衆議院

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第4号 令和7年3月28日(金曜日)

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令和七年三月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 堀内 詔子君

   理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君

   理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君

   理事 鈴木 庸介君 理事 太  栄志君

   理事 和田有一朗君 理事 西岡 秀子君

      逢沢 一郎君  英利アルフィヤ君

      大空 幸星君    新藤 義孝君

      高木  啓君    広瀬  建君

      松島みどり君    松本  尚君

      茂木 敏充君    小熊 慎司君

      亀井亜紀子君    篠原  豪君

      竹内 千春君    武正 公一君

      辻  英之君    渡辺  周君

      杉本 和巳君    西田  薫君

      深作ヘスス君    西園 勝秀君

      山崎 正恭君    阪口 直人君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   外務副大臣        藤井比早之君

   外務副大臣        宮路 拓馬君

   防衛副大臣        本田 太郎君

   外務大臣政務官    英利アルフィヤ君

   外務大臣政務官      松本  尚君

   外務大臣政務官      生稲 晃子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          七澤  淳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       福原 申子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 林 美都子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長徳 英晶君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           斉田 幸雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 村上 顯樹君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 石瀬 素行君

   政府参考人

   (国土交通省海事局次長) 舟本  浩君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 蔵持 京治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           家護谷昌徳君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 上田 幸司君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 山名 啓雄君

   外務委員会専門員     山本 浩慎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  小熊 慎司君     辻  英之君

同日

 辞任         補欠選任

  辻  英之君     小熊 慎司君

同日

 理事臼木秀剛君同月二十六日委員辞任につき、その補欠として西岡秀子君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月二十七日

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

堀内委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に西岡秀子君を指名いたします。

     ――――◇―――――

堀内委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事山名啓雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長大鶴哲也君外十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。

高木委員 おはようございます。自由民主党、高木啓でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。早速質疑に入らせていただきたいと存じます。

 三月十二日から十四日まで行われましたカナダ・シャルルボワG7外相会談について、まずお伺いをさせていただきます。

 その中で、最初にウクライナについてお伺いをいたしますが、G7外相共同声明において、この声明では、「我々は、自らの領土一体性及び生存する権利を守るウクライナ並びにウクライナの自由、主権及び独立への揺るぎない支持を再確認した。」、こう書かれております。自らの領土一体性を守るウクライナの主権というのは、どの時点の領土一体性を指すのかということを是非お示しをいただきたいと思います。

 また、現在、米国の仲介によって行われているウクライナとロシアの停戦交渉、我が国はあるいは欧州は、現時点でこの停戦交渉がどうあるべきなのかというふうに思っているのか、このことを外務大臣に是非御答弁をいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、さきのカナダ・シャルルボワでのG7外相会合におきましては、共同声明を発出をして、今おっしゃったような文言がそこに挿入をされました。我が国としては、これまでも、クリミアを含むウクライナの主権及び領土一体性を一貫して支持してきておりまして、この共同声明につきましても、我が国のこのような一貫した立場に基づいて意見を述べ、また賛同をしたものでございます。

 その上で、ウクライナにおける停戦、和平をめぐりましては、現在、まさに現在進行形で議論が行われているところでございます。したがって、その結果について予断を持ってコメントするのは時期尚早であるというふうに考えておりますけれども、ウクライナの主権や領土一体性はまさに重要な論点であって、先般、米国も含む形で共同声明にそれがうたわれたということは、非常に意味があったというふうに思っております。

 お尋ねの欧州の見方については、この点についてはG7に参加する欧州各国とも一致をしていると考えておりますし、我が国として、やはり米欧が分断するようなことがないように、そこに配意をしながら、引き続き、G7の結束に向けて努力を重ねていきたいと思っております。

高木委員 米国を含めて領土一体性の確認をしたということは極めて大きな意味があるというふうに、私もそう思います。

 そして、我が国においてはやはり北方領土問題がありますので、この領土一体性の確認というのは、事あるごとに、是非外務大臣には国際会議の中で主張していただきたい、このように思います。

 次に、海洋安全保障及び繁栄に関するG7外相宣言というのもございました。この宣言では、イエメン沖でホーシー派に拿捕された日本郵船所有のギャラクシー・リーダー号の即時解放が盛り込まれました。今年一月下旬に解放されるとの報道がありましたが、しかし、それ以来進展がないと思います。

 三月十六日以降、米国がホーシー派の拠点を数次にわたって空爆をしています。そして、後ろ盾としてホーシー派を支援しているイランに対しても、トランプ大統領は自ら強い口調で警告を発したわけであります。

 ホーシー派によるテロ行為が横行する紅海の出口、バブエルマンデブ海峡は、スエズ運河を経由する物流の重要なチョークポイントでありまして、ホーシー派が不当なテロ行為を行っている現状は一日も早く是正をされるべきであって、平和な海に戻すことが我が国の国益でもあると思います。

 つまり、イエメン情勢を正常化させるためには、ホーシー派と正統政府の内戦状態を早期に終結をさせることが必要であって、イエメンをテロの拠点国にさせないということが必要だと思います。我が国はイエメン正統政府とともに平和構築に一層の努力をすべきである、私はこう考えます。

 そのため、例えば海上警備に資する船舶や機材の供与など、イエメン正統政府から求められていると思いますので、その支援の要望に取り組むべきではないのかと私は考えますが、見解をお伺いいたします。

安藤政府参考人 委員御指摘のとおり、紅海、アデン湾、そしてこれらを結ぶバブエルマンデブ海峡は、我が国にとって極めて重要なシーレーンでございまして、イエメンはこれらに面する戦略的要衝に位置しております。

 政府といたしましては、イエメンの全ての勢力が参加する国連主導による和平プロセス、これが進展するよう国際社会と連携して外交努力を継続してきているところでございます。

 また、イエメンにおける平和と安定の実現に向けまして、人道支援のみならず、海上保安能力向上のための人材育成を含めまして、イエメンの将来の国づくりを見据えた支援を国連や関係国と連携しつつ取り組んできているところでございます。

 引き続き、イエメンの平和と安定、そして航行の権利と自由の確保のために日本が果たすべき役割をしっかりと果たし、必要な対応を行っていく考えでございます。

 政府といたしましては、イエメン沿岸警備隊職員等への研修やワークショップ、これを通じたイエメン正統政府の海上保安能力の向上のための人材育成を含めまして、国際機関や関係国と連携しつつ取り組んできているところでありまして、航行の自由の確保やイエメンの安定の実現に向けて、引き続き必要な対応を行っていく考えでございます。

高木委員 日本の努力は是非していただきたいと思います。そして、やはり、今このイエメンがどういう状況になっているかというのは、外務委員会でもテーマになかなかなりづらいし、また、日本からの距離感もありますので、非常に議論の俎上に上らないんですが、しかし、我が国としては、やはりスエズ運河の入口でもありまして、まさにチョークポイントだと思いますから、ここを何とか安定をさせるという努力を惜しんではいけないと私は思います。

 外務省や経産省、エネ庁の資料などでよく出てくるんですが、日本の物流のチョークポイント率、つまり、輸送の、様々なチョークポイントをどれだけ通っているかという、チョークポイント率という資料がありますが、先進国の中でチョークポイント率が一番高いのは恐らく日本だと思うんですね。

 特に、中東からの原油の輸入や、あるいはヨーロッパとの交易で、当然、スエズ運河の問題もあり、またこのバブエルマンデブ海峡もある、あるいはパナマ運河の問題もあるでしょう。

 そういうチョークポイントということを考えると、ここの、イエメンのバブエルマンデブ海峡をどうするのかということは本当に大事なことだと思うので、あらゆる努力を是非していただきたい、このように思います。

 続いて、同じく海洋安全保障及び繁栄に関するG7外相宣言についてなんですが、この中に、台湾に関して、「我々は、台湾に関する基本的な立場に変更はないことを再確認し、国際社会の安全と繁栄に不可欠な台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する。」、こう書かれております。

 G7における台湾に関する基本的立場というのは一体どのようなものなのか、御説明をいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 先般のG7外相会合後に発出されたG7外相会合共同声明、及び、今委員御指摘の海洋安全保障及び繁栄に関するG7外相宣言におきましても、G7の共通の立場として、台湾海峡の平和と安定の重要性、両岸問題の平和的解決、力又は威圧による一方的な現状変更の試みへの反対、また、国際機関への台湾の意味ある参加への支持を表明しております。

 台湾に関する基本的立場というのは、まさにそういうことを指したものでございます。

高木委員 是非、G7で一歩進めるべく努力をしていただきたいと思うのですが、外相宣言も先ほどの共同声明も原文は英文になっておりますが、この英文の中で書いてある台湾に関する記述というのは、アワ・ベーシック・ポリシー・オン・タイワン・リメイン・アンチェンジドなんですよね。

 ですから、私たちのベーシックポリシー、基本的な政策というものは変わっていないんだと。私たちの政策と言っている。このことは非常に重要だと思っていて、つまり、G7として台湾に対する政策は変わらないということを共有しているんだ、私はそう思います。

 ですから、G7の中で、いわゆる今大臣が御説明をいただいたような台湾に対する立場、特に、一方的な現状変更の試みは許さない、このことに対する、事あるごとに是非G7の中で問題意識を共有をしていただきたいし、台湾問題は、まさに我が国のすぐ隣でありますので、このことを是非、日本外務大臣として声高に主張していただきたい、このように思っています。

 続きまして、米国のトランプ大統領の日米安保ただ乗り論というのがどうも時々出てくるようでありますが、このことについて伺いたいと思います。

 このような発言がトランプ第一期政権のときにもあったと思うのですが、我が国は従前から米国に対して、日米安保というのはただ乗りをしているんではないですよと。それは、やはり平和安全法制の制定を始めとして、米軍に対するいわゆる駐留経費負担の軽減措置や、あるいは我が国の主体的な防衛費の増額などを通じて、お互いが役割を担っていることを説明をしてきたと私は思っています。

 しかし、こういう、政権の最初にまたトランプ大統領が、日本とアメリカの関係という意味ではただ乗りだというような話が出てくるということは、逐次説明をしていかなきゃいけない。

 そこで、やはり私は、詳細な説明を直接石破総理からトランプ大統領にしっかりすべきだ、早期にすべきだというふうに思っています。

 その上で、既にNATOは、御案内のとおり、米国の変化に敏感に反応しておりまして、例えば、ドイツの連邦参議院、上院ですが、去る三月二十一日、財政拡張を可能にする基本法、憲法改正案を承認をしたと聞いています。トランプ米政権が欧州に安全保障面で自立を促す中、財政規律を堅持してきたドイツが歴史的な方針転換で防衛力の強化を急ぐことになった、こういうことだと思っています。

 こうした変化のある中で、我が国も、先ほどの説明の問題もそうですが、様々な準備をしておかなければならないのではないか、特に、日米関係においての様々な変化の中での準備ということを私はしていかなければいけないと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 トランプ大統領と石破総理の先般の日米首脳会談の機会におきまして、石破総理から、日本の防衛力の抜本的強化への揺るぎないコミットメントを表明をし、トランプ大統領からは、米国による核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントが強調されたところでございます。

 その意味では、そこは私は揺るぎのないものだと思っておりますし、よく言われる片務性ということについても、やはり安保の五条、六条、中身は確かに非対称ではありますが、お互いにしっかりと義務を定めているわけであって、これは決してアンバランスなものではないというふうに思っております。

 そういったことを累次の機会に米国にしっかりと引き続き打ち込んでいくということが、委員御指摘のとおり大事だと思っておりまして、私の場合は、カウンターパートであるルビオ国務長官ともう既に何度も会談をしておりますけれども、今後とも、日米同盟の重要性、更にこれを高みに引き上げていくことの重要性についてしっかり話をしていきたいと思いますし、今週末のヘグセス国防長官、中谷防衛大臣に御対応いただけると思いますけれども、累次の機会を通じて、そういう意思の疎通をしっかりと図っていきたいと考えております。

高木委員 岩屋大臣には、機会を捉えてそうした我が国の主張を累次打ち込んでいくという御表現をされましたが、是非お願いしたいし、また、石破総理も改めてトランプ大統領に説明をするという機会も早期につくっていただきたい、このように思っています。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 今日は、スリーマイル島の日ということであります。四十六年前の一九七九年に世界初の原発事故が起きたということで、スリーマイル島の日。原発の危険性に対する警鐘を鳴らす意味で、この日が設けられています。

 過日、大臣にも前向きな答弁をいただきましたが、十四年前の東電の原発事故で生じた除染土の線量の低いものを再利用していこうということで、国においては、今、鉢植え程度ではありますが、外務省も含め設置をいただいているところであって、情報発信としては、だから飯倉公館でやるべきだという話で、前向きな答弁をいただいたんですが、その後、利用に決定をいたしたのかどうか、確認をさせてください。

岩屋国務大臣 政府として、風評被害対策の一環として、除去土壌の利用を行っていくということは非常に大切なことだと認識をしております。先般の委員の御指摘もいただいて、外務省として更に努力することはできないかということを検討するように、指示を私からしたところでございます。

 飯倉公館は、申し上げるまでもなく外務省の応接間という場所でもございますので、どういう形で、展示というか設置をすることが最もふさわしいかということを含めて今検討するように指示をしておりますし、それから、もうちょっと大量にというか、たくさんの量を外務省の敷地内等で使うことができないかということも検討するようにと今指示をしているところでございます。

 まだ結論は出ておりませんが、できるだけ早期に結論を得て実行したいと思っております。

小熊委員 公館の中に何十鉢も置けという話じゃなくて、官邸だって一鉢だけですから、一鉢ぐらい大臣の一言で。こんなに決定遅いの、外務省というのは。じゃ、もう一回。

岩屋国務大臣 設置しないと言っているわけじゃなくて、まさに飯倉公館のあの風情を保ちつつ、しかし、意味ある設置、展示をするにはどうしたらいいかということをよく検討をするようにと言っているわけでございます。

小熊委員 設置しないでしょうなんて言っていないですよ。設置するのは当たり前なんだけれども。大臣のところだって、先週の資料でも示したように、一鉢あって、パネルがあって説明文があるというぐらいですから、そんなに難しい問題じゃないとは私は認識しているので、簡単に大臣の一言でやるぐらいのスピード感がなければ。

 だから、はっきり言えば、二〇四五年に東京ドーム十個分ぐらいをどこかに持っていかなきゃいけないので、一鉢分も外務省の大臣の一言で決まらないということであれば、ちょっとお先が暗いなというふうに思っちゃって。(岩屋国務大臣「早晩決まりますよ」と呼ぶ)じゃ、今日はスリーマイル島の日なので、是非、今日決定を……(岩屋国務大臣「はい」と呼ぶ)ありがとうございます。はいという返事をいただいたので、次に移りたいというふうに思います。

 日中関係ですが、これもまた原発関係になりますけれども、外務省の努力で科学的根拠のない輸入規制というのは取り外されてきて、中国が残っていたところでありますけれども、その努力によって中国は一歩踏み出してはいます。

 つい最近、水産物については、中国が独自に検査をするということを二回ほどやって、検査結果に異常がなかったということが中国側から発表されて、ただ、解禁に向けての、再開に向けてのプロセスの一つだと言っているんですね。じゃ、この後どういうプロセスを踏んでいくのかよく分からないんですけれども、日本側はそれをちゃんと把握しているのかどうか、お伺いいたします。

岩屋国務大臣 水産物の輸入ということでいうと、中国はもとよりですが、韓国も台湾もやはり解決をしていかなきゃいけない課題が残っております。

 昨年九月、ALPS処理水の海洋放出と日本産水産物の輸入規制について日中政府間で共有された認識を発表して、IAEAの下で追加的モニタリングを実施後、中国側が輸入規制措置の調整に着手し、日本産水産物の輸入を着実に回復させるということに方向性としてはなったわけでございます。

 昨年十月に続いて、先月にもIAEA及び中国を含む第三国の分析機関の関係者が来日をして、IAEAの枠組みの下での、今委員御指摘のあった追加的モニタリングが実施され、本年一月、中国政府自身がその結果が正常であったと発表をしております。

 また、三月十二日に北京において、日本産水産物の輸入再開に向けた当局間の技術的な協議を行っております。

 また、先日の日中ハイレベル経済対話におきまして、昨年九月の発表が着実に履行されていることを共に評価した上で、関連の協議を推進していくことで一致をいたしました。一歩ずつ進んできているというふうに申し上げられると思っております。

 こうしたやり取りも踏まえまして、我が国としては、引き続き中国側に対して早期の輸入再開を働きかけていきたいと考えております。

小熊委員 この委員会でも何回でも言っているんですけれども、もう十年以上前、私自身も中国に行って、中国の外交部の人と話したら、政治的な話なんですよと内幕を暴露していました。それはそうですよ。中国だって、科学的な技術、知見は持っているわけでありますから、その科学的根拠が分からないわけではないわけで、こういう政治的な背景がある。

 台湾もそうです。もう退官されましたけれども、外務省の沼田さんがいわゆる大使みたいな形でいたときに、蔡英文さんが当時総統でしたけれども、解禁のサインをしようとしたときに、野党の国民党が騒いで政治問題に上げられちゃって、できなかったという経緯も、当時、早期にやろうとしていたんですけれども。

 いずれ、これはだから、科学的根拠とか正論ではなくて、そういう政治問題の駆け引きになっているという側面もあるので、そうしたことを意識しながら当たっていかなければいけないなというふうに思っています。

 ただ、中国側には、福島のこの悲劇をそうした外交上の駆け引きに使うな、それはひきょうだし、人としてあるまじき対応だというのも、私は個人的にも強く中国政府の関係者には言っていますので、是非、引き続きの努力をしていただきたいなというふうに思っています。

 次に、石破総理と中国の王毅外相の面会のときに、お互いの発表がずれていて、お手元の資料にあるとおり、日本政府としては相当強く抗議をして、ホームページ上でも、中国語、英語でもこれを、外務省の在中の大使館のところでも、日本の本国においても、世界に向けても情報発信をしているところであります。

 過日、我が党の部門会議でも、外務省側から、こうした発表のずれは度々あるけれども、今回のずれに関しては、その中でも相当強く抗議をしたレベルになっていますというふうに御報告を受けました。

 改めて、このずれた経緯、また、その後のことについて御説明願います。

岩屋国務大臣 御指摘の、王毅外相の石破総理への表敬でのときのことでございますが、私は始終同席をしておりましたので、総理が何をおっしゃったかというのはしっかりとその場で聞いているわけでございます。

 中国側の発表の発出後、中国側に対しては、総理はこういう発言はしていないでしょう、そこは事実と異なりますよねと、直ちにそこは削除してもらいたいというふうに申し入れたところでございます。

 会談そのものは非常に友好的な雰囲気の中で行われておりましたが、総理が実際に言っていないような表現を記述するのは、これはいかがなものか、削除してもらいたいと、私は直接、王毅部長に、次の日も朝から一緒でしたので、申入れをし、また、いろいろなレベルで中国側ともやり取りをしたんですけれども、なかなかその撤回には応じられないということでしたので、その意味も余りよく分からないんですが、それだったら、うちとしては、これは事実と異なるので、それは発表させてもらいますよということで、外務省としては見解を示したということでございました。

小熊委員 こうした日本の抗議に対して中国側がまた発表していて、お互いの国の立場を尊重するのは当たり前のことじゃないかと。ただ、その立場を尊重する具体的な中身は、それは中国も言っていないです。それは確認をしていますけれども。それは、台湾の問題であれ、EEZ内のあのブイの問題であれ、邦人の拘束の問題であれ、いろいろな差が日中間にもあるのは事実でありますし、そこの具体的なものを挙げて、立場を尊重するのは当たり前でしょうとは言っていないんですけれども、日本の抗議に対して、中国側はそういう打ち返しをしてきました。何が問題があるのという認識でした。

 このずれは平行線のままなんですけれども、こうした中国側のこの発表に対して、どう大臣は、御所見はありますか。

岩屋国務大臣 先刻も申し上げましたように、会談そのものは非常に友好的な雰囲気の中で行われましたし、まさに、戦略的な互恵関係を包括的に進めていこうという話合い、対談でございました。

 中国側の表現を見ると、もちろん中国側もいろいろなことを述べられたし、総理もいろいろなことをおっしゃったけれども、その中身はちょっと外交上のやり取りですから控えさせていただきたいと思いますが、中国側が詳述したそれぞれの事柄全てを尊重するかのような表現になって、そういうふうに読めなくもない表現だったので、それは事実と異なるので、そこは削除してもらいたいというのが私どもの申入れでした。

 しかし、中国側の真意がどこにあったのかというのは、我が方から予断を持って申し上げるわけにはいきませんけれども、そこは見解の相違があるということだったので、しからば、我が方は、ここは、総理はそういうことは言っておりませんよということは発表させてもらいますよということだったので、せっかく行われたこの友好的な会談というものは次につなげていかなければいけないというふうに思っておりますので、お互いそういうやり取りがあった、あったことは残念でしたけれども、それを踏まえてまた前に進んでいかなければいけないと思っております。

小熊委員 どの国でも言葉の壁がありますから、こうした理解のずれが生じるのは度々あると思います。

 中国にありがちな、いいことも悪いことも、それぞれデフォルメして表現をしがちなところもありますので、そこは、だから、今大臣が言ったように、よくよく注意してやっていかなければいけないし、ある意味では、ちょっと信頼関係を損なった部分の一つでもあるなと思っています、友好的に進んだとはいえ。

 そういう中で、今回、日中韓の外相会談で、なるべく早期で適切な時期に日中韓サミットの開催に向けた作業を加速していくということで、三外相で一致をしたということであります。

 全体的には、石破総理と王毅さんとの面会も友好的に進んだとはいえ、やはりちょっとさお差した感がある中で、安直に、それは前向きな、建設的な取組だからといって、やすやすとサミットを開くということがちょっといかがなものかな、もっとしっかりと仕切り直しをしてやっていかなきゃいけないかなというふうには思いますけれども、見解をお伺いします。

岩屋国務大臣 日中韓というのは、やはり、このアジアの地域において極めて重要な三か国だと思うんですね。GDPを合わせると世界の四分の一ぐらいになるわけでございまして、地域の安定、平和、繁栄にそれぞれ役割を果たしていかなくてはいけない三か国であり、隣国同士だということでございますので、ここはやはり、建設的で安定的で未来志向の関係が築かれるということが我が国の国益にも資するというふうに考えております。

 今般は外相会合だったわけですが、当然、次にはサミットということになるわけですけれども、そう簡単に決められることではないとも、もちろん考えておりまして、韓国は政情がまず安定してもらわなければいけないということもありますし、そこはこれから慎重にやり取りをして、時期を探っていくということになろうかと思います。

 したがって、外相会合では、なるべく早期で適切な時期での開催に向けて作業を加速させるということで一致をしたところでございまして、まだ、いつ行うかということについて具体的に何か見えているというわけではございません。

 是非、冒頭申し上げたように、様々、韓国とも中国ともいろいろな課題がありますけれども、対話を重ねることによって懸案を一つ一つ解決していけるような、そういう関係を是非築いていきたいと考えております。

小熊委員 大臣がおっしゃっているように、韓国が今ちょっとどうなるかが分からないから、これが落ち着かないとなかなかサミットまではいかないかなと思っていますが、確かに、早期にやることの意義はあるというふうに思います。

 今、アメリカのトランプさんがめちゃくちゃなことをやっていますから、アメリカが保護主義を言って、中国が自由貿易を言って、すごい世界になっているなというふうには思いますけれども、いい意味で、法と価値観が一致するものは、これは日中韓でしっかり、世界の利益としてやっていくところはやっていかなければいけないし、アメリカの暴走を止める意味でも、この枠組みもある。

 ただ、やはり米中関係のまた緊張感もありますので、非常に高度な政治判断、外交判断が求められると思いますけれども、まず、やはり韓国の政情の落ち着きを見計らわないと、これはなかなか進まないなという側面もありますので、事務方レベルではいろいろな準備はしておいた方がいいとは思います。そういう意味では、私もこれは否定するわけではないので。ただ、中国側のこうした、ちょっと度々ある自分勝手なところは、是非注意をしていただいて進めていただきたいなというふうに思っています。

 次に移りますけれども、お手元の資料にもありますとおり、在留中国人、観光ビザとかで来る人じゃなくて、在留の中国人が近年増加をしています。直近の新しいデータの中でも、十万人以上の方が増えているということで、さらに、近年では、いわゆる留学とか国際業務とかといったものは小幅で、高度専門職系とか管理ビザとかの在留中国人が増えているというのは、最近のトレンドでもあります。

 これをどう捉えるかということですが、ただ、やはりしっかり把握をしていかなきゃいけない心配する点というのは、二〇一〇年に中国で制定された国防動員法及び国家情報法の適用対象者なんですね、在留の中国人も、十八歳から六十歳の男性、十八歳から五十五歳の女性の場合は。

 それは、何か事が起きたときには、共産党政権が有事と認めたときには軍務に協力をしなければならないという法律でありますから、平和に日本社会に溶け込んでいればいいんですけれども、有事の際にはこうした懸念もありますし、それは、共生社会の中で、あらゆる在留している外国人に対しては日本社会も大きく窓は開いているとは思うんですけれども、逆に、定量的なデータがあるわけではありませんが、肌感覚として、また、伝わっているいろいろな情報の中でいうと、在留中国人、どっちかというと、自分たちだけで固まって、地域に溶け込んでいっていないという嫌いもあります。

 在留中国人は、前までは都会を中心に住んでいましたけれども、今は、御承知のように、軽井沢とかそういうリゾート地にも集まっていろいろやっている。近年では、富士山の風光明媚なところで勝手に木を切っちゃったりもしているというところがあります。

 そういう中において、今後も何も、今のままで、どんどんどんどん増えていくのを見過ごしていくのか、何らかの措置を取るのか、ここが大事。これは法務省になっちゃうのかな、ここをちょっとお聞きします。

福原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、外国人を受け入れるに当たりまして、日本人と外国人が互いを尊重し、安全、安心に暮らせる共生社会を実現していくことが不可欠であるところでございます。そのためには、外国人の人権に配慮しながら、ルールにのっとって外国人を受け入れ、適切な支援などを行っていくとともに、ルールに違反する者に対しては厳正に対応することが重要でございます。

 我が国への外国人材の受入れの拡大によって、我が国における深刻化する労働力不足が解消され、経済や産業が活性化するといったメリットがある一方で、治安に関する懸念もあり得るということでございますので、多様な御意見、御議論にも耳を傾けながら、政府全体で幅広い検討を行っていく必要があると考えているところでございます。

 出入国在留管理庁におきましては、経済や産業の活性化に資する外国人材の円滑な受入れや出入国在留管理の徹底、共生社会の実現に必要な環境整備等に取り組んでいるところでございますが、これらの取組を着実に進めるとともに、ルールに違反する者に対しては厳正に対応していくこととしております。

小熊委員 人口減少や人手不足の解消策というのは、僕は安直だと思うんですね。今、日本においては移民政策は取らないというのは政府の見解ですけれども、はっきり言えば準移民政策ですよ、いろいろな、特定技能とかも含め枠を拡大したというのは。

 それは、移民という定義が国際的にも明確な定義はありませんけれども、数年間その国で暮らすというのは移民に準じたものでありますし、私も全てを否定するわけではありませんけれども、日本が今、まず当面やるべきは、労働生産性が低いという、僕はそこは、働き者の日本人が何でそんなふうな結果になるのかよく分からないんですけれども、まずは労働生産性を上げて、労働力不足を解消していくというのがまず一義的な努力であって、外国人のいろいろな労力を頼り過ぎるというのは、日本にはまだ早いというふうに思います。

 いいものを受け入れていきましょうと言っているけれども、悪いものも入ってくるんですよ。かつて、勝海舟さんが、明治時代に文明開化で開放していったときに、いいものを取り入れましょうと言ったけれども、開放したら悪いものだって入ってくるんだ、コレラだってはやったでしょうと言っているとおり、開放していろいろ入れちゃえば、それはデメリットの部分も引き受けなきゃいけない。その覚悟がまだ日本社会にはないし、慣れていない。そういう中で入れちゃったことによって、お互い不幸になりますから、ここは抑制的にやらなきゃいけないと思います。

 そういう意味では、まず在留中国人が増えてきている、ましてや、今、中国からいろいろな国に脱出するのが激増していますよね。その中で日本も選ばれているわけですから。こういう背景、まず実態把握が必要です。

 だから、法務省においては、起きていることの、例えば、ちっちゃい町だったら、十人来たってインパクトは相当ですよ。犯罪とかじゃなくて、文化とか地域社会の人間関係もいろいろ変わってきます。それはいいものもあるかもしれないし、日本らしさが失われるものもある。あらゆる意味で実態把握が必要だというふうに思います。

 併せてお聞きしますけれども、例えば投資関係の移民のやつは、オーストラリアとシンガポールは規制をかけました。だから、こういうことも検討しなきゃいけないんじゃないですか。野方図に今のままで受け入れるということは、日本社会を大きく変容、悪く変容させてしまうことになりかねないので、実態把握、そして規制や、また在留中国人、来る人の厳正な新たな審査というのが必要になってくると思いますが、この二点についてお伺いします。

福原政府参考人 お答え申し上げます。

 出入国在留管理庁におきましては、外国人の在留管理を目的といたしまして、出入国管理及び難民認定法に基づき、中長期在留する外国人の身分事項や住居地等の情報を届出により継続的に把握するとともに、外国人から在留のための諸申請が行われた場合には、申請内容を確認の上、必要に応じて関係行政機関等への照会や実地調査などの事実の調査を行い、外国人の活動実態の把握に努めているところでございます。

 さらには、外国人が違法行為など問題のある活動を行っているという旨の外部からの情報提供があった場合には、必要に応じ要注意外国人リストに登載するなどして、関係する外国人が申請に及んだときに慎重な審査を行うことができるようにしております。

 また、入管法に基づく在留資格制度におきましては、外国人は許可を受けた在留資格に該当する活動を行うことが求められておりまして、正規の在留資格を例えば隠れみののように利用して、在留資格に該当する活動を行わないという外国人は、在留資格の取消しの対象になるところでございます。

 また、在留資格に該当する活動を行う意思がないにもかかわらず、正規の在留資格を得るために、偽りその他不正の手段を用いて上陸許可や在留許可を受けたということが判明した場合には、同様に、在留資格の取消しの対象となるところでございます。

 また、在留期間の更新の手続におきましては、許可するか否かの判断は、法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可するということになっておりますけれども、この場合には、素行などのこれまでの在留状況を考慮した上で総合的に判断することとなっております。

 出入国在留管理庁といたしましては、引き続き、適正な出入国在留管理の観点から、関係行政機関等への照会を行うなど、外国人の活動実態を把握するための情報収集に努め、それを踏まえ、厳正な在留審査や在留資格の取消し手続を行ってまいります。

小熊委員 法務省はそこまでですね、規制官庁だから。

 大臣、答弁は要らないけれども、私が言いたいのは、例えば神戸なんかは、投資目的でマンションを買って、空き家になっているのをちょっと規制しようという動きもあるわけですよね、空き家のところに税金をかけて。だから、これは、今の現行ルールではオーケーなんですよ。

 だから、こういうこともしっかり見て、抑制的にやっていかなきゃいけないんじゃないか、新たなルールが必要になるんじゃないかというのが私の今回の見解なんです。ますます増えていくわけですよ、在留中国人。今、東京でも、オリンピック村だって、売れたけれども空いちゃっているわけですよ。こういうのはいいのという話なんです。

 だから、そこに向けて新たな仕組みをつくるべきだという話。やらないと、在留中国人の評判も落ちるし、日本人の中国人に対するイメージも悪くなる。お互いに損。だから、これは早急に、増加して、こういう適法だけれども問題が起きていることについて目を向けて、新たなルールを作るのが必要だということが私の趣旨ですので、是非大臣、今後検討していただきたいと思います。

 最後に聞きますけれども、中国人ビザの緩和で、自民党、与党も大分騒ぎになりました。外務省から聞いたら、相互主義というのがどこまで外交上適用するかは別として、日本人が中国へ行く方がもっと緩和をされているという話も外務省からお聞きをしています。中国への一方的な緩和ではないんだと。今、具体的にどうするかは決まっていませんけれども。

 大臣も、いろいろバッシングを受けて大変だったとは思いますし、自民党からもいろいろ言われていましたけれども、その中で、今後、連携をしていくというのは、この件について自民党と連携をしていくのか、ちょっと確認したいんですけれども、その都度、いろいろな外交交渉のときに自民党の外交部会と連携をしながらやっていくのか。

 やはり外交交渉ですから、ある程度、外務大臣は全権委任されて、フリーハンドでいかなきゃいけない場合もありますよ。大臣が言ったとおり、事前の説明、承認をもらってから外遊するなんということもないというふうに言っているとおりで、連携するというのは、ここの理解を求める連携をしていくだけなのか、あらゆる外交交渉に自民党の外交部会と連携していくのか、この確認をさせてください。

岩屋国務大臣 まず、査証のことでいうと、もう委員が今おっしゃっていただきましたけれども、中国は日本人の短期滞在に係る査証の免除措置を再開させた、これはもう全日本国民が対象になっているわけでございます。

 一方、中国人が訪日する際は、短期滞在であっても、我が方は査証を取得しなければならないというふうにしておりますので、この点でいいますと、我が国の措置の方がはるかに厳しい状況になっているということでございます。

 それから、査証の事務に関しましては、外務省設置法の第四条で定められているわけでございますが、査証措置の決定に際しましては、必ずしも公にできない治安情報や公安情報等も含めて関係省庁と協議をして、外務省の責任において決定をするということになっておりまして、これまで基本的に閣議決定や閣議了解は必要とされていないということなので、与党審査の対象になってこなかったということなんですけれども、先般の観光査証の免除に関しましては、与党に対して、事前の情報提供とかいうことについてはやはり抜かりがあったな、その点は反省をしているところでございまして、そういう意思疎通の努力はしっかりしていきたいというふうには考えているところでございます。

小熊委員 時間が来たのでこれで終わりますけれども、与党だけじゃなくて、国会に対するそうした説明責任も私は生じているというふうに思います。それは与党だけじゃなくてね、やるのであれば。ただ、私は、一定程度のやはりフリーハンドで外務大臣は事に当たらなければ、相手のあることですから。

 そうしたことは、またこれからも議論していきたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願いを申し上げます。

 今日は、国際テロ情報ユニット、CTU―Jについて教えてください。

 海外におけるテロ情報の収集に特化しているということで、戦後の日本のインテリジェンスコミュニティーが長年求め続けてきた初の対外諜報機関とも言われておりますけれども、この対外諜報機関の定義について、私も先日勉強させていただきましたが、日本大学危機管理学部の小谷教授は五つ述べていらっしゃるんですね。

 一つが、政策部局から独立してインテリジェンス機能に特化している、二つ目が、政策決定者や政策中枢に対して情報を報告する制度が確立されていて、三つ目として、海外での情報収集や工作活動のためのアセット、例えば、偽パスポートの所持とか、あとは、本国への情報伝達の安全なライン、いわゆる外務省の公電以外のラインを持っているということ、さらには四つ目として、諸外国の対外情報機関がカウンターパート、対等な関係として認識していること、最後の五つ目として、民主主義国家であれば、当然のことながら、組織の根拠法を持って、議会による監視の対象としなければいけないというところがあるわけでございます。

 その上で、今のCTU―Jがどのような位置にあるのか、伺わせていただきたいと思います。まず、人員と予算はどのような感じでしょうか。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一四年のシリア邦人人質事件や二〇一五年のパリ連続テロ事件など、一段と厳しさを増すテロ情勢を踏まえ、我が国のテロ情報収集、集約体制の抜本的強化が必要である、そうした認識の下、二〇一五年十二月、国際テロ情報収集ユニットを新設いたしました。

 外務省に置かれたユニットの本部には、情報関係各省庁の専門知識を、知見を有する要員を結集し、また、東南アジア、南アジア、中東、北・西アフリカ及び欧州、この五つの地域の在外公館に国際テロ情報収集の担当官を配置して、鋭意情報収集を行っております。

 人員につきましては、政府の情報収集能力に関することでありまして、詳細についてはお答えをちょっと控えさせていただければと思います。

 予算につきましては、令和七年度に計上しております外務省におけるユニットの関連予算は合計四・三億円になっております。

鈴木(庸)委員 四・三億円とおっしゃいましたか。(斉田政府参考人「はい」と呼ぶ)四・三、ああ、少ないんですね、結構。人員についても、今お答えいただかなかったんですけれども、昨日のレクのときにはお答えいただいているんですけれども、まあ、いいです。

 海外でのテロの情報収集というと、当然のことながら危険が伴うわけですけれども、このユニットの皆さんは、在外公館ではどういったお立場で働いていらっしゃるんでしょうか。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 在外公館に配置された国際テロ情報収集担当官は、外交旅券を保有した上で、国際テロに関する情報の収集に従事しております。

鈴木(庸)委員 要は、ほかの外交官の方と同じ身分でテロの危ない情報を取りに行っているということで、本当に大変だと思うんですけれども、語学とか世界情勢に通じていて、かつ諜報能力を持つというのはかなり特殊な人材育成が必要になってくるような気もするんですが、この教育や採用の体制についてはどうなっていますでしょうか。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 国際テロ情報収集ユニットは、情報関係各省庁の要員で構成されております。各省庁からは積極的な人的貢献をいただいているところでございますけれども、着任時を含め、適時に必要な研修を実施しているということになります。

 これ以上は、申し訳ないんですけれども、政府の情報収集に関することということでございまして、詳細は控えさせていただければと思います。

鈴木(庸)委員 要は、プロパーで、最初からここで採用されている方がいないという答弁と理解しているんですけれども。

 現地で情報を集めるわけですけれども、今、偽パスポートという話が小谷さんの定義の中にあって、かつ、その偽パスポートを発給することについて政府内でもいろいろな御意見があるということは承知していますけれども、現時点では、例えば、偽パスポートを所持して第三者に成り済まして情報を取るといった行為というのは行われているんでしょうか。

斉田政府参考人 今の偽パスポートの件でございますけれども、その件については、直接答えになるかはちょっと分かりませんが、国際テロ情報収集ユニットにおきましては外務省に設置をしておりまして、外務省の設置法で定められている外務省の任務及び所掌事務の範囲内で国際テロに関する情報の収集を行っているということになっております。そのため、先ほど申し上げましたとおり、外交旅券を持って活動に従事しているということでございます。

鈴木(庸)委員 範囲内ということなんですけれども。こうして集められた情報なんですけれども、官邸のインテリジェンスコミュニティーの構図を見れば見るほど、どういう情報収集がされていて、どこからどういう情報が上がっていって、北村さんのときに大分それが整理されて、週二回のブリーフィングとか、そういうのは承知しているんですけれども、この現地の皆さんが、ユニットの皆さんが集めた情報というのは、ルートとしてはどういう形で官邸に報告されているんでしょうか。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 この国際テロ情報収集ユニットは、先ほど来申し上げておる外務省に置かれておりますけれども、情報関係各省庁の要員で構成され、政府一体となって、官邸等の情報関心を踏まえた情報収集を行っております。

 収集されました情報は、関係省庁などに共有されるとともに、官邸による意思決定に反映され、また、関係省庁による分析やテロ対策に活用されているということでございます。

鈴木(庸)委員 正直、なかなか分からなかったんですけれども。いろいろな記事とか関係者の皆さんの話を総合すると、この組織が、各省庁からの皆さんが集まっていて、外務省さんのインフラを使いながら情報収集をしているという理解なんですけれども。

 なぜこういう質問をしたかというと、やはり外務省という組織の中に、テロ情報何とかとかテロ何とかと幾つもあっていて、特に、国際情報統括官組織、こちらの中に第二国際情報官室、テロ関係の情報を集めている、集約しているということなんですけれども、ここと国際テロ情報ユニットというのはどういった情報のすみ分け等がされているのかも御説明いただけますでしょうか。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 この国際テロ情報収集ユニットは、邦人人質事案等の国際テロの未然防止、また、国際テロが発生した場合の有効な対処、こういったことのために、国際テロ情報の収集に特化して活動を行っている組織でございます。

 これに対して、国際情報統括官組織は、全世界を対象として国際情勢に関する情報の収集及び分析、こういったことを行っております。この情報の収集、分析の対象も、各国の対外政策、軍事、内政、経済といった幅広いものを対象としておりまして、テロもそうした中の一つということになっております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 さっき予算が僅か四・三億ということで、ちょっと驚いたんですけれども、是非、常に適切で効果的な人員配置をお願いできればと思います。やはり相当危険な思いをされていると思うんですよね。情報を取るにもかかわらず、一般の外交官の方と同じ外交旅券で、偽パスポートの所持といったことも認められていない。正直きついんじゃないかなと思います。

 国会で今話が進んでいるアクティブサイバーディフェンスの話も、今までとは全く様相が異なりますよね。自分から向こうのサーバーを開いて情報を取りに行くような話ですから、やはり現場で頑張っていらっしゃるユニットの皆さんがリスクを取れる体制というのを是非国で検討していかなくてはいけないのかなと思っております。

 先ほどの小谷教授の指摘にもあったんですが、やはり、そうなると、ACDもそうですけれども、ユニットに対する根拠法というものを作るということについても検討する時期に来ているのではないかなと思っているんですが、その辺りの大臣の見解を伺えますでしょうか。

岩屋国務大臣 このCTUというのは、まさにテロとの闘いが続いているさなか、中には、日本人が巻き込まれるようなことが起こっていた中にあって、やはり邦人保護の観点からも、テロ情報に特化して情報を集め、分析する組織が必要だということで、立ち上げられて今日に至っていると承知をしておりますし、それは今、事務方から説明をさせていただいたとおりでございます。

 この先どうするかということについては、やはりこれからしっかり議論をしていかなければいけないのではないかというふうに思っております。我が国の、大きく言えばインテリジェンス組織の在り方、特に、対外情報に特化したヒューミントの組織が果たして必要かどうか、必要だとするならばどういう形であるべきか、置き方であるべきか、その権能はどうあるべきか等々、たくさんの課題があろうと思います。

 政府においてももちろん研究はしていきますが、是非、政治の場においてもこういう問題についても議論を深めていただき、また御提言等をいただければありがたいなと思っているところでございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 これについては自民党さんの中でも大分議論されてきたことだと承知しているんですけれども、議論を主導されてきた方が鬼籍に入られたり、あとは引退されたりということで、今どういった議論になっているかは存じ上げませんが、これは党派を超えてやっていかないといけない問題なのかなと私は思っております。

 ですから、きちんと根拠法を作って、これまでグレーとされていたことでも、結構現場でやらざるを得ないような状況というのは多分あると思うんですね。そういうことについて法整備をして、本当に頑張っていただけるような状況をつくってあげるのが、いろいろな意味での日本の利益につながってくるのかなと思っております。

 例えば、そうだといっても、民主主義国家ですから、新しい権限を与えるにしても、それについて国会が監視をしなくてはいけない。国会が、どういうことをやっているのか、それこそイギリスのMI6もCIAもそうですけれども、基本的には議会が監視するという機能があるんですけれども、そういった、こうした組織に対する国会の監視の在り方については、大臣はどのような御所見をお持ちでしょうか。

岩屋国務大臣 国会による監視の在り方について行政府として申し上げるのは控えるべきかなというふうに思いますけれども、一般論として申し上げれば、やはりそういう情報組織と民主主義の緊張が常になければならないというふうに思っておりまして、特定秘密に関しては情報監視審査会が対応するようになっておりますけれども、やはりそういう考え方は大切なのではないかというふうに思っております。

鈴木(庸)委員 今、特定秘密のお話もありましたけれども、今、一応、たてつけ上はテロ対策で、テロの情報に特化しているということになっているんですけれども、このユニットの情報収集能力をもって経済安保の任務を付与するといったことについての議論というのは進んでいるんでしょうか。

岩屋国務大臣 先刻来御説明しておりますように、現在のCTU、国際テロ情報収集ユニットは、あくまでも、国際テロ事案を未然に防止し、また、発生した場合の有効な対処を実現していくために、テロ情報に特化して情報収集、分析を行う組織でございますので、現段階においてこのユニットが経済安全保障そのものを目的とした情報収集を行うことは想定されておりません。

鈴木(庸)委員 分かりました。

 今は本当に、以前、ロシアでありましたけれども、外交官でも平気で拘束されるような事態が起きる時代になってきました。

 今、経済安保の話についてはまだというお話だったんですけれども、そうでないにしても、当然、現地で協力者を募って、その協力者がいろいろ情報を集めるということも多いと思うんですね。当然、その場合、このユニットのメンバーだけじゃなくて、協力者についても危険にさらされることになる。

 御案内のように、日本はいわゆるスパイ防止法がないわけです。スパイ防止法というのは、単に国内で活動するスパイをどうこうするという話だけじゃなくて、仮に、海外でスパイとして日本人が拘束された場合でも、こちら側で誰か拘束していれば交換できるわけです。

 何でこんなことを申し上げるかというと、中国政府が、二〇一〇年から一二年にスパイ活動をしていたCIAの情報提供者十二人を殺害、投獄したというニュースがあって、これでアメリカの中国におけるスパイ網はかなり壊滅的な打撃を受けたというような話になる中で、どこの組織も、どこの政府も、自分の国の中でスパイ行為をする的な人は本当にかなり厳重に見ている中で、今このユニットの皆さんが頑張ってくださっているというのがあるわけです。

 二重スパイがアメリカを裏切ったとか、あとはハッキングされていたとか、いろいろ事実は明らかになっているんですけれども、こういう状況の中で、先ほどもおっしゃっていたような、外交官としての立場のみと。それで、これだけの任務をやっているというのは、何か徒手空拳で戦っているような、そんな印象を受けるんですね。

 ですから、総合的なスパイ防止法を作るということについては、当然、今後更なる議論が必要なんですけれども、万が一に、例えば、交換の部分だけ特出しして、捕虜交換に持っていけるような法律を考える時期に来ているのではないかなと私は考えておりますが、その辺に関する御所見を伺えればと思うんですが。

大鶴政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるスパイ防止法の必要性につきましては様々な議論があるというふうに承知しております。そういう観点も含めまして、この種の立法に当たりましては、多角的な観点から慎重に検討されるべきだというふうに考えますし、また国民の十分な理解が得られることが望ましいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 そういう従前の答弁になるのはもちろん承知しているんですけれども、是非、捕虜交換というところの機能が日本にあれば、もう少しいろいろな人を日本に戻すことができるんじゃないかなと私は思っておりまして、この議論も進めていければと思っております。るる御説明いただいて、ありがとうございました。

 先ほどの小谷教授の理論に戻すと、政策部局から独立してインテリジェンス機能に特化しているということについては、CTU―Jはそのとおりだと。政策決定者や政府中枢に対して情報を報告する制度が確立されているということについてもそのとおりだと。

 ただ、海外での情報収集や工作活動のための偽パスポートの所持や、本国への情報伝達の安全なラインを確保しているかどうかということについては道半ばで、諸外国の対外情報機関がカウンターパート又は対等な関係として認識しているということについてはそのとおり、最後に、民主主義であれば、独自の組織の根拠法を持ち、議会の対象になるというところについては道半ばということになるわけですけれども、全体のイメージとしては今五合目か六合目というところなのかなと思っております。

 最後に、いわゆる今後の日本のインテリジェンス、とりわけこのCTU―Jについての大臣の御見解を伺えますでしょうか。

岩屋国務大臣 先ほど、私の基本的な考え方は申し上げました。CTUはCTUとして、これまで重要な役割を果たしてきていると思いますし、現在もなお果たしているというふうに思っておりますが、その上で、これから我が国のインテリジェンス組織がどうあるべきか、それから、政府から申し上げるのは僭越ですけれども、それと国会との関係は本来どうあるべきかという事柄等について、是非、政治の場においても御議論、御研究いただいて、提言をしていただければありがたいと考えております。

 やはり、この種の問題は幅広い国民の皆さんの御理解をいただくということが必要だと思いますので、そのことを念頭に置いて政府においても研究していかなければいけないと思っておりますし、是非、政治の場においても議論を深めていただければありがたいと思っております。

鈴木(庸)委員 私も記者をやっていたので、いろいろと事件取材とかをやっていると何か危ないなと思う側面があって、多分そんなものの十倍、百倍の危険の中でユニットの皆さんがやっていらっしゃると思うんですね。是非、その皆さんが働ける本当にいい環境をつくっていただければというのを改めてお願いをさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 次に、去年十二月の大臣の中国訪問についての件を伺わせてください。

 中国で王毅外交部長と日中外相会談をしたということなんですけれども、この会談の成果について、中国国務院の発表していることと日本外務省が発表していることに若干のずれがある。中国国務院は、十の合意に至ったと発表しているわけなんですね。その七つ目について確認をさせてください。

 その七つ目には、双方はメディアとシンクタンクの交流を強化し、二国間にとって前向きな役割を果たしていく。ここまではいいんです、ここまではいいんです、文言的に。その次に、双方は世論及び世論環境の改善に取り組んでいくとしているわけなんですね。やはり、共産党体制の中国と世論及び世論環境の改善を一緒にやっていくというのは違和感を感じるんです。このことが、なぜか日本の外務省が日本国内向けに行った発表にはこの部分が記載されておりません。

 伺わせてください。中国国務院が発表したこの合意内容の七つ目に含まれている世論及び世論環境の改善というのは、外務省さん、具体的に何を示すんでしょうか。

岩屋国務大臣 昨年十二月、日中外相会談をやった際に、日中ハイレベル人的・文化交流対話というものもやらせていただきました。その後の発表についてのお尋ねだと思います。

 元々の問題意識は、今、日中で世論調査を行うと、お互いがお互いを九割の国民がよく思っていないというような調査結果が出ておりまして、これはやはり改善をしていく必要があるねと。そのためには、まず人的交流が行われるということがその土台になりますよねということで、そのための会議を行ったところでございます。

 双方の発表内容には多少差異がありますが、それは、すり合わせて発表しているわけではなくて、それぞれが発表しているがゆえにそういうことも時にはあるということだと思います。

 日本側の事後発表では、中国側発表にある民意と世論環境の改善に注力するとの文言は含まれておりません。その一文は、メディア、シンクタンクの交流、協力を強化しようという文脈でありまして、その点については、日本側の事後発表でも、民間主催のメディア交流の再活性化といったことを確認した旨言及をしているところでございます。

 いずれにしても、冒頭申し上げたように、日中両国民のお互いに対する国民感情がよろしくない、悪化したままになっているという調査結果もある中で、交流を通じて相互理解が少しでも増進し、お互いの国民感情が改善するといったことを期待をしているところでございます。

鈴木(庸)委員 そういう日本側の理屈は分かるんですけれども、ただ、世論とか世論環境について国家が積極的に関与していくというのは、やはり民主主義国家の発想ではないのではないかと私は思うんですね。それを向こう側では発表したけれども日本側では発表していなかったことというのは、何かその辺についていろいろ議論が沸き起こってしまうことについての、それを避けたのかなという疑念が若干湧いてきてしまうというのが正直なところでございます。

 是非、言葉遣いとか文言の調整というのも大変だと承知しているんですけれども、できるだけその辺りについては誤解のないようにお願いをできればと思うんです。

 今、大臣から、双方のメディア交流ということであったんですけれども、その意味で、共産党の一党支配の中国と我々民主主義国家のメディアの交流の先には一体どういうものを見据えて、交流という言葉をお使いになられているのか、最後に所見を伺えますでしょうか。

岩屋国務大臣 その前に、先ほどの世論及び世論環境の改善ですけれども、言うまでもなく、我が国は自由な国でございますから、思想、言論は統制されることがあってはならないわけでございますから、我が国の言葉遣いにおいては、やはり常にそういうことに配意していなければならないということだと思っております。

 それから、やはりメディアが果たす役割というのはすごく大きいと思うんですね。日中のお互いの感情がこれだけ悪化したというのは、様々な要因があると思いますけれども、メディアの影響というのも少なからずあるというふうに思っております。特に、日本とは政治体制が異なる中国のメディアが中国国内で我が国のことをどう伝えるかということは、一般の中国人の対日観に非常に大きな影響を与える傾向があるというふうに思っております。

 そのために、国内宣伝、報道に携わる中国のメディア関係者自身が、我が国を、日本を自分の目で見て、日本人とも直接の交流をする経験を通じて、より客観的で多面的な対日理解を深めていただくことが重要だというふうに考えておりますので、こういったメディア交流を通じて、報道する側の日中の関係者の相互理解を促進することは、ひいては、両国国民の相互理解の増進にも意義があると考えているところでございます。

鈴木(庸)委員 是非、硬軟織り交ぜた外交を期待したいと思います。

 終わります。

堀内委員長 次に、太栄志君。

太委員 太栄志でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 大臣、来週もまたNATOの会合を控えているということで、これはIP4の一員として参加ということですね。本当に連日、国際会議もある中、また、本当に今、世界が激動しているという状況の中、我が国の外交のかじ取りを担っていただいていることにまず心からの敬意と感謝を申し上げます。

 本日は、ウクライナ情勢、そして日台関係、またインテリジェンスの強化という三つのテーマで質疑を行いたいと思っております。

 まず、ウクライナ。

 ロシアがウクライナに軍事侵攻してから三年と一月経過をいたしました。こういった中、局面が大きく変わりました。というのも、これまで、ウクライナの早期停戦、このことを公言してきたトランプ大統領が、今、積極的にウクライナの停戦へ向けて仲介、停戦協議の仲介を進めているという状況であります。

 もちろん、停戦自体は大いに歓迎すべきです。問題は、まさにトランプ大統領が、被害者であるはずのウクライナではなく、侵略者、加害者であるロシアに寄り添う、ロシアに融和的な形で停戦を仲介しているということが問題だと思っています。

 というのも、ロシアは、国際ルール、国際法、国際規範に明らかに違反する形で、軍事力で他国の領土を侵略するという行為を行っております。今年、戦後八十年目ですが、戦後、領土の一体性、主権の尊重だとか、まさに法の支配を揺るがしかねない、大きく国際秩序が変わりかねない、そういった転換期を迎えているというふうに私は思っております。

 もしロシアが何の代償も払わされずに許されるようなことがあったら、これはまさに同じようなことをする国が後に続きかねないということでありまして、ロシアはもちろん、我が国の隣国であります。と同時に、やはり、今、東シナ海で、尖閣周辺を含めた我が国への領海侵犯を繰り返し、また、台湾とも台湾統一に関して武力行使も選択肢として残している、中国に対して誤ったメッセージを送りかねないんじゃないかということでありますので、まさに、法の支配ではなく、力による支配に変わってしまってはいけないという思いで、この点、少し確認させていただきたいと思っております。

 そんな中、我が国はどうかといいますと、ウクライナ侵略が始まって以来、今日のウクライナは明日の東アジアという、そういった強い危機感を持って、我が国としてウクライナ支援を行ってきました。

 一方、今年一月から大分情勢は変わってまいりました。この一月に何があったかというと、まさにトランプ政権誕生以降、従来から使ってきた、ウクライナへの支援を強力に推進や、力強い支援という言葉が使われなくなったんですね。その代わり、支援を継続するという表現に、対外的に発信する文書や声明で大分トーンダウンしてしまっているというふうに私は認識をしております。

 もちろん、アメリカは、我が国の外交、安全保障上、まさに基軸であり、大変重要な国です。いたずらにトランプ大統領と対立する必要は全くないと私も思っておりますが、ですけれども、一方、法の支配は大事な価値、概念でもありますし、ここでトランプ大統領への過度な配慮が働いて、ウクライナ戦争に対して誤った判断での行動や、あるいはいつまでも様子見をしているようだと、我が国の国際的な信頼感だったり、あるいは国益を損ねるというふうに私は思っております。

 そういった意味で、岩屋大臣にここでお伺いしたいと思いますが、我が国としては、今まさにこの時点において、ウクライナ支援をトーンダウンするのではなくて、ウクライナに対する一層力強い支援をしていく、そのように改めて表明すべきだと思っておりますが、大臣、御見解をお聞かせください。

岩屋国務大臣 法の支配が力による支配に変わってはならないという委員の問題意識は、全く私どもは共有させていただいておりますし、これからもそうしてまいります。

 トーンダウンしているという御指摘は当たらないというふうに思っておりまして、私どもは、確かに、米国政権、トランプ大統領の本問題に対するイニシアチブはもちろん評価させていただいておりますけれども、やはりこれが公正で永続的な平和に結実することが大切だと思っておりまして、そこは米国ともしっかり意思疎通をし、G7においても結束をして、そういう考え方で取り組んでいく必要があると考えております。

 したがって、例えば、私が出席した先般のカナダにおけるG7外相会合においても、ウクライナにおける和平の在り方は欧州のみならずインド太平洋を含む国際秩序全体に影響を与えるものであると指摘をした上で、誤った教訓が導き出される状況が生まれることを許してはならないというふうに強調をしたところでございます。

 今後とも、こういう問題意識に立って、ウクライナ支援をしっかりと継続してまいりたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 ただ、私、客観的な、これまでの大臣、総理、外務省を始め、様々な表に出てきている文書を見ている中でも、残念ながらやはりトーンダウンをしているんですよ、大臣。そこはちょっとね。

 大臣が様々な場で、特に国会なんかにおいては、力強くサポートをしていくと、今もそうおっしゃいました。ですけれども、大臣、もちろん国会で言っていただくのも大事ですけれども、一番大事なのは、やはり国際社会に向けてどう発信していくのか。そういった趣旨からすると、先般のまさにG7外相会談で、ウクライナ支援に関しては、大臣、支援を継続する決意だと、支援を継続する、そう言っているんですよね。

 もっと大事なのは、問題だと思ったのは、ウクライナ戦争からちょうど二年目だった去年、当時の岸田総理は、各国との首脳テレビ会談においては、ウクライナを力強く支援していくと明確に言っていますよ。では、石破総理がこの二月、どうだったか。二月の二十五ですか、同じ今回の首脳のテレビ会談で、今後もウクライナ支援を継続としか言っていないですよ。意図的に、これは外していますよね。そういった意味で、改めてここは、しっかりとウクライナに対する支援を表明していただかないと、これは先ほど言いました、我が国の国益を損なうことになりかねないというふうに私は思っています。

 というのも、まさにこれは、この前、ウクライナ問題の専門家である筑波大学の東野先生もおっしゃっていました。この間の我が国政府の対応がどっちつかずで、立ち位置が明確に分からない、そういうふうにおっしゃっていました。私もそこはそのとおりだと思っておりまして、アメリカとはしっかりとつながっていなきゃいけないんです。ですけれども、ほかのG7、特にヨーロッパの諸国と、しっかりと私たちはここは意思表明をしていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、どうか大臣、変わっていないのであれば今後変えていただかないと、私は、今こそウクライナへの支援を強化していただかなきゃいけないというふうに思っていますので、その点を進めていただきたいと思っております。

 それでは、この関連になりますが、有志国連合への関与に関してお伺いしたいと思います。

 まず、昨日もですか、今朝の日本の報道でも出ていましたが、パリで有志国連合の首脳会談が、これは三回目ということで開催されたと。三十一の国と国際機関が参加したということなんですが、この有志国連合には我が国としてはどういうふうに関わっているのか。我が国はこの有志国連合に入っているんですか、入っていないのか、どういった形で関わっているのか。まず、政府参考人の方でも構わないんですが、その点、教えてください。

田口政府参考人 御答弁申し上げます。

 お尋ねいただきました欧州の有志国連合につきましては、一連の欧州におけるウクライナをめぐる議論の中で有志国連合と呼ばれる各種会合も開催されておりますけれども、招待国、参加国も個別会合ごとに多岐にわたり、また、イギリス、フランスを始めとする各参加国が具体的に何を実施するかについても最終的に決定されたものがあるわけではないというふうに承知しております。

 そのような前提の下で、政府としては、政策的観点から各種会合に対応してきたものでございまして、今後とも、会合の趣旨に鑑みて適切に検討してまいります。

太委員 では、我が国としては関わっていないということですか。オブザーバー参加もしないということですか。そこら辺をちょっともう一度。大臣かな、お願いします。

岩屋国務大臣 ですから、有志国連合なるものが、確たるものが今確立されているわけではなくて、そういった枠組みについてどうしようかという議論が様々な形で多岐にわたって行われておりますので、当然、情報収集はしっかりしております。招待を受けたときにはしかるべき者が参加したりして情報を集めているところでございまして、何かもう既に有志国連合というものが立ち上がっているということではありませんので、状況を見極めながら、我が国の対応はどうあるべきかということをしっかり検討してまいりたいと考えております。

太委員 大臣、それでは、既にもう我が国としては、呼びかけがあって、それに対して参加をしたということでよろしいですか。ちょっとそこを明確にしてください。

岩屋国務大臣 そう言うとちょっと誤解を生じると思うんですけれども、様々な相談の会があったときに、もし声がかかれば、しかるべき者が参画をして情報を得るようにしておりますし、参加をしない場合であっても、関係各国、同志国からしっかりと情報を集めているということでございます。

太委員 分かりました、ありがとうございます。

 大臣御指摘のとおり、私も、そこは冷静に見極める必要があると思っております。もちろん、今はまだ三回目ということで、どういった方向性になるかは分かっていない。それも当然、状況としては分かっておりますが、一方、分かってから参加じゃなくて、今後、まさに我が国としてどう関わっていくのか、これは相当慎重に判断しなきゃいけない。自衛隊のことも含め、PKO等もないですし、そういった意味で、これは慎重に見極めていかなきゃいけないんですが。

 ですけれども、私は、先ほどから言っているとおりです、まさに今アジェンダセッティングしていく段階から参加していくことこそが、我が国としては、よりウクライナに対する支援をしっかりと明確に示していくことにもなると思っておりますので、ここはもちろん冷静に見ていかなきゃいけないというふうに思っておりますが、もう少し今の段階から。

 では、これはもう既に招待が来ているということですか、いろいろと報道は出ていますけれども、招待が来ればということでおっしゃっていましたけれども。

岩屋国務大臣 だから、確たる有志国連合というものが立ち上がっているわけではなくて、イギリスが主導したり、フランスが主導したり、あるいはNATOが主導したり、様々な会合が開かれている、将来どういう形であることが望ましいかということを今みんなが議論をしている最中ということだと思いますので、そこはまず、我が国としてはしっかりと情報を収集していくことが大切だと考えているところでございます。

太委員 大臣、イギリスの上院議員、スコットランドの自治政府の元首相であるマコーネル上院議員ですが、積極的に日本の参加を呼びかけているということです。このマコーネル議員が言っていることというのは物すごく正鵠を得ていると思っているんですが、これは、世界の民主主義国家がまさに一緒に立ち上がって結束していくべきだということで、もう一つ指摘しているのは、東アジアで中国や北朝鮮の脅威が高まれば、イギリスは、ウクライナのときと同様にしっかりと取り組んでいくということも含めて発信をしているんですよ。

 そういった意味で、私も、この間ちょっとアメリカに行ってきたときに、安全保障関係の方ともさんざん議論してきました。どうこれからトランプ政権と我が国が向き合っていくのかというふうになったときに、もちろん、日米関係は基軸としてしっかりとつながっていかなければいけませんが、我が国だけ、これだけ予測不可能性が高いトランプ政権に対処することはできません。

 そういった意味では、まさに、イギリスもそうだし、あるいはオーストラリア、もちろん韓国も、あるいはNATOも含め、そういった国々と、しっかりとした同志国との関係を強化して、トランプに対処していかなきゃいけない。トランプ大統領をしっかりと既存の国際秩序の中に、守っていこうということを、引き続き我々としては主張していかなきゃいけないと思っておりますので、是非とも、大臣、引き続き、法の支配による国際秩序、力によるじゃなくて法のということで、先ほどおっしゃったとおり、その姿勢を貫いていただきたいと思っております。

 そして、もう一つ、ここでお伝えしたいのが、法の支配について。

 今月三日に、ICJ、国際司法裁判所の所長に、ICCに続いて、日本人の岩沢雄司氏が選任されました。国際司法に関わる二つの主要な機関で日本人がトップになるということ、まさにこれというのは、我が国のこれまでの、法の支配を守るとか、そういったことに対する信頼感があったからこそだと。もちろん、この両氏の人間性を含めた評価というのが高かったというのは重々承知していますが、そういったバックグラウンドは当然あると思っています。

 そういった中で、この外務委員会でもさんざんこれは議論されてきたことなんですが、二月七日の日米首脳会談、大臣も同席されました。その中で、法の支配の文言がなくなったという話、これはさんざん私も予算委員会でもこの前させていただきましたけれども、大臣、これはやはり大事なんですよ。

 そういった意味で、ここでちょっと大臣に一つお願いしておきたいのが、確かに、今年に入ってからも、トランプ第二次政権が誕生して以降も、クアッド外相会合では文言をちゃんと残しているとおっしゃっていましたが、今後、日米首脳会談あるいは日米外相会談において、法の支配の重要性ということを、会議で大臣が言うだけじゃないです、しっかりと文言で残していただくことが、まさに今、国際社会でこれだけ法の支配がないがしろにされかねない状況の中で大事だと思っていますので、その点に関して、今後の取組ということで約束していただきたいと思っております。

 この点に関して、御見解をお願いいたします。文書で残してくださいという点です。

岩屋国務大臣 委員御指摘いただいたように、トランプ政権発足直後、まさに直後、就任の翌日にクアッドの外相会合をやったんですけれども、そこでは法の支配ということをしっかりうたっておりますし、日米首脳会談の共同声明においても、自由で開かれたインド太平洋ということをしっかりうたっておりまして、何も法の支配という考え方が後退したということではないと思います。

 今後の日米首脳会談について、いつ行われるかということについて予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、米国との関係においては、法の支配を重視する我が国の基本的な考え方を引き続きしっかりと訴えて、米国との間でも共有をしていく考えでございます。

太委員 大臣、どうもありがとうございます。

 是非とも、しっかりと訴えていただいて、日本とアメリカのバイの会議でしっかりと記載していただく、その点、期待しておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、法の支配と関連して、もう一点。

 トランプ大統領は、先月、ICC、国際刑事裁判所がイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことに反発して、ICC職員に経済制裁をかける大統領令を出しました。それに対して、ICCに加盟するドイツやカナダなど七十九か国は共同の非難声明を出しましたが、日本は加わっておりません。

 この点に関して、大臣は、三月六日の参議院の予算委員会、舟山議員との質疑の中で、様々、今現在やり取りをしているということをおっしゃっていましたが、これは三月六日のこと、もう大分日にちがたっていますが、これに関して、もちろん政府として、トランプ大統領に対して、トランプ政権に対してこの大統領令の撤回を要請するべきだと考えておりますが、この点に関してどうなのか。どういった形でその後行動されているのかを含めて、御説明をお願いします。

岩屋国務大臣 御指摘のICCに対する制裁につきましては、ICCが独立性を維持して、安全を確保しながらその活動を全うできるように、今後の関連の動向を重大な関心を持って注視をしてまいりますし、米国とは、私自身も含め、様々なレベルで働きかけを行ってきております。私も、マルコ・ルビオ国務長官に直接この話はさせていただいたところでございます。

 引き続き、他の締約国とも意思疎通を行いながら、米国としっかり意思疎通をして適切に対応していきたいと思っております。特に、我が方から赤根さんという所長を送り込んでいるわけでございますし、ICCがまさに安全を確保しながら活動を全うできる状況を確保していかなければいけないと考えております。

太委員 大臣、是非とも、もう大分日がたっていますよ。どうか具体的に前に進めていただきたい。大臣の判断で、何らかの、ちゃんと私は撤回要請の声明を出せると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。日本の国が本気で法の支配を守っていくということを、これは意思表示になりますので、どうかお願いいたします。

 次に、ちょっと時間がなくなってきましたが、日台関係についてお伺いします。

 これも二月七日の日米首脳会談において、台湾情勢について大分踏み込んで記載していただいて、私はこれはよかったと思っておりますが、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対ということを新たに記載されました。この背景、どういった形で記載されることになったか。その点、これはお答えいただけますか。大臣、お願いいたします。当日、同席されていました。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとりましても非常に重要なものでございます。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待する、これが我が国の従来からの一貫した立場でございます。

 その上で、先般の日米首脳会談でございますけれども、発足直後のトランプ政権との間で、御指摘の、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みへの反対につきまして首脳声明に明記いたしまして、これを国際社会に対して打ち出すことができた、こういう次第でございます。これは、現下の安全保障環境に照らしますと、極めて有意義かつ時宜を得たものであった、このように考えているところでございます。

 いずれにせよ、この地域におけます法の支配、そして平和と安定、これを日米の協力の下で堅持していく、これは日米のみならず、国際社会全体にとりましても極めて重要なことと考えてございますので、同盟国たる米国との強固な信頼関係の下で、中国に対して、その立場にふさわしい責任を引き続き果たしていくよう働きかけていきたい、このように考えてございます。

太委員 どうもありがとうございます。

 日米でしっかりと意識合わせができて、初めて文書に書き込めたというのは意義が大きかったと思っておりますので、引き続き、この認識で進んでいただきたいと思っております。

 次に、それじゃ、日台の協力の在り方について問いたいと思っておりますが、ここからは防衛省の方にお伺いさせていただきます。

 日台関係に関して、昨年九月に続いて、今年の二月、海上自衛隊の護衛艦が台湾海峡を通過するということがありました。これはしっかりとした政治的な意思で私はよかったと思っております。また、昨年七月にも日本と台湾のコーストガード同士が合同訓練も行っているということで、また、それに遡ること二〇一七年には海難救助に関する覚書も取り交わしているということであります。

 それで、ちょっと更に、では、今後、どう台湾との関係を進展させていくかという話なんですが、私、先般、台湾を訪問してきました。そのとき、一つ指摘されたことは、台湾の防衛当局者、関係者が、日台間の情報共有がうまくいっていないんじゃないかということで、ちょっと強い指摘を受けました。

 というのも、ナンシー・ペロシ下院議長が二〇二二年に台湾訪問、その直後に、中国が大規模な、台湾を囲むような形の軍事演習を行いました。その際に、日本のEEZ内に五発の中国のミサイルが落下したということで、そういった事案があったんですが、そのときに、台湾側は、国民の不安を懸念してミサイルの落下場所を公表しなかったということでありました。一方、日本の防衛省は、その日のうちに、まさにEEZ内に五発のミサイルが落下したということを発表したことに関して、台湾側から、そこは不満が出ていました。

 そのことに関してお伺いしたいんですが、今、日本と中国に関して、日中では二〇二三年から、これは安倍総理のときに合意して、二三年から防衛当局同士のホットラインが進んでおります。一方、今、台湾との間に、こういったホットラインとか、あるいは情報共有の仕組みというのはあるんでしょうか。その点に関して、お願いします。

本田副大臣 お答えいたします。

 政府といたしましては、台湾との関係は、一九七二年の日中共同声明を踏まえまして、非政府間の実務関係として維持していくという立場でありまして、台湾との関係につきましては、こうした基本的立場を踏まえた上で適切に対処していく考えでございます。

太委員 この非政府間の実務関係の中でということですね。もちろん、今正式なルートはありませんので、そうならざるを得ないと思いますが、逆に、そういったルートの中で、中国とはありますよ、何で台湾とはないんでしょうかね。もちろん、政府関係がないからということなんでしょうけれども、コーストガード同士は、今覚書まで締結して、やり取りしています。

 それだったら、例えば災害救援だったりとか、あるいは、まさに海難救助でも、そこに関して、何らかの形で情報共有。というのも、やはり今様々なことが台湾海峡で起こりかねない、有事が起こりかねないというときに、こういった初歩的な情報共有すら、もし万が一できていないのであれば、これは相当、私は致命的じゃないかと思っておりますので、そこに関して何とかやっていただきたいということと、まあ難しいということになってしまうのでしょうけれども。

 あるいは、例えば、アメリカと台湾に関しては、リンク16というんですか、通信システムで瞬時に両方の軍のいろいろな情報共有ができるシステムがありますので、例えば、アメリカも絡めて、そういった形で何か共有していただく、そういったことが必要なんじゃないかと思うんですが。

 大臣、もしよろしければ、その点に関して、もちろん、防衛当局じゃなくて、外務省として、何かそういった台湾との協力関係というのを進展させられるものがあるのか。その必要性に関しても、大臣、突然で大変恐縮ですが、御見解をお願いいたします。

岩屋国務大臣 台湾との関係は、あくまでも非政府間の関係として、これからも維持していかなければならない、台湾は大切な友人であるというふうに考えておりますが、その意味で、外務省としてということになると、なかなかお答えが難しいところでございます。

太委員 これは、やはり法の支配の問題なんですよね。ウクライナでもそう。

 台湾海峡、東アジアでも同じようなことが起こっちゃいけないので、決して、この軍事的な、偶発的な紛争も含めて起こしちゃいけないので、今、中国は、大分もうフェーズが変わってきています。我が国も更に何らかの意思表示をしないといけないと私は思っておりますので、その点、是非とも御検討いただきたいということをお願いしまして、大変申し訳ないんですが、インテリジェンスに関してはできませんでしたが、また次回以降の質疑でお伺いさせていただきたいと思っています。

 大臣、どうもありがとうございました。

堀内委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 岩屋外務大臣と質疑をさせていただくのは、若い頃から御一緒させていただいている関係もあり、予算委員会で、当時安倍政権で、岩屋大臣が外務大臣ではなく、河野さんが外務大臣で、岩屋さんが防衛大臣だったときに宇宙ごみについて御答弁をいただいた記憶がございますが、その後、私は久々に外務委員会に戻ってきたので、ちょっと初歩的な質問を幾つかさせていただきたいなと思っております。

 今日は、大臣にはとにかく躍動していただきたいというか、この後、ベルギーに行かれてNATOとかG7の外相会合とかあられて、そちらの関係が、ウクライナであるとか中東であるとか、あるいはアメリカの問題であるとかということで、そちらの方が相当忙しいと思うんです。

 私が国会議員になる前に岩屋事務所をお訪ねしたときに、岩屋さんの秘書に、岩屋さんが外務副大臣をされておられて、相当いろいろな国に行っていて大変なんだというようなことを伺いました。それで、先ほど申し上げた河野大臣は、私も敬意を表しておりますけれども、相当な数、私はこれだけの国に行ったよということを彼は言っておられた記憶がございます。

 いろいろなテーマが今地球上にある中で、やはり、安倍政権であられた、地球を俯瞰する外交というのは最近言われなくなりましたけれども、外務大臣におかれましては地球を俯瞰するような形で、例えばアフリカとかグローバルサウスの国々、あるいはグローバルサウスの先にあるような国々も時間があればお訪ねいただいて、彼らは、日本に対する評価というのは、私は、実は立場上、今ちょっと国際関係の仕事を党の中でさせていただいていることで、各国大使館をお訪ねすると、日本に対する評価というのが非常に高いのと、具体的に外務大臣に来ていただきたいという言葉も実は承ったりしております。

 そういった点で、ちょっと大上段で恐縮ですけれども、是非、国会がなかなか閉じなかったり、参議院選挙があったりとかそういうこともあるんですけれども、国益を考えていただいて、やはり一国でも多く日本の友好関係を深めて、場合によっては、私の希望としては、先ほど中国に文化人と一緒にというお話がございましたけれども、是非経済人を伴って一緒にお訪ねいただくと。

 「炎熱商人」で、商社マンが、あるいは各メーカーの立派な方々が、本当に諸外国で活躍されていることは私は分かっているんですけれども、やはり政府とのパイプとかそういう意味では、外務大臣が一緒に連れていっていただいて、経済人を伴うことによって、やはり我が国の経済的繁栄、輸出の増大、貿易の拡大、あるいは直接投資の拡大、そういったことにつながっていくと思いますので、先輩に対して大変僭越なんですけれども、大いに躍動していただきたいということを申し上げたく存じます。

 それで、私の立場は、実はバッジをつけておりますけれども、万博を、これは国家事業なので、石破総理もはっぴを着て議連に出ていただいたりしているということがありましたし、私はその日は、実は前原代表とともに現地を見させていただくという中で、シンガポールのパビリオン、それとオーストリアのパビリオンを具体的に見せていただいたりしてきました。

 万博というのは、我が党にとっては、ちょっと私は風の便りでしか知らないし、現場にいなかったので分からないんですが、初代の代表と二代目の代表が何か話をして、東京オリンピックがあるけれども、大阪はやはり万博をもう一回やった方がいいんじゃないかみたいなことを話し合われて、それをきっかけに、安倍総理始め皆様の御協力をいただいて、今日の万博につながっているというふうに認識をしているんです。

 この万博を何とか成功させたいというふうに微力ながら私は思っていまして、まず、ちょっと話が長くなって恐縮なんですが、万博の現地に行くには、地下鉄ルートと、三つぐらいルートがあるらしいんですが、それと船で、ボートで現地に入れるルート、それとバスで入るルート、車で入るというんですかね、そういうルートもあったりするんですね。

 大臣はもう現場を見られているかと拝察しているんですけれども、まだであるかもしれないし、各国要人が、四月十三日から十月十三日の万博期間に置く中で、開会式が十二日にあり、各国のナショナルデーというのがそれぞれあって、私が尊敬する英国は五月二十二日がナショナルデーでいらっしゃいまして、そのイギリスの中でも王族の方が、国王がいらっしゃるのか、あるいは総理始め主要な、あるいは副総理なのか分からないですが、相当な方々がお訪ねされる可能性があるなというふうにも感じています。

 そういった意味では、地球をぐるぐる回っている中で、大臣には、まずもってどんどん飛んでいっていただいて回っていただきたいというのが趣旨なんですけれども、一方で、せっかくの万博の機会で、諸外国の方々の、しかも要人がどんどんどんどんいらっしゃるというような万博であります。

 それで、万博の評価は、国内的にはチケットがどうだとか、人気がないとか、いろいろそういう報道がされる中で、ようやっと最近認知が高まってきている中でありますけれども、私が知る限り、諸外国からは、例えばアメリカのフロリダの私の大学教授の友人が相当みんな関心を持っていて、みんな行きたがっていて、万博に行って、併せて観光したいとか、そういう思いを結構聞いているから、杉本さん、そんな心配は要らないんじゃないか、こういうようなお言葉をいただいたり、英国の方々とお話をしても、英国サイドも、それこそ今申し上げたような要人を派遣するように要望を総理に上げておくというようなことを言っていただいたりしております。

 そんなことで、まず大臣に伺いたいのは、この万博、外交という面を切り口に、大阪・関西万博をどう御覧になっているか。正式名称は二〇二五年日本国際博覧会なんですけれども、この点について、外交上の意義を大臣はどういうふうに御認識かというのをお話しいただければと思います。

岩屋国務大臣 長い御縁のある杉本委員に久々に外務委員会でこういう形で質問していただいて、大変うれしく思います。

 おっしゃったように、常に、外交は地球儀を俯瞰するという気持ちで進めていかなければいけないというふうに思っております。私も、もうすぐ半年になりますが、地球四周分ぐらいは距離にすると外遊させていただいておりますが、何も数多くただ行けばいいということではなくて、やはりしっかりと戦略を持って、また目的を持って、外遊もしっかり努めてまいりたいというふうに思いますけれども、一方で、日本にお越しになる方々をお迎えして、しっかりと対談をするということも非常に大切だと思っております。

 今度の大阪・関西万博は、総理がよく、小学校のときに並んで月の石を見たという話をされますが、私も同じ年でございますので、まさに大分から親に連れられて見に行ったことを、総理のそのお話を聞くたびに思い出しておりますが、今度の万博も是非成功してほしいと思っております。

 そして、ここではやはり、世界と交流を深めて、我が国の魅力を国際社会に広く発信をするという機会にしなければいけない、外交的にも極めて重要な国家的行事だと考えております。万博期間中には、今御指摘があったように、王族でありますとか首脳、閣僚を始め、本当にたくさんの方々がお越しになります。私も、できるだけ外務大臣がお越しの際は二国間会談をやりたいと思っておりまして、今、どんどんどんどん日程が埋まってきているところでございます。

 各国との協力、連携を強化する機会としても、大阪・関西万博を有効に活用させていただきたいと思っております。

杉本委員 それで、質問は、具体的にどことお会いになるんですかというやぼな質問をしようと思ったんですが、まだ予定なので、答えをいただく必要はないかと思います。とにかく、できる限り有効に、本当に来ていただいて、日本のよさを分かっていただく中での、日本のよさが分かっている中での日本外交との向き合いということかと思いますので、是非、御活躍いただき、外交を更に前に進めていただきたいと思っています。

 ちょっとまた一方的に、通告していないので答弁は求めないつもりですし、感想があれば伺いたいです。

 敬意を表する英国議会では、下院で、トランプ政権の大規模な混乱というか無能ぶりが露呈した、米情報漏えい、欧州で批判と懸念、こういう読売の記事がありまして、この日本国の衆議院の外務委員会でこの問題を取り上げないのはいかがかというふうに思ったので、私はあえて答弁は求めないつもりですし、御感想があれば伺いたいです。

 英国では、二十五日に下院国防委員会で漏えい問題が議論され、英国は、米国など五か国による機密漏えい共有の枠組み、ファイブアイズに加盟し、米軍主導のフーシ攻撃にも参加してきた、これがイギリスなんですね。

 野党の、議席を七十二議席に伸ばした、その前が五十議席ぐらいであったLDPというか自民党は、その議員さんが、英国の機密情報が漏えいするのは時間の問題だ、イギリスの情報が要はアメリカによって漏れちゃうんじゃないか、こういうような質問をされ、これに対して政府側は、英国の作戦に関する情報の機密保持に影響はないという説明を、答弁をしたということなんです。

 私の懸念は、トランプ政権は、まず感じるところは、あるベスト・アンド・ブライテストの元外交官に最近聞いたお言葉を申し上げると、トランプ政権は突然変異ではなくて、オバマ政権以降のトレンドの中の一つ、こういうような感じでおっしゃられました。

 私も、四年間我慢すれば新しい、また元の価値観に戻る、アメリカに戻ってくれるんじゃないかなというふうに感じていたんですけれども、そのお言葉を聞いて、トランプ・アフター・トランプ、プーチン・アフター・プーチンなのかもしれないので、もう世界は変わりつつある。

 日本のその価値観外交も本当にしっかりと、さっき太さんが法の支配という言葉の中で言われましたけれども、そういうことを徹底的に我が国としては立場を主張していく必要があるし、相手があって、相手の機嫌を決して損ねてはならないわけであります。

 そういったことの中で、我が国としても、我が国自身の情報機密保持、あるいは同盟国との関係における我が国の情報の機密保持ということがとても大切だと、この英国の議会の議論があったということを聞いて、この外務委員会の場でも我々は意識を共有していく必要があるのではないかというふうに感じておりますので、その点、一つ申し上げさせていただきます。

 もう一つ、直近の問題でいけば、二五%の関税の問題ですね。四月三日に自動車、そして、部品については五月の三日までに二五%、追加関税を上げるというようなことがございました。石破総理からは、官房長官と岩屋大臣も御一緒に会議をされたというふうにニュースで聞いていますけれども、我々は、アメリカには言うべきは言っていくという必要はあると思います。

 一方で、さっき何人かの方がおっしゃっていたかもしれませんが、中国が逆に、WTOルールに違反しているんじゃないかと中国外務省が言っているということで、むしろ、中国と価値観を共有しちゃっている状況に我が国はあるというふうに思っています。

 重ねて、何度も繰り返し恐縮なんですが、やはり普遍的価値というのは本当に大変重要な概念の中で、法の支配もそうですけれども、自由とか自由貿易とかいった価値観であるとか、あるいは経済学で言うところの比較優位ということで、結局のところ、どこか得意な国が物を作ってそれをお値打ちで輸出してくだされば、一番メリットを受けるのはそこの国の国民であるということの中で、おのずからアメリカは時間を置いて、この関税の問題によって、例えば三百万円していた車が百万円上がって四百万円じゃないと買えなくなるということで、文句を言い出すのはアメリカの国民であるということかと私は拝察しております。

 ポピュリズム的なといったら正しいかどうか分かりませんが、アメリカ・ファーストというような考え方が横行する中で、我が国としては、引き続き、この普遍的価値を大いに中心に置いて外交を展開していただきたいということを思っておりますけれども、もし御感想があれば大臣にいただけますでしょうか。普遍的価値が大切だということについての答弁で結構でございます。

岩屋国務大臣 他国のことを論評することは避けたいと思いますけれども、なぜその普遍的な価値が重要かというと、やはりそのことを通じて、たくさんの国々、たくさんの人々が自由であったり、平等であったり、豊かさであったりというものを享受できるということなんだと思います。

 最終的には、世界のためになる、人類のためになる、そのために必要な、重要な価値というものは、これからも大切にしていく必要があるというふうに考えておりますので、その考え方でやはり外交も進めていきたいと思っております。

 しかし、外交というのは、厳しい現実に向き合って答えを出していかなければいけないという仕業でもございますので、その理想だけを唱えていればいいということでもない、そういうまた厳しさもございますので、重要な価値、大切な価値というものをしっかりと頭に置いた上で、我が国の国益というものをいかに確保するかということもしっかり追求する外交を展開できるように努力してまいりたいと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 今日は質問を大分用意しているんですけれども、多分時間が足りなくなるので、次の条約の関係の機会も私がちょっと登板させていただく予定なので、あらかじめ政府参考人の方々におわびをさせていただきたいですが、次回は必ず質問したいと思います。

 そんな中で、二つ、GCAPの件、それと大相撲中継のことについてNHKの方に来ていただいているので、その二つだけは、あと仕上げたいと思っています。

 まず、GCAPは、皆さん御案内の、日本、イギリス、イタリアの次期戦闘機。トランプさんは、F47というのを、名前を、自分の大統領のフォーティーセブンスをつけて、しかも、外国に売る場合は、自分たちのレベルより低いのを売るとかなんとかおっしゃっていて、頼りにならないアメリカのエアクラフトなのか、戦闘機なのかというようなニュースが直近あったりしました。

 我が国がイギリス、イタリアと開発しているGCAPについて、何か実務的な本部を設立したり、そのリーダーが日本の方になったりというようなこととか、今後、いつまでにそれが開発されていくのか。何か、二〇三五年というふうに直近は伺っているんですが、前は、二〇三〇年という数字があったような気もしますが、こういった今後の展望。

 それから、併せて、一遍に答えていただいて恐縮かもしれないんですが、私が、この間、イギリスに行ってちょっと言ってきたんですけれども、イギリスと協力したいのは、エアクラフトだけじゃなくて、やはりシップについても、あるいはマリンについても、あるいはサイバー等の情報についても協力していって、イギリスとはもう一回、一九〇二年以来の日英同盟をやってはどうかなんということを大上段に申し上げたりしてきたんです。

 そんな意味で、GCAPの進捗状況を是非確認させていただければと思います。お願いします。

家護谷政府参考人 防衛省からお答えさせていただきます。

 次期戦闘機の共同事業であるGCAPを推進するため、昨年十二月十日に、GCAP政府間機関であるGIGOが設立されました。GIGOの本部は、英国ロンドンの近郊のレディングに所在し、初代首席行政官には、日本から、元防衛審議官の岡真臣氏が就任しています。

 また、企業側においては、同年十二月十三日に、ジョイントベンチャー設立合意書が署名されました。本年には、GIGOとジョイントベンチャーが車の両輪となり、GCAPを強力に推進していくという体制が整うことになります。GIGOと、そのカウンターパートであるジョイントベンチャーの間で、本年中に最初の統合契約を締結すべく、作業を加速させているところでございます。

 引き続き、GIGO及び日英伊三か国の官民で緊密に連携しながら、協業体制の構築に取り組み、二〇三五年の初号機配備を目指し、三か国の共同開発を着実に推進してまいります。

 この二〇三五年につきましては、今使っているF2という戦闘機の減勢が始まるタイミングでございますので、我々にとっては非常に重要なタイミングだと考えております。

 また、共同開発につきましては、防衛装備品の高度化、高額化が進み、開発のコストやリスクが増大する中にあって、一国のみならず、パートナー国と協力をして資金、技術をそれぞれが供与して国際共同開発を行うことにより、特に大型の装備品について、優秀な装備品を取得するとともに、諸外国の優れた技術を取り込むことにもつながるものと考えています。

 その上で、防衛省としては、次期戦闘機の共同開発に加えまして、これまで米国との間でSM3ブロック2Aの共同開発、生産を実現し、また、現在、滑空段階迎撃用誘導弾の共同開発を進めているところでございます。

 これらのほかに、オーストラリアとのフリゲートの共同開発、生産について、オーストラリア国内で選定プロセスが行われているところです。

 防衛省としましては、共同開発のメリットも踏まえまして、引き続き、共同開発、生産を踏まえた同盟国、同志国との装備協力を深化させていきたいと考えております。

杉本委員 GCAPだけに限らず、諸外国との連携というようなお話も御答弁いただいて、ありがとうございます。

 私も、この間、スペイン大使にお会いしたらば、最近就任されたばかりなんですけれども、スペインとも協力を是非できないかみたいなお言葉がありました。それで、スペインは今、ドイツ、フランスと一緒に戦闘機を開発しているようでございますので、本当にいろいろな国との、アメリカが頼りになるのかならないのか分かりませんけれども、引き続き日米同盟は基軸にしつつ、我々は、新しい多面的な、そういった国際協力というものを技術の分野で、デュアルユースというような関係も含めて、展開を広げていただきたいというふうに思っております。

 さて、もう時間がなくなってきちゃったので。

 この間、チェコ大使館に行ったところ、チェコ友好杯を、これなんですよと見せていただきました。子供の頃、チェコスロバキア友好杯というのが三番目ぐらいに出てきたり、四番目か五番目だか忘れましたけれども、パンアメリカン航空の社長が出てきてというのを、皆さん、シニアの方々は、若い方々は分からないと思うんですけれども、御記憶にあると思います。

 そんな中で、最近ちょっと時間もあって、大相撲中継、十五日間、結構見たりしておるんですが、千秋楽で、最後の時間にチェコ友好杯を出してほしいなと率直に実は思ったんです、昔あったなと思って。

 しかし、今聞いたところ、ハンガリー国友好杯だとか、モンゴル国総理大臣賞、ブルガリア共和国優勝杯、タイ・日友好杯、日仏友好杯、メキシコ合衆国友好、コロナビール一年分とか、チェコ友好杯というような、各国のものがいっぱいあって、しかし、これが、大相撲中継を見られる国民の皆さんに伝わっていないんですよね。せっかくいろいろな国が、我々を、国技である大相撲を応援してくださって賞品を出してくださっているのに、そのことが伝わっていない。

 私の問題意識は、十五日間ある中で、最初の初日でも、二日目でも、三日目でも、余り視聴率が高くない日で結構だし、早い時間でも構わないので、とにかく、こういう国から、この場所についてはこういう御協力をいただいているんだということをきちっと伝えていただくことが各国に対するせめてもの敬意を表している姿勢じゃないかと私は感じているんです。

 NHKの担当の方は、東京都知事杯とか、いろいろ企業からも賞が出ていたりして、バランスとかいろいろ難しいんですというお言葉もいただきましたけれども、事国際関係においては、国家的な関係で、外交上の問題でもありますので、是非NHKさんには、千秋楽の真ん中の時間でもいいし、幕内に入る前でもいいし、申し上げたとおり、もっと早い、一日から十五日まであるので、もっと前の段階で構わないので、何とか放送を入れていただきたいと思っています。

 この間、村上大臣には、「かくして政治はよみがえった」というのを再放送してほしい、これだけ政治と金が問題になっているのでNHKは再放送すべきだということを言って、大臣からの答弁は、表面上は、やはり表上は、放送の自由というか、そういうのがありますので難しいですねみたいな答弁をいただいたんです。

 今回も同じ答弁で結構だと思いますけれども、我々の思いは、やはり各国のことをもっと尊重していただいて、それを国民の皆様に伝えていただきたいということが私の今日の質問の趣旨なんですが、NHKの理事の方に今日お運びいただいていますが、是非、いい答えか、難しいという答えでも結構なんですが、心のうちの中で、NHKの中でいろいろ議論していただければと思っています。よろしくお願いします。

山名参考人 お答えいたします。

 大相撲の中継で、海外の各国、地域の友好杯あるいは地方自治体の知事賞など、表彰の場面につきましては、御指摘のように、放送時間に限りがある中で、注目の取組あるいは場所全体の振り返りなども伝える必要がありまして、御紹介することは難しい面がございます。

 放送内容につきましては、報道機関としての自主的な編集判断に基づいて、とはいえ視聴者の関心なども踏まえまして、その都度総合的に判断していきたいというふうに考えております。

杉本委員 是非結果を楽しみにしていますので、どこかで各国の紹介をしていただきたいとお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、西岡秀子君。

西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 大臣には、連日外交日程をこなされる中で、本当に活動に心から敬意を表して、質問を始めたいというふうに思います。

 まず、全拉致被害者の一括帰国へ向けた取組についてお伺いをいたします。

 先日、国民民主党として、横田拓也被害者家族連絡会代表、飯塚事務局長、横田哲也事務局次長にお越しをいただいて、切実な御要望をお受けをいたしました。救う会からは西岡会長もおいでになり、お話を伺いました。

 御承知のように、拉致被害者有本恵子さんの父、有本明弘さんが二月十五日にお亡くなりになりまして、家族会のメンバーでは横田早紀江さんお一人になってしまい、本当に一刻の猶予もない、そういう今状況になっているというふうに認識をいたしております。

 家族会、救う会におかれましては、政府に、親の世代の家族が存命なうちに全拉致被害者の一括帰国を実現させること、それと同時に、それを実現させることが、北朝鮮に人道支援、独自制裁解除、国交正常化後の経済協力をする条件だということを内外に明らかにすることを求めるとの新しい運動方針を決定されております。

 石破総理も二月二十日に直接面会をされておりますけれども、この新しい運動方針に対する岩屋外務大臣の御見解とともに、解決へ向けた御決意をまずお伺いをしたいと思います。

岩屋国務大臣 有本さんの御逝去を心からお悔やみを申し上げたいというふうに思っております。

 今、西岡委員が御指摘になったように、この拉致問題は一刻の猶予もない、時間的制約のある課題だというふうに思っておりまして、被害者の即時帰国に向けた御家族や救う会の方々の強い思いを真摯に受け止めております。

 これまでの政府方針も、もうこれは一貫した方針ですけれども、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、その上で、不幸な過去を清算して、さらに日朝国交正常化を実現するということでございますので、基本的に、家族会の皆さんのお考えと、そこは軌を一にしていると思っております。

 全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮とのこの諸課題を解決するために最も有効な手だてを講じていきたいと思います。

西岡(秀)委員 ありがとうございます。

 新しい運動方針とも同じ思いであるという大臣の御見解をいただいたというふうに思います。

 続きまして、関連してでございますけれども、先般、大臣所信の中で岩屋大臣は、拉致問題につきまして、総力を挙げて最も有効な手だてを講じてまいりますと述べられております。その最も有効な手だての中に、これまで石破総理が言及してこられた連絡事務所設置ですとか、合同調査委員会の設置が入っているのでしょうか。それについてまず伺います。

 家族会からは、どんな名目であっても成果は期待できず、北朝鮮の時間稼ぎにしかならない、幕引きに使われかねないとの強い懸念の声が出されております。家族会、救う会の皆様の思いは、首脳会談の実現に全精力を傾注していただきたい、このことに尽きるというふうに思いますけれども、大臣の御見解をお伺いをいたします。

岩屋国務大臣 いわゆる連絡事務所や合同調査委員会の設置については、家族会の皆様の御懸念も含めて、反対の立場からの議論があるということはよく承知をしております。

 政府としては、何が最も効果的かという観点から不断に検討してきているところでございまして、石破総理は、もう一度、日朝平壌宣言の原点に立ち返り、この機会を逃すことのないように金正恩委員長に対して呼びかけていくと述べております。

 やはり、トップ同士が会談をして解決へ導かなければならないという強い決意を総理は述べておられます。この総理の決意の下に、総力を挙げて最も有効な手だてを講じてまいります。

 それが何であるか、これが入るか入らないかということをあらかじめ申し上げるということは、今後の交渉等に差し支えるおそれがあるので、それは控えさせていただきたいと思いますが、決意としては、そういう決意で臨んでまいります。

西岡(秀)委員 大臣からは、家族会からも強い懸念また反対の声があるということも十分踏まえているというお話がございましたけれども、もしこのことを進めることになりますと、トップ会談から遠ざかるということも考えられますし、家族会の御懸念、本当にそのとおりだというふうに私も思いますので、外交の責任者である岩屋大臣の役割は大変重いものがあるというふうに思っておりますので、しっかり家族会のこの反対の声を受けた中でのこれからの政府の取組を、是非御要請をしたいというふうに思います。

 続きまして、私からは、在外投票の在り方について質問させていただきたいと思います。

 昨年十月、衆議院選挙が行われまして、もう間近に、七月には参議院議員選挙を控えております。まず、その状況の中で、現在の在外投票制度、これの改善、整備は待ったなしの課題であるとの認識を私は持っておりまして、これまで総務委員会でも質問をいたしてまいりました。

 岩屋大臣は、在外投票制度推進議連の役員でもあられるということの中で、私は、岩屋大臣の在任中に是非前に進めていただくことを心から期待して、質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今日は、総務省自治行政局選挙部長にお越しをいただいております。

 まず、昨年の衆議院議員選挙における在外投票人の登録数、そして、在外投票者数、投票率についてお答えをお願いいたします。

笠置政府参考人 昨年、令和六年十月二十七日執行の衆議院議員総選挙における在外選挙人名簿登録者数は約九万五千七百人で、選挙当日有権者数は約九万五千五百人となってございます。小選挙区における投票者数は約一万七千三百人でございまして、投票率は一八・一%となってございます。

西岡(秀)委員 それでは、続きましてお伺いいたしますけれども、最新の在外在留邦人数と、その中で十八歳以上の有権者となる在外在留邦人の人数を外務省にお伺いをしたいと思います。

岩本政府参考人 最新の統計は昨年十月一日時点のものがございますが、これによりますと、海外の在留邦人の総数は百二十九万三千九十四人となっております。そのうち十八歳以上の成人数ですけれども、これが百四万四千八百十六人ということになっておりまして、海外在留邦人全体の八〇・八%を占めております。

西岡(秀)委員 今、総務省、外務省からお答えをいただいたわけでございますけれども、総務省の一八・一%の投票率の分母というのは、在外邦人が選挙人として登録をした数が分母となっておりまして一八・一%なんですけれども、先ほど外務省からいただいた数字、本来有権者である、国内においては、当然、十八歳以上になりますと、自動的にと申しますか、選挙人となるわけでございますけれども、在外邦人の場合は自ら登録をしなければ選挙人となれないという事情がありますので、今の数字からいたしますと、二%にも実は満たない、これが現実の投票率であるというふうに考えております。

 ちょっと時間の関係もありますので次の質問は飛ばさせていただきまして、そもそも海外で投票権を行使しようとする場合、先ほど申し上げましたように、在外選挙人登録をしなければ有権者となることはできません。今現在、その登録数、登録率についてはどれぐらいでしょうか。総務省にお伺いいたします。

笠置政府参考人 先ほど、外務省の方から、十八歳以上の総数が約百四万五千人ということでございましたので、それに対する実際の在外選挙人名簿登録者数は九万五千七百人でございますので、その割合は九・二%になるかと思います。

西岡(秀)委員 その登録者数が実は九・二%しかないという今の状況がございます。

 選挙人登録をする場合、二つの方法がございまして、資料でお配りをいたしておりますけれども、在外公館に出向いて申請するやり方、もう一つは平成三十年に導入されました出国時申請というものがございます。

 在外公館申請につきましては、居住しているところから大変遠いところにあることによりまして、大変負担が重いということを在外邦人の方から聞いております。そもそも在外公館自体が地域にない、こういう地域もありまして、大変課題が多いということを考えますと、出国時申請、これが大変期待をされるわけでございますけれども、平成三十年に導入されましてからも、その登録者数は余り増えておりませんし、投票率も伸びておりません。この利用者は全体の二・五%の利用しかないというデータもございます。出国時の申請というものが制度としてはできましたけれども、利用されていないのが現状だというふうに思います。

 その原因については、国内外共に国、地方公共団体の広報、周知が十分でないことも要因の一つではないかというふうに思いますけれども、外務省の周知徹底の取組についてお伺いをさせていただきます。

岩本政府参考人 ただいま御指摘の出国時申請、従来から私どもも周知に努めているところでありますが、今お話がありましたとおり、まだまだ認知度が高まっていないという点がございます。

 そこで、今年の二月に、総務省と協力しまして、国外に転出される方を対象として広報資料を新たに作成しました。この資料を全国の各自治体に電子データの形で送付をさせていただいて、国外への転出届を出される際の役所の窓口に置いていただくよう今依頼をしているところでございます。

 また、選挙が実際に行われる際にも、出国時申請を含めて、各在外公館のホームページに関係の情報を掲載したり、また、在留邦人の方に領事メールの形で情報をお流ししたり、また、現地に日本語の媒体、新聞等がある場合には、そういったところにも関連の情報を掲載していただく、こういった形で広報に努めてきております。

西岡(秀)委員 出国時申請、もっと今新しいお取組をされているということでございましたけれども、しっかりこの改善に努めていくということも大変重要な課題だというふうに思っております。

 海外に在住している日本人が国政選挙に投票しようとする場合は、先ほど申し上げましたように、在外公館で投票する、登録もそうなんですけれども、投票する場合も一つの方法としては在外公館で投票する、もう一つは、自ら国内の自治体の選挙管理委員会から投票用紙を取り寄せて郵便で行う投票、三つ目には日本に一時帰国をして投票する、この三つの方法がございます。

 私も、議員連盟の中で、海外有権者ネットワークの皆様から実情をお聞きをいたしましたけれども、在外投票の課題は、まず、片道数時間、場合によっては飛行機や船舶で行かなければいけない場合や宿泊が伴うケースもあるということで、六時間から八時間を要する場合もあるということをお聞きをいたしております。先ほど申し上げた、そもそも在外公館がない地域が約四十か国あるということもお聞きをいたしております。

 二つ目は、短過ぎる投票期間ということで、平均四・二九日であること、昨年行われた補欠選挙においては一日のみということでございました。

 三つ目の郵便投票でございますけれども、近年、遅れるということは少し解消してきておりますけれども、各国の郵便サービスの状況によっては大変厳しい状況がございまして、今の制度を改善していくということは、その中で投票していただく機会を増やしていくということは、現実的に大変難しいというふうに思います。

 やはり、この投票という機会を、憲法で保障された投票の権利、機会を奪われている状況をこれ以上放置していくということは大変私は問題だというふうに思っておりまして、在外邦人の皆様も署名活動をされております。

 在外投票にインターネット投票を導入してほしいという声があり、署名活動も行われ、歴代の外務大臣にもその署名が提出をされておりますけれども、総務省有識者研究会は二〇一八年に報告書をまとめて、マイナンバーカードを活用して導入することは可能だとしております。

 これまで必要な技術的な調査研究が進められておりますけれども、現在の進捗状況について、簡単に総務省からお答えをお願いいたします。

笠置政府参考人 簡単にということでございます。

 総務省では、郵便投票が広く認められております在外選挙におけるインターネット投票について調査研究を進めてきております。その中では、二重投票の防止でありますとか投票の秘密の保持といったような、あと大きいのは、選挙人の自由意思によって投票できる環境の確保といった選挙特有の課題、論点などもございまして、そうしたものについて調査研究をし、制度面、運用面の方向性について整理を進めてきているところでございます。今年度は、例えば、市区町村選管の開票所における操作環境の調査といったことも行っているところでございます。

 総務省としましては、在外選挙インターネット投票について、引き続き、課題の整理、対応など調査研究を進めてまいりたいと思いますが、選挙の公正を確保するため、投票は投票管理者や立会人の下で行うことが原則となっている中で、インターネット投票、御案内のとおり、こうした者が不在の中で行われる新たな投票方法であるということでもございまして、これを導入することにつきましては、選挙制度の根幹にも関わることから、各党各会派で十分に御議論いただきたいと考えてございます。

西岡(秀)委員 今の進捗状況を詳しくお聞きをしたかったんですけれども、ちょっと時間の関係で、次に、是非、外務大臣に質問させていただきたいと思います。

 今、総務省からもありましたけれども、いろいろな調査研究を進めていただいておりまして、有識者会議の一員である明治大学の湯浅教授によりますと、技術的には導入は可能ではないかということを述べられておりまして、ただ、セキュリティーの課題は残っているということも同時におっしゃっております。ただ、暗号技術等、高度な技術を使って投票の秘密を守るということはできるのではないかということを述べられておりまして、あとは、政治決断をするという段階に来ているのではないかということも申されております。

 これまでも、在外在留邦人の方がインターネット投票の導入を求めて、先ほども申し上げましたように、署名活動を行い、歴代外務大臣にも要請をされてまいりました。在外投票の現状を踏まえて、やはり、このインターネット投票、こちらの実現へ向けてかじを切る段階に来ているのではないかというふうに私は思っておりまして、是非、岩屋大臣の後押しをお願いをしたいというふうに思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いをさせていただきたいと思います。

岩屋国務大臣 この在外選挙については、私自身、政治家として強い問題意識を持っております。これまで、今席を立たれておられます逢沢一郎自民党選挙制度調査会長の下でも勉強してまいりましたし、超党派の在外投票を推進する議員連盟を通じて積極的に関わってまいりました。

 まだ御指摘の署名は外務大臣就任後は受け取っていないんですけれども、在外選挙制度の改善については不断に検討を進めてまいりたいというふうに思っております。百万を超える海外在留邦人の投票率が二%というのは、やはり機会が十分に提供されていないということを政府としても考えなきゃいけないというふうに思っております。

 今、総務省において、この在外選挙のインターネット投票については、制度、運用面の論点整理を行っていると承知しております。導入に際しては、確実な本人確認、二重投票の防止、投票の秘密の確保、システムのセキュリティー対策など、多々課題があると承知しておりますけれども、その取組が前向きに進むように総務省とも連携していきたいと思います。

 そして、選挙制度ですから、最終的には各党各会派で是非コンセンサスをつくっていただければと思っております。

西岡(秀)委員 これまで取り組んでこられた岩屋外務大臣のときに前に進むことを心から御期待をして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、核兵器のない世界に向けた取組についてお伺いします。

 大臣は、核のない世界については、三月七日の大臣所信では、NPT体制を維持強化し、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を行ってまいります、また、被爆八十年に当たる本年、被爆の実相の理解を一層促進してまいりますと述べられています。

 被爆八十年の節目である今年、核廃絶に向けた大きなうねりをつくり出していくことが必要であると考えていますし、公明党は議論をリードしていくことを示しまして、その第一歩として、核兵器禁止条約締約国会議に、日本が唯一の戦争被爆国としてオブザーバー参加をすべきだということを主張してまいりました。

 こうした中、今月三日から七日まで五日間、ニューヨークで核兵器禁止条約第三回締約国会議が開催されましたが、残念ながら我が国のオブザーバー参加は見送られましたが、与党からは唯一、我が党の参議院議員の平木大作議員が参加させていただきました。

 平木議員は、その中で、やはり現場に行ってみないと分からないことがたくさんあったと言われています。最も強く心に残ったことは何なのか、それはやはり、参加されている人たちが、核のタブーがいよいよ破られてしまうんじゃないかという大変な危機感、それに突き動かされて議論に臨まれていることを強く感じたと。

 それと、もう一点、参加者の中の国会議員のある方が、広島、長崎に実際に行ってみたと。その中で、ややもすれば被爆に対する怒りとか悲しみの感情、そういったものを、長崎、広島に行くと、それを平和のメッセージへと昇華させている、そういった日本の取組のすばらしさに対しての評価もあったというふうに言われていました。

 それで、平木さん自身が強く感じたのは、八十年の時を経て、いよいよ核が使われてしまうかもしれない、そういう大きな危機感の中で、やはり各国の首脳の中でも、とりわけアメリカ、中国、ロシア、この三か国の首脳に是非広島、長崎の被爆の実相に触れていただきたい、そういったことを強く感じたというふうに言っておられます。

 ほかにも、被害者に対する救済、援助、環境の修復に向けて、国際的な信託基金の設立に向けた動きや、本当に核実験がたくさん行われてきた中で、日本以外にいる被曝者の皆様方への支援に対する日本の知見、これに期待する声も多かったというふうに伺いました。また、実際に核兵器が使われてしまった場合、どんな影響があるのかという調査研究、これも本当に久しぶりにいよいよ本格的に調査が始まるというふうなことも、その中で言及があったようでございます。また、偶発的な核兵器の使用についても議論がなされたようでありまして、様々、やはりそこに行ってみて、非常に感じるものが多かったと。

 その中で、世界の国々がかつてない危機感でこのような核廃絶に挑む中、やはり唯一の被爆国である日本への期待は大きい。そういった意味で、日本にはやはり特別な役割、使命があるのではないかというふうに思います。

 そういった意味におきまして、今後の核兵器禁止条約締約国会議への参加は検討していくべきであると考えますが、岩屋大臣の所見をお伺いいたします。

岩屋国務大臣 核の廃絶、核兵器のない世界へ向けた御党のお取組に敬意を表したいと思います。

 御指摘の核禁条約につきましては、核のない世界への出口ともなり得る重要な条約であるというふうに認識をしております。しかしながら、同条約への対応については、現下の厳しい国際情勢あるいは安全保障環境を見極めながら、我が国の安全保障の確保と核軍縮の実質的な進展のために何が真に効果的かという観点から判断をさせていただき、今般はオブザーバー参加を見送らせていただいたところでございます。

 今後の対応については、今、平木議員の参加の状況も聞かせていただきましたが、様々な御意見を今後とも聞かせていただきながら考えてまいりたいというふうに思っております。

山崎(正)委員 今、トランプ大統領にもなって、非常に厳しい状況というのはよく分かった上でございますけれども、また、やはりそういったところも突き抜けたところの英断を是非お願いしたいなというふうに思うところであります。

 次に、今月三十日及び三十一日に、国連大学において、核兵器のない世界に向けた国際賢人会議の第六回最終会合が開催される予定であります。

 これは、二〇二二年一月に岸田総理が施政方針演説で立ち上げを表明されて、核兵器国と非核兵器国の双方からの参加者が、それぞれの国の立場を超えて知恵を出し合い、また、各国の現職、元職の政治リーダーの関与も得て、核兵器の、世界の実現に向けた具体的な道筋について自由闊達な議論が行われることが期待されておりまして、来年のNPT運用検討会議に向けた提言が期待されるところであります。

 先ほどの核兵器禁止条約とともに、このNPT運用検討会議、この両輪が非常に重要でありますが、いよいよ来年度、これが開かれるようになっております。核兵器禁止条約賛成国と核保有国、依存国の双方の貴重な対話の機会と捉え、核兵器のない世界に向けた更なる取組を進めていただきたいと考えますが、これに向けての岩屋大臣の見解をお伺いいたします。

岩屋国務大臣 御指摘のとおり、NPT体制は、核兵器国、非核兵器国の双方が幅広く参加する唯一の普遍的な取組でございますので、我が国としては、このNPT体制の下で、核軍縮そして不拡散、最終的な核の廃絶というものを目指していくことが適切である、最も有効な取組であるというふうに考えているところでございます。

 こういう考え方の下に、今御指摘がありましたNPTの運用検討プロセスに、継続してハイレベルの参加者が参加して、リーダーシップを発揮するとともに、昨年は、核兵器用の核分裂性物質生産禁止条約、FMCTを進めるフレンズ会合を我が国のイニシアチブで立ち上げるなどしております。

 また、今週末に予定している、これも御紹介がありました、国際賢人会議、核兵器のない世界に向けた国際賢人会議の会合には私も出席をさせていただいて、核兵器国そして非核兵器国の双方からの参加者による自由闊達な議論を促進する考えでございます。

 今後とも、このNPT体制の下で、核のない世界に向けた現実的で実践的な取組を積み重ねていきたいと考えております。

山崎(正)委員 済みません、ちょっと時間の関係で質問の順番を変えさせていただいて、一つ飛ばしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 国連加盟国は、昨年開催された未来サミットにおいて、一層の国際協力を進めるために、多国間主義の新たな開始を誓約いたしました。

 しかし、現下の国際情勢を見ると、自国中心主義ともいうべき国家による動きが様々な波紋も呼んでおりまして、国際社会の平和と安定に非常に厳しい、こういった見通しが出てきているようにも見えます。

 また、我が国周辺においては、北朝鮮の核・ミサイル開発、東シナ海や南シナ海などにおける中国軍の活動の活発化など、安全保障環境は厳しさを増してきています。

 こうした中、公明党は、独自の構想として、ヨーロッパにおける対話による信頼醸成の枠組みである欧州安全保障協力機構、OSCEを例に、アメリカ、中国、ロシアを含めた多国間の安全保障対話の仕組み、アジア版OSCEを創設すべきだと提言をしております。

 OSCEは、対立関係のある国も参加して信頼醸成をしていくことで、一九九五年に設立されて三十年です。この中がすばらしいなと評価されているのは、やはり、毎週、参加国の大使級が集った常設の理事会がされておりまして、一週間に一度顔を合わせて、様々な立場について理解をされているということがすばらしいところだと思います。

 実は、今、能動的なサイバー攻撃に対する法案が内閣委員会の方で議論をされておりますけれども、やはりこういったことについても非常に国際間の協力が大切だと言われておりますし、迅速性が非常に重要だと言われている中で、こういった常設機構ができていくというのは非常に重要ではないかなというふうに考えるところでございます。

 今国会の衆参予算委員会でも総理の方に質問いたしまして、具体像を構築していかなければならないと考えているというふうな、非常に前向きな御答弁をいただいたのですが、外交政策の責任者である岩屋大臣からも、このアジア版OSCEの構想に対してどのように捉えられているのか、御所見をお伺いいたします。

岩屋国務大臣 御党から御提案いただいているアジア版OSCEの創設については、先般、総理からも、御党の意見を承って、広い議論を経た上で、実現に向けて努力していきたいという答弁がされたと承知をしております。

 政府としては、現在行われている様々な議論も踏まえまして、地域の安全保障の在り方に関する検討を更に深めていきたいと思っておりまして、外務省としてもしっかり検討していきたいと考えております。

山崎(正)委員 それでは、一つ質問を戻りまして、被爆八十年となりまして、被爆者の高齢化が進む中、被爆の実相を次世代へと継承していくことは非常に重要であります。

 これにつきましても、核廃絶を願い全国で活動している若い世代の方々をユース非核特使として委嘱するとともに、ヒロシマ・アクション・プランの一環としまして我が国が拠出して立ち上がったユース非核リーダー基金プログラムを通じて、次世代の育成に取り組んでいると聞いております。一期生の研修プログラムも終了いたしまして、百名のうち五十名が広島、長崎に訪問して、やはり成功裏に終えたというふうな評価をいただいていると思います。

 公明党はこれまでも再三これを取り上げてまいりましたけれども、やはり非常に重要な取組であると思います。デジタル技術なども活用しまして、より一層効果的に進めていただきたいと考えますが、岩屋大臣のお考えをお伺いいたします。

岩屋国務大臣 今委員御指摘のユース非核リーダー基金は、我が国が拠出して国連が立ち上げたプログラムでございまして、二〇二三年から二〇三〇年まで、二年間のプログラムを四クール実施する予定でございます。

 これからは、デジタル技術の活用を含めた様々な工夫を凝らしながら、こうした取組を推進してまいりたいと思います。これをしっかり続けて、また拡充してまいりたいと思います。

山崎(正)委員 非常にすばらしかったということですので、もう四クールもやっていただきながら、更に、先日もあったと思いますが、人数の拡大等も含めて検討していただけたらと思います。

 以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。

 今日は、平和外交、平和貢献についての日本政府としての考え方、そして、このような活動に市民が現場で関わる中でのリスクという点について質問をさせていただきたいと思います。

 日本の平和貢献の中で大きな役割を果たした一つは、一九九二年から三年にかけてのカンボジアにおける国連カンボジア暫定統治機構での活動だったと思います。国連が史上初めて一国の行政を暫定的に担うPKOでありました。そして、日本も、史上初めて自衛隊を海外派遣し、そしてトップを務めたのは日本人の明石康特別代表、そして文民警察や様々な国連要員も日本から参加をしています。私も、国連ボランティアとして一年間山岳少数民族の村に住み込み、そして、自由で公正な選挙の実施のための活動を行いました。

 ところが、研修中に、ルームメートであった中田厚仁さんという青年が活動中に武装勢力に銃撃を受けて殺害されるという事件が起こりました。世の中に誰かがやらなければいけないことがあるとすれば、自分がその誰かになりたい、最も危険な地域をあえて志願したその理由を聞いたときの中田厚仁さんの言葉、私は忘れることはできません。

 平和構築の現場で活動するということは、時に命のリスクを負うこともあります。私自身も、実は、何度か銃撃、襲撃を受けた経験があります。自動小銃を四本同時に、引き金に手をかけた状態で突きつけられたこともあります。次の瞬間、頭が吹っ飛び、自分は肉の塊になるんだ、そういう死を覚悟した瞬間でもありました。

 英利アルフィヤ政務官に質問いたします。

 先日、政務官としての出張中に、プノンペンでこの中田厚仁さんのお墓参りをしてくださったと聞きました。御自身が国連で活躍された経験も踏まえ、市民による国際協力、平和構築活動と命のリスクについてどう考えるのか、また、政府としてこの問題に今後どのように取り組んでいくべきだと考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

英利大臣政務官 阪口委員、本当に重要な御質問、ありがとうございます。

 まず、中田ボランティアに関し、改めまして私自身の敬意と哀悼の誠をささげたく存じます。

 委員御指摘のとおり、二〇二四年十一月に、外務大臣政務官として初の公務出張でカンボジア王国を訪問した際、一九九二年から九三年にかけてのカンボジアにおける国連平和維持活動の中で命を落とされた国連ボランティアの故中田厚仁氏及び故高田晴行警視に哀悼の意を示すべく、慰霊碑に献花いたしました。

 外務省としての一般的な考え方、そして私個人の政務官としての考え方につき、思いにつき、二点、お答えしたいと思います。

 一般に、開発途上国の平和構築や経済社会開発等のニーズに応えるODAの実施に当たりましては、国際協力事業関係者による危険な国、地域への渡航が必要となる場合があるという厳しい現実が存在しております。かかる現実を踏まえ、国際協力事業関係者が渡航を希望する場合、渡航の必要性及び緊急性、渡航先の治安状況及び必要な安全対策が講じられているか等を精査した上で、外務省としてその渡航の是非を判断しております。

 外務省としましては、今後とも、邦人の安全確保、保護に万全を尽くしつつ、平和構築を含む国際協力事業を実施していきたいと考えております。

 そして、阪口委員御指摘のとおり、私自身も国連職員として働いていた経緯があります。その中で、国連職員として、多くの同僚が命が危ないところに出向く状況、そして、私自身も、阪口委員と同じく、自身の命、自身の生活が危険を及ぼされていると感じることが多々ありました。それでも、先ほどおっしゃっていた、中田ボランティアがおっしゃっていた、自分がその誰かになりたいという思い、そのような思いを持って働いている同志が今もなおたくさん、この瞬間、人道支援をしています。

 私自身、最後の職務、選挙に出る直前まで、国連本部の安全保安局という場所で、国連職員の、特に紛争地域に出向く国連職員の命の安全を確保するというお仕事をしておりました。事務次長補付の特別補佐官として、最後の最後までウクライナ侵攻に対応し、ウクライナからどのように国連職員を安全に脱出させるのか、そして、どのように次は支援のために安全に送り込むのか。一分一秒ももったいない、そのような状況でニューヨークで働いておりました。私自身の同志、同僚も、毎日のように命を懸けて働いていました。

 その中で、二週間前、外務政務官として、女性の権利向上委員会において団長として国連に戻ることができまして、テーマとは違いましたけれども、当時の上司でありました安全保安局長とも会談をさせていただき、しっかりと、国連安全保安局とともに、邦人保護、特に紛争地域、危ない地域における邦人の保護についてパートナーシップを引き続き結んでいきたい、協力を得たい旨申し上げ、御快諾をいただいている次第であります。

 私自身の経験を踏まえ、最重要課題として、紛争地域で今もなお働く方々、日本人だけではなく全ての方々に敬意を表しつつ、邦人保護に全力を尽くしていきたいと思います。

 ありがとうございます。

阪口委員 ありがとうございます。

 一〇〇%正しい答えというのはないのかもしれませんが、しかし、目の前の救える命を救おうとしたときに、自分の命を危険にさらすこともあり得るということを、特にやはり政治家がしっかり認識すること、自分の問題として受け止めること、これが非常に大事だと思います。

 一方で、自分が安全な場所にいるにもかかわらず、国民には血を流す覚悟を求める、あるいは、これは自己責任だと突き放すような政治家もいらっしゃいます。これは、本当に私は、紛争地のリアリティーを知らないあるいは理解しない無責任な態度だと思います。

 英利アルフィヤ政務官には当事者としての意識で取り組んでいただきたいですし、特に人権の問題などについてまた議論をさせていただきたいと思います。

 大臣にお伺いします。

 国会議員の最大の役割は、何よりも絶対に戦争をしないこと、国民に血を流させないこと、そして、国際社会における様々な紛争や戦争の芽を摘んでいくこと、やはり日本に期待される役割はそこだと思います。そして、一たび戦争が起これば、全力で停戦、休戦を働きかけていくこと。こんな平和への徹底した貢献を日本の安全保障政策の大きな柱にしていくべきだと思います。やはり尊敬される、信頼される国になることが、平和外交の可能性を高めることにもつながると思います。

 この点についての大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

岩屋国務大臣 中田ボランティアのお話でありますとか、委員御自身が大きなリスクを背負って平和構築活動に従事されたという経験をお聞かせいただきました。心から敬意を表したいというふうに思います。

 その上で、おっしゃるとおり、外交の大きな目的は、戦争が起こらない、紛争が起こらない、そういう環境を醸成していくことにあるというふうに思っておりますし、一たび起これば、一日も早い平和の回復、そして復旧復興ということに支援を行っていくということが使命だと考えておりますので、今後ともその思いで、日本の平和外交を更に前進させてまいりたいと考えております。

阪口委員 一議員として、私が取り組んだ平和構築活動について紹介させていただきたいと思います。

 一九九三年以降のカンボジアの総選挙、国民議会選挙、これは五年ごとにあるんですが、私は六回関わりました。どうしても選挙のたびにその正当性が疑われる、そのことが、国民の分断であったり内戦の可能性を生み出す、これはカンボジアやその他の紛争地域の選挙に関わって非常に痛感したことであります。

 そこで、私は有権者登録のプロセスを電子化することを提案して、この外務委員会でも、当時の岸田外務大臣と議論をさせていただきました。結果的に、二〇一六年にこの有権者登録のプロセスを電子化するということを実現することができました。一国の統治機構の在り方に大きな影響を与え得るこの選挙制度改革の本丸に踏み込めることができたこと、これは日本の平和構築活動としても大きな意義があったかと思います。

 具体的には、カンボジア政府が氏名、顔、指紋などの有権者情報を登録し、日本はその情報を基に有権者情報を保管する役割を担う、EUは生体認証システムによって二重チェックを行うというシステムを作ったことで、カンボジアでは、人口が二〇一三年から二〇一八年にかけて百三十五万人増えたにもかかわらず、この電子化によって有権者数が百三十万人減りました。どういうことかというと、いかに二重登録、要は、不正が横行していたかということなんですね。これをなくすことができたわけであります。

 質問です。日本の拠出金額、そして、このシステム構築全体にかかった費用は幾らだったでしょうか。

岩屋国務大臣 我が国は、二〇一五年から二〇一八年にかけて、選挙改革支援に関する専門家派遣、それから、有権者の情報保管サーバーを含む有権者登録電子化支援等の合計約二億円の支援を実施をしました。その後、サーバーの更新が必要となったために、本年一月に、改めて七億五千万円の無償資金協力に関する書簡の署名及び交換を行ったところでございます。

阪口委員 アメリカに言われて五年間で四十三兆円を拠出する。そして、この一国の選挙制度改革、内戦や分断を防ぐ効果がある、これが二億ということですね。このシステム構築全体で四十八・六兆円、また、EUが七・六億円出しているんですが、私は、この日本の拠出二億円で平和や民主主義に対する大きな貢献ができたことというのは大きな意味があると思います。

 選挙への信頼の欠如は、政治への不信であったり、また国民の分断、武力衝突の可能性を生み出すことを考えると、私は、このようなシステムを、選挙制度の信頼性に欠け、そして政情が不安定な国に提供するということを日本の平和構築戦略の大きな柱にすべきだと考えています。この点、大臣のお考えはいかがでしょうか。

岩屋国務大臣 内戦や戦争の後、国を立て直す、そこで選挙をやって、正統性を持った政権、政府を立ち上げるというのは、復旧復興にとって非常に大事なことだと思いますので、そのための公正な選挙をやるための支援を行うというのは、我が国が提供できる支援の一つとして極めて重要だというふうに考えております。

阪口委員 ありがとうございます。これは、具体的に是非実行していきたいと思います。

 実は、ミャンマーのアウン・サン・スー・チーさんと私は四回意見交換をしたことがあるんですが、アウン・サン・スー・チーさんもこのカンボジアでの取組に大変関心を示して、ミャンマーにおいても実行したいということを言っていました。残念ながら、NLDが政権を取った後、様々な課題があり、これに取り組むことはできなかったんですが、二〇一五年に私がミャンマーの選挙に関わったときに、当時の軍事政権がつくった様々な不正のシステム、これが市民から寄せられました。

 したがって、これは、もちろん援助というのは要請主義ではありますが、日本として積極的にこの民主主義をつくっていく、平和構築につながるこういった取組を提案するということも是非やっていくべきではないかと思います。

 実は、こういった取組にもかかわらず、カンボジアの民主主義が実は今後退しているという質問も用意していたんですが、これはまた次回ということでお願いをしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

堀内委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岩屋毅君。

    ―――――――――――――

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岩屋国務大臣 ただいま議題となりました四件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 まず、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件は、令和六年二月十九日に条約の署名が行われました。

 この条約は、ウクライナとの間で現行の租税条約の内容を全面的に改正するものであり、投資所得に対する源泉地国課税の更なる軽減等について定めております。

 この条約の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、ウクライナとの間での課税権の調整がより効果的に行われることとなり、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件は、令和六年十二月十六日に条約の署名が行われました。

 この条約は、トルクメニスタンとの間で現行の租税条約の内容を全面的に改正するものであり、投資所得に対する源泉地国課税の更なる減免等について定めております。

 この条約の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、トルクメニスタンとの間での課税権の調整がより効果的に行われることとなり、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件は、令和六年十二月二十六日に条約の署名が行われました。

 この条約は、アルメニアとの間で現行の租税条約の内容を全面的に改正するものであり、投資所得に対する源泉地国課税の更なる減免等について定めております。

 この条約の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、アルメニアとの間での課税権の調整がより効果的に行われることとなり、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件は、令和六年八月八日に議定書の署名が行われました。

 この議定書は、現行の日・インドネシア経済連携協定を改め、物品及びサービスの貿易に関する市場アクセスを改善し、並びに自然人の移動、電子商取引、知的財産等に関するルール面での改善に関する規定を追加すること等について定めるものです。

 この議定書の締結により、インドネシアとの間の更なる経済関係の強化が図られることが期待されます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

堀内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る四月二日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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