衆議院

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第7号 令和5年4月14日(金曜日)

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令和五年四月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君 理事 吉田 宣弘君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    城内  実君

      島尻安伊子君    新藤 義孝君

      鈴木 貴子君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    辻  清人君

      寺田  稔君    平沢 勝栄君

      穂坂  泰君    青山 大人君

      篠原  豪君    松原  仁君

      青柳 仁士君    杉本 和巳君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      穀田 恵二君    吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   外務副大臣        山田 賢司君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官)      坂口昭一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北村 俊博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片平  聡君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            市川 恵一君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永井 雅規君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大沼 俊之君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   参考人

   (国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構理事長)  山川  宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     穂坂  泰君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     高木  啓君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 航空業務に関する日本国と欧州連合構成国との間の協定の特定の規定に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書の締結について承認を求めるの件(条約第九号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国と欧州連合構成国との間の協定の特定の規定に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件及び協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構理事長山川宏君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として外務省大臣官房審議官實生泰介君、大臣官房審議官日下部英紀君、大臣官房参事官北村俊博君、大臣官房参事官片平聡君、総合外交政策局長市川恵一君、欧州局長中込正志君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官坂口昭一郎君、文部科学省大臣官房審議官永井雅規君、国土交通省大臣官房審議官大沼俊之君、防衛省防衛政策局次長安藤敦史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 自由民主党の鈴木馨祐であります。

 外務委員会での質疑はかなり久々でございますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、今回議題となっております条約の中で、日米の宇宙協定についての質疑をさせていただきたいと思います。

 二月の終わりには日本人宇宙飛行士も新たに選ばれ、そして、今月の後半には、日本の民間企業の月へのランダーが、民間としては初めて月面に着陸をするということが期待をされていまして、地球近傍もそうですけれども、月近傍も含めて、かなり今、宇宙の開発、宇宙の探査、こういったものが注目を集めている状況であります。

 そういった中で、今回、こうした包括的な枠組みということで、包括的な協定ということで、日米の間で締結をするということでありますけれども、外務省山田副大臣に、今回、このタイミングでこうした協定を包括的に締結をする意義について伺いたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 まず、米国が、将来的な火星探査を視野に入れた国際的な月探査計画であるアルテミス計画を主導しておりまして、我が国も、二〇一九年十月に同計画に参画することを決定しております。

 同計画は、一九六〇年代のアポロ計画に続く大型の宇宙開発計画でありますが、アポロ計画と異なり、有志国との国際協力を通じた役割分担、民間企業の持つ能力の最大限の活用を提唱しており、我が国及び我が国の民間企業の積極的な参画が期待されているところでございます。

 同計画の下、日米間では、既に、月面探査関連の協力を始めとする様々な協力が予定されております。宇宙空間における技術開発競争が活発化する中、同計画に我が国も積極的に参加するためには、日米宇宙協力の更なる促進及び効率性の向上が急務であります。

 今後予定されている様々な日米宇宙協力を迅速かつ効率的に実施するためにも、日米間の宇宙協力を行う際の基本事項を定める本協定を早期に締結することは極めて重要であります。

 我が国といたしましては、本協定の締結により米国との宇宙協力を一層進展させることが可能であり、これまで国際宇宙ステーション等の宇宙協力活動を通じて培ってきた日本の技術力や経験を生かしつつ、日本単独ではなし得ない宇宙の探査及び利用の成果を得ることが可能であるところでございます。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 しっかり、日本のプレゼンスを含めて、これから宇宙開発は当然一国ではできていかない話でありますから、きちんと日本の強みというものを生かしていけるような、そういったことを期待していきたいと思います。

 そして、宇宙開発においては、よく問題になるのがデブリの問題でありまして、今、相当の、地球の周回軌道も含めて、かなりのデブリと言われるようなものが浮遊していて、かなりリスクにさらされている。それは衛星であったり、あるいはISSであったり、こういったものがリスクにさらされているという状況にあります。

 そういった中で、今回、この協定の中の第十五条というところにも、宇宙機廃棄や軌道上デブリの低減についてという項目がありますけれども、まさにこれは国連の様々な運用基準等々にのっとって各国がやらなきゃいけない、そういった状況だろうと思います。

 その一方で、中ロを始め、衛星の破壊実験であったりとか、まさにこういったことをある意味でしっかり遵守していないようなケースも認められる。さらには、恐らく、今、デブリをこれからどうきれいにしていくのかというときに、そこの資金メカニズムというか、そういったものをどうつくっていくのか、こういったものはかなり大きな課題となっていると思います。

 恐らく、長期的にいうと、マルチでしっかりと、衛星打ち上げあるいはロケット打ち上げの際に多少のコストというものを負担をしてもらうであるとか、あるいは、場合によっては、それに反するようなことがあった場合の罰則等々についても国際的に恐らくこれから議論していかなくてはいけない状況であろうと思いますけれども、そして、昨日ですか、報道でも、今週末のG7外務大臣会合でそういったことについても若干触れるのではないかといった報道もありますが、日本としてこうした取組についてどういう取組を国際的に働きかけをしているのかについて、外務省に伺いたいと思います。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 国連においては、我が国も参加する宇宙空間平和利用委員会におきまして、二〇〇七年に、人工衛星などの設計や製造、運用の段階においてデブリを低減させるための推奨行動等を規定する、スペースデブリ低減ガイドラインが策定されているところでございます。

 また、我が国の国内的な取組といたしましては、宇宙デブリの除去等も含む、軌道上サービスに関するガイドラインを策定いたしまして、国連の場において、各国に対し当該ガイドラインの意義を説明したり、各国にも同様の取組を働きかけたりしているところでございます。

 また、我が国は、二〇二二年九月に、宇宙空間における責任ある行動の規範の形成に向けた国際場裏での議論を積極的に推進していく考えから、同年四月の米国による発表に続きまして、破壊的な直接上昇型ミサイルによる衛星破壊実験を実施しない旨、決定したところでございます。

 これにつきましては、これまでにG7の全ての国が表明したほか、豪州、韓国、スイスなど、各国による表明が相次いでおりまして、昨年十二月には、米国主導で提出されました同実験の不実施に関する国連総会決議が圧倒的多数で可決されたところでございます。

 我が国としましては、このような安全、安定かつ持続可能な宇宙領域の実現のためのプラクティス、こうしたものを積み上げることによりまして、実効的な国際規範の策定に向けて、米国を始めとする関係国と連携しまして、引き続き関係国に積極的に働きかけていく考えでございます。

鈴木(馨)委員 この問題は、今後の宇宙開発については極めて大事な課題でもありますし、一国だけが守ってもしようがない、同志国だけが守ってもしようがない、全ての国が守っていかなくてはいけない話ですので、引き続き積極的な働きかけをお願いをしたいと思います。

 それでは、次の課題に移りたいと思いますが、先月末ですか、英国についてTPP加入が実質的に妥結をする、そういった状況になりました。これからの我が国の国益を考えたときにも、どうこのCPTPPをきちんとこれからいい形で拡大をしていくのか、これが非常に大事な状況になってくると思います。

 英国が加入の申請を正式にしたのが二〇二一年の二月でありましたけれども、実は、その後、かなりいろいろな国が申請をしていますが、その次に、二〇二一年の九月に申請をしたのが、中国と台湾が相次いで加入申請を行っている。その後も、エクアドル、コスタリカ、あるいはウルグアイについての申請というのがあるわけでありますけれども、まさに、これからどう国益にのっとった形で日本として拡大を促していくのか、このことは極めて大事な問題であろうと思います。

 当然、最初のタイミングで申請をしてきている中国あるいは台湾をどうしていくのか、こういったことがこれから課題にはなっていくと思うんですが、まず中国について伺いたいんですが、例えば、前回の委員会でもいろいろな議論になっていましたけれども、在留邦人の拘束事案であったりとか、あるいはウイグルでの人権の状況、さらには、国有企業にも実質的な補助金等々が供与されていたりとか、かなりTPPの理念からは若干かけ離れているんじゃないか、こういったことを多くの国民も感じていると思いますし、世界的にもそう感じている方が多いのではないかと思います。

 そういった中で、今、政府として、中国がTPPが求めている基準というものを満たしていると考えているのかどうか、政府の認識を伺いたいと思います。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 CPTPPは、自由で公正な経済秩序を構築するという戦略的意義を有し、市場アクセスの面でもルールの面でも高いレベルの協定となっております。

 委員からも幾つか御指摘がありましたけれども、中国の貿易慣行に関しましては様々な意見があると理解しておりまして、中国がCPTPPの高いレベルを完全に満たすことができるかについては、まずはしっかりと見極める必要があると考えているところでございます。

 加入申請を提出したエコノミーの扱いについては、他のCPTPP参加国とともによく相談する必要がありますけれども、我が国としましては、戦略的観点や国民の理解も踏まえながら対応していきたいと考えているところでございます。

 その上で、加入手続につきましては、CPTPPの締約国のコンセンサスで意思決定されることとなっておりまして、現時点で具体的な評価を明らかにすることは、今後のプロセスに影響を及ぼすおそれがあるため、差し控えたいと思います。

鈴木(馨)委員 今おっしゃったように、様々な評価、議論があるわけであります。しっかりこれから見極めをしていただきたい。これは全ての申請国についてそうでありますけれども、その点、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、台湾についてでありますけれども、資料を御覧いただきたいと思うんですが、席上配付しておりますこの資料は、いわゆる交流協会のホームページということで、これは実質的には日本の政府とも密接な関係がある機関と承知しておりますけれども、ここで、台湾のTPP加入申請時の当時の外務大臣、茂木外務大臣だったと承知していますけれども、のコメントというものが掲載をされています。

 この中で、下線を一部引いておりますけれども、例えば、下線の二つ目、三つ目、台湾はこれまでも加入申請へ向けた様々な取組を公にしてきている、そして、そのような台湾が今般加入申請を提出したことを我が国としてまず歓迎したい、そして、その上で、台湾のようなエコノミーがTPP11のこうした高いレベルを完全に満たす用意ができているかについてはしっかりと見極めをしていく、こういった当時の外務大臣としてのコメントが掲載をされておりますが、これらについての現時点での外務省としての認識を伺いたいと思います。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の日本政府の立場については、現在においても変更はないところでございます。

 また、先ほど申し上げましたとおり、加入手続につきましては、CPTPPの締約国のコンセンサスで意思決定されることとなっておりまして、現時点で具体的な評価を明らかにすることは、今後のプロセスに影響を及ぼすため、差し控えたいと思います。

 その上で、CPTPP参加国は、昨年十月の閣僚共同声明において、協定のハイスタンダードなルール及び包括的な市場アクセスのコミットメントを満たしかつ遵守することができ、また、貿易のコミットメントを遵守する行動を示してきたエコノミーによるCPTPPの拡大を支持すること等を確認したところでございます。

 我が国としましては、こうしたCPTPP参加国間での議論も踏まえつつ、引き続き、戦略的観点や国民の理解を踏まえながら対応していきたいと考えているところでございます。

鈴木(馨)委員 私もいろいろな国の方々とも議論しますけれども、このCPTPPは、価値というところ、あるいは戦略性というところ、当然貿易に関してもそうでありますけれども、そういった価値であったり戦略性というところが非常に重視をされている非常に大事な枠組みという認識がかなり強いと思います。これからの拡大においても、しっかりとそういった高いスタンダードを維持する、あるいは日本の国益ということもしっかりと考えていく必要があるのであろうと思います。

 今、過去のこれまでのいろいろな流れというもの、そういったものを踏まえて判断するような話もありましたけれども、例えば、中国であったら、WTOについても加入する前と後で若干その行動が変わってくるようなこともありますので、そういったことがないような形に、是非、外務省としても、しっかりと見極めをしていただく中で、国益という観点をしっかりと腹に据えて、関係各国との今後の拡大に向けての調整を進めていただきたいと思っております。

 特に、今後のCPTPPの拡大は日本にとっても極めて大事な問題でありますので、最後に大臣に伺いたいと思います。

 台湾についてあえて申し上げたいと思いますけれども、日本として台湾の加入というものをどう考えているのか、あるいは、台湾の加入に向けてほかの関係国に働きかけをしていくという考えはあるのかどうか、伺いたいと思います。

林国務大臣 我が国にとって、台湾は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーであります。台湾は、かねてからCPTPPへの加入申請に向けた様々な取組を公にしてきていると承知しております。そうした台湾が加入申請を提出したことを我が国として歓迎しております。

 その上で、加入手続については、CPTPPの締約国のコンセンサスで意思決定されることとなっておりまして、加入申請を提出したエコノミーの扱いについては、他のCPTPP参加国ともよく相談する必要があります。

 このため、我が国としては、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくというCPTPPの意義を参加国と共有しながら、戦略的観点、そして国民の理解、こうしたことを踏まえながら、CPTPPの議論を主導していきたいと考えております。

鈴木(馨)委員 今大臣がおっしゃったように、国民の理解、国益の観点が非常に大事であろうと思いますので、是非とも今後ともそういった姿勢で交渉に臨んでいただきたいということを申し上げた上で、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、日米宇宙協力に関する枠組み協定について質問をいたします。

 本協定は、アルテミス計画を含め、日本も積極的に参加するために日米間で取り決められた協定です。アルテミス計画は、宇宙飛行士を再び月に送る計画で、アメリカが中心となって進め、日本やヨーロッパなども参画をしているとお聞きをしております。

 そこで、まず端的に、日本としてこのアルテミス計画に積極的に参加する意義について、外務省から説明をお願いしたいと思います。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 アルテミス計画は、米国が提唱した、将来的な火星探査を視野に入れた国際的な月探査計画でございます。我が国も、二〇一九年十月に同計画に参画することを決定したところでございます。

 同計画の下で、日米間では、既に月面探査関連の協力を始めとする様々な協力が予定されておりまして、これらの協力を迅速かつ効率的に実施するためにも、日米間の宇宙協力を行う際の基本事項を定める本協定の締結は極めて重要であると考えているところでございます。

 本協定は、共同活動は平和的目的のための活動でございまして、全ての活動は国際法を含む全ての法令に従う旨規定していることから、本協定の下で行う全ての活動は、日本国憲法が定める平和主義の理念に合致し、かつ、国連憲章等にも従って行うこととなるところでございます。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 平和目的が強く打ち出されて、日本として、外務省として認識をされていることに非常に安心をしますし、是非その点を踏み外さずにお願いしたいと思います。

 その上で、次に、本協定締結以前の、これまでは、JAXAやNASAなどの日米の実施機関の間で個別の協力を行うたびに、そのたびたびに政府間で国際約束を締結してきたと説明をお聞きしております。非常に手間がかかっていたんだろうなと推察をいたしますが、では、この協定の締結により、協力がより迅速に実施されることが期待されるわけですけれども、具体的にどのように迅速化がされるのかについて、外務省から改めて説明をお聞きしたいと思います。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで日米間では、打ち上げを伴うような大規模な宇宙協力を実施する際には、ただいま御指摘がありましたように、一九九五年に締結されました日米宇宙損害協定を適用すべく、個別の宇宙協力ごとに政府間で国際約束を締結してきたところでございます。

 本協定の締結によりまして、実際に宇宙協力を実施する機関が個別の協力ごとに本協定の基本事項に従って実施取決めを作成することが可能となることから、今後の様々な協力を実施するための手続が迅速化し、ひいては協力も効率化することが期待される、このように考えているところでございます。

吉田(宣)委員 協力が迅速化することによって、スピード、これも、時間も非常に大切ですので、非常に意義があることだというふうに高く評価いたしますし、また、火星を視野に入れているという意味では、改めて、人類の歴史においては、私は非常に夢がある協定であるというふうに思っております。どうかよろしくお願いいたします。

 次に、二国間航空協定に関する日・EU協定について質問をいたします。

 この協定を締結することによって、既存の二国間航空協定においてEU構成国のEU航空企業の定期便運航が可能になるとお聞きをいたしました。

 具体的には、あくまで例えでございます、個別の国名を挙げますけれども、あくまで例えでございますのでお許しいただいた上で、例えば、日本と二国間航空協定が結ばれていないポルトガルの航空会社が、日本と二国間協定を結んでいるフランスからなら日本に定期便の運航が可能になる、そのように理解をいたしました。

 私の理解は正しいのかも含めて、補足がありましたら、それも併せて外務省から答弁をお願いしたいと思います。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、EU構成国、例えばフランスとの間で締結している二国間航空協定におきましては、原則として、定期便を運航できる航空企業は締約国の航空企業に限られているということでございます。しかしながら、EU域内では、いわゆるEU航空企業が国籍を問わず自由に運航を行っております。

 今回御審議をお願いしています協定におきましては、このようなEU側の現状を踏まえまして、我が国とEU構成国との間の既存の二国間航空協定の下においてもEU航空企業が定期便を運航できるようにするものでございます。

 したがいまして、今委員の方から御質問がございました具体例に即して言えば、EU航空企業でありますポルトガルの航空会社が、本協定に従い、日仏、日本とフランスとの航空協定の下で定期便を運航することが可能になるということでございます。

 一方、この協定が締結されましても、我が国とEU構成国との間の既存の二国間航空協定の下での、我が国と相手国それぞれの定期航空業務の路線あるいは便数等の輸送力に対する制限に変更はございません。

 ですので、今御質問がありました具体例に即して申し上げますと、例えば、ポルトガルの航空会社が、日本とフランスの航空協定の下で設定されております路線や便数の範囲内で運航する、こういうことになるものでございます。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 非常に分かりやすくお答えいただいたと思って感謝します。バランスもしっかり配慮されていることがよく分かりました。よろしくお願いいたします。

 次に、この協定によって、日本とEUとの航空関係の安定的な発展に向けた基盤が整備されることになると期待をしております。これを機に、新たに二国間航空協定の締結が促進されるべきと考えますけれども、外務省の見解をお聞かせいただければと思います。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 二国間航空協定に関する日・EU協定でございますけれども、我が国とEU構成国との間の既存の二国間航空協定の特定の規定を我が国とEUとの間の航空関係の現状を踏まえた内容とすることで、今御指摘がありましたとおり、日・EU航空関係の安定的な発展に向けた基盤を整備するものでございます。

 EU構成国との間で新たに締結する二国間航空協定につきましては、各協定の下においていわゆるEU航空企業が運航できる内容とするということとしておりますけれども、昨年四月にこの協定の交渉の実質合意がされましたことを受けまして、既に、クロアチアそれからチェコとの間で二国間航空協定の交渉が再開されたという経緯がございます。

 その他の新たなEU構成国との二国間航空協定につきましても、定期航空路線開設に対する需要の見込みなども踏まえつつ、締結を検討してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 二国間協定を進めることによって、更なる直行便というふうなものを増やしていただければ、それだけ日本とEUの関係性が私はよくなると思うし、友好も進むと思うし、経済的な発展も見込めるんじゃないかと思いますので、是非お願いしたく存じます。

 次に、サイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書について、関連をして質問をいたします。

 サイバー犯罪を取り締まる必要性は、私は年々高まってきていると思っております。先日、外務委員会において、私は、ロシアによるウクライナ侵略において、頻繁にサイバー攻撃が繰り返され、ウクライナ国内の混乱に乗じて軍事侵攻を有利に進めるハイブリッド戦が展開されていることを紹介し、サイバーに対する備えについて質問をさせていただきました。国家安全保障戦略においても、サイバー分野に対する体制整備の強化がうたわれているところでもございます。

 また、サイバーは、戦争の手段として用いられるだけでなく、例えば、情報やシステムそのものを人質に取って身の代金を要求するような経済犯罪にも利用され、国外から犯行が行われることも多いことから、国際的な枠組みをより深化させる必要性も高まっていると私は思っております。

 本条約の第二追加議定書は、今申し上げた、時代と世界が強く求めるところであり、公明党として強く支持いたします。

 事前に御説明いただきましたところ、この第二追加議定書は、二〇二三年、本年四月時点で未発効とのことです。早期の発効に向けて、本委員会でも承認を望むところでございます。

 その上で、サイバー犯罪は世界中のどこからでも実行できる犯罪でございますから、親条約であるサイバー犯罪に関する条約の締約国の拡大をする取組、これを外務省に強く期待するところでございます。その上で、林外務大臣の見解をお聞かせいただければと思います。

林国務大臣 現在、サイバー犯罪に関する条約の締約国数は六十八か国でありますが、サイバー犯罪の手法や技術が日々進歩している中で、国境を越えるサイバー犯罪に効果的に対処するため、より多くの国がサイバー犯罪に関する条約を締結することはまさに有意義であると考えております。

 ただし、同条約を締結するためには、一定の国内法令の整備、また法執行当局の対処能力が求められるため、同条約を締結していない諸国の中には、こうした点に課題を抱えている場合があるわけでございます。

 こうした観点から、我が国は、国連薬物犯罪事務所、また国際刑事警察機構等が実施主体となるプロジェクトへの拠出を通じまして、特にアジア諸国を中心とするサイバー犯罪対策分野における能力構築支援プロジェクトに力を入れております。

 こうした支援を通じまして、サイバー犯罪対策の重要性に関する共通理解が広まり、そして各国の法執行当局の対処能力が向上することで、サイバー犯罪に関する条約の更なる普及、これにつなげてまいりたいと思っております。

吉田(宣)委員 世界各国、様々な状況があろうかと思います。なかなか体制を整備しようとしても難しい国もあろうかと思います。外務省の方でお力をいただき、そういった国を支援する形で、サイバー犯罪に関する条約の締約国が拡大するように、是非よろしくお願いしたいと思います。

 さて、先月末に、日中防衛当局間ホットラインが、日中双方における器材の設置及び回線の敷設を完了し、設置をされたとお聞きをいたしました。今後、日中防衛当局間において、日中防衛当局間ホットラインの運用が開始することとなります。

 山口那津男公明党代表も、訪中の機会を得るごとに、海空の連絡メカニズムの確立を急ぐべきと中国側に働きかけてきたこともありますが、こうした流れの中でホットラインができたことについて、誠に画期的である、併せて、防衛省の取組に感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、不測の事態を未然に防ぐ本来の役割が果たせるように、意思疎通を密にして、協力の質を高めていただきたく存じますが、最後に、防衛省政務官、今日は、木村政務官、わざわざお忙しいところありがとうございます、お越しいただいておりますので、防衛省政務官から、ホットライン運用への決意をお聞きしたく存じます。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 日中防衛当局間ホットラインの設置は、日中防衛当局間における海空連絡メカニズムの目的である防衛当局間における信頼醸成や不測事態の回避などを図る上で、極めて大きな意義を有するものと考えております。

 本ホットラインは、日中防衛当局間の専用回線であり、確実かつ円滑な通話が可能となります。今後、このホットラインをしっかりと運用することにより、中国側とより緊密な意思疎通を図り、信頼醸成や不測事態の回避に努めてまいります。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 私は、日中関係の信頼関係が継続すること、強まることが国際秩序を維持し、平和の維持につながるというふうに繰り返し言っておりまして、是非、防衛省においても、その旨をお心に留めていただいて、適切な運用、そして日中関係の適切な構築、これに努めていただきたいとお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 おはようございます。立憲民主党の徳永久志です。

 昨日の朝、北朝鮮の弾道ミサイルが発射をされました。北海道近辺に落下するのではということで、Jアラートが鳴り響き、大変緊張の朝でありました。結果的にはそういうことがなかったということでありますけれども、Jアラートの問題はまた別のところでやらせていただくとして、Jアラートが鳴り響いたのは、昨年から、今回二回目ですから、ちょっともう常軌を逸していると言わざるを得ません。

 外務省としてもしっかりとした対応を取っていただいているものとは思いますけれども、通常の、いわゆる北京の大使館ルートを通じて最も強い言葉で非難をしたという対応からやはり一歩踏み込んでいただかなければ、そろそろちょっと、これは我慢の限界を超えているというふうに思うんです。

 その辺り、通告はしておりませんけれども、もし可能であれば、大臣、何か御発言をいただければありがたいのですが。

林国務大臣 先ほどお話がありましたように、詳細は防衛省において現在分析中でございますが、昨日の、四月十三日の七時台に北朝鮮内陸部から、少なくとも一発のICBM級弾道ミサイルの可能性がある弾道ミサイルを高い角度で東方向に向けて発射したと見られます。

 この繰り返される挑発行為、今お話があったとおりでございまして、我が国の安全保障にとっての重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であります。これは関連する安保理決議に違反しておりまして、今おっしゃっていただいたように、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に対しては厳重に抗議し、強く非難をいたしました。

 日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化と同時に、日米韓の戦略的連携、特にその中でも日米間の安保協力、これを一層推進してまいります。

 そして、まさに今週末から主催するG7外相会合においても、連携を確認して、国際社会が一致して、北朝鮮の安保理決議違反を許さない、こういうメッセージを発信していくべく、同志国との連携強化に一層取り組んでまいりたいと思っております。

徳永委員 御答弁ありがとうございます。

 もはや、北朝鮮には、こうしたミサイルを撃って軍事的緊張を高めることによって自らの主張を通そうということは通用しないのだということは、しっかりとやはり分からせる必要があると思いますので、大臣がおっしゃっていただきました日米韓、特に韓国を含めた安全保障対話というのは進めていただいて、さらに、もう一歩踏み込んだ我が国の外交の対応というのを是非期待をしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 まず、本題に入る前に、ミャンマーのことについてお伺いをいたします。

 四月十一日、ミャンマー北部ザガイン地域の村で、民主派組織が事務所の開所式典を行っていたさなかに国軍の戦闘機、軍用ヘリコプターが大規模な空爆を行いました。爆弾を二発投下をし、軍用ヘリからは十五分間にわたって機関銃を撃ち続けたと報じられています。式典には村の住民らも含めて百五十人近くが参加をしていて、子供や妊婦さんを含めて八十人以上の御遺体が確認をされているとも報じられているところであります。

 こうした暴挙について、しっかりと我が国外務省としても対応していただきたいんですが、どのような形をされたのか、大臣に伺います。

林国務大臣 四月十一日でございますが、ミャンマー北西部のザガイン地域カンバル地区におきまして、地元住民が式典を行っている際にミャンマー国軍が空爆を行い、子供を含む多数の民間人が死傷したという報道に接して心を痛めております。

 日本は、一昨年のクーデター発生以来、ミャンマー国軍に対して暴力の停止を一貫して求めてきているにもかかわらず、今次事案を含めて、多くの民間人が死傷する事態が引き続き発生していることを強く非難をいたします。

 四月十二日の官房長官の記者会見でこうした政府の立場を表明したほか、在京ミャンマー大使にも申し入れ、日本政府として、ミャンマー国軍に対して暴力の即時停止等を改めて強く求めたところでございます。

 日本政府として、事態打開に向けて、ミャンマー国軍に対し、暴力の即時停止、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む被拘束者の解放、民主的な政体の早期回復について具体的な行動を取り、ASEANの五つのコンセンサスを早期に履行することによって、平和的な問題解決に真剣に取り組むよう引き続き強く求めてまいります。

徳永委員 状況は本当に悪化しているんですよね。ここは本当に深刻に受け止めていただきたいと思います。

 加えて、私、本委員会で何回か取り上げました、我が国防衛省・自衛隊で教育訓練を受けたミャンマー国軍の軍人がいるわけですよね。これは我が国の税金で教育訓練を行っている。この軍人については、ようやく新規の受入れは禁止をした、ストップをしたということでありますけれども、既にいわゆる卒業をして国に戻っている人がおられるんですね。

 こういう人たちがこの爆撃に参加をしていないということは誰も言い切れないわけですし、そこらあたりの確認もなかなか、本当に取れているのかどうか分からないという状況です。ですから、本当に今の段階では、こうした空爆に我が国防衛省・自衛隊で訓練を受けた軍人が参加をしていないことを祈るだけなんですが、こうしたやり取りについては、本当に大臣も聞いていただいていると思うんです。

 だから、こういうことがあるから、もうやめましょうということを申し上げているわけで、その辺りは、大臣は、感覚的には共有はいただけますか。

林国務大臣 防衛省においてそうした措置を取ったということは、徳永先生とのやり取りにおいて、私もここで聞いておった記憶がございます。

 その後の、卒業生についてはちょっと、何も手元にお答えするようなものを持っておりませんが、そもそも、これを始めたときにこうしたことが目的であったかといえば、それはそうではなかっただろうということは、私も感想としては申し上げることはできるのではないか、こういうふうに思っております。

徳永委員 それで、次の形に行きますけれども、昨年十一月十一日、本委員会で、私はミャンマーへのODAについて取り上げました。

 簡単におさらいをさせていただきますと、二〇一六年に締結した五億円の無償資金協力、経済社会開発計画の下、旅客船三隻を二〇一七年から一九年にかけてミャンマーに供与をしました。その目的は、ミャンマーの水上交通輸送の能力向上のためということであります。ところが、日本が供与した旅客船三隻のうち二隻を、ミャンマー国軍が百人以上の軍人、軍事物資を移送していたとされる問題。NHKでもこれは報道をされているところでもあります。

 この事実関係について本委員会で質問したところ、外務省からは、在ミャンマー日本国大使館からミャンマー当局に対し事実確認を行っているところとの答弁がありました。それ以降、四か月以上が経過をしています。確認は取れたのでしょうか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 前回、委員からの御質問に関しまして、事実関係の確認をする作業をしているとお答えを申し上げたところでございますが、その件につきましては、引き続き、在ミャンマー大使館を通じまして累次にわたる事実関係の確認等を行っているところでございます。

 事件の発生の場所がラカイン州、大使館のあるヤンゴンから離れておりまして、また、現地の治安情勢が悪化していたということもありまして、昨年九月時点の状況についての事実関係の確認等に時間を要しているところでございます。

 できる限り早期の確認等に努めてまいりたいと考えております。

徳永委員 事実関係の確認でしょう。まずはミャンマー当局に対してしっかりと申入れを行って、ミャンマー当局からどういう返答があったのか、そういう部分がまずあっての話ですよね。

 そこらあたりはいかがなんですか。だから、イエスかノーかというのはまず知らないと動けないですよね。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の報道があって以降、今委員御指摘のとおり、在ミャンマーの丸山大使の方からミャンマー政府に対して直ちに申入れを行いまして、引き続き、その後もやり取りを続けているところでございます。

徳永委員 やり取りを続けていて、ミャンマー当局は、そういう事実があった、あるいはなかった、そういう返答もないということですか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 やり取りは続けております。ただ、やり取りの内容については、外交上のやり取りですので、この場でお示しすることはできませんけれども、この委員会の場でも累次御指摘を受けておりますので、できる限り早く事実関係等の確認を行いまして、確認でき次第、外務省として速やかに公表することを考えております。

徳永委員 外交上のやり取りは出せないというのは分からないでもないですが、要は、軍事転用されたのではないかということが疑念を持たれているわけですよね。

 我が国のODAは軍事転用はしないということが大綱等でも定められているし、今般改定をされる大綱でもその基本ラインは変えないということですから、しかも、軍事転用してはいけないのだということは、ミャンマー政府も十分に分かった上で供与を受けているわけですよね。そうしたら、そこの一番の根本的なラインが疑われているわけですから、そこは、外交上のやり取りだからお答えできません云々ではちょっと通用しないんじゃないですか、そこで口を閉ざすということは。根本的なラインが守られているかどうかという確認はできますかということを言っているんです。

 もう一度しっかりと答えてください。

北村政府参考人 繰り返しになりますけれども、まさに今先生御指摘の軍事転用がなされているかどうかという点も含めまして、事実関係の確認等を現在進めているところでございます。確認が取れ次第、速やかに政府として明らかにしたいと考えております。

徳永委員 それは、もしかしたら、ミャンマー政府から何も返答がなくて、ミャンマーの我が国の大使館の方々が現地に行って、そういう事情を調査をしているということなんですか。自ら調査をして、軍事転用があったか否かというのを確認をしているということで、では、ミャンマー政府からは何もそういったことは得られていないという理解でいいんですか。

北村政府参考人 お答えします。

 政府との間では、先ほど申し上げましたように、報道直後に丸山在ミャンマー大使の方から運輸・通信省、投資・対外経済関係省、外務省等に対してハイレベルで申入れを行い、引き続きやり取りを続けているところでございます。

 また、それに加えまして、先ほど申し上げましたように、現地の治安情勢、これがなかなか難しいものでございましたので、大使館員としても近づけないところでございましたけれども、三月に現地に行って調査も行っているところでございます。

 そういう総合的な調査の結果、事実関係の確認等の結果を踏まえた上で、確認が取れ次第、政府として明らかにしたいと考えておるところでございます。

徳永委員 そうやって高いレベルで申入れをしているということ、話合いをしているというのはよく分かりました。要は、やったかどうかという確認をまず取るのが先でしょうという話です。

 報じられていることが事実だとするならば、百人の軍人と軍事物資が動いているわけですよ。これは、ちょっと、何か早まって何人かの軍人さんがその船に乗っちゃったとか、そういうレベルの話じゃないでしょう、百人の軍人と軍事物資が動くんだから。軍組織の決定がなされるから、こういうことが行われるわけですよね。ということは、そこが正直に答えられるかどうかという話だけなんじゃないんですか。

北村政府参考人 お答えします。

 先ほど申し上げましたとおり、三月になって治安状況が改善したことを踏まえまして、在ミャンマー大使館員が現地に赴いて、供与した三隻の船がシットウェ港というところに停泊しているということは確認はできております。

 ただ、当該船舶が軍事利用されたかどうか、昨年九月の時点でされたかどうかという点については、引き続き事実関係の確認等を行っているところでございます。

徳永委員 これは、もう四か月たっているんですよ、質問をして。引き続きやりますということですけれども、はい、分かりましたとなかなかならないですよ。

 何でミャンマーに対してはこういう対応をされるんですか。源馬先生の質問の橋梁工事のことについても、何かうやむやうやむやしているだけですよね。もっとしっかりと、毅然とした対応を是非求めたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 今、事務方から答弁いたしましたように、治安情勢もあって、御質問いただいてすぐ現地に行くということはできなかったわけですが、やっとこの三月初めに現地に行って、供与した船舶の確認というところまでできたということでございます。

 引き続き、なるべく早期にこの事実確認ができるようにやってまいりたいと思っております。

徳永委員 昨年十一月十一日の質問のときも、最後に大臣に御見解を賜ったときも、同じように、なるべく早期にとおっしゃったわけですから、本当にちょっと督励をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、本題に入ります。

 まず、サイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書について伺います。

 本条約につきましては、各国と協調したサイバー犯罪対策の一層の強化に向けた強い決意を内外に示すという意味合いにおいても、評価をさせていただきたいと思います。

 ところで、二〇一五年に日本年金機構から百万件を超える個人情報が流出した事件がありました。このとき使用されたウイルスを添付した電子メールによる攻撃は、世界各地のサーバーを複数中継していたために、国外と思われる犯行元を特定することができなかったとされています。

 本条約が締結されれば、こうしたサイバー犯罪の捜査、追跡にプラスになるということは理解をするものですが、一方で、各国の市民団体からは、こうした他国からの情報開示要請が自国におけるデータ保護、プライバシー基準と適合したものなのかという懸念が示されているというふうに伺っております。

 具体的には、EUや米国などの市民団体が、本条約締結によって、個人情報保護のレベルが低い締約国の法執行機関への個人情報の開示が認められるのではないか、自国で講じられている個人情報保護の措置が損なわれる危険性があるというふうに指摘があるところでもあります。

 そこで、本条約の締結によって自国の個人情報保護の措置のレベルが低下するとの懸念についてどのように対応されるのか、また、日本でも個人情報保護のレベルが低下するとの懸念が現実となる可能性というのはどれぐらいあるのかという部分についてお答え願います。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 本議定書には、個人情報の適正な取扱いに関連する規定がございまして、例えば、第六条に規定するドメイン名の登録情報の開示を認めるための措置は、国内法令に定める合理的な条件に従うものとされておりまして、我が国のドメイン名登録事業者は、我が国の個人情報の保護に関する法律に基づく条件に従って情報を開示することができる、このようになってございます。

 また、第十四条におきましては、各締約国が、本議定書に基づきまして他の締約国から受領した個人情報について、当該他の締約国において適正に取扱いがされるように保障措置を取ることを求める規定が置かれているところでございます。

 このように、我が国から他の締約国に提供された個人情報は適正に取り扱われるよう確保されておりまして、懸念には当たらないと考えているところでございます。

徳永委員 懸念には当たらないというお言葉に込められていると思いますので、是非しっかりとした取組をお願いしたいと思います。

 じゃ、続きまして、日米宇宙協力に関する枠組み協定について伺っていきます。

 本協定につきましては、新規の協力案件のたびごとに閣議承認などが必要であったものが、その手続が簡素化が図られること、JAXAを実施機関として指定したこと、国際法に準拠することが明記されて日米の公平性が確保されたこと、関税免除を含む宇宙協力の基本条件が明確化されたことを高く評価をさせていただきたいと思います。

 その上で、アルテミス計画は、アメリカがアポロ計画以上に強く推進をしている国家プロジェクトであると理解をしています。アポロ計画はまさに月面着陸そのものが大事業だったわけですけれども、アルテミス計画はそれにとどまるものではないと思います。

 日米宇宙飛行士による月面活動等々がうたわれていますが、そこで一つ、細かいことですが、お聞きしたいのは、ここに、資源の探索、いわゆる宇宙空間における資源の探索というような活動も含まれているんでしょうか。文科省、お願いします。

永井政府参考人 お答え申し上げます。

 アルテミス計画においては、月での資源探査に向けた計画を進めております。

 米国では、月面の資源探査、資源状況の把握及び資源の加工、貯蔵、利用に関する技術開発を行っておりまして、二〇二〇年代半ばから、まずは月面資源の状況を把握する計画が進められております。

 また、我が国におきましては、アルテミス計画に向けて、インドとの国際協力の下、月極域における水の存在量と資源としての利用可能性の確認を目的として、月極域探査計画を進めております。

 文科省といたしましては、引き続き各国と連携しながら取組を推進していきたい、そのように考えております。

徳永委員 資源の探索も活動の中に一環として入るのだということであります。

 そこで、宇宙条約では、いかなる国も月その他の天体を取得してはならない、だから、この天体は我が国の領土であるなんということはやっちゃいけないんだというふうに定められています。

 そこで、宇宙空間の天然資源の取得について、国際法的な枠組みというのは存在するんでしょうか。外務省に伺います。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 宇宙資源の所有に関する国際的な法的枠組みが確立されているとは考えていないところでございます。

 我が国も締結しております宇宙条約は、月その他の天体を含む宇宙空間が国家による取得の対象とならない旨規定しているところでございますが、宇宙資源の所有について明示的に禁止する規定はなく、広く宇宙活動の自由を認めている同条約の趣旨に鑑みれば、天体から採取した宇宙資源の所有は許容されていると理解しているところでございます。

徳永委員 そこで、中国も、月探査プロジェクトを実施して、月面基地の建設、月面での長期滞在、資源探索を目指していると報じられています。これは、進捗状況というのは、どういうふうにいっているのか、何か把握をしておられますでしょうか。文科省、お願いします。

永井政府参考人 お答えいたします。

 中国では、二〇〇七年から二〇二〇年にかけて、嫦娥と呼ばれる月探査ミッションが実施されておりまして、月周回、月軟着陸、月の岩石のサンプルリターンに成功をしております。

 また、今後、二〇三〇年までの間に更に三件の嫦娥ミッションを予定しており、月裏側からのサンプルリターン、月南極付近の資源探査、月面資源利用の実証や、二〇三〇年代の国際月面科学研究ステーション建設に向けて酸素生成技術の実証等を計画している、そのように聞いております。

徳永委員 中国の月探査プロジェクトというのはある意味中国一国でやっているわけで、今回の我々が参加をするアルテミス計画は、ある意味二十か国以上が入っていますので、かなり優位性はあるのではないかと私なりに推測をしますが、でも中国ですから、やはり、その資金力も含めて、これから一層スピードアップをした取組がなされるものと推測をします。

 そうした中でいくと、月の資源開発、採掘した資源の所有をどのようにしていくのかについて、早急に国際的な法的枠組みを確立すべきではないかと思っているんです。万一、中国に先を越されて、月や宇宙空間の資源は早い者勝ち、見つけた者勝ちになったら、ちょっとこれは目も当てられないというふうに思うんです。

 かつて、十九世紀、二十世紀に植民地獲得競争が行われて、後進国の資源が収奪されてきたという歴史もあるわけでありまして、また、宇宙にこれから進出しようという後発国との不公平感もまた出てくるわけですので、これは、宇宙の資源をどう扱っていくのかについて決めていかないと、資金力とかそういった技術力のある国が早い者勝ちになってくると、また、国際社会の分断とか、あるいは資源の収奪といったものが行われるということは大変危惧をするものです。

 まずは、こうした宇宙資源の所有についての国際法的な枠組みを早急に確立すべきとの意見について、大臣の見解を賜りたいと存じます。

林国務大臣 我が国は、宇宙空間の持続的かつ安定的な利用の確保を重視をしておりまして、今御指摘のあった宇宙資源の取得につきましても、中ロも参加する国連宇宙空間平和利用委員会における議論を始め、積極的に関与してきております。

 引き続き、米国等々の関係国と連携しつつ、今お話のありましたような宇宙資源の取得に関する国際的なルール作り、これを推進してまいりたいと思っております。

徳永委員 多分、この分野の技術革新というのはすさまじいものがあると思いますので、是非それに後れを取らないような、スピードアップした取組をお願いしたいと存じます。

 ちょっと脇道にそれますけれども、せっかくこれだけの大計画に日本が、それこそ巨額の税金も投じながら参画をするわけですから、是非、日本人飛行士には月面に降り立ってほしいんです。そのことがやはり日本国民も非常に沸き立つものがあるというふうに思いますが、ただ、これは誰も彼もが行けるわけではなくて、この計画そのものへの貢献度とか様々な基準があるようなんですが、漠とした問いで恐縮ですけれども、本当に日本人飛行士が月面着陸できますか。

永井政府参考人 お答えいたします。

 アルテミス計画におきましては、我が国の強みを生かした分野で戦略的に参画をすることとしておりまして、日本人宇宙飛行士の月面着陸に向けた貢献として、月面探査活動に必要な有人与圧ローバーの開発、また、月面データの共有等を行うこととしてございます。

 文科省としては、引き続き、日本人宇宙飛行士の月面着陸の実現に向けて、有人与圧ローバーの開発を始めとした取組を進めるとともに、米国との調整をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

徳永委員 日本人飛行士が月面に降り立つことを私も夢見ておりますので、是非その方向でお取組を強めていただきたいと思います。

 次に、二国間航空協定に関する日・EU協定について伺っていきます。

 本協定については、既存の二国間航空協定を日本とEUの航空関係の現状を踏まえた内容にするものであって、特段の問題はないものと考えています。その上で、以下お尋ねをいたします。

 昨年、二〇二二年十月、EUとASEANが包括的な地域間航空協定を締結をしました。この地域間包括協定で注目したいのは、貨物便に関して、基本的に制約なしに以遠権を行使できる内容が盛り込まれたということであります。

 以遠権とは、海外の航空機が自国に到着した後、更に第三国へ運航ができる権利のこと。例えば、A国からB国に到着した航空機が、更にC国へ向け、B国からC国だけの区間の旅客も乗せて運航ができることとされています。

 そこで、ちょっと技術的なことをお尋ねします。日本は、EU構成国のうち十三か国と二国間航空協定を結んでいますが、以遠権が入っているのは何か国か、外務省、お尋ねします。

中込政府参考人 お答えいたします。

 我が国がEU構成国との間で締結しております十三の二国間航空協定におきましては、相手側の締約国から更に以遠の地点への運航が十二の協定において認められているということでございます。

徳永委員 十三のうち十二認められているということであります。

 ちなみに、ASEAN加盟国のうち何か国と以遠権が入っている航空協定を結ばれていますか。

實生政府参考人 お答えいたします。

 我が国がASEAN十か国との間で締結している二国間航空協定においては、八か国との協定において、相手側の締約国から更に以遠の地点への運航が認められております。

徳永委員 EUとの航空協定を結んでいる十三のうち十二、ASEANでは十のうち八。ですから、大方の航空協定においてこの以遠権というのが認められているということです。

 そこで、その以遠権の中身なんですけれども、これは、成田空港が以遠の制限がかけられている。成田空港を除いて以遠権という形になっていますよね。これは、なぜこのようになっているのか、国交省、お願いします。

大沼政府参考人 お答え申し上げます。

 成田空港につきましては、平成二十五年の三月に、年間発着枠がそれまでの二十二万回から二十七万回に増加いたしました。これを契機に、国際航空の分野で我が国もオープンスカイを推進しよう、そういうことになったわけでございます。

 それまでは、成田空港は発着枠に限りがある、こういう状況がございましたので、先生御指摘の以遠権のみならず、そもそもの相手の国との行き来、これは第三の自由と第四の自由、もう先生御承知だと思いますので省略いたしますが、これも含めて制限的な運用をしていたところでございます。

 それで、オープンスカイを推進するという方針を立てたときに、まず第三、第四、相手の国との行き来の自由化、これをまず最初にやりましょう、その次に、先生御指摘の第五の自由まで自由化の対象を広げていきましょう、こういうステップを踏みましょう、そういう方針を打ち立てたというところでございます。ですから、まずこの順番の問題がございます。

 それで、現在ですけれども、平成二十五年に打ち立ててから、幾度も各国と航空交渉を重ねてございます。この個別の交渉で、成田空港についての以遠権の扱いについても、旅客便、貨物便の双方について柔軟に設定していこうという方針で努めているところでございまして、引き続き、この二国間の協議を通じて成田空港における航空ネットワークの拡充に努めていきたい、こういうことでございます。

徳永委員 御説明をいただきました。

 ただ、アメリカとの間では成田空港を含む以遠権ですよね。アメリカとは成田空港を含むんです。それ以外はなかなか、段階を追って対象に入れていくんだというような答弁でしたので、これはちょっと早めていただかないと、せっかくASEANの大半とEUの大半と以遠権があるのに、首都圏空港がその対象となっていないということについては、これはかなり後れを取るのではないかというふうに思います。

 やはり成田空港を含めた以遠権の実現というのは、今後の日本の航空政策の一つの大きな課題だというふうに思っているところであります。特に、コロナの後、活発化する航空需要をしっかりと享受する、また、中長期的には、世界経済の成長センターとしてのインド太平洋地域での中核となるためにも、アメリカ、日本、ASEAN、EUという世界の経済の大動脈を、今まで以上に緊密な航空ネットワークを構築する必要があるというふうに思うんです。

 その辺りについて、国交省はトータルでどのように考えておられるのか、お聞きします。

大沼政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国と海外との航空ネットワークの拡充を通じて、委員御指摘のように、こういう拡充を通じてビジネスや観光などの国際的な交流を活発化させていくということが我が国の社会経済活動の活性化を図っていくために重要だ、こういうふうに私どもは認識しているところでございます。

 したがいまして、釈迦に説法かもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、我々は、国際線の就航に関して、航空会社がそれぞれの判断で、需要に応じて弾力的に新規路線の開設や増便を行うことができる航空の自由化、いわゆるオープンスカイ、こういう方針を推進しようということでございまして、こういう枠組みをこれまでに三十五の国、地域との間で協定を結ぶ形で実現しているところでございます。

 今後とも、委員御指摘のところも踏まえまして、諸外国との間でこのポリシーを推進して、我が国と海外との航空ネットワークの拡充に取り組んでいきたい、これが私どもの考えているところでございます。

徳永委員 いわゆるアジア・ゲートウェイとか、いろいろとありますけれども、そういった中でいくと、韓国の仁川、シンガポール、香港にかなり先行されているということを言われて久しいわけですから、これもまたスピード感を持って対応していただかないと、ふと気づくと取り残されてしまっているということにもなりかねませんので、是非、今回のこうした航空協定締結も一つの契機としていただいて、前へ進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 まず、案件に入る前に、ちょうどせんだって四月五日に開発協力大綱の案文が出ましたので、それについて幾つか質問をさせていただきます。

 今回、私もこの案文を熟読させてもらいましたけれども、非常にコンパクトにまとまっていて、いいのかなというふうに思っていますけれども、やはり若干、幾つかどうなのかなという面もございますので、質問させていただきます。

 まず、これは、今、案文が出されまして、パブリックコメントを募集しているというところだと思いますけれども、また、外務省のホームページを見ましたら、今後、意見交換もオンラインを含めて四回ほど開催するというふうにも出ていますけれども、もちろん、そういったパブリックコメントや意見交換会を踏まえて、この案は、今後、正式な決定に向けてには若干変わっていくというような認識でまずはよろしいでしょうか、参考人にお伺いいたします。

北村政府参考人 お答えします。

 委員今御指摘のとおり、現在、開発協力大綱のパブリックコメントを四月五日から五月四日までの三十日間の予定で実施しているところでございます。

 また、昨年九月に大綱の改定を発表して以降ですけれども、これまでに七回にわたりまして、有識者懇談会に加えて、日本各地及びオンラインでの意見交換会を開催してきているところでございます。

 それに加えて、今まさに委員が御指摘いただきましたとおり、今後四回ほどの意見交換会を実施予定でございまして、今、その参加をホームページを通じて募集しているところでございます。

 パブリックコメントの意見、あるいは意見交換会で寄せられた意見につきましては、それを踏まえながら新たな開発協力大綱を作り上げていきたいと考えているところでございます。

青山(大)委員 では、そういった意見を踏まえて、四月五日に出た案も最終に向けて若干直していくというような認識でよろしいですね。

北村政府参考人 お答えします。

 まさに、今パブリックコメントを行っているところ、あるいは今後意見交換会を行っていくところでございますので、そこで出された意見の内容を踏まえながら検討させていただくということでございます。

青山(大)委員 この後私も幾つか少し指摘をさせていただきますので、この外務委員会の意見も是非踏まえながら、最終に向けて若干手直ししてほしいなと思います。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、これは、元々、今年上旬に新たな開発大綱をまとめようということで昨年からやられたと思うんですけれども、ちょうど五月にG7も行うわけですから、そういったG7の場で発表できるようなスケジュールをお考えなんでしょうか、お伺いいたします。

林国務大臣 今申し上げたようなスケジュールで意見交換会もまたやっていく、こういうこともございまして、現時点で策定の具体的なタイミングについて確定的なことは申し上げられないわけでございますが、我が国がG7議長国を務めているということも念頭に置きながら、本年前半をめどに新たな大綱を策定していきたいと思っております。

青山(大)委員 今までの答弁と一緒だったので、いいんですけれども。

 あと、私は、これは通告には言っていなかったんですけれども、ちょうど四月五日に、開発協力大綱の案が発表された同じ日に、政府安全保障能力強化支援、OSAですか、そういった実施方針も発表されたんです。

 あくまでODAとOSAは別物であるというふうにこれまで政府の方からも何度も聞いているんですけれども、海外から見た場合、日本がODAのこれまでの政策を大きく転換したんじゃないか、そういった誤解をされるおそれもあるのかなと思うんです。

 確認ですけれども、ODAとOSAは全く別物ということの確認と、また、たまたま四月五日に同時に発表されたというのは特段何か意味があったんでしょうかということを大臣にお伺いしたいんですけれども、よろしいでしょうか。

林国務大臣 OSAでございますが、これは、開発途上国の経済社会開発を主たる目的とするODAとは別に、同志国の安全保障上の能力、抑止力の強化、これを目的とする支援枠組みを新たに導入するということで、ODAとは全く異なるものであるということは申し上げておきたいと思います。

青山(大)委員 ただ、昨年末に閣議決定された国家安全保障戦略のところにも、ODAの戦略的活用という項目の中にODAのことが書かれておりまして、その次に、いわゆるOSAのこともちゃらちゃら書かれているんですけれども、やはり、今大臣がおっしゃったように、別物ということはきちっとこれからも丁寧に丁寧に発信していくことが私は大切なんだと思いますし、そういう中で、何でわざわざ開発大綱案とOSAの実施方針を一緒の時期に発表したのかなというのは、ちょっと私はそこは疑問に思ったので、指摘させていただきます。

 あと、大臣は先ほど、大綱の決定時期は今年上旬とおっしゃいましたけれども、せっかくですので、いろいろな意見を踏まえた上で、G7で発表できるようにと私は思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 では、具体的に質問させていただきます。

 お手元にも、外務省のホームページに掲載されている、四月五日に発表された開発協力大綱の案を配付させてもらいましたけれども、一番目の「基本的考え方」、もちろんこれが一番大切であることは言うまでもありませんけれども、この(1)のところを見てみますと、黄色く塗っていますけれども、「今やグローバリゼーションと相互依存が国際社会の平和と発展につながるという考えの限界がますます明らかになった。」というふうに書かれております。

 「(3)今日、国際社会は、複合的危機の克服のため、価値観の相違、利害の衝突等を乗り越えて協力することをかつてないほど求められている。」というふうに記述されていますけれども、当然、グローバリゼーションと相互依存が国際社会の平和と発展につながるということを、私はここはしっかり日本としてうたうべきだと思いますし、わざわざ基本的考え方の一番最初に、そういう考えの限界が明らかになったと書く必要があるのかなと、私は正直そう思いました。

 むしろ、グローバリゼーションと相互依存が国際社会の平和と発展につながる、そういう考えの下、さっきの(3)に書いてあるような、価値観の相違や利害の衝突を乗り越えて協力することがかつてないほど求められている、やはりそれが私は日本のODAの目指す道だと思いますけれども、いかがでしょうか、お伺いいたします。

北村政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の1の(1)でございます。ここは、地政学的競争を始めとします世界情勢の変化が、グローバリゼーションと相互依存が進めば国際社会には平和と発展がおのずと訪れるわけではないということを示したものでございます。

 同時に、これも委員御指摘のとおりでございますが、(3)のところで、気候変動、感染症、人道危機、あるいはエネルギー、食料危機といった複合的危機は、いずれも国境を越えて国際社会の平和と発展を脅かしている、その対応には今まで以上に価値観や利害の相違を乗り越えた各国の協力が必要だという認識を示したもので、こういう現状認識自体は、昨年十二月に改定されました国家安全保障戦略においても示されているところでございます。

青山(大)委員 まさに今御答弁があったように、グローバリゼーションは所与のものとして、結果として生じる地球規模の課題に取り組む、国際社会の平和と繁栄を希求していくというのが基本的考え方でございます。平和と発展につながるという考えが限界を迎えていると自己否定するかのような認識をあえて前文に書くのはいかがなものか。

 やはり、日本として、相互依存、資源に乏しく食料自給率も著しく低い我が国は、一国平和主義に陥らずに、諸外国との相互依存関係を堅持してこそ平和と発展が実現できるということは言うまでもないです。ここの一番の「基本的考え方」、この部分については是非、改めて最終決定に向けて少し直してほしいなということをまずは指摘をさせていただきます。

 もし、参考人の方で何かございましたら。

北村政府参考人 お答えします。

 委員の御指摘を受け止めたいと思います。

 その上で、繰り返しになりますけれども、冒頭部分でこういう情勢認識を示すということ自体、ここの全体の流れ自体は、昨年十二月に改定されました国家安全保障戦略を踏まえたものでございまして、また、そういう基本的な考え方に至る前にこういう情勢認識を書くということは、現在、二〇一五年に公表された現大綱においても行っているところでございます。

青山(大)委員 私としては、むしろ最初の基本的考え方に入れてほしいと思うのは、三ページの「3.基本方針」、この中の「(1)平和と繁栄への貢献」の中で、「非軍事的協力によって開発途上国の開発課題や人類共通の地球規模課題の解決に貢献してきた」その次が大事ですね、「我が国の開発協力は、国際社会の平和と繁栄を誠実に希求する平和国家としての我が国に最もふさわしい国際貢献の一つである。」やはりここの部分を、むしろ私としては、開発大綱の基本的考え方、前文の方に入れるべきじゃないかな、そういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか、お伺いいたします。

北村政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、現在の大綱におきましても、冒頭で現在の大綱のよって立つところの情勢認識を記載しているところでございまして、今回も、新しい大綱案におきましては、そういう現状認識をまずは冒頭で示させていただいているところでございます。

 その上で、今委員御指摘の部分、すなわち、非軍事的協力によります我が国の開発協力が国際社会の平和と繁栄を誠実に希求する平和国家としての我が国に最もふさわしい国際貢献の一つである、こういう認識につきましては、まさに、今回の大綱案においても、我が国の開発協力のよって立つ基本方針のまず第一番目として掲げさせていただいているところでございます。

 新しい大綱の下でも、もちろん、開発協力を通じまして、国際社会の平和と繁栄を確保するために積極的に貢献していく考えでございます。

青山(大)委員 では、次の質問に行きます。

 四ページ目ですけれども、二番目、「重点政策」ということで、開発協力は重点政策に取り組むということで、今後、開発協力大綱が閣議決定された後に、多分、実施方針をこれから別途定めていくと思うんですけれども、今回の改正大綱に基づく実施方針は、大綱決定後いつぐらいに策定されるのか、そのスケジュール感をお伺いいたします。

北村政府参考人 お答えいたします。

 委員の御質問の前提として、まず、新たな開発協力大綱におきましては、同じ四ページ目でございますけれども、重点政策として三つの政策を掲げているところでございます。すなわち、新しい時代の質の高い成長とそれを通じた貧困削減。次に、平和、安全、安定な社会の実現、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化。そして、複雑化、深刻化する地球規模課題への国際的取組の主導。この三つでございます。その上で、この政策を戦略的、効果的、機動的に実施するために、今委員が御指摘の地域別、国別開発協力方針を別途定めることとしているところでございます。

 策定の時期につきましては現時点で確たることを申し上げることはできませんけれども、大綱が策定された後に速やかに定めるべく、現在作業をしているところでございます。

青山(大)委員 OSA、政府安全保障能力強化支援については、せんだって実施方針が明示されたわけでございますので、もちろん開発協力大綱の方は全然歴史も額も違いますけれども、新たな大綱ができ次第、速やかに方針を作ってほしいなと思うんですね。

 昨年九月、今回、八年ぶりに開発協力大綱を改定する要因には、外務省のホームページを見ますと、「大きな情勢の変化を踏まえ、時代に即した形で開発協力の在り方をアップデートし、一層効果的・戦略的に実施するため、」大綱を変えるんだというふうに明記されていましたので、是非、新たな開発協力大綱ができ次第、それをしっかり実施するべく、方針をすぐに作ってほしいなということを指摘させていただきます。

 次の質問に行きます。

 八ページなんですけれども、上の部分ですね、八ページ五行目ですけれども、今回、この新たな開発大綱の案を見ますと、開発のプラットフォームという言葉、ワードが出てくるんですけれども、この開発のプラットフォームという言葉の定義はどういった意味なんでしょうか、お伺いいたします。

北村政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の八ページ目、念のためもう一度読ませていただきますけれども、新たな開発大綱におきましては、開発課題の設定を行うとともに、開発途上国を中核に置きつつ、様々な主体、具体的には民間企業とか公的金融機関、国際機関、市民社会などでございますけれども、そういう様々な主体を巻き込んだ開発のプラットフォームを形成、活用していくということが期待されているところでございます。

 ここで言う開発のプラットフォームといいますのは、共通の目的の下に、様々な主体がその強みを持ち寄って、対話と協働によって解決策を共に創り出していく、共に創り出すということで共創という言葉を使わせていただいていますけれども、共創を行う様々な場を念頭に置いているものでございます。

 ここに書いてありますこと以外には、例えばODAのタスクフォースとか、あるいは二国間の政策協議、そういったものもこういう様々な場、プラットフォームに含まれるところでございます。

青山(大)委員 この八ページの文章を見ると、開発途上国を中核に置きつつというのがあったので、どういうものかなと思ったんですけれども、今御答弁があったように、これまでのODAタスクフォースも当然そこに含まれるというような認識で一応よろしいのかということと、開発途上国を中核に置きつつとありますけれども、開発のプラットフォームにおいて中核にとは、どんな役割を開発途上国に想定しているのかも改めてお伺いいたします。

北村政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のODAタスクフォース、先ほど申し上げましたとおり、二国間で行っております様々な政策協議、そういうものもこの開発のプラットフォームには含まれるところでございます。

 その上で、開発途上国を中核に置きつつということの趣旨でございますけれども、これは、これまでも繰り返し日本のODAの理念として言ってきておりますが、開発協力自体はあくまでも開発途上国の経済社会発展、開発を目的とするものでございますので、様々な主体との連携を強化しつつも、やはりその中心として開発途上国の自助努力あるいは自主的な発展というものを第一に考えて進めていく、そういう意味でここでは、中核に置きつつという表現を使わせていただいているところでございます。

青山(大)委員 是非、開発途上国の、これは国になっていますけれども、相手国の政府以外の主体も意見を表明できるような枠組みも、そこも含めてお願いいたします。

 次なんですけれども、十ページ、「(2)戦略性の一層の強化」の「ア 政策と実施の一貫性の強化」の(ウ)ですね。

 これは、先月も私はこの外務委員会で質問したんですけれども、これまで、それぞれの事業レベルではしっかり評価とかがなされて報告されているんですけれども、既存の開発協力大綱に沿って政策レベルでどういった成果とか効果が出ているのか、そういった全体のフィードバックが余りないのではないかということを、先月、この外務委員会でも指摘をさせていただきました。

 そういう中で、今回、(ウ)の中で、「政策や事業レベルで開発協力の成果・効果を設定した上で、」と、政策というワードが入ってもらって、またその次も、「評価結果を政策決定過程や」というふうに、事業以外、政策全般というワードを入れてもらったことは大変評価をしているんですけれども、今後、新たな開発協力大綱においては、いわゆる最後の十四ページ、十四ページの一番最後に、「4.開発協力大綱の実施状況に関する報告 毎年閣議報告される「開発協力白書」において本大綱の実施状況を明らかにする。」

 これまでは個別の事業の報告はされておったんですけれども、全体的に、開発協力大綱に沿って、それがどの程度実現できるかというフィードバックがなかったように思います。今後は、開発協力白書において政策レベルでのフィードバックも適時実施していくというような認識でよろしいでしょうか、お伺いいたします。

北村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の十ページのアの部分でございますけれども、ここは、開発協力の政策立案、実施、評価、改善といういわゆるPDCAサイクル、これにおきましては、委員御指摘のとおり、政策や事業レベルでの開発協力の成果、効果、いわゆるアウトカム、それを設定した上で、定量的なデータも用いて適切に評価を行うということを記載したものでございます。

 具体的には、政策評価法に基づきます事前評価に加えまして、事後のODA評価ということで、ODAの実施状況とその効果を確認するということをやっておりまして、その評価結果を政策の決定過程や事業実施過程に適切にフィードバックしていくということを念頭に置いているところでございます。

 その上で、今委員御指摘の一番最後の十四ページの記述自体は、実は現在のODA大綱にも入っておりまして、こういう評価の重要性、これは比べていただくと分かるかと思うんですが、評価に関する分量というのは、現在の大綱と比べてかなり手厚くしているところでございます。

 その上で、そうした評価とは別に、大綱全体の実施状況につきましては、毎年閣議報告されます開発協力白書において引き続き報告を行うということを考えているところでございます。

青山(大)委員 先月の委員会でも指摘したんですけれども、今回の大綱の改定も、何か無理やり、変えることが前提で変えようみたいな感じの中で、現大綱を急に評価、フィードバックしたような嫌いがあったんですね。じゃなくて、常に大綱との一体性も適時評価する中で、時代に応じて開発協力大綱の改正が必要になったらまた変えていこう、そのためにも是非、事業レベルだけじゃなくて、全体のフィードバックも適時してほしいなということを質問させていただきました。是非そちらの方はお願いいたします。

 最後に、十三ページ、「3.実施体制・基盤の強化」の「(1)実施体制」の部分なんですけれども、「外務省を中核とした関係府省庁間の連携を強化する。」とあるんですけれども、ここはやはり、内閣総理大臣又は内閣官房長官がヘッドになって、省庁横断的な会議を私は内閣府で本来は行っていくのかなと思うんですけれども、あえて外務省としたのにはどういった意図があるんでしょうか、お伺いいたします。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の開発協力大綱は、いわゆる開発協力に関するものでございますので、これは、外務省の所掌事務としまして、外務省設置法におきまして、「政府開発援助全体に共通する方針に関する関係行政機関の行う企画の調整に関すること。」ということが定められております。それで現在も外務省が開発協力政策の企画立案の調整を担っている、そういうことを踏まえたものでございまして、現大綱にも同じような記述がございます。それをここにも記載をさせていただいたところでございます。

青山(大)委員 今後、ODAも省庁をまたがっていろいろな連携が更に必要になってくると思いますので、そこを外務省とした以上は、しっかりと他省庁とも連携を図ってほしいなということを指摘させてもらって、開発協力大綱案についての質問は一旦終わりにいたします。

 是非、大臣、冒頭に言ったように、まさかこの案がそのまま閣議決定されないように、今後、パブリックコメントやいろいろな意見交換をする中を踏まえた上で、直した上で、是非新たな大綱を作ってほしいなということを重ねて要望させていただきます。

 今回、案件の中で、平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定の締結についてという案件がございますので、宇宙に関することを少し質問させていただきます。

 先ほども徳永委員の方からも日本人宇宙飛行士の話がございましたけれども、ちょうど先般、JAXAの宇宙飛行士が二名選ばれましたけれども、私の高校の先輩でございまして、妹さんは同級生でございまして、是非何とか宇宙飛行をしてほしいなという期待が地元は高まっています。

 ただ、やはり、夢としては日本製の有人宇宙船で行ってほしいなと思うんですけれども、今現在、日本製の有人ロケットの開発計画や目標は今のところ持っていないというふうに聞いていますけれども、日本として、科学技術立国、技術安全保障の観点から、本当にそれでいいのかという疑問も持っております。

 有人ロケットの実用化には五年や十年の時間がかかると言われております。五年後、十年後を見据え、本格的な研究に着手するような必要とか考えはないのか、政府にお伺いします。

永井政府参考人 お答えいたします。

 現段階では、我が国は、独自の有人宇宙船によって日本人宇宙飛行士を月周回有人拠点、ゲートウェイや、月面などに輸送する計画はございませんが、有人宇宙活動は、国際宇宙ステーションを含む地球低軌道から月へと広がりを見せております。そのための国際協力における各極との分担の下で実施しているという状況でございます。

 我が国といたしましては、将来の有人宇宙活動にとって意義のある取組が進められるよう、アルテミス計画における月周回有人拠点、ゲートウェイの環境制御や生命維持に関する機器提供、また、居住機能を有する月面探査車、有人与圧ローバーの開発等を通じて、引き続き、重要な技術を獲得、蓄積してまいりたい、そのように考えております。

青山(大)委員 はい、分かりました。

 包括協定ですけれども、これまでアメリカと必要に応じて協定を締結していたのに、今回は包括的な協定を締結するということですけれども、これによって、アメリカの計画に縛られて、日本の独自性が失われてしまうんじゃないか、そういった危惧もなされています。そういったことはないのか、さらに、今回の締結の意義について改めてお伺いします。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の宇宙政策は、宇宙開発戦略推進本部が、宇宙基本法に基づき、宇宙の開発や利用を総合的、計画的に進めるために策定した宇宙基本計画に基づいておりまして、国際的な協力による宇宙開発も、この宇宙基本計画を踏まえて計画、実施してきているところでございます。

 本協定は、日米間で個別の宇宙協力を実施するに当たっては、当該協力を行う実施機関が作成する実施取決めを、日米政府それぞれが承認し又は確認する仕組みを規定しておりまして、我が国が当該協力を実施することが不適当と判断する場合には、当該協力には参加しないこととなります。

 したがいまして、本協定により我が国の宇宙政策が自律的でなくなることはなく、日米間の宇宙協力に関する基本事項を定める本協定が締結されることで、今後の様々な協力を実施するための手続が迅速化し、ひいては協力も効率化することが期待される、このように考えているところでございます。

青山(大)委員 分かりました。

 先ほど徳永委員の方からも月の資源の話があったんですけれども、日本人が月の縦穴を発見したんですけれども、月の縦穴や地下空洞は、放射線や隕石など、人類の長期滞在に危険な要因から守られておって、月面基地を建設するのに最適な環境を有するとも言われております。

 月の縦穴探査は、中国も二〇三一年頃に月の地下空洞を探査するような計画を持っているというふうにも伺っております。

 日本人の科学者が発見した月の縦穴、地下空洞を、中国よりも先に我が国が探査を国家計画として進めることが私は日本の国益につながると考えますけれども、政府の見解をお伺いします。

永井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、日本の月の周回衛星「かぐや」が月に縦穴と巨大な地下空洞を発見したことは承知をしてございます。

 この縦穴、地下空洞の探査につきましては、今後、科学的な議論を踏まえて必要な検討が進められるものと考えてございます。

 文科省といたしましては、引き続き、アルテミス計画を始めとする国際協力に参加しながら、必要な取組を進めてまいりたい、そのように考えております。

青山(大)委員 まさに、日本がここでしっかり決定して、この縦穴探査をやるという決定を私はしてほしいなと思うんですよね。十年後、日本人が見つけたこの縦穴とか地下空洞を中国が先にそこをどんどん開発して奪われてしまったらどうなるのか、私はそこを非常に危惧していますので、是非ここは、アメリカがどう思うかは分かりませんけれども、日本独自の宇宙政策としてその辺は今後検討してほしいなということを要望し、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 今日は三本の条約の審議ということですけれども、事前に我が会派の部会等でもいろいろ議論させていただきまして、航空業務とサイバー犯罪に関しては、今この情勢の中で極めて重要なものであろうというような結論に至っておりますので、今日は、主に宇宙空間の探査等々に関する条約に関して取り上げさせていただきたいと思います。

 言うまでもなく、今、宇宙というのは非常に重要なキーワードになっておりまして、官民挙げて様々な国の取組が進んでいるところだと承知しております。

 未知の領域に対する無限の可能性があるという中で、今回、アルテミス計画に関わるということであれば、日本としては、まず、国益は何であるかということ、そして、それをどうやって取りにいくのか、さらには、それを踏まえて今何をすべきか、この辺りを明確にした上で対応しなければならないと思っております。

 そうした観点で今日は確認をさせていただくとともに、その観点から見て今回の条約が外交上妥当であるかどうかということについて議論させていただきたいと思います。

 まず冒頭、アメリカがアルテミス計画を進める背景には、まず一つは、世界の覇権国であるということを世界に示す、これは非常に大きな話だと思います。最も進んだ科学技術を持っている、あるいは、ロケットとミサイルの技術は一緒ですから、最も優れた軍事力を持っているということを世界中に知らしめることになりますから、この国益というのはもう想像できないほど大きなものだろうというふうに思います。

 一方で、日本にはそうした国益はないわけですけれども、ないとまでは言い切れませんが、そこまでの大きなものはないわけですけれども、そうしたアメリカとは違う、異なる立場にある日本として、令和元年の十月に、米国提案による国際宇宙探査への日本の参画方針というところに一定まとめられてはありますが、まず、そもそもアルテミス計画に日本が参画する目的は何か、国益は何であると考えているかということと、それから、それらを達成するためにどういうベストな手段があると考えているか、これを内閣府とJAXAの方にお伺いしたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年十月の宇宙開発戦略本部におきまして、米国提案における国際宇宙探査、アルテミス計画への日本の参加方針が決定されております。これに基づき、同年十月に我が国はアルテミス計画への参画を表明しております。

 この参画方針の中では、アルテミス計画が、外交、安全保障の観点、それから国際競争力、国際プレゼンスの観点、非宇宙分野も含む広範な産業の拡大の観点、また、火星など、更なる深宇宙探査の観点の意義を有することに鑑み、国益に資するということで、アルテミス計画に参画することとしております。

 そして、現在、アルテミス計画におきましては、月周回のゲートウェイへの技術、機器の提供でありますとか、ゲートウェイへの物資、燃料補給、また、月面の各種データや技術の共有だとか、月面での移動手段の開発、こういったものを通じてアルテミス計画全体に貢献していくということになっております。

 こうした貢献をすることによって、我が国独自の高い技術力のアピールを通じて国際的プレゼンスを向上し、主導権や発言権を確保するであるとか、日米協力を深化したり、ヨーロッパ各国との協力を深化していくこと、また、企業の投資意欲を喚起することによって、宇宙との関わりの薄かったような産業も含めて事業機会を創出するでありますとか、宇宙関連技術のデファクトスタンダードの確立、こういった機会にもつなげていきたいというふうに考えてございます。

山川参考人 お答えいたします。

 アルテミス計画に参画することで、日本単独では実施することが難しいことに取り組む機会が得られると考えておりますけれども、このような貴重な機会を十分に生かす方法で取り組むことが重要であるというふうに考えます。

 まず、人類の活動領域の拡大に貢献し、同時に、国際宇宙探査の先頭集団での位置づけを確保することで、宇宙先進国としてのプレゼンスを確保することができると考えております。その効果を高めるために、アルテミス計画において不可欠かつほかの国では実現が難しい部分に貢献することが、計画内のみならず、国際的な宇宙開発利用での日本の地位を高めるというふうに考えております。

 また、可能な範囲で早期に、ISS、国際宇宙ステーションに続く有人活動の拠点となりますゲートウェイ、そして月面上に日本人宇宙飛行士を送れるように取り組みたいと考えております。

 また、アルテミス計画は、日本の宇宙産業を含めた産業全体の国際競争力を強化する貴重な機会であるというふうにも考えております。国際競争、協力の中で、我が国が強みを持つべき技術や、地上及びほかの宇宙分野との相乗効果が高い技術などを特定した上で、将来的には、月面におけるインフラ整備も含め、JAXAからも積極的に非宇宙産業を含む民間企業の参画を促すことで、日本の宇宙産業の国際競争力を強化するとともに、裾野の拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。

 このように、アルテミス計画への参画には、国際的なプレゼンス、そして日本の宇宙産業を含めた産業全体の国際競争力を強化する意義があり、JAXAとしても、それらを最大限生かす方法によって取り組んでまいりたいと思います。

青柳(仁)委員 続けて、文科省に確認させていただきたいんですが、アルテミス計画のプロジェクト期間というのは何年ぐらいと今見積もっていますでしょうか。それから、日本政府として投じる総予算額はどの程度というふうに考えているか、教えてください。

永井政府参考人 お答えいたします。

 アルテミス計画は、持続的な月面探査の実現を目指す米国提案の計画でございますけれども、現時点で、米国において同計画の終期及び予算総額は確定していないものと理解をしてございます。

 日本政府としての予算総額につきましては、今後、プロジェクトの参加極間の協力の分担も含め、詳細化されていく中で明らかになるため、現時点では申し上げられませんが、文科省では、令和元年十月の同計画への参画から令和五年度までの間に、アルテミス計画関係予算として約一千五百七十億円を計上しております。

 アルテミス計画は、我が国単独では実現困難な国際大型プロジェクトであり、その参画を通じて深宇宙探査に必要な技術の獲得を目指すことは費用対効果の高い選択肢と考えておりまして、引き続き、米国を始めとする参加極とともに国際協力の取組を推進してまいりたい、そのように考えてございます。

青柳(仁)委員 ということで、今、何が目的かというのをいろいろお話しいただきました。今、現状、分からない中で、様々なメニューを挙げていただいているように考えます。また、そもそも、人類の活動領域の拡大というようなお話がありましたけれども、そういう人類全体の進歩ということは非常にすばらしいことだろうと思います。

 一方で、要は、何が国益かというのはまだ分からないと思うんです。これからいろんな発見があるわけです。そして、いろいろな国際競争であるとか、まさに競争が起きてくるということが想像されるわけです。

 そういった中で、今、まだ計画が始まっていない中で千五百七十億円を使っている。費用対効果が高いかどうかは、これから国益がどれぐらい大きなものを得られるかによるので、今そういうことを言うのは非常に無責任だと思うんですけれども、これから何年かかるか分からない取組、総額が幾らになるか分からないということで、それは現状を考えればそうなんでしょうけれども、やはり、国民の税金ですので、投入する以上は、どういった国益が、リターンが考えられるのか、これはしっかりと考えていかなきゃいけないと思います。

 そういった中で、ちょっとこれはポピュリズム的といいますか、日本人宇宙飛行士が月面着陸をするということを今回想定して動いていると思います。これは、確かに、国威の発揚じゃないですけれども、国民受けは非常にいいと思うんですが、これ自体が国益かというと、私は若干疑問に思うんです。

 日本人宇宙飛行士が月面着陸すること自体について、今、目的の中に特に入ってはいなかったんですけれども、国益であると考えているか、あるいは、そうであるとすると、どのような国益であると考えているか、教えていただけますか。

永井政府参考人 お答えいたします。

 日本人宇宙飛行士が月面着陸する意義につきましては、まず、月は地球以外で最初に人類の活動領域となる可能性を持つ天体であるということでございます。そのため、月に一定程度存在するとされている水を燃料として活用することができれば、より高い自在性と経済性をもって、人類の活動領域を月面や更に遠くへ拡大できる可能性があるというふうに考えてございます。

 また、月面着陸を含む有人宇宙活動には、極めて高い安全性、信頼性を有する技術が要求されます。このため、挑戦的な技術開発を通じて科学技術イノベーションの促進につながるとともに、また、我が国産業にとってより高い水準の技術開発の動機づけになる、このようにも考えてございます。

 また、日本人宇宙飛行士の活躍は、その経験や感動が国民に直接伝えられることで、国民の共感や誇りにつながり、宇宙や科学に対する国民の関心、理解を一層向上させ、宇宙分野の次世代育成にも貢献すると考えてございます。

青柳(仁)委員 最後にちょっと説明がありましたけれども、日本人であるかないかにかかわらず、人間が宇宙空間で生活を行うことのある種の実証実験を行うメリット、科学的な意義というのは非常によく分かります。

 私は国益の観点で話を聞いているんですけれども、先ほどもありました、幾らかかるか分からない事業です、そして、いつまでかかるか分からない事業です、まだ始まる前ですが、もう千五百億円以上使っておりますということですので、この事業に別に反対というわけではないんですけれども、やる以上は、何が国益かということをはっきりさせて、それをどう取るのかということを戦略的に考えなきゃいけないと思います。

 例えばということで一つお話をしますが、先ほども質疑の中でありましたけれども、例えば、月であるとか今回目的地になっている火星に資源がある可能性があるということが指摘されております。先ほども政府側の答弁にもありましたけれども、そういう資源に関しては、今後も国際競争等で利害の対立が起き得る分野だと思うんですが、例えばレアアースだとか、ひょっとしたら月にもあるかも分かりませんよね、あるいは、新しい新薬が開発できるような土壌みたいなものがあったとして、最適な土壌、先ほど縦穴の話もありましたけれども、そういったものがあったときに、誰がそこを使えるのか、どの国が押さえられるのか、こういうことが非常に重要になってくるわけです。

 今後、例えば、貴重な資源、イノベーションの研究が可能な環境の整った地場であるとか、あるいは、今考えていない想定外の権益というのは発生し得ると思うんですけれども、そういったものが発生した場合、それらに関する所有権や使用権というのはどういったルールの下で分配されると今日本政府としては考えているのかということ、それから、その際、我が国の権益確保を最大化するにはどんな方法があると今考えているかについて教えていただけますか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 本協定には、米国との宇宙協力を通じて発見される新たな資源の所有権や使用権に関する規定は存在しておりません。本協定は、米国との協力において問題が生じた場合には協議を行う旨を規定しているところでございます。

 したがいまして、仮に、米国との宇宙協力において、御指摘のような新たな資源が見つかり、日米間でその扱いについて調整が必要となる場合には、我が国の権利を確保すべく、当該資源の扱いについても日米間で協議を行うことができると考えているところでございます。

青柳(仁)委員 そういうことなので、今の答弁にあったとおり、問題が発生してから話し合いますというふうに言っているわけですよね。それだとやはり遅いんじゃないかなと思うんですよね。

 例えば、宇宙ビジネスにおいては、スペースX社が四万個の人工衛星を打ち上げるという計画で、今、四千だか五千だかまで打ち上げているそうですけれども、早い者勝ちですよね。先に打ち上げた者が全部そこの軌道を取ってしまって、そして、今度、インターネットを全部そこからつなぐと言っていますので、下手すると、日本のドコモだとかソフトバンクだとか、そういったところの基地局は要らなくなる可能性がありますね。

 それから、今、AIの解析で、地球上の人間の動きから本人特定というのは可能だそうです。ですから、そういったものを自動解析して、それぞれの人が今どこで何をやっているのか、リモートセンシングを通して知るようなことも可能になってくる。これは冗談ではなくて、本当にそういう話が様々なシンポジウム等でされているところであります。

 ただ、具体的に何基打ち上げていいというルールがないものですから、今、早い者勝ちでどんどんどんどん出している状況。これは、地球のちょっと外の軌道、人工衛星ですらそうなんです。月だとか火星になったらますます早い者勝ちですね。

 ですから、そういった中で、今回の協定というのは非常にうっすらした部分しか決めていませんから、あとは全部実施取決めでやります、しかも、実施取決めのところも資源に関する話は入りませんというような内容ですから、これはアメリカに一方的にやられてしまうんじゃないかというふうに客観的に見て思うわけなんです。

 ですから、この協定の是非そのものというよりも、外務省の姿勢として、日本の国益は何であるかというのをしっかりまずは自分たちで定めた上で、それを取るためにどういう条約が必要か、協定が必要かということを考えていかないと、今答弁にあったような、問題が発生してから話し合えると思っています、相手は多分そう思っていないですよ。そのときにはもう固めて、いや、これはアメリカのものですと言ってくるに決まっていると思うんですけれども、その辺りは是非しっかりと考えていただきたいなというふうに思います。

 それから、日米間に関してもそうなんですが、ますます複雑なのが中国ですね。

 先日、ある議連の会合で、NASAの長官が日本にいらっしゃっていました。私もそこに参加していろいろ質疑を聞いていたんですけれども、NASAの長官に対して、中国の宇宙技術開発は今どういうふうに見ているかという質問がありまして、これに対してお答えになったのは、現時点において、幾つかの分野ではアメリカを上回っているというふうに言っていました。そして、これまでの投資の金額であるとか、それからこれからの伸びを考えると、その辺り、技術においても開発の進捗においても逆転される可能性があるということまで言っていました。

 そういう、もう中国はなめてはいけない状態になっていて、我々も、二十年前ぐらいの感覚でいうと、中国というのは後進国で、途上国で、質の悪いものばかりつくっていて、そして最先端技術はつくれないというイメージが何となくあるんですけれども、今はもう全然違うということ。

 そういった中で、去年の十月末に、中国が新しい宇宙ステーション、天宮を完成させました。そして、NASAの今のお話もあったとおり、非常に宇宙技術開発は進んでおります。

 そういった中で、中国と、我々はアメリカ側にいるわけですけれども、アメリカとの間での、いわゆる先ほど言った例えば資源の獲得競争であるとか、それ以外の今想定されるもの、されないものを含めて権益の争奪戦というものが今後容易に想像できるわけですけれども、そういった中国との間の競争を優位に進めるための国際的な枠組みづくり、こういったものについて、現状、どのように外務省として考えていて、そしてまたどういう取組をしているのかについて教えてもらえますか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 中国の宇宙活動に関する様々な報道は承知しております。

 現在、我が国と中国との間で宇宙に特化した二国間の協定や対話の枠組みはございませんが、国連宇宙空間平和利用委員会を始めとする多国間の枠組みにおいては、宇宙空間における活動等についての議論に共に参加しているところでございます。

 宇宙活動の先進国とされる日米両国が宇宙協力の基本事項を定める本協定を締結し、本協定の下で多様な協力を行うことから得られる実績等は、日米両国のみならず、国際社会全体の利益にも資すると考えております。

 我が国としましては、このような実績を生かしまして、宇宙空間の持続的かつ安定的な利用を確保すべく、米国を始めとする関係国と連携いたしまして、実効的なルール作りを推進していきたい、このように考えております。

青柳(仁)委員 率直に不十分だと思うんですけれども、日本としては中国とどういう話合いをしているのかというのを教えてほしいなと思うんです。

 もう一つ、次の質問に行きますが、今回の日米の宇宙協力に関する枠組み協定は、月面での実施取決めを迅速に行うための包括的な協定である、それは実務に即した合理的な協定であろうというふうには思うんですけれども、ただ、この月面実施取決め自体が、先ほどから指摘しているとおり、資源等の利権に関する内容は想定されていないということなんですね。

 そうすると、先ほど来から言っておりますが、宇宙利用から権益が生まれた場合、アメリカとの間の取決めというのは具体的にはどういう形になるのか。先ほど、そういうのは話合いができると思っておりますという答弁がありましたけれども、話合いをした結果、月面実施取決めでは決められないわけなので、どういう合意になり得るのか、成果物となり得るのか、考え方としてそういう準備をしておく必要があると思うんです。

 アメリカと争いが起こってから考えるとか、相手がこう攻めてきたらこうリアクションするとかじゃなくて、恐らくこう来るというのは分かっているわけですから、それに対して月面実施取決めではないどんな取決めでそこは妥結できると考えていますか。

市川政府参考人 若干繰り返しになるところもございますが、日米宇宙協力に関する枠組み協定に基づき米国と個別の宇宙協力を実施するに当たりましては、当該協力を行う実施機関が作成する実施取決めを日米政府それぞれが承認し又は確認する仕組みを規定しているところでございます。

 実施機関間では、実施取決めを作成する前の段階から日米双方の役割について詳細な検討が行われるところ、外交当局としましても、仮にそのような場面が発生し得る場合には、我が国の権利を確保すべく、米国側としっかり調整していきたい、このように考えております。

青柳(仁)委員 今の点についてもう少しお伺いしたいんですけれども、今の御答弁は、基本的には実施取決め以外でのことは想定していないんですけれども、それ以前に実施の段階で様々なやり取りが行われているでしょうから、それを踏まえて考えるなり対処しますというお答えだったと思うんです。

 それでは、JAXAにお伺いしたいんですけれども、実施の段階でのやり取りの中で、例えば資源に関することが分かった、あるいは分かりそうだとなったときに、一体、それの所有権だとか使用権とかに関するどんなやり取りが可能なのか、間接的にであっても。例えば、日本の供与した与圧ローバーが発見したから、それは何となく日本側という雰囲気をつくることができるとか、そんなことでも構わないんですけれども、どういう影響を与えることができるんですか。今外務省からお答えがあった事前のやり取りというところの中で、所有権、使用権に関するどんなやり取りが可能なんですか、具体的には。教えていただけますか。

山川参考人 お答えいたします。

 まず、基本的には、政府の方針に従うということでありまして、その時々に応じて御相談申し上げるということになると思いますけれども、現時点でJAXAとして進めておりますのは、例えば、月の表面に着陸して表面の様々な試料を解析するとか、そういったことをやっていく上で、その中で、例えば米国、あるいはほかの国ともそうなんですけれども、様々な科学的な知見のやり取りをするということ、それがひいてはアルテミス計画において様々な場面で使われていく、そういったまず科学的な協力から始めているところでございます。

 ですので、その上で、その先に更に持続的な月面あるいは月近傍での探査が進んでいったときに、具体的に資源の問題が出てきたときには、その都度御相談申し上げるということになるかと思います。

青柳(仁)委員 だから、今外務省からあった答弁は全然意味がないということなんですよ。

 だから、結局、JAXAがやっているのは、科学協力の結果、日本のみならず、全世界、全人類に対して公益的な、意味のある、価値のあるものを出すということを考えて行動している。冒頭に理事長からお話がありましたけれども、人類の活動領域の拡大という、人類の進歩に貢献するというような観点があろうかと思います。JAXAの役割を考えれば当然なんですね。そこで交渉するような機関では私はないと思うんです。せいぜい、そこでのやり取りの事実を残すということはあろうかと思いますけれども、その事実に基づいて日本の国益を取るのはやはり外務省だと思うんですよね。

 今のお話だと、JAXAの方は、結局、政府の方針に基づいて、そういう状況が起きたときには様々な対処を行う。つまりは、今のお話だと、恐らく事実関係を提示するということになろうかと思います。その事実関係に基づいて、具体的にその資源だとか権益だとかというものをアメリカに対して交渉し、また妥結してそれを日本の国益として持ち帰るのは、これは外務省の役割だと思うんです。

 もう一回外務省に聞きたいんですけれども、今の話を聞いても、何か問題というか、新しい事実を発見してから動きますというふうにしか聞こえないんですけれども、そういう理解でいいんですか。

市川政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、実施機関間では、実施取決めを作成する前の段階から日米双方の役割について詳細な検討が行われるということで、外交当局としても、仮にかかる場面が発生した場合には、我が国の権利を確保すべく、米側としっかり調整していきたいということでございます。

 まさに、宇宙協力は政府を挙げての大事な政策でございますので、そこは、外務省として、JAXAその他関係省庁と常日頃から緊密に連携しながら、何が国益なのかということをしっかりと念頭に置いて、まさに、先手先手を打つ、そういう観点から、国益をしっかりと守るという観点から、政府を挙げて取り組みたいというふうに考えているところでございます。

青柳(仁)委員 国益が何であるかということは今は分からない。認識は共有できていると思うんですね。これから大きなものが出てきたときには、それがしっかりと取れるように先手先手で動いていく、それは是非そのようにしていただくしかないと思うんです。

 ただ、しつこいようで恐縮ですが、もう少し聞きたいのは、今回は条約に関する質疑なものですから、今回の条約は二段構えなわけですね。今回の条約があって、それに基づいた実施取決めという中で、アルテミス計画に関する日米の合意を定めていくという中がありました。

 今、御答弁の中に、実施取決めの前には詳細な役割分担を含めた協議がある、あるいは、それに関する話合いが行われるはずだということを言っておりました。ところが、事前に外務省から受けた説明では、この実施取決めでは資源とかあるいは権益に関する取決めは一切入らないというふうに伺っております。

 そうすると、その事前の詳細な打合せやら役割分担やらという中には当然資源とか権益の話は入らないというふうに思うんですけれども、その理解で正しいですか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が先ほど御指摘されておりましたところは、また事前に私どもが御説明してきたものは、本協定には米国との宇宙協力を通じて発見される新たな資源の所有権や使用権に関する規定は存在しない、こういうことを御説明申し上げたということだと思います。

 他方におきまして、先ほど来申し上げておりますとおり、実施機関では、実施取決めを作成する前の段階から、日米双方の役割について詳細な検討が行われるということでございます。

 もちろん、実施機関同士の話合いもございますけれども、政府間の宇宙政策についての様々なやり取り、政策をすり合わせる場所、そういうものがございます。まさにそういうものを有機的に連携させながら、我々の国益というものがしっかり確保されるようにやっていく、こういう姿勢が大事だというふうに心得ておりますので、しっかりとそういうことを胸に秘めながら取り組んでいきたいと思っております。

青柳(仁)委員 今の条約と実施取決めのたてつけが非常に無理があると私は思っているんです。

 ただ、今御答弁いただいたとおり、繰り返しで恐縮ですが、まず、国益が何であるかというのは現時点で分からないわけです。いろいろなことが発見されていく、いろいろなことが見えてくるわけです。人工衛星を四万基も飛ばすことが我々の世界、生活を恐らく一変させるだろうなというのはここ数年の話ですよね、そう思ったのは。ですから、それが分かった時点、あるいは分かりそうだとなったらすぐにそれを国益と認定して考えていくという姿勢がまず大事でしょうし、また、それをどうやって取るかという具体的な仕組みが、今これだと、繰り返しますけれども、私は不十分だと思うんですね。

 基本的には、そういう実施機関同士の話合いと、今御答弁がありましたけれども、それに並行してという意味だと思うんですが、政府間の話合いの中でそういうことに関する下地みたいな交渉はできるはずだというお話なんですけれども、できるはずだぐらいだとやはり弱くて、きちんとそこは、どういう段取りでどうやっていくのかということを外務省として考えて、外務省と文科省、JAXAで連携してやっていかないと、ここは多分莫大な権益になりますよ。

 かつて、インターネットなんというものを誰も何とも思っていなかった時代に多くの億万長者が生まれたのと同じように、宇宙の領域というのは多分今我々が想像し得ないほどの権益をもたらすと思うので、一歩の出遅れが将来の我々の子供たち、孫たちの世代の日本の富に大きく関わってくることだと思うので、アメリカに言われて動くとか、何か問題が起きてから対応するではなくて、是非、日本の国益は何なのかということをしっかりと考えて、それに向かって何を今やるべきかということを考えていただきたいなというふうに思います。

 では、続いて、次の質問に行きたいと思います。

 まず、今回のアルテミス計画の中では、民間企業の参画ということを非常に大きく打ち出されております。ここは中国と大きく違う点だというふうに認識しております。特に、アメリカなんかだと、スペースXを始めとするロケット打ち上げから民間が参入しているという状況なんです。

 ただ、民間企業の宇宙開発の方に少しお話を伺ってみましたら、やはり、民間企業側からすると、今のところ、これに参加してもJAXAしかお客さんがいない。そして、具体的な利益の見えない長期投資を行うことになるということで、参画のハードルは正直言って高いんです。だから、先ほどから言っている、人類の進歩に貢献するだとか、日本の国益を取るとかいうことに協力してくれるような企業はいいんですけれども、普通に考えると、なかなかビジネスとしてはペイしないというようなものだろう。

 そしてまた、栗田の水技術なんということを御紹介いただきましたけれども、地上でも宇宙でも使えるような技術の開発からやっていこうみたいな、そうしたら民間企業としてもある程度収益を得ながら参画できるだろうというJAXAとか文科省の意向は分かっていますが、それに合致する技術というのはそんなに多くはないですし、民間企業からすれば、デュアルじゃなくて、やはり日本の地上のものにフォーカスした方が、あらゆる市場、マーケットでは競争が行われているわけですから、その競争には勝ちやすいというのは当然だと思うんですね。

 ですから、こういう中で、例えば、有人の月面移動手段、与圧ローバーに関しては、二〇二二年からJAXAが資金提供してトヨタと共同研究を行っている、移動用のロケットとか宇宙滞在用のシェルターを含めて、こういうものに関してもそういった計画はあるというふうに聞いておりますが、民間企業の参画を促していくためには、JAXAが主導してこういった研究開発を国からも資金をつけながらやっていくべきではないかと思うんですが、この点についてJAXAのお考えをお聞かせください。

山川参考人 お答えいたします。

 月そして火星探査というのは、従来の宇宙活動とは異なり、活動の場に地面があるということですから、非宇宙分野を含めた地上の幅広い技術が必要となります。

 この探査を効果的に進めるために、民間の積極的な参画を促進することは極めて重要であると考えておりまして、これまで、JAXAにおきましても、政府方針に従いまして、民間技術の活用に取り組んでいるところでございます。

 まず、JAXAでは、将来的に必要となります技術課題につきまして、一般公募による共同研究を実施しております。これは、JAXAが一部資金を供与しつつ、宇宙探査等の宇宙開発利用と、そして、事業化あるいは社会課題解決の双方に有用な技術の獲得を目指すオープンイノベーション型の研究開発でございます。

 具体的には、例えば、ミサワホームとの月面へも適用可能な持続的住宅システムコンセプトや、日立造船との宇宙環境でも利用でき安全性の高い全固体リチウムイオン電池など、二〇一五年度から二〇二二年度までの八年間で百五十件超の共同研究を実施し、また二百三十以上の企業等が参画しており、そのうち約九割が非宇宙分野の企業あるいは機関となっております。

 企業におきましては、共同研究を通じて研究成果を得るのみならず、事業化あるいは社会実装の観点でもベネフィットを得ているというふうに考えております。

 また、固有のミッションのために必要な技術につきましても、御指摘いただきました有人与圧ローバーに関わるトヨタとの共同研究や、栗田工業との環境制御、生命維持システムの研究など、民間と連携した共同研究をJAXA主導で行っているところでございます。

 御指摘のとおり、JAXAとしては、将来的な宇宙探査活動の広がりを見据えて、引き続き、民間企業の積極的な参画を得ながら研究開発に取り組んでまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 民間企業の参画は非常に重要で、いろいろ意見交換していますと、日本でも、宇宙開発をやりたいというスタートアップであるとか、あるいは既存の企業も含めて、かなり熱はあるのかなと思っております。

 そんな中で、冒頭に、費用対効果といいますか、日本の国益とかかっている費用に関するお話をしましたけれども、国益が物すごく大きいのであれば大きな予算を投ずるべきだと思うんです。本来は、物すごく大きな国益を取れる分野ですから、もっと別に予算を使ってもいいと思うんです。ただ、それが今見えていない中で税金をどこまで投入していいのかというのは考える必要がある。

 いずれにしても、中途半端でやるべき話ではないと思いますので、大きな国益を見据えて大きな投資をするのか、やはり無理だというのであれば、そこはなかなか日本として参画するのは難しいんじゃないかと思いますので、そういった点をしっかりと戦略づけをする必要があろうかと思います。

 その前提で、非常に大きな国益があるという前提で考えたときに、今、宇宙ビジネスで先行しているのは、スペースXというのが圧倒的に先行していますけれども、これは今だからみんなすごいすごいと言っていますが、実際には、初期の段階ではアメリカの政府の補助金が物すごくたくさんついていました。ですから、ある程度は国が支援してブーストしてあげて、世界のトップを取らせてあげるというところをやった上で、世界の覇権を握っているというのがアメリカのやり方ですから、日本も、勝ち筋となるような、ロケットはちょっともう難しいかもしれませんが、ターゲットをしっかり絞って、そこに国としても集中投資を行うことで、今申し上げたような共同研究だとかそういった投資額を、しっかりと国益を定めた上でですけれども、投資を大幅に増やしてしっかりやっていくべきじゃないかと思います。

 その予算についてどうですかという話と、それから、続けてもう一問、最後ですので聞かせていただきますが、そういった場合、よりプラスの更なる資金投入が政府からある場合、JAXAとしては、今やっていることに加えてほかにどのようなことが民間企業とでき得ると考えるか、この点について内閣府とJAXAの方からそれぞれ御答弁をお願いします。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 政府全体の宇宙関係予算につきましては、令和四年度の補正予算と令和五年度の本予算を合わせまして、六千百十九億円になっております。これは、前年度と比較しますと九百億円の増になっております。

 また、世界で民間企業の宇宙活動が活発になりまして、既存の宇宙産業や各国の宇宙施策の大きな影響で、かなりの競争状況になっております。また、委員御指摘のように、アメリカが民間企業をかなり支援しているということも御指摘のとおりでございます。

 我が国としましては、産業基盤を強化することによって日本の宇宙活動の自律性を維持強化することが重要と考えておりまして、先ほど委員御指摘のように、日本の企業でも優れた技術を持っているところがありますので、ビジネスに関わる民間企業への支援を行うとともに、また、政府が必要な関係予算をしっかり確保した上で、宇宙分野への投資を行う姿勢を示した上で、民間の投資を促すような形のことを努めていきたいと考えております。

山川参考人 後半の質問に対してお答えいたします。

 JAXAは、これまでも、様々な民間事業者とパートナーシップを結び、共同で宇宙関連事業の創出を目指す研究開発プログラムを実施してきているところでございます。

 先ほど述べさせていただきましたトヨタ、ミサワホーム、日立造船、栗田工業との共同研究以外にも、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等と小型レーダー衛星群による災害状況把握サービスや、小型ロケットによる商業衛星打ち上げサービスなどの新しい事業の創出に向けた共同プログラム等、これまでに三十を超えるプロジェクト、活動を推進してきております。

 今後、宇宙開発を行う民間企業への資金投入が増えれば、JAXAとの連携も更に進展し、民間企業の技術力、アイデアの活用による宇宙産業の国際競争力強化が図られるものというふうに考えております。また、民間企業が獲得した先端基盤技術をJAXAミッションに活用するなど、我が国の宇宙開発全体の発展にも大きく資するものというふうに考えております。

青柳(仁)委員 ということで、今回の条約に関しては、内容については非常に不十分だとは思います。

 ただ、今、ここから更に、外務省、文科省、それから内閣府、JAXAと、いろいろ省庁横断的なので、それぞれ責任感を持ちにくいのかなという気もするんですが、非常に大きな分野ですので、国益は何であるかということ、そして、それをどうやって取るのか、この条約も含めてですね、という形での制度設計、そして、それを踏まえて今何をすべきかということを、政治の側も含めて是非一緒に考えさせていただきたいと思っておりますので、引き続きしっかりと取り組んでいければと思っております。

 以上で質問を終わります。

黄川田委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 今日もいろいろと宇宙の話が出ておりましたけれども、この部屋にいらっしゃる人生の先輩の皆さんは、宇宙は最後のフロンティアという言葉をテレビドラマや映画で御覧になった方もいらっしゃると思いますが、フロンティアといっても、宇宙は、最先端、一番最前線という意味だけではなくて、そこから先には何もないんです。決まりもないんです。

 今回は出ていなかったと思いますけれども、前回、私が北朝鮮のミサイルのときの議論でも言いましたけれども、宇宙空間が一体何キロメートルから先かということすら世界の取決めはありません。事実上百キロと言われていますけれども、それですらいろいろな意見があるというのがこの宇宙空間をめぐる議論です。

 ですから、一つずつ枠組みをつくっていくことが非常に重要だと思います。今日もいろいろと世界の枠組みについても議論させていただきますが、これを日本がつくっていくというのは、一つやっていかなくちゃいけないことだと思います。

 その上で、今回の宇宙協定、枠組み協定についての質問をさせていただきますが、この枠組み協定の実施機関として指定されている機関が、アメリカの場合は、NASA、もちろんですね、その下にNOAA、海洋大気局ですとか、あるいは米国地質調査所が入っておりますが、日本の場合には、JAXAと文科省、役所が入っております。実施機関ということなんですから、申し訳ありませんが、文科省の公務員の方々が顕微鏡をのぞいたり、あるいはマヌーバーの計算をしたりするわけではないと思います。

 これは追加できる規定になっておりますので、是非とも今後の御参考にしていただきたいと思いますが、NASAはアメリカの連邦の直轄ですけれども、それ以外、NOAAは商務省、米国地質調査所については内務省の所管になっておりますから、日本も、所管の組織でもいいと思いますけれども、例えばJOGMECですとかJAMSTEC、これらの実施をできる機関を、ちゃんとした機関を指定をするべきだと思いますけれども、その点、いかがでしょう。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありましたとおり、日米宇宙協力に関する枠組み協定は、日本国政府の実施機関として文部科学省及びJAXAを指定しているところでございますが、日米両政府は必要に応じて追加的な実施機関を指定することができると規定しているため、将来的に、文部科学省及びJAXA以外の、ただいま御指摘のありましたような機関が実施する共同活動が実施される場合には、御指摘の機関も実施機関に指定することとなると考えてございます。

 本協定に基づき行われる将来の共同活動の詳細を現時点で予断することは困難ではございますが、現在、JAXAとNASAとの間では、月面探査関連の大型機器の開発、日米宇宙飛行士の月面活動等、様々な共同活動が計画されていると承知しているところでございます。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。事務方にお答えいただくつもりはありませんでした。

 ただ、であれば、じゃ、文部科学省がロケットを造れるんですか、あるいは、地質調査に必要な、何を調査すればいいのか分かるんですか。地質調査にしても、あるいは海洋資源にしても、資源をどうやって見ればいいのか、文部科学省で管轄されているんですか。それを、宇宙空間での活動ができるだけの項目、カテゴリーも分からないのではありませんか。

市川政府参考人 まさにどのような共同活動を実施するかによって、その共同活動を実施することとなる実施機関、こういうものを必要に応じて追加できる、こういうことでございますので、何が共同活動かということを踏まえた上で、必要があれば追加実施機関を指定していく、こういうことと考えてございます。

鈴木(敦)委員 じゃ、何をしに宇宙に行かれるんですか、何をしにアルテミス合意に参加したんですか。宇宙に行くんですよね。月にも行きますよね。あるいは火星まで行くかもしれない。であれば、それらの天体とその空間で調査することというのは決まっているわけで、宇宙空間で文部科学省は活動されているんですか、あるいは、地質調査をされていますか。

 最初から、こういう実施機関を指定をしていただいて、その組織がどういう項目で調査をするのかを決定していかないと、役所がハブになって、そこから下ろしていくという仕組みをいつまでも繰り返していたら、この国はいつまでたっても研究開発はできませんよ。いかがですか。

黄川田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

黄川田委員長 速記を起こしてください。

 市川総合外交政策局長。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 共同活動の分野は様々想定されてございます。宇宙科学、地球科学、それから宇宙での探査、航空科学、いろいろございます。まさにどういう共同活動をするかによって、適切な実施機関ということを追加的に指定していく、こういうことで対応していくということでございます。

鈴木(敦)委員 であれば、アメリカだって、商務省とか内務省が実施機関に入っていなきゃおかしいじゃないですか。対称性がないということを申し上げているんです。

 彼らは、実際にやる組織を既に指定してきている。なのに日本は、何をするかもよく分からないので、取りあえず文部科学省にお願いしますと言っているようでは、共同開発も研究もできませんよ。だって、地質調査所が入っているんですよ、アメリカの場合には。文部科学省所管のJAMSTECを入れればよかった話じゃありませんか。JOGMECは独法ですから、できないかもしれませんけれども。

 レクのときにもおっしゃいました、国家間の取決めだから国家機関が入っているんですと。JAMSTECもJOGMECも、国のお金が入っているじゃありませんか。これらを先に指定して、カウンターパートにするということが科学技術の発展に寄与すると私は思いますが、そういう考えはないということでよろしいんですか。

市川政府参考人 若干繰り返しで恐縮でございますけれども、現時点で、日米政府間の宇宙協力において、JOGMECですとかJAMSTEC及びその他、例えば国立環境研究所の参加、こういうことは想定されていないため指定してございませんが、まさに共同活動ということで、将来的に、共同活動が適当であるということであれば、まさに関連の実施機関ということで、ただいま申し上げたような機関を指定することができる、こういうことが本協定の趣旨でございますので、そういう意味で、柔軟に対応できる、このように考えているところでございます。

鈴木(敦)委員 ですから、何をしに宇宙に行くんですか。せっかく宇宙に行くのに、何をするのか全く考えていなくて、後で実施機関を指定しますと。宇宙に人を送っただけでよかった時代は一九六〇年代ですよ。

 宇宙に行って、調査するんじゃないですか。だから、調査するんだったら、穴を掘るかもしれないし、そこに水があったら水を、水質を調査する必要があるかもしれないし、それは事前にアメリカは考えているから、地質調査所とNOAAが入っているんじゃありませんか。

 今挙げていただいた三つの機関、JOGMEC、JAMSTEC、そして国立環境研究所、私もこのことは要旨に入れておきましたけれども、最初から指定すればいい話です。これでは、何をしに宇宙に行くのか分かりません、せっかくつくるのに。

 そこは、しっかり御見解をいただきたいと思います。

市川政府参考人 実施機関を、どのような機関を想定するかということであると理解してございますが、日米の間ではこれまでも三十ぐらいの宇宙協力というのをしてきてございまして、我が国の場合には、JAXAが非常に幅広い分野をカバーしていることもあって、今までJAXAが基本的に対応してきているというところで、協定を作るときにも、基本的に文科省とそれからJAXA、こういうことになっているわけでございますが、繰り返しになりますが、これは何もほかの機関を想定していないわけじゃなくて、まさに共同活動をしっかりとアイデンティファイした上で、必要な実施機関ということを柔軟に追加的に指定できる、こういう協定にしているところでございますので、何か問題が生じるということは考えてございません。

鈴木(敦)委員 問題が生じるかどうかという話をしているんじゃありません。予見性がなさ過ぎるんです。

 では、JAXAが幅広くやっているのであれば、地質調査にしてもJAXAにやらせるんですか。岩を取ってきました。JAXAが分析することはできるかもしれませんけれども、どういう地質なのかは、では、JAXA以外は研究しないのかということになりますし、いろいろな研究開発に必要な、探査もそうですけれども、何を調べればいいのかも、全てJAXAと文科省だけでは決められないと思いますし、今のうちにそういうことを考えておかないと、宇宙に行って何を調べるか、それから考えますというのでは、それは大学に行ってから就職先を決めますと言っているのと同じじゃないですか。それが許されるのであれば、私はこんなに苦労しなかったですよ。大学もちゃんと出られたと思います。その辺、最初から目的を持ってやってくださいよ。お願いします。

 次に申し上げたいのは、民間セクターが活用が増えているということですね。これは今日の委員会の中でもありました。

 近年、アメリカを中心に、民間の宇宙船の打ち上げが大変増えました。これは、理由は、二〇一五年にアメリカが宇宙法を改正して、アメリカの機関、米国機関は、宇宙資源の商業的な探査と開発を認めるという法律になっております。だから、リスクを冒したり投資をしてでも、アメリカは宇宙に向かっていくわけです。これがアメリカの国内法であります。

 ただ、一方で、衛星コンステレーションも始めとしてそうですが、今日も議論がありましたけれども、早い者勝ちであります。早い者勝ちになって何が起こるかといいますと、例えば、日本の種子島の上空にネットのように人工衛星を張り巡らされたら、日本は宇宙には行けません。ロケット一本打てなくなります。

 というようなことになると大変なので、事前に軌道の割当てをしっかり決めておかなくちゃいけませんし、それだけではなくて、幾つかの協定では、協定の締約国に関しては落ちてきた宇宙飛行士を保護しましょうとかいろいろやっていますが、それに入っていない国もありますので、これから先、宇宙を本当にフロンティアだと思って世界的な取組をしていくのであれば、国際的に認められた取組が必要だと思いますが、これは主導されていった方がいいと思います。どうでしょうか。

林国務大臣 今お話があったように、宇宙空間への民間企業の進出、これは年々活発化しておりまして、その活動の内容も多様化しております。

 宇宙空間をめぐっては、スペースデブリの低減、宇宙資源の探査、開発、利用等の様々な課題が存在しておりまして、国連等の場を始めとして、政府主導で、若しくは官民合同で、宇宙空間の在り方をめぐって議論を行っておるところでございます。

 その上で、衛星軌道の割当てでございますが、例えば、国際電気通信連合、ITUにおける周波数の国際調整、この際に、衛星の軌道位置の調整も行われているというふうに承知をしております。我が国としても、そのような枠組みを尊重しておりまして、こうした国際的なルール作りに積極的に参加をしております。

 宇宙空間の持続的かつ安定的な利用を確保すべく、実効的なルール作りを推進するとともに、米国を始めとする関係国と連携しつつ、検討してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 衛星についてはこれからも我が国も打ち上げますので、是非やっていただきたいと思いますし、今日、様々委員から指摘のあったとおり、これから宇宙に向かいます。そして、アルテミス計画が順調にいけば、月にも着陸をして、その資源の探査と開発をする可能性が出てまいりました。そのときの枠組みの話がるるありましたけれども、日本は締約しておりませんが、既にそういう条約は存在しております。月協定と言われるものですね。

 月協定は、ロケットを打ち上げる技術のある国は誰も入っていないわけであります。それで、先ほど申し上げたとおり、アメリカも二〇一五年に宇宙法を改正していますから、恐らく批准はしないだろうという見込みになっていて、死文化していると言われています。

 ただ、この協定は、中に、将来的に月の資源が開発可能になった場合には国際的なレジームを作るという規定が設けられていて、後々どういうふうに開発していくかが国によって不公平がないようにしていきましょうという規定になっておるわけですね。決して、探査をしてはいけませんとは一言も書いていませんし、調査をしてはいけませんとは書いていません。調査も探査も平等にやりましょう、その代わり、開発したものは皆さんで使いましょう、こういうことになっています。取決めを作りましょうということになっています。

 ですから、日本もこれは入るべきだと思います。そして、G7を始めとした、宇宙ミッションができるアルテミス合意に加わった人たちには是非とも興味と関心を持っていただいて、入ってくれとは言いませんが、この協定と似たようなスキームで国際的な取決めをするべきだと思います。

 これは、特にアメリカ、日本だけではなくて、今、月に静止衛星を打ち上げることができるのは中国だけですから、こういう国を先にこういう枠組みに入れておかないと、勝手にやられちゃ困りますよということでありますから、外務大臣の御所見をいただきたいと思います。

林国務大臣 アルテミス計画は、将来的な火星探査を視野に入れた国際的な月探査計画でありまして、宇宙資源の採取を含む月面調査、これも同計画の主要な活動であると承知をしております。

 月協定なんですが、我が国を含む主要な宇宙活動国の多くは加入しておらないわけでございまして、ざっと今十八か国を見ても、米中ロいずれも未締結、こういう状況で、御案内のとおりでございまして、同協定が慣習国際法としては確立されていない状況にあると認識をしております。

 また、今ちょっとお触れになっていただいたと思いますが、月の資源に対する所有権を否定しておりまして、この点で、宇宙資源の所有権の取得等を規定する我が国の宇宙資源法というのがございますが、これが二〇二一年六月に成立しておりますけれども、これと整合的でないという現状があるわけでございます。

 したがって、我が国は、先ほどの法律もございまして、この月協定とは異なる考え方になるわけですが、アルテミス計画に参加する各国とともに、国連宇宙空間平和利用委員会等の場で行われている国際的なルール作り、これに積極的に貢献していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 この取決めを早く作らないと、いつやられてもおかしくない状態でありますから、我々が新しい発見をしたら、その次の月にはロケットを打ち上げることのできるような国が相手なので、是非急いでやっていただきたいと思います、我々が動き出してからではもう遅いと思いますので。

 今までの歴史を見ても、ロケットを先に打ち上げて、打ち上げ合いの競争が始まってから、じゃ、取決めを始めましょうといって、いろいろな国際間の取決めを始める。宇宙条約を作ってということも後から追っかけてきていて、今、積み残しの案件が山ほど宇宙に関しての協定はありますので、一つ一つ解決していかないととてもこれからの宇宙時代を、宇宙時代という言葉も昭和っぽいですけれども、その時代を迎えることはできないと私は思っております。

 さらに、これは最後の質問になってしまうと思いますが、宇宙に行こうと思うと、ロケットを使用する必要が今のところはあります。軌道エレベーター等はまだ実用化されておりません。とすると、ロケットを打ち上げるために必要な科学技術だとか、あるいは宇宙で見つけた新技術といったものについては、かなりの機微技術とされることが想定をされます。残念ながら、H3は失敗しましたけれども、それに関しても、どういう構造だったのかということが逐一外国に漏れるようでは困ります。

 宇宙に行って、月に行って、例えば、すごく画期的な技術が発見された、資源が発見されたということが大っぴらになれば、一部のアメリカを始めとする国は、月で発見された資源を個人とか法人が保有することを認めているわけですから、そこに商業目的の船がやってきて、それを止める手段がないということが起こりかねませんので、科学技術とか資源にかかわらず、情報管理を徹底していただかないといけないと思います。

 これは防衛にも関わる分野でありますから、宇宙に関する情報の保全の徹底、これは改めてお考えをお示しいただいた方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 日米宇宙協力に関する枠組み協定に、この協定に基づく共同活動によって得られる科学的なデータについて日米政府間で共有することや、特定のデータや情報の公開に関するルール等を規定しております。

 本協定以外にも、日米両政府は、例えば日米宇宙状況監視協力取決め等に基づき宇宙協力を行ってきておりまして、これらの協定にも情報の保護に関する規定が存在しております。

 他方、我が国とともにアルテミス計画に参画している、宇宙活動におけるいわゆる有志国との間では、宇宙活動から得られる情報の扱い等に関する国際的な法的枠組みが存在していない。これも事実であります。

 我が国として、宇宙空間の持続的かつ安定的な利用を確保すべく、やはり実効的なルール作りを推進する必要があると思っておりまして、米国を始めとする関係国と連携しつつ、検討してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 宇宙は広くて遠いので、肉眼では見えませんから、あらかじめ国際的な取決めを作って抑止をしていただきたいと思います。

 終わります。

黄川田委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 初めに、北朝鮮は、昨日、弾道ミサイル発射を強行しました。これは、弾道ミサイルを含め、核兵器関連のあらゆる活動を禁じた累次の国連安保理決議に違反し、地域と世界の平和と安定に逆行する暴挙であり、船舶などに被害が及びかねない危険な行為であります。

 我が党は、北朝鮮の暴挙を厳しく非難し、強く抗議するとともに、これ以上の発射と核開発の中止を厳重に求めていきたいと思います。

 それでは、本日の議題である条約について今日は質問します。

 最初に、日米宇宙協力に関する枠組み協定について林大臣に伺いたいと思います。

 本協定の署名式が今年一月にワシントンで行われた際に、署名に立ち会った岸田総理は次のように述べています。本協定により、日米宇宙協力が力強く推進されるとともに、これまでになく強固になっている日米同盟の協力分野が一層広がることを強く期待すると述べています。

 本協定がなぜ日米同盟の協力分野を一層広げることになるのか、お答えいただきたいと思います。

林国務大臣 今お話がありましたように、本年一月にNASA本部で執り行われました日米宇宙協力に関する枠組み協定の署名式におきまして、岸田総理は、本協定により、日米宇宙協力が力強く推進されるとともに、これまでになく強固になっている日米同盟の協力分野が一層広がることを強く期待する、こういう旨述べたところでございます。

 本協定の締結により、日米間の宇宙協力の更なる迅速化及び効率化が見込まれることから、既に多様化しております日米間の宇宙協力が多方面に利益をもたらすことが期待をされます。このことは、政治、経済、人的交流等、幅広い分野にまたがる日米間の同盟関係における協力分野がより一層広がることを意味しておるわけでございます。

穀田委員 政府は、二〇一九年十月の宇宙開発戦略本部で、米国主導の月面探査計画、アルテミス計画への参画を決定した際に、当時の茂木外務大臣は、国際宇宙探査計画への参画は日米同盟の更なる強化につながると発言しています。

 林大臣、アルテミス計画への参画が日米同盟の更なる強化につながるとする理由は何でしょうか。

林国務大臣 第二十回の宇宙開発戦略本部におきまして、当時の茂木外務大臣から、アルテミス計画への参画は、主要国が戦略的に宇宙開発を活発化させる中で、科学技術、産業面を含めた日米協力を促進し、日米同盟の更なる強化につながるものと述べたことは承知をしております。

 アルテミス計画は、米国が主導する国際的な宇宙開発計画でございまして、参加国等の国際協力を通じた役割分担、それから民間企業の持つ技術や能力の最大限の活用を提唱しておりまして、我が国及び我が国の民間企業の積極的な参画が期待をされております。

 したがって、アルテミス計画に参画することにより、安全保障のみならず、政治や経済、人的交流等、幅広い分野にまたがる日米間の同盟関係における協力分野が宇宙を加えてより一層広がることとなると考えております。

穀田委員 今答弁がありましたように、安全保障のみならずと。普通、日米同盟という本質的規定の肝腎な点は、やはり軍事同盟の関係なわけですよね。そこはしっかり押さえておく必要があるだろうと言っているから、私どもは聞いているわけですよね。

 その際、茂木外務大臣は、このときの宇宙開発戦略本部で、また次のように述べています。外務省としては、アルテミス計画の推進に向け、適切な法的枠組みの整備を含め、関係府省庁と連携しつつ、米国を始めとする関係国との調整を行っていくと発言しています。本協定はその法的枠組みということになります。

 二〇二〇年六月に策定された現行の宇宙基本計画は、宇宙政策をめぐる環境認識として、米国の宇宙システムについてどのように明記しているか、内閣府、答弁願います。

坂口政府参考人 お答えします。

 安全保障における米国の宇宙システムにつきましては、先ほど御指摘のあった宇宙基本計画の中で、こういうふうに記載されております。

 インド太平洋地域の平和と安定を維持するためには、米国の抑止力が不可欠であり、米国の宇宙システムは、米国の抑止力の維持、発揮及び作戦のために不可欠であり、我が国を守る自衛隊の活動も、これに大きく依存している。日米同盟の強化に向けた取組の一環として、測位や宇宙状況把握、海洋状況把握等の分野を中心に、宇宙システムの維持において米国と役割分担を図ることにより、安全保障面での日米宇宙協力を一層強化していく必要がある。

 このような記載になってございます。

穀田委員 つまり、米国の宇宙システムというのは、今答弁がありましたように、米国の抑止力の維持、発揮及び作戦のためのもので、自衛隊の活動もこれに大きく依存していると。したがって、日米同盟強化の取組として日米の宇宙協力を一層強化していくことであり、本協定はそのためのものということになります。

 政府は、昨年末に宇宙開発戦略本部で、安保三文書の改定を受け、今年夏を目途に宇宙安全保障構想を策定し、三年ぶりに宇宙基本計画を見直すとしています。本協定がこうした戦略的取組を推進するものであることは明らかであります。

 米国は、二〇二〇年六月に策定した国防宇宙戦略で、宇宙を明確な戦闘領域と位置づけ、中国やロシアを最も深刻で差し迫った脅威とみなし、米宇宙軍の創設など、宇宙の軍事利用を進めています。こうした下で、日米間では既に米宇宙コマンドと航空自衛隊との演習などが繰り返されています。

 そこで、今年一月の日米2プラス2について聞きます。

 この2プラス2では、宇宙における攻撃は同盟の安全に対する明確な挑戦と位置づけ、日米安保条約第五条の発動につながることがあり得るとしています。

 林大臣、これは日米共同の軍事作戦を宇宙領域でも可能とするものではありませんか。

林国務大臣 近年の技術革新や安全保障における宇宙空間の重要性の増大、これを踏まえますと、例えば、他国が我が国の人工衛星を攻撃した場合に、その影響や被害が地上の防衛装備、施設及びインフラや船舶、航空機に生じること、これが十分に想定される状況になっておりまして、安全保障政策において、我が国の防衛能力や経済社会機能に直結する宇宙アセットに対する攻撃を我が国の領土並びに国民の生命及び財産の安全と切り離して考えること、これがもはや困難となっております。

 こうした認識の下で、本年一月、日米両国が、人工衛星に対する攻撃を含む宇宙空間で発生した攻撃が日米安全保障条約第五条の発動につながることがあり得るという認識で一致したものでございます。

穀田委員 つまり、日本が運用する衛星は日本の施政下にあると位置づけて、そこへの攻撃は想定したものだということになりますわね。結局、二〇一九年の2プラス2では大規模なサイバー攻撃に対しても安保条約第五条が適用されるとしましたが、それに続く適用範囲の事実上の拡大だということになります。

 米国は、二〇一八年三月に公表した国家宇宙戦略で、宇宙空間における米国及び同盟国の利益を守るために、脅威を抑止及び撃退していくと表明しています。国境のない宇宙空間で軍事利用が進めば、平和と安全が脅かされることは明白であります。私は、米国主導の宇宙軍拡を是認する本協定は、宇宙の平和利用とは全く相入れないものだと考えます。そのことを強く指摘しておきたいと思います。

 次に、サイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書について聞きます。

 本議定書は、サイバー犯罪条約で定めた内容のうち、特に国際協力に関する部分を補足するものであります。

 我が党は、二〇〇四年のサイバー犯罪条約の国会承認に当たり、サイバー犯罪は国境を越えて広範囲に影響を及ぼす特質があるため、国際的な枠組みで対処する条約が必要だと指摘し、その上で、条約は、盗聴法と同様の法整備を各国に求めるもので、通信の秘密、表現の自由、プライバシーなどが捜査当局に脅かされる、犯罪の構成要件に実質的に制限がないとして、私どもは承認に反対しました。

 本議定書はこうした条約の問題点を改正するものではありませんけれども、政府は、第十九条の規定に従い、他の締約国のサービスプロバイダーが保有、管理する加入者情報を開示するよう当該サービスプロバイダーに直接命令する権限を与えることを定めた第七条の規定を留保するとしています。

 大臣、その理由は、個人情報や通信の秘密の保護などの観点から、現行国内法と整合性を保つためという大筋の理解でよろしゅうございますか。その辺の見解を少し詳しくお述べください。

林国務大臣 今御指摘のありました第七条でございますが、自国の領域内に所在するインターネットサービスプロバイダーが他の締約国から発せられた命令に応じて加入者情報を開示することができることとする規定が置かれるとともに、締約国は、同条の規定を適用しない権利を留保することができるという規定が設けられております。

 この第七条の規定に従って、我が国のインターネットサービスプロバイダーが本人の同意を得ることや裁判官の発付した令状によることなく外国の捜査当局に加入者情報を開示できるようにすることについては、今少しお触れになっていただきました、個人情報の適正な取扱い、また、通信の秘密の保護等との関係で慎重な検討を要するということから、我が国としては、本議定書が定める留保規定に基づき留保する予定にしております。

穀田委員 今答弁のあったのは非常に大事な点でして、結局、個人情報、通信の秘密、こういう観点から慎重に対応するということから留保したという理解でいいということだと思います。うなずいておられるので、そういうことだと思います。

 時間の都合で、もう一つ質問しようと思っていたんですが、ちょっとそれも省きまして、最後に日・EU航空協定について質問します。

 航空協定は、締約国間の定期航空業務の安定的な運営に係る法的枠組みを定めるものであり、締約国の航空企業のみが定期便を運用できるものとする国籍条項が設けられています。

 林大臣はこの国籍条項の重要性をどのように認識されているか、お答えいただきたいと思います。

林国務大臣 我が国がこれまで締結してきました二国間の航空協定におきましては、締約国が指定した航空企業は、当該締約国又はその国民の実質的な所有及び実効的な支配の下にあることを条件として、定期便を運航することが法的に確保されております。

 この国籍条項は他国の二国間航空協定においても幅広く規定されておりまして、締約国による所有、支配関係を条件とすることで、航空機の安全性の確保、締約国の航空企業の権益の確保等にも資するものでございまして、安定的な定期便運航を行うために重要な規定であるというふうに考えております。

穀田委員 私は、安全性それから権益という点は極めて大事な内容を含んでいると思います。

 本協定では、EUの特性などを考慮し、国籍条項に代えて適用する規定が定められ、EUとの関係で締結した十三の二国間航空協定でEU航空企業の定期便の運航を可能としています。

 林大臣、この措置が定期便の安全運航に影響を及ぼすことはないという理解でいいんでしょうか。

林国務大臣 EU域内では、いわゆるEU航空企業が国籍を問わず自由に運航を行っておりまして、本協定は、このようなEU側の現状を踏まえて、我が国とEU構成国との間の既存の二国間航空協定の下においてもEU航空企業が定期便を運航できるようにするものでございます。

 本協定によって、二国間航空協定の締約国であるEU構成国が指定した航空企業については、いずれかのEU構成国又はその国民等の過半数の所有及び実効的な支配の下にあることを条件として、定期便を運航することが法的に確保されることになります。

 これに加えて、本協定によって、EU航空企業による航空機の安全な運航を確保するために、EU構成国が指定した航空企業への効果的な規制上の管理を実施すること、これも条件として加えられておりまして、定期便運航の安全性は引き続き確保されており、国籍条項と同様に重要な内容ということでございます。

穀田委員 最後の内容が極めて重要でして、私は、航空機における安全という問題がいかに担保されるかということがこういう問題を考える場合の起点になるだろうと思っていますので、そのことを改めて指摘して、今日は終わります。

黄川田委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより各件に対する討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表して、日米宇宙協力に関する枠組み協定に反対の立場から討論を行います。

 本協定は、日米間の宇宙領域での協力を促進するためのもので、運用、探査、輸送、航空技術など幅広い分野を対象に、日米同盟の協力分野を一層広げることに狙いがあります。

 政府は、昨年末の宇宙開発戦略本部で、安保三文書に基づき、宇宙の安全保障分野での対応能力を強化するために、今年夏を目途に宇宙安全保障構想を策定し、現行の宇宙基本計画を見直す方針を打ち出しています。

 新たな宇宙基本計画では、昨年末に発表した工程表にのっとり、宇宙安全保障の確保として、準天頂衛星システムの開発、運用や、極超音速滑空弾の探知、追尾の実証に関する調査研究など、ミサイル防衛のための小型衛星コンステレーションについて、米国と連携、検討することを盛り込むとしています。本協定がこうした日米の戦略的取組を推進するものとなるのは明らかであります。

 本協定の署名に先立ち行われた日米2プラス2では、宇宙における攻撃は同盟の安全に対する明確な挑戦と位置づけ、安保条約第五条の発動があり得るとするなど、宇宙領域での日米共同の軍事作戦を明記しています。

 国境のない宇宙空間で軍事利用が進めば、平和と安全が脅かされることは明白です。米国主導の宇宙軍拡を是認する本協定は、宇宙の平和利用とは相入れないものであり、容認できません。

 なお、サイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書及び二国間航空協定に関する日・EU協定については、いずれも必要な措置であり、賛成です。

 以上を述べ、日米宇宙協力に関する枠組み協定に対する反対討論とします。

黄川田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより採決に入ります。

 まず、平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、航空業務に関する日本国と欧州連合構成国との間の協定の特定の規定に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

黄川田委員長 次回は、来る十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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