、防衛省としては、この点についていかがですか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 共同訓練等を行う豪州、英国、先ほど来申し上げましたとおり、現行の電波法等の規定に基づき電波利用について行うこととなっておりまして、この両国間との連携、訓練に際しては支障がないというふうに受け止めております。

 いずれにしましても、今外務大臣からもお答えがありましたが、防衛省・自衛隊としても、各省庁と連携しながらしっかりと対応してまいりたいと思います。

和田(有)委員 くれぐれも、連携が滞らないようにしっかりとやっていただくように申し上げて、終わります。

黄川田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

黄川田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 今回の協定について御質問させていただきます。

 日豪部隊間協力円滑化協定ということで、日豪、日英ということで、内容については事前にいろいろ外務省の方からもお話を伺いまして、これからウクライナ情勢も踏まえた我が国の防衛協力、防衛体制を拡充していく中で、安保三文書の改定で防衛の具体的な中身に関してはこれから拡充が行われていく、予算も担保したということですが、それ以上に重要なのは、外交によって、戦争が起きない、あるいは安全保障上我が国が脅かされないような状況をつくっていくということだと思いますので、こういった協定は極めて重要なものであるというふうに考えております。

 内容に関しても、二〇一七年から交渉されているということですので、非常に細かな協議が行われてきているというふうに承知しております。

 一方で、昨今のウクライナ危機を受けての緊迫化する社会経済環境、国際状況を踏まえたものでは少なくともない。二〇一七年から協議してきたものですから。そういったことでいいますと、より強力な協定を更につくっていくこと、あるいは、日豪、日英以外にも、ほかの国ともこういった更に協力が円滑化できるような協定を結んでいくことも必要だというふうに考えますけれども、その点について外務大臣のお考え、そしてまた、もし進めていくべきと思われる場合はその具体策についてお伺いいたします。

林国務大臣 昨年の十二月に定めた国家安全保障戦略において、同志国間のネットワークを重層的に構築、拡大して抑止力を強化する取組の一つとして、この部隊間協力円滑化協定を位置づけておるところでございます。

 この部隊間協力円滑化協定に関しては、各国との安全保障、防衛協力、こうしたことを進める中で、相手国との二国間関係、そして自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、また相手国からの要望等を総合的に勘案しつつ、妥結の要否を検討してきております。

 政府としては、同志国等との連携の強化の観点から、安全保障に関する協定の締結を含む様々な取組を進めていく考えでございます。

青柳(仁)委員 そういうことで、しっかりとこれからも様々な国との交渉を進めていただければと思いますが、昨今の国際環境を見ますと、経済安全保障というのが進んできております。こういった中で、各国の経済、特に中国やロシアといったところからサプライチェーン上重要な物資、あるいは生産に関わるような様々なサプライチェーンというものを切り離していくというような動きが、日本のみならず、アメリカ、ヨーロッパ等で動いているというふうに承知しております。

 こういった中で、アジアというのは非常に大きなプレーヤーであって、そのアジアをこれからどういった形で経済的なつながり、外交的なつながりをつくっていくかというのは、これまでみたいに日米同盟だけに頼ってそれだけでやっていくことは不可能だということは御承知のとおりだと思いますが、そういった中において、日本がリーダーシップを取って、次のアジアの外交の形、国際環境の在り方というものを提案していく姿勢というのは非常に重要だと思っております。

 そのことについて、二十四日の本会議で私の方から岸田総理に質疑をさせていただいたところ、御答弁いただいたのは、FOIPの拡大を目指していきたい、こういうお話がありました。

 このFOIPの拡大というのはいいんですけれども、具体的にどうやってやるのかというところが重要かな。次の一歩、次の一手ということについてどうお考えか、お聞かせいただければと思います。

林国務大臣 安倍元総理が提唱されました自由で開かれたインド太平洋、FOIP、これは日本外交の柱でありまして、これまで国際社会から幅広い支持を集めてきておるところでございます。

 今般、岸田総理は、インドにおきまして、FOIPのための新しいプランを発表いたしました。これは、歴史的転換期におけるFOIPの考え方や取組について示したものでございます。

 具体的には、新型コロナやロシアによるウクライナ侵略、こうしたことによって顕在化した新しい課題にも取り組むべく、FOIP協力の新たな四つの柱を示したところでございます。

 まず第一に、平和を守るという最も根源的な課題への対処の在り方として、法の支配を重視するということ。そして第二に、気候変動、食料安全保障、国際保健、サイバーセキュリティー等、幅広い分野をFOIPの中に取り込んで、インド太平洋流の現実的かつ実践的な協力を推進すること。そして第三に、多層的な連結性の強化によりまして、皆が裨益する形での経済成長を目指すこと。そして第四に、海だけではなくて空も含めた安全の取組を強化すること。こうした我が国の新プランの下で、FOIPの実現に向けた取組を拡充してまいりたいと考えております。

 また、米国、豪州、インド、ASEAN諸国、そして太平洋島嶼国、韓国、カナダ、欧州、こういった多くの国々との連携も強化してまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 アジアにおける新しい関係性の在り方を日本が提示していくことが重要だと思いますので、その点、重ねて指摘をさせていただきたいと思います。

 あわせて、今、ウクライナ情勢を受けて、ロシアの侵略行為ということに対して度重なる非難を国際社会から、また日本政府からも行っているところだと思います。

 その中で、こういった行為が行われてしまう大きな原因をつくっているのは国連安保理の機能不全である、この点について本会議でも指摘をさせていただきました。

 安保理改革は、これまで日本も取り組んではきているものの、余り成果が得られていない状況にある。また、今回のように、五大国の一つが国際法違反、本来国連が想定していないような動きをした場合には、なかなかそれを止めることができない仕組みになっているところが問題だろうということを指摘した上で、ちょうどウクライナのゼレンスキー大統領と会談を行ってきたばかりということでしたので、そのゼレンスキー大統領が更に求めている国連改革についてどう考えるかということを総理にお伺いしたところ、少し踏み込んだ答弁をいただきました。

 それは何かといいますと、今年から我が国は国連安保理非常任理事国として、各国との緊密な意思疎通と丁寧な対話を通じて、安保理が本来の役割を果たすように努力していきたい。これは当然のことなんですが。その後に、積み重ねられてきた議論を踏まえて、今後は、議論のための議論ではなく、改革実現に向けた行動を開始すべきであるというふうに考えている。そして、具体的には、文言ベースでの交渉をすべき時期を迎えているのではないかというような認識を示されました。これは非常に重要なことで、また時宜を得たことだというふうに考えております。

 ただし、文言を含む交渉を行うというのは、現場の外交官だけに任せていてもなかなか進んでいかない部分はあると思うんです。やはり、外務大臣のようなトップからのコミットメントあるいは後押しというものが現場には、これを進めるには必要だと思うんですけれども、その点について林大臣の御見解をお伺いします。

林国務大臣 安保理は、ロシアのウクライナ侵略や、さらには北朝鮮の核・ミサイル活動に対して有効に対応できていない現状にあるわけでございまして、試練のときにあると言っていいと思います。

 我が国は、安保理の非常任理事国として、各国との緊密な意思疎通と丁寧な対話を通じまして、安保理が本来の役割を果たすように協力してまいりたいと考えております。

 そして、今委員からございましたように、安保理改革の必要性、これは明らかであります。改革実現のためには、まさに、今お触れになっていただいたように、議論のための議論ではなくて、具体的行動として文言ベース交渉を開始すべきとの考えでございまして、私も、昨年の国連総会の際に、G4、日、独、印、ブラジルでございますが、このG4の外相会合におきまして、そのための連携を再確認したところでございます。

 また、今年の一月に私が主催いたしました法の支配に関する安保理の閣僚級の公開討論、ここにおきましても、私から改革の必要性を呼びかけまして、複数の国からも改革が必要であるという声が上がったところでございます。

 もとより、委員も御案内のように、各国の利害が複雑に絡み合う安保理改革は決して簡単な問題ではないと思っておりますが、引き続き、こうした強い決意を持って、G4、そして米、英、仏、そしてアフリカを含む多くの国々と連携しながら、安保理改革に粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 安保理改革は、今御指摘がありましたとおり、簡単に進むものではないというふうに思っておりますので、外務大臣の御決意が非常に重要でありますし、事務的に進んでいくようなものでも当然ありませんので、是非そういった様々な場での引き続きの発信をお願いできればというふうに思っております。

 そういった中で、安保理が機能しない中で、とはいえ国連としても一定の役割を果たしていこうということで、今国連がやっていることは、安保理自体の決議はできないけれども、総会で強制力のない決議を行って、なるべくロシアの行動を制限したり変えていこうとしていったり、あるいは事務総長の声明を出してみたりと、様々な努力をしております。

 その中で、国連の様々な機関がどう動くかということも、一定、国際世論をつくっていく、あるいはこういった国連の行動を変えていく上で非常に重要なことであります。

 そういった中において、国連機関をどういうふうに日本政府として動かすか、あるいはそこにどういう人材を送り込むかということがこういった国際社会の国際秩序をつくっていく上で重要なわけでありますが、今年度の初めに開発協力大綱の改定というものが予定されております。この中で、我が党からこれから提言書等も作っていきたいと思いますが、提案をさせていただきたい点が何点かございます。

 そのうちの一つが、国際機関拠出の戦略的な活用というものがあります。

 これは、各国は、国連の機関、国際機関においてできるだけ幹部ポストを自分の国で押さえたい、当然のことながらそれは権限ということですから、そういった思惑があります。ですから、資金を拠出するのであれば、その見返りではありませんけれども、そういった形でポストも一緒に取っていくというようなことを戦略的に行っているところがあります。

 一方で、日本の今の国際機関拠出というのは、ほとんど、当初予算での拠出は前年度ベースでほぼ変わりがないような形、為替だけを勘案して出していて、また、補正予算に関しては、その時々の補正のテーマに応じて非常に波のある形で大きなお金を一度にどさっと入れるという形になっています。

 このやり方は、実は余り当たり前のやり方ではありません。各国を見てみると、かなり特殊なやり方をしております。

 これだけ大きな予算を一度に入れるのであれば、それは細かく分けて、戦略的に活用されるように、それだけの予算を出すから、ポストをしっかり交渉するとか、あるいは別の行動変容を促すとか、そういったことに資金は使えますし、また、日本の顔の見える援助、外交ということを考えましても、そういったきめ細かな使い方、拠出の仕方というのをすべきだと思います。

 昨年の補正予算でもグローバルファンドだとか保健セクターに物すごく大きなお金がどさっと入っていたわけですけれども、ああいうやり方というのは、余り効率的でもなければ、我が国の国益につながるものでもないというふうに現場を知る者の一人として感じております。

 そういった中において、今後、国際機関拠出の在り方というのは、今までのように継続をしていくのではなくて、もう少しきめ細かいやり方ができるように。例えば、国際協力機構、JICAが担っている国際機関拠出の一部の予算があります。小さな予算ですが、そういうものですと、相手と交渉しながら、何にどう使うのか、誰がどう使うのか、かなりきっちりモニタリングをしながら使っていったりというようなことができたりもします。

 それは今のところ小さな予算なんですけれども、そういったどこの体制を使っていくかというのは様々な手があると思うんですが、そういった観点から、国際社会から見てもかなり大きな資金を国連を含む国際機関に拠出しているのが日本ですから、これを戦略的に活用していくことを方針として盛り込むべきではないかというふうに考えておりますが、外務大臣の御意見をお伺いできればと思います。

林国務大臣 国際機関は、独自の専門性、中立性、また幅広いネットワークを有しておりまして、我が国の開発協力を進める上で重要なパートナーであります。我が国は、二国間援助や国際機関経由の支援の特徴を生かしまして、双方を組み合わせることによって効果的にODAを実施してきているところでございます。

 国際機関への拠出に当たりましては、厳しい財政状況の中で、外交政策を推進していく上での必要性に加えまして、国際機関評価の結果を最大限考慮しながら、個別具体的に検討しておるところでございます。

 この評価というのは、各対象の拠出金について四つ評価基準を設けまして、その中には、先ほどお触れになられました日本人職員、ポストの状況等、また、拠出先の組織、行財政マネジメントなるもの等々が含まれておりまして、評価結果は外務省のホームページで公表しておるところでございますが、この結果を最大限考慮して個別具体的に検討してきているところでございます。

 今委員からお話のあった開発協力大綱の改定、これに際しましても、国際機関との連携強化、また、今お話のあった国際機関への効果的な拠出の在り方、こうしたものも含めて、幅広く関係者の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 是非、評価をしっかりやっていただくということと、また、その結果を拠出にしっかり反映させていくということを、今大臣がおっしゃったような形で開発協力大綱にも明記していくと、その後の現場が非常に動きやすくなるのではないかというふうに考えております。

 また、ポストとか仕事だけではなくて、例えば、今、日本には国連の本部がある機関というのは一つしかありませんで、国連大学なわけですね。青山にあるわけですけれども、ああいう国連機関の本部が日本にある、そういうところはやはり上手に使っていく必要があるだろうというふうに思いますので、そういったことも含めて、是非戦略的な検討をお願いできればと思います。

 もう一つですけれども、開発協力大綱の中で、これは非常に大きな議論が今までもあった話ですが、日本の開発協力は要請主義を取っております。これは、相手国から要請されたものについて提供するということで、一見、押しつけをしないとか、内政干渉をしないとか、そういうことで、他国から批判されにくいやり方であり、また、一定相手を尊重したようなやり方をしているというふうに言えなくもないんですが、ただ、弊害もあります。

 弊害の前に、実態を申し上げると、要請主義とはいうんですが、実態は、口上書を入手できれば要請があったことになるわけです。口上書というのは、相手国の中で所管する省庁から、窓口になる省庁ですね、財務省だとか、インドネシアだとBAPPENASだとか、そういったところから現地の日本の在外公館に送られてくれば、これは要請があったということになるわけです。

 そうすると、このプロセスだと、例えば、ある相手国の大臣が、自分がただやりたい政策とか、あるいは自分の親族に物すごいメリットがあるような、そういう道路を造ってほしいとか、こういうのもかなりの割合で口上書の中で挙げられてきているのが実態だというふうに、以前現場で働いていた者として感じております。ですから、これは本当の意味で相手国の要請を聞いていることになるんだろうかという問題点がまずあると思います。

 もう一つは、相手国の口上書がない限り、この国にこういうことが必要だと日本が思ったり、あるいは、もっと大事なことは、先ほど来からの議論の中で、FOIPを拡大しようといったときに、同盟国、同志国に法と秩序を守っていただくような同じ価値観を持ってもらうために、あるいはサプライチェーンを日本とつないでいただくために日本としてこういう協力がしたいといったときに、そういった口上書が出てこない、そういった要請が出てこなければ協力ができないということなんですね。それは今後の開発協力を考えるときには大きな弊害になってくるだろうというふうに思います。これまでも実は弊害はあったんですが。

 この要請主義は、一見当たり前のように見えるんですが、実は採用している国は多くありません。ほとんどの国は、自分たちで、口上書がなくても、それと同じようなレターだったりとか合意文書ぐらいはあっても、それがないと協力できないことになっている国はほとんどありません。また、国際機関に関してはそもそもそういうものも必要なく、プロジェクトドキュメントと言われる、こういうことを国際機関としてやりたいんだ、そういう紙を書くことでプロジェクトの実施を行っているという状況です。

 そういった中で、これからの、FOIP含め、各国での安全保障環境、同盟国、同志国との連帯強化ということを行う中では、要請主義をそろそろ見直すべきではないかと思っております。

 この要請主義はこれまでもODA大綱にずっと書かれてきた内容ですので、見直すとすれば、開発協力大綱の中で明確に見直す、あるいはそういうことを書かないということが必要になってくるわけですけれども、そういった形で、開発協力大綱改定に当たってそういった内容を含むということについてどのように思われますでしょうか。

林国務大臣 我が国の開発協力は、開発途上国の経済社会開発を目的に、被援助国などからの要請に基づいて実施してきております。

 開発協力大綱の改定をめぐる議論において、こうした基本原則を維持しつつも、日本の強みを生かして相手国のニーズを引き出す協力メニュー、こういうものを積極的に提示していくべきだ、そういう意見も出されているところでございます。こうした御意見も踏まえまして、今般改定する開発協力大綱の中で新たに、オファー型協力、これを打ち出す考えでございます。

 我が国の開発協力は、開発途上国との対話と協働によって相手国に合ったものを共につくり上げていくという姿勢を重視しておりまして、要請主義に基づきながらも、オファー型協力を推進することで、我が国の開発協力の能動性、戦略性を高めてまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 言葉は何でも構わないと思いますので、オファー型協力という形でも、是非、おっしゃったような戦略性、能動性を高めるような方向性を開発協力大綱の中に盛り込んでいくことが非常に重要だというふうに考えております。

 それから、三つ目に、今、新しい資本主義の中でも一ページ目の最初に出てくるんですけれども、サステーナビリティーということが国際社会の中で盛んに言われております。これはビジネスセクターでも気候変動などの文脈で言われていますが、開発協力でも、SDGsが生まれたときに、これまでみたいに、官から官へという、ODAという考え方で幾らそれを効率的にしても、なかなか世界の貧困問題あるいは気候変動といった大きな問題を解くことは難しい。こういう中で、地球の、世界の持続可能性というものを官民挙げて行っていくということで、サステーナビリティー、こういう概念が大きく取り上げられるようになりました。

 まず、このサステーナビリティー、主にはSDGsが生まれた前後ぐらいから大きく言われるようになりまして、昨今は、ビジネスセクターで、日本の重立った企業でサステーナビリティーという言葉を知らない人はいないというぐらいの状況になっておりますが、まずは、こういったサステーナビリティーということについて林大臣がどういうふうに考えておられるか、教えていただけますでしょうか。

林国務大臣 気候変動や環境、そして国際保健を始めとする地球規模課題、これは、経済成長や貧困、格差等の社会問題にも波及して深刻な影響を及ぼすようになってきております。そうした新興国、途上国を含む国際社会が連携して、持続可能な世界の実現に向けて取り組んでいくことが必要であるというふうに思っております。

 こうした取組において、気候変動の問題といった経済、社会、環境の分野の課題、これを障害物と捉えずに、成長のエンジンということに転換して、持続可能な成長を実現していく、この新しい資本主義の考え方は重要であります。

 まさに、サステーナビリティーというのは、短期的に市場経済を追求していくとどうしても置いてきぼりになりそうな環境問題、またパンデミックもそうかもしれませんが、そういったものを視点を長期に捉えることによって市場に内製化していくというか、そういうことを考えながら、長い目で見て持続可能である、こういうことを実現していこうというのが新しい資本主義の考え方であろうかと考えております。

 官民が連携して、誰一人取り残さない持続可能な経済社会システムをつくり上げて、持続可能な世界の実現に向けた国際社会の取組を主導してまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 まさに、今、林大臣がおっしゃったような内容がサステーナビリティーの本質だと思うんですけれども、そういった内容でこれからの開発協力大綱を、やはり、開発協力大綱、ODA大綱というのは、かつては、進んだ先進国が遅れた後進国に教えてあげて発展させてあげるみたいな、そういう発想でずっと来ていますので、今おっしゃったような新しい資本主義もそうですが、今のまさに国際潮流の中にあるサステーナビリティーということを主軸に据えた開発協力大綱というものを作っていくべきだと思いますが、そういったことについて是非開発協力大綱に反映させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 まさに、現行の開発協力大綱におきましては、開発協力と民間投資の連携によりまして開発途上国の課題解決に貢献して、持続可能な質の高い成長を実現することの重要性について言及されておるところでございます。

 新しい資本主義は、官民が連携して持続可能な経済社会をつくり上げて、社会課題の解決を成長のエンジンとしていくものでありまして、日本の開発協力の方向性と軌を一にするものであろうというふうに思っております。

 日本と国際社会の持続可能な発展のためにはODAの更なる戦略的な活用が不可欠でありまして、そうした考え方の下で、今回の開発協力大綱の改定におきましても、社会起業家の支援やESG投資の促進、こういった官民連携の強化を含めて、今委員からも貴重な御意見を賜りましたけれども、幅広い関係者の意見を聞きながら作業を進めていきたいと思っております。

青柳(仁)委員 是非、大臣がおっしゃったような方向性で考えていただけるといいのではないかと思います。また、サステーナビリティーという言葉そのものを含んでいるかどうかということも非常に重要だと思いますので、こういった言葉も是非開発協力大綱の中に入れていっていただけるといいのではないか。

 そう申し上げる背景としては、そもそも、SDGs、二〇一五年の段階で、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズということで、サステーナブルというのはサステーナビリティーのことですので、そういった方向に国際社会の開発協力も既にかじを切っているというのがあります。

 一方で、SDGsが終わるのが二〇三〇年。そうすると、二〇三〇年以降、また新しい世界のゴールというものが必要になってきます。そのときには、ロシアや中国も併せた形で本当にみんなで一つのゴールを目指せるのかというそもそもの問題もありますが、それプラス、さらに、その時点で残っている課題をどう解決していくかということは、今までのサステーナビリティーというのは以前よりも一歩進んだかもしれませんが、更にもう一歩進んだ発想で、新しいパラダイムといいますか構想というのが必要になってくるというふうに思います。そういった観点で、最低でもサステーナビリティーぐらいまでは現時点で含んでおかないと、次の議論になかなかついていけないのではないかというふうに思っております。

 その意味で、ただ、次に何が生まれてくるかというのは分からないわけですが、そういった中で、SDGsが誕生する直前に、日本政府は、次の世界の共通の目標を生み出すために、ポストMDGsフォローアップ会合というのを二〇一二年頃に行っておりまして、それを軸に様々な、次の世界のゴールをこうすべきだということを日本なりに発信していた時期があります。残念ながら、二〇一三年のリオ・プラス20あたりで一気に流れを持っていかれてしまったわけなんですが、それ以前までは割と様々な国の支持を得られていたというふうに認識しております。

 こうした、自ら、日本政府として、日本として次の世界のゴールというものを提示していこう、こういう動きはこれから二〇三〇年を迎える前にも重要だと考えますが、過去のこういった取組についてどう評価されるか、また、今後そういったことを行っていく御意向があるか、林大臣にお伺いします。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、我が国は、いかなる開発課題の解決をミレニアム開発目標の後の国際社会全体の目標にするかについての国際的な議論や交渉に積極的に貢献し、リードしてきたわけでございます。取組を今御紹介していただいたとおりでございます。

 まさに今年がSDGs達成に向けた中間年ということでありますので、地球規模課題が複雑化、深刻化する中で、我が国を含む国際社会全体が二〇三〇年までの目標達成に向けて取組をまず加速化させる、これが重要だと考えておるところでございまして、こうした国際社会の取組を我が国としても引き続き主導していきたいと思っております。

 その上で、より長期の国際社会の取組に関する議論は、まさに委員が今お話をしていただいたように、もう始まっていると考えております。

 この流れの中で、来年九月に国連未来サミットというのが予定されておりまして、こういうことを視野に入れて、こういうところにどう流れをつくっていくかというような考え方を持って、引き続き、各国と協調しながら、こうした議論に積極的に参加してまいりたいと思っております。

青柳(仁)委員 是非、非常に重要なことだと思いますので、そういった形で新しい世界のゴールを、日本が構想を打ち出していくということもリードしていっていただければと思っております。

 最後に、ちょっと関係のない質問になりますけれども、先日、私は、衆議院の派遣で、日本の代表団の一員として、インターパーラメンタリーユニオンというものに参加してバーレーンに行ってまいりました。そこで、国連に関する委員会というのがありまして、そこの理事に就任させていただきました。

 そこでいろいろな話合いを各国としたんですけれども、例えば、ミャンマーの軍事政権ではない民主政権側の方々とだったりとか、あるいは、成立しなかったんですけれども、ロシアの代表団との議論だとか、あるいはウクライナ代表団との議論、イスラエル等、非常に機微な国々の代表団と割と率直な意見交換ができる場だったなというふうに感じております。

 また、会議そのものも、日本の政府の代表というのは行政府である外務省なんですけれども、議会の代表ということで行かせていただいているので、一応日本の代表ということで、いろいろなお話をできる機会だなというふうに大変感じました。

 今後もこういった立法府としての外交活動というのは、一定行政府とは違う形で進んでいくものと考えておりますが、行政府としての外交活動から見た際に、どのような連携を行うのが望ましいと考えられるか、御意見をお伺いできればと思います。

林国務大臣 我が国が直面する外交上の課題や関係者が多様化する中で、我が国の国益を引き続き増進していくためには、もちろん行政府がやらなきゃなりませんが、ここに限らず、立法府を含めたオール・ジャパンの体制で外交を展開する必要があると思っております。

 こうした観点から、今お話のありましたIPUを含めて、国会議員が議員としての立場から様々な形で海外の要人との意見交換等に従事することは、我が国の外交にとって大変重要であると認識しております。

 引き続き、政府としても、可能な限りにおいて議員外交に対する支援を行ってまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 ありがとうございます。

 しっかりと、一つのツールとして、日本の国益に資するような形で活動ができればと考えております。

 それでは、私からの質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 午前中の和田委員の質問を聞いていてちょっと思いついたので、通告をしておりませんが、せっかく木村政務官にも来ていただいていますので、自衛隊の無線機について提言だけさせていただきたいと思います。

 自衛隊で十四年予備自衛官をやっている中で、大体十年ぐらい前からですが、広多無、広帯域多目的無線、これが配備をされ始めました。俗に言う小タイプの無線機ですね。あれは、無線だけじゃなくて、メールもできて、ここに端末がついていまして、スマートフォンみたいなものがついていて、ここで地図も共有できて、メールもできる。これで演習のときに連隊長にメールを送っちゃって大目玉を食らったなんて面白い話もあるんですけれども、この広帯域多目的無線の周波数はまだいいんですが、ここについているデジタル機器のオペレーションシステムが古過ぎるんですよ。

 十年前というと、スマートフォンの黎明期なので、その当時のもさもさした動きを覚えていらっしゃると思いますが、そのままなんです、バージョンが。ですから、せっかくいい機械があって、地図も共有できて、中で敵の部隊がどこにいるというのを全部共有できるシステムをちゃんと作ってあるのに、中に入っているシステムが遅過ぎて使い物にならぬのですよ。

 今、ドローンの話とか最新技術の話ばかりしていますが、こういう基礎的な部分がしっかりできていないと情報も共有できないし、せっかくいいシステムがあるんですから、是非改修をしていただきたいということを思い出しました。

 一元予備自衛官の陳情というか苦情だと思っていただいて、危機感をもし共有していただいたのであれば、本省に戻られてから調査をしていただきたいと思います。この点は、安保委員会にいずれお邪魔をして大臣とも議論させていただきたいと思います。

 さて、質問に入らせていただきますが、RAAそのものについては、今、種々議論がありました。この時期にイギリスあるいはオーストラリアとこの手の協定を結ばなければならなかった、そして、六年にわたって非常に多岐にわたる交渉を繰り返してまでこれをやらなければならなかったその背景についていろいろ伺いたいと思うんです。

 そもそも、日英のRAAが外務省のホームページで紹介されています。中の文章がいろいろと、どうやってやりましたよとか、スナク首相とやりましたと書いてあるんですけれども、三番目に、「ロシアによるウクライナ侵略や、東シナ海・南シナ海における力による一方的な現状変更の試み等により、」というような文章があるんですけれども、ロシアはウクライナ侵略ということで主語が入っていますけれども、一方的な力による現状変更の試みには主語が入っておりません。何か理由があるんでしょうか。

林国務大臣 今御指摘のありました記載は、これまで築き上げてきた国際秩序が挑戦にさらされ、国際的な安全保障環境が世界各地で一層厳しくなっていることを、具体的な例を示し、簡潔に述べたものでありまして、あえて主語を記載しなかったということではございません。

 中国については、尖閣諸島をめぐる情勢を含めて、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試み、さらには、ロシアとの連携を含む我が国周辺での軍事活動の活発化等、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の深刻な懸念事項であるというのが我が国の一貫した立場でありまして、国会の場を含めてこれまで累次述べてきているとおりでございます。

鈴木(敦)委員 この文章を一見すると、あえて主語がない状態になっている。もし、これが一般的に、今日の大臣の答弁にもありました、世界のいかなる場所であっても力による一方的な現状変更は認めないということであれば、大臣のおっしゃったとおり、世界のいかなる場所であってもとか、あるいは、防衛白書の中では、国際社会における力による一方的な現状変更という書き方をしているので、そう書くのであれば納得できます、ロシアという言葉も入っていますから。

 ですが、南シナ海と東シナ海において力による一方的な現状変更の試みを行っている国は、私は一つしか知らないです。ほかに何かあるんでしょうか。心当たりはございますか。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおり、簡潔に述べたということでございまして、あえて主語を記載しなかったものではなくて、中国について先ほど申し上げたような認識というのは累次述べてきているとおりでございます。

鈴木(敦)委員 これが、例えば日本周辺におけるという記載であれば、ロシアも危険ですし、北朝鮮も武器を開発していますし、中国のこともあるしということなんですが、南シナ海で一方的な現状変更をしているのは中国だけですし、東シナ海も当然同様でありますから、ここをはっきり明言されないと、我が国の外交は弱腰だと見られかねないです。はっきりおっしゃった方がいいと思います、一つしかないんですから。こういう書き方をした時点で類推されるのは中国しかあり得ない。そのほかの国がもしあるんだったら別ですが、ありませんので、是非書いていただく。それこそはっきりとした防衛力だと私は思います。

 以下、協定そのものには関係ありませんが、この協定を結ばなければならなかった背景も含めて、国際関係全般について伺いたいと思います。

 木村政務官にお伺いいたしますが、オーストラリアが原潜を配備するということになりました。イギリスとアメリカと共同で開発する、AUKUSという潜水艦を造る。どんなものになるか分かりませんが、これが配備されるタイミングですね。オーストラリアで今使われている通常型の潜水艦が退役を始める頃に原子力潜水艦に置き換えていくということなので、戦力の空白を避けるという明確な意図があります。これは非常にいいことだと思います。

 では、日本はどうかといいますと、トマホークを始めとする巡航ミサイルもそうですし、一二式の長距離化もそうですが、三年かかります。この三年間、我が国周辺に中距離戦力はゼロとなります。

 一方で、先ほど議論になりました力による一方的な現状変更の試みをしている一か国は千九百発以上の中距離弾道弾を保有しているという情報もあるわけで、この三年間をどう乗り切っていくかというのが我が国の防衛上非常に重要な問題です。

 事前にお話を伺ったところ、トマホークにしても一二式の延伸化にしても、これが最短であるというお話でした。であれば、三年間何もせずに待っているのかというと、そうじゃないと思うんですね。

 フィリピンからの情報によれば、日本、アメリカ、オーストラリア、それからフィリピンの四か国で南シナ海の共同巡回をしようというような話もあるようですが、これも含めて、枠組み、いろいろなどんな方法を使っても構いませんけれども、この三年間をどうやって乗り切っていくか、ほかの方法を考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 国家防衛戦略等に記載したとおり、いついかなる形で力による一方的な現状変更が生起するか予測困難であることから、防衛力の抜本的強化を速やかに実現していく必要があると考えております。

 このため、今般の防衛力整備計画においては、一般に五年から十年といった期間を要する研究開発や製造に至るプロセスなどを大幅に短縮する早期装備化を方針として検討してきたところ、各種スタンドオフミサイルもその一例です。

 また、スタンドオフ防衛能力や無人アセット防衛能力等、将来の防衛力の中核となる分野の抜本的強化のみならず、現有装備品の最大限の活用のための可動率向上や、弾薬確保、主要な防衛施設の強靱化への投資の加速にも重点的に取り組んでいく考えです。

 これらの取組にも一定の期間は必要でございますが、少しでも早く防衛力強化が実現できるよう、防衛大臣の下に設置されている防衛力抜本的強化実現準備本部での検討を進め、契約方式を柔軟に見直すなど、様々な工夫を行っていく予定です。

 防衛省としては、三文書に基づくこれらの取組を通じ、国民の命と平和な暮らしを守り抜く体制を速やかに構築してまいります。

鈴木(敦)委員 累次、予算委員会でも話を伺っていましたけれども、例えば、弾薬というのは近距離で使う戦力ですね。誘導弾については中距離あるいは遠距離だと思います。遠距離については、我が国は大陸間弾道弾を用意するわけじゃないので関係ないと思いますが、どこのどんな脅威と戦うのかということを明確にした上で計画を立てていただかないと、弾薬と誘導弾は別の存在です、射程が全然違いますよね。我が国周辺に上陸されてから使うものと、上陸を阻止するために中距離で使うものと、あるいは事前に攻撃を加えるものと、それとは全然話が違うわけですから、計画を立てるときに、どんな脅威と戦うのかを明確にしていただかないと、ただでさえ三年間中距離戦力はないわけですから、ここは考えていただかないといけないと思います。これは安保委の方で私もまたさせていただきたいと思います。

 今度は外務大臣に伺いたいんですが、ベラルーシに戦術核を配備することに合意したということです。七月一日には貯蔵施設が完成する予定である、四月三日から基礎訓練が始まる、航空機十機とイスカンデルは既に配備済みということですから、文字も言葉も大体似通っている国から核兵器が入ってくれば、配備した後、それの使用というか、配備状況というのはかなり進捗は早いと思いますけれども、ベラルーシについて考えたときに、今ロシアとウクライナの話ばかりみんなしているので焦点が小さくなっていると思いますが、広い視野で見ると、ベラルーシという国は、すぐ隣にポーランドとの国境があり、またリトアニアも国境を接していて、あの辺りはスバウキギャップと呼ばれる、NATO軍もそこを要衝としている地域でもありますから、このベラルーシの動向について、リトアニアあるいはポーランド、両国の国内でどういう話になっているのか、外務省から情報をいただきたいんです。

林国務大臣 唯一の戦争被爆国である日本として、ロシアによる核兵器による威嚇、ましてやその使用は断じて受け入れることはできないわけでございます。

 今回報じられておりますプーチン大統領によるベラルーシへの戦術核兵器配備の決定に関する発言につきまして、ロシアがウクライナ侵略を続ける中で情勢を更に緊迫させるものであり、非難いたします。

 プーチン大統領のこの発言を受けまして周辺国も反応しておりまして、例えばリトアニアですが、二十六日に、これは欧州に緊張と不安定化の波を再び起こそうとする動きであり、対応について欧州、大西洋のパートナーと協議する予定である、こうした旨の外務省の声明を発表したと承知しております。

 また、二十六日、同日でございますが、ポーランド外務省はツイッター上で声明を発表しておりまして、ロシアのウクライナへの侵略をめぐる緊張を更に高めるものであり、核兵器の不拡散という観点からもリスクを生じさせている、こういう発表をしておると承知しております。

 日本としては、ロシア及びベラルーシに対してこうした緊張を高めるような行為をやめるよう求めるとともに、今後とも強い関心を持って事態の推移を注視してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 このリトアニア、ポーランド両国は、ウクライナ以外に国境を接している地域ということもあって、非常に問題視しているんだろうなということは考えておりました。リトアニアがEUと協議をするということですから、また国際情勢も動いてくるのかなと思いますけれども、我が国としては明確に反対するということを、いろいろな場所でお立場は表明されていると思いますが、引き続きやっていただきたいと思います。

 次に、台湾について伺います。

 台湾は、ホンジュラスとの断交について今日も議論がありましたけれども、ホンジュラスと台湾が断交して中華人民共和国と国交を結ぶということ自体について我が国政府として意見することはないと私は思っていますが、ただ、これによって台湾と国交を樹立している国は残り十三か国になりました。この次を出さないようにするというのが非常に重要なところで、今残っている国々の中で、それを地図に落とし込んでみると、アフリカに一か国だけあるんですね。エスワティニという王国が残っております。

 ほかの国々はよく日本も行き来をできるところではありますが、エスワティニについてはなかなか行く機会もなく、我が国から直接いろいろな話をすることもできない地域でありますから、関与が難しいのはもちろんなんですけれども、一方で、中国、ロシアの影響力が非常に強いアフリカにおいてたった一か国だけ残った台湾との国交樹立国ですから、この国は注視しておかなきゃいけないと私は思っています。

 ですから、エスワティニとのいろいろなお話は多分日本国外務大臣としてはなさることは余りないのかもしれませんが、TICAD等ではお話をされると思いますけれども、台湾をめぐる議題も併せてエスワティニと話をする一つの議題にはなろうかと思いますので、是非アフリカへの関与を深めるという意味でもお話しになった方がいいと思うんですが、お考えをお聞かせ願えますか。

林国務大臣 台湾は、日本にとって、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーでありまして、大切な友人でございます。

 平素から、こうした日本政府の立場に基づいて、台湾と外交関係を有する国、これには今御指摘のあったエスワティニも当然含まれるわけですが、こうした国々を含めて関係国と意見交換をしてきておりまして、様々なレベルで我が国の考え方を伝達してきておるところでございます。

鈴木(敦)委員 やはり戦略的に考えていただきたいと思います。十三か国全部を満遍なく全部同じように回るというよりは、戦略的に、どこだけを重視するとか、今はここに行くとか、こういうことをやっていただきたい。

 先日、ソロモン諸島に行かれたりとか、ALPS処理水のお話をしていただいたりとか、これこそまさに戦術的なやり方だと思います。恐らく、先日、中国の外務省が、ロシアを含む周辺国及び太平洋島嶼国と協力して反対するといったことに対しての反応だと思います。これはまさに戦略的外交だと思います。こういうことを継続してやっていく必要があるわけで、台湾問題についても同じだと思います。是非ともこれは続けていただきたい、この考え方は維持していただきたいと思います。

 済みません、議題になる地域が、順序がいろいろぐちゃぐちゃになっちゃいますけれども、今ロシアが行っているいろいろな武力紛争における犯罪行為、これは、先日の本会議で徳永委員からもありました、ジュネーブ諸条約違反の原発への攻撃であったりとか、私からも指摘させていただいた子供を含む集団移転等々、国際法で禁止されたことを平然とやってのけるということなんですが、国際的にルールは定まっていても、それを批准しているか、あるいは署名しているかという違いだけで処罰を免れる、こういうことが往々にしてあるわけですね。安全保障理事会の常任理事国ですら入っていないものもたくさんあります。これは、せっかくルールがあるのに守れないということなんです、この世界は。

 だから、せっかく国際刑事裁判所をつくりました、こういうのにみんなで発効まで至った。頑張ってつくったのに、一部の国は入っていなくて、その国が侵略をしたらこの条約は使えないとか、枠組みはあるのに使えないということがたくさんありますね。ローマ規程もそうです。ジュネーブ諸条約もそうです。

 だから、今回我が国はG7の議長国なんですから、先進国を代表して、せっかくあるルールはみんなで守るということを考えていただきたいんです。原子力発電所に対しての攻撃なんてもってのほかでありますし、この後申し上げますが、ロシアは子供を含めて十九万人移送しているわけです。こんなことを許していたら、国際社会で何をやったって許されることになりますから、是非、G7を代表して我が国から、外相会合もあると思いますので、その際にも、ルールは守ろうよということを提案していただけませんか。

林国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みでございまして、欧州にとどまらず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。ウクライナの主権と領土一体性を侵害する明白な国際法違反であり、我が国は強く非難いたします。

 これまでのG7の声明においても、ウクライナで起こっている戦争犯罪及びその他の残虐行為に関する不処罰は認められてはならず、また、ロシアに対して、国際人道法及び国際人権法を完全に尊重する義務を遵守するよう求めてきているところでございます。

 今委員から御指摘もありましたように、G7の長野県軽井沢外相会合、そしてG7広島サミットでも、我が国として、議長国としてのリーダーシップを発揮しながら、今申し上げたような力による一方的な現状変更の試みを断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く、このG7の強い意思を世界に示したいと考えております。

 また、G7の議長国として、G20においても、法の支配に基づく国際秩序を堅持していくことの重要性について国際社会にしっかりと発信していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 非常に大事なんです。法の秩序と民主主義というのは我が国にとって非常に重要なものです。権威主義的な国家にとってはこれは天敵なわけですから、今もうそういう戦いになっているわけですよね。

 法の秩序というのは、法はあるんです。ただ、その法を守りましょうねという約束をしていない国があって、その国にどうやって約束を守らせるかということなわけですから、これは大変難しい話だと思いますけれども、これはG7でも議論をしていただきたいと思います。これ以上のことができないということだと困っちゃうんですけれども、議論を深めていただければと思います。

 今ちょっとお話をしましたけれども、ロシアは、外務省の発表だそうですけれども、ウクライナのコルスンスキー大使のお話によると、約十九万人のウクライナ人を集団移転している。集団移転という言葉を使っているのは、国際法上、集団移転という言葉が使われています、ローマ規程の中に。なので集団移転と言いますが、我が国の立場上、同意なく自国の領土から他国の領土に移動されているわけですから、明確に拉致です。十九万人です。去年の国会でも質問しましたけれども、今、十九万人が拉致されている。これは、我が国は他人事でいるわけにいかないと思います。

 総理に対してこの質問をしたときに、総理が何とおっしゃったかというと、集団移転については様々な情報があることを承知していると言うんですね。十九万人が移動されているということ自体はロシアの外務省が認めていて、ウクライナもそういう被害に遭ったという報告をしているわけです。にもかかわらず、様々な情報がありますという発言しかできない。その国が幾ら声高に拉致の被害を理解してくださいと外国に言ったところで、いや、北朝鮮はやっていないと言っているよ、様々な情報がありますねということになりますよ。

 これはもう明確なんですから、そこは弱腰じゃ駄目です。これははっきり言った方がいい。ロシアは十九万人を拉致している疑いがある。確実なんですから。ロシアも認めているし、ウクライナも訴えている。

 これは日本と立場は違うじゃないですか。北朝鮮は入境していないと言ったりしているんですよ。彼らは明確にうそをついている。だから、認めてもらうために我々は努力していますけれども、ウクライナについてはどう考えたって認めるべきです。我が国は、ロシアがウクライナから人を拉致している、はっきり明言された方がいいと思いますが。

林国務大臣 子供を含むウクライナ国民のロシアによる強制的な移送、これについての真相は国連を含む関連機関等により徹底的に明らかにされなければならないと考えておりまして、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携してまいります。

 また、触れていただいた北朝鮮による拉致問題は、時間的制約のある人道問題でございまして、拉致問題の解決のためには、我が国の取組に加えて、国際社会との緊密な連携も重要でございます。全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、政府として全力で取り組んでまいります。

 ロシアによるウクライナ侵略、そして北朝鮮による拉致問題を含む重大な人権侵害は極めて重要な課題でございまして、G7広島サミットにおいてもしっかりと、当然その前の長野県軽井沢外相会合でも議論いたしますが、G7広島サミットにおいてもしっかりと議論していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 これを拉致と認められないというのが、だから、日本の立場を理解していただく上で非常に問題ではないかと申し上げているんです。

 十九万人を集団で移転させた云々を国連を使って徹底的に調査すると言っていますが、同時に、大使からも言われていますし、いろいろな情報を多分大臣もお聞きになっていると思いますけれども、ロシアがやっているのは、ウクライナの子供たちを洗脳に近い形で、親に捨てられたんだからロシア人が救ってやるんだ、こう言ってロシア人家庭に編入しているわけですよ。ロシア名をつけている。ロシア語を教えている。

 言葉は国家です。ロシア語を教えて、ウクライナ語を忘れさせるんです、子供に。それをやったら調査なんてできませんよ。子供が言葉を忘れて、親に捨てられたからロシア人に救ってもらったんだ、こうなったら、ウクライナに帰りたいと思う大人に育つわけがない。そうしたら、国連で何をやっても恐らく調査はできません。だからこそ、理解してもらう人を増やすために、ゼレンスキー大統領も頑張っていろいろなところで演説をしているんですよ。

 だから、拉致問題を抱えている我が国がこれを認めてあげなかったら、誰にも認めてもらえませんよ、この国は。これははっきり認めてください。大臣お一人で決められないのであれば、閣議でも言ってください。我が国の拉致問題を早期に解決したいのであれば、国際社会の同意は必ず必要になりますから。アメリカは理解してくれていると言っていますけれども、いろいろな意見がありますねと他国の拉致を切り捨ててしまう国の言うことをどこまで信じてくれるか分かりませんよ。

 だから、これは拉致特でも議論しますから、大臣、そのときまでにお考えをおまとめいただきたいと思います。

 終わります。

黄川田委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 初めに、本日の議題である日豪及び日英円滑化協定について、林外務大臣に質問します。

 両協定は、訪問部隊の構成員に対する刑事裁判権について、公務中の犯罪は相手国に、公務外の犯罪は日本側に裁判権があると定めています。しかし、当該犯罪が公務中か公務外かをめぐり締約国間でそごが生じた場合、協定上、どのように取り扱うと明記されているのか、お聞きします。

林国務大臣 本協定の第二十一条の4におきまして、両締約国の裁判権を行使する権利が競合する場合には、派遣国部隊の公務執行中の事案又は専ら派遣国部隊のみに対する事案については派遣国が第一次裁判権を有し、それ以外の事案については接受国が第一次裁判権を有すること等が規定されております。

 ここにいう公務執行中について、訪問部隊の構成員又は文民構成員として、法令、規則、上官の命令又は軍慣習によって、要求され又は権限づけられる全ての任務又は役務を執行中であることを指しておりまして、こうした考え方について、日豪、日英それぞれの間で一致しておるところでございます。

 その上で、この協定の第二十七条において、この協定の実施に関して協議を必要とする全ての事項に関する協議機関として、合同委員会を設置する旨規定されておりまして、今お尋ねのあった公務執行中であるか否かをめぐって双方の認識が一致しない場合は、個別の事案ごとに合同委員会において協議することにつきまして、これも日豪、日英それぞれの間で一致しておるところでございます。

穀田委員 今御説明がありました二十一条、二十七条はそれを書いているんですけれども、両協定では、相互間で協議を必要とする事項に関し、締約国間の協議機関として合同委員会を設置すると定めています。

 日米地位協定に基づく合同委員会の場合、日米双方の合意がない限り、議事録は非公表とする取決めが行われています。そのために、米軍の駐留や活動に関し、国民生活や地域社会に影響を及ぼすような合意がされても、その過程は国会や国民に一切明らかにされていません。

 林大臣、両協定に基づく合同委員会では、作成された議事録は国会や国民に公表されるんでしょうか。

林国務大臣 日豪、日英部隊間協力円滑化協定のいずれについても、合同委員会を通じた協議に際しての議事録の作成については規定していないところでございます。

 その上で申し上げますと、仮に議事録を作成した場合の扱いについては、まずはこの協定を発効させて合同委員会を設置した後に合同委員会で正式に決定する必要があるわけでございますが、両締約国間で個々の事案ごとに検討して、双方の同意があれば公表できることとすることを想定しておるところでございます。

穀田委員 最後にありましたように、双方が合意をすればと。こういう考え方の基本というのは、結局、議事録が公表されない可能性があるということになります。日米合同委員会と同じく議事録が公表されなければ、国民の知る権利が著しく侵害されることになります。

 刑事裁判権にしても、一九五三年の日米合同委員会で、公務外でも実質的に重要な事件以外は裁判権を行使しないとの密約によって、日本の裁判権を事実上放棄しています。今回の協定でそのような合意が行われることは絶対あってはならない、そのことを強く指摘しておきたいと思います。

 次に、三月十七日の質疑に続いて、統一協会の関連団体、世界平和女性連合に対するODA資金の無償資金協力について質問します。

 前回の質疑で、昨年十一月二十八日の衆議院予算委員会での岸田総理の答弁に基づき外務省が行った調査結果が明らかになりました。その内容は、アフリカ、セネガルの職業訓練校の建設資金として九百五十五万円余りの資金を供与した女性平和団体が世界平和女性連合とは全く関係がないというものでした。

 しかし、質疑を通じて、外務省では調査に関する公式記録を作成しておらず、ホームページに掲載された公開資料すら事前に把握した上で調査に臨んでいないなど、ずさん極まりない実態が浮き彫りになりました。最大の疑問は、岸田総理の答弁に基づく調査であるにもかかわらず、なぜ外務省があのようなずさんな調査で問題なしとしたのかということであります。

 実は、そのことを示す外務省提出資料があります。皆さんにお配りしている資料、これですね。

 資料の二枚目、この資料は、二〇一四年、平成二十六年十一月、セネガルの現地大使館の北原隆大使から外務大臣宛てに出された電信です。

 外務省、この電信は一体何のために出されたものなのか、簡潔にお答えください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありました電信は、平成二十六年度対セネガル草の根・人間の安全保障無償資金協力案件、グラン・ダカール女性のための職業訓練施設建設計画の承認の可否について本省の判断を求めるために、在セネガル大使館から本省宛てに発出されたものでございます。

穀田委員 電信には、これですよね、この電信、皆さん、資料の二というところにあると思いますけれども、この電信には外務大臣殿と明記されており、この電信が外務大臣に向けて出されたものであることは明瞭であります。

 つまり、この電信は、今もお話があったように、問題の職業訓練校にODA資金として九百五十五万円余りを供与するためにセネガルの北原大使から外務大臣宛てに出された、簡単に言えば承認申請ということですよね。

 外務省、当時の外務大臣は誰ですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 通告をいただいておりませんでしたので、今記憶を遡っておりますけれども、当時、岸田大臣であったかと思います。

穀田委員 去年の十一月に討論しているこっちゃからね、そんなこと一々言わんかて、同じ話をしているんやから、あのときもそう言うたんやけど、それで分からんなんと言っているんじゃ、前の質問も忘れたなと言ったらどう。と思いませんか。情けなくなるね。要するに、承認申請は岸田外務大臣宛てに出されたということですよね。

 配付資料の今度は四枚目、これですね。これは、取扱注意指定の二〇一五年二月二十日付の電信案と題するものであります。これはどういうものか、簡潔に。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の電信は、当該計画につきまして、実施を承認し、贈与契約の締結を指示するために本省から在セネガル大使館宛てに発出されたものでございます。

穀田委員 そうすると、問題の職業訓練校への資金供与は、この電信案にあるとおり、二〇一五年二月二十日に承認されたということになります。

 そこで、ちょっと聞きたいんですけれども、資料二は、北原大使から平成二十六年十一月二十八日と書いてあります。資料四の電信案には、平成二十七年二月二十日に全文作成されたことは確認できるんですね。この文書がその日付どおりに確認されたということはいいね。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 作成には時間はかかったかもしれませんけれども、発出した日付がそこにある日付ということでございます。

穀田委員 これを見ますと、電信案を見ますと、外務大臣発、大使宛てとあります。当時の外務大臣は誰ですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 当時、岸田大臣と承知しております。

穀田委員 今度はすぐ発言されましたね。

 公電には外務大臣発とあるように、岸田外務大臣の責任でセネガルの北原大使宛てに出された。いわば、先ほどの場合は承認申請、今度のこれは承認の回答であり、指示であるということだと思いますね。そういう点では、岸田外務大臣の責任は免れません。

 このように、問題の職業訓練校へのODA資金の供与は、案件の申請から承認まで、指示まで岸田外務大臣の関与の下で行われたということであります。

 そこで、もう一つ私は疑問に思いまして今聞いたんですけれども、これの作成というのは、発出したのはそのときだ、こう言っているんですよね。全部そのとおりだと言った。

 そうしますと、ちょっと見ていただきたいんだけれども、公電が、この電信案ですね、これの起案された日、右の方の真ん中にありますよね、平成二十七年一月十九日とあります。そこで、保存期間は五年で、その上に五年と丸がしてあって、期間は令和二年十二月三十一日までとあります。

 しかし、令和という年号が発表されたのは平成三十一年、二〇一九年ですね、四月一日です。したがって、この公電は、平成二十七年一月十九日に起案された時点では令和という年号は決まっていない。保存期間の記載も、令和二年ではなく、平成三十二年となるのが普通とちゃうか。なぜ令和で記載されているんですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 電報のシステムについて詳しく申し上げるのは控えさせていただきますけれども、この電報がシステムの中に保管をされておるということでございまして、起案したタイミングでもちろん令和というふうに書き込まれていたわけではございませんけれども、これを印刷した段階では、システム上、このように表記されているということでございます。

穀田委員 というと、書き換えた、上書きしたということが事実なんですか。

 システムというのは、それはそちらの勝手な都合であって、どういうシステムか、そんなことを聞いているわけじゃない。結果としては、この文書は、だから私は聞いたんですよ、これは全部この時点で書いたものかと。そう聞かれていましたやろ。私は聞きましたやろ。これは全部そうかと聞いたわけや。わなをかけたわけじゃないんですよ。そのとおりやなと聞いたわけです。そうしたら、そうやと言うから、それやったらおかしいやないか。いや、そういうのはいろいろ違いがありますねんと言っておったら別よ。この当時、作ったときと全文同じやな、こう聞いたわけですよ。そうしたら、そうやと言うから、おかしいやないか、こう言っているわけですよ。不可解と思いませんか。

 ということは、上書きしたか、ないしは、これがもしかしたらほんまの文書と違うのかもしれぬという疑いが生じますわな、普通に考えれば。いろいろと助けようと思う人は別として、客観的な事実をぽんぽんぽんぽんと羅列して話を聞いていって畳みかけていった、そうしたらこういう事実だとすると、そうじゃないかということに、誠に不可解だと思います。次にまたやりましょう。

 そこで、問題はまだあります。配付資料の六枚目、皆さんにお配りしています。六枚目、電信に添付された請訓表の一部です。「(六)実施能力」とある箇所には、ODA資金を供与した女性平和団体が、一九九五年にある団体から職業訓練用の約八千ユーロ分の機材を供与された経験があると記されています。この団体とは一体どこですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の請訓表という資料でございますが、この箇所には、世界平和女性連合より八千ユーロ分の機材を供与された経験があるというふうに記載されてございます。

穀田委員 ODA資金を供与した女性平和団体は、世界平和女性連合から八千ユーロの機材を供与されていた。それは既に外務省自身が知っていたということになるわけですね。

 外務省の調査は、ODA資金を供与した女性平和団体は、統一協会の関連団体、世界平和女性連合とは全く関係ないとしていた。しかし、この請訓表の記述一つ見ても、女性平和団体が世界平和女性連合と関係があることは一目瞭然であり、調査するまでもないことです。

 私は、前回の質疑で、女性平和団体の代表がセネガルの世界平和女性連合の副会長であり、天宙平和連合の幹部であることを指摘しましたが、女性平和団体が世界平和女性連合の偽装団体であることはもはや明らかであります。

 岸田総理の答弁に基づき行った調査があんなにずさんな内容だったのも、岸田氏自身が当時外務大臣としてODA資金の供与に関与したからにほかならないと私は思います。

 そこで、林大臣に伺いたい。

 事は、正体を隠した反社会的団体の統一協会の関連団体に一千万円近い国民の血税を供与していたという重大問題であります。直ちに政府資金の返還請求を行うべきではありませんか。

林国務大臣 当時の関係者に確認をしておりまして、供与決定時に、かつて、世界平和女性連合から被供与団体、この女性平和団体というところでございますが、ここに機材が供与された事実は認識をしていた、しかし、あくまで学校本来の目的である職業訓練用の機材の供与を受けたものとの認識であり、この点のみをもって被供与団体が世界平和女性連合の関連団体であるとまでの認識はなかったということでございます。

穀田委員 何回これをやったら分かりますのやろ。認識はなかった、それが女性団体のそういう関係が深いとは思わなかったと。深い関係がなかったと思っていたことについて、前回私は、いろいろな資料を全部出して、ホームページを見れば、ありとあらゆるところから、これらが一体のものだということを明らかにしたわけじゃないですか。

 その前にも、私は、問題を明らかにしてきちんと調べろと言ったら、調べたのは、さっぱりわやや。ずさんで、しかも、この間聞いたことによると、電話でやったとか言って、したがってやり取りが残ってへんとか。外交の関係で総理大臣が言っていることについて、きちんとはっきりさせると言った問題までもそんなええかげんな話をする人がありますかいな。

 だから、そういう問題から含めて、とにかく岸田さんに関わることについては黙っておこうということなのかと。

 私は、国民の血税を、もし、世界平和女性連合と関係のあるこの団体に、机があるとか何とかがあるなんといって、鉛筆があるなんという話でカンパしていたら、どないなりますねんな。それがあかんと言うことが日本の政治の要でしょうが。だからこそ、この間の自民党の大会でこれに触れなかったのかということまで臆測したくなりますやんか。私はそういう問題だと思います。だから幕引きを図ろうとしているのかとまで私は言いたいと思うんです。

 私は、この期に及んでも返還請求を行うと明言されないというのは、やはり、政府資金の供与が当時の岸田外務大臣の関与の下で行われたからだと言わざるを得ない。統一協会の関連団体に一千万近い国民の血税を供与しておきながら、その返還請求もやらないということは、岸田政権が統一協会の海外活動を今でも容認し続け、大臣ももしそういう立場を取るとすれば、援助を当然視しているということにならざるを得ないと私は思います。

 だから、必ず政府資金の返還請求を直ちに行うこと、そして、幕引きは断じて許されない、そのことを述べて質問を終わります。

黄川田委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会の吉良州司です。

 まず最初に、日英、日豪円滑化協定について、私、また有志の会の立場、これは賛成であります。

 質問という形ではなく、なぜかということについてちょっと俯瞰した見方をさせてもらうと、まず、シーレーン防衛上、それから対中抑止力増強にも資する安全保障上の重要な連携強化であるという視点、それから、私自身は、TPPという経済連携は、単なる広域的経済連携というよりも、極めて戦略性の高い枠組みだという認識をしております。その中で、今米国が入っていない中のCPTPP、この中で日本をリーダーとすれば、サブリーダー役が私は豪州だと思っていますので、そことの更なる連携強化、それから、今招き入れたい、入ってほしいと思う英国との連携強化、これは極めて重要だと思っております。そことの、TPPとの相乗効果も期待できると思っています。

 さらに、先ほど来、準同盟国という定義があるのかという話が出ていますけれども、実は、この言葉、最初かどうかは分かりませんけれども、私、民主党政権のときの二〇一〇年の二二大綱、これは実は、自民党に移った長島昭久と私が実務責任者としてこの防衛大綱に携わりました。その際に、今よく出てくる、我が国を取り巻く安全保障環境、厳しさを増す安全保障環境とか、そういう言葉をふんだんに使いながら、同盟国の同盟国である、いわば準同盟国との連携強化が必要なんだ、それによる、ある意味ではシーレーン防衛、それから日本の安全保障の力を増強するんだという問題意識を持っていました。

 ここであえて、議事録に残したいので言わせていただくと、私自身は、民主党政権に深く関わった人間として、それこそ悪夢のようなと言われるゆえんはないと思っています。政権運営が稚拙だったという評価については甘んじて受けなければいけないと思っていますけれども、外交、安全保障については、よく言われるように、それまで基盤的防衛力構想という中で、まだ北を向いた、基地の存在自体を重視した防衛力から、二〇一〇年の段階で、やはり対処しなければいけないのは西側なんだ、東シナ海なんだ、台湾海峡、南シナ海なんだ、そして強化すべきは南西諸島の防衛なんだということで、機動力、即応性を重視した動的防衛力構想を出して、今言ったようなオーストラリアといった準同盟国との連携強化、こういうことを力強くうたっているんですね。

 その背景、言っても、第一次安倍政権のときに安保懇という専門家による会議体がありました。そこの座長が柳井元米国大使、そして座長代理が北岡伸一当時東大教授でありましたけれども、その安保懇で提言された内容は、私たち、現実的な外交、安全保障という観点から見て極めて正しい方向性の提案だ、提言だということで、我々民主党政権だからこそ、この提言を一つ一つ実現していこう、こういう腹を長島昭久と私で持って、今言った防衛大綱の実務者としての基本構想をつくった経緯がありますので、今始終行われているいろいろな安全保障の枠組み、それから個別、同盟、準同盟国等との連携というものも、私たちの二二防衛大綱、大きく方向転換した二二防衛大綱にあった、こういうふうに思っていますので、是非、外務大臣である林芳正さんと、それからここにいらっしゃる与党の議員にも、悪夢のようなというようなことについては名誉回復を願いたいとあえて申し上げます。

 続いては、ウクライナ戦争の停戦に向けてというテーマで、私は、質問というよりも、いつもながらでありますけれども、私の問題提起、それから提言をさせていただきたいと思っています。

 それは、来るG7広島サミットにおいて、議長国として、申し訳ないですけれども、さっきから言われている、例えば、ロシアによる軍事侵攻は絶対に許されない、力による一方的な現状変更は許されない、G7が結束してロシアに対峙し、ウクライナに対する強力な支援を継続していくんだというような、余りにも一般的な、しかし、何ら問題解決にならないような声明を発表するのではなくて、ここは、停戦に向けた具体的な提案、提言、少なくともその第一歩をしるすような提言ができるようなサミットにしていただきたい、このような思いを込めて、私はこのテーマを取り上げさせてもらいたいと思っています。

 私自身はこのことをお願いする権利があると思っています。お手元にある資料を御覧いただきたいと思いますけれども、まず資料一というのは、これは侵攻前、二〇二二年二月十四日に質問レクを行い、二月十六日、林芳正外務大臣に対して予算委員会外務分科会で提出した質問要旨と質問通告であります。

 ここで一番に持ってきているのは、ウクライナ問題への対応次第で得られる国益、失うおそれのある国益は何か。いかなる場合でも日本の国益をきちっと追求していかなければいけない、この問題意識をまず掲げています。

 それから、五番目を見ていただきたいんですけれども、私は、侵攻させないためには、ウクライナに中立国、又は、NATO加盟を一時的であっても断念というんですかね、凍結するということが必要だと思い続けていましたけれども、ここに、ウクライナのNATO加盟を当面凍結するか、同国に中立国となってもらうかなどの妥協案は事態鎮静化に有効と考えるか、はたまた、妥協案は、クリミア併合や武力による威嚇を容認したと受け止められ、結果的に、力による現状変更、その試みを容認したことになるのか、こういう問いを発しています。私は、妥協しろというのでこれをここに出しています。

 それから七番目は、先ほど鈴木敦委員、ベラルーシへのことについて触れられましたけれども、私もこの時点から、ベラルーシへの制裁が同国の更なるロシア接近を促して、結果的に対EU、対米国に対して先鋭化してしまうのではないか、この問題意識をここで披露させてもらっています。

 それから八番目については、もう皆さん御承知のとおり、ウクライナ情勢の緊迫化によって世界の天然ガス市場、穀物市場が逼迫する。結果的に、今、物価高、エネルギー高、食料高にあえいでいる。日本もそうですし、前回の質問でも言いましたけれども、イエメン、エジプト、ソマリア等、飢餓に瀕している国がある。

 こういう問題意識を、侵攻前、林大臣にぶつけさせてもらっていました。

 さらに、資料二を見ていただきたいんですけれども、ここは、その前の二月三日に予算委員会で、やはりウクライナ問題について私は懸念を持っているがゆえに取り上げさせてもらっていました。

 資料二の1、2からずっとありますけれども、ここで、1の途中から、NATOは、元々、ソ連とワルシャワ条約機構の軍事的脅威に対して欧州の平和と安全を守るためにつくられた同盟であるにもかかわらず、ウクライナ問題では、場合によってはロシアとの軍事衝突もあり得るかもしれない、にもかかわらず、東方拡大が必要なのかと。そして、その左側のラインの最後ですけれども、中国が、このウクライナ問題を契機として、どのような国益を追求してくるのか。

 2のところでは、我が国として、中国とどう向き合っていくのかというのが外交上最大の課題である、そういう認識を持っている中で、ウクライナへの対応いかんによって、私は、ロシアとの決定的な関係悪化を招いてはならないという問題意識を持っていました。さらには、次に書いてありますけれども、これを契機にする中ロの更なる接近についても備えなければいけない、この問題意識を持っていました。現に今、中ロが極めて接近をしている。

 そして、林大臣も覚えておられるかもしれませんけれども、私も商社マン、林大臣も商社マンだった、ビジネスの世界でも一〇〇対ゼロなんてことはあり得ないんだ、外交も同じでしょうと。何かを得ようとすれば、どこかに妥協も必要になってくる、そしてそれは、相手の立場に立って、自分が相手になってみれば、その言い分にも一理あるんだということ。

 それで、3のところに書いてありますけれども、林大臣もここでは、自分が相手の立場であれば一体どういうことを考えて、本音で言うとどの辺りが譲れないものなのかということ、相手であったらどう考えるか、これを知っておくことは大変大事な視点だという答弁もされておられます。

 更に言いますと、次の4のところで言っているんですけれども、ところが、この外務委員会でもそうですけれども、線を引いていますが、多くの国民も、事相手が中国だ、ロシアだとなると、これは、価値観の違う、違った価値観を持っている、また、強権又は独裁国家となると、そういう強権国家が主張する外交的主張、要望というのは全て悪だ、だから、こんなもの一歩も譲るな、一〇〇対ゼロでいいから、一〇〇を主張し続けろ、こういう議論になってしまうんです。

 続いては、ちょっと飛ばしまして、実は、そのとき私は、もう本当に、祈るようなというか、涙を流しながらのように言ったことは、9で書いていますけれども、私は、ロシアの肩を持つとかそういうことではない、最終的には日本の国益を守らなければいけない、だけれども、同時に、ウクライナ、そこで軍事紛争が起こったときに、傷つくのは、命を落とすウクライナ人なんだと。

 十番のところで、絶対に軍事的紛争を起こさせない、そのためには、相手の立場に立って一理ある、そこを踏まえた対応、妥協も必要であるということを私は主張し続けていました。

 まず、ここで一旦大臣に伺いますけれども、これは質問でも通告していますが、ウクライナ戦争、又はロシアによるウクライナ軍事侵攻、これを停戦させる、その停戦の必要についての大臣の認識を問います。

林国務大臣 ちょうど一年ちょっと前のやり取りでございまして、今、懐かしく思い出しておりましたが、改めて、吉良委員の先見性というものがここに表れているというふうに思っております。

 私の答弁も御紹介いただきましたけれども、商社マンのときの話もしておりますが、その後で、その上で、商社の時代と違うとすれば、なかなか金額で幾らというふうに決められぬものがあるんだろうと、お互い、譲れない国益というものもあってと、そういうことも併せて申し上げてきておるところでございます。大変有意義なやり取りをさせていただいたなというふうに今思い返しておりますが、まさに停戦の必要性ということでございます。

 累々申し上げてきておりますように、外交が本当は止めるべきであったことが、しかし、侵略という形で起こってしまった。これはやはり、国際秩序の根幹、この国際秩序というのは、ずっと、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきたことでありまして、この根幹を揺るがす暴挙であったわけです。この侵略は、主権、領土一体性の侵害でありまして、累々申し上げてきておりますように、国際法の諸原則の違反、法の支配に基づく国際秩序に対する明白な挑戦であります。

 もとより、平和、停戦というのは全ての人が望むことだろうと私も思いますけれども、引き続き、ウクライナに対する攻撃をロシアは続けております。併合したウクライナの一部地域は交渉の対象にならない、こういうふうにプーチン大統領も述べておりまして、歩み寄ろうという兆しが一切見られないというところでございます。

 こうした中で、まさに今委員がおっしゃったように、ウクライナは祖国を守る努力というのをやっておるわけでございまして、ウクライナの将来を決める停戦に至る交渉、これにいかに臨むべきかというのは、やはりウクライナの人々が決めるべき問題である、そういうふうに考えております。

吉良委員 申し訳ないけれども、想定した答弁が返ってまいりました。

 資料三を見ていただきたいんですけれども、これは私自身が発信しているメールマガジンの抜粋です。日付は、侵略、侵攻が行われた直後、二〇二二年三月八日。停戦合意の条件ということで、私なりに、誰の知恵もかりるのではなくて、停戦の条件というのをここで発信をしています。

 中略と書いているその上の、第二フレーズのところに書いていますけれども、私は、先ほど来言っているように、繰り返しになりますが、ロシアの立場も理解し、双方がぎりぎり折り合う形の妥協を成立させられていれば、軍事侵攻を防げたし、今犠牲になっているウクライナの人々の命を救えたと信じていると。その一行空けて下、表面的な正義の主張に終始した結果、また、西側の常識が通用しないプーチン大統領の反応を見誤った結果、今回の軍事侵攻を招き、ウクライナの人々に多くの犠牲を強いてしまっていることに憤りを覚えると。

 今大臣がおっしゃったこともG7の人たちが言っていることも正義なんだけれども、正義を幾ら主張しても、それは問題解決になっていないし、ウクライナの人々の命を救えていないし、食料それから燃料高で困っている人たちを救えていないんです。

 停戦の条件、1のところで書いています。

 ちょっと飛ばしまして、資料四を見ていただきたいんですけれども、ここの、これは三月二十五日、侵攻からちょうど一か月後に発信したメールマガジンです。その1のところの途中で、少し網かけしていますけれども、私はこの時点で、ロシアの主眼は、マリウポリを始め黒海沿岸域における、これは私の言葉で括弧書きにしていますけれども、ロシア―クリミア回廊の制圧と実効支配に移ってきていると。

 これは、言うまでもなく、ヘルソン、ザポリージャ、それからドネツク、ルハンスクのことです。ここをずっと結べば、ロシアからクリミアまで、インフラも含めてつながる回廊になる。ロシアは必ずここを取りに来る。ここを取られてしまうと、我が国にとっての北方領土もそうですけれども、一度取られてしまうと厄介なんです、本当に。だから、これが起こる前に停戦すべきという、そのためには妥協も必要だということを主張し続けていました。

 その上で、一番最後の資料四のところに、二度目の、少し詳しく書いた停戦合意案を私自身は書いています。この停戦合意の中には、クリミアを、住民投票の結果、例えばロシア帰属がいいとなればロシア帰属を認めるべきというところまで踏み込んでいます。

 ある意味での解決策というのは、二月二十四日の侵攻前のミンスク合意に戻すことがぎりぎりのところだろうと思っています。我が国も、北方領土は不法に占拠され、それを取り返したいけれども、武力ではなく、あくまでも話合い、平和条約を念頭に置きながら、平和裏に解決しようとしている。時間軸は一九四五年と二〇一四年と違うけれども、これは、正義に照らせば、もう絶対に許せないことではあります、そんなことは誰も分かっている、けれども、一旦実効支配されたものを、これを取り返しに行くとなると、これは何年、十年、二十年単位の戦争になるかもしれない。この間、日本の国益、世界の世界益というか、各国の国益、どうなっていくんだと。

 この前も言いました。ソマリア、イエメンの貧しい人たち、食料難、飢餓、餓死、そういうものを救おうとすれば、そして、足下では日本の物価高、エネルギー高、これを何とかしようとすれば、日本としても停戦を積極的に呼びかけていく、そして、議長国として、G7の国々に対して本音の部分で、停戦に向けて一歩前に出ようよ、これを提案する広島サミットにすべきではないでしょうか。

 大臣の見解を伺います。

林国務大臣 先ほども少し触れさせていただきましたけれども、今回のウクライナ侵略、これは、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。

 私も国連で演説をさせていただきましたが、単なる平和というものを求めない、公正な、ジャストという言葉を使わせていただきましたが、そういう平和が必要なのであるということは、ここと、今申し上げたことにつながることだと思っておりまして、あるとき、隣国が急に一つの国を侵略して、この辺りでというところで、そこで停戦合意をするということ、これが、そこに住んでいる人々の皆様の意思と関係なく認められるということになってしまいますと、それは世界に対して非常に誤ったメッセージを出してしまうことになる、その思いで私はこのことを申し上げておりまして、まさに委員がおっしゃるように、一日も早く停戦をする、平和を取り戻すということも非常に大事なことでありますが、やはりこの原則をしっかり貫くということ、そして平和を求める、このことを、どう二兎を追っていくかということが大変大事なことであるというふうに考えております。

吉良委員 予想どおりの答弁が戻ってきました。大臣、冒頭、前半におっしゃったことというのは私も分かっています。誰も、分かっていない人はこの委員会にもいないし、国会議員の中にはいないと思っています。

 けれども、最後に、もう一度、資料の三の2のところを見てもらいたいんですけれども、今言った正義に照らせば感情論のように映るかもしれないけれども、ここで私が言っているのは、今、自分では血を流すつもりのない、米国、NATO諸国、世界の国々がいかに正義を叫ぼうと、短期的にロシアの暴走を止めることはできません、ロシアと血を流してでも戦い、正義を貫くという覚悟と実行がない中で、幾ら正義を叫んでもロシアの非正義を正すことはできません、しかし、今現実に命を奪われ、自分の町が、学校が、病院が、生活が壊滅状態になりつつあるのはウクライナであり、ウクライナの人々なのです、外野席から、気合を入れてメガホンで応援するから、ウクライナ頑張れと遠いところから正義の旗を掲げて叫ぶ人々ではないと。

 大臣、繰り返しますけれども、正義とは何ぞや、正義を貫かずして平和が訪れて何の平和だ、このような思いを持たれることは理解できます。けれども、これは私が思うに、ドイツ、フランスも恐らく本音では、やはり停戦に向かって一歩も二歩も踏み出すべきだと私は思っていると信じています。ただ、誰もがなかなか言い出せない。だからこそ、広島サミットにおいて個別に本音で話をしたときに、何らかの形で、停戦について一歩前に踏み出そうという雰囲気をつくって、是非停戦に向けた議論の第一歩にしていただきたい、このことをお願いをして質問を終わります。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより両件に対する討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表して、日豪及び日英の部隊間協力円滑化協定に反対の立場から討論を行います。

 両協定は、日米同盟を中心に、自衛隊の海外活動と外国軍との共同の軍事活動の強化を図るための措置であり、憲法九条に明確に反するものです。

 政府が新たに策定した国家防衛戦略は、防衛目標達成のためのアプローチに、日米同盟の抑止力、対処力の強化のみならず、同志国等との連携強化を明記しました。同志国等とは、米国の同盟国、パートナー国を指していることは明らかであり、それらの国々と軍事協力の強化を図ることは、インド太平洋地域における同盟、パートナー関係のネットワーク化と能力強化を推進する米国の戦略に完全に従ったものです。

 安保法制と日米ガイドラインの下で進められてきた自衛隊と米軍及びその同盟国軍隊と一体となった戦争体制づくりを一層強めるものにほかなりません。

 両協定は、訪問部隊の構成員などに対する刑事裁判権について、日米地位協定と同じく、公務中の犯罪に関し、第一次裁判権を派遣国に与えると定めています。外国軍隊の活動のために日本の裁判権を放棄することは、主権国家の取るべき態度ではありません。

 両協定では、締約国間の協議機関として合同委員会を設置し、協議の後、協定を実施するための取決めを行うと定めていることも看過できません。

 日米地位協定における合同委員会では、両国の合意がない限り、議事録を非公表とする運用ルールが続いています。このため、米軍の駐留及び活動に関し、国民生活や地域社会に影響を及ぼし得る合意がされても、その過程は国会や国民に一切明らかにされません。

 両協定における合同委員会も、運用ルールについては設置後の会合で合意されるとしており、日米の合同委員会と同様の取扱いになれば、国民の知る権利を著しく侵害するものとなるのは明白であります。

 以上を指摘し、両協定に対する反対討論とします。

黄川田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより採決に入ります。

 まず、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

黄川田委員長 次回は、来る四月十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十一分散会


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